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2023-03-07 令和5年予算特別委員会(第2号)(速報版) 本文
2023-03-07 令和5年予算特別委員会(第2号)(速報版) 名簿・議事日程

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  1. 東京都議会 2023-03-07
    2023-03-07 令和5年予算特別委員会(第2号)(速報版) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午前十一時開議 ◯小宮委員長 ただいまから予算特別委員会を開会します。  これより付託議案の審査を行います。  第一号議案から第二十八号議案まで及び第百十号議案を一括して議題といたします。  本案について、理事者の説明を求めます。 ◯武市副知事 令和五年度予算案のご審議をお願いするに当たりまして、その大綱をご説明申し上げます。  令和五年度予算案は、明るい未来の東京の実現に向け、将来にわたって成長と成熟が両立した光り輝く都市へと確実に進化し続ける予算と位置づけ、直面する課題に正面から向き合い、重要な諸課題の解決にスピード感を持って取り組むことはもとより、長期的な視点に立ち、従来の発想を打ち破る大胆な施策を積極的に展開することで、三つのシティの実現につなげてまいります。  当初予算の規模は、一般会計、特別会計及び公営企業会計の二十八会計を合わせました総額で十六兆八百二十一億円としております。  まず、一般会計について申し上げます。  歳入歳出の総額は八兆四百十億円で、前年度に比べ三・一%の増となっております。  次に、歳入の概要でございますが、都税収入は、前年度に比べ一〇・一%増の六兆二千十億円としております。  次に、歳出の概要でございますが、主なものを申し上げますと、総務費については、二千九百三十七億円を計上し、世界一のスタートアップ都市東京の実現に向け、イノベーション創出拠点の整備など、新たなスタートアップ戦略を展開いたします。  生活文化スポーツ費については、五百九十六億円を計上し、パラリンピック東京大会の経験や二〇二五年デフリンピックを契機として、デフスポーツ、パラスポーツの振興などに努めてまいります。  都市整備費については、一千二百七十四億円を計上し、住宅耐震化のための助成制度について、二〇〇〇年までに建築された新耐震基準の木造住宅を対象に追加するなど、さらなる被害の軽減を図ってまいります。  環境費については、一千五百四十九億円を計上し、脱炭素社会の実現に向け、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出を半減させるため、東京ゼロエミ住宅導入促進事業の拡充など、改正条例の円滑な施行に向けた支援策を進めてまいります。  福祉保健費については、一兆五千二百二十四億円を計上し、子育て世帯に寄り添った支援に向け、妊娠、出産時や子供の子育ちを支える給付に加え、医療費など子供の成長に寄り添った支援を実施してまいります。  産業労働費については、六千七百三十三億円を計上し、脱炭素社会に向けたスコープ3への対応として、攻めの脱炭素化に取り組む中小企業を支援するファンドを創設し、サステーナブルファイナンスの活性化につなげてまいります。  土木費については、六千二百十九億円を計上し、災害の脅威から都民を守る都市づくりを実現するため、新たな調節池の整備など、激甚化する台風、豪雨への備えを進めてまいります。  教育費については、八千九百六十五億円を計上し、人の力を高め引き出す人材育成に向け、小中高等学校の各段階において、英語を話す機会を充実させるとともに、国際交流の推進や海外派遣の拡大により、世界で活躍できる人材を育成してまいります。  以上が歳出の概要でございます。
     令和五年度予算案では、これまでご説明したように、積極的な施策展開を図ると同時に、持続可能な財政運営に向けた取組を行いました。具体的には、予算要求段階でのマイナスシーリング予算編成段階での事業評価による見直しの徹底、施策の終了、転換など、あらゆる手だてを講じており、事業評価による財源確保額は一千百四十一億円となりました。  また、基金については、都市の強靭化や社会資本の整備等を着実に進めるため、令和四年度最終補正予算で創設した基金を含め、四千八百三十三億円を取り崩して積極的に活用いたします。さらに、都債については、将来世代への負担を考慮し、発行額を前年度と比べ一・三%減の二千九百八億円とする一方で、ESG債の発行により、ESG投資のさらなる促進と、金融分野からのSDGs実現を後押ししてまいります。  以上が一般会計の概要でございます。  次に、特別会計でございますが、地方消費税清算会計や公債費会計に加え、令和五年度から新たに設置される工業用水道事業清算会計など十八会計で、歳出総額は六兆二千七百八十二億円としております。  次に、公営企業会計でございますが、令和四年度で病院会計、工業用水道事業会計が廃止となり、九会計で、支出総額は一兆七千六百二十九億円としております。  その主なものとして、まず高速電車事業会計については、二千七百十七億円を計上し、ホームドアの整備や地下鉄のバリアフリー化の推進などに取り組んでまいります。  水道事業会計については、五千三百億円を計上し、浄水施設や送配水施設などの整備を進めてまいります。  下水道事業会計については、七千五百二十九億円を計上し、区部及び流域下水道の建設並びに改良などを進めてまいります。  以上、令和五年度当初予算案の概要についてご説明申し上げました。  なお、令和五年度補正予算案といたしまして、都民の命と健康を最優先に、かつての日常を取り戻すだけでなく、新型コロナウイルス感染症とも共存した活気あふれる東京を確かなものとしていくため、必要な対策を実施してまいります。  一般会計で総額一千七百七十五億円でございます。  以上、よろしくご審議をお願い申し上げます。 ◯小宮委員長 説明は終わりました。  次に、資料要求について申し上げます。  ただいま議題となっております議案について、お手元配布のとおり資料要求がありました。  朗読は省略いたします。      ──────────    〔速報においては「令和五年予算特別委員会資料要求について」掲載省略〕      ────────── ◯小宮委員長 お諮りいたします。  本件は、いずれも委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯小宮委員長 異議なしと認めます。理事者においては速やかにご提出願います。  この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。  なお、再開は午後一時の予定です。    午前十一時六分休憩      ━━━━━━━━━━    午後一時開議 ◯小宮委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。  委員会の要求資料について申し上げます。  先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  これより総括質疑を行います。  この際、一言申し上げます。  質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。  なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。  この際、委員の皆様に申し上げます。  質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行えるようご協力をお願いいたします。  次に、理事者に申し上げます。  答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁を行い、また、マスクの着脱をされる場合には、速やかに行っていただけますようお願いいたします。  なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。  これより順次発言を許します。  菅野弘一副委員長の発言を許します。 ◯菅野委員 それではまず、私の方から、今東京は、コロナ感染症対策の見直しやロシアのウクライナ侵攻に端を発する燃料高騰と物価高騰への対策、深刻化する少子化、激甚化する自然災害への対応から、二酸化炭素の削減、情報化の推進など、多様な課題に直面をしています。多くの課題が錯綜して、いずれも迅速な対応が求められています。  こうしたときこそ、都庁各局が、これまでの知見を生かして、都の事業として合理性があり、実効性に富む政策を事業化して、都内全域で区市町村と連携しながら、各地域の実態に即した形で事業を展開していくという都政運営の基本を忘れてはなりません。  こうした観点から、まず、都の行財政運営についてお伺いをいたします。  令和五年度の一般会計当初予算案は、八兆円を超える予算規模となり、過去最大となりました。その内容は、少子化対策や災害対策をはじめ、多くの新規事業や拡充事業が盛り込まれています。こうした積極財政を可能としているのは、好調な税収によるところが大きいと思います。  そこでまず、過去最大の規模となった令和五年度の都税収入と令和六年度以降の見通しについて、どのように考えていらっしゃるのか、主税局長に伺います。 ◯小池主税局長 令和五年度の都税収入は、企業収益の堅調な推移に伴う法人二税の増などにより、六兆二千十億円と二年連続の増収となっております。  今後の景気につきましては、ウイズコロナの下で持ち直していくことが期待されるものの、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクや、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があるとされております。  令和六年度以降の都税収入の見通しにつきましては、こうした景気動向や国の税制改正の動き等、様々な状況を踏まえて注意深く見極めていく必要があるものと認識しております。 ◯菅野委員 足元の税収増により、将来を鑑みず予算を措置することは、後の世代に大きな負担を強いることにもつながりかねません。直近でも、コロナ禍で令和二年度の税収が大きく落ち込むなど、過度な税収頼みはリスクを伴います。  また、コロナ禍においては、国からの手厚い財政支援がありましたが、今後、危機的な事態が発生した場合に同様の支援が受けられる保証はありません。  そこでまず、お聞きします。  コロナとの長きにわたる闘いから共存に向けて動き出している中、今ある財源力で将来を見据えたとき、十分であると考えていらっしゃるのでしょうか。都財政に対する現状認識について、財務局長に伺います。 ◯吉村財務局長 都は、コロナ禍や物価高騰の長期化など、百年に一度といわれる危機の最中にあっても、都民生活と東京の経済を守るため、刻一刻と変化する状況を見極めながら、機動的に対策を講じてまいりました。  こうした中にありましても、歳出精査の徹底はもとより、基金残高の確保や都債の発行抑制に努めるなど、将来を見据えた財政運営を行ってまいりました。  こうした取組を通じまして、基金残高は令和五年度末で一・七兆円とリーマンショック前とほぼ同水準の残高を確保できる見込みでございます。  また、起債依存度は三・六%と地方全体と比べ低水準を維持しており、五年度末の都債残高は前年度末より減少する見込みでございます。  こうしたことから、都財政は持続可能な財政運営の観点から、一定の財政対応力を有しているものと考えてございます。 ◯菅野委員 マスクを外させていただきますが、財政対応力を維持できているとのことですけれども、例えば都債は将来世代に負担を負わせることにもつながるなど、急に発行額を増やせるわけではありません。こうした観点から重要となるのは、歳出予算が必要以上に膨張することがないように、編成過程での事業の見直しをしっかりと行うことだと思います。  そこで、令和五年度予算編成において、歳出の見直しにどのように取り組んだのか確認を求めるとともに、財源の継続的な確保を含め、中長期的な視点に立った財政運営を進めていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。 ◯小池知事 答弁に先立ちまして、一言弔意を申し上げたいと存じます。  二月十六日、名誉都民である北浦雅子様が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。  それでは、ご質問にお答えしたいと思います。  まず、出生数が急減し、また、自然災害が激甚化するなど、都政はあらゆる分野におきまして、戦後最大の試練を迎えているという状況でございます。  こうした中にありましても、東京が成長と成熟が両立した都市へ進化していくためにも、従来の発想を打ち破る大胆な施策を積極的に展開しつつ、将来を見据えて強固な財政基盤を堅持していく必要がございます。  こうした考えに立ちまして、令和五年度予算案につきましては、少子化対策や都市の強靭化をはじめとして、未来への投資に大胆に財源を振り向けたところでございます。  あわせまして、外部有識者を活用して、より客観性の高い評価を実施するなど、政策評価、事業評価の取組を強化しまして、施策の新陳代謝を一層促進させております。  さらに、マイナスシーリングや施策の終了、転換など、財源の確保に向けまして、あらゆる手だてを講じましたほか、一定の基金残高を確保すると同時に、都債の残高を減少させるなど、積極的な施策の展開と持続可能な財政運営の両立を図っております。  今後とも、中長期的な視点に立ちまして、将来にわたる施策の展開を支えるため、歳入歳出の両面から不断の見直しを徹底した上で、財政対応力にさらに磨きをかけてまいります。 ◯菅野委員 知事がご答弁でもおっしゃったように、今回、大胆な様々な施策を本当に思い切り講じていただいていると思います。この予算案、マイナスシーリングなど、あらゆる手だてを講じ当初の要求をスタートしたわけですが、当初の読みとは違って、想像以上に税収が伸びたということも背景にはあって、今回の少子化対策も含めて、こうした知事の思いが政策にしっかり打ち出せたのだろうと思います。  いずれにしても、来年度以降も中長期的な視点を持って、今、知事もおっしゃいましたが、しっかりと引き続き強固な財政基盤を維持していただくよう、注意深く進めていただくことを求めておきます。  それでは、次に、少子化対策についてお伺いします。  先週、厚生労働省は、令和四年一年間の出生数が前の年より四万人余り減って、明治三十二年の統計開始以来、過去最少になったと発表しました。出生数が八十万人を割るのは初めてのことです。  その背景に、子供を二人以上持ちたいと願う夫婦が、願いとは裏腹に、これからの子育てや教育の出費など、経済的な理由などで二人目以降の出産を諦める、二人目の壁が障害になっているとの報道がありました。  都は、過去最大の予算をバックに、都独自の支援策として〇一八サポートや第二子の保育料の無償化を提案するなど、少子化対策として、出会いから出産、子育てまでの各種施策を打ち出されていますが、その効果は少子化に歯止めをかけるために十分な施策と考えられているのか、知事の所感を伺いたいと思います。 ◯小池知事 私は、国会議員時代から婚活・街コン推進議員連盟を立ち上げたり、また、数多くの議員連盟、ほかにもございます。そこでは女性活躍や少子化対策に取り組んでまいりました。  チルドレンファーストの社会の実現こそ未来への投資だと、そうした考えの下で、都知事に就任いたしましてからは、これまで重ねてまいりました子供や女性政策の実践に加速度的に取り組んでまいったところでございます。  この間、待機児童対策をはじめ、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を率先して行ってまいりました。子供政策連携室を設置して、各局が連携をしまして、そして様々な議論も行ってまいりました。想定を超えるペースで進展する少子化でございますが、日本社会の存立基盤を揺るがす重大な危機でございます。現状は一刻の猶予も許されないとの認識の下、都としてなし得る対策を迅速に講じることといたしております。  高い子育て費用や仕事、そして育児の両立の困難さなど、これらはもとより少子化の要因は複合的でございます。そのため、課題に応じました多面的な取組を展開して、二人以上の子供を持ちたいと願う方を含めまして、望む人誰もが安心して子供を産み育てられる東京の実現を目指してまいります。  新年度の予算案につきましては、結婚支援や不妊治療の充実、子育てや教育に係る経済的支援の強化、結婚予定者への都営住宅、公社住宅の提供など、ライフステージを通じました幅広い対策を盛り込んでおります。 ◯菅野委員 知事からは、非常に今回の少子化対策に対する様々な思いというか、それが全て今回の施策には盛り込んで、それにかけているというようなお言葉がございました。  ちょっとここで、今の二人目の産む話ということについての実務的な部分で、ここでお聞きしておきたいと思います。  夫婦が二人目を産む決断を促すためには、中長期的に様々な要因を分析して、将来に向けた総合的な支援策が必要で、強く打ち出すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。 ◯山下子供政策連携室長 少子化は、課題が複雑に絡み合っており、先般公表した東京都の少子化対策の現在におきましては、少子化に関する各種データの分析をお示ししております。  その中で、例えば夫婦が理想の子供の数を持たない理由といたしまして、経済的な事情が多いことなどが明らかになったことから、子育てや教育に係る経済的支援の充実などの対策を新年度予算案に盛り込んだところでございます。  一方で、少子化対策は効果が出るまでに息の長い取組が求められ、実効性ある施策を的確に講じていく上では、さらなる要因分析が欠かせません。  そのため、来年度は、様々な分野の有識者から知見をいただくとともに、若者や子育て家庭が抱える課題やニーズの把握などを通じまして、多面的な考察を深め、幅広い対策の充実につなげてまいります。 ◯菅野委員 先ほど知事から強い少子化対策への思いがございました。ここで、特にその中でも今回話題になっております〇一八サポート事業についてお伺いしたいなと思っています。  本年年明けの一月四日、職員に対する知事の訓示によって突然発表される形となった〇一八サポート事業でありますけれども、この経緯について、重要な事業ですので、改めて確認をしておきたいと思います。  まず、この事業は子供政策連携室や福祉保健局による予算要求には入っていたのでしょうか。 ◯西山福祉保健局長 令和五年度の当初予算には入ってございませんが、その後、要求をしたものでございます。 ◯菅野委員 もう一人、子供の方は。 ◯山下子供政策連携室長 秋口の財務局に対する要求には、子供政策連携室としては要求はしてございません。 ◯菅野委員 それでは、財務局に伺いたいと思います。  財務局査定においても予算計上はされていなかったと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯吉村財務局長 今、両局長からございましたとおり、当初要求にはございませんでした。  一月四日に子供政策連携室が発出いたしました少子化対策に係る新規事業の構築についてを踏まえまして、福祉保健局として事業の検討を行ったものと認識してございます。  福祉保健局からの追加要求を受けまして、知事査定を経まして、令和五年度当初予算案に所要の経費を計上させていただきました。 ◯菅野委員 一月四日に子供政策連携室から発出されたというようなお話が、今、財務局長からございましたけれども、一月四日に知事が訓示の中で突然発表した形になったわけですが、ちょうどタイミングが同日なんですが、これは例えば知事自らが、やっぱりその段階ではお考えになって、その場で発出された事業というふうな理解をしてもよろしいのか、知事に伺いたいと思います。
    ◯小宮委員長 知事、お答えになられますか。 ◯小池知事 先ほども対策につきましては長年温めてまいったということを申し上げました。婚活・街コン議員連盟をはじめ、女性の活躍、少子化対策に取り組んでまいってきたものでございます。  かねてより、チルドレンファーストの社会の実現こそ未来への投資であるということで、加速度的に子供、女性政策の実践に取り組んできたところでございます。  この間、待機児童対策をはじめとして、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を率先して行い、そして子供政策連携室を設置して、各局連携の下で様々な議論を行ってきたという経緯がございます。  来年度の予算編成に当たりましては、今日の危機的な少子化の状況を踏まえて、取組をさらに充実強化することとして、全庁を挙げて子供施策の強化に当たってまいりました。その一環として、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、所得制限は設けずに、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付することとしたわけでございます。  今後とも、それぞれの施策を全力で取り組み、その時々の社会情勢を踏まえつつ、子供を産み育てたいという願いを実現するべく、取組を進めてまいります。 ◯菅野委員 今の答弁、いろいろと思いは語っていただいたと思うんですが、その中で判断をしたというか、〇一八サポート事業が必要だというふうに考えたということで、知事のお考えであるというふうには私の方では取れるんですが、いずれにしても一月四日、同日付で局から発出されて、また同日の朝に職員への訓示という形のタイミングからも、知事の強い思いがそこに伝わったのだとは思いますけれども、その日にそのお考えが発表されたというふうに理解をさせていただきます。  この〇一八サポート事業、数ある少子対策の中でも知事の目玉事業であり、都民の期待も高いと思います。  しかし、一方で、所得制限もなく一千二百億円もの巨額の費用が伴うことになります。都民の中には、まだ制度の中身がちょっと分かりづらい部分はあるんですが、ゼロ歳の子供が十八歳になるまで、仮に十八年間もらえるのかなというような声も聞くところであります。  知事は、この〇一八サポートの事業の必要性をいつ頃まで必要なのかということを考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。 ◯小池知事 先ほどもご答弁申し上げましたように、今後ともそれぞれの施策を全力で取り組んで、その時々の社会情勢を踏まえながら、子供を産み育てたいという願いを実現すべく、取組を進めてまいります。 ◯菅野委員 いつ頃までという、やっぱりこういった大きなお金を使うわけですから、ある意味、目標でもいいんですけれども、こういうような状態になったら、そこまではやっていきたいとか、そういうことが何か分かれば教えてもらいたいと思ったんですが、いかがでしょうか。 ◯西山福祉保健局長 今日の危機的な少子化の状況を踏まえまして、これまで取り組んできた少子化対策をさらに充実強化し、その一環として本事業を実施することといたしました。  今後とも、その時々の社会情勢を踏まえつつ、様々な施策に取り組んでまいります。 ◯菅野委員 その状況を見ながら、その時々というか、多分予算は単年度主義だということかもしれませんけれども、ただ、強靭化プロジェクトじゃないんですけど、やっぱり少子化もかなり思い切った決意を持って中長期的、それこそそういうスパンを定めて目標をつくっていかないと、なかなか難しいのかなと。それだけでも難しいのかもしれませんけれども、思います。  そして、年間一千二百億円もの税金を投入する事業なわけですから、仮に、例えば取りあえず今回はやりますということになれば、来年ですか、一月に六万円一括でということがこの間発表されましたが、六万円もらって終わりなのかということにもなってしまいますし、続けるということになれば、今後やっぱりそれだけの財源を継続的に確保していかなきゃならない。  今回のような状況ならいざ知らず、先ほど申し上げたように、この先、東京がどういった歳入構造というか、歳入の状態になるか分かりませんので、そうした中で、しっかりとした財源確保も含めて考えていく必要がありますので、その辺をしっかりと踏まえて取り組んでもらいたいと思います。  やはり本当なら明確な目標や事業の終期をぜひお示しいただいて、都民のお金を使う以上、責任ある計画づくりをしていただきたいと思うわけです。中途半端なばらまきと捉えられないように、もはや一刻の猶予もない重要な少子化対策には、明確な目標を持って取り組んでいただきたいと思います。  都民に説明のできる効果的な少子化対策を強く要望させていただいて、この質問は終わらせていただきます。  次に、少子化と同様に、総合的に取り組まなければならない課題は、超高齢社会への対応だと思います。  高齢者がいかに健康で、安心して住み慣れた地域に暮らし続けることができるのか、それを支えるのがまさに介護人材であります。  しかし、過去六年間の都内における介護職員の賃金推移を見ますと、三十万円から三十三万円へと三万円程度の上昇にとどまっています。都によるキャリアアップ支援策を実施している保育士の賃金は、同じ過去六年間で二十八万円から三十七万円へと九万円程度上昇しています。  我が会派も要望して、今年度より介護職員の家賃補助の拡充が図られましたが、介護職の賃金を都として上乗せして支援するなど、介護人材の確保に真剣に取り組むべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。 ◯西山福祉保健局長 国は、介護報酬の処遇改善加算等を拡充し、平成二十一年度から令和元年度までに月額七万五千円の賃金改善を図り、昨年二月からは、さらに月額九千円相当の引上げ措置を行ってございます。  都は、国に対し、介護事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる介護報酬とするよう、繰り返し提案要求してございます。  また、介護職員の宿舎借り上げへの支援に加え、職場体験や資格取得支援、デジタル機器等の導入経費補助など様々な取組を実施しており、来年度は新たに分身ロボット等の導入により介護現場のDXを一層推進するなど、介護人材の確保、育成、定着に向け、総合的に取組を進めてまいります。 ◯菅野委員 来年度の少子化対策予算というのは、本年度よりも五割以上増しの四千八百五十億円、それに比べまして高齢対策予算は微増の二千四百八十六億円にとどまり、新規事業の規模も内容も小粒といわざるを得ません。少子化だけではなく、高齢化社会をどう支えるのか、偏りのない政策も心がけてほしいと思います。  それでは、先ほども述べましたが、国の統計開始以来、出生数が初めて八十万人を下回りました。二〇一七年に国立社会保障・人口問題研究所が公表した予測では、八十万人を下回るのが二〇三〇年だったので、予想を上回るペースで少子化が進んでいる状況であります。  歯止めがかからない少子化が進行する中で、私立幼稚園の経営は定員割れなどから年々厳しくなっています。  さらに、今回、東京都が突然発表した保育料の第二子以降無償化によって、ゼロ歳児から保育園に通う児童が増加し、そのまま卒園まで通うことによって、三歳児から多くの児童が通う幼稚園には大打撃といえます。  都として、意欲を持って様々な取組を実施する幼稚園をしっかり支援していく必要があると思いますが、見解を伺いたいと思います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 私立幼稚園は、都の幼児教育において重要な役割を担っており、都はこれまでも、経常費補助をはじめ、様々な補助の拡充を図ってまいりました。  また、各園の教育水準の向上を一層促進するため、幼児教育の内容等の改善、幼児教育を担う人材の育成などの取組に対して補助を実施しております。  さらに、各園の様々な取組に不可欠な教職員の処遇改善につきましても、国の直接補助の事業が終了した後も各園の負担割合が変わらないよう、都の支援を拡充しております。  今後とも、現場の声を聞きながら、各園の多様な取組を幅広く支援し、私立幼稚園の振興に努めてまいります。 ◯菅野委員 残念ながら、今のご答弁では私立幼稚園に対する支援が十分とはいえません。今回の予算案では、〇一八サポート、保育料の第二子無償化をはじめとして、多くの子育て予算が盛り込まれています。  しかしながら、私立幼稚園に対する予算増額や新規事業はほとんど見当たりません。独自の建学の精神を持って子供たちを育成する私立幼稚園に対して、少し冷たいのではないでしょうか。  局長も現場の声を聞きながら、私立幼稚園の振興に努めるといわれるのであれば、私立幼稚園をもっと支援すべきだと思います。  今後、在宅子育て家庭への支援や私立幼稚園へのさらなる支援を求めて、次の質問に移ります。  この質疑の最後に、改めて〇一八サポートでございますが、さっき私、ちらっといいかけたんですが、例えばの話だったんですけれども、極端な話、来年度限りになることがあるのかどうか、ちょっとそこの可能性について伺いたいと思います。 ◯小池知事 先ほどもお答えいたしましたように、今後ともそれぞれの施策を全力で取り組んで、その時々の社会情勢を踏まえながら、子供を産み育てたいという願いを実現すべく、取組を進めていくものでございます。  また、国におかれましても、今、異次元の少子化対策というのを進めておられると聞いておりますので、それなども見ながら進めるということでございます。 ◯菅野委員 少なくとも来年では終わらないと。今のお言葉からも、とても少子化は収まらないと思いますので、来年では終わらないということで考えております。  それでは、次に、新型コロナウイルスに話を移しまして、今後の対応について伺います。  まず、今後の対応の中で、皆さん気になるのがマスク着用の考え方でございます。政府は、一月末に新型コロナウイルス五類感染症への移行方針を示して、二月十日にはマスク着用の考え方の見直しについて公表しました。いよいよ三年以上にわたるコロナ対応の出口が見えてきたようでもあります。  国の動きを受けて、都は、マスク着用の見直しに係る都の対応について、都民の命と健康を最優先に、かつての日常を取り戻すだけでなく、コロナとも共存した活気あふれる東京を確かなものにする、すなわち、サステーナブルリカバリーを方針として、マスクの着脱は個人の主体的な判断を尊重することとしました。  現在、マスク着用の見直しに向けて、事業者は業種別ガイドラインを見直すなど準備を進めていますが、五類移行前の来週三月十三日から取扱いが変わることなどから、事業者や都民からは戸惑いの声も聞かれます。  新たなマスク着用の考え方について、都民や事業者の不安や混乱を招かないよう、都として周知すべきですが、見解を伺いたいと思います。 ◯野間総務局長 マスクの着用は、三月十三日以降、個人の判断に委ねられることになるため、都は、各個人の判断に資する情報提供を行うこととしてございます。  具体的には、一人一人の判断を尊重することを基本としつつ、高齢者等重症化リスクの高い方がいる場面や感染対策上の理由で事業者から求められた場合など、着用が必要となる状況を周知いたします。  また、マスク着用見直し後の業種別ガイドラインを都のホームページに掲載することで、業界団体の取組も周知してまいります。  こうした情報を幅広く発信することで、都民、事業者に混乱が生じないよう努めてまいります。 ◯菅野委員 ぜひ現場の皆様の声に耳を傾けて、都民、事業者の皆様に寄り添った丁寧な広報や呼びかけを行っていただくよう重ねて要望しておきます。  次に、五類移行後の都民、事業者への情報発信も大事だと思います。新型コロナウイルスは、五月八日をもって五類感染症に移行するとされていますが、移行後もコロナの属性が変化するわけではありません。  これまで感染拡大防止に多大な協力をしていただいた都民、事業者の皆様は、移行後も感染には不安を覚え、いかなる対策が必要なのか否か戸惑うことが想定されます。また、人口が密集している都心部と島しょ部とでは行うべき感染対策に違いが出ると思います。  都は、引き続き、コロナ関連の情報などをきめ細かく周知していくべきですが、五類感染症に移行した後、都民、事業者に対して、都としてどのように情報発信を行うのか伺いたいと思います。 ◯野間総務局長 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが五類感染症へ変更されることに伴いまして、現在、感染対策を定めている基本的対処方針や業種別ガイドラインが廃止となります。  このため、都は、自主的に感染対策に取り組むこととなる都民、事業者が混乱することなく、社会経済活動を円滑に進めていけますよう、国に対し、感染対策の指針や行動規範などを改めて示すことを要望してございます。  今後も専門家の意見を踏まえまして、都民、事業者が行う感染対策に関する情報や移行後の保健、医療提供体制などを分かりやすく発信してまいります。 ◯菅野委員 よろしくお願いいたします。  次に、学校での対応についても伺います。  文部科学省では、卒業式において児童生徒及び教職員はマスクを外すことを基本とすることや、歌唱の際はマスクの着用など、一定の感染症対策を講じた上で実施することなどの方針を示していますが、今回、都立学校では歌唱を行わないと聞いています。  文部科学省の方針を受けて、都教育委員会は、都立学校の卒業式について、どのように対応することとしたのか伺いたいと思います。 ◯浜教育長 都教育委員会は、本年二月十日の文部科学省からの通知を受け、都立学校の卒業式において、来賓や保護者等にはマスクの着用をお願いするが、児童生徒及び教職員にはマスクを外しての参加を基本とすることにいたしました。  なお、都教育委員会は、昨年十二月に、都立学校に対し新型コロナウイルス感染防止対策として、昨年度に引き続き歌唱を行わない方針を示しておりました。  これを踏まえまして、多くの学校で既に卒業式の実施計画が策定されており、この方針を変更することによって準備に支障を来すことや、大学入試を控えている生徒の感染を懸念する声も聞かれていることなどから、歌唱については行わないことといたしました。 ◯菅野委員 現場の不安と混乱を避けての対応だというふうなお答えですが、一方で、国の方針とは異なる対応であったという部分が、報道等でそういったことも記事がありました。親御さんも含めて現場の理解をしっかりと得られるように、さらなるご対応をよろしくお願いしたいと思います。  次に、国は、三月十三日以降、個人の主体的な選択を尊重して、マスクの着用は個人の判断に委ねることを基本として、学校については四月一日以降の教育活動の実施に当たって、マスクの着用を求めないことを基本とすることとしています。  これを受けて、都内公立学校における対応、これはどうなっているのか伺いたいと思います。 ◯浜教育長 都教育委員会は、国の方針に従い、四月一日以降、都立学校における教育活動の実施に当たっては、マスクの着用を求めないことを基本といたします。マスク着用の考え方の見直しに伴う留意事項等につきましては、今後、国から通知される予定でございます。  国からの通知を踏まえ、都立学校向けのガイドラインの改定を行い、各学校に速やかに周知するとともに、区市町村教育委員会に対しても参考として送付をいたします。  なお、児童生徒にマスクの着脱を強いることや着用の有無による差別、偏見がないよう、引き続き適切に対応してまいります。 ◯菅野委員 ぜひ児童生徒や保護者に不安や混乱を起こさないよう、先ほどと同じように、学校現場とも引き続き丁寧に対応していただくことをお願いいたします。  それでは次に、新型コロナの今後の医療相談体制について伺いたいと思います。  新型コロナウイルス感染症への対応は、五月八日に感染症法上の現在の二類相当から五類への移行ということで、一つの節目を迎えます。今後は、コロナの医療体制をいわば有事体制から平時の体制へと戻すことになります。国から近日中に医療提供体制の具体的な方針が示される予定でありますけれども、そこで伺います。  都は、五類感染症に対応する平時の医療体制に円滑に移行していくために、どのように取り組むのかを伺いたいと思います。 ◯佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、五類への移行に当たりまして、都民の不安や医療現場等の混乱を招かないよう、段階的に進めることとしております。  具体的には、高齢者や妊婦などのハイリスク層を守るとともに、感染拡大時に機動的に対応できるよう備えを講じてまいります。また、発熱患者の健康相談や自宅療養者の体調悪化時の相談機能を併せ持つセンターを設置いたします。  さらに、より多くの医療機関がコロナ患者を受入れられるよう、医療機関に対し院内感染対策の施設整備や備品購入等を補助するほか、地域の医療従事者に対する研修の実施をいたします。  入院調整についても、医療機関同士での調整に移行していくため、各病院の病床の状況等の情報を共有する仕組みを検討してまいります。  こうした取組により、五類への移行を円滑に進めてまいります。 ◯菅野委員 ハイリスク層を守りつつ、感染拡大へも備える、医療機関へも支援をしていくとの答弁がありました。今後、国が示す方針を踏まえながら、都としてより具体的に医療相談体制を構築していくことになると思います。  歴史に残るような三年間の有事の対応を平時に戻していくことは、決して簡単なことではないと思います。都民の不安を解消しつつ、円滑に移行することを要望して、次の質問に移ります。  次は、防災関係に話を移します。  本年は、関東大震災から百年であります。この節目の年に、東京の強靭化に向けて新たな一歩を踏み出し、強い決意を持って取り組んでいかなければなりません。  昨年末に公表されたTOKYO強靭化プロジェクトでは、風水害や地震などの危機ごとに、ハード、ソフト両面で取組を強化し、概算ではありますが、将来の事業規模も提示されています。また、強靭化に向けた将来の道筋が明確にされており、骨太な計画となったことを評価します。  一方で、今回示された事業規模の意義を明らかにしておく必要もあります。  まず、この事業規模はどのような考え方で整理されたのか伺います。 ◯中村政策企画局長 TOKYO強靭化プロジェクトでは、東京が直面する風水害、地震、火山噴火、電力・通信等の途絶及び感染症の五つの危機や複合災害に対し、二〇四〇年代に目指す強靭化された東京の姿を実現するため、都が展開すべき事業を取りまとめております。  具体的には、これらの危機の克服に効果が期待でき、都が主体的に実施、関与する事業を対象としており、事業規模は概算で二〇四〇年代までに十五兆円、今後十年間で過去十年間の一・五倍となる六兆円と見込んでおります。 ◯菅野委員 対象事業の考え方をあらかじめ明確にしていることが分かりました。また、災害への備えに対して、過去と比べても大胆に投資されていることも分かりました。  この十五兆円の中には、これまで進めてきた地震や風水害への対策に加え、電力や通信の途絶への対策など幅広い取組も含まれております。  調節池や防潮堤など、都のインフラ整備を着実に進めていくことはもちろんですが、災害時のライフラインとして、電力などエネルギーやスマホなどの通信環境の確保という視点も非常に重要であります。  災害時の電力や通信の確保について、本プロジェクトにおいてどのように強靭化に取り組むかを伺います。 ◯中村政策企画局長 災害時に電力、通信等のライフラインを確保することは、都民生活や社会経済活動の維持のために重要でございます。  こうした観点から、本プロジェクトでは、これまで築き上げてきた安全・安心な東京を強靭化に向けてさらにレベルアップするため、災害時の電力、通信等への不安を解消する対策にも重点的に投資いたします。  具体的には、再エネ設備や蓄電池など、自立分散型電源の確保を促進するほか、衛星通信の活用による通信困難地域の解消など、今後十年間で六千億円を投じ、関係事業者と連携しながら、災害時の電力、通信等の確保に向けた施策を強力に推進いたします。 ◯菅野委員 今回のプロジェクトでは、ライフラインが止まるリスクも含めて災害への備えを講じていくことが分かりました。大事なのは、計画をつくって終わりではなく、将来を見据えたプロジェクトとして、しっかりと前に進めていくことであります。  一方で、インフラ整備には非常に長い時間とコストを要します。これまでの一・五倍の事業規模をその時々の経済状況に影響されずに中長期にわたって展開していくためには、国とも連携しながら財源を確保し、事業を加速するための制度を充実する必要があります。加えて、事業の着実な推進に向けた体制の確保も求められます。  こうした観点も踏まえ、東京の強靭化の確実な実現に向けて、TOKYO強靭化プロジェクトの実効性をより高めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
