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02月21日-03号

  • "都市用地対策事業会計予算"(/)
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  1. 神奈川県議会 2005-02-21
    02月21日-03号


    取得元: 神奈川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-16
    平成17年  2月 定例会 △《本会議録-平成17年2定-20050221-025913-諸事項-出席議員-議事日程-》 9                2   月    神 奈 川 県 議 会         会 議 録 第 3 号                 定 例 会 〇平成17年2月21日 午後1時6分開議  ──────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共103名 出 席 議 員                       木   村   謙   蔵                       馬 場   学   郎                       山   本   俊   昭                       渡   辺   ひ と し                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       梅   沢   裕   之                       福   田   紀   彦                       滝   田   孝   徳                       本   村   賢 太 郎                       齋   藤   健   夫                       北   井   宏   昭                       仙   田   み ど り                       山   本   裕   子                       鈴   木   と も 子                       藤   間   明   男                       小 野 寺   慎 一 郎                       鈴   木   ひ で し                       赤   井    かずのり                        嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       小   林   常   良                       佐   藤       光                       大   井   康   裕                       安   藤       慶                       松   崎       淳                       大   村   博   信                       竹   内   栄   一                       岩   本   一   夫                       福   田   泰   子                       ふ じ た   ち え こ                       長 谷 川   く み 子                       小   川   久 仁 子                       飯   田       誠                       嘉   山   照   正                       藤   井   深   介                       あ か ま   二   郎                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       向   笠   茂   幸                       星   野   剛   士                       吉   田   大   成                       倉   田       仁                       茅   野       誠                       石   川   輝   久                       み   わ   智 恵 美                       木   内   ひ ろ し                       相   原   高   広                       笠   間   茂   治                       山   田   泰   之                       金   子   武   雄                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       鈴   木   恒   夫                       安   藤   博   夫                       加   藤    たかひさ                        磯   貝   捷   彦                       舘   盛   勝   弘                       小   山   和   洋                       平   本   さ と し                       高   谷       清                       水   戸   将   史                       田   中       肇                        はかりや   珠   江                       河   野   幸   司                       川   上   賢   治                       木   内       要                       富   田   光   男                       此   村   善   人                       田   島   信   二                       矢   部   房   男                       保   阪       努                       国   吉   一   夫                       新   井   敏 二 郎                       松   田   良   昭                       榎   本   与   助 牧   島       功                       ほ り え   則   之                       中   村   省   司                       新   堀   典   彦                       大   木       哲                       手   塚   悌 次 郎                       江   田       実                       安   斉   義   昭                       斉   藤   ゆ う き                       田   村   政   晴                       服   部   圭   介                       益   田   は や お                       三   好   吉   清                       榎   並       寛                       桐   生   忠   一                       村   上   健   司                       山   田   文   雄                       古   沢   時   衛                       久 保 寺   邦   夫                       斎   藤   達   也                       横   山   哲   夫                       山   田   吉 三 郎                       豊   島   き よ し                       内   田   あ き ら                       東   野   陽   子                       武   田   郁 三 郎  欠 席 議 員                       岩   崎   尊   之                       伊   藤   と お る       説明のための出席者         知         事   松   沢   成   文         副    知    事   尾   高   暉   重         同             大   木   宏   之         出    納    長   橋   本   正   俊         理         事   陳   岡   啓   子         同             寶   積   泰   之          総務部長         小   林       勲          企画部長         一   杉   雄   二          防災局長         村   山   正   和          県民部長         田   代   球   喜          環境農政部長       加   藤       進          福祉部長         引   地   孝   一          衛生部長         大   崎   逸   朗          商工労働部長       羽   田   愼   司          県土整備部長       小   山   剛   司          出納局長         山   本   隆   夫         労 務 担 当 部 長   横   田   和   浩          税制企画担当部長     平   松       博          広域行政担当部長     田   中   克   己          安全・安心まちづくり              安   野   讓   次          担当部長          人 権 担 当 部 長   村   山   瑛   子         廃棄物総合対策担当部長   森   田   茂   實          次世代育成担当部長    鳴   田   謙   二          県立病院担当部長     鈴   木       猛          総務部次長        鈴   木   英   信          企画部次長        長   田       誠          防災局次長        遠   藤   健   作          県民部次長        近   藤   晶   一          環境農政部次長      小   野   義   博          福祉部次長        宮   内   喬   夫          衛生部次長        栗   原   匡   賢          商工労働部次長      石   川   菊   二          県土整備部次長      守 屋   寛 己          財政課長         古   谷   幸   治          税務課長         嶋   田   幸   雄          教育委員会委員長     平   出   彦 仁         同 教育長     曽   根   秀   敏         同     管理部長    前   田   重   一         同 教育部長    山   本   正   人         同県立高校改革担当部長   北   見   好   惟          公安委員会委員長     篠   崎   孝   子          警察本部長        伊   藤   茂   男          警察本部総務部長     吉   度   恒   雄         同     会計課長    岡   野   良   則          人事委員会委員      野   村   靖 夫          人事委員会事務局長    藤   井   弘   志         監 査 事 務 局 長   常   松   伴   文         地方労働委員会事務局長   金   子       晃          選挙管理委員会書記長   清   田   浩   史          収用委員会事務局長    高   瀬   正   美         公営企業管理者企業庁長   石   田       稔          企業庁管理局長      藤   島       進         同     水道局長    高   津   宣   郎         同     利水局長    飯   岡       隆  ──────────────────────────────────       議会事務局出席者         議 会 事 務 局 長   西   森   義   博         同   次     長   久 保 寺   啓   二         同   総 務 課 長   鈴   木   利   雄         同   議 事 課 長   堤           勝         同   調 査 課 長   門   脇   省   三  ──────────────────────────────────            神奈川県議会2月定例会議事日程第3号                        平成17年2月21日午後1時開議第1定県第 1 号議案 平成17年度神奈川一般会計予算 定県第 2 号議案 同  年度神奈川公債管理特別会計予算  定県第 3 号議案 同  年度神奈川公営競技収益配分金等管理会計予算  定県第 4 号議案 同  年度神奈川地方消費税清算会計予算  定県第 5 号議案 同  年度神奈川市町村自治振興事業会計予算  定県第 6 号議案 同  年度神奈川農業改良資金会計予算  定県第 7 号議案 同  年度神奈川恩賜記念林業振興資金会計予算  定県第 8 号議案 同  年度神奈川林業改善資金会計予算  定県第 9 号議案 同  年度神奈川水源林づくり事業会計予算  定県第 10 号議案 同  年度神奈川沿岸漁業改善資金会計予算  定県第 11 号議案 同  年度神奈川災害救助基金会計予算  定県第 12 号議案 同  年度神奈川母子寡婦福祉資金会計予算  定県第 13 号議案 同  年度神奈川介護保険財政安定化基金会計予算  定県第 14 号議案 同  年度神奈川中小企業資金会計予算  定県第 15 号議案 同  年度神奈川流域下水道事業会計予算  定県第 16 号議案 同  年度神奈川県営住宅管理事業会計予算  定県第 17 号議案 同  年度神奈川都市用地対策事業会計予算  定県第 18 号議案 同  年度神奈川病院事業会計予算  定県第 19 号議案 同  年度神奈川水道事業会計予算  定県第 20 号議案 同  年度神奈川電気事業会計予算  定県第 21 号議案 同  年度神奈川公営企業資金等運用事業会計予算  定県第 22 号議案 同  年度神奈川県相模川総合開発共同事業会計予算  定県第 23 号議案 同  年度神奈川酒匂川総合開発事業会計予算  定県第 24 号議案 神奈川県行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例  定県第 25 号議案 神奈川県人事行政の運営等の状況の公表に関する条例  定県第 26 号議案 知事等の給与の特例に関する条例  定県第 27 号議案 職員の修学部分休業に関する条例  定県第 28 号議案 職員の高齢者部分休業に関する条例  定県第 29 号議案 港湾の臨港地区内の分区における構築物の規制に関する条例  定県第 30 号議案 知事等の期末手当の特例に関する条例を廃止する条例  定県第 31 号議案 神奈川県職員定数条例の一部を改正する条例  定県第 32 号議案 附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例  定県第 33 号議案 神奈川県部設置条例の一部を改正する条例  定県第 34 号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例  定県第 35 号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例  定県第 36 号議案 学校職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例  定県第 37 号議案 公営企業管理者の給与等に関する条例の一部を改正する条例  定県第 38 号議案 任期付研究員の採用等に関する条例の一部を改正する条例  定県第 39 号議案 任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例  定県第 40 号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例  定県第 41 号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例  定県第 42 号議案 神奈川県立相模交流センター条例の一部を改正する条例  定県第 43 号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例  定県第 44 号議案 神奈川県女性保護施設さつき寮条例の一部を改正する条例  定県第 45 号議案 神奈川県個人情報保護条例の一部を改正する条例  定県第 46 号議案 神奈川県情報公開条例の一部を改正する条例  定県第 47 号議案 神奈川県立地球市民かながわプラザ条例の一部を改正する条例  定県第 48 号議案 神奈川県立県民ホール条例の一部を改正する条例  定県第 49 号議案 神奈川県立神奈川近代文学館条例の一部を改正する条例  定県第 50 号議案 神奈川県立音楽堂条例の一部を改正する条例  定県第 51 号議案 神奈川県青少年保護育成条例の一部を改正する条例  定県第 52 号議案 神奈川県立青少年センター条例の一部を改正する条例  定県第 53 号議案 神奈川県立柳島青少年キャンプ場条例の一部を改正する条例  定県第 54 号議案 神奈川県立藤野芸術の家条例の一部を改正する条例  定県第 55 号議案 神奈川県消費生活条例の一部を改正する条例  定県第 56 号議案 神奈川県立21世紀の森条例の一部を改正する条例  定県第 57 号議案 神奈川県立札掛森の家条例の一部を改正する条例  定県第 58 号議案 神奈川県卸売市場条例の一部を改正する条例  定県第 59 号議案 神奈川県中山間地域等農業活性化支援基金条例の一部を改正する条例  定県第 60 号議案 神奈川県漁港管理条例の一部を改正する条例  定県第 61 号議案 神奈川県立の児童福祉施設に関する条例の一部を改正する条例  定県第 62 号議案 神奈川県立の診療所に関する条例の一部を改正する条例  定県第 63 号議案 神奈川県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例  定県第 64 号議案 神奈川県立芦ノ湖キャンプ村条例の一部を改正する条例  定県第 65 号議案 神奈川県立かながわ労働プラザ条例の一部を改正する条例  定県第 66 号議案 神奈川県屋外広告物条例の一部を改正する条例  定県第 67 号議案 神奈川県都市公園条例の一部を改正する条例  定県第 68 号議案 神奈川県道路附属物自動車駐車場条例の一部を改正する条例  定県第 69 号議案 港湾の設置及び管理等に関する条例の一部を改正する条例  定県第 70 号議案 神奈川県営の厚生住宅に関する条例の一部を改正する条例  定県第 71 号議案 神奈川県借上公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例  定県第 72 号議案 神奈川県営のリロケーション住宅条例の一部を改正する条例  定県第 73 号議案 神奈川県県営住宅条例の一部を改正する条例  定県第 74 号議案 神奈川県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例  定県第 75 号議案 市町村立学校職員定数条例の一部を改正する条例  定県第 76 号議案 神奈川県立のふれあいの村条例の一部を改正する条例  定県第 77 号議案 神奈川県奨学金貸付条例の一部を改正する条例  定県第 78 号議案 神奈川県立金沢文庫条例の一部を改正する条例  定県第 79 号議案 神奈川県立相模湖漕艇場条例の一部を改正する条例  定県第 80 号議案 神奈川県立スポーツ会館条例の一部を改正する条例  定県第 81 号議案 神奈川県立相模原球場条例の一部を改正する条例  定県第 82 号議案 神奈川県立山岳スポーツセンター条例の一部を改正する条例  定県第 83 号議案 警察組織に関する条例の一部を改正する条例  定県第 84 号議案 神奈川県地方警察職員定数条例の一部を改正する条例  定県第 85 号議案 神奈川県道路交通法関係手数料条例の一部を改正する条例  定県第 86 号議案 不動産の取得について  定県第 87 号議案 指定管理者の指定について(総合リハビリテーションセンター)  定県第 88 号議案 指定管理者の指定について(愛名やまゆり園)  定県第 89 号議案 指定管理者の指定について(厚木精華園)  定県第 90 号議案 指定管理者の指定について(秦野精華園)  定県第 91 号議案 指定管理者の指定について(金沢若草園)  定県第 92 号議案 指定管理者の指定について(ライトセンター)  定県第 93 号議案 指定管理者の指定について(聴覚障害者福祉センター)  定県第 94 号議案 建設事業等に対する市町村負担金について  定県第 95 号議案 全国自治宝くじ事務協議会規約の一部変更について  定県第 96 号議案 関東・中部・東北自治宝くじ事務協議会規約の一部変更について  定県第 97 号議案 日本道路公団有料道路整備事業計画の変更協議について  定県第 98 号議案 包括外部監査契約の締結について  定県第 99 号議案 神奈川県県税条例の一部を改正する条例第2定県第 125号議案 平成16年度神奈川県一般会計補正予算(第3号)  定県第 126号議案 同  年度神奈川県公債管理特別会計補正予算(第1号)  定県第 127号議案 同  年度神奈川県地方消費税清算会計補正予算(第1号)  定県第 128号議案 同  年度神奈川県市町村自治振興事業会計補正予算(第1号)  定県第 129号議案 同  年度神奈川県農業改良資金会計補正予算(第1号)  定県第 130号議案 同  年度神奈川県水源林づくり事業会計補正予算(第1号)  定県第 131号議案 同  年度神奈川県災害救助基金会計補正予算(第1号)  定県第 132号議案 同  年度神奈川県介護保険財政安定化基金会計補正予算(第1号)  定県第 133号議案 同  年度神奈川県中小企業資金会計補正予算(第2号)  定県第 134号議案 同  年度神奈川県流域下水道事業会計補正予算(第1号)  定県第 135号議案 同  年度神奈川県県営住宅管理事業会計補正予算(第1号)  定県第 136号議案 同  年度神奈川県都市用地対策事業会計補正予算(第1号)  定県第 137号議案 同  年度神奈川県病院事業会計補正予算(第1号)  定県第 138号議案 同  年度神奈川県水道事業会計補正予算(第2号)  定県第 139号議案 同  年度神奈川県電気事業会計補正予算(第2号)  定県第 140号議案 同  年度神奈川県公営企業資金等運用事業会計補正予算(第1号)  定県第 141号議案 同  年度神奈川県相模川総合開発共同事業会計補正予算(第1号)  定県第 142号議案 不動産の取得について 定県第 143号議案 不動産の取得について  定県第 144号議案 不動産の取得について  定県第 145号議案 不動産の取得について  定県第 146号議案 不動産の取得について  定県第 147号議案 建設事業に対する市町負担金について  定県第 148号議案 公平委員会事務の委託の廃止について  定県第 149号議案 損害賠償の額の決定について  県 報 第 2 号 専決処分について承認を求めること(平成16年度神奈川県一般会計補正予算(第2号))  県 報 第 3 号 専決処分について承認を求めること(平成16年度神奈川県水道事業会計補正予算(第1号))  県 報 第 4 号 専決処分について承認を求めること(平成16年度神奈川県電気事業会計補正予算(第1号))  ────────────────────────────────── △《本会議録-平成17年2定-20050221-025914-諸事項-その他-弔詞等》   〔事務局長報告〕 出席議員 議長共99名 ○議長(新堀典彦君) 休会前に引き続き会議を開きます。  ────────────────────────────────── ○議長(新堀典彦君) この際、お諮りいたします。 さきにご報告申し上げました神奈川県議会議員、故佐藤正之君の逝去に対し、同君のご生前のご功績にかんがみ、本議会の名において弔詞を贈呈いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(新堀典彦君) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 事務局長に弔詞案を朗読させます。  〔事務局長朗読〕  ──────────────────────────────────           弔   詞(案)神奈川県議会議員 佐藤正之君は、去る2月14日逝去されました。まことに痛惜にたえません。ここに、神奈川県議会の議決をもって、うやうやしく哀悼の意を表します。 平成17年2月21日                           神 奈 川 県 議 会  ────────────────────────────────── ○議長(新堀典彦君) お諮りいたします。 ただいま朗読いたしました弔詞案に、ご異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(新堀典彦君) ご異議がないと認めます。 よって、弔詞案のとおり決しました。 なお、弔詞の贈呈につきましては、本職にご一任願います。  ────────────────────────────────── ○議長(新堀典彦君) この際、故佐藤正之君に対し弔意を表するため、倉田 仁君から発言を求められておりますので、これを許します。 倉田 仁君。  〔倉田 仁君登壇〕 ◆倉田仁君 甚だ僣越ではございますが、故佐藤正之議員のご逝去を悼み、議員一同を代表いたしまして、ここに謹んで哀悼の言葉を申し上げます。 先生は、去る2月14日、かねて入院治療中の病院におきまして、ご家族、ご親族が見守る中、とわの眠りにつかれました。さきの12月定例会最終日に、先生のお姿を拝見したのが最後となってしまいました。 闘病中であった先生は、病に屈することなく、本会議に出席をし、議会人としての不屈の精神力を示されました。先生の深刻なご病状を存じ上げなかった私どもは、改めて、先生の議会人としての誠実さと気概を教えられたような気持ちであります。 今、この壇上に立ち、議場を見渡しましても、先生の席には花が置かれているばかりで、眼光鋭く、議論に耳を傾けて、神奈川の将来に思いをいたしていた先生のお姿を拝見することはできません。 顧みますと、先生は昭和50年4月春、地域の衆望を担い、神奈川県議会議員に初当選されました。以来、連続8期、約30年の長きにわたり、豊かな見識と確固とした信念を持って県政の発展と県民福祉の向上に精力的に取り組んでこられました。 特に、地元県立がんセンターの発展に尽力され、帷子川分水路工事を初めとした治水対策、地元の二俣川駅を起点とする神奈川東部方面線の実現に向けて尽力されておりました。また、女性の社会的地位の向上と社会参加を支援する女性政策における功績など、枚挙にいとまがありません。 こうした先生の多岐にわたるご活躍は、我々議員の信頼を一身に集めることとなり、平成14年5月に、第96代神奈川県議会副議長の要職につくこととなったことは、ここにお集まりの皆様がご承知のとおりのことであります。副議長職にあった先生が、ディーゼル車の運行規制を盛り込んだ神奈川県生活環境の保全等に関する条例改正案の成立に向け、内外を奔走されていたお姿がついきのうのことのように思い出されます。 県政を取り巻く難問が山積している現下の状況において、豊富な経験に裏打ちされた先生の炯眼、たくましい行動力に心からの期待を寄せておりました我々議員を初め、870万県民にとりまして、先生の65歳のご生涯は余りにも短いものと言わざるを得ません。 また、手厚い看護にもかかわらず、先生のご回復を見ることのできなかった奥様を初め、ご遺族の方々、並びに長年にわたり先生を支えてこられました支持者の方々のご心情を思いますと、申し上げる言葉もございません。 残された私どもは、だれよりもふるさと神奈川を愛し、神奈川の発展のために骨身を惜しまず尽力された先生のとうとい郷土愛を受け継ぎ、神奈川のさらなる発展のために尽力することをお誓い申し上げますとともに、皆様とともに、先生のみたまがとこしえに安らかにあらんこと、また、今後とも神奈川の繁栄を見守り続けてくださいますよう、心からお祈り申し上げまして、お別れの言葉といたします。 正之先生、長い間ご苦労さまでした。 平成17年2月21日。神奈川県議会議員 倉田 仁。 ○議長(新堀典彦君) 次に、知事から弔意を表するため、発言を求められておりますので、これを許します。 松沢知事。   〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 神奈川県議会議員 故佐藤正之先生のご逝去を悼み、謹んで哀悼の言葉を申し上げます。 佐藤先生、きょう、ここに立ち、先生のおられない議席を拝見しても、お亡くなりになられたことがいまだに信じられません。この議場で再び佐藤先生の元気なお姿にお目にかかれるものと信じておりましたのに、先生は遠いところに旅立ってしまわれました。郷土神奈川のさらなる発展のためにますますのご活躍いただけるものと期待しておりましたのに、こうしてお別れの言葉を申し上げなければならないことは、まことに残念でなりません。 顧みますと、佐藤先生は昭和50年4月、神奈川県議会議員選挙に初当選されて以来、8期30年という長きにわたり、ふるさと神奈川のために尽くしてこられました。この間、副議長の重責を担われたほか、本会議や各委員会、各種審議会などでご活躍され、神奈川県議会の重鎮として先生の存在はなくてはならないものでありました。 そして、あふれるばかりの郷土への愛情と情熱を持って、明快に語りかけるその語り口やお姿は考え方の違いを超えて、多くの県民の方々から大きな信頼を集めておられました。 私どもも、地方分権の推進や行財政改革、あるいは治水対策や高齢者問題、医療の充実など、郷土愛に根差し、確固たる信念に基づいた貴重なご提言を大所高所からいただいてまいりました。 少子・高齢社会の到来や高度情報化の進展など、社会経済が大きく変化する中、地方分権を初めとするさまざまな改革が今まさに進められようとしています。こうした重要な時期に将来を見据えながら、数々の課題に積極的に取り組んでおられました先生を失ったことが惜しまれてなりません。 お志の大きさを思えば、心残りもあったことと存じます。私どもは佐藤先生が地域づくり、神奈川づくりに注がれた情熱と理念をしっかりと受け継ぎ、活力ある地域社会、生きがいのある暮らしの創造を目指して、全力を尽くしてまいることをお誓い申し上げます。 手厚い看護のかいなく、最愛の伴侶を失われた奥様や愛するお父上を亡くされたお嬢様方、残された皆様の深い悲しみを思いますと、お慰めの言葉もございません。 佐藤先生、どうか天にあってもご遺族の皆様と神奈川県の将来を温かく見守ってください。佐藤先生の生前のご尽力に心から感謝を申し上げますとともに、先生のみたまの安らかならんことと、ご遺族の皆様のご多幸をお祈り申し上げ、追悼の言葉といたします。 平成17年2月21日。神奈川県知事 松沢成文。 ○議長(新堀典彦君) これにて休憩いたします。               午後1時18分 休憩       ────────────◇──────────── △《本会議録-平成17年2定-2005221-025915-質問・答弁-金子武雄議員-代表質問①水源環境保全・再生について②産業集積と羽田空港再拡張・国際化について③安全・防災問題について④少子化対策について⑤教育問題について》                午後1時55分 再開  〔事務局長報告〕 出席議員 議長共87名 ○議長(新堀典彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  ────────────────────────────────── ○議長(新堀典彦君) あらかじめ時間の延長をいたします。  ────────────────────────────────── ○議長(新堀典彦君) 審議を行います。  日程第1、定県第1号議案 平成17年度神奈川一般会計予算外98件及び日程第2、定県第125号議案 平成16年度神奈川県一般会計補正予算外27件、以上一括して議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 金子武雄君。  〔金子武雄君登壇〕(拍手) ◆金子武雄君 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党県議団を代表いたしまして、通告に従い、質問をいたします。 しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 初めに、過日2月14日、佐藤正之議員がご逝去されました。痛恨のきわみでございます。哀悼の意を申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 質問の第1は、水源環境保全・再生についてであります。 水源環境保全対策は喫緊の課題であり、今後の中長期的な重要政策であることは論をまたないところであります。昨年、我が公明党県議団は、藤野町の私有林など、水源林の実態調査を実施しました。立ち枯れや土壌の荒廃状況を目の当たりにして、水源環境保全対策のさらなる推進の必要性を痛感したところであります。 今2月定例会を迎えるに当たりまして、昨年提案された水源環境保全対策案を検討してまいりました。これを拝見して、全体的に感じることは、選択と集中ではなく、極めて網羅的、総花的ということであります。その理由は、水源環境保全対策が広い意味のものとなっているからであります。 申し上げるまでもなく、県政においては厳しい財政状況の中、水源環境保全対策だけではなく、やるべき緊急課題が山積しているのであります。今こそ、県民の目線に立って、選択と集中、バランスと公平をしっかり図り、県民ニーズにこたえるとともに、将来の安心を施策全般を踏まえて構築しなければならないのであります。 今後、体系的な取り組みを長期・継続的に進める必要があるとすれば、今回の提案は一層の事業の選択と集中が必要であり、大幅な財源不足が見込まれる中、財政健全化の取り組みを踏まえた適正な事業規模があるはずであります。ましてや、県民の方々に大きな負担となる20年の長きにわたる個人県民税の増税案であります。ゆえに、施策とその財源を考えるに当たっては選択と集中を図り、県民に過重な負担とならないような配慮はもちろんのこと、十分な説明、県民の理解と支持をいただくことが不可欠なのであります。 我が公明党県議団は、この水源環境保全案の施策につきまして、広く県民の声を聞くという観点から、この1月、県内各自治体の公明党議員団の代表に集合してもらい、ヒアリングを行いました。事前に資料を送付して各人の理解を深めるとともに、市町の首長及び当局担当者の意見、さらには、地元県民の皆さんの声もできるだけ多く伺った上で、一堂に集ったのであります。賛否両論ありましたが、その大半は反対意見でありました。 反対理由の主なものは、この時期に増税は厳しい、1,900円の負担は重過ぎる、税額に見合ったメリットを感じない、県民税・市民税の未納・滞納増が心配だ、受益者負担の原則を踏まえ、水道料金に上乗せすべきである、下水道料金を改定したばかりでさらなる増税は厳しい、都市部は税負担がかなり大きいが、目に見える還元がない等々でありました。 公明党県議団としては、これまでの調査・ヒアリング、県民の声、そして議論を通して、この議案に対する方向性を検討いたしました。その結果、選択と集中、適正な事業規模を前提として、水源環境保全施策は積極かつ速やかに推進すべきであると思いますが、その財源として個人県民税の超過課税、すなわち県民税増税案につきましては反対であることを申し上げておきたいと思います。 まず、県民周知・県民理解についてお尋ねします。 知事のマニフェスト・政策25によりますと、森林環境税(仮称)など新しい環境税を導入し、県民参加型の仕組みで水源の森林づくりや里山保全を進めます、法定外目的税として県民が広く薄く森林再生等の費用を負担する森林環境税(仮称)の条例制定を提案します、17年度導入を目指して県民の皆様とご相談しますとなっております。 そして、このたび県民税の超過課税条例が提案されました。これにつきまして、県民への周知とその理解は、今のところ、どう見ても不十分であります。にもかかわらず提案したのは、マニフェストで宣言したためのつじつま合わせの感がぬぐえないのであります。県民を知事のマニフェストの犠牲にはできないのであります。 さらに、マニフェストにいう森林環境税(仮称)は、あくまで法定外目的税を創設した場合の名称であります。これまでの経過を見ますと、水道料金に上乗せして徴収する案がとんざして、個人県民税の超過課税、すなわち増税とすることに変えたわけでありますから、もはや新税の名称などつける必要がなくなったのであります。しかるに、その後も増税ではなく、森林環境税、水源環境保全税、水源税、水源環境税等とさまざまな言い方で、県民に対して広報や広聴を行ってきたのであります。 そのため、多くの県民は個人県民税の増税を軽油引取税や都市計画税のような目的税として新設されると誤解をしているのであります。県民の理解を得るために手を尽くしたということでありますが、水源環境保全施策のさまざまな取り組みが、一般財源だけでは賄えないという具体の理由について、県民にどう説明したかも疑問でありますし、納得されたとは到底思えないのであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 拙速を省みず、提案を急いだ県民税増税案と言わざるを得ませんが、県民への正確な周知が不十分であり、県民理解も不十分であると思いますが、知事のご見解をお聞かせいただきたいと思います。 次に、水源の森林づくり事業と適正な事業規模についてお尋ねします。 現在、県が特別会計を設置して行っている水源の森林づくり事業は、平成9年度からスタートした事業であり、17年度当初予算案の会計規模は約20億円となっています。その財源内訳を見ますと、企業庁からの5億円の負担金と一般会計からの繰入金13億円などとなっています。なお、企業庁の負担金5億円は、県水利用1世帯当たりに換算しますと、月平均20円の負担となっております。 この事業の目的は、まさに水源環境の保全と再生であります。その目的のために、県は見通しと計画を立てて事業を推進してきたわけでありまして、この事業こそ、水源環境保全の一番根幹となる事業であります。これが今回の水源環境保全・再生基本計画案では、30億円規模の新規事業に変更するということになるわけであります。さらに、この水源の森林づくり事業にかぶせて網羅した事業規模は、県民の目線に立って、他の事業とのバランスを十分に考えた適正なものなのかどうか、大変疑問に感じるのであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 17年度当初予算で20億円を投入しようとしている水源の森林づくり事業について、新規財源の活用が必要となる理由をお伺いいたします。また、水源環境保全・再生基本計画案の全体事業計画の規模が、本当に適正な規模であると考えているのかどうか、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。 次に、県民税増税に関してお尋ねします。 先ほども申し上げましたが、今回の増税は、水道料金に上乗せして徴収する案がとんざして、個人県民税の超過課税にかえたわけであります。そもそも神奈川県地方税制等研究会は、2003年10月に導入予定の水源環境税について、県民税均等割への超過課税方式と水道料金に上乗せする法定外目的税を両論併記して答申いたしました。 本来は両論併記の答申が出されたときに、県民にも問題提起して、県民から幅広く意見を伺う必要があったわけであります。もともと、この研究会は財政再建団体転落の危機を前にして、地方が新たに自主財源をいかに構築できるかというのが目的でありました。つまり、地方分権を推進する中で、課税自主権の拡大を具体的にどのように図っていくかということでありました。それが課税自主権の拡大に何らつながらない超過課税方式、これならだれにでもできるわけであります。愚策のそしりは免れません。 また、今後の国の税制改正等の動きを見ますと、間違いなく家計への負担はずしりと重くなるようであります。17年からは住宅ローン減税の縮小、老年者控除の廃止、配偶者特別控除の一部分廃止、18年からは所得税の定率減税の半減、19年からは所得税・個人住民税の定率減税の廃止などが見込まれておるところであります。 また、県では、法人県民税・事業税超過課税の延長問題等々が見込まれているわけであります。 さらに、我が国の温室効果ガスの排出量は、15年前に比較して8%も増加しており、地球温暖化への対策は待ったなしの状況であることから、国は環境税の18年1月導入を見送ったものの、翌年に導入することは目に見えているところであります。 いかに命に深くかかわる施策といっても、環境施策のための財源確保に、国からも県からも増税を連発されたのでは、さすがの県民も納得できるものではない、こう思うのであります。この国民大増税・大負担の時代に追い打ちをかけるかのように、18年度から神奈川県の個人県民税を増税することなど、到底認められないのであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 水源林保全の整備であるならば、受益者負担が適当、県民税増税導入は筋違いであるとの指摘も根強いものがあります。なぜ、当初の水道料金上乗せから県民税増税に切りかえたのでしょうか、また、それまでに、どのような折衝と検討がなされたのか、お聞かせいただきたい。さらに、水源環境保全・再生基本計画の新規財源活用事業の推進は、現在の一般財源の範囲で考えるべきであると思いますが、なぜ、増税を強行しようとするのか、あわせてお答えをいただきたい。 さて、知事はある団体の新年会で、水を守るためのカンパのような形で協力をと訴えました。税として徴収するとなると国税徴収法が適用され、滞納すれば刑事罰が科せられることになるわけであります。それだけに、新税創設や増税には、徴収する県もそれなりの覚悟が必要であります。税という言葉とカンパという言葉は同一レベルではないのでありまして、これを軽率にも同一レベルで使用するところを見ると、知事は税を余りに軽く考えていると言わざるを得ないのであります。 また、昨年3月、検討期間が短く、急ぎ過ぎであると指摘した議会の意見を振り切って、知事は総合計画を策定いたしました。このため、総合計画と本来一体であるべき地域計画が後づけとなり、そのことが原因となって、市町村から基本計画議決条例について誤解され、大変迷惑をしたのであります。今回の議案も、客観情勢から判断しますと、無理は明らかであります。 私ども公明党は、県民税増税には反対であることを繰り返し申し上げておきたいと思います。 質問の第2は、産業集積と羽田空港再拡張・国際化についてであります。 まず、企業誘致体制の整備についてお尋ねいたします。 昨年10月に策定した神奈川県産業集積促進方策に基づきます施設整備等助成制度の受け付けの開始以来、既に8社から申請がされています。申請内容を見ますと、研究所だけではなく工場の立地に係る申請もあり、また、県内の各地域にバランスよく集積が進もうとしており、よいスタートを切れたと思っております。 しかし、産業活性化はこれからの本県の生死を決める大事な問題であり、これから5年間を施設整備等助成制度の受付期間としていますが、ここで取り組みを加速させ、5年間をかけないで目標を達成していくことで、産業基盤の強化を図ることが重要であります。 そのような状況の中、平成16年度の2月補正予算案で、同助成制度にかかわる産業集積施設整備等助成金につきまして、総額613億3,600万円の債務負担行為の設定議案が提出されており、本県の姿勢を対外的に示すという意気込みが感じられます。 また、17年4月から、現在の新産業振興課を産業活性課に再編し、その課内に企業誘致室を設置する方向性が出されています。産業集積の重要性を考えますと、専門セクションを設置するのは当然のことであります。しかしながら、担当する業務は、県を代表して企業と渡り合い、県内進出を促し、県の産業活性化に結びつけていくという大きな使命を持った業務でありますので、名ばかりのセクションでは困るのであります。また、一定の責任を持って企業との調整に動ける職員も必要になるのではないかと思います。 そこで、知事にお伺いいたします。 企業誘致の専門セクションへの人員配置は、組織全体の問題もあると思いますが、例えば、期間を限定することで集中的に人数を配置するなどして、しっかりとした専門セクションとするとともに、企業誘致を担当する幹部職員も配置すべきであると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、海外企業の誘致についてお尋ねします。 企業のグローバル化が進んでいるとはいえ、国内企業の誘致と比較して、海外企業の誘致は格段の難しさがあると思います。例えば、海外に出れば、まず、神奈川県という名前を知ってもらうことから始まることになります。