令和 1年 第三回 定例会
△《本会議録-令和元年第3回-20191205-028584-諸事項-出席議員等・
議事日程-》 令和元年第3回
神奈川県議会定例会会議録第15号〇令和元年12月5日 午後1時1分開議 ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共105名 出 席 議 員 大 村 悠 桝 晴 太 郎 永 田 磨 梨 奈 加 藤 ご う 永 田 て る じ 菅 原 あきひと 須 田 こうへい す と う 天 信 上 野 た つ や 石 田 和 子 松 長 泰 幸 山 口 美 津 夫 高 橋 延 幸 武 田 翔 田 村 ゆうすけ 田 中 信 次 川 崎 修 平 神 倉 寛 明 お ざ わ 良 央 た め や 義 隆 飯 野 まさたけ 望 月 聖 子 佐 々 木 ナ オ ミ 柳 瀬 吉 助 市 川 さ と し 佐 藤 圭 介 大 山 奈 々 子 君 嶋 ち か 子 池 田 東 一 郎 石 川 巧 芥 川 薫 川 本 学 市 川 和 広 山 本 哲 綱 嶋 洋 一 新 堀 史 明 田 中 徳 一 郎 山 口 貴 裕 野 田 治 美 脇 礼 子 米 村 和 彦 栄 居 学 小 林 大 介 京 島 け い こ 石 川 裕 憲 井 坂 新 哉 佐 々 木 ゆ み こ さ と う 知 一 楠 梨 恵 子 西 村 く に こ 谷 口 かずふみ 藤 代 ゆ う や 渡 辺 紀 之 原 聡 祐 高 橋 栄 一 郎 あ ら い 絹 世 柳 下 剛 細 谷 政 幸 河 本 文 雄 加 藤 元 弥 中 村 武 人 古 賀 照 基 斉 藤 た か み 赤 野 た か し 浦 道 健 一 青 山 圭 一 亀 井 たかつぐ 佐 々 木 正 行 渡 辺 ひ と し 小 野 寺 慎 一 郎 内 田 み ほ こ 長 田 進 治 杉 本 透 し き だ 博 昭 小 島 健 一 いそもと 桂 太 郎 梅 沢 裕 之 嶋 村 た だ し 桐 生 秀 昭 市 川 よ し 子 岸 部 都 作 山 ゆうすけ 長 友 よしひろ 北 井 宏 昭 菅 原 直 敏 相 原 高 広 鈴 木 ひ で し 藤 井 深 介 森 正 明 土 井 りゅうすけ 杉 山 信 雄 小 川 久 仁 子 持 田 文 男 竹 内 英 明 た き た 孝 徳 国 松 誠 松 田 良 昭 牧 島 功 堀 江 則 之 松 本 清 てらさき 雄 介 松 崎 淳 近 藤 大 輔 く さ か 景 子 曽 我 部 久 美 子 説明のための出席者 知事 黒 岩 祐 治 副知事 中 島 正 信 同 浅 羽 義 里 同 首 藤 健 治 理事 山 口 健 太 郎 同 玉 木 真 人 政策局長 髙 澤 幸 夫 総務局長 小 板 橋 聡 士
くらし安全防災局長 花 田 忠 雄
国際文化観光局長兼
拉致問題担当局長 河 合 宏 一
スポーツ局長 平 田 良 徳 環境農政局長 石 渡 美 枝 子 福祉子どもみらい局長 香 川 智 佳 子
健康医療局長兼未病担当局長 市 川 喜 久 江 産業労働局長兼
エネルギー担当局長 山 田 健 司
県土整備局長 上 前 行 男 会計管理者兼会計局長 小 野 淳 ヘルスケア・ニュー
フロンティア推進統括官 金 井 信 高
労務担当局長 大 久 保 雅 一
マグカル担当局長兼
広報戦略担当局長 木 口 真 治 医務監 中 澤 よ う 子
教育委員会教育長 桐 谷 次 郎 同 教育局長 田 中 和 久 同
県立高校改革担当局長 清 水 周 警察本部長 古 谷 洋 一
警察本部総務部長 和 智 勉
人事委員会事務局長 川 合 充 監査事務局長 小 島 泰
労働委員会事務局長 出 口 満 美
公営企業管理者企業庁長 大 竹 准 一
企業庁企業局長 長 谷 川 幹 男 ─────────────────────────────────────── 議会局出席者 議会局長 和 泉 雅 幸 議会局副局長兼総務課長 谷 川 純 一 同 議事課長 霜 尾 克 彦 同 政策調査課長 田 中 一 朗 ─────────────────────────────────────── 令和元年第3回
神奈川県議会定例会議事日程第15号 令和元年12月5日午後1時開議第1 定県第 145号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例 定県第 146号議案 神奈川県動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例第2 定県第 110号議案 令和元年度神奈川県
一般会計補正予算(第6号) 定県第 111号議案 同 年度神奈川県水源環境保全・
再生事業会計補正予算(第1号) 定県第 112号議案 同 年度神奈川県
県営住宅管理事業会計補正予算(第1号) 定県第 113号議案 同 年度神奈川県
水道事業会計補正予算(第1号) 定県第 114号議案 同 年度神奈川県
電気事業会計補正予算(第1号) 定県第 115号議案 同 年度神奈川県相模川
総合開発共同事業会計補正予算(第1号) 定県第 116号議案 同 年度神奈川県
酒匂川総合開発事業会計補正予算(第1号) 定県第 118号議案
無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準を定める条例 定県第 119号議案 神奈川県
地方卸売市場条例を廃止する条例 定県第 120号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非
営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例 定県第 121号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例 定県第 122号議案
住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例 定県第 123号議案 附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例 定県第 124号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例 定県第 125号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例 定県第 126号議案
神奈川県立山岳スポーツセンター条例の一部を改正する条例 定県第 127号議案 神奈川県
都市農業推進条例の一部を改正する条例 定県第 128号議案 神奈川県
漁港管理条例の一部を改正する条例 定県第 129号議案 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 定県第 130号議案
幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 定県第 131号議案 神奈川県ふぐ取扱い及び販売条例の一部を改正する条例 定県第 132号議案 神奈川県都市公園条例の一部を改正する条例 定県第 133号議案 神奈川県
県営住宅条例の一部を改正する条例 定県第 134号議案 神奈川県
建築士法関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 135号議案
工事請負契約の締結について(津久井やま
ゆり園千木良園舎(仮称)新築及び改修工事(建築-第1工区)請負契約) 定県第 136号議案
工事請負契約の締結について(
総合リハセンター特別高圧受変電設備改修工事(電気)請負契約) 定県第 137号議案
工事請負契約の締結について(二級
河川境川河川改修(護岸工)工事(その2)請負契約) 定県第 138号議案
工事請負契約の締結について(
県営横山団地公営住宅新築工事(5期-建築-第2工区)請負契約) 定県第 139号議案
工事請負契約の締結について(
県営横山団地公営住宅新築工事(5期-建築-第3工区)請負契約) 定県第 140号議案
工事委託契約の締結について(津久井やま
ゆり園芹が谷園舎(仮称)整備・
維持管理事業施設整備業務委託契約) 定県第 141号議案 建設事業に対する市負担金について 定県第 142号議案 神奈川県道路公社の
有料道路整備事業計画変更に対する同意について 定県第 143号議案
当せん金付証票の発売について 定県第 144号議案
地方独立行政法人神奈川県立病院機構中期目標第3 請願第10号
肢体不自由児者及び医療的ケアを必要とする障がい児者への支援の充実を求める請願 請願第11号
精神障害者医療費助成についての請願 請願第12号 「
核兵器禁止条約を速やかに署名し批准することを求める意見書」採択についての請願 請願第13号
神奈川県議会「政務活動費の指針」に政務活動と他の活動が混在する場合のあん分率の基準と上限を決め、按分方法(例)として私的活動を含めた合理的な目安を例示することを求める請願 請願第14号-1 教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願 請願第14号-2 同 件 請願第15号 教育費の公私間格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願 請願第16号 県の
小児医療費助成制度の拡充についての請願 ───────────────────────────────────────
△《本会議録-令和元年第3回-20191205-028585-諸事項-諸報告・追加議案の
説明-》 〔議会局長報告〕 出席議員 副議長共91名
○副議長(渡辺ひとし) ただいまから、本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(渡辺ひとし) 本職あて文書が提出されておりますので、書記に朗読させます。 〔書記朗読〕 ─────────────────────────────────────── 政総第1677号 令和元年12月5日
神奈川県議会議長 梅 沢 裕 之 殿 神奈川県知事 黒 岩 祐 治議案の提出について 開会中の令和元年第3回
神奈川県議会定例会に提案する条例その他の案件を別冊のとおり提出します。 ───────────────────────────────────────(請願:議事日程参照) ───────────────────────────────────────外7件 請願文書表のとおり 〔本会議録別冊159頁参照〕 ───────────────────────────────────────
○副議長(渡辺ひとし) この際、申し上げます。 北井宏昭議員及び菅原直敏議員から質問趣意書が提出されておりますので、執行機関に送付しますから、ご了承を願います。 〔本会議録別冊180頁、183頁参照〕 受理いたしました陳情書は、陳情文書表のとおり、所管委員会に付議いたしましたので、ご了承を願います。 県内に住所を有しない陳情者から提出された陳情書につきましては、その写しを配付してありますから、ご了承を願います。 ───────────────────────────────────────
○副議長(渡辺ひとし) これより日程に従い、審議を行います。 日程第1、定県第145号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例外1件を議題といたします。 議案の朗読は省略いたします。 〔本会議録別冊153頁参照〕 知事の説明を求めます。 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) ただいま提案しました条例の改正2件について、ご説明申し上げます。 「神奈川県手数料条例の一部を改正する条例」は、
建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令の一部を改正する省令等の施行に伴い、
建築物エネルギー消費性能向上計画認定申請手数料等について、所要の改正を行うものであり、「神奈川県動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例」は、動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正等に伴い、特定動物が交雑することにより生じた動物の飼養または保管の
許可申請手数料を新設するため、所要の改正を行うものです。 よろしくご審議の上、ご議決くださいますようお願い申し上げます。 ───────────────────────────────────────
△《本会議録-令和元年第3回-20191205-028586-質問・答弁-
柳瀬吉助議員-
一般質問①動画を活用した県の広報について②個別計画の進行管理について③小規模企業の事業承継支援について④ホームレスとなるおそれのある方への支援について⑤県営住宅の
コミュニティ再生・活性化について⑥公共工事の入札について⑦下水道事業における内水氾濫対策について》
○副議長(渡辺ひとし) 次に、ただいま説明のありました日程第1に日程第2をあわせ、一括して議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 柳瀬吉助君。 〔
柳瀬吉助議員登壇〕(拍手)
◆
柳瀬吉助議員 立憲民主党・民権クラブの柳瀬吉助です。 通告に従い、順次、意見・提言を交えながら質問させていただきます。 知事並びに福祉子どもみらい局長、
県土整備局長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどお願い申し上げます。 まず、動画を活用した県の広報について伺います。 知事は就任以来、伝わる広報の実現を目指し、広報に力を入れてこられました。 〔資料提示〕 中でも、強い発信力を有する動画の特徴に着目し、平成28年1月からは
インターネット放送局かなチャンTVを開始し、県民への情報提供に積極的に取り組んでまいりました。 かなチャンTVでは、「ともに生きる社会かながわ憲章」や未病の改善など、県政の重要なテーマを発信するなど、これまで約2,000本以上のさまざまな分野の動画を提供してきました。 特に近年では、台風19号関連の知事からの
ビデオメッセージ、
ラグビーワールドカップ2019TMチケットが今、なくても楽しめる方法!など、県民の神奈川県に関する知りたい情報のタイムリーな配信や、メッセージ性はもう少し高めたほうがよいかとは思うものの、SO LIFE GOES ONみんなあつまれのように、県として知らせたいメッセージを工夫して配信することにより、再生数が数万を超える動画の配信も行えています。 全国的にも動画の発信力は注目されており、茨城県や東京都など、ほかの自治体でも動画による情報提供を積極的に行っています。 一方、中には、視聴数の獲得だけを目的としたような、いわゆるエンタメ動画も見受けられ、真に自治体が提供すべき情報かどうか疑問に感じるものもあります。 かなチャンTVでも、時にはアニメなど娯楽的な演出を用いた動画を配信しており、県が多くの
チャンネル登録数を獲得することを主な目的として情報提供を行っていると受け取られかねないところもあります。
チャンネル登録数がふえても、多種多様で動画登録数の多いかなチャンTVにおいては、ほかの動画への閲覧波及効果は期待しにくいと思われます。 実際、先述の数万を超える再生数を誇る動画があり、現在でも約1万3,000の
チャンネル登録数があるものの、かなチャンTV内の多くの動画は数百程度の再生数にとどまっています。 県民の多種多様な情報ニーズに応えるため、多くの動画を配信していることは理解できますが、例えば、安心・安全にかかわるような情報など、県民が知りたい情報や、県として知らせたいメッセージを、動画としてアップするだけではなく、情報の種類や対象者の特性に応じて、動画を届ける手段まで一体として工夫する必要があるのではないかと考えています。 例えば、県民が知りたい情報は、動画ならではの内容とともに検索性を、タイムリーな情報は、SNS等を通じたプッシュ通知による認知性を、また、県として知らせたい情報は、選択してもらうのではなく自動的に見てもらえるような工夫を、動画の制作段階から配慮する等が考えられます。 かなチャンTVの開始から約3年10カ月が経過し、一定の視聴数が得られていますが、一部の動画の視聴数や
