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11月30日-11号

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  1. 神奈川県議会 2020-11-30
    11月30日-11号


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    最終取得日: 2023-05-16
    令和 2年 第三回 定例会 △《本会議録-令和2年第3回-20201130-028767-諸事項-出席議員等・議事日程-》         令和2年第3回神奈川県議会定例会会議録第11号〇令和2年11月30日 午後1時開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共105名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       加   藤   ご   う                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   村   ゆうすけ                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   圭   介                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       池   田   東 一 郎                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       米   村   和   彦                       栄   居       学                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       石   川   裕   憲                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       さ と う   知   一                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       加   藤   元   弥                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       浦   道   健   一                       青   山   圭   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       内   田   み ほ こ                       国   松       誠                       杉   本       透                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       松   本       清                       長   友   よしひろ                       北   井   宏   昭                       菅   原   直   敏                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       作   山   ゆうすけ                       長   田   進   治                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       てらさき    雄   介                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       く さ か   景   子                       曽 我 部   久 美 子       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         同             首   藤   健   治         政策局長          髙   澤   幸   夫         総務局長          和   泉   雅   幸         くらし安全防災局長     花   田   忠   雄         国際文化観光局長兼         拉致問題担当局長      香   川   智 佳 子         健康医療局長        前   田   光   哉         産業労働局長兼         エネルギー担当局長     山   田   健   司         未病担当局長        宮   坂   久 美 子         教育委員会教育長      桐   谷   次   郎         同  教育局長       田   代   文   彦         警察本部長         大   賀   眞   一         同  総務部長       和   智       勉   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          谷   川   純   一         議会局副局長兼総務課長   霜   尾   克   彦         同  議事課長       小 野 関   浩   人         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和2年第3回神奈川県議会定例会議事日程第11号                            令和2年11月30日午後1時開議第1 定県第 118号議案 令和2年度神奈川県一般会計補正予算(第8号)   定県第 119号議案 同  年度神奈川県水源環境保全・再生事業会計補正予算(第1号)   定県第 120号議案 同  年度神奈川県水道事業会計補正予算(第1号)   定県第 121号議案 同  年度神奈川県公営企業資金等運用事業会計補正予算(第1号)   定県第 122号議案 同  年度神奈川県酒匂川総合開発事業会計補正予算(第1号)   定県第 123号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 124号議案 神奈川県固定資産評価審議会条例の一部を改正する条例   定県第 125号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例   定県第 126号議案 神奈川県統計調査条例の一部を改正する条例   定県第 128号議案 神奈川県行政機関設置条例の一部を改正する条例   定県第 131号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例   定県第 132号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例   定県第 133号議案 行政財産の用途又は目的を妨げない限度における使用に係る使用料に関する条例の一部を改正する条例   定県第 134号議案 神奈川県漁港管理条例の一部を改正する条例   定県第 135号議案 神奈川県ふぐ取扱い及び販売条例の一部を改正する条例   定県第 136号議案 食品衛生法に基づく営業の施設基準等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 137号議案 神奈川県食の安全・安心の確保推進条例の一部を改正する条例   定県第 138号議案 神奈川県法定外公共用財産使用料徴収条例の一部を改正する条例   定県第 139号議案 神奈川県都市公園条例の一部を改正する条例   定県第 140号議案 神奈川県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例   定県第 141号議案 神奈川県流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例   定県第 142号議案 港湾の設置及び管理等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 143号議案 神奈川県海岸占用料等徴収条例の一部を改正する条例   定県第 144号議案 神奈川県砂防指定地の管理に関する条例の一部を改正する条例   定県第 145号議案 特定事業契約の変更について(衛生研究所特定事業契約)   定県第 146号議案 指定管理者の指定の変更について(湘南港)   定県第 147号議案 指定管理者の指定の変更について(葉山港)   定県第 148号議案 和解について   定県第 149号議案 和解について   定県第 150号議案 当せん金付証票の発売について   定県第 151号議案 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所定款の変更について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和2年第3回-20201130-028768-質問・答弁-原聡祐議員-代表質問①県政課題に対する知事の基本姿勢について②コロナ禍における諸課題について③県民の安全安心を守る取組について④県政の重要課題について》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共104名 ○議長(嶋村ただし) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(嶋村ただし) 審議を行います。  日程第1、定県第118号議案 令和2年度神奈川県一般会計補正予算外30件を議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕(拍手) ◆原聡祐議員 私は自由民主党神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、順次質問をいたします。  質問に入る前に、一言申し上げます。  新型コロナウイルス感染症との闘いは、11月以降、全国的な感染拡大の状況に呼応するかのように、本県においても、連日200人を超える感染者を出す状況となっております。  今回の感染拡大は、第2波による感染拡大が収束しない中での第3波の襲来という分析であり、現在のような状況が今後とも継続した場合、医療崩壊が懸念される状況となっております。  この未曾有の難局を乗り越えるため、県民の皆様をはじめ、我々一人一人が、新型コロナウイルスに対する正しい知識を持ち、感染防止に向けた取組を粘り強く進めていきたいと思います。  また、日増しに厳しくなる状況の中で、連日、新型コロナウイルスに立ち向かっている医療従事者の皆様に、改めてエールを送りたいと思います。  それでは、質問に入ります。  知事、教育長、警察本部長におかれましては、明快な御答弁を、また、同僚、先輩議員の皆様には、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  質問の第1は、県政課題に対する知事の基本姿勢についてであります。  〔資料提示〕  初めに、デジタル・トランスフォーメーション─DXの推進について伺います。  新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に伴い、新たな日常の構築のために、社会全体のデジタル化の推進が求められております。  国では、9月に発足した菅政権において、デジタル改革担当大臣を置き、年内には、デジタル庁創設に向けた基本方針を取りまとめるとともに、自治体DX推進計画を策定するとしており、県としても、これまでの取組を、より一層、加速化していく必要があると考えます。  一方で、県は、8月1日に、CIO兼CDOに、民間人材の江口氏を指名し、全国の自治体をリードするようなデジタル化やデータ利活用を実現するとした上で、11月1日には、県民生活や行政の、あらゆる分野におけるデジタル化により、社会を変革し、人々の暮らしを、より豊かにするDXを推進するため、デジタル戦略本部室の設置や、神奈川らしいデジタル・エクスペリエンスの推進に向けた体制強化を行ってきたものと承知しております。  また、先日の提案説明において、知事は、DXが進展すれば、生活は、より便利になるが、DXを社会に浸透させていくためには、県民の皆様に、デジタルを通して温かさや優しさを感じていただく体験─デジタル・エクスペリエンスが重要であるとされ、そして、その推進体制として、デジタル・エクスペリエンス推進チームを発足し、生活者目線から、不便・不満・不安・困りごとを解消し、社会的課題の解決や、未来社会の創造を目指して、市町村や企業と連携しながら、その成果を、いち早く県民の皆様に実感していただけるよう、取り組んでいくと述べられました。  我が会派といたしましても、今後、社会のあらゆる分野において、デジタルは必須の手段となり、DXにより、人々の暮らしは、さらに豊かで、便利になると考えているところであり、本県がDXを推進するために、国のデジタル庁の設置を待たず、デジタル戦略本部室の設置や、デジタル・エクスペリエンスの推進体制を強化したことは、評価したいと思います。  そして、この新たな体制が、様々な県民ニーズや社会的課題に的確に応えていくため、時代の流れに応じ、かつスピード感を持ってDXを推進する必要があると考えます。  そこで、知事にお伺いいたします。  どのような考え方に基づいて、今回、新たなDX体制を整備したのか、また、今般、強化された体制の下で、デジタル・エクスペリエンスをどのように推進していくのか、併せて見解を伺います。  次に、企業のDX推進の取組への支援について伺います。  〔資料提示〕  経済産業省は、平成30年9月に、デジタルトランスフォーメーションレポートを発表し、老朽化したITシステムの刷新や、デジタルの活用による新たなビジネスモデルの創出など、企業に対して、DXの実施を求めてきました。  また、同年12月には、デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン─DX推進ガイドラインを発表し、その中で、DXを、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立すること、と定義し、その推進に必要な取組を示しております。  企業においては、コロナ禍の影響により、在宅勤務やウェブ会議の活用など、Withコロナアフターコロナに対応した業務形態にシフトする動きが見られてきましたが、一方では、押印のために出勤したり、リモートの環境が整っていない工場が多かったりと、デジタル化の遅れが課題として浮き彫りとなっております。  Withコロナ、さらに、アフターコロナの状況では、人との接触を減らす「新しい生活様式」への対応が求められております。  企業においても、デジタル化への対応が不可避となっており、デジタル化をさらに加速していかなければならないと考えております。  また、新型コロナの感染拡大は、インバウンドの減少や外出自粛などにより、旅行事業者や飲食店などの経営に大きな打撃を与え、製造業においても、サプライチェーンの断絶や、需要の落ち込みによる生産活動の停滞、海外拠点との行き来の制約、工場の操業停止など、大きな影響が出ております。  経済活動が停滞し、厳しい経営環境に見舞われている中にあっても、経営状況を回復させ、成長につなげていくためには、デジタル技術を活用した事業の変革が求められていると考えますが、DXを推進し、県内企業のさらなる成長を促すためには、DXを推進する商品やサービスを提供し、収益を得る、ビジネスモデルの創出、展開が必要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  デジタル技術を活用した商品やサービスの開発など、県内企業によるDX推進の取組を、県として支援すべきと考えますが、見解を伺います。  次に、観光振興に向けた取組について、2点伺います。  〔資料提示〕  1点目は、「地元かながわ再発見」推進事業についてです。  新型コロナの影響により、観光産業は極めて大きな打撃を受けましたが、国のGo To トラベル事業の効果などにより、徐々に回復傾向にあります。  観光庁の発表によれば、これまでに約4,000万人の方が、Go To トラベル事業を利用したとのことであり、同じく観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、全国の延べ宿泊者数は、前年同月比で、5月には84.9%減まで落ち込みましたが、9月の速報値では47.6%減まで回復しているとのことです。  こうした中、本県におきましても、観光需要の喚起を目的として、6月補正予算で「地元かながわ再発見」推進事業、いわゆる、かながわ県民割の予算を計上し、10月から事業を開始したと承知しており、発売から間もなく、宿泊事業者による販売が終了となるなど、かなり好評であったと聞いております。  これは、かながわ県民割が、Go To トラベル事業との相乗効果を生み、観光需要喚起の起爆剤になったということであり、非常に大きな役割を果たしたものと考えております。  一方で、現在、新型コロナウイルス感染症は、急激なスピードで拡大傾向にあり、感染拡大の防止と観光振興をどのように両立させていくのか、難しいかじ取りを迫られております。  北海道や大阪府においては、Go To トラベル事業が一時停止となり、また、本県においても、11月27日に、ステージⅢ警戒宣言が出され、かながわ県民割の新規販売が一時停止となりました。  観光事業者の皆様は、先行きの不安を強く感じており、県としては、こうした声も含め、かながわ県民割の事業実績をしっかりと分析した上で、今後の観光需要喚起策を検討する必要があると考えております。  こうした状況の中、今回の補正予算では、「地元かながわ再発見」推進事業について、追加の予算措置を行うこととされています。  そこで、知事に伺います。  「地元かながわ再発見」推進事業について、これまでの実績をどのように分析しているのか、また、こうした実績や、現在の感染状況を踏まえて、今後、この事業をどのように展開していくのか、併せて見解を伺います。  2点目は、今後の観光施策についてです。  〔資料提示〕  訪日外国人観光客の状況に目を向けますと、アメリカや欧州では、感染拡大がいまだ収まる気配がなく、当面、観光客の入国緩和の見通しが立っておりません。  先日、国が発表した2020年度上半期の国際収支統計速報によりますと、訪日外国人観光客の大幅な減少により、経常収支は、前年同時期に比べ、3割以上も落ち込んでいる状況にあります。  こうした状況の中、Go To トラベル事業や、「地元かながわ再発見」推進事業で得られた効果を一過性で終わらせることなく、コロナ後の持続的な観光振興を図っていくための次の一手について、今の時期から検討する必要があるのではないかと考えております。  観光産業の本格的な復活に向けては、インバウンドの再開も欠かせませんが、国では、来年の東京五輪に向けて、大会組織委員会や東京都と、海外からの観光客の受入れについて、本格的な検討に入っております。  また、東京五輪では、多くの国内観光客が、東京を中心に訪れることが想定されますので、県としても、こうした動きを踏まえながら、東京五輪にとどまらず、その後も見据えた観光施策の展開に向けて、準備を進めていく必要があると考えております。  そのためには、観光客の誘致に注力するだけでなく、本県が観光客にとって、行ってみたい、次も訪れてみたいと思わせるような、魅力的な観光地づくりについて、地域の声もしっかりと把握しながら、進めていくことが重要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  アフターコロナにおける県内の観光振興に向けて、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  次に、水道事業の広域連携について伺います。  〔資料提示〕  令和2年第1回定例会の代表質問において、我が会派は、県、横浜市、川崎市、横須賀市の水道事業者と、神奈川県内広域水道企業団の5事業者の連携強化について取り上げ、企業庁長から、それぞれの立場を超えて、浄水場の統廃合など、最適な施設の再構築に取り組んでいく旨の答弁がありました。  近代水道発祥の地である横浜市をはじめ、広域水道として、12市6町を給水区域とする県営水道など、広域連携の長い歴史を持つ大規模な5事業者が、将来を見据えて、個別の利害を乗り越え、さらに連携を進めていくことは、大変意義深く、県内外の事業者にも範を示すことにつながっていくものと考えております。  一方で、県西地域などの中小の水道事業者においては、豊富で良質な地下水を少数の職員で維持するなど、効率的な供給体制を確立しながら、一般家庭の20立方メートル当たりの水道料金は1,500円程度と、全国でもトップレベルの低料金に抑えていると承知しております。  このように、本県は、水道における先進県であると言えますが、人口減少社会の到来による料金収入の減など、水道事業を取り巻く環境は、事業者の規模にかかわらず、厳しさを増していくことが明らかであります。  〔資料提示〕  さらに、昨年10月に発生した台風19号は、記録的な豪雨をもたらし、本県の水道も、最大で1万4,000戸を超える断水が発生したように、昨今の異常気象を鑑みると、自然災害への備えも急務であります。  