    ◯小池知事 ご指摘のように、次の百年も都民の安全・安心を確保できる東京を実現する、そのためにはこのプロジェクトを将来にわたって効果的に展開しなければなりません。  こうした考えの下で、東京強靭化推進基金を創設いたしまして、財源として戦略的に活用してまいります。  また、事業の執行のより一層の迅速化、技術職員の確保、育成など、執行体制の強化に取り組んでまいります。  一方で、首都東京の強靭化でございますが、日本全体を災害に強くするものでございまして、国に対して必要な財源の安定的、継続的な確保や確実な配分を求めてまいります。  加えまして、高台まちづくりの加速に向けました新たな仕組みの導入など、国と連携しながら必要な制度の拡充や創設を図りまして、施策をレベルアップしてまいります。  こうした取組でプロジェクトの実効性を高め、強靭で持続可能な東京を実現してまいります。 ◯菅野委員 ぜひ知事のそうした強い思いで、技術職員の確保もそうですし、やっぱり国と連携、これをしっかりと進めていただいて、このプロジェクト、しっかりと実現していただくよう、よろしくお願いいたします。  続いて、マンションの耐震化について伺います。  先月六日に発生したトルコ、シリアの震災から一か月がたちましたが、いまだに多くの人が行方不明となっております。捜索活動の進展を願うばかりであります。  先日の一般質問で、我が会派の林議員が、今後の分譲マンションの耐震の取組について質問をさせていただきました。ピロティーの改修など、様々な助成についてそのとき答弁をいただきました。  この耐震改修等を実施する際の課題の一つが費用の負担であります。管理組合は資金面で余裕のあるところばかりではありません。耐震化に必要な資金を計画的に積み立てていくことや、資金計画の作成というものが欠かせないと思います。  こうしたハード面でのこれまでの対応に加えて、切迫する大地震に対してどのような備えをすればいいのか、そして、大地震が発生してしまった後にどのように行動すればよいのか、こうしたことについて、管理組合に対して必要な情報を提供し、防災意識を高めることも重要であります。  マンションの震災対策に当たっては、耐震改修を中心としたハード面での支援を実施してきましたが、この取組を拡充することに加え、今後ソフト面での支援も充実が必要と思いますが、都の見解を伺いたいと思います。 ◯山口住宅政策本部長 マンションの耐震改修を進めるため、都はこれまで、建築士等の専門家を派遣しまして、改修計画案の作成や概算費用の提示等の支援を行ってまいりました。  耐震改修の実施には費用負担への不安の声もあることから、取組を一層促進するため、来年度から、専門家派遣の支援メニューに耐震改修を見据えた長期修繕計画の見直しや、それに応じた資金計画作成に対する助言を追加しまして、改修費の計画的な準備を促してまいります。  あわせまして、自主防災組織の立ち上げ等、管理組合の防災力向上のため、マンション管理士の団体と連携しまして、専門講習を受講した管理士の派遣を開始するなど、ハードとソフト両面にわたりマンションの震災対策を推進いたします。 ◯菅野委員 今年は都民の防災意識が一層高まると感じます。その機会に、ぜひマンションの耐震化を一層推し進めていただくことをお願いいたします。  あわせて、マンション防災の普及啓発でございます。  東京では、都心や湾岸エリアはもとより、郊外でもいわゆるタワーマンションが増加しています。  現在、都は十年ぶりに地域防災計画を見直していますけれども、マンションの住民や管理組合などに対して、積極的な普及啓発によって、平時から必要な自助、共助の取組を促していかなければならないと思います。  それぞれのマンションの住民や管理組合が自分事として防災対策にしっかりと取り組むことが、地域防災力の向上には必要だと思います。  そのためにも、まず、それぞれのマンションにおいて防災対策をしっかり行うことが重要であり、こうした取組が進むように効果的な普及啓発を進めるべきですが、見解を伺います。 ◯野間総務局長 都はこれまで、防災アプリや東京備蓄ナビ等を活用し、長期間の生活必需品の備蓄など、マンション特有の対策について普及啓発に取り組んできました。  また、管理組合等が行う防災マニュアル作成や訓練などの共助の取組を、セミナー等で周知に努めてまいりました。  今般の被害想定見直しを踏まえ、現在改定を行っている東京都地域防災計画に、減災のための主な取組の一つとしてマンション防災を位置づけました。  今後とも、セミナーなどの内容の充実を図るとともに、より多くのマンションの管理組合等や住民に対して、平時からの防災活動への取組やセミナーへの参加について、区市町村等と連携した周知を検討してまいります。 ◯菅野委員 地域防災という意味では、次に質問します町会、自治会の役割というのは非常に重要だと思います。  町会、自治会は、防犯、防災、高齢者の見守りなど、地域の中で本当に重要な役割を果たしてきておりまして、地域コミュニティの中核を担っています。  しかし、近年は、役員の高齢化、また、新しく建設されたマンションの若い居住者がなかなか町会に加入せず、地域とのつながりが少なくなっているというのが問題となっています。  さらには、長らく続くコロナ禍で活動が止まっていて、これまで続いてきた祭りやイベントなども中止が相次ぎ、中には廃止になってしまうようなものがあって、地域コミュニティそのものが弱体化しているのが現状です。  そこでまず、この町会、自治会に対して、これまで都は、どのような支援策を講じたのか伺いたいと思います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 これまで都は、地域コミュニティの活性化に向けまして、町会、自治会の活動を地域の底力発展事業助成によって支援してまいりました。  コロナ禍にありましても、町会、自治会の活動を可能な限り継続できるよう、感染防止対策の普及啓発事業への助成や、町会、自治会が新規住民や若い世代との交流を図れるよう、デジタル化の支援も行ってまいりました。 ◯菅野委員 都も様々に支えてきたことは分かりますが、町会、自治会の置かれている状況はかなり深刻であります。  今年は関東大震災百年の節目でもあります。今回の地域防災計画の改定でも、新たに町会、自治会活動の活性化が地域防災力向上の柱の一つとして明記されています。  誰にも身近な災害への対策を強化することをきっかけとして、マンションの若い方々も町会、自治会に加入するような取組が必要ですが、見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 都は今年度、町会、自治会が地域住民に向け、防災対策に係る情報提供と併せて防災グッズを配布する取組を支援してまいりました。  来年度は、関東大震災百年の節目を契機に、町会、自治会が災害への備えを見直し、必要な防災備蓄品を購入する経費を補助いたします。  こうした取組を通じまして、いざというときに町会が頼りになる存在であることを、未加入の方々も含め、広くPRしてまいります。  都として、町会、自治会活動への支援のみならず、加入促進に資する取組もしっかり検討してまいります。 ◯菅野委員 なかなか、いろいろ課題は多いんですが、都としてもぜひ町会、自治会活動への加入促進に資する取組をぜひ検討して進めていただきたいと思います。  ここから環境に関する質問に移ります。  まず、太陽光パネル義務化についての話からお願いいたします。  我が会派はこれまで、事業の全体規模や効果、人権問題、リサイクルなどについて、繰り返し都の姿勢を質してきました。  家庭部門の再エネ整備は急務であり、太陽光発電が脱炭素化に向けた有効な取組と理解はしていますが、都民の理解が進んでいないことが義務化の最大の課題と指摘してまいりました。  本日は、条例改正後の取組や進捗とともに、様々な課題への対応について、改めて確認をしていきたいと思います。  最初に、都民理解についてでございます。  条例改正案は可決されたものの、都民、事業者からは様々な声が寄せられており、本当に理解が深まっている状況といえるのでしょうか。  この間、新制度について様々な広報を行ってきたと都は説明していますが、都民の理解は進んでいるのか、また、来年度どのように取り組むのかを知事にお伺いしたいと思います。 ◯小池知事 この新しい制度でございますが、二〇三〇年に新築住宅の六割に太陽光パネルの設置を目指すという国の目標とも軌を一にするものでございます。  条例施行までの二年間ですが、都民、事業者の理解と共感を育むためにとりわけ大切な期間でございます。そのため、相談体制の充実、住宅購入層を中心として、年代別など対象に応じました戦略的な広報を実施いたしております。  一月に開設しましたワンストップ相談窓口には、これまで約七百件の相談が寄せられております。そして、そのうちの約三分の二が補助制度の対象は何か、また、金額などについての問合せでございまして、住宅の環境性能の向上に向け、具体的に検討いただけているもの、このように認識をいたしております。  令和五年度でございますが、ウェブターゲティング広告など、様々な媒体を通じました継続的な広報や時期を捉えました集中的な広報に加えて、太陽光パネルの維持管理など、技術面に関する専門の電話相談窓口を新たに開設いたします。  さらに、ハウスメーカーなどが顧客に対しまして、住宅の断熱、省エネ、再エネ性能を説明する際に活用できる普及啓発ツールの作成など、あらゆるチャネルにより広報を展開してまいります。  こうした取組を通じて、環境性能の高い住宅への都民の理解を深めることで、太陽光発電ムーブメントを醸成してまいります。 ◯菅野委員 都民、事業者の理解なくしては円滑な制度の施行はあり得ません。引き続き、丁寧で分かりやすい広報に取り組んでいただくことを要望しておきます。  次に、事業の全体像と費用対効果について伺います。  条例施行に向けては、事業の全体像や費用対効果を明確にして、その妥当性や必要性を丁寧に説明すべきであります。  さきの我が会派の代表質問に対して、二〇三〇年に向けて一千五百億円の基金により、新築住宅への太陽光パネル設置などを推進することで、CO2削減効果は家庭部門で必要な削減量の約三%に当たる三十万トン、また、経済効果として二千億円以上を期待できるとの答弁がありました。  二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けては、家庭部門で九百四十二万トンのCO2を削減する必要があります。その全体像や必要な財源を明示した上で施策を推進すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、家庭部門での一層の省エネ対策と再エネ利用拡大は不可欠でございます。  都は、断熱、省エネ性能の高い住宅や省エネ家電への買換えに対する支援等を通じまして、家庭の省エネ対策を加速してまいります。  また、家庭での再エネ利用拡大に向け、住宅への太陽光発電設備導入等に加えまして、系統からの再エネ電力の供給拡大にも取り組んでまいります。  令和五年度予算案では、主要事業で約八百四十億円を計上し、このうち新築住宅への再エネ設備設置推進に係る事業費は約二百億円となってございます。  二〇三〇年に向けては、最新の技術開発動向等を踏まえまして、様々な対策を推進する必要があるため、現段階で設置可能な再エネ設備等につきまして、必要な財源を基金に計上してございます。  今後とも、CO2削減の進捗状況や最新の動向等を踏まえながら、あらゆる施策を総動員してまいります。 ◯菅野委員 ご答弁からは、要は二〇三〇年までの家庭部門での対策全体で必要な財源は分からないということであります。確かに、多岐にわたる対策費用を精緻に積み上げていくのは難しいと思いますが、できる限り具体的に二〇三〇年までの全体のロードマップを描いた上で、住宅への太陽光パネル設置だけに注力することなく、効果的な施策を展開することを強く要望しておきます。  次に、太陽光パネルの製造過程における人権問題について伺います。  これまで、第三回、第四回定例会における我が党の質問に対し、都からは、太陽光発電協会と会員企業は、サプライチェーンにおける人権問題の防止、軽減に最大限努める旨を宣言したとの答弁や、同協会と連携協定を締結し、人権尊重に関する取組を進めていくんだという答弁がありました。しかし、こうした取組によって人権問題の解決につながるのか疑念が残ります。  例えば、取組宣言については、海外メーカーを含む全ての事業者が宣言を行っているのか、また、連携協定についても、具体的な取組やその成果への期待も見えてきません。  サプライチェーン上での人権問題は、国の取組が重要であると理解しつつも、国に先駆けて太陽光パネル設置の義務づけを行った都だからこそ、実効性を伴う取組を実施すべきだと考えますが、見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 持続可能な社会の実現に向けては、企業の責任ある人権尊重への継続的な取組が重要でございます。  昨年十月に太陽光発電協会が行った取組宣言におきましては、海外メーカーも含む主要なパネルメーカーが賛同してございまして、人権問題に対する企業の主体的な取組姿勢が示されてございます。  また、現在、都は、連携協定に基づき、人権尊重などSDGsに配慮した事業活動の促進に向けた取組に着手してございます。  具体的には、国のガイドラインを踏まえた業界独自の取組基準を、本年四月末の策定に向けて後押ししてまいります。  加えて、人権尊重に関する研修を継続的に実施するほか、パネルメーカー等との意見交換を重ねるなど、同協会と協働し、企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。 ◯菅野委員 宣言も取組基準も、実際に機能しなければ意味がありません。都は、業界団体と連携を図って、積極的かつ継続的な取組を進めることを強く要望します。  次に、リサイクルについて伺います。  家庭用の太陽光発電設備は、廃棄時、一度に排出される量が少なく、場所や時期が散発的なため、リサイクルのルートが確立しづらいとの課題が指摘されてきました。  しかし、環境局長は業界団体の新年会で、太陽光パネルのリサイクルを行いますと明言していました。具体的にどのようにリサイクルをするのか、都の見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 住宅用太陽光パネルの二〇三〇年代半ば以降の本格廃棄を見据えまして、現時点から効率的なリサイクル体制を整えていくことが重要でございます。  そのため、関係事業者で構成する協議会で、住宅用パネルの収集運搬を実際に行い、効率的な運搬方法の検討や素材別リサイクルの検証等を進めてまいります。  また、今年度実施したリサイクル施設の現地調査や処理コストに関する実態把握などの結果を踏まえまして、埋立処分と比べ割高となるリサイクル費用への補助を来年度から開始いたします。  こうした取組を通じまして、住宅用パネルをリサイクルルートへ誘導し、将来の本格廃棄を見据えた高度循環利用を促進してまいります。 ◯菅野委員 将来廃棄されるパネルは必ず増加していきます。設置義務づけをした都が、しっかりと将来を見据えたリサイクル体制を準備していくことを要望します。  さて、我が会派は、太陽光発電を含めた再生エネルギーの推進には、国と歩調を合わせて推進していく立場です。  しかし、パネル設置の義務化だけが先行し、現時点でも都民の皆様に納得いただける状況にはないというのが我が会派の認識です。  太陽光パネルの義務化について、引き続き都民の皆様のご意見に耳を傾けるとともに、事業の全体像と対費用効果、環境対策としての効果、リサイクル体制、人権問題など様々な課題について、今後とも議論をしてまいりたいと思います。  次に、既存住宅の省エネ対策について伺います。  家庭のCO2削減対策には住宅などへの太陽光発電の導入推進も重要ですが、まずは日常生活でのエネルギーの消費を減らす、すなわち住宅の省エネ対策を徹底して進める必要があります。  まさに新築住宅については、建築物省エネ法の改正により、二〇二五年度に断熱などの省エネ性能の義務化が開始されるなど、一定の対策が進むことが期待できます。  一方で、都内には七百万戸の既存住宅があり、その対策が極めて重要ですが、都の見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 既存住宅の省エネ化には、断熱性能向上が有効である一方、都内住宅ストックのうち、窓を高断熱化した住戸は二割にとどまってございます。  このため、都は、省エネ効果が高い窓等の断熱化への支援を強化してございまして、今年度の申請数は前年度同期比で三割以上増加してございます。  今後、居住空間全体の断熱性を高めるため、これまでの窓、ドアに加えまして、壁や床等の高断熱化も補助対象とするなど、対策をさらに強化してまいります。  こうした取組を、地域工務店等とも連携し、広く都民に活用を働きかけることで、脱炭素で健康的な暮らしができる住宅への改修を推進してまいります。 ◯菅野委員 都は、新築だけではなく、都内に存在する膨大な住宅ストックの省エネ対策を強化していくことが確認できました。  住宅の断熱化は、二〇三〇年カーボンハーフの実現とともに、ヒートショックの防止など都民の健康にも資する住宅が増えていくことにつながるため、ぜひ施策を都民にしっかりと伝えていただき、着実に利用してもらうことを期待しておきます。  次に、集合住宅へのEV充電設備の普及について伺います。  昨年の国内乗用車新車販売台数に占めるEV割合が過去最高を記録するなど、EV市場は拡大を見せ始めています。このEV普及を強力に推し進めるためには、EVユーザーの利便性の観点からも、自宅で充電できる環境の整備が不可欠であります。
     特に東京では、多くの都民が居住する集合住宅における充電インフラの整備を推進する必要があります。  このことは令和三年第一回都議会定例会において私が質問いたしましたが、集合住宅に充電設備を設置する際には、設置工事に加え、配線工事や新たに受変電設備が必要なケースがあって、設置後においても充電料金の徴収方法など様々な検討を行う必要があるという課題があり、また、管理組合でも、そうした専門的なことが分からないという声を聞いているという答弁でした。  また、都内の集合住宅に多い機械式駐車場、特にタワーマンションなんかそうなんですが、ようやくメーカー各社の開発が進んで、充電設備の設置が可能になってきたものもあります。ただし、平置き駐車場に比べて工事費用が非常に高額だと聞いております。  こうした集合住宅特有の課題を受け止めて、円滑に導入を行うためのサポートが必要だと思いますが、都の見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 集合住宅には都民の多くが居住してございまして、EV充電設備の普及拡大に向けては様々な課題があり、設置が進みにくい集合住宅への対策が重要でございます。  昨今、初期負担ゼロサービスや課金システムの提供など、管理組合の負担軽減に対応する多様なビジネスが誕生してございます。  都は、こうした事業者との連携を強化しており、設置を希望する管理組合に対しまして、今月相談会を実施いたします。  さらに、来年度は、管理組合が設置を検討する際の調査費用の支援を開始するとともに、機械式駐車場への設置支援における工事費の上限額を引き上げてまいります。  こうした取組によりまして、集合住宅における充電インフラの普及を加速してまいります。 ◯菅野委員 ぜひ集合住宅の居住者に対するそうした支援を一層進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。  我が会派はこれまで、空き家対策について、空き家の利用促進に向けた区市町村の取組への支援や民間活力を活用した情報提供の充実など、要望を行ってまいりましたが、世帯数の将来的な減少や、空き家予備軍の存在などにより、今後さらなる空き家の増加が懸念されています。  また、昨年第四回定例会で、既存住宅市場の活性化に向けた取組をさらに進める必要があることを主張しましたが、こうしたことは、空き家問題の解決のためにも効果的であると思います。  都は、こうした中、新たに策定する東京における空き家施策実施方針において、既存住宅市場での流通促進を視点の一つと捉えて、空き家問題の抜本的な解決を目指していくとしていますが、どのように空き家対策を進めるのか伺いたいと思います。 ◯山口住宅政策本部長 世帯数の減少や、空き家予備軍の存在などによりまして、空き家のさらなる増加が懸念される中、その発生原因や建物の状態などに応じた対策が必要でございます。  そのため、新たな実施方針の下、買取り再販事業者等が建物状況調査等を行い、良質な住宅に改修し、適正に評価して販売する取組に対しまして、改修費等を補助することなどにより、既存住宅の流通促進を図ります。  あわせまして、地域資源としての空き家の利活用や利活用見込みがない空き家につきましては、除却等を促進するなど、空き家対策を総合的に推進いたします。 ◯菅野委員 今回の取組で空き家対策がさらに強化されて、より進んでいくことを願って、次の質問に移りたいと思います。  次に、教員確保について伺いたいと思います。  今年度当初、都内の公立小学校でも五十人程度の教員不足が発生しました。この教員不足は全国的な課題となっていて、状況の改善を図るため、国は今年度、教員の勤務実態や働き方改革の取組状況について把握するための調査を六年ぶりに実施しました。  今後は、その調査結果を踏まえて、教職給与特別法の改正も視野に入れた教員の処遇改善の検討が進められていくようでありますが、学校現場を持つ都は、国の取組を待つことなく、確保策を進めていくべきだと思います。  大切なことは、教員の数のみに注力するのではなく、先月改定された教員の資質の向上に関する指標に記されているとおり、熱意と使命感、豊かな人間性と思いやりに加えて、多様性に配慮した人権意識といった高い資質を兼ね備えた教員の確保だと思います。  そこで、今後、都はどのように教員を確保するのか、取組について伺います。 ◯浜教育長 教育への熱意や使命感等の資質を備えた教員を確保するには、志望者の裾野を広げ、より多様な層から選考できるようにすることが重要でございます。  このため、都教育委員会では、来年度、選考制度を見直し、学生の負担軽減に向けた大学三年生での一部前倒し受験の導入や、選考時に免許を持たない方も受験できる社会人選考の年齢要件の緩和、都を中途退職した教員が復帰しやすいカムバック採用の新設などを行います。 ◯菅野委員 採用選考の制度改善など、東京の教員を目指しやすい仕組みをあらゆる場面で行うことは評価します。  他方、教員を増やす努力と同時に必要なのは、減らさない取組や、外部人材の活用といった教員の負担軽減だと思います。  文教委員会でも議論されているように、現在の教員が置かれている仕事環境は、長時間労働や地域対応など多忙を極めていて、働き方改革や教員支援体制の取組がぜひ必要と思います。  そこで、今後の取組を伺いたいと思います。 ◯浜教育長 教員の負担軽減に向けては、スクールサポートスタッフの配置の拡充や、専門性の高い人材を小学校の外国語や体育等の授業で活用する社会の力活用事業の拡大など、外部人材の一層の活用を図ってまいります。  また、教員が安心して働き続けられるよう、臨床心理士等が小中学校を訪問して全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を実施する自治体数を拡大するほか、定年退職後の教員を活用し、新規採用教員の授業力の向上に向けた支援体制を強化いたします。 ◯菅野委員 今回の教員不足の解消は、東京都の教育行政を進めるに当たり重要な取組の一つだと思います。  ぜひ小池知事にも、都教育行政の先頭に立っているんだというご認識をいただいて、この問題にも積極的にお取り組みいただくよう要望させていただきたいと思います。  それでは、次に、国際スポーツ大会の誘致、開催について伺います。  国際スポーツ大会の開催は、トップアスリートの活躍を間近で観戦することで都民のスポーツへの興味や関心を高めるとともに、都民のまちににぎわいをもたらして、地域や経済の活性化にも資するものです。  東京二〇二〇大会を契機に整備された新規恒久施設をはじめ、優れた競技施設を多く有する都は、様々な国際大会を開催できる高いポテンシャルを秘めており、都立施設の活用の観点からも、より積極的に国際大会の開催を支援していくことが重要です。  今後、都立施設を活用した国際スポーツ大会の誘致、開催をさらに促進していくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 国際大会の開催は、競技施設をはじめとする東京二〇二〇大会のレガシーのさらなる発展につながり、スポーツの振興と東京のプレゼンス向上にも寄与いたします。  都は、多種多様な大会が東京で実現されるよう、誘致及び開催を支援し、選定の際は、特に新規恒久施設など都立スポーツ施設の活用を重視し、観戦招待など都民がスポーツに触れられる機会の提供にも努めております。  令和五年度は、国際大会の開催を推進する新たな部を立ち上げます。  今後とも、本制度により都立施設での開催が決定した車椅子ラグビーのアジア・オセアニア大会、視覚障害者柔道のグランプリ大会を含め、都内で開催される国際大会を後押ししてまいります。 ◯菅野委員 国際スポーツ大会の開催がもたらす様々な価値の中でも、特に次世代を担う子供たちに感動や夢を与えられることは、東京の未来にとって重要だと思います。  今後の国際大会では、東京二〇二〇大会で十分に実現できなかった学校観戦やアスリートとの交流など、子供たちを対象とした取組を推進していくことが求められます。  都が国際大会を支援するに当たっては、子供たちの参画に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 子供たちが世界のトップアスリートの活躍に触れる機会を創出し、感動や興奮を届け、夢と希望を育むことは重要でございます。  都は、国際大会の支援に当たり、スポーツ振興に資する取組を促進することとしておりまして、昨年のパラバドミントン世界選手権では、都内小中学校等の子供たち延べ約三千人が観戦し、スポーツの魅力を体感してもらいました。  令和五年度に開催を予定している大会におきましても、引き続き主催者と連携をし、学校観戦や競技体験等を実施することとしております。  今後とも、次世代を担う子供たちの育成に資するよう、様々な形で大会へ参画できる機会の創出を図ってまいります。 ◯菅野委員 今の答弁にもありましたけれども、都は国際大会支援に当たって、競技団体と連携して子供たちの参画機会を設けていると思います。  二〇二五年に東京で開催される世界陸上とデフリンピックは、世界各国から集まるアスリートの熱戦を間近で見て応援するまたとない機会であります。  先月、本会議における我が会派の三宅正彦議員の代表質問に対し、知事は、両大会の開催を通じ、子供たちに夢や感動を届けるとともに、開催地ならではの大会の参画機会を提供していくと答弁されましたが、両大会において、子供たちの参画という視点で取組をどのように具体化していくのか、その意義と併せて伺いたいと思います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 世界陸上やデフリンピックが東京で開催される機会を捉えまして、子供たちの参画を実現することが重要でございます。  例えば、競技会場のバックヤードツアー、エスコートキッズ等の役割の提供、トップアスリートの学校訪問や陸上教室などの取組が考えられます。  こうした取組は、子供たちが大会を通じて新たな視野を広げるとともに、自信と勇気を培い、スポーツのすばらしさを感じるといった効果が期待されます。  今後、都は、両大会の大会運営組織と連携しながら、大会の特性等も踏まえて具体化をし、子供たちが大会に積極的に参画することを強力にサポートしてまいります。 ◯菅野委員 ぜひよろしくお願いをいたします。  ここで、デジタルの方にちょっと話を移します。  まず、自治体システムの統一、標準化について伺いたいと思います。  区市町村のデジタル化に向けて全国で取り組まれている主要二十業務の標準化、共通化では、令和七年度までにシステムを再構築し、政府が整備するクラウドへの移行が求められていますが、都内区市町村では、大都市ならではの特徴に起因する課題も多いと聞いています。  昨年の第四回定例会で私が代表質問で尋ねたところ、都と区市町村が参画するチームにおいて、都の専門人材と共に検証していくとのことでありましたが、その状況と今後の対応を伺いたいと思います。 ◯久我デジタルサービス局長 都が区市町村と共に検証を進めてきたワーキンググループでは、システム規模が大きく複雑な区部などの自治体は、処理件数も多く、独自サービスを提供していることから、今回の標準化、共通化だけでは効率化や費用対効果が十分に見込めないことや、国が提供するガバメントクラウドへの接続には、自治体ごとにネットワーク整備を要するなどの課題が明らかになりました。  こうした課題を踏まえ、今後、国に対して、区市町村の実情を踏まえた標準システムの検討や、財政上の措置などについて求めてまいります。  また、GovTech東京と共に、ガバメントクラウドに接続する共同ネットワークの整備など、技術面での支援を行ってまいります。 ◯菅野委員 今後とも、国との協議を行いつつ、都がしっかりとサポートしていくよう強く要望しておきます。  標準化をはじめとした自治体DXを進めるに当たり、職員の確保は自治体共通の課題ではありますけれども、より深刻な状況にあるのが島しょ町村であります。  一方で、島しょ町村だからこそ積極的にデジタル技術を活用して、地域の魅力やポテンシャルを高めていくことが重要であり、まずは、それを支える役場のデジタル化に取り組んでいかなければならないと思います。  そこで、島しょ町村に対してどのようにデジタル化を支援していくのか伺いたいと思います。 ◯久我デジタルサービス局長 CIOフォーラムやオンラインによる定期的な意見交換の中で、島しょ町村からは、行政手続のデジタル化の必要性を感じながらも、専門知識がある職員も少なく、また、現地に開発事業者が常駐していないため、機動的な対応が難しいなどの声がありました。  島しょ町村が直面する具体的な課題をより詳細に把握するため、今月、三つの自治体に都のデジタル人材が出向き、ヒアリングを実施いたします。  来年度は、自治体の要望に応じてGovTech東京の専門人材を定期的に派遣し、職員の育成や役場でのツールの活用、地域のデジタル施策の推進など、町村の取組をきめ細かくサポートしてまいります。 ◯菅野委員 都とGovTech東京がサポートし、デジタルを活用した島しょ町村の魅力向上を推進していくように、ぜひ強く要望させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  ここから、エネルギー価格や物価の高騰対策などについて伺いたいと思います。  中小企業へのエネルギー価格や物価の高騰対策でございますが、ロシアによるウクライナ侵攻から一年が経過し、エネルギー価格は高い状況が続いています。  コロナが終息し、経済回復局面を迎える中でこうした状況が続くことは、事業活動に大きな足かせとなっています。  また、原材料価格高騰や半導体などの不足も相まって、企業の現場からは、仕入れ値の上昇が続き収益を圧迫している、部材の不足により納期が間に合わないといった悲痛な声を多く聞きます。  都は、こうした中小企業の現場の状況を踏まえ取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 これまで都は、エネルギーの利用の多い冷凍設備を持つ中小の事業者等に対しまして専門家を派遣し、その助言により省エネ効率の高い設備の導入に必要な経費の五分の四を、一千万円を上限に助成をしてまいりました。  また、中小企業の加入する業界団体が共同で原材料を確保し、仕入れのコストも抑える取組に関しまして、その経費の五分の四を、上限三百万円まで支援をしております。  これらに加えまして、来年度、省エネを効果的に進める節電マネジメントの方法を紹介するセミナーを開始するほか、そうした取組で成果を上げた企業の事例の収集や発信に力を入れてまいります。  これらによりまして、中小企業の事業活動を適切に支えてまいります。 ◯菅野委員 中小企業は、またエネルギーコストの削減に向けて、空調の管理や消灯の徹底など身近な省エネや節電を行う一方、新たな設備投資などの取組は、資金やノウハウの不足などによって十分に進められない状況にもあります。  エネルギー価格高騰の収束が見えない中でも中小企業が安定して経営を続けるためには、中長期的な視点に立ったコスト削減の取組への支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は来年度、中小企業がエネルギーを安定して確保し事業を継続できるよう、専門の窓口を設け、相談対応を開始いたします。  また、技術に詳しい専門家が現場に出向き、中小企業の実情に合わせたきめ細かい助言を行います。  さらに、そうしたアドバイスに基づき、小型の風力発電機や蓄電池の導入などを行う場合、その経費につきまして最大四分の三、一千五百万円までの助成を行います。  これに加えまして、中小の事業者の所有するオフィスビルのエネルギー利用を効率化するため、省エネ診断に基づき建物の改修などを行う場合、その経費の三分の二を、三千万円を上限に支援いたします。  これらによりまして、中小企業の経営を着実に後押ししてまいります。 ◯菅野委員 一方で、燃料高騰に直面する公衆浴場は大きな打撃を受けて、厳しい状況が続いています。  昨年の第三回定例会での補正予算により、燃料費補助を行ったところでありますが、今後も支援を続けていくべきと考えますけれども、都の見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 都は、原油価格高騰の影響を大きく受けている公衆浴場の経営を支援するため、今年度、太陽光発電装置の設置等に係る補助率や限度額を引き上げるとともに、新たな利用者開拓に向け、無料クーポンの配布等を実施いたしました。  また、国の臨時交付金を活用し、燃料費への緊急支援を行ったところでございます。  先般、国による電気・ガス価格激変緩和対策事業が開始されましたが、都としては、その効果を注視しつつ、公衆浴場のエネルギー効率化に向けた照明設備のLED化や高効率空調機設置等への支援を行うとともに、利用促進に向けた取組も進めてまいります。 ◯菅野委員 ぜひ、これまでご答弁いただいた事業者への支援策がしっかりと効果を発揮するかどうかも検証した上で、新年度以降もご対応を続けていただくようお願いをいたします。  また、このエネルギー価格の高騰、物価の高騰というのは東京に限ったことではありません。コロナ禍でテレワークが進み、東京から地方へ転出する人が増えて、東京一極集中も緩和されると思いましたが、今やまた、転入超過が続いています。  しかし、日本全体の発展に向けては、東京対地方という構図ではなくて、共存共栄を目指すことが大切で、地方発展に東京がどれだけ貢献するかが問われています。  東京の都市活動の維持に不可欠な水や電力などは、例えば八ッ場ダムや地方の発電所にその多くを依存しながら成り立っています。  こうした地方からの恩恵に対し、東京はどのように貢献していくのか、知事の見解を伺いたいと思います。 ◯小池知事 東京と地方は、相互に支え、高め合うパートナーとして、共存共栄を図ることで我が国の持続的成長を実現していくことが重要であります。  水、食料、エネルギーなど一大消費地である東京は、地方からの供給に支えられながら、首都として日本経済の牽引役を担っています。  都は、全国の中小企業の販路の拡大や国産木材の需要創出、お米の粉である米粉の活用に加えて、東京に集まる情報、資金と他の地域の資源、技術など、双方の強みを結びつけた新たな価値の創出など、地方の活性化にも資するよう取り組んでまいりました。  コロナの終息に伴います消費、インバウンドの回復などが見込まれる中、今後とも、全国各地との連携を深め、東京、そして日本全体の発展につなげてまいります。
