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07月04日-一般質問-03号

  • "PCB汚染対策"(/)
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  1. 新潟県議会 1973-07-04
    07月04日-一般質問-03号


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    昭和48年  6月定例会 本会議昭和48年7月4日(水曜日)  議事日程 第3号    午前10時 開議第1 請願第30号から第42号まで第2 陳情第38号、第39号第3 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 請願  第30号 病院の建築設計委託に関する請願  第31号 特殊施設等建築設計の委託に関する請願  第32号 病院の建築設計委託に関する請願  第33号 特殊施設等建築設計の委託に関する請願  第34号 心身障害者対策に関する請願  第35号 県営早通住宅駐車場増設に関する請願  第36号 国営阿賀排水事業および災害復旧事業の負担金に関する請願  第37号 昭和48年産米価格ならびに食管制度堅持に関する請願  第38号 県有地の無償払下げに関する請願  第39号 本年産米価格等に関する請願  第40号 海岸決壊に対する緊急防止措置の実施に関する請願  第41号 新潟市石山地区における信号機設置等に関する請願  第42号 信越線石山踏切歩行者用踏切設置に関する請願 日程第2 陳情  第38号 県立十日町高等学校千手分校の全日制普通課程移行に関する陳情  第39号 両津市加茂歌代地内の土地買い占めに対する中止勧告等に関する陳情 日程第3 県政に対する一般質問吉田吉平君、江口金吾君、中川三七君、武田武夫君、江口秋治君)出席議員(60名)       曽我四郎次 君  大平  武 君  今井 敬弥 君  田辺 栄作 君       三宅 甲二 君  江口 秋治 君  石塚 光雄 君  伊豆野壹郎 君       長谷川豊恵 君  勝又 一郎 君  田原幸次郎 君  竹内十次郎 君       中川 三七 君  権平 正雄 君  目黒吉之助 君  小林  脩 君       布施 康正 君  目黒 武尚 君  熊倉 勘一 君  桜井  新 君       嵐  嘉明 君  中川 秀平 君  小柳 新一 君  島田 直治 君       長浜 泰雄 君  武田 武夫 君  白井又三郎 君  林 十一郎 君       古川  渉 君  西川 亀三 君  岩村卯一郎 君  近藤 元次 君       山岸 敏夫 君  田井 安平 君  木村 博保 君  稻家 重雄 君       吉川 芳男 君  長谷川 信 君  小林 静夫 君  祢津 文雄 君       高橋半左エ門君  加賀田二四夫君  石本十九一 君  高橋 十一 君       遠山 作助 君  長谷川多喜男君  長谷川吉雄 君  佐藤熊太郎 君       川室 道隆 君  角屋 久次 君  外山勘兵衛 君  鈴木 太吉 君       小野 清一 君  戸田 文司 君  渡辺 善作 君  林  弘二 君       吉田 吉平 君  高橋 虎夫 君  江口 金吾 君  内山 福雄 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者  知事          亘  四郎 君  副知事         柳沢 長治 君  出納長         佐藤 貞三 君  総務部長        市原 哲三 君  企画開発部長      大倉 博介 君  民生部長        多田  博 君  衛生部長        菊地  浩 君  衛生部環境局長     南雲 達衛 君  商工労働部長      松丸  清 君  農林部長        鶴巻 達雄 君  農地部長        竹内 昭八 君  土木部長        水野 正信 君  新潟東港開発局長    日浦晴三郎 君  病院局長        川上喜八郎 君  企業局長        坂本 義勝 君  教育長         矢野 達夫 君  警察本部長       清水新太郎 君  人事委員会事務局長   今井 俊雄 君  地方労働委員会事務局長 山根 俊英 君  監査委員事務局長    中島 泰明 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時10分開議 ○議長(外山勘兵衛君) これより本日の会議を開きます。 △人事委員会の意見報告 ○議長(外山勘兵衛君) 御報告いたします。 今期議会に提出された第96号議案から第98号議案までについて、地方公務員法第5条第2項の規定により、人事委員会の意見を求めましたところ、諸君のお手許に配付のとおり意見の提出がありました。御了承願います。   〔報告書は付録に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第1 請願第30号から第42号まで △日程第2 陳情第38号、第39号 ○議長(外山勘兵衛君) 日程第1、請願第30号から第42号まで及び日程第2、陳情第38号、第39号を一括して議題といたします。 おはかりいたします。 請願第30号から第42号まで及び陳情第38号、第39号は、審査のため、諸君のお手元に配付の請願、陳情文書表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(外山勘兵衛君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔請願、陳情文書表は別冊に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第3 県政に対する一般質問 ○議長(外山勘兵衛君) 日程第3、県政に対する一般質問を行ないます。通告順により発言を許します。 まず、吉田吉平君の発言を許します。   〔吉田吉平君登壇〕(拍手) ◆吉田吉平君 きょうはまた、なかなかうっとうしい天気であります。きのうはからっとしておったが、しかしこのうっとうしい天気の中にも、しゃばではなかなかいろいろなはでな話題がたくさんあります。 最近、新聞なんかの見出しに大きく取り上げられている問題は、パリの航空ショーソビエトの超音速機が墜落したとか、米ソの首脳が核戦争防止の協定に調印されたとか、それにやっかんだせいかどうか知らないが、中国で核実験をやったとか、また豆や小麦をアメリカの大統領は輸出を禁止するとか、それの裏返しに日本じゅうが大あわてしておるというようなこと。 また国内問題としては、閣僚が失言、放言してやめたとかやめさせられたとか、内閣の支持率が急に17%に凋落したとか、なかなかはでなことを言うております。大阪において、参議院の補欠選挙で、沓脱さんとかいう共産党の方が当選されたとか、神戸の市長さんが、ことしの11月の選挙に、いよいよ自民党に見切りをつけて、手を切って、今度ほかの看板をかけて立候補されるとか、あるいはまた日本中の食う魚がないとか、これはたいへんなことであります。 しかし県内においても、その余波を受けていろいろな話題を呼んでいるのでありますが、その中に、われわれが一番関心を持っている話題、うわさは、亘さんがいよいよ来年5月で任期が切れる。それに対して3選を期しておられるとかあるいは参議院に立候補されるとかというようなうわさがたいへん流れておるのであります。 それはさておきまして、(笑声)この亘さん、あなたに質問する機会は、3選されなければ、いよいよあと3回残されておる。それで私は、あなたの7年と2カ月、これを顧みてみると、しかしあまりぱっとしない、このつゆ空みたいだ。降りもせず晴れもせずぱっとしない7年と2カ月であった。 しいて申し上げますならば、あなたは正直で情け深い方だ。よって、この心身障害者、こういった者に対して、非常に力を尽くされたということをあえて取りあげれば、そのくらいのことでしょう。県の施策としては、心身障害者福祉対策として、20項目ばかり羅列してあります。この中には、あなたが任期の初めから手をつけられ、まさに2期目の任期が終わろうとするとき完成しつつあるところの「コロニー白岩の里」、これはまさに私は、あなたを評価してもよろしいじゃないか。 しかしそれを含めた20項目のことは、これもやはりきのうのきょうみたいだ。この福祉対策心身障害者対策、こういったものに対しては薄日の程度であります。しかしこの薄日の恩恵も受けることのできない一つかみの人たちがまだ残されておるということであります。 このことは、今県会におきましても、請願されております。その請願を読んでみるとこういうことです。 「県御当局には日頃並々ならぬ御厚情を賜り厚くお礼申し上げます。 就きましては、今年こそ福祉の年であり福祉元年といわれ、福祉行政は一段と向上しつつありますが、私共、重度身体障害者福祉対策はほとんど取上げられておらず、特に在宅にある重度障害児者は、寝たきり老人と同じく、介護者がいなければ水一杯でも飲むことの出来ないばかりか一日たりとも自活できない重度身障児者をかかえて、親も子も今はもう疲れ果てて、生きる希みさえ失いかけておる現状であります。何卒これらの現況をお推察下さいまして、一日も早く私共親子に希望の光りを与えて頂き度、福祉対策を早急に樹てて下さる様心からお願い申し上げます。 1、重度身体障害児者終身収容施設を新潟県内の適切な場所に早期建設して頂きたい。」 こういう請願書なのです。この請願書は良識ある県議会の議長以下全員がもっともだと思う。全部が先を争うて紹介議員の署名をしてくれております。(拍手)だれ一人これに反対する者がおりませんでした。 全員が署名したことは、私の県会生活の27年間に初めてのことであります。ことほどさように、これは県民が関心を持ちながらも、いまだに手をつけることのできなかったことであります。 それで、二、三日前の、ここに6月26日の「朝日」にこういうことが載っております。 「身障の弟(53歳)殺して悲しい60歳……自殺」こういうことです。これを読んでみると、「長野県北安曇郡松川村で二十四日、六十歳になる病身の兄が体の不自由な弟を殺したあと、自分も首をつって自殺した。」まだたくさん書いてあります。「大町署が調べたところ、弟の首に麻ナワでしめた跡があり、財産分与の件などをしたためた妻あての遺書があったので、兄が無理心中を図ったものとわかった。 弟は先天性小児マヒで左足が不自由、最近は寝たり起きたりの生活だった。義博さんは弟思いで、よく面倒をみており、日ごろから「自分が死ぬときは弟も一緒に連れていく」といっていた。」こう書いてある。 あるいはまた、27日の日報に、「老父に3年の求刑脳性マヒの息子殺し 昨年十月、脳性小児マヒで寝た切りの息子を殺し、殺人罪に問われた東京都北区上中里二ノ七ノ四、無職高根藤吉(七七)の論告求刑公判が二十五日、東京地裁刑事十二部(金隆史裁判長)で開かれ、」「高根は昨年十月十日早朝、妻が病気入院中、脳性マヒで子供のころから寝た切りの三男隆三さん(当時三十七歳)の看病が思うようにならないため「いっそのこと殺そう」と思い、タオルで首を絞めて殺した。」なお「次回七月四日には弁護側の最終弁論が行なわれる予定。」こういうことです。 また私の知り合いの中にも、これに似たような子供をかかえ、奥さんももう看病に疲れ果てて、ノイローゼぎみ、うち帰っても、おやじがつとめ先の帰りに、どうしても一ぱいひっかけて帰る。こういうような悲惨な家庭がまだたくさんある。これは悲劇ですね。ほんとうに悲劇です。 私も、そういうようなうちを一ぺん訪問した。悲劇を通り越して、何だか寒々としましたね。もうひげずらの二男坊が、年とった親にものを養うて、ごはんを食べさせてもらっているとか、こういう姿。私が二、三年たって、体が弱くなったら、この子をふろに入れるとき、どうしたらいいだろう、おぶって入るわけにいかないんだ、抱いて入れるわけにもいかなくなる。だれがめんどうを見てくれるんだろう。寝た切り老人対策は行なわれているが、私がその対策の恩恵を受けるときになったら、この子はどうなるんだ。医者がただでも病院がただでも、私はこの子供のわきから離れられないんだ。この子をふと思うと、死ぬにも死に切れない。やはりこの間、新聞に出ておったように、一緒に死ななければならないんだ。こういう話をしている奥さんがいた。 どうか知事さん、あなたがもう10カ月で任期が切れる。もし3選されるならば、その竣工式のテープカットをしていただきたいし、引退されるならば、せめてそのレールを敷いて、次の人に渡していただきたいのであります。 本日も、二、三のこういう家庭の御婦人方、親たち、ここに傍聴しておる。しかしこの方々は、いまここにおりながらも、残してきた子供がどうしているだろう、それを考えながら、あなたのこの私に対するいい返事をされることを待っておるのであります。 どうかこの日影に、ほんとうに日の目を見ない一つまみの人たちのためにも、あなたの御善政というか、そうだ、そうしようじゃないか――これはきょうあすというわけではないのです。これから9月県会にでも調査費をつけるとか、そうやって順々やっていかれることだろうと思います。そういう道をまずつけていただきたい。 あなたがコロニーを企画され、そのことを私はいまでも覚えている。あなたは41年の5月に当選された。私は41年の9月に、県会でこれに似たような話をした。明けて43年2月県会で初めて30万何がしかの調査費がついた。その調査費の内容は先進県その他の施設を調査するということでありまして、それから3年目にようやっと着工ということになった。しかしだれかがこの種をまき、線路を敷かなければならぬと思いますが、どうかひとつ、そういう人たちのためにいい返事をしていただきたいと思います。 以上でございます。たいへん失礼いたしました。(拍手)   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 吉田さんに順次お答え申し上げたいと思います。 まず最初に、予期しなかった私の知事の問題についてお話がございまして、どうもそれに触れないで通るということも、何だか私の気持ちとして、いささか気の重いような気持ちもあるわけでございます。 正直申しまして、私は、もうこの知事という役柄、知事という席、非常に重要な重い責務を持たせられた地位である。同時に、いろいろと中央との関連等からしても、委任された行政的な権限、非常に強い権限を与えられておる。したがって、こうした強い権限を与えられておる知事という席は、どんな人であっても、長くその席におるというと、つい甘える、なれる、そうしておごるというような人間本来の弱点をそこに持ってしまう。だからそういうような意味で、知事という席は長く一人の人がすわるべき場所ではないんだ、こういうように考えておったのが、私の知事席に対する考え方の基本でございました。 でありまするから、適当なりっぱな方があるならば、3選はしないで、その人を推薦してやめさせてもらう、こういう気持ちでおったわけです。 しかしながら反面、御案内のとおり、私は第1回目も第2回目も、党籍を持った自分として、党の決定に従わなければならないという一つの責務を持っております。でありまするからして、基本的にはそういう考え方ではあるが、党が私の気持ちのとおりに決定してくれるかどうかは、私はわからない。したがって、党の決定が出る場合は、それに従っていかなければならない自分の党人としての立場がある。こういうように現在でも解釈をしておるのが私の心境でございます。 したがって、3期という問題がどういう形になるか、かかって党の決定ということに、私は考えておるわけでございます。 で、いま問題の重度心身障害者の施設の問題でございますが、これも、私がもうやはり国会におりました当時から、政府に対しても、全国的に非常に施設が少ない。だからこれは何としても、ひとつ相当大きな費用がかかるし、また費用だけでない、それを扱い得る人間の確保が容易でないんだ、1人の人に3人も4人も常時ついておらなければならないような立場の人なんだ。 ですから、そういうことに対して十分看護し得る人を収容して、そういう人をつくる。そうして政府の形において、全国にそうした収容施設をぜひつくるようにということを、強く要望してまいったわけでございます。 コロニーをつくるときにも、やはり重度の者に対して、どう扱っていくか、一番本来介護を必要とする人なんであります。でありまするけれども、これを介護するだけの受け入れる準備が並みたいていでない、とうてい普通の収容施設でもってしてはまかない切れない。まず必要な人間をどう確保するか。その必要な人間、看護をする人が確保できるならば、何とかしてやりたい、こういう考え方で終始しておったわけでございます。 ですけれども、なかなか親でさえも容易でない看護、ましてや他人の訓練によってということでありますと、やはりそこに、精神の間に十分なつながりを持った、天使さまのような人が確保できないのが、この問題の一番の難点なんでございます。 そういう意味からいたしまして、コロニーの場合はしかたがない、重度の者はこれはひとつあとに回してという形の結果になったわけでございますし、せざるを得なかったわけです。 そういう意味からいたしまして、県内で国立のものとして、一応柏崎にそうした重度の心身障害者収容施設として、最初50名であったものをまた増加してもらって、国の施設として100名、そうして県立としては、はまぐみ学園に20床現在あるわけでございます。 そうではありますけれども、在宅の人が非常に多い、そういうようなことからして、在宅の人に、じゃあどうしようかと、いまのお話は施設をつくってという話でございます。もっともな御要求ではあるけれども、イエスという形、そうしてよしという形にするには、なかなか先ほど申しましたように、いろいろな準備がかかる。そうしてまた、その準備がはたして理想どおりな形で準備できるかどうか、金だけの問題ではないということです。そこに問題がある。 でありまするからして、現在の立場においては、10月からそうした形のものの人たちの医療の無料化を、まず第1番目にやっていく、そうして在宅の看護してくださる方の見舞い金というような形のものも考えるというように予算づけをしておるのが現状でございます。 しかし、あのコロニーをつくるときには、次のステップは、いま吉田さんの御指摘になった重度の方々をどうするかという点に、これを広げていかなければならないという基本的な考え方は常に持っておるわけでございます。 でございまするからして、それらの方々に対する手を差し伸べるだけの準備をさせていただかなければならない。それは、いわば私に言わせれば、調査費というような簡単なものでは済まされない。やはりそうした天使のような気持ちの方をまずさがす、来てもらう、そうして実際にそういう施設に行って練習をしてもらって、よしこれならばやっていけるというある程度の形のものを整えなければ、なかなか直ちにスタートができないという困難さがある。1人の人に何人もの看護者がなければならない問題だ。 そういう意味からいって、たいへん重度あるいは重症のそういう方々を持っておられる親たちあるいは御兄弟、そういう方々の心労の点は、察するに余りありまして、できるならば早くそういうものを、まず国の考え方においてしてもらいたい。そうして、扱う人の訓練、トレーニングをまずやってもらいたい、こういう気持ちで実はおります。 また県といたしましても、コロニー最終目的をそこに置いているんだというように、常に私は申しておりました。でありまするからして、そうした方向にできる限りの努力をさしていただきたい、かように考えておるわけでございます。 具体的な前進の姿をお答えすることのできないことは、たいへん心苦しいんであります。でありまするけれども、先ほど言われたように、自分の正直な気持ちからいって、なかなかふん切りのつかない、容易でない仕事だということを、ひとつ御了承願いたい、かように全会の県議会議員の皆さま方が、これに全部賛成なさっておる重要な問題でございます。 したがいまして、私どももその文書を尊重いたしまして、これに対する準備をどう進めていくか、よく中央とも話し合いの上で、中央の施策の大きなものを借りなければなかなか容易にできない――ようよう柏崎に100床というものを確保したあのいきさつを考えましても、なかなか並みたいていではないということをひとつ御了承願って、私どもにこの問題はしばらくおまかせ願いたい、かように考えるわけでございます。   〔吉田吉平君登壇〕 ◆吉田吉平君 知事さんのポストコロニーコロニー最終目的はそこまで行くんだというようなこと、それがまた、銭金ではない、天使のような気持ちを持つ人がおらなければ困る、全くこの親や兄弟、こういった人は、銭金でないんであります。 今日ただいま、どうやらこうやらやっておる。さて自分がいよいよ寝た切りの老人の施策を受けなければならぬ、恩恵にあずかるというときに、私はその恩恵にあずかるよりも、この子供と一緒にここで死んでもいいというようなこと、これは生命を2つ一緒になくする、これは大きな問題ですね。 だから知事は、このことについて今後十分意を尽くして、なるべく早く実現したい、こうおっしゃる。まずあなたからその天使のような気持ちになってもらう。