神奈川県議会 2004-02-26
02月26日-06号
◆向笠茂幸君 議長のお許しをいただきましたので、私は自由民主党県議団の一員として、通告に従い、提言を交え順次質問をさせていただきます。 知事並びに教育長におかれましては、明快なご答弁をお願い申し上げます。また、先輩、同僚議員の皆様には、しばらくの間ご清聴よろしくお願いいたします。 質問の第1は、三位一体改革についてであります。 地方分権の推進は、国と地方の役割分担を明確にし、国から地方への関与をできる限り縮減することで、地方が担うべきことは地方みずからの責任で実施するという地方自治本来の姿の実現を目指すものであり、地方自治体共通の願いでもあります。 現在行われている国庫補助負担金の見直し、税源移譲、地方交付税の見直しの三つの柱から成る三位一体改革は、地方自治本来の姿を実現するための有効な手段であると考えます。 つまり国庫補助負担金を廃止・縮減し、引き続き地方が主体となって実施する必要があるものについては十分な税源移譲を行うことで、歳出面での国の関与を縮減し、地方の権限と責任を拡大することとなるものであり、この改革の実現に対する全国の地方団体の期待は大きいものと考えます。 しかし、一方で、地方自治体は千差万別で、税源の偏在が存在していますので、自治体によっては税源移譲に消極的なところもあるのが事実であります。そのために税源移譲に当たっては、できるだけ偏在が少なく安定性のある税源を移譲する必要があり、また、的確な財源保障を行う必要もあると考えます。 こうしたことを通じて、国と地方のあり方を大きく変革していくことが可能であり、今まさにこの三位一体改革を着実に進展させていくよう、地方自治体が一致団結して行動すべきときであります。 ところで、昨年11月18日、全国知事会において三位一体改革に関する提言が取りまとめられました。その中の税源移譲に当たっての留意事項においては、税源移譲による地方税の拡充が行われても、団体間における税源の偏在による財政力格差の拡大が大きな課題となるとされております。 この提言に関しては、石原東京都知事が税源移譲により財政力格差が拡大するという前提に立った議論は極めて疑問とした上で、大都市を富裕団体と決めつけていると激怒したと聞いております。 そこで、知事にお伺いいたします。 石原都知事が言うように、税源移譲が地方自治体の財政力格差を拡大するという前提に立ったこの提言の記述は、この三位一体改革を着実に推進させるために、地方自治体が一致団結して行動すべき現在、その足並みを乱し、ひいては三位一体改革の推進にも支障を来しかねないと考えますが、こうした提言の前提について、ご所見をお伺いいたします。 次に、三位一体改革に伴う市町村の負担増についてお尋ねいたします。 三位一体改革に対する地方自治体の期待は非常に高いものがあり、さまざまな形で早期具体化に向けた提言が出されました。こうした地方の声を十分に踏まえ、それを反映して改革を進めることにより、地方も納得できる成果を上げていくことが必要であると考えます。 平成16年度には、国は地方に対する国庫補助負担金を1兆円以上廃止・縮減し、その中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについては、一般財源化されることになりました。 三位一体改革は、国庫補助負担金を自治体が自由に使える一般財源に切りかえることにより、地方の歳入歳出の自由度を増すことを目的としており、地方にとっては非常に喜ばしいことであるのですが、今回一般財源化された国庫補助負担金の中には、規模の大きな市町村事業が含まれており、改革の方向によっては課題が多いものと考えられます。 例えば、今回一般財源化された国庫負担金に
公立保育所運営費があります。この事業は国及び県も負担し、市町村が主体となって事業実施しておりますが、今回の改革により、厚生労働省の国庫負担金1,600億円が廃止され、新たに創設される所得譲与税により財源措置されたところです。 しかしながら、公立保育所の運営は市町村にとって大きな財政負担となっており、その運営は国や県の負担があっても非常に苦しいものとなっています。今回創設された所得譲与税は市町村の人口を基準に配分されると聞いていますが、人口規模の小さな町村部では、一般財源化によって負担が大きくなるのではないかと懸念されます。 また、この
公立保育所運営費に対して、これまで県が負担していた4分の1相当額も今回廃止されることとなり、ますます市町村の財政を圧迫することとなります。 そこで、知事にお伺いいたします。 ただいま例に挙げた
公立保育所運営費を初め、三位一体改革による国庫補助負担金の一般財源化により、国や県の負担が軽減される一方で、市町村の財政負担が増大するようなことがあってはならないと考えますが、所見をお伺いいたします。 質問の第2は、児童虐待についてであります。 ちょうど1カ月前に報道されました大阪府岸和田市の児童虐待事件は、中学3年生が数カ月の間、食事を与えられず、事実上監禁状態に置かれ、病院への搬送時には死亡寸前の状態であったといいます。電灯をつけることも禁じられ、カーテンを閉めたままの部屋の情景を思い浮かべると胸が痛むとともに、背筋の凍る思いがいたします。 我が県においても、今から3年前、相模原市で3歳の女児が父親の虐待の末に死亡しております。 両方の事件で感ずるのは、学校や保育所と児童相談所、そして地域住民とのパイプが余りにも希薄で、それぞれがみずからの立場での任務を果たすのみであったように思います。そして両方の事件とも、児童虐待防止法の施行後であるのが悲しい点であります。 そこで、このような事件を再発させないという思いを込めて、3点について質問をさせていただきます。 まず、児童虐待に対する取り組みについてお尋ねいたします。 未来を担う子供たちを健やかに育てていくことは、社会全体に課せられた責務であります。しかしながら、現実の子供たちを取り巻く社会の状況は極めて厳しいものがあります。 平成12年11月に超党派の議員立法により、児童虐待の防止等に関する法律、いわゆる児童虐待防止法が施行され3年が経過し、現在、改正に向けて詰めの協議が行われているところですが、相変わらず虐待による子供の痛ましい事件の報道が後を絶たず、憂慮すべき事態となっております。 本県の虐待相談は年々増加の一途をたどっており、県所管域の相談件数はことしも依然として多く、前年度を上回る勢いであると伺っております。 児童虐待につきましては、さまざまな背景や要因が複合的に関係していると言われておりますが、近年の児童虐待の増加傾向の一因として、いわゆる子育て不安・育児不安があると指摘されており、核家族化・少子化の中で、今日の若い世代は成長の過程において身近に乳幼児と接する機会が少なく、みずから親となって初めて子育ての大変さに直面するといった実情であり、あらゆる手だてを尽くして児童虐待の未然防止を図っていくことが必要であります。 児童相談所に求められているのは、虐待を受けている子供の緊急な安全確保の要請に、いつでも速やかに対応できるための仕組みや体制の充実強化であると考えます。しかしながら、児童虐待は家庭内という密室で行われることから、その発見や未然防止には、児童相談所だけの対応では限界があることは明白であります。 児童虐待防止法の中では、保育所の保育士や学校の教職員、保健所職員や医師等の医療関係者など、職務上、虐待を発見しやすい人が早期発見に努めること、そして、児童虐待を受けた児童を発見した場合には、児童相談所や福祉事務所に通告する義務があることを明確に定めており、社会全体で虐待防止に取り組むことが求められております。 現実の虐待への対応に際しては、虐待の個々のケースごとに関係機関、関係者の役割や関与の度合いも異なることから、連携のあり方は一様ではなく、難しい点もあることは承知しておりますが、児童虐待への対応は一刻を争う問題でもあります。 そこで、知事にお伺いいたします。 県として、悲惨な虐待事件を再発させないために、どのような取り組みをしてこられたのか、また、今後どのような取り組みをしていかれるのか、ご所見をお伺いいたします。 次に、教育現場での配慮についてお尋ねいたします。 新聞報道等によりますと、大阪府岸和田市の事件では、学校は不登校となった生徒の家庭を訪問しておりますが、保護者から生徒に会うことを断られ、面会できておりません。このときの学校の対応としては、保護者との関係がこじれることを懸念して無理には面会を求めず、不登校の理由には踏み込まなかったとのことであります。もし、この段階で学校が生徒に面会し、虐待の事実を確認できていたならば、適切な対応が図られ、今回のような深刻な事態にはならなかったのではないかと言われております。 また、今回の事件で改めて指摘されているのが、不登校と児童虐待との関係であります。児童虐待が原因で不登校になっているということは、保護者によって教育を受ける権利が奪われていることとなり、まさしく由々しき問題であると考えます。 さらに、虐待の中には身体的な虐待だけではなく、言葉によるおどかしや無視したりするといった心理的な虐待も児童の健全な成長に大きな影響を及ぼしていると言われております。 学校の教職員は日ごろの教育活動の中で子供たちとさまざまな部分で接しており、また、面談といった機会を通じて保護者と直接接する場面もあることなどから、児童虐待を発見しやすい立場にあります。 このようなことから、平成12年に施行された児童虐待防止法第5条では、教職員は児童虐待の早期発見に努めなければならないと定めております。しかしながら、現状を考えてみると、法律の趣旨が周知されていない状況があるように思えます。 児童虐待があった場合に、実際に対応するのは児童相談所、福祉事務所等の機関や民生児童委員であるとしても、学校がそれらの機関との連携を図る中で、果たすべき責務は大きいものがあると考えております。 そこで、教育長にお伺いいたします。 深刻化している児童虐待を早期に発見するために、学校ではどのように配慮しているのか、お伺いいたします。 次に、児童相談所における過剰業務についてお尋ねいたします。 少子化が進行している中、子供同士がふれあう機会が少なくなっており、また、核家族化や都市化により、親族や地域の支援が希薄になっておりますが、このような中で、今ほど子育て、親子関係、夫婦問題など、家庭のありようが問われている時代はないと思います。 子育て中の家庭では、配偶者の育児に対する協力のなさなどにより、育児に悩み、不安を抱える保護者も多いようであります。このような孤独感と閉塞感の中で、子育てに戸惑い、傷つき、子供と一緒にいることがストレスとなり、結果的に虐待に至ってしまうなど、児童虐待の問題の深刻さがあります。 児童相談所は、近年、児童の虐待に関する機関としてクローズアップされておりますが、文字どおり広く児童に関する相談を受ける機関であり、養護相談や育成相談など、子供と家庭に関するあらゆる相談に応じるとともに、必要に応じ一時保護、専門指導や施設入所措置などを行っていると承知しております。 過日、厚生労働省により公表された平成14年度の全国の児童相談所に寄せられた児童虐待相談処理件数は2万3,700余件となっており、平成10年度の6,900余件と比べますと、約3.4倍になっております。 一方、本県の状況について申しますと、県所管域の五つの児童相談所で受け付けた平成14年度の児童虐待相談件数は862件に上り、平成10年度の222件の約3.9倍になっており、極めて深刻な事態と言わざるを得ません。 このような急激な虐待相談件数の増加の中で、児童相談所職員は多くの難しい相談に的確な対応を求められる一方、一刻も猶予ができない中で判断し、対応しなければならないケースもあることと思います。 また、保護者は一般的に子供への虐待を認めないケースも多く、そうした場合には児童を一時的に家庭から引き離し、一時保護すべきかどうかなどの厳格な判断が求められることから、専門職員にとっても極めて困難で負担の重い職務であると承知しております。 虐待相談件数の急増に対応して、県としてさまざまな取り組みを行ってきたとは思いますが、児童相談所がその幅広い業務のすべてに十分に対応するには、大変困難な状況にあるのではないかと思います。 そこで、知事にお伺いいたします。 全国的にも児童相談所の業務が過剰であるとの指摘もある中で、我が県においてはどのような状況なのか、そして、今後県はどのように対応していかれるのか、ご所見をお伺いいたします。 質問の第3は、日本でも発生した鳥インフルエンザとBSE対策についてであります。 まず、アジアを中心として猛威を振るい、日本でも発生のあった高病原性鳥インフルエンザについてお尋ねいたします。 この高病原性鳥インフルエンザの発生は歴史が古く、日本でも大正14年に千葉県、東京府、奈良県で発生の確認がされております。最近では、平成14年に米国、イタリアで、平成15年12月には韓国で、平成16年1月にはベトナムで発生して以来、日本、台湾、タイ、インドネシア、カンボジア、ラオス、パキスタン、中国及び米国などに発生が拡大し、現在では10カ国と1地域で発生が確認されております。 この鳥インフルエンザは平成9年に香港で発生した際、初めて鶏から人への感染が確認されており、このときには6人の方々が死亡しております。これを機に世界的に危機感を募らせておりましたが、昨年来のベトナムやタイでの発生により、22名の方々の死亡がWHOにより確認されております。 被害が拡大されている中で、今回の鳥インフルエンザは、これまでの人のスペイン風邪、アジア風邪、香港風邪などとは種類が異なりますが、人と鳥のウイルスが同時に豚に感染することによる新型インフルエンザウイルスへの変異も懸念されており、WHOでも警戒を強めておりますが、このウイルスの感染が広がればSARSとは比較にならない被害が出ることが心配されております。 日本での発生は、16年1月に山口県阿武郡阿東町において79年ぶりに発生が確認され、国を挙げて対策を講じてまいりました。山口県では、国が海外での発生を踏まえ、昨年9月にいち早く制定した防疫マニュアルに基づき、鶏舎や車両などの消毒の徹底を図るとともに、移動制限区域を設定して鶏等の移動を制限し、発生した農場で飼養されていた鶏約3万5,000羽については殺処分の後、埋却するなど感染の拡大防止に努め、山口県においては2月19日に移動制限の解除が行われたところです。 しかしながら、このような蔓延防止措置にもかかわらず、2月17日には大分県で一般家庭で飼われていたチャボでの発生が確認され、再び国の防疫マニュアルに沿った対応が現在とられていると聞いております。 今回の各国における発生の原因については、野鳥や人などがウイルスを運んだとも言われておりますが、いまだ究明されておらず、それぞれの発生国において原因究明が進められているところです。 国はいち早く発生国からの鶏やアヒルなどの輸入を停止するとともに、今回は特に愛玩用のインコなどについても原則輸入停止としておりますが、依然として多くの国で発生が続いており、日本でも継続して発生していることから、今後国内での蔓延が懸念されているところです。 私は日本を含めたアジアを中心とした鳥インフルエンザ発生が今後とも長引くようであれば、世界各地へのウイルスの広がりとともに、鶏肉や鶏卵などの消費に対する不安や愛玩鳥からの感染に対する不安、養鶏農家への影響のほか、万一の感染を心配して鳥との接触を敬遠することによる子供たちの心への影響など、風評被害や食への不安などがより高まるのではないかと心配しております。 そこで、知事にお伺いいたします。 本県では山口県や大分県での発生を受け、本県の養鶏農家に対し、どのような指導や対策を実施されたのか、家庭でペットとして飼われている鶏などへの対応も含め、お伺いいたします。また、今後万一に備えた対策はどのように考えているのか、お伺いいたします。そして、日本の場合、幸いにも人への感染は確認されていませんが、万一に備えて、人へ感染した場合の対策はどのように行っていくのか、お伺いいたします。 次に、BSE対策についてお尋ねいたします。 昨年12月の米国での発生以来、新聞等によると、輸入牛肉と競合する乳用種や交雑種の子牛価格が上昇しているとともに、牛肉小売価格は輸入、国産とも上昇しています。また、米国産牛肉を使用していた牛丼店では、牛丼販売の停止を余儀なくされるなど、一部牛肉の流通や消費に影響が出ております。 このような中、2月22日に本県で2例目の発生がありました。感染牛は平塚市の酪農家が昨年6月、秦野市の酪農家から購入したもので、その肉や内臓は既に焼却され、市場には流通しないと聞いており、ひとまず安心しているところでございます。 今後は感染の疑いのある牛、いわゆる疑似患畜の特定について、県は調査を開始したと聞いております。今回の発生では全体的に冷静に受けとめていると承知しておりますが、相談窓口やホームページなどによる情報提供を確実に実施するなど、風評被害が生じないよう万全を期していただくよう要望しておきます。 そこで、知事にお伺いいたします。 本県2例目となるBSEの発生に当たり、県では疑似患畜の追跡調査などの防疫対策及び当該農家に対する支援策はどのようなものか、お伺いいたします。 以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。〔拍手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025003-諸事項-78質問-応答-松沢知事》 78 質問 応答 松沢知事
◎知事(松沢成文君) ただいまの向笠議員のご質問に順次お答えをいたします。 最初に、全国知事会から出された三位一体改革に関する提言についてのお尋ねがありました。 この提言では、税源移譲により地方税の拡充が行われても、税源の偏在による財政力格差の拡大が大きな課題になるとの指摘がなされております。 そこで、こうした格差を解消するため、地域偏在の少ない税目での税源移譲を行い、偏在性の少ない地方税体系を築くことが必要であるとされております。さらに、それによってもなお財政力格差の拡大が想定される場合には、地方交付税制度の見直しにより、適切な対応を図るべきとしておりますし、必要な場合には、法人事業税の分割基準の見直しなど、財源均てん化策を検討する必要があるとしております。 このように税源移譲には財政力格差の拡大という課題もありますが、まず国が地方への税源移譲を着実に具体化させることが重要でございますので、その実現に向けて、地方団体は最大限の力を注ぐべきと考えております。 そうしたことなく地方団体の財政力格差の拡大ばかりが強調されますと、都市対地方の対立が焦点になってしまい、地方団体が求めている三位一体改革の推進に支障を来すのではないかと懸念をしております。 したがいまして、私としては骨太の方針で示された国庫補助負担金の削減額4兆円にとらわれることなく、地方への税源移譲を大幅に拡大するとともに、国の関与を縮小し、その分、国庫補助負担金や地方交付税を削減するという本来の三位一体改革の考え方に立って、今後その具体化を国に強く働きかけてまいりたいと考えております。 次に、三位一体の改革による市町村の財政負担についてのお尋ねがありました。 まず、お話にございました
公立保育所運営費でございますが、議員のおっしゃるように、国庫補助負担金の一般財源化に伴い、県の負担金についても廃止せざるを得なくなりますので、それに見合う分、市町村の財政負担がふえることになります。ただし、この分は地方交付税の中で県の交付額が減額され、市町村の交付税が増額されますので、理論的には県と市町村との間での財源の過不足は生じないこととなっております。 なお、平成16年度における三位一体の改革が市町村財政に及ぼす影響という観点からお答えいたしますと、国庫補助負担金の一般財源化よりも、地方交付税と臨時財政対策債が税源移譲もなしに、地方自治体の予算編成がほぼ終了するというような段階で、地方の意見を聴取することなく、大幅に削減されたことの影響が大きかったことはご承知のとおりでございます。 このため、各地方自治体の平成16年度の予算編成は最後の最後まで財源対策に奔走することになり、県内市町村でも基金の取り崩しを増額するなどの手段を講じて、急場をしのいだ団体も多いようでありますし、特に財政規模の小さな市町村にあっては、たとえ少額であっても財政運営への及ぼす影響は非常に大きかったと思います。 県といたしましては、三位一体の改革により、市町村の財政負担が増大することのないよう市町村の財政運営に注意深く目を配り、ご相談に乗らせていただくとともに、今後とも三位一体の改革の内容及び税源移譲の規模の両面から地方分権の趣旨にのっとった抜本的な改革が早期に実現されるよう議会の皆様にもお力添えをいただきながら、地方六団体など、関係の方々と連携をして、しっかりと国に対し働きかけてまいりたいと考えております。 次に、児童虐待について数点お尋ねをいただきました。 まず、虐待事件を再発させないための取り組みについてであります。 児童虐待は幼い子供の健全な発達に大きな影響を与え、それがその子の将来にまで及ぶことを考えますと、大変深刻な課題と重く受けとめております。 児童虐待に対しましては、まず何よりもその発生を未然に防ぐことが極めて重要であることから、地域全体で取り組むために児童相談所と地域の各関係機関による虐待防止ネットワークを県所管の全域で構築をしております。 このネットワークは、日常的に子供や家庭と接点を持っている市町村保健センターや福祉事務所、保育所や学校、児童委員、医療機関等を構成員として、それぞれの機関の役割分担のもとに、日ごろから連携強化を図り、虐待の未然防止や早期発見に努めているところであります。 一方、これらネットワーク構成員や近隣住民から虐待の相談や通告を受けた児童相談所におきましては、速やかに関係機関と連絡をとり合い、児童の置かれた状況を確認するとともに、必要な児童へのケアや親への指導、場合によっては警察の協力を得て一時保護を行うなど、虐待への対応に全力で取り組んでまいりました。 今後の取り組みでございますが、現在、国において虐待防止のネットワークを市町村レベルで法制化する児童福祉法の改正や、保護者が立ち入りを拒否する場合の警察への通告などを盛り込む児童虐待防止法の改正作業が進められていることから、こうした動きを注視しながら、虐待の防止に向けてより適切な対応を図ってまいります。 さらに、不幸にも虐待を受けた子供に対する心理療法等の専門的なケアや虐待をしてしまった親への指導など、支援の充実を図るとともに、子供が家庭に復帰した後も安定した親子関係を築いていけるよう、地域のネットワークのもとで再発防止に取り組んでまいります。 次に、本県の児童相談所の業務の状況と今後の対応についてのお尋ねがありました。 児童相談所では家庭の事情による子供の養育相談や非行、不登校やいじめ、発達のおくれなど、子供に関するあらゆる相談に応じておりますが、中でも児童虐待の相談件数は議員のお話のとおり、増加傾向が続き、一時保護所の保護件数も増加してきております。 加えて、虐待をした親が子供の一時保護に同意しない場合もあることや、家庭の状況が複雑なケースなど、法律上の知識や高度な援助技術を必要とする困難な事例が多くなってきております。 こうした相談件数の増加等に対応するため、これまでも、まず相談指導に当たる児童福祉司の増員、次に相談業務を支援する児童虐待対応協力員などの非常勤職員の配置、さらには一時保護所の新設・拡充に対応した児童指導員等の確保などなど、相談支援体制の充実を図ってまいりました。 さらに、各児童相談所に児童福祉司の中から、虐待相談事案の全体をフォローしながら関係機関との調整等を行う虐待専門の主任者を位置づけるとともに、中央児童相談所には弁護士や精神科医師も含めた子供家庭サポートチームを設置するなど、迅速・的確な相談に向けた組織面の工夫も行ってきたところであります。 また、困難な相談事案の増加に対応して、精神科医師などによる職員研修を充実し、虐待を行った親への支援や虐待を受けた児童へのケアの方法など、援助技術の向上にも努めてまいりました。 現在、国においては虐待相談件数が増加する中で、児童相談所の厳しい状況を踏まえ、市町村が一義的な相談業務を行うなど、役割を分担する方向での児童福祉法の改正を国会に提案しているところであります。 そこで、今後はこうした動きも念頭に置きつつ、市町村や関係機関と連携をしながら、引き続き虐待相談に迅速かつ的確に対応できるよう、児童相談所の専門相談体制の強化に努めてまいります。 次に、高病原性鳥インフルエンザの対策についてのお尋ねがありました。 まず、本県の高病原性鳥インフルエンザに対する対応でございますが、この病気は家畜伝染病予防法に指定されている法定伝染病でございますので、本年1月12日に79年ぶりとなる山口県の養鶏農家での発生を受け、14日には本県の家畜保健衛生所ではすべての養鶏農家に対してパンフレットを配布いたしまして、消毒の徹底等の衛生対策を強化するよう呼びかけるとともに、職員の巡回調査等により、鶏に異状のないことを確認しております。 同時に、鳥インフルエンザの特性や鳥肉、卵など、食品の安全について、広く県民に周知するため、ホームページを作成し、情報提供を行うとともに、学校など、養鶏農家以外で鶏を飼っている方々に対して、衛生対策の実施や鶏などに異状を認めた場合の獣医師や家畜保健衛生所への連絡について呼びかけております。 さらに、万一鳥インフルエンザが本県で発生した場合を想定し、県の関係部局、獣医師会、養鶏団体などの関係者にお集まりをいただき、対策本部の設置や連絡体制、移動制限等のシミュレーションを行い、お互いの役割を確認し、万全を期したところでございます。 また、2月17日には大分県の一般家庭でペットとして飼われていた鶏・チャボから鳥インフルエンザの発生が確認されました。