    ◯菅野委員 地方への貢献について、知事からご見解を伺いました。都民生活に不可欠な電力も実は地方に依存しています。  また、エネルギー価格や物価の高騰については、国や都も支援策を講じていますが、予断を許しません。  特に電力については、価格の高騰とともに安定供給への懸念もあり、政府も年末に、安全性確保と地域の理解を大前提とした上で、六十年以上の原発の運転を可能とすることや、次世代原発の建設などの方針を示しました。  今定例会の我が会派の三宅正彦幹事長が代表質問において、原子力発電の再稼働を含めたエネルギー問題について知事の見解を質したところ、国レベルで議論、検討が行われるべきと、他人事といってはちょっと強いかもしれませんが、のようでした。  電力などエネルギー高騰に多数の都民や事業者が苦しむ中、エネルギーの大消費地である東京の知事として、政治家として、原発稼働に関してどのようにお考えになっているか、再度、知事の見解を伺いたいと思います。 ◯小池知事 原発についてのお尋ねでございます。  まず、エネルギー政策そのものは、国策そのものでございます。先ほどお尋ねありました人口問題もそうでございます。  やはり国がしっかりとその政策を進めていく。そして、安全の確認をどうしていくのかなどなど、まず、国がしっかりとその立ち位置、そして考え方を明確にすべきである、このように考えています。 ◯菅野委員 大東京というか、本当に、人口もそうですし、エネルギーや電力もそうですが、大消費地でもあります。そうした意味では、本当に地方の負担の上に、ある程度、我々の生活も成り立っているという部分もございまして、そういった中での様々な都民の負担をまた減らしていくことも重要であります。  電気料が上がらないような、そうした施策も、あと持続的にエネルギー供給ができるようなことも含めて、様々な策も講じていく。国もいろいろ検討はしているわけでございますが、知事も東京都のリーダーとして、政治家として、一定の何かそういったお考えを示していただければ大変うれしかったということを申し上げておきます。  ぜひ今後ともよろしくお願いをいたします。  それでは、続いて、まず、シニア層の就業支援、就業者数に占める六十五歳以上の割合は十八年連続で増加しています。都内でも約九十万のシニアの方が働いています。  さっきの、今進めている少子高齢化の対策により、中小企業を中心に人材の確保が喫緊の課題となっている中で、豊富な経験を持つシニアの方の就労支援は非常に重要だと思います。  そこには、例えば男性の育児休業も増えている中で、若い世代の育児との両立を応援していくためにも、一方で、シニアの活躍が望まれているのではないかと思います。  しかしながら、現状、六十五歳以上のシニアのうち就業している方は全体の四分の一にとどまっています。  シニアの引退理由には、老後はゆっくりしたいなど納得して引退するケースもありますが、一方で、希望する仕事がない、希望する仕事があったけど雇ってもらえないなど、働く意思があるにもかかわらず引退してしまうケースがあります。  こうしたシニアの力を引き出し、生き生きと活躍していただくことは、人生百年時代における東京都の経済成長の原動力となると考えます。  そこで、セカンドキャリアとして就労を希望するシニアが円滑に就労し、職場に適応できるよう、再就職に向けたより一層の後押しを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は来年度、大企業などで新たな事業展開の知識や経験を身につけたシニア人材が、中小企業で円滑に実力を発揮するノウハウを学び、就職する後押しを行います。  具体的には、再就職を目指すシニアが、これまでの経験やスキルを中小企業の職場で生かすための効果的な方法を学ぶセミナーを開きます。これに合わせまして、就職を実現したシニアや経営者との意見交換の場を設け、新たな職場で働く気持ちの切替えを促します。こうした取組を年六回実施し、シニアの就労をきめ細かく支援いたします。  また、シニアが中小企業で派遣により働き、仕事の進め方を身につけ、職場の雰囲気に触れ円滑に就職を実現する後押しを五百名の規模に拡充いたします。  こうした取組によりまして、シニアの就業を支援してまいります。 ◯菅野委員 ぜひよろしくお願いいたします。  また、今度は、今、観光も大分戻ってきましたので、その部分についてもちょっと伺いたいです。  ようやく我が国も、今月から外航クルーズ客船の受入れが再開しました。令和二年に開業した東京国際クルーズターミナルでも、今月二日に初の外航クルーズ客船を受け入れて、今月だけでも六隻の外航クルーズ客船が来訪すると聞いています。  クルーズ客船の寄港は東京に大きな経済効果をもたらすものであり、今後、東京の観光の大きな切り札の一つとして盛り上げていくものと思います。  そうした状況から、インバウンドは本当に増加傾向にありますが、まだまだコロナ禍前の水準まで完全に戻ったとはいえません。回復途上の段階にあるとも聞いています。  今後のインバウンドの本格回復に向けては、海外からの旅行者にも人気が高い伝統文化など、観光資源により東京の魅力をさらに高め、世界中から東京に人々をさらに呼び込んでいくことが重要であります。  そこで都は、文化等のコンテンツを活用した観光振興を推進すべきと考えます。見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 海外から数多くの旅行者を誘致する上で、地域の優れた文化を効果的に活用した取組への支援は重要でございます。  これまで都は、地元の観光協会等が文化芸術団体と協力し、伝統的な芸能などを活用したイベントを行い、集客に結びつける取組に必要な経費の二分の一を最大一千万円まで助成をしております。  来年度は、この支援の充実を図り、助成率を三分の二に引き上げ、一千三百万円まで助成をいたします。  また、ホテルや旅館が外国人旅行者向けに伝統文化を体験できるプログラムを作成する取組や、そのために施設改修を行う場合に必要となる経費に対し、最大一千五百万円まで三分の二の助成を開始いたします。  これらによりまして海外からの観光客の誘致を進めてまいります。 ◯菅野委員 今度は、先日のですね、スタートアップについてちょっと伺いたいと思います。先日、City-Tech.Tokyoの現場を視察しました。  世界各国から三百以上のスタートアップが集まって、英語でのプレゼンテーションや海外の投資家などとのトークセッションが行われていました。また、多くのスタートアップ関係者が会場に訪れてきており、盛り上がりを感じました。  世界に通用するスタートアップを育てていくことは、都、そして日本の成長に不可欠だと思います。  我が会派の代表質問では、様々な支援策をワンストップで提供する支援拠点の整備を進め、世界市場で打ち勝つスタートアップを育てていく旨の答弁がありました。  既に東京には官民の様々な支援拠点があります。そこで支援プログラムが提供されています。  都が設置する拠点は、これらと競合するのではなく、それぞれの取組を全体として生かし、関係者の協力を得て、オール東京で育てていくことが重要です。都は、新たな拠点をどのように位置づけしているのか伺います。 ◯吉村政策企画局スタートアップ戦略担当局長 来年度整備に着手する新たな拠点は、グローバルな視点で国内外のスタートアップが集い交流するとともに、投資家や実業家、支援機関、国、大学など様々な関係者をつなぐ結節点の役割を果たすことを構想しております。  そこでは幅広い助言者、メンターとの対話を通じまして、スタートアップのイノベーションを生み出してまいります。  また、起業への後押しや外国人の国内活動への支援を包括的に提供するほか、若者が起業に親しむ場の役割も果たしてまいります。  都内各地の拠点とも連携いたしまして、多様な支援プログラムを提供するなどによりまして、エコシステムの大きなネットワークをつくり上げ、アジアのゲートウエーを目指してまいります。 ◯菅野委員 都が整備する拠点は国内外のスタートアップを呼び込み、様々な関係者をつないでいくという答弁をいただきました。都だけで行うのではなく、民間の力も生かすという視点は重要であり、しっかりと行っていただきたいと思います。  これまでの代表質問でも、スタートアップ政策を進める上で、国や経済団体、都内に数多くある大学などと連携し、オールジャパンで実効性の高い施策を進めていくべきと指摘しました。  今回視察したCity-Tech.Tokyoでも、スタートアップ担当大臣や関係省庁の方がセッションに参加するなど、国との連携が図られているのを確認しました。また、全国各地の都市もブースを出すなど、オールジャパンの意識も見られました。  そこで、世界に向けて打って出るため、こうした連携をさらに強固にする必要があります。幅広い連携の下で共通のプラットフォームを築き上げていくなど、具体的な取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。 ◯吉村政策企画局スタートアップ戦略担当局長 スタートアップ支援に関わる様々な関係者が一丸となって戦略を推進するため、昨年十二月に皆が一堂に会するサミットを開催し、連携の意識を共有いたしました。  さらに、一月のキャリアフェアや先日のCity-Tech.Tokyoでは、数多くの事業者や国、自治体などの関係者が参加し、交流を深めたところでございます。  こうして築いた関係を生かし、日本のスタートアップの情報を世界中に分かりやすく届けるため、共通のデータベースやダッシュボードを関係者と協力して整備いたします。  戦略に盛り込んだ様々な施策を国とも連携して展開し、スタートアップの成長を後押ししてまいります。 ◯菅野委員 スタートアップに限らず、新たなことを始めるためには、連携こそ大事だと思います。国、自治体、民間との調整を東京都が率先してイニシアチブを発揮し、牽引していくことをお願いしておきます。  それで、先ほどのスポーツとまたちょっと関連して、日本で開催された二〇〇二年サッカーワールドカップ、二〇一九年のラグビーワールドカップ、世界から多くの人が来日し、まちじゅうがにぎわいを見せました。  こうした大会を目的で訪れる外国人旅行者は、滞在中に国内を観光することが一般的であります。このような外国人旅行者に東京の魅力を感じてもらい、リピーターとして再度東京を訪れてもらうことが地域の活性化に結びつくと考えます。  そこで、都は、イベントの誘致を積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 東京に海外からの来訪者を増やす上で、国際的に有名な集客力のあるイベントの誘致を図ることは効果的でございます。  これまで都は、イベントを開催できる優れた会場や設備のほか、周辺の魅力的な観光スポット等について、ウェブサイトやMICEの専門誌を通じPRを行ってまいりました。  来年度は、新たに海外から文化やスポーツなどのイベントの誘致に向け、主催者に対し周辺の観光スポットを巡るツアーや伝統文化を体験する機会などを提供いたします。  また、イベントの開催時には、来訪者向けに歓迎の気持ちを伝える屋外PRや、観光案内を行うボランティアの派遣などを実施いたします。  これらによりまして、海外からのイベント誘致を進め、観光振興に結びつけてまいります。 ◯菅野委員 ぜひ様々な形で、インバウンドを含め、東京の経済を引き上げていくような策をしっかりとお願いいたします。  一方で、先ほどから申し上げておりますとおり、原材料などの価格高騰で、中小零細事業者の経営は厳しい状況に直面しています。従業員の賃上げの要請が強まる中で、現場の経営者からは、仕入価格の上昇により利益が減少していて賃上げを行う余裕もないという切実な実態も寄せられています。  厳しい状況を乗り越え、従業員の収入増加につなげるためには、デジタル技術の活用や働き方の見直しなどにより、生産性を高めることが必要だと思います。  都は、企業現場における賃上げにつながる支援を行ってきていますが、来年度に向けてさらに強化すべきと考えます。見解を伺いたいと思います。 ◯坂本産業労働局長 これまで都は、中小零細企業が生産性向上を目的に、専門家の派遣を受けてIoT等のデジタル技術を活用した設備を導入する際、三百万円を上限に助成する取組において、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、助成の率を二分の一から四分の三に引き上げて支援をしております。  また、専門家の助言によりまして勤務やキャリア形成の仕組みなどを見直すとともに、賃金の引上げを行う事業者等に対しまして奨励金を支給しておりまして、来年度は、その規模を千二百社に拡充いたします。  こうした取組によりまして、厳しい経営環境にある中小企業の支援を進めてまいります。 ◯菅野委員 それでは、これまで物価高騰とか、こういった経済の対策等についてもいろいろと伺ってまいりましたが、最後に、減税についてお伺いしたいなと思います。  一昨年の都議選において、我が会派は、命を守る、東京を動かすをスローガンに、十六の柱をお示ししました。その中で、コロナ禍で傷ついた経済再生の特効薬として、減税を提案しました。  アフターコロナになりつつありますが、エネルギーや物価高騰で都民や事業者の厳しい状況は続いています。  今定例会の代表質問においても、我が会派の三宅幹事長より、こうした都民生活の苦しい実情を踏まえ、減税を含め必要な対策を講じるべきと知事の見解を求めたところ、機を逸することなく必要な手だてを講じ、直面する様々な危機から都民生活と東京の経済を守り抜くとの答弁がありました。  東京は豊かと思われがちですが、中間層の可処分所得は全国最下位です。我が会派が提案している個人都民税などの減税により、目の前の苦しい状況に置かれている都民、事業者に対して生活や事業活動を応援することで、経済活動の活性化にもつながる迅速かつ効果的な手法の一つだと思います。  物価高騰などが落ち着き、厳しい経済状況が回復するまでの時限的な支援策として、今こそ個人都民税など減税を実施し、都民生活を支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 ただいま、減税の対象としてご提案のありましたのは個人都民税でございます。個人都民税は都税収入の約二割を占めておりまして、財政運営上、重要な役割を果たしております。  都民生活の支援として個人都民税を減税するということは、高額所得者ほど減税額が大きくなる一方で、所得が一定以下の方に対しては効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものと、このように認識をいたしております。  都といたしましては、引き続き、都民生活をしっかりと守り抜いていくため、国の動向や経済状況などを見極めながら、機を逸することなく的確に対策を講じてまいります。 ◯菅野委員 知事は、今回、所得制限をつけずに毎月五千円を交付する〇一八サポート事業を行うわけですが、この実施に関して、子供を産み育てたい、その願いを都が本気で応援していくというメッセージであると第一回都議会定例会の知事施政方針の中で表明されています。  その意味では、対象年齢を特定して現金を配布する事業よりも、減税こそ、まさに東京都民、都内事業者の皆様に対する分け隔てない力強いメッセージになるのではないかと思います。  そのことを改めて指摘をさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ◯小宮委員長 菅野弘一副委員長の発言は終わりました。  この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。    午後二時四十六分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時五分開議 ◯菅原副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  福島りえこ委員。 ◯福島委員 都民ファーストの会東京都議団を代表し、質疑に入ります。  令和五年度予算案は、代表質問でも取り上げたとおり、東京の未来を見据え、日本を牽引する予算となっています。  一方、都税収入が好調な状況から、東京だからできるとか、自治体間の格差が広がる、東京富裕論につながるなどの声も聞かれますが、こうした積極的な施策展開を支えているのは、知事が就任以来進めてきた東京大改革にほかなりません。東京大改革の旗の下、未来を見据えた財政運営にどのように取り組んできたのか、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 高齢化の進行、都市の強靭化、産業構造の転換への対応など、東京が抱える課題は一層の高度化が見込まれております。景気に翻弄されやすい財政構造を持つ都が、こうした課題の解決に向けまして、積極的な施策の展開を図っていくためには、持続可能な財政運営は不可欠であります。  こうした考えの下で、知事就任以来、東京大改革の信念を掲げて、ワイズスペンディングの取組を徹底し、強固な財政基盤の堅持に取り組んでまいりました。  具体的には、約五千ある全ての事業に終期を設けまして、徹底的な見直しを行うなど評価制度の充実を図り、七年間で六千九百億円の財源の確保につなげてまいりました。  また、都債の発行抑制によりまして、都民一人当たりの残高は、平成二十八年度の四十三万円から令和五年度末には三十四万円へと減少する見込みであります。  こうした不断の見直しを重ねたからこそ、都民にとって真に必要な施策を積極的に講じることが可能となっております。  今後とも、改革の歩みを止めることなく、東京を世界の中で輝き続ける都市へと昇華させてまいります。 ◯福島委員 予算編成の一環として、都は昨年度から、目標の達成度や外部有識者の意見を踏まえ、新たな事業の構築など施策全体の方向性を評価する政策評価と、一つ一つの事業を検証し、効率性、実効性を向上させる事業評価を一体的に実施をしています。  私たちはこれに対し、統計的な分析手法の導入、いわゆるエビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、EBPMの推進を求めてきました。解決したい課題の多くは複数の要因が影響しており、これらを切り分け、個別事業の効果を測る方法として統計分析は欠かせません。  都は令和五年度予算編成の政策評価において、外部有識者の意見を取り入れつつ、回帰分析や共分散分析など、専門的な統計分析に新たに取り組みました。私たちの要望により、大きな一歩を踏み出したと評価をしております。
     国家予算並みの予算を扱う東京都が、政策評価におけるデータ分析の取組に加え、分析をしたという事実をしっかりと発信していくことは、国内のEBPMの推進に大きな意義を持つと考えます。  令和五年度予算編成の政策評価で実施したデータ分析の結果について、都庁内や都民に対して伝えることで、こうした取組をさらに広げていくべきと考えますが、都の見解を伺います。 ◯吉村財務局長 令和五年度予算編成では、政策評価における事業の効果検証に際し、各分野の有識者からの意見の聴取に加えまして、行政管理等の専門家からデータを用いた合理的な分析手法についても助言を受けまして、統計的に有意な差があるかを検証するなど、より客観性の高い評価に取り組んでまいりました。  こうした取組を継続的に実施することはもとより、より成果重視の視点から実効性、効率性の高い施策の構築につなげていくため、さらに拡大していくことが重要と考えてございます。  そのため、今年度に実施いたしました統計分析の事例を取りまとめ、各局と共有するとともに、都民へ分かりやすく情報を発信していくなど、引き続き制度の一層の充実を図ってまいります。 ◯福島委員 都には、政策面に加え、政策効果検証においても、国内を牽引していただくことを望みます。  続いて、私たちの重点領域に関する予算について、順に取り上げてまいります。  最初は、私たちが会派結成以降、最重点領域として取り上げてきた子供、子育て、そして教育分野です。  まず、来年度予算案に、私たちの求めに応じて都が創設した出産応援事業、赤ちゃんファースト事業を来年度も継続すること、さらには、出産、育児の準備にも充てられるよう、切れ目のない支援にブラッシュアップされることを評価いたします。  この切れ目のない支援として、私たちは、フィンランド発祥のネウボラを参考に、一家に一人の保健師が継続してその家族を担当し、妊娠から出産、子育てに関するあらゆる相談にワンストップで対応する体制を求めてきました。  これに応え、都は令和四年度から、妊娠期から就学まで継続して寄り添い、様々な支援をコーディネートする人材を育成するとうきょう子育て応援パートナー事業を開始、来年度から本格実施するとしています。  母子保健分野と児童福祉分野といった行政の縦割りや、職員の異動などに子育て家庭が振り回されることのないよう、徹底して子育て家庭に寄り添う支援を展開していくべきですが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は今年度、区市町村の母子保健部門と児童福祉部門が共通で使用するアセスメント基準や効果的な支援の実施に向けた研修プログラムを作成しています。  来年度は、チーム体制で子育て家庭に継続的な支援を行えるよう、母子保健部門に心理職などの専門職や児童福祉部門との調整を行う職員を配置する区市町村を支援するとともに、これらの職員に専門的な研修を実施いたします。  こうした取組により、両部門が一体となって妊娠期から子育て家庭に寄り添い、子育て家庭が切れ目のない支援を実感できる体制を構築してまいります。 ◯福島委員 この切れ目のない支援という観点から、さきの定例会において、私たちは、認証保育所、これを子育て支援の拠点とするように求めて、これに対して、都からは、支援や制度の見直しを検討するとの答弁を得ています。  待機児童が解消されつつある中、柔軟な一時預かりや学齢期の受入れ、そして、医療的ケア児や発達障害を持つ子供たちの受入れなど、新たな取組を構築しようとする認証保育所を支援し、子育て家庭の課題解決拠点としての役割も高めていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、認証保育所について、短時間利用への対応や学齢児の受入れを行える仕組みを設けるほか、医療的ケア児の受入れや障害児保育、アレルギー児対応などの取組も支援してございます。  来年度からは、保護者の育児不安や孤立を解消するため、児童相談所等が継続的な見守りが必要と判断した児童を受け入れる取組に支援を開始いたします。また、より安全な保育環境を確保するため、看護師等を配置できるよう新たな加算を設けます。  今後、認証保育所が子育て支援の拠点として地域の多様なニーズにより的確に対応できるよう、区市町村と連携しながら一層支援してまいります。 ◯福島委員 認証保育所を子育て支援拠点として機能強化する、こういったことを評価いたします。  これまで都は、待機児童の解消、不妊治療の助成、出産応援事業等による産前産後も含めた出産の負担軽減など、国の政策を牽引してきました。来年度予算に向けて、都民の声を受け、私たちが要望し、小池都知事が決断をした所得制限のない子育て支援策、〇一八サポートに関しても、多くのご期待の声をいただいています。  静かなる有事ともいえるこの少子化問題に対し、国の取組が規模とスピードの両面で不足していることに対し、都の少子化対策費は、小池都知事が就任する前の平成二十八年度に比べて約二・五倍と、その覚悟はこの予算額にも表れています。  これら政策の実行と並行して、少子化対策の効果検証もまた極めて重要です。しかしながら、さきにも述べたように、要因は複合的であることに加え、長期的な視点も必要であることから、単年度の政策評価、事業評価の枠組みに沿いません。  そこで、都の大学の知見を活用するなど多岐にわたる専門人材と協働することで、効果検証と次の政策立案につなげる仕組みを構築するべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 少子化対策、これにつきましては、もう長年、国会議員の時代から、婚活・街コン推進議連やフィンランド友好議連の会長を務めるなどなど、数多くの議員連盟の活動を通じまして、女性の活躍、少子化対策などに取り組んでまいりました。  チルドレンファーストの社会の実現こそ、未来への投資であります。その考えの下で都知事就任後は、これまで重ねてきた子供、女性政策の実践に加速度的に取り組んでまいりました。  この間、待機児童対策、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を率先して行ってまいりました。そして、子供政策連携室を設置して、各局が連携の下で様々な議論も行ってまいりました。  今ご議論いただいております来年度の予算編成に当たりまして、今日の危機的な少子化の状況、これを踏まえて、取組をさらに充実強化することといたしました。  取組の実効性を担保するためには、施策の検証を行って、その結果を踏まえてバージョンアップし続けることが重要であります。  このため、都は、都民へのアンケートなど調査を行うとともに、幅広い分野の専門家から長期的な視点も踏まえました分析をいただいて、それぞれの取組が少子化の歯止めにどのように作用していくのか、検証を行う仕組みの導入を検討してまいります。  外部の知見も取り入れながら、より効果的な少子化対策を講じるための不断の見直し、これを着実に行ってまいりますことで、望む人が結婚、出産、子育てしやすい東京の実現を目指してまいります。 ◯福島委員 ありがとうございます。それぞれの取組が少子化の歯止めにどのように作用していくか検証する、こういった取組を導入、検討いただけるという、誠に力強いご答弁でした。  政策評価を行うことは、その分野の専門家、そして研究者の育成にもつながっていきます。都の取組、これを期待してまいります。  次に、私たちが提案を重ね、世田谷区の都立砧公園に初めて都が整備したインクルーシブ公園、これはもう今や日本中に広がっています。このインクルーシブ公園において、遊具の整備だけではなく、障害のある子もない子も、そしてその家族、さらには、その地域に暮らす多様な方々が参加するインクルーシブなコミュニティの形成につなげること、これが大切です。  一方、現状では、子供たち同士、そして親も、どのように一緒に遊んだらいいのか分からないということもあるそうです。心のバリアを取り除き、インクルーシブな環境を広げ、インクルーシブな遊びや関わりをサポートする、そんなプレーリーダーが求められています。  令和五年度より始まるプレーリーダー育成事業においては、インクルーシブな遊びの視点を研修に取り入れ、インクルーシブプレーリーダーの育成を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。 ◯山下子供政策連携室長 プレーリーダーは、子供と一緒に思い切り遊び、時には相談相手にもなる、子供が信頼を寄せる存在でございます。  こうしたプレーリーダーが様々な子供と向き合う、いわゆるインクルーシブな視点を持つことは極めて重要でございまして、来年度から実施するプレーリーダーの育成研修において、この視点を取り入れてまいります。  研修の実施に当たりましては、有識者の知見も活用しながら、国内外の先進事例や専門的な知識等を習得する機会を創出することにより、インクルーシブな視点を備えたプレーリーダーの育成に取り組んでまいります。 ◯福島委員 ありがとうございます。インクルーシブ公園というハードウエアの整備に加え、それを取り巻くコミュニティの形成に向けた大変重要な取組です。引き続き、検討をお願いいたします。  子供の権利のうち、この国内での取組が不十分であることの一つに、包括的性教育へのアクセスがあります。特に都は、都議会の過去の経緯もあり、若者への性教育の充実が遅れてきましたが、私たちの働きかけにより、平成三十年までに性教育の手引を改定、昨年末には若者の悩み相談を行うユースクリニック、わかさぽが開設されるなど、この領域についても取組がようやく進みつつあります。  また、さきの定例会で、私たちは、女性や若者の体を守る観点から、緊急避妊薬アフターピルへのアクセス改善を求めました。都からは、関連する情報をより早く、そして分かりやすく得られるように取り組むとの答弁を得ています。  来年度は、毎日ではありませんが、常設の相談場所を確保するというふうに聞いております。相談場所では、アフターピルを必要とするなど、家族に相談しにくい問題を抱えた若者から相談等があった際に、早期に病院等の関係機関との連携が図られるよう取組を強化するべきですが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 都は今年度、とうきょう若者ヘルスサポート、わかさぽを立ち上げまして、十月に電話相談を、十一月には対面相談を開始いたしました。  対面相談につきましては、新宿や渋谷など会場を変えながら、これまで八回実施をしておりまして、十二月に開催したワークショップには、私自身も参加いたしました。そして若者と意見交換をいたしました。  来年度は、固定の相談場所を区部に設置をする予定でありまして、若者が気軽に何度でも立ち寄れる場としてまいります。  また、妊娠の心配など、家族に相談しにくい悩みなどを抱えた若者にも、より一層寄り添えますよう、求めに応じて医療機関などに同行する仕組みを整えるなど、わかさぽの機能強化を図ってまいります。 ◯福島委員 ここまで子育て世帯に対する経済的支援の拡充や子育て、そして子供や若者の育ちを支える社会環境の整備について取り上げてまいりましたが、少子化の別の要因として婚姻率があり、結婚を望む人が結婚できる環境を整えていくことも重要です。  近年、特にコロナ禍を経て、出会いにおけるマッチングアプリの占める割合が高まってきています。多数の会員から、AIなどのテクノロジーをバックボーンに相性のよい相手とマッチングすることから、成婚率が高いことが特徴です。  従来の結婚相談等とは異なるこうしたAIなどのテクノロジーが支えるマッチングアプリを活用した結婚支援について、既存の事業者の知見を生かし、都として後押しをしていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 結婚に関心のある人のうち、約七割の人が出会いの機会がないなどの理由で婚活をしていないという実態がございます。  他県におきましては、行政主体のマッチングサービスをきっかけに活動を始める方が増え、結果として、民間の婚活サービスの需要の掘り起こしにつながったとも聞いております。  こうした事例を踏まえまして、都は、民間の知見を生かして、AIによるマッチングや交流イベントなどを実施するとともに、業界自主基準ガイドラインに沿った事業者を紹介するなど、民間の婚活サービスに関心を持った方が安心して利用できる環境を整備いたします。  これらによりまして、活動にちゅうちょしていた方が一歩を踏み出す後押しをしてまいります。 ◯福島委員 ご答弁いただいた他県の先行事例では、これまで利用していない方の掘り起こしにつながったという情報があるそうです。これらの先行事例も参考に、民間の婚活サービスとも連携しながら、取組の成果を出していただくよう要望いたします。  次の領域として、医療、介護分野を取り上げます。  少子高齢化が進む中で、財源の拡大を抑えながらも、享受できるサービスの質を高めていく取組が重要です。  障害児の中でも、医療的ケア児の小一の壁は深刻です。医療的ケア児とその家族の社会的孤立を防ぐ意味でも、保護者の就労継続を社会で支援していく必要があります。  都は今年度から、学童クラブで都独自の障害児を受け入れる加算を新設し、医療的ケア児の親の就労支援も目的とした放課後の居場所づくりをする区市町村への支援も創設しましたが、さらなる対策が求められています。  医療的ケア児の保護者が子育てと仕事を両立し、安心して働き続けられるようにするため、預け先の確保や在宅レスパイト、就労等支援事業の時間の上限の緩和など、就学している児童生徒の放課後の支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 医療的ケア児とその家族が在宅で生活していくには、就労を希望する保護者が安心して働き続けられる環境を整備する必要がございます。  都は来年度、訪問看護師を家庭に派遣する事業の利用上限時間を年間九十六時間から百四十四時間に引き上げるほか、より多くの区市町村が医療的ケア児の放課後等支援に取り組めるよう、働きかけを強化してまいります。  また、医療的ケア児の育児経験者が自身の経験を基に保護者からの生活や就労等の相談に対応する取組や、日中預かりサービスを行う事業者に対して都独自に支援する取組を開始するなど、医療的ケア児の保護者の子育てと仕事の両立を支援してまいります。 ◯福島委員 ありがとうございます。こういった問題は、今障害児のお子さんを持つ保護者の皆様が、以前は価値観として障害児のために自分の時間を全て尽くすことが是とされていたところから、しっかりと自分が社会に結びついていくことで、この障害児をお子さんに持つご家庭がしっかりと社会参画しながら、お子さんにも多くの方と共に関わっていただきたい、そういったお声が出てくる中での環境整備です。しっかり取り組んでいただきたいと思います。  また、私たちはこの住み慣れた地で暮らし続けるための地域包括ケアにつながる在宅で二十四時間体制で医療を受けられる環境整備についても求めてまいりました。これを受けて、都が在宅医療推進強化事業を新規に予算化したことを高く評価をしています。  在宅医療推進強化事業を進めるに当たり、コロナ禍において、往診医療機関との連携に積極的に取り組み、二十四時間体制を実現した事例を都内の地区医師会にも紹介することで、二〇二五年の地域包括ケアシステムの構築に向け、確実に事業を推進していくべきですが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、区市町村への支援や人材育成などにより推進してまいりました在宅療養をさらに加速するため、来年度新たに、地区医師会を通じた二十四時間の診療体制構築への取組を支援する在宅医療推進強化事業を開始いたします。  都内全ての地区医師会から成る連絡会で事業の周知を図るとともに、往診医療機関の活用により二十四時間診療の取組が進んでいる好事例等を紹介するなど、地区医師会の本事業への理解と参画が進むよう、積極的に働きかけてまいります。  在宅療養の実施主体である区市町村とも連携しながら、地域における切れ目のない医療提供体制の安定的な確保に向け、取組を充実してまいります。 ◯福島委員 さきに述べた往診もそうですが、オンライン診療や服薬など新しい医療サービスを普及させていくためには、医療機関への働きかけと同時に、都民にもその意義を知っていただき、さらには気軽にアクセスできるようにしていく必要があります。  医療DXの一要素であるオンライン診療やオンライン服薬指導の意義を、都民、さらには医療機関、薬局により広く伝えていくことで、それらを選択しやすい環境を整備していくべきですが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、医療機関案内サービス「ひまわり」や薬局案内サービス、「-薬局いんふぉ」により、都民にオンライン診療やオンライン服薬指導を実施する医療機関及び薬局の情報を提供してございます。  オンラインによる診療や服薬指導は、患者の移動の負担軽減や待ち時間の短縮など利便性向上に資するほか、医療機関や薬局での感染リスクを避けることができます。  来年度は、こうした特性や利用手順等を都民に周知する動画を作成するとともに、医療機関及び薬局を対象にオンラインセミナーを開催し、導入事例を紹介するなど、患者、医療従事者双方の理解促進を図りながら、制度のさらなる普及啓発に取り組んでまいります。 ◯福島委員 オンライン診療や医師による往診などは、実際に使ってみた方からは、使ってみてそのよさが本当によく分かったという声をいただいております。ぜひこういった資源に都民の皆様がアクセスしやすくなるよう取り組んでいただきたいと思います。  ここまで、在宅医療体制やオンラインサービスの活用など、医療資源へのアクセス改善について取り上げてきました。  加えて、社会保障の領域で大切なのは、重ねて述べてまいりましたように、支出の増大を抑えつつ、医療や介護の質を高めていくことであり、そのためには、個人の医療データ、パーソナル・ヘルス・レコードを収集し、切れ目のない医療提供に向けて最善を図っていく必要があります。その第一歩が本人確認を正確かつデジタルに行うことができるマイナンバーカードの導入であり、今後の進展を期待するものです。  国は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化について、来年秋を期限として示しましたが、健康保険証の利用登録が進まないなど、課題も多く聞かれています。  医療DXの入り口である健康保険証とマイナンバーカードの一体化について、都は積極的に課題克服に努めるなど牽引する役割を果たすべきですが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 都民自らデータに基づいて健康を管理し、より良質な医療やケアを受けられるようにするには、医療や保健、介護などの分野でDXを進めることは重要です。  マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、医療DXの基盤となるものであり、こうしたメリットを享受することができます。  このため、都は、区市町村などの各医療保険者や企業の健康保険組合の代表で構成されます保険者協議会と連携して、この取組が進むよう対応してまいります。  具体的には、区市町村などに対しまして、マイナンバーカードの保険証利用に関する国の補助制度の活用を強く働きかけてまいります。  また、協議会で好事例を共有するなど、一体化が一層進むように取り組んでまいります。 ◯福島委員 次の重点領域は、スタートアップと文化で稼ぐ経済政策です。  海外から選ばれる都市の実現に向けて、スタートアップをはじめとするチャレンジする人や、デジタル基盤への投資は大変重要です。  中でも私たちは、Society五・〇時代を生きる子供たちが、デジタルを使って価値創造できる側の人、デジタル人材として活躍できるように情報教育の充実を訴えてまいりました。  私たちの要望を受け、都は、プログラミング教育が必修化した小中学校に一校当たり一名のICTサポーターを配置する予算を確保しています。  また、今年度より、高校で必修化した情報Iでは、情報の教員向けの研修に加え、外部専門人材の活用も始めています。  加えて、昨年の予算特別委員会では、知事より、文理問わず、副専攻として選択可能なAI・ロボティクスコースの設置と、都立大の入試において、デジタルを用いて価値をつくる側になるための教科である情報II相当のスキルを評価する旨、ご答弁いただきました。  そこから一年が経過し、さらに強化するべき点について幾つか取り上げてまいります。  学校のデジタル化が進む中で、学校内のデジタル環境の維持管理や、デジタルを活用した授業を牽引するICTリーダーを務める教師に大きな負担がかかっていると聞いております。  生徒の一人一台端末が導入され、学校生活における端末使用を日常化していくためには、校内のデジタル化を牽引するこのICTリーダーがその力を発揮できるようにしていくべきですが、見解を伺います。 ◯浜教育長 都立学校では、一人一台端末の学習環境が整備されたことから、今後は、端末を日常的に活用する授業への転換が求められています。  このため、全ての教員がデジタルに関するスキルを高められるよう、ICTリーダーが中心となって、授業におけるデジタルの活用方法等の情報共有や、教員に対する校内研修などを行っています。  今後、デジタル化の進展に伴い、ICTリーダーの役割と業務が一層大きくなることが見込まれることから、都教育委員会は、令和五年度からICTリーダーを担う教員の授業時数を、時間講師の配置により、週当たり四時間までの範囲で軽減できるようにいたします。 ◯福島委員 デジタル化を進めることは、将来的には教師の皆様の負担軽減につながるところではございますが、今この経過措置として課題になっている一部の教員に対する負荷軽減、こういった取組を打っていただくことを高く評価をいたします。  一方、現在お答えいただきましたのは都立学校についてのご回答でございましたが、小中学校のデジタル活用についても、私たちの要望を受けまして、現在、都が進めている時数軽減のメニューの一つである特色ある教育活動、これを活用することで担当教員の時数軽減が可能であるというふうには聞いております。年々実施する規模を今拡大しているというふうに伺っておりますが、この小中学校のデジタル活用も一層進むよう、こちらの事業についても、引き続き、推進を要望いたします。  今春、十七大学がデータサイエンス系学部を新設するとの報道がありました。社会、そして産業界が情報スキルで価値創造をできる人材を必要としています。
