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09月14日-04号

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  1. 神奈川県議会 2021-09-14
    09月14日-04号


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    令和 3年 第三回 定例会 △《本会議録-令和3年第3回-20210914-029058-諸事項-出席議員等議事日程-》         令和3年第3回神奈川県議会定例会会議録第4号〇令和3年9月14日 午後1時開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共104名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       加   藤   ご   う                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       田   村   ゆうすけ                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   けいすけ                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       池   田   東 一 郎                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       石   川   裕   憲                       米   村   和   彦                       栄   居       学                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       さ と う   知   一                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       加   藤   元   弥                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       青   山   圭   一                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       浦   道   健   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       内   田   み ほ こ                       長   田   進   治                       国   松       誠                       杉   本       透                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       く さ か   景   子                       北   井   宏   昭                       菅   原   直   敏                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       松   本       清                       し き だ   博   昭                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       作   山   ゆうすけ                       てらさき    雄   介                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       曽 我 部   久 美 子       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         同             首   藤   健   治         政策局長          髙   澤   幸   夫         くらし安全防災局長     花   田   忠   雄         環境農政局長        鈴   木   真 由 美         福祉子どもらい局長    橋   本   和   也         健康医療局長兼未病担当局長 山   田   健   司         県土整備局長        大   島   伸   生         共生担当局長        安   井   由 美 子         教育委員会教育長      桐   谷   次   郎         同  教育局長       田   代   文   彦         警察本部長         山   本       仁         同  総務部長       木   原   信 一 郎   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          平   井   和   友         議会局副局長兼総務課長   霜   尾   克   彦         同  議事課長       井   上       実         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和3年第3回神奈川県議会定例会議事日程第4号                            令和3年9月14日午後1時開議第1 定県第 123号議案 令和3年度神奈川県一般会計補正予算(第16号)   定県第 124号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 125号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例   定県第 126号議案 神奈川県県税条例の一部を改正する条例   定県第 127号議案 神奈川県地震災害対策推進条例の一部を改正する条例   定県第 128号議案 神奈川県屋外広告物条例の一部を改正する条例   定県第 129号議案 工事請負契約の締結について(県営阿久和団地公営住宅新築工事(3期-建築-第4工区)請負契約)   定県第 130号議案 指定管理者の指定について(相模湖公園及び相模湖漕艇場)   定県第 131号議案 指定管理者の指定について(秦野戸川公園及び山岳スポーツセンター)   定県第 132号議案 指定管理者の指定について(相模三川公園)   定県第 133号議案 指定管理者の指定について(山北つぶらの公園)   定県第 134号議案 神奈川県科学技術政策大綱の計画期間の変更について   定県第 135号議案 訴訟の提起について   定県第 136号議案 和解について   定県第 137号議案 和解について   定県第 138号議案 地方独立行政法人神奈川県立病院機構定款の変更について   県報第2号 専決処分について承認を求めること(動産の取得について)第2 認第1号 令和2年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和3年第3回-20210914-029059-質問・答弁-西村くにこ議員-代表質問①コロナ重症化を防ぐ医療提供体制について②看護師を対象としたメンタルヘルス調査の結果及びその活用について③かながわ性犯罪性暴力被害者ワンストップ支援センター「かならいん」について④#7119の推進について⑤神奈川循環器病対策推進計画について⑥低出生体重児のための母子手帳について⑦生理の貧困への対応について⑧県立学校における生理の貧困への対応について⑨「夜間中学」について⑩高齢者講習等の円滑な実施に向けた取組について》    〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共63名 ○副議長(佐々木正行) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(佐々木正行) 審議を行います。  日程第1、定県第123号議案 令和3年度神奈川県一般会計補正予算外16件及び日程第2、認第1号 令和2年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  西村くにこ君。  〔西村くにこ議員登壇〕(拍手) ◆西村くにこ議員 議長のお許しを頂きましたので、私は公明党神奈川県議会議員団を代表して、通告に従い、順次質問させていただきます。  知事並びに教育長、警察本部長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。  新型コロナウイルスは、時に不平等のウイルスと呼ばれる。未知の疾病との闘いは、強者よりも弱者に厳しい試練を課し、先進国と途上国、富裕層と貧困層との格差を助長してきた。これは、国際政治学者イアン・ブレマー氏の言葉です。  コロナ禍では、平時にも増して、弱い立場の方々の実情に目を凝らし、小さな声に耳をそばだてなければなりません。  本日は、コロナ禍にあって、不平等を感じていらっしゃるであろう様々な立場の方々の声を代弁する思いで、質問させていただきます。  〔資料提示〕  質問の第1は、コロナ重症化を防ぐ医療提供体制についてです。  新型コロナウイルス感染症第5波は、これまで経験のない最大の感染拡大を引き起こし、病床数の逼迫が、自宅療養もしくは宿泊療養する患者数の急激な増加をもたらしました。  私たちのもとには、こうした入院をしていない、入院ができない軽症及び中等症の方々、また、その御家族から不安の声が日々寄せられています。  8月27日、公明党神奈川県議団は知事に対し、コロナ重症化を防ぐ医療提供体制を求める緊急要望を手渡し、新型コロナウイルス感染症の治療薬として特例承認されたレムデシビルや、中和抗体薬ロナプリーブを投与できる体制整備を求めました。  〔資料提示〕  特にロナプリーブは、これまで承認されてきた治療薬が、いずれも中等症以上の重症度で使用されるのに対し、条件次第で軽症に使える初めての薬であり、入院や死亡のリスクが70.4%減少したという報告からも、活用の拡大に期待が寄せられています。  県は早速、中和抗体薬神奈川モデルを立ち上げ、県立がんセンターロナプリーブを用いた抗体カクテル療法を開始したと承知していますが、まだまだ十分な体制とは言えません。  そもそも、投与が入院を原則としていたため、従来の医療提供体制では限定的な活用にとどまらざるを得ませんでしたが、ロナプリーブについては、公明党の提言により、早期投与を確保するために、外来での投与が認められました。  また、現在、点滴に限定されている投与方法についても、外来での利便性を考慮して、皮下注射も行えるよう変更申請を進めていると聞いています。  今後は、治療の実施を検討いただける医療機関への働きかけを続けるとともに、簡易な臨時の医療機関での投与も検討すべきと考えます。  人材や薬剤の確保、患者の搬送体制など課題は山積していますが、災害級の感染状況にあって、コロナ重症化を食い止め、医療崩壊を引き起こさないための新たな体制整備を急がなければなりません。  そこで、知事に伺います。  自宅療養をするコロナ患者の重症化を防ぐ観点から、ロナプリーブなどの治療を早期に受けることができる体制の強化が必要と考えますが、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、看護師を対象としたメンタルヘルス調査の結果及びその活用についてです。  新型コロナウイルス感染症への対応では、現在の感染爆発とも言える状況により、治療や看護を行う医療従事者への負担がますます大きくなっています。  デルタ株をはじめとするウイルスの変異などにより、ワクチン接種後に感染する方もいらっしゃり、患者さんと接する看護師をはじめ、医療従事者の皆さんは、気の抜けない日々を過ごされていると思います。  〔資料提示〕  先日、岡山県の倉敷中央病院の栗山医長らによる、バーンアウト、いわゆる燃え尽き症候群に関する調査結果が報道されました。  この調査によれば、3次救急に指定されている全国15病院の医療従事者の4人に1人が、自分はバーンアウトの状態にあると答えており、医療現場は追い込まれていると指摘されています。  我が会派では、本年2月の佐々木正行議員代表質問において、新型コロナウイルス感染症への対応が長期化する中、強いストレスを感じている医療従事者に対するサポートに取り組むべきであると訴えました。  知事からは、メンタルヘルスの実態把握のため、病院機構の看護師に対し、調査・研究を行い、その結果を分析して、看護師のメンタルヘルスケアの充実に役立てるとともに、県内医療機関に周知するとの答弁がありました。  病院機構の全看護師を対象とする大規模な調査であり、多忙な中、その分析を行うのは大変な作業であると承知しておりますが、感染爆発により、業務が一層厳しくなっている今だからこそ、この調査が、コロナ対応に苦しむ看護師の皆さんのメンタルヘルス対策の参考になると考えます。  そこで、知事に伺います。  県立病院機構で実施したメンタルヘルスの調査から、どのようなことが分かったのか、また、その結果を踏まえ、県立病院機構ではどのように対応し、県ではどのように活用していくのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第3は、かながわ性犯罪性暴力被害者ワンストップ支援センター「かならいん」についてです。  全国のワンストップ支援センターに寄せられた2020年度の性暴力や性犯罪の相談件数は、前年度比23.6%増の5万1,141件でした。新型コロナウイルス感染拡大で在宅時間が長くなり、家族や同居人から受けた性暴力の相談が増加しており、中には、以前に受けた被害を話す事例も目立つことから、性犯罪は被害者が長い時間にわたって苦しみ、警察に届け出たり、相談できずにいる人が多いことが改めて明らかになりました。  〔資料提示〕  本県が運営する、かながわ性犯罪性暴力被害者ワンストップ支援センター「かならいん」は、平成29年8月から、24時間365日の体制で、警察への届出の難しい被害者からの相談に応じ、医療機関への緊急の受診等の支援をワンストップで行っています。  性犯罪の被害は潜在化しやすく、平成31年の国の調査では、実に8割の被害者が捜査機関への届出を行っていません。一方、証拠は、時間の経過とともに消失してしまい、被害者がやっとの思いで捜査機関への届出を決意したときには、被害の証明が難しくなってしまうのです。  公判で確実に採用されるための手続や必要な設備など、証拠採取に係る課題は多岐にわたりますが、何よりも、証拠採取等を担っていただける医療機関の存在が不可欠です。  また、証拠採取に当たっては、被害者の心理に配慮しながら専門的な手続を担う人材の育成が必要であり、私は繰り返し、SANE、すなわち、性暴力被害者支援看護職の重要性についても訴えてまいりました。  現在、医療機関において、新型コロナウイルス感染症への対応が最優先となっていることは理解しておりますが、コロナ禍で外出を控え、人とのつながりが希薄となり、被害がますます潜在化する心配がある今だからこそ、検討を前に進める必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  かながわ性犯罪性暴力被害者ワンストップ支援センター「かならいん」における証拠採取等を進めるべきと考えますが、現在どのような検討を行っているのか、また、実施に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、#7119の推進についてです。  近年、救急搬送件数は、高齢化の進展等に伴い、年々増加しており、重篤な傷病者への対応に影響が出ることが危惧されております。  〔資料提示〕  救急相談ダイヤルは、医師や看護師が症状に応じて救急車の利用が必要かを判断し、近くの医療機関の受診を促すなどの助言を行うことにより、不要不急の救急車の出動が抑制され、より緊急を要する患者の搬送を行えることで、救える命を増やす効果が期待できます。  現在は、横浜市のみが救急電話相談#7119を実施していますが、県が主導して全県に拡大し展開するよう、我が会派は平成28年度の本会議で質問に取り上げて以降、継続して提言、要望を行ってまいりました。  