令和 1年 第三回 定例会
△《本会議録-令和元年第3回-20191202-028575-諸事項-出席議員等・
議事日程-》 令和元年第3回
神奈川県議会定例会会議録第13号〇令和元年12月2日 午後1時開議 ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共105名 出 席 議 員 大 村 悠 桝 晴 太 郎 永 田 磨 梨 奈 加 藤 ご う 永 田 て る じ 菅 原 あきひと 須 田 こうへい す と う 天 信 上 野 た つ や 石 田 和 子 松 長 泰 幸 山 口 美 津 夫 高 橋 延 幸 武 田 翔 田 村 ゆうすけ 田 中 信 次 川 崎 修 平 神 倉 寛 明 お ざ わ 良 央 た め や 義 隆 飯 野 まさたけ 望 月 聖 子 佐 々 木 ナ オ ミ 柳 瀬 吉 助 市 川 さ と し 佐 藤 圭 介 大 山 奈 々 子 君 嶋 ち か 子 池 田 東 一 郎 石 川 巧 芥 川 薫 川 本 学 市 川 和 広 山 本 哲 綱 嶋 洋 一 新 堀 史 明 田 中 徳 一 郎 山 口 貴 裕 野 田 治 美 脇 礼 子 米 村 和 彦 栄 居 学 小 林 大 介 京 島 け い こ 石 川 裕 憲 井 坂 新 哉 佐 々 木 ゆ み こ さ と う 知 一 楠 梨 恵 子 西 村 く に こ 谷 口 かずふみ 藤 代 ゆ う や 渡 辺 紀 之 原 聡 祐 高 橋 栄 一 郎 あ ら い 絹 世 柳 下 剛 細 谷 政 幸 河 本 文 雄 加 藤 元 弥 中 村 武 人 古 賀 照 基 斉 藤 た か み 赤 野 た か し 浦 道 健 一 青 山 圭 一 亀 井 たかつぐ 佐 々 木 正 行 渡 辺 ひ と し 小 野 寺 慎 一 郎 内 田 み ほ こ 長 田 進 治 杉 本 透 し き だ 博 昭 小 島 健 一 いそもと 桂 太 郎 梅 沢 裕 之 嶋 村 た だ し 桐 生 秀 昭 市 川 よ し 子 岸 部 都 作 山 ゆうすけ 長 友 よしひろ 北 井 宏 昭 菅 原 直 敏 相 原 高 広 鈴 木 ひ で し 藤 井 深 介 森 正 明 土 井 りゅうすけ 杉 山 信 雄 小 川 久 仁 子 持 田 文 男 竹 内 英 明 た き た 孝 徳 国 松 誠 松 田 良 昭 牧 島 功 堀 江 則 之 松 本 清 てらさき 雄 介 松 崎 淳 近 藤 大 輔 く さ か 景 子 曽 我 部 久 美 子 説明のための出席者 知事 黒 岩 祐 治 副知事 中 島 正 信 同 浅 羽 義 里 同 首 藤 健 治 理事 山 口 健 太 郎 同 玉 木 真 人 政策局長 髙 澤 幸 夫 総務局長 小 板 橋 聡 士
くらし安全防災局長 花 田 忠 雄
国際文化観光局長兼
拉致問題担当局長 河 合 宏 一 スポーツ局長 平 田 良 徳 環境農政局長 石 渡 美 枝 子 福祉子どもみらい局長 香 川 智 佳 子 健康医療局長兼未病担当局長 市 川 喜 久 江 産業労働局長兼
エネルギー担当局長 山 田 健 司 県土整備局長 上 前 行 男 会計管理者兼会計局長 小 野 淳 ヘルスケア・ニュー
フロンティア推進統括官 金 井 信 高 労務担当局長 大 久 保 雅 一
マグカル担当局長兼
広報戦略担当局長 木 口 真 治 医務監 中 澤 よ う 子
教育委員会教育長 桐 谷 次 郎 同 教育局長 田 中 和 久 同
県立高校改革担当局長 清 水 周 警察本部長 古 谷 洋 一
警察本部総務部長 和 智 勉
人事委員会事務局長 川 合 充 監査事務局長 小 島 泰
労働委員会事務局長 出 口 満 美
公営企業管理者企業庁長 大 竹 准 一 企業庁企業局長 長 谷 川 幹 男 ─────────────────────────────────────── 議会局出席者 議会局長 和 泉 雅 幸 議会局副局長兼総務課長 谷 川 純 一 同 議事課長 霜 尾 克 彦 同 政策調査課長 田 中 一 朗 ─────────────────────────────────────── 令和元年第3回
神奈川県議会定例会議事日程第13号 令和元年12月2日午後1時開議第1 定県第 110号議案 令和元年度神奈川県
一般会計補正予算(第6号) 定県第 111号議案 同 年度神奈川県水源環境保全・
再生事業会計補正予算(第1号) 定県第 112号議案 同 年度神奈川県
県営住宅管理事業会計補正予算(第1号) 定県第 113号議案 同 年度神奈川県
水道事業会計補正予算(第1号) 定県第 114号議案 同 年度神奈川県
電気事業会計補正予算(第1号) 定県第 115号議案 同 年度神奈川県相模川
総合開発共同事業会計補正予算(第1号) 定県第 116号議案 同 年度神奈川県
酒匂川総合開発事業会計補正予算(第1号) 定県第 118号議案 無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準を定める条例 定県第 119号議案 神奈川県
地方卸売市場条例を廃止する条例 定県第 120号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例 定県第 121号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例 定県第 122号議案
住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例 定県第 123号議案 附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例 定県第 124号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例 定県第 125号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例 定県第 126号議案
神奈川県立山岳スポーツセンター条例の一部を改正する条例 定県第 127号議案
神奈川県都市農業推進条例の一部を改正する条例 定県第 128号議案 神奈川県漁港管理条例の一部を改正する条例 定県第 129号議案 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 定県第 130号議案
幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 定県第 131号議案 神奈川県ふぐ取扱い及び販売条例の一部を改正する条例 定県第 132号議案 神奈川県都市公園条例の一部を改正する条例 定県第 133号議案 神奈川県県営住宅条例の一部を改正する条例 定県第 134号議案 神奈川県
建築士法関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 135号議案 工事請負契約の締結について(津久井やま
ゆり園千木良園舎(仮称)新築及び改修工事(建築-第1工区)請負契約) 定県第 136号議案 工事請負契約の締結について(
総合リハセンター特別高圧受変電設備改修工事(電気)請負契約) 定県第 137号議案 工事請負契約の締結について(二級
河川境川河川改修(護岸工)工事(その2)請負契約) 定県第 138号議案 工事請負契約の締結について(
県営横山団地公営住宅新築工事(5期-建築-第2工区)請負契約) 定県第 139号議案 工事請負契約の締結について(
県営横山団地公営住宅新築工事(5期-建築-第3工区)請負契約) 定県第 140号議案 工事委託契約の締結について(津久井やま
ゆり園芹が谷園舎(仮称)整備・
維持管理事業施設整備業務委託契約) 定県第 141号議案 建設事業に対する市負担金について 定県第 142号議案 神奈川県道路公社の
有料道路整備事業計画変更に対する同意について 定県第 143号議案 当せん金付証票の発売について 定県第 144号議案
地方独立行政法人神奈川県立病院機構中期目標 ───────────────────────────────────────
△《本会議録-令和元年第3回-20191202-028576-質問・答弁-大山奈々子議員-代表質問①災害から県民を守ることについて②県政の重要課題について》 〔議会局長報告〕 出席議員 副議長共102名
○副議長(渡辺ひとし) ただいまから、本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(渡辺ひとし) 審議を行います。 日程第1、定県第110号議案 令和元年度神奈川県
一般会計補正予算外33件を議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 大山奈々子君。 〔
大山奈々子議員登壇〕(拍手)
◆大山奈々子議員 日本共産党の大山奈々子です。 共産党県議団を代表して、代表質問を行います。 〔資料提示〕 初めは、災害から県民を守ることについてです。 まず、平瀬川の浸水対策および
都市河川重点整備計画の見直しについてです。 今年の台風第19号による河川の被害は、箱根で24時間に900ミリを超える雨量が計測されたことを初め、各地で豪雨が集中した結果、県管理河川では、川崎市、相模原市など計8カ所で川があふれる越水が発生し、下水の逆流も合わせて、住宅や工場などが浸水しました。 11月21日現在で床上浸水729棟、床下浸水520棟に上り、境川等150カ所では護岸破損等が発生しています。県民が亡くなる事案まで発生しました。 私
たち日本共産党県議団は各地の被災地を視察しました。自宅に流入した土砂に茫然自失の高齢者の姿、工場地帯の被害では機械類の復旧のめどが立たず、悲嘆に暮れる姿、内水氾濫があった川崎市
市民ミュージアムでは収蔵品が水没し、言葉を失う職員・市民、福祉施設の利用者の受け入れ先を求めて奔走する職員の姿等々を目の当たりにし、直接の浸水の被害に加え、浸水が招く影響の厳しさに言葉を失いました。 局所的、突発的なゲリラ豪雨が頻発している気象状況のもと、治水対策の見直しが求められます。方策としては、川の底を削る、川幅を広げる、堤防を築く、さらには、
遊水地等洪水調節施設等を整備するなど、専門家の知見を得て検討していく必要があります。 また、川崎市では多摩川が決壊していないにもかかわらず、多摩川に流入する平瀬川が逆流し、高津区において広い範囲で浸水による甚大な被害がありました。県は川崎市と連携し、早急に検証と原因の究明を行い、抜本的な対策を立てる必要があります。 本県は2010年に「
都市河川重点整備計画」を策定し、おおむね30年間をめどに、計18河川を対象に、おおむね時間雨量50ミリ、または60ミリ対応を目指して河川整備を進めているとのことです。 しかし、今回の台風第19号で越水のあった7河川のうち、
都市河川重点整備計画の対象となっているものは引地川と境川の2河川にすぎません。さらに、今回の台風第19号でも、最大時間降雨量が70ミリ超え、80ミリ超えの地点が多数観測されています。 頻発する大規模災害を受けて、整備目標降雨や整備対象河川について、いま一度計画を見直し、充実させることが必要なのではないでしょうか。 そこで、知事に伺います。 県民の安全確保のために、平瀬川の管理権を持つ県は、今回の台風第19号による平瀬川による浸水原因を究明し、川崎市とともに抜本的な対策を講じることが必要と考えますが、見解を伺います。また、整備対象河川をふやし、整備目標降雨を引き上げるなど
都市河川重点整備計画を見直すべきと考えますが、あわせて見解を伺います。 次に、河川整備の促進について伺います。 本県は20年から30年を計画期間とした河川整備計画を策定していると聞いています。 私たちはこれまでも委員会や本会議を通じて、計画の進捗のおくれを指摘してまいりました。例えば、2017年第2回定例会においても、