そこで、趣味などで鶏などを飼っている皆様を対象として新たにパンフレットを作成し、この病気の特性や症状、衛生対策、異状が認められた場合の連絡、さらには一般家庭などで飼われている鳥の種類や数について連絡をいただくよう、市町村や関係団体の協力を得ながら、広く呼びかけを行ったところであります。 今後の県としての対策でございますが、鳥インフルエンザの発生につきましては、何よりも早期発見・早期対応が最も重要でございますので、国の高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルに基づいた養鶏農家のモニタリング検査を毎月実施するとともに、趣味などで鶏等が飼われている状況を把握し、台帳を整理いたしまして、万一の発生に備え、着実な対応を図ってまいりたいと考えております。 次に、鳥インフルエンザウイルスが人へ感染した場合の対策についてのお尋ねがありました。 このウイルスによる人への感染は、現在のところ、感染した鳥との濃厚接触による感染に限られており、WHOの調査結果による人から人への感染はないことが確認されております。しかしながら、タイ、ベトナムで人の感染死亡例もあることから、本県ではこうした鳥インフルエンザの正しい知識について、ホームページ等により県民への周知を図るとともに、保健福祉事務所等において県民の方からの相談にお答えしております。 次に、万一県内の養鶏農家やペットを飼育されている家庭等で鳥インフルエンザが発生した場合には、人への感染のおそれが生じます。この際には、保健福祉事務所が鳥との濃厚接触をしていた方々への疫学調査や健康診断を行うとともに、発熱等のインフルエンザ症状があらわれた場合には速やかに医療機関の受診を勧めるなど、適切な保健指導を実施をいたします。 また、確定診断のための検査についても、国立感染症研究所との連携を図りながら、県衛生研究所において実施をいたします。 さらに、患者または感染の疑いのある方の治療につきましては、鳥インフルエンザが感染症法の4類感染症であることから、一般の医療機関での対応が可能ですが、感染症の専門医療機関である感染症指定医療機関での受診体制も確保しているところでございます。 なお、今後、ウイルスが突然変異して人から人へ感染を強めると、ほとんどの人は抗体を持たないため、新種のインフルエンザとして大流行することが懸念されることから、政令により感染症法の指定感染症に指定されることが考えられます。この際にはSARS等の感染症に準じた蔓延防止や医療体制の確保に努めてまいります。 今後ともこれらの対策を充実して、鳥インフルエンザの発生に備え、万全の体制を図ってまいります。 最後に、本県2頭目のBSE対策についてお尋ねがありました。 まず、防疫対策でございますが、県としてはBSEが確定されたことを受け、直ちに家畜伝染病予防法に基づきBSEの発生を告知するとともに、家畜保健衛生所が発生農家に対し、感染牛と同居していた牛の移動制限を指示いたしました。 さらに、発生農家のすべての同居牛について、1頭ごとにBSEの臨床症状の検査やそれまでに与えていたえさや牛の移動状況を調べるなど、BSEの疑似患畜を特定するための調査を実施しておりますが、現時点ではBSEが疑われるような異常な症状は認められておりません。 なお、感染牛の導入元である生産者は既に廃業しておりますが、その方にも同様にえさや牛の移動状況についてお聞きしたところ、廃業当時15頭飼育されていたことが判明されました。そのうち1頭は移動先で死亡、3頭は既に屠畜されていましたが、これら4頭はいずれもBSE検査の結果、陰性であったことが明らかになりました。 また、残りの11頭のうち、感染牛を除いた10頭が現在も飼育されていることが判明いたしましたので、それぞれの移動先の農家に対し、その牛の移動制限を指示するとともに、発生農家と同様の調査を進めているところでございます。 これら一連の調査により、BSEの疑似患畜が特定された場合は、その牛を殺処分し、BSE検査を実施した後、速やかに焼却することにしております。 また、発生農家等に対する支援対策といたしましては、疑似患畜の殺処分にかかる経費について、牛の評価額の5分の4、輸送焼却費用の2分の1を国が交付する制度がございますので、残りの農家負担分について県として支援をすることを初め、発生農家や導入元農家のさまざまなご相談などについても、家畜保健衛生所の職員が応じてまいりたいと考えております。 なお、今回は感染牛の導入元である農家が既に廃業していたということから、県といたしましては、今後酪農家の方々が廃業する場合は行政機関へお知らせいただき、飼育記録などの帳簿等の保存に努めていただくことによって、関係団体と協議しながら、その方策について検討してまいりたいと考えております。 私からの答弁は以上であります。〔教育長(曽根秀敏君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 曽根教育長。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025004-諸事項-78質問-応答-曽根教育長》 78 質問 応答 曽根教育長
◎教育長(曽根秀敏君) 教育関係についてお答えをいたします。 児童虐待を早期に発見するための学校における配慮に関するお尋ねでございます。 お話のありました岸和田市の事件につきましては、教育に携わる私どもといたしましても衝撃を受けるとともに、重く受けとめているところでございます。 児童虐待の防止等に関する法律では、教職員は児童虐待の早期発見に努めるとともに、発見した場合には速やかに児童相談所等に通告することとなっておりますので、小中学校では朝の学級活動などで毎日健康観察を行っておりますが、その際に衣類の汚れや顔や手足に不自然な傷やあざがないか、また、児童・生徒が学校生活を送る中で変わった様子がないかなどについても、注意深く観察することにより、児童虐待の早期発見に努めております。 しかしながら、虐待には身体的なものだけではなく、精神的な虐待もあり、さらには今回のように虐待により不登校になっている場合もありますので、現状では十分に対応しているとは言い切れない面もございます。 そこで、県教育委員会では今回の事件を踏まえ、県内の小・中・高等学校に対して、児童虐待の防止に向けて一層適切に対応するよう通知し、指導の徹底を図ったところでございます。 また、県市町村教育長会議で児童虐待防止に向け、不登校問題とのかかわりなども含めて、改めて全市町村挙げて取り組むことを確認いたしました。 今後はこれまでにもまして、児童・生徒が担任やスクールカウンセラーなどに何でも話せるような環境づくりや、家庭訪問などによる児童・生徒の状況把握、さらには児童虐待の疑いがある場合などに早期に対応できるよう、日ごろから児童相談所との連携を密接にするなどの取り組みを強め、学校における児童虐待の早期発見に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。〔向笠茂幸君発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 向笠茂幸君。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025005-諸事項-78質問-発言-向笠議員》 78 質問 発言 向笠議員
◆向笠茂幸君 自席での発言をお許し願いたいと思います。 まず、三位一体改革についてでございますが、全国知事会においては、三位一体改革は総論賛成、ただ各論に至るならば、それぞれがそれぞれの立場で利害関係が反することもあり、なかなか意見はまとまらないのではないかと受けとめておりますが、そして、税源移譲によるよりも国からの交付税を望む声が大きいとも承知しております。 しかしながら、県知事会がそれでは、改革にとにかく水を差すだけであり、また日本の将来に暗い影を投げかけるだけであるのではないかと思います。 今回のこの全国知事会のこのような提言が、いかほどの影響があるのか疑問ではありますが、松沢県知事におかれましては870万神奈川県民の県知事でございます。神奈川県の置かれている環境、あるいは立場を明確にした中で、この知事会の中でも議論をしていただきたいと思うし、また強く国に求めるところは求めていっていただきたいと思っております。 次の市町村への負担についてでございますが、今回の
公立保育所運営費に関しましても、足りない分は交付税で面倒を見ますよというようなことを国はおっしゃっているが、我が県においては不交付団体が何しろ全国水準で見ると非常に多い。そういうところでトータルで計算すれば、交付税なんか来るわけないんですよ。結局は自前の財源で負担をせざるを得ない、そのようなことがこれからもたびたび繰り返されるようであるならば、なぜ努力をして一生懸命やっている自治体がまた困らされるのか、非常に不可解でもあるわけでございまして、そういうところも強く国に望んでいっていただきたいと思っております。 最後の鳥インフルエンザについてでございますが、大分県からまた広く広がる様相も今のところ気配がございませんが、今日本にいる冬の鳥、すなわち北から来た鳥は北へ帰る、そしてこれから南へ行っていたサギ類の仲間が多いかと思いますが、南から帰ってくるわけでございます。渡り鳥による伝染が最も有力ではないかと今言われている中で、いつ発生がされるかわかりませんので、早期の情報収集、そして早期の対応、いつでもできるような体制をしっかりと持っていっていただきたい、そんなことをお願いいたしまして、私の質問は終わらせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。〔竹内栄一君発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 竹内栄一君。〔竹内栄一君登壇〕(拍手)〔議長退席、副議長着席〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025006-諸事項-78質問-[13]質問-竹内栄一議員》 78 質問 (13)質問 竹内栄一議員
◆竹内栄一君 議長のお許しをいただきましたので、私は民主党・刷新の会県議団の一員といたしまして、発言通告に従い、順次質問をさせていただきます。 知事におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間ご清聴のほどよろしくお願いを申し上げます。 質問の第1は、企業誘致の促進と産業集積の充実についてであります。 今、我が国の経済は大きな転換期を迎えております。長年にわたり、我が国経済の中核として、また特に戦後の経済復興において、牽引車として役割を果たした製造業が、今経済のサービス化という大きなトレンドの中で、サービス業等を中心とする第三次産業にかつての地位を譲ろうとしております。 我が国を代表する重工業地帯である京浜工業地帯を擁する本県においても、これは例外ではありません。県内総生産に占める割合を見ますと、1990年に製造業は県内総生産の35%を占めておりましたが、2001年には21.8%までその比率を下げる一方で、サービス業の県内総生産に占める割合は製造業を逆転し、これを上回る22.8%となっております。 また、かつてサービス業や卸売・小売業等を上回る80万人余りの従業者数を製造業は擁しておりましたが、2001年の時点で60万人を下回るなど、本県経済のサービス化は着実に進行しております。 加えて、経済のグローバル化の進展がさらにこうした傾向に拍車をかけております。かつて円高を背景として安価な土地や労働力に着目した形で進められたアジア諸国との国際分業は、中国を初めとしたアジア諸国の経済成長に伴い、アジア諸国が有する技術力や新たな購買力に着目したものに変わりつつあるなど、国際分業のあり方にも新たな展開が生まれつつあります。 こうした経済のサービス化、あるいは国際化という大きなトレンドは、今後も引き続き、我が国の経済と本県経済に大きな影響を及ぼすものと断言して間違いはないものと私は考えております。 ここで、特に本県の製造業に焦点を当て、より具体的なデータを挙げながら話をさせていただきます。 平成14年神奈川県工業統計調査結果によりますと、従業者数4人以上の製造業の事業所は、平成14年現在、事業所数は1万1,656所、従業者数は43万9,712人、製造品出荷額等は17兆9,637億円となっておりますが、平成4年の数値と比較してみますと、事業所数で4,710所、28.8%の減、従業者数で23万8,851人、35.2%の減、製造品出荷額等で9兆1,231億円、33.7%の減と、いずれの項目も大幅な減少を示しております。 こうしたデータを裏づける事実には枚挙にいとまがございませんが、例えば藤沢市内の武田薬品工業湘南工場や関東特殊製鋼、横須賀市内の関東自動車工業の移転等、事業再編に向けた動きについて、最近多くの報道がなされておりましたことは、皆様のご記憶にも新しいことと存じます。 このような形で事業再編、あるいは工場移転に伴う、いわゆる産業の空洞化懸念が高まってきておりますが、こうした動向は本県の産業・技術基盤の弱体化や関連中小企業の経営悪化、さらには雇用機会の減少など、地域経済に対して大きな影響を及ぼすことは申すまでもありません。 現在、新総合計画の個別計画としての位置づけのもと、あすの神奈川の産業の方向を示すかながわ産業活性化指針(仮称)の策定作業が今進められております。私はここで本県産業を取り巻く経済・社会環境を的確に把握し、時代の動向を正しく見据えて、本県産業のあるべき姿をしっかりと、また県民にわかりやすい形で示していただきたいと期待をしているところでありますが、現在、既に示されている素案の中では、新しい産業の創出環境の整備、既存の産業の高度化促進及び地域の活力と特色を生かした産業の展開が、活力と魅力ある神奈川の産業の実現に向けた三つの基本方向として示されております。 これを実現するための九つの基本施策のうち、特に産業集積の促進に関連しまして企業誘致の促進に向けた諸施策のあり方と今後の方向性について、本県経済を取り巻く諸動向を踏まえながら、知事にご質問を申し上げたいと思います。 これまで県も企業立地促進のため各種優遇制度を創設し、企業誘致に取り組んでこられましたが、他県の取り組みに目を転じますと、税制の優遇制度に加え、企業立地に対し、大変手厚い助成制度を設けるなど、企業誘致に重点的に取り組んでいる状況があります。 また、県内の市町村の状況を見ましても、横浜市は企業立地促進のための新たな施策として、固定資産税・都市計画税を5年間にわたり2分の1に軽減するとともに、上限50億円の助成金を交付するといった国内最高レベルの思い切った支援措置を内容とする条例を昨日議決いたしました。 こうした動きを踏まえますと、私は現時点で県としてさらに一歩踏み込んだ取り組みが求められているのではないかと思います。また、その取り組みを進めるに当たりましては、神奈川県内へ研究所や工場等の誘致を促進することはもとより、それに加えまして、現に県内に立地されている企業に対し、県内で引き続き操業を継続していただくことを支援していくことが、誘致にまさるとも劣らない重要なテーマであると考えているところであります。 そのためには企業の立地に本当に有効な新たなインセンティブを与えることも必要ですし、さらに道路交通網等のインフラの整備や立地に伴う手続の迅速化といった課題など、産業集積に向けた方策を広い視点から、改めて検討する必要があると考えております。 また、こうした検討を進めるに当たっては企業の生の声を聞き、施策にしっかりと反映させるとともに、施策の効果を高めるためターゲットを絞り、具体的な地域において重点的に取り組むことが肝要と思います。 これまでも県は企業立地促進のため、融資制度や利子補給制度、税制の優遇措置等を創設し、企業誘致に取り組んでこられたことは承知しておりますが、昨年、新たに県内への産業集積のため、部局横断的な検討組織として神奈川県産業集積促進会議を設置されたと聞いております。 そこで、知事にお伺いいたします。 この会議の設置目的や検討内容はどのようなものなのか、お伺いいたします。また、この会議の検討結果を踏まえ、今後どのように企業誘致を促進し、また既存立地企業の操業の継続や、さらなる県内投資の誘発を図っていこうとされているのか、県内への産業集積促進の取り組みについて、あわせてお伺いいたします。 質問の第2は、大規模地震についてであります。 6,433名のとうとい命が失われた阪神・淡路大震災から、はや9年の歳月が経過いたしました。この間、本県では阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震防災対策を主要施策の一つに位置づけ、法人二税の超過課税による財源を活用して、平成8年度から毎年市町村に対する地域防災力強化のための財政支援を年20億円規模で行うなど、全県を視野に入れたさまざまな防災対策が推進されております。 また、平成11年6月には、全国都道府県で初めて防災局が設置され、地震、風水害などの自然災害はもとより、危機管理全般を含む対応体制が整備されてきたものと承知しております。幸いにも、本県は関東大震災以来、大規模な地震災害には見舞われておりませんが、従来から東海地震や神奈川県西部地震の切迫性が指摘されているところであり、阪神・淡路大震災のような大規模地震災害がいつ発生してもおかしくはない状況に置かれております。 特に東海地震は関東大震災と同様のマグニチュード8クラスの巨大地震であり、本県でも西部地域を中心に大きな被害の発生が想定されている地震でありますが、国の予知観測体制が整備されていることから、予知された段階から発生までの間に、被害を未然に防ぐための事前応急対策を実施することができる唯一の地震でもあります。 そうした中、昨年、国は東海地震に関する事前の情報体系を見直し、情報の受け手である国民にわかりやすい名称にするとともに、より早い段階から地震発生に備えた行動をとることができるように、東海地震観測情報、東海地震注意情報、東海地震予知情報の3段階に整理し、ことし1月5日から運用を開始したところです。 また、この情報体系の見直しに伴い、発表される情報に応じた国の行動計画も変更されたものと承知しております。 そこで、知事にお伺いいたします。 この東海地震に関する情報体系や国の計画の変更に対して、県は体制や対策の面でどのように対応したのか、お伺いいたします。 次に、国や近隣自治体との連携について、お伺いいたします。 本県に大きな被害をもたらす地震としましては、東海地震以外にも、神奈川県西部地震を初めとする南関東地域直下の地震が想定されております。本県を含む南関東地域は、我が国の政治・経済の中枢であり、また、都市化が著しく進展し、人口が稠密な地域の代表であります。 平成7年の阪神・淡路大震災では、高速道路の高架橋や鉄筋コンクリートのビルが倒壊し、木造住宅の密集地で延焼火災が拡大し、電気・ガス・水道・電話といったライフラインが長時間にわたり麻痺するなど、地震災害に対する都市の脆弱性が図らずも露呈される結果となりました。万が一、この南関東地域で同様の直下型地震が発生した場合、その被害の大きさや深刻さは、阪神・淡路大震災にも劣らぬものとなることが懸念され、地元自治体が単独で対応することは到底困難であると考えられます。 こうした観点から、神奈川県西部地震を初めとする南関東地域直下の地震が万が一発生した場合に、その被害を最小限にとどめ、迅速な応急対策を実施できるよう、私は国や南関東地域の関係自治体同士が日ごろから緊密に連携して取り組んでいくことが大変重要であると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 南関東地域直下の地震が発生した際に、本県は国や他の自治体とどのような連携体制をとるのか、また、災害時に十分な連携を図れるよう、平時においてどのような取り組みが行われているのか、お伺いいたします。 次に、陸上輸送が麻痺した場合の対応について、お伺いいたします。 大規模地震災害等で首都圏が被害を受けた場合に、現地合同対策本部の機能を持つ広域的な防災拠点として、東京都心臨海部の有明の丘地区と川崎市臨海部の東扇島地区に、東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点を整備することが、国と関係都県市から成る首都圏広域防災拠点整備協議会において平成14年7月に決定されました。 さらに、ことしの1月8日には第7回の協議会が開催され、具体的な土地利用計画を定めた東京湾臨海部基幹的広域防災拠点整備基本計画や合同現地対策本部棟などの建物の設計方針が決定されたと聞いております。 この中で、川崎市臨海部の東扇島地区は、被災時においては自衛隊などの広域応援部隊等の一時集結地やベースキャンプとなり、また、海外からの救援物資を初めとした物流のコントロールを行うとともに、海上輸送、河川輸送、陸上輸送等への中継基地として機能するものとされ、具体的には物流コントロールセンターやヘリポートなどが整備されることとなっております。 東海地震や神奈川県西部地震のような大規模地震が発生いたしますと、建物の倒壊や液状化により道路が寸断され、救助活動や救援物資の輸送が困難となることも予想されます。そうした場合、約430キロメートルに及ぶ長い海岸線を有する本県では、海上輸送も一つの有力な輸送手段となり得るものと考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 私は本県の防災性向上のため、災害時に陸上輸送の機能が麻痺した場合に備え、川崎市臨海部の東扇島地区に整備される基幹的広域防災拠点を活用した艦船による海上輸送を積極的に検討すべきであると考えますが、このことについて、知事のご所見をお伺いいたします。 最後に、防災知識の普及啓発についてお伺いいたします。 阪神・淡路大震災以降、年月の経過とともに全国的に防災意識の風化が心配されており、昨年9月に北海道を襲った十勝沖地震でも、地震発生直後に津波警報が発表され、市町村長から避難勧告が出されたにもかかわらず、対象地域で実際に津波避難行動をとった人は20%に満たなかったと言われております。 また、昨年7月に県が県政モニターを対象に実施した調査を見ますと、今後10年くらいの間に神奈川県に大きな被害を与える地震が起こると思いますかとの問いに対して、約76%の人が起こると思うと回答しておりますが、これに対する対策について聞きますと、特に何もしていないと答えた人が約11%いらっしゃいました。また、自主防災活動に参加していますかとの問いに対しては、参加したことがないという回答が約33%という結果が出ており、県民の皆様には防災意識の一層の高揚に努めていただく必要があると感じた次第であります。 阪神・淡路大震災では、生き埋めになったり、建物に閉じ込められたりした人のほとんどが自力で脱出したか、または家族や隣人によって救助されたと言われており、専門の救助隊に助けられた人は全体の約2%にすぎなかったとのデータもあります。このデータは住民一人一人が災害に立ち向かっていく自助や、地域住民が互いに助け合う共助が被害の軽減にいかに大きな役割を果たすかということを如実に示していると考えられます。 そこで、知事にお伺いいたします。 この自助や共助の力を高めるためには、県や市町村が災害に住民みずからが対応するための知識や技術の提供など、住民に対してきめ細かな普及啓発活動を行っていくことが極めて重要であると私は考えますが、県としてはこうした普及啓発にどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。 質問の第3は、若者を中心に急増する消費者被害についてであります。 消費者を取り巻く環境が大きく変化し、商品取引やサービスの提供などが多様化し、複雑化しており、その流通域も急速に拡大しております。また、インターネットや携帯電話、クレジットカードなどの急速な普及により、例えば、若者でも高額な宝石類などの商品が簡単に購入でき、また多額の経費が必要なエステティックサービスなどが受けられる、一見便利で豊かな生活が手に入る社会となっております。 しかしながら、10代、20代の若者の場合、まだ取引の経験も契約に関する知識も少ないのがほとんどではないでしょうか。最近はこうした若者が消費者トラブルに巻き込まれるケースが急増していると新聞紙上をにぎわしております。 私のところにもいろいろな相談が寄せられておりますが、横浜駅などの自由通路でよく見かけるキャッチセールスや、異性からの電話によるアポイントメントセールスでの勧誘などがきっかけで、悪質な業者の口車に乗せられ、長期間のエステティックサービスを受ける契約を初め、高額な美顔器や化粧品など、クレジットカードによる一括払いの購入契約を次々にしてしまい、いつの間にか多額の返済を抱え、中途で解約をしたいという相談も多くあります。さらに、エステティックサービスにおける違法医療行為による身体的被害も心配されます。 また、若い人の間では、利用した覚えのないアダルト情報や出会い系サイトの利用料などを一方的に請求する、いわゆる架空請求に関する苦情相談が神奈川県内でも激増していると聞いており、怖い思いをしたくない、かかわりたくないといった消費者心理につけ込んで金をだまし取ろうとするなど、次々に悪質な手口で消費者を不安に陥れ、被害を引き起こしております。 こうしたことに加えて、法律で禁止されているネズミ講に似ておりますが、最近では健康食品などの商品の販売を名目に会員を次々に勧誘するというマルチ商法が横行しており、これによる被害が大学生や専門学校生などにもふえております。景気低迷の中で少しでもよいアルバイトで高収入を得たいという心理を利用して、取引経験や契約知識に乏しい若者をねらい、よいビジネスがある、勝ち組になろうと言葉巧みに勧誘し、現金がなくても、学生ローンなどで借金をさせるなどして商品を買わせる悪質なマルチ商法の被害も目立っていると聞いております。 昨年12月に、神奈川県は県内の15年度上半期の消費生活相談概要を発表しましたが、それによると、相談件数全体では15年度上半期と前年度同期を比べると、件数で約9,000件、3割強の大幅な伸びとなっております。 特に、いわゆる架空請求が急増しており、前年度同期に比べ約4.5倍の伸びで、対象者は若者が多く、また、その手口も非常に悪質であり、脅迫まがいであったり、消費生活センターなどへの相談をする時間や考える余裕も与えないなどの巧妙な手口が目立っていると聞いております。 そこで、知事にお伺いいたします。 今、お話をさせていただいたように、県全体の相談件数が増加する中で、キャツチセールスを初め、架空請求やマルチ商法など、特に若者をねらった悪質商法による被害が急増しております。県としては、このような若者の消費者被害を防止するため、今後どのように取り組もうとしているのか、ご所見をお伺いいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。〔拍手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○副議長(益田はやお君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025007-諸事項-78質問-応答-松沢知事》 78 質問 応答 松沢知事