全県化に向けては、県や市町村に新たな財政負担が生じることや、既に医療機関案内を実施している市町村があること、また、東京都や静岡県の一部など、市外局番が同一である地域は、他県のコールセンターにつながってしまうことがあるなど、救急電話相談の全県展開については課題があると承知しています。  そうした課題について、令和元年度第3回定例会の亀井たかつぐ議員による代表質問では、知事から、県が新たなダイヤル番号を設定して広域化を進める方法も考えられるので、よりよい方法を検討しながら課題を解決し、条件の整った市町村に参加していただくなど、令和3年度からの段階的な広域化を目指していくとの御答弁を頂きました。  一方で、今年の3月に、消防庁が#7119の全国展開に向けた取組について、都道府県も積極的に取り組むよう通知があり、その中で、これまで市町村に行っていた財政措置を見直し、#7119を実施する都道府県及び市町村に財政措置を行うこととされたと承知しています。  そこで、知事に伺います。  こうした状況を踏まえ、救急電話相談の広域化に向けて、どのように進めていくのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、神奈川県循環器病対策推進計画についてです。  心臓病や脳卒中などの循環器病は、国内で年間31万人以上の方が亡くなり、また、命を取り留めても麻痺等の後遺症が残ることも多く、要介護の原因の20%を占めるなど、超高齢社会の重大な課題となっています。  我が会派では、こうした循環器病に対し、予防や普及啓発、医療や福祉の提供体制、そして、それらを支えるための研究の推進等を目指すための法整備を国に求めてまいりました。  令和元年12月に、健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法、いわゆる循環器病基本法が施行され、本県においても、法に基づく神奈川県循環器病対策推進計画の策定に向け、この6月に学識者や医療関係者等から成る検討部会が開催されたと承知しています。  これについては第1回定例会で、我が会派の藤井深介議員より、神奈川らしい計画の策定を求めたところです。  〔資料提示〕  神奈川らしいと言えば、本県のヘルスケア・ニューフロンティアの取組では、川崎市殿町での再生・細胞医療の脳梗塞への活用研究や、湘南地域でのロボットスーツによるリハビリの社会実装が推進されていますが、今後さらに新たな神奈川発の研究成果が計画に盛り込まれることを期待しています。  脳卒中においては、急性期医療の進歩も目覚ましく、2020年の国立循環器病研究センターの調べによると、日本の急性期脳梗塞医療において、tPAを用いた血栓溶解療法は83.7%、カテーテルを用いた血栓回収療法は34.9%まで拡充されてきたことが分かりました。  私は、これらの情報が救急搬送において活用されれば、患者のより良好な予後につながると考えています。一般的に、急性期脳卒中の患者は直近の病院に搬送されますが、今後は、患者の状況によって、適した治療が行える病院に搬送する体制が求められています。  〔資料提示〕  本県においては、既に横浜や川崎で、tPAを使った脳梗塞の治療を行える医療機関への緊急搬送体制が整備されていると伺っています。こういった体制が県内全域でも可能となるよう、実態を把握し、計画に盛り込み、課題を明確化することにより、医療提供のさらなる充実が図れると思います。  そのためにも、県と医療機関、アカデミアが一体となって、本県の持てる力を最大限に発揮し、本県らしい推進計画を策定して、脳卒中に立ち向かっていくべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  県が今年度中に策定を予定している神奈川県循環器病対策推進計画において、脳卒中に対する体制整備や研究推進に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6は、低出生体重児のための母子手帳についてです。  母子健康手帳、いわゆる母子手帳は、妊娠初期から、子供が小学校に入学するまでの母と子の一貫した健康管理を記録するもので、医師の記録とともに、妊産婦自らが、我が子の成長を記入する大切な手帳です。  赤ちゃんは平均3,000グラム前後で生まれてきますが、中には体重が2,500グラムに満たない状態で生まれてくる低出生体重児もいます。  厚生労働省によると、2019年に生まれた低出生体重児は8万1,462人。低出生体重児の場合、母子手帳に記載されている平均的な身長、体重に届かず、成長のペースも異なるため、親は子の成長を実感できず、不安で落ち込んでしまうケースも少なくないと伺いました。  このように、母子手帳を見るたびに心を痛めているママたちのための取組が、今、全国で広がっています。  〔資料提示〕  静岡県では、小さな赤ちゃんを産んだママのための母子手帳「しずおかリトルベビーハンドブック」を2018年3月に作成しました。作成に当たっては、先輩ママやNICUを有する医療機関、助産師会などの各種団体等々、関係者の意見を広くお聴きし、リトルベビーのためのネットワークを構築されながら進められたと伺っています。  ハンドブックには、一般の母子手帳にはない、1,500グラム未満の極低出生体重児の発育曲線を掲載したり、赤ちゃんの成長・発達のチェックでも、しかめ顔などの表情をするといった独自の項目を設け、我が子の成長を実感できる工夫が盛り込まれています。  2020年には福岡県と岐阜県で、21年には広島県、愛知県、佐賀県で発行されており、現在も発行を目指して、幾つかの府県が取組を進めていると承知しております。  出産直後の母親が一番つらいときに、このような心強い冊子を手にすることで、10人に1人がなると言われている産後鬱などを防ぐことにもつながると考えます。  本県でも、全てのお母さんが希望を持って育児に取り組める環境整備の一つとして、進めていただきたいと思います。  そこで、知事に伺います。  切れ目のない支援のツールとして、本県でも低出生体重児のための母子手帳「リトルベビーハンドブック」の発行に取り組むべきと考えますが、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第7は、生理の貧困への対応についてです。  新型コロナウイルス感染症の拡大は収束の兆しを見せず、女性の非正規雇用労働者の解雇や独り親家庭の困窮など、多くの女性に対し、経済的に深刻な影響を及ぼしています。  〔資料提示〕  そうしたコロナ禍の状況において、女子大学生を中心に発足した民間団体、#みんなの生理が生理に関する学生アンケートを実施したところ、学生のうち、過去1年間に経済的理由で生理用品を買うのに苦労したことがある、買えなかったことがあると答えた人は、合わせて26%にも上ったことが判明しました。こうした状況は、生理の貧困と呼ばれ、社会問題として注目を集めているところです。  しかし、生理の貧困問題は、世界各国においては既に様々な対策が進められています。例えば、フランスでは、全ての大学で生理用品の無料配布が決定されていますし、オーストラリアやイギリスでは、生理用品を非課税としています。さらに、スコットランドでは、昨年、必要とする全ての人に生理用品を無償で提供する法案が可決されました。  翻って、我が国では、さきの民間調査をきっかけに、全国各地で生理の貧困に係る様々な取組がようやく広がりを見せ始めたところです。  内閣府の調査によると、生理の貧困に係る取組を実施している、または実施を検討している地方公共団体は、7月中旬時点で全国で581に上ります。こうした取組の中には、予算を措置して対応している自治体もありますが、多くは、個人、団体、企業からの寄附や、防災備蓄品を捻出し、自治体の窓口でそれらの生理用品を配布するといったものであり、これでは一過性の対応になってしまうのではと危惧しています。  生理の貧困は、経済的な貧困を指すだけでなく、生理に関する知識の貧困、語られることがなかったがゆえの意識の貧困でもあると私は捉えています。  例えば、県庁においても、これまで生理用品の防災備蓄はなされていませんでした。女性職員は自ら用意するのが習慣となっていたようですが、災害によっては、避難が長期化したり、女性県民が県庁に避難してくることを想定するべきであると考えます。  コロナ禍において若い世代が声を上げてくれたことにより、ようやく認識され始めた生理の貧困。今後は、調査を進めながら、より効果的な取組について検討していく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍で困難を抱える女性の生理の貧困の問題に対して、県はどういった取組を行っていくのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、質問の第8として、県立学校における生理の貧困への対応について伺います。  さきに引用した民間調査によると、回答した学生の35.3%が、アルバイト料やお小遣いから工面して、自ら生理用品を買っていると答えています。コロナ禍の経済的影響で生理用品の入手が難しくなったのもうなずけます。  また、子供たちにおける生理の貧困の要因は、さきのような経済的な理由だけでなく、裕福な家庭であっても、保護者からのネグレクトで生理用品を買ってもらえないケースや、父子家庭で父親に言い出せずに悩んでいるケースもあると聞いています。  トイレでトイレットペーパーが必要なように、生理用品は、女性が生活していく上でごく自然に必要なものです。にもかかわらず、買えない、あるいは買ってもらえないことにより、生活や行動を制限されている子供たちがいるのではと、私は憂慮しています。  〔資料提示〕  本県の県立学校に在籍する児童・生徒の中にも、このような悩みを抱えている子供たちがいるのではないかとの思いから、今年3月、教育長に対し、学校における生理用品の無償提供について要望を申し上げ、その対応を求めてまいりました。  こうした中、県教育委員会では、本年6月から8月末までを期間として、県立の高等学校10校、特別支援学校2校の計12校をモデル校として、生徒用の女子トイレに生理用品を設置して、その利用状況や生徒のニーズなどを把握して、今後の対応の検討に取り組んできたと承知しています。  子供たちの居場所である学校は、安心して過ごせる場所であることが一番です。必要とする生徒が気兼ねなく生理用品を利用できるよう、学校のトイレへの生理用品の設置を進めるべきと考えます。  そこで、教育長に伺います。  6月から実施した生理用品提供モデル事業について、どのように総括しているのか、また、子供たちが安心して学校生活を送れるよう、今後の県立学校における対応をどのように進めていこうと考えているのか、教育長の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第9は、「夜間中学」についてです。  私は、夜間中学の設置について、これまで県議会において継続して取り上げ、現在、横浜市と川崎市に1校ずつある夜間中学に続く、県内3校目の設置を求め、質疑を重ねてまいりました。  県教育委員会では、平成28年度以降、市町村教育委員会との議論を重ねるとともに、県内におけるニーズを把握するためのアンケート調査を2度にわたって実施するなど、新たな夜間中学設置のための主導的な役割を果たしてきたと承知しております。  〔資料提示〕  その結果、来年4月に、相模原市が市立大野南中学校の分校として夜間中学を開設することを決定しました。この夜間中学には、県教育委員会が広域的な仕組みを構築して、他の市町村からも生徒を受け入れることとし、また、当分の間、県立神奈川総合産業高等学校の施設を活用することとしています。  こうした県と市の連携・協力については、この9月7日に、県、相模原市及び両教育委員会との間で基本協定が締結されたと承知しています。  現在、全国で36校ある夜間中学ですが、今回のような、県と政令市が連携した広域的な受入れの仕組みは、全国初の取組です。県教育委員会におかれましては、多くの市町村が参加し、多様な人々が学び集う夜間中学を目指して、より一層の働きかけをお願いいたします。  また、新たに設置される夜間中学は、本県にお住まいの外国籍県民の方など、外国につながりのある方々にとっても、貴重な学びの場になると想定され、日本語の力が十分ではない生徒に対する日本語指導も必要になるものと考えます。  さらには、昼間は仕事をして、職場から直接夜間中学に通う生徒もいらっしゃるでしょうから、この夜間中学で食事を提供することも、教育環境の充実という面からは必要であると考えています。  こうした日本語指導や食事の提供については、基本的には相模原市教育委員会が行っていくものと承知していますが、生徒への支援がしっかりと行われるよう、県教育委員会のサポートを期待しております。  そこで、教育長に伺います。  相模原市以外の市町村からも生徒を受け入れる広域的な仕組みについて、今後どのように取り組んでいくのか、また、相模原市が設置する夜間中学における、外国につながりのある生徒に対する日本語指導や生徒への食事の提供について、県教育委員会としてどのように支援をしていくのか、教育長の御所見を伺います。  〔資料提示〕  最後に、高齢者講習等の円滑な実施に向けた取組について伺います。  近年、高齢運転者による交通死亡事故が全国で発生しています。本県でも、平成28年10月、横浜市港南区で発生した、87歳の男性が運転する軽トラックが、集団登校中の小学生の列に突っ込み、小学1年生の男の子が亡くなり、また多数が負傷するという大変痛ましい事故は記憶に新しいところです。  一方で、多くの高齢者にとって自動車は生活を支える大切な移動手段です。我が会派は、超高齢社会における交通事故防止を進める上で、高齢運転者の対策が非常に重要と考え、これまでも県警察に繰り返し、その取組状況などについて質問してまいりました。  最近では、高齢者の運転免許更新の際の認知機能検査や高齢者講習の受検・受講の待ち期間が長期化してしまっていると聞いております。  これは、高齢者の増加という要因とともに、昨年は、新型コロナウイルス感染症対策によって、自動車教習所や運転免許センターが閉場してしまったことも大きな影響を及ぼしたと承知しています。  〔資料提示〕  しかし、高齢運転者は、高齢者講習等を法令で定められた期間内に受検・受講できなければ、運転免許証を失効してしまいます。また、高齢者講習等は、受講後の安全運転に役立つほか、自身の認知機能や運転に必要な身体機能の衰えに気づく機会にもなり、自主返納を決意する方もいると伺っています。  待ち期間を短く、高齢者講習等を受検・受講できるようにすることは、交通安全対策を担う県警察の責務であると考えます。  また、高齢者講習等を委託している県内の自動車教習所では、それぞれ限られた施設の中で体制を確保し、新規免許の教習とバランスを取りながら、高齢者講習等を実施されておりますが、本県の自動車教習所に支払われる高齢者講習等の業務委託費は全国平均を下回り、首都圏でも最も低い現状にあります。これでは、高齢運転者の受入れのためにハード・ソフト両面で対応されている自動車教習所の労に報いているとは感じられません。円滑な高齢者講習等を推進するためにも、必要な予算措置を講じるべきと考えます。  そこで、警察本部長に伺います。  県内の高齢者講習等の受検・受講待ちの状況とその現状を踏まえた高齢者講習等の円滑な実施に向け、予算措置を含めた県警察の取組について、警察本部長の御所見を伺います。  以上で、第1回目の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 西村議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、コロナ重症化を防ぐ医療提供体制についてお尋ねがありました。  新型コロナは、発症当初、軽症であっても、急激な症状悪化により、重症に至ることもある感染症です。この感染症の特性から、軽症時における中和抗体カクテル療法ロナプリーブの投薬治療は重症化リスクを低減する上で有効であり、医療崩壊を防ぐためにも重要な取組です。  一方、この療法については、副作用の懸念もあることから、投薬後の医療ケアが行える入院による投薬治療が原則となっており、入院治療ができる病院を確保していく必要があります。  さらに、県では、国の基準を参考に、この療法の対象者をSpO2が96以上で、発症から4日以内の患者としており、条件を満たす患者を抽出し、医療機関とのマッチングを行うことも必要となります。  そこで、まず、中和抗体カクテル療法を普及促進するために、この療法を実施する拠点病院として県立がんセンターを指定し、患者を受け入れ、治療を開始しました。また、県の医療危機対策本部室内にこの療法に適した患者とマッチングさせる体制も整えました。  臨時の医療施設での投与については、県内では、医療人材の確保が極めて厳しい状況が続いており、現時点では、その実現は困難と考えています。  今後は、中和抗体カクテル療法を普及する観点から、拠点病院を地域ごとに指定して、必要な病床数の確保に取り組んでいきます。また、外来によるカクテル療法の実施も可能となるよう、医療機関との調整も進めていきます。  こうした新たな療法も活用して、安心して医療を受けられる環境を整え、引き続き県民の皆様の命を守ってまいります。  