平成19年 2月 定例会
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026241-諸事項-出席議員等・
議事日程-》 2 月 神 奈 川 県 議 会 会 議 録 第 4 号 定 例 会 〇平成19年2月23日 午後1時6分開議 ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共103名 出 席 議 員 馬 場 学 郎 山 本 俊 昭 渡 辺 ひ と し いそもと 桂 太 郎 し き だ 博 昭 小 島 健 一 沢 木 優 輔 福 田 紀 彦 滝 田 孝 徳 本 村 賢 太 郎 齋 藤 健 夫 仙 田 み ど り 山 本 裕 子 鈴 木 と も 子 藤 間 明 男 小 野 寺 慎 一 郎 鈴 木 ひ で し 赤 井 かずのり 梅 沢 裕 之 嶋 村 た だ し 桐 生 秀 昭 北 井 宏 昭 大 井 康 裕 安 藤 慶 松 崎 淳 大 村 博 信 竹 内 栄 一 福 田 泰 子 ふ じ た ち え こ 長 谷 川 く み 子 小 川 久 仁 子 岩 崎 尊 之 飯 田 誠 嘉 山 照 正 藤 井 深 介 佐 藤 光 森 正 明 土 井 りゅうすけ 杉 山 信 雄 向 笠 茂 幸 岩 本 一 夫 吉 田 大 成 伊 藤 と お る 倉 田 仁 茅 野 誠 石 川 輝 久 み わ 智 恵 美 木 内 ひ ろ し 相 原 高 広 笠 間 茂 治 山 田 泰 之 金 子 武 雄 星 野 剛 士 持 田 文 男 竹 内 英 明 鈴 木 恒 夫 安 藤 博 夫 山 田 文 雄 加 藤 たかひさ 舘 盛 勝 弘 平 本 さ と し 高 谷 清 水 戸 将 史 田 中 肇 はかりや 珠 江 河 野 幸 司 川 上 賢 治 木 内 要 富 田 光 男 此 村 善 人 小 山 和 洋 田 島 信 二 矢 部 房 男 古 沢 時 衛 国 吉 一 夫 新 井 敏 二 郎 松 田 良 昭 榎 本 与 助 牧 島 功 ほ り え 則 之 中 村 省 司 手 塚 悌 次 郎 江 田 実 安 斉 義 昭 大 木 哲 斉 藤 ゆ う き 田 村 政 晴 服 部 圭 介 益 田 は や お 新 堀 典 彦 三 好 吉 清 榎 並 寛 桐 生 忠 一 磯 貝 捷 彦 保 阪 努 村 上 健 司 久 保 寺 邦 夫 横 山 哲 夫 山 田 吉 三 郎 豊 島 き よ し 内 田 あ き ら 東 野 陽 子 武 田 郁 三 郎 欠 席 議 員 木 村 謙 蔵 斎 藤 達 也 説明のための出席者 知 事 松 沢 成 文 副 知 事 尾 高 暉 重 同 大 木 宏 之 出 納 長 陳 岡 啓 子 総務部長 羽 田 愼 司 企画部長 古 尾 谷 光 男 安全防災局長 村 山 正 和 県民部長 山 本 正 人 環境農政部長 小 野 義 博 保健福祉部長 加 藤 進 商工労働部長 松 藤 静 明 県土整備部長 山 田 秀 一 出納局長 守 屋 寛 己 労務担当部長 横 田 和 浩 行政改革担当部長 嶋 田 幸 雄 広域行政担当部長 山 口 英 樹 人権・団体広聴 担当部長 井 出 由 貴 子 次世代育成担当部長 島 津 直 美 環境共生都市整備 担当部長 斉 藤 猛 夫 総務部副部長 古 谷 幸 治 企画部副部長 國 守 英 和 安全防災局副局長 北 村 保 夫 県民部副部長 磯 村 共 庸 環境農政部副部長 長 井 眞 一 保健福祉部副部長 田 中 章 商工労働部副部長 河 鰭 明 県土整備部副部長 新 倉 隆 総務部次長(財政担当)兼財政課長 吉 川 伸 治 税務課長 笹 本 秀 行 教育委員会教育長 引 地 孝 一 同 教育局長 黒 川 雅 夫 同 教育政策担当部長 三 角 秀 行 同 学校教育担当部長 阿 久 澤 栄 警察本部長 井 上 美 昭 警察本部総務部長 金 子 義 治 同 会計課長 関 口 勉 人事委員会事務局長 北 見 好 惟 監査事務局長 渡 部 胖 労働委員会事務局長 山 本 雄 太 郎
選挙管理委員会書記長 笠 井 郁 彦 収用委員会事務局長 髙 瀬 正 美
公営企業管理者企業庁長 小 林 勲 企業庁経営局長 平 松 博 同 水道電気局長 石 井 清 病院事業管理者 病院事業庁長 堺 秀 人 病院事業庁病院局長 栗 原 匡 賢 ─────────────────────────────────────── 議会局出席者 議会局長 久 保 寺 啓 二 議会局副局長 小 野 間 重 雄 同 総務課長 遠 藤 眞 同 議事課長 大 熊 隆 二 同 調査課長 神 保 直 也 ─────────────────────────────────────── 神奈川県議会2月定例会議事日程第4号 平成19年2月23日午後1時開議 第1 定県第 174号議案 神奈川県議会議員及び神奈川県知事の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例第2 定県第 1 号議案 平成19年度神奈川県一般会計予算 定県第 2 号議案 同 年度神奈川県
公債管理特別会計予算 定県第 3 号議案 同 年度神奈川県
公営競技収益配分金等管理会計予算 定県第 4 号議案 同 年度神奈川県
地方消費税清算会計予算 定県第 5 号議案 同 年度神奈川県水源環境保全・再生事業会計予算 定県第 6 号議案 同 年度神奈川県
市町村自治振興事業会計予算 定県第 7 号議案 同 年度神奈川県
農業改良資金会計予算 定県第 8 号議案 同 年度神奈川県
恩賜記念林業振興資金会計予算 定県第 9 号議案 同 年度神奈川県
林業改善資金会計予算 定県第 10 号議案 同 年度神奈川県
沿岸漁業改善資金会計予算 定県第 11 号議案 同 年度神奈川県
災害救助基金会計予算 定県第 12 号議案 同 年度神奈川県
母子寡婦福祉資金会計予算 定県第 13 号議案 同 年度神奈川県
介護保険財政安定化基金会計予算 定県第 14 号議案 同 年度神奈川県
中小企業資金会計予算 定県第 15 号議案 同 年度神奈川県
流域下水道事業会計予算 定県第 16 号議案 同 年度神奈川県
県営住宅管理事業会計予算 定県第 17 号議案 同 年度神奈川県
都市用地対策事業会計予算 定県第 18 号議案 同 年度神奈川県病院事業会計予算 定県第 19 号議案 同 年度神奈川県水道事業会計予算 定県第 20 号議案 同 年度神奈川県電気事業会計予算 定県第 21 号議案 同 年度神奈川県
公営企業資金等運用事業会計予算 定県第 22 号議案 同 年度神奈川県相模川
総合開発共同事業会計予算 定県第 23 号議案 同 年度神奈川県
酒匂川総合開発事業会計予算 定県第 24 号議案 神奈川県子ども・子育て支援推進条例 定県第 25 号議案 神奈川県
留置施設視察委員会条例 定県第 26 号議案 神奈川県職員定数条例の一部を改正する条例 定県第 27 号議案 神奈川県臨時特例企業税条例の一部を改正する条例 定県第 28 号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例 定県第 29 号議案 神奈川県看護師等修学資金貸付条例の一部を改正する条例 定県第 30 号議案 感染症診査協議会条例の一部を改正する等の条例 定県第 31 号議案 神奈川県立の高等職業技術校に関する条例の一部を改正する条例 定県第 32 号議案 神奈川県営の
リロケーション住宅条例の一部を改正する条例 定県第 33 号議案
市町村立学校職員定数条例の一部を改正する条例 定県第 34 号議案 警察組織に関する条例の一部を改正する条例 定県第 35 号議案 神奈川県
地方警察職員定数条例の一部を改正する条例 定県第 36 号議案 建設事業等に対する市町負担金について 定県第 37 号議案 神奈川県及び東京都の境界にわたる相模原市と町田市の境界変更について 定県第 38 号議案 境界変更に伴う財産処分に関する協議について 定県第 39 号議案
全国自治宝くじ事務協議会規約の一部変更について 定県第 40 号議案 関東・中部・
東北自治宝くじ事務協議会規約の一部変更について 定県第 41 号議案 包括外部監査契約の締結について第3 定県第 142号議案 平成18年度神奈川県一般会計補正予算(第5号) 定県第 143号議案 同 年度神奈川県
公債管理特別会計補正予算(第1号) 定県第 144号議案 同 年度神奈川県
地方消費税清算会計補正予算(第1号) 定県第 145号議案 同 年度神奈川県
市町村自治振興事業会計補正予算(第1号) 定県第 146号議案 同 年度神奈川県
農業改良資金会計補正予算(第1号) 定県第 147号議案 同 年度神奈川県
林業改善資金会計補正予算(第1号) 定県第 148号議案 同 年度神奈川県
災害救助基金会計補正予算(第1号) 定県第 149号議案 同 年度神奈川県
介護保険財政安定化基金会計補正予算(第1号) 定県第 150号議案 同 年度神奈川県
中小企業資金会計補正予算(第2号) 定県第 151号議案 同 年度神奈川県
流域下水道事業会計補正予算(第1号) 定県第 152号議案 同 年度神奈川県
県営住宅管理事業会計補正予算(第1号) 定県第 153号議案 同 年度神奈川県
都市用地対策事業会計補正予算(第1号) 定県第 154号議案 同 年度神奈川県
病院事業会計補正予算(第1号) 定県第 155号議案 職員の大学院等派遣研修費用の償還に関する条例 定県第 156号議案 神奈川県
障害者自立支援対策臨時特例基金条例 定県第 157号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例 定県第 158号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例 定県第 159号議案 介護保険法施行条例の一部を改正する条例 定県第 160号議案 神奈川県都市公園条例の一部を改正する条例 定県第 161号議案 神奈川県建築基準条例の一部を改正する条例 定県第 162号議案 神奈川県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例 定県第 163号議案 県立学校の証明書交付手数料等の徴収に関する条例の一部を改正する条例 定県第 164号議案 神奈川県
道路交通法関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 165号議案 工事請負契約の締結について(
主要地方道藤沢鎌倉線大仏隧道歩道整備工事請負契約) 定県第 166号議案 工事請負契約の変更について(神奈川県防災行政通信網(有線系)整備工事請負契約) 定県第 167号議案 特定事業契約の締結について(花と緑のふれあいセンター特定事業契約) 定県第 168号議案 不動産の取得について 定県第 169号議案 不動産の取得について 定県第 170号議案 動産の取得について 定県第 171号議案 指定管理者の指定について(花と緑のふれあいセンター) 定県第 172号議案 建設事業に対する市町負担金について 定県第 173号議案 損害賠償の額の決定について 県報第6号 専決処分について承認を求めること(平成18年度神奈川県一般会計補正予算(第4号)) 県報第7号 専決処分について承認を求めること(平成18年度神奈川県
水道事業会計補正予算(第1号))第4 議員提出第10号議案 相模原市、津久井郡津久井町及び同郡相模湖町の廃置分合に伴う神奈川県議会議員の選挙区及び選挙すべき議員の数の特例に関する条例の一部を改正する条例第5 認第2号 平成17年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定について第6 請願第97号 生活保護の「母子加算」廃止に反対する国への意見書を求める請願 請願第98号 神奈川県営住宅の制度改悪をせずに改善を求める請願 請願第99号 最低保障年金制度の創設を求める請願 請願第100号 神奈川の働く青年の実態をつかみ、改善・解決にむけた対策を求める請願 ───────────────────────────────────────
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026242-諸事項-諸報告・
提案説明等-》 〔議会局長報告〕 出席議員 議長共82名
○議長(中村省司君) 休会前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(中村省司君) 本職あて文書が提出されておりますので、書記に朗読させます。〔書記朗読〕 ─────────────────────────────────────── 条例案提出書 相模原市、津久井郡津久井町及び同郡相模湖町の廃置分合に伴う神奈 川県議会議員の選挙区及び選挙すべき議員の数の特例に関する条例の 一部を改正する条例案 上記条例案を
神奈川県議会会議規則第12条の規定により、次のとおり提出します。 平成19年2月20日 神奈川県議会議長 中 村 省 司 殿 提出者 神奈川県議会議員 国 吉 一 夫 同 安 斉 義 昭 同 相 原 高 広 同 山 田 泰 之 同 山 本 俊 昭 同 小 島 健 一 同 鈴 木 ひでし 同 梅 沢 裕 之 同 杉 山 信 雄 同 向 笠 茂 幸 同 茅 野 誠 同 笠 間 茂 治 同 持 田 文 男 同 江 田 実 同 益 田 はやお 同 榎 並 寛 同 磯 貝 捷 彦 同 保 阪 努 同 東 野 陽 子 ─────────────────────────────────────── 財第182号 平成19年2月23日 神奈川県議会議長 中 村 省 司 殿 神奈川県知事 松 沢 成 文議案の提出について 開会中の県議会2月定例会に提案する条例その他の案件を別冊のとおり提出します。 ─────────────────────────────────────── 人委第272号 平成19年2月21日 神奈川県議会議長 中 村 省 司 殿 神奈川県人事委員会委員長 齊 藤 毅 憲 条例案に対する意見について(回答) 平成19年2月15日付け神議第91号をもって意見を求められました条例案について、次のとおり意見を申し述べます。〔本会議録巻末148頁参照〕 ───────────────────────────────────────(請願:議事日程参照) ───────────────────────────────────────
○議長(中村省司君) この際申し上げます。 お手元に配付いたしましたとおり、みわ智恵美君及び長谷川くみ子君から質問趣意書が提出されておりますので、執行機関に送付しますから、ご了承を願います。〔本会議録巻末138頁参照〕 受理いたしました陳情書は、お手元に配付いたしました文書表のとおり、所管委員会に付議いたしましたので、ご了承を願います。 なお、監査委員報告書が提出されておりますので、お手元に配付してありますから、ご了承を願います。 ───────────────────────────────────────
○議長(中村省司君) これより日程に従い、審議を行います。 日程第1、定県第174号議案 神奈川県議会議員及び神奈川県知事の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。 議案の朗読は省略いたします。〔本会議録巻末102頁参照〕 知事の説明を求めます。 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
◎知事(松沢成文君) ただいま提案いたしました神奈川県議会議員及び神奈川県知事の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例について、ご説明申し上げます。 現在開会中の国会において、地方公共団体の長の選挙におけるビラの頒布を解禁するとともに、知事及び市長選挙では、それぞれ条例で定めることにより、頒布するビラの作成を無料にできることを内容とする、公職選挙法の一部を改正する法律が成立し、3月22日に施行されることとなりました。 そこで、本県においても、法律の規定に準じ、一定の得票を得た候補者等については、頒布するビラの作成費用を公費負担とするよう所要の改正を行うものであります。 よろしくご審議の上、ご議決くださいますようお願いを申し上げます。 ───────────────────────────────────────
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026243-質問・答弁-磯貝捷彦議員-一般質問①道徳教育について②廃棄物対策について③かながわのみどりの保全と再生について》
○議長(中村省司君) 次に、ただいま説明のありました日程第1と日程第2及び日程第3をあわせ、一括して議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 磯貝捷彦君。〔磯貝捷彦君登壇〕(拍手)
◆磯貝捷彦君 議長のお許しをいただきましたので、私は自民党県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。 先輩並びに同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。知事並びに教育長におかれましては、明快かつ率直なご答弁をお願いいたします。 質問の第1は、道徳教育についてであります。 昨年の12月、教育基本法が改正されました。これまでの教育基本法が掲げてきた普遍的な理念を継承しつつ、公共の精神等、日本人が持っていた規範意識を大切にする中で、それらを醸成してきた伝統と文化の尊重など、教育の目標として、今日、特に重要と考えられる事柄が新たに定められたところであります。 また、このたび、政府の教育再生会議から第1次報告が提出されましたが、この報告の中には、「我が国が永年培ってきた倫理観や規範意識を子供たちが確実に身に付け、しっかりとした学力と人格を磨き、幅広い人間性と創造性、健やかな心身をもって、21世紀に羽ばたいて欲しい」と記載されております。それを読んでみますと、この二つに共通しているのは、日本が永年培ってきた倫理観や規範意識の重要性が改めて問われている、こういうことではないでしょうか。 また、現実に目を転じてみますと、校内暴力を初めとした児童・生徒の問題行動、そして、いじめや不登校なども依然として極めて深刻な状況にあります。これらのことから、子供たち自身がまず自分を認め、そして、お互いを認め合っていく、こうした関係づくりというものが、子供たちの中でも難しくなってしまっているのではないかということがうかがわれるところであります。 そこで、皆さんもよくご存じだと思いますが、私の郷土、小田原の偉人である二宮尊徳先生、まさに先生の思想というものが、今学校現場で起きている、こういう問題の解決に大いに参考になると思います。二宮尊徳先生が亡くなって、一昨年で150年を迎えました。小田原市ではそれを記念いたしまして、小学生向けの読み物資料「二宮金次郎物語」を作成しております。私は、二宮尊徳先生の思想や実践は、150年以上経過した今日でも十分に生きて働く内容であると思っております。 まず、二宮先生と言えば、やはり何と言っても勤労の精神であります。人間にとって、身をもって働くということが大切でありますが、何かを手に入れるためだけに働くのでは本当の勤労でないと先生は言っています。受けた恩徳にお返しをするために、自分の徳を生かして働くことが大切であり、また、そのような働きが人間を向上させることにつながる、こう尊徳先生は説いておりました。 また、二宮尊徳先生は「譲る」ということを大変大切に考えておりました。世のため、人のために譲るということが人間の行いとして大切なことであり、この譲り合うということで、初めて人間らしい生活ができると説いております。譲り合うものは、物やお金だけではありません。力を譲ること、つまり、力をかすこと、手助けをすること、今で言えば、まさにボランティア活動や奉仕活動がそれに当たると言えましょう。 最近、こうした先生の謙譲の教えを、「笑顔であいさつ」「ありがとう」「お先にどうぞ」「もったいない」「使った道具は元に戻す」といった五つの言葉に、今こそ、その実践を皆で進めていこう、こうした運動も私の地元では行われていることを承知しております。 こうした二宮先生の説く、人間として大切にすべき教えを、学校教育の教材の一つとして扱うことは、子供たちに勤労の大切さ、自然の恵みに感謝する心、そして、人と助け合って生きること等を教えることになり、これは大変意義あることではないかと思っております。 一方、小中学校では、道徳の時間を中心に、こうした倫理観や規範意識といったものの指導が行われていることは承知しております。また、現在、学習指導要領には、道徳教育の目標として、「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心を持ち、個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努める」と規定されているとのことであります。 当然ながら、学習指導要領に基づくこうした指導が、各学校において行われていると思いますが、とかく形式的になりがちであり、きちんと子供たちの心に響くような指導にはなっていないのではないかと危惧しているところであります。 そこで、教育長にお伺いします。 歴史ある神奈川には、二宮尊徳先生を初め、身近なところにも数多くの学ぶべき方々がいらっしゃると思います。こういった先人の生き方やその努力に触れ、そこから子供たち自身が学び、そして、みずからの生き方にきちんと生かしていくような学習が、今まさに大切なのではないでしょうか。 こうした先人の生き方を学校現場で取り上げ、道徳教育の充実を図っていくことについて、県教育委員会としては、どのようにお考えになっているのか、教育長のご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、廃棄物対策についてであります。 資源小国日本が発展していく上からも、循環型社会に向けた廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再利用(リサイクル)、いわゆる「スリーアール(3R)」の推進について伺います。 我が国の経済は、大量生産・大量消費により、目覚ましい発展を遂げてまいりました。発展により、我々は多くの物を得てきました。一方で、多くの大切なものを失ってきたように感じます。物の豊かさが増せば増すほど、反面、心の豊かさを失ってきた感を抱いているのは私だけでしょうか。 豊かな自然環境、水や空気、森や緑、きれいな川や海などは、まさにその最大のものと言えます。大量生産・大量消費の陰で、産み出された廃棄物は増大し、最終処分場の逼迫や大量の不法投棄など、さまざまな社会問題が発生したことから、喫緊の課題として廃棄物対策の充実が求められております。 こうした中で、廃棄物を単に処分すべき対象としてではなく、貴重な資源としてとらえ、廃棄物の発生抑制・再使用・再利用、いわゆる3Rの取り組みを通して、天然資源の消費を減らし、環境への負荷が少ない循環型社会を構築していくことが、資源に乏しい我が国にとって、持続可能な発展を実現していくために重要な課題と位置づけられるようになってきました。 廃棄物の発生を極力抑制し、使用済み製品の再使用を図り、廃棄物として排出されてしまったものについては、極力、リサイクル、再商品化を推進することにより、限りある資源の有効利用につながっていくのであります。まさに、「もったいない」の精神でございます。 そこで、まず、平成7年には「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」、いわゆる「容器包装リサイクル法」が施行され、平成13年には循環型社会の構築に向けた基本的な枠組みを定めた「循環型社会形成推進基本法」が施行されました。その後、さらに、いわゆる「家電リサイクル法」や「食品リサイクル法」など、私たちの生活や産業活動に密接にかかわる各種リサイクル法が整備されて、循環型社会を実現するための法体系がつくられてきているところでございます。 こうした各種リサイクル法は、それまでの事業者や消費者の取り組み状況を踏まえて、順次見直しがされているところであり、昨年6月には、私たちの生活に身近な、瓶、ペットボトルやレジ袋などに関する「容器包装リサイクル法」が改正され、この4月から施行されると承知しております。 環境省の調査によると、家庭から出される生活系ごみのうち、容器包装廃棄物は容積比で約60%もの割合を占めているとのことであり、この法律により、消費者が分別排出し、市町村が分別収集し、事業者が再商品化するという、おのおのの役割分担を明確にし、今回の法改正により、さらに容器包装廃棄物にかかわる効果的な3Rの推進を図り、容器包装廃棄物の排出削減の促進等を強化していこうとするものであります。 特に、レジ袋の総量縮減には、従来からマイバッグの推奨などが進められてきましたが、今回の法改正にあわせて、一部のスーパーなどでは、容器包装の使用量の減量のため、これまでの取り組みをさらに進め、レジ袋の有料化の取り組みを始めており、それらに関連する記事が最近の新聞紙上をにぎわせています。 そこで、知事にお伺いをいたします。 こうしたペットボトルやレジ袋などの容器包装について、3Rの取り組みの現状と課題をどのように受けとめ、本県としてどのように取り組んでいこうとしているのか、知事の所見をお伺いします。 次に、我々の生活に密接にかかわりのある、食品の廃棄物に関して伺います。 我が国の食料自給率はわずか40%であり、多くの食糧を外国から輸入している状況でございます。先進国のオーストラリアを見ますと、自給率が260%だと思います。アメリカ、フランスも120%を超えているんではないでしょうか。ドイツでさえ100%近くございます。先進国で低いイギリスでさえ、70%近い自給率をもっております。 このような状況にありながら、家庭から出るごみは全国で約3,500万トンあり、このうち3分の1が食べ物のごみと言われています。これは、日本で1年間に農家の方々が一生懸命働いてお米をつくった量を上回る、ものすごい量でございます。 世界中の各地では、毎日毎日、多くの人々が飢餓、あるいは飢餓に関連した死因で亡くなっていたり、栄養失調で苦しんでいるという現状があることを考え合わせますと、食べ物の多くを外国からの輸入に依存しながら、大量の食べ物を捨てている我が国の現状は大きな問題であり、大いに反省しなければなりません。 我が国では、人々の生活が豊かになったことに伴い、食べ残しや売れ残りなどが食品廃棄物として大量に捨てられています。こういう現状においては、食品廃棄物の発生を抑制し、資源として有効利用し、循環型社会を目指すための食品リサイクルの取り組みを積極的に推進していく必要があります。 このような背景の中、平成13年5月に施行された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」、いわゆる食品リサイクル法では、基本的な方針の中で、再生利用等の手法に関する優先順位を定めております。 まず第1に、生産、流通、消費の各段階で、食品廃棄物そのものの発生を抑制することを求めています。第2に、再資源化できるものは、肥料や飼料などへの再利用を行うこととしており、第3には、廃棄されるものは脱水、乾燥などで減量して、処分がしやすいようにすることが必要であるとしております。 食品廃棄物そのものの発生を抑制する上では、まさに我々消費者すべてが、食べ物をむだにしてはいけないという、ごく当たり前の気持ちを持つことが非常に重要だと考えます。 昨今、給食費を払っているのに、「いただきます」と言わせるのはおかしいと言う親がいるということを聞いたことがあります。我々人類は、人間だけで生きているわけではありません。多くのものに依存しながら生かされているのであります。特に、自然に生かされているということをよく認識すべきだと考えます。人類は他の動植物の命をいただいて成り立っております。また、多くの、豊かな、自然の恵みを享受することにより成り立っているということを理解すれば、おのずから「いただきます」という、食べ物に感謝する気持ちが出てくるはずです。食べ物に感謝する気持ちを育てることが、食育のテーマの第1であると言っても過言ではないと考えます。 県では、現在、食育推進の計画づくりに取り組んでいますが、食べ物に対する感謝の気持ちを育てるという視点も含めて検討していただくとともに、計画をできるだけ早期に策定していただくよう強く要望させていただきます。そして、食育を進めていくことが、食べ物のつくり過ぎ、買い過ぎ、頼み過ぎの解消につながることを大いに期待しているところであります。 このように、食品廃棄物をできるだけ出さないという、発生抑制は、最も大切なことであり、食育などの取り組みを通し、県民や事業者などへ普及啓発していくことは非常に重要なことであります。 しかしながら、発生抑制に取り組んでいながら、やむを得ず、発生してしまう食品廃棄物については、再生利用に取り組むことも必要であります。食品廃棄物の再生利用を進める上では、再生施設の立地場所の問題や、再生品の原料となる食品廃棄物の品質・量が安定的に入手できるかという問題、また、廃棄物を再生して、できた肥料や飼料などの供給先の確保の問題など、課題が多いことも認識しております。しかしながら、食品廃棄物を肥料や飼料等に再生利用することは、食品循環資源の有効活用を図る上で極めて効果があり、県としても何らかの支援をすべきと考えます。 そこで、知事にお伺いします。 食品リサイクル推進のため、食品廃棄物の再生利用に関する取り組みについて、県としてはどのように支援していくのか、所見を伺います。 質問の第3は、神奈川の緑の保全と再生についてであります。 丹沢大山の自然再生について伺います。 本県の森林面積は約9万5,000ヘクタールあり、県土面積の約4割を占めており、その大部分が、箱根、湯河原の県西部地域から、丹沢大山国定公園を挟んで、津久井地域までの山々の連なりの中に広がっております。これらの森林では、林業活動が行われるとともに、高い水源涵養機能を維持し、多種多様な野生の動植物をはぐくみ、首都圏近郊のレクリエーションの場としても活用されております。 歴史的に見ても、このような森林を生かして、戦国時代には、北条氏の居城が、箱根という天然の要害を背景に小田原に築かれ、商工業が発達し、酒匂川の水利を生かし穀倉地帯として開けた足柄平野とともに、地域の経済圏が形づくられてまいりました。 丹沢大山を取り巻く地域では、江戸時代から昭和の中ごろまで、木炭やまきの生産が盛んに行われ、森林と地域社会、経済とが密接なかかわりを持っており、地域の人が森林を育て、森林が人に恵みを与えておりました。 現代では、森林の恵みである清流を生かした多くの工業集積が進んでおり、これまで培われた田園風景とともに、自然と都市、産業が調和し、潤いと活力、魅力あふれる地域づくりを目指しているところであります。 こうした県民生活に欠かせない神奈川の緑の保全と再生を進めていくことの重要性は、これまでも申し上げてきたところでありますが、今これらの森林の中でも、県土の骨格をなし、自然環境の拠点の一つである丹沢大山が危機的な状況にあります。丹沢大山は、昭和40年に、豊富な自然を有していることを背景に、その中心部が丹沢大山国定公園に指定され、このうち、丹沢山などの稜線部周辺の区域は、特別保護地区として貴重な動植物の保全を図ったという経緯があります。 しかしながら、現在、その貴重な自然が守られているはずの稜線部では、ブナの立ち枯れ、ニホンジカの増加によるササなどの林床植生の衰退など、貴重な自然環境が悪化しております。また、丹沢大山にとどまらず、その周辺部では、山間部を通る中央自動車道や東名高速道路にまでニホンジカが出没するなどの現象がたびたび報告されております。最近では、丹沢より遠く離れた小田原の酒匂川の河口にもニホンジカが4頭も目撃されるなど、シカの分布は広がっている状況にあるようで、この原因は、生命の源である丹沢大山の森林などの自然の生態系が崩れ始めていることにあるのではないかと思うところでございます。 このような丹沢大山の危機的な状況を見かねて、平成16年度から、丹沢大山の自然に関心を寄せ、その保全に熱意を持つ民間団体や関係機関、専門家など、多様な人々が参加し、丹沢大山全域にわたる自然環境調査を行うための実行委員会を設立し、「丹沢大山総合調査」が実施されました。この調査により、丹沢大山の自然環境の現状が明らかにされ、昨年7月には、丹沢大山総合調査実行委員会が、政策提言書として「丹沢大山自然再生基本構想」を取りまとめ、発表いたしました。 調査結果によれば、丹沢大山の稜線部では、ニホンジカの生息密度が高密度化したことに伴い、ササなどの林床植生が大量に食べられることによって植生が衰退してしまい、森林の基盤であり、水源の涵養機能を担う森林土壌の流出や、これに伴う森林土壌の乾燥化により、ブナなどの衰弱や枯損が広がるなど、丹沢大山は危機的な状況にあることが報告されました。 また、この森林土壌が流出し、渓流へ流れ込むことによる、イワナやサンショウウオなどの生きものへの影響や丹沢の希少な動植物の減少、アライグマなどの外来生物の侵入などの問題も指摘されております。 このような状況を調査した丹沢大山総合調査実行委員会は、このままでは丹沢大山は取り返しのつかない状態になるという警告を発しております。もともと丹沢大山はかけがえのない貴重な自然の宝庫であり、そのような自然を守り、あるいは修復して、次世代へ引く継ぐことは、私たちに課せられた責務であると考えます。 県では、この丹沢大山総合調査の結果を踏まえて、丹沢大山の豊かな自然環境の保全と再生を目指し、平成11年に策定した、現行の「丹沢大山保全計画」の改定作業を進め、改定計画案を取りまとめたと聞いております。計画の名称は「丹沢大山自然再生計画」とし、新たに「自然再生」という視点を盛り込んで、丹沢大山の再生を目指すこととしております。 そこで、知事に伺います。 現行計画で取り組んできた、これまでの施策の反省点や丹沢大山総合調査実行委員会からの政策提言を踏まえ、どのような考え方で計画を見直したのか、知事の所見を伺います。 次に、自然再生の具体的な対策である、ブナ林の再生、ニホンジカの保護管理について伺います。 自然環境に関する諸問題は予測が難しく、具体的な対策を講じたとしても、必ずしも予想どおりの結果にならないという難しさがあることは周知の事実であります。丹沢大山の諸問題についても、相互に密接に関連しており、一つの問題を解決するためには、同時に幾つかの問題に取り組む必要があるなど、問題解決の難しさがあります。 しかし、すべてを同時に解決することは極めて困難であり、とにかくできるところから、こつこつと、こつこつと、取り組みを進めていく必要があると考えます。このまま手をこまねいているわけにはいきません。現状を踏まえると、丹沢大山の再生は待ったなしの現状であります。 そこで、知事に伺います。 丹沢大山の自然再生に向けて、今回の計画見直しにおいて、まず喫緊の課題と考えられるブナ林の再生やニホンジカの保護管理について、どのように取り組もうとしているのか、知事の所見を伺います。 以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
