平成29年 第二回 定例会
△《本会議録-平成29年第2回-20170616-028121-諸事項-
出席議員等・
議事日程-》 平成29年第2回
神奈川県議会定例会会議録第6号〇平成29年6月16日 午後1時開議 ───────────────────────────────────────〇本日の
出席議員 議長共105名 出 席 議 員 古 賀 照 基 綱 嶋 洋 一 お ざ わ 良 央 武 田 翔 田 村 ゆうすけ 米 村 和 彦 中 村 武 人 木 佐 木 忠 晶 君 嶋 ち か 子 佐 々 木 ゆ み こ 高 橋 延 幸 池 田 東 一 郎 西 村 く に こ 田 中 信 次 川 崎 修 平 神 倉 寛 明 石 川 巧 芥 川 薫 川 本 学 市 川 和 広 山 本 哲 京 島 け い こ 石 川 裕 憲 い と う 康 宏 斉 藤 た か み さ と う 知 一 大 山 奈 々 子 藤 井 克 彦 加 藤 な を 子 楠 梨 恵 子 飯 田 満 谷 口 かずふみ 亀 井 たかつぐ 新 堀 史 明 瀬 戸 良 雄 田 中 徳 一 郎 山 口 貴 裕 藤 代 ゆ う や 渡 辺 紀 之 原 聡 祐 高 橋 栄 一 郎 あ ら い 絹 世 赤 野 た か し 浦 道 健 一 青 山 圭 一 市 川 よ し 子 早 稲 田 夕 季 岸 部 都 井 坂 新 哉 と う ま 明 男 菅 原 直 敏 佐 々 木 正 行 渡 辺 ひ と し 守 屋 てるひこ 柳 下 剛 八 木 大 二 郎 細 谷 政 幸 河 本 文 雄 加 藤 元 弥 内 田 み ほ こ 長 田 進 治 国 松 誠 作 山 友 祐 松 本 清 てらさき 雄 介 長 友 よしひろ 北 井 宏 昭 馬 場 学 郎 小 野 寺 慎 一 郎 鈴 木 ひ で し 赤 井 かずのり 杉 本 透 し き だ 博 昭
いそもと 桂 太 郎 梅 沢 裕 之 嶋 村 た だ し 桐 生 秀 昭 佐 藤 光 森 正 明 土 井 りゅうすけ 杉 山 信 雄 近 藤 大 輔 山 口 ゆ う 子 日 下 景 子 曽 我 部 久 美 子 た き た 孝 徳 中 村 省 司 相 原 高 広 藤 井 深 介 小 川 久 仁 子 持 田 文 男 竹 内 英 明 国 吉 一 夫 松 田 良 昭 髙 橋 稔 小 島 健 一 牧 島 功 堀 江 則 之 久 保 寺 邦 夫 齋 藤 健 夫 松 崎 淳 大 村 博 信 高 谷 清 茅 野 誠 はかりや 珠 江 説明のための出席者 知事 黒 岩 祐 治 副知事 中 島 正 信 同 浅 羽 義 里 同 首 藤 健 治
政策局長 大 竹 准 一
総務局長 中 村 正 樹
安全防災局長 河 原 知 德
県民局長兼
拉致問題担当局長 河 合 宏 一
スポーツ局長 宮 越 雄 司
環境農政局長 藤 巻 均
保健福祉局長 武 井 政 二
産業労働局長 楯 岡 信 一
県土整備局長 鈴 木 祥 一
会計管理者兼
会計局長 小 野 淳
ヘルスケア・ニュー
フロンティア推進統括官 山 口 健 太 郎
情報統括責任者 藁 科 至 德
労務担当局長 大 久 保 雅 一 子どもみ
らい担当局長 丸 山 尚 子 健康・未
病担当局長 市 川 喜 久 江
エネルギー担当局長 松 浦 治 美
教育委員会教育長 桐 谷 次 郎 同
教育局長 田 代 良 一 同
県立高校改革担当局長 久 我 肇
警察本部長 島 根 悟
警察本部総務部長 野 田 次 郎
人事委員会事務局長 山 田 学
監査事務局長 小 宮 重 寿
労働委員会事務局長 田 中 維 彦
選挙管理委員会書記長 脇 雅 昭
公営企業管理者企業庁長 二 見 研 一
企業庁企業局長 長 谷 川 幹 男 ───────────────────────────────────────
議会局出席者 議会局長 松 森 繁 議会局副局長兼
総務課長 花 上 光 郎 同
議事課長 田 中 隆 同
政策調査課長 多 田 彰 吾 ─────────────────────────────────────── 平成29年第2回
神奈川県議会定例会議事日程第6号 平成29年6月16日午後1時開議第1 定県第 53 号議案 平成29年度神奈川県
一般会計補正予算(第1号) 定県第 54 号議案 職員の
退職手当に関する条例の一部を改正する条例 定県第 55 号議案 神奈川県
地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例 定県第 56 号議案 神奈川県
県税条例の一部を改正する条例 定県第 57 号議案 神奈川県
個人情報保護条例の一部を改正する条例 定県第 58 号議案
地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非
営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例 定県第 59 号議案
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 定県第 60 号議案
工事請負契約の締結について(
県民ホール本館舞台設備改修工事請負契約) 定県第 61 号議案
特定事業契約の締結について(
体育センター等特定事業契約) 定県第 62 号議案
特定事業契約の変更について(
自動車運転免許試験場整備等事業特定事業契約) 定県第 63 号議案 動産の取得について 定県第 64 号議案
指定管理者の指定について(
伊勢原射撃場) 定県第 65 号議案
公立大学法人神奈川県立保健福祉大学定款 定県第 66 号議案
地方独立行政法人神奈川県立病院機構中期計画の変更の認可について 定県第 67 号議案
地方独立行政法人神奈川県立病院機構による重要な財産の譲渡の認可について ───────────────────────────────────────
△《本会議録-平成29年第2回-20170616-028122-質問・答弁-
長田進治議員-
代表質問①知事の
基本姿勢について②経済のエンジンを回す取組について③県民の安全・安心を守る取組について④県政の諸課題について
-》 〔議会局長報告〕
出席議員 議長共104名
○議長(佐藤光) ただいまから、本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(佐藤光) 審議を行います。 日程第1、定県第53号議案 平成29年度神奈川県
一般会計補正予算外14件を議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕(拍手)
◆
長田進治議員 皆さん、こんにちは。 自民党の長田でございます。
神奈川県議会第110代、
佐藤光議長のお許しをいただきましたので、
自民党神奈川県議団を代表して、順次質問いたします。 知事並びに首藤副知事、教育長、
警察本部長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。 自民党第1巡目の質問は、私にとりましても初めての経験であり、
浅学非才な私には少々荷が勝ち過ぎておりますが、精いっぱい務めてまいりますので、議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴いただきますようお願い申し上げます。 質問に入ります前に、一言申し上げます。 本日6月16日は、二十四節気でいうところの芒種、七十二の候では、梅の実の色づくころとされております。瑞穂の国に早苗が揺れるこの季節、
秋篠宮内親王眞子様におかれましては、間もなくご婚約とのことであります。大変おめでたい知らせでありますし、
日本国民として、お二人の幸せを心から願わずにはいられません。その上、お相手とされる小室圭様は
本県在住のお方とのことですので、幾重もの意味で、このご慶事を心よりことほぎたいと思います。 また、退位の意向を強くにじませたお言葉を表明されていた今上陛下におかれましても、陛下のお気持ちへの国民の理解と共感を条文に盛り込んだ
退位特例法が全会一致をもって成立いたしました。陛下の御心に思いをはせ、これからもお健やかにお過ごしになられますことを、心よりお祈り申し上げる次第でございます。 それでは、質問に入ります。 質問の第1は、知事の
基本姿勢についてであります。 〔資料提示〕 初めに、津久井やま
ゆり園事件から1年を迎えるにあたっての知事の所感と県民への
メッセージについて伺います。 あのつらく悲しい事件から間もなく1年を迎えようとしております。痛ましくも事件の犠牲となられた方々、どんなに怖かったことでしょう。傷を負われた方々、容疑者に拘束された職員の方たちの恐怖、肉親を失った家族の悲しみ、そして現場に急行し、その惨状を目の当たりにした消防、警察などの方たち、その恐怖と悲しみは今も癒えるようなものではないことと思います。 しかし、それでも前を向いて園の再生を目指して、きょうも働いてくれている職員の皆さんがいます。処遇が変わっても、けなげに日々の生活を送っているご利用者の皆さんもいます。津久井の人たちは、いつもの年なら今ごろ夏祭りの知らせが届くころなのにと、突然ぽっかりと地域に穴があいてしまったような、そんなお気持ちでいらっしゃるのではないでしょうか。そうしたことを思えば、私たちは日一日をゆるがせにせず、真剣にこの問題に向き合っていかなければなりません。 事件からこれまでの経緯を振り返りますと、園の建てかえ問題では、大
規模施設のままでの建てかえについて、ご利用者やそのご家族、
福祉団体などの意見が錯綜し、
具体的方針を定めるには、いましばしの時間を要するようであります。また、知事の発言が波紋を呼んだことなどもありました。 私は思います。障害者なんて要らないと、明らかに間違った考えを曲げようともしない容疑者に対して、事件後の私たちがいつまでも動揺をおさめられずにいては、それは容疑者の思うつぼということになってしまうのでないかと。今、私たちはお互いの考えの違いを乗り越え、寛容し合い、速やかに事件後の再建を果たし、再び笑顔あふれる津久井やまゆり園を取り戻すこと、それこそが容疑者やその考えに同調するような人々に対して、あなたの考えは間違っている、あなたのしたことは取り返しのつかないことであり、社会的な意義などかけらもない蛮行だ、生きとし生けるものの命を大切に思えない者が、どんな理屈を操ろうとも、決して幸福など手に入れることはできないということを知らしめる最大の手段なのではないでしょうか。 今、私たちは社会を形成し守っていく公僕として、
障害者差別や優生思想という闘い続けなければならない命題を、改めて突きつけられています。 そこで、知事に伺います。 間もなく事件から1年を迎えようとしています。この際、知事はどのような姿勢でこの日を迎え、そして、県民に対してどのような
メッセージを発信していこうとしているのか、そのお考えを伺いたいと思います。 また、この機に行われる慰霊の行事や啓発の行事についてでありますが、7月24日に
相模女子大学グリーンホールをお借りして追悼の行事を行うとお聞きしました。できるだけ多くの方にお集いいただくためにもそのことはよいことと思っていますが、やはり26日の当日には、津久井やまゆり園の現地で、知事、そして私
たち関係者も鎮魂の祈りをささげることが必要と考えます。 このようにして、慰霊としての行事を心を込めてとり行うことがまずは第一。そして、広く県民の皆さんに、ともに生きるということについてアピールしていくための
啓発イベントは、派生する課題として区分けをし、それはそれとして真摯な態度でこれに臨むべきであると感じますが、これについて知事の見解を伺います。 次に、知事の
看板政策でもあります
ヘルスケア・
ニューフロンティアの取組について伺います。
黒岩知事の誕生から6年、2期目の折り返しを越えました。このあたりで知事がこれまで重点的に進めてきたこの政策について、これまでの成果を検証し、これからの取り組むべき方向を明らかにする必要があると考えます。
ヘルスケア・
ニューフロンティアの
取り組みは、
最先端医療技術の開発や実用化などにより、県民の
健康増進へと導く息の長い
取り組みであります。したがって、政策的な効果が明らかになっていくまでには、ある程度の時間がかかることは私たちも理解しているところであります。しかし、既に高齢になられている方たち、あるいは既にがんなどの重い病気にかかっている方たちは、自分に与えられた命の時間というものを考えずにはいられないことでしょう。そうした方たちは、実に切実な思いでこの政策の成果を待ち望んでいらっしゃることと思います。 また、その一方で、国の施策の先を行くような
最先端医療への
取り組みについては、納税者たる県民からすれば、果たして地方自治体としてそこまですべきかという疑問を持つ面もあると思います。国、県、市町村と役割のある中で、本県がどこまでを担うべきかということについても、県民が納得のいく説明が必要です。そして、これまでの
取り組みの具体的なメリットを、わかりやすく県民に示すべき時期に来ているものと思います。 そこで、知事に伺います。
ヘルスケア・
ニューフロンティアの政策については、これまでどのような成果があったのか、また、どのような点が課題だと考えているのか、お伺いいたします。また、そうした課題を踏まえて、今後どのように展開していこうと考えているのか、これもあわせてお伺いいたします。 さらに、このたびの人事により、副知事に就任されました首藤副知事にも、
ヘルスケア・
ニューフロンティアを初め、
健康寿命の延伸に向けて、より一層邁進していただきたいと思うところでありますが、その意気込みについてお伺いいたします。 次に、未病改善の取組について伺います。
高度成長期に人口が急増した本県では、全国でも一、二を争うスピードで高齢化が進行しております。そうした中、誰もが高齢になっても健康で生き生きと暮らせること、すなわち
健康寿命を延ばしていくことが、県民にとっての幸せであり、かつ
社会保障制度を維持していくためにも大切な
取り組みであると考えています。
黒岩知事は平成26年に、未病を治すかながわ宣言を発表し、未病という新たな視点を掲げて、食、運動、
社会参加を中心とした生活習慣の改善を呼びかけてまいりました。また、本年3月にはこれを一層推進するため、かながわ未
病改善宣言を発表したところであります。 こうして知事が初めに提唱されたころは、ほとんど認知度がなかった未病という言葉も、今は政府の戦略に織り込まれるまでになり、その成果は一定の評価に値するものと思っています。つきましては、この
取り組みを推進するためにも、これまで3年間の
事業内容や成果について、きちっと検証することが必要であると考えております。 そこで、知事に伺います。 これまでの未病改善の
取り組みの成果と課題についてどのように認識しているのか、お伺いします。また、これまでの
取り組みの中で明らかになった課題を踏まえて、今後どのように
取り組みを進めていくのか、あわせて見解を伺います。 次に、
動物保護センターの再整備のあり方について伺います。 〔資料提示〕 我が国の約6人に1人、世帯数にすれば約3世帯に1世帯が犬や猫を飼う時代になりました。ペットは人々の生活の癒やしとなり、現代人の生活からは切り離すことのできないものとなっています。ただ、その一方で、無責任な飼い主による飼育の放棄や虐待、あるいは多頭飼育の崩壊、そして大規模災害時のペットの保護など、新たな社会問題も生まれています。 こうした中、神奈川県が動物の殺処分を減らし、飼い主を失ったペットを一時的に保護し、新たな譲渡先を見つけたり、精神的、肉体的なダメージを受けたペットのケアをするなど、先進的な
取り組みを推進するため、これまで処分するための施設であった
動物保護センターを、生かすための施設として建てかえようとしていることは時宜を得た
取り組みであると感じております。 この問題については、建物の完成を平成31年3月としたものの、建てかえのための財源についての議論が明確にならないまま時間が経過し、今年の第1回定例会の中でようやくその方向が示されたところであります。その結果、肝心な建物の機能、その目指すべき姿など、大切な議論がまだ十分でないのは少々残念なところであると感じています。 そこで、知事に伺います。 この法定必置施設である
動物保護センターの再整備について、寄附の目標額11億円に対して、現在までの寄附額が1億7,000万円程度であることを踏まえ、完成期限を守るために財源をどのようにしていくのか、改めて知事の見解を伺います。また、新しい
動物保護センターをどのようなコンセプトで、どのような機能を持つ施設として整備していくのか、知事に伺います。 次に、副知事の任命についての知事の考えについて伺います。 親から離れた子羊のようだと知事が心境を吐露するほど信任していた黒川前副知事が退任され、このたび新たに首藤副知事が就任されました。これについては、去る5月23日の本会議で、知事から人事案が提示され、議会も全会一致でこれを承認したわけでありますが、その際、知事の提案説明では、首藤副知事を任命した理由については特に触れられず、一部の報道では、知事の任期4年の折り返しに当たって、首藤副知事を起用することで、医療や未病を中心とした黒岩カラーを打ち出そうとしていると報道されています。 そもそも首藤副知事は、
黒岩知事が就任された翌年の平成24年4月に厚生労働省から医療政策担当兼国際戦略総合特区担当の参事監として登用され、翌年からは理事として、これまで医療政策、
ヘルスケア・
ニューフロンティアなどの特定行政課題を担当されてきました。 このように、いわゆる知事の政策的ブレーンとして採用された幹部職員が、副知事に登用された例は26年ぶりとのことであります。言いかえれば、この26年間はいわゆる県庁生え抜きの職員が副知事となっていたということでもあります。 また、首藤副知事の担任事項でありますが、県民局と保健福祉局と
ヘルスケア・
ニューフロンティア推進本部室の3項目と聞いております。保健福祉局と
ヘルスケア・
ニューフロンティア推進本部室については、これまでの経緯からして当然のことと思いますが、他の担任事項は県民局とのこと、首藤副知事にはふなれな分野かとも思います。そうしたことから、県政全般に精通するという意味で、少しだけ不安を感じる面もございます。 副知事の任命は知事にとっても思い入れの強いことでありましょうし、人事のことですので、あえて言挙げせじとも思いましたが、やはりこれは知事の政策の根幹にかかわる人事でもあるわけです。 そこで、知事に伺います。 そもそも知事は首藤副知事のどういったところに着目して本県に採用されたのか、また、今回の副知事登用について、首藤副知事にはどのようなことを期待されているのか、あわせてお伺いいたします。 1回目の質問は以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 長田議員のご質問に順次お答えしてまいります。 私の
基本姿勢について、何点かお尋ねがありました。 まず、津久井やま
ゆり園事件から1年を迎えるに当たっての私の所感と、県民への
メッセージについてです。 この事件は、障害者はいなくなったほうがいいといった間違った考えのもとに引き起こされた凶行で、県民の皆さんはもとより、国民全体に言いようもない衝撃と不安を与えました。犠牲になられた方々やご遺族の皆様のお気持ちを察しますと、今もなお強い怒りと憤り、そして悲しみを禁じ得ません。 事件発生からこれまでの間、県は、事件の再発防止や園の再生、利用者の方々の移転先の確保、また議会とともに策定した「ともに生きる社会かながわ憲章」の普及などに全力で取り組んできました。 こうした
取り組みを通じ、私は改めて障害者への偏見や差別を排除し、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現することの重要性を強く感じています。 1年を迎えるに当たり、このような事件が二度と繰り返されないよう、そして、この悲しみを力に、県民総ぐるみでともに生きる社会かながわが実現できるよう決意を新たにし、引き続き全力で取り組んでまいります。 次に、慰霊の行事と