次に、看護師を対象としたメンタルヘルス調査の結果及びその活用についてお尋ねがありました。  新型コロナウイルス感染症に対応する看護師は、強いストレスが続き、バーンアウトが起きやすいと言われており、ストレスの状況を把握し、メンタルへルス対策を行うことは大変重要です。  そこで、県立病院機構では、今年3月、看護師約1,600人を対象に、ストレスの実態や必要なサポートなどについて調査を行いました。その結果、コロナ患者に対応する看護師は、高ストレス状態にあり、中でも、擬似症患者を担当する看護師のストレスがより高いことが明らかになりました。  また、看護師がコロナ禍のような非常時において重要と考えることは、病院の組織方針、休暇や手当、メンタルへルス対策などであることが分かりました。  この結果を受け、病院機構では、擬似症患者の担当者を含めた看護師の不安やストレスを緩和し、働きがいを維持するための取組を順次進めています。  具体的には、院内での情報共有や連携、士気向上のための慰労金の支給、相談しやすい環境づくり、ストレスへの対処方法を学ぶ研修等を実施していきます。  また、県ではこれまで、医療従事者のメンタルへルス対策として、相談窓口の設置や職場における取組の好事例の周知等、コロナ禍でも安心して働ける職場環境づくりに向けた支援を行ってきました。  しかし、コロナ禍は今後も続くことが想定されるため、医療機関におけるメンタルへルス対策をさらに充実させることが必要です。  そこで、今後は、各医療機関がよりメンタルへルス対策に取り組みやすくなるよう、今回の病院機構の調査結果や取組を周知することにより、さらなる支援を図っていきます。  次に、かながわ性犯罪性暴力被害者ワンストップ支援センター「かならいん」についてお尋ねがありました。  性犯罪等に遭った直後、被害者は心身に受けた非常に大きなダメージで混乱し、警察への届出をためらう傾向にあります。  卑劣な性犯罪を潜在化させないために、後に被害者が被害届を出す決意をした場合に備え、あらかじめ証拠を採取しておく仕組みを構築することは大変重要です。  県が運営する「かならいん」で証拠採取等を行うためには、性犯罪の証拠を速やかに採取できる体制や保管場所の確保、これらを担う医療従事者等が必要となり、医療機関の全面的な協力が欠かせません。  そこで、県は昨年3月、産科婦人科医会の協力を得て、かならいんの協力医療機関66か所に証拠採取等の実施について意向を調査しました。新型コロナウイルス感染症の影響で、その後の検討は一時中断を余儀なくされましたが、現在、県では、証拠採取等に積極的な意欲を示した湘南鎌倉総合病院と、その仕組みづくりの検討を始めています。  具体的には、性犯罪の証拠が、裁判で確実に採用されるための採取の手順や保管方法等について、捜査機関や弁護士等の助言を得ながら検討しています。また、湘南鎌倉総合病院では、今年度、県費を活用して6名の性暴力被害者支援看護職─SANEの養成を始めるなど、専門人材の育成を進めています。  こうした中、湘南鎌倉総合病院は現在も、新型コロナウイルス感染症の患者の対応に病院一丸となって当たっていただいています。県としては、今後も、病院のこうした状況を十分考慮しながら検討を進め、来年度中には、かならいんでの証拠採取等の実施を目指し、取り組んでまいります。  次に、#7119の推進についてお尋ねがありました。  救急相談ダイヤルは、不要不急の救急車の出動を抑制することにより、救える命を増やす効果が期待できるため、県としても、広域化を進めていくべきであると認識しています。  平成30年1月の県と政令市の4首長懇談会において、横浜市が実施している救急相談ダイヤル#7119の広域化を行うことで合意し、県としても、広域化に向け検討を進めていました。  しかし、主に財政負担の面での課題が多く、令和元年度末からは、#7119とは別の県独自番号による導入を検討してきました。  令和2年度も県内の全市町村との会議を4回開催しましたが、令和3年3月の消防庁通知により、#7119以外の番号による事業は財政措置の対象外とされたため、市町村の参画が困難になりました。これを受け、令和3年7月、改めて政令市と意見交換を行った結果、県独自番号ではなく、#7119の広域化による実現に向けて再度検討を進めていくことで合意しました。  検討を進めるに当たっては、県や市町村の財政負担や、一部地域で東京都に電話がかかってしまうことなど、早期の解決が難しい課題もありますので、一つ一つ解決方法を探るとともに、市町村に対しても粘り強く調整を行っていきます。  こうしたことを通じて、#7119をできるだけ早期に広域化し、県民の救える命を増やすことができるよう取り組んでまいります。  次に、神奈川県循環器病対策推進計画についてお尋ねがありました。  循環器病は、国民の生命や健康に重大な影響を及ぼす疾患であり、高齢化の進展によって、今後も増加することが懸念されます。  国も令和元年12月に循環器病基本法を制定し、この中で、都道府県循環器病対策推進計画の策定を義務づけました。  こうしたことから、本県においても、計画の策定に着手し、令和3年6月に第1回の検討部会を開催しています。  循環器病のうち、この計画においても柱の一つとなる脳卒中は、適切な治療を受けられる病院に迅速に搬送されることが重要です。  具体的には、血栓を薬で溶かす治療法であるtPAを発症後4.5時間以内に行うことで、後遺症を減らすことができます。しかし、現在、救急隊がtPAに適切に対応できる病院の情報を基に搬送できる体制が構築されている地域は、県内の一部に限られています。  そこで、地域ごとの搬送やtPA対応病院の実態を把握した上で、県内全域で体制を構築できるよう検討していきます。  また、脳卒中は発症後のリハビリや再発予防も重要です。そのため、ヘルスケア・ニューフロンティアの取組として、川崎市殿町等を中心に急性期脳梗塞に関する研究のほか、麻痺した機能の再生やリハビリに関するアカデミア、企業等の研究を支援していきます。  こうした取組を盛り込み、今年度中に循環器病対策推進計画を策定し、神奈川らしい循環器病対策を進めてまいります。  次に、低出生体重児のための母子手帳についてお尋ねがありました。  本県では、2019年に2,500グラム未満の低体重で生まれた子供の数は約6,000人で、出生数全体の約9.5%となっています。  本県は、全ての子供が健やかに成長できる社会を目指しており、低出生体重児を安心して産み、育てられる環境を整えていく取組は大変重要です。  母子健康手帳の配付などは市町村が担っていますが、県は市町村の母子保健担当者を対象に、低出生体重児の親を支援するために必要な専門知識に関する研修などを実施しています。  また、県立こども医療センターでは、新生児集中治療室を退院した子供の親などへ情報発信するために、早産児の育児応援サイトを開設しています。本年4月からは、1,500グラム未満で生まれた低体重の子供の医療情報を、マイME-BYOカルテを通じて親などが閲覧できる実証事業も始めています。  さらに、県は、市町村と連携して、母子健康手帳の電子版アプリを2016年に導入し、県内の妊産婦の皆様に利用を促しています。  このアプリは、お住まいの自治体の妊娠・子育て情報のほか、予防接種の記録や発育曲線の確認ができるつくりとなっており、現在、4万人に御活用いただいています。  こうした取組に加え、さらに子供一人一人に寄り添う個別の支援を進めていくには、議員御提案のリトルベビーハンドブックの取組は、非常に有意義であると認識しています。  そこで、リトルベビーハンドブックの作成について、まず、親や産科・小児科の医療従事者など、関係者のネットワークづくりを進め、市町村などの意見も伺いながら検討を開始してまいります。  今後も、親や家族の不安を解消し、安心して子育てができるよう、気持ちに寄り添う支援を進めてまいります。  最後に、生理の貧困への対応についてお尋ねがありました。  生理の貧困については、女性の健康にも関わるため、県としては、まずはコロナ禍において困っている女性への早急な支援が必要と認識しています。  そこで、8月から様々な不安や生活上の課題を抱える女性を支援するための相談事業を鎌倉市内で開始し、その中で、生理用品を必要とする相談者に配布を行っています。また、県施設での生理用品の配布も始めることとし、男女共同参画センター、通称「かなテラス」をはじめ、地域県政総合センター、かながわ県民センターなど10か所で実施します。  一方、生理の貧困については、まだ十分な調査がなされておらず、問題の背景が見えていないことから、その実態把握が必要です。  そこで、県では、配布事業と併せてアンケートを実施し、実態の把握に努め、より効果的な施策の検討に役立てたいと考えています。また、災害時の備えとして、県庁本庁舎のほか、県内16か所の帰宅困難者一時滞在施設でも生理用品の備蓄を進めます。  さらに、生理の貧困については、SDGsの誰一人取り残さないという理念に基づき、民間企業やNPOなど、様々な主体による共助の取組を展開していくことも大変重要です。  そうした観点から、今後、独自のビジネスモデルで生理用品を無料で提供するサービスを行う企業と連携して、県内の商業施設などで生理用品を配布する予定です。  こうした取組により、困難を抱える女性に寄り添い、一人でも多くの方に必要な支援をしっかりと届けてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  県立学校における生理の貧困への対応についてです。  子供たちの生活の中で、多くの時間を過ごす学校では、子供たちが安心して学べる環境を整えていくことが必要です。  いわゆる生理の貧困についても、学校生活の中で、生理用品の確保に不安を感じ、困っている生徒に対応していくことが大切と考えています。  これまで県立学校では、生理用品が必要な生徒に保健室等で貸出しや配布を行ってきましたが、そうした生徒の実情やニーズを把握するため、この6月1日から8月末までの期間、県立学校12校で女子トイレに生理用品を配備するモデル事業を実施しました。  モデル事業では、平均して高校で1日10個程度、特別支援学校で2個程度の利用実績が確認できました。  あわせて、生徒対象のアンケートを実施したところ、回答した生徒1,813名の約80%が、生理用品が手元にないことで困った経験がありました。  また、経済的な理由で生理用品を用意できない生徒や、アルバイトをして生理用品を自分で用意している生徒の割合は約4%でした。これを全ての県立学校の女子生徒で試算すると約2,300人となり、私としては、決して少なくない数字と受け止めています。  そこで、生理用品が手元にないといった不安を解消し、生徒が安心して学校生活を送れるよう、10月から全ての県立学校の女子トイレに生理用品を配備します。  あわせて、養護教諭を中心に、生理についての悩みをはじめとした生徒の健康相談等に、引き続き丁寧に対応してまいります。  次に、「夜間中学」についてです。  相模原市が令和4年4月に設置する夜間中学は、相模原市以外の市町村からも生徒を受け入れることとしており、県教育委員会では、こうした広域的な仕組みについて、相模原市を含む市町村教育委員会と協議を重ねてきました。その結果、現在のところ、藤沢市、厚木市など7市町がこの仕組みに参加する意向を固めています。  今後、県教育委員会では、夜間中学の教育活動の円滑な推進に向け、この11月に設置する相模原市立夜間中学広域連携協議会を通じて、関係市町教育委員会と共に夜間中学開設後の運営を支援してまいります。  次に、日本語指導が必要な生徒への支援については、相模原市教育委員会において、始業前の時間等を活用して個別の指導を行うことなど、柔軟な対応を検討しています。  県教育委員会としても、かながわ国際交流財団などを通じ、日本語指導のノウハウを夜間中学の教員に提供することや、県教育委員会が行う日本語指導の研修に、夜間中学の教員に参加してもらうことなどの支援策を検討しています。  また、生徒への食事の提供については、夜間中学の当面の設置場所である県立神奈川総合産業高校の食堂を夜間中学に通う生徒も利用できるよう調整を進めてまいります。  以上でございます。  〔警察本部長(山本 仁)発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 山本警察本部長。 ◎警察本部長(山本仁) 高齢者講習及び認知機能検査の円滑な実施に向けた取組についてお答えいたします。  現在、70歳以上の方の運転免許証の更新手続に必要な高齢者講習等は、運転免許センターの職員が実施しておりますほか、県内40か所の自動車教習所に業務委託しています。  しかし、昨年末の時点では、70歳以上の方が受講する高齢者講習が約90日、75歳以上の方が高齢者講習の前に受検する認知機能検査が約60日の待ち期間が生じていました。これら待ち期間を解消し、高齢運転者の運転免許更新手続を円滑に実施することは、交通事故を防止する面からも重要な課題であると認識しています。  こうした状況を踏まえ、県警察では、本年4月、運転教育課に高齢運転者支援係を設置し、職員による高齢者講習等の実施を拡大し、待ち期間の短縮に向けた対策を進めてきました。  具体的には、今月から実車指導専用コースの運用を開始し、運転免許センターにおける高齢者講習の受講者の受入れ拡大を図っています。また、待ち期間が長期化している地域の公共施設に職員を派遣して検査を実施するなど、認知機能検査の受検者の受入れ拡大を図っています。  さらに、講習や検査の予約を円滑にするため、予約専用ダイヤルを設置したほか、本年7月からはe-kanagawa電子申請による受付を開始し、利用方法の案内を含め、県警察のホームページなど、各種広報媒体を通じて、県民の皆様への周知を図っています。  こうした取組により、待ち期間に改善が見られ、現在は高齢者講習、認知機能検査を合わせて30日以上短縮している状況です。  今後は、さらなる待ち期間の解消に向けて、職員による高齢者講習等の実施の拡大と自動車教習所の受入れ拡大を促進するため、他の都道府県の状況を踏まえ、委託料の見直しについても検討を重ねてまいります。  以上でございます。  〔西村くにこ議員発言の許可を求む〕 ○副議長(佐々木正行) 西村くにこ君。  〔西村くにこ議員登壇〕 ◆西村くにこ議員 大変前向きな御答弁を頂きまして、ありがとうございます。  残された時間の中で要望を申し上げてまいりたいと思います。  まず、かならいんにおける証拠採取等の取組について、これは具体的な御答弁を頂きました。まずは、湘南鎌倉総合病院としっかり連携をし、取組を進めていただきたいと思います。その上で、将来的には、病院拠点型の支援センター、これを目指していただきたいと提言を申し上げたいと思います。  センターの形は大きく三つに分かれます。一つが産婦人科医療を提供できる病院内に相談センターが置かれる病院拠点型、そういった医療を提供できる病院に近い場所に相談センターがある相談センター拠点型、神奈川県は相談センターと複数の協力病院が連携する連携型を取っています。  この協力病院には大変に御尽力を頂いておりますが、一方で、例えば夜間や休日の受入れなど、協力病院によって対応が異なるため、緊急時に医療機関の調整を図らなくてはならないと、こういうこともあるようです。  内閣府の委託を受け、令和元年に初めて実施された性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象とした支援状況等調査では、他県の病院拠点型のセンターは、医療的な支援の充実や証拠の採取や保管が実施されているだけではなくて、協力病院と積極的にネットワークを構築して、研修やスーパーバイズを実施するなどの専門人材の育成も行われていると伺っています。  神奈川県犯罪被害者等支援推進計画、この改定が令和5年度に図られていくものというふうに思いますが、これを一つのめどとして、病院拠点型センターへの移行というものを御検討いただけますよう要望させていただきます。  次に、低出生体重児のための母子手帳について、本当にありがとうございます。  この質問をするに当たっては、県内でリトルベビーを出産されたママたちから直接声を頂いて、手紙を頂いて質問をさせていただいた。本日もインターネット議会中継で見守ってくれています。きっとみんな喜んでいると思います。  デジタル母子手帳の意義、私も認めます。これまでも推奨してまいりました。入力いただいたデータは、今後、個々人で利用するだけではなくて、これから生まれてくるリトルベビーのためにも重要な医療データとして活用されると承知しています。  でも、どうぞ、言っていただいたように、紙ベースのリトルベビーハンドブックも並行して進めていただきたいとお願いします。  お母様方が一様におっしゃるのが、出産直後に最初に出た言葉が、ごめんなさいだったんだそうです。小さく産んでごめんなさい。スマートフォンなどからネットにつながって、より不安になるような情報に触れたらどうしよう、そんな思いでスマートフォンを開けられなかったという話も聞きました。  