平成30年 第二回 定例会
△《本会議録-平成30年第2回-20180625-028320-諸事項-出席議員等・
議事日程-》 平成30年第2回
神奈川県議会定例会会議録第9号〇平成30年6月25日 午前10時30分開議 ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共102名 出 席 議 員 綱 嶋 洋 一 お ざ わ 良 央 武 田 翔 田 村 ゆうすけ 米 村 和 彦 中 村 武 人 木 佐 木 忠 晶 君 嶋 ち か 子 古 賀 照 基 高 橋 延 幸 池 田 東 一 郎 西 村 く に こ 田 中 信 次 川 崎 修 平 神 倉 寛 明 石 川 巧 芥 川 薫 川 本 学 市 川 和 広 山 本 哲 い と う 康 宏 斉 藤 た か み 赤 野 た か し 京 島 け い こ 大 山 奈 々 子 藤 井 克 彦 佐 々 木 ゆ み こ 石 川 裕 憲 楠 梨 恵 子 谷 口 かずふみ 亀 井 たかつぐ 新 堀 史 明 瀬 戸 良 雄 田 中 徳 一 郎 山 口 貴 裕 藤 代 ゆ う や 渡 辺 紀 之 原 聡 祐 高 橋 栄 一 郎 あ ら い 絹 世 浦 道 健 一 青 山 圭 一 岸 部 都 さ と う 知 一 加 藤 な を 子 井 坂 新 哉 飯 田 満 と う ま 明 男 佐 々 木 正 行 髙 橋 稔 守 屋 てるひこ 柳 下 剛 八 木 大 二 郎 細 谷 政 幸 河 本 文 雄 加 藤 元 弥 内 田 み ほ こ 長 田 進 治 国 松 誠 作 山 友 祐 松 本 清 てらさき 雄 介 長 友 よしひろ 北 井 宏 昭 菅 原 直 敏 杉 山 信 雄 渡 辺 ひ と し 小 野 寺 慎 一 郎 赤 井 かずのり 杉 本 透 し き だ 博 昭 小 島 健 一 梅 沢 裕 之 嶋 村 た だ し 桐 生 秀 昭 佐 藤 光 森 正 明 土 井 りゅうすけ 山 口 ゆ う 子 た き た 孝 徳 近 藤 大 輔 日 下 景 子 馬 場 学 郎 中 村 省 司 相 原 高 広 藤 井 深 介 小 川 久 仁 子 持 田 文 男 竹 内 英 明 国 吉 一 夫 松 田 良 昭 鈴 木 ひ で し いそもと 桂 太 郎 牧 島 功 堀 江 則 之 久 保 寺 邦 夫 松 崎 淳 高 谷 清 茅 野 誠 はかりや 珠 江 齋 藤 健 夫 大 村 博 信 欠 席 議 員 曽 我 部 久 美 子 説明のための出席者 知事 黒 岩 祐 治 副知事 中 島 正 信 同 浅 羽 義 里 同 首 藤 健 治 理事 山 口 健 太 郎 同 田 代 良 一 政策局長 楯 岡 信 一 総務局長 武 井 政 二
くらし安全防災局長 河 原 知 德
国際文化観光局長兼
拉致問題担当局長 河 合 宏 一
スポーツ局長 平 田 良 徳
環境農政局長 玉 木 真 人 福祉子どもみらい局長 香 川 智 佳 子 健康医療局長兼未病担当局長 市 川 喜 久 江 産業労働局長 髙 澤 幸 夫
県土整備局長 鈴 木 祥 一 会計管理者兼会計局長 小 野 淳 ヘルスケア・ニュー
フロンティア推進統括官 金 井 信 高
労務担当局長 大 久 保 雅 一
マグカル担当局長兼
広報戦略担当局長 木 口 真 治
医務監兼災害対策担当局長 中 澤 よ う 子
エネルギー担当局長 花 上 光 郎
教育委員会教育長 桐 谷 次 郎 同 教育局長 田 中 和 久 同
県立高校改革担当局長 久 我 肇 教育監 折 笠 初 雄 警察本部長 斉 藤 実
警察本部総務部長 小 田 康 行
人事委員会事務局長 川 合 充
監査事務局長 小 宮 重 寿
労働委員会事務局長 出 口 満 美
公営企業管理者企業庁長 大 竹 准 一
企業庁企業局長 長 谷 川 幹 男 ─────────────────────────────────────── 議会局出席者 議会局長 和 泉 雅 幸 議会局副局長兼総務課長 谷 川 純 一 同 議事課長 霜 尾 克 彦 同 政策調査課長 田 中 一 朗 ─────────────────────────────────────── 平成30年第2回
神奈川県議会定例会議事日程第9号 平成30年6月25日午前10時30分開議第1 定県第 70 号議案 平成30年度神奈川県
一般会計補正予算(第1号) 定県第 71 号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非
営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例 定県第 72 号議案
工事請負契約の変更について(分
庁舎新築工事(建築)請負契約) 定県第 73 号議案
工事請負契約の変更について(分
庁舎新築工事(機械)請負契約) 定県第 74 号議案
工事請負契約の変更について(分
庁舎新築工事(電気)請負契約) 定県第 75 号議案
工事請負契約の変更について(
相原高校新築工事(電気)請負契約) 定県第 76 号議案
特定事業契約の変更について(
自動車運転免許試験場整備等事業特定事業契約) 定県第 77 号議案 動産の取得について 定県第 78 号議案 動産の取得について 定県第 79 号議案 指定管理者の指定について(
由比ガ浜地下駐車場) 定県第 80 号議案 指定管理者の指定について(
片瀬海岸地下駐車場) 定県第 81 号議案 指定管理者の指定について(大磯港) 定県第 82 号議案 指定管理者の指定について(真鶴港) 定県第 83 号議案
地方独立行政法人神奈川県立病院機構中期計画の変更の認可について ───────────────────────────────────────
△《本会議録-平成30年第2回-20180625-028321-質問・答弁-芥川薫議員-
一般質問①地域の活性化に向けた取組について②災害に強いかながわについて③県民の安全・安心の取組について》 〔議会局長報告〕 出席議員 議長共95名
○議長(桐生秀昭) ただいまから、本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(桐生秀昭) 審議を行います。 日程第1、定県第70号議案 平成30年度神奈川県
一般会計補正予算外13件を議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 芥川薫君。 〔芥川 薫議員登壇〕(拍手)
◆芥川薫議員 おはようございます。 座間市選出の芥川薫でございます。 私は
自由民主党神奈川県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をさせていただきます。 知事、
スポーツ局長、
環境農政局長におかれましては、明快かつ前向きなご答弁をお願いいたします。先輩並びに同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 具体的な質問に入る前に、一言申し上げます。 6月18日に発災した大阪府北部で発生した地震により、とうとい命を一瞬にして奪われた皆様方に衷心より哀悼の意をささげます。また、被災された皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧を願います。 それでは、質問に入ります。 質問の第1は、地域の活性化に向けた取組についてです。 初めに、「関係人口」を意識した移住促進の取組について伺います。 日本は2008年をピークに人口減少局面に入りましたが、人口減少は地域経済に消費市場の規模縮小だけでなく、深刻な人手不足を生み出しており、地域社会のさまざまな基盤の維持を困難としております。 一方、本県では、現在、県全体としては社会増により総人口はふえておりますが、いずれ減少に転じることが見込まれ、地域単位で捉えると、三浦半島や県西地域では人口減少が既に始まっております。 こうした
人口減少社会を乗り越えていくため、県や市町村では、移住促進の取り組みを進めていると承知しております。 都心まで通勤圏内であり、都市の便利さがありながら、海、山、川という自然の魅力をあわせ持っている本県への移住の潜在的なニーズは高いと思われますが、実際には、仕事や子供の教育の関係などで、必ずしもすぐに移住できない人が多いものと思います。 しかし、すぐに移住できないとしても、本県への移住を希望する潜在的なニーズをつなぎとめ、将来的に移住に結びつけていく取り組みが重要ではないかと考えます。そのためには、関係人口を意識した取り組みを進めることが効果的であると思います。 〔資料提示〕 関係人口とは、移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、その地域に以前に勤務等の経験があったり、地域のさまざまな魅力に引き寄せられ、伝統行事や文化行事に参加したりといった、かかわりを通じて、その地域に愛着や関心を持ち、その支援などをしている人たちを指します。 先日、私の田んぼでは、都内の学生と地元の学生、総勢30名により、地元の農家の方から指導を受けながら田植え体験をしてもらいました。当日は、県や市の職員の方にも参加をいただきました。 学生からは、都内から1時間程度の場所で、こんな貴重な体験ができるとは思わなかった。ぜひ稲刈りもしてみたい。この田園風景が最高、癒やされる、まちの魅力を感じたなど、とてもうれしくなる声を聞くことができました。 日々、当たり前のように過ごし、まちのよさ、魅力を忘れがちになっておりましたが、若い方たちから、率直に感じた生の声を聞き、今後のまちづくりに大いに役立つヒントとなりました。 今回のような体験を含め、例えば、土日だけでも繰り返し都心部から農業体験などをしに来てもらえれば、地域のことをよく知ることができ、また、地域の人たちと何回も触れ合うことによってつながりもできることから、行く行くは移住にもつながっていくものと考えます。 また、こうして地域を訪れる人がふえることで、消費活動も活発となり、地域の活性化にもつながるものと考えます。 本県には、こうした地域資源が数多く存在していると考えます。 そこで、知事に伺います。 これからの本県の移住促進の取り組みにおいては、こうした関係人口を意識して進めていくことが必要であると考えますが、県としてどのように取り組んでいこうとしているのか、見解を伺います。 次に、さがみ
グリーンライン自転車道の活用について伺います。 さがみ
グリーンライン自転車道は、相模川の堤防を利用して整備するもので、中流部の座架依橋から河口部の湘南大橋に至る、私の地元座間市を初め3市1町を通る計画延長約21キロメートルの路線であります。 〔資料提示〕 県はこのうち、さがみ縦貫道路と並行する約10キロメートルを先行整備区間と位置づけ、平成37年度までに整備を終えることを目標に事業を進めております。 現在、河川の工事に影響がないなど、条件が整った箇所から順次工事が進められていると承知しております。 昨年度には、海老名市の中野公園付近から上流側に向かって約1.3キロメートルの区間が完成し、多くの方々が散策などを楽しんでいる姿をよく見かけます。 今年度は、さらに上流側の
海老名運動公園までの整備を行う予定となっており、完成すれば、中野公園と
海老名運動公園がつながり、さがみ
グリーンライン自転車道のさまざまな利用の仕方が考えられるようになると、大いに期待するものであります。 先日、関係市町の議員の方々と実際に起点である私の地元座間市の座架依橋から、終点の平塚市の千石海岸までの21キロメートルを実際に歩いてみました。 一部の区間においては、公道を歩くことになりましたが、未整備区間でも、ほぼ土手道を歩くことができました。恵まれた自然環境、富士山、丹沢連峰等の眺望は、改めて、この資源は県民の癒やし、健康づくりにつながると感じたものであります。 自転車と歩行者の専用道路として整備されているこのさがみ
グリーンラインは、ウオーキングなどのイベントを安全に実施するには最適であり、県民に対して日常的な運動の場としての提供に加えて、
グリーンラインを活用してさまざまなイベントを実施することができると思います。 県では、今までも県内の各地で、健康や運動に関するさまざまなイベントを実施していると承知しておりますが、さがみ
グリーンラインを、性別や年代、障害の有無を問わず、さまざまな方が交流することができる
ウオーキング大会などの
スポーツイベントの場としても活用していくべきではないかと考えます。 そこで、
スポーツ局長に伺います。 現在整備が進められているさがみ
グリーンライン自転車道について、スポーツ振興の場としても有効活用していくべきと考えますが、見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 芥川議員のご質問に順次お答えしてまいります。 地域の活性化に向けた取り組みについてお尋ねがありました。 関係人口を意識した移住促進の取り組みについてです。 県では、移住促進策として、東京に設置したちょこっと田舎・かながわ
ライフ支援センターにおける専門の相談員による移住相談や、神奈川の魅力を伝えるPR動画の配信などを行ってきました。 このPR動画の視聴者に対して行ったアンケートで、本県は、都会に近いおしゃれさと田舎ののどかな雰囲気の両方があり、将来の移住先として魅力的であると評価されています。 その一方で、国が行った東京在住者の今後の移住に関する意向調査では、移住を検討する際の不安や懸念として、就職先や利便性の次に、移住先での人間関係を挙げる人が多くなっています。 移住先として本県に魅力を感じつつも、すぐには踏み切れない方々を移住につなげていくためには、例えば農作業を地元の農家の人と一緒に体験するなどして、地域との関係を少しずつ深め、地域に継続的なかかわりを持つ関係人口になっていただくことが大変有効であります。 その点で、本県は都心に近いため、繰り返し訪れやすく、継続的なかかわりを持つのに適しているという強みがあります。 また、これまで市町村では、観光や地域振興を主な目的として、さまざまな体験行事や文化行事などを行っており、これに関係人口という新しい視点を加えることで、地域とのかかわりをより一層深めてもらうことが期待できます。 そこで、今後、まずは市町村と一緒に関係人口の取り組みの先進事例について情報を共有し、関係人口を意識した市町村の移住促進策の展開につなげていきます。 その上で、これを支援センターや県の
ホームページ等で広く紹介、情報発信することにより、県として市町村をしっかり後押ししていきます。 こうした取り組みを通じて、ちょこっと田舎でおしゃれな神奈川への新しい人の流れを加速してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
スポーツ局長(平田良徳)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭)
平田スポーツ局長。
◎
スポーツ局長(平田良徳)
スポーツ局関係のご質問にお答えいたします。 さがみ
グリーンライン自転車道の活用についてお尋ねがありました。 現在整備が進められているさがみ
グリーンライン自転車道は、雄大な富士山を望み、相模川の川面を渡る風や川岸の緑を感じながらサイクリングが楽しめる、県内でも指折りの環境に恵まれた自転車道です。 そして、この道路の幅員は標準で7メートルと広いことから、サイクリングだけではなく、ウオーキングやジョギングなども一緒に楽しむことができます。 この
グリーンラインが完成すれば、4市町、計画延長21キロメートルにわたる好条件に恵まれたスポーツ振興の場が誕生することにもなりますので、県としてもそのポテンシャルに大いに注目しています。 既に、海老名市内で供用されている一部の区間は、市が開催する駅伝大会や、JR相模線沿線市町やJR東日本等が連携して実施している相模線沿線ハイキングのコースとして利用されるなど、
スポーツイベントの場としての活用も定着しつつあります。 しかしながら、沿道の市町がばらばらに活用するだけでは、この21キロメートルにも及ぶ自転車道のポテンシャルを十分引き出すことにはなりません。自転車道としての魅力は十分生かしながら、サイクリング以外のスポーツ振興の場としても活用するためには、沿道市町がしっかり連携していく必要があります。 そこで、県は、今後、整備の進捗状況を見ながら、機会を捉えて沿道市町や関係するスポーツ団体等とさまざまな
スポーツイベント等への活用の意向や課題等について意見を交わしていきます。 そして、広域的な視点で沿道市町等の取り組みや連携を後押しすることで、このさがみ
グリーンライン自転車道を県民の皆様の貴重なスポーツ資産として最大限活用してまいります。 答弁は以上です。 〔芥川 薫議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 芥川薫君。 〔芥川 薫議員登壇〕
◆芥川薫議員 知事、
スポーツ局長、大変前向きでご丁寧な答弁をいただき、ありがとうございました。 それでは、関係人口を意識した移住促進の取り組みについて要望申し上げます。 これまで、県と市町村で移住促進の取り組みを進めてきて、さまざまな課題、問題があり、思うように移住に至っていないのが現状ではないかというふうにも思います。そうした中、関係人口を意識した移住促進の取り組みは効果があるものと考えます。 その取り組みの主体は市町村でありますが、県は支援を必要とする市町村としっかりと連携を図っていただき、神奈川の魅力を発信、その魅力を実際に肌で感じてもらえるよう、足を運んでもらえる取り組みが重要であると考えます。 そして、関係人口をふやす取り組みの一つとして、先ほど知事からも答弁がありましたが、私の田んぼで行った田植え体験などの農作業、伝統文化を体験することにより、地元の方とのつながりもできます。ちなみに、今回、田植え体験に参加した学生には、今後、秋の稲刈り、脱穀、収穫祭などに参加してもらうことを地元の学生と企画もしております。 このような何度も訪問してくれるリピーターをふやす取り組み、週末に田舎暮らしをしてもらう取り組みなど、たとえ住んでいなくても、地域にかかわる方がふえることにより、地域が活性、元気になることで、消費効果にもつながるものと考えます。 ぜひ、市町村としっかりと連携を図っていただき、関係人口を意識した取り組みを積極的に推進していただくことを期待しております。 次に、さがみ
グリーンライン自転車道の活用についてです。 現在、さがみ
グリーンラインの供用部分を活用して、周辺市町村がウオーキングなどのイベントを実施しているということでありますが、今後、路線がさらに拡張していけば、ウオーキングのみならずマラソン大会などのさまざまなイベントを実施することが可能になるものと、実際に歩いてみて、一層実感をいたしました。 さがみ
グリーンラインを活用した
スポーツイベントについて、
スポーツ局長から答弁いただきましたが、今後の検討に当たっては、「神奈川県スポーツ推進条例」でも、スポーツを通じたともに生きる社会の実現を基本理念の一つとしておりますので、例えば幅広い年代の方々や障害のある方など、誰もが参加できるイベントを周辺自治体と連携しながら、ぜひとも前向きに考えていただくことを要望いたします。 〔芥川 薫議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 芥川薫君。 〔芥川 薫議員登壇〕
◆芥川薫議員 質問の第2は、災害に強いかながわについて伺います。 まず初めに、大規模災害時における消防の受援体制の強化について伺います。 ここ数年、全国各地で、地震や台風、集中豪雨、大雪などの大規模な自然災害が多発しております。 昨年の九州北部豪雨や、今年の大分県中津市の土砂災害では甚大な被害が発生し、緊急消防援助隊が派遣されました。 また、間近に迫ったラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会など、大規模イベント時のテロ災害対策も重要な課題であります。 〔資料提示〕 こうした災害に対応するには、県内消防力の強化はもちろん、全国から派遣される緊急消防援助隊をいかに迅速かつ円滑に受け入れるかが重要であります。 本県では、県内各消防本部の応援部隊を事前登録し、大規模災害時には、知事を本部長とする神奈川県消防広域運用調整本部、いわゆるかながわ消防で応援部隊の一元的運用を図っていることは承知しております。 以前、私は、本会議において、大規模災害時における緊急消防援助隊の受援体制について質問した際、知事からは、緊急消防援助隊の受け入れが、より一層円滑になされるよう、かながわ消防の仕組みを最大限活用しながら、必要な取り組みを進めていくとの答弁をいただきました。 それから1年6カ月が経過しましたが、その間、受援体制を強化するため、各種訓練を初め、さまざまな取り組みを進めているものと考えます。 そこで、知事に伺います。 大規模災害時における消防の受援体制を強化するため、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組むのか、見解を伺います。 次に、災害廃棄物の取組について伺います。 〔資料提示〕 平成23年3月に発生した東日本大震災では、東日本の太平洋岸を中心に甚大な被害をもたらし、約2,000万トンという膨大な災害廃棄物が発生しました。 その後も、平成27年9月の関東・東北豪雨、平成28年4月の熊本地震など、毎年のように多くの災害に見舞われ、被災した自治体では、その都度、災害廃棄物の処理について、懸命な取り組みが行われてきました。 こうした災害廃棄物の処理は、さまざまな課題が山積しており、例えば、家具などの片付けごみの分別ルールをいかに徹底するか、家屋解体の進捗に応じて発生する瓦れきの仮置き場の設置・管理の問題など、災害発生後の初動段階からの迅速な対応が求められております。 私は、同僚議員と関東・東北豪雨で大きな被害を受けた茨城県常総市に発災直後に調査に伺い、市内の被害状況、発災後の課題、取り組みなどについて、現常総市市長であり、当時、県議会議員であった神達市長から説明を受けました。 先日、その後の復旧・復興に当たり、どのように進められてきたのか、市長、担当課の職員の方から説明を受けました。 その中で、浸水した住宅を片付けた際に発生した廃棄物が、発災直後から爆発的に集まり出したため、分別が間に合わずに、その後の処理に非常に苦労したと伺いました。 本県においても同様なことが想定されますので、大量に発生する災害廃棄物の処理が停滞することで、復旧・復興が大幅におくれることを回避するような取り組みを進めていかなければなりません。 特に、県民の衛生面・環境面での安全・安心の確保のために、発災直後の初動の対応が大変重要と考えています。 こうした災害廃棄物の処理については、一義的に市町村の役割であるものの、県は、災害からの早期復旧・復興のため、平成29年3月、市町村が適正かつ円滑、迅速に処理するために必要な県の役割等を取りまとめた「県災害廃棄物処理計画」を策定したと承知しております。 また、この計画に基づき、昨年度初めて、発災初動時における自治体間の相互支援の実行性の向上に向けた机上演習を実施したと聞いております。 大規模災害時には被災自治体が単独で処理することが困難であり、こうした訓練により、現実的かつ着実な災害廃棄物対策を進めていくことは、平時の備えとして大変重要であると考えます。 そこで、
