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09月21日-07号

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  1. 神奈川県議会 2021-09-21
    09月21日-07号


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    令和 3年 第三回 定例会 △《本会議録-令和3年第3回-20210921-029072-諸事項-出席議員等・議事日程-》         令和3年第3回神奈川県議会定例会会議録第7号〇令和3年9月21日 午前10時30分開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共104名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       加   藤   ご   う                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       田   村   ゆうすけ                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   けいすけ                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       池   田   東 一 郎                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       石   川   裕   憲                       米   村   和   彦                       栄   居       学                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       さ と う   知   一                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       加   藤   元   弥                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       青   山   圭   一                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       浦   道   健   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       内   田   み ほ こ                       長   田   進   治                       国   松       誠                       杉   本       透                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       く さ か   景   子                       北   井   宏   昭                       菅   原   直   敏                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       松   本       清                       し き だ   博   昭                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       作   山   ゆうすけ                       てらさき    雄   介                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       曽 我 部   久 美 子       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         同             首   藤   健   治         政策局長          髙   澤   幸   夫         くらし安全防災局長     花   田   忠   雄         国際文化観光局長兼         拉致問題担当局長      香   川   智 佳 子         スポーツ局長        平   田   良   徳         環境農政局長        鈴   木   真 由 美         福祉子どもみらい局長    橋   本   和   也         健康医療局長兼未病担当局長 山   田   健   司         産業労働局長兼         エネルギー担当局長     野   田   久   義         県土整備局長        大   島   伸   生         共生担当局長        安   井   由 美 子         教育委員会教育長      桐   谷   次   郎         同  教育局長       田   代   文   彦         同 教育監         岡   野       親         警察本部長         山   本       仁         同  総務部長       木   原   信 一 郎   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          平   井   和   友         議会局副局長兼総務課長   霜   尾   克   彦         同  議事課長       井   上       実         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和3年第3回神奈川県議会定例会議事日程第7号                            令和3年9月21日午前10時30分開議第1 定県第 123号議案 令和3年度神奈川県一般会計補正予算(第16号)   定県第 124号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 125号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例   定県第 126号議案 神奈川県県税条例の一部を改正する条例   定県第 127号議案 神奈川県地震災害対策推進条例の一部を改正する条例   定県第 128号議案 神奈川県屋外広告物条例の一部を改正する条例   定県第 129号議案 工事請負契約の締結について(県営阿久和団地公営住宅新築工事(3期-建築-第4工区)請負契約)   定県第 130号議案 指定管理者の指定について(相模湖公園及び相模湖漕艇場)   定県第 131号議案 指定管理者の指定について(秦野戸川公園及び山岳スポーツセンター)   定県第 132号議案 指定管理者の指定について(相模三川公園)   定県第 133号議案 指定管理者の指定について(山北つぶらの公園)   定県第 134号議案 神奈川県科学技術政策大綱の計画期間の変更について   定県第 135号議案 訴訟の提起について   定県第 136号議案 和解について   定県第 137号議案 和解について   定県第 138号議案 地方独立行政法人神奈川県立病院機構定款の変更について   県報第2号 専決処分について承認を求めること(動産の取得について)第2 認第1号 令和2年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和3年第3回-20210921-029073-質問・答弁-野田治美議員-一般質問①本県が取り組むべき重要課題について②地域の諸課題について》    〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共57名 ○副議長(佐々木正行) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(佐々木正行) 審議を行います。  日程第1、定県第123号議案 令和3年度神奈川県一般会計補正予算外16件及び日程第2、認第1号 令和2年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  野田治美君。  〔野田治美議員登壇〕(拍手) ◆野田治美議員 おはようございます。  横須賀市選出の野田治美です。  議長のお許しを頂きましたので、私は、立憲民主党・民権クラブ神奈川県議会議員団の一員として、通告に従い、順次質問をいたします。  知事、共生担当局長、健康医療局長、教育長、教育局長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。  本日9月21日は国際平和デー、通称ピースデーです。世界中の国々や人々が平和について考え、行動する日です。  私は、NGOや事業を通し、社会活動にも関わってきましたが、今、新型コロナウイルスの猛威、甚大な自然災害、経済社会の大変動の中、政治の役割が非常に問われる時代であり、県議会議員として、改めて、環境、循環、共生の観点から質問に入ります。  〔資料提示〕  質問の第1は、本県が取り組むべき重要課題についてです。  初めに、神奈川における有機農業の推進について伺います。  有機農業は、土壌、水質、生物の生息地など、国土や自然環境を保全する効果もあり、循環型社会に向けて、本県としての取組も重要です。  〔資料提示〕  国は今年5月、みどりの食料システム戦略を策定し、2050年までに化学農薬の50%削減、化学肥料の30%削減、さらに有機農業割合を25%に拡大等の数値目標を掲げましたが、本県で策定している神奈川県有機農業推進計画では、具体的な数値目標は設定しておらず、有機農業者数や取組面積などは伸び悩んでいるのが実態であり、重要施策として取り組むべきと考えます。  県内の新規農業参入者のうち、有機農業に取り組まれる方は一、二割の方しかおらず、新規参入への支援は重要です。また、有機農業は多様であり、私も様々な農法を学びながら畑作業を行ってはいますが、個人の能力だけで習得するのはとても困難であり、本県における有機農業の学びは、農業アカデミーの年間12時限の授業枠と山梨県など他県に比べ少なく、国の戦略の2040年までに増やすべき次世代有機農業者に関しては、さらなる研修や受入れ指導体制の拡充が必要です。  〔資料提示〕  また、有機農業の新規就農者支援策は様々ありますが、切替え農家への支援は皆無であり、初期投資への交付金や技術指導など後押しする仕組みもつくるべきと考えます。  さらに、有機農業の農家は、消費者への直接販売が比較的多いという特徴があり、私がオーガニックカフェを運営していた20年前より、有機農家の方からは、経営の安定が難しいと伺ってきました。  千葉のいすみ市では、全国初、学校給食の有機米を実現。現在は小規模多品目の野菜の有機栽培も推進し、農家の所得向上、農家の作付面積も拡大しており、国がみどりの食料システム戦略を策定したことも踏まえて、行政として、有機学校給食など販売機会の多様化への支援もすべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  本県における有機農業のさらなる推進のため、有機農産物の消費拡大などに、今後どのように取り組むか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、SDGsアクションとしてのフードドライブ活動の推進についてです。  気候変動やごみ問題など社会課題を、食、住空間、移動などを通して自分ごと化する実践には、情報だけではなく、様々な取組が必要です。  これまでも委員会では、ごみ自体を出さない社会を目指すゼロウェイストやライフスタイルの変換など、質疑を重ねてきました。  国連はSDGsの達成に向け、昨年、2030年までの10年間を行動の10年とし、取組の加速化とともに、自分ごととして捉え行動するよう提唱しました。  この取組を受け、県は今年3月、国連開発計画と連携し、SDGsアクションフェスティバルを開催、コロナ禍からの復興と行動に向け、多様なテーマの活動事例を示し、具体的な行動に向けた呼びかけが行われたと承知しています。  〔資料提示〕  このフェスティバルはコロナ禍でオンライン開催となり、多くの視聴参加が得られましたが、運営費の半分以上は協賛金であり、提供した企業からは、他のSDGsイベントとの差異が見えづらい、広告効果の換算も厳しいなど、一部厳しい意見も寄せられており、今後、SDGsの認知を高め、県民の皆さんや事業者が実際に具体的なアクションに踏み出す取組へのアプローチは重要と考えます。  特に今、子供の貧困など、コロナ禍で深刻化する社会課題の解決に向け、活用されていない食品を持ち寄り、食の支援が必要な方に届けるフードドライブ活動は、食品ロスの削減に効果的であるだけではなく、子供食堂や生活に困窮されている方々への支援策として、有効な取組と認識しています。  そうした中、8月下旬から9日間、県庁でフードドライブ活動が実施され、計1,000品を超える食品が集まり、フードバンクに寄附したと伺いました。SDGsアクションの自分ごと化の実践として、まずは県職員の皆さんが実施されたことは、行動変容の取組だけではなく、子供の貧困対策にもつながる有効な取組と認識しています。  そこで、知事に伺います。  食品ロスの削減にもつながるフードドライブ活動を、県の取組の中でどのように位置づけていくのか、また、今後、SDGsアクション推進の観点から、地域で広がりつつあるフードドライブ活動を、県としてどのように進めていこうと考えているのか、併せて伺います。  〔資料提示〕  次に、福祉と社会を繋ぐ障がい者のアートについてです。  共生社会を具現化するため、社会の中にあるバリアを減らしていくことの必要性や、発想の転換は必要です。多様性を認め、誰もが個性や能力を発揮できる場として、文化芸術の面からも、今、障害者アートが注目されています。  ちょうど現在、新庁舎1階ロビーで展示されていますので、ぜひ皆さんも御覧いただければと思います。  〔資料提示〕  個性が大切にされるアートでは、障害があるということを個性として遺憾なく発揮することができ、作者がどのような人であろうと、作品そのものの魅力が鑑賞者に受け入れられます。つまり、アートには、障害の有無にとらわれない世界があるということです。障害者のアートを通して差別のない共生社会、新しい社会創造につながる可能性は非常に大きいと感じています。  本県では、昨年度より、ともいきアートサポート事業がスタートしました。昨年は展示会のみであったため、委員会において常設展示を要望したところ、今年度は青少年センターにおいての常設展示が実施されることとなり、今後は、より多くの県民の方が、日常生活の中で、障害者アートに触れる機会を増やすことも重要と考えます。  例えば、駅や病院、施設などです。障害のある方がスポーツや芸術を通し、挑戦している姿は、私たちに勇気や感動をも与えます。実際、医療現場では、障害者アートの取組ではありませんが、ホスピタルアートという導入もあります。本県としても、様々なアプローチへの支援や取組も求められます。  〔資料提示〕  また、障害福祉と芸術文化のネットワークとして、令和2年度に本県が設置した神奈川県障がい者芸術文化活動支援センターの相談窓口では、発表の場を求める声が多く寄せられたと承知しています。  そこで、共生担当局長に伺います。  今後、共生社会の実現に向けて、ともいきアートサポート事業をどのように進めるのか見解を伺います。また、アートの力で、誰もが自分らしく生きる、得意なことで社会とつながる、自分で選択していく人生を一人一人が創っていける環境づくりとして、役割が大きい神奈川県障がい者芸術文化活動支援センターの取組を、今後どのように進めていくのか、併せて伺います。  〔資料提示〕  次に、動物の福祉の視点から、動物虐待等の通報についてです。  神奈川県動物愛護センターに保護された犬と猫の殺処分は、ここ数年ゼロが続いていますが、その背景には、たくさんのボランティアの活動が大きく、現場の苦労もお聞きする中、改めて日々の活動には感謝申し上げます。  ところで、全国の動物の虐待や遺棄に係る検挙件数は、平成23年は29件でしたが、令和2年には102件と大幅に増加しています。悪質な動物の虐待等に関する事件は後を絶ちません。先日にも長野県で、動物取扱業者が劣悪な環境で多数の犬を飼育していた疑いで家宅捜索を受けたとされる報道がありました。  〔資料提示〕  国は、動物取扱業者による動物の不適正な育て方または保管を防止し、質の確保を図る観点等から、令和元年に、動物の愛護及び管理に関する法律を7年ぶりに改正しました。令和2年から段階的に施行され、今回の改正においては、動物の殺傷、虐待及び遺棄に関する罰則が大幅に強化されました。  万が一、動物取扱業等で、虐待に関する事例が発生した場合には、県として速やかに対応する必要があり、そのために、虐待に関する情報収集はとても重要です。  県民や動物取扱業に関わる従業員から、直接、保健所や警察を含む県機関に通報してもらう方法があるとのことでしたが、私自身、昔、通報先が分からず、知人に相談したこともあり、実際、改めて県のサイトなどを調べてみましたが、相談先や通報先など情報提供が不親切とも感じ、動物の命を守るためにも、通報の機会が失われることは避けなければなりません。  〔資料提示〕  そのためには、発見者が確実に県の連絡先に通報できるよう、分かりやすい通報窓口を設けるなどの対策が必要と考えます。  そこで、健康医療局長に伺います。  動物の虐待等の事案に係る通報をしっかりと受け止め、適切に対応するため、県としてどのように取り組むのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 野田議員の御質問に順次お答えしてまいります。  本県が取り組むべき重要課題についてお尋ねがありました。  まず、神奈川における有機農業の推進についてです。  有機農業は、農業の自然循環機能を増大させるとともに、環境負荷の低減などにもつながる重要な取組です。  国は、令和3年5月に、みどりの食料システム戦略を策定し、有機農業者の技術の向上や、有機食品のシェア拡大などに取り組むこととしており、本県でも戦略に基づき、さらに有機農業を活性化させていく必要があります。  これまで県は、神奈川県有機農業推進計画に基づき、有機栽培に係る経費への補助などの支援を行ってきました。また、技術面でも、農業技術センターが農薬使用を削減するため、害虫が集まりにくい赤色の防虫ネットの開発や、先進的な有機農業者の取組を学ぶ講習会の開催などにより、支援してきました。  今後は、本県の有機農業をさらに活性化させるための推進方策や数値目標などを、有機農家や有識者の意見も聴きながら検討し、令和5年改定予定の神奈川県有機農業推進計画に新たに位置づけたいと考えています。  改定に当たっては、今後想定される生産量の増加に合わせ、消費拡大を図るため、販路拡大に向けた有機JAS認証取得支援や、県民の有機農業に対する理解促進方策などについても盛り込み、着実に推進していきます。  県としては、このような取組により、本県の有機農業の取組を増やすとともに、消費拡大を図ることで、本県における有機農業を推進してまいります。  次に、SDGsアクションとしてのフードドライブ活動の推進についてです。  まず、フードドライブ活動の県の取組の中での位置づけについてです。  県では、コロナ禍において、一層深刻化する生活困窮などの社会的課題に対し、SDGsを道しるべにNPOや企業と連携し、県民の暮らしを支える共助の取組の拡大に取り組んでいます。  そうした中、食品を持ち寄り、フードバンク等に寄附するフードドライブ活動は、食品ロス削減にとどまらず、子供の貧困対策に取り組む子供食堂などの活動を支える取組として、大変有効と認識しています。  そこで、今年度内に策定予定の神奈川県食品ロス削減推進計画に、未利用食品を活用する施策として、フードドライブを含めたフードバンク活動の推進を位置づけ、持続的な取組とします。  次に、SDGsの観点からのフードドライブ活動についてです。  誰一人取り残さないというSDGsの理念の実現に向けては、一人一人が身近な課題を自分ごと化し、行動していくことが重要です。  そこで、県では、フードドライブ活動を具体的なSDGsアクションとして捉え、8月に自ら実践しました。多くの職員が参加し、1,000品、400キロを超える食品をフードバンクかながわに寄贈することができました。  さらに、食品ロス削減月間である10月に向けて、市町村や500を超えるSDGsパートナーなどと連携して、フードドライブ活動を全県的に広げていきます。  具体的には、活動を後押しするため、活動の手引の作成やオンライン説明会を開催します。また、県民の皆様が食品を持ち込める場所をホームページでお知らせします。  あわせて、SDGsに関心が強く、発信力を有するユースの団体とも連携し、SNS等の活用などにより、広く参加を呼びかけます。  こうしたフードドライブ活動を契機に、食品ロスや貧困問題など、社会的課題に対する関心と行動を呼び起こし、持続可能な社会の実現に向けて共助の拡大に取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔共生担当局長(安井由美子)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 安井共生担当局長。 ◎共生担当局長(安井由美子) 共生関係の御質問にお答えします。  福祉と社会を繋ぐ障がい者のアートについてお尋ねがありました。  県では、障害の程度や状態にかかわらず、誰もが文化芸術を鑑賞、創作、発表できる機会をつくるため、障害者アートに取り組んでいる団体と連携し、ともいきアートサポート事業に取り組んでいます。  これまで県は、特別支援学校の児童・生徒が絵画などの創作体験を通じて、アートに関心を持つきっかけづくりを行っています。また、本年度からは、県庁新庁舎や県民ホールで巡回展示を行うとともに、県立青少年センターでは常設展示を開始し、その内容をオンラインでも発信しています。  展示を御覧になった方々からは、力強い作品が多くて感動した、個性が表れていて素敵だといった感想と併せて、障害者の発表の場をつくることは必要、障害者が特別な存在ではないことを知ってほしいなどの御意見も頂いています。  今後、このような御意見も踏まえ、さらに多くの方が障害者アートに触れ、障害当事者の理解につながるよう、団体との連携強化や、発表の機会のさらなる確保に向けて取組を進めてまいります。  次に、障がい者芸術文化活動支援センターの今後の取組についてです。  県では、令和2年度、障がい者芸術文化活動支援センターを設置し、障害当事者からの相談を受けるほか、活動を地域で支援する人材の育成、関係者のネットワークづくりなどに取り組んでいます。  開設間もないセンターが障害当事者にとって、よりよいセンターとなるよう、今後、利用者への満足度調査を行います。その結果を踏まえ、一人でも多くの障害当事者が芸術文化活動を通して、社会とつながることができるよう、効果的な事業を検討していきます。  県では、誰もがその人らしく暮らすことができる、ともに生きる社会かながわの実現を目指し、障害者アートの取組を着実に進めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔健康医療局長(山田健司)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 山田健康医療局長。 ◎健康医療局長(山田健司) 健康医療局関係の御質問にお答えします。  動物虐待等の通報についてお尋ねがありました。  動物愛護管理法では、命あるものである犬や猫の虐待等を禁止しており、通報を受けた場合には、迅速かつ適切に対応する必要があります。  こうした通報への対応は、県民が飼育している動物に関しては保健福祉事務所が、ペットショップ等の動物取扱業者に関しては動物愛護センターが、それぞれ行うことになっています。