そうだ、県会議員も全部そうだし、おれも常日ごろそう思っているのだから、きょうからその方向に、民生部長なりそれぞれの係に申しつけて、何とかいい方法はないか、前向きに行くから――きのう前向きの問題が話題になったが、本気に前向き、思うただけではだめだ、そういう気持ちになっていただかないと、やる気であれば――これは私も、先般県費を使って、ソビエト、東欧、ボヘミア地方、あの共産圏を視察してまいりました。そのとき、こういう問題を私は質問した。それを答えていわく、何にも不平、問題がありません。なぜならば、みんな入れておきますから、みんなお預かりしておきますから。養老院一つ見ましても、向こうは養老院と申しません。そこを一つ見ても、400人ばかり収容しているところに、医者が二十何人、看護婦が何十人とか、収容者2.4人に対する職員1人、これは、やる気であればやれるんであります。やっておるという事実なんだ、しゃばでは。 それはものさしも違うだろうし、国の組織も違うだろう。違っておっても、人間というこの本質は違わないんであります。これは思想とか組織の問題じゃない。そういう意味において、銭金でない、まずあなたが天使のような気持ちになって、前向きに進まれるということでなければ、私はいかぬと思うのであります。 これは質問じゃない、悲しい願いだ。どうかほんとうにこれは、あなたにそのような人たちになりかわって、私はお願いする。いますぐ銭出せというのじゃない。来年こしらえろというんじゃなくて、新潟県の方針として亘知事は、今後この問題を大きく取り上げて、前向きに行くというような心がまえを示していただきたいのであります。以上。   ――――――――――――――――― ○議長(外山勘兵衛君) 次に、江口金吾君の発言を許します。   〔江口金吾君登壇〕(拍手) ◆江口金吾君 通告順に従って、知事に質問をいたします。 最初に県農政について、先般田中総理が青森で発言しましたその発言をとらえて、ひとつ知事にまた質問をしてみたいと思います。 田中首相が5月の11日、青森市での記者会見で、ことし一ぱいで米の減反政策を打ち切る、49年度産米については減反を続けることは考えないほうがよい、来年以降は野菜や果樹などに転作を奨励することにウエートを置くと発表したことが、解釈のしようによって現行の生産調整政策を続けるとも中止するともとれる、微妙かつあいまいな発言と受けとめられておるのであります。 生産調整政策は昭和46年産米から5カ年計画としてスタートし、46年230万トン、47年215万トン、48年205万トンと、減産をそれぞれはかることが目標とされ、米の単純休耕については、当初から48年までの3カ年で奨励金を打ち切る方針を決め、他方、転作などによる米生産調整については5カ年間奨励金を交付することとしており、49年、50年は休耕奨励金は廃止して、もっぱら転作の定着に努力することが当初からの方針になっておるのであります。 ここで不可解なのは、なぜ首相は休耕と言わず減反と言ったかであります。発表当時の情勢から判断しても、多少政治的含みを持たせた表現を使ったために、本来の既定方針を再確認しただけの談話が、何となく政策転換の感じで受け取られたものの、裏を返せばそれだけお米の減反政策は、客観情勢から見て転機に来たとも言えるのであります。全国には米以外には転作できない地域も多いのであり、画一的な生産調整政策ではなく、米適地は稲作生産に最も励んでほしいというねらいであり、したがって、今後米不足状態を招来しないためには、むしろ休耕地に米づくりが再開されることが望ましいと思うのであります。休耕を打ち切る以上、限度量による政府の買い上げ制限も撤廃すべきであります。というのも、最近の大商社による未検査米の買い占めには、この限度量制度の存在が関係性を持たれたからであります。日本の食糧基地をめざす新潟県にとって、良質米生産、増産の課題にどう取り組んでいくのか、首相の発言の受けとめ方とあわせて、知事のお考えをお聞きしたいと思うのであります。 次に、新潟県の農業振興地域の線引き作業が大幅におくれていることについて質問いたします。 農業振興地域制度は、100ヘクタール以上の田畑を持つ市町村を地域指定し、その市町村内で今後も農業を続けていく地域を線引きして整備計画を作成し、農用地に指定して国の農業投資を重点的に行なうかわり、農地の休地化をきびしく規制しようというもので、44年にスタートし、県内で対象となる111市町村のうち、地域指定に関してはまず順調のようであります。しかし、地域の線引きは最終年度を迎えたものの、最近の地価の急騰、営業意欲の減退などから線引きが大幅におくれ、対象地域の約半分、54市町村の作業が来年度に持ち越される見通しのようであります。しかし、すでに線引き案がきまった40市町村についても、その後の地価の上昇、観光資本のレジャー基地づくりなどから計画変更の申請が殺到し、いまだに県が告示に持ち込んだケースは一件もないようであります。農林省が来年度から土地基盤整備、農業近代化施設整備の対象を線引きによる農用地に限定する方針であることからも、このままでは国の補助金が他の地域に振り向けられる懸念を抱くのでありますが、この作業の大幅なおくれにどう対処していくのか、知事のお考えをお聞きしたいと思います。 次に、水銀、PCB汚染の諸対策についてお尋ねいたします。 昨日の本会議において、県下の水銀、PCB汚染対策について論議が持たれましたが、重複の点は避け質問をいたしたいと思います。ただ、現実に魚をとっても売れないなどの被害が大きくかつ深刻でありますので、被害関係者への特別融資措置及び減免及び納税猶予について、税の運用面で配慮するお考えはないか、まず最初にお聞きしておきたいと思います。 それから、県民の食生活の不安を除くため、安全基準、総点検、漁民救済を緊急対策とすれば、中長期対策もこの際十分に確立しなければならないと思います。県内の海洋、河川が水銀、PCBでこれ以上汚染されず、汚染をできるだけ少なくすることが目標であり、水銀を排出するおそれのある工場について、水銀を外に排出しないようにするシステム化の行政指導の本格的な対策は、むしろこれからであります。今回、水銀やPCBなど有害物質の処理の状況がはっきりしていなかったところにも大きな問題があったと思います。ゆえに、行政指導として有害物質の収支を報告させるだけでは十分とはいえなく、劇物や毒物についてきびしい管理が求められていると同様に、有害物質とはっきりわかっている水銀やPCBなどの管理収支の報告の義務づけなどの内容を盛った条例があって当然と思います。 また、現在PCB使用の家庭電化製品の廃棄物の的確な処理について放置されておりますが、この問題は早急に計画を立てるべきだと思います。これについての考えをお聞きしたいと思います。 なお、昨日の議会答弁で、水銀を使った工場の従業員、元従業員の潜在患者の有無について県当局は、労働基準局を通じて調査をしたが、現在異常者はないと答弁がありました。私の調査によると、日曹二本木工場の下請会社に働いていた元従業員に水俣病に似た症状の患者がおり、この方はことし2月初め新大神経内科の診察を受け、水銀中毒の一つの症状である多発性神経炎の症状が見られたが、いわゆる有機水銀中毒の典型的な症状は出ていなかったと言われております。職場の作業内容から判断しても、無機の水銀中毒とも考えられますが、患者自身権威ある診断を受けたいと希望していますので、本人の不安を取り除くため、県の配慮が望まれますが、県当局の考えをお聞きしたいと思います。 次に、金融引き締めの影響と物価対策についてお尋ねいたします。 本年に入り公定歩合は4月の2日、5月の30日に続き、わずか3カ月間のうちに3度、合計1.75%も引き上げられております。今回の引き上げは、第2次公定歩合引き上げを含む引き締めの強化にもかかわらず、卸売り、消費者両物価の騰勢が根強く、生産、消費者動向も過熱傾向を強めており、鎮静化させるための財政面の公共事業繰り延べ、消費者米価の年度内据え置きなどとあわせ、日銀は公定歩合操作だけでなく、4ないし6月期から本格化させた窓口規制を、7ないし9月期には一段と強化することをきめているようであります。 県下の中小企業業界も当面受注を控えているので、生産にすぐ影響はないものの、春闘による人件費のアップ、材料費の値上がりに加え、お盆、資金手当などが重なって資金繰りがかなり苦しくなると、先行き警戒感を強めており、特に最近、中小企業の選別融資が表面化しているだけに、夏場から年末にかけて手元資金が窮迫し、また親企業からの代金支払いが遅延するのではないかと、深刻な受けとめ方をしております。しかし、県の当面の指導は、各業界に対し経営意識の転換を促し、新製品開発、知識集約化をはからせることに重点が置かれ、融資などの援助はそのあとの問題のように聞いておりますが、中小企業近代化資金の増額、また設備機械貸与制度の拡充をはかって中小企業を保護するお考えはないか、お尋ねいたしたいと思います。 次に、最近発表された5月の全国消費者物価指数は、前年同月比で10.9%の大幅上昇を記録し、いずれも衣料、身の回り品等の値上がりが著しく、それだけ物価問題のきびしい様相が露呈されて、もはや物価安定の期待は持てない現状で、県民の最も深刻な問題であります。 私は知事に、県民のためにやってもらえる運動を2つ提案したいのであります。 1つは、農林省の発表によると、今月から安い輸入牛肉が手軽に入るように、指定販売店を全国で現在の1,088店から5,820店に広げる、この措置によると、肉屋さんの3軒に1軒は輸入牛肉を扱うようになるということであります。これは農林省が畜産事業団に半期ごとに輸入割り当て等をきめ指定商社に輸入させ、事業団は入札、一元買いつけを行なっているようで、今回農林省は、国内消費のほぼ3分の1に当たる7万トンの牛肉を緊急輸入することにしたと報ぜられております。輸入牛肉は国内産に比べ、味はやや落ちると言われていますが、三、四割ぐらい安く、PCBや水銀汚染等で魚を敬遠している人たちに喜ばれることであります。残念ながら、県の現在の機構の中でこの仕事をやっていただく課がないので、知事に緊急にやっていただきたく、答弁をお聞きしたいのであります。 次に、県の福対協では、最近の地価や建設資材の高騰で勤労者のマイホームにかける夢が遠のいているため、勤労者住宅の建設を促進するためにソ連材の輸入に積極的に取り組むことになり、具体的には従来の丸太輸入にこだわらず、ソ連側に現地製材を提案し、新潟港を受け入れ基地にして、将来本県を含む関東一円で勤労者住宅を年間3,000戸建てたいと、長期計画に基づく輸入量の算定を急ぎ、極東貿易事務所に働きかけていくということで、喜ばしい計画であります。 また、日本生活協同組合連合会においても、安い直輸入品をふやすということから海外の農漁協と手を結び、商社や代理店とは関係なしに生鮮食料品などを直輸入し、安い価格で消費者へ提供しようとする、いわゆる産直方式の国際版を計画して話題を呼んでおります。新潟県が日本海沿岸貿易の最もメリットの大きい拠点であるという実感を県民ともども味わうためにもソ連、北朝鮮との積極的な交流をはかり、生鮮食料品、生活物資の輸入促進をし、県民の物価高の一助に努力するお考えはないか、知事にお尋ねしたいと思います。 最後に、遷延性意識障害患者に対する診療研究費等の公費負担についてお尋ねいたします。 交通事故並びに労働災害等に基因する遷延性障害患者とは、いわゆる植物人間と言われ、脳機能を損傷し、意識不明の状態が何年も続き、栄養補給でようやく生命を維持し、もはや動はなくなり、植物のように生きている人のことであります。この世の難病中の難病と言われ、年々患者も増加の傾向にあり、先般東北大学の調査によると、全国161カ所の脳神経外科病院に約1,000人の患者がおるものと推定され、新潟大学の調査でも、新潟市内の関係病院に十数名、県下においては30名ないし40名の患者がおると推定されております。これに対する治療はきわめて困難でかつ長期にわたり、あわせて医療費並びにこれに付随する諸経費はきわめて高額であるため、一家の経済的崩壊を招き、重大な社会問題となっておるのであります。 宮城県においては、国の救済に先がけてこのたびの6月補正に4,000万円の援助費を計上し、患者救済に積極的な姿勢を示しておるのであります。また5月10日、東北知事会議の議題となり、すでに国、政府関係機関に救済を働きかけておると聞いてもおります。秋田、岩手、山形各県においても、9月の補正を目ざし実施検討の段階に入っていると聞いております。本県においてもこの難病救済に積極的に取り組むお考えはないか、知事にお尋ねしたいと思います。 以上をもって質問を終わります。(拍手)   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 江口さんのお尋ねの問題に対して、逐次お答え申し上げたいと思います。 まず第1点が米の農政についてでございますが、御案内のとおり生産調整に伴う休耕奨励金、これは今年度で終わりになっておるわけでございます。したがって、転作奨励金だけが50年まで一応残る、こういう形に相なっております。でございますからして、本来農家の経営の姿からして土地を利用しないで遊ばせる、あるいは休ませるというようなことは好ましい姿ではないからして、何かしらんやはり利用していただいて、転作、ほかのものをつくってということを重点的に考えていただきたい。政府の農家に対する希望がそこにあるわけでございます。 でありまするから、できるだけ休耕しないように――やはり農家の方々は非常にりこうでありますから、休耕はするけれども、その間にこの土地を近代化し整理し、そうして将来にりっぱな美田として備えていこうというような、いわゆる土地改良通年施行にかえて、そうして休耕のために出す3万円の金をそちらのほうに振り向けて仕事を進めるというように、全国的に見ますと本県にもそういう形のものが見えます。そういうように非常に有効に仕事をしておられたわけです。 今度その3万円の休耕の金が出ないということになりますからして、これにどう対処をしていくか、こういうことでございます。そこで新潟県の場合は、単純休耕面積の大部分を占めるのが山間過疎地域でございます。したがって、そういう山間過疎地域に対しまして、休耕の奨励金が出ないかわりに、何か新しく過疎地域等農林漁業特別対策事業、こういうものをひとつ考えてもらって、それを実現していってもらいたい、かように県の立場では強く要望をいたしておるのが実情でございます。 それから農業振興地域の指定、現在用途地域設定というようなことで、いろいろ調整中のことは御案内のとおりでございます。仕事がいささかおくれておるというようなことでございますが、なかなかめんどうな、やはり自分の持っておる土地が高く評価されるような形になることを望むのは、もうだれしも自然の姿です。したがって、線引き等につきましてなかなか調整が問題になる、そういう現状からいたしまして、できるだけ早く促進しなければならないわけでございますが、そういう立場で一応指導しておるわけでございます。 なお、指定並びに整備計画策定にかかる国庫補助の問題でございますが、これはいままでも所要経費は補助を受けておりましたし、今後もやはり補助を受けていく形に当然なるし、していかなければならぬと、かように考えております。 それから、水銀の河川の汚染、海水の汚染等々、関川水系をはじめ幾多の漁業補償の問題でございますとか、それから環境汚染の問題、幾多水銀関係でいまお尋ねがございましたが、これらはおおむね昨日、衛生部長のほうから同じような質問に対してお答えしたものの繰り返しに大体なろうかと思いますが、まあいろいろ分かれて4つの問題になっておるわけでございます。 当然のことながら、漁業補償の問題につきましては、原因者が負担をするという原則は変わっておらないと考えておるわけであります。でありまするから、原因者の明確になった時点において、原則に基づいて漁業補償等の行政指導を私どもの立場で今度していかなければならないのじゃないか、かように考えておるわけでございます。一部、すでに関川におけるPCB汚染につきましては、被害者である漁協と原因者である工場側との間で交渉が現在行なわれておるわけでございます。 それから、水銀の環境汚染対策上、工場における水銀の使用状況を知ることは必要と思われることはもちろんでありますために、検討をいたしておるわけでありますが、またPCB等、生産過程、原料等から見て、有害な物質の発生の危害が予想されるものについては、行政措置として当然チェックしていかなければならないわけであります。なお、将来必要に応じて条例にというお話がございましたが、やはり条例制定の上で足らないところを補完するというような形に順次していかなければならない、そういう立場で現在検討を加えておるわけであります。 それから、家庭電化製品等のPCB対策につきましては、これは御指摘のとおりきわめて重大な問題でありますから、国においても総合的に検討しておりますし、また県といたしましても、メーカーによる回収方法並びに市町村における処分時の監視方法等の具体的な課題について、国とも十分連絡をとりながら慎重に対処していかなければならない、かように考えておるわけであります。 お尋ねがございましたかね、こういうこと。ちょっといま記憶がないんですけれども、水銀による中毒及びその続発症については、それが業務上の事故によるものと認定されれば、労災保険の対象として労働基準局で取り扱われることになっておるわけでございます。それで労働災害の防止については、昨年10月労働安全衛生法が施行され、職業病等の防止に関する対策がとられておりまして、御質問の職業病としての疑いのある者等については、必要の場合、労働基準局長は臨時の健康診断その他必要な処置について、事業者に指示することができることになっております。こういうことでございます。詳しいことはひとつ担当の部長のほうからまた補足説明をしていただきます。 水銀関係の一連の問題等につきましては、ひとつ衛生部長あるいは環境局長のほうから補足説明をしていただくことにします。 それから、次のお尋ねの件の現在の産業界の問題でございます。 お説のとおり、公定歩合が上がる、あるいは資材が高騰する、いろいろ困難が予想されておるわけでございます。それに対しまして、一応私どもも当然調査をいたしておるわけでございます。その調査の結果からいたしますれば、全体としては企業の手持ち資金というものはかなり余裕があるものと見られておるわけでございます。また、製造業がかなりの部分を占める輸出関連中小企業には政府系3機関による特別融資が実施されておること等によりまして、現在のところ県内中小企業金融はおおむね円滑にされておるものと見られておる、こういう一応の調査の結果でございます。いろいろ政府系統の資金あるいは県の独自の資金、そういうようなものの立場からいきまして、日銀が非常に強い窓口規制をいたしておることも当然でございます。でございますからして、そうした資金繰りの上で困難があるんじゃないかという懸念をだれしも持つわけです。ところが現実の問題として、今度融資ワクが8億でしたか幾らか、県の設備近代化の資金があるわけでございますね。それの申し込み等を見ますというと、まだ4億台、半分残っているというような点から見ますというと、そういう資金の点につきまして、利子や限度等について、いろいろ不十分のものはあるいはあるかもしれません。ですけれども、それは別として、一応まだそういう申し込みに非常に大きいゆとりを残しておるという現状からいって、そう窮屈で、心配しておる形のものはまだないんじゃないか、そういうように一応現状を踏まえて私ども判断いたしておるわけでございます。したがいまして、今後そうした資金ワクというものの内容についてなお一段と、産業界の伸展を阻害しないように、助成するような方法で当然考えてまいらなければならぬ、かように考えておるわけであります。大体いまの金融関係ではそういう形のものが考えられるわけでございます。 それから、いろいろ物資の問題等に関連いたしまして、ソ連、北朝鮮というようなところから消費物資あるいは建築資材等の輸入をはかる。新潟の持っておるその地理的有利条件を考えてというお話でございまして、これは私も非常にいい一つの考え方である。でありまするからして、そういうどなたかがどういう商社か知らないが、どういう組合か知らないが、そういうような形の計画がかりにあるならば、ぜひ私は相談をお受けして、そうしてきのうもちらっとお話し申し上げましたが、そういうときにひとつ新潟にということで話し合いをある方としてきたんであります。ですから、そういうソ連側の意向もありますので、ぜひそれは相談をひとつしていただきたい。私どももできる限りそれに対して協力をし、助成も必要ならしていく、こういう考え方でございます。 それから、最後の遷延性意識障害患者、これは私、実はお聞きしておっても症状、そういう方を実は見たことがないのでわかりませんのですが、ひとつ衛生部長にお答えをお願いしたいと思います。(江口金吾君「その前に、輸入牛肉の問題について」と呼ぶ) これは私も本県の海の魚はみんな少し神経過敏になり過ぎているんじゃないか、実は一人でそう思っているわけです。地域によって、ここだけはというところは当然あるわけです。ですけれども、あとのところのものをあれもこれも、そうして、シベリアの沖まで行ってとってくるイカまでもというようなことは絶対考えられない。こういうように考えて、安全宣言を早く書類によってする。