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  1. 東京都議会 2023-03-09
    2023-03-09 令和5年予算特別委員会(第4号)(速報版) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時開議 ◯小宮委員長 ただいまから予算特別委員会を開会します。  これより付託議案の審査を行います。  第一号議案から第二十八号議案まで及び第百十号議案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き総括質疑を行います。  吉住はるお委員の発言を許します。 ◯吉住委員 国では、平成二年のいわゆる一・五七ショックを受け、平成六年のエンゼルプランの策定に始まり、新エンゼルプラン少子化社会対策基本法の制定、そして、消費税率の引上げの増収分を財源として、平成二十七年には子ども・子育て支援新制度、令和元年には幼児教育、保育の無償化をスタートさせ、本年四月からはこども家庭庁を発足させるなど、これまで子育て支援、少子化対策ともいえる事業に積極的に取り組んできました。  そして、その中で特に重点的に取り組んできたのが、保育サービスの充実、待機児童の解消があります。小池知事におかれましても、都政の最重要課題と位置づけて取り組んでこられました。  しかし、先日の新聞報道にもあるように、日本の出生数は七年連続で過去最少を更新し、少子化に歯止めがかかりません。都においても、令和三年の合計特殊出生率が五年連続減少して一・〇八となっており、単純に年間の出生数だけ見ても、知事が就任された平成二十八年が十一万一千九百六十四人だったのが、令和三年には九万五千四百四人と、五年連続で減少しています。  当然、この間の新型コロナの影響も大きくあるとは思いますが、これまでの国や東京都などの地方自治体が行ってきた保育園などの待機児童対策が、少なくとも少子化対策という意味では十分に効果を発揮しているとは私には思えません。単純に、子育て支援イコール少子化対策ではないことは理解しています。待機児童対策においても、少子化への対応をはじめ、男女共同参画社会の推進や若年労働力の確保など幾つか目的があると思いますが、やはり私は、これまでのやり取りなどを聞いていても、少子化対策としてのウエートが大きかったのではないかと考えています。  そこで、小池知事に伺いますが、都政の最重要課題として取り組んできた待機児童対策は、少子化対策の一環として取り組んできたという認識でよろしいのでしょうか。お答えください。 ◯小池知事 国会議員時代から、様々な議連を立ち上げたり、女性活躍、少子化対策に取り組んでまいりました。そして、都知事就任後、チルドレンファーストの社会の実現に向け、これまで重ねてきた子供や女性政策の実践に加速度的に取り組んでおります。スピードが問題だと、そして覚悟が問題だと、私は常々思っております。  この間、待機児童対策をはじめ、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を東京都として率先して行ってまいりました。  今後とも、それぞれの施策に全力で取り組み、その時々の社会情勢を踏まえながら、先ほどの待機児童対策も含めて、子供を産み育てたいという願いを実現するべく、取組を進めてまいります。 ◯吉住委員 直接的な表現ではあまりございませんでしたが、知事として少子化対策の一環で取り組んできたというご答弁をいただいたと理解しました。  次に、少し細かい質問になりますが、現在、保育園児一人当たりの保育にかかっている費用について伺います。  保育園は、都内の区市町村によって保育士の配置基準などが異なっているので、運営費も異なるとは思いますが、都内の平均で年齢別一人当たり月幾らぐらいの運営費がかかっているのか、分かる範囲で結構ですのでお答えください。 ◯西山福祉保健局長 区部に所在する定員百人の認可保育所において試算した場合、公定価格と保育士等キャリアアップ補助金を合わせた児童一人当たりの費用の月額は、ゼロ歳児が約二十五万九千円、一、二歳児が約十五万六千円、三歳児が約七万六千円、四、五歳児が約六万六千円となります。 ◯吉住委員 ご答弁ありがとうございました。今のご答弁は、国の定めた公定価格と都の上乗せ分だけの額でありまして、そのほかにも各区市町村が独自に、保育の質の向上や職員の負担軽減などのために上乗せをしています。  私の地元新宿区の私立保育園の運営費は、令和三年度決算で、概算一人当たり月額、ゼロ歳児、約三十四万一千円、一、二歳児、二十五万二千円、三歳児、十八万六千円、四、五歳児が十六万五千円となっています。
     公が人の子供を預かるというのは、それだけ責任が重大だということですが、多額の費用がかかっています。保護者の方からは、ゼロ、一、二歳児については所得に合わせて保育料をいただいておりますが、保育園の運営に係る費用の大部分が税金で賄われています。  続けて質問いたしますが、小池知事就任後の保育関係予算について、年度ごとの予算額と合計額を伺います。 ◯西山福祉保健局長 保育関係の当初予算額は、平成二十九年度は約一千三百八十一億円、平成三十年度は約一千五百七十七億円、平成三十一年度は約一千七百四十五億円、令和二年度は約一千九百四十六億円、令和三年度は約一千九百八十四億円、令和四年度は約一千九百六十三億円、令和五年度は約二千百六十二億円であり、合計は約一兆二千七百五十八億円となります。 ◯吉住委員 ありがとうございました。右肩上がりで増えていることが分かります。七年間で約一兆二千七百億円というのも大変大きな数字だと感じました。待機児童解消の取組は、冒頭申し上げたように、幾つか目的があると思われますが、少子化対策という観点だけから見れば、費用対効果が低いように思えてしまいます。  このたび、都では、令和五年度予算で、新たに子供を二人以上持ちたいと願う方の経済負担軽減のために、独自支援策として、第二子の保育料無償化のための百十億円ほどが計上されています。このこと自体を否定するものではありませんが、現状においても保護者負担が二分の一となっています。限られた予算の中での少子化対策としては、十分に効果を発揮するのか不安を感じます。  所得制限などを設けず、全ての第二子の保育料を無償化することとしている趣旨について伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、二人以上の子供を育てたいと願う方々をひとしく支援をするため、令和元年から国制度の世帯要件を緩和し、収入や第一子の年齢にかかわらず、第二子の保育料を半額、第三子以降の保育料を無償化する独自の取組を開始いたしました。  この間、少子化が一層進行しており、子供を二人以上育てたい方の経済的負担をさらに軽減するため、来年度から第二子の保育料を無償化するものでございます。 ◯吉住委員 二人以上の子供を持ちたいと願う方々をひとしく支援するためということでございました。  私は、国も東京都も、少子化対策という意味では、ある特定のライフスタイルを応援することだけに重点を置くのではなく、子供を産み育てたいと願うご家庭のニーズを的確に捉えて、バランスよく対応すべきだと思っています。  国立社会保障・人口問題研究所全国家庭動向調査によりますと、子供が三歳くらいまでは母親は仕事を持たず育児に専念した方がよいの世帯の中で結婚している、または結婚経験のある女性の賛成割合は、回を重ねるごとに減少傾向にはあるものの、令和元年に公表された第六回調査においても、全体で七一・二%が賛成しています。最も割合の低い三十歳から三十九歳であっても、五三・二%が賛成しているとのことです。  私は、男女を問わずといわせていただきますが、家庭を持ち、自分の子供を持つのであれば、特に乳幼児期は、でき得ることならば在宅で、自分の手で子育てをしたいと思う方もかなりの割合でいると思っています。  ここで、先日、ある幼稚園児の保護者の方が私にしてくださった話を引用します。  私は、自分の産んだ子供は自分の手で育てたいと思い、仕事を辞め、在宅で子育てに専念してきた。でも、世の中は、保育園に子供を預けて仕事をするご家庭だけをもてはやしているように感じられ、本当に子育ては大変なのに、強い孤独感と劣等感を感じたと涙ながらにお話ししてくださいました。  私は、在宅子育て家庭をより積極的に支援することにより、よりよい子育て支援、ひいては少子化対策につながると考えます。  そこで伺いますが、来年度から開始する保育所等における地域の子育て支援事業に五億円の予算が計上されています。数少ない在宅子育て家庭の支援に向けた事業のようにも感じますが、事業開始の経緯や趣旨について伺います。また、円滑な事業の実施に向け、どのように展開していくのか、併せてお答えください。 ◯西山福祉保健局長 昨年の児童福祉法改正によりまして、区市町村は、身近な子育て支援の場である保育所等において相談機関の整備に努めることとされました。  都は、これも踏まえ、育児不安を抱える在宅子育て家庭等を支援するため、保育所等に育児相談に応じる場を設ける区市町村への支援を来年度から開始をいたします。  本年一月、区市町村に対し、事業の概要を説明しており、今後速やかに実施要綱やQ&A等を発出し、保育事業者への周知を依頼してまいります。 ◯吉住委員 児童福祉法が改正され、令和六年四月から施行されるのに先立って、相談機関の整備が努力義務とされた区市町村を支援するための事業ということです。  次に、多様な他者との機会の創出について伺います。  約二十四億円が新たに計上されていますが、先日、他会派の質疑もございましたが、予算案の概要には在宅子育て家庭向けのメニューであるように記載されています。事業開始の経緯や趣旨について伺います。また、こちらも円滑な事業の実施に向け、どのように展開していくのか、併せてお答えください。 ◯西山福祉保健局長 都は、乳幼児期から多様な他者との関わりを持ち、子供が健やかに成長できるよう、幼稚園や保育所等で在宅子育て家庭の子供を定期的に預かる取組を来年度から開始をいたします。  在宅子育て家庭の中には、育児不安を抱える家庭もあることから、支援が必要な家庭を把握した場合に関係機関につなぐ区市町村の取組も支援をいたします。  この事業の概要も本年一月、区市町村に説明をしており、今後速やかに実施要綱やQ&A等を発出し、幼稚園や保育所等の事業者に周知するよう依頼をしてまいります。 ◯吉住委員 この事業が真に在宅子育て家庭を支援するための事業になっていくのか、今後、しっかりと見ていきたいと思います。  次に、私立幼稚園の預かり保育について伺います。  幼稚園は、子供たちの興味や関心を大切にし、友達との触れ合いを経験できる場所であり、子供の生涯にわたる心身の発達の基礎を培うところです。  特に幼稚園児の九割が私立に通っており、私立幼稚園は東京の幼児教育において大きな役割を果たしています。私立幼稚園の教育は園内だけで完結するものではなく、家庭との連携が不可欠です。幼稚園でどのような教育を行っているのか、また、家庭においてどのように子育てを行っているのかという情報を幼稚園と家庭がお互いに共有し、子供を育てていくということで、より充実した幼児教育が可能となります。そのため、幼稚園における教育というものは、子供にとっても家庭にとっても極めて重要です。  しかしながら、先日の代表質問でも我が党から指摘しましたが、急速な少子化など、幼稚園を取り巻く環境は大きく変化しており、園児の確保に苦慮している幼稚園も多いと聞いています。私立幼稚園も社会のニーズに応えるべく、様々な取組を実施してきています。その一つが預かり保育であり、約九割の私立幼稚園が預かり保育を実施しています。預かり保育を長時間やっていただければ、保護者の様々なニーズに対応できて効果的な取組であり、園児の確保にもつながります。  預かり保育を実施する私立幼稚園に対し、都はどのような支援を行っているのか伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 預かり保育は、幼稚園での教育を望む保護者に機会を提供する上で重要な役割を担っております。  都は、保護者のニーズに対応して、幼稚園の標準教育時間の前後に保育の必要な子供に対して行う預かり保育や、幼稚園入園前の二歳児以下の子供の受入れなどを行っている園に対しまして、運営費の一部を補助するなど、幅広く支援を行っております。  特に、年間を通じた長時間の預かりなど、積極的な取組を行っている園に対しましては、TOKYO子育て応援幼稚園として認定をし、都独自に上乗せ補助を行っております。 ◯吉住委員 都として、二歳児以下の受入れに取り組む幼稚園への支援も行っていることは評価します。  子育てに手がかかる二歳児以下の子供を持つ世帯への支援の方策として、幼稚園の預かり保育の充実はとても重要です。保育を必要とする子育て世帯の着実な利用促進を図るため、利用者の立場も踏まえて、二歳児以下の子供を持つ子育て世帯への都の支援を拡充していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 保育の必要な二歳児以下の子供を幼稚園に預けたいと考える子育て世帯への支援は重要でございます。  そのため、子育て世帯への支援の充実を図ることができるよう、幼稚園の現場実態や保護者の利用状況、二歳児以下の子供に係る預かり保育の現状を踏まえまして、都の対応策を引き続き検討してまいります。 ◯吉住委員 少子化対策の一つとして、私立幼稚園を積極的に活用することが重要だと考えます。国の幼児教育無償化において保育園は完全無償になっていますが、幼稚園を利用する保護者には所得制限も含め一部負担が残っており、都の支援を求める現場の声もあります。引き続き、都として、幼稚園及び幼稚園を利用する保護者に対する支援の一層の充実を求めます。  この辺で少子化対策の関連の質問をちょっと一区切りつけたいと思うんですが、小池知事は先日の所信表明演説の中で、少子化は紛れもなく国の存亡に関わる国家的課題です。だからこそ、国の首都である東京がリーダーシップを取り、発想の転換を導いていかなければなりませんと発言されています。私も同じように感じています。  しかし、現在、都が進めようとしている子育て支援策は、これまでどおり共稼ぎ家庭に重点が置かれ過ぎているように感じてなりません。実際に、国の調査によれば、おおむねゼロ歳児で七四%、一歳児で四一%、二歳児で三五%が家庭などで子育てしていると思われますし、先ほどお話ししたように、本来であれば、自分の子供はでき得る限り自分の手で育てたいと願うご家庭ももっと多くあるのではないかと考えます。  子育ては、一昔前までは、祖父母も含めた家族や、映画「三丁目の夕日」にもあるような地域社会の手助けも得ながら行われてきました。しかし、核家族化の進行により、そのような共同養育ともいえる機能が社会全体で低下していく中で、私は、東京都がそれに代わるような子育て支援策に積極的に取り組むことが、少子化対策につながっていくと考えています。  そもそも多くの子供たちは、特に幼児期にはお父さんやお母さんの近くに少しでも長くいたいと思っていると思います。小池知事がいうチルドレンファースト社会を目指す上でも、そんな子供の気持ちに寄り添った施策を強力に推進していただくよう知事に強く要望して、次の質問に移ります。  次に、家庭などに居場所がない青少年の実態把握と支援について伺います。  青少年は、次代を担う大切な宝であり、健全な成長が望まれます。しかし、現在、家庭などに居場所をなくした青少年たちが繁華街などにたむろする現象が起きています。ただ集まっているだけならば問題は少ないようにも思いますが、悪意のある大人により、青少年が様々な犯罪に巻き込まれる事件も度々発生しています。  こうした状況の象徴的な場所となっているのが、新宿区歌舞伎町の、いわゆるトー横です。私は昨年の第三回定例会においても質問しましたが、断続的にマスコミで報道されているように、トー横に集まる青少年も犯罪被害に遭ったり、飲酒、喫煙などの問題行動を起こしたりしており、見過ごすことができない状況が続いています。一刻も早い対策の実施が求められています。  都では、こうした状況を受け、青少年問題協議会を立ち上げ、対策の検討を進めています。この検討を進めるに当たっては、トー横の実態について把握することが必要不可欠です。具体的には、ここでどのような犯罪などが起きているのかということや、青少年がなぜトー横に来訪するのかということを知っておくことが重要だと思いますが、都が現時点で把握しているトー横に集まる青少年の実態について伺います。 ◯小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都は、いわゆるトー横の実態把握のため、この地域に集まる青少年に関わる関係団体等からヒアリングを実施しております。  その結果、児童虐待等家庭に問題を抱える者や、学校生活になじめない者のほか、刺激、非日常感を求める者など、様々な背景、事情を有する青少年が集まっているものと承知しております。  また、警察等関係機関からの情報によりますと、児童買春、薬物の過剰摂取、暴行、窃盗、特殊詐欺への勧誘等の事案が発生していると聞いております。 ◯吉住委員 今のご答弁でも、現時点で努力されていることは伝わってきますが、トー横においては、同じ人が恒常的に滞留しているわけではなく、流動的で不定期に入れ替わるなど、この地域の実態把握は想像以上に困難が伴うと思います。  実態把握については、いうまでもなく、それそのものが目的ではなく、問題の本質に少しでも近づき、より効果的に施策を講じるために、しっかりと行うべきものであると考えます。実態把握の手法などを検討の上、もう一歩踏み込んだ把握に努めることが大切だと考えますが、都の見解を伺います。 ◯小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 トー横に集まる青少年に係る対策を一層効果的に推進するため、より詳細な実態把握を行うことは重要でございます。  現在、有識者委員等から構成されます青少年に係る重要な問題を調査審議する青少年問題協議会におきまして、実態把握の在り方を含め議論をしていただいており、都は、その答申を踏まえまして、さらなる対策を検討してまいります。 ◯吉住委員 ぜひしっかりと議論し、一歩踏み込んだ実態解明を進めてもらいたいと思います。  今年一月の青少年問題協議会において、有識者委員の講演の中で、小児期に受けた虐待などによる心の傷と、大人になって生じる各種問題とは相関関係があるという話を聞きました。先ほどの答弁ではそこまで踏み込んでいませんが、私は、トー横に集まる青少年について、虐待などにより心の傷を負った子供がかなりいるのではないかと思っています。この心の傷を負う青少年が一人でも生じないようにするため、もう一歩踏み込んだ対策を検討すべきだと考えています。  先ほども話に出ました令和四年六月に児童福祉法が一部改正された背景として、その趣旨にもあるように、児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている状況があります。児童虐待を未然に防止するためには、早期から家庭に関わり、予防的な支援を行うことも重要な取組の一つだと考えますが、都の見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は令和三年度から、予防的支援推進とうきょうモデル事業を開始し、四区市の子供家庭支援センターに専任のケースワーカーを配置し、母子保健部門と一体で支援を行うチーム体制を構築してございます。  今年度は、専任のケースワーカーが中心となり、家庭訪問や電話などにより、妊娠期から出産後まで、子育て家庭のニーズをきめ細かく把握しながら、継続的に支援をしてございます。  来年度は、こうした取組の効果を検証してノウハウを取りまとめ、令和六年度以降、他の区市町村に展開をしてまいります。 ◯吉住委員 令和六年度以降は都内の区市町村に展開していくとのことですが、区市町村の虐待相談件数も増え続けており、虐待対応のワーカーの確保が難しい状況の中、新たにワーカーを配置して取り組んでいただくためには、モデル事業の効果をしっかりと示していく必要があると考えます。  どのように事業の効果を検証し、区市町村に展開していくのか伺います。 ◯西山福祉保健局長 本事業では、東京都医学総合研究所への委託により、データ分析に基づく効果検証などを実施してございます。  具体的には、面談や家庭訪問、相談支援などについて、対象家庭を、現行のサービスを受けるグループと支援プランに基づくサービスを受けるグループに分け、サービスの効果や当事者の満足度等のデータを収集し、比較検証してございます。  来年度は、この検証結果等を踏まえまして、区市町村が効果的に取組を進められるよう、専門職向けの支援マニュアル研修プログラムを作成してまいります。 ◯吉住委員 しっかりと取り組んでいただければと思います。  次に、親としての準備学習、親性を育む取組について伺います。  親性とは、親の性と書きます。近年は、核家族化とそれに伴い地域の人間関係が希薄になる中で、実際に育児を見たり体験したりするなどの養育や育児について学習することがないまま親になることが多くなり、親としての役割や行動に問題が生じる一因になっているといわれています。  このような現状を踏まえ、次の世代である中高生に、子供への愛情や子育ての知識、技能など、親性を育む取組が必要だと考えます。そこで、学校において中高生が幼児と交流する活動の一層の充実を図るべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。 ◯浜教育長 子育てなど親や家族の果たす役割を学ぶ教育は、学習指導要領に基づき、家庭科等で実施することとなっております。  例えば中学校や高等学校では、幼児の発達における家族の関わり方について理解を深める学習を行ったり、近隣の保育所や幼稚園の園児と一緒に遊びながら体験的に学んだりしています。  都教育委員会は、こうした学習の一層の充実を図るため、効果的な指導事例を区市町村教育委員会都立高等学校に周知するなど、学校の取組を後押ししてまいります。 ◯吉住委員 次に、学校における体験活動の充実について伺います。  先日の第一回定例会の我が党の代表質問において、学校における体験活動の機会を提供する事業についての質問に対し、教育長から、来年度も全ての公立学校、私立学校を対象に、多様な体験活動の機会を提供していくと答弁がありました。  しかしながら、今年度実施した子供を笑顔にするプロジェクトの実施状況を見てみますと、公立学校は約八割が活用したのに対し、私立学校は一割強にとどまっています。  そこで、来年度は、より多くの私立学校から手が挙がるよう積極的に活用を促していくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 本年度実施をしました子供を笑顔にするプロジェクトに参加した私立学校からは、ふだん学校ではなかなかできない体験ができた、新たな気づきを得た生徒が多く楽しい時間となったなどと評価する声が寄せられております。  令和五年度におきましては、さらに多くの私立学校が本事業を活用できるよう、事業内容の周知時期を早めるとともに、利用実績のある学校の声を紹介することも含めまして、都内私立学校関係者が多く集まる会議など、あらゆる機会を通じて周知を図ってまいります。 ◯吉住委員 昨年の九月に私立中高の設置者の先生方に伺ったところ、子供を笑顔にするプロジェクト事業そのものの存在を知らないとのことでした。教育庁が主導の事業とはいえ、生活文化スポーツ局にも予算がついています。  本日開幕するWBC、ワールド・ベースボール・クラシックへも、この取組を活用して一万一千人の子供たちが参加しますが、参加校は公立学校百十四校に対して、私立学校は一校にとどまっています。来年度はしっかりと私立学校にも周知を行っていただき、より多くの子供たちが貴重な経験ができるよう、この取組を積極的に広げていただくことをお願いして、次の質問に移ります。  次に、出火防止対策について伺います。  都は、来年度予算案に、感震ブレーカーを木造住宅密集地域の対象世帯に配布する事業として、二十一億円余りを計上しました。新たな被害想定でも、同時多発火災の発生など、火災による甚大な被害の様相が明らかになっており、出火防止対策の取組を進めることが重要であることはいうまでもありません。  我が会派も業界団体からいろいろと話を聞いていますが、感震ブレーカーには様々な種類があり、それぞれメリット、デメリットがあることから、例えば在宅医療機器を使用する世帯での留意事項など、都民にも分かりやすい丁寧な説明が必要です。  また、三十二万個を配布するとなれば、おのずと機器の種類も限られてくるため、信頼性のある機器をしっかり確保する必要がありますが、その確保は可能なのでしょうか。また、同様の取組を進める区市町村との連携も不可欠です。  そこで、信頼性のある機器の必要数の確保や配布時の都民への丁寧な説明、同様の取組を進める区市町村との連携などの課題を踏まえて、本事業が都民にとって一層有効な施策となるよう取組を進めるべきだと考えますが、都の見解を伺います。 ◯野間総務局長 出火防止に効果的な感震ブレーカーを適切に利用することは、延焼などの被害を軽減する上で重要でございます。  このため、感震ブレーカーの配布に当たりましては、国のガイドラインで定める出火予防性能を満たす製品を必要数確保いたします。  また、配布時に、設置により期待される効果等をリーフレット等で丁寧に周知するとともに、適切な利用方法や有用性について都民の理解を促してまいります。  さらに、配布時期や方法につきましては、町会、自治会と緊密に連携を図るとともに、区市町村とも十分な調整を行ってまいります。 ◯吉住委員 しっかりとよろしくお願いいたします。  次に、東京都若年被害女性等支援事業について伺います。  私は、昨日の質疑を聞いていて改めて疑問に思うのが、なぜ都は、この事業に関して、委託事業とはいえ、あまりにもチェック体制が補助事業や他の委託事業と比べイレギュラーなものになっているのかということです。都は、委託事業であっても、事業内容の報告や領収書などのチェックなどの必要性については、初めは認識していたのではないかと思っています。  二〇二三年一月二十五日付の夕刊フジによりますと、元都議が、二〇一八年、Colabo側から事業円滑化の必要性などの訴えを受けたといいます。都の担当部局からヒアリングを受け、前向きな対応を要望した経緯があります。このため、元都議は、私の行動が都監査委員が指摘した問題につながった可能性があることは重く受け止めている、ただ、支援事業の目的は非常に意義がある、徹底的な検証と適正化で、本来の運用がなされるよう尽力したいと語ったとあります。  そこで、この事業開始時期と現在までの間で、受託団体に対するチェック体制において変化があった点があるのか伺います。 ◯西山福祉保健局長 若年被害女性等支援事業は、平成三十年度に国のモデル事業として、国の補助要綱に基づき、都は民間団体に委託をして開始しました。  都は仕様書で、事業実績について、四半期ごとに事業実施状況報告書により報告を求め、アウトリーチの実施回数、声かけ人数、相談人数などを確認してございます。  また、関係機関連携会議やケース会議等において取組状況を把握するとともに、必要に応じて現場の状況を確認してございます。 ◯吉住委員 変化があった点はなかったというようなご答弁なんでしょうか。  次に、元都議の都への申入れについて、報道、ご自身のブログでも発言されていますが、改めてどのような内容であったのか伺います。 ◯西山福祉保健局長 本事業について、様々なご意見をいただいてございます。
    ◯吉住委員 私の質問としますと、元都議が都へ申入れしたということについてどのような内容だったかという質問なんですが、その点について、もう一度お答えいただけますか。 ◯西山福祉保健局長 様々なご意見をいただいているということでございます。 ◯吉住委員 その元都議からの申入れがあったかなかったかということについても、お答えはできないというようなことでよろしいんですか。 ◯西山福祉保健局長 本事業について、様々なご意見をいただいているということでございます。 ◯吉住委員 このやり取りをずっと続けていても仕方ないので、感想だけを申し上げて。  二〇一六年の九月の所信表明において、小池知事は、誰が、いつ、どこで、何を決めたのか、何を隠したのか、原因探求する義務が私たちにはある、都議会の皆様と知事、職員がなれ合いや根回しで事を丸く収めるのではなく、都民の皆様の前で決定過程をつまびらかにご覧いただくと述べられておりました。本件においても同様の対応を当然していただくことを求めて、次の質問に移ります。  次に、行政手続のデジタル化について伺います。  都は、東京全体のDXを強力に推進するため、様々な取組を進めています。行政手続をオンラインで申請できるものも増えてきましたが、都民の方々からは、まだまだ窓口に行かなければならないものもあり、さらなるデジタル化を期待する声もいただいています。  推進計画では、約二万八千の全ての手続のデジタル化を進めることとしており、令和五年度までの三か年で七割のデジタル化を目標としています。  そこで、行政手続のデジタル化の取組状況と、デジタル化を進めるに当たっての課題について伺います。 ◯久我デジタルサービス局長 都は、来年度までの推進計画に基づき、行政手続のデジタル化を進めております。  今年度は、都立霊園の使用許可や下水道の技術資格者講習の申込み、中小企業向けの雇用に関する助成金など、全庁の幅広い分野のデジタル化を実施し、今年度末までに全体計画の約六割に当たる約一万八千の手続について完了する見込みでございます。  それぞれの手続のデジタル化に当たりましては、手続を所管する職員にオンライン申請の入力フォームの作成方法を学んでもらうほか、業務フローそのものを見直すBPRを実施する必要がございます。  また、公印を用いる文書につきましては、前提として公印のデジタル化が必要でございます。 ◯吉住委員 本年度末までの約六割のデジタル化に向け、各局と連携して進めているとのことですが、次年度は目標である七割のデジタル化の達成に向け、さらに取組を推進していく必要があります。  また、デジタル化を進めるに当たっての様々な課題もあることが分かりました。こうした課題への対応は、各局の自立的な取組だけではなかなか進まないこともあると思います。  デジタルサービス局がしっかりと各局をサポートし、デジタル化を進めていく必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。 ◯久我デジタルサービス局長 まず、デジタル化の前提となる業務の見直し、BPRの推進のため、実施手順書を作成し、説明会を行うとともに、件数の多い手続については、専門人材が伴走型支援を実施してまいりました。  来年度は支援対象を拡大するとともに、各局の好事例集を作成し共有するなど、支援を強化してまいります。  また、オンライン申請導入のための職員向けの研修会を開催するとともに、申請フォームの作成支援の対象を補助金にまで拡大いたします。  さらに、公印につきましては、オンラインで発出する通知文書を対象として、電子署名を導入してまいります。  これらの取組を通じ、行政手続のデジタル化を推進してまいります。 ◯吉住委員 都民の方々の利便性向上を図るため、全庁を挙げてデジタル化の取組をさらに推進していただくよう、強く要望いたします。  次に、区市町村における行政手続のデジタル化について伺います。  都が目指す東京全体のDXを実現するためには、住民により身近な区市町村における行政手続のデジタル化も急務です。  私の地元である新宿区でも、手数料などの納付に交通系電子マネーやQRコード決済を導入するなど、区民の利便性の向上を図っています。また、電子申請の導入を積極的に進め、区民の皆様が窓口に来庁することなく、二十四時間申請可能とするため、行政手続のオンライン化を進めています。  デジタル化を進める上で重要になるのが、先ほどもご答弁の中にあったBPRですが、区市町村においても、やはりノウハウが少ないと聞いています。  そうした中で、都では、昨年度から区市町村においてBPRを推進していくための支援を始めていると聞いています。これまでの都の支援状況と来年度の取組について伺います。 ◯久我デジタルサービス局長 都では、子育てや介護などの区市町村に共通する手続につきまして、デジタル人材が自治体職員とともにBPRを進め、業務の効率化を進める取組をこれまで計十四団体に実施してまいりました。  例えば、保育事業者への補助金について、デジタルツールを活用して算定を自動化した新宿区の事例や、学童クラブの申請受付をオンライン化し、入所判定を自動化した文京区の事例などがあります。  現在、こうしたノウハウをまとめたハンドブックの作成を進めており、来年度はこれを活用して、BPRに関する区市町村職員向けのワークショップを行うなど、好事例を共有することで横展開につなげてまいります。 ◯吉住委員 これまでの都の支援状況について、よく分かりました。これからも、区市町村を支援する中で得られたノウハウを広く自治体間で共有するなど、引き続き取組を進めていただきたいと思います。  こうした施策を一層推進していくには、それを担う職員の能力開発、意識改革が欠かせません。地域の変化に柔軟に対応し、自らがデジタルの力で変革を生み出すDXを推進できる職員を育成していくことが重要だと考えます。  都は今年度、オール東京で都や区市町村職員のデジタル力を向上させるため、東京デジタルアカデミーを開講いたしましたが、区市町村はこれに非常に期待を寄せています。  そこで、区市町村職員のデジタル力向上に向けた具体的取組について伺います。 ◯久我デジタルサービス局長 都は、今年度、区市町村職員向けに、DXの基礎やデジタルツールの活用をテーマとした勉強会や研修会を計四十八回開催し、約二千四百名が参加いたしました。  来年度は、サイバーセキュリティやデータ利活用など、要望の多いテーマを研修カリキュラムに加えて充実を図るとともに、DXの視点から、業務の見直しについて、都と区市町村の職員が共に議論する研修を新たに実施いたします。  さらに、GovTech東京が、区市町村職員向けの研修プログラムや教材選定の支援を行うとともに、講師として専門人材を派遣いたします。  これらの取組により、区市町村職員のデジタルスキルの向上につなげてまいります。 ◯吉住委員 区市町村のデジタル化を進めるためには、現場の課題に即したBPRの実践と、それを支える職員の育成が重要です。  今後も、都が目指す東京全体のDXを実現するため、区市町村の取組をしっかり支援していただくよう改めて要望し、質問を終わります。(拍手) ◯小宮委員長 吉住はるお委員の発言は終わりました。      ────────── ◯小宮委員長 菅原直志副委員長の発言を許します。    〔委員長退席、菅野副委員長着席〕 ◯菅原委員 それでは、通告に従いまして質問させていただきます。  昨年六月の都議会定例会の一般質問にて、孤独、孤立対策を取り上げて、小池都知事からは、社会情勢の変化を的確に捉え、国や関係機関との連携も強化しつつ、人々の不安や困難に寄り添った包摂的な社会の実現に向けて全庁を挙げて取り組む、こういう答弁をいただきました。  先週、三月の三日、国は、孤独・孤立対策推進法案を閣議決定いたしました。地方自治体に対しても、孤独、孤立対策を検討する官民協議会を設ける努力義務を課すようです。  本年一月に公表された東京都の「未来の東京」戦略version up二〇二三では、重点政策の一つとして孤独、孤立対策を取り上げています。  