◎知事(松沢成文君) 磯貝議員のご質問に順次お答えをいたします。 まず初めに、容器包装に関して、3Rの取り組みの現状と課題、本県の取り組みについてのお尋ねがございました。 まず、現状と課題でありますが、家庭から出される容器包装は、市町村が分別収集する一般廃棄物であり、市町村がその責任において処理をし、県はそれに対して支援を行っているところであります。このうち、缶、瓶、ペットボトル、プラスチック製容器包装など8品目は、容器包装リサイクル法に基づき、リデュース、リユース、リサイクルの3Rを推進しております。 一つ目のリデュース、発生抑制については、リサイクル費用の負担を軽減するため、事業者側では容器包装を製造の段階で軽量化したり、厚さを薄くするなどの取り組みを進めております。しかし、県内の一般廃棄物の排出量は、分別収集が開始された平成9年度に約368万トンであったものが、平成16年度でも約361万トンと、ほぼ横ばいの状況にあります。 二つ目のリユース、再使用については、イベント会場などでリユースカップが導入されたり、ビール瓶や牛乳瓶などのリターナブル瓶の利用が図られておりますが、リターナブル瓶は、より軽い缶や紙パックなどが消費者に選ばれておりますので、その使用量は減少傾向にあります。 三つ目のリサイクル、再生利用については、市町村による分別収集の進展に伴い、リサイクル量も増加しており、ペットボトルやガラス瓶などから、再びリサイクル製品がつくられるなど、取り組みが進んでおります。県内のリサイクル量は平成9年度に約9万トンであったものが、平成17年度には約22万トンと、約2.5倍の増加となっております。 3R全体に係る課題といたしましては、市町村にとっては分別収集や保管等に要する費用が、事業者にとってはリサイクルに要する費用が、ともに大きな負担となっていることが挙げられます。また、3Rを進めていくためには、何より県民の皆様の理解と協力が不可欠であり、効果的な周知・普及を図っていく必要があります。 今回の法改正では、大量に利用され、削減が進まない、レジ袋などの容器包装廃棄物の排出抑制を促進するため、一定量以上の容器包装を利用する小売業者に対し、取り組み状況の報告を義務づけるなどの措置が図られました。 次に、本県の取り組みでございますが、3Rの普及については、「県のたより」や、昨年5月に開設したホームページ「かながわリサイクル情報」で県民の皆様に情報提供を行っております。また、3R推進月間の10月には、環境にやさしい買い物キャンペーンを展開し、簡易包装への協力や、消費者に買い物バッグの利用などを呼びかけております。 さらに、八都県市が連携して、事業者に「容器包装ダイエット宣言」を働きかけたり、サッカーのJリーグなどの協力により、試合会場でリユースカップを使用したキャンペーンを実施いたしました。 今後、容器包装の3Rを推進するには、消費者、事業者の理解と協力がさらに必要となってまいりますので、県としては、市町村や八都県市、関係団体と連携をより密にして、消費者や事業者に、より効果的にその重要性を訴え、協力を求めていきたいと考えております。 次に、食品廃棄物再生利用に対する県の支援についてのお尋ねをいただきました。 議員お話しのとおり、食品リサイクルを推進することは、循環型社会を構築する上で大変重要なことであると認識しています。 そこで、県といたしましては、現在、食品廃棄物を肥料や、家畜のえさとなる飼料などに再生し、活用する取り組みに対して支援を行っているところであります。 例えば、平成17年度から、大和市では、学校給食から出る調理くずなどの食品残渣を堆肥化し、農家に提供する、その堆肥を利用して栽培された農作物を学校給食で使用し、あわせて子供たちに食品リサイクルに関する理解を深めてもらおうという事業を実施しております。県では、この取り組みを推進するために、大和市に対し、生ごみ処理機の整備やリサイクル推進のための協議会の開催などに支援を行っているところでございます。 また、今年度、藤沢市内の民間業者では、市内のスーパー、コンビニ等の事業所から排出される食品廃棄物を家畜の飼料として利用する取り組みを進めており、県では、この事業者に対し、飼料を製造する施設の整備に支援を行っているところでございます。 このほか、畜産技術センターでは、職員提案事業として、平成18年度から、厚木市内で、学校給食残渣の有効活用を通した食育モデル事業に取り組んでおります。具体には、小学校23校、食品残渣飼料化工場、養豚農家、豚肉加工施設の4者を結びつけ、給食残渣を飼料化し、その飼料で育った豚肉をソーセージに加工して、給食に使用するという食の循環を構築する、この過程を通じて子供たちに資源や命の大切さを学んでもらおうという活動でございます。 このような食品廃棄物の再生利用をさらに進めるためには、良質で安全な肥料、飼料をつくることや、供給先を確保することが大きな課題となっております。そこで、農業技術センターでは、良質な堆肥を安定して供給するため、堆肥の品質判断技術の研究を進めております。また、畜産技術センターでは、低コストで良質、安全な飼料の製造方法についての研究を進めており、事業者に対して、情報提供などの技術的支援を行ってまいりたいと考えております。 また、供給先の確保につきましては、本県での利用には限度がありますので、他県での利用も視野に入れ、国に対し、食品廃棄物による飼肥料の、供給地域と利用地域を結ぶ広域的なネットワークの整備を図るなど、再生利用を促進する取り組みを進めるよう要望しているところでございます。 県といたしましては、こうした取り組みを通じまして、食品廃棄物のリサイクルの一層の推進を図ってまいりたいと考えております。 最後に、神奈川の緑の保全と自然再生について、2点お尋ねをいただきました。 まず、丹沢大山保全計画の見直しの考え方についてでございます。 丹沢大山の保全対策につきましては、現行の丹沢大山保全計画に基づき、ブナ林や林床植生等の保全、大型動物個体群の保全、希少動植物の保全、オーバーユース対策という四つの課題について取り組んでまいりました。 その結果として、ニホンジカ保護管理の開始や植生保護柵の設置による林床植生の回復など、一定の成果は認められました。しかしながら、事業量や事業間の連携、科学的知見、これらが十分でない中での事業実施であったことなどにより、自然環境の衰退に歯どめをかけるには至っていないのが現状でございます。 その上、平成16年度から、改めて丹沢大山の現状を調査された丹沢大山総合調査実行委員会からは、ブナの立ち枯れ、林床植生の衰退に加え、土壌流出や生物多様性の低下などの新たな課題が生じているとのご指摘をいただきました。 このほか、実行委員会からは、課題への処方せんとして、とるべき具体的な施策のほか、自然再生という考え方に立ち、統合型管理、順応型管理、参加型管理といった新たな仕組みを取り入れながら、現行計画を見直すべきとの提言もいただきました。丹沢大山という貴重な財産をお預かりしている知事として、この提言を大変重く受けとめており、きちんと対処していかなければならないと認識しております。 そこで、現行計画に対する反省と、いただいた提言を踏まえ、丹沢大山の抱える諸課題の解決のために、現行計画の枠組みを大幅に見直すことといたしました。 見直しのポイントでございますが、1点目として、丹沢大山が抱える課題を、単に保全するだけではなく、積極的に人の手を加え、失われた自然環境を取り戻すという「自然再生」の視点から幅広くとらえ直し、計画の名称も「丹沢大山自然再生計画」といたしました。具体的には、現行計画の四つの課題に、新たに「人工林の再生」、「渓流生態系の再生」などを加えまして、八つの課題を設定し、これらの課題解決に優先的に取り組むこととしております。 二つ目として、複数の課題を抱え、自然環境の衰退が深刻化している東丹沢の堂平などの三つの地域については、統合型管理の視点から、ブナ林の再生や人工林の再生、ニホンジカの保護管理などの事業を集中・連携して、課題解決に取り組むこととしております。 3点目として、着実に自然再生を進めるため、事業の進捗や自然環境の状態をモニタリングし、柔軟に見直しを行っていく順応型管理の仕組みを取り入れることとしております。 4点目として、県民参加により、計画の推進を図るため、丹沢大山の自然保護団体や学識者、企業など、多様な主体により設立されました「丹沢大山自然再生委員会」に、計画の進捗や効果などを点検・評価していただくこととしております。 今後は、この新たな計画に基づき、県として着実に事業を進めることはもとより、丹沢大山自然再生委員会と連携を図りながら、県民協働により自然再生に取り組んでまいる所存でございます。 次に、丹沢大山が抱える喫緊の課題として、ブナ林の再生とニホンジカの保護管理についてお尋ねがありました。 私自身も知事就任後、丹沢には3度登り、状況の深刻さを実感しております。 まず、ブナ林の再生についてでございますが、現在、丹沢大山の主稜線一帯においては、ブナの立ち枯れやシカの採食圧による林床植生の衰退、土壌流出が生じている状況であり、ブナ林の再生とニホンジカの保護管理を一体的に進める必要があると考えております。 そこで、林床植生の回復を図るため、植生保護柵を集中設置するとともに、土壌流出が著しい地域では、土留工法と植生保護柵を組み合わせて、土壌の安定を図ってまいります。 さらに、ブナ林の衰退が著しい場所では、現地で採取した種子から苗木を生産し、植栽するなど、ブナ林の再生を促してまいります。また、ブナ林の衰退原因を解明するため、光化学オキシダントなどによる大気の影響やブナの葉を食べるハバチの大量発生原因、土壌の乾燥化がブナに及ぼす影響などについて、さらに調査研究を進め、順次対策を講じていきたいと考えております。 次に、ニホンジカの保護管理についてでございますが、ブナ林のある標高の高い地域、つまり高標高域と、農業被害の発生をしている山麓部において、管理捕獲を中心に個体数を低減し、その間の中標高域を主な生息域として適正な密度に誘導してまいります。個体数低減の考え方ですが、これまでは推計生息数の下限値2,400頭を基数としておりましたが、改めて生息数推計を行った上で、推計生息数の中央値4,100頭を基数として、地域個体群の維持に必要な1,500頭を下回らない範囲で、管理捕獲や狩猟による低減をすることといたしました。 具体的には、高標高域では県が行う管理捕獲を強化し、生息密度を1平方キロメートル当たり5頭未満とし、ほとんどニホンジカが見られない状態といたします。山麓部では、市町村等が行う農業被害軽減のための捕獲や獣害防護柵の設置により、ニホンジカの定着解消を図り、さらに中標高域を含めた狩猟につきましては、メスジカ猟の解禁や捕獲頭数の制限緩和により捕獲の促進を図ってまいります。なお、中標高域では捕獲する一方で、間伐等により林床植生を回復させて、将来的にはニホンジカが安定して生息できる環境を整えてまいります。 このようにブナ林の再生とニホンジカの保護管理について、着実な取り組みを進める考えでございますが、林床植生に大きな影響を与えているニホンジカについては、5年間で適正な生息数になるよう努めてまいる考えでございます。 私からの答弁は以上でございます。〔教育長(引地孝一君)発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 引地教育長。
◎教育長(引地孝一君) 教育関係についてお答えいたします。 先人の生き方を取り上げて、道徳教育の充実を図ってはどうかというお尋ねがございました。 今の子供たちの学習や生活の状況をめぐりましては、学習意欲や学習習慣が十分でないという指摘とあわせまして、自分を大切にする心や人を思いやる心、さらには規範意識が十分はぐくまれていないといったことが言われております。こうした中で、議員のお話にございました、二宮尊徳先生の勤労の精神や謙譲の教えなどを、学校教育の中で教材として取り上げることは、子供たちの豊かな人間性をはぐくむ上で大変意義があることと受けとめております。 現在、小中学校の道徳教育は、学習指導要領に基づきまして、道徳の時間を中心として、各教科や特別活動、総合的な学習の時間など、さまざまな場面で行われておりまして、県内の小中学校では、二宮尊徳先生を初め、横浜市では、「吉田新田」の開発に力を尽くした吉田勘兵衛、厚木市では「夕焼け小焼け」の作詞者である中村雨紅、また、伊勢原市では、身近な話題として、伝統の味を守った地元の豆腐店など、地域の偉人・先人の業績を取り上げまして、子供たちの心に響く道徳教育の推進に努めているところもございます。 さらに、市町村や県でも、身近な地域の人々の努力や功績を載せた資料を作成しておりますので、そうした教材を活用して学んでいる学校もございます。 こうした身近な偉人・先人のすばらしい生き方や努力に触れながら、みずからの生き方や自分たちの身近な問題を考えていく学習は、自分の力で困難なことにチャレンジし、なし遂げていく喜びを子供たちに教えるものであり、子供たちの生きる力をはぐくんでいく上で、極めて大切なことと考えております。 そこで、県教育委員会といたしましては、学校みずからが地域に目を向け、地域の先人たちの生き方など、子供たちにとって身近な話題を発掘し、教材として積極的に活用していくよう、市町村教育委員会に働きかけをしてまいりますとともに、こうした教材等についての情報を提供するなど、各学校における道徳教育のさらなる充実を支援してまいります。 以上でございます。〔磯貝捷彦君発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 磯貝捷彦君。
◆磯貝捷彦君 自席からの発言をお許しいただきたいと存じます。 今、知事、教育長からご答弁いただきましたが、道徳教育でございますが、私は中学か高校のときに、あるお寺でこういうことが書いてあったんですね。人はただ一人では生きられない、多くの物や人に支えられ、生かされている、その恩に報いる道は、人を生かし、物を生かすことであると書いてあったのを、今でも私は覚えております。これは、本当に二宮先生の教えと一体だと思っております。そういう意味で、教育長、これから学校教育の場で道徳教育の充実を強く要望いたします。 それから、丹沢大山の緑の保全・再生、特に再生には力を入れていくということですが、ぜひ神奈川の―私は水源の森だと思っていません。私は生命の森と思っておりますから、ぜひそういう取り組みで取り組んでいただくことをお願いいたします。 知事は、富士箱根伊豆地域の活性化に向けて、山梨・静岡・神奈川の三県及び圏域市町村が一体となった広域的な推進体制の強化に取り組むとともに、県域を越えた連携事業を展開し、交流圏整備を進めているということですね。昨年10月には、山梨・静岡・神奈川の三県サミットも開催され、活発な議論がされたことも承知しております。 箱根などの県西地域は、自然が豊富で、貴重な観光資源の地位を占めております。これから、丹沢大山だけではなく、箱根などの県西地域も一体とした自然環境の保全の取り組みについて、ぜひ早急に調査に着手することを強く要望いたしまして、私の質問はこれで終わります。 ありがとうございました。
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026244-質問・答弁-江田実議員-一般質問①現地現場主義について②ローカルマニフェストについて③インベスト神奈川について④安全・安心まちづくりについて⑤基地問題について》 〔江田 実君発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 江田 実君。〔江田 実君登壇〕(拍手)〔議長退席、副議長着席〕
◆江田実君 議長のお許しをいただきましたので、私は民主党・かながわクラブ県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら質問させていただきます。 知事におかれましては、みずからのお考えに基づいた明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いを申し上げます。 質問の第1は、知事の現地現場主義についてであります。 4年前の平成15年4月、松沢知事は多くの県民から信任を受け、45歳の若さで神奈川県知事に当選をされました。県民は、知事が掲げた具体的な公約と、若くエネルギッシュな行動力に大きな期待を抱いて、神奈川県政のかじ取りをゆだねたのだと思います。 そのころは、長引く景気の低迷により本県経済は大変厳しい状況でありました。その影響は県財政にも深刻な影を落とし、財政再建団体転落の危機に見舞われたことは記憶に新しいところであります。岡崎前知事の卓越した手腕により、財政再建団体転落の危機を何とか脱し、わずか2年で赤字決算から脱出したものの、本県の財政は、少し逆風が吹けば、すぐに赤字に逆戻りしてもおかしくない、厳しい状況に置かれていたのであります。 こうした厳しい財政環境の中で知事に就任されたわけであります。平成15年6月、県議会定例会の初日に、知事はこの議場で初めての所信表明に臨み、神奈川が持つ魅力と可能性あふれる「神奈川力」を呼び起こし、活力ある地域を築き上げたいと、この郷土神奈川に対する熱き思いを訴えられました。 そして、ゼロ成長の時代に対応した行財政システムに転換するため、岡崎前知事が進めてきた行財政改革の取り組みを着実に進め、新しい時代に合致した県庁組織を築くために改革を推進すると宣言をされました。 これまでに取り組んだ行財政改革が実を結び、本県の財政健全化は確実に進展したと言えると考えております。一般会計における県債の新規発行額を自主財源の10%以内とするという困難をきわめた目標を、ここで見事に達成されたことは、本県財政の健全化が大きく進展したことを象徴するものであると高く評価するところであります。 そして、県政運営に関する、知事のもう一つの柱に、「県民本位の県政」があります。知事は、県民の目線に立って、県民が求めているものをしっかり実行に移し、不要なもの、おかしなものは大胆に見直していくと宣言をされました。その上で、県職員全員に、県民との対話を大切にし、県民意識の変化を的確にとらえて、スピードと躍動感をもって仕事に臨むように求めました。 この4年間、知事は現地現場主義を唱え、所信表明で訴えたとおり、県民の目線に立って、県民の求めているものを見きわめるため、県政の現場を精力的に回ってこられました。 昨年6月に出版された「知事激走13万km!現地現場主義 対話から政策へ」には、現地現場にかける知事の強い思いが記されております。聞くところによると、ウイークリー知事現場訪問の実績は、本定例会開会前までに、延べ87回、115カ所に及び、加えて、昨年1月にスタートしたマンスリー学校訪問は、延べ21回、24カ所に達するとのことであります。知事の若さとエネルギーゆえに可能であったものであり、地道な活動に心から敬意を表するものであります。 さて、知事が現場に行くことは重要であり、また、県政への理解を得るために効果があるとは考えますが、現場訪問はあくまで手段であります。現地現場主義とは、現場の声を直接聞き、それを県政改革につなげていくことであります。したがって、こうした地道な現場訪問によって得た県民の声を、いかに県政運営に結びつけたかを検証することこそ重要であると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 この4年間を振り返って、知事は現地現場主義の成果をどうとらえ、県民本位の県政の実現についてどのように評価しているのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、知事のローカルマニフェストについてであります。 知事は、地方政治を政策中心の政治に変えていくため、当時の地方選挙では初めて、マニフェストに具体的な政策を掲げ、知事に当選されました。政策中心の政治に変えるためには、その出発点である選挙を政策中心の選挙に変革し、有権者に政策の選択の機会を提供するという、当時までだれも行ったことのなかった選挙を実践し、県民の信任を得たわけであります。 以来4年間、知事は、県民への公約であるマニフェストの実践に努力をされ、さらには、その進捗状況について、客観的な立場からの評価を得るために外部評価の仕組みを設け、その評価結果を毎年公表してこられました。マニフェストに掲げた政策は、数値目標を設けるなど、具体的に示されていることから、その評価や検証を行いやすく、また、その評価結果は、よい点も悪い点もすべて公表されることから、知事の掲げた政策の実現状況がだれの目にも明らかにされてまいりました。 このようなプロセスを通じて、有権者である県民は、県政とのつながりをより強くするとともに、4年前の知事の公約の実現度合いを正しく評価できることとなったわけであります。 そこで、これまでの評価委員会による第三者評価の結果を見てみますと、各年度の評価は着実に高まっており、1月に発表された4年間の総括的な評価における、目標達成の状況は、37項目のうち8割以上が目標を達成あるいはある程度達成し、特にこの1年間の進捗度の進展はめざましいという、大変高い評価を得ております。あわせて、マニフェストの目標達成に向けた県の取り組みについても、全体として十分な対応、努力がされているとの評価がなされているところであります。 また、この評価委員会では、4年間の総括をするに当たり、職員へのアンケートを行っておりますが、この分析結果によりますと、知事のリーダーシップのもとで政策形成機能の強化が図られ、マニフェストの実現を通じて県民との対話が促進されるなど、確実に県行政に変化をもたらしているとの評価もしているところであります。 こうした評価結果は、知事のこれまでの取り組みがしっかりとした成果を上げていることのあらわれであるものと考えておりますし、また、知事自身が自己評価で示した「8割方の出来」という評価も妥当なものであります。 さて、この4年間の変化を見ますと、平成15年の統一地方選挙で、松沢知事を初めとする首長候補者がマニフェストを掲げて選挙を戦ったことを皮切りに、全国的にマニフェスト型選挙が広まってまいりました。また、こうした地方の動きに続いて、国政レベルの選挙においてもマニフェストの導入が進み、マニフェストが我が国の政治にかなり浸透してきたものと思っております。 そうした意味で、知事のマニフェストへの挑戦は、本県のみならず、我が国の政治を政策中心の政治に変えていくという流れをつくり出した、勇気ある行動であると評価するものであります。 しかし、マニフェストの本当の評価は、選挙のときだけではなく、当選後いかに政策を実行し、どう評価されたかという点であります。そして、その評価をもとに、次の改善に結びつけることが重要であります。これは、すなわちマニフェストサイクルを確立するということであります。 今、知事はこのサイクルを経て、次の知事選挙に県民の審判を仰ぐ決断をされました。まさにこの神奈川で4年間のマニフェスト政治がどう定着したかを見きわめるときであり、その点で、今回の選挙は初めて県民の評価を受ける場となるわけであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 知事は、4年間のマニフェストの実践を通じ、その成果をどうとらえているのか、お伺いをいたします。 質問の第3は、インベスト神奈川の成果と今後の取り組みについてであります。 松沢知事は、就任以来、県政の重要課題に精力的に取り組んでこられたわけでありますが、知事がこれまでの間に実践してきた多くの政策の中でも、特に成果が著しいものの筆頭に、産業集積促進方策、いわゆるインベスト神奈川による県内への企業誘致と既存県内企業の再投資促進が挙げられると考えております。 平成15年に就任した知事は、県内産業の空洞化に大きな危機感を抱き、早速、その年の暮れに副知事をキャップとする庁内検討組織を立ち上げ、翌年、平成16年の10月に神奈川県産業集積促進方策、いわゆるインベスト神奈川をつくり上げたわけであります。この異例とも思えるスピードに驚きの声も多かったと記憶しておりますが、その判断の正しさは、スタート間もない施設整備等助成制度への申請が相次いだことでも証明されましたし、特に100億円を超える大規模な投資が多かったのも、非常にタイムリーな打ち出しだったからと言えるでありましょう。 その後も、助成制度への申請が順調に続いた結果、制度がスタートしてわずか2年2カ月余りで、申請件数は47件に及び、総投資額は5,400億円に達する状況となっております。その内訳を見ましても、研究所の立地件数が4割強を占めており、研究開発機関の集積を目指す本県の産業政策のねらいにも合致した成果につながっているものと評価をしております。 また、本県は首都東京の隣接地であるがゆえに、長らく、支店経済からの脱却という面の課題があったわけですが、この点についても、インベスト神奈川では、本社機能についても助成制度の対象としており、これまでに10件の助成申請が出ております。 その中で、最も大きな成果が日産自動車本社のみなとみらい21地域への移転であります。本年、1月13日には起工式も終え、再来年、平成21年の秋に竣工、移転が行われると伺っておりますが、この日産自動車本社が神奈川の玄関口に立地することの意味は、単に本社の所在地が県内に移ってくるということだけではありません。平成21年の秋に、約2,500人の従業員が勤務することになって、本社としての活動が始まれば、平成22年以降の税収増や県内企業への発注などの経済波及効果につながってくることが期待できますし、さらには、グローバル企業の本社機能の存在そのものから派生するさまざまな効果も期待できます。例えば、全世界から訪れる数多くのビジネス関係者の活動がもたらす有形無形の効果は、単に工場が立地する場合の比ではありません。さらには、神奈川県に本拠を置く地元企業のリーダー格として、県内経済活性化の牽引役となってくれるものと確信をしております。 このように、グローバル企業の大型投資を呼び込むことが、インベスト神奈川の一つのねらいであったことは間違いありませんが、ややともすると、こうした大企業による投資額の大きさだけに注目が集まり、新聞報道でもその面が大きく取り扱われたため、インベスト神奈川は大企業優遇との批判も一部で聞かれるのは残念のきわみであります。 冒頭申し上げたように、インベスト神奈川誕生の背景には、製造業を中心とした産業の空洞化があり、それを克服することによって、中小企業を含めた県内産業の活性化と雇用の確保を図ろうとするものであります。県内の多くの中小企業を活性化するためには、大企業の大きな投資を呼び込んで、その効果を県内経済全体に広げることとあわせて、中小企業自身の高度化に必要な投資を促進するための支援にも力点を置くことが重要であります。 そのような意味合いで申し上げますと、助成制度への申請件数47件のうち、半数以上の27件は中小企業からの申請となっていることは余り知られていないように思われます。また、インベスト神奈川の支援メニューには、助成制度のほかに、中小企業を対象とする低利の融資制度も用意しており、既に49社が融資認定を受けている状況にあります。 このように、インベスト神奈川は、中小企業の投資意欲を最大限に引き出す効果も十分に果たしていることを、私も改めて認識した次第であります。 インベスト神奈川の政策目的は、当然のことながら、単に企業の投資を呼び込むだけで終わりではなく、その効果が県内の中小企業にも広く波及して、ビジネスチャンスの拡大が図られたり、雇用の拡大に結びつくことによって、県内経済全体に具体的な効果が及ぶようにすることにあります。 実際に企業の投資が行われますと、県内企業への発注や直接・間接の雇用など、さまざまな面での波及効果が出ることは間違いなく、全国の自治体が競って企業誘致に取り組んでいるのも、また、県内の市町村・経済団体からインベスト神奈川に大きな期待が寄せられているのも、そうした波及効果に期待しているからにほかなりません。 インベスト神奈川の取り組みは、さまざまな経済波及効果や税収効果をもたらし、ひいては県民福祉の向上にも貢献できる極めて有効な施策であり、今後とも、引き続き取り組みを進めていく必要があると考えますが、ただ、その際には、インベスト神奈川による波及効果を、広く一般の県民に理解してもらうことが重要になってくると考えます。単なる机上の試算や漠然とした期待感だけではなく、より具体的な内容で説明していくことが必要であります。 企業の投資による波及効果というものは、短期ではなかなか目に見えるものは少ない性質のものであることは理解しておりますが、せめて、いつごろになったら、どのような効果が出てくるのかという見通しまでも説明することができれば、インベスト神奈川の施策効果を実感として理解していただけるようになるのではないかと考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 以上、申し上げた観点も踏まえ、これまでのインベスト神奈川の成果について、知事としてどのようにとらえているのか、また、今後見込まれる税収効果については、どのような内容で、いつごろにあらわれてくるのか、具体的な見通しについてお伺いをいたします。あわせて、今後もこのインベスト神奈川の新たな展開を図っていくことにより、本県の経済活性化に向けた取り組みをさらに強化していく必要があると考えますが、改めて知事の決意をお伺いいたします。 質問の第4は、安全・安心まちづくりについてであります。 安全・安心まちづくりについては、大変大きな成果を上げています。特に、警察力増強の施策は着実に前進を見ており、大変心強く思っておりますが、警察力だけでは神奈川の安全・安心は守れません。起きてしまった犯罪は、着実にその犯人を検挙するとともに、一方では犯罪を起こさせないという予防の観点からの取り組みが必要であります。行政、県民、事業者、民間団体などが力を合わせ、警察とも連携し、犯罪が起きにくい地域社会をつくっていく取り組みが求められています。 知事は、平成15年11月に、治安対策を総合的に推進するための県庁横断的な推進体制として「安全・安心まちづくり推進本部」を設置するとともに、平成16年12月には、県民総ぐるみによる取り組みのよりどころとして、「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例案」を提案され、この条例案については議会でも熱心な議論が行われて成立し、翌17年4月から施行されております。 この条例に基づき、県では、県民の防犯意識の向上や、自主防犯活動の支援など、さまざまな施策・事業を実施し、多くの県民の皆さんに、自主防犯活動に立ち上がっていただいております。県の支援制度を活用して自主防犯活動に取り組む団体は、昨年末の時点で1,290団体に達し、活動に参加している県民は12万8,000人にも及んでいると聞いております。 こうした警察、行政の取り組みと県民の自主的な防犯活動が相まって、県内の刑法犯の認知件数はこの2年間で大きく減少いたしました。昨年の刑法犯認知件数は約12万3,000件で、前年と比べて約2万件、約14%の減少となり、減少幅は全国トップクラスの実績と聞いておりますし、戦後最悪を記録した平成14年と比べますと、実に約6万7,000件、35%の減少という成果を上げられました。 一方、県内の刑法犯の検挙率ですが、昨年は38.6%で前年対比5.5ポイントの改善となり、こちらも平成14年から見ると、19.4ポイントもの大きな改善幅となっております。 このように神奈川の治安は数字の上では着実に改善したと言えますが、子供や女性をねらった凶悪な事件が相次ぎ、空き巣やひったくりなど、県民生活に身近な犯罪が依然として高い水準で発生している中で、県民の体感治安は決して改善しているわけではありません。 治安の悪化を受けて県内各地で立ち上がった自主防犯活動団体も、活動を続けていく上で、大なり小なり課題を抱えているのではないかと思います。また、自主防犯活動は継続して進めることが重要であるとの観点に立ちまして、自主防犯組織が継続的に活動できるよう、拠点整備を促進させるための「神奈川県地域防犯活動拠点設置推進条例案」を、我が会派としても、さきの12月定例会に提案をいたしました。 いずれにいたしましても、安全・安心な神奈川をさらに推し進めていくためには、県民総ぐるみの運動をいかに継続し、発展させていくかということが大変重要になってきていると考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 県の安全・安心まちづくりについて、知事はこれまでの取り組みをどのように評価し、今後さらにどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。あわせて、我が会派が提案したこの条例案について、知事はどのような感想をお持ちでしょうか、お尋ねをいたします。また、我々議員みずからが条例案を企画立案し、議会に提案したことについて、どのような感想をお持ちでしょうか、お伺いをいたしたいと存じます。 質問の第5は、基地問題についてであります。 昨年5月、日米両国政府は、約2年にもわたった協議の末、在日米軍基地の再編に関する最終的な合意に達し、また、政府の閣議決定も行われました。さらに、つい先日、2月9日には、米軍再編により負担のふえる自治体に対する「再編交付金制度」の創設等を主眼とする、「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案」を初めとする米軍再編関連の諸法案が閣議決定されたことは、記憶に新しいところであります。 今回の米軍再編は、沖縄を初めとする多くの米軍基地、自衛隊基地に大きな影響を与え、防衛施設庁の集計によれば、全国の12の都道県、43の市町村、合わせて55もの自治体を巻き込んだ大変大きなものであります。本県の基地に関しましては、まず、厚木基地の空母艦載ジェット機等59機を2014年までに岩国基地へ移駐する、また、相模総合補給廠に関しましては、西側野積場を地元の再開発のため返還、あるいは共同使用する、さらにキャンプ座間の在日米陸軍司令部が改編される等の内容が盛り込まれたことは、ご承知のとおりであります。 本県や地元大和市など、基地を抱える自治体の強い働きかけに対し、日米両国政府が耳を傾けた結果と言うこともできると思います。とりわけ、私の地元大和市と綾瀬市にまたがる厚木基地の空母艦載ジェット機の移駐は大変画期的なことであります。現在、厚木基地の周辺住民は、依然として激しい騒音に悩まされ続けております。 一般にNLPと言われる夜間連続離着陸訓練については、平成5年4月に硫黄島の訓練施設が完成し、米側に全面提供されて以降は、そのほとんどが硫黄島で行われ、厚木基地で行われたとしても、プロペラ機などのいわゆる低騒音機で実施され、NLPそのものに対する苦情は少なくなっているのが現状であります。ところが、住民から周辺市や県に寄せられる騒音苦情の件数は、一向に減っておりません。確かに、NLPが硫黄島で行われるようになって、一時は減りましたが、その後は、NLP以外の騒音がかえってふえる傾向にあり、近年では年間約5,000件にも達し、全国にも他に例を見ない、大変深刻な状況が続いております。 また、昨年1月、国が住宅防音工事区域を見直した結果、騒音の区域が大きく拡大していたことが明らかになるなど、騒音被害はかえってひどくなっていると言っても過言ではありません。 この間、厚木基地周辺住民により、3度にわたる騒音訴訟が起こされ、すべて原告勝訴の判決が確定しておりますが、このことは、厚木基地周辺の航空機騒音による被害が、いかに甚大なものであるかということを明白に示しているものであります。 国は、騒音対策として、昭和54年度から、いわゆる周辺整備法に基づき、住宅防音工事を開始し、厚木基地周辺だけでも、今までに5,000億円を超える工事を実施してきたとしておりますが、激しい騒音から免れるほどの効果が得られるわけではなく、住宅防音工事を受けた住民が、決して納得しているわけではありません。 横浜地方裁判所でも、第3次訴訟の判決の中で、住宅防音工事の効果も限定的なものであって、被害の解消を実現するものとまで認めることはできないと認定をしております。さらに、判決では、自治体が米軍に抗議を申し入れて、中学の期末試験時期のNLPやデモフライトを延期や中止に追い込んだことがあるのに対比すると、国が、米軍に対し、住民が受ける被害の軽減に向けて、真摯で粘り強い交渉をしていることをうかがわせる証拠はないとまで指摘しているのであります。 また、騒音だけではなく、事故の危険性もあります。現に、厚木基地周辺では、航空機の不時着、部品落下などの事故が絶えず、基地周辺の住民は、いつ事故が起きるかという不安のもとに生活をしていかざるを得ないのであります。 こうした住民が置かれた状況を考えますと、今回の米軍再編によって、空母艦載ジェット機が移駐することは、厚木基地周辺の住民にとって、長い間、苦しめられてきた騒音被害や事故の危険性について、大きな軽減が期待されるものであり、基地の整理・縮小・返還に向けた第一歩として、私は、ぜひとも一日も早くこれが実現してほしいと思っております。 政府は、これまで40年にわたって放置してきた、厚木基地周辺の航空機騒音問題の解決に向けて、まずは空母艦載ジェット機の移駐を、責任をもって着実に進めてもらいたい、政府にはその責務があると私は強く思っております。ただ、ここでよく考えなければならないのは、空母艦載ジェット機の移駐が実現した後の騒音問題であります。再編によって厚木基地へ移駐してくる海上自衛隊の航空機の中に、U36Aという4機のジェット機が含まれていることは大きな問題ではないでしょうか。昭和46年の自衛隊機の移駐に際しては、横浜防衛施設局長から、大和市長、綾瀬町長及び神奈川県知事にあてた通知がありますが、その中に「ジェットエンジンを主たる動力とする飛行機は、緊急やむを得ない場合を除き、使用しません」と明記されているのであります。 今回、厚木基地に岩国基地から自衛隊のジェット機を移駐させることは、このいわゆる「ジェット条項」に反することは明白であります。このジェット条項について、国は「地元自治体と協議させていただきたい」としており、見直したいとの意向を示しているようですが、これまで長年にわたって騒音被害に苦しめられてきた基地周辺住民のことを考え、昭和46年の通知を守るべきであります。しかも、既に報道もされているように、現在、厚木基地に配備されているP3C対潜哨戒機の後継として、ジェット機が新たに開発されているということであり、これが厚木基地に配備された場合、やっとのことで空母艦載ジェット機の騒音から解放されたと思ったら、また騒音被害がひどくなってしまうのではないでしょうか。長年、空母艦載ジェット機に苦しめられてきた地元住民は、米軍機だろうが、自衛隊機だろうが、ジェット機はたとえ1機たりともご免こうむりたいというのが率直な気持ちであり、新たなジェット機の配備は、住民の気持ちを逆なでするものであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 知事は、第二の基地県を代表する立場として、基地周辺の住民の痛みを全く理解していない、国に対して毅然たる態度で臨み、基地周辺住民の騒音被害の解決に向け、いわゆる「ジェット条項」を守るよう、国の誠実な対応を求めるべきだと思いますが、知事のご所見をお伺いいたします。 以上、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