環境農政局長に伺います。 本県においても大規模災害の発生が想定される中、災害時に発生する廃棄物を適正かつ円滑、迅速に処理するため、昨年度の取り組みを踏まえ、平時の取り組みをさらに充実していくことが必要と考えますが、見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 災害に強い神奈川についてお尋ねがありました。 大規模災害時における消防の受援体制の強化についてです。 本県で大規模災害が発生したときに、全国から応援に駆けつける緊急消防援助隊を迅速かつ円滑に受け入れることは、県民の皆様の命を守る上で大変重要です。 そのため、県は、緊急消防援助隊の応援要請から活動に至る一連の手続を定めた受援計画を策定した上で、かながわ消防の仕組みを活用して、さまざまな視点から運用面の充実を図っています。 例えば、即応態勢、連携の強化という視点では、本年1月に実施したかながわ消防の訓練で、それぞれの消防本部の消防車を次々とホースでつなぎ、遠くの水槽から大量の水を給水し、消火する実践的な訓練を実施しました。 また、近年の災害では、ヘリコプターによる救助が重要な役割を果たしています。そこで、航空消防体制の充実という視点から、県は本年3月に民間事業者と協定を締結し、横須賀市内に県内最大となる15機の消防ヘリコプター活動拠点を確保し、緊急消防援助隊の受け入れ体制の強化を図りました。 さらに、こうした取り組みを踏まえ、実際に緊急消防援助隊を受け入れる訓練も重要です。 そこで、本年11月には、本県を舞台に10年ぶりの開催となる関東ブロック1都8県の緊急消防援助隊との合同訓練を行います。この訓練では、各都県からの緊急消防援助隊とともに、調整本部の運営や、災害情報の収集、伝達、大規模火災の消火、超高層建物からの救助などの大規模な訓練を行う予定です。 10年に一度の貴重な機会となりますので、この訓練の成果と課題をしっかりと整理して、本県の受援計画に反映するなど、大規模災害時における消防の受援体制をより一層強化してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
環境農政局長(玉木真人)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 玉木
環境農政局長。
◎
環境農政局長(玉木真人) 環境農政局関係のご質問にお答えいたします。 災害廃棄物の取り組みについてお尋ねがありました。 平成27年の廃棄物処理法の改正により、県及び市町村はあらかじめ災害廃棄物処理計画を策定することとされましたので、県は平成29年3月に「神奈川県災害廃棄物処理計画」を策定しました。 この計画では、災害廃棄物を円滑、迅速に処理できるよう、県が市町村に対して必要な技術支援や教育訓練を行うこととしています。 そこで、県では、昨年度、市町村の災害廃棄物処理計画策定を支援するためのセミナーを4回開催したほか、有識者や災害廃棄物の処理に従事した自治体職員を招いた講習会を2回実施しました。 さらに、発災後の初動期における訓練として、環境省関東地方環境事務所、湘南地域の市町や一部事務組合とともに、机上演習を実施しました。これは湘南地域で震度7の地震が発生し、ごみ処理施設が稼働できない状況などを設定した演習で、参加者からは、具体的な被害を想定して実施したことは有意義だったという意見がありました。 一方、ほかの市町や県への支援要請などの演習作業では、用語や記載方法が不統一であったため、情報が十分に伝わらないといった課題が見つかりました。 災害廃棄物を円滑、迅速に処理するためには、こうした取り組みを毎年度繰り返し実施することで、実際に役立つノウハウを蓄積することが大切ですので、今年度は県西地域での災害発生を想定した机上演習を実施します。 この演習では昨年度の課題を踏まえた内容にするとともに、発災時には民間事業者の協力も必要となるため、災害廃棄物の協定を締結している団体とも連携したいと考えています。 県としては、このような平時の取り組みをさらに充実し、市町村とともに現実的な災害廃棄物対策を進めてまいります。 答弁は以上です。 〔芥川 薫議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 芥川薫君。 〔芥川 薫議員登壇〕
◆芥川薫議員 知事、
環境農政局長、大変前向きでご丁寧な答弁をいただき、ありがとうございました。 それでは、1点、再質問をさせていただきます。 市町村の災害廃棄物処理計画の策定を支援するセミナーを、昨年度4回実施しているということについて答弁いただきました。 そこで、
環境農政局長に伺います。 県内の市町村の災害廃棄物処理計画の策定状況と、策定に向けた県の支援について伺います。 〔
環境農政局長(玉木真人)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 玉木
環境農政局長。
◎
環境農政局長(玉木真人) 県内市町村の災害廃棄物処理計画の策定状況と、策定に向けた県の支援について再質問をいただきました。 まず、県内市町村の災害廃棄物処理計画の策定状況ですが、平成30年4月1日現在で、15市町村が策定をしております。 次に、策定に向けた県の支援についてですが、先月22日に全市町村の職員を対象に、環境省と常総市の職員を招いて、計画の必要性に関する講習会を実施しました。 また、策定していない市町村を対象に今年度も策定支援のためのセミナーを開催し、災害廃棄物処理業務に沿ったワークショップなどを実施することで、市町村の計画策定を支援していきます。 〔芥川 薫議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 芥川薫君。 〔芥川 薫議員登壇〕
◆芥川薫議員
環境農政局長、再質問においての答弁ありがとうございました。 それでは、まず初めに、災害廃棄物について要望を申し上げます。 私は、東日本大震災の被災地や、先ほども述べましたが、常総市などで伺った話の中で、復旧・復興が他の地域と比べて進んでいる地域では、災害廃棄物の処理が比較的迅速だったということであります。 このようなことも踏まえ、引き続き市町村と連携していただき、並行して現在市町村が進めております災害廃棄物処理計画の一日も早い早期策定に向けて、しっかりと技術支援をしていただくことを要望いたします。 次に、大規模災害時における消防の受援体制の強化について要望を申し上げます。 前回の質問に対する知事の答弁で、ヘリコプターによる救助が重要な役割を果たす、緊急消防援助隊の応援ヘリコプターを受け入れることができる拠点場所の増強を進めるとの答弁をいただき、その後、活動拠点場所の増強に対応していただき、感謝を申し上げます。 ヘリは大規模災害時など、発災直後の情報収集など、初動対応の重要な役割を果たすものであります。また、今年11月末には10年ぶりに本県で大規模な緊急消防援助隊関東ブロック合同訓練が行われ、今回のような訓練内容は初めての試みとのことでした。 この訓練は実践的な訓練であり、災害に強い神奈川を掲げている本県ならではの企画であり、大いに評価をさせていただくものであります。実のある訓練になることを期待しております。 〔芥川 薫議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 芥川薫君。 〔芥川 薫議員登壇〕
◆芥川薫議員 質問の第3は、県民の安全・安心の取組について伺います。 初めに、米軍基地との交流・協力について伺います。 本県には、都市部の人口密集地域に多くの米軍基地が存在し、航空機騒音を初め、事件・事故の不安など、さまざまな影響を周辺住民に及ぼしてきました。このため、県は、基地問題の解決に向けて国や米側に働きかけを行い、本年3月には、厚木基地からの空母艦載機部隊の移駐が完了するなど、大きな前進があったと理解しております。 騒音など基地問題の解決については、今後もしっかりと対応していただきたいと思います。 それと同時に、米軍基地に関しては、騒音など、地元へのマイナス面の除去だけでなく、基地と地元の関係を良好なものとし、基地が持つプラス面を引き出していくことも重要だと考えます。 その点について、私の地元である座間市の取り組みについて紹介をいたします。 キャンプ座間は、昭和20年9月に旧陸軍士官学校の用地を接収して以来、現在まで米軍基地として使用されており、在日米陸軍司令部第1軍団前方司令部が設置されるなど、在日米軍の主要な基地の一つであります。 基地は、座間市域と相模原市域に分かれておりますが、座間市域だけで約57万平方メートルの敷地を有するなど、市のまちづくりに少なからぬ影響を及ぼしてきました。 〔資料提示〕 近年、そのキャンプ座間に大きな変化が訪れております。在日米軍再編合意とその後の日米協議に基づき、平成28年2月に一部土地5.4ヘクタールの返還が実現しました。 返還地では、市が誘致した総合病院が同年4月に開設、今年2月には市の消防庁舎が開設するなど、市民生活の向上に寄与しています。現在は、返還地の一部に公園の整備が進められております。 また、座間市は米軍との交流や協力も積極的に進めており、毎年12月に、市と陸軍軍楽隊、陸上自衛隊中央音楽隊による友好親善のためのコンサートや、市内の小学生と基地内の小学生との交流会の開催、さらには、市の防災訓練に基地の消防隊が参加するなど、幅広い分野で交流等が行われております。 米軍基地との交流は、異文化交流による相互理解につながるだけでなく、災害時など、いざというときの安心を市民にもたらす大変有益なものであると考えます。それだけでなく、先ほど述べた基地の返還や跡地利用についても、米側の理解があったことが円滑な実現につながったものと伺っております。 県内には多くの基地があり、固有の事情があると思いますが、知事におかれましては、ぜひ米軍との交流や協力を推進し、地域の取り組みを応援していただきたいと思います。 そこで、知事に伺います。 米軍基地との交流や協力の推進について、どのように考え、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 次に、拉致問題の取組について伺います。 平成14年9月に北朝鮮が初めて日本人の拉致を認め、5名の拉致被害者が帰国されて以降、既に15年が経過しておりますが、その後、一人の拉致被害者も帰国していません。 拉致問題については、平成26年、北朝鮮は、特別調査委員会による拉致被害者を含む全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を約束いたしました。 しかし、平成28年には、北朝鮮は一方的に包括的調査の全面的中止、特別調査委員会の解体を表明しました。その後、事態は膠着しておりましたが、今年の平昌オリンピックを契機に、北朝鮮は南北融和路線を打ち出しております。 〔資料提示〕 我が党の青年局においては、自民党全国青年局一斉街頭、北朝鮮に拉致された日本人の早期全面解決を、平成16年に神奈川県連青年総局の発案により、毎年6月にテーマを一貫して開催しております。 今年も6月初旬に、拉致問題を絶対に風化させないとの強い決意のもと、全国約130カ所で拉致問題の解決を訴え、一斉街頭行動を行いました。私も、6月2日には、海老名駅の街頭で、拉致問題の早期全面解決を訴え、大変多くの方々に共感をいただいたところであります。 県議会としても、平成28年2月25日、北朝鮮による日本人拉致問題の完全解決を求める意見書を採択、直近では、平成29年9月8日の北朝鮮の核実験等に対し更なる厳しい措置を求める意見書の中でも、拉致問題の完全解決に向け、国会及び政府に対し、強く要望を行っております。 拉致問題は、発生から既に長い年月が経過しています。本県に在住の拉致被害者の横田めぐみさんのご両親を初め、ご家族は高齢化されており、拉致被害者の帰国は待ったなしの状況です。 このような中、6月12日に、シンガポールで初の米朝首脳会談が開催され、トランプ大統領から、金正恩朝鮮労働党委員長に対し、日本人の拉致問題について提起がされましたが、今後の進展については予断を許しません。 しかしながら、拉致問題の全面解決は、我が党の最重要課題の一つですので、これが今後の拉致問題の解決に向けた契機と切に望んでおります。そのため、県においても、県民の皆様が拉致問題に対して一層の理解を深め、解決に向けた県民世論が高まるよう、取り組みを進めていく必要があると考えます。 そこで、知事に伺います。 さきの米朝首脳会談の結果なども踏まえ、県として拉致問題にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 県民の安全・安心の取り組みについてお尋ねがありました。 まず、米軍基地との交流・協力についてです。 本県には、人口密集地域に多くの基地が所在し、県民生活に多大な影響を及ぼしていることから、県は国に基地の整理・縮小・返還を求めるなど、基地負担の軽減に努めてきました。 こうした取り組みとあわせて、災害時の協力や文化交流、医療面での協力など、さまざまな分野において、基地との連携を図ることは、県民の皆様の安全・安心の確保を初め、最終的に県民の利益につながる重要な取り組みであると認識しています。 そこで、「かながわグランドデザイン」第2期実施計画に基地の整理・縮小及び返還の促進、基地周辺住民の安全、福祉の確立と良好な生活環境の確保と並んで、基地との連携への推進を基地対策の柱に位置づけて、これまで取り組んできました。 具体的には、私から、米側に意見交換会の定期的な開催を提案し、平成24年度以降、私と在日米陸海軍司令官との間で、さまざまなテーマについて率直に話し合いを行ってきました。 その結果、特に災害時の相互応援の分野では、ビッグレスキューかながわへの米軍の参加拡大や、そこでの医療協力の訓練、県と米軍との通信マニュアルの見直しなど、この数年間で取り組みが大きく前進しています。 今後は、県民の皆様の安全・安心を確保するため、米軍との災害時の相互応援の取り組みを継続していくとともに、米軍の考えも確認しながら、災害時以外にも他の分野での連携にも努めていきます。 加えて、基地と地元との交流についても、地元市の意向を尊重しながら、米軍との橋渡しなど、必要な支援を行っていきます。 こうした取り組みにより、今後も基地との協力等を積極的に推進してまいります。 最後に、拉致問題の取り組みについてです。 米朝首脳会談において、北朝鮮による日本人の拉致問題が提起されたことは、これまでの日本政府の働きかけが功を奏したものであり、拉致問題解決に向けた第一歩と受けとめています。 今後、日本政府がみずから乗り出して、日朝首脳会談の開催を実現し、日本人拉致問題の一刻も早い全面解決に向けて、強い意志を持って突き進んでいくことを望んでいます。 県としても、この時期を捉えて、拉致問題に対する県民世論がこれまで以上に高まっていくよう、県民の皆様の理解を深めるための取り組みを積極的に進めていきます。 具体的には、今年度も、まず私も制作にかかわった映画「めぐみ-引き裂かれた家族の30年」については、都道府県では全国最多となる県内5カ所で上映します。さらに、県立高校等においても、若い世代への周知にこの映画を活用し、あらゆる世代の理解を深めていきたいと考えています。 また、12月には、横浜駅東口そごう前の地下広場で、めぐみさんと家族の写真展を開催し、多くの県民の皆様に訴えかけるほか、本県にゆかりのある拉致被害者や特定失踪者の方のパネル展示を県内全市町村で継続して実施する予定です。 さらに、今年度は国や県内自治体と連携して、拉致問題の啓発舞台劇の上演を予定しており、オール神奈川で拉致問題の解決に向けた取り組みを一層進めていきます。 拉致問題の解決は、県民にとっても切なる思いです。その解決には国による相当な外交努力が必要ですが、これを後押しするのは多くの県民の皆様の声と考えています。こうした声を高めていくために、さまざまな機会を通じて、今後も私自身が先頭に立って、拉致被害者の一日も早い救出を県民の皆様に訴えてまいります。 答弁は以上です。 〔芥川 薫議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 芥川薫君。 〔芥川 薫議員登壇〕
◆芥川薫議員 知事、大変前向きでご丁寧な答弁をいただき、ありがとうございました。 特に拉致問題については、知事が先頭に立っていただくと、力強い答弁ありがとうございます。 それでは、1点、再質問をさせていただきます。 私は、座間市と米軍との交流が、結果的にキャンプ座間の一部返還の円滑な実現につながったと考えております。 そこで、知事に伺います。 米軍との交流の推進が、結果的に返還や基地負担の軽減につながる可能性について見解を伺います。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 基地の返還でありますとか、空母艦載機の移駐など、基地負担の軽減につきましては、まずは日本政府に働きかけを行って、国同士の外交交渉の中で実現していただくということが基本にはなります。 一方で、地元基地負担の実情については、米軍が適切に理解しているということ、これは円滑な返還等の実現につながる可能性がある重要なことだと考えております。 このため、日ごろから地元の基地負担の実情について米側に伝えるとともに、交流などを通じて相互の信頼関係を醸成していくといったことも一つの方法であると認識をしております。 答弁は以上です。 〔芥川 薫議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 芥川薫君。 〔芥川 薫議員登壇〕
◆芥川薫議員 知事、再質問においての答弁ありがとうございました。 それでは、時間の許す限り要望を申し上げます。 拉致問題の取り組みについてですが、米朝首脳会談で日本人の拉致問題を提起していただきました。安倍総理は先日の参議院決算委員会で、拉致問題解決に向けてどのようなチャンスも見逃さないと決意を述べました。 政府は、現在、9月の日朝首脳会談実現を目指し、調整に入る方針を固めています。ぜひ実現していただき、総理には金正恩朝鮮労働党委員長に対し、解決に向けて力強く交渉に当たっていただきたいと思います。 我々も引き続き、拉致問題は許さない、必ず解決するのだという強い態度を示し、年内解決に向けて全力で取り組んでまいりますので、知事にもオール神奈川で先頭に立って、引き続き取り組んでいただくことを要望いたします。 最後に、米軍基地と交流・協力についてです。 米軍基地においては、さまざまな考え方があると思います。 三沢飛行場がある青森県三沢市では、戦後、米軍と共存共栄を掲げ、発展してきた有名なまちであります。同市では、三沢市と三沢基地米軍との連絡協議会が条例により設置されております。しかも、条例施行は戦後間もなくの昭和28年12月であります。 これまで互いに緊密な協力により、相互の親善を図ってきたとのことです。まさに、住民同士、日本国民と米国国民とがコミュニティーを形成して、お互いが良好な生活環境を築き上げるということが多文化共生社会の醸成につながるものと考えます。 共存共栄は基地を有する神奈川県においても大変重要だと私は考えます。私は生まれ育ち、物心がついたときから米軍基地があることが当たり前でした。 毎年、基地内で一般開放される桜まつり、夏の花火大会は1年の楽しい思い出の一つでもありました。これまで基地内の方との交流もあり、ある軍属家族とは、アメリカ本国に戻った現在も家族ぐるみのつき合いをさせていただいております。 現在、座間市で市民挙げて交流事業が盛んに行われておりますが、その中でも、先ほども述べましたが、市内の小学校と米軍基地の小学校との学校間の交流が行われており、日本の昔遊びなど、互いの文化に触れる授業を行っております。 子供のころから、そうした交流を通じて多文化を理解し、心の交流をすることこそが、互いを認め、国と国との信頼関係を築く礎になると思います。 そして、子供たちが郷土を愛することで、日本人として誇りを持って成長していけるという私の考えを申し上げ、質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕
○議長(桐生秀昭) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(桐生秀昭) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は午後1時といたします。 午前11時22分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成30年第2回-20180625-028322-質問・答弁-岸部都議員-一般質問①安全で安心なまちづくりについて②子ども子育てへの支援について③教員の働き方改革について》 午後1時1分 再開 〔議会局長報告〕 出席議員 副議長共95名
○副議長(齋藤健夫) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(齋藤健夫) 質問を続行いたします。 岸部都君。 〔岸部 都議員登壇〕(拍手)
◆岸部都議員 こんにちは。 横浜市南区選出の岸部都でございます。 議長のお許しをいただきましたので、私は立憲民主党・民権クラブ県議団の一員として、通告に従い、意見・提言を交えて、順次質問を行います。 知事、教育長、福祉子どもみらい局長、教育監におかれましては、明快なご答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 質問の第1は、安全で安心なまちづくりについて、知事に伺います。 まず、災害拠点病院を中心とした医療救護体制と人材育成についてです。 〔資料提示〕 県は、今後発生が予想される三浦半島断層群の地震や東海地震などの大規模災害、あるいは風水害などの局地災害に備えるため、この3月に、これまでの「神奈川県医療救護計画」を全面的に見直し、「神奈川県保健医療救護計画」に改定したところです。 また、この間、この計画に定める災害時の保健医療救護体制の強化に向けて、その中心的な役割を担う災害拠点病院や、災害拠点病院をバックアップする災害協力病院の指定のほか、災害急性期に活動できる機動性を持った医療チームである神奈川DMATや神奈川DMAT-Lの指定などに取り組んできています。 しかしながら、災害はいつどこで起きてもおかしくないと言われている中、一人一人の県民目線で考えれば、実際に災害が起こったときに、自分の住んでいる地域の医療救護体制などについて、どうなっているのか、治療は受けられるのか、どこへ行けばいいのか、安心が確保されているのか、不安は尽きないのではないでしょうか。 県民のこういった不安を解消するためには、災害拠点病院を中心とした医療救護体制をしっかりと構築していくとともに、実際に災害現場で活動する神奈川DMATを初めとする医療従事者に対して、災害医療の研修や訓練の場を提供していくことが必要であり、そうした県の整備状況を県民に伝えていくことが重要です。 そこで、県内の保健医療救護活動が効果的に行われるよう、災害拠点病院を中心とした医療救護体制をどのように拡充し、また、神奈川DMATを初めとする医療従事者の人材育成をどのように図るのか、また、県民の不安を取り除くために、これらの取り組みをどのように広く情報発信していくのか、知事の所見を伺います。 次に、オスプレイの飛行に対する今後の取組についてです。 〔資料提示〕 今年4月、横浜ノースドックに米空軍の輸送機CV22オスプレイ5機が陸揚げされ、横田基地までの飛行が行われたことは記憶に新しいところです。今年の夏ごろに東京・横田基地に配備され、将来的には10機まで増強されるとのことです。 オスプレイについては、平成24年に米海兵隊所属のMV22が沖縄県普天間飛行場に配備され、その後、平成26年以降は、厚木基地を初め、県内にもたびたび飛来しています。 我が国への配備後も、平成28年12月の沖縄県での不時着水事故を初め、事故が相次いでおり、先日6月4日にも横田基地に配備予定のCV22オスプレイ2機が、幸いけが人はなかったものの奄美空港に緊急着陸しています。 オスプレイの県内への飛来について、県民の不安は少なくありません。今年の夏以降、本県にも近い横田基地に空軍のオスプレイが配備されることになれば、県内へのオスプレイ飛来が、結果としてふえるのではないかと心配しているところです。 一方で、4月にオスプレイが横浜ノースドックから横田基地に飛行した際には、東京湾を南下し、相模湾に迂回し、相模川沿いに北上したと報道されています。米軍においても、飛行ルートについて一定の配慮があったものと考えられます。 また、それに先立つ今年2月、教育委員会は、県立高校入試実施に当たり、英語リスニングテスト時間帯の飛行停止等を要請し、結果として、リスニングテストの時間帯には、厚木基地に飛来していたオスプレイの飛行は確認されていないと伺っています。 本県を初め日本側の要望に対し、米側において一定の配慮がなされたのだとすれば、率直に評価したいと思います。 その上で申し上げたいのは、こうした配慮を1回だけに終わらせるのではなく、継続していくことが大切だということです。市街地上空での飛行や騒音軽減について、今後もしっかりと働きかけ、可能であるならば、現場の運用にとどまらず、日米両国政府間でルール化していただきたいと考えます。 そこで、これまでのオスプレイの県内での飛行状況や横田配備の動向を踏まえて、オスプレイの飛行に対し、今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。 