例えば、紙ベースのリトルベビーハンドブックをNICUの医師や看護師から説明を受けながら受け取る、寄り添っていただきながら、子供の成長を共に書き込む、こういうことを望んでいらっしゃるわけでありまして、また、知事も言っていただいた、今後はつくる過程が重要、ママたちの、そしてまた医療関係者の、あるいは福祉のネットワークを構築しながら、丁寧に進めていただけますよう要望させていただきます。  次に、生理の貧困への対応についてですが、これも前向きな答弁を頂きました。  まずは、コロナ禍で困窮している女性のため、でも、その次にはSDGsと言っていただきましたが、ジェンダー平等の実現につながる活動になっていけばなというふうに思っておりますので、どうぞ丁寧にこちらもお進めをいただきたい。また、学校においても、命について考えるきっかけ、性差について考えるきっかけにつながることを期待しています。  最後に、夜間中学です。  前向きな御答弁、8年かかって頂戴することができて、本当にありがとうございます。  今後ですが、教材や行事等にかかる費用を含め、市町村の役割である生徒たちの負担軽減のため、様々に支援をしていただきたい、通学支援などもしていただきたい、これがまず一つ。  それから、4月入学だけではなくて、いつでも知ったときに希望者が入学できる、こういったことも協議会で検討していただけたらなというふうに思います。  また、こちらも将来的な話になってしまうでしょうが、せっかく横浜、川崎にも1校ずつ夜間中学がある、それぞれ鉄道の路線が違うのですね。この三つに入れるようになれば、県内の希望される方がより通いやすくなるわけで、横浜、川崎、相模原、三つの夜間中学に垣根を越えて入れますよという体制を目指して、行事等でまずは交流をする、切磋琢磨できるような関係をつくっていただきますようにお願いを申し上げたいと存じます。  そのほかにも、もろもろ前向きな御答弁を頂戴しまして、ありがとうございます。より詳細におきましては、各委員会で審議をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  以上で、私の代表質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(佐々木正行) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(佐々木正行) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後2時7分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和3年第3回-20210914-029060-質問・答弁-池田東一郎議員-代表質問①新型コロナワクチン接種の県内市町村における終了見込みと接種促進のための県の取組について②抗体カクテル療法の県内実施状況と普及促進へ向けた取組について③保健所の即応体制整備などに関する感染症対策条例の必要性について④新型コロナ感染症まん延下における経済対策としての公共事業施工時期の平準化について⑤教育機会確保法の趣旨を生かした子どもの不登校への対応充実について⑥医療的ケア児支援法の制定・施行にともなう医療的ケア児及びその家族に対する支援の充実について⑦文部科学省が検討中の特別支援学校の設置基準案を下回る県立特別支援学校に関する今後の対応方針について⑧相模湾岸に産卵に来るウミガメの保護と定置網漁業の両立を図るための方策について》                   午後2時30分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共57名 ○議長(小島健一) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) 質問を続行いたします。  池田東一郎君。  〔池田東一郎議員登壇〕(拍手) ◆池田東一郎議員 私は、県政会神奈川県議会議員団を代表して、現下の最重要課題である新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、県政の重要課題について、知事並びに教育長に対し、質問をさせていただきます。  まず、質問の第1、新型コロナワクチン接種の県内市町村における終了見込みと接種促進のための県の取組について伺います。  本県の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は落ち着いてきてはいますが、緊急事態宣言は延長され、予断を許すことはできない状況にあります。  新型コロナ感染症対策の切り札と期待される、市町村等におけるワクチン接種のさらなる促進が必要です。  国からのワクチン供給については、県の資料によれば、10月10日には、11月中に全県民の80%が2回接種できるだけの供給量が見込まれるとしています。これを各市町村でいかに速やかに接種していただくか。黒岩知事は、11月末までに希望者全員への接種が完了するよう全力を傾注するとのことですので、今後の県の取組に期待したいところです。  各市町村の体制確認を行った上での的確な支援が重要であり、特に感染者数が多い割にワクチン忌避の傾向が強いと言われる若者への対策が大きな課題と考えます。  この点、昨日の質疑で、知事は、本県の若い世代の接種意向は約80%と答弁されましたが、これはLINEコロナ対策パーソナルサポート登録者という、新型コロナ感染症に関心の高い母集団への調査だということに留意すべきです。  ちなみに、若者対策としては、東京都は8月20日の都議会臨時会で10億円のキャンペーン事業費を含んだ補正予算を可決成立させ、若年層のワクチン接種を後押しするため、各種広報を集中的に実施する等の対応を予定しています。また、東京都はこの補正予算とは別に、中小企業へのワクチン休暇奨励金の給付も行っています。  こうした若年層への対策を含め、本県も確固たる今後のワクチン接種促進対策を取り、県民の皆様に明るい光明を示すべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  県内市町村では、12歳以上の全人口に対する新型コロナワクチン接種はいつ終わる見込みでしょうか。各市町村のスケジュールはどうなっていますか。また、特に若者に対する接種促進をはじめ、接種促進のための県の取組について、知事の御所見を伺います。  次に、質問の第2、抗体カクテル療法の県内実施状況と普及促進へ向けた取組について伺います。  抗体カクテル療法は、新型コロナウイルス感染症軽症者の重症化を予防する画期的な治療法として知られています。  9月2日の東京都新型コロナ感染症モニタリング会議の資料によれば、東京都では、既に8月上旬から都立と公社の12病院で抗体カクテル療法による薬剤投与が始まっており、9月1日までにこの治療を受けた102人のうち、82人は症状が回復するか安定化し、約8割の患者に効果があったとされています。  また、さらに、東京都の調査によると、9月3日までにこの抗体カクテル療法は、都内の147医療機関で既に1,032人の患者に実施されており、このうち771人は容体が回復し、約75%の患者に効果があったとされています。  このように、東京都では抗体カクテル療法の治療実績が上がっているものの、本県では、ようやく8月26日から県立がんセンターでの治療が始まったところで、残念ながら、抗体カクテル療法に関する治療実績は、東京都に水をあけられている感は否めません。  こうした中、厚生労働省は8月末に、それまで入院患者に限っていた抗体カクテル療法について、宿泊療養者と外来患者も対象と認める通知を発しています。  そこで、東京都では、今後、都内3か所の酸素ステーションでも抗体カクテル療法を実施する方針と聞いています。また、重症化リスクのある感染者には、PCR検査と薬剤投与の両方を外来で速やかに行える体制を整えるとも聞きます。  抗体カクテル療法は重症化予防策の切り札であり、県内実施状況の把握と評価、そして県民への情報提供をしつつ、普及促進に全力で当たるべきです。  医療人材が不足しているのは東京都も同じであり、東京都にできることが本県にできないわけがないと考えます。  一方、医療の現場では、抗体カクテル療法の薬剤備蓄を求める声も上がっています。発症から7日以内の投与が必要なのに、厚生労働省から薬剤が来るまでに3日も4日もかかる実態は、県の責任で速やかに解消すべきです。  そこで、知事に伺います。  抗体カクテル療法の県内における実施状況をどのように把握、評価していますか、また、その普及促進のため、県ホームページなどでの情報提供、薬剤備蓄、医療関係者の確保を進め、入院患者だけでなく、外来患者への投与、宿泊療養施設や酸素ステーションでの投与もできるよう取り組むべきと考えますが、今後の方針について、知事の御所見を伺います。  次に、質問の第3、保健所の即応体制整備などに関する感染症対策条例の必要性について伺います。  新型コロナウイルス感染症の蔓延は、本県の保健所機能の重要性を再認識させるとともに、感染症対策のとりでとなる今後の保健所機能をいかに強化・充実していくか、大きな課題を県政に突きつけています。  各地域の保健所が新型コロナ感染症感染者の自宅療養のフォローアップに手が回らず、悲しい事例が繰り返されています。積極的疫学調査に手が回らず、感染拡大に有効な手が打てないといった状況も度々伝えられているところです。  こうした状況を踏まえ、本年2月17日の県議会代表質問で、我が会派、楠議員より、知事に対し、厚生労働省が昨年7月に各自治体に求めた保健所即応体制に関する計画を直ちに策定すべきではないかと提案させていただきました。そのときの知事の御答弁は、速やかに策定するとのことでした。  しかし、その後、6か月以上たった現在も策定されておらず、大変残念に思いますが、担当課では、それに代わる各保健所・センターの人員配備計画はつくったとのことです。  この人員配備計画は、1日の新規感染者数5,000人までを想定したもので、一応の評価はしたいとは思いますが、問題は、この人員配備計画ですら、県所管域の保健所のものでしかないという点です。  横浜、川崎、相模原、横須賀、藤沢、茅ケ崎の六つの保健所設置市は、別々に保健所の即応体制を考えており、本県人口のおよそ9割は保健所設置市にお住まいです。そして、先ほどの厚生労働省の保健所即応体制の整備の計画は、各保健所設置市でも策定されておらず、それぞれが感染状況に応じた人員配置を行って対応しています。  県内保健所設置市と県は、保健所即応体制や医療提供体制の整備について、事実上の連携・協力体制を構築していることは承知していますが、それが機能しているか疑問です。  ちなみに、都道府県と保健所設置市の連携については、幾つかの自治体で既に感染症対策条例をつくって、その関係を確固たるものとしています。  県と保健所設置市の関係は国の法律の問題とする意見もありますが、本県医療危機対策本部の幹部は、9月7日の毎日新聞で、政府の対応を、ここまで来たら人災だと批判しています。それなら、県ができることは何でもやるべきです。  そこで、知事に伺います。  保健所の即応体制や医療提供体制整備など感染症対策について、保健所設置市と県がばらばらにやっていては効果が減殺されてしまいます。保健所設置市と県が統一的・調和的に感染症対策に取り組めるよう、他の都道府県にも例がある感染症対策条例を制定することを検討してはいかがですか、知事の御所見を伺います。  次に、質問の第4、新型コロナ感染症まん延下における経済対策としての公共事業施工時期の平準化について伺います。  新型コロナウイルス感染症の蔓延により本県経済は大きな打撃を受けており、観光業の回復が見通せない中では、公共事業により経済の下支えを図ることは、県政の大変重要な課題です。  そして、施工時期の平準化は、同じ予算をより効果的に執行し、建設労働者の労働条件を改善するという観点から積極的に取り組むべきです。この点、本県は、従来から、ゼロ県債の設定時期を前倒しする、債務負担行為の設定を拡大するなどの対策に取り組んできたものと承知しています。  しかし、国土交通省が今年5月に発表した令和2年度入札契約適正化法に基づく実施状況調査の結果によると、本県の公共事業における施工時期平準化率、すなわち、年間を通した月平均の工事件数に対する4月から6月の間の月平均の工事件数の割合は0.64と低く、全国最低です。ちなみに、この調査によると、平準化率の全国平均は0.77、全国最高の平準化率は兵庫県の0.91です。  こうした中、国土交通省は令和元年6月に、公共工事の品質確保の促進に関する法律が改正されたことを踏まえ、令和6年度へ向けた平準化率の目標を定めるとともに、平準化率の向上へ向けて、「さしすせそ」を取り組むよう、地方自治体に通知を発出しています。  「さ」は債務負担行為とゼロ債務負担行為の設定、「し」は柔軟な工期設定、「す」は速やかな繰越手続、「せ」は積算の前倒し、「そ」は早期執行のための目標設定です。  コロナ禍を乗り越えるためには、経済対策としての公共事業を円滑に進めていくことが重要であり、今こそこの平準化の問題にしっかりと取り組むべきではないでしょうか。  そこで、知事に伺います。  まず、本県の平準化率が大変残念な状況となっている原因について、どのように分析されていますか。また、国土交通省は令和6年度までに市町村を含めた本県域の平準化率を0.7、関東地域では0.8に高めることを目標としていますが、今後の本県の平準化率をどのように改善するのか、知事の御所見を伺います。  次に、質問の第5、教育機会確保法の趣旨を生かした子どもの不登校への対応充実について伺います。  コロナ禍で子供の不登校が増えていると言われます。文部科学省の令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、不登校の児童・生徒は全国で約18万人、県内には約1万4,000人おられ、7年連続で増加していることが報告されています。令和2年度の調査では、さらに増えるのではないかと心配されています。  県教委は、平成28年に制定された不登校児童生徒に対する教育機会の確保等を図る、教育機会確保法に基づき、令和元年3月に小中学校の教職員向けに、不登校対策の基本と支援のポイントというパンフレットを作成、配付し、小中学校教職員の不登校問題への理解を促進するとともに、学校とフリースクールとの連携を進めるなど、先進的な取組を進めてはいます。  しかし、私が地元の保護者から行ったヒアリングでは、保護者に対する学校からの情報や説明が足りないとか、保護者用のパンフレット作成を求めるなどの声がありました。  コロナ禍を契機に、不登校対策の現状を改めて振り返り、教育機会確保法の趣旨を生かした子供の不登校への対応を充実すべきと考えます。  そこで、教育長に伺います。  新型コロナ感染症が蔓延する今こそ、教育機会確保法の趣旨や関連する情報について、改めて、市町村教育委員会を通じて小中学校教師への丁寧な周知を図りつつ、保護者への資料、パンフレットなどの情報提供体制の整備、学校や地域における居場所づくりの支援などをさらに進めるべきと考えますが、今後どのように対応されるのか、教育長の御所見を伺います。  次に、質問の第6、医療的ケア児支援法の制定・施行にともなう医療的ケア児及びその家族に対する支援の充実について伺います。  まず、県内公立学校関係における支援の充実について伺います。  医療的ケア児は、日常生活及び社会生活を営むために、恒常的に人工呼吸器による呼吸管理や喀たん吸引その他の医療的ケアを受けることが不可欠である子供で、厚生労働省の調査・推計によると、全国で約2万人、神奈川県内には約1,300人が暮らしていると見込まれます。  この医療的ケア児の問題は、これまで本県議会でも、数々の場面で支援の充実が求められてきたと承知しています。  そうした中、医療的ケア児支援法が6月の国会で制定され、9月18日に施行されることになりました。同法では、基本理念として、医療的ケア児の日常生活・社会生活を社会全体で支援することを旨とするとされ、学校の設置者は、この基本理念にのっとり、在籍する医療的ケア児に対し、適切な支援を行う責務を有するものとされました。  この法律の施行による本県の学校関係の対応を、県民の皆様は大変注目しておられると思います。  そこで、教育長に伺います。  同法の制定・施行を踏まえ、県立学校や市町村立学校における医療的ケア児の支援策を、具体的にどのように充実していくのか、教育長の御所見を伺います。  次に、県及び市町村における支援の充実について伺います。  この医療的ケア児支援法は、地方公共団体の責務も様々規定しています。医療的ケア児が在籍する保育所、学校等に対する支援、医療的ケア児及び家族の日常生活における支援が地域にかかわらず適切に受けられるようにすること、相談体制の整備などです。  加えて、都道府県は医療的ケア児支援センターを指定して、医療的ケア児及びその家族の相談に応じるその他の支援等を行わせ、または自ら行うことができるようになりました。県及び県内市町村の関係者は、この法律の制定を重く受け止め、法律の施行体制をしかるべく整える必要があります。  そこで、知事に伺います。  