そうしてこの区域のものは絶対安全だとはっきりとするように早くしなければならぬと、かように考えておりますが、そういうために魚にかわって、いろいろもっと値段もそう高くない牛肉の輸入というようなことをお考えの方もございますし、また国の方針も農林省の方針も、そうした日常消費、食料品の高騰というものを防ぐ意味におきましても、牛、豚その他の肉類の輸入ということをやはり当然それは考えなければならぬと思うわけでございます。そういう意味におきまして、私ども新潟県のそういう取り扱いの組織がどういう形になっておるか、私も実はよく知りません。ですけれども、それもやはり必要なことであり、魚との関連は別といたしましても、肉は肉として、やはり一般の消費者が安んじてより安きものを利用できるという点については十分好ましいことであり、私どももこれに進んで協力をしていきたい、かように考えております。   〔衛生部長菊地浩君登壇〕 ◎衛生部長(菊地浩君) 遷延性の意識障害患者の公費負担につきましての御質問でありますが、遷延性の意識障害を起こすようなおもな原因につきましては、交通事故が一番多かろうと思うのでありますが、この点につきましては、本来ですと、自賠法に基づいての原因者と被害者の間の、治療費なり介護手当面までも含めてのいろいろなお話し合いの上で解決していただくというのが筋だろうかと思いますが、しかし、実際面でなかなかそうした問題が解決できなくて、その間、患者さんなり家族の方々が苦労しておられるという実態だろうと思います。こうした実態等につきまして、本県におきましても十分その把握につとめて、今後検討してみたいと思います。 ただ、いろいろな疾患の後遺症としても、こうしたいわゆる植物人間のような形で治療を続けておる方もおるわけであります。たとえば、交通事故のほかに労災関係もありますが、それを除きましても、脳性小児麻痺のあとの後遺症の重度の方々、あるいは脳災にかかったあとの後遺症で長くそういった意識障害を起こしている方、いろいろなこともありますので、そうした方々の関連をどうするか等も十分検討した上で今後――東北各地でいろいろ問題をやっておりますことも知っておりますので、十分検討していきたいと思います。 なお先ほどの、日曹で働いておった患者さんだと思います。現在一般住民としておられる方であれば、上越市のほうに御相談いただきますと、過日も住民の方々については椿教授の診断も得ておりますので、そうした形でお世話いただけると思いますし、また私どももお世話申し上げたいと思いますので、御相談賜わりますようお願い申し上げます。   〔江口金吾君登壇〕 ◆江口金吾君 一番初めの青森の田中首相の発言の問題については、結局もう減反を打ち切るということで、それがやはりこれから米の増産ムードへ農民に非常に意欲を持たせる、そういう受けとめ方もされているわけですね。そういった関係で、本県は良質米の増産運動はやっておりますけれども、現実的にはどうかというと、それが成果が出ておらない。ですから、そういう点を考えた場合において、ひとつ本県は食糧基地なんだから、結局米の良質増産運動を主体として、今後田中首相の発言をそういうふうな受けとめ方をしてやっていくのか。それともまた、良質米というものは非常に減収になって、なかなか成果があがらない。したがって、また多収穫のそういう品種の上に移行していこうという、そういうことも考えられているのですが、そんな点、基本的なことを知事はどう受けとめて農政の中に反映していくのか、質問にもう一ぺん答えていただきたい。 それから、牛肉の輸入に対する配慮ですけれども、これはやはり、ひとつ農林部の中に流通部門を担当する課をはっきりしてもらいたいと思うのですね。昨年、47年の2月の県会のときに、私は総合食料品小売センターの問題について知事に質問しましたが、確かに農林省にそういう部門があって、そうして国民の物価対策に貢献しているんだから、当然県の機構の中に考えていかなければならない。いままで生産者サイドで90%そっちのほうに考えておったけれども、そういう流通部門も今後考えていく。こういうふうにはっきりと議会答弁をなさっておるんだから、今度機構改革があるんですから、そういう点はひとつはっきりしてもらいたいと思うのです。知事も来年でもうお別れするかもしれませんので、それらのところを――水銀、PCBの総点検も大事ですけれども、知事の答弁もひとつ総点検して――知事のりっぱな功績をほめたたえるように私も点検をして、12月には功罪論も出したいと思っていますので、その点よろしくもう一ぺん答弁してください。   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 青森における田中総理の発言に関連いたしまして、その真意はどこにあるとかいうことをあえて憶測するまでもなく、新潟県といたしましては、私は常に生産調整が行なわれる段階にあっても、農家の立場としては生産調整は生産調整としても、自分の耕作するたんぼの立場からいって、もうできる限り多く、そうして品質のよいもの、消費者に好まれるものをたくさんつくってください。これがもう農家の本来の姿ではございませんか。また、それが希望ではございませんか。こういう立場で本県米作農家の方針というものを常にそこに置いて、一貫して今日までまいっておるわけであります。できる限り良質のもの、そうしてできる限り多く――それは皆さまの創意、努力によってかちえられる結果であるから、ぜひそうしてもらいたい。こういうお願いをずっとしてきておったわけでございます。 その意味におきまして、本県の良質米というものは日本におきましても、ほんとうにこれは――先日もたくさん他県から新潟県に見えられた、本県の出身者の方がたくさんおられました。大ぜい来られました。そうして、あんまり御飯がおいしいので、おかずなんか何にも要らない、こう言っておられたくらい。私はほんとうに何かしらん、それはそうだよ新潟県はと、こうやりたいような気持ちに実はさせられたわけでございまして、そういう意味からいってますます成果をあげていっていただきたい。また、県の農林部のお話を聞きましても、だんだんとそういう奨励品種の作付面積も多くなってきておるというように、やはり方向が良質のものという形に変わってきているというような点もお聞きして、喜んでおるわけでございます。県の方針というものはやはりそこにあることが本来の姿ではないか、かように考えております。 肉関係は、大体農林部の畜産課がそういう形のものを主として扱って担当してきておるわけでございますが、やはりこれは生活に関連が非常に強い、いわゆる牛とか豚とかという一頭のものでなくて、肉という形になりますというと、食生活に非常に深い関係を持つ形になるわけでございます。したがいまして、県民生活課等との連絡を十分にいたしまして、要請にこたえていくような内部で十分そういう話し合いをして、他からそれらの問題について話があり、またこちらからも積極的に出て話ができるような機構にぜひしていかなければならない、そういうようにやっていきたい、かように解釈いたしております。   ―――――――――――――――――
    ○議長(外山勘兵衛君) 次に、小林脩君の発言を許します。   〔小林脩君登壇〕(拍手) ◆小林脩君 お昼まであまり時間がございませんけれども、私の質問、数が少ないのでやらせていただきます。 昨日もわが党の吉川議員さんのところで県民所得のお話が出たわけでございますが、昭和46年度の本県の地域別住民所得、この中で市町村別の住民所得統計表というのがございますが、その中の人口1人当たりの個人所得というのを見ますと、大体県平均が48万円、最高の新潟市が62万円、そうして山間豪雪地帯と思われる東蒲原の山間部、上越の山間部、この辺の村は大体23万円というのが人口1人当たりの個人所得、こういうような表が出ております。この統計表は県内全部の市町村が載っておるわけではございません。47カ市町村ぐらいが統計表にあらわれておるわけでございますが、これで見ましても、大体山間豪雪地帯、過疎地というものとその他の都市部との所得格差というものがはっきりとあらわれておるわけでございます。 そこで私は、きょうは第1番目に、山間僻地対策の問題点についてと、こういうことを御質問を申し上げるわけでございますが、それらの問題の全般にわたってやろうという意思はないのでございまして、先ほども大先輩の吉田議員のほうから重度身障者対策ということで、いま非常に手厚いそういった身障者の対策が行なわれておるにもかかわらず、そのあたたかい網の制度から漏れている一握りの非常に苦しんでおる人たちがおるんだという話がございましたが、私の本日の山間僻地対策も同じ観点、考え方から御質問を申し上げるのでございまして、手厚い過疎対策の諸制度の中でそれらのあたたかい制度でも救い切れないで、非常に過疎のきびしい現実に将来の希望を失っておると申しましょうか、そういう数少ない部落というものが、県内山間部の過疎地域の市町村に、数は多くはありませんが少なからずある。これらの特別な過疎地域、特定の部落とか限られた地域ではございますけれども、そういった地域に対する過疎対策について、いままでのような経済効果、行政能率というようなことを一切度外視した、ほんとうの福祉政策という観点に立った抜本的な総合的な施策というものが早急に行なわれなければならないのではないか。そうしなければ、福祉重点などということはちょっとおこがましいのではないかと私は強く申し上げたいのであります。いまの現行の行政制度の中では非常にむずかしい。ちょっと先ほども、やじと申しましょうか、激励と申しましょうか、制度を変えなければだめなんだ、現体制ではだめだというやじも飛びましたけれども、それは私は間違っていると思うのでございます。現行の自由主義、資本主義体制の中で、当然これはやれる社会政策である、またやらなければならないというふうに私は強く考えるので、その点につきまして知事から強い御決意、その具体的な方策ということについて何らかの御示唆があるべきものと期待を申し上げて、この過疎対策、山間僻地対策ということについて御質問を申し上げたわけでございます。 そこで、書いてきましたものを読んでも内容がわからぬと悪いので、ちょっといま簡単に概略申し上げたわけでございますが、一応書きものに従ってもう一回申し上げてみます。 過疎の山間僻地の中で、現行のもろもろの手厚い諸制度の中にありましても、なお行政の一面で日の当たらぬまま取り残されておる幾つかの最も悪条件の部落が存在し、そしてその人たちが依然として百年河清を待つがごとき状態で、現今の高度文化社会の中では基本的な人権も脅かされておる現実の姿を見まして、明るい農山村によみがえる日の一日も早からんことを祈りながら、解決策の一端を申し述べて知事の御決意をお伺い申し上げたいと思うわけであります。 現在実施されております過疎対策諸制度、たとえばこれはもう昭和29年度あたりからできておりますが、僻地教育振興法、昭和31年の積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法、さらにはまた31年の豪雪地帯対策特別措置法、45年のその改正法、山村振興法、離島振興法、いろいろな法律や補助制度によりまして、過疎地域全般としては、道路整備、圃場整備、教育施設、福祉施設等の町村のレベルというものは非常にレベルアップされて、急速に明るい方向に改善されつつありますことは非常に喜ばしいわけであります。また、地域の住民もそういった意味では非常に感謝をしているわけであります。しかし、このような状態の中にもかかわらず、過疎豪雪地帯の中で特に環境条件のきびしい幾つかの部落におきましては、なお政治、行政の力が及ばず、前途に明るい希望が得られず、集落の崩壊をいたずらに待つだけのきびしい条件下にある現状をいかに打開するかということについて御質問を申し上げ、私の質問の趣旨はそういうところにあるわけでございます。 わが自由民主党の県議団11名の皆さんと一緒に、私は去る6月の11日、山間豪雪地帯の代表地である東頚城の松之山町、松代町、こういうところを訪れました。直江津駅から南東約50キロトートル、高田平野の東部に位する東頚丘陵というものは、標高400メートル前後の山間地の部落を多数かかえておるわけでございまして、豪雪地帯であると同時に、徳島県とともに日本一の地すべり地帯である本県の、またその中でも有数の地すべり地帯であるということは御案内のとおりでございますが、私は今回の視察でまずマイクロバスの車窓から往路をながめますと、挙家離村と申しましょうか、個人の移転をされまして挙家離村の廃屋というものが県道ばたに点々とありまして、そうしてその悲しいきびしい現実、そういった姿がほんとうにわれわれの心を打つきびしいものがあるのであります。われわれも現地を気持ちでは承知しておったのでございます。私の村でもそういうことはあるのでございますけれども、ほんとうにあらためてきびしい環境に心を打たれたわけであります。 松代町蒲生公民館でございますか、松之山町の中央公民館の会場で座談会をもったわけでございますが、その地域住民との対話の中から出てきた要望と陳情というものは、格別耳新しいものでありませんが、ひざつき合わせてという、そういう形での一問一答というものは、あらためてなまなましくわれわれの心を打つものがあったわけでございます。まあ、多くの陳情、いろいろ万般にわたりますけれども、質問、陳情の中の90%というものは、道路整備それから冬季の除雪、除雪のための道路整備、そして除雪をしてください、除雪道路を確保してください、これが全体の質問の中の90%でございます。生活環境整備の主体が道路整備にかかっておるというのを如実に物語っておるわけでございますが、それらの具体的ないろいろな状況等につきましては、本会議場におきましてもあるいは議会の雪害対策特別委員会におきましてもるる繰り返し述べられておることでもあり、皆さま方よく御承知のところでありますので、詳細にわたって申し上げることは省略させていただきますが、早い話が山間部の段々の千枚田と申しましょうか、この圃場整備、このような特徴的なものでは、県単の圃場整備の採択基準というものを、当局が5ヘクタールのものを本年度から3ヘクタールに下げていただいた。にもかかわらず、そこの座談会に出かければ、さらにそれは1ヘクタールまで下げていただかなければどうにもならぬ、あるいは1ヘクタールに採択基準を下げていただいても、工事費がかさむために補助率を70%とか80%にしていただかなければとてもこれは実施をできません、何とかしてくださいというような問題。それも県や国の圃場整備ではいろいろたんぼの形、面積等にも、圃場の整備にでき上がった形にいろいろ基準がございますので、それもできないから、ひとつ小型でもよいがブルドーザーを買ってください、そうすればわれわれが自分の思うような地域にその場所に最も適した形で圃場整備をしたいと思いますから、何とかブルドーザーを県費で購入して、われわれにただで貸してくれるような方法は一体ないものでしょうかというような話でございます。さらには、保育所の問題から分校の問題からあるいは僻地の級地指定の不合理の問題から山村振興指定の不合理など、多くの問題が質問や陳情の中で提起をされたわけでございます。 そこで、県や国のとっておられるいろいろな制度をここでまた述べるのも、賢明な皆さん全部御承知のところでございますので、ちょっと省略させていただきまして、そこで知事はこの6月県会の補正予算の提案説明の中でも、道路整備関係については、山間豪雪地域の生活道路の予算というものに最も重点を置いたというふうに述べられまして、決意の一端を示しておられるわけでございますが、しかし、こういった私の申し上げました取り残された超過疎地域と申しましょうか、数少ない部落、そういったものの整備対策、これらの抜本的な対策について知事はどのようにお考えになっておられるか、御決意のほどについてお伺い申し上げたいのでございます。 この経済成長の結果非常に国は豊かになった。そしてここに来ますと、経済成長というものが国の経済活動の目標という時代はもう終わった。価値の転換時代というものがここに招来しておる。こういうときに、ちょっと何ですが、わが自由民主党政府といえども大いに社会政策というものを取り入れるべき時期に達しておる、こう思うわけでございます。 そこで私は、従来の縦割り行政的な過疎対策のほかに、最も条件の悪い部落に対しては、思い切った抜本的な重点的な総合対策を要望いたしたいのでございます。ただ私は、集落の移転事業のことだけについて申し上げておるわけでございません。なるほど集落移転については、国あるいは県単の集落移転事業――私の住んでおる下田村の吉ケ平部落は、46年に県単の制度のわずかながらの援助をいただいて移転をしました。そのほか45年、6年、7年で県単の制度によって17集落、145戸、624人、これらの方々はやむにやまれぬ、ほんとうにどうしようもない形で集落の移転をされたというふうに私は現実見ております。国もまた46年度からのこの過疎地域の集落整備事業その他二、三の制度が国の形でできておりますが、本県にはまだ一集落も国の制度では該当と申しましょうか、その国の制度にのって集落移転をされた部落はないそうでございます。48年度も県単の制度で3集落が計画されておるそうでございますが、これらの方々はおそらくいずれも、私の下田村の吉ケ平部落の例を見ますならば、そう申し上げては失礼でございますが、いずれもきわめておそまつな補助制度。ですから吉ケ平の場合でも、十七、八戸のうち県のごやっかいになって村が建てた集団住宅に入られた方は移転者の半分であり、現在ここに来ますと2年たちましてあまり手狭な住宅のために、半分くらいまた自分で無理算段をして建てられた。ほかに住宅を移られたというような形になっておるわけでございます。 そこで結論を急ぎますが、私はこの対策につきましては、県でいわゆるナショナルミニマムといいましょうか、自治省もそういった点について研究しておられるそうでございますし、きのうの吉川議員の御質問にも答えられて、総合生活指数でございますか、これについていま当局で一生懸命に作業中で、近くでき上がるということでございますが、そういったインデックス、指標の中で最低限のナショナルミニマムというものを、県のものですからナショナルミニマムと申し上げるのか、プリフェクチュラルミニマムと申し上げるのかわかりませんが、とにかく最低レベルのラインを引きまして、それ以下の部落あるいは狭い範囲の地域というところを洗い出しまして、これに県が積極的に乗り出して、そしてプランニングを立ててそこで洗い出されて、何か特別のプロジェクトチームでもけっこうでございましょうし、いい方法を考えていただいて、この特殊な部落を対象に、そういった狭い地域、部落というものを洗い出し、拾い上げて、ここに抜本的な対策を早急に講ぜられたい。そういうことについて知事の固い御決意とその具体的にスタートをするための何か方法についてお伺いを申し上げたい、こう思うわけでございます。 次に、第2点に移りますが、御通告を申し上げましたように、休日診療体制の整備についてお伺いを申し上げます。時間がございませんので簡単に申し上げます。 御承知のとおり、経済、社会発展に伴う生活水準の向上は、医学、医術の進歩、医療保険制度、医療の無料制度の整備と相まちまして、国民の医療需要は日一日と膨脹拡大の一途をたどっておる現状でございます。医療の中で僻地医療対策、難病対策あるいはリハビリ対策というものが大きな問題になっておりますが、中でも最も早急に整備充実を要望されておる問題は、救急医療体制整備の問題でございましょう。私は、ここで救急医療体制の一環をなすところの休日診療体制整備の問題についてだけ申し上げまして、当局の御見解を承りたいと思うわけでございます。 ここ数年来、いわゆる日曜、祭日ともに休日に際しまして救急患者のたらい回しというような事件が、たびたび新聞、テレビ、マスコミによって報道されております。つい先日も、新潟市で日曜日に不慮の災害にあわれまして、救急車が八方手を尽くされましたけれども、運悪く救急病院は手術中でございましてふさがっており、ついに病院のベッドにおいて適切な医療処置を受けられる前に不幸な逝去をされたという悲しい事例があったそうでございます。まことにお気の毒にたえない次第でございます。 このような事件は、本人、家族にとってこの上ない不幸であるのみならず、これらの責任が全部医者の責任であるかのごとき錯覚が世論となりつつあるということは、医療の根幹をなす医者と患者との間の信頼関係に不信をかもし出す原因となっておりまして、まことに好ましくない事態でございます。 また一面におきましては、行政不信ということで、ますます政治に対する不信を起こすわけでございまして、これも政府もちろん県当局にとられても、大いに心しなければならない大問題でございます。交通事故その他いわゆる救急疾病現象が起きた場合に、患者や家族にとって病院や診療所がどこでも本日休診、本日休診ということでは、非常なもどかしさと焦燥感が先に立つわけでございまして、また、生命のとうとさという絶対的な立場を考えました場合には、一体どこに最終的な責任があるのかということになりますと、これはむずかしい法理論を展開しなければならないわけでございますが、ここではそんなことはさておきまして、医者としましては医業の公共性、社会性という面から地域社会に奉仕するという精神からも、その責任の一端を負うべきでございましょう。また、地方自治体も基本的な性格からいたしましてその責任を負うべきであり、国民福祉が行政の重点のみならずすべてであるという以上、これは地方自治体の当然の責務であろうと思われます。 