まずは、都における孤独、孤立の問題に対する認識と、今回強化を図った内容について伺います。 ◯中村政策企画局長 核家族や価値観の多様化等により社会構造が大きく変化し、人と人とのつながりは希薄化の一途をたどってきております。  こうした中で、コロナの長期化がありまして、孤独、孤立の問題が顕在化、深刻化している。このようなことから、誰一人取り残さない社会の実現に向け、取組の強化が必要となっております。  これまで、組織横断の孤独・孤立対策プロジェクトチームで検討を進めており、今回の戦略のバージョンアップでは、自殺総合対策計画の改定や、子供、子育て家庭向けのバーチャルな居場所づくりなど、包括的、分野横断的な取組を拡充しております。  さらに、困難を抱える若者や女性、ひきこもりの方々等、個々の状況に応じたきめ細かい支援も盛り込ませていただきました。  今後とも、国の動きも注視しながら、人々に寄り添った施策を推進してまいります。 ◯菅原委員 今回は、孤独、孤立を軸に、都が取り組むべき課題について質疑をいたします。まずはトー横問題です。  東京都は、青少年問題協議会の中で、犯罪被害のリスクを抱える青少年対策についてとして取組を始めます。まずは、この課題に取り組む基本的な認識を確認します。  いわゆるトー横には全国から子供たちが集まるため、都民ではない子供たちが多いと想定されます。都に住民票があろうがなかろうが、都が抱える問題であることは間違いありません。東京の問題として全ての子供たちと向き合うべきで、都としての総合的な取組が必要と考えています。  青少年問題協議会を立ち上げ、検討を開始した経緯と今後の予定について伺います。 ◯小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 青少年が、いわゆるトー横で児童買春などの犯罪被害に遭う事案等が発生している状況を踏まえまして、都は現在、青少年問題協議会に諮問し、施策の方向性について検討しております。  今後、同協議会におきましてさらに議論を深め、今年の夏を目途に答申を取りまとめることを目指してございます。 ◯菅原委員 今年の夏を目途に諮問に対応していくということです。  都として、トー横の問題を看過することなく対策を講じ始めている点について評価をいたします。検討を着実に進めていただきたいと思います。  青少年問題協議会の答申を受けて、都が施策を検討するには少し時間がかかると感じます。協議会の議論を待つこともなく、今できることを都が行うことは重要です。  来年度、都としてのトー横対策について伺います。 ◯小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都は、来年度、トー横などの繁華街に集まる青少年の性被害等を未然に防止することを目的としまして、普及啓発事業を実施いたします。  具体的には、青少年に影響力のあるタレントを活用した啓発イベントや、SNSによる情報発信などを行います。  今後とも、警察等の関係機関と連携しつつ、各種対策を推進してまいります。 ◯菅原委員 ありがとうございます。  私は、何度もこの歌舞伎町の現場に足を運んで、現状を見てまいりました。トー横キッズはただ集まっているだけです。しかし、その隣には多くのリスクがあります。未成年飲酒や喫煙、オーバードーズやリストカット、パパ活と称した売春行為、万引きや強盗などが日常茶飯事です。さらに、ホストやコンセプトカフェでは、未成年の不法な就労や法外な借金などが行われています。  この不法就労や法外な借金については、東京都の条例などの解釈で取締りができる可能性もあるように思います。今後の取組を要望いたします。  特定妊婦について伺います。  特定妊婦の制度は、貧困やDV、若年妊娠などの社会的な事情を抱えている妊婦を自治体が支える仕組みです。  特定妊婦の中には、住居のない漂流する妊婦もいます。住民票と違う地域に生活している場合もあり、母子手帳すら受け取れない妊婦がいますし、それまでの経験から、そもそも行政や医療とつながることを拒否する妊婦もいます。  私は、様々な事情を抱える特定妊婦を受け入れ、出産前から出産後まで、議論をしてまいりました。妊婦の自殺の時期は、妊娠二か月が突出して多いということも教えていただきました。特定妊婦に対する基礎自治体の取組は重要で、命を守る崇高な理念の下、着実に行われていると思います。  特定妊婦が統計上、この十年で八倍に増えている現状や、漂流する妊婦が東京に集まる傾向があることを鑑み、さらなる取組が必要と考えております。グラフをご覧いただければと思います。  例えば国の補正予算により、特定妊婦等支援整備事業、特定妊婦等支援臨時特例事業として、特定妊婦のケアつき居住支援が可能になりました。  具体的には、民間団体などが運営する、妊婦のケアサポート機能つき一時的な居住地の拡充に活用できるものです。しかし、東京都はこの事業を活用していません。  都としても、国の事業スキームを活用して、特定妊婦の出産を支え、その後の生活再建を支える取組を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都内では、様々な事情で産前産後の時期を一人で迎える方に対し、妊産婦支援に特化した婦人保護施設が、出産やその後の生活について、相談対応も含め支援をしており、都はこの取組に補助をしてございます。  また、十八歳未満で支援が必要な妊産婦については、児童相談所が婦人保護施設のほか、里親やNPO法人のシェルターなどに一時保護委託し、出産後も母子ともに継続的に支援してございます。  令和六年に、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が施行されるに当たり、都は、今後国から示される基本方針に即して基本計画を策定する予定であり、この中で、支援の必要性の高い妊産婦の居場所についても検討してまいります。 ◯菅原委員 次は自殺対策について伺います。  新しい自殺総合対策計画の策定の資料を読んでいくと、児童生徒、学生をはじめとする若年層が自殺に追い込まれることを防ぐとして、自殺を防ぐ記述があります。このことは、ぜひ進めていただきたいと思います。  反面、児童生徒、学生などの若年層が自殺に至った場合、未遂でも既遂でも、本人や家族、遺族への対応も重要になります。  私は、今まで幾つかの自殺事例に関わる中で、学校側の対応への不満などを聞いてまいりました。  教育委員会は、自殺予防には力を入れていると思いますが、自殺した後、ポストベンションといいますが、このポストベンションの対応を想定していないのではないかとも感じます。  このたびの計画策定の中で、自殺未遂への対応や残された方への支援が明記されています。ここに教育委員会や学校現場の対応も組み込むべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。 ◯浜教育長 都教育委員会は、子供に自殺を企図する兆候が見られた場合などに、学校が関係機関等と連携して本人や家族に適切に対応できるよう、文部科学省や都教育委員会が作成した資料の活用を促すなど、教職員の理解を深められるようにしてまいりました。  自殺に追い込まれるという危機は誰にでも起こり得るとの認識に立ち、今後とも、各学校において自殺対策の取組が確実に行われるよう徹底を図ってまいります。 ◯菅原委員 私は三十年にわたり、自殺で親を失った子供たちの話を聞いてきました。  近しい人が自殺をするというのは、人生観を変えるほどの衝撃です。その衝撃的な経験から生まれてくる症状を、悲嘆、グリーフといいます。グリーフは人によってそれぞれ違いますし、時間の経過とともに変化もしていきます。自分ではコントロールできないものです。年齢に関係なく、グリーフを受け止めてくれる環境が必要です。  私は、学校には、近しい人の自殺という経験をした子供たちに徹底的に寄り添って、一人の悲嘆経験を全力で受け止める力があると思っています。そこから生きる力が生まれてくると信じています。  令和四年十月に閣議決定された自殺総合対策大綱では、自殺に対する基本認識として、自殺は誰にでも起こり得ると明記されています。さらに、学校、職場での事後対応の促進や、児童生徒の自殺対策に資する教育の実施なども具体的に明記されています。  東京都は、自殺総合対策の計画の改定を進めていますので、その中で十分に精査していただくよう要望をいたします。  自殺総合対策計画の改定に当たり、どのような関係部局が関与していくのか、また、計画に掲げた取組を進めるに当たり、関係部局はどのように連携していくのかを伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は今年度、次期自殺総合対策計画の策定に当たり、福祉、経済、労働、教育等の関係機関や区市町村等から成る自殺総合対策東京会議で議論を重ね、福祉保健局のほか、産業労働局、生活文化スポーツ局、教育庁など七局、九十七の施策を計画に盛り込みました。  今後、計画に掲げる取組を着実に実行するため、関係各局が参加する庁内連絡会議等を通じて施策の進捗状況を確認し、効果的な取組に向けた意見交換を実施するとともに、関係機関が緊密な連携を図り、自殺対策を強力に推進してまいります。 ◯菅原委員 今ご答弁のあった自殺対策推進庁内連絡会議には期待をします。  この庁内連絡会議には、庁内の関係各局が参加するとのことですが、福祉保健局や産業労働局は当然として、若者の自殺対策を進める視点から、生活文化スポーツ局や教育庁、交通局が参加していることは重要です。
     さらに、自殺の現場には警察官が立ち会う場合が多いと伺っています。警察官にはゲートキーパー講座の受講を行うことで、未遂の当事者やご遺族への声かけの配慮などを徹底していただきたいと思います。  また、現場に関わった警察官は強いストレスを感じる場面もあります。職員自身のメンタルヘルスの視点も重要です。  警視庁も含めた庁内連絡会議のメンバーに入っているとのことですので、さらに取組を進めていただくことを要望いたします。  知事のリーダーシップの下、自殺対策の取組を進めることが必要と考えます。知事の見解を求めます。 ◯小池知事 私は、東京大改革二・〇の中で自殺対策の強化を掲げておりまして、その実現に向け、全力で邁進をいたしております。  自殺の背景は様々な要因が複雑に絡み合っていることから、自殺対策は社会全体で取り組むことが必要であります。  今月末に公表いたします次期東京都自殺総合対策計画におきましては、生きることの包括的な支援として、幅広い分野で施策を取りまとめております。  誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けまして、私が先頭に立って、区市町村や関係機関と一丸となり、都民のかけがえのない命を守る取組を進めてまいります。 ◯菅原委員 ありがとうございます。  多摩動物公園のことを伺います。  日野市にとって、多摩動物公園は特に重要な観光拠点です。多摩動物公園と日野市が連携することで、地域のにぎわいの創出や活性化が期待できます。  例えば、定期的なイベントを開催し、地元の農産物の販売や、コロナ禍で増えたキッチンカーなどを出店することで、動物園への来場者にも喜ばれると思います。  日野市制六十周年を踏まえた多摩動物公園での日野市と連携した記念イベントなどの実施について伺います。 ◯中島東京都技監 都立動物園では、第二次都立動物園マスタープランに基づき、地元自治体など地域との連携を積極的に進めることとしております。  多摩動物公園では、本年、地元日野市が市制六十周年を迎えることから、市と共同で記念イベントを五月に開催いたします。  具体的には、市の観光PRやキッチンカーを活用した地元物産品の販売のほか、多摩動物公園の希少動物に関する講演やガイドツアーなどを実施いたします。  今後も、地元と連携し、地域の活性化に貢献してまいります。 ◯菅原委員 このような取組は継続的に行うことも大事だと思います。  コロナ禍でミニマムツーリズムの考え方が注目されてまいりました。動物園での楽しみ方を多様な視点から検討することを提案いたします。  例えば千葉県では、動物園に宿泊するグランピングなども始まりました。動物への配慮は当然ですが、敷地の広い多摩動物公園なら、いろいろな可能性が議論されてもいいと思います。  ミニマムツーリズムの視点から、貴重な観光施設である多摩動物公園において、新たな視点で魅力向上を図ることも有益と考えますが、見解を伺います。 ◯中島東京都技監 多摩動物公園では、園の魅力向上を図るため、飼育動物の本来の行動を引き出す環境エンリッチメントや地形を生かした行動展示などの工夫を行っております。  また、日中とは違った動物の様子を楽しめるナイトツアーの開催など、様々な取組を行っているところでございます。  さらに、来園者の多くは都内の中学生以下であることから、園の内外において自然環境や野生動物の観察会などの体験型プログラムを実施しております。  こうした取組を通じまして、地域に根差した動物園として、さらなる魅力向上を図ってまいります。 ◯菅原委員 ありがとうございます。  多摩動物公園への重要なアクセスの路線として、京王線の多摩動物公園駅があります。この多摩動物公園駅の無人化の実証実験が始まる見込みです。  多摩動物公園駅というのは、子供たちの遠足に使われるなど、駅の構造に不慣れな子供たちの集団が使います。ホームでの転落事故の危険性もあり、懸念の声が上がっています。  京王多摩動物公園駅の無人化計画と安全性の確保について伺います。 ◯福田都市整備局長 鉄道駅の安全対策は、安全な運行の責任を負う鉄道事業者が自ら取り組むことが基本でございます。  駅員の配置については、各鉄道事業者において、駅の状況に応じて適切に対応すべきものでございます。  お話の京王電鉄では、多摩動物公園駅において、一部時間帯の係員無配置化に関する実証実験を始めるとして、窓口にカメラ付インターホンを設置し、ホーム上にはカメラを増設して近隣駅とつなぐなど、利用者の安全性と利便性に配慮した対策を行った上で、地元への説明会を実施したと聞いております。  今後は、こうした対策の効果も見ながら、地元の意見も聞き、慎重に段階を踏んで進める計画であると聞いております。 ◯菅原委員 多摩動物公園駅の無人化が事業者の経営判断としてやむを得ないのであれば、例えばホームドアを整備してからにすべきではないかと思います。都の見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 駅の無人化を行う場合の安全対策は、駅の利用特性などを鑑みて、鉄道事業者が実施すべきものでございます。  国は、令和四年七月に、駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドラインを公表し、利用者の安全性、利便性確保に係る具体的な目安を示しました。  そこでは、望ましい無人駅のイメージとして、遠隔監視装置など情報機器の設置やホームドアの整備などが挙げられ、できることから実施するよう求めております。  都は、利用者の安全等の確保を図るため、ガイドラインで示された内容も踏まえ、鉄道事業者にハード、ソフト両面から適切な対策を求めてまいります。 ◯菅原委員 ありがとうございます。事業者にハード、ソフトの両面から適切な対策を求めると、貴重な答弁をいただきました。  今回の新型コロナウイルス感染症の経験から、一度感染症が広がった場合、多くの社会的な経費が投入されるという経験を私たちはいたしました。  感染を未然に防ぐというワンヘルスの視点からの社会投資というのがありまして、感染症が拡大した場合の経費と比較すると僅か二%、こういう試算もあって注目を浴びています。  私は、今後も増え続ける動物由来の感染症に対応することも踏まえた取組が必要なのではないかと思います。人、動物、生態系の三つの健康を一つのものとしてみなして守っていくためのワンヘルスという考え方は、感染症だけではなくて生物多様性の保全などにも関わります。  動物由来の感染症のリスクは高まって、ワンヘルスの考え方が議論されていますが、都としての見解を伺います。 ◯佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 新興、再興感染症の多くが動物を感染源としていることから、人、動物、生態系の健康を一つと捉えまして、関係者が連携して課題解決に取り組むべきとするワンヘルスの考え方が広まっております。  都は、動物由来感染症の発生動向の監視や、感染症の正しい知識の都民に対する啓発、野生動物が生息する自然環境の保全などに取り組んでおります。  今後とも、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向けまして、関係者が互いに連携協力して施策を実施してまいります。 ◯菅原委員 ワンヘルスとは決して動物だけの話ではなくて、人、動物、環境がお互いに関係し合うという視点で進めていただきたいと思います。まずは、関係する部局で研究を進めていただくことを要望いたします。  東京都の教員不足の話に移ってまいります。  今年の春には約五十人の不足がありました。そして、夏休み明けには約百三十人となりました。現在も、大きな改善は難しいという状況だと聞いております。  教員の確保について、これまでの取組と今後の方向性について伺います。 ◯浜教育長 教員確保に向けて、都教育委員会は今年度、採用セミナー、TOKYO教育Festa!の初開催や、転職サイトでの社会人向けPRの充実などにより、幅広い層から志望者の掘り起こしを行ってまいりました。  今後、これまでの取組に加えて、増やす取組としての応募人員増加、減らさない取組としての安心して働ける職場環境の整備、そして教員の負担軽減のための外部人材のさらなる活用を三つの柱として、より複合的な視点から対策を強化してまいります。 ◯菅原委員 増やす取組、減らさない取組、そして外部人材のさらなる活用、この三本柱で教員を確保するという方向性が示されました。  ではまず、増やす取組について具体的な内容を伺います。 ◯浜教育長 教員を増やす取組として、志望者の増加に向けて、多様な層が東京の教員をより目指しやすい仕組みに変えてまいります。  学生向けには、大学三年生での採用選考の一部前倒しや合格発表の九月下旬への前倒しを行い、受験意欲を喚起してまいります。  また、社会人向けには、選考時に免許を持たない方も受験できる特例選考について対象を二十五歳まで引き下げるとともに、都を中途退職した教員の復帰を促すカムバック採用を開始いたします。  さらに、免許取得後、企業等に就職し、実際に教壇に立ったことのない方や教員復帰者が安心して着任できるよう、任用前に講習を実施します。 ◯菅原委員 次に、減らさない取組ということも提示されました。具体的な内容を伺います。お願いします。 ◯浜教育長 教員を減らさない取組として、まず、メンタルヘルス面でのサポートを強化するため、臨床心理士等が小中学校を訪問し、その学校の全教員と面談を行うアウトリーチ型相談事業を拡大いたします。  また、新規採用教員が円滑に職務に取り組めるよう、定年退職した管理職等が小中学校において学級経営等をサポートする取組を拡大します。  さらに、職員室において、動線や机の配置などを工夫することで教員同士のコミュニケーションの円滑化を図るなど、安心して働ける職場環境の整備を進めてまいります。 ◯菅原委員 教員を増やすだけではなくて、やりがいを持って働き続けていただくために、教員の負担軽減というのは重要です。そのためには、必ずしも教員が直接行う必要がない業務に、外部人材を積極的に活用していくことが有効です。  都教育委員会はこれまでも、多くの外部人材を配置し、一定の効果は出てきていると認識していますが、働き方改革を確実に進めていくためには、さらに外部人材の配置を拡大すべきではないでしょうか。  教員の負担軽減を図る外部人材の活用について、来年度の取組を伺います。 ◯浜教育長 これまで、スクールサポートスタッフを希望する全ての小中学校に配置してまいりましたが、来年度からは、時間外労働が多い学校に約百人追加配置し、約二千人の配置ができるようにいたします。  また、子供との関わりに特にきめ細かな対応が求められる小学校一年生から三年生までを対象に、学級担任の業務を補佐するエデュケーションアシスタントを一自治体から五自治体に拡大して配置いたします。  これらの取組により、教員の負担軽減を図り、子供たちと向き合う時間をより多く確保することで教職の魅力を高めてまいります。 ◯菅原委員 次に、コミュニティスクールについて伺います。  コミュニティスクールの導入というのは学校改革の一つの手段で、コミュニティスクールは教育委員会が設置するもので、校長が作成する学校運営の基本方針を承認すること、学校運営に対して意見をいえる、教職員の任用に関して教育委員会に意見を述べることができるなどの役割があります。  まずは、コミュニティスクールの意義と区市町村立小中学校の導入状況について伺います。 ◯浜教育長 中央教育審議会の答申では、学校が抱える複雑化、困難化した課題を解決し、子供たちの生きる力を育むために、地域住民等の参画を得た学校運営が求められており、地域と共にある学校を実現していく上で、コミュニティスクールは一つの効果的な仕組みとされております。  コミュニティスクールは平成十六年に制度化され、平成二十九年には、地域との連携、協働体制を組織的、継続的に確立するため、各学校への設置が努力義務とされました。  都内区市町村立小中学校の導入状況は、令和四年五月一日現在で七百十四校、導入率三八・一%となっております。 ◯菅原委員 杉並区立桃井第四小学校では、ももしサーモン計画として、第四小学校を卒業した大学生などが、地域の一員として学校を支援するために学校に戻ってくるという取組があります。  今後、コミュニティスクールを活性化させるためには、このサーモン計画のような取組の視点も取り入れていくべきと考えます。都教育委員会の見解を伺います。 ◯浜教育長 都教育委員会はこれまで、コミュニティスクールの導入事例や優れた取組等を紹介する研修会を開催するなど、コミュニティスクールの導入を推進してまいりました。  昨年十二月に開催したコミュニティスクール推進フォーラムでは、卒業生である大学生が学校運営に携わっている杉並区立桃井第四小学校の取組や、小学校と中学校で一つの学校運営協議会を設置し、地域住民等により、主体的な学校運営が行われている板橋区立板橋第五中学校と板橋第四小学校の取組を紹介いたしました。  今後も様々な事例を学校へ紹介することで、コミュニティスクールの意義を伝え、導入促進を図ってまいります。 ◯菅原委員 学校の運営に地域住民が参画することに対する抵抗というのもあるようですが、地域全体で学校を支える仕組みが定着をすることで、そのような不安も軽減できるように思います。ぜひ進めていただくよう要望をいたします。  私は、二〇二二年秋の都議会決算特別委員会において、学校の通信簿の在り方というのを取り上げました。  先日、NHKのニュースでは、通信簿での評価をやめて、児童の成長を認めることに主眼を置いた面談形式を導入しました神奈川県茅ヶ崎市の香川小学校の取組が報道されておりました。  私も、昨年秋にこの香川小学校を視察して、状況を伺ってまいりました。  ここで改めて伺います。小学校における、いわゆる通信簿について、その法的根拠の有無と学校の実態を伺います。また、現在多くの学校で作成されているこの通信簿ですが、その作成、配布する意義を伺います。 ◯浜教育長 いわゆる通信簿について、法令上の作成義務はありませんが、多くの都内公立小学校において、校長の判断の下に作成し、児童に配布しています。  通信簿は、学校における学習の成果や課題、生活の状況などについて、児童が定期的に自らを振り返ることを通して、目標を持って次の学びに向かうことができるようにするなどの意義があります。  また、保護者に学校での状況を理解してもらい、連携して児童を育てることにもつながっています。 ◯菅原委員 法的根拠のない通信簿の在り方の議論というのは、既に現場では始まっています。既に所見欄を廃止した学校というのも出てまいりました。成長の著しい小学校児童の一瞬を切り取って評価すること、そのこと自体に意味があるのか、こういう声もあります。  学校が絶対評価として渡した通信簿が、児童にとっては、隣の誰かと比べる資料になっているというのも現実かもしれません。児童の成長のための評価の在り方について、社会全体で考えていくことを提案いたします。  私は、昨年の一般質問で、生理による体調不良のために登校が難しい女子学生が無理して学校に通っている問題があること、そして、生理による欠席は、単位認定や進級、卒業、進路などの妨げにならないことを周知すべきと提案をいたしました。  教育委員会からは、都立学校や区市町村教育委員会に周知するなど、積極的に働きかけていく、こういう答弁をいただきました。  その後、昨年十月には、全都立学校の副校長及び教務主任を対象とした教育課程編成の説明会などで発言するなどの取組をされています。  今回は、私立学校を管轄する生活文化スポーツ局にも確認をします。  生理によって体調不良のために登校が難しい児童生徒が、学校を休んだ場合に欠席にならないこと、さらに、生理中の学校プールを休むことなどへの配慮について、私立学校の対応をどのように進めていくのか、答弁をお願いいたします。 ◯横山生活文化スポーツ局長 体調不良等の生徒に配慮し、個々の生徒の状態に応じて適切に対応していくことが重要でございます。  私立学校では、それぞれの責任においてよりよい教育活動を目指しており、生徒の健康管理についても学校の判断で適切に行っているものと考えております。  都といたしましては、各私立学校における取組を一層推進するため、都内の各私立学校が集まる場において、健康管理に関する情報の提供などを行ってまいります。 ◯菅原委員 次は米粉パンのことを質問いたします。  昨年六月の一般質問において、学校給食を活用した米粉パンの普及についての提案をいたしました。  改めて、米粉パンの普及に関する意義について、都知事の見解を伺います。
    ◯小池知事 子供たちに米粉パンなどの国産の食材を活用した食育を行うことは、日本の食文化や生産地への理解を深める上で重要です。  また、輸入小麦の代わりとなる国産の米粉を使用したパンを活用することで、子供たちが食料の安定的な供給について考えるきっかけにもなります。  このため、都は令和五年度に、希望する全ての区市町村立学校の学校給食で、米粉パンなどを活用した食育の取組を支援してまいります。  この取組を通じて、子供たちには、大切な日本の食材に興味、関心を持ってもらいたいと、このように考えております。 ◯菅原委員 米粉パンを学校教育や食育で一層活用し、子供たちにもそのよさを伝えていくための今後の取組を伺いたいと思います。 ◯浜教育長 都教育委員会は来年度、希望する全ての区市町村立学校に対し、学校給食で米粉パンなどの国産食材を活用した食育支援を実施いたします。  実施に当たっては、各学校が米粉の使用量が市販品より多い米粉パンを給食に活用できるよう、関係団体と連携するとともに、それに合う献立や食育の取組事例等を区市町村に紹介いたします。  また、各学校における生産地や生産者との交流をはじめとした、食育実施に係る費用を支援いたします。  こうした取組により、子供たちに対する食育を推進してまいります。 ◯菅原委員 昨日、私たち都民ファーストの会の予算特別委員会のメンバー全員で米粉パンを食べてみました。来年度学校給食で提供される米粉パンは、これより米粉の割合が高くて、もっともちもちしているということを伺いました。  都内のコンビニでも販売されています。ぜひ、みんなで食べて、米粉パン、日本の食料自給率の大事な問題だと思いますので、考えていこうではありませんか。  高齢者のことを少し伺います。  都が今年度から開始した、スマートウオッチなどを用いて、高齢者が健康増進に取り組む事業について質問をいたします。  私は先月、この事業の一環として、東京都健康長寿医療センターが地元板橋区で実施する追跡健康調査の現場を視察いたしました。  会場には、体力測定や健康診断を受ける高齢者がたくさん集まって、健診後には、スマートウオッチなどのデジタル機器の説明動画を熱心に拝聴されておりました。この事業への関心の高さが感じられました。  この事業は、収集した高齢者のデータを分析して、健康長寿医療センターにおいて、健康状態の把握や病気の予兆を察知できるアプリを開発する三年間の事業と聞いています。  この事業の初年度である今年度の進捗について伺います。 ◯西山福祉保健局長 今年度は、アプリ開発に向けたデータ収集のため、板橋区や千代田区の協力を得て募集した高齢者や健康長寿医療センターのフレイル外来の患者に対して、スマートウオッチ等を配布してございます。  現在、約千百名の高齢者が継続的にスマートウオッチ等を装着しており、センターで、日常の脈拍等のバイタル情報や、睡眠時間、歩行速度といった身体活動量のデータ収集を進めてございます。 ◯菅原委員 今、答弁をいただきましたように、既に千百名の高齢者がスマートウオッチなどを装着して、日々大量のデータが収集されています。  この収集したデータをどのように活用するのか、来年度の取組について伺います。 ◯西山福祉保健局長 来年度は、スマートウオッチ等から収集したデータを健康長寿医療センターの知見を生かして分析することで、フレイルや要介護など多様な健康リスクとの関係性を解明し、健康リスクを可視化するアプリの開発につなげてまいります。  アプリの開発に当たりましては、ヘルスケア分野でノウハウを有するスタートアップ企業とも連携し、操作性やデザイン性なども考慮しながら、高齢者が手軽に健康状態や病気の予兆を把握できるものを目指してまいります。 ◯菅原委員 先日の視察を通して、この施策は、高齢者の本人にも、そしてまた、社会全体にも多くの利益を享受するんだということを感じました。  五年後、そして十年後、このデジタルの仕組み、スマートウオッチ、またはアンクルウオッチもつけていますよね。これらの施策がどのように進んでいくのか、本当に楽しみになりました。期待をしています。  今月の十八日から、JR東日本がオフピーク定期券というものを導入します。  鉄道の混雑緩和のために、時間別運賃、オフピーク運賃の導入については、かねてから会派として要望を続けてまいりました。  オフピーク定期の導入には幾つかの課題もあると伺っておりますが、都営交通として、検討状況について伺います。 ◯武市交通局長 時間帯別運賃は、ピークとオフピーク等、時間帯によって異なる運賃を設定することで需要を分散、平準化させる手法であり、導入に当たりましては、全体として増収にならないことを前提とする国の基本方針が示されております。  現在、交通局は、都が混雑緩和に向けて設置した研究会に鉄道事業者として参加し、議論しております。  時間帯別運賃につきましては、相互直通運転を実施している鉄道事業者との連携や、エッセンシャルワーカー等、通勤時間を変更することが困難な方への配慮、システム改修経費など、様々な課題があると認識しておりまして、今後も、国等の動向を注視しつつ議論を進めてまいります。 ◯菅原委員 このオフピーク通勤の定期については、かなり大きな課題だと思います。ぜひ情報を収集しながら、検討を進めていただきたいと要望いたします。  最後に、がん対策について伺います。  東京都は、がん対策推進計画の改定に取り組んでいます。がんの予防、医療に加えて、がんとの共生の理念を具体的な形にすることが求められております。  来年度の予算でも、がんと就労の両立、アピアランスケアなどが予算化されていることを評価いたします。  共生の理念の中、がん患者の生活を丸ごと支える姿勢が必要と考えますが、そのためには、患者や家族が抱える悩みを的確に捉えて対応することが重要と考えます。都の見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 がん患者やその家族の置かれた状況はそれぞれ異なっており、治療に関する悩みに加え、精神的、社会的な問題など、相談内容は多様化してございます。  このため、都は、がん診療連携拠点病院等が設置しているがん相談支援センターの相談員に対して、就学や就労をはじめ、ライフステージに応じた相談支援に関する研修や事例検討会などを実施し、対応力の向上を図っています。  今後、患者ががんと共生し、地域で安心して暮らし続けることができるよう、治療と仕事の両立など、多様なニーズに応じた相談支援のさらなる充実に向け、取り組んでまいります。 ◯菅原委員 昨日も、私たちの同僚の藤井あきら都議が、がんとの共生の視点から質問をさせていただきました。  がんママカフェ、地元のがんの自助グループの会合に、私も藤井さんも一緒に伺わせていただきました。  その中で感じるのは、やっぱり文章に出ているがん患者の悩み以外にも、本当に多様な悩みがあるんだということなんです。ぜひ、がん患者の声というのを重要に、様々な声を重要に捉えていただきたいと思います。  この当事者の声を聞く取組を進めて、この改定版に反映すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、東京都がん対策推進計画の改定に向け、今年度、がん患者やその家族に調査をしており、二千人を超える方から回答を得てございます。  調査に当たっては、患者本人の治療に対する不安や、患者の介護に伴う家族への影響などの実態を把握できるよう、世代ごとに設問を変えるなど工夫して取り組んでございます。  今後、この調査結果も踏まえ、東京都がん対策推進協議会やそのワーキンググループで、計画改定に向け、複数の患者団体等の委員の意見も聞きながら検討を進めてまいります。 ◯菅野副委員長 菅原直志副委員長の発言は終わりました。(拍手)      ────────── ◯菅野副委員長 次に、たかく則男委員の発言を許します。    〔菅野副委員長退席、高倉副委員長着席〕 ◯たかく委員 それでは、順次質問させていただきます。  最初に、医療的ケア児への支援について伺います。  現在、都内では、医療的ケアの必要なお子さんは約二千名、私の地元世田谷区にも約百九十人いらっしゃると聞いております。  私は、区議会議員のときより、医療的ケア児の家族の方からいろいろな相談をいただき、区内で受入れできる保育園や学校の整備、また、ショートステイができる障害者施設の拡充等に取り組んでまいりました。  その中で、医療的ケアが必要なお子さんが、地域で個々の心身の状況に応じて安心して生活するためには、在宅生活を支えるサービスの充実が重要であると実感いたしました。  現在、東京都では、都議会公明党の要望を受けて、重症心身障害児者や医療的ケア児等の在宅レスパイト・就労支援事業を行っております。  この事業は、看護師が自宅に訪問し、家族が行っている医療的ケアを行うものであり、現在、年間九十六時間が利用限度であります。月にすると八時間、週にすると約二時間程度であり、利用者の方からは、時間数を拡大してほしいとのお声をたくさんいただいております。  私も、昨年の厚生委員会でも質問させていただきましたが、この医療的ケア児の保護者支援は大変重要であり、時間数を拡大し、医療的ケア児とその家族へのさらなる支援を求めるところでありますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、医療的ケア児等の家族の休養や就労を支援するため、訪問看護師を家庭に派遣し、家族に代わって一定時間医療的ケア等を行う区市町村の取組を、在宅レスパイト・就労等支援事業で支援してございます。  来年度からは、保護者のニーズ等を踏まえ、利用上限時間を年間九十六時間から百四十四時間に引き上げ、医療的ケア児とその家族に対する支援の充実を図ってまいります。 ◯たかく委員 令和五年度からは、年間九十六時間から百四十四時間に拡充されることは大変評価させていただきます。  在宅レスパイト・就労支援事業を進めるに当たっては、まず、家族に代わって在宅で医療的ケアを担う看護師、そして訪問看護ステーションの存在が重要であります。  そのためには、地域で医療的ケア児に対応できる訪問看護ステーションを拡充することが急務と考えます。見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は現在、医療的ケア児等への訪問経験がない看護師等を対象に、特有の症状や、症状に応じた在宅看護の方法などの講習を実施してございます。  来年度からは、より多くの看護師が医療的ケア児に対応できるよう、呼吸管理などの基礎的な看護技術を学ぶ実技研修や、訪問看護に同行する実践的な研修を実施いたします。  また、医療的ケア児に新たに対応する訪問看護ステーションに対して、必要な備品購入等への支援も行うなど、こうした取組を通じて、ステーションのさらなる拡充を図ってまいります。 ◯たかく委員 都議会公明党では今まで、訪問看護ステーションを拡充するために、看護師の実践的研修や受入れ支援などを求めてまいりました。  新年度、訪問看護ステーションが拡充することにより、医療的ケア児への支援が大きく前進するものと期待いたします。  また、都議会公明党はいち早く、医療的ケア児支援センターの設置を提案し、昨年九月に、都立大塚病院内と都立小児総合医療センター内に開設され、運営が開始されました。  開設された医療的ケア児支援センターにおいては、ご家族、また、区市町村からはショートステイの情報を求める相談が寄せられているとのことです。  私も、医療的ケア児の家族から、ショートステイを申込みするのに大変苦労しているとのお声も聞いております。  福祉保健局が令和三年度に行った、医療的ケア児の家族を対象とした実態調査でも、必要だが不足しているサービスとして、約四割がショートステイを挙げておりました。  医療的ケア児やその家族への在宅生活を支える上で、家族のレスパイト、行事への参加などで介護ができない場合など、このショートステイの充実は必須と考えます。見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、障害児とその家族の在宅生活を支えるため、病院や重症心身障害児の入所施設などで、重症心身障害児を主な対象とする短期入所の体制整備を図ってございます。  来年度から、医療的ケア児に対応できる短期入所をさらに拡充するため、病院のほか、医療機能を有する福祉施設などを対象として、人員配置や医療機器の整備への支援を行うとともに、開設時のポイントなどを紹介する説明会や、個別の事前相談、訪問を行い、事業実施を働きかけてまいります。  こうした取組により、医療的ケア児とその家族が在宅で安心して暮らすための環境整備を一層進めてまいります。 ◯たかく委員 次に、都立特別支援学校における医療的ケア児に対する支援について伺います。  特別支援学校では、都議会公明党の提案により、医療的ケア児の入学前から、保育所などの就学前施設等に看護師を派遣し、健康観察を行うことで、入学後の保護者付添いの時間を短縮していくモデル事業を実施しておりますが、早急に全校で本格実施すべきと考えます。  また、その際には、看護師を保育所等に派遣する間も、校内で医療的ケアを実施する看護師が不足しないよう対応すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯浜教育長 都立特別支援学校では、医療的ケア児の入学後に保護者の付添い期間を短縮する事業を実施しており、入学前から学校看護師が保育所等を訪問し、健康観察を実施するとともに、医療的ケアの内容の引継ぎを受けています。  このように、看護師が保育所等を訪問し、学校を離れている間も、校内における在校生の医療的ケアを安全に実施できる体制を確保する必要がございます。  そこで、都教育委員会は、必要となる非常勤看護師を追加配置することで体制を整え、令和五年度から本事業を本格実施いたします。 ◯たかく委員 令和五年度から本格実施するとのことです。  まずは保護者の付添い期間の短縮を徹底することが重要でありますが、児童生徒の体調が安定しない等の理由で、付添い期間が長くなってしまう場合も想定されます。  医療的ケア児支援法の趣旨を鑑みれば、やむを得ず保護者に付添いを依頼する場合でも、保護者が離職しなくて済むように、テレワーク等で学校で仕事ができるスペースなどの環境の確保が必要と考えますが、見解を伺います。 ◯浜教育長 付添いが継続している児童生徒についても、一人一人の体調の安定状況等を確認しながら、順次、校内での保護者の付添いがなくせるようにしています。  それでもなお付添いが続く場合には、テレワークにより就労を継続する保護者を支援するため、校内において新たにモバイルWi-Fiルーターを貸与するとともに、モデル校にテレワークブースを設置することにより、テレワーク環境を整備してまいります。 ◯たかく委員 新たにモデル校にテレワークブースを設置するということで、大きく前進するものと期待いたします。  保護者の負担は付き添うことだけではありません。  特別支援学校では、児童生徒が医療的ケア専用通学車両に乗車できるまでの間は就学奨励費により福祉タクシーが使用されておりますが、費用が学期ごとの精算になっているため、多い人では一学期間で六十万円近く立替えになり、かなりの負担と聞いております。  医療的ケア児が安心して通学できるよう、立替分を毎月にでも精算できるようにすべきと考えます。  また、修学旅行等の宿泊学習では、医療的ケア児の保護者は付添いを求められておりますが、その際の費用は保護者負担となっています。  こうした経済的な負担を軽減すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯浜教育長 特別支援学校への就学に関する経費については、就学奨励費の支給により負担を軽減しています。  医療的ケア児が利用する福祉タクシー料金は就学奨励費の対象であり、これまで学期末の精算としていましたが、令和五年度からは申請に応じて随時精算を可能といたします。  また、宿泊学習の保護者付添い経費につきましては、これまで家庭の収入に応じて保護者負担が生じていましたが、家庭の収入によらず全額を就学奨励費で負担するよう改善いたします。  これらにより、医療的ケア児の就学に関する経済的負担を軽減してまいります。 ◯たかく委員 福祉タクシー料金については、学期末を待たずに必要なときに精算可能。また、修学旅行等の宿泊学習での保護者付添い経費も全額就学奨励費で負担することになり、大きく保護者の負担軽減が図られることになりました。  医療的ケアの必要なお子さんやその家族の方々が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるインクルーシブな社会の実現を目指す上では、今後ともさらなる支援が必要であり、着実な体制整備の推進を求めて、次の質問に移ります。  次に、結婚支援について伺います。
     人口動態統計速報によりますと、昨年の出生数が初めて八十万人を下回り七十九万人台となりました。  国立社会保障・人口問題研究所が二〇三〇年と推計していた八十万人割れは、八年ほど速いペースで少子化が進んでおります。  このまま行けば、二十数年後にも、日本の人口は一億人を下回ることになるとの予測も出ております。  少子高齢化が進展、六十五歳以上の高齢者の人口がピークになることで起こり得る問題を総称して、二〇四〇年問題といわれています。  二〇四〇年以降は、労働人口が激減して労働力不足が深刻になるだけではなく、年金や医療費などの社会保障費も大幅に増大することが予想され、厚労省の試算でも、昨年度の社会保障給付費約百三十一兆円が二〇四〇年には約百九十兆円に増大することが予測で出ております。  そういった意味からも少子化対策は待ったなしであり、公明党は昨年十一月に、結婚、妊娠、出産から子供が社会に巣立つまで切れ目のない支援策を掲げた子育て応援トータルプランを発表。子供の幸せ最優先社会を目指し、少子化、人口減少の克服に向けた具体策を示したところであります。  最初に、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の成長に至るまでの切れ目のない子育て支援の重要性について、知事のご所見を伺います。 ◯小池知事 少子化は想定を上回るペースで進行しておりまして、その要因には、未婚化、晩婚化、教育費、住居費の負担、仕事と育児の両立の困難さ、雇用の不安定化など、多岐にわたっております。  このため、結婚支援の拡充をはじめ、ライフステージを切れ目なく支援する対策を充実強化いたしまして、迅速に取り組んでいくことといたしました。  結婚を希望する人々が一歩踏み出せるよう背中を後押ししてまいります。妊娠、出産から、生まれた子供が健やかに成長するまで、継続的に寄り添って支えていく、こうした考えに立ちまして、少子化対策を強力かつ迅速に推し進めて、望む人誰もが、結婚、出産、子育てをしやすい社会の実現を目指してまいります。 ◯たかく委員 今、知事から、様々な施策を行うことが重要との答弁をいただきました。  少子化の要因には未婚化、晩婚化、子育てにお金がかかるなど要因は様々あると考えております。  要因の一つである未婚の課題について、内閣府が実施した調査では、未婚者に結婚していない理由を聞いたところ、男女とも、適当な相手に巡り会わなかったが五七%と過半数を占めておりました。  二〇二〇年国勢調査による東京都の五十歳時未婚割合は、男性三二・二%、女性は二三・八%、いずれも全国一位。男性は約三人に一人、女性は約四人に一人が五十歳を過ぎても一度も結婚をしていないという状況であります。  あくまでも結婚というのは、個人が自分の人生観に基づいて決定するものであり、するしないというのは個人の自由であります。  しかし、結婚を希望しながら、もう一歩踏み出せないでいる方への後押しをするということは重要なことだと私は思っており、結婚に向けた機運醸成に取り組んでいくことが大事なことと考えております。  結婚支援については、私の先輩の栗林元都議が平成二十四年の予算特別委員会で取り上げて推進してきました。  知事も国会議員の頃から結婚支援に力を注ぎ、知事就任後も、結婚に向けた機運醸成に邁進してこられたとお聞きいたしました。  来年度予算では新たに、出会いのきっかけ創出プロジェクトとして、交流イベントを実施するとしておりますが、来年度は、各局の持つ資源を有効活用するなど、庁内連携をさらに進めるとともに、民間の知恵もフルに生かして、東京都ならではの交流イベントにすべきと考えますが、見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 都は来年度、都の有する資源を最大限生かした多様な交流イベントを開催いたします。  例えば、競技場で一緒にスポーツ体験を楽しむとか、隅田川や東京湾でのクルージングなど、東京の魅力を体感しながら交流するイベントを検討しております。  実施に当たりましては、アイデアを民間から募集し、結婚を望む人が気軽に楽しく参加できるよう工夫いたします。  今後、こうした取組が、より効果的に実施できるよう庁内連携を強化いたしまして、都を挙げて結婚への応援機運を高めてまいります。 ◯たかく委員 ありがとうございます。  交流イベントは、民間からのアイデアを募ることになりますが、生活文化スポーツ局が中心となって、ぜひ、参加してみたいと思う魅力あふれるイベントにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  さて、最近では、マッチングアプリで出会い、結婚につながっている人も多くなっております。  一方、アプリで知り合った人からマルチ商法に誘われるなど、マッチングアプリを悪用した若者の被害が増えており、私のところにも相談が来ております。  マッチングアプリを利用する本人にとっても、また、家族にとってもまずは安心・安全が何よりも重要であります。  利用者が被害に遭わないよう取組を都が行うことが重要と考えておりますが、見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 マッチングアプリの利用につきましては、業界では、自主基準ガイドラインを作成しております。都は、これに基づき運用している事業者の紹介なども行います。  一方、アプリで知り合った人から、投資などのもうけ話を持ちかけられて、借金を勧められ、高額な契約をさせられたなどの相談が増えております。  そのため、来年度は、利用に関してさらなる注意喚起を行うとともに、消費者トラブルについての相談対応を強化いたします。  これらの取組によりまして、婚活に関心のある人が、安心して利用できる環境を整備してまいります。 ◯たかく委員 マッチングアプリを利用する人が安心して利用できるよう、しっかり取り組んでいただくことを求め、次の質問に移ります。  次に、スケートボード施設の整備について伺います。  東京二〇二〇大会では、新たに採用されたスケートボード競技において、日本は、男子、女子ストリートで金メダル獲得、合計五つのメダルを獲得し、日本中に大きな感動を与えました。  私は、昨年夏にオリンピック会場であった有明アーバンスポーツパークに伺い、東京二〇二〇大会一周年イベントのスケートボード都民体験会に参加いたしました。  会場では、有名選手も出場されていて、子供から大人までたくさんの人でにぎわって、スケートボードの熱気を実感した次第です。  昨年度、東京都では、東京二〇二〇大会後の人気の高まりなどを踏まえ、また、多くの方からの要望を受け、都立公園におけるスケートボード場の整備を拡充することとなりました。  今年度は、都立公園でのスケートボード広場の整備に向けた設置場所や整備内容についての調査を実施しているとのことですが、調査結果を踏まえ、今後どのように整備に取り組んでいくのかお聞きいたします。 ◯中島東京都技監 都立公園では、東京二〇二〇大会後の人気の高まりなどを踏まえ、スケートボードができる広場を拡充することとしております。  今後の整備に向けまして、今年度は、利用に伴う騒音の影響や安全に利用できる場所などを調査し、公園利用者や地域住民の理解を得られるような施設の条件を検討してきました。  来年度は、候補となる場所、施設の内容、管理運営の在り方などを示した基本的な考え方を取りまとめ、それに基づき設計に着手する予定でございます。 ◯たかく委員 今の答弁では、基本的な考え方を取りまとめ、それに基づき設計に着手する予定とのことです。  スケートボード施設整備を早期に進めることを要望いたします。  新規の施設整備も重要でありますが、既存の施設を充実させることも必要であります。  都立公園内で最初にできたスケートボードパークは駒沢公園です。  駒沢公園のストリートスポーツ広場、いわゆる通称SS広場には、地元のスケーターの人たちが一九九〇年代から自主的に利用し、競技スペース確保のために粘り強く東京都との交渉を重ね、当時の石原都知事に働きかけ、二〇一一年に正式な施設となったと聞いております。二〇一六年には、防音とけが軽減のために路面を円滑にするリニューアル工事が行われました。  先日私も現地視察に伺いましたが、土日はたくさんのスケーターでごった返している状況でした。  私は、このSS広場の立ち上げから関わってこられた地元の利用者の方から、この混雑緩和のためにパークのさらなる拡充、そして、六年経過し路面塗装も傷んでいるところもあることより、利用者がけがなどしないよう安全なパークにしてほしいとの要望もいただいております。  都立公園初、スケートボードの聖地といわれるこの駒沢公園SS広場こそ、今まで以上に都民に親しまれ、安全かつ快適に利用できるスケートボードパークとして再整備を含め、検討していくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯中島東京都技監 駒沢公園のスケートボードを楽しめる広場は、大変人気があり、特に休日には多くの方に利用されております。  このため、日頃より利用者が安全かつ快適に利用できるよう、施設の維持補修等を適切に行いますとともに、混雑時には利用者間で譲り合うルールを設定するなど、安全な管理に努めているところでございます。  今後、施設の老朽化や公園の利用状況などを踏まえまして、さらに利用しやすい広場となるよう取り組んでまいります。 ◯たかく委員 利用者のニーズをしっかりとヒアリングしていただき、この駒沢公園のSS広場がよりよい施設となるよう、そして、皆さんから本当に喜んでいただける施設となるよう取り組んでいただくことを強く要望して、次の質問に移ります。  次に、調節池等の整備促進と下水道事業の浸水対策について伺います。  二〇一九年の台風十九号では、世田谷区内の多摩川流域で溢水、そして、内水氾濫など大きな被害が発生いたしました。  私はそのとき、消防団員として夜遅くまで地元の警備に着任し、朝一で多摩川の浸水した現場に駆けつけて、その状況を見て、さらなる水害対策の必要性を痛感いたしました。  こうした被害を受け、水害に対する住民の関心は高まってきており、私どもの地元を流れる野川、仙川においても新たな調節池を整備してほしいとの要望をいただいております。  野川については、令和三年度に野川大沢調節池が稼働していますが、野川沿いには、より多くの調節池が必要であり、また、仙川については、調節池が整備されていない状況であります。  東京都は一月に、「未来の東京」戦略バージョンアップ二〇二三を公表し、調節池整備を着実に進めるとしております。  河川氾濫を防ぎ、水害から都民の命と暮らしを守っていくためには、野川、仙川の調節池の整備をより一層スピードアップしていくことが重要でございます。  野川、仙川の新たな調節池整備に向けた取組について伺います。 ◯中島東京都技監 水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要でございます。  野川流域河川整備計画では、野川において総容量約八十万立米、仙川において約二十六万立米の新たな調節池の整備を位置づけております。  現在、その候補地や構造形式の選定などの検討を進めておりまして、このうち仙川で、来年度、貯留量約四万立米の仮称仙川第一調節池を事業化し、関係機関との協議を進めながら、基本設計を実施していきます。  今後、新たな調節池の事業化に向けた検討を加速し、野川流域の安全性を高めてまいります。 ◯たかく委員 仙川の新たな調節池の事業化により、水害対策が強化されるとのことです。  野川流域河川整備計画に位置づけられている必要な調節池がまだまだ残っているために、今後一層の調節池の整備を進めるよう要望いたします。  そして、下水道事業における浸水対策についてです。  近年、集中豪雨の頻発や台風の大型化などにより全国各地で浸水被害が多発しております。  これからも気候変動の影響により降雨量が増加していくことも予想されており、さらなる下水道浸水対策の強化が求められております。  世田谷区には、坂道やくぼ地などの地形が多く、そのような場所では過去にも何度も浸水被害が発生しております。  そのために、私は、令和三年度の一般質問において、下水道局の経営計画二〇二一から新たに追加された世田谷区野毛地域などの三地区の検討状況について質疑いたしました。当該三地区については、経営計画二〇二一の期間である令和七年度までの着手を目指すとの答弁をいただきましたが、その後も調査設計などが着実に進められていると聞いております。  浸水対策は、大規模な下水道施設の整備が必要となり、事業用地の確保や対外調整など時間がかかることからも、下水道局では、昨年、下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、世田谷区内の代沢、八幡山、南烏山の三地域を含む都内十地区を新たな重点区域に選定し、計画的に浸水対策を推進することになりました。  TOKYO強靱化プロジェクトの推進に合わせ、下水道事業の浸水対策をスピードアップ、レベルアップして取り組むべきと考えますが、見解を伺います。 ◯奥山下水道局長 下水道局では、長期的な視点で浸水対策を推進するため、昨年三月に計画期間を十五年とする下水道浸水対策計画二〇二二を策定いたしました。  本計画では、区部の目標整備水準を一時間五十ミリ降雨から七十五ミリ降雨へとレベルアップするとともに、浸水実績に加え、流出解析シミュレーションにおいて、床上相当の浸水のまとまった発生が予測された地域を対象に、十地区を新たに重点地区として位置づけました。  このうち、お話の世田谷区内の三地区において、今年度から調査設計に取り組んでおり、他の地区につきましても、早期事業化を図ってまいります。  今後、来年度改定予定の東京都豪雨対策基本方針を踏まえ、気候変動に対応した浸水対策をさらに進めてまいります。 ◯たかく委員 集中豪雨の頻発や台風の大型化などで浸水被害が多発している昨今、戦略的な下水道浸水対策をスピードアップして、また、レベルアップして進めていくことを求め、次の質問に移ります。  次は、消防団活動について伺います。  消防団は、日頃から仕事を持ちながら、災害が発生した際には地域防災のリーダーとして、平常時、非常時を問わず、地域に密着し住民の安心と安全を守る重要な責務を担っております。  私も十五年前から世田谷消防団の一員として活動させていただいております。  さて、各消防団の分団には、可搬ポンプや可搬ポンプ積載車を格納する分団格納庫があります。  格納庫以外に災害時のポンプ車や資機材の格納、また、分団会議や災害時の分団員の待機する分団本部が必要でありますが、地元世田谷区においては、その分団本部がない分団もあります。  地元の分団からは分団本部施設の早期の整備を強く求められております。現在の特別区での分団本部の設置状況を含め、見解を伺います。 ◯清水消防総監 特別区消防団の分団本部施設は、平時はもとより、大規模災害時等に消防団員が参集し、長時間の活動を行うための拠点として重要な施設でございます。  このため、東京消防庁では、分団本部施設の規模、機能及び設備が十分でない分団や老朽化の著しい施設を優先して整備に取り組んでおりまして、現在、面積要件などの基準を満たす施設は、全体の約八五%に当たる三百七十五棟でございます。  今後、都有地のさらなる活用を図るとともに、各区をはじめ関係機関と連携して用地を確保するなど、分団本部施設の計画的な整備に努めてまいります。 ◯たかく委員 災害時における分団本部は、消防団員が参集し、長時間の活動を行う上で必須の施設であります。特別区消防団の分団本部は、まだ六十四か所、六十四棟が未整備と聞いております。  分団本部の整備促進を強く求め、次の質問に移ります。  次は、木密地域の不燃化の取組について伺います。  今年は関東大震災から百年目の節目の年になります。  自然災害の危機に直面する中にあっても、都民の生命と財産を守り、日本を支える首都東京の機能や経済活動を維持していくために、東京都は昨年十二月、TOKYO強靱化プロジェクトを策定いたしました。  国の地震調査委員会によると、首都直下型地震の発生確率は今後三十年で七〇%とされており、災害対策は喫緊の課題です。  東京都は、東日本大震災の発生も踏まえ、燃え広がらない、燃えないまちの実現を目指す、木密地域不燃化十年プロジェクトを平成二十四年にスタート。令和二年に、防災都市づくり推進計画を改定し、不燃化特区制度を令和七年度まで五年間延伸し、重点整備地域を中心に整備地域の不燃化を加速させることにしております。  現在、東京都では、令和十二年度までに全ての整備地域において不燃領域率七〇%の達成を目指すとしており、不燃化特区制度を活用しながら六四%まで向上してきたとのことであります。  世田谷区でも五地区で不燃化特区制度を活用しながら、木密地域の不燃化を積極的に進めておりますが、いずれもまだ七〇%には到達できておりません。  今まで以上に不燃化を加速させる上からも、今後、重点整備地域を含む整備地域全体への支援をさらに充実、拡充すべきであります。
     不燃化特区制度の効果に対する都の認識と併せて見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 不燃化特区制度は、重点整備地域において、老朽建築物の除却や建築設計への助成など特別な支援を行うことで、重点整備地域外の整備地域よりも不燃領域率を向上させ、市街地の不燃化を確実に牽引してまいりました。  さらなる不燃化に向け、不燃化特区制度の支援メニューに、来年度から、建築工事への助成を新たに追加いたします。  あわせて、重点整備地域外の整備地域でも、新たに、老朽建築物の除却や建築設計への助成などの支援を開始いたします。  これらの取組により、木密地域の不燃化を加速してまいります。 ◯たかく委員 今、答弁で、新たに建築工事費の助成を実施するということについては、我々、この世田谷でも不燃化特区を進める上で大きな前進になると考えております。  こうした事業を着実に進めていくためにも、まずはそこに住む都民の皆様に、取組を知ってもらうことも重要です。しっかりと区と連携をしながら、しっかり取り組んでいただきたいことを要望いたします。  それから、大規模地震や大型台風などの自然災害では、電柱倒壊による道路閉塞や断線等により、避難や救急活動への支障、また、停電や通信障害が生じており、無電柱化の推進は喫緊の課題であり、重点整備地域での私道等の無電柱化の取組を着実に加速させるべきです。  取組の課題を踏まえ、見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 木密地域では、震災時における避難や消火、救援活動をより効果的に進めるため、区道に接続する私道等の無電柱化を推進することが重要でございますが、私道等は幅員が狭く、権利関係が複雑であるなどの課題がございます。  都は今年度から、重点整備地域において、私道等における無電柱化に対する補助を開始しており、まずは、無電柱化計画のある路線に接続する私道等について、区が行う土地権利調査等を支援しております。  来年度から、災害時の危険度が高いエリアである、整備地域と防災再開発促進地区を補助の対象地域に追加し、無電柱化のさらなる面的展開を図ってまいります。 ◯たかく委員 区と連携して進めていただくことを要望いたします。  最後に、障害者施設での工賃アップに向けた取組について伺います。  以前より私は、障害者施設に伺い現場の声をお聞きし、障害者の工賃向上に向けた取組を区議会でも取り上げてまいりました。  障害のある方が、しっかりと工賃向上に向けて取組をしていく上でも、販路拡大、これを進めていくことは重要であります。  しかし、三年前からの新型コロナウイルス感染症の影響で、イベント等も開催されなくなって、そこでの売上げが大幅に減少している状況で、今、大変に障害者施設は厳しい状況にあります。  私の地元世田谷区では、区内の障害者施設で作ったパンやクッキーなどを区が主催するイベントや区立の施設等で販売されています。  東京都の施設においても、例えば都営交通の駅構内では五か所で障害者施設の物品の販売を実施していると聞いております。  今後、都立高校においても福祉事業所への販売場所の提供が進むように取り組むべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。 ◯浜教育長 都立学校では、現在、二十三校において障害者施設で製造したパンなどの食品の出張販売等が行われております。  出張販売等が行われている学校からは、手作りで、非常に丁寧に作られているのが分かる、価格が安く、味もよいなどの声が聞かれます。  今後、都教育委員会は、こうした学校の事例について、多くの都立学校に紹介するなど、各学校の実態に応じた取組が促進されるよう、情報提供を行ってまいります。 ◯高倉副委員長 たかく則男委員の発言は終わりました。(拍手)  この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩します。    午後三時十一分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時三十分開議 ◯小宮委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行します。  土屋みわ委員の発言を許します。 ◯土屋委員 よろしくお願いいたします。  先週三日は、日本では桃の節句、ひな祭り、昨日八日は国際女性デー、世界では三月を女性史月間として、これまでの女性の歴史や貢献、活動などに焦点を当てる期間となっています。  そこでまず、女性活躍について伺います。  フェムテック、女性の健康をテクノロジーで解決する世界、二〇一六年、七年ほど前に、金融分野の解決にはフィンテック、教育分野ならエドテックという言葉ができたように、フェムテック、この名前をつけることで新しいマーケットをつくり、存在感を上げようとしてできた言葉ですが、そこから僅か数年の間に、テクノロジーを使って女性の健康問題や悩みを解決するサービスや商品が市場に増えてきています。  こうした中、企業における女性活躍のハードルの一つとなっているのが、女性特有の健康問題です。生理痛や更年期障害で体調が万全ではない女性に対するサポートが重要であります。  都は来年度、女性活躍のためのフェムテック開発への支援や、働く女性のウエルネスを向上させていく取組を新たに実施するとしており、これら事業について確認をしてまいりたいと思います。  働く女性の活躍を後押しする上で、フェムテックを生かした製品の活用を図ることは大変効果的なことだと思います。まず、来年度、都が実施するフェムテック開発支援・普及促進事業について、事業の目的と内容をお伺いいたします。 ◯坂本産業労働局長 女性特有の健康問題を解決するため、フェムテックの製品やサービスの開発と事業化を支援し、その普及を進めていくことは重要でございます。  このため、都は来年度、新たにフェムテック製品等を生み出す五件の取組への支援を実施いたします。  具体的には、技術開発に要する経費や事業化に必要となるマーケティング等の費用に助成を行うほか、新たな取引先を確保するための展示会への出展などについても支援を行います。  こうした取組によりまして、フェムテックの製品等の開発とその普及を着実に後押しをいたします。 ◯土屋委員 都がフェムテックの活用に向けた第一歩を踏み出すことは非常に重要なことと考えます。  一方、フェムテックには明確な定義や業界の統一基準がないことや、守るべき法令などに関する知識が十分でないことから、現在出回っている製品やサービスには、その有効性などが疑われるものもあると聞いています。  そこで、フェムテック分野での新規の事業を行うに当たり、支援する五件のプロジェクトをどのように採択していくのか見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 中小企業がフェムテック製品等を生み出す上で、その安全性や利用者からの信頼を確保することは重要でございます。  都が来年度から実施をする支援では、様々な技術や健康を高める効果などに詳しい複数の専門家などが審査を行う仕組みといたします。  これによりまして、中小企業の製品開発などを後押しいたします。 ◯土屋委員 本事業の実施に当たっては、働く女性が抱えるニーズをどのように把握して、採択につなげていくかがポイントであると考えます。  都は来年度、新たに女性のウエルネス向上事業を開始し、女性の健康問題などについてアンケート調査などを行うとしていますが、具体的にどのような取組を進めるのかお伺いいたします。 ◯坂本産業労働局長 働く女性が健康を保ち、仕事で十分に力を発揮することのできる職場環境を整えることは重要でございます。  このため、都は来年度、職場において直面する健康上のテーマを正確に把握するため、労働関係の団体とも協力し、女性の社員向けにオンラインによるアンケートを実施いたします。また、企業に対し、経済団体と連携し、女性社員の健康の維持や向上のための取組に関する調査をウェブにより実施いたします。  これを通じ、働く女性の健康について優れたサポートを行う会社の事例を集め、幅広く紹介いたします。 ◯土屋委員 来年度、フェムテック開発支援・普及促進事業に採択される五件は、都が新たに開始する事業の最初の支援先であり、大変意義深いものとなります。都がフェムテックを生かした製品、サービスとして、いわばお墨つきを与えるものともいえるわけですが、ただ市場として未成熟な分野のため、どのようなプロジェクトを採択するかは非常に重要であります。  相談することが難しい女性の健康に関する課題について、女性のウエルネス向上事業などによって集めた女性の意見もしっかりとフェムテック事業に生かすとともに、様々な関係者の声も聞き、より効果の高いプロジェクトの選定につなげていっていただきますよう、そして都民のニーズに応え、有効性の高い製品やサービスを生み出すことにつながる取組となることを要望いたします。  国は、二〇二〇年代の可能な限り早期に、指導的地位に占める女性の割合を三〇%程度とする目標を掲げていますが、都の令和三年度男女雇用平等参画状況調査によりますと、都内企業において管理職に占める女性の割合は一六・四%にとどまっています。  企業の現場からは、女性活躍の重要性についての理解は進みつつも、具体的な行動にはつながっていないとの声も聞こえていますが、こうした課題も踏まえ、女性管理職の活躍促進に今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。 ◯坂本産業労働局長 これまで都は、企業が女性社員の育成等に関する目標と取組内容を定める行動計画をつくる場合、研修やコンサルティングを行ってまいりました。また、経営者の意識啓発を進めるため、女性が能力を発揮することで経営にもたらされるメリットなどを学ぶセミナーも実施をしております。  今後は、女性の育成等の行動計画を着実に実現できるよう、コンサルティングを拡充いたします。これによりまして、働く女性の活躍を後押ししてまいります。 ◯土屋委員 女性が自らの希望に応じた生き方を選択し、自分らしく働くことができるよう、さらなる後押しが必要と考えます。  都は、企業における女性管理職等の活躍を推進するため、新しく有識者会議を設けるとのことですが、具体的な内容についてお伺いいたします。 ◯坂本産業労働局長 都は、国の税金や社会保障の仕組みのほか、会社組織の実態などをテーマとする有識者会議を新たに設け、今月、第一回目を開催いたします。これによりまして学識経験者や経営者、働き手の代表等をメンバーとして選任し、女性管理職を増やす上での課題などを検討いたします。  その議論を踏まえまして、国への提案要求を行うほか、女性管理職の活躍事例を幅広く発信するイベントを経済団体等と連携して開催いたします。  これらによりまして、職場における女性の活躍を後押ししてまいります。 ◯土屋委員 女性活躍の推進は、都政の重要な課題であり、都民の関心も非常に高い取組であります。その中で、この新たな有識者会議について、今月開催予定でありながら、いつ、どのようなメンバーで、どのくらいの規模でやるのかを聞いても、まだ決まっていないといいます。  今日、今月も既に三分の一弱経過しておりますが、詳細について明らかにならない現状、すなわち来年度事業について審議するこの委員会の場で、これら議論ができない状況であるということは非常に残念です。一刻も早く有識者会議メンバーの選任を進め、公表の上、実のある議論を始めていただくことを強く要望いたします。  