国は、こうした水道が直面する様々な課題に対応し、基盤強化を図るため、昨年10月に改正水道法を施行し、国、都道府県、市町村の責務の明確化、広域連携の推進、適切な資産管理など、それぞれが役割を果たすことで、将来にわたり、水道を持続させるための措置を講じたところであり、とりわけ、都道府県の責務として、広域連携を推進するよう、主導する仕組みがつくられたものと承知しております。  こうした状況を踏まえ、県は、水道事業者の課題に真摯に向き合い、中立的・広域的立場から、積極的に広域連携を推進していくよう、取組を強化すべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  水道事業の広域連携に向け、県の役割が一層期待される中、今後どのように取組を進めていくのか、見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 原議員の御質問に順次お答えしてまいります。  県政課題に対する私の基本姿勢について、何点かお尋ねがありました。  まず、DXの推進についてです。  近年、デジタル技術が急速に進展する中、社会を変革し、人々の暮らしを豊かにするDX─デジタル・トランスフォーメーションは、県として、強力に実行していくべき施策だと認識しています。  そこで、各局で取り組んでいる事業・施策をデジタルの側面から牽引し、県庁全体のデジタル基盤を整備するとともに、行政手続のオンライン化や内部事務のデジタル化を進めるため、デジタル戦略本部室を設置しました。  また、社会にデジタル技術を定着させていくためには、効率性や利便性だけでなく、デジタルを通じた温かさや優しさを、県民の皆様に体感していただくことが必要と考え、そうしたデジタル・エクスペリエンスを推進するチームを立ち上げました。  このデジタル・エクスペリエンスの一例として、新型コロナの影響で面会制限をしていた障害福祉施設において、アバターロボットを活用したオンライン面会の実証事業を行いました。画面を通して、入所しているお子さんが、2か月ぶりにお母さんと再会した様子は、満面の笑みに包まれていました。  このように、コロナ禍で、直接、接することができない場合でも、デジタルには、人と人をつなぐ力があり、こうした体験をはじめとする様々なデジタル・エクスペリエンスを、県民の皆様にお届けしてまいります。  今後は、新たな体制が、デジタルの力を活用しながら庁内を主導し、市町村や企業等とも連携することにより、本県のDXを推進し、いのち輝く神奈川の実現を加速化させてまいります。  次に、企業のDX推進の取組への支援についてです。  DXは、デジタル技術により、事業を革新するという概念であり、企業の成長に不可欠な要素となっています。  世界では、デジタル技術の進展に伴い、GAFAなど、巨大ITプラットフォーマーが現れ、データを活用した様々な新たなビジネスが生まれています。  デジタル化により、ビジネスモデルが大きく変わっていく中、企業がその競争力を維持し、強化していくためには、デジタル技術を取り入れ、データを活用する事業の創出が極めて重要であり、コロナ禍において、その必要性は、ますます高まっています。  そこで、県では、DXを推進する商品やサービスの開発など、県内企業によるDX推進の取組を支援していきたいと考えています。  具体的には、通信事業者等と連携し、デジタル技術を活用した新たな商品やサービスの開発プロジェクトを公募し、開発、実証に必要な技術的助言や費用に対する支援を行っていきます。  また、神奈川県立産業技術総合研究所─KISTECでは、新たにローカル5Gの実証環境を整備しており、これを活用した支援も行う予定です。  そして、開発された商品・サービスを、DXの重要性と共にPRし、その普及を通じて、県内企業のDXを促進していきます。  こうした取組により、DXを活用して収益を得るビジネスモデルを創出し、県内企業のさらなる成長につなげてまいります。  次に、観光振興に向けた取組についてお尋ねがありました。  まず、「地元かながわ再発見」推進事業についてです。  初めに、これまでの実績の分析についてです。  この事業は、県民限定で県内旅行代金の割引を行う事業であり、10月1日の予約開始後、大変な好評を頂き、落ち込んでいた観光需要の回復に大きな役割を果たしたと考えています。  この事業を利用した旅行について、10月末時点の実績ですが、まず、旅行の時期については、年内の旅行予約が8割を超えています。  また、価格帯別では、宿泊において、1万5,000円以上が8割を超え、高価格帯の商品が売れています。  さらに、地域別では、横浜、鎌倉、箱根以外の再発見エリアへの支援額が6割を超えており、再発見エリアへの誘客が進んでいる状況です。  なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、11月27日に、ステージⅢ警戒宣言を発出したことを受けて、人との接触をできるだけ減らす観点から、現在は、新規販売を一時停止しています。  次に、今後の展開についてです。  観光は、地域経済を下支えする上で、大変重要であることから、年末年始の休暇が終了した後の閑散期にも、観光需要を喚起するため、追加の事業費を11月補正予算案で計上しています。  事業の実施に当たっては、これまでの実績を参考にしながら、より効果的に活用していきたいと考えています。  まず、実施時期については、現下の厳しい感染状況を踏まえ、翌年度に繰り越して執行できるよう、繰越明許費を設定し、今後の状況を見極めながら検討していきます。  また、より多くの皆様に利用機会を提供するとともに、高価格帯の商品に支援が偏らないようにするため、割引額の上限を7,500円から5,000円に引き下げます。  新型コロナウイルス感染症が急激に拡大していることから、まずは、県民総ぐるみで感染防止対策を徹底し、この難局を乗り越えた後、再び観光需要を喚起できるよう、しっかり取り組んでまいります。  次に、今後の観光施策についてです。  新型コロナウイルス感染症が再び拡大する中、観光客の入国制限に加え、国内旅行のキャンセルが見られるなど、観光産業は極めて厳しい状況が続いています。  そうした中、県は、地域の観光事業者を支援する「地元かながわ再発見」推進事業に、追加の事業費を11月補正予算案で計上しています。  また、コロナの影響により、マイカー利用が増加し、渋滞、混雑が生じるなどの新たな課題に対する地域の主体的な取組を後押ししています。  さらに、アフターコロナを見据え、付加価値の高いコンテンツづくりなど、観光消費を高めるための中長期的視点に立った施策に取り組むことが重要です。  例えば、プライベートガイドを活用し、地域の歴史を学びながら、自然体験もできるアドベンチャーツーリズムは、国内外の富裕層に人気のコンテンツです。  本県は、自然や景観、歴史・文化など、多彩な観光資源があり、近年は、ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜や、ホテルインディゴ箱根強羅など、上質な宿泊施設の開業も続いています。  そこで、多彩な観光資源を、体験コンテンツや特別感のある富裕層向けコンテンツとして磨き上げることで、観光客の満足度を高め、滞在時間の延長と消費額の向上につなげてまいります。  また、観光客に安全・安心かつ快適に滞在していただけるよう、宿泊施設等が取り組む感染症対策や、バリアフリー化等への支援を検討していきます。  県としては、こうした取組を来年度改定予定の観光振興計画へ反映するなど、アフターコロナにも通用する持続可能な観光振興をしっかりと進めてまいります。  次に、水道事業の広域連携についてです。  本県の水道は、県、横浜市、川崎市、横須賀市、水道企業団の5事業者が、広域的に連携し、効率的な運営を行うとともに、中小の事業者も、豊かな地下水等に恵まれ、全国一安い料金を実現しています。  しかし、近い将来、人口減少による料金の減収や、施設の老朽化、人材不足の深刻化が見込まれるなど、これまで県民の生活や社会の発展を支えてきた水道は、現在、大きな岐路に立たされています。  中でも、人口減少が顕著な県西地域や三浦市は、県の支援を通じて、資産管理や収支見通しなどを実施した結果、事業継続の厳しさが明らかになりました。  また、5事業者は、浄水場の統廃合や取水地点の変更等を進めていますが、河川流量の変化や水利権の整理などが大きな課題となっています。  こうした課題を克服するには、それぞれの事業者の取組だけでは限界があり、県が牽引して、オール神奈川で持続可能な神奈川水道を構築し、次世代につないでいくことが重要です。  そこで、来年度早々、簡易水道を含めた県内全水道事業者が参画する会議体を設置し、危機感と対策の必要性を共有しながら、令和4年度までに、神奈川県水道広域化推進プランを策定します。  このプランでは、施設の一体管理や業務の共同化、災害時の迅速な相互応援など、本県にふさわしい多様な連携の在り方を示していきたいと考えています。  水道の広域連携は、大規模かつ息の長い取組ですが、全県一丸となって取り組むことにより、人口減少時代にあっても、料金の上昇幅を抑え、災害時にも安定給水が確保できるよう、未来へつなぐ水道づくりを精力的に進めてまいります。  答弁は以上です。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 ただいま、知事から、様々、御答弁を頂戴したところでありますけれども、1点、再質問をさせていただきたいと思います。  DXの推進についてでありますけれども、デジタル用語というのはなかなか難しく、この議論をしていても、県民にどれだけ伝わっているのかと感じてしまうところもあるのですけれども、先般、私は、先輩の歯科技工士の方とお会いさせていただきました。  そのときに、この本会議場でも質問したのですけれども、CAD/CAMを使った技工法、これはコンピューターを用いておりますので、今までは夜11時までかかっていた仕事が、夕方6時には終わるようになったということでありましたから、コンピューターを使った技術を導入すれば、それだけ職場も改善するのだと感心もいたしたところであります。  そしてまた、先ほど知事から、アバターロボットを用いたオンライン面会の事例の御答弁を頂戴しましたけれども、デジタルというと、冷たい感覚があるのですけれども、そうしたものを通じて、温かさ、優しさというものが伝わっていくものだと理解させていただいたところであります。  このDX、なかなか難解なものを、こうした事例を用いて、県民の方々に分かりやすく、これから周知をしていくことも必要ではないかと思うのですけれども、そういったような事例が他にもあれば、知事からお答えを頂きたいと思います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  先日、障害福祉施設に入所されている方が、アバターロボットを活用して、博物館への訪問体験を行いました。入所者自らが博物館にいるロボットを遠隔操作したところ、自分が歩いているみたいで楽しかった、そして、次は今まで登れなかった高い場所に行ってみたい、こんな声もありました。  今まで諦めていたことができるようになり、新たにやりたいという気持ちを生み出す。デジタルには、こうした人の意欲を引き出す力もあります。  今後も、このようなデジタル・エクスペリエンスを、一つでも多く生み出せるように取り組んでいきたいと考えています。  答弁は以上です。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 それでは、何点か要望を申し上げさせていただきたいと思います。  まず、DXの推進についてでありますけれども、Withコロナ時代における新たな日常を構築し、人々の暮らしを、さらに豊かで便利にするためには、DXの推進は必要不可欠の取組の一つだと考えております。  そのためには、いわゆるIT人材を確保することも大変重要であり、国におきましても、デジタル庁の創設に関し、デジタル分野の専門技能や知識を持つ人材の採用枠新設を検討するとの考えが示されております。  DXの推進に当たり、様々な県民ニーズや社会の課題に的確かつスピード感を持って応えていくために、人材の確保も含め、引き続き、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  続きまして、水道事業の広域連携についてでありますけれども、来年度早々、水道事業者が一堂に会して議論する会議体を設置するとの御答弁でありました。  それぞれ規模や経営状況などが大きく異なる県内の水道事業者が、直面する共通の課題に向き合い、議論する場を、県が音頭を取って開催することは、大変意義深いことであると感じております。  将来にわたりまして、県民が安心して水道を使い続けられるよう、まずは、水道事業者が危機感を持って、しっかりと供給体制を維持させるための方策を丁寧に議論していく、そのためには、県は広域連携の推進役としての責務を、しっかりと果たしていただきますよう要望を申し上げます。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 質問の第2は、コロナ禍における諸課題についてであります。  〔資料提示〕  初めに、新型コロナウイルス感染症への今後の対応についてお伺いさせていただきます。  クルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染から始まった新型コロナウイルス感染症との闘いは長期化し、ついに2度目の冬を迎えようとしております。  そのような中、11月以降、全国的に感染拡大が認められ、本県でも、ついに200人を超える新規感染者が発生し、26日の発表では、254人と過去最多を記録し、これまでにない感染拡大に危機感を覚えます。  今夏には、新規感染者100人を超える日が連続する時期がありました。お盆の時期をピークに、徐々に感染拡大が収まったと記憶しておりますが、今回の第3波と言われる感染拡大については、第1波とは異なり、第2波が収束しない中で、感染者が上乗せされたものであり、かつ感染者の増加率も、これまで以上に高くなっております。  さらに、寒冷期には、ウイルスの感染が拡大しやすい中で、季節性インフルエンザの流行も同時に起こることが危惧されており、今後、発熱患者が爆発的に増えた場合、医療体制への影響も心配されております。  県では、感染者の一層の増加を見据えて、既に11月14日に、新型コロナ対策本部会議を開催し、医療機関に病床確保を求める、医療アラートを発出したと承知していますが、医療機関に通常の医療の患者が戻ってきている中で、コロナ患者の急増に病床確保が追いつくのかという懸念もあります。  そこで、県としても、病床確保を医療機関に任せるだけでなく、保健所設置市と連携しながら、感染者の急増に備えた対応を図ることが重要であると考えております。  また、11月20日の新型コロナ対策本部会議では、Go To イートの一時中断なども発表され、国も、Go To トラベルの一部除外などを発表する中、県民や事業者の皆さんの、自らが感染することや、社会経済活動が維持されるのか、といった不安は、日に日に高まっていることを肌で感じております。  さらに、27日には、ステージⅢに引き上げた場合の社会経済の影響などを踏まえ、ステージⅢ警戒宣言を発するとともに、県内病床が逼迫している状況を受け、感染者の入院基準について見直す方針が示されたところであります。  感染が急速に拡大している中、県としても、これまで以上に踏み込んだ対策を進め、医療提供体制「神奈川モデル」を堅持していかなければなりませんが、県民の方々の不安は解消されず、社会経済活動にも不安な影を落としかねないと考えております。  そこで、知事にお伺いいたします。  県として、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大している中で、病床確保をどのように進めていくのか、見解をお伺いします。  次に、コロナ禍により経営が悪化した医療機関への支援について伺います。  〔資料提示〕  この問題については、9月の我が会派の代表質問においても取り上げ、その際、知事からは、県で、7月に、県内の医療機関へのヒアリングを行ったところ、新型コロナ感染症患者の受入れの有無にかかわらず、これまでの支援策では不十分との回答が9割とのことであったこと。それを踏まえ、県として、9月補正予算において、空床確保料などを増額したことをはじめ、医療機関に対して様々な支援を行っていくとの答弁がありました。  しかし、患者の受診控えは、今なお続いており、医療機関の収益も最も落ち込みが大きかった5月頃に比べ、改善傾向にあるものの、前年同月比マイナスの状況が続いております。  医療機関は、県民の生命や健康を支える重要な社会インフラであります。このまま経営悪化の状況が続きますと、新型コロナの感染拡大が危惧される冬を迎え、神奈川モデルだけでなく、通常の診療体制も含めて、県内の医療提供体制の確保に不安が生じかねません。  医療機関の受診控えは、5月が底であるという意見があるものの、現場から、受診控えが続いているという声も聞いております。  こうした現場の意見も踏まえて、施策を講じるべきであるとともに、PDCAの観点からも、これまで講じてきた支援策の効果を検証し、不十分であれば、さらなる支援策を検討していくことが必要であると考えます。  そこで、知事にお伺いします。  医療機関に対し、これまで講じてきた支援策の効果を検証するため、再度ヒアリングを行い、不十分であれば、さらなる支援策を検討すべきと考えますが、見解をお伺いします。  次に、コロナ禍における消費者被害防止について伺います。  〔資料提示〕  国が公表した「新しい生活様式」の実践例では、買物には、通販の利用が推奨されており、インターネットによる通販の利用世帯は、国の家計消費状況調査によりますと、新型コロナの感染が拡大した5月に、初めて5割を超えたとのことです。  また、消費者庁においても、加速する消費生活のデジタル化に対応する消費者教育や啓発について、報告書を取りまとめたと承知しております。  こうした消費行動の変化は、Withコロナ時代における新しい流れだと思いますが、国民生活センターによりますと、お試しのつもりが、複数回の購入が条件となっている定期購入トラブルなど、インターネット通販に関わる相談件数も増加傾向にあるとされており、消費者被害の未然防止が重要な課題になっています。  8月に県が発表した昨年度の消費生活相談では、若者の苦情相談のうち、通信販売に係る相談が5割を占めており、特に20歳未満の若者に限りますと、約8割が通信販売の相談であるなど、若者のインターネット通販のトラブルが増加していることがうかがえます。  一方で、民法改正による成年年齢の引下げが、令和4年4月に施行され、18歳、19歳の若者が、親権者の同意なく結んだ契約を取り消すことができる、未成年者取消権が使えなくなるため、社会経験や知識が十分でない若者が、SNSなどの情報を安易に信用して、悪質な手口の標的となることが懸念されております。  そこで、知事に伺います。  インターネットの活用が加速し、今後、ますますインターネット通販のトラブル増加が懸念される中、どのような対策を考えるのか、また、令和4年4月の成年年齢引下げも見据えて、特に、若者がトラブルに巻き込まれないよう、取組を充実する必要があると考えますが、併せて見解をお伺いします。  次に、コロナ禍における自殺対策についてお伺いいたします。  〔資料提示〕  新型コロナ感染症への不安や、経済的影響による失業、生活苦、今後の生活の不安、新たな生活様式への戸惑いなど、様々なストレスを抱えている県民の方々が多くいらっしゃると感じております。  先日、コロナ禍において、全国の自殺者数が増加傾向にあるとの報道がされたところであり、それによりますと、警察庁の統計の暫定値では、全国の自殺者は、7月以降、4か月連続で前年同月より増加しており、特に10月の増加が顕著で、本県も同様の状況とのことでありました。  こうした自殺者の急増は、非常事態とも言える状況にあると考えますが、新型コロナの先行きが見通せない中にあって、今後ますます自殺者が増える可能性があります。  本県においては、昨年、人口10万人当たりの自殺死亡率が過去最少とのことであり、これまでも、心の悩みに関する相談窓口など、様々な取組を行ってきたことは承知していますが、コロナ禍において、自殺者が増加しているという深刻な状況を受け、今後の自殺対策に、しっかりと取り組んでいかなければならないと考えます。  また、コロナ禍における自殺者数については、全国的には、女性の増加が大きく、報道でも取り上げられておりますが、本県においては、若年層の男性も増加しているとのことであり、自殺対策を行うに当たっては、こうした自殺者の状況をしっかり把握し、対象者に応じた効果的な対策を講じていくことが重要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  今後、コロナ禍の状況を踏まえて、県として、自殺対策の強化に向けて、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  次に、横浜スタジアムにおける技術実証について伺います。  〔資料提示〕  新型コロナが収束しない中、中止や延期を余儀なくされている大型イベントも多く、地域経済には甚大な影響を及ぼしております。  スポーツ文化をしっかりと継承していくためには、コロナ禍にあっても、十分な感染防止対策を講じた上で、県民がイベントを楽しめる新たな日常を構築していくことが重要と考えます。  現在は、感染防止対策と経済活動の両立を図っていくことを目指して、歓声を伴う大型イベントにおいても、上限人数は5,000人を超えて、収容人数の50%までに緩和されているところであり、プロ野球においても、球場によっては、2万人以上の収容も可能となってはいますが、完全実施にはいまだ程遠い状態です。  このような中、10月30日から11月1日の3日間、横浜スタジアムにおいて、大規模イベントの人数緩和に向けた技術実証が行われました。  この技術実証は、先進技術を用いて、イベントでの感染防止対策を講じた上で、その効果をデータ化するものと承知しており、来年度に開催が予定されている東京五輪を控え、大規模イベントの開催に向けて、県民の不安を払拭するためにも、検証結果としてエビデンスを残すことは、重要なことと考えております。  