啓発イベントとを区分けして臨むことについての考え方です。 7月24日の追悼式では、犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、あの凄惨な事件を風化させることなく、共生社会の実現に向けた決意を皆さんとともに共有したいと考えています。 一方、みんなあつまれ2017は、ともに生きる社会かながわ憲章の理念を普及させ、広く県民の皆様に理解していただくための
啓発イベントです。そうした趣旨から、市町村や民間イベントと連携し、企業、団体からの協賛をいただきながら、オール神奈川で開催するものであり、幅広い世代の多くの方々に来場していただき、ともに生きるを共感できるようなイベントにしていきたいと考えています。 次に、
ヘルスケア・
ニューフロンティアの見える化についてです。 これまで県は、
健康寿命の延伸に向けて、未病改善とともに、
最先端医療技術の追求に取り組んできました。その結果、川崎市の殿町地区には、研究機関、企業が集積し、脊髄損傷に対する再生医療とロボット技術との融合や、脳機能障害に対する
遺伝子治療など、難病の克服に向けたさまざまな研究プロジェクトが国などとの連携により進んでいます。 また、460社を超える未病産業研究会の会員企業からは、ICTなど最新技術を活用した健康管理につながる新たな商品・サービスが続々と生まれています。このように
健康寿命の延伸に向けた新たな技術、産業を生み出す基盤が構築されてきたことが成果の一つと考えています。 一方、こうした
取り組みをさらに進めていくためには、より多くの県民の皆様のご理解を得て、成果をいち早く実感していただくことが課題と認識しています。そこで、今後は、県民の皆様に
ヘルスケア・
ニューフロンティアが目指す姿やメリットを見える化するとともに、県の役割を明らかにした上で、市町村との一層の連携強化に取り組んでまいります。 まず、見える化については、目指す姿として、健康で生きがいと笑顔あふれる健康長寿社会、スマイルかながわの実現を目指します。また、県民メリットとしては、高度な医療技術をいち早く身近な医療として受けられることや、ICTを活用して日々の生活の中で、自分の健康状態を的確に把握し、未病改善に取り組めることなどをお示しします。 次に、市町村との連携については、市町村の健康づくりを積極的に後押しするとともに、未病コンセプトと丁寧につなげていくことで、市町村と一体となって未病改善に
取り組みます。例えば、市町村が進める生活習慣病対策を県民の皆様に未病コンセプトでわかりやすく説明し、対策の一層の普及啓発を図っていきます。 なお、
ヘルスケア・
ニューフロンティアの進捗状況がわかりやすく把握できるよう、マイME-BYOカルテや電子母子手帳の利用者数、未病産業における新たな商品・サービスの事業化件数など、達成度を数値で明らかにしていきます。 今後も、
ヘルスケア・
ニューフロンティアの成果がしっかりと県民の皆様に届くよう全力で取り組んでまいります。 次に、未病改善の
取り組みについてです。 未病を改善するためには、食、運動、
社会参加の
取り組みを正しい知識のもとで、県民の皆様一人一人が主体的に行うことが重要です。このため、未病への気づきや未病改善の実践を支援する場として、平成27年6月に未病センターを開設し、現在、県内24カ所に設置されています。 未病センターでは、脳年齢や骨密度などの測定のほか、企業と連携した食や運動に関するプログラムを実施し、多くの県民の皆様に利用していただいています。また、子供から高齢者まで、ライフステージに応じた未病対策を進めるとともに、広く周知し、未病改善を後押しするため、未病サポーターの養成にも力を入れています。 こうした対策により、例えば県民ニーズ調査の
健康寿命の延伸を目指す上で未病の改善の
取り組みを重要だと思うかという質問に対し、重要だと思うとの回答が約8割となるなど、県民への浸透が図られつつあると感じています。 しかしながら、健康に無関心な層や、忙しくて未病改善に取り組めない方などへのアプローチはまだまだ十分とは言えないと認識しており、これまで以上に市町村や企業との連携を強化していく必要があると考えています。 そこで、働く世代に対しては、企業を通じて、従業員の未病改善を進めるCHO構想の一層の普及を図ります。また、市町村で実施する生活習慣病対策などとの連携強化、さらには、高校生を対象とした未病学習など、さまざまなアプローチから県民の未病改善の
取り組みを加速させてまいります。 次に、
動物保護センターの再整備のあり方についてです。 まず、再整備の財源についてです。 新しい
動物保護センターについては、施設の老朽化による犬や猫の劣悪な環境の早期改善や、ボランティアの皆さんの負担軽減のため、寄附額が目標に達しない場合であっても、県費を充てて、平成31年4月に予定どおり開設したいと考えています。 開設に向け、今後も寄附募集に全力で取り組んでまいりますが、本年11月時点において寄附額が不足する場合には、寄附額と県費の見通しをお示しした上で、来年度の予算編成作業の中で、財源の内訳を精査していきたいと考えています。 次に、新しい
動物保護センターのコンセプトと機能についてです。 新しいセンターは、四つのコンセプトを掲げています。一つ目は、動物を殺処分する施設から、生かすための施設へ、二つ目は、動物愛護の普及啓発の拠点、三つ目は、ボランティアとの協働、四つ目として、災害時の動物救護です。 これらのコンセプトに基づく具体的な機能として、保護動物の健康管理が適切にできるよう個別の飼育室や空調設備などを充実する一方、ガス処分室など、殺処分のための設備は設けないこととしています。 また、子供向けの動物教室や犬猫との触れ合いなどを通して、命の大切さを学べるよう、展示室や研修室を整備してまいります。 さらに、ボランティアの皆さんが活動しやすいよう、犬猫の譲渡会に利用できるホールや専用の控室などを整備するほか、災害時における迷子動物や負傷動物の救護機能も充実していきます。 新しい
動物保護センターは、こうしたさまざまな機能を持つ動物愛護の拠点として整備する予定であり、今後、入札手続を経て、11月の第3回定例会に契約議案を提出するなど、建設に向けた手続を進めてまいりたいと考えています。 次に、副知事の任命についての私の考えです。 まず、首藤健治君を採用した理由です。 私は、知事就任当初から、超高齢社会を見据え、病気にならない
取り組みについて、医療分野だけでなく、さまざまな政策分野を融合させて進めていく必要があると感じていました。そうした中、平成23年12月に、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の指定をかち取り、この特区と医療のグランドデザインの
取り組みを推進するための人材が必要となりました。 このため、当時、厚生労働省の医系技官で、医療政策の専門家であった首藤君を採用することとしました。首藤君は、私が知事に就任する前からの知り合いで、その幅広い人脈、国際性など、非常にすぐれた人物であり、私の思いを政策化し、推進していくため、まさに適任と考えたからであります。 次に、首藤副知事に期待することです。 これからは、副知事として、
ヘルスケア・
ニューフロンティア、保健福祉局に加えて、県民局も担任することになります。これまで県が進めてきた未病の改善と、市町村等が健康づくりとして取り組んできたことを丁寧に結びつけていくことが課題であると私は認識しています。 また、子供の貧困対策や虐待への対応についても、この三つの部局を中心にして相互に連携することが重要です。こうすることにより、これら三つの部局に、いのち輝き、誰もが自分らしく暮らせる社会づくりを実現するための中心的役割を担ってもらう必要があります。 首藤副知事には、こうした分野の取りまとめとともに、あらゆる政策分野で横串を刺し、大きな政策ビジョンをつくり上げてもらうことを期待しています。 私からの答弁は以上です。 〔副知事(首藤健治)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光) 首藤副知事。
◎副知事(首藤健治)
ヘルスケア・
ニューフロンティア関係のご質問のうち、
健康寿命の延伸に向けた意気込みについてお答えいたします。 私は副知事として、生命だけでなく、生きがいや
社会参加など、広い意味の命を大切に政策を進めていきたいと考えています。特に、
健康寿命の延伸に向けては、身近な地域で質の高い医療や介護を受けられる体制の整備や、未病の改善や最先端の医療の
取り組みなどが重要です。 こうしたことに対応していくためには、あらゆる世代が互いに支え合う、これまで日本人が大切にしてきた価値観に基づいて、ともに生きる社会をつくり出していく必要があります。 このような社会づくりは、行政主導で完結するものではありません。産業界、学術機関はもとより、NPO、地域、コミュニティー、県民の皆様など、あらゆる主体と協働しながら、次世代につながる社会システムを構築していかなければなりません。 このような
取り組みにおきましては、微力ではありますが、私がこれまで培った行政経験やネットワークなどを最大限生かし、市町村ともしっかりと連携をしながら、
健康寿命の延伸、県民福祉の向上、そして次世代に誇れる神奈川の発展に力を尽くしてまいりたいと思います。 以上でございます。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 ご答弁まことにありがとうございました。 それでは、2点、再質問させていただきます。 まず初めに、津久井やま
ゆり園事件から1年を迎えるその7月26日のことでありますけれども、私が申し上げました、やはり現地で私たちはその日を迎えるべきだというふうに思うわけですが、そこで一番大事なことは何か、こんな事件に巻き込まれても、私たちは決してこの津久井の地から逃げることはない、私たちは必ずこの津久井の地に帰ってくる、私たちは必ずこの津久井の地で改めて生活を取り戻す、建てかえの問題ということは少し別にしても、そのことをしっかりと誓うことが大事なのではないかというふうに私は思うわけであります。 この点について、知事のお考えがあるならば、お答えをいただきたいというふうに思います。 それから、未病改善の
取り組みについてでありますが、先日、あるまちで私は赤いTシャツを着た健康普及員の方たちを見かける機会がありました。骨密度の測定器だとかあるいは脳血管年齢などを測定する機械を並べながら、行き交う人たちに熱心に体の状態を調べてくださいということを訴えていらっしゃいました。そして、私にも未病というものはどういうものかということを熱心にご説明くださいました。あるいは、食生活改善団体の皆さんは、男性の方を集めて、男の料理教室を開いて、健康にいい食事づくりなどということを一生懸命普及をされています。 私は、こうした人たちが毎日、県のあちこちでうまずたゆまず皆さんにそうしたことを伝えてくださっているから、今、知事が言われたような成果も上がってきているのだと思います。そういう意味で、市町村との連携ということは非常に大事だというふうに思うわけであります。 では、市町村からすると、県からこういうことをやってくれと言われたときに、大事なことは、本当にその
取り組みをやったら、きちっと成果が上がるのかということの確証だと思うんです。エビデンスというようなものをしっかりと証明し、市町村に協力を願うことが大事だと思うんですが、私の言うエビデンスというのは、大学の先生がこう言っているからということではなくて、それをさらに自治体段階などで多くの県民の皆さんに参加をしていただいて、そしてその結果、しっかりとこういう成果が確認できましたので、ぜひ市町村の皆さん、これについて協力くださいということを示すことが、広域自治体である県の役目だと思うんですが、このことについて知事のお考えを伺いたいと思います。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。 津久井やまゆり園の再生につきましては、現在、神奈川県障害者施策審議会の部会で議論されております。園の利用者の方々に対し、一日も早く安心して暮らせる環境を整備していくこと、これは県に課せられた大きな使命であると思っております。その実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいりたい、そのように考えております。 事件当日の7月26日、そうした思いも胸にしながら、現地に赴きまして、犠牲になられた方々を心から追悼してまいりたい、そのように考えております。 続きまして、未病における市町村との連携ということであります。 ご指摘のとおり、住民の
健康寿命の延伸に向けて、第一線で取り組んでいる市町村、未病対策を積極的に展開していくためには、その市町村に対して成果を明らかにしていくということは大変重要なことであると思っております。 これまで進めてきた対策の中には、広く県民に普及啓発を行うだけではなくて、例えば住民の皆さんに参加していただいて実施した生活習慣病対策でありますとか、高齢者未病対策など、こういったものは実はその
取り組みの成果というのはわかるんですね。ですから、こういった成果をはっきりと他の市町村で実施している事業等の成果についても、しっかりと積み重ねて、市町村への情報提供、これを行っていきたいと考えております。 答弁は以上です。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 再質問に対するご答弁ありがとうございました。 それでは、1点要望させていただきますが、それは
ヘルスケア・
ニューフロンティアの取組についてであります。 そろそろ県民の皆さんにメリットを示すべきだということに対して、今ご答弁をいただきましたけれども、一番わかりやすく県民の皆さんにメリットをお示しし、そして、工程、進行状況をお示しするのは、これをもって今現時点で県民の
健康寿命は何歳です、頑張った結果、幾つ延びました、これまで全都道府県の中で15位だったけれども、10位になりました、トップになりました、こういうことがわかりやすく示せれば、県民にとっては、自分たちの税金を使って自分たちの
健康寿命が延びたわけだから、これは一番のメリットだなというふうに感じてくれるんだと思います。 もっと言うならば、何年後には何歳まで延ばしていきたい、こういうことが示せれば一番なんだと思いますが、しかし、いろいろ聞いてみますと、
健康寿命かどうかというのは、その人自身が健康かどうかという、かなり主観的な判断に基づく部分もあるみたいですから、難しいかもしれません。 ただ、例えば介護状態になっているか、なっていないかとかというようなことは、かなり正確につかめる数字だと思いますし、そうしたことをしっかりととらまえながら、県民の皆さんに努力した結果がこうあらわれているということを示していければ、それが一番ではないかというふうに思いますので、その点、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 質問の第2は、経済のエンジンを回す取組についてであります。 初めに、企業誘致の推進について伺います。 平成27年度からスタートし、今年で折り返しの3年目を迎える「かながわグランドデザイン」第2期実施計画では、あすの県内経済を担う産業づくりを進めて経済のエンジンを回していくために、成長産業の創出・育成、企業誘致などによる産業集積の促進、技術の高度化、科学技術の研究の推進に取り組むこととしております。 中でも、企業誘致については、平成27年度から平成30年度までに、県外、国外から100件の事業所を誘致するという非常に高い目標を掲げており、平成28年度から、新たな企業誘致施策であるセレクト神奈川100を用意して取り組んでいるものと承知いたしております。 さて、今年2月、圏央道は茨城県内区間が開通したことにより、神奈川県から千葉県まで5都県を通過し、常磐道や関越道など六つの高速道路ともつながることとなりました。この結果、本県の相模川周辺のエリアを中心に経済的価値は相当に高まるものと期待しています。しかし、その一方で、経済的価値が相対的に低下する地域もあるのではないかと懸念しております。 そこで、平成25年以降の本県の人口の推移をエリア別に見ますと、他地域の人口がふえていく中で、横須賀三浦地域、県西地域の人口は一貫して減少しています。こうしたことにより、地域経済の活力が失われ、企業が他県に流出し、県土の均衡ある発展に影響が出るのではないかと危惧しているところであります。 したがって、経済的な面のみならず、地域の活力を再び取り戻すために、より多くの企業を誘致し、雇用と受注を生み出すことが必要と考えております。 そこで、知事に伺います。 かながわグランドデザイン第2期実施計画の折り返し3年目を迎えて、これまでの企業誘致の成果と課題について、どのように捉えておられるのか、お伺いいたします。また、それを踏まえて、今後どのように企業誘致を進めていこうと考えているのか、あわせて見解を伺います。 次に、さがみロボット産業特区の次なる展開について伺います。 〔資料提示〕 今年度で計画の最終年度を迎えているさがみロボット産業特区は、平成25年に生活支援ロボットの活用による安全・安心の実現と地域の活性化を目標として国から指定を受け、今や国を挙げてロボット関連産業の振興が行われる中、その先駆けとなりました。 この特区では、ロボット開発に係る一連の流れのうち、実際の活用現場に近い環境での実証実験を支援する出口戦略に注力し、一定の成果を上げているものと理解をいたしております。 また、実用化だけでなく、人間とロボットが共生する社会の実現のために欠かせない生活支援ロボットの普及や導入を進めるための
取り組みにも、積極的に取り組んできたと認識をいたしております。 こうした特区の
取り組みについては、これまで介護・福祉、高齢者等の生活支援、災害対応の三つの分野を対象に進めてきているところでありますが、ここ数年、ロボットが必要とされ、実際に活用されるようになってきている分野は、社会のさまざまな場面に広がってきています。 このように、特区指定を受けた当時と比べて、社会の状況は大きく変わってきており、こうした状況の変化に対応し、一層の成果を上げていくため、特区は平成30年度からの5年間も引き続き継続して取り組んでいくことが地域協議会で意思決定されました。 我が会派としても、次の5年間では、社会の状況変化を踏まえ、県民に見える形で新たな
取り組みを展開していくことが必要ではないかと感じています。 そこで、知事に伺います。 さがみロボット産業特区のこれまでの成果について、どのように評価しているか伺います。また、今年度いっぱいをもってロボット特区の1期5年が満了いたしますが、地域協議会での合意を踏まえ、知事は次も改めて特区として認定を申請していくお考えか、あわせて伺います。 2問目は以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 経済のエンジンを回す
取り組みについてお尋ねがありました。 まず、企業誘致の推進についてです。 これまでの企業誘致の成果と課題です。 「かながわグランドデザイン」第2期実施計画に、県外、国外から100件の事業所を誘致することを目標に掲げ、
取り組みを進めてきました。その結果、国際ブランドのホテルや整形外科分野のリーディング企業など、50件の誘致に成功し、おおむね順調と考えています。 一方、誘致した企業の進出先は、横浜、川崎、県央、湘南地域が多く、横須賀三浦地域は3件、県西地域は2件にとどまっています。 次に、今後の企業誘致についてです。 県全域でバランスのとれた誘致を進めるためには、紹介できる産業用地の物件をふやすとともに、企業の投資計画がやわらかな段階から誘致活動を行うことが重要です。 そこで、産業用地や投資の情報が集まる金融機関、大手ディベロッパー等との連携を強化していきます。具体的には、金融機関等が持つ産業用地情報の収集を強化し、その4月に新たに開設した産業用地賃貸オフィス情報サイトでの情報提供を充実します。 また、こうした機関等の協力を得て、投資の可能性のある県外企業向けセミナーを開催するなど、企業の投資情報の早期把握に努めていきます。 その上で、横須賀三浦地域や県西地域等に企業を呼び込むためには、観光、未病といったコンセプトを明確に打ち出すなど、誘致に積極的な市町村と連携して関連企業にアピールし、誘致活動を強力に展開してまいります。 次に、さがみロボット産業特区の次なる展開についてです。 初めに、さがみロボット産業特区の成果についての評価です。 この特区は、全国で初めて生活支援ロボットの実用化と普及というテーマで指定を受け、これまで数々の先駆的な