しかし、医者も人間であり、その能力と施設にはおのずから限度があり、地方自治体もまた現在の機構体系から、責任を完全に果たすということは、一朝一夕にはむずかしい面もあろうかと思いますが、この問題の重要性にかんがみまして医師会、地方自治体官公立病院、こういうものが3者一体となって、現状の医療体制の上で可能な限り能率的な組織形態を一日も早く整備をしなければならないと思うわけでございます。 なお、休日診療の対象となる患者は、これは新潟市の医師会の調査でございますが、1日500人か700人おいでになる。その中で、医者が見てほんとうにこれは急患としての取り扱いをしなければならないという患者は42%である。あとは二日酔いで頭が痛くて翌日やってきたとかつまらぬことでございまして、休日の医療関係者の過重労働をわずらわす必要のない軽症患者まで参りますので、これは大衆の医療知識の欠除ということで、大いにこれは行政当局も教育をする必要があると思うわけでございます。その42%の中の70%は、内科系、小児科系の急病でございます。あとの残りの30%は外科系のいわゆる救急外傷というものでございまして、もちろん救急外傷の中で程度の重いもの、頭部の重傷、頭蓋内出血のために減圧開頭血腫除去術をやらなければならぬとか、あるいは胸部の重傷のために呼吸困難を急に起こした胸部固定換気不全対策術、あるいはまた、ひ臓が破れた、じん臓が破れたというような場合には、開腹止血術を急々にやらなければならないでごさいましょうし、手足の場合でも複雑骨折を起こせば内出血を起こしますので、こういったような重傷は救急病院に直ちに送らなければなりませんですけれども、こういった救急病院の過重な労働を少しでも助ける、そうして救急病院の貴重な手術の人手というものを側面援助をするということで、内科系、小児科系あるいは諸手術、こういうものを対象とした休日診療体制、これを早急に整備をしなければならぬということを私は申し上げておるわけでございまして、県内の各郡市医師会単位あたりでいま相当数、長岡市、三条市、見附市、加茂市、燕市、小出、南魚、西蒲等々で、開業医と病院とで在宅のままの輪番制をとっております。また、新潟市では、ちょっとこれは理想的と申しましょうか、西保健所で施設を準備して、そこに内科、小児科のお医者さん方がかわりばんこに当番をする、こういう形をとっておるわけでございますが、私の要望はそういった休日診療のための施設というものを独立に早急に――あまり小さい区域は何でございますが、市なり郡なりで建てるために、県が早急に手厚い指導と補助政策を設けて取り組んでいただきたい。こういうことを思うわけでございまして、それにつきまして、現在県の医療機関整備審議会で、これは抜本的な総合的救急体制について準備されておられる由に承っておりますが、それらの中で早急に取り組むべき順序、決意等につきまして、あるいはその答申の出る時期等につきましてお伺いを申し上げたいと思うわけでございます。 たいへん時間が超過して相すみませんでした。以上で私の質問を終わります。(拍手)   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 小林さんのお尋ねにお答えを申し上げたいと思います。 なかなか複雑な問題でございまして、いろいろの条件がふくそうしておるのが過疎地域の問題でございます。したがって、そこのまた特定の集落ということになりますというと、なかなか特効薬と申しますか、これというきめ手がなかなかないわけでございます。ただ、そうした過疎地域のできるということ、そういう社会の情勢、そうしてそこにおって自分の生活が十分満足することができないという経済の動き、あるいはまたその環境、そういうところから自然とやはりそこを離れて、執着はあっても生活のためやむを得なく離れるというのが実情なわけでございます。したがって、国にいたしましても県にいたしましても、それらのことを踏まえながらその過疎地域――まあ、おおむね過疎地域は、やはり新潟県の場合は豪雪にもつながるというようなことで、過疎、豪雪、そうした現象をあわせまして対策を立てておるわけでございます。 過疎地域の振興法というようなものや、あるいはまた道路関係にいたしましても、特に辺地道路というような関係、そういう公共施設の立場からいきまして、できる限りそうした地域の振興に寄与するというたてまえで過疎債の活用を願ったり辺地債の活用を願ったりあるいは豪雪債の活用によって――そうしたような意味からいきますというと、いま申しましたように過疎債、辺地債あるいは豪雪債というような幾多のそうした金融措置をとりながら地域の振興をはかっていくということをやってきておりますし、また、年々それらのものは増額されておりますけれども、なおかつ過疎の現象があとを断たないというようなことでございまして、国も県もともにそうした地域の問題については十分理解をもって協力をしていく、こういうことはもう申すまでもない、やってきておることなんでございます。 で、じゃあと何が一体不足なのかということになりますと、そこに住んでおられる方でもなかなかきめ手を持っておらないというのが実情なんだろうと思います。過疎山村地域、そういう振興策につきましては、あれこれと山村振興法あるいは過疎地域の振興促進法、いろいろな法律的な形のものは次から次へと手を打ってはきておりますけれども、なかなか過疎現象そのものはストップしない。やはり適当な生活水準の確保が困難であるということに基因するわけなんでございまして、先ほどの吉田さんの問題も例に引かれましたが、そうしたきわめて一部の方がそういう不便な秘境とでも申しますか、そういう地域におられるというようなことでございまして、現在の形におきましてはやはり現在ある制度の活用によって、何か集落の問題に対して再編成というてもどうでありますか、整備をしていくそういう御意思に対して、私どももいままでもそれに対しては十分協力体制をとってまいったわけでございます。したがって、今後もやはりそうした形のものは変わりなく進めてまいらなければならない、かように考えておるわけでございます。 それからいまの休日診療の問題でございますが、これも非常に深刻な問題でございまして、やがてお願いしておる審議会のほうで、医師会の皆さま方とみな話し合いの上で適当に輪番制をとって、そして患者の方々に起きなくてもよい不幸を起こさせないというようなことにぜひしていかなければならない、さように考えておるわけでございまして、やがて衆知を集めまして検討をお願いしておるわけでございます。輪番制あるいはその他の方法によりまして、適切な休日診療が安心してできるような地域関係をつくり上げて計画を立てていきたい、かように考えておるわけでございます。 ◆小林脩君 過疎でございますけれども、たとえば下田村の場合におきまして、吉ケ平は中心部落から非常に離れておりまして、これ以上そのままの状態であるならば、いろいろな面で生命の問題からあらゆる問題で困難だということで、簡単な補助制度だけれどもやむを得ず移転をした。ところが、それよりもう少しばかり近くてしかも相当な山奥というような部落が、まだ下田村の場合に鹿熊や大江とかというように2つか3つぐらい残っておるわけです。ところが、その部落に行くところの道というものは、たった1カ部落に行くために冬季の除雪が可能な状態に整備するためには何千万かかります。村道でございますからこれをいかにいまの制度にのせましても、わずかではありましても地元負担というものがどうしても出てくる。あるいは村なら村でみんな持ってくれればいいがなかなかそうはいかぬ。わずかではございますけれども、事業費で5,000万とか1億とかかるので、それほどでなくとも二、三千万以上はかかりましょう。そうするとなかなか手をつけられない、そのままになる。さればといって、もう少し中心部に近いところにいい宅地を見つけて住宅集団移転をするか、こう思いましても、いまの制度ではほんとうにごく東京のまん中でつくるような住宅で、なかなかいままでの農家の家に入っていた者には小さいものだからたえられない。いろいろなことでなかなかそれもいまの制度で集団移転に踏み切れない。そこで一軒一軒くしの歯が欠けるように、あす、この集落機能が維持できなくなるかどうか。それをもあきらめきれずに待っているというような非常にきびしい条件。これらはいまの制度ではちょっと対策がないのであります。そこで激甚災害並みの手当てというものを、この際そういった極端な部落に対してはぜひやっていただきたい。そういう部落をぜひ早急に県内を洗い出して手当てをしていただきたい、こういうふうに思います。抜本的な方法を考えていただきたい、こう思います。   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 御趣旨よくわかります。吉ケ平は一応皆さん下へ降りてその次の遅場近くの奥のほうが、やはり何軒かしらないが現在冬になれば交通関係からいって非常に困る。さればといって除雪道路としての指定を受けるには、まだその他の情勢からいって容易でないというようなこともはっきり想像ができるわけであります。これは私は常に感じておるんだが、何で一体あんなところの山奥まで行って住まなければならなかったんだか、何十年住んだとか墓があるとかいわれても、一体何のためにこんなところに住まなければならなかったのか、こういう考えをときどき場所によっては持たされるわけです。そして1軒でも2軒でも3軒でもあると、これは電話を引け、電線を引け、電灯を引け、そういう住民サイドの要望に変わってくる。そうすると、それを今度ある程度の補助、助成するということになると、県民全体の立場からこれを判断した場合に、はたしてどういう答えになるのかというようなことになってくるわけでありまして、移りたい方がある場合に、それらに対して何か強制移転というような適用に当てはまるような解釈ができないか、そこにおっても道路は使えないぞ、冬になればだめだぞ、だからしておまえ下へ移りなさいというような、いわば強制措置というような手段にしたものはこういう扱いをしなければならぬ。そうなってくると、ある程度手が伸びると思うわけです。そうでない限りにおいては、ただ個人の立場においてどうこうといっても、なかなか手がない。 まあそういうようなことで、現実の問題としてやはり解決は非常に困難な範疇にあるんじゃないか、かように考えておるわけでございまして、東頚城の沿道におって沢の下のあのうちも空屋になったのだというようなことを説明を受けるわけでございますが、そうした不幸な地域が現在でもある。そのもの自体に対して私どももこれに対して目をおおっていくわけにもいかないというような考え方ではありますが、さればといって、じゃこの手というものはやはりその地域の方々の希望なりアイデアなりをとって相談いたしまして、これに対応する処置を考えていくという以外にはないんじゃないか、かように考えております。   ――――――――――――――――― ○議長(外山勘兵衛君) 暫時休憩いたします。  午後0時19分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時36分 開議 ○副議長(長谷川吉雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行ないます。 まず中川三七君の発言を許します。   〔中川三七君登壇〕(拍手) ◆中川三七君 自民党政府の高度成長路線のもとで、おそるべき環境破壊と人体汚染、人体破壊が進行していることについて、すでに数多くの警告が発せられています。だが外部環境、内部環境の破壊に対して、ややもすると私たち国民は、状況の変化に対するなれと目に見えない侵食への警戒心の弱さのために、事態の対処に甘さを持ってきました。人体汚染の一例をとれば、私たち日本人の毛髪には、6.5PPMの水銀が検出され、それは西ドイツ人の0.1PPM、スイス人の0.5PPMに比べて、実に数十倍の水銀を保有し、しかも外国よりはるかに早い速度でなお蓄積されつつあるということが科学者によって証言されています。 特に水銀は、外部への排せつのきかない胎児の場合、母親より多く体内に蓄積されることが証明されています。 日本人の体内には、神経細胞を破壊する水銀が、資本主義の他国と比べて信じられぬほどの量として蓄積されつつあり、このことは第3、第4水俣病の発生によって裏づけされています。 いまや水俣病患者の大群が、潜在的に形成されていっていると言って過言ではありません。水銀は一つの例にすぎず、産業廃棄物、都市廃棄物、農薬残留による汚染物質をあげればきりがありません。この一億総汚染の実態に対して、熊本水俣病、四日市ぜんそく、新潟水俣病、富山イタイイタイ病、全国コラルジルなど、各地で被害者を中心として裁判闘争を行ない、粘り強い戦いが進められてきました。 公害追放は、国民的課題として今日政治の日程にのぼっています。公害発生源の告発と追放とともに、一方外部環境、内部環境破壊の実態を把握し、汚染から国民の健康を奪い返すための保健活動が、いまや緊急に必要とされています。しかし保健所体制の不備、決定的な医師不足、看護婦不足が慢性化して、保健所機能は低下しているばかりでなく、代表的には宮崎県の亜砒酸公害に見られるように、県自体が住民の健康度低下を隠蔽するために活動をするという反県民的反国民的な行政姿勢が、全国各地に広範囲に残っています。 本県の場合もこれに近いようなことがなかっただろうか。1オンスの予防は1ポンドの治療にまさるとは外国でのことわざですが、進んだ国々では、予防的健康管理が医療における枢要な役割りを果たしつつあるのに、わが国、わが県では旧態依然として予防は二の次にされており、製薬企業と厚生省の癒着を背景にして、投薬、注射に偏した治療本位の医療が行なわれています。 その医療も、医師不足、看護婦不足という医療担当者、医療従事者の量的不足と独立採算制、営利制という性格によって、増大する医療需要に対応できないのが現状であります。 たとえば、高度成長に伴う過密過疎それぞれの地域を見れば、一方では激増する交通事故など救急患者に対する病院設備、人員の不十分が指摘され、他方では赤字だという理由だけで公立病院が廃止され、無医地区がふえるありさまです。疾病の社会的原因は増加しているのに、極端な言い方をすればいまの社会状況の中では、すべての県民が何らかの症状を有しているのに、予防、治療、社会復帰という医療保障のあり方は追究されず、また疾病構造の変化に対応する医療性が置き去りにされたまま、医療の矛盾はさらに激化し、県民の命と健康が深刻に脅かされ、文字どおり医療危機にさらされているのが今日の状況であります。 いま医療の危機ということが盛んに言われています。自民党政府の言う医療危機とは、健保財政の破綻や医療技術の実態に即応しない診療報酬体系にもっぱら力点が置かれています。それに対して私たちが出発点としている医療危機とは、1つには現在の医療諸制度が深刻化する環境と健康の破壊に対応できないでいることをさしており、2つには、本来人間の健康を回復すべき医療がむしろ健康破壊の要因となってきたことを言います。 具体的にはべーチェット、筋ジストロフィーなど10をこえる原因不明疾患の実態さえ掌握されず、いわんやこれらの原因や治療法を究明する専門機関や患者の救済制度もありません。有病率は全国的にはわずかこの3カ月間に3%も増大しているにもかかわらず、現行医療制度は総合的予防活動を排除しています。これが前段で指摘しました危機の第1要因、すなわち対応不能要因であります。 また政府統計の中でさえ、1万人近いスモン病患者やコラルジル患者などの存在、あるいは救急医療機関の実に84%を占める民間病院において、営利主義の犠牲者が増大しているなど、医療被害、薬害、医療性疾患が一般化しつつあります。これらが後段で指摘した危機の第2要因、すなわち健康破壊要因であります。 わが国の医療体制は、自由開業医制をたてまえに医療は成り立っており、公的病院や企業病院で他をまかなっているのが実情であります。したがって医療の中心は営利主義が一貫して貫かれているため、1、医療、医師の都市集中化が行なわれ、反対に無医地区が拡大されています。 2、もうけになる医療は民間が受け持ち、もうけにならないものは公的医療機関がやるべきだという論理を生ませています。 3、この論理は、具体的には民間医療、民間ベッドが優先され、採算の合わない特殊病院を自治体が引き受ければよいという考え方に発展をしています。 しかしながら、本来自治体病院は総合的な医療を取り扱うべきところであって、当然両者を並行して進めるべきであります。これらのことを考えあわせると、現行医療体制、すなわち営利主義にメスを入れない限り、国民が期待している医療の社会化は望み得べくもありません。医療の社会化については、政府、財界、医師会、革新諸団体すべてが口ずさんでいるところであります。 しかしそれぞれの方針を明示していくと、政府並びに財界の主張は営利主義を背景にしながら、医療機関の再編成を主張しています。いわば都道府県に基幹病院をつくれという基幹病院中心主義になっています。日本医師会の主張は、採算の見合う医療は民間医師に、不採算医療は公的病院が責任を持つべきであるということを主張しています。 これらに対して、まず自治体病院で現在進行している医療矛盾に対応できる機能を持たせることであります。すなわち自治体病院の強化、拡充が第一であります。当面、医療の国営化を進めるのではなく、公的病院の機能を拡充をしていく中で、私的医療機関がやれないことをどんどん推し進め、同時に不採算医療を強化し、その中から私的医療の行き過ぎを押えていくことです。たとえば差額ベッドの廃止や付き添いの廃止、まただれでも必要によって高度の医療技術を受けられるようにする中から営利主義をチェックしていくことであります。 全国的には公的医療機関は全体の約30%にしかすぎませんが、本県の場合は全体の60%を占め、そのうちの半分は県立が占めています。幸いこの数字は、医療社会化の地ならしは新潟県からレールを敷くことが可能であることを教えています。 現在の医療体制は、依然として疾病構造の変化に対応できない古い体制になっています。古い体制とは、1つには、気違いを隔離するという考え方の精神病院、2つには、伝染病院、3つ目には、結核病院、これらはいずれも縮小または廃止の方向に動いています。そして4つ目は、一般病院になっており、ここでは十ぱ一からげの医療システムになっているのであります。これが今日の医療の実態であります。 これに比較して近代医療の内容を大別すれば、1つは、健康増進処置及び健康管理部門、1、治療部門、1、リハビリ部門になっており、健康管理とあと保護、すなわち社会復帰が重要な部門を占めてきているのであります。 住民の立場からいえば、医療は受ける立場の人たちが、必要によって在宅、入院を選択すべきでありますが、現状はベッドがあいているかどうかが、在宅、入院をきめるものさしになっているという極端な現象があらわれています。在宅、入院の基準が、そのときどきの社会的諸事情によってきめられていくのが現実の姿になっています。 私たちは、かつて県民医療の全体像を県民の前に明示すべきであると要求をしてきました。すなわち、県民医療のあるべき姿を県民の前に明らかにし、その全体像の中で地域医療の引き受ける部門、圏域の設定や予防医療から始まり、あと保護までのそれぞれの医療部門の任務分担を明らかにしていくことを主張してきましたが、事実情勢はぎりぎり全体計画の立案が必要な段階になりました。あらためてここに、医療社会化の県民版を展望した新潟県医療の全体像を明らかにしていただきたいのであります。 次に、救急と急患対策について質問します。 住民的な発想をずばり言えば、健康の人々は医療についてあまり関心を持ちません。これらの人たちにとっては、医療より道路舗装が先であり、医療より橋や学校のほうが比較すれば重要だと思っています。ここがいままで医療が力を持てなかったところです。しかし今日、激増する交通事故、襲いかかる自然災害と人的公害など、極端に言えばすべての人が患者の条件を持っており、患者の可能性を持っているのであります。健康な人ほど、またいままで医療に無関係であった人たちほど、一たん病気にかかると、どこに行ったらよいのか、どの医者にどのように頼めばよいのか、わからないはずです。ましてやそれが日曜や祭日や夜間にぶつかったらなおさらであります。緊急事態において、この混乱は最高潮に達します。 先ほど御指摘ありましたように、これらの人たちは手当たり次第病院にかけ込みます。しかしお門違いと断わられ、次いで先生は留守ですと断わられ、そして最後には、私の手ではとうてい負い切れませんと断わられ、ついにたらい回しの結果、とうとい生命を落としてしまうという、遺族にとってもこれ以上の悲しみやくやしさはないと同時に、まさに行政としてもこれ以上の放任を許せないところに追い込まれています。 また救急車の出動回数も激増しています。救急車のサイレンを聞かない日がないほど、ところ狭しと動き回っています。普通、救急車は社会的性格からいっても、おおむね交通事故を中心とした緊急やむを得ないものが大半であります。したがって普通、脳外科、整形外科に運び込まれます。ところが最近、医師不足やまた医院に電話で話しても、取り合ってくれないというあきらめから、緊急の事態ということで救急車を呼ぶ例が非常に多くなってきています。かぜを引いて高熱に悩む人、腹痛に苦しんでいる患者など、明らかに内科の患者が、整形外科、脳外科の待合にごろごろしているという風景が日常化し、医療現場の混乱が増大しています。