令和 1年 第三回 定例会
△《本会議録-令和元年第3回-20191204-028578-諸事項-
出席議員等・
議事日程-》 令和元年第3回
神奈川県議会定例会会議録第14号〇令和元年12月4日 午前10時30分開議 ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共104名 出 席 議 員 大 村 悠 桝 晴 太 郎 永 田 磨 梨 奈 加 藤 ご う 永 田 て る じ 菅 原 あきひと 須 田 こうへい す と う 天 信 上 野 た つ や 石 田 和 子 松 長 泰 幸 山 口 美 津 夫 高 橋 延 幸 武 田 翔 田 村 ゆうすけ 田 中 信 次 川 崎 修 平 神 倉 寛 明 お ざ わ 良 央 た め や 義 隆 飯 野 まさたけ 望 月 聖 子 佐 々 木 ナ オ ミ 柳 瀬 吉 助 市 川 さ と し 佐 藤 圭 介 大 山 奈 々 子 君 嶋 ち か 子 池 田 東 一 郎 石 川 巧 芥 川 薫 川 本 学 市 川 和 広 山 本 哲 綱 嶋 洋 一 新 堀 史 明 田 中 徳 一 郎 山 口 貴 裕 野 田 治 美 脇 礼 子 米 村 和 彦 栄 居 学 小 林 大 介 京 島 け い こ 石 川 裕 憲 井 坂 新 哉 佐 々 木 ゆ み こ さ と う 知 一 楠 梨 恵 子 西 村 く に こ 谷 口 かずふみ 藤 代 ゆ う や 渡 辺 紀 之 原 聡 祐 高 橋 栄 一 郎 あ ら い 絹 世 柳 下 剛 細 谷 政 幸 河 本 文 雄 加 藤 元 弥 中 村 武 人 古 賀 照 基 斉 藤 た か み 赤 野 た か し 浦 道 健 一 青 山 圭 一 亀 井 たかつぐ 佐 々 木 正 行 渡 辺 ひ と し 小 野 寺 慎 一 郎 内 田 み ほ こ 長 田 進 治 杉 本 透 し き だ 博 昭 小 島 健 一 いそもと 桂 太 郎 梅 沢 裕 之 嶋 村 た だ し 桐 生 秀 昭 市 川 よ し 子 岸 部 都 作 山 ゆうすけ 長 友 よしひろ 北 井 宏 昭 菅 原 直 敏 相 原 高 広 鈴 木 ひ で し 藤 井 深 介 森 正 明 土 井 りゅうすけ 杉 山 信 雄 持 田 文 男 竹 内 英 明 た き た 孝 徳 国 松 誠 松 田 良 昭 牧 島 功 堀 江 則 之 松 本 清 てらさき 雄 介 松 崎 淳 近 藤 大 輔 く さ か 景 子 曽 我 部 久 美 子 欠 席 議 員 小 川 久 仁 子 説明のための出席者 知事 黒 岩 祐 治 副知事 中 島 正 信 同 浅 羽 義 里 同 首 藤 健 治 理事 山 口 健 太 郎 同 玉 木 真 人 政策局長 髙 澤 幸 夫 総務局長 小 板 橋 聡 士
くらし安全防災局長 花 田 忠 雄
国際文化観光局長兼
拉致問題担当局長 河 合 宏 一
スポーツ局長 平 田 良 徳
環境農政局長 石 渡 美 枝 子
福祉子どもみらい局長 香 川 智 佳 子
健康医療局長兼未
病担当局長 市 川 喜 久 江
産業労働局長兼
エネルギー担当局長 山 田 健 司
県土整備局長 上 前 行 男
会計管理者兼会計局長 小 野 淳 ヘルスケア・ニュー
フロンティア推進統括官 金 井 信 高
労務担当局長 大 久 保 雅 一
マグカル担当局長兼
広報戦略担当局長 木 口 真 治 医務監 中 澤 よ う 子
教育委員会教育長 桐 谷 次 郎 同 教育局長 田 中 和 久 同
県立高校改革担当局長 清 水 周
警察本部長 古 谷 洋 一
警察本部総務部長 和 智 勉
人事委員会事務局長 川 合 充
監査事務局長 小 島 泰
労働委員会事務局長 出 口 満 美
公営企業管理者企業庁長 大 竹 准 一
企業庁企業局長 長 谷 川 幹 男 ───────────────────────────────────────
議会局出席者 議会局長 和 泉 雅 幸 議会局副局長兼総務課長 谷 川 純 一 同 議事課長 霜 尾 克 彦 同
政策調査課長 田 中 一 朗 ─────────────────────────────────────── 令和元年第3回
神奈川県議会定例会議事日程第14号 令和元年12月4日午前10時30分開議第1 定県第 110号議案 令和元
年度神奈川県
一般会計補正予算(第6号) 定県第 111号議案 同
年度神奈川県
水源環境保全・
再生事業会計補正予算(第1号) 定県第 112号議案 同
年度神奈川県
県営住宅管理事業会計補正予算(第1号) 定県第 113号議案 同
年度神奈川県
水道事業会計補正予算(第1号) 定県第 114号議案 同
年度神奈川県
電気事業会計補正予算(第1号) 定県第 115号議案 同
年度神奈川県相模川
総合開発共同事業会計補正予算(第1号) 定県第 116号議案 同
年度神奈川県
酒匂川総合開発事業会計補正予算(第1号) 定県第 118号議案
無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準を定める条例 定県第 119号議案 神奈川県
地方卸売市場条例を廃止する条例 定県第 120号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非
営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例 定県第 121号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例 定県第 122号議案
住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例 定県第 123号議案 附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例 定県第 124号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例 定県第 125号議案 神奈川県
手数料条例の一部を改正する条例 定県第 126号議案
神奈川県立山岳スポーツセンター条例の一部を改正する条例 定県第 127号議案 神奈川県
都市農業推進条例の一部を改正する条例 定県第 128号議案 神奈川県
漁港管理条例の一部を改正する条例 定県第 129号議案
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 定県第 130号議案
幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 定県第 131号議案 神奈川県
ふぐ取扱い及び販売条例の一部を改正する条例 定県第 132号議案 神奈川県
都市公園条例の一部を改正する条例 定県第 133号議案 神奈川県
県営住宅条例の一部を改正する条例 定県第 134号議案 神奈川県
建築士法関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 135号議案
工事請負契約の締結について(津久井やま
ゆり園千木良園舎(仮称)新築及び改修工事(建築-第1工区)請負契約) 定県第 136号議案
工事請負契約の締結について(
総合リハセンター特別高圧受変電設備改修工事(電気)請負契約) 定県第 137号議案
工事請負契約の締結について(二級
河川境川河川改修(護岸工)工事(その2)請負契約) 定県第 138号議案
工事請負契約の締結について(
県営横山団地公営住宅新築工事(5期-建築-第2工区)請負契約) 定県第 139号議案
工事請負契約の締結について(
県営横山団地公営住宅新築工事(5期-建築-第3工区)請負契約) 定県第 140号議案
工事委託契約の締結について(津久井やま
ゆり園芹が谷園舎(仮称)整備・
維持管理事業施設整備業務委託契約) 定県第 141号議案 建設事業に対する市負担金について 定県第 142号議案 神奈川県道路公社の
有料道路整備事業計画変更に対する同意について 定県第 143号議案
当せん金付証票の発売について 定県第 144号議案
地方独立行政法人神奈川県立病院機構中期目標 ───────────────────────────────────────
△《本会議録-令和元年第3回-20191204-028579-質問・答弁-おざわ良央議員-
一般質問①県西地域の更なる活性化について②未病指標について
③県西地域における
鳥獣被害対策について④台風19号による観光客の減少等に対する箱根地域への支援について⑤台風などによる
被災漁業者への支援について
⑥小田原市内における河川・海岸の減災対策について⑦神奈川と静岡を結ぶ
道路ネットワークの強化について》 〔
議会局長報告〕 出席議員 議長共101名
○議長(梅沢裕之) ただいまから、本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(梅沢裕之) 審議を行います。 日程第1、定県第110号議案 令和元
年度神奈川県
一般会計補正予算外33件を議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 おざわ良央君。 〔おざわ良
央議員登壇〕(拍手)
◆おざわ良央議員 皆さん、おはようございます。 小田原市選出のおざわ良央でございます。 私は
自由民主党神奈川県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。 知事並びに
県土整備局長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 質問の前に、一言申し上げます。 この秋に襲来した台風15号、19号は
神奈川県内に大きな被害をもたらしました。私の地元、県西地域でも多くの被害が発生し、水害に対するさまざまな課題が浮き彫りとなりました。今回はそのような視点を取り入れつつ、主に県西地域の諸課題について質問させていただきます。 〔資料提示〕 質問の第1は、県西地域の更なる活性化についてです。 さまざまな地域資源を有し、年間3,000万人もの観光客を引きつける県西地域は、食生活や運動などライフスタイルを見直して未病を改善する取り組みを実践する場所として最適であることから、県は平成26年度から地元市町や企業などと連携し、未病の改善をキーワードとして、地域の活性化を図る
県西地域活性化プロジェクトに取り組んできたと承知しています。
プロジェクトがスタートして5年が経過し、地域の中では未
病コンセプトが知られ始めてきているとともに、県や市町村などによる取り組みもあって、その成果が少しずつ目に見える形であらわれてきたことを実感しています。 特に、昨年4月にオープンした未
病バレーBIOTOPIAには、県西地域を活性化する中核的な施設として大きな期待を寄せているところであります。 そうした中、近年、県西地域の入
込観光客数は増加傾向が見られます。これは、
プロジェクトの進展により、にぎわいが生まれ、交流人口が増加したことも寄与していると評価しております。 しかし、その一方で、平成29年4月には真鶴町が県内で初めて過疎地域に指定されるなど人口減少が続いており、県西地域の活性化はまだまだ道半ばの状態であると言わざるを得ません。 今後は交流人口の増加に加えて、民間投資を呼び込み、雇用を創出するなど、定住人口の増加につながる持続可能な
地域づくりを進めるための取り組みにも一層力を注いでいくことが必要であると考えます。 そこで、知事に伺います。 県西地域のさらなる活性化に向けて、
県西地域活性化プロジェクトのこれまでの5年間の取り組みの成果を生かしながら、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、知事の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第2は、未病指標についてです。 先月、箱根と横浜で開催された
ME-BYOサミット神奈川2019では、WHO─
世界保健機関のクリニカルコンソーシアムと連携したシンポジウムが実施され、未病の指標化をテーマに国内外の専門家の間で熱心な議論がなされました。 そして、これまでWHOや東京大学と議論と検討を行ってきた成果として、未病指標のモデルが初めて示されました。 公表された未病指標のモデルは、15の測定項目から心身の状況を数値であらわすものになっており、WHOが構築する内在的能力とも整合させているとのことです。 WHOと協調しながら未病指標を構築したことは、普遍性と客観性のある指標である一つのあかしであり、一定の評価ができるところであります。 今後、この指標が県民の健康増進を促進するツールとして大きな役割を果たすことを期待しています。 この未病指標については、今年度中に県民が利用できるようにするとともに、今後、指標の精緻化を進めていくとのことでありますが、課題も多いと感じております。 まず、指標の周知についてであります。 未病指標は県民が日常の生活の中で継続的に使い続けることで、自身の心身の状態を把握できることにつながることから、県民に未病指標を広く知ってもらい、実際に使ってもらうことが必要です。 そのためには、住民に一番近いところで住民の健康課題に向き合っている市町村や、住民の生活を商品・サービスの提供という形で支える企業との連携が重要になると考えます。 〔資料提示〕 次に、指標の客観性の一層の向上についてですが、示された未病指標のモデルは、未病の状態を示す数値を年齢やBMIなどの15項目から算出するということですが、未病の状態を正確に把握するという観点からは、15項目というのは余りに少ないのではないかと感じています。 指標の使いやすさ、わかりやすさという点にも留意しながら、測定項目をふやすことなどによって、一層信頼される指標にしていくことが必要だと考えます。 そこで、知事に伺います。 今後、未病指標の普及と指標の精緻化をどのように進めていこうとしているのか、知事の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第3は、県西地域における
鳥獣被害対策についてです。 県では、平成29年度に第4次のニホンジカ、
ニホンザル管理計画を策定し、昨年10月には、
イノシシ管理計画を策定して、計画的に鳥獣の管理を行い、また、平成29年度に
鳥獣被害対策支援センターを設置し、
鳥獣被害対策を強化して取り組んできたことは承知しています。 特に猿では、適正な群れ管理ということで、第4次計画から適正な生息域と規模で管理する考え方を取り入れ、私の地元、
小田原市内の風祭地区を生息地域としているS群を全頭捕獲とするなど、対策を強化していることについては評価しています。 しかし一方で、まだまだ猿による被害に悩まされている地域も多く存在しています。県西地域のH群と呼ばれる小田原市南西部から真鶴町にかけて生息する群れは、対策も難しく、
農作物被害に加え、生活被害、人身被害なども発生しています。 この地域の農業者は、猿対策用のネットをミカンの木にかぶせてミカンをつくっても、猿に収穫直前のミカンをほとんど食べられてしまうという被害があり、仕方なく酸味が強く猿などが食べないレモンの生産を始めるなど苦心しています。また、住宅地においても猿が老人や子供を威嚇したり、家の中に猿が侵入し、冷蔵庫をあけて食料品を食べてしまうなどの生活被害も後を絶たない状況です。 また、猿の人里から山への追い上げを実施していますが、人里で育った猿は山に追い上げても食べるものがなく、すぐに人里に戻ってきてしまい、なかなか効果が上がらないのが現状です。 地元からは、高齢化により農家の担い手も少なくなる現状にあり、H群をS群と同じように早く全頭捕獲してほしいという切実な要望が聞かれます。 また、鹿についても、箱根や小田原の南部にも生息分布を広げており、丹沢では管理捕獲などの対策が進んでいても、このままでは県西地域で以前の丹沢のような植生の衰退という問題や農業被害も増加する懸念があります。 加えて小田原や箱根では、近年イノシシの生息数が劇的に増加しており、多くの農業被害が発生しています。猿の被害のため、ミカンからレモンに転作した畑では、今度はイノシシがレモンの木の根を、餌を求めて掘り起こしてしまって、レモンの木が倒れる被害なども発生し、農業者が頭を痛めています。 また、年間2,000万人が訪れる観光地、箱根では、ゴルフ場のコース内を餌のミミズを求めてイノシシが芝を掘り起こしてしまい、コースを長期間にわたってクローズするなど、被害が増加しています。 本来、夜行性のイノシシが昼間に人里に出没することも珍しくなくなっており、実際にイノシシが人を襲う事件も発生しています。 このように大型の鳥獣が頻繁に出没することは、すぐさま人身被害に直結する大きな問題であると考えております。 そこで、知事に伺います。 県西地域において多様化する鳥獣被害に対して、今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第4は、台風19号による観光客の減少等に対する箱根地域への支援についてです。 今年は大涌谷周辺の火山活動が再び活発化し、5月19日に気象庁が噴火警戒レベルを2に引き上げ、火口周辺を規制した結果、箱根町では夏の宿泊施設の予約が15%減少する一因となるなど、地元の経済にも影響を与えました。 2015年に同様に火山活動が活発化した当時は、箱根全体が危険であるかのような印象を与え、火山の影響のない地域まで観光客が大幅に減少しました。今回についても、地元観光事業者からは不安の声が寄せられました。 そうした中、知事は観光客の減少を抑えるため、ウエブサイトなどにより、規制区域は広い箱根のごくごく一部の限られたエリアであると迅速に情報発信し、風評被害の抑制に努められました。 そうした取り組みの結果、前回2015年の火山活動に比べると、影響は限定的であったことは、知事を初め担当部局の努力のたまものであると大いに評価しています。 しかしながら、10月12日に本県を襲った台風19号は、河川の氾濫や土砂災害など、県内各地に大きな爪跡を残しました。 〔資料提示〕 夏以降、火山活動が落ち着きを見せていた箱根町においても、地元住民や観光客の足となる箱根登山鉄道や国道138号等交通アクセスが寸断され、箱根町観光協会の発表によれば約4割の宿泊施設への温泉供給が停止しました。 台風19号が直撃する直前の10月7日に噴火警戒レベルが1に下がり、秋の紅葉シーズンに向けて、まさに盛り上がりを見せている時期に、箱根エリアの観光経済に与えたダメージは多大であります。 特に箱根町の大動脈でもある箱根登山鉄道の壊滅的な被害は箱根全山に大きな、そして長期的な被害を与えかねません。 また、箱根町でこのような状態が長引けば、箱根の玄関口、小田原や奥座敷、湯河原など、周辺市町への影響の拡大も懸念されます。 県は、今定例会において、台風被害に早急に対応するため、国の被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージや県独自の施策により、住宅が損壊した世帯の生活の再建や、被災した中小企業、農業者などのなりわいの再建を支援する補正予算を発表しました。 その中には、観光需要の喚起に向けた対策も盛り込まれています。箱根町や周辺市町にとって、観光は基幹産業であり、地元にとってまさになりわいであります。こうした対策は迅速に行うことで効果が上がるものであり、一日でも早い県の対応が望まれております。 そこで、知事に伺います。 台風19号で観光客が減少するなどの影響を受けた箱根町や周辺市町に対する支援について、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第5は、台風などによる
被災漁業者への支援についてです。 今年は9月に台風15号、翌10月には台風19号と、続けて大きな台風が襲来し、県内各地に大きな被害をもたらしました。 漁業についても例外ではなく、漁港や漁船のほか、定置網などの漁具や陸上にある倉庫などの施設にも大きな被害が出ています。 私の地元、小田原市においても、多くの定置網が大きな被害を受け、操業ができない期間がありました。 定置網の修復には1件で数千万円もかかると聞いており、また、漁具の損害だけでなく、操業ができない期間は収入が途絶え、休業が長期に及ぶと経営はかなり厳しいものと推察しております。 定置網漁業は、規模の小さな小型定置網を含めると、本県沿岸漁業の水揚げの7割を占める基幹漁業であり、定置網の休業が本県漁業に与える影響は多大です。 したがって、本県の水産業の振興を図る上でも、その復旧は重要であり、かつ迅速な対応が求められております。 漁港や漁獲物の処理、保蔵などを行う共同利用施設が台風などで被害を受けた場合、復旧に向けた国の支援制度がありますが、定置網などの漁具に対しては支援制度がなく、漁業者は大きな負担を強いられています。 また、魚の供給が途絶えると、市場や小売業者、加工業者といった水産関係者ばかりではなく、観光業者にまで影響を及ぼし、地域経済にとっても大きな打撃となります。 小田原漁港においては、交流促進施設TOTOCO小田原が開業したばかりであり、漁港の駅として多くの観光客でにぎわうことを期待しておりますが、地元でとれる魚がなければ、地域の活性化にも支障を来すことになります。 台風などによる被害については、漁業に対する支援策が少ない一方で、農業ではビニールハウスなどの個人施設に至るまで国の支援制度が充実しており、大きな差があるように思います。 近年、台風が大型化し、強い勢力を保ったまま襲来することが多くなっている中、漁業者に対する国の支援制度の創設や、被害を軽減するための技術開発などが必要ではないかと考えます。 そこで、知事に伺います。 台風などで被害を受けた漁業者に対する支援について、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第6は、
小田原市内における河川・海岸の減災対策についてです。 台風19号は10月12日に非常に強い勢力を保ったまま伊豆半島に上陸して、その後、本県を通過し、県西部の山地では1時間に60ミリメートルを超える非常に激しい雨を降らせ、特に箱根町では、全国第1位となる総雨量1,001.5ミリメートルを観測しました。 この台風は関東から東北地方を中心に大きな爪跡を残し、氾濫などによる浸水範囲は昨年7月の西日本豪雨を超えたほか、土砂災害の発生件数も一つの台風によるものとしては最多で、記録的な災害となりました。 県内でも、河川や砂防を初め、多くの箇所で施設被害が発生するなど、大きな被害に見舞われ、私の地元、小田原市では、アメダスの小田原観測所で観測史上第1位となる240ミリメートルの日雨量を観測し、氾濫危険水位を超過した山王川と森戸川の両流域において避難指示が発令される状況となりました。 また、海上では台風の接近に伴い、猛烈なしけとなり、伊豆半島の石廊崎にある波浪観測所では、観測史上第2位となる13.2メートルを記録しました。 さらに、小田原の潮位は過去最高に迫る122センチメートルに達し、大きなうねりとともに高波が沿岸部に打ち寄せました。 〔資料提示〕 このように非常に強い台風19号の影響によって、
小田原市内では、11月15日時点で、床上浸水60棟、床下浸水111棟、合わせて171棟の家屋で浸水被害が発生し、山王川の未改修区間において溢水被害があったほか、山王川と森戸川においては護岸が破損するなどの施設被害に見舞われました。 また、海岸でも、複数の箇所で高波が護岸を越えたことにより、家屋などに被害が発生し、特に被害が多かった小田原海岸の国府津地区や前川地区では、住宅や公共施設の一部が損壊し、住民の生活に支障を来しています。 そこで、
県土整備局長に伺います。 今回の台風19号による被害状況を踏まえ、今後、
小田原市内の河川と海岸の減災対策にどのように取り組んでいくのか、
県土整備局長の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第7は、神奈川と静岡を結ぶ
道路ネットワークの強化についてです。 神奈川県西部地域から静岡県伊豆地域にわたっては、都心からも近く、恵まれた自然環境のもと、多くの観光客が訪れています。 両地域ともユネスコの世界ジオパークに認定されるなど、豊富な観光資源を有しており、伊豆半島や箱根、小田原、湯河原、真鶴における入
込観光客数は年間で約8,000万人とその数は目をみはるものがあります。 また、ここ数年においても入
込観光客数はますます増加しており、日本へのインバウンドの増加も相まって、今後、この地域のさらなる発展が期待されるところです。 こうした中、この両地域を結ぶ