◎知事(松沢成文君) 竹内議員の質問に順次お答えいたします。 初めに、企業誘致の促進と産業集積の充実についてのお尋ねであります。 まず、神奈川県産業集積促進会議の設置目的や検討内容についてでありますけれども、経済のグローバル化の進展やアジア諸国の経済発展などを背景に、国際的規模で企業の事業再編の動きが進む中で、議員ご指摘のとおり、本県では工場の移転、流出が続いており、このまま放置しておきますと、今後も企業が適地を求めて県外や海外に移転する動きが進行するのではないかと大変憂慮しているところであります。 これまで県では、融資制度や県外から立地する企業に対する融資の利子補給制度、立地計画策定に対する支援制度、さらには税制の優遇措置等、さまざまな立地促進策を用意いたしまして、市町村や関係団体と連携して企業誘致に努めてまいりました。 しかしながら、先ほど申し上げた状況の中では新規立地を促進するだけではなく、既存の立地企業に県内において操業を継続していただき、さらなる投資拡大をしていただけるような方策を講じ、県外への流出を防止することが大変重要な課題となっております。 このため、県では地方経済活性化の最重要課題である県内の産業集積を促進することを目的として、昨年12月に副知事をトップに総務、企画、環境農政、商工労働、県土整備、税制企画担当の各部長で構成する神奈川県産業集積促進会議を設置して、部局横断的に産業集積策や企業流出防止策の検討に着手したところであります。 この会議におきましては、県内各地域における企業活動に係る喫緊の課題や問題点を明確化するとともに、その解決方法並びに県の施策対応の可能性について具体的に議論し、各地域ごとに有効な方策の検討を行おうとするものであります。 今後の進め方でございますが、アンケート等を通じ、企業の皆様から操業に係るニーズやさまざまなご要望を改めてお聞きするとともに、市町村と連携し、地域ごとのケーススタディーを通じまして、有効な施策を検討してまいりたいと考えております。 具体的には、道路交通網の早期整備や立地に伴う手続の迅速化、さらには助成制度の創設や新たな税制の優遇措置なども含めまして、産業集積、企業流出防止のインセンティブとして県の総合的な方策を明らかにしてまいりたいと考えております。 次に、今後の産業集積促進の取り組みについてでありますが、この会議におきまして、神奈川らしい産業集積方策の骨子を、16年度のできるだけ早い時期に取りまとめたいと考えております。そして、この骨子に基づいて集積促進策を各部局の施策へ段階的に反映させてまいりますとともに、何よりも企業誘致、産業集積に最重点で取り組む県の姿勢を県内外の企業に強くアピールし、企業誘致、県内からの企業流出防止をより積極的に進めてまいりたいと考えております。 また、横浜市、川崎市と共同してJETROとの連携のもとに、外国企業がスタートアップするための神奈川ビジネスサポートセンターを、中区の産業貿易センタービル内に本年4月から開設をし、賃料を最大8カ月間無償とするなど、国内だけでなく、海外からの企業誘致も進めることとしております。 次に、大規模地震対策についてのお尋ねであります。 まず、東海地震対策についてであります。 議員のお話のとおり、国は昨年、東海地震の事前情報の体系を見直し、従来、地震予知情報が発表された後に実施することとしていた対策のうち、広域応援部隊の派遣準備などの時間のかかる措置や、社会的混乱を防止するための広報などの措置につきましては、東海地震注意情報が発表された時点に前倒しして、準備行動として実施するよう対応を変更したところであります。 こうした国の動きを受け、本県ではいち早く県の地域防災計画の修正作業に着手したところでありまして、従来の予知情報段階の対策をできる限り前倒しして、注意情報の時点から実施することといたしました。 具体的には、テレビ、ラジオなどのメディアを利用した県民に対する水、食料等の備蓄の確認や不要不急の旅行の自粛の呼びかけなどの広報、児童・生徒等の安全確保、災害時医療体制の準備、緊急輸送体制の準備、広域応援部隊の受け入れ準備などなどの対策を実施することとしたところであります。 また、これらの対策を全庁体制で実施するためには、職員全体で取り組む必要がありますので、職員の配置につきましても従来の予知情報時の体制を前倒しして、注意情報段階で職員全体による配備体制をとることといたしました。 さらに、昨年11月には県の総合防災センターを会場といたしまして、本県、山梨県、静岡県が合同で国の関係省庁の参加も得て、東海地震の準備行動をテーマとする図上検討会を実施したところであります。 また、本年1月には、東海地震の地震防災対策強化地域に指定されております本県を含む9都県市と国が合同で、東海地震を想定した図上訓練を実施し、注意情報発表時の準備行動を含む東海地震対策の検証と課題の抽出を行ったところであります。 東海地震は県西部地域を中心に大きな被害が想定される地震ですが、注意情報段階における入念な準備行動により、被害を最小限にとどめることが可能な地震でもあります。県といたしましては、今後とも国、市町村、関係機関と連携を図りながら、東海地震の準備行動の一層の充実を図ることにより、地震発生時の被害軽減に努めてまいる所存でございます。 次に、南関東地域直下の地震が発生した際の国や他の自治体との連携体制についてのお尋ねであります。 議員お話しのように、首都圏に大規模な地震が発生しますと、重大かつ深刻な被害が生じることが想定されますので、日ごろから国や関係自治体が連携して取り組むことが大変重要であると認識しております。 まず、発災時の対応でありますが、神奈川、東京、千葉、埼玉の1都3県に4政令市を加えた八都県市では、総合応援協定を締結しており、全国知事会や関東地方知事会を構成する1都9県でも同様の協定を締結しております。 仮に本県直下の地震により県内に重大な被害が発生した場合は、こうした協定に基づき、食料や生活必需物資の提供、救助、応急復旧等に必要な人員の派遣、被災傷病者の医療機関への新たな受け入れなどの応援を受けることになります。 また、国では内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を設置し、被災自治体との情報受伝達等を行うほか、自衛隊の災害派遣部隊や消防庁長官が指揮する全国の緊急消防援助隊、国立病院等の緊急医療チームなどの派遣を行うこととしております。 次に、平時の取り組みについてでありますが、八都県市では防災対策委員会を設置し、帰宅困難者対策や相互応援対策の検討を行っております。また、平成14年12月に広域防災危機管理対策会議を設置して、広域防災プランの策定を進めており、複数の自治体が被災した場合の広域応援の調整や備蓄物資などの情報の共有化、緊急交通路の指定の整合など、さらなる連携強化を図っているところでございます。 また、相互の連携協力体制の強化を目的として、毎年実施している合同防災訓練では、救援物資輸送訓練やヘリコプターによる患者搬送訓練等も実施しております。 平成15年1月には、国と合同で南関東地域直下の地震を想定した図上訓練を実施し、相互の連携体制の検証を行い、来年度も同様に実施する予定としております。 一方、国においては、現在、東京湾臨海部の有明の丘地区と東扇島地区に、首都圏の基幹的広域防災拠点の整備を進めるとともに、地震発生時の広域緊急医療、救急輸送、物資調達等の課題に関係する国や自治体間の連携等について検討を行っております。 今後とも、より迅速な応急対応が実施できるよう、国や関係自治体等とともに連携強化の取り組みを進めてまいりたいと存じます。 次に、基幹的広域防災拠点を活用した災害時の海上輸送についてのお尋ねであります。 大規模地震が発生すると、議員のお話のとおり、緊急輸送路が被害を受けたり、建物の倒壊や避難車両等により陸上交通が一時的に麻痺するおそれがあり、そうした際には陸上輸送にかわる手段として、海上輸送が有効であると考えております。 特に、他県から本県に大量の救援物資を輸送する際や、三浦半島や湯河原・真鶴地域のように、道路が不通となった場合に孤立する地域への物資等の輸送に際しては、船舶による海上からの輸送は大変重要な手段であります。 こうした観点から、県では横浜港、川崎港を初めとして、葉山港、湘南港などの港湾や三崎漁港、小田原漁港などの県内9カ所を物資受け入れ港に指定し、災害時における海上自衛隊や海上保安庁等の艦船による物資や要員の輸送に備えております。 川崎市臨海部の東扇島地区に整備されることとなります基幹的広域防災拠点は、港湾機能が充実した川崎港の中に位置することになり、さらにこの地区の北側と南側には既に耐震強化岸壁が整備され、3万トン級の船舶が接岸できる機能を持っているなど、海上輸送基地として最適な立地条件を持っております。そうしたことから、議員のお話のとおり、東扇島地区は海外からの物資を初めとした物流に関するコントロールや海上輸送、河川輸送などへの中継基地としての機能が位置づけられたところであります。 現在、県ではこの基幹的広域防災拠点と本県の既存の防災拠点との物資輸送や広域応援部隊受け入れ体制等の拠点間の連携についてシミュレーションを用いた調査を行っておりますが、この中で海上輸送による拠点間の連携についても検討しているところでございます。 今後、本県といたしましては、基幹的広域防災拠点の海上輸送中継基地としての機能の充実に向けて、国に対し必要な働きかけを行っていくとともに、その整備に向け、県としてできる限りの協力を行ってまいる所存でございます。 次に、防災知識の普及についてのお尋ねがありました。 大規模地震など、いつ襲ってくるかわからない災害に備えて被害を最小限に食いとめるためには、行政が防災対策を推進していくことはもとよりですが、県民一人一人がいざというときに適切かつ迅速に行動できることが重要であります。 そのためには日ごろから防災に関する正しい知識を身につけていただくほか、地域ぐるみでの取り組みを進めていただくことが大切でありますので、あらゆる機会を通じて県民の防災意識の高揚を図っていく必要があると認識をしております。 そこで、市町村では地域に密着した基礎的な自治体として、地域住民の適切な防災活動や避難行動に資するための資料の作成、配布や研修会、防災訓練などを実施しております。また、県は広域的な自治体として、各種広報媒体などを通じて、多くの県民に普及啓発を行うとともに、市町村の取り組みの支援を行っているところであります。 県の取り組みについて具体的に申し上げますと、県民の自助や共助の意識の高揚を図るため、昨年8月末から9月上旬の防災週間や1月中旬の防災とボランティア週間に合わせて防災訓練を実施しているほか、「県のたより」や新聞紙上に防災特集記事を掲載したり、防災をテーマとしたテレビやラジオ番組の放映、防災関連のパネル展示などの取り組みも行っております。 また、関係部局が協力し、それぞれホームページや冊子、リーフレットなどにより、防災に関する情報を広く提供しているほか、防災ボランティアなどが開催する講演会への協力など、さまざまな機会をとらえまして、県民の防災知識の普及啓発に努めておるところでございます。 さらに、平成7年に設置した総合防災センターを、平常時における防災知識の普及啓発の拠点施設と位置づけ、防災知識を得るためのさまざまな展示や、地震や風水害などの疑似体験ができる施設として整備し、多くの県民の方々にご利用いただいております。同センターではかながわ防災フェア、夏休み親子防災教室などの広報啓発事業や自主防災組織リーダー等育成事業も実施し、防災知識の普及や地域防災力の向上を図っているところであります。 今後とも市町村と連携し、県民に対するきめ細かな普及啓発活動に力を入れてまいりたいと考えております。 最後に、若者を中心に急増する消費者被害に対する今後の取り組みについてのお話がございました。 議員の指摘にもありましたが、平成15年度上半期の本県の消費生活相談件数は3万6,187件で、前年度同期の2万7,091件に比べ大幅な増加となっております。相談件数のうち30歳未満の若者からの相談は1万236件で全体の3分の1弱ですが、架空請求の相談では2分の1が若者からのものとなっております。また、健康食品や化粧品のマルチ商法などの被害では、大学生や専門学校生等をねらった傾向が顕著になってきております。 こうした消費者被害の状況を踏まえ、県としては若者の被害の未然防止が喫緊の課題であると考え、昨年夏以降、若者に対する啓発を強化したところでございます。具体的には架空請求の相談が急増し始めた昨年7月に被害状況を記者発表し、注意を喚起するとともに、県のホームページなど、各種広報媒体を活用し、悪質な事例やその対処方法などの情報提供に積極的に努めてきております。 また、その被害が低年齢層にまで及んでおりますので、昨年12月には県内のすべての中学校、高等学校に悪質商法についての啓発チラシを配布し、生徒はもとより、相談相手となる教師に対しても注意を喚起したところでございます。 さらに、県民に対する啓発に加え、マルチ商法などについては、法令等に基づく報告徴収の徹底など、事業者指導についても強化してまいりました。 こうした悪質商法に対する今後の取り組みでありますが、毎月のように新手の手口が登場し、ますます巧妙化してきておりますので、悪質事業者の動きをできるだけ早期にとらえられるよう、市町村や警察など、関係機関との連携を密にしてまいります。そして、的確な情報を若者にとどまらず、保護者や教師にも迅速に届くよう努めてまいりたいと考えております。 また、消費者被害は県域を越えて広域化するケースがふえてきておりますので、近隣都県と共同で事業者指導を実施するとともに、市町村はもとより、消費者保護に取り組むNPOなど、民間団体とも連携いたしまして、効果的な消費者被害の防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。 私からの答弁は以上でございます。〔竹内栄一君発言の許可を求む〕
○副議長(益田はやお君) 竹内栄一君。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025008-諸事項-78質問-発言-竹内議員》 78 質問 発言 竹内議員
◆竹内栄一君 時間もございませんので、自席から発言をさせていただきます。 丁重なるご答弁まことにありがとうございました。知事におかれましては、さらにリーダーシップを発揮していただき、今後これらの質問の内容につきまして、しっかりと推進をしていただくことを要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。 まことにありがとうございました。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025009-諸事項-79休憩》 79 休憩
○副議長(益田はやお君) お諮りいたします。 この際、休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(益田はやお君) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は15分後といたします。午後3時25分 休憩
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025010-諸事項-80再開》 80 再開午後3時45分 再開〔事務局長報告〕 出席議員 議長共77名
○議長(桐生忠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025011-諸事項-81会議時間の延長》 81 会議時間の延長
○議長(桐生忠一君) あらかじめ時間の延長をいたします。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025012-諸事項-82質問[続]-[14]質問-舘盛勝弘議員》 82 質問(続) (14)質問 舘盛勝弘議員
○議長(桐生忠一君) 質問を続行いたします。 舘盛勝弘君。〔舘盛勝弘君登壇〕(拍手)
◆舘盛勝弘君 桐生議長のお許しをいただきましたので、私は自由民主党県議団の一員として通告に従い、順次質問をさせていただきます。 知事におかれましては、積極的かつ明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員の皆さまにおかれましては、しばらくの間ご清聴のほどよろしくお願いを申し上げます。 質問の第1は、地球温暖化対策についてお尋ねいたします。 地球温暖化の防止については、1997年・平成9年に京都で開催された地球温暖化防止京都会議において京都議定書が採択され、国ごとに二酸化炭素などの温室効果ガス削減目標が決められましたが、これまでの間に京都議定書の枠組みからアメリカが離脱したり、また、ロシアもいつ締結するかが不透明であるなど、京都議定書の発効の目途が立っていない状況にあります。 しかし、こうしている間にも、二酸化炭素を初めとする温室効果ガスの排出量はふえ続け、地球の温暖化は進み、その影響を受けて、南極の棚氷の消滅や氷河の後退、記録的な異常気象などが世界各地で報告をされております。また、アラスカでは以前の2倍以上の速さで氷河が解け出しており、昨年フランスで発生した熱波では、高齢者を中心に1万人を超える死者の発生が報じられておりますし、また、中国では深刻な干ばつにより農業生産に大きな被害が出ております。 こうした地球温暖化が一因と見られる現象に対して、各国政府を代表する科学者で構成する気候変動に関する政府間パネル・IPCCでは、地球温暖化による気候や生態系への影響について分析しており、世界各国が何も対策をとらない場合には、平均気温が2100年までに1990年に比べ1.4度から5.8度高くなり、海面水位は同じく9センチから88センチ上昇すると指摘しております。 日本でも集中豪雨の増加や夏季の渇水の増加などが予測され、陸上・淡水での生態系の崩壊やサンゴ礁への影響などが危惧されているところであります。 また、海面の上昇は、例えば30センチ上昇することによって、砂浜の約57%が消滅すると言われています。本県でも海水浴場や白砂青松の海岸など、美しい風景はほとんどなくなることでしょう。 先日、22日の読売新聞の「地球を読む」という欄で、アメリカ地球政策研究所理事長のレスター・ブラウン氏は、近未来に地球は砂漠化と海面上昇で数億人の環境難民が出るというふうに予測をしております。CO2の排出量を削減し、地球の気候を安定化させるためのエネルギー戦略を構築することが急務であると指摘をしております。 ここ50年を振り返っても、私たちの周りの植物や小動物、魚、昆虫など、いなくなったものが数多くあることに気がつくことでしょう。生物が順応できる気温の上昇は100年に0.1度から0.2度とされております。ところが、世界ではこの100年で0.6度上昇し、日本では1度上昇したということでございます。 このまま何も対策を講じないと、自分の子供、孫の世代に重大な影響を及ぼすものであり、気がついたときには人間の手ではもとに戻すことができず、取り返しがつかない事態を招きかねないと考えております。そうならないためには、世界の批准を待つだけではなく、日本から、そして地域自治体が中心となり、国民を挙げて地球温暖化防止に対する行動を起こしていくことが最も重要であると思います。 現在、国においては京都議定書で決められた二酸化炭素などの温室効果ガス6%削減の義務について、2008年から2012年までの第一約束期間の間に達成するため、平成14年に新たな地球温暖化対策推進大綱や地球温暖化対策の推進に関する法律を改正するなど、地球温暖化に取り組む体制を強化をしております。 また、取り組み体制を実効あるものにするため、石油特別会計が温暖化対策に活用できるようにしたり、さらには地球温暖化対策のための環境税制の議論も盛んに行われているところであります。 本県におきましても、平成9年3月に環境基本計画を策定し、いち早く地球温暖化対策を重点的課題・プロジェクトとして位置づけ、県からの率先行動としてのISO14001の取得など、取り組みがされてきたことは評価いたしますが、残念ながら全県を挙げての取り組みには至りませんでした。 そこで、県では、昨年10月に県民全体の行動指針となる新アジェンダ21かながわが、県民、企業、行政の3者で構成するかながわ地球環境保全推進会議において採択されたところであります。この新アジェンダでは地域における地球温暖化防止に向けた推進計画として、2010年の二酸化炭素排出量を1990年対比で6%削減する目標を掲げ、その目標の達成に向け、県民、企業、NPO、行政が一体となって地球温暖化対策に取り組むことが約束されています。 そこで、本県の二酸化炭素の排出量の状況を見てみますと、2001年の二酸化炭素の排出量暫定値は6,712万トンで、これは1990年の排出量6,432万トンに比べ4.4%の増加となっております。二酸化炭素排出量の内訳を見てみますと、工場等の産業部門で42.4%、オフィス等業務部門で11.4%、家庭部門で14.1%となっており、早急にこうした分野の対策を講じる必要があります。 本県においては、今後もビルや住宅の建設、企業活動の活発化も想定され、それに伴い二酸化炭素の排出量は、減るどころかますます増加する可能性があるのではないかと危惧をしております。 新総合計画の諮問案では、具体的・積極的な取り組みが感じられないものになっておりますが、2010年の排出量を1990年に比べ6%削減するという目標を達成するためには、実質10%以上の削減が必要でありますので、大変厳しい状況であると思います。 そこで、知事にお伺いいたします。 二酸化炭素排出量の50%以上を占める産業部門や業務部門への対策として、企業に対しては二酸化炭素の削減を義務づけるなどの規制的な手段も必要ではないかと考えておりますが、県としては具体的にどのような実効ある取り組みを進めるつもりなのか、お伺いをいたします。 次に、家庭部門に対する取り組みでありますが、県では350万世帯があることから、各家庭でそれぞれが取り組みを行うには意識改革が重要であります。そのためには、各家庭が実行できる項目を掲げた普及啓発が中心となるものと思いますが、将来に向けて対策が継続し、社会全体で温暖化対策が進んでいくようにするためには、将来を担う世代に対する教育が大変重要な要素となってまいります。子供の言うことには親は耳を傾けますので、子供から家庭へと意識改革を図ることが、私は効果的であると考えております。 折しも、昨年、環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律が施行されたところであります。先進的な取り組みを進めている京都府は、工場、事業所への対応を初め、子供や家庭向けに地球温暖化についての周知に工夫を凝らして関心を高める施策を実施しております。 本県においても、総合的な学習の時間などにおいて環境分野の教育がなされていると承知をしておりますが、地球温暖化など地球環境にまで広げた内容の展開までには至っていないのではないかと考えております。将来の世界を担う子供たちに対して地球温暖化の現状や原因、影響などをわかりやすく伝え、自分たちが担っていく社会をどのようにつくり上げていくか、真剣に考えてもらうことが重要であると思っております。 そこで、新総合計画の諮問案や16年度当初予算案を見ると、県としても環境教育を重要課題として位置づけて推進しようと考えているようですが、地球温暖化防止の観点から、県として学校や地域において具体的に環境教育にどのように取り組んでいくつもりなのか、知事にお伺いをいたします。 さらに、私は企業活動や学校教育から家庭へと、新アジェンダ21かながわを実効あるものとするためには、県民の努力が欠かせないものと思っております。そのため、京都府など、既に20道府県では地球温暖化対策の推進に関する法律に基づいて、地球温暖化防止活動の相談や普及・啓発の拠点として、道府県の地球温暖化防止活動推進センターを指定し、道府県民総ぐるみで対策に取り組む推進体制を敷いております。 