◎知事(松沢成文君) 江田議員のご質問に順次お答えをいたします。 まず、現地現場主義の成果をどうとらえ、県民本位の県政の実現についてどのように評価しているかとのお尋ねをいただきました。 私は、知事就任以来、県民の目線、県民の皆様の目線に立った「県民本位の県政」を進めることを基本に据えて、県政運営に取り組んでまいりました。具体的には、私自身、できる限り、現場を訪ね、直接自分の目で確かめ、地域の皆様との対話を通じて県政の課題を把握するよう努めてまいりました。また、職員に対しても、現場の重要性を認識し、日々の業務に取り組むよう徹底を図っております。 こうした現地現場主義に基づく取り組みによって、県民ニーズを踏まえた県政運営を行うことが極めて重要であると考えます。 議員からご紹介いただきましたように、これまで私自身、多くの現場を訪問し、取り組むべき県政の課題を把握することができたと実感しておりますが、何より職員一人一人の意識に、これまでにも増して、現場の重要性が浸透してきたことこそ、最大の成果であると考えております。 具体的な事例を申し上げますと、荒廃が進んでいる竹林の再生を目指す「あしがら竹林再生事業」や、患者のプライバシーに配慮した病院運営を推進する県立病院i(あい)ホスピタル事業など、職員の現場感覚からアイデアが生まれ、実を結んだ事業であります。 また、いわゆる迷惑防止条例や青少年保護育成条例の改正、「がんへの挑戦・10か年戦略」の推進、電気自動車普及構想や「県立教育施設再整備10か年計画」の策定など、現場で把握した課題をもとに取り組むこととしたものであります。 さらに、19年度予算案に計上いたしました、産科医、看護職員の人材確保のための方策や、児童虐待へ的確に対応するための児童福祉司など20人の増員につきましても、現場の実態を踏まえた上で、対応することとしたものであります。 このように現場が抱える課題への対応を進めており、こうした一つ一つの積み重ねによって、県民の皆様に身近な県政、すなわち「県民本位の県政」の実現に着実に結びついているものと考えております。 次に、4年間のマニフェストの実践を通じた成果についてのお尋ねがありました。 私は4年前にマニフェストを掲げて知事選挙に臨み、知事に就任した後は、県民の皆様とのお約束の実現に全力を尽くすとともに、政策の実現度合いを評価し、県民の皆様にお伝えをしてまいりました。 そのステップを具体的に申し上げますと、まず数値目標を含めた目標や方法、期限、財源を明示した、具体的な政策を県民の皆様にお示しし、それらの政策を総合計画等に盛り込んで実行し、その進捗状況について、毎年客観的、中立的な立場から第三者評価をしていただくとともに、私自身による自己評価を行い、県民の皆様にその結果を公表してまいりました。そして、おくれている政策については、さらに改善をし、最終的には県民の皆様に対して、当初の公約がどれだけ実現できたかを情報公開していくというものであります。 しかしながら、こうした一連の取り組みについては、これまでに確立された手法がありませんでしたので、私は、今申し上げましたようなプロセスを、この4年間、手探りで進めてまいりました。そして、これまでの試行錯誤による積み重ねによって、いわば私なりのマニフェストサイクルのモデルを確立することができたのではないかと思っており、こうしたことが、4年間の実践を通じた成果であると考えているところでございます。 また、こうしたプロセスの確立によりまして、本県における、政策中心、県民本位の民主政治の実現に近づくことができたものと思っておりますし、さらには、我が国の地方政治や行政に、新たなビジネスモデルを提供することができたのではないかとも考えているところでございます。 次に、インベスト神奈川について、何点かお尋ねをいただきました。 まず、インベスト神奈川の成果でございますが、大きく3点に整理できると思います。 1点目は、これまでに施設整備等助成制度によりまして、世界有数のグローバル企業を含む45社から、総額で5,400億円を上回る投資を呼び込むことに成功したことであります。特にこの45社のうち、議員ご指摘のとおり、研究所が21社に上り、研究開発機関の一層の集積が進んだことは、本県のものづくり産業のさらなる強化、高度化にとり、大きな成果であると考えております。 また、こうした研究開発機関の集積を生かした、神奈川R&Dネットワーク構想を、本県独自の新たな産業振興策として展開しており、県内産業の持続的な発展につながっていくものと確信をしております。 2点目は、県内経済への波及効果でございます。助成申請企業からの、施設の建設段階、操業段階における県内企業への発注が、現時点で1,200億円を超えるなど、県内経済へ着実に波及効果があらわれてきているものと考えております。 3点目は、県内中小企業の活性化であります。助成制度や産業集積促進融資を活用する中小企業は50社にも達しており、こうした資金面での直接的支援に加え、大規模な投資に伴い受注機会が拡大しており、中小企業の高度化や事業拡大に大きな役割を果たしているものと認識しております。 また、これらのほかにも、企業の立地はおおむね県内全域に広がっており、誘致活動に取り組む市町村への支援策としても一定の役割を果たしているものと考えております。 次に、インベスト神奈川の税収効果が、どのような内容で、いつごろあらわれてくるのかとのお尋ねでございますが、インベスト神奈川は、地方分権の推進に伴い地方自治体が取り組むべき税源涵養の面で、大変重要な施策であると確信しております。税収効果につきましては、県税の種類や、申請企業それぞれの事業計画の内容によって、反映時期が異なってまいります。 主な税目で申し上げますと、不動産取得税については、施設の竣工などに伴い、順次課税することとなりますので、既に課税実績として効果があらわれている案件もございますし、法人二税については、昨年操業を開始した企業の場合、19年度から徐々に税収効果があらわれてまいります。助成申請企業45社の事業計画が予定どおりに進めば、24年度までには、すべての企業についての税収効果が明らかになってくるものと認識しております。 最後に、本県の経済活性化に向けた取り組みに対する私の決意についてお尋ねをいただきました。 現在、来年度以降のインベスト神奈川の取り組みについて、中小企業支援に重点を置いた検討を進めており、産業集積に対する本県の熱意を多くの企業に感じていただけるような、魅力的な制度として取りまとめ、新たなステージとして、強力に推進してまいりたいと考えております。 そして、これまでの取り組みによる神奈川への産業集積の流れをさらに大きくし、一層の集積を促進し、産業競争力の強化による本県の経済活性化に向け、全力で取り組んでいく決意でございます。 次に、安全・安心まちづくりについてお尋ねがございました。 まず、これまでの取り組みをどのように評価し、今後さらにどのように取り組んでいくのかというお尋ねでございます。 県では、犯罪のない安全で安心な神奈川を実現するため、警察力の増強とともに、「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例」を制定し、この条例に基づき、くらし安全指導員による防犯教室などの普及啓発活動や、自主防犯活動に対する支援などに取り組んでまいりました。 現在、県の支援制度を活用している自主防犯活動団体は1,300団体に達しており、13万4,000人を超える多くの県民の方々がその活動に参加されています。私は、県民の皆さんが、自分たちのまちは自分たちで守るという高いボランティア意識を持って、熱心に取り組んでいらっしゃることが、平成17年及び昨年の刑法犯認知件数の大幅な減少につながっていると考えており、改めて敬意を表しますとともに、深く感謝を申し上げる次第です。 そこで、今後の取り組みについてですが、刑法犯認知件数の減少をさらに推し進めていくためには、県民の防犯意識のさらなる向上を図り、自主防犯活動のすそ野を拡大するとともに、参加者の増大を図っていくことが大変重要であると考えております。 そのため、これまでの取り組みに加え、新年度は、情報の収集、発信、相談、ネットワーク支援の拠点として、「安全・安心まちづくりセンター」を設置し、さまざまなメディアを活用して、広報啓発活動を充実いたします。 また、自主防犯活動団体の活動情報、自治体の支援情報などのデータベースを整備し、これに基づき、県民や活動団体に対し、きめ細かな相談、助言を実施するとともに、活動団体相互の交流の場づくりも強化してまいります。さらに、若者層や女性、ひとり暮らしの高齢者の方々などが幅広く参加できる公開講座、企業、事業者団体、NPO等と連携した防犯教室も開催いたします。 県といたしましては、引き続き、県民、事業者、NPOの皆さんを初め、市町村、県警察等と連携・協力し、日本一安全な神奈川を目指した取り組みを進めてまいる所存であります。 次に、昨年の12月定例県議会に、民主党・かながわクラブからご提案のありました条例案についてのお話がございました。 この条例案は、多くの県民やNPOなどの皆様が、行政、警察と一体となって安全・安心に取り組んでいる中で、議会から出された新たな政策提案であり、それをもとに本会議において熱心な議論も行われ、議会としての一定の判断がなされたものと承知しております。 また、議員の皆様がみずから条例案を企画立案し、議会に提案されることについてのお尋ねですが、地方分権の推進によって、地方自治体の自己決定権が拡大することに伴い、政策形成過程における議会の役割は一層重要になっていると認識をしております。したがいまして、議会の皆様が県政の課題を踏まえ、みずから政策形成に携わり、条例案を提案されることは大変有意義なことであると考えております。 最後に、米軍基地問題に関するお尋ねをいただきました。 今般の米軍再編に関連して、昭和46年の厚木基地への自衛隊機移駐に際し、緊急やむを得ない場合を除きジェット機を使用しないとした、いわゆる「ジェット条項」について、これを守るよう国に求めるべきではないかとのお尋ねでございます。 厚木基地周辺の航空機騒音問題については、本県が抱える基地問題の中でも、特に大きな課題の一つとして、関係市とともに、その抜本的な解決を粘り強く働きかけてきたところであります。 例えば、一昨年10月の訪米に際しても、私から国務省や国防総省の高官に対し、厚木基地周辺が人口密集地であり、騒音被害や事故の不安がいかに大きいものであるかという実情を伝え、その解決を強く訴えてまいりました。 こうした中、議員お話しのとおり、今般の在日米軍の再編協議の中で、厚木基地の空母艦載ジェット機等59機を岩国基地へ移駐させるとともに、岩国基地の海上自衛隊機17機を厚木基地に移駐させることが日米両国政府により合意されました。今はようやく分厚い壁に風穴が開いたような思いであり、空母艦載ジェット機の移駐が実現すれば、厚木基地周辺の騒音被害は確実に軽減されるものと思っております。そのためにも、この移駐は何としても実現していただかなくてはなりません。 議員ご指摘の「ジェット条項」についてですが、厚木基地に移駐してくる海上自衛隊機の中に小型ジェット機4機が含まれていること、P3Cの後継機がジェット化されることの2点が関係してまいります。一方、岩国側のさまざまな状況もある中で、これまでのところ、本県側への情報提供はおくれぎみであり、まだ、国からの説明が十分にされていない状況であります。 私といたしましては、国には、移駐実現後の騒音状況について、できるだけ早期に住民の方々に、目に見える形で示すよう求めてまいりたいと思っております。そうした中で、ジェット条項につきましても、基地の所在する大和市や綾瀬市ともよく相談をしながら対応してまいりたいと考えております。 答弁は以上でございます。〔江田 実君発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 江田 実君。
◆江田実君 時間がないものですから、本来であれば、ここで要望を申し上げたかったわけでございますけれども、それぞれの常任委員会で、その続きに関しましては質問させていただきたいと思っておりますので、これで終了させていただきます。 ありがとうございました。
○副議長(新井敏二郎君) お諮りいたします。 この際、休憩いたしたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新井敏二郎君) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は15分後といたします。 午後2時52分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026245-質問・答弁-笠間茂治議員-一般質問①東名高速道路の綾瀬インターチェンジについて②施設整備を通じた都市農業の推進について③活力と魅力ある県立高校の整備について④水道事業における安全・安心への取組みについて》 午後3時16分 再開 〔議会局長報告〕 出席議員 議長共65名
○議長(中村省司君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(中村省司君) あらかじめ時間の延長をいたします。 ───────────────────────────────────────
○議長(中村省司君) 質問を続行いたします。 笠間茂治君。〔笠間茂治君登壇〕(拍手)
◆笠間茂治君 議長のお許しをいただきましたので、私は県政21・県民の会県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問をさせていただきます。 知事、教育長並びに企業庁長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員の皆さんにおかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いをいたします。 質問の第1は、東名高速道路の綾瀬インターチェンジについてであります。 この綾瀬インターチェンジについては、これまでも本会議の場で何度か取り上げてまいりましたが、県央・湘南地域のさらなる発展のために、地域の悲願となっている重要な交通基盤でありますので、最新の取り組み状況について質問をさせていただきます。 さて、改めて申し上げるまでもなく、活発な企業活動や快適で安全な県民生活を支えていくためには、自動車専用道路を初めとする幹線道路網の整備を促進し、広域的な交通利便性の向上を図ることが欠かせません。 現在、本県においては、首都圏中央連絡自動車道や第二東名高速道路など、新たな交通軸を形成する自動車専用道路の整備が進められております。特に、首都圏中央連絡自動車道の一部を構成するさがみ縦貫道路については、本線の高架橋やインターチェンジ・ジャンクションの工事などが着々と進められ、その姿が目に見える形になってまいりました。 しかしながら、私の地元、綾瀬市は、さがみ縦貫道路が開通しても、なお、そのインターチェンジまで30分以上を要する地域が広く残ると見込まれており、自動車専用道路へのアクセスが悪い地域として、取り残されてしまうのでないかと心配をしております。 綾瀬市は製造業や自動車関連産業が数多く立地するなど、産業集積地としての高いポテンシャルを有しておりますが、このままでは、さがみ縦貫道路などの整備により自動車専用道路へのアクセスが飛躍的に向上する地域と比べて、ポテンシャルの低下が避けられないとの懸念を抱かざるを得ません。 厳しい財政状況のもとで、広域的な交通利便性を効率的に高めていくためには、さがみ縦貫道路のような自動車専用道路の新設ばかりではなく、既存の東名高速道路の利便性を高める、綾瀬インターチェンジの実現がまことに重要であると考えております。 そうした中で、昨年5月には、知事みずから、県央・湘南地域の企業代表者と一緒に、綾瀬インターチェンジの計画地やさがみ縦貫道路の建設地を視察するとともに、懇談の場を持って、企業活動の円滑化のため幹線道路網の早期整備を求める生の声を聞かれたとのことであります。 また、6月定例会の所信表明では、
県内道路網の中でも重要な交通上の拠点となる綾瀬インターチェンジについて、実現に向けて、県としての役割を果たしていくことに言及されましたところであり、私も、今後の県の取り組みに大きな期待を寄せている次第であります。 一方、地元においても、綾瀬市長を会長として、周辺7市1町の首長で構成する「綾瀬インターチェンジ設置促進連絡協議会」が平成15年5月に設立されたほか、平成16年3月に、綾瀬市内の商工会関係団体により設立された「綾瀬インターチェンジ建設推進協議会」については、昨年9月に地元自治会長などの市民団体の代表をメンバーに加え、組織の充実強化を図ったのであります。さらに、昨年7月には、綾瀬市を初めとする7市1町の経済団体、商工会議所、商工会により、「綾瀬インターチェンジ設置推進広域連絡協議会」が新たに設立されました。 このように、地元では、綾瀬インターチェンジの設置促進のための体制を着々と整えているのであり、地域が切望する綾瀬インターチェンジの早期実現に向けて、地元としても最大限の協力をしていく考えでおります。 そこで、知事にお伺いします。 県では、平成17年度から予算を措置し、綾瀬インターチェンジの実現に向けた検討を進めていることは承知しておりますが、これまでの検討状況と今後の取り組みについて、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、施設整備を通じた都市農業の推進についてであります。 綾瀬市では市の東部に広大な厚木基地があり、市街地は、厚木基地の西側に、古くからの町並みが比留川沿いの谷戸状の地形に細長く形成されています。まちが発展する過程においても、市内に鉄道の駅がなかったことなど、計画的なまちづくりを進めにくかったという経緯がございます。 今、綾瀬市では、市のほぼ中心に位置する市役所の周辺に、消防署、図書館、文化会館などの公共施設や綾瀬厚生病院が立地し、ここを中心としたタウンセンター構想を描き、まちづくりを進めているのであります。また、市役所前は、南北に4車線の都市計画道路寺尾上土棚線と、東西に都市計画道路早川本蓼川線との交差点に当たり、車の流れ、人の流れともに、新たなまちづくりの拠点とするにふさわしいと考えられます。 しかしながら、南北に走る寺尾上土棚線の西側は広大な農地が広がり、市役所が移転しただけで、これからとの感があります。タウンセンター構想は、この広大な農地の一部を取り込んだ計画になっておりますが、この農地の中にも意欲ある農家や、相続などさまざまな理由により農業を続けられない事情の方もおられます。 このような状況は綾瀬市だけの問題でなく、都市農業という環境を背景とした県下全般の課題であり、本県の農業を振興する上からも、意欲ある農家の農地を1カ所に集約することが重要ではないかと考えております。そうすることで、今まで有効に利用されていなかった農地が、意欲のある農業者の手によって生産の場としてよみがえり、活力のある農業が行われることで、都市の中の貴重な緑地空間として、市民の重要な潤いの場になるものと考えております。 また、市街地から出た食品残渣や、周辺地域から出る豚や牛のふんなどを利用した堆肥づくりなど、地域の資源循環も視野に入れた、特徴のあるまちづくりも必要かと感じているのであり、都市と農業が共存できるようなシステムを構築し、地域農業の振興を図ることが必要ではないかと考えております。 私は、昨年の代表質問で、本県農業の振興に当たって、県の地域課題に対する認識について質問させていただいたのですが、県も認識しているとおり、綾瀬市を含む県央地域の露地野菜産地では、他産地に比べ、比較的経営規模が小さいという特徴がございます。しかし、経営規模が小さくても、同じ地域の中に大勢の消費者が暮らしているという、都市農業の有利性をうまく活用すれば、狭い農地でも立派な農業経営を行うことは可能ではないでしょうか。 そこで、知事にお伺いします。 とれたての農産物を加工して、直売ができる施設や、都市住民との交流が図れる広場などを計画的に整備し、農業振興の拠点として位置づけていくことにより、農業のあるまちづくりができるのではないかと考えますが、知事のご所見をお伺いします。 また、地産地消の視点から、農業振興を図ろうとする拠点となる施設を設置するにしても、その適地が農業振興地域内の農用地の区域である場合があります。農用地区域は、将来にわたり農業上の利用を続ける土地として位置づけられており、これを守っていかなければならないことも承知しておりますが、その拠点を活用して、農産物を集め、加工、販売することで、地産地消を推進することも必要と考えられます。単に農地を守っていくということだけではなく、このような都市農業を実現するために、農用地区域であっても、施設の用地としていくことも必要と思いますが、どのように考えているのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第3は、活力と魅力ある県立高校の整備についてであります。 初めに、冷房設備の設置について伺います。 平成19年度当初予算案が発表され、骨格予算でありながらも、教育委員会から、「県立教育施設再整備10か年計画」、通称「まなびや計画」が示され、老朽化・耐震化対策などを計画的に実施していくものとして、今後10年間でおおむね1,000億円程度の整備を行っていくものと承知しております。 私も地元の県立高校に足を運ぶ機会がありますが、そのたびに施設の老朽化については、ため息が出るばかりであります。そのような中にあって、今回の計画については一定の評価をしておりますが、一つ大きな課題を感じているのであります。具体的にご指摘いたしますと、この「まなびや計画」においては、冷房設備整備が記載されておりません。 私の地元、綾瀬市においては、ほぼ全部の小中学校の教室において冷房設備が設置されておりますし、また、航空機騒音のために窓を開けることができないこともあり、適切な教育環境を確保するために、国からの補助を受けて設置されたものと承知しております。 しかし、同じ地域にある県立高校の綾瀬高校においては、何とクーラーが設置されておりません。以前、この綾瀬高校も、国からの補助を受けて防音工事を昭和52年から53年にかけて施工しており、その際には、換気に係る工事も施工しております。当時の対応では、冷房設備の設置が必要なかったものとも考えられますが、実際に学校を訪れてみますと、生徒たちは夏の暑さに耐えながら学習している状況にあります。しかも、教室配置も、廊下を挟んで左右両方に教室が配置されている構造であり、仮に窓を開けたとしても、とても風が通り抜けるようにはなっていないため、このような学校にあっては、特別な配慮が必要であると強く感じております。 さらに、近年、学力低下が叫ばれる中にあって、学習時間の確保が話題になっておりますが、この学習時間の確保については、土曜日授業の復活や夏休みの短縮などが検討されていると承知しております。また、環境破壊に伴う地球温暖化などから、特に夏の気温は上昇しており、適切な学習環境の確保のためには、冷房設備の設置が不可欠であり、折しも東京都においては、普通教室へのクーラー設置が報道されており、県下の川崎市においても、普通教室へのクーラー設置が発表されております。 私は、学力向上のための学習時間の確保と、快適な学習環境の整備は、一体不可分なものと考えており、暑くて汗が流れ落ちるような環境では、学習効率は決して上がらないことは明らかであります。次世代育成をうたう神奈川にあっては、やはり教育環境整備は避けて通れない問題であると考えております。 そこで、教育長にお伺いします。 今回発表された「県立教育施設再整備10か年計画」においても、冷房設備の設置が位置づけられていない中にあって、今後、冷房設備の設置をどのように対応していくのか、ご所見をお伺いいたします。また、特に厚木基地の航空機騒音の影響を受ける高校については、冷房設備を設置すべきと考えますが、あわせて所見をお伺いいたします。 次に、教育における、地域との連携・協力の観点からお伺いします。 私の認識としては、学校施設の老朽化は本当に進んでおり、このまま放置することは、行政としての責任問題であるとも感じております。この老朽化などへの対応については、先ほど申し上げた、県立教育施設再整備10か年計画が策定されることにより、一定の方向性が見えてきたのでありますが、個々の学校に目を向けてみますと、さまざまな課題が存在しているように感じております。 学校における教育環境について申し上げますと、県立の高等学校は広い敷地を有しており、その維持管理には多くの人手と費用を要することは言うまでもありません。また、さらに、クラブ活動などにおいては、人気スポーツの変化などによって、敷地の使い勝手なども、時代とともに変化している実情もございます。個別の学校においては、大きな施設整備計画とは別に、もう少し規模の小さい問題が数多く存在し、その問題を解決することが、ひいては学校の教育環境を大きく向上させるものであると思います。 そうした問題の解決方法として、地域の支援と協力なども視野に入れた対応が必要であると考えております。 一例を上げますと、綾瀬市にある高校においては、とても協力的なPTAの方々が多く、学校のためには骨身を惜しまず協力したいという方々が多くいらっしゃいます。私も、多くの方々から言われることの幾つかをご紹介しますと、「うちは内装屋だけど、息子のために学校の壁塗りをやってもいいよ。」とおっしゃってくれる方や、「うちは土建屋だけど、校庭の隅の法地くらいは平らにしてやれるし、そうすれば校庭も広く使える。やってやりてえなあ。」とおっしゃる方など、心温まる言葉をちょうだいしております。保護者の方々の中には、このように協力を惜しまない方々も多くいらっしゃいますので、その善意による学校環境整備についても視野に入れて、教育局において前向きに検討していくべきではないかと感じております。 私は、そもそも教育というものは、学校、家庭、地域が、連携・協力することにより、効果的に実践できるものと考えております。これまで述べてきた学校環境整備など、学校の中だけでは対応が難しいことがあれば、学校外の力を活用させてもらうことを、明日を担う子供たちのために、ぜひとも柔軟な考え方をもって、研究し、検討していくべきであると考えております。 そこで、教育長にお伺いします。 各学校には、協力を惜しまないPTAの方々を初め、学校を愛する、地域の善意がありますが、このようないわゆる民間の力を学校の運営や整備に生かしていくことについて、どのような見解を持っておられるのか、また、今後、地域からの支援をどのように受けとめていくのか、あわせて所見をお伺いいたします。 質問の第4は、水道事業における、安全・安心への取り組みについてであります。 県営水道は、現在、県央、湘南、県北地区など、今後さらなる発展が期待される12市8町を給水区域とし、885万県民の約3割に当たる272万人の生活や社会経済活動を支えております。 さて、神奈川県は、過去、長い水源開発の時代があったわけですが、従来からの相模ダム、城山ダム、三保ダムの3ダムに合わせて、平成13年には、宮ヶ瀬ダムの本格稼働によって万全な体制となったことから、本県の水源は十分に確保され、県民は渇水を心配することなく、いつでも安心して水を使えるようになっております。 また、県営水道は、基幹施設である浄水場の運転や配水池の運用、送水管・配水管の布設、維持管理など、さまざまな分野に及ぶ絶え間ない取り組みがなされており、安全な水が安定的に供給されているものと理解しております。 私の地元の綾瀬市では、大手飲料メーカーが新たに製造工場を設けたところでありますが、県営水道によって水の安全と安心が確保されていることも立地の大きな魅力であったと考えております。現在、東名高速道路の綾瀬インターチェンジの設置が検討されておりますが、今後さらに企業が進出するには、水道というライフラインがしっかりと確保され、機能していることが不可欠であります。 そうした中、昨年の8月25日、水道水の確保は当たり前と、安心してばかりいられない出来事が広島県で起こっております。広島県営水道の送水用トンネルが崩落し、呉市全域と江田島市の一部において、長期にわたって断水が発生し、医療施設や学校などへの影響を初め、各家庭においても生活用水の確保に追われ、呉市などの住民の方々は、生活を送る上での水のありがたさを改めて痛感したとの報道があったことは、いまだ記憶に新しいところであります。 我々が、この事故から学び取らなければならないのは、水道がとまれば、家庭、企業を含めた都市機能が大混乱を起こすということであります。同時に、大小の差はあっても、老朽化した水道施設の事故は、全国いつどこで起こってもおかしくないという事実ではないでしょうか。 県営水道では、昨年1月に「県営水道事業経営計画」を策定し、「災害や事故に強い水道づくり」を、平成18年度から10カ年の最重要課題として掲げ、水道施設の耐震化や水の相互融通機能の強化、老朽水道管の更新などの事業を計画的に実施していると承知しております。 私の地元である綾瀬市は、県営水道のエリアの中心にありますが、災害時に備え、県営水道の寒川浄水場と広域水道企業団の綾瀬浄水場の間で水の相互融通化が進められ、被害に遭っても、いずれかの浄水場から水を送ることができるように、いざというときのための万全の体制づくりが進められております。 こうした事業は、長期にわたり多額の財源を要することから、県営水道は、平成18年4月から水道料金を改定し、水道事業の安全・安心を利用者に約束したわけであります。県営水道の果たすべき役割は、県民に安全でおいしい水を、絶えることなく送り続けることであり、その役割を果たし、県民の信頼を損なうことがないよう、経営計画に盛り込まれた事業の着実な推進はもとより、経営改善にも取り組む必要があります。 これまでも企業庁は、組織の再編などの取り組みを実施してきておりますが、余りコストの削減ばかりに目を奪われますと、企業庁がこれまでに築き上げてきた、災害の際の地域との連携などに支障が生じかねません。今後とも、地域の実情に応じた、きめ細やかな対応が求められるところであります。 このように災害対策や経営改善など、企業庁が、今後、なし遂げなければならない課題を念頭に置きながら、今回、予算計上されている平成19年度当初予算案を見ますと、水道料金収入は584億円と、平成18年度の当初予算額596億円を12億円下回っております。水需要の伸び悩みが背景にあることは理解していますが、水道事業収入の大部分を占める水道料金収入が計画どおりに確保できないとなれば、果たして、災害対策などの県民の安全・安心を確保するための事業は計画どおりに達成できるのか、不安を感じております。 そこで、企業庁長にお伺いします。 県民の、水の安全・安心の確立のため、企業庁の地震災害対策などの重要施策の実施には、不断の実行が求められるところであります。今後、水道事業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、どのようにして安全な水の安定供給に努めていこうとしているのか、企業庁内部での自己努力も含めて、その決意をお伺いいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございます。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
◎知事(松沢成文君) 笠間議員のご質問に順次お答えいたします。 まず、綾瀬インターチェンジについてのお尋ねをいただきました。 県民生活や産業経済活動をしっかりと支えるとともに、安全で災害に強い県土づくりを実現するためには、さがみ縦貫道路を初めとする自動車専用道路や、インターチェンジに接続する道路などの整備によって、利便性の高い幹線道路網を構築することが不可欠であると認識しております。 議員お尋ねの、綾瀬インターチェンジは、県央・湘南地域の新たな南北軸となる都市計画道路、寺尾上土棚線との接続により、東名高速道路の有効活用を図るものであり、地域の活性化や横浜町田、厚木両インターチェンジ周辺の渋滞緩和に大きく寄与するものと考えております。 これまで、周辺7市1町の首長で構成される協議会から、強いご要望をいただいてまいりましたが、そのほかにも、昨年には住民代表の参画による既存組織の充実強化や、商工団体による新たな協議会の設立が行われました。地元としても、このインターチェンジの設置に積極的なご支援をいただけるとのことであり、大変心強く感じているところでございます。 そこで、これまでの検討状況でございます。県では、平成17年度から調査に着手し、インターチェンジの形態について、経済性、施工性、あるいは安全で円滑な交通処理といった観点から、比較検討を進めてまいりましたが、このたび、最適な1案に絞り込んだところでございます。 この案に基づきまして、道路公社による有料道路事業の採算性について、利用交通量を精査しながら検討を深めてきたところであり、現時点では採算性を確保できるものと見込んでおりますが、引き続き関係機関と調整をしながら、収支計画の細部を詰めてまいります。 こうした検討状況を踏まえ、平成19年度当初予算案にも、環境アセスメントの調査費を計上させていただいたところであり、今後おおむね3年間を目途として、都市計画や環境アセスメントの手続を実施したいと考えております。 それとともに、道路公社や地元自治体といった関係機関と調整をしながら、詳細な事業計画や費用負担などについての検討を進め、早期の事業着手を目指してまいりたいと考えております。 次に、施設整備を通じた都市農業の推進についてのお尋ねをいただきました。 まず、農業のあるまちづくりについてのお尋ねであります。 議員お話しのとおり、本県の農家は一戸当たりの経営規模は小さい状況にありますが、大消費地に隣接しているという有利な条件を生かし、狭い農地でありましても立派に農業経営を行っている事例もございます。 例えば、海老名市の中河内地域では、イチゴ農家みずからの取り組みとして、農家が軒を連ね、贈答用のイチゴを直売したり、イチゴ狩り農園を経営するなど、通称「イチゴ街道」と親しみをもって呼ばれる地域となっております。県内外からも多くの都市住民が訪れており、農家も自立した経営を行っております。 また、横浜市戸塚区の「舞岡ふるさと村」では、県の支援事業を活用して、農畜産物の加工施設や、ふれあい広場などを整備し、地域で生産された野菜やハム、ソーセージの直売を初め、「トマトのもぎ取り体験」を開催するなど、都市住民との交流を行うことで、地域の活性化が図られております。 これらの地域におきましては、農業所得で700万円程度を目指す、いわゆる認定農業者が中心となって、活力のある農業が行われております。 このように、それぞれの生産者が地域の置かれた諸条件を踏まえて、地域の農業の活性化策について合意を図りながら、施設整備や施設の活用を進めることによって、「農業のあるまちづくり」が可能になるものと考えております。 県といたしましても、農家の方々のご要望を踏まえ、市町村、農協など、関係団体と連携をして、新たな取り組みの計画段階から、ご相談に応じてまいりたいと考えております。 次に、農用地区域に、農業振興を図るための施設を設置することについてのお尋ねをいただきました。 農産物の加工や直売などの、地域の農業振興を図るための施設を整備するに当たり、適地が農用地区域に指定された農地に限られるという場合もあろうかと存じます。農業振興を図るための施設の場合、その土地を農用地区域から除外しなくても設置が可能なものもございますが、一般的には区域除外の手続を行う必要がございます。 農用地区域は、市町村が集団的な優良農地を中心に確保すべき農地として、法律に基づいて定めているもので、区域除外を行うためには、通常、5年ごとの見直し時期に、県と協議をすることとされております。この見直し協議に当たっては、市町村の総合計画や地域の実情を踏まえながら、できるだけ市町村の意向を尊重して対応してまいりたいと考えております。 私からの答弁は以上でございます。〔企業庁長(小林 勲君)発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 小林企業庁長。
