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09月22日-04号

  • "治安回復元年"(/)
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  1. 神奈川県議会 2006-09-22
    09月22日-04号


    取得元: 神奈川県議会公式サイト
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    平成18年  9月 定例会 △《本会議録-平成18年9定-20060922-026166-諸事項-出席議員等・議事日程-》                 9   月   神 奈 川 県 議 会         会 議 録 第 4 号                定 例 会 〇平成18年9月22日 午後1時16分開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共105名       出 席 議 員                       木   村   謙   蔵                       馬   場   学   郎                       山   本   俊   昭                       渡   辺   ひ と し                       いそもと   桂 太 郎                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       沢   木   優   輔                       福   田   紀   彦                       滝   田   孝   徳                       本   村   賢 太 郎                       齋   藤   健   夫                       仙   田   み ど り                       山   本   裕   子                       鈴   木   と も 子                       藤   間   明   男                       小 野 寺   慎 一 郎                       鈴   木   ひ で し                       赤   井   かずのり                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       小   林   常   良                       北   井   宏   昭                       大   井   康   裕                       安   藤       慶                       松   崎       淳                       大   村   博   信                       竹   内   栄   一                       福   田   泰   子                       ふ じ た   ち え こ                       長 谷 川   く み 子                       小   川   久 仁 子                       岩   崎   尊   之                       飯   田       誠                       嘉   山   照   正                       藤   井   深   介                       佐   藤       光                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       向   笠   茂   幸                       岩   本   一   夫                       吉   田   大   成                       伊   藤   と お る                       倉   田       仁                       茅   野       誠                       石   川   輝   久                       み   わ   智 恵 美                       木   内   ひ ろ し                       相   原   高   広                       笠   間   茂   治                       山   田   泰   之                       金   子   武   雄                       星   野   剛   士                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       鈴   木   恒   夫                       安   藤   博   夫                       山   田   文   雄                       加   藤   たかひさ                       舘   盛   勝   弘                       平   本   さ と し                       高   谷       清                       水   戸   将   史                       田   中       肇                       はかりや   珠   江                       河   野   幸   司                       川   上   賢   治                       木   内       要                       富   田   光   男                       此   村   善   人                       小   山   和   洋                       田   島   信   二                       矢   部   房   男                       古   沢   時   衛                       国   吉   一   夫                       新   井   敏 二 郎                       松   田   良   昭                       榎   本   与   助                       牧   島       功                       ほ り え   則   之                       中   村   省   司                       手   塚   悌 次 郎                       江   田       実                       安   斉   義   昭                       大   木       哲                       斉   藤   ゆ う き                       田   村   政   晴                       服   部   圭   介                       益   田   は や お                       新   堀   典   彦                       三   好   吉   清                       桐   生   忠   一                       磯   貝   捷   彦                       保   阪       努                       村   上   健   司                       久 保 寺   邦   夫                       斎   藤   達   也                       横   山   哲   夫                       山   田   吉 三 郎                       豊   島   き よ し                       内   田   あ き ら                       東   野   陽   子                       武   田   郁 三 郎      欠 席 議 員                       榎   並       寛       説明のための出席者         知         事   松   沢   成   文         副    知    事   尾   高   暉   重              同        大   木   宏   之         出    納    長   陳   岡   啓   子         総務部長          羽   田   愼   司         企画部長          古 尾 谷   光   男         安全防災局長        村   山   正   和         県民部長          山   本   正   人         環境農政部長        小   野   義   博         保健福祉部長        加   藤       進         商工労働部長        松   藤   静   明         県土整備部長        山   田   秀   一         出納局長          守   屋   寛   己         労務担当部長        横   田   和   浩         行政改革担当部長      嶋   田   幸   雄         広域行政担当部長      山   口   英   樹         人権・団体広聴         担当部長          井   出   由 貴 子         次世代育成担当部長     島   津   直   美         環境共生都市整備         担当部長          斉   藤   猛   夫         総務部副部長        古   谷   幸   治         企画部副部長        國   守   英   和         安全防災局副局長      北   村   保   夫         県民部副部長        磯   村   共   庸         環境農政部副部長      長   井   眞   一         保健福祉部副部長      田   中       章         商工労働部副部長      河   鰭       明         県土整備部副部長      新   倉       隆         総務部次長(人事担当)         兼人事課長         藤   井   良   一         総務部次長(財政担当)         兼財政課長         吉   川   伸   治         税務課長          笹   本   秀   行         教育委員会教育長      引   地   孝   一         同  教育局長       黒   川   雅   夫         同  教育政策担当部長   三   角   秀   行         同  学校教育担当部長   阿 久 澤       栄         警察本部長         井   上   美   昭         警察本部総務部長      金   子   義   治         同  会計課長       関   口       勉         人事委員会事務局長     北   見   好   惟         監査事務局長        渡   部       胖         労働委員会事務局長     山   本   雄 太 郎         選挙管理委員会書記長    笠   井   郁   彦         収用委員会事務局長     高   瀬   正   美         公営企業管理者企業庁長   小   林       勲         企業庁経営局長       平   松       博         同    水道電気局長   石   井       清         病院事業管理者       堺       秀   人         病院事業庁長         病院事業庁病院局長     栗   原   匡   賢   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          久 保 寺   啓   二         議会局副局長        小 野 間   重   雄         同  総務課長       遠   藤       眞         同  議事課長       大   熊   隆   二         同  調査課長       神   保   直   也   ───────────────────────────────────────              神奈川県議会9月定例会議事日程第4号                            平成18年9月22日午後1時開議 第1 定県第 75 号議案 平成18年度神奈川県一般会計補正予算(第2号)   定県第 76 号議案 同  年度神奈川県中小企業資金会計補正予算(第1号)   定県第 77 号議案 神奈川県景観条例   定県第 78 号議案 附属機関の設置に関する条例及び神奈川県職業能力開発審議会条例の一部を改正する条例   定県第 79 号議案 介護保険法施行条例の一部を改正する条例   定県第 80 号議案 工事請負契約の締結について(東部方面職業技術校整備工事(建築)請負契約)   定県第 81 号議案 工事請負契約の締結について(東部方面職業技術校整備工事(空調)請負契約)   定県第 82 号議案 工事請負契約の締結について(都市計画道路穴部国府津線酒匂川1号橋新設(上部工)工事請負契約)   定県第 83 号議案 工事請負契約の締結について(相模川流域下水道伊勢原厚木幹線改築工事請負契約)   定県第 84 号議案 工事請負契約の締結について(相模川流域下水道右岸処理場水処理第6系列機械設備工事請負契約)   定県第 85 号議案 工事請負契約の締結について(酒匂川流域下水道左岸処理場水処理第3系列築造工事請負契約)   定県第 86 号議案 工事請負契約の締結について(酒匂川流域下水道左岸処理場沈砂池機械設備改築工事請負契約)   定県第 87 号議案 工事請負契約の締結について(通常砂防事業鳩川渓流保全工事請負契約)   定県第 88 号議案 工事請負契約の締結について(県営横山団地公営住宅新築工事(2期-建築)請負契約)   定県第 89 号議案 工事請負契約の締結について(横浜南部方面養護学校(仮称)新築工事(建築)請負契約)   定県第 90 号議案 工事請負契約の締結について(中原警察署新築工事(建築)請負契約)   定県第 91 号議案 工事請負契約の変更について(警察学校生徒寮新築工事(建築)請負契約)   定県第 92 号議案 動産の取得について   定県第 93 号議案 市町の廃置分合について   定県第 94 号議案 訴訟の提起について第2 認第1号 平成17年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県病院事業決算の認定について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-平成18年9定-20060922-026167-質問・答弁-梅沢裕之議員-代表質問①県民の安全・安心について②消費者被害の未然防止への取組について③教育問題について④警察の諸課題について》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共97名 ○議長(中村省司君) 前日に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(中村省司君) 審議を行います。  日程第1、定県第75号議案 平成18年度神奈川県一般会計補正予算外19件並びに日程第2、認第1号 平成17年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県病院事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  梅沢裕之君。〔梅沢裕之君登壇〕(拍手) ◆梅沢裕之君 中村議長のお許しをいただきましたので、私は、自民党神奈川県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をさせていただきます。  知事、教育長、警察本部長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願い申し上げます。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いを申し上げます。  質問の第1は、県民の安全・安心についてであります。  まず、県の危機管理体制について伺います。  今定例会の代表質問で、我が会派の田島議員が、酒匂川の水難事故を踏まえた県の対応に関する質疑を行いました。危機管理という観点から考えますと、県が対応すべき事象はこの水難事故以外にもさまざまなものがあると考えます。8月14日の朝、首都圏一帯で大規模な停電が発生し、県内でも横浜市の北部や川崎市の西部への電力供給がとまったほか、鉄道の運行に支障が出るなど、大きな社会的混乱が生じました。この広範囲に及ぶ停電は、旧江戸川でクレーン船が高圧の送電線に接触したために発生したものでありますが、大きな混乱を目の当たりにして、改めて都市機能の脆弱性を痛感いたしました。  現代の都市の機能や、そこに暮らす我々の日々の生活は、電気、ガス、水道、通信などのライフラインに大きく依存しております。また、近年では、銀行のATMなどオンライン・システムに用いられるコンピューターネットワークも社会生活を支える重要なインフラの一つとなっております。それらのうちどれか一つに障害が生じても、現代社会は正常な機能を失い、大きく混乱することとなります。  また少し前のことになりますが、西暦2000年問題の際には、県や民間企業が、万が一に備えた体制をとっていたことは記憶に新しいところであります。さらに近年は、インターネットを通じて故意にコンピューター・システムに障害を発生させる、いわゆるサイバーテロ攻撃の危険性も懸念されているところでありますが、不幸にしてこうした企てが成功した場合、都市機能が広範囲にわたり損なわれるという事態も予測されます。  これらの都市機能を麻痺させるような事故や障害は、大きな経済的損失を生むばかりでなく、時には人命にもかかわるものであり、大規模な自然災害にも匹敵する重大な危機事象であると言えます。こうした危機事象が発生した場合、ライフライン事業者コンピューター・システムの管理者は、一刻も早く正常な機能を回復し損害の拡大を防ぐための措置を講ずるでありましょうが、同時に、県民の安全と安心を確保し、生命や財産を守る役割を担う、県としても、可能な限りの対応を行う必要があるのではないかと考えます。  そこで、知事に伺います。  8月14日の大規模停電の際に、県はどのような判断のもとに、どのような対応をとったのか、また、停電に限らず、都市機能が麻痺し、社会的混乱が生じるようなさまざまな危機事象が発生した場合には、県はどのように対応しようとしているのか、知事のご所見をお伺いします。  次に、県民の自主的な防犯活動への支援について伺います。  県では、昨年4月の条例施行を受けて、県民の自主防犯活動を促進するため、事故給付金制度や活動団体の立ち上げ費用を補助する制度など、さまざまな支援施策を実施してまいりました。県のこうした取り組みや県民の自主防犯意識の高まりによって、県内各地で、県民による自主防犯活動の機運は着実に盛り上がりを見せており、本年8月末には、県の支援制度を受けて活動に取り組む自主防犯団体は1,200団体に達したと聞いております。昨年の刑法犯認知件数が47都道府県中で全国一の減少数・減少率だったという実績については、県警察による治安対策強化の成果であるとともに、県民による自主的な防犯活動も大きく寄与しているものと受けとめております。  しかし、残念なことに、県民の不安感、いわゆる体感治安はまだまだ改善されたとは言えないのが現状であります。犯罪減少の流れをしっかりと定着させ、県民の不安をなくしていくために、引き続き県警察による治安対策の強化はもとより、県民による自主的な防犯活動の輪をさらに広げ、かつ活動を途切れることなく継続していただくことが重要であると認識をしております。  私の地元で自主防犯活動に取り組まれている皆さんとお話ししていますと、団体を立ち上げてしばらく活動を続けているうちに参加者がめっきり減ってくるとか、活動に携わる方々が高齢化し、なかなか後継者が育たないなど、組織を継続的に維持していくにはどうしたらよいかという悩みをたびたび耳にいたします。活動の継続性を確保するには、悩みや課題について活動団体相互間で情報を共有し、地域が一体となって取り組むことができるネットワークづくりが大変重要であると考えております。  県がインターネットを活用して8月に立ち上げた「神奈川あんぜんあんしんネットワーク」も、自主防犯活動団体相互の情報交流や情報提供の場としてつくられたものと聞いておりますが、ネットワークづくりとしては、身近な地域の小さな輪から、それを全県レベルの大きな輪へと広げていく地道な取り組みも必要ではないかと考えております。  また、地域で実際に活動をしている方々の中には、自主防犯団体立ち上げ費用の工面に大変ご苦労されている方が多いのに、県が行っている補助制度のことをまだまだ知らない方も大勢いらっしゃいます。県は、もっと県民の皆さんに県の施策のPRを徹底すべきですし、そのことが結果として、自主防犯活動の活性化にもつながると考えております。  このように、自主防犯活動団体がこれからも継続した活動を行っていくためには、県民の皆さんの努力はもちろんですが、県としてさらなる取り組みが求められております。  そこで、知事にお伺いします。  自主防犯活動団体の活発な活動をさらに推進するためには、やはり活動団体のネットワークづくりが大変重要であると考えますので、これまでの県の施策展開を踏まえ、今後県民の自主的な防犯活動について、どのように支援し、またネットワークをどう構築していこうと考えていらっしゃるのか、知事のご所見をお伺いします。  質問の第2は、消費者被害の未然防止への取り組みについてであります。  まず、消費者教育の取り組みについて伺います。  県がまとめた平成17年度の県内の消費生活相談は7万5,090件で、前年度に比べ4万1,132件、率では35%減少したとのことであります。主に不当・架空請求に関する相談が約3割以下に減少したとのことであります。しかしながら、相談内容を見てみると、金融に関する相談がふえ、特に未公開株取引を含む、株に関するトラブルが著しくふえております。50歳代のある主婦は、「必ず値上がりが見込める」と言われ、無登録業者3社から未公開株を1,200万円分購入し、株券を受け取ったが、そのほとんどが上場する予定のないものだったことから消費生活センターに相談、センターのあっせんで138万円を取り返したというケースや、最高で、複数社の未公開株を3,500万円分購入した相談者もいたといいます。  契約というものは、商品やサービスの内容をよく理解をした上で、自己責任において行うのが本来の姿であります。消費者が基本的な消費生活の知識や考えを持っていれば、こんなにやすやすと悪質業者の手口に引っかからずに済んだはずではありますが、実態は必ずしもそうではありません。  一昨年、消費者保護基本法が制定以来36年ぶりに改正され、消費者基本法が制定されました。この中で、消費者の位置づけが「保護」から「自立」へと転換されるとともに、国や県は、「自立」を支援するため、消費者の教育の充実に努めるよう明確に位置づけられました。まさしく自立した消費者を育てることが、今行政に強く求められている以上、より具体的な消費者教育のための施策展開が必要となってきます。子供から高齢者に至るまで幅広い世代に対して、それぞれに対応した消費者教育を展開し、各世代のレベルアップをしていくことが、さまざまな消費者被害の未然防止につながると考えます。  その中にあっても、特に今後の社会を担っていく子供や若者の世代に対しての消費者教育に早いうちからしっかりと取り組み、正しい知識を身につけさせることが、今後の長い人生、消費者被害から身を守ることにつながるものと考えます。  そこで、知事にお伺いします。  若年層に対しての早い段階からの消費者教育について、これまでどう取り組み、今後どう重点的に取り組んでいかれるのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。  次に、高齢者をめぐる消費者被害の未然防止への取り組みについて伺います。  先ほどの平成17年度の相談概要のもう一つの特徴として、60歳以上の高齢者からの相談の占める割合が、前年度の16%から22%へと、6ポイントもふえているということです。マスコミでも、住宅リフォームを初めとする訪問販売や電話勧誘などにより、高齢者が悪質業者の被害に遭う事件が毎日のように取り上げられるなど、大きな社会現象になっております。高齢者被害の特徴としては、巧みなセールストークによって高齢者の心理につけ込むことで、実際に被害に遭っていることを自覚していないことや、また被害に遭ったことがわかっても、家族の体面、泣き寝入りをするといったことも多いと聞きます。  65歳以上の高齢者の人口が、全国を上回るスピードで増加することが見込まれる本県で、高齢者が被害に巻き込まれる可能性は今後ますます高くなることは、容易に予想することができます。被害に遭いやすい状況にある弱い立場の高齢者が消費者被害に遭わないためには、さらに、きめ細かな対策をとっていくことが行政の役割であると考えます。  そこで、知事に伺います。  今後増加が予想される高齢者の消費者被害を未然に防止するためには、よりきめ細かな対策が必要と考えますが、県としてはどのような取り組みを行っていくのか、知事のご所見を伺います。  質問の第3は、教育問題についてであります。  まず、知事が掲げる「選択と集中」における人材育成の観点からの教育施設整備についてお伺いします。  私は、神奈川の発展にとって、企業の集積だけでなく、その発展を支える人材育成が大変重要であり、必要不可欠であると考えております。現在、我が神奈川県はその潜在的な能力により、多くの企業が集積しつつあります。企業が集積し、この神奈川がより発展するためには、やはり企業を、そして神奈川を支える人材があってこそと思うのであります。  これまで人材育成の面での神奈川の取り組みとしては、生徒の数が多い、主に県立高校を対象として実施されてきました。長洲知事時代は、県立高校100校新設計画により量的な基盤整備を進め、岡崎知事の時代には、教育の質を高め、一人一人の生徒の長所を伸ばし、各人の能力や適性に応じた多様性を持った特色ある高校をつくるため、県立高校改革推進計画を策定しております。現在もこの計画に基づき再編整備を進めていることは十分に承知をしているところであります。  そうした中、私は、神奈川を担う、次世代を担う人材育成を行う上では、社会へ巣立つ直前の、特に高等学校教育が重要な位置にあると思うのであります。この時期は、子供たちの将来の方向性を決定する時期であります。そして、その時期を多くの子供たちは、この学校数から見ても、県立高校において過ごしております。これまでも、神奈川はもとより、日本の社会の各分野において活躍し、社会を支える多くの優秀な人材を輩出してきていますし、これから卒業していく子供たちの活躍なくして、神奈川の明るい未来はないものと私は考えます。  ところが、こうした期待をもって現実を見てみますと、子供たちが学習する教育環境、とりわけ施設・設備面が果たしてきちんと整備されているのであろうかと疑問に思うのであります。何とも心もとないと思うのは私だけでしょうか。県は「選択と集中」を掲げ、インベスト神奈川などの諸施策に重点的に取り組んでおりますが、あすの神奈川を考えると、もっと人材育成に力を入れていくべきではないでしょうか。神奈川の将来にとって、人材育成は重要課題であり、神奈川を担う子供は神奈川の教育で育てるという気概を持ち、人材育成の根幹をなす、学校教育に重点的に取り組むべきであります。そして、その際に、学校教育を支える教育環境整備にも十分な配慮が必要であるとも考えます。選択と集中を掲げる知事でありますから、厳しい財政状況にあろうとも、めり張りのきいた対応を大いに期待するところであります。  そこで、まず知事にお伺いします。  知事は、既にウイークリー知事現場訪問などを通じて、幾つかの県立高校を訪問されておりますが、県立高校の施設・設備の現状をどのように認識し、今後どのように対応していこうと考えておられるのか、知事のご所見を伺います。  次に、この問題における教育委員会の具体的な対応について伺います。  先ほども述べましたとおり、県立高校に目を移しますと、まず、その老朽化にため息が出るばかりであります。具体的に申し上げると、私と同世代の多くは、高校生や高校進学を控えた子供を持っております。私はふだんの議員活動を通じて、こうした方々とさまざまな話をする機会がありますが、そのときに必ず上る話題として、身近な県立高校の老朽化の話が出ます。