境川水系河川整備計画では、神奈川県担当エリアの整備について、境川の改修を30年で完了するとしていますが、実際の予算規模では100年かかるのではないか、ペースアップのために人員体制や予算をふやすべきと求めておりました。 残り計画期間21年間で完遂するためには、単純に平均して年間約53億円が必要です。単純平均して約15億円というこれまでの予算のペースでは、到底目標達成に至りません。県民を守るには全く不十分です。 また、国と県が協調して治水事業に当たるわけですが、国からの河川改修事業費は減り続け、2018年度の事業費は、決算額で10年前の半分以下、50億円以下に落ち込んでいます。 そこで、知事に伺います。 河川整備のための人と予算を拡充することとあわせて、国に河川改修事業費の増額を強く要請することが必要だと考えますが、見解を伺います。 〔資料提示〕 次に、建築物の浸水対策に係る条例制定についてです。
東洋大学理工学部建築学科の野澤千絵教授は、台風19号がもたらした教訓と題するインタビューに答えて、災害に弱い土地の利用規制を考えよと提言されています。その中で、好事例として滋賀県草津市の条例が挙げられていました。 草津市にお話を伺ったところ、草津市では、洪水・
内水ハザードマップを制定した2006年、同時に草津市建築物の浸水対策に関する条例を制定されました。市役所や小中学校など特定建築物に関して、電気設備関係は想定水位を考慮して設置することや、地下室がある場合、可能な限り浸水が生じない構造とすること等、建築主の義務が盛り込んであるものです。 また、一般建築物の中でも地階を有する建築物や非
常用エレベーターを設置する建築物に対して、建築確認の際などに条例を説明し、助言指導を行っておられます。 その結果、努力義務にもかかわらず、2件の
タワーマンションや数件のオフィスビルが浸水対策をとられたということです。 本県では今年の台風第19号で武蔵小杉の
タワーマンションの機械室が浸水して電気や水道などが長期にわたって機能停止になった例が大きく報道されましたが、他のマンションでも同じような被害を見ました。本県でも草津市のような浸水対策の条例が求められます。 そこで、知事に伺います。 新たな被害を防ぐために、浸水想定がされる地域での今後の建築物に関しては、電気設備関係は想定水位を考慮して設置すること等、浸水対策を講じる内容の条例を制定することが必要と考えますが、見解を伺います。 〔資料提示〕 次は、県の災害対応力の強化についてです。 災害の被災者は、県民はもちろん、自治体もまた被災者であるという観点が必要です。私が議員になる前、箱根の県道に積もった雪が何日たっても除雪されないことについて党として早急な対応を申し入れに県土整備局を訪れましたが、人手不足の状況が見てとれました。 やはり今回の台風第19号でも、被災者から不安の声を聞いた相模原市議からの依頼で、県に電話で対応を要請しましたが、多くの要望に応え切れていない状況がうかがえました。 神奈川県職員労働組合の調べでは、徹夜勤務をせざるを得なかった所属があるという声があり、私も災害対応の職員から、1カ月間、通常勤務に戻れなかったという声を聞いています。 昨年は平成30年7月豪雨がありましたが、本年に入っても台風第15号、第19号など、今や日本中がさまざまな想定外の災害の被災地となっていると言っても過言ではありません。 多くの自治体では他自治体からの受援体制を整える業務や、派遣要請に応える業務がふえてきていると思われます。 九都県市首脳会議では、台風第19号被害などを教訓に、災害時の相互応援を強化する方向が打ち出されました。災害時の経験をみずからの自治体に持ち帰って生かすことが必要です。 本県も台風第19号で県内の市町村に技術職を派遣しています。また、2014年以降、本県は長期派遣だけでも40人以上の職員を被災地に派遣しており、派遣期間は半年以上が大半で、中には1年に及ぶ職員もいます。派遣職員のいた職場は事実上、定数減と同じ状況になります。 県庁の働き方改革が進んでも、残業がなかなか減っていない状況を我々も指摘してまいりました。災害廃棄物処理、被災家屋消毒、被災家屋認定調査、農林被害調査、被災者健康調査、被災者相談窓口など、災害時に県職員に求められる専門性は多様です。特に土木職や福祉職等、住民生活に密着した職種に関して人材の確保が必要になると考えます。 そこで、知事に伺います。 災害に強い自治体であるために、住民生活に密着した職種を中心に、さらに専門人材を確保すべきと考えますが、見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 大山議員のご質問に順次お答えしてまいります。 災害から県民を守ることについて、何点かお尋ねがありました。 まず、平瀬川の浸水対策及び「
都市河川重点整備計画」の見直しについてです。 まず、平瀬川の浸水対策についてですが、平瀬川は昭和初期から普通河川として川崎市が管理し、一級河川の指定を受けた昭和45年度から河川法の規定に基づく県と市の協議により、市が工事と維持を行っています。 今回の台風による平瀬川の浸水被害については、川崎市が浸水の原因や範囲などについて、現在詳細に調査を進めていると承知しています。 県は平瀬川の管理権限を持つ立場ですので、川崎市から今後の対策について具体的な相談があれば、技術的な助言などを行っていきます。 次に、
都市河川重点整備計画の見直しについてですが、県はこの計画に基づき、整備効果の高い箇所から重点的に護岸や遊水地の整備を進めていきます。 県内の治水安全度の向上を図るため、まずは計画に掲げた箇所の整備を着実に進めていくことが重要であり、引き続き
都市河川重点整備計画による河川整備をしっかりと進めてまいります。 次に、河川整備の促進についてです。 河川の整備には多大な事業費と長い時間が必要であり、また、それを実行するため職員を適正に配置する必要があります。 河川整備のための人員体制については、用地の取得や工事の実施に必要な職員を適正に配置しており、今後も事業の内容や規模を踏まえ対応していきます。 また、予算については本県の厳しい財政状況の中、河川整備を推進するため、国の予算をより一層活用する必要があります。このため、引き続きさまざまな機会を捉え、本県の河川整備の重要性を強く国に訴え、十分な予算の確保に努め、河川の計画的な整備に取り組んでまいります。 次に、建築物の浸水対策に係る条例制定についてです。 建築基準法では、災害発生時における人命保護の観点から、建築物の構造安全性など、最低限の基準を定めることにより、強制力のある規制を行っています。 しかし、災害発生後の浸水時の電源確保は人命保護を目的としたものではないため、国土交通省によれば、建築基準法に義務づけることは困難であるとしています。そのため、法に基づく条例でも災害発生後の機能継続を目的とする浸水時の電源確保の義務づけは、法の趣旨に照らして制度上困難です。 一方で、草津市のような任意の条例を制定した場合、建築確認制度と連動せず、最終的に建築主の判断に委ねられることになります。 そうした中、武蔵小杉の事例を受け、国では建築物における電気設備の浸水対策のあり方について検討会を設置し、今年度中にもガイドラインとして取りまとめていくと聞いています。 県は、このガイドラインを国が作成した際には、まず建築主である県民の皆様や市町村に浸水対策の重要性を周知していきます。さらに、建築の専門家である設計団体、建設団体及び民間指定確認検査機関などにも広く情報提供をしていくことにより、意識啓発を図ってまいります。 県としては、任意の条例の制定ではなく、このような取り組みにより、建築主等への意識啓発をしっかりと図ってまいります。 次に、県の災害対応力の強化についてです。 今年9月の台風15号、10月の台風19号は記録的な暴風や高波、高潮、大雨をもたらし、県内にも大きな被害がありました。現在、土木職等の専門性を生かして復旧に全力を挙げております。 本県では、東日本大震災を契機に、他県への専門人材の派遣に努めてきた実績もあります。 具体には、全国でも断トツの数となる土木職や福祉職などの任期つき職員を東北3県の被災地に派遣するとともに、常勤職員についても、東北3県のほか、熊本地震や西日本豪雨で被災した熊本県や広島県に最近5年間で延べ40名以上派遣しています。 こうした職員の経験も生かしながら、災害応急復旧のため、必要な人員を確保の上、配置してまいります。 答弁は以上です。 〔大山奈々子議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 大山奈々子君。 〔
大山奈々子議員登壇〕
◆大山奈々子議員 ご答弁いただきました。 1点、再質問をしたいと思います。 建築物の浸水対策についてですが、法の趣旨に合わないので条例の制定は難しいということでした。しかしながら、国が策定したガイドラインを周知することは有効だと考えます。 今回の浸水対策に当たっては、県と地元を知っている市町村が連携して取り組むことで、効果が発揮されるのではないかと考えます。 県と市町村がよく話し合える場を設けていくこと、これを重要と考えますが、知事の見解を伺います。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 内容が詳細にわたりますので、県土整備局長から答弁させます。 〔県土整備局長(上前行男)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 上前県土整備局長。
◎県土整備局長(上前行男) 県では、既に建築行政に関する協議の場として、神奈川県建築行政連絡協議会を設置しております。 この協議会では、県のほか、特定行政市である12市及び県内で業務を行う民間指定確認検査機関が参加しておりますので、この場でガイドラインの周知について意見交換をしてまいります。 そのほかの市町村や建築関係の団体にも、さまざまな場を通じまして情報提供を行ってまいります。 以上でございます。 〔大山奈々子議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 大山奈々子君。 〔
大山奈々子議員登壇〕
◆大山奈々子議員 要望を申し上げます。 建築規制に関しては、県が浸水対策を積極的に関係者に求める姿勢は民間の経営判断と相反するものではなく、むしろ資産価値を高めるものであり、暮らしを守る大きな一歩となると考えます。市町村、業界団体と連携してよろしくお願いいたします。 また、災害対応職員の増員に対しては、現行の人数でやりくりするには限界があります。全国一、県民の数に対する職員数が少ない本県です。これ以上、過労死、過労自殺を生まないために、定数条例を見直して必要な職員数を確保されるよう求めます。 〔大山奈々子議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 大山奈々子君。 〔
大山奈々子議員登壇〕