日本では、女性の方が非正規雇用の割合が高く、男女間の賃金の格差も存在し、さらには管理職の割合が低いなど、女性の活用がまだまだ進んでいない状況にあります。  その要因には、家事、育児の負担が大きいなど、様々な課題が存在しますが、その一つには、女性特有の健康課題もあります。  女性の活躍を推進するためには、フェムテックを生かしたさらなる女性の働きやすい環境整備が急務と考えますが、フェムテックの可能性と今後の活用に向けた取組について、知事の見解をお伺いいたします。 ◯小池知事 いまだ十分に生かし切れておりません女性の力、これを最大限に引き出して、その活躍を促進すること、それは東京の成長と発展の原動力となります。  女性が個性や能力を発揮できる職場環境の整備に向けまして、心身の不調を解決するフェムテックの活用は有効です。中小企業の優れた技術力を生かしまして、フェムテックの製品、そしてサービスを生み出し、普及を図る取組をしっかりと支援をしてまいります。  ライフ・ワーク・バランスを推進するイベントなどにおきまして、フェムテックの情報提供を行うとともに、先駆的な活用事例も紹介してまいります。  フェムテックを広げまして、職場環境の向上に結びつけ、女性活躍を加速してまいります。 ◯土屋委員 私が金融機関や資産運用会社と意見交換する中で、海外の機関投資家は、日本でのESG経営の実態をつぶさに検証すると、女性の経済参画と政治参画の指数、いわゆるジェンダーギャップがあまりにも低いことが幾度となく指摘されていると聞いております。  また、政府、内閣府男女共同参画局がガバメントリレーションの先頭に立ち、矢継ぎ早に政策を打ち出す中、都の政策は、大都市として各国の機関投資家も注視しているとも伺っています。  このような外部環境の期待に応える具体的な政策が必要である中、都としても、このフェムテックがより広く良質な状態で普及することをしっかりと後押ししていっていただきたいと思います。  女性が活躍し、かつ安心して子育てをするためには、男性の働き方の見直しも重要であります。子育て世帯への経済的な対策に加え、夫の家事、育児時間が短いことや、協力的でないという多くの声を踏まえ、男性の育児参加を進めることが欠かせません。  我が国の男性の育児休業取得率は一三・九七%であり、女性の八五・一%と比べて大幅に低い状況にあります。職場に迷惑をかけられないという思いから、男性は取りたくても取れない現状がうかがえますが、特に中小企業では、代替要員を確保するような余裕がないのも実態であります。  昨年、都は、育児休業の愛称、育業を発表しましたが、名前を変えただけでは現状は変わりません。男性の育業が進まない現状を変えるために、具体的にどのように取り組むのか見解をお伺いいたします。 ◯山下子供政策連携室長 都は、愛称、育業の普及に加えまして、男性の育業を推進する企業の取組を積極的に発信するとともに、企業に対し、育業に係る助言を行う専門家の派遣や、育業中の従業員の代わりとなる人材確保の経費への支援等を行っております。  今後はこうした取組に加えまして、育業に関する企業の先進事例をハンドブックで公開するとともに、二名以上の男性の従業員が一定の期間育業した企業に対しまして、奨励金を支給する制度を新たに開始いたします。  さらに、家事、育児を担う男性向けに子育てデジタルブックを作成いたします。  このように様々な手だてを講じることで男性の育業を後押ししてまいります。 ◯土屋委員 先進事例の発信や企業への奨励金などにより、男性の育業を推進していくということですが、そもそも育児をする男性にとっての環境整備は十分とはいえない状況です。  例えば、ショッピングモールなどの一部の新しい商業施設を除き、まち中や公共施設、公共交通などにおいて、男性トイレにベビーベッドが設置されていない場合も多く、男性が乳児を連れて外出する際におむつ替えの場所に困るとの声が私のところにも寄せられています。  都は、男性の育業を推進していく中で、男性の育児参画するためのインフラ整備などの環境づくりを進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 ◯山下子供政策連携室長 育業を推進していくためには、お話のように男性が子連れで安心して外出できる環境整備を進めていくことが重要でございます。  都はこれまで、おむつ替えができるスペース等を設置した施設を認証、周知する赤ちゃん・ふらっと事業などを進めてまいりました。  今後は、官民連携で子供目線で取組を進めるこどもスマイルムーブメントに参画する一千三百を超える企業、団体等に対しまして、男性も育児に活用できるスペースの設置等を積極的に呼びかけていくほか、区市町村包括補助事業の活用によりまして、身近な地域での育業に資する環境の整備を図ってまいります。 ◯土屋委員 育児休業中のスキルアップ支援について伺います。  政府は、人への投資の支援パッケージを五年で一兆円に拡大し、リスキリングへの支援を抜本的に強化していく中で、ライフステージのあらゆる場面において学び直しに取り組もうとする際に、本人が希望した場合には、それをしっかり後押しできる環境整備を強化していくこととしています。  育児休業を取得し、一定期間仕事から遠ざかることによって、キャリアの停滞を招くことを懸念する方も少なからずおり、都としても、こうした方が安心して育児休業を取得できるよう、職場環境の整備を支援していくことが重要です。  そこで、都は、育児と仕事の両立に向けて、来年度、育業中のリスキリングを希望する従業員をしっかりと後押しすべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 ◯小池知事 育業によりまして職場を離れる場合、仕事で使うスキルやノウハウなどの変化から取り残されるという不安を持つ方もいらっしゃいます。一方で、これまでにないスキルアップなどに挑戦したいという希望を持つ方もいらっしゃいます。  日々の育業に取り組みながら時間を有効に活用し、仕事の能力を高める努力をする方を後押しするというものであります。  こうした方が復帰後の職場で活躍して、仕事のやりがいを一層高めることは、育業の成果の一つともなります。そうした学びの機会をつくる企業を応援する、そのことで育児に、仕事に、共に輝ける社会をつくり上げてまいります。 ◯土屋委員 復帰後に会社に貢献したいという思いを抱いている人は多いと聞きます。そういった人たちが状況に応じて学びの機会を得られるよう支援をしていっていただきたいと思います。  次にですが、先日、他会派の質問で、国の地位後退をご認識されているという旨のご答弁が知事よりありましたが、「国際金融都市・東京」構想に基づくこれまでの取組の成果に関するご認識と、今後の取組の方向性、また国際金融都市構想の実現の可能性について、知事の所見をお伺いいたします。 ◯小池知事 国際金融センターを取り巻く環境でございますが、世界の国際金融センターを取り巻く環境は激動の中にございます。  グローバルな動向を注視して機敏に対応していかなければ、国際金融都市としての東京の飛躍はなかなか難しいものもございます。
     こうした認識の下で、全国に先駆けまして、東京は、東京グリーンボンドを発行したり、また東京金融賞を通じたフィンテック企業の育成などに取り組んでまいりました。  また、先月、私自身、ロンドンを訪問いたしております。金融系企業の東京進出、グリーンファイナンスでの連携の強化など、着実に成果を上げております。  来年度予算には、サステーナブルファイナンスの急拡大などの世界の潮流も踏まえまして、トランジションボンドの発行の支援、デジタル証券の発行支援など、新たな施策を盛り込んでおります。  世界をリードする国際金融都市へと着実に進化を遂げるべく、国とも連携しまして、取組を一層強化していく、そのことで東京の成長、そして持続可能な社会の実現につなげてまいります。 ◯土屋委員 東京市場の置かれた国際的な地位の低下は、いかんともしがたい状況だと思います。世界時価総額ランキングで、一九八九年のバブル期では、ランキングトップファイブを日本企業が独占しており、上位五十社のうち、ランクインした日本企業は三十二社、そのうち十七社が金融機関でした。  バブル期の経済政策において、金融機関が日本の成長を牽引してきたわけですが、二〇二三年の世界時価総額ランキングでは、五十社中、日本企業は一社もランクインしておりません。  二〇二二年、昨年ですが、唯一ランクインしていたトヨタ自動車は五十二位と、日本企業が隆盛を誇っていた時代と、まさに隔世の感があります。  また、時価総額十兆円を超える企業数は、アメリカが九十五社、中国は当局の規制強化により十七社に減少しているものの、日本はたった五社のみであります。  そして、昨年四月に改革のために再編した東京証券取引所ですが、最上位市場であるプライム市場の一社当たりの時価総額は、欧米市場の三分の一にとどまり、株価が解散価値割れの企業も四割に上り、海外マネーを呼び込む魅力に乏しく、欧米の背中はなお遠いというのが実情であります。  ほかにも東京市場の地位低下を語る数字、材料はたくさんありますが、都の担当部署とやり取りをしていると、都の東京市場の現状認識はあまりにも楽観的過ぎませんでしょうか。  もちろん東京都として、国際都市東京を目指すべきですし、その一環として、東京国際金融都市構想を持つべきだと思います。しかし、挙げられている施策は、あまりにも総花的で、時流を追い過ぎているのではないでしょうか。もっと現状を直視して、根本的な施策を、国とも協力して抜本的な策を講じていく、検討すべきではないでしょうか。  都はこれまで、国とはどういった連携をしてきたのか、そして今後どのような連携が必要と考え、実行していくのかお伺いいたします。 ◯児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 都はこれまで、金融系外国企業の誘致に向けて、東京に進出を希望する企業への相談対応や、ライセンス取得に係る英語解説書の作成などで国と協力してきました。  また、都が主催するセミナーへの金融庁幹部の登壇や国との人事交流など、連携を積み重ねております。  今後は、世界の潮流となっているサステーナブルファイナンスの活性化など、様々な分野で一層連携を深め、国際金融都市の実現に向けた施策の実効性を高めていきます。  具体的には、来年度、脱炭素に資するトランジションボンドの発行支援や、都民の金融リテラシー向上等の事業において、軌を一にする国と密接に連携を図ってまいります。 ◯土屋委員 ロンドンには、投融資、資産運用など、多面的な国際金融センターの伝統があり、国際金融の共通言語が英語であるというベースの上に、当時のサッチャー首相が規制緩和、ロンドンに働く外国人バンカーへの税制優遇措置など、市の発展を国を挙げて支援してきました。ロンドン市場の今日は、ロンドン市の力であるわけではなく、国を挙げての支援あってのものであります。  都の国際金融都市を本当に実現したいというのであれば、多大なる国のバックアップが必要です。そのためには、国との良好な関係構築をはじめ、東証の改革など都が全面支援し、国を動かすような気概で、東京市場の失地回復のために大胆な施策をぜひ打ち出していっていただきたいと思います。  世界の都市総合力ランキング二〇二二で、東京は二〇一六年から七年連続で三位という順位でしたが、今回三位を維持しつつも、総合スコアを大幅に落とし、四位のパリと僅差となっています。  その中で、経済の指標であるGDP成長率、優秀な人材確保の容易性、法人税の低さにおいて東京のスコアは低く、研究開発における留学生数も低調でありました。  グローバル人材を維持するには、留学生や外国人居住者のために多言語化、そしてインターナショナルスクールなどの環境整備を進める必要があります。そして、これらの課題の中でも特に重要なのは、外国資本とグローバル人材の誘致だと思います。  東京が目指す国際金融都市として東京が発展していくためにも、海外企業の誘致を加速させていくことは重要課題の一つであります。東京でビジネス展開をする際に必要なコストが高いために、進出を断念する企業も少なくありません。  東京では、特区制度により、税制優遇措置が適用される場合があるものの、要件が研究開発用に限定されるなど、あまり有効なものとはいえません。特にアジア諸国の中でも、東京の人件費やオフィス賃貸費用などは高い傾向にあり、相当の運転資金をためておかなければ、早い段階でビジネスが失敗に終わる可能性もあるため、東京は必ずしも進出の魅力があるとはいえない状況です。  こうした中、来年度より、金融機関と連携して海外企業を誘致する新たな事業を開始するとのことですが、本事業の意義についてお伺いいたします。 ◯坂本産業労働局長 東京の産業の活性化に向け、海外企業の誘致を進め、都内の中小企業との取引等に結びつけることは重要でございます。  このため都は、金融機関などの外国の取引先に係る情報やネットワークを活用し、海外企業を誘致する取組を開始いたします。  具体的には、金融機関が外国の拠点等を通じ収集した様々な情報を基に、東京に進出し、スタートアップや中小企業との取引の見込まれる海外企業を選定いたします。  こうした企業に対し、金融機関とともに誘致の働きかけを行い、進出が実現した場合、法人登記の手続やオフィスの借り上げなどに必要となる経費の三分の二に助成を行います。  これによりまして、海外企業の誘致を効果的に進めてまいります。 ◯土屋委員 外国資本の参入障壁をなくすには、法人税、人材不足、煩雑な行政手続、そして規制、許認可制度などの改善が必要でありますが、税制面などは国の管轄となりますが、改めてではありますが、国としっかりと連携をして、外国企業にとって魅力的な東京となるよう環境整備を行っていただきたいと思います。  日本は、ロンドンなどと違い、英語教育、IT教育や金融リテラシー向上など、都は、ロンドンにある競争基盤が整っていないがゆえに、国際金融都市実現はなかなか難しいと感じているところではありますが、国際金融都市を目指している東京として、この東京の地位を高めるためにも、また、都民の豊かな暮らしを支えるためにも、都民の金融リテラシーを向上させる、そのための環境を整備することが必要であると考えます。  都民の金融リテラシーを向上させることの重要性について、都の見解と今後の取組についてお伺いいたします。 ◯児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 大変申し訳ありません。先ほどの答弁の中で、国との連携の中で、規制や税制の見直しをこれまで国に要望してきた点を申し忘れておりました。大変申し訳ありませんでした。  それでは、ただいまのご質問についてでございますが、金融リテラシーの向上は、適切な家計管理や安定的な資産形成などにつながるものであり、都民の豊かな暮らしの実現を支える上で重要であります。  都は、幅広く都民の金融への関心を喚起するために、金融知識を学べる動画を作成するとともに、若者向け金融セミナーの開催などに取り組んでまいりました。  来年度は、著名人をアンバサダーに任命して、金融に関する情報発信を行うとともに、学校、企業の要請に応じて、金融や経済に詳しい講師を年間百件程度派遣する新たな事業を開始いたします。  こうした取組を通じて、都民の金融リテラシーの向上を図ってまいります。 ◯土屋委員 先ほど国との連携の質問をした際、都民の金融リテラシー向上などの事業において、軌を一にして国と連携を図っていくとのご答弁がありましたが、今のご答弁では国との連携の話はなかったのですが、金融リテラシー向上事業では、国とどういった連携をしていくのか具体的に教えてください。 ◯児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 国におきましては、日銀等と協働しまして、私の記憶が、もしちょっと不正確だったら申し訳ありませんが、令和六年度に金融教育の機構を立ち上げるというふうに聞いております。  そういった中で、都が先行して事業を行いますので、実際に国等が行う場合には十分連携を図ってまいりたいと考えております。具体的には、講師の派遣等の点で協力ができるかと思っております。 ◯土屋委員 ありがとうございます。多くの都民に金融知識を身につけていただくことは非常に重要ではありますが、都民に広く金融取引を促すのであれば、都庁では特段規制はないとお伺いしておりますので、まずは都庁の職員の皆様が積極的に株式投資を行っていただければと思います。  次に、グローバル人材についてです。  グローバル化に伴い、また先ほど来、国際金融都市を目指すならば、グローバル人材の確保は非常に重要であります。  さきの代表質問において我が会派は、学校教育を通してグローバル人材を育成していくことの重要性を訴えたところでありますが、都教育委員会は、目指すべきグローバル人材として、どのような姿を描いているのかお伺いいたします。 ◯浜教育長 都教育委員会は、外国語を使いこなしながら、広い視野や多様な人々と協働する力を持ち、豊かな国際感覚を身につけて世界を牽引していくことができる人材を目指すべきグローバル人材の姿として捉えております。 ◯土屋委員 グローバル化が叫ばれ始めていた十年、二十年前から、日本は本気でグローバル人材の育成をしてきませんでした。そのため、今や日本はグローバル人材の後進国となりつつあります。  世界で活躍できる真のグローバル人材の育成については、これまでの課題を踏まえ、外国の人と自信を持って英語で会話することのみならず、都の目指すグローバル人材を育てるためには、さらなる環境整備を行うべきと考えます。  そこで、取組を数値等で効果検証して、どのようなアプローチが適切なのかをはかり、それに応じた施策を実施していくことが必要と考えますが、都教育委員会の認識をお伺いいたします。 ◯浜教育長 都教育委員会は、「未来の東京」戦略において、二〇三〇年度までに実用英語技能検定三級程度の英語力を有する中学生の割合と、準二級程度の英語力を有する高校生の割合をそれぞれ八〇%以上にすることを目指すこととしています。  今後、英語で話す力を身につけさせる指導や、海外の人々と関わる取組をさらに充実させる必要があることから、中学校英語スピーキングテストを一、二年生にも広げて実施したり、都立学校の生徒が海外の生徒等と交流する機会を拡充したりなどの取組を進めてまいります。  これらを通して、英語をツールとして使いこなしながら多様な人々と協働して課題を解決していく力を育成してまいります。 ◯土屋委員 グローバル人材の育成は、待ったなしの状況です。真のグローバル人材育成に向け、語学教育と人材教育とをしっかりと推し進めていただくことを要望し、次に移ります。  文部科学省の調査では、東京都の公立小中学校の不登校の子供の数は、平成二十五年から連続して増加しており、また、都立高校においても、不登校の生徒は減少しない傾向にあります。  こうした実態を踏まえ、都教育委員会は、区市町村が不登校の小中学生のために設置している教育支援センターへの支援や、不登校経験のある高校生などが通うチャレンジスクールの開校など、様々な取組を進めてきたところでありますが、不登校の子供を減らすためには、これらの取組に加え、さらに対策を強化する必要があると考えます。  本定例会の代表質問において、我が会派からは、不登校の子供が教室に戻ることができるようにするための取組について尋ねたところ、小中高等学校において、学校の別室で子供に対応する支援員を新たに配置するとの答弁をいただきました。  都教育委員会は、この支援員をどのように配置し、どのように取り組むのかお伺いいたします。 ◯浜教育長 来年度、都教育委員会は、別室であれば登校できる子供に対して、一人一人に応じた学びを保障できるよう、不登校の子供が多い小中学校二百九校、高等学校十七校に校内での別室指導支援員を配置いたします。  この支援員は、子供の悩みや不安に寄り添い、相談を受けたり、教室とオンラインでつないで受ける授業の補助や、習熟度に合わせたドリル学習の支援など、個に応じた指導を行います。 ◯土屋委員 校内での別室指導支援員は、多くの学校に配置することが分かりましたが、支援員が配置されている学校はいいのですが、支援員が配置されていない学校でも、支援員の取組を参考として、不登校の子供の学習が着実に進められるよう対応していくべきと考えますが、都教育委員会の取組をお伺いいたします。 ◯浜教育長 来年度、都教育委員会は、校内での別室指導支援員による効果的な実践事例を収集し、データベースを作成して全ての学校で取組を共有できるようにいたします。  このデータベースは、教職員が、例えば友人関係、生活リズム、学力など、不登校の背景等に関するキーワードを入力すれば、個々の子供に応じた支援の事例が閲覧できるよう工夫をいたします。 ◯土屋委員 不登校の個々の対応事例を収集していくことは、教員の対応力向上のみならず、根本解決につながる要因分析なども行いやすくなることから、できるだけ多くのデータを収集していただきたく思います。  そして今後は、教育庁だけではなく、他局と横連携を図り、要因別にケアを行うアクションプランなどをつくっていっていただきたいと思います。  次に、今定例会の我が会派の代表質問で、大人の伝統芸能体験について質問をしたところですが、子供たちの芸術体験も大切なことであります。  都はこれまで、子供向けの体験事業として、伝統芸能や音楽、ダンスなどを実施してきましたが、新たな時代を生きる子供たちにとって、XRなど、デジタルテクノロジーを活用したアート表現に触れられることも重要であります。  都は昨年、アート、デジタルテクノロジー、デザインの創造拠点、シビック・クリエイティブ・ベース東京を開設し、デジタル技術とアートに親しんでもらう取組などを展開していますが、子供や若者の体験の機会をさらに広げていくべきと考えます。  シビック・クリエイティブ・ベース東京における子供、若者向けの取組が重要でありますが、都の見解をお伺いいたします。 ◯横山生活文化スポーツ局長 シビック・クリエイティブ・ベース東京では、子供や若者を対象に様々な体験プログラムを実施しております。  人気のクリエーターを講師に招き、ロボットのプログラミングやゲームを通じてAIを学ぶワークショップなどを二十回近く開催いたしまして、千人を超える子供たちが楽しみながら創作活動に挑戦しております。  また、大学生向けには、コンピューターによるデザインの基礎を学び、共同制作を行うプログラムも開催いたしました。  来年度は、子供たちが企画から携わる夏休みのプログラムを実施するなど、内容を充実させまして、子供や若者が新たな表現に挑戦できる環境をつくってまいります。 ◯土屋委員 シビック・クリエイティブ・ベース東京では、様々な体験プログラムを通じて、子供たちから大学生までが楽しみながら新たな表現に挑戦していることが分かりました。  今後、体験事業のさらなる充実を図っていくとのことですが、デジタルを活用したアートへの取組は多くの可能性を秘めています。  この創造拠点では、ワークショップなどの体験プログラム以外にも、デジタルとアートが融合した幅広い事業展開を行うべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。 ◯横山生活文化スポーツ局長 この拠点では、トークイベントやセミナーを開催し、アーティストやクリエーターなどをゲストに迎えまして、メタバースなど、アートとデジタルテクノロジーの最先端の情報を提供しております。  また、次世代を担うアーティストに対しまして、制作費支援に加えまして、トップクリエーターによるメンター制度の導入など、新たな表現の創出を後押ししております。  今後は、企業や大学とアーティストとの交流など、国内外に広く開かれた創造拠点を目指してまいります。 ◯土屋委員 芸術文化は、全ての人々に感動や喜びだけではなく、新たな価値をもたらします。世界の潮流を捉えながら、この新たな取組が都市の魅力を高め、東京の文化を切り開いていっていただきたいと思います。  次に、商店街振興について伺います。  商店街は、住民の買物の場であるとともに、人と人との交流や子供の見守りなど、多様な機能を有しており、都民の日常生活に欠かせない存在です。  私の地元世田谷にも百二十八の商店街がありますが、こうした商店街が持続的に発展していけるよう、都では商店街振興組合や任意の組織への加入を後押ししています。しかしながら、高齢化やコロナ禍の影響などもあり、これらの組織そのものが年々減少している状況です。  こうした中、商店街が今後とも社会の変化に対応し、まちのにぎわいをもたらす重要な役割を果たしていけるよう、商店街組織の活動を支援していくことが重要であります。  商店街振興組合などの組織を活性化させていく取組を強化すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。 ◯坂本産業労働局長 商店街は、住民の日々の買物の場であるとともに、地域のコミュニティの核として重要な役割を果たしております。こうした商店街の発展を図る上で、そこで営業する店舗の連携を強化することは必要でございます。  これまで都は、商店街の連合組織が地元の商店街と連携し、商店の加入促進を呼びかけるパンフレットの作成などに取り組む場合に支援を行ってまいりました。  来年度は、商店街振興組合などが商店の加入促進に向け、地域の一体感とにぎわいを創出するイベントを開催する経費につきまして、都が十二分の七、地元自治体が三分の一を助成する制度を開始いたします。  これによりまして、商店街の活性化を後押ししてまいります。 ◯土屋委員 都には引き続き、商店街組織の活性化や商店街に加入する店舗を増やすための取組への支援にしっかりと取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。  私からも減税についてお伺いいたします。  今定例会では、代表質問において三宅幹事長から、コロナ禍や物価高騰などの厳しい状況が続く中、都民に迅速かつ効果的に支援が行き届くよう、必要な対策を講じるべきと知事に伺いました。  また、予算特別委員会においても菅野政調会長から、物価高騰などが落ち着き、厳しい経済状況が回復するまでの時限的な支援策として、今こそ減税を実施すべきと申し上げ、昨日の川松議員の質疑においても、令和五年度予算ベースでの減税の影響額を踏まえて、減税が可能かどうかについて、税制面、財政面から追及を行ったところであります。  これまでの質疑を通じて、減税を行うことへの課題や問題意識についてはお伺いするものの、個人都民税の減税はできないという答弁はなかったものと認識しております。  以前から申し上げておりますが、国の調査では、東京の中間層世帯の経済的豊かさは全国最下位であります。その上、コロナや物価高騰などの影響を受け、多くの都民の方々が全国でも最も厳しい状況に置かれているといっても過言ではありません。  そこで改めて、これまでにお聞きしている課題等は承知の上でお伺いいたしますが、こうした中間世帯層への支援として、実際に都の権限で個人都民税の二〇%減税することが技術的に可能なのかどうか、主税局長にお伺いいたします。 ◯小池主税局長 都は、地方税法で定められている標準税率を個人都民税の税率として都税条例で規定しており、税率を変更する場合には、条例の改正が必要となります。  また、個人都民税は、地方税法に基づき、区市町村が区市町村民税と合わせて課税、徴収しております。このため、個人都民税の減税を実施し、また終了する際には、都内の全ての区市町村において、それぞれ税務システムの改修が必要となるため、相応の費用と時間を要するものと考えております。  都民生活の支援として個人都民税を減税することについては、所得が一定以下の方に対しては減税の効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものと認識しております。 ◯土屋委員 課題に対しては知恵を出し合いながら、より迅速かつ効果的に支援が行き届くよう、様々な取組と組み合わせながら対策を講じていくことが重要であると考えます。  我が会派の命を守る、東京を動かすというスローガンの下、都民の暮らしを守り、東京の経済の活性化につながる減税を含め…… ◯小宮委員長 土屋みわ委員の発言は終わりました。(拍手)
         ────────── ◯小宮委員長 中田たかし委員の発言を許します。    〔委員長退席、菅野副委員長着席〕 ◯中田委員 よろしくお願いします。  私からは、まず、関東大震災から百年で、東日本大震災から十二年ということで、改めて防災の意識を高めていかなければいけないという観点から、まず防災について質問をいたします。  いつどこで災害に遭うかは誰にも分からない中で、夜であれば自宅で家には備蓄がある、また近くの避難所に逃げることができるなど、移動に、また避難に移りやすい場面もあれば、仕事中、旅行中に被災することも考えられます。  東京都は、私の地元であります渋谷をはじめ、住んでいる住民の人口よりも昼夜問わず遊びに来る、また仕事に来る人口の多い地域が多くあり、その観点からも帰宅困難者対策に力を入れていかなければいけないと考えております。  現状で、都は、東京都帰宅困難者対策ハンドブックを作って、一斉帰宅の抑制などを求めています。その中で、今回新たに被害想定が策定され、四百五十三万人もの帰宅困難者が発生するとされています。  これまで述べたように、東京都の防災対策において帰宅困難者対策は重要な政策と考えますが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 大都市におきまして巨大地震が発生いたしました際、救出救助活動を円滑に実施するためには、大量に見込まれる帰宅困難者への対策が重要でございます。  都はこれまで、帰宅困難者対策実施計画を策定しまして、一時滞在施設の確保、そして事業者などとの連携、SNSなどを活用した普及啓発などを進めてまいりました。  現在、新たな被害想定を踏まえまして、一斉帰宅の抑制、安否確認と情報提供、一時滞在施設の確保、帰宅支援を四つの柱といたしまして、実施計画の改定を進めており、この計画に基づいて都民の安全・安心を着実に確保してまいります。 ◯中田委員 実施計画を改定とのことで、早期の計画改定を求めるとともに、計画をつくるだけでは宝の持ち腐れになってしまいますから、この計画を企業、来街者に周知を広めていただくことを求めます。  そして、帰宅困難者対策として、現在、帰宅困難者対策オペレーションシステムを開発中でありますが、その内容や活用について伺います。 ◯野間総務局長 帰宅困難者対策オペレーションシステムは、大規模災害時の帰宅困難者の滞留状況、災害発生状況等について情報を収集し、リアルタイムで情報発信することで、帰宅困難者対策を的確に行うことを目的としてございます。  今年度は、システムの基本的な機能や性能を検討し、設計を行うとともに、訓練等で一部の機能について実際に運用し、検証を行ったところでございます。  引き続き、帰宅困難者に適切な避難行動を促すための情報提供の手法などを検討し、開発を進めてまいります。 ◯中田委員 早期の実用化を求めるとともに、この運用については、災害時に必要とする方々に着実に届くように、様々なアプリとの連携などオペレーションシステムの開発を求めます。  さらに、東京はマンションが多い地域です。古い一軒家がなくなるたびにマンションが次々と立ち並ぶ現状が都心部にはありますが、我が会派の代表質問の答弁にて、防災訓練などの取組を行っているマンションに対しアンケート等を行いまして、このうち、東京とどまるマンションに登録する場合は、コミュニティ活動の醸成に資する防災備蓄資器材の整備費用の一部を支援いたしますと答弁がありましたが、防災訓練などしっかりできていないマンション、また管理組合がしっかりしていないマンション、また自治会等のコミュニティがなかなかないマンションなど、地方から多くの人々が集まるこの東京のマンションだからこその問題が多くあると考えますが、このようなマンションに対しても、防災という観点からしっかりとした支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。 ◯山口住宅政策本部長 都は、マンション管理ガイドブックにおいて、火災や地震、風水害等に備えるため、管理組合が取り組むことが望ましい事項を記載しまして、ポータルサイト等を通じて啓発を行っております。  来年度は、自主防災組織の立ち上げなど管理組合の防災力向上を図るため、マンション管理士の団体と連携しまして、専門講習を受講した管理士の派遣を開始いたします。  あわせまして、災害時でも生活継続しやすい東京とどまるマンションの登録も促進してまいります。 ◯中田委員 今ご答弁にあった東京とどまるマンションですが、この五年間で登録が七件ということです。これではやっていないのと同じではないかといわざるを得ません。  やるからにはしっかりと広めていく、防災という観点からでは様々な政策が待ったなしで、いざ震災が起きたときに、今やっている最中だった、開発中だったという話では話になりませんから、この点についても子育て施策と併せて、東京都には加速度を上げていただくことを要望いたします。  次に、中小企業支援について、まち場の飲食店の目線から質問をさせていただきます。  ロシアのウクライナ侵攻による小麦の原材料高、また原油高で、二〇二二年から長引く値上げが二〇二三年も止まりません。  帝国データバンクによりますと、四月までに一万五千品目、さらには、八月には二万品目を超える値上がりが予定されているとされています。二〇二二年の同じ時期と比べると約三倍のペースで推移しています。  さらには、内容量を減らして価格を据え置く実質値上げなども増えています。このことは多くの家計を直撃しており、さらに、中小企業へも多くの影響を与えています。  また、卵の値上がりも大変頭を悩ませます。飼料の高騰や鳥インフルエンザの流行で、二月の卸売価格は去年のおよそ二倍になっています。一キロ当たり三百二十七円と過去最高値を更新しており、全国展開するファミリーレストランでは、二月二十八日から卵を使った一部のメニューの休止や内容変更を行うような対応に迫られています。  ここまで現状の社会情勢を述べてまいりましたが、夏までにさらに多くの品目が値上がりするとされている中で、物価高騰、原油高騰が中小企業に与える影響について、知事の認識を伺います。 ◯小池知事 事業活動に必要な原材料などの高騰によって、中小企業の経営に影響が生じています。こうした状況を乗り越えまして、事業を継続できるよう支援を行うことは必要です。  中小企業を経営と金融の両面から下支えするため、省エネによりコストを抑える様々な取組にサポートを行いますほか、制度融資により資金繰りを支援いたしております。  これらにより、中小企業の経営を支えてまいります。 ◯中田委員 続けて、賃金の点から質問をいたします。  今年の春闘がスタートしましたが、賃上げの動きがどこまで広がるのか、連日いろいろな報道がされています。  都内の信用金庫が取引先の中小企業七百社余りに聞き取り調査を行ったところ、賃上げの予定がないと回答したのは七〇%余りにも上ったことが分かりました。逆に、別の調査では、全国の中小企業を対象に実施したアンケートで、主に東京都内に本社を置く企業の約六割が、二〇二三年の春闘で賃上げを予定していると回答がありました。  どちらの数字を取るかで見方は大きく変わりますが、私たちが着目しなければいけない点は、六割が賃上げするということは、残りの四割が賃上げをされないということです。  どちらの数字も賃上げができる企業、できない企業が出てきていますが、上げたくても上げられない、そうやって悩んでいる経営者、上げてほしくても会社の経営を考えるといい出せない社員、このままでは格差がさらに拡大してしまうおそれがあります。  