◎企業庁長(小林勲君) 企業庁関連のご質問にお答えいたします。 今後、水道事業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、どのようにして安全な水の安定供給に努めていこうとしているのかとのお尋ねでございます。 県営水道は、昭和8年の事業開始以来、70年にわたりまして、都市化の進展と人口増加に伴う水需要の増大に対処するため、相模ダムや城山ダムなどの水源開発、水道施設の拡充など、基盤整備に努めてまいりました。とりわけ、昭和30年代から40年代の高度経済成長期には、急ピッチに、浄水場や水道管等の水道施設を整備いたしました。現在、そうした施設が老朽化し、大規模地震の逼迫性と相まって、水道施設の更新への対応が大きな課題になりつつありますので、それをどのように計画的に進めていくかを、経営の基本に置く必要があると考えております。 また、節水機器の普及や節水思想の定着から、水道料金収入の増加を見込むことが困難となっており、今後、水道事業の経営環境は、年々厳しくなっていくものと認識もいたしているところでございます。 平成19年度当初予算では、このような基本認識に立ちまして、大規模地震に備えるため、耐震性の高い水道管への改良や、浄水場間の相互融通化などを一層進めますとともに、広島県での崩落事故を踏まえ、水道施設の緊急点検にも着手することといたしました。 また、県民の皆様に安心して水道をお使いいただけるよう、鉛製給水管の集中的な取りかえなどにも取り組んでまいります。 こうした安全・安心の取り組みは、経営状況が厳しくなりましても、計画的に進めなければならないと考えており、経営基盤の強化に向けて、さまざまな方策を検討し、順次実施に移しております。 具体的には、未納整理業務の民間委託化を進めるとともに、内部事務の集約化による業務効率の向上を図り、コストの節減に取り組んでいるところでございます。 また、効率的な組織とするため、今後、水道営業所の再編を行うこととしておりますが、県民サービスの低下や、安全・安心の体制に揺るぎが生ずることがあってはなりません。このため、電話受付などを集中して行う「お客様センター」を設置いたしますとともに、これまで築き上げてきた、地域や関係機関との協力関係、また、災害時の連携に影響が出ないよう、関係の皆さんからご意見を伺いながら、慎重に進めることとしております。 さらに、今後の水道施設の大量更新に当たりましては、他の事業者との連携や施設の共同利用など、さまざまな広域化・効率化のあり方も検討しなければならないと考えております。 企業庁といたしましては、県民生活を支える県営水道の重要性を十分に認識し、さまざまな分野にわたって、徹底した経営改善に取り組み、水道事業者としての使命を果たすべく、精いっぱいの努力を傾けてまいる所存でございます。 私からは以上でございます。〔教育長(引地孝一君)発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 引地教育長。
◎教育長(引地孝一君) 教育関係についてお答えいたします。 県立高校の冷房設備の設置についてお尋ねがございました。 県立高校における、普通教室への冷房設備の設置につきましては、高層の建物であったり、基地周辺に立地するといった、高校の個別の事情を勘案いたしまして、現在152校中5校に整備しているところでございます。このような状況に対しまして、生徒や保護者の方々から、整備の一層の充実を望むといった声が、教育委員会にも寄せられていることは、私どもとしても十分認識をしているところでございます。 しかしながら、現在、県立高校の施設では、老朽化対策や耐震化対策が喫緊の課題となっておりまして、今般の「県立教育施設再整備10か年計画」では、児童・生徒の安全確保を第一に、こうした対策に優先して取り組むこととしたところでございまして、限られた予算の中で、冷房設備の設置を先に行うことは、なかなか難しい状況でございます。とは申しましても、快適な学習環境を確保するためには、冷房設備の導入についても考慮する必要があると考えております。 そこで、県内市町村や他の都道府県における導入状況を調査するとともに、他の地方公共団体で実施されている、電力会社等の空調設備事業の活用や、民間活力の導入なども視野に入れまして、整備手法などの検討を行ってまいりたいと考えております。 また、特に、航空機騒音の影響を受ける高校への冷房設備の設置につきまして、最近は国庫補助制度を活用いたしまして、防音工事とあわせて、空調設備工事を実施しておりますが、かつて防音工事を実施した高校は、空調はなく、換気のみの設備となっております。現在、その設備もかなり老朽化が進んでおりますので、そうした高校につきましては、今後、空調設備も含めた工事を国庫補助事業として実施できるよう、国に対して強く要望してまいりたいと考えております。 次に、学校の運営や設備にかかわる、地域との連携協力についてお尋ねがございました。 県立高校の施設整備にはさまざまな規模のものがございますが、耐震補強や大規模改修、さらにはグラウンド整備といった、本格的な設計工事を要する整備につきましては、教育委員会が責任をもって行うべきと考えております。 一方で、学校の施設や環境の整備の中には、修繕や補修など、日常の取り組みの中で実施可能なものもございまして、教職員と生徒が力を合わせ、新学期に備えて校内の壁の塗りかえをしたり、気持ちよくトイレが使えるように壁面に絵を描いたりするなど、いろいろな工夫を行っている学校もございます。 このような学校施設の環境整備につきましては、生徒がすがすがしい気持ちで学校生活を送れるよう、校長のリーダーシップのもと、各学校でそれぞれ工夫しながら、主体的に取り組んでもらいたいと考えております。 また、こうした学校の取り組みに対しまして、議員のお話にもございましたが、日ごろから学校運営や教育活動にご協力いただいております、PTAや学校評議員、地域の皆様などから、ご支援の申し出を受けることがしばしばございます。限りある予算の中では、こうしたお申し出は大変ありがたく、深く感謝しているところでございまして、民間の方々と学校が協働して、例えばトイレなど、身近な環境整備に取り組むことは、いわば、今求められております、地域と協働した学校づくりにもつながっていくものではないかと思っております。 今後は、こうした、地域の民間の皆様のご支援をしっかりと受けとめて対応できるよう、教育委員会といたしましても、材料費の提供など、できる限りの支援を、積極的に行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。〔笠間茂治君発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 笠間茂治君。
◆笠間茂治君 時間がないので、自席から一言だけお礼をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。 知事並びに企業庁長、教育長、今私が質問させていただいた内容、これは個々、地域の実情、さらには地域の方々が主体的にその問題にかかわっていくんだという、そういった環境づくりがいかに重要かということを、選び抜いて質問させていただきました。各分野においては、特に個々対応していただけるという、前向きなご答弁もいただきましたので、ぜひその点、地域と一体となった形で、やはりこれからは、地域の問題は地域の人が自己責任で判断し、やっていくんだという、そういったものをすべての機関に取り入れ、生かしていただけることを要望しながら、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○議長(中村省司君) お諮りいたします。 この際、休憩いたしたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村省司君) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は15分後といたします。 午後4時3分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026246-質問・答弁-赤井かずのり議員-一般質問①道路整備について②県民の安全・安心対策について③文化芸術の振興について④産業振興について》 午後4時25分 再開 〔議会局長報告〕 出席議員 副議長共71名
○副議長(新井敏二郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(新井敏二郎君) 質問を続行いたします。 赤井かずのり君。〔赤井かずのり君登壇〕(拍手)
◆赤井かずのり君 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら質問いたします。 知事におかれましては、明快かつ前向きなご答弁をお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 質問に入ります前に一言申し上げます。 本県は、これまで地域経済の活性化策として、積極的に企業誘致策を展開してきたことから、一流企業と呼ばれる企業が本県への転入を決めてまいりました。しかしながら、今月に入り、知事もご存じのとおり、平塚市の日産車体が、一部の工場を残し、県外の福岡県に移転することを発表しております。雇用や人口、税収に与える影響などは、関係当局が調査していると存じますが、多大な影響を与えることは間違いありません。 このように、神奈川県に企業が進出しているものの、その一方で、本県から企業が転出するような事態も生じておりますので、知事におかれましては、広域自治体の長として県域全体に目を配り、県土の均衡ある発展に資するような施策の展開に心がけていただきたいと思います。 それでは、質問に入らせていただきます。 質問の第1は、道路整備についてお伺いをいたします。 まず初めに、国道134号の渋滞対策についてであります。 国道134号は横須賀市を起点とし、大磯町を終点とする一般国道であり、通称「湘南道路」と呼ばれております。特に、茅ヶ崎市の浜須賀交差点から湘南大橋を西に向かうルートは、新春恒例の一大イベントとなっております、箱根駅伝のコースとしても広く知られており、平塚に中継ポイントがあることでもおなじみであります。 そうした中で、今年の3月18日には、この国道134号を舞台にして、神奈川県で初のフルマラソンとなります第1回「湘南国際マラソン」が開催されます。江ノ島水族館から西湘バイパスの二宮インターチェンジまでを折り返しコースとするもので、すばらしい湘南海岸の景観を楽しめるイベントであり、春の行楽シーズンの休日に行われるため、地域振興策としても大いに盛り上がりを期待するところでありますが、一方で、開催に当たっては、朝8時半から午後3時までの6時間半もの長時間、全面通行止めを予定しておりますことから、開催時の交通渋滞を懸念しているところであります。 国道134号の、現在の道路の整備状況は、藤沢市江ノ島付近から茅ヶ崎市柳島付近までは片側2車線、上下4車線工事がほぼ完成し、スムーズに流れており、また、湘南大橋の上り線2車線増設工事についても順調に進んでおります。 注目すべきは、道路整備について事業進捗のめどが立っていない、高浜台交差点から西の交通渋滞対策であります。具体的な渋滞解消策として、西湘バイパスまで高架で接続させる「新湘南バイパス」が都市計画決定されており、鋭意事業が進められていると存じておりますが、仮に計画どおり事業が進捗したとしても、完成年度は平成32年度であり、今後も多大な経費と時間を要することとなります。 私は、一昨年の2月定例会における一般質問でも、国道134号の早期の渋滞解消に向けて要望しましたが、その際、高浜台交差点から西の渋滞対策について、知事からは「湘南大橋の2車線増設工事の進捗を見ながら、現在の計画との整合性を図りつつ、どのような対策ができるのか、国・市町など関係機関と調整をしてまいりたい」との答弁をいただいたところであります。 そのような状況の中で、地元からは、早急に渋滞を解消する具体的な手だてとして、都市計画道路が完成するまでの間、暫定4車線化を望む声も出てきており、県としても、今年度に入り、国・県・地元市町を構成メンバーとする検討会の設立に向けて調整しているとのことであります。 そこで、知事に改めて伺います。 高浜台交差点から西の交通渋滞解消策として、まず都市計画決定に沿った整備に取り組んでもらいたいのでありますが、その整備には時間を要するため、早期に渋滞を解消するための方法として、県はどのように対応しようと考えているのか、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、歩道整備と電線地中化について質問いたします。 近年、道路整備に当たっては、従前にも増して、高齢者などの交通弱者に配慮した歩行空間の確保が求められております。そこで、本県における歩道整備率を見ますと、全国平均は上回っているものの、「幅員2メートル以上」の歩道設置基準を満たす歩道の割合となりますと、都市部であるにもかかわらず、全国並みにまで減少いたします。また、実際に歩道が設置されていましても、例えば、電柱があるために十分な歩行空間を確保できない箇所も数多く、本県においては、さらなる歩道整備の推進と歩道の無電柱化が望まれます。 そうした中で、県管理道路については、幅員2メートル以上の歩道整備率が、いまだに4割程度にとどまっているとのことであり、特に、人通りの多い駅周辺などの歩道整備が必要ではないかと考えております。 また、無電柱化の手法としては、いわゆる地中化方式のほかに、道路の裏通り等に電線類を配置する「裏配線」、道路の脇道に電柱を配置し、そこから建物の軒下まで電線を引き込む「軒下配線」などがあります。 県は、従前から、地元の中小企業向けの公共事業の一環となる、電線地中化事業を推進してきました。この電線地中化事業は、単なる歩行空間の確保機能だけではなく、バリアフリーの観点や、町の美観、さらに防災上の観点からも、非常に大きな役割が期待でき、早急な整備が望まれております。 そこで、知事に伺います。 今後も高齢者などの交通弱者のふえることが確実に見込まれる中で、特に、市町村の進めている、交通バリアフリー法の「重点整備地区」や「安心歩行エリア」における歩道整備の重要性が高まると考えます。県としても、こうした市町村と連携した取り組みを進めるべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 また、県内の電線地中化については、現在、「神奈川県電線類地中化地方協議会」を通じて、「無電柱化推進計画」に基づき推進されていると承知しております。そうした中で、電線地中化事業を、前倒しして推進するような計画に見直すべきと考えますが、今後の取り組みについて、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、県民の安全・安心対策についてお伺いをいたします。 初めに、災害時の緊急支援物資の受け入れについてであります。 これまで大規模な災害が発生すると、全国各地から届く支援物資により、多くの被災者が助けられる一方で、不規則に届く支援物資の仕分け作業に、被災自治体職員やボランティアなどの人手がとられ、本来の救援活動などに支障が生じたり、また、大量に余った物資のストック場所や処分に苦慮する事態が繰り返されてきました。 このような事態は、これまでも大規模な災害が起こるたびに問題視されてきましたが、人々からの善意による行為であるため、具体的な議論を深めるに至らなかった経緯がございます。 例えば、アメリカなどの海外では、災害発生とともに、支援物資の受け入れはしない旨の明確な意思表示がなされているとのことであります。 こうしたことから、我が国においても、平成16年10月の新潟県中越地震などを機に、被災直後の一定期間は、確実に量を確保できる企業などからの物資を優先させ、個人からの物資受け入れを制限する動きも出てきたところであります。 例えば、新潟県の長岡市や、鳥取県は、地域防災計画に、「災害発生直後は個人からの物資を原則受け入れない」ことを明記し、埼玉県でも、現在同様の検討をしているとのことであります。 また、総務省の消防庁におきましても、災害時の支援物資を効率的に調達する仕組みづくりのため、自治体の防災担当者や有識者による検討会を発足させることを決め、昨年12月中旬に初会合を開き、年度内に報告をまとめる予定とのことであります。 そうした中で、本県は、全国初の取り組みとなります、災害時救援対応の机上訓練を県内35市町村の参加を募って実施し、支援物資の受け入れについて課題等を整理したとのことであります。 そこで、知事に伺います。 災害時救援対応訓練における経験等を生かし、県として災害時の支援物資受け入れについて、あらかじめ明確な方針を決定し、地域防災計画や災害対応マニュアルに詳細を明記すべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 また、受け入れ方法については、都道府県や市町村などの自治体や、協定先の民間企業への周知だけではなく、ホームページや報道機関等を通じて、一般県民にも事前に十分周知しておくことが必要と考えますが、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。 次に、災害時の人工透析患者の対応についてお伺いいたします。 人工透析患者は、週3回程度の血液透析を行わないと、みずからの生命を維持できないことから、大規模災害の発生時においては、関係機関と連携をとり、透析機会を確保する必要がございます。そのため、本県では、阪神・淡路大震災の翌年の平成8年に、「災害時透析患者支援マニュアル」を策定したところですが、策定から10年が経過しているため、NPO団体などからは、大規模災害時の透析医療を確保するための最新情報や、伝言ダイヤルの活用方法などについて、マニュアルに反映してほしい旨の要望もあり、現在改訂作業を進めているとのことであります。 一方、この「災害時透析患者支援マニュアル」は、大規模災害時における、行政担当者及び透析施設担当者向けのものであります。そうしたことから、災害時には透析患者自身も対応に迷うことが想定され、透析患者向けにも、平時の心得から災害時の自己管理までの行動指針を記載した手引や、災害時に本人が負傷し、みずから人工透析患者であることが伝えられない場合に役立つ、「人工透析カード」がぜひとも必要ではないかと感じております。 そこで、知事にお伺いいたします。 平成16年の新潟県中越地震では、透析施設の被災情報や患者情報などが、関係機関の間で共有化できたことが、円滑な透析医療につながったとのことであり、本県においても、災害時の関係機関との情報の共有化と連携に重点を置いた、マニュアルの改正が一刻も早く必要であると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 また、県内では、既にNPO団体などが個別に透析患者用の防災の手引を作成していることは承知しておりますが、東京都が作成しているように、広域自治体である県として、統一的に作成すべきと考えますが、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。 次に、「事業継続計画」の策定についてお伺いいたします。 災害の多い我が国では、行政はもちろん、企業、県民がそれぞれ協力して、災害に強いまちづくりを目指していくことが必要であります。特に、大規模災害が地域経済に大きく影響を及ぼすことが想定されますことから、被災しても重要な事業は中断しないこと、中断しても可能な限り短期間で復旧することが望まれます。 そうしたことから、欧米では、災害時にも事業が継続でき、かつ、万が一被災して事業が中断しても、早急に被災前の状況に近づけられるような、事前の備えとして、事業継続計画、いわゆるBCPを策定する企業が多くなっているとのことであり、大規模災害の発生が懸念される本県においても、早急に検討していくべき課題ではないかと考えております。 そこで、知事に伺います。 災害時に最短の時間で復旧を可能とし、必要とされる機能を回復するための、県政版の事業継続計画、いわゆるBCPを策定する必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。また、県として、商工会議所などを通じて、県内の事業者にもBCPを普及していく必要があると考えますが、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。 次に、相模川河口の安全対策についてお伺いいたします。 相模川河口については、変則的な形状をしていることから、安全対策の必要性を訴えてまいりましたが、現在も、漁船や水上スキー、プレジャーボートなどの転覆事故が頻発しており、平成14年4月1日に湘南海上保安署が設立されて以降も、20件もの船舶海難や船舶からの海中転落事故が発生しているとのことであります。これまでも相模川河口で事故が発生した場合、河川区域が国土交通省、平塚漁港区域が平塚市、海岸保全区域が神奈川県と、所管が入り組んでおりますことから、迅速な対応が難しい状況も見受けられました。 そうしたことから、地元の漁業協同組合などからも、早急に改善策を講じるよう、県に要望を上げてきておりますが、今年に入ってからも既に1件の事故があったとのことで、事故多発エリアであることの警告表示や取り締まりの強化など、安全対策を講じると同時に、河口構造の研究をする必要があると考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 昨年、県主導のもと、国、県、市、漁業協同組合との連絡会を設置したとのことでありますが、県として、ソフト面、ハード面、いずれに限らず、積極的な改善策を講ずる必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第3は、文化芸術の振興についてお伺いいたします。 まず、文化振興条例の制定についてであります。 我が国は、かつて、他の先進諸国に比べ、文化芸術振興策のおくれが指摘されていた時代もありましたが、平成13年度の「文化芸術振興基本法」の制定を初め、平成14年度には、同法に基づく「文化芸術の振興に関する基本的な方針」も策定され、文化芸術施策の充実が図られてまいりました。 そうした中で、本県も平成16年3月に、県文化行政のよりどころとして、「かながわ文化芸術振興指針」を策定し、積極的に文化行政施策に取り組んできたところであります。現在、国は、文化芸術の振興に関する基本的な方針の策定から4年が経過したため、文化行政を取り巻く環境の変化や、諸施策の効果に関する評価を踏まえ、方針の見直しを行い、去る2月9日には第2次基本方針を閣議決定したところでありますが、県の指針も国の動きを受けて見直し作業が進められていると伺っております。 そうした中で、国とともに地方においても、文化芸術活動の発展を支える環境の整備が求められており、本県も他の自治体に先駆けて、県の指針の見直しに当たり、これまで以上に、県行政における文化の地位を向上させなければなりません。そのためには、県が行政の立場で策定した「かながわ文化芸術振興指針」ではなく、議決により民意を反映した「文化振興条例」の制定がぜひとも必要なのであります。 昨年の9月定例会では、我が党の藤井議員が質問した際に、知事から前向きな答弁があったと承知しております。その後、これまで半年が経過し、条例の制定作業も進捗しているのではないかと考えております。 そこで、文化振興条例の制定につきまして、改めて知事のご所見をお伺いいたします。 次に、ストリートアーティスト制度の導入についてお伺いいたします。 いわゆるストリートアーティストとは、ストリートミュージックだけではなく、大道芸やマジックなど、屋外で活動するすべてのジャンルのアーティストを総称している呼称と考えております。このストリートアーティストについては、これまで社会的な認知度も低く、その活動も取り締まりの対象となることが多いことから、合法的に活動する場合の範囲は非常に限定されるものでありました。 そのような事態を受けて、我が党では、平成15年2月に、岡崎前知事に25万人の署名とともに、ライセンス制度の導入の要望書を提出しました。残念ながら、本県ではいまだ導入には至っておりませんが、東京都ではヘブンアーティスト制度、柏市では認定制度などが導入され、商店街の振興などにつながったと伺っております。 こうした中で、私も常任委員会での質疑を行い、本県でもライセンス制度の導入を検討してきたところでございますが、公共機関が確保できる場所とストリートアーティストが希望する場所とのミスマッチや、関係機関との協議に時間を要し、早急に導入することは難しい事情もあったことから、それまでの間は、各市町村との連携を図る連絡会議の設置など、ストリートアーティストの活動を、側面から支援するような要望も県に求めてきたところであります。 そうしたことから、昨年は、県のイニシアチブにより、2回ほど県と市町村との連絡会議が開催されました。また、今年3月には、県内各地で行われていたコンクールのグランプリ受賞者などが一堂に会する野外コンサートも、県内初の取り組みとして、開催が決定されたとも聞いております。その取り組み成果については一定の評価をしたいと思います。 しかしながら、こうした活動支援は、確かにストリートアーティストの活動成果、目標として大変に有意義ではありますが、一部のアーティストに限定されてしまい、側面的な支援の域から脱してはおりません。やはりストリートアーティストが求めているのは、名前のゆえんとなっているような、屋外の人通りの多い場所において、自由に自己表現することではないでしょうか。 そこで、知事に伺います。 県のライセンス制度は、警察、地元商店街との協議や、県立施設の確保など、難しいことは承知しているところですが、県として、関係方面と積極的に調整していただき、ぜひともライセンス制度の導入を早期に図っていただきたいと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第4は、産業振興についてお伺いいたします。 まず、水産業の振興についてであります。 相模湾は、「湘南のしらす」、「小田原のアジ」など、食用の魚介類が200種類以上もとれる豊饒の海であります。中でも、湘南しらすについては、全国の中で神奈川県の漁獲量は少ないものの、漁業者が自前で漁獲から加工まで行うため人気が高く、食べ方も、生や釜揚げ、天日干しで「たたみいわし」とするなど多種多様にあり、まさに「かながわブランド」の代表格となっております。 現在、相模湾内で、この名産であるしらすの漁獲量が減少していると言われており、特に平成16年度は近年にない不漁となったこともあり、こうした事態を警鐘と受けとめ、湘南しらすに限らず、相模湾における水産資源の取り扱いについて、将来を見据えた検討を行うべきではないかと考えます。 また、その一方で、東京湾における水産資源の減少問題が深刻化しております。特に江戸前シャコについては、平成17年度から、現在も長期にわたり、大不漁が続いておりますことから、他団体とも連携して、東京湾内の水産資源の回復を図るために、江戸前シャコだけでなく、主だった魚種について、自主的な漁獲量の制限を行う予定であると伺っております。特に、江戸前シャコについては、原則3年間の禁漁にすることを検討しているとのことでした。 相模湾における漁業についても、現時点において、魚価の低下、水産資源の減少、漁業者の高齢化などにより、低迷が続いております。その上で、今後、東京湾の江戸前シャコのように、湘南しらすなど名産物の漁獲量が大きく落ち込むような事態に陥れば、こうした流れに一層拍車がかかり、神奈川県の水産業全体の衰退につながる事態となってしまいます。そうした事態に至ってから対策を講じても遅いと思います。 そこで、知事に伺います。 東京湾のように漁獲量が極端に減少する事態に至る前に、相模湾における水産資源の保全に向けた具体的な取り組みを早急に行う必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 また、本県における水産業振興施策については、このような相模湾や東京湾の実態を見る限り、県行政として具体的な方向が見えず、その場しのぎ的な対応となっているように感じますが、県として、水産業振興施策を今後どのように展開していこうと考えているのか、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。 最後に、平塚高等職業技術校の閉校問題についてお伺いいたします。 平塚高等職業技術校を初めとする、県立の高等職業技術校は、産業構造が変化し、企業の人材ニーズが多様化・高度化している中で、人材育成機関として、民間訓練機関等を含めた職業能力開発施設の中でも重要な役割を担ってきましたが、現在の8校1分校を東西の大規模校2校に再編することが決定しております。 これまで、再編後の職業技術校の地域選定に当たっては、知事から、第1に通学の利便性、第2に東西のバランス、第3に工場の集積などの周辺環境に視点を置いて決定するとの説明をされておりました。その結果、東部方面は旧寛政高校の跡地に、西部方面は現在の大秦野高校の敷地に建設することを決定したと承知しておりますが、特に西部方面については、本当にそれらの基準を踏まえた結果なのか、もう一度検証すべきではないかと考えております。 なぜなら、工業統計を見ますと、湘南地域におきましては、平塚市が、秦野市などをしのいで、事業所数、従業者数、製造品出荷額、付加価値額などの指標でいずれも最高位となっているからであります。平塚市は、現時点では、県全体で見ましても、横浜市、川崎市の政令市に次いで、3番目の県内の製造品出荷額を誇っております。まさに、前述の基準に照らせば、平塚市域が、西部方面職業技術校の候補地として最もふさわしいのではないでしょうか。 そこで、知事に伺います。 再編後、平塚高等職業技術校をそのまま閉校するのではなく、例えば、職場から近距離で利便性が高い場所での実施が望まれる在職者訓練などの場として、地元企業や商工団体等からの意見も伺いながら、引き続き県施設として利活用できないか、知事のご所見をお伺いいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