チャンネル登録数の獲得のみにとらわれず、目的を持った全ての動画をしっかり県民に伝えるために、改めて、これまでの取り組みを振り返り、今後の方向性を検討することが重要であると考えます。 そこで、知事に伺います。 かなチャンTVの現状をどのように捉えているのか、また、県民が知りたいこと、県として知らせたいことが確実に伝わることを意識しながら、より効果的かつ効率的に伝える戦略的広報を展開していく上で、今後どのように進めていこうと考えているのか、あわせて伺います。 次に、個別計画の進行管理について伺います。 〔資料提示〕 本年7月、県政運営の総合的・基本的指針として、総合計画「かながわグランドデザイン」第3期実施計画が策定されました。私も総合計画審議会の委員の一人としてかかわらせていただいているところです。 今後、県はこの計画に基づき施策・事業を実施するとともに、PDCAサイクルにより、進行管理を行っていきます。 第3期実施計画では、23のプロジェクトに対し、200を超える数値目標を設定し、さらにプロジェクトの達成度を象徴的にあらわす指標と、県が実施した施策や事業の進捗状況をはかるKPIに区分したことは、事後の検証を精緻に行うことが期待でき、評価しています。 一方、本県には、さまざまな分野にわたる課題があり、これらの課題に重点的に掘り下げて対応するため、特定課題に対応した個別計画が非常に重要です。「環境基本計画」「男女共同参画推進プラン」を初め、40を超える個別計画が総合計画を補完し、きめ細やかな県政運営を下支えしています。 個別計画の大きな政策の方向は、当然、総合計画と整合が図られていると承知していますが、効果的・効率的に施策を進めるためには、計画の推進という面でも、総合計画の手法を参考に計画の性質に応じて適切に進行管理を行うことが重要です。 そのために重要なことの一つ目は、PDCAのC、しっかりと評価することだと考えます。しっかりとした評価とは、次のA、改善につなげることであり、やったこと、できたことよりも、むしろ、できなかったことを顕在化させることが重要であると考えます。 二つ目は、数値目標が妥当なものになるよう、一層努めることです。数値目標が妥当なものでないと、効果の薄い目標に向かってエネルギーを割かざるを得ず、職員の士気にもかかわります。そのためには、今ある数字を活用するだけでなく、県民を初め市町村、関係各者にアンケートをとったり、別の統計情報を探すなど、もう一歩踏み込んだ対応をする必要があると思います。 三つ目は、これらを実際に進めていくため、各計画の進行管理について、全庁横断的に掌握し、必要に応じて支援できるような体制を整えるべきだと考えます。 いずれにせよ、進行管理の仕組みは有効に機能しないと、かえって職員の士気の低下につながり、形骸化するおそれがあります。 そこで、知事に伺います。 特定課題の政策目的を実現するため、個別計画の適切な進行管理が必要と考えますが、所見を伺います。 次に、小規模企業の事業承継支援について伺います。 中小企業・小規模企業の経営者の高齢化は進んでおり、中小企業庁によると70代の経営者でも事業承継に向けた準備を行っている経営者数は半数にとどまっています。事業承継問題を放置すると、2025年ごろまでの10年間に累計で約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産が失われる可能性があるとも指摘されております。事業承継問題は深刻化しています。 このような状況において、民間でも第三者による事業承継を支援する取り組みが近年盛んに行われてきており、その多くは企業が買い手となるM&Aのケースが多く、中小企業の中でも比較的規模の大きいものが中心になります。 しかし、商店街の小売店、そば屋やカフェといった飲食店、学習塾等のサービス業、都市農業等を初めとした小規模企業は、その規模が小さいことにより、M&Aに対する手数料が大きくなく、民間も商業ベースでは盛んに行っていないようです。 しかし、このような小規模企業は、ベンチャー企業のように新規性が高く、将来大きな利益をもたらすものではないかもしれませんが、地域に必要とされる多種多様なニーズに対応するため、重要な役割を果たしてくれるものでもあります。 一方で、人生100歳時代、いわゆる超長寿社会において、県民一人一人が柔軟な働き方や学び直しなど、多様な人生を送ることができるような社会づくりを進めていくことは重要です。 100年の人生の後半50年を充実したセカンドライフとして生きるために、長く社会に貢献しながら、年金を補う収入を得ていきたい、そのために、定年を迎える前からその準備や転換を図っていきたいと考える方々が、メディアの影響もあってふえています。 例えば、趣味や実益を兼ねた創業、仲間と協力した起業、資格を生かした仕事、地域社会に密着した臨時的な仕事、地方での自給自足な生活等が挙げられると思います。 私は、このような活躍の場を探す方々は、小規模企業の後継者の有効な候補になり得るのではと考えます。 実際、神奈川県事業引継ぎ支援センターでは、後継者バンクという仕組みにより、後継者を探している個人事業主や小規模事業者と、経営希望者とのマッチングに取り組んでいます。 これは、経営者にとっては意欲のある後継者への事業承継が可能となり、また、起業家にとっては比較的低リスクで事業を開始できるので、起業を目指してはいるものの、営業を行うための設備購入等に係る資金不足、営業ノウハウの不足、新規顧客開拓などの不安から、あと一歩が踏み出せずにいる人への後押しになり、セカンドキャリアを考える層のみならず、女性や若者の起業支援にもなるものと考え、大きな期待をしています。 しかし、後継者バンクの経営希望者の登録者数は、9月末現在で109名と少ない状況です。また、公益財団法人神奈川産業振興センターの記者発表によると、神奈川県事業引継ぎ支援センターの平成30年度の事業実績について、事業を引き継ぎたい、引き渡したいという相談件数341件に対し、M&A等による成約件数は37件、そのうち、後継者バンクを利用した案件は1件にとどまっています。 そこで、知事に伺います。 後継者がいない企業や経営希望者の後継者バンクの活用促進を図るべきと考えますが、所見を伺います。 次に、ホームレスとなるおそれのある方への支援について伺います。 平成31年1月に実施されたホームレスの実態に関する全国調査では、本県のホームレスは899人と、ピークだった平成19年1月の2,020人から1,000人以上減少しており、これまでの神奈川県ホームレスの自立の支援等に関する実施計画に基づく県の取り組みは、一定の成果を上げているものと評価しています。 一方、路上生活者などのホームレスとは異なる、インターネットカフェなどの終夜
営業店舗等で寝泊まりする、いわゆるネットカフェ難民が新たな社会問題になっています。 東京都が平成28年度に行った調査では、ネットカフェ、漫画喫茶等の昼夜滞在可能な店舗で寝泊まりしながら不安定就労に従事している方は、都内に約3,000人いると推計され、不安定就労ではあるものの、派遣労働者、契約社員、パート・アルバイトとして働いている方が多く、その年代も30代が最も多いとされています。 終夜
営業店舗等で寝泊まりする不安定な居住環境にある方は、就労しているうちはいいのですが、病気や解雇などで就労ができなくなる状況になると、生活費の余裕がなく、生活の場を失い、路上生活者、ホームレスとなるおそれがあります。 こうしたホームレスとなるおそれのある方にとっては、住居や就労等の安定した生活基盤の構築がまずは必要と考えますが、自分だけで現状から脱却することは難しく、個々の状況に合ったきめ細やかな支援など、行政の積極的なかかわりが必要と考えます。 就職氷河期世代をめぐる問題としては、いわゆる8050問題、ひきこもりの問題もあり、県として対策に取り組んでいますが、ひきこもりの場合は社会との接点がないことで解決が難しい点があります。 一方、いわゆるネットカフェ難民に代表される層は、就業意欲も社会との接点もある若者が多く、今この段階で適切な支援をすることで、生活を立て直し、安定した職につくことができれば、一層の活躍が期待できます。 また、安定した生活を送れるようになることで、結婚や子育てにもつながり、県が抱える少子化問題の解決や地域コミュニティーの活性化、社会保障の安定にも寄与することが期待されます。 そこで、福祉子どもみらい局長に伺います。 県では、ホームレスとなるおそれのある方への支援について、どのような取り組みを行っていくのか、見解を伺います。 次に、県営住宅の
コミュニティ再生・活性化について伺います。 県営住宅は、全体の約62%が1980年以前に建設された老朽住宅となっており、入居者数・入居率ともに減少傾向となっています。また、入居者の約45%が65歳以上の高齢者で、生活や介護などに不安を抱える入居者が多くなっています。 こういった住宅の老朽化、空室率の上昇、入居者の高齢化などを背景に、自治会活動の担い手が不足し、団地敷地内の草刈りや清掃、階段・共用廊下の照明など共同施設の維持管理、共益費の集金などといった自治会活動が十分に行えなくなるなど、コミュニティー活力の低下が顕著となっています。 また、高齢単身世帯が増加傾向にあり、近隣に気づかれずに亡くなる、いわゆる孤独死のリスクも高まっています。 こうしたことから、県では今年3月に、県営住宅の現状や取り巻く環境等を踏まえ、誰もが健康で安心して生き生きと生活できる健康団地への再生を基本方針とした「健康団地推進計画」を新たに策定しました。 この健康団地推進計画では、今後10年間で建てかえ時期を迎える住宅が急増することから、今後の整備は建てかえに集中し、10年間で約7,000戸の建てかえに着手することにより、バリアフリー対応や居住環境の改善に取り組むとともに、建てかえにあわせて健康づくり、コミュニティーづくりを進めていくこととしています。 〔資料提示〕 健康づくり、コミュニティーづくりについては、まず、建てかえ団地においては、コミュニティルームや広場を整備し、また、既存団地においては、空き住戸を活用して、高齢者の交流サロンなどを整備し、地域におけるさまざまな交流が深められるようにして、コミュニティー再生・活性化につなげていくと聞いています。 しかし、このコミュニティー再生・活性化に向けては、それぞれの団地の特徴や、周辺の地域ニーズに合わせて進めていかなければなりません。そのために、入居者、近隣住民のほか、市町村、福祉団体等との連携、さらに、県営住宅と隣接する公社団地などとの連携により、取り組んでいくことが大変重要であると考えます。 そこで、
県土整備局長に伺います。 今後の県営住宅におけるコミュニティー再生・活性化に向けて、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 次に、公共工事の入札について伺います。 公共工事の入札において、同価格の入札によるくじ引きが高い確率で発生することについて、他地方議会、建設業界、マスコミ等から声が挙がっています。 例えば、さいたま市議会では、半分以上がくじ引きになっている状況に対し、2017年、財政局長は積算能力や施工能力、技術力以外の理由で落札者が決定することで、企業努力が損なわれることが懸念されると危惧を示しています。 2017年6月4日の朝日新聞デジタルの記事には、全国建設業協会も、各業者が技術を磨いているのに運で決まるのは理不尽だとして国に同調するとあります。 日本工業経済新聞社の2017年3月6日の記者の目、論説には、すぐれた企業に生き残ってもらいたい気持ちがあるならば、運任せのくじ引きが横行する現在の入札契約制度は即刻やめるべきだともあります。また、発注者は建設業界に興味を持つ小中学生に対して、この現状を胸を張って説明できるのだろうかともあります。 〔資料提示〕 一方、同朝日新聞デジタルの記事によると、2015年度都道府県の発注工事のくじ発生率は神奈川県31.8%と、未集計の8県を除く39都道府県中で5位と高い発生率になっています。ちなみに、東京都2.3%、千葉県4.3%、埼玉県12.5%、大阪府6.1%と比べても随分高い発生率になっています。 また、2018年度は、神奈川県の県土整備局が競争入札を実施した予定価格1億円以上の工事117件のうち、44件がくじ引きにより落札者を決定しており、くじ発生率は37.6%となっています。しかも、その過半数の入札で5者以上のくじ引きになっており、さらに、10者以上のくじ引きになった入札も12件ありました。 そこで、
県土整備局長に伺います。 予定価格・最低制限価格を事前公表していない本県において、なぜ、くじ引きになる頻度が高いのか、また、くじ引きの頻発に対する意見が、他地方議会、建設業界、マスコミ等さまざまなところから上がる中、現在もくじ引きによる落札が頻発している県の現状に対して、どのように考えるのか、見解を伺います。 次に、下水道事業における内水氾濫対策について伺います。 台風19号は各地で河川の氾濫を引き起こして、大きな被害が発生していますが、そのほかに、下水道管の排水能力を超える雨水が側溝などからあふれ出る、いわゆる内水氾濫による浸水被害が本県でも発生しています。 本県における雨水対策としての下水道整備は、市町村が事業主体となって、おおむね時間雨量50ミリの降雨での浸水を防ぐことを目標に進めていると承知していますが、最近は50ミリを超える降雨も珍しくはなく、局地化、激甚化しており、既存の対策では雨水の排除が追いついていかないのが現状です。 また、今回の台風では、私の地元である川崎市において、多摩川の水位が上昇して下水道管を伝わって逆流するバックウオーター現象により、中原区、高津区、多摩区の3区にわたる広範囲で内水氾濫が発生し、内水浸水面積は約92ヘクタールに達したと聞いています。 高津区溝口のマンション1階が浸水し、男性1名がお亡くなりになりました。 武蔵小杉のタワーマンションの1階部分が水没したことは大きく報道されましたが、ほかにも多くの住宅が被災し、床下浸水も含めた浸水被害は1,400件以上となっています。 また、多摩川沿いの町工場の被害も深刻で、高額な機器が水没して故障するなどの被害も多く出ています。 市民ミュージアムや体育館、学校などの公共施設も被災しています。 川崎市では、浸水のメカニズムなどに関する検証を行うと聞いていますが、県内のほかの市町村でも同様な現象による浸水被害が発生する可能性があり、このような新たな現象に対して、今後、市町村は川崎市の検証結果なども踏まえて、早急に対策を検討していく必要があると考えます。 現在、市町村では、雨水管や貯留施設の整備を進める一方で、住民の適切な避難のための内水ハザードマップの作成・公表などに取り組んでいますが、今回の想定を超える豪雨や新たな現象による浸水被害を踏まえると、県がこれまで以上に内水氾濫対策にかかわり、広域自治体としての役割を果たす必要があるのではないかと考えます。 そこで、
県土整備局長に伺います。 市町村が進める内水氾濫対策に対して、県はこれまでどのように支援を行ってきたのか、また、今回の台風での被害を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺います。 以上で、1回目の質問を終わります。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 柳瀬議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、動画を活用した県の広報についてお尋ねがありました。 私は知事就任当初から、伝わる広報にこだわり、さまざまな広報媒体の特性を生かしつつ、戦略的な広報を展開してきました。 従来の広報は紙媒体である県のたよりを中心に、ラジオやテレビ等を活用して行ってきました。しかしながら、若い世代を中心にスマートフォンによる情報収集の傾向が強まるなど、社会環境の変化に応じた取り組みも必要となっていました。 こうしたことから、広報媒体としてSNSをより一層活用するとともに、平成27年度からはインターネット上で動画を配信するかなチャンTVを立ち上げ、動画の持つ強い伝える力を生かした情報発信を行ってきました。 今や、かなチャンTVは県の広報媒体の一つとして重要な役割を果たしていると受けとめています。 最近では、台風19号が上陸した際に、城山ダムの緊急放流に伴い、浸水や甚大な被害のおそれがあることから、私が直接早めの避難を呼びかけるメッセージ動画を配信しました。配信した当日に視聴回数が5万回を超えました。 また、若年層に人気が高く、短い動画を手軽に作成、投稿できるモバイルアプリTikTokを活用した新たな情報発信を開始しました。 その第一弾として、SDGs普及のための動画を配信したところ、2週間で視聴回数が50万回を超え、改めて動画の持つ発信力を認識しました。 今後、かなチャンTVについては、その認知度を高めるとともに、より機動的な発信が可能となるよう対応を検討し、動画の持つ伝える力をさらに発揮できるよう取り組んでまいります。 また、動画や県のたより、ホームページ、SNSなど広報媒体それぞれの強みを生かし、相互に連携させて、効果的・効率的に広報を実施することで、戦略的な広報を一層推進してまいります。 次に、個別計画の進行管理についてお尋ねがありました。 本県では、総合計画「かながわグランドデザイン」を補完し、さまざまな特定課題に対応するため、個別計画を策定し、柔軟で重点的な施策展開を図っています。 各計画にはそれぞれの目的、背景があり、内容や性質に応じた適切な進行管理が大切です。