その中で、社員が一人、二人の中小企業の賃上げについて、都の見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 中小企業が事業の発展に向け生産性を高め、賃金の引上げを図ることは必要でございます。  このため、都は、中小企業が効率的な設備を導入する支援について、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、助成の率を引き上げております。  これによりまして、中小企業の従業員の処遇改善を後押しいたします。 ◯中田委員 今年一月の全国における企業倒産件数は、九か月連続で前年同月期を上回っており、増加傾向が鮮明となっていますが、その中でも特に目立つのが物価高倒産であると帝国データバンクが発表しています。  原料や燃料、原材料などの仕入価格上昇、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁ができなかった値上げ難により収益が維持できなかった、倒産に至ったケースが、一月では、二〇一八年に調査開始以来最多の五十件とされています。  例えば、飲食店での話をしますと、生ビール一たる千円もの値上げが行われました。ブロックチーズは、今年の四月からキロ単価で五百円値上がりします。  飲食店におけるメニューの価格設定は来店動機に直結する大事な要素であることから、値上げは慎重に行わなければならず、仕入価格が上がったからといえ、何度も値上げできるものではありません。  産業労働局はいろいろな支援を行っておりますが、小規模、個人経営の飲食店では、今産業労働局が行っている共同購入に対する補助を使えない事業者が多くいます。物価が上がり、仕入れ値がどんどん上がってしまっている中で、仕入れ値を価格転嫁できていない飲食店支援について、都の見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 仕入価格の上昇によりまして、中小企業の経営に影響が生じております。  これまで都は、厳しい経営環境に直面する飲食事業者に対し、専門家による助言を行い、必要となる経費について、その三分の二に支援を行っております。  こうした取組により、引き続き飲食事業者の経営を下支えいたします。 ◯中田委員 今、局長がいわれた支援は、コロナ禍から始まったもので、一社一回しか使えません。コロナ禍で苦しんで、それを脱却するために支援を使ったが、今度は物価高、原油高の壁に当たってしまって、今、さらに困っている事業者は増えています。  事業者の状況は刻一刻と変わっているからこそ、新たな支援の創設、また、現状の支援の再度利用等を改めて要望をさせていただきます。  続いて、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金の不正についてお聞きをします。  都道府県が休業や営業時間を短縮した飲食店に協力金を支払ってきましたが、新聞報道で、東京を含む多くの都道府県で不正受給があり、未回収金額があると報道されました。  新聞報道では、九月末時点で不正受給額が約三億三千五百万で、未回収額は二億六千六百万となっていましたが、現状、飲食店向けの感染拡大防止協力金の支給実績と併せ、不正受給の件数及び金額についてお伺いをいたします。 ◯坂本産業労働局長 感染拡大防止協力金は、この一月末時点で約百三十九万八千件の申請を受け付け、約百三十七万三千件の支給決定を行い、支給額は約一兆九千六百二十五億円となってございます。  また、協力金の支給の決定を受けた申請者が、偽りその他不正の手段により、協力金の支給を受けようとした事実が判明した場合、支給決定の取消しを行ってまいりました。  都が不正受給と判断して支給決定を取り消した件数は二百五十六件、金額は三億三千六百六十九万七千円でございます。 ◯中田委員 直近の数字で、一月末時点で約三億三千六百万の不正受給があったとのことでしたが、産業労働局として、不正受給を防止するため、また、申請後にどのような対策に取り組んできたのか、また、不正受給が判明した場合の対応についても併せてお伺いをいたします。 ◯坂本産業労働局長 都は、申請内容について疑問がある場合、現地確認等によりまして、受給要件を満たしているかを確認しました。また、区市の保健所等と連携し、申請者が提出した営業許可書の照合を行うほか、総務局による各店舗の見回り情報を活用し、営業実態の確認を行うことで適切な支給に結びつけてまいりました。  不正受給が明らかになった際には、警察等の関係機関に相談するとともに、協力金の返還と併せて違約金の請求を行うなど、厳正に対処いたしました。 ◯中田委員 迅速に支給しなければいけないというコロナ禍の差し迫った飲食店の状況の中で、手続を様々簡素化し、多くの飲食店の経営を救ってきた、この感染拡大防止協力金ですが、税金で支払われたものです。未回収額に関しては、警視庁とも連携をしっかりしていただき、しっかり回収を行っていただくことを求めます。  そして、飲食店、事業者支援ですが、事業者に対して支援策を用意しても、その制度が事業者に届かなければ利用をされません。来年度、支援情報検索サイトを構築するとのことですが、現在、運用をしております新型コロナウイルス感染症支援情報ナビサイトでは、都民、事業者が助成金などの情報を容易に入手できるように案内をしています。  このノウハウを生かし、来年度構築する各種支援策の検索サイトは、都民、事業者に分かりやすい情報提供を行っていくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。  次に、羽田新飛行ルートについて質問をいたします。  今日、今、この天候で、この時間ですと、私の地元の渋谷でも多くの飛行機が飛んでいることだと思います。  国が設置しています羽田新飛行ルートに係る固定化回避検討会では、海岸沿いに曲線を描きながら下りてくる、アメリカ、ジョン・F・ケネディ空港のような飛行方式など参考に検討が進められており、地元でも海上ルートへの見直しを求める声が多いです。  現状、都として固定化回避検討会にどう関わっているのでしょうか。また、今後、羽田新飛行ルートの固定化回避にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 国は令和二年、地元区の意見等を踏まえ、羽田新経路の固定化回避に係る技術的な方策について多角的に検討する会を設置し、検討を進めております。  都は、この会に参加はしておりませんが、結果についてはその都度公表されており、騒音軽減や技術的な観点から検討が進められているものと承知しております。  都は、国に対し、飛行経路の運用に関して、騒音影響の軽減をはじめ様々な対策を求めてきており、引き続き、丁寧な情報提供と騒音、安全対策の実施を求めてまいります。 ◯中田委員 国では、夏から秋にかけて素案の策定結果を発表するとしていますが、今答弁にありましたように、地元区の意見を踏まえて設置されました固定化回避検討会ですから、東京都としては積極的にこの会議にも首を突っ込んでいってほしいと要望をさせていただきます。  また、渋谷区上空を南から北、つまり羽田空港方面から飛んでいる飛行機もあると地域から声が出ています。その事実、理由は東京都として把握しているか見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 航空機が空港への着陸進入中に機体の着陸態勢が整わない場合、航空機を空港に安全に着陸させるため、パイロットや管制官の判断により、やむを得ず着陸をやり直すゴーアラウンドを行うことがございます。  国からは、このゴーアラウンドにより、渋谷区上空を北上する航空機があると聞いております。 ◯中田委員 着陸のやり直しということは理解しました。もちろん今までも飛んでいたのかもしれませんが、日々飛んでいる飛行機に悩まされるようになった都民、区民の皆さんは大変敏感になっています。そのことからも、改めて、今答弁されたことなどを都民の皆さん、区民の皆さんに周知されることを要望させていただきます。  次の質問ですが、私の地元の渋谷区の恵比寿地域や広尾地域では、飛行機の騒音に悩まされている方がいます。自宅で約八十デシベルもの騒音を計測することも多々あるとのことであり、約八十デシベルというと、鉄道の線路脇、また、飛行機の機内と同じ程度の騒音となります。  その中、東京都は環境確保条例が制定されており、この条例の中では、騒音の程度を住居地域では四十デシベルから五十デシベルとしています。また、国にも環境基準があり、その中で住居地域は五十七デシベル以下とされています。  これらの基準を羽田新飛行ルートを飛ぶ飛行機は守ることができているのかと地域の方々から声がありますが、都の見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 環境確保条例では、工場等から生じる騒音を規制対象としてございまして、航空機騒音については規制対象外でございます。  一方、航空機騒音は国が環境基準を定めてございまして、一日の騒音エネルギーの総和から求めた時間帯補正等価騒音レベル、いわゆるLdenの年平均値でございまして、住居系地域であれば五十七デシベル以下としてございます。  都は、この基準を適用する地域を空港周辺の生活環境を保全する観点から指定し、基準の適合状況を確認するための調査を行ってございます。  また、新飛行経路の運用に伴う騒音の状況を把握するため、渋谷区内二地点を含めた新飛行経路のほぼ直下の五地点を追加して調査を実施してございます。  令和二年及び三年度のLdenの年平均値は、いずれの調査におきましても環境基準値を下回ってございます。 ◯中田委員 都の環境確保条例では、航空機の騒音が対象外であるとのことでしたが、特にそのような条文を読み取れるところは正直ございませんでした。大阪府池田市や兵庫県川西市などでは、環境保全条例等において、航空機騒音の防止に関する規定などが設けられていますから、東京都としてもしっかりと検討をしていただきたいと思います。  航空機騒音は、地元でも非常に関心事になっております。引き続き、騒音調査を実施していただき、環境基準を超えるようなことがあれば、関係機関に対して改善を要請していただくとともに、また、環境基準の指定の地域、先ほど局長からも答弁がありましたけれども、この地域も羽田新飛行ルートを飛ぶようになってから見直しの検討会がありましたが、今、中断をされています。しっかりと環境基準の指定の地域の見直しの早期実現を強く要望させていただきます。  また、騒音だけではなく、落下物の問題があります。パネルも用意をさせていただきましたが、飛行機からとは断定されませんでしたが、飛行機から氷塊が落下した疑いがあります。  加えて、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ航空需要も、水際対策の緩和、国内旅行の需要拡大に伴って、都心上空を低空飛行する飛行機も増便するのではないかと不安があります。  ちなみに、この氷塊が落下した地域は、この都庁からもすぐそばのオペラシティの隣のテニスコートです。なので、この東京都庁に氷塊が落下していた可能性もあるともいえます。  今後、航空需要の回復により都心の低空を飛行する飛行機の増便はあるのでしょうか。また、その際の飛行ルート下への影響はどのように変わるか、東京都の見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 国からは、国内線の便数についてはほぼ回復しており、水際対策緩和により国際線も今後回復していく傾向にあると聞いております。  国はこれまでも、低騒音機の導入促進や、着陸時の進入角度の引上げによる騒音影響の軽減、また、世界的に類を見ない落下物防止対策の航空会社への義務づけ、航空機のチェック体制の強化による安全管理の徹底に努めてきており、引き続き、着実な騒音、安全対策の実施に取り組むとしております。 ◯中田委員 どのような影響があるのかという質問だったんですが、なかなかお答えをいただけなかったというところでありまして、先ほども環境局の答弁にあった騒音エネルギーの総和の話に戻ると、一日に飛ぶ飛行機が増えることによって、エネルギー量ももちろん増えるので、環境基準を超えてくる可能性があるので、しっかりとその点はモニタリングを行っていただき、超えた場合は即時国への要望を行っていただきたいと思います。  この羽田新飛行ルートは、渋谷区や新宿区でも半数以上の自治会長、町会長が反対署名に賛同しています。署名活動を踏まえ、渋谷区議会では、新飛行ルートの運用停止を国に求める意見書を全会一致で可決をしました。新宿区議会でも、地方空港の活用による飛行経路の分散化や海上ルートを活用するよう求めた決議が可決をしました。  そのことからも、都民の安心・安全を守る立場である知事として、この声に向き合っていき、しっかりと行動していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 将来にわたり東京が国際競争力を持ちながら持続的な発展を続けていくためには、羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。  新飛行経路について、都民の皆様から、騒音や落下物に対する不安など、様々なご意見があることは承知しております。  都は、引き続き、国に対して、騒音、安全対策の実施と丁寧な情報提供を求めてまいります。 ◯中田委員 ぜひ、知事には、しっかりと答弁をしていただきたかったですが、本当にお答えいただけなかったのは大変残念です。  飛行ルート直下の自治体では、議会、町会、住民と、見直し、反対の声が本当に多く上がっています。都民の命と暮らしに関わる大きな問題ですので、しっかりと向き合っていただき、国に働きかけを行っていただくことを要望させていただき、次の質問に移ります。
     次に、交通施策について伺います。  地下鉄駅で日本一深い場所にある都営大江戸線の六本木駅は、最も深いホームが地表から四十二メートルの地下七階になります。  この六本木駅のエレベーターが故障して使用停止となっておりましたが、その経緯について伺います。 ◯武市交通局長 大江戸線六本木駅のエレベーターのうち、地下五階と地下一階を結ぶ一基が、昨年十二月十七日に故障しました。直ちにメンテナンス会社に復旧を指示したところ、駆動装置の交換が必要となりましたが、当該エレベーターは既に日本から撤退した海外メーカー製で、装置を海外で製作しなければならず、調達に時間を要することが判明しました。  そのため、お客様への影響を考慮し、移動距離が比較的短い、同じメーカーのほかのエレベーターの装置を転用することといたしまして、故障したエレベーターを十二月二十三日に復旧させました。  装置を取り外したエレベーターは、先月二十七日から運転を再開いたしました。 ◯中田委員 駅のバリアフリー設備は、重要なインフラの一部といっても過言ではないです。この六本木駅は一日の乗降者数が約六万人です。ベビーカーの親子連れや車椅子の利用者もいる中で、そのエレベーターが二か月もの間、クリスマス、お正月と多くの人がまちを行き交う中、使用できなかったことは、都民、来街者の方々に大変な迷惑をかけたと思います。  そもそもその海外メーカーの撤退をいつ知ったのか、また、撤退することを知った上で、交通局としてどのような対策を取ったのか、また、今後どのようにしていくのか伺います。 ◯武市交通局長 平成二十七年一月に、当該海外メーカーから、日本での営業業務を同年五月末に終了するとの通知がありました。  これを受け、交通局では、メンテナンス担う国内メーカーに指示し、定期的に交換が必要となる部品を確保してまいりました。  また、平成二十八年度より、大江戸線環状部を中心に、五十二基ある同社のエレベーターについて速やかに更新を進め、六本木駅以外の五十基につきましては更新を完了いたしました。  六本木駅の二基につきましては、令和元年度以降、二回、更新工事を発注しましたが、メーカーの技術者不足などにより契約不調となったため、保守点検を着実に実施し、安定的な運転に努めるとともに、早期の更新に向けて準備を進めております。 ◯中田委員 新聞報道によりますと、交通局の担当者のコメントで、国内撤退は想定していなかったと答えています。また、別の取材では、この海外企業を選んだ理由として、大量発注で安価に購入できたからとしています。  このコメントからも分かるように、リスクヘッジへの意識があまりにも低いというところに驚いてしまいます。入札の段階で、将来的なリスクへの対応も含めて検討が必要であったのではないかといわざるを得ません。  今回、交通局で問題が起こりましたが、この話は、都有施設、どこでも起こり得る問題であると考えています。海外企業が日本を撤退することだって、日本企業が倒産することだってあり得ます。  また、問題はエレベーターだけではなく、発電機であったり、その他設備でも起こり得る問題であるからこそ、都としてリスクヘッジをしっかりとしていかなければいけないと考えます。  不具合が生じてからの修繕を行う事後保全ではなくて、他の都有施設においては、故障等の不具合により都民サービスに影響が出ないよう施設の状況をしっかりと把握し、予防保全型の維持管理を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。 ◯吉村財務局長 都有施設は、都民サービスを提供する場でございまして、その建物機能の維持保全は重要でございます。  特に日常的な維持管理につきましては、劣化の程度が軽微な段階で修繕を施し、効率的に長寿命化を図っていくことが必要でございます。  そのため、例えば設備機器等の保守点検業務委託については、維持保全業務標準仕様書におきまして、点検の作業項目や内容、周期などを定めるほか、点検結果を踏まえた長期修繕計画等の見直しについて、受託者から助言を受けられることとしてございます。  また、維持管理を担当する職員への定期的な講習会を実施し、関係法令の周知や設備機器に関する情報共有を行うなど、維持修繕に係るサポートを実施しております。  今後とも、定期的、長期的な維持更新、管理を適正に推進してまいります。 ◯菅野副委員長 中田たかし委員の発言は終わりました。(拍手)      ────────── ◯菅野副委員長 続いて、尾崎あや子委員の発言を許します。    〔菅野副委員長退席、委員長着席〕 ◯尾崎委員 最初に、都営住宅の使用承継についてです。  都営住宅に住んでいる方の一番の悩みは、使用承継制度についてです。二〇〇七年の厳格化対応で、東京都は、使用承継が認められるのは原則配偶者となっています。それ以外は、高齢者、障害者、病弱者と極めて限定的です。  私は、忘れられないことがあります。あと一週間後に六十歳の誕生日を迎えていたのに、親が亡くなり、都営住宅を出ざるを得なかった人。親が亡くなり、残されたのは子供三人でした。長男は非正規雇用で働いていたので、民間アパートに移りましたが、下の二人は養護施設に入るしかないといわれました。長男は仕事がなくなり、家賃が払えなくなり、自分が生まれ育った都営住宅のそばの公園でホームレスになっていました。  このような事例は、全都のあちこちで起こっていることです。使用承継の制度によって、新たな住宅困窮者を生み出しているという現実を知事はどう受け止めますか。 ◯小池知事 都営住宅の使用承継制度につきましては、入居者と非入居者間の公平性を確保する観点から、国の通知等を踏まえまして、原則として配偶者またはパートナーシップ関係の相手方に限定をいたしております。  また、特に居住の安定を図る必要がある高齢者、障害者及び病弱者につきましては、例外的に承継を許可する配慮をいたしております。  使用承継の対象とならない方には、六か月の退去猶予期間を設けるとともに、公社住宅の募集情報の提供、市区町の相談窓口の紹介などを行いまして、丁寧に対応いたしております。 ◯尾崎委員 私は、都営住宅の使用承継について、新たな住宅困難者を生み出している現状をどう受け止めるのか、知事の認識を求めたのに対し、正面から答えるものになっていません。  そもそも都営住宅は、住宅に困っている人への支援として位置づけられているんです。それなのに使用承継の制度によって、新たな住宅困窮者を生み出すようなことがあってはならないと厳しく指摘するものです。知事の姿勢が問われるものです。  二月十四日の都市整備委員会の陳情審査で、二〇二一年度に使用承継事由が発生し二〇二二年九月三十日までに届出があったのは四千一件だと答弁し、その中で使用承継の申請及び許可の件数は三千三百五十一件であり、六百五十人が退去になっていることが分かりました。  二〇二一年度に使用承継事由が発生した中には、五百四十六件の生活保護受給世帯がありました。この中で、退去せざるを得なかった世帯は何世帯いますか。 ◯山口住宅政策本部長 令和三年度に使用承継事由が発生し、令和四年九月三十日までに届出がございました生活保護受給世帯のうち、退去した件数は七十三件でございます。  この中には、本人の意思で使用承継を希望せずに退去した方も含まれておりまして、使用承継が認められず退去した件数については把握しておりません。 ◯尾崎委員 生活保護受給者でも七十三世帯が退去になったということです。あまりにも冷たい状況ではないでしょうか。  日本共産党都議団は、全ての都道府県と政令市の公営住宅の入居承継について調査を行いました。  パネルをご覧ください。生活保護受給者に使用承継することとしている県は、岩手県、秋田県、山形県、千葉県、栃木県、三重県、滋賀県、大阪府、山口県、徳島県、佐賀県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の十五府県、政令市では、さいたま市、川崎市、新潟市、浜松市の四市であることが分かりました。特に滋賀県、大阪府、山口県は、厳格化対応後に見直しを行い、要件に加えていることも分かりました。  東京都は、他県と比較しても大変厳しいものになっている。生活保護受給者については使用承継できるように見直しを行うよう強く要望するものです。  ひとり親家庭で、母親と子供が都営住宅に入居していましたが、病気で母親が亡くなってしまい、十八歳の高校生一人が残されました。JKKの担当者は、施設に入るか、離婚した父親のところに行くしかないと冷たい対応でした。  パネルをご覧ください。鳥取県は、全ての同居者が未成年者の場合、あらかじめ後見人を定めた上で、未成年者のうち一人について承認すると二〇〇七年に改正しています。  少なくとも名義人の親が亡くなり、未成年者だけが残された場合、使用承継を認めるべきですが、いかがですか。 ◯山口住宅政策本部長 都におきましては、未成年の同居者だけが残された場合、原則として承継はできませんが、同居者のうち、年長者が義務教育を修了していれば、その年長者が二十歳に達するまでの間、退去を猶予する配慮をしております。 ◯尾崎委員 原則として承継できないという答弁であり、退去を猶予するというだけのものです。しかも、このことを知っている入居者はどれだけいるでしょうか。  私も先ほど紹介した事例について都の担当者に聞いたとき、この説明は何もなく、養護施設に入るしかないですねと答えたのは鮮明に覚えています。鳥取県のように、きちんと使用承継できる対象に、都も見直すべきだと強く要望するものです。  我が党は、今回の全国調査を実施し、そもそも厳格化対応していない自治体も多いこと、大阪府は入居者の高齢化によって自治会活動が困難になった、議会では議員からも提案があり、一年くらい議論し、一回だけだが、子や孫への承継を認めようと二〇二〇年に改正したこと、また、鹿児島県では、生活保護受給者を承継の要件にして、ケース・バイ・ケースの余地を残していることが分かりました。都も都民の立場に立って検討すべきだと強く要望しておきます。  次に、発がん性など健康への悪影響が指摘されている有機フッ素化合物、PFASについてです。  血液中のPFAS濃度の国内基準がありません。都の水道局は、有機フッ素化合物の検出によって、井戸は七市三十四本で取水を止めています。住民の方々からは、水は命に関わるもの、都として汚染の拡大防止と汚染源を明らかにしてほしいとの声が寄せられ、住民の皆さんは血液検査も自主的に行っています。私も一月二十五日に採血してきました。  多摩地域で血液検査を六百人の目標で取り組み、一月末に途中経過として八十七人の結果について記者会見を開きました。分析を行った京都大の原田浩二准教授は、多摩地域は高い数値であり、環境省調査での濃度を上回っている、何らかの暴露源がなければ説明できない、こうまとめています。  深刻な問題だと思いますが、どう受け止めていますか。 ◯栗岡環境局長 PFOS等の有機フッ素化合物は、撥水性や化学的安定性の特性から様々な用途で使用されてまいりました。  都は、国際的な規制強化の動向を踏まえ、いち早く平成二十二年度からの四年間で、島しょを除く都内全域の地下水中のPFOS等による汚染状況を把握してございます。  その後、比較的濃度が高かった地点については、継続して測定するとともに、関係各局で共有を図り、飲用井戸所有者には飲用を控えるよう助言を行うほか、一部の水源井戸では取水を停止するなどの対策を講じてございます。 ◯尾崎委員 多摩地域の血液検査の結果について受け止めを聞いたにもかかわらず、それには何一つまともに答えていません。  血液検査の中で、国分寺市の六十五人で見ると、PFOSとPFOAが血液一ミリリットルの中に含まれる量は、平均二十二・八ナノグラムでした。環境省調査の約三・五倍に当たります。とても不安になる数値ではありませんか。  血液検査に関わっている医師や看護師の皆さん、分析をしてくださっている方も、みんなボランティアで参加をしています。お医者さんたちは、有機フッ素化合物の被害の実態を明らかにし、被害者の健康不安をサポートすることは、自分たちの使命として取り組んでいるんだと話しています。  そこで伺います。  本来なら、都が率先してやるべきことではありませんか。お答えください。 ◯佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 国は、子供の発育に影響を与える化学物質等の環境要因を明らかにするため、平成二十三年から十万組の親子を対象に、子どもの健康と環境に関する全国調査を実施しております。調査項目には、有機フッ素化合物が含まれております。  都は、今後も国の動向を注視してまいります。 ◯尾崎委員 今おっしゃった環境省の調査は、東京都の都民の検査は入っていないんですよ。それだったら、まず、都民の検査を東京都としてやるべきじゃないですか。都が率先してやるべきことは、まず、都民の命を守ること、このことを厳しく指摘しておきます。  汚染源の特定についても問題があります。  環境省のPFOS及びPFOAに関する対応の手引きでは、調査の結果、目標値等を超過し、それが特定の原因によるものが疑われ、かつ、継続性があると判断される場合は、必要に応じて排出源の特定のための調査を実施し、濃度の低減のために必要な措置を検討することが考えられるとなっています。  都は、この手引が推奨している排出源の特定について検討したのかどうか伺います。 ◯栗岡環境局長 PFOS、PFOAにつきましては、既に法により、平成二十二年度に製造、製品への使用等が原則禁止となってございます。  一方、令和二年度に発出されました対応の手引きに記載されている調査等は、暫定指針値を超過した際に自治体が対応を検討するための参考情報として示されているものでございます。  手引では、特定の原因によることが疑われ、継続性があると判断される場合は、必要に応じて排出源特定のための調査を実施することが考えられるとされています。  一方、都は、令和二年度にPFOS、PFOAの暫定指針値が定められる以前から、比較的高濃度の地下水が検出された場合には、井戸所有者等に対しまして、飲用を控えるよう助言を行うほか、濃度の経年変化を把握するため、継続監視調査を行ってございます。 ◯尾崎委員 聞いていることに全く答えていません。答えられないということは、都は検討していないということですね。  都民の健康を脅かす問題です。都民にとって、おいしい水は宝です。その宝の水が汚染されている。これまで安心してみんなが飲んでいた水が、発がん性物質が含まれていたということなんです。  都は、国の手引を検討し、手引が推奨している排出源の特定について、都の責任で取り組むべきではないでしょうか。  横田基地では、以前、有機フッ素化合物が含まれた泡消火剤が使用されており、汚染源の可能性もあるといわれています。  また、過去には工場などでの使用もあり、汚染源の特定ができていません。都民の不安は募るばかりです。  汚染源の解明、特定のために、都はどのように取り組むのでしょうか。 ◯栗岡環境局長 PFOS等の有機フッ素化合物は、半導体の製造、撥水加工、泡消火剤など様々な用途で使用されており、都のこれまでの調査では、全区市町村で検出されてございます。  先ほど来申し上げてございますけれども、暫定指針値を超過した地点は、多摩や区部の複数の地点で確認されており、飲用を控えるよう対応してございます。 ◯尾崎委員 結局、いろいろおっしゃいますけれども、汚染源の特定をしようという姿勢は全く伝わってきません。  横田基地問題は重要です。  過去に燃料漏出事故の際、横田基地モニタリング井戸を位置づけました。二〇一九年一月、都が実施した水質調査において、横田基地周辺の観測井戸横田基地モニタリングから有機フッ素化合物が検出されています。  二月十四日の都市整備委員会の質疑で、横田基地周辺の観測井戸の水質調査は継続しているのですかと質問しましたが、平成三十一年一月のみと答弁し、継続調査は行っていないことが明らかになりました。  なぜ水質調査を継続しなかったのですか。 ◯佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、平成三十一年一月、飲用井戸等の水質の状況を把握するため、横田基地周辺の四か所で検査を実施いたしました。  このうち、飲用として利用している井戸は一か所でございます。多摩地域の飲用井戸等につきまして、水質の状況を把握するため実施している検査を、令和三年度にこの井戸について行い、その結果は国が定める暫定目標値を下回っておりました。  なお、暫定目標値を超えた場合は、井戸等の設置者に飲用を控えるなどの助言を行っております。 ◯尾崎委員 横田基地周辺の四本のモニタリング井戸は、立川市、昭島市、武蔵村山市、福生市です。  そのうち、立川市の井戸で千三百四十ナノグラム、現在の暫定目標値の二百六十八倍、武蔵村山市の井戸では百四十三ナノグラム、現在の暫定目標値の二・八六倍が検出されています。  東京都が設けたモニタリング井戸から高濃度のPFOS、PFOAが検出されたということは、横田基地が汚染源であると東京都が認定していることに等しいということです。  ところが、福生市以外の三つは飲用では使われていなかったという理由で継続しなかったわけです。つまり、高濃度が出た立川市、武蔵村山市もやめてしまった。もし続けていたら、今も高濃度が出ているのではないでしょうか。  よく知られているとおり、在日米軍基地は日米地位協定により、国や自治体による立入調査は認められていません。また、二〇一五年に締結された環境補足協定においても、立入りが認められるのは、環境に影響を及ぼす事故、すなわち漏出が現に発生した場合と極めて限定的なんです。不当なことで、極めて狭き門なんです。  横田基地モニタリング井戸で汚染が確認されたときに、すかさず事故、漏出が現に発生していると主張して、立入調査を求めるぐらいの積極性が都には求められたのではないでしょうか。ところが、実際には、横田基地からの汚染を隠すかのように調査をやめてしまったわけです。  都が横田基地モニタリング井戸と位置づけ、高濃度の結果が出た二つの井戸、改めて調査することを求めるものです。  沖縄県では、米軍普天間基地に隣接する小学校で、土壌中に含まれる有機フッ素化合物の調査を行っています。米軍基地が周辺にない土壌と比較し、十六・五倍のPFOSが検出されたことが二月十五日に明らかになりました。  パネルをご覧ください。横田基地の消火訓練施設から約七百メートル離れたところに小学校があり、約七百五十メートル離れたところに都立高校があります。  都として、土壌調査を行うべきです。少なくとも小学校や都立高校の調査は早急に行うべきですが、いかがですか。 ◯栗岡環境局長 土壌中のPFOS等については、現時点では十分な精度を持った統一的な測定方法が確立されてございません。  沖縄県が実施した方法は、河川や海の底質中のPFOS等の全量を測定するものでございますが、現在、国は土壌中のPFOS等が地下水に溶け出す量を測定する方法について、令和五年度の早い時期に関係自治体に示せるよう検討していくとしてございまして、都は、こうした国の動向を注視してまいります。