質問の第3は、フードドライブについてです。 〔資料提示〕 本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品、いわゆる食品ロスが全国で年間推計646万トンも発生していると言われており、そのうち、家庭から廃棄されている量は推計289万トンにも上り、深刻な状況にあります。 一方で、今や日本の相対的貧困率は15%を超え、先進国の中でも貧困大国と言われる状況に置かれており、食品の提供などの支援を必要としている方々も多く存在するのも事実であります。 食品ロス軽減のためにも、このような食べることに困っている方々にしっかりと食品を提供していくことも重要と考えます。しかし、それがうまく図られていないという現状が、食品ロスの数値と貧困率の高さからも理解できます。 これまでも、企業から出た食品系の廃棄物について、その軽減や食品ロス対策のため、本県においては、県内企業を中心にさまざまな呼びかけや情報提供を行っていることは承知しており、その点について評価するところです。 しかしながら、なかなか食品ロスの軽減が図られていない現状を鑑みますと、もはや企業だけの努力では限界があり、今後は県民一人一人の認識を高め、まさに県民総ぐるみでこの問題に取り組んでいく必要があると指摘します。 フードバンク活動については、県内においても既に活動されている団体が複数あり、その中のこの3月に設立したフードバンクかながわは複数の民間組織が合同で設立し、知事も設立総会にご出席されたと伺っています。フードバンクかながわは、現在、各地域、企業、団体と連携を模索しながら、全県的に取り組んでいると伺っております。 そうした動きの中、最近では、フードバンク活動に加え、各地域において、家庭などで余った食品を持ち寄り、生活に困窮する方たちに寄附する活動であるフードドライブもまた注目されています。 5月に平塚市役所で行われたものは、大箱約6個分のお米や飲料、缶詰など多くの食品が寄附されたとのことです。 私の地元南区でも、地域ケアプラザで毎週行われている子ども食堂のためのフードドライブが初めて行われ、半日で約60点が集まりました。 こうしたフードドライブは食品ロスの軽減だけでなく、食を通じた地域活動、食の支援を求める方々への支援活動にもつながっていくものと確信したところです。 そこで、知事に伺います。 基本的にこのフードドライブの主体は、県内の一般社団法人やNPO団体を初め、基礎自治体が担う役割が大きいとは思いますが、広域自治体である県としても、そうした取り組みを支援する意味でも、フードドライブの活動を全県に広めていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。 質問の大項目の2は、子ども子育てへの支援についてです。 まず、ヤングケアラーについてです。 〔資料提示〕 少子・高齢化、貧困、核家族化、近隣との関係の脆弱化、晩婚化などの社会状況の中、若いときは育児、育児が終わったころに老親の介護など、これまで比較的時期がずれていた育児や介護などが、同時期に重なってしまうダブルケアが問題となっています。 その状況の中、私たちが、介護、看病、療育、世話などの家族のケアの担い手を思い浮かべるときに、その担い手に未成年の子供を想定することはほとんどありません。未成年の子供は、家族の中で親や保護者に守られ、世話をしてもらう存在だからです。 しかし、その親が病気であったり、障害があったり、あるいは、家族にケアを要する人がいる場合、大人が担うべきケアを引き受けている子供たちがいることは容易に想像できます。そしてまた、現実に多く存在します。こうした子供たちのことをヤングケアラーと呼び、過度に家族のケアを担わざるを得ない状況が問題となっています。 ヤングケアラーである子供たちは、ケアを担うことを通して、家族の役に立つ喜びを感じる一方、その役割や責任が年齢につり合わない場合や、長期にわたってケアを担っているときには、心身の発達や友人関係、さらには学業に大きな影響があり、それがその子供の将来にも少なからず影響を及ぼしているケースもあるからです。 一般社団法人日本ケアラー連盟が、2016年に藤沢市で実施したヤングケアラーの調査では、藤沢市内の公立小中学校、特別支援学校55校の教員を対象にアンケート調査を行い、回答した教員の実に49%、約半数が、これまでかかわった児童・生徒の中で、家族のケアをしているのではないかと感じた子供がいると回答しています。 その中で、学校生活への影響を複数回答で尋ねたところ、欠席が56%、学業が振るわないが42%、遅刻が40%となっており、家族のケアを担う子供が学業との両立で苦しんでいる様子がこの調査結果からも確認できます。 同じ時期に行われた大阪府内公立高校10校での高校生への質問紙調査では、何らかのケアをしていると答えた高校生が約5.2%、教員への調査1.5%に比べると、教員が把握している以上に高い割合でヤングケアラーがいること、そしてそのうちの4割が小学校のころに既にケアにかかわって長期化していることが報告されています。 また、ヤングケアラーだけを対象にした調査ではありませんが、同連盟が2010年に全国5地区で実施した調査では、ケアラー自身がしてほしい支援として、要介護者へのサービスの充実や経済的支援とともに、ケアラー自身への理解や気軽に休息、休養がとれる機会などの回答が多くなっています。 ヤングケアラーである子供たちは、幼いころから家族のケアをしているため、自分でもその大変さに気づいていなかったり、あるいは、相談したくても、どこに相談していいかわからなかったり、自分でSOSを発信することは大変難しいと思われます。 ヤングケアラーである子供たちをめぐる課題は、ケアを担う子供たち、その存在をまず、正しく理解、認識し、気づき、そして、適切な支援に結びつけることであると受けとめています。 そのためには、県や市町村などの関係機関が連携し、潜在化している子供たちの声をしっかりキャッチし、支えていくことが必要ではないでしょうか。 そこで、知事に伺います。 ヤングケアラーと呼ばれる、家族のケアを担う子供たちについて、県としてどのように認識しているのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。 次に、児童養護施設等の子どもたちの自立支援について質問します。 〔資料提示〕 児童養護施設や里親のもとから自立していく子供たちを支援するため、本県では、平成26年にあすなろサポートステーションを設置するなど、これまでも、施設を退所した子供たちや、里親のもとから巣立った子供たちの自立支援に積極的に取り組んできたと承知しています。 あすなろサポートステーションは開設から5年が過ぎ、この間、私も何度か見学させていただいています。 就労支援コーディネーターが、仕事をやめてしまう前に相談に乗り、時には雇用主のもとに行って話をするなどの伴走型の支援も行っており、施設等を退所して心細くなっている子供たちにとって、頼りになる、信頼できる存在であると大変評価しているところです。 親元に戻れない子供たちにとって、高校を卒業後、これまで育った施設や里親のもとを離れ、自立することは想像以上に困難なことです。特に、施設等で養育された子供たちの多くは、対人関係がうまくつくれないことなどから、職場になじめず、短期間で離職してしまうことも少なくないと聞いています。 こうした子供たちが自分に自信を持ち、仕事にやりがいを見出して、続けていけるようにするためには、施設や里親のもとにいるうちから、日常生活や調理実習、職業体験などを通して、将来の夢や職業について考えることができるよう、自立後の生活を見据えて支援することが大切です。 現在、各施設では、子供たちの自立を支援するあすなろサポーターを職員の中に位置づけ、あすなろサポートステーションと連携して、就労に関する相談、助言、情報提供等の支援を行っていると伺っていますが、あすなろサポーター以外の多くの職員は、日々の養育やトラブル対応などに忙しく、施設退所後の子供たちがどのような壁にぶつかり、悩んでいるのか、知る機会は少ないと考えます。 こうした施設職員や里親に対し、あすなろサポートステーションが蓄積した多くの事例やサポートのノウハウをフィードバックすることが必要ではないでしょうか。こうしたことにより、施設職員や里親が子供たちと一緒に、将来の課題について考える機会がふえ、最終的には、子供たちの自立に向けた生きる力を育むことにもつながっていくと考えます。 そこで、福祉子どもみらい局長に伺います。 児童養護施設等の子供たちの生きる力を育み、自立を支援するため、あすなろサポートステーションの活用などにより、施設や里親のもとで養育されている間から、自立に向けた支援に取り組むべきと考えますが、福祉子どもみらい局長の見解を伺います。 次は、インクルーシブ教育実践推進校における進路支援についてです。 〔資料提示〕 本県では、共生社会の実現に向け、全ての子供ができるだけ同じ場で、ともに学び、ともに育つことを目指すインクルーシブ教育を推進しています。 その高校段階における取り組みとして、県立高校改革第Ⅰ期計画でインクルーシブ教育実践推進校のパイロット校3校が指定され、昨年、平成29年度には合計31名、今年度、平成30年度には合計41名の生徒が入学し、現在学んでいます。 昨年、文教常任委員会の県内調査でインクルーシブ教育実践推進校の一つである茅ケ崎高校に伺い、パイロット校の取り組みについて調査しました。 全ての生徒にとってわかりやすい授業を基本とし、チームティーチングによる学習や個別学習など、障害のある生徒の状況に応じた多様な形態で学習活動を実施していること、また、学習評価については、一人一人の頑張りや成長を認め、個人の目標が達成されたかどうかという個人内評価も活用しながら評価しているなど、丁寧に進められていることを確認しました。 各パイロット校では、ほかにも生徒の状況に応じて対応が可能なリソースルームを初め教室の整備、全ての生徒の教育的ニーズに対応できる教育課程の工夫など、本県が全国に先駆けて知的障害のある生徒が高校教育を受ける機会を拡大する取り組みを進めていることは、大変評価するところです。 しかしながら、こうしたすばらしい取り組みの先にある卒業後の進路については、さらなる取り組みの必要性を指摘します。 現在、パイロット校に在籍している生徒は1、2年生であり、入学した障害のある生徒たちが、高校卒業後の進路を考える上で大切な道しるべとなる卒業生がいないのが現状です。 県立高校改革第Ⅰ期計画では、既に県立高校生学習活動コンソーシアムの取り組みも始まっています。大学、職業技術校や企業などと連携協定を結んで生徒の学習意欲や興味、関心、さらには進路希望の実現に向けた学習ニーズに対応するこのコンソーシアムをインクルーシブ教育実践推進校においても活用することは大変有効と考えます。 各パイロット校が、1年生のときから生徒一人一人の状況に応じて、さまざまな工夫を重ねた教育活動に既に取り組んでいることは承知していますが、それぞれの生徒の希望する進路を実現するためには、さらに企業や関係機関にインクルーシブ教育実践推進校のことをよく理解してもらう取り組みも必要ではないでしょうか。 そこで、インクルーシブ教育実践推進校で学んでいる知的障害のある生徒たち一人一人がそれぞれの希望する進路を実現するために、どのように取り組みを進めていくのか、教育監の見解を伺います。 次は、外国につながりのある生徒への教育機会の提供についてです。 〔資料提示〕 「県立高校改革実施計画」では、グローバル化に対応した先進的な教育の推進として、県立横浜国際高校の国際バカロレア認定推進校としての指定や、グローバル教育研究推進校の指定など、生徒の英語によるコミュニケーション能力を高め、国際的な視野を持ち、多様な価値観を受容できる力を育む教育を推進しています。 また、外国につながりのある生徒への教育機会の提供と学習支援として、県立高校で学ぶ意欲のある海外から帰国した生徒や、日本語を母語としない生徒の教育機会を拡大するため、海外帰国生徒特別募集や在県外国人等特別募集の実施校の拡大に取り組まれています。 私の地元、横浜市南区の中学校などでも外国につながりのある生徒の割合が高いことを考えますと、特に、在県外国人等特別募集の実施校の拡大に取り組んでいただいていることは評価しているところです。 外国につながりのある生徒が自分の在籍する高校で、自分自身の母語や母国の文化を発信できる環境をつくっていくことは、多様性を認め、多様な価値観を受容するといった視点から、グローバル化に対応した教育を推進する取り組みの一つであると考えており、さまざまな国籍の子供たちがともに学び合うことは、県立高校で学ぶ全ての子供にメリットがあることと考えています。 外国につながる子供たちが、学校教育を通じて地域社会に円滑に適応することや、経済・社会的に自立するために必要な知識・技能を習得し、日本と母国のかけ橋となるグローバル人材として活躍することは大きな意義があります。 神奈川県は、外国につながりのある生徒への教育機会の提供や学習支援について、他県に比べて取り組みが進んでいると思っていますが、外国につながりのある生徒が増加し続けている状況から考えますと、今後ともさらに推進していただく必要があると考えます。 例えば、高校入学制度には、外国人等特別募集がありますが、県内の中学校における外国人生徒数は今や2,000人を超えております。しかし、特別募集は12校、125人です。その数はまだまだ少ないと言わざるを得ません。 そして、特別募集の志願資格には、入国後の在留期間が通算3年以内の者、あるいは日本国籍取得後3年以内の者という条件があります。このため、来日後の期間が4年、5年、6年とたっているものの日本語の支援がまだ必要な子供たちは、来日後3年以内の子供たちに比べ、希望しても全日制高校への入学が厳しい状況があると思っています。 より多くの外国につながりのある生徒が全日制高校へ進学して学ぶことは、全ての子供たちが互いに認め合い、尊重し合うことにつながり、県立高校のダイバーシティという視点からも大切であり、その教育機会提供の拡大が必要と考えます。 そこで、教育長に伺います。 外国につながりのある生徒の全日制高校における学びの実現に向けて、在県外国人等特別募集の拡大を含めた今後の展開についてどのように考えているか、教育長の見解を伺います。 質問の最後は、教員の働き方改革についてです。 〔資料提示〕 働き方改革は、学校においても最優先で取り組んでいかなければならない喫緊の課題です。 本県においては、教育委員会が昨年度実施した県立学校勤務実態調査及び市町村立学校勤務実態調査において、教員の長時間勤務の実態が初めて明らかになりました。 とりわけ、長時間勤務の一因として挙げられている部活動指導については、県立高等学校の総括教諭・教諭が部活動指導に従事している時間は、平日で39分、週休日・休日では1時間32分という結果であり、市町村立中学校の総括教諭・教諭が部活動指導に従事した時間は、平日で34分、週休日・休日では2時間53分という結果です。 この調査結果から、市町村立中学校の教員が部活動指導に従事している時間、特に週休日等に従事している時間が、県立高等学校の倍近くになっているという実態は、無視できる状況ではありません。 今年4月に県及び県教育委員会は、スポーツ庁が策定した国のガイドラインにのっとった県の部活動の在り方に関する方針を策定し、市町村教育委員会に参考送付していると承知しています。 県として、各市町村教育委員会と連携協力し、県内の中学校、高校で、生徒のための部活動運営を行うことが大切であると同時に、先生たちが、健康で生き生きと生徒を指導できるように、教員の働き方改革の観点からも、さまざまな取り組みをしていかなければならないと考えています。 また、今回の勤務実態調査結果では、市町村立小中学校の教員は、休憩時間も含む平日1日の平均学内勤務時間は、小学校で約11時間、中学校で約12時間となっています。このうち小中学校いずれにおいても、授業やその準備、生徒指導などの児童・生徒の指導にかかわる業務だけで9時間以上の勤務時間を費やしていることは大きな問題です。 教員の本来業務の領域に関することで1日当たりの所定の勤務時間を大きく超えている状況だからです。ほかにも学校運営などの勤務が2時間近くあり、業務内容の改善だけで解消できるのか、業務の適正化に向けて、とりわけ大変な課題であると思います。 このような状況であれば、教職員の定数増も視野に入れて国に対する働きかけを検討すべきではないかと思います。 先日、県教育委員会では、教員の働き方改革に向けた新たな協議会を開催したと聞きました。ここでは、国の議論を踏まえ、県教育委員会や市町村教育委員会がみずからやるべきことを、教員の勤務実態の改善に向けてしっかりと議論してもらいたいと思います。 そこで、教育長に伺います。 今後、中学校の部活動について、県内の市町村教育委員会と連携し、県教育委員会として部活動のあり方にどのように取り組んでいくのか、また、市町村立学校教員が、児童・生徒の指導にかかわる業務だけで所定の勤務時間を超えているという実態に対して、国に対する要望も含め、どのように取り組んでいこうとしているのか、教育長の見解を伺います。 以上です。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 岸部議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、安全で安心なまちづくりについて、何点かお尋ねがありました。 まず、災害拠点病院を中心とした医療救護体制と人材育成についてです。 県は、医療救護体制について、災害時の医療救護活動の中心となる災害拠点病院を2次保健医療圏ごとに複数指定し、県内全体で33病院を指定しています。また、拠点病院から傷病者を受け入れるなど、拠点病院のバックアップを行う災害協力病院についても49の病院を指定し、災害時の医療救護体制を整備しています。 今年度は、災害時にその機能が十分発揮できるようにするため、8月のビッグレスキューかながわで、拠点病院と協力病院が一緒に訓練を行うなど、病院間のさらなる連携強化を図ってまいります。 次に、災害時に救護活動を行う医療従事者の人材育成についてです。 これまで、県は、DMAT隊員を国が主催する研修へ派遣したり、広く医療従事者を対象とする研修会を開催するなどして、人材育成を行ってきました。 これらに加え、今年度からDMAT隊員が構成員となっている協議会と県が連携し、DMAT隊員を初めとした医療従事者に対して、より実践的な訓練を行い、スキルアップを図っていきます。 次に、県民の皆様への情報発信についてです。 県民の皆様にいざというときに必要な情報を役立ててもらうには、日ごろから災害時の医療救護体制をわかりやすく伝えることが重要です。 そこで、拠点病院と協力病院の位置や情報が一目でわかるよう工夫したチラシを作成し、これを市町村や多くの人が集まるイベントで配付するとともに、県のホームページでも発信していきます。 こうした取り組みにより、県民の皆様の不安を解消し、誰もが安心して暮らせるよう、災害時の医療救護体制の充実強化を図ってまいります。 次に、オスプレイの飛行に対する今後の取り組みについてです。 オスプレイについては、平成26年以降、米海兵隊のMV22が県内にたびたび飛来し、また本年4月には米空軍のCV22が横浜ノースドックに陸揚げされ、横田基地に飛行しています。 オスプレイに関しては、平成24年の日本配備前に日米両国政府間で可能な限り、人口密集地域上空での飛行を避けることなどが合意されています。 しかし、都市化が進んでいる本県においては、オスプレイなどの米軍機の飛行について、騒音等に対するさらなる配慮が必要であると考えています。 そこで、本県では、米軍機の飛行全般について、騒音の軽減や安全対策の強化に加え、状況に応じたよりきめ細かい配慮を国等に求めてきました。例えば、土日・祝日、重要な学校行事、市民行事等における飛行活動の禁止を国に求めたり、県教育委員会が公立高校入試の英語リスニング試験中の飛行停止を米側に求めるなど、取り組んできました。 また、本年4月のCV22オスプレイの横浜ノースドックからの飛行の際には、同機の飛行が国内で初めてとなることや、横浜ノースドックが市街地にあることから、安全対策の徹底や市街地での飛行を最小限にすることなどを国に求めました。 その結果、オスプレイの同基地からの飛行に当たり、米軍は飛行ルートを配慮したとの説明を国から受けており、我々の取り組みは一定の成果に結びついているものと受けとめています。 今後も、オスプレイを含め、米軍機の運用に当たり、県民の皆様への影響をできる限り軽減するための配慮が常になされるよう、国や米側に対し、粘り強く働きかけてまいります。 次に、フードドライブについてです。 フードドライブは、家庭の食品ロスの削減と生活に困っている人への支援という二つの意義があり、誰一人取り残さない社会の実現というSDGsの理念にもつながる活動です。 県内でもフードドライブの取り組みが始まっていますが、今のところ、一部の市町村にとどまっているのが現状です。今後、全県にフードドライブを広めていくためには、その意義や活動内容を広く県民の皆様や市町村等に理解していただくこと、また、各家庭から集められた食品が必要な人に届く仕組みを整えていくことが重要です。 そこで、県では、食品ロス削減に関する県のホームページなどを通じて、フードドライブにより家庭で余っている食品が支援を必要としている人に届けられることを広く県民の皆様に呼びかけていきます。 また、平塚市などでは、NPO等と連携して、フードドライブを始めていますので、こうした先行する取り組みを他の市町村に紹介していきます。 あわせて、集められた食品が必要とされる人に届くよう、今月末に開設する生活困窮者向けのかながわ生活応援サイトに、フードドライブを行っている地域の支援団体等の情報を掲載していきます。 さらに、かながわ子どものみらい応援団を通してフードドライブの支援団体等と子ども食堂など、地域の子供の居場所とのマッチングを後押ししていきます。 こうした取り組みにより、フードドライブが県内に広がり、提供された食品がより多くの人に届くよう、県民の皆様への周知と市町村やNPO等の活動への支援にしっかりと取り組んでまいります。 最後に、子ども・子育てへの支援についてお尋ねがありました。 ヤングケアラーについてです。 次代を担う子供たちは、健やかに生まれ育てられるべき存在であり、適切に養育されるよう、社会全体でしっかり支えていくことが必要です。しかし、近年、子供の貧困など、子供に関する問題がクローズアップされており、現代社会のさまざまなひずみが子供たちに集中していると感じています。 そうした中、ケアが必要な家族がいる場合、大人にかわって家事や家族の世話などをするヤングケアラーと呼ばれる子供たちがいることは、まさにこうした状況のあらわれであり、見逃すことはできません。 しかし、子供たちは、家族のケアをするのは当然のことと思い、周りに助けを求めないことも多いため、学習や生活上の困難を抱えていても、ケアが原因だと周囲が気づかないことが課題となっています。 そのため、まずは学校だけでなく、子供やその家族と接する機会の多い保健師や民生委員、ケアマネジャーなど、地域の医療・福祉の関係者がヤングケアラーの存在に気づき、支援につなげていくことが必要であると認識しています。 そこで、県では、地域の相談窓口である福祉事務所や地域包括支援センターなどにおいて、子供が過度なケアを担っていないかに配慮し、家族を含めた総合的な支援が行われるよう、会議などの場で情報や課題の共有を図ります。 また、市町村要保護児童対策地域協議会を通じて、学校や保健センター、医療機関などの構成員が連携してヤングケアラーの把握に努め、速やかに福祉サービスにつなげるよう働きかけていきます。 県としては、今後も市町村や関係機関と連携し、子供たちのスマイルがあふれ、未来に向かって輝けるよう、ヤングケアラーへの支援にしっかりと取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔福祉子どもみらい局長(香川智佳子)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 香川福祉子どもみらい局長。