より適切な進行管理の視点として、議員からご提案をいただきました3点のうち、まず、PDCAにおける評価の重要性についてです。 総合計画と同様、PDCAサイクルによる進行管理では、C、すなわち評価のプロセスが政策改善の前提となります。成果だけでなく、課題を明らかにすることで、次のA、アクションにより、効果的につながりますので、引き続き県民の皆様、議会、有識者などにご意見をいただきながら適切な評価に努めていきます。 2点目は、数値目標のあり方についてです。数値目標は施策の狙いや達成度を端的に示すもので、さまざまな議論、検討を重ねた上で設定しています。 一方、時間の経過などにより、施策を取り巻く状況に変化が生じた場合は、評価の際、丁寧に分析し、必要に応じて目標や事業の見直しを行うなど、適時適切に対応しているところであります。 今後とも、社会環境の変化に留意し、数値目標以外のデータも活用するなど、幅広い視点での進行管理に努めていきます。 3点目は、進行管理の支援体制についてです。個別計画の実効性を高めるため、全体の状況を把握し、必要に応じて改善を促すなど、将来におけるサポート機能を整えることも有効です。 そこで、総合計画の進行管理などを通じて個別計画の進捗状況を確認し、特定の分野の施策がおくれたり、偏りが生じることのないよう、効果的・効率的な進行管理と施策の推進に努めていきます。 総合計画という大きな羅針盤のもと、個別計画によるきめ細かな施策の推進により、一つ一つの成果にこだわり、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 最後に、小規模企業の事業承継支援についてお尋ねがありました。 現在、団塊世代の経営者層が70代に突入しており、このまま放置すると、休廃業が増加し、地域経済の活力や雇用が失われてしまうことから、事業承継の促進は喫緊の課題と認識しています。 事業承継の方法には、親族や従業員への承継のほか、第三者である経営希望者等へ譲渡する第三者承継があります。 このうち、経営希望者への承継を円滑に進めるためには、譲渡する事業の範囲や価格など、当事者間だけでは合意に至ることが難しいさまざまな条件を、公正中立な立場かつ無料で調整する後継者バンクの仕組みが有効であると考えています。 しかし、神奈川県事業引継ぎ支援センターが運営する後継者バンクへの登録は、今年9月末現在、事業を譲り渡したい企業が370社程度、経営希望者が100名程度にとどまっています。 後継者バンクでは事業承継に精通した専門家がマッチングを行いますが、限られた登録者の中での取り組みであることから、昨年度は1件の成約にとどまっています。 後継者バンクに登録されている事業を譲り渡したい企業と、経営希望者の間でマッチングを実施、実現するためには、その登録者数をふやしていくことが必要です。 そこで、今後は企業経営の未病チェックシート等によって、事業承継に課題があると認識した後継者不在の企業に対して、県や支援機関が後継者バンクの取り組みやそのメリットを周知し、事業を譲り渡したい企業の登録をふやしていきます。 また、市町村や支援機関が実施する創業セミナーに県も参加して、経営希望者に後継者バンクへの登録を働きかけます。 このように後継者バンクの活用を促して、事業を譲り渡したい企業と経営希望者の登録数をふやし、双方の選択肢を広げていきます。 そして、一件でも多く成約につなげて事業承継を進め、中小企業・小規模企業の持続的発展を支援してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔福祉子どもみらい局長(香川智佳子)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 香川福祉子どもみらい局長。
◎福祉子どもみらい局長(香川智佳子) 福祉子どもみらい局関係のご質問にお答えします。 ホームレスとなるおそれのある方への支援についてお尋ねがありました。 本県におけるホームレスの人数は大幅に減少しています。一方で、最近ではインターネットカフェなど終夜
営業店舗等で寝泊まりするなど、不安定な居住環境にあり、将来的にホームレスとなるおそれのある方への支援が課題となっています。 そこで、県ではこうした方々が早い段階で効果的な支援を受けられるよう、身近な相談窓口につなげるなどの取り組みを行っています。 具体的には、生活に困った際に相談できる県内の自立支援相談窓口を掲載したチラシを市町村等の協力を得て配付するとともに、ボランタリー団体と共同して開設したかながわ生活応援サイトというホームページに相談窓口や支援情報を掲載しています。 また、県が所管する町村部において、突然住まいを失った方に対し、一定期間、宿泊場所や食事を提供するとともに、生活上の相談に応じるなど、自立支援のための取り組みを実施しています。 しかし、終夜
営業店舗等で寝泊まりするホームレスとなるおそれのある方には、相談窓口や支援の情報が伝わりにくいこと、こうした方々の実態の把握は難しいといった課題があります。 そこで、今後は現在行っているホームレス等に対する巡回相談の際に、終夜
営業店舗等を訪問し、事業者に支援窓口の情報提供や協力の働きかけを行うなど、ホームレスとなるおそれのある方の自立支援に向けた取り組みを進めていきます。 また、不安定な居住環境にあるホームレスとなるおそれのある方の実態を把握するためには、広域的な調査が必要ですので、県は九都県市とともに、調査の実施を国に要望することを検討しています。 県としては、ホームレスとなるおそれのある方が支援機関につながり、個々の課題に応じた支援を受けることができるよう、市町村や関係団体としっかり連携し、誰一人取り残すことのない社会の実現に向けて取り組みを進めてまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
県土整備局長(上前行男)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 上前
県土整備局長。
◎
県土整備局長(上前行男) 県土整備局関係のご質問にお答えします。 県営住宅のコミュニティー再生・活性化についてお尋ねがありました。 県営住宅では、入居者の減少や高齢化の進行による自治会活動の担い手不足などから、団地内のコミュニティー活力の低下が課題となっています。 そこで、平成27年度以降、団地の空き住戸を活用した自治会の運営による交流サロンを浦賀かもめ団地や日野団地など11団地で開設しており、入居者同士の交流が進んでいます。 こうした中、今年3月に策定した「健康団地推進計画」では、県営住宅が団地周辺も含めた地域の活力向上の拠点としての役割を果たしていくため、近隣住民、地元市町、福祉団体等との連携により、コミュニティー再生・活性化に取り組むこととしています。 具体的には、地域の活動団体等と連携し、高齢者、子供、外国籍県民など、さまざまなコミュニティーの居場所となるような拠点を団地の空き住戸等を活用して開設していきます。 例えば、長津田第1団地や笹山団地では、高齢者の多い地域であるため、地域包括支援センターと連携し、高齢者の居場所となる拠点づくりを進めていきます。 また、いちょう上飯田団地では、周辺地域も含めて外国籍県民が多いことから、支援団体と連携し、外国籍県民向けの居場所を、また放課後児童クラブと連携し、外国籍の子供を含めた子供の居場所をそれぞれつくることにしています。 さらに、県住宅供給公社団地と隣接する二宮団地では、二宮町、公社、住民から成る地域の協議会と連携し、今後の建てかえの際に地域の皆様の交流拠点となる居場所づくりを進めていきます。 このように地域の活動団体等と連携し、さまざまなコミュニティー、居場所づくりを進めることにより、県営住宅におけるコミュニティー再生・活性化に向けて取り組んでまいります。 次に、公共工事の入札についてお尋ねがありました。 本県の公共工事の入札に当たっては、競争性、公平性、透明性の確保を目的に、県議会や建設業界等のご意見を伺いつつ導入した入札制度かながわ方式により取り組んでいるところです。 価格競争方式による入札においては、落札者となるべき同価格の入札が複数あった場合は法令に基づき、くじ引きで落札者を決定することとしています。 初めに、くじ引きの頻度が高くなる原因といたしましては、積算基準等の公開が進んでいることなどが考えられます。 具体には、本県においては、工事価格を適切に算出するために必要となる積算基準及び最低制限価格率の算定式など、全てを公開し、入札参加者が同じ条件で適正な競争ができる環境をつくっています。 また、入札参加者が精度の高い積算能力を有していることや、公共工事への参加意欲が強い業者が多数いることも、くじ引きの頻度が高くなる主な要因だと考えています。 次に、くじ引きによる落札が頻発していることへの認識についてです。 入札参加者は入札参加資格要件を満たし、その上で積算基準等の内容を正しく理解して積算することで、初めて落札することができます。したがいまして、くじ引きが生じることは一定の積算・施工能力を有する入札参加者が、同じ条件で適正な競争ができる環境が醸成された結果であると受けとめています。 県は、入札制度の運用に当たり、県議会や建設業界等のご意見を伺いながら、地元企業の健全育成と品質の確保等にもバランスを持って取り組む必要があり、社会情勢の変化を踏まえた制度となるよう、今後も不断の見直しを行ってまいります。 次に、下水道事業における内水氾濫対策についてお尋ねがありました。 県内の市町村では、下水道の排水能力を上回り、処理できない雨水が都市内に氾濫する、いわゆる内水氾濫の対策として、おおむね1時間に50ミリの降雨に対応できるよう、雨水管渠や地下貯留地などのハード整備を進めています。 しかし、市町村によっては、施設整備に必要な技術力や財源が十分に確保できず、対策が思うように進まないといった課題があります。 そこで、県は全国の先進事例をテーマとした勉強会を開催するなど、市町村職員の技術力向上を支援してきました。 また、市町村が施設の整備や老朽化対策を確実に進めるために十分な予算措置を講じるよう、国に対してさまざまな機会を捉えて働きかけてきました。 そうした中、今回の台風19号では、本県でも内水による浸水のおそれが少ないとされていた地域でも被害が発生しました。河川の水位が上がることにより、河川から下水施設に水が逆流する、いわゆるバックウオーター現象も発生しました。 国はこうした被害が各地で発生したことを踏まえ、ハード整備に加え、ソフト対策の強化を図るため、過去に浸水被害がなかった市町村に対しても、早期に内水ハザードマップを作成するよう要請しました。 そこで、県は市町村に対し、ハザードマップの作成などに当たり、技術的支援を行うとともに、ハード・ソフト両面にわたる国の財政支援を引き続き受けられるよう取り組みます。 バックウオーター現象による浸水被害については、現在、各自治体で原因を究明しており、県としてはその結果を取りまとめて県内各市町村と情報共有していくことで、同様の被害の未然防止につなげていきます。 県としては、今後も市町村の内水氾濫対策が着実に進められるようしっかりと支援してまいります。 答弁は以上です。 〔
柳瀬吉助議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 柳瀬吉助君。 〔
柳瀬吉助議員登壇〕
◆
柳瀬吉助議員 それでは、幾つか意見・要望を申し上げたいと思います。 まず、動画を活用した県の広報についてです。 今後一層、真に伝わる戦略的広報に努めていくとのこと、ぜひお願いしたいと思います。特に知事はテレビ局出身、ニュースキャスターというバックグラウンドをお持ちですから、大いに期待しております。 次に、個別計画の進行管理についてです。 提言に応えていただける方向とのこと、ぜひお願いしたいと思います。 私は前職で大企業向けではありますが、業務改革コンサルティングを多数率いてきたことがあり、その経験から申せば、失敗をしっかり評価できる文化の醸成、ややもすると、現場では後回しになる計画の進行管理の有効化には、トップの強い意志が必要になります。引き続き知事の強いリーダーシップに期待したいと思います。 次に、小規模企業の事業承継支援についてです。 後継者バンクの活用を促進していくとのこと、ぜひお願いしたいと思います。 小規模企業は近年、大企業との競争で厳しい環境にありますが、地域の多種多様なニーズに応える重要な役割もあります。 多くの収入は欲しないものの、みずからやりたかったことの実現や社会貢献を考える方とのマッチングが進めば、活力あるまちづくりにもつながっていきますので、一層の促進をお願いしたいと思います。 次に、ホームレスとなるおそれのある方への支援についてです。 さらなる取り組み、及びこれから実態調査を国に要望していくとのこと、ぜひお願いしたいと思います。 いわゆるネットカフェ難民等のホームレスとなるおそれのある方への支援には、まずはそれが認知される広報から始まり、生活支援、居住支援、就職活動自体を含む就労支援、またそれらを支える資金面での支援等、多岐にわたる支援が必要とされると思います。 そうなれば、福祉子どもみらい局のみならず、政策局、産業労働局、県土整備局等、部局をまたがった施策と、それらをワンストップで対応する窓口も必要になってくると思われます。 調査結果にもよりますが、その際にはぜひ部局を超えた県一丸となった支援の検討をお願いしたいと思います。 また、東京都には、これらの支援を包括的にサポートするTOKYOチャレンジネットという仕組みもあります。こちらも参考にされたらと思います。 次に、県営住宅のコミュニティー再生・活性化についてです。 団地の特徴や地域のニーズに合わせ、さまざま連携し、コミュニティー再生・活性化に具体的に取り組みを進めていくとのこと、ぜひお願いしたいと思います。 その際、財政面においても、敷地の高度利用により創設された余剰地を有効活用する建てかえ等により、十分配慮しながら、住宅セーフティーネットの役割を確実に果たし、笑いあふれる地域社会の実現をお願いしたいと思います。 次に、公共工事の入札についてです。 くじ引きによる落札、すなわち偶然、運による受注が適切な価格競争が行われていることのあらわれという見解はなかなか理解しにくいところであります。 先日の日本工業経済新聞社の記事には、落札者が運で決まる状況は好ましくないとするともあります。競争入札というからには、透明性、公平性はもちろんですが、運に任せるのではなく、県みずから最もすぐれた業者を選ぶことが、業者の努力に報い、また県民からいただいた税金を貴重に使うことになるとも思います。 もちろん競争の対象は価格だけではありません。業者の技術力、経営力、信頼性、そして地域における社会性等もあります。県では、今までさまざまな検討の結果、現在の入札の方法に至ったかとは思いますが、国や他自治体の動向も参考にしながら、県民にとってよりよい入札の研究、検討をお願いしたいと思います。 次に、下水道事業における内水氾濫についてです。 内水氾濫について、今回の被害を振り返り、情報共有を図っていくとのこと、ぜひお願いしたいと思います。 内水氾濫にかかわらず、近年は我々の想定を超える災害が各地で発生しています。災害に関する県下での情報を集約し、知見として各市町村に伝え、共有していくことが広域自治体の努めであると思いますので、引き続きの対応をお願いしたいと思います。 以上、意見・要望させていただき、私の質問を終わらせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。
△《本会議録-令和元年第3回-20191205-028587-質問・答弁-加藤ごう議員-一般質問①介護給付適正化の取組について②セクシュアル・ハラスメントの防止について③ヤマビル対策について④地域の医療提供体制の確保について⑤成年年齢引下げに向けた若者の消費者教育について⑥公立小・中学校における児童・生徒の「学びに向かう力」の醸成について⑦県立高校における災害時に備えた取組について》 〔加藤ごう議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 加藤ごう君。 〔加藤ごう議員登壇〕(拍手) 〔副議長退席、議長着席〕
◆加藤ごう議員 自由民主党神奈川県議団の秦野市選出の加藤ごうでございます。 質問に入る前に、一言申し上げます。 アフガニスタンの地で人々の命を救い、飢餓を解決するために荒れた台地に水を引く事業に従事していた中村哲さんが銃弾に倒れたとの悲報がきのう届けられました。 遠い異国の地で、今も人々の命を守り、世界の平和に命がけで取り組んでいる同胞がいることを改めて誇りに思い、中村さんのみたまに対して、心より哀悼のまことをささげたいと思います。 それでは、議長から発言の許可をいただきましたので、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。 知事並びに
くらし安全防災局長、