道路ネットワークに目を向けますと、内陸部では新東名高速道路の建設が進められ、さらに、静岡県内ではこの新東名高速道路ともつながる伊豆縦貫道路の建設も進められていますが、沿岸部における
道路ネットワークは非常に脆弱で、国道135号が唯一の幹線道路となっています。 折しも国では、物流上重要な道路として重要物流道路の指定を進めていると聞いておりますが、両地域を結ぶ沿岸部では、国道135号が重要物流道路の代替・補完路に指定されているだけで、この国道135号も週末や観光シーズンに著しい交通渋滞が発生しています。 また、国道135号は海岸線に沿っていることから、台風などの影響を受けやすく、昨年本県を襲った台風12号では、通行する車両が高波にのまれ、破損するなど被害が発生しています。 さらに、記憶に新しい今年の台風19号では、国道135号は高波被害を防ぐため、西湘バイパスとともに通行どめとなりましたが、同時に、箱根の国道1号なども雨量や土砂崩落などで通行どめとなったことから、両地域を結ぶ道路交通は一時的に寸断され、県民生活や観光は大きな打撃を受けることになりました。 私の地元、小田原市では数十年前から小田原と静岡県沼津市を結ぶ小田原・沼津線を構想し、地域の大きな課題として今日に至っています。 私が4年前、この神奈川と静岡を結ぶ道路構想を一般質問で知事に質問したところ、知事から大変前向きな答弁をいただき、私も感激いたしました。以来、県当局の支援を受けながら、私のライフワークであるこの道路計画を確実に進めていただいております。 〔資料提示〕 私はかねてから、神奈川と静岡を結ぶ
道路ネットワークを強化すべきと訴えてきましたが、このような台風被害や、冬場には箱根を経由する国道1号などで降雪による交通規制が実施される状況を鑑みると、その重要性や優先順位はますます高まっているのではないかと考えています。 そして、両地域の県民生活や社会経済活動、観光などを支えていくため、静岡県とも連携し、神奈川と静岡を結ぶ
道路ネットワークの強化に向けた取り組みをしっかりと進めていく必要があると考えます。 そこで、
県土整備局長に伺います。 神奈川と静岡を結ぶ
道路ネットワークの強化に向け、これまでどのように取り組み、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) おざわ議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、県西地域のさらなる活性化についてお尋ねがありました。 県では、県西地域を未病の戦略的エリアとして多彩な地域資源を生かして活性化を図る
県西地域活性化プロジェクトを、市町や民間と一体となって進めてきました。その結果、昨年4月には
プロジェクトの象徴となる未
病バレーBIOTOPIAがオープンし、これまでに約72万人が訪れています。 また、温泉や食などが楽しめる観光施設等を未病いやしの里の駅として200カ所以上登録し、地域の多彩な魅力を広く発信することで、新たなにぎわいが生まれています。 さらに、先月には、小田原漁港の交流促進施設として漁港の駅TOTOCO小田原がオープンし、活性化の新たな起爆剤となることが期待されています。 一方で、県西地域は特に若い世代の転出超過によって人口減少が続いています。そこで、将来にわたり、この地域の活力を維持していけるよう、交流人口のさらなる拡大に加え、雇用の場の確保や地域での課題解決に積極的にかかわる方々、いわゆる関係人口の創出、拡大など、定住につながるさまざまな取り組みを展開していきます。 具体には、BIOTOPIAを核として、未病いやしの里の駅や地元の酒蔵、四季折々のイベント等を組み合わせた新たな周遊ツアーを地元と一緒に企画するなど、地域資源を有機的に結びつけ、さらなる交流人口の拡大を図ります。 また、雇用の場を確保し、地元で就職する機会をふやすため、新たな企業誘致施策セレクト神奈川NEXT等を活用し、地元市町との連携のもと、県内再投資や企業誘致を強力に進めていきます。 さらに、東京有楽町のちょこっと田舎・かながわライフ支援センターや、地域イベント等を紹介するアプリPeatixを活用し、市町の伝統行事や農作業への参加などを促し、関係人口をふやすことで、将来の移住や定住につなげていきます。 県では地元としっかり連携し、これまで積み重ねてきた
プロジェクトの成果を生かしながら、地域の魅力を一層高め、持続可能な活力ある県西地域の実現を目指してまいります。 次に、未病指標についてお尋ねがありました。 超高齢社会を乗り越えていくためには、一人一人が将来の自分の生活を意識しながら、主体的にライフスタイルを見直していくことが必要です。 そのためにも、自分が健康と病気のグラデーションのどの位置にいるのかを見える化し、行動変容を促していくことが不可欠になります。 そこで、県では、個人の現在の未病の状態や将来の疾病リスクを数値で見える化する未病指標の構築に向けて、WHO、東京大学と連携しながら、横浜とジュネーブで3年間、計6回にわたり検討を重ねてきました。 その成果として、先月開催した
ME-BYOサミット神奈川では未病指標のモデルを示すことができました。また、国の健康・医療戦略参与会合でも未病指標の活用を提案いたしました。 未病指標の普及については、県民の皆様が気軽に活用できるようにするため、スマートフォンのアプリであるマイME-BYOカルテに今年度中に搭載いたします。 また、県民の皆様の未病改善を促進するためには、市町村の実施する施策・事業との連携が欠かせません。このため、市町村に対して丁寧に未病指標の説明を行うとともに、市町村の施策での活用についても意見交換を行っていきます。 また、未病指標を活用した商品・サービスの開発に向けて、未病産業研究会の会員企業とも意見交換を行っていきます。 未病指標については、既存の論文や先行する研究データも活用しながら、利用者が負担感なく簡便に算出できるよう測定項目を15項目に絞りました。一方で、指標の精緻化を図るためには、簡便な指標を検証するだけでなく、より多くの項目を測定した研究活動を並行して進め、科学的根拠を強化していく必要があります。 こうした精緻化の取り組みを進めることで、より多くの県民の皆様に未病指標を活用していただき、主体的に未病改善に取り組んでいただけるよう努めてまいります。 次に、県西地域における
鳥獣被害対策についてお尋ねがありました。 県西地域ではニホンザル、ニホンジカ、イノシシの被害が依然として深刻で、被害地域も年々拡大しています。 そこで、県では、猿、鹿、イノシシの各管理計画に基づき、地域の実情に応じた個体数の調整や被害防除対策を進めています。 まず、猿対策についてです。 現行計画では群れごとの管理を強化し、適正な群れの規模や生息域を維持するため、管理捕獲やGPS首輪を活用した追い上げなどを実施しています。その結果、県西地域で特に深刻な被害をもたらしているH群という猿の群れは、平成28年度末時点の47頭から現在は30頭程度に縮小しています。 次に、鹿対策についてです。 現行計画では、農地周辺への定着防止のため、新たに箱根地域を定着防止区域に指定し、県が管理捕獲した結果、平成30年度の捕獲実績は30頭と前年度より20頭ふえました。 また、今年度からは、環境省、箱根町のほか、静岡県とも連携し、箱根地域の鹿のモニタリング状況や県境の対策について情報共有を図ることで、効果的な対策につなげていきます。 最後に、イノシシ対策です。 今年度、新たに
鳥獣被害対策支援センターが支援する重点取組地区に
小田原市内の地域を設定し、地域ぐるみでやぶ刈りや防護柵設置などを行っています。 今後は
鳥獣被害対策をさらに強化するため、猿と鹿については管理計画の中間年である今年度にこれまでの取り組みを検証し、地域の方々の意見を踏まえながら、今後の対策を検討していきます。 また、イノシシについては、ICT機器を活用したくくりわなの遠隔監視を今月から
小田原市内で始めるとともに、重点取組地区の成果を県西地域の他の地域にも広げ、対策を強化していきます。 県としては、猿、鹿、イノシシそれぞれの特性に応じた効果的な取り組みにより、県西地域の
鳥獣被害対策を着実に推進してまいります。 次に、台風19号による観光客の減少等に対する箱根地域への支援についてお尋ねがありました。 日本有数の観光地、箱根は、5月の噴火警戒レベルの引き上げに加えて、10月の台風19号による土砂災害等により、施設の損壊や交通網の寸断など、大きな被害を受けました。 そこで、県は一部通行どめの区間はあるものの、バスや車を使えば箱根の各地に行くことができるというメッセージを、箱根全体の交通地図を示しながら、ウエブサイトでわかりやすく情報発信することで、風評被害の抑制に最大限努めてきました。 しかし、箱根町の旅館等の宿泊は被災を起因とするキャンセルの発生もあって、大幅に減少するなど、観光事業者に大きな影響を与えており、県としてもこうしたなりわいの再建にスピード感を持って取り組む必要があると思っています。 そこで、県は国の支援策を活用し、旅行商品や宿泊に係る料金の割引を行うことで、箱根町を初めとする被災地域の観光需要を喚起していきます。 現在、年末年始の旅行需要に向けて準備を進めるとともに、なるべく多くの方に利用していただけるよう、地元と連携した積極的なプロモーションを展開していきます。 また、被災した中小観光事業者には、中小企業制度融資による金融支援のほか、事業用建物や機械設備等の復旧、整備を補助金で支援します。 さらに、箱根観光の重要なアクセス道路である国道138号や箱根駅伝のコースのある国道1号についても、年内に通行が可能となることを目指し、応急的な復旧を行っています。 ここに来て、大涌谷園地の立入規制が半年ぶりに解除となり、観光客が大涌谷を楽しめるようになるとともに、箱根登山鉄道も来年秋の運転再開時期が明らかにされるなど、復興に向けて徐々に明るい兆しが見えてきています。 今後も国や地元と一体となって復興に取り組むことで、観光事業者をしっかりと支援し、箱根や周辺市町の観光を盛り上げてまいります。 最後に、台風などによる
被災漁業者への支援についてお尋ねがありました。 定置網漁業は本県漁業を支える基幹漁業であり、ここ3年の網の破損による平均被害額は年間で2億円を超え、漁ができない期間が長引けば、本県漁業は大変な打撃を受けます。 しかし、災害で定置網等が破損しても、国の支援制度はありません。漁具共済の補償制度はありますが、掛け金が高いため、加入率は極めて低く、利用者は制度融資を利用するなど、自力で復旧しているのが現状です。 そこで、県では本年8月、国に対し、
被災漁業者支援制度の創設を要請し、11月には私が全国知事会を代表して、今般の台風被害への支援を要望する中で、再度、支援制度の創設を安倍首相に要請しました。 また、被害を軽減するための定置網の改良については、潮の流れの速い相模湾の急潮対策として、県水産技術センター相模湾試験場が急潮に強い定置網を開発し、漁業者への普及を進めてきました。 しかしながら、いまだに国の支援制度は創設されておらず、定置網の改良も急潮には強くなりましたが、最近の台風による高波やうねりに耐えられるものはまだ開発できていません。 そこで、県では、今後、他県や漁業関係団体と連携して、
被災漁業者支援制度の創設を国に強く求めていきます。 また、定置網の改良については、相模湾試験場が中心となって大学や企業等と連携して、高波やうねりによって定置網が損傷するメカニズムを解明し、定置網の技術開発を急ぎます。 さらに、今回のような台風被害の未然防止として、災害に備えて事前に網を陸に上げるタイミングなどの対策をマニュアル化し、漁業者に指導していきます。 県ではこうした取り組みにより、漁業者が安心して漁業経営をできる基盤づくりを進め、本県漁業の持続的な発展を図ってまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
県土整備局長(上前行男)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 上前
県土整備局長。
◎
県土整備局長(上前行男) 県土整備局関係のご質問にお答えします。 まず、
小田原市内における河川・海岸の減災対策についてです。 初めに、河川についてですが、
小田原市内を流れる山王川と森戸川については、県の「都市河川重点整備計画」に位置づけ、下流から順次、河川改修を進めています。 また、流下能力を最大限発揮させるため、酒匂川など、4河川の堆積土砂の掘削について、国の予算も活用して積極的に取り組んでいます。 こうした中、台風19号により、山王川や森戸川で護岸破損などの施設被害が発生しましたが、既に応急復旧が完了しており、今後、本復旧に向けて速やかに工事に着手していきます。 また、今回、地元、小田原市の水防活動で堤防上に土のう積みを行ったことにより、被害を最小限にとどめられた箇所もありましたので、少しの工夫で安全性が高まる箇所の緊急的な整備も行い、被害の最小化を目指します。 次に、海岸についてですが、今回の台風19号により、小田原海岸の国府津地区や前川地区で背後にある住宅等に被害が生じました。このうち、国府津地区では、平成23年の台風で高波が護岸を超え、住宅の一部が損壊する等の被害が発生したことを受け、既存の護岸を約1.5メートルかさ上げする工事を行いましたが、再度、今回の台風で被害が発生しました。 そこで、県は直ちに
海岸工学を専門とする有識者を初め、国、市とともに被災箇所の現地調査を行いました。現在、越波被害が発生した原因の検証や被害の軽減策を検討しており、効果的な工法の決定後、対策を講じます。 また、前川地区については、今後、施設整備を行う区間であり、今回の検証結果を踏まえ、地元市と連携しながら、早期に海岸保全施設の整備に取り組みます。 次に、神奈川と静岡を結ぶ
道路ネットワークの強化についてお尋ねがありました。 県西部の海沿いを通過する国道135号は、神奈川と静岡の沿岸地域を結ぶ唯一の幹線道路であり、週末や夏の観光シーズンなどには著しい交通渋滞が発生しています。 また、天候が悪いときには高波などの影響を受けやすく、迂回する道路がない中、たびたび通行どめにせざるを得ません。 このため、県は渋滞対策としては、国道135号の主要な交差点の改良等を行い、防災対策としては、道路面を約3メートル高くする大規模な工事を進めてきました。 しかし、昨年の台風12号では、国道135号を走行していた複数の車両が高波により破損するなどの被害が発生し、長時間にわたる通行どめを余儀なくされ、改めて国道135号の脆弱性が浮き彫りになりました。 これを受けて、県は沿線市町とともに、国へ
道路ネットワークの強化への支援を直ちに要望し、県境をまたぐ新たな道路の必要性を訴えました。 また、この道路の実現に向けては、地域における取り組みが何よりも重要であり、今年1月には静岡県や沿線市町とともに合同の勉強会を立ち上げて、地域の特性や課題の整理などを始めました。 さらに、この7月に策定した本県の「かながわグランドデザイン」第3期実施計画には、神奈川と静岡の県境をまたぐ道路計画の促進を位置づけました。 今後は、この両県合同の勉強会において、今ある沿岸部の国道135号と新しく計画する道路の双方とで、どのような機能を分担させるか、また、そのためにはどのようなルートが望ましいかなど、地域を活性化するための道路の姿を明らかにする検討を深めていきます。 県は、こうした検討の成果を国に示すことで、国からの支援が得られるよう働きかけを一層強め、神奈川と静岡を結ぶ
道路ネットワークの強化にしっかりと取り組んでまいります。 答弁は以上です。 〔おざわ良央議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) おざわ良央君。 〔おざわ良
央議員登壇〕
◆おざわ良央議員 知事並びに
県土整備局長から答弁をいただきました。 それでは、1点、再質問させていただきます。 未病指標についてであります。 私はかねてより、県内の各市町村がそれぞれ抱えている健康寿命の延伸に向けた課題の解消のために、県の未病事業を積極的に市町村と連携して活用していけば、未病事業がより県民の利益に資すると考えています。 未病指標の普及のためには、日常的に指標を県民に使っていただくことが重要であり、そのためには身近なところで目にし、体験するなど、使い始めるきっかけづくりも大事だと考えています。 そこで、未病指標の普及に当たり、今後、市町村などと連携して、県民に身近な場所での普及に向けた取り組みについて、知事の見解を伺います。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 未病指標の身近な場所での普及に向けた取り組みについてお尋ねでありました。 未病指標につきましては、市町村に対し、丁寧に説明を行うとともに、市町村や企業等が開催する健康産業関連イベントなどで、展示、体験のブースを出展するなど、連携して普及してまいります。 また、未病の戦略的エリアであります県西部をアピールする拠点施設であります未
病バレーBIOTOPIAや市町村等が設置する未病センター、これを活用して、未病指標を体験していただくことも調整してまいりたいと考えております。 答弁は以上です。 〔おざわ良央議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) おざわ良央君。 〔おざわ良
央議員登壇〕
◆おざわ良央議員 それでは、時間の許す限り、意見・要望を申し上げたいと思います。 今、再答弁いただいた未病指標についてでありますけれども、例えば今回、未病指標を測定する15項目に地域の健康課題を測定する項目を二つか三つプラスしていただくことで、地域の健康課題について、自分はどの程度のレベルにあるのかというのが具体にわかるとか、そういうことになってくると、これは市町村にとっても健康課題の克服に積極的に未病指標を活用していこうというふうになるのだと思うのです。ぜひ県民に寄り添う形での未病施策の推進を要望させていただきます。 次に、神奈川と静岡を結ぶ
道路ネットワークの強化についてであります。 国では今年の4月に、既存路線の中から重要物流道路を指定いたしました。今後については、各都道府県が策定する新たな広域道路交通計画の中から、今年度中に事業中、または計画路線についても重要物流道路に指定すると発表されています。 県当局の皆様はご承知のとおり、神奈川と静岡を結ぶ
道路ネットワークの強化には、静岡県の熱海市を初めとする神奈川・静岡両県の4市4町で行政、議会、商工会議所などで高規格道路として伊豆湘南道路の実現を目指しています。 この伊豆湘南道路を国の直轄事業とするためには、ぜひとも神奈川県に伊豆湘南道路を新たな広域道路交通計画に位置づけていただきますよう、またその際には神奈川と静岡を結ぶ道路という名称ではなく、ぜひとも伊豆湘南道路として載せていただくよう要望させていただきたいと思います。 次に、県西地域のさらなる活性化についてであります。 現在の
県西地域活性化プロジェクトは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け取り組んでいるものであり、令和2年度に一つの区切りを迎えるものと承知しています。 ただ、先ほど質問で述べたように、私は県西地域の活性化はまだまだ道半ばであると考えています。今後、県西地域の県民や市町村の意見、地元の団体・企業などの声をしっかりと聞きながら、2020年の先のさらなるステップに向かって、より一層、活性化
プロジェクトの取り組みを推進するよう要望させていただきます。 次に、県西地域における
鳥獣被害対策についてです。 農家の皆さんに先日もお話を聞きましたけれども、神奈川県が取り組みを始めてもう20年近くたつけれども、被害はよくなる一方ではなくて、悪くなる一方だという話であります。切実な思いであります。 片浦地域では、猿は日常にいるので、被害に遭っても被害届は出しませんと。もっと簡便な被害届としていただければいいけれども、いちいちそういうことももうやりませんという話もいただいてしまいました。 質問の中でもお話させていただいたとおり、農家の方の平均年齢は70歳近くになっております。残された時間は私は少ないというふうに思っておりますので、県西地域のニホンザルのH群の全頭捕獲やふえる一方のイノシシなど、さらなる有害鳥獣対策の推進を強く要望させていただきます。 きょうは、県西地域の諸課題、さまざまな質問をさせていただきました。県当局の皆様には、これからもご尽力いただいて、県西地域の課題を一つ一つ解消していただきますことをよろしくお願い申し上げ、私の質問とさせていただきます。 ありがとうございました。
○議長(梅沢裕之) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(梅沢裕之) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は午後1時といたします。 午前11時25分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-令和元年第3回-20191204-028580-質問・答弁-脇礼子議員-一般質問①かながわ性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センター「かならいん」について②県職員の女性登用について③性的マイノリティ施策について④児童養護施設等を退所した子どもへの支援について⑤県立高校における性教育の指導について⑥引地川の河川整備と流域対策の取組について⑦東京2020大会期間中の江の島への交通について》 午後1時 再開 〔
議会局長報告〕 出席議員 議長共101名
○議長(梅沢裕之) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(梅沢裕之) 質問を続行いたします。 脇礼子君。 〔脇 礼子議員登壇〕(拍手)
◆脇礼子議員 立憲民主党・民権クラブ神奈川県議会議員団、藤沢市選出の脇礼子です。 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問させていただきます。 知事並びに共生担当理事、
スポーツ局長、
福祉子どもみらい局長、