◎福祉子どもみらい局長(香川智佳子) 福祉子どもみらい局関係のご質問にお答えします。 児童養護施設等の子供たちの自立支援についてお尋ねがありました。 施設や里親のもとで育った子供たちの中には、虐待などの経験から、自己肯定感を持てず、自立しても仕事や生活にうまく適応できないケースがあります。県では、これまであすなろサポートステーションを開設し、子供たちの相談に応じるとともに、各施設では、職員1名をあすなろサポーターとするなど、自立に向けた支援体制を整えてきました。 しかし、就職してもすぐに離職してしまうなど、自立した生活を続けていくことは、子供たちにとっていまだ難しいのが現状です。 そのため、子供たちには、施設の職員や里親との日常のかかわりの中で、失敗してもやり直す、人から感謝されるといった経験を積み重ねながら、時間をかけて自立のための生きる力を育んでいく必要があります。 そこで、県では、今年度新たにあすなろサポートステーションの支援員を講師として、施設の職員や里親向けに子供たちの生きる力を育むための研修を実施します。 施設職員向けの研修では、支援員がこれまで培ってきたノウハウを生かし、働くための心構えや金銭管理の知識などを子供たちにどう身につけさせていくかといったことを伝えていきます。 また、里親に対しては、里親センターと連携して、支援事例を紹介するなど、里親と子供が一緒に自立について考えるきっかけづくりを進めます。 県としては、今後もあすなろサポートステーションでのこれまでの実績を生かし、各施設や里親と連携協力し、子供たちの自立に向けた支援にしっかりと取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 外国につながりのある生徒への教育機会の提供についてです。 県教育委員会では、県立高校において、外国につながりのある生徒など、多様な生徒がともに学ぶことで互いを理解し、異なる価値観を尊重する態度を身につけていくことが大切であると考えています。 そのため、平成7年度入学者選抜から在県外国人等特別募集を始め、順次、実施校を拡大し、平成30年度入学者選抜では、横浜市立高校2校を含め、13校で145名の募集枠を設けています。 こうした中、県内の小中学校に在籍する外国につながりのある児童・生徒数は年々増加しています。また、現在の特別募集では志願資格がない在留期間が通算3年を超えている中学生の中にも、日本語の習得状況から、日ごろの学習に課題のある生徒もおります。 こうした状況を受け、私としては、志願資格における在留期間の扱いも含め、全日制における在国外国人等特別募集の今後の方向性について検討したいと考えています。 そして、その際には、専門家や関係団体からもご意見を伺うほか、同様の募集を行っている横浜市とも相談し、この神奈川で学ぶ外国につながりのある子供たちにとって望ましい方向性を見出していきたいと考えております。 次に、教員の働き方改革についてです。 まず、中学校の部活動についてです。 現在、各市町村教育委員会では、スポーツ庁のガイドラインにのっとり、県の方針を参考に、学校の部活動の方針の策定など、取り組みを進めています。 この6月で既に方針を策定済み、または策定中の市町村は22市町村となっており、その他の市町も、現在、策定に向けて検討中という状況です。 今後も、県教育委員会として、外部の専門家である部活動指導員の活用などを含め、中学校の部活動の充実と教員の負担軽減が図られるよう、市町村教育委員会と連携し、対応してまいります。 次に、市町村立学校教員の勤務実態への取り組みについてです。 昨年、市町村立学校の勤務実態調査を行った結果、児童・生徒の指導にかかわる業務だけで正規の勤務時間を超えているなど、小中学校教員の長時間勤務の実態が明らかになりました。 こうした実態を踏まえ、県教育委員会では、今年度、県内の小中学校5校をモデル校に有識者等の学校経営アドバイザーを派遣して、外部の視点から学校の運営そのものを分析し、教員の業務負担軽減を図る取り組みを実践していく予定です。 また、先日開催した市町村の教育長や小中学校教員も参加する神奈川の教員の働き方改革検討協議会において、今後、アドバイザーによる学校運営の分析も踏まえ、市町村立学校教員の働き方改革に関する実効性ある対策を検討し、実施していきます。 お尋ねの市町村立学校教員の定数改善については、これまでも国に対して要望してきましたが、改めて本県における教員の勤務実態に基づき、県教育委員会として国に強く働きかけてまいります。 私からの答弁は以上でございます。 〔教育監(折笠初雄)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 折笠教育監。
◎教育監(折笠初雄) インクルーシブ教育実践推進校における進路支援についてです。 インクルーシブ教育実践推進校のパイロット校で学ぶ知的障害のある生徒が、希望する進路を実現し、将来、社会で活躍できるよう、計画的にキャリア教育を行うことは大変重要と認識しています。 そのため、県教育委員会では、パイロット校3校に1期生が入学する前年の平成28年度からそれぞれの高校が所在する地域のハローワークや商工会議所などを職員が訪れ、インクルーシブ教育の取り組みについて直接ご説明し、協力を依頼してきました。 そして、生徒が入学した29年度からは、各パイロット校に進路指導を担当する教員を配置し、職場見学やインターンシップなどのキャリア教育を進めています。 パイロット校で学ぶ知的障害のある生徒は、現時点で、就職だけでなく、専門学校への進学など、さまざまな進路希望を持っていますので、今後、一人一人の希望に応じた丁寧な支援が必要と考えています。 そこで、大学や専門学校、企業などが参加する県立高校生学習活動コンソーシアムを活用して、生徒がさまざまな体験学習を経験する中で、適切な進路選択が実現できるよう支援していきます。あわせて、知的障害のある生徒を受け入れている専門学校などの把握にも努めてまいります。 生徒一人一人が自分の希望する進路を実現できるよう支援することは、私たち教員の使命です。県教育委員会では、インクルーシブ教育実践推進校で学ぶ生徒の進路実現に向け、しっかり対応してまいります。 以上でございます。 〔岸部 都議員発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 岸部都君。
◆岸部都議員 時間が余りありませんので、自席からの発言をお許しください。 知事、教育長、福祉子どもみらい局長、教育監、ご答弁いただきました。前向きに取り組んでいただけるということで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 残された時間、意見・要望を申し上げます。 まず、ヤングケアラーについてです。 ヤングケアラーが抱える問題は、子供の人権にかかわる問題です。福祉、医療、教育の現場で、今ある取り組みにヤングケアラーという視点を取り入れること、早急に適切な支援に結びつけることで、ぜひ進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、インクルーシブ教育についてです。 今ご答弁もいただいたところでありますが、進路については、丁寧に行われてきた今までの進路指導に加えて、幅広く枠を広げる意味でも、コンソーシアムの活用ということで期待するところです。 始まったばかりのインクルーシブ教育でありますが、これまで待ち望んできた生徒や保護者の方々は、この着実な進捗に大きな期待をお持ちです。卒業という出口を見据えた取り組みをぜひ進めていただきたいと思います。 次に、外国につながりのある生徒への教育機会の拡充についてということで、これもまた前向きなご答弁をいただきましたが、
生活言語の習得、小学校段階でもすぐに日常会話ができるようになるということですが、学習言語については、それは学年が上がるにつれ、その習得の難しさが本人の能力以上に日本語の部分で難しい壁となっています。 国においても、学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議の提言を受けて、より積極的な意義、効果の観点からも施策が進められています。神奈川の高校入選においても、特別募集のあり方について、ぜひご検討いただき、前向きに進めていただきたいと思います。 最後に、教員の働き方改革についてです。 教育長のご答弁からも、思いや決意を強く感じたところです。ぜひその思いを現場で子供たちと向き合う教員一人一人に届けていただきたいと思うところであります。 県においても、小中学校の実態が明らかになったところで、今回、5校の業務アドバイザーを送っていただくということですが、それ以外にも他県や県内自治体の取り組みなどを参考に、県として、市町村への新たな支援策も視野に取り組むことを強く要望して、私からの質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。
△《本会議録-平成30年第2回-20180625-028323-質問・答弁-谷口かずふみ議員-一般質問①県立学校におけるコンクリートブロック塀の安全対策等について②ヘルプマークの普及啓発について③骨髄移植の推進について④二枚貝養殖による水産業の振興について⑤かながわブランドの販売促進について⑥身近な地域におけるシニアの就業機会の確保について⑦県立高校における通級指導の拡大について》 〔谷口かずふみ議員発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 谷口かずふみ君。 〔谷口かずふみ議員登壇〕(拍手) 〔副議長退席、議長着席〕
◆谷口かずふみ議員 公明党の谷口かずふみでございます。 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党県議団の一員として、通告に従い、順次質問をいたします。 知事並びに教育長におかれましては、明快なご答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いを申し上げます。 私の最初の質問は、県立学校におけるコンクリートブロック塀の安全対策等についてであります。 6月18日朝、大阪府北部を震源とする震度6弱の地震が発生し、5人の方がお亡くなりになられました。この場をおかりして、心からご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。 お亡くなりになった方の一人は小学4年生のお子さんで、たまたま朝のあいさつ運動の当番のため、一人で通学中に、倒れてきたその小学校のブロック塀の下敷きになったという、大変痛ましい事故でありました。 建築基準法施行令においては、いわゆるブロック塀の高さは2.2メートル以下と定められていますが、新聞報道によりますと、倒壊した塀は約3.5メートルあったということであります。 ブロック塀などの倒壊による被害は、昭和53年に発生した宮城県沖地震で18人の方が犠牲となり、それを教訓に、塀の高さの上限が3メートルから2.2メートルに下げられました。しかしながら、それ以降も、平成17年の福岡沖地震や、平成28年の熊本地震でもブロック塀の倒壊により犠牲者が出ています。 これまでの被害の教訓が、いつまでたってもなぜ生かされないのか、残念でなりません。ましてや、今回の事故は、最も安全であるべき学校の施設が原因となっており、看過することはできません。 さらに、きのう24日付の新聞では、大阪府高槻市の教育委員会は、事故のあった小学校のブロック塀について、外部の指摘や業者の定期検査で危険性を把握できる機会が3度あったにもかかわらず、組織で情報が共有されなかったなどの理由で見逃され、事故を防ぐことができなかったと報じられております。 学校などの教育施設は建築基準法で3年に一度、1級建築士らによる検査が義務づけられています。市教委は、ブロック塀もこの検査の対象としており、記録が残る平成25年度以降の検査結果を調べ直したところ、平成25年と28年度には別々の委託業者が検査をしていましたが、違法性を見逃していたということであります。 また、平成27年度には、このブロック塀について、防災アドバイザーが、大きな地震で崩れる可能性があると指摘していたにもかかわらず、相談を受けた市教委の職員は、目視などの点検で問題ないと判断。市教委は、人災という指摘も否めないとしており、何のための検査、点検であったのか、怒りを禁じ得ません。 今回の事故を受けて、既に文部科学省からは、各都道府県の教育長などに、所管、所掌の学校におけるブロック塀等について安全点検を行い、劣化等の状況がある場合には、速やかに注意喚起を行うなど、必要な安全対策を実施すること、並びに通学路の確認、指導を徹底するよう通知が出ていますが、県教育委員会では、この通知に先立ち、全ての県立学校について、緊急にコンクリートブロック塀の状況調査を行っていると承知しております。 そこで、教育長に伺います。 県立学校に対して行った調査の結果を受け、今後どのように対応していくのか、また、防災上の観点から、県立学校の通学の安全対策について、どのように対応していくのか、あわせて教育長の所見をお伺いいたします。 次に、ヘルプマークの普及啓発について伺います。 ヘルプマークは、義足や人工関節を使用している内部障害や難病の方、知的障害の方など、外見からはわからなくても援助や配慮を必要としている方が、周囲の方々に対して、まさにヘルプが必要なことを知らせるマークであり、平成24年10月に東京都が導入をしたものであります。 今から4年ほど前になりますが、知的障害者の娘さんを持つお母さんから、娘がコンビニなどで代金の支払いでトラブルになることが多く、困っています。周りの人に援助が必要なことを知ってもらうマークをつくってもらえないでしょうかとのご相談をいただきました。 私は、県独自のマークをつくることも大事ですが、首都圏で共通のマークとして使えるという観点から、東京都のヘルプマークを本県としても使用できるように取り組んではどうかと当局に提案をさせていただきました。 その後、時間はかかりましたが、本県でも、昨年3月からヘルプマークの配付を県内市町村で開始いたしました。本県での導入には、私の周りの地域でも多くの喜びの声を聞いております。 また、私の地元の大和市では、公明党議員の提案で、今月6月から、自身の障害や病名、かかりつけの病院などを記入できる市独自のヘルプカードや、聴覚・視覚障害者向けの災害用ベストも作製、避難する際にも助けを求めやすくなるとしております。 一方で、このマークの認知度アップが大きな課題となっております。県としては、ヘルプマークの認知度を上げていくため、ポスターを配付するなど普及啓発に取り組んでいることは承知していますし、現在、徐々にではありますが、県内の鉄道の駅や車内で、ヘルプマークのポスターやステッカーを見かけるようになりましたが、まだまだ県民には十分知られていないのではないかと感じています。 実際に、ヘルプマークをつけていたにもかかわらず、電車の中で席を譲ってもらえなかったとの声や、病院で、治療費の支払いで困っていたのに、職員さんから全く配慮がなかったとの声を直接聞いております。 県は、より多くの県民にヘルプマークの意味を知っていただき、マークをつけた方に声をかける、席を譲るなど必要な行動を起こす方がふえていくよう、新しい啓発用品も検討しながら、一層普及に努力してもらいたいと考えています。 そこで、知事にお伺いをします。 県のヘルプマークの普及啓発に関するこれまでの取り組みの成果と、今後の取り組みについて、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、骨髄移植の推進について伺います。 白血病などの血液の病気では、ドナー、つまり提供者から採取した骨髄を移植することでしか、治癒を望めない患者がたくさんおられます。 しかし、骨髄移植を希望しながら実際に移植を受けられる患者は、移植希望者全体の6割程度にとどまっており、ドナー登録者は不足している状況であります。 骨髄移植を推進するためにも、ドナー登録者の増加が不可欠ですが、ドナー登録の要件の一つには、18歳から54歳という年齢制限があり、55歳になると自動的に登録が抹消されてしまいます。 このため、毎年、全国で2万人を超える登録が抹消されており、新規登録者を確保していかないと、登録者数が減少に転じてしまうことも懸念されており、長期間にわたりドナー登録が可能な若い世代を中心とした新たなドナー登録者を確保する取り組みが大事であります。 一方で、ドナー登録者が実際に骨髄を提供する際には、事前の検査や、骨髄採取のための入院など、延べ7日間程度の日数を必要とすることから、経済的サポートを行うことや、ドナー自身の有給休暇を使うのではなく、勤務先がその休日を特別休暇として認める、いわゆるドナー休暇制度を広めることなどにより、ドナーの負担を軽減することが重要になります。 本県では、昨年3月に助成制度の創設と実施を求める請願が県議会で採択されたこと、さらに、12月に行った我が会派の西村議員の質問を受けて、本年度より、ドナーの入院などに伴う負担を軽減し、骨髄提供を円滑に進めるため、骨髄ドナー助成制度を創設いたしました。 この助成制度は、市町村がドナー登録者や事業者を補助した場合に、市町村に補助するものであり、市町村において補助事業を実施することが必要となります。 しかしながら、本年度、補助事業を実施している市町村はわずかであり、県内の一部の地域でしか、補助を受けられない、そういう状況になっております。 また、このような助成制度が存在すること自体、県民に広く周知されていない状況であり、まずは、県民に制度を知ってもらうことが重要であります。 そこで、知事にお伺いします。 本県におけるドナー登録者をふやすために、どのように取り組んでいくのか伺います。また、ドナー登録者を骨髄提供につなげていくことが重要と考えますが、骨髄ドナー助成制度を県内の市町村に広め、県民にも広く知ってもらうために、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の所見をあわせてお伺いします。 次に、二枚貝養殖による水産業の振興について伺います。 神奈川県は、太平洋に面する相模湾と、三方を陸に囲まれた東京湾という二つの特徴的な海を擁しており、300種類を超える海の幸は、私たち県民の食生活に豊かな彩りを添えてくれています。 しかしながら、近年は、東京湾では海水中の酸素の濃度が、魚介類が生きていけないほど低下する、いわゆる貧酸素水塊が夏から秋にかけて毎年のように発生し、シャコやマコガレイといった東京湾の代表的な魚の不漁が続いています。 また、三浦半島沿岸の海では、海藻がほとんど生えていない磯焼けと呼ばれる状態が続いている箇所があり、そこではアワビ漁やサザエ漁などが不漁となっています。 このような貧酸素水塊や磯焼けによる漁業への影響を最低限に抑える対策を、県としてしっかりと取り組んでもらいたいと思いますが、さらに、それらに影響されない新たな水産業の振興策についても必要ではないかと考えます。 神奈川県の海では、天然の魚介類をとる、いわゆる漁船漁業は従来から盛んに行われていますが、生けすなどで稚魚から出荷サイズまで一貫して飼育する養殖業は、冬の間に行われるワカメなどの海藻養殖を除き、余り行われていないようであります。 本県の漁業生産量が低迷している現在、天然の魚介類をとるだけでなく、人の手により育て出荷する養殖業の振興は、SDGsの目標の一つである持続可能な開発のために海洋及び海洋資源を保全し、持続可能な形で利用するという開発目標の達成につながる取り組みであると考えます。 また、天然資源に依存する漁船漁業は、漁獲の好不漁や天候などに大きく左右され、安定した生産を行うのが困難な面がありますが、養殖業は農業のように、ある程度計画的な生産ができると考えます。 最近の新聞でも、真鶴町で県内初の生食用、つまり生で食べられるカキの出荷に向けた体制づくりに着手したと報じられておりました。首都圏という立地を生かし、カキなどの二枚貝養殖を県内の沿岸全域で振興することにより、神奈川県の水産業を活性化できないかと感じたところであります。 また、二枚貝養殖の普及により漁業経営が安定すれば、漁業の担い手の確保にもつながるものと考えます。 そこで、知事にお伺いします。 本県の漁業経営の安定と水産物の安定供給のため、カキなどの二枚貝養殖による水産業の振興について、知事の所見をお伺いします。 次に、かながわブランドの販売促進について伺います。 県では、平成29年3月にかながわ農業活性化指針を改定し、農業振興施策の総合的かつ計画的な推進を図っています。 改定された指針では、県民の身近で営まれる都市農業のメリットを最大限に生かし、将来にわたって安定した生産を行うことが必要であるとの認識から、基本目標を、農業の活性化による地産地消の推進、医食農同源による県民の健康増進としています。 また、目標の実現に向けては、県民ニーズに応じた農畜産物の生産と利用の促進や、安定的な農業生産と次世代への継承などを施策の方向として位置づけ、地産地消を力強く推進していくこととしております。 そして、地産地消の推進に当たっては、県と生産者団体で構成するかながわブランド振興協議会が中心となって、かながわブランドの登録制度を運用しております。 かながわブランドには、組織的な生産体制や、県民にアピールできる安全性と商品としての特徴、統一した生産・出荷基準による品質の確保など、一定の基準をクリアした農林水産物等が登録されており、今年3月現在で、その登録数は100品目になっています。 また、かながわブランドを初めとした県内の畜農林水産物については、スーパーマーケットでの販売促進に取り組むとともに、ホテル・レストランなどの食材として活用する店舗をふやすなど、日ごろから地産地消の推進に努めているものと認識しています。 しかしながら、かながわブランドの登録品をスーパーマーケットなどの店頭で目にする機会は必ずしも十分とは言えず、もっと県民にPRできれば、さらなる販売促進につながるのではないかと考えています。例えば、特定の日、あるいは特定の月を設けるなどして、かながわブランドの販売を促進してはどうかと考えます。 そこで、知事に伺います。 かながわブランドの販売促進について、どのように取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いします。 次に、身近な地域におけるシニアの就業機会の確保について伺います。 人生100歳時代を迎え、元気な高齢者がふえています。私の周りでも、90歳にして地域の団体の責任者をしている方もいらっしゃいます。 内閣府の調査によると、現在仕事をしている60歳以上の男女のうち、約4割の人が、働けるうちはいつまでも働きたいと回答するなど、就業意欲も高い状況にあります。 しかしながら、一般的に高齢者が長時間かけて通勤することは困難であり、居住する地域で就業機会を確保することが必要であると考えます。 地域における高齢者の就業ニーズに対する受け皿の一つとして期待されているのが、原則として各市町村単位で設置されているシルバー人材センターですが、県内の状況を見ると、センターによって若干状況は異なるものの、会員数はおおむね横ばいか減少傾向にあるとのことであります。 65歳を超えても働きたい高齢者は増加しているにもかかわらず、会員数が伸び悩んでいるのは、シルバー人材センターの提供する就業機会が、身近な地域で働くことを希望する、企業を退職した高齢者などにとって、十分魅力あるものにはなっていないということが一因なのではないかと考えています。 シルバー人材センターは、身近な地域において就業を希望する高齢者と、働き手を求める企業や団体などを結びつけることが期待されるものであり、センターが双方のニーズを把握し、そうした役割を果たせるようにしていくことが重要であると考えます。 県はこれまでも、シルバー人材センターへの支援を行ってきたと承知していますが、身近な地域で就業を希望する高齢者が増加する中、シルバー人材センターに求められる役割は、今後さらに大きくなっていくことから、県としても、さらに積極的に支援していくべきと考えます。 そこで、知事に伺います。 高齢化が進展し、ますます高齢者の就業意欲が高まることが予測されています。そういう中、シルバー人材センターが、身近な地域において就業を希望する高齢者のニーズに対応した就業機会を確保し、そして提供することで、高齢者が生き生きと活躍できるよう、県としても、シルバー人材センターの活動を支援していくべきと考えますが、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、知事のご所見をお伺いいたします。 