取り組みを実施してきました。中でも、さがみ縦貫道路を使った国内初の自動運転の実証実験や介護ロボットへの介護保険適用などの規制緩和を実現し、特区計画の数値目標である実証実験件数や商品化件数を1年前倒しして達成したところです。 この4年間の
取り組みにより、例えば脳梗塞等により、手足が麻痺した方のリハビリを支援し、生活の質を向上させるロボットの実用化や、箱根・大涌谷へのロボットの投入等を通じて、県民の命を守り、安全・安心の確保につなげることができたと評価しています。 次に、特区の継続に向けた考えです。 今後、ロボットを社会のさまざまな場面に浸透させるとともに、経済のエンジンを回す
取り組みを一層、充実強化していくことが重要であり、市町や企業の特区への期待も日増しに高まっていると感じています。 そこで、今年度末までとなっている特区計画の継続を国に申請することにし、地域等の理解を得ながら、次のステージへと力強く前進させてまいります。 答弁は以上です。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 ご答弁大変ありがとうございました。 それでは、再質問を2点させていただきます。 企業誘致の推進についてでありますけれども、補助金を出して条件を整えて企業に来てください、来てくれる。これはいいことだと思います。しかし、その一方で、県内から企業が流出してしまっているようでは意味がありません。まさに爪で拾って箕でこぼすというようなことになってしまってはいけません。 そういう中で、どういう企業が県内に来てくれているのか、どういう企業が県からどういう理由で出ていってしまうのかという傾向をしっかりと把握することが大事ではないかと私は思うのであります。 例えば、広い敷地を必要とする製造業などは、地価の高い神奈川県内よりも地価の安い県外に出ていったほうがというようなことがあるのかもしれません。あるいは県内でIT企業などで大成功した、成功したから、神奈川県ではなくて、東京の六本木に行こうよ、こういう理由で出ていく企業があるのかもしれません。また逆に、どういう理由で神奈川県にやってきてくれるのか、そういうことをしっかりと把握することが、次のためのさらなる有効な手だてにつながっていくのではないかと思うのですが、この点について知事の見解を伺いたいと思います。 それから、さがみロボット産業特区については、次の5年間も特区として申請をしていくということを、知事の言葉で初めてお聞きしましたので、これは地元としても大変に力強い、心強いことだというふうに思っております。ついては、次の5年間については、どんなふうなお考えの中で、このロボット産業特区を進めていこうとお考えか、知事のお考えを伺いたいと思います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。 企業の流入、流出の動向の把握、これは非常に大事なことであると私も感じております。そして、今後、市町村や神奈川産業振興センターなど、関係団体からの情報収集を強化いたしまして、企業の動向把握に努め、こうした情報を企業への誘致活動に活用するとともに、中小企業支援策を検討する際に生かしてまいりたい、そのように思っているところであります。 本県は、企業誘致に取り組む中で、流入してきた理由、流出についての生の声、こういったものを把握しているところであります。例えば、流出する理由として、親会社や取引先の近隣へ移転したといったこととか、神奈川の人件費や物件費が高い、こういった理由を挙げられるところもありました。 流入されてきたところにおきましては、技術連携が見込める産業が集積しているということでありますとか、交通アクセスがいいと、そういうようなことを挙げられるところもあったと聞いております。 さがみロボット産業特区のこれからのことについてご質問がありました。 本県の人口は、これから減少局面に差しかかってまいります。また、東京オリンピック・パラリンピックなど、ビッグイベントを控えて、さらなる安全・安心の確保が求められる、さまざまな課題に対応していく必要があります。こういった中で、ロボットといったものをどの部分に活用できるのか、さまざまな可能性がこれから広がってくると思うところであります。 さがみロボット産業特区を始めるときには、余り聞きなじみがなかったAIといったもの、これは今、非常に一般化しているわけでありまして、こういったAI、そしてロボット、新しい姿といったものをこれまでも先導してきた神奈川でありますから、その新たな姿、未来の姿を、この神奈川が新たなさがみロボット産業特区で描き続けていきたい、発信し続けていきたい、そのように思っているところであります。 答弁は以上です。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 ご答弁まことにありがとうございました。 それでは、要望を一つ申し上げますが、さがみロボット産業特区のことでありますけれども、私は相模という地域、そのネーミングも含めて、この地域をどうエリアマネジメントすることが大事かというふうに思うんですけれども、まずは、これからはロボットが見える化し、さわれる化することが大事だというふうに思うんですね。相模の地に行けば、いつでもロボットを見ることができる、さわることができる、動かすことができる、そういう場所がいつでもあるというようなことも大事なのではないかと思います。 ある駅前をおりたら、コミュニケーションロボットがそこにいて、まちのことを案内してくれるとか、行き先をインプットすると、そこまで連れていってくれるとか、あるいは駅を出ると、上空を犯罪を取り締まるドローンが飛んでいるとか、ショッピングセンターに行ったら、ロボットスーツHALをつけた人が買い物をしているとか、あるいは駅前のロータリーからは、無人のタクシーが発着をしている。そして、駅の向こうを見ると、今回開設されるキステックがそこに─かつての産業技術センターですね。どこの駅とは言いませんけども。 そういうことがあれば、世界中から、日本中から、多くの人が相模という土地にやってくる、知名度が上がる、そして
取り組みも進んでいく、こういうことも必要かと思いますので、改めてご提案をさせていただきたいと思います。 要望は以上です。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 質問の第3は、県民の安全・安心を守る取組についてであります。 初めに、北朝鮮によるミサイル発射に対する県の対応について伺います。 北朝鮮は、我が国や国際社会からの再三の抗議や制裁措置にもかかわらず、弾道ミサイルの発射を繰り返しており、これは決して許すことのできない行為であり、政府は引き続き、国際社会と連携しながら、弾道ミサイルや核兵器の開発を一刻も早くやめさせるよう努力していくことが大切であります。 〔資料提示〕 しかし、こうした国際社会の警告を一顧だにせず、親交があるとされる中国が一帯一路政策を国際社会にアピールしているそのさなかにミサイルを発射するなど、最近の北朝鮮の情勢を踏まえると、最悪の事態を想定しておくことも必要であると考えます。 最悪の事態とは、我が国の領土内に向けて弾道ミサイルが発射された場合ということになりますが、こうした場合には、国がJアラートなどにより国民に発射情報を知らせる仕組みを構築しております。 そこで、Jアラートとはどのようなものかを確認する意味で、事前に議長の許可を得ましたので、このサイレン音を実際に聞いていただきたいと思います。このサイレンは音や長さなどが国によって定められ、短くして流すというようなことはできないということですので、全体で14秒間になりますが、ぜひお聞きください。 〔サイレン音再生〕 これがJアラートの国民保護サイレンの音です。この音が鳴ったら、県民・国民はできるだけ早く、身を守る行動をとる必要があります。本年3月には、秋田県男鹿市で、我が国で初となる弾道ミサイルを想定した住民避難訓練が行われました。 一方、本県では910万人もの県民が暮らしており、有事に際してとるべき対応も多様です。いたずらに危機感をあおって、県民に不安を与えることは慎まなければなりませんが、北朝鮮による弾道ミサイル攻撃という事態が否定できない現状において、いざというときに、どういう行動をとるのか、わかりやすく県民に周知しておくことが必要であると思います。 そこで、知事に伺います。 最近の北朝鮮情勢を踏まえ、弾道ミサイルが我が国に向け発射された場合に、県民はどのように行動すべきか、わかりやすく示すことが必要であります。一義的には国の責任において広報されていくものと承知しておりますが、県として、どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 次に、九都県市合同防災訓練ビッグレスキューかながわの開催方針について伺います。 〔資料提示〕 昨年4月の熊本地震では、被災者の救出や救援物資の提供、ライフラインの復旧などに全国の消防や警察、自衛隊などが駆けつけました。 本県が被災したとき、広域的な支援を円滑に受け入れるためには、日ごろから、関係機関と連携した訓練を重ねることが重要であります。 県では、これまでもビッグレスキューかながわなどを通じて、大規模災害を想定した訓練に取り組んできましたが、今年のビッグレスキューは、九都県市合同防災訓練の幹事県として、本県を舞台に大規模に実施する予定とのことであります。 この九都県市合同防災訓練には、例年、多くの機関が参加し、政府の視察団を初め全国から観覧者が訪れていますので、本県にとっては9年に1度の大変重要な
取り組みであることは言うまでもありません。 さて、本県は、横浜、川崎などの都市部がある一方、県北部から県西部にかけて豊かな自然に恵まれています。また、災害時に応援機関として期待される自衛隊や海上保安本部、さらには在日米軍の基地などの存在もあります。 一方、本県では、近年のうちにラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックなど大規模なイベントがあり、多くの外国人観光客が訪れます。また、セーリング競技中の津波被害の発生など、本県ならではの事態も想定しておかなければならないものと考えます。 こうした地域的、時期的特性を捉えて、この訓練を神奈川らしい防災訓練とすることが必要でありますが、そこで最も大切なことは、こうした大規模訓練を通じて県民の防災意識の啓発につなげることであります。そのために県民に対する事前のPRを徹底するとともに、当日、来場できない方にも訓練の内容をお知らせする工夫も必要ではないかと考えます。 そこで、知事に伺います。 本年9月に行われるビッグレスキューかながわは、9年に1度の大規模な訓練となります。この機会を活用し、神奈川らしい訓練として県内外にアピールしていくことが重要と考えますが、現時点でどのような訓練内容を考えているのか、また、この訓練内容について、広く県民に発信することが重要でありますが、どのように対応していくお考えか、あわせて知事の見解を伺います。 次に、県民の防災意識の向上に向けた取組について伺います。 〔資料提示〕 ビッグレスキューかながわの実施や「地震防災戦略」、「地域防災計画」など、各種の計画を着実に策定してきた本県でありますが、災害による被害を最小限にとどめていくためには、日ごろから県民の防災意識を高め、自助・共助の
取り組みを促していくことが重要であると考えます。 そこで、本県では、県民の防災意識の向上のため、本年度の予算に8,500万円の予算を計上し、防災啓発ブックを作成することとしています。防災啓発ブックといえば、東京都が発行した東京防災が有名なところでありますが、その作成と配付の費用は約20億円であったと聞きます。 本県の厳しい財政状況を踏まえながら、より充実した情報を県民の皆様に提供することが大切であることは論をまちませんが、それにしても予算額において東京都とは桁違いとなった本県の予算を見るにつけ、どのようなものができるのかと心もとなくなるのも事実です。 また、県民の防災意識の向上を図るため、県の総合防災センターは災害を疑似体験できる施設として、これまで延べ約96万人の県民に利用されてきました。私の地元でも多くの小学生らが施設を訪問し、さまざまな体験をさせていただいております。 しかし、惜しむらくは、この施設をリピートして利用する人が少ないことであります。聞けば、創設当初から体験施設はリニューアルされていないとのことですので、これもむべなるかなといったところであります。やはりこうした体験施設は折々の災害の教訓や本県の特性を踏まえて、よりリアルな体験ができるようにリニューアルを重ねることが必要と考えます。 そこで、知事に伺います。 県民の防災意識を向上させ、自助・共助の促進を図る
取り組みとして、今年度予定している防災啓発ブックの作成に当たり、限られた予算の中で、どのような工夫を考えているのか伺います。また、総合防災センターの機能改善に向けてどのように取り組むのか、あわせて見解を伺います。 次に、暴走する水上バイクの規制と安全確保対策について、2点質問いたします。 〔資料提示〕 1点目は、河川における水上バイクの航行マナーについてであります。 今年もレジャーシーズンが本番を迎えると、県内各地の河川はレクリエーションの場としてにぎわうことになります。多くの利用者が集う河川では、利用者同士がお互いに安全に楽しめるようマナーを守ることが大切であります。 こうした中、一部の水上バイクが河川に侵入し、河畔や水上でのレジャーを楽しむ人たちに危険な思いをさせるばかりでなく、漁業の妨げともなる問題が発生いたしております。 地域住民の話によると、今年の春には花見客でにぎわう大岡川に仮面をかぶった人が運転する水上バイクが爆音を上げながら侵入し、蛇行運転を行うような行為があり、一部新聞でも報道されたところであります。 大岡川は近年水質も改善し、県により船が発着できる桟橋が整備されたことから、ゴム製カヌーのEボートやカヤック、スタンドアップパドルボードなど、さまざまな水上スポーツの場として利用されるようになっており、これら迷惑行為を繰り返す水上バイクの存在は大変危険なものとなっております。 そうした中、去る6月2日、大岡川川の駅運営委員会など、周辺で生活する人や、水上スポーツの団体、水上バイクの販売店やユーザー、それに県、横浜市、県警、海上保安庁などの行政機関が集まり、日ノ出桟橋付近において水上バイクの安全航行のための実証実験が行われ、我々会派の政務調査会のメンバーもこれを見学し、きのうの新聞等でも報道されたところであります。 実験によると、川幅が狭く、コンクリートの護岸が垂直に立つ大岡川では、時速5キロメートル程度でも引き波が護岸に当たってはね返り、複雑な波となって周囲の水上利用者に大きな影響が出ることが判明し、大岡川においては、これから水上バイクの利用者による自主的な航行ルールが定められていくものと思います。 しかし、水上バイクを利用する全ての人がこうした自主ルールに従ってくれるとは限らず、また、相模川など大岡川以外の河川でも同様の問題が起きていることから、今後さらに安全航行のためのマナーアップなど、普及啓発の
取り組みが必要です。 そこで、知事に伺います。 県内の河川において、水上バイクの航行マナーの向上に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。 2点目は、神奈川県迷惑行為防止条例による取締りの可否についてであります。 仄聞するところによると、東京都においても、目黒川などで同様な問題が発生しており、東京都では水上バイクの安全航行のための条例の制定をしようとする動きもあると聞きます。 一方、本県には「神奈川県迷惑行為防止条例」があります。その第13条には、水浴場等における危険行為等の禁止と記され、罰則も設けられているところであります。 そこで、
警察本部長に伺います。 水上バイクの暴走行為による迷惑行為等に対して、神奈川県迷惑行為防止条例を適用した取り締まりは可能か否か、見解を伺います。 次に、サイバー空間の脅威への対処について伺います。 インターネットが、私たちの日常生活や社会経済活動に不可欠な社会基盤として定着している今、情報通信技術は、家電、自動車、ロボット等にも応用されるなど、さまざまなものがインターネットで結ばれるIoT時代を迎えています。 しかし、一方では、世界各地でランサムウエアと呼ばれるウイルスを使った大規模なサイバー攻撃や官公庁のホームページを改ざんするなど、悪質な事案が発生しており、安全・安心なサイバー空間の構築を脅かす憂慮すべき状況にあります。 こうしたサイバー空間の脅威に対処するため、政府としては、ホワイトハッカーの養成や必要な法整備の検討に入るなど、国を挙げてサイバーセキュリティーの確保に関する諸対策を講じているものと承知をいたしております。 さて、県内に目を向けますと、昨年の県民ニーズ調査における、不安に感じる犯罪では、空き巣、ひったくりに続いてコンピュータへの不正アクセスが高い割合を占めております。 県警察では、昨年、サイバーセキュリティ戦略プロジェクトを設置し、サイバー空間の脅威に対する対処能力の向上を図っていると聞いております。本年2月、警察庁が主催したサイバーセキュリティコンテストにおいて、本県の警察が全国優勝したということであり、頼もしい限りだと思っております。 さらに、先日はランサムウエアを作成して保管した大阪府高槻市内在住の中学3年の少年に対し、本県警察サイバー犯罪対策課と南警察署がいち早く対応、検挙につなげるなど、その活躍は目覚ましいものがあります。 しかし、サイバー空間には、今後も次々と新たなサービスや技術があらわれ、これらを悪用したサイバー犯罪、サイバー攻撃の手口もますます悪質・巧妙化することが考えられます。 そこで、
警察本部長に伺います。 サイバー空間を取り巻く昨今の状況を踏まえますと、サイバー空間の脅威に対する対処能力をさらに強化していく必要があると思われますが、これまでの取組状況と今後の方向性についてお伺いいたします。 次に、神奈川県国民健康保険運営方針の策定について伺います。 国民健康保険制度は、高齢化の進展によって医療費が上がり続けており、厳しい運営状況にあります。 このことから、制度の安定化を目指した国民健康保険制度改革を平成30年4月から施行するため、県、市町村が準備にご尽力いただいているものと思いますが、制度の見直しに当たっては課題点もあります。 中でも、大きな課題は、国保事業費納付金の額がどのようになるかであり、制度改革後は、県が保険財政の取りまとめ役となり、市町村から納付金を集めた上で、県内の医療給付費をまとめて支払うことになります。その際、各市町村において、これまで支払っていた医療給付費の額に比べ、納付金の額が大幅にふえるようなことがあれば、県民が支払う保険料の急激な増額につながりかねません。 国保事業費納付金の算定方法などは、今年度、県が策定する神奈川県国民健康保険運営方針に記載されることとなりますが、この策定に当たっては、市町村に寄り添って、よく意見を聞くとともに、平成30年4月の制度施行に向け、住民に不安が生じないように留意して作業を進めていくことが重要だと考えます。 また、保険料の算定など、制度施行に向けた市町村の準備作業におくれが生じないように、県として必要な支援を行う必要があります。 そこで、知事に伺います。 県は、平成30年度からの新たな国保制度を運営していくに当たり、神奈川県国民健康保険運営方針を定めることになっておりますが、策定に当たっての県の考え方について伺います。また、制度施行に向け、どのように準備作業を進めていくのか、あわせて伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 県民の安全・安心を守る