県土整備局長、教育長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 質問の第1は、かながわ性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センター「かならいん」についてです。 国は性犯罪・性暴力被害者支援体制強化に向け、被害者の安全を確保し、気持ちの部分で寄り添いながら被害者のために必要な支援につなぐ機能、役割を果たす人と場所が必要であること、そして、その場所としてのワンストップ支援センターの設置を促してきました。 〔資料提示〕 神奈川県では、2017年8月にかながわ性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センター─かならいんが開設されています。当初より、24時間365日の相談体制をとり、県内64の協力医療機関と連携を図り、県の直営により運営されています。 各県の性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターは、拠点病院内に相談センターを設置する病院拠点型、提携病院の近くに相談センターを設置する相談センター拠点型、相談センターが中心となり、複数の協力病院と連携する相談センターを中心とした連携型の3形態があります。かならいんは三つ目の連携型となっています。 病院拠点型及び相談センター拠点型は、病院内や病院の近くに設置することで被害者に必要不可欠な医療から始まり、幅広い支援につながるというメリットがある一方、コストもかかり、また拠点となる病院がまだ少ないことから、多くは設置できず、被害者は遠方まで通院しなければならなくなることが起こり得ます。 相談センターを中心とした連携型は、協力病院が多ければ、被害者には通院の便や選択の幅が広がるというメリットも出てきますが、そこにさえ行けばよいというワンストップのメリットは減少します。 被害者にとっては、相談、支援のコーディネートはもちろんのこと、産婦人科医療が重要です。 被害間もない場合は特に身体に外傷を受けていることがあり、診察、治療が必要となります。また、妊娠、性感染症の検査、緊急避妊薬、性感染症治療薬等の処方も必要となり、その後の継続的な医療、経過観察も必要となります。産婦人科医師による被害者への配慮ある適切な証拠採取と採取後の保管も考慮しなければなりません。 私は藤沢市議のときに、病院拠点型である大阪の性暴力救援センター─SACHICOも視察し、現状も聞いてきました。また、神奈川県の協力病院になっている藤沢市、及び近隣市の公立病院に協力病院としての課題について簡単な聞き取りもしました。 被害者のプライバシーに配慮し、適切な医療や支援を行わなければなりませんが、来院時の時間帯や状況により、待合場所の確保や適切なスタッフの配置などが難しいこと、夜間に担当する女性医師がいないことなどから、どこもいつでも受け入れられる状況ではないことが浮き彫りになりました。 県内各地の協力病院と連携することは重要ですが、やはり核となる病院をつくること、そこから連携していくことが必要であると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 相談センターを中心とした連携型であるかならいん設置後2年数カ月、この間、協力医療機関とどのように連携してきたのか、また今後、協力医療機関との連携の中で、核となる役割を担う病院を置くことや、病院拠点型のワンストップ支援センターの開設に向けての議論など、どのように行っていくのか、所見を伺います。 質問の第2は、県職員の女性登用についてです。 国の男女共同参画基本計画は、男女共同参画社会基本法に基づき、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、2025年度末までの基本的考え方並びに2020年度末までを見通した施策の基本的方向及び具体的な取り組みを定めるものです。 基本計画では、①男女が自らの意思に基づき、個性と能力を十分に発揮できる、多様性に富んだ豊かで活力ある社会、②男女の人権が尊重され、尊厳を持って個人が生きることのできる社会、③男性中心型労働慣行等の変革等を通じ、仕事と生活の調和が図られ、男女が共に充実した職業生活その他の社会生活及び家庭生活を送ることができる社会、④男女共同参画を我が国における最重要課題として位置付け、国際的な評価を得られる社会の四つを目指すべき社会とし、その実現を通じて、基本法が目指す男女共同参画社会の形成の促進を図っていくこととしています。 また、平成27年8月には、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が成立し、女性の採用、登用、能力開発等のための事業主行動計画の策定が事業主に義務づけられました。 県では、第4次男女共同参画基本計画や、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の考え方を踏まえ、「かながわ男女共同参画推進プラン」を改定しました。 この第4次のプランで、誰もが性別にかかわりなく、ともに生き、ともに参画し、活躍できる社会の実現に向けての取り組みは、SDGsが掲げる17ある目標の5番目、ジェンダー平等の実現と理念を共有するものであり、本プランの推進は持続可能な神奈川の実現にもつながるものとしています。 男女共同参画を県としても最重要課題として位置づけていると理解しています。 このプランでは、教員、警察官を除く県職員のうち、課長級以上の幹部職員に占める女性の割合を、2020年度に20%と目標値を定めています。 〔資料提示〕 また、県では「次世代育成支援・女性活躍推進に関する職員行動計画」に基づき、取り組みを進めています。 平成30年度の取組状況を見ますと、教員、警察官を除く県職員のうち、課長級以上の幹部職員に占める女性の割合は計画制定時より2.9%伸ばし、令和元年6月1日で15.9%です。また、5月28日の記者発表資料によれば、黒岩知事1期目就任時には6%台だった知事部局における管理職手当受給者の女性比率は、令和元年6月1日で18.8%となっています。 そして、次世代育成支援対策推進法及び女性活躍推進法がそれぞれ10年間の時限立法とされていること等を踏まえ、2025年には女性登用が定着し、女性登用を特化することなく、当たり前に性別等にかかわりなく、全ての職員の個性と能力が十分に発揮される体制が構築されるべきであると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 教員、警察官を除く県職員のうち、課長級以上幹部職員に占める女性の割合目標値、2021年4月1日20%達成に向け、どのように取り組むのか、また、2025年も展望して幅広い県民ニーズにしっかりと対応し、多様な視点や発想を県の政策に反映することにより行政サービスの質をより一層向上するために、全ての職員の個性と能力が十分に発揮され、性別等にかかわりなく、優秀な人材を積極的に登用することが重要と考えますが、所見を伺います。 質問の第3は、性的マイノリティ施策についてです。 先進国でも類を見ない少子・超高齢社会を迎えた我が国が活力を維持し、今後も発展を続けていくためには、女性、高齢者、外国人、性的マイノリティー、障害者等一人一人が能力を発揮できる全員参加社会の実現、いわゆるダイバーシティの推進が重要です。 本県においても、かながわ人権施策推進指針の基本理念において、県は誰もが人権を侵されることなく、個人として尊重される社会、誰もが機会の平等を保障され、能力が発揮できる社会に向けて、県民とともに取り組むとしています。 しかしながら、我が国の多様性社会への適応はいまだ途上であり、特にLGBT、性的マイノリティーの方々への関心は高まりつつあるものの、理解が進んでいるとは言いがたく、それは本県においても同じです。 〔資料提示〕 また、最近では、性的マイノリティーから一歩進んで、異性愛の人なども含め、全ての人が持つ好きになる性を意味する性的指向─セクシャルオリエンテーションと、心の性を意味する性自認─ジェンダーアイデンティティの頭文字をとった略語であるSOGIという用語で、性のあり方はさまざまであるとの考え方を示し、性のあり方の多様性を認め合うことの大切さをあらわそうとする動きがあります。 こうした性的マイノリティーについては、来年開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、本県でも藤沢市江の島でセーリング競技が行われますが、国際オリンピック委員会が定めたオリンピック憲章にも、平成26年12月に、撤廃すべき差別の中に性的指向という文言が盛り込まれています。 このように、性的マイノリティーを取り巻くさまざまな環境が変化していますが、まだまだ周囲の無理解や偏見からさまざまな悩みや苦しみを抱える方もおられます。こうした当事者の生きづらさをなくしていかなければならないと考えています。 そこで、共生担当理事にお伺いいたします。 誰もがその人らしく暮らすことのできる共生社会の実現に向けて、性的マイノリティーの方々の支援にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 質問の第4は、児童養護施設等を退所した子どもへの支援についてです。 児童養護施設は、保護者のいない子供や虐待を受けた子供などを入所させ、心身が健やかに育まれるよう温かな環境のもと、家庭にかわって子供たちを育てる施設です。 児童養護施設で暮らす子供たちは高校卒業と同時に施設を退所し、家庭に戻る子供もいますが、多くは社会に出て自立、あるいは自立援助ホームなどで食事と住まいの提供を受けながら自立していくと聞きます。 そうした子供たちは施設を退所後、一旦、就労により自立しても、離職してしまった場合には、すぐに再就職先を探さなければなりません。また、社員寮に住んでいた場合は、仕事と住まいを同時に失うことになります。 厚生労働省の調査によりますと、全国の大学等への進学率は、全高卒者で見ると5割を超えますが、児童養護施設の子供は2割以下と非常に低い状況です。これは親からの援助が得られない等、経済的な基盤の弱さが一因と考えられます。 また、進学した後も、アルバイトをしながら学業を続けなければならないなど、非常に厳しい状況です。 施設を退所した子供は、親からの支援もない中で社会に出なければならず、仕事も家事も家計のやりくりもと、生活の全てを自分で管理しなければなりません。 18歳で施設を退所する前に規則正しい生活習慣を身につけさせたり、さまざまな社会体験を積ませるなど、施設にいる間から退所後の生活を見据え、自立に向けた支援を行うことも重要です。 〔資料提示〕 県は、施設から巣立った子供の自立を支援するために、藤沢市辻堂にあすなろサポートステーションを置き、相談や就職活動への支援を行っています。 しかしながら、不安な気持ちで施設を退所した子供たちが新しい環境で自立して生活できるようにするために、施設入所中から引き続き退所後も子供たちを見守り、自立に行き詰ったときにも支援の手を差し伸べる取り組みを、これまで以上に充実させることが必要ではないでしょうか。 そこで、
福祉子どもみらい局長に伺います。 誰一人取り残さず、一人一人に寄り添った支援を行うため、施設を退所した子供への支援について、県としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 質問の第5は、県立高校における性教育の指導についてです。 性犯罪や性暴力の被害者の多くは女性です。そして、被害に遭う時期が低年齢化してきています。 性暴力とは、同意のない、対等でない、強要された、つまり本人が望まない全ての性的行為を指します。 〔資料提示〕 2017年に全国20歳以上の男女5,000人を対象として行われた内閣府の男女間における暴力に関する調査の調査結果によりますと、子供のころも含め、相手の性別は問わず、無理やりに、これは暴力や脅迫を用いられたものに限らずということですけれども、性交等をされたことがあるかという問いに対して、あったと回答した成人女性は7.8%で、およそ12人に1人が被害経験者でした。 被害者と加害者との関係では、全く知らない人は11.6%であるのに対し、79.9%が知っている人、つまり、配偶者を含めた家族や友人、交際相手、職場の先輩、同僚、学校の先輩や同級生等となっています。また、被害に遭った時期は、20歳未満の人が40.8%でした。 私はデートDVの相談活動などにもかかわってきましたが、高校生からの深刻な状況も聞いています。その電話相談などでも、嫌だけど嫌われたくないからなどの訴えが多くあります。まだまだ、束縛が愛情だと解釈してしまって相手の言うことに従う、あるいは怖いから従ってしまうなど、支配、被支配の関係が当たり前になっている現状を電話相談などから目の当たりにしています。 高校生期は身体的にもほぼ成熟し、男女それぞれの性的な特徴が明確になっていきます。それにつれ、異性への関心も高まり、意識する異性の対象がかなり特定化される傾向も強まってきますが、そのことがかえって男女における身体面、精神面の違いの理解や、異性と人間関係を築くことに当たってのルールやマナーについての理解の妨げとなる場合もあります。 このため、男女相互の理解を一層深めるとともに、人間として互いに協力し、尊重し合う態度を養い、適切な行動をとれるようにすることが大切と考えます。 そこで、教育長にお伺いいたします。 心や体の発達段階に応じて命を大切にする、異性や人権を尊重するなどを含めた教科等横断的な視点による指導が必要だと思いますが、今後、県立高校において、性教育をどのように推進していくのか、所見を伺います。 質問の第6は、引地川の河川整備と流域対策の取組についてです。 今回の台風15号、19号でも記録的な豪雨となりました。今後もこれまでにない規模の突発的な大雨が降り、河川で流せる量を超えて降れば、河川が氾濫し、流域の土地が浸水する可能性が増すことが想定されます。 「神奈川県地球温暖化対策計画」を見ても、本県における地球温暖化の影響の自然災害の分野で、河川に関しては、洪水の分野において、現在の整備水準を上回る降雨による浸水被害や施設被害の発生が予測され、内水では短時間強雨による浸水被害が予測されています。 こうした中、河川の整備に加え、流域対策がより重要な課題となります。 他の自治体での流域対策の取り組みを見ますと、滋賀県では、流域治水条例をつくり、本来の川の水を流下させる、流すに加えて、河川への流入を防ぐ調整池、水田、ため池など雨水貯留浸透機能の確保としてのためる、氾濫原における建築物の建築制限をかける、とどめる、そして水害リスク情報の提供により、住む場所の水害リスクを知る、備えるの四つを基本にしています。 本県では、河川の流下能力の向上のため、河川の改修や遊水地の整備を積極的に進めるとともに、緑地の保全や調整池の整備など、流域の保水機能を確保し、安全な土地利用を誘導するなど、昭和50年代から総合治水対策を進めています。 また、平成15年には特定都市河川浸水被害対策法が施行され、平成17年に鶴見川、平成26年に境川、引地川が特定都市河川・特定都市河川流域に指定されました。 指定されたことで、河川管理者、下水道管理者及び流域の自治体が共同で流域水害対策計画の策定、雨水の流出を抑制するための規制等を行うことで、浸水被害対策の総合的な推進を図っていることも承知しております。 〔資料提示〕 私の地元である藤沢を流れる引地川では、現在、重点的に河川整備が進められており、多くの地権者の協力のもと、水害防止の一助となる下土棚遊水地の工事が盛んに行われ、早期の完成が望まれます。 しかしながら、今後、気候変動による降雨量の増加が想定される中、より一層の流域対策の取り組みが必要であると考えます。 そこで、
県土整備局長にお伺いいたします。 豪雨による浸水被害の危険性が増す中、流域全体で浸水被害対策に取り組むことが重要だと考えますが、今後、県として、引地川の河川整備と流域対策についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 質問の第7は、東京2020大会期間中の江の島への交通についてです。 今年も残すところ、あと1カ月ほどとなり、来年はいよいよ東京2020オリンピック競技大会の年です。 県内では4競技が予定され、私の地元である藤沢市江の島ではセーリング競技が開催されます。 これまで県では、来年の東京2020大会セーリング競技の開催に向けて、江の島セーリングセンターなどの施設整備を初め、湘南港の既存艇の移動やレース海面に係る漁業者との調整、また大会の機運醸成につながる取り組みなど、さまざまな準備を進めてきました。 また、湘南港やその周辺では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会による競技会場の整備が今月から始まる予定と聞いており、いよいよ江の島においても、オリンピックの運営に向けた具体的な準備が始まろうとしています。 〔資料提示〕 こうした中、選手村分村から江の島への選手等の輸送を円滑に行うため、江の島に入る道路の通行が規制されると聞きました。あわせて、江の島島内にある観光客向けの駐車場は、競技会場や大会関係者用の駐車場として利用されるため、大会期間を中心に一般の車両や団体の観光客を乗せた観光バスが島内の駐車場を利用できなくなるとのことです。 江の島は県内でも有数の観光地であり、年間を通じて観光客でにぎわいますが、特に東京2020大会が開催される夏の時期は、江の島にとって、1年の中でも多くの観光客が訪れる大事な観光シーズンです。 そのため、オリンピック開催に伴って、島内に向かう道路の交通が規制され、島内の駐車場がなくなってしまうと、江の島の観光面への影響が懸念されます。 夏の暑い時期に自動車で江の島に来ることができないとなれば、さらに観光客の足が遠のいてしまうことも考えられます。 オリンピックという世紀の一大イベントを江の島で開催する以上、交通規制など、さまざまな面で地域に協力をお願いすることは、ある程度やむを得ないところもあると思いますが、観光客が減少するなど、地域経済に与えるマイナス影響は最小限にとどめる必要があります。 そこで、
スポーツ局長にお伺いいたします。 来年の東京2020大会セーリング競技開催に当たっては、セーリング競技の円滑な運営とともに、江の島の観光への影響を最小限にすることが必要だと考えますが、大会期間中、島内の交通が規制されてしまうことに対して、暑さ対策を含め、今後どのように取り組んでいくのか伺います。 以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 脇議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、かながわ性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センター─かならいんについてお尋ねがありました。 性犯罪、性暴力は被害者に身体的・精神的に深い傷跡を残す許しがたい行為でありながら、誰にも相談できない被害者が多いと言われる深刻な問題です。 そこで、県は平成29年にかならいんを設置し、常時、被害者からの匿名の相談を受けるとともに、64の協力医療機関と連携し、被害者が適切な処置等をワンストップで受けられる体制を整備しました。 かならいんでは協力医療機関との連携型のメリットを生かし、被害者の通いやすい病院で同性医師が診療を行うなど、被害者の希望に沿った受診を調整しています。 また、協力医療機関を受診された方が性被害を受けていることに医師等が気づき、その連携からかならいんの支援につながる事例もあります。 さらに、県は産科婦人科医会と共催で性犯罪、性暴力の被害者対応などについて、毎年、医療機関の従事者を対象に研修会を実施しています。 一方、核となる病院が支援センターを設置する病院拠点型は、被害者がそこに駆け込めば、相談から受診まで手厚い支援が受けられるメリットがあります。 しかし、病院拠点型の支援センターを開設するためには、拠点となる病院が支援センターを持続的に運営する強い意欲を持ち、必要な設備や人員の確保など、一定の体制整備を図る必要があります。 県としては、今後もかならいんによる支援を継続しつつ、被害者にとってどのような仕組みが望ましいかという視点から、病院拠点型を含むワンストップ支援センターのあり方について研究してまいります。 次に、県職員の女性登用についてお尋ねがありました。 まず、幹部職員に占める女性割合の目標達成に向けた取り組みについてです。 本県では、「次世代育成支援・女性活躍推進に関する職員行動計画」において、政策の方針決定過程に女性職員が参画し、その視点や発想を県の政策に反映していくために、女性職員の積極的な登用を位置づけています。 しかしながら、職員アンケートでは、約8割の女性職員が管理職への登用を望んでおらず、その理由のトップが私生活との両立が困難であることとなっています。 そこで、全庁挙げて働き方改革を進める中で、長時間労働の是正やテレワークの導入など、私生活との両立に向けた環境整備を推進しており、私が知事に就任して以降、女性管理職の割合は約3倍の18.8%へと着実にふえています。 今後とも、こうした取り組みを進め、目標とする幹部職員に占める女性の割合20%の達成を目指していきます。 次に、2025年も展望した優秀な人材の登用についてです。 「かながわグランドデザイン」基本構想では、2025年を展望し、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現を目指して、誰もが元気で長生きできる神奈川づくりを進めることとしています。 こうした政策を着実に進めていくためには、常に社会情勢に高くアンテナを張り、将来を見据えて課題を積極的に解決していけるような優秀な人材を育成し、県職員全体の底上げを図る必要があります。 その上で、男女がともに活躍できる職場環境を整え、性別にかかわらず、優秀な人材を管理職として登用してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔共生担当理事(玉木真人)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 玉木理事。
◎共生担当理事(玉木真人) 共生関係のご質問にお答えします。 性的マイノリティー施策についてお尋ねがありました。 性的マイノリティーは、周囲の無理解や偏見からさまざまな悩みや苦しみを抱えることがあり、当事者の人権をしっかりと守っていくことが大切です。 そこで、県では性的マイノリティーへの偏見や差別をかながわ人権施策推進指針における新たな人権課題と位置づけ、周囲の人々の理解促進や当事者の方々の悩みや困難の解消を目指すための施策に取り組んでいます。 具体的には、中小企業の人事担当者や宿泊施設、
児童福祉施設等の職員を対象とした研修会の開催や、人権啓発イベントなど、さまざまな場で当事者の抱える悩みや苦しみを掲載したリーフレットを配付するなど、理解促進に向けて取り組んでいます。 また、10代、20代の当事者の方々を対象とした交流会を開催し、参加者同士、気持ちや体験を共有することにより、悩みの解決を図るための取り組みを行っています。 さらに、当事者やご家族等を対象に、性的指向や性自認、いわゆるSOGIに関する相談事業に取り組み、当事者に寄り添った支援を行っています。 しかし、民間企業による調査でも、性的マイノリティーの半数以上が誤解や偏見が多いと認識し、理解の促進を望んでいると回答しており、県としては、より一層取り組みを進めていく必要があります。 そこで、県では今月21日に、性的マイノリティ理解促進フォーラムを初めて開催し、性的マイノリティーへの理解をテーマとした映画上映や当事者の方からの基調講演、パネルディスカッションを行います。 また、理解を深める研修会については、今年度新たに私立学校の生徒向けにも実施するとともに、当事者の方々の交流会については、昨年度は1地域で11回の開催を今年度は3地域で33回に拡充しています。 県では、こうした取り組みにより、性的マイノリティーへの偏見や差別をなくし、誰もがその人らしく暮らすことのできるともに生きる社会の実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
福祉子どもみらい局長(香川智佳子)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 香川
福祉子どもみらい局長。
◎
福祉子どもみらい局長(香川智佳子)
福祉子どもみらい局関係のご質問にお答えします。 児童養護施設等を退所した子供への支援についてお尋ねがありました。 虐待など、さまざまな事情により、児童養護施設に入所している子供たちは、高校卒業と同時に施設を退所し、その中には家庭に戻る子もいますが、多くは進学や就職をし、社会に巣立っていきます。 こうした子供たちが社会に出るときは、厳しい状況に置かれることが多く、安定した生活を送れるようにするためには、施設を退所した後も丁寧な支援を行うことが必要です。 そこで、県では、施設退所者等を支援するために、あすなろサポートステーションを開設し、平成30年度は施設退所者43人に対し、延べ1,008回相談支援を行いました。また、児童養護施設等に配置するあすなろサポーターと連携して支援する体制を整え、仕事や交友関係などに関する相談や交流の場の提供などに取り組んできました。 しかし、施設退所者の中には勤め先で人間関係がうまくつくれず、体調を崩して職を失ったり、心の準備ができないまま社会に出たことにより、生活が乱れてしまう例もあり、施設を退所する前から、一人一人に寄り添いながら、継続して支援していくことも必要です。 そこで、県では、あすなろサポートステーションに自立支援コーディネーターを今年度から配置し、退所後も引き続き支援が必要な子供を対象とした個別の支援計画を作成します。支援計画は子供自身や施設職員などと一緒に作成し、この計画に基づいて施設を退所する前から自立に向けたきめ細やかな支援を行います。 また、子供たちが職業体験などを通じて自立のイメージを持てるよう、企業や団体等の協力を得てさまざまな社会体験をする機会をふやし、施設が行う自立に向けた支援を充実させていきます。 今後も施設に入所する子供たちの自立する力を育み、希望を持って生きていけるよう、将来を見据えた支援をしっかりと行ってまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
県土整備局長(上前行男)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 上前
県土整備局長。
◎