◆大山奈々子 議員 〔資料提示〕 次の質問は、県政の重要課題について伺います。 まず、被疑者の安全確保についてです。 本年4月10日の新聞報道によると、神奈川県警察海老名署において、同日未明に公務執行妨害容疑で現行犯逮捕されたブラジル国籍の39歳の男性が逮捕の際、暴れたとのことで計5人の警官にかわるがわる取り押さえられた直後、顔色が悪くなり、病院に搬送されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されたとのことです。死因は、機械的窒息の疑いがあるとされています。 また、県警麻生署が器物損壊容疑で本年5月19日に逮捕した21歳の大学4年生の男性が、取り調べ中に意識不明となり、6月1日に亡くなった事案も発生しており、こちらの死因は不詳、つまり、はっきりわからないということです。 県内では、5年前の2014年にも被疑者死亡事案が発生しています。逮捕とそれにかかわる取り調べの手続や、その他逮捕に至らずとも暴れる被疑者を取り押さえるなどの職務執行中の被疑者死亡事案について、他県の状況を県警に求めましたが、それについては答える立場にないということでした。 先ほどのような逮捕時の被疑者死亡事案について、警察官に過失があったのかどうかなどについては、検察庁が事件の送致を受けた後、捜査を行うことは承知しています。しかし、いかなる理由があろうとも、逮捕の際のみならず、警察官の職務執行によって、被疑者がけがをしたり、命を落としたりする事態は避けなければなりません。 事件などは日々発生しており、警察は検察の捜査結果等を待たず、速やかに自己点検し、再発防止に取り組むことが必要です。 そこで、警察本部長に伺います。 今年、立て続けに起こった被疑者死亡事案をどのように捉え、逮捕を含めた職務行為全般における被疑者の安全確保について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 〔資料提示〕 次は、訪問介護・訪問看護等の介護現場における利用者等からのハラスメント対策についてです。 近年、さまざまな調査において、訪問介護や訪問看護等の現場の中で、従事者が利用者や家族からの精神的な暴力などのハラスメントを受けていることが明らかになっています。 実際、昨年度、日本介護クラフトユニオンの7万8,000人を対象にしたアンケート調査では、介護職の74%が被害に遭ったと回答しています。具体的な被害内容としては、利用者の息子に寝室に連れ込まれて体中を触られた、計画書にないサービスを強要され、断ると罵倒されたなどです。 同組合からは、セクハラ罪がないならば、罪を創設して対応しなければならないくらい事態は深刻度を増している、介護職の尊厳を守る対策や啓発が必要とのコメントが報道されています。 訪問看護に関して、神奈川県民主医療機関連合会が訪問看護師を対象に実態調査を行っていますが、看護師の76.5%がハラスメントを受けた経験を持っており、暴力・ハラスメントを受けたことで、22.1%の人が仕事をやめたいと思ったことがあると回答しています。 私たちはこのアンケートに回答した看護師さんたちと懇談する機会を得ました。ハラスメントに遭っても、責任感、使命感から仕事を続けておられるものの、利用者の中には精神疾患や認知症などがある例も多く、自分のケアの対応が悪かったとみずからを責めてしまいがちと言います。 また、事業所に相談しても、当事者同士で話した方がいいと介入に消極的であったり、看護師側に問題があるかのように言われたという声もあります。 国では本年3月に、事業所向けの介護現場におけるハラスメント対策マニュアルを策定し、都道府県等の介護主管課に発出しました。 本年6月に公布された、いわゆる女性の活躍推進法の検討過程で参議院厚生労働委員会において、訪問介護、訪問看護等の介護現場や医療現場におけるハラスメントについても、その対応策について具体的に検討することとの附帯決議がなされました。 本県においては、介護現場における実態把握のために事業者や市町村等に昨年度ヒアリングを行っています。しかし、その結果は問題が顕在化していないようです。被害を被害と認識できていないことや、自己責任だと思わされ、事業者に報告できない風潮があるのではと思われます。ヒアリングの対象が事業者や市町村などであって、実際に業務を行っている現場の介護、看護職員の声を聞いていないという調査方法では限界があると指摘せざるを得ません。 介護人材不足が叫ばれる中、安心・安全な労働環境を保障し、定着を図ることが重要です。利用者の病気によるものであっても、行為そのものがハラスメントであれば、だめなものはだめと、加害者、被害者、事業者の3者に自覚を促すためには、行政としても正確な実態把握とともに、啓発を強化することが効果的と考えます。 兵庫県では、対応のノウハウを学ぶ研修を県がみずから行っており、訪問介護員等へのハラスメントを専門とする相談窓口も設置しています。また、訪問介護等の場合、2人での訪問ができれば被害を防ぐ力になります。介護報酬上、2人訪問は利用者の同意が必要ですが、兵庫県では同意が得られず2人訪問加算ができない場合に、加算相当額の一部補助や深夜時間帯の安全確保の場合も加算対象とする補助メニューを県市協調事業として実施しています。 そこで、知事に伺います。 訪問介護・訪問看護等の介護現場における安全な職場環境を整えるため、事業者任せではなく、県として、ハラスメント禁止の啓発を行うとともに、課題を正確に把握するための現場の職員を対象にした丁寧なアンケート調査等を行い、関係者への実践的な研修の実施、専門の相談窓口の設置、2人訪問体制への財政支援等、具体的なハラスメント対策を講じるべきと考えますが、見解をお聞かせください。 〔資料提示〕 次は、公立学校教員に変形労働時間制を導入しないことについてです。 教員の働き方改革の一環として、政府は本年10月18日の閣議で、勤務時間を年単位で調整する変形労働時間制を公立学校の教員に導入可能にした、いわゆる教職員給与特別措置法の改正案が衆議院で可決されてしまいました。 1年単位の変形労働時間制は労働基準法で規定されています。この制度は、例えば繁忙期に1日10時間労働まで可能とし、閑散期と合わせて平均で1日当たり8時間におさめることを可能とする制度です。 従来、この制度が、地方公務員については適用除外とされていたものを、公立学校の教員に対して自治体の判断で条例で適用できるよう整備するものです。 これについては、批判の声が現場教員や教育団体等から噴出しています。この法案をめぐる国会の参考人質疑の場において、神奈川過労死等を考える家族の会の工藤代表は、教員だった夫を過労死で亡くした経験に触れ、1年単位の変形労働時間制で見かけの時間外労働は減る一方、労働時間が合法的にふえ、過労死を促進してしまうと発言されています。 教育研究者らが開いたこの問題に関する衆議院の院内集会では、神奈川の30代の小学校教員が発言されています。教員にも決められた勤務時間があるんだという意識がやっと広がって、勤務校では必要な仕事はできるだけ勤務時間内に終わらせようと、会議や学年の仕事などを厳選。授業準備の時間も生み出しながら、何とか6時ぐらいには帰れるように努力してきたのに、国の言う働き方改革って一体何だったのか。全く納得がいきませんという中身です。 労働時間の管理が行われていないという教職員給与特別措置法の問題点を改善しないままに、変形労働時間制を導入し、仮に10時間以上の労働を合法化して、見かけの残業時間を操作しても、根本的な解決を遠ざけるばかりです。 教員の働き方改革を真に推進するのであれば、教員定数をふやして業務量を削減することが必要です。 そもそも労基法における変形労働時間制については、国の通知に恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度と明記されています。1年中繁忙期だと言われている教育現場の実情に照らせば、およそ変形労働時間制を導入すべき状況にないと言わなければなりません。 教員の働き方の実情を知る自治体であるならば、長時間労働を固定化し、助長する変形労働時間制を導入すべきではないと考えます。 そこで、教育長に伺います。 2021年4月施行とされている教職員給与特別措置法改正案が可決されても、その適用は自治体の判断次第ですから、本県においては変形労働時間制を導入すべきでないと考えますが、見解をお聞かせください。また、国に対してこの制度の導入をしないよう要求するべきと考えますが、あわせて見解をお聞かせください。 〔資料提示〕 次は、知事の歴史認識と表現の自由の保障についてです。 まず、知事の歴史認識についてです。 国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019が10月に閉幕しました。期間中は、慰安婦を象徴した平和の少女像の展示をめぐり、抗議や脅迫等が寄せられ、企画展、表現の不自由展・その後が一時中止されました。 このことについて、8月27日の記者会見において見解を求められた際、知事は、同じことが神奈川県であったとしたら私は認めません。公金を使って支援するということなんてあり得ないと回答されました。 この件に関する一連の知事の発言を聞き、看過できない問題があると考えましたので、質問をします。 一つには、慰安婦問題について強制的な連行を疑問視する発言がありました。日本政府としては、1993年に、当時の河野洋平内閣官房長官が旧日本軍の関与を認め、本人たちの意思に反して集められたと強制性を認める、いわゆる河野談話を発表しています。 国際社会においても、国連人権委員会などの数々の国連機関が日本政府に対してたび重なる勧告を行ってきています。世界では共通認識になっている慰安婦に関する歴史認識を知事が持ち得ていないとしたら大問題です。 また、慰安婦問題は、2015年の日韓外相会談をもって不可逆的に解決された、それをねじ曲げて終わっていないというのは認めるわけにいかないとの発言も、認識に問題があります。 国連の女性差別撤廃委員会は、2015年の日韓合意について、元慰安婦らを中心としたアプローチを完全にはとっていないと指摘し、元慰安婦らの真実、正義、償いを求める権利を保障し、彼女らの立場に寄り添った解決を目指すよう求めています。 そこで、知事に伺います。 今なお慰安婦の強制連行はなかったとお考えですか、また、知事は慰安婦問題は解決したとお考えですか。 次に、表現の自由についてです。 〔資料提示〕 知事が、表現の不自由展が神奈川県での開催だった場合、公金の支出を認めない理由として、極めて明確な政治的メッセージであるからだという趣旨の発言がありました。 この発言に対し、共産党県議団として、表現の自由を尊重する立場から、発言の撤回を求める申し入れを行いました。弁護士団体や国際交流団体を含め500以上の団体や個人から、抗議や発言撤回の意見が寄せられたと報道されています。 憲法第21条は一切の表現の自由はこれを保障する。検閲はこれをしてはならないとしています。2001年の文化芸術振興基本法の立法時には、附帯決議として行政不介入の原則が盛り込まれています。 表現の不自由展は、河村名古屋市長が少女像を国民の心を踏みにじるものとして即刻中止を求めたことが引き金になって中止に至りましたが、この発言に対し、大村愛知県知事はインタビューに答えて、税金でやるからこそ、憲法第21条は守られなければならない。まさに公権力を行使される方が、この内容はよい、悪いと言うのは、憲法第21条のいう検閲ととられてもしかたがないと語り、再開に向けて尽力されました。 少女像の作者である韓国の彫刻家のキム・ソギョンさんとキム・ウンソンさんは、新聞のインタビューに答えて、平和の少女像には、戦争のない平和、女性と子供が搾取されない平和な世界への願いが込められていると答えておられます。 作品に接した人が作者の意図にかかわらず、多様なメッセージを受け取る、作品を通じて思いが交錯する、それこそが芸術の持つ力です。公権力が介入して表現の機会を奪うことは許されません。 その後、KAWASAKIしんゆり映画祭において、慰安婦を題材にした主戦場という映画に関して、川崎市が裁判になっている映画を放映することに懸念を示したことから、一旦は上映中止になりかけました。知事の発言がこういった萎縮効果を生んだのではないでしょうか。 そこで、知事に質問です。 知事の発言が表現の自由の侵害に当たるという弁護士団体や国際交流団体等、各界からの指摘をどのように受けとめたのか、また、表現の自由の萎縮効果を生むような発言は慎むべきと考えますが、あわせて見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題について、何点かお尋ねがありました。 まず、訪問介護・訪問看護等の介護現場における利用者等からのハラスメント対策についてです。 介護現場におけるハラスメントは職員の安全を脅かすものであり、決してあってはなりません。ハラスメントを防止するためには、事業者と行政が連携して、安心して働くことのできる環境を整えることが重要です。 しかし、今年3月に国が公表した調査では、5割を超える介護職員が利用者からのハラスメントを受けたと回答している一方で、多くの事業者がその実態を十分に把握できていない状況でした。 