また、新たな研究所などの立地は、企業のトップが最終的に判断する事柄であり、情報管理も徹底しているはずであります。その前提で、海外企業との交渉をじかに行うわけでありますから、相当な交渉力が求められることになります。 このように海外企業の誘致に関する諸条件は厳しいものがあると思いますが、17年度当初予算案では、新たに米国・メリーランド州に経済交流拠点を整備するとともに、海外駐在員事務所を海外企業誘致ステーションとして位置づけるなど、海外企業の誘致にも積極的に取り組もうとしております。 そして、米国・メリーランド州の経済交流拠点は、新たな拠点整備ということで、北米との経済交流の促進と本県への企業誘致の推進を図るという役割を負っております。もちろん企業誘致だけではなく、経済交流という側面があることも事実でありますが、新たに拠点を整備する以上、企業誘致の効果も見込んでのことであると考えます。 そこで、海外企業の誘致という観点から、なぜ新たにメリーランドに経済交流拠点を整備するのか、また、どのように誘致を促進していかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、羽田空港の再拡張・国際化についてお尋ねをいたします。 本県の京浜臨海部の活性化、県内産業の活性化に向けまして、神奈川県産業集積促進方策と並んで重要なことは、羽田空港の再拡張・国際化であります。羽田空港の国際化、さらに、神奈川口構想の実現は、本県産業にとりまして極めて大きな追い風となるわけであります。 そして、17年度当初予算案には、羽田空港再拡張事業に対しまして、県としても資金協力をしていくということで、9億1,700万円含まれております。これは平成15年12月に、本県及び横浜市、川崎市が国からの要請を受けまして、羽田空港再拡張事業に要する費用の一部として、3団体で総額おおむね300億円、各団体おおむね100億円の資金協力を行う旨の意向を表明したことに基づくものであります。そして、意向表明の際にも言及されておりますけれども、資金協力を行うに当たっては、神奈川口構想の実現は重要な要素であることは言うまでもないわけであります。 今回の資金協力に当たりまして、知事は、「神奈川口構想がうまくいかない中で協力することはできない、しかし、国は約束しているし、具体的に協議も進んでいるので、1年目としては協力してよいのではないかと判断している」と発言されております。まさに、国がどこまで神奈川口構想の実現に向けて動くかが重要な判断材料でありまして、本県といたしましても、協議が動き出したからというだけで判断していくには難しさがあると思います。 また、神奈川口から羽田空港への連絡路につきましては、今後の都市計画上の手続等の後に設計・工事に入るということで、2009年までに間に合わせることが難しいという話もあります。連絡路がなければ、神奈川口の機能が十分に発揮されないわけで、着工の目途が立っていればともかく、その時期、手法等が全く未定の状態であることから、神奈川口構想の実現に向けて、不確定要素が多過ぎるのではないかと思うのであります。 そこで、羽田空港の再拡張事業への貸し付け実行を考える上で、神奈川口構想の17年度中の国との協議目標をどこに置いて取り組んでいくおつもりなのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第3は、安全・防災問題についてであります。 まず、県民生活の安全・安心の確保についてお尋ねします。 先月、警察本部から、昨年1年間の本県における刑法犯認知件数は約18万3,000件であり、2年連続して件数が減少しているとの発表がありました。この間の警察本部を初めとする関係機関の努力は評価をしておるところでございます。しかし、犯罪の凶悪化の状況などを踏まえますと、取り組み強化が不可欠であります。 こうした中、犯罪のない安全・安心まちづくりについては、昨年12月定例会で条例が可決されました。我が党は、以前から安全・安心まちづくり条例の必要性を一貫して主張してまいりましたが、いよいよ4月から条例施行となります。 現在、県内各地で多くの県民が、自分たちのまちは自分たちで守ろうという意識を持って立ち上がってきております。今回の条例は、県、県民、事業者が、できるところから防犯対策に取り組み、犯罪の発生機会を減らしていくことを目的としております。 この条例の趣旨を十分に生かし、絵にかいたもちにならないよう、実効性あるものにしていくためには、自主的な防犯活動に取り組んでいる団体などへの支援が必要であります。また、こうした防犯の取り組みは、自治会など、地域での取り組みが基本でありますので、市町村の役割が重要となります。 そこで、県として、市町村への働きかけや支援を行っていくことも必要となります。さらに、地域の活動を促していくだけではなく、条例を制定した県みずからの主体的な取り組みが必要になってきます。この条例の施行を契機に、県民との距離感を縮め、県みずからが県民に直接働きかけていくような取り組みを進めていくことが重要であり、そのことが県民の安全の確保、犯罪への不安のない安心して暮らせる地域社会の実現につながっていくものと考えております。 そこで、県民総ぐるみで防犯に取り組んでいくことを目的とした神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例が施行になることを契機に、県みずからが主体的にどういった取り組みを行っていかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、石油コンビナート地区の防災についてお尋ねをいたします。 本県の臨海部は、昭和30年代から40年代に重化学工業など事業所が次々と進出し、現在でも、国内の主要な石油精製所が立地している国内最大級の石油コンビナート地区を形成しております。 この石油コンビナートの防災については、昭和49年、岡山県水島で発生した重油流出事故を契機に、石油コンビナート等災害防止法が制定され、コンビナートを有する道府県で石油コンビナート等防災本部が設置され、石油コンビナート等防災計画を策定し、防災対策の強化が図られてまいりました。 しかし、最近の産業界の事故発生に関する状況を見ますと、一昨年の三重県でのごみ固形燃料による発電所の事故を皮切りに、エクソンモービル名古屋油槽所の事故、ブリヂストン栃木工場の事故などが続き、十勝沖地震により出光興産北海道製油所で大規模な火災が発生するなど、重大な事故が多発しております。 こうした状況の中で、経済産業省では一昨年、産業事故対応会議を設置し、産業界に注意を喚起しております。また、昨年、消防庁では、石油化学を中心とした事業所の集中している石油コンビナート地区の防災を強化するため、石油コンビナート等災害防止法の改正を行い、防災資機材の機能強化や事業所における防災体制の強化などを図りました。 特に、本県の石油コンビナート地区は高速道路が通過し、重要な港湾が配置された陸と海の交通拠点に位置していることから、この地区における事故・災害の発生は、交通や経済に重大な影響を及ぼすことが確実であります。ましてや、首都圏直下の地震など、大規模な地震の発生を想定しますと、石油コンビナート地区の近隣住民の不安ははかり知れないものがあります。 そこで、本県の石油コンビナート地区における防災対策をどのように取り組んでいるのか、また、今後どのように進めていくのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第4は、少子化対策についてであります。 初めに、次世代育成支援の地域行動計画についてお尋ねします。 2006年に日本の人口はピークを迎え、2007年から減少に転じると予想され、日本社会は大きな歴史的転換点に立っております。我が党といたしましても、2005年は少子化対策を最重要課題と位置づけ、総合的な支援策を盛り込んだ少子社会トータルプランの策定に向けて検討を開始しておりますが、私は少子化問題、次世代育成に関して、県が何をできるのか、いや、やらなければならないのかということを真摯に議論し、即実行に移さなければならない、こういうふうに思うのであります。 現在の総合計画では、少子化の進行に対応した取り組みである次世代の育成が、重点施策の基本方向の一つとして位置づけられており、県政の重要課題となっております。さらに、県も16年度に次世代育成支援のための地域行動計画の策定が義務づけられており、17年度から5年間の具体的な施策が盛り込まれることとなります。 これらの計画を踏まえて、県が選択と集中により、何をどこまでやるかが、少子化対策に対する県の姿勢そのものになると考えるのであります。少子化対策は根幹の施策であり、県民に騒然たる論議を巻き起こしていく必要があると考えております。そして、平成17年度は、次世代育成支援対策が10年間の集中的な取り組みとしてスタートする年であり、本県も地域行動計画を着実に推進して、実のある計画としていかなければならないということから、その実効性が問われることになるのであります。 そこで、次世代育成支援の実行こそが求められているということを踏まえまして、地域行動計画を強力に推進していかなければならないと考えますが、知事のご決意をお伺いいたします。 次は、子育て家庭の経済的負担の軽減についてお尋ねします。 少子化が社会経済に与える影響は大きく、厚生労働省の推計では、日本の労働力人口は2005年の6,770万人をピークに減り始め、2025年には6,300万人になることが予想されております。当然のことながら、こうした変化は社会保障制度にとりましても大きな衝撃となります。少子化が進めば進むほど、社会保障給付費用の大半を捻出する現役世代の負担が過重になり、制度自体が不安定になってくることも想定されるのであります。 その社会保障給付費を対象別に見ますと、2002年度では、高齢者関係が58兆4,000億円と、全体の69.9%、約7割を占めているのに対しまして、児童・家族関係は3兆2,000億円で全体の3.8%にすぎないことから、社会保障制度を子育て支援重視型へと転換していくことも大切な課題となっております。 そして、少子化社会白書では、少子化の原因を未婚・晩婚化の進展や夫婦の出生力の低下と分析し、その背景には子育てに対する負担感の増大などを挙げておりますが、これらの指摘はこれまでも言われ続けており、問題はこうしたニーズに適切に対応できる施策を、効果的かつ集中的に実行するかにかかっているのであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 子育て家庭の経済的負担の軽減につきましては、国、県、市町村の役割分担を初めとして、財政の問題に直結してくることもあり、今後の大きな政策課題になると考えておりますが、この問題にどのような姿勢で臨まれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第5は、教育問題についてであります。 まず、生徒がわかる授業づくりについてお尋ねします。 先日、退学者が極めて多い、ある県立高校を訪問し、校長から実情を伺いました。その高校では、授業中に生徒が静かにしないどころか、教室から出歩くこともあるような状況の中で、教職員全体で生徒の授業態度や服装の指導に取り組むとともに、少人数学習や習熟度別の学習など、生徒一人一人にきめ細かな授業を行うなど、学校が一丸となって対応していました。 また、訪問した高校は、通常の県立高校と比較して多くの教職員を配置されているようでありますが、学校の状況に応じて、集中的に教職員を配置することも必要になるのではないかと思います。 さらに、退学者の家庭状況をお聞きすると、さまざまな事情がある生徒も多いようでありますので、スクールカウンセラーを配置するなど、一定程度、家庭的な問題をカバーしていくための対応も必要になってくると思います。 課題を抱える県立高校における学校の取り組みには敬意を表するところでありますが、授業が成立していない学校につきましては、まず、授業を成立させなければなりません。そのためには、当たり前のことですが、生徒がわかる授業を行うことが必要であります。授業が理解できなければ、生徒もおもしろくないため、授業中に騒ぎ、他の生徒の邪魔になるという悪循環に陥っていきます。まず、学校としても、生徒がきちんと授業を受けられる状態をつくるところからスタートしなければならないと思います。 そこで、わかる授業を行うためには、教師一人一人の努力が不可欠であるものの、教師や学校だけに任せるのではなく、県教育委員会としても具体的な対応策を示し、学校を支援していくべきではないかと考えますが、教育長のご所見をお伺いいたします。 次は、校長のリーダーシップ、学校マネジメントの外部評価についてお尋ねします。 テレビ放映もされましたが、イギリスで最もレベルの低い小学校とされたカルバートン小学校の改革に触れたいと思います。 この小学校はさまざまな問題を抱え、全国共通テストは300点満点中44点という状況でありました。そして、失地回復を目指して迎えたのがシャロン・ハロウズという女性校長であります。イギリスの公立学校では校長は独立した学校経営者で、大幅な裁量権を与えられています。やる気のある教師を採用した彼女の改革は奇跡を生みました。5年で不登校・授業崩壊を一掃し、学力テストの平均点も44点から282点まで引き上げました。イギリスと同じ教育環境というわけではありませんが、各種の規制緩和、地方分権が進む中で、今後ますます学校の経営能力や教師の力量が問われることになるのであります。 そのような状況のもとで適正な学校経営を進めるためには、子供の実態と社会や地域のニーズを踏まえ、学校の取り組みが効果的でなければなりません。そして、他校との競争原理のもと、単一的な学校運営に陥らないようにするため、学校内では校長を中心とした総合的なマネジメントを行うことが強く求められます。 それには、まず、校長が強力にリーダーシップを発揮できるよう、校長のマネジメント能力を高めることが何よりも不可欠であります。また、校長一人が声を上げても、学校が組織として動かなければ実効性ある取り組みにはなりません。 そこで、学校が校長のマネジメントのもと有効に機能するためには、まず、校長がリーダーシップを発揮しやすい環境づくりを教育委員会が整え、その上で、校長の学校マネジメントについての外部評価をしていくことが必要であると思いますが、どのように取り組みを進めようとしているのか、教育長のご所見をお伺いいたします。 以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕  〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○議長(新堀典彦君) 松沢知事。   〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 金子議員のご質問に順次お答えいたします。 まず最初に、水源環境保全・再生についてのお尋ねがございました。 初めに、水源環境保全・再生施策に係る新たな税制措置についての県民への正確な周知や県民理解が不十分ではないかとのお尋ねでございます。 水源環境の保全・再生施策については、平成12年5月に地方税制等研究会から、生活環境税制に係る提言をいただいて以降、これまで4年半にわたり、県民集会、シンポジウム、出前懇談会など、県民の皆様とさまざまな議論を行ってきたところでございます。 こうした場では、水源環境の現状や課題、またその対策に加え、厳しい県財政の現状や行政システム改革の努力について、きちんとお話をしてまいりました。また、水源環境保全・再生施策を継続的、安定的に進めるための税制措置として、法定外目的税や個人県民税の超過課税などの方法があり、いずれの措置にもメリット・デメリットがあるとの説明も行ってきたところでございます。 さらに、平成15年10月に地方税制等研究会から、生活環境税制のあり方に関する報告書が出されてからは、この報告書をベースに市町村や水道事業者との議論を深め、水源環境保全・再生に関する施策と税制措置の方向性を整理してまいりました。 この整理に当たっては、県民集会はもとより、テレビやラジオ、県のたよりなど、でき得る限りの手段を尽くし、県民の皆様のご理解をいただく努力を積み重ねてまいりました。その際、水源環境の保全・再生施策の効果は水の利用を通じて、すべての県民の皆様に及ぶことから、県民全体でこの取り組みを支えていただくことが必要であり、薄く広く新たなご負担をお願いしたいと訴えてきたところでございます。 加えて、昨年12月に基本計画案をお示しした以降も、施策と税制措置の全体についてご理解をいただくため、県のたよりやFM放送などによる広報を連続的に行うなど、多くの県民の皆様にご理解が浸透するよう、全庁を挙げての周知活動に努めてまいりました。 こうした取り組みによりまして、県民の方々の理解が深まったものと判断いたしましたので、今回新たな税制措置を提案させていただいたところでございます。 次に、水源の森林づくり事業について、新規財源の活用が必要となる理由、また、水源環境保全・再生基本計画案の全体事業計画の規模が適正であるかどうかについてのお尋ねがございました。 水源環境保全・再生基本計画案は、平成15年10月に神奈川県地方税制等研究会から提言を受けた生活環境税制のあり方に関する報告書を土台に、市町村や水道事業者等との議論、県民からのご意見を踏まえ、水源環境保全・再生に必要不可欠な施策・事業を総合的な体系として取りまとめたものでございます。 これらの施策・事業はこれまで県や市町村、水道事業者が実施してきている取り組みに加えて、新たな施策や従前の取り組みを拡充・強化するものから構成されておりまして、全体として水源環境を保全・再生するためのものとなっております。 このような全体事業の中で、一般的な行政水準を超えるような特別の取り組みについては、新たな財源を活用する事業と位置づけまして、新規、拡充性や独自性などの要件を設け、事業の絞り込みを行ったものでございます。 お尋ねの水源の森林づくり事業でございますが、この事業は荒廃の進む私有林を平成34年度までに公的に管理、支援するもので、平成9年度から事業を開始し、平成15年度までに5,564ヘクタール、全体2万7,000ヘクタールの約20%を確保したところでございます。 この事業は議員お話しのとおり、水源環境保全・再生の根幹となる神奈川県独自の事業でございまして、基本計画案ではこれまでの私有林の公的管理支援をより一層推進し、整備のスピードアップやダム上流域の水源としての重要な私有林の公有地化を拡大していくこととしております。 これによる事業費はこれまでの約15億円から約30億円と、2倍になり、今後、長期にわたり安定的な財源の確保が必要となりますので、新たな財源を活用する事業として整理をいたしました。 また、基本計画案の全体事業の規模でございますが、水源環境の保全・再生のために、県や市町村、水道事業者等が取り組むべき事業を積み上げたものでございまして、当初5年間に全体事業費では1年当たり538億円規模の事業費が必要とされると考えたものでございます。 これらの事業のうち、先ほどの新たな財源を活用すべき事業の考え方により精査した結果、新規財源を充てる必要があると判断された事業の規模は78億円となったところでございます。 次に、新たな税制措置について、水道料金上乗せ方式ではなく、個人県民税の超過課税とした理由、及びその経緯、また一般財源でなく、なぜ増税を行おうとするのかというお尋ねがありました。 地方税制等研究会からの報告では5種類の税制措置が提示され、その中でも水道料金に上乗せする法定外目的税と県民税の超過課税方式がふさわしいとされたところでございます。 そこで、研究会からご提案いただいた税制措置の考え方やその内容について、その後の県民集会や出前懇談会などでご説明し、県民の皆様からのご意見をいただいてまいりました。また、市町村や水道事業者の方々とも検討の場を設け、研究会報告についてさまざまな観点から議論を行ってきたところでございます。 このような県民、市町村、水道事業者のご意見を十分に踏まえまして、庁内での検討を進めてまいりました。 そこで、水道料金方式でございますが、受益と負担の関係がわかりやすいという利点がある反面、低所得者層の税負担割合が高くなる、いわゆる逆進性の解消が容易ではないという制度面での問題がございますし、横浜、川崎、横須賀の水道事業者のご協力が得られないという実務面での困難性も抱えております。 一方、個人県民税の超過課税は県民の方々に薄く広く、できるだけ平等にご負担いただく仕組みですが、負担能力にも配慮することができますし、賦課徴収を行う市町村のご協力もいただけるものと判断したところでございます。 また、なぜ一般財源の範囲内で考えないのかということでございますが、水源環境の保全・再生のために、これまで以上の特別な施策を継続的、安定的に進めるためには、既存財源だけでの対応には限界がございます。したがいまして、新たに安定的な財源を確保することがぜひとも必要と考え、今回新たな税制措置を提案させていただいたところでございます。 議員からもご指摘のあったとおり、国民負担の増加が避けられない中で、県民の皆様に新たな負担をお願いすることは、まことに心苦しいことではございますが、水源環境の保全・再生に向けて、私たちの責任で一刻も早く取り組みを進め、次の世代に良好な環境を引き継いでいきたいと思いますので、何とぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。 次に、企業誘致体制の整備についてのお尋ねでございます。 県では神奈川県産業集積促進方策、いわゆるインベスト神奈川に基づき、企業誘致や既存企業の再投資による産業集積に積極的に取り組んでおりまして、本日までに8社の研究所の新設を中心とした事業計画の申請がなされております。 このように企業が立地するに当たっては、土地利用や建築行為等に係るさまざまな許認可手続等が必要であり、これらに多くの時間を要した場合には、企業の投資のタイミングを失うこともあると考えております。 そこで、企業のニーズを的確に受けとめ、立地に当たっての問題点の整理から、関係セクションとの調整、申請手続までのすべての過程を専任の担当者が対応し、かつワンストップでサポートする企業誘致室、神奈川企業誘致ワンストップステーションを設置することとしております。 この企業誘致室は現在の新産業振興課を産業活性課に再編して、その課内に設置いたしますが、室長には企業誘致に係る業務上の権限を与え、より強力で迅速な業務執行を行うものでございます。 そこで、企業誘致室長には、企業誘致への積極的な取り組み姿勢と組織全体の士気を高め、組織力を最大限に発揮できる強力なリーダーシップが求められることから、幅広く庁内から公募し、選考することといたしました。 また、担当者につきましても、立地相談や誘致活動等について、企業訪問や関係機関との調整が必要であることから、積極性や交渉、折衝力があり、さらに責任感あふれる人材を公募を含めて幅広く庁内から求めることとしております。 いずれにいたしましても、中小企業を含めた県内産業の活性化と雇用の創出を図るために、企業誘致室という新たな専門組織が最大限に機能するよう幹部職員の配置も含め、企業のニーズをワンストップでしっかりと受けとめられる体制の整備に努めてまいります。 次に、海外企業誘致についてお尋ねがございました。 県では17年度に新たにメリーランド州に経済交流拠点を設置するほか、ロンドン、シンガポール、中国・大連の各海外駐在員事務所を海外企業誘致ステーションと位置づけまして、企業誘致業務に重点を置いて取り組むこととしております。 そこで、新たにメリーランド州に経済交流拠点を設置する理由でありますが、第1点目はメリーランド州とは二十数年間にわたる友好交流関係にありますし、また、過去にはバイオ関連企業との交流実績もあり、今後も県内企業との連携を図っていくこととしております。2点目は、米国は日本・神奈川への企業進出が最も多い国であり、その中でメリーランド州はバイオ関連企業や研究機関の北米3大集積地域の一つとして、今後とも対日進出の有望地域であることです。