県土整備局長(上前行男) 県土整備局関係のご質問にお答えします。 引地川の河川整備と流域対策の取り組みについてお尋ねがありました。 引地川流域は急激に都市化が進み、大雨が降ると大量の雨水が短時間に河川に流れ込み、浸水被害の危険性が増大したことから、県と流域市が一体となり、昭和50年代から総合的な治水対策に取り組んでいます。 この対策は、河川の整備だけでなく、流域対策として、川に流れ込む雨の量を抑えるために学校等の公共施設に雨水貯留施設等を整備したり、開発の際にこうした施設の設置を義務づけたりすることにより、浸水被害の防止、軽減を図るものです。 県は、引地川において、護岸整備に加えて、上流からの洪水を受けとめ、下流の水位を下げる効果の高い遊水地の整備を進めています。 現在、藤沢市北部の下土棚遊水地では、早期効果発現のため、国の補助金を最大限活用し、重点的に工事を進めており、令和2年度の完成を目指してしっかり取り組みます。 また、流域市では、平成27年に策定した引地川流域水害対策計画に基づき、雨水貯留施設等の設置を進めており、現在までに目標対策量の約8割が完成しています。 こうした流域対策は整備に時間がかかる河川整備と異なり、設置後すぐに貯留効果が発揮されることから、氾濫、浸水を防ぐ対策として有効です。 県は、豪雨が頻発する中、今後も河川整備と流域対策が一体となった総合的な治水対策を流域市とともに取り組むことにより、浸水被害の最小化を目指していきます。 私からの答弁は以上です。 〔
スポーツ局長(平田良徳)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 平田
スポーツ局長。
◎
スポーツ局長(平田良徳) スポーツ局関係のご質問にお答えします。 東京2020大会期間中の江の島への交通についてお尋ねがありました。 東京2020大会セーリング競技の開催に際しては、大会の円滑な運営やセキュリティーの確保といった観点から、大会期間を中心に交通規制や島内にある公共駐車場の利用制限が実施されます。 一方、観光客にとって、この時期はオリンピックの祝祭感や高揚感に包まれながら江の島を楽しむことができるまたとない機会でもあります。 そこで、こうした交通規制等に的確に対応することで、大会運営と観光との両立を図っていくことが必要です。 具体的な規制等の内容ですが、江の島大橋は島内にお住まいの方々や業務用車両などを除き、一般車両の通行が規制される予定です。また、大会関連施設設置に伴い、島内4カ所、約1,200台分の駐車場も順次利用が制限され、大会期間中は全て利用できなくなる見通しです。 そこで、大会に向けては、組織委員会と連携し、こうした交通規制等の周知を図るとともに、公共交通機関の利用を促す取り組みを積極的に進めていきます。 具体的には、ドライバーに規制内容を伝える表示板を江の島周辺の幹線道路に設置するとともに、横断幕やポスターを活用した公共交通機関の利用促進の取り組みを実施します。また、ホームページやテレビ、ラジオを活用した周知を展開することを検討します。 また、最寄り駅から徒歩で江の島を訪れることは可能ですので、快適に楽しんで歩いてもらえるような工夫も必要です。 そこで、江の島へのルートに、暑さ対策として日よけや休憩スペースを設置したり、オリンピックムードを演出するための装飾を施すことなども考えていきます。 こうした取り組みとあわせて、江の島の山道や江の島神社などの名所はふだんどおり観光が可能なことや、江の島でのイベントの紹介、さらにはシーキャンドルなどからはレースエリアを一望することもできるといった大会期間中ならではの江の島の楽しみ方も積極的に発信していきます。 県はこうした取り組みを組織委員会や関係自治体、経済団体等と連携して進めることで、東京2020大会セーリング競技を成功に導くとともに、大会以降の江の島のにぎわいづくりにも貢献してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 県立高校における性教育の指導についてです。 県教育委員会では、県立高校において学習指導要領に基づき、性教育が実践できるよう、平成16年に教員向けの性教育指導の手引を作成しています。 この手引に基づき、県立高校ではこれまで、生徒の人格の完成と豊かな人間形成を目標として、性に関する科学的知識を教えるとともに、生徒が人間尊重の精神に基づき、望ましい行動ができるよう性教育を行ってきました。 具体的には、生徒の発達段階に応じ、保健体育や家庭科、総合的な学習の時間、さらには特別活動など、学校の教育活動全体を通じて、性に関する身体的・精神的側面や家族関係など社会的な側面について指導しています。 しかしながら、近年、社会環境の変化や情報社会の進展により、インターネット上には性に関する情報が氾濫し、さまざまな情報を容易に入手できるとともに、SNS等を介して生徒が性犯罪に巻き込まれるなどの事件も発生しています。 また、若年層のエイズ及び性感染症や人工妊娠中絶なども課題となっています。さらに、LGBTなど、多様な性への対応なども求められています。 こうした状況において、次代を担う高校生には、これまで以上に生命を尊重し、お互いの人格を認め合うということを基礎に、性に関して自分で考え、主体的に判断し、行動していく力を身につけてもらうことが大切です。 そこで、県教育委員会では、こうした観点を重視するとともに、令和4年度からの新学習指導要領を踏まえて、来年度に性教育指導の手引を改訂します。 あわせて、教員向けの性に関する指導・エイズ教育研修講座等において、今日的な課題を取り上げながら、実践的指導力の向上を図ってまいります。 以上でございます。 〔脇 礼子議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 脇礼子君。 〔脇 礼子議員登壇〕
◆脇礼子議員 知事並びに共生担当理事、
福祉子どもみらい局長、
県土整備局長、
スポーツ局長、教育長よりご答弁いただきました。 それでは、時間の許す限り、順次要望を述べさせていただきます。 まず、東京2020大会期間中の江の島への交通についてです。 オリンピックが開催される期間は、江の島に自動車で乗り入れることができないとなれば、必然的に島内は徒歩で向かわざるを得なくなります。しかし、最寄り駅や島外駐車場から江の島へは距離があり、真夏の徒歩による移動は負担を感じる方もおられます。 そういった夏の徒歩による移動を減らすために、例えばシャトルバスの運行などを行えば、負担が減り、より江の島に来やすくなるのではないかと思います。 大会本番まで残された時間はもはや長くありません。大会関係者の円滑な輸送と地域経済の両立に向けて、組織委員会と藤沢市、地元関係団体等と連携し、しっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。 次に、性的マイノリティー施策についてです。 平成30年10月に、全国の約6万人を対象に電通ダイバーシティ・ラボが行った調査によりますと、LGBTを含む性的マイノリティーに該当する人は全体の8.9%であると発表されました。これは11人に1人が該当することになり、この割合から見ると、確かにLGBTと呼ばれている人たちは性的マイノリティー、すなわち少数者です。 その人たちが抱える悩みや生きづらさをしっかりと解消していくために、引き続きの取り組みをお願いいたします。 また、取り組みに当たってはSOGIという視点も持ち、人の違いや多様性を広く認め合う概念を持ちながら、違いを認め合う社会、誰一人取り残さない共生社会、ダイバーシティの推進に向けた取り組みを進めていただくことを要望いたします。 次に、児童養護施設等を退所した子供への支援についてです。 自立支援と言いましても、この自立の捉え方ですが、自分で全てやることではなく、誰かに頼る、誰かにつながっていくということだと思います。 虐待など、被害を受けた子供は、癒やされるのに被害を受けた期間の3倍かかるとも言われています。子供たちの相談も一人一人違いますし、主の訴えの背景にはさまざまな背景があります。子供自身を主体とした自立支援に向け、子供が権利の主体であるとの理念のもと、一人一人に寄り添った支援に今後も取り組んでいただくことを強く要望いたします。 次に、かながわ性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センター─かならいんについてです。 協力病院の一つである藤沢市民病院では、病院独自の性犯罪被害者対応マニュアルを今年度中に策定を予定しています。また、県主催の性犯罪・性暴力被害者支援研修にも参加していますが、今年度9月に行われた研修では、応募者多数で受講することができなかったということで、講師派遣を依頼し、院内研修を予定していると聞いています。 協力病院としての意識、責任を持って対応してくれる病院もふえていると思います。協力病院に対する研修等の支援を充実させていただきたいと思います。 また、今後のかならいんのあり方については、被害者に寄り添った支援をワンストップで行うという視点に立ち、きちんと検討いただきたいと思います。 以上をもちまして、私の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。
△《本会議録-令和元年第3回-20191204-028581-質問・答弁-藤井深介議員-一般質問①県庁におけるキャッシュレスの取組について②災害時の業務継続体制について③使用済み紙おむつのリサイクルなどの処理について④障害者支援施設入所者の介護保険施設への移行について⑤新生児聴覚スクリーニング検査について⑥骨粗しょう症対策について⑦地域公共交通の維持や確保について⑧県営住宅の駐車場対策について》 〔藤井深介議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 藤井深介君。 〔藤井深介議員登壇〕(拍手) 〔議長退席、副議長着席〕
◆藤井深介議員 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党県議団の一員として、通告に従い、順次質問させていただきます。 知事並びに
くらし安全防災局長、
環境農政局長、
県土整備局長におかれましては、明快なご答弁をお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 質問の第1は、県庁におけるキャッシュレスの取組についてであります。 現在、我が国においては、民間企業や個人を中心に、店舗などで従来の現金による支払いからスマートフォンなどを使ったキャッシュレス決済を導入する大きな流れが起きており、この流れは今後も続いていくものと思われます。 キャッシュレスの推進は、単に消費者の利便性が向上するだけではなく、事業者の現金管理を減らすことで、レジ締め処理を初めとする売上管理業務や報告業務の軽減など、業務の効率化を実現するメリットがあり、現在、我が国が直面する人口減少による人手不足への対応も期待されているところであります。 国は2025年までにキャッシュレス決済比率40%を実現するため、今年度予算において、キャッシュレス・消費者還元事業を計上し、10月1日の消費税率引き上げに伴い、需要平準化対策として、消費税率引き上げ後の一定期間に限り、中小企業・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元・割引を支援するなどの取り組みを進めています。 こうした国の取り組みや各種ペイメント事業者のキャンペーンなどもあり、大企業や大手の流通業等においては、相当程度キャッシュレス化の浸透が見られていると感じます。 しかし、報道によると、キャッシュレス決済のおよそ45%がコンビニで行われており、中小企業・小規模事業者への浸透が十分に進んでいないようですし、また、国のキャッシュレス・消費者還元事業は2020年6月で終了する予定とのことであります。 県は昨年11月、県庁の内外にかかわらず、現金による決済からキャッシュレス決済を推進していくとして、キャッシュレス都市KANAGAWA宣言を発出し、県もみずから一部の公共料金や県税等の支払いにキャッシュレス決済を導入していることは承知しております。 しかしながら、利用先の主流はコンビニエンスストアであることや、高齢者の中にはまだまだ二の足を踏んでいる方も多くおられることなど、いまだ県内の中小の小売店舗や飲食店等においては、キャッシュレス化は十分とは言いがたい状況にあるとも感じております。 こうした中で、今年のラグビーワールドカップ2019や来年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、今後、本県を訪れる外国人観光客などの大幅な増加が見込まれますが、こうした方々が現金を持たなくともストレスなく過ごすことができる環境を神奈川県全体として整備していくためには、率先して県みずからがキャッシュレス決済を導入していくことが大切であります。 そこで、知事に伺います。 キャッシュレス都市KANAGAWA宣言の発出から1年が経過した中で、県庁のキャッシュレス化について、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 質問の第2は、災害時の業務継続体制についてであります。 平成は災害が頻発した時代だったと言われていますが、令和になっても8月の九州地方を中心とした大雨に続き、9月の台風15号、10月の台風19号、その後の大雨など、台風を中心とした水害が続いています。 特に、この秋に発生した二つの台風では、本県を初め東日本全体に甚大な被害をもたらしました。 改めて、このたびの災害でお亡くなりになられた皆様にお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。 さて、今回の台風15号と19号は、本県でも沿岸の工業団地における高波の被害や、緑地の崩落、内水による氾濫、大規模な土砂災害などが発生し、多くの人的被害や住宅被害をもたらしました。 今回の台風による災害は、本県にとってもさまざまな課題や教訓があったものと思います。こうした経験を今後の風水害対策の強化に生かすべきであり、既に県は「地域防災計画」の修正に取り組んでいると承知しております。 一方、こうした災害対策の強化に加え、災害対応業務と災害時であっても行う必要のある業務を継続するための体制を確保することは重要な視点だと考えます。 台風の接近や上陸時に県や市町村に求められるのは、住民の避難や応援の要請、水防などの災害対応であり、そのためには多くの人員が必要です。 今回の台風では、鉄道の計画運休などにより通勤や通学に大きな支障をもたらしました。加えて、暴風や大雨のピークは休日の夜間にかかっており、災害対応を担う県や市町村は対応する職員の確保ができたのか、懸念するところであります。 また、暴風や豪雨の最中に職員を参集させることは危険を伴うこともあり、職員の安全にも配慮した参集体制にも留意する必要があると考えます。 県は平成21年に業務継続計画を策定しておりますが、東日本大震災後の平成24年の修正以降、本格的な見直しは行っていないと承知しております。 しかし、東日本大震災の後も熊本地震や御嶽山などの火山災害、昨年の西日本豪雨など、毎年のように大規模災害が発生しており、とりわけ本年は本県みずから台風被害を受け、東日本大震災以来となる災害対策本部を立ち上げ、災害対応を行う事態となったところであります。 近年の災害や今年の災害対応の経験をもとに災害時の業務継続体制を検証し、必要に応じて見直しを図ることが必要だと考えます。 そこで、
くらし安全防災局長に伺います。 本年の台風による災害への対応を検証し、県業務継続計画の見直しを図り、県の災害対応体制を強化すべきだと考えますが、どのように取り組むのか、所見を伺います。 質問の第3は、使用済み紙おむつのリサイクルなどの処理についてであります。 我が国の65歳以上の高齢者人口の割合は、平成28年10月時点で27.3%、75歳以上の割合は13.3%になり、今後も増加していくと推計されております。さらに、本県では全国と比較しても屈指のスピードで高齢化が進み、2040年には65歳以上の高齢化率が33%と、3人に1人が高齢者になることが予想されています。 また、高齢化社会の進行とともに要介護者も増加し、今後は高齢者が高齢者を介護する、いわゆる老老介護が社会問題化していく中、介護施設や家庭でどのように介護に向き合っていくかは、私たちにとって避けて通れない問題であります。 その中でも、介護する側、介護される側双方にとって、排せつの問題は最も深刻な問題の一つであり、そのケアのための紙おむつは、今ではなくてはならない介護用品であります。 大人用の紙おむつの出荷額は、既に子供用の紙おむつに匹敵する額となっているとの報告もあり、今後、その需要は間違いなく増加していくものと考えられます。 一方で、使用済みの紙おむつは、においや衛生面の問題などから、家庭での保管や処理・処分は悩ましい問題であり、市町村の焼却施設で処理すると、し尿を含んでいることから、ごみ焼却における熱回収の効率を妨げる一因となっているとの話も伺っております。 介護で発生する使用済み紙おむつは、介護する側、される側にとっても、できるだけ早く手軽に処理したいごみであり、特に老老介護を考えると、できるだけ手間のかからない処理方法が求められます。 また、資源の循環という面からは、プラスチックや紙を含んでいることから、これらを分別してリサイクルするシステムも必要ではないかとも考えております。 そこで、
環境農政局長に伺います。 高齢化社会を迎えた今、家庭における介護で発生する使用済み紙おむつのリサイクルなどの処理について、県としてどのように考えているのか、所見を伺います。 質問の第4は、障害者支援施設入所者の介護保険施設への移行についてであります。 本県の高齢化率については先ほど述べたとおりでありますが、県の将来人口推計では、2040年には3人に1人が65歳以上の高齢者となることが見込まれており、まさに人生100歳時代を迎えております。 こうした状況の中、障害者の高齢化も進展しており、障害の特性やライフステージに応じた、その人らしい暮らしの実現に向けた支援のあり方にもさまざまな影響を及ぼしております。 近年、障害福祉サービス制度は、在宅サービスや訪問サービスなどのメニューもふえ、個々の障害者の状況に合わせた利用が進んでいると承知しておりますが、反面、サービスの利用の仕方や手続は複雑になり、医療保険や介護保険と同様に、利用する側としてはなかなかうまく活用し切れていないという実情もあります。 また、障害者が高齢化することは、すなわち身近な支援者であるご家族も高齢化するということであり、そうした面からも、これらのサービスを効果的に利用するということが難しくなっていくのではないかと危惧しております。 先般、障害者支援施設に入所しているある知的障害のある方のお父さんと話す機会がありました。息子さんが間もなく65歳となり、この施設を出ないといけないとの内容であります。 その障害者支援施設では、65歳を迎えるに当たり、介護保険制度を利用して、特別養護老人ホームへの移動を勧められたという話であります。その利用者は、長い期間、その障害者支援施設に入所していたため、本人も親御さんも施設をかわることに大きな不安を覚えるとの素直な気持ちを話されました。 介護保険制度は国民全体を対象とした社会保険制度であり、社会福祉制度である障害福祉サービスに優先されることは承知しておりますが、入所施設を生活の場とする障害者にとっては、高齢期を迎えて以降、どのような施設で暮らすかということは大きな問題であります。 一方、障害者支援施設に入所している方の約2割は65歳以上であるというデータもあり、障害者支援施設の入所者の高齢化はさらに進んでいく見込みであります。 障害者支援施設が新たな入所希望に応じていく必要があることを鑑みれば、やはり高齢となった施設利用者が特別養護老人ホームへ移行するなど、介護保険制度との連携が必要であるということも理解できます。 障害者支援施設入所者が安心して介護保険施設に移行するためには、本人はもとより、ご家族に制度を正しく理解していただいた上で、サービスを提供する側の施設が丁寧に対応することが必要であると思います。 そこで、知事に伺います。 障害者支援施設入所者の介護保険施設への移行について、県はどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 質問の第5は、新生児聴覚スクリーニング検査についてであります。 新生児の先天性の聴覚障害については、約1,000人に1人の割合で生じるとされております。 外見からはわかりにくい障害でありますが、特に新生児の場合、聴覚障害に気づかないままだと、耳からの情報に制約があるため、コミュニケーションに支障を来し、言葉の発達がおくれ、情緒や社会性の発達にも影響が生じることになります。 一方で、早期に適切な支援が行われれば聴覚障害による影響が最小限に抑えられ、言語能力の発達の促進や、他のコミュニケーション手段の早期獲得などにより、社会参加も容易になると言われており、早期に聴覚障害を発見し、子供や家族に対して支援を行うことが極めて重要と言われております。 このため、本県においても、全ての新生児に対して、生まれてすぐに新生児聴覚スクリーニング検査が実施されるよう、市町村などと連携して検査体制の整備を推進していく必要があります。 こうした課題認識のもと、私は平成30年2月の一般質問において、新生児聴覚検査の推進に向けた取り組みについてお尋ねいたしました。それに対して、黒岩知事より、今後、関係機関で構成する協議会を立ち上げて、検討を進めていくとの答弁をいただきました。 その後、厚生労働省が今年3月に公表した新生児聴覚検査の実施状況等においては、全国の検査の受診人数を把握している市町村のデータを集計したところ、出生者数に対する検査を受けた子の割合は8割程度であり、また、検査の結果、要支援とされた新生児に対する指導援助を行っていると回答した市町村は6割弱にとどまるという結果が示されており、検査や支援の体制には依然として課題があると考えられます。 国においては、難聴児の早期支援の充実を早急に実現していく必要があるとして、厚生労働省と文部科学省が連携して、難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携