同法の制定・施行を契機に医療的ケア児への支援策を、県は市町村とも連携して、どのように充実していくのか、特に、同法に規定する医療的ケア児支援センターについては、県立こども医療センターを指定することを含めて、実効性ある体制をつくるべきと考えますが、知事の御所見を伺います。  次に、質問の第7、文部科学省が検討中の特別支援学校の設置基準案を下回る県立特別支援学校に関する今後の対応方針について伺います。  文部科学省は、今年5月に特別支援学校の設置基準案を公開し、パブリックコメントを6月26日まで実施しました。今後、この設置基準案に沿って学校教育法施行規則を改正し、校舎面積、運動場面積などの設置基準に関する規定は、令和5年4月から施行されることになります。  本県内28校の県立特別支援学校のうち、このたびの文部科学省設置基準案を下回る県立特別支援学校が、校舎について18校、運動場については20校あるということであり、今後の対応が県教育行政にとって大きな課題となります。  この点、さきの定例会、私が7月5日の県議会共生社会推進特別委員会で県教委に確認したところ、文部科学省の設置基準を下回る県立特別支援学校については、地域ごとに、県立特別支援学校の新設や既存の県立特別支援学校の増改築を検討していくということでした。しかし、問題は、いつになったらそれができるかということです。  本県の将来的な特別支援学校の整備の方向性を示す、かながわ特別支援教育推進指針が12月にまとまるようですが、こうした紙の上のスケジュールを速やかに確定し、校舎の新設や増改築を一日も早く実行に移すべきです。  そして、文部科学省設置基準案を下回る状況の改善に時間がかかるのであれば、それまでの間にやるべきことも同時並行的に取り組む必要があります。  その一つは、保護者の方々が地元の小中学校の支援学級などに、子供たちを安心して通わせることができるよう、市町村立学校における特別支援教育の充実を図っていくということです。  そこで、教育長に伺います。  文部科学省の特別支援学校設置基準の策定を踏まえ、県教委として、いつまでに何をやるのか、明確にしていただきたい。また、そのスケジュールに沿って、市町村立学校における特別支援教育充実のため、市町村教育委員会をどのように支援していくのか、教育長の御所見を伺います。  最後に、相模湾岸に産卵に来るウミガメの保護と定置網漁業の両立を図るための方策について伺います。  昨年9月の私の代表質問で、プラごみゼロ宣言とアクションプランを具体的に進めるための条例改正を提案したところ、県環境審議会に条例改正を諮問していただき、準備が進んでいることに感謝いたします。  ところで、プラごみゼロ宣言のPRには、ウミガメがプラごみを飲み込んで死んでしまうことがよく言われますが、実際には、相模湾岸はじめ、日本近海に産卵に来たウミガメは、プラごみだけでなく、定置網に迷い込み、溺れて死んでしまう例も相当数あることが知られています。  〔資料提示〕  定置網には表層網という、魚が集まる場所が海水面にあるタイプもありますが、ウミガメが溺れて死ぬことがあるのは中・底層網という、魚が集まる場所が海中にある定置網です。  相模湾には定置網が24か所あり、ウミガメが生きていられる表層定置網が14か所ある一方、ウミガメがかかると死んでしまうおそれがある中・底層定置網が10か所あります。  水産庁ではこうした状況を踏まえ、国際的な保護動物であるウミガメが定置網に混獲されることを防ぐため、ウミガメが溺れてしまう定置網に、東京海洋大学が開発したウミガメ脱出装置を設置することを普及しようとしています。  環境省の調査により、日本近海で産卵された卵からかえった子亀は、何と北米大陸カリフォルニア沖まで1万キロを泳いで渡り、かの地で成長して繁殖・産卵のため、また1万キロを泳いで日本近海まで帰ってくることが知られています。こうした長旅を終えて産卵のため帰ってきた母ウミガメが、相模湾の砂浜を前に定置網に迷い込んで命を落とすことは、あまりに悲しいことではありませんか。  一方、相模湾の定置網は、本県漁業の重要な柱の一つでありますので、定置網漁業の負担にならないようにしながら、定置網漁業とウミガメ保護の両立を図り、子供たちにウミガメが産卵し、子亀がカリフォルニアへ向けて泳ぎ出す夢のある砂浜を残していきたいと思います。  そこで、知事に伺います。  相模湾岸定置網におけるウミガメの混獲を防ぐため、ウミガメが死んでしまうおそれのある相模湾の定置網10か所に、順次、定置網漁業者の御意向も伺いながら、水産庁が普及を図っているウミガメ脱出装置を取り付けていただけないものかと考えます。取り付けるための資金は県が支援すべきですが、コロナ禍で財政は厳しいことは承知していますので、民間から資金を募ることも含めて考えてはいかがでしょうか、今後の対応について、知事の御所見を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終了します。  知事並びに教育長におかれましては、県民の皆様にも分かりやすい、明快な御答弁をお願いいたします。  御清聴、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
    ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 池田議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、新型コロナワクチン接種の県内市町村における終了見込みと接種促進のための県の取組についてお尋ねがありました。  まず、新型コロナワクチン接種の県内市町村における終了見込みについてです。  県ではこれまで、各市町村ごとに担当者を決め、医療人材のマッチングなど、市町村をきめ細かく全面的に支援してきました。  市町村における接種完了見込み時期については、10月末までの完了が7市町村、11月末までの完了が21市町村、現段階で回答保留としたのが5市町村となっています。  県としては、希望する方が11月末までに接種を完了できるよう、引き続き市町村をサポートしていきます。  次に、接種促進のための県の取組についてです。  県が行ったアンケートでは、12歳から64歳の約9割の方が接種を希望しており、今後ワクチンが十分に供給されれば、接種は進むものと考えますので、市町村への配分をしっかりと行っていきます。  また、特に若者に対しては、自身の接種が個人と社会にもたらすメリットなどを丁寧に説明するとともに、同世代の接種体験を共有してもらえるよう、ツイッターなどのSNSを活用して啓発に努めます。  引き続き、県では、希望する方が一日でも早くワクチンを接種できるよう、市町村と連携してしっかりと取り組んでまいります。  次に、抗体カクテル療法の県内実施状況と普及促進へ向けた取組についてお尋ねがありました。  新型コロナウイルス感染症の軽症者に対する中和抗体カクテル療法は、重症化リスクの軽減に有効であり、県としても普及促進すべきと考えます。  この療法の県内の実施状況を医療機関に聴取したところ、9月9日現在で約500件となっています。一方、重症者の増加を抑制するためには、現状の実績では、まだ十分ではないと考えています。  本来、抗体カクテル療法は、この療法に適した患者が発生するたびに、国に中和抗体薬を申請する必要があり、治療開始までに時間がかかります。そこで、迅速な治療を行うため、薬剤を備蓄することができる拠点病院を新規に指定すべく病院を開拓しています。  また、外来での投薬治療も可能とするため、投与後24時間の相談や緊急時の入院対応ができるなどの条件を備えた医療機関も開拓していきます。さらに、中和抗体カクテル療法を普及促進するため、県のホームページで事業の概要や対象となる方の基準を掲載しています。  宿泊療養施設や酸素ステーションについては、国の方針において、臨時の医療施設としての体制整備が必要とされていますが、県内では、医療人材の確保が極めて厳しい状況が続いており、現時点では、その実現は困難と考えています。  今後、拠点病院や外来の開拓を進め、この療法を普及させることにより、県民の皆様の命を守り、医療提供体制を堅持していけるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。  次に、保健所の即応体制整備などに関する感染症対策条例の必要性についてお尋ねがありました。  新型コロナ対策については、感染拡大防止策をはじめ、医療提供体制の確保等、県と保健所設置市が連携して、全県的に対策に取り組むことが重要です。  本県では、クルーズ船対応以降、医療提供体制神奈川モデル」の構築や広域搬送等、様々な対策をいち早く保健所設置市と連携して進めてきました。  一方、変異株の転換率について、県全域で調査するといった検査の分野などでは、県の保健所設置市にそれぞれ権限と財源が付与されているため、統一的な対応が難しい場合があります。これは、特措法上の権限が都道府県にあるのに対し、感染症法上の権限は保健所設置市にあるというねじれがあることが原因です。  本来、こうした緊急時の都道府県と保健所設置市の在り方の課題については、感染症法や特措法の改正などにより解消すべきものであり、全国知事会でも度重ねて指摘し、その解決を求めてきました。  また、他県でも、新型コロナウイルス感染症に関する条例を制定している例は見受けられますが、その内容は、対策本部の設置について定めるものなどであり、保健所設置市と統一的な対応が可能となるような内容の条例はありません。  したがって、統一的な対応を行うための条例の制定を目指すのではなく、あくまで国に対して、今後とも、法改正を求めていきます。  一方で、保健所連絡会議を通じ、統一的な対応をお願いするとともに、私からも首長の皆様にも呼びかけていきます。  今後も引き続き、県と保健所設置市との連携を深め、この難局を一日も早く乗り越えられるよう、オール神奈川で新型コロナに立ち向かってまいります。  次に、新型コロナ感染症まん延下における経済対策としての公共事業施工時期の平準化についてお尋ねがありました。  4月から6月の工事量を増加させ、施工時期の平準化を進めることは、建設企業の人材や資機材の有効活用につながるものです。  これまで県は、例年、工事量が少なくなる年度当初の工事を増やすため、年度当初から着工できるよう、可能な限り早期の発注に努めるとともに、年度をまたぐ工事の拡大に取り組んできました。  しかしながら、今年5月に発表された国土交通省の調査によれば、本県の公共事業における平準化率は0.64と、全国で最も低い数値となっています。  この結果から、本県においては、早期発注や年度をまたぐ工事については他県と比べ、まだ取組が不十分であったと受け止めています。このため、今後、改めて平準化の取組を強力に推進していく必要があると考えています。  そこで、全庁的に強力な推進体制を構築することとし、新たに平準化を促進するための庁内の推進会議を設け、目標とする数値を共有するとともに、平準化の進捗状況を確認します。  また、予算編成に先立ち、それぞれの公共事業について、年度をまたいだ工事とすることができるかを十分に検討し、4月から6月の工事量を確保していきます。  こうした取組により、県は全庁挙げて平準化率の改善を進め、建設企業の経営の安定化を図るとともに、地域経済を支える公共事業の円滑な実施に努めてまいります。  次に、医療的ケア児支援法の制定・施行にともなう医療的ケア児及びその家族に対する支援の充実についてお尋ねがありました。  県及び市町村における支援の充実についてです。  不安を抱える医療的ケア児とその御家族が安心して地域で暮らしていけるよう、関係機関が連携して支援を行っていくことは重要です。  県ではこれまで、御家族からの相談を基に、医療的ケア児が安心して暮らすために必要なサービスを調整するコーディネーターを養成してきました。さらに、県ホームページに支援に関する情報を一元的にまとめたサイトを開設するとともに、医療的ケア児が入院する医療機関にリーフレットを配布し、相談窓口やサービスをお知らせしています。  今月施行される、いわゆる医療的ケア児支援法では、自治体の責務として、相談体制の整備など、医療的ケア児とその御家族の日常生活に必要な切れ目ない支援を行うことが求められています。  特に、県は、支援の中核的な役割を担う医療的ケア児支援センターを設置することができると定められています。この法律が求める、切れ目ない支援を実現するためには、県と市町村が連携して取り組むことが大変重要ですので、県は市町村との会議で課題を共有して、施策の拡充を進めていきます。  具体的には、県が養成したコーディネーターの市町村への配置の充実や、医療的ケア児が通学する際に、看護師が同行する事業の拡大などを検討していきます。  また、支援センターの設置については、医療的ケア児の御家族などに、支援センターに期待する役割などについて丁寧に伺っていきます。あわせて、市町村や医療的ケア児の専門的知見を持つ社会福祉法人、県立こども医療センターなどの関係機関と共に支援センターの設置に向けて検討してまいります。  県では、市町村や関係機関としっかり連携して、医療的ケア児とその御家族が安心して暮らすことのできる社会の実現を目指してまいります。  最後に、相模湾岸に産卵に来るウミガメの保護と定置網漁業の両立を図るための方策についてお尋ねがありました。  定置網漁業は、本県の沿岸漁業の漁獲量の7割を占める基幹的な漁業です。  この定置網にウミガメが入り込んだ場合、可能な限り漁業者は網の外に逃がしていますが、網の形状によっては呼吸をすることができず、死んでしまうことがあります。  ウミガメは、いわゆるワシントン条約の下で、国際商取引が原則禁止されるなど、国際的に保護の機運が高く、中でも国際希少野生動植物に指定されています。  そのため、偶発的に定置網に迷い込んだウミガメを脱出させ、漁業とウミガメの保護を両立させるための対策が重要です。  そこで、水産庁は現在、東京海洋大学にウミガメ脱出装置の開発を委託しています。この装置は、ウミガメが呼吸をする際に、海上に浮上する行動を利用し、上部の開口部から脱出させる構造となっています。  しかし、これまでに開発された装置では、ウミガメを網から脱出させることはできましたが、網に入った魚が同時に逃げてしまうといった課題があります。  そこで、この装置の実証試験に新たに県水産技術センターも参画します。実証試験では、平塚市沖で操業する定置網漁業者等の協力も得ながら、魚の逃避とウミガメの脱出効率を評価し、必要な場合は改良に取り組みます。その結果、脱出装置の導入について、県内の定置網漁業者から理解が得られれば、その普及について民間から資金を募ることも含め、検討していきます。  こうした取組により、本県沿岸漁業において、重要な定置網漁業の操業による水産業の振興とともに、ウミガメ保護の両立を図ってまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  教育機会確保法の趣旨を生かした子どもの不登校への対応充実についてです。  県教育委員会では、平成31年3月に教育機会確保法の趣旨を踏まえ、不登校対策の基本と支援のポイントをまとめた教員向けのリーフレットを作成し、県内の公立小中学校の全ての教員に配付、周知してきました。  その中では、例えば不登校の児童・生徒が登校してきた際には、保健室や相談室等を活用するなど、児童・生徒が安心できる居場所づくりが重要であることを示しています。  また、令和2年度には、フリースクール等との連携、協働により、不登校の児童・生徒が地域で学ぶ仕組みなどを紹介するホームページを作成し、保護者や県民に対して情報提供に努めています。  そのような中、コロナ禍において、各学校では、より一層児童・生徒や保護者に寄り添った丁寧な対応が求められています。  そこで、県教育委員会では、これまでの取組を改めて学校に周知していきます。あわせて、不登校の考え方や各種相談機関、地域の居場所となるフリースクール等の情報を取りまとめた保護者向けリーフレットを9月中にも作成します。  そして、市町村教育委員会を通じて、各学校の教員に対し、このリーフレットを活用した保護者へのきめ細かな情報提供を働きかけるなど、不登校の児童・生徒一人一人が安心して学ぶための支援の充実を図ってまいります。  次に、県内公立学校関係における支援の充実についてです。  県教育委員会では、県立特別支援学校における医療的ケアが必要な子供たちの増加に伴い、平成15年度から特別支援学校に看護師を配置し、以降、順次増員するとともに、教員への研修を行うなど、体制整備を進めてきました。  また、平成30年度からは、公立小・中学校における医療的ケア支援体制整備事業を開始し、県立特別支援学校の看護師が、医療的ケア児が通う小中学校への指導・助言、教員への研修を行うなど、市町村立学校を支援しています。  こうした中、県立特別支援学校では、近年、在籍する医療的ケア児、中でも人工呼吸器療法が必要な子供が増加するなど、より高度化、複雑化するケアに的確に対応することが求められています。  また、市町村立学校においても、医療的ケアをサポートするための県立特別支援学校の支援機能の充実が望まれています。県立高校には、現在、医療的ケアを必要とする生徒は在籍していませんが、今後、県立特別支援学校との連携を進めていきます。  