令和 3年 第三回 定例会
△《本会議録-令和3年第3回-20210913-029055-諸事項-
出席議員等・
議事日程-》 令和3年第3回
神奈川県議会定例会会議録第3号〇令和3年9月13日 午後1時開議 ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共103名 出 席 議 員 大 村 悠 桝 晴 太 郎 永 田 磨 梨 奈 加 藤 ご う 永 田 て る じ 菅 原 あきひと 須 田 こうへい す と う 天 信 上 野 た つ や 石 田 和 子 田 村 ゆうすけ 松 長 泰 幸 山 口 美 津 夫 高 橋 延 幸 武 田 翔 田 中 信 次 川 崎 修 平 神 倉 寛 明 お ざ わ 良 央 た め や 義 隆 飯 野 まさたけ 望 月 聖 子 佐 々 木 ナ オ ミ 柳 瀬 吉 助 市 川 さ と し 佐 藤 けいすけ 大 山 奈 々 子 君 嶋 ち か 子 池 田 東 一 郎 石 川 巧 芥 川 薫 川 本 学 市 川 和 広 山 本 哲 新 堀 史 明 田 中 徳 一 郎 山 口 貴 裕 野 田 治 美 脇 礼 子 石 川 裕 憲 米 村 和 彦 栄 居 学 小 林 大 介 京 島 け い こ 井 坂 新 哉 佐 々 木 ゆ み こ さ と う 知 一 楠 梨 恵 子 西 村 く に こ 谷 口 かずふみ 藤 代 ゆ う や 渡 辺 紀 之 原 聡 祐 高 橋 栄 一 郎 あ ら い 絹 世 柳 下 剛 細 谷 政 幸 河 本 文 雄 加 藤 元 弥 中 村 武 人 古 賀 照 基 青 山 圭 一 斉 藤 た か み 赤 野 た か し 浦 道 健 一 亀 井 たかつぐ 佐 々 木 正 行 渡 辺 ひ と し 小 野 寺 慎 一 郎 内 田 み ほ こ 長 田 進 治 国 松 誠 杉 本 透 小 島 健 一 いそもと 桂 太 郎 梅 沢 裕 之 嶋 村 た だ し 桐 生 秀 昭 市 川 よ し 子 岸 部 都 く さ か 景 子 北 井 宏 昭 菅 原 直 敏 相 原 高 広 鈴 木 ひ で し 藤 井 深 介 森 正 明 土 井 りゅうすけ 杉 山 信 雄 小 川 久 仁 子 持 田 文 男 竹 内 英 明 松 本 清 し き だ 博 昭 松 田 良 昭 牧 島 功 堀 江 則 之 作 山 ゆうすけ てらさき 雄 介 た き た 孝 徳 松 崎 淳 近 藤 大 輔 曽 我 部 久 美 子 欠 席 議 員 綱 嶋 洋 一 説明のための出席者 知事 黒 岩 祐 治 副知事 武 井 政 二 同 小 板 橋 聡 士 同 首 藤 健 治 政策局長 髙 澤 幸 夫 総務局長 筒 浦 浩 久
スポーツ局長 平 田 良 徳
環境農政局長 鈴 木 真 由 美
福祉子どもみらい局長 橋 本 和 也
健康医療局長兼未
病担当局長 山 田 健 司
産業労働局長兼
エネルギー担当局長 野 田 久 義
県土整備局長 大 島 伸 生
会計管理者兼会計局長 河 鍋 章
教育委員会教育長 桐 谷 次 郎 同 教育局長 田 代 文 彦
選挙管理委員会書記長 船 山 竜 宏
警察本部長 山 本 仁 同 総務部長 木 原 信 一 郎
公営企業管理者企業庁長 長 谷 川 幹 男
企業庁企業局長 池 田 雅 夫 ───────────────────────────────────────
議会局出席者 議会局長 平 井 和 友 議会局副局長兼総務課長 霜 尾 克 彦 同 議事課長 井 上 実 同
政策調査課長 大 河 原 邦 治 ─────────────────────────────────────── 令和3年第3回
神奈川県議会定例会議事日程第3号 令和3年9月13日午後1時開議第1 定県第 123号議案 令和3年度神奈川県
一般会計補正予算(第16号) 定県第 124号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非
営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例 定県第 125号議案 職員の
特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例 定県第 126号議案 神奈川県県税条例の一部を改正する条例 定県第 127号議案 神奈川県
地震災害対策推進条例の一部を改正する条例 定県第 128号議案 神奈川県
屋外広告物条例の一部を改正する条例 定県第 129号議案
工事請負契約の締結について(
県営阿久和団地公営住宅新築工事(3期-建築-第4工区)請負契約) 定県第 130号議案
指定管理者の指定について(相模湖公園及び相模湖漕艇場) 定県第 131号議案
指定管理者の指定について(
秦野戸川公園及び
山岳スポーツセンター) 定県第 132号議案
指定管理者の指定について(
相模三川公園) 定県第 133号議案
指定管理者の指定について(山北つぶらの公園) 定県第 134号議案 神奈川県
科学技術政策大綱の計画期間の変更について 定県第 135号議案 訴訟の提起について 定県第 136号議案 和解について 定県第 137号議案 和解について 定県第 138号議案
地方独立行政法人神奈川県立病院機構定款の変更について 県報第2号 専決処分について承認を求めること(動産の取得について)第2 認第1号 令和2年度神奈川県
公営企業決算及び神奈川県
流域下水道事業決算の認定について ───────────────────────────────────────
△《本会議録-令和3年第3回-20210913-029056-質問・答弁-
柳下剛議員-
代表質問①県政課題に対する知事の基本姿勢について
②新型コロナウイルス感染症対策について
③安全安心を守る取組について④県政の重要課題について》 〔
議会局長報告〕 出席議員 議長共60名
○議長(小島健一) ただいまから、本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(小島健一) 審議を行います。 日程第1、定県第123号議案 令和3年度神奈川県
一般会計補正予算外16件及び日程第2、認第1号 令和2年度神奈川県
公営企業決算及び神奈川県
流域下水道事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕(拍手)
◆
柳下剛議員 私は、
自由民主党神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、順次質問させていただきます。 質問に入る前に、一言申し上げます。 東京2020大会は、9月5日、
パラリンピック大会の閉会式で終了しました。
パラリンピックのシンボルマークはスリーアギトスと呼ばれています。アギトとは、ラテン語で、私は動くという意味で、困難なことがあっても諦めずに、限界に挑戦し続けるパラリンピアンを表現しています。 パラの
大会最終日、接戦の末、銀メダルを獲得した
車椅子バスケットボール男子をはじめ、今大会では、
県内ゆかりの多くの選手が活躍し、県民に多くの感動を与えました。 しかしながら、
パラリンピックで競技場を自由自在に躍動する選手でさえ、日常においては、様々なバリアにより行動が制限されていると聞いています。誰もがその人らしく暮らせる地域社会は、いまだ道半ばであります。 この神奈川では、障害者が安全で安心して暮らせる共生社会の実現に向け、ともに生きる社会かながわ憲章を県と議会の共同で策定しました。
パラリンピック閉会式のテーマである、すべての違いが輝く街のように、障害がある人もない人も、誰もが互いの違いを認め合い、支え合い、いかなる差別も障壁もない神奈川にしていくことを目指し、質問に入ります。 知事、企業庁長、教育長、
警察本部長、
選挙管理委員会書記長におかれましては、明快な御答弁を、また、先輩、同僚議員の皆様には、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。 〔
資料提示〕 質問の第1は、県政課題に対する知事の基本姿勢についてであります。 初めに、
税収見通しと今後の
財政運営について伺います。 令和3年8月26日に内閣府が発表した
月例経済報告では、景気は、
新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増しているとの基調判断が示されました。 景気の先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、
ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要があると懸念が示されたところであります。 こうした中、先日の
知事提案説明によると、令和3年度は、海外経済の回復による企業収益の持ち直しなどから、現時点で県税と
地方譲与税を合わせて、
予算計上額から
税交付金等を差し引いた
実質ベースで、約560億円の増収を見込んでおり、また、令和4年度も、
実質ベースで約580億円の増収が期待できるとのことでした。 その一方で、介護・医療・
児童関係費などが大幅に増額となる見込みなどから、令和4年度の
財源不足額は、おおむね850億円を見込んでおり、また、
財政調整基金については、
新型コロナウイルス感染症に対応するための取崩しを続けた結果、残高が大幅に減少しているとの説明がありました。 今後の
財政運営に当たっては、
新型コロナウイルス感染症対策にしっかりと取り組むとともに、収束後の本県経済を回復させていくことが大切です。 今後も、本県の
財政運営に大きな影響を与える県税収入の動向を的確に把握して、
財政運営を行う必要があると考えています。 そこで、知事に伺います。 令和3年度と4年度の県税収入について、どのように見込んだのか、また、今後どのように
財政運営に取り組んでいくのか、併せて伺います。 〔
資料提示〕 次に、本県の
デジタル戦略推進の取組について伺います。 行政分野などでは、
デジタル化の遅れが顕在化したことから、国では、デジタル・ガバメントの確立、民間のDXを促す基盤整備を加速し、全ての国民に
デジタル化の恩恵が行き渡る社会を構築するため、この5月に
デジタル改革関連法が可決、成立されました。 そして、9月1日に
デジタル庁が発足し、国全体の
デジタル化を主導する司令塔として、
デジタル化に向けた
官民インフラを今後5年で一気呵成につくり上げるとしています。 また、
デジタル庁は、設置時点で約600人規模、そのうち200人を超える方を民間等から起用したと聞いており、さらに、
デジタル庁を含む政府部門においても、
デジタル政策の中心となるような人材をこれまで以上に確保するため、令和4年度より、
国家公務員採用総合職試験に
デジタル区分を新設することとしています。 このように、国が
デジタル化に向けた強い施策、体制を打ち出す一方、県はこうした動きに先立ち、令和2年8月には、CIO兼CDOに外部人材を迎えるとともに、
デジタル行政担当局長を設置し、同年11月には、
デジタル戦略本部室を設置しました。 コロナ禍の中でも、また、
コロナ収束後もデジタルの役割、期待はますます大きくなるものと考えており、県としても、
デジタル戦略本部室を中心に、着実に
デジタル化への歩みを進めていくことを強く求めます。 また、そのためには長期的な視点に立って、しっかりと戦略を立てるとともに、それを担う人材の確保が必要と考えます。 そこで、知事に伺います。 本県の
デジタル戦略の方向性と、戦略を進めるための人材確保について、どのように考えているのか、見解を伺います。 〔
資料提示〕 次に、事業継続に向けた
中小企業支援体制について伺います。 コロナ禍にあって、県はこれまで、
中小企業に対し、様々な支援策を実施してきました。 このうち金融面では、神奈川県
中小企業制度融資において、
新型コロナウイルス対策特別融資の
信用保証料負担を最大ゼロとするなど、
新型コロナウイルス感染症拡大の初期から、
県内中小企業の資金繰りを支えてきました。 さらに、令和2年5月からは、3年間の実質無利子、
保証料負担最大ゼロとなる
新型コロナウイルス感染症対応資金を実施し、休業や時短営業、外出自粛の影響を受けている飲食、観光業界をはじめ、経営に苦しむ
県内中小企業を強力に支援し、その結果、県内の倒産件数は低い水準で推移し、緊急的な
資金繰り支援が功を奏しているものと考えます。 一方で、融資はあくまで借金であり、いずれは返済しなければなりませんが、その返済原資の確保に苦慮する
中小企業をどう支援していくのかが、今後の課題であるとの指摘もあります。
ワクチン接種が進むとともに、景気が上向くことにより、
中小企業の売上げも回復に向かうことが期待されますが、しかしながら、借入れが膨らんだ事業者にとっては、月々の返済負担が重くのしかかることで、経営が立ち行かなくなり、県民の雇用の場と貴重な技術が失われるといったケースも起こるのではないかと危惧しています。 そのための対策として、例えば、貸手である金融機関と、地域の様々な支援機関が、これまで以上に連携しながら、事業者の倒産を未然に防いでいく取組が必要であると考えます。 そこで、知事に伺います。
県内中小企業の事業継続に向け、倒産件数が低い水準である今のうちから、県がしっかりとリーダーシップを発揮し、
中小企業をサポートする体制を構築していくべきと考えますが、見解を伺います。 〔
資料提示〕 次に、
当事者目線の障がい福祉について伺います。 19人もの貴い命が奪われた津久井やま
ゆり園事件から5年が経過した今年、
再生基本構想に基づく新たな津久井やまゆり園が完成し、8月には、この新しい園舎で利用者の生活が始まったところです。 12月には、芹が谷やまゆり園も完成する予定となっており、利用者にとっても節目となる大変重要な年であると言えます。 引き続き、県には、利用者が安心して暮らすことができるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 県では、
当事者目線の新しい障害福祉の在り方を目指しており、
当事者目線の障がい福祉に係る将来
展望検討委員会をこの6月に立ち上げ、これまでの、民間で支援が難しいとされた方が県立施設に入所するという前提を改めて考え直し、他県の先進的な
障害者支援施設の取組を参考にしながら、神奈川県の障害福祉の新しい未来を切り開いていく議論が進められています。 そして、ついの住みかではなく、
通過型施設の実現に向け、さらには、日中活動のあるべき姿を追求し、その検討結果を、単に報告書としてまとめるのではなく、その実現に向け、具体的な施策をつくり上げていくことが必要と考えます。 また、将来を見据えて行動するには、今できることにしっかりと取り組むことも大切です。 折しも、令和5年度から、四つの
県立障害者支援施設の指定管理が始まる予定であり、その公募に向けた準備を県は進めております。
指定管理者の選定に向けては、委員会の検討結果をしっかりと反映させていくべきと考えます。 そこで、知事に伺います。 令和5年度からの
県立障害者支援施設の
指定管理者の選定に向け、
当事者目線の障がい福祉に係る将来
展望検討委員会でまとめ上げていく長期的なビジョンの考え方をどのように反映しようとしているのか、また、長期的なビジョンの実現に向けて、県として、どのように取り組んでいくのか、併せて見解を伺います。 〔
資料提示〕 次に、
収入証紙制度の見直しについて伺います。 現在、本県では、
自動車運転免許証やパスポートの
申請手数料など、手数料や使用料を徴収する多くの手続において、収入証紙が使われています。県民がこれらの申請を行う際には、販売窓口で県の収入証紙を購入し、申請書に貼って提出する必要がありますが、収入証紙の大部分は、県が指定する業者が販売しており、多額の販売手数料を支払っていると聞いております。 また、今年6月の新聞報道によれば、収入証紙は、販売場所や時間が限られる上、電子マネーなどの普及により、廃止しやすい環境が整ってきたことから、収入証紙を発行している道府県・政令市の4割が廃止を検討しているとのことであります。 本県では、昭和39年から収入証紙を運用してきましたが、収入証紙による徴収方法は、手数料等の支払い確認が容易な一方、販売手数料や収入証紙の印刷費用も必要であり、また、申請者がわざわざ収入証紙を販売窓口まで買いに行く必要があるなど、コスト面や県民の利便性の観点から課題があるのではないかと考えています。 さらに、コロナ禍における非対面、非接触といったこともあり、電子マネーなどが普及し、キャッシュレス化が進む中、キャッシュレス都市KANAGAWA宣言を出している本県としては、
収入証紙制度を見直すことで、キャッシュレス化がより一層加速するのではないかと考えます。 一例を挙げれば、平成22年に収入証紙を廃止し、現金徴収に切り替えた東京都では、今年7月1日から、警視庁の運転免許更新などの警察手数料等について、新たに窓口でのキャッシュレス決済を導入し、クレジットカード、電子マネーによる支払いを可能にするなど、キャッシュレス化は着実に進んでいると言えます。 そこで、知事に伺います。 全国的な動きやキャッシュレス化が進んでいる状況を踏まえ、本県においても、県民の利便性や業務の効率性などの観点から、収入証紙による手数料等の徴収方法の見直しを検討すべきと考えますが、見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 柳下議員の御質問に順次お答えしてまいります。 県政課題に対する私の基本姿勢について、何点かお尋ねがありました。 まず、
税収見通しと今後の
財政運営についてです。 初めに、