雨漏りや外壁が崩れていたり、暗い旧式トイレの話まで、県立高校の施設・設備面は全体的に老朽化しているということをどの方からも耳にします。  こうしたことは、受験前の学校説明会等で学校を訪れたときなどに、トイレ等の設備などを目の当たりにすると、余りの老朽化に、付き添っている親が志望先を変更するよう子供に促し、結果として、他の学校を選択するというような状況も少なくないと言います。施設・設備が老朽化しているという理由から、東京都を初めとする県外の高校に入学先を決めてしまう状況も出てきます。現実に、多くの優秀な生徒が東京の私立高校に入学しているとも聞きます。神奈川在住の子供の多くが県外の学校に通うこととなれば、「ふるさと神奈川」の創生にも影響があるものと考えております。私はこの人材の流出が非常に気がかりであります。  一方で、予算の制約の中、一定の基準のもとで順番に施設整備を行わざるを得ないことも、ある程度理解をしておりますが、私は、進学に特色がある学校、スポーツに特色がある学校など、さまざまな特色を持つ学校については優先的に整備を行い、個々の学校における特色づくりを、まさしく選択と集中により進めることも大変重要なことと考えております。また、そうでなければ、魅力ある神奈川の教育は推進できないものとも考えております。  現在、高校改革の後期計画の中で、高校改革の対象校については、施設整備も含めた特色づくりがなされています。しかし、私は高校改革対象校にとどまらず、それに加えて、既存校についても高校改革対象校と同じく、さまざまな特色が出せる方策が必要と考えております。具体的には、施設の建てかえや、勉強に集中できる環境を整えることも必要ではないかと考えます。  一例で申し上げれば、先日、私の地元にある県立高校を見学し、その施設の老朽化を見て愕然といたしました。多くの優秀な人材を輩出し続けるその高校も、このままではその責務を果たせなくなるのではないかと心配になったほどであります。他の多くの高校についても、同様な状況があるとも聞いております。私は、教育環境整備は大変重要な施策であると考えます。  そこで、教育長に伺います。  神奈川のあすを支える人材の育成に当たっては、その環境整備、特に学校の施設整備もまた必要欠くべからざるものと思いますが、今後の教育施設の整備について、教育長のご所見を伺います。  質問の第4は、警察の諸課題についてであります。  最近、飲酒に関係しての違反や交通事故が、大きな社会問題としてクローズアップされています。「飲んだら乗るな」、だれしもが一度は耳にしたこのキャッチフレーズ。この単純明快で的を射た言葉を守ってさえいれば、こんなに社会問題にはなっていないのであります。非常に残念な状況であります。こういった実態を踏まえますと、これからの交通行政は、交通ルールやマナーを守る社会風潮をつくり上げていくことが、さらに重要課題になってまいります。そのためにも、ささいなこと、小さなことでもルールやマナーを破ったときには、きちんと対処するというスタンスが求められます。  そこで、今後、確実にふえるであろうと思われる、ルールやマナー無視の自転車等に対しての県警察の対処について、お伺いします。  最近の交通情勢は、交通量が増加の傾向にある中で、交通事故の発生件数、死者数、負傷者数についてはいずれも減少しているとのことであります。全国的に見ても、特に死者数について、平成17年は、昭和31年以来、実に49年ぶりに7,000人を下回ったとのことであります。本県でも、死者数については、300人を下回るというすばらしい記録を更新中であるものの、もろ手を挙げて喜んでばかりもいられません。特に、高齢化社会が進むにつれて、この交通現象において危惧すべき状況が既にあらわれ始めております。  高齢者が関係する交通事故は年々増加しており、3年前から1万件を超えております。さらに、事故で亡くなられた方の中で、高齢者の占める割合が年々増加をしており、昨年亡くなられた方252人中、高齢者は80人で、その割合は31.7%であったとのことであります。  また、高齢者の死亡事故での特徴は、自宅から500メートル、あるいは1キロメートル以内の、道路幅の狭い生活道路において、自転車に乗っているときや歩行中に被害に遭われることが多くなっていると聞いております。本来であれば、一番安全で安心して生活できるはずの自宅付近の道路が、今や一番危険な場所にさま変わりしてしまっているということで、これはまさに交通行政の盲点をつかれた新たな現象ではないかと考えます。自転車に関係する事故も、その割合が年々増加の傾向にあり、ここ数年は年1万3,000件前後の発生で推移し、全事故の約2割を占めているとのことでありますし、また、高齢者の死亡事故の1割以上が自転車に関係するものであるとも聞いております。  この6月から始まった新たな違法駐車対策によって、商店街の違法駐車はめっきり減ったものの、我が物顔で走り去る自転車がふえてきて危なくてしようがないとの話を、ある商店街役員から耳にしました。特に、先ほどから述べているとおり、生活道路での自転車や歩行者のマナー無視の無謀運転や無法行為による重大な事故がふえた今、これまで以上にその対策が重要視されてしかるべきではないかと考えております。  ここ最近でも、交通ルール無視の自転車やスケートボードでの危険行為が相次いで警察の取り締まりを受けたと、新聞でも大きく報道されたところであります。自転車や歩行者の違法行為というものは、それぞれケース・バイ・ケースでありますが、そのルール無視が重大事故の要因となるのであれば、厳正な指導・取り締まりもやむを得ないのではないかと考えております。  そこで、警察本部長に伺います。  高齢者にとっても大きな不安となっている、このような交通ルールやマナーを無視する自転車等に対して、今後、県警察はどのように対処していくのか、ご所見を伺います。  次に、警察活動の情報発信のあり方に関して伺います。  本県の治安対策は、今現在よい方向に進んでいるとはいえ、治安の回復はまだまだ予断を許さない情勢にあると思われます。先ほども述べましたように、犯罪の発生を抑止して、安全で安心なまちづくりを実現するためには、警察・地域・行政がきちんとタッグを組んで取り組まなければ、その目的の達成は難しいのであります。私の地元神奈川区においても、区民による自主防犯組織がここ数年で3倍になるなど、防犯に対する取り組みが大変積極的に行われるようになりました。私も時間の許す限り、これら組織の会合や活動に参加しておりますが、まさにその活動ぶりには頭の下がる思いがいたします。せっかくここまで育った県民の自主防犯意識の芽を、枯らすことなく、さらに大きく成長させ、神奈川の風土にしっかり根づかせることが重要であると思います。  そこで、この地道な自主防犯組織の活動を、より活性化し、息長く続けていただくためには何が必要なのか、地元の活動などに参加しながら声を聞くと、多くの方々から要望があったのは、地域に一番身近な地元の警察からの情報をタイムリーに欲しいというものでありました。県警察は治安回復に向けた取り組みの一つとして、これまでの情報発信のあり方を大きく刷新し、情報を共有化することで、行政や地域住民との連携の強化を図っているとのことでありますが、地域の方々の声を代弁すると、まだまだ工夫すべき点はあるのではないかと思われます。県警察にとっては、とりわけ、この情報発信活動は、県民と警察とのきずなであり、県民のニーズに合った情報を、よりビジュアルに、またタイムリーに提供できるよう、さらに創意工夫を凝らしていただきたいと考えます。  そこで、警察本部長に伺います。  今後の犯罪抑止活動を推進するに当たっては、地域住民のより一層の理解と協力を得ることが必要であると思いますが、そのためには警察情報の提供が大変大きな役割をなしており、地域に密着した各種情報を、よりわかりやすく、関心の持てる内容として発信することが重要であると考えますが、ご所見を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。  ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 梅沢議員のご質問に順次お答えをいたします。  初めに、県の危機管理体制についてのお尋ねがございました。  まず、8月14日の停電の際の対応でありますが、午前7時40分ごろに発生した停電は3都県に及ぶ大規模なものであり、その時点では原因が不明であったことから、テロの可能性も視野に入れて安全防災局の公舎待機幹部と担当職員が緊急登庁し、警察本部、東京電力や消防庁からの情報収集に当たりました。その結果、9時40分ごろには原因が特定されて、テロの疑いがなくなるとともに、県内に大きな影響もなく、停電も順次復旧し、鉄道各線も運行を再開したことから、県の情報収集態勢を解除したところであります。  次に、さまざまな危機事象が発生した場合の県の対応についてでありますが、自然災害や大規模事故については災害対策基本法により、また、武力攻撃や大規模テロについては国民保護法により、それぞれ対処体制や応急活動の内容が定まっております。一方、今回の大規模停電のように、災害対策基本法、国民保護法のいずれの対象とも言えない危機事象については、かつては対処体制等を明確に定めておりませんでした。そこで、県では、県民の生命・身体・財産を守る観点から、さまざまな危機事象に対し、幅広く柔軟に対処可能な総合的な危機管理体制を整えるために、平成16年2月に神奈川県危機管理対処方針を策定し、危機発生時の対処態勢等を定めたところでございます。  さらに、より具体的な対処方法や手順として、例えば県庁の中枢部分の停電やコンピューター・システムの障害、あるいはサリン等の化学剤テロ、鳥インフルエンザなどを想定したマニュアルを整備しております。実際に危機事象が発生した際には、まず安全防災局が中心となって情報収集等を行うとともに、関係部局がこうしたマニュアル等に沿って応急活動を実施いたします。その際、各部局間の連携が必要な場合には、各部局の担当課長で構成する危機管理連絡調整会議を開催し、情報を共有するとともに、相互連携を図ってまいります。さらに、被害の規模等から全庁的な応急活動が必要な場合には、法律に基づく災害対策本部と同等の組織として、危機管理対策本部を設置しまして、私が本部長となって、医療救護、被災者救援、広域応援部隊の要請など、必要な応急活動の調整を行うこととなっております。  自然災害や大規模テロ以外にも、万が一、県民生活の安全を脅かす危機事象が発生した際には、県は、この危機管理対処方針等に基づき、県民の生命・身体・財産の安全確保を最優先に、全力を挙げて対処する所存でございます。  次に、県の自主防犯活動への支援についてのお尋ねをいただきました。  犯罪のない安全で安心な神奈川を実現していくためには、県民の皆さんが高い防犯意識を持って、できることから自主防犯活動に立ち上がり、これを継続的に行っていただくことが非常に重要であると考えております。そのため、県では、まず自主防犯活動の立ち上げ経費を助成する団体事業補助金など、各種の支援制度を設けておりますが、これらの制度を活用している団体だけでも、8月末現在で1,216団体に達しております。また、継続的な活動を支援するため、防犯活動リーダー養成講座の開催や優良事例の表彰、「くらし安全通信」の発行や県民フォーラム等の各種イベントを通じた先進事例の紹介など、さまざまな支援を行ってまいりました。  こうした中で、一部の活動団体の皆さんからは、継続した活動を行う上で後継者の育成や活動の維持について大変ご苦労されているというお話をお聞きしております。そこで、今年度は、これまでの取り組みに加え、活動団体の皆さんがいろいろな課題や問題について相互に情報交換し、交流を深めることにより活性化を図っていただくため、ネットワークづくりにも着手しているところでございます。  具体的には、お話のありました、インターネットによる「あんぜんあんしん!ネットワーク」の開設のほか、現在、県民の皆さんが主体となって地域ごとに話し合っていただくネットワークフォーラムを県内8カ所で実施中でありまして、10月には全県レベルの交流集会を開催いたします。  さらに、今後、自主防犯活動やそのネットワークづくりへの支援を強化するため、活動団体のデータベース化や防犯情報の効果的な収集・発信、きめ細かな相談体制の整備、防犯活動の担い手の拡大を図る取り組みも検討してまいります。また、県のさまざまな支援施策のPRにつきましては、これまでも「県のたより」を初め、情報誌やホームページ等により行ってきたところでありますが、これまで以上に工夫を凝らしながら周知を図れるよう努めてまいります。  次に、消費者被害の未然防止への取り組みについて2点お尋ねをいただきました。  まず、若年者に対する消費者教育の取り組みについてでございます。  社会に出て、自分で考え行動できる消費者を育成していくには、議員のお話のように、早い段階から消費者教育が重要であると認識をしております。この消費者教育は、学校において子供の発達に応じて体系的に実施することが効果的でありますので、これまでも県教育委員会と連携して、中学・高校生用の教育資料や教員用解説書を作成しまして、県内のすべての学校に配布するとともに、教員を対象に、授業のない夏休みなどを利用して消費者教育研修も実施してまいりました。このほか、若年者向けの啓発用パンフレットを作成し、市町村や各種団体における啓発活動に活用をしていただくとともに、大学や企業の研修担当者を対象に、悪質商法被害未然防止講座を実施してきたところであります。  しかしながら、若年者は社会経験に乏しく、携帯電話やパソコンの普及により、日常的にインターネットに接しているため、多様な契約や商品サービスに関する新手のトラブルに巻き込まれやすい状況にあります。  そこで、今後の取り組みですが、学校教育においても消費者教育をより徹底していただけるよう、教育用資料を社会や家庭といった授業だけではなく、総合的な学習の時間やホームルームなど、幅広く利用できる内容に充実してまいります。また、大学や企業が新入生ガイダンスや新入社員研修の際などに、収入に見合った生活設計やクレジットカードの利用方法など、実践的な内容での消費者教育を自主的に推進していただけるよう働きかけてまいります。さらに、県と日本銀行、財務省で構成する金融広報委員会や全国銀行協会などと連携して、大学や企業に対して専門アドバイザーの派遣も進めてまいります。  今後とも、将来を担っていく若い世代に対して、さまざまな機会をとらえ、消費者教育の充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、高齢者の消費者被害の未然防止への取り組みについてのお尋ねでございます。  高齢者の消費生活相談は、住宅リフォームや訪問販売に関する相談が多いこと、また、一度被害に遭うと次々に契約をさせられ、その結果として被害額が大きくなっていることが特徴となっております。こうした背景には、高齢者の中にはひとり暮らしの方が多く、地域での交流も少ないため情報が入りにくいこと、また、身の回りに相談する者がいないといったことが挙げられると思います。  このため、これまでも悪質商法の手口や対策をお知らせするため、情報誌やパンフレットを作成し、福祉団体やNPOを通じ、高齢者に直接配布しております。また、県のくらし安全指導員を活用し、高齢者を対象とした地域の防犯教室の場で、リフォーム詐欺などの悪質商法についてわかりやすく説明をしております。さらに、市町村と共催で、被害未然防止の講座を数多く開催するなど、注意喚起を行ってきたところでございます。  しかし、高齢者をねらう手口はますます巧妙化・悪質化しておりますので、取り組みを一層進めるため、今年度新たに、地域の福祉関係の皆様を対象に、高齢者見守り出前講座を開始したところでございます。具体には、日ごろ高齢者と接する機会の多い民生委員やヘルパーなどの福祉関係の皆さんが高齢者の暮らしの変化に気づいて、地域の消費生活センターと連携していただくよう、これら福祉関係者に見守りをお願いするものでございます。  今後とも、こうした取り組みを充実し、これまで以上に高齢者の方々へ情報を的確にお伝えするとともに、市町村や関係団体とも十分に連携を図りながら、相談体制の充実や高齢者を見守る環境づくりに努めるなど、消費者被害の未然防止の取り組みを一層強化してまいります。  最後に、教育問題についてお尋ねがございました。  「選択と集中」における、教育施設という観点から、県立高校の施設整備の現状認識と今後の対応についてでございます。  議員お話しのとおり、あすの神奈川を考えますと、人材育成は最重要課題であり、次世代育成なくして神奈川の発展はないものと考えております。神奈川力構想・プロジェクト51では、七つの政策課題分野の一つに「未来を担う人づくり」を位置づけ、魅力と特色ある高校づくりなど、人材育成に重点的に取り組んでいるところであります。  私も、ウイークリー知事現場訪問やマンスリー知事学校訪問で、幾つかの県立高校を訪問し、そこで学ぶ生徒たちと直接話をする機会を得ましたが、人材育成の重要性とともに、難しさも感じたところであります。また、その際、施設・設備の老朽化に対する不満の声も、生徒たちからもお聞きしまして、実際に現場を見て、生徒たちの学習環境、とりわけ施設の老朽化・耐震化対策が喫緊の課題であることを再認識したところでございます。  そこで、今後は「選択と集中」という考え方に立ち、こうした施設への対応もしっかりと行っていく必要があると考えております。  しかし、県立高校だけでも152校もあり、これらの老朽化・耐震化対策を一朝一夕に行うことは、現在の県の財政状況を考えると非常に難しい状況にございます。現在、教育委員会が、財政状況も勘案し、平成18年度から進めている、県立高校改革の後期実施計画や老朽化・耐震化対策を含めた、教育施設の整備計画を策定中でございます。その計画が優先度や緊急性などの観点を踏まえた、実現性の高い計画となり、あすを担う子供たちのために着実に推進されるよう対応してまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。〔教育長(引地孝一君)発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 引地教育長。 ◎教育長(引地孝一君) 教育関係についてお答えいたします。  人材育成の観点から、今後の教育施設の整備についてお尋ねがございました。  県立高校は生徒の急増期に県立100校新設計画に基づき集中的に建設し、最大166校までになりましたが、少子化動向や人材育成の観点も視野に入れ、県立高校改革推進計画による高校改革に取り組んでおりまして、平成22年4月には142校に再編することとしております。  この計画は県立高校を再編統合するだけではなく、生徒一人一人の個性に応じた多様な教育を提供する新しいタイプの高校の設置や、魅力と特色のある高校づくりをするもので、この計画に沿って施設の機能改修を行うとともに、あわせて老朽化・耐震化対策にも取り組んでいるところでございます。  これまでも70を超える県立高校に出向き、直接、生徒や教職員の声を聞くとともに、施設の現状を見ておりますが、議員のお話にもございましたように、改革の対象校以外の県立高校は、その多くが建築後30年以上を経過しており、雨漏りや外壁落下、暗い旧式トイレなど、施設・設備が全体的に老朽化している状況にございます。  さらに、施設に関する課題として、耐震化対策もございます。校舎の耐震診断は今年度中に終了させる予定でありますが、学校体育施設の耐震診断が未着手の状況にあることから、今後早急に耐震診断に着手するため、今定例会に補正予算をお願いしているところでございます。  教育委員会といたしましては、あすの神奈川を担う人材を育成していくためにも、生徒たちが安心して学習に取り組むことができる教育環境の整備を最重要課題とし、県立学校の老朽化・耐震化対策を最優先とした、向こう10カ年の教育施設整備計画を現在策定中でございます。この整備計画に基づき、今後は「選択と集中」の考え方に立ち、安全確保を第一に教育環境の整備に努めるとともに、各学校における特色づくりについても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。〔警察本部長(井上美昭君)発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 井上警察本部長。 ◎警察本部長(井上美昭君) 梅沢議員のご質問にお答えします。  まず、県内の、自転車の関係する交通事故は平成14年中の1万3,476件をピークに、3年連続で減少しておりますが、減少幅は小さく、ほぼ横ばいの状況にあり、議員ご指摘のとおり、全事故に占める自転車事故の割合も約2割の高水準で推移をしております。また、このうち、一時不停止や安全不確認等、自転車利用者側にも不注意の認められる事故が約7割を占めているほか、歩道等における対歩行者事故も増加傾向にあります。  このように自転車利用者の交通マナーの悪化がうかがわれ、これを指摘する声も多く聞かれるところであります。県警察としては、このような状況を踏まえまして、自転車のマナーアップと交通事故の防止を図るため、関係機関・団体と連携して、ハード・ソフトの両面から対策に取り組んでおります。  主なものを二つ挙げますと、一つは家庭・学校・地域の場を活用した段階的な交通安全教育の推進です。絵や動画を利用した危険予測訓練や、二人乗り等、危険体験型自転車教室、子供・親・祖父母の三世代交流型自転車教室などを取り入れて、自転車利用者として必要な知識・技能の習得とあわせて、自己の安全のみならず、他人の安全にも配慮できるように、また社会的責任についてもきちんと教えるようにしています。  二つは、交通違反警告カードの活用等街頭指導の強化です。自転車街角アドバイス強化日を設け、自転車用反射材のはなまるシール配布による街頭指導を行うとともに、交通ルールやマナー違反に対しては、交通違反警告カードを活用して、指導警告活動を強力に推進しています。ちなみに、本年8月末現在、自転車利用者に対する交通違反警告カードの交付件数は6万5,375件で、昨年同期と比べますと約2.8倍となっています。また、再三の指導警告に従わなかった、二人乗り等悪質な違反については、交通切符を適用して8件検挙しております。  今後も県警察としましては、自転車利用者の交通ルールの遵守と、交通マナーの向上の定着化に向け、関係機関・団体との連携を強化し、自転車教室等交通安全教育の充実とともに、高齢者、歩行者等への保護意識が醸成されるよう啓発・指導等に努めてまいります。  また、自転車利用者等の交通違反に対しては、先ほど申し上げましたとおり、指導警告活動を従来以上に強力に推進してまいりますほか、悪質危険な違反については、積極的に検挙措置を講じていく方針です。  次に、警察活動の情報発信のあり方についてお答えいたします。  県警察では、平成14年の刑法犯の認知件数が過去最高の19万件強を記録した事態を重く受け、翌15年を治安回復元年と位置づけ、県民が安心して暮らせる地域社会の実現を目指し、職員一丸となって取り組みを進めてまいりました。  この間、街頭における積極的な声かけ活動、行政・地域・警察が一体となった犯罪防止活動、積極的な犯罪情報等の発信、犯罪を起こしにくい環境づくり等を重点とする街頭犯罪等抑止総合対策を推進し、また、本年4月から、管内・管外地区ほか県内12地区において、歓楽街を再生させるための総合対策等の諸対策を推進しているところであります。その結果、本年8月末での刑法犯認知件数は、過去最高を記録した平成14年との対比ではマイナス34.7%と大幅に減少し、また検挙率は36.5%で、17.9ポイント大幅に向上するなど、徐々にではありますが、治安再生の曙光は見え始めているところであります。  こうした成果は、県議会はもとよりのこと、県を中心とした行政機関及び関係団体並びにボランティア等地域住民を初めとする県民の皆様の協力なくして治安再生はなし得ないとの意を強くしているところであります。とりわけ議員ご指摘の、積極的な情報発信は、情報の共有化により、自治体や県民の皆様との連携の強化を図る上で重要な施策の一つとしてとらえております。わけても、1カ月177万5,000件、1日当たり約5万9,000件余りのアクセス件数を有する県警察ホームページを活用しての情報発信の活発化は、最も重要な施策であると認識しているところであります。  そのような認識に立ち、各警察署独自のホームページを開設すべく、所要の準備を進めてまいりましたが、来る9月25日月曜日午前9時をもって、県警察ホームページ上に県下全警察署のホームページを掲載する運びとなりました。これまで警察署ホームページを掲載していた所属は数署のみでありましたが、全警察署のホームページの掲載を機に、地域に密着した各種の犯罪情報はもとより、第一線において懸命に活動する警察官の等身大の姿を、より視覚的に、またタイムリーに提供できるのではないかと考えております。  県警察といたしましては、今後もあらゆる機会、あらゆる媒体を活用して、警察の活動や情報を積極的に発信してまいる所存であります。今後とも県議会を初め、関係当局のご指導、ご支援をよろしくお願いをいたします。  以上でございます。〔梅沢裕之君発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 梅沢裕之君。 ◆梅沢裕之君 知事、教育長、そして県警本部長、ご答弁ありがとうございました。  ほとんど時間がなくなりましたので、要望にかえさせていただきますけれども、知事からは教育施設の整備に関して、やっぱり政治家知事を自認する松沢知事からは、ちょっと政治的な決断のある発言があるのかなと思っておりました。好意的に見れば、これからも選択と集中という考え方で着実に対応していくという答弁をいただきましたけれども、やはりこれ考えますと、教育施設の整備などというのは、財政的な制約があるというのは十分承知の上です。その上で特色づくりというのは、緊急度もあります、だけど、やっぱり神奈川を代表する進学校はここだとか、スポーツ校はここなんだと、もっと大げさに言えば、この学校に行きたいから神奈川に行くんだというような特色をつくることが本来のものではないかなと。それはその整備ができてからやるんですよじゃ、間に合わないんですよね。知事、これだけ力を入れて企業集積を行っていますけれども、それと同じような考え方が「選択と集中」だと思います。単に地元の声が、古いから直してよとか、そういう質問ではないんです。もう少し神奈川の特色を出すには、そういった思い切った知事の決断が必要ではないかという質問でございました。  警察本部長、いいお答えいただきました。地元では、もっと地元の警察からいろんな発信をいただきたいし、交流をしたいという願いがたくさん出ておりますよね。そういった中で、ホームページを各警察が立ち上げてくれ、これをきっかけとして、さらに、根づいた地域の自主防犯の芽を警察としても指導し、広げていっていただきたいと思います。  消費者被害の未然防止もそうなんですけれども、消費者教育と言いますけれども、一概にこれだけ教育の徹底というのはなかなかなされないのは十分承知しております。しかし、現場の先生方に聞いても、こういうことはやっているの、どうなのと言うと、すぐ答えられる方が、私、何人かに聞きましたけれども、いません。ほとんどいません。やっぱり教師の個人的な資質というか、感覚で今教育がなされているというのが現状だと思いますので、メニューは用意したけれども、実際本当に必要な人に必要な情報が届いているかということをもう一度検証していただいて、さらに取り組みを進めていただきたいと思います。  これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 △《本会議録-平成18年9定-20060922-026168-質問・答弁-本村賢太郎議員-代表質問①新・相模原市誕生について②青少年に対する政治教育について③ヤマビル対策について④NPO法人の質の向上について⑤太陽光発電について⑥ヘリコプターの24時間体制について⑦小田急相模原駅再開発事業に伴う県道51号の整備について⑧小田急多摩線の延伸について》 〔本村賢太郎君発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 本村賢太郎君。〔本村賢太郎君登壇〕(拍手)〔議長退席、副議長着席〕 ◆本村賢太郎君 議長のお許しをいただきましたので、私は民主党・かながわクラブ県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問いたします。  知事並びに警察本部長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。  質問の第1は、新相模原市誕生についてであります。  神奈川県では、35年ぶりに、本年3月20日に相模原市と津久井町、相模湖町が飛び地合併し、67万人の中核市となりました。そして、来年3月11日には藤野町と合併することも決まり、さらには、本定例会において、城山町との合併議案が提案されているところでございます。この城山町との合併が実現すれば、飛び地が解消され、合併の契機となった平成15年7月の津久井郡4町長による相模原市長への合併協議申し入れと同じ形での相模原市と津久井郡4町による1市4町合併が実現し、県北地域に人口70万人を超える大きな基礎自治体である新相模原市が誕生します。  初当選以来、合併に賛成される方々や合併に慎重な方々のご意見を聞く中で、税金はどうなるのか、生活はどう変わるのか、そういった合併によるメリットやデメリットなどの説明が地域の方々に十分でないことについては、政治家として反省もございます。しかし、政治の師より、いつでも、どこでも、どんな方にも同じことを貫ける政治家になれと学んできた原点から、私は合併賛成の立場で、これまで、ふるさと相模原市が政令市を目指すという視点から、県議会において、知事や関係部局と、合併の質疑を行ってきました。いよいよ来年3月には、都市と産業の相模原市と水源地域と自然の津久井郡4町が融合することにより、子供たちが未来へ夢を託せる新相模原市の誕生、そして本県3番目の政令市実現への大きなステップとなります。  本県は、東京都に次ぐ883万人の人口を有する広域自治体に発展しておりますが、その反面、少子・高齢化が急速に進み、将来の人口減少が問題とされております。そうした中、最大の行政改革である市町村合併を進めることにより、ますます高度化・多様化する住民ニーズに的確にこたえ、自立的・完結的かつ総合的なサービスを持続可能とする強固な行財政基盤を持ち、自分たちのまちは自分たちでつくる、そういった地方分権のキーワードを重視した基礎自治体を実現していくことが大切であります。  現在、本県においては、昨年条例設置された神奈川県市町村合併推進審議会の意見を聞きながら、合併新法下での、自主的な合併が必要とされる市町村を対象に、その自主的な合併を推進するための構想を定めることが要請されていると承知しており、さらには同法に規定されている知事の合併に関する勧告権にも注目をしているところであります。  