そうした中、この9月に施行される、いわゆる医療的ケア児支援法では、学校設置者に対し、医療的ケア児が適切な支援を受けられるよう、看護師等の配置など、必要な措置を講ずるものとされました。  そのため、県教育委員会としては、高度化、複雑化する医療的ケアへの対応とともに、市町村立学校等への支援機能をより発揮するため、医療機関と連携した研修等により、県立特別支援学校の看護師の一層の専門性向上を図っていきます。あわせて、看護師の十分な配置に向けて検討してまいります。  次に、文部科学省が検討中の特別支援学校の設置基準案を下回る県立特別支援学校に関する今後の対応方針についてです。  県教育委員会では、本年3月に、仮称ですが、かながわ特別支援教育推進指針の素案を取りまとめ、県立特別支援学校の今後の整備の方向をお示ししました。  そうした中、国は本年5月に、特別支援学校の校舎や運動場の面積等の最低基準である特別支援学校設置基準の案を公表しました。県立特別支援学校の整備の方向を定めていくためには、この設置基準が示されることが不可欠ですが、現時点でいまだ制定に至っておりません。  今後、国の設置基準の制定を受け、再整理した指針素案の修正版を作成する予定です。そして、パブリック・コメントを実施した上で、速やかに指針を策定していきたいと考えています。  次に、市町村立学校における特別支援教育の充実についてです。  地域の小中学校の特別支援学級で学ぶ児童・生徒が安心して必要な支援や適切な指導を受けられるためには、特別支援学級を担当する教員の、一層の専門性の向上などが求められています。  こうした考え方の下、県教育委員会では、指針素案において、県立特別支援学校の地域における小中学校への支援機能の強化や、教員の人事交流等の取組を通じた小中学校教員の指導力向上について示しています。  これらの取組については、指針策定後、順次実施できるよう、引き続き市町村教育委員会との検討を進めてまいります。  以上でございます。  〔池田東一郎議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 池田東一郎君。  〔池田東一郎議員登壇〕 ◆池田東一郎議員 知事、教育長におかれましては、心の籠もった丁寧な御答弁を頂きまして、ありがとうございます。  なお、幾つかの点で議論を深めてまいりたいと思いますので、再質問をさせていただきます。  まず、ワクチン接種の促進ですが、今朝の新聞に大きく出ていましたけれども、全国平均で全人口が5割を増しました。東京都は50.2%です。神奈川県は46.0%です。東京都より4%低い、こういう数字が新聞にどんと出ているわけですね。これを県民の皆様が見て、神奈川県はどうして低いのかなと多分思われるのではないかと思います。しっかりと接種の促進対策を進めていただきたいのですが、まず、ワクチン休暇について、今後どのような対策を取られるのかというのを知事に伺いたいと思います。  ワクチン休暇については、厚生労働省が進めておりまして、県の職員はワクチンの接種、職務専念義務免除、接種後の副反応が出た方は特別休暇が取得できるということになっております。民間の働く皆様にも、何の対策も施さないでいいのでしょうか、しっかりと県としても何か対策を取るべきではないかと思っています。  そして、ワクチン接種については、若者向けにインセンティブをつけるということも検討されたらどうでしょうか。加藤官房長官は、7月28日の会見で、インセンティブの検討も必要だとされています。既に東京都はアプリで買物の割引、愛知は抽せんで食事券が当たるなどの動きもあります。本県は、そんなことをやらなくていいのでしょうか、ぜひ前向きに考えていただきたいと思います。  次に、質問の2、抗体カクテル療法ですが、9月9日現在で500件、実績があると御答弁がありました。評価はどうされているのでしょうか。治られた方とか、軽症のまま、そのままであった方とか、重症に至ってしまった方とか、東京都はしっかりとその辺の数字も公開をして、効果があったから、それを進めましょうというデータに基づいた政策推進をやっています。神奈川県における評価をしっかりとしていただきたいと思います。  それから、医療従事者が足らないから抗体カクテル療法が普及しないのだというような御趣旨の答弁がありましたが、東京都も医療従事者が足らないのは同じではないのでしょうか。東京都で医療従事者が足らない中で進めているものを、神奈川県において、医療従事者が足らないから進められないという御説明は、ちょっと納得できる県民の方もいらっしゃらないような気がします。しっかりと御説明を頂きたいと思います。  それから、質問の3ですが、保健所設置市と県の連携強化のため、条例を考えたらどうかということを提案させていただきました。  なかなか難しそうですが、しかしながら、天災であっても、人災であっても、県民の命をしっかり守っていくのが県の役目ではないかと思います。条例化が難しいようであれば、保健所設置市と県の連携強化のため、県がしっかりと、知事が先頭に立ってリーダーシップを発揮して、保健所設置市と県との間をまとめていただくと、そういう機会をぜひつくったらどうかと思うのですが、知事いかがでしょう。  それから、医療的ケア児支援法についてですが、教育長も知事も検討中だという御答弁が多いように思いました。知事に代表して御答弁いただきたいのですが、9月18日から施行される法律でございます。  いまだに検討中というのが多いようなことでは、何のために国が法律をつくっているのかということになろうかと思います。検討中のことをいつまでに決定をして、実際に政策として実行されるのかということを知事から伺いたいと思います。  次いで、教育長に伺いたいと思います。  質問の第5について、教育機会確保法の趣旨のお話でございますが、私の地元の小学校では、学校運営協議会が中心となって、小学校内に不登校の子供の居場所づくりを進めています。すばらしい事例だと思いますけれども、こうした好事例を県内の皆さんで共有するために、県のホームページ、教育委員会のホームページなどを活用して広報したらいかがでしょうか。  また、不登校の要因の一つに、国の調査では、学業の不振というものがありますけれども、その原因は、やはり授業が面白くないということではないかなと思っています。授業を面白くするには、どうすればよいのか、教育長に伺いたいと思います。  再質問は以上です。よろしくお願いいたします。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えしてまいります。  たくさんあったので、完璧にフォローできるか分かりませんけれども、やってみます。  まず最初に、ワクチン休暇制度についてのお尋ねがありました。  ワクチン接種を受ける際や接種後の副反応等が出た際に活用できるワクチン休暇制度、これが企業において広がれば、働く若い世代などが安心して接種できると考えます。  このため、改めてワクチン接種の促進の観点から、県内の企業に対して、ワクチン休暇制度の導入を検討いただけるよう働きかけてまいります。  次に、若者向けのワクチン接種促進のためのインセンティブでありますけれども、若者へのインセンティブの付与、これはLINEのアンケート結果では、若い世代ほど多くの方が接種したくない理由として、副反応が怖いことを挙げています。  若者に対しては、接種に対する不安の払拭、これがインセンティブであると考えておりまして、様々な媒体を通じて、正しい情報の提供に努めてまいりたいと思っております。  また、現在、政府が検討していますワクチン・検査パッケージ、これもワクチンを打っておくと、いろいろな自由をこれから手にできるといったことのメッセージでありますから、行動制限の緩和という意味で、非常に大きなインセンティブになると考えております。  抗体カクテル療法については、担当局長から答弁させます。  それから、保健所設置市との連携の件でありますが、御説明申し上げたように、特措法と感染症法の整合性といった問題で、我々は随分苦労してまいりました。これは条例ということをお出しになりましたけれども、先ほど申し上げたように、ほかの条例を見ても、ここを整合させていくような条例ではないといったことであります。法律があってこそ、決まるものであって、法律がないのに条例でそれを前に進めるということはできないわけでありまして、ですから、我々は法改正を求めるとともに、先ほど答弁でも申し上げましたけれども、保健所との連絡会議をしっかりと開きながら、統一的な行動を取っていくといったことであります。これは今までもやってまいりましたけれども、しっかりと今の体制の中でも進めていきたいと考えております。  それから、医療的ケア児の支援法の施行についてであります。  県はこれまでも、医療的ケア児と御家族への支援を行ってまいりましたけれども、法律の施行に伴い、支援をより充実させることが必要と考えております。そのため、県は市町村や関係機関と連携して、法律が求める切れ目ない支援に必要な施策の実施を速やかに検討してまいります。  支援法について、あまり積極性が見られないような答弁だといった御発言があったと思いますが、全くそんな気持ちはありません。支援法に合わせて、しっかりと前に向けていくということを答弁でしっかりと申し上げているということを強調しておきたいと思います。  答弁は以上です。  〔健康医療局長(山田健司)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 山田健康医療局長。 ◎健康医療局長(山田健司) お答えいたします。  まず、カクテル療法の効果についてでございます。  本県で調査をいたしました件数、522件のうち、軽快された件数が341件ということで、おおむね7割程度、軽快されているというふうに把握してございます。  それから次に、東京は人員を確保してやっているけれども、神奈川ができないのはなぜかというお尋ねもございました。  通常の医療では、東京のほうで医療にかかられている方というのも結構いらっしゃいます。東京に比べると、神奈川は相対的に医療資源が少ない、反対に、東京にはかなり高度な医療機関も含めて、医療資源は集積をしております。  これは各地域でもほぼ同様だと思いますけれども、その地域の中心都市には医療資源がかなり多めに蓄積しており、相対的にその周辺県には医療資源が少ないという特徴があります。  通常の医療では、都道府県間を行き来して患者の面倒を見ているとか、やりとりをされているということがございますけれども、今回のコロナ禍においては、都道府県で区切られて都道府県ごとに対応しているのが基本となっております。  こうしたことから、東京に比べますと、人員を集めるのがなかなか神奈川は苦しいと、こういう事情でございます。  以上でございます。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 再質問にお答えいたします。  まず、不登校対策として、居場所の好事例を広報したらということでございますが、教育委員会で不登校の児童・生徒が地域で学ぶ仕組みづくりなどを紹介するホームページをつくっております。そうしたページの中に、今後、学校における居場所づくりの取組について盛り込んでいきたいというふうに考えております。  それから、授業がつまらなく、面白くないということですが、今、横須賀市教育委員会と連携しまして、不登校等の未然防止につながる魅力ある学校づくりということで、推進校で取組を進めております。  推進校では、児童・生徒の声を定期的に把握して、授業改善に反映していくと、そうした取組がありまして、効果を上げているということでございますので、こうした方策について、全県のほうへ広めていきたいと考えております。  以上でございます。  〔池田東一郎議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 池田東一郎君。  〔池田東一郎議員登壇〕 ◆池田東一郎議員 知事並びに教育長、御答弁ありがとうございました。  再々質問ですが、医療的ケア児支援法について、私は、積極性がないなんて、全然言っていないのです。検討されるという項目がいろいろありますけれども、法律は9月18日から施行されますので、いつまでに結論を出して実施をしていくのかという、そういう今後の方針を伺っております。  よろしくお願いいたします。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 再々質問にお答えいたします。  できるだけ早くです。  〔池田東一郎議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 池田東一郎君。  〔池田東一郎議員登壇〕 ◆池田東一郎議員 御答弁ありがとうございました。  せっかくの法律ですので、一生懸命頑張って施行に御尽力いただければなと思います。  いろいろとお伺いしてまいりましたが、この辺で代表質問を終わりとさせていただきます。  皆様、本当にありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(小島健一) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島健一) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後3時35分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和3年第3回-20210914-029061-質問・答弁-大山奈々子議員-代表質問①県民のいのちを守る取組について②県政の諸課題について》                   午後3時55分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共57名 ○議長(小島健一) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) 質問を続行いたします。  大山奈々子君。  〔大山奈々子議員登壇〕(拍手) ◆大山奈々子議員 日本共産党の大山奈々子です。  共産党県議団を代表して、質問いたします。  〔資料提示〕  初めに、県民のいのちを守る取組について伺います。  最初に、新型コロナウイルス感染症の病床確保と地域療養体制の充実についてです。  まず、治療ができる病床を確保することについてです。  現在、コロナ感染者数が減少傾向にあるものの、予断を許しません。  政府は8月2日、専門家の意見を聴くこともなく、突然、入院対象を重症者と中等症で酸素投与が必要な人に絞り、そのほかの患者は自宅療養を基本とすると発表しました。  東京保険医協会は、死の危険にもつながるおそれのある中等症患者を自宅や療養施設に取り残すことは医療崩壊であるとして、自宅療養を基本とする方針の即時撤回の声明を出しました。  私たちも、新型コロナ感染者の原則入院を堅持し、たとえ軽症、中等症であっても、医師が必要と判断したときには入院を受け入れるべきと指摘しておきたいと思います。  本県は感染症急拡大の下、8月には、重症用のベッド利用率は90%を超え、入院できない待機者は110人を超えたことがありましたが、12日現在は11人、在宅や宿泊施設での死亡例は12例に上ります。  〔資料提示〕  本県がコロナ対応病床を増やしていることは承知していますが、元来、神奈川県は人口当たりの病院数、病床数、医師数、看護師数ともに全国最下位クラスにある状況で、もはや病床を確保するためには、通常医療を大幅に削らざるを得ない状況になっています。  それでも、やはり治療できる場所が必要です。少なくともハイリスクの方には大型入院施設を用意し、治療を継続し、酸素投与を行うことが必要です。医師からも、そのほうが個別に訪問するより、効率的なケアが可能になり、在宅死を避けることができるとの意見が聞かれます。感染者の多い政令市域には臨時の大型入院施設が足りません。  そこで、知事に伺います。  県がイニシアチブを発揮し、患者数が多い政令市にも臨時の大型入院施設を開設し、機材、人材を確保するべきと考えますが、見解を伺います。  次に、宿泊療養施設の活用についてです。  本県の無症状や軽症の方を対象にした宿泊療養施設の利用率は、9月13日現在、12.5%にとどまっています。家族に感染させたくないからと宿泊療養施設を希望しても、在宅に誘導される例も聞いています。  課題の一つに、搬送手段の確保が難しいという問題があると聞いています。この点を克服し、酸素やステロイドの投与、抗体カクテル療法など積極的な治療にも取り組み、重症化を防ぐべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  やむを得ず入院できない無症状や軽症の間の療養は、宿泊療養を原則として民間の救急車の活用にとどまらず、タクシー会社などと契約し、搬送手段を確保して宿泊療養施設を有効利用することが望ましいと考えますが、見解をお聞かせください。  また、県立がんセンターで始まり、順次増やしていくという抗体カクテル療法等を宿泊療養施設においても、医師に常駐していただくなどの工夫をして取り入れるなど、医療提供を行い、重症化を防ぐべきと考えますが、見解を伺います。  