そこで、知事にお伺いいたしますが、本県の地球温暖化防止活動推進センターの指定はどうなっているのか、また、市町村や地域での地球温暖化防止活動を実効あるものとするための推進体制について、どのように取り組んでいくのか、お聞きいたします。 質問の第2は、さがみ縦貫道路についてお尋ねいたします。 県土の均衡ある発展のためには、多様な人や物の流れを支え、都市構造の骨格となる快適で利便性の高い体系的な道路網の整備がぜひとも必要であります。とりわけ自動車専用道路網の整備は、県民生活や活力ある県土形成にとって欠くことのできない極めて重要な社会基盤施設であります。 これまでに整備された東名高速道路などの自動車専用道路は、効率的な交通体系を構築し、県内の各地域間だけにとどまらず、全国各地との連携や交流を強化するなど、県土発展の役割を果たしてきたわけであります。 しかし、モータリゼーションの進展に伴い、県内においては自動車専用道路を含め、幹線道路は現在慢性的な交通渋滞が発生しており、経済的な損失は年間約1兆円に上るとも言われております。 このほかにも、交通事故の多発や沿道環境の悪化などの問題も顕在化してきており、このままでは県が集積している力を十分に発揮することができないばかりか、長引く経済の低迷と相まって、その活力をますます低下させることになりかねません。 現在、県の中央部において自動車専用道路として事業が進められているさがみ縦貫道路は、首都圏の中心部から半径約40キロから60キロメートルの位置に計画されている延長約300キロメートルの首都圏中央連絡自動車道の一部を形成するものであります。 首都圏中央連絡自動車道は、都心から延びる東名高速や中央自動車道、関越自動車道など九つの放射状道路を結ぶ環状道路です。完成すると通過交通が排除され、流入する交通が適切に分散されることで交通渋滞が緩和され、走行時間の短縮・走行経費の節約が図られます。また、横浜、厚木、八王子、川越、つくば、成田、木更津などの各都市の連携を強化する重要な役割を果たしています。 さがみ縦貫道路は、本県においても湘南、県央、津久井地域を結ぶ南北の交通軸として極めて重要な役割を担うものであります。県内の国道16号や129号などの交通渋滞は、南北方向の幹線道路が不足していることから生じるものであります。さがみ縦貫道路が整備されることにより、混雑の緩和が大いに期待でき、さらに、さがみ縦貫道路に交通が転換され、渋滞により生活道路などに入り込んでいる車が減少し、交通の安全確保にも寄与するものと考えております。 また、さがみ縦貫道路周辺の地域は、産業、経済、研究、文化、生活などの多様な都市機能の立地、育成を図る地域でありますことから、この路線は都市構造の再編やまちづくりなどの施策を戦略的に展開する上でも重要な路線であります。 さらに、東名高速や現在事業中であります第二東名や国道246号バイパスと連絡することで、広域的な交通ネットワークを形成し、主要な都市の連絡・連携が強化されることにより、市場拡大を促し、広域的な経済・産業の発展を支えるものと考えるところであります。 例えば、新聞などで紹介された城山町や愛川町で生産される朝どり卵は早朝出荷され、朝10時に町田市などの近隣のデパートなどで販売をされていますが、さがみ縦貫道路などを利用いたしますと、横浜や藤沢はもとより、浦和や大宮など埼玉県にまで出荷することが可能になります。本県にとってさがみ縦貫道路は極めて重要な路線であり、一刻も早い完成を熱望するところであります。 そこで、知事にお尋ねいたします。 私が平成13年9月定例会で質問したところ、岡崎前知事は平成19年度に供用開始すべく努力していくという答弁をされました。新しく知事がかわりましたので、沿線住民は二、三年延びてしまうのではないかと危惧をしております。そこで、改めまして供用開始年度についてお伺いをいたします。また、現在のさがみ縦貫道路の進捗状況はどうなっているのか、あわせてお伺いをいたします。 次に、私の地元である相模原市にかかわるさがみ縦貫道路の二つのインターチェンジアクセス道路についてお尋ねいたします。 まず第1は、相模原インターチェンジにつながる県道相模原町田線についてでありますが、この道路は相模原市を東西に横断し、国道129号と国道16号を結ぶ主要な幹線道路であります。さらに沿道には、多くの方々に利用されている県立相模原公園や災害医療拠点病院に指定されている北里大学病院などの施設が立地し、これらの施設へのアクセス道路としても重要な路線となっています。 現在、インターチェンジへのアクセスに必要な区間として、県道厚木城山線から県道相模原茅ヶ崎線まで4車線に拡幅する整備が進められていると承知しており、早期完成が強く望まれるところであります。 こうした中で、この区間のさらに東側である県道相模原茅ヶ崎線から県道相武台相模原線までの区間については、JR相模線の踏切を中心として慢性的な渋滞が生じております。今後、さがみ縦貫道路が開通すると交通量が増加し、今以上に厳しい状況になるのではないかと懸念するところであり、近くには麻溝小学校があることから、狭い歩道を通学する学童の安全確保のためにも早急な対策が必要であります。 また、この区間の沿道には、麻溝台・新磯野土地区画整理事業やフィッシングパークの跡地を利用した公園計画があると聞いております。 これらの計画と整合を図り、地域の活性化に寄与するためにも、この県道相模原町田線は、県道相武台相模原線までをさがみ縦貫道路開通と同時に供用開始できるよう整備する必要があり、あわせてJR相模線との立体化も必要であると考えます。 そこで、知事にお尋ねいたします。 県道相模原町田線について、相模原インターチェンジから県道相武台相模原線までの整備の進捗状況及び今後の見通しについて、お伺いをいたします。 第2は、さがみ縦貫道路の城山インターチェンジのアクセス道路として整備が進められている津久井広域道路についてお尋ねいたします。 津久井広域道路は県北の東西方向を結び、相模原市内の国道16号橋本五差路と藤野町内の国道20号を結ぶ幹線道路の構想であります。相模原市と津久井地域の連絡を強化し、両地域の一体化を図る主要交通軸として整備を行うことにより、津久井地域の活性化に寄与する道路であります。 このうち城山インターチェンジにアクセスする区間として、新小倉橋を含む城山町内の約1.3キロメートルにつきましては本年3月6日に開通すると聞いており、地域にとっては小倉橋がスムーズに通過できるようになり、大変喜ばしいことであります。 また、開通する区間を含め、前後約5キロメートルにおいても、現在事業を行っていると承知しております。 しかしながら、この道路の広域性や重要性を考えますと、全線について早期の整備が望まれるところであります。中でも、とりわけ国道16号の橋本五差路までの区間については、橋本駅周辺からさがみ縦貫道路へのアクセスが向上するだけでなく、国道413号の渋滞が緩和され、路線バスの定時制が確保されるなどの効果が期待できることなどから、早期整備が望まれるところであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 津久井広域道路について、橋本五差路から城山インターチェンジまでの区間の整備の進捗状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。 質問の第3は、米軍基地対策についてお尋ねいたします。 昭和27年当時、本県に162カ所あった米軍基地も、順次、整理・縮小・返還されてまいりましたが、今なお基地数で16、面積で2,142ヘクタールに及ぶ米軍基地が存在し、県土面積の約1%を占めております。その中には、在日米海軍司令部のある横須賀基地、在日米陸軍司令部のあるキャンプ座間、厚木海軍飛行場、相模総合補給廠などの主要施設が所在していることから、沖縄に次ぐ第2の基地県と言われているところであります。 県の基地対策としては、被害が広範囲に及ぶ厚木基地の訓練飛行騒音や横須賀基地の原子力艦の寄港に伴う問題、各基地周辺での事件・事故の問題に取り組み、着実に効果を上げてきたことは評価しているところであります。 しかし、これら以外にも基地が存在することにより、周辺住民の生活に日々支障を来している問題への対応が数多くあることと思います。例えば、私の地元相模原市にあります相模総合補給廠において、この10年ほどで周辺道路等の用地として約7,500平方メートルの一部返還が実現をしました。 また、緊急車両についてでありますが、平成13年1月、在日米軍施設区域内への緊急車両等の限定的かつ人道的立ち入りについて日米両政府が合意したことを受け、同年9月、相模原市が横浜防衛施設局に相模総合補給廠とキャンプ座間への立ち入りを申請しました。 その後、同時多発テロやイラク問題の影響で中断をしておりましたが、米軍との話し合いも昨年9月から再開し、現地実施協定が締結される見込みとなりまして、基地があるために遠回りを余儀なくされていた緊急自動車が通れるというふうなことで解決されつつあります。 そこで、こうした当面の課題を解決するにも、国及びアメリカ側で構成する日米合同委員会の合意を得なければならないと言われていますが、知事にお伺いいたします。 日米合同委員会というのは年何回ぐらい開催されているのでしょうか、また、この数年で関係市の要望事項で合意されたものは何か、事務手順とともにお答えください。 さらに、相模総合補給廠については、市の中心市街地である相模原駅周辺地区に隣接し、東西約1キロ、南北約2キロ、面積約214ヘクタールという広大な面積を有し、周辺住民の生活環境や計画的なまちづくりに大きな影響を与えていることから、相模原市では、市民参加による相模原市米軍基地返還促進市民協議会において跡地利用計画を策定し、全面返還を求めているところであります。 しかし、基地の性格上、一朝一夕にはなかなか進まない問題であることも事実であります。そのため全面返還を基本にしながらも、遊休化部分の返還に期待しているところであります。具体的には、北側道路、野積み場、北側部分等の返還でありますが、特に北側道路部分は基地により生活道路が分断されているところから、緊急課題として市では既に国に対し一部返還の申請をしているところであります。 そこで、相模総合補給廠の返還について、県の役割も踏まえ、どのように対応していくのか、知事にお伺いをいたします。 以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。〔拍手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025013-諸事項-82質問[続]-応答-松沢知事》 82 質問(続) 応答 松沢知事
◎知事(松沢成文君) 舘盛議員のご質問に順次お答えをいたします。 まず、地球温暖化対策について3点ほどお尋ねがありました。 最初に、産業部門や業務部門からの二酸化炭素排出量を削減するために、どのような実効ある取り組みを進めていくのかとのお尋ねであります。 本県における2001年の二酸化炭素排出量は議員お話しのとおり、1990年と比較いたしますと、全体では4.4%増加しておりますが、産業部門では8.5%減少し、業務部門では47.1%もの増加となっております。 その理由は産業部門では景気の低迷ということもございましたが、大企業を中心としたISO14001の急速な普及などにより、エネルギー消費が減少し、一方で業務部門では、OA化の進展やオフィスビルの新築などによってエネルギー消費が増加したことによるものと考えております。 そこで、こうした実態を踏まえての対策でございますが、実効ある省エネルギー対策が必要となるISO14001などの環境マネジメントシステムを、すべての企業等へ普及していくことが、継続的な取り組みを促進する上で最も効果的であると考えております。 県では、昨年10月に新アジェンダをかながわ地球保全推進会議と共同して策定した際に、これを具体的に推進するため、さまざまな行動主体の環境配慮の取り組みを登録し、公表するマイアジェンダ制度を創設したところであります。これまでに約350の企業、事務所がマイアジェンダを登録しており、これによって環境マネジメントシステムの導入状況や二酸化炭素の削減目標と実績など、環境配慮の最新情報が企業や事業所ごとに把握できるようになってまいりました。 今後とも県内の企業にマイアジェンダの登録を強く働きかけてまいりますとともに、環境マネジメントシステムの導入や対策の推進などに必要な情報の提供や指導、助言を行ってまいりたいと考えております。 県といたしましては、こうした対策により、二酸化炭素排出量の削減を図ってまいりたいと考えておりますが、議員からご提案のあった規制的な手段につきましては、ただいまお答えしたマイアジェンダ登録などの誘導的な対策の進捗状況を見ながら、その必要性を検討してまいりたいと考えております。 次に、地球温暖化防止の観点から、学校や地域における環境教育に具体的にどう取り組むのかというお尋ねであります。 まず、学校における取り組みでありますが、小中学校では大気や水質の調査など、さまざまな体験活動を通じて、身近な環境に配慮した行動がとれるよう環境教育を進めてきております。 また、最近ではISO14001などの環境配慮活動に取り組む学校もふえておりますし、環境科学やエコライフなどの科目を独自に設定している県立高校もございます。 そこで、今後の取り組みでありますが、教育委員会では小中学校に対しては効果的な授業展開を支援していくため、多様な実践事例をインターネットで提供するほか、県立高校においては各学校における特色づくりにおいて、多様な環境教育を展開していくとともに、環境教育推進拠点校を指定し、先進的に環境教育に取り組むこととあわせて、環境教育に当たる教員研修の充実なども努めていくと聞いております。 また、知事部局といたしましては、家庭や地域での実践活動を次代を担う子供たちをターゲットに促進していく観点から、学校と共同してさまざまな環境教育を地域で展開してまいりたいと考えております。 具体的には、地球温暖化などについて子供たちが話し合い、子供たちから家庭や地域に具体的な取り組みを提案していく授業を、今年度から小学校を対象にNPOと学校の連携により実施しており、平成16年度には対象を中学生にも拡大することとしております。 また、高校生や大学生等が地域での実践活動を通じ、環境問題や環境ビジネスへの理解を深める環境インターンシップ制度の構築を目指し、まず県のISOの内部監査等を大学生に体験させることから試行したいと考えております。 このほか、本年12月には県立生命の星地球博物館において、地球温暖化が進んだ場合の神奈川への影響について6,000年前の縄文時代の海面上昇を例に、子供も大人もわかる展覧会を予定しており、こうした取り組みとの連携も図ってまいります。 次に、市町村や地域での地球温暖化防止活動を実効あるものとするための推進体制についてのお尋ねであります。 県ではこれまで県民、企業、行政の93団体で組織するかながわ地球環境保全推進会議と共同し、地球温暖化防止活動に取り組んでまいりました。しかしながら、議員ご指摘のとおり、2010年の二酸化炭素排出量を1990年に比べ6%削減することは、現状から10%以上の削減となる厳しい目標でございます。そして、この目標を達成するためには、新アジェンダをすべての県民の皆さんに普及し、具体的な活動に結びつけていただくことがぜひとも必要であります。 そこで、昨年の新アジェンダ採択を機に、まず推進会議の規定を改正し、今後は実際に地球温暖化防止活動を実践している個人や個々の企業、NPOの方々などが幅広く推進会議に参加できるよう組織改革を行いました。 また、各種団体等の協議組織である推進会議とは別に、地球温暖化防止の普及啓発や相談などを担うことのできる行動部隊として、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく都道府県地球温暖化防止活動推進センターを本県でも指定できないかと模索していたところでもございます。 こうした中で、昨年10月に新アジェンダの策定を担った方々が中心となり、県内で唯一新アジェンダの推進を目的とするNPOかながわアジェンダ推進センターが設立されました。その後、このNPOは法人格を取得し、先般、県に対し都道府県センターとしての指定を求める申請を行ってまいりました。 そこで、申請内容を慎重に審査したところ、関係法令に照らし適格であるとの結論に達しましたので、明日私から神奈川県地球温暖化防止活動推進センターとしての指定を行いたいと考えております。 今後、このセンターが本格的に活動を開始いたしますと、環境月間キャンペーン等の普及活動や相談活動、ホームページによる情報提供、地球温暖化防止活動推進員に対する研修など、幅広い活動を通じて新アジェンダ促進の中核となり、市町村や地域における活動の充実強化に大いに寄与していただけるものと期待をしているところでございます。 次は、さがみ縦貫道路とアクセス道路の整備について幾つかお尋ねがありました。 まず、さがみ縦貫道路の供用開始年度についてでございます。 さがみ縦貫道路は国の都市再生プロジェクトにおいて、平成19年度を目途に整備を進めることが位置づけられており、地域の発展や経済の活性化のために予定どおり進捗することを期待しているところでございます。 県といたしましても、特設事務所として広域幹線道路事務所を設置いたしまして、地元や関係機関との調整を図るなど、事業促進の支援に努めているところであり、今後もより一層積極的に事業協力を進めるよう努力してまいる所存であります。 次に、現在の進捗状況についてですが、事業者、地元市町、その他関係者のご尽力によりまして、起点の茅ヶ崎市から終点の城山町まで、すべての市町にわたり事業が進められております。 まず、用地の取得状況について、茅ヶ崎市から北に向かってご説明をいたしますと、茅ヶ崎市ではほぼ用地取得が終了し、寒川町から城山町にかけても順次用地取得が進められております。 このうち、茅ヶ崎市から相模原市までの南側区間における用地取得率は約8割まで進んでおり、また愛川町から城山町までの北側区間におきましても、平成13年度から用地取得を始め、約3割の取得率となっておりまして、さがみ縦貫道路全体での用地取得率は現在約6割でございます。 次に、工事の進捗状況でございますが、茅ヶ崎市や寒川町では全線で最も工事が進んでおりまして、高架橋の工事を継続しております。また東名高速道路や国道246号バイパスとの接続点の工事が進められるとともに、相模原インターチェンジにおいて相模川を渡る橋の工事にも本年度着手をいたしました。さらに、北側区間におきましても愛川町のトンネルの出入り口周辺において工事が進められているところでございます。 今後も国及び日本道路公団に対し、早期完成をより一層強く働きかけてまいりたいと考えております。 次に、県道相模原町田線の整備の進捗状況と今後の見通しについてのお尋ねであります。 県道相模原町田線は相模原インターチェンジへのアクセスに必要な区間として県道相模原茅ヶ崎線までの約1キロメートルについて、平成6年6月にさがみ縦貫道路と同時に都市計画決定を行い、現在、4車線の道路として拡幅整備を進めているところでございます。 進捗状況でございますが、現時点で用地取得率はおおむね7割となっており、用地が確保された箇所から積極的に工事を進めております。また、相模原インターチェンジとの接続部分における国と県との協議につきましても整いつつある状況であります。 今後の見通しでありますが、さがみ縦貫道路との同時供用開始を目指し、引き続き着実に整備を進めてまいりたいと考えております。 その先、県道相武台相模原線までの区間、延長約2キロメートルにつきましては、交差点のすぐそばにJR相模線との踏切もあり、また、この踏切の近くには小学校も隣接していることから、議員のお話にありましたとおり、朝夕通勤通学時を中心として慢性的な交通渋滞が生じております。このため、地元から早期整備について大変強いご要望をいただいているところであります。県といたしましても、この区間は相模原市内の東西方向を結ぶ幹線道路として、交通量に見合った整備が必要であると認識をしております。 この区間については、JR相模線との立体交差や橋梁構造とする箇所があり、また相模原市が進めている麻溝台・新磯野土地区画整理事業等の計画と調整を図る必要もありまして、現在、道路概略設計を行い、おおむねのルート、構造について検討を進めているところでございます。こうした作業が終わり次第、都市計画の手続を経て、なるべく早期に事業着手したいと考えております。 次に、津久井広域道路の整備の進捗状況と今後の見通しについてお尋ねがありました。 津久井広域道路は国道16号の橋本五差路から藤野町の国道20号までを結び、相模原市と津久井地域の連絡を強化し、両地域の一体化を図る総延長約20キロメートルの幹線道路の構想でございます。 このうち橋本五差路から津久井町の県道厚木愛川津久井線までの約7キロメートルの区間については、既に必要な都市計画決定がなされております。さらに、このうち城山インターチェンジへのアクセスに必要な区間として、現在、新小倉橋の前後約5.4キロメートルについて整備を進めているところであります。この区間の進捗状況でございますが、現時点で用地取得率は4割を超えている状況であり、工事については新小倉橋の前後約1.3キロメートルを重点的に進め、おかげさまでこの3月6日に開通する予定でございます。 今後の見通しでございますが、残る4.1キロメートルにつきましても引き続き用地買収を進め、さがみ縦貫道路との同時供用開始を目指し、県財政が厳しい折ではありますが、工夫をしながら整備を進めてまいりたいと考えております。 また、これより東側、橋本五差路までの区間、延長約1.6キロメートルですが、これが完成すれば、相模原市、城山町、津久井町を結ぶ動脈がつながることになり、この地域の連絡機能が飛躍的に高まるとともに、国道413号線の渋滞緩和にも寄与する重要な区間であると認識をしております。 しかしながら、まずは事業中の区間について集中して整備を進めることが重要であると考えており、橋本五差路までの区間につきましては、その進捗状況を勘案しながら、事業に着手してまいりたいと考えております。 次に、米軍基地対策について幾つかご質問をいただきました。 最初は日米合同委員会の開催状況についてのお尋ねであります。 日米合同委員会は日米地位協定に基づき設置され、この協定の実施に関する取り決めについて協議する機関であります。委員会における協議事項や協議内容につきましては公表されておりませんが、委員会の開催回数は月2回程度と外務省から聞いております。 次に、関係市の要望事項で、この数年で合意されたものについてでありますが、まず、相模原市内の基地で申し上げますと、相模原住宅地区において市道整備のために約1,200平方メートルを一部返還することが、平成13年6月の日米合同委員会で合意されております。 他の市域の例では、平成11年10月には厚木基地の約310平方メートルが綾瀬市の道路用地として、平成14年9月には、横須賀市内の長坂小銃射撃場の約4,300平方メートルが市のバイパス整備のために日米合同委員会の合意を得て、それぞれ一部返還されております。そのほか、平成11年10月の日米合同委員会で、大和市が道路用地として厚木基地の約4,200平方メートルを米軍と共同使用することが認められております。 また、事務手続についてですが、国の提供施設返還手続によりますと、まず地元市が横浜防衛施設局に返還申請を行います。これを受けて、防衛施設庁が日米合同委員会の下部組織の一つである施設分科委員会の場で米側に返還提案を行います。この分科委員会で米側の了解を得られた場合には、日米合同委員会に付託し、合意を得た後、閣議決定及び日米政府間で協定締結の上で返還されるというのが定められた手続でございます。 最後に、相模総合補給廠の返還について、県の役割も踏まえ、どのように対応していくのかとのお尋ねがありました。 基地返還に向けた県の基本的な役割の一つは、市が単独で取り組むことが難しい場合に、その活動を支援、補完することにあると考えており、具体的には国やアメリカ側との調整及び交渉、説得力のある返還交渉を進めるために必要な各市の跡地利用計画策定への支援などであります。 県といたしましては、これまでもこうした役割を踏まえ、相模総合補給廠の返還について、相模原市や相模原市米軍基地返還促進市民協議会を支援してきたところでございます。 最近の例で申し上げますと、昨年11月には在日米陸軍司令部に対し、緊急車両の補給廠内の通行と北側道路部分の早期返還について協力を依頼するなどの働きかけを行ったところであります。 また、跡地利用計画策定のための支援として、跡地利用構想策定懇話会に参画するとともに、跡地利用を考えるシンポジウム2003の開催経費の一部を助成するなど、支援を行っているところであります。 今月16日には同協議会が跡地利用構想案を取りまとめ、相模原市におきましても同協議会と一体となって北側道路、野積み場、北側部分の順に優先順位を付して返還に向けた働きかけを進めていくと聞いておりますので、県といたしましては相模原市と連携し、一部返還も視野に入れた取り組みを支援してまいりたいと考えております。 私の答弁は以上でございます。〔舘盛勝弘君発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 舘盛勝弘君。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025014-諸事項-82質問[続]-再質問-舘盛議員》 82 質問(続) 再質問 舘盛議員