取り組みについて、何点かお尋ねがありました。 まず、北朝鮮によるミサイル発射に対する県の対応についてです。 北朝鮮によるたび重なる弾道ミサイルの発射は、我が国を含む北東アジアの平和と安定を脅かす行為であり、私自身、大変強い憤りを感じています。 報道によれば、北朝鮮は今後もこうした行為を続けるとしており、私たちは万一の場合を想定して、備えておく必要があります。 国は、Jアラートが鳴った場合などに住民がとるべき行動として、屋外にいる場合は、近くのできるだけ頑丈な建物や地下に避難する、近くに適当な建物がない場合は物陰に身を隠すか、地面に伏せ、頭部を守る、屋内にいる場合は、できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動するといった行動例を示し、自治体に住民への周知を求めています。 そこで、県は直ちに、ホームページに武力攻撃等から身を守るためにと題して、この行動例を掲載するとともに、Jアラートのサイレン音を聞けるよう内閣官房のホームページにリンクしました。あわせて、県のたよりでも広報したところです。 さらに、県では、具体的な避難方法などを県民の皆さんにお知らせするため、臨場感があり、わかりやすく示した動画を作成しましたので、来週火曜日にかなチャンTVで公開します。 また、この動画については、県が実施している自主防災組織の研修などで使用するほか、市町村へ積極的に活用を働きかけるなど、県民への一層の周知を図ってまいります。 次に、九都県市合同防災訓練ビッグレスキューかながわの開催方針です。 私は知事就任後の平成24年度から、警察、消防、自衛隊、在日米陸海空軍など、100を超える機関が連携した全国でも類を見ない大規模なビッグレスキューかながわを実施してきました。今年は九都県市合同防災訓練として、9月1日、小田原市の酒匂川スポーツ広場をメーン会場に、県内外の多くの地域拠点を結び、これまで以上の規模で開催します。 本県は山や川、海など、豊かな自然に恵まれていますが、そのためさまざまな災害への備えが欠かせません。また、自衛隊や米軍など、数多くの防災関係機関の拠点があるという特性があります。そこで、今年は県内全域に大きな被害をもたらす大正型関東地震を想定し、陸上はもとより、海や空からの訓練を重視し、神奈川の総力を結集した訓練とする考えです。 具体的には、海からの訓練として、海上自衛隊や海上保安庁、在日米海軍などと連携した救出救助や、DMATと連携した医療救護活動などを実施する予定です。あわせて、沿岸地域の住民の津波避難ビルへの避難など、毎年行っている津波対策訓練を組み合わせて実施する工夫を図ってまいります。 また、空からの訓練として、自衛隊や在日米軍などの航空機を活用した救出救助のほか、厚木航空基地に航空輸送拠点臨時医療施設、いわゆるSCUを設置し、県外への広域医療搬送なども検討しているところです。 さらに、陸上では、外国人観光客を対象とした医療救護活動や、障害のある方への対応など、要配慮者を想定した訓練も予定しています。 こうした大規模で多彩な訓練を広く県民にPRし、防災意識の向上につなげることも重要であります。そこで、事前の周知はもとより、訓練内容を動画で記録し、報道やインターネット等でオール神奈川の強固な連携体制を広く発信してまいりたいと考えています。 次に、県民の防災意識の向上に向けた
取り組みについてです。 大規模な災害が発生した場合に、その被害を少しでも減らすためには、県民一人一人がみずからの命を守る自助の
取り組みが重要です。県では、これまでも私みずからが先頭に立って、かながわシェイクアウトを実施するなど、自助を促進する全県的な
取り組みを進めてまいりました。 今年度は、新たに災害への事前の備えや災害発生時の対処方法、避難所情報などを盛り込んだ防災啓発ブックを作成します。作成に当たっては、既に横浜市と川崎市で防災タウンページを発行、配付しているNTTタウンページ社と連携することとしました。防災タウンページには、防災に関する情報が網羅されており、この内容をもとに、市町村の意見も反映させることで、防災ブックの内容の充実と作成費用の削減を図ります。また、同社の配送の仕組みを活用することで、さらに配付に係るコストも大幅に抑えます。 こうした民間事業者とのコラボにより、県単独で作成する場合、多額の費用がかかるところ、8,500万円という極めて低廉な予算で、全ての世帯、事業者に必要な情報を盛り込んだ防災啓発ブックを提供する工夫を図ったところです。 また、県民の防災意識を高めるためには、情報の提供にとどまらず、実際に災害を疑似体験していただくことが有効です。そこで、今年度、県では、地震や暴風、煙の体験施設などを持つ総合防災センターの機能強化に取り組むこととしています。 具体的には、地震の体験コーナーに、屋内や屋外の映像を取り入れるなど、より臨場感のある中で、適切な安全確保行動を学べるようにします。また、新たにAEDや避難所生活などを実体験できるフリースペースも整備します。 こうした
取り組みを通じて、県民の防災意識の向上に努め、災害に強い神奈川を目指してまいります。 次に、河川における水上バイクの航行マナーについてです。 県はこれまで漁船や水上バイク、カヌーなど、さまざまな利用がなされている河川において、航行の安全を確保するため、関係団体と連携し、自主的な航行ルールを策定するなどの対応を図ってきたところです。 具体的には、大岡川においては、水上スポーツの団体や地元自治会などが主体となり、県、横浜市も協力して、基本的な航行ルールを定めた大岡川安全航行ガイドを策定し、周知を図ってきました。また、相模川などの河口部では、漁船と水上バイクの航路を区分するなどの自主的な航行ルールを策定し、周知を図ってまいりました。 こうした中、昨今、水上バイクによる暴走などの迷惑行為が問題となってきています。このため、特に利用者間でのトラブルが目立つ大岡川においては、水上バイクの安全航行を推進する団体に協力を求め、適正な航行速度の設定や、注意看板の設置、安全講習への参加促進など、具体的な対策の検討を進めているところです。 今後、県としては、各河川の利用状況に応じ、関係団体と連携して、こうしたマナーの向上を図る
取り組みを充実させ、誰もが安全に楽しく河川を利用できる環境づくりに努めてまいります。 次に、神奈川県国民健康保険運営方針の策定についてです。 まず、策定に当たっての県の考え方についてです。 新たな国民健康保険制度では、医療機関に支払う保険給付費の財源として、県が市町村から国保事業費納付金を集めることとされています。この納付金は、市町村ごとの所得水準や医療費水準を考慮して算定するため、従来に比べ、保険料が上がる市町村が出てくる可能性があります。 国民健康保険運営方針は、制度運用に関する県内の統一的な方針であり、所得水準や医療費水準を市町村の納付金にどのような程度反映させるかを記載します。また、従来より保険料が上がる市町村に対し、激変を緩和する仕組みを設けることも記載します。 これらの内容は、市町村の制度運用に大きな影響がありますので、県はこの方針を定めるための準備会議を平成27年度から開催し、市町村とともに課題を整理しながら検討を重ねてきました。今後とも、市町村の意見を丁寧に聞きながら、運営方針を策定してまいります。 次に、制度施行に向けた準備作業についてです。 新しい国民健康保険制度は、都道府県単位での運用となるため、県と県内の全市町村が一体となって準備を進めることが重要です。そこで、市町村ごとの対応におくれが生じないよう、国からの情報の迅速な提供や制度運営に関する問い合わせへの的確な対応などにより、市町村の準備作業を積極的に支援してまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
警察本部長(島根 悟)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光) 島根
警察本部長。
◎
警察本部長(島根悟) 水上バイクの迷惑行為等に対する「神奈川県迷惑行為防止条例」による取り締まりの可否についてお答えします。 初めに、神奈川県迷惑行為防止条例の目的は、公衆に著しく迷惑をかける粗暴行為や客引き行為など、法律違反に至らない市民生活を脅かす迷惑行為を防止することにより、県民及び滞在者の生活の平穏を保持しようとするものであります。 議員ご指摘の本条例第13条では、水浴場等における危険行為等の禁止について規定しております。同条第1項には、人が遊泳し、またはレジャーボートなどが回遊する水面において、原動機を用いて推進する舟艇等を急転回、疾走させるなどして、遊泳者等に危険を覚えさせるような行為をしてはならない旨が定められております。 水上バイクについては、原動機を備えておりますことから、原動機を用いて推進する舟艇等に当たり、海面はもちろん、河川等においてもこれを急転回、疾走させるなどして危険を覚えさせるような行為をした場合は、本条項に抵触するため、取り締まりは可能であります。 いずれにせよ、条例の具体的な適用については、個別具体の事案によることとなりますが、河川等の水域における安全と秩序を維持するため、関係機関と連携を強化しつつ、利用者のマナーアップに向けた啓発、パトロールによる指導等を含め、適切に対応してまいります。 次に、サイバー空間の脅威への対処についてお答えします。 県警察においては、昨年4月、サイバーセキュリティ戦略プロジェクトを設置し、プロジェクトを司令塔として、サイバー犯罪の抑止検挙、サイバー攻撃の実態解明や被害の未然防止等の総合的な対策を推進しているところであります。 まず、サイバー犯罪やサイバー攻撃の被害を未然に防止する
取り組みについては、学校や企業、その他一般の方々を対象とした各種講習や産学官が連携したシンポジウム等を積極的に開催しております。 5月には行政機関や大学、IT関連企業の方々にお集まりいただき、神奈川サイバー犯罪対策研究会を開催し、昨今のランサムウエアによる大規模なサイバー攻撃や、ホームページの改ざん事案の手口、情勢、対策等につきまして、情報共有を図るとともに、意見交換を行ったところであります。 また、県内の重要インフラ事業者等を対象に、神奈川県サイバーテロ対策重要インフラ事業者等連絡協議会を設置して、おおむね年に1回、サイバーテロに関する情報提供や民間の有識者による講演、参加事業者間の意見交換等、官民連携した
取り組みを行っております。 さらに、県警察内部の情報セキュリティー対策については、全国に先駆けて、先月、県警察の情報セキュリティーに関するアドバイザーとして民間有識者を委嘱するなど、堅牢な情報セキュリティーの実現に向けた
取り組みを行っております。 一方、検挙対策ですが、サイバー犯罪、サイバー攻撃は被害が広域にわたることも多く、こうした状況に対応するため、事件の規模や内容に応じて、警察庁と調整の上、他の都道府県警察と連携した捜査を的確に推進しているところであります。 また、複雑・巧妙化の一途をたどるサイバー犯罪、サイバー攻撃に的確に対処するためには、県警察の人的基盤の強化が不可欠であり、本年度も実践的な研修やサイバー犯罪捜査官の採用等により、対処能力の強化に取り組んでおります。 県内では、今後、国際的行事の開催を控えており、こうした機会を狙ったサイバー攻撃等の発生も懸念されるところですが、県警察におきましては、産学官の連携をより一層強化し、サイバー空間の脅威に対する対処能力の強化に努めてまいります。 以上でございます。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 ご答弁、大変ありがとうございました。 それでは、再質問を2点させていただきたいと思います。 まず、防災啓発ブックでございますが、NTTの防災タウンページを利用されるという答弁でありました。金額が余りにも東京と違うものですから、どうなのかなと思いましたけれども、これは大変グッドアイデアという気がいたしております。 ただ、ちょっと心配なのは、いわゆる電話帳というのは、固定電話を置いている家庭にしか配付されないのではないかというふうに思うんですけれども、この点、県民に広く周知するという意味で、大丈夫なのかということを1点伺いたいと思います。 それともう一つは、タウンページというのは、それぞれのまちの固有の情報というのを、例えば私の家でも私の近所のいろいろなことを情報として載せてくれているというふうに思うんですけれども、防災タウンページにおいても、そのエリア特有の避難所の場所だとか、そういったことについてきちっとエリアごとに掲載してくれるのか、そのことについてお聞きをしたいと思います。 次に、暴走する水上バイクのことでありますけれども、今、
警察本部長から条例の適用が可能だというお話がありました。これから啓発を進めていくに当たっては、こうした条例が適用されますよと、違反を繰り返せば、罰則もあるということになりますよということを、しっかりとバックボーンとして置きながら啓発活動を推進していくことが大事だというふうに思います。 ただ、県内の河川は、いろいろな環境の河川があります。それぞれの環境に合わせてルールづくりを進めていくのだというふうに思いますが、そうした中で、それぞれの河川のルールづくりにおいて、横串を刺すような統一したガイドラインみたいなことも、やはり決めていく必要があるのではないかというふうに思いますけれども、この点について、知事のお考えがあれば伺いたいと思います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。 まず、防災啓発ブックであります。 現在、横浜市、川崎市で作成している防災タウンページ、これは各区ごとに作成されまして、それぞれの地域の避難所マップを掲載しております。これを全県に広げるに当たりましては、横浜市、川崎市以外の地域、これを八つの地域に区分いたします。そして、市町村のご意見を伺いながら、わかりやすい避難所マップをそれぞれ掲載する予定にしております。 それとともに、配付に当たって、固定電話があるおうちだけではないかというご質問がありましたけれども、そうではなくて、これは一冊一冊個別に包装いたしまして、郵便受けを備えた全ての世帯と事業所に配付するということにしております。 それから、水上バイクについてのお尋ねでありました。 統一したガイドラインのようなものをつくったらどうだろうかということであります。今後、各河川の実情に応じた航行ルールを検討するに当たっては、その指針となるガイドラインを策定しておくことは大変有効であると考えております。 そこで、各河川に共通して適用するルールや、河川の特徴に応じた留意事項などを整理しまして、ガイドラインとして取りまとめたいと思っております。 また、河川の適正な利用を妨げる迷惑行為については、「迷惑行為防止条例」の適用を受ける場合があるんだぞということ、これをしっかりとガイドラインに明記するなどしまして、広く河川利用者に周知し、河川の安全な利用の普及啓発を図ってまいりたいと考えております。 答弁は以上です。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 ご答弁ありがとうございました。 1点、要望だけ申し上げますけれども、みおつくしという言葉がございますが、これは港だとか、川岸などで船が安全に航行するための道しるべとするために立てるくいのことをいうそうであります。 これから神奈川県が水上バイクの安全航行について啓発活動をされるということでありますので、ぜひこの啓発活動が水上レクリエーションを楽しむ全ての人たちにとってのみおつくしになることをご期待申し上げまして、この質問を終わりたいと思います。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 質問の第4は、県政の諸課題についてであります。 初めに、政府が定めた骨太の方針に示された森林環境税について伺います。 現在、国においては、森林吸収源対策の財源として、森林環境税という新たな税金の創設が検討されているところであります。森林吸収源対策は、地球温暖化対策の一環として、CO2排出抑制対策とともに推進していく必要があり、こうした考えのもと、平成28年第3回定例会において、本県議会から国に対して、森林吸収源対策の財源確保を求める意見書を提出したところであります。 一方で、その意見書には、森林環境税の創設に当たっては、本県が独自に実施している水源環境保全・再生の
取り組みとの関係や、受益と負担の関係にも十分配慮することを求める内容も盛り込んだところであります。 本県における水源環境保全税は、県議会と当局とでたび重なる厳しい議論を経て、県民意見も聞いた上で、課税自主権を活用して導入したものであり、今や本県にとって貴重な財源として、水源環境保全・再生の
取り組みを着実に推進してきているものと受けとめております。 こうした中で、このたび国では森林環境税創設の検討が進められているわけでありますが、平成29年度与党税制改正大綱では、森林環境税の創設に当たって、個人住民税均等割の枠組みの活用を含めて検討ということが書かれており、本県の水源環境保全税との関係がどのようになっていくのか大変気がかりであります。 特に、意見書でも触れているように、受益と負担の関係について注目しているところであります。つまり地方税である個人住民税は当然にその納税者の地域で利用されるべき財源というふうに理解をしておりますが、これを国が集めて、例えば森林の面積割合で交付するようなことになりますと、本県県民は非常に不利益な事態ということになることが予想されるからであります。 そこで、知事に伺います。 国による森林環境税の創設と本県の水源環境保全・再生の