そこで、知事に伺います。  横浜スタジアムの技術実証において、具体的にどのような実証を行ったのか、また、今後、実証結果をどのように活用していくのか、併せて見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) コロナ禍における諸課題について、何点かお尋ねがありました。  まず、新型コロナウイルス感染症への今後の対応についてです。  新型コロナ感染症については、11月に入り、新規感染者数が急増する中で、医療提供体制への負荷も、かつてないほど厳しい状況にあると認識しています。  こうした中、県では、今月14日の新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、医療アラートを発出し、神奈川モデル認定医療機関に、感染者用の病床数の拡大を要請しました。  この要請を受けて、医療機関では、病床数の拡大に取り組んでいますが、現時点では、なかなか進んでいないのが現状です。  このような中、県としては、何としても医療崩壊を避けるため、医療機関の負担の軽減につながる新たな対策の検討が必要と考えていました。  そこで、県では、新型コロナ感染者の入院基準について、27日に開催した感染症対策協議会において、専門家の意見も伺い、見直しをすることとしました。  具体的には、これまでは、軽症や無症状であっても、65歳以上の方や基礎疾患のある方は、無条件で入院対象としていましたが、年齢や基礎疾患の種類や状態、または妊娠後期といったハイリスク要因をそれぞれ数値化して、その合計スコアを参考に、医師が入院対象とするかどうか、決定します。  これにより、今まで入院とされてきた方の一部が、自宅または宿泊施設での療養に変更となるため、実質的な病床の確保につながります。  一方、この見直しにより、自宅や宿泊施設での療養者は増えることになりますので、既に確保してある厚木市内のホテルを12月中旬から新たに稼働し、収容者数を増やすとともに、宿泊療養施設等への搬送体制や、療養者の健康観察についても充実強化していきます。  県では、新型コロナの感染の急速な拡大が懸念される中にあっても、必要な病床数を確保して、医療提供体制「神奈川モデル」を堅持し、県民の皆様が安心して医療を受けられるよう、しっかりと取り組んでまいります。  次に、コロナ禍により経営が悪化した医療機関への支援についてです。  新型コロナウイルス感染症は、依然として厳しい状況にありますが、医療従事者の皆様の奮闘もあり、医療崩壊を防いでいます。  一方、7月に実施したヒアリングによると、県内の医療機関は、感染患者を受け入れたか否かにかかわらず、経営状況が悪化しています。  県としても、緊急包括支援交付金による支援を行うとともに、9月補正予算において、県独自の支援策として、神奈川モデルの医療機関に対する協力金等も予算措置したところです。  しかし、経営悪化への支援はまだ十分でないことから、私自ら、全国知事会などを通じて、国に医療機関への財政支援を継続的に要望してきました。  こうした成果もあり、国は予備費を活用し、インフルエンザ流行期に向けて、発熱診療を行う医療機関に対し、財政支援を講じたところです。  また、受診・健診控えは、県民の皆様の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、医療機関の経営悪化の一因ともなることから、医療関係団体と共同で、健康と地域医療を守ろうキャンペーンを10月から開始しました。  さらに、田村厚労大臣が主催した、「上手な医療のかかり方」特別対談に私も参加し、その際、受診・健診を控えず、あなたの健康、そして、医療をみんなで守ろうと訴えました。  今後は、これまでの支援策の効果を検証するため、緊急包括支援交付金の2次交付がおおむね完了する12月初旬に、前回ヒアリングをした病院に再度ヒアリングを行い、現時点での経営状況や補助金の活用状況を確認します。  また、より多くの医療機関の実情を把握するため、新型コロナ患者を受け入れていない診療所にもヒアリングを行います。  今後とも、これまでの取組を進めるとともに、ヒアリング結果を踏まえた支援策を検討し、県民の皆様の命を守る医療機関を全力で支援してまいります。  次に、コロナ禍における消費者被害防止についてです。  コロナ禍における新しい生活様式として、インターネット通販の利用が広がる中、代金を振り込んだが商品が届かない、1回だけのつもりが定期購入だったなどの消費者トラブルが増加しています。  通信販売には、契約後、一定の期間であれば無条件で解除できるクーリング・オフ制度がありません。そのため、事前に解約条件などを確認し、少しでも怪しいと思ったサイトでは、取引しないことが大切です。  こうした留意点や、被害に遭った際の対処方法などを啓発するため、県では、中学生から高齢者までを対象に、年間約50回、インターネット被害未然防止講座を実施しており、今後は、小学生まで対象を広げていきます。  また、消費生活センターに日々寄せられる苦情相談の傾向から、警戒が必要な消費者トラブルを把握し、チラシやSNSなどを通じて、県民の皆様に注意を呼びかけています。  さらに、令和4年4月の成年年齢引下げを見据えて、若者に対する啓発も強化していきます。  具体的には、現在、若者からの相談が多い、インターネットを通じたサプリメントの定期購入に関する消費者トラブルなどについて、アニメ動画を作成し、かなチャンTVで啓発しています。  また、国民生活センターが本年5月に開設したLINE公式アカウントを、県ホームページにリンクし、若者が様々な消費者トラブルに関する解決策をスマートフォンで得られるようにしました。  県は、こうした取組を通じて、コロナ禍で増加しているインターネット通販に関する消費者トラブルの防止を図るとともに、若者が被害に遭わないための啓発をしっかりと進めてまいります。  次に、コロナ禍における自殺対策についてです。  現在、多くの方が新型コロナへの感染や経済的な不安、Withコロナによる日常生活の変化に伴う大きなストレスを感じている状況にあります。  このような中、本県の自殺者数は、7月以降、増加傾向となり、特に10月は大幅な増となり、非常に深刻な状況となっています。  不安やストレスを抱える人が孤独であると、自殺につながるリスクが高まるため、県では、これまで電話やLINEでの相談など、相談窓口の拡充を図ってきました。  さらに、先日、私からも、生きづらさを感じている県民の皆様に向けて、独りで悩みを抱えず、身近な人や相談窓口に相談していただくよう訴えるメッセージ動画を発信したところです。  自殺に至る方は、平均四つ以上の悩みを抱えていると言われており、その原因や動機の傾向は、性別や年代により特徴が見られることから、それらの特徴に応じた取組を行うことが重要です。  そこで、今後は、毎月の自殺者の状況や自殺の原因・動機等のデータを詳細に分析し、性別や年代に応じた効果的な対策を検討し、全庁的に取組を進めていきます。  また、市町村にも情報提供を行い、市町村とも連携して、取組を進めていきます。  県では、現在、自殺を考えている人のSOSに早く気づき、必要に応じて適切な相談につなげるゲートキーパーの養成研修を全職員を対象に行い、自殺対策の意識の強化を図っており、今後は、きめ細かい対策を関係機関と連携して進めることにより、自殺対策にしっかりと取り組んでまいります。  次に、横浜スタジアムにおける技術実証についてです。  この技術実証は、国の大規模イベントにおける人数制限の見直しに向け、先進技術と既存のノウハウを合わせて、十分な感染症対策を講じた上で、その効果を見える化しようとする産官連携のプロジェクトです。  具体的な実証内容ですが、高精細カメラ等により、マスクの着用率の測定や、人の流れの把握を行うとともに、二酸化炭素計測機やカメラ、ビーコン等を用いて、スタジアム内の混雑度などを計測しました。  実証の結果は、現在、分析中ですが、マスクの着用率はおよそ9割で、観客が増えるにつれ、着用率も上がる傾向が確認されました。  また、一部のトイレを除き、二酸化炭素は高濃度にならず、入退場を含め、人の流れの滞留は、特に発生しなかったことが確認できました。  今回の技術実証では、観客の方々の協力もあり、先進技術と既存の設備やシステムがうまく連動し、感染防止対策の効果が実証できたと考えています。  なお、現時点でクラスターの発生の報告はありません。  今後は、最終結果がまとまり次第、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会に報告し、大規模イベントの開催ガイドラインを策定する際のエビデンスとして活用を促すとともに、広く公表していきます。  そして、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功をはじめ、今後のスポーツ文化の継続に寄与するとともに、Withコロナ時代における新たな生活様式の構築、定着につなげてまいります。  答弁は以上です。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 それでは、新型コロナウイルス感染症の今後の対応について、1点、再質問をさせていただきたいと思います。  先ほど、知事も御答弁の中で申されていたように、医療崩壊を起こしてはならない、しっかりとした医療提供体制をやっていくということが重要であるといったとおりでありますけれども、これからまた病床を確保していく中で、コロナの病床を確保する一方で、一般医療のほうの圧迫をしてはならないと感じているところでありますけれども、そんな状況の中で、我々が期待しているのは、新型コロナワクチンの国内での実用化と考えております。  先々週、私は、ある医院に、土曜日に訪れたのですけれども、そこでは、インフルエンザワクチンの予防接種をする高齢の方から、そしてまた、子供を連れた親子連れの方が多く、待合室であふれ返っておりました。やはり、感染を恐れる親子連れの方々は、待合室ではなくて、病院の外に出て待っているような状況でありました。  これから先、国はコロナワクチンの確保に向けた取組を加速化していくのでしょうけれども、コロナワクチンを国民全員が接種できるようなことになるといったようなことであれば、より一層、県民の皆様に、これをどうやって安定して供給していくのか、その体制を構築していくことが重要であると考えます。  そこで、知事にお伺いしますけれども、しっかりと準備していく必要があるこのコロナワクチン対策ですけれども、どのように進めていくのか、見解をお伺いさせていただきます。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
    ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  新型コロナのワクチンにつきましては、国は、全国民への接種を行うこととしておりまして、都道府県に対し、接種体制の確保についての通知を行いました。  この通知では、ワクチンの流通調整や接種順位の上位となる医療従事者等への接種体制の確保などが、県の役割として想定されています。  いまだ未確定な部分が多くありますので、情報収集に努め、県としても、ワクチン接種が速やかに行えるよう、しっかりと準備を進めてまいります。  答弁は以上です。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 それでは、何点か要望を申し上げます。  まず、新型コロナウイルス感染症への今後の対応についてでありますけれども、第3波の到来が日増しに明らかになっております。知事をはじめ、県当局の皆様におかれましては、大変厳しい局面の中、日々、緊張感を持って職務に当たられていることと存じます。  知事は、これまでも、全国に先駆けて、医療崩壊を防ぐための医療提供体制「神奈川モデル」を構築したことをはじめ、LINE公式アカウント、新型コロナ対策パーソナルサポートの開設や、感染者が発生した際に注意喚起するLINEコロナお知らせシステムを構築、医療危機対策本部室の設置など、様々なアイデアとスピード感のある施策を展開し、神奈川の新型コロナ感染症対策を牽引されてきました。  全国的には、第3波が猛威を振るい、今なお感染の拡大が止まらない状況にありますけれども、県民の命を守り、感染症への不安を解消していくためには、医療提供体制の堅持が何よりも重要なことであります。  また、医療提供体制の堅持は、社会経済活動を維持、回復させていく前提条件でもあります。  今後とも、県民の方々の不安を解消し、活気ある神奈川県を取り戻すため、引き続き、知事のリーダーシップを発揮し、一歩踏み込んだ、力強い施策を今後とも打ち出していただきますよう、要望を申し上げます。  次に、消費者被害防止について申し上げます。  新型コロナウイルス感染症の拡大により、人との接触をできるだけ避けようと、キャッシュレス決済が増えるなど、消費者の行動も変化してきたと感じております。  こうした非接触を念頭とした「新しい生活様式」が浸透すれば、多くの方々が、インターネットを活用して、買物をするような生活スタイルが、今後、より一層定着していくのだと感じております。  ネット通販は手軽ですし、便利なものでもありますが、実際には、先ほどの質問でも取り上げたように、意図しない定期購入契約を結んでしまうことのほか、商品が届かなかったり、偽物が届いたりといった悪質なサイトが存在するなど、消費者トラブルに陥るような危険が潜んでいるのも事実であります。  こうしたトラブルに遭わないことが何より重要ですから、例えば、新たな手口に対して、県が敏感に反応して、迅速に注意喚起情報の周知を図るような取組を進めていっていただきたいと思います。  また、ネット通販のトラブルに遭遇する背景には、消費者側の知識不足も挙げられておりますので、県としましては、積極的な広報を進めていくことが必要だと思いますが、単に、注意喚起情報をホームページに掲載して終わりにするのではなく、先ほど御答弁にもありました、アニメ動画やLINEなど活用するなどして、今回、課題として取り上げた若い世代にも届くような効果的な広報を展開していただきますよう、併せて要望を申し上げます。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 質問の第3は、県民の安全安心を守る取組についてであります。  〔資料提示〕  初めに、神奈川県水防災戦略の取組についてお伺いいたします。  昨年の台風15号、19号は、気象庁が、後世に経験や教訓を伝承するなどとして、令和元年房総半島台風、令和元年東日本台風と名称を定めるほど、顕著な災害をもたらした台風でありました。  特に、10月の東日本台風においては、東日本の広い範囲における記録的な大雨により、多数の河川氾濫や土砂崩れ等が発生し、本県でも、9名の方がお亡くなりになるなど、県内各地に甚大な被害をもたらしました。  今年は、幸い、本県においては、昨年のような風水害による被害は発生していないものの、令和2年7月豪雨や台風10号など、全国各地で大きな被害をもたらす大規模な水害が発生しており、中でも、熊本県の球磨川の氾濫により、多くの高齢者が犠牲となったことは記憶に新しいところであります。  このように、数十年に1度と言われるような、豪雨や台風などの異常気象が続く近年の状況を鑑みますと、こうした想定を超えるような水害が、近い将来、必ず発生するものと考え、備えを進めていくことが大変重要であると考えます。  そうした観点から、我が会派では、昨年11月の代表質問において、風水害に関する戦略的プランを策定し、防災・減災対策を強化していくべきことを求め、その後、県は、今年2月に水防災戦略を打ち出し、今年度から積極的に風水害対策を進めているものと承知しております。  水防災戦略では、今年度から令和4年度までの3か年で、約1,400億円の事業費が見込まれており、来年度は464億円の事業費を計画していますが、一方で、県財政は、新型コロナの影響による企業収益の減少や、消費活動の落ち込みの影響により、来年度当初予算において1,100億円の財源不足が見込まれており、大変厳しい状況に置かれております。  水害対策は、県民の命に直結する重要な課題であり、一過性ではなく、中長期的な視点で取り組んでいく必要があります。そのため、大変厳しい財政状況の中にあっても、水防災戦略に掲げた対策については、その歩みを止めることなく、着実に推進していくことが必要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  多額の財源不足が見込まれる厳しい財政状況にあっても、風水害から県民の命を守るために、県として、水防災戦略を着実に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。  次に、ギャンブル等依存症対策について伺います。  〔資料提示〕  現在、県において、ギャンブル等依存症対策基本法に基づく、県ギャンブル等依存症対策推進計画の策定作業を進められていることと承知しております。  新型コロナの影響による営業自粛要請に対しては、多くの遊技場が休業に応じていただきましたが、営業を続けた一部のパチンコ店に多くの方々が訪れる状況が、報道でも度々取り上げられ、改めて、身近なところから依存症につながるおそれもあるのではないかと懸念を抱いたところであります。  また、世界保健機関─WHOでは、新型コロナの影響に関し、不健康な行動パターンに陥りやすく、置かれた状況により生じるストレスや不安感を解消するため、あるいは時間をつぶすための対処策として、アルコール、不安を和らげる薬の有害な使用、ゲームやギャンブルの不適切な使用に陥りやすくなるとして、コロナ禍において依存症の方が増加するリスクについて言及しております。  スマートフォンなどを使ったオンラインゲームについては、今や大人だけでなく、子供も多く利用しており、また、オンラインゲームには課金のシステムなど、ギャンブル等と類似した特性があることから、依存症につながる危険性も危惧されるところであります。  このように、ギャンブル等依存症の問題は、我々の身近なところにあり、また、一たび依存症になってしまうと、本人だけでなく、家族の日常生活にも支障を来すことになるため、県として、その対策にしっかり取り組むべきであると考えます。  特に、依存症対策を進めるに当たっては、依存症の発症防止や、進行に歯止めをかけるための取組が必要であり、そうした取組を計画に盛り込み、体系立てて着実に進めていくことが必要であります。  そこで、知事に伺います。  本県として、ギャンブル等依存症対策推進計画の基本的な考え方をはじめ、今後、ギャンブル等依存症対策にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  次に、交通安全対策の取組について、2点、伺います。  〔資料提示〕  1点目は、交通死亡事故抑止総合対策の強化についてです。  本年の交通事故情勢については、交通事故発生件数と負傷者数は、前年同期に比べ減少しているものの、10月末現在における交通事故により亡くなられた方の数は増加しており、愛知県、北海道に続き、全国ワースト3位の状況にあるなど、依然として多くの貴い命が犠牲となっております。  また、県内の交通死亡事故の大半を占めております、二輪車乗車中や歩行中の事故は、昨年とほぼ同じ状況で発生しており、このような状況に加え、例年、年末に向け、交通死亡事故が多発する傾向を踏まえますと、県内の交通事故情勢は大変厳しいものと感じております。  県警察におかれましては、いまだ収束の見えない新型コロナの影響により、多くの人を集めた交通安全教育や、各種イベント等の開催が困難な状況が続いている中、SNSやデジタルサイネージなどの各種広報媒体を効果的に活用した広報啓発活動や、感染防止に配意しての交通指導取締りなど、交通死亡事故抑止対策を実施していることと承知しております。  特に、横断歩行者の事故を防止するために、横断歩行者妨害違反の取締りを、昨年を上回るペースで積極的に行っていると承知しております。  その一方で、歩行者事故の中には、歩行者側にも信号無視等の交通違反があって、事故に遭う場合があるとも伺っております。  今後も、運転者側に対する交通取締りや、横断歩道は歩行者優先といったルールの呼びかけだけでなく、歩行者側に対しても、交通ルールを守った正しい横断について、一層呼びかけていく必要があると考えます。  年末に向けて、交通事故の増加が懸念されますので、県警察におかれましては、交通死亡事故抑止対策を、これまで以上に取り組んでいくことが重要であると考えます。  そこで、警察本部長に伺います。  県内の交通死亡事故の現状と、県警察が行ってきた交通死亡事故抑止総合対策の、これまでの実施状況と、今後の取組について、見解をお伺いいたします。  2点目は、視覚障がい者の安全確保に向けた信号機の整備についてです。  〔資料提示〕  歩行者事故を減らしていくためには、交通弱者である視覚障害者の安全確保にも目を向けることが重要であると考えております。  県警察では、第10次神奈川県交通安全計画に基づき、高齢者や障害者等を含む、全ての人が、安全に、安心して参加し、活動できる社会を実現するために、視覚障害者用付加装置を付した信号機や、歩車分離式信号機等のバリアフリー対応型信号機の整備といった各種取組を推進しているものと承知しており、こうした取組が、視覚障害者の交通安全確保にとって非常に効果的であると理解しております。  しかしながら、県内の信号機には、いまだ視覚障害者用付加装置を付していないものが多く、視覚障害者が自由に活動するための安全確保が十分とは言い切れない状況にあり、視覚障害者団体等の方々からの、視覚障害者用付加装置の整備を求める声が、後を絶ちません。  また、歩車分離式の信号機の整備についても、整備を求める声が多く届いておりますが、こうした整備の取組も、視覚障害者を含む全ての歩行者を、交通事故の危険から守るために重要であると考えております。  そのため、県警察におかれましては、こうした整備要望について、特に真摯に対応し、視覚障害者が安全・安心を実感できるような歩行空間を整備していただきたいと考えております。  そこで、警察本部長に伺います。  