◎知事(松沢成文君) 赤井議員のご質問に順次お答えをいたします。 初めに、道路整備について2点お尋ねをいただきました。 まず、国道134号の渋滞対策についてでございます。 国道134号は、沿線住民の日常生活はもとより、観光、レジャーを初めとする産業経済活動の基盤として、また、災害時の緊急輸送路としても、重要な役割を担う道路であると認識しております。 そこで、県では、藤沢市の片瀬橋から平塚市の高浜台交差点までの4車線化を進めてきたところであり、昨年までに9割以上の区間を供用開始し、残る湘南大橋付近の区間について、平成21年度の供用開始を目指して事業中でございます。 議員お尋ねの高浜台交差点から西湘バイパスまでの区間でございますが、都市計画決定では、国道134号は現況と同じ2車線のままとし、新湘南バイパスを高架構造の4車線で延伸する計画となっております。新湘南バイパスの延伸については、国に整備促進を働きかけておりますが、開通までには相当の期間を必要とする状況であり、地元の商工団体を初めとする皆様からは、早急な渋滞対策として、国道134号の暫定的な4車線化のご要望をいただいております。 県といたしましても、この区間の渋滞は放置できない状況にあると承知しており、対策の早期具体化に向けた検討の場を設けるため、昨年来、地元の市町と国との調整を進めてまいりました。その結果、まずは国道1号など周辺の幹線道路を含めて、交通の現状や課題の分析を行い、当面の対策について検討することとし、国、県、市町で構成する検討の場を来月に設立する運びとなりました。 今後は、この検討の場で議論を重ね、現在の計画と整合を図りながら、国道134号を暫定的に4車線化する方策も含め、早期に実現可能な対策について検討してまいりたいと考えております。 次に、歩道整備と電線地中化についてのお尋ねがございました。 まず、歩道整備の推進についてでございますが、本格的な高齢社会を迎え、高齢者や障害者などに配慮した駅周辺などのバリアフリー化や交通安全対策は、大変重要なことであると認識をしております。 このような中、平成12年に施行された「交通バリアフリー法」に基づき、市町村は、主要な駅及びその周辺地域の歩道をバリアフリー化するための基本構想を策定してきており、現在までに策定済みの政令市以外では、平塚市など12市1町26駅で策定されております。また、平成15年には、歩行者や自転車の事故が多い一定の区域を、国が「あんしん歩行エリア」として横須賀市など14市22カ所を指定いたしました。現在、市町村は、指定されたすべての箇所について、その区域内の歩道整備など、交通安全を図るための整備計画を策定しております。 今後、基本構想が未策定の市町村につきましては、この構想を円滑に策定できるよう、県としても、引き続き技術的支援を行ってまいります。そして、こうした基本構想や整備計画の推進に当たりましては、県と市町村などが一体となって取り組む必要があります。そこで、県といたしましても、構想などに位置づけられた歩道の整備を重点的・優先的に進めているところであり、今後とも、引き続き市町村などと連携を深め、取り組んでまいります。 次に、電線地中化事業の推進についてであります。 この事業は、安全で快適な歩行空間の確保や都市景観の向上等の観点から、重要な事業であると認識しております。この事業を進めていく上では、水道やガス管などの埋設物が込み入っている歩道空間内に、電線を収容する施設を敷設する必要がありますので、その収容空間を確保するための占用者との調整や、その埋設物を移設するためのコストもかかるといった課題に対応する必要があります。これまで、こうした課題を解決しながら着実に取り組んできた結果、平成17年度末までに、若宮大路など39路線、77カ所、28.7キロメートルが完成し、現在は平成20年度までの5カ年計画である「無電柱化推進計画」に基づいて、鋭意事業に取り組んでいるところでございます。 今後の取り組みでございますが、電線を収容する施設のコンパクト化や市町村の再開発事業など、まちづくりとの一体的な整備手法も取り入れるなど、工夫を重ね、計画に位置づけられた事業の進捗が、より一層図られるよう取り組んでまいります。 さらに、平成21年度からの次期「無電柱化推進計画」の策定に向けては、電線管理者などに加え、新たに水道やガスなどの占用者と、これまでより早い段階で十分な調整を図り、より充実した計画となるよう努めてまいります。 次に、災害時の支援物資の受け入れについてのお尋ねがありました。 これまでの大規模災害の際には、被災者ニーズが合致した物資の迅速な調達、供給が困難だったり、全国から届く大量の支援物資の処理が適切に行えなかったなど、さまざまな課題が生じました。 県では、これらの課題に対応するため、まず物資の調達や受け入れの迅速化を図るよう、従来は品目ごとに担当部局が分散していたところを、関係部局の職員で構成する「調達調整チーム」を設けて一元化いたしました。次に、全国の皆さんから善意で送られる義援物資のうち、小口物資については、短期間で適切に処理することが困難ですので、原則としてお断りし、できる限り義援金による支援をお願いするよう、考え方を整理いたしました。 さらに、この義援物資についての考え方を明記するとともに、効率的な物資の調達や受け入れの手続を定めた「物資調達マニュアル案」を作成し、全市町村が参加した訓練を実施したところであります。 今後は、訓練を通じて浮かび上がった実務上の課題を整理して、マニュアルを完成させるとともに、義援物資の取り扱いを地域防災計画に位置づけてまいりたいと考えております。また、義援物資についての考え方等につきましては、記者発表、県のホームページへの掲載などにより、広く周知を図ってまいります。 さらに、県と市町村との間で、物資の要請等のルールや伝票等の帳票類の共通化などを図って、大規模災害の際に物資の円滑な需給調整が図られるよう取り組んでまいります。 次に、災害時の人工透析患者への対応についてお尋ねをいただきました。 議員お話しのように、大規模地震など、災害時におきましては、透析施設が被災し、身近な地域で透析が受けられず、患者さんの命が脅かされる事態が生ずることが予想されます。そこで、本県では、阪神・淡路大震災の翌年に、災害時において速やかに透析施設の被災状況を把握し、関係機関や透析患者さんに透析可能な施設情報を提供するための「災害時透析患者支援マニュアル」を策定したところであります。 その後、今日のような、携帯電話やインターネットといった通信手段が大いに普及したことから、被害状況や支援に関する情報伝達の迅速化と、他県を含めた広域的な情報収集という観点で、マニュアルの改訂を検討してまいりました。現在、透析施設や患者さんの団体、市町村などとの調整も終えておりますので、3月中には関係者にお届けする予定となっております。 また、透析患者が携帯する「防災の手引」については、患者さん個々の透析条件や常用している薬剤、さらには災害発生時の対応などを記載することで、いざというときに大変役立つと思います。 現在、こうした手引としては、患者団体が県内の会員に配付している災害時の透析者手帳、透析施設の団体が患者さんに配付している緊急透析カードなどがございます。県としては、防災の手引が県内の透析患者に広く行き渡ることが大事だと思いますので、今後、透析施設や患者さんの団体ともご相談しながら、透析施設での配付など、その普及に向け、鋭意取り組んでいきたいと考えております。 次に、事業継続計画、BCPについてのお尋ねがありました。 事業継続計画は、災害時に事業主体が本来の業務を速やかに再開するための計画であり、国も、民間企業に対し、その必要性を提唱しておりますが、県は、災害時には、県民の生命、身体、財産を守る災害応急活動が最優先となる点で、民間企業とは大きく異なっております。 そうした中、災害時にも中断が許されない行政サービスについては、これまでも業務継続への取り組みを行ってきたところであり、例えば県立病院では、被災者だけではなく、既に入院中の患者さんの治療も継続できるよう、医療スタッフを確保することとしております。また、電子化されている県の行政データのバックアップに関しては、同時被災の可能性が少ない他県の施設に保管し、一定期間ごとに最新のデータに入れかえております。 今後は、他の行政分野も含め、事業継続計画の考え方を取り入れ、災害応急活動とは異なる視点から、非常時にも通常業務を継続できる執行体制の検討や、そのための業務分析なども必要となってくるものと思われます。 そこで、災害応急活動に全力で取り組みながら、あわせて必要な通常業務の継続を図るという、行政特有の事業継続計画はどうあるべきかという研究を進めてまいりたいと考えております。 また、県内の事業者への普及につきましては、中小企業における事業継続計画を各社が自力で策定できるよう、中小企業庁が、昨年2月に、詳細なBCP策定運用指針を作成しております。その際、県から商工会、商工会議所などに、この指針を紹介し、県のホームページからも指針をごらんいただけるようにするとともに、10月に、市町村商工会議所などに災害時の産業復興対策のアンケートを実施した際にも、改めてこの指針の周知を行ったところでございます。 しかし、多くの中小企業でいまだBCPの策定に至らない状況でありますし、BCPの策定には多くの企業経営上のメリットがあることから、今後は、経済団体、市町村とともに、県内の事業者に対するBCPの一層の普及に努めてまいります。 次に、相模川河口部の安全対策についてお尋ねをいただきました。 相模川河口部は、国土交通省管理の河川区域と平塚市管理の漁港区域が重複し、その外側が県管理の海岸保全区域となっております。また、この区域は、地形的な要因により、不規則な波が、天候にかかわらず、発生しやすいために、これまで約5年間に海難事故が20件発生しております。その原因といたしましては、操船する方の気象に対する不注意が主なものであり、これまでも湘南海上保安署が注意喚起のチラシの配布などを行ってきております。 県としても、安全対策の必要性を認識していたところですが、昨年8月の転覆事故を契機に、海上保安署の協力のもと、県が事務局となり、関係機関による「航行安全対策連絡調整会」を昨年12月に設置いたしました。これまでの検討では、危険性を周知する看板類の設置や、ライブカメラのインターネット配信などの、当面の対応を進めることといたしました。 相模川河口部につきましては、管理者が複数いる中で、対策の実施主体の調整などが必要となりますが、県といたしましては、関係機関との連携を図り、航行の安全に向けて、できる限りの対応を行ってまいりたいと考えております。 次に、文化振興条例の制定についてお尋ねをいただきました。 さきの9月定例会において、私は文化芸術の振興に当たっては、指針や条例といった根拠を整えて、強力に推進する必要があるという認識を示させていただくとともに、指針の見直しや条例制定に向けて作業を進めていくと答弁させていただきました。 その後の動きでございますが、本県の「かながわ文化芸術振興指針」を見直すために設置することとしておりました懇話会につきまして、指針の見直しだけでなく、文化振興条例の骨子案、素案の検討も行うこととし、改めて委員の選定を進めてまいりました。本年1月には、「かながわの文化芸術振興を考える懇話会」として設置することを決定し、この2月1日に第1回目の会議を開催して、現行の指針の取り組み状況の検証などを行ったところでございます。 また、議員お話しのとおり、2月9日には、国の「文化芸術の振興に関する基本的な方針」、第2次基本方針が閣議決定され、公表されましたので、現在、本県の指針等にどう盛り込むのか、分析を始めたところでございます。 今後でございますが、懇話会を中心に、指針と条例の役割分担の整理を行い、条例と指針それぞれに、どのように神奈川らしさを盛り込んでいくのかなどをご議論いただくとともに、議会を初め、県民の皆さん、市町村のご意見をいただきながら、条例案の検討を深めてまいりたいと考えております。 次に、ストリートアーティストのライセンス制度の導入についてお尋ねをいただきました。 本県には、大変多くのストリートアーティストが活動しておられますが、こうした活動は、文化芸術の振興のみならず、まちの活性化にもつながり、大変意義のあるものと考えます。しかし、路上等野外での活動は、道路の使用許可や騒音問題などから、大きな制約を受けておりますので、より自由に演奏できる場を確保するためのライセンス制度は、ストリートアーティストの振興に大変有効な制度であると考えております。 そこで、本県でも、昨年、ストリートミュージシャンの振興に積極的な12の市町と県とで連絡会議を設置し、地元商店街や警察などの認知のもとに演奏等ができるようにするライセンス制度を、県内統一的に導入できないか検討を始めたところであります。 しかしながら、各市町の取り組みとしては、例えば場所の開放日一つを見ても、年数日から週数日までさまざまであるように、地域に合った独自の形式で登録制度やコンテストなどを始めたばかりであり、各市町にもそうした取り組みを徐々に伸ばしていきたいという意向がありました。 こうしたことから、早急に、県主導で、統一的にライセンス制度を導入するのは難しい状況であり、当面、各市町に事業の実施日や実施箇所をふやしていただくよう要請するとともに、市町から要請があれば、関係機関との調整を、県が積極的に行いたいと考えております。 さらに、統一ライセンス制度について、引き続き連絡会議の場で検討を進めるとともに、県として、県民ホール前の噴水広場など、県有施設内を対象にしたライセンス制度の導入ができないかなど、検討していきたいと考えております。 次に、水産業の振興について、2点お尋ねがございました。 まず、相模湾の水産資源の保全に向けた取り組みでございますが、相模湾では多彩な魚種が漁獲されますので、資源の保全につきましては、それぞれの魚種に応じた取り組みを行っているところであります。 具体的には、黒潮の流れに乗って広範囲に回遊するマアジやマイワシなどは、県単独では資源管理が難しく、全国的な枠組みの中で漁獲量制限が実施されております。 議員お話しのしらすはイワシ類の稚魚ですので、資源管理が難しい魚種ではございますが、本県では禁漁期間の設定やしらす漁船数の制限により、乱獲の防止に努めております。 一方、移動範囲が狭く、相模湾周辺に生息する、マダイやヒラメ、アワビなどについては、種苗放流や小型魚の漁獲制限など、資源回復に向けた取り組みを積極的に行っております。 天然の魚を相手にする資源管理は難しい面もございますが、今後、水産技術センターの調査で資源減少の兆候が認められた魚種については、資源回復に向けた適切な方策を速やかに講じてまいりたいと考えております。 次に、水産業施策の今後の展開についてのお尋ねであります。 本県では、平成17年3月に「かながわ水産業活性化指針」を策定し、指針に基づき、資源回復のほか、漁場環境の改善、水産物の地産地消の推進などの事業に取り組んでいるところであります。 今後は、特に沿岸漁業の漁獲量の7割を占める、定置網漁業の活性化について、地域に合った網型の開発など、具体的な取り組みを検討してまいりたいと考えております。 最後に、平塚高等職業技術校を閉校せず、引き続き利活用できないかとのお尋ねがございました。 本県では、産業構造が変化している中、より多様化・高度化する、企業や訓練受講者のニーズに、的確にこたえた職業能力開発を行うため、小規模専門校化している現在の高等職業技術校を統合する、再編整備に取り組んでおります。各高等職業技術校で行っている訓練コースを集約するとともに、限られた指導スタッフや訓練機器等を最大限活用し、充実した訓練が実施できるよう、県の東部及び西部に、総合校として、1校ずつ計2校を整備いたします。この再編に伴い、平塚高等職業技術校は閉校する予定でございます。 議員からは、再編後の平塚高等職業技術校について、例えば在職者訓練などの場として利活用できないかとのお尋ねがございましたが、在職者訓練については、拠点となる、新しい総合校の中で実施するほか、企業のニーズに応じて、指導員を各企業に派遣し、企業現場等において実施することを考えております。 この派遣型の在職者訓練につきましては、相模原高等職業技術校が平成18年3月に閉校しておりますが、本年度から相模原市内の企業や団体にご利用いただいているところでもございます。平塚高等職業技術校の閉校後においても、こうした派遣型の支援などを活用しながら、地元企業や団体のご要望におこたえしてまいります。 また、再編後も平塚高等職業技術校を県の訓練施設として引き続き利活用することにつきましては、指導人材や訓練設備の分散となりますし、総合校化し、訓練コースの充実強化を図る上で十分な効果が期待できなくなりますことから、困難と考えております。 答弁は以上でございます。〔赤井かずのり君発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 赤井かずのり君。〔赤井かずのり君登壇〕
◆赤井かずのり君 知事から答弁いただきました。何点か要望、それから再質問をさせていただきたいと思います。 134号につきましては、先日、知事の記者会見にもございました、第1回の湘南国際マラソン、知事も10キロマラソンに出場したいという、こういうようなお話もされていたようです。ただ、10キロですと、平塚の方まで見ることができないんですね。ですから、そういう意味では、ぜひフルマラソンに出ていただきたい。そうすると、いかに狭いのかというのがわかるんではないのかなというふうにも思います。 いずれにしましても、国との打ち合わせに入ったということですので、ぜひ地元の意向を十分に酌んでいただいて、できるだけ早く、暫定という形ででも進めていただきたいというふうにも思います。 それから、人工透析患者につきまして、透析患者に対してのいろいろな手当てということで、指針ということで、手引、これにつきましては、実際に今打ち合わせされているNPO団体、腎友会さんは神奈川県内3,800名いるそうですけれども、3分の1しか所属をしていないそうなんですね。ですから、そういう意味では、この3分の1の人にはちゃんと手引はいくんですが、それ以外の人にはいかないという意味では、ぜひ全患者にいくように、神奈川県として、広域自治体として、統一して製作をして、皆さんに行き渡るような形にしていただきたいというふうに思います。 それから、相模川の河口につきましては、いろいろと、今、県そして国、含んで、これから検討されるという、こういうことでございますが、河川の流砂系という点では、上流からの問題というのもいろいろあると思いますので、技術的な問題も含めて、河口はどういうふうにあるべきなのかという点について、ぜひ今後検討していただきたいということを要望いたします。 それから、高等職業技術校につきましては、今、残しておいても効果がないというお話がございましたが、しかし、地元としましては、近距離で利便性があるということで、あそこにあったわけで、そして活用していたわけです。先ほど申し上げましたように、湘南地域においては、平塚に、すべての出荷額ですとか、いろいろな意味で一番いいポイントにあるのではないかなというふうにも思いますので、また、地元からいろいろな要望が来ると思います。ぜひまた、そこら辺の、地元の要望をしっかり聞いていただいて、少しでも地元の要望に合うような方向で、再度検討していただければなということを要望いたします。 1点、もう一度質問したい点が、産業振興で、漁業の件について、漁獲量が非常に減ってきているという、先ほど、「かながわ水産業活性化指針」、これをつくられたということなんですが、実際にこの産業活性化指針に目標があるんですが、その目標に対して、現在のところ、ずっと、逆に落っこちてしまっているんですね。そういう意味では、特に漁獲量については、それなりにいっているんですが、一番大きな問題は、担い手の育成なんです。この担い手の育成については、農林水産漁業とも、すべて、神奈川県においては、担い手という点が非常におくれています。 そういう意味では、この人材、そして担い手の確保について、知事として、産業振興施策、特に水産業について、人材、そして担い手の確保について、どのようにお考えになっているのかを、もう一度、知事のお考えをお伺いしたいと思います。〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
◎知事(松沢成文君) 赤井議員の再質問にお答えをいたします。 一次産業、特に水産業における、今後の担い手の育成をどのように考えているかということでございます。 まずは、この水産業が、産業としてしっかり成り立つ、そして生計を立てられるという形を、しっかりとつくっていくこと、将来に希望が持てると、これが第一だと思いますので、まず水産業振興を図っていくことが、担い手を確保するためには重要だと思います。 また、今後、漁連とも、さまざま、今、共同で事業に取り組んでおりますので、この漁連の皆さんともよく意見交換をしながら、今後の漁業者の担い手育成はどうあるべきか、県としても検討していきたいと、このように考えているところでございます。 以上でございます。〔赤井かずのり君発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 赤井かずのり君。
◆赤井かずのり君 自席から失礼いたします。 今の、知事、水産業振興を図ることが担い手の育成になるというふうに私は今とりましたが、担い手の育成をどうするのかという点を私は質問していたわけでございます。 いずれにしましても、この水産業の活性化指針の中で、現状から目標値、平成27年度まで10年近くにわたりまして、漁獲量、それから藻場の造成面積、それから交流拠点数等については着実に伸びているようなんですが、新規加入漁業就業者数等については減っているという、こういう状況もございます。この辺につきましては、また常任委員会等でいろいろと議論してまいりたいと思います。 私の質問は以上で終わります。
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026247-質問・答弁-舘盛勝弘議員-一般質問①県立高校の教育環境について②県営住宅団地の建替えについて③水源環境の保全・再生について④幹線道路の整備について》 〔舘盛勝弘君発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 舘盛勝弘君。〔舘盛勝弘君登壇〕(拍手)〔副議長退席、議長着席〕
◆舘盛勝弘君 議長のお許しをいただきましたので、私は自由民主党神奈川県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら順次質問をさせていただきます。 知事におかれましては、具体的で明快かつ誠実なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いをいたします。 質問の第1は、県立高校の教育環境についてお伺いをいたします。 環境は人をつくる、その環境は人がつくると言います。いずれの時代にも、最も大切なことは教育であります。その県立高校の教育環境がここ数年手つかずで、老朽化どころか劣悪化の状態にあります。私の地元の、高校の生徒、保護者、県立高校PTA連合会など、多くの県民の方々から、県立高校の施設に対する苦情が寄せられています。 知事は、現地現場主義として、「マンスリー知事学校訪問」を行っています。この1年間の実施結果を見ても、県立高校、私立高校、大学、警察学校、養護学校などを訪問し、おぜん立てされたステージで、交流、見学、施設の立派さの説明などを受けている模様ですが、立ち会いをする職員の大変な気の使いようが目に見えるようであります。果たして、見るべきところを見ているのでしょうか。 私は地元の高校を訪問し、余りの環境の劣悪さに驚いたところであります。一例を挙げますと、清掃は行き届いているのですが、廊下や階段は雨漏りがするようで、その天井部分はしみが広がり、薄暗く、また生徒用のトイレは暗く、汚く、臭いという、3Kというような感じでございました。この学校のトイレが原因で子供が学校に行きたがらない、けがをしても和式トイレのみなので行けない、トイレを見たら、余りの汚さに志望校を変えたなどという現実があります。これが県立高校なのか、高校生が1日の大半を過ごす教育環境なのかと、驚きを通り越して憤りさえ覚えました。教育を大切にしない松沢知事にも憤りを覚えました。知事の現地現場主義とは何なのでしょうか。 これまで、教育委員会でも、学校の老朽化対策として、平成10年度までリフレッシュ事業に取り組み、その後も高校改革や耐震化対策とあわせて、老朽化対策を実施していることは十分承知をしておりますが、県立高校100校新設計画で開校した県立高校も、建築後30年を経過する学校が出てきております。100校計画以前に開校した県立高校も含めると、5年後には県立学校の7割が30年を経過すると聞いており、経年劣化による県立高校の老朽化は深刻な状況にあります。 また、校舎など目に見える部分だけでなく、附帯設備も、経年劣化により、水道水の赤水やトイレの排水の詰まりなど、電気、給排水、衛生といった諸設備の老朽化も著しいと聞いております。 こうした状況の中、平成19年度の当初予算案において、県が重点的に取り組む八つの重点項目の中に、県立教育施設整備の充実が盛り込まれ、今後10か年の計画、「県立教育施設再整備10か年計画」、通称「まなびや計画」がまとめられたことは、教育委員会の努力の成果であると思います。 しかし、県立高校100校新設計画の初期に建築された学校でさえ、30年を経過する学校が出始めており、それ以前の学校は、既に50年を経過する学校もあると聞いております。県立高校は現在152校と多く、これらの県立高校を短期間に改修することの難しさは理解できますが、老朽化は待ってくれません。3年間学ぶ生徒も待ってくれません。学校の老朽化対策は喫緊の課題であり、一刻の猶予も許されないものであります。10年間で対策するなど、悠長なことを言っていられない状況にあり、早急に、各学校ごとに修繕計画などを策定し、老朽の度合いに応じた優先度等を勘案しながら、老朽化対策と、普通の生活ができる、設備改善を進めていかなければならないと考えます。 そこで、知事にお伺いをいたします。 「15の春を泣かすな」のキャッチフレーズのもと、県民総ぐるみで取り組み、17年間で県立高校100校新設計画を達成したときのように、老朽化対策についても、県民の力を結集し、県庁組織を挙げて老朽化対策等に取り組む必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 また、県立高校の施設面で老朽化対策と同様に課題となっているのが、耐震化対策とアスベスト対策であります。あの阪神・淡路大震災から12年が過ぎ、そのときの体験を風化させないために、さまざまな取り組みが過日報道されているのを見て、私は改めて地震の恐ろしさを思い起こし、万全な、地震への備えの必要性を痛感したところです。 県立高校の耐震化対策は、地震防災対策強化地域内の校舎棟については、これまでの答弁で、おおむね終了していると承知しております。本県では、地震防災対策強化地域として、県内市町村の約半分の8市11町が指定されておりますが、県立高校は地震防災対策強化地域以外にも数多く存在し、これらの県立高校の校舎棟については、大部分、耐震化対策が未着手の状況であると聞いております。 私の地元である相模原市も、強化地域には指定されておりませんが、市内には県立高校が16校あり、そのうち比較的新しい県立高校は新耐震の設計になっていると聞いておりますので安心しておりますが、古い県立高校の耐震性が心配であります。このことは、他の、強化地域に指定されていない市町村でも同様のことと思います。 県立高校は、子供たちが学習する場所であることはもちろんのことでありますが、災害時などには、地域における防災活動拠点として重要な役割を担っております。子供たちの安全確保を考えれば、大規模地震の発生の切迫性が言われている本県においては、県立高校の耐震化対策は既に終了していなければならない課題であると考えます。 しかし、現実は、校舎棟の耐震診断が今年度中に終了し、体育館は今年度からスタートしたという状況であり、耐震補強工事に至っては、強化地域の校舎棟の耐震補強工事がおおむね終了するものの、他の地域にある県立高校はほとんど未着手の状況であります。 また、子供たちの健康面で心配なのがアスベスト問題であります。飛散の危険性の高い吹き付けアスベストについては、既に対策済みと聞いておりますが、子供たちが学習し、1日の大半を過ごす学校に、飛散の危険性が低いとはいえ、危険物質であるアスベストを含むアスベストフェルトが存在すること自体問題であり、緊急に改善しなければならない課題であると考えます。 そこで、知事にお伺いします。 県立高校の耐震化対策とアスベスト対策について、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、県営住宅の建てかえについてお伺いします。 本県の県営住宅は、昭和40年代に大量に供給した県営住宅の老朽化が進んでいることや、高齢化の進行、さらには県財政の状況を踏まえて、これまでの新規供給中心の施策展開から、既存住宅の建てかえや改善といった、既存ストックの有効活用に軸足を移した「県営住宅ストック総合活用計画」を、平成18年4月にスタートし、新たな事業展開を図っているところであります。 私の地元である相模原市の、横山団地については、現在、建てかえ事業が順調に進められています。もう一方の上溝団地については、建てかえ計画も示されないまま、6年前から、入居者募集の停止措置がとられました。その後、このまま停止されると、コミュニティーが成り立たないと、団地自治会の要望を受けて、17年11月からは、団地の一部区域で空き家の入居者募集を再開しました。しかし、残りの区域では空き家募集は行っていないのであります。上溝団地の住民にとっては、建てかえ計画の着手がいつなのかわからないまま、空き家が進んでいる状況にあるため、団地住民は不安な思いで生活をしているのであります。 これまで、県当局からは、上溝団地の住民に対して、具体的な建てかえ時期について説明がないと聞いております。そうした状況の中で、上溝団地の入居者の多くは高齢者であり、団地に空き家が発生すると、入居者が共同して実施する防犯活動や清掃活動などの自治会活動やコミュニティーに大変大きな支障を来している状況であります。 そこで、知事にお伺いいたします。 建てかえ事業の実施に当たっては、地元の協力がなくしては実現できないものと思いますが、上溝団地の建てかえ着手の時期はいつを予定しているのか、また、空き家募集の停止については、どのように考えているのか、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。 次に、団地内での福祉活動の場の確保についてお伺いします。 県営住宅では入居者の高齢化が進んでおり、先ほどのストック総合活用計画によると、県民全体での65歳以上の高齢者の割合が16.2%であるのに対し、県営住宅全体では23.6%と、県平均値に比べ7ポイント以上も高い割合となっています。このため、県営住宅では、高齢者ばかりで、世代間のバランスに偏りが生じ、自治会活動などにも支障が出ているところもあるやに聞いております。また、高齢者や障害者などの福祉世帯の総数は、県営住宅に入居されている全世帯の約7割を占めており、これらの福祉世帯に対する、地域での福祉活動の需要が高まっているところであります。 高齢化が進行していく中、だれもが地域において生き生きと自立した生活が送れるよう、ともに生き支え合う社会づくりを具体化していく、地域での福祉活動は、県営団地内においても、今後ますます増加し、そのための活動拠点のスペースが求められていくものと考えます。 そこで、知事にお伺いします。 県営団地の建てかえに当たり、団地内での福祉活動で必要な場の確保について、どのように考えているのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第3は、水源環境の保全・再生に関連してお伺いいたします。 水源環境保全・再生施策については、個人県民税の超過課税措置の導入が決定され、いよいよ平成19年度から、水源環境保全・再生の新たな施策をスタートする運びとなっております。この施策は、県内のダム集水域を中心に、主要な水道水源となっている相模川水系及び酒匂川水系の取水堰の集水域等において、水源環境の保全・再生に直接的な効果のある事業に取り組むものであります。 相模湖や津久井湖、宮ヶ瀬湖などのダム湖の周辺地域においては、森林の荒廃が進むとともに、下水道など生活排水処理施設の整備がおくれているなどの課題を抱えており、こうした新たな取り組みに対し、大きな期待が寄せられております。 そうした中で、私の地元、相模原市は、昨年度末に津久井町と相模湖町、また、この3月11日には城山町と藤野町と合併し、旧の津久井郡地域を包含した新相模原市としてのスタートを切ろうとしています。もともとの相模原市は、水の面からは、水源地域からの恩恵を受ける消費地としての立場であり、安心して飲める良質な水が安定的に供給されることが関心事でありました。 しかしながら、新たな相模原市の市域には、相模湖等、県民全体にとって欠くことのできない重要な水源が含まれ、また、このダム湖に流れ込む水を生み出す、豊かな自然環境に恵まれた地域となり、巨大な水の消費地と水源地域の二つの性格をあわせ持つ、全国的にも極めてユニークな都市として生まれ変わろうとしております。この新相模原市誕生の年に、水源環境保全・再生の取り組みがスタートすることは、まことに意義深いものがございます。 県としては、県民の皆さんの新たな負担により進める取り組みであることを十分認識した上で、計画に掲げた目標を目指し、市町村と連携して、効率的かつ着実な事業推進を図っていくことが求められていると考えます。 そこで、知事にお伺いします。 平成19年度は、水源環境保全・再生のスタートの年でありますが、新たな財源を活用して施策を進めるための予算はどのような特徴があるのか、お伺いいたします。 次に、森林づくりを支える森林組合の活性化と担い手の育成、さらには森林づくりと密接にかかわる県産木材の有効活用についてお尋ねいたします。 水源環境保全・再生施策の中でも、特に森林の保全・再生は重要な柱であり、良質な水を将来にわたって安定的に確保するため、荒廃した森林に対し適切な整備を推進していくことは、極めて重要な課題であると認識しております。5か年計画では、水源の森林づくりについて、これまでの取り組みをより一層推進し、整備のスピードアップに取り組むとしており、5年後の平成23年度の森林整備は、現状の約2倍の整備量が見込まれるとともに、間伐材の搬出量についても、毎年2,000立方メートルずつ増加していくなど、大幅な事業量の増加が計画されております。 これらの取り組みが着実に実行されれば、森林の荒廃に歯どめをかけ、水源涵養を初めとする、森林の公益的機能が十分に発揮されるようになるとともに、県産木材の積極的な活用が図られ、その利益が山に還元されることで、さらなる森林づくりにつながるものと大いに期待しているところであります。 ところで、これらの取り組みを円滑に進めていくためには、森林所有者の理解と協力が不可欠でありますが、現状では木材価格が低迷し、一方で木材の搬出経費が年々増大していることなどにより、せっかく山の手入れをしても木が売れないため、森林所有者が森林整備や木材生産を行う意欲を失ってきており、このことが森林を荒廃させた大きな要因になっていると考えています。 こうした状況の中で、森林整備への協力を所有者に働きかけていくためには、彼らの協同組織である森林組合を積極的に活用する必要があると考えています。県内には各地に森林組合があり、それぞれ、地域の森林所有者が組合員となっており、近年、林業生産活動が停滞していることから、組合の活動や経営もさまざまな課題を抱えていると聞いております。 そもそも森林組合は、地域の森林所有者に対して大きな影響力を持っており、森林づくりや木材生産の技術力、ノウハウは相当な蓄積があるはずです。森林の保全・再生施策を進めるに当たっては、公的管理とあわせて、森林組合が中心になり、所有者を巻き込んで間伐材の搬出促進を推進するなど、組合が本来持っている力を最大限に発揮していただくことが重要なポイントになると考えます。 また、そのためには、森林組合などに勤め実際に山で働く人材を、きちんと育てることも必要だと考えております。山の仕事、特に木材の搬出作業については、危険も伴い、体力的にも技術的にもハードであるなど、だれでもできる生易しい仕事でないことは容易に想像できるところであります。間伐や枝打ちなどの森林の手入れと異なり、木材生産に従事する人材の育成は、一朝一夕にできるものではありませんので、今後、段階的に増加させる、間伐材の搬出計画を達成していくためには、林業技術者を育成し、技術力を向上させていくことが喫緊の課題であると考えております。 さらに、こうした山側の体制整備とあわせて、山から切り出された県産木材がしっかりと利用されるよう、総合計画に盛り込まれている「県産木材供給センター」構想の具体化など、木材の加工・流通の仕組みづくりや、県民に対する消費の促進等も、民間活力を活用した持続的な森林づくりを進める上で、重要なことであると考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 水源環境保全・再生施策がスタートする中で、地域の森林づくりを支える中核である、森林組合が力を発揮できるよう、県としてどのような取り組みを進めていくのか、また、森林整備に伴い発生する間伐材の、搬出促進の担い手となる林業技術者をどのように育成していくのか、さらに、森林整備の規模を飛躍的に増大させていく中で、県産木材の活用対策にどのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、全国植樹祭についてお尋ねします。 かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画がスタートする状況の中で、平成22年に、第61回全国植樹祭が本県において開催されることが内定をしました。会場については、私の地元である相模原市を初め、県内四つの地域から、地元での開催を求める要望書が県に提出されたと承知をしております。 相模原市の森林面積の割合は、今年3月の合併で6割近くになる見込みでありまして、本県の森林面積全体の5分の1の森林を市域に有することになり、そこには相模湖などの県民の重要な水がめがあり、丹沢大山国定公園や二つの県立公園など、豊かな自然環境に恵まれております。このように、森林と湖の都市として新たに生まれ変わる相模原市において、昨年の10月29日に、5年ぶりの県植樹祭が開催されましたが、その際には、市を挙げて、復活した県植樹祭の成功に全力で協力してきたところであります。 さらに、相模原市では、平成22年3月末を目指して、政令指定都市の実現に向けた取り組みを進めていくと表明しておりますので、平成22年の全国植樹祭は、まさに相模原市にとって記念すべき年の、全国規模のビッグイベントになるとの声も多く聞かれます。 そこで、知事にお伺いいたします。 今後、メイン会場については、開催要望のあった四つの地域から、いずれかを選定することになると思いますが、知事はこの植樹祭をどのようにイメージし、県としての会場地を選定していくのか、スケジュールを含め、知事のお考えをお伺いいたします。 質問の第4は、幹線道路の整備についてお伺いいたします。 広域的なネットワークを形成する自動車専用道路網の整備は、県土構造の骨格を大きく変え、県内の経済、社会活動に多大なインパクトを与えるなど、神奈川の県土づくりに不可欠であります。 中でも、さがみ縦貫道路は、神奈川県の南北を結び、地域間の交通を円滑にさせ、産業などの発展に大いに貢献する道路であります。また、この道路は、首都圏中心部から半径約60キロメートル圏で環状道路を形成する、首都圏中央連絡自動車道の一部区間を構成し、都心に集中する業務機能を適切に分散させ、地域開発を促進するなど、首都圏の発展に対しても重要な役割を果たすものであります。 今後、さがみ縦貫道路が開通すれば、国道16号や129号など、一般道の混雑の緩和や沿道の環境改善が図られるなど、県央・県北地域の経済への波及効果も非常に大きなものになると考えております。 さがみ縦貫道路が全線開通するのは、当初計画より5年おくれて、平成24年度であると承知しておりますが、今調査中の、城山町地内の残土投棄等の問題が生じ、心配をしております。この予定がおくれることなく、一日でも早く開通することを望んでおります。 そこで、さがみ縦貫道路事業の現在の進捗状況と今後の見通しについて、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、さがみ縦貫道路の城山インターチェンジに接続する道路となる、津久井広域道路について、お伺いいたします。 津久井広域道路は、国道16号の橋本五差路付近と国道20号の相模湖インターチェンジ付近を結ぶ、総延長約20キロメートルの幹線道路であり、さがみ縦貫道路や中央高速道路と連絡し、広域的な交通ネットワークを形成する路線であり、新しい相模原市が津久井地域との融和、一体性を図る上でも欠くことのできない交通基盤であります。 この津久井広域道路については、国道16号の橋本五差路付近から県道厚木愛川津久井線までの約7キロメートルの区間が都市計画決定されており、そのうち西側の約5キロメートルの区間について整備が進められているところであります。平成16年3月には、新小倉橋が先行して供用開始され、また、国道20号の相模湖インターチェンジ付近においては、平成18年11月に勝瀬橋が開通いたしました。この橋は、将来、津久井広域道路の一部としても機能するものであり、この道路の進捗が目に見える形となってきたことは非常に喜ばしいことと思っております。 そして、このように整備が進捗してきた今こそ、次の事業展開への準備が求められており、現在事業中の県道厚木愛川津久井線以東の区間から、さらに西側への事業区間の延伸が切望されています。津久井町の方へと足を運んだ折には、地域の方々からも事業延伸に関する話題を多く耳にするところであり、改めて、津久井広域道路に対する地域の関心の高さを感じております。 そうした中で、この2月14日には、県道厚木愛川津久井線から国道412号までの区間を対象として、都市計画決定に向けた第1ステップとなる地元説明会が開催されたとのことであり、いよいよこの区間の事業が具体化していくものと大きな期待を寄せているところであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 津久井広域道路の県道厚木愛川津久井線から国道412号までの区間を対象として、先日開かれた地元説明会の状況と、今後の都市計画決定の見通しについて、知事のご所見をお伺いいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