また、県としても、昨年度、市町村や介護職員の団体にヒアリングを実施したところ、国の調査結果と同様の傾向があることがわかりました。 そこで、県では今年度から、事業者を対象とした講習会において、国のマニュアルを活用した対策の徹底を図るとともに、市町村に対しては事業者のための相談支援の体制強化を依頼しました。 さらに、介護職員向けには、介護現場を含む職場のハラスメントの相談を受けるかながわ労働センターなどの窓口を、事業者向けポータルサイト等を通じて広く周知しています。 県としては、今後も事業者や市町村としっかりと連携し、ハラスメントのない介護現場の環境整備に取り組んでまいります。 次に、私の歴史認識と表現の自由の保障についてお尋ねがありました。 まず、私の歴史認識についてです。 いわゆる慰安婦問題については、1993年の河野談話において、本人たちの意思に反して集められた事例もあったと政府から見解が示されており、私も承知しています。 また、この問題は2015年に日本政府と韓国政府との間で最終的かつ不可逆的に解決することが確認されたと承知しております。 次に、表現の自由についてです。 表現の自由がどれだけ大事なことか、私みずから今までの人生の中でずっと表現者でもありましたから、一番わかっていると思っています。 定例会見における、同じようなことが神奈川県であったとしたら認めないという私の発言は、慰安婦像の問題を後押しするような展示に公金を支出できないと述べたものであり、表現の自由の問題として述べたものではありません。したがいまして、私の発言が表現の自由の侵害に当たり、萎縮効果を生むというご指摘は誤解であると私は受けとめています。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 公立学校教員に変形労働時間制を導入しないことについてです。 この制度について、国は教員の業務量そのものの縮減を目的としたものではないが、業務の縮減を図った上で導入すれば、夏休み中の休日のまとめ取りができるなど、教員を志す者にとっても教職の魅力向上につながるとしています。 一方、この制度に対しては、学期中の勤務が現在よりもさらに長時間化するおそれがあるなどの課題が指摘されています。 現在、法案の審議中ではありますが、私としてはこの制度の導入とあわせて、国において、教員業務の明確化やそれに見合った人員確保などの方策をしっかりと進めていただくことが大切であると考えています。 今後、国の動向や他都道府県の状況をよく把握しながら、指摘されている課題を十分考慮し、学校現場や市町村教育委員会等の意見も踏まえて、1年単位の変形労働時間制について検討してまいります。 あわせて、お尋ねの国への要望についてですが、今後、国の動向などを見定めながら、この制度について検討していきますので、現在、国に対して要望を行うことは考えておりません。 以上でございます。 〔警察本部長(古谷洋一)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 古谷警察本部長。
◎警察本部長(古谷洋一) 被疑者の安全確保についてお答えいたします。 議員からお話のありました2件の事案につきましては、取り扱い時に被疑者の容体が急変しまして、搬送先病院で死亡が確認されたものであると承知しております。改めてご冥福をお祈り申し上げるとともに、そのご家族には心からお悔やみを申し上げます。 県警察におきましては、被疑者の逮捕等に際して、有形力の行使を必要最小限にとどめ、相手方に不必要なダメージを与えることがないよう十分に留意することとしております。 そのため、現場で職務執行に当たる地域警察官を中心に、本部及び各警察署の術科指導者による具体的かつ実戦的な訓練を計画的に実施しているところでございます。 今後も訓練の充実を図るとともに、逮捕等の際における有形力の行使に関する留意事項を徹底し、適正な職務執行に努めてまいります。 以上でございます。 〔大山奈々子議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 大山奈々子君。 〔
大山奈々子議員登壇〕
◆大山奈々子議員 ご答弁いただきました。 1点、教育長に伺います。 変形労働時間制について、労働基準法では変形労働時間制は恒常的な時間外労働がないことを前提とした制度とされています。学校現場は恒常的な時間外労働がないと言えるのでしょうか、見解を伺います。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 大山議員の再質問にお答えします。 県教育委員会が平成29年度に県立学校では9月から10月まで、市町村立学校では11月から12月までのうち、それぞれ7日間実施した勤務実態調査では、総括教諭及び教諭の1日の平均勤務時間のうち、正規の勤務時間を超過する勤務時間数は、小学校では2時間45分、中学校では3時間33分となっており、高等学校、特別支援学校を含むいずれの校種においても、正規の勤務時間を超えて業務に従事している実態が明らかになっています。 この状況が国の制度導入の前提としている恒常的な時間外労働がない状態に当たるかについては確認できませんが、私としては教員の勤務実態が厳しい状況にあると認識しております。 国においても、この1年単位の変形労働時間制は、教員の業務の縮減、特に夏休みの業務縮減を前提としていますので、私もそうした対応が必要と考えております。 以上でございます。 〔大山奈々子議員発言の許可を求む〕
○副議長(渡辺ひとし) 大山奈々子君。 〔
大山奈々子議員登壇〕
◆大山奈々子議員 それでは、要望を申し上げます。 介護・看護のハラスメント対策に関しては、事業者に過大な期待を託すのではなく、県の取り組み次第で、サービスを提供する側も利用者も安心・安全の信頼関係を築くことができます。労働者の自己犠牲に頼るあり方は改めなければなりません。 本県は相談窓口、専門のものを設けないということですけれども、兵庫県が取り組まれている姿勢に学び、本県が果たすべき役割を果たしていただくよう要望します。 教員の変形労働時間制に関しては、教員の働き方の実態調査を見ても、恒常的な残業がない状態だという前提条件を明言されないというご答弁でしたけれども、昨年8月に文部科学大臣に提出した教員定数増を求める要望書には、正規の勤務時間を超える深刻な状態との叙述があります。これは教育長名で出されています。深刻な状態を直視せず、残業代節約制度にすぎないこの制度を導入することは、教員の働き方改革の後退であり、認められません。 子供たちのためにも、先生方の働きがいと健康と命を守ってくださるようお願い申し上げます。 最後に、知事の発言に関してです。 歴史認識に関しては、河野談話をお示しになり、強制連行の史実をお認めになりました。記者会見では、当初、強制連行を否定するかのような発言がありました。時に正確な知見を持ち得ない分野でも、急遽意見を求められる知事の立場の難しさは理解できますが、認識が誤っていたなら、知事の発言が国際関係にも影響を及ぼしかねないという重さを理解し、率直に撤回、謝罪するべきです。 先ごろ亡くなった中曽根元首相はこのような言葉を残しておられます。 歴史を正視し得ない民族は他の民族からの信頼も尊敬も得ることはできない、中曽根氏と親交が深かったとされる知事も、そして私たちもぜひこの言葉の意味をかみしめていきたいと思います。 次に慰安婦問題の解決についてです。日韓合意の不可逆的な解決に関してですが、当時の日本政府の発表では、その前提として、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととすると述べられています。 ところが、河野談話の後でも、政府関係者や政治家から慰安婦問題の存在自体を否定する言論が繰り返され、被害者を傷つけ続けています。また、教科書検定制度のもと、中学生の全ての歴史教科書から慰安婦の記述がなくなりました。 国連の諸機関から、日本政府に何本も勧告が出されています。加害側が政府間交渉でもう謝ったから、お金を払ったからもう免罪された、終わったという認識では、被害者への贖罪と両国の関係改善には至りません。今なお心身の傷に苦しむ被害者に寄り添った対応が求められます。 次に、表現の自由の問題ですが、知事は公金の支出を認めると県民の理解が得られないとおっしゃいますが、知事が見ている県民は誰なのでしょうか。900万を超える県民の中には歴史の真実を見たくない人もいれば、元慰安婦のハルモニと温かい交流を深める人もいます。 多様な県民がいるからこそ、一人一人の意見を尊重することが必要で、憲法は表現の自由の保障を国や自治体に求めています。 弁護士団体の決議によると、今後、主催者は補助金支給を受けるために、時の政府の意向をそんたくすることが予想されると批判しておられます。知事の発言を聞いて、県民として不安と恐怖を覚えたという女性の声も報道されています。公職にある者なら、その恐怖の意味を真に理解することが必要です。 知事に求められるのは、公金支出を盾に検閲的なことを行うのではなく、表現の自由を保障することです。さきに挙げたような法律家からの助言、県民の嘆きにも謙虚に耳を傾けるべきです。 知事が記者会見で語られた地域同士の交流、人間交流を大事にしていきたいという言葉は希望です。本県の強みである民際外交を発展させ、人類愛に満ちた神奈川を実現されますよう要望を申し上げて、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。 〔拍 手〕
○副議長(渡辺ひとし) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(渡辺ひとし) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は20分後といたします。 午後1時46分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-令和元年第3回-20191202-028577-質問・答弁-渡辺紀之議員-代表質問①本県の安全安心を守る取組について②ヘルスイノベーションの取組について③県政の重要課題について》 午後2時10分 再開 〔議会局長報告〕 出席議員 議長共97名
○議長(梅沢裕之) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(梅沢裕之) 質問を続行いたします。 渡辺紀之君。 〔渡辺紀之議員登壇〕(拍手)