また、特に悪質な虐待等であって、犯罪性が高いと思われる場合は、警察が対応することもあります。  このように、事案に応じて複数の県機関が対応していますが、県にはこれまで、こうした所管やそれぞれの通報先の電話番号などを掲載した虐待に関するホームページはありませんでした。  そのため、現在は、通報者が事案に応じた適切な通報先を探すことが難しい状況にあります。  そこで、県のホームページに、動物虐待等に関する情報を集約した「かながわペット110番」のページを新設し、この中で虐待等が疑われる事例を紹介するとともに、通報先の電話番号を一覧で掲載します。  さらに、通報先の案内を県のツイッターやフェイスブックなどを活用し、積極的に県民の皆様にお知らせしていきます。また、仮に所管外の事案について通報があった場合も、引き続き関係機関同士で情報共有を図り、速やかな対応に努めます。  こうした取組により、動物虐待等の通報をしっかり受け止め、迅速かつ適切に対応し、ペットの命も輝く神奈川の実現を目指してまいります。  答弁は以上です。  〔野田治美議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 野田治美君。  〔野田治美議員登壇〕 ◆野田治美議員 知事並びに共生担当局長、健康医療局長から答弁を頂きました。  再質問を1点、知事にいたします。  神奈川県における有機農業の推進についてです。  有機野菜の認証は、手間のかかる有機生産物に対し、その価値を誰もが認識できるものですが、日本独自の有機JAS認証は、申請のコストが高く手間もかかるため、取得する農家が非常に少なく、全国で3,816事業者、本県においては31事業者のみと、県内販売農家の0.3%なのです。  一方で、世界で進む有機認証の仕組みの一つとして、地域に焦点を当てた参加型保証システム─PGSという認証制度があり、地域の環境NPO、消費者グループなどの参画が可能で、地域に開かれた認証制度として、都市農家の多い本県としても有機農家への支援となると考えますが、有機の認証制度についてどのように考えるか、所見を伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 有機の認証制度につきましては、内容が詳細にわたりますので、環境農政局長から答弁させます。  〔環境農政局長(鈴木真由美)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 鈴木環境農政局長。 ◎環境農政局長(鈴木真由美) 環境農政局関係の再質問にお答えします。  PGS認証は、地域の消費者や生産者等による組織の中で、自主的に有機栽培生産者を認証する制度です。一方、いわゆるJAS法に基づく有機JAS認証は、有機農産物と唯一表示することができる制度です。  スーパーなどの量販店においては、消費者が有機農産物であることを認識して購入するには、その表示がされていることが重要であることから、有機JAS認証の取得をまずは促進していきます。そのため、取得に係る助言や経費に対する国の補助制度の周知などに努めてまいります。  答弁は以上です。  〔野田治美議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 野田治美君。  〔野田治美議員登壇〕 ◆野田治美議員 それでは、本県が取り組むべき重要課題について、意見、要望をいたします。  まずは、神奈川県における有機農業の推進についてです。  知事より、国の方針に沿って数値目標などを設けるなど、改定作業を行うとの前向きな答弁でした。  9月23日には国連食料システムサミットが予定され、環境と農業の両立などについて各国の考えが示されます。  有機農業は、土壌など自然環境を保全する効果も大きく、農薬を使用しないため廃棄する部分も少なく、食品ロスの削減へもつながります。SDGs未来都市の本県としても、しっかり有機農業者の推進に取り組んでいただくよう要望します。  また、有機JASの取得には国の補助があるとの答弁でしたが、現在も所有する農家が少ないことから、本県としての支援や取組を検討いただくよう要望します。  次に、SDGsアクションとしてのフードドライブ活動の推進についてです。  フードドライブの開催は、食品ロスや貧困問題など、社会課題への解決の向けた取組としても、大きな役割を果たすと考えています。  SDGアクションの一つとして、来月の食品ロス月間にも合わせて、今後様々な地域で広がるよう要望します。  また、私は都内在住時、環境や社会貢献をテーマとしたアースデーやエコプロなどのイベント等にも関わり、環境意識の広がりを感じていました。フードドライブの身近な行動変容に加え、環境配慮型イベント等の開催も大きなアクションへとつながります。本県のさらなる取組を要望します。  次に、福祉と社会を繋ぐ障がい者のアートについてです。  手足を動かし脳を活性化する制作作業は、セラピーとしても非常に効果があり、今を生きる力にもつながります。その窓口となる神奈川県障がい者芸術文化活動支援センターですが、埼玉県では、福祉施設のネットワークの活動がセンターに引き継がれ、連携が取れた例もありますが、本県のセンターの存在は知らないという声を、つい先日も福祉施設の方から聞いています。福祉と社会をつなぐ窓口として、しっかり運営していただくよう要望します。  また、美術界においては、その呼称をはじめとして、障害者という境界を取り除こうとする議論も起きており、欧米では、チャレンジドという前向きな呼び名もあります。いかなる偏見や差別も排除し、誰もがその人らしく暮らすことができる地域社会を実現するため、本県としても様々な配慮や工夫も要望します。  次に、動物の虐待等の通報についてです。  健康医療局長からは、ペット110番の新設という前向きな答弁を頂きました。これらを有効に活用するには、県のホームページが新たに開設されるだけではなく、県民への認知の拡充が重要です。  例えば、パンフレットやステッカー等の配布、各市町村、動物病院、狂犬病接種時などでの広報活動を積極的に取り組んでいただくよう要望します。  また、今回の改正は、悪質事業者への改善を目的としており、改正に伴い、改めて、虐待等の通報に対しては、早急な対応とともに、厳しい措置も含め、一つ一つ丁寧に対処し、その結果を必ず検証し、問題を洗い出して、本県における動物福祉の改善に努めていただくよう要望します。  〔野田治美議員発言の許可を求む〕
    ○副議長(佐々木正行) 野田治美君。  〔野田治美議員登壇〕 ◆野田治美議員 質問の第2は、地域の諸課題についてです。  〔資料提示〕  初めに、コロナ収束後の湘南国際村の活性化について伺います。  湘南国際村は私の地元でもあり、相模湾から江の島や富士山を望む、すばらしい自然環境です。都心から小1時間とアクセスがよく、テニスコートやドッグラン、カフェなど、ここ数年にぎわいのある子安通りでは、コロナ禍でもマイクロツーリズムとして非常に人気が高く、三浦半島の活性化に向けて重要な拠点であると考えています。  〔資料提示〕  こうした様々な魅力を持つ湘南国際村ですが、一方で、村内の人口減少や高齢化、来村者数の減少などの課題から、県は、平成31年3月に湘南国際村基本計画を改定し、湘南国際村の活性化に向け、県有地であるBC地区の利活用に向けた取組などを進めてきました。  しかし、新型コロナウイルスの影響により中断となっており、今後の検討に向けては、緑豊かな自然環境を生かすことや、村内にある地球環境戦略研究機関との連携など、住民にとって魅力ある環境、持続可能な地域づくりの視点なども取り入れ、基本計画の取組を進めていくことが重要と考えます。  そのためにも、湘南国際村センターが村の中核施設としての機能をしっかり発揮することが求められますが、運営する湘南国際村協会では、平成29年度まで3期連続の赤字が続き、減損減資によって資本金を25億円から約5億円に圧縮し、新たな経営計画を策定しました。  協会の経営改善については、我が会派としても、これまでも本会議において質疑を重ねており、湘南国際村センターにおける県民等のさらなる利用を促進する観点からも、民間の知恵や発想を積極的に取り入れることが重要と考えます。  しかし、令和2年4月から新型コロナウイルス感染症の軽症者等を受け入れる宿泊療養施設となっており、今後、通常営業の再開時に備えては、感染防止対策の徹底はもとより、円滑な営業再開が実現できるよう、県として、しっかりとサポートすべきではないかと考えます。  そこで、知事に伺います。  コロナ収束による湘南国際村センターの営業再開に向けて、県としてセンターの機能をどのように考え、湘南国際村協会の取組に対し、どのように支援していくのか、また、営業再開に当たっては、外部のノウハウやアイデアを経営に取り入れることが効果的と思いますが、県としてどのように考えるのか、併せて所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、公立小・中学校におけるICTの活用についてです。  令和元年度に打ち出された国のGIGAスクール構想では、全ての小中学生が1人1台のタブレット端末を活用できる環境の整備や、学校に高速大容量の通信ネットワークの整備を目標とし、当初、令和5年度までの整備完了を目指していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、令和2年度中へ大幅に前倒しし、取組を進めてきました。  そして、令和2年度から実施される新学習指導要領では、情報活用能力の育成と学校内のICT環境整備やICTを活用した学習活動が大きな柱となっています。  〔資料提示〕  そうした中、本県についても、令和2年度中にほぼ全ての公立小中学校で整備が完了したと聞き、新たな学びの形が進みつつある状況と認識していました。  しかしながら、私の地元である横須賀市については、国が実施した調査報告書によると、今年8月から12月に整備完了と示されており、確認したところ、一部の小学校では、通信ネットワークの整備完了予定は11月とのことでした。  現在、多くの小学校では、ICT教室に既に整備されている機器を活用しながら、学びを進めていると承知していますので、学びの格差が起きないよう、一日も早く1人1台端末の活用が始まることを願います。  このように、県内におけるICT活用には、整備の状況から取組時期の違いが生じており、これから本格的に進める学校へICTの活用法等を周知していくことは、県教育季員会の大切な役割の一つと考えます。  私としては、GIGAスクール構想により整備されたICTの活用が、子供一人一人の学びの充実につながり、ひいては、本県の公立小中学校での授業がよりよいものになっていくことを期待しています。  そこで、教育長に伺います。  県内の公立小中学校において、ICTが有効に活用され、授業改善が進むよう、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  最後に、県指定天然記念物及び名勝の保護についてです。  丹沢の山々、湘南の海といった本県の豊かな自然環境は、県民の生活にとって欠かせないものとなっており、その保護には様々な方向から取り組んでいく必要があります。  〔資料提示〕  指定文化財については、現状変更許可の制度があり、文化財の保存に影響を与えるような現状変更は許可されないと伺っています。例えば、県指定文化財であれば、神奈川県文化財保護条例に基づき、現状変更を行うに当たって、県教育委員会に事前の許可を得る必要があります。  そのような中、私の地元、横須賀市佐島に所在する県の天然記念物と名勝の双方に指定されている天神島、笠島及び周辺水域においては、令和元年7月から令和2年10月まで県教育委員会の許可を得ることなく工事が行われ、工事完了の数か月後の令和3年1月に、無許可の現状変更を県が確認したと聞いています。  天神島、笠島及び周辺水域は、生物、植物、地質上の豊富な資源が狭い地域に調和していることが評価され、県指定天然記念物及び名勝に指定され、横須賀市の相模湾側における県民共有の貴重な自然遺産であり、私たちは、きちんと保護し、次世代に守り伝えていく責務があります。  この指定地において、無許可で現状変更が行われたことは、地元の人間としても大変残念であり、県教育委員会の対応をこれまでも注視してきました。  この無許可現状変更について、県教育委員会は、現状変更を行った事業者に対して、厳重に注意するとともに、停止条件付の許可を行い、このたび許可効力が発生したとのことですが、これで終わりではなく、今後、この指定地で同様の事案を発生させないために、どのように取り組んでいくのかが大事だと考えます。  そこで、教育局長に伺います。  地元の財産でもある横須賀市佐島の県指定天然記念物及び名勝における無許可現状変更について、これまでの経緯を踏まえた今後の当該水域の保全及び再発防止対策にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 地域の諸課題についてお尋ねがありました。  コロナ収束後の湘南国際村の活性化についてです。  初めに、営業再開に向けた湘南国際村センターの機能及び県の支援についてです。  湘南国際村センターは、県からの要請を受け、昨年4月以降、宿泊療養施設として、新型コロナウイルス感染症の軽症者等を受け入れてきました。  今後、コロナが一定程度収束し、センターの営業が再開できるようになった場合には、湘南国際村基本計画に明記した国際交流拠点としての機能を果たしていくこととなり、改めて国際会議や学会、研修等の誘致を行っていきます。  しかしながら、コロナ禍におけるリモートの普及等により、会議や研修の在り方などが大きく変化しており、1年半以上にわたる営業休止による顧客離れが懸念されます。  そこで、営業再開に際しては、県と協会が連携し、対面とリモートを組み合わせた、いわゆるハイブリッド型会議等にも柔軟に対応できるよう、高速、良質な通信環境の確保や、映像配信のサポートの充実等を図っていきます。  また、営業休止以前の顧客に対し、協会がきめ細かくアプローチするとともに、県は大学や研究機関、関係団体などの様々なネットワークを活用し、国際会議の誘致など、新規顧客の獲得に協力していきます。  次に、外部ノウハウ等の経営への取り入れについてです。  営業再開に向け、協会と県が連携し、様々な努力を行うものの、長期の営業休止が経営に及ぼす影響は不透明であり、広く外部の意見を経営に取り込むなど、柔軟に対応していくことが大切です。  そのため、県から協会に対し、必要に応じ、外部の専門家の意見等も取り入れ、事業戦略の見直しや収益の確保に努めるよう助言、支援し、安定的な経営の実現を目指してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  公立小・中学校におけるICTの活用についてです。  子供たちの主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善のためには、全ての学校において、ICTの利点を十分に生かすことが重要と考えています。  現在、県教育委員会では、17の市町村教育委員会と連携し、授業改善を支援する学びづくり推進事業に取り組んでおり、小中学校の研究校82校において、ICTを活用した様々な活動が進められています。  そうした中で、例えば1人1台端末を活用し、自分のペースで問題を解く、チャット機能を使って自分の考えを述べる、学校外の場所から教室の授業に参加するといったICTの利点を生かした学びが始まっています。  こうした学びが、より多くの学校で展開されるためには、教員一人一人が自分の授業の参考となる多様な実践例に触れ、ICTを活用した授業力の向上を図っていくことが大切です。  そのため、県教育委員会では、まずは学びづくり推進事業の研究校での効果的な取組を把握します。そして、今後、これらの把握した取組を分析、評価した上で、令和2年10月に県教育委員会が作成したICT活用のための手引を改訂し、新たな事例集として盛り込んでいきます。  あわせて、県教育委員会のホームページにも掲載するなど、公立小中学校におけるICTを活用した授業改善を支援してまいります。  私からの答弁は以上でございます。  〔教育局長(田代文彦)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 田代教育局長。 ◎教育局長(田代文彦) 次に、県指定天然記念物及び名勝の保護についてです。  天然記念物などの神奈川の文化財は、県民共有の貴重な財産です。これらを保護し、将来へ継承していくことは大変重要であり、今回の天神島、笠島及び周辺水域における無許可現状変更事案は極めて遺憾です。  そのため、県教育委員会は、5月に管理者である横須賀市教育委員会及び事業者に対し、厳重注意しました。  その上で、事業者にモニタリング調査を行わせ、その結果、当該天然記念物及び名勝の保存に支障がないことが確認されるまで、許可効力を停止するという、停止条件付の許可を行いました。  その後、8月に事業者からモニタリング調査報告書が提出され、県教育委員会が設置した5名の専門家で構成する検討委員会及び県文化財保護審議会で内容を審議した結果、当該水域の海洋環境は健全な状態であることが確認されました。  そこで、県教育委員会は、9月2日に許可効力の発生を確認し、事業者に通知しました。  今回の事案を受け、再発防止に向け、全ての県指定天然記念物及び名勝の所有者や管理者に対し、改めて、その適切な管理について注意喚起しました。また、当該事業者に対しては、この水域の海洋環境への長期的な影響を把握するため、年間4回のモニタリング調査を今後3年間継続するよう指示しました。  そして、県と横須賀市の関係部局及び事業者などを構成員とする連絡会議を新たに設置し、モニタリング調査結果を確認するとともに、当該水域の保全と再発防止を図っていきます。  県教育委員会では、こうした取組により、今後とも、天然記念物及び名勝の保護にしっかりと取り組んでまいります。  以上でございます。  〔野田治美議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 野田治美君。  〔野田治美議員登壇〕 ◆野田治美議員 知事並びに教育長、教育局長から答弁を頂きました。  再質問を1点、知事にいたします。  湘南国際村の活性化についてです。  コロナ収束後の湘南国際村の活性化に当たっては、今後開発が予定されているBC地区のめぐりの森など、村の豊かな環境は大きな魅力であり、もっと活用していくことが重要と考えます。  今後、湘南国際村センターの事業再開に注力するとのことですが、その際、この環境を生かすことが効果的と考えますが、所見を伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  湘南国際村BC地区のめぐりの森は、基本計画の位置づけのとおり、来村者が憩い、安らぎ、学び、交流するとともに、健康を育む場であります。  今後、湘南国際村センターが営業再開していく中にあっては、例えば、国際会議の利用者にめぐりの森を散策し、自然に親しんでもらう機会をつくるなど、センターとめぐりの森を一体的に活用することで、センターの魅力の向上につなげてまいります。  答弁は以上です。  〔野田治美議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 野田治美君。  〔野田治美議員登壇〕 ◆野田治美議員 知事から再質問に対する答弁を頂きました。  地域の諸課題について意見、要望いたします。  湘南国際村センターは、宿泊型研修施設とはいえ、ホテル経営、サービス業などの経営能力は重要です。減損減資を行ったとはいえ、県の出資額は県民の貴重な税金から捻出されたものです。  以前、知事は、我が会派、浦道議員の答弁で、将来的には配当を求め、県民の皆様への利益還元を目指すとも述べられています。  利用者だけではなく、住民のニーズも聞き、持続的な黒字経営を目指し、県民にとっても魅力ある施設となるよう要望します。  また、湘南国際村のある葉山・横須賀西海岸エリアでは、アーティストやセラピストも多く、歴史ある芸術祭をきっかけに移住した方もいます。別荘としても人気のある地域です。そのような民間の活力や自然環境など地域の財産を生かし、SDGsビレッジなどの新たなビジョンを検討いただきますよう要望いたします。  次に、公立小・中学校におけるICTの活用についてです。  先日、ICT推進校において、この端末を使ったいじめを苦に小学生が自殺したとの痛ましい報道がありました。  手引書には、それまでの利点や課題などが反映される旨の前向きな答弁を頂きましたが、改めてパスワード管理など、ルールの徹底も行うよう要望します。  また、新型コロナの感染拡大に伴い、保護者からオンライン学習を求める声もある中、デジタル教科書、教材を活用している自治体は、国の調査によると、9月1日時点で30.7%でした。教育の機会均等という観点からも、県教育委員会として支援いただくことを要望します。  次に、県指定天然記念物及び名勝の保護についてです。  前向きな答弁を頂きました。今後、二度と同じような案件が起きないよう取り組んでいただくよう要望いたします。  以上をもちまして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(佐々木正行) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(佐々木正行) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は午後1時といたします。                  午前11時24分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和3年第3回-20210921-029074-質問・答弁-山口美津夫議員-一般質問①コロナ禍における国と連携した雇用対策について②家畜伝染病に対する危機管理について③防災機能を有する水田の適切な管理について④地籍調査の促進について⑤コロナ禍におけるICTを活用した教育活動について⑥コロナ禍でも安心して参加できる県立高校の部活動について》                   午後1時   再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共61名 ○議長(小島健一) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) 質問を続行いたします。  山口美津夫君。  〔山口美津夫議員登壇〕(拍手) ◆山口美津夫議員 相模原市緑区の山口美津夫です。  一般質問の時間を頂きましたので、自由民主党神奈川県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。  知事並びに環境農政局長、県土整備局長、教育長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、コロナ禍における国と連携した雇用対策についてについてです。  新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、本県においても、8月2日に発令された緊急事態宣言が9月30日まで延長され、休業要請や自粛ムードの高まりから、社会活動の低迷によって、厳しい雇用情勢が長期化していくことが懸念されております。  総務省の7月の労働力調査によりますと、完全失業者数は191万人で、18か月ぶりの減少とはなっておりますが、就業者数は6,711万人で、4か月連続の増加となっております。  完全失業率は2.8%と、前月に比べて0.1ポイント低下という状況でもありますが、雇用情勢は若干改善したようにも見えますが、いずれも新型コロナウイルス感染症の拡大前の水準にはまだまだ戻っておらず、その後の感染拡大、緊急事態宣言の発令を受けて、8月以降の休業者や失業者については、再び増えていることが予想されます。  また、神奈川労働局が発表した県内の7月の有効求人倍率は0.82倍で、前の月から0.02ポイント上昇してはおりますが、依然として、昨年の5月以降、14か月連続で1倍を切っておりまして、大変厳しい状況が続いている現状が見られます。  こういったことから、政府は、雇用の下支え効果として、雇用調整助成金や休業支援金について、新型コロナウイルス感染症の影響による特別措置を設け、11月末まで延長することとしております。  