税収見通しについてです。 3年度の税収は、主要税目である法人二税について、3年3月期の企業収益が当初予算編成時点で、前年比マイナス34%の見通しでしたが、海外経済の回復を背景に、プラス8.5%の増益決算となり、申告実績が当初の見通しを上回りました。 また、地方消費税も消費の落ち込みを見込んでいましたが、落ち込み幅が当初よりも小さく推移していることなどから、当初予算額を上回る見通しです。 こうしたことから、県税及び
地方譲与税から
税交付金等を除く
実質ベースで、3年度当初予算に対し560億円程度の増収を見込んでいます。 また、4年度については、今後の国内外の景気動向に左右されますが、現時点では、企業収益の持ち直しなどにより、3年度当初予算を580億円ほど上回るのではないかと考えています。 次に、今後の
財政運営についてです。 4年度は税収増を見込んでいるものの、それに伴い、地方交付税等が大幅な減額となるほか、昨年度に実施した減収補填債等の発行による臨時的な財源の確保などは期待できません。 加えて、介護・児童・医療関係費の大幅増等により、現段階で約850億円の財源不足が見込まれます。 さらに、
財政調整基金の残高は、コロナ対策で取崩しを続けた結果、300億円程度にまで減少しており、本県財政は引き続き危機的な状況にあります。 こうした状況にあるものの、県としては、コロナ対策の継続と同時に、その収束後を見越して、国の経済対策等と連動した取組や、ポストコロナを見据えた施策を展開していかなければなりません。 そのため、3年度に見込んでいる560億円程度の税収増は、当面の財政需要に備えつつ、できる限り、4年度の
財政運営に活用したいと考えています。 あわせて、全庁コロナ・シフトによる業務見直しを踏まえ、改めて、事業の優先順位を見極め、スクラップ・アンド・ビルドを徹底していきます。 こうした取組を通じ、様々な政策課題に迅速かつ的確に対応してまいります。 次に、本県の
デジタル戦略推進の取組についてです。 県では、行政内部の業務効率化を図る行政の情報化と、県民の安全・安心や利便性の向上を図るくらしの情報化の取組を強力に推進するため、昨年8月に民間人材の江口氏をCIO兼CDOに指名するとともに、昨年11月には、
デジタル戦略本部室を設置しました。
デジタル戦略本部室では、まず、行政の情報化について、RPAやAIの活用、リモート会議やテレワーク環境の整備など、コロナ禍の中で不可欠な
デジタル化や業務効率化の取組を牽引してきました。 また、くらしの情報化については、行政手続の電子化やキャッシュレスの取組を進めるとともに、新型コロナ対策パーソナルサポートでのアンケートの実施や、事業者への協力金の自動計算システムの開発支援など、特にコロナ対策分野を中心に、他局と連携して
デジタル化の取組を支援してきました。 今後の
デジタル戦略の方向性としては、当面、コロナ対策や庁内の業務効率化につながる取組を最優先に進めるとともに、かながわICT・データ利活用推進計画の取組を着実に進めます。その上で、県民の皆様にとって、温かく優しいデジタル体験、デジタル・エクスペリエンスの視点を取り込んだ
デジタル戦略を策定していきます。 次に、人材の確保についてですが、
デジタル戦略を進めるためには、長期的な視点で情報系の専門的な素養を持つ人材を継続的に採用していくことが重要です。 そこで、今年度から新設した中途採用試験において、情報系の専門的な資格や経験を積極的に評価し、有為な人材を確保していくこととしています。 このように、情報系の専門的な素養を持つデジタル人材を確保していきながら、新たな戦略の下、本県の
デジタル化の取組をしっかりと進めてまいります。 次に、事業継続に向けた
中小企業支援体制についてです。 昨年度、県の
中小企業制度融資では、過去最大の8,311億円の融資を行いましたが、こうした支援策によって、コロナ禍の厳しい経営環境にもかかわらず、県内倒産件数は29年ぶりの低水準となっています。 しかし、コロナ禍の長期化に伴い、今後は、金融支援等で事業を継続してきた
中小企業が業績回復しないまま資金繰りが悪化し、倒産に至ることが危惧されます。 こうした事態を回避するためには、金融機関や商工会・商工会議所等がそれぞれの支援ノウハウを共有し、得意分野で連携することが極めて重要です。 そこで、県は、神奈川産業振興センター─KIPが核となり、金融機関など様々な機関が参加する、かながわ
中小企業支援プラットフォームに対し、さらなる連携の強化を要請し、支援の実効性を高めていきます。 これにより、例えば、借入れの返済に苦しむ
中小企業を支援する際には、貸手の金融機関やKIP、商工会等の支援機関が幅広く参画し、販路開拓や事業転換などを提案し、経営改善に至るまで、これまで以上に、きめ細かく支援できる体制を整えてまいります。 また、県は、こうしたプラットフォームによる支援の好事例を広く発信し、より多くの企業が支援を受けられる環境を整備するとともに、各機関から様々な支援施策の有効性や使い勝手を聞き取り、今後の施策の立案や改善に活用していきます。 このように、県内の
中小企業を支援する様々な機関が効果的に連携する体制を構築し、コロナ禍で苦しむ一社一社の
中小企業の事業継続を強力に支援してまいります。 次に、
当事者目線の障がい福祉についてです。 今年度設置した
当事者目線の障がい福祉に係る将来
展望検討委員会では、20年後の障害者支援の姿といった長期的なビジョンづくりに取り組んでいます。 その中で、
県立障害者支援施設についても、必要性を含め、果たすべき役割などの議論を行っています。 議論では、当面の施設の在り方として、大規模で入所期間が長期化し、ついの住みかとなっている現状から、障害者の地域での生活を支える拠点に変わるべきと指摘されています。 こうした御意見を、令和5年4月からの新たな指定管理を予定している津久井やまゆり園、芹が谷やまゆり園、さがみ緑風園、三浦しらとり園の選定基準などに反映していくことを考えています。 具体的には、四つの施設について、意思決定支援など、
当事者目線の支援により、入所者の地域生活移行を進めます。あわせて、地域生活が困難となった障害者を一時的に受け入れ、また地域に帰れるようにする、いわゆる
通過型施設となることを明確に位置づけます。 さらに、定員100名を超える大規模施設である、さがみ緑風園と三浦しらとり園は、その課題解消に向けて、定員規模を見直していきます。見直しに当たっては、入所者やその御家族に不安を与えないよう配慮しながら進めていきます。 次に、長期的なビジョンの実現についてです。 将来
展望検討委員会の委員からは、策定するビジョンの実効性を担保する仕組みが求められています。さらに、県が本気で取り組まないと実現はできないとも指摘されています。 また、障害当事者の委員からは、ともに生きる社会かながわ憲章が分かりにくい、自分たちの意見も聴いて新しいルールをつくってほしいといった御意見も頂いています。 私は、こうした御意見を真摯に受け止め、また長期的なビジョンを真に実現するには、ビジョンに基づいた施策を確実に実施するための普遍的な仕組みづくりが必要だと考えています。 この仕組みづくりに当たっては、県議会の皆様や、より多くの障害当事者の方々の御意見を伺いながら練り上げていきます。 津久井やまゆり園という大変痛ましい事件を経験した本県が、これを乗り越え、新しい障害福祉は神奈川から始まった、神奈川が変えたんだと後の世から言われるように、全力で取り組んでまいります。 次に、
収入証紙制度の見直しについてです。 県では、昭和39年から
収入証紙制度を導入し、運転免許証やパスポートなど、現在570種類の申請における手数料及び使用料について、収入証紙を申請書等に貼り付ける方法で収納しています。 昨年度の収入証紙の販売総額は約96億6,000万円であり、手数料及び使用料収入全体の約3割、手数料収入だけを見れば、約8割を収入証紙による収入が占めています。 このように、現金に代わる手段として導入した収入証紙ですが、現在、コロナ禍ということもあり、県民の日常生活において、電子マネーなどのキャッシュレス決済が急速に進んでいます。 また、既に収入証紙を廃止し、現金に変更した自治体では、手数料等の収納に当たり、キャッシュレス決済を導入するなどの取組も進んでいます。 県ではこれまでも、スマートフォンなどから申請できる電子申請において、手数料等を納付する場合には、クレジットカード等によるキャッシュレス決済も可能となるよう取り組んできました。 しかしながら、窓口で申請する場合の手数料等の納付は依然として収入証紙であり、窓口でキャッシュレス決済するためには、制度上、収入証紙を廃止する必要があります。 そこで、県が指定している収入証紙販売所の在り方などの課題について整理した上で、
収入証紙制度を廃止していきます。 そして、窓口での手数料等の納付について、キャッシュレス決済を導入し、県民の利便性の向上を一層図ってまいります。 答弁は以上です。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 ただいま知事より御答弁を頂きました。 再質問を2点させていただきたいと思います。 まず、本県の
デジタル戦略推進の取組についてですが、ただいま答弁の中で、今後の取り組んでいく方向性、戦略を策定していくということの答弁を頂きました。 であるなら、今後の新たな
デジタル戦略を策定するに当たって、どのように策定を進めていくのか、伺います。 続いて、
収入証紙制度でございますけれども、今後の取組の方向性が示されました。 実際には、収入証紙による手数料は500種類以上あるというふうに聞いております。その全てを直ちに見直すのは困難だと思いますので、今後、具体的にどのようなところから、収入証紙に代えて現金徴収を進めていくのか伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 まずは、
デジタル戦略をどのように策定していくかということであります。 策定に当たりましては、現在、CIOと全ての局の局長が直接意見交換を行い、現場でどのような課題が生じているのか把握して議論を進めております。 こうした議論を踏まえ、徹底した県民目線に立った戦略を策定し、本県のDXを加速化してまいります。 次に、収入証紙の件でありますが、県税事務所など、収入証紙を直接販売している県機関では、県民は申請窓口で収入証紙を購入した上で、改めて申請書等に貼り付ける必要があるなどの負担が生じています。 今後、こうした県税事務所などから収入証紙を廃止することで、県民の負担を軽減するとともに、キャッシュレス決済を導入し、利便性の向上を図ってまいります。 答弁は以上です。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 それでは、何点か要望させていただきます。 まず、
税収見通しと今後の
財政運営についてでありますけれども、来年度の予算編成に向けて、現時点で850億円の財源不足が見込まれており、また、
財政調整基金の残高も、目安である660億円の半分を切り、300億円程度という状況であります。本県の財政状況は引き続き危機的な状況にあると言えます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大がいまだ収まらない状況にあって、感染拡大の収束と、収束後の本県経済の回復に向けて、しっかりと取り組むとともに、コロナ対応に必要な財源措置を国に強く求めていくよう要望します。 また、
財政調整基金の積み増しにも努め、自然災害への対応など、追加の財政需要にもしっかりと備えていただきますよう要望します。 次に、本県の
デジタル戦略推進でありますが、本県の
デジタル戦略を策定するとのことですので、神奈川県の
デジタル戦略が本日からようやくスタートしたという認識であります。 今後、
デジタル戦略本部室が強いリーダーシップを発揮し、
デジタル化を加速化していくことを要望します。 また、CIOなどの有益な外部人材の登用は、ともすれば責任や意思決定が不明確になりがちですので、外部人材の活用と確保は慎重に行っていただくよう要望させていただきます。 続きまして、
当事者目線の障がい福祉であります。
県立障害者支援施設については、将来
展望検討委員会の議論を踏まえて、地域で暮らす障害当事者の方を支援する施設を目指していくと理解をさせていただきました。 ここで、新たな津久井やまゆり園が完成して、12月には芹が谷やまゆり園もスタートします。他の県立施設には、開所当初から相当に年数が経過した施設もあるとのことです。地域に根差した施設を目指すというのであれば、こういった老朽化した施設への対応についても、しっかりと検討していただくことを要望します。 また、長期的なビジョンの実現に向けては、我々県議会や障害当事者の皆さんと意見交換をしながら、普遍的な仕組みを考えていきたいとのことでありましたが、所管常任委員会とも、しっかりと議論を重ねていただき、よりよいものをつくり上げてもらえるよう要望いたします。 続いて、
収入証紙制度の見直しについてですが、本県のキャッシュレス化を進めるためには、収入証紙による手数料等の徴収を現金徴収制度に見直す必要があります。 今、答弁があったところから確実に現金徴収へ見直し、県が推進しているキャッシュレス化がより一層加速するよう取り組むことを要望いたします。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 質問の第2は、
新型コロナウイルス感染症対策についてであります。 〔
資料提示〕 初めに、今後の対策について、3点伺います。 1点目は、
新型コロナウイルス感染症への対応についてです。 この夏は、新型コロナウイルスの第5波が全国で猛威を振るい、本県でも1日の新規感染者数が3,000人に迫るなど、これまでにない最悪の状況が続きました。 新型コロナ患者の病床稼働率は80%を超え、重症病床については、一時期100%近い数字となり、搬送先が見つからない救急車が何時間も立ち往生するなど、まさに災害時と言える局面でありました。 また、医療機関に対し、不急手術等を延期し、コロナ患者への対応を強化するよう要請しておりますけれども、一方、手術を待つ患者側からすると、不安な思いを抱きかねず、十分な説明がなされるべきと思います。 本県はこれまで、地域の医療体制を守りながら、様々な対策に取り組んできたことは承知しておりますが、県民の皆様に安心していただくため、県の取組をしっかりと伝えるとともに、重症化したコロナ患者が行き場を失うことのないよう、医療崩壊を防ぐ取組をさらに強化すべきと考えます。 また、先日の臨時会では、保育園、幼稚園、小学校等を通じて、家庭に抗原検査キットを配布する事業が議決されたところであります。 感染拡大を防ぐ新しい取組として期待をしますが、検査キットで陽性が判明した場合は、速やかに受診できることが重要であるため、受皿となる医療機関の確保など、十分な体制整備を行うべきと考えます。 そこで、知事に伺います。 本県の
新型コロナウイルス感染症への対応について、感染拡大や重症化の防止など、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 〔
資料提示〕 2点目は、新型コロナ
ワクチン接種に係る県の取組についてです。 現在、政府は医療体制の構築、感染防止の徹底、
ワクチン接種を3本の柱として対策を進めており、ワクチンについては、10月から11月のできるだけ早い時期に、希望する全ての方の接種完了を目指すとしています。 また、政府分科会から提言のあったワクチン・検査パッケージなど、行動制限の緩和も、接種の進展を前提に議論が進められていると承知しています。 こうした中、県内市町村では、高齢者への接種を当初の目標どおり、おおむね7月末までに完了し、現在は、一般接種全体を進めているところです。 県においても、市町村の住民接種を補完するため、高齢者、障害者、子供関係の福祉施設などで働く方が早期に
ワクチン接種を受けられるよう、県独自に
ワクチン接種会場を設置し、7月から接種を実施してきました。 さらに、この会場で県内の妊婦及び同居家族も接種を受けられるように、対象を拡大しました。また、特定の方を対象とするアストラゼネカ社ワクチンについて、県で接種会場を設置しています。 本県は、高齢化率の低い県であり、今後、40代、50代、そして若い世代の
ワクチン接種を早急に進め、希望する方への接種を10月から11月のできるだけ早い時期に完了する必要があります。 そのためには、県の役割として、市町村の住民接種が円滑に進むよう、ワクチンを計画的に配分していくことが重要です。 今後に向けた課題としては、若い世代の接種率を上げるため、どのようなアプローチが効果的になるか考えていく必要があります。 また、イスラエルなどの諸外国では既に開始されているところもありますが、2回目の接種の終えた方に対する3回目の接種、いわゆるブースター接種や、2回の接種に異なる製品を組み合わせる交差接種についても、現在、国のほうでも検討されていると承知しており、今後こうした取組への対応についても、必要に応じて準備していくことも重要と考えます。 そこで、知事に伺います。 10月から11月の希望する方への接種完了に向けたワクチンの計画的な配分をはじめ、県として、今後、新型コロナ
ワクチン接種について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 〔
資料提示〕 3点目は、
新型コロナウイルス感染症に係る保健所機能についてです。 発熱等の