◆渡辺紀之議員 皆様、こんにちは。 ただいま議長から発言のお許しをいただきましたので、私は自由民主党神奈川県議団を代表し、通告に従い、順次質問いたします。 知事、警察本部長におかれましては、明快なご答弁を、また、先輩、同僚議員の皆様には、しばしの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 質問の第1は、本県の安全安心を守る取組であります。 〔資料提示〕 初めに、災害発生時のボランティア支援について伺います。 10月12日に東日本に上陸した台風19号は、10日からの総雨量が箱根町で1,000ミリに達するなど記録的な大雨をもたらし、関東甲信地方や東北地方に広範な地域で河川の決壊などにより甚大な被害をもたらしました。 本県においても各地でさまざまな被害が生じましたが、多摩川による浸水被害のあった川崎市や、土砂崩れのあった相模原市においては、災害ボランティアセンターが県内で初めて設置され、多くのボランティアによる支援活動も行われました。そして、現在も引き続き行われております。 被災された方が途方に暮れているときに駆けつけた多くのボランティアの方々が、家屋や敷地にたまった土砂の撤去や、水につかった家具や畳などの片づけをしてくださったことは、大変ありがたかったことと思います。改めて、ボランティア活動に携わった全ての皆様に大いに敬意を表するところであります。 県では、かながわ県民活動サポートセンターに県災害救援ボランティア支援センターを設置し、県社会福祉協議会や県共同募金会、神奈川災害ボランティアネットワークと協働して運営が行われております。 そして、川崎市及び相模原市にスタッフを派遣し、両市の災害ボランティアセンターの設置・運営を支援するとともに、ホームページやSNSを通じた広報協力等を行ったことは承知しており、そうした迅速な対応について評価しているところであります。 平成28年に発生した熊本地震や、平成30年7月の西日本豪雨では多くの方が被災し、必要な支援も長期化したことで、さまざまなボランティアニーズが生じ、被災者の生活支援において多くのボランティアの方々が参加しており、現在もその支援活動が続いております。 また、今回の台風19号では、被災地が東日本の広範囲にわたるとともに、公共機関の寸断や、学生が長期活動をしづらい時期であったことなどから、ボランティア不足が深刻であるとの報道がされております。 また、その実態として呼びかけ団体である神奈川災害ボランティアネットワークのもと、11月14日開催した2019年台風19号災害神奈川情報共有会議に参加させていただき、各団体の活動報告をじかに伺い、現場のご苦労と課題なども確認させていただきました。 このように、災害が大規模化すればするほど、被災者を支援するためには、多様な分野で、また、多くの方々がボランティア活動へ参加することが必要になってきます。 そこで、知事に伺います。 切迫性が指摘されている首都直下地震や、気候変動の影響により激甚化する風水害などの一層大規模な災害が発生した際に、被災者へのボランティア支援が効果的に行われるよう、県としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 次に、CSF(豚コレラ)対策について伺います。 〔資料提示〕 先月、11月12日に農林水産省において、豚コレラの名称変更についての発表がありました。現在用いている豚コレラという名称には、人の疫病であるコレラを想起させるとの意見があり、科学的には、ウイルスによって起こる豚コレラは、細菌で起こる人のコレラとは何ら無関係であり、全く人に感染するものではありません。 国際獣疫事務局─OIEにおいて、豚コレラの正式名称としてClassical Swine Fever─CSFが用いられております。今後、CSFの名称を用いることを申し上げ、豚コレラの質問に入ります。 昨年9月、岐阜県で国内26年ぶりの発生を見たCSFは、1年を経て関東地域にまで感染が拡大し、これまで国内で約15万頭もの豚が処分されております。本年10月以降は、隣接する静岡県や山梨県でもCSFに感染した野生イノシシが確認されて、11月16日には山梨県の農場での感染が発生しており、いつ本県にCSFが侵入してもおかしくない状況にあります。 本県には約60戸の養豚農家があり、高い生産技術と日々のたゆまぬ努力によって、かながわ夢ポークなどさまざまなブランドの豚肉を生産し、地産地消の推進に大きく寄与しております。 しかし、万一、養豚場でCSFが発生すれば、経営再建の道のりは極めて厳しく、県内養豚業、食肉流通業、小売店に与える影響ははかり知れません。 国は、CSFのこれ以上の発生拡大を防ぐため、それまでのワクチン接種を認めないという方針を転換し、10月15日にCSF─豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針を改定して、野生イノシシの感染が認められた県を豚のワクチン接種推奨地域として設定しました。 設定を受けた県では、10月下旬から順次、ワクチン接種を進めていますが、本県は野生イノシシの感染が確認されていないため、県内養豚団体や県が国に対し、ワクチンの接種を再三要望しているにもかかわらず、ワクチン接種が認められておりません。 今や関東及び隣接県まで感染が広がり、県内の屠畜場には県外産の豚が多く搬入され、県外からの侵入リスクが高まっています。感染がここまで広がる前に国がワクチンを増産して、各県でワクチン接種できるようにしておくべきであったとの思いを抱かざるを得ません。 そうした中、11月14日に県は本年度予算の予備費を活用してCSF(豚コレラ)感染防止緊急対策を実施することを発表しました。今、緊急対策を講じるという判断は適切であったと理解しますが、事態は一刻の猶予もないことから、直ちに対策に着手する必要があると考えます。 そこで、知事に伺います。 県内の養豚業をCSFから守るため、CSF(豚コレラ)感染防止緊急対策の実施状況を含め、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 次に、鳥獣被害対策の取組について伺います。 〔資料提示〕 イノシシやニホンジカなどの野生鳥獣による被害は、農村部から近年では都市部まで県内の至るところで発生しており、農業や県民生活を営む上で深刻な問題となっております。 県の報告によれば、野生鳥獣による県内農作物の被害額は増減を繰り返してはいるものの、平成30年度の被害額は約1億8,500万円と依然として高水準にあります。その中でも、イノシシの被害は増加傾向と聞いております。 また、農作物被害だけでなく、今年度は、ツキノワグマが餌を求めて山から人里におりてきて、住宅地付近にまで出没する事例が全県的にも多く起きており、熊と人が遭遇することによる人身被害も強く懸念されているところです。 鳥獣による被害の問題は今に始まったことではなく、昔から鳥獣と人間のせめぎ合いが繰り返されている中で、近年は、中山間地域の人口の減少や高齢化によって里地里山や農地周りの手入れがされておらず、鳥獣が出没しやすい環境となっていることも、鳥獣被害の大きな原因とされております。 こうした状況に対応するためには、山と人里との境界部において、鳥獣が出没しにくい環境づくりを地域ぐるみで行うこと、すなわち、常に餌が豊富にあり、安心して休息し、住むことのできる場所を鳥獣に与えないように各地域で取り組むことが重要であります。 また、その一方で、やぶ刈りや放置された農作物の除去、追い払いなど地道な作業が必要となり、地域の負担になっているのも現状であります。 県では、平成29年度にかながわ鳥獣被害対策支援センターを設置し、こうした地域ぐるみの対策の立ち上げにおいてさまざまな技術的支援を行っていますが、地域の負担軽減になるような新しい取り組みも重要だと考えます。 また、先ほどのCSF─豚コレラ対策でも申し上げましたが、11月14日に感染防止緊急対策の対応の一つとして野生イノシシ侵入防止柵対策をされていますが、地元の農家及び住民は、日ごろからの強化する継続的な予算と人員の確保が県民の安全・安心と今回の養豚業の安心につながると言っております。 また、これまでの丹沢・大山を初めとした山間地域のほかに、近年ではこれまで長らく生息が見られなかった逗子・葉山に連なる二子山地域に生息が確認されているイノシシも大きな課題になっております。 昨年度に策定した「神奈川県イノシシ管理計画」に基づき、他の地域に生息分布が広がらないようしっかりとした対策が必要と考えます。 そこで、知事に伺います。 地域の負担軽減のため、ICTなどの新技術を駆使した鳥獣被害対策が必要だと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。また、横須賀三浦地域のイノシシ対策の強化について、どのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 渡辺議員のご質問に順次お答えしてまいります。 本県の安全・安心を守る取り組みについて、何点かお尋ねがありました。 まず、災害発生時のボランティア支援についてです。 災害発生時の被災者支援では、ボランティアの活動が不可欠であり、今回の台風19号でも県内で多くの方々が支援に携わっています。 また、大規模災害では、被害が広範囲にわたるため、より多くのボランティアが必要となり、求められる支援も復興の段階に応じ、住宅の片づけから、避難所での要配慮者の話し相手、仮設住宅での高齢者の見守りなど、多様となります。 こうした被災者のニーズに的確に対応するには、災害ボランティアとして活動したことがある方だけでなく、経験のない方やさまざまな分野で活動するボランティア団体にも、積極的に支援活動に携わっていただくことが重要です。 そこで、経験のない方が安心して被災者支援に参加できるよう、県民活動サポートセンターで、被災者支援の必要性や災害現場での支援内容、留意事項などを学ぶ初心者向け災害ボランティア講座を令和2年度から新たに開講します。 あわせて、この講座の内容をより多くの方に知っていただくため、研修資料を県のホームページやSNSで発信するとともに、市町村の市民活動支援センターなどにも提供していきます。 また、さまざまな分野のボランティア団体に参加いただくためには、日ごろから各団体の活動に助言を与えるなど、つながりを持つ中間支援組織を通じて、団体の活動そのものが被災者への支援になることを広く理解していただくことが大切です。 そこでまず、あす3日に内閣府、県社会福祉協議会とともに、中間支援組織を対象に災害時のボランティア支援に関する研修会を開催します。その上で、中間支援組織とともに、さまざまな分野のボランティア団体に呼びかけを行い、それぞれの活動を生かした被災者支援に向け、具体的な被災者ニーズや想定される対応を考えるワークショップを県内各地で開催します。 こうした取り組みを通じ、大規模災害時においても多くのボランティアによる多様な活動が行われることで、被災者に寄り添った支援につなげてまいります。 次に、CSF─豚コレラ対策についてです。 万が一、県内でCSFが発生すれば、本県養豚業は壊滅的な打撃を受け、再建不能の危機に陥るおそれがあります。 そこで、10月21日に私が内閣官房長官に直接面会し、ワクチンの増産を至急進め、県の主体的な判断でワクチン接種を行えるよう強く要望しました。 現在、国はワクチンの増産は進めていますが、ワクチン接種の方針は変えていません。県内の養豚農家は隣接県までCSFが迫っていても、県内ではワクチンを打てないため、焦燥感を抱いています。 そこで、県では直ちに実施すべき五つの事業を感染防止緊急対策として取りまとめ、本年度予算の予備費を活用し、早急に取り組んでいます。 現在の実施状況ですが、野生イノシシの検査体制の強化については、CSFに感染した野生イノシシを早期に発見するため、県猟友会の協力が得られ、検査頭数をふやす体制を整えました。 次に、イノシシ侵入防止柵の設置については、新たに設置予定の6カ所に対する補助金申請手続を既に完了し、今月から設置工事に着手します。 また、屠畜場の消毒体制の強化については、神奈川食肉センターに豚を搬入する車両の消毒設備を増設するとともに、民間業者に委託して常時監視する体制を本日からスタートしました。 あわせて、県外から豚の飼料を県内養豚場に運搬する車両を消毒するための消毒ポイントについても、運搬経路上にある県防災センターに本日から設置しています。 そして、ワクチン接種体制ですが、既に40名を超える民間獣医師に協力を依頼し、いつでもワクチンを接種できる体制を確立しました。 県がこうした対策を打ち出したことで、県内の養豚農家では、農場の防疫体制については自分たちの力でしっかり強化していこうという機運が高まっています。 県としては、CSF感染防止緊急対策をさらに徹底するとともに、養豚農家の自主防疫の取り組みを支援し、神奈川の養豚業を全力で守ってまいります。 次に、鳥獣被害対策の取り組みについてです。 まず、ICTなどの新技術を駆使した鳥獣被害対策についてです。 県では、地域の負担軽減のため、多数のわなを一括してスマートフォンで遠隔監視し、見回り回数を減らす技術の実証に取り組んでいますが、今年度は新たにAIを用いた技術の検証に着手しています。 具体的には、ドローンやセンサーカメラで撮影した熊や鹿などの大量の画像をAIで分析し、出没状況を短時間で的確に把握できるようにするものです。この技術が完成すれば、鳥獣の識別に要する時間が大幅に短縮され、また、その出没地域や時間に合わせた効果的な防除や捕獲が可能となります。 今後はこうした新技術を活用し、地域の負担や鳥獣被害を少しでも軽減できるよう、その実用化に向けた検証を急いでいきます。 次に、横須賀三浦地域のイノシシ対策の強化についてです。 最近になってイノシシの生息域が拡大してきたこの地域は、近隣に市街地や全国有数の露地野菜の生産地があることから、人身被害の発生や深刻な農業被害が危惧されます。 そこで、県では、地元市町や住民による鳥獣被害対策実施隊とエリアを分担しながら、県みずからも捕獲に取り組んだ結果、昨年度の捕獲数は全体で79頭、過去最高となりました。 今後は、この地域でイノシシの調査をしている大学や地元の農協、猟友会等とも連携して、イノシシの生息等の情報共有を密に図り、個体数の減少と生息分布の縮小に取り組んでいきます。 このように、県では地域が抱える鳥獣被害対策への負担感をしっかりと受けとめた上で、負担軽減を図る効果的、効率的な取り組みを地域と連携、協働して進め、鳥獣被害の防止を図ってまいります。 答弁は以上です。 〔渡辺紀之議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 渡辺紀之君。 〔渡辺紀之議員登壇〕