     さきに述べたように、都立大学入試におきまして、この情報II相当のスキルを評価することをご答弁いただいておりますが、高校でこの春から設置可能なこの情報II、これを教育するための環境整備も重要です。  そこで、令和四年度に情報Iで実施をしたように、令和五年度から開設される情報IIにおきましても、外部人材を活用するとともに、教員に対する研修を行うなどの質を高める取組を行うべきですが、見解を伺います。 ◯浜教育長 令和四年度から高校の必修科目となった情報Iの指導を充実するため、都教育委員会はこれまで、IT企業の専門家が学校を訪問して、実践的な授業を行うなどの取組を行ってまいりました。  令和五年度には、発展科目である情報IIを確実に指導するため、都教育委員会は、ビッグデータの活用や人工知能の仕組み等を扱う教員向け研修会を開催いたします。  この研修会では、大学教授などの専門家を招いた講義や指導力の高い教員による模擬授業を行い、より実践的な指導方法を紹介することにより、質の高い授業を実施できるよう支援してまいります。 ◯福島委員 情報IIにおいても、質を高める取組を行うとのこと、ぜひよろしくお願いいたします。  さらに加えまして、東京都は、来年度予算において、希望する都立高校生を対象にアプリ開発ソフトを提供し、ワークショップを通じて、このスキルを高めた上でコンテストを行う、こういった予算も計上しました。身につけた情報スキルを使って課題解決に取り組み、友達や先生に使ってもらう経験の場を設けることを高く評価いたします。  私たちはこれまで都のオープンデータ化を求めてまいりましたが、この活動におきましても、自らが暮らす社会の状況を捉えた様々なデータを利活用することで、よりリアルで、そして豊かな体験に結びつくと考えます。  そこで、アプリ開発のワークショップにおいても、データ利活用についても、学習するようにするべきと考えますが、見解を伺います。 ◯浜教育長 都教育委員会は、令和五年度、都立高校生五千人にモバイルアプリの開発ソフトを提供するとともに、アプリ開発スキルを習得するため、ワークショップを行います。  また、社会的課題をデジタルで解決するアイデアを競うハッカソンやプログラミングコンテストを開催いたします。  こうした取組に当たっては、様々なオープンデータ等の活用方法についても紹介をいたします。  生徒が身近な問題に関心を持ち、デジタルの力で解決する学習の機会を通じて、デジタル人材の育成を図ってまいります。 ◯福島委員 文科省の調査によれば、小中学校の先生の約二割がいまだこのデジタルデバイスを使った授業に不安を覚えているということです。  学校教育でプログラミングに興味を持った子供たちがもっとやってみたいと思ったときに、無償で最新のテクノロジーに触れ、さらにはこの専門人材や先輩に相談ができる場所として、いわゆるコンピュータークラブハウスが知られています。私たちはこのような場所を地域に設けることで、こういった子供たちはしっかりと学んでいける、そういったことをご提案させていただきました。  これに対して、さきの代表質問にて、来年度、新たに子供向けデジタル体験向上プロジェクトを立ち上げるというご答弁をいただいております。  この子供向けデジタル体験向上プロジェクトを来年実施するに当たり、既存の子供の居場所に併設するなど、より多くの子供たちが参加しやすくなるように取り組むべきと考えますが、来年度の取組について伺います。 ◯久我デジタルサービス局長 来年度立ち上げる子供のデジタル体験向上プロジェクトは、初歩のプログラミングや創作活動など、子供たちが気軽にデジタルに触れ、楽しむことのできる機会の創出を目指しております。  子供が参加しやすい場づくりに向けては、学校、児童館など、子供が通い慣れている場所の活用や、企業、大学と連携し、デジタルスキルを持つ大人と楽しく交わりながら学べるなどの工夫が重要でございます。  現在、国内外の先進事例調査や自治体、NPO等との意見交換を進めており、意欲ある区市町村等の協力も得ながら、子供たちが親しみを持って参加できる場となるよう、取り組んでまいります。 ◯福島委員 先進事例調査に加えまして、自治体、NPOとの意見交換を進めているというご答弁でございました。  こういった取組において、諸外国においては、民間企業が非常に積極的に参画をしております。  今この社会におきまして、デジタル人材の不足や、また、人材シェアリング、これまでの質疑におきましても、例えば区市町村にはデジタル人材が足りない、そういったお声が上がってきておりますけれども、そもそもこういった領域に子供たちが興味を持って育っていくこと、これは大変重要です。  小学校でプログラミングに出会い、そして興味を持った子は、今ほどご答弁にありました身近な場所で仲間とより学ぶことができて、さらに都立高校や都立産業技術高等専門学校に進学すれば質の高い情報教育を受けることができ、さらに、そこで学んだことを都立大の入試で評価してもらえる、都内でそのような環境が整いつつあることを大変うれしく思います。  ここまで、子供たちの教育に関して、主に情報について述べさせていただいてまいりましたが、今この時期は、都立高校において卒業式が開催されておりまして、私も時間が許す限り参加させていただくようにしております。そこで、送辞に答える形で、卒業生代表者が答辞を述べるんですけれども、そこで非常に印象的な言葉があったので、ご紹介をさせていただきます。  この春高校を卒業する生徒たちは、本当に二〇二〇年、コロナ禍に入学式を迎えた生徒たちです。大体そのパンフレットには、これまでの三年間の歩みというものが載っているんですけれども、そこには、中止ですとか延期、そういった言葉がたくさん並んでいます。合唱祭は一度もできなかったとか、また、修学旅行については場所を見直して三年生に何とかやった、そういったことが載っておりました。  そこで、答辞でその高校生が述べたことは、政府からはマスクやお金は届いた。でも、私たちの高校時代の時間、これが私たちは一番欲しかった、そういった答辞がございました。  はっきりいって、高校生を含むこの若年時代は重症化率が低い、そういった状況にあるにもかかわらず、ある意味、日本全体のハイリスクである方々に感染症を拡大するためのクラスターをつくらないために、日本のために、そういった、この三年間を我々の社会を持続的にするために協力してきてくれた世代だと思います。  その三年間の高校生活の中で学んだこと、そして友人と協力したことをもって彼らは大学や社会に出ていくわけですけれども、そういったことをこの世代に我々が担っていただいたということを忘れずに、この世代と付き合っていきたいと、私自身も思いましたし、共有をさせていただきました。  次に、デジタル人材の確保について引き続き申し上げさせていただきます。  さきの代表質問において、宮坂副知事より、新たに立ち上げるGovTech東京についての答弁がありました。この組織を機能させ、高品質なサービスを生み出していくためには、優秀なデジタル人材をいかに確保するかが大変重要です。  GovTech東京では、経験豊富な人材に加え、デジタル技術を身につけた若手など、多様な人材を確保できるようにしていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。 ◯宮坂副知事 GovTech東京では、本年九月の事業立ち上げ時には、都庁各局や区市町村のデジタルサービスの開発プロジェクトに参画し、ITベンダー等開発事業者との調整などの技術的サポートを中心に事業を進めてまいります。  そのため、当初確保する人材としては、プロジェクト管理やシステムの全体設計などに精通し、きめ細かなアドバイスや調整を円滑に行える経験豊富な高度専門人材を想定しております。また、事業展開に応じて、例えば、団体自らサービス開発を行う際には、ソフトウエアやネットワーク等の高い開発スキルを有する意欲ある若手層など、多様なデジタル人材の登用を図ってまいります。 ◯福島委員 さきに述べた都立産業技術高等専門学校に、昨年春、私は視察に伺わせていただきました。ここでは、中学卒業後から情報を専門的に、かつ集中的に学び、そして、この卒業した生徒は、就職後すぐに大企業の情報教育を担うようなケースも出ているというふうに伺っております。高専の卒業生は、最も若くて二十歳です。GovTech東京が、このような人材の受皿にもなっていくことを求めます。  都は、都内のデータを集約するプラットフォーム、TDPFの構築を来年度予算に盛り込んでいます。データの標準化と同様に私たちが大切だと考えているのが、システムの共通化です。  基礎自治体の行政手続は共通する部分が多く、各自治体が個別にシステムを開発するのは非効率です。システムを共通化することができれば、データも標準化されやすく、こうした取組をGovTech東京がしっかりとサポートしていくべきです。  都内の行政関連のシステム構築に当たり、CIO意見交換会等を通じ、区市町村の取組を把握するとともに、GovTech東京が協働して取り組み、優れたものについてはその仕様を展開したり、またはOSS化をサポートするなどにより、システムを都内で共通にしていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。 ◯宮坂副知事 区市町村からは、GovTech東京に対して、多くの区市町村に共通するニーズについて、共同でデジタルサービスを開発することにより、コストや開発期間の縮減を期待する声があります。  そのため、GovTech東京では、専門人材から成るプロジェクトチームが、区市町村の課題や要望を踏まえ、例えば、公共施設の予約管理や乳幼児健診の申込みアプリを開発するなど、オープンソースも活用しながら、自治体と協働した取組を進めます。  こうして開発したサービスについて、ほかの自治体に積極的に紹介し、横展開を進めることで、都内全体のサービスレベルの向上と効率化を図ってまいります。 ◯福島委員 ありがとうございます。大変重要なご答弁だと思います。  行政の制度は、なかなかこの一者指定などができないこともあり、こういった行政システムも含めて、様々な仕様が乱立する傾向にあります。できてしまったシステムを後からつなぐこと、これに大変なコストがかかっています。もし東京が、こういった基礎自治体の取組をきちんと精査し、よりよいものを展開する、こういった役割を果たすことができれば、さらには、こういったオープンソースなども使って、仕組み化することができれば、これは、実はこの都道府県の仕組みをさらに国が共通化する、そういった仕組みにもつながる取組だと思っております。  システムが共通化することができれば、しっかりとそこで扱えるデータ、これもきれいな形で入手することができて、これからの、例えば、ビッグデータを使ったAI、そういったものを使った政策の効果検証、さらにはブラッシュアップに大変重要な取組だと思っております。今ご答弁にありました共通化に向けた取組、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次に、このキャッシュレス化でございますが、これも大変興味深い動向です。行政機関においては、行政手続の効率化や資産管理のスピード化をもたらします。加えて、将来的には、補助金や給付金をデジタルマネーにすることができれば、条件に合わせた給付を容易に、さらにスピーディーに行えたり、事後の収支報告書関連の書類作成を自動化する、さらには、私の地元、せたがやPayの事例のように、自ら管理できる、そういった電子マネーをつくることができれば、お金の流れに関わる情報を把握し、政策の効果検証ができる可能性も指摘をされています。  これらは、紙のお金にはできなかった取組です。こういった大きな可能性を秘めたデジタル通貨に係る最新の技術動向を捉えていくため、社会実装に向けた実証実験に積極的に参加をするなどして知見を得ていくべきと考えますが、都の見解を伺います。 ◯児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 デジタル通貨には、決済コストの低減や経済全体のイノベーションなどの効果が期待されており、日進月歩で技術開発が進んでいます。フィンテック企業の振興に取り組む都といたしましても、常に最新の技術動向を把握することが重要です。  このため、都は今年度から、金融機関など約百社が参画するデジタル通貨フォーラムに加入し、ブロックチェーンを活用したデジタル通貨の実用化に向けた実証実験にも参加しているところでございます。  ここで得られた知見につきましては、金融のデジタライゼーションに向けた施策の検討に活用するとともに、関係局にも共有してまいります。 ◯福島委員 ありがとうございます。施策検討に加え、ぜひこのご答弁にありました関係局に共有をすることで、またそこからニーズを引き出し、このデジタルマネーの、今、プラットフォーム、検討する団体に参加しているということなんですけれども、逆に行政側からはこういうニーズがあるということを積極的に入れ込むことで、使えるデジタルマネーにしていっていただければと思います。  先日、二月二十七日、そして二十八日に、スタートアップ支援を目的とするCity-Tech.Tokyoが東京国際フォーラムで開催されました。私を含め、我が会派の多くの議員も現地に視察に伺わせていただきました。  スタートアップ企業のグローバル展開に不可欠な国内外の投資家はじめ関係者によるグローバルなエコシステムが形成されるきっかけとして大変重要であり、まずは端緒に就いたことを評価いたします。  また、並行して、持続可能な社会の実現を目指したG-NETSメイヤーズ・サミットが開催され、参加都市の首長が、各都市の政策や、そして今後の展望等について発表するなど、そこでも東京都の先進的な取組に多くの注目が集まっています。  今後、SusHi Tech Tokyoの取組を加速し、海外の先進事例も取り込みつつ、世界に向けて東京のプレゼンスをさらに高めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 感染症、気候危機など、これまでにない大きなうねりの中にある今こそ、変革を起こし、東京から未来を変えていく必要があります。その起爆剤となるのがSusHi Tech Tokyoであります。  今回が初めての開催にもかかわらず、City-Tech.Tokyoの方では目標の二・六倍となる参加者を得、またG-NETSの方では、世界から三十四都市と、目標を上回る参加が得られました。  また、これらを同時に開催することで、大きなシナジーも生み出したところでございます。  今回、コミュニケーションを英語で統一することによりまして、国境を越えて多くの人々が交わり、イノベーションの種がまかれたものであります。これを花開かせ、新たな価値へと結実させてまいります。  ここで得られました様々なネットワークを生かして、世界的スタートアップイベントの機会などを捉え、オール東京で技術やアイデアを発信してまいります。  さらに、世界の都市とのワーキンググループを新たに設置いたしまして、都市課題の克服に向けた具体的な議論を進め、連携を深めてまいります。  こうした成果を踏まえて、SusHi Tech Tokyoを旗印に、来年の五月におきましては、東京のベイエリアを舞台に、未来の都市を体感するイベントを開催いたします。  持続可能な社会に向けた道筋を東京から指し示すことで世界をリードし、国際的なプレゼンスを高め、国際競争を勝ち抜いてまいります。 ◯福島委員 まず、このコミュニケーションが英語で統一されていること、これは本当に、こういった英語を身につけなければ、こういった国際的な場では活躍できないんだということを国内の人たちにも感じさせる、そういったとてもよい取組だと思いました。  加えて、このポータブル水再生プラントや観光名所とまち中の回遊を把握するアプリなど、すぐにでも都が活用できそうなサービスについては、都有施設をフィールドとして提供したり、都の公共調達につなげるなど、都には、このCity-Tech.Tokyoの成果を次につなげる、そういった取組を求めます。  DXやGXなどの産業構造の転換とともに、我が会派はリスキリングの必要性をかねてより訴えてまいりました。そして、東京版ニューディールの一環として提案もしてまいりました。新たに、GXの動向を見据えた人材のグリーンシフトにも取り組むべきです。  環境関連産業への就職の支援や、さきの定例会でも取り上げたとおり、グリーン分野の人材を重点的に育てる拠点となる職業能力開発センターを選定し、施設、設備をバージョンアップするなど、成長産業であるグリーン分野に人材をシフトさせ、東京の国際競争力を高めていく取組を加速していくべきですが、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 将来の成長が見込まれる環境関連の事業分野で活躍する人材を増やすため、求職活動と能力開発の両面から後押しを行うことは重要でございます。  都は来年度、脱炭素の技術を生かし事業を展開する会社等に求職者が派遣で働いた後、そこで正社員となる支援を五百人の規模で実施いたします。  また、GXの技術に対応できる人材の育成に向け、職業能力開発センター赤羽校に関し、再生可能エネルギーのシステムを操作する実習を開始いたします。  さらに、環境に配慮した技術分野の会社への就職に役立つ訓練を行う拠点とするため、赤羽校の建て替えを図ります。  これらによりまして、東京版ニューディールの成果を踏まえ、環境関連の分野の人材確保を重点的に進めてまいります。 ◯福島委員 人生百年時代を見据えまして、シニアやプレシニアがより活躍できるようにしていくことも重要です。  都は、活動する意欲があってもできていない層に向けて、社会参加活動をマッチングするオンラインプラットフォームの構築を予算化しました。これは、コミュニティの強化にもつながる取組であり、高く評価をいたします。  しかしながら、このプラットフォームが成功するかどうかは、利用者と社会参加活動の双方の数を増やせるかどうかにかかっています。  リアルにおいてマッチングプラットフォーム的な役割をしてきたシルバー人材センターや社会福祉協議会、そしてボランティアレガシーネットワークなどの取組に今後参加していただくために、これらの団体がマッチングに必要としてきた機能を丁寧にヒアリングし、新たに開発するオンラインプラットフォームに搭載することが有効であると考えますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 人生百年時代において、高齢者が気軽に就労やボランティアへ参加できる環境づくりが重要でございます。  このため、都は今年度、社会参加の意欲がありながら活動につながっていないシニア、プレシニアに対して効果的な支援の在り方を検討するため、有識者等で構成する委員会を立ち上げました。自治体や民間の取組事例、高齢者等への意向調査なども参考に検討し、シニア、プレシニアと社会参加活動との広域的なマッチングのためのオンラインプラットフォームを構築することといたしました。  この構築に当たりましては、区市町村等から意見を聴取するとともに、今後、連携先となるシルバー人材センターや社会福祉協議会等の関係機関が必要とする機能を丁寧に聞き取るなどして、より多くの個人や団体が参加できるよう取り組んでまいります。 ◯福島委員 私は、都議会議員になる前に、こういった福祉協議会がやっている高齢者支援の取組に三年間ほど参加をしておりました。お隣のお隣のマンションに住んでいる八十代のご高齢の方だったんですけれども、その方の家に一週間に一度行って生活のお世話をするというものです。それは、私が望むこれからの社会において、肉親、血縁に頼らない、そういったネットワークができることが、その先の暮らしを豊かにするというふうに信じておりましたので、そういった仕組みを使って、私自身が体験しようと思って三年間続けてまいりました。その方は、その後私は転居をしたんですけれども、都議会議員になったときにおめでとうという手紙を送ってくださっております。  そこで感じたのは、やはり一番最初のマッチングが非常に難しいというお話でした。相性がよくないとやはり問題だそうで、そこは、社会福祉協議会の皆様が、このご家庭であればこの人が大丈夫であろうという、そういった経験に基づいたマッチングをされているわけです。こういったオンラインプラットフォームをつくっていただくときに、そういったノウハウをどこまで取り込んでいけるかということが肝だと考えております。  このプラットフォームの構築に当たりましては、ビッグデータ分析は当然なんですけれども、やりがいや環境でマッチングする、民間の人材マッチングサービスの取組、こういったことも起きておりますので、こういったことを参考に、双方が満足する、そういったシステムにしていく必要があります。  プラットフォームの開発に関わる仕様の確定に当たっては、民間で実施している人材マッチングサービスの工夫についても調査すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 オンラインプラットフォームの構築に当たりましては、来年度実施する基本計画の策定及びシステムの要件定義において、人材マッチングサービスも含め、既存システムに関する情報を幅広く収集し、最適な要件を検討してまいります。 ◯福島委員 ぜひお願いをいたします。  では、高齢化や後継者の減少が進む東京の農業においても、人材不足が顕著になっております。一方で、若者の就農意欲が高まっている、そういった報告もございます。新規就農する際の最大の課題は農地を見つけることであり、農地を借りやすい、貸しやすい仕組みをつくっていくことが極めて重要です。  加えて、農業法人等への就職など、安定した雇用環境を求める方や、テレワークの普及や副業、兼業などの柔軟な働き方と組み合わせる半農半Xを目指す方も出てきています。  東京農業を支える人材の確保に向けて、新規就農者が農地を借りやすくなるようなさらなる支援を強化するとともに、農業法人等での就農や半農半Xを希望する方など、サポートしていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は来年度、農業の担い手の確保に向け、新規就農者へのサポートの強化に加え、農作業に従事する人材を雇用し育成する企業への支援を開始いたします。  具体的には、農業を始める方に生産緑地を長期にわたり貸し出す取組を増やすため、貸主に対し、土地の面積に応じ、奨励金を支給いたします。また、農作物の生産を行う法人が人材や農地の確保を効果的に進めるための相談窓口を設け、助言を実施します。  さらに、こうした企業が農地を借り上げ、建物を含め整備を行う経費の五分の四の助成を行うほか、従業員の研修経費についても支援を実施いたします。  こうした法人への就職や副業による就農を目指す人材が、栽培技術を学び、農家とも交流する拠点の整備を図ります。これらによりまして、東京農業の人材確保を進めてまいります。 ◯福島委員 ありがとうございます。  加えて、次に、森林循環についてもお伺いをいたします。  東京の貴重な森林を守り育てるためには、森林循環を促進するとともに、多摩産材の需要を拡大していく必要があります。  持続可能な東京の森林循環を実現するため、工務店等が容易に多摩産材の情報を入手できるような環境の整備など、民間住宅における多摩産材の利用拡大を拡充するとともに、先進技術の利用により、多摩産材の供給面の効率化をさらに強化していくべきですが、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は来年度、多摩産材のPRを強化し、住宅資材での活用を後押しするほか、木材供給の効率化を支援いたします。  具体的には、多摩産材を幅広く紹介する拠点を区部に新設し、工務店や消費者にきめ細かい情報提供を行います。この拠点では、工務店と製材所のマッチングも後押しをいたします。  また、多摩産材等を利用し、省エネ性能の高い住宅に改修する場合、東京の農林水産物などと交換できるポイントの提供を二百件の規模で実施いたします。  さらに、作業の効率化に向け、伐採した木を最先端の技術を用い、自動で丸太に切りそろえる機械等を導入し、事業者に貸与いたします。 ◯福島委員 東京の農業や、そして林業をしっかりと支援する、そういった予算が組まれていることを確認させていただきました。
     この森林循環におきましては、十分な需要も必要です。  そこで、木材としての利用のみならず、再生可能エネルギーである木質バイオマスについても、採算性や課題など、今後実用性を研究していくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は、再生可能エネルギーを利用した農業生産の促進に向け、多摩産材で作り出した木質バイオマスの活用を進めます。  具体的には、多摩産材等を細かく砕いたチップ状の木質バイオマスを燃料とし、農業用のハウスに熱を供給し、野菜の生産を行うほか、発電機を動かし、電力を電気事業者に販売いたします。  来年度は、多摩地域に新たな農業用のハウスを整備し、それに木質バイオマスを使う機器を設置して、熱と電力の供給等を開始いたします。また、これに関し、生産者団体や学識経験者のほか、民間事業者にヒアリングを行い、その効果や収益性の向上に係る取組を進めます。  今後とも、多摩産材の活用を効果的に進めてまいります。 ◯福島委員 我々としましては、森林循環に向けた需要の拡大で、この木質バイオマスが果たす役割は大変大きいと考えております。まずは、農業分野で木質バイオマスの活用に取り組むというご答弁でしたが、ぜひ、他分野への展開に関しても、今後検討するように求めます。  企業における脱炭素化の取組を促進する上で、国際金融面からのアプローチである排出量取引が注目をされています。  昨年、エジプトで開かれ、知事も出席されたCOP27においても、脱炭素化に向けた手法としてカーボンクレジット取引について議論が交わされたというふうに聞いております。  都としても、脱炭素社会の実現に向けて、こうした世界的な動きに遅れることなく、企業における排出量の削減と資金調達の新たな手法となる排出量取引の活用に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 東京のカーボンニュートラルを効果的に進める上で、様々な企業が最大限のCO2削減を行い、その成果を他の会社にも提供し、産業全体の脱炭素化に結びつけるという視点は重要です。  世界では、CO2の排出量などを金融市場により取引する仕組みも立ち上がっています。ゼロエミッションの加速に向けて、排出削減の努力と金融システムを組み合わせる工夫は必要です。  国内におきましては、排出量を取引するJ-クレジット制度を使い、新たな市場を開く準備が進んでおりまして、これに東京の企業が速やかに参加できるよう後押しをしてまいります。  都内の中堅や中小の会社が、J-クレジットの取引を活用する場合の知識の提供や費用の負担を抑える支援を行ってまいります。また、排出量取引の活性化に向けました海外展開についてリサーチを進めます。  こうした着想の大切さにつきまして、先日のロンドン訪問でのロード・メイヤーとの面談を通し、改めて確信をしたところであります。  将来に向け、東京が環境先進都市として世界に存在感を発揮できますよう、国際金融の機能も高め、その活用を図りながら、着実に取組を進めてまいります。 ◯福島委員 小池都知事が、世界的な潮流をしっかりと視野に入れた上で、こういった取組を進められていることをお答えいただきました。  そして、その小池百合子東京都知事が進めております太陽光パネルの設置、これは我々としても、発生した電力を蓄電池やヒートポンプ給湯器等を用いて自宅で使えるようにしていくこと、これは、自家消費できることというのは、この脱炭素への寄与、そして災害対策、さらには電気代の高騰対策と三つの意味で、大変意義ある取組だと考えております。  一方で、都内で、土地を分割して戸建てを建てることが多いために、隣家との距離が近くなってしまって、ヒートポンプ給湯器などの稼働時の低周波音などが原因で、近隣住民との騒音トラブルになるケースが過去には起きてきました。  都民の理解や共感を得ながら再エネ機器等の導入を推進するために、例えば、今後行うこの補助金の申請において、業界団体等が設けた施工ガイドライン等に準拠することを求めるなど、近隣住民の生活環境配慮も重要です。  今後、導入が加速する太陽光発電を有効活用していくためにも、生活環境に配慮しつつ、自家消費をさらに推進する取組が必要だと考えますが、見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 太陽光発電設備による電力を自家消費することは、再エネ電力の有効活用や停電時の電力確保に貢献するため、脱炭素でレジリエントな住宅の促進に重要でございます。  そこで、都は今年一月から、蓄電池導入の補助率を大幅に引き上げるとともに、再エネ機器等の補助に当たっては、施工ガイドライン等への準拠の誓約を求めることとし、住宅関連団体を通じた周知等を開始したところでございます。  今後、さらなる自家消費の促進のため、太陽光発電の電力を利用できるエコキュートも同枠組みで補助対象といたします。  こうした取組を通じまして、生活環境に配慮しながら、再エネの有効活用を促進し、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。 ◯福島委員 都が、私たちの意向を踏まえまして、補助金という仕組みを使って、施工ガイドラインに準拠を求めていくと、こういった仕組みをつくっていただくことで、生活環境に配慮しながら、再エネの自家消費を促す、そういった仕組みとなってきて、これは非常に評価できる内容だと思っておりますし、さらには、こういった取組が、ちゃんと都民に伝わるように、「広報東京都」などでも注意喚起していただいたこと、これも高く評価をしております。  今後は、この機器の設置時だけではなくて、既に設置済みの機器も含めた運用においても、この設置事業者などが、設置者及び近隣住民の意見を真摯に受け止め、そして、対応するよう、都が要請等をしていくことを求めます。  次に、災害対策としてのグリーンインフラを取り上げてまいります。  令和元年東日本台風など頻発する豪雨により、全国各地で毎年のように水害が発生をしております。地表がアスファルト等で固められている都市部では、雨水が短時間で低地に流れ込み、浸水被害を引き起します。河川や下水道などの整備に加えて、その場で雨水を浸透させて流入速度を抑える貯留浸透施設の整備、これを流域対策と呼びますが、これについても強化をしていくことが必要です。  そこで、現在の東京都豪雨対策基本方針に示された流域対策の目標値である時間十ミリ、これに対する現状の実施状況についてお伺いいたします。 ◯福田都市整備局長 気候変動の影響により激甚化、頻発化する豪雨から命と暮らしを守るためには、対策の強化が必要でございます。  都では、東京都豪雨対策基本方針を策定し、河川や下水道整備、流域対策等の取組を定め、総合的な治水対策を推進し、過去の台風においても一定の効果を発揮いたしました。  流域対策については、例えば、区部では、目標降雨である時間七十五ミリのうち十ミリを分担しており、地元自治体と連携して推進してまいりました。  基本方針に定めた豪雨対策を強化する神田川など九流域におきまして、時間十ミリに相当する対策量六百五十四万立方メートルを令和十九年度までの目標としております。  令和二年度末までの進捗率は約六割となっており、おおむね順調に推移しております。 ◯福島委員 おおむね計画どおりというご答弁でした。  TOKYO強靭化プロジェクトでは、現行水準の一・一倍となる時間八十五ミリの対策を進める必要があるとされており、流域対策についても、時間十ミリから、さらに強化していく必要があるというふうに考えております。  シンガポールやニューヨーク等の諸都市、そして、国内では、私の地元世田谷区などの自治体では、自然の遊水機能を保全、活用する雨庭や建物緑化など、従来の流域対策にとどまらない、そして、見た目にも魅力のある雨水浸透策であるグリーンインフラを推進しています。  私たちの働きかけにより、TOKYO強靭化プロジェクトには、風水害対策として、グリーンインフラのキーワードが新たに追加をされました。今後、例えば、都立公園に雨庭を設けるなど、都の率先した取組が期待されますが、現状では、都有施設にどれだけ浸透機能を追加できる余地があるかなどは把握していないというふうに伺っております。  そこで、東京都豪雨対策基本方針の改定に当たっては、諸外国や国土交通省、さらには、先進自治体の取組にも学びつつ、流出抑制策としてグリーンインフラの観点を加え、施策の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方でございます。  雨水貯留浸透施設は、雨水を地下に浸透させる機能を有し、グリーンインフラの趣旨に合致する施設であり、都はこれまでも、基本方針に基づき、道路や学校、公園、庁舎などの都が管理する施設の更新時等に雨水貯留浸透施設の設置を行うことや、区市町が設置する浸透施設等に対して補助を行うなど、流域対策を促進してまいりました。  今後、豪雨対策基本方針の改定に当たりましては、グリーンインフラの趣旨も踏まえ、雨水流出抑制対策の強化に向け、都や地元自治体が管理する施設における取組なども含め、幅広に施策を検討してまいります。 ◯福島委員 これまでも、都有施設等の更新時に取組を行ってきたということでございますが、今ご答弁にあったように、このグリーンインフラの趣旨も踏まえ、さらに幅広に検討されるということで、期待をいたします。  これまで、グリーンインフラの推進が難しかった理由の一つに、浸透機能を評価すること、これがございました。実は、この領域に関しては、研究事例も増えてきておりますので、調査研究を併せて要望させていただきます。  次に、都心の緑の確保について伺います。  ロンドン、ニューヨーク、シンガポールなどでは、都市づくりにおいて、緑や公園へのアクセスを数値目標として設定するなど、都市づくりにおいて、緑の重要性が位置づけられています。  特に、シンガポールでは、屋上緑化、壁面緑化に加え、中空階や屋内の緑化をも実現した緑化建築、グリーンビルディングが普及し、立体的緑化を実現しています。また、一昨年、シンガポール・グリーンプラン二〇三〇を策定し、二〇三〇年までに、年間の植樹本数を二倍とする、百万本の植樹を達成し、さらには、全ての居住地から徒歩十分の距離に公園を造る、こういった高い目標を設定して、都市の魅力創造に力を入れているというふうに聞いております。  再開発で緑の総量を減らさず増やしていく取組、使われなくなったインフラ等を緑化し活用する取組、緑化建築等の立体的な緑の創出を支援推進するなど、こうしたあらゆる開発機会を利用し、都市空間の中に戦略的に緑を創出し、東京の新しいまちづくりを推進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 東京が世界から選ばれ、世界をリードしていく、そのためには、人々の活力と都市の成長を生み続けるとともに、都市づくりの様々な機会を捉えまして、都心の緑を保全、創出し、安らぎや潤いのある快適な都市環境を形成することが必要です。  都はこれまで、民間事業者による都市再生を適切に誘導し、生物多様性に配慮したまとまった緑を創出しておりまして、大規模開発の多い都心の三区で、緑被率は増加をしております。  今後、海外の先進事例も参考としながら、例えば、ベイエリアにおきましては、建物の中間階や低層部のテラスなどにおいて、緑の質や量の評価に新たな視点を取り入れて、人々が憩う緑の空間として、立体的な緑の充実を図ってまいります。  銀座を走るKK線におきましては、世界から注目される観光拠点を目指しまして、豊かな緑に囲まれた空中回廊として、早期開放に向けて取り組んでまいります。  あらゆる方策を駆使して、世界に誇るゆとりと潤いに満ちた東京を実現し、東京の国際的なプレゼンスを高めてまいります。 ◯福島委員 現在、都は、緑あふれる東京プロジェクトを推進、緑被率やみどり率など平面的な指標を用いていますが、例えば、緑がどの程度目に入るかを示す緑視率を用いれば、立体的な緑の価値が高まります。  都民のクオリティー・オブ・ライフ、QOL向上のため、都民が求める緑の在り方を反映した指標を検討していただくよう、要望いたします。  海外の先進都市では、公園や緑を核にまちづくりを行い、治安や生活環境を改善し、都市の魅力を高めている、こういったお話をさせていただきました。このような世界的な潮流の中で、私たちの提案に対し、二〇一八年に、都は、都立公園大改革を掲げましたが、最も期待をする民間活用については、一部の都立公園で部分的にパークPFIの取組が進められているだけにとどまっています。  パークPFIやその他の官民連携手法を積極的に活用し、民間が公園を企画、整備し、運営していく取組を拡充するべきです。そうした観点から、改めて戦略と実効性ある都立公園大改革を推進するため、外部有識者や民間委員を入れて、抜本的な見直しと取組の加速を行うべきですが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 都民の貴重な財産である都立公園を、民間の発想を生かし、より親しみや楽しみを感じる公園へと変え、東京の魅力につなげていくことは重要です。  都はこれまで、誰もが遊べるインクルーシブな遊具広場の整備や民間と連携したカフェなどの設置、四季を通じた大花壇や照明による演出など、新たな取組を推進してまいりました。  現在、明治公園などにおきまして、パークPFI制度による公園整備を実施しておりまして、日比谷公園大音楽堂におきましても、この制度を活用して、新たな整備を進めてまいります。  来年度には、社会状況の変化も捉えまして、学識経験者や都民の意見などを聞きながら、都立公園の整備運営の基本となるマスタープランを一年前倒しで改定をいたします。  今後、ほかの自治体の好事例も参考に、大胆な民間活用も含めて検討を進め、都立公園大改革の取組を加速してまいります。 ◯福島委員 公園の魅力を評価する指標として、私からは、ロケーションデータの活用を提案いたします。これは、スマートフォン等から取得する位置情報を基に、どんな属性の人たちがどのように動いたかを分析できるものです。  私たちが考える都民にとって価値ある公園は、多様な都民が立ち寄り、条件が整えば長く過ごしたくなる、そんな公園であり、利用者の数、属性、滞在時間などで評価できると考えます。公園に関する様々な取組が奏功しているかどうかの評価にデータ分析を導入するなど、取組の確実なブラッシュアップを求めます。  まちづくりにおいては、ハード面の整備に加え、そこで暮らす都民や民間企業が参画し、行政や大学等が支える公民学が連携したまちづくり組織も重要です。  先行事例として有名なのが、柏の葉まちづくりで中心的な役割を果たしているアーバンデザインセンター、UDCであり、長野県も県としてこれを導入しています。  こうした取組に必要なのが、人材と資金の持続性です。都心では、民間ディベロッパーの支援を受けることもできますが、特に多摩地域におきましては、行政側のサポートが不可欠です。  多摩のまちづくりを推進していく上で、公民学が連携したまちづくり組織の組成が重要だと考えますが、多摩のまちづくり戦略での取組の方向性について見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 多摩地域では、人口減少が見込まれる中、新しい働き方、暮らし方など価値観が変化しており、まちの抱える課題は多様化、複雑化しております。  多摩地域の発展に向けては、行政だけでなく、企業や大学など、地域のまちづくりに関わる多様な主体と連携して解決を図る必要がございます。  そのため、公民学が連携して多摩のまちづくりの促進を図る仕組みとして、地元自治体が活用できるプラットフォームを都が新たに構築し、取組を支援してまいります。  これらを含め、今月中に多摩のまちづくり戦略の基本的な考え方を示した後、年内に成案を取りまとめ、魅力あふれる多摩地域の実現に向け取り組んでまいります。 ◯福島委員 公民学が連携したまちづくりを促進するためのプラットフォームを新たに構築する方針を評価いたしますが、さきにも述べたように、多摩地域においては、資金面の支援が必要であり、今後の支援制度の構築を求めます。  次に、多摩地域のホームドア整備の加速について伺います。  ホームドアの整備の補助対象を決める際の基準として、都は、駅の利用者数を用いてきました。このために、相対的に利用者数の少ない多摩地域では、ホーム上や駅周辺の環境から、早期に整備するべき駅においても取組が遅れてきました。  二〇一八年に、我が会派から補助基準の見直しを提案、都は、利用者十万人未満の駅にも補助の対象を拡大しましたが、都の求めに応じ、JRなど私鉄各社から示された整備計画によれば、対象となる駅は限られています。  今般、三月十八日より、鉄道各社は、ホームドアなど、この整備に充てられる運賃上乗せ制度を利用し、多くの路線で十円値上げを実施しますが、この機を捉えて、整備を一気に加速するべきです。  東京都の補助制度を維持することと併せて、JR等私鉄各社の整備計画の加速を求め、特に遅れている中央線や京王線などの多摩地域のホームドア整備が二〇二〇年代中に進むよう、各社の運賃上乗せを契機に取組を加速するべきですが、見解を伺います。 ◯福田都市整備局長 都は、令和元年に取りまとめた優先整備の考え方も踏まえ、鉄道事業者に整備計画の策定を求めるとともに、令和二年度からは、補助対象駅の拡大など、支援策を拡充しております。  国は、都市部では、利用者の負担も得て、駅のバリアフリー化を加速するため、令和三年に新たな料金制度を創設いたしました。都内では、JR東日本など五つの事業者が、この制度を活用した二〇三〇年代半ば頃までの長期的な計画を公表しております。  都は、この機も捉え、さらなる整備の加速を図るため、補助制度を継続するとともに、事業者に整備計画の充実、前倒しを求めるなど、ホームドアの早期整備を働きかけてまいります。 ◯福島委員 運賃上乗せに加えて、都の補助を継続させることは、非常に大きなインセンティブであり、鉄道事業者との整備の加速を具体的に協議していただくよう求めます。  コロナ禍で減少した公共交通の乗客の減少が回復する中、都営地下鉄は、民間鉄道会社に比べて、乗客の戻りが遅れているというふうに聞いています。  厳しい経営状況を鑑み、都は今年度、都営交通の経営に関する有識者会議を設置、経営改善の検討を進めていますが、運輸事業の収益強化はもとより、商業、サービスや不動産など関連事業まで含めた抜本的な見直しが必要です。  外部の知見を取り入れ、運賃収入の増加、収益の多角化、コスト削減などを徹底的に行い、都営交通の経営を立て直すべきですが、見解を伺います。 ◯武市交通局長 交通局では、経営計画二〇二二に基づき、旅客誘致や経費の縮減など、収支両面から経営改善に努めておりますが、想定より鈍い乗客数の回復や電気料金の高騰などにより、事業環境は厳しさを増しております。  こうした中、既存の枠組みや手法にとどまらず、幅広い見地から方策を検討するため、有識者会議を設置し、議論を進めております。  これまでの二回の会議では、行動変容による利用状況の変化を捉えたサービスの提供や将来の収益につながる投資の必要性、運賃設定や負担の在り方など、様々なご意見をいただいております。  来年度は、事業ごとに議論を深め、不動産や駅構内店舗など関連事業につきましては、臨時の委員も委嘱して議論を行うなど、経営改革に向けて取り組んでまいります。 ◯福島委員 市場経営についてもお伺いいたします。  昨年、今後五年間の施策と財政計画を示す東京都中央卸売市場経営計画が策定をされました。  そもそも、中央卸売市場の取扱額が長期的に減少する中で、従来の約二倍の規模の豊洲に移転したことから、市場経営は当初から大幅な経常赤字になることが見込まれていました。築地市場の有償所管替えで、見かけ上、市場会計が得た六千億円は、本来都民の資産であり、市場の赤字補填に使われてよいものではありません。  今後、コロナ禍から脱却する中で、市場経営の改善についても、早期に取組の果実を得ていく必要があります。  令和二年には、有識者会議である市場の活性化を考える会から、民間経営手法の活用可能性を検討するべきとの指摘を受けており、市場経営計画においても言及されています。この間、検討してきた民間経営手法の活用可能性について、具体的にどのような取組を行っていくのか見解を伺います。 ◯河内中央卸売市場長 市場を取り巻く環境が変化する中におきましても、中央卸売市場が重要な使命を将来にわたり果たしていくためには、強固で弾力的な財務基盤の確保が必要でございます。  そのため、令和三年度に策定いたしました東京都中央卸売市場経営計画では、経営改善の取組の一つとして、民間経営手法について、アウトソーシングの拡大や施設運営の手法などの研究を進めた上で、都における活用可能性の検討を行うこととしております。  現在、民間経営手法につきまして、大阪府中央卸売市場の運営形態など、他都市における事例等の研究を行うとともに、市場会計の財政状況や他の経営改善策などと合わせて、業界との意見交換を始めております。こうした取組により、市場会計の収支改善を図り、都民に対する円滑で安定的な生鮮品等の供給を確保する役割を着実に果たしてまいりたいと考えております。 ◯福島委員 市場の活性化を考える会の議論まとめでは、市場別の収支状況をはじめ、現場施設の運用実態を経常的に把握、分析、管理するべきという指摘があります。早期の対応を求めます。  都民の安全・安心に関して幾つか伺います。