◆舘盛勝弘君 ご答弁ありがとうございました。少し時間がありますので、自席から発言をさせていただきます。 昨年9月に私は京都へ観光に参りました。満員の観光バスに揺られていろいろな名所旧跡を訪ねたわけですけれども、残暑が厳しくて夏のような日でございました。そうした中で、バスは当然冷房が入っております。1カ所お寺へ寄ったわけですけれども、そこで余り暑いので、みんな集合時間より早目にバスの方へ戻ってきて冷房に当たると、こういうふうな感じでございました。 そうしたら、バスの運転手さんに冷房が入っていないので、ぜひつけてもらいたいと言いましたら、いや、京都は地球温暖化防止の関係で、エンジンはかけないんだと、アイドリングストップがかかっているんだと、5分前でなければかけませんと、こういうふうに言うんですね。それでも暑くてということで、大勢の方がそのくらいのところはちょっと何とか配慮してもらいたいと、こういうふうなことを言いましたけれども、頑として運転手さんは5分前までかけないでいました。私は暑いなと思いながらも非常に大したものだなというふうに思ったわけです。それだけ観光バスがたくさんある京都でしょうから、それが1台1台かけたら大変なことに、それだけでも随分と二酸化炭素が少なくなるんだろうなというふうに思って感心しました。 そういうところまで徹底をしているというような状況を見まして、そしてそんなことがありましたから京都のことも調べさせていただきました。そうすると、やはり神奈川よりも随分と徹底してやっておられるなという状況でございます。 どうか神奈川県も、先ほど推進センターの指定をしたということでございますので、そういう民間と県が、あるいは市町村が一緒になってそういうことを徹底をしていくようなことをしなければならないなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。 それから、さがみ縦貫道路でございますが、大変安心をいたしました。平成19年度ということで努力をする明言をしていただきました。訂正がないようにひとつお願いをいたしたいと思っております。 それから、県道町田相模原線ですけれども、知事もおっしゃったように立体化でありますとか、あるいは小学校、あるいは農協、あるいは公民館、そうしたものがずっと連なっております。人通りも大変多いところでございます。そんな中で、なるべく早目に都市計画決定をしていただきたいわけですけれども、19年度のさがみ縦貫道路の開通をめどに準備を進めていくのかどうなのか、その辺もう一度お答えをいただきたいと存じます。 米軍基地につきましては、小さいことでもとにかく取り上げて市町村を支援して、これからもやっていっていただきたい、ご努力をいただきたいというふうに思います。 以上で第2問目を終わります。〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025015-諸事項-82質問[続]-応答-松沢知事》 82 質問(続) 応答 松沢知事
◎知事(松沢成文君) 舘盛議員の再質問にお答えいたします。 県道相模原町田線の供用時期についてのお尋ねでありますが、相模原茅ヶ崎線から先の相武台相模原線までの区間延長約2キロメートルにつきましては、現在、おおむねのルート構造について検討を進めているところでありますので、こうした作業が終わり次第、都市計画の手続を経て早期に事業着手したいと考えております。〔舘盛勝弘君発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 舘盛勝弘君。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025016-諸事項-82質問[続]-発言-舘盛議員》 82 質問(続) 発言 舘盛議員
◆舘盛勝弘君 ご答弁ありがとうございました。 以上で私の質問を終わります。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025017-諸事項-83休憩》 83 休憩
○議長(桐生忠一君) お諮りいたします。 この際、休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(桐生忠一君) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は15分後といたします。午後4時38分 休憩
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025018-諸事項-84再開》 84 再開午後5時2分 再開〔事務局長報告〕 出席議員 議長共79名
○議長(桐生忠一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025019-諸事項-85質問[続]-[15]質問-しきだ博昭議員》 85 質問(続) (15)質問 しきだ博昭議員
○議長(桐生忠一君) 質問を続行いたします。 しきだ博昭君。〔しきだ博昭君登壇〕(拍手)
◆しきだ博昭君 議長のお許しをいただきましたので、私は自由民主党県議団の一員として、通告に従い、これより数点にわたり質問をさせていただきたいと思います。 冒頭、質問に入ります前に、一言申し上げたいと存じます。 きょうここに歴史と伝統ある神奈川県議会において、初質問の機会をお与えくださいました先輩、同僚の議員の皆様に心から感謝申し上げます。と同時に、私をこの場にお送りくださいました地域の心ある大勢の皆様に、改めて厚くお礼を申し述べる次第であります。 私の選挙区であります都筑区は、平均年齢35.8歳という極めて若い区であります。私も、さまざまな刺激と心地よい緊張感の中で日々活動を続けております。こうした中で、私が常日ごろ考えておりますこと、特に今の政治に求められているものは何か。それは変化の著しいこの時代にあって、時の流れを的確につかむ感性、そして、その変化に対応し得る柔軟性、しっかりとした時代認識と当事者意識、失敗を恐れず何事にも果敢に挑戦する勇気と、その勇気に裏打ちされた行動力であると思います。 これからもこうしたことを念頭に置きながら、神奈川県議会議員の一員としての誇りと責任と自覚を持って870万県民のニーズと時代の要請にこたえるべく、また、私たちと私たちの後に続く世代のために、さらなる努力をここにお誓いいたします。 それでは、これより順次提言を交えながら質問をさせていただきます。 知事、警察本部長並びに教育長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 質問の第1は、安全・安心のまちづくりについてお伺いいたします。 まずは、県民が安心して暮らせる犯罪のないまちづくりに向けた県の取り組み方向についてであります。 昨今の犯罪発生状況を見ますと、昨年1年間で県内の刑法犯認知件数は約18万6,000件であるのに対し、検挙件数は約4万件、率にして21.5%となっています。この数字は、刑法犯認知件数が戦後最悪となった平成14年と比較して約4,000件減少する一方で、検挙率は2.3ポイント上昇しております。このことは、これまでの警察本部における地道な犯罪抑止に向けた取り組みや犯罪検挙、取り締まりの強化が一定の成果を上げたものと評価いたしております。 しかしながら、犯罪発生件数は10年前の平成5年の約1.65倍という依然として高い水準にあり、まだまだ予断を許さない状況と言えます。 また、犯罪発生件数全体が多少減少したとはいえ、身近な日常生活の中で県民だれもが被害に遭うおそれのある空き巣、忍び込み、自動車盗の犯罪発生件数は逆に増加しております。 さらに、いわゆるオレオレ詐欺などといった新たな手口の犯罪も発生するなど、犯罪の巧妙化といったまことに憂慮すべき状況も続いております。こうした状況は、私の選挙区である都筑区においても同様であります。 具体的に申し上げますと、昨年10月に横浜市が実施した市民意識調査において、市民が行政に充実を求める項目の第1位に、初めて防犯対策が挙げられました。それまで18年連続してトップであった高齢者福祉を抜いて、防犯対策がトップになったことからも、治安対策に対するニーズの高さがうかがえます。住民からの治安回復、安心して暮らせる地域社会に向けた行政の取り組みへの期待が如実にあらわれたものと考えます。 都筑区は港北ニュータウンという大規模新興住宅地を抱えており、区民の平均年齢が、冒頭申し上げましたとおり35.8歳、しかも15歳未満の子供たちの占める割合が約20%といった大変若い、いわば子育て・教育世代の多い地域であります。 このため、幼児、児童など小さな子供のいる家庭が多く、児童の連れ去りや学校への不審者の侵入などといった最近の報道に対しては、身近な問題としてとらえ、多くの住民から不安の声が出ているのも事実であります。犯罪のない安全で安心なまちづくりを進めていく上では、こうした地域の実態や県民の声を受けとめた実効性のある施策がぜひとも必要であると考えます。 こうした中、県は安全・安心まちづくり推進本部を設置して、全庁的な推進体制を整備し、犯罪のないまちづくりに総合的に取り組んでいくこととしたことは、時宜を得たものと評価いたしておりますが、県民の不安感、治安回復に向けた期待の高さを真摯に受けとめ、今後、実効性のある施策の構築に取り組んでいただくことを切に要望いたします。 そこで、知事に伺います。 治安を回復し、安全で安心なまちづくりを実現していくため、条例の制定を初めとして、どのような考え方、あるいは理念を持って取り組んでいこうとしているのか、知事の決意を含め、改めてお伺いいたします。 次に、効果的な防犯体制についてお伺いいたします。 先ほども申し上げました港北ニュータウンに代表される大規模新興住宅地は、日本全国のあらゆる地域から多くの人々が集まってきており、各家庭において日常生活が営まれております。大規模新興住宅地は長い年月をかけて計画的に整備が進められることから、広くかつ整備された公園など、美しい景観や魅力ある町並みが形成されており、こうした良好な環境が人々にこのまちに住みたいという気持ちを抱かせ、さらに人が集まり、まちはさらに便利になり、また人が集まるといったことにつながっております。 しかし一方では、多くの人が集まる地域は、残念ながら、犯罪も多く発生するのが現状ではないかと思います。さらに、最近では新興住宅地に限らず、人と人のつながりが希薄であると言われており、隣近所がお互いの状況や異変を感じ取りにくいといったことが生じております。まさに、現代社会自体が人間関係の希薄化の中で進展しており、こうした点が現在、県警察が取り組んでおられる各種防犯対策を一層難しいものにしている要因の一つであると言えます。 これまでも県警察では、県下の犯罪発生状況に応じ、地域を特定しての防犯対策を講じているものとは思いますが、これら対策の結果を検証して、その結果について、今後の各種防犯活動に反映することも、効果的な防犯活動を進めていく上で大変重要ではないかと考えます。 そこで、警察本部長にお伺いいたします。 現在、県警察が取り組んでいる地域を特定しての防犯対策の取り組み状況と、この対策の検証結果をどのように反映していくのか、ご所見をお伺いいたします。 さらに、都筑区の現状から、交通問題について触れさせていただきたいと思います。 都筑区は、ご存じのとおり、横浜市の北部に位置し、平成6年11月6日に港北区と緑区の再編成により誕生し、ことしでちょうど10年目を迎えるところであります。区の人口も本年1月1日現在、17万1,000人となりました。先ほど申し上げましたが、平均年齢は市内で最も若く、今後とも人口の増加が予想され、まさに活力ある地域として、その成長が期待されているところであります。 都筑区の中でも、港北ニュータウン地域は比較的道路整備が進み、歩行者の安全面に配慮し、歩行者と車を分離する、いわゆる歩車分離が徹底されるなど、計画的なまちづくりが進められております。また、このニュータウン内には総延長31キロにも及ぶ歩行者専用道路があり、とりわけ駅や学校の周辺を中心に整備されております。 しかし、本来、歩行者が安心して歩けるはずの歩行者専用道路において、遵法精神に欠ける一部の心ない者により、バイクが我が物顔で走行しているといった状態がしばしば見受けられ、安心して歩けるはずの歩行者専用道路で歩行者が道路の隅に追いやられるといった憂慮すべき事態が発生しております。 このため道路管理者においても、さまざまな方法により、歩行者専用道路でのバイク走行を禁止する施策を行っておりますが、容易に道路への侵入が可能なことなどから、残念ながら抑止効果は余り見られません。やはり警察主導による道路交通法を根拠とした公安委員会規制の実施が望まれるところであります。 歩行者専用道路は通勤通学を初め、多くの方々の徒歩による生活道路として、安心して利用できることが大前提であることは、今さら申し上げるまでもございません。港北ニュータウン以外にも、県下には相当数の歩行者専用道路が設置されていると聞いております。しかし、各地域においてバイク走行の禁止が徹底されているのかどうか、甚だ疑問に感じているところであります。 そこで、警察本部長にお伺いいたします。 これまでのように道路管理者による道路法を根拠とした規制だけでは余り大きな効果は期待できないと考えます。県民が安心して歩くことができ、憩いの場ともなっている歩行者専用道路の安全を確保するため、道路交通法を根拠とする規制についてはどのように考えているのか、また、歩行者専用道路における安全をどのように確保していこうとしているのか、あわせて警察本部長のご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、学校における安全対策についてであります。 学校における安全対策といってまず思い起こされるのは、何と言いましても、平成13年6月に発生した大阪教育大学附属池田小学校の事件であります。この事件は、本来安全であるはずの学校で、しかも教室の中で児童が次々と殺傷されるという極めて残忍非道な事件でありました。 この事件は、将来ある8人の子供たちのとうとい命を奪ったばかりでなく、ご遺族の心に深い悲しみをもたらしました。また、逃げ惑う多くの友だちが次々と刃物で刺されていくといったすさまじい光景を目の当たりにした子供たちの心に深い傷跡を残し、同時に、私たち多くの国民に、犯人に対する強い憤りと大きな衝撃を与えた事件として記憶に新しいところであります。 この事件により、かけがえのないとうとい命を落とされた方々に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。 また、事件に直面し、一瞬のうちに友だちを失ってしまった子供たちが受けた心の傷が、一日も早くいえることを、ただただお祈りする次第であります。今なお、決していえることのない深い悲しみと向き合いながら、日々生活をされておられるご遺族の心中をお察しいたしますとき、まさに言葉がございません。 私も、事件の概要を改めて把握したいと思い、宅麻被告の初公判における冒頭陳述に目を通しました。 事件の余りの凄惨さに改めて衝撃を覚え、また、我が子を守ってやることのできなかった保護者の方々の無念さ、そして非道な犯人によって切りつけられた激痛の中で、私たちの想像をはるかに超える恐怖心と闘いながら、遠のいてゆく意識の中で子供たちは何を思ったのか。それぞれの夢と希望を果たし得ぬまま旅立たざるを得なかった子供たちの無念さに思いをいたすとき、心が痛み、なかなか読み進めることができませんでした。 理不尽な事件に巻き込まれた遺族の方々が、犯人に対する憤りと最愛の我が子を失ってしまった悲しみの中で、こうした事件が二度と起こらないよう、もうこれ以上、夢と希望にあふれる輝かしい子供たちの将来が、このような事件によって閉ざされることのないよう、学校の安全対策について各方面にさまざまな提言や働きかけをされているお姿に心を打たれます。 こうした活動が同年代のお子さんを持つ多くの保護者の共感を得て、また、文部科学省や全国教育委員会、あるいは学校等がその必要性を認識し、学校の安全管理のためのマニュアルの作成や校門等の施錠、あるいはフェンスの設置など、不審者の侵入防止に向けた取り組みが進められていることを私も承知いたしております。 しかしながら、こうした中、本県においても、昨年10月には横浜市内の小学校に刃物を持った男が校舎内に侵入するという事件が発生いたしました。幸い、副校長と教職員が一丸となった勇気ある行動と対応により、児童を初め教職員に一人のけが人も出すことなく大事には至りませんでした。しかし、県内でこのような事件が発生したことについては、強い危機感を覚えたところであります。 警察庁によりますと、幼稚園や小中学校、大学などの学校内で発生した犯罪の件数は年々増加しているとのことであります。具体的な状況を示しますと、学校への侵入事案は平成11年には1,042件でありましたが、平成14年には2,168件と、4年間で実に2倍を超える状況となっております。また、学校のみならず、登下校中において児童・生徒に危害が加えられるという事件が、本県も含め全国各地で後を絶たないといった状況もあります。 私のところには、小さなお子さんをお持ちの保護者の方々から、学校や登下校中の安全について不安を訴える声が数多く寄せられており、私自身も子供たちの安全確保が喫緊の課題であるという認識を持っております。とは言え、子供たちを守るために門扉は閉ざされ、フェンスが張りめぐらされた学校の中で、「人を見たら泥棒と思え」といったような教育がなされることを望む保護者は一人もいません。地域に開かれ、地域の方々に温かく見守られ、保護者や学校の先生から注がれる深い愛情とともに、豊かな人間性がはぐくまれ、子供たちが健やかに成長していくことをだれもが望んでいるはずであります。 学校の安全管理の問題については、とりわけ弱者である小学校の児童の安全を確保することが課題であり、この課題については、設置者である市町村教育委員会が責任を持って取り組むべきであることは、私も承知いたしております。 しかしながら、県教育委員会においても、学校への不審者侵入対策に当たっては、市町村教育委員会を通じて教職員の危機管理意識を高めていくことに努め、また、登下校中の通学路については、学校関係者の目が届きにくいといった状況を考慮し、児童・生徒の安全確保に万全を期していかなければなりません。 そこで、教育長にお伺いいたします。 児童・生徒の安全を確保するため、県教育委員会としては、学校における不審者侵入対策などの安全管理や、通学路における児童・生徒の安全確保について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長にご所見をお伺いいたします。 質問の第3は、市民農園と都市地域における緑の保全についてお伺いいたします。 言うまでもなく、農業は新鮮で安全な農産物の供給のみならず、生活に潤いと安らぎを与える花や緑を提供するほか、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承、あるいはレクリエーションの場、防災空間としての機能など、多面にわたって私たちの生活に大きな役割を果たしています。 本県は身近に大消費地を持つという特徴を生かし、野菜や果樹、花卉などを中心に多様な農業が営まれておりますが、近年では、産地間競争の激化や農業従事者の高齢化と後継者不足、農地面積の減少や遊休農地の増加などといった課題も抱えております。 また、緑地や自然環境の保全といった観点から見ましても、例えば、横浜市における樹林地や耕作地、個人住宅の庭木や芝生などの緑の占める割合、いわゆる緑被率は昭和50年・1975年には45%であったものが、平成13年・2001年には31%にまで減少しております。都市部における緑の減少が極めて深刻な状況であると言うことができます。 平成14年度に県が実施した県政モニター課題意見の調査において、花や緑とのふれあいをふやしたい、今後余裕ができたらふやしたいとの回答を合わせると、実に93.3%の方が花や緑とのふれあいを望んでいるという結果が出ております。 また、現在は空前のガーデニングブームに象徴されるように、土や自然に親しみたいという希望が多く、このブームの根底には、潜在的な土いじりや自然との関与を求める機運の高まりがあるものと認識しているところであります。 そこで、都市生活者が土とふれあえる場として注目を集めているのが市民農園であります。市民農園は都市住民やサラリーマンなど、農家以外の人に農地を提供し、農作業をしながら土や自然に親しんでもらい、地域の人々との交流を通して、農業を取り巻く現状を理解してもらうことや、地域の活力を高めるといったさまざまな利点があります。また、都市住民を中心に野菜や花の栽培など、手軽に農作業ができる場として注目され、需要も高まっているほか、近年は遊休農地の解消策の一つとしても注目され、全国的に市民農園の開設がふえております。 さらに最近では、野菜や花づくりなどの農作業を通じての健康づくりや、いやしの効果を求める園芸セラピーの考え方や、高齢者や体の不自由な方々を初め、だれもが利用できるよう配慮したユニバーサルデザインの考え方を取り入れるなど、社会環境の変化や利用者の新たなニーズにこたえられるよう工夫を凝らしたものがふえてきております。 一方、海外に目を転じますと、300年の歴史のある本場ドイツでは、クラインガルテンと呼ばれる市民農園が地域コミュニティーの中心的役割を担い、人と人とのつながり、人と自然とのつながりを保つシステムとして社会に根づいており、都市計画の中にも明確に位置づけられております。むだがなく効率的な、極めて合理的なローコスト・ハイクオリティーといったドイツの環境デザインの考え方の象徴として、国内の隅々にまで浸透し、心豊かで健康で文化的な国民生活に欠くことのできない存在となっております。 さらに、内閣府が毎年行っている国民生活に関する世論調査によりますと、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きを置きたいと答えた人が、昨年は実に6割に上り、まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きを置きたいと答えた人の2倍に達しております。物質的な豊かさから心の豊かさ、ゆとりといったものに人々の価値観が変化していることがうかがえます。 21世紀は心の豊かさやゆとりが重視される時代と言われ、スローライフといった言葉も流行しております。ガーデニングや市民農園など、身近な園芸活動や農村文化とのふれあいを望む都市生活者の土や自然とのふれあいを望むニーズはますます高まりを見せており、これらにこたえていくことが今求められていると思います。 さらに、こうした都市生活者の市民農園への関心の高まりは、新たなビジネスチャンスとしてとらえることもできます。次世代への投資として、また県民生活基盤整備事業としてとらえながら、市民農園の整備に県が本格的に取り組んでいくことにより、さまざまな産業分野への波及効果が期待されると考えます。 市民農園コーディネーターやプロの栽培指導者が必要となることはもちろん、漬物やジャムづくりなどの指導や春にはガーデニングフェア、夏にはバーベキュー大会、秋には収穫祭を開催するなど、常に利用者と地域の人々を楽しませるための企画やアイデアが今後求められていくものと思われます。 例えば、市民農園の周りや歩道沿いに記念樹を植えられるようにし、子供や孫の誕生祝いや入学・卒業祝いなどに記念樹を植えていただくことにより、施設整備等に費用をかけることなく、地域に緑をふやすこともできます。このような民間資本、民間活力、民間人材を積極的に活用していく民間主導型の自由で多角的な市民農園の整備が望まれるところであり、民間ならではの発想を取り入れ、こうした発想を生かすシステムを構築する取り組みを後押しする形で、神奈川らしさを存分に発揮していただきたいと思います。そして、これが一つの新しい公共事業の姿ではないかと私は考えます。 先ほど来、犯罪防止について質問してまいりましたが、私はこの市民農園は犯罪抑止にも役立つものだと考えております。市民農園は地域に潤いを、人々に安らぎを与えてくれるだけでなく、子供たちが命のとうとさや自然の美しさ、神秘さに気づき、また新たな発見に出会う喜びを感じながら、豊かな感受性と思いやりがはぐくまれる情操教育の場として、そして、何よりも、多感な子供時代に草花や昆虫などの動植物を初め、この地球上のすべての生きとし生けるものの命を手にとって見詰めるといったかけがえのない機会を与えてくれます。このことは子供たちの人格形成上、極めて重要であると思うのであります。 また、子供と一緒に農業体験を行うことにより、家族のコミュニケーションもふえてきます。私は、自然を慈しみ、生命のとうとさを知ることで、少年犯罪の未然防止や犯罪の低年齢化に歯どめをかけていくことにもつながるものと考えます。 そこで、知事に伺います。 農家の後継者不足の解消、遊休農地の有効活用、緑地の保全、地域交流の拠点、家族のコミュニケーションの場、地域の活性化、観光資源としての潜在力、新ビジネスの育成、そして、子供の情操教育、あるいは環境教育の場など、これまで申し述べましたように、さまざまなメリットが認められる市民農園について、県はどのように認識し、どのような取り組みを考えているのか。また、都市地域における農地や山林など、緑の保全について、どのような考えを持って、どのように取り組んでいくのか、知事のご所見をお伺いいたします。 以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。〔拍手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025020-諸事項-85質問[続]-応答-松沢知事》 85 質問(続) 応答 松沢知事