県内の視覚障害者に配慮した信号機の、これまでの整備状況と、今年度の整備箇所数について伺います。  また、これら信号機の整備については、視覚障害者団体等の方々からも多くの要望が上がっているところでありますので、これらの要望を踏まえた上での今後の県警察の取組方針について、お伺いさせていただきます。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県民の安全安心を守る取組についてお尋ねがありました。  まず、神奈川県水防災戦略の取組についてです。  昨年の台風被害を踏まえ、県は、本年2月に水害からの逃げ遅れゼロと被害の軽減を目標に、新たに神奈川県水防災戦略を策定し、三つの視点から、風水害対策を強力に進めています。  第1は、緊急に実施することで、被害を最小化するハード対策です。  今年度は、境川の堆積土砂の撤去や、鎌倉市内の県有緑地の危険木伐採、寒川浄水場の浸水対策等に取り組んでいます。  第2は、中長期的な視点で取組を加速させるハード対策です。  現在、引地川の下土棚遊水地や横浜市内の崖地の土砂災害防止施設の整備など、減災や強靱化の効果が早期に期待できる事業を進めています。  第3は、災害対応力の充実強化に向けたソフト対策です。  県は、今年度、地域防災力強化事業費補助金を2億円増額し、ハザードマップの作成や避難所の資機材整備など、市町村が行う風水害対策を支援しています。  こうした中、現在、新型コロナウイルス感染症との複合災害への対応が強く求められています。そのため、今後、水防災戦略に新型コロナ対策を新たに位置づけ、取組をさらに強化する必要があります。  来年度は、予算編成方針を示した時点で1,100億円もの財源不足が見込まれる非常に厳しい財政状況ではありますが、昨年のような風水害から県民の皆様の命を守るため、水防災戦略の取組を緩めるわけにはいきません。  県としては、国庫を伴う事業については、国に確実な予算措置を求めるほか、超過課税の活用などを通じて、来年度においても、水防災戦略に位置づけた取組を着実に進めてまいります。  次に、ギャンブル等依存症対策についてです。  ギャンブル等依存症は、のめり込むことにより、脳の回路が変化し、自分の意思でコントロールができず、やめたくてもやめられなくなる病気で、誰でもなる可能性があります。  依存症は、治療により回復が可能ですが、自らの依存を認めたがらない病気の特性や、意志の弱さの問題という誤解などから、家族等が悩みを抱え込む傾向があり、支援に結びつかない状況もあります。  さらに、ギャンブル等依存症は、多重債務や貧困等、重大な社会問題を引き起こす可能性もあり、社会全体で捉えるべき問題と認識しています。  そこで、県では、ギャンブル等依存症への対策を体系的に取り組んでいくため、現在、関係機関や市町村から御意見を伺いながら、ギャンブル等依存症対策推進計画の策定作業を進めています。  計画では、依存症の発症、進行及び再発の防止と、回復に向けた切れ目ない支援の充実を図り、県民が健康で安心して暮らすことのできる社会の実現を基本的な考えとし、こうした各段階に応じた取組を、関係機関と連携して実施することとしています。  特に、依存症の対策には、発症防止が重要であることから、初めてギャンブル等に接する機会の多い若年層に対する対策や、依存症の背景となるストレス等への対策を計画に位置づけ、しっかりと取り組んでいきます。  また、切れ目のない支援については、現在、民間支援施設や医療機関等を対象に実施している社会資源実態調査の結果を踏まえ、支援の在り方について検討し、連携体制の構築を進めていきます。  今後も、県では、県民の皆様などから御意見を伺い、より実効性のある計画を策定し、関係機関や市町村と共に、ギャンブル等依存症対策を着実に進めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(大賀眞一)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 大賀警察本部長。 ◎警察本部長(大賀眞一) 交通死亡事故抑止総合対策の強化についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、本年10月末現在で、県内において交通事故により亡くなられた方は113人で、全国ワースト3位となっております。  県内の交通死亡事故の特徴としましては、二輪車乗車中と歩行中の事故が多く、この二つを合わせますと、亡くなられた方全体の7割を超えており、特に、歩行中の事故では、高齢者が約7割を占めております。  こうした実態を踏まえ、これまで県警察では、二輪車と歩行者の事故防止を重点とした交通指導取締り等の交通街頭活動と、各種広報媒体を活用した情報発信活動を中心に取り組んでまいりました。  交通街頭活動としましては、重大事故につながる速度超過違反や、横断歩行者妨害違反等の取締りを重点的に行うとともに、交差点や主要幹線道路等において、白バイの機動力を生かした交通指導取締りなどを行っております。  情報発信活動としましては、新型コロナウイルス感染防止に配意しつつ、通行する車両を警察施設等の駐車場に引き込んで行う交通安全教育や二輪車、歩行者など、対象ごとに行う交通安全教育、さらには、SNS、デジタルサイネージ等の様々な広報媒体を活用しての広報活動を行っています。  今後の取組としましては、年末に向け、交通死亡事故が増加する傾向を踏まえ、引き続き、横断歩行者妨害違反等や二輪車を中心とした速度超過違反の取締りを強化してまいります。  また、引き続き、交通死亡事故を起こさせないための啓発動画、例えば二輪車事故を防ぐために、二輪車は他の車両よりも遠くに見えるなどといった特徴を、分かりやすく示したものなどを、県警察公式ツイッターやユーチューブへ掲載してまいります。  加えて、これらの動画が、より多くの県民の目に届くよう、直接ツイッターなどにアクセスできる二次元コードを掲載したチラシ等を関係機関・団体の協力を得て配布するなど、工夫を凝らしてまいります。  さらに、従来型の交通安全教育についても、新型コロナウイルス感染症の情勢等に配意しつつ、歩行者に対しては、ルールを守った正しい横断と反射材の着用を定着させていくほか、高齢者向けの参加・体験型交通安全教育の機会を増やしてまいります。  次に、視覚障がい者の安全確保に向けた信号機の整備についてお答えいたします。  まず、道路を横断する視覚障害者の利便性、安全性等を向上するために、歩行者信号機が青色になってから赤色に変わるまでの間、鳥の鳴き声の電子音を横断歩道の両端から交互に鳴らす視覚障害者用付加装置については、令和2年10月末現在で772か所に整備しております。  県警察といたしましては、視覚障害者の方からの御要望を踏まえつつ、道路交通実態のほか、視覚障害者の利用頻度が高い施設の有無などの周辺環境等を総合的に勘案し、視覚障害者用付加装置の整備を進めているところでございます。  また、視覚障害者を含む、全ての歩行者の安全を確保する観点からは、歩行者と車両が交差点の横断歩道上で交錯しないように、歩行者と車両の通行を時間的に分離する歩車分離式信号機も有効であります。  県警察といたしましては、道路交通実態等を考慮しつつ、歩車分離式信号機の整備を進めており、令和2年10月末現在で968か所に整備をされております。  令和2年度におきましても、要望等を踏まえつつ、視覚障害者用付加装置を6か所に新設し、歩車分離式信号機を13か所に整備する予定となっております。  県警察といたしましては、道路を横断する視覚障害者の利便性、安全性等を向上させるために、関係機関と連携しつつ、道路交通実態や視覚障害者の方の御要望の把握に努め、引き続き、必要な場所への整備を推進してまいります。  以上でございます。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 ただいま、知事、そして警察本部長から、御答弁を頂いたところでありますけれども、1点、再質問させていただきたいと思います。  ギャンブル等依存症対策についてでありますけれども、大人や子供、性別に関係なく、誰もが陥りやすいというのが、知事の答弁で再確認もできたところでありますけれども、特に、若年層─若者、子供たちですけれども、最近、携帯電話を身近に持ち、そういったところから、ギャンブル等依存症に陥りやすいというようなことが想像されるわけであります。  そこで、知事にお伺いさせていただきたいと思いますけれども、県として、子供や若者を対象としたギャンブル等依存症の発症防止について、どのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせください。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  未成年は、脳の働きが十分に発達していないため、依存症になりやすく、また、オンラインゲームの「ガチャ」等の課金は、ギャンブル性が高く、こうしたゲームにのめり込むことは、将来、ギャンブル等依存症につながるおそれもあります。  そのため、子供や若者、保護者等、周囲の大人に依存症の正しい知識やゲーム等の適切な利用について、理解していただくことが重要です。  そこで、県では、県教育委員会と連携し、県内の小中学生や御家族を対象にした、ゲーム等の適切な利用を啓発する出前講座を実施しています。  さらに、バナー広告やデジタルサイネージ等、様々な媒体を活用して、依存症の正しい知識や、ギャンブル等との適切な付き合い方についての普及啓発を行い、発症防止に取り組んでまいります。  答弁は以上です。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 御答弁を頂いたところでありますけれども、何点か要望を申し上げておきます。  まず、依存症対策についてでありますけれども、先ほども申し上げたとおり、ネット環境の進化に伴い、オンラインカジノというギャンブルが増えていると聞いております。これは、その合法性が疑問視されるだけでなく、インターネットを通じて24時間利用できてしまうことから、より依存症になりやすいのではないかと懸念しているところであります。  今後は、こうしたものへの対策の検討も、しっかりしていただくよう要望させていただきます。  また、あわせて、今後、策定されるギャンブル等依存症対策推進計画につきましては、県民に広く周知していただくとともに、計画に盛り込む取組を着実に進めることによりまして、依存症対策の充実を図っていただきたいと思います。  続きまして、視覚障害者の方々に配慮した信号機の整備についてであります。  県警察におかれましては、限られた予算の中で、視覚障害者の安全確保のための信号機の整備要望に適切に対応するため、計画的な取組を推進していただいていることは承知しているところであります。一日も早く、その効果が実感できることを期待しております。  また、現在、運用されております視覚障害者用付加装置に加えて、スマートフォンと連携して歩行者用信号機の状況を音で知らせたり、また、青色時間の延長が可能となる新たな技術、いわゆるPICSでありますが、その整備につきましても、積極的に検討していただきたいと思います。  視覚障害者の方々が、安全に安心して活動できる共生社会の早期実現に向けて、必要な予算をしっかりと確保しながら、視覚障害者用付加装置をはじめとした、視覚障害者に配慮した信号機の整備を一層推進していただくことを要望申し上げます。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 質問の第4は、県政の重要課題についてであります。  〔資料提示〕  初めに、地域の医療ニーズに対応した医療提供体制の構築について伺います。  本県では、今後、少子高齢化の急速な進行や、医療を取り巻く環境の大幅な変化が見込まれておりますが、こうした中、将来にわたり、安定的に医療を提供していくためには、地域特性や医療ニーズに応じた医療提供体制の構築が不可欠であると考えます。  中でも、県西地域は、県の中でも高齢化が進む地域であり、この地域における医療提供の在り方は、県の将来的な医療提供の方向性を考える上で、重要な地域と考えます。  この地域では、小田原市立病院と県立足柄上病院の公立2病院が、基幹病院として、県民に欠かすことのできない質の高い医療を提供し、地域医療を支えてきましたが、一方で、高齢者人口の増加に伴い、今後、急速に増加する医療需要に対応しながら、医療提供体制を維持、確保することが急務となっており、その支え手となる医療従事者数は、人口10万人当たりで見ますと、県全体、全国の数値を下回るなど、医療資源の確保が困難という課題を抱えているのも事実であります。  こうした医療需要の動向や課題に対応しながら、地域医療構想を実現し、安全で安心な医療を、将来にわたり提供していかなければならないことはもちろんですが、今回のコロナ禍の経験を通じ、限られた医療資源を最大限活用し、感染症を含めた災害時医療と、救急などの通常医療を、共に提供できる体制を、公立2病院を中心に、地域全体で考え、構築していくことの重要性が明らかになったと感じております。  現在、同地域では、小田原市立病院の建て替え計画が進行し、足柄上病院も、将来に向けた病院機能の検討を進めているところですが、10月26日には、公立2病院の緊密な連携協力の下で、地域医療提供体制を構築していくことを目的とした、2病院の連携協力に係る基本協定が、小田原市、県、県立病院機構の間で締結されました。  県も参画した形の協定は、県内で初の試みと伺っており、県西地域が先駆けとなって、地域における医療提供体制の構築が進んでいくことを、大いに期待しているところであります。  県立足柄上病院は、これまで救急医療を中心とした急性期医療、周産期医療、地域の総合医療や、地域包括ケア病棟による回復期医療のほか、感染症指定医療機関として感染症医療、災害拠点病院として災害時医療などを広く提供してきました。  しかしながら、地域の医療ニーズは急速に変化しつつあり、また、感染症などの新たな課題も生じている中、こうした課題に対応し、県立足柄上病院は、どのような機能を強化し、連携を進めていくのかを明らかにし、地域に示していくことが必要であると考えます。  また、医療ニーズの変化に対応し、将来にわたり安定的に医療を提供していくためには、そのための基盤をしっかりと整備することが不可欠であり、県立足柄上病院においても、施設の老朽化が進んでいる状況を鑑みれば、新型コロナの経験で明らかになった新たな課題に対応するためにも、早急に施設の再整備に向けて検討を進めることが必要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  県立足柄上病院は、地域における医療需要の変化に対応し、どのように機能を充実強化していくのか、伺います。  また、その機能を十分に発揮するために、老朽化が進む施設面の整備も重要な課題と考えますが、併せて見解を伺います。  次に、犬や猫の不適正な多頭飼育の対策について伺います。  〔資料提示〕  犬や猫の飼い主が、適正に飼育できる頭数以上に増やしてしまい、ついには世話ができなくなり破綻してしまう、いわゆる多頭飼育崩壊は、全国的に大きな問題となっております。  本県においても、動物愛護ボランティアの御協力を頂きながら、対応に当たっているものと承知しております。  多頭飼育崩壊が起こってしまうと、鳴き声などの騒音やふん尿による悪臭などにより、近隣住民の生活環境に悪影響を及ぼすだけでなく、不衛生な住宅の中で生活している飼い主や家族の健康状態が心配されることはもちろん、多くの犬や猫の命も脅かされることになります。  そのような状況を見かねた動物愛護ボランティアが、増え過ぎてしまった犬や猫を飼い主から引き取る場合、一度に多くの犬や猫を保護するための収容スペースの確保のほか、餌やりやケージの掃除をするなどの世話が大変なだけでなく、新しい飼い主を探すために、避妊・去勢手術や予防接種などを行う必要があり、それらの費用についても、ボランティアが負担していると伺っております。  こうしたボランティアの負担を軽減する観点からも、不適正な多頭飼育によって脅かされる犬や猫の命にも目を向け、県として、これまで以上に、不適正な多頭飼育の対策に取り組んでいく必要があると考えます。  県では、令和元年10月から、多頭飼育届出制度を開始したと承知しておりますが、状況を早期に把握し、未然に多頭飼育崩壊を防ぐ対策こそ重要であり、また、もし崩壊が発生した場合の対策についても、しっかりと取り組んでいく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  今後、犬や猫の不適正な多頭飼育の対策に、県として、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  最後に、今後の県立特別支援学校の施設整備の方向性について伺います。  〔資料提示〕  特別支援学校については、県教育委員会はこれまで、段階的に施設整備を進めてまいりました。  昭和48年時点で5校だった県立の盲・聾・養護学校は、昭和54年の養護学校義務化を経て、平成19年度には24校に拡充し、さらに、新まなびや計画に基づく新設整備により、令和3年度には、県立の特別支援学校は29校と、仮称ではありますが、湯河原・真鶴方面の分教室で、特別支援教育が展開されるものと承知しております。  あわせて、本県では、高校との交流なども視野に入れた学びの場として、20の知的障害教育部門高等部の分教室が、高校施設を活用し、設置されております。  そうした中、平成23年の障害者基本法の改正や、平成26年の障害者権利条約の批准、平成28年の障害者差別解消法の施行など、特別支援教育を取り巻く環境は変化しており、こうした動きも踏まえ、県教育委員会では、全ての子供ができるだけ同じ場で学び、共に育つことを通して、お互いを理解し、尊重し合う共生社会の実現を目指すインクルーシブ教育を推進しており、市町村立小中学校における「みんなの教室」や、県立高校におけるインクルーシブ教育実践推進校などの取組は、本県において共生社会の実現を目指す上で重要な取組であると考えております。  しかしながら、本県では、医療的ケアが必要な子供も含め、特別支援教育を必要とする児童・生徒等が増えており、また、障害の重度・重複化、また多様化という状況にもある中、障害のある子供や、その保護者の方々のニーズとしては、地域の小中学校で、地域の子供たちと一緒に学びたいという意向がある一方で、より専門的かつ個に応じた教育を、特別支援学校で受けたいとするニーズも増えていると思います。  県教育委員会としては、そうした子供や保護者の方々のニーズに、きめ細かく対応していくことが、これからも必要であると考えております。  県教育委員会では、インクルーシブ教育の進展を踏まえた中で、今後の特別支援教育の在り方について、専門的な視点から現状と課題を整理するとともに、本県における特別支援教育の今後の施策の方向性に資することを目的に、平成30年8月、神奈川県の特別支援教育のあり方に関する検討会を設置し、その検討の最終まとめが、令和2年3月に報告されたものと承知しております。  この最終まとめ報告には、特別支援学校の整備、医療的ケア、県と市町村の役割分担の各項目について、今後の方向性が提言されておりますが、中でも、人口増加地域への対応等の観点から、県立特別支援学校の施設整備について、県としての具体的な対応が望まれるところであります。  あわせて、最終まとめでは、高校に設置した知的障害教育部門高等部の分教室についても、分教室と高校の協働・連携の観点や、施設環境面から、成果や課題等を整理することが求められております。  そこで、教育長に伺います。  今後の県立特別支援学校の施設整備の方向性や、知的障害教育部門高等部の分教室の環境整備について、どのように考えているのか、教育長の見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題についてお尋ねがありました。  まず、地域の医療ニーズに対応した医療提供体制の構築についてです。  県内でも、急速に少子高齢化が進行する県西地域において、医療提供体制を将来にわたり確保するためには、医療資源の効率的な活用に向けて、地域の基幹病院である県立足柄上病院と小田原市立病院の、より一層の連携が必要です。  そこで、県は、病院の機能や連携について、自治体や医療関係者から意見を伺うとともに、県と小田原市、県立病院機構は、10月26日に協定を締結し、2病院の連携強化に向けた議論を進めています。  その基本的な方向性ですが、県立足柄上病院は、今後、地域に必要な回復期医療を充実強化し、地域包括ケアシステムを推進するとともに、救急医療、高齢者医療、新型コロナウイルス感染症の流行で明らかになった課題に対応した感染症医療や、災害時医療を強化していきます。  そして、高度急性期や急性期の医療を担う小田原市立病院との、機能分担や必要な連携を進め、県西地域における地域完結型の医療提供体制を構築していきます。  また、老朽化が進む施設面の整備についてですが、県立足柄上病院は築60年を経過する施設であるなど、老朽化が進んでおり、今後の医療ニーズに対応した機能を最大限発揮していくためには、老朽化施設の計画的な整備、修繕も必要になると考えます。  そこで、県立病院機構は、第三期中期計画において、施設の整備等に向けた調査を行う予定としており、県は調査結果を基に、老朽化の状況や経営状況等を総合的に勘案し、議会や地域の皆様の御意見を伺いながら、施設の整備等について検討を進めていきます。  県は、こうした県立足柄上病院の機能の充実強化や、施設の整備等の検討を進め、将来にわたり、安全で安心な地域医療を提供してまいります。  次に、犬や猫の不適正な多頭飼育の対策についてです。  飼い主が、世話ができる数以上に犬や猫を増やしてしまい、不衛生な状態で飼育している不適正な多頭飼育は、現在、大きな問題となっており、県内でも、多頭飼育崩壊の事例が発生しています。  県では、未然に崩壊を防ぐため、多頭飼育に関する届出制度を、昨年10月に開始し、これまで飼い主に対して、避妊・去勢手術の実施などの指導を行うとともに、未届けの飼い主に対しても、届出や飼い方の指導を行ってきました。  