プロジェクトを立ち上げるなど、検討を進めております。 本県においては年間7万人近くの新生児が出生しており、新生児聴覚スクリーニング検査を確実に受診し、さらに、万が一障害が見つかった場合には速やかに療育機関等へつないで適切な支援を受けられるようにするため、母子保健事業を行う市町村の取り組みを促すだけでなく、市町村や医療機関、療育機関等が連携して検査や支援を行うための体制整備に、県として積極的に取り組む必要があると考えます。 そこで、知事に伺います。 新生児聴覚スクリーニング検査について、本県の取り組みの進捗状況と、その受診率の向上や支援体制の整備のために、今後、県としてどのように取り組みを進めていくのか、所見を伺います。 質問の第6は、骨粗しょう症対策についてであります。 骨粗鬆症は、骨の強度が低下して、すが入ったような状態になり、骨折しやすくなる病気で、高齢の女性に特に多く見られると言われております。 骨粗鬆症になると、大腿骨や脊椎などの骨折を招き、寝たきりになってしまうなどの危険性もはらんでおり、高齢社会が抱える問題の一つとされております。 実際、平成30年版高齢社会白書によれば、骨折は65歳以上の人が要介護となる原因の一つになっており、特に女性では、認知症や高齢による衰弱に次いで3番目に多いとのことであります。 こうした要介護や寝たきりの状態につながる骨粗鬆症にならないようにするには、若いころからの食、運動による生活習慣の改善が重要であり、正しい知識を県民に周知することが必要であります。 一方、自分の骨の状態を知るために、一定の年齢を過ぎたら、定期的な検診により骨密度を測定し、対策を講じることが重要です。 私の住む平塚市においても、年に数回、市役所や保健センターで市民向けのイベントとして骨密度測定を実施しており、時折、市の広報紙などで募集案内がされているのを目にしております。 これは足のかかとではかる簡易な超音波測定だということで、県民の気づきを促す取り組みとしては有効であると考えますが、できれば、もっと正確な診断ができる検診を多くの方に受診してもらうべきであると考えます。 市町村では健康増進法に基づいて骨粗鬆症検診を実施していますが、公益財団法人骨粗鬆症財団が昨年11月に学会誌に発表した都道府県ごとの受診率によると、本県の骨粗鬆症検診の受診率は芳しくない状況であります。 これは厚生労働省が公表する市町村が実施する骨粗鬆症検診の受診者数をもとに計算したもので、全国平均は5.0%でありますが、受診率が最も高いのは栃木県で14.0%、最も低いのは鳥取県で0.3%と、実に47倍もの開きがあり、本県は全国で下から3番目に低い0.9%という結果となっております。 同じ財団の解析によると、受診率が低い地域ほど大腿骨の骨折を起こしやすく、大腿骨骨折により人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と要介護者の割合は比例し、骨粗鬆症検診率と人工骨頭挿入術を受けた患者の割合は反比例するということであります。 さらには、骨粗鬆症検診率の低い地域ほど介護が必要になる傾向にあることも報告されており、まさに要介護状態を回避し、健康寿命を延ばすためには、骨粗鬆症検診は欠かせないものと考えられます。 そこで、知事に伺います。 骨粗鬆症検診の実施主体はあくまでも市町村であると承知しておりますが、県民の未病改善に不可欠な骨粗鬆症対策について、検診の受診率向上に向けた取り組みも含め、県は今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 質問の第7は、地域公共交通の維持や確保についてであります。 私の住む平塚市では、鉄道駅は市南部に位置する平塚駅の1駅で、バス路線はこの平塚駅を中心に、放射状に整備されています。 市街地と鉄道駅を結ぶバス路線の運行本数、運行系統とも比較的に多いものの、郊外部地域では運行本数が少なく不便という声や、バス停が遠いことから地域公共交通を充実してほしいなどといった声を数多くお聞きします。 人口減少や少子・高齢化が進展する中で、今後、バス利用者がますます減少し、バス路線の縮小や撤退につながっていくことで、郊外部を中心に地域公共交通の空白地域が広がっていくのではないかと懸念しております。 また、地域公共交通の衰退は、運転免許返納後の高齢者や、運転免許を持たない学生などの移動の制約となり、移動そのものの減少は、健康や人との交流によって実現する豊かな暮らしそのものへの悪影響をもたらします。 こうした課題解決のため、県内の市町村では、地域の住民や交通事業者等で構成する地域公共交通会議を設置し、コミュニティバスの運行やオンデマンド輸送サービスを活用するなど、地域公共交通の維持や確保、改善に取り組んでおります。 県においても、この地域公共交通会議に参画し、市町村の取り組みについてアドバイスや助言など、技術的な支援を行っていることについては評価しているところであります。 こうした地域公共交通の取り組みは、基礎自治体である市町村が担うことは理解しておりますが、市町村のマンパワーも十分ではなく、取り組みにも限界があると考えております。 また、私は、市町村単位ではなく、さらに広いエリアを対象にした取り組みも必要であると考えていることから、広域自治体としての県の役割はますます重要となってくるものと考えます。 そこで、
県土整備局長に伺います。 地域公共交通の維持や確保に取り組む市町村への技術的支援について、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 質問の第8は、県営住宅の駐車場対策についてであります。 県営住宅では入居者の高齢化が急速に進んでおり、県営住宅全体で60歳以上の高齢者のいる世帯は約73%、ひとり暮らしの高齢者の世帯は約33%を占めております。 こうした中、高齢となったひとり暮らしのご両親を心配し、または病気や介護といった事情などにより、ご家族の方が車で訪問したいと思っても、団地にコインパーキングがなくて駐車に困るといった相談を、私の地元である平塚山下団地の自治会からお聞きしております。また、ほかにもそういう団地が多いのではないかと感じております。 実際、県営住宅全体を見てみますと、建設年度の古い団地にはそもそも駐車場すらない団地が多く、県が直接管理している県営住宅204団地のうち、駐車場のない団地が41団地もあります。 しかし、こうした駐車場のない団地においても、入居者のご家族の方の一時的な利用のニーズが高まっている状況であり、そのニーズに応えていくため、団地内に少しでもあいているスペースがあれば、駐車場として整備し、コインパーキングを設置していくべきではないかと考えております。 また一方で、駐車場が整備されている団地では、駐車場の空き区画がふえており、その活用についても対策を講じることが必要であります。 現在、駐車場を整備している団地は163団地で、駐車場区画数は約1万3,000区画、そのうちあいている駐車場は約4割で、そうした駐車場には、順次、コインパーキングを設置することにしているようですが、今年4月時点の設置状況は、空き区画のうち1割弱にとどまっていると聞いております。 こうした中で、今後も入居者の高齢化が進み、車を運転しない人がふえていくことにより、駐車場の空き区画はさらにふえていくと想定されます。 一方で、コインパーキングは、立地に恵まれなければ、公募を実施しても事業者の応募が見込めないため、駐車場の空き区画の増加数に応じて設置をふやしていくことは難しいのではないかとも考えます。したがって、駐車場の空き区画の活用について、コインパーキングの設置を促進するだけではなく、さまざまな工夫により、対策を強化していかなければなりません。 県が今年3月に策定した「健康団地推進計画」では、持続可能な団地経営を実現するため、空き駐車場については、収入確保の観点から有効活用していくとしており、こうした団地経営の視点からも検討を進めることが大変重要であります。 そこで、
県土整備局長に伺います。 まず、県営住宅において、駐車場のない団地にコインパーキングを設置していくべきと考えますが、所見を伺います。また、駐車場の空き区画の活用について、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 藤井議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、県庁におけるキャッシュレスの取り組みについてお尋ねがありました。 県では、昨年11月にキャッシュレス都市KANAGAWA宣言を発出し、県庁内外におけるキャッシュレスの推進に積極的に取り組んでまいりました。 具体的には、県内事業者等に対し、キャッシュレス決済導入に向けた説明会や相談会を開催したほか、ベトナムフェスタin神奈川2019でキャッシュレス決済に対応したキッチンカーに出店していただくなど、広く県民の皆様への普及啓発に取り組んできました。 県庁における取り組みについては、都道府県で初めて自動車税等の支払いにLINEPayを導入したほか、窓口でのキャッシュレス化として県政情報センターにおける航空写真の複製費用やかながわ県民センターにおける会議室使用料等の支払いにクレジットカードやPayPay等を先行的に導入しました。 今後に向けては、まず年内に県政情報センター等の支払いにおいて、普及率の高い交通系ICカードを利用できるようにします。また、自動車税等の支払いについては、LINEPay以外のバーコードによる決済を導入するなど、県民ニーズを踏まえて決済サービスの種類を拡大していきます。 さらに、建設中の新分庁舎に設置するレストラン事業者の募集や県施設に設置されている自動販売機の更新に当たって、キャッシュレス決済の導入を検討していきます。 今後も、県民生活に密接な税、公金等を初めとする県庁のキャッシュレス化に積極的に取り組むことで、より便利で発展的な社会の姿を本県から発信してまいります。 次に、障害者支援施設入所者の介護保険施設への移行についてお尋ねがありました。 本県において高齢化が急速に進む中、障害者支援施設においても入所者の高齢化が進んでおり、65歳以上の入所者の割合は県全体で、平成24年度の14.8%から、平成31年度には19.4%と年々増加しています。 高齢の入所者の中には、加齢に伴う身体機能の衰えなどにより、障害者支援施設から特別養護老人ホームなどの介護保険施設で支援を受けるほうが適切な場合もあり、そうした場合は介護保険施設への移行を進めることが必要です。 こうした介護保険制度との連携について、県は障害者支援施設や市町村に対して、入所者が高齢になった場合は、心身の変化等に応じて介護保険施設への移行を検討する必要があることを、ご本人やご家族に丁寧に伝えるよう指導してきました。 施設や市町村においては、介護保険施設の見学や体験利用を行うなど、支援していると承知しています。 しかし、こうした制度や支援がまだご本人やご家族に十分浸透しておらず、中には認知機能の悪化や寝たきり状態になって急に住みなれた生活環境を変わることになり、不安になることもあろうかと思います。 そこで、県では、障害者支援施設や市町村において、入所者やご家族に対して、介護保険制度や支援の内容について丁寧な説明が行われるよう、毎年県が開催する障害福祉施設・事業者団体説明会や市町村の担当者会議などを通じて、さらに周知を進めていきます。 また、介護保険施設においても、適切に障害者の受け入れを進めていただくよう、新たに高齢者施設の団体等を通じて周知を図っていきます。 県としては、今後も障害者一人一人の意思を尊重して、ライフステージにふさわしいサービスや生活の場が提供されるよう、施設関係団体や市町村などとしっかりと連携して取り組んでまいります。 次に、新生児聴覚スクリーニング検査についてお尋ねがありました。 新生児に先天性の聴覚障害があった場合、早期に適切な支援が行われることで、その後のコミュニケーション能力や言語能力が向上し、さらには社会参加への影響が最小限に抑えられることから、早期発見と早期療育は大変重要です。 そのためには、お子さんが生まれたときに聴覚スクリーニング検査を受けていただき、その結果、異常が見つかった場合には、母子への支援を行う市町村や専門の療育機関等に確実につなげていく必要があります。 そうした中、県が分娩を扱う医療機関に対して行った調査では、多くの機関で検査を実施しているものの、検査結果の情報が市町村等に十分に伝わらず、支援につながらないケースもあるといった課題が明らかになりました。 そこで、県は昨年度、医師会や教育機関、市町村等で構成する協議会を設置し、検査の受診に向けた効果的な普及啓発や医療機関から市町村や専門の療育機関等へ情報が確実に伝わる方策について検討を進めています。 具体的には、今年度、検査の必要性や早期の支援開始の重要性をまとめた妊産婦向けのリーフレットを作成し、母子手帳を交付する際に配付するなどして、検査の受診を促していきます。 また、医療機関や市町村向けに、検査で異常が発見された場合の対応等について整理した手引を作成し、検査の円滑な実施や関係機関の連携を図っていきます。 今後、協議会において、改めて実態調査を実施し、受診率の向上や検査支援体制の充実に向けた、より効果的な対策を検討していきます。 県は新生児やご家族に寄り添いながら、聴覚障害の早期発見、早期療育に向けて、市町村や関係機関と連携してしっかりと取り組んでまいります。 最後に、骨粗鬆症対策についてお尋ねがありました。 骨粗鬆症は女性に多く見られる生活習慣病であり、骨粗鬆症にならないためには、若い時期から栄養バランスのとれた適切な食事や運動により、骨を強くすることが大切です。 そこで、県は高校生向けに作成した学習教材で、骨の大切さや無理なダイエットの危険性などについて周知するとともに、保健福祉事務所の保健師等が県内の大学へ出向き、女性の健康管理について講演を行うなど、若い世代への啓発に取り組んでいます。 一方、女性は一定の年齢になると、ホルモンバランスの変化で骨量が著しく減少するため、定期的な検診により、骨の状態を確認する必要があります。 しかしながら、骨粗鬆症は自覚症状がなく進行し、切迫感を持ちにくいことなどから、市町村の骨粗鬆症検診を受診する人は少なく、また検診を実施していない市町村も多い状況です。そのため、検診の重要性を理解していただくとともに、市町村における検診の実施が進むよう取り組む必要があります。 そこで、県では、企業と連携して作成した女性向けのリーフレットで骨粗鬆症について周知するほか、市町村と連携したイベントや未病センター等で簡易な骨密度測定を行うなどして気づきを促し、生活習慣の見直しや検診受診につながるよう取り組んでいきます。 また、女性を対象としたさまざまなイベント等を活用し、骨粗鬆症の正しい理解や検診の重要性を県民の皆様に伝えていきます。 さらに、市町村においては、検診に係る経費が負担となっているとも聞いていますので、国に対して財政面も含めた支援を要望し、多くの市町村で検診が実施されるよう働きかけていきます。 県は市町村や企業と連携して骨粗鬆症対策を進め、県民の皆様が幾つになっても元気に生き生き笑顔で暮らせるよう取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
くらし安全防災局長(花田忠雄)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 花田
くらし安全防災局長。
◎
くらし安全防災局長(花田忠雄) くらし安全防災局関係のご質問にお答えします。 災害時の業務継続体制についてお尋ねがありました。 休日や夜間など、職員の勤務時間外に全県に被害が及ぶ大規模災害が発生した場合には、県職員も被災し、所属に緊急参集できないおそれがあります。こうした中でも災害対応や県民生活に大きな影響がある業務に支障が生じないよう、あらかじめ災害時の業務継続体制を確保しておくことは重要です。 そこで、県は現在、業務継続計画の見直しを進めています。見直しに当たっては、まず、県が行っている業務の中から、災害時でもおくれが許されない非常時優先業務を見きわめる必要があります。 そのため、各局等において、発災からの時間の経過に応じ、優先度の高い業務を洗い出し、その処理に必要な人員を把握する作業を進めています。 次に、大規模災害時に設置される災害対策本部や現地災害対策本部を支える応援職員を確保する必要があります。そのため、災害対策本部や現地災害対策本部の円滑な運営に必要な人員を把握し、非常時優先業務に携わらない各局等の職員を配備する調整を進めています。 この配備編成を作成する際には、職員の住所地などを踏まえ、RPA─ロボティック・プロセス・オートメーションを活用するなど、効率化を図ります。 さらに、台風による風水害など、災害の発生が予見できる場合には、あらかじめ職員を職場の近隣に待機させたり、在宅処理が可能な業務についてはテレワークを活用することなどにも配慮していきます。 県としては、こうした観点から、年度内に業務継続計画を見直して、災害への即応態勢の強化を図り、大規模地震や毎年のように起こる風水害にしっかりと備えてまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
環境農政局長(石渡美枝子)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 石渡
環境農政局長。
◎
環境農政局長(石渡美枝子) 環境農政局関係のご質問にお答えします。 使用済み紙おむつのリサイクルなどの処理についてお尋ねがありました。 紙おむつは国内で年間60万トンが消費されていますが、し尿を吸収して4倍近い重さになるため、年間の廃棄量は約240万トンと推定されています。 そして、家庭から廃棄された紙おむつは市町村が可燃ごみとして回収し、焼却等により処理されており、リサイクルは進んでいないのが現状です。 九州のある自治体では、メーカーと連携してリサイクルの試行を始めていますが、リサイクル品の使用に抵抗感を持つ消費者が多く、まだ製品化はしていないと聞いています。 また、リサイクルをする場合、可燃ごみとは別に分別回収することになりますので、家庭にとってはプライバシーの問題や回収回数が減ることで家庭での保管期間が長くなり、衛生面の不安が生じます。 このように多くの課題がある中、現在、国では紙おむつについて、固形燃料化やリサイクル、粉砕処理をしてトイレに流す方法などを検討していますが、方向性は定まっていません。 県としても、今後ますます増大する紙おむつの処理については、将来に向けた大きな課題であると認識しています。 その課題認識については市町村も同様であるため、県では昨年度、市町村向けに紙おむつの処理をテーマにした研修会を開催し、国やメーカー等の動向について情報共有を図りました。 このように、紙おむつの処理については国やメーカーでも検討の緒についたばかりであり、県としては国に対し、処理の方向性をできるだけ早期に示すよう要望するとともに、他の自治体やメーカーの取組動向を注視しながら、どのような対応ができるのか、市町村とともに研究してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
県土整備局長(上前行男)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 上前
県土整備局長。
◎
県土整備局長(上前行男) 県土整備局関係のご質問にお答えします。 地域公共交通の維持や確保についてお尋ねがありました。 少子・高齢化の進展に伴い、本格的な人口減少社会の到来が見込まれる中、公共交通機関の利用者が減り、バス路線の廃止など、人の移動に関する制約は今後増加していくと認識しています。 こうした課題に対して、これまで市町が設置している地域公共交通会議で交通事業者や地域住民などがバスなどの既存の地域公共交通の確保、維持に取り組んでおり、県はこの会議に参加し、広域的な視点で助言などを行ってきました。 しかし、道幅が狭いなど、地形的な制約がある地域や採算性の確保が難しい郊外部などでは、バスなどの地域公共交通の運行ができないという課題があります。 こうした中、ゴルフカートをベースにした小型モビリティーを活用することや、AIを活用し、乗車ニーズに応じて最適な経路を選択するオンデマンドバスなど、新たな移動サービスの技術開発も進んできており、こうした民間事業者との連携がますます必要となってきています。 そこで、県は今年3月に、県内全ての市町村と国に加え、民間事業者が参加するかながわスマートモビリティ研究会を設置しました。この研究会では、新しい技術や先進的な取組事例の紹介を初め、市町村ごとの枠にとらわれない移動手段に関する意見交換や市町村と民間事業者が連携する実証実験の実現などに取り組むこととしています。 県は今後とも、新しい移動サービスなどの導入も視野に入れて、地域公共交通の課題解決やスマートモビリティ社会の実現に向けた市町村の取り組みを支援していきます。 次に、県営住宅の駐車場対策についてお尋ねがありました。 まず、駐車場のない団地へのコインパーキングの設置についてです。 これまで県営住宅におけるコインパーキング事業については、駐車場のある団地の空き区画を事業者に有償で貸し出し、有効活用に努めてきましたが、駐車場のない団地には導入してきませんでした。 そこで、今後は入居者の家族や団地自治会のニーズを踏まえて、団地内のあいたスペースにコインパーキングを設置できるよう検討していきます。 次に、駐車場の空き区画の活用についてです。 現在、駐車場の使用は入居者、またはコインパーキングの事業者を対象としていますが、空き区画がふえている現状を踏まえると、その有効活用を図るためのさらなる工夫が必要です。 そこで、まず入居者用については通勤や病院への送迎などで2台以上の車両が必要な場合に、複数貸しを認めていきます。 また、コインパーキングの事業者に対しては、周辺住民のニーズも踏まえて、月決め貸しやカーシェアリングの取り組みを働きかけることにより、空き駐車場対策の強化に努めていきます。 今後はこうした取り組みにより、団地入居者とその家族、さらには周辺住民の利便性を確保しながら、持続可能な団地経営に向けてしっかりと取り組んでまいります。 答弁は以上です。 〔藤井深介議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 藤井深介君。
◆藤井深介議員 知事、
くらし安全防災局長、
環境農政局長、
県土整備局長から、それぞれご答弁をいただきました。 今回、この質問をさせていただきましたのは、県民の皆さんとさまざまなところでいろいろなご意見を伺うに当たり、お聞きした内容が大半であります。そういった意味では、今の時期から考えますと、ちょっと早過ぎるのかもわからないですけれども、いずれ将来、こういった課題は解決していかなければいけない課題だというふうに思っておりましたので、質問させていただきました。 1回目の質問のときに言いたい内容は話させていただきましたので、あえての要望はありません。これからの委員会での議論でしっかりと、また課題解決に向けて議論を深めていきたいというふうに思っております。 以上で、私の一般質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。
○副議長(渡辺ひとし) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(渡辺ひとし) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は20分後といたします。 午後2時40分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-令和元年第3回-20191204-028582-質問・答弁-曽我部久美子議員-一般質問①県民の安全・安心について②次世代を担う子どもたちへの施策について③いきいきとした未来の実現に向けた取組について》 午後3時 再開 〔
議会局長報告〕 出席議員 副議長共85名
○副議長(渡辺ひとし) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(渡辺ひとし) あらかじめ時間の延長をいたします。 ───────────────────────────────────────
○副議長(渡辺ひとし) 質問を続行いたします。 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕(拍手)
◆曽我部久美子議員 議長のお許しをいただきましたので、私はかながわ県民・民主フォーラム県議団の一員として、通告に従い、順次質問させていただきます。 知事、
環境農政局長、
福祉子どもみらい局長、
健康医療局長、教育長並びに