     関東大震災から百年の節目である本年、都は、東京強靭化プロジェクトを策定、推進するとともに、防災DXの一環として、災害時都民台帳システムを新たに計上しました。防災DXの一環として、このシステムにより、被災者の状況を各区市町村がそれぞれ把握するだけではなく、都として一元的に管理、把握し、適切に活用していくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯野間総務局長 大規模災害の発生時、都は、広域的な視点から、都民の住居の確保や経済面での生活再建、各種復興計画の策定などの業務を担っており、都内の被災者の状況を把握し、一日も早い再建につなげることが重要でございます。  こうしたことから、都は、各区市町村が発災時に個別に作成、保有する被災者のデータを都及び区市町村間で共有するシステムを新たに構築いたします。  このシステムによりまして、家屋の被害状況や配慮すべき事項等のデータを各自治体の枠を超えて一元的に把握することで、生活再建と復興業務に係る施策を速やかに進めていくことが可能となります。 ◯福島委員 災害時都民台帳システムの内容についてご答弁いただきました。  一方で、今後は、発災直後についても、DX、これを進めることが重要であると考えます。  令和三年五月の災害対策基本法の改正におきまして、この避難行動要支援者を対象とした個別避難計画の作成、これが努力義務化されまして、区市町村で作成が進められています。しかしながら、この要支援者に関する情報というのは、日々変わってまいりますし、これを更新する方法やもしくはこの災害発生直後の状況把握、これはかねてより困難であることが指摘をされてきました。デジタルを活用することにより、これらの解消が見込まれます。防災DXのさらなる対象拡大を求めます。  次に、災害時のトレーラーハウスの活用についても伺います。  東日本大震災以降、プレハブなどの仮設住宅設置だけではなくて、より機敏に設置ができ、移動が可能なトレーラーハウスやコンテナハウスを災害時に活用する取組が出てきています。  例えば、熊本地震などでは、平時はキャンプ施設などで利用していたトレーラーハウスを災害時の住宅等に利用した事例や、長野県でも、豪雨災害の際にトレーラーハウスを住居として活用した事例があります。  災害時の仮設住宅などの設置は、都がハウスメーカーなどの事業者と協定を結んでいますが、プレハブ等の仮設建設によるものだけではなく、トレーラーハウスやコンテナハウスなどを活用することで、住宅や集会所として提供できるように体制を構築するべきですが、見解を伺います。 ◯山口住宅政策本部長 近年の地震や水害による応急仮設住宅としまして、トレーラーハウスやコンテナハウスが、一部の地方自治体で採用された実績があることは承知をしております。  都では、応急仮設住宅等を迅速に提供するため、公的住宅や民間賃貸住宅の空き住戸のストックを活用するほか、必要に応じまして、大規模災害の発生時には建設型の応急仮設住宅を提供することとしております。  トレーラーハウスなどによる応急仮設住宅に関しましては、他県等における協定締結の状況や設営上の課題などを整理しているところでございまして、今後は関係事業者からもヒアリングを進め、対応などについて検討してまいります。 ◯福島委員 他県の事例を参考に検討するとの答弁を評価します。今後はさらに、平時は他用途に活用しながら、災害時には住居をはじめ、災害対応拠点機能や福祉交流機能の拠点等に活用できるよう、関係局で検討を深め、対応を進めることを要望いたします。  次の安全に関する質問として、先日、本会議の代表質問において、東京こどもすくすく住宅認定制度を通じて、この子育て支援に資する住宅政策を進めるように求め、都からは認定住宅に対して、一戸当たり最大二百万円を上限に、整備費などを支援していく旨の答弁がありました。  この認定制度による支援を高く評価をしますが、ベランダの手すりから室外機までの距離が六十センチ以上といった条件があり、その認定条件を満たせない場合にも、安全柵の設置など、安全対策を講じる必要があると考えます。  都は、こどもすくすく住宅認定制度において、マンション事業者や賃貸住宅オーナーを通じて、子育てに配慮された良質な住宅の供給を促進していくこととしていますが、その一方で、こうした認定制度は、既存の分譲マンションの区分所有者には、活用しづらいものがあると考えます。  子供の安全の確保は待ったなしであり、そうした分譲マンションの区分所有者に対し、子供の安全性の向上を図る取組を後押しするべきと考えますが、見解を伺います。 ◯山口住宅政策本部長 子供の転落事故など家庭内での事故が依然として発生する中、分譲マンションの居住者が安全に暮らせるよう支援していくことが重要でございます。  そのため、都は来年度から、区分所有者等を対象に、「子供を守る」住宅確保促進事業を開始しまして、子供の安全性の向上を図るための改修等を促進してまいります。  具体的には、ベランダに置くエアコンの室外機が足がかりとならないような柵の設置や指挟み防止機能のついた扉への改修等に要する費用の一部を直接補助しまして、子育て世帯の住まいの安全の確保にきめ細かく取り組んでまいります。 ◯福島委員 最後になりますが、東京二〇二〇大会に関連して質問をいたします。  私たちはかねてより、組織委員会のガバナンスの問題を繰り返し指摘をしてまいりました。既に二〇一六年には、都の都政改革本部も、組織委員会に対する都の関与や情報公開などガバナンス改善の必要性を問題提起していたものの、当時の組織委員会の森喜朗会長は、我々は東京都の下部組織ではない、都の監理団体となることはあり得ないと発言し、都の拠出金のうち五十七億円を都に返還するなど、外部からのチェックを避ける対応を繰り返してきました。  このような中、今日多くの不正が明るみになりましたが、報道によると、大規模スポーツイベントの経験者が不足する中で、特定の人物に権限が集中した、理事会や経営会議、そして調達管理委員会は、事務局の決めた方針や結果を追認するだけだったなどの問題点が、関係者の証言として指摘をされております。  都は、既に調査チームにおいて調査を進めていますが、現在どのような課題が議論されているのか伺います。 ◯中村政策企画局長 組織委員会のガバナンス、コンプライアンスについては、これまで様々な場面で議論がなされてまいりました。  都政改革本部や組織委員会におけるエンブレム選考過程に係る調査等においては、結果第一主義に浸った仕事の進め方や重大な公益事業を担う組織委員会の公正性や透明性への認識の不足、経営全般の在り方に対する都の指導監督の必要性などの課題が指摘されております。  調査チームにおいては、こうした課題や事件の背景、組織の問題等も含めて、外部有識者の専門的見地から議論、分析を行っていただくなど、調査を深掘りしております。  都としては、徹底した調査が行えるよう、有識者をサポートしております。 ◯福島委員 贈収賄事件や談合事件について、本来、組織委員会自らが検証し、改善策を策定するべきでした。その組織委員会の事務総長でもあった方も名を連ねる清算法人は、例えば、その時々に関わった理事などに話を聞くなど、必要な対策を進んで行うべきと考えます。  談合事件の捜査が進む中で、組織委員会の業務や組織運営がどうであったのか。受注事業者や国や民間からの派遣職員等への聞き取りも含め調査を行うとともに、清算法人に対して主体的な対応も働きかけるべきですが、見解を伺います。 ◯中村政策企画局長 都はこれまで、清算法人に対して、捜査に全面的に協力するよう働きかけるとともに、契約手続等の確認や規程等関係書類の提供などを求め、調査チームへの協力を得てまいりました。  今後、組織委員会におけるガバナンスの実態や課題等の分析を深めるため、捜査に支障が生じない範囲で、組織委員会の元幹部や受注事業者、他団体からの派遣者など、都派遣職員以外からの聞き取りを含めた都の調査への協力を求めてまいります。  さらに、清算法人として主体的な対応を行うよう働きかけてまいります。 ◯福島委員 大会運営には多額の公費が投入されており、受注事業者が談合で不当な利益を得ていた場合は、その損害を賠償させる必要があります。  さきの代表質問において、都は、談合による排除命令等に基づき、事業者に対する損害賠償請求を行うなど、法令にのっとり対処するよう清算法人に求めるとしており、適切な損害賠償請求を行った上で、都として、清算法人に対し、公費を返還させる必要があります。  また、こうした業務は、清算法人が担うことになりますが、清算法人任せにして、不十分な対応や安易な妥協をすることは許されません。  今後、損害賠償請求や公費返還等を迅速かつ適切に行えるよう、清算法人における体制の確保や都としてのチェックの仕組みを講じるべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 談合が確定した場合には、適切に損害賠償請求や公費返還の対応を行うことが、都民の信頼と納得を得る上で不可欠であります。そして、こうした対応の実効性を確保する業務体制が重要です。  都は、大会運営や組織委員会の実務に経験と理解を有する都の職員を清算法人に派遣することや、法的対処につきましてチームで集中的に検討できるよう、都の職員が清算法人の職を兼職するなど、清算法人の体制確保に向けた支援を検討いたします。  都におきましても、清算法人が行う損害賠償請求、公費返還等への対応につきまして、適切に関与やチェックができますよう、体制の確保を図ってまいります。 ◯福島委員 大変重要なご答弁をいただきました。引き続き、この清算法人の取組を都がしっかりとチェックをしていっていただきたいと思います。  東京二〇二〇大会をめぐる汚職の数々は、大会成功に向けて真面目に取り組んできた関係者、そして、期待するとともに都税を通じて開催資金を担った都民に、まさに泥を塗る行為で、許しがたい行為です。  私は、これらの汚職に加担した人物が、長らくこの業界で仕事をしてきたシルバーグレーばかりであることに留意する必要があると考えます。そして、圧倒的に経験が不足している行政側の人材が、このような人材をハンドリングするのが難しいであろうことは想像に難くありません。  一方で、国際スポーツ大会を東京で開催することは、東京の都市としての活力やプレゼンスの向上につながります。また、東京二〇二〇大会でもそうであったように、そうした大会に都職員が関与することは、通常の業務では得られない経験を積み、成長する機会にもなります。本来は、こういった国際大会では経験を積める、そういった中堅、若手がどんどんその責任ある立場をやっていく、そういった必要があると考えます。  都が国際スポーツ大会に引き続き関与していくに当たり、東京二〇二〇大会を教訓に、二〇二五年には開催が予定されている世界陸上やデフリンピックにおいては、スポーツ行政を牽引する人材が、経験、成長できる貴重な機会と捉え、生かしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 二〇二五年に開催される世界陸上及びデフリンピックを通じまして、都の職員が都庁内では得難い貴重な経験を積むことは、今後のスポーツ施策をリードし、さらには都政を牽引する人材の育成につながり、有用でございます。  例えば、デフリンピックでは、大会の運営実務を担う都スポーツ文化事業団に、東京二〇二〇大会の経験を有する都職員などを派遣することといたします。  競技会場の運営や国内外の関係者との調整などを幅広く経験させ、スキルアップを図ってまいります。  また、大会開催を通じて、事業団に国際大会の運営に必要な知見も蓄積することができます。  両大会の開催を通じて得られた都職員の経験や知見を、大会後、他の国際スポーツ大会や競技団体の支援に活用し、誰もがスポーツを楽しめるスポーツフィールド東京を実現してまいります。 ◯福島委員 都のスポーツ文化事業団を、実務を通じてスポーツ行政人材育成の場として活用する、新たな、そして未来を見据えた取組に期待をいたします。  以上、私は、今回の質疑で、そして各所で、評価や検証を求めてまいりました。  私は、現在、都議会議員として二期目、小池都知事が掲げる東京大改革の旗印の下、改革意欲を持ってここに集った一人であります。そして、その前職として、二十二年間ではありますが、研究開発の現場にいたというバックボーン、これを持つ私が、都民のために政治に持ち込めることは何かと常に考えてまいりました。  研究開発は実験ありきです。そして、答えがあるかどうかは、あらかじめ自然が決めていて、知恵を巡らし、実験をして、すなわち自然の胸を借りながらたどり着くという感覚があります。私は、その研究開発において製品化、これを実現することができたわけですけれども、千三つといわれるように、実は私がそういった製品化に関われたのは、やっぱりプロセスだけじゃなくて、この自然界に解があったところにたどり着くことができた、ある意味、運に恵まれていたというふうに考えております。シミュレーション技術も進展はしていますが、最後はやっぱり実際にやってみて確かめる、これがとても大事です。  机上で仮説をつくって実験することで、必ずそこには発見があります。発見というと聞こえはいいんですけれども、実はその多くは、事前に気づけたはずなのに、自然に教えられるということが大半ですが、中には、時々思っていなかったこと、新しい発見があります。それが発明や発見につながります。つまり、机上検討じゃ駄目なんです。やって初めて新しいもの、そして創造的なものは生まれてきます。偶然から発明や発見につながったという話を皆様もよく聞かれると思いますが、頭で考えて、網をかけた範囲の外に答えがあった、そういうことはよくあります。  二〇一九年、そして二〇二一年のノーベル経済学賞は、EBPM、これが受賞対象でした。世界が政策を適用した結果、社会がどうなったかを科学的に見て、次の政策に生かす取組を求めています。  少子高齢化が進むこの日本において、針の穴を通すようなこの政策、ここを乗り越えるための政策のブラッシュアップに、ぜひこういった取組を生かしていく必要があります。  都知事が掲げるスピード感を持ってまずはやる、そして、アジャイルに取り組むという方針は、これまでの持続性や確実性を旨とした行政の大改革、このように私は考えております。社会課題解決に向けて政策を考え、実行し、そして、その結果がどうなったか、都民に向き合い、都民の胸を借りて、政策をブラッシュアップしていく政治、これが私の考える都民ファーストです。  減点のための評価ではなく、価値を生み出すためのプロセスの評価に、楽しく、そしてイノベーティブに取り組んでいただくことを求めて、私の質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手) ◯菅原副委員長 福島りえこ委員の発言は終わりました。  この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。    午後四時五十五分休憩      ━━━━━━━━━━    午後五時十分開議 ◯高倉副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  まつば多美子理事の発言を許します。 ◯まつば委員 令和五年度予算案には、都議会公明党が一昨年の都議選の政策目標で掲げたチャレンジエイトのうち、第二子の保育料無償化、高校生世代までの医療費無償化、さらには私立中学校等の授業料負担軽減や帯状疱疹ワクチン接種への助成、耐震改修への補助の拡大など、都議会公明党のこれまでの政策提言や要望が幅広い分野で反映されており、高く評価をいたします。  しかしながら、こうした都民の暮らしを守り抜くための重要な政策が一過性のものであってはなりません。それを裏づける財政運営が盤石なものかどうかが重要となります。  そこで、まず、都財政の現状と今後の財政対応力について掘り下げて質疑を行うことで、こうした政策の継続性を確認していきたいと思います。  最初に、今後の財政対応力を考える上で振り返っておかなければならないのは、コロナ禍での財政需要の増加についてであります。  この間、都は、都議会公明党の政策提言を踏まえ、累次にわたる補正予算を編成し、コロナ禍に柔軟に対応してきました。都民の命を守るための施策には、ちゅうちょせず財源を投下すべきことは自明の理であり、今後もこうした突発的な財政需要を想定した財政運営を行わなければなりません。  そこで、令和二年度から令和四年度における年間のコロナ対策経費と国の財源、都の財源の内訳について説明を求めます。 ◯吉村財務局長 令和二年度決算における医療提供体制の確保や社会経済活動を支える取組など、コロナ対策経費は全体で一兆七千四百六億円でございまして、このうち、国からの財源が全体の四五%で七千八百九十八億円、都の財源が残りの五五%で九千五百八億円となっております。  令和三年度決算におけるコロナ対策経費は全体で二兆五千六百二十八億円、このうち、国からの財源が八四%で二兆一千四百十一億円、都の財源が一六%で四千二百十七億円でございます。  また、令和四年度の予算額では、コロナ対策経費全体で一兆一千九百三十八億円、このうち、国からの財源が七二%で八千五百七十五億円、都の財源が二八%で三千三百六十二億円となっております。 ◯まつば委員 ただいまのご答弁で、ポイントが二つあると思います。  一点目は、都の財政負担としては令和二年度が最も多く、実に一年間で一兆円もの財源を投入しましたが、このコロナ初年度に、都は公明党の要請を受けて、ちゅうちょない対応で未知のウイルスとの闘いを展開し、国をもリードすることができたということであります。  二点目は、都のコロナ対策で、令和三年度決算額では国が八四%、令和四年度では国が七二%の負担をしたと。こうした国との財政的な連携もあってこそ、対策の効果が発揮されたものであると。この二点を思っております。  事実、令和三年六月補正予算の編成に際して、財政調整基金が一時枯渇寸前、二十一億円にまで減少したことは、まだ記憶に新しいところでもあります。今後も、自然災害や新たな感染症など突発的な財政支出があっても、十分に対応できる強固な財政基盤を堅持しなければなりません。  そこで、都の財政運営における基金の重要性について、令和五年度末における基金全体の残高見込み、財政調整基金の残高見込みと、併せて知事の認識をお伺いいたします。 ◯小池知事 都の歳入構造は、法人二税の占める割合が高く、景気動向の影響を受けやすい特徴を有しております。リーマンショックの際には、一年間で約一兆円もの税収減に見舞われたところであります。  加えて、都は地方交付税の不交付団体でもあり、他の自治体以上に自立的な財政運営を行っていかなければなりません。突発的な財政需要や税収減などのリスクに備えつつ、百年先も豊かさにあふれる持続可能な東京を築き上げてまいります。  そのためには、強固な財政基盤の堅持が不可欠であり、中でも基金は、財政運営上重要な役割を担っています。こうした認識の下、令和四年度最終補正予算におきまして、新たに三つの基金を創設するなど、基金残高の確保に努めておりまして、五年度末における基金全体の残高は一・七兆円、財政調整基金の残高は六千億円となる見込みでございます。  高齢化の進行や都市の強靭化、産業構造の転換など、東京が抱える課題への対応を図りつつ、今後とも都民の暮らしを守るための積極的な施策を継続的に展開していくことができますよう、基金の戦略的な活用を含め、持続可能な財政運営に努めてまいります。 ◯まつば委員 都の財政運営における基金の重要性について、まさに都議会公明党の考えとも一致するものであります。  一方で、特に財政調整基金については、リーマンショックにより一年間で一兆円の税収減、あるいはコロナ対策で一兆円の財政支出などの経験を踏まえますと、まだまだ十分ではないといわざるを得ません。  一時、二十一億円の残高見込みにまで減少した財政調整基金の残高が、六千億円程度にまで回復してきた点については評価をいたしますが、様々なリスクに備え、さらなる基金の積立てなどの努力の一層の強化を改めて求めるものであります。  また、もう一つ重要な視点として、施策の新陳代謝を高める取組について質問をします。  都は、令和五年度の新規事業について、マイナスシーリングや事業評価の取組、施策の終了、転換により約二千四百億円の財源を確保し、未来への投資を行ったとしています。  中でも、都議会公明党が推進をしてきました複式簿記・発生主義による公会計制度も分析のツールとして活用した事業評価の取組により、継続的に事業見直しを行っていくことが重要だと考えております。  そこで、これまでの事業評価の取組の経緯と財源確保額の推移について説明を求めます。 ◯吉村財務局長 事業評価は、財政再建期に集中的に実施した事業見直しの成果を踏まえ、財政再建達成後も見直し努力を継続する仕組みとして再構築したものでございます。限られた財源の中で都政の諸課題に対応するため、事業の効率性、実効性の向上、無駄をなくす取組の徹底へとつなげております。  評価に当たりましては、資産等のストック情報や減価償却費などを含めた真のコスト情報を明らかにする新公会計制度を分析のツールとして活用するとともに、全ての事業に終期を設定し事後検証を徹底するなど、毎年度、創意工夫を凝らしながら着実に実績を積み重ねてまいりました。  こうした取組によりまして、令和五年度予算編成では約一千百四十一億円の財源を確保し、事業評価の取組を開始した平成十九年度以降十七年間の合計で、約八千八百億円の財源確保へとつなげてまいりました。 ◯まつば委員 事業評価の取組によりまして、これまでの合計で約八千八百億円、令和五年度は一千百億円を超える財源確保につなげたとの答弁でありました。  公明党が推進してきた複式簿記・発生主義による公会計制度を分析のツールとして活用した事業評価により、継続的に財政対応力を高めてきたこれまでの取組が、今回の子育て施策の大幅な拡充などへとつながったものと評価をしております。  引き続き、役割を終えた事業はきちんと終わらせ、重点的に取り組むべき事業に財源を回す、こうした事業の新陳代謝を高める取組を一層強化することで、重要な施策を継続的に実施していくための財政対応力を強化していくことを改めて強く求め、次の質問に移ります。
     次に、耐震化促進税制について質問をいたします。  都議会公明党が度重ねて訴えてきた新耐震基準の耐震化について、さきの代表質問におきまして、都議会公明党は令和五年度の予算案での対応について見解を求めました。都は、診断や設計、改修について、旧耐震と同様の助成を開始するとの答弁があったところでございます。  現在、旧耐震基準の家屋については税制面から支援し、災害に強い東京を実現する目的で、固定資産税と都市計画税の減免を行っています。  そこで、令和五年度から助成を開始することから、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅を改修した場合も耐震化促進税制の軽減対象に加えることができないのか、都の見解を求めます。 ◯小池主税局長 都は、二十三区内において、昭和五十七年一月一日以前から所在する旧耐震基準に基づき建築された住宅を令和六年三月三十一日までに耐震改修した場合に、国の減額制度に上乗せをし、固定資産税及び都市計画税の減免を行っております。  平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅を改修した場合も、耐震化促進税制の軽減対象に加えることについては、都の新たな助成制度及び区における助成制度の導入状況等との整合性や、減免対象となる建物の確認方法といった課題がございます。令和五年度末に適用期限を迎える国制度の動向も注視しつつ、関係局とも連携しながら、制度と実務の両面から、課題解決に向けた検討を行ってまいります。 ◯まつば委員 様々課題があるということでございましたが、やはりしっかりとこの新耐震基準の住宅の改修、これを行っていくことは必要でございますので、ぜひ税制面からの検討を行っていただきたいということを改めて強く申し述べさせていただきます。  続きまして、子供、子育て施策について質問をさせていただきます。  私は、二〇〇五年十二月の一般質問より、チルドレンファーストの社会実現を目指して質疑を繰り返し行わせていただいてまいりました。特に、ゼロから二歳の子供の育ちにつきましては、都議会公明党は、新宿せいが子ども園を視察いたしまして、子供が子供たちの中で学びながら成長する姿に感銘を受けたことから、その後の二〇二〇年の予算特別委員会で、集団保育のことも含め、福祉的な視点、教育の視点といった行政の枠組みや施策を超えた踏み込んだ議論を始めることが必要であると質問をいたしました。  それに対して小池知事は、子供の未来についての議論をするための新たな会議体を立ち上げていくと答弁をされまして、こども未来会議が設置され、有識者が中心となり、幅広い議論が開始をされました。  そして、二〇二一年には、都議会公明党が原案を作成した東京都こども基本条例が成立をいたしまして、子供施策を総合的に推進する体制として子供政策連携室が設置され、その際、取り組むテーマの六つのうちの一つに、集団保育が位置づけられたわけであります。  これまでの保育は、保護者の就労支援策としての側面が強調されてきましたが、本来の保育とは子供が主役であるべきであり、親子関係だけでは得られない集団保育の効果を、子供たちの健全な発育のために保障することが本来の保育の役割だと考えています。  昨年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑で、親の就労の有無にかかわらず、子供の最善の利益のために必要なものは何か、現行の法律や制度の壁を乗り越えて検討していくことが求められると主張させていただきました。また、昨年の第四回定例会、さきの第一回定例会でも具体的取組について質問させていただいています。  今回、都が公表したこども未来アクションにおいて、就労の有無に関わらない集団保育を取り上げたことは都議会公明党の主張を受けたものであり、チルドレンファースト社会実現に向け大きく前進するもので、高く評価するものです。  幼児教育、保育の充実に向け、望めば全てのご家庭で集団保育の効果が享受できる社会の実現が望まれますが、改めて、親の就労の有無に関わらない集団保育の実現に向けた知事の決意と基本認識をお伺いいたします。 ◯小池知事 子供は、未来を担うかけがえのない存在であります。チルドレンファーストの視点から社会全体で子供を大切に育むことは、私たちに課せられた責務であります。  好奇心旺盛な子供たちが、発達の早い段階からできるだけたくさんの学びや経験の機会に触れることは、未来を切り開き、生きる力を育む上で重要です。  このため、就労の有無といった親の事情ではなく、子供の最善の利益という観点から幼児教育、保育の在り方を捉え直し、子供を主体とした子育ち支援に取り組んでまいります。 ◯まつば委員 知事より、親の事情ではなく、子供の最善の利益という観点から幼児教育、保育の在り方を捉え直し、子供を主体とした子育ち支援に取り組んでいくとの答弁がありました。  その具体的取組として、来年度予算案に、親の就労の有無にかかわらず子供を保育所等に受け入れる新たな仕組みの創設が盛り込まれたことは、子供、子育て施策の大きな転換であり、大きな一歩であります。  そこで、具体的な事業の内容と課題について質問していきたいと思います。  まず、前提として、現在の都内就学前児童人口の推移と都における保育の状況について確認をしたいと思います。  こちらのパネルをご覧ください。委員の皆様、また理事者の皆様方には資料をお配りさせていただいていますので、ご覧いただきたいと思います。  これは、都内の就学前人口の推移です。平成二十六年、二〇一四年から令和四年、二〇二二年までをまとめています。東京都の施策の充実もあり、就学前児童人口は増加をしてまいりました。増加をしてまいりましたが、減少に転じました。これは、この三年間のコロナ禍の影響があるというふうに考えられると私は思っております。少子化が進む中で、社会全体で子供たちを育み、よりよい環境をどうつくっていくのかが、ますます重要になっているということであると考えています。  次のパネルをご覧いただきたいと思います。これは、年齢別保育等の状況でございます。上に認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、幼稚園、家庭等というふうに分かれています。家庭等は、青い色で塗らせていただいています。三歳では、家庭等という方は五・八%、今申し上げたいずれかの施設で幼児教育、保育を受けていらっしゃる方々が九四・二%になります。  しかし、二歳では三四・七%が、一歳では四一・二%がご家庭で養育をされているということが分かります。兄弟が多く、また近所に子供たちがおり、子供が子供たちの中で自然に成長していた時代、そこから変わりまして、お母さんと子供、二人で一日を過ごすご家庭も増えていることから、就労の有無にかかわらず子供を保育所などに受け入れる環境整備が必要だと、このように考えています。この現状を踏まえて、具体的に質疑をさせていただきます。  来年度予算の新規事業の親の就労の有無に関わらない集団保育、事業名は多様な他者との関わりの機会創出事業となっておりますが、この事業では、受入対象施設を保育所等としていますが、幼稚園や幼稚園型認定こども園も対象になるのか。また、対象となる場合、幼稚園などに対して事業について周知をしていくことが重要でありますが、この点について生活文化スポーツ局に見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 この事業では、都内の幼稚園や幼稚園型認定こども園も対象となっております。希望する園が事業に円滑に参加できるよう、事業主体となる各区市町村と連携して周知を行うとともに、都から私立幼稚園団体に対しても重ねて情報提供を行うなどの取組を行ってまいります。 ◯まつば委員 幼稚園や幼稚園型認定こども園も対象になるというご答弁でした。  それでは、これらの施設も含めて、利用料はどうなるのかということであります。さきの東村幹事長の代表質問では、都議会公明党が提案をしてきた第二子の保育料の無償化が知事の英断で来年度予算に計上されたことから、この事業においても同様の対応を取るべきであることを主張させていただき、福祉保健局長から答弁を得たところですが、一部報道では、利用料は保護者が負担をするとされていたことから、改めて利用料の考え方を確認したいと思います。利用料について、具体的な答弁を求めます。 ◯西山福祉保健局長 本事業における利用者負担額は、幼稚園や保育所等の施設種別を問わず、原則、一日当たり二千二百円、月額四万四千円を上限に、各施設において設定することとしてございますが、家庭の経済状況等にかかわらず、より多くの児童が利用できるよう、低所得者世帯等の利用者負担を軽減いたします。  具体的には、年収三百六十万円未満の世帯や要支援家庭等を対象に、区市町村が利用料の負担を軽減する場合、都が経費の一部を補助いたします。 ◯まつば委員 今のご答弁ですと、要支援家庭と年収三百六十万未満世帯などを対象に無償化を図っていくと、そういう旨の答弁でした。  来年度から保育料の第二子無償化がスタートすることもあり、本事業を利用する家庭の利用料についても、低所得世帯に加え、第二子以降については無償化することを改めて提案をいたしますが、都の見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 本事業は来年度から開始する取組であり、保育所等での実施状況や在宅子育て家庭のニーズ等も把握しながら、利用料も含め、今後の事業の在り方について検討してまいります。 ◯まつば委員 さきの代表質問と全く同じ答弁でございましたが、先ほどパネルをご覧いただいたとおり、親の就労の有無により、保育料、そして利用料が異なることになることから、本年十月より第二子の保育料の無償化がスタートするに当たり、この事業名でありますが、多様な他者との関わりの機会創出事業、こうなっておりますが、親の就労の有無に関わらない集団保育、これについても第二子以降の利用料の無償化を強く要望をさせていただきます。  さて、来年度の予算案では、この事業は二十四億円となっています。実施施設数及び受入れ児童数の見込みについて、見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 本事業の実施施設数は、一時預かり事業を実施している約千三百施設のうち、二割が取り組むと想定して約二百六十と見込んでございます。  受入れ児童数については、週一回から二回、多いケースでは週四回など、施設が実情に応じて受入れ頻度を定めることとなりますが、年間延べ六十二万四千人を想定してございます。 ◯まつば委員 ご答弁で、二百六十施設を見込んでいるということや、また、お一人のお子さんの受入れ日数についても、週一回とかまた週四回とか、保育所や幼稚園、認定こども園などそれぞれの園の考え方を生かして進めていくことになると、そういったことだと理解をいたしました。  来年度から新たにスタートすることから、なるべく多くの保育所や幼稚園などが取組ができるよう、福祉保健局並びに生活文化スポーツ局が連携をしていただいて、区市町村ともよく情報共有をしながら進めていただきたいと思います。  その上で、この予算規模でございます。今後、事業を継続して実施していくに当たっては、都民ニーズの把握、これは大事なことだというふうに思っています。  昨年の予算特別委員会で出産応援事業のアンケート調査とその分析について取り上げましたが、お子さんが誕生された大多数のご家庭に、このアンケートはお答えをいただいています。こうしたアンケートも活用することは有効ではないかと思います。  そこで、今年度のアンケートの分析に関する取組状況について説明を求めるとともに、来年度、子育てニーズを幅広く把握し、就労の有無に関わらない集団保育であるこの事業の参考にすべきと考えますが、都の取組について見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 出産応援事業のアンケートでは、世帯構成などの基本的な項目について伺うとともに、都の子供、子育て施策の認知度や活用状況、要望などについて調査をしてございます。  今年度は、世帯構成などを集計し、居住地域別の子供の人数等の状況について分析したほか、子育てに関するアンケート結果を母子保健事業等の参考にしてございます。  今後も施策の参考とするため、適宜項目の見直しを行いながら、子育て家庭のニーズを把握し、事業の検討に活用してまいります。 ◯まつば委員 このアンケートを活用して、事業の検討に活用していくというご答弁をいただきました。ぜひ、希望するご家庭の子供たち全てを受け入れることができる施設の規模感がどういうことになるのか、また、利用料、そうしたことについて、ニーズ調査を含めて今後の事業の検討を行っていただきたいと思います。  本日は、今後継続的に事業を進めていただくために質疑をさせていただきましたが、来年度、まず、新しい取組がスタートするということでございますので、それについては評価をいたしまして、期待をさせていただいているということを申し上げさせていただきます。  次に、東京都認証保育所への支援について質問をいたします。  認証保育所は、東京都独自の制度として平成十三年に発足して以来、東京都の支援の下、これまで保育施策の一翼を担ってきました。令和四年四月一日現在、認証保育所設置数は、A型四百六施設、B型五十八施設、合計四百六十四施設となっており、東京都の保育にはなくてはならない存在となっています。  制度発足から二十年以上が経過し、認証保育所として長く運営している認証保育所では一部施設の老朽化が進み、改築や改修の必要に迫られている施設もあります。東京都では、そうした認証保育所に対して修繕費等の補助を行っていますが、現行の修繕費等補助金の上限額は二百五十万円と聞いており、これでは大規模な修繕や移転等が困難と思われます。  そこで、現在、認証保育所について、都は、定員増を行う際の改修費等を最大三千七百万円助成していますが、今後については、老朽化した施設の改修や移転等に伴う経費に対しても柔軟に補助すべきと考えますが、見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 都はこれまで、認証保育所の増床や移転に要する改修経費等について、定員増を伴う場合に補助し、事業者の負担軽減を図ってまいりました。  認証保育所は、都の保育施設の重要な柱の一つとして、大都市特有の多様な利用者ニーズに対応し、保育サービスの充実に貢献をしてございます。  認証保育所が、引き続きよりよい保育環境でサービスを提供できるよう、定員増を伴わない施設の改修や移転等について、補助制度の柔軟な運用を検討してまいります。 ◯まつば委員 認証保育所は、親の就労等に関係なく、保育を必要とする子供であれば誰でも利用することができ、これまでも都の保育ニーズに応えてきました。こうした認証保育所の利点を生かしていけるよう、認証保育所への支援をしっかり行っていただきたいと思います。  次に、助産所における妊婦健康診査について質問をいたします。  昨年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑で、私は、妊婦健診の受診票が医療機関での利用が可能となっている一方で、助産所の場合は後から償還払いを受ける手続をしなければならないという現状について、東大和市での具体例を挙げて説明をいたしました。  その際、助産所における妊婦健康診査の受診票利用について、都内全域で進めるよう求めたところ、都は、区市町村単位での取組が進むように通知すると答弁をしました。また、あわせて、他県の事例も把握して、今後の参考にするとの答弁でした。  そこで、助産所における妊婦健康診査の受診票に関して、その後の取組について説明を求めます。 ◯西山福祉保健局長 都は、昨年四月、助産所での妊婦健康診査について、助産所と自治体が個別に契約することで、受診票の利用が可能であることを区市町村に通知しました。これを受け、複数の自治体が実施に向けた具体的な検討を始め、府中市、国分寺市、福生市の三市が新たに取組を開始し、現在、五市で受診票が利用されてございます。  また、助産所で県内共通の受診票等を利用可能としている他県の事例について聞き取りを行い、それらを参考に、都が関係団体と一括で契約する手法を区市町村に提案をいたしました。その上で、区市の代表との検討会を昨年十一月と本年一月に開催し、都内共通の方法で進める方向性を取りまとめました。 ◯まつば委員 検討会を実施して方向性を取りまとめたとのことですが、受診票の助産所での利用を速やかに開始すべきと考えますが、見解を求めます。 ◯西山福祉保健局長 都は現在、助産所で行う検査内容や助産所と医療機関との連携など、助産所での受診票利用の際に整理が必要な事項について、区市町村や関係機関と具体的に協議をしております。  引き続き協議を進め、来年度には妊婦健康診査の受診票を助産所でも活用できるよう取り組んでまいります。 ◯まつば委員 速やかに実施ができるように取組を進めていただきたいというふうに思います。  次に、教員への支援策について質問をいたします。  東京都教育委員会では、担任のいないクラスが発生するなど教員の不足が課題になっています。  都議会公明党は、都教育委員会が必要な教員を確保できるように、途中退職した教員経験者の復帰を促進するカムバック採用の新設など教員を増やすための対策を提案し、それを受け、都教育委員会が取組を進めていることを評価したいと思います。  一方、厳しい環境の中で働く現職の教員を守り、支え、支援していくことも重要です。  教員の中には、業務が多忙であることなどから、メンタル面で疲れ、病気休職に入ったりする方も多いと聞いています。教員がふだんから悩みなどを気軽に相談でき、心身の健康を維持できるような環境をつくることが大切であります。  都教育委員会は今年度から、教員を対象にアウトリーチ型の相談事業を新たに開始しています。来年度はこの相談事業を拡充するとともに、働きやすい職場環境の整備にもつながるような取組にしていくべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。 ◯浜教育長 都教育委員会は、教員のメンタルヘルスサポートを強化するため、今年度、臨床心理士等が小中学校を訪問し、その学校の全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を二自治体で開始いたしました。  来年度は、対象を三十自治体に大幅に拡大するとともに、小学校において、病気休職から復帰する全教員を対象とした相談事業も新たに開始いたします。  本事業では、学校ごとに面談結果を分析し、職場の現状や改善点をまとめ、区市町村教育委員会や各学校に提供することで、教員が安心して働ける環境づくりを推進してまいります。 ◯まつば委員 また、新規採用した教員への支援も重要であります。令和三年度に都教育委員会が新規に採用した教員のうち、一年以内に離職した人の割合は約四%でした。高い志を持って着任した新規採用教員が、一年を待たずに離職してしまうということは誠に残念なことであります。  教員が安心して継続的に活躍できるようにするためには、新規採用教員への支援こそが重要であると考えますが、都教育委員会の取組について見解を求めます。 ◯浜教育長 都教育委員会では、学級担任として全教科を担当する小学校で、全ての新規採用教員に対し、日頃の業務の悩みなどを相談しやすいよう、アウトリーチ型の相談事業を新たに開始いたします。  また、小中学校を巡回して、新規採用教員に対し授業の進め方や子供への接し方等についての助言を重点的に行うため、定年退職した管理職等を新たに確保いたします。  こうした取組により、新規採用教員が安心して職務に取り組める環境を整えます。 ◯まつば委員 昨年の第四回定例会における公明党の代表質問に対し、都教育委員会から、産休、育業代替教員を、産休や育業の期間より前倒しで任用できるようにするとの答弁がありました。  国も同様の方針を示していますが、国は前倒し任用を年度当初に限っていますが、都教育委員会は年度内のいつでも任用できるようにするとの答弁でした。国の方針を上回る意欲的な取組になりますが、その内容や狙いについて具体的な説明を求めます。 ◯浜教育長 国は、小中学校における産休等取得に係る代替教員を確保するため、年度当初に限り前倒し任用できることとしており、八月以降の産休等は対象となりません。  一方、都は、高等学校、特別支援学校を含む全ての公立学校を対象に、産休等の開始時期によらず最大四か月前から、いつでも代替教員を前倒しで任用できることといたします。  年間を通じた柔軟な前倒し任用により、代替教員が確保できたタイミングで任用することが可能となるとともに、産休等を取得する教員と代替教員との十分な引継ぎ期間を確保することができます。  こうした取組により、教員が安心して出産、育児に専念できるとともに、子供にとっても安定的な教育環境を整えてまいります。 ◯まつば委員 都教育委員会として、引き続き代替教員の確保に努めていただくよう求めておきます。  次に、夜間中学と定時制高校の連携について質問をいたします。  区市町村が設置する夜間中学では、多くの外国につながる生徒が通っており、年齢も多岐にわたります。  国においては、公明党の主導で法律を制定し、全ての都道府県において夜間中学を設置することを目指しており、令和四年四月現在、公立の夜間中学は十五都道府県に四十校設置されています。  全国的な設置が促進される中、まず、都における夜間中学の現状について見解を求めます。 ◯浜教育長 都内には夜間学級を設置する中学校が八校あり、令和四年五月現在、二百十四名の生徒が在籍しています。そのうち、約八割の生徒が中国語やネパール語等を母語とする外国籍の生徒でございます。  学校においては、生徒の日本語の習得状況に合わせてクラス分けを行うなど、きめ細かい指導を実施しています。  また、卒業生の半数以上が定時制高校に進学しており、こうした生徒の多くは、日本国内で安定的に働ける就職の実現を目指し、夜間学級在籍時から継続して日本語や教科の学習を行っています。 ◯まつば委員 一方、定時制高校には、在京外国人枠を設定する全日制高校に定員の関係で入学できない外国につながる生徒の多くが通っております。多様性が求められる現代社会において、国籍にとらわれず、様々な課題を抱える生徒を受け入れる定時制高校の存在はとても大切です。  また、増加する日本語指導が必要なクラスにおいては、中学の三年間だけでは日常会話の習得がやっとであり、教科を学ぶための日本語を習熟するには高校までの継続した学習が必要です。  都が、六年間の一貫した教養教育で総合的な学力を養い、個性や創造性を伸ばすために設置した中高一貫校のように、継続した学習が可能となるような仕組みを構築し、多様性に富んだグローバル人材を輩出していくべきと考えます。  そこで、将来の新たな人材群輩出に向けて、夜間中学と定時制高校の連携を強化する取組を行うべきと考えますが、教育庁の見解を求めます。 ◯浜教育長 都教育委員会はこれまで、区市が設置する中学校夜間学級の日本語指導が必要な生徒を支援するため、日本語学級を設置する学校への教員配置や、高校への進学に当たって、全日制高校八校において在京外国人枠を設定した入試を実施しています。