そして、3点目は、昨年6月に私がメリーランド州を訪問した際、州政府の方から事務所開設の提案とともに、事務所スペースの提供の申し出があったことなどが主な理由でございます。 経済交流拠点の人員体制でございますが、職員1名、現地スタッフ2名の体制とすることとして、現在準備を進めております。 次に、ここを拠点としてどのように誘致促進を行っていくかでございます。新たに拠点を設置するわけでありますので、それに見合った事業効果を出さなければならないことは当然のことと認識をしております。 したがいまして、17年度から速やかに企業誘致セミナーの開催や個別企業訪問などができるように、派遣職員は海外での経済交流事業の経験があり、即戦力となり得る職員を派遣したいと考えておりますし、加えて、現地スタッフも優秀な人材を確保するよう、州政府等に情報収集をお願いしております。 また、プロモーション活動も過去のバイオ関連企業との交流実績をもとに、計画的に企業誘致セミナーを開催するなど、その実施に当たりましては、JETRO、州政府等の関係機関と密接な連携を図るとともに、達成すべき数値目標を設定した上で、着実な成果が得られるよう事業評価を行いながら、戦略的な企業誘致活動を展開してまいりたいと考えております。 次に、羽田空港の再拡張事業への貸し付け実行を考える上で、神奈川口構想の17年度中の国との協議の目標をどこに置いて取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。 再拡張事業への資金の貸し付けにつきましては、基本的には再拡張・国際化の早期実現が望まれることから行うものでありますが、あわせて神奈川口構想について国との協議会が設置されるなど、国が主体となり、推進される見通しが立ったことなども踏まえまして、平成15年12月に横浜市、川崎市とともに協力に応ずることとしたところでございます。 再拡張事業の最近の状況でございますが、貸し付けの対象である新滑走路の整備につきましては、この3月の入札に向けた準備が進められております。また、神奈川口構想につきましては、去る1月13日に3回目の協議会が開催され、五つの検討事項についてこれまでの検討状況などを協議し、合意したところでございます。 その際、国土交通大臣からも神奈川口構想に今後も前向きに取り組んでいくとのご発言もいただきました。その中で、お話のありました連絡道路につきましては、東京都も参画している京浜臨海部幹線道路網整備検討会議において、その必要性についての共通認識を得ることができまして、今回の協議会で大臣とも確認できたところでございます。 こうしたことから、全体として着実に前に進んでいるものと考え、横浜市、川崎市とも相談し、今回17年度分の貸付金の予算を措置させていただいたところでございます。 今後も各検討事項の具体化を目指して、積極的に取り組んでまいりますが、貸し付けの実行に際しましては、再拡張事業の進捗状況や協議会の五つの検討事項の進みぐあいなどを踏まえまして、横浜市、川崎市とも相談し、総合的に判断をしてまいりたいと考えております。 なお、特に国との調整が必要な連絡道路につきましては、国や東京都等と十分に調整を図りながら、17年度中には整備に向けた見通しをつけられるように最大限努力してまいりますので、議員の皆様におかれましても、議員連盟等を通じましてご支援、ご協力を賜りますようお願いを申し上げます。 次に、犯罪のない安全・安心まちづくりについて、県みずからの主体的な取り組みへのお尋ねがありました。 平成17年度は、犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例の理念を具体的に展開していく大切な年でございますので、県として大きく三つの方向から主体的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。 その第1といたしましては、組織体制の整備、職員の重点配置による犯罪抑止力の向上でございます。 まず、警察官を本年度に引き続き240名増員するほか、非常勤職員の交番相談員を150名から一挙に300名に増員いたしまして、体制の充実と交番不在対策の強化に努めてまいります。 また、くらし安全指導員を倍増して100名の体制とするとともに、再編後の各地域県政総合センターにも配置いたしまして、自主活動のネットワーク化や地域に密着した取り組みの充実強化を図ってまいりたいと考えております。 第2といたしましては、県民運動の活性化とネットワークづくりの推進でございます。 まず、県民総ぐるみの推進体制として、多くの関係団体の皆さんにご参加いただいた県域レベルの推進協議会を早急に立ち上げまして、防犯活動を促進するための1万人防犯パトロールや地域安全マップコンクール、さらには県民大会、フォーラムなどの事業を実施するとともに、地域ごとの協議会の設置も促進いたしまして、県民運動のネットワーク化を進めてまいりたいと考えております。 あわせて、県といたしましては、模範となるような優秀な民間活動の顕彰や防犯ボランティアの指導者養成など、県民の意識高揚のための事業にも取り組んでまいりたいと考えております。 第3に、防犯に配慮した生活環境の整備といたしまして、本年度に引き続き、さらに4地域にスーパー防犯灯を整備するとともに、新たに子供たちの安全確保のため、県立の盲・聾・養護学校や市立の幼稚園、保育所への緊急通報システムの整備も推進してまいりたいと考えております。 また、これらに加えまして、県民の皆さんの自主的防犯活動を活発に行っていただくために、市町村や団体に対する必要な経費の助成などもできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。 こうしたさまざまな取り組みを通じて、市町村や県民の皆さんとともに、犯罪のない安全で安心な神奈川の実現を目指して努めてまいる所存でございます。 次に、石油コンビナート地区の防災対策についてのお尋ねがございました。 石油コンビナート地区の特殊性は多数の石油タンクや高圧ガス施設などが集中していることから、施設ごとの防災対策はもとより、地域全体をとらえた防災上の配慮が必要になる点にあります。そのため、事業者に対して、他の地域以上の規制や防災対策実施の責務を課すほか、一方で県石油コンビナート等防災本部により、国、地方自治体、事業者の3者による総合的な防災体制が整備されております。 こうした中、平成15年9月の苫小牧における石油タンクの全面火災の発生を受け、昨年石油コンビナート等災害防止法が改正され、新たに広域的な共同防災組織を設置し、大容量泡放射砲を整備することが定められました。本年12月からの施行に向けて、総務省消防庁では配備基準の策定などを進めているところでございます。 本県においても、県内の関係行政機関と事業者で構成する神奈川県石油コンビナート等特別防災区域防災課題検討会を昨年6月に設置しまして、法改正に伴う防災体制や資機材の強化など、新たな課題に対する検討を進めております。 さらに、県といたしましては、石油コンビナート地区の総合的な防災対策を進めるため、平成17年度から各事業所の石油、高圧ガス、劇毒物による事故防災の発生確率や地震によるスロッシング被害などの危険性とこれらの影響範囲を調査・予測し、総合評価する、いわゆる防災アセスメント調査を実施してまいります。 今後、アセスメント調査の結果に基づき、本県の抱える課題を総合的に検討し、防災計画を見直すとともに、防災本部機能や事業者も含めた石油コンビナート地区の防災体制の強化を図ってまいりたいと考えております。 次は、少子化対策についてでございます。 まず、次世代育成支援対策推進法に基づく地域行動計画推進に向けた決意についてのお尋ねがありました。 この地域行動計画は、すべての都道府県・市町村に平成16年度中の策定が義務づけられている法定計画でありまして、福祉や保健、労働、教育、まちづくりなど、幅広い総合的な取り組みを位置づけることとされております。 先般公表した本県の計画素案は、まず、次世代育成をめぐる現状と課題を整理した上で、総合的に着実に推進していくための施策・事業を位置づけた主な取り組みと、加えて今回の計画期間である平成17年度から5年間に特に力を入れて新たに取り組むべき緊急性、重要性の高い課題に対応するための重点プログラムの二つで大きく構成されております。 重点プログラムは、昨年6月に発足した幅広い分野の団体代表や有識者で構成する神奈川県次世代育成支援対策推進協議会や県民の皆様からのご意見を参考としながら、関係部局と議論を重ね、各部局にまたがる重点的な取り組みとして練り上げたものでございます。 具体的には、子供の安全の確保、児童虐待防止の徹底、若者の自立・就業支援など、9本のプログラムを提示しており、今後、次世代育成支援への理解、認識を深めていただくための県民運動とも連動させながら、各プログラムを進めてまいりたいと考えております。 次世代育成支援の推進のためには、県民の皆さんはもとより、企業、団体等を含め、幅広い層の理解と協力が必要不可欠であります。そこで、計画策定に大きな役割を果たしていただいた、さきの協議会を発展的に改組し、県民とともに計画推進に取り組んでいただくための新たな体制を整備してまいります。その上で、安心、ゆとり、喜びのある子育てと神奈川の未来を担う子供たちのたくましい成長のための環境整備に向け、県政の喫緊の重要課題として県民総意のもと、次世代育成の機運を盛り上げ、積極的に推進を図ってまいる所存であります。 最後に、子育て家庭の経済的負担の軽減についてのお尋ねがございました。 少子化の要因や背景を探るためのさまざまな調査や研究の結果から、理想の子供数を実現できない一因として、子育ての経済的負担が大きいことが浮かび上がってきております。県内の市町村において、平成15年度に実施した子育て家庭を対象としたアンケート調査からも、同様の結果が見られたところでございます。 このような中で、本県におきましては、例えば子育て家庭の乳幼児医療費の助成や高校生への奨学金制度など、さまざまな施策を行っております。また、国の施策である児童手当制度についても逐次充実が図られており、県が法定分の負担を行うとともに、一層の拡充を国に働きかけているところであります。 しかしながら、ヨーロッパ諸国の例などに比べますと、我が国の子育ての経済的負担軽減のための施策の現状は依然見劣りする水準であるとの指摘もされております。また、企業における家族手当などの見直し、若年層の非正規雇用の増加など、これから子供を持とうとする家庭や子育て家庭にとって、子育ての経済的負担感の増大につながるような環境変化も見受けられるところであります。 こうしたことから、国では昨年末に子ども・子育て応援プランの中に、児童手当の拡充等、経済的負担の軽減を今後の課題に位置づけております。 そこで、本県といたしましても、地域行動計画の素案に盛り込んだ9本の重点プログラムの一つに、子育ての経済的負担軽減策のあり方の総合的検討と展開を位置づけて、市町村や子育て中の県民の方、専門家等の参画も得た検討の場で、多角的な議論を深めてまいります。 その成果に基づいて、国への提案や働きかけを進めるとともに、県としての役割を踏まえた具体策の展開を図ってまいりたいと考えております。 先ほど水源環境保全・再生の答弁の中で、全体事業計画の1年当たりの事業費を536億円と発言してしまいましたが、正しくは538億円でございますので、訂正させていただきます。(訂正済) 答弁は以上でございます。  〔教育長(曽根秀敏君)発言の許可を求む〕
    ○議長(新堀典彦君) 曽根教育長。 ◎教育長(曽根秀敏君) 教育関係についてお答えをいたします。 生徒指導上の課題への対応も含め、生徒がわかる授業づくりに向けた教育委員会の支援についてのお尋ねがございました。 まず、生徒指導の課題が多い高校に対する教育委員会の支援でありますが、お話にもございましたが、学習活動全般に対して教員の目が細かく行き届く環境を整えるとともに、基礎学力の定着を図るためには、小集団学習や習熟度別学習が有効でございますので、そのために必要な教員の配置を行っているところであります。 また、学校でいじめや暴力行為などの問題行動等が発生した場合には、必要に応じて教育委員会から職員を派遣するほか、生徒の心や生活の問題に対応するため、臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置をしております。来年度はこのスクールカウンセラーの増員を計画しておりまして、今後もこうした取り組みを充実してまいりたいと考えております。 こうしたことに加え、やはり学校生活の中心である授業において、生徒にわかる授業を行うことが何よりも大事でありまして、すべての高校に求められることでもあります。各高校ではわかる授業づくりや授業改善に向け、さまざまな取り組みを行っており、例えば体験重視の学習により、生徒の興味や関心を呼び起こす学習を行ったり、学習がおくれている生徒に対し、中学校で習った分野の復習も含めた補充的な指導を行ったりするなどの工夫も行っております。 また、今年度、モデル校18校を指定し、生徒による授業評価の試行を行いましたけれども、試行した高校からは教員がこれまで気づかなかったような授業展開の工夫を求められたとか、生徒がみずからの学習状況を見詰め直すことができるきっかけになったなど、教員の授業改善だけでなく、生徒の学習意欲を引き出すという大きな成果が上がったとの報告を受けております。 この取り組みは、わかる授業づくりや授業改善の面で大いに効果がありますので、来年度からは生徒指導の課題が多い学校を含め、すべての県立高校で生徒による授業評価を実施することといたしました。 こうした授業改善や授業評価の取り組みを通して、確かな学力の向上を図るとともに、生徒が意義ある学校生活を送ることができるよう、さらに努力してまいりたいと考えております。 次に、校長のリーダーシップや学校マネジメントの外部評価についてのお尋ねがございました。 まず、校長がリーダーシップを発揮しやすい環境づくりでありますが、校長がリーダーシップを発揮し、各校の特色づくりなどを深めることができるよう、平成12年度から職員会議を校長の補助機関として明確化したほか、来年度からは学期や長期休業日の設定を校長が自由に決定できるようにするなど、校長の裁量権の拡大に努めているところでございます。 また、校長が学校運営に腰を据えてじっくり取り組めよう在任期間の長期化に取り組んでおりまして、平成16年度では4割近い校長が3年以上、同一校に在籍しているところでございます。 さらに、校長を補佐する体制を整備するため、現在、学校組織の見直しや校長・教頭を補佐する新たな職の設置について検討を行っているところであります。 こうした取り組みに加え、今年度からは特色ある学校づくりを支援するため、校長が必要とする人材の要件を明らかにして公募する教職員公募制度を試行しており、この4月の異動に向け、11校で公募を行ったところでございますが、校長の裁量権拡大の意味でも、今後できるだけ多くの学校でこの制度が活用できるよう努めてまいります。 今後、こうした取り組みをさらに充実させるなど、校長がリーダーシップを発揮しやすい環境づくりを一層進めてまいりたいと考えております。 次に、校長のマネジメントについて、外部評価が必要ではないかというお尋ねがございました。 議員お話しのとおり、校内だけではなく、外部の方々のご意見をお聞きしながら学校運営をしていくことは大変大事なことと考えております。 そこで、本年度からすべての県立学校に学校評価システムを導入し、校長が年度当初に学校として重点的に取り組む目標、例えば環境教育の充実を図るため、ISOの認証取得に向け、生徒も含め学校全体で取り組むなど、目標を設定して学校運営を行い、年度末にはその達成状況について評価し、翌年度の学校運営の改善につなげていくこととしております。 また、年度末の評価の際には、学校評議員等のご意見をお聞きすることとしておりますが、外部の方々のご意見をより評価に反映させていくことが大切でありますので、今後は保護者や地域の方々への公表も含め、新たな取り組みを検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。  〔金子武雄君発言の許可を求む〕 ○議長(新堀典彦君) 金子武雄君。 ◆金子武雄君 自席から発言をさせていただきます。 ただいまは知事並びに教育長からご回答いただいたところでございます。その中で、先ほどの産業集積につきましては、県の産業集積促進方策に基づいた取り組みの中で、既に8社がその事業計画を申請されておる、こういうことでございます。この制度がスタートして間もないわけでありまして、幸先のいいスタートである、時宜に合った取り組みかなと評価をしたいと思います。 先ほど申し上げましたように、神奈川の産業集積の問題は今後を決する重大な課題でございますから、ぜひ誘致体制をさらに強化して取り組んでいただきたい、お願いをしておきたいと思います。 また、安全・安心まちづくりの問題におきましては、大変積極的な計画をしたと、交番相談員も倍増し、300名になった、あるいはくらし安全指導員も100名に倍増したと、こういうことで、積極的な取り組みについては評価をしておきたいと思います。 私ども党として一貫して強調してまいりました安全・安心のまちづくり推進条例がいよいよ4月からスタートするわけでありまして、どうか気を緩めないで、県民が一番期待している問題でありますので、取り組みをさらに進めていただけるようにお願いをしておきたいと思います。 次に、県民超過課税案についてでございます。 こうした新税、増税をする場合には、少なくとも身の丈に合った予算規模、これが明確にされなければならないと思います。景気に左右される神奈川県にとりましては、常に入りをはかって出るを制す、こういう身の丈に合った予算規模をしっかり確立していくことが大変大事なことだと思うわけであります。まだ、それが示されていないわけでありまして、不明確であります。 同時にまた、その上で、今後の税収の見通し、あるいはまた財政健全化策、こういったものを含めた財政運営の基本が県民に示されるべきである。そういう中で十分検討した上で、不足があればどうするかと、次の議論になるわけでありまして、そういった面では、そういうものがない中で、こういった必要性、あるいはそういう実感が、示されないままでは、なかなかわいてこない、これが実態であろうと思うわけであります。 この財政健全化計画という名前になるんでしょうか、その計画はこれからの議会の中で示されると伺っておりますが、普通はこういったものは新しいこうした財源案とセットになるか、あるいはまた、そうした計画そのものが先に出て議論しておく必要があるんだと、こういうふうに思うわけでありまして、先ほど知事からも事業費については積み上げたと、新たな財源が必要となるとか、いろいろとおっしゃっておりますけれども、こうした前段の部分というものがないから、我々としてはよく見えないわけであります。 そういう意味では、最初に税ありきになっている。もともと昨年、税ありきでスタートしたわけでありますけれども、今回もまた税ありき、超過課税ありき、こう言われるのは当然のことだと思うわけであります。私どもは単なる増税策にすぎない、こう思っておりますが、この提案は一層の県民負担を重ねるもので、到底理解できるものではない、こういうふうに申し上げたいのであります。 しかも、先ほど来お話が出ておりますが、国においてもさまざまな増税策が進められているという、このときであります。しかも、この単なる増税策は課税自主権の拡大につながる、こういうものでもないわけであります。 また、現在、法人県民税、法人事業税、この超過課税が実施されておるところであります。県民からは、今回の水源環境の問題については、なぜ法人に向かないのかという質問に対して、知事は別の超過課税をお願いしていると、こういう説明をされておりますけれども、ということは、この改正が間もなく来ますけれども、引き続きという意向なんだろうと思います。 この課税の全国的状況を見ますと、県民税の超過課税をしているのは46団体、全国ほとんどやっているということになります。しかし、法人事業税の超過課税につきましては7団体、東京都と神奈川県を除きますと5県しかないわけであります。さらに、これにつけ加える個人県民税超過課税ということになりますと、現在は高知県と岡山県、しかし、これも非常に小規模でございます。しかも、この三つともやるというのは全国にないわけでありまして、それは神奈川だけ、こういうことになるわけであります。まさに、超過課税立県と言われてもしようがないし、あるいは増加路線というものをどうしてひた走るのか、全く理解できないところであります。 さらにまた、歳入面からきょうは申し上げたわけでありますけれども、歳出面におきましても、いろいろな問題を私どもは今痛感しているところであります。事業計画の内容、あるいは事業規模もこれからまだまだいろいろと議論しなければならない。それによっては大きく変わるものでありまして、変わるということが随分予想されるわけでありますけれども、そうした面でも今後変わり得る歳入財源の変化によっては、歳入財源の調達額も違ってくる。そうなってくると、その調達方法も変わってくる、こういうことになるわけでありまして、歳出面から見ても税ありき、あるいは増税ありき、こういうことで私どもは反対しておるわけでございます。 神奈川県が超過課税立県になる、3点セット、これは大変な問題であります。これだけは最後に、知事にどう思っていらっしゃるのか、所感を伺っておきたいと思います。  〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○議長(新堀典彦君) 松沢知事。   〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) ただいま金子議員から再質問をいただきました。 確かに県民にとっても、県内の企業にとっても、税は安いにこしたことはない、そしてできるだけ少ない税で効率的な行政を行って、いい行政サービスを提供していくというのが、これは自治体の基本でなければいけないと思っているところであります。 その中で、超過課税の3点セットになってしまっている、どう思うかということですが、これまでの経緯の中で、法人の方の超過課税も、あるいは今回、個人の県民税に対する超過課税ということを提案しておりますが、それぞれ違った目的の中で、ある意味で目的税化もして、かなり県民の皆さんには、これだけ超過でいただいている分をしっかりとこの分野に投入して、それなりの効果を上げているんですよということを説明できる、これが最も重要なことではないかと思っていまして、まず、そうしたところに力を注いでいきたいと考えているところでございます。 今後もできる限り行政改革を推進して、財政再建に努めて、できる限り増税を行わないような、そういう体制をつくっていかなければならないというのを基本姿勢にはしなければいけないと考えております。 以上です。  〔金子武雄君発言の許可を求む〕 ○議長(新堀典彦君) 金子武雄君。 ◆金子武雄君 時間が参りましたので、あとは各常任委員会、予算委員会で他の課題と一緒に質問をしてまいりたいと思います。よろしくお願いします。 ありがとうございました。 ○議長(新堀典彦君) お諮りいたします。 この際、休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(新堀典彦君) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は15分後といたします。               午後3時13分 休憩       ────────────◇──────────── △《本会議録-平成17年2定-20050221-025916-質問・答弁-杉山信雄議員-代表質問①知事の政治姿勢について②京浜臨海部の活性化について③教育問題について④がん対策について》                午後3時34分 再開  〔事務局長報告〕 出席議員 副議長共74名 ○副議長(ほりえ則之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  ────────────────────────────────── ○副議長(ほりえ則之君) 質問を続行いたします。 