しかし、不適正な多頭飼育者の中には、心の問題を抱えている方、生活困窮で手術費用や所有権放棄の手数料が払えない方などがおり、飼い主個人の問題として放置した場合、崩壊につながるおそれがあるため、今後、さらなる対策の充実が必要と認識しています。  そこで、県では、こうした課題を解決するため、市町村などの関係者と連携を図りながら、保健福祉事務所ごとに見守り体制を強化します。  具体的には、早期の段階での適正飼育の普及啓発から、再発防止に向けたアフターケアまで、事例ごとにきめ細やかな支援を行います。  また、避妊・去勢手術費用の負担が難しい方への支援などについて、かながわペットのいのち基金条例を見直し、活用も検討していきます。  さらに、一度にたくさんの犬や猫を収容する必要が生じた際にも、飼い主が速やかに所有権放棄できるよう、手数料の減免範囲の拡大や支払い方法の変更のほか、動物愛護センターにおける収容場所の確保についても、検討していきます。  県では、今後、不適正な多頭飼育の対策を充実強化し、ペットの命も輝く神奈川を目指してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  今後の県立特別支援学校の施設整備の方向性についてです。  共生社会の実現に向けて、インクルーシブ教育を推進するとともに、特別支援教育を必要とする児童・生徒の増加や、障害の重度・重複化、多様化に適切に対応していく必要があります。  現在、県教育委員会では、令和2年3月の、特別支援教育のあり方に関する検討会最終報告を踏まえ、特別支援学校の整備や医療的ケア等について、今後の施策の方向性を検討しています。  そのうち、特別支援学校の整備については、人口増加に伴う地域的課題への対応、地域の教育資源を生かした児童・生徒等の居住地に近い学校づくり、老朽化対策と施設・設備の充実等の観点から、検討を進めています。  また、施設の整備に当たっては、県の施設の跡地利用や、既存の学校の増改築など、これまでの特別支援学校の整備事例を参考にしていきたいと考えています。  特に、今後も一定期間、人口の増加が見込まれる川崎南部や横浜東部地域などにおいては、早期に整備の方向性を取りまとめる必要があると認識しています。  あわせて、お尋ねの高校施設を活用した知的障害教育部門高等部の分教室については、これまでの成果と課題を検証し、その適正配置や教室数の確保を含めた教育環境の整備等を進めたいと考えています。  こうした考え方の下、今後、県教育委員会では、市町村教育委員会と協力して、地域の実情を的確に捉えた特別支援学校の整備等について検討し、その方向性を指針として取りまとめる予定です。  今年度中には、指針の素案を作成し、その上で、現在、国で検討されている特別支援学校の設置基準の策定状況を見定めた中で、来年度の早い段階で最終案を取りまとめたいと考えております。  以上でございます。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 ただいま知事、また教育長から御答弁を頂いたところでありますけれども、1点、再質問をさせていただきたいと思います。  多頭飼育の対策の関係でありますけれども、かながわペットのいのち基金条例を改正し、多頭飼育の対策にも活用するようにしていくとのことでありますが、この基金条例の創設に当たっては、様々な議論を経て成立したという当時の印象が残っておりますけれども、この基金を多頭飼育対策に活用することについては、それであれば、関係者の方の意見も十分に検討することが重要であると思いますが、その辺りについて、知事のお考えをお聞かせください。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  まさに、ペットの命を守るために、不適正な多頭飼育の対策に基金の活用、これにつきましては、県議会や県獣医師会、動物愛護ボランティアなど、関係者の皆様に、多頭飼育の現状や、県として取り組むべき対策について、しっかりと御説明して、御意見を頂戴しながら、検討を進めてまいりたいと考えております。  答弁は以上です。  〔原 聡祐議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 原聡祐君。  〔原 聡祐議員登壇〕 ◆原聡祐議員 それでは、要望させていただきます。  まず、不適正な多頭飼育の対策についてであります。  多頭飼育崩壊が全国的な課題として取り上げられている中、先般、県内におきましても、多数の猫が緊急保護された事件が報道されました。  聞いたところによりますと、多頭飼育届出制度の届出時点では、そこまで多くの頭数ではなかったとのことでありましたけれども、猫は、1回の出産で4匹から8匹の子猫を産むと言われており、1年に2回から4回の出産が可能であるということであります。そういうことであれば、知らず知らずというわけではないのですけれども、あっという間に子猫を産み、頭数が増えてしまっているという状況であります。  答弁にもありましたとおり、見守りや再発防止に向けたケアが必要であるとも考えております。  県としては、届出された後の状況の把握にも努め、多頭飼育崩壊を未然に防ぐ取組を進めていっていただきたいと思いますし、先ほど再答弁でもありました、基金条例を変えていくといったようなことに関しましても、しっかりと、これから先、関係者の皆様と協議を図った上で、取組を進めていただきたいと思います。  次に、特別支援学校の施設整備の方向性についてでありますけれども、共生社会の実現を目指すインクルーシブ教育を推進する中にあっても、現在、特別支援教育を必要とする子供たちへの対応は欠かせないものと思っております。  特別支援学校の整備の方向性を明確にすることや、知的障害教育部門高等部の分教室の環境整備を進めていくことは、子供たちへの豊かな学びを実現するために、重要な取組であると考えております。  また、例えば、横浜市内で県立特別支援学校に通う子供の中には、小中学部で慣れ親しんできた学校の高等部に進学することができずに、別の学校に進学せざるを得ないといったような状況も耳にしております。特別支援学校の整備は、こうした状況の改善にもつながるのではないかと期待しているところであります。  県教育委員会におかれましては、人口増加地域への対応など、地域的な課題を的確に捉え、必要な整備を進めていただきますよう、市町村教育委員会等と連携しながら、着実に進めていただきますよう要望を申し上げます。  そして、今日、ほとんどの質問におきましては、コロナ禍ですとか、感染拡大というキーワードがありましたけれども、これを止めていくのは、県の施策も非常に重要であると考えますけれども、施策を推進する中にあっても、どうしても大きな障壁となるのがコロナであります。医療従事者も頑張っておられます。  県職員も頑張られていることは、十分承知しておりますけれども、県民の命を守るために、しっかりとしたリーダーシップを知事に取っていただき、感染拡大の防止に努めていただきますように、今の状態がニューノーマルではないと思っております。ニューノーマル、新たな生活様式を目指すのは、まだ先の長い話かもしれませんけれども、しっかりとリーダーシップを取っていただきますようにお願いを申し上げて、あとの残りのものに関しましても、各常任委員会で議論を深め、議論を進めていただきたいと思います。  要望を申し上げましたが、私の代表質問をこれにて終了とさせていただきます。  御清聴、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(嶋村ただし) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(嶋村ただし) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後3時3分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和2年第3回-20201130-028769-質問・答弁-赤野たかし議員-代表質問①新型コロナウイルス感染症に関する諸課題について②本県が積極的に取り組むべき重要施策について③本県事業の抜本的な見直しについて》                   午後3時25分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共96名 ○副議長(いそもと桂太郎) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(いそもと桂太郎) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(いそもと桂太郎) 質問を続行いたします。  赤野たかし君。  〔赤野たかし議員登壇〕(拍手) ◆赤野たかし議員 議長のお許しを頂きましたので、私は立憲民主党・民権クラブ県議団を代表し、通告に従い、質問させていただきます。  知事、教育長、警察本部長におかれましては、明快な御答弁をお願いいたします。  質問に入ります前に、一言申し上げます。  新型コロナウイルス感染症の対応に御尽力いただいている医療従事者をはじめとする多くの皆様に、心から感謝申し上げます。  それでは、質問に入ります。  〔資料提示〕  質問の第1は、新型コロナウイルス感染症に関する諸課題についてであります。  初めに、新型コロナウイルス感染症の現状認識と今後の見通し、県の役割の明確化について伺います。  本県では、今年1月16日の国内初となる感染者の確認、そして、2月のダイヤモンド・プリンセス号に始まる、新型コロナウイルス感染症に対する様々な対応に取り組んでまいりました。  この感染症により、国内で初めて亡くなった方について確認されたのが2月13日ですが、これまでに、既に国内で亡くなられた方が2,100名を超え、重症者数も急増しており、世界全体での死者数は142万人を超えたとの報道もあります。  私は、この間、県も言う、正しく恐れるということにこだわり、この感染症により、様々な影響を受けた方々に、県として、できるだけ丁寧に支援をしていただきたい旨をお願い申し上げてきたところであります。  現在、世界中でワクチンの開発が進められ、一部に明るいニュースも出てまいりましたが、今月に入ってから、本県も含め、全国的に新規感染者数が急増し、いわゆる第3波と言われる大きな波が来ました。  再度の緊急事態宣言といった事態を避けるためにも、県内の感染状況をしっかりと把握し、適切に感染防止などの対策を講じ、医療崩壊といったことを起こさせない、これが、早い段階から対策を主導してきた本県の大きな役割の一つではないかと考えます。  こうした中で、本県は、11月20日の対策本部会議で、Go To Eatかながわ事業について、医療機関の逼迫に対し、より県民と強い危機意識を共有するため、新規クーポンの販売を、11月25日より、国に先駆けて、一時中断するとの決断をいたしました。  また、先週27日に行われた県の対策本部会議では、かながわ県民割の新規販売を、本日から休止すること等も決めました。  私は、今回、単に国の施策に追随するのでなく、県独自の判断をしたことについては、率直に評価をいたします。今、県に求められていることの一つは、常に、国の施策を客観視し、状況に応じて、地方の側から、その地域独自の判断をしていくことであると考えます。  そして、その際、何より大事なことは、この間、国と都道府県との間にある、権限と責任の問題が、いまだに曖昧にされ、それが整理されないまま、今まで来てしまったことであると感じています。  国や市町村との間において、県の役割とは何か、そして、その役割の達成のため、全力で取り組むために、県から国等に強く要請すべきこととは何かを、改めて、いま一度、明確にすべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  新型コロナウイルスの感染状況の現状認識と今後の見通しを踏まえ、県の役割を明確にして、今後、想定される対応に当たるべきと考えますが、知事の見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、神奈川モデルを推進するにあたっての改善点について伺います。  本県では、医療崩壊を防ぐための医療提供体制「神奈川モデル」を整備し、これまで新型コロナウイルス対策に取り組んでいることは承知していますが、今後、本格的な冬シーズンを迎えるに当たり、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザとの同時流行が大変懸念されているところであります。  こうした対策として、県では、発熱患者対応の神奈川モデルを打ち出し、今月からは、診療体制を強化する発熱等診療予約センターを立ち上げました。県が、県内全域の発熱患者からの診療予約を受け付けるという、こうした取組は、市町村や医療機関の負担を軽減する意味で、評価できるものであります。  しかし、その一方で、県独自の取組をオール神奈川で推進するためには、保健所設置市との連携強化や役割分担について、改めて整理することが大変重要であると考えます。  そもそも感染症法においては、保健所設置市には、都道府県と同等の権限が付与されているため、足並みをそろえるのは難しいところもあると認識しております。  以前に、本県が神奈川モデルと銘打って施策を展開した際にも、県と保健所設置市との調整不足や、情報伝達の不足等が見られ、現場で混乱があったと承知しています。  今回の発熱患者対応の神奈川モデルや、発熱等診療予約センターについても、県と保健所設置市との連携がしっかり取れていなければ、それを利用する県民の皆様が混乱をしてしまいます。  そこで、知事に伺います。  今後、インフルエンザも含めた発熱患者の増加が想定される中、県民からの診療予約や相談の声に対し、保健所設置市とどのように役割分担し、どのように情報を県民に周知していくのか、また、新型コロナウイルスへの対応に当たり、保健所設置市を含む市町村との連携はますます重要と考えますが、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、大規模イベントにおける新型コロナウイルス感染症対策の技術実証について伺います。  今から1か月前となる10月30日から11月1日にかけて、横浜スタジアムで開催されたプロ野球の3連戦において、観客の人数制限の上限である収容率50%を超える観客を入れた技術実証が行われました。  私は、今回、このような技術実証を行うに至った経緯や、本県の立場について、非常に分かりにくい面がありましたので、その辺のところを質問させていただきたいと思います。  まず、私が、この技術実証が行われることを初めて把握したのは、10月15日の報道によります。聞くところによれば、知事が、今年の6月頃から検討を進めていたとのことですが、このコロナ禍で、大変多くの注目を浴びる取組であるのにもかかわらず、報道機関に公表されるまで、私どもに、県からこうした情報提供はなかったと思います。  この間の経過は、どのようなものだったのでしょうか。  また、県のホームページでは、この技術実証は、技術やノウハウを活用して、感染症対策を徹底するもので、県も参加した民間団体等のプロジェクトとして実施するといった趣旨の文言が掲載されていますが、民間が主体となる中で、本県がそもそもどのような役割を果たしたのでしょうか。  私は、今回、このコロナ禍で、県内で大規模イベントを行うという大事な問題について、議会に対して、事前の説明に丁寧さを欠いた、このことだけを見ても、極めて遺憾であります。  そこで、知事に伺います。  今回、横浜スタジアムで行われた技術実証について、実施に至るまでの経緯、県の役割、及び技術実証に対する知事の受け止めについて伺います。  〔資料提示〕  次に、本県の観光施策に関する中小企業等への支援について伺います。  県では、平成28年より、市町村や観光協会をはじめとする宿泊や交通事業者、経済団体など、観光に関わる54の団体で構成される神奈川県観光魅力創造協議会を設置し、これまで官民一体となって取り組んできたことは承知しています。  こうした中で、今年に入り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、県内の観光産業はかつてない厳しい状況です。  私は、県が、改めて、これを機に、持続可能な観光を目指すため、地域との共存共栄の観点から、幅広く検討をしていくことが必要であると考えます。  あわせて、これまで国が行ってきたGo To トラベル事業などでは、比較的高額なホテルや旅館が人気を集めている状況にあり、低価格帯の宿泊施設は大変苦戦されているという認識でおります。  私どもは、こうした制度の支援を十分に受けられていない事業者や、経営基盤の比較的弱いと言われる中小・小規模の観光関連事業者に対する支援策について、県として、具体化していくべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  観光に携わる中小企業等に対する支援の在り方と具体的な支援メニューについて、これまでどのように取り組み、また、今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇用対策について伺います。  国連の持続可能な開発目標─SDGsは、誰も置き去りにしないということを基本理念としていますが、その置き去りにされてしまう可能性があると言われる方の多くは、いわゆる貧困層と呼ばれる方々とされ、我が国でも、こうした格差社会による貧困問題が深刻化しています。  ごく普通に生活をしていても、失業や病気等の理由で働けなくなると、その途端に、そこから転げ落ちてしまう。こうした傾向にあるのが、残念ながら、日本のこれまでの雇用の特徴でもあります。  バブル経済崩壊後には、多様な働き方を実現させるという名目で、雇用や派遣労働に関する規制を緩和した結果、パートやアルバイト、非正規雇用で働く方の割合が年々増加し、現在では、我が国の労働者全体の約4割が非正規雇用で働いていると言われています。  〔資料提示〕  また、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う労働者への影響については、連日、新聞などで、早期退職や新規採用の見合せ等が報じられているところであり、総務省が10月30日に発表した労働力調査によれば、非正規雇用労働者は、前年同月比で123万人も減少いたしました。  こうした状況等を受けて、自殺者が増えているなどの報道もあり、これだけを見ても、コロナ禍をきっかけとした雇用悪化のしわ寄せが集中している危機的状況にあると考えます。  さらに、非正規雇用については、同一労働同一賃金を実現するための法改正がなされ、賃金をはじめとする正規雇用との間に、不合理な待遇格差を設けることが禁じられているところでありますが、まだまだ課題は多く残っています。  今回の補正予算案において、県は、生活困窮者の増加に対応する貸付事業費補助として、230億円を計上していますが、私は、こうした転落防止のセーフティネットを強化することに加え、知事も言われる100歳時代において、いのち輝く神奈川の実現のため、生涯賃金という考え方を踏まえた雇用政策の課題を整理し、その上で、今後の支援策を講じていくことが重要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  今後、まずは、非正規雇用と正規雇用との待遇格差の解消や、新型コロナウイルスの感染拡大で職を失った本県の方々の安定した雇用の確保に努めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、コロナ禍における給付金詐欺等への対策について伺います。  コロナ禍においても、不正に自己の利得を得ようとする不届き者がいることについて、各種報道を通じて認識しています。  〔資料提示〕  中でも、政府が緊急経済対策として、事業者や個人事業主等からの申請に基づき、給付している持続化給付金をはじめとした、県民や事業者に対する様々な給付金、助成金の制度を悪用し、その手続の簡便性に付け込んだ不正受給事犯が、全国で多発していることは、誠に許し難いことであります。  こうした各種給付金や助成金の原資は、当然、税金です。このコロナ禍において、悪質極まりない犯罪を放置しておくことは、真面目に頑張っている方々に不公平感を生じさせるものであり、私たちは、警察による徹底した取締りをお願いするところであります。  また、特殊詐欺についても、県警察が、今年から知能犯罪捜査に当たる捜査第二課を中心に、本部と各署に特殊詐欺捜査の専従班を新設するなど、警戒や取締りを徹底していることは承知しておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に便乗し、コロナをだましの言葉に使う事案が発生するなど、依然として、こうした被害に歯止めがかからない状況であると認識しております。  そこで、警察本部長に伺います。  コロナ禍における県内での各種給付金等の不正受給事犯や特殊詐欺事件の発生状況と、それらに対する県警察の取組姿勢について伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 赤野議員の御質問にお答えします。  新型コロナウイルス感染症に関する諸課題について、何点かお尋ねがありました。  まず、新型コロナウイルス感染症の現状認識と今後の見通し、県の役割の明確化についてです。  新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、11月に入ってから、感染拡大が急速なスピードで進み、医療機関の病床逼迫が深刻化しており、危機的な状況に近づきつつあると認識しています。  こうした状況下において、県は、11月27日の新型コロナ対策本部会議で、感染レベルがステージⅢ目前である警戒段階に入ったことを宣言しました。  現時点では、感染拡大が収束する見通しもなく、感染者をケアしていく体制も、当面、厳しい状況が続くと考えています。  こうした深刻な状況が続く中で、今後も、感染拡大の勢いが衰えず、緊急事態宣言が発出される事態となれば、改めて、今年4月の宣言発出時と同様の課題が再現する可能性もあります。  