     今後、外国人生徒等に対する支援を強化するため、夜間学級に対する日本語指導員や通訳などの人材の紹介を行います。  また、中学校の夜間学級卒業後に定時制高校等に進学する生徒に対し、切れ目のない継続的な支援を行うため、日本語指導方法や就職等に関する意見交換など、夜間学級と定時制高校等とのより具体的な連携方策について検討してまいります。 ◯まつば委員 夜間学級と定時制高校等とのより具体的な連携方策について検討するという、大変重要な答弁を得ました。ぜひ進めていただきたいと思います。  続きまして、経済対策について質問をいたします。  初めに、令和三年度に都議会公明党が提案をし、そして、都が令和三年度に補正予算を組んでスタートをした奨学金の返済支援による中小企業の人材確保支援、この事業について質問をいたします。  パネルをご覧いただきたいと思います。この事業をちょっとご説明をさせていただきますが、まず、この1)でございます。本事業は、まず、この事業を希望する中小企業等が登録をしまして、ホームページで魅力をPRします。そして2)、各企業において本事業の利用を希望する大学生等を面接し、採用を決定します。そして3)、ここがポイントでございますが、一年間の勤務継続を確認の後、都が二分の一、中小企業等が二分の一を負担して、奨学金返済費用相当額の一部を三年間にわたり助成をするという事業でございます。  助成額は三パターンありまして、年十万円掛ける三年で三十万円、年二十四万円掛ける三年で七十二万円、年五十万円掛ける三年で百五十万円。中小企業がどのパターンを取るかを決めるということであります。  これまでの取組と実績については、先日の本会議の質問で明らかにしたところでございます。これまで百三十社の中小企業が登録し、学生等の内定も二十人とのことでした。  その上で、令和五年度は、本格的に予算一億三千万円、採用学生数も二百人分を予定しています。  対象となる中小企業は、一つ目は、建築、土木、測量技術者を採用する場合、二つ目は、IT業界の情報処理、通信事業者を採用する場合、三つ目は、ものづくり業界の開発事業者を採用する場合、いずれも人材の確保が難しいという実情があります。中小企業からは、すばらしい事業である、活用したい、こういった声も届いています。  しかし、学生の利用実績はまだ二十名を超える程度であり、まずは、学生や卒業生にこの事業もっと知ってもらう必要があります。そのために、この事業の利用を始めた方々をしっかり支援し、事業の魅力を多くの学生に伝えていくべきですが、都の見解を求めます。 ◯坂本産業労働局長  都は、中小企業の人材確保に向け、建設、IT、ものづくり分野の企業が技術者として学生等を採用した場合、その奨学金返還を支援する事業を行っております。  この支援について、現在まで百三十の中小企業が参加し、建築の設計担当者やプログラマーのほか、製品開発のエンジニアなど、中小企業で採用することが難しい技術職に、二十六名の就職の内定が実現をしたところでございます。  今後は、就職した方が一年間の勤務を経て、奨学金の返済負担を抑えるに当たり、本事業の効果的な利用方法について、きめ細かい相談対応を行います。  また、大学等の学生向けの出張講座や説明会で事業を使うメリットを紹介するなど、学生による利用を増やす取組を進めます。  これによりまして、中小企業の人材確保を支援してまいります。 ◯まつば委員 奨学金の負担軽減と、また、中小企業の人材確保の両方を支援するこの事業であります。積極的な展開をお願いいたします。  続いて、就労支援、特に女性の就労支援について質問をいたします。  私はこれまで、東京しごとセンター内で託児ができる環境整備や、女性しごと応援テラスの設置など提案をしてきました。  こうした中、コロナ禍では、飲食サービス業などで働く非正規雇用の方々が影響を受け、厳しい状況に直面をしてきました。再就職に当たっては、自宅から離れた場所での就職活動やスキルアップに多くの時間を割くことができない方もおられることから、再就職に向けた多くの選択肢を提供し、安定した就労につなげていくことが重要であります。  都は、様々な事情を抱える女性が、それぞれの状況に応じて自宅等でも就職の準備に取り組めるよう、就労支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。 ◯坂本産業労働局長  都は来年度、育児や介護などにより仕事を離れた女性が、限られた時間を活用し、効果的に就職活動を行う後押しを継続的に実施いたします。  具体的には、再就職を目指す女性に対し、オンラインにより就職のサポート経験の豊かな専門家が助言を行う取組を開始いたします。これによりまして、就職活動や家庭と仕事の両立に役立つノウハウをきめ細かく提供をいたします。  また、再就職を円滑に進め、家庭との両立を図りながら職場で活躍する女性社員のモデル事例のほか、そうした女性の受入れを進める会社をウェブで紹介いたします。  さらに、求人の増える時期に合わせ、来年一月、五千人が参加するオンラインのセミナーも開催いたします。  これらによりまして、女性の就業を後押ししてまいります。 ◯まつば委員 公明党は、女性が活躍の場を広げる可能性がある分野であることから、女性デジタル人材育成に重点を置いて取り組むことを提案してきました。都は、デジタル分野のスキルアップを図る支援などを展開してきましたが、もう一歩踏み込んだ能力開発が重要だと考えています。  そうした観点から、昨年の第四回定例会で都議会公明党は、今後、より一層女性の活躍を進めていくため、非正規で働く女性が高度なデジタルスキルを習得し、正社員として活躍できるように支援を強化することを求めました。都からは、支援について検討するとの答弁を得ています。  そこで、都は、女性が高度なデジタルスキルを習得し、正社員として活躍できるよう、学習から就職までを伴走型できめ細かく支援を行っていくべきと考えますが、見解を求めます。 ◯坂本産業労働局長  都は来年度、高度なIT技術を使う女性のプログラマーを育成するため、東京しごとセンターで能力開発と就職支援を一体的に行う取組を百名の規模で開始いたします。  具体的には、非正規雇用や求職中の女性向けに、IT業界等でプログラミングの業務を行う場合の仕事内容や勤務の状況をきめ細かく紹介するガイダンスを開きます。  これに参加された方に対し、限られた時間を効果的に活用し、eラーニングにより高度なプログラミングの技術を習得できる半年間の訓練を実施いたします。  また、受講生一人一人に専門家がつき、訓練を適切に進めるための助言を行います。  さらに、訓練の途中から、就職を見据え、求人企業の紹介を行う仕組みとします。  これによりまして、デジタル分野での女性の活躍を後押しいたします。 ◯まつば委員 新たな事業を展開していくということでございましたので、よろしくお願いいたします。  全ての女性が自分らしく働くことができる社会の実現には、企業内における理解はもとより、社会保障などに関わる制度も含め、様々な障壁を取り除いていく必要があります。特に、配偶者を持つ非正規雇用で働く女性の六割が、いわゆる年収の壁を意識して就業を調整しているとの民間調査の結果も出ており、自ら就労の機会を制限する結果を招いています。この点については、公明党は今国会において、その対応策を提案しているところでありますが、様々な角度からの取組が必要であると思っております。  また、社会のあらゆる分野において指導的地位に占める女性の割合を三〇%とする政府目標に、国内企業における女性管理職の割合は、いまだ九・四%であり、職場における女性リーダーの活躍は後れを取っています。  都におきましても、東京都防災会議の女性委員が一人もいなかったり、また、審議会委員における女性委員の割合が都道府県の中でも下位であったりとしていましたので、私は、十八年間の都議会の質疑の中で度々取り上げ、少しずつ改善が図られてきましたが、小池知事就任以来、大きく改善され、都における女性活躍が進んできていることを実感いたします。  そうしたことからも、都は今後、今申し上げました課題に正面から向き合い、新しく設置する有識者会議でもしっかり取り上げていくべきです。あわせて、機運醸成などを進めていくとのことですが、具体的な取組について見解を求めます。 ◯坂本産業労働局長  働く女性が、国の税金や社会保険の仕組みを理由に勤務時間を抑える状況を減らすとともに、社内でマネジメントを担う立場に就く割合を増やすことは重要でございます。  このため、都は、就労や生活に関する国の諸制度や会社組織の状況などをテーマとする有識者会議を新たに設け、今月、第一回目を開催いたします。これによりまして、学識経験者や経営者、働き手の代表等が議論を行い、その中で、女性の就業に関わる年収の壁や女性管理職を増やす上での課題等も検討いたします。  これらの議論を踏まえ、国への提案要求を行うほか、働く時間と収入の関係についての理解を深め、女性管理職の活躍事例も幅広く発信するイベントを経済団体等と連携して開催いたします。これらによりまして、職場における女性の活躍を後押ししてまいります。 ◯まつば委員 新しく設置する有識者会議、期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。  次に、東京しごとセンターの機能強化について質問します。  デジタル化の進展などにより産業構造の転換が進む中、年齢や性別にかかわらず、就労を希望する全ての方が必要となる知識やスキルを身につけ、希望する分野で活躍できるよう、都の就労支援施設や職業能力開発施設の機能強化を進めていくことが重要であります。  昨年の第四回定例会で、就職支援をワンストップで行う東京しごとセンターに、職業訓練を行うしごとセンター校を開設すると、こういう答弁をいただいています。都の職業能力開発センターは、八割を超える高い就職率となっており、しごとセンターを利用する求職者の方が職業訓練施設を活用して就職に結びつける取組は効果的であると考えます。  その上で、私が課題認識を持っておりますのは何かと申しますと、この職業能力開発センターの受講者に占める男女比であります。現在、女性の割合は三割にとどまっています。そうしたことから、東京しごとセンターには女性応援テラスもあり、多くの女性が訪れることから、来所した方々へも職業訓練を案内し、受講を促していくことも考えられます。  都は、東京しごとセンター校の設置を契機に、東京しごとセンターを訪れる求職者支援を強化すべきと考えます。あわせて、女性の求職者への支援についても見解を求めます。 ◯坂本産業労働局長  東京の産業の担い手を育成するため、能力開発に取り組むきっかけを増やし、優れた職業訓練を受け、確実に就職できるよう支援をすることは重要でございます。  このため、都は、東京しごとセンターの建物内に、多様な実習を見学し体験できる仕組みを持つ訓練校を新設することとし、令和六年度の開設を目指します。これによりまして、しごとセンターを訪れる様々な年代の求職者が、その意欲や適性に応じ、能力開発に関心を持つよう後押しを行います。  女性の求職者については、センターの専門のアドバイザーが希望や状況を聞き、相談に乗り、それに応じた実習を体験する案内を行います。また、都内十三の職業能力開発センター等も紹介し、職業訓練につなげてまいります。  こうした取組によりまして、能力開発を通じた就業を支援いたします。 ◯まつば委員 例えば女性応援テラスにいらっしゃった方が、同じ建物内にある職業訓練校を見学をし、実習をし、そしてこういった仕事のスキルを身につけたいと、そういうような希望に沿って職業能力開発センターなども紹介をしていくという新しい取組でありますので、これは令和六年度の開設ということでございますが、しっかりと準備を進めていただきたいと思います。  次に、被災地の経済振興についてであります。  今週十一日に、東日本大震災発災後十二年目を迎えます。東京が福島県から電力の供給などの恩恵を被ってきたことに改めて感謝をし、被災地応援ツアーについて質問をします。  東日本大震災後、都議会公明党は直ちに現地に入り、現地の要望を受け、当時の石原知事に申入れをし、知事の即断でスタートをしたのが被災地応援ツアーであります。  この被災地応援ツアーが開始されてから十一年が経過をしました。この被災地応援ツアーにより、福島県の観光需要は、一時、震災前の八〇%まで回復をしましたが、新型コロナの影響により事業が停止をし、また観光需要は落ち込んでしまいました。被災地は、また厳しい状況に置かれてしまっています。  こうした中、これまで停止していた被災地応援ツアーが昨年十月に再開をされました。事業再開により、福島県の復興が加速することを期待するとともに、来年度についても事業を継続するよう、昨年十二月、我が党から知事宛てに要望書を提出したところであります。  このような状況を踏まえ、令和五年度も引き続き、福島県に対する被災地応援ツアーを実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。 ◯坂本産業労働局長  被災地応援ツアーは、東日本大震災による復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年九月より開始をいたしました。  令和二年の十二月に、感染拡大の影響によりまして事業を停止しましたが、昨年十月に、全国旅行支援の活用に合わせて再開をしたところでございます。これによりまして、今年度、福島県への旅行者を対象に、宿泊二万泊、日帰り一万五千人分につきまして、その費用の一部を助成しております。また、都内の学校の福島への教育旅行や、県が浜通り地方などの振興に向け推進するホープツーリズムへの支援も進めております。  来年度につきましても、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望等を踏まえまして被災地応援ツアーを実施し、震災復興を後押ししてまいります。 ◯まつば委員 これは引き続き、私たち、このことについてはずっと提案をし続けていきたいと、このように思っております。  続きまして、芸術文化施策について質問をいたします。  都議会公明党は、一昨年、コロナ禍での経験を踏まえた新たな芸術文化政策の立案を提案し、昨年三月に東京文化戦略二〇三〇が策定をされました。この文化戦略の実効性を高め、真に東京の芸術文化振興に寄与するため、都議会公明党は、昨年の第四回定例会で三点にわたって質問をさせていただきました。  一点目は、芸術文化を担い、志す方々の活動を支援するサポート体制の構築であります。都からは、アーティスト等の活動を支援するサポートセンターの設置などについて検討していくとの答弁があったところでありますが、今回、新年度予算案に、仮称東京芸術文化活動サポートセンター設置の予算が盛り込まれております。  設置されるサポートセンターは、多様な相談に対応し、ワンストップが可能となる機能を整備すべきと考えますが、サポートセンターの概要について見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 アーティスト等の持続的な活動を支え、新たな活動につなげていくため、サポートセンター機能を整備いたします。オンラインを活用した相談窓口を設置し、ジャンルや経験を問わず、多くのアーティストやスタッフから、契約や著作権をはじめとした法律相談などに対応いたします。  また、都の助成事業に加え、国や民間の事業やフェスティバル、アワードの情報を一元的に提供をいたします。  さらに、確定申告や資金調達など、活動に必要なノウハウやスキルを身につけられる講座等も実施をいたします。  今後、外部の専門家などとも連携をし、アーティスト等を支援するハブとして総合的にサポートを行ってまいります。 ◯まつば委員 このサポートセンターを使い勝手のよい、アーティストの皆さんの役に立つセンターとして整備、運営していただきたいと思います。  その上で、文化戦略には、世界における芸術文化の創造拠点の存在が例示されていますが、芸術文化薫る東京としていくためにも、国内外に向けて、ここが東京の芸術文化の拠点といえるような拠点整備を今後検討していただくことを要望します。  二点目は、地域の芸術文化活動への支援であります。  地域における芸術文化活動の躍動は、東京の芸術文化の裾野を広げ、一層東京の魅力を高めていくものと考えます。  東京のここかしこに芸術文化の活気を生み出すために、地域での芸術文化活動にさらなる支援を拡充していくべきと考えますが、見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 東京の芸術文化におきまして、地域で活動する団体や担い手の方々の多彩な活動は、大きな魅力となっております。  そのため、来年度から、地域の文化団体やNPOなどが行う文化活動に対する助成の規模を拡充するとともに、多くの方々が参加し、地域の活性化にもつながる事業には、新たに二百万円の区分を設定し、支援を強化いたします。  さらに、今年度から開始した二千万円が上限の芸術文化の魅力を創出する助成も活用し、まち中を舞台にした大規模なフェスティバルなどを支援することで、地域の魅力を発信してまいります。  こうした様々な規模の活動にもきめ細かな支援を行うことで、東京の芸術文化全体の活力向上につなげてまいります。 ◯まつば委員 三点目は、子供たちが芸術文化に親しむ機会の創出であります。  豊かな感性の子供たちが本物の芸術文化に触れることは、心を育み、人間性を高めることにもつながっていきます。  今、子供、子育て施策が都政の柱の一つでもありますが、子供が芸術文化に親しむ環境づくりも、大事な子供、子育て支援の一つであると考えます。  芸術文化団体等とも協力しつつ、子供が芸術文化に親しむ環境づくりを一層充実させていくべきですが、見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 都では、東京文化戦略二〇三〇におきまして、キッズ・ユース・プロジェクトを掲げ、子供や若者が良質な芸術文化に触れる機会を提供しております。  子供たちのミュージアムデビューを応援するプログラムや、演劇や音楽のプロのアーティストと舞台作品をつくり上げる事業など、様々な取組を展開してまいりました。  来年度は、教育庁の体験事業に協力をいたしまして、芸術文化団体等と連携をし、例えば、演者との交流やバックステージツアーといった、鑑賞にとどまらない、心に残る体験メニューを充実するなど、子供たちがより深く芸術文化に親しむ環境づくりを進めてまいります。 ◯まつば委員 続きまして、結婚支援事業について質問をします。  この事業は、都議会公明党の栗林のり子前議員が、平成二十四年、二〇一二年ですが、提案して始まった事業であり、小池知事就任以来さらに力が入り、都議会公明党も、これまでも事業の実施を応援してきたところでございます。  また、東京都は、昭和八年、東京市のときから平成八年まで、東京都結婚相談所を運営しておりまして、途中から委託事業になりましたが、六十二年間の歴史があるということもあります。その時代、時代に即して事業を展開していくことは大変重要なことだと思います。  都は来年度、結婚支援事業の新たなステージとして、出会いの機会の創出に乗り出すということであります。出会いの機会の創出は大事なことですが、結婚という人生を選択することに対する不安や様々な障壁により、ちゅうちょされる場合もあります。  当然、結婚に関しては個人の自由な選択であることはいうまでもありません。  その上で、結婚を望む方の様々な悩みに寄り添っていくことは大事なことです。結婚に関する悩みや相談に応じる結婚相談窓口が必要だと考えます。デジタルの活用も含めて、見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 都のアンケートでは、結婚に関心を持ちながらも、出会いの機会がないことや将来への不安などから、婚活に至っていない人が多いという状況がございます。  都は来年度、結婚支援マッチング事業におきまして、出会いの機会の創出にあわせ、ウェブにより気軽に相談できる事業も実施をいたします。  具体的には、イベントやセミナーなどその人に合った婚活方法の紹介やコミュニケーションに関する助言、将来の子育てなどへの支援策も案内し、相談者の不安や悩みに応えてまいります。  こうした取組を通じまして、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せない人の後押しをしてまいります。 ◯まつば委員 この結婚支援については、小池知事が国会議員時代からも、婚活、結婚支援ということで様々力を入れられてきたと、このように伺っておりますし、また、知事になられてからも、この分野については、様々なイベントなども含めて取り組まれてこられたと。私もそういった場にも参加もさせていただいてまいりました。  そこで、急なんですけれど、小池知事から、ぜひ、この結婚支援、婚活支援に対しての思いを語っていただきたいと思います。
    ◯小池知事 婚活支援につきましては、知事就任以来、様々なイベントなどを催すなどして、また、民間と連携しながら様々な機会をつくってまいりました。  今、少子化の一つの原因として、未婚化、晩婚化ということがいわれております。特に未婚化の部分については、やはり出会いの機会をいかにしてつくるのか。リアル、そしてAIなども活用したマッチングなど様々な、時代に応じた方法もあろうかと思います。  いずれにしましても、それは個人の自由ではございますけれども、まず、その機会をつくる、また、そうやって結婚に対しての様々な社会的、そして生活、働き方、これらを取り巻く環境を整えていくということも必要ではないかと思い、都として、今後とも応援を、後押しをしていきたい、このように考えております。 ◯まつば委員 突然ご答弁いただきましたが、小池知事の結婚支援、婚活支援という思いを語っていただきました。  確かに知事がおっしゃるとおり、時代に即したということは非常に重要でございまして、そういった意味では、知事もおっしゃいましたが、AIなどの活用ということも大事になってくるというふうに思います。  今、結婚相談窓口、相談支援につきましても、デジタルということでご答弁もいただいたところでございますが、この点についてデジタルサービス局にもご答弁いただきたいと思います。  結婚相談など、都民を対象に相談やアドバイスを行うサービスでは、最近注目を集めている対話型AIなど最新技術の活用が期待をされています。こうした各局のサービスが効果的なものになりますように、デジタルサービス局が企画段階から技術面のサポートをしていくべきと考えますが、都の見解をお伺いをいたします。 ◯久我デジタルサービス局長 来年度から、各局が重点的に取り組むDX案件について、当局が企画立案段階から参画し、上流工程からの協働体制により、質の高いサービス開発に取り組みます。  当局のデジタル人材が有している様々な専門分野の知見を生かして、効果的なサポートを行ってまいります。  例えば、結婚や子育ての相談やアドバイスでは、AIを活用して最適な情報提供や相談対応につなげてまいります。  また、蓄積されたデータを分析して支援ニーズを把握し、施策にフィードバックするなどの取組を進めてまいります。  対話型AIなど日々進化する最新技術の動向も取り入れながら、都民に真に役立つサービス創出に向けて取り組んでまいります。 ◯まつば委員 ぜひ生活文化スポーツ局と、また、デジタルサービス局と連携もとっていただきながら、この分野の取組が進むようにまた要望をさせていただきます。  続いて、住宅政策について質問いたします。  最初に、都営住宅についてでございます。  現在、都営住宅で外国人居住者の方々も増えておりまして、自治会対応への支援について、これが大事になっておりますので、その点、質問をさせていただきます。  我が党は、さきの本会議一般質問において、ウクライナから避難された方々への支援策として好評を得ている翻訳端末機を、それ以外の都営住宅の自治会についても、希望がある場合には積極的に貸与するよう求め、前向きな答弁を得たところであります。  その上で、団地内の住まい方などのルールを記載した住まいのしおりは、現状、日本語のほか、中国語、英語、ハングルの四か国語のみ作成されていますが、団地の自治会役員の方が、貸与された翻訳端末機を用いて会話を試みる際に、事前に紙媒体による居住ルールの説明が相手方に届いていれば、会話の成立に伴う負担も大きく軽減されるはずだと思います。  都は今後、入居者の国籍の多様化に応じて、住まいのしおりの対応言語の数を増やすべきと考えます。  また、公社住宅でも同様の取組を進めるべきと考えますが、併せて見解を求めます。 ◯山口住宅政策本部長 都営住宅、公社住宅では、外国人を含め居住者が住まい方のルールを守り、自治会等に協力しながらコミュニティの維持を図っていくことが必要でございます。  これまで、四か国語の冊子、チラシの配布や、東京都住宅供給公社の窓口におきまして、通訳端末の使用等により、外国人居住者に対しまして日常生活上のルールを周知してまいりました。  今後、自治会等が外国人居住者に説明を行う場合の課題を確認することなどによりまして、都営住宅、公社住宅とも、現行の四か国語以外の言語を用いる居住者への住まい方ルールの周知につきまして、対応を検討してまいります。 ◯まつば委員 次に、高齢化の状況が特に著しい都営住宅でのコミュニティ支援について質問をします。  都は、この点で、我が党の提唱を受けまして、墨田区などで地元に立地する大学と連携し、希望する学生の都営住宅への入居によって、団地内のコミュニティ支援を図る取組をスタートさせています。足立区などでは、区内の六大学との協議を開始していると聞きます。  本事業は、団地のコミュニティ支援に役立つ優れた取組であると思っております。  都は、本事業が末永く安定して継続できますよう、あくまで地元自治体と大学との連携が成立することを前提に、他の都営住宅においても積極的に進捗を図るべきと考えます。見解を求めます。 ◯山口住宅政策本部長 都営住宅の居住者の高齢化、単身化が進む中で、団地自治会の活動や地域の活性化を図ることは重要でございます。  都は現在、都内六つの大学と連携しまして、学生が都営住宅に入居して自治会活動を支援する取組を進めております。  墨田区内の団地では、学生が自治会と協力して、共用部分の清掃や資源回収運動に継続的に取り組むなど、活性化に貢献しております。都は、自治会と学生との円滑なコミュニケーションを図るため、定例的な懇談の場を設けまして、必要なサポートを行っております。  今後は、この取組につきまして、地元自治体とも連携を図りながら、さらなる大学の参加を働きかけ、他の都営住宅においても積極的に推進してまいります。 ◯まつば委員 現在、都や都内区市町村によるキャッシュレス決済を前提にした電子商品券事業の普及の影響から、比較的高齢者が多い都営住宅においても、公社住宅や都営住宅での使用料への口座振替だけでないキャッシュレス決済の導入を望む声が高まっています。  都は、既に我が党の提案を踏まえ、クレジットカードによる都税の支払いを導入しています。  DXを推進する都は、キャッシュレス決済の進展が進む昨今の社会的動向も踏まえ、公社住宅や都営住宅において、コンビニなどでも支払いを可能とすることを視野に、クレジットカードなどでの使用料の支払いが可能となるようにすべきと考えますが、見解を求めます。 ◯山口住宅政策本部長 都営住宅使用料及び公社住宅家賃の支払いにつきましては、居住者の利便性や収納率の向上につながる方法とすることが重要でございます。  現在、都営住宅で約八割、公社住宅で九割以上の居住者が、指定の金融機関からの口座振替を利用しております。  今後、都営住宅では、令和八年度を目途に再構築を進めております都営住宅管理総合システムにキャッシュレス決済機能を反映できるよう、使用料の支払い方法について検討してまいります。公社住宅では、来年度から敷金など入居時の初期費用の支払いにおきまして、クレジットカード決済を導入いたします。また、家賃等につきましても、キャッシュレス決済ができる方法を検討してまいります。 ◯まつば委員 積極的な取組のご答弁がありました。よろしくお願いいたします。  次に、子育てに適した住宅の推進について質問します。  都議会公明党は、平成十七年の第一回定例会の代表質問で、子育て支援住宅制度の導入を取り上げて以来、都にまだ制度が誕生していないときから、子育て支援における住宅政策の重要性をいち早く指摘し、その充実をリードしてきたところであります。  しかし、本制度は、まだ四区市でしか実施をされていません。都は、来年度予算において、既存の認定制度を再構築するとしています。  再構築に当たっては、急増するマンションからの幼児の転落事故対策に必要なベランダへの補助錠の設置など、乳幼児を不慮の事故から守る安全性の確保を図るための工夫を最優先に、広く活用が進む事業とすべきと考えますが、見解を求めます。 ◯山口住宅政策本部長 都はこれまで、子育てに適した優良な住宅の供給に意欲的な事業者に対しまして、認定制度により後押ししてまいりました。  来年度は、さらに供給を加速させるため、認定基準の適合度合いに応じて認定モデルを三段階に拡大するとともに、各モデルに応じた補助限度額等を設定した上で、整備費に対して直接補助を行いまして、幅広い事業者の取組を促します。  各モデルとも安全に関する基準の適合を必須とし、現在策定中の新たな認定基準におきまして、ご指摘のバルコニー等からの転落防止のための窓への補助錠の設置等を盛り込むことについて、制度の開始に向け検討してまいります。 ◯まつば委員 加えて、現在の制度では、様々な条件の全てをクリアすることが補助の前提要件とされています。  子育てに適した特徴を備えた住まいという点で、フルスペックの住まいだけ推奨するのではなく、様々なラインナップの住まいとして提供できれば、本制度の活用がより進むものと期待します。  具体的な補助内容について、見解を求めます。 ◯山口住宅政策本部長 補助の実施に当たりまして、各認定モデルに応じ、分譲と賃貸、新築と改修の区分ごとに補助額等を設定いたします。  具体的には、子供の安全性の向上に特化したセーフティーモデルでは、賃貸住宅の新築及び改修で一戸当たり最大五十万円、専有部や共用部における子育てに配慮した設備等を事業者の判断により幅広く選択できるセレクトモデルでは、同様に最大百万円、設備等のさらなる充実に加えまして、居住者の交流機会創出等のソフト面も重視したアドバンストモデルでは、同様に最大二百万円を補助いたします。  こうした取組によりまして、事業者の創意工夫を生かしながら、子育てに配慮した住宅の供給を推進してまいります。 ◯まつば委員 次に、パラスポーツとデフスポーツの振興について質問します。  パラスポーツやデフスポーツの裾野の拡大のためには、聴覚障害者などが日常の練習の際にも必要な音声以外での情報提供への配慮や、車椅子などの身体障害者などが利用しやすいエントランスや建物内での施設間移動におけるバリアフリー化などの点でも、官民問わず改善が進むよう、環境整備を働きかけるべきと考えます。見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 都はこれまで、スポーツ施設におけるスタッフの配慮や小型ホワイトボードを使用した情報伝達方法の工夫等の好事例を掲載したマニュアルの周知に取り組んでまいりました。  今年度、東京二〇二〇大会や障害者差別解消法改正等を契機とした事例を収集し、改定を進めております。  来年度は、新たに、希望する区市町村スポーツ施設に対してアドバイザーを派遣し、障害のある方のスポーツ施設の利用促進に向けた改善等の取組を後押ししてまいります。  また、民間スポーツ施設には、新たなマニュアルを活用した研修を実施し、きめ細かく普及を図ってまいります。  こうした取組などを通じまして、障害のある方が身近な地域でスポーツに親しめるよう、環境整備を一層促進してまいります。 ◯まつば委員 また、特にデフリンピックでは、あと二年余りの間にアスリートの育成を急ぐ必要があり、時間的猶予はありません。  身体能力に優れ、運動への関心が高い若手のデフ人材や、ろう学校の部活動スポーツで活躍する生徒などへの掘り起こしや声かけを急ぐ必要があります。  都は、聴覚障害の当事者団体や一般の競技団体、特別支援学校などとの連携を深め、積極的なアプローチで次世代を担う選手の掘り起こしを行うべきと考えますが、見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 都はこれまで、国際大会等を目指すパラアスリートを輩出するための体験会を実施しており、今年度から、聴覚障害者も対象に加えました。  バドミントンと自転車の体験会を実施したところ、その中から競技団体主催の強化合宿への参加者が出るなど、新たな選手発掘につながりました。  来年度は、デフスポーツの体験会を二回実施し、体験できる競技数も拡大いたします。  さらに、チラシ配布やポスター掲示、ウェブ広告の配信に加え、一般の競技団体等にも周知広報の協力を一層働きかけ、より多くの聴覚障害者の参加を促してまいります。 ◯まつば委員 さらに、デフスポーツの場合、オリ・パラアスリートのような支援スキームの整備は、まだ端緒に就いたばかりであります。  都は、個々のデフアスリートを支える人やデフスポーツ競技団体の支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。 ◯横山生活文化スポーツ局長 都はこれまで、デフアスリートを含むパラアスリートの競技力向上を図るため、都の認定選手と共に競技に参加する一部のスタッフに、大会参加費等を支援してまいりました。  来年度は、コーチやトレーナー、競技指導を受ける上で必要となる手話通訳者など、選手を支える様々なスタッフに対象を拡大し、最大十万円の経費支援を行います。  また、デフスポーツの中央競技団体が都内で行う競技大会の開催や普及啓発イベント等に対しまして、一団体当たり二百五十万円を上限とする補助事業を開始いたします。  今後とも、こうした取組を通じて、デフアスリートを含むパラアスリートの競技力向上を後押ししてまいります。 ◯まつば委員 最後に、防災対策について一問お伺いいたします。  女性視点の防災ブックである「東京くらし防災」でございます。  都議会公明党が小池知事に提案し、発行された「東京くらし防災」は、きめ細かい目線からまとめられたものであり、これまで多くの都民の皆様に活用されてきました。  発行から五年が経過し、来年度にリニューアルをするということですが、その実施に当たっては、これまでの災害などから得られた経験や被災された方々の声を踏まえ、専門的な知見に基づき一層役立つ内容とし、都民の皆様お一人お一人が、その情報を基に防災対策を進められるよう取り組むべきですが、見解を求め、質問を終わります。 ◯野間総務局長 都は「東京くらし防災」のリニューアルに向け、先月、要配慮者に関する防災の専門家や出版物の編集者など、六名の委員から成る編集・検討委員会を新たに設置いたしました。  第一回の委員会では、多くの命を守るため、女性に加え、高齢者や障害者など、様々な立場の人々が発災時に抱える課題を知る機会にすべき、取るべき行動がより具体的に分かる記述とすべきなど多くの意見をいただいております。  引き続き委員と議論を重ね、リニューアルした「東京くらし防災」を全世帯へ配布し活用していただくことで、自助、共助のさらなる促進につなげてまいります。 ◯高倉副委員長 まつば多美子理事の発言は終わりました。(拍手)  この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。    午後六時三十八分休憩      ━━━━━━━━━━    午後七時十分開議 ◯菅野副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  和泉なおみ委員の発言を許します。 ◯和泉委員 日本共産党都議団を代表して、予算特別委員会の総括質疑を行います。  知事が新年度予算案で、ゼロ歳から十八歳まで一人当たり月五千円の給付を所得制限なしで行う〇一八サポートの実施をはじめ、子供、子育て支援を拡充したことは歓迎します。経済的支援のさらなる拡充強化が必要です。その大きな焦点となっているのが学校給食です。  葛飾区では、いち早く給食費無償化に踏み出しました。子供さんが小学校に通っていて、これから第二子の出産を控えている女性は、物価高騰で生活に係る何もかもが値上がりしている中、さらなる子育てに係る費用に不安を抱えていると語り、給食費の無償化は本当に助かると語っています。  知事は、二月二十一日の本会議で、少子化対策、子育て支援のため、大胆に教育費の負担軽減を図ることが重要だと答弁しました。教育費に給食費は当然含まれると思いますが、いかがですか。給食費についても大胆な負担軽減が重要ではありませんか。知事の答弁を求めます。 ◯小池知事 学校給食法におきましては、学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することと、このようにされております。  区市町村立小中学校の学校給食費につきましては、設置者である区市町村が決定をしておりまして、保護者負担の軽減策などにつきましても、区市町村の判断により行われていると、このように認識をいたしております。  なお、学校給食費の取扱いにつきましては、国の責任と負担によるべきものと考えております。 ◯和泉委員 保護者の負担、区市町村の判断、国の責任、東京都以外は全部持ち出して東京都が全く出てこない、冷たい答弁だと思います。大胆な教育費の負担軽減を図ると語った知事の本気度が問われます。  給食費の未納袋を子供たちに手渡さなくてはならない先生方からは、人目を気にしたり、恥ずかしそうに袋を隠す子供たちの姿にいつも心が痛むという声が届いています。  学校給食法は、第十一条で経費の負担について定めています。学校給食に要する施設整備費や人件費などは自治体などの学校設置者の負担とし、それ以外の経費は児童生徒または保護者の負担としています。けれども、これは食材費などの負担を保護者に義務づける規定ではありません。  区市町村立小中学校の給食費の保護者負担について、都が区市町村に補助を行うことは法的に可能だと思いますが、いかがですか。 ◯浜教育長 昭和二十九年に発出された文部事務次官通達では、学校給食法等の規定について経費の負担区分を明らかにしたもので、例えば保護者の経済的負担の現状から見て、地方公共団体、学校法人その他の者が、児童の給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではないとされています。 ◯和泉委員 ここが重要だと思うんです。東京都は、学校給食の無償化が都内でも大きな流れになりつつあることについて、区市町村の判断で行っていることだ、学校給食費の支援は国の責任と負担によるべきものだという答弁を繰り返しています。  しかし、今答弁されたように、学校給食費の無償化など負担軽減に取り組む区市町村に対して、東京都が財政支援をすることは学校給食法の下でも認められています。どの自治体でも無償化できるように都として踏み出すことを強く求めておきます。