◆渡辺紀之議員 ご答弁ありがとうございました。 それでは、再質問させていただきます。 CSF─豚コレラ対策についてであります。 11月10日に藤沢で開催されましたかながわトントンまつりに参加させていただきました。その際、養豚関係者、養豚業者の方々からさまざまなご意見を承ったところでもあります。 現在、先ほどの答弁のとおり、県内でCSFに感染した野生イノシシは確認されていませんけれども、感染したイノシシを早期に発見するためには検査頭数をふやすことが重要であると、先ほどの答弁のとおりであります。 しかし、検査頭数をふやすために、県猟友会の協力を得たというお話でしたけれども、県猟友会の負担軽減にも配慮しなければ、実現はなかなか難しいのではないかと私は思うところでありまして、そのあたりのご見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 県猟友会の負担軽減についてお尋ねがありました。 検査頭数をふやすためには、猟友会の方にご協力いただかなければなりません。そこで、今回の緊急対策では、ご協力いただく猟友会の方の負担軽減に配慮して、イノシシの捕獲と血液サンプルの採取のための経費を措置しています。 今後も猟友会との連携を密にしながら、検査頭数の確保に努めてまいりたいと考えております。 答弁は以上です。 〔渡辺紀之議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 渡辺紀之君。 〔渡辺紀之議員登壇〕
◆渡辺紀之議員 それでは、要望させていただきます。 災害発生時のボランティア支援についてです。 先ほど申し上げましたけれども、2019年台風19号災害神奈川情報共有会議では、県内外の災害ボランティア団体などの方が情報交換をされたり、今後の取り組みをそれぞれ発表されておりました。 参加者の方からは、活動を細く長く続けるためにはNPOなどをサポートする中間支援組織が欠かせない。また、日ごろ災害と関係ない団体の協力も必要というようなご意見がございました。改めて、連携や情報共有の重要性を感じたところであります。 こうした課題を解決するために、災害ボランティアセンターは、社会福祉協議会を中心としながらも、地域におけるさまざまな団体、いわゆるNPO、青年会議所、日本赤十字社、中間支援組織などが関与・支援する必要があると考えます。県には一層幅広い対応を要望いたします。 そして、CSF─豚コレラ対策、そして、鳥獣被害対策の取り組みについて要望させていただきます。 私はCSF対策及び鳥獣被害対策というのは、この際、一体で考えるべきだと考えます。一見すると、異なる内容だと思われるかもしれませんが、CSFウイルスが野生イノシシを媒介して県内に侵入するおそれがある以上、野生イノシシ対策として、イノシシの生息状況の把握や電気防護柵の設置、やぶ刈りなど、徹底した鳥獣被害対策をすることが、県内でのCSF発生を防ぐという意味でも重要であると私は考えております。 県ではCSFウイルスの侵入リスクが高まっている以上、早急なワクチン接種が必要だと思いますので、各県の主体的な判断で接種できるよう、改めて国に強く働きかけることを要望いたします。 また、先ほど答弁でICTの話もございましたけれども、ロボット特区ということもあるので、鳥獣被害のスマート農業のモデル事業も、ある意味ではできるようになってくれればありがたいと思っている次第であります。 〔渡辺紀之議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 渡辺紀之君。 〔渡辺紀之議員登壇〕
◆渡辺紀之議員 質問の第2は、ヘルスイノベーションの取組について伺います。 〔資料提示〕 まず、ヘルスイノベーションスクールの更なる充実について伺います。 県は今年4月に、社会システムや技術の革新を起こすことができる人材の育成を目指し、県立保健福祉大学に大学院ヘルスイノベーション研究科、通称ヘルスイノベーションスクールを開設しました。 このスクールは既存の学習体系にとらわれない新しい教育機関であることから、関係者からも大きな期待を寄せられており、県はこれらの期待に応えるためにも、大学と一体となってさまざまな取り組みを進めていくべきであると考えます。 大学院の研究科であるこのスクールでは、ヘルスケア分野における人材の育成が研究科開設の一番大きな目的であり、最も重要な機能であると言えます。スクールが多くの優秀な学生を集め、社会において活躍することができる有用な人材を輩出するためには、教育内容の高度化、専門化に継続的に取り組んでいくことが重要でありますが、ヘルスイノベーションスクールは、現在、修士課程のみの設置となっております。 無事に開設を迎え、スタートを切った今こそ、このスクールにおいて、より高度で専門的な教育や研究を行うことができるように、また学生のモチベーションを向上し、将来のキャリアパスにより寄与できるように、費用対効果を勘案しつつ、博士課程の設置などを含めた次にとるべき方策についても検討していくことが必要だと考えます。 また、昨年9月の代表質問において、私がヘルスイノベーションスクールにどのような機能を持たせていこうとしているのかと質問したところ、知事からは、人材育成や研究機能に加え、保健、医療を初めとする県の諸課題の解決に向けて、具体的な提言を行うシンクタンク機能を持たせるという答弁がありました。 スクールを開設したことによるメリットを、県民の皆様の目に見える形にしていく必要があることについては、我が会派も繰り返し述べてきましたが、シンクタンク機能を発揮し、県政の課題に対して具体的な提言を行い、解決につなげていくことが重要であります。 そこで、知事に伺います。 ヘルスイノベーションスクールが、今後、より高度で専門的な教育や研究を行うためにどのように取り組んでいくのか、また、シンクタンク機能をどのように発揮していこうとしているのか、あわせて伺います。 次に、湘南ヘルスイノベーションパークとの連携と県の支援について伺います。 〔資料提示〕 県では、超高齢社会を乗り越えていくため、ヘルスケア・ニューフロンティア政策を掲げ、最先端医療・最新技術の追求と未病の改善という二つのアプローチを融合させ、持続可能な新しい社会システムを創造していくことを目指しており、県の重点政策として「かながわグランドデザイン」第3期実施計画の中で神奈川の戦略の一つに位置づけ、さまざまな取り組みを進めていることは承知しております。 この中で最先端医療・最新技術の追求としては、県が平成28年に川崎市の殿町地区に整備したライフイノベーションセンターに国内外から有望な企業の集積が進み、再生・細胞医療の産業化の拠点が形成されてきております。 また、プロジェクトとしても神奈川県立産業技術総合研究所が中核となって、文部科学省の地域イノベーション・エコシステム形成プログラムの支援を受けながら、再生毛髪の大量調製革新技術の開発や貼るだけで自律型の次世代人工膵臓の開発など、県民の目に見える具体的な取り組みも進んでいます。 一方で、県では昨年4月に武田薬品工業株式会社と覚書を締結し、藤沢市にある同社の湘南ヘルスイノベーションパーク、通称湘南アイパークと、殿町のライフイノベーションセンターや溝口のKSPとの拠点間連携を図っていると承知しております。 湘南アイパークでは、再生医療、未病、認知症、希少疾患の四つの注力領域を設定して、イノベーションを起こしていくことが目指されています。 特に未病分野では、県の未病産業研究会の参加企業を中心に、早期ビジネス化を目指すコンソーシアムである湘南会議を昨年10月に立ち上げ、メタボや認知症などをテーマに、ビジネス化に向けた取り組みが民間主導で進められています。 民間主導でスタートした湘南アイパークで、県のヘルスケア・ニューフロンティア政策に沿った形で自由闊達な研究開発が行われ、花が開きつつあることを評価しております。 こうした取り組みを持続可能なものとし、地域経済の活性化につなげていくためにも、県と湘南アイパークなど関係機関が連携して、イノベーションの創出とともに、国家戦略特区に指定されている強みを生かして、規制緩和などによる企業の研究開発の促進を図る支援を強化することが重要になります。 そこで、知事に伺います。 武田薬品工業株式会社との覚書の締結後1年半が経過する中で、県はこれまでどのように湘南アイパークと連携を図ってきたのか、また、湘南アイパークを拠点とした民間主導の動きに対して、県は企業の研究開発を支援すべきと考えますが、あわせて見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) ヘルスイノベーションの取り組みについてお尋ねがありました。 まず、ヘルスイノベーションスクールのさらなる充実についてです。 ヘルスイノベーションスクールは、これまで県議会や有識者からさまざまなご意見をいただきながら、教育内容や育成する人材像などについて議論を重ね、本年4月に無事にスタートを切ることができました。 このスクールは高齢化が急速に進展する中で、医療、保健、福祉分野が直面する課題の解決に向けて、イノベーションを起こし、挑戦していく人材の育成を目指す教育研究機関です。 こうした人材を育成するため、さまざまな分野のスペシャリストを教授陣にそろえ、医療とビジネス分野の横断的な教育や、現場ニーズを踏まえた実践的な研究等に取り組んでいます。 そうした中で、特に研究分野において、例えば進歩が著しいビッグデータやAIの活用など、より専門的な研究能力を身につけるためには、さらなる教育の機会が必要です。そのため、現在、大学では、現場のニーズも踏まえながら、博士課程の設置について具体的に検討しています。 また、大学のシンクタンク機能を発揮するために、スクールの多彩な教授陣を活用したイノベーション政策研究センターをこの4月に設置し、科学的根拠に基づく政策立案の支援や研究成果の社会実装に向けた取り組みを行っています。 具体的には、市町村職員を対象に、医療や検診データの分析、活用方法の研修を開催して、市町村の政策立案を支援しています。 また、県民の皆様の行動変容につながる未病指標の社会システム化に向けた検討も進めています。 さらに、今後は高齢化やテクノロジーの進展等、急激な社会変化に伴う課題等に対応するため、既存の考え方にとらわれない新しいアプローチから解決策を提言してもらうなど、シンクタンク機能の一層の発揮を期待しています。 引き続き、県と大学が連携してヘルスイノベーションスクールを開設したメリットが県民の皆様に届くよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、湘南ヘルスイノベーションパークとの連携と県の支援についてです。 