◎知事(松沢成文君) しきだ議員のご質問に順次お答えをいたします。 初めに、安全・安心まちづくりについて、まず考え方、理念についてのお尋ねをいただきました。 議員から横浜市が実施した調査をご紹介いただきましたが、先月、1月30日に発表させていただきました安全・安心まちづくりについての県民意識調査の結果を見ましても、多くの県民の皆さんが治安状況が悪くなっていると感じており、また身近な犯罪への不安感が高まっていることが明らかになっております。 私はこうした県民の皆さんのお気持ちを受け、治安の回復、犯罪のない安全で安心なまちづくりへの取り組みの必要性を痛感するとともに、犯罪を許さない、見逃さないという強い意思を持って、この問題に県を挙げて取り組んでいく必要があるという思いを改めて強くしたところでございます。 そこで、現在ご提案させていただいております平成16年度当初予算におきましても、県民生活の安全・安心の確保を三つの重点的な取り組みの一つに掲げ、犯罪のない安全・安心まちづくりを全力で推進しようと考えております。 改めて申すまでもなく、犯罪を抑止していくためには、まず一義的には警察による犯罪の取り締まりを強化することが最も効果的でございますので、警察官の増員や専門能力の向上など、警察力の強化に引き続き最大限の力を注いでまいりたいと考えております。 一方、犯罪の発生そのものを予防、抑止していくためには、警察官による取り締まりとあわせて、県民の皆さん一人一人が日常生活の中で防犯意識を持って犯罪の被害に遭わない、あるいは犯罪を起こさせないような工夫と取り組みを行うことによって、地域全体の防犯性を向上させていくことも大変重要であると考えております。 そこで、警察本部を初め、県、市町村、関係団体、NPO、さらには住民、事業者の皆さんがそれぞれの役割に応じて、一致協力して取り組んでいくための規範として条例の制定を目指すとともに、地域での実践的な活動がより行いやすくなるように、情報の共有化や活動の仕組みづくりなどに努めてまいりたいと考えております。 そして、犯罪のないまちづくりの取り組みを県民の皆さんのご理解、ご協力を得ながら県民総ぐるみで推進し、県民の皆さんが安心して暮らせる地域社会の実現を目指してまいりたいと決意しているところでございます。 最後に、市民農園と都市地域における農地や山林など、緑の保全についてのお尋ねであります。 市民農園に対する議員のご高説を関心を持って聞かせていただきました。さて、市民農園につきましては、そのメリットや方向性について議員からさまざまお話がございましたように、都市生活者の方々が農作業や土と親しみながら地域の人々との交流を深める場であるとともに、遊休農地の有効な利用方法の一つでもあると認識をしております。 本県における市民農園の開設状況は、平成15年3月末現在の調査によりますと、農園数で519カ所、面積では82ヘクタールとなっており、5年前と比較いたしますと農園数で16%、面積で31%増加し、都市住民の市民農園への期待の高さがうかがわれます。 このように市民農園が広がりを見せている背景としては、平成2年6月に市民農園整備促進法が施行され、施設の整った市民農園の開設が可能となったことがあり、県では横浜市柴地区を初め、23地区の市民農園整備への支援を行っているところでございます。 さらに、平成15年4月に施行された構造改革特別区域法では、特区として実施できる特例措置の一つとして、NPOや企業が市民農園を開設できることとなり、現在、小田原市では国の認定を受け、これまで大人と子供がまじり合って文化芸術活動や自然体験活動を行っているNPO法人が、丘陵地の果樹園において市民農園を開設する準備を進めていると聞いております。 このような新しいタイプの市民農園が実現すれば、子供たちが農作業活動を通じて周辺の自然とのふれあいを深めるなど、幅広い活動が展開されるものと期待をしております。 なお、県といたしましては、遊休農地解消方策の一つとして、平成14年度から県独自の施策である中高年ホームファーマー事業を試行してまいりましたが、この事業は多くのファーマーの好評を得ており、また農地の保全策としても大変有効であることから、平成16年度にはこの事業を本格的に展開する予定でございます。 また、都市地域の農地や山林などは、地域の方々にとって潤いや安らぎの場であるとともに、防災空間としての役割を果たすなど、多面的な機能を発揮できる場であると承知しております。しかしながら、都市地域の農地や山林は、高度経済成長に伴う生活様式の変化や農業後継者の不足などから、十分な管理が行われなくなっているという状況にございます。 一方、議員のお話にありましたように、県民の生活に対する価値観の変化もあることから、県では農地や山林や集落などが一体となった地域を里山としてとらえ、その保全、再生に向けて農家や地域住民、NPOなどの県民と行政が協働して取り組む里山づくり推進事業を平成16年度から実施したいと考えております。 県といたしましては、今後とも市民農園整備への支援、中高年ホームファーマー事業の拡充、里山の保全への支援などに積極的に取り組むことによって、従来、主に農業生産活動により維持されてきました都市地域の農地や山林などの緑を県民の参加を得ながら保全、再生してまいりたいと考えております。 私からの答弁は以上でございます。〔教育長(曽根秀敏君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 曽根教育長。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025021-諸事項-85質問[続]-応答-曽根教育長》 85 質問(続) 応答 曽根教育長
◎教育長(曽根秀敏君) 教育関係についてお答えをいたします。 学校及び通学路の安全対策に関するお尋ねがございました。 まず、学校の安全管理についてでございます。 県教育委員会といたしましては、お話のありました大阪教育大学附属池田小学校の痛ましい事件を教訓とし、各学校が不審者侵入時等に対応するためのマニュアルを作成する際の指針を市町村教育委員会に配布したり、研修会等で安全管理に対する意識啓発を図るなどの対策を講じてまいりました。 しかしながら、昨年11月に実施した県内の学校の安全管理に係る調査では、マニュアルは大半の学校で作成しているものの、実践を想定した防犯訓練等、具体的な取り組みは必ずしも十分とは言えない状況でございました。 こうした状況を踏まえ、各学校において児童・生徒を守るための防犯訓練等を定期的に実施し、この訓練を通して教職員の危機管理意識の高揚を図るとともに、マニュアルの実効性について不断に検証するよう市町村教育委員会に要請いたしたところでございます。 また、防犯に関する心構えについての講話、防犯や応急手当等についての訓練などを実施する防犯教室を県内のすべての学校が開催するよう働きかけてまいりますとともに、防犯教室の指導者につきましても講習会を開催するなど、その養成に努めてまいります。 次に、通学路における安全対策についてでございます。 通学路において児童・生徒の安全を確保するためには、学校だけでなく、保護者や地域の方々などの協力、連携が不可欠でございます。既に一部の地域では教職員と保護者や地域の方々のご協力による通学路の見回りなどが行われておりますので、こうした取り組みが広がるよう、神奈川県PTA協議会などに協力を働きかけてまいりたいと考えております。 こうした取り組みとあわせ、昨年11月に全庁的な組織として発足いたしました安全・安心まちづくり推進本部の活動を通して、警察などの関係機関と連携を強化するとともに、市町村教育委員会とも協力しながら、学校及び通学路の安全対策の充実を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。〔警察本部長(末綱隆君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 末綱警察本部長。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025022-諸事項-85質問[続]-応答-末綱警察本部長》 85 質問(続) 応答 末綱警察本部長
◎警察本部長(末綱隆君) まず、現在県警察が取り組んでおります地域を特定しての防犯対策と、その検証結果の反映などについてお答えをいたします。 しきだ議員ご指摘のとおり、犯罪多発地域、あるいは増加する罪種等を指定して、集中的な犯罪抑止対策に取り組むことは極めて有効でありますし、そのようなきめ細かな対策こそ、地域の隅々にまで浸透する効果があると考えております。 県警察といたしましては、一定の地域を小さな網の目状に細分化し、その地域で発生している犯罪を抑止するため、集中的な防犯対策として、いわゆる地域メッシュ防犯活動を平成6年ころから重点的に取り組んでいるところであります。 また、特に昨年1月からは犯罪の増加、とりわけ地域住民の方々が身近に不安を感じておりますひったくりや路上強盗等の街頭犯罪や空き巣等の侵入犯罪の抑止を図るために、県警察の総力を挙げまして街頭犯罪等抑止総合対策を推進しているところでありますが、この地域メッシュ防犯活動もこの総合対策の中で、効果的な施策の一つとして取り入れたところであります。 こうした活動は警察が主体的に取り組む防犯活動のほか、自治体であれば防犯対策としての環境整備、それから地域住民の方々であれば連帯意識を高めていただくための地域コミュニティーの形成、あるいは事業者の方々であれば、防犯設備の充実等による安全対策など、それぞれの立場においてその役割を果たし、推進していただくことが大変重要であるとも考えております。 犯罪の抑止効果というのは一時的なものではなくて、地域の共同体意識を強くしていくことによりまして、自然と芽生えてくるものでありますから、このような地域に密着した地道な活動を進めることが、今後の犯罪の抑止力となっていくものかと考えております。 したがいまして、安全・安心まちづくりの取り組みの中で、これらの活動をより詳細に検証、分析し、効果があると思われる施策については犯罪の発生状況が類似している地域においても取り入れるなど、県下全域に展開するよう今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、歩行者専用道路における歩行者の安全を確保するための交通規制についてお答えをいたします。 道路管理者は道路の使用を開始する場合に、道路法に基づきまして歩行者専用道路として指定する権限を持っております。この道路管理者が指定した歩行者用の道路をバイク等が走行した場合には、まず道路管理者による是正措置命令が取り締まりの前に必要とされますことから、取り締まり上の難しさもありまして、道路法による指定だけでは大きな効果が期待できないことは議員ご指摘のとおりであります。 したがいまして、バイク等の乗り入れ防止の効果を上げるためには、道路交通法に基づきまして、公安委員会の権限として規制した上で取り締まりをするのが効果的であります。 そこで、今までも交通上の危険性があり、取り締まりの必要性の高い場所については、道路管理者と協議した上で、この道路を公安委員会が改めて歩行者用道路として規制し、取り締まりできるようにして、歩行者等の安全の通行を確保してきたところでもあります。 県警察といたしましては、バイク等の乗り入れにより歩行者が危険にさらされるようなことのないよう、今後とも必要な箇所には公安委員会の規制を積極的に実施してまいりたいと考えております。 また、そのほかにも乗り入れ防護さくの設置など、歩行者の安全を確保するための諸対策も、同時に道路管理者との連携を図りながら推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。〔しきだ博昭君発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) しきだ博昭君。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025023-諸事項-85質問[続]-発言-しきだ議員》 85 質問(続) 発言 しきだ議員
◆しきだ博昭君 各種の世論調査等の結果からもさまざまな治安の悪化や、あるいは犯罪に対する不安が示されております。そのことを県民の皆さんと一緒にこうした危機感を共有をしていきながら、治安の回復に向けてご努力を一層いただきたいと思っております。 今後、先ほど来、ご答弁をいただきましたあらゆる手だてを講じていきながら、また、各種実効性のある施策の迅速な実施は必要であるということを申し上げておきたいと思います。 次に、学校における安全対策についてでありますが、治安の悪化などに対する不安感と相まって、こうしたとりわけこれから卒業、入学シーズンを控えて、保護者の方々の間に不安感や心配があるというのも事実であろうと思います。こうした不安を解消していくことが何よりも大切であり、また子供たちが安心して登下校でき、安心して学べる環境づくりが求められているということを、十分私どもも認識をしなければなりません。 また、県教育委員会におかれましても、文部科学省や各市町村教育委員会はもとより、警察や、あるいは地域との連携についても十分ご留意をいただき、また連携を深めながら、安全確保に万全を期すことを重ねて求めておきたいと思います。 なお、マニュアルの作成のみならず、実践的な事態を想定しての取り組みであるとか、こうした訓練等についても県教育委員会を挙げて、また各市町村教育委員会に助言指導を徹底をしていただきたいということを求めておきたいと思います。 3番目の市民農園と都市地域における緑の保全についてでありますが、これからも先ほど来、私の質問の中でも申し上げましたとおり、次の時代を担っていく子供たちの豊かで新鮮な感性をこれからもはぐくんでいき、また自然を慈しみ、あらゆる生命のとうとさを見詰める、こうした心をはぐくんでいくために市民農園を積極的に整備をし、また、有効に活用すべきであることを改めて指摘をさせていただきながら、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。〔ふじたちえこ君発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) ふじたちえこ君。〔ふじたちえこ君登壇〕(拍手)
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025024-諸事項-85質問[続]-[16]質問-ふじたちえこ議員》 85 質問(続) (16)質問 ふじたちえこ議員
◆ふじたちえこ君 私は日本共産党県議団を代表して、一般質問を行います。 まず、新年度予算案についてです。 知事は知事選で、私のマニフェストは手法や財源を具体的に示したのが特徴で、県民と私との約束の基盤になるものだとして、その財源として重視したのが入札制度の抜本改革で公共事業費を1割削減し、140億円の財源を生み出すことでした。私たち日本共産党県議団は、公共事業を削って県民サービスの充実に充てることは当然であり、このことを多くの県民も期待したと思います。 ところが、知事は就任後2カ月もしないうちに、議会で入札制度の改善によっては財源捻出ができないことを明らかにしました。しかも、マニフェストには公共事業の抑制を財源とする施策が幾つも掲げられているわけですから、入札制度の改善で財源が生み出せないなら、当然、公共事業の削減・圧縮を図って、県民との約束を守るべきです。 ところが、新年度予算案では、さがみ縦貫道路などの自動車専用道路など、整備事業費が156%、48億9,110万円も増額されるなど、道路橋梁などの事業が重視され、公共事業等は削減どころか4億6,800万円の増額となりました。 しかも、国への100億円の無利子貸し付けで50億円の県民負担などと報道されている羽田空港の再拡張事業に対し、将来の財政負担のまともな検討もないままに事業費などが予算化されています。これでは、大型公共事業重視の今までの県政と何ら変わりありません。 公約どおり公共事業費の削減を図るべきであり、公共事業費の増額は知事の公約に反すると考えますが、知事の見解を伺います。 マニフェストで掲げられた37の施策の中には、介護保険施設の充実等により入所待機者をゼロにする、専門職員の1.3倍化など、児童相談所の体制整備等で児童虐待のない神奈川を目指しますなどが掲げられていました。 私たち日本共産党県議団は、こうした県民サービスにかかわる施策がどう実施されるか注目しました。児童相談所の中心的役割を果たす専門職である児童福祉司について、国は新年度も配置基準を引き上げる予定で、そうなると県の配置は10人も足りなくなります。 さらに、福祉・医療の施策は拡充されるどころか、介護保険給付費負担金や施設の建設・改修など、以前から計画されていたものを除くと、生活保護受給者への慰問金の廃止で4億8,200万円の削減。重度障害者医療費助成やひとり親家庭医療費助成の補助率も引き下げ、市町村負担をふやしました。さらに、団体補助金は45件、1億8,825万円も削減してしまい、精神障害者地域作業所では、新設を予定していた6カ所のうち4カ所が県の予算がつかないために断念せざるを得ない状態になっています。 生活保護受給者への慰問金について、県は生活実態から必要と認めて実施していたものです。それを廃止するというのですから、通院の交通費に充てていたのに、これからどうしたらいいのかなどの声が寄せられ、議会に存続を求める請願が提出をされるのも当然です。しかも、独自に慰問金を支給していた市や町の多くが、県の廃止を機に打ち切ることにしています。 また、介護保険施設などの入所待機者ゼロという知事の公約は、現行の特別養護老人ホームの整備計画を少なくとも5,000人分以上ふやさなければ実現できませんが、計画の引き上げもされず、新年度予算案では施設整備費補助は8億8,452万円の削減となっています。しかも、小泉内閣の新年度予算案では、新設の特別養護老人ホームなどの施設整備に必要な国庫補助額の3分の2しか組んでいないことが明らかになっています。 特別養護老人ホームの整備計画を大幅に拡充し、予算化するとともに、すべての施設建設に必要な国庫補助額を確保するよう国に再度求めること、また、児童相談所の児童福祉司は直ちに国の配置基準どおりの人員増を図ること、そして生活保護受給者への慰問金を廃止するなどの県単独補助金の削減をやめるとともに、介護保険料、利用料の減免制度の創設などで、福祉や暮らしの施策を拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 松沢知事の新年度予算案は公共事業重視で、県民に冷たい今までの県政と変わらないだけではありません。知事公舎新設工事設計費1,100万円、県議会議員の海外視察費2,979万円を予算化しています。 県民からは、この生活が大変なときに知事公舎の新設だの、海外視察だの、何を考えているんだとの声が寄せられています。知事公舎の建設について、岡崎前知事は、建設は必要としながらも財政難を理由に見送ってきていたものです。東京都は97年に建てかえ後、知事は住まずに、別の有効な活用方法を検討し、長野県も公舎を壊して県庁の駐車場に、富山県は県民開放し、文化活動に活用など、知事公舎にとらわれない他県の状況も報道されています。 防災上必要と考えているなら、狛江市から移転するときに県庁の近くに移転すべきだったと考えますが、知事の見解を伺います。また、知事公舎建設費用は予算化すべきではないと考えますが、知事の見解を伺います。 さらに、県議会の海外視察も98年10月の財政危機宣言を受け、99年から凍結をされていたものです。県財政が大きく好転したわけでもないのに、議会の海外視察を復活する必要はありません。 報道では以前の海外視察とは違い、目的などを明確にして適切かどうかを事前に検討するとしていますが、当たり前の話で、だからといって海外視察を復活する理由にはなりません。県議会の海外視察の関係予算についても予算化すべきではないと考えますが、知事の見解を伺います。 次は、水源環境税についてです。 98年12月、岡崎前知事は、財政危機の中で神奈川県地方税制等研究会に対して、県独自の税源充実策及び都市圏にふさわしい地方税財政制度のあり方について検討してほしいとの諮問をしました。これを受けて同研究会は、中間報告書で自動車税や生活環境税を打ち出し、昨年10月の生活環境税に関する報告書で、水源環境税などの新たな税制導入を提起しました。 こうした経過からも、水源環境税は生活環境や森林と水をどのように保全するのかから出発したのではなく、税の導入が先にあったことを示しています。さらに、松沢知事は、平成16年度中に仕組みづくりをし、平成17年度に水源環境税を導入したいとの答弁を総合計画調査特別委員会で明らかにしました。 一方、県は、昨年10月から県内22カ所で開催した水源環境保全施策と税制措置を考える県民集会では、水源環境税の導入を前提にしたものではないと説明しています。しかし、参加者に渡された資料は、水源環境税を導入すべきとした生活環境税制のあり方に関する報告書に基づいて、法定外目的税など五つの費用負担方法が示され、結論として県民や事業者に新たに税負担を強いるものとなっています。県民負担ありきの資料に基づく県民集会は水源環境税の導入に県民を誘導するもので、真に県民の意見を聞いたことにはならないものです。 また、県が水源環境税の導入を前提としないとするなら、公共事業費削減などの別の財源対策も示すべきと考えますが、あわせて知事の見解を伺います。 県民集会での資料は、県民に新たな税負担をさせる事業、新規財源を充てる事業の費用を86億円から148億円プラスアルファとしています。しかし、新規財源を充てる施策には、現在、市町村が独自の努力で行っている施策や県が実施している施策が含まれています。 例えば、利水者による水源林整備の支援事業です。この事業には、横浜市が道志村に水源林を確保し、水源涵養を行っているものがありますが、新たに税負担を横浜市民に課した上で、横浜市に支援することになります。 また、秦野市など市町村が現在行っている地下水の保全の施策にも支援するとしています。市町村支援が必要だというなら、県が行ってきた市町村への補助金の削減こそやめるべきです。市町村が独自に行っている水源林整備事業などに対する支援は、県民の新たな税負担の財源で行うべきではないと考えますが、知事の見解を伺います。 県が現在行っている事業に、水源の森林づくり、私有林の公的管理・支援があります。水源の森林づくりは荒廃した森林に手を入れ、水源涵養を保全するなど、大切な事業ですが、研究会の報告では先駆的な県の取り組みを大幅に拡充すべき事業であり、新規財源で対応することが適当であるとして、今後、この事業のすべての事業費を新たな税源で賄おうとしています。 しかし、水源の森林づくりは新総合計画21で重点プロジェクトとして取り組まれてきたものであり、これまで予定どおりの事業進捗状況となっています。また、この事業が開始をされたときに、横浜市など水道事業者への負担が検討されたのみで、県民への新たな税負担は検討されていませんでした。それなのに、ここに来て先駆的な事業を理由にして県民負担を求めるのでは筋が通りません。 さらに、研究会の報告書では、水源の森林づくりについて、対象面積を2万8,900ヘクタールから3万2,000ヘクタールに拡大するとしていますが、事業期間を23年から26年に延ばすもので、年平均で見れば、決して既存の事業を大幅に拡充するものではありません。水源の森林づくり、私有林の公的管理・支援については新たな県民負担による新規財源の対象にならない事業であり、既存事業として推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 研究会の報告書で示されている20の施策について、最小限の事業費で最大限の効果の立場から見直しが必要です。例えば、水源の森林づくり事業です。この事業が始まった97年以降、農村林地の価格が下がり、2003年度までの1ヘクタール当たりの整備費の実績単価も事業計画の単価より低くなっています。 ところが、2003年度に県が作成した水源の森林事業計画では、こうした実態が反映されず、1ヘクタール当たりの買い取り価格や整備費が実績に比べて高くなっています。研究会の報告書にある私有林の公的管理・支援、年間51億円から70億円の費用は、水源の森林事業計画に基づくもので、過大な見積もりと言わなければなりません。 総合計画調査特別委員会での我が党の指摘に対して、県当局は、今後このような傾向が続けば、全体計画、事業計画を見直しさせていただくと答弁しています。だからこそ、県民に新たな負担を求める前に私有林の公的管理・支援も含め、20の施策すべてについて事業のあり方と事業費について徹底して見直すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 次は、指定管理者制度についてです。 地方自治法では、地方自治体の役割は住民の福祉の増進としており、第244条第1項では、公の施設について、住民の福祉を増進する目的を持ってその利用に供するための施設と規定し、平等利用を原則としています。 この法の立場から見れば、スポーツ施設であれば利用料金制による収入増を図るために付加価値の高い事業や、利益率の高いイベント等への使用に偏ることなどがあってはならないことを示しています。この公の施設の原則は、憲法で明記されている国民の生存権、福祉の保障及び幸福追求の基本的権利の保障を具体化したもので、公の施設の設置や管理運営は地方自治体が直接行うことが基本になるべきです。 