新型コロナウイルス感染症を疑う症状のある方は、まず、医療機関で検査を行い、陽性の場合には医師が発生届を作成して、保健所へ提出することとなっています。 保健所は、発生届を受け取ると、患者から聞き取りをして、入院が必要か判断して、入院先や宿泊施設などの案内を行い、さらに、患者の情報を関係機関と共有して、搬送の調整や療養のサポートを行っていますが、感染者の急増に伴って業務量が増大し、過大な負荷がかかっているという厳しい状況にあります。 8月13日に開催された県の感染症対策協議会でも、各地区の保健所から、厳しい業務の実情について報告がありました。 地域によっては、患者の初期対応や、家族の濃厚接触者の調査は行っていますが、広い範囲での調査は難しくなっています。 また、陽性者の安否確認などの療養支援にも苦慮しており、こうした保健所の状況は、県が所管する保健所だけでなく、政令市などの保健所設置市でも共通の課題であると考えます。 県や保健所設置市の状況は、それぞれ異なりますが、コロナの患者は保健所の発生届などの受理手続なしには、療養が開始されません。 急速な感染者増加にも対応できるよう、保健所の体制整備が必要であると考えます。加えて、業務の切り分けなど、保健師の負担を軽減する取組を進めることも必要であると考えます。 そこで、知事に伺います。
新型コロナウイルス感染症の対策を最前線で行っている保健所の体制整備や、その負担軽減が必要であると考えますが、見解を伺います。 〔
資料提示〕 次に、
新型コロナウイルス感染症対策の財源措置について伺います。 コロナ禍にあって、幅広い業種で経営環境が悪化しており、県に対しては、こうした事業者を支える取組が今こそ求められていますが、そのために必要な財源は、国から十分に措置されているとは言えません。 例えば、活用の自由度が高く、一般財源と同じように使える地方創生臨時交付金の地方単独事業分については、昨年度は総額で約800億円が交付されていましたが、今年度は全く措置されていません。 一方、令和2年度の国税収入は過去最高を記録しており、国のコロナ対策に係る昨年度からの繰越金は30兆円にもなると公表されています。こうした財源は、コロナで疲弊する地方経済の活性化のために、もっと柔軟に活用してもよいのではないかと考えます。 また、臨時交付金の配分は、財政力に基づいて調整されていますが、感染者数の多い都市部ほど不利になってしまうのではないでしょうか。 それに加え、現在の臨時交付金は、制度面の制約から、柔軟な運用ができていない実態もあると感じています。 例えば、令和2年度決算では、コロナ対策で多額の繰越しが生じていますが、こうした財源について、既存の制度の枠に縛られることなく、有効に活用することも検討すべきと考えます。 そこで、知事に伺います。
新型コロナウイルス感染症対策の財源措置について、本来どのようなものであるべきと考えているのか、また、現行の国からの財源措置である臨時交付金について、どのように考えているのか、見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治)
新型コロナウイルス感染症対策について、何点かお尋ねがありました。 まず、今後の対策についてです。
新型コロナウイルス感染症への対応についてですが、県では、医療提供体制「神奈川モデル」として、重症、中等症、軽症・無症状といった症状に応じ、コロナ専用病床や宿泊療養施設を確保してきました。 昨年5月に開始した臨時の医療施設や、現在、国が積極的な対応を求めている緊急酸素投与センターも、本県が全国で最初に立ち上げたものです。 また、妊婦や子供、精神疾患、透析など、様々な要因を抱える方については、専門的なネットワークを構築し、安心して療養できる環境を整備しました。 さらに、入院優先度を客観的に判断するスコア制度や、自宅療養者が医療ケアを受けられる地域療養の神奈川モデルなど、リスクに着目して適切な医療を受けられる仕組みを導入しています。 一方、デルタ株による感染爆発に直面し、病床逼迫が深刻化する中、感染拡大と重症化の防止に向けて、健康時、発症時、療養時、緊急時など、あらゆる段階で早期に対応する新たな戦略が必要となりました。 そこで、引き続き、予防策である
ワクチン接種を加速化するとともに、発症者の早期の医療機関への受診を促すために、抗原検査キットを児童等のいる全ての家庭に配布する事業を開始しました。 また、全国に先駆けて、初診の段階から薬剤を処方する指針を策定し、薬剤の早期投与を促進するとともに、軽症者への抗体カクテル療法の普及など、発症後の症状悪化を防ぐアプローチを着実に進めています。 さらに、医療機関と連携し、さらなる病床拡大を図りつつ、緊急時に備え、緊急酸素投与センターの運営を継続していきます。 引き続き、医療崩壊を防ぐための新たな戦略を進めながら、感染拡大や重症化の防止に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、新型コロナ
ワクチン接種に係る県の取組についてです。 新型コロナ対策において、
ワクチン接種は、感染、発症、重症化予防に効果を発揮すると期待されています。 本県ではこれまで、各市町村ごとに担当者を決め、医療人材のマッチングなど、市町村をきめ細かく全面的にバックアップしてきました。 こうしたこともあり、県内の高齢者向け接種は7月末におおむね完了しています。今後は、10月上旬までに接種対象者の8割が2回接種可能となる量が国から供給される予定です。 そこで、県では、希望する方が11月までに接種を完了できるよう、市町村ごとに接種スピードも考慮して、在庫が不足しないよう配分していきます。 また、今後の課題として、若い世代へのアプローチや、国で検討中のブースター接種などがあります。 まず、若い方については、県が行ったアンケートでも、8割を超える方が接種を希望しており、今後も副反応等の正しい情報を提供し、接種に対する不安の払拭に努めていきます。 次に、ブースター接種や交差接種は、今後、国において議論される予定であり、その議論を注視しつつ、速やかに対応できるよう検討を進めています。 引き続き、県では、希望する方が一日でも早くワクチンを接種できるよう、市町村と連携して、しっかりと取り組んでまいります。 次に、
新型コロナウイルス感染症に係る保健所機能についてです。 保健所は、新型コロナに関する相談・調査、新規陽性者の入院措置や療養先の決定のほか、療養者の健康観察などを行っており、感染爆発が続く中、その業務量も急増してきました。 こうした中、人材派遣を活用するほか、県庁内からの応援職員や、地域の自治体から保健師の応援をいただくなど、1日当たり100人以上の増員を行ってきました。また、新規感染者に関するデータ入力作業を県庁で代行するなど、その業務のサポートも行ってきました。 しかし、この第5波の感染者数は、年末年始の第3波の約3倍にも及び、人員増や本庁によるサポートによっても補い切れないほど、保健所業務は急増しています。 特に、人員確保が難しい保健師が行わなければならない電話によるヒアリングや、クラスター発生時の調査や検査等が保健所業務を圧迫しています。 そこで、県では、患者から聞き取りで行っていた調査業務について、基礎的な情報は患者がスマートフォン等から入力するシステムを構築して、保健所の業務を大きく省力化しました。また、クラスター発生時の検査についても、民間検査会社に一部委託し、検査業務の効率化、省力化を進めています。 保健所は、コロナと闘い、県民の皆様の命を守る最前線ですので、引き続き、持続可能な体制を確保していけるよう、しっかり取り組んでまいります。 次に、
新型コロナウイルス感染症対策の財源措置についてです。 新型インフルエンザ等対策特別措置法では、国はコロナ対策に万全の態勢を整備する責務を有しており、自治体の財政措置を講ずることとされています。 また、同法に基づき県が実施するコロナ対策は法定受託事務であり、事務の性格の面でも、その財源は国が全額措置すべきものと考えます。 コロナ禍の影響は幅広い業種に及んでいるため、十分な対策を迅速に進める上では、自治体の判断で自由に活用できる財源が不可欠です。このため、昨年度設けられた、活用の自由度が高く、ほぼ一般財源と同等に使える地方創生臨時交付金地方単独事業分の復活は非常に重要です。 また、今年度交付されている地方創生臨時交付金事業者支援分では、地方への配分において、財政力に基づく調整が行われるため、財政力が高い都市部ほど交付金が減らされます。この配分方法では、感染者数が反映されていないことから、課題があると言わざるを得ません。 また、昨年度のコロナ対策で生じた多額の交付金の繰越しについては、これを今年度に使う場合は制約が多く、新たな使途への活用などは認められません。全国的に感染者が激増している非常時の今は、繰越財源の使途の変更など、柔軟な制度運用が認められるべきと考えます。 加えて、医療分野の財源として交付されている緊急包括支援交付金についても、使途が限定されているため、一般財源で負担せざるを得ない事業があり、コロナ禍で迅速に対応するためには、国が柔軟な適用を認めてくれることが不可欠です。 県としては、一刻も早い収束に向けて、より実効性の高い対策を講じることができるよう、国に対し、財源措置の見直しを強く要望してまいります。 答弁は以上です。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 ありがとうございました。 それでは、再質問を2問させていただきます。 まず、
新型コロナウイルス感染症への対応でございますけれども、感染者数が減少傾向にあるとはいえ、再び感染が拡大する懸念もあり、病床の確保が喫緊の課題であると認識しております。 県では、どのように、重症病床を含め、病床拡大に取り組んでいくのか、また、東京都のように、感染症法に基づき、医療機関へ要請を行う考えはないのか、知事に見解を伺います。 もう一点は、
ワクチン接種に係る県の取組でございますけれども、現在、国では、政府の新型コロナ対策分科会から提言されたワクチン・検査パッケージの考え方について議論が進んでいると思います。 県として、行動制限の緩和についてどのように考えているのか、伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 まずは、病床確保の件であります。 新規感染者数は減少傾向を見せてはいますが、病床利用率は、依然高い水準でステージ4の段階です。また、第5波では、自宅や宿泊施設での療養中に、容体が悪化した方の搬送が困難となる事例も複数あったことから、引き続き、入院病床をしっかりと確保することが重要と考えています。 そこで、8月6日に神奈川モデル認定医療機関に対して、通常医療の一部抑制による受入れ拡大を依頼するとともに、9月1日には、県内約300の医療機関に要請し、さらなる病床拡大を図ってきました。 その結果、最大確保病床数1,790床に対し、現在、約2,200床を確保し、重症病床についても199床から約290床へと増えています。 また、感染症法に基づく要請は、要請に従わない医療機関の名称の公表など、強い措置を伴うものです。本県ではこれまでも、医療機関や関係団体と丁寧に意見交換をしながら、協調して病床拡大に取り組んできておりまして、現時点では、法に基づく要請を行うことは考えていません。 次に、ワクチン・検査パッケージの考え方、行動制限の緩和についてでありますけれども、行動制限の緩和については、感染拡大防止と経済活動の両立の観点から議論を進めていくべきと考えています。 議論を進めるに当たっては、新たな変異株に対するワクチンの有効性の検証、ワクチンの効果持続期間などの継続的なモニタリング調査の実施、PCR検査等の精度を担保するための基準の策定や、それに基づく認証、感染爆発の際の事業停止基準などの事業実施前の運用ルールの構築などの必要な前提条件をクリアするといったことが必要であると考えております。 答弁は以上です。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 それでは、何点か要望を申し上げます。 まず、感染症への対応について、病床について再質問もさせていただきましたが、病床は増やしているという取組は今答弁でお聞きしました。しかし、今後どのように感染者が推移していくのか、予想はできません。そのため、誰もが安心できる病床数の確保は必要と考えます。 患者の受入れ体制の構築は基本であり、また、苦しんでいる方を支える万全の対策を取ることは行政として当たり前のことです。このことをまずは念頭に置いておいていただきたいと思います。実際に稼働する病床を確保して、幽霊病床が存在しないように取り組んでいただくことを要望いたします。 また、本県においては、医療人材が不足しております。今後の神奈川を見据えた上で、あらゆる手だてを講じて、病床や医療人材の確保など、後手に回らない医療体制を整備していくことを要望いたします。 続いて、
ワクチン接種に係る県の取組についてでありますけれども、11月までに県内の希望する人全てに接種できるよう、引き続き配分や市町村の支援などを行うことを要望させていただきます。 また、以前、我が会派が指摘いたしましたワクチンパスポートについては、9月3日の新型コロナ対策分科会では、
ワクチン接種証明書や陰性証明による行動制限緩和、ワクチン・検査パッケージが提言されました。今後の経済を回す上では期待すべきことでもあります。 国の動向を見据えながら、県としても感染対策と経済活動の両立に取り組むことを要望させていただきます。 続いて、感染症の財源措置についてでございますけれども、感染状況の先行きがまだまだ見通せない状況にあり、県として、様々な対策を打っていくことが必要です。 知事の答弁にもありましたけれども、本来、これらに必要な財源は、新型インフルエンザ等対策特別措置法により、国が地方に対してしっかりと措置すべきものであります。 また、一刻も早く感染を収束させるために、コロナ対策の財源は、財政力による割り落としなどはせずに、感染拡大が続いている都市部にこそ重点配分していくことが重要であると考えております。 さらに、緊急包括支援交付金についても、感染が収まらないこの状況にあって、国が適用を認めないといった制約は、対応の遅れを招きかねません。 これらを踏まえ、県としては、臨時交付金の十分な確保、より効果的な配分方法への転換や運用の柔軟化、さらに、緊急包括支援交付金の使途の拡充について、国に見直しを強く求めていくよう要望いたします。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 質問の第3は、安全安心を守る取組についてであります。 〔
資料提示〕 初めに、
新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた次期保健医療計画策定について伺います。 これまで県では、保健医療計画の下、主として小児・周産期医療などの5疾病5事業について、切れ目のない保健医療福祉サービスを提供する体制の整備を進めてきました。 ところが、感染症については、感染症法に基づく感染症予防計画に定めることとされていることから、保健医療計画には位置づけられてきませんでした。 こうした中、今回の
新型コロナウイルス感染症の危機的な経験は、新たな課題を浮き彫りにし、令和3年5月の改正医療法では、新興感染症等の感染拡大時における医療が、新たに医療計画の記載事項に位置づけられました。 これを受けて、埼玉県では今年度、保健医療計画の中間見直しの中で、令和5年度までに、埼玉県内の全病院に感染症の専門医師や看護師等の医療人材を配置する方針を明らかにしています。 今後は、新型コロナウイルスとの共存が想定される中、当面の医療提供体制をしっかりと確保することはもちろん重要ですが、これまでの
新型コロナウイルス感染症への対応を検証した上で、新たな新興感染症等のアウトブレーク時の備えについて、次期保健医療計画の策定に生かしていくことが必要と考えます。 そこで、知事に伺います。 これまでの
新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、次期保健医療計画策定に向けた検討を進めるべきと考えますが、見解を伺います。 〔
資料提示〕 次に、熱海の土砂災害を踏まえた県の対応について伺います。 近年は、全国各地で、台風や前線の影響による豪雨により、毎年のように大規模な災害が発生しています。 本年7月及び8月にも、線状降水帯を伴う活発な前線が停滞したことにより、全国各地で土砂災害や河川の氾濫などが発生したことは記憶に新しいと思います。 特に、静岡県熱海市では、7月3日の大規模な土石流により、26名の方の貴い命が失われるという甚大な被害が発生し、現在も1名の行方不明の方の捜索活動が続いています。 この土石流の原因は究明中だと聞いていますが、発生地付近の盛土が被害を拡大させたとの指摘がなされています。 県では、熱海の土砂災害を受け、施工中の22か所について緊急に点検を行い、また、現在、国の通知を受け、盛土箇所の総点検を進めていることは承知しています。 本県の地形を見ると、県西や県北地区などに山間部があり、また、県内各地に急傾斜地が存在することから、今回の熱海の土砂災害は他人ごとではありません。 県では、平成11年に神奈川県土砂の適正処理に関する条例を制定し、許可制を取っていますが、他県では届出制としている場合や、そもそも条例がない場合もあることや、土砂は県境を越えて搬出入されるケースがあることなど、各自治体の条例での規制には限界があるため、土砂の処理に関する規制を行うには、法律の制定が必要であると考えます。 また、法制化されるまでの間においても、今回の土砂災害を踏まえ、盛土箇所の安全性を担保していくためには、県の土砂条例の内容を改めて検証すべきと考えます。 そこで、知事に伺います。 熱海の土砂災害を受けて、今後、県として、盛土による土砂災害の防止に向けて、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 〔
資料提示〕 次に、豚熱対策について伺います。 平成30年9月に岐阜県の養豚場で、国内26年ぶりとなる豚熱の感染が確認されてから、その後、全国に感染が拡大しました。 このため、知事自ら官邸に出向いて本県での
ワクチン接種を認めてもらうよう働きかけ、我が会派も国に
ワクチン接種を強く要望した結果、本県では、令和元年12月から