杉山信雄君。  〔杉山信雄君登壇〕(拍手) ◆杉山信雄君 敬愛していますほりえ議長のお許しをいただきましたので、私は自民党神奈川県議団を代表しまして、通告に従い、順次質問いたします。 知事及び教育委員会委員長並びに教育長におかれましては、具体的に、かつ明快なご答弁を求めます。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴よろしくお願いいたします。 質問の第1は、県政に取り組む知事の政治姿勢についてであります。 まず首都圏における行政課題に対する八都県市首脳会議、通称首都圏サミットなどによる広域連携について、とりわけディーゼル自動車対策の県域を越えた広域連携についてお尋ねいたします。 東京都及び埼玉県が平成18年4月1日から実施するとしているディーゼル自動車排出ガス規制のさらなる強化について、さきの決算特別委員会における我が党の質問に対し、当局から今回の東京都、埼玉県において実施される規制の強化、いわゆる第2段階規制については、平成15年10月からの現行規制実施の際には、既に2都県の条例の中に明記されていたとのことから、実施については承知していたが、実際の施行の時期については別に定めるとのことから承知していなかったとのことであり、唐突に実施時期を通告されたかのような答弁がありました。 環境対策は各県の境に関係なく実施されなくては、広域的な効果が得られないことは十分に当局から説明を受けた上で、現行のディーゼル規制を実施したものと記憶しております。規制強化について、本県では事業者負担や大気環境の改善効果を考え合わせた上で、実施しないとしたことは一定の評価をするものでありますけれども、首都圏連合を標榜する松沢知事としては、広域連携のもとに進めていかなければならない環境問題について、今回のように東京、埼玉だけが先行する行政施策について、十分な連絡調整がなされていないように思えるのであります。 例えば、現在、羽田空港の再拡張工事が平成21年の供用開始に向けて進められておりますが、建設資材や残土の運搬などのため、多くの県内事業者の車両が都内を運行せざるを得なくなります。また、供用開始後も、多くの県内運送業者の車両が神奈川口を通って都内を運行することが想定されます。現行の運行規制を開始するときには、県内で約17万台が規制対象になったと承知しておりますが、今回の第2段階規制でも相当数の県内車両が影響を受けると懸念されます。 今後、地方分権が進むにつれて、個々の地方自治体としては独自施策が重要性を増してくる反面、共通の課題については県境を越えた調整がより必要となってくると考えるのであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 東京都と埼玉県による第2段階規制の実施時期について、知事は情報の共有ができず、今回は唐突な通知を受けたわけでありますが、このことについてはどのように受けとめたのか、また、ディーゼル自動車対策における対応も踏まえ、今後、県域を越えた施策の連携について、どのように充実を図っていこうとしているのか、知事のご所見を求めます。 次に、中小企業の育成に対する知事の姿勢についてであります。 昨年、知事は県土の基盤整備は産業の力を高める上でも重要であると認識され、平成16年度当初予算において、地域経済の活性化を最重点項目として位置づけ、前年度を上回る公共事業等の予算を計上されました。しかし、平成17年度当初予算案の公共事業等を見ますと、前年度対比2.3%の減となっており、2度目の予算編成にして都市基盤整備に対する知事のスタンスに揺るぎが出ているのではないかと危惧しているところであります。 中小企業の育成は県の大きな使命であります。知事が就任されて以来、ここ2年間、平成15年、16年に倒産あるいは廃業した中小企業数を知事はご存じでしょうか。実に1,505社と多数に上っております。景気が上向いているとする経済指標もありますが、中小企業の経営状況は依然厳しいものがあります。 そうした中、倒産・廃業した中小企業1,505社のうち建設業が約3分の2の477社と、圧倒的に多いのが実態であります。厳しい経営状況の中にありながらも、建設に携わる中小企業は災害時に即応して復旧・応援体制を組めるよう日ごろより努力し、既に他県とも連携した体制づくりに取り組んでおります。 しかしながら、建設業界が抱える深刻な問題として、労働災害事故があります。実は、死亡者数がここ2年急増しておる、この中におきまして、神奈川労働基準局の発表によりますと、平成16年における県内の労働災害による死亡者数は67人、前年比14人減少の過去最少ではあったものの、建設業は2年連続の増加、しかも全産業に占める割合は36%から54%へと大幅にアップしているのであります。 現場の声を聞きますと、これまでもコスト縮減など経営努力を続け、既に材料費等は採算ぎりぎり、これ以上下げるのは無理という状況にあります。ダンピングの影響を受け、コスト管理上、労務管理上、安全対策が十分にとれない、あるいはダンピング受注による過密労働、これらが原因となって死傷事故がここ数年多発し、しかも増加傾向にあるのであります。 ところで、入札制度における神奈川方式についてでありますが、このように工事現場での事故件数や死傷者数、あるいは事故原因に思いをめぐらすと、デメリットも多いと考えるのであります。入札制度改革により競争性、透明性、公平性を高めていくことは時代の潮流と考えます。 そのような中、ことしの建設業界賀詞交歓会のあいさつで、知事は電子入札の導入に伴い、入札制度の改善を考えている、低価格で品質のよいものが提供できるような制度を構築したいとの発言をされたそうであります。ここで問題なのは、設計金額を事前に公表し、予定価格をだれにでもわかるような入札方式、しかも落札価格に歯どめをかけないような入札方式が果たして適正な入札制度と言えるのかどうかということであります。決して適正な競争制度であるとは言えないと思います。 そこで、知事にお尋ねいたします。                                                                                                                        これまで試行を続けている設計金額の事前公表については、今後どのように取り扱われるつもりなのか、また、最低制限価格制度についてはどのような検討をされ、今後どのような適用をされるつもりなのか、お伺いいたします。 質問の第2は、京浜臨海部の活性化についてであります。 京浜臨海部は、かつては、重厚長大の一大産業地帯として、我が国経済をリードしてまいりましたが、近年では産業活力の低下が言われております。しかしながら、ここに来て、巨大市場であります首都圏に位置し、高い港湾機能や羽田空港に隣接するという立地条件が改めて見直され、産業の活性化に向けたさまざまな動きが活発化していると感じております。 そこで、京浜臨海部の優位性をより高めるべく、陸・海・空の三つの観点から質問をしていきたいと思います。 初めに、羽田空港の国際化についてであります。 京浜臨海部に隣り合う羽田空港は、2009年までに再拡張事業を行うことになっており、完成の暁には、東アジアへの国際線が就航される予定と聞いております。ご案内のとおり、アジア経済の躍進は目覚ましいものがありますし、特に中国経済は今後も高成長を維持し、自動車、鉄鋼、化学などの市場拡大が期待されておりますが、京浜臨海部にはこうした産業が集積されておりますし、ものづくりの技術も集積しておりますので、京浜臨海部とアジア地域との協働、連携が今後大いに活発化していくことが期待されるわけであります。 こうした中での羽田空港の国際化でありますので、当然京浜臨海部の活性化にとっては追い風になるものではありますが、アジア各国では既に、香港、上海、ソウルなど、大規模空港の新設・拡張が進められております。こうしたことを考えますと、羽田空港の国際化は遅きに失した感もあります。さらに、国際線の機能を強化し、首都圏における国際ハブ空港として、アジア各国に負けないくらいのものにしていく必要があると考えるのであります。 さらに、将来の航空需要を見ますと、首都圏第3空港の問題も真剣に考えていく必要があります。私は、人口、経済規模などを見ましても神奈川に空港は必要であり、羽田空港に隣接する川崎臨海部が最適地ではないかと考えております。 社会経済のグローバル化などを考えますと、将来の新たな空港についての議論は、早いうちから進めていかなければなりませんし、その際には、県としても、神奈川の将来を踏まえた空港のあり方について、しっかりとした考え方を持ち、国に対してモノを言っていくことが必要であると思うのであります。 そこで、知事は将来の神奈川の空港についてどのように考えられているのか、お伺いいたします。 2点目は、京浜臨海部の道路整備についてであります。 多くの優位性を持つ京浜臨海部でありますが、道路や鉄道などの産業インフラの整備のおくれが指摘されております。ただいま申し上げました羽田空港の再拡張・国際化を考えますと、今後、物流などの臨空産業の集積が進み、地域内はもとより、東京側とのアクセスが一層高まることが予想されるわけでありますが、京浜臨海部のエリアでは、現在多摩川を渡る道路につきましては、首都高速道路を除けば、一般道路は通称産業道路の大師橋しかありません。このため、神奈川側と羽田側を結ぶ連絡道路の整備について、神奈川口構想の中で検討が進められていると承知しております。 この1月には、神奈川口構想の協議会が開催され、昨年末までの検討状況が示されたわけでありますが、東京都に連絡道路の必要性を理解されたという報告はされましたが、協議会の終了後に、連絡道路は2009年までの整備が厳しいとの見通しが知事から示されました。 連絡道路は京浜臨海部の活性化を進めるために、県民はもとより、県内経済界を初めとする多方面から期待を受けたプロジェクトであると言っても過言ではありませんし、知事としても、当然、何としてでも実現しなくてはいけないという重責を担っているわけであります。しかしながら、今回、2009年までの整備が厳しいとの知事の見解を耳にしますと、地元では、連絡道路は果たしてできるのかと危惧する声が出始めております。 そこで、知事は連絡道路の整備に向けて、今後どのように努力されるつもりなのか、今後のスケジュールも含めてお伺いいたします。 3点目は、京浜臨海部の海の活用の面から、基幹的広域防災拠点についてお尋ねいたします。 京浜臨海部は、現在、京浜港においてはアジアの主要港に対抗できるコストやサービス水準の実現に向けた取り組みが始まっておりますが、こうした取り組みに加え、今後発生が懸念されております南関東地震などの大規模地震が発生した場合の対応についても十分検討し、実施していく必要があると考えております。 阪神・淡路大震災発生を契機に、全国各地の港湾において耐震強化岸壁の整備が進められ、県内の港湾においても取り組みが進められていると承知しておりますが、臨海部の産業を支える重要な基盤として、災害に強い港湾にしていかなければなりません。 こうした中、本年1月には、東扇島地区において、首都圏の大規模災害時における基幹的広域防災拠点の整備が始まりました。この拠点は発災時には、海上輸送により、世界各国や日本各地からの救援物資を集積し、これらを被災地へ輸送するための中継基地としての機能を担うとされております。産業拠点である京浜臨海部が首都圏の大規模災害時において重要な役割を果たすこととなるわけでありますが、この拠点に集積された救援物資が、首都圏はもとより県内の被災地へ円滑に海上輸送されるよう、しっかりとした体制を整備していくことが重要であります。 そこで、本県における大規模災害時において、この基幹的広域防災拠点がその機能を十分発揮できるようにするため、今後どのように取り組まれるのか、知事にお伺いいたします。 質問の第3は、教育問題についてであります。 現在の学校運営組織は、一般の会社や行政の組織とは異なり、なべぶた組織、あるいは文鎮型と言われ、校長・教頭のほかは、皆、一般教員という極めてフラットな組織となっております。 しかし、不祥事が絶えない教育現場の現状を考えると、組織を管理する上でも、フラットな管理体制を敷くよりもピラミッド型組織にした場合のメリットも考慮すべきと考えるのであります。このことについては、既に教育委員会で、学校運営組織や教員の新たな職について検討していることは承知しているところでありますが、さらに、教員の給与に関しては、先日、小・中学校と高校の教員の給料表の一本化を検討しているとの報道もありました。 ところで、現在、学校には既に主任制度というものがございます。この主任制度は、1970年代のいわゆる主任闘争で教職員組合が猛反発した結果、主任は事実上持ち回り制となっており、その制度は形骸化しております。 我が党は、主任手当の3分の2を教員が教職員組合に拠出していることについて問題視し、拠出を取りやめさせるよう主張してきたところであり、今般、主任手当の支給凍結の条例案が提出されていることについて、一定の評価をするものであります。 しかし、主任制度は学校運営を円滑にする上で必要な制度として、全国同一に導入されたものであり、新たな職の検討に当たっては、まず、現場の意見をよく聞くなどして、現在ある主任制度をきちんと検証することが不可欠であると考えております。その上で、県教育委員会では、新たな職の役割を明確にし、検討することが必要であり、さらに、その給与についても、組織管理を円滑に進めることを視野に置いたものとすべきであると考えております。 そこで、主任制度の検証と新たな職について、現在どのような方向で検討を進めているのか、教育長の所見をお伺いいたします。 国の発展の基盤は教育にあります。特に資源やエネルギーの乏しい我が国にとって、国内外のさまざまな分野で活躍できる人材を育てていくことは、最優先の課題であると思います。これまで日本は国民に均等な教育の機会を提供し、平均的に質の高い人材を社会に送り出してきました。こうした戦後の教育は、我が国の経済、社会の発展と繁栄に大きく寄与し、今や日本経済は世界のフロントランナーとなったのであります。まさに、この均質な人材の育成を図る教育が国の発展を支えてきたと言っても過言ではありません。 しかし、21世紀は創造的な製品やサービス、アイデアを不断に提供しなければ、競争力を維持・向上することができない時代であります。新たな価値を創造する力が、国や企業の競争力を左右します。このような時代においては、個々人の創造性を最大限に発揮することが求められ、画一的な人材を供給する今までの教育ではもはや対応できないのであります。均質な人材を育成する教育から、個人の個性や能力を最大限に伸ばす、多様性を重視した教育に転換しなければならないと考えます。 さて、学校教育に目を向けますと、平成14年度より学校週5日制が実施されて3年が経過いたしました。この間、総合的な学習の時間が導入され、ゆとり教育ということで学習時間も減少しました。その効果はどうであったでしょうか。 平成15年に実施されましたOECDの国際学力到達度調査結果から、学力低下は非常に大きな問題となっております。社会に旅立つ高校生を育成する高校教育において、知識や技能等を、実生活のさまざまな場面で直面する課題に活用できる力を育成することが求められているのであります。すなわち、知識が豊富なだけでは国際的に高い学力とは認められず、従来の知識を一方的に詰め込む教育の転換が求められているのであります。つまり、どのような学力がこれからの生徒たちに必要なのか、これを明らかにして、高めることが重要ではないかと思うのであります。 これからは神奈川県独自の神奈川らしい教育を推進し、生徒たちの学習環境を整備していくことが望まれるのであります。また、そうした県の姿勢を県内の各学校に示し、学校も独自の創意工夫により生徒の確かな学力を育成し、神奈川県から次世代のリーダーを社会へ送り出すことが重要と考えます。 県立高校においては、今年度から学習状況調査を実施するなど、積極的な学力向上へ向けた取り組みを進めていると伺っております。しかし、平成17年度入学者選抜から県立高校の通学区域が撤廃になり、まさに学校も競争の時代になりました。このような時代、今以上に学力アップを目指した県独自の教育、神奈川らしい教育を県民に示し、学校を導く必要があると考えるのであります。 そこで、教育長に伺いますが、現在の生徒たち、特に高校生に求められる学力をどう認識しているのか、また、その上で神奈川らしい教育に向けた取り組みをどのように進めていくのか、教育長のご所見をお伺いいたします。 次に、昨年12月定例会で知事が発言されました県立高校生徒の社会奉仕活動の義務化に関連してお伺いいたします。 ただいま述べましたように、我が国の教育は国民に均等な教育の機会を提供し、平均的に質の高い人材を社会に送り出すことにより、戦後日本経済の目覚しい発展に貢献してまいりました。しかしながら、我が国が一貫して欧米諸国に肩を並べることを国是としてきたことにより、戦後の教育行政は、産業の発展に直接結びつく技術・技能や知識といった物質面を豊かにする文明に専ら重点を置き、精神面を豊かにする文化・教養については看過してきたのではないかと思うのであります。 文部科学省が実施した15年度の生徒指導上の諸問題の現状調査によりますと、本県の公立の小・中・高校で発生した校内暴力の件数は、対前年比18.6%増の5,321件に上り、7年連続で全国一でありましたが、私は本県のこうした公立学校の一面は、戦後教育行政のツケが今になって回ってきたものだと思うのであります。 この文化・教養、英語でカルチャー、あるいはカルチベーションは心を耕すことを意味するものでありますが、人はこの心を耕すことにより、愛する心、助ける心、尽くす、恩を知る、正直になる、勇気を持つ、耐え忍ぶといったとうとい心の働きが豊かに作用するようになり、人間性や社会性が培われていくと思うのであります。 したがって、私はこのような観点に立ち、いかなる奉仕活動も生徒一人一人が心を耕した結果、あくまでも自主的・自発的に行われるのでなければ、全く意味がないと思うのであります。 また、教師や親に言われたから、世間の口がうるさいから、単位を取得しなければならないから、こうした外圧により行動することになれてしまった生徒は、やがて社会に巣立ったとき、自主・自立した判断や行動をすることができなくなってしまうおそれもあると思います。そういう意味からも、私はみずから進んで行う社会奉仕活動やボランティア活動の必要性を高く評価するものであります。 しかし、生徒の内面に裏打ちされたのではなく、義務として、また他者から強制されて行われる限り、生徒がボランティア活動や社会奉仕活動をどんなに活発に行おうとしても、私は素直に理解できるものではありません。 ところで、新聞報道によりますと、ボランティア活動の義務化については、松沢知事の考えに沿って、県教委がやり方を検討しているところですとの報道がありました。今や社会奉仕活動の義務化は、県の既定方針であると一般的に受けとめられております。 しかし、私は卒業までにすべての生徒が社会奉仕、ボランティア活動を体験することを目指すというこれまでの県の取り組みが、義務化という形に変更されるとは思いもよりませんでした。 そこで、教育委員会委員長にお伺いいたしますが、県立高校生徒の社会奉仕活動の義務化について、教育委員会ではどのように受けとめ、また、現在の取り組み状況についてはどうなっているのか、明快なご答弁をお願いいたします。 質問の第4は、がん対策についてであります。 知事は、先日、「がんにならない・負けない 神奈川づくり」を目指したがんへの挑戦・10か年戦略(仮称)の素案の概要を発表し、がん対策の骨格を示されました。これまで、がん対策の充実・強化を主張してきた我が会派としては、知事がこうした方針を示し、力強くがん対策を推進しようとする決意を示されたことは、一定の評価をするところでありますが、素案で示された方向性や施策について、具体的な事業規模や取り組み方針がいま一つはっきりしません。 がん対策はもちろん長期にわたる計画であり、医療分野での技術革新のテンポも速いことから、細部まで見通すことは難しいことであることは承知しておりますが、実現を図るためにはおおむねの事業規模を見込んでおくことも必要であります。 そこで、知事にお尋ねいたします。 がんへの挑戦・10か年戦略の推進に当たっては、現段階でどの程度の事業規模を見込んでいるのか、お伺いいたします。 次に、粒子線治療装置の導入について、お伺いいたします。 我が自民党としては、県立がんセンターの機能充実に向けた総合整備や粒子線治療など、最先端で高度ながん医療を県立がんセンターで受けることができるよう、議会でも取り上げ、強く要望してきたところであります。 素案の概要の中で、県立がんセンターの機能強化については、重点項目として位置づけ、最新の放射線機器の早期導入、県立がんセンターの総合的な整備、粒子線治療装置の導入などの取り組みが掲げられております。 知事も本会議の答弁で、粒子線治療は、従来の放射線では効果が上がりにくいと言われていた前立腺がんや、頭頸部のがんに効果があると答弁されております。 10か年戦略の中でも、粒子線治療装置の導入は、我が国が開発を進めている重粒子線治療装置の小型化の動向や、導入する際の国の補助制度の創設等も見きわめながら、重粒子線治療装置の導入を目指すとしております。 しかしながら、いつまでに、どのように導入するかといった具体的な計画は示されておりません。10か年戦略の計画全般が具体的な数値目標を掲げている中で、粒子線治療装置の記載が、導入を目指すという抽象的な記載のままでは、県民の理解は得られないと危惧しております。 そこで、知事にお伺いいたします。 がんへの挑戦・10か年戦略へ位置づけた重粒子線治療装置の導入を目指すとは、どのような考えなのか、また、今後、重粒子線治療装置の導入に向けて、どのように取り組もうとされているのか、知事のご所見をお伺いいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。                               〔拍 手〕  〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○副議長(ほりえ則之君) 松沢知事。   〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 杉山議員のご質問に順次お答えいたします。 まず、私の政治姿勢に関連して、県域を越えた施策の連携についてのお尋ねをいただきました。 住民の生活圏や経済圏が拡大する中、環境問題や防犯・防災対策、観光など、首都圏全体で対応すべき広域的な行政課題が増大しておりますので、こうした課題の解決に向けまして首都圏の自治体が一体となって、共通の理解のもと、連携した取り組みを強化していくということが大切であると考えております。 こうした取り組みを進めていくに当たって、具体的な施策・事業を調整する過程において、各団体の事情や経緯の違いもありますが、可能な限り、八都県市首脳会議など、近隣の自治体との協調、連携の強化に努めてまいりたいと考えております。 なお、ディーゼル自動車対策につきましては、これまでの運行規制など、足並みをそろえて取り組んでまいりましたが、東京都、埼玉県が実施を予定している、いわゆる第2段階規制については、さきの八都県市首脳会議において、私から慎重な対応が必要であること、今後、規制以外の手法も含め、八都県市で研究・検討を進めていく必要があると発言したところでございます。 しかしながら、東京都と埼玉県が既に条例で第2段階規制の実施を既定していたことや、両都県の浮遊粒子状物質の環境基準達成率が依然低いこと、こうした状況の違い等もあることから、両都県はさらなる規制を実施したものと受けとめております。 