健康医療局長、教育長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 質問の第1は、介護給付適正化の取組について伺います。 〔資料提示〕 介護保険制度は、制度の創設以来19年が経過しており、介護ニーズの増大とともに、サービスを提供する事業所や施設は着実に増加しています。また、制度改正により、さまざまなサービスの種類が増加し、介護を必要とする高齢者が安心して地域で生活する上で、なくてはならないものとして定着し発展しています。 しかしながら、本年3月に厚生労働省が公表した資料によりますと、介護サービス事業者の指定の取消処分や、指定の効力停止処分等が行われた件数が平成29年度では257件となり、介護保険制度が施行された平成12年度以降、最多となっております。 指定取消等の処分の事由については、不正請求が最も多くなっており、本年9月、横浜市では、介護老人保健施設で介護報酬を不正に請求していたなどとして、新規の利用者の受け入れを停止する処分を行ったとの発表がされました。 また、県所管域においても、本年3月、指定訪問介護事業所に対して、不正請求の事実が認められたとして、事業者指定の一部効力の停止を発表しております。 こうした不正請求は、適正な会計処理を行っている事業者を愚弄するばかりでなく、介護保険制度自体への信頼性を損ねるものであり、絶対にあってはならないことであります。 これまで、県では着実に事業者への指導監督に取り組んできたと承知しておりますが、今後も介護ニーズの増大とともに事業所等の増加が見込まれる中、より一層、事業者等への効率的かつ効果的な指導監督に当たる必要があると考えております。 一方、保険者である市町村においては、適切なサービス確保のために介護給付適正化に取り組んでいます。とりわけ、要介護認定の適正化やケアプランの点検など、大変重要な役割を市町村は担っておりますが、ケアプラン点検に関する研修や、保険者の効果的な取組事例を紹介する説明会の実施などの支援を県に求めていると聞いております。 県は、介護保険事業の健全かつ円滑な運営を図るために必要な助言・援助を行うべき立場にあると考えます。 そこで、知事に伺います。 介護保険制度の信頼と持続可能性を高めるため、介護給付適正化に向け、事業者に対して、どのように指導監督に取り組んでいくのか、また、市町村に対して、どのように支援していくのか、あわせて見解を伺います。 質問の第2は、セクシュアル・ハラスメントの防止についてです。 〔資料提示〕 ハラスメントとは、相手に対して行われる嫌がらせのことで、地位や権力などを背景に相手に嫌がらせを行うパワーハラスメント、男女を問わず性的な嫌がらせを行うセクシュアル・ハラスメント、言葉や態度等によって精神的に継続的な嫌がらせを行うモラルハラスメント、妊娠・出産に伴い業務上の支障を来すという理由で嫌がらせを行うマタニティハラスメントなど、さまざまな種類のハラスメントが知られています。 このような中、セクシュアル・ハラスメントは、実際に被害を受けても、そのことを誰にも言い出せずに事実が表面化してこない、また相談しても十分な対応をとってもらえないというような深刻な問題もはらんでいるのではないかと思います。 そこで、今回は、社会問題化しているセクシュアル・ハラスメントについて質問をさせていただきます。 30年ほど前の平成元年、セクシュアル・ハラスメント、いわゆるセクハラを理由とした国内初の民事裁判が起こされ、大きな社会問題となりました。平成9年には男女雇用機会均等法が改正され、女性に対するセクハラ防止に関する規定が整備されました。また、平成19年には、男女双方への性による差別的取り扱いが禁止されるなど、順次、セクハラ防止に向けた対策が強化されてきました。 言うまでもなく、セクハラは被害者の尊厳を著しく害する行為であり、特に女性が被害者となることが多く、女性の活躍を推進している自由民主党に身を置く者の一人として、根絶しなければならないと考えています。 翻って本県の状況を見てみますと、議会でもたびたびこの問題が議論されてきたにもかかわらず、わいせつ行為やセクハラで懲戒処分を受けた教員や職員が後を絶たず、30年前の問題提起から大きな改善が見られていないと感じています。 また、厳正に審査された結果ではあると思いますが、現実に被害女性が心に傷を負って働いていかなければならない中で、処分が戒告程度にとどまった事案もあり、セクハラに対する懲戒処分の基準が甘く、このままで本当に女性が安心して働ける環境と言えるのかという思いもあります。 そして、この点が改善されていかなければ、職場環境の悪化や、それに伴う職員のモチベーションの低下等を招き、結果として、県民へのサービス低下につながるのではないかと強く危惧しているところであります。 県としても、セクハラの防止に向けて、研修の強化、相談窓口の設置など、熱心に取り組んできていることは承知しておりますが、被害がなくならない現状に、いわゆる風穴を開けるような対策も必要ではないかと考えています。 そこで、知事に伺います。 セクシュアル・ハラスメントの防止に向け、どのように取り組みを強化するのか、見解を伺います。 質問の第3は、ヤマビル対策について伺います。 〔資料提示〕 近年、登山やハイキング、キャンプを楽しむ人々の間でヤマビルに吸血される被害が全国的にふえています。本県においても、古くから丹沢山地の山奥で生息していたヤマビルが、現在は里地里山近くや人家周辺にまでその分布域を広げ、県内では8市町村に生息していると言われています。 こうした分布の拡大については、里地里山の森林や農地の手入れ不足などにより、ヤマビルが寄生したニホンジカやイノシシが里地里山に生息するようになったことや、ヤマビルに天敵がいないことが原因とされています。 私の地元、秦野市でも里地里山の整備などを通してヤマビル対策に力を入れてはおりますが、それでもヤマビルの生息分布の拡大のペースは速まっていると感じています。 〔資料提示〕 丹沢山地周辺の登山道やハイキングコースのほか、広い世代に親しまれている戸川公園、サイクリストの聖地となっているヤビツ峠、春に大変美しい桜が咲き誇る弘法山、市内に4カ所あるゴルフ場など、多くの観光客に訪れていただいておりますが、ヤマビルの被害は少なからず報告されています。 ヤマビルの被害を受けた観光客は、当然ながら、また来たいという気持ちが削がれてしまい、リピーターの減少にもつながるのではないかと懸念しているところでございます。 秦野市は盆地であり、周囲を山々に囲まれておりますが、以前はヤマビルの生息地は市北部の丹沢地区に限られていました。それが現在は、市街地中央部を東西に走る国道246号線を超え、市南部の渋沢丘陵地区にも生息域が広がりつつあります。 〔資料提示〕 渋沢丘陵には関東大震災により形成された自然湖である震生湖があります。この震生湖は、2023年に震生湖誕生100周年、すなわち関東大震災発生から100年を4年後に控え、改めて震災への備えを考え直す際の象徴的な存在になり得る場所です。現在、国登録文化財の登録や利便性向上を図りながら、多くの方々に訪れていただけるスポットを目指して整備を進めている最中です。 しかし、このような場所でヤマビルによる被害が発生すれば、集客に大きなダメージが生じ、秦野市の観光振興の取り組みに水を差しかねないと危惧しています。 既に住宅地の周りでも見られるようになるなど、生息域がますます拡大している中、ヤマビルの対策は基本的には地域が取り組むべきものではありますが、このような状況を鑑み、県としても広域的な視点を持ちながら、支援の内容を拡充するなど対策を強化すべき時期に来ていると考えます。 そこで、知事に伺います。 生息域が拡大の一途をたどるヤマビルによる被害に対応するため、どのような対策を講じてきたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、あわせて見解を伺います。 質問の第4は、地域の医療提供体制の確保について伺います。 〔資料提示〕 本定例会の代表質問で、我が会派の加藤元弥議員からも質問がありましたが、本年9月下旬、厚生労働省は、2025年に向けた役割等の再検証を求める公立・公的医療機関として、県内の10病院を含む全国424の病院名を公表しました。 今回の発表に際しては地域の実情を全く加味せず、しかも2年前のデータを用いて病院のリストアップがされるなど、とても承服できかねる内容のものでありましたが、この中には、私の地元でもある秦野市の秦野赤十字病院と国立病院機構神奈川病院が含まれていることから、地域住民に与えた衝撃は決して小さくはありませんでした。 今後、地域の実情も踏まえながら、2025年に向けて病院が担うべき機能や役割などを改めて検討していくことになると思います。ただ、公表された地元の2病院の中でも、秦野赤十字病院は秦野市及び周辺地域の地域医療を担う中核的な病院ではありますが、平成25年度以降、年度ごとの赤字額は2億円、4億円、8億円と急激に増加しております。 私はこれまで、市議会等において秦野赤十字病院の経営改善に向けた方策等について質問や提言を行ってまいりましたが、依然として経営状況は思わしくありません。 そして、秦野赤十字病院に限らず、地域に必要不可欠でありながらも経営に苦しむ病院はほかにも多いと聞いています。 地域において適切な医療が持続的に提供されるためには、その母体である病院等の経営が健全であることが基本となることから、その経営基盤をしっかりと確保していくことが重要です。 報道等によりますと、今後、診療報酬のマイナス改定も想定されているとのことです。また、超高齢化が進み、医療需要が地域ごとに変化していくことも当然考えられます。 そうした中で、各病院はその動向をしっかりと見据えた上で、みずからのウイークポイントとセールスポイントを的確に把握し、今後の経営方針を練り上げていくことが大切であります。 こうした経営改善は、もちろん病院自身が努力するべきことでありますが、県も広域自治体としての広い視野で、市町村とも連携しながら、各病院が競合するのではなく、役割分担や連携を図りながら持続可能な地域の医療提供体制を構築していけるよう、きめ細かいサポートを行っていくことが有効であると考えます。 そこで、
健康医療局長に伺います。 地域医療を担う病院等の医療機関が、健全な経営のもとで安定して適切な医療を住民に提供できるよう、県も広域自治体として支援していくべきと考えますが、見解を伺います。 質問の第5は、成年年齢引下げに向けた若者の消費者教育について伺います。 〔資料提示〕 我が国の将来を担う若者の自己決定権を尊重し、みずからが契約の主体となることで積極的な社会参加を促すため、昨年6月に民法が改正され、令和4年4月からは、成人となる年齢が20歳から18歳に引き下げられます。 昨今の若者を取り巻く状況ですが、国民生活センターの集計によりますと、成人となった20歳から22歳の若者からの消費生活相談は、18歳から19歳の未成年に比べて倍増しており、未成年者が親権者の同意なく結んだ契約を取り消すことができる未成年者取消権が使えなくなるため、成人となったばかりの若者が悪質な商法の標的になっていることがうかがえます。 この夏、大学生を狙ったマルチ商法の被害が広がっているという報道がありました。高校時代の先輩から、使用すれば投資でもうかると誘われ、借金までして高額な投資学習教材が入ったUSBメモリを購入したものの、実際にはもうけることができないばかりでなく、友人を勧誘すれば紹介料が入るとの誘いに乗り、最終的にはみずからが勧誘する立場になるという大変深刻な内容でした。 今後、成年年齢が18歳に引き下げられると、高校生の年代から、このような悪質な商法の標的となることが危惧されます。 加えて、若者の借金被害に関しては、国民生活センターが昨年5月末にまとめた平成23年から29年度の消費者金融やカードローンなどに関する相談は、18歳、19歳の平均が177件だったのに対し、20歳から22歳の平均は2,560件と14倍以上でした。この点に関しましても、未成年者取消権がしっかりと機能していることがうかがえます。 新たな規制が打ち出されていない中、消費者教育への期待は高まっています。社会経験が乏しく、知識も十分でないまま、知人やSNSの情報を安易に信用して、借金までして高額な契約を行ってしまう若者が後を絶たない中、未成年のうちから契約に関する知識をしっかりと身につけ、行動できるようにしていくことが喫緊の課題であり、中学生や高校生を持つ保護者にとっても、大変関心の高い問題であると思います。 国では、成年年齢引き下げを見据え、若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムを策定し、平成30年度から令和2年度の3年間を集中強化期間とし、新たな教材の普及などに取り組んでいると承知しています。 そこで、
くらし安全防災局長に伺います。 成年年齢引き下げに向けた若者の消費者教育にしっかりと取り組んでいくことが必要と考えますが、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、あわせて見解を伺います。 質問の第6は、公立小・中学校における児童・生徒の「学びに向かう力」の醸成について伺います。 〔資料提示〕 公立小中学校における教育指導について、新しい学習指導要領に基づく教育課程が、小学校では令和2年度から、中学校では令和3年度から全面実施となります。 新しい学習指導要領では子供たちに、変化の激しいこれからの時代を生きていくために必要な知識や技能、思考力や判断力、表現力を培うとともに、学ぶ意欲や物事をやり抜く姿勢、他者とコミュニケーションする力などを包括した学びに向かう力を醸成していくことが示されています。 〔資料提示〕 そして、学校には、これまで以上に子供たち主体の学びを重視し、主体的、対話的で深い学びの視点から、不断の授業改善を図っていくように求められています。 そうした中、文部科学省は、平成25年度と平成29年度に、全国学力・学習状況調査の追加調査として実施した保護者に対する調査の結果を活用し、家庭の所得や保護者の学歴などを指標とした、いわゆる家庭の社会経済的背景─SESと学力の関係などについて、お茶の水女子大学に調査分析を委託しました。そして、この分析結果では、SESが高い児童・生徒のほうが各教科の平均正答率が高い傾向にあるということが明らかになりました。 あわせて、この分析結果を見ると、このSESの高低にかかわらず、学ぶ意欲や物事をやり抜く姿勢、他者とコミュニケーションする力など、テストの点数には直接あらわれてこない非認知スキル、言いかえれば学びに向かう力を高めていくことにより、学力を一定程度押し上げる可能性があるということも示されています。 私は以前、秦野市で教育委員を拝命しており、その4年間は秦野市教育大綱の基本方針の一つである、未来に向かって、たくましく生きる子どもを育みますという目標を常に念頭に置き、努めさせていただきました。 各種アンケートでも、先行きに不安を感じるという人が多くなっている今だからこそ、みずからの力で将来を切り開いていくスキルが求められています。 子供の貧困が大きな社会問題となっている現在、今後、その貧困の連鎖を断ち切っていくためには、そうしたSESが低い家庭の子供たちにこそ学力の向上も一つの手段として促し、今ある状況から抜け出す力を身につけてもらうことが必要であると考えています。 そのためには、特に、家庭環境を初めとしたさまざまな配慮を要する子供たちがともに学ぶ公立の小中学校における取り組みが果たす役割は非常に大きいものがあります。 本県の公立小中学校においても、先ほど述べた国の分析結果をしっかりと受けとめ、保護者と協力しながら、子供たちのよいところを積極的に認めるとともに、子供たちに努力することや最後までやり抜くことの大切さを伝えるなど、全ての子供たちの学びに向かう力の醸成に、さらに力を尽くしていってほしいと強く願うところであります。 そこで、教育長に伺います。 公立小中学校における児童・生徒の学びに向かう力の醸成について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 質問の第7は、県立高校における災害時に備えた取組について伺います。 〔資料提示〕 今年10月の台風15号と19号により、かつてないほどの記録的な暴風雨に見舞われ、県内各地に大きな爪跡を残しました。 特に相模原市や箱根町での大規模な土砂崩れや、川崎市などでの大規模浸水、その他県全域にわたっての強風による停電や建物被害などが発生し、今なお、復旧に向けてご苦労されている方々のその心中は察するに余りあるものがございます。 振り返れば、平成23年の東日本大震災を初め、近年は、平成28年の熊本地震、平成30年の北海道胆振東部地震といった大きな地震が多発しているだけではなく、平成30年7月の西日本豪雨など大規模な土砂災害や浸水が発生している状況です。 今後も南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の発生が危惧されており、いつまた身近な地域で大規模災害が発生するかわかりません。 