     東京都は今年度、都立学校の給食への支援を実施しています。その意義について認識を伺います。いかがでしょうか。 ◯浜教育長 物価が高騰する中にあっても、必要な栄養バランス等を確保した給食を提供する必要がございます。  今年度は、国の臨時交付金を活用し、都立学校において給食費の支援を行っております。 ◯和泉委員 つまり、支援は給食の質の維持向上に役立つということなんです。  先ほど教育長自身が答弁されたように、学校給食法は、地方公共団体が児童の給食費の一部を補助することを認めています。財源確保など国の責任だと答弁されましたが、市町村学校については、設置者である区市町村が決めると、先ほど知事も答弁されました。であるならば、都立学校の設置者である東京都の判断でできることではありませんか。少なくとも学校設置者として、特別支援学校をはじめとした都立学校の給食費の無償化に踏み出すべきです。これも厳しく求めておきます。  次に、聞こえの支援です。  全ての世代にとって重要ですが、高齢化が進む東京でますます力を入れていくべき課題です。高齢者の二人に一人は難聴だと推計されています。  都内で補聴器購入費への補助などを行う区市町村が年々増えているのは、多くの住民の切実な願いであることの表れです。さらに実施を増やし、内容を充実させていくために東京都の役割は重要です。  都は、高齢者の補聴器購入費への補助などに取り組む区市町村を包括補助で支援しています。さらに支援を強化し、加齢性難聴の早期発見や補聴器利用の促進を図ることが重要だと思いますが、いかがですか。 ◯西山福祉保健局長 都は、区市町村が高齢者への補聴器支給等事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう、包括補助により支援をしており、今後、区市町村や専門家など関係者の意見も聞きながら、効果的な施策を検討することとしています。 ◯和泉委員 よりよい制度にするために、医師会や耳鼻咽喉科頭頸部外科学会などから意見を聞いて、相談して検討することが大事です。障害者や高齢者の団体からも意見を聞くべきです。  そして、補聴器への支援を包括補助から取り出して補助率などを拡充することや、早期発見のための健診や相談支援、適切に補聴器の調整が行われるための仕組みづくりなども含めて検討することを求めるものです。  続いて、江東区にある都立のゴルフ場、若洲ゴルフリンクスについて、都政の重要課題に絞って質問します。  港湾局所管で、東京港埠頭株式会社が指定管理者として長年にわたり運営しています。アクセス良好な都市のゴルフ場で、岡本綾子氏が監修した名門コースということもあり、人気が高く、日本一予約の取りづらいゴルフ場ともいわれています。  若洲ゴルフリンクスの予約はどのように行われているんでしょうか。 ◯矢岡港湾局長 若洲ゴルフリンクスの予約は、ウェブもしくは電話にて先着順により受け付けております。 ◯和泉委員 予約の電話を何十回かけてもつながらない、インターネットもつながりにくい、毎日そういう状況です。利用する皆さんは、コンサートなどのプレミアチケットを取るような大変な苦労を毎回されています。  ところが、地元の江東区長ほか、一部の政治家が優先的に利用しているのではないか、口利きがされているのではないかという声が都民から寄せられています。都政の信頼に関わる重要課題です。  港湾局長はこうした声を聞いたことがありますか。また、そのような事実を把握していますか。 ◯矢岡港湾局長 ご指摘の事実は承知してございません。  引き続き、適正な利用に努めてまいります。 ◯和泉委員 我が党は独自に、取扱い厳重注意という前提で若洲ゴルフリンクスの利用実績、具体的には、令和二年度には山崎区長が十五回、三年度には十四回のプレーをしていたという口利きの実態があること、そして、その改善策として、先着順による不公平感を解消するため抽せん制に移行する、電話受付を廃止して、人を介する予約ができない新システムを導入するなどが港湾局内部で検討されているとの証言を得ました。  武市副知事に伺います。都政の重要課題です。若洲ゴルフリンクスについて、江東区長ほか一部政治家への口利きの事実があることを把握していますか。その改善策として、港湾局が抽せん制への移行、新システムの導入などの検討を行っていることは把握していますか。武市副知事、いかがですか。 ◯武市副知事 ご指摘の点については承知はしておりませんが、都民の皆様から、利用が取りづらいと、そういう声が上がっているということは聞いておりまして、その点について見直すべきだということについては、そういう議論をしているところでございます。 ◯和泉委員 若洲ゴルフリンクスを運営する埠頭株式会社には、特別に予約を受け付ける東京都OBの担当者がいて、利用あっせんの窓口になっていたと聞いています。それは事実ですか。 ◯矢岡港湾局長 そうしました事実は承知してございません。  若洲ゴルフリンクスは、従来から予約が取りにくい、電話がつながらないという都民の声があることから、指定管理者に対しまして、既に予約システムの見直しを指示し、着手しているところでございます。 ◯和泉委員 港湾局内は改善策の一つとして、現在、予約業務を担っている埠頭株式会社の担当者を異動する体制の見直しも検討していると、こういう証言も得ています。  区長選挙直前の四月十一日には、江東区ゴルフ連盟の山崎会長杯という江東区長の名を冠したコンペが、八十名という大きな規模で若洲ゴルフリンクスを会場に行われます。このコンペの予約も優遇されたという情報があります。都立の施設として、公平、公正な運営に改めるべきことを厳しく求めておきます。  続いて、神宮外苑再開発の問題について伺います。  神宮外苑再開発は、再開発中止を求める声、見直しを求める声が様々な分野から燎原の火のごとく広がっています。にもかかわらず、知事は二月十六日に再開発事業の施行認可を出しました。いかに知事が聞く耳を持たないかの証左だといわなければなりません。今からでも認可を取り消すべきです。その立場から質問します。  まず、知事に伺いますが、神宮外苑地区のスポーツクラスターとしての意義をお答えください。 ◯小池知事 都は、臨海、神宮外苑、武蔵野の森、駒沢、この四つの地区をスポーツクラスターと位置づけまして、スポーツイベントの開催などを通して、都民のスポーツへの関心の向上と地域や経済の活性化を図ることといたしております。  このうち、神宮外苑の地区につきましては、歴史と風格を継承しながら、地区一帯のまちづくりを通じて、にぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点としてさらに発展させていく、このようなことといたしております。 ◯和泉委員 世界に誇れるスポーツ拠点を目指すための再開発だといわれました。スポーツ拠点としてさらなる発展を目指すともいわれました。けれども、それは都民向けの後づけの理屈にすぎません。  この再開発計画は、土地所有者の明治神宮や開発事業者の三井不動産などの思惑とともに、二〇一二年頃から、東京都の当時オリ・パラ担当だった佐藤広副知事と安井技監らが森喜朗元首相と手を組んで開発計画の絵を描いて、都民に隠して進めたものです。その動機も目的も東京五輪を利用した利権のための再開発計画にほかなりません。  秩父宮ラグビー場について伺います。  今回の再開発で、秩父宮ラグビー場と神宮球場の場所が入れ替わるのはなぜですか。 ◯福田都市整備局長 日本スポーツ振興センター、JSCが所有しております秩父宮ラグビー場は、施設全般の老朽化が進んでおりまして、経年による劣化や耐震補強への対応、ユニバーサルデザインの導入などが課題とされております。  明治神宮が所有しております明治神宮野球場も竣工後九十五年余りが経過し、施設の老朽化が著しい上、競技環境、観戦環境ともに陳腐化が進んでおりますが、年間を通して数多くの試合や大会が実施されております。  このため、民間事業者は競技の継続性に配慮し、ラグビー場と野球場等の位置を入れ替えて連鎖的に建て替え、競技空間の拡張、ゆとりある観客席の確保、ユニバーサルデザインの導入など、世界に誇れる水準の競技環境、観戦環境を備えた施設として更新することとしております。 ◯和泉委員 公式には今の答弁のように説明されています。しかし、実際は違います。  お手元の資料1)、これをご覧ください。我が党が二〇一八年三月に情報公開請求して明らかにした文書です。今では都市整備局のウェブサイトで公開されています。  平成二十四年、二〇一二年の五月十五日、当時の佐藤広副知事と安井技監が森喜朗氏を訪ねて、神宮外苑再開発の東京都が考えているイメージについて衆議院議員会館で説明した記録です。このとき既に神宮球場とラグビー場の敷地を入れ替える計画になっています。  安井技監は、その利点の筆頭に明治神宮所有地の商業的な利用増進を挙げています。それを聞いた森氏は、すばらしい案じゃないかと絶賛し、港区は喜ぶんじゃないかなと述べています。つまり、神宮球場が青山通り近くにあった方が、明治神宮にとっても、港区にとっても上がりがいいということです。ラグビーの聖地、秩父宮ラグビー場への敬意などみじんも感じることができません。  秩父宮ラグビー場は、ラグビー選手たちが数々の名試合を繰り広げ、ラグビーファンや関係者たちの感動の記憶が堆積し、思い出が語り継がれてきた場所です。ご存じのように、西の花園、東の秩父宮といわれる日本に二つしかないラグビー専用スタジアムです。  新しく建設されるラグビー場は、ラグビー専用スタジアムですか。 ◯福田都市整備局長 ご答弁の前に、お配りいただきました今のご説明ありましたけれども、これにつきましては、商業的な利用増進、それから両競技の中断を回避、競技の継続性ということで、両競技の中断を回避というところが大きかったと思います。  これにつきましては、商業的な利用増進につきましては、来場者の多い野球場を青山通り近くに配置することによって、沿道の商業機能との連携も図られ、商業的な利用が増進されることを示しているのではないかと思われます。  ラグビー場につきましては、日本スポーツ振興センターが策定した新秩父宮ラグビー場(仮称)基本計画では、我が国のラグビーを象徴するスタジアムとして、選手が最高の高揚感を感じ、観客はどこからでも見やすいなど、訪れた人々が一体感を感じるラグビー場を目指すこととされております。  さらに、ラグビーを主たる用途といたしますが、ラグビー以外のスポーツ競技や各種イベントでも使いやすい施設とし、神宮外苑地区のにぎわい創出に寄与することとされております。 ◯和泉委員 私、先ほど何ていったかというと、その利点の筆頭に商業的な利用増進を挙げているというふうにいったんです。確かに競技の継続性、このことにも書いてありますよ。けれども、そのことをもってしては、青山通りに移転して港区が喜ぶというところにつながらないんです。港区が喜ぶのは、神宮球場が青山通り沿いに移転してくるからなんですよ。  ラグビー以外のスポーツや各種イベントでも使いやすい施設になる。つまり、ラグビー専用スタジアムではなくなるんです。それを象徴するのが屋根の問題です。建て替え後のラグビー場に屋根をつけるのは、ラグビー大会よりもイベントなどの利用を優先するためです。  私たちは、ラグビーの元日本代表選手だった平尾剛さんに話を聞きました。平尾氏は、ラグビーは青々とした芝生の上で、どんな天候にも対応できるようにプレーするのが基本だと。どのように天気を味方につけるかもラグビーの醍醐味だと熱く語ってくれました。  実際に、当初の計画では、ラグビー専用スタジアムとして屋根はありませんでした。これがその証拠です。ご覧ください。新ラグビー場に屋根はありません。ところがその後、ラグビー協会から突如、全天候型という話が持ち出され、さらにラグビー専用スタジアムの言葉もなくなり、全天候型だけが残って屋根をつけることになりました。  メディアでは、ラグビー協会から全天候型という話を持ち出させるなどということができるのは、ラグビー協会に強い影響力を持つ森喜朗氏しかいないと報道されています。  ラグビー大会時の座席数が大幅に減らされたのも重大な問題です。秩父宮ラグビー場の座席数は、現在二万五千席です。建て替え後の収容人数は何人ですか。 ◯福田都市整備局長 日本スポーツ振興センターによりますと、新ラグビー場の収容人数は、誰もが不自由なく安全に利用しやすいユニバーサルデザインの導入や、国際大会などに求められる競技環境、観戦環境にふさわしい施設水準を踏まえ、PFI事業者の提案において、ラグビー大会時は約一万五千五百人、その他のイベント時は最大二万五百人と聞いております。  なお、全天候型になった経緯につきましては、令和二年九月、ラグビーフットボール協会から文部科学大臣に対し、スポーツ庁のスタジアム・アリーナ改革指針を踏まえて、多目的な用途が可能な全天候型施設とするよう要望があり、その後、スポーツ庁が開催するラグビーの振興に関する関係者会議において、全天候型のラグビー場の整備の方針が示されたと聞いております。 ◯和泉委員 この秩父宮ラグビー場をどのようなものにしようかという関係会議が開かれていたんです。最後までラグビー協会は専用スタジアムとすることにこだわっていました。けれども、ある時点から、結局、第三回の会議ではラグビー専用スタジアムという言葉が消えてしまうんです。  今、答弁にあったように、ラグビー専用スタジアムとして一番大事な、ラグビー大会時の収容人数は二万五千人から一万五千五百人に約一万席、何と四割も減らされます。花園ラグビー場の収容人数は二万七千人です。けれども、最初からこんな計画だったわけじゃないんです。  お手元の資料3)、赤で下線を引いた部分をご覧ください。秩父宮ラグビー場を整備、運営する日本スポーツ振興センター、JSCは、二〇一九年四月時点では、ラグビーの聖地としてのレガシーを次世代に引き継ぐため、ラグビー専用スタジアムとして整備すると明記していました。そして、当初の計画では、現況どおり、座席数約二万五千席としていました。  ところが、その後再提出された計画で、店舗を入れ、巨大スクリーンも設置することになった結果、肝腎のラグビー大会では一万五千五百人の座席しか確保できなくなってしまったんです。  ラグビー元日本代表の平尾剛氏は、屋根がついたのも人工芝も多目的に使用するためであり、これはつまり収益を上げるためのものです。収容人数が激減したのも音楽イベントなどで使用する巨大スクリーンを立てるためで、徹頭徹尾、金のためです。ラグビーの試合を行うことが脇に追いやられており、ラグビーというスポーツの価値に何ら配慮していないと厳しく指摘しています。  知事、ラグビー元日本代表、この平尾剛さんの言葉をどう受け止めますか。知事、いかがですか。 ◯福田都市整備局長 日本スポーツ振興センターによりますと、この収容人数につきましては、誰もが不自由なく安全に利用しやすいユニバーサルデザインの導入、それから、国際大会などに求められる競技環境、観戦環境にふさわしい施設水準を踏まえたものということでございます。  このJSCは、日本ラグビーフットボール協会との協議を踏まえ、JSCが策定した業務要求水準書の中で、スタンド席で一万五千四百二十二席以上、フィールドを利用したアリーナ席で五千席以上を収容できることが観客席の条件になったとJSCから聞いております。 ◯和泉委員 観客席の規模というのは、その時々の試合、大会の規模、それから、それぞれの一つ一つの試合の規模、それによって観客収容人数が上下します。一万五千五百あれば国際大会が必ず開けるというものではないんです。おおよそ国際大会決勝戦は、この新ラグビー場では開けないということになりかねないんです。本来、スポーツの拠点にすると、ラグビーの聖地を守るというんだったら、国際大会の決勝戦ができるぐらいの規模をなぜ検討しなかったんでしょうか。  秩父宮ラグビー場は、戦後間もない頃、当時の関東ラグビー協会の会長や各大学のOBが私財をなげうって造ったスタジアムです。ある者は時計やカメラ、ある者は家のじゅうたんを売って、心のふるさとを築き上げようと建設資金に充てたことが、JSCのホームページにラグビー場の歴史として記されています。  再度、知事に伺います。先ほど、さらなるスポーツの拠点として発展させると、そうおっしゃいました。西の花園と並び、東のラグビーの聖地とされる秩父宮ラグビー場が、ラグビー専用スタジアムとはいえないものに変わってしまう。これで胸を張って、世界に誇れるスポーツ拠点の整備だなどといえますか。  先人たちの苦労も含めて、ラグビーの聖地として受け継がれてきたその歴史まで根こそぎ壊してしまうような計画に痛みを感じませんか。知事、いかがですか。 ◯福田都市整備局長 ラグビー場につきましては、ラグビーを主たる用途とすることは全く変わっておりませんで、JSCが策定した新ラグビー場(仮称)基本計画では、新ラグビー場の四つのコンセプトの第一に、我が国のラグビーを象徴するスタジアムが掲げられておりまして、ラグビーの聖地として親しまれてきた歴史を次世代に継承し、ラグビーをプレーする人、見る人、支える人にとって快適な施設として、ラグビーの魅力を引き出すことができるスタジアムを目指すとしております。  また、併せて第二として、様々なシーンに対応できる誰もが心地よいスタジアムが掲げられておりまして、他のスポーツの競技や各種イベントなど様々な用途に対応が可能で機能的であり、かつユニバーサルデザインにも配慮するなど、誰もが使いやすい全天候型のスタジアムにするということで、スポーツクラスターの形成やにぎわいの創出に寄与することが示されております。  そうした将来像に向けて事業が進められているものと考えております。 ◯和泉委員 主たる用途がラグビーなのは当たり前じゃないですか。主たる用途からラグビーをやることが外れたら、もはやラグビー場といわないじゃないですか。何をいっているんですか。  先ほど局長は、ラグビーのよさを広く知ってもらうんだと、そのようにおっしゃいました。けれども、日本代表の平尾さんは、青空の下でやるからこそ、そして、どうやって天気を味方につけるか、それもラグビーの戦略の一つであり、醍醐味なんだと、そういうふうに語っていらっしゃるんです。間違いなく新ラグビー場では、このラグビーの醍醐味が失われてしまうということになるんじゃありませんか。  知事、もう一度伺います。このようなラグビー場に整備し直してしまう、徹頭徹尾、金のため、それでラグビーの聖地といえるでしょうか。ラグビー専用スタジアムとして守ることが今求められているんじゃないですか。いかがですか。 ◯福田都市整備局長 新ラグビー場につきましては、基本的には、所有者であります日本スポーツ振興センターが、ラグビー協会などとも意見交換をしながら判断していくものと考えております。 ◯和泉委員 何いっているんですか。二〇一二年に東京都と森喜朗さんが、ここの再開発計画を持ち込んだんじゃないですか。何をいっているんですか。  秩父宮ラグビー場の整備運営事業者を選ぶ入札の結果も実に不可解なんです。昨年八月に事業者選定の結果が発表されました。入札結果の概要をパネルにしました。ご覧ください。お手元の資料では4)です。  注目すべきは入札金額です。落札した鹿島建設、三井不動産グループが、ほかの二社より圧倒的に安い。その結果、技術点では三者の間にそれほど開きはないのに、価格点で大きな差をつけて落札しています。入札に敗れた事業者は、ここまで価格を抑えられるのか、悔しさを通り越して驚いたと語ったと報じられています。なぜ、このような低価格の入札ができたんでしょうか。  それには理由があります。落札した三井不動産は、ラグビー場整備の発注者であるJSC同様神宮外苑再開発の当事者で、この再開発で超高層の業務商業ビルを建てる計画です。  そこで伺います。神宮外苑再開発では、開発地区内で容積率の移転が行われます。新ラグビー場から容積の移転は行われますか。 ◯福田都市整備局長 神宮外苑地区では、まちづくり指針を踏まえ、都市計画法に基づく地区計画により、絵画館を望む眺望景観や風致の保全、中央広場周辺の広がりのある景観形成を図る観点から、イチョウ並木周辺や新野球場、新ラグビー場等の容積を低く抑える一方、青山通り沿道等については、にぎわいを形成するため容積率を高く設定するなど、地区内で容積率を適正に配分しております。 ◯和泉委員 長々と答弁されましたけど、私の質問に対するのは最後の一言だけいいんです。容積率移転されるんです。  ご答弁のように、新ラグビー場などから、容積率が三井不動産と、それから本社ビルを建て替える伊藤忠の方に配分されます。この容積率の移転で、三井不動産はより大きな建物を造ることができ、より大きな収益を得ることができるということになります。この恩恵を見込むことができるのは、三井不動産が参加するグループだけなんです。三井不動産は再開発事業者としての立場を最大限利用して、ほかの二つのグループには到底まねのできない破格の低価格で入札できた、そういうことじゃないんでしょうか。  発注者のJSCも、受注者の三井不動産も、同じ外苑再開発事業の施行者仲間です。知事、これでは、施行者仲間同士の出来レースの入札ではないかといわれても仕方ないんじゃありませんか。知事、どう思われますか。 ◯福田都市整備局長 今回の開発計画は、まちづくり指針で示した将来像の実現を図るため、公園まちづくり制度の適用により都市計画公園の区域を変更し、商業、業務、交流施設の整備等によるにぎわいの創出を図ることとしております。  また、地区計画によって絵画館を望む眺望景観や風致の保全、中央広場周辺の広がりのある景観形成を図る観点から、イチョウ並木周辺や野球場、新ラグビー場等の容積を低く抑え、青山通り沿道等のにぎわいを形成するため容積率を高く設定するなど、地区内で容積率を適正に配分しているものでございます。  なお、再開発等促進区による容積率の適正配分は一般的な開発手法でございます。  また、入札結果のお話がありましたけれども、新ラグビー場のPFI事業者の選定については、JSCの責任でJSCが適切に対応すべきことと考えております。JSCによりますと、事業者公募に当たって、事業提案の検討に必要となる情報は、入札説明書等により入札参加者に対してひとしく提示しているため、再開発事業の地権者等が入札参加することに問題はないとのことでございます。 ◯和泉委員 入札に参加することが可能だと、問題ないというご答弁でしたけれども、注目すべきはその価格なんですよ。なぜこれほどの差をつけて低い価格で入札をすることができたか、そこを私は伺っているんです。(福田都市整備局長発言を求む)聞いていませんよ、まだ何も。まだ聞いてないですよ。  再開発の施行者である、事業者である、その立場を大いに利用して、このラグビー場の施設の整備、それから運営、そこを安く抑えることができたのではないですか、これができるのは、再開発そのものの事業者である三井不動産だからではないですか、その恩恵にあずかったからこそ、これほど低い価格で入札することができたのではありませんか、知事、どう思われますか、このように私、聞きました。知事いかがですか、答えていただけませんか。 ◯福田都市整備局長 入札金額については、私どもは答える立場にございません。評価する立場にもございません。  JSCによれば、入札参加者に対してひとしく提示しているため、入札参加に不平等が生じることはなく、問題ないということでございます。 ◯和泉委員 これだけいっても、この数字を見ておかしいと思わない方が不思議じゃないんでしょうかね。これ、民間がやることだから私たち関係ありません、JSCがやることです。だけれども、神宮外苑は都市計画公園です。公の施設、公共性の高い事業ということになるんじゃないですか。  そこでの取引がこんな状態で行われている、そのことに対して何もいわない。適正性が疑われている、それなのに何もいえないという東京都の姿勢はあまりにも情けない。  神宮外苑再開発ではイチョウ並木の保全に関心が集まっていますが、新ラグビー場予定地に隣接する貴重な建国記念文庫の森、通称文庫の森の樹木も伐採されます。パネルをご覧ください。鬱蒼とした風格のある、これが文庫の森です。次のパネル、これが今の現況です。樹木移植の準備のため、公開を中断させていただきますと書かれて閉鎖されました。  事業者が新宿区に申請した樹木の伐採数と内訳はどうなっていますか。 ◯福田都市整備局長 神宮外苑地区は、都市計画法に基づき風致地区に指定されておりますが、風致地区は、指定区域内の良好な自然的景観を保持することにより都市環境の保全を図るものであり、都の風致地区条例において、区域内で一定の行為を行う場合は区市の許可を受けることとなっております。
     本件については新宿区の所管であり、区によれば、お尋ねの樹木の本数については、大部分が低木であり、面積をベースに推定値を算出するとおよそ三千本とのことでございます。 ◯和泉委員 今、およそ三千本というふうにいわれましたけど、私、内訳も聞いたんですよ。お答えがなかった。代わりに答えましょう。高中木の伐採が三十本、その他、低木の伐採は二千九百九十八本、三千本以上が伐採されるんです。知事の責任は重大だと思いますよ。  文庫の森一帯は、樹木伐採などの規制が厳しい風致地区A地域やB地域でした。それが、伐採許可が出しやすいS地域へと変更されています。変更したのは誰ですか。東京都ですか、新宿区ですか。 ◯福田都市整備局長 新宿区において変更しております。 ◯和泉委員 今ご答弁あったように、変更したのは新宿区です。先ほども新宿区が所管だというふうに、局長、お答えになりました。  しかし、東京都が新宿区に対してS地域への変更を依頼したのではありませんか。いかがですか。 ◯福田都市整備局長 風致地区条例に基づく許可権限につきましては、二〇一四年、平成二十六年四月より、従来、都で許可していたものを、全て許可権限が区市に移譲されております。  都は、まちづくり指針に沿って、スポーツクラスターの形成等を推進するに当たり、風致地区の区域が複数の区にまたがっていることから、条例に基づく許可の審査に関する基準等の統一的な運用を図るため、地域区分のS地域への変更等を関係区に依頼したものでございます。  なお、このまちづくり指針は、有識者や地元新宿区等の関係者から成る検討会での検討を踏まえて策定したものでございます。 ◯和泉委員 新宿区が所管なんだと、三千本の伐採許可は新宿区がやったんだと、そういうふうにお答えになりましたけれども、今ご答弁にあったように、東京都が新宿区に対して伐採しやすいS地域への変更を依頼したんですよ。  少し字が小さいですけれども、パネルを用意しました。お手元の資料では、5)、6)が該当します。二〇二〇年二月、都市整備局まちづくり推進担当部長名で新宿区に対し風致地区の地域区分の変更を依頼しています。伐採の規制を緩めるように誘導したのは、ほかならぬ東京都自身です。  拡大コピーしてありますが、S地域の規制内容を、再開発計画に合わせてさらに緩和することまで依頼しています。しかも、どう緩和するのか東京都が一言一句案を示して、そのとおりのものが今、新宿区のホームページに掲載されています。事実上、東京都の指示によって書き換えられたようなものです。  知事に伺います。東京都は、都民の誰も知らないところで法令に基づく基準を都合よく変更して、神宮外苑再開発を強引に進めています。知事、こんなことが許されるんですか。開発に合わせて都合よく変えてよいなら、基準や規制は一体何のためにあるんですか。知事の答弁を求めます。 ◯福田都市整備局長 都からの依頼につきましては、神宮外苑地区のまちづくり指針、有識者や地元新宿区等の関係者から成る検討会での検討を踏まえて策定したこのまちづくり指針に沿って、スポーツクラスターの形成の推進を図るに当たって必要な手続等を依頼したものでございます。  この風致地区条例の中で規定された範囲内でできることを依頼したものでございます。 ◯和泉委員 風致地区条例の中でできる範囲のものをとおっしゃいましたけれども、国立競技場を造るときに、S地域をS甲地域、S乙地域とわざわざ分けて、伐採しやすいように──このときにも基準緩和しているんです、今回さらに、それでも足りないということで、S丙地域なるものをわざわざつくって、そうして基準を緩めているんですよ。とんでもない話じゃないですか。  都市計画は百年の計といわれます。まさに神宮外苑は、先人たちが百年後、百五十年後の姿を描いて今日の私たちに残してくれた宝です。再開発計画の見直しを求めるオンライン署名は十一万八千人を超えています。「菊とバット」などの野球に関する著作も多いロバート・ホワイティングさんが呼びかけた神宮球場の現地でのリニューアルを求める署名には、一万七千人を超える方たちが賛同署名しています。  先ほど来、私が話に出しているラグビーの元日本代表選手、平尾剛さんも、ラグビー場の建て替えに反対するオンライン署名を立ち上げて、一か月で一万五千人を超える方たちが賛同署名しています。  南青山の幼稚園、小学校の保護者たちは、事業者が住民説明会を開催すること、イチョウ並木を名勝指定することを求める陳情書を港区長らに提出しました。  また、イコモス日本委員会は、三井不動産などの事業者が環境影響審議会に提出をした評価書に、文庫の森の環境影響評価を含め、虚偽があると指摘しています。  神宮外苑は、渋沢栄一氏をはじめとする先人たちの努力でつくられ、百年の歴史を重ねてきました。小池知事は、その先人の努力も、百年の歴史も台なしにした知事として名を残すことになりかねません。本当にそれでいいんですか。神宮外苑再開発の施行認可を今ここで踏みとどまって取り消すことを、重ねて厳しく求めておきます。  次に、五輪の問題です。  神宮外苑再開発を進めた当時の佐藤広副知事は、その後、組織委員会の副事務総長を務め、現在、清算法人の四人の清算人の一人です。森喜朗元首相は、その後、組織委員会の会長を務めました。そして今、東京五輪をめぐる根の深い問題、負のレガシーが次々明らかになっています。  二月二十八日に公正取引委員会が、テストイベントに関して談合があったとして六社を告発し、地検が同日起訴しました。五輪をめぐる受託贈収賄に続いて、五輪やスポーツの価値をおとしめる重大なことだと思いますが、知事は、開催都市の長として、この事態をどう受け止め、どう対応しようとしているんでしょうか、伺います。 ◯小池知事 国際大会の開催には都民、国民の信頼が何よりも重要で、これらの事件はその信頼を損なうものでございます。  とりわけ談合事件でございますけれども、その重大性に鑑み、速やかに調査チームを設置、現在、外部有識者の下で調査を進めているところでございます。  また、組織委員会元理事の事件につきましては、公判により事実関係が明らかになると、このように考えております。  なお、今後の国際大会に向けましては、有識者会議で議論をいただきまして、ガイドラインとして既に公表しております。 ◯和泉委員 事実を明らかにするために、都は積極的に役割を果たす必要があるというふうに思いますが、知事、いかがですか。 ◯中村政策企画局長 国際大会には都民、国民の信頼が重要でございます。  都は、地検、公取委の捜査がございました清算法人に対しまして、捜査への全面的な協力を求めてまいりました。  また、都としても速やかに調査チームを立ち上げまして、現在、外部有識者の専門的な見地から調査を進めており、都としても有識者をサポートしているところでございます。 ◯和泉委員 先ほどのご答弁から、事実を明らかにするために、都も積極的な役割を果たす必要があると思いますが、知事いかがですかと伺いました。ここで知事が答弁に立っていただけないということ自体、この問題でも知事の本気度が問われるんじゃないでしょうか。今の局長答弁も、私はまだまだ不十分だと思いますよ。  五輪の談合問題を取り上げた我が党の代表質問のうちで、都の職員の関与に関する四つの質問に対しては、都は、捜査に関わることであり、答弁は差し控えるとして具体的に答弁しませんでした。つまり、捜査の対象になっているということじゃないですか。  驚いたのは、二〇一八年一月から三月頃、吉村財務局長は組織委員会大会運営局の局長だったことに間違いないかという質問に対して、捜査に関わることであり、答えは差し控えるとしたことです。  吉村財務局長の組織委員会での当時の役職は、都の職員名簿などで公表されているものです。それがなぜ捜査に関わることで答弁できないのか、到底理解できません。捜査当局から話してはいけないというふうにいわれているんですか。 ◯中村政策企画局長 都は、捜査活動に協力すべき立場でございまして、捜査に関することを発言することにより、刑事手続における事実認定に支障を生じさせることのないよう、お答えを差し控えたものでございます。 ◯和泉委員 職員名簿に公然と載っていることが、なぜ捜査に関わるんですか、なぜ捜査に支障が出るんですか、そこが分からないというふうに申し上げているんです。公表されている役職を答弁することは、なぜ捜査の事実認定に支障を生じさせるのか、誰が聞いても理解できないと思いますよ。  組織委員会の大会運営局は、当時、第一局と第二局に分かれていました。二つの局に分かれていたのは、いつからいつまででしょうか。 ◯中村政策企画局長 清算法人からは、平成二十八年一月一日から平成三十年六月三十日まで、大会準備運営第一局と大会準備運営第二局を置いていたと聞いております。  清算法人によりますと、平成二十八年頃は、大会開催基本計画を基に具体的な準備に着手するフェーズにあった時期であり、また、平成三十年頃は、計画段階から実践準備段階へフェーズが移行する時期であり、それぞれ組織改正を行ったと聞いております。 ◯和泉委員 今、大会準備運営局が第一局、第二局に分かれていたのは平成二十八年一月一日から平成三十年六月三十日までだったと清算法人から聞いているというご答弁ありました。  都の職員名簿によれば、二つの局に分かれる二〇一六年一月一日の直前、吉村財務局長は大会準備運営局長でした。これに間違いありませんね。二つの局に分かれた後、二〇一八年三月末まで、吉村財務局長は大会準備運営第二局長でした。これも事実ですね。公表されている役職の確認ですから、吉村局長、お答えください。 ◯中村政策企画局長 ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。 ◯和泉委員 先ほど来申し上げていますけど、役職名公表されているものなんですよ。  もう一回繰り返しますよ。吉村局長に聞きますよ。二つの局に分かれる直前まで、吉村財務局長は大会準備運営局長でしたね。二つの局に分かれた後、二〇一八年三月末まで、吉村財務局長は大会準備運営第二局長でした。これに間違いありませんね。 ◯中村政策企画局長 重ねてのご答弁で恐縮でございますが、ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。 ◯和泉委員 どうしてもご本人からお答えがいただけないようですね。  毎日新聞が二月十六日に報道したところによると、逮捕された元次長、森泰夫氏が、入札実施前に応札意向をまとめた一覧表を上司だった大会運営局長に見せたと供述しています。時期は二〇一八年一月から三月頃とのことです。  この時期だとすると、吉村財務局長が第二局長だった時代ではありませんか。この元局長というのは吉村財務局長のことですね。 ◯中村政策企画局長 重ねてでございますが、ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。 ◯和泉委員 吉村財務局長のことになると、全て捜査に関わることであるのでお答えできないと。これどういうことかというふうにいいますと、要するに、吉村局長は捜査対象になっていたということではないんですか。だから答えられないわけですよ。  毎日新聞は、一覧表を見せた局長は、現在は出向元の都の幹部を務めていると報道しています。テストイベント計画立案等業務委託契約を所管していたのは第一局です。第一局の局長は東京都の職員名簿には記載がありませんから、都の職員ではないと思われます。  この時期、吉村財務局長は組織委員会の、先ほども申し上げたとおり大会準備運営第二局長でした。逮捕された電通出身の森泰夫氏は大会準備運営第一局次長でした。この時期の元局長で出向元の都の幹部となっているのは吉村財務局長以外にいないんです。  吉村財務局長は、毎日新聞の取材にはいろいろ話していますよね。メディアの取材には答えて、議会で答えられないというのはおかしいんじゃありませんか。森泰夫氏から、入札実施前に応札意向をまとめた一覧表を見せられた大会運営局長というのは吉村財務局長ですね。お答えください。いかがですか。 ◯中村政策企画局長 ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。 ◯和泉委員 毎日新聞に答えられたのに、議会になると途端に、捜査に関わるからといって答弁できない。おかしいんじゃありませんか。  もう一度伺いますよ。吉村財務局長、入札前の一覧表を見せられたというのは、吉村財務局長ではないんですか。 ◯中村政策企画局長 重ねての答弁になりまして恐縮でございます。ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。 ◯和泉委員 東京都がこの談合事件を知らなかったのか、知らないなんていうことが本当にあり得るのか、都民はそのことにも疑念を持っているんですよ。今の質疑を通しても、東京都が関与していたのではないか、知っていたのではないか、その疑いはますます強くなりました。  財務局長に伺います。談合した電通など六社に対して、都はどのような措置を取ったのでしょうか。 ◯吉村財務局長 逮捕並びに起訴の当日に指名停止処分をしております。 ◯和泉委員 自分に関する質疑には答えませんけど、企業に関する質問には答弁に立つわけですね。  公正取引委員会が二月二十八日に発表した五輪東京大会テストイベントの談合に関わる告発の文書では、二〇一八年二月頃から同年七月頃までの間、東京都内の組織委員会事務所等において、面談等により、入札談合が行われたとされています。驚くことに、組織委員会の事務所の中で堂々と談合が行われていたということなんです。  当時、談合の現場になったこの組織委員会の事務所には、吉村財務局長をはじめ、多くの都の職員が派遣されていたはずです。その下で、都の職員の誰一人、談合に気づかなかった、知らなかった、そういうことがあり得るのか。