内科の患者が外科医の治療を受け、このことによってまた救急患者が待たされるという悪循環も一部露呈しています。 現在衛生部は、救急センター、サブセンターという計画を進めているようですが、いま私が指摘したように、急患との区別が混同しているため、計画の趣旨に反したものになっています。県民医療連合では、当面の緊急医療対策ということで、救急対策について幾つかの提言を行なっています。以下、これらについての知事の所見をただしたいと思います。 まず第1に、急患の休日、祭日、夜間の医療体制についてであります。これは自治体病院の責任でやれという主張があります。しかし、この問題は90%、医師の問題にかかってきます。医師不足の諸問題は医療機関の経営主体がどこであろうと共通であり、これを公的病院の勤務医のみにより処理しようとすれば、明らかに無理があります。もしこれを強行しようとすれば、勤務医師の不足は進行し、これとは全く別の深刻な問題が起こります。現実に県民医療の多くの部分が民間開業医の手によって担当されている実態を直視すれば、県は常に県全体の医療像をとらえ、県全体の医師に訴え、県全体の理解と掌握をする中で計画を立てるべきであります。 地域医療体制の一環として、とりあえず、休日、祭日、夜間の急患診療圏を設定すべきです。おおむね保健所単位に診療圏を設定し、救急車で30分以内の範囲を基準に置くべきではないでしょうか。その診療圏には、内科、小児科、外科、産婦人科などの4当番医制を採用すべきではないでしょうか。もちろんこれらの実施にあたっては、医師会との十分な話し合いと意思疎通が前提になってきますが、2,595人の医師の協力があるならば、社会的に見ても、医師個々に対する過当な要求ではないと思います。 一診療圏に内科、外科、小児科、産婦人科の4人の当番医が自宅待機していることを、住民個々に周知させることは困難であるので、原則として保健所内に、たとえば急患110番制を設置し、急患の場合は110番に電話すれば、どこへ行けばよいのか、どの医師にかかればよいのかということがわかるようにしておくことであります。 そうして、なお電話ナンバーを全県統一しておいたらよいのではないでしょうか。しかしこのための当直料を自治体が負担をするのが当然です。しかしここまでくると、知事は金がかかることはむずかしいと言うかもしれませんが、事県民の生命にかかわる問題です。みずから政策を選択すべきだと思います。 いま週休2日制という問題が政治的日程にのぼっています。週休1日制でなお混乱が起きている状態の中で、さらに将来2日制ということになれば、まさに医療現場の混乱ははかり知れないものがあります。いまから十二分に予測し対策を立てるべきだと思います。 次に、老人医療対策については、きのうわが党の権平議員が質問していますので重複を避けます。 ただここに明らかにしていただきたいことは、仄聞するにポストコロニーの一つとして、国立老人専門病院を設置する構想がおありと聞きますが、アウトラインについてお聞かせいただきたいと思います。これとても、当然県民医療全体計画と非常に大きいかかわり合いが出てくるものであります。設立計画の中へ県民要求を組ませることが重要になってくるからです。 最後に、措置入院制度の問題点について質問いたします。 県はこのたび、精神病院入院患者の家族に対する援護費支給要綱をまとめ、総額800万円余の追加予算を本議会に提案をしています。この要綱によると、精神病患者を同意入院と措置入院とに区別し、1、措置入院患者の家族のみを対象に支給しようとするものであり、精神病者の隔離収容に重点を置いた現在の精神医療体制をさらに一そう強化していくものであります。 2、形式的にも実質的にも公費による医療費の全額負担であるにもかかわらず、わざわざ家族援護費というきわめてあいまいなものにすりかえています。それが精神病入院患者の医療の現状を何ら改善するものではなく、むしろ一般社会や家族の偏見を拡大し、やっかい者払いという隔離収容のための家族に対する慰謝料的色彩が強くなっているのであります。家族援護費は文字どおり解釈すれば、その性質上衛生部サイドの予算よりもむしろ民生部予算として要求すべき筋合いのものであります。 3、その場合は、措置入院と同意入院とを区別する理由はないのであります。医師の立場や治療の立場からいっても、区別する何ものもありません。むしろ措置入院の場合は、措置症状が解消してもなお経済的理由で継続して措置入院させられており、治療上の問題で、たとえば患者の外泊や外勤の制限など、むしろ医師に対して心理的な圧迫を加えているのが措置入院の実態であります。 4、措置入院を決定をするただ一つの根拠は、自傷他害のおそれがありとする2名の審査官によってきめられています。しかし事実上経済的な負担にたえられないで措置入院の手続がとられているものが非常に多いのであります。患者の人権は二の次になり、治療上もまたマイナスが解消されないままむしろ進行しています。同意入院に対する措置入院の比率は、東京都に比べ2倍になっており、全国的にはトップクラスになっています。もし経済的な理由から援護費を助成しようとするならば、経済的な負担に悩んでいる同意入院の患者や家族に対しても、それぞれの経済事情に見合った平等の取り扱いをすべきであります。 きのう自民党代表の質問の中でも、また知事答弁の中でも、真の均衡を保つということが行政上必要だということがくどく説明されています。しからば、当然のことながら、平等というならば、精神病患者の間にも経済的状態を比較し、まさに平等に取り扱いをすべきです。それとも措置入院を強化していくために援護費を支給するのであれば、おのずから違ってきます。 5、このように治療上からも、また精神病患者並びに家族の人権から推しても、きわめて重大な問題だけに、既設の地方衛生審議会で検討して出されるのが当然であります。それが一ぺんの審議経過もなしに、議会に提出してくることはまさに審議会の存在をないがしろにした県の独走であります。審議会無視もはなはだしいと思います。しかしそれとも審議会の開催を要求するいとまがなかったのでしょうか。 仄聞すれば、保安処分に伴う一環として、急遽無料化案が挿入されたとも聞いていますが、いずれに重点的な理由が置かれていたのでしょうか。 6、家族援護費は、措置入院が経済的な理由からではなく、自傷他害のおそれが強いという立場で入院を強行するために、それに対する補償ということにかりに重点が置かれているとするならば、経済的な基準としても、D5階層で区切る議論は当たりません。 さて私は、6項目にわたってできるだけ簡潔に疑問点、質問点を整理して、援護費の持つ矛盾性を指摘し回答を呼びかけたつもりです。それは私の質問の詰めと関係してくるからであります。 私はこのたびの措置入院の強化案は、刑法の改正に伴う保安処分と軌を一にして出されてきたものとしてとらえています。すなわち政治的背景に焦点を当てているために、現在の時点ではいまだ短絡的な質問、わかりにくい質問になることを留意してのことであります。しかしたとえ今日理解できないわかりにくい質問であっても、この時点で明らかに問題を提起し将来の危険性を指摘しておくことが、政治の立場からも、県民の立場からも大切だからです。 いまここに、国会に提出された刑法改正の歴史的、思想的背景並びに保安処分制度新設について触れる知識も時間も持ち合わせておりませんが、ただ一つ、次の第68回日本精神神経学会総会における決議及び附帯決議がすべてを物語っていますので、これを御紹介して終わります。 「保安処分制度新設に反対する決議 第68回日本精神神経学会総会は現在法制審議会刑事法特別部会において審議されている、保安処分制度の新設に反対する。 違法な行為を行なった人であっても、精神障害者に対しては、何よりも医療が先行すべきであり、保安処分は、治療の名のもとに、障害者を社会から排除しようとするものにほかならない。 また、保安処分の考えは、精神障害者即犯罪素質者という、誤った先入観に発するものである事、精神障害者概念の拡大によって、保安処分制度が、一般市民の人権をも侵害するものとなる危険性がある事を指摘しなくてはならない。 前期の考えから、本学会は総会において、保安処分制度の新設に反対し、そのために活動していく事を決議する。 1971年6月15日 第68回日本精神神経学会総会 (可とするもの446票、否とするもの2票)」 「付帯決議 本学会刑法改正問題研究委員会が、かつて発表した刑法改正に関する意見書案及び、それに続く第2次、第3次意見書案が、保安処分の推進を行なったという事実を本学会は反省し、かつ、これらの3つの意見書案を廃棄する事を決議する。(可とするもの360票、否とするもの3票)」 以上であります。(拍手)   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 中川さんの御質問に対してお答え申し上げます。 たいへん支度を十分なさったお尋ねでございまして、もうとうとうと流れて聞いておりました。どうもどこが区切りなのか、ちょっとわからないんでございます。(笑声)そういう点で、答えの際に十分お尋ねの点に対応してということ、あるいは食い違いというよりも聞き落としというものが、あるいはたくさんないかという心配を実はしておるわけです。そんなことで、あるいはまた、いろいろお答えに対して十分意の満たないものがあるんじゃないかという心配がございますが、あらかじめそういう立場でお答えしたいと思います。 大体御説のとおり、現代の医療と申しますか、申すまでもなく単に先生方が診察をして、そうして治療をするという域だけでは、もう医療と言えないわけでございまして、予防それからまた早期発見、治療そうして最終的には社会復帰、リハビリテーションまでを総合的に含めたものが、医療の体系をなしておることは間違いがないわけでございます。したがいまして、そうした立場において、医療を考えていかなければならないわけであります。 そういう立場で考えた場合に、新潟県なら新潟県として、県民がみなそういう立場において医療を受けるというには、どうしていかなければならぬか、先般来、いろいろ関係の方々の御心労をわずらわしまして、あるべき姿というものに対してお尋ねをしておったわけです。 基幹病院、地域病院、僻地病院、あるいは特殊医療の病院というようにその病院の性格を分け、さらにはその分けたものが全体の県民の立場でおおむねこれが地域的な作用によって、みなその範囲内に入っておる、受けられる、こういう形でもってこなければならないという公的医療機関としての機能を発揮するには、そうやっていかなければならないんじゃないかということで、ずっと来ているのが現状でございます。 したがいまして、なかなかいろいろと医療問題はもうめんどうな問題でございますし、同時にまた現在の社会情勢の中にあって、だんだんといろいろな神経を使わなければならないような現象がもうたくさん起きてきておる。これに対処するために、常に怠りなく準備をしていかなければならぬ、そういうためにはやはり常時そういうことに対する知識、経験、そういうものを持った方々によって、お互いに相談し合って補完していくということが必要だ。でありまするからして、庁内におきましても、そうした委員会をつくりまして、そうしてそれらの活動によって手落ちのないようにひとつやっていこうというのが、大まかな大体医療に対する県の考え方として、今日まで来ておるわけでございます。 老人医療の問題にも十分お触れになっておるのでございますが、要するに老人医療の形は、患者の急増とはどうかことばはわかりませんが、ともかくも利用者が非常に多い、したがってまた年の関係等からいって、一たん入院された方々が、なかなか全快をしてベッドがあくということは、非常に回転がスローになってきた。そういうことからベッドの不足をかこってきておる現象でございまして、それらの需給関係は、当然そう変わってくるであろうということは予測されつつも、なかなかこれを補完していくだけの設備のほうが間に合っていないというのが現状でございます。 そういう点をとらえまして、やはり何と申しましても、医師会の御協力をお願いして、そうした点に対しても、やはりベッドがないからというて、長く待たなければならぬというようなことのないようにしていかなければならない、かように考えておるわけでございますし、また御指摘のような、今度週休2日制というような形にだんだん考え方が変わってくる、また現実そうしたような職務、労働関係におきましても、やはり2日制を採用していかなければならないと考えて実施しておるものが非常にたくさんふえてきておるわけでございます。 何と申しますか、現業部とそれから事務部というような面で分けても、どちらを2日制にしても、なおかつ仕事全体の上にそう大きく狂いがないということになりますと、あるものは事務部を週休2日制にするとか、ともかくもそうしたような傾向に順次流れていっているのが現状でございます。 そういう意味からいきまして、やはり医師さんのほうでも朝から晩まで毎日のように多くの患者を扱うということは、もうたいへんな重労働でございます。そういうことから、やはりある程度休診日というものは当然必要なわけでございますし、だんだん週休2日制というような形のことも考えてこられる情勢であろうかと思います。 そういうことを考えますときに、これに対して、しからば対応するにはどうしたらいいかということになりますと、いろいろなそうした公的な機関だけではもう間に合わない。したがって、やはり地域の実情に即した輪番制とでも申しますか、先生方のやはり協力を必要としなければならない姿が当然考えられるわけであります。そういうように、話し合いの上で御理解をいただいて、円満にそういう制度が順次定着していくようになってほしい、かように考えておるわけでございます。またそうしたものに対して、県の立場といたしまして、医療制度審議会の皆さま方に英知を拝借して結論を出していただきたい、こういうように、いま準備を進めておる段階でございます。 それから公立病院のあり方につきましても、市町村、県、国立病院等、公立病院の役割りは地域医療の中心となるべきものであって、僻地、ガンあるいはまた救急、難病等、採算の取り合わない医療あるいは特殊高度医療を担当し、地域の診療所、病院との連携のもとで、住民の医療を確保するという使命を持つものではないか。したがって、前に述べました地域医療計画作成にあたっては、これらの点を考慮し、施設整備の充実をはかるよう進めてまいりたい。なお国においても、不採算性医療に対する助成策を検討中であるので、これとの関連も十分考慮したい、かように考えておるのが県の立場でございます。 それから、精神障害者の精神病院への入院には――このことは特にお触れになった問題でございますが、いわゆる措置入院、それから本人の保護者が同意した方々の入院、それから本人の意思によって自由に入院する、これらはすべて入院の目的は同じ、適切な治療を受けて、そうして患者が早くなおって社会復帰ができるということが目的であるわけであります。でありまするけれども、措置入院とそれから他のものとの取り扱いの違いに対して、いささか御意見があったようなわけでございます。 それで措置入院は御案内のとおり、あまりにもこの家族の方も、ほんとうはそういうところに入れたくないという親心があっても、周囲が黙っていない、困るからという苦情がついたような方で、おおむね県の立場で、それでは命令をする。これはひとりそういう精神病関係だけでなく、たとえばらいの関係なんかでもあるわけです。そういうようなことで、措置入院をされる。したがって、本人の意思、家族の意思でなく、強制的な一つの手段でございますので、それらに対するいろいろな義務的な経費、そういうものも、それでは公費で見ますから入れなさい、こういう命令の根本の出方がそこから来ているので、いろいろ取り扱いの上で差が出てくるんじゃないか、かように私どもは解釈いたしておるわけなんであります。 現行法のもとでは、強制的に入院させる措置患者の家族に費用負担を課することになっていますけれども、これらの患者は入院期間が長期にわたるので、その家族に対して援護措置を講ずるものである、こういう解釈に一応なっておるわけです。したがって、措置入院の患者と一般的のものと、いろいろ実質的、環境的な経費負担というものを考えますときに、あるいはしからばこちらにもという公平な立場の解釈もあるいは出るかもしれぬ。しかしながら、一方において強制収容といいますか、そういう形のものが伴っているだけそこの解釈をどうしてもしていかなければならないというような点が多分に私は意義づけられておる誘因はそこにあるんだ、かように解釈いたしているようなわけでございます。 それから最後に、ちょっとお触れになりましたが、保安処分の問題でございますが、これは法務省の関係でございまして、私もそうした点については、あまり詳細に別に勉強もしておりませんので、お答えを申し上げてむしろ間違ったようなことになるとかえって私は困ります。でありますから、その点に対してはもしどなたか勉強なさっておったら、そのほうからひとつお答え願うことにいたします。 いずれにいたしましても、直接精神衛生の関係ではないような気持ちがいたしておりますので、ひとつあしからず御了承願いたいと思います。   〔中川三七君登壇〕 ◆中川三七君 知事、こまかい点は委員会で詰めますけれども、ポストコロニーの――いまこれは言いたくなければけっこうですが、それを1つ落としておりますので、これをひとつお願いしたいと思います。 それから、そうすると、措置入院、強制的な入院患者に対しては強制を課したんだから、だからこれは気の毒だ、親は離したくない、しかしいわば自傷他害のおそれがあるので、強制的に県が入れる、そのために対するいわば援護費ですか、慰謝料的な性格ですか――じゃそういう慰謝料というのは抜きにして、そういう意味でのいま性格、理論を聞いているのです。どういう性格で出すのか、深いところは委員会では詰めますけれども、どういう性格のもので支給をしていくのか。たとえば知事がさっきおっしゃったような言い方でいくならば、D5階層を当てはめるというのは、私はそれは違ってくると思うのです。D5階層ということを導入しながら、ある意味では医療費補助ということになれば、同意入院の人たちもたいへん困っている。それから医者の立場からすれば、できるだけ措置入院を同意入院に切りかえていくような方向が望ましいといっている。 たとえば措置入院の場合ですと、社会復帰をさせるには、きょうまで病院に置いて、あすからうちに帰りなさいといっても、非常に不安なわけです。いわば雰囲気、環境がすぐ変わるわけです。そのために自宅に帰す前に、たとえば1日外泊させたり、あるいはまた外勤をさせたり、そういうふうなことを順序づけていって、それで自宅へ帰すという療法がとられている。ところが措置入院の場合には非常にむずかしいです。たとえば外泊させるにしても外勤をさせるにしても、非常にむずかしい手続を医師のほうでとらなければならぬ、こういう問題があるわけです。したがって、この患者の病をなおすということを重点に置くならば、いわば同意入院の方向が望ましいといっているのです。もちろんそれは一から全部というわけにはいきません。それはいろいろあります。ただ方向はそのほうが望ましいという医師的医師の立場から出ている。 ところが、これを進めていくと、それとは逆に経済的な負担がかからないということになれば、勢い同意入院より措置入院の方向に行くということは、当然想定されるわけです。まずその先のことはさておいて、したがってどういう性格でこのたび出してきているのか、この理論を私はお聞きしているわけです。   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) ポストコロニーの問題でございますが、先般も申しましたように、一応次のものとして、福祉関係で重点的に現状から考えた場合に、何が一番適切なものであるか、こういうテーマのもとで、いろいろ相談をしたわけです。そうしましたら、はからずも、やはりリハビリテーション関係の施設のりっぱなものをつくっていくことが、一番適切なんじゃないか、こういう意見で一応話がまとまったわけです。 したがって、これはいつの日になるか知りませんけれども、今回でしたかこの前だったか、わずかばかりの調査費をつけて、これからスタートをしようという姿勢をとったわけなんです。 それで、先ほど国立のものというような話がございましたが、私もつまびらかなことは承知はいたしておりません。ただ厚生省の保険局でございますか、その関係でいろいろ厚生年金の使途について各地に適切なものをつくっていきたい、すでに福岡、札幌ですか、方々に順次つくっているのです。 でありまするから、そこは抜け目なく私も新潟県の立場で、適切なものをぜひひとつ考えてもらいたい、なかなか施設も大きいし、金もかかる。特にいま地所がなかなか高いんでございます。そうして、人口50万くらいを単位に考えておるというようなことでございますので、新潟県といたしまするならばどうしても人口50万といえば、新潟市が一番近いんだというようなことで、新潟市周辺にそうした施設が何とかして考えられないか、こう考えて、もう私そういう何か夢見ているようなものでございまして、これから保険局に交渉して、具体的に保険局のいろいろ福岡の青写真とか、札幌の青写真とか、そういうものを見していただいて、そうしてこれを何とか新潟にもと、こういうような考え方をしております。それは大きなものです。