    ◯尾崎委員 国は、ただいまご答弁あったように、二〇二三年度の早い時期に、具体的な測定方法を関係自治体に示せるよう検討を実施しているということです。しかし、これに対応する都の予算はありません。都として、補正予算を組んで対応すべきだと求めるものです。小学校、都立高校の土壌調査を都が独自に調査することを強く求めます。  有機フッ素化合物の問題は、都民の命に関わる問題であることから、都が責任を持って調査し、排出源の特定のために全力で取り組むべきだということを厳しく指摘をして、次の質問に移ります。  次に、国民健康保険についてです。  これまで、国民健康保険には傷病手当がなく、病気になったとき、何の補償もありませんでした。  私は、都議会議員になる前、二十三年間、中小業者の営業と暮らしを守る活動に携わってきました。女性の地位向上、女性の人権を守るためにも力を入れ、国民健康保険に傷病手当、出産手当を求めて取り組んできました。  国保のコロナ傷病手当ができたときは、長年の中小業者の要望と運動が切り開いてきたんだと実感をし、とてもうれしかったです。助かったという声もたくさん寄せられています。  国民健康保険のコロナ傷病手当の実績について伺います。 ◯西山福祉保健局長 都内における新型コロナウイルス感染症に感染した国民健康保険の被保険者等に対する傷病手当金の支給決定件数と支給額の実績は、本年一月末時点で、区市町村が一万九百四十四件、約五億二千四百六十六万円、国民健康保険組合が五千九百六十四件、約三億八千九百八十一万円となっています。 ◯尾崎委員 国民健康保険のコロナ傷病手当が果たしてきた役割について、知事の認識を伺います。 ◯小池知事 新型コロナウイルス感染症に係ります傷病手当金の支給につきましてのお尋ねです。  国が、国内の感染拡大防止の観点から、特例的に財政支援を行うものとしたと認識をいたしております。 ◯尾崎委員 事業主も含めて傷病手当等を支給したのは、北海道の赤平市、京都府の京丹後市など十七自治体に広がりました。  また、事業主も含めて一定の金額の傷病見舞金を支給したのは、埼玉県だけでも朝霞市などの九自治体、長野県は木曽町など四自治体、神奈川県の相模原市など二十四自治体で実施をしています。  事業主を含めた傷病手当が全国に広がったこと、自治体の判断で実施できるということを裏づける大事なものだと思います。  コロナ感染症を二類から五類に変更することにより、二〇二三年五月八日以降、新型コロナウイルス感染症の傷病手当金について財政支援を終了するとの事務連絡が既に来ているということですが、国が打ち切るのであれば、都独自に傷病手当を創設することを強く求めるものです。  次に、日本共産党都議団は、この間、女性起業家の出産、育児に関わる問題で、せめて休業している間の国民健康保険料、税は免除するよう求めてきました。  新型コロナ感染症の影響や物価高騰の影響で、中小業者やフリーランスの方たちは、仕事が減っている、先が見えない、不安だと語っています。  話を伺ったフリーランスの方は、編集の仕事をしていましたが、好きなことがやれる、自分らしく生きたいように生きるんだと頑張ってきたと語りますが、フリーランスになって初めて、会社員は年金や社会保険などで守られていることを知った、フリーランスになって一番不安になったのは子供を産むときだった、こうおっしゃっています。そして、この方は出産ぎりぎりまで仕事をし、子供を産むとベッドの上ですぐに仕事を始めたといいます。  女性起業家や家族従業員として商売を支えている女性は、出産の前後の休暇が十分に保障されていません。国民健康保険には出産手当がないこともあり、出産ぎりぎりまで働き、出産後も十分な休みを取らずに働かなければならない状況について、認識を伺います。 ◯西山福祉保健局長 国は、子育て世帯の負担軽減等の観点から、国民健康保険において、出産する被保険者の産前産後期間相当四か月分の均等割及び所得割保険料を、来年一月から公費により免除する制度を開始することとしています。 ◯尾崎委員 我が党が要望してきたことが実現するということは大変重要です。  しかし、私が質問したのは、国民健康保険に加入している、特に女性起業家や家族従業員は、産前産後、十分な休みが取れない状況について認識を聞いたんです。答えていただけないのは大変残念でなりません。  国民健康保険に出産手当がないことによる障壁、このような状況があることを正面から受け止めて、制度に問題があるのであれば変えていくという姿勢が知事に求められていると厳しく指摘をしておきます。  私は、国民健康保険の二〇二〇年度の出産育児給付の実績である九千三百九人を基に出産手当金を試算してみました。産前産後の九十八日間、社会保険同様に三分の二相当を支給するとし、東京の最低賃金で一日八時間働く、そうすると年間必要な財源は約五十二億一千六百万円くらいになります。  知事、子供を産み育てたい、その願いを都が本気で応援していくというのであれば、国民健康保険にも出産手当を創設できるよう、東京都として試算し、国に強く要請することを求めるものです。  次に、多摩北部医療センターについてです。  多摩北部医療センターの改築に伴い、都は、多摩部医療センターの基本構想検討委員会を開催し、取りまとめを行いました。二〇二三年度中に多摩北部医療センターとしての基本構想計画をまとめるということになっています。  多摩北部医療センターは東村山市にあります。ところが、東村山市と清瀬市には、お産ができる産科がなくなってしまい、基本構想検討委員会では、産科をつくってほしいと地元自治体、医師会から強い要望が出ました。住民の皆さんからも産科の設置を求める多くの署名が集まったんです。  パネルをご覧ください。多摩北部医療センターが含まれる北多摩北部医療圏には、分娩施設は六施設です。島しょ地域を除く都内の二次医療圏比較では、北多摩北部医療圏は西多摩医療圏の五施設に次ぐ二番目に少ない状況です。  また、人口十万人に対する分娩施設も産科医師、助産師数で医療圏で比較をすると少ない状況です。これをどう認識しますか。 ◯西山福祉保健局長 先月、都立病院機構が公表した多摩北部医療センター基本構想案では、北多摩北部医療圏は分娩施設数が少なく、また、産婦人科及び産科医師、助産師の医療施設従事者についても少ない状況にあるとされております。  多摩地域では、スーパー総合周産期センターが妊婦を必ず受け入れるとともに、多摩全域を対象として搬送の受入れや調整を行ってございます。  また、これらの病院が中核となって、地域周産期母子医療センター等がネットワークを構築し、妊産婦等のリスクに応じた役割分担と連携を進めており、多摩地域における周産期医療体制の充実を図っています。 ◯小宮委員長 尾崎あや子委員の発言は終わりました。(拍手)  この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。    午後五時十七分休憩      ━━━━━━━━━━    午後五時五十分開議 ◯高倉副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  かつまたさとし委員の発言を許します。 ◯かつまた委員 初めに、都の水害対策について質問をいたします。  都は、昨年十二月、TOKYO強靱化プロジェクトを発表いたしました。プロジェクトは五つの柱から成り、一つ目の柱が、激甚化する風水害から都民を守るとなっております。  この激甚化する風水害で忘れられないのが、二〇一九年に首都圏、そして東京を襲った台風十九号であります。この台風十九号は、伊豆半島に上陸し、西日本から東日本にかけて、広範囲に大雨や強風をもたらしました。多摩川沿いの狛江市では、床上、床下浸水が二百五十棟以上発生、世田谷区二子玉川駅周辺においては、多摩川の無堤防地域から氾濫し、周辺地域に多大な被害をもたらしました。さらに大田区では、多摩川の田園調布(上)水位観測所において、計画高の水位を大きく上回り、上沼部排水樋門では、樋門を閉鎖したことにより、浸水被害が発生をいたしました。  当時、私は区議会議員であり、災害後、公明党国会議員と現地を視察するとともに、地元大田区長と国土交通省を訪れ、当時の赤羽国土交通大臣に多摩川の水害対策について要望をいたしました。それにより、国においては、多摩川の改修費用の予算がつき、令和元年から令和六年にかけて、大田区地域の約六キロにわたり、多摩川の川底を二メートル掘削する作業が現在も行われております。  一方、都においては、令和四年第一回定例会で、浸水被害のあった上沼部排水樋門の改善を求めました。その際には、都も努力する旨の答弁をいただいております。  そこで、上沼部排水樋門の具体的な改善について答弁を求めます。 ◯奥山下水道局長 上沼部排水樋門における改善対策としましては、豪雨時における樋門操作時の安全を確保するため、堤防から河川に張り出した操作盤につながる通路の転落防止柵のかさ上げなどを実施いたしました。  また、樋門の操作や維持管理を委託している大田区や世田谷区と定期的に樋門の操作や情報連絡訓練を実施しております。  さらに、多摩川の水位が計画高水位まで上昇しても、雨水を排水できるよう、既設のポンプゲートの能力を増強するとともに、区役所からも遠方操作が行える機器を整備するため、来年度から工事に着手いたします。 ◯かつまた委員 既設のポンプゲートを増強するということで、大変、地域では安全・安心が大幅に進んだと思います。下水道局の迅速な対応に感謝し、その取組を高く評価をいたします。  その上で、この上沼部排水樋門に隣接する沼部排水樋管について質問をいたします。  この沼部排水樋管は、丘陵地となっている国分寺崖線の南の端である沼部地域や鵜の木地域の高台に降った雨水を、丘陵地の高低差を利用し、沼部幹線や鵜の木幹線を通し、雨水を低地に運び、沼部排水樋管を通り、多摩川に排水する仕組みとなっております。  しかし、二〇一九年の台風十九号の際には、多摩川上流域の八王子市において、累計降雨量六百十八ミリの降雨があり、大田区では、多摩川の水位が計画高を超えたため、沼部排水樋管を閉鎖、それにより、行き場を失った雨水が、下水道管の圧力を高め、近隣のマンホール蓋を壊し、この地域に内水氾濫の被害をもたらしました。  そのため、東京都は、今後の対策として、二〇一九年十二月八日に地域説明会を行い、この地域にあるマンホール蓋を圧力が解放できるものに付け替え、マンホールの蓋が飛ばない仕組みといたしました。  さらに、大田区は、今後、台風十九号と同様な台風がこの地域を襲った場合に備え、道路から下水道管に流れる雨を少しでも多く取り込めるように、雨水ますについても、既存のコンクリート蓋からグレーチング蓋に取り替え、矢口ポンプ所により多くの雨を流せる仕組みをつくりました。しかしながら、この台風十九号と同じような雨が降った場合には、再びこの地域に大きな浸水被害が発生することが懸念をされます。  こうした中、都は昨年十二月にTOKYO強靱化プロジェクトを発表しましたが、下水道局では、時間降雨七十五ミリに対応する施設を整備していくと聞いております。  この機会に、当該地域においても、新たな排水ポンプを設置する、もしくは土地の高低差を利用し集めた雨水の一部を分岐させ、矢口ポンプ所につながる新たな下水道管を設置し、時間降雨七十五ミリに対応するべきであると考えますが、都の見解を求めます。 ◯奥山下水道局長 下水道局では、昨年三月に下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、区部の目標整備水準を一時間五十ミリ降雨から七十五ミリ降雨へとレベルアップし、区部全域を対象に、一定の条件の下で流出解析シミュレーションを実施いたしました。  その結果、ご質問の沼部排水樋門の流域につきましては、床上相当の浸水がまとまって発生していないことから、一時間七十五ミリ降雨に対しても、一定の雨水排除能力を備えていることが確認されております。  今後も、樋門の操作管理などを適切に行うとともに、地元区とも連携を図り、浸水被害の軽減に努めてまいります。 ◯かつまた委員 浸水対策の強化は、都民の安全・安心を守る上で大変重要な取組となります。これまでの災害経験を生かす取組、そして、今後も、計画的に浸水対策を進めていただきたいことを要望し、次の質問に移ります。  次に、新空港線、蒲蒲線を含めた蒲田駅周辺のまちづくりについて質問いたします。  この新空港線、蒲蒲線は、単にJR蒲田駅と京急蒲田駅間の約八百メートルをつなぐ路線ではなく、国際競争力に資する、答申百九十八号の六路線に位置づけられ、特に新宿や池袋など、東京の西側から羽田空港に乗り入れることができる東京都としても大変重要な路線であります。  私は、この新空港線、蒲蒲線について、二〇二二年の第一回定例会一般質問で取り上げ、事業化に向けて不可欠な都区間の早期費用負担割合の決定を求めました。その結果、昨年六月、大田区と東京都の費用負担の合意がなされたことを高く評価をいたします。  現在、工事着手に向け準備が進められており、昨年十月十四日鉄道の日に、区と東急電鉄の出資の下、第三セクターである羽田エアポートライン株式会社が設立し、事業が動き出しました。  あわせて、この新空港線の整備を契機として、区は蒲田駅周辺を中心としたまちづくりを展開していくこととしています。  昨年十二月には新空港線「蒲蒲線」整備促進区民協議会において、区は、鉄道と魅力的なまちづくり宣言を行い、区の強みである鉄道網を充実させ、羽田空港を擁する自治体としてのポテンシャルを最大限に生かしつつ、魅力的なまちづくりを持続的に進めていく決意を示しました。  その一つの形として、現在、大田区鉄道沿線まちづくり構想の策定に向けた取組が精力的に進められており、地元は、新空港線の整備に向けて、ますます盛り上がりを示しております。蒲田駅前のロータリーの改修も目に見える形で始まり、駅前商店街の皆様から、期待の声が高まっております。  そこで、本路線の事業化に向けた区などの熱心な取組に対して、都としてもしっかりと対応していくべきと考えますが、都の見解を求めます。 ◯福田都市整備局長 新空港線は、国の答申において、東急東横線などとの相互直通運転を通じ、国際競争力強化の拠点である新宿や東京都北西部等と羽田空港とのアクセス利便性が向上するとの効果が示されております。  昨年十月、本路線の整備主体となる第三セクターが大田区と鉄道事業者により設立され、都市鉄道利便増進事業の採択に向けた調整など、事業化に向けた取組が進められております。  都といたしましては、技術的観点から適宜助言を行うなど、引き続き、事業化に向けた関係者による協議、調整を支援してまいります。 ◯かつまた委員 よろしくお願いします。  次に、民間医療機関の特別療養環境室にかかる費用、いわゆる差額ベッド代について質問いたします。  私は、二〇二二年の第一回定例会一般質問で、二〇二〇年三月五日付の厚生労働省通知をお示ししながら、病院側は、常に差額ベッド代が発生しない病室と差額ベッド代が発生する病室の双方を用意し患者へ提示し、その選択は、患者自身、もしくはその家族に委ねなければなりませんが、現実にはその徹底が不十分であり、トラブルになるケースが多々ありますと取り上げました。  福祉保健局長からは、病院の特別療養環境室について、国の通知では、同意書による同意がない場合、患者本人の治療上の必要により入室させる場合、病棟管理の必要性等から特別室に入室させた場合等は、料金を求めてはならないとされております。都は、こうした情報を患者の声相談窓口のホームページに掲載し、都民へ周知するとともに、都内病院に対しても情報提供しています。また、相談窓口で対応した相談、苦情等のうち、不適切な事例が認められた場合には、厚生労働省へ情報提供し改善につなげるなど、引き続き適切な医療提供体制の確保に努めてまいりますと答弁をいただきました。  まず、都の患者の声相談窓口に寄せられる過去五年間の医療費に関する相談件数と、そのうち、差額ベッド代に関する相談件数を明らかにしていただきたいと思います。 ◯西山福祉保健局長 患者の声相談窓口に寄せられた直近五年間の医療費に関する相談件数は、年平均で約七百件でございます。  このうち、特別療養環境室の料金、いわゆる差額ベッド代に関する相談件数は、平成二十九年度が百三十二件、平成三十年度が百五十五件、令和元年度が百九十一件、令和二年度が二百四十六件、令和三年度が二百三十九件でございます。 ◯かつまた委員 今の答弁から、医療に関する相談のうち、差額ベッド代についての割合がだんだん高くなっているということが分かりました。  私は、この差額ベッド代について、公明党国会議員と連携し、二〇二二年四月二十五日の参議院決算委員会で、公明党塩田参議院議員に取り上げていただきました。  塩田議員からは、患者本人の治療上必要な場合など、実質的に患者の選択によらない場合などは、差額ベッド代を患者に請求してはならない。しかし、現実的には、差額ベッド代が請求されてしまうケースが多く起きている。厚生労働省としても、患者本人の了承なしに差額ベッド代が発生しないよう、体制強化に取り組んでいただきたいと厚生労働大臣に質問をいたしました。  大臣からは、二年に一度の診療報酬改定の際に発出する通知で繰り返しお示ししており、さらに、不適切な事例については、地方厚生局において、事実関係の確認を行うとともに、必要に応じて医療機関に対する指導を行っている旨の答弁をいただきました。  国においても、このような取組を行っていただいておりますが、残念なことに、差額ベッド代について、先日ご相談をいただきました。ご自分が選択していないにもかかわらず、差額ベッド代が発生しない部屋が空くまで、特別室に入室を勧められたとのことでした。私は、この相談者に、都議会定例会でのやり取りや厚生労働大臣の答弁内容をお伝えしました。その後、この相談者は、このやり取りを病院担当者に伝えたところ、担当者からは、差額ベッド代を徴収しないとの連絡をいただいたそうです。このように、現実的にはまだまだ患者の希望によらない差額ベッド代が請求されている事例があります。  昨年、第一回定例会で、厚生労働省の通知に基づく医療機関の差額ベッド代に関する都の対応について質問をいたしましたが、その後の都の取組について答弁を求めます。 ◯西山福祉保健局長 都は、特別療養環境室の料金を患者に求めてはならない場合として、患者の同意がない場合や治療上の必要がある場合などの具体例をホームページに掲載しているほか、相談者からの相談内容等を記載した文書により、医療機関等に改めて周知をしてございます。  また、特別療養環境室の料金に関する相談が患者の声相談窓口に寄せられた場合は、問題解決に向け、相談者に必要な助言を行うとともに、当該医療機関等へ適宜情報提供をするなど、患者、都民と医療機関等との信頼関係が構築されるよう、支援をしてございます。 ◯かつまた委員 医療制度について質問、相談を受けるケースが多々あるわけなんですけれども、時には、都の患者の声相談窓口を紹介するケースがありますが、ほとんどの方が、この患者の声相談窓口の存在をご存じないです。  本年二月、東京都政策企画局発行の保健医療に関する世論調査を拝見いたしました。その中の医療情報サービスの認知度に関する事項で、知り得る都の事業で認知度が一番高い事業が、東京消防庁救急相談センター、いわゆるシャープ七一一九の認知度で、三八・八%あるのに対し、医療安全支援センター、患者の声相談窓口への認知度が一・七%となっており、認知度の低さがうかがえます。  患者の声相談窓口は、大変重要な事業であります。長年取り組んでいる事業であると思いますけれども、一・七%とは、あまりにも認知度が低過ぎます。認知度が高い救急相談センター、シャープ七一一九は、平成十九年六月一日に開設し、十六年前からその取組を行っておりますが、患者の声相談窓口は、何年前から取り組んでいる事業なのでしょうか。 ◯西山福祉保健局長 患者の声相談窓口は、二十二年前である平成十三年五月に設置をしてございます。 ◯かつまた委員 今の答弁にもあるように、十六年前から始めている救急相談センターが三八・八%あるのに、二十二年前から始めている患者の声相談窓口は一・七%ということであります。  相談等の施策は、開設して終わりではなく、その上で、都民の皆さんが利用されるのが大変重要であるというふうに考えます。そのためには、都民の認知度を上げる必要があります。  患者の声相談窓口の認知度を上げるための都の取組について見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 都はこれまで、患者の声相談窓口の役割や相談の流れなどを記載したパンフレットを作成し、都内全ての病院や保健所等へ重ねて配布をするとともに、ホームページにも同様の内容を掲載し、よくある相談事例も紹介するなど、都民に周知をしてまいりました。 ◯かつまた委員 努力はしてきたということなんですけれども、認知度の高い東京消防庁相談センター、シャープ七一一九事業は、これまでポスターやリーフレット等の紙媒体による広報活動に加え、TVerやユーチューブ、マグネットシールなどで、都民の認知度を上げる取組を行っていると伺いました。また、シャープ七一一九というインパクトのある電話番号を案内しています。  こうした救急相談センターの取組に限らず、他の機関においても、認知度を上げるため、普及啓発の取組を一層進めてもらうことを要望いたしますが、都の見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 患者の声相談窓口の認知度向上に向け、都は、今後、区市町村にもホームページでの情報発信を強く働きかけるとともに、毎年九月の世界患者安全の日などに合わせて、より多くの方に窓口を知っていただけるよう、効果的な普及啓発を行ってまいります。  さらに、多くの方が使用しているSNSなど様々な媒体を活用し、工夫を凝らしながら、積極的な広報に取り組むことで、患者の声相談窓口の一層の周知を図ってまいります。
    ◯かつまた委員 ぜひ早急な取組をよろしくお願いします。  次に、難病支援について質問をいたします。  昨年十二月に成立した改正難病医療法により、三百三十八ある指定難病の患者が受けられる医療費助成の開始日が、申請日から、重症と診断された日に前倒しされ、本年十月から実施されることとなりました。  ただし、申請日から遡れる期間は一か月を原則とし、入院や緊急の治療が必要だった場合などは最長三か月といたしました。これにより、難病患者さんは、助成を受けられる対象期間が広がる可能性があり、患者にとって朗報であります。  医療機関で、申請書類について、厚生労働省によると、申請に必要な診断書を患者が準備するまで二週間以上かかるケースも少なくなかったとしており、私が以前勤めていた大学病院でも、同様に書類の作成には時間を要したことを記憶しております。  また、来年四月から、一年ごとの更新が必要な受給者証とは別に、症状の程度に関係なく、全ての指定難病患者を対象にした終身有効な登録者証が発行されます。  この登録者証は、医療費助成を受けている都内十万人の指定難病患者だけでなく、医療費助成の対象とならない軽症の指定難病患者も持つことができます。この登録者証が発行されることで、難病患者さんにはどのようなメリットがあるのでしょうか、お伺いをいたします。 ◯西山福祉保健局長 今回の法改正により、全ての指定難病患者に新たに登録証が発行されるため、医師の診断書がなくても、区市町村の障害福祉サービスやハローワーク等の就労支援サービスが円滑に受けられるようになります。  また、登録者証を発行する際に、医療費助成を申請していない軽症の難病患者等の情報も指定難病データベースに登録されることになります。  これにより、症状が抑えられている時期のデータや軽症から重症化に至るデータが蓄積され、難病研究の促進や治療方法の開発に資することが期待されております。 ◯かつまた委員 国の難病医療法の改正でありますが、都としても、漏れなく難病患者さんに法改正を伝えることが重要です。  今後の広報についてどのように取り組む予定なのか見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 今回の改正内容を難病患者へ効果的に伝えるには、主治医を通じて患者に周知するなど、日頃から患者の診療を行う医療機関の協力を得ることが重要でございます。  このため、都は来年度、改正内容についてのリーフレットを作成し、都内約六千二百か所の難病指定医療機関へ配布をするとともに、東京都医師会等の関係機関を通じて周知をいたします。  加えて、医療費助成の対象者へ毎年送付する更新手続の案内や難病ポータルサイトに改正内容を記載するなど、あらゆる機会を活用し、丁寧に周知をしてまいります。 ◯かつまた委員 ぜひ、パンフレットとともにポスターなども作成をしていただき、医療機関の待合室に掲示をしていただくと、より情報が広報されると思います。また、難病患者さんにとって、よりよい、使い勝手のよい制度となることを要望し、次の質問に移ります。  次に、人権施策について質問をいたします。  東京都が昨年十一月からスタートさせたパートナーシップ宣誓制度について、都議会公明党は全力で推進をしてまいりました。申請者は既に六百組を超え、当事者からは、制度創設が高く評価をされております。  今年二月、公明党の山口那津男代表が、LGBTQプラスの情報発信拠点である新宿のプライドハウスを訪問し、意見交換をしてまいりました。その際、都議会公明党も同行をいたしました。  自治体の自殺対策計画、孤独、孤立対策の中に、LGBTQプラスへの配慮について明確に記述し、取組を進めてほしいとの強い要望がありました。  性的マイノリティー施策を進めている都において、自殺対策においても、性的マイノリティーへの対応を明記して取り組んでいくべきと考えますが、現在の状況をお伺いいたします。 ◯西山福祉保健局長 自殺の背景には、生活困窮や家庭問題、性的マイノリティーなど様々な要因があることから、都は、今月末に公表予定の次期東京都自殺総合対策計画で、生きることの包括的な支援として、幅広い分野で自殺対策を強化いたします。  性的マイノリティーの方については、社会や地域の無理解や偏見などによって自殺念慮を抱える場合もあることから、多様な性に関する都民の理解に向けた普及啓発や性自認及び性的指向に係る専門相談の取組を次期計画に明記し、具体的な対策を進めてまいります。  あわせて、インターネットの検索連動型広告で、性的マイノリティーの方が抱える悩みに関するキーワード等を充実させ、相談窓口等の情報が着実に届くようにすることで、必要な支援につなげてまいります。 ◯かつまた委員 都議会公明党は、昨年の予算特別委員会で、パートナーシップ制度の創設に合わせて、配偶者の記述がある条例、規則を精査し、必要な対応を図るよう提案をいたしました。  それを受け、都は、昨年第四回定例会でも、性的マイノリティーに配慮する内容の条例改正を行いました。  全庁で様々な全体計画、個別計画等がありますが、それぞれについて、性的マイノリティーの観点から精査を行い、対策を明記していく必要があると思います。  小池知事の見解を伺います。 ◯小池知事 性的マイノリティー当事者の方々は、生活上で様々な困り事に直面しておられ、都政の各分野において、その軽減を図っていくことは重要でございます。  都では、令和元年度、性的マイノリティー施策の今後の方向性を明らかにいたしております。性自認及び性的指向に関する基本計画を策定いたしました。  また、基本計画を踏まえまして、各分野の個別計画におきましても、当事者に寄り添った施策を盛り込むなど、必要な取組を進めてまいりました。  現在、基本計画の改定に向け検討を行っておりまして、改定を契機に、性的マイノリティー施策の推進を図るという観点から、全庁横断の会議を活用いたしまして、各局の施策を点検し、発展させてまいります。 ◯かつまた委員 ぜひ全庁横断でよろしくお願いいたします。  次に、町会、自治会への支援について質問をいたします。  地域活動が希薄化する中、共生社会の中核として、なくてはならない存在が町会、自治会であります。私も十数年前から町会の一員として活動させていただいており、現在は、副会長として活動をさせていただいております。  現在、町会、自治会は、加入者減少や高齢化に伴う役員の減少が課題となっております。  そこで、まず、町会、自治会が抱えるこれらの課題解決に向けた都の認識と取組について見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 町会、自治会の活性化を図るためには、地域における多様な主体と連携をし、外部の視点を取り入れた活動を行うことも有効でございます。  そのため、都は、ITやスポーツ等の得意分野を持つ人に、町会、自治会活動の一部を手伝ってもらう事業として、まちの腕きき掲示板を開始いたしました。  さらに、今年度からは、町会、自治会の事業を企業やNPO、大学等と協働して実施できるよう、区市町村やつながり創生財団と連携し、新たな支援、町会・自治会応援キャラバンを展開しております。 ◯かつまた委員 私の地元大田区も、来年度から都と連携して、このまちの腕きき掲示板や町会・自治会応援キャラバンを実施する意向であると聞いておりますが、地域でどれだけ多くの人にこの事業に関心を持ってもらえるかが鍵だと考えます。  そこで、これまでの取組の中で見えてきた課題、また、それを踏まえた今後の展開について見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 参加をした町会、自治会からは、新たな視点での取組につながり、非会員の方々も活動に関心を寄せるようになったなどの声がある一方、地元企業は、都の事業のことを知らないために、もっと周知すべきとの意見もございまして、まず、本事業に関する認知度を高めていく必要がございます。  そのため、来年度は、つながり創生財団が地域の企業やNPO、大学等を訪問し、事業の趣旨を丁寧に説明して、協力を得る団体の掘り起こしを行ってまいります。  あわせて、事業の成果を地域に広く周知し、町会、自治会と企業や団体が交流するイベントも開催して、多くの協働につなげてまいります。 ◯かつまた委員 町会、自治会活動は、地域の共生社会の担い手との側面がある一方で、防災、減災の観点からも大変重要な組織であると認識をしております。  十万人を超える死者や行方不明者が出るなど甚大な被害をもたらした関東大震災の発生から、今年の九月で百年目の節目となります。今こそ、こうした災害の教訓を生かして、様々な取組を行っていかなければならないと考えます。  阪神・淡路大震災では、家屋の閉じ込めなどで救助を必要とした人のうち、約八〇%が家族や近隣住民によって助け出されました。また、東日本大震災では、津波から避難した人の多くが家族や近隣住民の声かけなどで一命を取り留めたそうです。  ある防災専門家は、自助、共助、そして近助の力が防災、減災に必要であるとおっしゃっております。しかし、町会、自治会の役員たちの高齢化が進んでおります。とりわけ災害時には若い方々の力が必要となるため、町会、自治会が日頃から行う防災訓練等に、若い世代や非会員への参加促進が求められております。  そこで、キャラバンを使って町会、自治会の防災活動を応援すべきと考えますが、都の見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 町会、自治会からは、防災訓練に若い方々の参加が少ないといった相談を多く受けてございます。  今年度のキャラバン事業では、学習支援を行っている地域のNPO等との協働を促し、新たな工夫が加わったことで、例えば家族で楽しめる防災イベントが開催され、子育て世代が多数参加するといった事例も出てまいりました。  来年度は、参加する町会、自治会にこうした事例も提案し、地域の特色に応じて、NPO、商店街など多様な団体との連携による防災活動の活性化を図ってまいります。 ◯かつまた委員 こうした共助、近助の根幹となる地域力を高めるには、まずは都民一人一人の防災意識を向上させる自助の取組が重要であります。  かねてより、行政サービスにおいてアプリが果たす役割は大きいと考えており、都庁でも、これまで複数のアプリが生まれてきました。その中でも、総合防災部が提供する東京都防災アプリは、風水害に備えて防災行動を整理できるマイタイムラインや地域の危険度を知るマップなど防災を身近に感じる機能を掲載しており、自助の取組に役立つものと考えます。  そこで、都民の防災意識を高めるため、さらに東京都防災アプリを利用してもらえるよう工夫を凝らすべきと考えますが、見解を求めます。 ◯野間総務局長 東京都防災アプリはこれまで、防災情報の拡充や検索のしやすさなど、都民が気軽に利用できるよう改良を重ねてまいりました。  また、アプリの活用を促進するため、リーフレットの配布やSNSでのPR動画の配信など積極的な広報活動に取り組んでまいりました。  来年度は、命を守るために必要な最新の知識を盛り込んでリニューアルする「東京防災」、「東京くらし防災」のデジタル版を搭載するなど、アプリのさらなる充実を図ってまいります。  あわせて、セミナーや訓練等様々な機会を通じてアプリの魅力を紹介することで、普及拡大につなげてまいります。 ◯かつまた委員 次に、多様な他者との関わりの機会創出事業について質問をいたします。  この事業は、先日の総括質疑で我が会派のまつば政調会長が取り上げましたが、改めて質問をいたします。  都は、来年度から新たな取組として、保護者の就労の有無にかかわらず、子供を保育所等に受け入れる仕組みを創設する案を発表いたしました。  この取組は、対象を原則ゼロ歳から二歳とし、乳幼児期からの他者との関わり合いが子供のよりよい成長につながることを重視した施策であります。  この制度について、先日、私立幼稚園を運営している理事長さんからご相談をいただきました。この制度は、保育所の空きスペースを利用して実施されると聞いています、私立幼稚園もこのスキームに加えてほしいとお話を伺いました。  そこで改めて伺います。受入れ対象施設を保育所等としておりますが、幼稚園や小規模事業者も対象になるのでしょうか、見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 本事業は、より多くの子供に他者と関わる機会を提供できるよう、認可保育所のほか、幼稚園や小規模保育事業など、多様な場所で実施をいたします。  今後、生活文化スポーツ局をはじめとする関係各局や区市町村と連携をして取り組んでまいります。 ◯かつまた委員 都内の幼稚園はこれまで、受入れ対象を原則三歳から、プレで二歳からということで預かっている園もあると思いますが、原則三歳からとしております。  今回の新事業では、これまでの受入れの原則対象外であるゼロ歳から二歳児を対象としているため、幼稚園では新たな仕組みづくりが必要となります。  三歳以上のお子様を主に受け入れている幼稚園をはじめ、より多くの施設でこの事業が実施していただけるよう周知していくことが必要であると考えます。見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 都は本年一月、待機児童対策協議会の場を活用し、区市町村に事業の概要を説明いたしました。  今後速やかに実施要綱等を発出し、本事業の活用を働きかけるとともに、幼稚園や保育所等の事業者への周知を依頼してまいります。  あわせて、事業者が本制度の詳細を理解し円滑に実施できるよう、補助要件等をQ&Aに取りまとめ、都のホームページ等で周知をしてまいります。 ◯かつまた委員 次に、アレルギー疾患について質問をいたします。  アレルギー疾患は、国民の二人に一人が罹患し、症状の改善や悪化を不定期に繰り返す慢性疾患でありますけれども、その多くは、医療機関で適切な治療を受けることができれば症状のコントロールが可能といわれております。  そのため、症状が悪化した場合等に専門的医療を提供する拠点病院等と、症状が安定した場合の医療を提供する地域の医療機関が連携し、患者を支える体制が必要であります。  都議会公明党の令和二年第三回定例会代表質問での提案を受けて、都が令和二年度に実施をした医療実態調査によると、病院の二割から四割、診療所の一割から二割が、患者紹介できる医療機関がない、または分からないと回答するなど、連携が進んでいない状況が確認されています。  この調査結果を踏まえて、都は今年度、アレルギー疾患医療連携を進めるための検討を行っていくとのことですが、その状況について答弁を求めます。 ◯佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は今年度、アレルギー疾患の専門的な医療を提供する拠点病院等や日常的な医療を担う診療所等の医師、患者団体の代表などにヒアリングし、アレルギー疾患に関する医療連携の手法について検討をいたしました。  その結果、拠点病院等が地域で適切な医療を受けられる診療所等を患者に紹介できる環境の整備や、医療機関同士が患者の治療内容の情報を共有するための仕組みづくりなどが必要であることが明らかとなりました。 ◯かつまた委員 今明らかになったそういった事例を踏まえながら、今年度、都はどのように地域の医療機関と拠点病院等の医療連携体制を整備していくのか見解を求め、私の質問を終わります。 ◯佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は来年度、二か所の拠点病院等と連携先となる診療所等を選定し、アレルギー疾患医療連携事業を実施いたします。  具体的には、診療所等が実施可能な検査や治療内容等の情報を拠点病院等に提供するとともに、東京都アレルギー情報navi.に掲載をいたします。あわせて、診療所等の医師に連携手法についての研修を実施し、患者の症状に応じた適切な連携先を選択できる環境を整えるとともに、患者が自身のアレルギー情報や治療内容等を記録できる手帳を作成をいたしまして、医師に提示できるようにいたします。  これらの取組を着実に実施し、アレルギー疾患の医療連携体制を整備してまいります。 ◯高倉副委員長 かつまたさとし委員の発言は終わりました。(拍手)      ────────── ◯高倉副委員長 里吉ゆみ委員の発言を許します。    〔高倉副委員長退席、委員長着席〕 ◯里吉委員 認知症施策について伺います。  第八期東京都高齢者保健福祉計画では、見守りまたは支援の必要な認知症高齢者は、二〇一九年の約三十四万人から、二〇二五年には約四十一万人に増加すると推計されています。今後、七十五歳以上の後期高齢者人口の増加に伴い、認知症高齢者も急速に増加することが見込まれています。  都も、認知症施策について、認知症に向き合い、共生と予防両面の対策を進めると重要課題に位置づけています。  私自身、離れて暮らす両親が共に認知症で、ほぼ妹に頼りながらですが、週末は介護のために実家に帰る日々を過ごしています。その体験も踏まえ、超高齢化社会を迎える東京で、この施策の推進を求め、質問していきたいと思います。  かつて、認知症になったら何も分からなくなる、おかしな言動で周りが困る、本人が決めるのは難しいなど認知症に対する誤ったイメージがあふれていたために、今でも認知症と診断されることを極端に恐れる方も少なくありません。しかし、認知症になっても感情はしっかり残っています。理解できること、できることもたくさんあります。自分で決めることもできます。  認知症は、高齢者五人に一人の時代といわれています。国も、認知症施策推進大綱で、認知症は誰もがなり得るものと述べています。  認知症になっても、誰もが地域で安心して暮らしていけるように、認知症についての正しい理解を広げることが大切ではありませんか。知事の認識を伺います。 ◯小池知事 認知症の方は、周囲の理解や気遣いがあれば、穏やかに生活することができるといわれています。  このため、都は、認知症に対する正しい理解を促進するため、シンポジウムの開催やポータルサイトによる情報発信など、広く都民に普及啓発をいたしております。  今後とも、様々な機会を通じまして普及啓発を進め、認知症の方とその家族が、地域の中で安心して暮らせる社会を実現してまいります。 ◯里吉委員 知事、ありがとうございます。認知症の方は、周囲の理解や気遣いがあれば、穏やかに生活することが可能というご答弁でした。本当にそのとおりだと思います。