そこで、知事に伺います。  来年3月に新相模原市が誕生することにより、財政基盤を強化させなければいけないといった課題もありますが、将来的には本県に3番目の政令市が、全国で初めて誕生する可能性があります。知事は道州制を目指し、「最後の知事になってもよい」とする発言をされておりますが、新相模原市が政令市を目指すことについて、知事のご所見を伺います。また、県内他地域における自主的な市町村合併の推進について、どのように考えているのか、あわせて知事のご所見を伺います。  質問の第2は、青少年に対する政治教育についてであります。  次代を担う青少年健全育成の視点から、財団法人日本青年会議所関東地区神奈川ブロック協議会と神奈川県・県教育委員会の共催、そして神奈川県議会などの後援により、去る8月23日に、県内の公立及び私立高校生107名を対象として、地方自治・地域主権に関する意識高揚と積極的な社会参画を促進することを目的に「かながわハイスクール議会2006」が、神奈川県議会議場を利用し、初めて開催され、高校生が県議会議員に成りかわって松沢知事と論戦を繰り広げました。私は現役の相模原青年会議所メンバーでもあり、また若者の政治離れに歯どめをかけるためにも、かねてより学生時代からの政治参加に大変に興味を持っていることから、当日の生徒たちの雄姿を拝見するために本会議場に出かけてきました。  まず、午前中は常任委員会さながらに八つのテーマに分かれ、「犯罪がなく災害に強い社会を考える委員会」、「これからの学校に望まれることを考える委員会」、「安心して子育てができる社会を考える委員会」などといった委員会で審議が行われ、午後には本会議さながらに、8委員会の委員長による検討結果が報告されました。知事自身もその場で即答する形で、生徒が知事と質疑応答を繰り広げる姿に、将来の神奈川県を担う力強い若者を見ることができました。そして、「かながわハイスクール議会2006宣言」を採択後、松沢知事は、「社会や地域、政治への関心を一層高めて、身近なところで実践してほしい」とまとめました。  私は、平成15年4月からの高等学校の新学習指導要領の実施に伴い、地域教育力の学校での活用や、学校が持つ教育資源の開放、学校と地域との連携のあり方が問われている中、ハードルは高いでしょうが、教育現場に政治家が立つことで、一緒に地域の諸問題を考え、仲間と夢を語り合えると考えております。そして、政治をもっと身近にしてもらえれば最高です。  松沢知事も、有権者となる前の学校教育における「政治参加教育構想」を打ち出し、選挙にかかわる歴史や意義に関する教育と、投票行動の実体験の実施などについて、関係各方面に提案されていると聞いております。選挙にかかわる問題もあり、さまざまな制約があるかと思いますが、ぜひ教育委員会におかれましても、教育立県・神奈川らしいチャレンジ精神で、この構想に盛り込まれている新しい試みを実現していただきたいというふうに思います。  そこで、知事に伺います。  知事は、政治参加教育構想をどのような考えのもとに提案しているのか、また、高校生が県議会議員役で挑んだ初めての「かながわハイスクール議会2006」の成果をどう受けとめ、今後どう展開していくのか、知事のご所見を伺います。  質問の第3は、ヤマビル対策についてであります。  毎年夏の時期に行っている県内市町村の予算要望の中で、丹沢山系のふもとである相模原市津久井町、愛川町、清川村、秦野市などから、ヤマビル駆除の推進に関する要望が上がっております。また、今年8月には、丹沢周辺の鳥獣対策について、超党派議員による「大山丹沢山系鳥獣等問題市町村議員連絡協議会」が発足したばかりであります。  私は、初めて「ヤマビル」の言葉を耳にしたとき、一体何だろうと考えました。その正体は、背中に3本の黒い縦線があり、日本にいる吸血動物では最大の、体長1.5センチから8センチのミミズの仲間で、水分の多い地域に生息し、人間や鹿や猿などの血を吸い、一度吸われるとおよそ1㏄吸われ、血がとまりづらくなり、さらに1㏄の出血があるほどです。この出血により、命に別状はありませんが、かゆみや赤くはれるなどの症状が報告されております。このことを考えるだけでも、体がかゆくなってきます。  恐らくこのヤマビルをまだ目にしたことがない方々もいらっしゃるでしょうが、最近では東丹沢からすそ野の人里まで広範囲にわたりヤマビルの生息が確認され、その原因としては、農地や森林の手入れ不足や、それによる落ち葉などの増大により、湿潤な土地が拡大したことや、ヤマビルが好んで吸血する鹿などの生息域が拡大したことによります。  また、丹沢大山総合調査実行委員会では、エコツーリズムの推進を掲げており、県民の方々の期待が高まっているところでありますが、自然を求めて訪れる観光客や登山者などにとっては、特に4月から10月ごろの暖かく活動しやすい時期にヤマビルが見られることで、せっかくのハイキングなどの機会から足を遠のかせることとなっております。農家では、田畑の草刈りを敬遠しがちになるとの話も聞いております。これではヤマビルのために、本県が掲げる環境立県・神奈川県の名が泣くと言わざるを得ません。  現在、各市町村では、清川村のように殺虫剤をまいたり、普及啓発のためのリーフレット作成などと、独自の生態調査や被害防除対策に取り組まれております。また、山に訪れる方々が市販の虫よけスプレーを使用したり、下草刈りを行ったりと自己防衛策も進んでおりますが、現在でも抜本的な駆除方法は見つけられておりません。現在、全国27府県で、このヤマビル被害が報告されておりますが、本県では、被害発生地域が水源地域や農地などといったこともあり、単に薬剤を散布するだけで事足りるというわけにはいきません。  そこで、知事に伺います。  最近のヤマビルの生息地域の拡大に伴い、どなたでも本県が持つ大自然と融合できるためにも、早急に科学的な見地からの調査や対応が必要だと考えますが、知事のご所見を伺います。  質問の第4は、NPO法人の質の向上についてであります。  今日、県内では、NPOなどにより、公的サービスの提供や、県民の暮らしを豊かにするための公益を目的とした主体的な活動が活発に展開されています。本県では、市民活動の重要性を認識し、阪神・淡路大震災の翌年、平成8年4月に全国に先駆けてボランタリー活動を支援するための「かながわ県民活動サポートセンター」を開設しました。その後、同センターがモデルとなって、こうした支援施設が全国に広がっていったと承知しております。  こうした中で、市民の自主的・自発的な、非営利の、公益を目的とした活動に対する環境整備の必要性が叫ばれ、平成10年12月に特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が施行され、市民による活動団体が容易に法人格を取得できるようになりました。その結果、現在の法人数は全国で約2万7,000団体、そのうち神奈川県が認証した法人は約1,700団体に達し、ここ数年は毎年300を超える団体が新たに県の認証を受ける状況となっております。  法人格を持たない団体も含め、県内では非常に数多くの団体が活動していると思われますが、県ではこのような県民の社会貢献活動の高まりに対応し、かながわ県民活動サポートセンターの開設に続き、平成13年4月には、NPOなどに対し資金を提供するとともに、NPO等との協働を推進するため、「かながわボランタリー活動推進基金21」を設置しました。さらに、平成17年4月には、NPO協働推進室の設置による本庁体制の強化も図られており、時代の要請に対応した、こうした取り組みは評価できるものと考えております。  しかしながら、一方で、NPO法人制度がスタートして年数を経過するにつれ、社会的な問題を引き起こす事例も見受けられるようになってまいりました。例えば、新潟県では、無資格で弁護士行為を行い、報酬を受け取っていたNPO法人とその代表者に、今年7月、有罪判決が出されました。本県では、今のところ、そのような事例は見受けられませんが、この8月の3件を含め、既に10件ものNPO法人が事業報告書等の提出義務違反を理由に設立認証を取り消されております。  このような、法令等に定められた義務を果たさない法人がふえていくと、NPO法人全体への県民の信頼が揺らぐことにもなりかねません。現実には、規模の小さなNPO法人などでは、法人運営に関する知識を有する人材が不足しているため、活動自体はしっかり行っていても書類作成などができなかったり、活動に必要なノウハウの不足などから活動が停滞してしまうケースもあるのではないかというふうに思います。  そこで、知事に伺います。  市民の活動が広がり、NPO法人がふえること自体は歓迎すべきことでありますが、法人の数だけでなく、法人の質の向上も大切なことだと思うのであります。そこで、NPO法人をレベルアップし、県民の信頼を確保する必要があると思いますが、県としてどのように取り組まれるのか、知事のご所見を伺います。  質問の第5は、太陽光発電についてであります。  地球温暖化対策が「待ったなし」と言われる中、2003年における本県の二酸化炭素排出量は7,796万トンとなっており、1990年と比較すると18.5%も増加しています。特に、家庭部門からの排出量は45.4%と、業務部門の75.7%に次いで著しい伸びを示しています。本県における家庭部門の温暖化対策としては、マイアジェンダ登録の促進など、自主的な取り組みを働きかけるための施策が進められておりますが、省エネルギーの取り組みとあわせて、太陽光発電システムに代表される新エネルギーの導入も、車の両輪となる重要な対策であると考えております。  我が国における住宅用太陽光発電システムの導入量は、1994年度には約0.2万キロワットであったものが、2004年度には約80万キロワットと、10年間で400倍以上の伸びとなっております。このように住宅用太陽光発電システムが普及した背景には、国民の環境意識の高まりだけでなく、1キロワット当たりの導入価格が1993年度には約370万円であったものが、2004年度には70万円を切るまでに低下するなど、価格の低廉化、さらに国の補助制度、電力会社による余剰電力買い取り制度などの後押しがあったものと思われます。  しかし、1994年度から12年間にわたり行われていた国の補助制度も昨年度で終了しました。太陽光発電システムがある程度普及したことにより、その役割を終えたものと判断されたためと思われますが、本県における1世帯当たりの平均的な住宅用太陽光発電の導入規模は3.3キロワット、設置費用は221万円となっていることを考えると、電力会社による余剰電力買い取り制度があっても、投資回収年数は20年を超える状況となっております。  一方、本県においては、国の補助制度が終了した後も、現在、12市1町が独自の設置補助を行っておりますが、太陽光発電システムの価格は現状下げどまっており、家庭部門の温暖化対策のために太陽光発電の大幅な普及促進を図ろうと考えたとき、状況は大変厳しいと言わざるを得ません。県としても、ホームページの開設やセミナー、展示説明会の開催など、太陽光発電に関する情報提供について努力されていることは評価しますが、さらに積極的な取り組みが求められているのではないでしょうか。  そこで、知事に伺います。  県は太陽光発電をどのように位置づけ、今後どのように導入を促進していこうと考えているのか、知事のご所見を伺います。  質問の第6は、ヘリコプターの24時間体制についてであります。  先月17日、台風10号の影響による局地的な集中豪雨に伴い、県内の酒匂川流域で釣り人25人の方が中州に取り残され、流されるなどにより、2人の方が亡くなるという大変痛ましい水難事故が発生いたしました。事故の際には、当初、県からは、三保ダムからの放流はしていないとの情報提供がありました。これは、ダム管理上、「放流」という意味は毎秒25トンを超える場合を指し、その意味では放流していないというものであり、実際はダムから水は出ていました。ダム管理上の表現としてはやむを得ないとしても、これは非常にわかりにくい言葉であり、常に県民の目線に立った行政を求めたいと思います。また、このダム管理上の「放流」の意味は、県民だけでなく、関係する他の部局も認識していませんでした。県民からすれば、県は一つであり、縦割りではなく、オール県庁として、部局横断的な連携をぜひともお願いしたいと思います。  私は、行政側にこのようなお願いをすると同時に、今回の事故により被害に遭われた方々を思うとき、県議会と行政によるチェック・アンド・バランスが求められており、議員みずからが身を削る思いで県政の刷新を行わなければならないと改めて痛感いたしました。  さて、今回の酒匂川の事故に関しては、特に、県警察航空隊のヘリコプターについては、悪天候と増水による激流という厳しい条件の中で地上の部隊と連携し、2日間にわたる救難・救助によって、中州に取り残された釣り人の方や行方不明の方等、合計11人の方を救助し、また発見収容するなど、大変に頼もしい活動を行いました。その状況は全国ニュースでも大きく報道されており、一県民としても大いに誇りに思うところであります。  このように、県警察航空隊のヘリコプターは、大規模な災害や重大事故・事件等への対応には必要不可欠のものです。事案発生時の迅速な対応には、早期に24時間体制を確立することと、県政機「さがみ」の更新を含め、昨年6月の定例会において、我が団の松崎議員が質問したとおり、5機体制の堅持とが重要であると考えます。  そこで、警察本部長に伺います。  県民の安全・安心を確保するという警察の責務を果たすため、県警察航空隊の24時間体制確立に向けた今後の取り組みについて、警察本部長のご所見を伺います。  質問の第7は、小田急相模原駅再開発事業に伴う県道51号の整備についてであります。  県道51号町田厚木線は、首都圏基本計画で業務核都市に位置づけられた町田市及び相模原市と厚木市とを、小田急小田原線に沿って連絡する、重要な役割を担う幹線道路であります。  しかしながら、現状を見ますと、都市計画に基づく拡幅整備がいまだ完了していないために、慢性的な交通渋滞に悩まされ、あるいは歩行者の安全な通行に支障を来している区間も少なくありません。私の地元である小田急相模原駅周辺も、残念ながら、そうした区間の一つであります。特に、小田急相模原駅の北口は、バスの回転機能程度しかない駅前広場や、駐車場・駐輪場の不足といった悪条件も抱える中で、幹線道路の整備と交通結節点機能の強化を図り、駅前の集客性・利便性を生かした商業の活性化等を実現することが大きな課題となっております。  こうした観点から、既に小田急相模原駅北口A地区市街地再開発事業が、平成19年度末の完了を目指し、着々と進められているほか、町田厚木線を挟んで、反対側の、いわゆるB地区においても再開発事業計画の検討が進められております。A、B両地区を結ぶ横断デッキなどが整備されれば、駅から北西に伸びる既存の商店街サウザンロード相模台へのアクセスも向上し、再開発地区と既存の商店街が一体となった、にぎわいのあるまちづくりが実現するものと大いに期待しているところであります。  駅周辺基盤整備の重要な要素である県道町田厚木線の拡幅については、現在、再開発地区内を含む延長約370メートルの区間において整備が進められています。事業中区間の早期完成が望まれることはもちろんでありますが、再開発事業の中で進められている駅前広場整備に伴う交通規制の見直しなどもあり、駅周辺の交通利便性を確保するためには、再開発地区から百数十メートル町田側に位置する「南大野交番前の目違い交差点」付近まで事業区間を延伸し、整備を促進することが急務であると考えております。  そこで、知事に伺います。  小田急相模原駅を中心とする地域の活性化を図る基盤として、県道町田厚木線の早期整備が切望されているところでありますが、現在、事業中の区間の取り組み状況と、事業区間の町田側への延伸について、知事のご所見を伺います。  質問の第8は、小田急多摩線の延伸についてであります。  今年5月に、日米両政府により合意された在日米軍再編についての最終報告において、JR相模原駅前に広がる相模総合補給廠の一部が返還されることとなり、知事におかれましても、無償譲与の応援をしていただいていることは評価するところであります。そのうち約2ヘクタールについては、鉄道及び道路用地として返還される運びとなったことから、相模原市にとって長年の懸案である小田急多摩線の唐木田駅から相模原市内への延伸の実現に、大きな前進が期待されているところであります。  小田急多摩線の延伸については、これまで地元自治体である相模原市と東京都町田市を構成員とし、関係事業者などを協力員とした研究会が設置され、実現に向け、調査・検討が行われてきたものと承知しております。  このたび相模原市は、9月議会で、延伸の効果等を検証するための調査費用500万円を補正予算措置するなど、実現に向けて一層の取り組みを始めたと伺っております。延伸の実現には、今後解決しなくてはならない課題も多いものと認識してはおりますが、実現いたしますと、相模原市にとってのメリットだけではなく、東京都の多摩地域と本県の県央地域とを結ぶ広域的なネットワークの形成にも寄与することとなるため、県としても協力していくことが必要なのではないかと考えているところであります。  そこで、知事に伺います。  小田急多摩線の延伸の実現に向け、県として、今後どのように対応していくのか、知事のご所見を伺います。  以上で、私の第1回目の質問を終わりにします。  ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 本村議員のご質問に順次お答えをいたします。  まず、新相模原市誕生についてでありますが、最初に、新相模原市が政令市を目指すことについてのお尋ねであります。  来年3月の合併が実現すれば、新相模原市は地元が理想の姿としてきた1市4町から成る人口70万を超える新市となり、その将来像である、「自然と産業が調和し 人と人がふれあう 活力ある自立分権都市」に向けた新たな一歩が踏み出されることになります。こうした取り組みを進める中で、新相模原市が、より大きな行財政権能を有する政令市への展望を持つことは、みずからの地域のことはみずからの意思で決定し、その財源、権限と責任もみずから持つという、地域主権の理念にかなったものであると考えております。  しかし、具体の政令市移行に当たっては、人口規模以外にも都市機能や行財政能力など、さまざまな要件を充足することが必要とされておりますので、まずは新市の一体性の確保に向けた基盤整備などを着実に進めていただくことが肝要であると考えております。県といたしましては、新市のまちづくりが進む中で、政令市移行についてのお考えが示された場合には、その意向も踏まえ、協議を行ってまいりたいと考えております。  また、県内の他地域における市町村合併の推進についてのお尋ねもございました。  分権時代を担い、特色ある行政サービスや独自のまちづくりなどを主体的・総合的に展開できる基礎自治体を築いていくためには、市町村がその権能や財政基盤を強化していく必要があり、合併はそのための有効な手段の一つであると認識しております。こうしたことから、県では合併新法に基づき、昨年、市町村合併推進審議会を設置して、自主的な市町村合併を推進するための県の取り組みについて、ご審議をいただいているところでございます。  審議会では、これまでの議論で、本県における、今後の期待される市町村像として、「住民に身近な行政分野を主体的・総合的に展開し得るよう、中核市相当あるいはそれ以上の行政権能・行財政基盤を備えていくことが必要」との中間取りまとめを行っております。今後、審議会では、合併の組み合わせも含め、さらに議論を深め、年内には答申をいただける予定と伺っておりますので、それを受けて、議会や市町村、県民のご意見も伺いながら、県として構想を策定し、市町村の自主的な合併を推進してまいりたいと考えております。  次に、青少年に対する政治教育についてのお尋ねをいただきました。  まず、私がどのような考えのもとに「政治参加教育構想」を提案しているのかということであります。  代表制民主主義においては、選挙による政治への参加が基本でありますが、ご案内のとおり、昨今の国政選挙や地方選挙の投票率は、ともに低下・低迷傾向にあります。特に20歳代の若年層の投票率が大変低くなっていることについては、各方面からも危惧の声が上がっており、私もこうした現状を大変憂慮している一人であります。  そこで、有権者となる前の学校教育の場において、実体験を含めた民主主義教育を充実させることにより、政治意識を醸成することが必要であると考え、今年の5月に政治参加教育構想を提案させていただいたところであります。  次に、ハイスクール議会の成果と今後の展開についてのお尋ねがありました。  まず、成果でございますが、あすの神奈川を担う高校生たちが、神奈川の抱える課題やその将来像について自由に意見を述べ、真剣に議論し、「かながわハイスクール議会2006宣言」を取りまとめた姿を見ますと、高校生たちの神奈川に対する理解を深め、地域社会や地方自治に対する関心を高めるという主催者の目的は、十分達成できたのではないかと考えております。また、私自身、高校生議員と直接意見を交わしましたが、率直で真摯な質問内容や態度に神奈川の高校生の頼もしさを感じたところであります。  私は、かねてから、神奈川の教育にとって、よき市民となる教育、すなわちシチズンシップ・エデュケーションというものが重要と考えております。ハイスクール議会はまさにその実践の一つであり、高校生たちにとって、その経験は大変有意義なものであったと受けとめております。また、ハイスクール議会宣言を初め、高校生たちからいただいた意見や提案は前向きですばらしいものが多く、今後の県政運営にも参考にしてまいりたいとも考えております。  ハイスクール議会を主催された日本青年会議所の皆様には、心から感謝申し上げますとともに、今後もこうした取り組みを引き続き積極的に進めていただくことを心から期待をしております。  次に、ヤマビル被害に対する科学的な見地からの調査や対応についてというお尋ねがありました。  ヤマビル被害につきましては、県央や県北地域などの地元の市町村長さんや、地域の皆さんから状況を伺っており、私も大変憂慮しております。ヤマビルはハイカー等が被害を受けるだけでなく、農業に従事される方々にも被害が及び、この問題は市町村の方々とともに被害が広範囲に及んでいることから、県としても力を入れて取り組む必要があると認識をしております。ヤマビルの被害は本州、九州のほとんどの地域に及ぶにもかかわらず、この問題の専門家は数少なく、被害防止や駆除の抜本的な方法はいまだ確立していないのが実情でございます。  一方、本県には自然環境保全センターや環境科学センターなど、科学的知見を持って地域の喫緊の課題に対応していくことを重要な役割の一つとしている県試験研究機関がございます。そこで、こうした試験研究機関が連携し、これまでの全国各地での知見の収集や対策の検証を行うなど、ヤマビル被害対策を共同で検討するよう指示したところでございます。この検討を踏まえ、大学や民間研究機関のご協力もいただきながら、発生地域の拡大抑制や被害の防止に向けた試験研究機関の共同研究を実施してまいりたいと考えております。  また、県では、これまでも市町村を交えた「神奈川県ヤマビル対策連絡会議」を開催し、対策事例の情報交換を行うとともに、県北地域県政総合センターでは、分布拡大の要因と言われている、鹿などの野生動物とヤマビルとの関連の調査や防除薬剤の検証などを実施しております。こうした、地元市町村と連携した現地・現場での対応は重要な取り組みでありますので、今後は県央地域にも拡大し、神奈川の実情に即した対策やデータの蓄積を図ってまいりたいと考えております。  このように試験研究機関等による科学的な見地からの対応と、現地・現場での取り組みといった両面から、より総合的で踏み込んだヤマビル対策を講じてまいりたいと考えております。  次に、NPO法人をレベルアップし、信頼性を確保することについてのお尋ねをいただきました。  県民のNPO法人への信頼を確保するためには、まずNPO法人が安定的に活動ができるよう条件を整える必要があることから、これまでさまざまな支援を行ってまいりました。  具体的には、かながわ県民活動サポートセンターによる活動の場や情報の提供、「かながわボランタリー活動推進基金21」による資金助成のほか、アドバイザーによる活動相談や税務会計、人事労務などの専門家によるマネジメント個別相談会などを実施してきたところでございます。さらに、新たに地域人材の育成を図るため、今年10月から試行を開始する「(仮称)かながわコミュニティカレッジ」においても、開校する八つの講座の一つにNPO法人の運営に必要なノウハウを学ぶための「NPOマネジメント講座」を予定しております。この講座では、10月下旬から3月上旬にかけて、組織運営や事業企画のノウハウを初めとする20こまの講義を実施し、NPO法人のレベルアップに努めてまいります。  また、NPO法人の信頼性を高めるためには、こうした取り組みに加え、さまざまなNPO法人の活動を県民の皆様に知っていただくことも重要であると考えております。現在、法人設立申請に係る書類や、毎年法人から提出される事業報告書などを県庁において公開しておりますが、より多くの県民の皆様にごらんいただけるよう、県のホームページで公開することについても検討を進めております。  今後、これらの取り組みを充実することによって、多くのNPO法人がレベルアップし、県民の皆様の信頼が高まり、こうしたNPO法人の活発な活動を通じて豊かな地域社会の形成や県民生活の向上につながるよう努めてまいります。  次に、本県として太陽光発電をどのように位置づけ、今後どのように導入を促進していこうと考えているのかとのお尋ねがありました。  まず、太陽光発電の位置づけでありますが、本県では2003年3月に「かながわ新エネルギービジョン」を策定し、2010年までの供給側の新エネルギー導入目標を原油換算で約87万キロリットルとしております。このうち太陽光発電については、導入目標全体の約8.6%に当たる7万4,700キロリットルを目標としており、民生部門及び公共部門において重点的に導入を図るものと位置づけております。  議員ご指摘のとおり、家庭部門の二酸化炭素排出量は本県全体の約16%を占め、その増加率も高くなっておりますし、本県の人口及び世帯数は今後も増加が見込まれます。こうした状況を考えますと、家庭において省エネを徹底していただくことはもちろんでありますが、あわせて新エネルギー、中でも太陽光発電の積極的導入に取り組む必要があると考えております。  次に、太陽光発電の導入促進策についてでありますが、昨年6月に実施した県政モニターアンケートでは、導入の障害として「費用や効果などの情報の不足」との回答が71%にも上りました。そこで、県民の皆様を対象とする展示説明会やセミナーを開催するとともに、昨年11月に「今日から我が家も発電所」と題するホームページを開設し、正確な情報の提供に努めることといたしました。  一方、議員ご指摘のとおり、設置価格が依然として高いことも導入の障害となっております。現在、電力会社による余剰電力買い取り制度はございますが、これに加えて何か新しい支援制度が考えられないか検討をしております。例えば、太陽光発電で自家消費している電力について、発電時に二酸化炭素を発生していないという点に価値を認めて、それを証書化して売買できるようにするという方式などがございます。今後これらをさらに検討し、一つでも実現させることで、家庭への太陽光発電の導入促進に努めてまいりたいと考えております。  次に、県道51号町田厚木の整備についてのお尋ねがございました。  この県道は小田急小田原線と並行して、町田付近から本厚木駅付近に至る路線であり、鉄道駅を核として商業地や住宅地を形成してきた、沿線地域の発展に重要な役割を果たす道路であると認識をしております。この路線は、延長約16キロメートルのほぼ全線にわたり2車線の車道と歩道があり、一定の交通機能は確保されておりますが、都市計画決定された幅員での整備を完了している区間は約3割となっております。  現在は、相模大野駅付近周辺の延長約680メートルの区間と、小田急相模原駅周辺の延長約370メートルの区間につきまして、まちづくり計画との整合を図りながら拡幅整備を進めているところでございます。  議員お尋ねの小田急相模原駅周辺につきましては、組合施行の二つの再開発区域、具体的には現在事業中のA地区と計画中のB地区の区域が県道事業区間の一部と重複する形になっております。このため、県道の拡幅に当たっては、これらの再開発と連携して事業に取り組むことによって、必要な用地の確保や工事を進めることとしております。  再開発区域を除くこの事業区間の進捗状況でございますが、昨年度末における用地取得率は約5割、事業進捗率は約4割となっております。今後も地域の皆様のご理解とご協力をいただき、再開発の進捗と整合を図りながら、整備を進め、早期完成を目指してまいります。  また、事業区間の町田側への延伸につきましては、地元自治会を初めとする、地域の方々からも強いご要望をいただいているところであります。この延伸区間につきましては、県といたしましても、交通利便性の向上や交通安全の確保の観点から、整備の必要性を認識しておりますので、現在事業中の区間の進捗状況を見定めながら、整備に取り組んでまいりたいと考えております。  最後に、小田急多摩線の延伸の実現に向けた県の対応についてのお尋ねがありました。  この路線につきましては、国の諮問機関である運輸政策審議会が、平成12年に、東京圏における望ましい鉄道網を示した答申において、今後整備について検討すべき路線と位置づけております。また、本県の交通施策の基本的な方向を示すかながわ交通計画においても、相模原・上溝方面への延伸の検討が望まれる路線と位置づけているところでございます。  議員お話しのとおり、地元自治体の相模原市と町田市が研究会を設置し、これまで、実現に向けた調査検討を行ってきたと承知しており、この路線が実現すれば、沿線地域の活性化や鉄道利用者の利便性の向上に加え、広域的な鉄道ネットワークの強化が期待されるものと認識をしております。  一方、相模原市から、実現に向けては地元住民の方々のご理解を得ることはもちろんのこと、関係自治体や鉄道事業者等との合意、事業採算性の確保など、解決しなくてはならないさまざまな課題があるとお伺いしております。こうした中、課題の一つでありました相模総合補給廠の一部返還について日米合意がなされたことを契機として、実現に向けた取り組みを一層強化していきたいとのお考えもお聞きしているところでございます。  県といたしましては、今後、相模原市からのご意見も伺いながら、広域自治体として課題解決に必要な技術的支援を行ってまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上であります。〔警察本部長(井上美昭君)発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 井上警察本部長。