取り組みとの関係や、受益と負担の関係について、見解をお伺いいたします。 次に、県が所有する美術品の適正な管理について伺います。 〔資料提示〕 さきの4月17日、県は、世界的に著名な棟方志功氏が作成し、県が所有する版画がカラーコピーにすりかわっていたと発表しました。この衝撃的な事件は、テレビや新聞で連日報道されたところであり、県が所有する美術品の管理のずさんさに大変怒りを覚えるものであります。 県議会としても、先月、県民・スポーツ常任委員会で参考人を招いての質疑を行い、我が会派の委員からも、県及び参考人である公益財団法人神奈川芸術文化財団の副理事長等に対して、さまざまな観点から事実確認や質疑を行ったところであります。 紛失した版画は、43年前に神奈川県民ホールの緞帳を制作するために、県が棟方志功氏から300万円で購入後、長年にわたり県民ホールの館長室等に飾ってあったものということでありました。 その後、この版画は額装されたままの状態で、平成25年7月に神奈川県立近代美術館に管理がえを行い、翌平成26年4月に同美術館の新収蔵作品展に出展され、その際、観覧者からの指摘を受けて、初めてカラーコピーと判明したとのことであります。 判明後、同美術館は県民局文化課に報告したものの、組織の中でその情報は共有されませんでした。また、同じく報告を受けた芸術文化財団においては、3年もの間、県民ホール内のどこかに本物の版画があるはずだと判断し、独自に捜索を続け、その結果を所有者である県に報告しなかったという、耳を疑うばかりの事実が次々と判明しました。 芸術や文化を振興することは、日々の生活に潤いをもたらし、活力に満ちた地域社会の発展のために必要なものではありますが、今回の事件を納税者はどのような気持ちで聞くでしょうか。日々の生活を切り詰めて納めている税金が高額な美術品となり、しかもそれがずさんな管理のまま放置されていると知れば、納得できるはずもありません。 県は、今回の事案を踏まえ、県が所有する美術品の一斉点検を進めるとともに、再発防止に向けた検討を進めることと承知していますが、県民の信頼回復のために、しっかりと調査し、課題等を十分に検証しながら行うことが重要と考えます。 そこで、知事に伺います。 この事件についてはいまだ調査中であり、明らかになっていない部分もあると承知しておりますが、今後どのように検証し、解明していくのか伺います。また、美術品については、一斉点検の結果を踏まえ、今回のような事件が二度と起きることのないように、適正な管理について検討していく必要があると考えますが、知事の見解をあわせて伺います。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた本県の取組について伺います。 去る5月31日、関係自治体等連絡協議会において、懸案であった役割分担・費用負担の大枠がようやく合意に至りました。知事、本当にお疲れさまでした。これについては県議会としても、昨年12月に国に対して意見書を提出するなど、強い関心と憤りを持って注視してまいりました。 結局、昨年8月の東京都知事選挙以来、混沌としていた費用負担の問題は、決着がついてみれば、何のこともない、もとの立候補ファイルの原則に戻っただけのことでありました。 東京都知事は、仮設費用を都外施設の自治体に払わせるようなことを突然に言い出したわけですが、これは自治体と自治体、政府や国際機関との間で書面に残された約束事を無視したものであり、互いの信頼の上に成り立つ民主主義の根幹を覆すような行為であったと私は思います。 おかげで、この10カ月間を無駄に過ごしたわけでありますが、一連の出来事について迷惑をこうむった側から言わせていただくならば、都民ファーストという名の地域エゴでしかなかった。 〔資料提示〕 誘致が決まった瞬間の喜びを思い出してください。オリンピック・パラリンピックが東京にやってくる、日本で開催されると盛り上がったあのムードは、一連のごたごたですっかりしぼんでしまった感があります。東京都はこれによって幾ばくかの費用節減を実現したのかもしれませんが、こうして冷ましてしまったムードというものは、はかり知れない損失であると私は感じています。 しかし、いよいよ方向性が決まったわけでありますから、私たちは改めて前を向いて、この大イベントの成功に向けてしっかり進んでいこうではありませんか。残された時間の中で取り組むべき課題は山積しており、来年に迫ったプレプレ大会では、湘南港を利用している1,000艇にも及ぶ艇の移動という問題があります。なかんずく、江の島周辺の漁業者との調整という大切な問題があり、選手や関係者の宿泊や輸送対策といった課題もあります。 そこで、知事に伺います。 今回の合意を踏まえ、湘南港を利用している艇の移動や江の島周辺の漁業活動との調整など、課題への対応を含め、大会成功に向けた準備について、どのように進めていこうと考えているのか、改めて決意を伺いたいと思います。 次に、県立戦没者慰霊堂及び戦没者追悼式における安全対策について伺います。 〔資料提示〕 今年も去る5月10日、県知事主催による戦没者追悼式が行われ、ご遺族の皆様など、約1,000人が参列し、あの苛烈をきわめた戦争によって、とうとい命を失った戦没者のみたまに対して、追悼の式典が営まれました。 私も毎年欠かさずこの式典に参加いたしておりますが、近年はご遺族の皆様の高齢化を感じます。我が会派ではこの状況に鑑み、これまでも慰霊堂のバリアフリー化を知事に要望し、かつては丘の下から歩いて慰霊堂まで登らなければならなかった通路を、車両に乗ったまま進むことができるよう整備するなど、何くれとなく要望し、対応してきた経緯もございます。 しかし、それでもなお、今年の式典では、式の始まる前や最中に転倒される方がいらっしゃいました。これを目の当たりにした知事は、式典の終了後、参列者に対してマイクを握り、ここは―ここはというのは、つまり式典が行われる慰霊堂の広い苑地という意味ですが、ここは傾斜があり、危ないと感じたので改善できるよう頑張りたいという旨の発言をされ、参列者からは期せずして拍手が巻き起こりました。 私どもも、慰霊堂のバリアフリー化は以前から求めてきたことでありますから、この知事の思いは正しいと受けとめております。ただし、この慰霊堂は、建設当初から、堂を仰ぎ見るように、あえて傾斜をつけて建設されており、広い苑地は傾斜角が9%もあり、参門からお堂の階段下までの高低差は4メートルもあるとのことです。したがって、これを平坦な地形にするには相当大規模な改修を伴うことになるでしょうし、とても現実的なものと受けとめることはできませんでした。 しかし、来場され、知事の言葉に拍手を送った方たちは、恐らく来年この場所に来たときには、知事の言ったとおり、平坦でフラットで安全な場所になっているものと期待されたものと思います。 そこで、知事に伺います。 まずは、この5月10日に遺族の皆様に対して行った発言の真意について、ここで伺っておきます。また、こうして遺族の高齢化が進む中で、従来どおりのやり方で式典を続けることは、くだんのような危険や天候による問題も伴います。戦争の歴史を風化させず後世に語り継ぐという意味では、子供たちを初め、多くの一般県民も参加できるような式典へと、時代の変化に応じてやり方を検討することも必要あるのではないかと思いますが、このことについて、知事の見解をあわせて伺います。 最後に、教育問題として、医療的ケアを必要とする児童・生徒への支援について伺います。 〔資料提示〕 文部科学省が実施している調査によりますと、県内の公立小中学校で医療的ケアが必要な児童・生徒は、昨年5月1日時点で、小中学校合わせて32校に33名が在籍しているとのことであります。 この医療的ケアを必要とする子供たちというのは、例えば出生時に気管の発育が十分でなく、気管を切開することで呼吸を確保している子供、あるいは食事の摂取ができず、胃ろうによって食事を胃に送り込んでいる子供などであります。 私たちは、今回、気管を切開している子供たちとその保護者と懇談し、その切実な思いを聞きました。旭区在住のさきちゃん、6歳は、560グラムの未熟児として生まれ、気管の発育が十分でなかったことから、生後5カ月のときに気管に穴をあける手術を行いました。とてもさかしげで人懐っこい子で、私たちがお母さんと話している間も元気に周りを走り回り、おやつを食べていました。しかし、声を出すことはできません。布を巻いた喉元から常にヒーフーという音をさせて呼吸をしています。乳児のころには10分おき、20分おきにと医療的ケアが必要であり、保護者のご苦労は並大抵のことではなかったようであります。そして、成長した今でも、喀たんの吸引を1日に5回程度行う必要があります。 しかし、これほどまでの医療的ケアを必要とする子供でも、身体障害認定基準には該当しません。あくまでも医療患者という扱いで、障害児としての公的な給付を受けることもできず、なかなか特別支援学校に入学させてもらうこともできません。 医療的ケアが必要なことから、保育園の入園を断られるどころか、役所の窓口で申請書すらもらえなかったケースもあるそうです。また、一時預かりや、役所などの託児サービスすら利用を断られてしまうとのこと。そして、この子たちが通常の学校に通うためには、保護者が付き添い、喀たんの吸引などのケアをしなければ受け入れてもらうことができません。 さきちゃんのお母さんは言いました。障害認定も受けられず、通常の学校に普通に通うこともできない、まさに制度のはざまに置かれた子供たちなのですと。 こうした小中学校に通っている医療的ケアが必要な児童・生徒に対応するために、県内においても一部の市では、学校に看護師を配置し、ケアを行う体制をとっているところも出てきています。 しかしながら、こうした児童・生徒は、昨年の5月1日時点で33名のうち約半数の16名にすぎず、看護師が配置されていない学校の保護者は厳しい環境に置かれています。 学校で子供に対する医療的ケアを行っている保護者の負担を少しでも軽減するとともに、子供たちが地域の学校で安心して学べる環境をつくるため、例えば、拠点に看護師を配置するなど、県としても、市町村と児童・生徒、そして、その保護者を支えていくべきだと考えます。 そこで、教育長に伺います。 気管切開の子を初めとした、日常的に医療ケアが必要な児童・生徒が安心して小中学校に通えるよう、県としてどういった支援ができると考えているか見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 県政の諸課題について、何点かお尋ねがありました。 まず、政府が定めた骨太の方針に示された森林環境税についてです。 地球温暖化対策の観点から、森林吸収源対策の推進とその財源確保は、我が国の重要な課題であると認識しています。その財源として想定される森林環境税は、市町村が主体となって実施する民有林の間伐事業に充てられる予定となっています。 一方、本県の水源環境保全税は、良質な水の安定的な確保のためであり、税の目的は異なるものの、本県の水源林整備事業と国が予定している事業との間に重複が生ずるのではないかと懸念されます。 また、個人住民税均等割の枠組みを活用して集めた税を森林面積に応じて配分すると、本県の県民が負担した税の多くは、森林が多い県外の市町村へ配分されることになります。このように森林環境税は、地域間で受益と負担の関係がアンバランスであり、地域社会の費用を分担する個人住民税の枠組みを活用することについては、慎重に検討すべきと考えます。 水源環境保全税は課税自主権を活用し、県民や議会の皆様とともに議論を重ね、つくり上げたものであります。このため、森林が少ない大都市圏の住民からも理解を得た上で、本県が推進している事業との重複が生じないよう使途を見直すことや、地方の意見を踏まえた制度設計とすることについて、国に働きかけを行いました。 今後も、国の検討状況を注視しながら、機会を捉えて国に強く要請してまいります。議会の皆様のお力添えをよろしくお願いいたします。 次に、県が所有する美術品の適正な管理についてです。 今回、県民の貴重な財産である棟方志功氏の版画紛失の事案について、県民の皆様の信頼を損ない、深くおわびを申し上げます。 まず、これまでの検証等についてですが、昭和49年に県が版画を取得して以降、カラーコピーにすりかわった時期等を特定するため、県警の捜査と並行して、県幹部をメンバーとする調査チームを立ち上げました。 これまでに幹部を含め、県民ホールや所管課に在籍した者に対して、この版画について把握している事実を聞き取りするとともに、約3年間公表しなかった経緯等について確認を進めており、その状況について、今月末までには中間報告として取りまとめることとしています。 次に、美術品の管理についてですが、今回の紛失事件を受け、関係所属による点検チームを立ち上げ、約2万点に上る美術品等の点検を教育委員会とともに行っています。この点検により、美術品の現状を把握し、個々の美術品をより適正に管理するため、保管場所や展示方法に応じた盗難防止策など、具体的な方策について検討していきます。 今後、事件の事実解明や美術品の適正な管理方策の検討を行い、今回のようなことを二度と起こさないよう、再発防止と信頼回復に全庁でしっかりと取り組んでまいります。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた本県の
取り組みについてです。 平成25年9月、次期オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市を決めるIOC総会が開催されました。当時のロゲIOC会長から、東京という言葉が発せられたとき、日本全国が歓喜の声に包まれたことは記憶に新しいところです。 滝川クリステルさんや佐藤真海さんのすばらしいプレゼンテーションも委員の心を打ったことでしょう。しかし、招致成功の決め手になったのは、何よりもIOCに提出した立候補ファイルが約束する大会運営の信頼性や財政力だったと言われています。 それから4年、立候補ファイルに記された役割分担や費用負担など、大会運営の基本となる約束を守るかどうかが、国中を巻き込んだ議論になるという事態を当時の誰が予想したでしょうか。紆余曲折の末、この5月31日、ようやく関係自治体の業務は、立候補ファイル等の原理原則に基づくものであることが確認されました。 しかし、この間の足踏みを取り戻すことは容易ではありません。私たちは、もう一度、大会誘致成功時の初心に立ち戻り、関係者が一丸となって大会成功に向けた準備に邁進していかなければなりません。県としても、役割をしっかりと果たしていきます。 具体的には、まず、選手や観客の円滑な輸送に向けた江の島大橋の3車線化や大会運営に必要なセーリングセンターなど、大会後のレガシーとなる恒久施設の整備を着実に進めていきます。また、組織委員会の業務と整理された、湘南港を利用している艇の移動や江の島周辺の漁業活動との調整についても、県が協議の前面に立つことで、円滑な準備を進めていきます。このほか、県警察による警備など、県が本来担うべき業務にもしっかり取り組んでいきます。 県としては、組織委員会等と一層緊密に連携し、大会成功に向けた
取り組みを一気に加速してまいります。 最後に、県立戦没者慰霊堂及び戦没者追悼式における安全対策についてです。 まず、戦没者追悼式での私の発言の真意についてです。 今年の追悼式には、県内各地から大勢の方々が慰霊堂に参集され、戦没者を追悼し、世界平和のために祈りをささげました。 そうした中、傾斜のある参道でバランスを崩すなどして、2名の方が私の目の前で転倒されました。転倒された方を含め、参列者の多くはご高齢で、中にはつえが必要な方、あるいは介助者の支えが必要な方もおられます。それでもなお、慰霊堂に足を運び、追悼式に参列されるのは、戦禍に倒れた肉親のために祈りをささげたいとの強い思いがあるからこそだと思います。 私は、そうした参列者の方々の思いに応え、皆様が安心して参列できるよう、そして、今回のような転倒事故が二度と起きないよう、しっかりとした安全対策を講じていきたいと考え、式典会場の改善について発言したものです。 次に、戦没者追悼式の見直しについてです。 戦後72年が経過し、戦争体験の風化が危惧される中、戦争の悲惨さと平和のとうとさを引き継いでいくためには、若者や子供など、次世代を担う多くの皆様に追悼式に参加していただくことが重要です。 そうした観点から、追悼式の厳粛さを保ちながらも、幅広い世代の方々が参加できるよう、式典内容を見直していきたいと考えています。 また、式典における安全対策も大変重要です。追悼式の会場である慰霊堂は、山門から本堂を仰ぎ見る設計となっているため、参道が傾斜しており、ご高齢の方の参列には一定の危険が伴います。安全確保のためには、この傾斜を抜本的に改善することも考えられますが、景観への影響や工事に要する期間、費用など、課題も多くございます。 追悼式の見直しに当たっては、今後これらの点を踏まえ、ご遺族を初め、関係者のご意見を丁寧に伺いながら、検討を進めていきたいと考えています。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 医療的ケアを必要とする児童・生徒への支援についてです。 医療的ケアが必要な子供を含め、全ての子供たちがひとしく学校教育を受けられる環境を整えていくことが大変重要と認識しています。 現在、医療的ケアを必要とする小中学校に通う児童・生徒に対しては、一部の市町村が国庫補助制度を活用して、それぞれの学校に看護師を配置し、対応しています。しかしながら、市町村の財政負担もあり、その配置が進んでいないのが実情です。 一方、県立特別支援学校に通う医療的ケアを必要とする障害のある児童・生徒も増加しており、県教育委員会では、特別支援学校に看護師を配置し、教員と連携した支援を行っています。 また、特別支援学校には、学習指導要領において高い専門性を生かしながら、地域の小中学校を支援していくセンター的機能が求められています。そこで、国に対して支援の拡充を要望することとあわせて、小中学校に通う医療的ケアを必要とする児童・生徒に対して、このセンター的機能を活用した支援について検討していきます。 具体的には、県立特別支援学校に配置した看護師が小中学校を巡回して、児童・生徒を支援する仕組みづくりができないか、検討したいと考えています。 今年度、県教育委員会では、県立特別支援学校における医療的ケアを必要とする児童・生徒の増加に係る対応等を検討するワーキンググループを設置しています。その中で、小中学校へ通う児童・生徒への支援について、市町村の意見も十分に伺いながら検討を進めてまいります。 答弁は以上でございます。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 ご答弁ありがとうございました。 まず、森林環境税のことに関しては、個人住民税の活用などということになれば、既に県としてはそれを活用しているわけですから、二重になるし、横浜市民はみどり税などということで、三重ということになりますから、このことは、ぜひ国に対してしっかりと要望していっていただきたいと思います。 それでは、再質問を3点させていただきたいと思いますが、まず、県が所有する美術品の適正な管理についてでありますけれども、かつて県では不適正経理問題などもありまして、その後は私たちが使う机や椅子などについても、一つ一つ管理シールが張られて、こうした管財については適正に管理をされているものというふうに思います。 しかし、美術品を今後管理していく、もちろん今までも管理していたんだと思いますが、適正に管理をしていくとなると、その価値がどのくらいあるものなのかということを査定していくのは、非常に難しいことだというふうに思います。 絵一つとりましても、これが物すごい価値があるものなのか、そうでないものなのか、今は価値がないけれども、いずれ物すごい価値のあるものになるのかもしれないし、その逆もあるかもしれません。これをどのように査定をし、管理をし、適正に行っていくのかということについては、一般のこうした管財とは別なルールをしっかりとつくっていく必要があるのではないかというふうに思いますけれども、この点についての知事の見解を伺いたいと思います。 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックの関係でございますけれども、大会に向けて、これからどんどん準備を進めていきます、来年のプレプレ大会には世界からいろいろなチームがやってきます。その際に、各チームがコンテナに艇だとか、機材を入れて持ってこられる。先日も新聞で、このコンテナを置く場所が足りないのではないかというような記事が載っておりました。 このコンテナを置く場所の確保ということについて、県はどのように対応していくのかということ、それから、もう一点は、そのコンテナも荷物を入れておくだけならともかくも、そこで、例えばミーティングをしたりとか、別な用途で使うようなことになりますと、日本の法律では、建築基準法上、しっかりと基礎をつくりなさい、許可をとりなさいと、こういうことになるわけでありますが、これは恐らく日本以外の国の人からすれば、全く理解のできない制度なのではないかというふうに思います。このことについて、どんなふうに対応されていくのか、知事の見解を伺いたいと思います。 最後になりますが、医療的ケアをする児童・生徒の支援についてですが、気管切開の子などが安心して小中学校に通えるように、看護師による医療的ケアに関する市町村の支援については、県として前向きに検討する姿勢が今示されたというふうに思っております。これは本当に画期的な答弁をいただいたものというふうに思っております。ぜひよろしくお願いいたします。 つきましては、特定の医療的ケアを行うための教員の研修について伺いたいというふうに思います。一般に医療的ケアとされる行為のうち、喀たん吸引など、特定の行為に限っては、教員であっても一定の研修を受講し、資格を取得すれば、行うことができるとされています。県教育委員会は、この研修の研修機関として登録されていて、県立特別支援学校では、この研修を受講し、資格を取得した教員が、実際に児童・生徒に対して喀たん吸引など、特定の行為に限った医療的ケアを行っているものというふうに聞いております。 看護師によるケアということだけでなく、その学校の養護教員等がその医療ケアの資格を有することで、子供たちがより安心して学校生活を送ることができる、こういうことにつながると考えます。 そこで、教育長に伺います。 県教育委員会が登録研修機関として特別支援学校の教員に対して行っている喀たん吸引など、特定の医療的ケアを行うための研修を市町村の小中学校の養護教諭等に行うことについて、どのように考えているのか、お伺いをいたします。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。 県が所有する美術品というのは、寄附でいただいたものがあったりとか、購入したものであったりとか、取得に至った経緯もさまざまでありまして、また、一般の物品とは異なって、再取得が困難、劣化しやすいなどの特殊性があって、その管理に当たっては特別な取り扱いが必要であると認識しております。 また、今、議員ご指摘のとおり、その価値の査定というのは非常に難しいと思います。知事室にも私が書いた書が大きく飾ってありますけれども、あれは美術品とそもそも言えるものなのかどうなのか、将来、大きな価値が出るものなのかどうなのか、なかなかよくわからないところがありますけれども、そういうことも含めて、美術品を管理するに当たっては、適切な一定のルール、これを検討して、全庁でしっかりと取り組んでいきたいと、そのように考えているところであります。 東京2020オリンピック・セーリング競技のコンテナ置き場の確保等につきましては、内容が詳細にわたりますので、