     でも、私がそう思えるようになったのは、母の認知症が分かってしばらくたってからです。当初は、認知症になったら治らない、だから、全部周りがサポートするしかないと思い込んで、認知症についての正しい理解もなく、そのため正しい気遣いもできなかったと思います。  認知症とは病名ではなく、脳の記憶に関わる機能が少しずつ低下することによる、日常生活に支障のある状態の総称です。引き金になる病気は七十種類以上あるといわれ、原因になる病気によって、症状の現れ方、経過や進行は大きな違いがあります。そして、一人一人の方は、認知症の患者である前に一人の人間であり、その人らしさはきちんと残っています。  ですから、その人その人で異なる認知症による症状と、その下での生き方を正しく理解して関われば、本人も家族も混乱することなく、穏やかに生活できると思います。しかし実際は、誤った理解で、例えば、何も分からない人という対応をされたり、日頃付き合っている方々から腫れ物に触るような対応をされたりするなど、当事者も家族も傷つくことがたくさんあります。  さて、皆さん、認知症予防とは、認知症にならないという意味ではないということをご存じでしょうか。現在、認知症予防とは、認知症を遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにすることを意味しています。しかし、予防という言葉を使えば、予防すれば認知症にならないと思われるのは当然です。大切なことは、認知症になっても自分らしく生きられるようにすることです。  世田谷区は、二〇二〇年十月に、認知症とともに生きる希望条例を当事者参加で制定しています。ここでは、認知症予防の代わりに、認知症に備えるという言葉が使われています。  認知症予防より、認知症への備えの取組を進めることが重要だと思いますが、いかがでしょうか。 ◯西山福祉保健局長 都は、共生と予防の両面から認知症施策を進めており、認知症になっても、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、都民への普及啓発のほか、早期診断と早期対応のための認知症検診を区市町村と連携して推進するなど、総合的に取組を進めてございます。 ◯里吉委員 認知症になったらどうしようと必死に予防に取り組むことより、まずは認知症への今までの考え方を変えること、そして、認知症は誰もがなり得るものであることを理解して、きちんと備えることが大切です。認知症になることを必要以上に恐れるのではなく、認知症になっても、分かる、できることがあると分かっていれば、できる備えはいろいろあると私自身も改めて学びました。  認知症になっても、何も分からなくなる、何もできなくなるわけではないということは、多くの著名人が発信しています。漫画家の蛭子能収さんは、アルツハイマー型とレビー小体型の認知症を併発していることを二〇二〇年に公表しましたが、今も現役で活躍しています。  世田谷区では認知症の条例をつくるとき、三人の認知症本人の方に加わってもらい、議論したそうです。従来の認知症観をがらりと変えるものにしたいと意見が出され、名称も、認知症とともに生きる希望条例となったそうです。  都は、認知症の本人が認知症施策に関わることの意義をどのように捉えていますか。 ◯西山福祉保健局長 国の大綱において認知症施策は、認知症の人の視点に立って、認知症の人や家族の意見を踏まえて推進することが基本とされており、都は、この考え方に基づいて施策を実施しております。 ◯里吉委員 認知症施策は、本人の意見を踏まえることが基本であるという認識を確認できました。  現在、東京都認知症施策推進会議にオブザーバー参加している認知症のご本人の方々を正式にメンバーに加えるなど、認知症に関する施策作成の場に、認知症のご本人が参加することを提案したいと思いますが、いかがでしょうか、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 東京都認知症施策推進会議には、家族会の代表が委員として参画しているほか、認知症の当事者であるとうきょう認知症希望大使の方々がオブザーバーとして出席し、周囲の人や社会への期待などについてご意見をいただいてございます。 ◯里吉委員 会議ではご意見もいただいているということですので、出された意見は大切にしていただきたいと思います。  世田谷区で参加された認知症のご本人は、最初はなかなか発言できなかったそうですが、慣れてくるに従って、ご自身の考えをいえるようになったと伺いました。この取組そのものが、区の職員の方をはじめ、関わっていた方の認知症への見方も変える力になったのではないでしょうか。様々な施策や計画を話し合うときに当事者を入れるということに、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。  認知症は、初期対応が大事といわれます。早い段階で事実をご自身や家族が受け止めることで、今後の備えをする、生きるための工夫をすることができるからです。  認知症初期対応の重要性について、都はどのように捉えていますか。 ◯西山福祉保健局長 認知症は、早期の適切な治療により、改善する場合や進行を遅らせる場合があり、また、症状が軽いうちに本人や家族が認知症への理解を深めることで、今後の生活の準備ができることから、都は、早期診断、早期対応に向けた取組を進めております。 ◯里吉委員 今ご答弁いただいたように、早期対応は、本人と家族が地域で安心して暮らしていけるために大切です。  そこで、都が行っている認知症の初期の段階での診断や対応を進めるための認知症とともに暮らす地域あんしん事業のうち、初期の段階から継続的な支援ができる地域づくりを推進する認知症地域支援推進事業について、その成果と、今後、各地域に広げていくための対応について伺います。 ◯西山福祉保健局長 本事業は、これまで三区で居場所づくりや専門職による相談支援体制の整備などに活用されており、令和三年度に補助要件を緩和しております。 ◯里吉委員 認知症支援の専門員が身近な地域にいることや、地域に認知症本人や家族が気軽に集うことができる認知症カフェなど居場所があることは大切ですから、ここへの都の補助があることは重要です。しかし、まだ三区しか活用していないことが課題です。  自治体にお話を伺いました。都の補助は二分の一支援が多く、同じようなメニューでも介護保険会計を使えば、自治体の負担は二割弱で済む、住民から支援の拡充を求める要望は出ているが、介護保険会計の枠内では、これ以上予算を増やせない、一方、東京都の補助は、二分の一補助で使いにくいとのことでした。  東京都の補助率を引き上げるなど、区市町村と共に、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを進めていただきたいと思いますが、いかがですか。 ◯西山福祉保健局長 都は、地域の実情に応じて認知症に関する事業に取り組む区市町村を包括補助により支援しており、このうち、新たな課題に取り組む先駆的な事業は、補助率を十分の十としてございます。 ◯里吉委員 補助率十分の十、つまり、全額都が補助するメニューもあるということです。せっかく都として独自に認知症支援の専門員や居場所の支援などに使える補助を行っているわけですから、多くの地域で使えるように、補助率の引上げを改めて要望しておきます。  順天堂大学医学部名誉教授の新井平伊氏によれば、アルツハイマーなどの認知症は、自立している軽度の状態が五年ぐらい、少し介護が必要になる中等度が五年から八年、ほぼ全介助の高度障害が五年から八年、全体で十五年から二十五年ほどの経過があると述べています。  長期間の介護を担うためには、認知症の人の家族が認知症を正しく理解して、無理をしない介護を進めることが大事です。若年認知症の親を介護するヤングケアラーも含め、家族で抱え込まないようにすることが大切です。  都内各地にある認知症の家族会などは、情報交換や交流の会、介護や医療などの学習、電話相談などを通じて、認知症の家族を支える役割を果たしていて重要です。同じような体験をした方からのアドバイスは説得力があり、すぐに役立つことがたくさんあります。何より、当事者家族だからこそ共感してもらえることも多く、安心して相談できる場所となっています。  都は、認知症家族の会の果たしている役割について、どう認識していますか。 ◯西山福祉保健局長 家族会は、認知症の人の家族としての思いや悩みを共有し、様々な情報を交換することで、本人や家族を支える役割を担ってございます。 ◯里吉委員 家族会の役割を認める大事な答弁です。  認知症の人と家族の会が発行している認知症の人と家族の思いに関する報告書、二〇一七年発行のものを読みました。ここには学ぶべきことがたくさんありましたが、私は、認知症の現れ方が人それぞれで、認知症についての正しい情報を学べる場として、家族会が大事な役割を果たしていることが分かりました。  また、認知症が進んでいくと、本人との意思疎通や食事や排便といった生きるために欠かせないことに困難が生じるようになったり、目が離せないようになるなど、介護が大変になっていきます。そんなとき、同じ体験をした先輩家族も参加している家族会の存在は、本当に大きいと思います。  私自身は、母の言動のおかしかったことや信じられない行動を話して、そういうこともあるよねと共感してもらえるだけで救われる思いをしたことが何度もありました。  このように、大事な家族会ですが、地域によっては、会合の場所を確保することが難しいなど、開催に苦労している会もあると聞きました。  都として、区市町村とも協力し、都内各地で家族会が活動できるような支援を求めますが、いかがですか。 ◯西山福祉保健局長 都は、認知症の人の家族会の立ち上げや家族会同士のネットワークづくり、若年性認知症の人の家族会の活動などを支援する区市町村を包括補助により支援をしてございます。 ◯里吉委員 都の包括補助や自治体からの支援があるというご答弁でした。  都としても重要性を理解しているから、支援をしているのだと思います。それは分かっているのですが、実際には、全ての家族会に支援が届いていません。これからますます認知症とその家族も増えていくわけですから、さらに支援が行き届くように、都としても、区市町村と共に取り組んでいただくよう求めます。  認知症になっても、尊厳と希望を持ちながら安心して暮らしていける長寿社会実現のために、東京都として、認知症希望条例を制定することを提案しますが、いかがでしょうか。見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 都は、高齢者保健福祉計画の重点分野の一つに、認知症施策の総合的な推進を位置づけ、認知症の人と家族が地域で安心して生活できるよう、様々な施策を総合的に進めております。 ◯里吉委員 既に、先ほどお話ししました世田谷区をはじめ、全国一県十九区市町村が認知症条例を制定しています。ぜひ検討していただきたいと思います。  次に、介護職員の処遇改善について伺います。  認知症の方を含め、介護が必要となっても地域で安心して暮らし続けるには、様々な介護サービスが欠かせません。  例えば、認知症の初期の頃は、薬を飲むチェックや食事や室温の管理に短時間でもヘルパーの方が来てくれるととても助かります。デイサービスなども利用することで、生活のリズムもつくれます。認知症が中程度になっても、小規模多機能などを使えば、地域で暮らせる方はたくさんいらっしゃると思います。  私の両親も二人ともデイサービスなどを利用していますが、働いている方は皆さん、当事者に寄り添ってくださって、介護の専門性を毎回痛感しています。本当に感謝しかありません。しかし、職員がぎりぎりで大変だという話は、いろんなところで出されています。  私の週末介護は、現在五年目ですが、両親の介護を家族だけで行っていたら、ここまで在宅では過ごせなかったと思います。施設で過ごすことも今後検討するときが来ると思いますが、特養ホームなどの高齢者施設の職員不足も深刻です。  介護労働安定センター東京支部による最新の介護労働実態調査東京版によれば、介護人材の不足感がある事業所は六二・七%と、依然として高い状況です。  都は、介護職員向け宿舎借り上げ支援事業の充実など、介護職員の確保のための取組を進めてはきましたが、極めて厳しい現状は変わりません。都内で、全産業平均と比べて賃金が月十万円以上低いのに、国の介護報酬の改定は月額九千円で、全く足りていません。介護職員の確保のためには、抜本的には、賃金の引上げが必要不可欠ではないでしょうか。  知事は、世界に誇る長寿社会の実現、介護離職ゼロを掲げていますが、必要な介護職員の不足が解消できていません。この原因を都はどのように認識していますか。 ◯西山福祉保健局長 都は、高齢者保健福祉計画の重点分野の一つに、介護人材対策の推進を位置づけ、介護人材の確保、定着、育成に向け、多様な人材の介護職場への参画の促進、介護の仕事や職場のイメージアップ、働きやすい職場環境づくりなどに取り組んでおり、引き続き、様々な施策を総合的に進めてまいります。 ◯里吉委員 介護職員が不足している原因は複数あると思いますが、介護という高い専門性が求められているのに、その賃金が他の職種に比べ月十万円も低いことは、仕事を継続できない、またはこの仕事を選べない大きな理由になっていることは明らかです。  都として、独自の介護職員の賃金引上げについての検討、また、宿舎借り上げ事業についても、対象にしている職種を拡大することや、認知症対応として重要な認知症グループホームや小規模多機能施設も、都が直接支援するなど提案します。いかがですか。 ◯西山福祉保健局長 介護サービス事業は、介護報酬等により運営されることが基本であり、都は国に対し、事業者が、人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる介護報酬とするよう、繰り返し提案要求をしています。  また、介護職員宿舎借り上げ支援事業は、今年度から、対象となる事業所を拡大しております。  さらに、グループホームなどの地域密着型サービスについては、宿舎借り上げ支援に取り組む区市町村を包括補助により支援をしております。 ◯里吉委員 都として、宿舎借り上げ支援事業を拡充してきたことは、介護事業者の方からも歓迎されています。包括補助を行っていることは理解していますが、やはり補助率が二分の一であることがネックで、昨年度の実施は七区市にとどまっています。  少なくとも現場の声を聞きながら、この制度は、さらに改善、拡充していただくことを要望し、次の質問に移ります。  生物多様性について伺います。  生物多様性は、人間活動の影響によって、気候変動とともに地球規模の深刻な環境問題として、世界全体で対策の必要性が急速に高まっています。  知事は、都内においても、土地利用の変化や侵略的な外来種の侵入などによる生物多様性の損失が課題となっているとして、その対策の必要性、自然と共生する豊かな社会を目指すとおっしゃっています。  そのためには、具体的に多様な動植物が生息している地域を守っていく必要があります。  都では、良好な自然地や歴史的遺産と一体になった樹林などを都民の大切な財産として末永く残していくため、自然保護条例に基づき、公有地や民有地の区別なく保全地域を指定し、行為規制によりその自然環境を保全しています。現在、五十地域、約七百六十ヘクタールを指定していますが、二〇三〇年度までに新たに三十ヘクタール程度、二〇五〇年度までに百ヘクタール程度に拡大する目標です。  都の保全地域の指定について、市街地に近接した多様な生物が生息する自然環境を有するエリアは近年減少傾向にあり、都として積極的に指定すべきと考えますが、いかがですか。 ◯栗岡環境局長 都は、令和二年度に、今後の保全地域の指定に向け、丘陵地の谷戸やその他の緑地における生物多様性の情報等の調査を実施いたしました。  その結果、多摩地域の丘陵地や台地部等には、様々な種類の希少種が生息、生育する豊かな自然環境を有する土地が存在していることが分かってきてございます。  今後とも、この調査結果や地元自治体の意見等を踏まえながら、指定について検討してまいります。 ◯里吉委員 生物多様性の損失が継続し、生態系がある臨界点を超えた場合、生物多様性の劇的な損失とそれに伴う広範な生態系サービスの低下が生じる危険性が高く、それらを再生することは困難であるといわれています。  都の環境基本計画では、東京の生物多様性の劣化が進んでいる直接的な要因として、開発など人間活動による影響を第一の危機として挙げています。  自然環境を守ろうと数十年いわれ続けてきましたが、開発が進み、貴重な自然が失われてきました。保全地域の指定の拡大に、スピード感を持って取り組む必要があります。  豊かな自然が残された地域を公有地化するのは当然ですが、同時に、自然が壊されると問題になっている土地、開発の危険と察知した土地を都が公有地化するなど、積極的な取組が必要ではないでしょうか。都の見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、良好な自然地を保全地域に指定してございます。  保全地域に指定された民有地は、建物の建築等が制限されるなど、地権者の行為が制限を受けることから、代償措置として、土地の所有者から買入れの申出があった場合には、都が土地を買い取ることになってございます。 ◯里吉委員 公有地化するには、土地所有者からの申出があった場合という答弁ですが、生物多様性の保全に貴重な役割を果たしているにもかかわらず、開発によってそれが失われる可能性があると判断した土地については、先手を打って地権者と交渉するべきです。希少な動植物の生息、生育地が今も失われ続けています。都として、でき得る限り積極的な対応することを求めます。  同時に、生物多様性をめぐる危機は、順次公有地化を進めていくだけでは間に合わないところまで進行しています。  国は、現在作成中の次期国家戦略においてネーチャーポジティブを掲げ、二〇三〇年までの陸域及び海域の三〇%を保護するサーティー・バイ・サーティーを新たな目標としても設定しています。  民間企業も生物多様性に貢献できるよう、都としても働きかけることが必要ではないでしょうか。見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 都では、民間企業による生物多様性保全に向けた取組を推進するため、江戸のみどり登録緑地制度を平成二十九年度から実施してございます。  本制度は、積極的に在来種を植栽し、生物多様性の保全に取り組んでいる民間事業者の緑地を都が登録、公表することで事業者の意欲を引き出す仕組みであり、引き続き、制度を適切に運用してまいります。 ◯里吉委員 江戸のみどり登録緑地は、大きな建物を建てたときの緩和策として、やらないよりはやる方がいいという発言が、都の生物多様性地域戦略改定検討会の中でありました。  生物多様性の保全に対する民間企業のより踏み込んだ貢献を求めていく必要があると思います。  開発により、希少な動植物の生息地が失われようとしている一つに、GLP昭島プロジェクトという巨大物流センターの計画があります。  敷地面積五十九万平米、東京ドーム十二個分の広さで、今は昭和の森ゴルフコースがあり、代官山緑地には樹木が生い茂り、レッドリストに載っているオオタカをはじめ、ヤマガラ、ジョウビタキなど野鳥や貴重な動植物も見られます。この場所に、物流倉庫やデータセンターなど十六棟の建物を建て、二十四時間物流センターとして稼働させるという計画に、地域では大きな反対運動が起きています。  こうした民間の事業に対しても、都として、生物多様性の回復を求める立場から積極的に働きかけることも、今、必要になっているのではないでしょうか。  地球温暖化対策とともに、生物多様性の保全と回復は、今に生きる私たちに課せられた重要課題であり、都として、知恵と力を尽くして取り組むことを求め、質問を終わります。(拍手) ◯小宮委員長 里吉ゆみ委員の発言は終わりました。      ────────── ◯小宮委員長 藤井とものり委員の発言を許します。    〔委員長退席、菅野副委員長着席〕 ◯藤井(と)委員 それではよろしくお願いいたします。  まず、子育て世帯に対する月額五千円給付、〇一八サポート事業についてお伺いをいたします。  この予算案の概要によりますと、教育費など子育てに多額の費用がかかるということをこの事業の課題の背景として掲げられているわけでありますけれども、一方では、当然事業を行う以上は、しかるべき目的があるべきだというふうに思うわけでありますけれども、この事業の目的について、これは何なのかについて、改めて都の見解をお伺いしたいと思います。 ◯西山福祉保健局長 〇一八サポートは、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付するものでございます。 ◯藤井(と)委員 子供一人一人の成長をひとしく支えるというようなご答弁であり、これ、いうなれば、あまりにもざっくりしておりますし、当たり前過ぎる答弁でありますので、この事業、何のために行うものであるのかということについて、分かるような分からないような、そんな答弁であった気がいたします。  これ一言でいうと、これは私なりの解釈なんですけれども、子育て世帯に対する経済的な支援ということになろうかと思います。  ただ、この子育て世帯に対する経済的な支援は、これはあくまでも手段であって、目的ではないはずであります。とりわけ、一千二百六十一億円ものお金を配るということに対しては、子育てに多額の費用がかかるから支援をしましょうというのでは、東京都という公の機関がやることとしては、社会的な公共の利益にかなうんだからやるんですというような合理的な説明にはなっていないようにも感じるわけであります。  例えば、少子化対策として行うという目的があるのかどうか、また、合計特殊出生率の向上という目的、あるいは数値目標等々あるのかどうか、見解をお伺いいたします。
    ◯山下子供政策連携室長 急激に進行する少子化の状況を踏まえ、もはや一刻の猶予もないという認識の下、都は、なし得る対策を直ちに実践することといたしました。  少子化の要因が多岐にわたる中、夫婦が理想の子供の数を持たない理由といたしまして、半数以上が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからと回答をしている調査結果もございます。  こうした不安の声に応え、望む人がより子供を産み育てやすい東京を実現するため、〇一八サポートをはじめとする様々な施策を予算案として計上したところでございます。 ◯藤井(と)委員 数値目標に対する言及はございませんでしたが、これも私なりに要約をいたしますと、少子化対策の一環なんですという答弁だったと思います。  これまで東京都は、様々な子育て施策に対しまして子育て支援という言葉を使ってきましたが、東京から少子化に歯止めをかけるためという、明確に少子化対策という言葉を使ったのは、恐らく初めてだと思います。  政治は家庭に介入せず、結婚、出産といった個人の価値観、そして、ライフステージにおける選択に介入しないというようなこれまでの原則から踏み込んだ、あるいは踏み出したようにも思えるわけでありますけれども、こうした表現をされた知事の思いを改めてお伺いいたします。 ◯小池知事 これまでも何度も申し上げておりますが、私は、国会議員時代から、ずっと女性の活躍、少子化対策に取り組んでまいりました。  知事に就任した後、待機児童対策、そして、子供、女性政策の実践に加速度的に取り組んでまいりましたが、危機的な少子化の現状を踏まえまして、都は、来年度予算において、対策を充実強化することといたしたものでございます。  出会い、結婚、妊娠、出産、子育て支援などなど、ライフステージを通じた幅広い施策を展開して、子供を産み育てたいと望む方、結婚に向けて一歩を踏み出したいという方、その皆さんを全力で応援してまいります。 ◯藤井(と)委員 少子化に歯止めをかけたいという知事の思いは、私も共有をするものであります。経済、社会保障、地域コミュニティに至るまで、将来を担う子供たちが減ってしまえば、やがては成り立たなくなってしまうということも事実であり、結果として多くの子供が生まれ、出生数が増えるということが、社会の維持にもつながると確信をしているわけであります。しかし、現実には、都内の出生率は五年連続で低下をし、一・〇八まで落ち込んでいるわけであります。こうした傾向を反転させるということは、決して簡単なことではないと思います。  次に、現金給付の効果についてお伺いをいたします。  現金給付の効果につきましては、現在のところ、これは私が調べたところでもあるんですけれども、明確なエビデンスは見当たらないところであります。  海外の事例では、給付金の一〇%増による出生率の上昇は一から二%にとどまる。給付された現金は既にいる子供の教育費に回りやすいなどの検証結果もあるようであります。  私の地元におきまして、多くの区民、都民の方からも、大変すばらしい、ご家庭にとっては非常にありがたい政策であるからかもしれないけれども、出生意欲の向上や、あるいは、さらに子を持つ動機に寄与するのかというような疑問も聞かれているところであります。  いわゆるEBPMの視点に照らし、都としてどのような見解を持たれているのか。そして、私どもが主張をしているように、給食費の無償化といった現物給付の方が、少なくとも公正ではないのか、そんな思いもあるわけでありますけれども、都の見解をお伺いいたします。 ◯山下子供政策連携室長 少子化の要因は多岐にわたっております。よって、都は、〇一八サポートのみならず、第二子の保育料無償化、結婚予定者のための都営住宅、公社住宅の提供等の現物給付も拡充いたしまして、多面的な対策を進めていくこととしてございます。  なお、学校給食費につきましては、学校給食法で、児童または生徒の保護者が負担することとされており、その取扱いにつきましては、国の責任と負担によるべきものであると認識してございます。 ◯藤井(と)委員 EBPMについてお伺いしたんですが、答弁はありませんでした。このEBPMによる検証を半ば諦めていらっしゃるような答弁にも聞こえたわけであります。これ、少なくても、治体の単位においては、もうまさに類例のない、異例でもある、まさに異次元でもある現金給付だと思いますので、これは一定のデータ、エビデンスに基づく事業として、しっかり実施をしていただきたいなと思うわけであります。  この少子化対策は非常に難しいテーマであるということは、私もよく理解をしております。昨今、経済的な支援を中心に、子供を持ちたい、増やしたいという希望をかなえるよう支援をすることは大切ではありますけれども、まさに価値観が多様化をする中で、そもそも結婚、出産といったものが選択をされづらくなっているということも事実であろうかと思います。  今の少子化対策には、お金だけではない何かが欠落をしているようにも映るわけであります。言葉は悪いですが、本当にお金をばらまくことで少子化に歯止めがかかるのかと、こういった声も聞かれるわけでありますけれども、都としてどのような見解をお持ちでしょうか。 ◯山下子供政策連携室長 先ほど来申し上げておりますが、少子化の要因は複合的でございます。したがいまして、それぞれのニーズや課題に応じた様々な対策を講じていく必要があるというふうに考えてございます。  都は、〇一八サポートだけではなくて、結婚支援や妊娠、出産支援から教育、保育の充実、さらに就労支援の充実、職場環境整備の推進に至るまで幅広く施策を展開してまいります。  なお、EBPMのお話がございましたが、都といたしましては、有識者による分析なども踏まえて検証していく仕組みをつくっていくこととしております。 ◯藤井(と)委員 ぜひ、有識者によるEBPMの視点を持った分析をお願いしたいと思います。  これはもう本当に矛盾するようでありますけれども、お金をばらまいて少子化が解決をするならば、ある意味安いものだというふうに思います。しかし、これまでの各種施策を質、量とも充実をしていく一方で、少子化が進行してきたことも事実だと思います。  まさに私、政治は現実的でなければならないと思っておりますので、例えば少子化を前提に一人当たりの国民所得を増やすとか社会保障の仕組みそのものを変えていくといったような備えをしていくということも政治の責任ではないのかなと思うわけであります。  実は、質問に先立ちまして、多くの区民の皆さんのご意見も伺ってきましたが、本当にこうした、子供が本当に増えるのかというようなご意見もありました。お金を今、支出をするのではなくて、将来、子供たちが困らないようにお金をためておいた方がいいんじゃないですかと、こういったまさに現実的な声も聞かれました。先ほど室長さんからご答弁はありましたけれども、このEBPMに基づく、しっかり有識者の意見をお伺いしながら、しっかりと検証を常にやっていただきたいということを申し上げ、次の質問項目に移らせていただきたいと思います。  次に、財政の規模についてお伺いをしてまいりたいと思います。  この財政規模、平成三十年度、七兆四百六十億円であったものが、令和五年度、八兆四百十億円へと、この五年間で一兆円ほど大きくなるという予定であります。これ、過去最大の予算規模であるということを度々おっしゃっておられるわけでありますけれども、いつまで都税収入が堅調であるかというのは分かりませんし、このまま財政を拡大し、膨張させ続けるということについては、一定疑問を抱かざるを得ないわけであります。  今、やられていることは、七〇年代に、もう本当に五十年前の話でありますけれども、老人医療費を無料化、そして老人無料パスの発行、実質的に都財政を破綻させてしまったともいわれる美濃部都政とも重なるとのご意見も伺うところであります。  このままですと将来に禍根を残しかねないと、率直に懸念をしているわけでありますけれども、都の見解をお伺いいたします。 ◯吉村財務局長 都では、財政再建団体への転落の危機に直面して以降、二次にわたる財政再建推進プランに基づく取組など、血のにじむような努力を積み重ね、財政の健全性を確保してまいりました。  財政再建達成後も、事業の見直しを継続する仕組みとして事業評価制度を再構築するとともに、税収増の場合に増加額の一部を基金に積み立てる都独自の制度の下で着実に基金残高を確保するなど、財政再建の取組の成果を踏まえ、将来に向けた財政対応力を培ってまいりました。  令和五年度予算におきましても、事業評価による見直しの徹底やマイナスシーリングなど、あらゆる手だてを講じて財源確保に取り組んでまいりました。  さらに、税収増の局面においても、基金残高の確保や都債の発行抑制を図るなど、政策を安定的に支え得る持続可能な財政運営に努めておるところでございます。 ◯藤井(と)委員 いろいろ頑張っておられるというようなご答弁でありました。  これ、財政の本当に膨らみ方が非常に急拡大であります。かつてのような、そういった放漫財政じゃないですけれども、肥大化をした財政に決して戻すことのないように、堅実な運営に努めていただきたいということを再度申し上げたいと思います。  次に、関連の中で、いわゆる東京富裕論についてお伺いをいたします。  先ほど来、取り上げております〇一八サポートなどは、まさに広域自治体としては類例のない、まさに異次元の現金給付であるわけであります。ほかの自治体からすれば、東京都さんは裕福でいいよねというような話にもなりかねません。また、ほかの自治体に住む住民からすれば、都民だけずるいんじゃないかと。じゃあ、例えば神奈川や千葉で、なぜやらないんだと、こういう話が出てくることもあり得るわけであります。  東京が全国に先駆けて施策を打ち出していくということは重要でありますし、自治体間でのまさに善戦、いい意味での競争は大切でありますけれども、国レベルでやるべきことを東京が代わりにやっていると見られてしまう危険性もあろうかと思います。いわゆる東京富裕論が再燃をし、国による東京の財源の収奪が行われることにもなりかねないと率直に懸念をしているわけでありますけれども、知事の見解をお伺いいたします。 ◯小池知事 おっしゃるように、少子化対策というのは、本来国が取り組むべき課題でございます。国政に身を置いてきた経験からしまして、残念ながら主要課題にはなっていなかった。そして、もはや一刻の猶予もない深刻な状況に今、陥っているわけでございます。  そのため、令和五年度の予算におきましては、チルドレンファースト社会の実現に向けた取組に大胆に財源を振り向けております。これらの施策の実施に当たりましては、マイナスシーリングを重ねたり、事業評価による見直しの徹底など、これまで積み重ねております財政運営上の努力により財源を確保してきたという、そのことが事実でございます。  今後も、こうした不断の見直しを積み重ねることによって持続可能な財政運営に努めて、都政に課せられた使命を確実に果たしていく、このような考えです。 ◯藤井(と)委員 知事、答弁ありがとうございました。  この偏在是正措置、東京狙い撃ちと、いろんな名前がついてまいりましたけれども、過去にも、何兆もの都の財源が国により奪われてまいりました。今、知事のご答弁ありましたとおり、これは東京富裕論の指摘は当たらない、自ら血のにじむ努力をして生み出した財源を投じて行う事業なんだというメッセージを、ぜひ折に触れ、発信をしていただくことを申し述べたいと思います。  次に、保育施策についてお伺いをいたします。  私の地元練馬区では、これ、三年連続で待機児童がゼロとなる予定であります。この保育定数について申し上げますと、平成二十六年度、一万二千四百十八人であった定数が、令和五年度予定で二万八百九十六ということになります。これは、直近十年間でおよそ四割の定員拡大を行ったということであります。就学児童数の減少、テレワークなどのコロナ禍の影響もあり、保育需要に陰りが見られることに加え、こうした練馬区における定員拡大の努力が、結果として保育待機児童ゼロが実現をされた要因であると理解をしているわけであります。  他方で、二千名、これは定員の一割に当たるわけでありますけれども、定員が余るというような事態も同時に起こってしまっているわけであります。待機児童ゼロの達成という大目標と、その背後では需要と供給のミスマッチ、定員が余り始めてしまっているというような課題もあるようであります。  