警察本部長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 それでは、質問に入ります。 〔資料提示〕 質問の第1は、県民の安全・安心について、2点伺います。 初めに、危機発生時の報道対応について伺います。 県では、県民が知りたいこと、県として知らせたいことを柱として、これらが確実に伝わることを意識しながら、より効果的、より効率的に伝える戦略的広報を展開しています。 これまでも、これらが問われる重大事案が発生しています。箱根山の噴火警戒レベルの引き上げや、繰り返される弾道ミサイルの発射、豚コレラウイルスの全国的な感染拡大、県行政が関係する不祥事、また、先般の台風15号や19号による大規模な風水害の発生なども一例に挙げられます。 〔資料提示〕 県ではそのような危機が発生する都度、知事のリーダーシップのもと、県全体で正確な情報を迅速に伝えるために、体制整備や制度運用を図りながら積極的に情報発信に取り組んでいると承知しています。 最近では、台風19号が上陸した際に、ホームページなどでさまざまな情報配信を行うとともに、知事みずからも城山ダムの緊急放流について注意を呼びかけるメッセージ動画を配信しており、緊急・災害時における正確かつ速やかな情報発信に努められたことは評価するところでございます。 一方で、危機発生時には、地域の安全・安心や生命にかかわる事象もあることから、県による情報発信への期待が大きく高まります。このため、県の情報発信を受け、さらに県民の皆様へ広く情報を伝える立場の報道機関も、危機発生時の膨大な県民の情報ニーズに応えるため、集中的に県に取材を行うことになります。 このような、危機発生時の県民からの問い合わせや報道機関からの取材は、時として、県の一部の関連所属に集中し、並行して対応すべき緊急業務に影響を及ぼしてしまう懸念があることは否めないと考えています。 災害が発生し、災害対策本部が設置された場合の報道対応は、災害対策本部統制部の広報官や広報班であることは承知していますが、突発的な事件・事故、不祥事、感染症の発生などの危機的な事象についても、速やかな報道対応が必要です。 そこで、知事に伺います。 こうした危機発生時を想定し、県民や報道機関からの問い合わせが集中した際の組織的な対応を整えるべきかと考えますが、知事のご所見を伺います。 〔資料提示〕 次に、モバイル式防犯カメラについて伺います。 昨年の県内の刑法犯認知件数は4万6,780件で、過去最悪の平成14年の約19万件と比べると、4分の1以下に減少しています。 これは県警察による対策の成果であるのはもちろんですが、防犯ボランティア団体や自治体などと連携した官民一体となった安全・安心まちづくりを進めた成果であると認識しています。 中でも、防犯カメラが県内に多く普及したことは、少子・高齢化や核家族化に伴い、地域の連帯意識が低下している中、これまで地域の自主的な防犯意識の支えとなっていた地域社会の目を補完するものとして、犯罪の減少に大きく貢献していると考えています。 また、先般、県内でも大きな被害が発生した台風による河川の氾濫や土砂災害においても、被害状況の把握などに防犯カメラが活用されたとのことであり、犯罪のみならず災害から県民を守るため、有効なものであると感じたところです。 防犯カメラの有用性については県民の理解が進み、県内でも多くの防犯カメラが設置されていますが、その設置や維持管理に費用がかかることから、自治体や地域住民の負担となっているほか、一度設置すると移設することは困難であり、不審者の出没や犯罪が発生した場所を必ず撮影できるとは限らないという欠点もあります。 〔資料提示〕 県警察では、こうした防犯カメラの欠点を補完する可搬式の防犯カメラ、いわゆるモバイル式防犯カメラを整備し、犯罪が連続発生している地域に設置して、犯罪の抑止等に活用するため、毎年度、追加導入していると承知しています。 このモバイル式防犯カメラは可搬式であるため、設置場所を選定し、その管理者との調整、機器の設置及び撤去が必要となりますが、これらの作業を警察官がみずから行っていると聞いており、大変なご苦労があると思われます。 しかし、犯罪が多発している場所に集中的に防犯カメラを設置することにより、地域住民に大きな安心感を与えているということは言うまでもありません。 そこで、
警察本部長に伺います。 県警察が運用しているモバイル式防犯カメラを設置することにより、どのような効果が得られているのか、また、モバイル式防犯カメラはさらに整備を進めるべきと考えますが、今後モバイル式防犯カメラの整備にどのように取り組んでいくのか伺います。 〔資料提示〕 質問の第2は、次世代を担う子どもたちへの施策について、3点伺います。 最初に、気候変動問題の若年層への普及啓発について伺います。 2015年にパリで開かれたCOP21においてパリ協定が採択され、世界全体の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保つという、世界共通の長期目標が掲げられました。 しかし、現状では、世界全体の温室効果ガス排出量はふえ続けており、2018年に排出された量は553億トンに上り、過去最高であり、危機感を持って取り組む必要があります。 こうした状況もあり、国連では今年9月に気候行動サミットを開催し、各国の首脳級による気候変動への対応が議論されたところでございます。このサミットでは、60を超える国が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを表明したものの、有効な対策は具体化していないのが実情です。 こうした中、このサミットに参加した16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが、温室効果ガス排出削減のための具体的な行動を起こさない各国首脳に向けて、若者世代の切実な思いをスピーチしたほか、サミットに先駆け、深刻化する気候変動の危機を訴えるため、世界各国で若者によるグローバル気候マーチが行われるなど、若者の関心の高さを認識したところです。 一方、気候変動の影響は既に顕在化しており、本県でも気温の上昇や大雨の頻度が増加するなどの影響があらわれているほか、先月、本県にも大きな被害をもたらした台風19号などの大型台風の発生は、今後増加する可能性があるとの予測もされています。 〔資料提示〕 こうしたことから温室効果ガスを削減するための緩和策に加え、気候変動の影響に対処する適応策をあわせて推進する必要があると考えますが、2016年に内閣府が行った世論調査では、適応策の認知度はわずか48%にとどまるなど、まだまだ県民の皆様に浸透しているとは言えない状況です。 地球温暖化など気候変動の要因とされる温室効果ガスの排出削減はもちろんのこと、気候変動の影響への適応についても、我々大人世代が十分認識し、取り組むことに加え、次代を担う若い世代にも、自分ごととして捉え、危機感を持って行動を起こしてもらうことが重要であると考えます。 そこで、
環境農政局長に伺います。 県では、気候変動問題について県民に関心を持ってもらうため、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後、気候変動問題に対する若年層の関心を高めていく必要があると考えますが、ご所見を伺います。 〔資料提示〕 次に、養育費の確保に向けた相談支援について伺います。 離婚件数が年間20万件を超える中、子供を連れた再婚、いわゆるステップファミリーやひとり親家庭がふえるなど、家族の形態は大きく変わりつつあります。どのような形態であっても、子供にとって家庭は安らぎの場であり、愛され、守られているという実感が持てる場でなければいけません。夫婦の離婚により、最も影響を受けるのはその子供です。 〔資料提示〕 親が離婚したとしても、子供にとってはそれぞれが親であることには変わりはなく、子供の立場に立って離婚後の生活設計をする必要があります。 ひとり親、とりわけ母子世帯の生活状況は非常に厳しく、平成28年国民生活基礎調査によると、稼働所得に手当や仕送りなどを加えた総所得は、児童のいる世帯全体では707万6,000円であるのに対し、母子世帯は270万1,000円と約4割にとどまっています。 平成28年度全国ひとり親世帯等調査によると、離婚母子世帯のうち、養育費を現在も受けている世帯が24.3%と、わずか4分の1にとどまっていることが要因の一つと考えられます。 〔資料提示〕 子供の養育費の負担は扶養義務者である親としての責務であり、子供を育てている親は、子供の健全育成のため、養育費を受け取るように努めるべきです。 国では、養育費の取得率の向上等を図るため、養育費相談支援センターを民間団体に委託し、電話やメールによる相談やパンフレットの作成など、養育費関連情報の提供、養育費相談に当たる人材養成の研修などを行っています。 親が離婚しても、子供がきちんとした教育を受けて健全に育ち、貧困に陥らないようにするためには、養育費の確保がぜひとも必要です。 来年4月に施行される改正民事執行法により、不払いの養育費がある場合、相手方の財産の差し押さえがしやすくなることが期待されていますが、そのためには、親が養育費の取り決めをしておくことが必要であり、その相談のニーズが高まるものと考えます。 そこで、知事に伺います。 養育費の確保を支援するため、相談しやすい環境が必要と考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、知事のご所見を伺います。 〔資料提示〕 次に、公立小・中学校における不登校児童・生徒への支援の在り方について伺います。 本県の公立小中学校における不登校児童・生徒への支援については、これまでもさまざまな関係者が連携し、児童・生徒の社会的な自立に向けて取り組んできたところですが、本県の不登校の児童・生徒は、全国と同様、依然として増加の傾向にあり、喫緊の課題となっています。 そうした中、国では平成29年2月に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が施行され、この法に基づき、文部科学省では同年3月に基本指針を策定しました。 〔資料提示〕 さらに、今年10月には、これまでの不登校施策に関する通知を見直し、改正した不登校児童生徒への支援の在り方についてを都道府県教育委員会等に通知しました。 今回改正された通知の大きな特徴としては、不登校児童・生徒が学校外の施設で相談・指導を受けた場合の指導要録上の出欠席の取り扱いが変更になったことが挙げられます。 これまでの通知でも、不登校児童・生徒の努力を学校として評価し、校長が出席扱いとすることは可能でした。しかし、これは学校への復帰を前提とした相談・指導だけに限られていました。これに対し、今回の通知では、学校復帰を前提としていなくても、将来の社会的な自立に向けた相談・指導であれば、出席扱いの対象になると改正されました。 この改正は、不登校児童・生徒やその保護者にとって目先の学校復帰のために焦ることなく、将来の社会的自立に向けた地道な努力が学校から認めてもらえるという点で、大いに励みになる大変意義深いものと考えます。 県教育委員会では、これまでも民間のフリースクール等とも連携し、さまざまな事業を展開しながら不登校児童・生徒への支援に当たってきたと承知しています。しかし、学校によっては、フリースクール等での活動が学校復帰を前提としたものと認められず、出席扱いとならなかったケースもあったと聞いています。 今回の文部科学省通知の改正を受け、今後、学校ではフリースクールを初めとした関係の施設とこれまで以上に連携を密にとり、不登校児童・生徒の学校外での多様な学習活動を出席扱いと認めるなど、積極的に評価していくことが必要と考えます。 そこで、教育長に伺います。 今回の文部科学省通知の改正を踏まえ、フリースクール等の学校外の施設で相談・指導を受ける不登校児童・生徒の出欠席の取り扱いや、学校と関係施設との連携のあり方について、ご所見を伺います。 〔資料提示〕 質問の第3は、いきいきとした未来の実現に向けた取組について、3点伺います。 最初に、外国人観光客誘致事業について伺います。 アジアで初めて開催されたラグビーワールドカップは、日本代表が史上初めてベスト8に食い込むなど、日本中で大変盛り上がったことについては記憶に新しいところです。 日本代表が初のベスト8進出を決めた日本対スコットランド戦において、日本の総人口のほぼ15%に当たる約2,000万人がテレビで観戦していたそうです。 また、大会開催期間中には、日本人だけでなく、海外からも多くの観戦客が日本を訪れ、新聞報道によれば、イギリスやフランスなど、初めて日本を訪れた欧米系の外国人も多く、日本のよさを体感していただき、大変好評であったと承知しています。 しかし一方で、外国人観戦客を見込み、深夜まで営業時間を延長したが、売り上げに余りつながらなかったとの声もありました。 ラグビーワールドカップが盛り上がりを見せる中で、こういった声も現実にあることから、果たして多くの外国人観戦客が県内を訪問したのか、言うなれば、これまで県が進めてきた施策の効果が十分にあったのか、不安を残すところです。 〔資料提示〕 外国人観光客誘致事業の具体的な検証の必要性については、我が会派の石川裕憲議員が10月23日の決算特別委員会でも要望させていただいたところでありますが、これまで県では、ラグビーワールドカップ2019日本大会や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、平成28年度からの3年間で約5億円を支出して、1,000通りのモデルコースの作成や、Tokyo Day Tripでの情報発信など、さまざまなインバウンド観光施策に取り組んできています。 一方で、来年度、東京2020大会を控える中で、果たしてインバウンド観光施策をこれまでどおり進めていくことが本当に県民のためになるのか、不安を感じるところでもあります。 来年の東京2020大会や大会後の外国人観光客の誘致に向けて、今後、県内市町村などと連携し、新規に発掘した観光地などの訪問客数の把握など、県民に見える形で具体的検証を行った上で、民間企業とも役割分担や連携をしながら、インバウンド観光施策を進めていくべきだと考えます。 そこで、知事に伺います。 来年の東京2020大会に向け、今回のラグビーワールドカップでの成果や反省点などを洗い出し、検証すべきと考えますが、時期も含め、どのように進めていくのか、知事に伺います。 〔資料提示〕 次に、骨髄移植の推進について伺います。 白血病などの血液のがんでは、通常の抗がん剤治療や放射線治療だけでは治すことが難しい場合に、完治させることを目指し、骨髄移植を行います。 現在、国内で約1,300名を超える方が移植を希望し、日本骨髄バンクに登録しており、本県でも70名の方が治療を待っている状況です。 骨髄移植には、提供者であるドナーと移植希望患者との白血球の型が一致しなければなりませんが、型が一致するのは、非血縁者間では数百から数万分の1と大変低い確率です。したがって、適合するドナーを見つけるためには、一人でも多くの方に骨髄ドナー登録をしてもらうことが重要です。 私が平成25年に骨髄ドナー登録について質問した際には、全国ワースト3位でしたが、その後の取り組みにより、ドナー登録者数がふえていることは承知していますが、それでも全国ワースト4位です。全ての移植希望に応えていくためには、さらなるドナー登録者の確保が必要です。 また、ドナー登録には18歳から54歳までとする年齢制限があり、55歳となると登録は自動的に外されます。このため、新たな登録者を確保していかなければ、登録者数が減少してしまいます。 今年の2月に競泳の池江璃花子選手が白血病を公表されたことにより、治療法の一つである骨髄移植に関心が高まり、骨髄ドナー登録者が増加したとも聞いています。特に長期間にわたり、ドナー登録が可能な若い世代を中心として、登録を呼びかけていく必要があると考えます。 一方で、ドナー登録者が実際に骨髄を提供する際には、事前の検査や骨髄採取のための入院などで、通常1週間程度の日数を必要とすることもあることから、骨髄提供を行いやすくする取り組みも不可欠と考えます。 本県でも、骨髄提供を円滑に進めるため、骨髄ドナー助成制度が創設されていますが、まだまだ県民には広く知られていないので、さらなる周知が必要と考えます。ドナー登録者をふやし、骨髄提供につなぐためには、骨髄移植に関する正しい知識や情報を県民に普及啓発していくことが大切です。 そこで、
健康医療局長に伺います。 骨髄移植を希望される患者が一人でも多く治療を受けることができるよう、県として、どのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。 〔資料提示〕 最後に、大人のひきこもり対策について伺います。 ひきこもりについては、国が昨年12月に、初めて40歳から64歳までを対象にした調査を実施し、中高年でひきこもり状態にある人を約61万3,000人と推計しました。これに平成27年に調査を実施した15歳から39歳の推計数である54万1,000人を合わせると、推計で100万人以上になるとされました。 近年、80代の親が50代のひきこもりの子供の生活を支える、いわゆる8050問題が注目されており、我が会派としても大きな課題と認識しています。 ひきこもりには、不登校や就労関係、人間関係など、さまざまな要因がありますが、その一つとして発達障害があるのではないかと聞いています。 〔資料提示〕 先日、報道で、ひきこもりと中高年の発達障害の関係について特集されていました。その中では、小さいころのいじめがきっかけでひきこもりになり、30代で発達障害とわかったが、つまずいた原因がもっと早くわかっていれば、ここまで悩まなかったかもしれないといった意見が寄せられていました。 以前から医療関係者や支援の現場では、この関係性について指摘されていたとのことであり、発達障害が見過ごされたことにより、ひきこもりが長期化し、合併症などで苦しむケースや、間違った対応により事態が深刻化してしまったケースなどが取り上げられています。 発達障害は生まれつきの特性で、病気とは異なり、自閉症やADHDなどが含まれており、個人差がとても大きいと承知しています。また、周囲からの理解と適切なサポートが得られれば、改善される可能性もあると言われています。 ひきこもり支援に当たっては、発達障害の可能性を考慮しながら取り組むことも必要だと考えます。 そこで、
福祉子どもみらい局長に伺います。 県はひきこもりの要因の一つとして発達障害も視野に入れ、ひきこもりの方への支援に取り組んでいくべきだと考えますが、ご所見を伺います。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 曽我部議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、県民の安全・安心についてお尋ねがありました。 危機発生時の報道対応についてです。 今回の台風19号などによる災害や事件・事故など、危機的な事象が発生した際には、適切な対応をとるとともに、県の広報媒体や報道機関を通じて正確な情報をできるだけ早く多くの方々へ伝えることが重要です。 そのため、県では、災害や危機的な事象が発生した際に、具体的にとるべき行動例を示したマニュアルを全庁で共有するとともに、キーパーソンとなる職員のスキルの向上のため、毎年、各局広報官向けのリスクマネジメント研修のほか、報道対応を中心とした研修も行っています。 また、議員ご指摘のとおり、大規模な危機発生時には、県民や報道機関の皆様から多くの問い合わせ等が集中することもあります。そうした場合には、機動的な情報発信ができなくなるおそれもありますので、所管局が担当セクションを中心に協力体制を構築し、対応に当たります。 さらに、全庁的な視点から、広報の調整、支援を担う広報統括監が必要に応じて所管局の広報官と連携し、担当セクションをサポートします。 危機発生時の対応は大変重要な課題ですので、今後、そうした対応についてマニュアルに明記するとともに、定期的に初動訓練を実施するなど、適時適切な対応につなげていきます。 次に、次世代を担う子供たちへの施策についてお尋ねがありました。 養育費の確保に向けた相談支援についてです。 両親が離婚した子供の健やかな育成のため、母子及び父子並びに寡婦福祉法では、離れて暮らす親には養育費の負担を、子供を育てる親にはその確保を努力義務として定めています。 また、地方自治体には扶養義務の履行を確保するための広報など、適切な措置を講ずるよう定めています。 そのため、県ではひとり親家庭の自立を支援する母子家庭等就業・自立支援センターにおいて、家庭裁判所の元調停委員が離婚前や離婚後など、さまざまな状況にある方々の相談に丁寧に対応しています。 しかし、国の調査によりますと、養育費の支払いについて取り決めをしているのは、離婚した母子家庭では約43%、父子家庭では約21%であり、さらに実際に受け取っている母子家庭は約25%、父子家庭に至っては約3%にとどまっています。 そのため、養育費が子供のために必要であることを両親に改めて認識していただくとともに、その確保に向けた法的対応などについて、専門知識に基づく支援を行うことが必要です。 そこで、県では、福祉事務所等において、ひとり親家庭の生活全般の相談を行う母子・父子自立支援員が、養育費について情報を積極的に提供できるよう、支援員の研修で新たに養育費に関する講座を実施します。 そして、支援員が相談を受ける中で、より専門的な支援が必要な場合には、母子家庭等就業・自立支援センターの養育費相談などにつないでいきます。 また、就業・自立支援センターでは、月1回の相談日以外でも柔軟に相談を受け付けるとともに、今後は県内複数の場所での相談会も実施します。 県としては、市町村と連携し、相談しやすい環境を整えることで、ひとり親家庭が自立し、子供たちが心身ともに健やかに成長できるよう、ひとり親家庭の支援にしっかりと取り組んでまいります。 最後に、生き生きとした未来の実現に向けた取り組みについてお尋ねがありました。 外国人観光客誘致事業についてです。 県では、これまで多くの外国人観光客に本県を訪れてもらえるよう、観光資源の発掘、磨き上げや周遊ツアーの企画・商品化の促進に取り組み、本年7月には1,000通りのツアーを認定しました。 ラグビーワールドカップ開催中には、国際線での動画放映やウエブサイトでの情報発信とあわせて、ファンゾーンや都内主要駅での観光ブースの設置、ガイドボランティアの配置などを通じてPRを行いました。 その結果、県内の観光協会などによると、ラグビーワールドカップ出場国を中心に多くの外国人が県内各地を訪れており、大山阿夫利神社やビール工場など、1,000通りのツアーに組み込まれている観光コンテンツもにぎわっていたと伺っています。 また、11月末に公表された観光庁の宿泊旅行統計調査では、本県の9月の延べ外国人宿泊者数は前年同月比で6.5%増加し、県内の宿泊施設の稼働率は9.1%増の74.1%に向上したという結果も発表されています。 一方、外国人観光客数に余り変化が見られなかった地域があったとの声もあり、これまでの事業の効果を分析するためにも、より詳細な検証を行う必要があると考えています。 そこで、現在実施している外国人観光客を対象にしたアンケート調査に加え、外国語観光情報ウエブサイトTokyo Day Tripの閲覧状況の分析や観光施設へのヒアリングなど、調査内容を補完する情報収集も行うことで、検証の精度を高めていきます。 また、年内にも発表される10月分の宿泊統計調査の結果や日本政府観光局から入手する外国人の動態に係るデータ等も活用しながら、県内のコンテンツの集客状況のさらなる把握に努めていきます。 こうした取り組みにより、来年1月末を目途にラグビーワールドカップまでの事業成果を検証し、今後の効果的な対応策を検討した上で、市町村や観光事業者と連携しながら、東京2020大会に向けた効果的なインバウンド施策を展開してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
環境農政局長(石渡美枝子)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 石渡
環境農政局長。
◎
環境農政局長(石渡美枝子) 環境農政局関係のご質問にお答えします。 気候変動問題の若年層への普及啓発についてお尋ねがありました。 今回の台風は本県にも大きな被害をもたらしましたが、国連は温暖化が進めば、非常に強い台風がふえる可能性が高いと警鐘を鳴らしています。 県としても、地球温暖化などの気候変動問題について、県民の皆様に関心を持っていただくため、普及啓発を進めていく必要があると考えています。 そこでまず、これまでの取り組みですが、県では多様な主体と連携し、普及啓発を行ってきました。例えば、気候変動に豊富な知見のあるIGES─地球環境戦略研究機関と共催で、県民の皆様や事業者を対象に気候変動のリスクにどう向き合うかなどのテーマで毎年度セミナーを開催しています。 また、200名を超える地球温暖化防止活動推進員が市町村の環境イベントや町内会などで省エネ等の身近な温暖化対策を普及啓発しています。 次に、若年層の関心を高める取り組みについてです。 気候変動による将来のリスクを回避、軽減するためには、次代を担う若年層がこの問題に関心を持ち、自分ごととして行動していくことが重要です。 そこで、県では、若者の購読者が多いエリア情報誌やインターネット、SNSといった媒体を活用し、家庭で手軽に取り組める省エネ対策を紹介しています。また、児童・生徒に気候変動問題の理解を深めてもらうため、NPOや企業と協働で環境・エネルギー学校派遣事業を実施しています。 今後はさらなる普及啓発として、気候変動をテーマにした新たな環境学習教材の作成等に向けて、県教育委員会と連携して検討していきます。 県としては、持続可能な社会の実現に向け、若年層を初め、県民一人一人が気候変動問題を自分ごととして捉えていただけるよう、効果的な普及啓発を進めてまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
健康医療局長(市川喜久江)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 市川
健康医療局長。
◎