規模はたしか70万坪とかいったと思いますが、非常に大きいのです。またそのほかに、小型のものも何か考えているようでございます。   〔衛生部長菊地浩君登壇〕 ◎衛生部長(菊地浩君) 補足説明を申し上げます。 お尋ねのポストコロニーにつきましては、実は国立で研究所も含めたリハビリテーションの施設をつくろうという計画が、国のほうでは何かあるように聞いておりますが、この点につきましては、まだ計画の上におきましても予算につきましても、固まっておらないようでございますので、まだ県におきましても、十分検討は詰めておりません。知事までも上げておらない問題でございますので、十分国と今後連絡をとりまして、具体的な計画になりますかどうかを検討してまいりたいと思います。 第2点の措置入院患者に対する今回の家族援護費の予算の提案でございますが、この点につきましては、先ほど知事から御説明ありましたのは、措置入院と同意入院と自由入院のそれぞれの3つの種類があるということで、その性格の御説明を申し上げたわけでございます。 そして国の法律に基づきまして、措置入院につきましては、そうした強権力も発動しておるというようなことから、公費負担の道が開かれているわけでございます。ただその場合に、やはり自己負担というのが課せられておるわけでございます。したがって、県の立場で考えますと、措置命令権者は知事でありますけれども、法律に基づいて措置するわけでありますので、自己負担させなければいけない。その自己負担の場合に、どうしてもやはり低所得階層の方々は、自己負担は困難であるというようなことで、家族会の方々からもその自己負担の軽減について、ここ数年来要望が出ておったわけでございます。 このようなことを踏まえまして、県におきましては優先的に措置入院患者のD5階層までの自己負担の軽減をはかろうという趣旨で、財政的な処置をしたいという考えを持ったわけでございます。あくまで県のこのたびの家族援護費というのは、経済的な面での軽減という意味で行なったわけであります。 そういう意味で、同意入院も同じではないかという御質問もあると思いますが、私どもの判断としては、まず措置入院の患者に対して行なうという考えで計画したものでございます。 なお、家族援護費ということで出発させていただきましたのは、最初自己負担の軽減が、妊産婦、乳児医療と同じような方法で、医療費の自己負担の直接の助成というようなことにいたしたいということで、事務的に詰めてみたんでございますが、措置入院というようなことで、これは措置そのものの中で、どうしても自己負担をやはり法律上払ってもらわなければいけない、それを軽減することは、非常にむずかしゅうございます。したがって、それを払っていただいて、その自己負担を払ったという領収書に基づいて、社会保険に該当するものは社会保険から5割なら5割をもらう、その5割をもらって、その自己負担の証明となるような社会保険の請求書なり受領書に基づいて、あらためて県のほうに残りの自己負担分を請求するという非常にややこしい手続になってしまいますので、それでは困りますので、家族援護費という形、これは実際は自己負担の軽減のための措置でありますけれども、事務手続上、家族援護費という形で事務の軽減をはかっていくということで打ち出したものでございます。したがいまして、措置入院の患者を対象にしている関係もありまして、衛生部で取り扱った次第でございます。 ややこしい事務的な負担をのがれるための一つの措置としての家族援護費という形で出しましたので、御了承いただきたいと思います。 以上であります。   ――――――――――――――――― ○副議長(長谷川吉雄君) 次に、武田武夫君の発言を許します。   〔武田武夫君登壇〕(拍手) ◆武田武夫君 さっそく質問に入りたいと思います。その第1点は、圃場整備事業の夏季施行に関しての問題でございます。 国ではこの米の生産調整実施以来、通年施行が休耕の対象とされてまいったのでありますが、このことは、かねてから通年施行を要望してきたそのことが、結果的には要求の一端が満たされ、一方においては、国の要請を受けた生産調整の実をあげてきたことになったわけでございますが、来年度以降休耕補償の打ち切りが予想されて、今後これを実施しようとする農家の意欲をかき消し、その推進に重大な影響を与えることが明らかであるとして、来年度以降も圃場整備の実施にあたっては、昭和48年度まで活用してきた休耕奨励金の補助金と同様の措置を講ずるよう、全国的にこの運動が続けられておるわけでございます。ことに多くの豪雪地帯を有する本県にとっては、これは重大な関心事といわなければならないと思うのでございます。 高度成長下のもとでは、農家労働力の不足は、機械化によって生産力の向上をもって解決せざるを得なくなってきておるのでございます。このため、圃場整備事業の持つ任務というものは今日ほど重い時期はない、このように言われておるわけでございます。また、農業の近代化が高率の機械化農法の進展にありと多年にわたり提唱されてきたごとく、農村再生の道とも言われておるのでございます。実施するものに対して、あらゆる励ましの策を講ずべきであると私は痛感するものでございます。 圃場整備事業の必要性についてはただいま申し上げたとおりでございますが、通年施行が夏季施行と言われるごとく、降雪以前にその工事の大半が終了し、工事の施行の完璧が期されることともなりますれば、特に豪雪地帯にとっては通年施行が重要な意味を持つことは、いまさら申し上げるまでもないことでございます。ちなみに、本県の夏季施行の実績を申し上げてみまするに、昭和45年が2,000ヘクタール、46年が1,900ヘクタール、47年で1,800ヘクタール、48年で1,500ヘクタールとなっておるのでございます。全国的段階のうち、特に東北、北陸、北海道が長年通年施行を国に求めてきたこの制度が、たとえ休耕奨励金という便宜的の措置にしろ、4年も継続をいたしますれば、すでにこの制度が板についたといわなければなりません。せっかく圃場整備の推進に努力を傾けようとしている意欲を、奨励金の打ち切りによってかき乱すことのないよう、今後も休耕奨励金と同様の補助金交付の制度の確立のために努力がなされなければならぬと思うのでございます。結局、積雪寒冷地帯の農民が、いかに圃場整備に苦難をなめておるかをはだに十分感じておられる知事、あなたにはこれが実現のため、最大の努力をなさるべきだと思うが、御所見を承りたいと思います。 次に、農業排水機に対する県費の補助のことでございます。私は通告に排水機のみを申し上げておったわけでございますが、山間部の揚水機のことについても同じことと思われますので、そのおつもりで御答弁をお願い申し上げたいと思います。 農業排水は、その昔から水は高きから低きに流れる、自然の原則によってまいったわけでございますけれども、しかしながら、近年排水のほとんどが機械排水に依存しなければ、米の収穫が不可能に近く、また農民はその維持管理費の増高に苦心をしておるところでございます。特に近年、非農地の拡大等によって、ここから排出される汚水と生活の多様化による多くの排水、その上豪雨の場合のものすごい水量によって、維持管理費はかさむ一方でございます。もはや慣行として見すごすにも、その限度に来ているといわれなければなりません。 そもそも農業排水機は、食糧の増産と農家の安定経営がその柱となっておるわけでございます。国、県の補助もさることながら、農家のばく大な負担によって設置がなされておることは、いまさら申し上げるまでもないことでございます。また、完工後の維持管理費は、すべて農民の大きな負担によってなされていることは注目をしなければならぬと思うのでございます。しかるに排水機、揚水機がその目的以外の排水、揚水のために圧力が加えられ、その上、維持管理費の負担の増高が余儀なくされておることは、放置のできない不合理というべきでありましょう。 この矛盾について、一例をあげて知事から深い認識を願いたいと思います。五十嵐川沿岸と申しますれば、あなたの地元でございますが、この土地改良連合の関係について申し上げるわけでございますが、知事はこのことについては十分御存じのことと思います。関係市町村は加茂市、三条市、これらが中心となっておるわけでございます。関係土地改良区が上江それから下江、籠江、三条郷、下条の各土地改良区が含まれておるわけでございますが、関係農家が約2,500戸、受益面積が3,711ヘクタール、もちろん全部が機械排水の面積でございます。その内訳が農地が1,962ヘクタール、非農地が1,749ヘクタール、これが農民だけの維持管理費によってまかなわれておるわけでございます。知事さん、過去の因襲にとられて、しかも農民だけが一方的な負担に甘んじなければならないというような、いわゆるさっきも申しました、水は高きから低きに流れる、この式の考え方はもうごめんでございます。土地改良団体が長年この不合理解消のため努力をしてきたことは、知事も御存じのことと思います。あまりにも明白なこの矛盾解消のため、知事は勇断をもって相当額の県費補助の措置を講ずべきであると思うが、知事の御所見を承りたいと思います。 次に、園芸試験場についてお伺いを申し上げたいと思います。 時間もないので端的に申し上げますが、地下水の上昇という致命的な欠点と敷地の狭隘から、もはや今日の栽培技術の向上と、果樹をはじめ蔬菜、花卉、球根等の需要の多様化の時代に対応できがたくなってきたのが、本県の園芸試験場の実態と言われております。このためか、栽培農家の目が隣県の試験場に及んでおることは、まことに残念しごくでございます。かかる事情のもとで、長年にわたってかれこれと取りざたをされてまいりましたが、結果的には移転のやむなしの態度を表明されたのが昨年の暮れのことと、私、承知をしております。 知事さん、果樹園の新設から試験研究の開始まで、おそらくは5年か6年はかかるでございましょう。用地の選定、それから用地の買収、これらの年月を数えるならば、おそらくは試験研究開始までは7年を数えるでございましょう。少なくともこの6月定例会に調査費の計上くらいはあってしかるべきと期待しておったにもかかわらず、その願いもほご同様となっておるわけでございます。調査費の計上のなかった理由について、ひとつお述べを願いたいと思います。 この機会に、御参考までに福島、山形両県の試験場について、本県の実態とどう違っておるかをごく簡単に申し上げてみたいと思いますが、まず福島県の場合でありますが、もともとここは昭和11年に果樹の試験研究のため、農事試験場の分場として設立の歴史があるわけでございます。昭和22年9月、福島県園芸試験場として独立をして、果樹、蔬菜等の試験研究を開始しておるわけでございます。時代の要請にこたえるため、整備拡充が計画され、昭和36年に用地買収に着手をして、昭和42年3月31日に整備拡充事業が7年がかりで完了しておるわけでございますが、その充実した圃場といい、本館といい、一緒に行かれました皆さんから、亘さんに見せたいなという声がどこからともなく出たことも、またむべなるかなでございましょう。 この本場の敷地が10ヘクタール、そのほかにいわき地方に4.5ヘクタール、それから会津地方に4ヘクタール、それから東白川郡には3ヘクタールのコンニャクの試験地を有しておるわけでございますが、それぞれ気候、風土に適応した試験研究を進めようとする合理的発想から、本場、分場あわせて21ヘクタールの圃場を有し、福島県ではたくましく試験研究に取り組んでおるわけでございます。 なお、職員構成についても大切なことでございますので、申し上げてみたいと思いますが、まず本場職員が48人、いわき分場では11人、会津試験地では7人、コンニャク試験地では4人で、園芸試験場職員合計で70人となっております。本県は36人でございます。 次に、山形県試験場の外郭についても申し述べてみたいと思います。 農業の中の一つの部門である果樹、蔬菜、花卉を基幹とした研究機関であることは、いずれも同様のことでありますが、この場合は従来の農業試験場の中で事業が行なわれてきたのでございますが、山形県園芸の急速な発展にこたえるため、専門試験場として新設された経過をたどっております。まず昭和38年に用地の選定、39年から41年にかけて用地の買収が行なわれております。42年に試験研究が開始されておるわけでございますが、用地買収に着手以来、試験研究ができるまで5年の歳月を要しておるわけでございます。この山形県は、このほかに砂丘地農業振興のため、庄内地域を対象として酒田市に敷地10ヘクタールの分場がありますから、本場の16ヘクタールとあわせて26ヘクタールの敷地に、山形県園芸の試験研究のセンターとしての役割りを十分果たしておるわけでございます。本県は砂丘地試験地をあわせて9ヘクタールでございます。 山形県の場合の職員構成についても簡単に申し上げたいと思いますが、本場では38人、それから酒田分場では18人、合計56人となっております。なお、本場職員38人ではまだまだ不便を来たしておるということで、増員を願っておるわけでございますが、やがてその要望が認められるという時期に来ておるとありますから、まずはうらやましい限りではございませんか。 それに比較して、本県の実態はどうでございましょうか。新津本場と内野試験地をあわせて職員数は36人、圃場の面積においては本場で5.8ヘクタール、それから内野試験地では3.2ヘクタール、合計9ヘクタールの中できゅうきゅうとしておるではございませんか。 それから、わが新潟県と福島、山形両県とは立地条件が異なっているとはいいながら、本県の果樹それから園芸作物の将来を考えるとき、試験研究にもっともっと力点を注がなければならないと私は痛感する次第でございます。本県における野菜においては2万5,700ヘクタール、それから果樹は4,250ヘクタール、花卉、球根等が500ヘクタール、ほかにハウスで10万平方メートルがあるわけでございますが、これは本県の最近の調査でございます。今後食生活の多様化、それから適地適産等によって果樹、野菜、花卉、球根等、本県農業の中に占める役割りは、今後ますます増大していくことを重視をしなければなりません。主観的、客観的情勢から、もはや本県園芸試験場の移転整備は、逡巡を許さぬ緊急の事業とされております。知事の勇断を強く望んで、御所見を承りたいと思います。 最後にお伺いするのは、すでにこの議会に各先輩諸氏から知事に対して質問がなされてきた問題でございますが、48年産の生産者米価引き上げの問題と、それからそれにあわせて、国内食糧の自給が叫ばれておるその中の本県農業の方向づけをどう考えておられるか、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。 知事さん、ことしもまたまた米価シーズンに入ったわけでございますが、わが産経委員会も議会を代表して、すでに6月20日、農林省、大蔵省と全国に先がけて陳情してまいりましたところでございますが、経済成長下、米価のみが取り残されておるこの矛盾の是正に取り組まなければならないと思います。昭和44年、昭和45年、昭和46年と、この3カ年の間、米価が据え置かれ、昨年はようやく実質5%の引き上げがなされたとはいいながら、150キロ当たり2万2,384円にすぎません。これに対し労働省の製造業の賃金調査によりますれば、43年以来毎年15%前後の伸びを見せておるといっております。また、48年の本県春闘相場も、昨年に比べ20%増の約1万2,500円が実現したといわれております。この現実の姿を見ても、今回の生産者米価の大幅値上げ運動はしごく当然だといわなければなりません。 また一面、米過剰の時代から、一転米不足時代への移行の不安が現実の問題となってあらわれておるわけでございます。これを裏書きするがごとく、県経済連報告によりますれば、県内倉庫の4月現在の政府米の在庫量は、すでに入庫量の約半分、242万俵にすぎない、こういわれております。がらあきが目立った昨年同期をさらに30%も下回って、県内消費分を除けば7月末ごろには底をつくと、こういわれております。食糧の不足によって、わが日本国民が極端にひもじい思いをしたことは、すでに経験済みでもあります。食糧不足の不安にさらに拍車をかけているのが、低米価から来た農民の生産意欲の減退、それから世界的な異常気象で、北海道などでも冷害が逐年あるわけでございますが、さらに本年も例のごとくこれが予想され、また世界的にはソ連、東欧の小麦、飼料云々とございます。それから、東アジアは米の不作、凶作に見舞われ云々とあります。特に遠路アフリカでは干ばつで深刻な飢餓状態が日々のマスコミに伝えられておるわけでございます。この現実の姿。一方人口増で食糧需要が生産増を上回って飢餓に直面していると、薄気味悪い警告をしておるものもございます。これに歩調をあわせたように、日本にも食糧の輸出要請が舞い込む一方、米国の食糧輸出規制等によって、まさしく世界の食糧事情はただならぬ様相を呈しておるというほかはないのでございます。 知事さん、さきに県内の農業関係者それから学者、市町村長などのメンバーが、超党派で今回の米価運動支持のアピールを発表しておることは御存じのことと思われます。米価運動にこのようなアピールの発表の行なわれたことは、また初めてともいわれております。国民生活を安定させるためには食糧の自給体制、長期的需給計画を確立しなければならない、こういうときの生産者米価の大幅引き上げ運動は意義がある。しかも世界的な食糧不安が叫ばれておる中で日本農業を守り育てるために、生きがいの持てる米価の保証によって、農業の斜陽化を防がなければならないと、そのアピールの中にあるわけでございます。日本の危機突破の重要な意義を持つともいわれる今回の米価大幅値上げ運動を、知事はどう受けとめておられるか。この運動の先頭にあなたは立たれるべき時期が来ておると思いますが、どうでございましょう。 ところが知事は昨日の鈴木議員の質問に、東北7県の知事と政府に働きかける段取りになっておると、こう答えられたが、このことについては毎年繰り返されておるようでございます。大幅値上げ運動の先頭に立つというお答えがなかったが、少なくともこの時点においては、いままでお答えになられたより以上の前向きのお答えを、私どもはお願いするわけでございます。知事の御所見をお伺い申し上げる次第でございます。 なおこの機会に、先ほど申し上げましたように、日本国民食糧自給のため、食糧基地としての本県の今後に果たす役割りはますます重要といわなければなりません。このときに本県農業の今後の方向づけについて、知事はどうお考えになっておられるか、御所見をお伺いして本日の質問を終わります。(拍手)   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 武田さんのお尋ねに対してお答えを申し上げます。 まず第1点が、土地改良事業の夏季施行という問題についてでございます。先ほどもどなたかのお尋ねのとき、ちょっと触れたと思いますが、一応生産調整の関係からして休耕したものが3万、それから転作したものには4万、こういう補償がなされておるわけです。そうしてその休耕のものに対しては、もう来年からやらない。一応今年で終わりだ。かようになっておるのが生産調整の関係の農林省の予算配分であるわけです。そこで、いままでその3万円をどう使ったかというと、御案内のとおり通年施行という形で土地改良その他をやって、そうして将来に備えてきたのがおおむね大部分の農家のお姿であったわけでございます。したがって、この土地改良の仕事が非常に進捗しておるわけでございまして、たいへん喜ばれております。これはひとり新潟県だけでなく、私ども関係共通の立場にある山形県あるいは青森、秋田等、みな各県がそういう実態にあるわけでございます。 でございますからして、49年からこの3万円の休耕補償料というものがなくなるんだが、さていま武田さんが御指摘になったように、長い間それを原資として土地改良をやってきた。それをここで断たれるというと、農民の方々の土地改良関係の仕事がなかなかいままでのようにスピーディーにいかない。だからして、これにかわるべき形において、休耕のための補償金でなかったならば、名前はどうあってもいい。同じような性格のものにして、通年施行の土地改良がなされるようにぜひ継続してもらいたい。こういうことで、武田さんは東北知事会議というものに対してあまりお好きでないようでございますけれども、私どもはやはり大体共通した立場にあるわけです。でございますからして、一緒に――もうすでにこの問題は知事会議として話をしているわけなんです。ですから、その結果をこれからもっと強くやっていく。49年度の話ですから、来年からこれはなくなる。したがって、来年にならないうちに、ことしのうちから、大体勝負のいいところは御案内のとおり――農林省が計画をしても、大蔵省がイエスと言わなきゃできないんですから、農林省が農林省独自の立場において計画を立てるときに、7月一ぱい、今月一ぱい、あるいは来月の初め、もう49年度の予算折衝がいいところへ来てしまうわけです。ですから、早くこの問題について農林省に、休耕奨励金という形においては出せないだろうが、何年もやってきたこの通年施行の関係だからして、何かこれにかわるべきものとして継続していってほしい。こういう運動をやっていこうじゃないか。大体こういうように話をきめ、すでに火ぶたも切っておるわけなんです。今後一そう強くやってまいりたい、かように考えておるわけであります。 