◎知事(松沢成文君) 舘盛議員のご質問に順次お答えいたします。 初めに、県立高校の教育環境についてお尋ねがございました。 まず、県立高校の老朽化対策についてでございます。 私もマンスリー知事学校訪問などで多くの県立高校を訪問しております。そのことについて、議員から、おぜん立てばかりで全く意味のないことだというご批判もございましたが、それは全くの誤解でございます。私は学校現場を見てきたからこそ、今回「まなびや計画」を私の方から提案し、つくり上げたわけであります。実態を見ないで批判ばかりをするのではなく、今度一度ぜひとも私と一緒に学校訪問付き合ってください、実態がわかりますから。よろしくお願いします。 その際、生徒や保護者を初め、現場の教職員からも強い要望を受けておりましたし、また、実際に施設の状況を目の当たりにいたしまして、県立高校の老朽化対策は喫緊の課題であるとの思いを強くしたわけであります。 教育委員会としても、まさに私と同様の思いから、児童・生徒の安全確保や、快適で安心して学習できる環境を計画的に整備するために、今回、「まなびや計画」と称した「県立教育施設再整備10か年計画」を取りまとめたところでございます。 この計画でございますが、対象となる教育施設は205施設、約1,100棟に上り、特に授業を行いながらの工事となりますと、毎年度1棟ずつの施工となり、一つの学校の工事が完了するには、四、五年を要することとなります。こうしたことから、短期間にすべての施設の工事を実施することは難しいため、教育委員会では、できるだけ平準化して、計画的に整備ができるよう、当面の整備期間としては10か年、事業費としてはおおむね1,000億円としたところであります。 当面は高校改革に合わせて、耐震対策や老朽化対策を行っていくこととしておりますが、おのおのの施設の耐震性や設備の老朽化の状況によっては、優先度を再検討し、柔軟に対応していくものと承知しております。 私といたしましても、県立高校の老朽化対策につきましても、未来に羽ばたく子供たちのためにも、議員の皆様を初め、県民の皆様のご理解とご協力をいただきながら、教育委員会とともに取り組んでまいりたいと考えております。 次に、県立高校における耐震化対策とアスベスト対策についてのお尋ねをいただきました。 県立高校の耐震化対策につきましては、これまで全庁で取り組んでおります「県有施設耐震化事業計画」に基づいて進めてまいりましたが、高校改革に伴う改修工事の際にも、あわせて実施してまいりました。 厳しい財政状況のもとで、最優先に取り組んでまいりました、地震防災対策強化地域内の県立高校の校舎棟耐震補強工事はおおむね終了いたしましたが、その他の地域の耐震補強工事や体育館等の耐震診断につきましては、大半が未着手の状況となっております。こうした状況を踏まえ、今般の「まなびや計画」では、生徒の安全確保を第一に、耐震診断の結果、大規模補強が必要とされた校舎を優先して工事することとしております。 次に、アスベスト対策でありますが、17年度から全庁的に取り組んでおりまして、とりわけ危険性の高い吹き付けアスベストにつきましては、最優先で対応し、すべての県立高校において除却工事が完了したところでございます。 また、学校の体育館の天井等に使用されております、飛散危険性の低いアスベストフェルトにつきましては、現在、その囲い込み工事を進めておりまして、平成20年度までにすべて完了する予定となっております。 議員のお話にもありましたが、子供たちの安全確保は第一でございますので、今後は「まなびや計画」に基づき、緊急度を十分に勘案しながら、耐震化対策、アスベスト対策を初め、良好な学習環境の整備に、教育委員会とともに全力を挙げて取り組んでまいります。 次に、県営住宅団地の建てかえについて、2点お尋ねがありました。 最初に、上溝団地の建てかえの着手時期と空き家募集の停止についてであります。 まず、上溝団地の建てかえ時期についてでございますが、昨年策定した「県営住宅ストック総合活用計画」では、既存ストックの長期有効活用を基本方針として、県営住宅の建設年度や団地の規模、敷地の形状などから、建てかえを行う団地を、上溝団地を含めた15団地に絞り込みました。その中で、上溝団地の着手時期につきましては、15団地の中でも建設年度が新しい団地であることから、計画期間10カ年の後半以降に、順次着手を目指す団地として位置づけて、この計画内容については、これまで団地自治会にもご説明してきたところでございます。 上溝団地の建てかえ事業の実施に向けては、今後、入居者との合意形成や、道路、公園などの公共施設整備に関する、地元相模原市との協議を行う必要があることから、これらを踏まえて、具体的な着手時期を明確にしていきたいと考えております。 こうした中で、ストック総合活用計画に位置づけた上溝団地を含むすべての団地につきましては、計画期間である平成27年度までには、建てかえ事業に着手してまいる所存であります。 次に、空き家募集の停止についてであります。 建てかえ事業では、議員のお話にもございましたとおり、事業実施に先立って、空き家募集を停止し、工事ヤードと、工事期間中の入居者の仮住居を確保していくことが必要でございます。このため、団地内の一部区域については、引き続き、空き家募集の停止を行ってまいりますが、建てかえに合わせて、新たに募集停止を行う場合には、実施時期や区域について、自治会活動への影響が少しでも軽減できるように適切に対応してまいります。 次に、団地内での福祉活動の場の確保についてお尋ねがございました。 県営住宅におきましては、議員のお話にもございましたように、高齢者や障害者などの福祉世帯の方が全世帯の約7割を占めており、地域の福祉サービスに対する需要は高いものがあると認識しております。こうした中、現在でも、既存の県営住宅では、地域の福祉団体などからの要望や、団地自治会の福祉活動に対応して、団地内の空き店舗や集会所などを活用していただき、給食サービス、高齢者のサークル活動などが実施されている事例がございます。また、建てかえ事業を実施する際に、地元市が県と協議し、団地内に、デイサービスセンターなどの福祉関係施設を併設した事例も幾つかございます。 今後の団地内における福祉活動の場の確保についてでございますが、県営住宅の建てかえに当たって、これまで同様、福祉関係施設の併設について、地域福祉を担う市町の意向を十分把握してまいりたいと考えております。その上で、上溝団地を含め、地元の市町から、併設の要請があった場合には、入居者の福祉サービスにも配慮しつつ、建てかえ事業との整合を図って、適切に対応してまいります。 次に、水源環境保全・再生施策についての質問でありますが、初めに、19年度予算の特徴についてお尋ねがありました。 水源環境保全・再生の取り組みにつきましては、県民の皆様に新たにご負担いただく貴重な財源を活用しながら、実行5か年計画に位置づけた12の事業を、市町村との連携のもとで着実に推進していくことが責務と考えております。平成19年度の予算につきましても、こうした観点から、計画のスタートの年度に取り組むべき事業を精査し、合わせて35億2,700余万円の事業費を計上させていただきました。 事業の分野ごとに申し上げますと、水源の森林づくり事業を初め、丹沢大山の保全・再生や地域水源林整備など、森林の保全・再生に関する事業に27億1,000余万円を計上し、予算全体の77%を充てました。これに次いで、県内ダム集水域における下水道整備など、生活排水処理対策に3億4,300万円を計上したほか、河川や地下水の保全・再生にも所要の予算を措置しております。 実行5か年計画を踏まえ、それぞれ必要な事業費を盛り込むことができたと考えておりますが、全体としては、森林の公益的機能を高める取り組みに、より多くの予算を配分したことが特徴の一つとなっております。 また、県、市町村の役割分担という面で申しますと、35億2,700余万円の総額のうち、市町村が主体となる五つの事業への交付金が11億3,800余万円となっており、全体の32%を占めております。地域の実情を踏まえた、市町村の積極的な取り組みを支援する観点から、必要な予算を措置したことも特徴の一つと考えており、今後、市町村との連携を一層深めつつ、着実な施策の推進に努めてまいります。 次に、森林の保全・再生を進める上で、森林組合の活性化と担い手の育成、県産木材の活用についてお尋ねがございました。 まず、地域の森林づくりの中核である森林組合に対する取り組みについてのお尋ねでございます。 本県では、森林所有者の8割近くが5ヘクタール未満の所有であるなど、小規模な所有者が多い中で、私有林の整備を進めていくためには、所有者の協同組織である森林組合の力に期待するところは大変大きいものがございます。 これまで、森林組合は、主に個々の所有者の要請に応じ、森林整備を行ってまいりましたが、今後は、小規模所有者の森林を一つのグループにまとめ、採算性のある森林整備や木材生産の提案を行うなど、所有者への働きかけに積極的に取り組んでいただきたいと考えております。そこで、そのために必要な森林情報を整備し、所有者への提案活動を行う森林組合に対して、新たに支援してまいりたいと考えております。 次に、間伐材を搬出するための担い手の育成についてお尋ねがございました。 議員お話しのとおり、間伐材の搬出は高度な技術を要するため、現在取り組んでいる事業者は、森林組合と林業会社の一部に限られており、また、県内では、作業経験が少なく機械化もおくれていることなどから、生産性は全国平均の2分の1以下という低い状況にございます。 そこで、間伐材搬出の担い手を育成するために、森林組合と林業会社の、経験のある職員の能力アップをねらいとした、素材生産技術研修を実施しているところであります。 次に、県産木材の活用対策についてお尋ねがありました。 本県では、平成17年度から、山での生産、木材の加工、県民による消費という、川上から川下までの対策を、木材の流れが滞らないよう、総合的に講じているところでございます。今後、水源環境保全・再生施策の進展に伴い、平成27年度の間伐材搬出量は現状の約3倍となり、材質も上質から低質まで多様になると見込まれますので、これに対応できる加工・流通の受け皿の検討や、公共施設の木造化の推進など、県産木材の一層の活用を図りたいと考えております。 次に、全国植樹祭をどのようにイメージし、県としての会場地を選定していくのか、スケジュールを含めてお尋ねがございました。 全国植樹祭について、これまでの事例を見ますと、1カ所の会場ですべて実施したもの、式典と植樹の会場を別々に設定したもの、式典や植樹会場のほかに、サテライト会場を設定したものなど、各県の考え方により、開催形態はさまざまでございます。 本県では、独自の開催理念、参加者の規模、会場地などを、一体の基本方針として取りまとめることとし、検討を進めているところでございます。こうした中で、会場地については要望書をいただいた順に申し上げますと、議員のご地元の相模原市、県西地域が連名で2市8町、そして厚木市、秦野市の四つの地域から、開催を求められております。 そこで、この各地域から、選定に当たり考慮すべきとされる、会場への交通手段、会場規模、宿泊施設等の状況や地域の事情について、詳細なご報告をいただいたところであります。 今後、このご報告をもとに、各地域の現地調査やヒアリングを実施するほか、関係団体等の意見も聴取し、会場地を含めた基本方針全体について、慎重に検討を重ねてまいりたいと思います。 県としての会場地の絞り込みにつきましては、こうした検討を踏まえ、本県開催が正式決定される、本年8月までには結論を出したいと考えております。その後、本年秋に、国土緑化推進機構と協議を行い、会場地が最終決定される見込みでございます。 最後に、幹線道路の整備について、2点お尋ねがございました。 まず、さがみ縦貫道路の進捗状況と今後の見通しについてでございます。 さがみ縦貫道路は、県土の南北軸を形成するとともに、首都圏の環状道路の一部として機能する路線であり、県といたしましても、着実に整備していくことが重要であると認識しております。 そこで、進捗状況でございますが、用地買収の進捗率につきましては、平成19年1月末時点で茅ヶ崎市から相模原市までの南側区間において9割、愛川町から城山町までの北側区間においても6割を超えており、着実に用地買収が進められております。 また、工事の進捗でございますが、全線すべての市町において、高架橋などの工事が展開されており、相模原市においては相模原インターチェンジの橋梁工事が進められております。 今後の見通しでございますが、国が平成17年11月に公表した圏央道「目標宣言プロジェクト」において、さがみ縦貫道路につきましては、区間ごとに平成21年度から24年度が開通目標とされております。さらに、平成18年3月に、高速道路機構と高速道路株式会社が、高速道路の建設債務を確実に返済することを前提に、締結公表した協定においても、同様の完成予定年度が位置づけられており、この目標に向け、着実な事業進捗が図られるものと考えております。 県といたしましても、特設の、広域幹線道路事務所を設置して、さがみ縦貫道路の早期完成を目指し、用地買収の受託や、関係機関との調整を積極的に進めております。今後も引き続き、早期完成に向けて、機会あるごとに、事業促進を国等へ働きかけてまいります。 最後に、津久井広域道路に関する地元説明会の状況や、都市計画決定の見通しについてお尋ねがございました。 津久井広域道路は県北地域における東西方向の連絡を強化するとともに、さがみ縦貫道路などと連携して、広域的な幹線道路網を形成する路線であり、合併後の新しい相模原市の発展に重要な役割を担うものと認識しております。 県では、地元の皆様から熱心なご要望をいただく中で、優先度の高い区間から事業に取り組んでおり、既に新小倉橋と勝瀬橋を供用開始済みでございます。現在は新小倉橋の前後の区間、合計約4.1キロメートルについて事業を推進しており、これらの区間が開通しますと、橋本五差路からさがみ縦貫道路を経て、県道厚木愛川津久井線に至る約7キロメートルについて、一連の区間として通行できるようになります。 議員お尋ねの、県道厚木愛川津久井線から西側の国道412号までの区間、約3.4キロメートルにつきましては、現在事業中の区間に次いで優先度の高い区間と考えております。そこで、これまで地元市町と連携しながら、ルート、構造の検討を進めてまいりましたが、このたび、計画の基本案がまとまりましたので、地元説明会を開催したところでございます。 この説明会には、地元自治会長の方々を初め、約110名のご参加をいただきました。早期の計画決定や開通を求めるご要望、あるいは騒音対策への配慮を求めるご意見などがございましたが、基本的なルート・構造については、ご理解をいただけたものと考えております。 今後は、説明会でのご意見を踏まえ、周辺環境への影響について調査検討を行うとともに、関係機関と細部にわたる調整を行いながら、ルート・構造の詳細な計画を詰めてまいります。そして、都市計画の案として取りまとめた上で、改めて住民の方々にお示しし、ご意見をいただくといった手続を、順次進め、平成21年度末までの都市計画決定を目指してまいりたいと考えております。 答弁は以上でございます。〔舘盛勝弘君発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 舘盛勝弘君。
◆舘盛勝弘君 ありがとうございました。 以上で終わります。
○議長(中村省司君) お諮りいたします。 この際、休憩いたしたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村省司君) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は20分後といたします。 午後6時14分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026248-質問・答弁-福田紀彦議員-一般質問①個人住民税の税収確保対策について②道州制と市町村合併について③消費者施策のあり方について④教育委員会の透明性、公開性について⑤プロスポーツ人材の学校教育などへの活用について》 午後6時43分 再開 〔議会局長報告〕 出席議員 副議長共62名
○副議長(新井敏二郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(新井敏二郎君) 質問を続行いたします。 福田紀彦君。〔福田紀彦君登壇〕(拍手)
◆福田紀彦君 私は民主党・かながわクラブ県議団の一員として、通告に従い、順次質問させていただきます。 知事、教育長並びに警察本部長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばしの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 質問の第1は、個人住民税の税収確保対策についてであります。 いよいよ平成19年度から、三位一体改革に伴う本格的な税源移譲が実施されます。国から地方への補助金を削減し、そのかわりに3兆円規模の税源が地方に移譲されるため、今後は国に頼ることなく、みずから汗をかき、みずから財源を確保しなければなりませんので、地方にとって今まで以上に重い責任が課されるものと考えます。 この税源移譲については、既に多くのサラリーマンの方々が1月分の給料から所得税が減じられており、国の所得税を減らし、その一方で、本年の6月から地方の個人住民税をふやす形で行われることになっております。具体的には、個人県民税の税率が2%、3%の2段階だったものを4%に一本化し、また、個人市町村民税の税率は、3、8、10%の3段階から6%に一本化することで、それぞれ税源が移譲されることになるものです。 これにより、本県におきましても、個人県民税の税収は大幅に増加することになります。平成19年度の当初予算案におきましても、県税収入1兆2,486億円を計上しておりますが、このうち個人県民税の税収見込額は4,469億円と全体の35.8%を占めており、前年度の当初予算と比較して、額にして2,074億円の増、前年対比186.6%と2倍近くになっているところです。その結果、個人県民税の税収規模は、法人二税の3,653億円を1,000億円近く上回り、県にとって最も基幹的な税目になるわけであります。 そうした中で、今回、県に移譲される個人県民税は、市町村が賦課徴収する税であることから、税収確保の取り組みが市町村任せになってしまうことが懸念されるところであります。 現在、個人県民税の収入未済額は、平成9年度をピークに年々減少する傾向にありますが、それでも平成17年度は153億円の未済があり、県税全体の未済額の55%を占めております。その収入歩合は92.9%となっており、また、この収入歩合について、市町村の規模別に見てみますと、平成16年度の市町村決算ベースで、横浜・川崎の政令2市が93.2%、政令市を除く市が90.3%、町村では91.6%となっており、市町村の規模によっても若干の開きが出ております。 個人住民税の税収確保対策については、県と市町村が力を合わせて、これまでもさまざまな取り組みを行ってきていると承知しており、一定の成果を上げてきたことは評価したいと思いますが、税源移譲の実施に伴い、単純計算で言えば、未済額も倍増する可能性がありますので、税収確保対策を抜本的に見直し、それぞれの市町村の状況に即した対応が必要であると考えます。 そこで、知事にお伺いをいたします。 今後、仮に個人住民税の収入歩合が1ポイントでも改善すれば、県においては40億円を超える税収増になると同時に、市町村においても収入増につながることになります。このため、市町村における税収確保の取り組みに対し、これまで以上に県からの積極的、かつきめ細かな支援が必要だと考えますが、ご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、道州制と市町村合併についてであります。 まず、道州制に対する理解の拡大についてお伺いをいたします。 道州制については、さまざまな形態が識者の間でも議論されておりますが、知事もこれまで、道州制推進の立場から、さまざまな場で発言をされてこられました。国においても、昨年来、第28次地方制度調査会の道州制に関する答申を初め、政府による道州制担当大臣の新設や「道州制ビジョン」の策定の動きなど、道州制の議論が急速に活発になってきております。これは、松沢知事の、全国知事会を初めとしたさまざまな機会を通じて、その必要性を説いてきた取り組みなどに、現状がようやく追いついてきたという認識でおります。 しかしながら、先日、我が党の代表質問で石川議員が述べたように、国レベルの動きが活発になってきている割には、道州制を進めるために不可欠な、国民の理解や関心は高まっていないというのが、残念ながら現実でもあります。一般的に、地方分権や分権型社会という言葉が、私たち県民生活に具体的にどのように影響するのかがイメージをされにくいために理解が広がらないと言われておりますが、道州制についても同様のことが言えるのではないかと考えます。 県の取り組みとしても、神奈川県広域自治制度研究会が、3年間の研究成果を取りまとめ、昨年12月に報告書として知事に提出しておりますが、こうした研究は単なる研究に終わらせることが決してないように、次の具体的なステップが何よりも重要になってまいります。私も報告書を読みましたが、ケーススタディなど具体的な検討を積み重ねた特徴的な研究方法でありまして、実務を踏まえた道州制のメリットや課題を提示していることは大変意味のあることです。私は、道州制に対する県民の理解・関心を呼び起こすために、こうした研究の成果を今後大いに活用していくべきだと考えます。 そこで、知事にお伺いをいたします。 研究会の報告書の活用を含め、道州制に対する県民の理解を広げていくために、今後どのような取り組みを進めていくのかをお伺いいたします。 次に、道州制に関連して、市町村合併についてお伺いをいたします。 昨今の道州制議論の活発化の一つの背景として、平成の大合併に象徴される市町村合併の進展があると思います。先ほど触れました第28次地方制度調査会の答申でも、「市町村合併の進展は、都道府県から市町村への大幅な権限移譲を可能にし、都道府県の役割や位置づけの再検討を迫られることになる」と記述されております。 本県における市町村合併は、昨年3月に、津久井町、相模湖町と合併した相模原市が、本年3月11日には、さらに城山町、藤野町と合併することで、県北地域全体にわたり、中核市の機能を生かしたまちづくりや住民サービスが展開されることになります。 さらに、去る1月31日には、相模原市長が政令市を目指して活動をしていくことを明言され、知事も記者会見の場において、相模原市の政令市移行に、支持していく発言をされております。これが実現されますと、横浜市、川崎市に続いて、県内3番目の政令市となり、全国で初めて、同一府県内で三つの政令市を抱えることになります。さらに、県内人口の6割以上が政令市の住民となり、いよいよさきに触れました地方制度調査会の答申のとおり、県の役割や位置づけの再検討が迫られることになるわけです。 また、昨年11月末になされた神奈川県市町村合併推進審議会の答申では、今後の期待される市町村像の実現に向け、中核市相当あるいはそれ以上の都市を志向した取り組みが必要とされており、政令市を除く33市町村に六つの圏域を設定し、それぞれの実情を踏まえて合併検討の方向性を示しております。この答申では、市町村合併と道州制は切り離して議論されておりますけれども、市町村合併によって、「本県市町村が他の都道府県の主要な都市にひけをとらない規模と機能を持つことになれば、将来の道州制導入にも対応できる市町村像を、神奈川から発信できる可能性がある」としており、私も全く意を同じくするところであります。 県は、この審議会の答申を踏まえ、構想を策定する予定と聞いておりますが、市町村が、引き続き住民の負託にこたえられるよう、合併を手段とした、市町村の行政機能、財政基盤の強化について発信していく必要があると考えます。 そこで、知事にお伺いをいたします。 市町村合併推進審議会の答申を踏まえた県の構想について、19年度のできるだけ早い時期に策定するとのことでありますが、具体的なスケジュールを明確にした上で、県民的な議論をさらに加速させていくためにも、どのような手順で、いつ構想が明らかになるのかをお示しいただきたいと思います。 質問の第3は、消費者施策のあり方についてであります。 まず、本県の消費者行政についてお伺いをいたします。 本県の消費者行政への取り組みは古く、国で初めての消費者法制となる消費者保護基本法の制定される昭和43年以前の42年には、知事部局に消費生活課が設置され、43年には最初の消費生活センターの開設、50年までには県内8地域に消費生活センターも整備されるなど、全国的にも先駆的な取り組みを行ってまいりました。 その後、さらなる社会経済状況の変遷により、平成16年6月には36年ぶりに消費者保護基本法が大幅改正され、「消費者基本法」が施行されました。本県の「消費生活条例」も、既に盛り込み済みのところも多くありましたが、都道府県が講ずべき施策として規定されたところを中心に、平成17年に条例改正がなされております。 こうした取り組みを着実に推進している中にありながらも、残念なことに、消費者を取り巻く環境は悪化しております。県内の消費生活相談件数も平成14年度には5万5,530件でありましたが、架空・不当請求の増加に伴い、平成15年度には8万2,756件とふえ、平成16年には11万6,222件と大幅に増加した後、平成17年度には7万5,090件、平成18年は上半期だけで3万8,103件と高どまりの状況を見せております。 また、消費生活相談の聞き取りによって明らかになった、支払い済みの被害額については、平成13年度に1万467件、94億円だったものが、平成17年度に1万4,879件、151億円にも膨れ上がっております。もちろん、消費者基本法にうたわれているように、消費者施策の展開に当たっては、行政のみならず、消費者団体、事業者団体、NPOなどさまざまな機関との協働連携、さらに消費者教育を促すことによって、消費者被害を食いとめるべきであることは言うまでもありません。 しかし、これまでの施策の推進とともに、強化していかなければならないのは、悪質業者を出現させないような、抑止のための指導・処分の強化を図っていかなければなりません。 平成17年5月に本県の「消費生活eモニターアンケート」において、今後の消費生活行政についてアンケート調査を行いました。消費者被害を減少させるため、最も重要なことは何かという問いに対して、1位の40%が「消費者本人の自覚や自立」を挙げ、続く第2位の28%が「国や県による取り締まり、事業者指導」が最も重要と答えていることからも、行政の指導・処分による抑止効果は大いに期待されているところであります。 しかしながら、現在、県民部消費生活課の中に3名の職員が、消費生活相談から届く特定商取引法違反、あるいは神奈川県消費生活条例違反の疑いのある事業者を調査、指導、業務改善の指示・勧告などを行っておりますが、疑いのある案件を把握してから、最終的な処分に至るまでの期間は、かなりの時間を要しております。 本県では、抑止効果につながるとして、悪質事業者の事業者名の公表を平成16年度から行っており、これまで7件の公表を行っておりますが、悪質業者として県が認知してから公表に至るまで、最短のもので約6カ月、長いものになりますと2年7カ月もかかってしまっていることがわかりました。 このように時間を要してしまうことは、従事している職員の気持ちとは裏腹に、調査期間中にもさらなる被害者をふやし続けてしまうことにつながっており、抑止どころか、逆に悪質事業者にとって、やり得ということになりかねません。より抜本的かつ早急な対策が求められます。 そこで、知事にお伺いをいたします。 行政の指導とともに、悪質事業者を生まない、生ませない環境をつくっていくためにも、県独自の判断によって、行政措置発動の運用を強化することは可能でありますので、より迅速な対応ができるよう改善すべきだと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、悪質事業者を規制する特定商取引法の改正についてお伺いをいたします。 悪質事業者を規制する特定商取引法については、昭和51年の制定以来、幾度となく改正が繰り返されてきました。また、政令に規定される、規制対象となる指定商品や指定役務を追加しながら、新たな消費者被害の防止を図ってきたところであると承知しております。しかしながら、このような方法では、被害の積み重ねがあって初めて、法や政令が改正されるため、それまでの間は法での規制や取り締まりができないことになります。 そこで、知事にお伺いをいたします。 こうした状況を解消するためには、これまでの指定方式の考えを改め、規制の対象外となる品目を示し、それに当てはまらない品目はすべて規制の対象とするよう法令を改正することが必要であり、それにより、法令の網の目をくぐって悪質行為を行う事業者が発生することを抑止できることになると考えます。こうした抜本的な法令改正を早急に行うように国に求めていくことについて、知事のご所見をお伺いしたいと思います。 さらに、特定商取引法違反に対する取り締まり強化についてお伺いいたします。 これまで触れてまいりました、特定商取引法等に違反する事業者が出現しないようにするためには、一方で警察力の行使、いわゆる違反者をしっかりと検挙していくことが重要であることは論をまちません。 警察庁の調査によりますと、全国で特定商取引等事犯の検挙件数は、平成15年に65件であったものが、平成17年には124件、被害額も79億円から350億円に伸びております。今述べた、警察の統計については、全国の警察において取り締まりを強化した結果の裏返しだとは思いますが、この統計数値は氷山の一角であり、もはや看過できない状況にあると考えます。さらに、今後一層高齢化が進む中で、高齢者がねらわれる、特定商取引等事犯の増加が見込まれ、それに伴い、県民の体感治安の低下が懸念されるところであります。 そこで、警察本部長にお伺いをいたします。 警察による特定商取引等事犯に対する一層の取り締まり強化が望まれるわけですが、県警察では、どのような取り組みを行っているのか、また、今申し上げてまいりました状況をかんがみて、今後どのような決意をもって取り組まれるのか、ご見解をお伺いいたします。 質問の第4は、教育委員会の透明性、公開性についてであります。 私は、昨年12月の定例会の文教常任委員会の質問で、県教育委員会における委員会の議論が全く見えてこない、ゆえに教育委員会制度そのものの不信、さらには存在意義さえも問われてしまう状況にあることを指摘させていただきました。 狭義の県教育委員会は、ご承知のように、議会の同意を経て知事から任命された6名の委員による合議体として構成されており、その委員さんたちは、これまでの経歴などから見ましても、極めて高い見識と能力をお持ちの方々です。そして、委員の皆様は、教育委員会制度の趣旨にのっとり、レイマンコントロール、つまり教育行政の専門家でない人たち、逆に言いますと、一般的な常識、見識を持ち合わせた方々による支配という名のもとに、本県の教育に責任をもっておられる立場にあるわけです。 であるならば、昨今のいじめや不登校の問題、教員の不祥事について、山積する教育の諸課題、諸問題にどのようなお考えをお持ちになり、そして、どのように広義の教育委員会の方向性をリードしていただくのか、県民にとって、とても関心のあることだと考えております。 ところが、こうした議論は、県民の見えないところで行われているのが、残念ながら現状であります。狭義の教育委員会は、毎月の定例会が行われ、諸議案に対して審議をされているわけでありますけれども、県教育委員会のホームページ上に公開されております議事録を見ますと、極めて表面的な、誤解を恐れずに申し上げれば、儀礼的なものです。そのような委員会でありますから、傍聴者も極めて少ない。平成17年度の1回当たりの平均傍聴者数は2.79人です。定例会の開催時間は短いときでおよそ20分、議案など多いときには2時間以上になることもありますが、その審議は、おおむね決定する事項を確認する場となっていると感じざるを得ないのです。 一例を挙げますと、昨年の教育委員会5月定例会の場において、教職員のたび重なる不祥事に対して、教育委員会の名のもとに一丸となって取り組むという決議をしたことがありました。その際も、委員長が問題を提起され、決議案が採決されるまでの時間、およそ12分。危機的な状況に対して、委員が一言ずつ発言されておりますが、およそ議事録で見る限り、危機感の伝わってくるものではありません。 それでは、実質的な活発な議論はどこで行われているかと言えば、定例委員会の当日、委員会前後に開催される委員協議会という非公式の場であることがわかりました。当然、今申し上げました決議文が出されるほど緊迫した状況にあれば、委員間で活発なご議論がなされたことと推測いたしますが、議事録も存在しませんので、私たち議員も、もちろん県民の皆様も、中身はうかがい知ることができないわけです。 去る1月24日に、総理大臣の諮問機関である教育再生会議の第1次報告が提出をされ、教育委員会制度についても辛らつな指摘がなされております。「教育委員会の閉鎖性、形式主義、責任感のなさ、危機管理能力の不足、委員の高齢化、名誉職化といった弊害を取り除かなければなりません」と記されております。 私は、教育再生会議の指す教育委員会は、狭義の教育委員会と広義の教育委員会を混同されている点や、私が引用した部分の大部分は、本県の教育委員の皆さんには当てはまらない事柄だというふうに考えておりますけれども、しかし、こうした意見が出てきてしまうのも、疑念を抱かせる、教育委員会の非公開性に端を発することが多いのではないかと考えるのです。 私は、本県の教育行政が、県民に開かれた議論のもとにつくり上げられ、信頼をかち取る努力を行わなければ、今の教育の諸課題に立ち向かうことはできないと考えております。 時折しも、神奈川県の今後20年間を見通した「教育ビジョン」を、教育委員の皆さんが先頭に立って、県民の総意のもとにつくり上げようとしているさなかでもあります。このような私の指摘に対しまして、去る12月定例会の文教常任委員会の中で、教育委員長は答弁の冒頭、「その一言一言を真剣に聞かざるを得ない問題をいただいたのではないかと思っている」と発言され、また、以前に委員協議会での議事録がないことを聞いたときには疑問に思ったとの心中も話されました。最後に、透明性については、これから持ち帰りまして、ぜひ検討すると言われております。 そこで、教育長にお伺いをいたします。 その後、3回の定例の教育委員会が開催されておりますので、ぜひ実質的な議論の内容の公表はもちろんのこと、今後、どのように教育委員会の透明性、公開性を高めていくおつもりなのか、覚悟と具体的改善を教育長からお聞かせいただきたいと思います。 質問の第5は、プロスポーツ人材の学校教育などへの活用についてであります。 まず、本県にゆかりのあるプロを初めとした、スポーツ界のトップアスリート人材についてお伺いをいたします。 本県は、昨年、人口が全国2番目に多い県となり、885万人もの人が住まう県であると同時に、多彩な能力、技能を持っておられる方々が大変多くいらっしゃいます。まさに松沢知事のおっしゃるところの「神奈川力」の源になる人材の宝庫であります。その中には、現役のプロスポーツ選手を初め、事業団や各競技団体などには、元プロやオリンピック選手などの著名な方々も、指導者や現役の立場で多く活動されており、こうしたスポーツ人材はまさに本県の宝であり、誇りでもあります。 代表的な例を挙げれば、現在、教育委員をお務めの具志堅幸司氏は、ロサンゼルスオリンピックの体操の金メダリストでありますし、県体育協会の山下泰裕会長は、同じくロサンゼルスオリンピックの柔道の金メダリストであります。 こうした方々以外にも、すぐれた人材が、さまざまな形で、本県の人づくりに貢献をいただいております。個人的にゆかりのある県立高校へ指導に赴いていただいたり、また、プロ野球球団やサッカーJリーグのチームにおかれては、さまざまな地域交流イベントなどを通じて、開かれたスポーツ環境づくり、スポーツ推進活動を展開していただいております。 先日、世界陸上出場の日本代表選手らが、東京都の、とある小学校の校庭を使って、陸上のすばらしさを子供たちに直接伝えようというイベントを行っている姿が報道されておりました。日本で一番速く走る選手や、一番高く跳べる選手の姿が、ふだん使っている校庭の中でデモンストレーションをされているのを見て、素直に歓声を上げ、子供たちの目はとても輝いておりました。また、デモンストレーションの後には、こうしたトップアスリートから直接指導を受ける機会が設けられるなど、子供たちにとっては一生忘れることのできない思い出と、今後のスポーツに対する姿勢や関心の持ち方に大きな影響を与えたことだと思います。 後日、どのような団体が主催されたのかを調べたところ、日本陸上競技連盟が、子供たちの体力向上のきっかけづくりということで行った、新しい事業であるとのことでした。 私は、こうした取り組みを、本県においては、陸上だけにとどまらず、さまざまなスポーツ競技で、また、県内の学校や地域のイベントなどで、広くご協力をいただける環境を整えることができないだろうかと率直に感じております。 そこで、知事にお伺いをいたします。 知事は、教育、特に人づくりに関しては、格段の思い入れを持たれ、これまでもさまざまな提案、構想を発信されてこられました。そこで、ぜひ、これまで申し上げてまいりましたような趣旨の、本県にゆかりのあるプロスポーツ選手やチームなどが、気持ちよく、効果的に、さらに県民にあまねく、そのすぐれた人的資源の恩恵が受けられるようなシステムづくり、例えば「スポーツ振興大使」のような構想を打ち出し、県として積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、地域の子供たちの教育に責任を持つ、教育委員会にお伺いをいたします。 学校現場においても、体育の授業や部活動など、子供たちがスポーツを通じて健全な精神や体力の向上を図る機会が設けられております。授業においては、小学校から高校に至るまで、各段階に応じて、運動に親しむ動機づけから、運動技能を高める指導まで幅広く行っております。こうした、学校におけるスポーツ活動においても、先ほど申し上げてまいりました、トップアスリートなど優秀なスポーツ人材によるデモンストレーションや指導は、子供たちにとっても、教職員にとっても非常に有益であると思います。 そこで、教育長にお伺いをいたします。 県教育委員会として、今後学校教育におけるスポーツ人材の活用について、どのように進めていかれるのか、教育長にお伺いをいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