    ◎警察本部長(井上美昭君) 本村議員ご質問の、県警察航空隊の24時間体制確立に向けた今後の取り組みについてお答えをいたします。  初めに、現在までの取り組みについてでございます。県警察におきましては、航空機5機体制のもと、休日や祭日の出勤のほか、日の出時からの早朝勤務や日没までの勤務延長による飛行体制の確保、操縦士免許所有者の警察官採用や、救難・救助等を行う特務要員の養成訓練と増員、週2回の夜間体制の試行実施など、工夫を凝らした取り組みを行っているところでございます。  次に、夜間体制の試行実施を含めた活動条件についてでございますが、現体制の中で、当面、最大限可能な夜間体制を確保することとし、本年3月1日から週2回、航空機1機と隊員5人の体制で試行実施をしております。この夜間飛行を試行している中、金沢署管内で発生した検問突破車両の逃走事案につきまして、地上のパトカーと連携して追尾をし、逃走を断念した被疑者を無免許運転等で検挙いたしました。  また、本年8月末までの昼間におけるパトロール活動によりまして、ひったくりやひき逃げ事件など、11件、17人を検挙しているところでございます。そのほか、最近の事例といたしましては、議員のご質問にもございました酒匂川での水難事故や山岳遭難に伴う救難・救助活動によりまして、7件、16人の方を救助するなど、空陸一体となった警察活動を行っているところでございます。  次に、今後の取り組みについてでございますが、県警察といたしましては、航空隊の24時間体制を確立することは、夜間における大震災のほか、突発重要事案や重大事故発生時の迅速な対応に有効であり、さらには上空からの警戒による犯罪抑止効果が極めて大きいなど、危機管理と治安維持の両面からも必要であると考えております。  しかしながら、24時間運航体制を実施するためには、必要となる人材の確保や機材の整備などの課題もありますことから、現在行っている試行の結果をしっかりと検証した上で、必要な体制の整備等について検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。〔本村賢太郎君発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 本村賢太郎君。 ◆本村賢太郎君 自席からの発言をお許しください。  知事並びに警察本部長におかれましては、ご答弁ありがとうございました。  要望を数点お願いしたいと思うんですが、まず、ヤマビル対策についてでありますが、知事の方から県の研究機関である自然環境保全センター、そして環境科学センター、そしてさらには大学、民間の研究機関との共同研究を、全国で恐らく初めて実施していただけるという大変前向きなご答弁もいただきました。現地・現場主義と言われている知事のもと、ぜひ共同研究を進めてヤマビル対策に努めていただきたいということを要望いたします。  また次に、太陽光発電でありますが、二酸化炭素を発生していないという価値を認めて、証書化して売買できるように検討していくということで、これも大変前向きなお話でありまして、ぜひ新しい試みですので、チャレンジして進めていただきたいというふうにお願いします。  そして、NPO法人の質の向上でありますが、やはり県民から見て安心できるNPO活動、こういったものは県としても応援していただきたいと思っております。そのためにも、本日、事業報告書、多分、貸借対照表や収支計算書などを含めて、県のホームページで今後公開を検討するというようなご答弁もいただいておりますので、ぜひ県民に見やすいNPOの促進に努めていただきますことを要望しまして、私の質問を終わりにします。 ○副議長(新井敏二郎君) お諮りいたします。  この際、休憩いたしたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(新井敏二郎君) ご異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は15分後といたします。                  午後3時4分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-平成18年9定-20060922-026169-質問・答弁-藤間明男議員-代表質問①緊急性のある河川整備について②都市農業の更なる推進について③県民の自主防犯活動の充実と県の取組みについて》                   午後3時27分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共73名 ○議長(中村省司君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(中村省司君) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○議長(中村省司君) 質問を続行いたします。  藤間明男君。〔藤間明男君登壇〕(拍手) ◆藤間明男君 議長のお許しをいただきましたので、私は県政21・県民の会県議団の一員として、通告に従い、順次提言を交えながら質問させていただきます。  知事並びに警察本部長におかれましては、明確なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。  質問の第1は、緊急性のある河川整備についてであります。  相模川は、河口から神川橋までの約7キロメートルの下流部を国が直轄管理し、その上流部を県が管理する一級河川です。昭和40年4月に、現在の河川法が施行され、国土の保全や国民の経済上、特に重要な水系に属する河川を一級河川として指定することとされましたが、現在、全国で109の水系に属する河川が一級河川とされています。  本県にかかわる河川では、昭和41年に多摩川が、追って昭和42年に鶴見川、そして昭和44年に相模川が指定されております。なお、一級河川の指定は、都道府県知事の意見を聞くこととされており、相模川の指定については、昭和44年2月のこの県議会定例会での審議を経て、その指定の同意がなされたものであります。  最近、私の古い友人で、20年間東海道新幹線の専務車掌をしていた人から聞いたことに端を発し、歴史的な経緯を勘案しても、やはり国、県の行政の取り組みに問題があると感じたことについて質問させていただきます。  彼の話によると、20年間に何千回も東京・大阪間の車窓の景色を見てきたが、多摩川から淀川までたくさんの川を渡るとき、河川内や堤防の整備は着実に進み、すべての川が次第に美しく整備されて、地域住民の安全性も向上しているように変化してきたが、自分の住む相模川馬入橋付近の左岸茅ヶ崎市側は、なぜかいつも産業廃棄物が散乱し、堤防そのものも古いままで一向に整備される気配もないとのことでした。  その人の言葉が気になって、国土交通省関東地方整備局が平成14年8月30日付の告示第319号として作成した「相模川水系相模川浸水想定区域図」なるものを見て大変驚きました。おおむね150年に一度という大雨が降ったとき、相模川左岸・茅ヶ崎市側と右岸・平塚市側の両岸の河口から上流約10キロメートルの範囲の浸水の想定図ですが、左岸・茅ヶ崎市側は2メートルから5メートルの深さの浸水区域が5平方キロメートル、1メートルから2メートルの浸水区域が3平方キロメートル以上、1メートル以下の浸水区域が4平方キロメートルと、広範囲の被害想定があるのに対し、右岸・平塚市側は2メートルから5メートルの浸水区域は1平方キロメートル以下、1メートルから2メートルの浸水区域でも4平方キロメートル程度と、被害想定には大差があります。  また、国土交通省の現地事務所に河川内の産業廃棄物は何とかならないものかと尋ねたところ、そこは私有地で、私有地内で行われている産業廃棄物処理は、河川の流下阻害や環境汚染が明らかでないとなかなか取り締まりにくく、パトロールなどを強化して問題を最小限に抑えるようにしているという答えでありました。  私が調べたところ、直轄区間の相模川の河川区域内には約70%もの民有地があり、他の一級河川と比べて割合が非常に高くなっており、そのため管理整備上は全国の一級河川の中で難しい河川の一つとなっており、これが直接、間接に河川整備や環境浄化をおくらせているのではないかと考えています。  下流部の国の管理区間での堤防の整備状況は、右岸の平塚市側が8割以上に比べ、左岸の茅ヶ崎市側ではいまだに2割程度と、右岸・左岸では格差が広がり、茅ヶ崎市側は不法投棄も多くなっているのが現状であります。堤防の整備も進んでいない茅ヶ崎市側では、行政や住民が国や県へ要望活動をしたくても、相模川の流れが西寄りに変わったため、下流域では、大部分の両岸が平塚市の行政区域で、地権者の多くも平塚市民であることとあわせて、地権者の理解も得にくく、いま一つ活動が盛り上がっておりません。  明治年間から昭和20年代まで、相模川下流の大雨による浸水が常に右岸側、平塚市側で大部分の住宅が浸水したのに対し、左岸側・茅ヶ崎市側では田畑が主な浸水で、住宅が浸水したことは数えるほどしかなかったということでありますから、右岸側に比べて左岸がおくれたことには異を唱える気はありません。しかし、最近では全国で記録的な豪雨が頻発しており、今では茅ヶ崎市側において人口が増加し、都市化が進む一方であり、相模川が一度はんらんすると甚大な被害になるおそれがあります。全国各地の異常降雨のニュースの中に、150年に一度程度の雨が5年以内に2度も降ったというニュースなどを聞くたびに、左岸側住民には不安が広がるばかりであります。  そこで、知事にお尋ねいたします。  このような状況下で、早期の堤防整備の促進と環境の保全が急務であると考えております。相模川下流部については、国土交通省が所管していることは十分承知しておりますが、県として、今後どのように地元の市町に支援・協力をしていただけるのか、知事のご所見をお伺いします。  次に、相模川の下流部に流れ込む小出川、千の川などの、県が管理する都市河川の整備について、お尋ねいたします。  近年、全国各地で台風や集中豪雨により大きな災害が発生しており、今年も記録的な豪雨により甚大な被害が発生したことは、記憶に新しいところであります。私の地元である茅ヶ崎市においては、西は、先ほどお話ししたように、国が直轄する相模川がおおむね市境となっており、また、相模川に流れ込む、県が管理する小出川、その小出川に流れ込む千の川が市内中心部を流れております。  小出川の流域の特徴としては、下流部の茅ヶ崎市に属する区間は市街化が進んでいるものの、寒川町に属する上中流部では水田や丘陵部が分布し、自然が豊かな流域となっており、また、千の川の流域の特徴としては、茅ヶ崎市のほぼ中心部に相当しているため、非常に市街化が進んでいるということであります。両河川とも、河川両岸の地盤が低く、降雨時には排水が悪いことと、都市化が著しく進行しつつあること等により、昔から何度も浸水被害が発生しております。  特に昭和41年6月の台風4号では、流域全体で床上・床下浸水合わせて約370戸という大災害をもたらしました。最近では、平成16年10月の台風22号で、小出川の一ツ橋付近や千の川の梅田橋付近で溢水の被害がありました。小出川・千の川流域では、このほかにも浸水被害が頻発しております。地元茅ヶ崎市においても、河川整備に対する要望が強くなされており、遊水地等をつくってはどうだという声も上がっております。  また、川の中には土砂がたまっており、このたまった土砂に種がついてアシが生え茂っております。小出川、千の川のもう一つの特徴は、どちらも勾配が少なく、土砂がたまりやすい特性があります。アシの伐採やしゅんせつはまだ十分に行われておらず、川の断面が狭くなり、水の流れを阻害して、大雨のときには河川があふれるのではないかと付近の住民はそのたびに心配をしております。  県は昔から治水対策を重要な事業と位置づけ、ご尽力されてきたことは十分に承知しておりますが、より一層、河川整備の促進が必要であると考えております。  そこで、知事にお伺いいたします。  市街化の著しい県内の都市河川の整備を今後どのように取り組んでいくのか、また、茅ヶ崎市内の小出川、千の川の整備は今後どのように進めていただけるのか、知事のお考えをお尋ねいたします。  質問の第2は、都市農業のさらなる推進についてであります。  本県は「神奈川県都市農業推進条例」を制定し、本年4月より施行したところであります。一方、国では、「食料・農業・農村基本法」や基本計画に基づく、効率的かつ安定的な経営の確立や食料自給率の向上などを目標にして対策を進めており、現在、「品目横断的経営安定対策」、「米政策改革推進対策」、「農地・水・環境保全向上対策」の三つの農業改革を進めようとしております。特に経営安定策については、改革の大きな柱である「選択と集中」という観点から、これまでの政策のあり方を大胆に見直し、やる気と能力のある担い手を対象に直接支払いを導入するというものであり、大規模経営に意欲のある農家や集団を農業の担い手として育てることを目的としております。  農林水産大臣の談話の中で、「まさに戦後農政の大転換というべきもの」と言っておりますが、大規模な土地利用型農業の確立をベースにした施策であり、比較的規模の小さい農家が多く、野菜や牛乳など生鮮食料の生産を柱とする本県の農業が、国の農政施策の中で片隅に追いやられないかと懸念をしているところであります。  現在、経営安定対策については、来年度からの実施に向けて、申請事務などが開始された段階ですが、都市農業である本県農業がこれからどうなるのか、国の農政の方向に不安を感じているとの声を農家の方々から多く聞いております。  このような中で、都市農業の持続的発展を見据えて、全国に先駆け、「都市農業」を冠した条例を制定し、指針を定め、各種施策に取り組んでいることは、神奈川県を高く評価するところでありますが、国の経営安定策は、米、麦、大豆などの特定5品目について、認定農業者等を対象と限定して、一定の面積以上の経営を行う農家に補助対象を絞るものとしております。  本県では、一戸当たりの経営面積が小さいことから、限られた農地に施設栽培や観光農業などを導入して収益性を上げるような、小回りのきく農業のウエートが高く、経営安定対策については、本県農業の活性化には余り役立たないのではないかと考えております。私は、例えば、本県の米対策として、地産地消を目指し、食べる直前に精米をして販売をするきめ細やかなシステムを立ち上げることにより、銘柄米よりはるかにおいしく、安く県内産のご飯を食べる習慣を県民に定着させるなどの仕組みをつくる支援をするようなことが大切であると思っております。  今後、国の農政施策の「選択と集中」という考え方は、本県の主要な作物である野菜、果樹、花についても採用される可能性が高いと考えられます。小さい面積で農地が展開されている本県農業に大きな影響が及ぶのではないかと懸念しているところであります。  また、国の施策は、概してやや総花的であり、地域の実情にきめ細かく対応しにくいため、実効性が心配されるところであります。このような農政施策の中での都市農業の位置づけは、県内の若い農家や中核的な農家の方々の志気にも影響することが心配されます。890万県民のすぐ近くで営まれている都市型農業を推進するためには、県民のご理解をいただくことはますます重要になってくると思います。農家の方々が将来設計を描くことができ、意欲と誇りを持って農業を続けられるような県独自の活性化の取り組みを、県が農業者に示していくことが必要であると考えております。  本県では、都市農業推進条例に基づく都市農業の持続的な発展に関する指針として、「かながわ農業活性化指針」を位置づけたところですが、その内容は、農家の方たちにとっては、自分たちとのかかわりが余りよくわからないという声もあります。  そこで、知事にお尋ねします。  今後の本県農業の方向性などをわかりやすく示す、いわゆるアクションプログラムとも言うべきものとして、具体的な施策を示すことが必要であると考えますが、指針の見直しを含めて、今後どのように取り組んでいくのか、知事のご所見をお伺いいたします。  次に、大型直売センターの整備についてであります。  昨年末、県の支援により、JAさがみが寒川町に大型直売センター「わいわい市」をオープンすることができました。地域にこうした販売の拠点が整備されたことで、農家の方々にとっては、自分で生産した農産物の売れ行きを確認したり、自分で価格を決めて販売することができることなどから、農業生産に活気が出てきております。また、地域の消費者にとっても、新鮮な農産物が手に入るということで大変なにぎわいを見せており、売り上げも当初の販売目標を大きく上回っていると聞いております。こうした施設の整備に対する県の率先的な支援は、都市農業の情報発信の拠点としての役割や、地産地消など都市農業推進条例の理念に合致するものであり、一定の評価を申し上げたいと思います。  しかしながら、こうした効率的な稼働を支える裏側において、生産者に対し、品質の高い農産物の提供や、円滑に供給するための一定の要件が求められております。生産者の中には、栽培技術の習得が十分でないなどの理由から、こうした要件がクリアできない方も多くいると聞いております。より多くの方々が大型直売センターに参加できるよう、きめ細やかな対策を講じることで、出品者や出品物が増加し、大型直売センターが地産地消の拠点として、より一層活性化が図られることが必要と考えております。県内それぞれの農協では「わいわい市」などの優良事例を参考にしながら、地域の特性を生かした、特色のある直売施設をつくろうという動きが活発化していると聞いております。  そこで、知事にお伺いします。  このような地域の取り組みに対して、多くの皆さんが参加できるよう、農家の方々の意見も考慮しながら対応していくことが必要と考えられますが、今後どのように支援をしていただけるのか、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第3は、県民の自主防犯活動の充実と県の取り組みについてであります。  知事は、神奈川県の安全を取り戻すために、マニフェストに警察官1,500人増、専門能力の向上、交番相談員等の配置を挙げ、その後、警察力向上のための知事部局・警察本部連絡会議での検討を経て、平成19年4月までに警察官等の実質的な増員1,500名を目指すこととしました。これは、警察官、交番相談員などの非常勤職員や、県の職員を活用した「くらし安全指導員」、合わせて1,500人の増員を行うものであり、これまでに警察官720名、交番相談員の非常勤職員423名、くらし安全指導員は100名の増員を行っています。  一方、県では、平成17年4月に施行した「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり条例」に基づき、県民の防犯意識の向上や自主防犯活動の支援に力を入れ、県民総ぐるみの運動を展開し、多くの県民の皆様に自主防犯活動に立ち上がっていただいております。本年8月末現在、県の支援制度を受けて活動に取り組む自主防犯活動団体は、既に1,200を超えております。  こうした警察力の強化と、県民の防犯意識の高まりや自主防犯活動の展開が車の両輪となって効果を上げ、昨年1年間の神奈川県内における刑法犯の認知件数は約14万3,000件となり、これは前年比で約4万件、率にして22%の大幅な減少となり、認知件数、減少率とも全国第1位の減少幅となっております。  一方、刑法犯の検挙数は33.1%となり、前年比で7.7ポイントの改善幅となっております。このように本県の治安は、数字の上では着実に回復してきたと言えますが、しかし、平成元年の刑法犯認知件数が9万5,000件であり、これと比較すると、まだまだ開きがあり、また凶悪な事件や空き巣・ひったくり、振り込め詐欺などが繰り返し報道され、県民にとっては治安回復を実感するまでには至っていないのが現実だと思います。  このような状況を踏まえる中で、警察官や交番相談員の増員などによる警察力の強化ももちろん必要ですが、警察力の強化による治安対策がさらに効果を発揮するためにも、県民一人一人が、「自分たちのまちは自分たちで守る」という防犯意識をさらに高めることが重要です。自主防犯活動の機運を盛り上げ、県民総ぐるみで安全・安心なまちづくりに取り組んでいくことが大変重要と考えておりますが、犯罪のない安心して暮らせる地域づくりの実現に向けて、2点ほどお伺いいたします。  初めに、県民の自主的な防犯活動への評価についてお尋ねをいたします。私の地元でも、神奈川県の市町村防犯活動拠点設置事業補助金を受け、茅ヶ崎市がJR香川駅前に「さくらハウス」という自主防犯活動の拠点を設置し、また、地域では団体事業補助金を活用して自主防犯活動団体を立ち上げ、活発な活動が展開されています。しかしながら、団体によっては、その後の活動の維持費の工面等に苦慮されているというお話も聞いております。県としても、このような活動の実態を踏まえ、今後さらなる施策の展開を図っていくことが不可欠と考えております。  そこで、知事にお伺いいたします。  知事は、これまで県内各地で活動されている自主防犯活動の現場を数多く訪問されたと聞いておりますが、そうした現場視察を踏まえ、県民の自主防犯活動について、どのように評価をされておられるのか、知事のご所見をお伺いします。また、自主防犯活動に対するここ数年の県の施策をどう評価しているのか、あわせてお伺い申し上げます。  次に、自主防犯活動の支援についてであります。  先ほどもお話ししたとおり、県内各地で県民による自主防犯活動の機運が盛り上がりを見せております。地域の犯罪発生の抑止にも大きく貢献しているのではないかと受けとめているところであります。よって、こういった自主防犯意識の高まりを衰退させず、継続させることが非常に重要であると考えるのであります。しかし、現実的には地域の自主防犯活動を継続していくに当たっては、活動団体のメンバー構成や活動方法等さまざまな課題があり、今後、関係機関等による支援や指導が必要ではないかと感じているところであります。  一例として、先ほどの私の地元である茅ヶ崎市の香川自治会における自主防犯活動の現状についてお話しします。この自治会は約4,000世帯で、茅ヶ崎市でも最も大きな自治会であります。ここでの自主防犯活動は、先ほどお話ししました「さくらハウス」を拠点に約160名の自治会役員等の有志の方々が交代で、登下校時の子供の見守り活動や昼間における約2時間ぐらいのパトロール活動を続けております。  しかし、こうした活動を続けている中で、自主防犯活動のメンバーのほとんどが高齢者で、女性が約3分の1という実態であります。これからの冬の期間の活動や、要望の多い夜間の自主防犯活動には限界があるという声が多くなってきています。せっかく機運が高まってきた自主防犯活動でありますが、こうした、地域の声を聞くと、このままでは先細りになってしまうのではないかと危惧しているところであります。  そこで、こういった自主防犯活動を推進していく上でさまざまな不安を払拭し、さらに、自主防犯活動の意識を高めていくためにも、関係機関などからのさらなる支援や指導をお願いしたいと考えているところであります。例えば、防犯活動の専門的知識を有するような警察官OB等に、地域で自主的に防犯活動をしている方々が効果的なパトロールを実施するに当たり、同行しながら指導や支援をしていただくことができれば、より効果的ではないかと考えているところであります。  そこで、警察本部長にお伺いいたします。  防犯活動の専門的な知識や経験を有する警察官OBも視野に入れた上で、継続的に自主防犯活動に取り組もうとしている組織や団体に対し、警察として今後さらなる支援のあり方について、警察本部長のご所見をお伺いいたします。  以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。  ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 藤間議員のご質問に順次お答えをいたします。  初めに、緊急性のある河川整備について2点のお尋ねがございました。  まず、相模川の下流域の整備促進を要望している地元市町に対する県の支援、協力についてでございます。  相模川は神奈川の「母なる川」と呼ばれる、本県を代表する大河川であり、河口から約7キロメートル地点の神川橋を境にして、上流は指定区間として県が管理し、下流は直轄区間として国が管理しております。このような大河川は一度はんらんすると甚大な被害をもたらすことから、150年に一度の確率で発生するような豪雨に対応できるよう、国と県でそれぞれの区間について鋭意整備を進めているところであります。  このような中で、相模川の下流域の国直轄区間の堤防整備につきましては、整備率が左右岸合わせまして約6割という状況でございます。この区間の右岸の平塚市側は昭和57年の台風10号による溢水被害を契機に整備の進捗が図られておりますが、一方、議員のお話のありましたように、左岸の茅ヶ崎市側は、河川内に民有地が多いことなどから、整備が進んでいない状況にあることについては、私も認識をしております。  このため、地元市町では整備促進を図るため、議会や行政と住民で構成された相模川整備促進協議会を組織して、かねてから国への要望活動を行っていることについても承知しております。県におきましても、この区間の治水安全上の向上をぜひとも図る必要があるとの認識のもとに、毎年度の国への要望活動の中で整備促進を求めてまいりました。  一方、河川法の改正により、地域の意見を反映した河川整備計画制度が導入されたことから、相模川では新たに河川整備基本方針を現在国が策定中であり、これに基づく河川整備計画の策定に向けて、国と県とが連携して検討を進めております。この整備計画の中に、長年の懸案である、国の管理区間の堤防整備と良好な河川環境の保全について、しっかりと位置づけをしていただくよう、県も国に強く要望してまいりたいと考えております。  今後とも、引き続き、国に対して、堤防整備の進捗が図られるよう、さまざまな要望活動を通じて働きかけを強めていくことはもとより、地元市町への支援、協力の観点から、これからは、先ほど申し上げました、地元協議会と連携した要望活動を行ってまいりたいと考えております。  次に、県内の都市河川整備の今後の取り組みと、茅ヶ崎市内を流れる小出川、千の川の整備の進め方についてのお尋ねをいただきました。  まず、県内全体の都市河川の整備の取り組みについてでございますが、現在おおむね1時間に50ミリメートルの降雨に対応できるよう、河道改修や遊水地などの整備を鋭意進めております。この中でも、都市化の進展が著しく、過去に大雨で水害が発生した小出川を含む15河川については、都市河川重点整備計画である「かながわSafetyリバー50」に位置づけており、引き続き重点的な整備を進めてまいりたいと考えております。  次に、茅ヶ崎市内の小出川、千の川の整備についてでございます。  小出川は相模川合流点から約7.5キロメートルをSafetyリバー50に位置づけておりますが、事業効果が早期に発揮できるよう、特に河道が狭く治水上のネックとなっているJR相模線橋梁の改築を平成20年度完成を目途に進めるとともに、引き続き未整備区間の河道拡幅も進めてまいります。  また、千の川につきましては、上流部にある梅田橋下流右岸の未改修区間約300メートルで、長年の懸案となっておりました大規模な工場の移転交渉が解決したことから、この区間の整備により、全線の河道拡幅が完了いたしますので、早期完成に向け努力してまいりたいと考えております。  小出川、千の川の両河川においては、このように鋭意整備を進めておりますが、より一層の治水安全度の向上を目指して、今後、地元の市町や住民の皆様のご意見を伺いながら、遊水地計画も含めた新たな河川整備計画を、平成19年度を目途に策定する予定としております。  あわせて、減災という観点からは、住民の避難を円滑に行うための情報提供が大変重要であることから、今年の8月に浸水想定区域図を公表したところでございます。これをもとに、今後関係市町が避難場所などを記載した洪水ハザードマップを作成して、住民に周知することとなっております。  県といたしましては、小出川、千の川などを含めた都市河川については、昨今の異常とも言える豪雨に対応するため、整備促進をより一層図っていくことが重要であると認識をしておりますので、選択と集中による重点化を図りながら、治水安全度の向上に努めてまいりたいと考えております。  次に、本県における都市農業のさらなる推進についてのお尋ねをいただきました。  まず、県の施策を農家の皆様にわかりやすくお示しするための対応についてでございます。  県では、本県農業の持続的な発展を図るために、神奈川県都市農業推進条例を制定し、条例に基づく指針として、平成17年3月に策定した「かながわ農業活性化指針」を位置づけたところでございます。この指針では、本県の農業において、農地や農業就業者の減少傾向が依然として続いている中で、平成27年度における神奈川農業のめざすすがたとして、「活力ある農業」、「県民から支持される農業」、「環境に寄与する農業」を位置づけるとともに、主要農畜産物の生産努力目標を示しております。  また、これらの実現に向けて、今後10年間に取り組む重点的な施策として、「地産地消による農業の振興」、「安全で安心な農畜産物の提供」、「資源の有効活用による農業の振興」など、10の施策と区域別の取り組み方向を定めております。しかしながら、議員のお話にございましたように、この指針では、個々の施策の目標やその達成に向けたスケジュール等について掲げていないため、農家の皆様にとって具体的な取り組みがわかりにくいという面もあろうかと思います。  本県農業は、都市化の進行や高い地価などを背景に、農家の一戸当たりの耕地面積も産地の規模も小さいことなどから、少量多品目生産という特徴を持っております。このような特徴を持つ本県都市農業を持続的に発展させていくため、現在新たな総合計画づくりの中で、県としての新たな展開方策について検討しているところでございます。  今後は、消費者と生産者にともに喜んでいただける大型直売センターの整備、本県の農業生産を支える中核的な担い手の育成支援、さらには農業後継者の新規就労支援などに重点を置いて取り組んでまいりたいと考えております。  私といたしましても、農家の皆様の意欲につながるよう、こうした施策をよりわかりやすくお示しすることは大切であると考えております。このため、今後引き続き指針の内容を検証するとともに、重点的な施策について、取り組み内容、スケジュールなどをわかりやすくお示しする方策についても検討をしてまいります。  次に、大型直売センターの整備に対する支援についてのお尋ねをいただきました。  