それから、排水機あるいは揚水機の管理の維持費、この問題につきましても、お説のとおり、近来のそうした施設の都市化が進む周辺の現象、こういうのを見ますというと、これはひとり農民だけが負担すべき形のものでないということは、理論的にはだれしも否定しておらないようでございます。ただ、いままでのそうした形を、じゃそれをだれから取るのかというと、それじゃその存在する自治体から取る、こういうことに一応なる。ですけれども、自治体としても新たにそうしたものを徴収する、排水料というようなものをなかなかやはり取りにくいだろう。そういう関係でありますからして、これも国に対して、その実態をわからぬわけではないが、さらによく検討してもらって、そうして何らか維持管理費の農民負担の軽減すべきものを認め、その財源はどこから出すか、これは別問題として国に要請しようじゃないか。こういう形でいまもやっておるわけでございます。強く要望してまいりたい、かように考えております。 それから、園芸試験場の問題でございます。いろいろと福島県のものも山形県のものも――私もすでに福島県のものもずっと前に試験場も、またそうした畑もみんな見ております。なかなかりっぱでございます。そうして、新潟県のあの園芸試験場をどうして新津のあそこへつくったのかなという感じを実は持たれるわけです。 かつて加藤知正さんという代議士の先生がおられました。その先生が嘆いたことばですが、新潟県の政治家は大体米、米、米ばかり言う。加藤知正さんは、今度は逆に繭、繭、繭と言っていた先生ですが、もう選挙の関係があるのか知らぬが、米、米ばっかり言うて、さっぱりほかのことを言わない。こういうようなことを加藤知正さんが嘆いておられたわけです。 そういう点を考えてみても、一体新津に園芸試験場がほんとうに適切であったのか。そしていまになるというと、いや地下水がないだの、いや何だのという問題が今度は出てくる。そういうようなことを考えますというと、米中心ということでなくてやはり園芸の関係からいっても、近代的な国民の嗜好、そういう形からいっても、やはり果樹というものに非常にウエートを置かなければならない食生活の実態からいって、そうなってきておる。でありまするからして、私はもう果樹園芸に対しては力を惜しむべきでない、もっと力を入れなきゃならぬと、これは前からの私の持論でございました。ですから、そういう意味で新津の園芸試験場というものがその機能を十分発揮することができないということでございますからして、それじゃ適当な場所に移すということだけを話をきめた。 ところが、あとに残るものをどうするか、なかなかめんどうな問題だ。めんどうな問題でありますけれども、あとに残るものをへたなものを残せば、何もつぶす必要はないんだ。何か残せ、こういうことなんです。そうすると、やはり地元の関係として、あるものがなくなるといえば、だれでも反対するんです。そういうものをなくさなければならぬ。そうすると、あとどうするかという問題について、まだ十分結論が煮詰まっておらない。そういうようなことで、予算で調査費もつけないということになったのが実情でございます。ですから、もうあそこは不適当なんだからどこかへ移せという、県会の皆さんの一致した御意見であるなら、それをはっきり言うていただいて、あとまでどうすれというようなことでないようにしていただきたい。そうすればすぐあすにでも移せる。そういうような関係がありますからして、やはり一応根回しと申しますか、やるべきものをやって、そうして混乱の起こらないようにして始末をしたいという立場に現在立っておるわけでございます。 それから、第4番目の米価の問題でございますが、これはきのうは鈴木吉治郎先生にお答え申し上げましたわけでございますが、一応こうした米価の問題については、もうこれは一つの私の持論であったわけです。ということは、米価の問題は米価審議会という権威者が集まって、そうしてそこでぱきっときめるんだからして、そこのきめたものはひとつオールマイティーとして尊重する。そうでなくて各議員がみな、これは国会議員の話ですよ、ばらばらばらばら飛んで歩いて、そうしてわあわあベトコンだ何だといってやっている。だからして、終局的には政治米価というような悪評を買っているんだ。これはやっちゃいかぬ。これは私の前からの持論だったのです。それが適切であるか適切でないかということは、立場によって、解釈によって大きく違ってくるでありましょう。 しかし、今日の状態を考えるときに、米価が何年も据え置かれる。そうしてきのうもお話がございましたように、新潟県の所得が1人当たりがどうでとかというような点を考えますときに、米価というものが新潟県の経済に及ぼす影響というものが非常に大きいわけです。ですから、今回は黙ってはおられない。こういうことで、私どももこの17日に一応東北知事会議としての運動を展開しますし、また、いろいろ関係のものがございます。米価決定に行くまでの間の党の関係を私はよく承知しております。したがって、そういうところへも参りまして、そうして、何とかして最大限の努力をみんなしてくれ、協力してくれというお願いをするつもりでおるわけであります。 大体そういうことです。 ◆武田武夫君 知事さん、ここでいいですか。 いま日本が食糧が不足になっているという事態の中で、日本の食糧基地である新潟県の役割りというものは非常に大きくなっているし、また今後もなおさら大きくなるであろうというその中に、知事は新潟県農民というものをそういうことを踏まえて引っ張ってやっていかなければならないと思うが、どういうふうなお考えでいられるかということなんでございます。   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) いまのお尋ねの点に対しましては、私は終始一貫新潟県が日本の主食食糧の供給基地であるという位置づけを持っておるのであるからして、その位置づけを持っておる立場によって、特に米産県として、しかも新潟県が農家の所得の7割近いものが米に依存しておるということからいって、もう先ほどもどなたかに申しましたが、できる限り増産をする。そうして優良な品種を増産していく。こういうようにやっていかなければならないと奨励をしておるわけであります。したがってそれにこたえるためには、いま御指摘のあったような土地改良をできるだけ進めていって、そうした基礎づくりを適切な形でよくしていく。あるいはまた、地域によってはいまの米づくりだけでなくて畜産も必要であろう。あるいはまた果樹、園芸も必要であろう。そういうような全体の県のバランスを見たときに、各自が自分の場所がどこが何が適切であるかということは、おのずと農家は長い経験によって適作のものを考え得る立場なんです。それに基づいて私どもが、それならばこれに対してはこう、畜産に対してはこうと、こういうように協力体制をとっていく。やはり、農家自体の自分を助ける自助の精神からいって、まず発想をそこに置くということが一番大事なことである。土地改良というような問題は大きな公共事業であるから、それに対しては国や県は十分力を入れていかなければならぬ、こういうように考えておるわけでありまして、食糧基地としての性格がますます必要性が強まってくるような客観情勢もありますからして、これには私どもは十分意を用いてまいらなければならぬ、かように考えております。   〔武田武夫君登壇〕 ◆武田武夫君 知事さん、あなたはどうも私のことを、東北7県の集まりを気にしておるとかいうお話が先ほどございましたが、私の言うのは、あなたが東北7県の知事会議において米価をどうするかということについて話し合っておるという、それだけでは私はもの足らぬということを申し上げたのでございます。 それから揚排水機の県費補助、これについて先ほど私の質問にはお触れにならなかったようでございますが、私の聞き落としかどうかわかりませんが、ひとつこれについてお答えを願いたいと思います。   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) いまの米価の問題については、すでに私ども東北7県の知事会議において、運動を一緒にするという形において申し合わせをしてやっているわけなんです。でありまするから、この17日にまた会ってやる。それはそれでやるんです。しかし、反面において私は私の立場で、さっき申しましたような、いろいろのそうした決定に至るまでの間の機関がありますからして、それらの機関のほうに新潟県の立場からいっても強く要望する、こういうことを申し上げておるわけです。 それから、排水機の県費補助ということばは先ほどおっしゃらなかった、いま初めて聞いたんです。県費補助という形になりますというと――私がお答えしたのは、まず県費よりも国の補助、そういう形のものをどう考えているかということに対して、国に強く要望する、かようにお答えしているわけなんです。ですから県費補助は、あるものはできるだけの形のものは現在やっておりますけれども、いまの新しい構想のその社会情勢の変化に伴う生活汚水等の問題、それらの処理がある。それをどうするかという問題の関連になりますというと、一応やはりそのものを出しておる自治体ということが最初の問題にならなければならない。そうして県、国といかなければならない。したがって、私はそうした問題に対して、まず国の意向をひとつ聞いておこう。そういう必要性があるじゃないかという認識を国に強く要望していきたい。こう考えておりますので、県費の補助というものは、いま直ちには私はおこたえする準備はありません。   ――――――――――――――――― ○副議長(長谷川吉雄君) 次に、江口秋治君の発言を許します。   〔江口秋治君登壇〕(拍手) ◆江口秋治君 通告しておきました順序に従って御質問申し上げます。 最初に、中条町高畑、宮瀬、山王、赤川の4カ部落は、昭和41年、日本鉱業株式会社が大字笹口浜地内にガス井戸を掘削以来、砂丘地を中心に宅地、農地、山林を問わず天然ガスが噴出し、畑作物を中心にかなりの被害を受けたのであります。さらに昭和43年石油資源開発公団が山王及び高畑地区にガス井戸を掘るに及んで、被害面積はさらに広がり、農民の生活基盤であるたんぼにまでガスの噴出を見ております。この間被害者農民は、町役場はじめ各関係機関に原因の究明と被害防止対策を陳情しておりましたが、その効果はほとんどなく、特に原因の究明については調査団を編成し調査したのでありますが、当時調査団にガス協会など利害関係者も加わっており、原因究明はうやむやになっています。このような状態であるにもかかわらず、通産省は新規ガス井戸の申請を続々と認可し、昨年12月、笹口浜地内での日本鉱業の新規井戸の掘削では、民家の飲料水井戸より突然ガスが噴出するなど被害面積は大幅に広がり、作付不能地数ヘクタールを含む田畑面積四十数ヘクタールにも及び、山林その他を合わせると100ヘクタールにも及ぶ状態であります。 このようなことは県知事並びに関係部長はつとに御承知のことと思いますが、昭和43年、大地が燃えると騒がれてから以来5年たちましたが、原因究明すらなされておらず、対策のなまぬるさは地元被害農民だけではなくまことにおそまつというほかはないと思います。 このような事態にあるにもかかわらず、6月26日朝、日本鉱業中条油業所が、付近で新しいガス井戸の掘削を強行したため、前記4部落の被害者農民約100名は、原因が明らかになるまでは新規ガス井戸掘削の中止を要望し、実力でピケを張り、これを阻止しております。一時は警官を導入し、強行しようとする油業者側と不穏な雲行きがあったのですが、熊倉町長にあっせんを頼んで一時小康を保っているわけであります。この事態にあって知事は、採掘の許可権は通産省だからいかんともしがたいなどというのでしょうか。県民の生命、財産が危険にさらされているとき、これを受けて知事は通産省に対し打つ手はないのでしょうか。承りたいと思います。 私は4月24日、被害者農民代表とともに松丸商工労働部長に早急な対策を陳情したのですが、その後いかになっているのでしょうか。被害者はいままで噴出のないのにガス井戸を32本も掘られたためだと思い込んでおります。事実そのほかに原因はないのではないかと思われます。通産省にはどのように申し入れられたのか、またその答えはどうであったのか。たばこ畑は枯れ、桑畑は枯れ、たんぼもブクブクあわ出し、各所にごうごうたる噴出を見ていてはどうなることかと住民は心配しておりますが、新規ガス井戸をまたも許可する通産省は一体何を考えているのか。知事並びに商労部長は実態をよく通産省に説明されたら、まさかまたも掘れとは言わないと思うのですがいかがでしょう。お伺いいたしたいと思います。 次に、見られるとおりたばこはだめになっております。水稲も昨年の例によれば根腐れを起こし、全部倒伏でしょう。ガスのためたいせつな生活基盤を失う農民は次のような対策を望んでおります。 第1に、原因の究明を大急ぎでやってもらいたい。第2に、農地の生産力の低下に対する救済措置及び農地の復旧措置を講ずること。第3に、税の減免措置をすること。第4に、被害者に対する損害補償策を講ずること。第5に、付近の県有畑地を代替地として貸与すること。第6に、原因が明らかになるまで新規ガス井戸の掘削を中止すること。以上でありますが、知事並びに関係部長の御理解ある答弁をお願いいたします。 次に、火力発電の問題であります。東工業港における火力発電のことについてお伺いしたいと思います。 現在共同火力による運転中のもの35万キロワット、建設予定の2号機35万キロワット、東北電力の第1号機出力60万キロワット、昭和50年度に増設予定の2号機も60万キロワット、計190万キロワットが現在具体的な計画と私は思います。しかし、東北電力株式会社、新潟共同火力発電株式会社両社と県との火力発電所建設に関する協定書によると、臨海工業地帯に最終値275万キロワット以上を目途とするとありますが、県は一体最終値を何百万キロワットに想定するのか、第1に承りたいと思います。 全国に有名になったかの四日市ぜんそく、その火力発電の規模が120万キロワットであることを見れば、東工業港の規模がどのように大きいものかわかるわけであります。最終400万キロワットぐらいではないかと言われておることが真実かどうか、承りたいと思います。 第2に、このような巨大火力発電に使用されるC重油は約2%の硫黄分を含み、脱硫装置も3分の1の能力しかなく、脱硫率も70%ぐらいとなると、排出される亜硫酸ガスの量もばく大な量となり、必ずや公害の発生は火を見るよりも明らかであります。これに拡散のための巨大な煙突が170メートルから200メートルのものが立つことになると、その範囲も北蒲原の大部分に及び、偏西風に乗れば新発田市はむろんのことその以北にまで及ぶこと必至ではないかと思います。過日私どもは鹿島臨海工業地帯を視察したおりにも、170メートル以上の巨大な煙突が立っていることによりまして、むしろ鹿島地帯より利根川をはさんだ対岸の千葉県の銚子のほうに問題が発生していると聞きました。ひとり現地聖籠村や周辺町村だけではないと思われるのであります。 このような時点で知事は、無公害を約束し、事実協定書にも第10条に「積極的な対策を講じ公害を起こさないものとする」としてありますが、私は、いまのような情勢では建設を許可することは公害を引き起こすこと必至のことと思います。公害を起こさない積極的な対策とは具体的にどのようなことをするのか、承りたいと思います。この対策が示されない限り、現在では火力発電所の建設許可は、知事の公害のない工業港と矛盾すると思われるのでありますが、いかがでしょうか、承りたいと思います。 第3に、きのうの新潟日報1面トップに報道されておりますが、これは知事も見られたでしょう。見られておりませんか。それなら申し上げます。 環境庁の窒素酸化物排出規制検討委員会は、発電所や工場など固定発生源から排出されるNOX、いわゆる窒素酸化物を5年ないし8年の間に、現在の10分の1に削減することを骨子としたNOX規制中間報告をまとめたと報じ、さらに「この新基準によると、今後新設される火力発電所は第1段階としてNOXの排出量を40%カットしない限り建設を認められなくなる」としております。なお、別項に電力業界の受けとめ方として、「電力業界は窒素酸化物(NOX)の排出規制目標値が環境庁から出されたことに対して、現在の脱窒技術はまだあまり進んでおらず、排出濃度を現在より大幅に減らす目標値の達成は極めて困難だとして事態を受け止めている。業界各社はNOXを低減させるため燃焼方法の改善や発電用ボイラーの設備改善などを進めているが、こうした技術による方法では窒素分を最高40%まで減らすのが限界で、それ以上減らすためには燃焼排ガスからNOXを除く「脱硝技術」の開発を進めなければならない。しかし、脱硝技術はまだ基礎研究の段階で技術開発のメドはまだ十分ついていないと業界各社はいっている。」このように報じておるわけであります。知事はこの記事を見られないということでありますが、あとで見ていただきます。 公害発生の事実の上に立っての規制措置をこのようにとられるわけですが、知事は協定第10条に基づけば、「法律、条例に基づく基準を厳守するのはもちろんのこと」、電力会社との協定の中にははっきりこう書いてあります。この基準に下げることの技術がないとするならば、当然建設は見合わせるべきと解釈されますが、東工業港における火力発電建設は、技術開発の進まぬいまの段階では建設はストップと解してよいと思いますが、いかがでしょうか、承りたいと思います。なお、電力業界だけでなく、この規制は当然他の業界にも関連しますので、十分注意して知事の言う無公害工業港の建設にかりにも複合汚染の出ないようにお願いしたいと思います。 第4に、去る5月27日、聖籠村に巨大火力発電所建設に対する反対大会が持たれたことは御承知のことと思いますが、この大会の参加農民の中に、工場排水の農業排水路への流入を許すな、水質基準以下に保つために万全を尽くせとか、県、市町村は早急に下水処理施設を完備せよと心配をしておるわけですが、農地、作物、水の汚染防止に万全を尽くされるとは思いますが、対策はいかがになっておることかお伺いしたいと思います。 火力発電の問題はこのくらいにしまして、次に、産業廃棄物についてお願いしたいと思います。 2月県会の連合委員会に安田町における日軽金の産業廃棄物の廃棄についての関連でお尋ねしたわけですが、そのことは最後にお尋ねすることとして、まず第1に、昨年3月、県は産業廃棄物の実態調査結果を発表しました。それによりますれば、毎月60万トン近くの産業廃棄物があり、このうち60%は何らかの特別な処理を要するものであります。製造業で特別な処理を必要とするものは70%にも達するとしておりますが、このうち66%が未処理のままであり、しかもその88%は事業所の外に不法に投棄されておるという驚くべきことなのであります。このことは、企業がもうからないことには金は使わない、そのためにどのくらい環境が汚染され健康が害されているかを示していることと思います。良好な自然環境は命を守る源泉であり、これを汚し粗末にすることは、必ずやその報いを受けると思います。それゆえこの種のことに対し決して過剰投資ということはないと私は思うのでありますが、実際は全く逆なのではないでしょうか。これまで無責任な企業のために、私たちは常に危険にさらされ取り返しのつかない被害をこうむっていると思うのであります。調査によれば2年後には毎月81万トン、昭和55年には92万トンの産業廃棄物が予想されております。いまでさえどうしようもないのに、このままでは一体どうなることかと心配しております。一刻も早く具体的な計画とその実行が望まれているわけですが、県の計画はいかがになっているのか、承りたいと思うのであります。 第2に、2月の連合委員会でも指摘したとおり、安田町の廃棄物についてどのようなものかは、企業より出されたものだけで判断して許可をしているのですが、私の知る範囲では若松浜に歴世礦油が投棄したものは何なのか、何を含んでおるのか、網代浜で保管しサン化学で中和剤添加、次第浜に投棄している新潟電工のカーバイトカスは毒物がないのか等々まことに心配であります。積極的に分析し明らかにしなければなりません。こういう例は、私は県下に随所にたくさんあるのではないかと思うのであります。 この点心配なので承りたいと思います。なお、2月県会の知事の答弁は明快であり、十分な調査なくして許可してはならないと答えられております。はたしてなされているでしょうか。処分業者として許可も得ていない無免許の運送業者に投棄させていたということは、如実にこのことを物語るものでないでしょうか。 第3にお伺いしたいのは、産業廃棄物は申すに及ばず、土壌にしろ水、魚その他もろもろの検体を分析する必要がある場合、衛生センターあるいは保健所にしろ、設備と人員が極度に不足しているのではないかということであります。私たちが緊急な必要に迫られてお願いしても、3カ月とか半年とか忘れたころに結果が出されるのが普通で、とてもいまの間に合わない。ついつい延び延びになったり他県へ依頼したりということになります。きのうの魚の問題にしても、衛生部長答弁では10月までかかるということですが、いま食うか食わないかと迷っているとき、10月まででないと結果はわからないようではどうにもならない。中性洗剤にしろ食品にしろ、即刻これはこのとおりと明快に指導してもらいたいものであります。このために検査体制特に分析能力の充実のために、県はもっと力を入れてしかるべきと思うが、いかがでございましょうか。よしあしを即刻判断して県民に示す検査体制の充実を、知事、関係部長はどう考えておるのか、承りたいと思います。 