最近の災害の状況を見ると、過去の経験則からははかることのできない規模とスピードで被害に見舞われることが多発しています。 また、心理学的に正常性バイアスという状態が知られており、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性によって避難行動をとるのがおくれがちになると言われています。このような状況を踏まえ、より的確な判断力と行動力が求められています。 また、高齢者や障害者など一人での避難が困難な方々を含め、全員が無事に避難するためには、地域の皆さんの協力が不可欠であり、とりわけ体力と行動力のある若者の存在も重要になってくると考えます。 子供たちも誰かに助けてもらうのではなく、自分の命は自分で守る自助の能力を身につけて行動することはもちろん、共助の精神で地域住民を助ける側に回ることも必要です。 私の地元の秦野市では、昨年、市議会で行われた高校生議会に参加した高校生議員たちが、その活動を単年度で終わりにしたくないということで、引き続きE4というボランティア団体を組織し、防災活動にも範囲を広げて活動していこうとする動きがあります。 世間に何かを求めるのではなく、自分たちの持てる力で地域に貢献していきたいという意識を持っている若者が確かに存在します。そんな彼らに安全に活動に取り組んでもらうための知識と場所を提供する必要があると考えます。 〔資料提示〕 そのためには、日ごろから防災意識を向上させるための生徒主体の避難訓練の実施や、地域の方々やNPO団体などと協力し、災害時の避難所での行動を想定した訓練などを実施するといった取り組みが効果的だと考えます。 そこで、教育長に伺います。 県立高校において、災害時に生徒が自助に加えて共助の精神を有し、みずからの命を守るとともに、地域の防災活動にも貢献できる高校生の育成が重要と考えますが、見解を伺います。 以上で、第1回目の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 加藤議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、介護給付適正化の取り組みについてお尋ねがありました。 まず、事業者に対する指導監督についてです。 介護サービス事業者に対する指導監督は、介護保険制度の信頼性を維持し、制度の持続可能性を高めるために重要です。 県では定期的に事業所を訪問し、実地指導を行う中で、介護報酬が適切に算定されているか確認しており、不適切な請求があれば、改善を求めています。 また、事業所の管理者を対象とした講習会で、改善を求めた事項を伝えるなど、注意喚起を図っていますが、現状では約1割の事業者が介護報酬を誤って請求したことから、返還に至っております。 今後、高齢化の進展に伴い、さらに事業者の増加が見込まれますので、実地指導と講習会について、より効果的に指導監督を行います。 具体的には、不適切な請求など、課題の多い事業者については、実地指導の回数をふやすとともに、講習会で使用する指導事例集の充実などにより、事業者の請求事務の徹底的な改善を図っていきます。 次に、市町村に対する支援についてです。 市町村は介護保険の保険者として、みずから主体的・積極的に介護給付適正化に取り組んできましたが、市町村によってその取り組みに差があるのが現状です。 そこで、県では市町村がケアプラン点検などの介護給付適正化事業に、より効果的・効率的に取り組めるようアドバイザーを派遣し、助言を行うとともに、情報共有や最新動向の紹介を行う研修を実施しています。 また、今年度はAIを活用したケアプランを点検するモデル事業を秦野市で実施しています。 具体的には、AIが作成したケアプランとケアマネジャーが作成したケアプランを身体機能等の将来予測を含め、比較検討するものです。その結果、ケアマネジャーの新たな気づきを促し、さらにはケアプランの改善にもつながっています。 今後、効果的な取組事例やモデル事業の結果について、研修を通じて情報提供を行うなど、市町村への支援を充実させ、県全体の底上げを図っていきます。 県としては、事業者や市町村としっかり連携して、介護給付適正化の取り組みを通じ、高齢者が安心して元気に生き生きと暮らせる社会づくりを進めてまいります。 次に、セクシュアル・ハラスメントの防止についてお尋ねがありました。 セクハラは相手の人格や尊厳を傷つけるだけでなく、組織運営にも悪影響を及ぼすもので、決してあってはならないものと考えています。 セクハラの防止には、まずは風通しのよい職場環境をつくることが重要です。そこで、働き方改革の取り組みを推進し、上司と部下、同僚同士のコミュニケーションをより一層深めることで、セクハラの起こりにくい職場づくりを進めています。 また、新採用職員研修や新任の管理監督者への研修等に加え、昨年11月には幹部職員を一堂に集め、セクハラ防止をテーマに政策課題トップセミナーを開催するなど、職員一人一人の意識の醸成に向けて、対策を強化してきました。 さらに、精神保健の知識を有する職員を配置した専門の相談窓口を設置して、個別の事案にきめ細やかな対応を行うとともに、実際にセクハラが起きてしまった場合には、年度途中であっても速やかに人事異動を行うなど、良好な職場環境の構築に取り組んでいます。 セクハラ防止の観点から、セクハラを起こした職員に対しては、厳正に処分を行うという姿勢をしっかりと示すことも大変重要です。 現在、懲戒処分の指針では、セクハラについて、相手の意に反することを認識の上で、性的な言動を繰り返した職員は停職、または減給としていますが、セクハラの対応はさまざまです。 そこで、セクハラにより被害者にストレスを与え、休職に至らしめた場合など、行為の悪質性や被害者に与えた影響の大きさ等によっては免職にもなることを指針の中で新たに明確化し、セクハラの防止を図っていきたいと考えています。 こうしたさまざまな取り組みを行うことで、全ての職員のセクハラに対する意識を高め、働きやすく、笑いがあふれるような職場づくりに取り組んでまいります。 最後に、ヤマビル対策についてお尋ねがありました。 まず、これまでの取り組みについてですが、県ではヤマビルによる被害の軽減に向け、平成19年、20年度に全国に先駆け、大学や民間の研究機関と連携して、生息実態や防除方法などの研究を行いました。 研究報告では、有効な対策として、ヤマビルが生息できない乾燥した環境の整備やヤマビルの運び役となる鹿やイノシシの対策が示されています。 この研究報告は、効果的なヤマビル対策として農林水産省のホームページに掲載され、現在も全国各地のヤマビル対策に活用されています。 本県でも、この研究成果に基づき、市町村が地域ぐるみで行う環境整備活動やヒルよけの忌避剤の購入等を支援するとともに、登山者等に対しても被害に遭わないよう注意喚起を行ってきました。 しかし、ヤマビルの生息域はここ数年さらに拡大し、市街地付近でも被害が報告されています。 その原因は中山間地域での住民の営みが希薄になったことで、鹿やイノシシの生息域が拡大し、薬剤散布でヤマビルを駆除しても、その後に鹿やイノシシが侵入してヤマビルが再び定着してしまうことにあると考えています。 このため、鹿やイノシシを寄せつけない環境の整備や捕獲を行う鳥獣被害対策を進める必要があります。 そこで、今後の取り組みについてです。 県では、ヤマビル被害の多い地域において、積極的に地域ぐるみの鳥獣被害対策に取り組むよう、市町村との連携を強化していきます。 地域ぐるみでやぶ刈りや落ち葉かきを行い、日当たりや風通しのよい環境にすれば、鳥獣被害が減少するだけでなく、ヤマビルの駆除にも効果が期待できます。 県としては、今後もかながわ鳥獣被害対策支援センターが指導、助言を行いながら、地域ぐるみの取り組みを進め、ヤマビルの分布拡大の防止に努めてまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
健康医療局長(市川喜久江)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 市川
健康医療局長。
◎
健康医療局長(市川喜久江) 健康医療局関係のご質問にお答えします。 地域の医療提供体制の確保についてお尋ねがありました。 急速な高齢化が進む本県において、地域の特性に応じた適切な医療を持続的に提供していくためには、まず、これを担う医療機関の経営が健全であることが必要不可欠です。そして、経営改善は基本的には、それぞれの病院などがみずから収益向上や経費削減に取り組んでいくものと考えています。 一方で、よりよい地域医療を構築していく中で、各病院がみずからの役割や特徴を考え、さらには周辺と連携していくことも経営手法の一つとして重要であり、県ではこうした側面からの支援に取り組んでいます。 具体的には、医療や介護の関係者で構成する地域医療構想調整会議を県内8地域に設置し、目指すべき姿や課題を共有するとともに、地域の全病院が参加する情報交換会や少人数での会議を開催するなど、経営課題や将来の方向性を率直に話し合える場を設けています。 こうした際に、県は経営判断の材料として、地域の患者の受診動向の分析データや各病院が現在担っている病床機能などを取りまとめ提供しています。 また、個々の医療機関がみずからの強み、弱みを把握した上で、機能転換等が経営面でプラスとなるか判断ができるよう、必要に応じて県から専門の経営コンサルタントを派遣し、経営方針の検討を支援しています。 さらに、例えば病床を地域で不足しているリハビリなどの回復期の機能に転換する場合は、その整備に対して補助を行い、設備投資の負担軽減を図っています。 今後も、これらの取り組みを市町村や関係団体と連携して着実に進めることで、地域の中で医療機関が安定して経営され、県民の皆様が安心して医療が受けられるよう積極的に支援してまいります。 私からの答弁は以上でございます。 〔
くらし安全防災局長(花田忠雄)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 花田
くらし安全防災局長。
◎
くらし安全防災局長(花田忠雄) くらし安全防災局関係のご質問にお答えします。 成年年齢引き下げに向けた若者の消費者教育についてお尋ねがありました。 民法改正による令和4年4月の成年年齢引き下げに伴い、今後18歳で成人となる若者に今から消費者教育を行うことは大変重要です。 県ではこれまでも、消費者被害の怖さや危険性を啓発するポスターを県内全ての高校に配付し、子供たちに広く周知してきました。 また、授業で活用する消費者教育の教材を自分自身で書き込んで理解するワーク形式を取り入れながら、今年度に全面改訂し、県内全ての中学校、高校に配付しました。あわせて、この教材の活用や指導方法について教員向けの研修も実施しています。 さらに、新成人を消費者被害から守るためには、保護者への啓発も重要です。そこで、本年1月に成年年齢引き下げと消費者教育をテーマとしたフォーラムを国と共催で全国で初めて開催しました。また、夏には県立高等学校PTA連合会が行う大規模な研修会の場で、成年年齢引き下げについて改めて保護者に周知しています。 今後は高校生みずからが18歳で成人になることの課題について、座談会で話し合い、当事者目線で取りまとめた記事を情報誌に掲載し、県内の高校に配付します。 また、成年年齢引き下げにより懸念される消費者被害について、アニメーションを作成し、若者にわかりやすく啓発していきます。 さらに、来年、高校に入学する生徒は在学中に成人となる最初の学年になりますので、入学時に啓発チラシを配付するなど、教育委員会と連携した取り組みも進めていきます。 県としては、こうしたさまざまな取り組みを通じて、今後18歳で成人となる若者が悪質な消費者被害に遭うことのないよう、引き続き消費者教育にしっかりと取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 公立小中学校における児童・生徒の学びに向かう力の醸成についてです。 新しい学習指導要領では、変化の激しい社会を生きる子供たちに必要な資質、能力の一つとして、学習に粘り強く取り組むことや、みずからの学びを客観的に把握し、さらに向上させようと工夫することなどの学びに向かう力が示されました。 この学びに向かう力を育むために、学校では、どの教科においても児童・生徒がみずからの学習を振り返り、学んだことの意義を実感できるような授業を行うことが重要です。 そのため、県教育委員会では、各学校が教育課程を適切に編成、実施していくための指針を作成し、昨年度から県内の各地区で説明会を行うなど、新学習指導要領の趣旨や授業の工夫改善のポイントを教員に周知してきました。 特に、日々の授業の中で学びに向かう力を醸成していくためには、教員が児童・生徒一人一人のよい点や可能性、努力や工夫などを積極的に認め、評価していくことが必要です。そして、この評価を児童・生徒の自信や意欲につなげていく指導を行うことが教員には求められています。 また、このような指導をする際には、児童・生徒一人一人の特性や家庭環境等を十分に踏まえ、丁寧に対応していくことが大切です。 そこで、県教育委員会では、公立小中学校の教員向けに児童・生徒の学習の評価や指導のポイントなどをまとめている学習評価資料集を今年度全面的に見直し、この学びに向かう力を醸成するための評価や指導のあり方を重点的に盛り込んでいきます。 あわせて、来年度には、児童・生徒や保護者に学びに向かう力の重要性などを理解してもらい、共有していくためのリーフレットも新たに作成してまいります。 次に、県立高校における災害時に備えた取り組みについてです。 近年、全国各地で豪雨等による被害が発生し、また首都直下地震の発生も懸念されている中、高校生にはみずからの安全確保とともに、地域の人々の安全・安心にも貢献していくことが求められています。 そのため、高校生が学校における学習活動を通じて、防災に関する知識や的確な判断力、人命救助に必要な技能を身につけるほか、地域の防災活動などに貢献しようとする意識の向上を図ることが大切です。 そこで、県立高校では、地域の防災情報を知り、生徒みずからが考える取り組みとして、学校の周辺の白地図に危険箇所や緊急避難に使える公共施設などの防災関連情報を書き込み、災害発生時の対策を考える図上訓練、いわゆるDIGを行っています。 また、高校生が地域の災害救助活動の担い手となることを狙いとして、けが人の搬送やAEDの扱い方などの技能を身につける訓練や、学校が避難所となった場合の設営を行う宿泊訓練などの実践的防災訓練も実施しています。 しかしながら、DIGや地域と連携した実践的防災訓練について、現時点では全ての生徒が参加して実施している学校もあれば、クラス単位や防災委員会の生徒のみが参加して実施している学校もあるなど、その取り組みに違いが見られます。 そこで、県教育委員会では、全生徒が参加する効果的な防災訓練の取組事例について、学校長を構成員とした学校防災推進会議などを通じて周知し、各県立高校における訓練のより一層の充実を図っていきます。 そして、一人でも多くの高校生が自助、共助の精神に基づき、みずから考え、主体的に行動し、地域に貢献できるよう防災教育を進めてまいります。 以上でございます。 〔加藤ごう議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 加藤ごう君。 〔加藤ごう議員登壇〕
◆加藤ごう議員 知事並びに
くらし安全防災局長、
健康医療局長、教育長におかれましては、ご答弁ありがとうございました。 それでは、1点、再質問させていただきます。 地域の医療提供体制の確保についてでございます。 病院の経営改善、経営の健全化に向けての支援という意味では、地域の医療体制に密接にかかわる市町村との連携が重要と考えますが、県では具体的にどのような連携をとっていくのか、
健康医療局長の見解をお伺いいたします。 〔
健康医療局長(市川喜久江)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 市川
健康医療局長。
◎
健康医療局長(市川喜久江) 健康医療局関係の再質問にお答えします。 地域の医療提供体制における市町村との連携についてです。 市町村には、各地域で開催している地域医療構想調整会議の構成員として、地域の実情を踏まえたさまざまなご意見をいただいております。 また、県と市町村が連携して、よりよい地域医療の提供を目的に、在宅医療の患者の入院や病院同士の転院が円滑に行われるよう、地域のルールづくりを行っていますが、こうした取り組みは病床の稼働率向上など、病院経営の健全化にもつながると考えております。 今後も市町村としっかりと連携し、地域の医療提供体制の構築に取り組んでまいります。 以上でございます。 〔加藤ごう議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 加藤ごう君。 〔加藤ごう議員登壇〕