スポーツ局長から答弁させます。 答弁は以上です。 〔
スポーツ局長(宮越雄司)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光) 宮越
スポーツ局長。
◎
スポーツ局長(宮越雄司) 事前練習のコンテナ設置について再質問をいただきました。 まず、コンテナ置き場の確保についてです。 県では、各国チームに対し、本大会までに搬入するコンテナの個数を照会したところ、最大で30基分が必要であることが確認できました。そこで、かながわ女性センター跡地の一部に30基分のコンテナ置き場を確保することとし、7月以降に順次提供していく予定です。 次に、コンテナの設置に関する建築基準法への対応についてです。 県では、昨年度から、大会や練習に用いるコンテナの法律上の取り扱いについて、国や藤沢市と検討を重ねてまいりました。その結果、コンテナごとに建築確認申請が必要なところを、会場に持ち込まれるコンテナを仮設建築物として一括して申請できるよう、手続の簡素化を図ることといたしました。 また、安全上の観点から、基礎工事を省くことは困難ですが、コンテナの設置に当たって、着脱が容易な固定方法を用いることで、設置の負担を軽減できるよう調整を進めています。 今後も、各国の事前練習が円滑に実施できるよう、関係機関と連携しながら対応を進めてまいりたいと考えています。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 再質問にお答えいたします。 特別支援学校では、看護師と、研修を受講し、認定を受けた教員が連携して口腔内の喀たん吸引など、特定の医療的ケアを行う、これを基本としております。一方、小中学校の養護教諭は、原則として1人配置でございます。このため、研修の実施については、養護教諭等が医療的ケアを行う必要性や他の児童・生徒への影響などについて、市町村の意見を十分に伺った上で検討したいと考えております。 以上でございます。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 知事室にある書がどんなものかわかりませんけれども、金びょうぶに黒い岩が書かれていて、そこの上にウが舞っている絵は確かに私も見ました。どういう意味があるのかなと時々思っていますけれども、黒い岩にうのみにするのかどうかわかりませんけれども、こうしたものの価値の算定というのは、なかなか難しいものだというふうに思いますが、ぜひ適正な管理ができるようにお願いしたいと思います。 教育長に再々質問になりますが、もう一度お聞きをいたします。 医療的ケアを行うための教員研修についても、これから市町村の意見を聞きながら積極的にやっていきたいという話でありました。さらに、地域の学校に対して、特別支援学校がセンター的な機能を発揮して、看護師が派遣できるようなことも検討して、やっていくということですから、この両面からしっかりとバックアップすることが大事だというふうに思うわけであります。 ついては、特別支援学校からの看護師の派遣についてでありますけれども、一歩踏み込んでお聞きをしますが、どんなスケジュールでこれを進めていこうとお考えになっているのか、教育長の見解をお伺いしたいと思います。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 再々質問にお答えいたします。 小中学校へ通う医療的ケアが必要な児童・生徒の状況は、一人一人さまざまであり、必要なケアの内容、頻度等も個別に考えていく必要があります。このため、今後、医療的ケアが必要な子供の状況を市町村から丁寧に伺った上で、今年度中を目途に支援のための仕組みを検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 〔
長田進治議員発言の許可を求む〕
○議長(佐藤光)
長田進治君。 〔
長田進治議員登壇〕
◆
長田進治議員 さまざまきょうは質問をさせていただきましたけれども、ご答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。 特に、医療的ケアを必要とする子供たちのことについてでありますけれども、県下全域を見ましたら、そんなに多くの子供たちがいるわけではありません。しかし、私たち自民党は、そうした小さな声にもしっかりと耳を傾けていくことのできる政治を行っていきたいというふうに思っています。 今回、私の質問の補助をしてくれました田村議員が、気管切開をした子供たちと出会った、その中で、窮状を伺った。田村議員は我々のもとに来て、ぜひこれを県議会で取り上げてほしいということを訴えました。我々は、その思いを受けとめて質問を行い、そして教育長から大変積極的なご答弁をいただけたこと、これが本当の政治の姿だというふうに思っております。どうぞ、子供たちのためにこれから実行していっていただきたいというふうに思います。 また、知事が掲げる
ヘルスケアとか、未病産業だとか、ロボットだとか、企業誘致、そうした
取り組みがやがて実を結んで、その果実があまねく県民に降り注ぎ、共生の願いが人々の心に根づき、困っている人々が救われ、格差が解消し、差別や偏見のない社会が実現することを本当に願ってやみません。 さて、今回の質問でありますけれども、私はあえて質問の中に大和言葉というものをできるだけ多用してみました。なかんずくとか、ことほぐとか、ことあげ、ゆるがせなどの言葉であります。私たちが日常使用している言葉は、漢字を組み合わせて音読みする漢語と外来語、そして、もとから私たち日本人がいにしえより語り伝えた大和言葉の三つに大別されます。 少々聞きなれない言葉もあったかと思いますし、私の用法も正しかったかどうか、不安なところもありますけれども、これも私たちの、我が国の伝統文化を守るためと思って、どうぞご容赦いただきたいというふうに思います。 以上で、私の質問を終わります。 〔拍 手〕
○議長(佐藤光) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤光) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は20分後といたします。 午後3時15分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成29年第2回-20170616-028123-質問・答弁-曽我部久美子議員-代表質問①共生社会の実現に向けた取組②地方と国との関係に関する課題③県政運営の諸課題》 午後3時36分 再開 〔
議会局長報告〕
出席議員 副議長共93名
○副議長(小野寺慎一郎) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(小野寺慎一郎) あらかじめ時間の延長をいたします。 ───────────────────────────────────────
○副議長(小野寺慎一郎) 質問を続行いたします。 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕(拍手)
◆曽我部久美子議員 曽我部久美子でございます。 議長のお許しをいただきましたので、私はかながわ民進党県議団を代表いたしまして、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 知事、教育長並びに
選挙管理委員会書記長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様方におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 私の質問の第1番目の柱は、共生社会の実現に向けた取組についてです。 まず初めに、ともに生きる社会の実現に向けた取組についてお伺いいたします。 〔資料提示〕 昨年7月26日に津久井やまゆり園で発生した大変痛ましい事件から、もうすぐ1年を迎えるに当たって、この事件でお亡くなりになられた方々や、そのご家族の皆様、またこの事件にかかわった多くの皆様に心から哀悼の意を表します。 現在、津久井やまゆり園の再生に当たっては、さまざまな意見がある中、県の障害者施策審議会において、基本構想策定に関する部会を設け、専門的な見地から検討を行っているところであります。 この部会による検討結果が8月にまとまるとのことでしたので、今後、審議会の報告をもとに基本構想案が示されることとなると思いますが、我が会派といたしましても、構想案の内容をしっかりと確認して方向性の議論を深めてまいります。 そのような中にあっても、ご家族の皆様の心の痛みや悲しみは、今も癒えることはないと思います。また、この事件の容疑者が発した障害者に対する偏見や差別的思考には、誰もがいまだに強い怒りと悲しみを感じていると思います。 私たちの使命は、このような事件が二度と繰り返されないよう、真のともに生きる社会の実現に向けて、全力で取り組んでいくことだと改めて強く思うところです。 その真のともに生きる社会の実現に向けて、昨年10月には、神奈川県と
神奈川県議会が共同で「ともに生きる社会かながわ憲章」を作成し、議会としても、これまでさまざまな場面で、この憲章の普及啓発に取り組んできたところでございます。 私たちも、日ごろの活動において、この理念を広げるための発信をしています。しかし、そのような場面で感じることは、まだまだこの理念は浸透していないなと感じることです。この
取り組みには、相当な時間と効果的な発信が必要だと感じています。 今後も、理解を深めるため普及啓発を効果的かつ継続的に行うことや、地域におけるコミュニティーづくりなど、共感や支え合いにつながる活動を意識的に進めなければ、この理念の浸透は進まないと考えます。 これまで県では、障害者理解のための
取り組みを続けてきたことは承知しています。また、憲章策定後は、従来の
取り組みに加え、フェイスブックやツイッターなど、SNSの活用により、工夫した発信を行っていると評価しております。 また、県では、本年10月にみんなあつまれ2017という共生社会推進のイベントが開催されます。ともに生きる社会かながわの実現に向け、一過性のイベントで終わることなく、障害者とともにつくり上げ、誰もが一緒に取り組むことのできる憲章の理念に合致した意義あるイベントになることを期待しております。 あの痛ましい事件を二度と繰り返さないため、社会全体に憲章の理念が深く浸透するよう、県は、県民へはもちろん、全国に向けても、さらに効果的な発信をしていくことが必要であると考えます。 そこで、知事に伺います。 真のともに生きる社会かながわの実現に向け、今後、障害者への理解促進に向けた
取り組みをどのように充実していくのか、ご所見を伺います。 次に、インクルーシブ教育の推進についてお伺いします。 〔資料提示〕 ともに生きる社会を目指す本県ですが、共生社会の実現に向けた教育における
取り組みとして、県教育委員会では、支援教育の理念のもと、全ての子供が、できるだけ同じ場でともに学び、ともに育つことを目指すインクルーシブ教育を推進しているところです。 インクルーシブ教育の推進の目的は、障害のあるなしにかかわらず、子供たちがともに学び、ともに育つことで、互いの人格と個性を尊重し、支え合いながら、社会性を身につけ、思いやりの心を育てることであり、ともに生きる社会かながわ憲章の実現に向けても、大変重要な
取り組みと考えます。 その義務教育段階における
取り組みとして、平成27年度から、みんなの教室モデル事業を実施し、障害のあるなしにかかわらず、全ての子供ができるだけ通常の学級でともに学ぶことができる仕組みづくりを進めているところです。 具体的には、平成27年度は、茅ヶ崎市教育委員会と連携し、茅ヶ崎市立第一中学校において、そして、28年度以降は、厚木市、南足柄市、寒川町の各教育委員会とも連携し、3市1町の七つの小中学校をモデル校として、
取り組みを進めていることは承知しています。 このように、障害のある子供とない子供が、小中学校のころから、できるだけ学校生活をともに送ることで、相互理解を深めることは、子供たちが将来の共生社会の担い手となって成長してもらう上で大変重要であります。そのため、モデル校で得られた成果が、県内の全ての小中学校において共有され、全県的にインクルーシブ教育を進めることが必要と考えます。 そこで、教育長に伺います。 みんなの教室モデル事業におけるこれまでの成果をどのように考えているのか、また、それを全県の小中学校に広めていくために、今後どのように取り組んでいくのか、教育長の見解を伺います。 次に、県立特別支援学校へのコミュニティ・スクールの導入についてお伺いします。 平成28年第3回定例会において、我が会派は、県立高校におけるコミュニティ・スクールの
取り組みについて代表質問を行ったところです。 本県では、昨年度、導入初年度として、県立高校5校が指定され、既に地域行事や学校行事を通じた、地域、学校相互の理解の促進や、生徒が自分の役割を自覚し、積極的に地域に出て活動に取り組むなどの効果を上げていると承知しています。 また、本年度は、地域のバランスや各校の地域連携の実績等を考慮し、新たに21校に導入されました。コミュニティ・スクールの県立高校全校への導入を全国に先駆けて表明した経緯もあり、取組状況は注目されていると言えます。 我が会派としましても、今後の拡充に大いに期待を寄せているところです。 一方で、特別支援学校におけるコミュニティ・スクールの導入は全国でもまだ進んでいないと承知しています。4月28日に公示された特別支援学校学習指導要領にも、社会に開かれた教育課程が示され、障害のある子供の自立と
社会参加に向けて、地域にある人やものといった資源の活用や、放課後、土曜日等を活用した社会教育との連携により、学校教育を学校の中だけにとどまらせず、その目指す教育目標を社会と共有・連携していく必要があるとされています。 県立特別支援学校へコミュニティ・スクールが導入されることにより、地域と連携・協働した継続的な
取り組みが進み、子供の体験活動の場の充実や、学校を中心とした地域のネットワークづくりなど、児童・生徒にとっても、地域にとっても、さまざまな効果が期待できます。 こうしたことから、県立高校同様、県立特別支援学校へもコミュニティ・スクールを導入すべきであると考えます。 そこで、教育長に伺います。 県立特別支援学校へのコミュニティ・スクールの導入について、どのように考えているのか、教育長の所見をお伺いいたします。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 曽我部議員のご質問に順次お答えしてまいります。 共生社会の実現に向けた
取り組みについて、何点かお尋ねがありました。 ともに生きる社会の実現に向けた
取り組みについてです。 津久井やま
ゆり園事件は、障害者やその家族、障害者施設で働く職員のみならず、国民全体に言いようもない衝撃と不安を与えました。そして、社会の中で障害者に対する偏見や差別が助長されるのではないかといった懸念が生じました。 県では、これまでも障害者の暮らしを支え、偏見や差別をなくす努力を重ねてきましたが、こうした流れを決して後戻りさせるわけにはいきません。むしろ、この悲しみを力に変え、偏見や差別のない誰もがその人らしく暮らすことのできる社会を実現しなければなりません。 そうした思いから、県議会とともに「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定し、その普及啓発に精力的に取り組んできたところです。 今年度は、事件発生から1年を迎える7月24日から30日を、ともに生きる社会かながわ推進週間と定め、事件を風化させることなく、憲章の理念を広く普及させるため、新聞広告やポスターの駅張り、デジタルサイネージなどにより、集中的な広報を行います。 また、10月には、幅広い世代の多くの人が集まり、お互いの理解につながる体験を共有できる共感型イベント、みんなあつまれ2017を開催します。このイベントでは、障害者の皆様はもとより、市町村や企業、団体とも連携し、オール神奈川の力を結集し、普及啓発を展開していきます。 さらに、共生社会の実現を全国に向けて発信していくため、九都県市首脳会議における本県の提案をもとに、他の自治体と協調した広域的な普及啓発を行ってまいります。 こうしたさまざまな
取り組みを通じ、障害者の理解促進を図り、ともに生きる社会の実現に向けた共感の輪を広げてまいります。 私からの答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。 インクルーシブ教育の推進についてです。 これまでみんなの教室を実施してきた各モデル校では、校長を中心に教育相談コーディネーターやスクールカウンセラー、養護教諭などが参画する校内の支援体制を整備しています。そして、障害のある子供ができるだけ通常の学級で学べるよう、支援が必要な子供たち一人一人の状況をきめ細かく把握、共有するなど、組織的な対応を進めてきました。 こうした支援体制を構築することで、授業のユニバーサルデザイン化や学習内容の明確化など、学校全体でわかりやすい授業づくりが進み、全ての子供が意欲的に学べるようになってきました。 また、子供たちがより多くの授業を一緒に受けることで、学校生活のさまざまな場面において、みんながお互いを理解しようと積極的にかかわり合う姿が見られるようになりました。 例えば、モデル校の一つである茅ヶ崎市立第一中学校の体育祭は、みんなが誰でも参加できるルールを生徒自身が主体的に考え、開催されています。 県教育委員会では、モデル校のこのような成果を県内全ての小中学校に広げ、各市町村がみずから
取り組みを進めていくことが重要と考えています。そのため、毎年、県市町村教育長会議などでモデル校の成果と課題について周知してきたところです。 今後は、さらに各市町村教育委員会と小中学校でのインクルーシブ教育の推進状況について個別に協議するなど、各市町村の
取り組みが進むよう働きかけてまいります。 県教育委員会は、小中学校でのみんなの教室を全県に拡大し、県立高校におけるインクルーシブ教育実践推進校との学びの連続性を確保することで、共生社会づくりに向けた教育が果たすべき役割をしっかりと担ってまいります。 次に、県立特別支援学校へのコミュニティ・スクールの導入についてです。 コミュニティ・スクールは、保護者や地域の方が学校運営に直接参加することから、より地域に開かれ、地域に支えられた学校づくりが期待できます。このため、特別支援学校にこの仕組みを導入することは、これまで以上に地域の方の学校への理解が深まり、子供たちが地域の中で生き生きと生活する上で大変重要と考えています。 そこで、県教育委員会では、これまでの県立高校における
取り組みも参考に、今年度、特別支援学校へのコミュニティ・スクールの導入について検討を始めたところです。特別支援学校では、現在、商店街での就労体験など、地域とのさまざまな交流を進めていますので、こうした実情を踏まえながら、特別支援学校らしいコミュニティ・スクールのあり方を検討してまいります。 そして、平成30年度当初にはモデルとなる学校を4校程度指定し、その成果を検証、検討した上で、全ての県立特別支援学校にコミュニティ・スクールを導入していきたいと考えております。 答弁は以上でございます。 〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕
◆曽我部久美子議員 知事、並びに教育長からご答弁をいただきました。 2点、再質問をさせていただきます。 まず、ともに生きる社会の実現に向けた
取り組みについてでございますが、今後も憲章の理念を浸透させるため、
取り組みを充実させていくということは理解いたしました。 また、この