このことによって、リーマンショック時を上回るような失業率の悪化は、今のところ抑えられていると認識していますが、こうした中で、我が党におきましては、第2回定例会におきまして、新型コロナウイルス感染症の影響により、職を失った方をはじめ、様々な失業者への包括的な雇用対策について質問し、知事からは、量と質の両面から、就業者支援施策の充実強化を図り、県として、コロナ禍にあっても、あらゆる世代の失業者が職を確保し、安定した生活を送れるよう支援をしていくといった心強い答弁を頂きました。  また、本県では、神奈川労働局と雇用対策協定を締結し、事業を推進していると承知しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する状況下では、さらに、国と連携を強化して、事業に取り組んでいくことは大変重要だと考えております。  そこで、知事にお伺いいたします。  新型コロナウイルス感染症の拡大により、厳しい雇用環境が続いている中、国と連携した雇用対策にどのように取り組まれていくのか、知事の見解を伺いたいと思います。  〔資料提示〕  2点目として、家畜伝染病に対する危機管理についてです。  本県では、養鶏業約70戸、養豚業約50戸、肉牛や酪農業約200戸と、都市部でありながら、多くの畜産経営体があります。  一昨年、豚熱の発生により、本県では、全国に先んじて、令和元年12月から2年1月にかけて、豚熱の発生を防ぐため、県内で飼育する豚に対して、豚熱のワクチン接種を一斉に実施するとともに、養豚業を守るため、継続してワクチン接種を徹底するなど、豚熱に対する防御策を講じてきたと承知しております。  一方、令和2年5月には、相模原市緑区と山梨県との県境付近で、県内で初となる豚熱に感染した野生イノシシが確認されました。これに伴い、県としては、野生イノシシで豚熱の感染が確認された区域から、ウイルスを県域内に拡散させないため、獣医師や猟友会といった、鳥獣や野生イノシシの生態に詳しい方から意見を頂くなどして、山で仕事をされる方や、山を利用する観光客や登山客向けに、ウイルスを持ち出さないなどの注意を促すチラシの配布や、狩猟者向けには、感染拡大を阻止するための消毒の手順をまとめた動画の作成など、いち早い様々な取組を展開してきたところです。  しかし、その後も野生イノシシの感染拡大は収まらず、養豚場に豚熱ウイルスが運ばれるリスクが高くなっておりました。  こうした中、不幸にも7月8日には、相模原市内の養豚場で豚熱の感染が確認されました。感染が確認された養豚場では、相模原市内で約4,100頭の豚を飼育しており、この養豚場は、豚熱対策として、生後50日の子豚へのワクチン接種を徹底して行うなど、また、野生イノシシの侵入を防ぐ防護柵の設置など、感染防止には、特に配慮しておりました。  また、飼育管理衛生の強化にも取り組んでおり、その中での今回の豚熱発生は、誠に残念であるとともに、明確な発生経路の追跡も、今後の課題であると思います。  今回、国内で26年ぶりに発生が確認された豚熱は、今月9日で3年目となり、14県で71事例が発生し、殺処分された豚の数は25万頭を超えています。豚熱が発生した経営体では、高齢化や後継者不足、さらには資金繰りなどにより、約2割の経営体が廃業してしまったという調査結果も出ています。  県内で豚熱が確認されたことで、県としては、豚熱の発生後、直ちに県知事を本部長とする危機管理対策本部を立ち上げ、職員が一丸となり、防疫措置に着手しましたが、殺処分した豚を処理するレンダリング装置を設置する場所として、当初予定していた市内候補地に設置することができず、急遽レンダリング装置設置場所を選定し直すなど、防疫措置を一時中断する、そういった対応に対しては大変大きな不安が残りました。  最終的には、周辺住民の御理解を得た上で、発生農場隣接地にレンダリング装置を設置して措置対応はしましたが、この間、職員はもとより、建設業者や廃棄物処理業者、運送業者の方々に多大な負担をかけたことも否めません。もっとも、レンダリング処理候補予定地の住民の方々には、多大なる迷惑と不安をおかけしました。  今回は、豚熱発生農場の隣接地の住民の理解によって用地が確保されたため、無事にレンダリング装置を設置できましたが、本県のような都市部の中や、隣接している地域の中で養豚業を営み、家畜伝染病が発生した場合の処理には困難な状況があります。  また、県内の畜産業は点在しており、今後、それぞれ畜産農家の隣接地などでレンダリング処理候補地を確保することが非常に難しい状況も考えられることから、県が市町村などと十分連携しながら、いざ伝染病が発生した場合、レンダリング処理など、即座に対応可能な候補地を前もって選定しておくことが、スムーズな危機管理や住民の安心・安全につながると思います。  そこで、知事に伺います。  本県の畜産業を守るため、鳥インフルエンザや口蹄疫、豚熱など、家畜伝染病の発生に備え、平時から関係市町村との連携を取っていくことが必要と考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  3点目として、防災機能を有する水田の適切な管理についてです。  実りの秋を迎え、私の地元、相模原緑区でも農家は稲刈りの準備で大変忙しい毎日を過ごしています。また、農家の高齢化や担い手不足が進む中において、市内では水田を利用して、地元酒蔵と連携した新たな特産品づくりなど、目につくようにもなりました。  同時に、都市部からは新規農業に参入してくる事例も出てくるなど、農業環境の維持や特産品開発など、都市農業を活性化するためには大変喜ばしい状況となっています。  水田は、こうした米の生産の場だけではなく、例えば多様な生き物を育み、美しい農村の風景など、見る人の心を和ませる大きな機能も果たしており、その恵みは、都市住民を含めて県民全体に及んでおります。  さらに、水田は一定の降雨を貯留することで、洪水を防いでいるといった役割もあります。防災面から見ても見直されてきている状況です。  近年、地球環境の変化から、ゲリラ豪雨や台風の大型化など、予測も難しい状況も見受けられますが、水田の本来持つ貯留機能に着目して、田んぼダムという取組が新潟県など、全国各地で見られるようになりました。  この田んぼダムは、水田の排水口を通常時より少し塞ぐことで、大雨のときに、より積極的に水田に水をため込んで、下流域への水害を低減させるといった取組であります。  取組では、田んぼの堰板の操作や、田んぼのけい畔の補強など、上流域の農家への労力の負担や、水をため込むことによる、水稲など農作物の影響、被害が生じた場合の補償といった課題もありますが、農業者の方の合意形成と理解には、時間がかかることは承知していますが、水田を有効利用し、災害を未然に防ぐといった手だての一つとして、大いに期待されているところです。  近年の豪雨による災害の激甚化、頻発化している中にあって、水田の本来持つ貯留機能を維持することは重要なことだと考えております。  一方、米価格の下落等により、水田のままでは耕作しても、思うような利益が上がらないといった現状から、水田を盛土するなどして、収益性の高い畑作物を栽培できる、水田から畑地に転換しようという動きも見られます。  しかしながら、その中には、農地造成と称して、建設発生土を盛土し、そのまま放置するといった悪質な事例もあると伺っています。  7月の豪雨では、山林を利用しやすくするため、林地開発と称して、本来の地形を無視した大量の建設発生土を投棄し、甚大な盛土崩落事故が起き、多くの方が犠牲になったということも、皆さんの記憶に新しいことと思います。  長年の地形を、有効な土地利用法だとして、無理な地形変更により、大きな事故につながるおそれがあるなど、極力避けるべきであると思います。  7月の土砂崩落といった災害ではないにしろ、水田の場合には、土砂により用水路の機能を阻害するなど、水があふれ、堤防等に被害が出るおそれがあり、防災面からも、水田の適切な管理が重要と認識しています。  そこで、環境農政局長にお伺いします。  都市の中の貴重な水田について、農業を守るためにも、防災機能にも優れた農地の適切な維持管理について、県として、今後どのように取り組まれていくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、地籍調査の促進についてです。  地籍調査は、一筆ごとの土地について、その所有者、地番、地目を調査し、境界の確定、測量、面積の測定などを行うなど、現況に合った正確な地図や地籍簿を作成する調査であり、調査によって、土地所有者や境界が明確になることで、土地取引の円滑化や公共工事の効率化が図られるものであると認識しています。  近年では、全国的に土砂崩れなどの災害が頻発化するとともに、激甚化しており、令和元年の台風では、私の地元、相模原市緑区でも、土砂崩れや河川の氾濫など、8名もの貴い命を失うなど、甚大な被害が発生しております。  地籍調査を行うことで、こうした予期せぬ水害や、土砂崩れなどの災害が発生した場合でも、個々の土地の境界の位置が地球上の座標値と結びつけられるため、境界を正確に復元できることから、迅速な復旧活動につながる大きな効果が期待されています。  このように、地籍調査の重要性、必要性があるにもかかわらず、本県における地籍調査の現状を見てみますと、令和2年度末で15%と、全国平均の52%に比べて、極めて低い状況であります。924万の人口を持つ神奈川県として、このような状況では、災害が発生した場合、早期に復旧ができるのか、大変不安が残ると私は感じております。  本来、地籍調査は、市町村が実施すべきであることは承知しておりますが、地籍調査が進まない理由として、事業の実施主体である市町村においては十分な人員体制も確保できない、そういったことも地籍調査が進まない要因の一つになっているとお聞きしています。  そこで、地籍調査の促進に当たり、市町村が人的に十分な体制を確保できないのであれば、例えば、市町村に対して、測量会社などの民間活用を促すことが必要ではないかと考えます。  地籍調査は、一筆ごとに現地で地権者と立会いをしながら土地の境界を確定していく、非常に地道な作業であり、調査には多くの費用と時間を要すると承知しておりますが、災害が頻発している状況では、災害からいち早く復旧するためにも、地籍調査の一層の促進を図るべきであると考えます。  そこで、県土整備局長に伺います。  今後、地籍調査の促進にどのように関わり、どう取り組まれていくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、コロナ禍におけるICTを活用した教育活動についてです。  全国的に新型コロナウイルス感染症の収束の気配を見せない中にあって、本県でも多くの感染者が日々報告されています。  この状況の中、各学校では、地域の皆様の御協力を頂きながら、感染症対策と学びの保障に日々御尽力をしていただいていることに感謝を表します。  県内においては、県立高等学校が夏季休業明けに短縮授業や分散登校を行いました。また、県立学校の取組を踏まえ、市町村立小中学校においても、地域の実情に応じた同様の取組が行われたとお聞きします。  国においても、新学期に向けた感染症対策の徹底を通知する中で、子供の学びを保障するために、時差登校や分散登校とオンライン学習を組み合わせたハイブリッドな学習等の可能性を積極的に検討し、学びの継続に取り組むこととしております。  これからも、社会全体が長期間にわたり、新型コロナウイルス感染症と共に生きていかなければならない状況であることも踏まえると、子供の学びを継続していくために、家庭と学校をつなぐなど、ICTを活用した学習は、ますます重要になってくると考えます。  こうした中で、本県の県立高等学校においては、分散登校を実施する中で、オンライン学習の活用が始まっています。市町村立小中学校においては、GIGAスクール構想によって1人1台端末が整備され、ICTを活用した教育を推進する環境が整っております。  今後、さらに、コロナ禍における対面での学習を避けるための感染症対策の一環として、また、感染の不安等のため学校へ行くことのできない状況にある子供にとっての教育機会の確保の方策として、ICTの効果的な活用は、ますます求められていると考えます。  そこで、教育長にお伺いします。  今後も続くことが考えられるコロナ禍における県立高等学校でのICTを活用した学習の推進について、どのように取り組まれるのか、また、コロナ禍における市町村立小中学校でのICTの積極的な活用に向け、県教育委員会として、どのように取り組まれていくのか、併せてお伺いいたします。  〔資料提示〕  質問の最後になりますが、コロナ禍でも安心して参加できる県立高校の部活動についてです。  この夏、私たちにたくさんの感動と勇気を与えてくれた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が閉幕しました。両大会では、世界中のオリンピアン・パラリンピアンが、これまで日々積み重ねてきた努力の成果を発揮し、日本各地で熱戦を繰り広げていただきました。  東京大会はコロナ禍の中での大会ということで、参加された各国の選手たちは不安を抱えながら、そして、多くの制約の中での競技実施であったため、条件的にも非常に厳しかったのではないかと思います。  そのような中でも、多くの日本人選手がメダルを獲得するなど、活躍を見せてくれました。数え切れないほどの感動と勇気を共有された方も多くいられるのではないかと思います。  今大会では、参加選手の方たちが全力を尽くして競技することができた、その舞台裏では、選手やコーチ、大会役員やボランティアの方々それぞれが、新型コロナ感染から自分の身を守るとともに、主催者側においても、厳重な感染防止対策を講じて開催されたということを忘れてはならないと思います。  一方、高校生に目を向けますと、全国的に新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まらない中、全国各地で、高校総体、いわゆるインターハイや全国高等学校野球選手権大会など、全国大会が開催され、さらにスポーツ以外にも、全国高校総合文化祭や吹奏楽コンクールなども開催されています。  これらの全国大会を目指し、本県の多くの高校生も、県代表の座を争うため、予選等に参加をしたが、校内関係者や部員が新型コロナウイルス感染症に感染したり、あるいは、濃厚接触者となったりするなど、残念ながら、大会出場を辞退せざるを得ないケースもあったと承知しております。  目標に向かって練習を重ね、ようやくその成果を試す機会を、感染症によって失うことは非常に残念なことであります。そのようなニュースを耳にするたび、日頃の活動の中で、指導者を中心にしっかりとした感染症対策を実施することが重要であると、改めて認識しているところです。まして、大会に参加したことで新型コロナウイルスに感染したり、参加者間で感染が広がるようなことがあっては、大会そのものの意義が問われかねません。  高校時代の経験は、人生の中でも一番印象に残ることであり、部活動に参加する生徒にとっては、部活動は非常に価値あるものと認識しています。生徒たちが、日頃、積み重ねてきた成果を発揮する機会があることは、同時に様々な経験ができる貴重な場であり、そのような機会を損なうことがあってはならないと思います。  そこで、教育長にお伺いします。  コロナ禍における県立高校の部活動については、これまでどのような感染防止対策の下に行ってきたのか、また、部活動の必要性については、どのように考えているのか、併せて見解を伺いたいと思います。  以上で、第1回目の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 山口議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、コロナ禍における国と連携した雇用対策についてお尋ねがありました。  職を失った方への就業支援については、一人一人に寄り添ったキャリアカウンセリングや面接対策などを行う県と、ハローワークで職業紹介を行う国とが相互に連携することが大変重要です。  そこで、これまでも、県と神奈川労働局は雇用対策協定を締結した上で、事業計画を毎年度作成し、役割分担や連携方法を明確にしながら、様々な事業に取り組んできました。  その一環として、県とハローワークが連携して、相談から職業紹介までの一貫した支援を行うワンストップサービスを横浜駅西口のかながわ総合しごと館スマイルワークにおいて実施しています。  コロナ禍が長期化し、厳しい雇用環境が続く中、今後は、ハローワークとの連携をさらに強化し、県の就業支援策をより多くの求職者に利用していただくことが大変重要です。  そこで、今年度は、県とハローワークの連携による新たな雇用対策に取り組んでいます。具体的には、コロナ禍で職を失った方を対象として、県が主催していた合同就職面接会等を、今年度から神奈川労働局と共催することにより、ハローワーク利用者に積極的な情報提供を行い、求職者と企業とのマッチングの機会を増やしていきます。  また、職業訓練によるスキルアップは、安定した職を得るための有効な手段ですので、ハローワークの相談窓口において、求職者に対して職業訓練の受講を勧めてもらうことも効果的です。  そこで、ハローワークの担当者を対象とした総合職業技術校の見学会を開催し、県が行う職業訓練の内容を理解してもらった上で、求職者のニーズに応じて、訓練の受講を促してもらいます。  こうした国と連携した雇用対策を積極的に展開することで、コロナ禍においても、求職者一人一人が希望に沿った職を確保し、安定した生活を送れるよう、しっかりと支援してまいります。  次に、家畜伝染病に対する危機管理についてお尋ねがありました。  農場と住居地が近い都市部では、豚熱や鳥インフルエンザ、口蹄疫などの家畜伝染病が発生すると、周辺地域の生活環境にも大きな影響を及ぼすことから、迅速に防疫活動を実施する必要があります。そのためには、地元市町村や関係団体の協力は欠かせません。  今回の豚熱の発生でも、地元相模原市には、近隣住民等への防疫活動の説明会の設定のほか、廃棄物の一時保管場所など、新たに生じた課題にも全面的に協力を頂きました。また、地元の建設業や廃棄物処理業、輸送業など関係団体には、防疫活動に係る会場設営から、運営、撤収に至るまで、現場の状況に合わせ、様々な協力を頂きました。  今回の教訓として、発生時に市町村や関係団体と連携して防疫活動を迅速に行うためには、殺処分した家畜の死体の処理方法や場所などを平時から具体に決めておくことが重要であると痛感しました。  家畜伝染病予防法上、死体等の焼却または埋却に係る土地の確保は、一義的に家畜の所有者が行うべきところですが、住宅地が近接する本県で所有者が確保するのは難しい場合もあります。  そこで、県では、家畜伝染病が発生した際に、各農場の敷地あるいはその近接地などでレンダリングや埋却処理が可能な土地があるか、市町村等の協力を得て調査を始めています。  また、廃棄物処理についても、関連団体の協力も得て、防疫活動に伴い発生した廃棄物の収集運搬や焼却処理が可能な事業者を拡充するなど、家畜伝染病発生時の防疫体制を強化していきます。  県として、市町村等とも連携し、豚熱をはじめとする家畜伝染病発生時の危機管理体制をさらに充実させ、本県の畜産業が地域と共生できるよう、しっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔環境農政局長(鈴木真由美)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 鈴木環境農政局長。 ◎環境農政局長(鈴木真由美) 環境農政局関係の御質問にお答えします。  防災機能を有する水田の適切な管理についてお尋ねがありました。  水田は米の生産に加え、洪水防止などの防災機能をはじめ、水源涵養や景観の形成など、多面的機能を有しており、今後も保全していく必要があります。  県では、水田のこうした機能が発揮できるよう、圃場整備や用排水路などの生産基盤の整備を行うとともに、地域農業者が主体となって行う用排水路や農道の修繕などを支援しています。  また、農地法に基づく農地転用許可制度により、土地利用に制限を課すことで、優良な農地を保全し、農地の適切な利用を図ることとしています。  この農地転用許可制度では、例えば、水はけが悪い水田を収益性の高い畑作物の栽培に転換する場合などに、農家から規模に応じて申請や届出を受け、盛土による畑への転換を認めています。  しかし、耕作をしていない農地所有者などに業者が巧みに話を持ちかけて建設発生土を持ち込み、届出をせず盛土を行うなどしたために、是正指導を受けている農地は現在8件と少なくありません。  そこで、違反転用の防止について、県は、地元の市町村農業委員会と連携して、重点監視区域を設定し、農地所有者への普及啓発やパトロール回数を増やしていきます。  また、必要な場合は、是正指導を適切なタイミングで行い、特に悪質と認められる場合には、原状回復等の命令を発出するだけでなく、刑事告発に向けて警察に早期から相談していきます。  さらに、水田利用については、地域での集団的な保全が効果的ですので、どのように次世代に継承していくかなど、地域での話合いを働きかけて、営農意欲の高い担い手へ水田の作業委託や農地の集積を進めていきます。  こうした取組により、防災機能も有する水田を適切に管理することで農業を守ってまいります。  私からの答弁は以上です。  〔県土整備局長(大島伸生)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 大島県土整備局長。 ◎県土整備局長(大島伸生) 県土整備局関係の御質問にお答えします。  地籍調査の促進についてお尋ねがありました。  地籍調査は、市町村が実施主体となって土地の境界などを一筆ごとに確定するもので、調査が進めば、公共事業の効率化や大規模災害後の土地の境界の復元に有効です。  都市化が進んだ本県では、土地が細分化され、権利関係も複雑で、調査に多くの時間と費用を要することや、市町村によっては、業務に携わる職員を十分に確保できないことなどから、調査がなかなか進まない状況にあります。  こうしたことから、県はこれまでも地籍調査を促進する取組を進めてきました。  まず、津波による浸水被害が想定されている相模湾沿岸の市街地を緊急重点地域として位置づけ、優先的に調査を進めており、令和2年度末の全県の進捗率が約15%であるのに対し、この地域は約35%となっています。  また、一筆ごとの調査の前に、道路などの公共物と民有地の境界を先行して確定させる街区境界調査という手法を積極的に活用するよう、市町村に働きかけた結果、この手法を採用した市町村では、総じて調査の進捗が速まっています。  一方、個々の権利者との境界立会いなどを含め、従来、職員が行っていた業務の大半を測量会社などへ委託できる制度が国土調査法に設けられており、県内では二つの市が活用しているところです。  この委託制度は、担当する職員を十分に確保できない市町村にとっては、調査を進捗させる上で有力な手段となります。  そこで、緊急重点地域の取組や街区境界調査の活用に加え、この委託制度をより多くの市町村に使っていただけるよう、未採用の市町村に対し、個別に働きかけていきます。  また、地籍調査に要する費用の半分を国が負担する仕組みとなっており、この委託制度を多くの市町村が採用した際には、これまで以上の予算が必要となるため、国に対し、様々な機会を捉えて、必要な予算の確保を要望していきます。  県としては、今後とも、地籍調査事業が着実に促進されるよう、市町村と連携を図りながら、しっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  コロナ禍におけるICTを活用した教育活動についてです。  コロナ禍の中、教育活動の様々な場面において、子供たちの感染防止と学びの保障を両立させるため、ICTを積極的に活用することが重要です。  現在、県立高校では、分散登校と短縮授業を組み合わせて実施しています。登校しない日はオンラインを活用し、同時双方向型の指導をはじめ、オンデマンド型の授業動画や課題の配信などにより、学びを継続しています。  また、市町村立小中学校においても、家庭で学習を進めるための授業動画や課題の配信、学校にいながら校外施設のオンライン見学を行うなどの取組が始まっています。  ICT活用のさらなる充実を図るためには、各学校が小・中・高校の学校種を超えて、互いの取組を参考としていくことが大切です。特に、感染症への不安等により、登校できない児童・生徒の学びやコミュニケーションのツールとして、積極的にICTを活用していくことは、どの学校種においても共通の課題です。  