いずれにいたしましても、このような状況を踏まえ、今後、自治体間による足並みの乱れが生じることのないよう、私といたしましては、さらなる連携強化が必要だと考えておりまして、その方向に向けて取り組んでまいる所存でございます。 次に、設計金額の事前公表の今後の取り扱い、及び最低価格制度の今後の適用についてのお尋ねがございました。 まず、設計金額の事前公表につきましては、入札時における予定価格に関しての職員に対する事前の働きかけ防止といった目的のために、平成10年の後半から試行してまいりました。現在では1,000万円以上の工事のおおむね5割程度について実施しているところであります。 設計金額の事前公表の試行を検証いたしますと、落札率、あるいは工事品質の評定点からも、事前公表をしている入札としていない入札を比較しますと、余り変化が見られないのが現状でございます。 また、設計金額を事前公表いたしますと、十分な積算能力を持たない業者が落札するのではないか、業者の見積もり能力の低下につながるのではないかといった懸念も依然としてございます。 一方、最低制限価格制度についてでございますが、入札における落札者の決定は、本来最低制限価格などの制限を設けずに、予定価格の範囲内で最低の価格をもって申し込みをした者を落札とする自動落札方式が地方自治法の原則であります。 しかしながら、応札額が極端に低額であったり、工事品質の面から明らかに工事施行が不可能な場合に、この者と契約をしなければならないとするのは非常に不合理でありまして、そうしたことがないようにするため、あくまでも例外として最低制限価格制度は設けられたものであります。 この最低制限価格制度の対象工事ですが、2,000万円以上の土木工事、1,000万円以上の建築工事等に適用し、実施しております。 設計金額の事前公表や最低制限価格制度の今後の取り扱い等につきましては、他の自治体のよい面、悪い面をしっかりと参考にさせていただきながら、現在検討しております入札制度改革の中で総合的に判断し、位置づけていきたいと考えております。 次に、京浜臨海部の活性化に関して、3点のお尋ねがございました。 まず、第1点目の将来の神奈川の空港についてでございます。 私は空港輸送は国際的な人や物の交流を支える手段として、また、激化する国際競争、都市間競争に対応する社会基盤としても、ますます重要性を増してくるものと考えております。神奈川に近接する羽田空港の再拡張・国際化はそうした意味において、本県としてもぜひ早期に実現していただきたいと考えております。 しかしながら、首都圏の旺盛な航空需要、あるいは国際的な地域間競争への対応という意味で考えますと、再拡張ができたとしても、首都圏の空港はまだまだ十分とは言えないと考えております。 もちろん私が常々お話ししておりますように、羽田の夜間時間帯の活用による国際便の増発などといった工夫の余地もまだあると思いますし、また、根本的には羽田にも成田にも国内・国際両方の機能を持たせ、二つの空港を例えばリニアモーターカーで結ぶなど、有機的に一体化し、首都圏のハブ空港として、さらにはアジアのハブ空港としての機能強化を図る観点からの検討なども必要であると思います。 さらに申し上げるならば、例えば羽田空港の再々拡張、あるいは第3空港の問題、横田空域の扱いなど、より大きな視点から首都圏の空港問題を考えることが必要であるとも考えております。 したがいまして、本県としても増大する空港需要にどう対応していくのか、ただいま申し上げたようなさまざまな観点から、将来の首都圏の空港のあり方について研究してまいりたいと考えております。 次に、京浜臨海部の道路整備についてのお尋ねがございました。 神奈川側と羽田空港とを結ぶ連絡道路の検討につきましては、国が事務局を務めております京浜臨海部幹線道路網整備検討会議において、東京都も参画して、現在鋭意検討を進めているところでございます。 この検討会議におけるこれまでの取り組み状況でありますが、議員お話しのとおり、連絡道路の必要性について、東京都も含む関係機関の共通認識を得ることができ、この1月の神奈川口構想に関する協議会で、国土交通大臣を初め、横浜市長、川崎市長とともに確認したところであります。 今後は京浜臨海部幹線道路網整備検討会議の場で、国や東京都等とも十分調整をしながら、次のステップである連絡道路のルート、構造についての検討に入っていきたいと考えております。 ルート、構造を検討する際には、住民の方々のご意見を聞くことも大切ですので、道路の計画に関する住民参画のあり方や実施方法についても検討し、17年度中には連絡道路の整備に向けた見通しをつけられるよう、最大限努力してまいりたいと考えております。 さらに、連絡道路の事業を実施する際には、国の直轄事業として取り組んでいただくよう、神奈川口構想に関する協議会の場におきまして、私から国土交通大臣に対して強くお願いしたところでございます。 今後とも連絡道路の事業が国主体で実施されるよう、あらゆる場面を活用して国に働きかけてまいりたいと考えております。 なお、平成17年度から県土整備部の都市計画課内に神奈川口基盤整備調整室を新たに設置しまして、この事業の早期実現に向けて推進体制を強化することとしております。 今後とも連絡道路の整備につきましては、羽田空港再拡張・国際化の完成時期に極力近づけるため、なお一層精力的に取り組んでまいる所存でございます。 次に、川崎臨海部東扇島地区の基幹的広域防災拠点についてのお尋ねであります。 この拠点につきましては、国及び首都圏の八都県市で構成される首都圏広域防災拠点整備協議会におきまして、首都圏における大規模災害に備えた施設整備とともに、人工砂浜等も整備して、平常時には海とふれあえる公園として活用されることが決定され、平成19年度の完成を目指して、いよいよ本年1月に工事が始まったところであります。 この基幹的広域防災拠点の機能を本県の防災対策に十分に活用するため、県では既存の防災拠点との連携についての調査を行ったところであります。 その中で、この東扇島地区から海上輸送により救援物資を受け入れる小田原漁港などの県内九つの物資受け入れ港等における被災時の港湾、漁港利用に関する港湾管理者や荷役機器、荷役作業人員確保に関する関連団体との協力体制の確保等の課題が抽出されました。これらの課題につきましては、それぞれの受け入れ港において、円滑に運用ができるよう、今後関係団体との調整を図り、連携した取り組みを進めてまいります。 また、東扇島地区の完成後の具体的な運用の方法等につきましては、今後首都圏広域防災拠点整備協議会で検討していくこととなっておりますので、県といたしましては、この拠点を活用することになる関係機関相互の協力が十分図られるように、必要な提案をしてまいりたいと考えております。 次に、がん対策に対するお尋ねをいただきました。 まず、がんへの挑戦・10か年戦略、仮称でありますけれども、これを推進する上での事業規模の推計についてでございます。 現在、最終的な取りまとめをしている段階ですが、私としてはこの戦略を進める10カ年の中で、がんになる人を一人でも減らし、また、がんにかかった場合でも克服できるよう、医療を初め、しっかりとした体制づくりを進めていきたいと考えております。 このようなことから、素案では予防から早期発見、質の高い医療、ターミナルケアといった四つの柱に沿って、ハード・ソフトにわたる幅広い施策展開を検討しております。 予防対策としては、たばこ対策の推進や生活習慣の改善について、効果的な取り組みを進めるとともに、検診についても乳がん検査へのマンモグラフィの導入や検診の精度向上のための人材育成などの体制整備に取り組んでまいります。 また、医療面では、県立がんセンターについて、病床の見直しや外来治療技術の充実などの総合的な整備を進め、この中で、最先端の治療装置として期待の高い重粒子線治療装置の導入を目指しております。このほか、身近な地域で質の高いがん医療を提供する地域がん診療拠点病院のネットワークづくりも進めてまいりますし、ターミナルケアについても、緩和ケア病棟の整備やそのための人材の育成などに力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。 こうした取り組みの事業規模につきましては、戦略を進める10か年の間には、がんに関する研究や医療技術の進歩も考えられ、厳密には見通せない部分もございますが、現時点で把握している情報をもとに担当部局で試算したところによれば、10か年で約300億円といった額が一つの目安として想定されております。 今回、がんへの挑戦・10か年戦略を策定することによりまして、本県のがん対策の大きなフレームをお示しできますので、今後、医療をめぐる環境変化などを見据えながら、具体化に向けて取り組んでまいります。 最後に、粒子線治療装置の導入についてのお尋ねがありました。 過日、私も千葉市にあります独立行政法人放射線医学総合研究所に伺いまして、重粒子線治療装置による最先端の放射線治療に身近に接することができ、大変感銘を受けたところであります。 お話を伺いますと、粒子線による治療は手術と遜色のない成績となってきておりまして、体の状態などによって手術ができないがんの場合には、唯一期待できる治療法とのことであり、また、陽子線と重粒子線との比較では、治療効果の点で重粒子線の方がすぐれているとのことでございました。 また、昨年5月に設置した粒子線治療装置検討協議会の報告書でも、粒子線治療装置を導入するならば、現在、小型化の開発が進められている重粒子線治療装置とすべきで、導入時期は小型化の開発状況を踏まえ判断すべきであるとされております。 粒子線治療装置の導入についてはいろいろと課題もありますが、本県といたしましては、がん医療の中枢を担う県立がんセンターには、ぜひ粒子線の中でも治療効果が高いとされている重粒子線治療装置を導入したいというのが基本的な考えでありまして、がんへの挑戦・10か年戦略の重点項目とさせていただいたわけであります。 今後は国が進めている小型化の開発動向や装置を扱う医師や医学物理士などの人材育成、そして効率的な運用に必要な県内医療機関との連携、さらには100億から120億円と言われる建設費に対する国の助成措置など、導入に当たっての幾つかの課題を整理しながら、小型普及型の重粒子線治療装置の導入に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えております。 あわせて、県立がんセンターの総合的な整備の中で、例えば三次元・低位放射線治療などの最新の治療装置につきましても、計画的に導入を図ってまいりたいと考えております。 私からの答弁は以上でございます。  〔教育委員会委員長(平出彦仁君)発言の許可を求む〕 ○副議長(ほりえ則之君) 平出教育委員会委員長。   〔教育委員会委員長(平出彦仁君)登壇〕 ◎教育委員会委員長(平出彦仁君) 教育委員会委員長の平出でございます。 杉山議員のご質問にお答えいたします。 社会奉仕の義務化及びその取り組みについてのお尋ねがございました。 社会奉仕やボランティア活動の推進につきましては、豊かな人間性や望ましい社会性をはぐくむため、神奈川力構想・プロジェクト51の戦略プロジェクトに位置づけ、県立高校生が在学中に1回は経験できることを目標に、例えば活動実績が記録できるボランティアパスポートを県立高校生全員に配布したり、強化月間を設定するなどの取り組みを進めているところでございます。 こうした中で、最近の生徒の活動状況でありますが、新潟県中越地震の募金活動や保育園、病院のクリスマス会での合唱や演奏活動、また、数校の高校生が協力しながら海岸清掃を行う、あるいは1年間を通じて定期的に福祉施設を訪問するなど、さまざまな活動に取り組んでおります。 来年度からはこうした取り組みを一層推進するため、ボランティアパスポートのさらなる活用を図るとともに、生徒の励みになるようボランティア活動の成果を評価する単位認定制度の導入を進め、やがてすべての県立高校に広げていくことなどによりまして、生徒の自主的な活動をより一層促してまいりたいと考えております。 また、社会奉仕活動の義務化についてのお尋ねがございましたが、こうした活動を東京都のように、授業の必修科目として義務づけることは考えておりませんが、生徒の自発的な活動を引き出すためにも、学校がきっかけとなる活動の場を提供していくことは大切なことであると考えておりますので、例えば学校行事として年に1回でも2回でも地域の美化活動や清掃活動に参加するなど、生徒に地域に貢献できるような経験を積ませようとする取り組みをすべての高校で進めてまいりたいと考えております。 こうした地域貢献活動やボランティア活動を一層進めることにより、生徒の社会性や豊かな人間性の育成を図ってまいりたいと考えているところでございます。 私からは以上でございます。  〔教育長(曽根秀敏君)発言の許可を求む〕 ○副議長(ほりえ則之君) 曽根教育長。 ◎教育長(曽根秀敏君) 教育関係についてお答えをいたします。 まず、主任制度の検証と教員の新たな職の検討についてでございます。 現在の学校組織はお話しのとおり、校長・教頭以外はすべて一般教員という極めてフラットな組織であり、また、学校運営業務は数多くの校務分掌や各種委員会に細分化されております。そして、主任は細分化された校務分掌ごとに配置され、指導助言、連絡調整に当たっており、学校運営上、それぞれの役割を果たしてきたところでございます。 しかしながら、現在の学校では、議員からお話がありましたように、いじめ、不登校の問題を初めとして、教育課題が山積しておりまして、また、開かれた学校づくりや地域との連携など、これまで以上に学校が主体的かつ組織的に運営されていくことが重要になってきております。 そのため、校長・教頭を補佐する役割や一般教員をリードしていく役割を果たせる体制が必要となってきておりますが、現在の主任は組織上の職として位置づけられていないため、その役割には限界もございます。 この点につきましては、国や他県でも問題意識を持っており、中央教育審議会の学校の組織運営に関する作業部会からも、組織力を向上する簡潔で機能的な校内組織のあり方について検討する旨の報告も出されておりますし、全国都道府県教育長協議会からも、主任制度を抜本的に見直すよう、国に要望しているところでございます。 そこで、県教育委員会といたしましては、現在の学校運営組織を見直し、細分化されている校務分掌や各種委員会をグループとして再編統合するとともに、校長・教頭の学校運営の補佐、グループの職務管理、教職員の人材育成などの役割と職責を持ったグループリーダーを新たな職として設け、給与面でも職責に見合ったものにしていくことを検討しているところでございます。 今後、市町村教育委員会や学校長の意見も聞きながら、18年度には新たな職制度を構築してまいりたいと考えております。 次に、高校生に求められる学力や神奈川らしい教育に関するお尋ねがございました。 まず、高校生に求められる学力、すなわちこれからの神奈川や日本を支える人材に求められる学力でございますが、単なる知識の暗記や技能の習得にとどまらず、基礎・基本を確実に身につけ、それをもとにみずから学び、考え、主体的に判断し、問題を解決する能力であり、こうした能力や知識、技能を実生活のさまざまな場面で活用でき、やがては社会の発展のために発揮することができる力であると考えております。 このような学力を育成するためには、まず生徒の学力を把握した上で、授業の改善や充実を図ることが重要でありますので、本年度から全県立高校の2年生を対象に実施しております学習状況調査の結果を積み重ね、生徒の学力の傾向をしっかりとつかみながら、授業の改善を図ってまいります。 さらに、平成17年度からは、全校において生徒による授業評価を実施することとしておりますので、こうした取り組みを踏まえながら、生徒が主体的に学習する意欲をはぐくむ教育活動を推進してまいりたいと考えております。 次に、神奈川らしい教育に対する取り組みでございますが、本県ではこれまでも多様化する社会のニーズにこたえるため、新たな教育内容を持つ新しいタイプの高校の設置拡大や特色ある分野で学校独自の科目を設定するなど、高校教育の多様な展開に取り組んでいるところでございます。 また、2学期制の導入や7校時目の授業を設けるなど、各学校でさまざまな工夫を行いながら授業時間の確保に努めるほか、科学技術や理数教育に重点を置く学校や総合的な学力の深化・充実を実践する学校などを学力向上実践推進校に指定しまして、発展的な学習に取り組むなど、生徒の学力向上に努めているところであります。 今後も生徒の学ぶ意欲を高め、多様で確かな学力の向上を図るために、さまざまな教育活動の中で、こうした取り組みを推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。  〔杉山信雄君発言の許可を求む〕 ○副議長(ほりえ則之君) 杉山信雄君。  〔杉山信雄君登壇〕 ◆杉山信雄君 若干時間が残されておりますので、再質問をさせていただきます。 先ほど知事、教育委員会委員長並びに教育長からご答弁をいただきました。 私は具体的に、かつ明快な答弁を求めたところでありましたけれども、私の質問に的確な答弁はなかったのが大変残念であります。その中で、何点か質問させていただきます。 まず、設計金額の事前公表でありますけれども、これにつきまして、知事から他県の動向を見ながら検討していくとのご答弁をいただきました。とりわけ神奈川方式の構築についてもそういうお話でしたけれども、実はこれはもう既に2年前の建設常任委員会におきまして、前の県土整備部長から、入札制度におきましては神奈川方式をつくっていくという答弁をいただいたわけであります。それから2年たっているわけでありますので、今後、これからですとか、構築中、考えている最中ということは私は言えないと思います。であれば、今の現状の認識をお話ししていただきたいと思います。 そこで、改めてお聞きしますけれども、この神奈川方式の入札制度はいつごろまでにやるつもりなのか、これを聞きたいと思います。私は問題点が幾つかあると思いますのは、一つは事前公表にすることは適正な価格競争ではないということ、二つ目は落札金額を誘導し、ダンピングを招く結果になってしまうということ、そして3点目、これは大きな問題でありますけれども、設計金額の大もとの単位は国・県がつくっているということを忘れているのであります。業者がつくっているのは実行予算であって、落札に必要な単価は各行政がつくっている、このことを忘れて85%等の予定価格に近づけているのは、正常な競争にならないということを考えております。知事の再答弁を求めます。 また、知事の昨年12月定例会の本会議における県立高校生徒の社会奉仕活動の義務化についてであります。これは教育委員会委員長にもお聞きをしたいと思いますが、必修科目にはしないとの答弁をいただきましたが、私が聞いているのは義務化にするのかしないのかという確認でありますので、ぜひ委員長におかれましては、義務化にするのか、義務化にしないのか、イエスか、ノーかで答えていただきたいと思います。 奉仕という言葉の意味合いについて一例を申し上げたいと思います。 85年の歴史を持つ関東学院の校訓に「人になれ、奉仕せよ」とあります。奉仕は義務で行うものではないと考えます。友のために命を投げ出す姿勢が大事なのであります。私が解釈するには、弱者、困った人に迷わず手を差し伸べろということがあると思います。自主性・自発性が大前提だと思います。 むしろ私は思います。社会奉仕活動の義務化を議論する前に、教職員みずからがまずボランティア活動を体験することが先決でないかと思います。故事に「言って聞かせ、やってみせなければ人は動かず」とあります。高校生たちの社会奉仕活動、ボランティア活動を推進するためには、教職員みずからがまず実践すべきと考えます。 そこで、知事にお尋ねします。 昨年の12月定例会本会議における知事の社会奉仕の義務化発言と、今回答弁いただきました実施機関であります教育委員会の方針、これを含めて、改めて知事のご所見をお伺いいたします。 以上で私の再質問を終わります。  〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○副議長(ほりえ則之君) 松沢知事。   〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) 杉山議員の再質問にお答えいたします。 まず、入札制度の改善についてでありますけれども、これまで約2年にわたって議論をしてきたと思うが、いつごろまでにこれをやるのかを示してほしいということでありました。 入札方式、それを神奈川独自のより競争性・透明性・公正性を踏まえたものをつくっていきたいということで、一昨年来から議論をしております。目標といたしましては、目標というか、来年4月に電子入札制度の導入がありますので、当然それに合わせて新しい入札制度を導入していきたいと考えておりますので、今検討もさまざま最終段階に差しかかっておりまして、ことし中にはこの電子入札の前に入札制度そのものの神奈川方式をお示しできればと、また、議会の方でもご議論をいただければと思っております。 そして、設計金額の事前公表、あるいは最低制限価格制度、それぞれ杉山議員からもご披瀝ありましたように、メリット・デメリットが指摘されております。また、この二つの持っている要素をどのように組み合わせるか、それでよりいい仕組みができるかと、こういうことも検討していかなければならないと思っていまして、これまでこの自治体の入札制度については、ほかの自治体がかなり先行事例としてありまして、そのメリット・デメリットも実際としてかなりわかってきていますので、そういうところもしっかりと検討しながら、今最終的な調整を図っているということでございます。 2点目の社会奉仕体験活動の義務化についてのお話がありました。 私は昨年12月の本会議でも申し上げたと思いますが、今の子供たちに欠けている大きなものは社会性だとか、公共心だと考えております。残念ながら子供たちの環境を見ますと、兄弟も少ない、学校の友だちともなかなか遊ばない、あるいは部活動も入らない、あるいは集団生活の経験もない中で大きくなってしまうと、他人をいたわったり、あるいは公共的な利益に対して汗を流して貢献しようという、こういう心がなかなか育たない。したがって、私はこの公共心や社会性をはぐくむために、ぜひとも神奈川県の県立高校の生徒たちは、高校生活の中で一度でもいいから、この社会奉仕あるいはボランティアの経験をしてもらいたい、こういう思いを強く持っております。 そこで、この義務化という言葉なんですけれども、お隣の東京都がこの義務化ということを指しているのは、学校の中で授業の必修科目として義務づけるというやり方なんですね。私はそれに倣わなくてもいいと思っています。神奈川らしいやり方があればいいと思っています。 そこで、今県立高校の方で行っているのが、一つはボランティアパスポートということで、できる限りボランティア活動に参加して、それを少し記録にためていこうという、こういうやり方であります。ただ、私としては、すべての県立高校の生徒たちに体験してもらいたい、その体験の中から、その重要性だとか、そういうものを学んでくるわけですね。ですから、その機会を提供したい。そういう意味で、すべての県立高校、すべての生徒たちに体験してもらいたいという意味で、義務化というか、すべての生徒たちにというのを目標にしてもらいたいということをお願いしているわけであります。 今、教育委員会の方でも、先ほど平出委員長の方からもお話がありましたが、すべての県立高校でこれを行えるように、例えば授業の必修化でなくて、学校行事等を利用しながら、3年間の中で必ず社会奉仕体験活動を実践してもらえるような、そういう仕組みが考えられないか、今鋭意検討してもらっているというところであります。 今後も教育委員会の議論に私としても大いに期待をして、多くの県立高校の皆さんが与えられることだけではなく、与えることの喜びというのも感じ取っていただきたい、そういう生徒になっていただきたいと切に願っているところであります。 