◆加藤ごう議員 ありがとうございました。 それでは、時間の許す限り、意見・要望を申し上げていきたいと思います。 まずは、セクシュアル・ハラスメントの防止についてでございます。 先ほど申し上げましたとおり、県が取り組んできた研修の強化、相談窓口の設置などでは、一定の効果はあるのだとは思いますが、セクハラがなくなっていない現在、なかなか特効薬にはなり得ないようです。 そこで、懲戒処分が全てとは思いませんが、被害を受けた方の心労、ダメージに比して、処分内容が余りにも寛容で、見合っていないと思われるので、質問させていただきました。 ここで知事からは、懲戒処分の指針に免職も明記するなど、厳正に処分していくというお考えであるということをご答弁いただきましたので、大変心強く思っているところでございます。 これは本県におけるハラスメント対策の大きな一歩となり得るものだろうと思っています。引き続き、セクハラのみならず、パワハラやモラハラ、マタハラなども含めて、ハラスメントのない、誰もが働きやすい県庁としていただけるように、強く要望させていただきます。 次に、地域の医療提供体制の確保についてです。 公立及び公的病院は、時には採算を度外視しても必要とされる診療科目の維持をしていくなど、地域と密接に結びついた、ある意味、地域住民の健康維持の最後のとりでとも言われるものであり、今回、厚生労働省によってリストアップがされた病院も、多くがこれに当てはまるのだろうと思います。 私の地元、秦野市の二つの病院も例外ではなく、例えば秦野赤十字病院はそんな大きな役割を担っているからこそ、経営状況の悪化、診療科目の縮小や分娩対応の中止などが市民の大きな関心事となっており、あらゆる立場の方々がそれぞれに、その解決のために奔走されています。 来年度からは消防本部から救急自動車と救急救命士等を病院に派遣し、そこから専門医が救急自動車に同乗することによって救命率の向上が期待される救急ワークステーションが開設されるなど、病院と行政が一体となって病院の価値を高めるとともに、経営改善に取り組んでいくということが示されています。 そのような中で、今回の発表はまさに寝耳に水であり、憤りすら感じるところであります。県としては今後、一律の基準でしゃくし定規に再編を促すようなものではなくて、各地域の実情を鑑み、住民の皆さんの切実な声に耳を傾けながら寄り添った支援をお願いしたいと思います。 次に、ヤマビル対策についてですが、これに関してはさまざまな取り組みがこれまでもなされてきておりますが、なかなか突破口は見出せていないという状況です。 しかしながら、秦野市においては、震生湖を含む渋沢丘陵地区にまでヤマビルの生息域が拡大してしまいますと、秦野盆地の周囲、ほぼぐるっと一周ヤマビルに囲まれるという、言葉で聞いても恐ろしい環境ができ上がってしまいます。当然そういった場所では観光客の足も遠のくことが容易に想像されるので、観光振興の観点はもちろんのこと、市民の憩いの場を守るという意味でも、県として地域の取り組みにさらなる支援をお願いしたいと思います。 県立高校における災害時に備えた取り組みについてでございます。 先ほど秦野市の高校生団体E4の話をいたしましたが、彼らのような若い世代には我々のような、いわゆる大人が考えている以上に世の中のために役に立ちたいと思っている人が数多く存在します。 そんな彼らがその思いの強さから、逆に危険にさらされてしまうようなことがあってはならないわけでございますので、高校生たちが正しい知識を身につけ、安全に活動してもらえるように、教育委員会としての取り組みを進めていただきたいと思います。 以上、7項目、多岐にわたって質問させていただきました。明快かつ前向きなご答弁をいただきました知事並びに教育長、局長の皆様、また最後までご清聴いただきました先輩、同僚議員の皆様及び全ての皆様に心より感謝申し上げ、質問を終わります。 ありがとうございました。
○議長(梅沢裕之) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(梅沢裕之) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は20分後といたします。 午後2時51分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-令和元年第3回-20191205-028588-質問・答弁-新堀史明議員-一般質問①米軍根岸住宅地区の返還に向けた取組について②「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の普及に向けた取組について③特殊詐欺対策について④三浦半島地域の活性化に向けた更なる展開について⑤被災者支援における被災家屋認定について⑥公立小学校における「いのちの授業」を活用したいじめ防止について⑦情勢変化に対する県警察の対応について》 午後3時20分 再開 〔議会局長報告〕 出席議員 議長共101名
○議長(梅沢裕之) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(梅沢裕之) 質問を続行いたします。 新堀史明君。 〔新堀史明議員登壇〕(拍手)
◆新堀史明議員 自民党の新堀でございます。 私は自民党県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。 知事並びに
くらし安全防災局長、教育長、警察本部長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 それでは、早速、質問に移ります。 〔資料提示〕 質問の第1は、米軍根岸住宅地区の返還に向けた取組についてです。 根岸住宅地区は在日米海軍の住宅施設であり、私の地元、横浜市南区を含め、三つの区にまたがる広大な敷地を占めています。戦後間もなく米軍に接収され、その後、一部返還されましたが、施設の主要な部分は長らく米軍の管理下に置かれてきました。 そうした中、平成16年10月の日米合同委員会において返還方針が示され、平成27年12月までには米軍居住者が退去、さらに昨年11月、新たな日米合意がなされ、返還に先立って日本政府が原状回復作業を行うことや、返還の時期について日米で協議を行っていくことが決定いたしました。 そして、本年11月15日、日本政府が原状回復作業を行うための共同使用がようやく正式に合意されました。 私の地元を含め、基地周辺住民の多くの方々は、長年にわたり基地の返還を待ち望んでおり、私も県議会において機会あるごとに根岸住宅地区の早期返還に向けた県の取り組みについて取り上げてまいりました。 さきの第1回定例会においても、知事からはできる限り早期に返還されるよう、粘り強く国に働きかけていくと前向きな答弁をいただいたところです。 そして今回、返還に向けた動きがいよいよ具体化することによって、周辺地域や関係者からの注目度は高まっています。 しかし一方で、返還に向けては、解決しなければならないさまざまな課題があることも事実です。 〔資料提示〕 まず、国が原状回復作業を進める際には、周辺住民の生活に影響を及ぼさないこと、また、安全確保についても最大限の配慮を払うことが重要です。 原状回復作業については、早期に所有者に土地を返還するため、共同使用期間中に建物等の除却工事を行うことが明らかにされていますが、安全管理の方法についてはいまだに明らかにされていません。 これらは基地周辺住民に直接影響を及ぼすものであり、早急に情報提供があってしかるべきです。 また、跡地利用についても、根岸住宅地区は長い間、米軍基地であったため、周囲の幹線道路とのネットワークや、鉄道駅からのアクセスが乏しいなど、さまざまな課題があります。 特に、基地の敷地には国有地と民有地がモザイク状に分布しており、今後、跡地利用を図る上で、大きな課題になると思われます。 基地の跡地利用については、横浜市が取り組むべきことと承知していますが、県としても、早期返還の実現とあわせて、跡地利用に関する市の検討について支援を行う必要があるのではないかと考えます。 そこで、知事に伺います。 米軍根岸住宅地区について、国が行う原状回復作業に関する具体的な情報提供を行う必要があると考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、また、早期返還の実現とあわせて、市が行う跡地利用の策定について、どのように支援していくのか、知事の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第2は、「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の普及に向けた取組についてです。 平成28年7月に発生した津久井やまゆり園事件のような出来事が二度と繰り返されないよう、断固とした決意を持って、ともに生きる社会の実現を目指し、県と県議会が共同して、同年10月にともに生きる社会かながわ憲章を策定してから3年が経過しました。 県議会では、あの痛ましい事件の記憶を決して風化させないため、そして多くの県民の皆様に憲章の理念を知っていただくため、これまで議長を先頭に駅頭でのチラシ配布を初め、各議員が主催するさまざまな行事などを通じ、憲章の普及に努めてまいりました。 また、県においてもさまざまな機会を捉えて憲章の普及に取り組んできたと認識しています。 こうした中、県は本年7月に策定した「かながわグランドデザイン」第3期実施計画において、憲章の認知度、すなわち、憲章を知っている、または言葉は聞いたことがあるという人の割合を、2022年までに50%とするKPIを掲げました。 しかし、本年10月に公表された県民ニーズ調査結果の速報によると、憲章の認知度は昨年の17.0%を下回る15.7%にとどまり、3年連続で8割を超える方が知らなかったという状況です。 この結果については、県職員、各議員とも努力してきただけに大変残念であり、県には今後も粘り強く取り組んでもらいたいところですが、認知度が前年度より下がってしまった現実を見れば、従来の取り組みによる普及拡大だけでは限界が来ていると感じます。 しかしながら、今後も県や議会は憲章の認知度向上を図り、その理念や内容を一人でも多くの県民に理解してもらう努力を続けていく必要があります。 〔資料提示〕 本年10月には、若い世代に向けた新たなロゴデザインを発表するなど、県が憲章の理念の普及に向けてさまざまな取り組みを行っていることは承知していますが、これが今後の憲章の認知度アップに直接つながっていくのかと言えば、正直なところ、疑問が残ります。 今後は今までの取り組みを継続しながらも、より長期的な視野に立って、小中学生などの子供たちを対象に憲章の理念を普及していくことが大切だと思います。子供たちが日常生活の中で憲章の理念や内容に触れることにより、憲章をしっかりと浸透させ、将来的にともに生きる社会の実現を目指していくことが、我々大人たちの努めではないでしょうか。 そこで、知事に伺います。 ともに生きる社会かながわ憲章の認知度が思うように進まない中、子供たちに向けた憲章の理念の普及は大変重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第3は、特殊詐欺対策についてです。 県内の特殊詐欺の被害は年々増加傾向にあり、昨年の被害件数は約2,800件、被害総額は約61億円と過去最悪を更新しました。特殊詐欺の被害者のほとんどは高齢者であり、一度被害に遭ってしまえば、大切な財産を失い、将来の生活を脅かすという極めて卑劣な犯罪であると思います。 また、被害者の中には、財産を失うだけでなく、家族から、なぜ相談しなかったのかと責められ、自責の念から自殺まで考えるほど精神的に追い込まれてしまうケースもあると聞いています。 県では特殊詐欺撲滅を目指し、平成26年に知事による振り込め詐欺犯罪防止特別宣言を行いました。また、知事を会長とする神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進協議会では、平成28年度から4年連続で年度テーマを振り込め詐欺防止とし、被害防止を広く呼びかけていることは承知しております。 しかし、特殊詐欺の手口は目まぐるしく変化しており、その被害に歯どめはかかっていません。 最近では、キャッシュカード型詐欺が横行し、被害が広がっています。こうした状況を踏まえれば、これまでの啓発を中心とした対策はもはや限界にあるとも言え、さらに一歩踏み込んだ対策を講じる必要があると思います。 〔資料提示〕 特殊詐欺の被害は、ほぼ全てのケースで犯人からの一本の電話が始まりと言われています。すなわち、特殊詐欺の被害に遭わないためには、犯人からの最初のアプローチである電話に安易に出ないことが最も有効であると考えます。 これまで県警察では、迷惑電話防止機能つき機器を一定地域で無償貸与する取り組みを行っていると承知していますが、貸与されたご家庭では被害は発生していないというふうに聞いています。 また、本県の大和市では、迷惑電話防止機能つき機器の購入者に対して補助金を交付する制度を創設したところ、前年と比較して特殊詐欺の被害件数が大幅に減少したとも聞いています。 これらのことからも、特殊詐欺の被害防止に最も効果的な対策は、迷惑電話防止機能つき機器を備えることだと思います。この機器を広く県内市町村に普及するためには、県みずからがリーダーシップを発揮し、補助事業等を創設するなど、新たな取り組みを考える時期に来ているのではないかと感じています。 そこで、知事に伺います。 大きな社会問題となっている特殊詐欺の被害防止に向け、県は今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第4は、三浦半島地域の活性化に向けた更なる展開についてです。 三浦半島地域は、都心から近いながらも三方に海が広がり、中央には三浦丘陵が連なる自然豊かな地域であることから、新鮮な食材や風光明媚な景観、歴史と文化に育まれた多彩な資源を有しており、年間約3,600万以上の人が訪れる観光地となっています。 その一方で、三浦半島地域は1990年代から、県内の他地域に先んじて人口減少や高齢化が進んでおり、将来を見据え、総力を挙げて地域の活力を維持していくことが急務となっています。 こうした課題に対して、県は地元市町と連携しながら、観光の魅力と半島で暮らす魅力の二つを柱とする三浦半島魅力最大化プロジェクトを推進しています。 これまでさまざまな取り組みが進められていることは承知していますが、私は、プロジェクトが掲げる観光の魅力と半島で暮らす魅力は表裏一体であり、観光による地域の活性化は、地域の魅力アップや雇用の創出などにもつながるため、定住人口増加への近道であると思っています。 そして、観光による地域活性化を図っていくためには、行政はもとより、民間が果たす役割が大変重要であります。 危機感を持った地元金融機関や商工団体等が中心となり、地域活性化に積極的に取り組むなど、民間主体の活動も活発化の兆しは見えてきているものの、プロジェクトが動き出してから4年、残念ながら顕著な変化は感じられません。 こうした状況の中、特に広域的な観光地づくりのかじ取り役となるDMOの設立に向けた動きについては期待しているところです。 DMOとは、地域の多様な関係者を巻き込みつつ、科学的なアプローチを取り入れた観光地域づくりを行う法人のことですが、このDMOが三浦半島の観光による地域活性化に果たす役割は、今後ますます大きくなると考えています。 そして、いよいよ今年度は三浦半島魅力最大化プロジェクトの最終年度であり、現在、改定に向けた検討が進められていると承知していますが、今後、活性化を一層進めていくためには、民間の持つ活力を最大限引き出すことが大切だと考えます。 そのためには、企業や団体等による主体的な活動を今後、県がしっかりと後押ししていくことが重要なポイントになると思います。 そこで、知事に伺います。 三浦半島地域の活性化に向けて、今後、地域活性化の担い手となる民間企業等とどのように連携して取り組んでいこうとしているのか、知事の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第5は、被災者支援における被災家屋認定についてです。 令和元年、我が国では大型の台風による被害が相次ぎ、特に台風15号、19号は関東・東北を中心に猛威を振るい、本県でも大きな被害が発生しました。 横浜市金沢区を初め、県内各地に被害を及ぼした9月の台風15号に続き、10月には台風19号が本県を襲い、箱根、相模原、川崎などに甚大な被害をもたらしたのは記憶に新しく、被災直後からさまざまな支援が各地で展開され、現在も継続中です。 台風15号では、強風で多くの家屋の屋根が飛ばされるなど、大きな被害があった千葉県に対し、本県は神奈川県土地家屋調査士会の調査員と一緒に、被災家屋認定調査の支援を行ったと聞いています。 また、現在でも、台風19号で深刻な浸水被害を受けた川崎市が、神奈川県土地家屋調査士会と連携して、調査を行っているということであります。 東日本大震災以降、官民連携の必要性が注目される中、今回の台風被害での対応で、被災された方々に向けた支援の一つである被災家屋の認定調査が速やかに実現したことは、高く評価しています。 また、実際に県職員に同行した調査士のお話では、千葉県において、特に神奈川県の活動は存在感を見せ、被災地で感謝されていたとも聞いています。 要請があってから派遣するまでの準備期間が短かった中で、調整にもご苦労されたと思いますが、神奈川県の支援活動が評価されることは大変誇らしく、本当によくやっていただいたと思っております。 〔資料提示〕 ただ一方で、活動に参加した土地家屋調査士会からは、認定調査で使用した国が定めた被害認定基準は地震をベースとしているために、今回のような台風による風水害では、認定結果と被害の実態に乖離があったとの話を聞いています。 また、調査で使用する車両の手配の問題や、行政から派遣された調査員であることの身分証明が必要であるなど、現場からはさまざまな課題を指摘する声も上がっています。 これらの課題提起に耳を傾け、平時から連携して対応策を検討し、解決に向けて取り組んでいくことが、今後の適正で円滑な被災者支援のために必要だと考えます。 そこで、