私も、今年の2月に、さがみ農協が県産材を活用して整備いたしました「わいわい市」をウイークリー知事現場訪問で視察してまいりましたが、野菜や花、加工品などの品ぞろえもよく、地域の多くの皆様に加えて、横浜など遠方からのお客様もあり、大変にぎわっている様子を目の当たりにしてまいりました。  このように消費者の方々から大変好評をいただいております大型直売センターは、県産農産物の県内消費を進めるためには非常に効果的であると認識をしております。野菜等の卸売市場で扱う荷が大口化したり、量販店との契約取引が増している中で、生産量が少なく、安定出荷の難しい県内の小規模な農家は、生産物の販売に苦慮している状況がございます。地域の大型直売センターは、こうした小規模な農家の方々にも生産物を販売する場を提供することができ、ひいては生産意欲を高める効果がございます。  しかしながら、消費者は大型直売センターに、新鮮さや、顔の見える安全・安心な農産物を求めており、個々の農家の中には、鮮度などの品質管理や一定の品ぞろえにこたえられず、販売に参加できない方が一部いることも事実でございます。そこで、今後の大型直売センターの整備に対する支援の考え方でございますが、まずはできるだけ多くの生産者の方々に参加していただけるよう、農業技術センターが中心となって参加農家のグループ化を進め、品ぞろえに必要な作付分担や品質向上など、技術的な指導に努めてまいりたいと考えております。  また、現在、大型直売センターは「わいわい市」を含めまして、県内に5カ所ございますが、地産地消を推進する拠点としては数が不足しており、県内にバランスよく計画的に整備することが課題であると考えております。現在、県内の幾つかの農協で大型直売センターをつくりたいというご意向がございますので、県といたしましては、立地条件、整備内容や生産体制を調整しながら、計画の具体化に向け支援に努めてまいりたいと考えております。  最後に、県民の自主防犯活動と県の施策の評価についてでございます。  昨年4月の「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例」の施行を契機として、県内各地で、県民の皆様による多彩な自主防犯活動が急速に広がっております。私自身、ウイークリー知事現場訪問などの機会をとらえて、防犯活動に取り組まれる県民の皆様に直接お会いし、また私自身もパトロールに同行させていただいておりますが、拍子木を使ったり、あいさつ運動とあわせて行うなど、さまざまな工夫を凝らして活動をされておりました。  私は、県民の皆さんが「自分のまちをみずから守る」という高い意識のもと、熱心に防犯活動に取り組んでいらっしゃることを肌で感じ、大変心強く思っております。昨年の刑法犯認知件数が47都道府県中、全国一の減少数、減少率になりましたことは、県民の皆さんによる自主的な防犯活動が大きく寄与しているものと考えており、改めて深く感謝申し上げますとともに、その活動を高く評価する次第でございます。  また、県の、自主防犯活動に対する支援施策についてですが、まず、より多くの県民の皆様に取り組んでいただくことが大切であり、県はその活動をサポートすることを基本として、さまざまな支援施策を実行しております。  そこで、これまでの支援施策の評価についてでありますが、立ち上げ経費を助成する団体事業補助金などの各種支援制度は1,200以上の自主防犯活動団体に利用されております。また、多くの県民の皆さんに、くらし安全指導員制度をご利用いただくとともに、県民フォーラムや「県内一斉防犯パトロール」などの普及啓発事業にご参加を得ており、県のこれまでの支援施策はおおむね有効にご活用いただいているものと受けとめております。  県といたしましては、これまでの支援施策に加えて、自主防犯活動の活性化が図られるよう、防犯活動のネットワークづくりや防犯情報の効果的な収集・発信、きめ細かな相談体制の整備、防犯活動の担い手の拡大を図る施策などについても検討してまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。〔警察本部長(井上美昭君)発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 井上警察本部長。 ◎警察本部長(井上美昭君) 藤間議員ご質問の、自主防犯活動団体に対する支援についてお答えをいたします。  県内における自主防犯活動団体は、昨年4月末には462団体が把握されていましたが、本年6月末では1,457団体と増加し、その活動もますます活発化しております。このような活動団体の中には、茅ヶ崎市内の「さくらハウス」や横浜市磯子区内の「洋光台防犯活動本部」など、活動拠点を中心として、防犯パトロールや子供の見守り活動等を積極的に行っている団体も多数あります。今後もこのような活動が地域に根づいていくことで、さらに地域の自主防犯意識が高まり、犯罪発生の抑止につながるものと考えております。  警察といたしましては、安全で安心なまちづくりには自主防犯活動の活性化が非常に重要であると考えておりますので、これまでも制服警察官を中心とした自主防犯活動の活動拠点への立ち寄りや合同パトロールの実施等を推進し、効果的な自主防犯活動要領のアドバイスや各種犯罪情報等の提供、意見・要望等の受理など、支援に努めてまいりました。  また、警察官OBによる活動に関しましては、OBに対しまして、我々警察からも協力依頼をしておりますが、警察官OBで構成された親睦団体等の方々が、小田原では地域の一員として登下校時におけるスクールゾーンを中心とした子供の見守り活動に従事していただいたり、相模原ではパトロール隊を編成し、防犯協会が所有する青色回転灯装着車両を使用した防犯活動を行っているなど、各種ボランティア活動に活躍をしていただいているケースもございます。今後も自主防犯活動の機運を高め、その活動の定着を図るため、制服警察官等による活動拠点への立ち寄りやパトロールへの同行、交番だよりや県警ホームページを通じた、各種犯罪情報等のタイムリーな提供などをより強化してまいります。  また、現在ボランティアとして活動していただいている警察OB団体に対し、その活動の輪をさらに広めていただけるよう要請するほか、警察職員である交番相談員による自主防犯活動への支援なども考慮に入れて、自主防犯活動が地域に定着するよう支援方策を進めてまいりたいと考えております。  県警察といたしましては、今後とも地域、行政との連携を一層深め、県民が安心して暮らせる地域社会の実現に向けて邁進してまいりますので、皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。  以上でございます。〔藤間明男君発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 藤間明男君。 ◆藤間明男君 自席からの発言をお許しいただきたいと思います。  知事並びに警察本部長、ご答弁ありがとうございました。  2点要望と1点だけ再質問といいますか、もう一度お聞きしたいことがあります。  まず、農業振興についてですが、県政モニターや県民のアンケートでも、「都市農業は必要だ」と回答して、そして「新鮮で安全な農産物を食べたい」と、こういう回答がかなり高い数値でアンケート結果として出てきています。つまり、県民は、まさに県の目指す地産地消に沿って、地元のいい農産物を食べたいんだと、こういうことであります。インベスト神奈川のように、県が熱意を持って取り組んでいけば、一定の成果が出るものだと私は思っております。企業誘致のように、費用対効果的な県税への見返りですとか、そういうことは農業に一生懸命いろんなことをやっても期待は低いんですが、今、県内農業が振興できるということは、890万県民が毎日食べる食卓に安全で安心で新鮮なものが出てくるということは、これはお金やそういう数値には換算できないものでありますから、ぜひ農業に対して、農業に従事している人たちが、先ほど知事からも言っていただきましたように、一層の意欲ですとか、誇りを持って取り組めるような、また将来設計、自分の次に息子にこういうのを譲りたいと思うような希望が持てるようなものを、ぜひ具体な策として示していただけることが、その農業の振興の柱ではないかと思います。機運は県内全体に高まってきていますし、県行政も十分農業の重要性は認識していただいているので、あとは現場を支えている人たちに、どう具体的にそれを理解してもらって取り組んでもらうかという段階だと思いますから、いろんな検討をしていただいているようですけれども、ぜひアクションプログラム的なものを検討していただければと、こんな思いであります。  また、これから新しい、多分県の西部地区だと思いますけれども、大型の直売所の整備がされると思うんですけれども、やはり各地に出てきたことは各地域の方がよく存じていると思うので、なるべくスピーディーにできるように、いろんな諸問題があると思いますけれども、ご努力をいただきますよう要望させていただきます。  次に、自主防犯活動についても要望させていただきます。  警察本部長、本当にありがとうございました。先ほど申し上げましたように、犯罪の発生の減少の率も全国一という数値を上げたということは、まさに警察関係並びに県行政の熱意と、また県民の高い意識に敬意を申し上げたいと思います。検挙率の向上も本当に現場で働く警察官のご努力にほかならないと思い、そのことにも敬意を申し上げたいと思うんですけれども、皆さん、数字を見ればわかると思うんですけれども、検挙率を上げるには、まず母数である刑法犯認知件数をどれだけ抑え込むかということによって、検挙率も当然、それ自身も上がるし、検挙率も上がってくるということにつながると思います。そういった意味では、やはり県民一人一人が、自分たちのまちは自分で守ると、こういう気持ちを持ち続けることが大事だと思います。発生の件数を抑えるには、私は自主防犯活動、知事からもお話もありました、大変いろいろ皆さん工夫されて、効果は高いものと思っておりますから、せっかく立ち上げたところは、今、県が十分な支援をしていただいて1,200以上のものが立ち上がってきているんですけれども、やっぱり、それを持続していくというのは、なかなかいろんな課題が出てくると思います。そういったことで、また新たな支援策、それを持続運営していくために地元基礎自治体と十分話し合い、協力して続けていっていただきたい。  また、先ほど交番相談員なども十分活用していいんだよというお話を県警本部長の方からいただきました。警察官OBの方がついていていただけるというのは、本当に素人が集まってやっているパトロール、やはり心のどこかには怖さもあり、恐怖もあるということでありますから、みんなが頑張ろうというときに、専門の方がそばにいてくれるだけで頑張っていこうという気持ちも続けられると思いますから、ぜひOBの方が、いつも出るというのは、なかなか人事とかいろいろ絡んで、制度とか絡んでくるんだと思いますけれども、また十分な検討をして、県民の気持ちの高まりがなくならないようにお願いしたいと思います。  最後の河川整備であります。  知事にも十分状況はご理解をしていただいているということはご答弁でわかりましたけれども、私の地元茅ヶ崎市側には、先ほど、2メートル以上浸水するところ、5平方キロなんですけれども、2万人以上の人が住んでいます。2万人以上といいますと、残念だった、阪神・淡路大震災の亡くなられた数の、4倍、5倍の方がそこに住んでいるという状況で、ハザードマップが出されて、そこが2メートル以上浸水するよということは、異常気象がここのところ続いておりますと、150年に一回というのがいつ起こるかわからないと、それで地域にそういうことがわかっているけれども、本当にあれは150年に一回なのかと、本当に5年に一回起きちゃうんじゃないか、こんな心配もしているところでありますから、こういう状況がわかっている中で、整備がおくれているということは、国が直轄で管理しておりますから、国も、何か、いざ災害が発生してしまったら、天災だったとは言い切れない部分も出てきているんだと思います。国の方も十分承知はしていただいているんだと思いますけれども、ここで想定図が発表されているということは、やっぱりそこに重要性だということでありますから、最後に、知事の取り組んでいく、地元自治体と取り組んでいただく、協力していただく決意をもう一度お聞かせいただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いします。〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 藤間議員の再質問にお答えいたします。  相模川の堤防整備に取り組む決意ということでありますが、ご承知のとおり、国においても、今年度も引き続きこの相模川の下流部左岸の茅ヶ崎市、寒川町においての堤防整備を進めていくというふうには聞いておりますが、この左岸側は右岸側に比べてまだまだ整備が進んでいないという状況がございますので、早期に整備促進を図る必要があることは十分認識をしております。したがいまして、早期に堤防整備の進捗が図られるように、先ほども申し上げましたとおり、河川整備計画の中にしっかりと位置づけていただくということとあわせて、何よりも地元市町と連携して進めることが重要であると考えておりますので、地元の協議会の皆さんと一緒になった要望活動も強力に進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。〔藤間明男君発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 藤間明男君。 ◆藤間明男君 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 △《本会議録-平成18年9定-20060922-026170-質問・答弁-小野寺慎一郎議員-代表質問①景観条例について②駐車対策について③自殺対策について④商店街の再生について》 〔小野寺慎一郎君発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 小野寺慎一郎君。〔小野寺慎一郎君登壇〕(拍手)〔議長退席、副議長着席〕 ◆小野寺慎一郎君 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら質問をいたします。  知事、警察本部長におかれましては、ぜひ前向きで明快なご答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚の皆様方には、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いをいたします。  質問の第1は、景観条例についてであります。  この9月定例会に、知事は神奈川県景観条例を提出されました。振り返りますと、平成16年2月定例会で、私は、議員となって初めての一般質問において、神奈川の景観形成施策について言及をさせていただきました。その後、同年9月定例会で知事は景観条例の制定を明言され、2年後の今、満を持しての条例案提出となったわけであります。  私は、まず、この景観条例についての質問から始めたいと思います。本県の条例は、国の定めた景観法を後ろ盾に制定されるものと承知をしております。しかし、この景観法は、都市計画法や建築基準法など、まちづくりについて従前より定められている法律のすき間を埋めるような法律で、必ずしも従来の法律に対し優位に立てるというものではありません。景色など二の次という我が国のまちづくりを改めることは容易ではないのです。  これまで自負と自信をもって土木・建設の現場を担ってきた行政当局や事業者にしてみれば、景観という要素が急に表舞台に出てきたことに戸惑いや不安もあったと思います。実際、条例の骨子素案をめぐる県土整備部の庁内調整会議では、理念条例に具体的な施策を入れる必要があるのか、今までの取り組みで十分ではないか、広域的な景観づくりは県条例がなくてもできるのではないか等さまざまな意見が出たようです。  また、骨子素案の段階では、条例前文があり、そこには神奈川の県土の自然的、歴史的、文化的特色や、経済性・効率性を優先し、無秩序な都市化の進行を許した結果、特色ある景観を破壊してきてしまったことへの反省などが書き込まれる予定でしたが、最近の神奈川県の条例では前文を書かない方向になっているとのことで見送られました。  それでも、県民にパブリックコメントを求める際には、条例のイメージを言葉にしておきたいという担当部課の思いがあり、骨子案では、条例の「趣旨イメージ」と題されて記載されました。もし、それがなければ、一般県民はこの条例をつくる意味を理解できなかったのではないかと思います。  初めに骨子素案を読んだときには、神奈川の特色に根差した、そして景観づくりに携わるさまざまな立場の県民等に目配りのきいた条例になるものと期待をしておりましたが、条例骨子素案から条例骨子案をつくる過程では、庁内調整や法務部局の意見などにもまれた結果、担当者から、「前回の骨子素案と比べるとすかすかとなって、何となく一歩後退してしまったイメージもある」という言葉が出たように、具体的な記述がそぎ落とされました。  また、骨子修正案には、新たに「都市機能と調和した景観」とか「地域の記憶」といった文言が入りましたが、条例案にはそのようなくだりは見当たりません。条文の用語に限界のあることは一定理解をいたしますが、県民が関心を持ちにくい方向に進んでしまったのは残念です。  条文も全12条と、他の都道府県と比べ格段に少なくなっています。余りに集約され過ぎたせいか、景観条例検討委員会に参加する有識者からも、「条例案はちょっと読んだだけでは内容がわかりづらい」と指摘を受けたようですが、私も同感です。ほかにも、「どこが神奈川県の条例なのかイメージしづらい」、「前文の内容が当然、条例の中に入るものと思っていた」、「趣旨イメージを目的とか理念のところに盛り込み、この条例により神奈川県がどういうスタンスで景観に取り組んでいくのか、もう少し踏み込んで、その姿勢を示していく必要がある」といった意見も寄せられたと聞いています。  条例を制定しているすべての都道府県を調べたわけではありませんが、東京都を初め、愛知県、滋賀県、岐阜県、北海道などでは、前文を設け、条例の理念をうたっています。本条例はあくまで理念条例であるという説明を受けていますが、なればこそ、県民の方々に、神奈川県の景観形成に対する理念を、わかりやすく、イメージしやすい形で伝えることが重要であると考えます。  県では、本条例に基づき、本年度内に景観づくりの基本方針を策定予定と聞いております。その土台となるであろう「神奈川県の美しい県土づくりに向けて(たたき台)」を読みましたが、さきほどの趣旨イメージや、検討委員会で指摘された要素も盛り込まれた力作になっています。しかし、この基本方針は議決案件ではありません。条例は骨だけにしておいて、肝心な中身については、審議会での検討も議会の議決も必要ない、庁内調整会議ですべて決められる「基本方針」にお任せというのは、この間の庁内論議の推移を伺う限り、不安を覚えざるを得ません。  そこで、知事にお伺いします。  本県の条例案には、本県固有の自然的、歴史的、文化的特性に係る記述も、現状への評価もありません。条例の前文で、神奈川ならではの景観への認識を示すなど、広く県民が理念を共有できる条例にすることが必要と考えますが、知事のご所見をお聞かせください。  また、本県のように県土の多くを都市部が占め、都市縁辺部や中山間地にまで開発の手が伸びている地域にとって、最も重要な景観形成施策は「景観の修復」であります。「世界一無秩序で醜い」と酷評される都市やその縁辺部の景観をどう修復していくのか、その観点が本県の条例案には見当たらないのであります。条文には、「良好な景観」という言葉が頻繁に出てまいりますが、私たちに今突きつけられているのは、良好でない景観、醜悪な景観を、良好な景観へと修復する姿勢を明確にすることなのであります。ちなみに、東京都の景観条例を見ますと、その第2条の1に、景観づくりの定義として「良好な景観を保全し、修復し、又は創造することをいう」と明確に書かれていますし、滋賀県の条文にも、景観形成の意義として「すぐれた景観に修復すること」が記されています。  知事にお伺いします。  本県の地域特性から、条文中に「修復」という語句は不可欠と考えます。県当局からは、「景観づくり」という語句の中に修復の意味も含まれているとの説明を受けましたが、それを県民の皆さんが理解できるのか疑問ですし、何より、そのようなことはきちんと明記しませんと、読む人によって条文の解釈に違いが生まれ、混乱を招きます。条例の中に修復という意図があるのであれば、そのように明記すべきと考えますし、基本方針にも、当然のこととして、修復という語句や、醜悪化した景観を修復する施策を盛り込むべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第2は、駐車対策についてであります。  去る9月14日の新聞報道でも、6月から始まった一部民間委託による駐車違反取り締まりを含む新制度が功を奏し、県内の路上駐車は63%も減少したとのことで、渋滞緩和などに一定の成果を上げたとされております。ところで、新制度の発足に際し、警察本部では、円滑な交通の流れを妨げる迷惑駐車には厳しい態度で臨む一方、路上駐車がさほど悪影響を及ぼさないケースについては、逆に規制を緩和するなど、めり張りのきいた取り締まりを行うとされておりました。しかし、県民の目からは、後者については明確な施策が見えないというのが率直な感想です。  そこで、私は提言を交えながら幾つか質問をしたいと思います。  まず初めに、パーキングメーターの利用時間拡大について伺います。パーキングメーターは、公道の「時間制限駐車区間」において、一定時間に限り有料で駐車が許可されるものと承知しています。その利用時間は、日中の道路の渋滞が予想される時間帯に合わせ設定されており、1回当たり「40分まで」、「60分まで」として、同じ車が長時間にわたって占有することなく、多くの人が公平に利用できるように配慮されています。このように、パーキングメーターは、混雑時の無秩序な駐車による渋滞を避けるために設置されたものであるため、利用時間外になれば、従前の公道と同じ扱いになり、大半の道路が路上駐車禁止区域に戻ることから、利用時間外の夜間などに取り締まりを受けてしまうケースが続出しております。  確かに、駐車禁止区域に駐車することは交通規則の違反ですが、市街地では店舗の営業時間などにかかわらず駐車スペースが不足しており、それが路上駐車の大きな原因の一つとなっています。夜間でもパーキングメーターの需要はあり、利用時間の拡大の検討が必要と思われます。そもそも、パーキングメーターの設置区間は、日中の道路混雑時でも駐車スペースとして活用でき、基本的に路上駐車を行っても交通の妨げにならない区間のはずであります。警察本部としては、交通規則を単に取り締まり強化で遵守させるのではなく、駐車スペースを確保して遵守させることも検討すべきであります。  そこで、警察本部長に伺います。  既存スペースの有効活用の観点からも、パーキングメーターの利用時間の拡大を早急に検討すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。  次に、福祉有償運送車両等に係る適用除外について伺います。  今年の6月に、道路交通法の改正に伴う新たな放置違法駐車対策の制度が発足して以来、いわゆる福祉車両の一時駐車について、より一層の配慮を求める声が私のもとに数多く届いております。高齢者や障害者の介護や送迎を支えているのは、介護保険の在宅サービスを行う社会福祉法人の福祉車両や、NPOなどの非営利法人の福祉有償運送車両であります。運送活動時には、運転者が、自身の運転する車両から離れて、要介助者の介助を行う場面を伴うことがほとんどであり、駐車スペースの足らない繁華街の施設では、路上駐車の必要が生じる場合が少なくありません。このような実情にかんがみ、神奈川県警察本部では、社会福祉法人やNPOなど、福祉関係の法人が所有する車両や介護タクシーについて、取り締まりの対象から除外していると承知しております。  しかしながら、介護が必要な障害者や高齢者を運送する場面では、法人所有の車両ではなく、その法人で働くスタッフ個人の所有する自家用車が使用されることが多く、実態として個人所有の車両の除外も必要となっている状況ですが、依然として、除外の対象とはされておりません。このため、例えば、訪問介護や移動サービスを行っている方々が、車両の進入できない路地の奥に住む利用者の介護や送迎を行っている間に、車両が取り締まりを受けるような事態が数多く生じているとのことで、わずかな報酬で活動に従事している有償ボランティアの中には、活動を敬遠する動きも出てきており、深刻な事態になっていると聞いております。  従来は、ボランティア団体などが自家用車を運行して料金を徴収することは、いわゆる白タク行為に該当するものとして、道路運送法違反とされてきました。しかし、バスや鉄道、タクシーなどの公共交通機関では移動が困難な方を運ぶ手段として、福祉有償運送が注目されることとなり、平成16年3月に規制緩和された結果、一定の条件のもとで認められることとなったのであります。  また、訪問介護や輸送など福祉の現場において、個人ボランティアの存在はますます重要度を増しており、これからの地域福祉の担い手として必要不可欠な存在となっています。こうした背景を勘案すれば、福祉有償運送車両は、法人・個人所有の別を問わず、取り締まりの除外対象とすべきと思われます。また、地域で保健福祉活動を進めている団体である歯科医師会からも、歯科衛生士が訪問指導等を行う際に、駐車禁止の対象からの除外を認めてほしいとの声が上がっております。  そこで、警察本部長に伺います。  個人所有の福祉有償運送車両については、目的外使用など不正が行われないよう一定の基準を設けた上で、取り締まりの対象外とすべきと考えますが、ご所見をお伺いします。また、歯科衛生士等が要介護者に行う療養上の健康管理指導や保健指導サービスについても、同じく一定の基準を設けた上で除外対象とすべきと考えますが、あわせてご所見を伺います。  ただいま、警察本部長に対し、取り締まる立場から主体的な配慮をお願いしたところでありますが、先ほど申し上げましたとおり、移動サービスや歯科衛生指導などに携わる方々の車両は、所有の法人・個人を問わず、今後の地域福祉になくてはならない存在となっています。一定の約束事を守ることはもちろんですが、県としては、地域保健福祉を推進する立場から、こうした車両を駐車違反の対象から除外できるよう、警察本部と十分な調整を行っていただきたいと思うのであります。  そこで、知事に伺います。  地域保健福祉を推進する観点から、福祉有償運送で利用される車両については、所有が法人であるか個人であるかを問わず、駐車違反の対象から除外するよう、警察本部と協議をしていただきたいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。  次に、県営住宅における駐車スペースの活用について伺います。  既存の県営住宅では、入居者の高齢化等に伴い、駐車場に空きスペースが生じている実態があります。しかしながら、制度上の使用資格が入居者または同居者に限定されているため、福祉車両の駐車スペースを確保できないと聞いております。また、今後、新たに建てかえる県営住宅におきましても、同様の理由から、そのような駐車スペースは設けられないとのことであります。  しかしながら、少子高齢社会が到来している今日、県営住宅の入居者による訪問介護などのサービスの利用が増加することは十分に想定されます。団地内の駐車場はもちろん、駐車場が設置されていない団地につきましても、団地内道路を歩行者の妨げにならないよう活用するなど、早急な駐車スペースの確保が望まれるところであります。また、県営住宅の近隣の町内会や商店会では、道路交通法の改正により、来訪者用のスペースの確保に苦慮しているところも多いと聞いております。  そこで、知事に伺います。  県営住宅におきましては、不正使用を防ぐ管理方法を検討した上で、入居者のために訪れた福祉車両などの駐車スペースを早急に整備すべきと考えますが、ご所見を伺います。また、県営住宅内の駐車場に生じた余剰スペースにつきましては、地域経済活性化の観点から、近隣の住民や事業者に対して有料で貸し出すことを検討すべきと考えます。駐車場収入の増加にもつながると思います。あわせてご所見をお聞かせください。  質問の第3は、自殺対策についてであります。  インターネットを活用した情報提供という観点から質問いたします。  我が国における自殺者数は、警察庁の統計によれば、平成10年以来、8年連続で年間3万人を超えており、これは交通事故による死者の4倍にも相当する数字であります。また、自殺未遂者は既遂者の数倍から数十倍とも言われており、官民を問わず、自殺者の減少に向けた取り組みが重要かつ緊急の課題になっています。  そうした事態を受けて、本年6月に自殺対策基本法が成立し、国、自治体、事業主、国民の自殺対策への責務が明らかになったところであります。また、総務省が平成17年に実施した「自殺予防対策に関する有識者意識調査」によれば、97.8%の専門家が、自殺予防に向けて現行以上の行政機関の取り組みの強化が必要と答え、さらに、約8割の専門家が、地域における住民向けの対策として、相談機関を活用するための情報提供の充実、相談体制の充実を訴えております。  そこで、私が考えるのは、インターネットを活用して、心に病を感じている人々や死を考えるまでに思い詰めている人々に対し、少しでも早く専門医を受診できるよう誘導することができないかということであります。知事は、平成16年9月定例会における自民党の森議員の質問に対する答弁の中で、「うつ病などの心の病を感じた場合、早めに専門の医療機関に見てもらうことも重要だと思います。しかし、まだまだ精神疾患に対する理解が進んでいないこともあることから、医療機関のとびらをノックすることにちゅうちょする方もいるようであります」とおっしゃっていますし、慶応大学保健管理センター教授で精神科医の大野 裕氏は、精神疾患を抱えながら、医療施設を受診する人が全体の3割にすぎないことが問題であると述べています。  私も、ある県民の方からご相談を受けたことがあります。その方のお子さんが何週間も思い詰めた様子で、精神的にも不安定な状態が続いており、心配ということでした。県の芹香病院をご案内したのですが、精神病院や総合病院の精神科はご本人に強い抵抗感がありました。あれやこれやと思案しながら、私はパソコンに向かい、「うつ」「メンタルヘルス」等の言葉を打ち込みました。検索の結果、多くのインターネットサイトに混じって、メンタルクリニックのホームページが幾つか表示されました。さらに、その方の居住地を条件として加え、絞り込んでいきます。