こうした定員が余るという事態について、どのような問題意識を持っておられるのか、また、都内でどの程度余りが出ている状況であるのか、都の答弁を求めます。 ◯西山福祉保健局長 保育所の定員には、年齢構成や地域の状況等により一定程度空きが生じることもあり、区市町村は、空き定員を活用し、定期的に入所調整を行い、年度途中に保育が必要な児童を受け入れてございます。  都が昨年度実施した都内の空き定員の状況に関する調査では、認可保育所の空き定員は、四月は三万三千四百二十七人、十月は二万六千百七十五人であり、年度途中の入所により、空き定員は減少する傾向にあります。 ◯藤井(と)委員 空き定員が都全体三万余いるということであります。東京全体で定員数自体が三十二万だったと思います。東京全体でも約一割が定員に空きが生じているというような状況であろうかと思います。  この保育所の必要整備量見直し等々の議論も、これ、空き定員が増えていけば、こういった議論も、中長期的には出てくる可能性もあろうかと思うわけでありますけれども、これ、ぜひ短期的な課題だけではなく中長期的な視野を持って、この保育園の問題については取り組んでいただきたいということを要望し、次の質問項目に移らせていただきます。  次に、病床確保、二次医療圏に関わる問題についてお伺いをいたします。  これも私の地元練馬に関わる話で恐縮でありますけれども、平成二十八年度、人口十万人当たりの一般療養病床数は二百九十床、これは医療圏平均の約半数、残念ながら二十三区で最も少ない状況にありました。こうした状況にあったことを踏まえ、地元区、地元の関係者を中心とした努力により、平成二十六年四月に千八百五十六床であったものが、令和四年には二千百二十五、令和七年には、これは予定でありますけど、二千八百五までの増床が決まっております。  これまで大きな障壁になってきたものは、まさに二次医療圏の考え方であります。我が練馬区は、板橋区、豊島区、北区さんとともに、四区で二次医療圏を形成しているわけでありますけれども、この四区合算で病床が足りているか否かを判断する制度であるがゆえに、ほかの区さんに比較的大きな病院が多いということがあり、練馬区の増床計画がなかなか認められてこなかったというような実情がございます。  これ、やや古いデータでありますけれども、平成二十六年度、練馬区における救急搬送件数の約六割が区外の医療機関に運ばれているわけであります。また、地域包括ケアなど、いわゆる地域の病床の重要性が叫ばれる中、基準病床制度に基づく機械的に病床を割り振るというような考え方が、もはや実情に見合わなくなってきているのではないかというような問題意識を持っているわけでありますけれども、都の見解をお伺いしたいと思います。 ◯西山福祉保健局長 一般の入院医療は、医療法に基づく二次保健医療圏を単位に確保することとされており、都は、病床整備の基準となる基準病床数について、国が示す算定式により医療圏ごとに算出をしております。  新規開設や増床を希望する医療機関に対しては、圏域ごとに設置する地域医療構想調整会議での協議結果を踏まえ、基準病床数の範囲内で公平に病床を配分しております。 ◯藤井(と)委員 練馬は広い地域でありまして、医療圏全体ではなくて、せめて区の単位、もっといえば、練馬には郵便番号四つあるんですけれども、例えば練馬、光が丘、石神井、大泉と、どの地域でどの病床が足りていないのかということから判断をすべきだというふうに思います。  とりわけ、大泉地域を中心に区の西部地域は病床が決定的に不足をしているわけであります。また、回復期の地域包括ケアを担う地域の病床が足りないというような課題もございます。  もっと地域性や病床の性質を加味した病床配分の考え方に転換をすべきということを都に求めるものであります。  三次救急についてお伺いをいたします。  練馬区にとっては悲願の救命救急センターとして、順天堂練馬病院が選定をされました。三次救急の機関ができることは練馬区にとって極めて重要なことでありますが、同時に環状八号線沿いの杉並区さんや世田谷区さんもカバーをするということになるわけであります。  これまで練馬区では、救急搬送件数が一年間でおよそ三万件あったわけでありますが、そのうち三%、一千五十二件は救命救急センターに搬送されたというものであります。いわば一分一秒を争う重篤な患者さんが区外に運ばれていたということになるわけであります。  救命救急センターの指定を受ける医療機関の大半は都心に集中をしているわけでありますが、今回の選定は大きな意義があると思うわけでありますけれども、この順天堂練馬病院を救命救急センターに指定をした、選定をした理由を改めてお伺いいたします。 ◯西山福祉保健局長 近年、救命救急センターへの搬送件数は増加傾向にあり、救命救急医療を提供しながら、新型コロナウイルス等の感染拡大時や災害時に緊急性の高い重症患者を受け入れるなど、センターの担うべき役割は増加しています。  都は、救急医療の需要や医療資源の状況等を踏まえ、今月二十日付で東京慈恵会医科大学附属病院と順天堂大学医学部附属練馬病院の二施設を、新たな救命救急センターに指定することとしております。 ◯藤井(と)委員 最後に、太陽光パネルの義務化についてお伺いをいたします。  脱炭素という大義は理解をしますけれども、二〇三〇年のカーボンハーフの必要削減量に対して〇・四%の削減効果にとどまり、果たして投入される資源に見合うだけの成果が得られるのであろうかというような疑問の声も聞かれるところであります。  そもそも、経済的な自由、そして私有財産制度の否定と捉えられかねないのではないかと、こういった根本的な問題もあろうかと思います。  とりわけ不公正、不合理と思わざるを得ませんのは、持家ではない方、新築の予定がない方、経済的事情等からパネルをつけたくてもつけられないというような方々に対して、都の補助金や再エネ賦課金を通じて、結果として負担、犠牲を強いてしまうということになる点であります。当然、再エネ賦課金、電力料金にも跳ね返ってくる話にもなるわけであります。  都は、太陽光パネルを設置することのメリットは喧伝をされるわけでありますが、そうした陰の部分、負の部分についても、これは正面から、そして誠実に説明をすべきだと思いますけれども、都の見解をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。 ◯栗岡環境局長 新制度は、二〇三〇年までに新築住宅の六割に太陽光パネルの設置を目指す国の目標とも軌を一にするものでございまして、着実に取組を進める必要がございます。  都は、設備設置やリース等への支援に加え、設置困難な都民が再エネをより安価に利用できるよう、小売電気事業者の再エネ電源開発への支援にも取り組んでまいります。  なお、再エネ賦課金は、買取り価格の大勢を占めるメガソーラーからの電力の買取りが終了する二〇三〇年代半ば頃に大幅に減少すると見込まれていますが、都の新制度が、都民、国民全体の負担を強い、再エネ賦課金の高騰を招くことはないと考えてございます。  引き続き、再エネの導入拡大に最大限取り組むとともに、様々な媒体を通じ、都民への丁寧な説明に努めてまいります。 ◯菅野副委員長 藤井とものり委員の発言は終わりました。(拍手)      ────────── ◯菅野副委員長 次に、米川大二郎委員の発言を許します。    〔菅野副委員長退席、委員長着席〕 ◯米川委員 ミライ会議の米川大二郎です。  東京二〇二〇大会の経理について伺います。  東京二〇二〇大会は、組織委員会の汚職、談合の大会として記憶されることになりました。招致段階でも、票の取りまとめに関連してJOCの竹田会長がフランス検察当局に聴取を受けたとか、嘉納治五郎財団経由で資金が流れたという報道がありましたが、東京都は、招致委員会と都は別の組織であって一切関知せずという立場を貫き、都民や議会に説明しません。組織委員会の汚職、談合事件についても、東京都と組織委員会とは別の組織であり捜査に支障があるからといって、議会や都民に説明しない姿勢を貫いています。  知事は、本会議で、談合によります排除措置命令などに基づいて、清算法人に対しまして損害賠償請求などの適切な対応を行うよう、強く働きかけてまいります、その上で、対象となる公費につきまして、清算法人に対して返還を求めてまいりますと答弁しています。  清算法人もやがて解散します。清算法人に対して損害賠償が支払われた場合、その損害賠償の金員はどのように処理されることになるのか伺います。また、組織委員会の談合事件において、対象となる公費とは何を想定されているのか、伺います。 ◯中村政策企画局長 談合による排除措置命令等に基づき損害賠償請求等を行う場合の対応につきましては、清算法人において検討をし、また、都としても適切な対応を行うよう働きかけてまいります。 ◯米川委員 質問に全く答えていません。組織委員会に損害賠償金が支払われたら、組織委員会は黒字になります。その場合はどうなるか。清算法人は、組織委員会の定款に準じて利益処分をすることになるのではないでしょうか。また、知事が、対象となる公費が何か分からないのに当てずっぽうで答弁されることはないとも考えています。  もう一度、損害賠償の金員、どのように処理されるのかと、談合事件で対象となった案件で対象となる公費とは何を指しているのか、この二点、明確にお答えください。 ◯中村政策企画局長 今後、談合による排除措置命令等々に基づいて損害賠償請求等がどのように行われるのかということが固まってまいります。  そういうような内容が固まりまして、清算法人においてまずどのような形で請求をするか検討していく、また、そういう形を受けまして、都としても適切に対応していくよう働きかけていく、このようになります。 ◯米川委員 スポンサー料全体は三千七百六十一億円に対して、今回の贈収賄事件に起訴されている国内スポンサー料の金額は合計十五・八億円といわれています。また、オペレーション全体の支出は千五百七十六億円に対し、談合事件の対象金額は四百三十七億円といわれています。  公表されている正味財産増減計算書内訳書で、マーケティング収益と手数料を抽出して計算しました。しかし、組織委員会の収支と合致しません。これについて、本会議で田の上いくこ議員の質問に対して、都は、公表資料は会計上の計算書類であって、ホームページで公表されている決算、大会経費の全体像を分かりやすく示すため、業務の区分ごとに整理したものの一部であると答弁しましたが、その積算根拠が示されていません。  そこで、組織委員会の監事であった会計管理局長に質問します。  監事の方が、その根拠、積み上げも確認することなく、事務局のいいなりで決算を承認したとすれば極めて無責任といわざるを得ません。国内スポンサー三千七百六十一億円、マーケティング支出千二百九十九億円、収入連動経費千七十七億円の根拠となる積み上げの数字を監事として確認されたのか、伺います。 ◯須藤会計管理局長 組織委員会の監事として、法令等にのっとり、事業年度ごとに作成された会計上の計算書類などの監査を行っております。  一方、お話の収入及び支出の項目は、大会経費の全体像を分かりやすく示すため、業務の区分ごとに整理したものの一部であると認識しております。 ◯米川委員 私の質問を聞いていただいているんでしょうか。質問は、大会経費を分かりやすく示すため業務の区分ごとに整理したものの根拠となる積み上げの数字を監事として確認したかどうかです。確認したのか、確認していないのか、どちらかです。明確にお答えください。 ◯須藤会計管理局長 繰り返しになりますが、組織委員会の監事として、法令等にのっとり、事業年度ごとに作成されました会計上の計算書類などの監査は行っております。  一方、委員お話しの収入及び支出の項目は、大会経費の全体像を分かりやすく示すため、業務の区分ごとに整理したものの一部であると承知をしております。
    ◯米川委員 本会議で、連動収入経費はIOC、JOC、電通などに支払われたとの答弁がありました。監事としてIOCに幾ら、JOCに幾ら、電通に幾ら支払われたのかご存じなのか、伺います。 ◯中村政策企画局長 清算法人からの聞き取りですので、私の方でお答えをさせていただきますが、清算法人によりますと、お話の収入連動経費は、IOC、IPCへの権利使用料、JOC、JPCへの共同マーケティング活動に伴う支払い、専任代理店契約に伴う支払いでございまして、相手方との契約に基づきまして金額は公表していないと聞いているところでございます。 ◯米川委員 千七十七億円は極めて多額で、この相当部分を組織委員会の黒字として計上すれば、定款上、清算後は公益法人、国、地方自治体に受け継がれ、東京都に戻る可能性もあるから聞いているんです。適切な支出であったのか検証することは、都民に対する責任です。  都としては、未来永劫、金額は非公表とのことで済ますつもりでしょうか。IOCに幾ら、JOCに幾ら、電通に幾ら支払われたのか、伺います。 ◯中村政策企画局長 繰り返しのご答弁になりますけれども、清算法人によりますと、お話の収入連動経費は、IOC、IPCへの権利使用料、JOC、JPCへの共同マーケティング活動に伴う支払い、専任代理店契約に伴う支払いでございまして、相手方との契約に基づき金額は公表していないと聞いているところでございます。  なお、二〇二〇大会についてのいろいろなお話ございますが、二〇二〇大会そのものにつきましては、一年延期や無観客という前例のない状況の下、多くの方々のご協力を得ながら困難を乗り越えて開催し、アスリートをはじめ、世界中の方々から感謝の言葉をいただいているところでございます。  組織委員会が発注した業務の契約をめぐる談合の疑いという報道を受けまして、重大性に鑑みて速やかに事実確認をし、また、潮田副知事をトップとする調査チームを立ち上げ事実確認を行い、さらに、その上で、現在、外部有識者の下で第三者の専門的な見地から課題の抽出や分析を行っていただくなど、調査を深掘りしているところでございます。その中で、都として徹底した調査が行えるようサポートしているところでございます。 ◯米川委員 談合については、また後で質問しますが、次に参ります。  嘉納治五郎財団から日本レガシー・コミッションへ、さらに衣替えした一般財団法人日本スポーツ政策推進機構があります。  レガシー・コミッションの役員と日本スポーツ政策推進機構の役員とを比較しますと、理事に小池知事が立ち上げた希望の党の結党届の一人、笠浩史氏、そして評議員に、日本新党時代からの長年の盟友、樽床伸二氏が加わっています。笠浩史理事と樽床伸二評議員は小池知事が推薦されたのかどうか伺います。 ◯中村政策企画局長 お話の団体の理事や評議員について、推薦はしてございません。 ◯米川委員 東京都知事として、都の組織としては推薦していないことがよく分かりました。  新たに理事に就任された笠浩史氏と評議員になられた樽床伸二氏は、小池知事が個人的に推薦されたのかと聞いているんです。これは知事にしか答えられませんが、知事、いかがですか。 ◯小池知事 明確にお答えします。推薦しておりません。(発言する者あり)もう一度、明確に申し上げます。推薦いたしておりません。 ◯米川委員 ありがとうございます。  次に、JOCは日本スポーツ政策推進機構の特別会員となっています。東京二〇二〇大会の収入連動経費千七十七億円の支払い分がJOCを通じて、あるいは電通を通じて、日本スポーツ政策推進機構に流れていくようなことはないと考えますが、それはないと断言できるのか、小池知事に伺います。 ◯中村政策企画局長 清算法人によりますと、組織委員会と、お話の団体とは契約関係になかったと、こういう形で聞いております。  また、JOCや電通と当該団体との契約について、清算法人は関知していないとのことでございました。 ◯米川委員 一般財団法人は、公益法人に比べますと経理の透明性に欠け自由度も高いです。ですから、JOCや電通を通じてオリンピックの収益が流れていくのではないかと懸念して質問させていただきました。  次に、明治神宮外苑再開発について伺います。  知事は、外国人特派員協会で、明治神宮再開発は明治神宮などの地権者が進めてきたと述べています。しかし、平成二十四年五月の森喜朗氏との会談で、当時の佐藤広副知事は、神宮外苑全体の再整備は進めると決意を語り、明治神宮の協力が必要と述べています。明治神宮主導でないことは明らかです。また、佐藤広副知事は、その後、東京二〇二〇大会の組織委員会の副事務総長を歴任し、現在は組織委員会の四人の清算人の一人で、当初からの関係者です。  知事は、明治神宮外苑再開発は都が主導して進められたものではないとお考えか伺います。 ◯福田都市整備局長 平成二十三年十二月に策定した都の長期計画において、神宮外苑地区をスポーツクラスターに位置づけており、その後、地権者からの企画提案を踏まえ、世界に誇れるスポーツの拠点の形成を図るため、平成二十五年六月に都市計画法に基づく地区計画が決定されました。  この地区計画で示された将来像の実現に向け、関係権利者との協議や有識者、地元区も加えた検討会での検討を経て、平成三十年十一月に神宮外苑地区のまちづくり指針が策定されました。  今回の再開発は、この指針も踏まえ、民間事業者が自らの所有地において実施するものでございます。 ◯米川委員 確認のために質問させていただきます。  つまりは、都が主導して地区計画を策定した。都の地区計画を実現するために都が民間を巻き込んでまちづくり指針を策定した。その次に、事業段階では、都のまちづくり指針を踏まえて民間事業者が実施している。これが都の認識ということでよろしいでしょうか。 ◯福田都市整備局長 お話のありました森氏への説明につきましては、建て替えする場合の野球やラグビーの競技の継続性など、事業実現の上で障壁となる課題を踏まえた一つの考え方として、オリンピック開催以降のまちづくりの整備イメージを示したものでございます。  都と関係権利者は、平成二十五年六月に決定した神宮外苑地区地区計画に定めた目標の実現に向けて相互に連携協力してまちづくりを推進するため、平成二十七年四月に覚書を締結し、協議を開始いたしました。その後、平成二十八年に、関係者の意見を聞きながら、ラグビー場と野球場の位置を入れ替え、連鎖的な建て替えを行う再整備構想を作成し、これを素案として関係者間で検討を進めることを合意してきたものでございます。 ◯米川委員 今、別のところを答弁したんですかね。今、私は、再開発は都が主導して進められたのかということの確認の質問をさせていただきました。  再開発の一連の過程を見れば、事業実施は民間事業者であるが、都の地区計画が最初、次に都のまちづくり指針によって都が主導した再開発ということになりますが、それでよろしいですか。 ◯福田都市整備局長 お話ししましたように、地区計画につきましても、民間事業者からの提案により決定したものでございますし、その後も連携協力をしながらということでございますので、都が主導という言葉は適切ではないと思います。 ◯米川委員 本当は、次に、明治神宮外苑の容積率の配分の考え方、これ先に答弁されちゃったので、考え方を伺うという質問だったんですけど、ちょっと飛ばします。  それで、次がこちらです。  東京都の明治神宮外苑再開発構想、これスポーツクラスターでした。しかし、実際には、秩父宮ラグビー場は天然芝ではなく人工芝に、客席数は二万五千席から一万五千席に減少し、神宮第二球場、これ私、高校時代に三回試合をやったんですけど、これもなくなってしまいます。使い方もイベントなどの商業利用で、四百十一億円の利益を上げることが前提で、三井不動産らが落札しております。  このような再開発に対して、スポーツの愛好家からも反対意見が出ていますが、知事はこれらの声をどう受け止めているのか伺います。 ◯福田都市整備局長 神宮外苑の再開発は、明治神宮などの民間事業者が、その所有地において、競技の継続性にも配慮したスポーツ施設の連鎖的な建て替えや広場の創出、緑の充実を図り、開かれた庭として再生していくものでございます。  都は、民間事業者に対し、魅力的なスポーツ施設の集積と誰もがスポーツに親しめる環境の整備に取り組むことなどを既に要請しております。  なお、具体の施設計画につきましては、施設の所有者である民間事業者の判断によるものでございます。 ◯米川委員 都は、スポーツ愛好家からの反対意見をどう受け止めているのかを質問しています。質問に答えてください。  都は、事業者に対して、スポーツの施設の集積とスポーツに親しめる環境整備を既に要請をなぜしたのか、その前提となる都のスポーツ愛好家からの反対意見をどう受け止めているのかを聞いています。いかがでしょうか。 ◯福田都市整備局長 様々なご意見があることは承知しております。  都は、民間事業者に対し、魅力的なスポーツ施設の集積と誰もがスポーツに親しめる環境の整備に取り組むことを要請しております。 ◯米川委員 スポーツの施設の集積とスポーツに親しめる環境整備を既に要請しているので、都は、スポーツ愛好家からの意見を聞く必要もないし、受け止めてもいないということでよろしいんでしょうか。明確にお答えください。 ◯福田都市整備局長 様々なご意見があることについては受け止めております。 ◯米川委員 次に、神宮外苑再開発では、独立行政法人日本スポーツ振興センターが所有する土地にあるラグビー場と、明治神宮が所有する土地にある神宮球場が入れ替わる計画になっていますが、これに伴って土地の所有権も入れ替わるのでしょうか。あるいは、土地の所有権は変わらず、明治神宮所有の土地の上に新ラグビー場が建設されるのでしょうか、伺います。 ◯福田都市整備局長 土地の権利につきましては、今後、再開発事業の施行者が都市再開発法に基づき、従前の所有権等の権利を従後の権利に置き換えるための計画であります権利変換計画を定めることになります。 ◯米川委員 次に、神宮外苑再開発で、外国人特派員協会の会見で、知事は緑が増えるとおっしゃっていましたが、ICOMOSなどの専門家は緑は減少すると述べています。  神宮外苑再開発は東京都主導の再開発であり、明治神宮は後から計画に乗ってきた事業者です。都市計画の責任者である東京都とICOMOSなどの専門家とが、あるいは環境影響審議会の場で事業者とICOMOSなどの専門家と、公開討論会を開催されてはいかがでしょうか。 ◯栗岡環境局長 実施主体はあくまで民間事業者でございます。都としては考えてございません。  なお、ICOMOSの指摘につきましては、審議会から事業者に対して審議会で話をするよう要請されています。現在、事業者は反証の準備を進めていると認識してございます。 ◯米川委員 短い答弁でしたが、都民の声に耳を傾けないという答弁、驚きました。  ICOMOSの専門家の方々は三井不動産などの事業者との対話を求めていますが、門前払い状態であり、都もまた門前払いです。都民の中には、太陽光義務化条例を提案したことで、小池知事は環境保全に理解があるという一縷の幻想をいまだ抱いている人もいますが、今の答弁、開発のためには聞く耳を持たない東京都であり知事であることが都民に明確になりました。  そこで、再度伺います。  東京都は、ICOMOSなどの専門家と公開討論会を開催すべきだと考えますが、なぜ都として公開討論会の開催を考えていないのか、その理由を伺います。 ◯栗岡環境局長 繰り返しになりますが、実施主体はあくまで民間事業者でございます。都としては考えてございません。  なお、ICOMOSの指摘につきましては、審議会から事業者に対して審議会で話をするよう要請されております。現在、事業者は反証の準備を進めていると認識してございます ◯米川委員 次に、服務規律の確保について伺います。  オリ・パラ談合についてです。  東京都服務監察規程では、職務に関して発生した職員の非行及び事故またはその疑いがある行為、職員の信用失墜行為またはその疑いがある行為に関することなどに該当する場合、監察することを事故監察といいますが、東京都から別の団体に派遣された派遣職員の場合、この事故監察はどのようになっているのか伺います。 ◯野間総務局長 一般論として、公益的法人等へ派遣された職員の場合、原則として、信用失墜行為など地方公務員の身分を有することに係る身分上の義務違反による事故については、都で行うこととなってございます。 ◯米川委員 予特の要求資料第22号ですが、こちらにもあるとおり、事故を起こした職員に加えまして、管理監督者等という項目があるんですが、これも事故監察の対象になりますし、実際この出してもらった資料の一番目と一番下は懲戒処分を受けております。  そこで、談合の容疑で今回組織委員会の森泰夫運営局元次長が在宅起訴されました。この人物の上司や部下だった都職員が大勢いますが、知事は特に監察をする必要があると認め、総務局長に対し事故監察を命じているのか伺います。 ◯野間総務局長 一般論として、事故監察は、服務に関する法令等の諸規定に違反し、または違反する疑いがあると明確に認められる場合に行われるものでございます。その上で、派遣職員につきましては、職務上の命令権者からの要請がある場合、または特に監察をする必要があると認められる場合に限り、総務局長に対し事故監察を命ずることができるとされてございます。  なお、組織委員会のガバナンスやコンプライアンス等につきましては、都の調査チームにおいて、現在、調査を進めているところでございます。 ◯米川委員 今、一般論というお話がありましたが、たくさんの都の職員が組織委員会に行っています。二日前でしたかね、質疑でも、職員名簿を見れば簡単に誰が行っているか分かりますよという話がありました。  私は、平成九年の職員名簿、総務局の人事部人事課で作った経験があるんですが、すぐこの事件があった際に、二階にあります議会図書館に行きまして、過去の名簿を全部洗いました。それと、人事部が出している職員の幹部の異動表、これを見ることで、誰が、一般職員も含めてですけど、いつの時点で組織委員会のどの部署にいるかというのは明確に分かるんですよ。だから、こんな談合事件が起きて何も行わないというのが、私は服務担当を三年やっていました。もう考えられないです。  ですので、お聞きしますが、こちらに懲戒処分の指針、監督責任について具体的な例示がしてあります。  見ていただきますと、監督責任関係、指導監督不適正、部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者として指導監督に適正を欠いていた職員は、減給または戒告とする。非行の隠蔽、黙認、部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠蔽し、または黙認した職員は、停職または減給するとなっています。  談合は、服務事故の中でも重大な案件です。私が服務担当になったとき、ちょうど他任命権者のところで汚職事件がありました。当時、青島知事です。全体の局長会議を開き、その場でこういっていました。都民の皆さんに対し申し訳ないという気持ちでいっぱいになった、そして、都政を信頼してくださっている都民の皆さんや真面目に働いている多くの職員のことを思うととても悔しいという発言がありました。  なかなか皆さん方とお会いできないような一般の職員は、日々、本当に真面目に仕事をしていると思っています。だからこそ、しっかりと、問題があったときには取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、知事は、この談合事件に対して、派遣していた職員などからも聞き取り調査を行っていると答弁ありました。しかし、これはコンプライアンス室が行う服務規律、これを確保するための事故監察とは明確に異なるものです。  知事は、なぜ事故監察を命じないのか伺います。 ◯野間総務局長 先ほど申しましたけれども、事故監察は、服務に関する法令等の諸規定に違反し、または違反する疑いがあると明確に認められる場合に行われるものでございます。さらに、その上で、派遣職員につきましては、職務上の命令権者からの要請がある場合、または特に監察をする必要があると認められる場合に限り、総務局長に対し事故監察を命ずることができるとされております。  なお、組織委員会のガバナンスやコンプライアンス等につきましては、都の調査チームにおいて、現在、調査を進めているところでございます。 ◯米川委員 派遣の先から戻れば、どちらかで調査するわけですよね。その上で、必要があれば処分するし、そうでなければ処分しないわけですよ。もう清算法人、何もいってこないじゃないですか。もう、こちら知事の部下として戻ってきているわけですよ、職員は。ですので、しっかりと調査をして、問題がなければそれでいいわけですよ、この事故監察というのは。  でも、こういったことを皆さん方がしっかりとやらなければ、職員一人一人見ていますよ、今日のテレビだって。ふだんこういう新聞記事を読めば、何やっているんだと思いますよ。僕もそういう仕事をしていたから。  だから、しっかりと、もう一度この問題を重く見て調査を行わないと、これまで小池知事と私は、この場で常に都民に信頼される都政ということで質疑をしてきましたけど、本当に都民から信頼されない都政になってしまう、そういう危機感を抱いております。  次の質問に行きます。非正規公務員について伺います。  産み育てたい子供の数と現実は、経済的要因で左右されます。東京都が行っている業務には、同じ業務にもかかわらず、正規職員、非正規職員の双方が行っているものがあります。  現在、都立学校図書館は、正規職員、業務委託、会計年度任用職員と無資格のアシスタント職員の大きく三つの方法で運営されています。正規職員や業務委託での運営では、従事する方は全て資格を持っていました。  そして、私は、平成三十年三月十五日の予算特別委員会の質疑で、新学習指導要領案ができるということで、生徒の主体的、対話的で深い学びの実現のため、学校図書館を取り上げました。このとき、当時、中井教育長、業務委託で有資格者の方になりますが、専門職員を複数配置し、運営していると答弁されていました。  今も目的は変わっていないと思いますが、この学校図書館への無資格のアシスタント職員の配置は、運営体制の大きな後退ではないのでしょうか、伺います。 ◯浜教育長 都教育委員会は、新学習指導要領に基づく主体的、対話的で深い学びを実現するため、学校図書館の運営について、従来の業務委託から司書等の資格を持つ会計年度任用職員の配置による教員と連携した体制へ移行しております。  なお、アシスタント職は、主に当該会計年度任用職員が不在となる一部の時間帯を補助する業務であるため、司書等の資格要件を定めておりません。 ◯米川委員 先ほど話しましたが、三十年三月十五日の時点でも、同じ主体的、対話的で深い学びを実現するために業務委託でやっているんですよ。それも、専門の資格を持った方ですね。ですから、今の答弁、よく分かりませんね。  そして今、不在となる一部の時間帯というお話ありましたが、全日制というところでは授業が行われている午前中の時間帯、定時制では夕方からの授業が行われている時間帯、それも毎週、大体一日ぐらいしか勤務しませんから、同じ曜日になる場合が多いんですが、授業が行われる時間帯に有資格者が不在となっているんですけど、それでも主体的、対話的で深い学びが実現できるんでしょうか。運営体制の大きな後退ではないんでしょうか、伺います。 ◯浜教育長 都教育委員会は、新学習指導要領に基づく主体的、対話的で深い学びを実現するため、学校図書館の運営について、司書等の資格を持つ会計年度任用職員の配置による教員と連携した体制を確保しております。  アシスタント職は、主に当該会計年度任用職員が不在となる一部の時間帯を補助する業務であるため、司書等の資格要件を定めておりません。 ◯米川委員 だから、その時間が一番重要な授業の時間なんですよ。その辺の認識がまだまだ足りないで教育長というのは、ちょっと困ってしまいますね。  そして、正規職員、会計年度任用職員と無資格のアシスタント職員が行う業務、これ何か違いがあるんでしょうか、伺います。 ◯浜教育長 令和四年三月に都教育委員会が策定した都立学校図書館ガイドラインにおきまして、会計年度任用職員の業務は、正規の学校司書の職務に準じるとしております。  また、アシスタント職は、主に当該会計年度任用職員が不在となる一部の時間帯を補助する業務でございます。 ◯米川委員 今、正規の学校司書の職務に準ずるというのがあったと思うんですけど、今日、久しぶりに国語辞典、調べてみました。準ずる、あるものを基準にして、それと同じ扱いをする、何かを基準にして、それと釣り合うような扱いをするとなっていました。  そしてまた、今、ガイドラインのお話がありました。これ二ページ目に書いてあるものを読みます。本ガイドラインにおいて記載する学校司書は、正規の学校司書に加え、学校図書館専門員も含んでいますとなっています。  そうしますと、図書館専門員も正規の学校司書も行う業務に何か違いがあるんですかね、伺います。 ◯浜教育長 都教育委員会は、新学習指導要領に基づく主体的、対話的で深い学びを実現するため、学校図書館の運営について、従来の業務委託から司書等の資格を持つ会計年度任用職員の配置に切り替え、教員と連携した体制への移行を図っております。  配置された会計年度任用職員は、業務委託では行えなかった校内の図書委員会運営や授業支援など、学校図書館の一層の利用促進に資する取組を行っております。 ◯米川委員 業務は同じなんですよ。そして、先ほどから新学習指導要領のために体制が変わったというんですけど、部下に聞いた方がいいですよ、どういう理由でこれが変わったのか。東京労働局から何回も知事名で偽装請負、派遣法違反の疑いがあるというのがあったから、最終的に変えたんじゃないですか。ちゃんとした理由を部下から聞いた方がいいですよ。  その上で、少子化対策、本当に進めたいならば、東京都庁、隗より始めよで、このような学校図書館の運営、全て正規職員にするべきですが、伺います。
    ◯浜教育長 都立学校図書館の運営につきましては、効果的、効率的な行政サービスを提供していくため、引き続き適切に人員配置を行ってまいります。 ◯米川委員 それが非正規雇用を生んでいるんですよ、コストカットのためだけにやっているという。そういうふうにして、非正規の公務員を生み出して、少子化対策、そんなのできないじゃないですか。  最後、聞きますけど、今回取り上げました学校図書館の業務に従事する職員、るる説明しましたけど、この正規、非正規、混在、混同しているんですね。職、業務、これ本当同じなんですよ。そういった場合には全て正規職員にする、こういったことがなければ、少子化対策進まないと思うんです。  まず、東京都から始めるべきだと思うんですが、この正規、非正規が混在、混同している職、業務がある場合、全て正規職員にするべきですが、伺います。 ◯野間総務局長 毎年度、常勤職員と非常勤職員を併せて各局の要求を総務局が取りまとめてございます。個々の職務内容や業務量等を精査するとともに、常勤職員との役割分担を確認の上、非常勤職員の職を設定してございます。 ◯小宮委員長 米川大二郎委員の発言は終わりました。(拍手)  以上をもちまして付託議案に対する総括質疑は終了いたしました。      ━━━━━━━━━━ ◯小宮委員長 次に、部局別質疑について申し上げます。  部局別質疑は、本委員会設置要綱の定めるところにより、各常任委員会の調査をもって代えるものとなっておりますので、所定の手続を議長に申し入れます。ご了承を願います。  この際、各常任委員長に申し上げます。  部局別質疑に関する調査報告書は、三月十六日の午後五時までに提出されますよう、特段のご配慮をお願いいたします。  なお、来る三月二十日については、午後一時から委員会を本委員会室で開会し、締めくくり総括質疑を行っていただきます。  また、三月二十二日に予定しております討論等の委員会運営につきましては、理事会にご一任願いたいと思います。ご了承願います。  これをもちまして本日の委員会を閉会します。    午後八時十三分散会...