ワクチン接種を開始し、その後も、親豚には定期的に接種するとともに、生まれてくる子豚にも接種してきたと承知しています。 一方、県は、野生動物が養豚場に侵入しないよう、防護柵や野生動物侵入防止ネットの設置や、車両消毒装置の導入を支援するなど、豚熱の発生を予防するため、十分な衛生管理対策を講じてきたと伺っています。 しかし、残念ながら、このような対策を取ってきたにもかかわらず、本年7月8日、相模原市内の養豚場において、豚熱の感染が確認されました。 豚熱が発生した農場では、他に感染を広げないため、飼育する全ての豚を殺処分しましたが、豚の死体を処理するレンダリング装置の設置場所の選定に時間がかかったと聞いています。 また、県内でも有数規模の農場だったため、防疫作業に従事する人員についても、十分な応援体制を取ることが難しかったのではないかと考えています。 豚熱の発生には、野生イノシシが感染源と示唆されるケースが多く、県内で感染した野生イノシシが確認されていることから、県内の養豚場では、豚熱が発生するリスクが高まっているものと考えます。 そこで、知事に伺います。 県内の養豚場で豚熱を発生させないためには、どのような対策を考えているのか、また、今回の教訓も踏まえ、発生した場合に備え、どのように対応していこうと考えているのか、見解を伺います。 〔
資料提示〕 次に、飲酒運転及び妨害運転の現状と今後の対策について伺います。 県内における交通事故死者数は、8月末現在で80人となっており、昨年の同じ時期と比べて10人減少しています。 しかしながら、交通事故の発生件数及び負傷者数については、いずれも昨年の同じ時期と比べ増加しており、予断を許さない状況であります。 また、本年6月には千葉県八街市において、下校中の児童の列に大型トラックが突入するという大変痛ましい事故が発生し、交通事故の悲惨さを痛感するとともに、交通事故抑止対策の重要性を再認識いたしました。 報道によれば、この事故では、大型トラックの運転手が飲酒運転をしていたとのことであります。 県内における飲酒運転の取締り件数や交通事故件数については、法改正による罰則強化などにより、年々減少傾向にあると承知しているものの、依然として、悪質な飲酒運転は後を絶たず、今後、本県においても、同様の交通事故の発生が懸念されます。 一方、飲酒運転と同様に社会問題となっている悪質な行為が妨害運転、すなわちあおり運転であります。 妨害運転は、昨年6月30日に改正道路交通法の施行により新たに創設されたものですが、飲酒運転と同様に重大な交通事故に直結する危険な行為であります。 県内においても、平成29年6月に東名高速道路上で、妨害運転によって貴い命が失われる交通事故が発生したのは記憶に新しいところであります。 交通事故がなく、安全で安心な道路交通環境を構築するためには、こうした飲酒運転や妨害運転を行う悪質ドライバーを、道路交通の場から排除することが重要であると考えます。 そこで、
警察本部長に伺います。 県内における飲酒運転及び妨害運転の現状と今後の対策について、見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 安全安心を守る取組について、何点かお尋ねがありました。 まず、
新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた次期保健医療計画策定についてです。 これまでの
新型コロナウイルス感染症との闘いを振り返ると、医療提供体制の構築は県民の生活や命を守るための最重要課題であると痛感しています。 また、新興感染症の拡大は、広く一般の医療提供体制にも大きな影響を与えることから、医療法が改正され、医療計画に、感染拡大時における医療についての記載が必須となりました。 新興感染症は感染状況の予測が困難であり、本県でダイヤモンド・プリンセス号を受け入れたときも、感染症病床だけでは患者を全て受け入れることはできませんでした。 こうしたことから、感染拡大時に、どの医療機関で患者を受け入れるのか、対応する医療人材をどう確保するのかなどの点について、あらかじめ検討しておく必要があると強く感じました。 そこで、今年度中に、市町村や医療関係者等と様々な課題等の洗い出しを開始します。その上で、次期保健医療計画策定に向け、平時から取り組むべきことや、感染拡大時の具体的な役割分担等について、それぞれの地域の医療資源等の実情を踏まえ、議論を行っていきます。 このように、今回の
新型コロナウイルス感染症への対応によって得た経験に基づき、次期保健医療計画策定に向けた検討を着実に進めてまいります。 次に、熱海の土砂災害を踏まえた県の対応についてです。 熱海市で発生したような土砂災害を防止するためには、土砂の処理を適正に行い、盛土の安全を確保していくことが極めて重要です。 県は、平成11年に土砂の適正処理に関する条例を定め、2,000平方メートル以上の土砂の埋立てを許可制とするとともに、事業者に対して、排水施設の設置を義務づけることなどにより、災害の発生防止を図ってきました。 一方で、土砂の搬出入は県を越えた課題であり、また、条例で認められる罰則の上限では、違反行為の抑止に限界があるため、法律による規制が必要です。 そこで、今回の土砂災害を受け、私自身が全国知事会を代表し、国の関係大臣に対して、早期の法制化を要請しており、今後も機会を捉えて、粘り強く国に働きかけてまいります。 また、法制化されるまでは、当面、条例に基づいて土砂処理の適正化を図ることになりますが、近県では、条例を見直す動きが始まっています。 本県の規制内容は、他県よりも強いものとなっていますが、近県がより厳しい規制を設けた場合、本県に土砂が搬入されるおそれが生じるため、近県の動向を見定めた上で、条例改正の必要性を検討します。 こうした取組により、土砂の適正な処理を推進し、県民の安全・安心を確保してまいります。 次に、豚熱対策についてです。 本県は、野生イノシシの豚熱感染が近県に迫った令和元年12月から、年末年始返上で全ての豚にワクチンを一斉接種し、豚への感染を防いできました。 その後も接種を徹底していたにもかかわらず、豚熱が発生したことから、予防対策を強化するとともに、発生時の防疫対策を見直す必要があります。 まず、発生予防対策ですが、子豚は適切な時期にワクチンを接種しないと豚熱に感染するリスクが高まるため、抗体検査を拡充・強化し、検査の結果を踏まえて、接種時期をきめ細やかに判断していきます。 また、民間獣医師の追加雇用により、県の防疫体制を強化するとともに、豚熱はネズミが媒介することもあるため、養豚場に殺鼠剤を配布するなど、衛生管理の充実を図ります。 さらに、野生イノシシで豚熱の感染が確認されている地域の養豚場周辺において、捕獲奨励金を上乗せすることにより、野生イノシシの捕獲を強化します。 次に、発生時の対策です。 今回の事例では、豚を処理する装置に必要な用地の確保が難航するなど、様々な課題が明らかになりました。 そこで、防疫計画について、必要な用地を事前に選定するとともに、作業工程や各工程の必要人数、焼却施設の移送計画など、今回の実際の防疫経験を踏まえ、見直します。 さらに、建設業、廃棄物処理業及び輸送業などの関係事業団体との協力体制を強化します。 県は、豚熱の発生予防対策の強化と発生への備えを徹底し、本県の養豚業を全力で守ってまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
警察本部長(山本 仁)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 山本
警察本部長。
◎
警察本部長(山本仁) 飲酒運転及び妨害運転の現状と今後の対策についてお答えします。 初めに、飲酒運転についてです。 本年8月末現在、飲酒運転による交通事故の発生件数につきましては、暫定値となりますが、79件であり、昨年の同じ時期と比べて24件減少しております。 県警察ではこれまで、飲酒運転による悲惨な交通事故を未然に防ぐため、飲酒運転根絶に向けた対策に取り組んでまいりました。 具体的には、検問などによる飲酒運転の取締りを強化したほか、飲酒した状態を体験できるゴーグルを用いた交通安全教育を企業などを中心に行うとともに、関係機関・団体に対して、運行前のアルコール検知器の活用についての周知などを行ってまいりました。 県警察としましては、今後とも、飲酒運転に対する指導取締りを強化するとともに、関係機関・団体と連携した各種対策を推進することで、飲酒運転の根絶に努めてまいります。 次に、妨害運転についてです。 妨害運転につきましては、昨年6月30日の改正道路交通法の施行により、新たに妨害運転の罰則の創設や行政処分の引上げが行われ、県警察では、現在まで妨害運転を適用して3件を検挙しております。 また、妨害運転に直結する車間距離不保持違反などの取締りを強化するとともに、県警察ホームページなどを活用して、妨害運転の悪質性、危険性についての広報・啓発に取り組んでおります。 今後も、妨害運転の芽を摘むため、危険性の高い違反の取締りを継続推進するほか、妨害運転の抑止や妨害運転を受けた場合の立証に有効であるドライブレコーダーの普及促進と広報啓発活動を推進してまいります。 以上でございます。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 それでは、再質問を1点させていただきます。 豚熱対策について伺いますけれども、豚熱のワクチンは、子豚では生後1か月から2か月の間に接種することとされていますが、全ての子豚に適切な時期にワクチンを接種することは困難であり、野生イノシシの感染が広がっている本県では、免疫を獲得していない豚が感染するリスクがあると考えております。 国は、子豚期のワクチン2回接種を認めていませんが、豚熱に感染するリスクを低減するため、子豚期にワクチンを2回接種することについて国に要望すべきと考えますが、県としての見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 豚熱に関して、子豚期のワクチン2回接種についてのお尋ねであります。 子豚が母豚から授かった免疫は、日を追うごとに減少していきますが、あまり免疫が高いうちにワクチンを接種しても効果がなく、逆に免疫がなくなってしまうと豚熱に感染するリスクが高まります。このため、県内で養豚業を営んでいる方から、子豚期の2回接種に対する強い要望があります。 県としても、国に対し、現在1回とされている
ワクチン接種回数を、2回接種も可能とするよう求めてまいります。 答弁は以上です。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 それでは、要望を何点か申し上げます。 ただいま再質問させていただいた豚熱対策についてでありますが、今回の対応を検証していただきながら、レンダリング装置の設置などについて、事前の用地確保など、防疫対策の強化に取り組むとのことでありますけれども、養豚農家等の経営継続のためにも、予防対策である子豚期のワクチン2回接種をすることについて、効果的であると考えますので、生産者の声を聴きながら、国に強く求めていくことを要望します。 続いて土砂災害ですが、先ほど答弁で、近隣の県が条例を見直したり、強化する場合があるかもしれないという答弁がありました。ぜひその点においては注視をして、後れを取らない対策を講じていただくよう要望します。 続いて、飲酒運転及び妨害運転の現状と今後の対応についてでありますが、まず、飲酒運転、妨害運転をしない、させない機運の醸成を図ることが重要であると考えます。 今後も、各種対策を強化して推進していただきながら、安全な交通環境の構築に努めていただくよう要望させていただきます。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 質問の第4は、県政の重要課題についてであります。 〔
資料提示〕 初めに、東京2020大会の総括について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響により、史上初めての1年の延期を経て、そして、無観客で開催された東京2020大会が、9月5日の
パラリンピックの閉会式をもって終了しました。 今回の大会は、日本人アスリートの活躍が目覚ましく、オリンピックでは過去最高のメダル獲得数を記録するなど、困難な状況下にあっても、県民に勇気を与え、記憶に残る大会になったのではないかと思います。 特に県内では、セーリング、サッカー、野球・ソフトボール、自転車ロードレースと4競技が開催され、野球・ソフトボールとも横浜スタジアムでの決勝戦で日本代表が金メダルを獲得するという、県民にとっても大変うれしい大会となったのではないでしょうか。 また、
パラリンピックも県内に競技会場はありませんでしたが、神奈川県ゆかりの選手をはじめ、日本人アスリートの活躍もあり、大きな盛り上がりとともに、共生社会の実現に向け、県民の意識も高まったものと思います。 一方、開催都市東京と隣接する本県では、オリンピック・
パラリンピックともに数多くの事前キャンプが実施されましたが、コロナ対策に万全を期した上での受入れに伴う準備は大変な苦労があったと思いますし、キャンプの大きな目的の一つであった県民との交流も制限されました。 また、オリンピック聖火リレーの公道走行やライブサイトの中止、観客を入れての競技の断念など、計画どおりに実施できなかったことは誠に残念であります。 このように、様々な面で異例づくめとも言える大会となりましたが、アスリートたちの活躍とともに、関係者の努力により、全体として大きなトラブルもなく、無事に終えることができたことは評価しています。 そこで、知事に伺います。 コロナ禍の厳しい状況の中で開催された東京2020大会について、県としてどのように総括するのか、見解を伺います。 〔
資料提示〕 次に、水道事業の広域連携について伺います。 神奈川県内の水道事業は、相模川や酒匂川などの水源に恵まれるとともに、各地域で先人が築いてきた効率的な水道システムにより、県民の皆様に良質な水を、全国で最も安い料金で、安定的に供給しています。 一方で、県内最大の事業規模を誇る横浜市でさえ、老朽化した施設更新への対応と水道料金収入の減少傾向などを背景に、令和3年7月に料金改定を行うなど、これまで県民の生活や社会の発展を支えてきた水道を取り巻く環境は厳しさを増しています。 今後も、県民の皆様へのサービスを維持し、人口減少時代にあっても料金の上昇幅を抑え、災害時にも安定給水を確保するには、長期的な視点に立った水道事業の広域連携が必要不可欠であると考えます。 このような認識に立ち、昨年11月の我が会派の代表質問において、水道事業の広域連携について質問し、知事から、それぞれの事業者の取組だけでは限界があり、県が牽引して、オール神奈川で持続可能なかながわ水道を構築し、次世代につないでいくことが重要との見解が伺えたところです。 また、今後の具体的な進め方として、県内全水道事業者が参画する会議体の設置や、神奈川県水道広域化推進プランを令和4年度までに策定するとの答弁も頂いており、事業規模や経営状況が異なる水道事業者の広域連携を進めるには、多くの課題を解決していかなければなりません。 これは息の長い取組であり、長期的な視点が必要であるからこそ、県には、広域自治体として、県内の水道事業者を牽引していくことが必要と考えます。 そこで、知事に伺います。 水道事業の広域連携の直近の取組状況と、かながわ水道の構築に向け、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 〔
資料提示〕 次に、持続可能な県営水道事業について伺います。 日本の水道事業は、安全で安心な水を安定的に供給する世界に誇る水道システムを築き上げてきました。しかし、既に水需要は減少期に入っており、今後は施設を適切に維持更新して、水の安定供給を確保していく時代へと、大きな変革期を迎えています。 県内12市6町の約280万人に給水している県営水道事業においても同様であり、水道施設の耐震化や老朽施設の適切な更新を進めるなど、持続可能な県営水道事業を実現していかなければなりません。 企業庁では、現在、令和5年度までの水道事業経営計画に基づき、水道管路をはじめとする施設の耐震化等のほか、横浜市、川崎市、横須賀市、神奈川県内広域水道企業団と連携し、5水道事業者の枠組みを超えた浄水場の統廃合など、将来を見据えた取組を進めていることは承知しています。 しかし、5事業者の取組や水道管の更新が、県民にとって具体的にどのような効果があるのか、また、どこがゴールなのか、具体的なスケジュールも見えてきません。 これらの取組は長期にわたることから、今すぐに詳細な計画策定が難しいことは理解できますが、全体像を俯瞰できるような取組内容と、その効果を分かりやすく示すべきと考えます。 さらに、これらの取組の財源となる水道料金収入をめぐっては、今後、人口減少社会の進展により、さらなる水需要の減少が見込まれるなど、事業環境が大きく変化していく中において、持続可能な県営水道事業を実現するためには、財政面の基盤を強化することが欠かせません。 企業庁では、現状の料金体系にはどのような課題があるのか、そして、これからの時代にふさわしい水道料金体系とはどのようなものなのか、有識者等で構成する水道懇話会において、令和元年から検討しているものと承知していますが、今後の方向性について早期に示すべきと考えます。 そこで、企業庁長に伺います。 持続可能な県営水道事業に向けた耐震化や浄水場の統廃合等の施設整備の内容や効果について、長期的な方向性を示すべきと考えますが、見解を伺います。また、水道料金体系について、水道懇話会の検討状況と、企業庁としてどのように考えているのか、併せて伺います。 〔