最後に、安田町の廃棄物について再度お聞きしたいと思います。 カドミを例にとれば、一昨日衛生部より0.0028%で心配はないと私に示されました。が、カドミは空気、光線、熱等々に絶対に分解されない。そして、水、土地、植物、人間の体内へと入ってくる。そして、入っては体外に排出されずに蓄積し、数年か十数年のあとに発病という経過をとるはずですし、カドミの含まれておる物質を水とともに一定の時間攪拌し、その水に溶けたものだけの分析のデータでは、いかに少量であっても絶対量ではないわけであります。絶対量は廃棄された数千トンの中に多量に含まれておるカドミの分はたいへんなものと私は思います。それが部落の上流の小高い丘陵地帯に投棄されておるのですから、一とおりの心配ではありません。必ずや長い年月の間に下流に拡散することでしょう。ただ単にいまの分析の結果が基準以下であっても、心配は去らないのであります。現に笹神村の相場金属のカドミ問題のときでさえ、水をとって検査をやれば常に基準量以下であったはずであります。幾ら私どもが注意しても、この排水は基準以下であります、こういうお答えが県から返ってきたわけであります。しかし、東京都の衛生研究所で調査した私どもの結果は、水溝で168PPM、田の水口で70PPM、その田からとれたもみが0.5PPMと検出されておるのであります。しかし、その後これを受けて県で調査したのでありますが、規定により地表より15センチのところより検体をとって調査しております。操業以来たった3カ月であります。その間の水だけ引いたわけでありますが、田に水を引いただけで、どうして田んぼのすみずみまでしかも15センチの下部までカドミが浸透するものでないくらいはだれでもわかるはずであります。これで心配はない、基準量以下だからと言っておるのであります。このように私どもは、基準さえも信用できなくなってくるのであります。言わんや毒物が現にあるものが数千トン集中的に1カ所に投棄されておれば、目の色を変えて反対するのは当然であります。この点、基準以下だからとは済まされないと思うのであります。以上の観点から御答弁をお願いしたいと思います。 次に、部落は安田町寺社が至近距離でありますが、同部落の人々は絶対反対を叫んで徹去を迫っておるのであります。住民の反対を押し切って、県は投棄をさせるのかどうか、最後にお伺いして質問を終わります。(拍手)   〔知事亘四郎君登壇〕 ◎知事(亘四郎君) 江口さんのお尋ねの第1番目でございますが、いわゆる中条のガスの問題でございます。これは私も現地を見まして七ふしぎのような感じがしてならなかったわけでございますが、1年あるいは2年ぐらい前になりますか、現地へ行って竹で突っついてガスが出てきて火をつけたわけですが、その当時からの問題なんだが、だれもあの当事はガスは出る、ガスは出るとはいうものの、それがどれだけ危険なのか、どれだけ毒なのかという点について、現地のすぐ二、三メートルも離れておらないところにうちが建っておるのです。その家族の方々が出てきて、いろいろ竹で突っついて見せるのですけれども、あえて危険とか何かということは一言も言わなかったわけです。だけれども、まあいずれこんなのは、ガスがあってある一定の時間がたてば出尽くしてしまうんだろう、そして発散されるんだろう、その程度に実は軽く考えておったわけでございます。ところが、今度日立製作さんですか、あの土地を、その場所かどこかはっきりしませんが、あの地方のどこか土地を買って、そしてそこへ工場移転をするという話がありまして、いろいろ適地かどうかという調査のときに、大学の先生方の調査の結果、それは適地ではない、ということは、ガスが出てそして密閉された工場に、いま開放されて風通しがいいからたいして危険視はしないだろうけれども、一たびこれが工場の建物が建ってそして仕事を開始する、ドアをあける、何かの間違いで火がつくというような場合に爆発するおそれなしとしない、ガスがたまらないことはない、心配はいらないのだということは言えないというようなことで、そこは適当でないから、同じ中条町の行政区域であるならば自分たちの違約にもならないから、適当な場所をひとつぜひさがして、そちらのほうに仕事を移していきたい、そこまで実は聞いておったわけです。あとこの問題については実は何も聞いておらなかった。ところが、先般何かどこかの会社が、ガス会社ですか、ガスを採取する会社ですか、仕事をしようとしたら一騒ぎあった、こういうことなんです。それで、いろいろこれを安全を確認する方法がどんな形のものであるか、そういう点が一番大事な問題じゃないかと思うわけです。したがって、いまその安全の確認されるまでは、ガスの新しいものを掘らないという協定ですか、約束ですか、そういうものができたということであるならば、私はそれでたいへんけっこうだと思うわけです。 一方において、その間に現在ある現象というものが一体何によって起きたのか、将来どうなるのかというような点、それから、まあ正確なものがわからなくとも、推定するに何年くらいどういう方法でやったならば、これは普通の状態に返るのかというようにやはり研究していただいて、その地域の方々の不安というものをなくしていかなければならぬ。また、耕作地として耕作はできないということであれば、それに何か保護の手当ては別にしなければならぬ。しかし、補償といったところで一体だれがガスが出るようにしたのかというようなことの究明がはっきりしないわけです。そうなりますとなかなかめんどうだと思います。したがって、そうした善後策も考えながら、適当にどうすればよいのか、また、通産省としてもいろいろあの付近のガス井戸を掘ることを許可した立場からいって、これに対して実情を調査して通産省の立場で何かやはり考えてもらわなければいかぬという仲立ちは、県として当然とっていかなければならないのじゃないか、かように概念的に考えるわけであります。 それから、東港の問題でございますが、これはいろいろ窒素酸化物の問題でありますが、一応現在あるのが共同火力が65万キロワットですか60万キロワットですか、何かそんなものです。今度新しく東北電力がつくりたいというのもやはり60万キロワットでなかったかと思います。そういうときでありますから、ひとつきびしくしなければならないんだということで、絶対に公害は起こしません、そして脱硫装置も十分するが、一方においてその使う油あるいはいまの天然ガスが出ています。これを使用することによって十分安全性が――窒素酸化物が減少するのです。四日市ぜんそくのような形のものは絶対にいま考えられません、こういうことでありまして、私どもも一応そういうことに期待いたしまして、きびしくやってくださいよ、公害は絶対出さぬでくださいよ、出しません、こういう立場で話を進めておるわけなんです。そうして、また承りますというと、いまの天然ガスとそれから低硫黄の油と、これはおおむね東北電力さんが買って使用するんだというような方向に話がいっておる、こう聞いておるのであります。したがって、当時話されたことが間違いでなかったんだな、こういうことまではわかっておるわけです。ですけれども、ただそれだけでなくやはりいろいろ測定機等も十分用意をいたしまして、地域の方々あるいは農作物その他にそうした心配される被害がないようにやっていかなければならぬ。要するに一番使う油の硫黄分がどれだけ少ないかということが一番大事なポイントだと思う。したがって、その硫黄分の含有量はこれ以上の原油は絶対使わない、これ以下のものでなければならぬ。そしてそれによっていろいろ操作もするでしょうけれども、なかなか期待どおりの脱硫が現在の技術ではまだ満足でない。こう言われておるのでありますから、それを踏まえてその原油の硫黄の含有量というものを一番注意していかなければならないんじゃないか、かように考えておるわけであります。ですから許可するとか許可しないとかいう最終的なものは、審議会が中央にありますからして、私でありませんけれども、一応そうした協約を結ぶときの精神、そしてそれを実行する努力、そういうものは十分尊重してもらわなければならぬ、かように考えておるわけでございます。 それから産業廃棄物の問題でございますが、これは大体どんな形か全然安田の本田さんからも話を聞かないものだからよくわからないのですけれども、そんなにひどいあれになっておるのでございますか。そうしたら本田町長さん何か言うてきそうだが、何も聞いてないのですが、一応ある程度県の環境保全という立場で調べてはいるわけでございます。それで廃棄物を行政検査したところ、有害な産業廃棄物でないことを確認したが、今後とも問題のないよう万全な指導を期していきます、こういう立場におるわけなんであります。 そうするとこれはどういうことになるのでございますか。やはり衛生部の関係になりますので、衛生部長のほうからこの問題に対してはひとつ答弁さしていただきたい。   〔商工労働部長松丸清君登壇〕 ◎商工労働部長(松丸清君) 中条町の天然ガスの自噴の問題でございますが、最近では本年の1月10日でございますか、個人の民家の井戸から自噴したのに端を発しまして、それからだんだん被害面積を拡大いたしてきたわけでございます。その過程におきまして、中条の町長さんが私どものほうにいろいろ御相談に参ったわけでございます。参りましたのは、おそらく私どものほうが天然ガス関係の仕事をしておるということと、それから原因の一端がこれは天然ガスを採掘しておる業者が採掘したためにそういうガスが自噴したんじゃないかという地元の意見がありましたために、そういう関係で私どものほうに御相談に参ったわけでございますが、ただ何と申しましても天然ガスの採掘につきましては、企業者と国とのほうで直接、企業者が国に申請する、必要なら国が許可をするという権限、それから事務手続でございまして、県も町も許可権等につきましては一切ノータッチでございますが、しかし現実の問題として、あの中条の高畑を中心にガスが自噴しておるという状態、そしてそれをどうにかしなければいけないということは、これは地元の町としてもまた県としても当然であろうかと思います。 したがいまして、そういうような意味で中条の町長さんと御一緒に通産省のほうには強く申し入れたわけでございます。まず実情を十分御説明いたしました上で、何はともあれどういう原因でああいう状態になるかという関係が、まず何よりも大事でございます。恒久対策を立てるにいたしましても、その原因の探究がございませんとどうしようもございませんので、国のほうで原因をしっかり究明してもらいたいという申し入れ、それとともに現在業者が使っておりますガス坑井につきましても、ひとつ総点検をしていただきたいという強い申し入れをしてきたわけでございます。それに基づきまして、国のほうでは現在私どものほうの申し入れを検討していただいておると考えております。ただ、そうは申しましても、現実にあそこで自噴しておるガスを何らかの意味で少なくしていかなければならないのは当然でございますので、一応ガスの採掘業者に協力を依頼いたしまして、応急的にガス抜きの工事をさせるということで、これは現在ガス抜きの工事をいたしております。ある程度の成果はあがってきているんではなかろうかと思っておりますが、また応急工事の進展を見ながらそういうものを十分見詰めてまいりたいと思っております。 それから原因の探究も、これは国のほうに強く申し入れたわけでございますが、しかし、国が腰を上げますのは、いろいろな仕事をする上でなかなか時間もかかりますので、その間ほうっておくわけにもまいりませんので、これは新潟大学のほうに地質、化学、農学の立場からひとつ原因の探究をお願いしようということで、これは町が中心になりまして新潟大学のほうに調査をお願いしておるところでございます。現地へ入ります調査も一ぱいございました。現在検討いたしておる段階でございますが、何ぶん原因の探究はきわめてむずかしい問題でございます。あらゆる角度からしっかりとした原因の探究がなされるよう、私どもといたしましても望んでおるところでございます。   〔農林部長鶴巻達雄君登壇〕 ◎農林部長(鶴巻達雄君) 中条のガスの自噴に基づく農作物の被害をどうするか、こういう御質問の内容に承ったわけでございます。御承知のとおり農作物の中で特に目につくでき方としては、水稲と畑作物、その中の葉たばこが主であろうというふうに考えるわけであります。したがいまして、これは中条の町長とも御相談を申し上げまして、水稲については先ほど江口議員は、作付不能ということばをお使いになりましたけれども、そういう状況が判断されるところについては、できるだけ生産調整の休耕のほうに回してほしいということで御指導を願って、またそういうふうにやっておる。それが作付不能という形になって、実は現実の問題として出ておる問題だと思うわけであります。さらに、作付されたところについては、農民自身は作付した以上できるだけ多くの収量をあげたいという心情であること確かであろうと思うのであります。それについては、できるだけ、根を焼かさないように、根腐れを起こさないような行き方で、技術的に指導を改良普及所でやりながら出来秋を待ってその被害の状況を把握しながら、午前中来問題になっておりますけれども、できるだけ本気の形の前向きの姿勢で現行制度に乗せながら、補償でなくて被害を救済する方途を講じたいというふうに考えております。 たばこのほうにつきましては、現実私が見た範囲では大体3ないし4ヘクタールのうちぽつんぽつんと赤枯れが出ておりまして、その総面積を合わせても大体1町ちょっとぐらいじゃなかろうか、実際に被害の出ているところは。そういうふうに私は見てまいったわけでありますが、その後収穫期が近づくに従って精査をいたします。それも水稲と同じ形での現行制度に乗せながらの被害の救済の方法を探究していくという問題が1つと、それからもう一つ制度金融を受けてのたばこ耕作をやっておるようでございますので、これも中条町長とも御相談の上、耕作者の御意見がどこにあるか受けとめながら、金融自体の緩和策の方途もあるはずでございますので、そういう形での対処の仕方をいたしたい、こういうふうに考えております。   〔農地部長竹内昭八君登壇〕 ◎農地部長(竹内昭八君) 先ほど商工労働部長が御説明申し上げましたように、農地に関する恒久的な対策につきましては原因の探求が先決である、かように考えておるわけでございます。したがいまして、現在具体的な対策につきまして申し上げる段階ではないというふうに思うわけでございますが、一般的な制度上の点について申し上げますと、公害に基づく水質汚濁あるいは土壌汚染等によりまして被害が生じているということが明らかになった場合には、一般的に公害防除特別土地改良事業という制度がございます。したがいまして、地元の申請によりいま申し上げましたような前提を満たすならば、そのような制度で実施することは可能ではないかと思います。なお、この場合には代替の農用地の造成あるいは樹目変換等もこの事業で実施することができます。その場合における補助は、事業内容によって異なりますけれども、国が2分の1ないし3分の2でございます。   〔衛生部長菊地浩君登壇〕 ◎衛生部長(菊地浩君) 産業廃棄物対策につきまして補足御答弁申し上げます。 産業廃棄物対策につきましては、過般公害対策審議会から答申をいただきました基本計画に基づきまして、目下県と市町村関係者の間で種々打ち合わせを行なって具体的な処理計画の作成に取りかかっております。なお、汚泥なりあるいは鉱滓等の産業廃棄物の中で有害なものが含まれておるかどうかというような検査につきましては、本年3月から施行されました有害物質の検定方法並びに有害物質の判定基準に従いまして産業廃棄物の行政検査を行なう計画を持っております。今6月議会にこの予算につきまして、提案申し上げておるところでございます。もちろん全部はできませんが、検査可能な範囲内で今回は件数を計上さしていただいております。そのようなことで行政検査も行ないまして、できるだけ早急に県下各地にありますそうした有害のおそれのあるような鉱滓、汚泥等についての検査状況を把握していきたいと考えております。なお、検査施設の整備につきましては、衛生・公害研、保健所等の検査体制の整備はもちろん、今後とも強力に充実してまいりたいというふうに考えておりますが、ただ原子吸光光度計等の精密な機械を扱うためには、いままでの検査技術者に上乗せして、さらに試験をとって資格の必要のある分野もございます。そうしたことで人員の充足等について若干隘路があるようでございます。この検査体制の整備については、今後とも努力してまいりたいと思います。なお、民間の検査機関の整備につきましても、県費の助成等も行なってきておりますが、この民間の検査機関の間の連絡協議会等ももちまして、十分その育成をはかり、今後依頼検査等につきましては、こうした民間の検査機関で実施できるように体制づくりをしたいと思っております。 なお、問題になっております安田地区の産業廃棄物の処理対策でありますが、去る3月20日に事業者と安田町長の立ち合いの上に、埋め立て処分地からの鉱滓を採取しまして、県の衛生研究所、保健所などで分析を行ないました。その結果はすでに差し上げてあると思いますが、それの結果によりますと、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく有害な産業廃棄物には該当しないというような結果が出ております。一例を申し上げますと、カドミウムにつきましては、6検体、6カ所からとっておりますが、最高0.0126PPMでありまして、基準は0.3PPMということになっておりますので、このようなことで該当しなかったというようなことでございます。鉛、六化クロム、水銀などのほかの重金属類につきましても、いずれも基準値よりも低いかまたは検出しないというものでございました。このようなことから、一応有害な産業廃棄物ではないということを確認したわけでございます。 また、地下水の汚染等の影響を考えまして、隣接の井戸3カ所から地下水をくみ上げまして、水素イオン濃度の測定を行なっておりますが、地下水の汚染は認められておりません。今後も定期的に水道水の飲料水基準と照合しながら観測を続けるように指導しております。 しかしながら、産業廃棄物の埋め立て処分につきましては、事がきわめて重要なことでありますので、県が立ち会い人となりまして、安田町と事業者側との間に投棄等に関する協定を締結してもらい、環境汚染には万全を期するように指導してまいりたいと思います。 以上でございます。   〔新潟東港開発局長日浦晴三郎君登壇〕 ◎新潟東港開発局長日浦晴三郎君) 東北電力との進出協定の問題でどの程度の規模のものを考えておるかという御質問でございますが、進出協定を結びましたときは共同火力が35万キロワット1基、東北電力が60万キロワット4基、それで275万キロワット、そのときに最終規模は300万キロまでも考えてみたいという電力事情等の問題で、その辺はきわめて流動的でございますが、そういった意味合いで275万キロワット以上という表現を使ったようでございます。ただ、現在の東北電力の計画では、共発が35万キロワット2基、東北電力の東新潟火力で60万キロワット2基、ただし本年の10月に着工したいのは1基で、あとの1基についてはかなりおくれるであろうということでございます。したがいまして、県が何百万キロワットというふうには規定できないのではないだろうか。東北電力のほうの計画ではないかというふうに思います。 なお、規模が非常に流動的でありますのは、先ほど知事が答弁されましたように、低硫黄の燃料重油の確保の問題であるとか、あるいはLNGの確保、導入の問題等によりまして、かなりその辺は流動的に考えられるのではないだろうかというふうに思います。   〔江口秋治君登壇〕 ◆江口秋治君 総体的に私の聞いていることが、どうもみんな焦点をはずれています。特にNOXと亜硫酸ガスを混同して知事は答弁しているようですけれども、きのうの新聞の1面トップに、ちゃんとNOXというものはこういうものである、それからいまの基準の10分の1に下げなければならぬ、下げるにはいまの電力業界では下げる方法がないのだ、こういう見解を示しておるわけであります。だから、当然無公害を叫ぶ知事であったら、この建設計画はごめんこうむる、こういうのが当然ではないだろうか。対策が出るまでは建設してくれるな、こういうのが公害をなくする唯一の方法ではないだろうか。私はこう申し上げておるので、それを何かガスをないようにするとかというようなことを言っておりますけれども、そうではないので間違わないようにしていただきたい。あとは何回でも同じですからこれでやめます。   ――――――――――――――――― ○副議長(長谷川吉雄君) これにて一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○副議長(長谷川吉雄君) おはかりいたします。 議案審査のため明7月5日から7月7日まで及び7月9日から7月11日まで6日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお7月8日は休日のため本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○副議長(長谷川吉雄君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は7月12日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後4時24分散会...