最後に、県立高校における通級指導の拡大についてお伺いします。 さまざまな人々が生き生きと活躍できる共生社会の実現に向けては、障害のある子供たちの自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち、一人一人の教育的ニーズを把握し、学習上または生活上の困難を改善または克服するための適切な指導や支援を行うことが必要であり、高等学校においても、障害のある生徒に対する支援の充実が求められているところであります。 通級による指導、いわゆる通級指導は、大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について、障害に応じた特別の指導を、特別の場で受ける指導形態のことであり、小中学校では既に平成5年度から取り組まれていましたが、高等学校では法令上不可能でありました。 しかし、通級指導が必要な児童・生徒の増加やこうした子供たちの多くが高等学校に進学しているという実態を踏まえ、平成28年12月に学校教育法施行規則等が改正、平成30年度から、高等学校においても通級指導が実施できるようになったところであります。 このような高等学校における通級指導の制度化の動きや、我が会派の小野寺議員、亀井議員の質問を受けて、高等学校に進学する生徒の多様な教育的ニーズに対応するため、本県においても、平成29年10月に「県立高校改革実施計画」を変更、同計画に示された重点目標の一つであります、共生社会づくりに向けたインクルーシブ教育の推進に、これを新たに位置づけて、保土ケ谷高校、生田東高校、綾瀬西高校の3校の県立高校を通級指導導入校として指定し、この4月から取り組みを開始しました。 この取り組みを受けて、私の地元の大和市にお住まいの保護者の方から、自宅から通えるような地域で、ぜひ通級指導を受けられる高校を指定してほしいとの強い声もいただいており、我が会派としても、この通級指導導入校を拡大すべきであると考えております。 本県は、平成14年度から、さまざまな課題のある子供たち一人一人の教育的ニーズに適切に対応していくことを学校教育の根幹に据えた神奈川の支援教育に取り組んできましたが、今回導入された通級指導は、多様な学びを通じて、生徒の可能性を引き出す、これまでの神奈川の支援教育と軌を一にする大変重要な取り組みであると認識をしており、実施可能となった今年度から、早速取り組んでいる県教育委員会には一定の評価をしているところであります。 一方で、現在3校の通級指導導入校では、自校の生徒を対象として通級指導を実施する、いわゆる自校通級を行っているところでありますが、より多くの生徒の要望に対応するために、今後は、他校の生徒を受け入れて通級指導を実施する他校通級といった方法も視野に入れるべきではないかと考えています。 そこで、教育長にお伺いをいたします。 県立高校における通級指導について、他校通級の実施を含めた今後の展開についてどのように考えているのか、教育長のご所見をお伺いいたします。 以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 谷口議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、ヘルプマークの普及啓発についてお尋ねがありました。 ヘルプマークの普及啓発は、外見からわからなくても、心臓や腎臓など、身体の内部に障害があり、配慮が必要な方が安心して外出し、社会参加を進めるために大変意義があります。 本県では、ヘルプマークを必要とする方がマークを身につけてもらえるよう、今年4月までに合計で1万9,000個のマークを配付しました。同時に、マークをつけている方に声かけなどの配慮をしていただけるよう、県のホームページでマークの趣旨をお知らせするとともに、啓発用のポスターを市町村に配付するなど、周知を進めてきました。 また、電車やバスなど交通機関各社にご協力いただき、優先席付近にマークの趣旨をあらわしたステッカーが掲示されるようになりました。 さらに、昨年8月に開催されたかながわハイスクール議会で、多くの高校生はマークを知らないという指摘を受けましたので、県内の高等学校にもポスターを配付し、周知に努めました。 しかし、当事者の方からは、ヘルプマークをつけていても配慮を受けられなかったという声を依然としていただいており、マークの周知をさらに進めていく必要があります。 そこで、今後は、障害者が訪れる機会の多い福祉施設、病院やコンビニエンスストアなどにポスターの掲示や従業員等への周知を進めていただくよう依頼していきます。 また、より多くの方にヘルプマークを理解していただけるよう、ポスター、チラシに加え、さらに効果的な啓発物品の作成も検討します。 あわせて、民間事業所において、障害者への理解と適切な配慮を進める上で中心的な役割を担う心のバリアフリー推進員の養成研修で、マークをつけた方への対応方法を学んでいただくようにしていきます。 県は、こうした取り組みにより、外見からは障害者であるとわかりにくい方も社会参加を妨げられることなく、その人らしく暮らすことができる地域社会づくりをしっかり進めてまいります。 次に、骨髄移植の推進についてお尋ねがありました。 骨髄移植を希望される方の命を救うためには、骨髄ドナー登録者をふやすとともに、実際の骨髄提供に結びつけることが重要です。 そこで、まず、ドナー登録者をふやす取り組みとして、本県では、日本赤十字社の献血ルームや保健福祉事務所でドナー登録を随時受け付けているほか、大学やスーパーマーケットなどで実施する献血時にもドナー登録の呼びかけを行っています。 こうした取り組みにより、新規登録者は平成28年度が約1,200名でしたが、29年度は約1,650名と増加しました。 また、若い世代の新規登録者をふやすことは、長期間にわたるドナーの確保につながりますので、今後、大学などでドナー登録を呼びかける機会をふやしていきます。 さらに、学生など、若い世代の方が同じ世代の方にドナー登録を呼びかけることも有効な手段と考えますので、新たにボランティアを行っている学生団体等に協力をお願いしていきます。 次に、骨髄提供につなげるための取り組みとして、ドナー登録者の負担軽減を目的とした骨髄ドナー助成制度を、今年度、県は創設しました。この制度は市町村の補助事業に県が助成するもので、創設後間もないことから、現在、5市町での活用となっています。 県は、助成制度が県内全域に広がるよう、今後、市町村を訪問し、制度の趣旨を丁寧に説明した上で、引き続き活用を働きかけていきます。 また、ドナー登録や助成制度を県民の皆様に広く知ってもらうため、今後、県のホームページに掲載するとともに、チラシを作成し、市町村などに提供して周知を図っていきます。 今後も、骨髄移植を希望する方が一人でも多く移植を受けられるよう、しっかりと取り組みを進めてまいります。 次に、二枚貝養殖による水産業の振興についてお尋ねがありました。 漁獲量が落ち込む中で、養殖は計画的な生産が可能であることから、漁業経営を安定化させるとともに、水産物の安定供給にもつながります。このため、県は、平成28年3月に改定したかながわ水産業活性化指針において、海面での養殖生産量の拡大を目標の一つに掲げています。 中でも、二枚貝養殖は、赤潮や貧酸素水塊の発生原因となるプランクトンを餌として取り込むことから、水質浄化の効果も期待できます。 そこで、県では、水産技術センターを中心に二枚貝養殖に取り組む漁協に対する技術指導などを行い、その普及に努めてきました。 具体には、横須賀市内の漁協では、平成21年からマガキの養殖試験に取り組んだ結果、安定的に生産できる体制が整い、今年度から本格的にマガキの生産販売を事業化する予定です。 このほか、横浜市内の漁協では、ホタテガイやトリガイの養殖試験に取り組んでおり、また、真鶴町では、地域が一体になって生食が可能なイワガキの出荷を目指した取り組みも行われています。 このように、県内では二枚貝養殖の取り組みが広がりつつありますので、食品としての安全性をしっかりと確保するための取り組みも必要です。 そのため、県では、貝が毒化する原因となるプランクトンの監視や出荷前の貝が毒化していないことを確認するための検査を実施しており、さらに、規制値を超えた場合の出荷を自主規制する体制も構築しました。 本県における二枚貝養殖は歴史が浅く、生産規模も大きいとは言えませんが、大消費地に近いという強みがあります。また、湘南しらすのようなブランド化も期待できますので、本県水産業の一翼を担えるように振興を図ってまいります。 次に、かながわブランドの販売促進についてお尋ねがありました。 かながわブランドの販売を促進していくためには、認知度の向上を図ることが何より重要です。このため、県では、生産者団体とともに設立したかながわブランド振興協議会において、情報発信や実際に味わってよさを知ってもらう取り組みなどを進めています。 具体的には、まず、情報発信では、ホームページかなさんの畑をスマートフォンにも対応できるようリニューアルし、県立高校生の発想力とセンスを生かした情報発信をするなど、アピール力を高めるための工夫をしています。 次に、実際に味わってよさを知っていただく取り組みについては、昨年度までの内容に加え、本年度は登録産品をおいしく食べられる旬の時期に着目したイベントを開催します。 このイベントは統一ロゴを用いたキャラバン方式で開催するもので、その第一弾として、6月20日から都筑阪急でおいしい神奈川美味競演を開催しています。 その後も来月1日からは、三浦かぼちゃ、秋にはお米のはるみ、来春には湘南ゴールドなど、旬の登録産品をPR販売するためのイベントを連続して開催します。 今後も、県ではこうした取り組みをさらに工夫しながら、持続的に行っていきます。 また、新たな手法として、例えば比較的多くの登録産品が出荷販売される月をかながわブランド月間に設定することも効果的と考えていますので、その実現に向けて生産者団体と協議していきます。 来月10日には、かながわ屋がそごう横浜店にオープンしますので、県としては、そうした場も活用しながら、かながわブランドの認知度向上を図り、販売促進に努めてまいります。 最後に、身近な地域におけるシニアの就業機会の確保についてお尋ねがありました。 人生100歳時代を迎え、働く意欲と能力のある高齢者が、生き生きと働くことができる環境を整備していくことは大変重要です。 高齢者は身近な地域での就業を希望することが多く、また、働きたい理由も経済的な理由のほか、健康や生きがいなど、さまざまです。 多くの市町村で設置されているシルバー人材センターにはこうした高齢者のニーズに対応し、身近な地域で多様な就業機会を提供する役割が期待されており、県は県シルバー人材センター連合会への助成を通じて、その活動を支援してきました。 現在、センターが提供している業務は、草刈りや駐車場の管理といった軽作業が多いことから、ホワイトカラーであった高齢者などの多様な就業ニーズにも対応できるよう選択肢をふやしていくことが大切です。 県内外のセンターの中には、英語教室の講師や商業施設の夜間店長など、従来にはなかった業務を扱うようになった例や高齢者の就業ニーズに合った業務を掘り起こせるよう、高齢者の就労相談業務を活用し始めた事例もあります。 今後は、このような好事例を他県の労働部局とも情報交換する中で幅広く収集し、市町村を通じて各センターに提供することにより、それぞれの地域のニーズに合った提供業務の拡充につなげていきます。 あわせて、市町村と連携して、センターの活動を企業や団体へ積極的に周知し、多くの業務を発注するよう働きかけることで、センターの活性化を図り、多彩なシニア人材が地域社会で笑顔で活躍できるよう取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 県立学校におけるコンクリートブロック塀の安全対策等についてです。 まずは、コンクリートブロック塀の調査結果を受けての今後の対応についてですが、今回の大阪北部を震源とする地震により、小学校のコンクリートブロック塀が倒壊し、女子児童が亡くなるという大変痛ましい事故が発生しました。 県教育委員会では、発災翌日の6月19日には、全県立学校に対して、コンクリートブロック塀の状況調査を依頼しました。 この調査では、現時点で県立学校172校中26校から、コンクリートブロック塀が設置されているとの報告がありました。現在、その安全性を把握するため、専門の職員を現地に派遣し、点検を進めています。 近日中に点検結果を取りまとめることとしていますが、コンクリートブロック塀の劣化状況等により、安全策を講じる必要がある場合は、直ちにカラーコーンを設置するなど、緊急的な措置を講じます。そして、その後、速やかに塀の補強を行うなど、安全性を確保してまいります。 次に、通学の安全対策についてです。 県教育委員会では、文部科学省からの通知を受け、6月20日、全県立学校宛てに通学に利用する道路等の安全性を至急確認するよう求めました。そして、危険な箇所が判明した場合には、児童・生徒に速やかに知らせるとともに、当該の場所を回避して通学するよう指導を徹底しました。 これまでも県立学校では、生徒みずからが学校周辺における災害発生時の対応をイメージし、地域の安全な場所や危険箇所を考える災害図上訓練─DIGを実施しています。今後、県教育委員会では、さらにこの訓練を徹底し、今回、事故の原因となったコンクリートブロック塀等の危険箇所について、児童・生徒がしっかりと認識し、万が一にも不測の事態が起きないよう対応してまいります。 次に、県立高校における通級指導の拡大についてです。 県教育委員会では、生徒一人一人の教育的ニーズに適切に対応していくため、発達障害のある生徒を対象に、通級指導を導入する県立高校3校を昨年10月に指定しました。これらの3校では、学校説明会での中学生保護者への周知や通級指導を行う教室の整備、指導体制などを整えてきました。 そして、この4月以降、在校生全員と保護者を対象に通級を希望するかどうかについて調査を行い、その結果、現在、2校で4名の生徒を通級指導により支援しています。 このように、通級指導は生徒、保護者の希望により行っていますので、今後、学期の節目などを捉えて、引き続き生徒等の意向を丁寧に確認していく必要があります。 また、導入校での取組状況や課題についても、適宜把握しておくことが必要です。一方、導入校以外の県立高校においても、通級指導が必要と思われる生徒は一定数在籍しておりますので、そうした生徒への対応も課題と認識しています。 そこで、今後の通級指導の展開ですが、県教育委員会としては、4月からスタートした通級指導の取組状況等を1学期終了後の8月を目途に学校ごとに把握し、指導の充実に向けた検証を行っていきます。 あわせて、他校の生徒を受け入れて、通級指導を行う他校通級については、より多くの生徒への支援という視点から、通学の利便性などを考慮した導入校の選定や指導体制などの検討に着手してまいります。 答弁は以上でございます。 〔谷口かずふみ議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 谷口かずふみ君。 〔谷口かずふみ議員登壇〕
◆谷口かずふみ議員 知事、並びに教育長におかれましては、ご答弁、大変にありがとうございます。 それでは、再質問を1点だけさせていただきたいと思います。 骨髄ドナーについてでありますけれども、先ほどの答弁で、登録のチャンスというか、機会をさらに大学等でふやしていく、また、新たに学生のボランティア団体にも呼びかけていくというご答弁をいただきましたが、さらに若い世代の骨髄ドナーの登録者をふやしていくためには、登録会の実施場所について、先ほど大学生というご答弁をいただきましたが、大学だけではなくて、例えば医療系の専門学校などであれば、学生の方々も関心が高いというふうに思われますので、こうしたことも検討を進めていくべきではないかというふうに思っております。 そういう意味で、医療系の専門学校も登録会の場所として、今後進めていくということについて、知事のご所見をお伺いしたいと思います。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 若い世代の骨髄ドナー登録者をふやす取り組みについてのご質問でありました。 若い世代の新規登録者をふやすことは、長期間にわたるドナーの確保につながりますから、大変重要であると思います。 その中で、今ご提案がありました医療系の専門学校の学生さん、確かに関心が高い方が多いと思いますので、骨髄ドナー登録を呼びかける機会を医療系の専門学校の皆さんにもつくっていくように進めてまいりたいと思います。 答弁は以上です。 〔谷口かずふみ議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 谷口かずふみ君。 〔谷口かずふみ議員登壇〕
◆谷口かずふみ議員 大変前向きな答弁をありがとうございました。 医療系の専門学校も進めていきたいという明快なご答弁をいただき、感謝を申し上げたいと思います。 今後も、ぜひ若い方々が登録していただけるように、あらゆる知恵を絞って、そして進めていただくようにお願いしたいと思います。 また、助成制度の周知につきましては、今現在、5市町というご答弁であったかと思いますけれども、来年度予算をこれからそれぞれの市町でも編成に向けて取り組みがなされてまいりますので、これはできるだけ早く、市町の担当者の方に伝えて、そして制度をつくっていただけるよう、我々サイドもしっかりと取り組んでまいりたいと思いますけれども、ぜひ県当局の皆さんの取り組みをお願いしたいと思います。 このほか、幾つか時間の許す限り、要望を申し上げたいと思います。 まず最初に、ブロック塀の対策についてでありますけれども、先ほどご答弁ありましたように、今回の地震、翌日の6月19日には、文科省の通知が出る前にもう既に点検を発信するなど、教育委員会におかれましては、速やかに対応されていることについては一定の評価をさせていただきたいと思います。 今ご答弁の中に、172校中26校にブロック塀があるということで、今、専門家を送っているということであります。施設の安全性を確保、そしてしっかりと維持していくことは、施設管理者として当然の責務であります。ましてや、質問でも申し上げましたけれども、学校ともなれば、児童・生徒の命にかかわる大きな問題でもあります。 さらに、質問の中でも申し上げましたけれども、報道によると、高槻市の教育委員会は外部の指摘や業者の定期検査で危険性を把握できる機会が3度あったにもかかわらず、組織で情報が共有されていなかったなどの理由で、この違法性が見逃されて事故を防ぐことができなかったということでありますので、点検に当たっては、スピードも求められますが、その一方で、しっかりとこれは今後、点検で見逃したという結果にならないように、しっかり慎重に取り組んでいただきたいと思います。 さらに、きょうは県立学校のブロック塀について質問もさせていただきましたけれども、ブロック塀、恐らく県庁のほかの施設におかれても、たくさんいろいろなところに使われていると思いますので、もう既に点検等をスタートしているかもしれませんが、いずれにしても、慎重に、そしてスピーディーに点検、そして安全対策を行うように求めておきたいと思います。 また、通学の安全対策として、DIGということがありましたけれども、これもただ単に、こちら側がここ危ないよと示すだけではなくて、生徒の皆さんが自分たちで調べてきて、危ないところはここだという、生徒の皆さんで地図をつくるぐらいの、そういう取り組みをしていくことが大事ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、ヘルプマークの認知度アップについて要望します。 ヘルプマークの導入をされて、私も多くのところで喜びの声をたくさん聞いております。その一方で、残念ながら、つけているけど、配慮してもらえなかったという声が本当に多いんですね。ですので、きょうのご答弁では、今後、福祉施設、病院、コンビニなど、新たに鉄道以外のところもポスターの配付や、また従業員の方々への周知もしていただけるということで、非常にありがたく思っておりますけれども、これが実効性があるように、ぜひしっかりと進めていただきたいというふうに思います。 また、効果的な啓発物品も検討していくということでありますが、例えば、これはちょっと実際使われる方なのか、普及啓発のためなのかという点はありますけれども、例えばTシャツなんかということも検討の中に入れていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 最後に、通級指導について申し上げます。 こちらのほうも、他校通級について検討に着手をするという前向きなご答弁をいただき、本当にありがたく思っております。 通級指導は今年度導入したばかりで、さまざまな観点から検証していかなければならないことは理解しておりますけれども、本当に保護者の方の期待も大きいので、ぜひ早期に拡充を図っていただけることをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○議長(桐生秀昭) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(桐生秀昭) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は20分後といたします。 午後2時44分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成30年第2回-20180625-028324-質問・答弁-さとう知一議員-一般質問①防災対策と地域の安全について②未来の神奈川を創るインフラ整備の在り方について③グローバル人材の育成とマグカルの取組について》 午後3時5分 再開 〔議会局長報告〕 出席議員 副議長共82名
○副議長(齋藤健夫) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(齋藤健夫) あらかじめ時間の延長をいたします。 ───────────────────────────────────────
○副議長(齋藤健夫) 質問を続行いたします。 さとう知一君。 〔さとう知一議員登壇〕(拍手)
◆さとう知一議員 厚木市選出のさとう知一です。 議長の許可をいただきましたので、順次質問させていただきます。 知事並びに教育長、