資料提示〕 続いて、入学者選抜制度の改善について伺います。 まず、令和4年度入学者選抜についてですが、コロナ禍の終息が見込めない中、中学3年生や保護者の方々は受検に向けて様々な不安を抱えています。とりわけ来年の春に行われる公立高校の入学者選抜について、高い関心を持っていることと思います。 今年の春に行われた令和3年度入学者選抜では、感染拡大防止のため、郵送による出願やウェブによる合格発表、コロナ感染症などのための追加の試験の設定といった新たな対応を含め、コロナ禍での入学者選抜として必要な対応を適切に行ったと評価しています。 依然として、今後の感染状況が見通せない中、来年春に行う令和4年度入学者選抜についても、中学生が不安なく自分の力を発揮できるように、昨年度と同様に必要な対応をすべきであり、少しでも早く周知していくべきと考えます。 次に、入学者選抜制度そのものの改善についてであります。 当面の対応をしっかりと行うことはもちろん、学習指導要領を踏まえ、中長期的な展望の下に、入学者選抜制度の改善を図っていくことが重要と考えます。 これまでの入学者選抜制度については、おおむね中学校学習指導要領の改訂に合わせて改善してきたと認識しており、新しい学習指導要領が今年度から全面実施となったことを踏まえると、現行の入学者選抜制度についても、改善に向け検討が必要な時期になっているのではないかと考えます。 そこで、教育長に伺います。 令和3年度入学者選抜では、感染防止対策として様々な対応を行いましたが、令和4年度の入学者選抜についてはどのように考えているのか、その基本的な考えについて伺います。 あわせて、今後の本県の公立高等学校入学者選抜制度については、今年度から新しい中学校学習指導要領が全面実施されたことを踏まえて、今後どのように考えているのか、見解を伺います。 〔
資料提示〕 最後に、コロナ禍における
投票促進について伺います。 投票率の低下は、議会制民主主義の信頼性に関わるものであり、また、社会の将来を担う若者の積極的な政治参加に向けても、投票率向上に向けたさらなる取組を行っていく必要があるものと考えています。 総務省が調査した、令和元年7月21日に執行された第25回参議院議員通常選挙における年代別の投票率によると、全ての世代において前回の参議院議員通常選挙の投票率を下回っており、投票率の低下が裏づけられています。また、年代別で見ると、特に10代、20代の若年層の投票率が低い傾向にあることが分かります。 県選挙管理委員会においては、これまでも、有権者に対し、選挙に関心が持てるよう、街頭啓発を行ったり、また、若者の投票意識を高めるため、市区町村選挙管理委員会とも連携して、高校生に投票事務に関わっていただくなどの取組を進めていることは、十分に承知しています。 しかし、現在のコロナ禍にあっては、街頭啓発などの対面による啓発は困難であり、新たな工夫によって、投票行動の促進を図る必要があると考えています。そして、その際、若い世代にも関心を持ってもらえるような取組も取り入れていくべきと考えます。 一方、コロナ禍における投票に関しては、
新型コロナウイルス感染症の自宅及び宿泊療養者の投票に資するため、本年6月に特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律が施行され、特例郵便等投票制度がスタートしました。 この制度により、外出自粛が求められ、投票所における投票が困難であった療養者についても、郵便による投票が可能となり、有権者の貴重な一票を無駄にしないためにも、大変意義のあることだと考えています。 本制度については、7月の東京都議会議員選挙や先般の横浜市長選挙において、
新型コロナウイルス感染症の療養者が利用した実績があることは承知していますが、この制度については、立法化されて間もないということもあり、制度対象者に対して積極的に周知し、利用促進を図っていくことが重要であると考えます。 そこで、
選挙管理委員会書記長に伺います。 コロナ禍において、また、今後想定される衆議院議員総選挙に向けて、若者をはじめとする有権者の投票を促進するため、今後どのように取り組んでいくのか、また、特例郵便等投票制度について、どのように利用促進を図っていくのか、併せて見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題についてお尋ねがありました。 まず、東京2020大会の総括についてです。 コロナ禍で様々な制約がある中での東京2020大会でしたが、県内開催4競技も円滑に運営がなされ、アスリートの皆さんが存分に力を発揮できる場を整えることができたと考えています。 中でも、2度目の開催となったセーリング競技は、艇の所有者や漁業関係者、地元の皆様の御協力により、滞りなく競技を実施することができました。 私自身、会場を訪れた際、オリンピックならではの国際色あふれる環境の中で、選手の生き生きとした姿を目にするとともに、大会関係者からはすばらしい会場だとお褒めの言葉も頂き、江の島に誘致して本当によかったとの思いを改めて強くしました。 聖火リレーの公道走行はできませんでしたが、トーチキスに参加された多くのランナーの皆さんの笑顔が印象的でした。 また、無観客とした
パラリンピック聖火フェスティバルも、全市町村で採火した火を共生社会の実現への思いを込め、東京会場へ送り出すことができました。 さらに、交流が制限された事前キャンプやライブサイトの中止など、人が集まる機運醸成ができない中、リモートでの交流やSNS、ネット配信等を活用した、おうちでの様々な形の観戦方法を提案できたのではないかと思っています。 そして、大会成功の鍵は、何より、コロナ禍での安全・安心な開催であり、本県の提案で組織委員会等と協議会を設置し、感染予防対策を徹底した結果、本県に滞在した海外選手団等から一人の陽性者も出すことなく、大会を終えることができました。 感染拡大の中での難しいオペレーションでしたが、医療関係者をはじめ、多くの皆様の御理解と御協力もあり、大きな感動とともに大会は幕を閉じました。 大会を通じ、アスリートが見せてくれたスポーツの力、可能性をしっかりと受け止め、誰もがスポーツに親しめる環境づくりと共生社会の実現につなげてまいります。 次に、水道事業の広域連携についてです。 本県では、人口減少社会における水需要の落ち込みの中にあっても、できる限り水道料金の上昇幅を抑え、また、災害時にも安定給水が確保できるよう、多様な広域連携によるかながわ水道の構築に取り組んでいます。 本年6月には、簡易水道も含め、県内の全水道事業者が参画する神奈川県水道事業広域連携調整会議を設置し、地理的、社会的に相互連携が図りやすいとされる三つの圏域に分け、それぞれにふさわしい連携方策の検討を開始しました。 現在、各圏域において、施設の共同利用や業務の共同化など、様々な広域連携のシミュレーションを行い、効果や実現可能性などを検証しています。 今後は、圏域ごとにメリットの大きい広域連携の方策を複数整理し、令和4年度末に策定予定の神奈川県水道広域化推進プランに位置づけるとともに、上位計画である神奈川県水道ビジョンにも反映させ、県の水道全体の目標、方向性を分かりやすく示していきます。 その上で、プランに位置づけた広域連携方策の中から、個々の事業者にふさわしいものや連携候補等を提案するとともに、広域化を目指すこととした事業者には、技術面、経営面での助言や国庫補助獲得の支援などを行い、連携を後押ししていきます。 このように、きめ細やかな支援を行うことにより、一つ一つ成功例を積み重ね、他地域への横展開を図ることで、多様な広域連携によるかながわ水道を実現してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔企業庁長(長谷川幹男)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 長谷川企業庁長。
◎企業庁長(長谷川幹男) 企業庁関係の御質問についてお答えします。 持続可能な県営水道事業についてです。 持続可能な県営水道事業を実現するためには、長期的な見通しの下に、老朽化する水道施設の適切な更新、耐震化等を計画的に進めていくことが大変重要です。 企業庁はこれまで、5年ごとに水道事業経営計画を策定し、水道管路の耐震化等を実施してきたほか、県内5水道事業者が連携した取組も進めてきました。 しかし、水道管路の耐震化等や5水道事業者で進める浄水場の統廃合は、数十年にわたる取組となるため、5年間の計画だけでは、目指す姿や効果が分かりにくい面があります。 そこで、現在の経営計画が終了する令和6年度以降の取組については、30年程度の長期的な構想を策定して、施設整備などの方向性や効果を県民に分かりやすく示していきます。 また、これらの取組の財源となる水道料金の在り方について、県営水道懇話会で検討が重ねられています。 これまでの検討では、現行の家事用と業務用に分けた用途別の料金体系について、かつては製造業を中心に業務用が水需要の約半分を占めていましたが、産業構造の変化等により、現在では2割未満となっており、合理性が薄いなどの課題があると指摘されています。 そして、今後は、水道使用者の受益と負担の観点をより重視し、水道の用途にかかわらず、給水装置の規模に応じて水道供給にかかる経費を負担していただく料金体系への転換が必要ではないかなどの議論がされています。 現在、こうした検討結果の取りまとめが行われていますので、企業庁としては、その内容を踏まえた上で、今年度中に、新たに附属機関として審議会を設置し、水道料金体系の見直しに向けた具体的な検討に着手したいと考えています。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 入学者選抜制度の改善についてです。 まず、令和4年度入学者選抜については、昨年度と同様、中学生が安心して受検できるよう感染防止対策を徹底するほか、感染者や濃厚接触者と特定された場合であっても、不利益を被ることがないよう対応していきます。 具体的には、受検室の座席数を減らすことや、入学願書の郵送受付、ウェブによる合格発表のほか、感染等により学力検査を受検できなかった際の追加の検査などにしっかりと取り組み、より安全・安心な選抜を行ってまいります。 あわせて、お尋ねの今後の入学者選抜制度についてです。 新しい中学校学習指導要領が今年度から全面実施となりましたが、本県ではこれまで、学習指導要領の改訂に合わせて、おおむね10年ごとに入学者選抜制度の改善を図ってきました。 県教育委員会ではこれまで、現行の入学者選抜制度について、学校関係者などの意見も頂きながら、新しい学習指導要領で求められる学力を見据えた学力検査や面接の在り方などを局内で検証してきました。 現時点での検証結果では、現行の制度を大きく変更するほどの課題は見当たらないと捉えていますが、例えば、学力検査、面接と特色検査を合わせると、検査日が最大3日間にわたるといった、受検生の負担については、さらに検証が必要と考えています。 こうしたことから、今後、学識経験者や中学校関係者などによる協議会を設置し、外部の方々による検証を行い、その後、新しい学習指導要領で学ぶ今年度の中学1年生が高校を受検する令和6年度入学者選抜への反映を目指して、改善の方向性について検討していきたいと考えております。 以上でございます。 〔
選挙管理委員会書記長(船山竜宏)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 船山
選挙管理委員会書記長。
◎
選挙管理委員会書記長(船山竜宏) 選挙管理委員会関係の御質問にお答えします。 コロナ禍における
投票促進についてお尋ねがありました。 投票率については、より多くの有権者に意思を表明していただけるよう、一層の向上を目指し、取り組んでいく必要があります。 県選挙管理委員会では、選挙啓発の取組として、これまで人が多く集まる場所へのポスターの掲出や街頭啓発などを実施してきました。 また、投票率が低い若年層に対しては、訴求力のある動画、ツイッター等のインターネットも活用しているところです。こうしたインターネットによる啓発は、人と人の接触を伴わないことから、コロナ禍で街頭啓発の実施が難しい状況にあっても、有効な手段と考えています。 そこで、今後の衆議院議員総選挙に向けては、利用者数が多いLINEや、若者世代に人気が高いインスタグラムへの広告事業を新たに導入するなど、インターネット等を活用した啓発を積極的に拡大してまいります。 次に、特例郵便等投票制度についてですが、
新型コロナウイルス感染症の自宅及び宿泊療養者にとって選挙権を行使できる貴重な制度であり、十分に周知していく必要があります。 本年6月の制度開始以降、これまで実施された市町村の選挙では、県選挙管理委員会が市町村選挙管理委員会と連携して、本制度に係るポスターを作成し、宿泊療養施設において案内してきました。 加えて、今後は、県選挙管理委員会ホームページにおいて、本制度の案内動画を掲載したり、本県のLINE公式アカウント、新型コロナ対策パーソナルサポートも活用するなど、幅広く周知を図っていきたいと考えています。 このように、コロナ禍にあっても、効果的な周知、啓発を実施することにより、有権者の投票行動の促進と特例郵便等投票制度の利用促進を図ってまいります。 答弁は以上です。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 それでは、再質問を2点させていただきたいと思います。 まず、東京2020大会の総括について伺います。 東京2020大会も無事に終了し、オリンピック・
パラリンピック課、セーリング課においては、業務も一区切りついたところではないかと思います。業務の縮小に伴う今後の組織の在り方や、人員の活用についてどのように考えているのか、知事の見解を伺います。 次に、持続可能な県営水道事業についてでございますけれども、今後も水需要の減少が見込まれる中で、県内5水道事業者が広域的に連携した浄水場の統廃合などの取組は、水道事業の経営基盤強化に有効な方策と期待しています。 一方、先ほども答弁にありました水道料金の見直し議論ということもございますが、水道料金を負担する県民からすれば、この取組によって水道料金がどうなっていくのか、大変気になるところであります。その点について見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 東京2020大会の終了により、その中核を担ってまいりましたスポーツ局のオリンピック・
パラリンピック課、またセーリング課の業務を縮小しますので、組織の見直しや、より効果的な人員の活用を進める必要があると考えています。 そこで、順次、関連する所属の再編を行うとともに、業務の縮小に伴い生じる人員を基に、年度途中での人事異動を行うなど、コロナ対策を中心とした優先度の高い業務への再配置を行ってまいります。 答弁は以上です。 〔企業庁長(長谷川幹男)発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 長谷川企業庁長。
◎企業庁長(長谷川幹男) 企業庁関係の再質問にお答えします。 今後、水道施設の更新費用等が増加すること、また、人口の減少等に伴い、今よりも少ない水道使用者で水道事業を支えていただく状況が見込まれることなどから、水道料金の上昇は避けられないと考えております。 そうした中でも、上昇幅をできるだけ抑えなければなりません。そのため、業務見直しなどにより、経営の効率化を図ることはもとより、5水道事業者が連携した基幹施設である浄水場の大胆なダウンサイジングにより、将来の更新費用等も削減することで、水道料金の上昇の抑制につなげていきます。 以上です。 〔柳下 剛議員発言の許可を求む〕
○議長(小島健一) 柳下剛君。 〔柳下
剛議員登壇〕
◆
柳下剛議員 ありがとうございました。 それでは、何点か要望させていただきたいと思います。 まず、東京2020大会の総括についてであります。 今回の大会は、1年の延長の末、また無観客と異例の大会となりました。準備に携われた県職員の皆様の御苦労は計り知れません。改めて感謝を申し上げます。 オリンピック開催の最大の盛り上げとなる聖火リレーや、開催中に大型スクリーンで競技観戦し、皆が一緒になって大いに盛り上がるライブサイトが、中止あるいは大きく形を変えて実施されましたが、それでも、多くの人がテレビやネットで競技中継を視聴し、アスリートの活躍とひたむきな姿に心動かされたと思います。 そして、閉会式での各選手の笑顔や交流を見て、やはりオリンピックは単なる競技大会だけではない、特別なイベントであったと再認識することができたと思います。 本県として、今大会を通じて得られた貴重な経験を今後の県政に生かしていただくことを要望いたします。 そして、今回のオリパラ関連の舞台裏で御尽力された県職員が、今後も同様にコロナ対策に取り組んでいただくことをお願い申し上げます。 続いて、水道事業の広域連携についてですが、先ほど知事からの答弁も聞きましたが、まず取組の第一歩としては理解をさせていただきます。ただ、少し本気で進めていく気迫が足らないかなという感じがしております。 広域化というのは待ったなし、この生活に直結する水道、これは強い決意で推進をしていかなければならない、さらなる強い取組を要望させていただきます。 続いて、持続可能な県営水道事業についてでありますが、持続可能な県営水道事業については、水需要が減少期に入り、また水道施設の耐震化や老朽施設の適切な更新を進めるなど、持続可能な県営水道事業を実現するためには、水道料金に反映させる必要があることは一定の理解をさせていただきます。 これから5事業者の取組や、水道管の更新が具体的にどのように効果があるのかなど、水道料金を支払う県民に見えないと理解を得られないと考えますので、全体像を俯瞰できるような取組内容と、その効果を分かりやすく示すことを要望いたします。 そして、企業庁としても、経営基盤の強化に向けて、引き続き経営努力を行い、持続可能な県営水道事業に取り組むことを要望いたします。 続いて、コロナ禍における