だからこそ、地方自治法では、指定管理者への委任は「できる」規定になっています。この地方自治法の趣旨に立てば、県立直営施設は安易に指定管理者制度を導入すべきではないと考えます。 現在ある県の公の施設については、施設ごとに公の施設の目的を達成するために何が必要かを県民参加で明らかにすること、そして公の施設の管理運営の基本は利用者へのサービスの向上よりも、利益の追求や管理経費の削減を優先する運営になってはならないことと考えますが、あわせて知事の見解を伺います。 次に、現在、管理運営委託をしている施設については、地方自治法では、2006年10月までに指定管理者制度に移行するか、直営に戻すかの選択となりますが、運営主体の選択は、これまでの施設の運営に対する十分な検証と県民との合意形成の上で決めるべきです。 運営主体の選択の判断については、政策決定の前に利用者、県民の声を最優先して、県民ニーズを反映した施設管理運営となっているかどうかを検証し、その結果によっては直営に戻すことも含めて検討すべきと考えますが、知事の見解を求めます。 これまで県の公の施設は、運営に対する県民意見を受けとめ、改善する姿勢を示してきましたが、指定管理者制度の導入でこの県民本意の運営が損なわれ、県民意見の反映がしにくい状況が生まれることが懸念されます。これらの懸念を払拭するために、指定管理者による公の施設の管理運営が県民本意に行われているかをチェックし、改善するシステムが機能することが必要です。 そのためには、県として管理運営に対する苦情相談窓口を設けるとともに、施設ごとに利用者や関係団体が多く入った運営協議会等を設置すること、利用料金制を導入する場合は、公の施設の目的に沿って活動している県民団体や障害者等に対する利用料の減免制度の維持拡充を図るとともに、現行の条例で定めている料金体系の額を上限とすること、さらに事業者選考の公平性・透明性を確保するために、選考基準に事業者の実績・専門性・継続性・公平性・安定的な運営能力などを加え、県民に公表するとともに、選考に利用者が参加すること、専門性・継続性を担保するために、職員は常勤を原則として、身分・賃金、労働条件が安定的に確保され、指定期間満了後、指定管理者が変更する場合は、必要に応じて当該施設で従事した職員が引き続き従事できる道もつくることなども必要です。 これらの内容を公の施設の指定に関する条例等に盛り込むことが必要と考えますが、知事の見解を伺います。 次に、県立福祉施設についてです。 松沢知事は、行革方針の中で、県立津久井やまゆり園を2005年4月指定管理者導入予定と明記し、今定例会に条例改正案を急遽提出しました。県は津久井やまゆり園の家族会の役員には、サービス水準は落とさないと説明していますが、条例を見る限り、指定基準に現行の機能や専門職員配置が担保されることを示すものはありません。 今回の県立直営施設の民営化の根拠とされたのは、県立福祉施設の将来展望検討会議の最終報告書でした。この報告書の策定過程で行ったパブリックコメントでは、個々の県立施設の具体的な分析評価がない、将来展望がないなど批判的な意見が大半でしたが、取り入れられたのはごく一部でした。そして、委員会として、各施設の現場職員や利用者や保護者等に直接意見を聞くこともなく、わずか5回の会議で県立22施設について施設の運営を民間に任せるかどうかを中心に結論がまとめられたものでした。 この検討会のある委員は、リストラ見え見えで、グランドデザインの議論がなくて不満だったと述べていますが、まさに利用者不在の委託ありきの検討結果を出すための会議と言わざるを得ません。 県立津久井やまゆり園が広域拠点となっている県北圏域は、中核市の相模原市以外は福祉施設の整備は進んでいず、津久井町、城山町、相模湖町、藤野町は地域作業所やグループホームなどの社会資源も不足しています。このような効率性・採算性が乏しい山間地という地域特性の中で、津久井やまゆり園が地域の中のすべての障害者に対応できる体制を確保し、基盤整備のおくれを支え、専門職員の確保が難しい4町に対する広域的・専門的な補完機能を果たしてきたのも県立県営施設だったからです。 現行のサービス水準を維持し、広域拠点としての役割を果たすために、県立津久井やまゆり園は県立県営を維持すべきと考えます。県立県営施設として津久井やまゆり園が40年間果たしてきた役割をどう評価し、今後、地域特性を踏まえて、具体的にどのような機能を果たすべきと考えるのか、あわせて知事の見解を伺います。 さらに、重大なのは津久井やまゆり園の家族会などの関係者に対する説明も行わず、議論の時間も保障しないうちに強引に条例化し、指定管理者の公募作業を進めようとしていることです。津久井やまゆり園の指定管理者制度の来年4月導入の提案は2月6日の予算発表で明らかにされ、本定例会の議案となっています。しかし、当事者である津久井やまゆり園の本人や家族会には、会長と役員に委託の検討に入ったと説明したのみで、家族会全体にはいまだに説明されていません。 愛名やまゆり園の民間委託は、2年の歳月をかけて話し合いを行ったのと比べても、余りにも乱暴なやり方です。利用者のある兄弟の方は、県立県営で重度障害者を受け入れてくれる施設は私たちのとりでである、これからも県立県営施設として、みんなの安心の場として存続してほしいと、これまでの運営に信頼を寄せ、気持ちを語っています。 県が行うべきことは、県立直営での40年の運営の中で、信頼し続けてくれた地域の方々や父母や兄弟姉妹の方々に、なぜ県立県営の運営を維持しないか納得できるまで説明し、すべての疑問に答えるとともに、議論する時間を保障することであり、来年4月導入を前提にして、6月議会で事業者の選任事案を提出するために何が何でも作業を進める姿勢を改めることだと考えますが、知事の見解を求めます。 もともと県立施設が重い障害者を受けとめることができたのは、県として手厚い専門職員の配置がされていたためであり、国の低い職員配置基準が基本となる民間福祉施設の職員配置数では、重い障害者を受けとめられないという実態があったからです。 県は民間福祉施設に対してサービスの向上のための運営費補助をしてきましたが、この間、民間の老人福祉施設に対する助成を介護保険制度導入を機に廃止し、支援費制度導入時に国の基準は以前と変わらないのに、障害者施設に対する補助金の一部を削減しました。 また、在宅福祉を民間団体等で担っている地域作業所の補助金は、自治体としては同格の横浜市とは数百万円も低いまま、ことしも来年も1円も上げずに据え置き、生活ホームの補助金は来年度削減をし、精神障害者の地域作業所の新設予算さえつけない実態となっています。 結局、民間への助成を切って、民間より職員配置の多い県立福祉施設も民営化することで、県の経費を削減することが目的だと県民から見られても仕方のない実態です。民間活力導入と銘打って、県立施設の肩代わりをさせるのなら、国に低い介護報酬や支援費単価の引き上げを求めるとともに、すべての民間福祉施設や地域作業所などに県立施設並みの職員配置ができるような助成の引き上げこそ行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。 最後に、知事の政治姿勢についてです。 イラク戦争の根拠となった大量破壊兵器の存在をめぐっては、調査に当たったデビッド・ケイ前アメリカ調査団長が、もともと大量破壊兵器の備蓄はなかったと議会などで繰り返し証言し、ブッシュ大統領も、イラクにあると思っていた備蓄兵器はいまだに見つかっていないと、事実上大量破壊兵器が存在しなかったことを認めました。 アメリカでは議会で独立した調査委員会を設立し、真相の調査を開始し、アメリカ本国での世論調査でも、イラク戦争は戦うべきではなかったとの回答が50%に達しています。 ブッシュ大統領は、昨年3月、イラクは間違いなく大量破壊兵器を隠しているとしてイラクへの戦争を開始しましたが、その根拠が全く崩れ、戦争の大義がなかったことが明らかになっています。そして1年たとうとしている今こそ、イラク戦争が何だったのかの検証をされなければならないのに、知事は23日の本会議答弁で、自衛隊派遣の是非を問う時期はもはや過ぎたとして、自衛隊派遣を肯定する発言をしました。 そこで、伺います。 大量破壊兵器をなくすためとして始めたイラク戦争は大量破壊兵器がなかったことが明確になった今、イラク戦争は大義のない戦争だったと考えますが、知事の見解を伺います。 大義のない戦争に基づくその後の軍隊の駐留は占領そのものであります。大義のない戦争だったからこそ、イラク国内では米英の占領に対する抵抗が続き、占領後、200名を超える米兵が死んでいます。 ところで、派遣された自衛隊がイラク占領軍である第7連合統合軍の指揮下に入ることを統合軍司令部が認め、石破防衛庁長官も、自衛隊は占領軍に勤務すると述べています。 政府は、憲法9条が禁止する交戦権の範囲に、相手国の占領行為、行政を挙げてきました。この政府の見解から見ても、占領軍の一翼を担う自衛隊の活動が、憲法に反することは明確です。 ところで、知事は本会議で、イラク支援に関して、現地の人々の中に入って熱意あふれる行動を通じて顔の見える国際貢献をできるのは、みずからの安全を守ることができる自衛隊をおいて他にないと答弁しました。しかし、イラクへの支援は国連中心で行われるべきであり、同時に、イラクでは日本のNGOが支援活動で大きな役割を果たしています。 イラクで支援活動に参加しているNGOの日本ボランティアセンターの熊岡代表理事は、自衛隊のサマワでの活動について、非効率的で人道支援の中立性が確保できなくなるなどの批判の声が出ている。また、フランスのNGOの現地プログラムの責任者である方は、給水・浄水ならNGOに任せてもらった方が効率的と、知事の認識と違う実態を語っています。 そこで、知事に伺います。 自衛隊の占領行為は憲法9条に違反するものと考えますが、知事の見解を伺います。また、イラク支援でのNGOの役割をどのように評価しているか、あわせて知事の見解を伺って、以上で私の第1回目の質問を終わります。〔拍手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025025-諸事項-85質問[続]-応答-松沢知事》 85 質問(続) 応答 松沢知事
◎知事(松沢成文君) ふじた議員の質問への答弁に先立ちまして、先ほどの舘盛議員の再質問に対します私の答弁を訂正をさせていただきます。 相模原町田線の都市計画決定の準備を、さがみ縦貫道路の開通をめどに進めていくのかどうかというご質問に対して、相模原町田線の供用開始について、さがみ縦貫道路と合わせて供用ができるよう、県として最大限努力してまいりますというふうに答弁をさせていただきました。 しかし、質問にございました相模原茅ヶ崎線から先の相武台相模原線までの区間延長約2キロメートルにつきましては、最初の答弁でお答えしたとおり、現在、おおむねのルート構造について検討を進めているところでありますので、こうした作業が終わり次第、都市計画の手続を経て早期に事業着手したいと考えております。(訂正済) 以上であります。 それでは、ふじた議員の質問に順次お答えいたします。 まず、公共事業費の増額は私の公約に違反するのではないかとのお尋ねがありました。 私がマニフェストの中で掲げましたのは、新しい入札の方法等を導入することによって、公共事業のコストを削減するということでございまして、公共事業の総額を単純に削っていくとしたわけではございません。 16年度当初予算における公共事業等につきましては、本県の厳しい財政状況を考慮して、引き続き抑制基調を基本としつつ、国が負担する事業をできるだけ活用することにより、本県の財政負担を抑制しながら必要な施策を進めることといたしました。 次に、福祉関係の施策について何点かお尋ねをいただきました。 まず、特別養護老人ホームの整備につきましては、市町村との連携のもとで計画的な整備に努めるとともに、国が適切な財源措置を講ずるよう働きかけてまいります。 また、児童相談所の職員配置については、これまで児童福祉司の増員や協力員等の非常勤職員の配置など、児童相談所全体として専門相談体制の整備を図ってきており、引き続き強化に努めてまいります。 次に、生活保護受給者への慰問金については、生活扶助基準は既にほぼ妥当な水準に達し、事業の当初目的は達成したと考えられることなどから廃止することとしております。 さらに、介護保険制度における低所得者層に配慮した保険料・利用料減免については、国に対し新たな制度的軽減措置を全国統一的に行うよう要望しております。 今後とも増大・多様化する県民の福祉ニーズに的確に対応していくため、市町村や民間との役割分担を踏まえ、適切な施策展開を図ってまいります。 次に、知事公舎新築工事設計費に関連して、私が昨年引っ越したときに県庁の近くにすべきではなかったのかとのお尋ねをいただきました。 私は知事として職務を遂行していくためには、災害時の迅速な対応を初めとして、できる限り県庁に近い場所に住まいを構えた方がよいと考えており、本来ならば、知事公舎が県庁の近くにあれば引っ越したのでありますが、本県には残念ながら知事公舎がございません。 そこで、知事就任後、すぐに県庁の近くに住まいを探しましたけれども、なかなか適当な物件がなく、ようやく7月に適当な物件がありました川崎の高津区に引っ越したところであります。 次に、知事公舎設計費の予算化についてお尋ねをいただきました。 近年、東海地震など大規模地震の切迫性が指摘されておりますが、大規模災害が発生いたしますと、知事は災害対策本部設置の決定や自衛隊への派遣要請といったさまざまな重要事項について迅速かつ的確に判断していかなければなりません。そうした知事としての役割をしっかりと果たすためには、たとえどのような交通障害があろうと、徒歩で一刻でも早く県庁に到達できる体制を確保することが重要であると考えております。 確かに本県財政は引き続き厳しい状況にありますが、災害はいつどういう形で襲ってくるかわかりませんので、できるだけ早い時期に知事公舎を建設してまいりたいと考えているところでございます。 次に、県議会議員の海外視察の関係予算の予算化についてお尋ねがありました。 議員の海外調査につきましては、従来からその必要性は私も理解しているところでございます。財政状況が厳しい中ではございますが、議会関係の他の経費を見直し、節減を図っていくということもありますので、総合的に判断して予算計上するものとしたものでございます。 次に、水源環境保全の取り組みに関連して、新たな税制措置の導入についてお尋ねがございました。 これまで本県が検討してまいりました水源環境の保全・再生に向けた取り組みは、県民の意思を基盤として構築するという生活環境税制の理念に沿って、施策と費用負担の両面から県民の皆様とともに議論をし、具体化を図ろうとするものでございます。 したがって、県民集会ではこうした考え方に立って、今後充実すべき水源環境保全施策についてご意見をいただくとともに、新たな費用負担の手法として税制措置の導入についても活発な議論を行っていただいたところであります。 また、新たな税制措置ではなく、別の財源を確保して対応すべきではないかというご趣旨でのお尋ねがございました。 先ほども申し上げましたとおり、この問題は県民の皆様がみずからの生活環境や身の回りの自然環境をどのようにして快適なものにするのか、また、その費用をどう負担し合うのか、県民の皆様がみずから考え、判断するという取り組みでございます。 したがって、水源環境の保全・再生については、その施策や費用負担を検討する段階から、県民の方々に参加していただく参加型税制の考え方に立って、新たな税制措置の導入を議論していただいているところでございます。 次に、市町村が独自に実施している事業に対し、新たな税制措置の財源を充てることについてお尋ねがありました。 地方税制等研究会からの報告では、将来にわたって良質な水を安定的に確保し、県民生活の安定を図るためには、森林保全や里山保全、さらには生活排水対策など、流域全体の課題について総合的・体系的な施策を進める必要があるとされております。 そうした施策の中には、市町村や水道事業者が主体的に進めている事業もございますので、そこに新たな財源を充てることが水源環境の保全・再生につながり、県民の方々にもご理解いただけるならば、新たな財源の対象事業として検討する必要があると思います。 そこで、本県としては県民の方々のご意見や市町村、水道事業者との議論を踏まえながら、市町村事業への支援について検討を行っているところでございます。 次に、水源の森林づくり事業、私有林の公的管理・支援についてお尋ねがありました。 県では森林を県民の共有財産としてとらえ、水源涵養など、森林の公的機能を高めていくため、平成9年度から水源の森林づくり事業をスタートさせましたが、その財源として、当初から県の一般財源等に加えて、県民や企業の方々の協力もいただき、事業を推進していくこととしております。 そうした中で、お話にございましたように、神奈川県地方税制等研究会からは、水源の森林づくり事業について、森林荒廃の現況に対処するため、森林の買い取りの割合の増加等、一層拡充を図る必要性やそのための新規財源の必要性についてご提言をいただいたところであります。 また、この間進めてまいりました県民集会などを通じ、私有林の公的管理・支援の取り組みの重要性について、多くの県民の方々にご理解をいただけたのではないかと考えているところでございます。 今後、新規財源の対象事業を検討するに当たっては、こうした研究会の提言や県民の方々の意見を踏まえて判断したいと考えております。 次に、事業のあり方と事業費についてお尋ねがございました。 神奈川県地方税制等研究会の報告書は新たな費用負担により、新規拡充すべき事業として14の事業と必要となる事業経費の大まかな試算についてご提言をいただいたものでございます。 これまでこの報告書をもとに22回にわたる県民集会を初め、さまざまな機会を通じて県民の方々や市町村、水道事業者と議論を行ってきているところでございます。今後の施策の検討に当たりましては、こうした場でいただいたご意見も踏まえながら、これまで取り組んできた事業の課題や実績なども十分に参考にいたしまして、実施する事業のあり方、経費について精査してまいりたいと考えております。 次に、指定管理者制度についてお尋ねがありました。 平成15年6月に地方自治法が改正され、公の施設の管理において、指定管理者制度が導入され、これまでの施設の管理を委託する制度から、県の指定を受けた指定管理者に施設の管理を行わせることができる制度に移行をいたしました。 今回の地方自治法の改正は公の施設の設置目的を十分に果たし、多様化する住民サービスに効果的・効率的に対応して、サービスの向上を図るとともに、公の施設の管理に要する経費の縮減を図るためには、民間事業者の有するノウハウを活用することが有効であるとの考え方によるものと承知をしております。 また、公の施設の適正な管理を確保するため、指定管理者制度を導入する場合には、個々の施設ごとに条例で指定管理者の指定の手続や管理の基準、業務の範囲を定め、さらに規則や協定で必要な事項を定めることとしております。 こうした制度の趣旨を踏まえ、施設利用者の皆様のご意見を幅広く聞きながら、今後の公の施設の管理のあり方について検討した上で、指定管理者制度の導入により、民間活力の活用を図ってまいりたいと考えております。 次に、現在管理運営を委託していく施設について、直営に戻すことも含めて検討すべきとのお尋ねがありました。 本県の公の施設は県営住宅や県立高校等を除き、現在131施設ございますが、これまで公共的なサービスの質・量をともに確保しつつ、民間活力の導入を図るという観点からそれぞれの施設のあり方を検討し、63施設については第三セクター等に包括的に管理を委託し、運営しているところであります。 既に管理を委託済みの公の施設については、経過措置として改正地方自治法の施行後3年以内、したがって、平成18年9月1日までに当該施設条例の改正等を行う必要があるため、実際には18年度当初までには指定管理者制度に移行できるよう手続を進める必要がございます。 そこで、昨年夏以来、指定管理者制度に関する全庁共通的な事項について検討し、この1月に指定管理者制度の導入に関する留意事項を取りまとめております。県としてはこの留意事項を踏まえ、それぞれの公の施設ごとに施設利用者の意見の反映に努めながら、現在県が直営で管理している公の施設を含めて、改めて個別の施設の今後の管理のあり方を検討した上で、指定管理者制度の導入に向けて作業を進めることとしております。 次に、指定管理者制度の導入に関する懸念についてお尋ねがありました。 ご指摘の点については、県としては地方自治法の規定や、先ほど申し上げました留意事項などに基づいて対応していくこととしております。 まず、管理運営に関する苦情相談窓口や運営協議会を設置することにつきましては、個別の施設の性格によって一概には申し上げられませんが、施設の設置者である県といたしましても、施設の運営状況についての実績報告を求めるほか、施設利用者の意見の継続的な聴取に努め、場合によっては業務の改善の指示や指定の取り消しなどの対応を行うこととしております。 次に、利用料金制につきましては、同制度を採用する場合は条例において、そのこととともに、当該利用料金の減免制度などの定め方について規定するものとしております。 次に、指定管理者の選定の公平性・透明性の確保につきましては、留意事項において指定の手続における透明性・公平性の確保を重視し、指定に至る経緯や指定管理者の要件、募集方法等を検討することとしており、必要に応じて学識者など外部の専門家の意見を聞くこととしております。 次に、専門性・継続性を担保するため、職員が引き続き従事できるようにすることとのお話がありましたが、指定期間終了に伴い、指定管理者が変更する場合には、スムーズに業務が引き継がれるよう一定の準備期間を確保するなど、可能な範囲で配慮してまいりたいと考えております。 今後とも指定管理者制度の導入やその後の管理運営が円滑に進むよう条例、規則、協定や制度の運用を工夫してまいりたいと考えております。 次に、津久井やまゆり園が果たしてきた役割の評価等についてのお尋ねであります。 津久井やまゆり園は知的障害者更生施設として昭和39年の設立以来、これまで40年間多くの方々にご利用をいただいてまいりました。この間、利用者の生活の質的向上を図るほか、施設支援から地域生活支援へという時代の要請に応じて、在宅福祉事業にも積極的に取り組み、現在では比較的重度の知的障害者を受け入れるとともに、総合相談窓口機能を持つなど、県北障害保健福祉圏域の拠点施設としての機能を発揮してまいりました。 今後も津久井やまゆり園が現在果たしているこうした役割、機能を継続することが必要と考えておりますので、平成17年4月に予定している指定管理者制度の導入に当たっても、引き続きこの役割、機能は維持してまいります。 次に、津久井やまゆり園の指定管理者制度導入に関連してのお尋ねであります。 県立社会福祉施設のあり方については、かねてから行政システム改革の取り組み、民間活力導入の考え方を踏まえ、運営の弾力化に取り組んでまいりました。こうした状況の中で、津久井やまゆり園の運営については、学識者や施設関係者、家族会代表者で構成する県立社会福祉施設の将来展望検討会議の報告を踏まえ、平成17年4月から指定管理者制度を導入する予定としております。 そして、そのことは本年2月初旬に津久井やまゆり園の家族会役員の方々にも説明をしたところであります。 現在、指定管理者制度導入に必要な手続についての条例改正案を提案しており、議決いただければ、運営を担っていただくにふさわしい指定管理者の募集、選定事務等を行うこととしております。 今後は津久井やまゆり園家族会を初め、関係者との意見交換なども行い、円滑な指定管理者制度の導入に努めてまいります。 次に、民間社会福祉施設に対する助成等についてお尋ねをいただきました。 民間社会福祉施設は本来、措置費や支援費等で運営されることが原則でありますが、県では利用者によりよいサービスを提供するため、国の基準を上回る職員配置等を行う施設に対して運営費の補助を行ってまいりました。 平成15年度に支援費制度に移行した障害福祉施設に対しては、制度の変更に伴う必要な改正を加えた上で、引き続き補助を継続するとともに、地域作業所や生活ホームなどの補助についても現行水準の維持に努めているところであります。 また、支援費の単価の引き上げや介護報酬の算定基礎となる人員配置の見直し等については、引き続き国に要望してまいります。 次に、イラク戦争についてお尋ねがございました。 私はイラク戦争は大義のない戦争だったのかどうかということについては、今後国際社会の中、歴史の中でその評価がなされるものと考えております。 先般、私が申し上げましたのは、過去のいきさつは別にして、今はイラク国民の自国再建をいかにして助けていくのかが重要であって、我が国は国際社会の一員としての責任を果たすため、積極的な支援を行っていかなければならない、今のイラクにおいて、我が国の責任に見合った国際支援活動を行うことができるのは、みずからの安全をみずから守ることができる自衛隊において他にないということであります。 最後に、憲法9条との関係とイラク支援でのNGOの役割についてのお尋ねがありました。 議員はイラクにおける連合軍が占領軍であり、自衛隊がその指揮下に入るのは憲法9条に違反するとのことであります。このことに関しては、小泉総理が国会で、まず第1に、我が国は武力紛争の当事国ではなく、占領軍には当たらないこと、二つ目に、国連もすべての加盟国に対し、国家再建に向けたイラク人の努力を支援することを要請していること、三つ目に、自衛隊はあくまでも我が国の指揮下において活動するものであることと明言されております。 私は、我が国はこのような考えに基づき、国際社会の責任ある一員としてイラクを支援するために自衛隊を派遣しているものと認識をしております。 また、NGOの方々の活動については、過酷な状況の中で自発的な意思と個人の責任のもとにイラクの人々に支援を行っておられ、私も頭の下がる思いがいたします。今後こうした市民レベルの活動と国レベルの復興支援活動とが補完し合い、多面的な国際貢献が展開されればすばらしいと考えております。 以上でございます。〔ふじたちえこ君発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) ふじたちえこ君。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025026-諸事項-85質問[続]-再質問-ふじた議員》 85 質問(続) 再質問 ふじた議員