以上です。  〔教育委員会委員長(平出彦仁君)発言の許可を求む〕 ○副議長(ほりえ則之君) 平出教育委員会委員長。   〔教育委員会委員長(平出彦仁君)登壇〕 ◎教育委員会委員長(平出彦仁君) 杉山議員の再度の質問がございました。 お答えする前に、知事からこの活動の内容が高校生にどういう意義があるものかということが述べられ、そのとおりだと私は思っております。 ただ、東京都が義務化したとか、ある一部の人たちの義務化すべきだという声が先行していて、実際に教育委員会としては、この実現が可能であるかどうかということを考えてみますときに、例えば4万人の高校生を必修授業科目として1週間なら1週間、どこか活動する場に引き連れていかなければならない、それで35時間で1単位という、そういう内容を考えてみても、今のところ実現が非常に不可能、難しいということであります。 そういう意味で、学校行事の一環として、高校生には1回ないし2回、しっかり経験を積んでもらいたいという、そういう強い要望を出しているところであります。 結論的に申し上げますと、今日、この活動に関しては、教育委員会としては義務化していないということでございます。  〔杉山信雄君発言の許可を求む〕 ○副議長(ほりえ則之君) 杉山信雄君。 ◆杉山信雄君 自席からの発言をさせていただきますが、時間がありませんので、私の質問はこれ以上できません。今後につきましては、所管常任委員会で改めて深く議論していただきたいことを願いまして、私の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 ○副議長(ほりえ則之君) お諮りいたします。 この際、休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(ほりえ則之君) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は15分後といたします。               午後4時42分 休憩       ────────────◇──────────── △《本会議録-平成17年2定-20050221-025917-質問・答弁-はかりや珠江議員-代表質問①児童虐待について②「ニート」対策について③次世代育成支援対策について④地球温暖化防止対策について》                午後5時5分 再開  〔事務局長報告〕 出席議員 議長共79名 ○議長(新堀典彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  ────────────────────────────────── ○議長(新堀典彦君) 質問を続行いたします。 はかりや珠江君。  〔はかりや珠江君登壇〕(拍手) ◆はかりや珠江君 議長のお許しをいただきましたので、私は民主党・かながわクラブを代表いたしまして、通告に従い、提言を交えながら、質問させていただきます。 知事、教育長並びに警察本部長におかれましては、明るい神奈川の未来を築くために、積極的、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様には、お疲れのこととは思いますが、本日最後の質問となりますので、しばらくの間、ご清聴賜りますようお願い申し上げます。 さて、昨年も子供にかかわる痛ましい事件が多発いたしました。私自身、3人の息子を持つ母親として、いかに子供をよりよく育てるか、常に悩みながら今日まで歩んできたように思います。子育てに悩みや苦労はつきものですが、反面、喜びも大きかったと胸を張って言うことができます。 私事で恐縮ですが、今を去ること二十数年前、初めて子供を出産したときの感動は今も忘れることができません。新たな生命の誕生に、ぬぐってもぬぐっても涙があふれ、何にせよ、子供が元気で生まれてきてくれたことに心から感謝いたしました。同時に、今、自分が抱いているのと同じ愛情を、私の両親もまた私に注ぎ続けてくれて今日があるのだと、親に対する敬愛と感謝もこみ上げてきたことを鮮明に思い出します。 私のこのような母親としての感情は、世の中の多くの親が共有できるものだと思います。しかし、一方で、昨今の児童虐待件数の増加や子供たちの問題行動の多さを目の当たりにするとき、なぜこのように親の願いとは裏腹な現象が起こるのかと、暗たんたる思いになります。 行政においても、子供にかかわる部局それぞれが骨身を惜しまず、子供たちの未来のために努力を続けてきたことと思います。それゆえに、この実態が改善されないことに大きな疑問を感じるのです。私どもが重ねてきた努力に、どこか間違いがあるのではないか、ピントのずれた支援をしてきたということはないのか、いじめ、不登校、引きこもり、児童虐待、非行など、子供にかかわる問題について、その取り組みと成果をもう一度、冷静な目で客観的に見詰め直してみる必要があるのではないでしょうか。 今回はこのような問題意識を前提として、質問をさせていただきたいと思います。 そこで、質問の第1は、児童虐待についてお尋ねいたします。 本県の児童相談所における虐待相談件数は、平成15年度、県所管で1,121件、横浜・川崎の政令市が937件で、合わせて2,058件にも上っており、平成11年の県内合計950件と比較すると、この4年間で倍増いたしております。一方、これらの相談に対する児童虐待処理件数は、本県だけで我が国全体の処理件数の約9%を占め、大阪に次いでワースト2位に入っている状況です。 こうした事態を重く見て、これまでも児童相談所では、その体制強化を図ってまいりました。しかしながら、当時に比べ、状況はさらに深刻化しており、1人の児童福祉司が担当するケースの数は平均しても六、七十件と言われています。横須賀児童相談所においては約100件にも上っており、どんなに優秀で意欲ある職員でもバーンアウトしかねないオーバーワークになっています。 相談事例の一つ一つが困難で、解決に多くの時間を要するものばかりですし、児童虐待では、一つ対応を間違えば命にかかわる事例も多いため、細心の注意を要することは言うまでもありません。子供の保護と心理的なケア、親への指導、家族の再構築と、子供を安心して家庭へ帰せる状況にするまでに、適切で丁寧な対応が求められるのです。そのためには、どうしても人員の強化が必要と考えます。 平成17年度からは、市町村が児童相談の一義的窓口を担うことになっていますが、窓口担当者が児童虐待の専門家というわけではありませんから、初動体制が適切にいくかどうか、不安材料が残るところです。身近に窓口がふえることで、通報や相談の件数が増加することも予想されます。そこで、市町村窓口と各児童相談所がいかに緊密に連携をとれるかが、非常に重要となることは言うまでもありません。 そこで、知事にお尋ねいたします。 平成17年度の児童虐待防止体制のため、児童相談所の専門職員については、どのように強化していくおつもりなのか、細かな配置についてもお考えがあればお示しください。また、加配するのであれば、主にどのような業務に力を入れることになるのか、あわせて伺います。 次に、一時保護所についてお尋ねいたします。 虐待を受けた児童を保護して一時的に親子分離を行い、一時保護所へ入所するケースは虐待相談件数のうち約20%を占め、保護所は現在でも満室状態にあります。また、2カ月という一定の期限はあるものの、保護期間は長期化の傾向にあるとのことです。 一時保護期間には学校へ通えないため、一時保護所では十分な学習機会も確保できない状態にあります。虐待を受けた直後で、学習に集中できる精神状態にないにせよ、少しでも早い立ち直りに向けて、規則正しい生活や学習習慣を途切れさせず、なるべく平常の生活に近い環境を提供できるようにすべきと考えます。 そこで、知事にお尋ねいたします。 一時保護所においても、子供の立ち直りに向け、よりよい学習環境を確保し、子供の心に寄り添いながら学習指導がなされるよう、一刻も早く教員の配置を図るべきと考えますが、導入についての知事のお考えを伺います。 次に、児童虐待における連携と診断体制についてお尋ねいたします。 児童虐待はその時点での外傷や心の問題のみならず、子供の人格形成に大きな影を落とし、その後の問題行動に結びつく可能性が高いこともあり、早期に発見し、子供の保護、心のケア、親の指導や家庭環境の改善など、いち早い適切な対応が求められます。 児童虐待を受けた子供すべてが、さまざまな問題行動を起こすとは言い切れませんが、少年院や児童養護施設に入所している少年や児童の生育歴を調査いたしますと、約五、六割が過去に何らかの虐待経験を持っていたという事実もあり、健全な社会の担い手を育成する意味でも、虐待を防止することには大きな意味があります。 ところが、日本における児童虐待対策は、他の先進国に比べてかなりおくれが見られます。それは、日本が著しい貧困や病気・人種などの社会問題を抱えておらず、比較的安定した環境の中で子育てが行われてきたためとも考えられますが、昨今の児童虐待処理の急増を踏まえ、諸外国の先進的な取り組み事例は積極的にこれを導入していくことが望まれます。 そこで、アメリカにおける児童虐待の対応を一部ご紹介したいと思います。 アメリカ合衆国における児童虐待の実態は、把握されている数字だけでも日本を大きく上回っています。保健福祉省の2002年の報告で、児童虐待に関係した子供は何と450万人、このうち虐待の事実が実証された件数は89万6,000件に及んでおります。これは人口比で比較しても、日本の約15倍という状況です。 さて、アメリカのカリフォルニア州の場合、児童虐待の通報窓口は、警察と日本の児童相談所に当たるデパートメント・オブ・チルドレン・アンド・ファミリー・サービシズ、DCFSです。両者は非常に緊密な連携をとっており、この関係をジョイント・コンタクトと呼んでおります。虐待の内容によって、どちらが介入するか大まかな役割分担ができていますが、特徴的なのはクロスレポーティングと呼ばれる情報共有のシステムで、虐待が疑われる場合の報告書は互いに渡し合い、双方の機関に保管されます。 もちろんアメリカにも個人情報保護法がありますが、大人の人権を守ることが主眼となっている個人情報保護法等の法律遵守にこだわり過ぎると、弱い立場の子供たちを救えないという多くの失敗を教訓にして、このようなシステムを構築してきたものと思われます。 また、警察は虐待の被疑者の逮捕と立件に臨む一方、子供の心理的治療にも積極的に関与しており、この点は日本と大きく異なる点です。その主なプログラムとしては、性・暴力事件の被害者とその家族への援助をするもの、また、非行の入り口で、それ以上進ませないための治療プログラムなどです。これらは皆、犯罪防止の観点からなされており、例えば、一見非行とは関係のない抑うつの子供や、親の離婚後に混乱に陥った子供なども対象となっています。うつ状態で引きこもりの場合、やがて薬物に手を出すおそれがあり、そういったことを防止するために早い段階で治療を施すという発想です。 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。 アメリカと状況の違いはあるものの、今後児童虐待の防止や、虐待を受けた子供が非行や犯罪の道に進まないようにするため、本県警察の担う役割と県民からの期待は非常に大きいと思われます。現在、警察本部では、児童虐待に関してどのような取り組みを行っているのでしょうか。児童相談所との連携の状況や児童虐待への理解を深め、適切な対応をするための研修の状況もあわせて伺います。また、今後の警察の役割をどのように認識し、児童虐待に対し、どのように臨んでいくお考えか、犯罪防止の観点も含め、警察本部長のご見解をお聞かせください。 さらに、アメリカでは児童虐待に対する診断体制も日本と大きな差があります。私は昨年の秋、日本で開催された子供虐待防止の国際シンポジウムに参加し、アメリカの児童虐待を専門とする3人の小児科医の先生からお話を伺う機会を得ました。 その際、私は揺さぶられっ子症候群という虐待があることを知り、ショックを受けました。親に虐待の自覚が全くなくても、子供を泣きやませようとして激しく子供を揺さぶることにより、硬膜下血腫、もしくはクモ膜下出血と眼底出血が引き起こされ、脳にも損傷を与えるというのです。 外傷がある場合などは、素人が見てもわかりますが、揺さぶられっ子症候群のみならず、専門家がチームを組んで診断しなければ、被虐待児の被害の全体像が明確に把握できないものも多いと聞きます。正確な診断があってこそ、適切な治療が行えるわけですから、アメリカで成果を上げている多職種の専門家チームを本県にも設置することを考えてはいかがでしょうか。例えば、新棟完成が待たれる県立こども医療センターなら、各方面との連携も可能でしょう。あるいは、県中央児童相談所に併設されている総合療育相談センターに設置することも可能かもしれません。 さきに申し上げたシンポジウムの中で、ゲストとして日本にお見えになった先生のお一人が「アメリカではさまざまな失敗や遠回りをしてきました。ですから、日本の皆さんにはぜひ私たちの長年の貴重な経験と成果を早期に導入し、活用していただきたいと思います」とおっしゃっていました。 そこで、知事にお尋ねいたします。 ただいま申し上げた正確なアセスメントのできる診断体制を早急に立ち上げるべきと考えますが、知事のご所見をお伺いします。 質問の第2は、ニート対策について伺います。 ニートは働いていない、働くための求職活動もしていない、学校にも通っていない、仕事につくための職業訓練も受けていない、つまりあらゆる統計から抜け落ちてしまったために、その数さえも把握しにくい存在であり、全国で推計52万人と言われています。 松沢知事は、ニートについて、昨年9月の吉田大成議員の質問に答えて、総合的な対策に取り組む姿勢を示されました。大いに期待を寄せるところでございます。 ところが、本県にどのくらいニートと呼ばれる人たちがいるかも把握できていない状況の中で、今できることは、ニートという迷路に迷い込まないよう、インターンシップの充実など、キャリア教育を拡充していくというような予防的な手段にウエートを置かざるを得ないと思います。 しかし、現にニートとなって立ちどまってしまった人たちや、ニートとなる可能性が高い人たちを、何の手だても施さぬままにしておくことはできません。なぜならニートと呼ばれる若者たちも、一人一人が神奈川の未来を支えていく大切な社会の財産だからです。ニートがさなぎ状態であるなら、さなぎのままで終わらぬようにチョウになって飛び立つための手助けをする必要があるでしょう。 そこで、まず、ニートの状況にあり、解決の糸口がつかめないでいる人たちやその家族のために、悩みを受けとめる場を設ける必要があるのではないかと思います。 私は、現在、青少年サポートプラザで行っている相談事業の中で、ニート問題も受けとめることが効率的・効果的であると考えます。ヤングジョブスポットや若者就職支援センターなど適切な機関に紹介したり、引きこもりの要素が強ければ、治療へと結びつけるなど、一人一人のニーズに合わせた対応ができるよう、相談員も拡充していくことが望ましいと思います。 また、気軽に悩みを打ち明けたり、同じ悩みを持つ人同士が励まし合ったりできるよう、NPOなど民間の方々の力をかりてニート専用サイトなどもつくってはどうでしょうか。そうした輪が広がっていくことにより、どんなサポートが必要かということも、さらに明らかになってくると思います。 そこで、知事にお尋ねいたします。 ただいま申し上げたように、青少年サポートプラザの相談体制を拡充し、ニート相談窓口を開設してはどうかと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。また、青少年相談の窓口が警察や総合教育センターなど、あちこちに分散されていますが、この際、必要な機能は残しつつも、整理・統合した方がいいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 次に、ニートになる可能性が高いと思われる中退者への対応についてお尋ねします。 現在、県立高校の中退者は、教育現場での努力や県立高校改革の成果もあってか、平成13年度2,737名だったものが、平成15年度には2,008名と減少傾向にあります。先生方の熱心な指導のたまものと敬意を表したいと思います。 しかし、相変わらず毎年、県立高校で約2,000名、私立高校で約1,000名もの中退者が出ていることは重く受けとめなければなりません。復学したり、就職したりする生徒はともかく、学校から離れてしまえば、学校が追跡調査をする義務もありませんから、公私立合わせ約3,000名の生徒がその後どのような生活をしているのか、ほとんど学校は把握していません。個人的に、もとの担任が消息を知っているというケースはあっても、全体的に調査をしているということもありません。中退した生徒は、役所的な表現で言うと、教育の所管ではなく、青少年課の所管になるわけです。青少年課は青少年全般を対象に仕事をしているので、中退者というくくりではとらえていないのが現状です。 このように縦割り行政の仕組みの中では、中退者は宙に浮いただれからも手を差し伸べられることのない立場に追いやられてしまうのです。そして、このような空白状況に置かれてしまうことが、やむなくニートになってしまう若者をふやすことにつながっているのではないのでしょうか。 したがって、本県のニートの状況を明らかにするためにも、また、ニートになる前にサポートできるようにするためにも、第一歩として中退者へのアプローチを行うことが必要ではないでしょうか。 そこで、教育長にお尋ねいたします。 ニートとなる可能性が高い集団である中退者について、その後の実態調査をしたり、サポート体制を強化していくべきと考えますが、教育長のご所見を伺います。 質問の第3は、次世代育成支援対策についてお尋ねいたします。 アメリカ、フランス、スウェーデンなど主要先進国の少子化傾向が改善を見せる中、我が国の少子化傾向はさらに深刻な方向へ進みつつあります。これまでも国ではさまざまな対策を講じてきましたが、いずれも合計特殊出生率を改善させることはできないまま、今日まで来ております。このことは、国の施策がむだとは言わないまでも、つぼを外したものだったのではないかと思わざるを得ません。 確かに、本県でも子育て支援策は大きく進展いたしました。保育所の数や定員は増加し、待機児童の解消も進みつつあります。小児医療費が軽減されたり、子育ての相談体制が拡充されたりと、子供を産み育てたいと願う人にとって環境は整いつつあります。しかし、本県の合計特殊出生率は、平成15年で全国平均の1.39を下回る1.21であり、これは東京、京都、北海道に次いで低い値となっています。 このような状況の中、少子化傾向が食いとまらないというこれまでの反省に立って、平成17年度から10年間の時限立法として、次世代育成支援対策推進法が策定されました。次代の社会を担う子供が健やかに生まれ、育成される環境を迅速かつ重点的に推進するべく、地方公共団体に対し、地域行動計画の策定を義務づけています。本県の地域行動計画は、現在、素案が示され、2月2日から3月3日にかけてパブリックコメントの手続に付されています。 今回このような立法措置がとられ、地方公共団体とともに、事業主にも行動計画の策定を求めているのは、ひとえにこの10年間で少子化の流れを変える、つまり少子化傾向を改善させることが究極の目的と言えます。 この観点から本県の地域行動計画を見詰め直してみますと、私は本当にこれで少子化が食いとめられるのだろうかと大きな危惧を抱かざるを得ません。 まず、子供のいる世帯、いない世帯を含めて、今後充実が必要な施策やサービスとして何を望んでいるのかを見てみますと、平成14年の厚生労働省の調査研究報告書によれば、いずれの世帯においても第1位は、子育てしながら働きやすい職場環境の整備であり、同じく2位は、子育てへの経済的支援です。したがって、こうしたニーズの高いものは基本目標なり、重点プロジェクトの高い位置に据えられるべきですが、下位に位置づけられていることについては、こうした強いニーズに対する認識が甘いと言わざるを得ません。 また、夫婦で子供を持とうとする意欲が低下しているという新しい現象について、その要因がどこにあるのかをしっかりと把握していらっしゃるのでしょうか、不安を覚えるところです。夫婦が子供を持つことをちゅうちょするのは、一人前の社会人にするまでに幾つもの乗り越えねばならない困難があるからにほかなりません。経済的な面から言えば、教育費が家計に占める割合は大変大きいと言わねばなりませんし、また、昨今のように治安が悪いと、自分の子供が事件・事故に巻き込まれ、つらい思いをするのではないか、あるいは子供の起こすさまざまな問題行動、いじめ、不登校、非行などで頭を悩ませることになるのではないかなど、さまざまな社会不安が出産を思いとどまらせているとは言えないでしょうか。 次世代育成とは、一人前の社会の担い手を育てることです。したがって、乳幼児期だけでなく、むしろ困難で複雑な課題が集中する青少年期のつまずきをサポートする仕組みを充実させることが重要です。そのような視点もぜひ盛り込んでいただきたいと思います。 そこで、知事にお尋ねいたします。 今回の地域行動計画策定に当たっては、神奈川の子供たちをどのように育てていこうとしているのか、その理念や目標を明らかにし、行政、県民、事業者がどのような責務を担っていくのか、バックボーンとなるものが必要であると考えます。そのためには、子供にかかわるその他の個別計画をもカバーし得るような基本的な条例を策定すべきだと考えます。さきの他会派の質問では、条例を策定するとの答弁がありました。それについては、ぜひ早急に進めていただきたいと考えますが、今後のスケジュールについては、どのようにお考えになっているのでしょうか、知事のご所見を伺います。 また、地域行動計画が各県ごとに策定されることを考えますと、他県にはない本県独自の課題に対応した内容となるはずですが、計画素案には神奈川の独自性が明確にあらわれていないように思われます。 加えて、これまで神奈川県が蓄積してきたふれあい教育運動などの神奈川らしいさまざまな取り組みの継承も乏しく、本県らしい特徴が見出せません。10年間で本県の合計特殊出生率が好転しなければ、少子化を食いとめるという計画の成果が出なかったことになってしまいます。 そこで、知事にお尋ねいたします。 本県の地域行動計画を実効あるものとするため、本県の独自の課題をどのように認識し、計画に生かそうとしておられるのか、知事のご所見を伺います。 質問の最後は、地球温暖化防止対策についてお尋ねいたします。 昨年はたび重なる台風の来襲や地震など、日本列島各地に災害の傷跡が残り、多くの方々が被災されました。被害に遭われた皆様に、改めて心からお見舞いを申し上げたいと思います。 このような自然災害の多発や世界各地で起こっている異常気象も、地球温暖化やオゾン層の破壊などの影響によるものと見られており、今日、世界ではこうした地球規模の環境の変化が人類の生存にかかわる重大な課題として認識されています。 そこで、これらの問題に対応するため、1997年、京都で開催された地球温暖化防止京都会議において、温室効果ガスを多量に排出している先進国などが2008年から2012年の5年間に、温室効果ガスを1990年レベルより全体で5%削減する約束がなされました。我が国では、2002年6月に京都議定書を批准し、国として6%削減を図ることを決めました。 ところが、我が国の状況を見ますと、環境省の2003年度速報値で、温室効果ガスの総排出量は13億3,600万トンに上り、前年度比で0.4%の増、京都議定書基準年の1990年と比べますと8.0%の増となっております。温室効果ガスのうち約9割を占める二酸化炭素は、部門別に見ますと、1990年と比べ、工場等産業部門が0.02%減となっているほかは、自動車・船舶等運輸部門で19.5%の増、オフィスビル等業務部門で36.9%の増、家庭部門で28.9%の増と、いずれもかなりの率で悪化をしております。 