◎知事(松沢成文君) 福田議員のご質問に順次お答えをいたします。 まず、このたびの税源移譲を踏まえ、個人住民税の税収確保の取り組みについて、県として、市町村に対し、どのような支援を行っていくのかとのお尋ねがありました。 個人住民税の税収確保対策につきましては、平成8年に、県と市町村で「地方税収対策推進協議会」を設置しまして、両者の緊密な連携のもと、税務職員の相互交流や合同滞納整理など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。こうした中、このたびの税源移譲により、自主財源である地方税の充実が図られた一方で、徴収面での取り組みなど、税収確保に向けて、県がなお一層役割を果たしていく必要がございます。 このため、昨年9月に、今後の税収確保の取り組みについて、市町村に対するアンケート調査を実施し、これらのご意見を踏まえて、県と市町村の連携強化の方向性について検討を深めてきたところであります。その結果、市町村では、地域の実情に応じ、それぞれに徴収対策を進めておりますので、県の支援に対する意向もさまざまでございますが、その中でも、市町村が行う滞納整理の取り組みを、県が直接支援してほしいとの意見が多く寄せられたところであります。 そこで、今後の具体策といたしまして、これまでの、県と市町村での職員を交流する制度に加えて、複数の県職員を数カ月間、市町村に派遣し、各市町村の職員の身分をもって直接滞納整理を行う、新たな制度を導入したいと考えております。 また、市町村における徴収困難な事案について、県が引き継ぎを受けて滞納整理を行う制度を強化するとともに、徴収事務についての巡回相談や研修を充実するなどの取り組みを進めていくこととしております。 今後、これらの取り組みを効果的に進めていくため、個人住民税対策を専門に担当する職員を本庁内に新たに配置し、事務の集中化を図るなど、組織面での整備を図り、執行体制を強化した上で、市町村の実情に即した、多様で総合的な支援を講じてまいります。 次に、道州制と市町村合併についてお尋ねをいただきました。 まず、道州制に対する県民の理解を広げるための取り組みについてであります。道州制への転換は、この国の形を抜本的に見直す大改革であり、国民・県民の生活に大きな影響を及ぼすものであります。そのため、国民・県民の中に道州制についての議論の輪が広がり、その機運が醸成されることが不可欠であります。そのためには、道州制の効果と課題などを、できるだけ具体的に県民の皆様に示すことが重要となります。 この点については、議員のご質問にもありましたとおり、昨年12月に、広域自治制度研究会から、具体的なケーススタディに基づく、道州制の効果と課題についての報告をいただきました。報告書については、これまでも全国知事会での議論に活用するとともに、本年1月に厚木市と平塚市で県が開催した、県民の皆様を対象としたフォーラムでも活用したところでございます。 今後とも、こうした取り組みに加え、職員による出前講座や各種集会での説明、ホームページの充実など、さまざまな機会をとらえて、県民の皆様へ情報の提供や議論の喚起に努めてまいります。さらには、経済団体に、合同の勉強会やシンポジウムの開催を働きかけるなど、県域の各界の方々と連携し、道州制への取り組みを広げてまいりたいと考えております。 国では、「道州制ビジョン」の作成が始まり、政党や経済界での議論も活発化しています。また、全国知事会でも、本年1月に、道州制に関する基本的な考え方をまとめたのに続き、今月21日には、私がメンバーとなっている道州制特別委員会のもとに、道州の組織、自治権に関するプロジェクトチーム及び道州制における税財政制度に関するプロジェクトチームを設置いたしました。 私は、かねてより道州制の議論を提起してまいりましたが、今後とも、真の地方分権改革に資するものとなるよう積極的に発言を行うとともに、こうした議論の内容は適時適切に県民の皆様にお伝えしてまいります。 次に、市町村合併推進審議会の答申を踏まえた、県の構想の策定手順と時期についてのお尋ねであります。 審議会の答申では、県が構想を策定するに当たっては、市町村や地域住民及び議会等に答申の内容をご理解いただき、その意見を十分に聞く必要があること、また、合併新法の期限が21年度末であるため、構想は可能な限り早期に策定することを求めております。 こうした審議会の意向を踏まえ、県では昨年末に開催した、市町村に対する答申の説明会を皮切りとして、市町村への個別訪問や市町村が参加する各種会議での説明など、あらゆる機会をとらえて答申をご説明し、ご意見を伺っているところであります。 今後、ご意見等を踏まえ、県として構想素案を作成し、改めて市町村や議会のご意見を伺うとともに、パブリックコメントの実施やフォーラムの開催などを通じ、県民的な議論もいただきながら、構想案をまとめてまいりたいと考えております。 構想案につきましては、合併新法に基づき、再度審議会にお諮りした上で、構想として確定することとなりますが、その際には、合併検討を行う市町村に対する、県の総合的な支援方策も盛り込む予定でございます。 県といたしましては、こうした手順を一つ一つ積み重ねてまいりたいと存じますが、県が示す構想に基づいて、市町村や住民の皆様に十分にご議論を深めていただくため、遅くとも今年の秋までには構想を確定する必要があるものと考えております。 次に、消費者施策のあり方についてのお尋ねがありました。 まず、悪質事業者に対する迅速な対応についてであります。 近年多発している、悪質事業者による消費者被害を防ぐには、その手口や対処方法を、消費者に迅速・的確にお知らせしていくことが必要でありますので、県のホームページや記者発表、「県のたより」など、さまざまな媒体を通じて注意喚起を行っております。 また、被害に遭われた場合には、県や市町村の消費生活相談窓口で、トラブル解決に向けて、助言や事業者とのあっせんを行っております。 さらに、悪質商法のもとを断つことが肝要でございますので、悪質との疑いのある事業者に対しましては、勧誘方法や解約手続などについて、まず任意での指導を行っております。大部分の事業者はその段階で改善されますが、一部の是正されない事業者に対しましては、特定商取引法や消費生活条例により、業務改善の指示処分や勧告を行うとともに、事業者名を公表しているところであります。 また、この指示処分、公表に当たりましては、違法性の認定を行うための詳細な調査や、弁明の機会の付与、また、被害が広域にわたる場合には、近隣都県との調整も必要となりますので、案件によっては、議員お話しのとおり、相当の時間がかかってしまうものがございます。 しかし、消費者被害を少しでも減らしていくためには、悪質事業者に対して、より迅速かつ厳正な対応を図ることが必要ですので、急激な被害の拡大が予想されるなど、緊急度が高い場合には、これまでの手順にとらわれず、早い段階で事業者の公表などの処分を行ってまいります。 また、高齢者を集中的にねらうなど、悪質度が高い事業者に対しましては、さらに業務停止命令を発動するなど、悪質事業者の根絶に向けて、警察とも連携して取り組んでまいります。 次に、悪質事業者を規制する特定商取引法の抜本的な改正についてでございます。 特定商取引法は、議員のお話にもありましたとおり、昭和51年に訪問販売等の適正化と消費者保護を図ることを目的に制定されたものでございます。その後、消費者被害の増加、手口の多様化・巧妙化などに対応するため、電話勧誘販売の規制を新設したり、指定商品では、台所用品や火災警報器などの追加、また、販売や勧誘の際にはその目的を相手に明確に伝えることを義務づけるなど、その時々の消費者被害に対応して、これまで7回の法改正が行われてまいりました。 しかし、悪質事業者は、法に触れない範囲で、次から次へと新しい手口を考え出し、消費者被害がなかなか減らないといった実態がございます。こうした状況を改善するには、議員のお話のように、被害の実態に合わせて、いわば後追い的に規制を強化していくのではなく、店舗販売以外の商取引については、全体的に法規制の網をかけ、例外として規制対象外の品目を指定するなど、規制のあり方を根本的に変えていく必要があると考えております。さらに、悪質事業者への罰金や懲役刑の罰則についても、より厳格化することが必要と認識しております。 現在、国では特定商取引法の見直しの検討が始まったと聞いておりますが、多発する消費者被害を未然に防ぐには、ただいま申し上げたような、抜本的かつ早急な法改正が必要と考えておりますので、他県とも連携して、さまざまな機会をとらえて、強力に国に働きかけてまいります。 最後に、プロスポーツ人材などの活用についてのお尋ねもございました。 本県には野球とサッカーのプロチームが5団体ございますし、また、オリンピックなどの国際大会で大活躍された方々も大変多く、議員お話しのように、まさに本県はスポーツ人材の宝庫であり、「神奈川力」の源の一つとなっております。 こうしたトップアスリートの活躍は、県民に夢や感動を与え、社会に活力を与えてくれるとともに、競技力の向上や生涯スポーツの振興にとりましても大変大きな力となっております。とりわけ子供たちは、トップアスリートにあこがれ、自分もその選手のようになりたいと、スポーツに打ち込むものでありますし、ましてや、そのトップアスリートから直接指導してもらえる機会があれば、その効果ははかり知れないものがございます。現に、県内のJリーグのサッカークラブが実施しておりますサッカー教室や、プロと社会人の球団が連携して設立したNPOの野球教室は、子供たちに大人気でありますし、本県教育委員会で実施しております、元プロ野球選手を指導者とした野球教室も、参加した子供たちから大好評を博しているところでございます。 こうした状況を見ますと、子供たちのためにも、県内のトップアスリートの方々に、さまざまな場面で、これまで以上にご協力をいただきたいと考えております。現在、県教育委員会では、トップアスリートと子供たちの交流機会をふやすため、プロのスポーツ団体との情報交換や、その方策について検討を行っていると聞いております。 議員からも「スポーツ振興大使」というご提案をいただいたところでありますが、私といたしましても、プロスポーツ人材はもとより、県体育協会やNPOなども含めた、県内のスポーツ人材を県全体で活用できるような仕組みを、教育委員会と連携して、早急に構築できるよう努めてまいりたいと考えております。 私からの答弁は以上でございます。〔教育長(引地孝一君)発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 引地教育長。
◎教育長(引地孝一君) 教育関係についてお答えいたします。 教育委員会の透明性、公開性についてお尋ねがございました。 議員ご指摘のとおり、教育委員会から県民の皆様への情報発信は極めて大切なことであり、教育委員会の議論を外から見えるような形にすることは大変重要であると認識をしております。 教育委員会における会議といたしましては、定例会と臨時会がございますが、これらの会議は、従前より、人事案件など一部の議案を除き、原則公開で行っておりますし、会議録のホームページ上での公開や会議資料の公開などにも努めてきているところでございます。 一方、議員からお話のありました委員協議会では、将来議案となる予定の案件やそのほかさまざまな課題について、未成熟な段階から、委員同士、自由闊達な議論を行っておりまして、非公開の扱いをしております。結果として、委員協議会での委員同士の議論や意思形成過程が県民の皆様に見えにくい、そういった実態にあることも事実でございまして、現在、この委員協議会のあり方について、検討を進めてきているところでございます。 具体的には、委員協議会は、国の制度改革の動向など、委員の共通認識が必要な事項の研究協議を行う場に限定し、将来議案となる予定のものにつきましては、未成熟な段階でも、原則公開の定例会で議論を行うようにしてまいりたいと考えております。 このことによりまして、例えば、「教育ビジョン」の策定段階での議論は公開ということになりますので、日ごろから委員の間で行われております熱心な議論が、県民の皆様により見えるようになってくるものと思っております。 また、日ごろの教育委員会の実際の行動を県民の皆様に見ていただく、より開かれるようにしていくことも大変大事でありますので、日ごろから、教育委員には、学校現場の訪問や、あるいは「教育ビジョン」の策定の段階での県民フォーラムへの参加を積極的に行っていただきました。 また、昨年の5月から、私の方でも、月に1回、記者の方々に、教育施策の内容や教育委員会の行事予定といったような情報提供を、積極的に行わさせていただいておりまして、これからも、開かれた教育委員会づくりを目指して、県民の皆様のために情報提供に努めてまいりたいと考えております。 次に、学校現場におけるスポーツ人材の活用についてのお尋ねがございました。 すぐれた技能を有するアスリートの方々を学校にお迎えし、児童・生徒にスポーツの楽しさやすばらしさを教えていただくことは、子供たちが運動する習慣を身につける上で大変効果があるものと認識をしております。 そこで、本県では議員のお話にもございました、国の「スポーツ選手ふれあい指導事業」を積極的に活用し、平成18年度は15校1,541名の小学生が、すぐれたアスリートの皆さんとじかに触れ合うことができました。参加した児童からは、走るのが苦手だったが走ることが楽しくなった、あるいはバスケットボールで友達と協力する楽しさがわかったなどの感想が寄せられております。 また、オリンピックの金メダリストで本県の教育委員でもある具志堅幸司氏が、県内の小学校から依頼を受け、現役の大学生と一緒に、講演及び体育の指導を行ったことがございました。初めは緊張した面持ちだった子供たちが、初めて見る本物の金メダルと、大学生のすばらしい演技に、大きな感動と驚きを受け、その後行われた跳び箱の授業では、今まで跳び箱を跳べなかった児童までが跳べるようになったと伺っておりまして、改めて、トップアスリートの持つ影響力の大きさを認識したところでございます。 このようにトップアスリートや、あこがれの選手との出会いは、子供たちに夢や感動を与える、そして同時に、心と体の健康づくりを進める上でも、大変貴重な取り組みでございます。 今後、教育委員会といたしましては、地域の方々などにお願いしております「部活動嘱託員制度」や学生ボランティアの活用とともに、学校のニーズに合わせまして、県内のプロの団体や県体育協会、さらには大学などから、スポーツ人材を派遣していただけるような、本県独自の方策を検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。〔警察本部長(井上美昭君)発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 井上警察本部長。
◎警察本部長(井上美昭君) 福田議員ご質問の、特定商取引等事犯に対する県警察の取り組み、また、今後の決意についてお答えをいたします。 この種事犯は、お年寄りや女性等の、いわゆる社会的弱者が被害に遭うおそれが非常に高い上、組織的かつ広域的に犯罪を行うという特徴を有していることから、警察といたしましては、日ごろから、特に以下に述べます3点に配意した取り組みを行っております。 まず第1点は、端緒情報の入手強化と早期事件化であります。このような事犯の相談は、県や市町村の消費生活相談窓口へも多数なされておりますことから、これらの関係行政機関と定期的な情報交換を行い、緊急性が認められる場合等には個別に連絡をとり合うなど、平素から連携強化に努めております。 また、県内54警察署に情報収集捜査員各1名を指定するなど、警察独自の情報入手にも努めております。入手した情報につきましてはその内容を精査し、必要な場合には直ちに捜査に着手するなど、早期事件化に向けた取り組みも行っているところであります。 第2点は、捜査体制の強化であります。事件の規模によっては、本部捜査員を警察署に派遣し、あるいは関係都道府県警察との合同捜査を行うなど、捜査体制の強化に努めているところであります。なお、この種事犯は、生活経済課が所掌しているところでありますが、現行の生活経済課は風俗事犯捜査も所掌しております。所掌業務の範囲が広過ぎるため、県当局のご理解を得て、本年4月に新設課をつくり、風俗事犯を所掌させるとともに、生活経済課の捜査員を増員し、この種事犯の捜査体制を強化することとしております。 第3点は、捜査員の育成であります。この種事犯の捜査には、多岐にわたる法令の知識や高度な捜査技能が必要であります。そのため、特に警察署の捜査員に対しては、本部捜査員による巡回教養や実践的な研修会を開催するなどして、そのレベルアップに努めておるところであります。 最後に、今後の決意について申し上げますが、冒頭に申し上げましたように、この種事犯が、高齢者等の社会的弱者を標的として敢行される非常に悪質な事犯でありますことから、警察といたしましては、今後も関係行政機関等とより一層連携を強化し、詐欺罪の適用など、あらゆる法令を駆使した徹底検挙と、被害の拡大防止の両面から、より一層努力してまいりたいと考えております。 以上でございます。〔福田紀彦君発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 福田紀彦君。
◆福田紀彦君 自席からの発言をお許しいただきたいと思います。 知事、教育長、警察本部長におかれましてはご答弁ありがとうございました。 知事の方からは、まず、税収確保対策については、市町村の身分をもって税収確保に当たるというような新しい方策もやっていただいて、そして、税収確保に努めていくというご答弁をいただきました。ぜひ今後も注目していきたいというふうに思っております。 それから、道州制のことについては、知事が4年前に知事選に出られるときに、道州制のことを掲げて、マニフェストの中に示されたときから比べますと、今回の議会の中でも、さまざまな立場からではありますけれども、道州制の議論というのが、質問として出てきております。そういったことからも、議会の中でも議論が大分出てきているということ自体、やはり議論は一定の進展をしてきている。これをさらに県民全員に、全体にこの議論を深めていくという努力を、さらにしていただきたいというふうに思います。 それから、消費生活行政のことについてでありますけれども、これも知事の方から、県の独自の判断で運用強化できますので、そのことについて運用強化していくと、悪質なときには業務停止命令も含めて、迅速に対応していただけるということでありますので、大変ありがたい取り組みだというふうに思っております。 これから高齢化がますます進みますと、質問の中でも申し上げましたけれども、こうした被害がますます多くなってくるというふうに思います。警察本部長の方からも、先ほど、今年4月から新しい課も新設されるということを契機に、一層この取り締まりに全力を尽くしていただきたいというふうに思います。 それから、プロスポーツ人材の活用についても、知事から、さまざまな取り組みを今やっているけれども、そういう大きなものを包括した枠組みというものを、早急に、教育委員会とも協調して、検討していただけることでありましたので、これにはぜひご期待申し上げたいというふうに思います。 それから、教育委員会の透明性、公開性について、これは教育長から、大変前向きな、具体的な改善をしていただけるという答弁をいただきましたので、「教育ビジョン」の策定の最中でありますから、本当に教育委員の皆さんは高い見識をもってやっていただいております、こういう議論が県民にわかるようにしていただけるということが、教育の信頼をかち取ることだというふうに思いますので、ご努力を続けていただきたいというふうに思います。 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026249-質問・答弁-土井りゅうすけ議員-一般質問①安全・安心について②県民アンケート及びパブリック・コメントについて③商店街の活性化について》 〔土井りゅうすけ君発言の許可を求む〕
○副議長(新井敏二郎君) 土井りゅうすけ君。〔土井りゅうすけ君登壇〕(拍手)〔副議長退席、議長着席〕
◆土井りゅうすけ君 議長のお許しをいただきましたので、自民党県議団の一員として、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 先輩並びに同僚議員におかれましては、本日最後であると同時に、議会は生き物、何が起こるかわかりませんが、恐らく今任期最後の質問となりますので、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。知事並びに警察本部長におかれましては、明快かつ率直なご答弁をご期待いたします。 時代の流れとは速いもので、私の小学生時代は髪の毛を伸ばすと不良呼ばわり、ましてや髪の毛を染めることなど考えもしませんでした。男性が美容院へ行くことはほとんどなく、パーマをかけるなどということ自体が極めて少なかった時代であります。ところが、今や、髪を伸ばしたり、髪の毛を染めるなどはごくごく当たり前、時の総理大臣までパーマをかける時代となりました。 子供を取り巻く環境も大きく変わりました。20年前は、家庭内暴力、つまり、子供が親に暴力をふるう問題が大きく取り上げられ、ドラマ「積み木くずし」は最高視聴率45%を記録したと聞いております。 現在はどうでしょうか。家庭内暴力ももちろん存在しますが、大きな問題は児童虐待であります。つまり親が子供に暴力をふるい、虐待する。20年の間に起こったこの逆転現象の原因は一体どこにあるのでしょうか。子供たちの安全・安心という面でも、昔は交通安全対策が中心で、いわゆる緑のおばさん、交通安全指導員が活躍してきました。しかし、昨今の子供の安全・安心は、交通安全対策だけでなく、今までの社会常識では考えられなかった事件が次々に発生し、犯罪も多様化し、さまざまな対応策を検討し取り組んでいかねばならない時代になりました。 そこで、安全・安心について、質問の1番目として、子供の安全・安心についてお伺いいたします。 昨年1年間の犯罪は約12万件で、前年と比較すると約マイナス2万件と大幅に減少いたしました。一方で、子供が被害者となった事件について調べてみますと、数値的には減少したものの、昨年1年間で1万4,000件余りの事件が発生したと聞いております。また、内容的にも凶悪な犯罪が発生するなど、子供の安全に対する体感治安は、いまだ回復したとは感じ得ない状況にあります。 特に、私の地元では、昨年の3月20日、川崎市多摩区の高層マンションから小学生の男子児童が投げ落とされて殺害されるという、今までの社会常識では考えられないような、世間を震憾させる事件が発生しております。この事件は、県警察の努力で早期に犯人を検挙することができましたが、身近な場所で発生した凶悪事件に、地域住民の不安は大きなものがありました。 当時は、広島県や栃木県など、全国で幼い子供が犯罪の被害に遭って命を落とす事件が相次いで発生したことから、全国各地で子供の見守り活動が活発になりつつありました。 多摩区においても、この事件を契機に、地元住民の方々の防犯意識が高まるとともに、自主防犯活動がより活発になり、登下校時には、PTAはもちろん、自治会、そして老人クラブの方々が、子供たちの通学路を見守る姿が見られるようになりました。 県警察においては、こうした治安情勢に素早く反応していただき、昨年4月に「子ども安全対策室」を設置し、情報発信活動や見守り活動など、子供の安全対策を積極的に推進していただいております。 現在、学校を中心に、さまざまなボランティアが見守り活動を行っておりますが、子供の安全を確保するためには、家庭、学校、地域住民、行政機関、そして警察が密接に連携し、子供を犯罪から守る活動を定着させ、さらに揺るぎないものとする必要があると考えます。 また、東京都を初め、全国で21都県には、警察、学校、地域のパイプ役となって、子供の安全を確保し、さらには非行防止も行う、「スクールサポーター」という制度を取り入れ、運用していると聞いております。 我が党としても、次代を担う子供の安全確保と健全育成は最重要かつ最優先課題であるとの認識に立ち、平成19年度予算・施策に関する提言書で、このスクールサポーターの導入を要望したところであります。これを受け、県警察では、平成19年度からスクールサポーター制度を導入することとし、この春に警察官OB53人を非常勤職員として採用すると明らかにされました。 そこで、警察本部長に伺います。 子供の安全・安心確保のために、県警察が昨年1年間にどのような取り組みを行ったのか伺います。さらに、新たに導入するスクールサポーターについて、どのように運用し、どのような効果を期待しているのか伺います。 次に、スクールガード・リーダーとの連携についてお伺いいたします。 スクールガード・リーダーは、学校安全ボランティアに対し、不審者の侵入防止等の指導・助言を行う者として、文部科学省が推進している「子ども安心プロジェクト」の取り組みの一つで、現在、すべての都道府県及び政令市で実施されております。 県内でも7市町村で導入され、私の地元、川崎市でも、既に8名のスクールガード・リーダーが、学校における子供の安全・安心確保のために活動しております。活動内容は、学校の安全管理体制に対する指導・助言や、警備ポイントの指摘、巡回・警備などであります。 このようにスクールガード・リーダーの活動は、スクールサポーターと重複する面があります。子供の安全・安心を守るという目標は一致していても、所管がそれぞれ県内各教育委員会と県警察、身分は主にボランティアと非常勤職員という違いもあり、連携がうまくとれるのか心配であります。それぞれ緊密に連携を図り、活動してこそ相乗効果が出るのではないでしょうか。 そこで、警察本部長に伺います。 より効果的に子供を犯罪から守る活動が推進できるよう、既に県内市町村で導入されているスクールガード・リーダーとスクールサポーターとの連携をどのように図っていくのか伺います。 次に、地震防災対策、県有施設の耐震化についてお伺いいたします。 県有施設の耐震化は、平成18年度より実施されている「県有施設耐震化事業計画」のアクションプログラムに基づき、5カ年の重点的な取り組みとして、計画的に進められていることは承知しております。多くの県有施設は、大規模地震発生時に避難所や災害対策本部、広域応急活動拠点などに活用されることになっており、これらの耐震化は、早急に取り組まねばならない課題であります。アクションプログラムに基づき、着実に県有施設の耐震化を進めていただきますよう要望いたします。 さて、ここで視点を変えて、本県の大規模災害時の防災体制という点からお聞きいたします。 ご承知のとおり、県では県内で震度4を計測した場合、警戒体制をとり、さらに震度5弱、または5強の場合は、安全防災局が被害情報を把握した上で必要に応じて、また、震度6以上の場合には、知事を本部長とする県災害対策本部を設置し、応急活動体制をとることになっております。 このため、地震発生時の初動体制を確保するために、本部長である知事が県庁まで徒歩30分以内で移動できる中区山手町において、知事公舎の建設を進めるための知事公舎基本・実施設計が進められていることも承知しております。 しかしながら、防災体制の確立という点においては、知事公舎の整備より優先して進められるべき課題が山積しています。知事は、現在、既に、県庁まで徒歩30分以内の耐震性にすぐれた借り上げマンションを知事公舎として使用しており、本部長である知事の初動体制の確保は十分できております。 平成17年3月に作成された県地域防災計画の地震災害対策計画の中では、大規模な地震災害の場合、災害対策要員が被災者になったり、災害対策本部室そのものが被災することを想定した体制の整備が必要であると明記されております。 そこで、優先的に進めなければならない課題の一つである、県庁新庁舎の耐震対策について伺います。 新庁舎の耐震対策は非常におくれており、耐震化の方向性や事業手法などの調整が必要であることから、アクションプログラムとは別に検討を進めるとされ、なかなか議論が進んでいないと聞いております。新庁舎では、大規模地震発生時に立ち上げられる災害対策本部要員が多数勤務していると同時に、本会議場や委員会室も含まれており、万が一、本会議開会中や委員会開会中に大規模地震が発生した場合、知事を初め、県の中枢の職員の多くや、議長を含め、我々も新庁舎で被災することになり、地震発生時の初動体制の確保の面からも、非常に深刻な問題を抱えていることはだれもが認めている事実であります。 新庁舎は耐震工事にかかる予算規模も大きいことから、議論が進んでいないようでありますが、一番肝心な大規模地震発生時の初動体制の確立という点から見ても、新庁舎の一刻も早い耐震対策が必要であると言わざるを得ません。 そこで、知事に伺います。 新庁舎の耐震対策は喫緊の課題と考えますが、今後どのように耐震対策を進めていくのか、スケジュールも含め、お伺いいたします。 質問の第2は、県民アンケート及びパブリックコメントについてであります。 これまで、本県では、県民との対話行政の推進の手法として、「県のたより」や広報番組、県政情報コーナーなどによる積極的な情報提供や、県民ニーズ調査や県政モニター制度などによる県民意見・提案機会の確保や、パブリックコメントによる施策形成過程への県民の参加などが行われており、一定の成果をおさめております。 しかしながら、その実施手法等については、見直しが必要な事例も散見されており、また、県民の県政への積極的な参加の面から、今後ますます広聴広報が重要になるものと考えます。 そこで、まず、県民意見・提案機会の確保の点から、県民アンケートについて伺います。 本県では、県政の推進に当たり、県民のニーズや意向を把握するため、県民ニーズ調査や県政モニターアンケートを実施していることは承知しております。県民ニーズ調査は対象者が3,000人で、対象者を無作為に選び、統計学的に確立した手法に基づいて、3年ごとに、県民の生活と県政についての意識調査を実施して、時系列比較を行い、その間の年度には、県政の重要課題をテーマとして実施していると伺っております。 また、毎年、400名の県政モニターを公募して、年数回のアンケートを実施しており、モニターの選考の際には、地域や性別、年代、職業等のバランスに配慮し、基本的に連続してモニター登録できない制度も導入しており、より多くの県民の生の声を聴取しようとするあらわれだと考えます。それぞれ、仕組みとしては、一定程度は評価できますが、調査手法によっては使い方が難しいと思われるものもあります。 例えば、先日の「受動喫煙を防止するための公共的な場所での喫煙規制についてのe-かなネットアンケート」、いわゆる受動喫煙防止条例のネットアンケートでは、ふだんのアンケートでは回答数が、多くて400件程度であるのに、これだけは4,000人を超える回答が寄せられるという、恣意的大量投票がなされました。マスコミ報道では、反対派の投票だけがクローズアップされていましたが、規制推進派もホームページやブログで賛成を呼びかけていたようであります。 インターネットを活用することで、より多くの県民が気軽に参加できるという利点が、このような形であらわれたものと言えると思います。県の施策が県民アンケートのみで決定されるわけではありませんが、重要施策の方向性にも影響を及ぼすようなアンケートにおいては、非常に問題であると考え、慎重を期していただきたいと思います。 テーマに応じて、調査の手法を工夫する必要があると考えますし、また、調査手法によって、質問の仕方を工夫する必要もあると考えます。また、今回のe-かなネットアンケートでは、途中で回答状況を見ることができたことが、恣意的な投票行動を、より誘発した可能性があると見られます。開かれたアンケートである限り、インターネットでも、紙によるアンケートでも、一定の考えを持つグループに呼びかけて大量の回答を寄せることはできるわけですが、途中経過を見られることはネットアンケート特有の現象かと思います。 知事も、定例会見で、アンケートのシステム運用の見直しについて言及していましたが、私は、回答システムを根本的に見直さねばならないと考えます。ぜひとも早急な対応をお願いいたします。 さて、質問の仕方という観点から、県民ニーズ調査や県政モニターアンケートの具体的な調査の内容について見てみますと、これまで行われてきた調査の設問については、県当局に都合のよい質問が多いとか、また、時には、知事の政治パフォーマンス的色彩の濃いアンケートがあると感じるのは、私だけではないはずです。県が推進しようとする施策に対して、是という答えを誘導するような設問設定では、真に県民の意見を把握することはできませんし、ましてやその限られた意見により、それがあたかも県民の総意であるかのように県の重要施策が推進されるようであれば、極めて問題であると考えます。施策をつくる所管部局が設問をつくっていることにも、これらの原因の一端があるのではないでしょうか。 そこで、知事に伺います。 県民アンケートの質の向上を図るために、第三者に設問の作成をゆだねるなど、真に多くの県民の意見を聴取できる方法を考える必要があると考えますが、知事の考えを伺います。 