次に、自宅療養者に対するケアについてです。  自宅療養者は9月13日現在、6,518人に上ります。苦痛と不安の中で過ごす方々に少しでも医療的支援が届くことが必要です。  東京都墨田区が8月31日時点で重症者をゼロに抑えている実践が話題になっています。自宅療養者や軽症者を早期発見、早期介入し、重症化させない体制づくりに力を入れていることが、結果として表れているのかもしれないと広報担当がコメントされています。  保健所が毎日電話で健康観察し、異変に気づいた場合は、保健所の指示で医師や看護師が往診し、自宅で酸素投与やステロイド治療を行っているというものです。  〔資料提示〕  本県も類似の地域療養の神奈川モデルを構築し、地域の医師会や訪問看護ステーション等の協力を得て、悪化リスクのある自宅療養者にオンライン診療や検査、入院調整などを行っていますが、現在、導入自治体は、藤沢市をはじめ7市4町1村にとどまっています。  現段階では、このモデルをより効果的に機能させるため、酸素やステロイド投与など治療につなぐことが必要と思われます。  また、市町村との間で、感染者の個人情報の提供等について覚書を取り交わし、食料品や日用品等の購入代行など生活支援事業を行っていますが、これも海老名市をはじめ6市2町1村にとどまっています。  そこで、知事に伺います。  医療提供体制の構築は県の責務です。本県の医療資源が全国に比して低い水準であったことが生み出してしまっている自宅療養者の安心・安全確保のために、地域療養の神奈川モデルの対象を拡大し、重症化させないために、医療行為も行える体制をつくることが必要と考えますが、見解を伺います。  また、市町村と連携した生活支援事業の対象をさらに拡充していくことは、県の責任で推進すべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、法の趣旨に則った生活保護行政について伺います。  生活保護については、今年2月に我が党の代表質問の中で取り上げました。答弁は比較的前向きなものではありましたが、生活保護に関わる課題が解決されたわけではありません。  残念ながら、その約1か月後に、横浜市神奈川区で生活保護申請に来所された方の申請を受け付けず、来所者の意思を尊重した対応が行えなかったという事案が発生しました。所管課が深い反省と謝罪を発表したものです。  コロナ禍により、経済的な苦境に追い込まれたり、孤立に陥る人が増えており、女性や若年層の自殺の増加も報道されています。生活保護制度に適切につながっていたならと思わずにいられません。  初めに、基本理念について伺います。  コロナ禍で困窮世帯が急増している状況でも、生活保護の利用がそれほど伸びていない要因の一つとして、制度的な問題のほかに、生活保護制度に対するネガティブなイメージによる申請のちゅうちょがあると懸念されます。  困窮している方々からの御相談の中で、頼りにしていた生活福祉資金の支給が受けられず、手持ちのお金が尽きたと言われるので、生活保護の利用を勧めましたが、それは避けたいと言われました。育ち盛りの子供に、あまり食べないでと言わなければならないのがつらいというお母さんでした。生活保護は避けたい、そういう方に何人も出会いました。  〔資料提示〕  また、最近は有名芸能人がユーチューブ上で生活保護バッシングを行い、批判を集めました。その後1週間たたないうちに、厚生労働省は公式ツイッターで、生活保護の申請は国民の権利ですというツイートを公開しました。  厚労省の担当者は、そういった報道が盛り上がっている中で、社会的に生活保護について周知を行う機会であると考えたとの見解を示しています。  そこで、知事に伺います。  生活保護制度は、憲法第25条、生存権を具体化する大切な制度です。コロナ禍に限らず、苦しいときにはためらわずに利用をと呼びかけることが重要だと考えますが、見解を伺います。  次に、生活保護申請権を保障する仕組みについてです。  〔資料提示〕  厚労省から、新型コロナ感染による影響下において、確実かつ速やかに要保護者の最低生活を保障する観点から、生活保護の弾力的な運用を行う旨の事務連絡が、昨年度6回にわたって発出されています。  通勤用自動車や、自営用の資産の処分指導を留保できること、生命保険に対する処分指導の留保などです。しかしながら、各地域の福祉事務所のホームページを調査したところ、弾力的な運用を明記しているところが、本県以外では僅かにとどまっています。  申請には、車や持家の処分や、生命保険の解約が必要と思い込んでいる方々に、弾力的運用をきちんと知らせる必要があります。  また、横浜市や小田原市は保護の受給者という表現を改め、利用者という言い方を採用しています。受給という言葉は、申請者にとっては、施しを受けるというニュアンスが感じられるとのことで、各地で改善が図られてきているものです。  札幌市では、生活保護申請を促すポスターを作成して啓発も行っています。  そこで、知事に伺います。  研修などの機会を通じ、生活保護制度の弾力的な運用についての説明を窓口で徹底すること、生活保護のホームページやしおりに国民の権利であることを明記し、不当に申請を抑制するような表現を排除するよう改善を図ること、そのために県が指導性を発揮するべきと考えますが、見解を伺います。  また、札幌市のようなポスターを作成し、制度の利用を促すべきと考えますが、併せて伺います。  次に、扶養照会についてです。  生活保護申請時に、親族に、申請者を扶養できないか問合せをする扶養照会については、国会でも、有効性が疑わしく、申請を阻むものとの問題が指摘され、厚労大臣は、扶養照会は義務ではないと重ねて答弁しています。  さらに、厚労省は本年3月、実務マニュアルである生活保護手帳別冊問答集の記載を変更する通知を発出しました。生活保護申請者の意向を尊重する方向性を明らかにし、親族に問合せが行くことを拒否したい人は、拒否したいという意思を示し、一人一人の親族について扶養照会をすることが適切ではない、または扶養が期待できる状態にないことを説明すれば、実質的に照会を止められることになりました。  しかし、支援団体などから、20年前に離婚した妻への照会が行われているなど、依然として不適切な窓口対応が指摘されています。  また、県内では、扶養照会の際、扶養義務者と呼ばれる親族の勤務先や負債を含めた資産状況まで問う書式になっている市町村が依然として多数あります。  さらに、国や県が行う監査で扶養照会の有無が問われることから、行わざるを得ない実態があると言います。  そこで、知事に伺います。  扶養照会に関する生活保護手帳別冊問答集の変更内容を改めて各地の窓口に徹底し、扶養照会書類については、申請者に心理的負担をかけない形式への変更を求め、国や県の監査項目から扶養能力調査を削除することを国に求めるべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、土砂条例の見直しと、気候変動を加味した諸基準の見直しについてです。  近年、従来の想定を超えた集中豪雨が相次ぎ、全国各地で豪雨災害が発生しています。被害に遭われた方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。  7月3日に静岡県熱海市伊豆山地区で発生した大規模土石流による土砂災害により、131棟の建物が被害を受け、9月9日の時点で、死者26名、行方不明者1名となっており、甚大な人的被害が発生しています。  熱海市盛り土流出事故被害者の会の方々は、御遺族含め60人の原告団で、元土地所有者を殺人容疑で刑事告訴しました。  静岡県の難波副知事は記者会見で、土石流の起点周辺にあった盛土について、違法な盛土が災害の原因との見解を示しました。  また、別な報道では、被害を引き起こした盛土は市街地の真上に違法に造成されたもので、行政がそれを止めることができなかったことから、背景に県や市の危機意識の薄さと条例による規制の限界、さらに自治体任せにしてきた国の不作為という構造的な問題が指摘されています。  関東地方知事会や全国知事会が、土砂等は県域を越えて流通している上、条例で定めることのできる罰則では、不適正な事案に対する十分な抑止力となっていないとして、国に土砂等の適正管理のための法整備を求めていることは重要です。  私たちは、法整備を待たず、隣県の災害に学び、県として災害対策を強化する必要があると考えます。  本県には土砂条例があります。静岡の土砂条例よりは厳しい基準となっていますが、まだ次のような課題があると考えます。  建設残土を排出する業者や運搬する業者の責務や県の責務が明確ではないこと、土砂搬入禁止区域が限定的であることです。  そもそも、熱海市の現場は土石流危険渓流に指定され、下流の住宅地は土砂災害警戒区域に指定されて避難などの対策を進めている地域でした。土砂災害警戒区域の上流に大量の土砂を捨てて盛土にすることを認めること自体、災害を警戒する観点とは矛盾を来しています。  〔資料提示〕  また、昨年、我が党の一般質問で、相模原市緑区の山間に谷埋め盛土を行う津久井農場計画について、近年の降雨の激甚化に鑑み、林地開発許可における降雨強度を現行の10年に一度の数値では不十分だとして、林地開発基準の見直しを求めましたが、答弁は、国基準を準用している、それは適正と判断しているというものでした。  このような姿勢で県民の命に責任が持てるでしょうか。熱海の災害を見て、津久井農場計画地の下流域、土砂災害特別警戒区域の愛川町の皆さんの中から不安の声が上がっています。  例えば、川の話に例を取ると、流域治水で先進的だとされる滋賀県が2014年に制定した流域治水推進条例では、200年に一度の降雨による浸水想定区域を採用しています。自治体が本気で住民を守ろうとする厳格な姿勢の表れです。  本年、国の流域治水関連法が制定されましたが、そこでは数十年に一度レベルの降雨を想定して基準を決めています。国土交通省は、20世紀末比で、気候変動の影響により、21世紀末には、全国平均で降雨量1.1倍、洪水発生頻度2倍に上ると試算しており、これを背景として成立したとのことです。  そこで、知事に伺います。  県の土砂条例について、発注者や事業者、県の責務を明記すること、土砂災害警戒区域の上流域や周辺等に土砂を持ち込んで処分することを禁止するなど、条例の中に規定する規制強化が必要であると考えますが、見解を伺います。  さらに、昨今、気候変動の影響により、豪雨が多発している実態を反映し、土砂条例はじめ林地開発許可基準など、本県の災害防止を目的に制定されている制度に関し、基準となる降雨強度の数値を強化し、上位法があるものに関しては、降雨強度の数値の見直しを国に進言すべきと考えますが、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 大山議員の御質問に順次お答えしてまいります。  県民のいのちを守る取組について、何点かお尋ねがありました。  まず、新型コロナウイルス感染症の病床確保と地域療養体制の充実についてです。  初めに、治療ができる病床を確保することについてです。  医療提供体制神奈川モデル」は、新型コロナ患者を県内全域で受け入れるモデルとしています。そのため、本県が全国に先駆けて湘南ヘルスイノベーションパーク内に開設した臨時の医療施設においても、政令市を含め、県内全域から患者を受け入れています。  さらに、北里大学病院や海老名総合病院では、使用していない病棟を臨時のコロナ専用病棟として稼働していただいています。また、緊急的に酸素投与などを行う、かながわ緊急酸素投与センターについても、全国で最初に設置しており、県内全域から患者を受け入れています。  このように、本県では既に臨時の医療施設を設置しており、神奈川モデルの中で大きな役割を果たしています。  新たな臨時の入院施設を開設し、十分に機能させるためには、医療人材の確保が最大の課題となることから、現時点では県独自の設置は困難ですが、人員確保が可能となった場合は、改めて検討を進めます。  次に、宿泊療養施設の活用についてです。  まず、宿泊療養施設への搬送手段の確保についてですが、宿泊療養施設に入所される方は、感染予防の観点から、県が用意した、感染対策を施した車両で搬送しています。搬送には民間救急車を活用していますが、昨年5月からタクシー会社とも契約して運行を委託しており、今年の8月には5台増車して17台とするなど、必要な台数を確保しています。  また、抗体カクテル療法は、副作用の状況を見守る必要があることから、入院による投薬を原則としています。このため、この投薬治療を宿泊療養施設で行うためには、医師や看護師の常駐が必要となりますが、医療人材の確保が困難な中、現状では宿泊療養施設での実施は考えていません。  次に、自宅療養者に対するケアについてです。  まず、地域療養の神奈川モデルについてです。  この仕組みは、地域の医師や看護師が自宅療養者の悪化の兆候を早期に察知し、薬剤投与や緊急時の在宅酸素も含め、医療の視点から支援を行うもので、全県域に展開されることが望ましいと考えています。  これまで県は、県内全ての医師会等に、このモデルの説明を丁寧に行いながら、導入を求めてきました。一方、導入に踏み切れていない地域では、自宅を訪問する看護師の確保が難しいなどの課題があります。  そこで、看護師は健康観察の電話連絡のみを行う体制で開始するなど、柔軟な運用を認めることで、全県展開につなげていきたいと考えています。  次に、市町村と連携した自宅療養者への生活支援事業については、身近な市町村が食料品等の購入代行など、きめ細かな支援を行うことで、生活面で不安のない療養生活を送ることが期待できます。  今後も引き続き、県から未実施の市町村に対して情報を提供し、さらなる横展開を促進してまいります。  次に、法の趣旨に則った生活保護行政についてお尋ねがありました。  まず、基本理念についてです。  生活保護制度は、生活に困窮する県民の暮らしを守る最後のセーフティーネットです。  県では、生活保護の相談があった際には、生活困窮の状態や御本人の気持ちをしっかり受け止め、申請を希望する方に対しては、丁寧に手続を説明するよう福祉事務所を指導しています。  また、コロナ禍の長期化が県民の暮らしに大きな影響を及ぼしていることから、生活に不安を感じるときは、ためらわずに御相談くださいと県のホームページに掲載し、広く呼びかけるとともに、県内各市の福祉事務所にも参考にしていただくよう周知しています。  次に、生活保護申請権を保障する仕組みについてです。  県は、コロナ禍の生活保護の弾力的な運用について、研修や会議、監査等の機会を捉えて繰り返し福祉事務所に周知しており、県民の皆様に対しても、県のホームページで御案内をしています。  また、各福祉事務所が用意する生活保護のしおりやホームページについて、保護の申請をためらうような表現になっていないか指導するとともに、生活保護の相談者に寄り添った対応をするよう求めています。  次に、ポスターについては、県では既にホームページで、生活に不安を感じるときはためらわずに相談するよう御案内しており、作成する予定はありません。  次に、扶養照会についてです。  生活保護制度では、生活保護を受けるためには、他の親族から支援を受けることができないかをあらかじめ確認する、いわゆる扶養照会を行うことになっています。  国はこれまでも柔軟な取扱いを示しており、10年程度交流がない親族には扶養照会を行わないことなどを示しています。  県は、こうした取扱いをあらゆる機会を通じて、全ての福祉事務所へ徹底していきます。  次に、扶養照会を受ける親族は、資産の状況を記載した様式の提出を求められますが、簡略化した様式を使用している福祉事務所もありますので、これを他の事務所に紹介していきます。  また、監査項目から扶養能力調査を削除することについては、生活保護の適正な実施の観点から、県として、国に求めることは考えていません。  次に、土砂条例の見直しと、気候変動を加味した諸基準の見直しについてです。  まず、土砂条例の規制の強化についてですが、条例には、既に盛土造成事業者等の義務や県の許可基準等を具体的に規定していますので、新たに事業者等の責務を規定する必要はないと考えています。  また、現在のところ、土砂災害警戒区域の上流域における盛土を一律に禁止する考えはありませんが、近県での規制の動向を見定め、必要があれば規制内容の見直しを検討します。  次に、降雨強度の数値の見直しについてですが、降雨強度は国の基準を準用したり、接続する下流側の水路管理者との協議により決定されることから、県が一律に数値を見直すことは困難です。  また、国では、既に降雨量の増加等を計画に反映させる動きが始まっており、改めて降雨強度の見直しを進言する必要はないと考えています。  お答えは以上です。  〔大山奈々子議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 大山奈々子君。  〔大山奈々子議員登壇〕 ◆大山奈々子議員 御答弁頂きました。  1点、再質問いたします。  