投票促進についてでありますが、新型コロナ感染により、自宅や宿泊療養中の方で一定の要件に該当する方は、特例郵便等投票により、貴重な一票を無駄にすることなく、不在者投票が行えることとなりました。 この制度はいまだ認知度が低いので、年内に行われる衆議院選の際には、自宅、宿泊療養者の方々に療養時に渡すしおりと共に、特例郵便等投票についてのチラシを配布するなど、周知に努めることを要望します。 若年層の投票率向上については、LINEやインスタなどを活用し、若者に届く方法で投票を呼びかけるとの答弁がありました。 ぜひSNSでの情報を発信する際には、若い世代の方々が関心を持ち、多くの若者がフォロワーとなるよう、また、若い世代の方々のアイデアや意見を聴きながら発信していくことを要望いたします。 以上、県政の重要課題について要望させていただきました。解決や対応に向けては、当然先立つ予算が必要となります。 折しも9月8日には、県は令和4年度当初予算の編成方針を示しました。現段階において、おおむね850億円の財源不足が見込まれ、
財政調整基金についても大幅に減少しており、今後の感染状況によっては、引き続き厳しい県政運営が続くことは想定できます。 しかし、もう一息の頑張りという言葉に後押しされ、厳しい生活を強いられてきた県民にどう報い、希望を見いだせるか、オリンピック・
パラリンピックという大きな山場を越えた今、県民は新しい県政に大きな希望を寄せています。
ワクチン接種率が徐々に上昇し、規制の緩和も開かれます。県民は緊急事態宣言下で自粛対応や命を脅かす感染症への脅威の中、日々の生活を営んでいます。 こうした闇の中であるからこそ、知事は県民に向けて目指すべき光を指し示す必要があります。共に生き抜くため、手を取り合わなければなりません。我々議会も全力をもって新たな時代に向けて尽力してまいります。 以上、質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 〔拍 手〕
○議長(小島健一) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小島健一) 御異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は20分後といたします。 午後3時8分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-令和3年第3回-20210913-029057-質問・答弁-赤野たかし議員-代表質問①
新型コロナウイルス感染症に関する諸課題について②本県が積極的に取り組むべき重要施策について③本県事業の抜本的な見直しについて》 午後3時30分 再開 〔
議会局長報告〕 出席議員 副議長共60名
○副議長(佐々木正行) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(佐々木正行) あらかじめ時間の延長をいたします。 ───────────────────────────────────────
○副議長(佐々木正行) 質問を続行いたします。 赤野たかし君。 〔赤野たかし議員登壇〕(拍手)
◆赤野たかし議員 議長のお許しを頂きましたので、私は、立憲民主党・民権クラブ神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、質問をさせていただきます。 知事並びに
警察本部長におかれましては、明快な御答弁をお願い申し上げます。 質問に入ります前に、一言申し上げます。 目に見えない新型コロナウイルスと人類との闘いは、今もって続いております。この収束に向け、御尽力を頂いている医療従事者の方をはじめ、多くの関係する皆様に心から感謝を申し上げます。 〔
資料提示〕 それでは、質問に入ります。 質問の第1は、
新型コロナウイルス感染症に関する諸課題についてです。 初めに、
ワクチン接種のさらなる「見える化」について伺います。 本県の新型コロナの
ワクチン接種については、9月6日現在で、12歳以上の県民の約56%となる462万人の方々に1回目の接種が行われ、2回目の接種についても約43%となる359万人の方に行われたとのことであります。 私どもは、第2回定例会の代表質問においても、
ワクチン接種の見える化について取り上げさせていただき、その結果、私どもの会派の提言を基に、県内33市町村ごとの接種回数や接種率に関する情報が速やかに県ホームページに掲載され、これについては評価をさせていただきます。 こうした中で、東京都では、9月末までの年代別の接種率の推計値を公表し始めたほか、9月1日現在で、東京都23区のうち、既に16区について年代別の接種率を公開しているとの報道もあります。 これに対し、現在、本県では、年代別接種率の公開がなされていません。私どもは、多くの県民から関心の高いと思われる情報については、速やかに開示すべきと考えます。 〔
資料提示〕 また、今後は、希望される方への
ワクチン接種が進む中で、その効果が分かるよう、例えば、接種率と感染者数や重症者数等に関するデータの関係性について、県民に対し、分かりやすく公表するなど、
ワクチン接種のさらなる見える化を進めていくべきと、私どもは考えます。 そこで、知事に伺います。 県として、
ワクチン接種のさらなる見える化に向けて、どのように取り組まれていくのか、知事の所見を伺います。 〔
資料提示〕 次に、地域療養の神奈川モデルと市町村との連携について伺います。 本県における
新型コロナウイルス感染症の自宅療養者は、7月半ばには約1,500人でありましたが、8月27日には1万6,000人を超え、10倍以上となり、現在は減少に転じているものの、まだまだ大変厳しい状況にあります。 本来であれば、入院となっていた症状の方々が入院とはならずに、自宅療養を継続しているという看過できない厳しい現実があり、御自宅での療養を続ける中で、症状が悪化して救急搬送される方や、療養中に亡くなられる方もいらっしゃいました。 申し上げるまでもなく、感染症の脅威から県民の命と健康を守り、亡くなられる方を一人でも出さないようにするためには、特に健康状態の確実な把握を行うことが重要であります。 〔
資料提示〕 こうした中で、県では、自宅療養者の健康観察を地域の医師会に委託する地域療養の神奈川モデルが、今年3月に藤沢市で先行実施され、現在、7地域12市町村で事業が実施されているところです。 こうした地域の医療関係者と連携し、医療の視点から自宅療養者を支援する取組については、急激に症状が悪化することがある自宅療養者の状態を、早い段階から確実に把握するために有効と考えられますが、いまだに導入されている地域が、県内人口の僅か2割程度であり、感染者数が多い指定都市をはじめ、実施されていない地域も多い状況にあります。 また、こうした地域の医療関係者に加え、市町村との連携も極めて重要であるわけですが、現在、海老名市などの九つの市町村と県とが連携して実施している自宅療養者への生活支援事業についても、今後さらに推進していく必要があると考えます。 そこで、知事に伺います。 地域療養の神奈川モデルについて、現在、実施地域が一部に限定されていることに関して、どのように考えているのか、また、市町村と連携した自宅療養者への生活支援事業についても、今後さらに広げていくべきと考えますが、県はどのように取り組むのかについて、所見を伺います。 〔
資料提示〕 次に、病院総力戦による病床の確保について伺います。 県は、
新型コロナウイルス感染症に関して、パーソナルサポートや特設サイト等により、県民向けに様々な情報を発信しているところですが、その中には、医療機関に受入れ可能かどうか4回以上照会し、救急隊の現場到着から搬送開始まで30分以上かかった救急搬送困難事案も含まれ、私どもはこうした救急搬送の逼迫とそれに係る病床の確保について、特に危機感を抱いています。 実際に、県内3指定都市の消防のデータを見た場合、救急搬送困難事案は、8月30日から9月5日までで354件であり、前年度より273%も増えています。 また、このうち、37度以上の発熱などの症状があり、コロナ感染が疑われる事案は246件とのことであり、コロナ感染者数の急増が救急搬送を圧迫していることからも、
新型コロナウイルス感染症に対応する病床について、これまで以上に増やしていくことが課題と考えます。 こうした状況の中で、本県では医療機関と協力し、病床確保に努めてこられたことは承知しておりますが、さらなる病床拡大に向けては、これまで以上にきめ細かく、丁寧な取組が求められていると考えます。 そこで、知事に伺います。 さらなる病床確保に向け、公立病院、大学病院等を含めた公的病院、さらには民間病院といった医療機関ごとに、病院総力戦による丁寧な調整を行うことが必要であると考えますが、知事の所見を伺います。 〔
資料提示〕 次に、コロナ禍における犯罪情勢と抑止対策について伺います。 昨年の県内における刑法犯認知件数は、戦後最多を記録した平成14年と比べた場合、5分の1以下にまで減少しており、本年に入っても減少傾向であることは承知しています。 この成果は、県警察をはじめ、県や市町村、防犯ボランティア団体等が連携して取り組んだ結果であり、引き続き、関係機関・団体と対策を推進し、体感治安のさらなる向上に努めていただきたいと思います。 こうした中で、
新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食店等の休業や時短営業をはじめ、外出自粛やテレワークなどの新しい生活様式への取組による社会生活の変容に伴い、人流が抑制され、在宅時間が増えたこと等により、犯罪情勢にも変化があると懸念しています。 また、先日は、特殊詐欺の件数は減少しているものの、このうちの還付金詐欺については、増加しているという報道もありました。 さらに、
新型コロナウイルス感染症に対する不安に乗じた新たな手口の特殊詐欺が発生していることなど、多くの県民が危惧されているところでもあります。 〔
資料提示〕 私どもは、こうした混乱に乗じた悪質な犯罪は許し難いものであり、県警察においては、コロナ禍における犯罪情勢に的確に対応し、県内の治安維持に努めていただきたいと考えているところです。 そこで、
警察本部長に伺います。 県内のコロナ禍における犯罪情勢を踏まえ、県警察では犯罪抑止対策にどのように取り組んでいるのか、
警察本部長の所見を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 赤野議員の御質問に順次お答えしてまいります。
新型コロナウイルス感染症に関する諸課題について、何点かお尋ねがありました。 まず、
ワクチン接種のさらなる「見える化」についてです。 ワクチンの接種は、県民の皆様にとって、現在、最大の関心事であり、その効果や副反応などに関する情報を分かりやすく伝えることは大変重要です。 県では、ホームページにおいて、ワクチンの供給見込みと接種見込みの推計をグラフ化することで、11月中には全県民の80%が2回接種していただける環境にあることを分かりやすくお示ししています。 また、市町村別の接種回数、接種率について、6月末から高齢者の状況を、8月からは全世代と12歳から64歳の状況を公開しています。このほか、例えば副反応に関して、県民の皆様が知りたい項目を体系化し、素早くアクセスできるようにするなど、改善を図ってきています。 公表すべきと御提案がありました年代別の接種率については、県民の皆様も関心の高い情報と考えますので、全県レベルの年代別の接種率を速やかに公表していきます。 また、
ワクチン接種の効果の見える化についても、接種を今後進めていく上で重要です。 そこで、例えば、高齢者接種率と新規感染者に占める高齢者の割合の推移を示すなど、客観的なデータを活用しながら、県民の皆様にとって分かりやすい情報を提供していきます。 今後も、県民の皆様の目線に立った
ワクチン接種のさらなる見える化にしっかりと取り組んでまいります。 次に、地域療養の神奈川モデルと市町村との連携についてです。 まず、地域療養の神奈川モデルの実施地域についてです。 この仕組みは、重症化リスクがある自宅療養者を対象に、地域の医師や看護師が悪化の兆候をいち早く察知し、医療の視点から早期に対応するものであり、全県域に展開されることが望ましいと考えています。 これまで県は、県内全ての医師会や地域の訪問看護ステーション連絡協議会に対して、このモデルの説明を丁寧に行いながら、導入を求めてきました。一方、このモデルの導入に踏み切れていない地域の多くは、自宅を訪問する看護師の確保が難しいなどの課題があります。 そこで、看護師は健康観察の電話連絡のみを行う体制で開始するなど、地域の実情に応じた柔軟な運用を認めることで、一刻も早い全県的な展開につなげていきたいと考えています。 次に、市町村と連携した自宅療養者への生活支援事業については、身近な市町村が食料品等の購入代行など、きめ細かな支援を行うことで、生活面で不安のない療養生活を送ることが期待できます。 一方、市町村がこうした事業を行うためには、自宅療養者の個人情報が必要となりますが、市町村に対する患者の情報提供については、法的な疑義がありました。 そこで、県では昨年度、自宅療養者の情報を市町村に提供することが可能かどうか、有識者会議に諮問しました。その結果、市町村が生活支援事業等を行う場合には、情報提供が可能との答申を得ましたので、本年4月以降、市町村と覚書を締結し、情報提供を開始しました。 今後も引き続き、県と市町村が協力しながら、自宅療養者が安心して療養できる環境を整えられるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、病院総力戦による病床の確保についてです。 今般の
新型コロナウイルス感染症の急拡大により、入院を必要とされる方が急増する中、病床を確保することは、県民の皆様の命を守るために極めて重要です。 県ではこれまで、第3波の2倍の入院患者に対応できる医療体制を構築するとともに、病床確保フェーズに応じて病院ごとに病床数を協定で定め、その拡大が確実に実現できるよう準備してきました。 また、8月上旬には、病床確保フェーズを最大に引き上げ、医師が延期できると判断した入院・手術の一時停止を要請するなど、感染急拡大に速やかに対応してきました。 しかし、今般の感染者数の急増は第3波の約3倍と、想定をはるかに超えており、早急に病床を拡大する必要があります。 そこで、まずは、全ての病院を公立や公的、民間といった設置主体や役割ごとに区分しました。その上で、例えば公立の重点医療機関のコロナ病床確保率は平均で8.8%ですので、その平均に届いていない医療機関に対して、そこまでの病床拡大を要請しています。 あわせて、県の幹部職員が個別に病院を訪問し、丁寧に調整することで、病院の御理解を得ながら、必要な医療体制の構築を推進しています。 今後も、必要な病床確保に努め、県民の皆様に安心していただけるよう取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
警察本部長(山本 仁)発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 山本
警察本部長。
◎
警察本部長(山本仁) コロナ禍における犯罪情勢と抑止対策についてお答えします。
新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した令和2年中の県内における刑法犯認知件数は3万5,241件、前年と比べ6,539件減少しており、中でも、空き巣やひったくりが大幅に減少しております。 犯罪の減少には様々な要因が考えられますが、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う外出自粛もその一因になっているものと考えております。 刑法犯認知件数は、本年に入りましても、昨年に引き続き減少傾向で推移しておりますが、閉店中の店舗を狙った窃盗などの犯罪が前年に比べて増加するなど、犯罪情勢は変化しております。 県警察では、こうした犯罪情勢を踏まえ、全国的な発生状況の把握や分析を行い、発生が予想される犯罪に対して、先制的な対策を展開してきたところです。 具体的には、緊急事態宣言の発出等に伴う閉店中の店舗を狙った窃盗、コロナをキーワードとした特殊詐欺といった犯罪の発生が懸念されたことから、被害防止のための広報啓発に取り組んでまいりました。 この広報啓発に当たっては、
新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、県民と直接対面して行うイベントなどを自粛しているため、ツイッターなどのSNSを活用した情報提供を一層強化したところです。 加えて、高齢者と接する機会の多い宅配業者の協力を得て、高齢者宅を訪問した際には、特殊詐欺の注意喚起のチラシを配布していただくなどの対策にも取り組んでおります。 県警察では、引き続き、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う社会情勢の変化を踏まえ、先制的な広報啓発活動を行うなど、効果的な犯罪抑止対策に取り組んでまいります。 以上でございます。 〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 赤野たかし君。 〔赤野たかし議員登壇〕
◆赤野たかし議員 知事並びに
警察本部長に御答弁を頂きました。 それでは、知事に3点再質問をさせていただきたいと思います。 まず、