くらし安全防災局長に伺います。 今回の台風被害の経験を生かし、今後、土地家屋調査士会との連携強化を図るとともに、風水害による被災者支援に当たり、より実態に即した被災家屋認定が受けられるよう、国に認定基準の見直しを求めるなど、取り組みを進める必要があると考えますが、
くらし安全防災局長の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第6は、公立小学校における「いのちの授業」を活用したいじめ防止についてです。 学校とは、ただ学問を学ぶだけの場所ではなく、子供たちが成長する中で、さまざまな個性を持つ仲間との交流を通じ、時には衝突しながらも社会性を身につけていく場であると思います。 そういった意味では、いじめ等のトラブルが発生しない環境をつくっていくということは容易なことではないと想像ができます。しかしながら、いじめが原因で重大な事態に陥ったとの報道に接するたびに、学校では子供たちのサインを見逃さず、いじめを早期に認知し、その解消に向けて迅速に対応することはもちろん、二度とこうした事態を招くことがないよう、当事者となった子供だけでなく、全ての子供たちにいじめを生まない心を育む教育を充実させてもらいたいと強く感じます。 先般公表された神奈川県児童・生徒の問題行動等調査によれば、平成30年度、本県の公立学校における子供たちのいじめの認知件数は、前年度より5,000件以上増加し、2万5,000件を超えています。 特に小学校では、この4年間で5倍以上にふえており、中でも、小学校3年生から5年生が最もいじめ認知の多いピークの学年となっている状況です。 小学校から中学、高校を通じて、いじめの長期化・重大化を防ぐためには、近年、著しい増加が見られる小学校の早い時期から、全ての子供たちがいじめの問題について知り、いじめを生まない学校づくりについて主体的に考え、議論していくような取り組みを行うことが重要だと思います。 〔資料提示〕 これまでも小学校では、子供たちが命のかけがえのなさや、思いやりの心、互いに支え合って生きることの大切さを学ぶため、例えば、助産師さんをお招きしてお話を聞いたり、福祉施設を訪れ、高齢者の方と触れ合ったりするなど、さまざまな取り組みを行ってきました。 県教育委員会では、こうした学校の取り組みをいのちの授業として推進してきたことは承知しております。 本県のいじめ問題の状況を踏まえると、今後は全ての小学校において、このいのちの授業を活用し、全ての子供たちがいじめについて考えるような、いじめ問題に焦点を当てた取り組みに力を入れることが重要であると考えます。 そこで、教育長に伺います。 公立小学校におけるいのちの授業を活用したいじめ防止について、どのように取り組んでいくのか、教育長の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第7は、情勢変化に対する県警察の対応についてです。 本県の治安情勢を見ると、平成30年における刑法犯の認知件数は約4万7,000件で、戦後最多の約19万件を記録した平成14年との比較で約4分の1にまで減少し、本年に入っても減少傾向が続いているなど、数値の上では大幅な向上が見られています。 しかしながら、女性や子供が被害者となる社会的反響の大きい事件を初め、特殊詐欺やサイバー犯罪など、県民が体感している治安という点では、必ずしも十分な満足が得られているとは言えない状況にあります。 このたび、県警察では県内の交番・駐在所等を対象に、その適正配置及び計画的整備を進めるため「神奈川県警察交番等整備基本計画」を公表しました。 同計画は、県内70カ所の交番・駐在所を統廃合し、地域警察官の事件・事故等への対処能力の向上と、交番等の持続的な機能維持を目的に策定されたもので、治安をめぐる情勢の変化への対応策の一つと承知しておりますが、地域の交番等を削減されることに一抹の不安を抱く住民がいることも事実であります。 また、私の地元、横浜市は、昨年10月、横浜市中期4カ年計画を策定しました。この中には、みなとみらい21地区、関内・関外地区、山下ふ頭周辺地区などを中心とした都心臨海部における商業施設・文化施設等の整備がうたわれており、既に工事が始まっている新市庁舎や文化体育館、新たなMICE施設の建設を初め、今後は現市庁舎の再整備計画、大型劇場の建設、統合型リゾートの誘致など、大規模な整備計画がめじろ押しです。 また、この11月には、新港ふ頭に客船ターミナルを中核とする複合施設、横浜ハンマーヘッドが開業したばかりであり、横浜の臨海地区の発展は目覚ましいものがあります。 このような整備計画が進んでいけば、国内外からの観光客に加え、就業人口の大幅な増加も見込まれることとなり、地域経済の活性化はもちろん、税収増による財政面の改善など、経済的な効果も期待できます。 しかし一方では、一定の地域に多種多様な目的を持った多くの人々が訪れることとなり、その分、情勢の変化による治安の悪化を心配する声もあります。 神奈川・横浜における良好な治安の維持・向上を目指す上で、こうした懸念を持つ県民、市民に対し、安全で安心な生活を確保していくことは大変重要だと考えます。 そこで、警察本部長に伺います。 横浜の都心臨海部を中心とした整備計画が進む中、治安をめぐる社会情勢の変化に対し、県警察としてどのように対応していくのか、警察本部長の見解を伺います。 以上で、私の1回目の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 新堀議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、米軍根岸住宅地区の返還に向けた取り組みについてお尋ねがありました。 まず、国が行う原状回復作業に関する具体的な情報提供についてです。 根岸住宅地区については、昨年、返還に向け、日米間で協議を行うことが合意され、本年11月には、返還に先立ち、建物の撤去工事等の原状回復作業のため、日本政府が基地を共同使用することが合意されました。 国からは、作業に必要な期間はおおむね3年程度との見通しが示されていますが、周辺の交通を含め、安全管理に万全を期すとともに、工事の進捗状況など、基地周辺住民の皆様にきめ細かく情報提供することが重要です。 国は、具体的な作業工程や安全管理体制について、工事着手前に明らかにするとのことですが、長期の工事となることから、工事着手後も作業の進捗に応じ、適時適切に情報提供するよう国に求めていきます。 あわせて、工事に伴う周辺への影響を最小限に抑えるとともに、工事の安全管理の徹底、さらには返還までの間、基地の管理にも万全を尽くすよう強く働きかけていきます。 次に、根岸住宅地区返還後の跡地利用に向けた横浜市の取り組みへの支援についてです。 県はこれまで、神奈川県基地関係県市連絡協議会において、横浜市が策定した跡地利用の構想を要望書に明記して根岸住宅地区の早期返還を国に求めるなど、市と連携して取り組んできました。 こうした取り組みにより、基地の早期返還と地元の意向を踏まえた跡地利用の実現を図ることが、長年にわたり基地の負担を背負ってきた基地周辺住民の皆様の負担軽減につながるものと考えています。 引き続き根岸住宅地区の早期返還に向け、国に働きかけていくとともに、地元の意向に沿った跡地利用が実現するよう、横浜市と連携して、取り組みを進めてまいります。 次に、「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の普及に向けた取り組みについてお尋ねがありました。 これまで、憲章の理念を普及するため、全力を挙げて取り組んできましたが、今年の県民ニーズ調査において、憲章の認知度が15.7%にとどまる結果となり、大変残念に思っています。 しかし、ここで歩みをとめるわけにはいきません。県では、今年度も誰もが同じ体験を共有することを通じて、ともに生きる社会を体感することを目的としたみんなあつまれを県内各地で春と秋に6回開催しており、そこには子供たちと障害のある方々との触れ合いや交流が自然に生まれています。 また、県教育委員会と連携し、県内全ての児童・生徒を対象とするいのちの授業大賞作文コンクールに今年度から新設したともに生きる社会かながわ憲章の部には、多くの方に応募していただくなど、手応えを感じています。 このように憲章の理念を県民の皆様に普及していく上で、将来、社会の担い手になる子供たちに憲章の理念に触れ、理解を深めてもらうことが大変重要であります。 そこで県では、若年層を中心とした多くの県民の皆様に憲章を認知していただくため、リスペクトをコンセプトに、若者に人気の高いモバイルアプリTikTokを活用した動画配信など、新たなプロジェクトを展開していきます。 また、引き続きいのちの授業を通じて、子供たちへの憲章の普及をしっかりと図っていきます。さらに、ソフトバンク株式会社の人型ロボット、ペッパーを活用し、憲章の理念や心のバリアフリーについて、クイズで学べる子供向けの教育コンテンツの制作を検討していきます。 県としては今後とも、ともに生きる社会の実現に向けて、市町村や団体、教育、企業、大学等と連携するとともに、さまざまな手法を活用して子供たちが継続して憲章の理念に触れ、理解を深めることができるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。 次に、特殊詐欺対策についてお尋ねがありました。 特殊詐欺は被害者の貴重な財産を奪い去るだけでなく、家族から責められ、被害のショックで地域に出られなくなるなど、被害者を精神的にも追い詰める極めて悪質な犯罪です。 そこで、私は平成26年に振り込め詐欺犯罪防止特別宣言を行い、市町村や関係機関、団体等と連携して、特殊詐欺の被害者を出さないよう徹底した啓発に取り組んできました。 しかし、この間も特殊詐欺の手口は振り込め型から現金手渡し型、さらにはキャッシュカードすりかえ型へ変化するなど、ますます巧妙化しています。 そのため、連日のように特殊詐欺の手口や対処法について報道されているにもかかわらず、県内の被害額は年々増加し、昨年は約61億円と過去最悪になりました。 特殊詐欺はほぼ全て、家庭の固定電話にかかってくる一本の電話から始まります。そのため、県警察において、迷惑電話防止機能つき機器を貸与する取り組みを行っていますが、これを設置した家庭では特殊詐欺の被害は発生していないと聞いています。 また、迷惑電話防止機能つき機器の購入に対する補助を始めた一部の市町では、特殊詐欺の認知件数が大幅に減少したという効果も上がっています。特殊詐欺の被害に最も有効な対策は、犯人グループから家にかかってくる電話に絶対に出ないことです。 そこで、県は引き続き、固定電話を常時留守番設定にしておくなど、特殊詐欺の被害防止に向けた啓発にしっかりと取り組むとともに、あわせて、迷惑電話防止機能つき機器の普及方策など、より効果的な取り組みについても検討してまいります。 最後に、三浦半島地域の活性化に向けたさらなる展開についてお尋ねがありました。 三浦半島地域には年間3,600万人を超える観光客が訪れているものの、その数や消費額は伸び悩んでおり、半島全体を一つの広域観光圏と捉え、地元が一体となって新たな観光需要を創出し、地域の稼ぐ力を高める必要があります。 そこで、三浦半島魅力最大化プロジェクトでは、県や市町、民間が連携して、地域資源の磨き上げや観光プロモーション等に取り組んできました。 具体的には、地元食材を使ったオリジナルメニューを提供する三浦半島はイタリア半島プロジェクト、ちなみに、これは三浦半島の形がイタリア半島に似ているということから始まったプロジェクトですが、観光スポットを自転車で回るスタンプラリーなどを通じて、三浦半島全体に新たな観光客を呼び込むとともに、観光消費の増加を図ってきました。 また、こうした取り組みに呼応して、地域の企業や団体がそれぞれの得意分野を生かして地域を盛り上げていこうとする機運が醸成され、民間が主体となって活性化を目指す動きが活発化してきています。 地域の稼ぐ力をさらに高めていくためには、こうした民間の動きをまとめ、広域的な観光地づくりの司令塔となる、いわゆるDMOの果たす役割が重要です。 そのため、県ではDMOの設立に向けて地元市町や団体等と調整を進め、先月、DMOの中核を担う事業者が設立の準備段階である候補法人の登録を国へ申請しました。また、今後この事業者が中心となって地域の合意形成を図る場を設ける予定です。 広域自治体として県も事業者が行う地域の関係者との調整が円滑に進むよう、しっかりサポートしていきます。 さらに、DMO設立後は地域が総力を結集して経済のエンジンを回せるよう、地方創生推進交付金や企業版ふるさと納税の獲得、国家戦略特区の活用など、積極的に県の役割を果たしていきます。 県では稼ぐ力の源となる民間企業等としっかり連携して、持続可能な地域経済モデルを構築し、三浦半島地域の活性化を図ってまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
くらし安全防災局長(花田忠雄)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 花田
くらし安全防災局長。
◎
くらし安全防災局長(花田忠雄) くらし安全防災局関係のご質問にお答えします。 被災者支援における被災家屋認定についてお尋ねがありました。 災害により、住宅が損壊した被災者の生活再建を進める上で、罹災証明の前提となる被災家屋認定調査を適切に実施し、被害の度合いを正しく見きわめることは大変重要です。 そのため、県は平成29年に、土地家屋の調査や測量について専門的知識を有する県の土地家屋調査士会と協定を締結し、市町村が実施する被災家屋認定調査の協力体制を強化しています。 さきの台風15号では、国の応援職員確保システムにより、本県は千葉県南房総市の被災家屋認定調査を9日間支援しました。その際、県内市町村とともに土地家屋調査士会にも参加いただきました。 また、台風19号による住宅被害に対して、川崎市が行った被災家屋認定調査の2次調査に土地家屋調査士会が協力しています。 被災家屋認定調査に当たっては、地震や風害、水害など、それぞれの災害に応じた認定基準の運用指針が国によって示されています。こうした中、今回の台風対応で調査に当たった土地家屋調査士からは、認定基準が被害の実態と合っていないケースが見受けられたとの声がありました。 そこで、県は土地家屋調査士会も交えて毎年実施している市町村向けの研修会で、今後、被災家屋認定調査の実務的な課題を検証していきます。また、その結果について、必要に応じて国に伝えていきます。 県は今後もこうした取り組みを通じて、土地家屋調査士会と連携を図り、市町村が行う被災家屋認定調査が生活再建を願う被災者にとって、より実態に見合ったものとなるよう支援してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 公立小学校におけるいのちの授業を活用したいじめ防止についてです。 これまで県教育委員会では、いじめ防止対策の一環として、例えばいじめ撲滅の行動宣言を児童みずからが考えるなど、児童主体の取り組みについて事例集を作成し、市町村教育委員会とともに、その普及を図ってきました。 その結果、平成30年度神奈川県児童・生徒の問題行動等調査では、全ての公立小学校で、道徳や学級活動、児童会活動等においていじめ防止に取り組んだという成果を得ています。 また、今年度の第7回いのちの授業大賞の優秀作品に、いじめを見つけたときは勇気を持って声を出したいという思いをつづった小学生の作文が選ばれるなど、いのちの授業の一つとしていじめ問題を取り上げる事例も見られています。 しかし、いじめの増加が続く現状を踏まえると、小学校では今後、どの学年、どの学級においても、全ての児童がいじめを自分たちの問題として考えられるような指導方法の工夫、改善がより求められています。 そのためには、平成30年度から小学校で特別の教科となり、どの児童も学ぶ道徳の教科書に掲載されているいじめに関するさまざまな教材を有効に活用していくことが必要です。 そこで、県教育委員会では、来年度小学校におけるいのちの授業の中心テーマの一つにいじめを考えるを設定し、道徳の時間を中心としたさまざまな実践事例を収集していきます。 そして、市町村教育委員会とともに各学年に応じた効果的な指導方法を検討し、指導資料として取りまとめ、各小学校の道徳教育を担当する教員向けの研修で活用するなど、より一層いじめ防止の推進に取り組んでまいります。 以上でございます。 〔警察本部長(古谷洋一)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 古谷警察本部長。