取り組みを神奈川から広く発信していくため、九都県市首脳会議による協調した普及啓発を行うということでしたが、今後のスケジュールも含めて、具体的にどのような
取り組みを行っていくのか、知事に伺います。 次に、県立特別支援学校へのコミュニティ・スクールの導入についてです。 導入はこれからということですが、具体的に全国の特別支援学校のコミュニティ・スクールの導入状況を伺います。そして、その上で、県教育委員会として、いつまでに特別支援学校へのコミュニティ・スクールの導入を進めようとしているのか、教育長に伺います。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えしてまいります。 ともに生きる社会の理念を九都県市でどのように展開していくのかというご質問であります。 九都県市首脳会議の結果を受けまして、その下部組織であります首都圏連合協議会、ここに検討組織を設置いたしまして、7月に第1回検討会を開催する予定であります。その後、九都県市の構成員とともに取組内容を検討し、12月の障害者週間をめどに共通の
取り組みを進めてまいります。 答弁は以上です。 〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 桐谷教育長。
◎教育長(桐谷次郎) 再質問にお答えいたします。 全国の状況ですが、文部科学省の調査によれば、平成29年4月1日現在、全国の約1,100校の特別支援学校のうち、コミュニティ・スクールを導入している学校数は21校という状況です。 それから、本県での導入時期についてですが、横浜北部方面特別支援学校が開校する平成32年度を目途にコミュニティ・スクールを全校に導入していこうと考えております。 以上でございます。 〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕
◆曽我部久美子議員 知事、並びに教育長からご答弁をいただきました。 それでは、意見・要望を申し上げます。 ともに生きる社会の実現に向けた
取り組みについてでございますが、今後、九都県市において協調した
取り組みを進めるということで、広くさまざまな方々に共感していただくことはとても大事な
取り組みであるというふうに思います。 しかしながら、県内においては、まだまだ考え方が浸透していない、このように感じることが多々ございます。県民の方々に、ぜひ着実に理念が浸透するよう、理解促進に向けた
取り組みをさらに進めていただくように要望いたします。 次に、県立特別支援学校へのコミュニティ・スクールの導入についてですが、県立高校に続き、特別支援学校においてもコミュニティ・スクールの導入について、具体的な答弁が教育長からございました。 全国的にもまだまだ導入例が少ない中、1,100校のうち、まだ21校とのことでございました。そういった例が少ない中、導入を決断されたということは、学校と地域を結ぶ
取り組みとして大いに期待しております。ぜひとも全校設置に向けた
取り組みを要望いたします。 次に、インクルーシブ教育の推進についてですが、小学校から連続したインクルーシブ教育の推進に向けた
取り組みは、共生社会の実現に向けた
取り組みを掲げる本県としての重要な
取り組みの一つであるというふうに考えています。 インクルーシブ教育の推進は、共生社会の実現により近づくことになりますので、ぜひとも全県の小中学校に広めていただけるように要望いたします。 〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕
◆曽我部久美子議員 私の質問の第2番目の柱は、地方と国との関係に関する課題についてです。 まずは、地方の基金残高をめぐる議論についてお伺いいたします。 国の経済財政諮問会議や、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会などにおいて、今後の経済・財政運営に向けた議論が始まっています。 地方財政関係については、国・地方の基礎的財政収支で、国が大幅な赤字である一方、地方は黒字であることや、地方財政計画が過大に見積もられているため、地方は必要以上に交付された地方交付税を基金に積み上げており、地方財政には余裕があるという地方の基金残高に着目した議論が、財務省を中心に行われています。 地方全体の基金残高は、平成27年度末現在で、都道府県と市町村の財政調整基金、減債基金、その他、特定目的基金を合わせて21兆円となっており、10年前と比較して8兆円近く増加しています。 この指摘の裏には、平成32年度の国・地方の基礎的財政収支の黒字化目標の達成が難しくなる中、地方交付税を削減したい財務省の狙いがあると言われており、経済財政諮問会議の民間議員からは、その背景、要因について、実態を把握・分析するとともに、各自治体において説明責任を果たすよう促すべきといった意見や、国・地方を通じた財政資金の効率的配分に向けて、地方財政計画への反映等の改善方策を検討すべきとの意見が出されています。 6月9日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2017においても、地方公共団体の基金について、総務省は、各地方公共団体における財政状況の調査の一環として調査し、団体による積立金の現在高や増加幅の程度の差異を含め、その増加の背景・要因を把握・分析することとされました。 私たちは、本県の基金残高が必要以上に積み上がっているとは決して認識しておりませんし、我々地方が担っている役割を考えると、財政状況はよくなるどころか、むしろ悪くなっているのではないか、このように考えております。よって、到底容認できるものではありません。 そこで、知事に伺います。 本県の基金の積立状況と、こうした財務省における地方の基金残高をめぐる見解について、知事のご所見を伺います。 次に、国民健康保険制度改革についてお伺いいたします。 我が国では人口減少が始まっており、国民健康保険の被保険者数も年々減少していることから、今後も制度を維持・運営していくために、見直しを行う必要があることは理解しています。 そこで、平成30年4月に施行される国民健康保険制度改革においては、財政運営を都道府県に一元化するとともに、県が国民健康保険運営方針を策定し、県内における国保運営を統一的に行っていくとのことですが、その一方で、被保険者証の発行や、保険料の徴収など、住民に身近な業務は引き続き市町村が行うことになっており、制度の仕組みが変わることによって、県民にどのようなメリットが生じるのか、わかりにくいように思います。 特に、保険料の額については、県民にとって大きな関心事であり、もし新制度の開始時に、県内市町村の保険料が軒並み上がってしまったり、今後、毎年上がり続けるようなことがあれば、かえってデメリットとして感じられてしまうのではないかと、そういう懸念があります。 そこで、知事に伺います。 今回、県が国民健康保険運営方針を策定して進めていく国民健康保険制度改革における県民にとってのメリットはどのようなことなのか、お伺いいたします。 次に、北朝鮮の弾道ミサイルに係る住民の避難訓練についてお伺いいたします。 北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返しており、特に5月14日には、ロフテッド軌道と言われる高度2,000キロメートルに到達する弾道ミサイルを発射しました。また、その後も5月21日、5月29日と立て続けに弾道ミサイルを発射しており、5月29日に発射したミサイルは、日本の排他的経済水域内に落下したとの報道がなされました。 こうした北朝鮮の弾道ミサイルの発射は、我が国にとって大変な脅威であると感じています。もちろん、いたずらに不安をあおることは控えるべきとは思いますが、私たちは、万が一の場合を想定した対応を考えておく必要があります。 そうしたことから、県では、ミサイル落下時にとるべき行動について、ホームページや県のたよりなどで、県民への周知に努めていることは承知しています。 しかし、北朝鮮情勢は厳しいものがあり、国民の不安感はこれまでになく高まっていることも事実だと考えます。 こうした状況を踏まえ、国は本年3月に、弾道ミサイルが我が国に落下する可能性がある場合を想定した住民避難訓練を、秋田県や秋田県男鹿市と共同して実施しました。そして、6月に入ってからは、山口県、山形県、新潟県などで訓練を実施しており、例えば6月4日に山口県阿武町で行われた訓練では、住民約300人が参加し、小学校のグラウンドで清掃していた親子や、教師、グラウンドゴルフをしていたお年寄りたちが、小学校の体育館などに避難したとの報道がありました。 弾道ミサイルが、我が国に落下する可能性があるとすれば、短時間で避難行動をとる必要があり、そうした状況下における対応について、ホームページや県のたよりに掲載するだけでなく、より一層、住民の理解を促進するためにも、弾道ミサイルを想定した住民の避難訓練を実施する必要があると考えます。 そこで、知事に伺います。 弾道ミサイルを想定した住民の避難訓練の実施について、知事はどのようにお考えなのか、お伺いいたします。 次に、公職選挙法の改正について、2点お伺いいたします。 まず、第1点目は、衆議院議員小選挙区の区割り改定についてです。 〔資料提示〕 平成29年5月16日に衆議院議員小選挙区の区割り改定案が閣議決定され、6月9日に改正法案が国会で可決・成立いたしました。本県も昨年11月に、衆議院議員選挙区画定審議会、いわゆる区割り審の会長から求められた知事が意見を提出したと承知しています。 この知事意見は、区割り審が示していた市町村を分割しない原則に基づき、関係市町村長の意見を踏まえて、県内の市町村の区域を分割しないこと、相模原市緑区及び南区の政令指定都市の行政区が分割される現状の是正を求めているところです。 しかしながら、区割り審の会長から、内閣総理大臣への勧告に基づく同法律案では、新たに横浜市都筑区と座間市の区域の一部を分割し、相模原市緑区及び南区の分割解消はなされず、南区を一層複雑に分割する状況が生じることとなり、可決・成立となりました。 このことに、区割りの対象となった地元自治体市長は強い不快感を表明していることも報道されているところでございます。 ただ、今回の区割り改定は一票の格差を緊急に是正するために、いわゆる緊急是正法にのっとり行われたことは一定の理解をいたします。 しかしながら、今後実施される平成32年の国勢調査に基づく区割り改定では、いわゆるアダムズ方式により、都道府県別に議員定数が配分されることから、本県における衆議院小選挙区の定数18が、2増の20となることが想定され、これにより、今回よりも大幅な区割りの変更が見込まれ、大きな問題になると思っています。 そこで、知事に伺います。 今回の区割り改定により、このような状況に至ったことや、今後、平成32年の国勢調査に基づく大幅な区割り改定が想定されることについて、知事の率直な見解をお伺いいたします。 また、第2点目として、次期衆議院選挙の準備についてお伺いします。 衆議院がいつ解散して選挙になるのかわからない中で、多大な影響を受ける選挙事務と、何よりも県民有権者に多くの戸惑いや不安を招くおそれがあることも懸念されますので、周知、準備は極めて重要です。 そこで、
選挙管理委員会書記長に伺います。 次期衆議院選挙に向けて、選挙管理委員会として、どのように準備をして対応する考えなのか、伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 地方と国との関係に関する課題について、何点かお尋ねがありました。 まず、地方の基金残高をめぐる議論についてです。 本県の平成28年度末基金残高は財政調整基金708億円、県債管理基金508億円、その他、特定目的基金721億円、合計1,938億円となっています。 本県では、毎年、その年の歳入で歳出を賄えない予算編成が続いています。また、過去には単年度で2,000億円以上の税収減があり、大量の県債の発行や給与カットをしても、なお赤字決算となったことがあります。 このため、厳しい財政状況の中でも、さまざまな工夫を凝らし、基金を積み立てて、財源不足に備えてきました。実際、29年度当初予算編成では、多額の財源不足を埋めるため、財政調整基金を約180億円取り崩し、県債管理基金についてもほぼ全額取り崩して、ようやく収支を均衡させたところです。 また、その他の特定目的基金は、国からの交付金を積み立てているものや、寄附を受け入れるためのものであり、残高があっても財源不足を解消するために活用できるものではありません。このように本県の基金残高に余裕は全くありません。 そもそも現行の地方財政制度では、自由に赤字債を発行できない地方自治体に年度間の財源調整の手法として認められているのは基金しかありません。現在、財務省を中心として行われている議論は、こうした地方の実情や制度を理解しておらず、的外れであります。 そのため、地方の実情について強く総務省に伝えており、総務大臣も既に地方自治体は財政支出を節約しながら、地方の実情に応じて基金を積み立てていると反論しています。 今後も、私自身があらゆる機会を通じてしっかりと訴えていくとともに、全国知事会などと連携し、国に対して強く働きかけてまいります。 次に、国民健康保険制度改革についてです。 今回の制度改革の最大のメリットは、県内どこに住んでも少ない自己負担で医療を受けられる国保制度を将来にわたって安定的に持続させられることであります。 現在は、市町村が個別に運営しているため、小規模な市町村の場合は、財政運営が不安定となるリスクがありますが、新たな制度では、県が財政運営の責任主体となりますので、市町村の財政リスクが軽減され、制度の安定化が図られます。 また、国による財政支援として、毎年、3,400億円の公費拡充が行われるため、その分、利用者や市町村の負担が軽減されることとなります。 中でも、新たに設けられる保険者努力支援制度は、市町村が医療費適正化の
取り組みなどに力を入れると、国の交付金が多く配分され、保険料の負担軽減につながります。 一方、市町村が納める納付金は所得水準や医療費水準を勘案して算定するため、従来より保険料が上がる市町村が出てくる可能性がありますが、急激な負担の増加を抑えるため、県が設置した財政安定化基金により、激変を緩和する仕組みを設けます。 県は、新たな制度における財政運営の責任主体となりますので、制度改革の趣旨やメリットについて、市町村とともに県民の皆様に丁寧に説明してまいります。 次に、北朝鮮の弾道ミサイルに係る住民の避難訓練についてです。 国は、弾道ミサイルへの対処について、国民の理解を促進するため、国や市町村と共同で行う避難訓練の実施を都道府県に要請しています。弾道ミサイルを想定した実際の避難行動を伴う訓練は、実動という点で効果的であり、重要です。 弾道ミサイルを想定した住民の避難訓練は、本年3月に秋田県男鹿市で初めて実施され、その後も幾つかの県で市町村と連携した実動訓練が行われています。これまでの訓練では、説明を聞くだけでもためになったとの意見がある一方、ミサイルが落ちれば、避難どころではないといった意見もあったと承知しています。 県では、国の要請も踏まえ、去る4月に弾道ミサイルに係る避難訓練の実施について、県内市町村の意向を調査しました。その結果、実施に向けて検討するとの市町村が8団体ありましたが、訓練内容や実施時期は未定としています。 そこで、今後、訓練の実施に向けて、どのような規模や内容が適切なのか、他県で行われた訓練の成果や課題などを踏まえつつ、市町村の意見も聞きながら検討してまいります。 次に、公職選挙法の改正についてお尋ねがありました。 衆議院議員小選挙区の区割り改定についてです。 今回の区割り改定では、昨年11月に関係市町村の意見を踏まえて提出した知事意見と異なり、横浜市、相模原市及び座間市において、区域の一部が分割される内容となっています。 区割り改定は、一票の格差を是正するための
取り組みであることは理解しますが、今回のように、市域の一部が分割され、自治体の一体性が著しく損なわれる区割りは到底納得できるものではありません。また、新たに区域が分割される自治体では、選挙運営に伴う負担の増加や有権者の混乱も懸念されました。 そこで、去る5月9日に開催された九都県市首脳会議でも、私から、今回の区割り改定の問題について発言し、地域の実情や実態を踏まえた区割りになるよう、九都県市が一体となって意見表明を行ったところです。 しかしながら、今回の法改正において、関係自治体の意見が反映されなかったことは、大変残念に思います。 平成32年の国勢調査に基づく区割り改定は、さらに大幅な変更になる可能性がありますので、一部の市町村の問題ではなく、県全体の問題として捉えていかなければならないと認識しています。 こうしたことから、今後の小選挙区の区割り改定に向けては、地域の実情を十分に踏まえたものとなるよう、県内市町村を初め、他都道府県とも連携して、引き続き国に働きかけてまいります。 私からの答弁は以上です。 〔
選挙管理委員会書記長(脇 雅昭)発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 脇
選挙管理委員会書記長。
◎
選挙管理委員会書記長(脇雅昭) 選挙管理委員会関係のご質問についてお答えします。 次期衆議院選挙の準備についてお尋ねがありました。 まず、選挙事務の対応です。 一つの市や区の中に二つの選挙区が設定されることで、開票作業が複雑となり、事務運営の混乱が想定されます。県内には一つの会場で二つの選挙区の開票作業を既に実施している相模原市の例がありますので、県選挙管理委員会としては、関係する市に対して、相模原市が有する投票所運営や開票作業のノウハウを共有するための意見交換会を開催するなど、必要な支援を行っていきます。 次に、有権者の戸惑いや不安解消のためには、有権者に選挙区変更の内容を十分に理解していただくことが重要です。 そこで、県のたよりや市の広報紙などによる事前の周知はもとより、選挙時に有権者の方々に送付する投票所入場券に、選挙区の変更を強調して記載するなど、十分な周知を図っていきたいと考えています。 このように選挙運営の安定性が損なわれないよう、準備を万全に進めていくことで、今後執行される衆議院議員選挙が適正に行われるよう努めてまいります。 私からの答弁は以上です。 〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕
◆曽我部久美子議員 知事、並びに
選挙管理委員会書記長からご答弁をいただきました。 要望を何点か申し上げます。 最初に、地方の基金残高をめぐる議論についてですが、先ほど知事から、的外れというお話がありました。ところが、国はさまざまな視点から、地方に対して、地方財政制度に大きな影響を与える議論をしています。国・地方との役割のあり方からも、到底納得できるものではありません。そういった意見が数多くありますので、県として、しっかりと国に対して意見を述べていくよう要望いたします。 次に、国民健康保険運営制度改革についてですが、県内どこに住んでも少ない自己負担で医療を受けられる国保制度を、将来にわたって安定的に持続させていけることがメリットであるということでした。 そのためには、県は安定した制度を維持させるための重要な財政運営を任されることになりますので、しっかりとした対応をお願いいたします。 次に、北朝鮮の弾道ミサイルに係る住民の避難訓練についてですが、もはやいつ飛んできても不思議ではない状況であると言わざるを得ないと思います。 特に本県は第二の基地県であります。本県が攻撃対象となることは、容易に推察できます。だからこそ、本県はどこよりも県民の安全対策に万全を期していく必要があります。そのためにも、国はもとより、市町村との連携を密にして、ぜひとも速やかに住民の避難訓練が実施できるよう、強く要望いたします。 次に、衆議院議員小選挙区の区割り改定についてですが、今後実施される平成32年の国勢調査に基づく区割り改定では、大幅な区割りの変更が見込まれることは必至ですので、有権者が戸惑うことなく選挙が実施されるよう、地方自治体としての意見をしっかりと国に対して訴えていくことを強く要望いたします。 また、