そこで、県教育委員会では、県立高校には、教育課程説明会などの機会を通じて、また、小中学校には、各市町村の指導主事を集めた会議等を通じて、あらゆる学校種におけるICT活用の工夫例を普及していきます。  そして、その際には、登校できない児童・生徒へのオンラインでの授業配信等の取組の好事例についても周知を図るなど、各学校における積極的なICT活用を促進してまいります。  次に、コロナ禍でも安心して参加できる県立高校の部活動についてです。  まず、部活動の感染防止対策についてです。  県立高校の部活動については、これまで生徒の安全・安心との両立を図るため、感染防止対策を徹底し、活動を継続してきました。  具体的には、教員、生徒はもとより、部活動インストラクター等の外部指導者についても、マスクの適切な着用や消毒を徹底するなど、感染防止を図っています。  また、本県の感染状況が厳しい場合には、感染リスクの高い身体接触を伴う練習は禁止し、基礎練習にとどめることや、大会2週間前からの練習は特例として認めることなど、工夫しながら活動しています。  さらに、大会やコンクールなどについては、県教育委員会が主催団体からの開催可否の相談に応じるほか、試合会場等における感染防止対策を直接確認するなど、安全・安心に開催できるよう支援しています。  次に、部活動の必要性についてです。  部活動は責任感、連帯感の涵養、人間形成の機会となるなど、教育的意義の高い活動であり、将来、社会で生きていくために必要な資質、能力の育成につながる大切な学びの機会です。  加えて、大会やコンクール等に生徒が参加することは、他者と競い合う経験を通じてお互いを尊重する態度やフェアプレーの精神を身につけるなど、日頃の部活動の意義を高めていくことにつながります。  県教育委員会では、こうした部活動の教育的意義を踏まえ、コロナ禍の中で、今後も生徒が安全・安心に活動を継続できるよう取組を進めてまいります。  以上でございます。  〔山口美津夫議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 山口美津夫君。  〔山口美津夫議員登壇〕 ◆山口美津夫議員 知事並びに環境農政局長、県土整備局長、教育長におかれましては、丁寧に、また前向きな御答弁を頂き、ありがとうございました。  1点、家畜伝染病に対する危機管理について再質問させていただきます。  今回、相模原市内で発生しました豚熱に対するレンダリング処理につきましては、当初、発生源である養豚農家隣接地ではなく、豚熱発生農場から離れた津久井地域の県営施設で処理を考えたところ、地域住民の方に対して説明時間もなかったため、十分理解が得られず、再度検討された結果、発生源である養豚農家隣接地に変更したと承知しています。  今回、豚熱の発生では、本県職員や相模原市の職員は、部局を超えた応援をしたと聞きますし、慣れない現場での作業により、体調を崩した職員もいたとお聞きしております。  特に移動式レンダリング装置設置に際しては、設置地域の周辺住民の理解を得るために、県・市の職員は、夜半まで地域住民宅に説明文書のポスティングや、そしてまたレンダリング処理に対しても、24時間体制で対応したと承知しております。  そこで、知事にお伺いします。  今後、鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚熱など家畜伝染病の発生に備えて、職員体制の確立、お答えにもありましたが、事前に対策を考えておいていただくべきだと思います。見解を教えていただきたいと思います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  家畜伝染病の発生に備えた事前の対策についてお尋ねがありました。  今回の発生事案を踏まえ、環境農政局に特定課題を担当する部長と課長を配置し、豚熱など家畜伝染病が発生した際の職員体制を含め、課題の洗い出しや検証等を行い、対策強化を図ってまいります。  答弁は以上です。  〔山口美津夫議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 山口美津夫君。  〔山口美津夫議員登壇〕 ◆山口美津夫議員 大変ありがとうございました。本当に心強く思います。  残り時間、意見、要望を申し上げていきたいと思いますけれども、家畜伝染病に対する危機管理では、農水省の食料・農業・農村政策審議会畜産部会が、家畜農家に対して、家畜舎での飼養衛生管理基準改正案を答申して、今月末にも公布、施行するとしております。  答申の中では、鶏、豚で埋却地や焼却施設の確保を求めておりますし、困難な場合には、都道府県が決める代替地の取組が必要だとしております。大規模な農場で家畜伝染病が発生して、殺処分などに時間がかかる場合には、対応計画の策定を求めるなどの対応も追記されております。  さらに、農家による埋却地の確保が難しい場合の対応として、焼却施設と事前に協定を結ぶことや、今回、相模原市内で利用した移動式レンダリング装置の活用の準備を盛り込み、装置の使用の際には、事前に周辺住民の理解を得ておくことも求めるとしております。  また、鳥インフルエンザ、豚熱、口蹄疫などの特定家畜防疫指針についても一部変更し、発生時による動員計画を国に報告することを規定しておりまして、農水省、他の都道府県、自衛隊からの人的派遣についても、事前に調整するとしております。  こうした農水省の答申も視野に入れ、関係する市町村との連携を密にしていただき、いつ起こるか分からない家畜伝染病に対する日頃からの備えを十分検討していただき、本県の畜産農家の安心・安全のためにも、家畜伝染病に対する危機管理の徹底について強く要望いたします。  コロナ禍における国と連携した雇用対策ですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、職を失った方をはじめとする様々な失業者に対して、それぞれ対策を取っていただいているところでありますけれども、これからは、さらに国との連携により、県内雇用情勢の改善に向けた取組の推進をお願いしておきます。  防災機能を有する水田の適切な管理ですが、田んぼダムは、防災機能や荒廃地対策の点からも考える必要があるのではないかと思います。  2019年の台風で、栃木県宇都宮では、その後、100戸の農家が協力し、被害を受けたところに田んぼダムとして192ヘクタールで21万立方メートル、高校のプールにしますと420個分の量を貯留することができるような計画を立てました。今後、さらに10年計画で広がりを見せるということであります。  農水省も2021年に多面的機能支払交付金を拡充して支援する方向であり、本県の水田地帯も、農業生産基盤の安定や防災面からも、このような取組を促進することを要望させていただきます。  地籍調査の促進は、災害発生後に、早期に復旧や復興などをするためにも、大変重要な調査であると認識しております。より一層、地籍調査を推進していただきますよう、市町村に対しても働きかけをお願いしたいと思います。  ICTを活用した教育活動では、新学期を迎えた生徒たちは、時差登校や分散登校、さらには、地域実情に応じた取組がされております。新型コロナウイルス感染症により、子供の学びを継続し、家庭と学校をつなぐ手だてや、教育機会の確保策の充実を図る効果的な活用方法として、ICTの積極的な活用を期待します。  県立高校の部活動でありますが、高校生が安心して部活動や大会に参加し、力を発揮できるよう、全ての指導者が感染症対策を徹底するとともに、今後、様々な大会やコンクール等についても、感染症対策に十分配慮した安心で安全な大会運営ができるよう、教育委員会が主催団体に対して、関わりを密に持っていただくなどしていただき、安全な大会を実施できることを要望させていただきます。  以上で、私の一般質問を終わります。大変ありがとうございました。                               〔拍 手〕 △《本会議録-令和3年第3回-20210921-029075-質問・答弁-すとう天信議員-一般質問①ポストコロナに向けた県政の重要課題について②県民の声に応えた県政の実現について》   〔議長退席、副議長着席〕  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕(拍手) ◆すとう天信議員 横浜市都筑区選出のすとう天信です。  議長のお許しを頂きましたので、私は、立憲民主党・民権クラブ県議団の一員として、通告に従い、順次質問をいたします。  知事、くらし安全防災局長、環境農政局長、県土整備局長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いします。先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、ポストコロナに向けた県政の重要課題についてです。  まずは、東京2020大会の検証と記録についてお伺いします。  9月5日のパラリンピック閉会式をもって、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の全日程が終了しました。知事が災害時の状況と表現した、新型コロナウイルス感染症拡大のまさに感染爆発と言われる局面において、政府による緊急事態宣言発令の下で開催された本大会は、前例のない開催として記憶され、今後、様々に評価がなされていくものと考えます。  本県はセーリングをはじめとした競技の開催県として、また市町と共に事前キャンプを受け入れるホストタウンとして、県民の安心・安全を確保する重大な責務を担う立場にありました。  特に医療提供体制「神奈川モデル」が限界に近づき、医療崩壊も現実味を帯びる中、県として飲食店等の事業者には、時短営業や酒類の提供停止を、県民には外出自粛を強く要請する中での開催であったことから、その責務は一層重たいものであったと言えます。  こうした極めて困難な状況下での大会実施をめぐっては、直前まで、政府や組織委員会が開催方針を二転三転させたこともあり、安心・安全な実施への不信感や、開催が感染拡大を加速するのではとの不安感から、開催延期や取りやめを求める県民の声は非常に大きなものであったことは、しっかりと記憶されておくべきです。  また、開催県である本県と政府や組織委員会の間では、開催における安全性をめぐる意識の相違が浮き彫りになることが多く、そうした際の権限や責任の所在、意思疎通の在り方をめぐって、多くの課題が残されました。  さらに、安心・安全な開催の要であったはずの海外から入国した大会関係者のバブル化に関しても、組織委員会は行動管理の徹底をアナウンスしていましたが、大会期間中の報道でも、バブルの穴が数多く指摘されていたところです。  ほかにも、オリンピック期間中だけでも、1か月に約13万食もの弁当が廃棄されるといった、SDGs未来都市として、食品ロスの削減に全力で取り組む本県としては、看過できない事態も発覚しています。  このような事実に対して、本県としても、しっかりとした検証が不可欠と考えます。  これまで知事は、東京2020大会終了後のレガシーについて、何度も言及してこられました。このレガシーとは、世代を超えて伝えられ、後世において活用され得る県民の財産を指すものであると考えます。  〔資料提示〕  であれば、災害にも例え得るとされたコロナ感染急拡大のさなか、開催された前例なき大規模スポーツイベントであった東京2020大会に関し、県による取組をはじめ、開催実施に至るまでの混乱や開催中にあらわになった課題といった、言わば負のレガシーも含め、しっかりと検証を行い、記録と保存をしていくことが、かつての東日本大震災時の震災の記録と同様、今後、新たな感染症への対策や大会の安心・安全な確保を進めるための新たな出発点として、県政における真のレガシーとなり得ると考えます。  そこで、知事にお伺いいたします。  県民の真のレガシーとして、コロナ禍の緊急事態宣言の下で行われた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における取組に関し、開催をめぐる問題や残された課題に関しても徹底した検証を行い、記録と保存、そして県民との共有を図るべきと考えますが、所見をお伺いします。  〔資料提示〕  次に、ソーシャルベンチャー創出についてお伺いします。  長期化するコロナ禍の下、県の経済対策の中心は、引き続き県内の中小企業の下支えにあることは間違いありません。  一方で、Withコロナの、あるいはポストコロナに向けた経済の種まきとして、新たな経済成長と雇用創出の原動力である起業への支援施策も、また欠かすことはできないと考えます。  本県では、ベンチャー支援のかながわモデル、HATSU-SHIN KANAGAWAとして、起業家の創出拠点「HATSU鎌倉」と、ベンチャー企業の成長促進拠点「SHINみなとみらい」の2か所を中心に、県内での起業を支援してきました。  また、現在、その一環として、コロナ禍により生じた新たな課題も含めた様々な社会課題に対し、ビジネスの枠組みを生かして解決を目指す、社会課題解決型ベンチャー企業、いわゆるソーシャルベンチャーの創出、育成にも力を入れてきました。  〔資料提示〕  特に、起業を支援するHATSU鎌倉においては、HATSUチャレンジャー制度として、地域との連携も視野に入れた、経済性と社会性を両立する地域発のスタートアップ創出に取り組み、成果を積み重ねてきているところと認識しています。  今後は、コロナ禍による社会の意識変容に柔軟に対応した新たなサービスの創出や、関心の高まりつつある一次産業系のベンチャーに関しても、さらなる取組の進展を期待するところです。  ところで、本県では、人口減少や地域経済のシュリンクが大きな課題となっている県西地域並びに三浦半島地域において、地域活性化プロジェクトを立ち上げ、地域経済や地域社会の活性化に取り組んでいます。  これらの地域では、既存のアプローチの限界を乗り越え、ブレークスルーとなり得る新たな取組が強く求められていることから、地域の課題に、これまでにないアプローチで取り組む創造的なソーシャルベンチャーの育成が非常に重要になってくると考えられます。  こうした点から、今後はHATSU-SHIN KANAGAWAの取組の中で結び上げたネットワークや、蓄積された知見を生かし、現在、HATSU鎌倉を中心に展開されているソーシャルベンチャー創出の機能を、ニーズのある地域を中心に横展開していくことが重要と考えます。  そこで、知事にお伺いします。  ベンチャー支援「かながわモデル」での取組の成果を生かし、県内それぞれの地域における課題の解決を目指すソーシャルベンチャー創出の取組を、全県的に進めていくべきと考えますが、所見をお伺いします。  〔資料提示〕  次に、大人の発達障害への対応強化についてお伺いします。  近年、職場や生活の様々な局面において、生きづらさを強く感じる方が増えていると言われています。そうした中、大人の発達障害という言葉を耳にすることが多くなりました。  発達障害とは、自閉症スペクトラム障害─ASD、注意欠陥多動性障害─ADHD、そして学習障害─LDといった、認知や行動上の特性を持つ人が、発達上のアンバランスさによって、日常生活に困難を来している状態を指すと考えられます。大人の発達障害とは、特にそうした特性が、大人として社会生活を営むようになった際に、初めて顕在化したり、困難として現れてくるような状況と考えることができます。  発達障害者支援法においては、通常低年齢において発現すると定義されてきた発達障害ですが、近年の雇用の在り方の変容や、ICT化の進展により、職場において要求される能力が変化したといった社会的要因から、ここに来て大人の発達障害が増加してきていると言われています。  一方、こうした大人の発達障害にまつわる情報の普及や、社会的な理解、関心も高まっており、当事者や家族等からの相談や支援へのニーズもまた増加してきています。  本県においては、神奈川県発達障害支援センターかながわAが、発達障害全般に関する相談や支援者向け研修、地域の支援体制づくりなどに取り組んでいます。  〔資料提示〕  質問に先立ち、相談事業に関して現場の取組状況を直接お伺いしました。  前年度には、コロナ禍の影響で対面での相談実績は減少しているとのことでしたが、かながわAにおける大人の発達障害に関わる相談は、確実に増加傾向にあるとのことです。  相談事業に関し、特徴的だったのは、相談を希望される方のインターネットを介した情報へのアクセスです。現在、相談者の所在地は、かながわAが所管する県域からが75.4%に対し、横浜市、川崎市といった所管外の政令市からの相談も13.2%、県外からの相談もあるという状況とのことです。  相談を望む県民にとって、重要なのは、どうすれば相談につなげられるかであって、自治体の行政的な区分ではありません。  今後は、こうした増加するオンライン時代の相談ニーズに適応した相談窓口の在り方が、本事業に求められていると考えます。  特に、法律の区分上、県域と政令市でばらばらに提供されている相談窓口等の情報に関しては、広域自治体である県として、相談者である県民が、県内の相談先や最新情報を一元的に把握できるような情報提供の在り方を目指していくべきと考えます。  そこで、知事にお伺いします。  県民の大人の発達障害に関する相談ニーズの高まりや、その多くがインターネットやSNSを活用して情報収集している現状を踏まえ、大人の発達障害に対する支援に、より積極的に対応していくために、県としてどのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。  〔資料提示〕  次に、有機農業の推進とりわけ有機農地の拡大について伺います。  国は本年5月、みどりの食料システム戦略を決定し、2050年カーボンニュートラルの実現を目標に、農林水産業の発展と地球環境とを両立させる持続的な食料システムの構築に向けた新たな方針を示しました。  農業に関しては、環境保全型の有機農業を推進するとして、2050年までに耕地面積に占める有機農地の割合を25%まで拡大するという、極めて高い数値目標が設定されています。  目標達成に向けて、国は2040年までに次世代有機農業に関する新たな技術の確立を目指すという方針ですが、生産者の高齢化といった農業全体の抱える構造的な課題を踏まえるならば、それまでの間、2030年までにおいても、既存の技術的な枠組みの中で、これまでの施策の単なる延長ではない野心的、意欲的な取組を十分引き出していく対応が各自治体も求められていくと考えます。  世界的には市場規模を急拡大させている農産品等の有機食品でありますが、国内の市場規模はいまだ小さく、普及が進んでいるとは言えない状況です。  しかし、一方、市場規模の小さな現時点での投資は、今後の有機農産物等の成長産業化を目指す国の方向性を踏まえるならば、先行投資としての、その費用対効果は極めて高いものがあると考えます。  今後、国の旗振りの下、各自治体が一斉に有機農業の振興に取り組んでいくことが予想されますが、巨大な消費地への近接性などの点において、有機農業推進に大きなポテンシャルを有すると考えられる本県にとっては、積極的な振興施策の展開により、先進県としてブランド力を高め、市場においてイニシアティブを取っていく大きなチャンスであると考えます。  そのためには、現時点から他県に先んじた取組をスピーディーに打ち出していくことが重要ではないでしょうか。  〔資料提示〕  しかし、現在、本県で活用可能な有機農地拡大のインセンティブとなり得る支援策は、国の環境保全型農業直接支払交付金だけというのが実情です。これは、有機農業をはじめとする環境保全型の農業を行う場合、面積ごとに補助金を交付する仕組みですが、手続の煩雑さもあり、県内の実績は令和2年度で僅か43ヘクタールのみであり、制度のさらなる活用と拡充が不可欠です。  例えば、この交付金を申請するに当たって、有機農業、緑肥、堆肥といった条件を満たす対象農地に対しては、県の認定する有機農地として、国の交付金と同額を上乗せする本県独自の加算制度を創設するといった、有機農地の拡大を後押ししていく、積極的、具体的な施策を検討していくべきではないでしょうか。  そこで、環境農政局長にお伺いします。  有機農業の推進に向けて、有機農地の拡大についてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いします。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) すとう議員の御質問に順次お答えしてまいります。  ポストコロナに向けた県政の重要課題について、何点かお尋ねがありました。  まず、東京2020大会の検証と記録についてです。  東京2020大会開催に向けた準備の中でも、安全・安心な大会に向けた新型コロナウイルス感染症対策は、大会成功の鍵となる取組でした。  感染拡大が続く中、選手の安全確保と県民の皆様の不安を払拭するためには、バブルの徹底を含めた感染防止対策が不可欠であり、私自らが組織委員会の橋本会長に、組織委員会等との協議会設置を提言しました。  当初は、協議会参加者の間での課題意識も様々でしたが、議論を重ねるうちに、参加者同士の認識の共有が図られ、検査体制や療養環境等についてまとめた東京2020大会における神奈川モデルにより、ゲストを安全に迎えることができました。  そして、この取組は、他の競技開催自治体やホストタウン等にも共有され、安全・安心な大会の実施につながったとの言葉を橋本会長から頂きました。  コロナ対策以外にも、大会1年延期に伴い、さらなる対応が必要になったヨットの移動や漁業関係者との調整、聖火リレーの公道走行中止に伴う代替セレモニーの実施など、大会の成功の裏には、数々の課題克服のプロセスがありました。  こうしたプロセスをしっかりと検証し、記録して後世に引き継ぐことは、大会のレガシーとして大変重要なことだと考えます。  県では、大会の開催に向けて作成した文書について、県民共有の財産として公文書館等に保管するほか、県としての大会記録誌を作成し、こうした課題解決のプロセスなどについても記録していきます。  この記録誌は県民の皆様がいつでも閲覧できるように、県内の図書館に配架することはもちろん、ホームページにも掲載する予定です。  県では、コロナ禍での大会成功に向けた準備の過程を大切なレガシーとして関係機関や県民の皆様と共有し、今後の県政に活用してまいります。  次に、ソーシャルベンチャー創出についてです。  複雑・多様化する社会課題の解決には、行政だけでなく、NPOや企業、大学など、多様な主体の参画が不可欠であり、特に経済的な価値を生み出すソーシャルベンチャーへの期待が高まっています。  県では、起業家創出拠点「HATSU鎌倉」において、ビジネスで社会課題の解決を目指す起業準備者をチャレンジャーとして、これまで35名を支援し、その中の20名が既に事業化に着手しています。  また、ベンチャー支援拠点「SHINみなとみらい」における伴走型支援により、社会課題解決型ベンチャー企業の育成に取り組み、これまで32社を集中支援し、約6億円の資金調達につなげています。  一方、これまで県が支援した起業家やベンチャー企業は、横浜や川崎、鎌倉などに拠点を持つものが多く、地域に偏りがあることも事実です。  ビジネスを通じた社会課題解決の動きを将来に向けて持続的に拡充させていくためには、広く起業家を掘り起こし、ソーシャルベンチャーの創出、育成につなげる取組を県内各地域で展開していく必要があります。  そこで、今後、地域に根差した起業家の創出に積極的な市町村や中小企業支援機関等と連携し、県がこれまでに培ってきた知見やノウハウを活用しながら、起業支援の取組を強化していきます。  例えば、市町村との共催による起業啓発セミナーを県内各地域で展開するとともに、スタートアップオフィスの紹介や専門家のアドバイスなど、ニーズに応じた様々な支援プログラムを提供します。  また、ベンチャー企業がさらに成長するには、先輩起業家や支援者との情報交換が有益であるため、相互交流を図るイベントの開催や、オンラインコミュニティーを通じたネットワークの拡大を促進します。  こうした取組により、ビジネスを通じて社会課題を解決するベンチャー企業を県内全域で生み出し、県経済のエンジンをしっかりと回してまいります。  次に、大人の発達障害への対応強化についてです。  県では、県立中井やまゆり園に発達障害支援センターかながわAを平成17年度に設置し、発達障害の方や御家族などからの相談に応じ、生活や就労ができるよう継続的に支援しています。  かながわAでは、大人の発達障害に関する相談が増加し、令和2年度は1,230件の相談のうち、約7割の856件が大人の発達障害に関するものでした。これは、発達障害に対する社会の認知が進んで、大人になって初めて障害に気づく方が増えているためと受け止めています。  