結果として4軒のメンタルクリニックを選び出し、お伝えしたところ、こういう雰囲気ならばと、ご本人も納得して、その中の一軒に通院を始めたそうであります。もしかすると、精神的に追い詰められた人が救いの手がかりを求めて向かう先は、今の時代、インターネットなのかもしれないと思いました。  現在、神奈川県精神保健福祉センターのホームページに、県内の保険福祉事務所や諸団体にリンクできるボタンがあり、その中の一つに「神奈川県精神神経科診療所協会」のサイトがありますが、たどり着くまでのプロセスが多過ぎる感があります。一方、県内のいわゆるメンタルクリニックの中で、その協会に加盟している診療所は約3割にすぎないこともわかりました。協会とは別に、新たなインターネット上のネットワークをつくる必要性を痛感したところであります。  私は、昨年度、商工労働常任委員会で、勤労者のメンタルヘルスについて質疑をさせていただきましたが、その折に、インターネット上に精神・神経科や心療内科の開業医、いわゆるメンタルクリニックのネットワークをつくっていただけないかと申し上げました。「心の相談 神奈川県のメンタルクリニック」といったウェブサイトを立ち上げていただき、もちろん県のホームページや県精神保健福祉センターのホームページからもリンクできるようにします。  そこで、知事に伺います。  まずは、インターネットに救いの手がかりを求める人々が、神奈川県精神神経科診療所協会のサイトにアクセスしやすいよう、一例として、神奈川県精神保健福祉センターのホームページをリニューアルするなど、県として積極的な手を打つべきと考えますが、知事のご所見を伺います。  また、心に病を抱えてしまった人に対し、専門医を受診するよう誘導できる可能性を高くするため、さらに、県内のメンタルクリニックのホームページを集めたサイトの創設を、県として各診療所等に働きかけてはいかがでしょうか。あわせて知事のご所見をお聞かせください。簡単にアクセスできて、しかも多くのクリニックが集結するサイトがあれば、将来的には、それをもとに、県として精神保健福祉に関するポータルサイトに発展させることも考えられると思います。  質問の最後は、商店街の再生についてであります。  人材活用面からの県の取り組みについて伺います。  平成10年度に中心市街地活性化法、大規模小売店舗立地法、改正都市計画法のいわゆるまちづくり三法が制定され、7年が経過いたしましたが、依然として、いわゆる「シャッター通り」と化した商店街も少なくなく、必ずしも期待した成果が上がっておりません。そのため、今般、中心市街地活性化法と都市計画法の改正が行われたところであります。  改正法に基づく新しい制度を見ると、市町村が策定する中心市街地の基本計画については国が直接認定し、また、そこに国が支援していく形となっています。すなわち、改正まちづくり三法等に基づく中心市街地活性化策や商業集積施策は、一義的には市町村が主体となって行うということであります。  そうした中で、広域行政を担う県として、果たすべき役割は何かが改めて問われていると思います。今回の法改正によりTMOがなくなりましたが、旧まちづくり三法やTMOがうまく機能しなかったのは、法の中身やTMO構想自体の問題というより、まちづくり、にぎわいづくりを総合的にプロデュース、コーディネートする人材が不足していたためとも言われています。その反省を踏まえ、県は、人材面から、商店街再生を初めとする商業の活性化を支援していくべきであると考えます。例えば、県は商工会・商工会議所の経営指導員等の人件費として、年間15億円余りを助成しておりますが、この経営指導員等の業務の多くが、個々の商工業者の相談や記帳指導に割かれているというのが実態のようです。せっかく多額の県費を投入しているのですから、この経営指導員等のスキルアップを図り、商店街の再生を担う人材として活用する方策を、県として検討すべきではないでしょうか。  また、深刻な低迷状態にある商店街に対しては、大企業の経営再建によく見られるような大胆な手法も必要となってくると思われます。その場合、地元の利害関係や過去のしがらみにとらわれることなく、これまでとは全く別の視点から、客観的に商店街を見ることができる人材が必要となります。企業経営や商業活性化に関する専門的な知識やノウハウを持ち、商店主の方々を啓発しながら盛り立てていけるような、いわば「商店街再生請負人」とも呼べる人材です。そのような人材の発掘とネットワークづくりに、今こそ県として取り組み、商店街再生に活用できる態勢をつくるべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  今後、商店街の振興を図っていくためには、地域の身近な人材である商工会・商工会議所の経営指導員等のさらなる資質向上を図った上で、商店街再生のために活用することが有効と考えますが、県として、どのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。また、広域行政を担う県として、商店街の再生を担い得る専門的な人材の発掘と活用を推進する必要があると考えますが、あわせてご所見をお伺いいたします。  以上で、私の第1回目の質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 小野寺議員のご質問に順次お答えをいたします。  初めに、今回提案している神奈川県景観条例案について、2点ほどお尋ねをいただきました。  まず、条例の構成や規定の内容に関してのお尋ねでございます。  本条例案の取りまとめについては、県では有識者等から成る景観条例検討委員会に検討をお願いし、県民意見募集での意見も踏まえながら、本年3月に報告を受け、今回提案することといたしました。そうした経過の中で、条例案が現在お示ししている構成となった理由は大きく2点ございます。  1点目は、本県の市町村の多くは、従来から自主条例を定めて、積極的に景観行政に取り組んできた経緯があり、現に全国トップの18市町が景観法に定める景観行政団体となるなど、他の都道府県と比べても景観行政への旺盛な意欲と実績をお持ちであります。そこで、景観法に基づく規制誘導方策については、市町村の条例にゆだねることといたしました。  2点目に、そうした市町村の自主的な取り組みをさらに発展させ、地域における景観行政は身近な市町村が取り組むことが大変重要であると考えております。そこで、県の役割は、市町村を支援し広域的な調整を図ることという基本姿勢のもとに、県条例においては、県域における景観行政の基本的な枠組みを示すことといたしました。  この結果、県条例案は、景観づくりの基本理念や基本方針の策定、推進体制の整備、市町村、県民等に対する支援など、ポイントとなる事項を簡潔に提示する構成とし、細部にわたる内容については、条例に基づく基本方針に記述することといたしました。  神奈川ならではの景観行政を進める上で、県域の景観の特性に対する認識を幅広い県民が共有することが重要でございますので、基本方針の中できちんと記述していくなど、条例と基本方針を一体のものとして、景観行政を進めていきたいと考えております。  次に、「修復」の考え方や施策を盛り込むべきではないかとのお尋ねがありました。  県条例では、景観づくりを「諸条件に配慮しつつ、県土の良好な景観を形成すること」と定義しており、良好な景観の形成には、保全、創造、再生、そして修復などの要素が含まれていると考えております。加えて、神奈川の県土の多様性を考えますと、例えば自然豊かな地域と都市化の進んだ地域によって、保全、再生等いずれを重視するのかは市町村の考え方によりますので、条例案では広域的視点から包括的に「形成」と表記したものでございます。  次に、基本方針に、景観を修復するための施策を盛り込むべきとのお尋ねでございますが、景観の保全、創造、再生、さらに修復の基本的な考え方については、基本方針の「景観づくりに関する目標」や「景観づくりに関する施策の基本となる事項」の中に位置づけることを検討しております。なお、基本方針については現在策定中ですが、素案がまとまった段階で県民意見募集を行うとともに、市町村などから幅広いご意見をいただいた後、今年度中に策定したいと考えております。  次に、福祉有償運送車両に係る駐車禁止の適用除外についてのお尋ねをいただきました。  だれもが、住みなれた地域で生き生きと自立した暮らしを送るためには、介護を必要とする方々への保健福祉サービスの提供や社会参画に向けたサポートが重要であると考えております。福祉有償運送の状況でございますが、本県では、多くのNPO法人等が移動サービスを実施しており、道路運送法の許可を得た法人は、本年7月末現在で153団体、車両数は約1,400台に上っております。高齢者や障害者などの、移動に制約のある方々にとって、通院や施設への通所、買い物などで、移動サービスはなくてはならないものであり、地域におけるこのような支え合いの活動が円滑に行われることが求められております。  駐車禁止の取り扱いにつきましては、一部の法人で法人所有の車両について駐車禁止の除外許可を得ているところもあると聞いております。このため、個人所有の車両の扱いにつきましても、移動サービスの実態や現場の状況を警察本部によくお伝えし、地域福祉の推進という観点から対応をご相談してまいりたいと考えております。  次に、県営住宅の駐車場に関して、2点お尋ねがございました。  1点目は、県営住宅における福祉車両の駐車スペースの確保についてでございます。  県営住宅におきましては、団地にお住まいの皆様の利便性の向上などを目的に、駐車場の整備に取り組んでおり、これまでに全団地の4分の3に当たる団地で約1万3,000台分を整備してまいりました。しかしながら、高齢化の進展など、入居者の変化に伴い、駐車場のありようについて見直しが求められてきております。  議員のお話にもありましたように、入居者が高齢化し、訪問介護などで福祉関係者や入居者の近親者が県営住宅を訪れる機会が増加しております。こうした状況の中で、団地内に福祉車両などの駐車場がなくて困るといった、知事あての「わたしの提案」も届いており、早急に対応を図るべきものと受けとめております。  そこで、本年3月策定の「神奈川県県営住宅ストック総合活用計画」に、福祉車両の駐車スペースの確保を位置づけたところでございます。今後、制度面や具体の整備・管理方法等検討を深めるべき内容もありますが、福祉車両などの駐車スペースの確保について、できるだけ早い時期に方向性を定め、調整のできた団地から順次実施してまいりたいと考えております。  2点目に、県営住宅の駐車場の余剰スペースを近隣の住民等に有償で貸し出してはどうかとのお尋ねがございました。  一部の県営住宅におきましては、入居者の高齢化等の理由により、駐車場の空きスペースが目立っている事実もありまして、どのように活用していくのかが課題の一つであると認識をしております。今後、駐車場の空きスペースについては、団地入居者の駐車場利用の動向を見きわめ、入居者や周辺地域の皆様のご意見も伺いながら、どのような有効活用が望ましいのか、十分検討を重ねてまいりたいと考えております。  次に、自殺予防対策におけるインターネットの活用についてのお尋ねがありました。  県といたしましても、自殺対策は大変大きな課題と受けとめているところであり、従来からうつ病等に対する心の健康づくりに取り組んでまいりました。また、本年度から、これまでの取り組みを発展させ、県民に対する自殺予防講演会や相談機関等の関係者に対する自殺対策の研修会を開催するなど、自殺予防に関する理解の普及啓発に努めているところであります。  また、自殺は多くの社会的要因が背景にあると言われていることから、本年、自殺対策基本法が成立したことを機に、健康、経済、法律問題等さまざまな角度から自殺予防対策について連携を図るため、その準備も進めているところであります。  また、自殺予防と医療との関係については、県民が精神科医療機関の情報をみずから取得し、選択するなど、気軽に受診できる環境づくりが重要ですので、議員ご指摘のとおり、簡単に医療機関を検索することのできるインターネットは大変利便性が高いと考えております。県の精神保健福祉センターのホームページからも、精神科医療団体のホームページを検索することができますが、そこに至るまでのプロセスがわかりづらいなど課題もございます。そこで、県といたしましては、精神保健福祉センターのホームページを改善し、メンタルクリニックを含めた精神科医療機関の検索がしやすいようにするなど、利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。  また、議員ご提案の各診療所によるホームページを集めたサイトの創設につきましては、精神科医療団体に対し、機会をとらえ働きかけてまいりたいと考えております。  最後に、商店街の再生についてのお尋ねをいただきました。  まず、商工会、商工会議所の経営指導員を商店街再生のために活用することが有効であるとのご提案をいただきました。これからの商店街につきましては、単に物を売るというだけではなく、地域の方々に対してさまざまなサービスを提供するという視点が、活性化に向けたポイントであり、その実現のための重要な要素の一つは人材であると考えております。  商工会・商工会議所の経営指導員は、個々の店舗の経営相談に応じる中で、地域の実情を把握しております。ご提案にありましたように、こうした経営指導員が、まちづくりや地域づくりの視点から、商店街の課題解決に取り組むことは、より効果的な人材活用策であると考えられます。  県では、中心市街地活性化の情報交換の場として、TMO研究会を設けて、商工会・商工会議所とさまざまな意見交換を行っておりますので、今後このような場において、それぞれの商店街の実情に応じた取り組みができるよう、経営指導員の資質の向上と活用についても提案してまいりたいと考えております。  次に、商店街の再生を担い得る専門的な人材の発掘と活用についてでございます。  県では、これまでも商店街振興のためのアドバイザー派遣制度を設け、イベントの開催や商店街施設の整備計画、空き店舗活用など、さまざまな取り組みに対して支援を行ってまいりました。しかしながら、商店街に期待されている役割がますます多岐にわたっている中にあって、商店街活性化の計画づくりからその実施に至る一連の取り組みについて、より総合的な支援を行うことが重要になっております。そのような支援を行うためには、さまざまな分野ごとの専門家が求められるとともに、これらを取りまとめる中核的な役割を担う人材も必要であると考えております。  そこで、地域の実情や求められる解決策も多様でありますので、地域の商店街団体や市町村のご意見を伺いながら、専門的な人材の発掘と活用の方策について検討を行い、商店街の再生を初め、広く活性化に結びつけてまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。〔警察本部長(井上美昭君)発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 井上警察本部長。 ◎警察本部長(井上美昭君) 小野寺議員ご質問の、パーキングメーターの利用時間の拡大についてお答えをいたします。  パーキングメーターの運用時間につきましては、その設置目的が短時間駐車需要のための施設であることから、一般の商店、会社等の営業開始、終了時間、利用時間等を考慮して、午前8時から午後8時までとしております。  議員ご指摘のとおり、パーキングメーターの設置区間は、基本的には他の交通の妨げにならない区間に設置をしておりますので、午後8時以降の開放も可能であると考えております。そこで、夜間の路上駐車による他の交通への影響が少ないと認められる横浜市中区の伊勢佐木町商店街や保土ケ谷区の天王町商店街など、一部の地区につきましては、既に午後8時以降の駐車禁止規制を解除し、利用者の利便性の確保に努めているところであります。  しかしながら、伊勢佐木町福富地区や関内地区のような飲食街については、飲酒運転の発生源になる可能性が高いなど、その環境や特性から夜間の開放ができない地区もございます。したがいまして、今後におきましても、地域の駐車実態及び特性等を勘案するとともに、地域住民の意見を聞きながら、その都度、個別に検討してまいりたいと考えております。  次に、個人所有の福祉有償運送車両の駐車禁止除外指定についてお答えをいたします。  議員ご指摘のとおり、介護タクシーにつきましては、公益性、社会生活上の必要性から、本県では、全国に先駆けて、自治体と委託契約を結んでいるタクシー会社の保有する介護タクシーであれば、駐車禁止除外指定の対象としております。しかしながら、個人所有の福祉有償運送車両につきましては、許可対象者の推計もなされていない段階でありますことから、知事部局を初め、関係者、関係機関の意見を幅広く聞くとともに、全国的成立を期すことにも配意しながら、その対応について検討してまいりたいと考えております。  次に、歯科衛生士等が行う居宅療養管理指導に使用する車両についてであります。  現在のところ、歯科衛生士や薬剤師等が要介護者等の居宅を訪問して行う療養上の健康管理指導や保健指導サービスに使用する車両につきましては、駐車許可の対象としておりません。しかしながら、介護対象者が増加し、居宅療養管理指導が強く望まれている状況を踏まえ、前向きに検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。〔小野寺慎一郎君発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 小野寺慎一郎君。 ◆小野寺慎一郎君 知事並びに警察本部長におかれましては、ご答弁ありがとうございました。  まずは景観条例に関してなんですけれども、神奈川県は都市部もあって、山間部もあって、なかなか修復とか、再生とかという言葉が当てはまるところ、当てはまらないところがあるというお答えだったんですけれども、これは中山間部におきましても、さまざまな形で景観というのは損なわれているのが現状でございまして、やはり、「修復」「再生」という概念は、きっちりと特出しをすべきであるというふうに私は思いますので、また今後ご検討いただきたいというふうに要望をしておきます。  また、福祉有償運送車両につきましては、個人所有のものに関して、何とか駐車違反の除外とはならないだろうかということでお尋ねさせていただいたんですが、警察本部長からも、知事からも、大変当たりさわりのないご答弁をいただきました。実はこれを論議している間というのは、この問題は大変重大な問題だというふうに私も考えざるを得なくて、例えば警察からすれば、総量の問題があるということもあります。あと、許可の出し方によっては県民、市民の間に不公平感が生まれるということもあって、大変難しい問題なんですね。でも一方で、草の根の地域福祉、これからどうするんだという問題もあって、本当にこれは悩ましい。有償ボランティアというのは、本当によく言ったもので、神奈川県の最低賃金を下回る報酬で皆さん頑張ってくださっているんですよ。そういう、草の根でこれから地域の福祉を支える、言ってみれば、住民相互扶助みたいな、そういう形をこれからどうやって成立をさせていくかと、本当にこれは大変難しい問題で、私もいろんなお話を聞くと、その都度板挟みになるんですね。知事も警察本部長もこれから板挟みになっていただいて、ぜひ悩んでいただきたいと思います。本当にこれは重い問題ですので、改めてそれは申し上げておきたいというふうに思います。  あと、メンタルクリニックに誘導するインターネットサイトの問題、これは神奈川県の精神保健福祉センターのホームページをリニューアルしていただくということで、それは大変期待をしております。  あと、例えば精神科のお医者さんたちにご協力をいただいて、メンタルクリニックが集結するサイトをつくっていくということに関しては、ご協力をいただくということしか県としてはできないと思いますから、なかなか難しいとは思うんですけれども、私としては、先ほど質問の中でも触れさせていただいたんですけれども、県による、精神保健福祉のポータルサイトを、将来的にはつくることまで考えていいのではないかと思っています。うつですとか、例えば不登校の問題でありますとか、例えば職場のストレスだとか、介護のストレスですとか、さまざまな問題がありますから、そういう県民からの悩みを受けとめていく、そういうサイトがあってもいいのではないかと思いますので、これはなかなか精神神経科、心療内科のお医者さんたち、診療所に働きかけていくというのも難しい課題ではあると思いますけれども、ぜひこれも積極的に行っていただきたいというふうに思います。  また、最後の商店街再生の問題、これに関しましても、やっぱり市町村はなかなかできないです。県は、何かというと、市町村主体でという、それも大変大事なことなんですけれども、そういう人材の発掘ですとか、ネットワークをつくっていくというのは、広域自治体ならではの課題だと思いますから、しっかりこれも取り組んでいただきたいというふうに要望をさせていただいて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。 ○副議長(新井敏二郎君) お諮りいたします。  この際、休憩いたしたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(新井敏二郎君) ご異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は15分後といたします。                  午後5時5分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-平成18年9定-20060922-026171-質問・答弁-小山和洋議員-代表質問①少子化問題について②食の安全について③食育について④児童虐待について⑤命の尊さの教育について⑥子どもの学力低下について》                   午後5時30分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共76名 ○副議長(新井敏二郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(新井敏二郎君) 質問を続行いたします。  小山和洋君。〔小山和洋君登壇〕(拍手) ◆小山和洋君 議長のお許しをいただきましたので、私は自由民主党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問させていただきます。  知事並びに教育長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願い申し上げます。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。  さて、平成7年、初めて歴史と伝統ある神奈川県議会の議員に当選させていただいてから、今日まで、私は「仁智勇」、つまり「徳と知恵をもって勇気ある決断をし、実行に移す」ことを政治信条に、神奈川県の発展と県民生活の向上を願い、活動してまいりました。振り返りますと、平成7年は阪神・淡路大震災が発生した年でありました。また、地下鉄サリン事件が起こった年でもありました。その夏には、日照りが続き、水不足に見舞われた年でもありました。  特に、阪神地区を襲った大震災は死者6,400余人、重軽傷者4万人を超えるという人的被害が生じ、建物被害や火災発生に加え、鉄道、高速道路を初めとする公共土木施設、電気、ガス、水道などのライフラインにも甚大な被害が及びました。被災された地域は、その後の懸命な復興作業により、今日までにおおむね復興をなし遂げましたが、発生から十余年が経過した現在も、災害復興住宅などにおける被災高齢者の方々への支援や、被災市街地の復興や、まちのにぎわいの復活など、引き続き、被災者対策のフォローをしていく必要があると伺っております。  本県では、この震災を教訓として、今日まで地震防災対策を最優先課題と位置づけて取り組みを進めてきたことは承知しております。万が一の災害の際、県民生活の安全・安心を真っ先に守る役割を担っているのは市町村であります。そのため、県内法人の皆様にご理解をいただき、超過課税を財源として、市町村の地震防災対策に対する補助制度を創設いたしました。これまでに、市町村が地域の特性に応じて実施する災害発生時の救助・救急、消火活動体制の充実や県民の防災活動の支援、さらには避難対策などに対し延べ200億円に及ぶ補助を行い、地域防災力の強化を緊急的に図ってきたことは高く評価するものであります。  次に、本県の財政運営を振り返りますと、平成7年当時はバブル経済が崩壊し、その後、数次にわたった経済対策によっても目に見えた景気回復に結びつかず、県税収入は低迷し、財政運営の必要から大量に発行した県債の償還が、その後の大きな歳出圧迫要因となっておりました。この年に就任された岡崎前知事は、こうした厳しい財政状況の中で、卓抜した見識を持って、3つの10%目標を初めとした中長期的視野に立った行財政改革を断行するとともに、あらゆる方策を駆使して、「財政再建団体転落」という、恐らく本県始まって以来最大の危機を回避したのであります。そして、その後も徹底した行財政改革を継続し、目標を大幅に上回る成果を上げてきたことは評価したいと考えております。  我が国は、小泉総理の強力なリーダーシップのもとで構造改革を断行し、産業界はもとより国民の英知と努力をもって、長く苦しかった景気の低迷を脱し、現在ようやく景気の回復基調がはっきりとしてまいりました。県税収入も3年連続して増収が見込め、平成18年度当初予算では、平成10年度以来8年ぶりに1兆円を超える計上ができたところであります。この財政厳しい時期を議員として過ごしてきたことから、こうした機会を迎えることができ、感慨ひとしおのものがあります。当局には、この機会を逃すことなく、本県財政の健全化をさらに推進するよう求めたいと思います。  さて、これまでのおおむね12年間を思い起こすとき、ただいま申し上げましたように、施策の充実もありました。また、試練からの脱却もありました。しかし、一方で憂慮すべき社会問題も顕在化しております。  私は、その最たるものが、次代を担う子供たちをめぐる諸課題であると考えております。日々、子供たちに関する事件・事故などが報道されない日はありません。少子化、児童虐待、少年の非行や犯罪などといった報道に接するたびに、このままでは一体この国や神奈川の将来はどうなってしまうのか、言いようのない危機感を覚えるのであります。本日は、私のこうした危機意識をもとに、次代を担う子供たちをめぐる課題について、質問をさせていただきます。  最近、子供の数が減っていることを強く実感するようになりました。本県では、昭和45年から55年ごろには、県民の4人に1人が14歳以下の子供で、まさに「県立高校建設100校計画」に象徴されるように、子供の数の増加に対応した取り組みが求められていた時代でありました。しかし、昨年は割合が7人に1人まで低下し、子供の出生数も減少傾向が続いています。そして、本年6月、厚生労働省は、昨年の日本の合計特殊出生率が過去最低の1.25人となったことを発表し、日本中に1.25ショックが広がったところであります。本県については、これをさらに下回る1.17人であります。  こうした、合計特殊出生率が一向に下げどまらないことがクローズアップされたことから、少子化対策を強化すべきであるという議論が、国や地方自治体で高まっております。7月に閣議決定された「骨太の方針2006」にも、少子化対策は国の基本にかかわる最重要政策課題であるとの認識のもと、子供の成長に応じた総合的な子育て支援策と働き方の改革を推進することが盛り込まれたところであります。  少子化の要因はさまざま指摘されております。結婚年齢が高くなり、また結婚しない人がふえ、そして、結婚しても子供を持たず、自分や夫婦の生活を重視する方もふえたと聞きます。さらに、働く女性の出産や子育てを支援するシステムが社会全体で十分整っていないという指摘や、出産や子育てにかかる多額の経済的負担も要因とされています。  これらのうち、行政が責任を持って施策を実行する分野はもちろんあります。また、社会システムを改善する必要もあると考えます。そのため、これまで、国、地方自治体ともさまざまな施策を展開し、この問題に取り組んできたのであります。しかし、残念ながら、こうした行政の施策だけでは問題は解決しない。少子化の問題は、それぞれの県民、国民が人生をどのように過ごすかという、個人の心情にかかわる問題でもあるところに、解決の困難さがあります。  だからといって、このまま下げどまらない状態が続けば、神奈川や日本の将来が危機的な事態に陥ることは避けられません。幸い、神奈川県は社会増に支えられて子供の数も増加しており、人口減少に転じるのはまだ先と予測されています。とは言っても、人口減少に転じる時期は確実に迫っており、さらに都市圏の高齢化は、今後非常に速いペースで進むと予測されております。高齢者を働く世代で支えるという社会保障システムの存立が揺らいでいると思うのであります。  そこで、知事に伺います。  深刻さを増している少子化問題について、知事はどのように考え、今後どのように対応していこうとしているのか、基本的な認識を伺います。  さて、少子化対策は、国全体の取り組みとしても、ぜひ前向きに進めてもらいたいと考えておりますが、単に出生率の低下を食いとめる、あるいはさらに一歩進めて、子供の数をふやすことばかりに目を奪われていては、真に我が国の、そして本県の将来を担う人づくりができるのか疑問であります。重要なことは、明日の神奈川や我が国の将来を担っていく人づくりの基本的スタンスをしっかりと持って、対策を講じていくことだと思います。  そこで、次は人づくりに関して伺います。  まず、人をつくり育てる上で、基本となる食べ物についてであります。  栄養のバランスを考え、規則正しく食事をとることによって、初めて元気な子供を生み育てることができ、子供の健やかな成長のためにも、安全な食べ物は欠かせないものです。しかしながら、最近は、食べ物そのものの安全性を問われる事件が頻繁に起こっています。食品添加物の問題はもちろんですが、BSE問題に象徴されるように、食材そのものに原因があって、知らない間にそれを食べている大人と子供、さらには胎児にまで悪影響が及ぶという事態が起きています。また、遺伝子組み換え作物のように、将来どういう影響があるのか、または影響がなく安全なのか、いまだに判明していないものもたくさんあります。さらに、野菜や果物の残留農薬や抗生物質を投与されて育った家畜の安全性も心配されるところであります。  こうした食の安全については、県民には判断することが極めて難しいのであります。安全と信じて食べているうちに、いつの間にか、自分自身の健康を損ねたり、生まれてくる子供に影響があっても、事前にはわからず、それが判明したときにはもう遅いのであります。  