次に、パブリックコメントについて伺います。 本県では、施策の形成過程の透明性や公正性を向上させ、県政への県民参加を一層推し進めることを目的として、県民生活に広く影響を与える重要施策については、その案の段階で県民に公表し、県民から広く意見を募集するとともに、提出された意見の施策への反映状況を公表する、「かながわ県民意見反映手続」、いわゆるパブリックコメントを平成13年度から実施しております。 県民からのこれまでの意見提出状況を見てみると、県民の県の施策に対する関心度合い次第ということからか、募集テーマによってばらつきはありますが、提出意見数が全体的に少なく、せっかくつくられた制度の趣旨が余り生かされていないのではないかと感じられます。 例えば、「青少年喫煙飲酒防止条例骨子案」では388件、「認定こども園の認定基準の考え方」には249件の意見が寄せられているのに対し、「第2次神奈川県ニホンザル保護管理計画素案」には46件、「化学的酸素要求量等に係る総量削減計画及び総量規制基準の算出に用いる化学的酸素要求量等の濃度素案」、何のことか私もよくわかりませんが、この素案に至っては、たった2件のみの意見でありました。 このパブリックコメントの対象となる施策案の公表方法は、県のホームページへの登載及び県政情報センターや各地域県政情報コーナーなどでの印刷物の縦覧を行うこととされているようですが、それだけでは、県民から意見が提出されるまでただ待っている、待ちの姿勢にとどまっていると言わざるを得ません。もっと積極的な姿勢が必要だと考えます。 そこで、知事に伺います。 パブリックコメントの実施に当たっては、多くの県民から意見を伺い、その考えを集約し、県の施策に反映するために、日ごろ県政に余り興味を持たない一般の県民の方々にも、進んで県の施策に興味を持ってもらえるような工夫や働きかけが必要だと考えますが、知事の考え方をお聞きいたします。 質問の第3は、商店街の活性化についてであります。 まず、商店街の活性化に向けての総合的な情報提供についてお伺いいたします。 現在、県内の商店街は、大型小売店舗の進出や消費者ニーズの多様化、また、商業者の高齢化と後継者不足等により、一部では「シャッター通り」と言われるような深刻な状況にあります。商店街は、これまでも地域のコミュニティーの核として、地域経済の活性化に大きな役割を果たしてきました。少子高齢社会を迎え、地域における商店街の役割はますます重要になると思いますが、そのためには商店街の活性化が喫緊の課題となっています。 そこで、本県も商店街の活性化に向けて、市町村と協調して、商店街の施設整備など、さまざまな補助メニューを設定し、商店街や個店の支援に取り組んでいることは承知しております。 先般の我が党の国吉議員の代表質問に対する知事答弁でも、空き店舗対策にしっかりと取り組んでいるとのことでした。しかし、本当にそうでしょうか。商業者が主体となって、例えば空き店舗を活用した保育施設の運営を行うなど、さまざまなアイデアを凝らして、活性化策を実施したりしておりますが、残念ながら、商業者や商店街がこれらの制度を活用する場合に、必ずしも情報がうまく流れていかない状況にあると思います。 例えば、商店街が地域のNPOなどと連携して、商店街にある空き店舗を活用した子供の一時預かり施設を設置・運営しようとする場合、県の商店街補助メニューの一つである空き店舗の改修工事や家賃に対する補助制度の利用についての相談は商工労働部、子育て支援の中味の相談は保健福祉部ということになり、ともすると、縦割り行政の弊害と言われる状況になりかねないのではないかと思います。このような事例については、県各部局が連携して対応することが必要であると考えます。 そこで、知事に伺います。 商店街の立場に立ち、商店街の活動を迅速かつ的確にサポートするためには、豊富な情報を保有する県が、商店街の活性化に向け、きめ細かな総合的な情報提供を行う必要があると思いますが、知事の考え方を伺います。 次に、商店街の活性化を推進するための、商店会の加入促進を促す条例の制定について伺います。 商店街を活性化させ、町にかつてのにぎわいを取り戻すためには、第1には、商店会組織や個々の商店みずからが主体となって、お客さんに対し、よい品物を適切な価格で提供するという本来の商業活動に邁進することで、集客数をふやすことが求められております。また、ただいま一例として申し上げたような、空き店舗を活用したコミュニティー施設の運営などの地域社会に貢献する活動や、さまざまなイベントを行うなどの努力を続けていくことも必要であることは言うまでもありません。 しかしながら、近年、それぞれの地域なりの実情があるのかとも思いますが、大型店舗やコンビニなどのほかにも、夜間営業の飲食店や一般の物販店などでも、商店会に加入しないケースがふえてきており、このことが商店街のさまざまな活動の担い手の減少につながり、財政面も含め、商店街活動に少なからず支障を来しており、一部の商店会では、その存続が危ぶまれるまでに、会員店舗が減少しているケースもあると聞いております。今まさに、かつて地域コミュニティーの核として、まちの中心であった商店街は、その存在そのものが脅かされているのであります。 こうした中、平成16年4月には、全国で初めて、東京都世田谷区で、既存の産業振興に関する条例の改正が行われ、商業者の商店会への加入に関する努力規定が追加されました。この世田谷区での条例改正以降、東京都の特別区を中心に、他の府県まで含めると、30近くの市区町村で、商店街への加入促進を求める条例制定の動きが続いており、これらの中には、商店会への加入促進のほか、商店会活動への参加や商店会活動への応分の費用負担に関する努力規定を定めている市区町村もあります。 県内でも、唯一、相模原市においては、商店会への加入促進条例案が、現在行われている市議会に提案され、4月からの施行を目指して制定の手続が進んでおります。また、平成18年12月には、大分県において、都道府県レベルでは初めて、議員提案により商店会への加入や費用負担を求める内容の条例が制定されたと聞いております。 そこで、知事に伺います。 本県においても、商店街の活性化を推進するため、商店会の加入促進を促す条例の制定を検討する必要があると考えますが、知事の考えを伺います。 最後に、松沢知事に、幕末の志士、吉田松陰の言葉をお贈りいたします。「味方の協和が得られて、初めて地形の有利さも、自然の条件も役に立つのである。それ故に、国家の務めを論ずる場合には、まず味方の協和の問題を取り上げねばならない。」これは、たとえ大きな会社でも、社員の心がまとまっていなければ、大きなことはできないという意味であります。 以上で、私の第1回目の質問を終了いたします。 ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
◎知事(松沢成文君) 土井議員の質問に順次お答えをいたします。 まず、新庁舎の耐震対策の進め方についてのお尋ねでございます。 現在、本県に大きな影響を与える地震のうち、切迫性があるとされているのは東海地震と神奈川県西部地震でございまして、これらの地震が発生した場合の横浜市中区付近の揺れは、東海地震で震度5強、神奈川県西部地震で震度4が想定されております。 新庁舎の耐震性につきましては、平成9年度に耐震診断を実施しており、これらの地震に対し、庁舎損傷の可能性はあるとしても、倒壊などのおそれはないものとされており、継続使用が可能と考えられております。 しかしながら、東海地震や県西部地震ほどの切迫性はないものの、首都直下型地震など、横浜地域に大きな被害を及ぼす地震も想定されます。これらの地震が発生した場合には、新庁舎が被害をこうむるおそれもありますので、大規模地震発生時に迅速な応急活動対策を実施していくためには、新庁舎の耐震性向上に向けた取り組みが必要であると認識しております。 一方、新庁舎を含む県庁舎は、老朽化に伴う大規模修繕や効率的な施設配置、あるいはスペースの確保などの諸課題を抱えております。 そこで、県庁舎全体の再編整備を念頭に、耐震性の向上、災害時における行政機能の確保、また、効率的な施設配置や整備の手法などについて総合的に検討するため、平成18年4月に県庁舎の再編整備に係る検討会議を設置し、検討を進めたところでございます。 現在の検討状況といたしましては、執務スペースの確保、災害時における県庁機能の確保に関する課題抽出や他県の耐震対策工事の事例調査など、本格的な検討を行うための事前準備を進めている段階でございます。今後はこの準備作業を踏まえて、県庁舎再編整備の考え方や県庁舎のあり方など、基本的事項の検討作業を進めることとしております。 したがいまして、具体的な、県庁舎の耐震対策やスケジュールの策定につきましては、これらの基本的事項の検討が終了した後になるものと考えており、引き続きこの会議を中心に検討を進めてまいります。 次に、県民アンケート及びパブリックコメントについてであります。 まず、アンケートの質の向上を図るために、第三者に設問の作成をゆだねるなど、県民意見の聴取方法を考える必要があるとのお尋ねがありました。 県政を推進していくためには、県民参加を図ることが欠かせないとの考えから、県民の意見を把握する仕組みの一つとして、毎年、県民ニーズ調査や県政モニターアンケートを実施してまいりました。 アンケートの設問が誘導的ではないかというご指摘でございますが、これらの実施に当たりましては、所管部局が作成した調査票について、県民の皆様にわかりやすく、また客観的な結果が得られるよう、広聴を所管する広報県民課で助言等に努めております。また、県民ニーズ調査につきましては、民間の調査会社に委託して実施しておりますが、調査票の内容につきましては、専門的な立場からのアドバイスも受けているところでございます。 このように、これまでも、施策を担う所管部局以外からの助言等により、客観的な結果が得られるよう努力してまいりましたが、より中立的な調査を実施するためには、職員が社会調査に関する知識や技術を習得する必要があると考え、今年度から調査コンサルティングを専門とする講師による研修をスタートいたしました。引き続き、こうした研修を実施し、調査票作成等に関する職員のスキルアップや意識の向上を図ってまいります。 また、社会調査に関する知識を有する学識経験者に、第三者の立場から指導していただく相談制度もございますので、調査に当たっては、こうした制度を、より一層積極的に活用してまいりたいと考えております。 今後とも、こうしたさまざまな取り組みにより、県民の皆様のご意見を的確に把握できるアンケートの実施に努めてまいります。 次に、パブリックコメントの実施に当たって、提出される意見が少ないことから、積極的な工夫や働きかけが必要ではないかとのお尋ねをいただきました。 パブリックコメントは、県民生活に広く影響を与える重要施策について、県民の皆様から意見を募集し、その意見の施策への反映状況を公表するものですが、多くの方からご意見をいただくためには、まず日ごろから県の施策そのものに関心を持っていただくことが重要と考えます。 そこで、県の広報媒体である「県のたより」はもとより、ホームページについても、よりわかりやすく関心を持っていただけるよう見直しを行うとともに、テレビやラジオ、パブリシティの積極的な活用を図るなど、広報全般にさまざまな工夫を凝らしてまいりました。 私自身も、日ごろから、機会をとらえて、ふれあいミーティングや移動知事室、ウイークリー知事現場訪問などにより、みずから現場に赴き、より多くの方に県政に関心を持っていただくよう努めてまいりました。 また、パブリックコメントの実施に当たっては、事案によっては、施策に関連してフォーラムやシンポジウムや、県民の皆様の求めに応じて職員がご説明に伺う出前懇談会等を開催し、パブリックコメントへの参加を促すための取り組みも行っているところでございます。 しかし、意見数が少ない案件があることも事実でありますので、手にとり読んでいただけるような、わかりやすいパンフレットの作成や、イベント、集会、テレビ番組等もより積極的に活用して、施策案の趣旨や背景等を丁寧に説明するなど、より多くの県民の方々からご意見をいただけるよう努めてまいります。あわせて、日ごろからの県政全般の広報広聴につきましても一層の充実を図ってまいります。 次に、商店街の活性化に向けた総合的な情報提供についてのお尋ねをいただきました。 県では、市町村と連携してさまざまな支援制度を用意し、商店街の活性化に取り組んでおります。これまでも、この支援制度を取りまとめた冊子やリーフレットを作成し、市町村や商店街団体に対する県施策の説明会や、商業者を集めたセミナーなどにおいて配布し、制度の活用に向けたPRを行ってまいりました。さらに、支援制度の内容を県のホームページに掲載するなど、情報提供に努めているところでございます。 しかし、こうした支援制度を活用した商店街の取り組みが円滑に進められるためには、議員お話しのように、商店街活性化にかかわるさまざまな関連情報が総合的に提供されることも重要であると考えます。 例えば、商店街が空き店舗の活用を計画する場合には、空き店舗情報のほか、店舗設計や商店経営などの専門家の人材情報が必要となりますし、商店街が地域の団体やNPO、大学、高校などとの連携・協働により活性化を図ろうとする場合には、取り組みのパートナーとなり得る団体や機関の情報が求められます。 このように、その目的によって必要な情報は多様ですし、利用者についても、商店街はもとより、協働の相手方を探している団体やNPO、公的機関などさまざまであります。 そこで、総合的な情報提供についてですが、まず、商店街活性化において求められる情報の内容や情報収集の方法、さらには、情報提供を行う主体や具体的な手段などについて整理することが必要となります。そして、その上で利用者にとって使いやすいものとする必要もございますので、県域全体をカバーする商店街団体である神奈川県商店街連合会や、市町村などとも連携をしながら、情報提供のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。 最後に、商店会への加入を促進する条例についてお尋ねをいただきました。 商店街は地域コミュニティーの核としての役割を担っており、その運営主体である商店会への加入促進につきましては、商店街のみの問題にとどまらず、地域のまちづくりや活性化にかかわる課題と受けとめております。 県内では、相模原市が商店会への加入促進を内容とする条例を本年4月に制定する方向で取り組みを進めていますが、横浜市では平成17年に日本チェーンストア協会など6団体とともに、「商店街のまちづくり協働宣言」を発表し、商店街組織への加入を呼びかける取り組みを行っております。また、川崎市では、商店街と大型店が参画した川崎市地域商業活性化協議会での検討結果に基づき、商店街団体が行う加入促進の取り組みに際し支援を行うなど、その取り組みが進められている状況であります。 このように個々の商店街が直面している課題は地域ごとにさまざまで、その対応策も地域によって違いがございます。そのため、商店会への加入促進の取り組みにつきましては、まず商店会の状況や地域事情に詳しい市町村が受けとめ、対応していただくことが望ましいと考えております。 県といたしましては、このような市町村の取り組みに対して情報提供を行い、また、相談を受けるなど、広域的な視点から支援をしてまいりたいと考えております。 お尋ねの、商店会への加入促進条例につきましては、市町村のご意向や各都道府県の取り組み状況を把握するなど、諸状況を見きわめながら、県としても引き続き検討を行ってまいります。 私からの答弁は以上でございます。〔警察本部長(井上美昭君)発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 井上警察本部長。
◎警察本部長(井上美昭君) 土井議員ご質問の、子供の安全・安心確保のための活動についてお答えをいたします。 県警察といたしましては、多摩区における小学校3年生の男子投げ落とし事件を契機に、昨年の4月、警察本部に「子ども安全対策室」を設置し、子供安全対策を強力に推進しているところであります。 昨年1年間の取り組みについてでありますが、子ども安全対策室を中心に、子供見守り活動の強化、子供自身の危険回避能力の醸成、情報発信活動や広報啓発活動の推進など、各種施策を推進してきたところであります。 特に、子供の見守り活動については、自治会、町内会、PTAや企業などの方々に、子供の見守り活動等への協力をお願いし、自主防犯ボランティア団体の活動の活性化や拡充に努めてまいりましたが、現在は県内一円で1,200団体を超える方々に、子供の見守り活動等を推進していただいているところであります。 また、情報発信活動については、自主防犯ボランティア団体、学校等の関係者や保護者の方々の活動を支援するため、県警察のホームページ上や携帯電話で、子供に対する不審者情報や小学校別の危険箇所情報を提供するなど、リアルタイムな情報発信を推進しているところであります。 次に、平成19年度導入予定のスクールサポーターの運用についてでありますが、元警察官としての知識や経験を生かし、子供安全対策及び少年の非行防止対策等について、みずから活動するとともに、各種ボランティアのまとめ役として、学校、地域、警察署の連絡調整も行うことを想定しておりまして、学校のない横浜水上警察署を除く53警察署に、一人ずつ配置をすることとしております。 また、スクールサポーターの効果でありますが、学校や子供に対する助言、指導、地域ボランティア団体の支援や育成、あるいは事件・事故の発生に即応した安全対策や非行防止対策を、学校関係者や地域住民の方々と連携して推進することにより、学校、地域、警察署間の連携が、より一層強化されるものと期待しているところであります。 次に、スクールガード・リーダーとスクールサポーターの連携についてお答えをいたします。 スクールガード・リーダーは、県や政令市の教育委員会が委嘱をし、学校を中心に学校安全ボランティアが実施している、不審者の侵入防止や見守り活動に対する指導など、子供の安全を確保する活動を行っている方と承知をしております。 一方、スクールサポーターは非常勤の警察官OBでありまして、その知識や経験を生かし、警察署の管轄区域内において、危険箇所の把握、学校関係者や児童に対する助言・指導、さらには地域ボランティア団体と連携したパトロール活動を行うなど、子供の安全対策や非行防止対策において、一歩踏み込んだ活動を行うこととしております。 学校を中心とした子供の安全対策の推進に当たっては、スクールガード・リーダーとスクールサポーターは情報の共有化や、事案によっては協働し、あるいは役割分担を決めて、効果的に活動することが必要であると考えております。 そこで、県教育委員会、横浜市、川崎市教育委員会などと連携した上で、両者間の情報共有化のための体制を整え、両者協働のもとに、より効果的に子供安全対策を進めてまいりたいと考えております。 県警察といたしましては、今後とも、学校を中心に活動している、県くらし安全指導員、PTA、子供の見守り活動を推進しているボランティア団体の方々など、多くの方々と連携をして、子供の安全対策を、より一層積極的かつ強力に推進してまいる所存であります。 以上でございます。〔土井りゅうすけ君発言の許可を求む〕
○議長(中村省司君) 土井りゅうすけ君。
◆土井りゅうすけ君 これで私の質問を終了いたします。 ありがとうございました。
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026250-諸事項-議案付託・採決・決算委報告等-》
○議長(中村省司君) 以上で、質問並びに質疑を終わります。 お諮りいたします。 日程第1、日程第2及び日程第3につきましては、この程度で、お手元に配付いたしました議案付託表のとおり、所管委員会に付託して審査を願うことにいたしたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村省司君) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 所管委員会におかれましては、慎重審査の上、その結果のご報告を願います。 ───────────────────────────────────────
○議長(中村省司君) 次に、日程第4、議員提出第10号議案 相模原市、津久井郡津久井町及び同郡相模湖町の廃置分合に伴う神奈川県議会議員の選挙区及び選挙すべき議員の数の特例に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。 議案の朗読は省略いたします。〔本会議録巻末1頁参照〕 お諮りいたします。 日程第4につきましては、この程度で採決いたしたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村省司君) ご異議がないと認めます。 よって、採決いたします。 日程第4、議員提出第10号議案 相模原市、津久井郡津久井町及び同郡相模湖町の廃置分合に伴う神奈川県議会議員の選挙区及び選挙すべき議員の数の特例に関する条例の一部を改正する条例について、原案にご賛成の方はご起立を願います。〔総員起立〕
○議長(中村省司君) 総員起立により、原案のとおり決しました。 ───────────────────────────────────────
○議長(中村省司君) 次に、日程第5、認第2号 平成17年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。 決算特別委員会委員長の報告を求めます。 磯貝捷彦君。〔磯貝捷彦君登壇〕(拍手)
◆磯貝捷彦君 ただいまから、決算特別委員会の審査の経過及び結果について、ご報告申し上げます。 当特別委員会は、昨年12月12日の本会議において、認第2号 平成17年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定について、付託を受けたところであります。 以来、当特別委員会は、12月19日に決算の内容について説明を聴取した後、決算書並びに関係提出書類をもとに、監査委員の審査意見をも参考とし、1月17日は
一般会計歳入歳出決算の款別質疑及び
特別会計歳入歳出決算の質疑、22日は一般会計歳出決算の款別質疑及び
特別会計歳入歳出決算の質疑、1月29日には総括質疑を行うなど、延べ4日間にわたって委員会を開催したところであります。 また、審査の慎重かつ的確を期するため、1月11日には現地調査を実施するなど、決算審査の主眼である収支の適法性、予算執行の適否などについて、綿密な審査を行ってまいりました。 以下、採決に当たりまして、各会派それぞれの立場から述べられました総括的な意見について、ご報告申し上げます。 平成17年度の我が国の経済は、個人消費、設備投資、外需のバランスがとれた成長により、幅広い業種に景気回復が及び、その結果、企業収益が改善され、経常利益の水準は、バブル期を超えるまでになったところであります。 また、本県においても、海外経済の拡大により、輸出が増勢に向かうとともに、企業の設備投資が増加したほか、個人消費も上向きとなるなど、経済の回復を続けてきたところであります。 こうした中、平成17年度の本県の一般会計は、年度当初、100億円の財源不足を抱えたままの厳しいスタートであったが、景気の回復基調を反映して、県税収入が当初予算を上回ったことに加え、「財政健全化への基本方策」に基づく経費の節減や効率的な事務の執行に努め、行政システム改革に積極的に取り組んだ結果、実質収支が6年連続の黒字決算となったことは評価するところであります。 また、施策面では、県民生活の安全・安心の確保、地域経済の活性化、保健・医療・福祉の総合的な推進、そして教育の充実という四つの柱に重点的に取り組み、さらに、環境対策など、今日的な課題にも着実な対応が図られたところであります。 しかしながら、本県の財政は、真の健全化にはほど遠い状況にあることから、財政構造の安定化を視野に入れ、引き続き行財政改革に取り組むとともに、国からの税源移譲も含めて、真の財政健全化に取り組むことを要望するところであります。 また、平成18年度決算から、当委員会の審査は12月定例会前に終了することと決定されたところであるが、決算審査の早期化は、議論された内容や意見をできるだけ早い段階で次の予算に反映させていこうとするものであることから、事務処理を効率的に行い、円滑な決算審査が行えるよう望むところである。 以上の総括的な意見のほか、採決に当たり各会派それぞれの立場から述べられました個別具体的な意見要望につきましては、お手元に配付されております意見等一覧に記載させていただきましたので、ご参照願いたいと存じます。 また一方、審査の過程におきましては、当局から、それぞれの意見の趣旨を十分尊重しながら、適正で効率的な事業の執行に、今後ともなお一層の努力をいたしたいとの表明がなされております。 結論としては、当特別委員会としては、お手元に配付されております審査結果報告書のとおり、去る1月29日、多数をもって本決算を認定すべきものと議決いたしました。 以上、審査の経過並びに結果についてご報告申し上げましたが、何とぞ議員の皆様にはご賛同賜りますようお願い申し上げ、報告を終わらせていただきます。 ご清聴どうもありがとうございました。〔本会議録巻末149頁参照〕〔拍 手〕
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026251-諸事項-討論-河野幸司議員》
○議長(中村省司君) これより討論を行います。 討論の通告がありますので、発言を許します。 河野幸司君。〔河野幸司君登壇〕(拍手)
◆河野幸司君 日本共産党県会議員団を代表して、認第2号 平成17年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定に反対する討論を行います。 まず最初に、インベスト神奈川についてです。 インベスト神奈川、施設整備等助成制度は、2004年12月から申請を受け付け、決算年度の2005年度は、申請件数が19件、認定が18件となっています。認定件数の内訳は、大企業8件、中小企業10件と、大企業と中小企業がほぼ同数になっていますが、助成見込額は大企業が300億5,000万円と、大企業が95.7%を占めています。 神奈川県産業集積促進助成金交付要綱の第1条では、インベスト神奈川で助成金を出す趣旨として、企業誘致を促進するとともに、既存立地企業の県内投資を誘発するためとしています。 ところが、決算年度に認定された日産自動車の研究所建設は、この趣旨とは全く無縁であるにもかかわらず、産業集積助成金審査会で認定され、80億円の助成金が出される見込みとなっています。 2002年3月14日、日産自動車は、新しい研究所の敷地となる厚木市森の里の青山学院大学の敷地を、青山学院大学との間で売買契約を結んでいます。岡崎知事の時代、インベスト神奈川のイの字もない時期でした。当時の山口厚木市長は、この売買契約について「青山学院大学の移転は、文化的な面で残念でありますが、跡地に世界の日産自動車の新たな研究施設が立地されますことは、時代に即した土地利用につながるもので、研究学園都市として、また、経済的効果も期待され、本市のまちづくりと地域経済にとってプラスになることから、心から歓迎する」とのコメントを出しています。 そして、日産自動車はこの土地を2003年3月28日に購入し、所有権の移転を行っています。これらの事実経過は、2002年3月の時点で日産自動車の新研究所の事業地が決まっていたことを示しています。 ところで、知事は、昨年12月に「インベスト神奈川」という本を出しています。忙しい中で200ページを超える本を出したことに敬服をしているところですが、中身を見ると、一方的なインベスト神奈川の宣伝にすぎない本となっています。 そして、この本の95ページに、日産自動車の伊佐山副会長が、森の里の研究所建設に対して、「インベスト神奈川は、事業地選定の大きなサポートとなった」と述べたと書かれています。事業地とは厚木市森の里の青山学院大学の敷地のことですが、この土地の売買契約を結んだのが、先ほど触れたように2002年3月14日、インベスト神奈川が策定されたのが、その2年7カ月後の2004年10月です。まだ策定されていないインベスト神奈川が、どうやって事業地の選定のサポートをすることができるのか、できるはずがありません。伊佐山副会長の発言は事実とは違っており、助成金と引きかえの、県に対するリップサービスであることを示しています。 日産自動車は、2003年7月28日に、松沢知事に対して、新研究所建設に関する環境影響予測評価書案を提出しました。県当局も認めているように、研究所をつくる前提で行われたことです。この環境影響予測評価書案には、2004年3月工事着手予定と書かれており、インベスト神奈川が策定される前に新しい研究所の工事に着手する予定になっていました。 これらの経過を見れば、80億円とされる日産自動車への助成金が、要綱第1条に書かれている、企業誘致を促進する役割も、また、既存立地企業の県内投資を誘発する役割も果たしていないことは明らかであり、審査会が認定を行ったのは、助成金交付要綱の趣旨に反したことになります。 知事は、「インベスト神奈川」という本を出した理由を、行政の重要な施策については、情報公開と説明責任があると考えたからであると述べています。しかし、認定の可否を決定する産業集積促進助成金審査会は公開されず、議会、県民にとっては、やみの中での審査となっています。また、すべての企業の雇用者数や、企業が県に提出した申請書も公表はされていません。これでは行政の重要施策について、情報公開と説明責任を果たしたとはとても言えません。 決算年度における、日産自動車の新研究所建設の申請に対する認定は、県民の貴重な税金を大企業に垂れ流すこととなり、到底容認することはできません。 第2に、県が横須賀市芦名に建設した「かながわ環境整備センター」についてです。 かながわ環境整備センターの建設費は、決算年度が67億8,092万円、総額144億5,476万円となっています。この施設の建設は、最終処分場の残余量が少なくなっているということから、緊急補完的役割と民間のモデルとしての役割を果たすことが目的でした。しかし、この施設の完成後、時間が余り経過していないとはいえ、新たに産業廃棄物最終処分場をつくろうという動きは出ていません。 また、実際の受け入れ量の計画は1年間で8万780トン、初年度である2006年度は、10カ月で5万6,570トンとされてきました。しかし、実績は、7カ月で5,938トン、10カ月に換算しても8,483トンで、目標の約15%にしかなっていません。各種のリサイクル法ができたことと、事業者に、県がつくった最終処分場が周知されていないためとの県当局の見解です。しかし、県の計画どおりの受け入れ量になっていないことは、県の計画がずさんであり、また、芦名に最終処分場を建設することが緊急でなかったことを示しています。 また、初年度の収入予定の額13億6,333万円に対して、実際の収入額は1億5,317万円となっており、県財政への新たな負担となっています。もともと芦名の地域に産業廃棄物最終処分場をつくることには多くの問題がありました。豊かな緑を破壊すること、地域の圧倒的多数が反対していたことなどです。もともと産業廃棄物行政における県の役割は、事業者に対して発生抑制を基本として指導をすることであり、この指導に重点を置かずに、多額の事業費で最終処分場をつくったことが問題であったことを改めて指摘しておきます。 第3は、放課後児童健全育成事業、いわゆる学童保育についてです。 この事業は、児童の健全育成施策の一つとして新たに法制化され、98年4月から実施されてきました。2001年12月20日の国の通知、放課後児童健全育成事業の対象児童についてでは、原則として1年生から3年生としていますが、この通知は、続けて、放課後児童の置かれている状況も勘案して、小学校4年生以上も積極的に受け入れるよう配慮されたいとしています。県は、この通知を市町村に徹底し、対象年齢については1年生から6年生までとしてきました。ところが、決算年度の2005年度から、1年生から3年生までにしてしまいました。 この施策は国庫補助ですが、県が補助しないと国庫補助も出ないことになります。このため、これまで4年生を受け入れていた市町では、その分は市町の新たな負担となっています。共働き家庭がふえている中で、これまでどおり6年生までを補助対象にすべきであり、決算年度に補助対象を3年生までにし、市町に新たな負担をさせたことを認めることはできません。 第4は、高校入試についてです。 神奈川県の教育は「15の春を泣かせない」の立場をとり、高校進学希望者全員を、基本的に受け入れる立場をとってきました。ところが、2003年度高校入試以降、定時制高校での多数の不合格者が出ており、決算年度に実施された入試でも、多数の不合格者が出ています。 2005年度の入試に当たって、県教委は、公私立高等学校協議会の場で、2年続けて定時制高校での大量不合格者を出したことを踏まえて、また、生徒数や公立高校の進学実績なども配慮して、当初は、全日制の定員枠を953人ふやす考えを示していました。しかし、実際には、知事も参加して開かれた公私立高等学校設置者会議で、定員枠は33人しかふやさず、当初の県教委の考えと比べると、920人も少ない数にしてしまいました。 その結果、2005年度の入試では、全日制の受験で7,500人の不合格者を出し、さらに、定時制の二次募集で、またも多数の不合格者を出してしまいました。このことは、知事も出席して行われた、公私立高等学校設置者会議の協議の結果が、的確でなかったことを示しています。 また、2005年度の入試によって、2006年度の全日制実質進学率は89.6%となり、35年前の水準に戻ってしまいましたが、この結果は極めて重大です。さらに、2005年度から全日制計画進学率を持つことをやめてしまいましたが、全日制の進学率を高めていくためには、しっかりとした計画を持って取り組むべきであり、改善すべきです。 以上、主な理由を述べ、認第2号 平成17年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定に反対する討論を終わります。 ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕
△《本会議録-平成19年2定-20070223-026252-諸事項-採決等-》
○議長(中村省司君) 以上で討論を終わります。 採決いたします。 日程第5、認第2号 平成17年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定について、決算特別委員会の報告どおり、認定することにご賛成の方はご起立を願います。〔起立多数〕
○議長(中村省司君) 起立多数により、決算特別委員会の報告どおり、認定することに決しました。 ───────────────────────────────────────
○議長(中村省司君) 次に、日程第6、請願第97号 生活保護の「母子加算」廃止に反対する国への意見書を求める請願外3件を議題といたします。 請願書の朗読は省略いたします。〔本会議録巻末117頁参照〕 お諮りいたします。 以上請願4件につきましては、お手元に配付いたしました請願付託表のとおり、所管委員会に付託して審査を願うことにいたしたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村省司君) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 所管委員会におかれましては、慎重審査の上、その結果のご報告を願います。 ───────────────────────────────────────
○議長(中村省司君) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 お諮りいたします。 2月26日から3月12日までは、委員会における審査等のため本会議は休会いたしたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村省司君) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 次回の会議は、3月13日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。 午後8時46分 散会...