相談の多くは、これまで自分が発達障害だと分からず、周囲との人間関係で苦労してきたというものであり、本人が早期に障害に気づき、困り事の解決につなげていくことが必要です。  また、大人に関する相談内容では、職場でのトラブルなど、就労関係が最も多く、職場の理解促進が必要です。  そこで、県では今後、大人の発達障害に関する情報発信の強化を進めます。具体的には、かながわAのホームページをリニューアルして、政令市を含む県内全ての相談窓口や各種の支援情報をまとめて分かりやすく掲載するほか、現在、かなチャンTVで配信中の発達障害を紹介する動画を掲載していきます。  また、SNSでの情報紹介も検討します。さらに、発達障害の従業員に対し、職場で配慮すべき事項などをまとめたリーフレットを新たに作成して、県が連携している企業や経営者団体を通じての配布や企業向けメールマガジンでの発信を行います。  今後も、大人の発達障害の方が地域で安心して暮らすことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔環境農政局長(鈴木真由美)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 鈴木環境農政局長。 ◎環境農政局長(鈴木真由美) 環境農政局関係の御質問にお答えします。  有機農業の推進とりわけ有機農地の拡大についてお尋ねがありました。  有機農業が行われる農地は、有機農産物の生産だけでなく、水質浄化や生物の生育空間の確保といった多面的機能も有することから、有機農地の拡大を促進していくことは重要です。  これまで、かながわ農業アカデミーでは、就農希望者の相談対応や研修先農家の紹介を通じ、有機農業を志向する新規就農希望者を支援してきました。また、有機農業で規模拡大を目指し、新たな農地を探す農家に対しては、市町村と連携して、有機農業が盛んな地区の農地情報を提供しています。  さらに、農業技術センターでは有機農家への技術指導を行っており、現在では、県内で300名を超える生産者が露地野菜や果樹など、約210ヘクタールで有機農業に取り組んでいます。  しかし、有機農業は通常の栽培に比べて労力がかかるため、取組面積の拡大をさらに図るためには、省力化に向けた技術の普及や、新たな生産者の定着促進を図る必要があります。  そこで、農業技術センターが、害虫の嫌う振動や天敵の昆虫を活用して害虫を減らすなどの省力化技術を有機農家に普及していきます。  また、新たな生産者の定着促進に向けては、国が有機農業栽培に対する交付金の加算措置や、有機農業の経営開始に対する無利子融資と資金助成を令和4年度に新たに予定していることから、それらを活用し、有機農家の増加を図っていきます。  さらに、令和5年の神奈川県有機農業推進計画の改定予定に向け、有機農家の意見等も参考に、取組面積拡大の支援策をさらに検討していきます。  こうした取組により、有機農地の拡大を図り、有機農業を推進してまいります。  答弁は以上です。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 知事、環境農政局長、御答弁ありがとうございました。  それでは、1点、再質問させていただきます。  有機農業の推進とりわけ有機農地の拡大についてです。  今後の取組については、様々に御検討いただけるというようなお話ではありましたが、まず、農地拡大のためには、先ほどお答えの中にもありました担い手の育成も非常に重要になってくると考えます。  現在、県の農業アカデミーでは、有機農業を教えるという専攻はなく、また、有機農業に取り組む新規就農者に対する支援としては、県内の有機農家等での研修先の紹介というものに限られているというふうに認識しております。  今後は、より具体的な教育機能の確立が不可欠になってくるというふうに考えられますが、このまま県内の有機農家等への研修制度を、今後充実していくのか、あるいは県の育成機関である農業アカデミーの中に、有機農業に関わる専攻やカリキュラムを追加していくのか、あるいは京都府丹波市のように公設民営型の有機農業を専門とした教育機関を設置するのか、将来的に選択をしていかざるを得ないというふうに考えられます。  そこで、本県としては、こうした有機農業に取り組む人材育成に向けて、今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。  以上です。  〔環境農政局長(鈴木真由美)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 鈴木環境農政局長。 ◎環境農政局長(鈴木真由美) 環境農政局関係の再質問にお答えします。  有機農業は栽培方法が多様であるため、人材育成については、県内有機農家等での研修により、栽培技術や販売方法などを実地で習得することが有用だと考えますので、有機農家等での研修の充実を図っていきます。  また、機械操作研修など、農家研修では十分な技術習得が難しい項目については、農業アカデミーで研修を実施するなど、就農に向けて必要な技術を体系的に習得できるよう検討してまいります。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 御答弁ありがとうございました。  それでは、幾つか要望を申し上げます。  まず、今お答えいただいた有機農業の推進とりわけ有機農地の拡大についてですが、現在、県としての有機農業推進計画はあるものの、県内に同様の計画を策定している市町村はなく、県全体として有機農業を推進する体制になっているとは言い難い状況です。  今後、国の示す高い政策目標を達成するためには、全県的な取組が不可欠というふうに考えますので、ぜひ市町村と協力し、有機農業の振興に取り組むために、県として、有機農業推進条例の策定を検討していくよう要望いたします。  次に、東京2020大会の検証と記録についてです。  ぜひとも県の取組、これまでの内側も含めて、しっかりと県民に広く共有していただきたいというふうに思います。いわゆる失敗の本質というのは、成功体験への過剰適応にあるというのは、よく知られるところですので、この東京2020大会に関しても、不要な、いわゆる美化にとどまるのではなく、将来の県政におけるそうした美化がつまずきの石となることがないように、あくまで事実に即した、ドライで的確な検証と課題の洗い出しを要望いたします。  次に、ソーシャルベンチャー創出についてですが、非常に前向きな御答弁というふうに受け止めさせていただきました。  今後、コロナ禍からの県内経済の立ち直りの局面が必ず訪れると思います。ぜひとも、そうした局面を捉えて、お答えいただいたようなソーシャルベンチャーの創出を、全県的な取組をさらに進めていく上でも、さらなる機能の横展開というのを推進していただけますように要望いたします。  次に、大人の発達障害についてですが、こちらも非常に前向きな、まさに大人の発達障害というものが、社会の中で大きな課題になっているということを踏まえた上で対応いただけるということで、こちらは感謝しております。  子供から大人に至るまで包括的な相談支援の体制、こういったものを県が備えていただけますように、こちらも推進をぜひとも要望いたします。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 質問の第2として、県民の声に応えた県政の実現についてです。  〔資料提示〕  まず、自然を活用した保育の普及促進についてお伺いいたします。  近年、生涯にわたる社会への適応や学びの重要な基礎として、非認知能力の重要性が広く知られるようになってきました。長期的な目標の達成に不可欠な自分自身と向き合う力、他者と関わる力である非認知能力に関しては、幼児期から学童期にかけての涵養が最大のポイントと考えられています。  そうした中、自然と人との関わり合いを通じて、子供の主体性や自己肯定感を育む、自然体験を取り入れた保育・幼児教育、すなわち自然保育への関心が高まりを見せるようになってきました。  〔資料提示〕  一般に「森のようちえん」とも言われる、この自然体験活動を基軸にした子育て・保育、乳児・幼少期教育の取組に関しては、本県でも各地で徐々に取組が広がりつつあるところです。  全国的には、長野県、鳥取県、広島県といった先進県においては既に様々な制度化が進められており、普及促進に当たっては、広域自治体の果たすべき役割が非常に大きいと考えられています。  例えば、自然保育の制度化において先駆けとも言える長野県では、県として、自然体験を積極的に取り入れた保育活動を信州型自然保育として認定する制度を創設することにより、施設の種別にとらわれず、施設の自主性を生かす形で、全県的に自然保育を推進する取組を進めています。  また、そうした制度的基盤の上で、自然豊かな環境での子育てを望む子育て世代のニーズを踏まえた移住促進策や、地域における森林環境教育の裾野拡大との連携といった新たな取組も全国各地の自治体において始まっています。  自然保育に関しては、自然豊かな地域特有の保育といった見方がありますが、身近な自然環境と触れ合う中で、子供が本来持っている自ら学び、成長しようとする力を育むといった目的の下、私の地元である横浜市都筑区をはじめ、都市部やベッドタウンでも、公園等を活用して実践がなされています。  また、こうした子供の自主性や気づき、体験を重視し、地域の特徴を生かした保育を実践できることは、保育者にとっても、自らの思いや能力を生かすことができ、やりがいを感じられる環境であることから、保育者不足の解消、離職対策としても重要と考えられ、保育現場や将来の保育者の方々からも切望する声が聞こえてきます。  この自然保育の普及促進に当たっては、各地域の様々な事情や特性を踏まえた制度化が不可欠です。そのため、これまでの先進事例においては、県が主導し、子供や保護者、保育者、地域、市町村といったステークホルダー間の理解を得ていったことが普及のキーポイントとなってきました。  このような観点から、先進自治体が発起人となり、自然保育の普及のための情報発信や調査研究、そして人材育成等を目指す自治体間ネットワーク「森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク」が設立され、現在、積極的なノウハウの共有や、自治体、民間団体間での交流、連携の拡大が図られています。そして、現在、首都圏の自治体では、唯一、本県の鎌倉市が参加をしている状況です。  そこで、知事にお伺いします。  県としても、自然保育の自治体ネットワークに参加し、市町村と連携して、自然を活用した保育の普及促進に取り組んでいく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。  〔資料提示〕  次に、住民参加の河川管理について伺います。  令和元年台風第19号による甚大な被害を受けて、県では、かながわ気候非常事態宣言の下、河川の水防災に関わる取組を進めているところですが、昨年、今年と3年連続で大規模な豪雨に見舞われたこともあり、県民の間でも、河川に対する意識が高まってきています。  また、環境面においても、県のかながわプラごみゼロ宣言をはじめ、河川を経由したプラスチックごみの海洋流出に関わる啓発により、身近な自然である河川に対する環境面での関心の高まりを実感しているところです。  加えて、コロナ禍を契機に、生活者の意識に大きな関心のシフトが生じているとされます。  昨年12月の民間の調査によれば、環境・社会問題に関して他人ごとではないと考える人の割合は全体の8割を超えたほか、そう考える人の半数以上が、コロナ禍により意識が変化したと回答しているとのことです。  こうしたコロナ禍以降の環境・社会問題の自分ごと化の加速も、身近な自然環境である河川への県民の関心の在り方に影響を与えていると考えます。  〔資料提示〕  ところで、私の地元、横浜市都筑区を流れる鶴見川とその支流である早淵川では、これまでも県民、行政等との連携により、河川のクリーンアップ活動が継続的に行われてきました。不法投棄をはじめ、河川管理上の課題への対策の一環として、地域住民との連携の重要性を県としても認めてきたものと理解しています。  この早淵川において、現在、センター南駅近くの早淵川親水広場を中心に、クリーンアップ活動をしている市民団体「早渕川ファンクラブ」の活動が活発になってきています。  これまでも、定期的なクリーンアップ活動は行われてきたところですが、最近の新たな傾向として、環境問題やその解決に問題意識のある近隣住民が、SNSでの情報発信を通じて団体の活動を発見し、個人の意思で参加するケース、特に親子で参加するケースが特徴的に増えているとのことです。  また、そこから、地元の企業やサッカーチームなどにも新たな活動の輪が広がっているほか、SNS上での早淵川での活動に共感した他地区からの参加者が、自ら地元の河川でもクリーンアップ活動を開始するといった、河川管理の住民参加に関わる好循環も生まれています。  こうした動きは、SNSやスマートフォンを日常的に活用する現在の県民の情報環境の中から、自然に生じてきた新たな傾向とも考えられ、コロナ禍以降の県民の意識の在り方と共振して、今後も県内各地に広がり得るものと考えます。  そこで、県土整備局長にお伺いします。  こうしたコロナ禍を経ての環境意識の高まりや現在の情報環境を踏まえ、これからの河川管理の在り方として、今後はSNSを活用した情報発信を積極的に行うなど、県民が自らの意思で居住地近くの河川の管理に自分ごととして加わるような住民参加の河川管理を広げる取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、視覚障がい者等を含む歩行者の交通安全についてです。  これまで、視覚障害者の交通安全確保に係る取組としては、県警察において、信号における視覚障害者用付加装置の設置、いわゆる音響式信号機の整備が進められてきました。  付加装置に関しては、市町村の要望等を基に必要な信号機への設置と更新が進められてきたと承知しておりますが、設置に当たっては、住民への配慮から、設置可能箇所が限定されていることに加え、夜間や早朝は音声が鳴らない運用となっており、こうした時間帯における安全確保が求められてきたと認識しています。  特に、2018年12月に都内で発生した、音声の鳴らない時間帯での音響式信号機の設置された横断歩道における視覚障害者の方の死亡事故を受けては、神奈川県視覚障害者福祉協会からも対策を求める声明が出されました。  こうした経緯の上で、現在、県警察としては、スマートフォン等に信号の状態を送信し、青信号の延長の要求も可能とするような新しい仕組み、いわゆる、高度化PICSの導入を推進しているものと理解しています。  一方で、こうした装置やシステムといったハードの導入には多額の費用がかかることもあり、高度化PICSに関しても、その普及には相当な時間がかかると予想されます。  これに対し、現在も、日々道路の横断に大きな不安を感じている地元の視覚障害者の皆様より、こうしたハード面での対策推進とともに、それを補完するものとして、交通事故を未然に防ぐための習慣の周知啓発といった、言わばソフト面での対策を併せて求める御意見を頂いています。  例えば、鉄道に関しては、これまでの度重なる転落事故への対策として、国土交通省の指導の下、安全確保に責任を持つ鉄道事業者が、一般乗客に対して、視覚障害者への声かけを働きかけることで効果を上げてきました。  道路においても、視覚障害者が信号待ちをしている際に、信号が変わったことを声かけで知らせる、新たな声かけ運動を様々な場面を捉えて推進していただきたいとの具体的な御提案を、当事者の皆様よりお預かりしてきたところです。  そこで、くらし安全防災局長にお伺いします。  本県では、これまでも視覚障害者等を含む歩行者の交通安全に関わる情報共有や啓発を進めてきたものと承知しています。今後、交通弱者を守るため、高度化PICSの整備といった県警察の進めるハード面での対策と並行して、声かけ運動のようなソフト面での対策を推進していくべきと考えますが、見解をお伺いします。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県民の声に応えた県政の実現についてお尋ねがありました。  自然を活用した保育の普及促進についてです。  幼児期の保育においては、自然の大きさや美しさ、不思議さなどに直接触れる体験を通じて、豊かな感情や好奇心、思考力、表現力の基礎が培われることが重視されています。そのため、里山や公園など、屋外での自然体験活動を積極的に取り入れる自然保育は、子供の健やかな成長にとって、とても有意義な取組です。  県内にも、認可保育所などとは別に、自然保育を中心に活動している団体がありますが、こうした団体は公的な支援制度がない上、施設を持たずに活動している場合もあり、運営の安定性や安全性の確保が課題とされてきました。  自然保育など、多様な保育活動を行っている団体が、職員配置や安全確保などの国が示す基準を満たした場合に、国は今年度から、保護者が支払う利用料を補助する制度を創設しました。  国の動きを受け、今後、自然保育が県内で幅広く展開されるよう、関係機関で情報の共有を図っていくことが必要です。  そこで、県では今後、自然保育の情報発信や人材育成に取り組んでいる森と自然を活用した保育・幼児教育推進自治体ネットワークに参加し、参加自治体の先進的な取組の情報収集を行います。また、ネットワークから得た情報や県内で自然保育を実践している事業者の取組について、市町村会議の場で紹介するなど、市町村への情報共有を図っていきます。  県では今後とも、市町村と連携して、保育の質の向上に努め、子供たちが健やかに成長できる環境づくりに取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔県土整備局長(大島伸生)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 大島県土整備局長。 ◎県土整備局長(大島伸生) 県土整備局関係の御質問にお答えします。  住民参加の河川管理についてお尋ねがありました。  河川は洪水による氾濫を防ぎ、飲み水などの水源となるほか、多様な生物を育むとともに、多様なレジャーや憩いの場としても利用されています。  このような多様な機能を持つ河川を適切に管理するためには、地域の事情をよく知る住民の皆様に御参加いただきながら、河川管理に取り組んでいくことが重要です。  県では、河川管理への住民参加を促すため、地元自治会などへ草刈りや清掃作業を委託する制度を設けており、令和2年度の実績で約180の団体に参加していただいています。また、河川環境に関心が高い市民団体などによる自主的な河川の清掃活動も盛んに行われており、県は、こうした活動に清掃用具などを貸し出すといった支援も行っています。  こうした環境意識の高まりに応え、さらに多くの方々に御協力を頂くためには、活動状況や成果を広く住民の皆様にお知らせし、参加を後押ししていくことが大切です。  そこで、今後、県内各地の河川で活動している自治会や市民団体などの取組を県のホームページに掲載し、それぞれの地域でどのような団体が取組を行っているのか、分かりやすく紹介します。  さらに、県の公式ツイッターなどのSNSを活用して積極的に情報発信することにより、多くの方々に各団体の取組をお知らせしていきます。  県は、こうした取組により、多くの方々に御参加いただき、良好な河川環境の保全に向けて、住民参加による河川管理の取組をさらに広げてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔くらし安全防災局長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 花田くらし安全防災局長。 ◎くらし安全防災局長(花田忠雄) くらし安全防災局関係の御質問にお答えします。  視覚障がい者等を含む歩行者の交通安全についてお尋ねがありました。  悲惨な交通事故をなくすためには、道路交通環境の整備とともに、道路を利用する全ての方が人優先、とりわけ、障害者や高齢者、子供など、いわゆる交通弱者を思いやる意識を持つことが大切です。  県が今年度改定した第11次神奈川県交通安全計画では、交通弱者を思いやり、人優先の考え方を基本に、音響式信号機や視覚障害者誘導用ブロックの整備など、視覚障害者を含む歩行者の交通安全施策を推進することとしています。  また、歩行者の横断時の安全確保に向け、運転者には横断歩道における歩行者優先、歩行者には横断する意思を明確に伝えるなど、交通安全教育を一層強化することを新たに位置づけました。  これを受け、県は、交通安全ポスターを公共施設や駅、スーパーなどに広く掲示するほか、ホームページや地元FM放送などを活用して、体の不自由な方への声かけなど、歩行者保護の啓発に取り組んでいます。  さらに、今月末まで実施している秋の全国交通安全運動では、歩行者の安全確保を重点テーマの一つとして、子供や高齢者をはじめ、全ての歩行者を交通事故から守る運動を全国で展開しています。  県としては、今後もこうした取組を通じて、交通弱者を含む全ての歩行者が交通事故に遭わないよう、ソフト対策としての普及啓発に努め、県警察等が行うハード対策と併せて、歩行者の交通安全にしっかりと取り組んでまいります。  答弁は以上です。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 知事、くらし安全防災局長、県土整備局長、御答弁ありがとうございました。  それでは、1点、再質問させていただきます。  自然を活用した保育の普及促進についてお伺いします。  県として、自然保育に取り組んでいくという、非常に前向きなお答えというふうに受け止めました。昨日も、現場で取り組む方から、ぜひ県として、このネットワークに参加してくれないかというような御意見も頂いておりまして、まさに知事の発していただいた強いメッセージとして、県内のそうした保育に取り組む方へのポジティブなメッセージとして伝わっていくのではないかというふうに思っております。  そこで、1点お伺いしたいのですが、県内には既に、そのような自然保育に取り組んでいる施設やグループが各地にあるわけですが、県として、まずはそうした県内の現場の声を直接聴く機会を設けるべきではないかと考えますが、所見をお伺いします。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  自然保育については、県ではこれまでも、鎌倉市や葉山町の現場を訪問して、保育の特色や日頃の活動の様子などお伺いをしております。  今後、市町村への情報提供を行う際には、県があらかじめ現場の声を直接お伺いする機会を持ちたいと考えています。  答弁は以上です。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 知事、御答弁ありがとうございました。  それでは、幾つか要望を申し上げます。  まず、自然を活用した保育の普及促進についてですが、自治体ネットワークの発起人である長野県や鳥取県では、先ほども触れさせていただきましたが、自然保育に取り組む保育所等の認証制度を創設し、活動費の補助を行うなど、県としても積極的な普及促進を図っています。  本県としても、今後、市町村の意見も聴いた上で、こうした認証制度の導入についても検討していただくように要望いたします。  また、住民参加の河川管理についてですが、今後、新たな担い手を増やしていくということが重要になりますので、ぜひこれからも各地で活動する団体との、例えば治水事務所などを通じたさらなる関係の強化と連携の強化も要望いたします。  最後に、視覚障がい者等を含む歩行者の交通安全についてですが、今回お伝えさせていただいた視覚障害者の皆様からのお声をはじめ、交通弱者となり得る様々な当事者の皆様の声を交通安全の推進に生かしていただきますよう要望させていただきまして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(佐々木正行) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(佐々木正行) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後2時46分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和3年第3回-20210921-029076-質問・答弁-川本学議員-一般質問①東京2020大会・セーリング競技のレガシーについて②戦没者DNA鑑定の周知について③コロナ禍における青少年の健全育成について④ボランティア団体と連携した安全・安心なまちづくりについて⑤外国籍県民への支援について⑥都市農業の推進について⑦信号機のLED化の推進と災害発生時の信号機の滅灯・倒壊対策について》                   午後3時9分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共56名 ○議長(小島健一) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) 質問を続行いたします。  