ワクチン接種のさらなる「見える化」についてです。 知事からは、全県レベルの年代別接種率を速やかに公表していただけるという前向きな答弁を頂きまして、ありがとうございます。 そして、私のほうからは、あわせて、接種率と新規感染者数、また、重症化率、こういったものが客観的データと合わさった関連データ、そういったものについても、ぜひ見える化を図っていただきたいというふうに、先ほど申し上げさせていただいたところでございますけれども、それについては、いつ頃をめどに公表していただけるのか、その時期についてお伺いさせていただきたいと思います。 2点目といたしましては、地域療養の神奈川モデルと市町村との連携についてです。 私は、こうした事業を早期に進めていくためには、もちろん相手があることでございますので、知事が市町村長とのトップレベルでの意見交換の場をもっと頻繁に増やすべきだと思っております。やられていないとは申し上げませんが、こうしたことに対する知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 3点目は、病院総力戦による病床の確保についてです。 先ほどの知事の答弁で、目指すべきスタンスについては一定の理解をさせていただきましたが、こうした病院に病床確保を要請するわけですから、病床確保に取り組んだ成果についても、県民に広く公表していくべきかと考えます。こうしたことについての知事のお考えを伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えしてまいります。
ワクチン接種の見える化についてでありますが、ワクチンの効果などに関する情報、これを分かりやすく伝えるということは大変重要であります。 そこで、
ワクチン接種のさらなる見える化のため、御指摘いただいた点も含めて、今月中をめどに年代別の接種率などを公表してまいります。 それから、地域療養の神奈川モデルと、トップ同士の会談をもっとやるべきではないかということでありますが、トップ同士のやりとりというのは頻繁に行っております。
新型コロナウイルス感染症について、市町村長とは、知事と全市町村長との意見交換会、これも実施しましたし、ウェブでもやりましたし、地域別の首長懇談会、これもできないときはウェブなどでやっておりますし、それ以外にも電話で個別に意見交換することもあります。 そして、例えば地域別の首長懇談会では、市町村長の皆様方と自宅療養者への対応のための県からの情報提供についても、様々議論を行ってまいりました。 また、災害級のコロナ禍の現状、これを報告した8月のコロナ対策本部会議、これは今まさに危機的な状況にあるという認識を全市町村に共有していただこうといったことで、異例のことでありましたけれども、対策本部会議に市町村長の皆様にもリモートで御参加いただきまして、意見交換もいたしました。その後、複数の市町村から、地域療養の神奈川モデルを実施したいといった意向表明もありました。 今後とも、このように積極的に市町村長との意見交換の場を設けるなどしまして、思いを一つにして、オール神奈川でこの危機を乗り越えていきたいと考えております。 病床確保の結果の公表でありますけれども、県民の皆様に正確な情報をお伝えするため、病床の確保状況を公表することは、必要なことだと考えております。 現在、ホームページで最新の確保病床数を公表していますが、今般の要請に伴い、増やした病床数についても公表を検討してまいります。 答弁は以上です。 〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 赤野たかし君。 〔赤野たかし議員登壇〕
◆赤野たかし議員 知事からは、再質問に対する御答弁を頂きまして、ありがとうございます。 それでは、意見、要望を申し上げさせていただきたいと思います。 まず、
ワクチン接種のさらなる「見える化」については、今月中をめどにやっていただけるというお話を頂きました。ありがとうございます。 多くの不安が県民の多くの皆様方にある中で、こうした情報は速やかに出していく必要があります。その意味では、前向きな答弁を頂きました。ありがとうございます。 もちろん
ワクチン接種は、最終的にはあくまで御本人が納得された上で御判断すべきことであることは申し上げるまでもありません。その上で、年代別の接種率、また重症者数、こういったことについて、データで分析したものを県民に広く公開していく、これは、今後また新たな変異株ですとか、ブレークスルー感染なども報告されている中で、国としてだけでなく、県としても、先手先手の対策を講じていく必要があると思います。その意味での見える化だというふうなことで提言申し上げておりますので、よろしくお願いいたします。 次に、地域療養の神奈川モデルと市町村との連携についてです。 地域療養の神奈川モデルと言っても、先ほど申し上げましたように、導入されている地域がまだ県内人口の僅か2割程度という状況です。こういった情報は、正しく伝えていくことが何より重要であると考えます。 知事におかれましては、いろいろな形で神奈川モデルという表現を使用しておりますが、実際に運用されている地域はどこであるのか、こういったことについて、対象エリアを神奈川県の地図で実際に示して表示するなどといった情報発信を含めて、丁寧に行うようにお願い申し上げさせていただきます。 次に、病院総力戦による病床の確保についてです。 こういったことは、もちろん通常医療との関係もありまして、非常に丁寧な調整をされていることは私も承知しております。しかしながら、その成果と言いますか、どういう形で、プロセスで進んでいるのかということは、ぜひ県民の皆様にも見える化を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、コロナ禍における犯罪情勢と抑止対策についてでございます。 県警察におかれましては、常日頃、現場の警察官の皆様が、自らが感染リスクにあるという状況の中で治安維持に努められていることについて、感謝させていただきます。 こうした中で、社会生活の変容に伴い、新たな犯罪も発生しているところです。犯罪の抑止にも先手の対応が必要です。犯罪の変化に臨機応変に対応することで、今後も犯罪の抑止に努めていただきますよう、お願い申し上げます。 〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 赤野たかし君。 〔赤野たかし議員登壇〕
◆赤野たかし議員 質問の第2は、本県が積極的に取り組むべき重要施策について伺います。 〔
資料提示〕 初めに、本県の
デジタル化推進に係るCIO兼CDO就任後の成果について伺います。 国では、9月1日に
デジタル庁を発足させ、国全体の
デジタル化を主導する司令塔と位置づけ、勧告権等の強力な総合調整機能を与えるとともに、国の情報システムに係る予算を一括計上することで、システム全体の統括・監理を行わせるとしています。 また、全体の約600人の職員のうち、その3分の1に当たる200人程度の人材について民間から採用する方針を打ち出し、事務方のトップであるデジタル監をはじめ、幅広い役職に民間で活躍している人材を充てているとのことです。 この中で、私どもはこれまでも、県の
デジタル化推進のため、提言を行ってまいりましたが、今年3月の予算委員会において、私が質問させていただいた際には、県より、県民の利便性向上につながる行政手続のオンライン化、また、公金のキャッシュレス化、さらには職員の業務効率化につながる文書管理に係る電子決裁の拡大等について、まずはしっかりと取り組むとしたほか、今後、各局が進めるDXの取組について、CIO兼CDOと各局の局長が意見交換をする場や担当者によるヒアリングも行う中で、各局の取組をデジタルの側面から支援していく旨の答弁を頂いたところです。 〔
資料提示〕 本県では、昨年8月にCIO兼CDOとして、IT企業出身の江口清貴氏を充てられ、社会における
デジタル化の期待に応えていくための取組をスタートさせたことは承知していますが、多くの県内の市町村にあっては、高度な民間人材の活用ができていない状況の中で、本県は数々の実績を持つ方にCIO兼CDOをお願いしたわけですから、この効果を十分に発揮させていくことが大変重要であると考えます。 そこで、知事に伺います。 本県においては、民間人材である江口CIO兼CDOが就任されてから1年余りが経過したわけですが、民間人材を活用したDXの推進とデジタル人材の育成におけるこれまでの成果、さらには今後の方向性について、どのように考えているのか、所見を伺います。 〔
資料提示〕 次に、本県への寄附金について伺います。 私はこれまでも、寄附文化の醸成について何度も提言を続けてまいりましたが、その大きな理由の一つは、寄附文化の醸成を通じ、県の執行機関はもちろんのこと、県民の皆様に対しても、本来税金で行うべき事業とは何であるのか、そして、その上で、あえて行政機関である本県が寄附を頂いてまで行う事業とは何であるのかについて、問題提起をさせていただき、これを積み重ねていくことにより、県政の発展につなげていきたいという強い思いからであります。 〔
資料提示〕 こうした一方で、平成20年度に制度がスタートしたふるさと納税は、一部の自治体において、いわゆる返礼品競争が過熱化してしまい、本県では、こうした返礼品競争とは一線を画す中で、体験型ツアーの参加券や特産品の詰め合わせギフトセットを返礼品とし、県外の方々にPRしてきたことは承知しています。 しかし、一部の報道でも取り上げられましたように、令和2年度の神奈川県内のふるさと納税は、県内自治体が受け入れた寄附額、また県民が他の自治体に寄附したことによる流出額について、ともに過去最高を更新いたしました。 具体の金額として、本県への寄附額は前年比4,400万円の増となる1億3,500万円となった一方で、流出額は、前年比で何と22億500万円の増となる、112億3,800万円になったとのことであり、本県への寄附額を増やしていくことは喫緊の課題であります。 ちなみに、昨年度から開始した、かながわコロナ医療・福祉等応援基金について申せば、返礼品を一切送っていないにもかかわらず、非常にたくさんの御寄附を頂いているところです。 これは、施策の趣旨が県民に伝わり、多くの共感をいただくことができれば、たとえ返礼品がなくても、たくさんの応援を頂けるという一つの証左ではないかと考えます。 〔
資料提示〕 また、それとは反対に、かながわボランタリー活動推進基金21に対する令和2年度の寄附実績は、僅か2万5,842円でした。これは公益を目的とする事業に、自主的に実施されているボランタリー団体等の活動を支援するとした大事な取組の趣旨が、多くの県民に伝わっていない一例であると言わざるを得ません。 そこで、知事に伺います。 本県への寄附を頂くに当たっては、まずは税金で行う部分を明確にし、その上で、寄附を頂くことによって行うことのできる事業の趣旨などを、分かりやすく、より明確に伝えていくべきと考えますが、所見を伺います。 また、かながわボランタリー活動推進基金21に対する令和2年度の寄附実績は2万5,842円となっておりますが、このことに対する知事の問題意識についても伺います。 〔
資料提示〕 次に、災害防止に向けた盛土の点検状況と県の土砂条例施行規則の見直しについて伺います。 近年、大雨による災害が頻発する中で、今年の7月はじめには、西日本から東日本の太平洋側に停滞している梅雨前線の影響により、東北地方や関東地方で記録的な大雨となりました。 この影響は、本県においても、7月2日から3日にかけて、平塚市や箱根町など、県西部を中心に記録的大雨に見舞われ、崖崩れや建物被害が相次いで発生したところであります。 〔
資料提示〕 こうした中で、7月3日に静岡県熱海市で発生した土石流は、市内を流れる逢初川の河口から約2キロメートル上流に造成された盛土が、川沿いの集落を巻き込み、甚大な被害を発生させたと言われております。 最近の豪雨の状況を踏まえれば、本県内においても、熱海市と同様の被害が発生する可能性を否定できません。 国からは、8月11日付で、各都道府県に対し、盛土による災害防止に向けた総点検について依頼文書も発出したところですが、私たちは、県としても、積極的にこの総点検により、実態を詳細に把握し、早期に対策を講じていくべきと考えます。 また、熱海市の土石流災害では、多数の人的・物的被害が生じてしまった下流域の住民の中に、その上流エリアに大規模な盛土が存在することを知らない方がいらっしゃったとのことであります。 私どもは、こうしたことについては、本来、下流側の住民の方にも知らせておかなければならない、命に関わる極めて大切な情報ではないかと考えます。 〔
資料提示〕 本県の土砂条例の手続や運用を具体に定めた施行規則では、地域住民への周知についても定めがあり、それによれば、盛土などの土砂埋立行為を行う場合について、事前に周辺住民等への説明会を開催するよう義務づけているところですが、その対象範囲について、土砂埋立区域の周囲50メートル以内の土地所有者等としているところです。 私どもは、今回のような土砂災害の被害が広範囲に及ぶおそれがある地形において盛土を行う場合には、命を守る意味からも、特別警戒区域である、いわゆるレッドゾーンと呼ばれる場所から、下流域に当たる住民の方々はもちろん、説明会の対象範囲について、さらに広くするといった施行規則の改正が必要であると考えます。 そこで、知事に伺います。 現在、国から求められている盛土の総点検の対象箇所は、県内にどれくらいあるのか。また、こうした災害を少しでも防ぐためにも、本県の施行規則で定めている盛土などを行う場合の事前の住民説明会の対象範囲について、広くするよう見直しすべきと考えますが、所見を伺います。さらに、この見直しを行う場合、いつまでに行うつもりであるのか、併せて伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 本県が積極的に取り組むべき重要施策について、何点かお尋ねがありました。 まず、本県の
デジタル化推進に係るCIO兼CDO就任後の成果についてです。 江口CIO兼CDOは、就任前から県顧問として、ME-BYO onlineや新型コロナ対策パーソナルサポート、LINEコロナお知らせシステムなど、県民と県が直接つながる仕組みの導入に大きく貢献され、その実績から暮らしと行政の
デジタル化を一層スピードアップするため、CIO兼CDOに就任していただきました。 江口CIO兼CDOの起用によるDXの成果としては、幅広い知見や柔軟な発想を活用し、まずはコロナ対策に注力してもらい、システムごとにばらばらであった感染状況等に関するデータを統合し、予測モデルの構築を可能にしたことや、ワクチンのキャンセル待ちの仕組みを立ち上げたことが挙げられます。 また、事業者への協力金第9弾、10弾では、それまでと比べて格段に計算の仕組みが複雑になった中でも、交付額を自動で計算するなど、申請者に分かりやすいシステムを構築しました。 一方、人材育成の面では、江口CIO兼CDOの下に、庁内各局の若手職員とIT企業などに在籍する民間人材で構成するDXチームを立ち上げ、職員と民間人材のコラボレーションにより、様々な課題に取り組むことを通して育成を図っています。 このDXチームでは、民間人材の知識や技術で課題解決が迅速に進むだけでなく、その過程で、職員が仕事の進め方や課題解決の手法を学べるという効果も生まれています。 今後も、江口CIO兼CDOを中心に庁内一丸となり、スピード感を持ってDXの推進に取り組んでいくとともに、民間人材と一緒になって様々な課題を解決しながら業務を進めることを通じ、デジタル人材の育成にもしっかりと取り組んでまいります。 次に、本県への寄附金についてです。 まず、税により実施する事業と寄附金により実施する事業の考え方についてです。 県の事業のうち、法令等に基づく義務的経費や、地方交付税の算定対象となっている全国標準的な経費は、県税などで賄うことが原則です。 一方、本県の独自性の強い事業や、標準的な経費の上乗せとして実施する事業などについては、寄附金の活用も有力な選択肢となります。 県としては、寄附の活用に当たり、少しでも多くの方々の共感を頂くためにも、こうした基本的な考え方を明示していく必要があると考えています。 寄附金の募集に当たっては、これまでも、県のホームページで事業の趣旨や成果のPRに努めてきたところですが、今後はこうした基本的な考え方についても、改めて周知に努めてまいります。 次に、かながわボランタリー活動推進基金21への寄附についてです。 この基金は、地域課題の解決に向けたボランタリー活動に対し支援を行うことを目的に、約100億円の基金原資から生み出される運用益を財源として事業を行うものですが、基金への寄附は減少傾向にあります。 現在、多くのNPO法人が収入源の確保を課題としており、できるだけ多くの方々に様々な形での寄附を通じて応援していただくことが重要です。 そこで、県では、基金21への寄附を呼びかけるだけでなく、個々のNPO法人の活動に興味を持っていただき、直接寄附していただくことで、税制上の優遇措置を受けられる県指定・認定NPO法人制度の普及にも力を入れています。 さらに、寄附意識の醸成を図るため、毎年12月の「寄付月間」には、税額控除制度を紹介する展示等の啓発活動も行っており、こうした取組により、県指定・認定NPO法人に対する令和2年度の寄附実績は約2億円に上っています。 今後も、基金21による支援事業に着実に取り組むとともに、県指定・認定NPO法人制度のさらなる普及を図り、ボランタリー活動を積極的に支援してまいります。 次に、災害防止に向けた盛土の点検状況と県の土砂条例施行規則の見直しについてです。 まず、熱海市で発生した土石流災害を受けた盛土の総点検の対象箇所についてです。 総点検の主な対象は、都市計画法、森林法、土砂条例等、土地の利用を規制する様々な法令に基づき、おおむね2000年以降に行われた盛土のうち、土石流の土砂災害警戒区域の上流域など、土砂災害のおそれがある地域内の箇所です。 お尋ねのありました県内における盛土の総点検の対象箇所数は、各法令ごとに集計したところ、9月9日時点で約1万か所となっており、今後、重複箇所の確認等、精査を行った上で、市町村と共同して安全性を確認する現地調査を行います。 次に、土砂条例の施行規則の見直しについてです。 県では、土砂の適正処理に関する条例を制定し、一定規模以上の盛土について許可制にするとともに、施行規則を定め、事業者が行う手続や守るべき安全基準等を設けています。 この施行規則の中で、住民説明会の対象範囲についても規定しており、土砂埋立区域の周囲50メートル以内の土地所有者等としています。しかし、今回の土砂災害を踏まえると、急峻な地形において盛土を行う場合に、斜面の下流域に広く周知して、住民の皆様に盛土の存在を認識していただくことが重要です。 そこで、住民説明会の対象範囲の拡大について、近県の状況も踏まえ、市町村の意見も聴きながら検討を行い、年度内を目途に条例施行規則の見直しを行います。 こうしたことにより、土砂災害から県民の安全を守る取組をさらに推進してまいります。 答弁は以上です。 〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 赤野たかし君。 〔赤野たかし議員登壇〕