◎警察本部長(古谷洋一) 情勢変化に対する県警察の対応についてお答えいたします。 議員ご指摘の大規模な施設の整備等に伴う国内外からの交流人口の増加を含め、社会におけるさまざまな情勢の変化に適切に対応し、良好な治安を確保していくことは警察に課せられた責務であります。 県警察においては、これまでも社会情勢の変化を踏まえ、その時々において必要と考えられる組織及び配置人員の見直し等、各種施策に取り組んでまいりました。 最近では、配偶者暴力、ストーカー、児童虐待等の事案への対処体制を強化するために、平成29年に人身安全対策課を設置しました。 また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に伴う諸対策に万全を期すため、同じく平成29年にオリンピック・パラリンピック対策室を設置しております。 また、不正アクセス等サイバー空間の安全を脅かす犯罪に部門横断的な対策を講じるため、本年4月、サイバーセキュリティ対策本部を設置しております。 これらの体制整備を図って、それぞれの取り組みを強化しているところでございます。 大規模施設の整備等による地域情勢の変化への対応につきましても、状況に応じ、交番、パトカー等の警察活動拠点の整備に取り組むとともに、関係自治体、事業所等と協議を行い、必要な申し入れを行うなどしてきたところでございます。 いずれにしましても、公共の安全と秩序の維持を責務とする警察としましては、今後とも、社会情勢の変化を的確に見きわめ、関係自治体、事業者等とも連携して、必要な施策を推進し、良好な治安の確保に万全を期してまいります。 以上でございます。 〔新堀史明議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 新堀史明君。 〔新堀史明議員登壇〕
◆新堀史明議員 知事並びに
くらし安全防災局長、教育長、警察本部長からご答弁をいただきました。 それぞれ前向きなご答弁であったと感じております。 それでは、1点、再質問させていただきますが、被災者支援における被災家屋認定についてでございます。 土地家屋調査士会などの民間との連携、あるいは国への働きかけなど、局長からは前向きなご答弁をいただいたと感じております。 そんな中で、もう一つですが、被災家屋認定の調査を進める上で、何と言っても、実際に調査をするのは市町村の役割であると考えております。 そこで、市町村との関係性がどうなのかというところで、被災家屋認定調査に関して、市町村との連携にどのように取り組んでいくのか、
くらし安全防災局長の見解を伺いたいと思います。 〔
くらし安全防災局長(花田忠雄)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 花田
くらし安全防災局長。
◎
くらし安全防災局長(花田忠雄) くらし安全防災局関係の再質問にお答えします。 県内で住宅被害を伴う災害が発生した場合には、地元市町村が被災家屋認定調査を実施することになります。そこで、県は引き続き土地家屋調査士会を交えた研修会を通じ、市町村が調査のノウハウを習得できる機会を設けていきます。 また、他県の災害で被災家屋認定調査について人的支援の要請があった場合には、広く市町村に協力を呼びかけ、土地家屋調査士会とチームを組んで対応するなど、市町村と連携して取り組んでまいります。 答弁は以上でございます。 〔新堀史明議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 新堀史明君。 〔新堀史明議員登壇〕
◆新堀史明議員 まさに現場が市町村でございますので、ぜひしっかり連携して取り組んでいただきたいと思っております。 では、ただいまご答弁いただいた被災者支援における被災家屋認定、こちらの要望を申し述べたいと思います。 台風などの自然災害には、日ごろの備えというのは本当に大切なものだと思っておりますが、もちろんそれも大切なんですけれども、いざ被害が発生してからの行政の対応、これが被災者からすれば最も重要であると考えております。 今回、千葉の風害、そして川崎の水害の認定においては、現状の地震がベースの認定基準では被災者の支援はなかなか難しい部分もあったというお話でございました。 どこに問題があったかという具体的な部分は、今時間がないので申し上げられませんけれども、できれば所管の委員会等でご議論いただければと思っております。 ただ、被災者の方が一日でも早くもとの生活に戻れること、これが大切だと思います。 国や市町村、民間の専門家としっかり連携をとっていただいて、今回の台風被害で明らかになった課題を解決し、より被災者に寄り添った支援を目指していただくことを要望させていただきます。 それでは、残り時間、許す限り、意見・要望を述べさせていただきたいと思います。 まず、米軍根岸住宅地区の返還に向けた取り組みですけれども、知事から前向きなご答弁をいただきました。ありがとうございます。 昨年の合意から1年間時間があったので、少しやきもきした部分もあって心配していたのですが、ようやく先月、正式な合意を迎えて、これで本当の意味で返還のスタートラインに立てたのかと思っております。 知事からもお話のあったとおりでございますが、原状回復作業については、しっかり地域の方々に情報を提供して、安全第一でやっていただきたいと思いますし、これを国にぜひ働きかけていただきたいと思います。 また、跡地利用についても、県民、市民の声をしっかりと反映させた計画を横浜市と協議していただくことを期待したいと思います。 それともう1点ですけれども、根岸住宅地区は敷地の約3分の1、これが民有地になっているわけでございまして、さらにモザイク状に広がっているという状態でございます。 先日、横浜市が実施したアンケート調査では、回答のあった地権者のおよそ8割の方が、土地の位置や面積を確定してから返還を望んでいるという結果が出ております。 こうした課題にもしっかりと対応して、地元の意向に沿った返還が実現するよう取り組んでいただくことを要望いたします。 次に、「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の普及に向けた取り組みでございますが、憲章の普及については、県の所管の職員の方も、我々議員もそれぞれ知恵を絞っていろいろ努力してきたわけでございますので、今回の県民ニーズ調査の結果というのは本当に残念であったと思います。 ただ、本当に認知度を向上していくということであれば、どうしても今までの啓発ポスターであるとか、イベント、ビラ配りというのでは限界があるのかと感じております。 新しいロゴデザインのお話もありましたし、知事からはペッパーくんのお話もあったかと思います。確かにおもしろい取り組みだと思いますし、一部のエリアの方々にはしっくり来る話かもしれませんけれども、やはり私は以前から、着実に憲章の認知度を上げていくためには、子供たちに向けて、子供たちがわかる言葉で、日ごろから憲章の理念を伝えていくことが大切だと考えています。 私もそうなんですけれども、知事もそうだと思いますけれども、小学校のころに覚えた言葉というのは一生忘れないものです。そこが非常に大切なのかと思っております。 ここはひとつ、地道に地に足をつけた形で取り組んでいかなければいけないことなのかと思っております。 そして、これからは所管の部局だけでなくて、先ほどもお話がありました教育委員会なども含めて全庁が一丸となって、ともに生きる社会かながわ憲章の理念普及に取り組んでいただくことを要望したいと思います。 次に、特殊詐欺対策についてですが、これも質問で申し上げたとおりでございますが、被害に歯どめがかかっていない。知事からは、大変前向きなご答弁をいただいたと受け取っております。 警察と金融機関がタッグを組んで、銀行からお金をおろすタイミングで食いとめるというのが一定の効果を示した時期もありましたけれども、さっきお話にもありました、今はキャッシュカードを直接被害者から奪い取って、そしてお金をおろしてしまうということになってしまうと、これはそういった取り組みもなかなかうまく機能しない。 そうなると、最初の入り口、犯人からのアプローチのところで、未然に被害を食いとめるのは、迷惑電話防止機能つき機器、これの普及しかないと、現段階では思っております。 県財政がいろいろ厳しいことも重々承知はしているのですけれども、県内には既に補助事業を始めた自治体もございますので、ここは県がリーダーシップをとって、市町村と連携しながら、特殊詐欺撲滅に向けた、迷惑電話防止機能つき機器、こちらの購入の補助制度などの導入を、ぜひ前向きにご検討いただければと思います。 次に、情勢変化に対する県警察の対応についてでございますが、まず、質問の途中でも申し上げました交番の整備計画、こちらについては、交番が統廃合される地域の住民の方が不安を抱えないように、その統廃合後の体制がどうなっていくのかをしっかりとお示しいただいた中で、セットで整備へ向かっていただきたいと思っております。 そして、横浜における情勢変化でございますが、これから横浜の臨海部はどんどん変わっていくと思います。私、個人的にも大変期待しているところですが、横浜の人口減少や高齢化を考えると、これは自然の流れです。 どうか、県警察といたしましては、県民が安心で安全で暮らせる治安維持に、今後も全力で取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。
△《本会議録-令和元年第3回-20191205-028589-諸事項-議案付託・請願付託-》
○議長(梅沢裕之) 以上で質問並びに質疑を終わります。 ───────────────────────────────────────
○議長(梅沢裕之) お諮りいたします。 日程第1及び日程第2につきましては、この程度で、議案付託表のとおり、所管委員会に付託して審査を願うことにいたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(梅沢裕之) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 所管委員会におかれましては、慎重審査の上、その結果のご報告を願います。 〔本会議録別冊205頁参照〕 ───────────────────────────────────────
○議長(梅沢裕之) 次に、日程第3、請願第10号
肢体不自由児者及び医療的ケアを必要とする障がい児者への支援の充実を求める請願外7件を議題といたします。 請願書の朗読は省略いたします。 〔本会議録別冊207頁参照〕 お諮りいたします。 以上、請願8件につきましては、請願付託表のとおり、所管委員会に付託して審査を願うことにいたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(梅沢裕之) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 所管委員会におかれましては、慎重審査の上、その結果のご報告を願います。 ───────────────────────────────────────
△《本会議録-令和元年第3回-20191205-028590-諸事項-知事発言[津久井やまゆり園の再生後の運営について]-》
○議長(梅沢裕之) 次に、この際、知事から発言を求められておりますので、これを許します。 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 私から、津久井やまゆり園の再生後の指定管理について、申し述べさせていただきます。 県は、津久井やまゆり園再生基本構想に基づき、建てかえする津久井やまゆり園と、新たに整備する(仮称)芹が谷やまゆり園の両施設について、もとの津久井やまゆり園の指定期間である令和6年度までの間は、社会福祉法人かながわ共同会を指定管理者とする方向で調整してきました。 津久井やまゆり園の職員の皆さんが、あの凄惨な事件からこれまでの間、利用者の支援に取り組んでこられた姿を私は忘れていません。 そうした中、先日、かながわ共同会が指定管理する愛名やまゆり園の元園長が、子供に対する強制性交罪で逮捕されるという、県民の信頼を裏切る、許しがたい事件を起こしました。 この元園長は、かながわ共同会の理事でもありました。社会福祉法人として、人権を尊重し、全ての人の尊厳を守るべき立場にあるかながわ共同会の道義的責任は看過できません。 その後、この事件に端を発して、かつての津久井やまゆり園の利用者支援に関し、車椅子に長時間拘束していた、園の外に出ての散歩がほとんどなかったなど、問題点を厳しく指摘する情報が改めて次々と私のもとに寄せられてきました。 また、先般の決算特別委員会では、かながわ共同会を津久井やまゆり園と(仮称)芹が谷やまゆり園の指定管理者とすることについて、再考を求める意見もありました。 加えて、何より私が衝撃を受けたのは、利用者の意思決定支援を進める中で、かながわ共同会からグループホームや他の法人の施設に移った方々が、自由に買い物をしたり、地域の自治会の活動に参加するなど、生活を楽しみ、希望に満ちあふれた表情で、その人らしく暮らす姿を見たことでありました。 それは、感動的なシーンでもありました。 私たちは、津久井やまゆり園の再生によって、神奈川の新しい障害福祉のあり方をお示ししていく必要があると考えています。そのためには、その運営は、人権を尊重し、利用者中心の支援を実現するものでなければなりません。 そこで、新たな津久井やまゆり園と(仮称)芹が谷やまゆり園が、ご利用者、ご家族はもとより、県民の皆様からの信頼を受けて再スタートできるよう、これまでの方針を見直し、いずれの施設についても、指定管理者を公募で選定する方針に変更することを決断しました。 そのためには、令和6年度まで継続しているもとの津久井やまゆり園の指定期間を短縮するため、津久井やまゆり園の管理に関する基本協定書に基づき、かながわ共同会に協議を申し入れていく必要があります。 また、新たな施設に令和3年度中に入居していただくためには、指定管理者に関する県としての考え方を、遅くとも次の定例会にご報告する必要があります。 こうしたことから、これまでの県の方針を変更することを決断した以上、より早く皆様にお伝えするため、本日、こうした形で発言しました。 津久井やまゆり園のご利用者、またそのご家族には、方針の変更についてご理解いただけますよう、私から丁寧に説明させていただきます。 何よりも、ご利用者の皆様が望む暮らしを実現できるよう、お一人お一人のご希望を丁寧に伺いながら、心を込めて対応してまいります。 なお、愛名やまゆり園の元園長の業務執行等について、既に、県は障害者総合支援法に基づき特別監査を行い、また、津久井やまゆり園の支援について、指定管理者制度に基づく立入調査を行っています。 3年半前のつらい事件から始まった再生のプロセスを通じて、これまでの福祉行政全般を見直し、新しい福祉のあり方を神奈川から提起していきたい。そして、福祉先進県神奈川と呼ばれるように、県民の皆様とともに、力を合わせて全力を注いでいきたい。そのために重大な決断をさせていただいたもので、ぜひご理解をいただきたいと思います。 ───────────────────────────────────────
○議長(梅沢裕之) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 お諮りいたします。 明6日から17日までは、委員会における審査等のため休会いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(梅沢裕之) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 次回の会議は、12月18日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。 午後4時20分 散会...