川本学君。  〔川本 学議員登壇〕(拍手) ◆川本学議員 自由民主党の川本学でございます。  私は、自由民主党神奈川県議会議員団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問させていただきます。  知事並びにくらし安全防災局長、国際文化観光局長、環境農政局長、警察本部長におかれましては、明快かつ前向きな御答弁をお願いいたします。また、先輩議員、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、東京2020大会・セーリング競技のレガシーについて伺います。  この夏、東京2020大会が開催されました。新型コロナウイルスの影響により、事実上無観客となりましたが、競技中継はテレビやインターネット配信などで世界中に発信され、各競技会場で繰り広げられた熱戦の様子や選手たちの頑張りは、私たちに勇気を与えるとともに、この大会は10年前の東日本大震災の復興五輪も兼ねていたことから、東北の方々にも夢や希望を与えるすばらしい大会になったと感じています。  本県の江の島で開催されたセーリング競技においても、主にインターネットを通じてではありましたが、臨場感と迫力あるレースの様子が中継され、観戦者は、美しい江の島の海を舞台に、世界トップクラスの選手たちが風や波などの自然を相手に、艇を巧みに操って競い合う姿を見て、セーリング競技の醍醐味や感動を味わうことができたのではないでしょうか。  セーリング競技の開催に当たっては、湘南港利用者をはじめとして、地元の漁業関係者や住民の皆様など、多くの方々の御協力により、競技会場を用意することができ、円滑な大会が実現できたものと思います。これまで調整されてきた県の職員の御苦労も大変なものであったと推察しております。  今後に目を向けると、オリンピックが終了し、この感動や記憶をどのように伝えていくかがこれからの課題となりますが、私は、目に見える形で後世に残していくことが大切であると考えます。  〔資料提示〕  江の島におけるオリンピックは今回で2回目となりますが、前回の1964年大会において湘南港で使用された聖火台は、その後復元され、現在も湘南港に展示されています。この聖火台は、江の島でオリンピックが開催されたことを多くの人に伝え、今も当時の感動や興奮を思い起こさせてくれます。  また、今回の東京2020大会では、大会開催前から、江の島弁天橋入り口にセーリングの帆をイメージしたセーリング開催記念モニュメントを設置したところ、撮影スポットとして大変にぎわい、大会を盛り上げる役割を果たしました。  このモニュメントは、現在、湘南港に移設する作業を進めていると聞いていますが、江の島を訪れる観光客に対して、江の島とオリンピックの深い関わりを将来にわたって伝えるとともに、観光資源としても、より効果的に活用することが必要であると思います。  このように、展示方法に工夫を凝らし、多くの県民に2度のオリンピックの記憶をしっかりと伝えていくよう、オリンピックのレガシーを残し、活用していくべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  多くの県民に感動を与えて閉幕した東京2020大会・セーリング競技の記憶を将来に伝えていくために、今後どのような形でモニュメントなどを残し、活用していくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、戦没者DNA鑑定の周知について伺います。  さきの大戦では、南方諸地域や旧ソ連邦などで約240万人の方々が戦没されました。  戦後、政府などによる遺骨収集事業の推進にもかかわらず、いまだに海深くに眠る御遺骨を含む112万柱余りを見つけることができず、遠い異郷の地に残されています。  御遺骨が収集された128万柱の中でも、約37万柱は、残念ながら身元が特定されず、千鳥ケ淵戦没者墓苑に納骨されていると聞いています。  これまで、戦没者の御遺骨の身元特定のためのDNA鑑定は、戦地の遺留品などから身元につながる手がかりがあった場合に、その戦没者の御遺族にお知らせし、希望する御遺族のDNA鑑定が行われていました。  しかし、戦後70年以上がたち、御遺族の高齢化も進んでいますので、国では、沖縄など一部の戦地の戦没者の御遺族を対象に、遺留品の有無にかかわらず、御遺族の申出によるDNA鑑定を行っており、昨年からは対象の戦地の範囲を広げ、さらに今年度中には、全ての戦地に拡大する方針であると承知しています。  先日、NHKで、DNA鑑定を行うことができることを知った戦没者の弟が鑑定を求め、その結果、戦没した兄の御遺骨が判明し、自宅に戻られたという放送がありました。その弟の幼い頃の記憶が鮮明によみがえってきた、また、ようやく供養することができ、本当の意味で戦争は終わったと感じていますとのお話に、私は大変感銘を受けました。  一方で、私は、こうした戦没者の御遺族の求めによるDNA鑑定が行われていることを、まだ知らない御遺族が多いのではないかと懸念しております。  県内でも、戦没者の御遺骨が、家族、親族のもとに早く戻ってくることを希望している方が多数いらっしゃいます。しかし、DNA鑑定の制度を知らない方や、制度を知っていたとしても、どのように手続をすればよいのか分からないという方も少なからずいらっしゃると聞いています。制度を活用しなければ、帰ってくるはずの御遺骨も帰ってくることはありません。  そこで、知事に伺います。  DNA鑑定の制度は国の制度で、国が責任を持って実施すべきものであると承知しておりますが、県としても、戦争で肉親を失った御遺族の希望をかなえるためにも、様々な機会を捉えて、この制度を周知していくべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第3は、コロナ禍における青少年の健全育成について伺います。  近年、青少年を取り巻く環境は複雑化しており、本県では、青少年保護育成条例に基づき、青少年の健全な育成を図るため、街頭キャンペーンや学校への出前講座など、これまで様々な施策に取り組んできたことは承知しております。  こうした中、特に、スマートフォンの普及などにより、青少年にとって、インターネットは身近な存在となっており、SNSなどを通じて犯罪に巻き込まれるケースが発生しています。  つい先日も、ツイッターを通じて知り合った相手に女子高校生が連れ去られて、物置小屋で遺棄されているのを発見されるといった大変痛ましい事件が起きており、青少年の犯罪被害が深刻な状況になっています。  また、現在のコロナ禍では、臨時休校や部活動の停止など、生活環境が激変しており、子供たちが自宅でパソコンやスマートフォンでインターネットを利用する機会が増え、違法薬物や出会い系サイトなどのトラブルや犯罪に巻き込まれるリスクの増加が懸念されるところです。  さらに、外出の機会が減り、一日中ゲームなどに夢中になるなど、青少年の長時間のネット利用も大変問題であると感じています。  あるネット記事には、テレビやパソコンなどのスクリーンを見る時間であるスクリーンタイムが多い子供は、感情表現に困難を抱えている可能性が高いと書かれていました。  スクリーンタイムを減らすことの重要性は、IT企業の創設者である故スティーブ・ジョブズ氏が、自宅で子供たちがテクノロジーを使う時間を制限していたことで知られており、さらに、ビル・ゲイツ氏は、子供たちが14歳になるまで携帯電話を持たせず、その後もスクリーンタイムを厳しく制限したという話からも明らかであります。  こうしたことから、犯罪やゲーム依存などから青少年を守るためには、コロナ禍であっても、インターネットの正しい使い方やリスクなどについて、しっかりと周知・啓発していくことが重要です。  一方で、コロナ禍では、これまでと同じように街頭キャンペーンなどの活動ができない状況にあり、十分な啓発に不安を感じています。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍において、インターネットの適正利用の観点から、青少年の健全育成について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、ボランティア団体と連携した安全・安心なまちづくりについて伺います。  先日、多摩川の河川敷をウオーキングしていたとき、周囲と不釣合いな格好をした高齢の女性を見かけたため、その女性に声をかけたところ、受け答えの内容から認知症が疑われたことから、近くの交番まで送り届けたことがありました。  その日は大雨の後で、多摩川が増水していて、対応された警察の方から、川に落ちて亡くなる事故もあるという話を伺いました。  今回の体験を通して、私は、そこで暮らす地域住民一人一人がもっと地域に関心を持ち、互いに声をかけ合い、共に助け合い、自分たちのまちは自分たちで守るという防犯意識を持って生活することの重要性を再認識したところであります。  〔資料提示〕  県では、平成17年4月に神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例を施行し、安全・安心なまち神奈川の実現に向けて県民総ぐるみによる防犯への取組を促進するため、県民の防犯意識の向上やボランティア団体の支援に努めてきたと承知しています。  現在、県は、市町村に補助を行う形で地域防犯カメラの設置を促進していますが、犯罪抑止などに効果的であり、平成28年度から令和2年度までの5年間で1,300台を超える防犯カメラが県内の各地域に設置されたことは、評価に値するとともに、我が会派としても、今後も継続した取組を要望しているところでございます。  しかしながら、防犯カメラは固定された場所に設置され、数にも限りがあるため、防犯カメラの目が行き届かない場所における防犯対策には、防犯ボランティアによる見守りなど、人の目でカバーしていく必要があると考えます。  最近は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係るステイホームの影響により、運動不足解消のため、屋外でランニングやウオーキングをする人や、通勤で密を避けるため、交通手段として自転車を利用する人が増加している話を聞きます。  こうした市民ランナーなど、これまで活動に関与していなかった方たちにも安全・安心なまちづくりに参画してもらうことで、コロナ禍における防犯ボランティアの裾野を広げ、県民総ぐるみ運動を展開していく、またとない機会だと思います。  そこで、くらし安全防災局長に伺います。  犯罪の起きにくい安全・安心なまちづくりを推進していくため、ボランティア団体と連携した地域防犯活動にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、外国籍県民への支援について伺います。  本県には、令和3年1月現在で約22万6,000人の外国籍県民が暮らしており、県民の約41人に1人が外国籍県民という状況です。また、国籍の多様化も進んでおり、172の国と地域の方が本県で暮らしています。  こうした外国籍県民が日本で安心・安全に生活していくためには、言語の問題はもちろんのこと、母国とは異なる日本の制度や文化、習慣などを理解していくことが重要です。  〔資料提示〕  特に、今定例会の我が会派の代表質問でも取り上げた在留資格制度については、外国籍県民の生活に直結する問題です。  家族と来日し、日本で生活する外国籍の子供が、母国に帰らず、日本で就職を希望する場合、将来的に安定した生活を送るためには、フルタイムで働ける在留資格制度が必要です。  私は、こうした外国籍の子供たちは、グローバル人材になる可能性がある金の卵だと思っており、将来、本県で活躍していただくためにも、早い段階から、在留資格の仕組みについては理解していただく必要があると思います。  また、在留資格制度以外にも、教育や子育て、医療、介護など、外国籍県民が知っておかなければいけない日本の社会制度は様々あり、地域で生活していく中では、日本の文化や習慣に慣れ親しんでいくことはとても重要です。  しかしながら、そういった多岐にわたる日本の社会制度や文化、習慣を日本語能力が十分でない外国籍県民が自ら知り、理解することは簡単ではありません。  そこで、県では、各種相談窓口を設置し、外国籍県民などが日常生活で困ったときに、多言語での相談に応じて適切なアドバイスなどを行っているほか、情報発信のための取組として、県行政書士会など関係団体と連携したセミナーなども実施しているものと承知しております。  こうした取組は、外国籍県民が日本の社会で生活していく上で非常に重要であり、さらなる充実を図っていく必要があると考えています。  そこで、国際文化観光局長に伺います。  本県に暮らす外国籍県民が、日本で安心・安全に生活していくためには、在留資格制度をはじめとした日本の社会制度について理解していくことが重要であると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6は、都市農業の推進について伺います。  川崎市は、臨海部に国内有数の工業地帯を抱えた県内でも都市化が進む地域ですが、江戸時代には多摩川の豊かな水利を生かした二ヶ領用水を開削し、約2,000ヘクタールに及ぶ水田の開墾によって大規模な稲作地帯を有していました。  その後、多摩川沿いの水はけがよいという立地条件を生かして梨の栽培が始まり、多摩川梨の一大産地となり、現在も引き継がれています。  高度経済成長期には、人口流入に伴って急激な宅地開発の波が押し寄せ、農地は大幅に減少してしまいましたが、現在は、身近に大消費地があるメリットを生かして、消費者ニーズに合わせて、市内の各地域で野菜や果樹など多様な品目が生産、販売されております。  私の地元、中原区は市の中央に位置し、都心や横浜市内へのアクセスに恵まれていることもあり、人口・世帯数が市内7区の中で最も多く、特に武蔵小杉駅周辺は、商業施設やタワーマンションなど高層ビルが建設され、再開発による新しいまちづくりが進んでいます。  〔資料提示〕  一方で、農業生産も盛んに行われており、下小田中地区のパンジーは県下でも高い品質を誇る産地として知られるほか、コマツナやエダマメなどの露地野菜、ハボタンやシクラメンなどの花卉・鉢物が栽培され、生産者と消費者が近いことから、直売を中心とした地産地消による、いわゆる顔が見える農業が行われ、地域の活性化につながっています。  また、こうした生産者が頑張って農地を生産基盤として活用しているからこそ、農産物などの食料の生産に加え、土や緑による良好な景観の形成や、災害時の貴重な防災空間、水源の涵養、農業体験などを通じた学習など、多面的な機能が発揮され、私たちの生活に潤いを与えています。  今後も、本県農業が県民に新鮮で安全・安心な食料等を供給し、農地を維持して多面的機能が発揮されるには、生産者の経営が安定することが必要であり、そのためには多くの県民に神奈川の農産物を知って、買って、その魅力を実感してもらい、本県の農業ファンを増やしていくことが重要と考えます。  そこで、環境農政局長に伺います。  本県の都市農業を推進するため、県内産農産物の理解や購入の促進について、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第7は、信号機のLED化の推進と災害発生時の信号機の滅灯・倒壊対策について伺います。  本年8月末現在、県内において交通事故で亡くなられた方は80人であり、前年に比べ減少傾向にあると伺っています。これは、県警察が様々な交通死亡事故抑止対策を推進してこられた成果であると認識しています。  しかしながら、人身交通事故全体の発生状況については増加傾向にあることから、今後も交通事故発生件数を減らすための取組が必要であると考えます。  この点、交通事故を減らすためには、交通安全施設を適切に維持管理することも必要であり、特に信号機は交通の安全と円滑を図る上では必要不可欠なものです。  県警察におかれましては、従来型の信号機から視認性が向上されているLED式信号機への更新を進めていることは承知していますが、県内には、いまだLED化されていない信号機があり、県民の皆様からLED化を望む声も少なくないため、引き続き整備を推進していただきたいと考えています。  〔資料提示〕  LED式信号機は良好な視認性を確保するために重要であるだけでなく、省電力で地球環境にも配慮することができ、SDGsが重要視されている今日では、その重要性は増してきていると考えています。  また、近年、台風や大雨などによる風水害の激甚化が顕著になっており、2019年に発生した台風15号、19号の際には大きな被害が発生し、信号機の滅灯や倒壊といった被害も生じたと伺っており、今後、首都直下地震や南海トラフ地震といった大災害が発生するおそれもあることから、信号機の滅灯・倒壊対策についても重要であると認識しています。  そこで、警察本部長に伺います。  県警察における信号機のLED化の推進状況について伺います。また、これから秋にかけて台風シーズンとなることから、台風をはじめとした災害発生時の信号機の滅灯・倒壊対策について、見解を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 川本議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、東京2020大会・セーリング競技のレガシーについてお尋ねがありました。  東京2020大会が終わり、競技会場やまちを彩った様々な装飾が撤去される中、大会の記憶を風化させないために、記念碑等を設置することは意義あることと考えます。  そこで、県では、セーリング競技の会場となった江の島に大会のレガシーとして、モニュメントと記念プレートである銘板を設置することとし、現在、準備を進めています。  まず、モニュメントについてです。  県では、令和2年1月に、江の島がオリンピックのセーリング競技会場であることを観光客等に広く知ってもらうため、江の島に渡る橋の入り口にヨットの帆をイメージしたモニュメントを設置しました。  このモニュメントはこれまで、フォトスポットとしても多くの方に親しまれてきましたが、今後は、既に湘南港に設置されている1964年大会当時の聖火台の隣に移設し、江の島でオリンピックが2度開催されたことを伝えるシンボルとして、改めて整備します。  次に、銘板についてです。  東京2020大会のセーリング競技の日程やレース海面などを記した銘板を作成し、ヨットハウス正面に設置することで、ヨットハウスを訪れる方や道行く人々に、競技大会で繰り広げられたレースの記憶を呼び覚まします。  また、江の島の頂上に向かう観光客が上る坂の途中に、湘南港やレースエリアを見渡せる広場がありますので、この場所にもオリンピックの開催を記録した銘板を設置し、鎌倉から逗子、葉山を望む湘南ならではの絶景とともに、東京2020大会に思いをはせてもらいたいと考えています。  こうしてモニュメントや銘板を設置することで、オリンピックの記憶を末永く後世に語り継ぐとともに、江の島を訪れる多くの観光客の方々にも、江の島の新たな魅力としてPRしてまいります。  次に、戦没者DNA鑑定の周知についてお尋ねがありました。  戦没者の御遺骨は終戦から76年経過した今も、世界の諸地域に眠っており、国は各戦地での戦没者の遺骨収集を進めています。  県では、身元が判明した御遺骨を御遺族のもとにお届けしており、受け取られた御遺族の多くは、戦没者の記憶がほとんどなかったり、写真でしか見たことがない孫やひ孫の方ですが、それでも感慨深く肉親や先祖との再会を果たされています。  このように、戦後どれだけ年月がたとうと、戦没者がふるさとにお帰りいただく取組は大変重要です。  国は、収集された御遺骨の返還を進めるため、平成15年度から遺留品により身元が推定できる場合に、御遺骨から採取した検体と御遺族とのDNA鑑定を行ってきました。  その後、DNA鑑定による身元の特定をさらに進めるために、平成29年度からは沖縄、令和2年度からは硫黄島などの地域で収集された御遺骨について、遺留品などの手がかりがない場合でも、御遺族の申出による鑑定を行っています。  さらに、この10月からは地域を限定することなく、鑑定を行うことになりました。  しかしながら、これまで採取した約1万2,000の検体のうち、身元が判明したのは僅か10分の1の1,200ほどにとどまっていると承知しています。また、御遺族の中には、DNA鑑定の取組を知らない方もおり、10月から実施される地域を限定しない鑑定について、広くお知らせしていくことが必要です。  国は、ポスターの掲示やリーフレットの配布、新聞広告の掲載など、御遺族に対する広報を行う予定であり、県としても、国の取組を県遺族会と共有するほか、県のたよりやホームページで広く県民の皆様にお知らせします。  さらに、SNSなどを活用して、戦没者の孫やひ孫世代に戦没者のDNA鑑定の取組を紹介していきます。  今も戦没者の帰りを待つ御遺族のもとに、御遺骨をお届けすることができるよう、県は国と共に戦没者のDNA鑑定の周知に努めてまいります。  最後に、コロナ禍における青少年の健全育成についてお尋ねがありました。  インターネットの利用がますます身近で便利になった反面、出会い系サイトやSNSに起因する犯罪に、青少年が巻き込まれる事件が後を絶ちません。  青少年のインターネット利用は、スマートフォンを通じて行う場合が多く、適切な利用を促していくことが大切です。  県ではこれまで、スマートフォン購入時に有害サイトへのフィルタリング設定を促したり、小中学校の1年生を対象にリーフレットを配布するなど、スマートフォン利用時のトラブルを防止するための取組を進めてきました。  また、今年3月には、若い世代に関心を持ってもらえるよう、鎌倉女学院高等学校の生徒と県が協働して、スマートフォンの使い過ぎやアプリの危険性に注意を促すものなど、4本の啓発動画を制作しました。  いずれの動画も高校生目線で日常生活に起こるトラブルが描かれており、これまでに3万回以上再生されています。  また、街頭キャンペーンや希望する学校への出前講座も行ってきましたが、昨今のコロナ禍の影響により、現在は実施を見合わせている状況です。  そこで、県では、街頭キャンペーンの代替策として、若者がよく利用するコンビニエンスストアなどの業界団体と連携して、啓発ポスターを作成し、店頭掲示を行うなど、周知・啓発を行っていきます。  また、出前講座については、これまでのように体育館などに一堂に会するものではなく、ウェブ会議システムを活用するなど、実施できる方策を検討していきます。  こうした取組により、コロナ禍においても、インターネットの適正利用について、しっかりと周知・啓発を図り、青少年の健全育成に努めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔くらし安全防災局長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 花田くらし安全防災局長。 ◎くらし安全防災局長(花田忠雄) くらし安全防災局関係の御質問にお答えします。  ボランティア団体と連携した安全・安心なまちづくりについてお尋ねがありました。  防犯ボランティアによる自主防犯活動を促進することは、犯罪の起きにくい安全・安心なまちづくりを推進する上で大変重要です。  現在、県内には約2,400の自主防犯活動団体があり、約21万9,000人の防犯ボランティアが活動していますが、近年、その中心となっている方々が固定化しつつあるなどの課題があります。  そこで、県は一昨年から、これまで若い世代とリーダー世代で別々に行っていた研修会を合同で開催し、意見交換の機会を設けるなど、防犯ボランティアの世代間交流を促進する取組を始めました。  その際、参加者からは、日頃交流のない若い人の意見が聴けて大変参考になった、ベテランの方との交流は貴重な経験で今後の活動に興味を持てたなど、自主防犯活動の活性化につながる意見や感想を頂きました。  