◆赤野たかし議員 知事に御答弁を頂きました。 それでは、再質問を1点させていただきます。 本県の
デジタル化推進に係るCIO兼CDO就任後の成果についての再質問でございます。 知事からは、これまでの成果と今後の方向性について御答弁を頂いたわけでございますが、私はこうしたことを進めるに当たっては、県として、まずはデジタル人材の育成に係る方針、これをしっかりと定めて、その上で、着実に取組を進めていくべきと考えます。このことについて、知事の考えをお伺いさせていただきます。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えしてまいります。 本県のデジタル人材の育成に係る方針の作成とその取組についてのお尋ねであります。 暮らしと行政の
デジタル化を加速化するとともに、DXを持続的に推進していくためには、デジタル人材の育成は重要であります。 特に、コロナ禍で、より強く求められるようになった
デジタル化に対する期待にスピード感を持って応えるとともに、多様化する様々な課題に対応できるノウハウや意欲を備えたデジタル人材を、民間人材も活用しながら育成する必要があると考えています。 そこで、こうした内容を取りまとめた人材育成の方針を作成し、本県の
デジタル化の取組を着実に進めてまいります。 答弁は以上です。 〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 赤野たかし君。 〔赤野たかし議員登壇〕
◆赤野たかし議員 それでは、意見、要望をさせていただきたいと思います。 まず、本県の
デジタル化推進に係るCIO兼CDOの就任後の成果について、再質問に対する答弁も頂きました。 私は、江口さんのような、いわゆる民間からの人材登用については、これまでも大いに推進すべきとの立場でお願いをしてきたところです。一方で、肝腎なことは、登用された後であると考えます。 このコロナ禍で、改めて、この国の行政機関が
デジタル化に様々な局面で対応していないということが露呈してしまいました。もちろんそうした
デジタル化を進めようという計画そのものは以前から国でもあったわけです。それにもかかわらず、どうしてなかなか
デジタル化が進まなかったのか。私は、看板ばかりが先行してしまい、こうした実行になくてはならないスキルですとか、リソースですとか、プロセスですとか、そういったものがまだ十分に出来上がっていなかったのではないかと感じております。 まさに、こうした部分について、江口CIO兼CDOに期待をさせていただいているところでございます。 また、こうしたことは申し上げるまでもなく、行政の
デジタル化は人任せですとか、外注というレベルでは、もう駄目だと思っています、丸投げでは。そのためにも、デジタル人材の育成に係る方針、どうやって人材を育成するかということを先ほど定めていただけるということでしたけれども、これは本当に大事なことだと思いますので、お願いを申し上げさせていただくところでございます。 次に、本県への寄附金についてでございます。 先ほど申し上げましたが、本県への寄附金を頂くに当たって、何より大事なことは、事前に税金で行うべき部分と、その上で、あえて寄附を頂くことによって行うことができる事業、これを明確にお示しすることであると思っております。 先日、知事の提案説明では、来年度の財政見通しについて、現段階でおおむね850億円の財源不足が見込まれるとの認識を示されておりました。 このコロナ禍において、
新型コロナウイルス感染症の対応はもちろんでございますけれども、改めてスクラップ・アンド・ビルドの徹底や証拠に基づく政策立案─EBPMの推進等について徹底していただきまして、その上で、民間資金や寄附金等を含む歳入の確保についても目指していただきたいと思います。まだまだ本気度が正直感じられていないところがありますので、よろしくお願いいたします。 そして、今回は、かながわボランタリー活動推進基金21の寄附実績に係る問題意識についても質問させていただきました。 知事からも御答弁を頂きましたけれども、県指定NPO法人制度は、本県が全国でも先進的な取組としてスタートさせたことは承知しています。 しかしながら、今、公民共創という、公、民間、そして共に創造するという、公民共創という言葉がありますように、まさに今、県を含む行政機関が問われているのは、民間と公とがパートナーシップにより、共に未来を創造できるか否かということであります。 その意味で、かつての県民の公益活動の支援の先進県であった本県の一つの象徴的存在とも言える、かながわボランタリー活動推進基金21の現状は誠に残念であります。知事におかれましては、私どもとこうした問題意識を共有され、今後の県政運営をお願いするものであります。 次に、災害防止に向けた盛土の点検状況と県の土砂条例施行規則の見直しについて御答弁を頂きました。 年度内に見直しをしていただく、非常に前向きな答弁を頂きました。しかしながら、まだ9月です。これから台風シーズンもありますし、今年度においても様々な災害、あってはいけませんけれども、自然災害が起きてしまう可能性さえあります。 先日の熱海市の大規模災害は、一部に人災と言われている報道もあります。今後は、こうした周辺住民等への説明会の対象範囲の拡大に加え、無許可で不正の埋立てを行っている業者を取り締まるためにも、住民からの情報提供などを求める仕組みなどについても、検討していただきますよう要望させていただきたいと思います。 広域自治体の大きな役割の一つは、災害対策であります。知事におかれましては、県民の命を守る上でも、こうした積極的な防災対策をお願い申し上げます。 〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 赤野たかし君。 〔赤野たかし議員登壇〕
◆赤野たかし議員 質問の第3は、本県事業の抜本的な見直しについて伺います。 〔
資料提示〕 初めに、特別自治市構想について伺います。 特別自治市構想については、横浜市がその早期実現を目指し、今年3月に横浜特別自治市大綱を8年ぶりに改訂したほか、指定都市市長会は、指定都市20市のうち、16市が参画する多様な大都市制度実現プロジェクトを設置し、特別自治市制度の法制案を作成した上で、国に提案していくことを目的に検討を進めており、本年5月には中間報告を発表しています。 こうした中で、本県は、今年6月に特別自治市構想等大都市制度に関する研究会を設置し、行政学、財政学、租税学などの分野における有識者6名により、住民目線から、よりよい行政運営の在り方や、広域自治体と基礎自治体の役割分担などについて、検討を進めていることは、私どもももちろん承知しております。 私はこれまでも、特別自治市構想について、本県に対し、問題であると認識しているのであれば、本県から直接、横浜市に申し入れ、客観的な視点も入れながら、あくまで当事者同士で協議を行うことが何より重要と知事に申し上げてまいりました。 〔
資料提示〕 今後、指定都市市長会のプロジェクトは、今年の11月に最終報告を取りまとめ、特別自治市制度の法制案等を示すとしていますが、私は、県として、それを待つことなく、早期に、現在、研究会で示されている意見等も踏まえ、特別自治市構想の課題や疑問点などについて、指定都市都道府県調整会議等を開催するなど、公式な場で横浜市と協議していくことが大事であると考えます。 そこで、知事に伺います。 本県が設置した特別自治市構想等大都市制度に関する研究会での議論も進む中で、横浜市が進めている特別自治市構想に対して、県として、今後どのような形で対応されるのかについて、知事の所見を伺います。 〔
資料提示〕 最後に、カジノ等に対する県の対応について伺います。 横浜市は、令和元年8月22日に、IR、カジノを含む統合型リゾートの誘致を表明して以降、誘致に向けた手続を進めてきたところですが、先月実施された横浜市長選挙において、カジノ誘致の賛否に関しても、一つの大きな争点となり、その結果、IR、カジノ反対を主張した山中新市長の下、新たな市政運営が開始されたところです。 そして、このIR、カジノについて、山中新市長は、先月の記者会見において、誘致の撤回に関する手続を速やかに進めていくと言及され、先週9月10日の横浜市会第3回定例会本会議の所信表明演説において、正式に誘致撤回を表明されました。 私は、この問題について、平成29年2月の代表質問をはじめとして、この計画には反対するよう、知事の姿勢をただしてきたところですが、知事は、このIR、カジノに係る質問に対し、広域自治体である県としては、基礎自治体である横浜市の判断に協力していくべきといった答弁を繰り返し表明されてきました。 こうした中で、一部の報道によれば、知事は、先月、新市長が就任直後の訪問を受けた際に、改めて、IR、カジノ誘致は、基礎自治体が決めることとの考え方を示され、IR、カジノ誘致の撤回について、その方針をサポートする旨の発言があった旨、報じられているところでありますが、私どもは、知事に、そのことについて改めて明確にしていただきたいと考えております。 そこで、知事に伺います。 IR、カジノを含む統合型リゾートに関する山中横浜市長の方針について、知事はどのように受け止め、今後、本県として、どのように対応するのかについて、所見を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 本県事業の抜本的な見直しについてお尋ねがありました。 まず、特別自治市構想についてです。 特別自治市構想は、指定都市が県の事務を処理するとともに、市域内での県税を含む地方税の全てを賦課徴収するものであり、横浜市においては、横浜市大都市自治研究会を設置するなど、検討を進めていると承知しています。 しかしながら、この構想は広域自治体である県の総合調整機能や財源の再分配機能に大きな影響を与え、指定都市を含む県内全域における住民サービスの低下につながることが懸念されます。 本県では、こうした特別自治市構想の課題と併せ、望ましい県と指定都市との在り方や広域自治体の役割について検討を深めていくことが重要であると考え、先般、地方自治や地方財政制度に精通した有識者を構成員とする特別自治市構想等大都市制度に関する研究会を設置しました。 現在、研究会では、防災や警察など、個別の行政分野における、よりよい住民サービスの在り方や、広域的な行政課題への対応などについて議論を行っています。 特別自治市構想は、都構想等と異なり、いまだ法制化されておらず、県と横浜市との間で個別具体な協議を行う性格のものではありませんが、研究会での議論は、市にも逐次、情報提供してまいります。 今後は、11月を目途に取りまとめられる研究会の最終意見を踏まえ、住民目線で県の考え方を整理し、それを横浜市に伝えるとともに、県内市町村や県民の皆様にも広く発信し、理解を求めてまいります。 次に、カジノ等に対する県の対応についてです。 県はこれまで、IRに関し、基礎自治体である市が判断すべきであり、県は、その結果を支援、協力するとしてきました。こうした方針の下、県は横浜イノベーションIR協議会への参画等を通じ、県が果たすべき役割であるギャンブル等依存症対策にしっかりと取り組むなど、市の対応に協力してきました。 そうした中、先月の横浜市長選挙で当選した山中市長は、9月10日にIR誘致の撤回について横浜市議会において正式に表明されました。 今後、横浜市からの説明があると思いますので、県としては、それを受け止め、従来の方針どおり、市の判断を尊重し、適切に対応してまいります。 答弁は以上です。 〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 赤野たかし君。 〔赤野たかし議員登壇〕
◆赤野たかし議員 それでは、知事に、特別自治市構想について、再質問をさせていただきたいと思います。 先ほど、私の質問の中でも述べさせていただきました指定都市都道府県調整会議でございますけれども、これは平成26年の地方自治法の改正により、指定都市と当該指定都市を包括する都道府県との事務の処理について、必要な協議を行う場として、平成28年4月に設置されたものという認識でおります。 せっかくのこういう設置された会議なのですが、本県の開催状況を見ますと、平成29年3月に横浜市神奈川県調整会議として1回、そして、それからしばらく間隔を空けて令和2年11月まで、2回目が空いているのですけれども、横浜市と川崎市、そして本県と合同による2回目の調整会議を行ったという状況です。 私は、先ほど本県が立ち上げた研究会の第1回目の議事録を拝見しましたけれども、非常にいい議論をされていると思います。ぜひ、ああいったことを横浜市に問題提起としていち早く伝えていただきたいと思いますし、今申し上げました調整会議、こうした法定の調整会議を、もっと横浜市の特別自治市構想をはじめとする協議の場として、積極的に活用していただきたいと思っておりますが、知事のお考えをお伺いいたします。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 地方自治法に規定される指定都市都道府県調整会議、これはいわゆる二重行政の解消を目的に個別の事務、権限について、具体的な事務処理の調整を行う場として設置されたものであります。 特別自治市構想はいまだ法制化されておらず、こうした調整会議での議論にはなじまないと考えていますが、特別自治市構想は二重行政の解消も目的としていますので、今後、横浜市から個別の事務、権限に関し、二重行政の課題が指摘されれば、調整会議において、一つ一つ住民目線に立って解決を図ってまいります。 答弁は以上です。 〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕
○副議長(佐々木正行) 赤野たかし君。 〔赤野たかし議員登壇〕
◆赤野たかし議員 知事からは、特別自治市構想に関する再質問に対する答弁も頂きました。 それでは、意見、要望を申し上げさせていただきたいと思います。 特別自治市構想では、もう何度も申し上げているところでございますけれども、神奈川県庁と横浜市庁、移転はされましたけれども、これほど距離を近くして行政事務を行っている役所があるわけです。 ところが、この特別自治市構想というのは、まさに神奈川県と横浜市のそれぞれ根幹とも言えるテーマについて話合いがなされているところでございます。 知事の先ほどの答弁からは、向こうから話が来られればということを言われておりますけれども、指定都市市長会は、国に法制案を上げるべく着々と準備を進めていらっしゃるわけであります。 私は、どうして、こういうような事態において、神奈川県と横浜市がこの件について直接話し合っている機会がほとんど見られない、これに本当に大きな疑問を持っています。不思議でなりません。 逆から申せば、私はこういった議論をしてこなかったからこそ、私も横浜市に住む一人でございますけれども、こうした指定都市に住んでいる多くの県民の方々からすれば、このコロナ禍でも知事がいろいろなメッセージをお出しになりました。しかし、日頃、私の自宅に何回も横浜市の広報紙が届いてきましたけれども、特別自治市構想を目指すのだというようなことが言われている中で、県のやっている事務というのは、指定都市に住んでいますと、いまいち伝わってまいりません。 今後は、さらに県財政が大変厳しいというようなことも、県民の皆様にさらに理解していただく必要がありますけれども、こうしたこともなかなかメッセージが届かない、私は一つの理由だと思っております。 知事におかれましては、横浜市といった指定都市との間において、協議する場の聖域を設けるのではなくて、お互いが建設的な立場で、これは大事だと思います、お互いが建設的な立場から、この難局を乗り越えていく議論をしていただくことを要望するものでございます。 横浜のカジノ等の議論については、知事から、横浜市の御意見を尊重するという答弁を頂きました。ぜひとも県知事におかれましては、県政運営よろしくお願いいたします。 以上でございます。ありがとうございました。 〔拍 手〕
○副議長(佐々木正行) お諮りいたします。 本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(佐々木正行) 御異議がないと認めます。 よって、本日の質問はこれで終わります。 ───────────────────────────────────────
○副議長(佐々木正行) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 次回の会議は、明14日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。 午後4時40分 散会...