県土整備局長、警察本部長の皆様におかれましては、明快なるご答弁をよろしくお願いいたします。先輩、同僚議員におかれましては、しばしの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 それでは、質問に入ります。 質問の第1は、防災対策と地域の安全について、2点、お伺いします。 初めに、県内消防本部における就職時の色覚検査の実態調査や色覚検査のあり方についてお伺いします。 色弱者の就職に関する制限については、平成13年に厚生労働省が労働安全衛生規則を一部改正し、雇い入れ時健康診断における色覚検査を廃止し、就職に際して根拠のない制限を行わぬよう、都道府県労働局長に対して通達がなされました。 日本眼科学会は、弱視と間違われることがあるが、先天色覚異常では、視力は正常に保たれていること、一部に残る色覚異常を嫌う風習は知識の不足によるところが大きく、色覚異常の遺伝をめぐる問題は、社会全体が色覚異常の色の見え方を正しく理解すれば、ほぼ解決するとしています。 この改正により、色弱者の就職に際しての制限は大幅に緩和されましたが、現在も採用制限が一部の職業にあります。 〔資料提示〕 本県の自治体においては、消防職員の採用に当たって、色覚検査を行う自治体がある一方で、厚木市消防本部のほか、秦野市、伊勢原市、愛川町、寒川町、大磯町、二宮町、湯河原町等においては、採用時に色覚検査を実施しておりません。 NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構の調べによると、その主な理由は、採用後の業務に影響、支障がないためというものであります。同じ消防業務を担っているにもかかわらず、色覚を理由に半数の自治体が就職を制限し、半数は問題なしとしている状況には、違和感を覚えます。 現在、日本に色弱者はおよそ300万人おり、男性は20人に1人、女性は500人に1人の割合とされています。 2017年12月7日付の東京新聞によると、合否に影響しないとしながらも、色覚検査を実施していた横浜市の林市長は、色覚検査は必要ない、消防局に改善してもらうように話したと述べています。 これを受けて、横浜市は、今年3月、採用試験のうち、消防区分の2次試験で、色覚検査として実施してきた色彩識別を、平成30年度試験の検査項目から廃止しています。全国においても、横浜市を初め全国の自治体で色覚検査廃止の動きがふえています。 そこで、知事にお伺いいたします。 地方自治法第2条第5項において、都道府県の役割として、広域調整の役割があると明記されています。また、消防課のホームページにおいても、消防広域化にかかわる調整、傷病者の搬送及び受け入れに係る実施基準策定、消防関係団体等の育成指導に関することが仕事の一つであると記載されています。 県が主体的に県内消防本部における就職時の色覚検査の実態調査や色覚検査のあり方を示すべきであると考えますし、国に対しても、カラーユニバーサルデザインの視点に立った指針を示すよう要望していくべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。 次に、繁華街・歓楽街総合対策についてお伺いいたします。 県内には、伊勢佐木町や横浜駅西口といった大規模な繁華街や歓楽街を初め、厚木や大和など主要な駅周辺にも多くの繁華街等が点在し、多くの買い物客等が訪れるほか、県民の憩いの場でもあり、地域経済の源となっています。 繁華街や歓楽街は、こうしたにぎわいを創出する半面、違法風俗店や悪質な客引き行為等の迷惑行為が横行すれば、その地域の風俗環境は悪化し、犯罪の温床や少年の健全育成を阻害する要因にもなりかねないものでもあります。 私の地元である厚木市の本厚木駅前も、大規模な繁華街として、昼夜を問わず、にぎわいを見せているところでありますが、数年前の本厚木駅前の状況を振り返りますと、風俗店従業員らによる悪質な客引きや女性等に対するスカウト行為等の迷惑行為が目立ち、女性や子供が安心して訪れることができるとは言いがたい環境でありました。 〔資料提示〕 こうした状況を踏まえ、県警察を中心に、住民、関係機関等が連携して、健全で魅力あふれる繁華街を目指した総合対策を推進するとともに、平成26年4月1日に、厚木市客引き行為等防止条例を施行し、警察による指導取り締まりを強化するなど、警察と行政とが連携して総合的な対策に取り組んだ結果、現在では、風俗店の客引きやスカウト行為等の迷惑行為は減少し、本厚木駅前の風俗環境は大きく改善されました。 厚木市では、本年11月には、アジア諸国を初め、海外から多くの関係者が集まる第9回アジア地域セーフコミュニティ会議厚木大会の開催が予定され、さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、ニュージーランドのホストタウンとなることが内定しているなど、今後、海外からの来訪者も含め、多くの人々が厚木市を訪れることが想定されています。 こうした県内での大規模イベントの開催などを控え、厚木市ばかりでなく、県内各地の繁華街等が、老若男女を問わず、全ての人が安心して訪れることができるまちにするためには、これまで以上に環境浄化対策に力を注ぐべきであります。 先般、警察や消防等が合同で実施した本厚木駅周辺の風俗店や飲食店に対する合同査察のような取り組みは、今後も継続して取り組んでいただきたいと考えます。 そこで、警察本部長にお伺いいたします。 繁華街や歓楽街の安心・安全の確保に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) さとう議員のご質問に順次お答えいたします。 防災対策と地域の安全についてお尋ねがありました。 県内消防本部における就職時の色覚検査の実態調査や色覚検査のあり方についてです。 県の調査では、県内24消防本部のうち、消防職員の採用に当たって、色覚検査を行っている本部は10あります。また、検査を実施していない14消防本部のうち、四つの本部では、募集要項に色覚に異常がないことなどの要件を記載しています。 色覚検査を実行している消防本部は、消防職としての職務遂行に色の識別が必要であることを理由としている一方、検査を行っていない本部は、消防活動に支障はないためとするなど、考え方に違いがあるのが実情です。 こうした違いは、全国の消防本部でも見られることから、現在、国は全国消防長会の協力を得て、色覚検査の実態や色覚異常に起因する支障の有無、対応などについて、全国的に詳細な調査を実施しています。 このような中、県が色覚検査のあり方を示すことは、消防活動への支障の有無や消防職員の安全面などについて、各消防本部の意見を聞きながら慎重に検討する必要があると考えています。 一方、実際の消防現場で扱う資機材などは、消防職員が的確に識別できることが求められます。特に全国に先駆けた仕組みであるかながわ消防や緊急消防援助隊の活動など、多くの消防本部が大規模災害に当たる際には、資機材の識別性の高さが迅速な活動につながり、県民の皆様の命を守ることになります。 そこで、色の見え方が異なる消防職員にも、情報がしっかり伝わるよう、色使いに配慮したカラーユニバーサルデザインの考え方に基づく統一的な指針を示すことについて、国に要望してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔警察本部長(斉藤 実)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 斉藤警察本部長。
◎警察本部長(斉藤実) 繁華街・歓楽街総合対策についてお答えいたします。 繁華街や歓楽街における風俗環境の乱れは、正常な商業行為を妨げるとともに、暴力団や外国人犯罪組織の暗躍の場となり、さらには青少年の健全育成を阻害する大きな要因となります。 そこで、県警察では、歓楽街等の安全・安心を確保するため、平成18年4月から、神奈川県警察歓楽街総合対策推進本部を設置し、本厚木駅前地区を含む県内の13地区を推進重点地区に指定して、各種対策を推進しているところであります。 具体的な対策としては、各地域の情勢に応じ、悪質な客引き、スカウト行為、違法風俗営業等の風俗事犯や組織犯罪の取り締まりを強化しているほか、商店街や自治体などと協働した迷惑行為の防止や町並みの改善などに取り組んでおります。 こうした取り組みに加えて、歓楽街等の環境浄化対策に効果的に取り組むためには、警察のみの権限ではなく、消防法や建築基準法などの各種法令を所管する行政機関等の専門的な知識を集結させ、多角的な視点から対象施設、店舗の問題点を把握し、指導及び是正等を行うことが重要であります。 そのため、県警察では、関係行政機関と連携した合同査察も積極的に実施しており、5月16日には、厚木市の消防本部、建築指導課等と合同で本厚木駅前地区における合同査察を実施し、風営法、消防法及び建築基準法に基づく指導、警告等の行政措置を112件実施したところであります。 議員ご指摘のとおり、県内では今後、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の世界的イベントの開催を控え、国内外から多くの来訪者が見込まれており、さらなる風俗環境の浄化が求められております。 県警察では、引き続き、関係機関、団体と連携しながら、歓楽街等の安全・安心の確保に向け、組織の総力を挙げて、総合的な歓楽街対策を推進してまいります。 以上でございます。 〔さとう知一議員発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) さとう知一君。 〔さとう知一議員登壇〕
◆さとう知一議員 それぞれ前向きなご答弁ありがとうございます。 その上で、意見を申し上げます。 私自身は、10年以上、消防団員として活動しておりますが、消防車両に乗り込み、時には消防車両を運転して火災現場に出動します。大きな火災にも4度ほど、現場に出動し、火元に一番近い筒先担当として、火災現場を経験しています。 基本的には、消防職員の指示に従っての消火活動となりますが、大規模な火災においては、長時間にわたる消火活動となるため、消防団員も現場最前線で消火に当たります。厳しい火災の現場であればあるほど、消防職員と消防団員の区別なく、消火活動に当たりますし、地域によっては、消防団員が消防職員よりも早く現場に到着し、消防団員のみで消火活動を開始することもあります。 もし本当に色覚異常の方が消防職員として適さないのであれば、消防団員に対しても採用時に色覚検査を実施しなければ、理屈として通りません。 これまでは、救急現場においても、トリアージタグや救急車内の各種モニター等、救急資機材の取り扱いにおいても、色の識別が必要となることがあると言われてきましたが、消防ロープも含めて、色弱でも識別可能なものを採用することで、対応は可能であると言われています。先ほど知事のご答弁のとおりであります。 また、近年は、色覚チョークが、教育現場においても少しずつ導入され始めています。色覚チョークとは、色の明度や彩度に差をつけた、朱赤、黄、青、緑の4色を使用することで、特に色覚特性を持つ方にとっても色の識別がしやすくなっているチョークでありますが、消防学校においての導入も検討していただきたいと考えます。 私は、社会全体が色のユニバーサルデザインにも配慮されたものになり、色覚異常によってつけない職業が少しでも減っていくことが望ましいと考えています。 そこで、黒岩知事は、命にこだわって、これまでもさまざまなメッセージを発信してまいりました。強く期待しているところであります。 次に、繁華街・歓楽街総合対策についてでありますが、前向きな答弁ありがとうございました。 オリンピックなど、県内での大規模イベント開催を控え、安心して訪れることができる神奈川県としていただきたいと思います。 また、先般、警察や消防等が合同で実施した本厚木駅周辺の風俗店、飲食店に対する合同査察のような取り組みは、今後も継続して取り組んでいただきたいと要望します。 以上です。 〔さとう知一議員発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) さとう知一君。 〔さとう知一議員登壇〕
◆さとう知一議員 質問の第2は、未来の神奈川を創るインフラ整備の在り方についてお伺いします。 初めに、これからの公共施設整備についてお伺いします。 〔資料提示〕 財政状況が厳しさを増す中、少子・高齢化の進展や人口減少杜会の到来、成長から成熟社会へ移行といった社会情勢の変化に対応していくために、これまで以上に公共施設を効率的に運営し、かつ有効に活用する必要があります。 総務省からの策定要請のあった公共施設等総合管理計画に対応するものとして、神奈川県は「神奈川県公共施設等総合管理計画」を策定し、老朽化が進む施設の維持更新に当たり、公共施設に求められるニーズの変化を踏まえた上で、施設の必要性等について検討を行うこととしています。 本県が所有する全ての公共施設に共通する基本的な管理の考え方を整理し、持続可能な財産経営の実現に向け、公共施設等の効率的な維持管理を総合的に推進することが強く求められています。 そこで、知事にお伺いいたします。 現在、県の庁舎など県有施設において、環境アセスメントを行っていると承知しておりますが、公共施設等総合管理計画においては、対象とする公共施設の範囲が広く、施設ごとの特徴も異なるため、きめ細やかな取り組みが求められているところであります。 県有施設の施設アセスメントの実施については、現状どのようになっているのか、お伺いいたします。また、持続可能な財産経営の実現のために、効率的な県有施設の整備に向け、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 次に、厚木秦野道路(国道246号バイパス)についてお伺いいたします。 6月18日朝、大阪府北部を震源とする震度6弱を観測する強い地震がありました。犠牲となられた方々とご遺族の皆様に追悼の意を表するとともに、甚大な被害を受けられた皆様へ心からお見舞いを申し上げます。 〔資料提示〕 阪神・淡路大震災から23年がたち、震災から得た経験や教訓をいかに次世代に継承していくかという課題を改めて認識をしたところであります。 被災地では、ガス・水道といったインフラ復旧も進んでおりますが、いっときも早い完全復旧をと願わずにはいられません。 発災当日は深夜まで帰宅困難者が解消されませんでしたが、地震発災時刻が夕方の帰宅ラッシュ時であったなら、さらに深刻な状況となったとの専門家の意見もあります。 平成28年4月に発生した熊本地震発災時にも強く言われましたが、首都直下地震などの大規模災害発生が危惧される中、緊急物資の輸送や復旧活動を支える幹線道路のダブルネットワーク化の重要性はさらに増しています。 〔資料提示〕 厚木秦野道路は国道246号のバイパスとなる延長29.1キロメートルの自動車専用道路であります。現在の国道246号は容量不足により、主に厚木市内の相模川などをまたぐ箇所や、伊勢原市街地などで慢性的な渋滞が発生しています。 都市間を結ぶ交通の定時性が損なわれ、日常生活に加え、観光や物流、非常時の救急搬送など、さまざまな分野で私たちの生活環境や経済活動に影響を及ぼしています。 私自身も、国道246号バイパス建設促進協議会の顧問として、地元市町などと一緒に、国や県に対して、厚木秦野道路の早期整備や、未事業化区間の早期事業化に向けた継続的な働きかけを行っているところであります。 そこで、
県土整備局長にお伺いします。 厚木秦野道路の現在の整備はどのような状況か、また、早期整備に向けて、県はどのように取り組むのか、お伺いします。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 未来の神奈川をつくるインフラ整備のあり方についてお尋ねがありました。 まず、これからの公共施設整備についてです。 平成29年3月に策定した「神奈川県公共施設等総合管理計画」は、県民の皆様が安心して快適に利用できる質の高い公共施設を経済的なコストで提供することを基本理念としています。 そして、この基本理念に基づき、長期的な視点で計画的に施設整備を行うことにより、財政負担の軽減、平準化と、公共施設の最適配置の実現を目指しています。 こうした基本的考えのもと、県では、今後、各施設ごとに長寿命化や建てかえ、統合・廃止といった施設整備の方向性や工事の実施時期、費用の見込みなどを示す個別施設計画を策定していきます。 個別施設計画を策定するためには、まず、それぞれの施設について客観的な評価を行うことが必要です。 そこで、庁舎系施設などの県有施設については、立地の利便性や維持管理コスト、耐震性など、さまざまなデータをもとに、施設の活用度合いや性能を客観的に評価する施設アセスメントを実施することとしています。 現在、庁舎や県民利用施設など約200の県有施設を対象に施設アセスメントを実施しており、今後は、その他の県有施設についても、同様な評価を順次実施する予定です。 県有施設の個別施設計画の策定に当たっては、こうした客観的な評価に加え、利用者のニーズの変化や地域性なども勘案する必要がありますので、市町村や関係団体とも丁寧に調整を行っていきます。 また、民間活力の活用や市町村施設との合築など、効率的な整備手法についても検討を行い、厳しい財政状況の中でも持続可能で質の高い施設運営ができるようしっかりと取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
県土整備局長(鈴木祥一)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 鈴木
県土整備局長。
◎
県土整備局長(鈴木祥一) 県土整備局関係のご質問にお答えします。 厚木秦野道路についてお尋ねがありました。 厚木秦野道路は、圏央道、東名高速道路、新東名高速道路と接続し、広域ネットワークを形成する自動車専用道路として、国が事業主体となり、整備が進められています。 この道路は国道246号の渋滞緩和が期待できるなど、地域の経済や社会活動を支えるだけでなく、災害時の緊急輸送路にもなる重要な路線であり、関係市町村などと連携し、整備促進を国に働きかけてきました。 その結果、新東名高速道路などの自動車専用道路と主要な国道などを結ぶ区間ごとに順次事業化し、これまでに全体計画延長約29キロメートルのうち、3区間約5割が事業着手されています。 現在の整備状況ですが、伊勢原市内の新東名高速道路と国道246号を結ぶ区間では、用地取得率は9割を超えており、橋の工事などが実施されています。 厚木市内の圏央道と国道412号を結ぶ区間では、事業用地の取得を進めており、用地取得率は約2割となっています。 秦野市内の国道246号と東名高速道路を結ぶ区間では、用地取得に向けた調査設計を実施しています。 厚木秦野道路の整備を促進するには、地元としての事業協力が重要です。県は事業区間内の埋蔵文化財の調査面積などが当初想定より大幅にふえたことに伴い、円滑に調査が進むよう関係機関との調整に取り組んでいます。 また、用地取得に当たっては、地元市と連携し、地権者との交渉に当たるなど、積極的な協力を行っています。 今後も、県は厚木秦野道路の事業化区間の早期整備はもちろんのこと、未事業化区間についても早期に事業化できるよう、関係市町村や経済団体と連携して、引き続きさまざまな機会を捉えて国に対し強く働きかけてまいります。 答弁は以上です。 〔さとう知一議員発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) さとう知一君。 〔さとう知一議員登壇〕
◆さとう知一議員 1点、再質問させていただきます。 県の庁舎など県有施設と、道路や公園等の都市基盤施設を合わせた公共施設全体の維持修繕コストについて、現状と将来コストの負担は、全国で共通する大きな課題であります。 近年においては、岩手県紫波町、オガールプロジェクトのPPP方式を初め、民間の力を生かした地方創生と地域振興の取り組み、いわゆる稼ぐ公共・稼ぐ公民連携事業、リノベーションのまちづくりが注目されています。 本県においては、県警察職員公舎─宿舎の再編整備にパブリック・プライベート・パートナーシップ─PPP方式を導入しています。県の土地を無償で貸し付け、民間事業者がみずからの資金で建設し、県警からの賃料収入を事業費に充てる方式であります。 このように、現在注目されている官民パートナーシップ─PPP─Public Private Partnershipでありますが、そのメリットとデメリット、そしてリスクとリターンのトレードオフについて、正しく分析した上で、公共施設の再編整備に活用していくべきと考えますが、所見を伺います。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。 PPPは県が直接整備する場合と比べまして、一般的に財政負担の軽減、平準化、県民サービスの向上といったメリットがあります。その一方で、長期の契約を締結しますので、事業期間中に事故や災害の発生、行政需要や金利の変動などのリスクが生じることもあります。 したがって、官民パートナーシップ─PPPの活用に当たっては、施設の特性や規模、事業期間などを踏まえ、県にとって具体的にどのようなメリットがあるのか、そして、将来発生するリスクを事業者との間でどのように分担すべきかなどについて的確な分析を行う必要があると考えています。 こうした考えに基づきまして、PPPの活用について引き続き検討してまいりたい、そのように考えております。 答弁は以上です。 〔さとう知一議員発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) さとう知一君。 〔さとう知一議員登壇〕
◆さとう知一議員 ありがとうございました。 意見を申し上げます。 2016年度の自治体職員、議員による視察の受け入れ件数が最も多かった事業は、岩手県紫波町が民間主導型で駅前開発に取り組んだオガールプロジェクトであるとのことであります。 東北の3万人余りの小さな自治体にあるこの施設への視察件数は、年間270件と非常に突出しています。この施設については、今年3月、私も県政調査に派遣していただきましたが、また、今年5月9日、議員連盟で視察をした特定非営利活動法人NPOサプライズのドットツリー修善寺等の取り組みは、従来型の公共事業のあり方が問われる中、補助金に頼らない公民連携で地域活性化を進め、全国各地から注目されているものだと思います。PPPを活用した公共施設整備の推進を望みます。 厚木秦野道路でありますけれども、周辺の沿線市町村では、アウトドアトレッキングや温泉などの入込観光客数が近年増加傾向にあり、平成16年と平成26年を比較して25%増加しています。 今後、厚木秦野道路の開通により、さらなる観光入込客数の増加が期待されているところであります。 また、企業立地についても、沿線市町村の工場立地件数が、平成26年度時点で、県平均に比べて約1.6倍から3.2倍となっており、今後、圏央道や東名高速道路、新東名高速道路へのアクセス性が向上し、企業立地の促進が強く期待されているところであります。 このように、厚木秦野道路の整備は、県内の観光振興の促進や経済の活性化などにつながることから、早期整備に向け、引き続き積極的に取り組んでいただけるよう要望します。 以上です。 〔さとう知一議員発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) さとう知一君。 〔さとう知一議員登壇〕