コロナ禍の影響で、こうした交流の機会が昨年度以降、中断を余儀なくされる中、県は現在、県民の皆様がジョギングや犬の散歩をしながら地域を見守り、犯罪を未然に防ぐ、ながら見守り活動をこれまで以上に積極的に推進しています。  その一環として、県警察等と連携し、県内9か所のボクシングジムの協力を得て、ボクサーの皆さんがロードワークをしながら、防犯パトロールと書かれたビブスを着用し、ながら見守り活動を行っていただく取組を新たに始めました。  現在も防犯ボランティアが集まって行う自主防犯活動は行いにくい環境にありますが、県としては、引き続き工夫を凝らしながら関係機関等と連携して、コロナ禍における防犯ボランティアの裾野をしっかりと広げてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔国際文化観光局長(香川智佳子)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 香川国際文化観光局長。 ◎国際文化観光局長(香川智佳子) 国際文化観光局関係の御質問にお答えします。  外国籍県民への支援についてお尋ねがありました。  外国籍県民が日本で安心・安全に生活を送るためには、地域住民の御理解、御協力とともに、日本の社会制度の理解が重要です。  そこで、まずは、県やかながわ国際交流財団のホームページ等で、子育てや医療などに関する様々な情報を多言語で提供しています。また、外国籍県民相談窓口を設置し、在留資格や社会保険などに関する一般相談のほか、教育相談や法律相談などの専門相談を実施しています。  さらに、今年度からは、外国籍県民が在留資格や高齢者介護など、日本の社会制度を学ぶためのセミナーをオンラインも活用しまして、年間5回開催していきます。  6月に開催した第1回目のセミナーでは、在留資格とライフプランという講演と個別相談会を実施しました。会場とオンラインを含め、100名を超える外国籍県民の参加があり、転職や結婚に伴う在留資格の変更などについて、多くの質問を頂き、関心の高さがうかがえました。  また、来日して間もない方にとっては、ごみの出し方や災害時の避難場所など、生活に密着した情報は大変重要です。こうした地域のルールについては、市町村と連携して県が実施する日本語初心者向けの日本語講座の中で、生活オリエンテーションを実施しており、今後広めていきたいと考えております。  このほか、生活を支える様々な支援制度についても、外国籍県民の皆様に情報がしっかり届くよう、庁内はもとより、市町村、関係機関との連携を密にしていきます。  県としては、このように日本の社会制度の理解を支援することで、外国籍県民が安心して神奈川で暮らすことができる多文化共生の地域社会づくりを着実に進めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔環境農政局長(鈴木真由美)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 鈴木環境農政局長。 ◎環境農政局長(鈴木真由美) 環境農政局関係の御質問にお答えします。  都市農業の推進についてお尋ねがありました。  本県の農業は、大消費地に近いという強みを生かして、JAの大型直売所や地元のスーパーなどで野菜や果物などの新鮮な農産物を県民に供給し、購入してもらう地産地消の取組を主体に営まれています。  そのため、本県の都市農業の推進に当たっては、県民が求める新鮮で安全・安心な農産物の安定的な生産とともに、県産農産物の認知度向上による県民の購入機会の増大が重要です。  県では、安定生産を図るため、生産者に対して、農業技術センターの普及指導員が講習会等により、栽培技術を指導しています。  また、認知度の向上や購入の機会を増やすため、県と生産者団体で構成するかながわブランド振興協議会が、優れた県産の農林水産品を「かながわブランド」として登録し、ホームページや県産品フェアなどによるPRや販売促進を支援しています。  しかし、コロナ禍の影響により、認知度を向上させるための店頭イベントでの試食販売や、生産者とバイヤー等との対面によるマッチング商談会も自粛せざるを得ず、PRや販売促進も一部限定される状況となっています。  そこで、県産農産物の認知度向上のため、レシピや調理方法のほか、生産現場を紹介する動画を作成し、生産者への理解や新鮮で安全・安心な農産物の魅力をホームページなどで伝えていきます。  また、商談会については、バイヤー等に農産物の特徴が分かる資料を提供し、オンラインで開催するなどの工夫を行い、コロナ禍でも販売促進を進めています。  さらに、スーパーなどでの購入機会が減った消費者が県産農産物をオンラインで購入し、自分の都合のよいときにコンビニ等で手軽に受け取れるような仕組みを活用した新たな販路開拓を支援します。  こうした取組により、県産農産物の理解や購入を促進し、地産地消による都市農業を推進してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(山本 仁)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 山本警察本部長。 ◎警察本部長(山本仁) 信号機のLED化の推進と災害発生時の信号機の滅灯・倒壊対策についてお答えいたします。  初めに、信号機のLED化の推進についてです。  LED式信号機は、従来の電球式信号機に比べ、視認性がよく、長寿命で、消費電力が少ないという特徴があります。こうした特徴を踏まえ、県警察では、信号機の新設や更新に合わせてLED化を進め、令和2年度末現在、県内の信号灯器の約56%をLED化しているところであります。  今年度におきましても、信号機のLED化を進めるために、当初予算で約6億円措置され、県内の信号灯器の約3%を新たにLED化する予定であります。  県警察といたしましては、今後とも、必要な予算の確保や効率的な予算執行に努め、信号機のLED化を推進してまいります。  次に、災害発生時の信号機の滅灯・倒壊対策についてです。  議員御指摘のとおり、令和元年の台風15号と台風19号の際には、信号機の滅灯や倒壊により、交通に影響を及ぼしたところです。  台風など災害の発生に伴い、信号機が滅灯した際には、自動で発電を行う信号機電源付加装置や移動可能な発電機を活用して、早期に信号機を復旧させるとともに、警察官の手信号による交通整理を行っているところです。  また、信号機倒壊の原因の一つには、信号機の老朽化がありますことから、老朽化した信号機の更新を進めることにより、倒壊の未然防止にも努めております。  県警察としては、今後とも、災害発生時の対応を的確に行いつつ、引き続き必要な予算を確保し、主要交差点への信号機電源付加装置の新設を進めるとともに、老朽化した装置や信号機の更新を計画的に行い、万全を期してまいります。  以上でございます。  〔川本 学議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 川本学君。  〔川本 学議員登壇〕 ◆川本学議員 知事並びにくらし安全防災局長、国際文化観光局長、環境農政局長、警察本部長におかれましては、御答弁ありがとうございました。  それでは、再質問を2点させていただきます。  再質問の1点目でございますけれども、東京2020大会・セーリング競技のレガシーについてであります。  ただいま知事の答弁の中で、オリンピックの新旧二つのモニュメントを同じ場所に設置するというお話がございました。  これは、私が以前お話しさせていただきましたが、これが実現に至ったということで、大変うれしく思っております。  オリンピックのレガシーとしてのモニュメントなどの活用は大変有効的でありますけれども、その場所にあるということを知らないと意味がありません。未来に向けてレガシーということであれば、特に若い世代の方々も含め、モニュメントなどの存在を広く多くの方々に知ってもらうことが必要であると考えますが、見解を伺います。  再質問の2点目でございますけれども、コロナ禍における青少年の健全育成について伺ってまいります。  先ほど出前講座については、コロナ禍での実施も検討していくという御答弁がございました。  出前講座は条例周知の効果も高く、私としても一日も早い再開を望んでいるところでございますけれども、何か具体的な方策はあるのか、また、再開の見込みはいつ頃なのか、見解を伺いたいと思います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  まずは、東京2020大会のモニュメントの件でありますが、江の島をはじめとした湘南海岸、これは夏の海水浴場シーズンは多くの若者でにぎわいます。県としましても、オリンピックのレガシーであり、江の島の新たな観光資源としてのモニュメント、これをそうした若者たちに知ってもらい、ぜひ足を運んでもらいたいと考えております。  そこで、県のホームページやインスタグラムなどで周知するとともに、地元自治体や観光協会とも連携して、モニュメントを広く紹介していけるよう検討を進めてまいります。  続いて、青少年健全育成の出前講座の件でありますが、出前講座につきましては、ウェブ会議システムを利用して開催する形式のほか、例えば、学校の放送や映像設備を使い、生徒たちには教室の自分の席で聞いてもらうなど、開催方法を工夫いたします。  再開につきましては、実施方法を早期にまとめ、年内には募集を開始する予定にしております。  答弁は以上です。  〔川本 学議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 川本学君。  〔川本 学議員登壇〕 ◆川本学議員 再答弁ありがとうございました。  それでは、何点か時間の許す限り意見、要望を述べたいと思います。  要望の一つ目は、東京2020大会・セーリング競技のレガシーについてであります。  セーリング競技の開催に当たっては、多くの関係者が長きにわたり、競技海面や競技会場の調整や準備を進めてきました。そのかいあって、大会では各国の代表選手たちが思う存分、その実力を発揮し、その活躍を世界中の多くの人が観戦し、感動したと思います。  こうしてオリンピックは多くの県民にレガシーを残しましたが、それで終わりではなく、神奈川の新たな財産として、未来の県民にレガシーを残していくことが大切だと思います。将来に向けて、いつまでもオリンピックのレガシーが残るよう、しっかりと取り組んでいただくよう要望します。  次に、戦没者DNA鑑定の周知についてです。  今回の国のDNA鑑定の対象地域の拡大には、私は大きな期待をしており、御遺族の方々に広く知っていただいてほしいと思います。そのためにも、県は市町村や県遺族会と連携の上、あらゆる機会を捉えて御遺族に対する周知に取り組むよう要望させていただきます。  次に、コロナ禍における青少年の健全育成についてであります。  出前講座の再開に向けて、前向きな御答弁を頂きました。コロナ禍だからできないと簡単に諦めるのではなく、何事も創意工夫をして取り組む姿勢が大切だと考えています。  インターネット適正利用についての啓発をはじめ、青少年が健やかに育つ環境づくりの取組について、コロナ禍においても、様々な工夫により、滞りなく進めていただくことを要望します。  次に、ボランティア団体と連携した安全・安心なまちづくりであります。  犯罪が起きにくい環境をつくり、安全・安心なまちづくりを推進するためには、防犯カメラなどの設置促進など、ハードの面に加えて、防犯ボランティアの活動支援など、ソフト面の取組も非常に大事だと思っております。  コロナ禍においても、防犯ボランティア団体や関係機関とより一層連携し、工夫を凝らしながら、地域防犯活動の活性化や人材確保、また人材育成の支援なども、できる限り取り組んでいただくよう要望させていただきます。  次に、外国籍県民への支援についてであります。  外国籍県民への支援は、国際文化観光局だけではなく、外国籍県民が抱える課題に応じて関係部局や関係機関としっかり連携して、必要な取組を進めていただくよう要望させていただきます。  次に、都市農業の推進についてであります。  県内農産物の安定生産に向けた栽培技術などにより、生産者を支援するとともに、県民のPRも工夫して、本県農業のファンを増やすよう取組を強化するよう要望させていただきます。  次に、信号機のLED化の推進と災害発生時の信号機の滅灯・倒壊対策についてであります。  県警察におかれましては、信号機のLED化の推進に対し、適切に取り組んでいただいていることを理解させていただきました。  災害発生時の信号機の滅灯・倒壊対策につきましては、引き続き必要な予算をしっかりと確保し、計画的に更新、整備を進めていただくなど、万全を期していただくよう要望させていただきます。  以上のことを要望いたしまして、私の質問を終了いたします。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 △《本会議録-令和3年第3回-20210921-029077-質問・答弁-栄居学議員-一般質問①知的障がい者への新型コロナワクチン接種について②消費者保護行政の推進について③消費者安全確保地域協議会について④交差点における交通事故防止について⑤飼い主のいない猫を増やさない取組について⑥公立小・中学校のオンライン学習における学習評価について⑦外国籍の子どもの不就学解消について⑧外国人の技能実習制度の適正な実施と技能実習生保護について》   〔栄居 学議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 栄居学君。  〔栄居 学議員登壇〕(拍手) ◆栄居学議員 議長のお許しを頂きましたので、私は、立憲民主党・民権クラブ神奈川県議会議員団の一員として、通告に従い、順次質問させていただきます。  先輩、同僚議員の皆様におかれましては、最終の時間帯でもございますので、お疲れのところと存じますが、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  それでは、質問に移らせていただきます。  質問の第1は、知的障がい者への新型コロナワクチン接種について伺います。  新型コロナウイルスの感染拡大については、依然として予断を許さない状況が続いております。本県でも、関係各局において、日々、多様な感染症対策に尽力されておりますが、今のところワクチン接種を迅速に進めることが、感染拡大や重症化を防ぐ最も重要な対策として位置づけられております。  本県におけるワクチン接種は、9月14日現在で、対象人口の約48%が2回目の接種を終えるなど、着々と接種が進んでいると承知しておりますが、一方で、県内に約7万人がお住まいの知的障害者については、マスク着用などの感染対策が難しい方も多いことから、早期のワクチン接種が望まれていると聞いております。  そうした中、知的障害者などへの接種支援については、相模原市において、知的障害や精神障害のある方を対象にワクチン臨時接種会場を新たに設置し、9月8日から接種を開始しているとのことであります。  報道によると、障害者の中には、日常の生活と異なる環境になじめない方や人混みが苦手であるという方がおり、通常の集団接種会場でのワクチン接種には迷いを持っていたという意見が紹介されております。  また、御家族からは、ワクチン接種を受けて大丈夫なのか、副反応があった場合の対処はどうすればよいかなど、御本人や御家族が相談できる場所がなく、悩んでいるといった御意見も私自身、伺っております。  県内には、相模原市のような好事例がありますので、私はさらに多くの県内市町村に取組が広まればよいと思いますが、規模の小さい市町村が独自に知的障害者などの専用会場を開設するのは難しい面もあるのではないかとも考えます。  住民接種は市町村が主体で実施しておりますが、特に規模の小さい市町村は県からの支援が必要であります。こうした状況を考えると、県もワクチンに関する知的障害者御本人や御家族の悩みを踏まえ、不安を払拭できるよう、市町村を支援していくべきではないでしょうか。  そこで、知事に伺います。  新型コロナワクチンの知的障害者への接種について、御本人や御家族が安心して接種を受けられるよう、県も市町村と連携して取り組むべきと考えますが、所見を伺います。  質問の第2は、消費者保護行政の推進について伺います。  新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの人が不要不急の外出を控え、自宅で過ごす時間が増えたことで、人々の生活スタイルは大きく変化しているということであります。  今年6月に公表された国の消費者白書によると、一昨年に比べると、昨年は、いわゆる巣籠もり消費の支出割合が増加する一方で、外出に関連する支出割合が減少しているという傾向が報告されております。  また、昨年11月の国の調査では、幅広い年代で、インターネットに費やす時間が1年前と比べて増加するなど、消費者の行動や意識にも大きな変化が見られているとのことです。  このような中、巣籠もり消費に乗じた悪質商法が増加しており、インターネット通販では、注文した商品が届かない、お試しと思ったら定期購入だったなどの消費者トラブルが増加しているという旨の話を耳にします。  次々に開発されるアプリを活用してデジタルコンテンツの取引や個人間取引が増加、多様化しておりますので、消費者保護の観点から、しばしば法律が追いついていないと感じることがあります。  実際に、7月に県が公表した昨年度の消費生活相談概要でも、インターネット通販等の電子商取引の相談は、一昨年度と比較し、約1.2倍に増加したとのことであります。  国は、こうした状況を背景に、今年6月に特定商取引法を改正し、定期購入ではないと誤認させる表示等に対して、違反行為があった場合に行政指導等をすることなく罰金を科すことができるように法改正を行いました。  また、一方的に送り付けられた商品は直ちに処分できることや、消費者からのクーリングオフ通知を電子メールで行えるようにするなど、消費者利益の増進のための改正もなされたところであります。  本県でも、消費者トラブルへの対応として、普及啓発や消費者教育などの未然防止の取組や、消費生活相談を通じた消費者への助言などに努めていることは承知しております。  しかし、インターネット通販など、全国を対象に事業を行っている者は、必ずしも県内に事業拠点があるとは限らず、県単独では対応し切れない面も出てきているという話をよく聞きます。  悪質商法の手口は巧妙かつ複雑化しており、国や他県とも連携し、消費者トラブルの原因となる悪質な事業者への対策を強化していくべきではないでしょうか。  そこで、知事に伺います。  巧妙かつ悪質な手口で消費者トラブルを引き起こす事業者に対する行政指導や行政処分の近年の状況、並びに、そうした状況に対してどのように対応していくのか、所見を伺います。  質問の第3は、消費者安全確保地域協議会について伺います。  国の消費者白書によると、高齢者に関する消費生活相談の約8割は本人からの相談である一方、認知症等の高齢者に関する相談を見ると、本人からの相談は約2割に満たない状況であるそうです。  このような状況から、特に配慮が必要な高齢者等を消費者トラブルから守るためには、家族のみならず、近隣住民や福祉事業者、行政機関等が連携して見守ることが必要であります。  国では、高齢者の社会的孤立や認知力の低下等により、消費者被害が深刻化したことを背景に、平成26年に消費者安全法を改正しました。この改正により、地域全体で高齢者等を見守り、消費者トラブルを地域の消費生活センターなどの機関に適切につなぐ消費者安全確保地域協議会の設置が進められていると承知しております。  この地域協議会は、多様な担い手が日々の見守りの中で発見した消費者被害の情報を、確実に消費生活センターへの相談へつなぐためのネットワークであり、今後、高齢化社会が進む中で、さらに重要な役割を担うようになるものと考えます。  全国では、8月末現在で、351の自治体が地域協議会を設置していると聞いております。  本県では、令和2年3月の防災警察常任委員会質疑の中で、我が会派の飯野まさたけ議員の質問に対して、県からは、市町村に対して設置に向けての働きかけを強めていく旨の答弁があり、その後、今年4月に鎌倉市に地域協議会が設置されたものの、県内では消費者安全確保地域協議会設置市は鎌倉市のみとなっております。  消費者安全法が改正され、市町村において消費者安全確保地域協議会を設置できるようになってから5年以上経過しましたが、県内市町村で地域協議会の設置が進んでいないのは非常に残念であり、何か支障があるのではないかと考えます。  そこで、くらし安全防災局長に伺います。  本県において、消費者安全確保地域協議会の設置が進まない理由をどのように考えるのか、また、今後、地域協議会の設置促進に向けてどのように取り組むのか、見解を伺います。  質問の第4は、交差点における交通事故防止について伺います。  県内の交通事故発生状況については、コロナ禍で大規模な外出自粛等が行われた昨年と比べ、本年8月末現在、発生件数及び負傷者数は増加しているものの、一方で、死者数は減少していると伺っており、県警察が日々交通事故抑止対策に尽力されていることは承知しております。  しかしながら、県内で発生している交通事故の多くは交差点で発生しているとのことであり、交通事故抑止を推進するためには、交差点における交通事故防止対策が重要な課題であるのではないでしょうか。  私の地元の川崎市川崎区では、日本損害保険協会が毎年公開している神奈川県内の交通事故多発交差点上位5か所の中に、元木交差点が平成26年から令和元年までの間に4度、また、鋼管通り交差点が3度、県内事故の多い交差点ワースト5の中に入っており、これらの交差点については、地域住民からも改良を求める御意見を伺うことがあります。  そうした中で、元木交差点については、自転車事故や追突事故が多い状況を踏まえ、既に県警察が関係機関と連携して、左折巻き込み防止対策のほか、交通円滑化に向けた対策に取り組んだことにより、県内ワースト交差点から脱しており、県警察の日々の御尽力に感謝申し上げる次第であります。  交差点における交通事故防止対策と一言で言っても、場所、時間帯、道路形状等によって発生する事故の形態は様々であり、また、交通渋滞等周辺道路に及ぼす影響もあるわけで、なかなか容易でないことは理解しておりますが、川崎市内のこの二つの交差点を例示としまして、事故が多く発生している交差点については、適切な対策に取り組んでもらいたいと考えております。  交通事故多発交差点では、道路管理者が交差点の状況に応じた交差点の改良など、事故が発生しにくい抜本的な安全対策を行えればいいのですが、道路の構造上、そのような対策ができなかったり、整備までに多大な時間を要することがほとんどであり、そうした現状を考えれば、道路管理者と警察との連携強化や、県警察のさらなる支援に期待するところであります。  そこで、警察本部長に伺います。  交差点における交通事故防止対策について、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  質問の第5は、飼い主のいない猫を増やさない取組について伺います。  猫は、繁殖力が極めて高いことが知られており、1頭の猫が1年間で20頭以上に増えることが可能であると言われています。  私は、飼い主のいない猫、いわゆる野良猫に関する相談を受けることがあり、現地を調査すると、猫が個人の敷地の一角などにすみ着いて繁殖してしまった結果、敷地内でのふん害や自動車などの財産を傷つける被害、また、時にはその場で猫が死んでしまい、家主や近隣の方がその亡きがらの扱いに苦慮するといったお話を伺います。  猫の頭数を増やさないためには、避妊・去勢手術が有効ですが、いわゆる野良猫には飼い主がいないため、避妊・去勢手術を十分に行うことが難しい状況にあります。  こうした事態を改善するために、県は、令和元年度から、飼い主のいない猫の避妊・去勢手術の支援事業を始めました。  この事業は、飼い主のいない猫に対して、地域住民があらかじめ自治会等への周知を行うなど、一定の手続を踏んだ後に、自ら捕獲し、県の動物愛護センターや地域の保健福祉事務所に持ち込み、避妊・去勢手術を行うものであり、その費用については、県が負担するという事業であります。  動物の愛護及び管理に関する法律の理念の下に、県の積極的な姿勢に感謝するところでありますが、しかし、県内自治体からは、飼い主のいない猫の増加に制度が追いついていないという声が届いており、御負担をお願いしているボランティア団体への県の支援をはじめとする、さらなる制度の拡充が訴えられております。  私は、こうした飼い主がいない猫の避妊・去勢手術支援事業は、県民の認知度がまだ低く、十分に活用されていないのではないかと懸念しております。