現在、本県では、総合計画に「地産地消による農林水産業の振興」を掲げ、地域の特産物を初め、新鮮な農林水産物を身近な直売施設で県民に提供するよう取り組んでいるところですが、昔、食物の産地が消費地からすべて見えたように、県内で県民が必要とする食料をすべて自給することはできません。したがって、どうしても他県産地、さらには輸入食材の利用を避けることができない状況であります。  ちなみに、農林水産省の統計では、平成17年度の日本人の食べ物はカロリーベースで6割が輸入品であり、食料自給率は主要先進国では最低水準となっています。こういう時代だからこそ、県民、特に子供や若い人たちが食する食材の安全については、行政が一定の役割を果たし、これを確保していくことが求められていると思うのであります。  本県においても、神奈川県食の安全・安心県民会議が設置され、生産者・消費者と行政がともに取り組みを進めてきたことは承知しておりますが、食の安全は現在だけでなく、次の世代や将来生まれてくる子供たちの健康を守るために必要な極めて重要な課題であるという認識に立つことが大切だと考えるのであります。  そこで、こうした食の安全の問題について、県としてどのように認識し、将来に禍根を残すことのないようにするためにどう取り組むべきと考えているのか、知事の所見を伺います。  次に、人づくりに当たって、食の安全と同様に重要なのが、人間として生きる上での基本となる食育であります。食育に関しては、昨年7月に「食育基本法」が施行され、本年3月に、国により「食育推進基本計画」が策定されました。この中で、都道府県にも食育推進計画を策定するよう求め、国を挙げて、国民運動として食育に取り組むこととしています。  本県でも、平成20年度までに食育推進計画を策定するよう、現在取り組みを進めているところでありますが、計画の策定に向けて、最も重視していただきたいと考えるのは、家庭が果たす役割であります。申すまでもなく、家庭は子供を産み育てる場として、人づくりの土台を担っているわけですが、家庭生活の中でも、食生活は基本中の基本と言っても過言ではありません。ところが、最近の家庭での食生活につきましては、例えば、「おふくろの味」は袋詰めのレトルト食品をフルに活用する「袋の味」ではないかと言われたり、朝ごはんを食べずに登校し、学校で気分が悪くなる子供もいるとのことで、大変憂慮すべき状況があると考えています。こういったことから、国の食育推進基本計画でも、国が取り組む施策の第一に、「家庭における食育の推進」を掲げているものと理解しています。  そこで、知事に伺います。  今日の家庭における食生活の現状についてどのように認識し、食育について家庭が果たす役割を食育推進計画にどのように位置づけていこうと考えていられるのか、知事のご所見を伺いたいと思います。  次は、児童虐待についてであります。  再び、幼い子供の命が奪われる事件が発生いたしました。福島県で3歳の男の子が両親から十分な食事を与えられず、低栄養と肺炎で亡くなり、両親が保護責任者遺棄致死容疑で逮捕されたのであります。男の子の体重は、生後6か月程度の8キロほどしかなかったということであります。本年2月にも、この神奈川で生まれ、県内の児童養護施設で育った3歳の児童が、一時帰宅中に両親からの虐待によって短い命を閉じた事件が発生したところであります。本年4月に、地方裁判所の初公判がありましたが、その内容を聞き及んだところでは、両親は、最初は子供との生活を楽しんでいたようでありますが、わずか1週間でその新鮮味がなくなったと証言しているそうであります。そして、「しつけ」と称して暴行がエスカレートし、一時母親は「施設に返そう」と言ったということであります。こうした状況を見ると、子供が、命ある、とうとい存在、かけがえのない存在であるという意識が欠如していると言わざるを得ません。いっとき、自分たちを満足させるおもちゃのような意識しかないのではないかとすら思うのであります。  内閣府が7月27日に発表した2006年版「青少年白書」によれば、平成16年度中に全国の児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は3万3,000件を上回り、平成15年度との比較では25.7%の大幅な増加となったということであります。そして、この傾向は本県でも同じであります。私は、身体的暴力や、養育を全く拒否した無責任な態度など、我が子を虐待し、心身ともに傷つけ、時には親が命を奪ってしまう、このような事件が急増していることに、信じられない思いであります。子供たちにとって最も信頼し、心を許し甘えられる存在であるはずの親が、自分を傷つけ、苦しめる。しかも、子供には逃げるところがないのであります。不幸にもこうした境遇に陥った子供の心情を思うとき、私は深い悲しみを禁じ得ません。子供たちの健やかな成長を願い、時に子供に対し手を上げることもあるでしょう。しかし、子供を傷つけ、死に至らしめるような行為は、決してしつけなどと呼べるものではありません。一片の愛情もない暴力そのものであります。こうした行為が、周りから見えにくい家庭内で行われているため、手おくれになってしまうところに、事態を一層深刻にさせている要因があります。  しかし、悲劇を繰り返してはなりません。県においては、この事件を重く受けとめ、外部の第三者による事件の徹底的な検証を進められたと聞いており、本年6月7日に報告がまとまったとのことです。この報告書の内容には、事件の検証に加え、今回の事件をいかにしたら防ぐことができるかという視点での検証や、児童相談所の体制についても問題提起がなされております。今後は、盛り込まれた内容に適切に取り組んでいかれると思いますが、私は児童相談所の体制の充実・強化とあわせて、地域や関連機関との連携強化を図ることも大切と考えております。そのために、私は、今を生きる私たちには、子供たちの健やかな成長を支え、次代に送り出していく使命があるという意識を県民全体に広め、県民だれもが神奈川の子育て環境を整備し、虐待のない社会をつくっていかなければならないと強く思っております。  今、2007年問題が取り上げられていますが、団塊の世代の大量退職が間近に迫っています。高度経済成長を支えた世代の多くが地域に戻ってくるのであります。私は、これを好機ととらえたいと思うのであります。少子高齢社会にあっては、高齢者も地域活動を支える中心的な役割を担い、自助・共助の精神で、異世代問で互いに助け合い、補い合っていくことが必要不可欠です。高齢者が地域の子供たちにも目を向けると同時に、子供たちも地域の高齢者にかかわりを持ち、自分たちができることを手伝うという意識を育てていくこと、何かしてもらう喜びとともに、何かをしてあげる満足をはぐくむことも重要であると思うのであります。子育ての経験や育児不安など悩みを抱え込んでしまう保護者も少なくない中で、虐待を防止するためには、行政や高齢者も含めた地域が一体となって、子供たちを地域全体で見守り、健全に育てていくための仕組みづくりを県内全域に広げていく必要があると思うのであります。  そこで、知事に伺います。  児童虐待の早期発見と早期対応に当たっては、地域コミュニティーの視点が重要であると考えます。県として、地域コミュニティー醸成の観点から、市町村と連携し、虐待防止対策にどのように取り組んできたのか、また、これまでの取り組みを踏まえ、今後どのように進めていこうと考えているのか、知事の所見を伺います。  昔は、それぞれの家庭からは、元気な子供たちの声が絶えませんでした。そして、地域には年齢の異なる子供たちが一緒に遊ぶ声が響いていたものです。生活は苦しくとも、子供は家庭の中で、そして地域で、早くから世代問の交流を通じ、社会性を身につけていったのであります。しかし、今はどうでしょうか。兄弟姉妹はなく、近所に遊ぶ友達もいない。テレビゲームを初めとするひとり遊びが中心となり、社会性を身につける場がないのであります。親子の関係も希薄になりがちで、中には夕食も子供1人で済ませ、家族団らんは望むべくもないという家庭も多いと聞きます。  少年による凶悪犯罪は後を絶ちません。幼児の殺人事件、母校の小学校での教職員殺傷事件、ホームレス殺害事件、ひとり暮らしの高齢者や母・兄弟への放火殺人事件、写真店主殺害事件、そして先日は、北海道で16歳の少年が友人とともに母親を刺殺したとされる殺人事件が発生しました。それぞれ、これまで成育した環境に事情があったのであろうとは思いますが、しかしながら、こうも人の命を簡単に奪ってしまう心理は大変危険であり、深刻な社会問題であると考えております。人を殺傷しても、テレビゲームのようにリセットすればまたもとに戻るなどと、冗談かと思うような子供の話を耳にし、かえって、ここまで事態は深刻なのかと唖然とするのであります。  昔は、自宅で祖父母などの臨終を迎えたことがありました。幼いながらも、人生の終末を厳粛なもの、そしてもう二度と戻らない永遠の別れであるという現実を実感したものです。今は、核家族化も進み、しかも大半は病院において臨終を迎えることと思いますので、子供が身内の臨終に立ち会う機会はほとんどないと思われます。るる申し上げてまいりましたが、このような現代社会の実情を思いますと、命の重み、そしてとうとさを、教育の場で繰り返し取り上げ、子供たちの心に植えつけていく必要があると考えます。  そこで、これまで教育の場で、子供たちに命のとうとさをどのように教えてきたのか、また、現在の、少年による凶悪犯罪の実態を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、教育長の所見を伺います。  最後に、近年、危惧されている子供の学力低下について伺います。  子供たちが学校を卒業後、希望の進路を選択して、それぞれの能力や個性に合った仕事についていくためには、やはりきちんとした学力を身につけることが必要不可欠であると考えます。学力向上については、これまでもいろいろ工夫をして取り組んでいるところとは思いますが、小学校から中学校へと進むにつれて塾通いがふえる一方で、学校以外ではほとんど勉強しないという児童・生徒もいると聞いており、学力の格差の拡大が危惧されるところであります。  また、高等学校においては、高校の学習内容を教える以前に、小中学校の学習内容に立ち戻って教えなければならないというジレンマを抱えているという話も聞いております。教員によっては、その学力に沿って教えている人もいるようですが、それは大きな負担となっており、教育の悪循環となっているように思うところであります。  そもそも、平成14年度から実施されている現行の学習指導要領では、導入当初から授業時間数や指導内容の削減に伴い、子供たちの学力低下を懸念する声があったと聞いております。そうした懸念を裏づけるように、2003年に経済協力開発機構が高校1年生を対象として実施した生徒の「学習到達度調査」結果によりますと、我が国の学力は、全体として国際的に上位を保ってはいるものの、読解力については低下傾向にあり、世界トップレベルとは言いがたいという結果でありました。このように、学力低下が具体的なデータ上から明らかになっており、本県においても子供たちの学力向上を目指した取り組みが急務となっているものと考えるところであります。  この間、各学校がそれぞれ工夫して授業時間の確保に取り組んでいるということは承知しておりますが、小中学校は学びの場であり、学ぶべきことを学ぶという本来の機能を取り戻さなければならないと考えています。今年の2月議会で、教育長が、基礎学力の向上には小学校低学年からの基本的な事項の習得が重要であることを答弁されておりました。  そこで、教育委員会として、県内の小中学生の学力の低下に対し、どのような認識を持ち、どのような手だてを講じているのか、改めて教育長に伺います。  以上、次世代を担う人づくりについて質問をしてまいりました。私は、子供たちが健やかに育ち、将来に大きな夢と希望、そして意欲を持って巣立っていくことを切に願っております。そのためには、今、私たちが力を合わせ、人づくりに取り組んでいかなければならないということを改めて申し上げ、私の1回目の質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 小山議員のご質問に順次お答えをいたします。  初めに、少子化問題についての考え方とその対応についてのお尋ねがございました。  我が国の平成17年の合計特殊出生率は1.25と過去最低となり、この傾向が続くと人口減少が加速度的に進行し、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤にかかわる問題となると言われております。こうした認識から、国では、出生率の低下傾向の反転に向け、少子化対策の抜本的な拡充・強化、転換を図る方針を、去る7月に閣議決定したところであります。私もこの問題につきましては大変憂慮しているところであり、国の新しい少子化対策についての今後の具体化に向けた動向を注視しているところでございます。  一方、本県におきましては、新たな総合計画の策定に向けて作業を進めている、人口推計によれば、神奈川の人口は2015年、あるいは2020年ごろから減少に転じるものと予測されており、全国的な比較では、減少に転じる時期は最も遅くなることが予想されております。また、本県の子供の数は、近年わずかに増加しておりますが、その要因は県外からの社会増によるものであり、合計特殊出生率は、平成17年には1.17と、国よりも低い水準で推移しております。このような状況を踏まえますと、子供を産み育てることの大切さを、大人はもとより、子供たちも含め、社会全体としての共通認識とすることが必要であると考えます。  そうしたことから、家庭、学校、地域、企業、行政ぐるみで、安心して子供を産み育てることができ、子供たちが健やかに育つことができる環境を整備するなど、次世代育成支援の取り組みが極めて重要であると考えております。これまでも、本県における次世代育成支援対策推進のために策定した「かながわぐるみ・子ども家庭応援プラン」の着実な推進に努めてきたところでございます。  さらに、今年度中には新たな条例も制定し、次世代育成支援の取り組みの一層の充実・強化を図ることで、少子化の進行に伴う地域の活力低下など、少子化の悪循環を断ち切り、持続可能な、明るい地域社会の実現を図ってまいりたいと考えております。  次に、食の安全の取り組みについてのお尋ねがございました。  食は生命の源であり、安全な食品を食べ、安心して食を楽しむことは、県民の健康な食生活に欠かすことのできないものと認識をしており、次の世代のためにも、食の安全・安心を確保していくことが大変重要であると考えております。  現在、子供からお年寄りまで、県民が毎日食べるさまざまな食品については、食品衛生法を初めとする各法令に基づき、食品添加物や残留農薬等の基準が定められており、これらの基準は現在の科学的な知見をもとに、次世代に対する健康への影響も評価した上で定められております。したがいまして、各法令に基づく基準の適合性を行政が監視・指導や検査により確認し、万一違反が発見された場合には、速やかに必要な措置を講じております。また、食品関連事業者においても、日々の事業活動の中で、安全な食品を提供するよう自主的に取り組んでいただいておりますので、食の安全は確保できていると考えております。  しかしながら、県民の食の安全に対する不安感は依然として高く、「平成17年度かながわ食の安全・安心シンポジウム」におけるアンケートの調査では、8割を超える方が食品の安全性に対して何らかの不安を感じているという結果になっております。  このような県民の不安感を払拭するため、平成17年度には、食の安全・安心に関する総合的な電話相談窓口や、県民からの意見を伺うモニター制度を設置いたしました。さらに、平成18年度からは、食品の安全性に関する基礎的な情報を提供する講座を開催するなど、消費者である県民や食品関連事業者の協力をいただきながら、相互の理解を深める取り組みを進めているところでございます。  今後の取り組みといたしましては、食品衛生法に基づき、大規模な食品工場の監視・指導や残留農薬等の検査を充実するなど、関係法令に基づく施策を着実に推進してまいります。また、子供を含めた幅広い世代を対象に、食品の安全性に関する正しい情報をわかりやすく提供することを検討するほか、県民や食品関連事業者から県の施策に意見を表明していただく取り組みをさらに充実するなど、関係者と協働して食の安全・安心の確保に取り組んでまいります。  次に、食育についてのお尋ねをいただきました。  まず、家庭における食生活の現状認識でございますが、平成15年度に実施いたしました「県民健康・栄養調査」によりますと、県民の朝食の欠食率は小中学生で4%、20歳代、30歳代では約20%にもなるという結果が出ており、国の調査とほぼ同様な傾向でございます。朝食を食べないことは、成長期にある子供の心や体に大きな負担をかけ、学習に対する意欲、能率の低下、いらいらやストレスに弱くなるといった心の問題にも関係していると言われております。  また、一人孤独に食事をするという孤食や、特段の理由もなく家族が別々のものを個々に食べるという個食、さらには高カロリーで栄養価の低いジャンクフードの食べ過ぎなど、食生活の乱れも指摘されております。  こうした食生活の状況は、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加など、健康面の影響も含めて、議員のお話のように、憂慮すべき状況であると私も認識をしております。  次に、食育について、家庭が果たす役割を食育推進計画にどのように位置づけるのかということでございます。  食育基本法におきましても、その基本的施策の第1番目に、家庭における食育の推進を掲げているように、家庭は1年365日、食生活とかかわる場でございますので、私といたしましては、家庭における食育の推進は、最も重要視すべきものであると認識をしております。  近年、ライフスタイルの多様化、外食の増加など、食をめぐる環境は大きく変化しておりますが、家庭で調理をし、家族そろって楽しく食事をするということは、保護者や子供自身が食に対する関心と理解を深め、健全な食習慣を身につける上で大切なものであります。  そこで、食育推進計画の策定に当たりましては、こうした観点から、家庭における食育推進の支援となるよう、親子での料理教室や農産物の収穫体験、また学校を通じたリーフレットの配布や栄養指導への支援など、家庭を対象としたさまざまな取り組みについて検討をしてまいりたいと考えております。  今後は、県議会や県民の皆様から幅広くご意見をいただきながら、できるだけ早期に本県の食育推進計画を策定するよう努めてまいります。  最後に、虐待防止対策について、これまでの取り組みを踏まえ、今後どのように進めていこうと考えているのかとのご質問がありました。  現在、児童虐待の防止については、昨年3月に策定した「かながわぐるみ・子ども家庭応援プラン」の重点プログラムに位置づけ、子育て中の家庭への支援を初め、市町村に対して専門的・技術的な支援を行うなど、児童虐待防止対策に総合的に取り組んでいるところであります。  児童相談所や市町村には、さまざまな相談や通報が寄せられておりますが、児童虐待相談の中には、周りに相談できる人がいない中での子育て不安から虐待に至ってしまうケース、さらには、地域や家族の中で孤立して、子供に向かってしまうケースも多く見受けられます。このようなケースでは、例えば、育児相談や子育てサロンなどを行っている、子育て支援センターを利用することにより、子育て不安から解放され、虐待の未然防止につながることもありますので、地域で見守り、地域で支える地域コミュニティーの醸成は大変重要であると考えております。  こうしたことから、児童虐待防止への取り組みとして、地域での早期発見・早期対応が図られるよう、児童相談所が中心となり、市町村ごとに虐待防止ネットワークづくりを進めてまいりました。今年度中にはすべての市町村に設置できる見込みであります。  虐待のない社会をつくっていかなければならないという気持ちは、私も全く同感でございます。県といたしましては、今後とも地域のさまざまな団体にご協力をいただき、虐待防止ネットワークづくりと地域の力を最大限に発揮できるような環境を整備し、次世代を担う子供たちが安心して暮らせる神奈川を目指してまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。〔教育長(引地孝一君)発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 引地教育長。 ◎教育長(引地孝一君) 教育関係についてお答えいたします。  まず、命のとうとさをどのように教えていくのかというお尋ねがございました。  議員お話しのように、少年による凶悪犯罪が後を絶ちませんが、その背景には、身近な人の死に出会った経験がなく、葬儀に参列した経験もない、したがって、死の重さを実感としてとらえることができない、子供たちの実態があるものと考えております。  過日、目にいたしました新聞記事に、小学校高学年と中学生それぞれ400人に、「一度死んだ生きものが生き返ることはあるか」と尋ねたアンケート結果が掲載されておりましたが、「生き返る」、「生き返ることもある」と答えた小学生が3人に2人、中学生でも約半数に上るという結果に大変驚かされました。  学校では、これまでさまざまな機会をとらえて、命を大切にする心、あるいは相手を思いやる心をはぐくむ教育を進めてきておりますが、生と死が表裏一体でありながら、死については正面から取り扱うことを避けてきたという面もあるのではないかと思います。こうしたことを踏まえますと、子供たちに命の大切さをどのように教えていったらよいのかという重い課題が、改めて大人たちに突きつけられているという思いを強くしているところでございます。  一方、最近では、小中学生が、幼稚園児や保育園児、高齢者の方々とのふれあいや交流を通して、人に頼られ、役に立つ喜びを実感できる機会がふえてきております。命のとうとさを教えるということは、こうした、いわば役立ち感とも言うべき、自分自身が大切にされている、必要にされているという感情をすべての子供たちが抱くところから始まるのではないかと考えております。  そこで、学校におきましても、子供たちが幅広い年齢層の方々とふれあう教育を大切にしてまいりますとともに、家庭や地域とも協力しながら、命のとうとさを教える教育について、正面から取り組んでまいりたいと考えております。  次に、県内の小中学生の学力の低下についてお尋ねがございました。  本県で実施しております学習状況調査の結果によりますと、過去からの同傾向の問題に対しましては、正答率が上昇するなど、一定の改善傾向が見られるところでございますが、その一方で、小学校では、相手や目的を考え内容を整理して書く力や、複数の資料を関連づけて読み取る力が、また中学校では、自分の考えをまとめて表現する力や、物事を考察する力が課題として挙げられているところでございます。  こうした中、教育委員会では、小中学校の学力向上に向けまして、三つの取り組みを進めているところでございます。  一つは、学習状況調査の結果の活用でございます。児童・生徒一人一人が学習に役立て、また教師も指導の工夫改善に生かせるよう、回答を分析した結果のまとめを作成いたしまして、すべての小中学校に配布しております。  二つは、学習状況調査の質の向上でございます。専門家に調査結果をより詳細に分析してもらうことといたしまして、今年度は横浜国立大学に数学、国語、外国語の3科目について分析をお願いしているところでございます。  三つには、研究委託校での取り組みでございます。指定を受けた小中学校では、学力向上を初め、指導方法や教材の工夫、改善の研究、さらには、研究成果の普及を行ってきておりますが、今年度は、総合教育センターと合同で、多くの参加者を得て研究発表会を開催したところでございます。さらに、基礎学力の向上には、小学校低学年の基礎的な事項の習得が大切でございますので、低学年を対象とした学習状況調査の実施につきましても、現在検討を行っているところでございます。  県教育委員会といたしましては、小中学校における基礎学力の向上を図るため、市町村教育委員会とも協力・連携を図りながら、こうした取り組みをさらに充実させてまいりたいと考えております。  以上でございます。〔小山和洋君発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 小山和洋君。 ◆小山和洋君 ご答弁まことにありがとうございました。  以上で、私の質問を終わります。本当にありがとうございました。 △《本会議録-平成18年9定-20060922-026172-質問・答弁-茅野誠議員-代表質問①教育問題について②交通行政・電気自動車について③県立病院における医療機器の整備について》 〔茅野 誠君発言の許可を求む〕 ○副議長(新井敏二郎君) 茅野 誠君。〔茅野 誠君登壇〕(拍手)〔副議長退席、議長着席〕 ◆茅野誠君 議長のお許しをいただきましたので、私は民主党・かながわクラブ県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をいたします。  知事、教育長並びに病院事業庁長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、本日最後の質問となりますが、お疲れのこととは思いますけれども、もうしばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。  質問の第1は、教育問題についてであります。  子供の健やかな成長は、親だけでなく、県民全員の願いであります。次代を担う子供たちをどう育てていくかは、将来の神奈川、いや日本にとって大変重要な問題であると考えます。そこで、子供の成長過程における周囲とのかかわりは、発達段階に応じて変化させていく必要があります。生後間もないころは、スキンシップで親の愛情を一身に受けて日々を過ごすことが望ましく、そして、情緒が安定し、言葉の出現などを通じて、徐々に周囲への関心を広げ、社会性を身につけていくこととなります。「公園デビュー」に始まり、幼児教育、初等中等教育へとつながっていくわけです。  とりわけ学校教育は、子供たちが、生涯を通して生きていく基礎となる、知識や社会性を身につけていく重要な機会であり、そこでの教育のよしあしが、社会人としての今後を左右すると言っても過言ではありません。社会には、当然さまざまなルールがあり、そのルールを皆が遵守することで機能していることは言うまでもありません。そして、社会における自由とは、社会のルールを守り、その中で、みずからの選択により、まさに自己責任のもとで生活を送ることを求められた、言うなれば大変厳しい自由であります。社会人として生活するための、責任を伴う自由を身につけるための訓練こそ、学校における集団生活や団体行動を通じて身につけるべきものであり、これを守らないときにみずからにどういった社会的不利益が降りかかるのかについても、学校生活の中で身をもって体験していく必要があります。こうした訓練を、子供たちに対する愛情と教育への情熱を持った教師たちに、ぜひとも実践してもらいたいのです。  教師は、もともと高邁な精神とあふれんばかりの情熱を持って教職についたことと思いますが、いつの日か、その情熱が薄れてしまったケースも多いのではないかと危惧いたします。その一因に、教師の行動をがんじがらめにしている、規制があるのではないでしょうか。教師が子供たちと真剣に向き合えば向き合うほど、子供との心と心の激突も多くなります。それが、時に大声で厳しくしかる、あるいはゲンコツを食らわすなど、それが愛情に裏打ちされたものであればやむを得ないと私は思っています。しかし、今の教育現場では、手を上げれば、その行為だけをとらえて「体罰」と認定されてしまいます。一方、子供たちの中には、こうした教師の限界を知って、言いたい放題やりたい放題で学校生活を送る者も出てきます。このような現実の中で、教師は熱意を冷ましてしまうのではないでしょうか。これは、教師、生徒ともに大きな不幸であります。体罰を肯定するものではありませんが、いろいろな状況の中で、子供にゲンコツをしたからといって、一方の当事者である子供が、すべて体罰と感じるわけではないと考えるのは、私ひとりではないはずです。  本来、教育とは、いかに子供たちをよりよき社会人になるように導くか、それは、一つには、社会性を身につけられるか、また、社会に貢献できる知識を身につけられるかということだと思います。すなわち、知育、徳育、体育の調和のとれた教育ではないかと思っております。  そこで、知事にお伺いいたします。  知事は、マニフェストに教育再生を挙げていますけれども、今の知事の教育改革に対する熱意・情熱は並々ならぬものだと思います。神奈川の教育改革は、教育熱心で意欲のある教師を尊重し、彼らの意欲を引き出すところからスタートすべきだと思いますが、知事の教育に対する思いとして、今の学校現場の教師と生徒との関係にどのような所感を持っておられるのか、お聞かせください。  次に、具体的に教育現場の状況について伺います。  先日、テレビで小学校6年生の学級崩壊の様子を扱ったドキュメンタリー番組を見て、それがすべてではないとは思いますけれども、教育現場の今の現実をかいま見たものと感じました。一部の子供が教師の指示を全く聞こうとせず、その学級はルールなど存在しない状態でありました。さらには、このクラスには、中堅と言われる教師歴十数年の教師が前任者の学級崩壊を受けて派遣された以降の教室の状況を映しているのです。しかし、この派遣された教師ですらこのクラスを統率できず、校長先生に弱音を吐いて、さらに、よりベテランの教師の応援を仰いで授業を続ける風景が映し出されていました。それでも、卒業まで問題の解決が図られたわけではなく、何かむなしさが残っただけでありました。  学級崩壊は、今はマスコミなどで一時期のように大きく取り上げられてはいませんが、まだまだ大きな問題であると考えます。子供たちが授業中に勝手に大声でしゃべったり、歩き回ったり、教室から出て行ってしまうわけです。いわば、無秩序状態・無政府状態であります。想像を絶する光景であり、現在でも、学校において、県内でも数多くの学級で授業が成立していないのではないでしょうか。そして、わざと言うことを聞かない、いわゆる規律を乱す生徒のおかげで、その他大勢の、何も悪くない生徒は平穏を乱され、その上、その大多数の生徒の教育を受ける権利が侵されているという現実を、我々大人はしっかりと認識すべきです。さらには、これら大多数の児童・生徒たちの意識の中に、規律に従わなくても何らの懲罰もないという現実の前で、規律に従うことの意義を見出せなくしてしまうことになりはしないか心配でなりません。その実態は中学校、高校においても、形態はいろいろあると思いますが、同様であろうと推測できます。  そこで、教育長にお伺いいたします。  