◆ふじたちえこ君 自席から再質問をさせていただきます。 一つは公共事業の問題ですが、あなたはマニフェストの中で確実に公共事業の総額、いわゆる公共事業費、入札価格のコストは費用ですから、公共事業費を削りますというふうに言っていますので、それは公約に違反すると思っています。 しかも、例えば児童相談所について言えば、公共事業費の抑制で財源をつくるというふうに言っていたわけですが、実は児童相談所の専門職、児童福祉司の配置について見ますと、国の方の配置基準と比べて今10人も少ない。あなたは拡充に向けて体制強化を図るというふうに言っていますが、結局公共事業費を削らないものですから、国基準さえ満たない福祉司のまま放ってあるというのが実態ではないでしょうか。 公共事業費をきちんと削って児童福祉司をふやすべきではないかということで、公共事業費の削減と、それから必要な施策をやるべきだというふうにお話をさせていただきました。なぜ、児童福祉司をきちんと配置をしないのか、そして公共事業費の総額を削ると言ったことは確かなはずですから、この2点について再度答弁をいただきたいと思います。 それと、公舎の問題ですが、知事の方の公舎、今、緊急時でどうしても必要だと。知事は答弁の中で、神奈川に熱意がないと言われたのは心外だとおっしゃったので、それでは当然近くに住むだろうと思ったわけですが、そうではなかったわけです。 しかも、今緊急時にはヘリコプターで県庁に来る体制がとられていて、岡崎前知事と同じ時間に大体県庁に来れる体制ができているにもかかわらず、そして平成10年、11年と同じ実質収入だということで、そのときは財政危機宣言の年でしたが、そういう実態であるにもかかわらず、岡崎前知事は財政難を理由にしてつくらなかったわけですが、松沢知事は先ほど述べたとおり、幾つか県民の予算を削ってでも、どうしても公舎が欲しいというのは、なかなか県民は納得できないので、再度答弁をいただきたいと思います。 それから、海外視察の問題ですが、これも先ほど議会の予算の削減をしたので認めたということで、これは新聞の記者発表でもおっしゃっています。ところが、実は議会費で削減をしたというふうにおっしゃった改修の予算は議会費ではございません。総務部所管の庁舎管理関係予算でございまして、議会費ではないんです。議員の方の議会費の努力によって、議員自身の努力で議会費の削減が行われたわけではないわけですから、経済情勢がよくなっているわけでもないし、そういう意味ではこの予算は取り消すべきであり、知事が発言をした記者発表をなさった中身が全然違うわけですから、これはやめるべきだと考えますが、再度答弁を求めたいと思います。 それから、福祉施設の問題ですが、私はきちんと当事者である津久井やまゆり園の保護者の方たち全員、本人も含めて何にも説明もしないで、方針が決まったから6月議会に指定管理者を決めるということで作業を強引に進めているから、これは余りにもひどいではないかと言っているんです。本当に指定管理者でよくなると言うなら、いろいろな疑問にきちんと答えるべきではないでしょうか。 知事は県民の意見をちゃんと聞いて、県民の視点でやるんだという答弁をその間しているわけですから、まず最初に当事者の意見をきちんと聞いて、先に4月導入ありきにすべきではないと、それが本当の知事の姿勢ではないでしょうか。ぜひ保護者の方たち、それから兄弟姉妹の方たちから、もっときちんと議論してほしい、いろいろな話を聞いてほしいという要望書が、きょう要請もありました。知事の方にも行っているはずです。指定管理者制度導入そのものも含めて、もう一回見直してほしい、意見を聞いてほしいという意見がありました。ぜひこの願いは聞き届けて、無理やり作業を進め、来年4月実施をすることはやらない、このことをぜひもう一回答弁をしていただきたいと思います。 最後にイラク問題、日本の自衛隊はアメリカの占領下にあることは明確、これは石破防衛庁長官も認めています。アメリカの機関紙にもちゃんと書いてあります。そういう点では、自衛隊はアメリカの占領軍の支配にあるということで認識がちょっと違うので、その辺について答弁をいただきたいのと、先ほども自衛隊以外に国際貢献をやれる人はいないんだと、こう言ったのは、まさにNGOの人たちに対して失礼です。本当に熱心に武力を持たないでやっている人たちがいるのに、そこを認めないで、他にはないと、国際貢献は自衛隊しかないんだと言い切ること自体が、私は本当にNGOの人たちに失礼だと思います。ぜひこの言葉は撤回をしていただきたいということで、再質問をいたします。〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 松沢知事。〔知事(松沢成文君)登壇〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025027-諸事項-85質問[続]-応答-松沢知事》 85 質問(続) 応答 松沢知事
◎知事(松沢成文君) ふじた議員の再質問にお答えをいたします。 まず、公共事業費の抑制については、コスト削減でできる限り図っていくという方向でこれからも努力をしていきたいと思います。 知事公舎については、災害対応のために一刻も早く必要だという形で今回予算計上させていただきました。 そして、イラクの問題ですけれども、米軍が占領軍だとは私はどう考えても思えません。 そして、自衛隊のみがという 私が意味するところは、イラクの復興支援を本格的にしっかりとお手伝いできる組織は、自分たちの身を守れる自衛隊をおいて他にないということで、NGOの皆さんを否定しているわけでは全然ありません。NGOの皆さんがやれるようなきめ細かい支援、あるいは安全な地域での支援というのはあると思っていまして、それがいい形でかみ合ってすばらしい支援につながればと思っています。そういう意味であります。 他の細かい点は担当部長から答弁させていただきますので、よろしくお願いします。〔総務部長(石田稔君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 石田総務部長。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025028-諸事項-85質問[続]-応答-石田総務部長》 85 質問(続) 応答 石田総務部長
◎総務部長(石田稔君) 議会費の関係でご答弁申し上げます。 議会の改修費については、議員おっしゃるとおり議会費の計上ではなくて総務費ですが、これは計上の仕方ということでございまして、私どもは広い意味での議会費と、こういったことで知事が申し上げたと思います。 以上でございます。〔福祉部長(田代球喜君)発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) 田代福祉部長。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025029-諸事項-85質問[続]-応答-田代福祉部長》 85 質問(続) 応答 田代福祉部長
◎福祉部長(田代球喜君) 児童福祉司の増員についてお答え申し上げます。 ご案内のとおり、児童相談所は児童福祉司のみならず児童相談員、あるいは心理判定員、そのほか、こういう厳しい状況でございますので、非常勤職員等々を配置させていただきまして、全体として児童虐待に対する対応を中心に機能強化を図っているところでございます。あわせまして、地方交付税の算定、そういったことも念頭に置きつつ、来年度に向かいましても着実に強化を図っていきたいというふうに思ってございますので、ご理解いただきたいと思います。 次に、津久井やまゆり園の指定管理者導入についてのプロセスの話でございますけれども、今後家族会等の方々、あるいは現場の津久井やまゆり園等とさらに議論を深めまして、円滑な指定管理者導入に向けて努力していきたいと思います。 よろしくお願い申し上げます。〔ふじたちえこ君発言の許可を求む〕
○議長(桐生忠一君) ふじたちえこ君。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025030-諸事項-85質問[続]-発言-ふじた議員》 85 質問(続) 発言 ふじた議員
◆ふじたちえこ君 時間がありませんので要望にいたしますが、ぜひ津久井やまゆり園、先に委託委任ありきではなく、徹底的に本当に正しいと言うなら納得するまで話し合いを続けていただきたいというふうに思います。 あとイラク問題、そしてさまざま立場についてもいただきましたが、まさに政治認識については本当に間違っているとしか言いようがないというふうに思っています。 以上で質問を終わります。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025031-諸事項-86議案-委員会付託》 86 議案 委員会付託
○議長(桐生忠一君) 以上で、質問並びに質疑を終わります。 お諮りいたします。 日程第1から日程第3につきましては、この程度で、お手元に配付いたしました議案付託表のとおり、所管委員会に付託して審査を願うことにいたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(桐生忠一君) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 所管委員会におかれては、慎重審査の上、その結果のご報告を願います。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025032-諸事項-87議案上程-認第2号[平成14年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定について]》 87 議案上程 認第2号(平成14年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定について)
○議長(桐生忠一君) 次に、日程第4、認第2号 平成14年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。 決算特別委員会委員長の報告を求めます。 保阪努君。〔保阪努君登壇〕(拍手)
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025033-諸事項-88決算特別委員会委員長口頭報告[保阪努議員]》 88 決算特別委員会委員長口頭報告(保阪努議員)
◆保阪努君 ただいまから、決算特別委員会の審査の経過及び結果について、ご報告を申し上げます。 当特別委員会は、昨年12月10日の本会議において、認第2号 平成14年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定について付託を受けたところであります。 以来、当特別委員会は、12月17日に決算の内容について説明を聴取した後、決算書並びに関係提出書類をもとに、監査委員の審査意見をも参考として、1月13日から21日までは
一般会計歳入歳出決算の款別質疑、1月26日には
特別会計歳入歳出決算の質疑、1月29日には総括質疑を行うなど、延べ7日間にわたって委員会を開催したところであります。 また、審査の慎重かつ的確を期するため、1月20日には現地調査を実施し、決算審査の主眼である収支の適法性、予算執行の適否などについて綿密な審査を行ってまいりました。 以下、採決に当たりまして、各会派それぞれの立場から述べられました総括的な意見について、ご報告を申し上げます。 平成14年度の我が国の経済は、世界経済の回復を背景に輸出の増加などにより景気は緩やかに持ち直したものの、年度後半はイラクをめぐる国際情勢の緊迫化などにより、米国やアジア地域の経済が減速するに伴い、輸出と生産が次第に鈍化するなど、景気の回復力は依然として脆弱でありました。 こうした状況の中、本県の財政は年度当初に240億円の財源不足を抱えたままスタートし、県税収入も主力の法人二税を初め、ほとんどの税目で前年度に比べ減額となり、地方交付税も国の地方財政対策において、地方財源不足の一部を臨時財政対策債で補てんする措置が拡大されたことにより減少するなど、大変厳しい財政状況となりました。 こうした中、市町村振興資金貸付債権の一部を活用し、資金化するなどの歳入確保策に取り組むとともに、人件費の抑制及び施策・事業の見直しなどに努め、緊急に対応すべき中小企業支援や雇用対策の充実、さらには、今日的な課題である子育て関連施策や精神障害者施策などを着実に推進されたことは評価するところであります。 その結果、実質収支は3年連続で黒字となりましたが、本県財政を考えますと、今後とも厳しい財政状況にあることから、税源移譲など地方税財政制度改革を国に強く働きかけるとともに、みずからも努力を重ね、安定的な財政運営ができるよう財政健全化に向けた取り組みを要望いたします。 以上の総括的な意見のほか、採決に当たり、各会派それぞれの立場から述べられました個別具体的な意見要望につきましては、お手元に配布されております意見等一覧に記載させていただきましたので、ご参照いただきたいと存じます。 また一方、審査の過程におきましては、当局から、それぞれの意見の趣旨を十分尊重しながら、適正で効率的な事業の執行に、今後ともなお一層の努力をしたいとの表明がなされております。 結論といたしまして、当特別委員会としては、お手元に配付されております審査結果報告書のとおり、去る2月5日、多数をもって本決算を認定すべきものと議決をいたしました。 以上、審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げましたが、何とぞ議員の皆さんにはご賛同賜りますようお願い申し上げまして、報告を終わらせていただきます。 ご清聴まことにありがとうございました。〔本会議録巻末194頁参照〕〔拍手〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025034-諸事項-89討論-[1]反対討論[みわ智恵美議員]》 89 討論 (1)反対討論(みわ智恵美議員)
○議長(桐生忠一君) これより討論を行います。 討論の通告がありますので、発言を許します。 みわ智恵美君。〔みわ智恵美君登壇〕(拍手)
◆みわ智恵美君 私は日本共産党県議団を代表して、平成14年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定に対する反対討論を行います。 最初に、一般会計歳入歳出のあり方についてです。 深刻な経済不況と雇用不安の中、土木偏重の公共事業や大規模開発の推進を抜本的に見直し、雇用対策や中小企業対策、子育て支援など、県民生活を支える歳出へと切りかえていくことが強く求められていたところでした。 県は財政健全化を図るとした歳出抑制で、人件費の徹底した抑制とともに福祉・教育分野での市町村補助金の削減・全廃等を進めました。重度障害者医療費給付補助の6億円削減、寝たきり老人見舞金全廃など、県民への直接サービスにかかわる点での抑制が行われてきました。 このような中での県債の新規借り入れは増加しました。新規発行県債1,601億円の64.2%を占めているのが1,082億円新たに借り入れをした土木債です。これで県債残高は2兆2,947億円になり、その62.5%を土木債が占めることとなりました。 県は2002年、地方交付税にかわるものとして措置された臨時財政対策債を特別会計で発行しました。もともと臨時財政対策債は、福祉、医療、教育などの施策を充実させるために活用できるものです。一般会計で臨時財政対策債を発行すれば、公共事業を抑制しない限り、県債発行額が自主財源の10%目標からかけ離れることとなります。そうなれば、県債を主な財源としている公共事業を抑制して目標に近づけなければなりませんでした。そのために県は臨時財政対策債を公債管理特別会計で発行しました。結果として土木債の発行抑制は行われず、県債現在高を引き上げることになりました。 ここでさらに問題なのが、大部分が県債で賄われている土木費の翌年度繰り越しの問題です。2001年度土木費の17.5%が翌年度繰り越しとなっていましたが、決算年度の2002年度も相変わらず多額で、16.3%が翌年度繰り越しとなりました。 また、土木費の中でも、道路橋梁費は特に翌年度繰り越し額が大きく、予算の21.2%、5分の1以上が繰り越されました。また、道路橋梁費の85.5%は県債で賄われております。土木費は毎年のように多額の繰り越しを行うということを繰り返しながら、県債発行は飛び抜けて多いという財政のあり方で、これは改めるべきです。 道路建設に当たっては、用地買収と工事計画のあり方を見直すことなどが必要です。県債発行を抑制し、バブル崩壊前の借り入れレベルに戻し、財政の健全化を進めるべきです。 環境費については、芦名産業廃棄物最終処分場建設は民間施設のモデルとともに、県内で増加する産業廃棄物最終処分量に対応する緊急補完的処分場という二つの建設理由が環境アセスでは示されていました。 しかし、環境アセスで示された最終処分量と神奈川県廃棄物処理計画での最終処分量とは大きな差が出ていることが判明しています。しかも、最終処分量は今後減り続けるとしています。そして、県が横須賀市へ出した建設許可申請には、緊急補完的処分場の理由を除いております。つまり、緊急補完的処分場としての建設根拠はなくなったことを示しております。また、この建設に対しては住民に理解と合意がなされたとは言えません。いまだに建設に対する疑問の声も多く、反対運動があります。県は住民の意思を無視し、強権的なやり方で横須賀市に建設許可申請を提出し、工事を強行しました。住民合意の点からも、緑地保全の面からも認められません。 農林水産業費については林業費についてですが、これまで神奈川県産の材木を使った県有施設がつくられたことがないということが明らかになりました。県内産の木材が使われる取り組みがされてこなかったことは問題です。今後、県教育委員会が二つの養護施設を建設する。学校のリフレッシュ工事などが行われる。これらの施設建設や市町村への協力要請もしっかりと行うこと、また、オール県庁で神奈川県産材を利用するということが必要です。また、一般住宅建設では、県産材は値段が高い、材がそろわないとの声があります。この点では、間伐材でも十分利用ができることをアピールすることや、県産材を使えば補助があるなどの取り組みを進めていくべきです。 また、林業・木材産業構造改革事業費補助を使い、林業の近代化、機械化を進めて、コスト面での削減や需要に見合う対応ができるようにすれば、神奈川県は大消費地を抱えているのですから、おのずと需要は高まると考えます。 現在シックハウス症候群が問題になっていますが、その中には合板の接着剤や外材の防腐、防虫処理にかかわる環境ホルモンも指摘されております。地産地消で県産材の無垢材を使うことでの安全性やそのよさを県民が知り、また森林の価値や県産材を利用することによって森林保全がされることを理解していけば、さらに林業振興を促すと考えます。 林業費の中の公共事業関係費が48億330万円で林業費の71.2%も占めております。公共事業重点は改め、流通や近代化への支援策に力を入れていくべきです。 次に、商工費についてです。 中小企業制度融資では、企業化支援やフロンティア支援はかなりリスクの高い政策的な融資制度で、返済ができなくなった企業になりかわって行う代位弁済率は7%です。中小企業制度融資全体では3%ですから、かなりの高率です。 ところが、同和対策での制度融資は、この代位弁済の割合が飛び抜けて高くなっています。決算年度の2002年度は代位弁済率が20%を超えています。代位弁済の率が大きい融資は、融資の調査がきちんと行われていたのかが問われる問題ですが、これまでの調査で、この融資に関連しては、虚偽申請にかかわった4人が逮捕され、全日本同和会の会長・事務局長も逮捕されました。その他に3件を含めて5件の不正融資が明らかになっていますが、県として調査を行い、その責任も含めていまだに明らかにされていないことは問題です。 同和対策特別融資は一般的な制度融資と違い、団体の保証があれば融資が行われるというものです。団体から申請がされれば、事実上フリーパスで融資が実施されてきました。こうした中で、明らかに不正なやり方で融資が行われている事例が判明したわけです。他の同和指定団体からは、公的な審査機関を求める声があったにもかかわらず、県がそうした声に耳を傾けてこなかったことは問題です。 最後は、警察費についてです。 この間の神奈川県における刑法犯発生件数の増加は顕著です。県民は何よりも犯罪のない地域社会を願っています。深刻な不況、倒産、失業、雇用不安と生活の基盤が崩れている中で犯罪が増加しています。 刑法犯増加の中、県警の刑法犯検挙率は2002年以降は低下していき、1998年の51.1%もの検挙率が、2002年には19.2%に下がりました。検挙率だけではなく、実際の検挙数で見ますと、99年7万件以上あった検挙数が、2002年には3万6,000件にも落ち込んでおります。県警は2001年と2002年にそれぞれ360人、2年間で合計720人の現場の警察官増員を図りましたが、検挙数は依然落ち込んだままであったわけです。 神奈川県警をめぐっては、99年、警察官の地位を利用した不祥事が次々と明らかになり、市民にとっては県警への信頼を大きく失墜させました。しかも、深刻なことに不祥事は後を絶たない状況です。警察官や県警職員の不祥事に対する懲戒処分は、99年39件、2000年33件、2001年43件、2002年65件です。 刑法犯検挙数激減は警察の信用失墜と大きくかかわっていると考えざるを得ません。県警は職員名簿さえ公表していませんし、組織、活動、教育などについても明らかにしていません。不祥事の根絶の手だてとしても、徹底した情報公開を行い、県民と新しい信頼関係を築いていくことが求められているにもかかわらず、これでは極めて不十分です。 以上、主な理由を述べ、認第2号 平成14年度神奈川県一般会計及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定に反対いたします。 以上で終わります。〔拍手〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025035-諸事項-90採決》 90 採決
○議長(桐生忠一君) 以上で討論を終わります。 採決いたします。 日程第4、認第2号 平成14年度神奈川県
一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県
特別会計歳入歳出決算の認定について、決算特別委員会の報告どおり認定することにご賛成の方は、ご起立を願います。〔起立多数〕
○議長(桐生忠一君) 起立多数により、決算特別委員会の報告どおり認定することに決しました。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025036-諸事項-91請願上程-第23号外8件》 91 請願上程 第23号外8件
○議長(桐生忠一君) 次に、日程第5、請願第23号 生活保護受給者への慰問金継続を求める請願外8件を議題といたします。 請願書の朗読は省略いたします。〔本会議録巻末137頁参照〕
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025037-諸事項-92同-委員会付託》 92 同 委員会付託 お諮りいたします。 以上請願9件につきましては、お手元に配付いたしました請願付託表のとおり、所管委員会に付託して審査を願うことにいたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(桐生忠一君) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 所管委員会におかれましては、慎重審査の上、その結果のご報告を願います。
△《本会議録-平成16年2定-20040226-025038-諸事項-93散会》 93 散会
○議長(桐生忠一君) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 お諮りいたします。 明27日から3月18日までは、委員会における審査等のため休会いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(桐生忠一君) ご異議がないと認めます。 よって、そのように決しました。 次回の会議は、3月19日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。午後7時1分 散会...