また、制度を利用しようにも、事前の地域への周知や捕獲、センターへの持込みなどが大変であり、そうした意味でも、制度利用に当たっての支援が必要であると考えます。  本事業には、動物愛護推進員がサポートする側面もあると聞いており、この事業をさらに力強く行っていくためには、より多くの動物愛護推進員のお力を借りることができれば心強いと感じます。  そこで、健康医療局長に伺います。  飼い主のいない猫の避妊・去勢手術支援事業を、より多くの県民に活用してもらうために、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  質問の第6は、公立小・中学校のオンライン学習における学習評価について伺います。  新型コロナウイルス感染症については、いまだ感染が収まらない状況であります。特に、現在の陽性者の9割程度が罹患しているというデルタ株は感染力が強く、学校現場における感染の広がりも重大な問題となっており、児童・生徒やその保護者にも不安が広がっているのではないでしょうか。  そうした中、本県においては、小中学校の夏季休業明けに際し、県教育委員会が市町村教育委員会に対して、県立学校における対応を踏まえた上で、それぞれの地域の実情に応じて短縮授業や分散登校を実施すること、特にオンライン学習を活用した学びの継続について、協力を要請したと承知しております。  8月末からの小中学校の再開に当たっては、不安に感じるだけでなく、中には、感染症の感染を心配するなどして、やむを得ず学校に登校できない児童・生徒もいます。  こうした中、国は8月27日に、やむを得ず学校に登校できない児童生徒等へのICTを活用した学習指導等についての事務連絡を発出し、ICT端末を自宅に持ち帰り、ICT端末に学習課題等を配信することで自宅学習を促進することや、ウェブ会議システムを活用して学習指導等を行うことなど、登校できなくても学校と自宅等をつなぐ手段を確保し、児童・生徒とコミュニケーションを絶やさず、学びを止めないようにする取組を進めることを本県に対しても依頼しております。  そして、実際に、県内の幾つかの自治体の小中学校においても、やむを得ず学校に登校できない児童・生徒に対するオンライン学習が始まったと承知しております。  私は、このオンライン学習を行う児童・生徒に対し、しっかりと学習評価がなされているか心配しています。  文部科学省によれば、小中学校における学習評価については、1「知識・技能」、2「思考・判断・表現」、3「主体的に学習に取り組む態度」という三つの観点から児童・生徒を評価するとされています。  こうした三つの観点の中でも、特に「主体的に学習に取り組む態度」の観点について、主に児童・生徒が学校に来ていないということを理由として、その評価が低くなるという心配の声を耳にしました。  学校はコロナ禍において、臨時休業や感染への不安などにより、オンラインによる学習に取り組んでいる児童・生徒のやる気を認め、一人一人の学習の様子を把握した上で、適切に評価に組み入れるべきです。  私は、このたびの文科省の事務連絡等を受けてオンライン等で学習を行った児童・生徒が、その学習評価において不利益を被るなど、オンライン学習の学習評価や評価基準が県内各地において差があってはならないと考えます。  そこで、教育監に伺います。  公立小中学校におけるオンライン学習に係る児童・生徒の学習評価について、県教育委員会としてどのように取り組むのか、見解を伺います。  質問の第7は、外国籍の子どもの不就学解消について伺います。  本県における外国籍児童・生徒の数は年々増加し、その国籍も様々です。また、国籍や文化、日本に来た経緯等の違いから、外国籍の児童・生徒が抱える課題は多様化していると言われております。  私の地元である川崎市川崎区は、県が公表している市区町村別外国人人数において、令和3年1月1日時点で1万6,744名の外国人登録があり、県内の市区町村別の単純な登録人数ではありますが、県内一の登録者数となっており、支援を必要とする子供たちが多数いることが想定されます。  居場所や所属がなく、孤立してしまう子供たち、とりわけ日本語が分からない外国につながりのある子供たちが、犯罪などに巻き込まれることがないのか憂慮しております。  そうした中、令和元年度に文部科学省が初めて実施した外国人の子供の教育の更なる充実に向けた就学状況等調査では、本県でも、政令市をはじめとした幾つかの市町村において、不就学の可能性がある外国籍の子供がいることが明らかになりました。  この調査では、市町村の住民基本台帳に記載のある6歳から15歳の学齢相当の外国籍の子供の数が、本県は、東京都、愛知県に次いで全国で3番目であったとのことです。そのうち、不就学の可能性があると考えられる子供の数は、東京都に次いで全国2番目に多い数でした。  私は、不就学の子供たちが、就学していないために家の手伝いや幼い兄弟の面倒を見ているという状況を聞くことがあり、そういった子供たちの教育機会が保障されていないことが心配です。  また、学校での教育を受けていないことで、不就学の子供が、進学・進路、就職等において不利益な状況になることも懸念されます。外国籍の子供の教育機会を確保するとともに、将来の進学・進路選択が広がるよう、外国籍の子供たちを就学につなげるために、県教育委員会としても取り組んでほしいと考えております。  そこで、教育長に伺います。  外国籍の子供の就学の促進について、県教育委員会の取組を伺います。  質問の第8は外国人の技能実習制度の適正な実施と技能実習生保護について伺います。  外国人技能実習制度は、平成29年に外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行され、これまで多くの技能実習生が技能を身につけ、本国に持ち帰るために来日しており、令和2年末時点で全国に約38万人が在留しているとのことです。  しかし、技能実習制度については、制度開始当初から国内の経済団体、労働団体、弁護士会などから厳しい意見を受けたり、国連関係機関や他国からも指摘などがあったということであります。  現在でも、受入れ企業が、労使の協定で定めた上限時間を超える長時間労働をさせたり、時間外労働の割増賃金の未払い、実習生に対するハラスメントなどについての報道があり、2020年の厚生労働省の調査によれば、技能実習生が働く職場の7割程度の事業所において労働基準法や労働安全衛生法違反が見つかったとのことであります。  また、先週は、外国人技能実習生に実習先をあっせんする監理団体に対して、国税局が約2億円の所得隠しを指摘したことがニュースになりましたが、昨年も似たような事案があり、制度における課題の複雑さを感じるところであります。  この制度では、受入れ元となる監理団体の指導、技能実習生への相談対応や援助は、国の外郭団体である外国人技能実習機構が行い、また、受入れ企業で労働関係法に違反する事案があれば、労働基準監督署が指導することになっております。  しかし、一方で、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律において、県の役割は、外国人実習生の滞在期間に応じて技能検定を実施するとともに、第4条には、地方公共団体は、地域の実情に応じ、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るために必要な施策を推進するように努めなければならないといった記載があり、また、同法第56条では、その地域の実情を踏まえた技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に資する取組について協議を行うという地域協議会の記載があります。  そして、これを踏まえて、実際に県及び県警察が技能実習法に係る関東地区地域協議会の構成員として、その一翼を担っているところです。  私は、前述のように、多くの課題がある制度でありますので、今後は県としても最大限、外国人技能実習制度に関与してほしいと考えております。特に実習生は相談相手が少なく、中には孤立してしまっている方もいるという話を聞きますので、そうした実習生に対して、適切な情報提供を行うことや、労働相談を充実させるなど、法に基づいて県が支援できる余地はあると考えます。  そこで、産業労働局長に伺います。  県は、国の関係機関や外国人技能実習機構等の関係機関で構成される地域協議会の一員として、技能実習制度の適正な運営に向けて、どのように役割を果たしていくのか、見解を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 栄居議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、知的障がい者への新型コロナワクチン接種についてお尋ねがありました。  知的障害者の中には、マスク等による感染対策が難しい方もおり、特に施設においては、依然としてクラスターの発生も見受けられます。こうしたことから、施設に入所している知的障害者に対しては、できる限り速やかにワクチンを接種することが重要です。  また、在宅の知的障害者もワクチン接種のために外出しようとしても、見知らぬ人が集まる集団接種のような場所を苦手とする方がおり、そうした不安を払拭する工夫も必要です。  まず、施設に入所している知的障害者に対しては、嘱託医による巡回接種が行われており、県では、その接種状況を把握するため、現在、調査を実施しています。今後、この調査で得られた接種状況のデータを市町村に提供し、接種が進んでいない施設における接種を促していきます。  また、在宅の知的障害者に対しては、安心して接種を受けられる環境づくりが重要です。そこで、専用の接種会場の設置や、在宅の重度障害者への訪問接種の実施など、県内外の好事例を市町村に情報提供していきます。  さらに、知的障害者の対応に慣れた医療機関等に、周辺市町村からの接種の受入れができないか、市町村と連携して依頼することも検討していきます。  こうしたことにより、知的障害者に対するワクチン接種が進むよう、県と市町村が連携し、しっかりと取り組んでまいります。  次に、消費者保護行政の推進についてお尋ねがありました。  現在のコロナ禍において、インターネット通販における消費者トラブルや、高齢者の自宅を突然訪問し、不安をあおって必要のない工事を契約させるトラブルが増えています。  こうした消費者トラブルをなくすためには、事業者が営業行為に当たって、関係法令を遵守することが何よりも重要です。  県では、苦情相談によって明らかになった営業行為に問題のある事業者に対して、適正な取引を行うよう、特定商取引法や、県の消費生活条例に基づく行政指導を年間約30回実施しています。  こうした行政指導後も苦情相談が続くなど、業務の改善が見られない事業者には、業務停止命令などの行政処分を行い、被害の拡大防止を図っています。  昨年3月には、業務改善が見られない住宅リフォーム事業者に対して、6か月の業務停止命令等の行政処分を行い、事業者名も公表しました。  また、県境を越えて営業行為に問題がある事業者に対しては、近隣都県と連携し、合同で行政指導を行うなど、広域的な消費者トラブルの拡大防止に取り組んでいます。  さらに、こうした事業者への指導や処分に加えて、今どのような消費者トラブルが多いのかや、トラブルに巻き込まれた際の対処方法などを、チラシやSNSなどを積極的に活用して、県民の皆様に注意を呼びかけています。  県としては、こうした取組を通じて、引き続き、巧妙かつ悪質な手口で消費者トラブルを引き起こす事業者に毅然と対応し、消費者保護行政をしっかりと推進してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔くらし安全防災局長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 花田くらし安全防災局長。 ◎くらし安全防災局長(花田忠雄) くらし安全防災局関係の御質問にお答えします。  消費者安全確保地域協議会についてお尋ねがありました。  認知症の高齢者など、判断力が不十分となった方は、自分が消費者トラブルに巻き込まれたことに気づかず、悪質な事業者に付け込まれ、被害がさらに拡大するおそれがあります。  こうした被害を防ぐためには、福祉関係者や警察、民間事業者など、地域の担い手が日頃から高齢者等を見守り、消費者トラブルに気づいた際に、消費生活センターに速やかにつなげることが必要です。  そこで、国は、平成26年に消費者安全法を改正し、高齢者等を見守る体制として、市町村が消費者安全確保地域協議会を設置できるようにしました。しかし、多くの市町村では、高齢者等を地域で見守るネットワークを既に構築しており、消費者トラブルに関する協議会を新たに設置するのは非効率であるなどの理由から、地域協議会の設置が進まない状況にありました。  こうした状況を踏まえ、国は平成29年に福祉関係の既存のネットワークを活用して、地域協議会とすることも可能との見解を示しました。  そこで、県は、こうした柔軟な対応もできることを改めて市町村に周知し、地域協議会の速やかな設置について、粘り強く働きかけてきました。  こうした中、県内で初めて鎌倉市が消費者安全確保地域協議会を設置し、~いざ、お節介~鎌倉市くらし見守りネットワークとして、本年7月から民間事業者等による声かけ活動などを始めています。  県としては、鎌倉市における先行的な取組を他の市町村に積極的に周知し、今後、より多くの市町村で消費者安全確保地域協議会の設置が広がるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔健康医療局長(山田健司)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 山田健康医療局長。 ◎健康医療局長(山田健司) 健康医療局関係の御質問にお答えします。  飼い主のいない猫を増やさない取組についてお尋ねがありました。  飼い主のいない猫の多くは、避妊・去勢の手術が行われていないため、繁殖して、その数が大幅に増えてしまうことがあります。猫の頭数が増えることにより、ふん尿被害や自動車を傷つける等の事例も多くなることから、県としても、その対策が必要であると考えています。  そこで、県では、令和元年11月から、地域住民が自ら捕獲した飼い主のいない猫の避妊・去勢の手術を無償で実施する事業を開始しました。  しかし、この事業は、県民に十分な周知が進んでいないため、実施件数が伸び悩んでいます。また、捕獲方法については、保健福祉事務所が捕獲器の使い方などの説明を行ってきましたが、住民からは、思うように捕獲できないといった声が寄せられています。  そこで、この事業の概要について、これまでのホームページやリーフレットによる周知だけではなく、新たにSNSを活用するなど、より積極的な広報に努めていきます。  また、猫の捕獲についても、今後は猫の習性に詳しい動物愛護推進員に、実際に捕獲に御協力頂くなど、そのサポートを充実させていきます。  このように、事業を進めていくためには、動物愛護推進員の協力が不可欠であり、御協力頂ける推進員を増やすため、これまでの募集方法に加え、SNSを活用した募集も行っていきます。  こうしたことにより、県民の皆様に本事業を十分に御活用いただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔産業労働局長(野田久義)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 野田産業労働局長。 ◎産業労働局長(野田久義) 産業労働局関係の御質問にお答えします。  外国人の技能実習制度の適正な実施と技能実習生保護についてお尋ねがありました。  外国人技能実習制度は国際貢献を目的に、開発途上国等の人材を一定期間受入れ、企業等での実務を通じて技能を習得してもらう制度で、現在、県内では約1万4,000人の実習生を受け入れています。  この制度の中で、県は、技能実習生が在留期間を更新する際に、技能検定を実施し、習得した技能の水準を判定する役割を担っています。  このため、制度全般を所管する外国人技能実習機構や国の地方労働局等の関係機関で組織される地域協議会に参画し、技能実習生の受入れ数について情報提供を受け、県が実施する技能検定の円滑な運営に役立てています。  また、この協議会では、県内の受入れ企業の監督指導状況について報告されていますが、令和元年には労働基準関係法令の違反が348件あり、そのうち、賃金の不払い等の関係が80件、労働時間の関係が58件となっており、依然として課題が多い状況です。  さらに、コロナ禍の厳しい経済環境の中で、受入れ企業が倒産して実習先の変更を余儀なくされる技能実習生もいることが報告されています。  そこで、困難な雇用環境に直面した技能実習生を支援するため、そうした実習生が県の労働相談窓口に来られた際には、事情をお聞きし、必要に応じて外国人技能実習機構や労働基準監督署などの関係機関へ連絡し、解決につなげていきます。  また、外国人技能実習機構が設けている実習生向けの緊急相談窓口を広く周知するため、県が実施する技能検定の際にチラシ等で案内するとともに、県の外国人労働相談のホームページやSNSでも積極的にPRしていきます。  県は、こうした取組により、技能実習制度が適正に運営されるよう、地域協議会の一員として関係機関と連携し、着実に役割を果たしてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  外国籍の子どもの不就学解消についてです。  外国籍の子供の就学については、教育機会を確保する観点から、各市町村教育委員会が小中学校への受入れに努めています。  そうした中、令和元年度に国が初めて実施した外国人の子供の就学状況等調査により、本県にも都市部を中心に、不就学の可能性がある外国籍の子供が一定数いることが明らかになりました。  県教育委員会では、この調査結果を受け、令和2年1月に、全ての市町村教育委員会の就学事務担当課長を集めた会議を臨時に開催し、就学の手続や不就学児の把握における課題、取組の工夫などを共有しました。  しかしながら、現在においても、不就学の外国籍の子供の事例が報告されており、保護者の就学に対する不安解消や地域における就学状況の実態把握が課題となっています。  そこで、県教育委員会では、この10月に市町村教育委員会指導主事等を対象とした会議において、外国籍の子供を支援する団体が作成したガイドブックを活用した保護者への就学支援や、地域の民生委員との連携による実態把握などの取組について、好事例を情報提供していきます。  また、年内に取りまとめられる予定の国による2回目の外国人の子供の就学状況等調査結果を受け、令和4年1月には市町村教育委員会主管課長会議を開催します。そして、各市町村教育委員会がこの調査結果を踏まえ、互いの取組の参考となるよう、例えば保護者の就学への理解を進める上での手だて等について協議していく予定です。  県教育委員会としては、こうした取組を通じて、外国籍の子供の不就学解消に向け、市町村教育委員会を後押ししてまいります。  私からの答弁は以上でございます。  〔教育監(岡野 親)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 岡野教育監。 ◎教育監(岡野親) 次に、公立小・中学校のオンライン学習における学習評価についてです。  学習評価は、児童・生徒一人一人の日々の学習状況や成果を教員が的確に把握し、実施することが基本です。  県教育委員会では、小学校及び中学校の学習指導要領改訂を受け、令和元年度に学習評価の基本的な考え方や方法をまとめた資料集を作成し、各小中学校に配付するなど、学校における適切な学習評価の実施を支援してきました。  こうした中、新型コロナウイルス感染症への不安等により、学校に登校できない児童・生徒へのオンライン学習について、国は本年2月、自宅等の学習の状況や成果を学校における学習評価に反映することができるという考え方を示しました。  このことを踏まえた上で、教員は日々、オンライン学習に取り組む児童・生徒の学びへの意欲等を受け止め、適切に評価していくことが重要です。  そこで、県教育委員会では、今年度新たに政令市も含めた市町村教育委員会の担当指導主事を対象として設置した小中学校学習評価連絡会で、オンライン学習における学習評価の取組や工夫について検討していきます。  そして、そこでの検討結果を全県指導主事会議等を通じて、市町村教育委員会及び各学校と共有し、どの学校においても、オンライン学習における評価が適切に行われるよう支援してまいります。  以上でございます。  〔警察本部長(山本 仁)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 山本警察本部長。
    ◎警察本部長(山本仁) 交差点における交通事故防止対策についてお答えします。  初めに、本年8月末現在、県内における交通事故の発生件数につきましては1万3,958件で、昨年の同じ時期と比べて1,254件増加しております。このうち、交差点での交通事故につきましては6,474件と、昨年の同じ時期と比べて508件増加しており、交通事故全体の約半数を占めております。  また、主な特徴としましては、右折車両と直進車両との衝突や、横断歩道における車両と歩行者との衝突が多く発生しております。  県警察では、こうした事故を防止するため、信号無視や横断歩行者妨害等の交通指導取締りのほか、県警察公式ツイッターを活用して、交差点を通行する際の注意喚起を行う広報啓発活動などを実施しております。  また、議員御指摘の川崎市内の交差点など、交通事故が多発している交差点につきましては、道路管理者等の関係機関と連携して、道路改良や交通規制の見直し、注意喚起のための看板の設置など、交通事故の発生状況に応じた対策を講じております。  県警察としましては、県民の皆様の安全で安心な道路交通社会を実現するため、引き続き交通事故の発生状況に応じた交通指導取締りや関係機関と連携した各種取組など、交差点における交通事故防止対策を適切に推進してまいります。  以上でございます。  〔栄居 学議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 栄居学君。  〔栄居 学議員登壇〕 ◆栄居学議員 御答弁を頂きまして、どうもありがとうございます。  私のほうから、意見、要望を申し上げたいと思います。  初めに、消費者保護行政の推進についてでありますが、近年の行政指導や行政処分の状況について、県としても大変尽力されているというふうに思いました。  しかし、国は消費者行政について、真意は分からないのですが、地方公共団体の自治事務であるという説明を繰り返し行っております。さらに、これを踏まえて、どこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられ、消費者の安全・安心が確保される地域体制を全国的に維持、拡充することを目指しまして、地方消費者行政強化作戦2020を定めております。  この強化作戦2020の推進に当たっては、消費者庁が都道府県ごとに様々な項目について目標設定を行っておりますので、本県としても、目標達成の努力を行いながら、消費者行政は地方公共団体の自治事務であるということでありますので、特に今後はインターネットを利用した取引に関する消費者保護を充実されるようにお願いしたいと思います。  次に、交差点における交通事故防止についてであります。  質問の中で例示させていただいた川崎区の元木交差点や鋼管通り交差点など、長期にわたって交通事故発生件数が多い交差点については、県警察でも、より詳細なデータや情報をお持ちであると思いますので、事故が発生しにくい交差点の形状となるように、順次のハード整備を含めた交差点改良をお願いいたします。  以上で、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(小島健一) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島健一) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  お諮りいたします。  明22日は休会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島健一) 御異議がないと認めます。  よって、そのように決しました。  次回の会議は、9月24日午前10時30分に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後4時54分 散会...