県内における、ここ最近の小学校、中学校、高校における学級崩壊などの現状数、クラスメイトの数など、それに影響を受けている子供の数、及び、それに対する現在の教育現場の状況をどう認識し、どう評価しているのかお聞かせください。  次に、生徒指導に対する県民の意識・評価について伺います。  さきに挙げた集団活動、社会のルールを守るといったことは、最も基本的なものであり、県民の多くが望んでいるものだと私は思います。県民の教育に関する意識について、県が昨年の7月に「かながわの教育について」と題し、県民ニーズ調査を実施しております。これによれば、「期待する子供の将来像は」との問いに対し、「社会のルールやマナーを守る」が69.6%で最も多く、これは、「健康な体や体力を備えている」44.7%、「個性豊かである」15.9%より、はるかに高く上回っているのは傾注すべきことであります。  「学校がよりよい教育を行うために、特に優先して取り組む必要がある対応や対策は」との問いに対しては、「地域に開かれた特色ある学校づくり」18.4%、「多様な学習ニーズに対応した特色ある学校づくり」35.9%であるのに対し、「いじめ・暴力行為、不登校などへの対策」という、生徒指導に関するものが62.3%で最も多いものでした。不登校など理由にもより、単に「集団活動、社会のルールを守る」ということではありませんが、学校の生徒指導に対する県民のニーズは最も高いと言えます。  県立・公立高校と私立高校の比較で、どちらがよいかとの比較では、1、施設や設備、2、学校の特色や個性、3、大学などへの進学、4、生徒指導、5、授業の内容、6、教員など、すべての分野で私立の方がよいという結果になっています。私が注目するのは、私立の方が「生徒指導」がすぐれていると考える県民が多いことであります。この結果は何を意味しているのかと言えば、恐らく県民の中には、「私立の方が毅然とした対応をとっている」という意識があるのではないかと考えます。それは、退学、停学、訓告などの懲戒処分のあり方にも反映しているように思います。  そこで、教育長にお伺いいたします。  最近の退学、停学、訓告などの懲戒処分に対する私立高校と県立高校の処分数及び生徒1,000人当たりの処分数についてお聞かせください。さらに、「かながわの教育について」の県民ニーズ調査において、県民が生徒指導について、公立よりも私立高校の方が、多くの県民がすぐれていると評価していることに対して、教育長としてどうお考えになるのかお聞かせください。  次に、教師のやる気、熱意について伺います。  生徒指導について、間違っていることは間違っていると指摘し、毅然として粘り強く指導することが大切であることは言うまでもありません。今も教育現場では粘り強い指導がなされていると思います。しかし、いくら指導しても、言うことを聞かない児童・生徒にはどうしたらいいのでしょうか。  昔は、厳しい先生がいて、学級崩壊などはありませんでした。こんな話をよく聞きます。「我々が子供のころは厳しい先生がいて、ゲンコツをよくもらったものだ。しかし、そこには、教師と児童・生徒、そして家庭に、相互理解、信頼関係があったから成り立った。今はそれがない。」のだと。果たしてそうでしょうか。私はそうは思いません。まだまだ教師に威厳を感じ、信頼している児童・生徒、家庭は多いのではないでしょうか。多くの親は教師を信頼し、自分の目の届かない学校で子供がルールを破ったのであれば、子供をしかってほしいと望むのではないでしょうか。そして、我が子が過ちを犯した場合、愛情のあるゲンコツなら認めてもいいと思っているのではないでしょうか。  また、先ほども述べたように、人の成長にはその時々に応じた対応が必要なことは言うまでもありません。教育という観点から言うと、幼児期には友達と仲よく共同作業ができる基礎的訓練がされ、小中学生のころは、社会に出るための基礎的訓練を含め、社会規範を身につける訓練の場でもあるということを、教師も含め大人社会全体で指し示さなければならないものと考えます。教育熱心で、情熱をもって児童・生徒に真っすぐに向き合っている教師たちのその思いに報いる方策は、今あると言えるでしょうか。  そこで、教育長にお伺いいたします。  児童・生徒の発達段階において、集団のルールを踏み外したとき、教育者が、粘り強い指導の上でも改善されない場合、やむを得ず愛情のあるゲンコツをした場合、それは一切許されないのでしょうか。学校における体罰とはどういうものを想定しているのか、さらに、教師の生徒指導に対する考え方、及び、教師のやる気を尊重する方策についてお聞かせください。  次に、現実問題として、悪ふざけをするなど、言うことを聞かない児童・生徒をどう指導・対応するのかを伺います。  県は、これまでも県立高校改革推進計画を策定し、たくさんの試みをなされてきたことは評価したいと思います。今度は違う方向に視点を向けてほしいのです。県民が最も求めている生徒指導であります。今は、問題行動を起こす子供に対し、学校として厳しい指導が行いにくい社会的風潮があるのは事実です。学校は知識の習得だけでなく、多様な人間がいること、ルールを守ることが大切であることなど、社会性についても学ぶ場であるべきで、社会で認められないことは学校でも認められないということをきちんと教える必要があります。社会では、反社会的な行動をとれば、制裁を受けることとなります。学校でも同じなのであります。粘り強い指導は当然必要ですが、それでもルールを守らない児童・生徒には適切な懲罰を与えるべきです。しかし、現状はと言えば、そうとは言えないと思います。  最近、国もこの必要性を認めております。「生徒指導体制の在り方についての調査研究」の報告書が出されました。それによれば、「指導を通じても事態が改善されないことも生じうる。その場合には、あらかじめ定められた罰則に基づき、懲戒を与えることを通じて、学校の秩序の維持を図るとともに、子ども達自身の自己指導力を育成することは、教育上有意義なことである。」としています。しかし、今の実態は、懲戒処分に対して、公立の学校にはちゅうちょが見られるのではないでしょうか。教育現場の教員・教育者の苦悩が目に浮かびます。  ある国では、生徒に対する懲戒制度として「ゼロトレランス」という方策をとっているとのことであります。我が神奈川県でも、この減点点数制度というものを採用するなど、何らかの懲戒制度が必要ではないかと考えます。  そこで、教育長にお伺いいたします。  国からの通知を単に各教育現場に送付し、趣旨を知らせるだけでなく、教育委員会の役割として、懲戒処分に関する方針、マニュアルを、神奈川モデルとして作成すべきと考えますが、ご所見をお聞かせください。  質問の第2は、交通行政、電気自動車についてであります。  私は、以前から終始一貫して、道路・交通行政の重要性について本会議で発言してまいりました。そして、今定例議会の提案説明の中で、電気自動車についての提案がなされました。まさに我が意を得たりと、感慨深く拝聴したところであります。実は、平成11年の私の本議場での一般質問の折に、この電気自動車に関して、パーキングメーターの充電装置としての活用などの提案を交えながら、道路・交通行政の重要性についての質問をいたしました。  その当時、神奈川県では、横浜市とともに「エコタウンかながわ'99」を開催し、電気自動車や、太陽光発電による電気自動車の充電設備の展示もあり、将来、ガソリン車にかわる自動車の主流は、環境に優しい電気自動車であると申し上げたところであります。  それから7年近くたっていますが、我が国での局所的な豪雨の多発や台風の大型化、海外における干ばつの増大や海面上昇など気候変動の影響は深刻化し、地球温暖化への対応が「待ったなし」の状況となっております。また、最近の原油価格の高騰の影響を考えますと、資源の少ない我が国にとって、石油への依存を減らすことがますます重要となってきております。  こうした中、石油代替燃料となる天然ガス自動車や、エンジンとモーターを併用して走行するハイブリッド自動車などが市中に出回ってきた感がありますが、次世代自動車として期待される燃料電池自動車の開発が大幅におくれており、電気自動車の普及の必要性は当時に比べ、一段と高まってきていると言えます。  そこで、知事に伺います。  電気自動車がこれからのクリーンな自動車社会への実現に大きな役割を果たしていくと期待しているところですが、知事は車社会の未来をどのように描いた上で今回の普及構想を打ち出したのか、知事のご所見をお伺いいたします。  次は、関係機関との協働・連携について伺います。  環境性能が高い電気自動車を本格的に普及していくためには、電気自動車の核となるリチウムイオン電池のさらなる性能の向上やコストの低減、充電インフラの整備などに対応する必要があります。県は、こうした課題を解決するため、自動車メーカーが電気自動車の開発・市場投入を活発化させている動きなどをしっかりとらえて、タイミングよく電気自動車の普及に全力を挙げて取り組んでいくべきであると考えます。  知事は、先般14日に電気自動車の普及構想を発表し、その中で、今年中に自動車メーカーやリチウムイオン電池メーカー、電力供給者、大学などをメンバーとした協議会を立ち上げ、具体化に向けた検討を進めていくとしておりますが、こうした関係機関との連携は電気自動車の普及・拡大には不可欠であります。  そこで、知事に伺います。  電気自動車の普及に向けて関係機関と協働・連携を図るため、さっそく自動車メーカーなどを訪問し、電気自動車普及構想を説明するとともに、協力をお願いしているようですが、どのような手ごたえがあったのか、また、今後どのように進めていこうとしているのか、知事のご所見をお伺いいたします。  質問の第3は、県立病院における医療機器の整備についてであります。  まず、県立がんセンターにおける医療機器の整備についてお伺いいたします。  県では、がんへの挑戦・10か年戦略を策定し、総合的な対策に取り組んでおりますが、その中の一つとして、最先端の医療機器の導入など、県立がんセンターの機能強化を位置づけております。そこで、以前から本議会でもたびたび話題に上っている重粒子線医療施設の早期導入を図ることも大変重要なことだと考えております。  先日も、「がん撲滅をめざす議員連盟」で放射線医学総合研究所の視察を行い、現在の状況を伺ってきましたが、導入条件としていた従来の装置の3分の1の機器を実現できたとのことで、現実のものとなったと実感したところであります。それは、神奈川県民が、神奈川県で最高の医療が受けられるということであり、決して他の都道府県に行ってまで治療を受けるという状態にならないようにしなければなりません。  現在、本県の死亡原因の第1位を占めているがんへの対応を図るため、県立がんセンターの総合整備に向けて取り組みが進められていることは承知しておりますが、整備後の供用開始は平成23年度から26年度の間になると聞いております。供用開始までの間、県立がんセンターが現状のままの機能でいいとは到底考えられないと私は思っております。  医療工学の進歩は著しく、放射線診断機器においてはPET-CTが開発されるなど、診断の精度が格段に上がってきております。また、放射線治療機器についても、CTやMRIを活用した治療計画のもと、安全に照射ができるようになってきたと聞いておりますし、今後、患者数が増加していく中で、化学療法や放射線治療もより一層進歩していくと考えられます。  このような状況下で、県立がんセンターが、神奈川県のがん治療の中核病院として、また、地域がん診療連携拠点病院として、質の高い医療を提供していくためには、今後、再整備までの間にも、最近の医療工学の発展を踏まえながら、医療機器の整備を行う必要があると考えます。また、今後、がんの臨床研究はますます重要になると思われます。将来のがんの遺伝子研究のことを踏まえますと、県立がんセンター臨床研究所の機器の整備についてもあわせて行うことも非常に大切であると考えております。  そこで、病院事業庁長に伺います。  県立がんセンターの現在の医療機器の状況についてはどのように認識しているのか。さらに、総合整備が行われるまでの間、医療機器の整備についてどのように実施しようと考えているのか、あわせてお伺いいたします。  次に、県立がんセンター以外の県立病院における医療機器の整備についてお伺いいたします。  先日、私も含め、我が会派の厚生部会のメンバーで、県立がんセンターを初め、すべての県立病院を視察し、医療の現場で働く医師や看護師など、多くの職員の方々の声をいろいろと聞いてまいりました。その際、各病院の方々からは、医療機器の更新に関する意見を多く聞かされたところであります。県立がんセンター以外の県立病院も、一般病院から専門病院までそれぞれ特徴があり、その特徴に沿った医療機器の整備を行っているものと思いますが、私は、整備状況が十分ではないと推察いたします。一例を挙げれば、循環器呼吸器病センターでは、ある診断機器が老朽化のため故障が多いということでしたので、診断に影響があるのではないかと危惧しております。県民にとって、県立病院と言えば、県内で最高の医療を受けられる病院と思って診察を受けに来ているはずであり、それを裏切る結果となってはいないだろうか。医療の最前線で働いている医療関係者の努力に報いられるような処置が必要であります。  そこで、病院事業庁長に伺います。  がんセンター以外の県立病院における医療機器の現状及び今後の取り組みの方針について、ご所見をお伺いいたします。  以上で、私の第1回目の質問を終わります。  ご清聴、まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 茅野議員のご質問に順次お答えいたします。  まず、学校現場における教師と生徒との関係にどのような所感を持っているのかとのお尋ねがございました。  現在、子供たちを取り巻く環境は大きく変化しておりまして、少子化、都市化、核家族化などによって、地域における人間関係が希薄になってきており、社会性や協調性、あるいは連帯感などをはぐくむことが大変難しくなってきております。しかし、子供たちにはこうした変化の激しい社会の中にあっても、たくましく生き抜いてほしいと願っており、そのためには、子供たち一人一人に学力の向上とあわせまして、社会の一員として守るべき基本的なルールやモラル、礼節、すなわち社会性や公共心をまず身につけさせることが極めて大切なことであると考えております。  ところで、私は、マンスリー知事学校訪問などでさまざまな学校へ伺い、部活動や生徒会活動に積極的に取り組む生徒たちと数多く会っておりますが、そこには熱意あふれる教員の存在を強く感じているところであります。  しかしながら、その一方では、学校におけるいじめや暴力行為などに見られますように、さまざまな課題のある子供たちに対して、教員が厳しい指導を行うことや、積極的なかかわりを持つことについてちゅうちょしているのではないかと感ずることもございます。  子供たちへの指導に当たりましては、子供たちにとって今何が必要なのかを見きわめるとともに、体罰はあってはなりませんが、時には愛情を持って厳しい指導を行うなど、教員一人一人が自信と意欲を持って臨んでほしいと思っております。また、そのためにも、校長の力強いリーダーシップのもと、教員相互のよりよいコミュニケーションを基本に、学校全体で指導にかかわってもらいたいと考えております。そうした中で、教師は愛情を持って生徒を導き、生徒は教師を尊敬するという両者の関係を築いてほしいと願っております。  次に、交通行政、電気自動車について2点お尋ねをいただきました。  まず、どのような車社会を描きながら電気自動車の普及構想を打ち出したのかとのお尋ねでございます。  現在、ガソリン車など、化石燃料を使用する自動車が大半であり、こうした車社会が地球規模で続くならば、地球温暖化や大気汚染などの地球環境はますます危機的な状況になっていくと認識をしております。そこで、自動車技術のブレークスルーを実現して、電気自動車を一刻も早く普及させていくことが不可欠であると考えております。  電気自動車は走行時の排出ガスがゼロで、二酸化炭素排出量はガソリン車の3分の1程度、そして騒音も少ないという点で、現在走行している自動車の中で最も環境性能がすぐれております。また、電気自動車は昨今の原油価格の高騰による影響が極めて少なく、安い経費で走行することができることからも、その市場投入と普及が注目されております。  このようにすぐれた環境性能等を持つ電気自動車ではございますが、市場投入の初期段階では、軽自動車など、小型車を中心に普及を始め、将来的にはガソリン車に取ってかわるような大きな位置を占めることになるものと考えております。  こうした大きな可能性を持った電気自動車を普及させていくには、しっかりとした道筋をつけることが大切であり、供給体制の充実と一定の需要喚起を図る必要があります。具体には、現在電気自動車を開発している自動車メーカーの市場投入へのスピードを加速してもらうとともに、他の自動車メーカーの開発を誘発し、各社が競い合いながら、電気自動車の開発・普及に取り組む環境をつくること、また、県や市町村、大手ユーザーなどが電気自動車を率先導入していくこと、急速充電スタンドの基盤整備を進めることで、環境マインドの高い一般ユーザーへの普及を促し、量産化につながるようにすることが不可欠であると考えております。  環境立県を標榜する本県といたしましては、自動車メーカーの市場投入の動きや国の動向などから、電気自動車普及の機が熟してきたと認識をしておりまして、電気自動車関連の開発拠点等が集積しているという本県の優位性を生かして、県が主導的に電気自動車の本格的な普及を進めていこうと、今回の普及構想を打ち出したものでございます。  本県が電気自動車の普及に大胆に取り組むことで、量産化からコスト低減というサイクルが生み出され、首都圏から国内外に至るまで広範囲に普及し、電気自動車が大きなウエートを占めるような車社会を実現できれば、地球温暖化問題や都市環境の改善、石油依存度の低減などの環境・資源問題に大きく貢献できるものと考えております。  最後に、関係機関の手ごたえと今後の進め方についてのお尋ねでございます。  電気自動車の普及構想については、今月14日の提案説明でお話しさせていただきましたが、15日に私と副知事でそれぞれ国内の自動車メーカーなどを訪問し、構想の趣旨を説明した上で、産学公連携による協働した取り組みへのご協力をお願いいたしました。そのうち、幾つかのメーカーから前向きな意向も示されるなど、この構想への関心は高いものと感じております。  また、東京電力や慶應義塾大学からは、既に電気自動車普及推進のために、この協議会へ参加をご承諾をいただいております。今後、市町村、国、研究機関など関係機関に積極的に働きかけながら、この協議会を本年中に設置できればと考えております。そこでは、電気自動車の供給体制の充実と需要の掘り起こしや、より利便性の高い急速充電スタンドの整備などを検討し、平成19年度中には、県議会や県民の皆様からのご意見も伺いながら、具体的な推進方策を策定してまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。〔病院事業庁長(堺 秀人君)発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 堺病院事業庁長。 ◎病院事業庁長(堺秀人君) 病院事業庁関係についてお答えいたします。  県立病院における医療機器の整備についてお尋ねがございました。  まず、県立がんセンターの医療機器の現在の状況に対する認識、及び総合整備までの間の医療機器の整備についての考え方についてでございます。  県立がんセンターでは、地域のがん医療の中核病院として高度ながん医療を行うため、これまでも集中治療室や無菌病棟などの施設整備とともに、医療機器につきましても整備を進め、医療機能の充実を図ってまいりました。  近年、医療工学の進歩に合わせた質の高い医療を提供するため、医療用の高額備品として、放射線部門においては平成15年度にリニアックを、平成16年度には診断機器であるマルチスライスCTを、平成17年度にはPET-CTを導入してまいりました。そして、今年度には、食道がんや子宮がん治療に使用する、腔内照射装置を更新する予定でございます。また、臨床研究所の機器につきましても、平成16年度に、がん組織血液中の細胞等を腫瘍マーカーなどの発現量によって分別し、細胞集団の増殖や抗がん剤感受性などの特性を解析する「全自動細胞解析装置」を新たに導入したところであります。  このように必要な機器の整備につきまして順次行ってまいりましたが、平成18年3月末現在、1,000万円以上の機器の半数ほどが10年以上経過しておりますので、私としては、更新が必要となっている機器が多いと認識しております。  県立がんセンターの総合整備については、供用開始を、がんへの挑戦・10か年戦略の第3ステージに計画しておりますが、それまでの間にあっても、がん患者は年々増加しておりますので、県立がんセンターとして、それに対応した質の高いがん医療を継続的に提供していかなければならないと考えております。そのため、病院事業庁といたしましては、今後、供用開始までの間にあっても、更新時期を迎える医療機器への速やかな対応や、最新の医療機器の導入を進めていく必要があると考えておりますので、がんセンターの供用開始を待つことなく、必要な医療機器の整備に努めてまいる所存でございます。  次に、県立がんセンター以外の県立病院における、医療機器の現状、及び今後の取り組みの方針についてのお尋ねでございます。  県立がんセンター以外の県立病院は、一般病院や専門病院など、それぞれの特徴に応じて、必要な医療機器の整備を図っております。そうした中で、昨年度、私が着任してから、各病院を訪問して現状を視察いたしましたところ、県立がんセンターと同様に高額な医療機器について順次更新を進めていかなければならないと感じましたが、それにも増して、日常使用している、高額とは言えない医療機器については、更新が特におくれていると認識いたしました。したがいまして、県立がんセンターを含め、今年度は通常の医療機器の予算について、前年度予算額をほぼ倍増して3億5,000余万円を措置し、通常の医療機器の更新をより一層進めているところでございます。  医療機器の整備については、本年3月に策定いたしました県立病院経営基本計画に医療機器の計画的な更新を位置づけたところであり、1、使用年数がおおむね10年以上であること、2、使用頻度が高いこと、また、3、新たな医療への対応、この三つを総合的に勘案いたしまして、医療機器の整備に努めているところでございます。  今後も医療機器の導入に当たりましては、病院現場の意見を十分聞くとともに、採算性についても検証を行いながら、優先順位を決めまして、順次整備を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。〔教育長(引地孝一君)発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 引地教育長。 ◎教育長(引地孝一君) 教育関係についてお答えいたします。  初めに、いわゆる学級崩壊についてのお尋ねがございました。  まず、現状でございますが、本県では、小学校において正常な学習活動ができない状況になった学級を「学級崩壊」としてとらえ、調査を行っておりまして、平成16年度は77校で92学級でございました。また、このことにより影響を受ける児童数でございますが、実数は把握しておりませんので推定で申し上げますと、県内小学校における平成16年度の1クラス平均人数は29.3人であり、学級崩壊のクラス数は92でございますので、およそ2,700人になります。  なお、中学校や高等学校につきましては、教科担任制がとられていることから、「学級崩壊」というとらえ方はしておらず、調査を行っておりませんが、授業に出ない生徒たちが校内を徘回するため、学校が体制を組んで指導しなくてはならないケースなどがあることは承知しております。  また、学級崩壊の認識と評価についてでございますが、こうした状況は子供たちの学習や学校生活への影響を考えますと、看過することのできない大変大きな問題であると認識しております。そのため、学校では、少しでも早く学級を正常な状態に戻せるよう、複数の教員で対応するなど、指導体制を強化して取り組んでいるところでございます。  残念ながら、発生件数はここ数年大きく変化しておりませんが、子供たちへの影響を考えますと、一刻も早く状況の改善を図る必要がありますので、教育委員会といたしましても、非常勤講師の配置を行い、学校への支援を継続して行っているところでございます。  次に、県立高校と私立高校における生徒の懲戒処分件数についてのお尋ねでございます。  平成17年度の懲戒処分数でございますが、県立高校では退学2人、停学4人の合計6人、一方、私立高校では退学8人、停学640人、訓告284人の合計932人となっております。また、生徒1,000人当たりの処分数で申し上げますと、県立高校では0.05人、私立高校では12.89人でございます。  また、「かながわの教育について」の県民ニーズ調査結果に対する考え方についてでございますが、この結果は、回答された県民の皆様が、ご自身の経験や日ごろ目にする高校生の制服姿などから、私立高校がしっかりとした生徒指導を行っているという印象で受けとめられているということにあるのではないかと考えております。  県立高校におきましても、生徒を理解することを基本に、さまざまな課題を抱えた生徒に対してきめ細かな指導を行っているところでございまして、問題行動に対しましても、懲戒処分を行う前に、自宅謹慎や反省文の提出などの特別指導を粘り強く積み重ねているところでございます。  このような取り組みにつきましては、県民の皆様に十分な説明がなされていない面もあるかと思いますので、今後ご理解をいただけるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、体罰の定義についてお尋ねがございました。  法務省人権擁護局によりますと、体罰には、「殴る、ける」、「髪を切る」など、身体に対する直接の侵害を内容とする行為と、長時間にわたって正座や直立をさせるなど、間接的に肉体的苦痛を与える行為があるとされており、学校教育法では、その第11条で、体罰を加えることはできないと定めているところでございます。  次に、教員の生徒指導に対する考え方についてでございます。  生徒指導の基本は、教員が児童・生徒一人一人をきちんと理解することでございまして、時には愛情を持ってしかることも必要と考えております。また、校長が指導方針を明確にした上で、教員が一体となった指導体制のもと、家庭や地域、関係機関とも緊密に連携して指導に当たることが重要であると認識しているところでございます。  次に、教員のやる気を尊重する方策についてのお尋ねでございますが、生徒指導に当たりましては、情熱を持って子供たちに真っすぐ向き合うことが大切でございますので、そうした教員のやる気を尊重する意味でも、日ごろの学級指導や生徒指導などの取り組みをきちんと評価し、組織を挙げて応援してまいりたいと考えております。  最後に、児童・生徒に対する懲戒処分の方針等を作成し、ゼロトレランスを適用すべきではないかというお尋ねでございました。  先ほども申し上げましたが、県立高校では、従来から、喫煙や暴力行為などの問題行動を起こした生徒に対しましては、まずは自宅謹慎や反省文の提出などの特別指導を行っております。そして、このような指導を段階的に積み重ねてもなお改善が見られない場合は、懲戒が生徒の地位や権利に重大な影響を及ぼすことを慎重に考慮した上で、校長が停学や退学などの懲戒処分を行っているところでございます。生徒指導の根幹は生徒を理解することでございますので、問題行動を繰り返す生徒に対しましては、まずは学校が、状況に応じて、粘り強く組織的に指導を積み重ねることが大切であると考えております。  また、こうした指導に当たりましては、問題行動への対応の基準を生徒や保護者に事前に示すとともに、生徒が問題行動を起こした場合には、毅然とした態度で生徒を指導し、その指導の内容をきちんと保護者にお伝えしておくことが必要でございます。こうした、ゼロトレランス方式にも取り入れられている段階的指導が重要でございまして、体系的で一貫した指導方法のもと、ぶれない指導を行っていく必要があると考えております。  そこで、教育委員会といたしましては、こうした考え方を学校現場にも徹底できるよう、今年度中に、問題行動に対する懲戒も含めた、生徒指導の方法やそのあり方について、指針やガイドラインを作成してまいりたいと考えております。  以上でございます。〔茅野 誠君発言の許可を求む〕 ○議長(中村省司君) 茅野 誠君。 ◆茅野誠君 自席からの発言をお許しください。  時間もややありますので、二、三要望をさせていただきます。  知事、教育長、病院事業庁長におかれましては、丁寧なご答弁ありがとうございました。  まず、知事にご要望申し上げます。教育再生について、知事の思いというものをさらに進めていただきたいということをご要望申し上げます。  また、電気自動車につきましては、私も非常に思いがありますので、行政がインフラの整備を含めて先導役にならなければ、なかなか普及しないと思いますので、その面も含めて今後の普及にご尽力を願いたいと思います。  次に、病院事業庁長にご要望申し上げます。病気は、今現在も患者さんはいっぱいおられるわけですが、今最善な治療ができるような、そんな医療機器の整備というものをお願いをしたいと思います。  次に、教育長にご要望申し上げます。先ほどの懲戒の数を見ても、県立高校と私立高校は余りにも差があります。ただ、自宅謹慎等々があるということですが、それはある意味で懲戒とは言わないのかもしれませんが、では、私立でいう訓告等々とどう違うのかなという部分もあります。ですけども、余りにも0.05人と12.89人というと、おおよそ250倍の差があるということは、どちらかと言うと、私立の方がきめ細かく退学にいく前にいろんな方策をしながらやっているのじゃないかというような気もしますので、県立高校においても、いろいろとその部分について考えていただきたいということをご要望申し上げて、私の質問を終わります。  以上です。 ○議長(中村省司君) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議はございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(中村省司君) ご異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○議長(中村省司君) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  次回の会議は、9月25日午後1時に開きます。  本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。                  午後7時8分 散会...