◆さとう知一議員 質問の第3は、グローバル人材の育成とマグカルの取組についてであります。 初めに、日本大通りを中心としたブロードウェイの街づくりと県庁周辺施設においてのマグカルの取組についてお伺いいたします。 県は、文化芸術の魅力で人を引きつけ、地域のにぎわいをつくり出すマグネット・カルチャー、略してマグカルの取り組みを推進しています。 さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、市町村や関係団体と連携しながら神奈川の文化プログラムを推進しています。 本県においては、県の重点施策をわかりやすく紹介し、楽しみながら知っていただくことを目的とし、オリジナルキャラクターを活用したスペシャルコンテンツ、かなかなかぞくを公開しています。 あわせて、神奈川県発、アート・カルチャーメディア、マグカルとして、ミュージカル、音楽、演劇、映画など、県内のアート情報を発信しているなど、インターネットを活用した情報発信はもはや当たり前となっています。 本県人口のおよそ半分、人口470万人の国、ニュージーランドでは、現在、政府観光局が#get NZ on the map-地図にニュージーランドを載せようという動画を作成した結果、ニュージーランド首相、捨て身の観光PR動画として話題になっています。 少なからぬ世界地図に自分たちの国であるニュージーランドが載っていない事実を逆手にとった、ユーモアあふれるキャンペーン動画で、再生回数は、各種メディア転載動画までを含めると1,000万回を超えています。 〔資料提示〕 トップセールスを推進する黒岩知事も、県内各地の魅力を紹介した恋するフォーチュンクッキー神奈川県Ver.の動画を5年前に作成、公開し、現状、再生回数455万回を超えています。 私は、行政運営においても、サムシングユニークな視点は欠かせないと考えています。一方で、文化振興を通じたまちづくりは、一枚の絵を10年かけて描き続ける行為に似ていると言われるように、長期的な視点も欠かすことはできません。 知事は、この県庁から、神奈川芸術劇場周辺をアメリカ・ニューヨーク・ブロードウェイのようにするとした、ブロードウェイのまちづくり、いわゆるブロードウェイ構想を打ち出しておりました。 ブロードウェイには、ミュージカル、ストリートプレー、芝居もあるし、バレエ、ダンスもある、オーケストラもある、美術館、博物館もある、そういった文化芸術の力にあふれている魅力、それをミュージカルという言葉で象徴しているとのことであります。 私は当初より、黒岩知事の目指すブロードウェイのまちづくりの考え方を強く応援する立場でありましたが、現状、道半ばであると言わざるを得ません。 県庁本庁舎を中心に、神奈川芸術劇場までのエリアが中心となると考えますが、そもそも、みなとみらい地区とも、中華街とも異なる、このエリアを指す名称が明確ではありません。ブランド構築をスキップして、いきなりプロモーションから着手されている印象があります。エリアの名称が定まっていない場所には、幾ら宣伝しても人は足を運びません。 本県においては、そうしたブランド構築とプロモーションの成功事例として、横浜DeNAベイスターズのコミュニティボールパーク化構想があります。 厚木市では、近年、大型商業施設の撤退がありました。家電、衣服、日用品は、ネット通販で購入できる時代であるとも言われ、生鮮食品を含む食料品ですら、注文すれば、夕方までに家庭に届くという時代であります。 高齢者なども含め、非常に便利な面もありますが、今ある大型店舗であっても、今後ますます撤退がふえていくと言われています。 具体的には、旅行に行くこと、演劇やミュージカルを見ること、食事、スポーツを観戦、このようにネットでは買えない体験が、これからのまちづくり、まちのにぎわいを演出すると考えているところであります。 そうしたまちの成功の事例をそのまままねしても成功するとは限りません。自治体の役割は、地域に合った戦略を見つけ出し、それを行政が実現できるかが問われていると考えています。 そのためには、地域のブランド構築が必要であり、地域のブランド構築の前提としては、エリアを示す名前を統一する必要があります。エリアの認知なくして、ブロードウェイのまちづくりなしと言えます。 一般に観光地が外国人に認知されるには、長い年月を要するものですが、日本大通りエリアは、横浜スタジアムとみなとみらい地区に挟まれ、戦略的、効果的に広報活動を行えば、短期間にブランド構築も可能となります。 私は、本県のインバウンド・アウトバウンド観光施策の推進に当たっては、さらに科学的かつ戦略的に実施することが重要であると考えています。 目覚ましい成功をおさめつつある横浜DeNAベイスターズのコミュニティボールパーク化構想の対象エリアは、神奈川県立県民ホールの本館と神奈川芸術劇場を一体的に活用したマグネット・カルチャー推進のエリアと重複するものであります。 2020年の東京五輪に向けて、県庁周辺の地域のにぎわいをつくり出すことが大事であります。 そこで、知事にお伺いいたします。 コミュニティーボールパーク化構想のように、官民連携して、この地域全体の知名度向上を見据えた具体的なマグネット・カルチャーの取り組みを行うべきと考えるが、所見を伺います。また、ブランド構築の視点から、エリアとしての日本大通りをもっと活用するべきであると考えますが、あわせて所見を伺います。 〔資料提示〕 次に、グローバル人材の育成に向けた小学校外国語教育についてお伺いします。 2011年度より小学校においては、第5、第6学年で年間35単位時間の外国語活動が必修化されます。この外国語活動では、音声を中心に外国語になれ親しませる活動を通じて、言語や文化について体験的に理解を深めるとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、コミュニケーション能力の素地を養うことを目標としてさまざまな活動を行ってまいりました。 2017年3月に学習指導要領が改訂され、2020年度からは小学校3年生から外国語活動を始めて、5年生からは、外国語を算数や国語等と同じ教科という位置づけとすることとなりました。5・6年生の教科としての外国語科は成績評価の対象ともなります。 これまでは、小学校5・6年生でアクティビティ型の授業が週に1時間ずつ行われてきたのに対し、この新学習指導要領では、小学校3・4年生でアクティビティ型の授業を週に1時間ずつ、小学校5・6年生で教科型の外国語の授業を2時間ずつ行うと定められており、外国語の学習が占める割合が小学校でも大きくなります。 こうした流れの中、全国的には既に3・4年生を対象に年間35時間以上の授業を行っている学校が35%、5・6年生を対象に70時間以上の授業を行っている学校は29%と、先行的に実施している状況があり、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに順次実施されていくこととなります。 そこで、教育長にお伺いいたします。 小学校の外国語教育に対しては、単に読み書きや会話能力といった学力的な部分のみならず、他国の文化や生活、社会を理解すること、また、これから世界の中での日本が果たす役割、さらにグローバル化した世界の中で見出すふるさとへの誇りなど、こういった、これから世界に出ていく若人が言語能力とあわせて学ぶことが必要となります。 小学校では、こうした広い視野や客観的な視点を持ちながら、外国語教育を進めていくべきではないかと考えますが、教育委員会としての小学校外国語教育に対する考え方をお伺いいたします。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) グローバル人材の育成とマグカルの取り組みについてお尋ねがありました。 日本大通りを中心としたブロードウェイのまちづくりと県庁周辺施設においてのマグカルの取り組みについてです。 県庁周辺に位置する県民ホール及び神奈川芸術劇場KAATは、指定管理者である公益財団法人神奈川芸術文化財団が施設を一体的に管理し、2館連携して良質な文化芸術の発信に取り組んでいます。 県民ホールは、舞台設備等の大規模改修を行い、この6月にリニューアルオープンしました。より魅力的な公演を実施できるようになり、世界屈指と言われるローマ歌劇場の協力を得て、オペラ「アイーダ」を新たに制作し、10月に公開する予定となっています。 また、KAATにおいては、昨年から劇団四季の上演が実現し、「オペラ座の怪人」は14万人もの観客を動員しました。今年も引き続き多くの方々がこの地域を訪れるものと期待しています。 さらに、創造型の劇場というコンセプトのもと、一般向けのネット予約が初日に完了した「バリーターク」を初め、好評により昨年再演されたミュージカル「ヘッズ・アップ!」、さらにミュージカル「マハゴニー市の興亡」など、KAAT生まれの作品を次々と上演しています。 一方、日本大通りでは、駐日ベトナム大使館との共催によるベトナムフェスタin神奈川や、民間事業者との共催による全国高等学校日本大通りストリートダンスバトルなどを開催し、毎年数多くの方々を集めています。 今後、日本大通りにおいて、民間事業者等とも連携しながら、土日などにより多くの文化イベント等を開催し、日本大通り周辺ではいつも何かしらの文化イベント等を実施しているというイメージを地域ブランドとして育て上げ、地域全体の知名度向上を図ってまいります。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 グローバル人材の育成に向けた小学校外国語教育についてです。 新たな学習指導要領では外国語教育の入り口となる小学校3・4年生で、英語を聞くこと、話すことになれ親しみ、5・6年生では、読むこと、書くことも学習することで、円滑に中学校での外国語教育に接続していくこととされています。 県教育委員会では、グローバル化が急速に進展する中で、外国語によるコミュニケーション能力は一部の職種や職業だけではなく、誰もが生涯にわたるさまざまな場面で必要とされてくるものと考えております。 次代を担う神奈川の子供たちが、これからの社会で求められるグローバル人材として育っていくためには、小学校から中学校、高等学校を通して、系統的に外国語教育を進めていくことが必要です。 そのため、小学校段階では、まずは子供たちが身近で簡単な事項について、積極的に外国語でコミュニケーションを図ろうとする態度や意欲を養っていくことが求められています。 また、外国語教育を通して早いうちから子供たちが他国の言語や文化を理解することで、国語や歴史教育と同じように、より一層自分の国や地域の文化等を深く理解したいと思う気持ちを育むことが重要と考えています。 県教育委員会では、こうした考えに基づき、市町村教育委員会とともに、小学校の外国語教育を進め、これからのグローバル社会を生きていく子供たちの育成を図ってまいります。 答弁は以上でございます。 〔さとう知一議員発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) さとう知一君。 〔さとう知一議員登壇〕
◆さとう知一議員 知事、教育長、ご答弁ありがとうございました。 意見を申し上げます。 日本大通りを中心としたブロードウェイのまちづくりと県庁周辺施設においてのマグカルの取り組みについてでありますが、今、非常にすばらしい答弁をいただいたと私は認識しておりますけれども、私も知事も最後の任期1年間であります。この1年間が勝負であるというふうに思っておりますし、このマグカルの取り組み、ブロードウェイのまちづくりというのは、恐らく黒岩知事のまちづくりの原点ではないのかなというふうに思っているところでもありますし、私としても、これまで2期にわたって、議員として務めさせていただく中で、非常に厳しいことを指摘してまいりましたけれども、なかなかその結果が見えてこないもどかしさといったものも感じているところでありました。 本県のインバウンド観光施策でもあるマグカルは、観光目的地としてのブランド構築をスキップして、いきなりプロモーションから着手されている印象があると先ほども述べさせていただきましたけれども、どうしてもインターネットに頼ってしまったりとか、そういったプロモーションばかりこなしていても、なかなか定着してこないかなというのが実感であります。 イタリアやフランスの観光都市のような地域は、ディスティネーション、つまり観光目的地としてのブランドが構築されて、そのイメージが届いている状況であれば、こちらのほうから、どれほど魅力的な旅行先なのか説明する働きかけをしなくとも、旅行者の側が、行き先の候補に挙げていただくわけであります。 こういったイタリアやフランスなどと比べてもどうしようもないよという意見もあるかもしれませんが、こういった世界的な観光都市ではなくとも、昨年3月、県政調査にお伺いした香川県の直島のように小さな自治体であっても、民間企業とともに、およそ10年間ぐらいをかけて、ブランドイメージを構築した結果、国内はもちろん、むしろ、国内よりも世界で有名な観光地となっている事例も日本にあります。 私も実は、お伺いするまで、余りよく知らなかったのですけれども、その後調べていくと、世界の方々、特に外国人の方にお話をすると、直島のことをよく知っているという、比較的お金を持たれている外国人、時間とお金にゆとりのある方々は直島というのは一度行ってみたいというふうなイメージが届いていることに驚きました。 観光政策を実のあるものとするためには、科学的かつ戦略的に実施することが必要であります。観光施策、マグカルの取り組みについても、投資に対するリターンを明確にした上で、先進自治体や民間の取り組みについて、科学的調査を実施すること、具体的には、より洗練された都市イメージの形成、多様な提供価値のショーケースにするといったようなことが強く求められていると思います。 ブランド構築の視点から、エリアとしての日本大通りをもっと強く意識して活用していただきたいと要望しましたけれども、どうしても神奈川県が行うというふうなことで、横浜市の関係もあるので、神奈川県がどんとこういう名前をつけるということはなかなか難しいかもしれませんが、日本大通りというのは、駅名には送り仮名のりがついて、地域名では日本大通で、りがつきません。 こうした使い分けがあるのですけれども、エリアとしての日本大通りというのが存在しますので、ぜひ、こうしたことを意識しながら活用していっていただきたいというふうに思います。 次に、グローバル人材の育成に向けた小学校外国語教育についてでありますが、一部には、指導する教員の英語能力など、幾つかの課題があると承知しているところであります。地域と一体となったグローバル人材の育成に向けた小学校外国語教育を推進していただければと考えます。 また、小学校でも英語教育を行うのですから、外国籍県民に対しても、学校からの重要なお知らせ等を希望者に対し、英語対応できるとよいとも考えています。 学校はもとより、地域の方々や生徒、児童の情報を共有し、新制度導入に向けて十分に準備をして取り組んでいただきたいと強く要望し、私の質問といたします。 ご清聴ありがとうございました。 〔拍 手〕
△《本会議録-平成30年第2回-20180625-028325-質問・答弁-高橋延幸議員-一般質問①県内初の生食用イワガキの生産支援について②県が管理する自然公園施設の整備について③箱根地区水道事業包括委託について④広域農道小田原湯河原線の整備の推進について⑤南足柄市と箱根町を連絡する道路について⑥小田原養護学校湯河原・真鶴方面分教室の整備について》 〔高橋延幸議員発言の許可を求む〕
○副議長(齋藤健夫) 高橋延幸君。 〔高橋延幸議員登壇〕(拍手) 〔副議長退席、議長着席〕
◆高橋延幸議員 お疲れさまでございます。 県政会の高橋延幸でございます。 議長のお許しをいただきましたので、県政会神奈川県議会議員団の一員として、通告に従いまして、提言を交えながら、順次質問をさせていただきます。 知事、企業庁長、教育長、
環境農政局長、
県土整備局長におかれましては、明確で前向きなご答弁をいただけますようお願い申し上げます。また、先輩並びに同僚議員の皆様におかれましては、お疲れかと存じますが、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 質問に入ります前に、一言申し上げます。 6月18日に発災いたしました大阪北部地震におきまして、お亡くなりになられた方々へ謹んで哀悼の意を表するとともに、負傷された方々の一日も早い回復を願っております。 一方、翌日の6月19日に行われましたFIFAワールドカップロシア大会、日本対コロンビア戦におきまして、日本が勝利したことは、被災地のみならず、日本中に希望をもたらしてくれました。 私は、東日本大震災の際、なでしこジャパンがFIFA女子ワールドカップで優勝し、日本中を元気づけたことを思い出しました。昨夜も勝ち点1を上げ、次回ポーランド戦に期待が持てます。 決勝トーナメントに進出し、日本中を元気づけてくれることを信じ、そして願い、質問に入らせていただきます。 質問の第1は、県内初の生食用イワガキの生産支援についてであります。 4月の中旬に宇賀真鶴町長、真鶴町議会の正副議長、常任委員長、特別委員長とともに島根県隠岐郡にあります海士町に視察研究に行ってまいりました。 海士町は、視察の統計をとり始めた平成20年度以降、島外からの行政・産業関係の視察者は、平成25年度から28年度の間は年間2,000人から2,500人、団体数にして150団体から200団体となっております。 これまで大学や企業などとの連携は数多くされてきましたが、多くの自治体からの連携の要望がありながら、実は、どこの行政とも連携や協定を結んでこられませんでした。 しかし、当時の山内海士町長が宇賀真鶴町長のラブコールに応えて、両町の広域的包括連携協定が初めて結ばれました。 今回は、この海士町への調査研究を踏まえ、県内初となる真鶴町での生食用イワガキの生産支援について質問をさせていただきます。 相模湾は、深いところで1,000メートル以上の水深があり、おいしい魚がとれることで有名な富山湾、駿河湾とともに日本3大深湾と称されており、多様な種類の魚が回遊し、季節ごとに多くの旬の魚をとることができます。 特に相模湾の西に位置している真鶴半島は、地元で御林と呼ばれる神奈川県立自然公園に指定された魚つき保安林があり、海面を覆う黒松の木陰は魚たちの休息の場となり、森の滋養分は湧き水となって海に注ぎ、栄養豊かな漁場を育んでいることから、半島周辺では定置網漁業などが盛んに行われています。 そのような真鶴の海で、真鶴町と地元の漁業者が養殖試験に取り組んでいるイワガキは、県内では初となる生食用のものです。 加えて、大きく育てて実入りをよくするために、リスクを伴う外洋での養殖に取り組んでいます。 試験養殖ではイワガキの稚貝の投入から既に約2年半が経過し、15センチ程度まで成長しており、町にはいつ食べられるのかといった期待の声が寄せられております。 5月14日の神奈川新聞の1面に、県内産初の生食用イワガキの記事が掲載されていました。6月のかなチャンTVでも取り上げられ、期待度が高まっていると感じられるようになってきました。 しかしながら、安全・安心なイワガキを生産・出荷するには、解決しなければならない課題がたくさんございます。 海士いわがき生産株式会社大脇社長に施設を案内していただき、種つけから出荷までのお話や、今までの取り組みの経緯を聞かせていただきました。 プランクトンの少ない海士町ならではの時間をかけた養殖と比べると、現在、外洋で養殖中である真鶴産のイワガキのほうが大きく育っているとのお話も聞いてまいりました。 実は、6月22日、真鶴産イワガキの生育検査に立ち会うことができました。真鶴でとれたイワガキを海士町に送り、周りについてる海藻などの汚れを取り、磨きをかけ、紫外線滅菌を24時間以上行い、出荷できる状態にして送り返していただきました。 どれも私の手のひらに乗る大きさ15センチ以上に育っていました。そして、殻を開けた中身もふっくらと大きく育っておりました。機会があれば、知事にもぜひごらんになっていただきたいと思います。そして、召し上がっていただきたいと思います。ただ、残念なことに、生食用の許可や衛生上の管理等がまだ不備のため、食べることはできません。 海のミルクと言われるイワガキは、芳醇で濃厚な味わいがあります。海士町の春香と名づけられたイワガキ、もちろん、視察の際、現地で試食をさせていただきました。抜群のおいしさに、もう一個とおねだりをして、二つおかわりをさせていただきました。 真鶴町の予定では、生食用のための許可や衛生基準を早急にとり、初出荷は2021年の春ごろとし、今後、生産規模の拡大、紫外線滅菌など出荷施設の整備や販売を担う地域商社の設立など、安全なイワガキの初出荷に向けて着々と準備を進めていくとのことです。 県内で唯一、過疎地域自立促進特別措置法に基づく過疎地域の指定を受ける真鶴町が、新たな産業創出の切り札として真鶴産のイワガキの養殖に取り組むことは、地元の雇用、水産業や観光業の振興の促進につながるものと考えます。 さらには、神奈川県の新ブランドとして、日本初の完全外洋養殖イワガキの期待が持てます。 そこで、知事にお伺いいたします。 県内初となる真鶴町での生食用イワガキの生産に向けて、今後、県としてどのように支援していこうと考えているのか、また、どのタイミングから支援をしていくのか、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、県が管理する自然公園施設の整備についてであります。 まず初めに、御礼を申し上げることがございます。 三ツ石海岸がある県立真鶴半島自然公園では、昨年10月の台風21号により、海岸線を散策できる延長約700メートルの潮騒遊歩道の一部が、波浪の影響により破損し、落石などにより、通行どめとなる災害が発生いたしました。 しかし、県では早急に復旧工事に着手し、年度内には通行どめが解除され、ゴールデンウイークには多くの観光客を迎え入れることができ、地元の皆様から感謝の声が上がっております。地元選出議員として、御礼を申し上げます。まことにありがとうございました。 県西地域には、県立真鶴半島自然公園のほか、富士箱根伊豆国立公園や県立奥湯河原自然公園といったすぐれた風景地である自然公園が含まれており、このすぐれた自然環境の保全と、その利用の増進を図ることが必要であると考えます。 箱根の人気スポットの一つである大涌谷園地では、立ち入りが規制されている大涌谷自然研究路の安全対策として、シェルターの整備工事が始まったところであります。 黒岩知事の箱根を守ろうの呼びかけから、早いもので3年が経過し、着実に進められてきた整備に地元観光業者も協力し、一丸となり安全に努めてきました。 今後、より多くの観光客の誘致を図っていくには、工事を着実に進め、火山ガス濃度をしっかりと見きわめた上で、大涌谷園地の一日も早い全面再開が不可欠であり、そうした声も多く寄せられております。 また、古くからの温泉地である湯河原町の北部に位置する県立奥湯河原自然公園には、しとどの窟や、秋には多くの観光客が訪れるもみじの郷などの観光スポットがあり、もみじの郷の近くには、平成18年度から県が整備した池峯園地があります。 この池峯園地にある池には、シュレーゲルアオガエルが生息するなど、豊かな自然の生態系が残されています。 しかし、整備から10年がたち、土砂の堆積や樹林化が進行しており、現状の生態系を保全していくことが急務であると考えます。特に紅葉の季節には、多くのハイカーが訪れ、赤々としたもみじに感嘆し、自然美を感じることができるすばらしい場所であります。知事にもぜひお越しいただきたいと思います。 繰り返しになりますが、県西地域の魅力である火山と豊かな自然を、国内外から訪れる多くの観光客に体感してもらうためには、これらの自然公園の施設を整備、保全していくことが重要と考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 県西地域にある大涌谷園地や池峯園地について、より多くの利用者を迎えるため、現在までの自然公園施設の整備状況と、今後の進め方について、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第3は、箱根地区水道事業包括委託についてであります。 日本の水道事業の現状を見ると、節水機器の普及などに伴う水需要の減少、浄水場や水道管路などの施設の老朽化、事業運営を支える職員の確保、技術継承などの山積する課題に直面しています。 今後、本格的な
人口減少社会が到来すれば、水需要は減り、水道料金収入のさらなる減少が見込まれ、一方では老朽化する施設の維持管理、更新等の費用の増加は避けられず、経営環境は今以上に厳しくなることは必至であると考えます。 そうすると安定的な水の供給という水道サービスの継続も危惧されるところであり、特に小規模な水道事業者では、職員数も少なく、技術継承や危機管理、災害時の対応等の課題も指摘されております。 こうした水道事業者が抱える課題解決の一つの方策として、水道事業運営全般を民間事業者に包括的に委託する手法があります。 県企業庁では、私の地元である足柄下郡箱根町の県営水道給水区域において、平成26年4月に全国初の取り組みとなる箱根地区水道事業包括委託を開始し、安全で安定した水供給事業に努めていることは承知をいたしております。 これは、公民連携モデルを構築するもので、民間事業者が企業庁と連携して県営水道のフィールドで水道事業運営のノウハウを習得し、そのノウハウを神奈川県内、日本国内の中小規模の水道事業者に展開していくための取り組みです。 大規模水道事業者である企業庁ならではの取り組みであり、加えて箱根地区という標高の高低差が大きく、水道事業にとって地理的にコストがかかる厳しい条件で行っていることも特徴として認識いたしております。 これまでの包括委託期間中においては、安定的に水道サービスを継続しているほか、箱根山の噴火警戒レベルが引き上げられた際の危機管理対応や、大寒波による水道管の凍結などにも的確に対応していると聞いており、一定の評価をするところでありますが、今年度はこの包括委託契約が最終年度を迎えており、5年間の実施状況をしっかりと検証、評価して、次の段階の取り組みに生かしていく必要があると考えます。 企業庁では、既に平成31年からの第2期箱根地区水道事業包括委託の実施に向けて、先日、事業者の募集を開始したと承知をいたしております。 水道は重要なインフラであり、包括委託するに当たっては、安全・安心な水道水の供給が第一であることは言うまでもありませんが、第2期としては、単に取り組みを継続するということではなく、現在の包括委託における課題をクリアし、包括委託のモデルを構築することが重要であると考えます。 その中では、箱根という厳しい環境で実施するという点でも、民間の発想を活用した一層の効果的・効率的な事業運営が求められると考えております。 そこで、企業庁長にお伺いいたします。 箱根地区水道事業包括委託について、現在の取り組みをどのように評価しているのか、また、来年度からの第2期包括委託はどのような方針で実施しようとしているのか、あわせて企業庁長のご所見をお伺いいたします。 質問の第4は、広域農道小田原湯河原線の整備の推進についてであります。 私の地元の湯河原町を含む県西地域は、海や山に恵まれた自然環境を有し、多くの観光客が訪れる県内の代表的な観光地であります。また同時に、ミカンなどの果樹の生産が大変盛んな農業地域であり、もぎ取りなどの観光農業による地域活性化も期待されています。 この地域では、海沿いの農家の集落とミカン山の農地を結ぶ道は、いわゆる立て道があるのみで、農業流通の合理化や観光農業の展開の支障になっていたため、集落と集落、市町を連絡する幹線農道の整備の要望が地元市町や農家から出され、現在、広域農道小田原湯河原線として県により整備が進められているところであります。 この農道は農作物の効率的な輸送や観光農業用の道路としての役割とともに、地震や台風などの災害により、海沿いの国道が被災するなどして通行不能になった際に、緊急輸送路や沿線集落の孤立化を防ぐなど、防災対策での活用の面からも地元の期待は非常に大きいものがあります。 また、伊豆方面に向かう海沿いの国道135号線は、週末や観光シーズンには交通渋滞が発生します。広域農道の開通により、小田原市街と真鶴町、湯河原町間の道路ネットワークが充実することで、渋滞が緩和し、さらなる観光客の集客が図られ、地域経済への大きな波及効果も期待できます。 しかし、この事業は、平成8年度の着手から20年以上が経過し、一部区間は一般車両通行の供用を開始しているものの、なかなか事業進捗が図られていないのが現状であります。 私の地元である湯河原町でも、ところどころ完成している区間が見受けられるようになってきましたが、全体での供用開始には至っておらず、恩恵を実感できない状況であります。 将来、地域における農業振興、経済の活性化及び防災対策に大きく寄与する広域農道の整備は、地域住民にとって大変重要なことでありますので、今後も国の予算を確保し、しっかり取り組んで早期の完成を目指してもらいたいと、地元からの強い要望が寄せられています。 そこで、