こうした実態を踏まえますと、今後は各部門ごとに相当厳しい規制をかけなければ、達成は極めて困難なのではないかと思われます。また、安易に排出量取引という方策に傾くことは何としても避けなければなりません。 そこで、まず、知事に本県の状況についてお尋ねいたします。 本県の環境施策は、平成8年に岡崎前知事のもと策定された環境基本条例の理念を礎に、環境基本計画に沿って進められてきました。現行の環境基本計画の目標は、2010年度までの間を基本として個別に設定されていますが、2000年度からこれまでの進捗状況、成果についてどのように認識されておられるのか、知事のご所見を伺います。 特に、地球温暖化に多大な影響を与えているCO2の状況については深刻な状況にあり、今後の思い切った取り組みが不可欠と思われます。新たな計画の中には、残念ながら、知事の意気込みや決意といったものが十分に反映されていないのではないかと危惧していますが、新たな環境基本計画における知事のご決意があれば、ぜひその強い思いをお聞かせいただきたいと思います。 次に、地球温暖化防止に向けた首都圏の八都県市の取り組みについて伺います。 これまでも八都県市では、首脳会議の中で地球環境問題について再三取り上げ、平成元年の首都圏環境宣言を皮切りに、折に触れ、地球環境保全に関するアピール文を発表するなど、3,400万の首都圏住民に対し、今すぐ、できることから始めようという呼びかけを重ねてきました。共同して地球温暖化防止キャンペーンを実施し、ライフスタイルの見直しや環境への配慮を訴えるなど、啓発活動にも力を入れてきたところです。 さらに、ディーゼル自動車の排出ガス規制や低公害車、省エネ家電の導入の促進など、具体的な施策においても共同歩調をとり、実効性の確保に努めてきたところです。 推計によりますと、首都圏における二酸化炭素の排出量は、我が国全体の排出量の約16%を占めており、首都圏というエリアだけで世界の排出量の約1%を占めるほどの膨大なものとなっています。このことからもわかるように、首都圏における温暖化防止の取り組みが、京都議定書の6%削減の約束を守れるか否かの大きなポイントとなることは明白です。 この10年間で、環境に対する意識は高まったものの、具体的な行動へは十分につながっておらず、一部の意識の高いグループの行動はあっても、面的な広がりが不足していると言わざるを得ません。こうした状況をスピーディーに改善し、アクションを起こすことが、今後の地球温暖化防止の決め手となると考えます。 ちなみに、京都では使用済み天ぷら油燃料化事業に取り組み、ごみ収集車の220台すべての燃料を環境に優しいバイオディーゼル燃料「みやこ・めぐるオイル」で賄っています。 また、東京都杉並区では、スーパーなどのレジ袋をもらわないで、自前の買い物袋を利用するマイバッグ運動を強力に推進しています。 そこで、知事にお尋ねいたします。 地球温暖化防止対策について、首都圏の八都県市の果たす役割を考えたとき、環境立県を標榜する本県としては、率先して実効性ある施策の推進を呼びかけ、首都圏からローカルアクションのうねりを起こす中心的存在としての働きかけをすべきと考えますが、今後、八都県市首脳会議に対し、地球温暖化防止について、どのような提案が考えられるのか、知事のご所見をお伺いいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。                               〔拍 手〕  〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕 ○議長(新堀典彦君) 松沢知事。   〔知事(松沢成文君)登壇〕 ◎知事(松沢成文君) はかりや議員のご質問に順次お答えをいたします。 初めに、児童虐待についてのお尋ねがありました。 まず、児童虐待防止に向けた児童相談所の専門職員体制の強化についてでございます。 児童虐待についての相談件数は今年度も急増しており、4月から12月までに県の児童相談所に寄せられた相談は既に平成15年度を上回る1,186件となっておりまして、大変憂慮すべき事態と認識をしております。 また、先般改正された児童福祉法では児童相談体制の充実を図るため、住民に身近な市町村が一義的な相談窓口として位置づけられました。一方、県の児童相談所の役割につきましては、児童虐待の専門的な知識や技術を必要とする困難事例などへの対応に加えて、市町村の後方支援を担うこととされたところであります。 本県におきましては、児童虐待相談件数の急増や困難事例への対応を喫緊の課題と受けとめ、平成17年度は急増する児童虐待相談や困難事例への対応、そして施設に入所している子供たちの早期の家庭復帰に向けた親子支援の充実のため、児童福祉司を6名、そして虐待を受けた子供の心のケアの充実のため、非常勤の心理職員を10名、県の五つの児童相談所に重点的に配置する予定でございます。 また、県といたしましては、児童相談の窓口となる市町村に対する専門的な立場からの後方支援とあわせて中央児童相談所で24時間365日の相談体制を整備するなど、児童虐待の通報等に迅速に対応してまいりたいと考えております。 次に、一時保護した子供たちの立ち直りに向けた学習環境の確保と教員の配置についてのお尋ねがございました。 児童相談所に一時保護される子供の多くは、保護者から虐待を受けるなど、複雑な生活環境に置かれている状況があります。子供たちにとって一時保護所が安心して過ごせる場所であることを実感してもらい、日常生活になれ、落ち着きを取り戻したころに、児童相談所の処遇の一つとして学習指導を実施しております。 保護期間は原則として2カ月以内とされておりますが、子供の学籍は自宅がある地域の学校にあり、一時保護所がシェルターとしての役割を担っているため、子供たちは地域の学校に通うことができないのが実情であります。 こうした状況の中で、現在、児童指導員が義務教育年齢の子供たちに対して、学習指導を行うことにより、地域の学校にかわる教育的な配慮を行っております。しかし、児童指導員は小・中学校の教員ではないことや、変則勤務の中で交代して教えていることなどから、個別的に継続した学習指導を行うことは困難な面もございます。 一時保護所における教育の場の整備や学習専任職員の確保などの課題につきましては、現在、児童相談所で取りまとめた報告書に沿って、具体化に向けた検討を進めているところであります。こうした学習環境の確保につきましては、子供たちの教育を受ける権利に配慮しながら、早期の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。 次に、児童虐待を正確にアセスメントできる診断体制を早急に立ち上げるべきとのご質問でございます。 児童虐待相談は引き続き増加し、その中には難しい判断、対応を迫られる事例もふえてきております。特に身体的虐待の一種である揺さぶられっ子症候群、いわゆるシェイクンベイビーや性的虐待など、外側から見て虐待と判断しにくい事例や性的虐待を受けた児童の面接など、二次的被害を防ぐため、専門的な対応が求められる事例もあると承知をしております。 このため、中央児童相談所に設置した子ども家庭サポートチームが各児童相談所の困難事例対応をバックアップして、個別に児童虐待のノウハウを持っている医療機関の紹介や弁護士の助言、さらには性的虐待を受けた児童に対する面接などの対応を行っております。 一方、児童虐待に積極的に取り組む医療機関では、多職種の専門家チームにより対応してきた豊富な症例の蓄積があることから、揺さぶられっ子症候群を初めとした児童虐待の正確な診断にすぐれた実績を重ねております。 そこで、こうした先進的な医療機関と中央児童相談所の子ども家庭サポートチームが連携して、一体となったバックアップシステムを立ち上げることができれば、初期の診断に一歩進んだ対応が可能になるのではないかと考えております。 議員のご指摘のように、虐待の判断が困難な事例につきましては、これまで子ども家庭サポートチームが積み上げてきた個別事例の経験と実績を踏まえ、どのような対応が可能か、事例の推移や状況なども見ながら研究してまいりたいと考えております。 次に、ニート対策に関連して、青少年サポートプラザでのニート相談窓口の開設と青少年の相談窓口の整理・統合についてのお尋ねをいただきました。 昨今、都市化や情報化など、青少年をめぐる社会環境が大きく変化し、現代社会における青少年の生きにくさの象徴として、不登校、引きこもり、非行という心の問題を抱えた青少年が顕在化してまいりました。 こうした問題への対応につきましては、これまで議会からもご意見をいただいておりましたが、昨年4月に青少年センター内に青少年が抱える心の問題に対応した相談窓口をNPOとも連携して、青少年サポートプラザとして開設したところであります。 また、ニートと呼ばれる若者の増加につきましては、就職問題だけではなく、教育問題や家庭環境などが複雑に絡み合っているとの指摘もなされており、さまざまな取り組みが求められております。 そうした中で、ニートには心の居場所を失い、学校や社会から孤立し、社会的な自立ができずにいる者も少なからずいると思われ、このことについては、さきの引きこもりなどと同様、青少年サポートプラザにおいて、広く青少年の心の問題として受けとめなければならないと考えております。 議員ご指摘のニートに対する相談につきましては、青少年サポートプラザ自体、開設したばかりでもあり、専門の相談窓口を新たに設けるのではなく、まずは教育や福祉などの専門スタッフや経験豊富なNPOが専門的な立場から要因を探り、その解決方法などについてアドバイスを行い、より具体的な就労や就学に向けた支援が必要と判断された場合には、それぞれにふさわしい専門機関等へ丁寧につないでいきたいと考えております。 また、相談窓口の整理・統合についてでございますが、青少年サポートプラザは教育や福祉、警察など、専門の相談機関とのネットワークを活用した青少年に関する総合的な相談窓口として機能することを目指しております。現在、そうした機関との人的交流や情報交換、事例研究などを通じて、より一層の連携強化に努めているところでございます。 まずはこうした取り組みを重ねる中で、青少年の自立への支援に向けた多様なニーズにこたえられるような相談体制のあり方について、さらに検討を重ねてまいります。 次は、次世代育成支援対策についてのお尋ねでございます。 まず、地域行動計画推進に当たって、バックボーンとなる条例制定についてであります。 現在、次世代育成支援対策推進法に基づく地域行動計画を年度内に策定するため、最終的な計画案の取りまとめを進めているところであります。この計画策定に当たりましては、本県の子供や子育て家庭を取り巻く実情、課題に対応した神奈川らしい取り組みを盛り込んだ計画づくりを目指してきたものでございますが、先日、本県独自の取り組みとして条例制定のご提案をいただきましたので、これを計画に位置づけて、計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。 次世代育成の推進に当たっては、少子化の進行を直視し、県民の幅広い議論を踏まえ、県民が認識を共有していくことがまず何よりも大切であります。その意味からも、次世代育成の理念や目標を明らかにした上で、行政、県民、企業、団体等の役割、子供や家庭の大切さなどを基本に位置づけた条例は、神奈川における次世代育成推進の骨格となるものと受けとめております。 検討のスケジュールにつきましては、計画の実効性を高める視点や県民の方々のご議論を踏まえる必要性から、17年度に県内各地で県民の皆様の意見集約を図ってまいります。そして、18年度を目途に条例案をまとめ上げていく方向で考えているところでございます。 次に、本県独自の課題と計画での対応をどのように考えているのか、ご質問をいただきました。 次世代育成支援をめぐる本県独自の課題といたしまして、第1に、県民意識の面において、結婚したら子供を持つべきといった伝統的な考え方を支持する割合が、特に若い世代で低いなど、価値観の多様化が進んでおります。 第2に、子育て家庭の環境面では、都市化や核家族化に加え、未就学児のいる父親の長時間労働が全国に比べて顕著であり、特に子育て中の専業主婦の方の孤立感と育児不安が高まりがちであります。 第3に、低水準にあった本県の女性の就労率が高まる中、都市部を中心とした保育所待機児童の増加など、仕事と子育ての両立の難しさがあります。 そこで、まず、第1の県民意識面の課題に対しましては、次世代育成支援のための県民運動を重点プログラムの1番目に位置づけております。価値観が多様化する中で、子供や子育て家庭の大切さについて共通認識を醸成し、同時に子育ての喜びや楽しさについてもアピールしていくために、地域での集会などを重ねてまいります。 第2の子育て家庭の環境面での課題の対応につきましては、県民運動の一環として、児童委員を初め、さまざまな歴史ある活動と子育て・子育ちを支援する新しいNPOなどとの相互連携、協力を図り、よりきめ細かで地域に密着した次世代育成支援の活動の展開を促してまいります。 第3の仕事と子育ての両立面の課題には、保育所の定員増や多様な保育サービス、放課後児童クラブはもとより、夏休みなども含めた幼稚園の預かり保育の充実についても数値目標を掲げ、取り組みを進めてまいりたいと考えております。 さらに、第2の子育て家庭の環境面と第3の仕事と子育ての両立面の双方の課題に対応するために、企業の次世代育成支援の取り組みの促進を重点プログラムに位置づけ、仕事と家庭のバランスのとれた生活の実現、仕事と子育ての両立のための職場環境整備の促進を図ってまいります。 このような重点を絞った取り組みを県民、地域、企業、行政が一体となって一歩一歩着実に推進し、出生率を支える地域の環境整備を進めてまいりたいと考えております。 最後に、地球温暖化対策について、2点お尋ねをいただきました。 まず、環境基本計画の進捗状況と成果、新たな環境基本計画における決意についてのご質問であります。 現行の環境基本計画につきましては、毎年、環境審議会において進捗状況の点検を行っておりますが、今年度は環境基本計画の改定を行っていることから、2000年度からこれまでの状況についてもトータルに点検をしていただきました。 その結果によりますと、幾つかの項目については改善におくれが見られるものの、全体としては、各課題の改善に向けておおむね着実な取り組みを推進しているとの評価をいただいております。 また、自動車交通公害対策や廃棄物対策、地球温暖化対策などの重点的課題プロジェクトにおいては、改善は見られるが、目的達成に向けて一層の取り組みが必要であるとされております。 こうした環境審議会からの評価を踏まえますと、現行の環境基本計画においては、全体として環境の改善が進んだものの、車の利用や物やエネルギーの大量消費など、日々の生活や事業活動に由来する解決の難しい問題が残されている、このように受けとめております。 そこで、今回の計画改定に当たりましては、残された困難な問題の根本的な解決を目指し、挑戦していくことが最重要課題になると思います。そのためには、何よりもまず一人一人の県民の皆様に、日々の生活や事業活動の場面で、常に環境を意識して具体の行動を起こしていただくことが重要になると考えております。 新たな計画ではこうした基本認識に立ち、政策の大きな柱として、これまでの環境づくりと社会づくりに新たに人づくりを加えて、環境教育の推進とNPO等との協働、連携に取り組み、あらゆる行動主体の実践活動を通じて、地球温暖化など、困難な問題の解決に正面から取り組む決意でございます。 次に、八都県市首脳会議に対し、地球温暖化防止についてどのような提案が考えられるのかとのご質問がございました。 これまで八都県市では、議員のお話にもございましたように、地球温暖化対策として、国への要望活動とポスターの掲示などの普及・啓発活動を実施しております。これらに加え、今年度は夏季と冬季において、省エネ家電製品の普及を目指し、エアコン、テレビ、冷蔵庫について、省エネ効果を5段階のランクと金額で示したラベルを表示する省エネ型家電拡大キャンペーンに取り組んだところでございます。 そこで、今後の共同の取り組みでありますが、広域的な取り組みが求められるものとしては、一つにエコマーク等の環境ラベルのついた環境配慮商品の普及を図るための協力店制度等の仕組みづくりなど、省エネ家電の取り組みを消費活動全体に広げることが考えられるところでございます。 また、本県では太陽光発電の導入を積極的に推進しておりますが、現在、個人住宅用の太陽光発電の導入経費が200万円を超えるため、現状では大きな伸びは期待できない状況になっております。 そこで、太陽光発電による環境に優しい電力価値を評価し、二酸化炭素の削減に寄与した分に対して、経済的なインセンティブを与える仕組みができないか、今後検討をしていくこととしておりますので、八都県市共同の取り組みとすることについても、事務レベルで議論を深めさせていただきたいと考えております。 首都圏には約1,400万世帯、3,400万人の人々が暮らしておりますので、多くの人々の生活や住宅に着目した取り組みを八都県市が連携、共同で進めることは、二酸化炭素の削減に大変有効であります。こうした観点から、議員のお話も踏まえまして、今後、身の回りの実践を首都圏に広げ、大きなうねりを起こしていく役割を本県が積極的に果たしてまいりたいと考えております。 私からの答弁は以上でございます。  〔教育長(曽根秀敏君)発言の許可を求む〕 ○議長(新堀典彦君) 曽根教育長。 ◎教育長(曽根秀敏君) 教育関係についてお答えいたします。 中途退学者への対応についてのお尋ねでございます。 まず、最近の県立高校の中途退学者の状況につきましては、議員のお話もございましたように、年々減少してきているところでありまして、これは生徒数全体の減少という傾向もあろうかと思いますが、新しいタイプの高校の設置や一人一人の学習状況に着目した学習内容と指導方法の改善、あるいはガイダンスやカウンセリングなどの相談体制の充実など、県立高校改革推進計画における取り組みを進めてきた結果が、一定程度あらわれてきたものと考えており、今後も入学した生徒が安易に中途退学となることがないよう、こうした取り組みの充実に努めてまいりたいと思います。 しかしながら、もともと高校生活に熱意がない、授業に興味がわかないなど、さまざまな事情により中途退学する児童もおりますので、そうした生徒に対しましては、退学後のことも含めて、より丁寧な指導を行うことが重要であると考えております。 そこで、生徒が中途退学をする際には、各学校で退学後の仕事や勉学に関して相談できる仕組みがあることを説明するとともに、随時学校で相談に応じるほか、かながわ若者就職支援センターなどの関係機関を紹介したり、再度、高校で学びたいときのために、再入学制度について、より一層丁寧に説明することなどが必要であろうと考えております。 さらに、これまでも中途退学後、再度高校で学びたい生徒につきましては、既存の定時制や通信制の高校で受け入れを行っておりますが、高校改革後期実施計画にございますように、より弾力的な教育展開を図る新しいタイプの通信制独立校を設置することとしておりますので、ここでの積極的な受け入れも図ってまいりたいと考えております。 また、議員ご指摘の中途退学者の実態を調査することやサポートする取り組みにつきましては、退学後であっても教育的な配慮を求められますので、個人情報保護という観点にも留意しながら、知事部局とも連携して検討を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。  〔警察本部長(伊藤茂男君)発言の許可を求む〕 ○議長(新堀典彦君) 伊藤警察本部長。 ◎警察本部長(伊藤茂男君) はかりや議員の児童虐待についてのお尋ねにお答えをいたします。 初めに、児童虐待につきまして、警察は被害児童の保護に関して重要な役割を担っていると認識をしているところでございます。 児童虐待に対する取り組みにつきましては、大まかに5点に分類をいたしますと、まず第1点目は、110番通報、巡回連絡、少年相談等を通じまして、被害児童を早期に発見しやすい立場にあることから、発見した場合には、児童の安全を確保するとともに、速やかに児童相談所に通告しているところでございます。 2点目は、児童相談所長から児童の安全確認等の援助要請があった場合には、迅速適切に対応しているところでございます。 3点目は、刑事事件として取り扱うべき事案につきましては、被害児童の心情にも配意しつつ、適切に事件化を図っているところであります。 4点目は、被害児童につきましては、臨床心理士等の資格を有する少年相談員が中心となって、カウンセリング等の支援を行っているところであります。 最後に5点目は、児童相談所やせりがや病院等の関係機関で構成するかながわ被害少年支援ネットワーク連絡協議会におきまして、総合的な支援対策を行っておるところでございます。 次に、児童相談所との連携についてでありますが、個々の事案につきましては、児童虐待防止法に基づき、各警察署において緊密に連携を図っているところであり、また、毎年開催される児童相談所との連絡会議におきましても、各警察署の生活安全課長などを出席させ、実務的な協議を行うなど、連携の強化を図っているところであります。 次に、警察職員に対する児童虐待の研修でございますが、2点に分けることができます。 一つ目は、各警察署に身体的、性的、心理的虐待及び保護者の怠慢、拒否、いわゆるネグレクトについての具体的対応マニュアルを配布いたしまして、早期発見と適切な対応についての署員教養に活用しております。 2点目は、横浜市大病院の医師を被害少年カウンセリングアドバイザーに委嘱をし、少年相談員等の研修会でアドバイスをいただいているところでございます。 最後に、児童虐待に対する今後の取り組みについてでございますが、虐待行為は被害児童にとり、心的外傷から来る精神的な苦痛が大きく、障害が残るものであることから、カウンセリングの充実・強化を図るとともに、警察職員一人一人の児童虐待に関する知識や対応能力を高める教養を、引き続き推進してまいりたいと考えております。 また、被害児童が非行に走らないよう、定期的な面接による継続支援をより一層推進していく必要があると考えております。 今後とも児童虐待については、知事部局、児童相談所、医療機関、教育機関等を初めとする関係機関のネットワーク化等を通じて、より一層の連携を図ってまいりたいと考えております。 以上であります。  〔はかりや珠江君発言の許可を求む〕 ○議長(新堀典彦君) はかりや珠江君。 ◆はかりや珠江君 自席からの発言をお許しいただきたいと思います。 ただいまはそれぞれに前向きなご答弁をいただきまして、ありがとうございました。 時間もわずかですので、1点だけ要望させていただきたいと思います。 児童虐待防止については、子供にかかわるあらゆる立場の方々の連携が大変重要であり、これをシステムとしてきちんと構築していくことが望まれます。関係部局の一層の連携強化を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。 ○議長(新堀典彦君) お諮りいたします。 本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(新堀典彦君) ご異議がないと認めます。 よって、本日の質問はこれで終わります。  ────────────────────────────────── ○議長(新堀典彦君) 以上で本日の日程は終了いたしました。 お諮りいたします。 明22日は休会いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(新堀典彦君) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 次回の会議は2月23日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。 まことにご苦労さまでした。               午後6時2分 散会...