具体的には、知事が休業要請等、特措法上の権限を行使する際に、国との役割分担が明確でないことや、協力金の財源の問題などが挙げられます。  私も、これまで、全国知事会等を通じて、国に繰り返し要望してきましたが、新型コロナのような未曾有の事態においては、国と県との役割分担の明確化が大変重要であり、引き続き、強く国に求めてまいります。  新型コロナの感染拡大は、予断を許さない状況が続きます。県としても、しっかりと状況を見極め、医療崩壊を防ぐための体制整備や感染防止策を進めるため、県の役割も踏まえ、法改正や財源措置など、国に対して、必要な対応を、引き続き求めてまいります。  次に、神奈川モデルを推進するにあたっての改善点についてです。  まず、発熱患者増加に向けた保健所設置市との役割分担と、県民の皆様への情報の周知についてです。  県では、これまで、医療提供体制「神奈川モデル」など、独自の取組を進める中で、市町村と連携するとともに、役割分担をして対策に取り組んできました。  今回の発熱患者の神奈川モデルにおいても、保健所設置市と協議の上、県が、県内全域で予約代行を行う発熱等診療予約センターを設置し、インフルエンザの流行期においても、最大230回線を確保することで、確実に受診につなげることとしています。  一方、新型コロナの濃厚接触者や、感染が疑われる患者を最寄りの保健所へ迅速に案内できるよう、予約センターとは別に、県と保健所設置市それぞれで、コロナ専用のコールセンターを設置し、相互に連携を図りながら、運用しています。  また、予約センターなどの県民の皆様への周知については、県のたより12月号や動画を活用するほか、市町村の広報紙への掲載をお願いするなど、様々な機会を通じて情報提供していきます。  次に、新型コロナ対応の市町村との連携についてです。  県では、保健所設置市と患者搬送の調整や、健康観察等を共同で行うほか、設置市以外の自治体から、県の保健所に保健師を派遣いただくなど、日頃からの協力関係を構築しています。  また、先日、保健所設置市で大規模クラスターが発生した際には、県からC-CATや災害医療支援チーム─DMATなどを速やかに出動させ、市と協力して、患者の搬送や感染対策指導等を行い、クラスターへの早期の対処が可能となるなど、日頃からの連携関係が実を結ぶ事例もありました。  このように、保健所設置市を含めた市町村との連携は、ますます重要となりますので、引き続き、情報共有や協力体制の強化に努め、新型コロナウイルス感染症対策にしっかりと取り組んでまいります。  次に、大規模イベントにおける新型コロナウイルス感染症対策の技術実証についてです。  今年のプロ野球は、新型コロナウイルスの影響によって、閑散とした無観客の中で開始されました。  この状況を見て、私は、来年のオリンピックの競技会場となる横浜スタジアムを、いずれ満員にすることを目指さなければならないと考え、当時、LINEの執行役員でもあった県の江口顧問に、スタジアムを満員にした場合でも、安全に観戦できる方法はないか、検討を始めるよう依頼しました。  後に、県のCIO兼CDOとなった江口氏は、民間で培ったノウハウや機動力を発揮し、DeNA等の民間企業と精力的に調整を進めてくれました。  こうした経過を経て、高精細カメラ等によるマスクの着用率の測定や人の流れの把握などを盛り込んだ技術実証を、本県を含む8者で国に共同提案し、10月15日に政府の分科会に了承いただきました。  10月30日から実施した技術実証では、県は、主に国や参加企業等と総合調整する役割を担いました。また、LINEコロナお知らせシステムを会場内に導入するなどのアイデアを提供したほか、技術実証の目的や内容等を、県のホームページで県民の皆様に正確に情報提供しました。  当日、私もスタジアムに赴き、ほとんどの観客がマスクを着用し、歓声を控えて手拍子で応援する姿を見ました。また、現時点で、クラスターの発生の報告もありません。  こうしたことから、先進技術を活用しながら、適切な対策を講じれば、現在の人数制限を超えても、感染予防環境の実現は可能ではないかと考えています。  現在、本県は、新規感染者が急増し、病床も逼迫するなど、厳しい状況が続いていますが、私は、今回の取組が、今後、大規模イベントにおける国のガイドラインの策定に寄与するとともに、オリンピックの成功に向けての、まずは第一歩となるものと受け止めています。  次に、本県の観光施策に関する中小企業等への支援についてです。  まず、これまでの取組についてです。  新型コロナウイルス感染症の拡大により、観光産業をはじめ、県内産業は深刻な影響を受けており、県では、これまで、様々な対策を講じてきました。  具体的には、中小企業等の事業継続の支援という視点から、アクリル板や換気設備の設置等に対する補助制度を創設するとともに、資金繰り支援のため、無利子融資等の創設や信用保証料補助の拡充などを行いました。  県では、こうした支援制度を観光産業の皆様にも活用していただけるよう、神奈川県観光魅力創造協議会や、観光協会等を通じて周知を行っています。  また、コロナ禍における観光産業を支援するとともに、落ち込んだ観光需要を喚起することが重要です。  そこで、県では、県民限定で県内旅行代金の割引を行う「地元かながわ再発見」推進事業を10月から実施しました。  この事業では、旅行事業者や宿泊施設だけでなく、鉄道事業者や観光施設、土産物屋など、中小企業等をはじめとする様々な事業者に、幅広く支援が行き渡る仕組みとしました。  これにより、観光需要の回復に効果が現れていますが、現在はステージⅢ警戒宣言に伴い、新規販売を一時停止しています。  次に、今後の取組についてです。  「地元かながわ再発見」推進事業は、観光需要の回復に、引き続き効果が期待できますので、追加の事業費を11月補正予算案で計上しています。  事業の再開に当たっては、高価格帯の宿泊施設に支援が偏らないよう、割引額の上限を7,500円から5,000円に引き下げます。  なお、休止した事業の再開を含め、感染状況を見極めながら、適時適切に柔軟な運用をしていきます。  観光産業の裾野は広く、中小企業等を中心とする地域経済に与える影響が極めて大きいことから、今後も、事業継続の支援や観光需要の喚起に取り組むとともに、法人二税の超過課税を活用し、コロナ後にもつながる支援に取り組んでまいります。  次に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇用対策についてです。  新型コロナウイルスの感染拡大により、様々な分野で影響が広がる中、非正規雇用の方の待遇改善を図るとともに、職を失った方の雇用を確保することは、ますます重要となっています。  県は、これまで、非正規雇用の方の待遇改善に向け、企業向けセミナーの開催や、中小企業向けに作成した働き方改革ガイドブックによる普及啓発などを行ってきました。  今年度は、こうした取組に加え、コロナ禍においても、企業が非正規も含めた雇用を維持できるよう、雇用調整助成金の活用に関する個別相談会も実施しています。  また、採用内定が取り消された方や雇い止めにより、職を失った方、約100名を、県の非常勤職員として緊急雇用してきました。  こうした中、正規雇用と非正規雇用との間の不合理な待遇格差を是正するための同一労働同一賃金制度が、来年4月から中小企業にも適用されることから、その対応が難しい中小企業を支援する必要があります。  そこで、同一労働同一賃金の実現に向けた手順や留意点を解説するセミナーを開催するほか、来年2月と3月を非正規雇用に関する労働相談強化期間として、正規雇用との間の待遇格差の解消を促していきます。  また、厚生労働省によれば、新型コロナウイルス感染症の影響により、解雇された労働者のうち、非正規雇用の方が約6割を占めており、こうした方の職の確保を支援する必要があります。  そこで、コロナ禍で職を失った方や、不本意ながら非正規雇用を繰り返している就職氷河期世代の方を対象とした就職面接会を実施し、安定した収入を得られる正規雇用の職が確保できるよう支援いたします。  こうした取組により、非正規雇用と正規雇用の待遇格差の解消を図るとともに、コロナ禍で職を失った方に、安定した雇用が確保できるよう努めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(大賀眞一)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 大賀警察本部長。 ◎警察本部長(大賀眞一) コロナ禍における給付金詐欺等への対策についてお答えいたします。  新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急経済対策として、政府が施行している給付金等の不正受給事案が、全国的に多発しているものと承知しております。  特に、持続化給付金については、県内においても、申請名義人やその家族が警察署を訪れ、不正受給事案を自ら申告したり、知人から不正申請を持ちかけられたといった相談等が相次いでおりまして、11月25日時点で、事件性が判然としないものも含めまして、約130件を把握しているところであります。  県警察においては、持続化給付金の詐欺について、同日時点で、3件、5人を検挙しており、立件総額は300万円となっております。  また、県内における特殊詐欺の認知件数は、本年10月末現在、1,508件でありまして、前年同期比756件、約33.4%の減少となっております。  被害総額は約28億200万円で、前年同期比約15億3,900万円、約35.5%の減少となるなど、認知件数、被害額ともに減少はしているものの、いまだ被害の発生に歯止めがかかっておりません。  このうち、新型コロナウイルス感染症に便乗した特殊詐欺の被害については、本年10月末現在、10件認知しておりまして、被害総額は約670万円となっており、犯行グループは、社会情勢に応じた、だましの言葉を使うなど、手口を巧妙化させながら、県民の大切な財産を狙っているという現状に変わりはありません。  一方、県内における特殊詐欺被疑者の検挙状況については、検挙件数552件、検挙人員186人と、いずれも前年同期比で増加し、検挙率についても、36.6%で18.1ポイント上昇しております。  今後も、県警察においては、給付金等の不正受給事案につき、法と証拠に基づいて厳正に対処してまいります。  また、県警察の最重要課題の一つである特殊詐欺対策については、県民の方々に対する広報啓発活動などにより、被害防止を図るとともに、現場における検挙活動や上位被疑者への突き上げ捜査を徹底し、その撲滅に向けた取組を推進してまいる所存であります。  以上でございます。  〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 赤野たかし君。  〔赤野たかし議員登壇〕 ◆赤野たかし議員 知事と警察本部長に答弁を頂きました。  それでは、知事に再質問させていただきたいと思います。  神奈川モデルを推進するにあたっての改善点についての再質問です。  県がリーダーシップを発揮し、保健所設置市と詳細に調整しながら、発熱等診療予約センターを配置したことは、受診難民を出さないという観点からも、とても重要な取組であると考えます。  しかし、こうした一方で、受診体制が整えられた中で、今後、実際の検査体制が極めて重要となってまいります。  東京都では、厚労省が行った季節性インフルエンザ流行期における検査・医療体制という調査で、ピーク時の検査能力を1日当たり6万5,000件と想定し、来月12月までに対応できる検査体制を整えると発表したことは承知しています。  そこで、本県では、こうした検査能力について、PCR検査も含めて、これをどのように試算しているのか、また、検査需要から見た場合に、それを賄えることができるのかについても、併せて伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  本県では、発熱診療の神奈川モデルとして、検査ありきではなくて、医師の臨床診断を重視する方法も取り入れております。つまり、全部に検査をするというのではなくて、医師の診断によって、まずは、インフルエンザということを疑って、インフルエンザの治療をするといったことで、様子を見て、そして、それで効果がなければ、そこから先に検査をすると、こういった独自のやり方、これを県の医師会、そして病院協会と共に相談の上、こういう形をつくっているわけであります。  そのことによって、過去数年間で発熱患者数が最も多かった日の人数は約2万7,000人ですけれども、適正に診療を行うことにより、検査需要は約1万2,000人に減少すると推計しております。  検査能力につきましては、医療機関等への調査の結果、PCR検査、約9,700件に抗原検査の簡易キットの利用なども加えますと、約1万9,500件となっています。1万2,000人に対して1万9,500件の検査体制でありますから、十分賄えるというふうに考えております。  答弁は以上です。  〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 赤野たかし君。  〔赤野たかし議員登壇〕 ◆赤野たかし議員 知事に再答弁を頂きました。  それでは、意見、要望を申し上げさせていただきたいと思います。  私からは、まず、コロナの現状認識と、今後の見通しを踏まえた県の役割を明確化することについて質問させていただきました。これは、非常時における県の役割をはっきりさせたいという思いから、質問させていただいたわけであります。  もちろん、行政の支援というのは、幅広でなければいけないことは申し上げるまでもありませんが、しかし、その中で、これだけは何としてでもやるんだという、知事の強い覚悟を確認させていただきたかったということがございます。  本県におけるPCR検査を含む、厚労省の検査・医療体制の調査において、本県が試算した数字においても、先ほどの再質問でお答えを頂きました。  先ほどの答弁では、検査需要1万2,000件に対して、能力が1万9,500件ということで、賄えるというお話でございましたが、これは申し上げるまでもなく、あくまで試算でございますので、この試算を、仮の話でございますけれども、大幅に超えてしまうということになれば、これは私どもが一番懸念している、医療崩壊といった事態にもつながってしまうわけであります。  先日の報道によれば、県の医療機関の病床数について、実際には目標数を確保していないという報道もなされていたところでございます。  医療現場の皆様の御苦労は、計り知れないものがございますけれども、県として、医療機関等と緊密に連絡を取っていただきまして、その上で、県民の皆様に対して、分かりやすく、そして正確な情報の発信をお願いいたします。  次に、大規模イベントにおける新型コロナウイルス感染症対策の技術実証についてです。  この非常時でございますから、中には、国から、十分な周知期間もなく、急な要請がある、こういった事態も一定程度、私は理解します。しかし、これだけたくさんの方が集まる県内のイベントについて、私どもが事前に何も把握できていないというのは、やはり問題であると思います。  先ほど知事からは、様々なこれまでの経緯ですとか、知事の受け止めについて答弁を頂きましたけれども、今後は、知事には丁寧な説明をお願いするものでございます。  次に、本県の観光施策に関する中小企業等への支援についてでございます。  国が進める施策に対して、県が追随するだけではなくて、常に客観視し、それを補う役割を担う、私が考える県の役割の一つだと思っています。  県内の観光事業者の皆様も、このコロナ禍で、大変な思いをされています。Go To事業による支援をなかなか受けられない事業者の方を、いかに支援していくか。県の景気対策の役割の一つは、中小企業・小規模企業の支援であると考えます。ぜひ、その視点を忘れることなく、今後も支援に取り組んでいただきたいと思います。  次に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇用対策についてです。  このコロナ禍で、非正規雇用の方はもちろん、独り親家庭、また学生さんのアルバイトといった雇用面についても、様々な社会のいろいろなところで、今、影響が出始めております。  転落防止のセーフティネットの強化に加え、知事には、生涯賃金という観点からも、御答弁を頂きました。本県が行う雇用対策をはじめとする施策に、ぜひこういった視点を努めていただきたいと思います。  次に、警察本部長から答弁頂きました、コロナ禍における給付金詐欺等への対策についてです。  今後も、各種給付金等の制度に係る不正受給の発生抑止と、厳しい環境下で真面目に頑張っている方々に不公平感を生じさせないためにも、警察の徹底した検挙を望むものでございます。  特殊詐欺については、先ほどかなり減少したというお話も頂きましたが、社会情勢に応じて手口を変化させ、日々、悪質・巧妙化しています。一日も早く、犯罪組織の全容解明を急いでいただいて、こうした組織の中枢を壊滅していただきたいと思います。  また、昨日の報道で、Go To トラベルで配られる電子クーポンを計約54万円分、詐取したとして、警視庁に県内の男性が逮捕されたという報道がございました。Go To トラベルクーポンをめぐる詐欺事件の摘発は、全国初ということでございました。  今後も引き続き、警察組織一丸となって、検挙と抑止の両面から、その撲滅に向けて御尽力いただくことを要望いたします。  〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 赤野たかし君。  〔赤野たかし議員登壇〕 ◆赤野たかし 議員  〔資料提示〕  質問の第2は、本県が積極的に取り組むべき重要施策について伺います。  初めに、本県への移住促進について伺います。  国は、まち・ひと・しごと創生総合戦略において、2020年までに、地方と東京圏との転入・転出を均衡させるという目標を掲げていましたが、それが達成できず、2019年12月に策定した第2期総合戦略において、2024年までの目標として再設定し、地方への移住・定着を促進しているところであります。  こうした中で、今年の4月から8月にかけて、東京、神奈川、千葉、埼玉を対象に、民間事業者が賃貸物件についてまとめた調査結果によれば、借りて住みたい街ランキング1位に本厚木駅が選ばれ、問合せ増加率ランキングでも、相模原駅、小田原駅がそれぞれ4位と5位になるなど、比較的郊外のまちが選ばれる傾向となっています。  〔資料提示〕  こうした郊外化志向は、私がこれまで指摘してきた、総務省の調査で、神奈川県民の平日の通勤・通学時間の平均時間、1時間45分と、全国で一番長いという状況下において、テレワークやサテライトオフィスをはじめとするリモートワークが導入された結果、毎日の通勤時間を考慮することが少なくなり、感染リスクに対する安全性・安心感にも着目し、住むところを選びたいという意識の高まりだと考えます。  首都圏では、郊外型シェアオフィスを新・増設しているほか、県内各地に、おしゃれで先進的なコワーキングスペースも見られています。  県として、コロナ禍において、本県が都心からの移住候補地として注目されている流れをしっかりと捉え、人口減少地域における移住・定着の促進を一層図っていくことが、大変重要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍における社会や意識の変化を捉え、県として、神奈川の魅力を伝え、神奈川県への移住をさらに促進すべきと考えますが、県として、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、伺います。  〔資料提示〕  次に、かながわコロナ医療・福祉等応援基金をはじめとする寄附文化の醸成についてです。  県は、今年5月15日より、かながわコロナ医療・福祉等応援基金の受入れをスタートさせ、今年11月20日までに、3,419件、県議会議員の期末手当の一部や、知事や職員の給与の減額を含めた6億8,000万円を含む13億6,000万円について、基金への積立金を集めることができたことについて、私も承知いたしております。  私は、これまでも、いわゆる休眠預金による新たな助成制度について、NPO等が有効に活用して資金調達ができるよう、県としての支援をお願いしてまいりました。  県は、こうした寄附に対する認識について、様々な社会的課題の解決に、寄附者が主体的に参画できる重要な手段であり、これが文化として醸成されれば、寄附を通じた社会貢献の輪が大きく広がっていくものとしました。  また、多くの方々に共感いただけるような事業を、寄附の選択肢として増やし、事業のさらなる充実に活用するとともに、その成果についても、広く周知を図り、寄附文化の醸成につなげていく、ともしてきたところであります。  もちろん、申し上げるまでもなく、県は行政機関でありますので、本来は、県民の皆様からお預かりした税金で、行政運営がなされるべきと考えます。  しかしながら、こうした時代であればこそ、寄附文化の醸成を通じて、様々な角度から議論を重ねるべきだと考えるのです。  私は、こうしたコロナ禍で、改めて、県に対する寄附について、周知を行い、税金との使途の相違を含め、双方の事業の見える化を進める中で、施策を進めていくべきと考えます。  その上で、寄附を募集する中、大事なことは、寄附者の思いであり、それが何に使われるかということであります。  コロナ基金では、医療・福祉従事者への県産品や旅行補助券の贈呈などに使われたと承知していますが、それが寄附者の多くの意思に基づくものであるのか、いま一度、検証すべきと考えます。  また、県のホームページにある寄附金の活用状況を見ても、率直に申し上げて、多くの寄附者が、成果として納得するような説明がなされていません。これでは、多くの寄附が集まらないのは当然であり、その本気度も感じられません。  そこで、知事に伺います。  県の基金全般について、県民等から頂いた寄附を何に使ったかということについて、それが寄附者の意思に沿ったものであるのか、検証が必要と考えますが、所見を伺います。  