湘南ヘルスイノベーションパーク、通称湘南アイパークは、平成30年4月に武田薬品工業株式会社が湘南研究所をリニューアルして開設した施設で、同社が持つフィールドや最先端の技術、知見を活用してイノベーションを加速化することを目指しています。 開設に当たって、県は同社と議論を重ね、湘南アイパークを中心としたオープンイノベーション拠点の形成等に向けた覚書を締結しました。 これまで県は同社と共同で、湘南アイパークと川崎市のキングスカイフロントにあるLIC、溝口にあるKSPの3拠点間の連携強化を進めてきました。そして、県は再生医療の拠点間連携をテーマとしたセミナーを開催したり、創薬研究に係る相談、入居企業のあっせん等を行った結果、湘南アイパークへの企業の進出につながるなど、具体的な成果が出ています。 また、湘南アイパークでは、未病産業研究会の会員企業を中心にした湘南会議において、運動、生活習慣改善のためのビジネスモデルの研究開発に取り組んでいます。 県は、モニターを確保して、新たな未病改善技術などを実証する神奈川ME-BYOリビングラボでこの研究開発に関する実証実験を支援しています。 さらに、湘南アイパークに入居している企業を支援するため、県職員を定期的に派遣し、研究開発に当たっての課題の共有や解決に向けた調整を行っています。 そうした中、県は入居企業から新薬開発の加速化に向けた規制緩和の要望を受け、国家戦略特区を活用して国に対して提案を行いました。 これをきっかけに、国は特区に限定せず、全国的に規制自体を緩和することとし、結果的に新薬開発の手続が大幅に短縮されることになりました。 県は今後も関係機関と連携し、特区制度のさらなる活用、研究開発やイベント等での協働を行いながら、湘南アイパークを核としたイノベーションの創出に向けて取り組んでまいります。 答弁は以上です。 〔渡辺紀之議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 渡辺紀之君。 〔渡辺紀之議員登壇〕
◆渡辺紀之議員 それでは、再質問させていただきます。 ヘルスイノベーションスクールのさらなる充実についてであります。 ただいま、知事からシンクタンク機能の発揮についての答弁がありました。もともと、ヘルスイノベーションスクールは新たな社会システムをつくることができる人材の育成を目指して開設したと思いますけれども、その中には未来の新たな医療やヘルスケアについても含まれていると思われます。 こうしたことを踏まえまして、先ほど答弁にもございましたけれども、シンクタンクの今後の展開について、もう少し具体的にご説明をお願いいたします。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、ヘルスイノベーションスクールのシンクタンク機能の今後の展開について、もう少し具体的にというお話でありました。 人生100歳時代を迎えまして、県民の皆様が幾つになっても健康で生き生きと暮らすことができる神奈川を実現するために、現在の課題の解決はもとより、急速に進みますイノベーションを見据えた中長期的なヘルスケア分野のビジョン、こういったものを示していく必要があると考えています。 そこで、こうしたビジョンの策定についても、シンクタンク機能を発揮してもらいたいと考えております。 答弁は以上です。 〔渡辺紀之議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 渡辺紀之君。 〔渡辺紀之議員登壇〕
◆渡辺紀之議員 ご答弁ありがとうございました。 それでは、要望させていただきます。 ヘルスイノベーションスクールのさらなる充実についてです。 このヘルスイノベーションスクールの教育や研究の高度化や専門化を博士課程開設によって実現できることは望ましいことだと思いますけれども、費用対効果についても十分に検討をし、関係者の意見を伺いながら開設を決めていただければと思います。 また、シンクタンク機能の活用について、開設と同時に活動を始めたということで一定の評価をさせていただきますが、大事なことはその成果を、知事もおっしゃいましたけれども、県民の皆様の目に見える形にしていただくことであります。ぜひ提言をしていただきながら、健康医療分野の諸課題の解決に向けて、県、大学が一体となって取り組んでいただくことを要望いたします。 〔渡辺紀之議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 渡辺紀之君。 〔渡辺紀之議員登壇〕
◆渡辺紀之議員 質問の第3は、県政の重要課題についてであります。 〔資料提示〕 まず、新たな観光の核づくりについて伺います。 今年のラグビーワールドカップ2019は、日本代表の健闘が多くの観戦客に感動を与え、準決勝・決勝が行われた横浜国際総合競技場だけでなく、みなとみらい地区に設置されたファンゾーンも含めて、多くの観戦客で盛況でありました。 私自身も外国人観光客の多さをこの目でじかに見、肌で感じたところであります。 来年は東京2020大会が開催され、再び多くの観光客が本県を訪れることが予想されます。持続可能な観光の実現に向けて、大規模イベントの後に備えて、観光客を減らさない取り組みを今から準備することが大事であります。 また、10月に本県を襲った台風19号を初め、今年は本県有数の観光地である鎌倉や箱根では、自然災害によって大きな被害を受けました。「観光振興計画」にも掲げている持続可能な観光振興のためにも、自然災害への備えや風評被害への対応等、本県を訪れた観光客に将来のリピーターとなってもらう取り組みが大事であります。私は、それこそが県が取り組んできた観光の核づくり事業であると考えます。 さきの9月定例会本会議の代表質問では、知事から核づくり事業の成り立ち等について答弁いただきました。特に、県が創設した新たな観光の核づくり促進交付金による支援によって、城ヶ島・三崎、大山、大磯の各地域に新たなにぎわいが生まれていること、また、何よりも地元が本気モードとなって取り組んでいることは高く評価しております。 一方でラグビーワールドカップ2019は大きな盛り上がりを見せ、県内にも国内外から多くの観光客が訪れましたが、そのほとんどは、横浜、鎌倉、箱根といった大きな観光地が中心であったと考えられます。 そうした観光客を来年、東京2020大会を契機に核づくり地域に呼び込んでいくためには、周辺観光地との連携を強化し、面的な広がりを持って観光客の呼び込みを図っていく必要があると考えます。 そのためには、引き続き、広域自治体である県の支援が必要であります。 また、地元の熱意と創意工夫ある取り組みが呼び水となって、各地域に新たな民間資本が参入するなど、地域に好循環が生まれてきます。この機運を逃さず、地域がさらに発展していくため、ネクストステージの取り組みが必要と考えます。 そこで、知事に伺います。 今後の観光の核づくり地域における取り組みの方向性と県の支援のあり方について、どのように考えているのか、見解を伺います。 次に、「かながわの
みちづくり計画」の推進について伺います。 〔資料提示〕 自動車専用道路を初めとする道路ネットワークは県民生活や社会経済活動を支え、地域の活性化や観光振興、さらには、災害時における代替路として、県民の安全・安心の確保にも寄与する重要な社会基盤であります。 近年、予算の確保は大変厳しい状況であるものの、道路はまちづくりの根幹となるものであり、必要な予算の確保に努め、道路の整備に着実に取り組んでいく必要があります。 現在、県では、かながわの
みちづくり計画に基づき、道路の整備に計画的に取り組んでおり、今年度末には、私の地元、伊勢原において、新東名高速道路の伊勢原大山インターチェンジが開通を迎えるなど、一定の成果が出ていることは承知しております。 しかし、昨年、国土交通省が取りまとめた高速道路の渋滞ワーストランキングでは、東名高速道路上り線の海老名ジャンクションから横浜町田インターチェンジ間の渋滞損失時間が全国1位となるなど、県内では依然として深刻な交通渋滞が発生しております。 2016年に改定したかながわの
みちづくり計画では、2025年度までの計画期間内に道路の整備を推進する整備推進箇所と、事業化に向けた検討を行う事業化検討箇所を示しているほか、国等による計画の具体化が望まれる自動車専用道路や、地域のまちづくりの進展、今後事業化する自動車専用道路の整備とあわせて、計画の熟度を高めていくべき重要な箇所として、将来に向けて検討が必要な道路を位置づけております。 かながわの
みちづくり計画に基づき、道路整備を着実に推進していくことはもちろんでありますけれども、持続可能な県土の発展のためには、次期の計画期間を見据え、計画の具体化が望まれる自動車専用道路の具体化を図るとともに、将来に向けて検討が必要な道路の検討熟度も高めていくべきと考えます。 そこで、知事に伺います。 かながわの
みちづくり計画に反映した計画の具体化が望まれる自動車専用道路や将来に向けて検討が必要な道路について、どのように取り組んでいくのか伺います。 次に、ユニバーサルデザインに配慮した警察施設の整備について伺います。 〔資料提示〕 現在、国におけるユニバーサルデザインについては、東京2020大会開催に向け、世界に誇れる水準でユニバーサルデザイン化された公共施設、交通インフラを整備するとともに、心のバリアフリーを推進することにより、さまざまな人々が暮らしていける共生社会を実現するため、取り組んでいるところであります。 東京2020大会以降においても継続してこれらを実行するため、ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議を設置するとともに、行動計画を策定し、推進しているところでもあります。 一方、本県における公共的な施設においても「神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例」を初めとして、平成31年3月に策定している神奈川県庁舎等施設長寿命化指針におけるユニバーサルデザインへの取り組みについて、施設面での対策を進めることとされております。 具体的には施設の用途や規模に応じて、敷地内のスロープや手すり及び誘導ブロックの設置のほか、エレベーターの設置等、積極的にユニバーサルデザインの導入を図っていくものと認識しております。 このような中、警察本部が管理している交番、駐在所については、本年3月に策定した「神奈川県警察交番等整備基本計画」に基づき、毎年10カ所程度の建てかえに合わせて計画的に整備されているものと承知しております。 また、警察署については、運転免許証の更新、落とし物の受領や届け出のほか、交通事故や犯罪被害に遭われた方、各種お困り事の相談等、毎日さまざまな方が訪れる場所でもあります。 その中には、高齢者や体の不自由な方、外国人など多様な利用者が想定されますが、例えば、車椅子やベビーカーを押して警察署に来庁された方を署員が持ち上げて移動せざるを得ないといった実態であることも承知しております。 まさしく、バリアフリー化を初めとしたユニバーサルデザインの導入整備が必要不可欠であると考えます。 県内の警察署については、計画的に建てかえが今後とも進むことを期待しておりますが、狭隘であったり、老朽化が進んだ施設はいまだ数多く存在しております。また、過去に耐震工事を行った施設といえども、ユニバーサルデザインに配慮した施設の整備が思うように進んでいないのではないかと懸念しているところでもあります。 そこで、警察本部長に伺います。 現在、県警察が管理している施設、とりわけ警察署におけるバリアフリー化を含めたユニバーサルデザインに配慮した施設の整備状況、こうした取り組みをしていく上での課題、さらに、それらの課題解消に向けた今後の取り組みについて、見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題についてお尋ねがありました。 まず、新たな観光の核づくりについてです。 県は海外にも強力に発信できる魅力的な観光地の創出に向け、新たな観光の核づくり促進交付金により、城ヶ島・三崎、大山、大磯地域における観光資源の発掘、磨き上げ等、地元の取り組みを支援してきました。 こうした交付金による支援もあり、3地域の入込観光客数は県全体の入込観光客数の伸び率を上回って増加するなど、着実に成果があらわれています。 また、核づくりの取り組みが呼び水となって、城ヶ島・三崎地域では商店街の景観の改善が図られたとともに、国家戦略特区を活用した高級リゾート施設の整備やスーパーヨットの誘致等、地域の活性化が具体的に動き出したことから、県も地元の取り組みを後押しするため、城ヶ島大橋の無料化を決断しました。 さらに、大山地域では外国人でも楽しめるインバウンド薪能が開催されるなど、外国人観光客の受け入れ機運が高まっているほか、大磯地域では、にぎわい交流施設の整備により、港を中心とした地域交流の拠点づくりが進むなど、3地域とも新たな魅力が生まれつつあります。 一方で、交付金は今年度をもって時限を迎えますが、こうしたよい流れをここで断ち切ることなく、これまでの取り組みで見えてきた特徴や強みを生かしたネクストステージにつなげていくことが重要です。 そのためには、稼ぐ視点を持つ民間事業者を含むさまざまなプレーヤーを巻き込むなど、将来の自走化まで促すような仕組みが必要です。 そこで、富裕層を初めとする外国人観光客の受け入れ環境の整備や他の観光地と連携した周遊プロモーションといった地元の取り組みに対して、県は民間事業者の活用やノウハウの提供など、必要な支援を行っていきます。 また、こうした取り組みについては、県からの支援だけでなく、地元にもご負担をいただくことが将来の自走化にもつながると認識しており、今後、県は交付金にかわる効果的な支援策について、3地域の声も丁寧に伺いながら、来年度予算編成に向けて検討してまいります。 次に、「かながわの