健康医療局長(市川喜久江) 健康医療局関係のご質問にお答えします。 骨髄移植の推進についてお尋ねがありました。 骨髄移植で一人でも多くの方の命を救うためには、ドナー登録者をふやすとともに、実際の骨髄提供に結びつけることが重要です。 そこで、県ではドナー登録者をふやすため、日本赤十字社の献血ルームや保健福祉事務所で随時登録を受け付けているほか、ショッピングセンターなどで実施する献血の際にも募集を行っています。 特に、昨年度は若い世代の登録者をふやすため、大学でのドナー登録会を47回開催し、多くの若い世代の方にご協力をいただきました。 こうした取り組みなどにより、ドナー登録者数はこの5年間で約3,800人増加し、平成30年度末には約2万3,000人となりました。 今後も若い世代を中心に登録者をふやすため、スポーツやコンサートなど、若者が集まる場所やイベントなどで協力を呼びかける機会をふやしていきます。 また、ドナーが骨髄提供を行う際の負担を軽減するため、昨年度、骨髄ドナー助成制度を創設しました。この制度は骨髄提供に必要な入院等の日数に応じて、ドナー本人やドナーが勤務する事業所に対し、市町村が助成した場合にその一部を県が補助するもので、現在18の市町で導入しています。 この助成制度が県内全域で行われるよう、市町村に対し、制度の趣旨を丁寧に説明した上で、導入を働きかけていきます。 さらに、昨年度、NPOと協働し、ドナー登録者や患者、家族を支援するためのウエブサイトを開設しましたので、この中でドナーへの支援制度など、骨髄提供につながる情報を発信していきます。 県では市町村や民間団体と連携し、一人でも多くの方が骨髄移植を受けられるようしっかりと取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
福祉子どもみらい局長(香川智佳子)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 香川
福祉子どもみらい局長。
◎
福祉子どもみらい局長(香川智佳子)
福祉子どもみらい局関係のご質問にお答えします。 大人のひきこもり対策についてお尋ねがありました。 県では、昨年度、ひきこもりに関する実態を把握し、有効な支援のあり方を検討するため、県内で相談に対応している関係機関を対象に調査を行いました。 この調査結果では、ひきこもりの状態になったきっかけとして、不登校に次いで精神的な疾病、またはその疑いという回答が多く挙げられており、その中には発達障害も含まれていると考えられます。 また、関係機関との意見交換の中では、発達障害が疑われる方が一定数いるというご意見や、周囲が発達障害の特性を理解するために学べる場が必要であるといったご提案もいただいています。 こうした中、県では、ひきこもりの理解を深めるため、専門家や経験者による講演会や家族向けのセミナー等を行っています。 また、NPOと連携して、ひきこもりと発達障害について学ぶ講座なども実施しており、当事者やご家族の悩み、不安の軽減に取り組んでいます。 ひきこもりは背景や原因がさまざまであり、一人一人に応じたきめ細やかな対応が必要です。中でも発達障害や精神疾患は、見過ごされた場合、ひきこもりの長期化につながりかねないことから、適切な対応を早期に行うことが必要です。 そこで、県ではさまざまな要因に対応できるよう、支援者への研修を充実させるとともに、福祉や医療など関係機関の連携をさらに強化していきます。 また、現在、国ではひきこもりの長期化、高齢化の現状を踏まえた支援の具体的な内容について検討が進められており、その動向を注視しつつ、より効果的な対策について検討していきます。 県としては、ひきこもりには発達障害など、さまざまな要因があることを視野に入れ、市町村や関係機関と連携して、当事者やご家族の支援にしっかりと取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 公立小中学校における不登校児童・生徒への支援のあり方についてです。 県教育委員会では、平成18年2月に神奈川県学校・フリースクール等連携協議会を設置し、これまでフリースクール等の取り組みを紹介する学校向けの啓発資料の作成や、県内各地で毎年度開催する不登校相談会などを通じて、フリースクール等との連携強化を図ってきました。 その結果、平成30年度本県の公立小中学校における不登校の児童・生徒のうち、フリースクール等に相談し、指導を受けていた割合は4.5%と全国平均の2.8%を上回っている状況です。 しかし、これらフリースクール等に通う児童・生徒のうち、学校が出席扱いとした割合は全国平均とほぼ同じ約5割にとどまっています。 そうした中、今般の国の通知では、フリースクール等に通う児童・生徒の学校における出席扱いの要件が、これまでの学校復帰を目指すことから、社会的自立を目指すことへと改正されました。 この改正を受け、県教育委員会では、各学校がこれまで以上に不登校の児童・生徒の学ぶ意欲に応え、フリースクール等での活動を多様な学びの一つとして積極的に認め、出席扱いとしていくことが必要と考えています。 そのためには、各学校では、例えば特別な支援を必要とする子供一人一人の支援の手だてを記載する支援シートを不登校の児童・生徒向けにも作成し、それに基づき、フリースクール等と情報を共有しながら支援に当たるなどの具体的な連携が求められます。 そこで、今後、県教育委員会では学校向けの啓発資料を改訂し、不登校の児童・生徒のフリースクール等での活動を積極的に出席扱いと認めることの必要性や支援シートの有効な活用法を新たに盛り込み、周知していきます。 そして、市町村教育委員会や学校における不登校の児童・生徒への支援の充実につなげてまいります。 以上でございます。 〔
警察本部長(古谷洋一)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 古谷
警察本部長。
◎
警察本部長(古谷洋一) モバイル式防犯カメラについてお答えいたします。 モバイル式防犯カメラは、犯罪が特定の地域で連続発生した場合などに、犯罪情勢に応じて効率的かつ機動的に一定期間設置することが可能なものであり、平成26年から導入して、本年は延べ15地域に96式のカメラを設置、運用しております。 これまでにモバイル式防犯カメラを設置した地域では、その設置の理由となりました犯罪の発生が平均で約70%減少したほか、被疑者の検挙に貢献した事例もあるなど、抑止と検挙の両面で大きな効果を発揮しております。 また、設置した地域の住民の方から、防犯カメラがあると安心するといった声をいただいているほか、モバイル式防犯カメラの撤去後に自治会や商店街等において、防犯カメラを自主的に設置するなどの副次的な効果もあらわれているところでございます。 ご指摘のとおり、県内におきましては、民間による防犯カメラの設置が進んでおりますけれども、設置場所につきましては、駅前や商店街など、人通りの多い場所に集中する傾向がございます。 しかしながら、県民が不安に感じる犯罪は必ずしも人通りの多い場所で発生するわけではありません。防犯カメラの設置地域のすき間を埋めるためにも、モバイル式防犯カメラは有効であるというふうに認識しております。 県警察におきましては、引き続き県内でより多くの防犯カメラが設置されるよう、関係機関、団体と連携して設置促進の取り組みを進めるとともに、モバイル式防犯カメラを効果的に運用して犯罪のない、安全で安心なまちづくりを進めてまいります。 以上でございます。 〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕
◆曽我部久美子議員 知事、
環境農政局長、
福祉子どもみらい局長、
健康医療局長、教育長、
警察本部長よりご答弁をいただきました。 1点、再質問させていただきます。 危機発生時の報道対応についてですが、先ほど大規模な危機発生時には担当セクションを中心として協力体制を構築して、必要に応じて知事室と広報官、こういったところが連携してサポートするという、そうした具体的なことをマニュアルに明記するというようなお話があったかと思います。また、そういったことを踏まえて初動訓練の実施などをしていくというお話でございました。 実は大変認識不足で恐縮なんですが、マニュアルというのを見たことがなくて、マニュアルについて、どういったところでつくったものなのか、そして、このマニュアルについて新たな追記をするということであるならば、その時間的な時期についてお伺いすることと、初動訓練の実施というのはいつやっているものなのかということを、再質問させていただきます。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 危機発生時の対応の件でありますけれども、マニュアルへの明記につきましては今年度中、また初動訓練につきましては、毎年行っております広報訓練にあわせて来年秋ごろをめどに対応してまいります。 また、このマニュアルをどこでつくったのかということでありますが、これは担当部局でつくりました。 答弁は以上です。 〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕
◆曽我部久美子議員 知事、ご答弁ありがとうございました。 マニュアルについては、それぞれの担当がつくったということでございますので、皆様方の知能を結集されたものであるということは、県民の危機発生時においての問い合わせが、例えば一部の所属に集中したり、業務に影響を及ぼすことがないような協力体制、これをしっかりとつくっていただきながら、知事室と広報官、これが連携してサポートするということ、こういったことを具体的にぜひ明記していただきたいと思います。そして、どんなときも誰が担っていても冷静沈着に対応ができるように、体制を強化していただくように要望いたします。 続きまして、時間が許す限り、要望させていただきます。 養育費の確保に向けた相談支援についてでございます。 相談窓口をふやしていくということでございました。大変前向きなご答弁をいただいたというふうに思っているのですが、現状では1カ所しかない相談窓口、これをふやしていただくということは、相談をこれまでちゅうちょしていた方々やこのことを知らなかったという保護者にとって、大変重要なことだというふうに思います。 また、法改正に伴う支援員の方の研修、これも非常に重要なことだと思っています。親の離婚によって、子供が貧困に陥ることのないように、養育費の確保に向けた支援を強力に進めていただくことを切にお願いいたしまして、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。
△《本会議録-令和元年第3回-20191204-028583-質問・答弁-綱嶋洋一議員-一般質問①乳幼児期における非認知的能力を育む取組について②障がい者の就労支援の充実について③災害時における市町村への応援体制について④「かながわブランド」登録品の生産支援について⑤道の駅の整備に係る市町村への支援について⑥[仮称]綾瀬スマートインターチェンジの整備について⑦不登校対策における教育支援センターの充実について》 〔綱嶋洋一議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 綱嶋洋一君。 〔綱嶋洋一議員登壇〕(拍手) 〔副議長退席、議長着席〕
◆綱嶋洋一議員 私は自由民主党県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。 知事並びに
県土整備局長、教育長におかれましては、明快かつ前向きなご答弁をお願い申し上げます。また、先輩議員並びに同僚議員におかれましては、いましばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 それでは、早速質問に入ります。 〔資料提示〕 質問の第1は、乳幼児期における非認知的能力を育む取組について伺います。 急速な少子化の進行並びに幼児期の教育及び保育の重要性に鑑み、総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減を図るため、幼児教育・保育の無償化が10月にスタートしました。 内閣府の少子化社会対策白書によると、平成30年の時点で、3歳児は94.8%、4歳児では97.3%、また、5歳児では98.3%の幼児が保育所や幼稚園などに在園している状況も示されている一方で、集団行動がとれない、ほかの児童とうまく打ち解けることができない子供がふえているという小一プロブレムが問題となり、2010年ごろから、幼保小連携を図る取り組みが積極的に進められているとも認識しております。 この小一プロブレムの要因の一つとして、少子化や核家族化が進んだことにより、子供が人とコミュニケーションをとる機会が減ったことが考えられると言われています。 そのような中、私の地元、綾瀬市では、人間形成の基礎を培う重要な時期である1、2歳の乳幼児期の子供を持つ親子を対象に、親子の絆を深めるコミュニケーション~親子の対話の時間~を平成30年度から開催しており、ほかの人とうまくかかわる協調性、目標に向かって頑張る力、感情をコントロールする自己抑制力などの、いわゆる非認知的能力の育成を目指しているとのことです。 この講座は、アメリカの労働経済学者であり、ノーベル経済学賞を受賞されたシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授の、就学後の教育の効率性を決めるのは就学前の教育にあるという論文や小一プロブレムの要因とも言われるコミュニケーションの不足などといったことを踏まえ、古塩市長みずからの発案により実現したもので、桜美林大学の講師であり、コミュニケーション学を専門とする梶谷久美子先生とお会いした際に、市長からの投げかけに梶谷先生が応じていただき、実現した事業であると伺っております。 なお、今年度は母親を対象とする講座にとどまらず、公立・民間を問わず、綾瀬市内の保育所に勤める全ての保育士を対象に講座を実施するなど、さらに充実した取り組みにしたところでもあります。新聞や教育専門誌にもたびたび取り上げられるなど、子供たちの非認知的能力、言いかえれば生きる力を育むための取り組みが注目されております。 また、この生きる力という言葉には、これからの社会がどんなに変化して予測困難になっても、みずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしいという願いが込められています。 県では「かながわ子どもみらいプラン」を策定し、その中に、子供の生きる力を育む教育の充実を位置づけて、社会性の基盤づくりを担う教育の充実に取り組んでいることは承知していますが、非認知的能力を育むに当たっては、さまざまな研究の結果から、就学前の、それもゼロ歳児から2歳児といった早い時期からスタートすることが効果的だと言われています。 県としても、先ほど説明した綾瀬市が実施している幼児教育における事業の視点を取り入れることにより、就学前の子供を持つ保護者や、ゼロ歳児から子供を預かる保育所の保育士に対して、乳幼児期からの取り組みの重要性を啓発し、その後の生きる力を育む教育の充実につなげていくことが必要であると考えています。 そこで、知事に伺います。 乳幼児期における非認知的能力を育むための取り組みをさらに進めるべきと考えますが、見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第2は、障がい者の就労支援の充実について伺います。 現在、県では、平成31年3月に改定した「かながわ障がい者計画」において、四つの柱の一つである障害者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除する取り組みの分野別施策に雇用・就業、経済的自立の支援を位置づけ、取り組みを進めているところであります。 特に、障害者に対する就労支援では、県内8カ所に障害者就業・生活支援センターが設置され、就職や職場への定着に当たっての支援と生活面における支援を必要とする障害者に対する就業と、これに伴う日常生活、社会生活上の相談支援が一体的に行われていることは承知しています。 しかしながら、障害者就業・生活支援センターでの相談件数を確認したところ、平成30年に延べ4万5,000件程度の相談があり、対応しているようでありますが、単純に平均しても1カ所当たり月460件となり、きめ細やかな対応ができているのか、疑問に感じているところであります。 また、センターは地域ごとに設置されており、障害をお持ちの方が行くとなると大変なので、訪れることをちゅうちょしてしまっているという話も耳にしています。 このような中、私の地元である綾瀬市は、障害者に対する就労支援をスピーディーに行うため、平成27年度から市独自で就労支援事業を行っています。 先日、状況を確認したところ、障害者の就労への意欲は非常に高く、就労後のフォローを含め相談件数が年々増加していることから、昨年度は相談員を1名増員し、週1日の相談日を週3日に拡大したと説明がありました。 本来、県内の地域ごとに設置されている障害者就業・生活支援センターが基幹的な役割を果たし、身近な市町村で相談体制が整っていれば、就労を希望する障害者に対し、かなり効果的な就労支援を実施することができるのではないのでしょうか。 そこで、知事に伺います。 県は、障害者就業・生活支援センターの現状と課題について、どのように認識しているのか、また、県として、今後どのような対応を考えているのか、あわせて見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第3は、災害時における市町村への応援体制について伺います。 平成23年3月の東日本大震災以降、全国の各自治体では災害時応援協定の締結が急激に増加しました。 本県でも、東日本大震災までは約250件の協定を締結していたものが、同年4月以降に締結した協定を含めると、現在では500件を超え、2倍以上となっており、実に半数以上が東日本大震災以降に締結された協定となっております。 協定の内容も自治体との連携協定にとどまらず、さまざまな業種の民間企業団体とも数多くの協定を締結し、災害時における協力体制を構築していただいていると認識しております。 私の地元、綾瀬市においても、現在103件の災害協定を締結しておりますが、神奈川県同様、半数以上の57件が東日本大震災以降に締結された協定となっております。 さて、今年の9月に発生した台風15号では、関東地方、特に千葉県で甚大な被害が発生し、家屋の全半壊、一部損壊、床上・床下浸水など4万件を超える被害が発生する事態となりました。 続いて10月に発生した台風19号においては、東北地方や中部地方、関東地方など広範囲で被害が発生し、家屋の被害では、全半壊、一部損壊、床上・床下浸水など8万件を超え、人的被害も死者が90名を超えるなど、さらに甚大な被害となっております。 本県におきましても、相模原市で土砂に巻き込まれ亡くなられた方や増水した河川に流されるなど、9名の方がお亡くなりになられました。また、いまだに鉄道の運休や各所での道路の通行どめが続いている状況にあります。 地元、綾瀬市でも被害があり、確認したところ、幸いにして人的被害はなかったものの、倒木や家屋の損壊など、15号では132件、19号でも101件発生したと聞いております。 また、綾瀬市では、被害の大きかった千葉県に姉妹都市を結んでいる柏市、災害時応援協定を結んでいる木更津市があり、日ごろから連絡をとり合っておりますが、その柏市と木更津市も相当の被害を受けており、特に木更津市では家屋の損壊が多数発生し、補修用のブルーシートが不足しているとのことから、綾瀬市では協定に基づく物資提供の要請を受け、その日のうちにブルーシート650枚を木更津市に届けたと聞いています。 大規模災害が発生した場合には、一つの自治体で全てに対応することは困難であることから、自治体相互、あるいはさまざまな業種の民間企業と締結した協定により、災害に対応することが必要です。 現在県は、県内の33市町村とも、災害時における
神奈川県内市町村相互応援協定により応援体制が構築されています。また、県外の自治体と全国都道府県における災害時の広域応援協定や九都県都市災害時相互応援協定などにより相互の応援体制が構築されていることも承知しています。 これらの協定が有効に機能するためには、まず、県内市町村の応援要請ニーズを迅速に把握することが重要であると考えます。 さきの台風15号で被害を受けた千葉県では、県内自治体からの情報収集に相当の時間を要し、支援ニーズの把握が後手に回ったとの報道がされておりました。 そこで、知事に伺います。 本県では、災害が発生した場合には、県内市町村の被災状況や支援ニーズについて、どのように把握するのか、また、県内市町村において支援が必要となった場合、どのように調整を図るのか、あわせて見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第4は、「かながわブランド」登録品の生産支援について伺います。 県内各地では、気候風土を生かしたさまざまな農林水産物の生産が活発に行われており、大消費地に隣接する立地の優位性から、新鮮で安全・安心な農林水産物を県民に直接供給できるという最大のメリットがあります。 本年7月に改定された「かながわグランドデザイン」第3期実施計画を見ますと、県の重点施策である
プロジェクト8の農林水産では、具体的な取り組みとして、持続可能な経営基盤の確立と農林水産物のブランド力の強化による利用拡大が位置づけられています。 そして、農林水産物のブランド力の強化については、かながわブランドやかながわブランドサポート店の登録を推進するとともに、かながわブランドサポート店と連携したPR、販売促進活動を展開することとしています。 かながわブランドについては、現在100以上の登録品数であるとのことで、私の地元、綾瀬市でも本年6月に菜速あやせコーンがかながわブランドに登録されました。 菜速あやせコーンは、未明のうちに収穫し、その日のうちに店頭に並べられるように努力されており、鮮度と甘さが特徴となっております。そして、その特徴がかながわブランドの登録によってPRされたこともあり、県民、消費者の方からは非常に好評を博していると聞いています。 このようなかながわブランドを守り、そしてさらに強化していくためには、安定的な生産を継続していくことが重要であり、そのためには、県としても生産支援にしっかりと取り組む必要があると考えます。 そこで、知事に伺います。 かながわブランドのブランド力を高めるための生産支援についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第5は、道の駅の整備に係る市町村への支援について伺います。 1993年、平成5年に制度が創設され、道路の休憩施設としての機能を中心に全国的にスタートした道の駅は、現在、全国で1,160駅が設置されており、広く国民に受け入れられ、今や国民生活に欠かせない人気の施設として不動の地位を築いています。 国土交通省のホームページによれば、道の駅は、休憩機能、情報発信機能、地域連携機能の三つの機能があり、近年、長距離ドライブがふえ、女性や高齢者のドライバーが増加する中、休憩機能として、一般道路でも安心して自由に立ち寄ることができる快適なたまり空間の整備は、道路交通の円滑な流れを支えるためにも重要となっています。 また、情報発信機能と地域連携機能を持つ道の駅は、沿道地域の文化、歴史、名所、特産物などの情報を活用した多様で個性豊かなサービスを提供することができます。 つまり、道の駅を整備することは、道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供だけでなく、個性豊かなにぎわいのある空間として、地域の核が形成され、活力ある
地域づくりや、道を介した地域連携が促進されるなどの大きな効果が期待されるところです。 こうしたことから、道の駅は市町村が検討するものであることは承知しておりますが、県も積極的に市町村を支援していく必要があると考えます。 私の地元、綾瀬市では、整備中の(仮称)綾瀬スマートインターチェンジと市役所の近傍で、市が地元の農畜産物や加工品の販売、地場産品を生かした飲食サービスの提供などを行う道の駅の設置に向けた検討を進めており、地域の魅力を発信し、交流促進や地域の活性化を図ろうとしています。 この道の駅が実現されれば、農畜産業を初めとする地域産業の振興だけでなく、地域全体の活性化につながる施設になるものと、私は大変期待しております。 市では、現在、道の駅のサービス施設や駐車場などの施設配置の検討や、交通処理計画の検討などに取り組んでいると伺っておりますが、アクセスする道路が交通量の多い4車線道路であり、渋滞を助長させないための対応に苦慮していると聞いております。 また、計画を進めている地区は農業振興地域の農用地区域であるため、土地利用も非常に厳しく制限されており、農地法や都市計画法などの関係法令を遵守して、事業を適切に進める必要もあります。 このため、綾瀬市が道の駅の検討を進めるに当たっては、さまざまな手続や調整が必要となることから、県の支援や協力が非常に重要であると考えています。 そこで、