また、寄附について、多くの県民に共感いただけるような事業をリアルタイムに、これまで以上に、選択肢として増やすことに加え、これまでの複数年の寄附金額の実績と、その事業の成果についても、広く周知を図り、本県の寄附文化の醸成につなげていくべきと考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、質の高い教育に向けた取組について伺います。  まずは、県立高校の魅力の向上のための取組についてです。  現代の社会は、人工知能やビッグデータ等の先端技術が高度化し、それらが産業や社会生活に取り入れられるSociety5.0の時代が到来しつつあり、社会の在り方そのものが劇的に変化してきています。  〔資料提示〕  現在、質の高い教育の充実や学校経営力の向上などを改革の柱として、県立高校改革が進められているところでありますが、持続可能な社会の創り手となる人材を育成することなど、社会からの要請を意識して、各県立高校の教育活動について、常に確認しながら、教育の質の向上を目指していくことが必要であると考えます。  私は、これまで多くの学校を視察させていただき、教員が授業内容を工夫して、学習に取り組んでいるところが増え、こうした取組が生徒の学力向上に成果を上げていると承知しています。  県立高校の役割は、進学実績を上げるだけではなく、生徒にとって、将来にわたって必要となる能力を育成することにあると考えています。  そうした視点では、課題設定から解決のプロセスで、探究的に学ぶ、PBL─課題解決型学習は効果的であり、今後、県立高校の授業の中で、さらに積極的に取り組んでいただきたいと考えています。  そのためには、各学校の教員が、生徒の学びや成長のために、何が必要かという視点に立って、これまで以上に教育活動の充実に取り組み、県立高校の魅力を高めていくなど、教員の意識改革を進めることも必要だと考えます。  そこで、教育長に伺います。  現在、各県立高校の魅力を高めるために、具体的にどのような取組が行われているのか。また、県立高校の教育の質を高め、魅力を向上させるための教員の意識改革に関する所見を教育長に伺います。  〔資料提示〕  次に、神奈川県まなびや基金について伺います。  まなびや基金については、私どもの会派として、これまでに何度も取り上げてきたところであります。  昨年9月の代表質問の際には、まなびや基金の現状認識と、寄附文化の醸成につながるような今後の取組について質問をし、教育長からは、各学校から、整備箇所やその教育的効果、さらには、地域への貢献策などの、その学校ならではの特色を打ち出した提案を募り、その整備事業に対して寄附を募集するという、新たな仕組みを検討するといった、大変前向きな御答弁を頂いたところであります。  〔資料提示〕  そして、まなびや基金の新たな仕組みについては、以前、私からも提言させていただいたように、生徒や学校が主体的に学校づくりに関わることで、外国語をもっと学習したいですとか、部活動を充実させるための楽器ですとか、グラウンドの照明を整備したいといったレベルにとどまらず、先ほど取り上げさせていただいたPBL─課題解決型学習をやりたいといった思いも、形にできる制度であってほしいと考えます。  現在、コロナ禍で、社会の先行きがなかなか見通せない状況にありますが、こうした厳しい時代だからこそ、次世代を担う高校生たちを応援したい、また、こうした教育が必要だということに、多くの皆様から共感をしていただけるのではないかと考えます。  新たな取組を実施するためには、ある程度、時間がかかるということも理解しますが、生徒は年々進級、卒業していくわけです。私は、生徒や学校が、主体的に学校づくりについて考える制度を早期に創設し、寄附の募集を開始すべきではないかと考えます。  そこで、教育長に伺います。  神奈川県まなびや基金については、これまでに、各学校から、整備箇所やその教育的効果、さらには、地域への貢献策などの、その学校ならではの特色を打ち出した提案を募り、その整備事業に対して、寄附を募集するといった新たな仕組みを検討し、本年度中にスタートするとの答弁を頂いているところでございますけれども、現在の進捗状況と、今後の具体的なスケジュールについて、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、洪水ハザードマップについて伺います。  近年、毎年のように、全国各地で、地震や台風などの自然災害が発生しています。特に風水害については、この3年を振り返っただけでも、西日本豪雨や令和元年房総半島台風、そして、令和2年7月豪雨などにより、大規模な被害が生じたことは記憶に新しいところです。  本県では、昨年の台風等による大規模な風水害における課題を踏まえ、水害への対応力強化のための対策として、今年2月に神奈川県水防災戦略を策定し、私も、計画的、重点的に風水害対策を進めていることは承知しています。  こうした中で、11月18日の読売新聞の報道によれば、風水害による被害の軽減を図る一つの取組として、県内8市において、市が管理している河川が氾濫した際の浸水エリアを独自に解析し、洪水浸水想定区域図を作成しているとのことであり、これを洪水ハザードマップに反映させているとのことでございます。  また、別の報道によれば、各種あるハザードマップのうち、1,000年に一度級の大雨を想定した洪水ハザードマップを公表している市区町村は、全国で59%にとどまり、神奈川県の市町村は68%であるとのことでした。  〔資料提示〕  洪水ハザードマップは、県が作成する洪水浸水想定区域図を基に、市町村が作成していることは承知しておりますが、今年7月豪雨の洪水被害などを受け、避難に対する県民の関心は、今まで以上に高まっている状況であると考えます。  そこで、知事に伺います。  県として、洪水ハザードマップが未公表である市町村の状況把握と、洪水ハザードマップの作成に向けた支援について、今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 本県が積極的に取り組むべき重要施策について、何点かお尋ねがありました。  まず、本県への移住促進についてです。  今般のコロナ禍では、テレワークなどの普及に伴い、都心に住む利便性より、3密回避などを優先して居住地を選択する人々が増えるなど、意識や行動に変化が見られます。  こうした変化は、都心へのアクセスがよく、自然も豊かな本県にとって、二地域居住や移住をさらに促進していく大きなチャンスと認識しています。  そこで、県は、これまでの移住・定住促進策に加え、テレワークを活用した新しい働き方ができる環境づくりに取り組んでいきます。  具体的には、企業等が共用型サテライトオフィスを設置する際の補助制度を創設し、普及が進んでいない地域での整備を支援していきます。  また、人口減少が進む三浦半島や県西地域などの市町村と連携して、自然豊かな場所で余暇を楽しみながら働くワーケーションを推進、テレワークに積極的な都心の企業等に魅力的な施設やコンテンツをアピールしていきます。  あわせて、都心の住民に向け、実際に本県に移住した方が実践しているテレワーク等の新しい働き方や、自然の中での余暇の楽しみ方などを、移住セミナーや動画配信を活用して紹介したり、先輩移住者等との交流の機会を設けていきます。  このように、企業向け、都心住民向け、両面でのアプローチにより、Withコロナ時代に対応した新しい働き方が実現できる「ちょこっと田舎でオシャレな神奈川」への移住促進につなげてまいります。  次に、かながわコロナ医療・福祉等応援基金をはじめとする寄附文化の醸成についてです。  まず、寄附の使い道に関する検証についてです。  寄附の募集においては、その具体的な使い道について、寄附者の共感や賛同が得られることが大切です。しかしながら、その使い道が寄附者の意向に沿ったものであったか、事後に検証することは、時間や費用の面から困難です。  そのため、寄附を募る際には、コロナ医療・福祉等応援基金のように、その具体的な使い道について、寄附者や現場従事者の意見も聴きながら立案するなど、寄附者の意向ができるだけ反映できるよう取り組んでいます。  今後も、事業の趣旨や内容を一層明確にするとともに、具体的な使い道についても、ホームページにおいて、寄附者に意見を伺う仕組みを構築し、その反映に努めてまいります。  次に、寄附文化の醸成についてです。  寄附は、ふるさと納税制度の普及により、地域課題の解決に寄附者が主体的に参画できる手段の一つとして定着していますが、寄附者の裾野をさらに広げ、寄附文化を醸成していくことが重要であると考えています。  そこで、県では、昨年度、社会貢献意識の向上という視点から、寄附事業を新たに四つ追加するなど、寄附の選択肢を広げることで、県の施策に対する寄附者のさらなる関心や共感の獲得に取り組んでいます。  今後も、寄附者の意見を聴取することなどにより、寄附の選択肢拡充やその活用内容の一層の明確化を図ります。  また、複数年度の寄附実績や事業費全体における寄附額をお示しするほか、寄附の成果を実感してもらえるよう、具体的な事業の成果などについても広く周知を図り、寄附文化の醸成につなげてまいります。  次に、洪水ハザードマップについてです。  市町村が作成する洪水ハザードマップは、住民が自宅などの浸水の危険性をあらかじめ把握し、いざというときに迅速な避難を行う上で、極めて重要な情報です。  洪水ハザードマップは、水防法に基づいて、県が提供する洪水浸水想定区域図を基に、市町村が避難所情報等を加えて作成するもので、県内では、対象河川がない市町を除き、全ての市町村が作成しています。  こうした中、平成27年に水防法が改正され、想定し得る最大規模の降雨を対象に、新たな洪水浸水想定区域図の作成が求められたことから、県では、これまで、順次、その作成を進め、本年4月までに全ての対象河川の区域図を公表しました。  これに伴い、市町村は、洪水ハザードマップを新たに作成する必要がありますが、現時点で、対象となる54市区町村のうち、14市区町村が未作成となっています。  そこで、県は、市町村が行うハザードマップの作成を支援するため、今年度から、地域防災力強化事業費補助金の補助率を、これまでの3分の1から2分の1に引き上げ、財政支援を強化しています。  これを活用して、現在、8市区町村が洪水ハザードマップの作成に取り組んでいます。  県では、未作成の市町村が、今後3年以内を目途に洪水ハザードマップを作成できるよう、積極的に働きかけてまいります。  県としては、こうした取組を通じて、大規模な風水害から県民の皆様の命を守るため、市町村が行う新たな洪水ハザードマップの作成を、しっかりと促進してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  県立高校の魅力の向上のための取組についてです。  まず、県立高校の魅力を高めるための具体的な取組についてです。  県立高校では、校長のリーダーシップの下、各学校の教育目標等を明確に示すとともに、魅力あるカリキュラムの編成や教材の開発を進め、これからの社会の担い手である生徒にとって、必要な資質・能力の育成を図っています。  例えば、各学校では、総合的な探求の時間において、身近な事象の中から課題を見つけ出し、仮説を立て、実験・検証を行い、結果について考察するといった課題解決型の学習を行うなど、生徒が興味、関心を持てる教育活動を展開しています。  また、スーパーサイエンスハイスクールでは、課題研究に当たり、大学や研究機関等と連携し、生徒に最先端の科学技術や研究に触れる機会を提供することで、専門的な指導、助言等を受けられるなど、生徒の探求的な学びに成果を上げております。  こうした各学校での教育活動には、それを支える教員が共通の意識を持ち、取り組んでいくことが必要です。  変化の激しいこれからの社会を生きていく生徒を教える教員には、高い指導力を保ちつつ、日々研さんを重ね、教育の質をさらに高めていくという意識を持ち続けることが求められています。  そのため、県教育委員会では、全ての県立高校で、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業研究等、教員が主体的に参画する組織的な授業改善を進めており、こうした取組が教員の意識改革につながっていくものと認識しております。  次に、神奈川県まなびや基金についてです。  平成21年度に創設した神奈川県まなびや基金には、これまでに11億円を超える寄附を頂き、県立学校等の環境整備に活用しています。  しかし、その寄附については、同窓会など、学校関係者からのものが多くを占め、同窓会の規模などで、学校間に偏りが生じているのが実情です。  そこで、現在、これまでの仕組みに加えて、こうした偏りがなく、どの学校でも寄附を頂けるような新たな仕組みを検討しています。  仕組みの内容としては、学校自らがその特色や地域性などを生かして、整備内容、募集金額、成果目標などの事業プランを作成し、県教育委員会に提案する、県教育委員会はその事業プランを確認の上、学校と連携しながら、広く寄附を呼びかける、そして、事業実施後には成果目標が達成できたかどうか、その結果を公表する、といった事業提案型の寄附募集を考えています。  例えば、事業プランとしては、吹奏楽部が盛んな学校が、県コンクール入賞という成果目標を立て、それに必要な楽器の購入のために寄附を募集する、といったことも想定しています。  現在、その細部を詰めていますが、今後、各学校長への説明、周知を行った上で、来年早々には、各学校からの事業プランの募集を行い、新たな仕組みをスタートする予定です。  また、各学校からの事業プランの募集については、学校における新型コロナウイルス感染症への対応等も考慮し、3か月程度の期間を設定しますが、その期間内であっても、事業プランが調った学校から順次、寄附の募集を行える仕組みとしてまいります。  以上でございます。  〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 赤野たかし君。  〔赤野たかし議員登壇〕 ◆赤野たかし議員 知事並びに教育長から前向きな答弁を頂いたという認識でおります。  それでは、今の答弁を受けまして、知事に、かながわコロナ医療・福祉等応援基金をはじめとする寄附文化の醸成について、再質問させていただきたいと思います。  先ほど申し上げました、県のホームページにある寄附金の活用状況を見ますと、その事業それぞれに所管するところが違うということもあるのでしょう。サイトの掲載内容に、かなり温度差があるように感じています。  こうしたことを解消するために、私は、これらに関係する所管課同士が早期に集まっていただいて、寄附文化の醸成について話し合う場を設けていただくべきではないかと思いますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  寄附文化を醸成する上では、寄附を活用する事業の趣旨や内容だけでなく、事業の成果や活用状況について、積極的に周知を図ることは大切だと考えております。  こうした意識の共有でありますとか、ホームページにおける掲載内容の一層の充実のため、議員御提案のように、今年度中にも関係課による会議を開催してまいりたい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 赤野たかし君。  〔赤野たかし議員登壇〕 ◆赤野たかし議員 知事に再答弁を頂きました。  それでは、意見、要望を申し上げさせていただきます。  まずは、かながわコロナ医療・福祉等応援基金をはじめとする寄附文化の醸成についてであります。  担当する部署に、今年度中に集まっていただけるという前向きなお話も頂きました。  県が寄附をお願いする際に大事なことは、まずは、お預かりしたお金が正しく使われているか、ということは、申し上げるまでもありません。  今回、寄附についての実績や成果等について、丁寧に周知を行うよう、申し上げさせていただいたところでありますが、これは当然、税金で行われている、ほかの事務・事業が、同様になされているという前提で行われなければなりません。  今後、県は、さらに、各種事業について、何をやっていますという抽象的なところにとどまらず、何をやりましたという実績、成果の報告に強く意識をしていただいて、県民の多くのニーズに応えていただきたいと思います。  また、寄附を所管する話合いを早期に行うことについて、先ほどの答弁を頂いたわけでございますが、それを定期的に、継続的に行うことも大事であると思いますので、要望させていただきます。  次に、本県への移住促進についてであります。  知事から前向きな答弁を頂きました。  県が、現在、実施している移住相談─ちょこっと田舎・かながわライフ支援センターとか、県ホームページでも募集している、かながわフレンズとか、私もいろいろ調べさせていただいたのですが、率直に、あまり上手にいっていないのかという事業も見受けられます。  この数日でも、これは他県のことでありますけれども、マスコミ報道で、熱海ですとか、軽井沢ですとか、あの辺の不動産物件の問合せが急増しているという、そういった報道もなされているところであります。  こうした、ある意味、移住促進については、追い風でもございますので、これまで行ってきた移住促進に関する事業の見直しの検討についても、早急にお願いをいたしたいと思います。  次に、質の高い教育に向けた取組についてでございます。  教育長には、大変細かいスケジュールまで答弁を頂きました。  全国では、大学生と企業、自治体が連携するPBLの取組が広がっています。日経新聞が国内の大学に2019年度に調査したところによりますと、学長らが拡充を検討している分野で最も多かったのは、このPBLであったという報道がございました。  こうした背景には、グローバル化であるとか、デジタル化であるとか、社会の変化に対応して、実践的な人材の教育の重要性が強く認識されていることは、申し上げるまでもありません。  私は、今の日本に必要なのは、若い人たちに、PBLなどの学習を通じて、社会を変革できるのだという意識を強く持ってもらうことであると考えます。  そして、そのための手段の一つが、まなびや基金であるということを、私は考えているわけであります。高校生と地域が一体となって、理想の学びやをつくっていく、そういったことを提案させていただいたわけでございます。期待しておりますので、ぜひとも、よろしくお願いいたします。  次に、洪水ハザードマップについてです。  知事からは、今後の取組について、明確な数字も出していただきました。3年以内という話でございます。  近年、報道などで異常気象という言葉をよく耳にするわけですけれども、この言葉自体を普通に受け入れてしまっているということに、私は、大変強い危機感を感じているところでございます。  県として、市町村と連携、支援もしていただきまして、県民の皆様の耳に残る防災情報に努めていただきますよう、お願いをいたします。  〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 赤野たかし君。  〔赤野たかし議員登壇〕 ◆赤野たかし 議員  〔資料提示〕  質問の第3は、本県事業の抜本的な見直しについて伺います。  初めに、横浜市のカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致についてです。  去る10月9日、政府がカジノを含む統合型リゾートの選定基準などを示す基本方針について、新たな案を示したのを受け、横浜市は、コロナ禍などの影響で延期していた実施方針の公表に向けた手続を再開し、10月13日には、昨年募集したIR区域の整備を実施する事業者からの提案概要を明らかにしました。  私どもは、現在、横浜市が進めるカジノを含むIR誘致について、県として、協力すべきではないと考えており、これまでも、県に対し、横浜市との協議や、実施方針等の同意の求めにも応じるべきではないと、強く申し入れてまいりました。  こうした中で、県はギャンブル等依存症対策推進計画の策定に向け、今月に開催された神奈川県ギャンブル等依存症対策推進協議会の基礎データとして、県民の実態を調べた調査結果を公開し、それによれば、生涯にギャンブル等依存症が疑われる方の推計値について4.9%としました。  また、11月5日の産経新聞の報道によりますと、これを受けた県側のコメントとして、ギャンブル等依存症への対策は、しっかりと行わなければならない重要な施策だと強調し、ギャンブル等依存症対策推進計画の策定に向けた意欲を示したほか、依存症は病気、放っておいても治るものではなく、的確な治療が必要だ。問題は、本人に病気という自覚がないことが多いとの言及がありました。  さらに、11月17日には、横浜イノベーションIR協議会が初めて開催され、これには知事も、IR整備法に基づく同協議会の構成員として、出席されたことは承知しています。  この協議会の中で、横浜市は、会議を非公開にすることができると定めた市の条例を根拠に、議事の一部を非公開とするよう提案。報道によれば、知事を含む、構成メンバーからの異論はなかったとあります。  このほかにも、誘致に積極的な横浜市は、11月15日には、新聞各紙に折り込む形で、広報よこはま特別号を配布しています。  配布された広報紙によれば、IRがもたらす経済的社会的効果として、IR区域内の消費額について、年間4,900億円から6,900億円。開業後の市内の経済波及効果は、年間7,400億円から9,700億円。また、地方自治体への増収効果として、年間860億円から1,000億円を見込んでいるとのことでありました。  私は、こうしたカジノによる経済等への影響は、大きく分けて、五つあると考えています。  一つ目は、特に初期段階に投じられる建設事業等への波及効果です。そして、二つ目としては、開業後の周辺施設の宿泊、飲食、ショッピング等によるもので、特に推進する側が強調される経済への影響は、この二つではないかと認識しています。  しかしながら、私は、カジノには、このほかにも、横浜市の言うこととは別に、決して、プラスと捉えることはできない、三つの側面があると考えます。  まず、横浜市のカジノ計画は、国庫納付金と認定都道府県等納付金といった、いわゆるカジノ税として、これはカジノ行為粗利益の30%とされていますが、そもそもこの事業に、海外のカジノ事業者が進出することになれば、他の多くの国で見られるケースと違って、自国内でお金が回らないという事態にもなります。  