みちづくり計画」の推進についてです。 かながわの
みちづくり計画は、2016年から10年間を計画期間とし、この間に整備を推進する道路や計画の具体化が望まれる道路などを示した道路計画であり、この計画に基づき道路ネットワークの形成を進めています。 このうち、計画の具体化が望まれる自動車専用道路については、高速道路ネットワークの整備の進捗を見ながら、未整備箇所の計画の具体化に取り組んでいきます。 こうした中、圏央道などの整備が進み、今年度末には横浜北西線の開通が予定されるなど、高速道路ネットワークが形成されつつあり、特に新東名高速道路も海老名以東の延伸については、計画を具体化する時期に来ています。 このため、私が会長を務める新東名の建設促進協議会の活動などで計画の早期具体化に向けた国等への働きかけを強めるとともに、沿線自治体と連携し、県民や経済団体に広く必要性を訴え、機運を高めるなど、実現に向けた取り組みを強化します。 また、将来に向けて検討が必要な道路は、まちづくりの進展などに合わせて計画の熟度を高めていくべき道路です。 そこで、こうした道路は、まちづくりの主体となる市町村が地元の意向や土地利用の状況を踏まえ、地域にとって望ましいおおむねのルートなどを整理していただいているところであり、県もその取り組みに協力しています。 こうした整理が進んだ道路については、現在の
みちづくり計画の期間内であっても、優先度を考慮した上で取り組みのレベルを上げ、事業化に向けた具体の検討に着手していきます。 県は引き続き、地域経済の活性化や県民の利便性向上に向け、道路整備を着実に進めるとともに、市町村と連携し、将来を見据えた道路の計画の具体化にしっかりと取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔警察本部長(古谷洋一)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 古谷警察本部長。
◎警察本部長(古谷洋一) ユニバーサルデザインに配慮した警察施設の整備についてお答えいたします。 まず、施設の整備状況でございますが、県警察におきましては、平成17年以降に完成した秦野警察署を初めとします12警察署の建設に当たって、ユニバーサルデザインに配慮した施設整備を行っております。 本年6月に完成しました茅ヶ崎警察署を例に挙げて説明を申し上げますと、正面玄関の階段にスロープを併設し、エレベーターの押しボタンを低い位置に配置するなど、車椅子での利用に配慮しております。 また、1階トイレには車椅子やベビーカーでの出入りができ、折り畳みベッドや手すりを備えたみんなのトイレを配置し、また2階トイレも男女それぞれ車椅子での利用が可能なつくりとなっております。また、正面入り口1階ホールなどには、英語表記による案内板を設置しているところでございます。 また、これら以外の平成16年以前に建築されました42の警察署につきましては、15警察署にエレベーターを、また22の警察署に英語表記による案内板を設置しているという状況でございます。 次に、課題ですが、建築年次が古い警察署につきましては、警察署で取り扱う事案の変化、あるいは署員数の増加などによって、施設の狭隘化が進んでおり、ユニバーサルデザインの導入が困難な施設も一部にあるという点がございます。 最後に、今後の取り組みでありますが、建てかえを行う警察署につきましては、茅ヶ崎警察署と同様な取り組みを計画的に進めてまいります。 それ以外の警察署につきましては、「神奈川県公共施設等総合管理計画」により進められている施設の長寿命化工事の機会を捉え、大規模リフォームなどにより、狭隘を解消しつつ、積極的にユニバーサルデザインに配慮した施設となるよう整備を進めてまいります。 以上でございます。 〔渡辺紀之議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 渡辺紀之君。 〔渡辺紀之議員登壇〕
◆渡辺紀之議員 それぞれご答弁ありがとうございました。 再質問させていただきます。 新たな観光の核づくりについてであります。 これまで関係市町がやる気を持って取り組んでこられたのは、新たな観光の核づくり促進交付金による支援があったからだと評価しております。 これは平成31年度で終了され、地元はどうなることかなと思っていたところに、ただいま知事の答弁で、形は変わるにしてもネクストステージ、次の段階に来年度から検討するということをいただいたので、地元としても一安心だろうと思っておりますし、また、改めて頑張ろうという機運が高まっていると思います。 さて、本県にはさまざまな観光資源があり、それぞれの地域において、これまで熱心に観光振興に取り組んできたものと承知しておりますけれども、私はこうした地域が連携して、それぞれの観光魅力がつながっていくような面的な取り組みが、今後の本県の観光振興の鍵を握っていると思っております。 そこで、知事に伺います。 今後、次の段階の取り組みに当たっては、核づくり地域が単独で取り組むよりも、近隣地域と連携し、面的な広がりを持った取り組みが効果的と考えますが、見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 城ヶ島・三崎の海、大山の歴史、大磯の文化等、核づくり3地域にはそれぞれ特色あるコンテンツが存在します。こうしたコンテンツに体験の要素を取り入れまして、近隣観光地と組み合わせることで、観光客の滞在時間の延長及び消費の促進につなげていきたいと考えています。 例えば大山の歴史に触れた観光客が一歩足を伸ばして、隣接する丹沢の自然を生かしたスポーツでありますとか、七沢の温泉を楽しんでいただくといったことで、大山を中心としたエリア全体の魅力も高まるものと思っております。 このように多様な視点で核づくり3地域と近隣観光地をつなげるということで、県内全体の観光振興を図ってまいりたいと考えております。 答弁は以上です。 〔渡辺紀之議員発言の許可を求む〕
○議長(梅沢裕之) 渡辺紀之君。 〔渡辺紀之議員登壇〕
◆渡辺紀之議員 ご答弁ありがとうございました。 それでは、要望させていただきます。 まず、新たな観光の核づくりについてです。 先週においては、大山地域においては紅葉シーズンでもあって、多くの観光客がお見えになったところでもあります。 新たな観光の核づくりの実現には、面的な広がりを持った取り組みが大変重要であります。例えば、先ほど来、話が出ている伊勢原市は、お隣の秦野市、厚木市と連携した観光促進にも努めております。 我が会派の神倉議員が、9月の一般質問で丹沢地域観光のポテンシャルの高さを指摘していましたけれども、歴史文化の大山地域と、スポーツやアクティビティといった体験型観光の丹沢地域の取り組みがつながっていることは、本県の観光振興に大きく寄与するものと私は期待しているところであります。 ぜひこれまでの観光振興に対する地元の熱意をさますことなく、県の関連市町に対する引き続きの支援と近隣市町との連携に対する積極的な取り組みについて要望いたします。 次に、「かながわの
みちづくり計画」の推進についてであります。 各地域で、かながわの
みちづくり計画に基づいて道路整備を着実に推進していくことはもちろんでもありますけれども、持続可能な県土の発展のためには、次期の計画期間を見据え、計画の具体化が望まれる自動車専用道路の早期具体化はもとより、将来に向けて検討が必要な道路の検討熟度が高まるよう、各市町村にさらなる県の後押しをいただき、次期の格上げ─レベルアップをされる路線が一本でもふえるよう要望いたします。 そしてまた、一部では3市町が連携した促進協議会も既に開催されている地域もございますので、そのあたりも注視していただきながら、また検討いただければと思います。 次に、ユニバーサルデザインに配慮した警察施設の整備について要望いたします。 県内の警察署で、計画的な建てかえによってユニバーサルデザインの導入が今後とも進められていることは承知いたしましたが、今もなお狭隘であったり、老朽化が進んだ施設が数多く存在しております。 現在、県警において、高齢運転者の免許証の自主返納に向けた取り組みが進められていますけれども、受付を行う警察署の中には、不便な段差があったり、トイレが旧型であったり、また警察署の受付と待合と講習する場所が一体であるといった、利用者に配慮した施設になっていない警察署も数多くございます。 地元でもいろいろと移転新築や改修を要望しても、過去に耐震工事を行った施設なのでと言われてなかなか進まないところもございますけれども、ただいまの警察本部長のご答弁のとおり、現代のユニバーサルデザインに配慮した施設の整備をしっかりと進めていただくことを要望させていただきます。 今回は災害対策、そしてまたボランティアの連携だとか、豚コレラ、鳥獣被害対策、そしてさまざまな喫緊の課題もございますけれども、ヘルスイノベーションのような未来に関する話もさせていただきました。そしてまた、警察の関係、観光、道路整備と県民にとって大事な議論をさせていただいたところでもございます。 ぜひ常任委員会でも議論を深めさせていただきながら、進めていただければと思います。 私の質問は以上とさせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。 〔拍 手〕
○議長(梅沢裕之) お諮りいたします。 本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(梅沢裕之) ご異議がないと認めます。 よって、本日の質問はこれで終わります。 ───────────────────────────────────────
○議長(梅沢裕之) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 お諮りいたします。 明3日は休会いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(梅沢裕之) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 次回の会議は、12月4日午前10時30分に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。 午後3時18分 散会...