環境農政局長にお伺いいたします。 広域農道小田原湯河原線の早期の完成に向けて、今後どのように事業進捗を図っていくのか、
環境農政局長のご所見をお伺いいたします。 質問の第5は、南足柄市と箱根町を連絡する道路についてであります。 ラグビーワールドカップ2019の開催が来年9月に迫り、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まであと2年となりました。 本県は、これらの大会の競技会場になっていることから、国内外の多くの方々に観光してもらう絶好のチャンスであり、県においても、多様な観光資源を発掘し、周遊する1,000本ツアーの企画・商品化、あるいは、何度も訪日される傾向のタイ王国からのタイ人に向けた神奈川県の観光モニターツアーの実施など、さまざまな取り組みを精力的に進めていることは承知をいたしております。 まさに観光客には、できるだけ長く滞在し、周辺地域とあわせて周遊・回遊することで、本県の魅力を十分に知ってもらうことが大事であり、それがリピーターの増加や新たな観光客の掘り起こしにつながり、地域経済のエンジンを回す原動力になることは言うまでもありません。 しかし、全国有数の観光地である箱根においては、自家用車による来訪者が多いにもかかわらず、周辺地域と連携する道路が少なく、朝夕を中心に発生する渋滞により、観光のための滞在時間が十分確保できず、周遊・回遊もしにくい状況となっております。 週末ともなると、国道1号の箱根湯本周辺は車がほとんど動かなくなり、また、仙石原から御殿場へ抜けて東名高速道路を使おうにも、インターチェンジ周辺が大渋滞ということで、せっかく箱根に泊まっても、観光もそこそこにして、早々に帰路につくといったことをよく耳にします。 そうした中で、県では、現在、南足柄市と箱根町を連絡する道路の整備に取り組んでおり、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催までの開通を目指して、既に工事に着手していることは承知をいたしております。 この道路が完成すれば、湖尻や仙石原周辺を観光した人が、国道1号や御殿場インターチェンジの渋滞を避けて、東名大井松田インターチェンジを利用できるようになり、例えば、宿泊した翌日の帰りに大涌谷で有名な黒たまごを頬張り、周辺の美術館などをゆっくり鑑賞して回るといった滞在時間の長い観光をしてもらえる可能性がふえると考えます。 また、箱根地域から周辺地域へのルートの選択肢がふえることで、観光客の周遊・回遊性が向上し、伊豆方面から続くジオパークを湯河原町、真鶴町、箱根町、南足柄市と一連で見て回り、さらには、BIOTOPIAに行きやすくなり、新たな観光ルートの開拓も期待できるところであります。 この道路は、既存の林道を活用することや自然豊かな国立公園地域などを通過することから、整備にさまざまな苦労があることは十分理解していますが、地元の期待は大変大きく、予定におくれることなく、しっかりと開通できるよう取り組んでもらいたいと思います。 そこで、
県土整備局長にお伺いいたします。 南足柄市と箱根町を連絡する道路の現在の取組状況と今後の見通しについて、
県土整備局長のご所見をお伺いいたします。 質問の最後は、小田原養護学校湯河原・真鶴方面分教室の整備についてであります。 小田原養護学校の保護者の方から、スクールバスの対応について、昨年度末に相談がありました。その際には、湯河原・真鶴地域から通学する生徒さんのスクールバスへの乗車について、親身になり、柔軟かつ丁寧に対応していただいたと保護者の方からの感謝の言葉が届きました。 この場をおかりして、県教育委員会の対応に御礼を申し上げます。 さて、県教育委員会では、特別支援学校の整備について、「新まなびや計画」に位置づけられた新校等の整備が進められています。 この中で、過大規模化の解消とあわせて、通学する児童・生徒及び保護者の通学負担の軽減などの地域的課題解消のため、旧湯河原中学校の跡地に小田原養護学校湯河原・真鶴方面分教室の整備を進めていることは承知をいたしております。 湯河原・真鶴方面分教室の設置については、平成28年第3回定例会の一般質問において質問させていただき、教育長からは早急に着手してまいりたいとのご答弁があったところであります。 湯河原・真鶴地域から小田原養護学校に通学する児童・生徒は、観光シーズンになると道路が渋滞するなど、スクールバスで長時間をかけて通学する状況になっており、湯河原・真鶴方面分教室の設置については、地元も大いに期待を寄せているところであります。 この湯河原・真鶴方面分教室については、新たに建物を整備するということであり、整備に当たっては、保護者からさまざまな要望や心配の声が上がっています。 例えば、給食の実施に伴う厨房設備は設置されるのか、雨天時に湯河原町立町民体育館に行くことが難しい場合は、校舎内に運動ができるような多目的スペースは設置されるのか、面積は小さくても屋外の運動スペースは確保できないかなどがあります。 分教室設置後に通学することになる児童・生徒に適切な教育を行うために、必要な施設については、しっかりと整備していただきたいと考えます。 そこで、教育長にお伺いいたします。 湯河原・真鶴方面分教室について、現在どのような機能を有する施設を計画しているのか、また、現在の進捗状況等の整備スケジュールについて、あわせて教育長のご所見をお伺いいたします。 以上で、壇上での質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 〔拍 手〕 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 高橋議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、県内初の生食用イワガキの生産支援についてお尋ねがありました。 イワガキは他の二枚貝と異なり、筋肉部分だけでなく、内臓も生で食べることから、健康被害を防止するため、食としての安全性をしっかり確保する必要があります。 そこで、県では、イワガキなどの二枚貝が毒化する原因となる有害なプランクトンの発生を確認するため、水産技術センター相模湾試験場において、真鶴沖の海域でプランクトンの採取、検査を平成29年度から定期的に実施しています。 この結果ですが、貝毒の原因となるプランクトンの数は基準値を大きく下回る値で推移していますので、真鶴沖の海域はカキ養殖に適していることが確認できました。 こうしたことから、真鶴町では、平成33年に初出荷することを目指し、今年度、飼育個数をこれまでの1万個から10万個以上に規模を拡大することとしています。 また、生食用イワガキ出荷のための選別、洗浄、紫外線滅菌などを行う出荷施設の整備など、生産、出荷に向けた体制づくりを進めています。 このため、県では、引き続き有害プランクトンのモニタリングなど、食品安全性を確保するための取り組みを進めるとともに、出荷施設整備のための国の補助制度の活用に向けた助言をしていきます。 さらに、生産、出荷の体制が確立し、本格的に事業を実施する際には、イワガキ養殖の漁業権免許の取得が必要ですので、県でも必要な手続を進め、支援していきます。 このようにして、県は、県内初となる真鶴町での生食用イワガキ養殖が軌道に乗るよう、段階に応じた的確な支援をすることで、水産業のみならず、雇用の創出や観光など、地域全体の振興にもつなげてまいります。 次に、県が管理する自然公園施設の整備についてお尋ねがありました。 まず、大涌谷園地についてです。 大涌谷園地については、本年2月、私が会長を務めている箱根山火山防災協議会において、全面再開を目指した取組方針を決定しました。 この取組方針に沿って自然研究路の安全対策を進めており、現在、噴石から身を守るためのシェルター3基の工事を7月中の完成を目指して行っています。 今後は、ラグビーワールドカップを見据えて、残りのシェルター4基の整備や園路の再整備などの工事を着実に進めていきます。 次に、池峯園地についてです。 池峯園地は四季折々の自然に恵まれ、園地を通るもみじの郷ハイキングコースは、県西地域活性化プロジェクトの歩いて未病改善県西地域ウオーキングの一つとして紹介されています。 また、園地にある池には、都市部ではほとんど見られなくなったシュレーゲルアオガエルなど、多様な生物が生息するなど、その周辺には貴重な自然が残されています。 そのため、今年度、どのような生物がどのような環境に生息しているか調査を実施し、今後はこの調査結果をもとに専門家のアドバイスを受け、湯河原町と連携しながら、自然環境の保全と池の再整備のあり方について検討を行います。 このように、県西地域の自然公園には豊富な地域資源がありますので、この地域に多くの方が訪れていただけるよう、県では、地元自治体とともに、自然環境の保全と公園施設の整備を今後とも進めてまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
環境農政局長(玉木真人)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 玉木
環境農政局長。
◎
環境農政局長(玉木真人) 環境農政局関係のご質問にお答えいたします。 広域農道小田原湯河原線の整備の推進についてお尋ねがありました。 広域農道小田原湯河原線は、小田原市入生田を始点として真鶴町を経由し、終点の湯河原町鍛冶屋までの山腹を海沿いの国道135号線とほぼ並行する形で計画しており、総延長約17キロメートル、幅員7メートルの幹線農道です。 昨年度までの整備状況は、全路線の約60%に当たる約10.2キロメートルの工事が完了しており、そのうち約6.4キロメートルで供用が開始されています。 地元の農家や住民の方からは、農産物の輸送の効率化のみならず、沿道での直売などの観光農業による地域活性化の期待を込めて、早期の完成を望む声をいただいています。 また、関係市町からも、県西地域の農業振興に大きく寄与するだけでなく、災害時の緊急輸送路としての活用も期待されることから、毎年度、早期完成についての要望をいただいています。 しかしながら、工事の施行場所は傾斜が急なミカン畑であるため、平地の工事と比べて大型の機械が使用できず、また、資材置き場の確保も困難となっています。さらに、工事場所までの既存の進入路がないため、複数の工事箇所を設けることができないことも、工事期間が長くかかる要因となっています。 そこで、県では、工期を少しでも短縮するため、擁壁などの構造物について施工性にすぐれたものを採用し、また、工事車両の仮設進入路を5路線整備することで、同時に複数の工事を進められるようにしました。その結果、昨年度は8カ所で同時に工事を行うことが可能となり、従来の3倍程度の650メートルの進捗が図られました。 今後も、地元の期待に応えられるよう、国の予算確保に努めるとともに、さらに工期を短縮するため、施工方法などの工夫を行い、早期の完成に向けて事業推進に努めてまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
県土整備局長(鈴木祥一)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 鈴木
県土整備局長。
◎
県土整備局長(鈴木祥一) 県土整備局関係のご質問にお答えします。 南足柄市と箱根町を連絡する道路についてお尋ねがありました。 本路線は南足柄市矢倉沢と箱根町仙石原を結ぶ延長約11キロメートルの道路であり、既存の林道を活用して整備するものです。 県西地域の新たな道路ネットワークを形成し、災害時の代替ルートになるとともに、観光振興を初めとする地域活性化にも大きく寄与するものと認識しています。 整備に当たっては、国立公園などの自然環境豊かな地域を通過することから、大規模な改変は行わずに、乗用車等が安全に通行できるよう、見通しの悪い箇所の安全対策や落石などの防災対策を行います。 そこで、県は、まず、東京オリンピック・パラリンピックまでの開通を目指したロードマップを作成し、平成26年度に防災対策工事に着手しました。その後、詳細な道路設計を行い、関係機関と調整しながら、車両のすれ違いが困難な箇所について道路を拡幅したり、退避所を設置したりする工事に取り組んでいます。また、路線内に数カ所ある橋梁についても、補強や補修工事を行っています。 今年度からは、ロードマップの工程を確実にするため、林業関係者のご理解を得て、林道を全面通行どめにして、効率的かつ集中的に工事を実施していきます。 県は今後も工事の着実な進捗に努め、東京オリンピック・パラリンピック開催までに開通できるよう、地元市町と連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。 〔企業庁長(大竹准一)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 大竹企業庁長。
◎企業庁長(大竹准一) 企業庁関係のご質問にお答えします。 箱根地区水道事業包括委託についてです。 箱根地区の水道事業包括委託は、公民連携による持続可能な水道事業のモデルを構築するため、浄水処理、水道施設の維持・更新、料金収納など、水道営業所の業務のほぼ全てを包括的に委託する全国でも初めての取り組みです。 そのため、企業庁では、水質管理や漏水発生時の緊急対応など、約350項目にわたるきめ細かい業務モニタリングを毎月実施し、安全な水道水が安定的に供給できていることを確認してきました。 また、受託事業者は、独自の水量分析に基づく配水経路の効率化やスマートフォンでの漏水の発生箇所の位置情報を瞬時に共有できるシステムを導入するなど、民間ならではのさまざまな取り組みを進めています。 これらの取り組みにより、平成28年度に実施した有識者による中間評価でも、全体として良好に事業が進められているとの評価をいただきました。 こうしたことから、企業庁としては、新たな公民連携モデルの基盤づくりという第1期包括委託の目標はおおむね達成されたものと認識しています。 一方、中間評価では、職員数の少ない中小規模の水道事業者が包括委託を実施した場合でも、確実に業務モニタリングができる手法の確立や水道管路の更新工事などに際して、民間企業の創意工夫をさらに生かせる仕組みが必要などの課題が指摘されています。 そこで、来年度からの第2期包括委託では、こうした課題にしっかりと対応することにより、包括委託を検討している中小規模の水道事業者にとって導入しやすい汎用性のある公民連携モデルの構築に取り組みます。 今後、人口減少がさらに進み、職員の確保・育成や施設の老朽化など、水道事業を取り巻く環境が厳しさを増す中、民間活力との連携を進める包括委託は課題解決の有効な手法の一つです。 企業庁としては、引き続き水道事業における公民連携モデルの確立と他の水道事業者への普及にしっかりと取り組むことにより、持続可能な水道づくりに貢献してまいります。 私からの答弁は以上でございます。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 小田原養護学校湯河原・真鶴方面分教室の整備についてです。 小田原養護学校湯河原・真鶴方面分教室では、知的障害及び肢体不自由の二つの教育部門の小中学部及び高等部を設け、児童・生徒数30人規模を想定した2階建て校舎の整備を予定しています。 校舎の1階部分には、肢体不自由教育部門の教室と給食用の厨房施設などを設置し、2階部分には、知的障害教育部門の教室と相談室や多目的に使えるスペースなどを設置する計画としています。 また、子供たちが運動する場として、現在、すぐ近くにある町民体育館の利用について、湯河原町と調整を進めていますが、敷地内にも広場などを設置する予定です。 あわせて、雨天時に体育館への移動が難しい場合を想定して、教室の間仕切りを移動可能なものにし、運動などさまざまな活動に対応できる工夫も検討しています。 施設整備に当たっては、保護者の皆様から寄せられたご意見も踏まえ、児童・生徒が安心して学べる環境を整えてまいります。 次に、整備スケジュールについてですが、平成29年度には配置図や平面図等の基本案の作成を行う調査設計を実施しました。今年度は基本実施設計を行い、平成31年度から32年度にかけて新築工事を実施する予定です。 県教育委員会では、引き続き湯河原町など関係機関と調整を進めながら、平成33年4月の開設を目指し取り組んでまいります。 以上でございます。 〔高橋延幸議員発言の許可を求む〕
○議長(桐生秀昭) 高橋延幸君。
◆高橋延幸議員 知事、企業庁長、教育長、
環境農政局長、
県土整備局長、丁寧かつ前向きなご答弁ありがとうございました。 大変恐縮ですが、自席から発言をさせていただきます。 時間が少しございますので、要望のほうをさせていただきたいと存じます。 まず、県内産初の生食用イワガキの生産支援についてでありますが、いろいろなことでご支援をいただいていることは、知事の答弁の中でもあったかと存じます。もう一歩、前に踏み込んでいただきたい、というのは、やはり過疎法の中での真鶴町、非常に厳しい財政の中でやっているのが現状でございます。検査をすると、検査の費用もかかる、年4回やっているものを、どういうふうに今後していくのかとか、いろいろな担当とのお話の中で、今後だんだん段階的に前に進めていく中で、県のさらなるご支援がいただければなというのが、考え方であるようでございます。 6月22日に見ました、品評会といいますか、成育の調査の際に、かなり大きく育っているのは事実でございます。そして、写真を出せばよかったのですが、私の手のひらの上に乗っかって、丸々と私みたいに太っているカキがしっかりと姿を見せてくれて、ただ、カキを海から上げると、海草がついていて、かなり掃除をしなければいけない、そしてグラインダーで磨いて、その後、24時間の滅菌の施設をつくってというような形で、かなり時間もかかってカキを生食で出せるような、島根県の隠岐郡の海士町は、島根県のほうでもかなりバックアップしていて、島根県認定という形で海士町のカキを出しているんですね、ブランド化して。条例化もしたり、いろいろなことを考えて、島根県のブランドです、お墨つきですというような形でやっているんですね。 黒岩知事、発信力がたくさんあるので、非常に大きいと思うので、神奈川県のブランドというだけでなく、黒岩知事の認証のイワガキのような、そんなお勧めできるようなカキという形で、もし出荷できるようになったときは、ぜひお願いをしたいというふうに思っております。 知事の発信力というのは、かながわブランドよりももっともっとはるかに上ではないか、かながわブランドで言うよりも、知事のこれうまいんだよと言ってくれることで、非常に多くの方が食べていただけるのではないかというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと存じます。 続きまして、県が管理する自然公園施設の整備について。 大涌谷園地の全面開放は、箱根の完全復活の最後のピースとも言われる自然研究路へのシェルターの設置、研究路の整備だと思います。 知事の箱根を守ろう宣言から3年、いろいろありました。多くの関係者の方々は、一日も早い全面再開を待っています。昨年は、箱根は観光客が2,000万人を超え、訪日外国人客も54万5,000人の多くのお客様がお越しになられております。全面再開に向けて、工事終了まで、安心・安全に進めていただくことをお願いいたします。 そして、県立自然公園の整備に当たっては、ぜひ神奈川県の景観のすばらしさをアピールできるよう、定期的に手を入れていただくことを要望いたします。 続きまして、広域農道小田原湯河原線の整備の推進についてであります。 県が工夫を凝らして早期完成に向けて工事していることは十分理解いたしました。しかし、工事は終わったものの、せっかくでき上がった農道の通行ができない区間が見受けられます。そういった区間については、市町や警察との協議などを速やかに終了して、部分的にでも通行させて供用を開始することが、地元住民にとって事業の効果を実感できるようになり、望んでいることであります。 路線全体の早期完成を目指すことはもちろんですが、部分的な供用開始についても、事業効果の早期発現に向けて、引き続き取り組んでいただけますよう要望いたします。 続きまして、南足柄市と箱根町を連絡する道路について。 何より大変なところの工事だということは十分認識をいたしております。雪も降る、非常に高低の高いところ、あるいは道路の狭いところの工事ということはわかっております。間違いなく2020年の開通がおくれることがないよう、ぜひ工事を進め、開通を切にお願いいたしまして、要望とさせていただきたいと存じます。 箱根地区水道事業包括委託につきましては、2期目の包括委託に入るわけでございます。先ほど企業庁長からのお話のように、ほとんど達成しているということで、ただ、次の2期目は2億円ほどの予算を余計に組んでいるという形で、いろいろな状況がある中で、これが水道料金に反映されることが余りないようにお願いをし、町営水道の格差是正を今後ともお願いできればと存じます。よろしくお願いいたします。 最後に、湯河原・真鶴方面分教室の整備について。 教育長、本当にありがとうございます。 地域のご卒業された親御さんたちからは、いまだに心配の声、そして支援の声が聞こえてまいります。おやめになったお子さんをお持ちの方がそんなことを言うのはどうなんだろうと思うよりも、地域として本当に念願として、懇願をしている、長年の夢である、悲願であるのは事実でございます。ぜひ33年4月に向けて、そして多くの要望の中で、さまざまな調整は大変かと存じますが、今後とも、よろしくお願いしたいと存じます。 これをもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。
○議長(桐生秀昭) お諮りいたします。 本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(桐生秀昭) ご異議がないと認めます。 よって、本日の質問はこれで終わります。 ───────────────────────────────────────
○議長(桐生秀昭) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 次回の会議は、明26日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。 午後4時42分 散会...