また、カジノで使うお金は、カニバリゼーションという、これは共食いという意味でありますが、もともと生産性がある行為ではないため、お金の消費先が変わっただけのことでありますので、当然、カジノで負けてしまった分、ほかへの消費は落ち込むことにもなります。  さらに、さきに申し上げました、ギャンブル依存症や生活困窮対策を含む様々な社会保障、犯罪防止施策等に代表されるソーシャルコストについて言えば、現時点で、まるで考慮されていないことは明らかであります。  私どもは、こうした経済の面だけを見ても、横浜市の言う、都合のよい経済効果だけを取り上げるのではなく、県が広域自治体として、様々な観点からの影響を考慮した上で、カジノ事業の本質を見極めるべきだと考えます。  そこで、知事に伺います。  知事は、横浜イノベーションIR協議会の初会合に、構成員として出席されましたが、ギャンブル等依存症をはじめとする、IRの設置、運営に伴う対策について、言及をされたのか伺います。  また、出席者の一人として、知事が議事の一部非公開に賛同した理由についても、伺います。  さらに、横浜市は、カジノ納付金や法人市民税などの同市への増収効果として、年間860億円から1,000億円を見込んでいるとのことでありますが、本県に対する増収効果の見込額についても伺います。  〔資料提示〕  次に、知事の二重行政と特別自治市に対する認識について伺います。  私はこれまで、知事に、県と指定都市との間にある二重行政と、横浜市などが主張する特別自治市に対する認識について、何度も質問してきたとの認識がありますが、特別自治市に対する知事からの答弁は、県の広域的課題に対する総合的・一体的な取組が阻害されるなど、解決すべき課題が多い制度であるとするものの、本県として、具体的な議論に進展することがなく、誠に残念であります。  また、去る10月16日の知事の定例会見では、県と横浜、川崎、相模原の3指定都市との関係について、二重行政の問題があるとは思っていない。もし二重行政と感じられるものがあれば、いつでも申し出てください、という仕組みになっているとコメントされたことについては、さらに残念であります。  こうした中で、11月1日の大阪都構想の住民投票後、県内の三つの指定都市の市長が、次のコメントを出されました。  横浜市の林市長は、住民投票を契機として、二重行政の解消など、指定都市制度の課題について、改めて国民の皆様の関心が高まったとし、横浜市の今後については、都市の一体性や総合力や地域のつながりを生かした、特別自治市の早期実現に向け、他の指定都市と連携していくという見解を示しました。  また、川崎市の福田市長は、大都市制度を住民が深く考える、よいきっかけになったのではないか、これを機会に、いろんな考え方が市民から出てくる。特別自治市についても、理解が進むのではないかと期待を示されました。  さらに、相模原市の本村市長も、大都市制度の在り方等について一石を投じたと考えており、今後も、より活発な議論が生まれることを期待したいと思う、などとコメントされ、まさにこうした議論は、県内でも待ったなしの状況になっていると、私は考えます。  知事は、11月4日の定例会見でも、横浜市や川崎市が、特別自治市を目指していることについて、まず指定都市自らが判断されることとしたほか、11月16日に、久しぶりに開催された、県と指定都市との調整会議の場において、知事は、県から指定都市の権限移譲について、住民の目線で考え、地域に必要なものであれば、特段の支障がない限り、移譲していきたいとの考え方を示されたことは、承知しています。  〔資料提示〕  ちなみに、この同じ日である11月16日には、指定都市市長会の会長でもある横浜市の林市長が、政府に対し、特別自治市制度の早期実現などを求める、国への提言を提出しています。政府側も、これに前向きな姿勢を示したとの報道もあり、早速、指定都市市長会は、特別自治市の実現に向け、専門チームを新設し、来年5月に中間報告をまとめる予定との報道もありました。  そこで、知事に伺います。  改めて、本県と県内3指定都市との間に生じる二重行政についての認識と、知事が11月4日の記者会見において、指定都市が特別自治市を目指していることについて、まず指定都市自らが判断されることとした理由について、併せて伺います。  また、知事が11月16日の調整会議の場において、県から指定都市の権限移譲について、住民の目線で考え、地域に必要なものであれば、特段の支障がない限り、移譲していきたいとの考えを示したことについて、県は特別自治市を容認したとの受け止めなのかについても伺います。  〔資料提示〕  次は、未病改善事業の事業効果について伺います。  黒岩知事が就任されて以来、県は、健康長寿の実現を目指して、食、運動、社会参加の三つを柱に、未病改善の取組を進めてきました。  〔資料提示〕  この中には、ライフステージに応じた未病改善の取組として、子供、女性、働く世代、高齢者をターゲットとした取組や、市町村等と連携し、県民に身近な場所で、未病改善のための情報を提供する未病センターの設置などが挙げられるところです。  しかしながら、こうした取組は、税金を使っての事業です。一定期間が経過すれば、例えば、未病センターをつくった結果、県民にどのような効果があったかなど、未病改善の取組による具体的な効果の把握が望まれることは、当然であります。  このコロナ禍で、外出を控えられたり、デイサービス等に通えない状況になった高齢者の方などは、運動量が減ることによる身体機能の低下や、人と話さないことによる認知機能の低下等が指摘されています。  実際、コロナ禍においても、食、運動、社会参加の重要性が、日頃から身についている方は、感染に気をつけながら、運動されたり、リモートで交流の機会に参加されるなど、工夫をしています。  もちろん、未病改善の取組が、県民の健康状態の向上を目指すものである以上、事業の効果について、短期間で反映されるのは、難しいことは承知しているつもりです。  しかしながら、今後、本県は、さらに厳しい財政状況に陥ります。今こそ、これまで県が取り組んできた未病改善が、県民の健康状態や行動変容に、どのような効果を上げているのかをしっかりと把握し、検証することが必要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  県民にとって、具体的な効果をどのように検証し、未病改善の取組を進めていくのか、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、指定管理業務を請け負う事業者の「見える化」について伺います。  県では、2005年度から指定管理者制度を導入し、現在、文化・教育施設、都市公園、県営住宅、病院、スポーツ施設などの公の施設のうち、288の施設が指定管理者制度により、管理運営がなされているところでありますが、複数の施設の管理運営を1事業者が請け負う場合もあることから、管理運営に携わる事業者の数で申せば、県によると60者とのことです。  私はこれまでも、県に対して会計の見える化や県有施設の見える化、また県民利用施設の見える化等々、様々な形で県政の見える化をお願いしてまいりましたが、まずは、この県の御尽力に感謝をさせていただきます。  私は、こうしたことを通じて、県民の多くの皆様から、県の事業が理解され、併せて、県職員のコスト感覚、そして、事業を行う上でのスピード感、こういったものの効果につながるものと期待しています。  また、2017年度からは、決算特別委員会の資料として、県から団体に対する委託料や補助金等の支出状況についても、見える化をお願いしているところでありますが、私は、特に、県の指定管理者の見える化は必要であると考えています。  これまでの15年間の制度の運用の中で、県に代わって公の施設の管理運営を行う指定管理者は、県の代わりに、施設のヒト・モノ・カネを担うことになります。  施設ごとのモニタリング結果を、県のホームページなどで公表していることは承知していますが、最近では、複数施設の指定管理業務を請け負っている事業者である社会福祉法人かながわ共同会の事案等も、議会で取り上げられているところです。  事業者の健全性という視点では、より厳しいチェックを続けていくことが必要と考え、そのチェック機能を働かせるためには、複数施設の指定管理業務を請け負う事業者の指定管理料を、より一層見える化することが必要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  今後、指定管理業務を請け負っている事業者ごとの県からの指定管理料の総額と、内訳といった財務情報の見える化に、どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。  〔資料提示〕  最後に、本県のクロスファンクションによる政策議論について伺います。  新型コロナウイルス感染症は、現時点において、収束の時期がなかなか予測できず、長期化することが懸念されます。  県の政策においても、多大な影響を踏まえるとともに、厳しい財政状況が続くことを前提に、今後の方向性や事業の要・不要、見直しなどについて、広く議論をする必要があります。  それに加えて、さきに申し上げた、全国の指定都市での動き等を鑑み、本県においても、10年後、20年後にどういう行政機関でありたいか、ということについても、議論すべき時期だと考えます。  こうした、これからの本県の行政全体の議論は、組織が硬直化してしまっていると、なかなか難しいわけですが、県庁において、現場をよく知る若手や中堅職員、課長級ぐらいまでの職員で議論をしていると、柔軟な発想で、事業を見直すことができる場合があります。  一方で、これは国家公務員の話ではありますが、先日、内閣人事局のまとめによると、20代の国家公務員総合職の退職者数が、2019年度に87人に上ったとの報道がありました。何と6年前の21人から、4倍を超える増加とのことです。その退職理由を尋ねたところ、もっと自己成長できる魅力的な仕事に就きたいとの回答が、男性で49%、女性で44%でございました。  〔資料提示〕  私は、こうした傾向は、残念ながら、本県でも似たようなところがあると感じています。  県では、2013年度から、各局に企画調整官を配置し、クロスファンクションを進めてきたことは承知していますが、これが、現在、十分に機能しているとは言い難い状況にあると感じております。  もちろん、これからも、私どもから、様々な提言をさせていただきたいと思っておりますが、これを機に、コロナ禍という難局を乗り越えるためにも、県庁各局の企画調整官でプロジェクトチームの進め方を考えていただき、局の立場を超えた、自由で柔軟な、まさに自分が知事だったらという視点に立っての議論を、積極的にしていくべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍において、私たちを取り巻く社会環境が大きく変化しつつある中で、今後、県の政策をどのように進めていくのかについて、庁内で部局を超えた議論を進めていくことが極めて重要であると考えますが、知事の所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 本県事業の抜本的な見直しについて、何点かお尋ねがありました。  まず、横浜市のカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致についてです。  まず、協議会における私の発言についてです。  横浜イノベーションIR協議会では、協議会運営要綱を制定した直後に発言の機会がありました。  私からは、広域自治体である県として、基礎自治体である市の判断を尊重し、全面的に協力していく方針であることを説明した上で、ギャンブル等依存症対策など、県の重要な役割について、市としっかり連携していく旨、述べさせていただきました。  なお、協議会運営要綱の規定により、非公開とされた議事に関しては、答弁を差し控えます。  次に、議事の一部非公開への賛同についてです。  協議会当日、横浜市長から、実施方針及び募集要項の議題については、事業者の公募等に関する情報が含まれており、公開で協議した場合に、公正で中立な事業者公募に支障を及ぼすことから、協議会運営要綱に基づき、非公開にしたいとの提案がありました。  この説明と提案に対し、私としては異論がなかったため、特段、意見を申し上げませんでした。  次に、横浜市のIRの設置・運営に伴う県の増収見込みについてです。  現在、横浜市が公表しているIRの設置・運営に伴う市の増収効果は、コロナ禍以前に事業者から出された提案を基に算出したものであり、市は、その後の状況変化を踏まえ、追加で提案募集を実施しています。  今後、市がこれらの追加提案も踏まえ、区域整備計画の作成に向けて、より詳細な増収効果等を算出していくと承知しておりまして、現状においては、県の増収効果がどの程度であるか、確認する段階ではないと考えます。  次に、私の二重行政と特別自治市に対する認識についてです。  まず、二重行政についての認識です。  県と指定都市との間では、同一または類似する行政分野において、しばしば二重行政の存在が指摘されますが、県では、これまでも、指定都市からそうした課題が指摘されれば、一つ一つ住民目線に立って解決を図っており、二重行政の問題が生じているとは考えていません。  今月開催した、地方自治法に基づく横浜市、川崎市との調整会議においても、コンビナート地域の安全対策について、権限移譲を前提に協議を進める旨、合意するなど、着実に成果を積み重ねています。  次に、指定都市が特別自治市を目指すことについて、まず、自らが判断することとした理由についてです。  基礎自治体のあるべき姿は、まずは、それぞれの自治体自らが住民の利便性や地域の特性、抱える課題などを踏まえて検討していくものと考えます。  次に、特別自治市に対する認識についてです。  私は、市町村への権限移譲について、常に住民の目線で考え、住民にとってプラスになるか、地域に必要なものであるかを基本的な判断の基準として、特段の支障がない限り、移譲していきたいと考えています。  一方、特別自治市構想に関しては、指定都市単独の問題ではなく、地方自治制度全般に関わるものであり、財源の再配分など、広域自治体が果たすべき役割や機能が低下することで、県内の他の自治体や住民への影響等も懸念されることから、より慎重な議論が必要です。  今後とも、指定都市の間で行政課題があれば、具体に協議し、互いに連携、協力しながら、解決に向け、取り組んでまいります。  次に、未病改善事業の事業効果についてです。  未病改善事業は、一人一人が心身の状態に向き合い、食、運動、社会参加について、主体的に行動変容を起こすことを目的としています。  かながわグランドデザインのKPI、未病改善を行っている人の割合は、2019年の目標値70%に対して、実績は83.3%となっており、未病改善事業全体の効果として、県民の行動変容が起きたものと考えています。  個々の事業の、県民にとっての具体的な効果ですが、例えば高齢者のフレイルチェック事業では、2回以上参加している方への調査で、約7割が、よくかむようになった、運動するようになった、約5割が、社会活動に参加するようになったと回答しています。  こうした参加者には、コロナ禍においても、自主的にフレイル対策を実践し、健康維持に努めている方が5割程度いることも、一部の市が行った聞き取り調査で分かっています。  また、各種セミナーは、減塩や運動などのきっかけづくりとなっていることや、参加後の調査をした女性向けセミナーでは、約3割が、実際に新たな健康習慣を取り入れたことを把握するなど、様々な方法で行動変容に効果を上げていることを検証しています。  未病改善の取組を効果的に推進するに当たっては、県民の皆様が参加しやすい身近な市町村や未病改善のノウハウを持つ企業等と連携することが大切です。また、未病指標は、未病の状態が数値で表せるので、県民の行動変容のきっかけとなり、より多くの方に自分ごと化して、未病改善に取り組んでいただくためのツールになると考えています。  今後も、事業効果の検証方法に工夫を重ね、市町村や企業等との連携を強化して、より効果的に未病改善の取組を推進することで、究極の目標である、いのち輝く神奈川の実現を目指してまいります。  次に、指定管理業務を請け負う事業者の「見える化」についてです。  本県では、指定管理者の選定の後、指定管理業務が適切に行われているかという観点から、施設ごとの見える化に取り組んでまいりました。  具体的には、毎年度、管理運営等の状況や利用状況、利用者の満足度、指定管理料を含む収支状況、苦情・要望などへの対応といった様々な事項を公表しています。  また、指定管理料を変更する際には、予算議案の説明資料に変更の理由を明記することとしており、予算審査の段階でも透明性の確保に努めています。  このように、県では、施設ごとに状況を明らかにしてきましたが、複数施設の指定管理業務を請け負う事業者にあっては、県からの指定管理料の総額が公表されているわけではなく、その全体像が捉えにくい状況にあります。  そこで、施設ごとの公表に加え、来年度からは、事業者ごとの指定管理料の総額と内訳について、一目で分かる形で県民の皆様に公表することにより、指定管理料のさらなる見える化を図ります。  こうした取組を通じて、指定管理業務を請け負う事業者の透明性を確保し、指定管理者制度の信頼性を高めてまいります。  最後に、本県のクロスファンクションによる政策議論についてです。  新型コロナウイルス感染症の拡大は、県民の皆様の生活や事業活動に深刻な影響を及ぼしています。  この喫緊の課題に全庁挙げて対応していくため、現在、県では、全庁コロナ・シフトの下、各部局が所管の枠を超え、連携して、医療提供体制の維持とともに、企業の事業継続、雇用の維持、県民生活への支援などに取り組んでいます。  今後、新型コロナウイルス感染症が一定程度収束した段階では、その影響も踏まえつつ、中期的な展望に立った政策形成を行う必要があると考えています。  その際には、新たな日常を前提とした、これまでにない政策課題も生じることが想定されるため、今まで以上に部局の垣根を越えた幅広な議論を進めていくことが重要です。  県では、これまで、若手職員が自由に発案できる職員提案制度や、部局横断的に政策課題を共有し、調整する場なども活用し、様々な政策形成を図ってきました。  引き続き、こうした庁内連携の仕組みを生かすとともに、新たに各局の企画調整官がそれぞれの所管にとらわれず、自由に意見を交わすことができる場を設けるなど、クロスファンクションでの議論を充実させていきます。  それにより、いかなる社会環境の変化にも柔軟に対応し、持続可能な社会を目指した政策形成を図ってまいります。  答弁は以上です。  〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 赤野たかし君。  〔赤野たかし議員登壇〕 ◆赤野たかし議員 知事から答弁を頂きました。  前向きな答弁、そして、そうではない答弁、様々でございました。  再質問を二つほど、させていただきたいと思います。  一つ目は、横浜市のカジノを含むIR誘致についてです。  先ほど、知事から答弁を頂いたところでございますが、現時点で、県への増収効果は分からない、確認できないということでございました。私には、知事がそこまでして、何で横浜市の判断を尊重して協力すると言う理由が分かりません。  そこで、改めて、この誘致に協力する理由について、率直にお聞かせいただけませんか。  そして、二つ目の再質問といたしましては、知事の二重行政と特別自治市に関する確認についてであります。  指定都市は、どんどん議論を先行させています。知事は、これを傍観視していてはいかんと思います。ぜひ、調整会議の場でもいいのです。知事のほうから、この特別自治市の問題について、一緒に議論しようではないかと、そういうことを言っていただいて、また県として、専門家らと検討を進めていただきたいと思うのですけれども、その件についての見解をお聞かせいただければと思います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  まずは、横浜市のIR誘致に関する協力理由についてでありますが、IRに関しては申請主体かつ基礎自治体である横浜市が実施する事業でありまして、広域自治体である県としては、その判断を尊重し、協力していくということであります。  これまでも、この件だけに限らず、基礎自治体の意向といったものを、基本的に尊重するというのが県の基本姿勢でありますから、これはIRの問題についても同じだということであります。  それから、特別自治市についてですけれども、これは先ほど答弁したとおりでありますが、まずは、それぞれの自治体自らが検討していくものでありまして、今の段階で、県が専門家を交えて検討する状況ではないと考えております。  今後、この件に限らず、必要があれば、有識者の知見も得ながら、幅広く議論してまいりたい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔赤野たかし議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 赤野たかし君。  〔赤野たかし議員登壇〕 ◆赤野たかし議員 知事に再答弁していただきました。  時間もありませんので、簡単に意見、要望を申し上げさせていただきます。  カジノの件にしてもそう、特別自治市の問題にしてもそう、もう少し、県は主体性を私は発揮していただきたいと思います。  そして、見える化については、感謝申し上げます。ありがとうございます。  細かい話は、委員会等でさせていただきます。  以上で、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(いそもと桂太郎) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(いそもと桂太郎) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  次回の会議は、明12月1日午後1時に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後5時21分 散会...