県土整備局長に伺います。 市町村が進める道の駅の整備に対する県の認識と、綾瀬市に対し、どのような支援や協力を行っていくのか、
県土整備局長の見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第6は、(仮称)綾瀬スマートインターチェンジの整備について伺います。 (仮称)綾瀬スマートインターチェンジは、鉄道駅がない綾瀬市としては、新たな地域のランドマークとなる重要な施設であり、綾瀬市内や周辺市の企業においては、物流が効率化されることで地域経済の活性化などが期待されます。 また、本インターが開通すると、周辺地域の東名高速道路へのアクセスが向上するとともに、高速道路利用者の交通が分散されることで、さがみ縦貫道路の海老名インターの渋滞緩和などに大きな役割を担うものと考えております。 現在の事業の進捗状況ですが、私の地元の綾瀬市が担っている用地取得については、平成30年度に全ての事業用地を取得し、撤去についても本年5月末をもって全て完了しました。 また、整備については、県、綾瀬市、中日本高速道路株式会社の3者で連携し、鋭意進めている状況であることは承知しております。 特に、用地取得が早期に完了した東名高速より南側で建設中の下り線のインターについては、工事が着々と進んでいることが、先に完成した東名高速道路にかかる下原橋や、東名高速上り線の綾瀬バス停周辺からも確認することができ、地元県民のインター開通への期待感はますます高まっております。 そのような中、先日、(仮称)綾瀬スマートインターチェンジ地区協議会が開催され、インターの名称原案の検討と開通時期の変更が議論されました。 インターの名称原案については、仮称を外した綾瀬スマートインターチェンジが提案され、今後、綾瀬市がこの名称原案について市民に意見を聞く場を設けることとなりましたが、多くの市民に受け入れられる名前であると感じております。 しかし、開通時期については、予定した令和2年度上半期から約1年おくれる令和3年夏ごろとなり、地元の綾瀬市長からは、地元の期待は非常に大きく、おくれは残念、一日も早い開通を目指し工事を進めていただきたいとの発言がありました。 そこで、
県土整備局長に伺います。 (仮称)綾瀬スマートインターチェンジについて、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 〔資料提示〕 質問の第7は、不登校対策における教育支援センターの充実について伺います。 先般、文部科学省が平成30年度の小中学校における不登校の子供の人数を公表したとの新聞報道がありました。それによれば、年間30日以上欠席した不登校の小中学生が16万人を超え、過去最多を記録したとありました。 同時に、県教育委員会が公表した調査結果によれば、本県の公立小中学校における不登校の児童・生徒の人数も、全国と同様、過去最多となっています。 学校に行きたくとも行くことができない不登校の状態になった場合、子供本人や、その家族は、先行きに大きな不安などを抱えて過ごすことになります。長期にわたって、学校に行くことができない子供たちにとって、学校生活を再開するという目先の目標だけにとらわれることなく、将来の社会的な自立に向けて、学校以外の場で自分なりのペースでじっくりと学んでいくことも重要であると考えます。 不登校の子供たちが将来の社会的な自立を目指し、それぞれの課題を克服していく、学校以外の学びの場の一つに教育支援センターがあります。 国では、平成29年施行の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律に基づき、この教育支援センターの設置を促進していますが、本県では既に全ての市町村教育委員会が教育支援センターを設置し、これまで多くの不登校の子供たちの学びの場として、大きな役割を果たしてきました。 そして、県教育委員会としても、教育支援センターに専任教員を配置するなど、その取り組みを支援してきたと承知しています。 そうした中、私の地元である綾瀬市の教育支援センターでは、近年、通室する子供の不登校に至った要因や背景として、本人や家族が抱える課題などが多様化、複雑化しており、その改善に向けては、さまざまな専門機関との連携が必要となっていると聞いています。こうした傾向は、他の市町村にも共通しているのではないかと推察します。 本県の公立小中学校における不登校児童・生徒数の増加が続く中、各市町村における不登校対策の関係機関ネットワークの中核として、この教育支援センターの役割はますます重要となっています。 こうした観点から、各市町村教育委員会では補助スタッフを拡充するなどに取り組んでいますが、県教育委員会として、その取り組みをさらに支援していくことが必要だと考えています。 そこで、教育長に伺います。 本県における不登校の現状を踏まえ、市町村教育委員会が設置する教育支援センターの取り組みを充実させるために、県教育委員会として、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 以上で、第1回目の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 綱嶋議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、乳幼児期における非認知的能力を育む取り組みについてお尋ねがありました。 非認知的能力は、忍耐力や協調性、意欲など、感情や心の働きに関連する能力であり、乳幼児期に身につけることで、大人になってからの生活に大きな差を生じさせるといった研究成果が出ています。 そうしたことから、3歳未満の子供にかかわる保護者や保育所の果たす役割は大変重要です。市町村ではこれまで子育て支援拠点で実施している保護者向けの講演の中で、非認知的能力などの子育てに関する知識の普及啓発を行っており、県は運営費の一部を負担してそうした事業を支援しています。 今後もこうした支援を行うとともに、ご紹介いただいた綾瀬市の事業のような先進的な取り組みを、保育対策協議会などの場を通じて他の市町村に周知し、情報共有を図ります。 次に、保育士を対象とした取り組みについてです。 国は、3歳未満から非認知的能力を育んでいくことが重要であるとの認識に基づき、平成28年度の保育所保育指針の改定に当たり、3歳未満児のよりよい保育のあり方について、記載内容の充実を図りました。 県としても、県が実施する専門研修の中で、保育士が非認知的能力の重要性を理解し、その能力を育むための具体的な保育の方法を学ぶ機会を設けています。 今後もこうした研修を着実に実施していくことで、保育現場での実践にしっかりとつなげていきます。 県としては、今後とも市町村とも連携しながら、乳幼児期からの非認知的能力を育む取り組みを進めることで、子供の生きる力を伸ばし、全ての子供が健やかに成長できる神奈川を目指してまいります。 次に、障害者の就労支援の充実についてお尋ねがありました。 障害者就業・生活支援センターは、国からの委託を受け、障害者からの就業相談や職場実習のあっせん、就労後の企業への助言等を行っています。 また、県内に多数ある就労移行支援事業所とハローワークや福祉事務所などをつなぎ、障害者雇用を進める重要な役割を担っています。 障害者の雇用促進のためには、センターがこうした地域における基幹的な役割をしっかりと果たしていくことが重要です。 しかしながら、近年、障害者の就労意欲の高まりに伴い、センターへの就業相談件数が大幅に増加しています。その対応のため、職員が多くの時間を割いている状況にあり、このままでは地域における基幹的な役割を十分に果たすことが難しくなるおそれがあります。 また、センターは国の基準により、現在、県内に8カ所設置されていますが、障害者一人一人への支援をきめ細かく行っていくには、その数が少ないのではないかと考えています。 さらに、現状では地域の就労支援機関の支援力に差があり、多くの就業相談がセンターに集中していることから、各就労支援機関の支援力を向上させ、さまざまな相談に対応できるようにする必要があります。 そこでまず、センターの体制強化を図るため、必要な職員の配置に向けた経費の増額を国に要望していきます。また、障害者のニーズにきめ細かく応えていくため、地域の実情に応じて柔軟にセンターを増設できるような基準の見直しも国に求めます。 さらに、地域の就労支援機関に対する研修を拡充し、支援力の強化を図ることにより、センターへの就業相談の集中を緩和し、センターがより一層地域の基幹的な役割を発揮できるようにします。 こうした取り組みにより、障害者就業・生活支援センターの機能と役割を一層強化するとともに、地域全体の支援力の底上げを図り、障害者の雇用を促進してまいります。 次に、災害時における市町村への応援体制についてお尋ねがありました。 大規模災害時に市町村の被災状況を迅速に把握し、その支援ニーズに的確に応えることは、県民の皆様の命を守る上で大変重要です。 そのため、県は平成29年度に災害時の応急活動に必要な被害状況や避難所情報などを県や市町村等がリアルタイムで共有できる災害情報管理システムを再構築しました。 また、今年度から災害対策本部の司令塔となる統制部に新たに市町村応援班を設置し、市町村の支援ニーズを集約する体制も整えています。 こうした体制のもと、災害時に市町村から物資の要請を受けた場合には、まず県が協定を結んでいる物資関係の事業者に速やかな調達を依頼します。また、協定事業者からの支援で足りない場合には、九都県市や関東ブロックの都県との相互応援協定、さらには全国都道府県による広域応援協定に基づいて、物資の提供を要請することになります。 一方、避難所運営や被災家屋の認定調査など、人的な支援要請があった場合は、まず県職員の派遣や県内市町村間の相互応援協定に基づく市町村職員の応援について調整します。 その上で、さらに支援が必要な場合は、昨年3月に国が構築した被災市区町村応援職員確保システムにより、県外の自治体から応援職員を受け入れることになります。 今回の台風対応では、こうした仕組みに基づき、飲料水の要請があった清川村に協定事業者等から5,000リットル分のペットボトルを提供したほか、被災家屋の認定調査や復旧作業に向けた調査、技術指導等に延べ約80人の県職員を派遣するなど、市町村のニーズに対応しました。 県としては、災害時における市町村支援の仕組みが円滑に機能するよう、今回の対応を検証するとともに、引き続き必要な研修や訓練を積み重ね、市町村の支援ニーズにしっかりと応えてまいります。 最後に、かながわブランド登録品の生産支援についてお尋ねがありました。 現在、65品目、109登録品があるかながわブランドを安定的・継続的に生産していくためには、販売支援だけでなく、ブランド登録している生産者団体への生産支援も重要です。 このため、県農業技術センターでは、登録団体に対し、登録品のブランド力を高め、安定生産できる技術の支援を行っています。 例えば、かながわブランドの多摩川梨では、販売期間を拡大するため、梨の成熟期を早めて、他の品種より早い7月下旬から販売できるよう品種改良しました。 また、海老名いちごでは、安定生産と農薬の使用削減のため、イチゴの葉につく害虫のハダニの駆除に天敵のダニ類を利用する技術を実用化しました。 こうしたブランド品の安定生産を継続していくためには、本県農業が直面する担い手不足や高齢化にも対応できるよう、作業を省力化する技術と生産技術を継承していく取り組みも必要です。 そこで、県では、作業の省力化に向けて、果樹の収穫ロボットの開発のほか、国の研究機関や民間企業と連携し、トウモロコシなどの野菜の生育促進や雑草防止のために土を覆う黒いシート─マルチ資材の技術開発に取り組んでいます。 これはマルチ資材の素材をプラスチックフィルムから、生分解性フィルムに置きかえる技術で環境にも優しく、栽培終了後に畑にすき込むことで分解されるため、片づけ作業が省力化できます。 また、生産技術の継承では、地域で個別に伝承された肥料や植えつけのタイミング等の栽培ノウハウを登録団体と協力してマニュアル化し、新規生産者等がその技術を活用できるようにしていきます。 県では今後も、かながわブランド登録品の安定的・継続的な生産を技術面から支援することで、地産地消を推進し、本県農業のさらなる活性化を図ってまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
県土整備局長(上前行男)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 上前
県土整備局長。
◎
県土整備局長(上前行男) 県土整備局関係のご質問にお答えします。 道の駅の整備に係る市町村への支援についてお尋ねがありました。 道の駅は道路利用者に休憩の場や道路・観光情報を提供し、地場産品等を販売する交流拠点であり、災害時には地域の支援拠点にもなる重要な施設です。 また、道の駅として国に登録が認められれば、全国共通のシンボルマークが使用でき、市販の地図等にも掲載されるなど、広く広報されるメリットがあるため、県内でも設置を希望する市町村がふえています。 県では、こうした市町村を支援するため、道の駅相談窓口を常時開設し、技術的な助言、指導に取り組んでいます。 こうした中、綾瀬市からは、市役所北側に道の駅を設置したいとの相談がありました。この道の駅は、現在整備が進む東名高速道路の(仮称)綾瀬スマートインターチェンジに近く、インターが開通すれば、県内外からのアクセスが飛躍的に向上し、多くの方々に訪れていただけるものと期待されます。 そこで、県は市に対し、積極的な助言、指導を行うとともに、市が設置した委員会にも参画して検討に協力しています。 具体には、道の駅を訪れる車が交通渋滞を引き起こさないために、道の駅の出入り口の配置をどうすべきかや、土地利用規制に対し、どのように手続を進めればよいかなど、技術的なアドバイスを行っています。 今後、道の駅の登録に向けた整備計画立案の段階に進みますので、県は綾瀬市からの求めに応じて、県の関係部局により構成する庁内の検討会議を速やかに開催するなど、さまざまな視点から、必要な助言、指導を行っていきます。 綾瀬市が進める道の駅はこの地域の地域振興施設としての役割を担うだけでなく、県央・湘南地域の活性化につながる施設であり、県は今後とも、道の駅の実現に向けてしっかりと協力してまいります。 次に、(仮称)綾瀬スマートインターチェンジの整備についてお尋ねがありました。 綾瀬スマートインターチェンジは東名高速道路の横浜町田と厚木インターチェンジの中間に新たに設置するもので、県民生活や地域企業の利便性向上などに寄与する重要な社会基盤です。 まず、これまでの取り組みですが、この事業が県、綾瀬市、中日本高速道路株式会社の3者の共同事業であることから、連携して進めるため、平成25年7月に事業に関する協定を締結しました。 そして、県が事務局となり、3者の調整会議を設置し、関係者への対応や工事の工程管理などを効率的に進めるため、綿密な調整を行ってきました。 こうした中、事業用地の取得については、早い段階で全ての地権者からのご理解が得られたものの、移転先の適地が見つからず、また、ようやく見つかった移転先でも建築に伴うさまざまな手続が必要となるなど、課題がありました。 さらに、事業を進める中で、これまでも判明していた土壌汚染が最後の建物の跡地でも見つかり、この処理を行いました。 こうした対応に想定より日時を要したため、先月開通予定時期を改めて令和2年度上半期から令和3年夏ごろに見直したところです。 そこで、今後の取り組みですが、県としては、当初の予定から約3年半工程がおくれる中、これ以上おくれることがなく、残る工事が円滑に進むよう、さらなる調整を積極的に行います。 具体には、全体工程の管理はもちろんのこと、市道のつけかえや、それに伴う水道を初めとするライフラインなどの工事が切れ目なく行われるように、調整会議の中で定期的に関係機関を招集して調整します。 今後とも、県は綾瀬市や高速道路会社と連携して、一日でも早い開通にしっかりと取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 不登校対策における教育支援センターの充実についてです。 教育支援センターは、市町村教育委員会が不登校の児童・生徒の集団生活への適応や基礎学力の定着に向けた相談、指導を行うために設置している地域における不登校対策の中核となる施設です。 本県では全ての市町村にこの教育支援センターが設置されており、平成30年度には合計1,200人を超える不登校の児童・生徒の学びの場となっています。 これまで県教育委員会では、政令市を除く市町村に教育支援センターで指導を行う専任の教員を県単独措置として1名ずつ配置するとともに、連絡会議を開催して効果的な支援方法を共有するなど、教育支援センターの取り組みを支援してきました。 そうした中、平成30
年度神奈川県児童・生徒の問題行動等調査の結果では、不登校の児童・生徒のうち、病院や保健所、児童相談所等に相談などを行っている人数が前年度の1,057人から2,389人へと大きく増加しています。 不登校の要因や背景が、児童・生徒の発達障害や起立性調節障害、家庭環境の課題など、多様化しているあらわれと考えられます。 こうした状況を受け、教育支援センターには、これまで以上に医療、福祉等の専門機関とのネットワークを構築することが求められています。そして、担当する専任の教員には、こうした関係機関と円滑に連携するためのソーシャルワークの視点や手法を身につけることが必要です。 そこで、県教育委員会ではこれまでの取り組みに加え、平成28年度から県立保健福祉大学と連携し、学校の教員を対象に実施してきたソーシャルワークの視点を持った教員の養成研修に、来年度から教育支援センターの専任の教員を受講対象としていきます。 あわせて、一部の市町村で実施している家庭訪問指導や関係機関との効果的な連携方法等の事例を盛り込んだ手引を新たに作成するなど、教育支援センターの取り組みを支援してまいります。 以上でございます。 〔綱嶋洋一議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 綱嶋洋一君。 〔綱嶋洋一議員登壇〕
◆綱嶋洋一議員 それでは、1点、再質問させていただきます。 かながわブランド登録品の生産支援について再質問させていただきます。 知事からは、作業を省力化するため、生分解性プラスチックによるマルチ資材の開発について、先ほどご答弁がありました。 農業分野で発生する廃プラスチックを抑制するためにも、できるだけ早期にマルチ資材を開発していただきたいと考えています。実用化に向けて、どのような課題があるのか、見解を伺います。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) この件につきましては、内容が詳細にわたりますので、
環境農政局長から答弁させます。 〔
環境農政局長(石渡美枝子)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 石渡
環境農政局長。
◎
環境農政局長(石渡美枝子) 実用化に向けた課題について、お答えします。 生分解性マルチ資材として実用化するためには、使用後速やかに分解されることが必要ですが、農作物の種類や栽培時期に合わせて分解時期を調節することが最も大きな課題となっています。 このため、農業技術センターでは、現在、トウモロコシや枝豆などを対象に生分解性フィルムを分解する酵素を用いて分解時期を調節する実証研究を行っており、できるだけ早く実用化できるよう取り組んでまいります。 以上でございます。 〔綱嶋洋一議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 綱嶋洋一君。 〔綱嶋洋一議員登壇〕
◆綱嶋洋一議員 再答弁ありがとうございました。 神奈川県の農産物は評判どおり、味はおいしい、そして生産段階においては環境に優しい、そういう評判がこれから続くように、マルチ資材の実用化に向けた一層の努力をしていただきたいというふうに思っております。 それでは、時間の許す限り要望いたします。 まず、障害者の就労支援の充実についてです。 障害者の就労支援を進めていくに当たっては、障害者が働くということにどういう思いを持っているのか、そういう思いを大切にする必要があると思います。その思いは多様であり、また、多くの働き方があることから、一人一人の状況に応じた支援をしていく必要があると考えます。 障害者の就労支援は、働く場における共生社会の実現が目的であり、「かながわ障がい者計画」の策定の背景にある、誰もが住みなれた地域で安心して暮らすことができるともに生きる社会かながわの実現につながるのではないでしょうか。 私の地元である綾瀬市では、昨年度、就労相談に来られた45人のうち、16人が一般企業への就労につながったという実績があります。 今後、
神奈川県内における障害者の就労支援を一層推進させるため、県として、積極的に就労支援事業を実施している市町村への支援など、地域の特性を十分に踏まえた施策を展開していただくよう要望いたします。 次に、(仮称)綾瀬スマートインターチェンジの整備についてです。 私は、先日、地区協議会を傍聴し、名称原案を検討することは理解したところでありますが、しかし、開通時期が令和3年夏ごろになることは理解できていません。 なぜなら、協議会開催前後にもおくれに対する明確な説明が県からは全くなく、私が開通時期が令和3年夏になることを知ったのは、協議会当日、それも資料を見て初めて知りました。その対応に、神奈川県の(仮称)綾瀬スマートインターチェンジに対する姿勢に不信感を感じざるを得ませんでした。 しかしながら、やはり一日でも早く開通していただきたい、そのような思いを強く持っています。そのため、県がしっかりと共同事業者の綾瀬市、NEXCO中日本をリードして、工事工程を改めて精査して、しっかりと工程管理を行い、早期開通に向けた努力を続けるよう、引き続きお願い申し上げます。 また、スマートインターチェンジ開通後は、接続する県道42号─藤沢座間厚木を初め、県道40号─横浜厚木、県道45号─丸子中山茅ヶ崎線などの周辺道路の交通量が増加することが想定され、歩行者の安全確保と交通渋滞緩和が求められることから、県道の歩行空間の確保と主要な交差点の改良などの早期整備を要望いたします。 最後に、不登校対策における教育支援センターの充実についてです。 不登校対策における教育支援センターの充実については、教育長から人材の育成や手引の作成について答弁をいただきました。 不登校の子供が年々ふえていく中、市町村の教育支援センターには、子供一人一人の状況に応じた相談・指導や、また、通所を希望しない子供への訪問指導なども求められています。 県教育委員会では、これまでも教育支援センターに配置されている専任教員については、義務標準法において算定される対象に含めるよう国に対して要望してきたと承知しています。 今後も、経験豊かな退職教員の活用や、専任教員の配置拡充など、教育支援センターの機能強化に向けた地方への支援を国に対して要望していただくとともに、教育支援センターのよりきめ細やかな指導体制の構築に向けて、支援を充実させていただくことを要望いたします。 以上、要望させていただき、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。
○議長(梅沢裕之) お諮りいたします。 本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(梅沢裕之) ご異議がないと認めます。 よって、本日の質問はこれで終わります。 ───────────────────────────────────────
○議長(梅沢裕之) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 次回の会議は、明5日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。 午後4時50分 散会...