選挙管理委員会書記長から次期の衆議院選挙の準備についてご答弁がありましたが、本当にいつ選挙になるのかわかりません。有権者が戸惑わないためにも、職員の皆様がしっかりと対応していただくことが大事でありますので、速やかに、またしっかりとしたご準備をお願いいたします。 〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕
◆曽我部久美子議員 私の質問の第3番目の柱は、県政運営の諸課題についてです。 まずは、東京2020大会に関わる役割分担・費用負担の合意についてお伺いします。 〔資料提示〕 関係自治体間で課題となっていた役割分担・費用負担が、ようやく大枠での合意に至りました。焦点となっていた大会運営費については、これまで県が主張してきたとおり、組織委員会等の負担とされましたが、これは東京都以外の会場を有する各自治体と連携した昨年12月の要請活動や、本年5月、千葉・埼玉両県知事と行った官邸への直談判など、さまざまな働きかけがようやく実を結んだものと評価しているところです。 しかしながら、5月31日に開催された関係自治体等連絡協議会において示された経費分担試算においては、350億円にも上る多額の費用が宙に浮いた形となっています。この350億円は誰が負担するのか明確となっていませんが、一部の報道では、自治体負担をにおわせるような記事もあり、問題が先送りされたのではないかと危惧しているところです。 そもそも、この350億円は、関係自治体の会場周辺における輸送やセキュリティーなどの費用とされていますが、その具体の内容については明らかにされていませんし、どのような調整が行われていたのか、公式の場での説明がなされていないので、さまざまな憶測を呼んでいます。 そこで、知事に伺います。 大会経費のうち、負担者が確定しない350億円はどう整理されているのか、また、今後、自治体の負担とされる可能性があるとの疑問も残りますので、5月31日の合意に至った経緯も含めて、改めて知事のご所見を伺います。 次に、文化プログラムへの対応についてお伺いいたします。 さきに述べました東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けた役割分担・費用負担についての一連の混迷は、私たちにとっても、知事の言うところのミステリーと同様の思いがありました。 今般、立候補ファイル及び東京2020大会開催基本計画に示された原理原則を確認できたことは、知事の
取り組みの成果であると評価するところです。ようやくスタートラインに立てたことを踏まえ、関係機関の協力を一層図り、今まで以上に開催に向けた着実な準備を一丸となって邁進しなければなりません。 その中の非常に重要な
取り組みの一つとして、オリンピック憲章において、スポーツのみならず、教育を含めた文化オリンピアードの実施として文化プログラムがあります。 本件については、これまでも会派として、数々議論・提案をしてまいりました。また、県議会としても、1年前には文化プログラムの着実な推進を求める意見書を可決し、国に提出したところであります。 国においては、昨年10月に京都と東京で、スポーツ・文化・ワールド・フォーラムと題したキックオフイベントとしての国際会議が実施されました。また、文化オリンピアードにおける
取り組みなども、既に全国各地で順次実施されていると承知しています。 本県も、競技会場が所在する自治体の一つとして、県民や市町村、民間企業、団体等と連携した神奈川の特徴を生かした多彩な文化プログラムに関係する
取り組みを実施する必要があります。県民の文化の醸成や、文化資源の発信、幅広い文化活動への参画や発掘につながることが期待される一方で、その方向性をいまだ示しているとは言えない状況と思われます。 そこで、知事に伺います。 オリンピック・パラリンピックを契機とした文化プログラムの
取り組みは極めて重要であり、余すところ3年しかない中、今後どのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。 次に、棟方志功作の版画紛失事案に係る責任と再発防止についてお伺いします。 〔資料提示〕 県は、4月17日に、県民ホールの
指定管理者である公益財団法人神奈川芸術文化財団に無償貸し付けしている版画を紛失したと記者発表を行ったところです。 紛失した版画は、世界でも名高い版画家である棟方志功氏の作品ということもあり、マスコミにも大きく取り上げられ、多くの県民が驚愕するニュースとして、関心も高いものになっています。県が300万円で購入したかけがえのない美術品を紛失した事実を捉えれば、県の責任は大変重いものと考えます。 その中で、今回の事案で最も深刻な問題と考えるのは、この版画が平成26年の4月に、近代美術館の新収蔵作品展といった展覧会に出展中、観覧者からの指摘を受け、カラーコピーと判明した後の県と芸術文化財団の対応であります。 県の所管課は、近代美術館から連絡を受けたにもかかわらず、庁内での情報共有を図らず、発覚から約3年もかかって公表したという事態を招いています。 また、芸術文化財団も、あろうことか、約3年間も県民ホール内のどこかに本物の版画があるはずだと判断して、独自に捜索を続けていたということであり、その結果も県に報告していなかったということもあわせて、唖然とするばかりで、本当に信じられない話です。 県は、再発防止に向けた対応として、現在進めている県が所有する美術品の一斉点検や、調査チームの調査結果を踏まえ、再発防止策を指針等に取りまとめ、県職員及び
指定管理者職員の危機管理意識の徹底を図っていくことと承知しています。 今回の事案を契機に、二度とこのようなことが起きないよう、しっかりと調査を行い、より実効性の高い再発防止策を図っていく必要があると考えます。 そこで、知事に伺います。 今回の棟方志功氏の版画紛失事案を約3年間公表しなかったことについて、県と公益財団法人神奈川芸術文化財団の責任をどのように認識しているのか、また、二度とこうした事態を招かないよう、再発防止策をどのように講じていくのか、あわせて所見を伺います。 次に、
ヘルスケア・
ニューフロンティア・ファンド(仮称)についてお伺いします。 〔資料提示〕 知事が
ヘルスケア・
ニューフロンティアを提唱してから4年が経過いたしました。この間、全国と比べて速いスピードで高齢化が進展する本県では、
最先端医療・最新技術の追求と未病の改善という二つのアプローチにより、さまざまな
取り組みを進めてきました。 具体的に、
最先端医療・最新技術の追求の
取り組みとして、川崎市の殿町地域に整備した再生・細胞医療の産業化拠点ライフイノベーションセンターには、数多くのベンチャー企業が入居し、全体の9割で入居が決定するとともに、昨年10月には、再生・細胞医療の産業化に向けた連携組織として、かながわ再生・細胞医療産業化ネットワークを立ち上げたと承知しています。 また、未病の改善の
取り組みについては、平成26年に立ち上げた未病産業研究会に、現時点で、企業など、460を超える機関が参加しており、未病に関する技術の実用化に向けた環境が整備されつつあります。 この
ヘルスケア・
ニューフロンティアの
取り組みを、より一層加速させるため、県も1億円出資し、県主導の(仮称)
ヘルスケア・
ニューフロンティア・ファンドを組成することとしており、先月26日に、このファンドを組成・運営する事業者の公募を開始するなど、本格的に動き出したと承知しています。 我が会派としても、ベンチャー企業が開発した技術の実用化促進に向け、県の投資が呼び水となり、多くの民間資金が活用できる今回のファンドに期待を寄せており、今後もその動向をしっかりと見守りたいと考えています。 このファンドの成功は、民間事業者から出資を募ってファンドを組成し、組成後は、有望な投資先となるベンチャー企業の発掘を行い、成長に導いていく、そういう役割を的確に担えるファンド運営者を県が選定できるかどうかが重要と考えています。 さらに、投資先のベンチャー企業の成長に向けては、ファンド運営者のみならず、県としても積極的に関与していくことが必要だと考えています。 そこで、知事に伺います。 どのような点を重視してファンド運営者を選定しようと考えているのか、また、ファンドの組成後は、県として投資先のベンチャー企業をどのように支援していこうと考えているのか、知事の見解を伺います。 以上です。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 県政運営の諸課題について、何点かお尋ねがありました。 まず、東京2020大会にかかわる役割分担・費用負担の合意についてです。 東京都から最初の合意文案が示されたのは、大枠の合意を得た5月31日のわずか2日前でした。しかし、この文案には二つの重大な問題がありました。1点目は、立候補ファイル等に示された役割分担等の原理原則を守るという記載が一切なかったこと、2点目は、大会開催経費として示された総額1兆3,850億円のうち、350億円がセキュリティー等の費用として関係自治体の負担とされていたことです。 そこで、私は直ちに立候補ファイル等の原理原則を合意文書に明記すること、そして、350億円が関係自治体の負担とされている記載を削除することを強く求めました。この2点が受け入れられない場合は、一切合意はしない考えでありました。 その結果、会議前日には、この2点が受け入れられた最終案が示されました。しかし、350億円については、負担者が示されない形で記載されており、私は、この点も明確にすべきだと考えました。 そこで、私は、5月31日の会議の席上、東京都が2020年大会招致に際し、本県に協力を依頼する文書を示し、小池都知事に見解を求めました。この文書には、本県に提供を求めるセキュリティー等の行政サービスとは、通常、無償提供している行政サービスのみで、それ以外は都などが責任を持って対応するとはっきり書かれていました。 小池都知事からは、この文書の内容を認める趣旨の発言をいただきました。開催都市の責任者である都知事から確認をいただいた以上、この350億円については、関係自治体の負担となるものではないことが明確になったと認識しています。 大変時間はかかりましたが、今回の合意で役割分担・費用負担という大きな課題は解決されました。今後は、都や組織委員会、国ともしっかり連携協力し、大会成功に向けた準備に全力を挙げて取り組んでまいります。 次に、文化プログラムへの対応についてです。 オリンピック・パラリンピック競技大会は、スポーツの祭典であるとともに、文化の祭典でもあります。本県独自の文化プログラムに取り組むことは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会やその前年のラグビーワールドカップの機運を醸成するとともに、日本を訪れる多くの外国人観光客の方を本県に引きつける千載一遇の機会となります。 県では、これまで文化芸術の魅力で人を引きつけるマグネットカルチャー─マグカルの
取り組みを推進してきたところです。今後、ラグビーワールドカップやオリンピックに向けて、このマグカルを通じて文化プログラムの
取り組みを加速していきます。 具体的には、県内各地域の伝統芸能を初め、音楽、演劇など、多彩な文化芸術について、訪日外国人の方にもアピールできるインパクトのあるコンテンツづくりを県内各方面で活躍するさまざまな団体などと一緒になって進めてまいります。 また、これまで実施してきたリ・古典プロジェクトのような県内の市町村と連携した事業や、外国人向けの多言語による情報発信についても、より一層充実していきます。 このように、今後は市町村に加え、県内の文化芸術関係団体などとも連携して、オール神奈川で
取り組みを進めていきます。 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会やラグビーワールドカップを契機にマグカルの
取り組みを通じて、未来に誇れるレガシーとなるよう、今後とも文化プログラムにしっかりと取り組んでまいります。 次に、棟方志功作の版画紛失事案に係る責任と再発防止についてです。 今回の版画紛失事案を約3年間公表しなかった責任についてですが、平成26年4月に版画がカラーコピーにすりかわっていた事実が判明した時点で、県及び芸術文化財団幹部との間で速やかに情報共有を行い、公表や警察への被害届の提出等を行うべきでした。 ところが、県としては、本物ではないとの事実を把握しながら、認識の甘さから、県幹部まで情報共有を行わないままとなりました。また、芸術文化財団は県民ホールのどこかに本物があるはずだとの思いから、捜索を続け、さらにその結果について、約3年間、県に報告しませんでした。 このように、県及び芸術文化財団ともに、重要な財産の管理者としての自覚が足りなかったこと、さらに業務の基本である報告、連絡、相談ができていなかったことが、今回の不適切な対応の大きな要因であると認識しています。 再発防止の
取り組みについてですが、まず、私からは、県行政をしっかりと推進し、県民の皆さんの信頼を回復するため、今回の事案の原因、経緯の究明を速やかに行うよう厳しく指示をいたしました。県幹部をメンバーとする調査チームを発足させ、関係職員から聞き取りを進めています。 また、芸術文化財団では、美術品の管理状況を再確認するとともに、職員に研修を実施するなど、危機管理意識の向上を図っています。 このような対応をしっかりと行い、今回の事案の原因や課題を明らかにした上で、二度とこうした事態を招かないよう、再発防止に徹底的に取り組んでまいります。 最後に、(仮称)
ヘルスケア・
ニューフロンティア・ファンドについてです。 このファンドは、超高齢社会に向けた社会的課題に挑戦し、
ヘルスケア分野を牽引していくベンチャー企業を創出することで、この分野の
取り組みを一層加速させることを狙いにしています。そのためには、ファンド運営者の役割が極めて重要と認識しています。 そこで、運営者の選定に当たっては、次の3点を重視します。 第1に、ファンド運営者が県の政策を十分に理解し、県の
取り組みとの連動性を発揮できること、第2に、認知症や生活習慣病など、社会的な課題の解決に取り組むベンチャー企業の技術力や市場性、成長性などを見きわめる、いわゆる目ききの能力があること、第3は、事業戦略の作成など、経営方針に深く関与し、投資先のベンチャー企業と一体となって成長支援ができること、これらの点を重視してファンド運営者を選定いたします。 次に、投資先のベンチャー企業に対する県の支援ですが、県としても、ファンド運営者とともにその企業の成長を積極的に支援していきます。具体的には、県が設立した未病産業研究会やかながわ再生・細胞医療産業化ネットワーク、さらに海外との連携協力体制などの活用です。 こうした県が有するネットワークを最大限に活用することにより、共同研究に向けた国内外の大学や研究機関とのマッチング、試作品を実証するフィールドの提供、さらには、大企業との連携による販路開拓など、企業の成長に応じたさまざまな支援を行います。 今後は、このファンドを起爆剤に、社会的課題の解決につながる有望なベンチャー企業の成長を後押しし、
ヘルスケア・
ニューフロンティアの
取り組みを加速してまいります。 答弁は以上です。 〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕
◆曽我部久美子議員 知事、ご答弁ありがとうございました。 まず、1点、再質問させていただきます。 棟方志功作の版画紛失事案に係る責任と再発防止についてですが、再発防止に取り組むという、そういったご答弁もあったのですが、それでは、具体的にどのような
取り組みを進めていかれるのか、改めてお伺いいたします。 〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎)
黒岩知事。 〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。 繰り返しにはなりますが、現在、調査チームにおいて、今回の事案の原因等を調査しているところでありまして、具体には、今後、検討してまいりますが、事故、不祥事といったよくない話、こういうことこそ、職員の間で速やかに情報共有が図られるよう基本的な業務の進め方、これをしっかり認識して、確実に行うことが再発防止への近道だと考えているところであります。 また、県と芸術文化財団の関係では、今まで以上に双方の幹部を含めた職員同士の意思疎通を密にして、失われた信頼が一日も早く回復できるよう進めてまいりたい、そのように考えております。 答弁は以上です。 〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕
○副議長(小野寺慎一郎) 曽我部久美子君。 〔曽我部久美子議員登壇〕
◆曽我部久美子議員 知事からご答弁をいただきました。 現在、調査中なので、具体的な対応はこれからとのご答弁でございましたけれども、先ほど来、お話がありますように、本来、このようなことはあってはならないことであり、ましてや、芸術文化財団は県の
指定管理者であります。また、県主導の第三セクターとして、県の文化行政の一翼を担う大変大きな存在でもあります。その社会的な影響は極めて大きいものでございます。 県民の貴重な財産を管理するための再発防止策につきましては、しっかりとした対策を、県、また財団とも講じるよう強く要望をいたします。 引き続き、何点か要望させていただきます。 まず、2020大会にかかわる役割分担・費用負担の合意についてでございますが、先ほど知事から、決着したよという、そういった心強いご回答をいただいたところでございますが、とは申せ、350億円という宙に浮いたもの、それについてさまざまな議論がありますので、課題が完全に解決していないという自覚のもとに、ぜひ引き続き、原理原則に基づいて
取り組みを進めていただくよう要望いたします。 続いて、文化プログラムへの対応についてでございます。 ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピック競技大会は、まさに世界に神奈川をアピールする絶好の機会であり、知事から前向きなご答弁をいただき、心強く思ったところでございます。 これまでのように、市町村との連携を強固にしていくことは、文化プログラム推進のためには大変重要なことであり、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 さらに、今後は世界に向けて、ポテンシャルの高い神奈川の各方面の文化芸術関係団体などとも連携をとりながら、県民の期待に沿うよう、県みずから取り組んでいただきたいと思います。そのためにはしっかりとした財源の裏づけ、これも大変重要であります。ぜひ財源確保に向けた
取り組みについても、改めて強く要望をいたします。 最後に、(仮称)
ヘルスケア・
ニューフロンティア・ファンドについてですが、民間の資源を活用するファンドの運営は、我が会派としても成功を期待しています。そして、その成功の鍵は運営者の資質も重要ですが、県がファンドを通じて社会的課題を解決しようとする姿勢について、県民の理解を得るということも同じく大切です。 県民の中には、県費からファンドに出資することについて、本当に大丈夫なのか、ちゃんと機能するのかといった懸念や不安を持つ人もおります。そのような懸念や不安を払拭し、県民の支持も得るためには、ぜひ県の政策と連動したファンドを組成し、投資効果が県内に還元されるよう、成功に導いていただくことを要望いたします。 以上で、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。 〔拍 手〕
○副議長(小野寺慎一郎) お諮りいたします。 本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(小野寺慎一郎) ご異議がないと認めます。 よって、本日の質問はこれで終わります。 ───────────────────────────────────────
○副議長(小野寺慎一郎) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 次回の会議は、6月19日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。 午後4時55分 散会...