生活保護に関して、ポスターを県としては作成しないということでしたけれども、ホームページにも、25条に規定されるという記述はないので、札幌市が作成したポスター、札幌市さんに聞きましたら、20枚程度だと、市庁舎の中、そしてインフラに関わる、例えば水道やガスの事業者のところに貼ってあると。枚数は少なくても、効果は絶大かと考えます。  保護申請のハードルを下げるためには有効だと考えますので、各福祉事務所の会議などで、このポスターの例を紹介していただきたいと思うのですが、そこはいかがでしょうか。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  県は、生活保護制度が適正に実施されるよう、福祉事務所の会議などで情報の共有や意見交換を行っています。  札幌市が作成したポスターにつきましても、今後、各福祉事務所との会議等において紹介してまいります。  答弁は以上です。  〔大山奈々子議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 大山奈々子君。  〔大山奈々子議員登壇〕 ◆大山奈々子議員 どうもありがとうございます。御紹介いただけるということで。  これまでも各福祉事務所に対して、しっかり指導してこられたことは想像に難くないのですけれども、実際、厚労省が弾力的な運用通知を出しても、不適切な事例が散見されているということから、一層の福祉事務所と連携した、適正な生活保護行政の推進に力を貸していただきたいと思います。  要望を申し上げます。  大型入院施設の運営に当たって、人材確保が課題となっているとのことですが、そこは県の指導性を発揮して解決されますよう要望いたします。  新型コロナウイルス感染症自宅療養者の生活支援、市町村連携事業に関して、県から声がかかれば実施したいという自治体の声も、市町村議員を通じて聞いています。  また、財源が市町村負担になることの壁もあるとのことです。県も財政支援すべきと考えますが、せめて現在、国に弾力的運用と追加交付を求めている地方創生臨時交付金に、市町村の生活支援事業を交付対象とするよう、国に求めることを要望します。  また、最近、飲料メーカーが自宅療養者向けにスポーツ飲料を無償配布するサービスを始めたことが話題です。本県は療養者向けに配食サービスを行っていますが、配食サービスを受けた方によると、熱がある状態でお弁当は食べられず、イオン飲料やゼリーなど喉越しがいいものがありがたい、また、乳幼児がいるのに大人向けのお弁当では困るという声も聞いています。療養者のニーズに沿った支援となるよう要望いたします。  土砂条例の見直しは、近隣県などを注視していくとの御答弁でしたが、近年、想定を超える降雨があるという状態が毎年発生している以上、10年前に基準が改定された条例の想定では対応できないことは明らかです。注視している間に、また激甚豪雨があったら行政責任が問われます。  また、土砂災害警戒区域の上流への搬入を禁じることはしないとの答弁でしたが、一律にと私も求めておりませんので、非常に危険な地域の上を検討することをしていただきたいと思います。事業者の財産権を尊重する一方で、下流域の県民の暮らしや命が脅かされることがやむなしという状況では困ります。憲法29条第2項、財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定めるとされています。  危険なところに残土を搬入させない禁止区域を、土砂条例に位置づけるべきという我々の主張は、まさに公共の福祉の観点を盛り込むことを求める提案です。  一律にとは申し上げませんので、禁止区域の設定とともに、ぜひ早急に気候変動を計算に入れた厳格な条例へと改正することを要望します。  先ほど、現在入院できない待機者を110名ですと言いましたが、間違っておりました。訂正いたします。正しくは入院できない待機者は110人を超えたことがありましたが、12日現在は11人ですということです。訂正しておわびいたします。〔訂正済〕  〔大山奈々子議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 大山奈々子君。  〔大山奈々子議員登壇〕 ◆大山奈々子議員 続きまして、県政の諸課題についてです。  〔資料提示〕  初めに、特別支援学校の適切な整備についてです。  まず、現状の課題認識と教室確保についてです。  我が国は小・中・高校などの学校には設置基準があっても、特別支援学校には設置基準がありませんでした。保護者や教職員の粘り強い運動に押され、文科省はついに特別支援学校設置基準案を6月に公表し、パブリックコメントを経て、省令として策定されることになりました。  私たち日本共産党としても、毎年、国政要望に出向き、毎回、設置基準をつくることを求めてきましたので、感無量の思いがあります。  しかしながら、示された基準案は、学級編制の上で生徒数の上限についての言及はあっても、学校全体の児童・生徒の人数の上限の設定がないなど不十分なもので、策定の際にはさらなる改善が求められます。  本県は、この基準を反映した指針を策定することになります。その際は国の示した基準を厳に踏まえつつ、本県特有の課題を解決すべきと考えます。  県教育委員会としては、議会質疑の中で、教育環境の充実という観点から、こうした既存の学校についても対応を図る必要があると考えていると答弁されており、この言葉に大いに期待しています。  それというのも、本県は国の求める広さ基準を校舎面積で18校、運動場の面積で20校が基準を満たしておらず、設置当初に想定された生徒数の1.8倍、2倍となっている学校もあるからです。  国が行った直近2019年の教室不足調査では、教室不足数が県下では全国第2位の213教室、県立では88教室にも上っています。  しかしながら、先日、文教常任委員会の審議の中で、特別支援学校について、基準面積に不足している学校が今ございますけれども、そのことが授業を実施する上での課題となっているという状況はございませんという答弁がありました。  これは、私は大問題だと考えます。その現状の中で起きている問題を把握しないままで、子供たちの教育環境改善はなし得ません。  教職員からは、次のような指摘があります。  図書室がかつての倉庫だった場所になり、椅子も机もなくなり、ほとんど誰も借りていない。理科室が教室になり、理科の実験は行われなくなった。生徒のクールダウンや個別指導のための教室がない。濡れたものを干す場所もなく、流し回りの衛生面に問題がある。車椅子が教室に入り切らない。肢体不自由の高等部の生徒が車椅子から降りて体を伸ばすスペースが限られ、必要なときに車椅子から降りられないなどです。  そこで、教育長に伺います。  県立だけでも88教室も不足している状況で、子供たちに十分な環境を提供できていないという状況をどう認識していますか。また、早急に教室確保をどう行うのか伺います。  次に、過大規模化の解消に向けた年次整備計画の策定についてです。  〔資料提示〕  県教育委員会は、新まなびや計画に基づき、特別支援学校の過大規模化を計画的に対応するとしており、不足を補うために分教室やインクルーシブ教育実践推進校を増やしてきました。この二つの教育形態について、我が党はこれまでも議会において、再三、改善を求め、ソフトもハードも含めて環境整備が必要だと取り上げてまいりました。  今回の文科省の特別支援学校設置基準案では、分教室については本校に含めて算定されるということでした。本校から遠く離れた分教室が多い中で、数学上の合算をしても根本解決にはつながりません。  特別教室が足りない、本校の高等部に提供される給食が分教室にはない、本校の高等部は8人が基本の人数であるのに、分教室では1教室に15人を基本としているなど、現場教職員の頑張りをもってしても、克服し得ない不平等な状況です。やはり当初想定されたように早期に解消すべきと考えます。  我が党の指摘も受け、校名を書いた名札を設置したり、特別教室を一つ増やす努力がされてきたこと自体は評価しますが、根本的な解決ではありません。  そして、今後も、本来的に特別支援学校での教育が必要な児童・生徒の増加が推計される中で、不十分な分教室という在り方を解消し、特別支援学校の過大規模問題を解消していくためにも、分教室の解消を視野に入れた適切な整備計画の策定は喫緊の課題です。  そこで、教育長に伺います。  特別支援学校不足による過大規模化を解消し、教育環境を整えるため、設置基準に合致する特別支援学校の整備と、分教室の解消を視野に入れた既存校の改善に向けた年次整備計画を策定する必要があると考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、横浜市のIRカジノと住民投票についてです。  初めに、本県の今後の対応についてです。  去る8月22日に投開票が行われた横浜市長選挙において、カジノに関する住民投票条例を求める署名運動から生まれた市民団体と5野党が共同で推した、カジノ誘致反対を掲げる山中竹春候補が大差で勝利を収めました。投票率も前回を11%上回る結果となりました。  市政の重要課題に対し、住民意見の反映を求める約20万筆近い署名を付した住民投票条例を否決した議会与党への不信、市民の声に応える市政運営への期待がありました。  知事はこの間、カジノを含むIRは経済効果が見込めるなどと述べて、カジノ誘致に邁進する横浜市の要請に応え、積極的に支援してきましたが、このたびの市の方針転換を受け、判断が迫られます。  そこで、知事に伺います。  このたびの横浜市長選挙で示された民意を踏まえ、IR推進に歩調を合わせてきた自身の姿勢をどのように顧みているのか伺います。また、先般、山中市長の所信表明演説の中で、IR誘致について撤回表明がなされたことを受けて、本県としてはどのように対応するのか伺います。  次に、住民投票についてです。  〔資料提示〕  住民投票条例議案を審査する過程で、当時の林市長が、住民投票の意義が見いだせないと意見を付したこと、議会討論の中で元与党議員が、自分たちこそ市民の代表であり、軽々に市民に判断を委ねるべきではないという趣旨の発言があったことに対し、極めて不遜であると市民の皆さんが口々に訴えておられました。  市長選挙の結果を見ると、市長や議会が多数の民意を無視したことに審判が下ったものと言えます。多数の意見と首長や議会の認識に乖離がある場合に、住民の要求に基づき、住民投票を行うことは、地方自治体の行政運営にとって有効な手段だと考えます。  そこで、知事に伺います。  住民投票の意義について、知事の見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の諸課題についてお尋ねがありました。  横浜市のIRカジノと住民投票についてです。  まず、本県の今後の対応についてです。  県はこれまで、IRに関し、基礎自治体である市町村が判断すべきであり、その結果を支援、協力するとしてきました。こうした方針の下、県は横浜市のIRに関し、ギャンブル等依存症対策に取り組むなど、市の対応に協力してきました。  山中市長は、9月10日の横浜市議会において、IR誘致の撤回を正式に表明しましたので、従来の方針どおり、市の判断を尊重し、それに沿った形で適切に対応してまいります。  次に、住民投票についてです。  県民主体の県政を行うための基本的なルールを定めた神奈川県自治基本条例では、県民の意思を問うため、県民による投票を実施することができると規定しています。  自治体運営においては、選挙で選ばれた議員の皆さんと首長が車の両輪として、住民の意思を反映する役割を担うことは言うまでもありません。  その上で、重要な行政課題について、直接住民の意思を問うことも住民自治の観点からは意義があると認識していますが、それを実施するかどうかは各自治体の判断によるものと考えています。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  現状の課題認識と教室確保についてです。  県立特別支援学校における入学者については、各年度で増減がありますが、児童・生徒数の増加が見込まれ、授業を行う普通教室が不足する場合には、入学前に多目的室等を普通教室へ転用するなどの対応を行っています。  そのため、各学校において、現状、直ちに子供たちの学習指導に影響が生じる状況にはないと受け止めていますが、引き続き、児童・生徒の状況に応じて必要な教育環境の充実に取り組んでいきたいと考えております。  次に、過大規模化の解消に向けた年次整備計画の策定についてです。  特別支援学校の分教室は、知的障害のある高等部段階の生徒の自立と社会参加に向け、地域と連携した職業教育を行うなど、特色ある教育を行っている大切な学びの場です。こうしたことから、現在、順次、その環境整備に取り組んでいます。  県教育委員会では、今後、国の特別支援学校設置基準の制定を踏まえ、分教室の適正配置を含めた各地域における特別支援学校の整備の方向について、現在策定中の、仮称ではありますが、かながわ特別支援教育推進指針において示していきます。その後、施設ごとに整備計画を取りまとめたいと考えております。  以上でございます。  〔大山奈々子議員発言の許可を求む〕 ○議長(小島健一) 大山奈々子君。  〔大山奈々子議員登壇〕 ◆大山奈々子議員 御答弁いただきました。  カジノについてです。  住民投票に意義があるということで、力強く受け止めました。  知事は市の判断を尊重するとおっしゃっていまして、その姿勢は一見道理にかなっているようですが、基礎自治体の意向というのは、住民多数の意見であるはずです。知事は経済効果があるとして、その施策を積極的に評価しましたが、それは提案した事業者の試算を横浜市が受け売りしたものにすぎません。  横浜市民の7割が反対した理由は、人がギャンブルに負けたお金、人の不幸が生む収入を財源に市政運営をするという不健全な考え方に対する嫌悪感が強かったものです。  住民の福祉増進が地方自治法に位置づけられた住民自治の基本です。県が関与するのであれば、基礎自治体任せではなく、その理念にかなう施策かどうか見極めて、判断をされるよう要望いたします。  特別支援学校の整備についてです。  いまだに過大規模校の現状認識が甘いことを大変残念に思います。  在校生に配慮しての御答弁かもしれませんが、そのことと課題把握は切り分けるべきです。  読書活動や理科実験について、代替措置が取れていれば、それでいいというものではありません。  教室不足は転用するとのことですが、転用ということは、その分、何かに必要だった教室が失われるわけです。それも根本的解決でないことは明らかです。  分教室の意義がまたも語られましたが、大いに疑問です。  熱心な教員と頑張りたいという子供がいれば、そこに価値のある教育活動は存在します。どういった形態であっても、それは存在します。しかし、さきの本会議の御答弁で、生徒が選んで分教室に来ているという御答弁もありましたが、幾つも選択肢があっての決定ではなく、やはり通学しやすいところに行かざるを得ないという実態があります。  私たちは、分教室を視察した際に、こんな声を聴きました。  分教室では、間借りしている高校とは時間割が違いますが、始業や終業を知らせるチャイムは高校の時間に合わされています。チャイムが嶋っても、子供たちは気にならないようですということです。借りものだから仕方がないと思っているのでしょうか。チャイムが鳴るたびに、子供たちがどういう思いでいるのかなと考えます。特別支援学校を必要な数、整備していけば、このような切ない思いを生徒たちに味わわせなくても済むわけです。  分教室が当初5年間の暫定措置として整備されたことの意味を、再度考えていただきたいと思います。適正配置とおっしゃいましたが、これはやはり解消されなければならない教育形態です。  教職員の精いっぱいの努力や生徒たちの、自分の置かれた環境で頑張ろうという意欲に甘んじることなく、根本的に環境整備を行う県教育委員会としての責務を果たされますよう、要望申し上げます。  また、年次整備計画については、まだ本県としての指針が策定されていないために明確な御回答は難しいと思いましたが、歴代の特別支援教育行政の結果が、日本で2番目に教室数が足りない事態を招いています。日本で一番、分教室が多い、断トツです。  現在の教育局がこの先、人が替わってもぶれることなく、国の設置基準に適した特別支援学校を整備していくためには、子供たちの最善の利益と合理的な配慮を追求し、長期的な視野を持って年次計画を策定すべきことを要望して、質問を終わります。  以上です。                               〔拍 手〕 ○議長(小島健一) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小島健一) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○議長(小島健一) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  次回の会議は、明15日午後1時に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後4時38分 散会...