先ほども述べましたけど、多くの都民はその点に疑念を抱いているんです。  都は、潮田副知事をトップとする都の内部調査チームを設置し、昨年十二月末に、当面の調査状況についてという文書をまとめています。速やかに調査チームを立ち上げたと、先ほど知事も答弁されました。  ところが、その中身は極めてお粗末だといわなければなりません。派遣した都の職員百人から聞き取りをしたにもかかわらず、その結果が何ら示されていないんです。  当面の調査状況によれば、職員の聞き取りが全部終了した後に、確認できた事実や分析し明らかになった課題などを公表するというふうにしていますけれども、いつまでに聞き取りを終わらせ、いつ公表する予定ですか。潮田副知事、いかがですか。 ◯中村政策企画局長 調査チームの事務局としてお答えさせていただきますが、現在、外部有識者の下で、第三者の専門的な見地から、課題の抽出や分析を行っていただくなど、調査を深掘りしてございます。  調査の状況にもよりますが、調査結果は速やかに取りまとめていただくようお願いしているところでございます。 ◯和泉委員 もちろん、速やかにチームを立ち上げたと、知事は先ほど答弁されたんだから、いつまでもだらだら調査するつもりではないんだろうと思うんです。よだからこそ、いつまでに調査を終わらせて、いつ公開する予定なのかというふうに伺いました。  もう一度伺いますよ。いつまでに聞き取りを終わらせ、いつ公表する予定ですか。 ◯中村政策企画局長 こちらにつきましては、捜査の状況にもよりますが、調査結果については速やかに取りまとめていただくと考えております。 ◯和泉委員 いつまでに終わらせるのか、その結果をいつ公表するのかということについては、答えていただけない。  都が開催し、大量の職員を派遣してきた事業です。都職員の関わりをうやむやにせず、調査、公表しなければ、信頼は回復できない。このことを肝に銘じるべきです。  談合問題の調査について、知事は施政方針表明で、組織委員会のガバナンスや運営状況について、外部有識者を中心に調査を進めていると述べられました。しかし、代表質問の答弁では、外部有識者の下で調査を進めていると変わりました。この違いは一体何でしょうか。知事、施政方針表明での表現は訂正する必要があるんじゃありませんか。 ◯中村政策企画局長 調査チームは、ヒアリングで、事実関係において確認すべき事項等につきまして、有識者から指導助言をいただき、これらにより収集した情報を有識者に提供してございます。  各有識者は、調査チームから提供された情報等に基づきまして課題を抽出、分析するなど、中心となって調査を行っております。  都としては、徹底した調査を行えるよう有識者をサポートしております。 ◯和泉委員 あたかも外部有識者による調査のようにいっていますけれども、それでは、この調査チームの責任者というのは誰なんですか。 ◯中村政策企画局長 組織委員会が発注した業務の契約をめぐり談合が行われた疑いがあるとの報道を受けまして、都は、事態の重大性に鑑み、速やかに事実確認を行うことといたしました。その際、別法人である清算法人に協力を求めて、円滑に調査を進めるためには、共同実施事業等を通じて組織委員会の実務を理解している都が主体となる必要がございました。  そこで、昨年十一月、潮田副知事をトップとする調査チームを立ち上げ、今後の調査の基本となる規程や契約手続等の事実確認を行い、十二月末に当面の調査状況も取りまとめ、公表をいたしました。  さらに、現在は、外部有識者の下で、第三者の専門的な見地から、課題の抽出や分析を行っていただくなど、調査を深掘りしているところでございます。 ◯和泉委員 今ご答弁にあったとおり、潮田副知事がトップなんです。このチームの責任者は潮田副知事ということになります。  現在は、外部有識者の下で調査を実施しているというのであれば、その調査チームの設置要綱はあるんでしょうか。 ◯中村政策企画局長 都は、テストイベントに関わる談合報道を受け、組織委員会の規程や契約手続等についての事実確認を行うこととし、調査チームを立ち上げました。  本調査チームは、課題の状況に応じて機動的に対応する必要があり、その目的から永続的な組織ではないため、要綱によらず、庁内の意思決定を経て立ち上げたものでございます。  その後、有識者の専門的な見地から調査を深掘りするため、有識者それぞれから指導助言をいただくよう、要綱によらず、庁内の意思決定の上、依頼したものでございます。 ◯和泉委員 外部有識者の下で調査をしているというふうに繰り返しいわれますけれども、調査チームのトップは元オリ・パラ局長の潮田副知事です。  外部有識者は潮田副知事の下で働いているわけです。外部有識者が主体の調査ではなく、都が主体の調査であることも、ただいまの答弁から明らかになりました。  また、外部有識者による調査チームであれば、あるはずの設置要綱がないこと、庁内の意思決定で動いているということも、ご答弁にあったとおりです。外部有識者を中心に調査を進めているとか、外部有識者の下で調査を実施しているというのは、都がいかにも第三者調査を行っているかのような印象操作にほかなりません。  贈賄疑惑で前代表が逮捕されたKADOKAWAは、弁護士を委員長とした外部有識者など、利害関係を有しない委員による第三者委員会を立ち上げて調査を行いました。このような事件の背景にある会社の風土にもメスを入れて、今後同じ過ちを繰り返さないための教訓を引き出し、その報告書を公表しています。そこには、会社への信頼を取り戻す決意が見られます。  内部調査ではなく、外部有識者による第三者機関の設置、徹底調査、検証と公表、これなくして新たなスポーツイベントを実施することに対する都民、国民の信頼は得られません。  フェアプレーで多くの人々に感動を与えるスポーツと、利権にまみれた政治や企業の癒着の闇をきちんと断ち切る。そのことこそ、開催都市の都に課せられている責務です。知事の責任において、第三者機関を設置し、徹底した調査、検証を行い、事実を公表するよう強く求めて、次の質問に移ります。  英語スピーキングテストの問題です。ESAT-Jです。  ESAT-Jの都立高校入試への活用は、公平性、公正性の担保ができないと中止を求める声が広がっているにもかかわらず、都教育委員会は強行しました。都民の理解が得られているといえない状況で、子供たちの未来に関わる問題だという重要性も顧みず、一旦立ち止まることすらしない都教委の姿勢に対して、厳しく抗議するものです。  特に、当事者である中学三年生たちが、周りの声が聞こえた、周りの生徒の解答をまねることが可能だったなど、多数の証言をしているにもかかわらず、その声を全く聞かず、解答に影響を与えるような事例はなかったといい張る、あるまじき状況です。  例えば、保護者の会の証言ビデオで体験を語ってくれた中学生は、絵を見て、レストランは建物の何階かを答える問題で、スタートボタンを横の子がかなり遅らせて押していました、みんながツーと答えたのを聞いた後、セカンドと答えていて、周りがおおっとなりました、スタートボタンを遅らせて押せば、みんなの答えを確認してから答えられてずるいと思いましたと話しています。  音の漏れについて、これらの具体的で信憑性ある証言を無視する都教委の姿勢は許されるものではありません。  解答に影響なかったという根拠として、都教委は、試験を運営した事業者や会場に配置した都職員、区市町村教育委員会からの報告や聞き取りを挙げました。一体どんな報告をもって判断したのか、子供の証言を完全に否定し無視したのですから、きちんと示して都民に説明するのは当然のことです。
     まず、区市町村教育委員会の報告についてです。  これは、都教委の区市町村教育委員会からの報告、聞き取りをまとめたものです。都民の方が情報開示請求で入手しました。聞き取った内容は、六十二区市町村、全部黒塗りです。何をもって子供たちの証言を否定したのか、これでは全く分かりません。  知事は、情報公開は都政大改革の一丁目一番地だといいました。その認識は変わっていませんね。知事に確認します。 ◯小池知事 変わっておりません。 ◯和泉委員 知事は、情報公開は一丁目一番地だと、その認識は変わっていないと、そして、それが都政大改革を推進していくんだとというふうに、かつてそのようにおっしゃっていました。  しかし、都教委が子供たちに耳を貸さず、解答に影響する事例はなかったと判断した根拠となる重要な資料、実際には原則開示といいながらも、実態は違っているんですよ。  繰り返しになりますが、都教委が子供たちの声に耳も貸さなかった、解答に影響する事例はなかった、そう判断した根拠になる先ほどの資料、併せて、原則開示というなら開示すべきではありませんか。  知事、いかがですか。これ見て、都政大改革の一丁目一番地、こんな真っ黒の資料を出しておいて、そういい切れますか。開示すべきじゃありませんか。知事、いかがですか。 ◯浜教育長 テスト終了後に、区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、教育委員会からは、管下の中学校から、解答に影響を与えるようなことはなかったとの報告を受けたとの回答や、中学校から意見や報告は受けていないとの回答がございました。 ◯和泉委員 だったら黒く塗る必要ないじゃないですか。全部明らかにしたらいいじゃないですか。そうして、これが私たちがそう答えた根拠ですと、はっきりいえばいいじゃないですか。この真っ黒に黒塗りにした資料が開示されると、このこと自体が、都教委が果たして本当にちゃんと聞き取りを行っているのか、そういう報告は本当になかったといえるのか、そこに疑いを持たせることになるんですよ。  都教委は説明責任を果たしていません。都教委の都合のよい運営に支障を来すということは、それをもって情報を開示しないというのは許されることではありません。  私たちは、区市町村教育委員会に直接、都教委に何を報告したのかと聞きました。先ほど、解答に影響を与えるような報告はなかったというふうに教育長は答弁されましたけれども、ある教育委員会は、声が聞こえたという生徒からの訴えが校長を通じて報告されていたので、都教委に伝えたと教えてくれました。また、ある教育委員会は、生徒の解答が周りに聞こえてしまう状況があったという中学校があったので、それを都教委に報告したとのことでした。  そういう報告をしてきた区市町村教育委員会もあるんじゃありませんか。いかがですか。 ◯浜教育長 大勢が発語するテストですから、声がするのはすると思いますが、解答に影響を与えるようなことはなかったとの報告を受けております。 ◯和泉委員 生徒の解答が周りに聞こえてしまう状況があった、そういう状況があったら受験生たちは動揺しませんか。その動揺は解答に影響しませんか。子供たちの内心まで入っていって、解答に影響がなかったとなぜいい切れますか。  解答の声が聞こえたという子供たちの声がある。先ほど私は冒頭でもご紹介しました。レストランは建物の何階か、これを答える問題で、横の子がスタートボタンをかなり遅らせて押していました。みんながツーといったのを聞いた後、セカンドと答えていて、周りがおおっとなりました。周りに全部聞こえているということじゃないですか。  解答の声が聞こえたという子供たちの声があることを都教委に伝えている区市町村教育委員会があったということは間違いないですね。いかがですか。 ◯浜教育長 先ほどもお答えいたしましたとおり、解答に影響のあるようなことはなかったという報告を受けております。  スピーキングテストの実施状況につきましては、テストはイヤーマフにより外部の音を遮断するとともに、ホワイトノイズの音を流して周囲の音声を聞こえにくく処理をして実施しております。  こうした環境で多くの受験生が一斉に発語している中で、特定の解答を聞き分けて、それをまねて自分の解答を左右させること、出題音声の音量を下げて自分への出題を聞こえなくすることによって、故意に不正に得点をしようとすることなどが現実的とは考えにくいと考えておりまして、中学校からは、解答に影響を与えるようなことはなかったという報告になっているものと考えております。  また、このような報告を都教育委員会は区市町村教育委員会から受けております。  また、都教育委員会は、テスト終了時に、事業者及び現地に配置した都職員からの報告でも、受験教室等では、音声は聞こえても発言内容を聞き分けることはできず、解答に影響を与えることはなかったことを確認しております。 ◯和泉委員 子供たちが真実を語っていないとでもいいたいんでしょうか。二重に子供たちを傷つける発言だと思いますよ。  子供たちが証言している、区市町村からも報告があった、深刻に受け止めて対応するのが当たり前じゃありませんか。それをせず、解答に影響を与えていないといい張る、都合の悪い開示文書は黒塗りにして都民に隠す、これが教育委員会のやることですか。  もう一枚開示資料があります。受験会場に配置した都職員からの報告で、これも都教委が解答に影響を与える事例はないという根拠にしている資料です。  終了や警備の履行確認をしたという単純な報告は開示されていますが、肝腎の生徒の様子や運営に関する課題や気づいた点が、二十一の会場から、中にはかなり長い文章での報告があったと思われるにもかかわらず、全部黒塗りです。先ほどの資料よりこれはもっとあからさまなんですよ。何か書いてあっただろうなというところが黒塗りになっているんです。  昨年度のプレテストでのトラブルなどの報告は、内容を都民に開示し、各会計決算特別委員会にも資料として提出しました。今回なぜ出さないんですか。 ◯浜教育長 今お示しいただいている資料、今のご質問は事前にお知らせいただいておりませんので、どの資料のことか、元の資料を見ておりませんので、非開示にした理由を今ここでご説明することはできません。 ◯和泉委員 きちんと答えられないということですよ。何らかの報告があったと思われる、そこを隠しておいて、この黒塗りの資料を見ていなくても、東京都の職員がどういう報告をしたかというのは見ているはずですよ。開示された黒塗りの資料を見ていなくても、元の資料は見ているはずです。答えられないはずがないんですよ。  大体、公平性、公正性が疑われる、そう指摘されている入試だからこそ、透明化して公平、公正であることを都民に示す必要があるんです。子供たちの証言を否定し、解答に影響しなかった、トラブルはなかった、そういうんだったら、その根拠となる報告ぐらいきちんと開示すればいいじゃないですか。  知事に伺います。  選抜の公平性の問題に詳しい東京大学大学院教授の中村高康氏は、メディアのインタビューに答え、都教委は十分な説明をしていない、ESAT-Jに次々と疑念が生まれるのは、都教委が情報を隠し過ぎているからだと度々指摘しています。この二つの開示資料を見ても、私もまるっきりそうだと思います。  情報をきちんと都民に示して説明すればいいんです。知事、いかがですか。今からでも開示しませんか。 ◯浜教育長 事業運営上、支障のあるものを除き、原則として全ての情報を公表しております。 ◯和泉委員 英語スピーキングテストは、知事も一緒に推進してきました。答弁に立たないのは本当に無責任だと思います。  入試は、公平、公正であることが担保されて初めて信頼され、合格であっても、たとえ不合格であっても、その結果を受け入れることができるんです。  中村教授は、スピーキングテストの実施は簡単ではなく、専門的な知識や経験が必要です、ところが推進者はそうした中身についての情報は出さずに、グローバルな時代にスピーキングが大事という、ふわっとした理念を前面に打ち出して進めようとすると、ESAT-Jを批判しています。  テストの実施方法にしても、今回の報告にしても、それを開示しないのは、試験を受けた子供たち、証言した子供たちを裏切るものだと厳しく指摘しておきます。  加えて、そもそも報告を上げた都職員が、会場内の一体どこにいたのかという問題です。  試験時間中の都職員の仕事は、生徒から預かった携帯電話の管理ですから、試験の教室にはいなかったということを私たちは複数の試験監督や生徒に確認しています。試験中の教室にいなかった都教委の職員が、周りの生徒の解答がヘッドホン越しに聞こえたかどうかなど、分かるはずがないんです。  改めて確認しますが、試験会場に配置した都の職員は、テストの実施時間中、試験が行われている部屋の中にいたんですか。 ◯浜教育長 テスト当日、都職員は、受験状況の確認や生徒の携帯電話等通信機器に関する業務のほか、教室の中や廊下の巡回を行っており、このことにより実施状況を確認しています。  また、教室で試験監督を行っている事業者からの報告においても、解答に影響を与えるような事例は確認されておりません。 ◯和泉委員 それぞれの役割に応じて携帯電話の管理をしていたというのは、要するに常時教室の中にいたわけではないということですよ。つまり、教室の中のことについて、はっきりとした根拠にならない根拠を持ち出して、都教委は子供たちの声を否定し、議会の本会議で答弁したということじゃないですか。    〔浜教育長発言を求む〕 ◯菅野副委員長 浜教育長…… ◯和泉委員 都教委は──聞いていません。都教委は、区市町村教育委員会からの報告…… ◯菅野副委員長 浜教育長…… ◯和泉委員 都職員や事業者からの報告、いろいろ持ち出していますが、結局、解答に影響を与える事例はなかったと断定できる根拠などないということです。にもかかわらず、公平、公正ではなかったと証言している多くの子供たちの声を聞こうともせずに否定をして、ESAT-Jを入試に使ったことは許されません。真摯に反省をして、来年度以降はきっぱりと中止することを強く求めるものです。  そして、試験当日の証言だけではありません。本来、耳を傾け、尊重すべき子供たちの声を都教委が一貫して無視し、聞き取りも行っていないことは大問題です。SNSや署名、新聞への投書など、中学生たちは懸命に声を上げてきました。  東京都こども基本条例に、子供を権利の主体として尊重し、意見を聞き、その意見が施策に適切に反映されるようにすることを条例は求めています。  子供たちに直接関わる施策を行う都教委こそ、この立場を重視し、子供たちの声を聞く必要があると思いますが、いかがですか。 ◯浜教育長 都教育委員会と区市町村教育委員会の間で、また、区市町村教育委員会と管下中学校の間では、スピーキングテストに限らず日常的に意思疎通を行う、必要な情報を共有する仕組みができております。  その中で、管下の中学校から、解答に影響を与えるようなことがなかった、中学校からの意見や報告は受けていないという報告を受けております。  区市町村教育委員会に対しては、テスト終了後に、こうした日常的なコミュニケーション方法のほかに、改めて聞き取りを行って、このようなことの報告を受けております。 ◯山下子供政策連携室長 こども基本条例のお話がございましたので、私から答弁させていただきます。  東京都こども基本条例第十条に規定されておりますとおり、条文のことを正確に申し上げますが、子供が社会の一員として意見を表明することができ、その意見が施策に適切に反映されるよう、都はそうした環境整備を図るものとする、このように認識をしております。  こうした認識の下、私どもとしては、先般策定いたしましたこども未来アクションの策定過程におきましても、子供の意見をヒアリング等により把握するなど、子供との対話を実践してきたところでございます。 ◯和泉委員 教育長は、先ほど来、解答に影響を与えるような報告はなかったということを繰り返されました。  私がこども基本条例について伺ったときにも、その答弁を繰り返されました。けれども、子供政策連携室長は、子供は社会の一員として意見を表明することができ、その意見が適切に反映されるよう、東京都は努力しなければいけない、環境整備しなければいけない、そのようにお答えになりました。これこそ、私は、都教委に対してしっかりと胸に刻んでいただきたい。  こども基本条例は、子供が社会の一員として意見を表明することができる。そして、東京都は、その意見を正面から受け止めて施策に反映しなければいけない。それがこども基本条例の立場なんです。  もう一度伺います。  この試験において、少なくとも解答に影響を与えることがなかった、そういう根拠にした資料ぐらいは全て開示するべきではありませんか。いかがですか。 ◯浜教育長 先ほどもご答弁申し上げたとおり、子供の声につきましては、聞き取り方について条例で定められているわけではないと考えておりまして、中学校、区市町村教育委員会を通じてテスト終了後に報告を求めておりまして、その結果、管下の中学校から、解答に影響を与えるようなことはなかった、あるいは、中学校から意見や報告は受けていないという報告を受けたものでございます。 ◯和泉委員 先ほど幾つかの教育委員会から、都教委に対して報告を上げたということも私は紹介したじゃないですか。何でそういうことが繰り返し繰り返しいえるんですか。  板橋区では、中学校一年生の生徒が陳情を区議会に出しました。ESAT-Jは、中学生に具体的な意見調査、アンケートを取っていません、公立受験に使うのは、公教育に必要な公平性が明らかに守られていません、塾、ベネッセの家庭教材など、金銭面による差も出てきてしまいます、実際、私の周りには、塾などに行けていない人もいます。その生徒はこう述べて、入試に使用しないよう都教委に求めてほしいと訴えているんです。  中学生自身のこの声を受け止めるべきじゃありませんか。いかがですか。 ◯浜教育長 都教育委員会といたしましては、日常的に区市町村教育委員会と連携を密にしながら、全ての事業に取り組んでおります。 ◯和泉委員 子供の声を聞いてくれという話をしているんですよ。それぞれの学校や教育委員会と連絡を密にしているかどうかを聞いているんじゃないんです。  そして、子供の意見を聞くというのは、都教委が聞きたいことを聞くということじゃないんですよ。子供がいいたいことを聞くということなんです。正当に取り上げて、誠実に対応していくことです。  子供たちは、そして、保護者も、関係者も、専門家も、納得していません。公平ではない、家計状況により差が出てしまうと、子供たちも疑問の声を上げている英語スピーキングテストを、来年度は一、二年生にまで拡大する予算を都は計上しています。  本来、強制できるはずもない中学生と中学校に押しつけて、負担を増やして、振り回すことはやめ、きっぱり中止することを強く求めて、質問を終わります。(拍手) ◯菅野副委員長 和泉なおみ委員の発言は終わりました。  この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。    午後八時四十六分休憩      ━━━━━━━━━━    午後九時五分開議 ◯小宮委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  中村ひろし理事の発言を許します。 ◯中村委員 それでは、都議会立憲民主党を代表して質問いたします。  まずは、都財政運営について伺います。  コロナ禍で本格化した令和二年度以降、補正予算編成のために財政調整基金を取り崩し、令和三年度六月補正予算時点には残高見込額が二十一億円にまで落ち込みましたが、その後、都税収入の好転で残高が一定の回復をしたことで、物価高騰対策もある程度可能となりました。  令和五年度当初予算は、過去最高の六兆二千十億円に上る都税収入に支えられ、歳出規模も過去最大です。この機に、東京都版子供手当ともいえる〇一八サポートに一歩踏み出したことは、前向きに捉えています。  しかし、予算案には、物価高騰にあえぐ都民がいる中で、なぜ今と首をかしげる事業も散見されます。都税収入が増え、財布のひもが緩くなってはいないでしょうか。  困難を抱える方への支援など必要な取組に財源を振り向けつつ、都税収入が最高となった今だからこそ、浮かれることなく、将来の大規模な財政出動の可能性に備えることが重要です。  こうしたことを踏まえ、東京の将来を見通した財政運営を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 高齢化の進行や、自然災害の頻発化、激甚化、世界的な産業構造の変革など、都を取り巻く環境は一層厳しさを増しております。  こうした中、都政に課せられた使命を確実に果たしていくためには、積極的な施策展開とともに、中長期を見据えた持続可能な財政運営との両立が重要でございます。  こうした考えの下、令和五年度予算におきましては、未来への投資に大胆に財源を振り向けつつ、事業評価による見直しなど、あらゆる手だてを講じ、財源確保に取り組んだところでございます。  さらに、基金残高の確保や都債の発行抑制に努めるなど、将来に備えた財政対応力の強化を図っております。  今後も、こうした取組にさらに磨きをかけることで、いかなる財政環境の中にありましても、積極的な施策展開を継続的に支え得る強固で弾力的な財政基盤を堅持してまいります。 ◯中村委員 この〇一八サポートは単年度で千二百六十一億円、そしてまた、過去には都財政はリーマンショックのときに一兆円も減収になったこともあるなど厳しい状況にあるかと思っています。  そこで、財源の確保について、事業評価について伺いたいと思います。  知事は会見で、事業評価で〇一八サポートの財源を確保したと発言をしています。私たちは、事業評価、政策評価は、都政、財政に大いに役立っていると認識しています。  しかし、財源確保額のカウントの仕方に課題があると考えます。  例えば、工事を終了すれば、その予算を次年度は別のものに振り向けて当然ですが、十億円の工事が終了した場合に、十億円の財源確保としていますが、本来は、工法等の工夫で一億円圧縮できた場合に、一億円確保とすべきではないでしょうか。  予算の使い切りをよしとするのではなく、工夫や努力で当初予算よりも事業費を縮減する、これは高く評価されるべきです。しかし、評価した事業の予算全額を財源確保とするのでは、評価対象をすればしただけ財源が積み上がっていく印象を与えます。改めるべきと考えますが、見解を伺います。 ◯吉村財務局長 事業評価につきましては、平成二十九年度予算編成より、全ての事業に終期を設定し、終期が到来した事業について、事業の成果や決算状況を厳しく検証した上で評価を行い、その結果を翌年度の予算に反映させております。  各種工事など、当年度で終了が見込まれる事業につきましても、当初の計画と実際の事業進捗を経費、工期等の面から検証することは重要であることから、事業評価の対象とし、事後検証を徹底しているところでございます。
     こうした進捗管理の下、事業を適切に終了させ、そこに充当されていた財源が翌年度の新規事業等に生かされることから、これまでも財源確保額として計上しております。  今後とも、このような考え方について丁寧な説明を行うとともに、事業の効率性や実効性の向上に向けて取組を深化させてまいります。 ◯中村委員 事業を行うには財源の確保が必要です。事業が終わったから、それで財源確保だというのは、本当に大丈夫なんだろうかと思います。逆にいうと、延びるものもあるわけですけど、延びたものはマイナスで評価すべきなんでしょうが、それはしていないということですから、今後しっかり、財源確保は大事なので、私はぜひ改めていただきたいというふうに思っています。  さて、次は、公金支出情報の支払い先の公開について伺います。  五輪の談合事件は、単なる総合スポーツ大会ではない平和の祭典、人間育成という理念と裏腹に、談合と収賄など、電通任せにした部分で問題が噴出しています。これらの情報は公開されておらず、事件化されなければ闇に葬られていたかもしれません。  私は、問題の根源は、どこに幾ら払ったかを明らかにしないという、情報公開に逆行した立てつけにあると考えます。  都庁はどうでしょうか。私たちは、都政のアカウンタビリティー、情報公開推進の一環として、公金支出情報の公開を求めてきました。  都が二〇一七年から公金支出情報を公開し、利活用しやすいエクセル形式でも提供していることは評価したいと思います。  しかし、支払い先情報はまだ公開されていません。二〇一八年十二月十一日に検討を進めると答弁してから丸四年が経過しています。千葉県や長崎県は支払い先を公開しており、支払い先名での検索も可能です。  都も早急に公開すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯須藤会計管理局長 公金の支払い先は、個人情報などの非開示情報も含まれるため、各局と連携し、公開の可否について検討を続けてまいりました。  非開示情報に該当するか否かは、一律に処理することができないため、個々の案件ごとに所管部署で慎重な確認を行い、厳格に判断する必要がございます。  また、膨大な件数の中で、非開示情報が誤って公開される可能性を完全に排除できず、都民の生活や事業活動に悪影響が生じるリスクもございます。  こうした実情を踏まえ、支払い先を公金支出情報として公開することは、現時点では課題が多く、妥当ではないと考えております。 ◯中村委員 システム改修等が予定されていると伺っていますが、この機にしっかりと公開に向けた検討を行わなければ、都の情報公開が進まない、周回遅れといわれても仕方がありません。現在のやり方で早急に公開することが難しいとしても、できない理由を考えるのではなく、公開に向けて、課題克服に向けての検討をお願いしたいと思います。  さて、予算の中で、この令和五年度予算には、IR、いわゆるカジノに関する調査費用が今年も計上されています。金額は小さいのですが、後々、東京にカジノができてしまうかどうかに係る重要な予算です。  カジノをやらないなら必要ない予算であり、昨年十二月の予算要望でも計上をやめるべきと求めました。  来年度においても、引き続き調査に関する予算を計上していますが、東京にカジノを誘致するつもりなのか、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル依存症等の懸念の声もあると認識をいたしております。  都はこれまで、IRにつきまして、メリット、デメリットの両面から総合的に検討してきたところでございまして、このスタンスには変わりがございません。 ◯中村委員 スタンスに変わりないとの答弁でしたが、国への申請は、去年、既に締め切られており、状況は変わっています。このカジノ予算は、議会に提出される予算案の説明書に記載がありません。ホームページ等で公開される予算説明書にも記載がなく、都民が都の公開資料を見ても出てきません。私たちは、東京にカジノは要らない立場から、カジノ予算も要らない、きっぱりとカジノ誘致から撤退すべきと申し上げます。  次に、戦略的広報について質問します。  私たちも先日、SusHi Techのオープニングセレモニー等を見学させていただきました。このイベント自体は、一過性に終わらせず、今後ビジネスへとつなげることを期待はしています。  ただ、このSusHi Techに関しては、この東京都広報を見た都民から、私にこんなご意見をいただきました。都の広報はいつも見ているけれども、今回は何だか分からなかったとのことです。  都の政策を都民に説明するのも広報の役割ですが、私は、第一は都民が必要とする情報を届けるのが目的だと考えます。これは、企業のイメージ広告のようで、都の広報と分からなかった方も多かったのではないでしょうか。東京都広報の在り方については、いま一度考えていただきたいと、まず申し上げます。  さて、都は、ここ数年、たくさんの動画を作成しています。知事も会見で毎週のように動画を紹介していますが、スマートフォンの普及により、ツイートや動画を主たる情報源とする方が増える中で、いわゆる普及啓発に動画は不可欠だと思います。動画をつくるなということではありません。ただ、税金を使う以上、全体を把握し、政策目的の達成への貢献を図り、費用対効果を測定する必要があると考えます。  そこでまず、令和五年度予算における動画作成費用の計上状況はどのようになっているのか伺います。 ◯中村政策企画局長 動画は、音や映像で効果的な訴求ができることに加え、SNS等を通じた拡散も期待できるため、伝わる広報に適した広報制作物でございます。  政策企画局では、重要な政策課題について、動画を作成、発信するなど、効果的な広報の展開に努めており、動画作成費用も含むデジタル広告等の予算として約三億円を計上しているところでございます。 ◯中村委員 今、三億円とお答えいただいたんですが、政策企画局ではということです。都庁全体でどうかということになると、これはいろんなイベント等の経費に埋め込まれていて、数字がどうもないようなんですが、かなりお金がかかってくるところだと思うので、私は都庁全体で把握をしていただいて、しっかりと監視していただきたいというふうに思っています。  さて、広報の効果測定が難しいことは、私も以前、東芝で広報に籍を置いたこともあるので十分承知をしていますが、デジタルだからこそできる定量的な効果測定もあると考えます。  ネット広告ではクリック率、関連サイト訪問数、コンバージョン数、率などがありますが、都の広報で成果とみなすべきは何か、費用対効果をどのように測定、把握しているのか伺います。 ◯中村政策企画局長 デジタル広告の実施に当たりましては、クリック数や動画視聴数等をKPIとして設定しております。  また、重要な広報テーマにつきましては、認知度や満足度などの定量的な調査に加えまして、都民の意識を把握するための定性的な調査を実施することで、事業全体の広報効果を測定しております。  各局とも連携して、こうした取組を進め、より戦略的で効果的な広報につなげてまいります。 ◯中村委員 定量的な効果測定というと、動画再生数となりがちですが、再生数はお金をかければ増やすことができます。政策目的実現への貢献度という明確な物差しを持って、最少の経費で最大の効果を狙って税金を使っていただきたいというふうに思っています。  さて、世界への発信はイメージや広告だけではなく、都市の実力、地力の裏づけが必要です。インバウンドに加えて、投資先や居住する都市としての魅力、交通インフラの利便性などです。  森記念財団の世界の都市総合ランキングで、東京は世界三位を保ちましたが、他の都市には類を見ないほどスコアが大幅に下落しました。ロンドンから首位の座を奪うことは当面難しそうです。また、東京のGDPも、かつて同水準だった韓国に追い越され、大きく水をあけられています。  都として、国際的な都市間競争における東京の現在地、総合力をどのように評価し、課題克服への対応策をどのように打っていこうとの考えなのか、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 国際競争が激化する中、長引くコロナ禍や世界経済の不安定化なども相まって、我が国の地位は後退しつつあります。  一方、東京には、洗練された都市環境や、企業、大学、研究機関などが持つ世界有数の技術力、江戸から続く歴史が育んだ文化などが脈々と受け継がれております。  こうしたポテンシャルを都市の課題解決に最大限生かしてまいります。  それとともに、先ほどご指摘ありましたSusHi Tech東京を旗印に、新たな価値を生み出してまいります。  このような東京の魅力や活力を世界に向けて発信することで、国際的なプレゼンスを向上させ、都市間競争を勝ち抜いていきたいと考えております。 ◯中村委員 今、この国そのものが厳しい状況に置かれているわけですから、むしろ首都東京がリードをしていく形で牽引していただけるように、今後とも取り組んでいただければと思っています。  さて、次に、少子化対策について伺います。  本会議の代表質問でも申し上げましたが、現金給付にとどまらず、若い世代の賃金引上げや雇用の安定化、正規雇用化などに取り組み、子供を産み育てたいと思える社会を実現することが極めて重要です。  都は、正規雇用等転換安定化支援事業として、労働環境整備や賃上げを行った中小企業に助成金を支給していますが、その規模はまだ千九百件。都内企業数に対して僅かでしかありません。  しかし、都が労働環境整備や賃上げを行った中小企業を支援している、応援しているという強いメッセージを発すれば、賃上げ機運の醸成に一役買うと思います。  そこで、賃金を上げて、安定した家計を営めるよう支援するために、都としての積極的な取組を求めるものですが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議で自律的に定めることが基本であることはいうまでもありません。  都は、労働者の処遇改善に向けまして、中小企業が非正規雇用の方の正社員化に取り組み、職場環境の整備を図る場合の支援を行っております。  こうした取組によりまして、働く方の所得水準の向上を後押ししてまいります。 ◯中村委員 少子化対策ということで伺ったわけですけども、やはり若い方々、経済的に厳しい状況があります。〇一八サポートということももちろん必要だとは思うんですけども、その前提として、やはり厳しい経済状況から脱しなければいけませんから、そういった点では、積極的な機運醸成を図っていただいて、賃上げへと世の中が動いていくように、知事からも積極的に働きかけていただきたいと思います。  さて、我が会派の須山議員も一般質問で取り上げましたが、結婚に向けて女性が最も求めている施策である、夫婦が共に働き続けられるような職場環境を充実させるためには、女性活躍の推進が重要です。  根本的には年功型人事制度の見直しなど、日本の企業風土の変革が必要ですが、喫緊の取組として、女性管理職などの活躍推進や女性特有の健康課題に配慮した働きやすい職場環境づくりが求められます。  そこで、夫婦が共に働き続けられるような職場環境の充実、とりわけ職場における女性活躍の推進について、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は、女性の採用や育成等に関する計画をつくる中小企業に対し、コンサルティングによる支援を行っております。  また、女性が働きやすい職場づくりのノウハウなどを提供する研修や、経営者の意識啓発を図るセミナーを実施しております。  これらによりまして、中小企業における女性活躍を推進いたします。 ◯中村委員 ぜひ今後とも積極的な取組をお願いしたいと思います。  さて、次に、学校給食の無償化について伺います。  子育て世代の可処分所得を増やすことは歓迎です。私たちは、学校給食の無償化こそが必要ではないかと考えています。  学校給食の無償化に必要な予算額について、代表質問に対する答弁は、お答えする立場にないという極めて冷たいものでした。  そこで伺いますが、都内合計で完全給食の小学校の児童数、中学校の生徒数は、それぞれ何人なのか。また、一食当たりの保護者負担は、それぞれ幾らか。年間予定給食回数は、それぞれ何回か。伺います。 ◯浜教育長 令和四年五月一日時点で、区市町村立学校の完全給食実施校における小学校児童数は五十九万四千八百五十人、中学校生徒数は二十二万九千百九十四人でございます。  一食当たりの保護者負担額は、小学校の平均額が二百五十五・二八円、中学校の平均額が三百十二・六八円でございます。  年間予定給食回数は、小学校の平均が百九十一回、中学校の平均が百八十五回でございます。 ◯中村委員 今、基礎的な数字を伺わせていただきました。  そこで、二〇一六年三月の政府の経済財政諮問会議では、給食の無償化が提言され、その必要額も試算されたということは、以前も取り上げました。  そこで、東京都が学校給食の無償化を実施した場合、どのような予算額になるのか伺います。 ◯浜教育長 学校給食法では、学校給食は学校の設置者が実施するものとされております。  都内全区市町村立小中学校の学校給食費の年間総額を、先ほどお答えした児童生徒数や一食当たりの保護者負担額等から計算すると、小学校が約二百九十億円、中学校が約百三十三億円となります。 ◯中村委員 今、先ほどの基礎的な数字から計算していただいたんですけれども、小学校が約二百九十億円、中学校が百三十三億円ということですから、小中学校を合わせれば四百二十三億円ということになります。全体ですから、これ、また市区町村とどういうふうに分担するかというのはあるかもしれませんけども、国にも支援していただければ、国と東京都と市町村で取り組めば、できない金額ではないと思っていますので、ぜひ積極的に進めていただきたいというふうに思っています。  特に、今の状況をまずお話しさせていただきますと、都内で学校給食を無償化していたのは、これまでは檜原村や奥多摩町、利島村、三宅村、青ヶ島村で、多摩・島しょの一部でしたが、昨年九月に葛飾区が無償化を表明して以降、台東区、北区や品川区、中央区、世田谷区、荒川区、そして足立区が学校給食の無償化に踏み出しています。  東京都教育委員会は、こうした自治体の状況を把握をしているのでしょうか。学校給食について無償化、補助している都内自治体の状況について伺います。 ◯浜教育長 令和四年度に給食費の無償化を実施している自治体は四団体、一定の要件に該当する者への全額支援を実施している自治体は二団体、期間を限定した全額支援を実施している自治体は一団体でございます。  また、そのほかの自治体においても、臨時交付金を活用するなどして、学校給食費の支援を実施しています。  なお、令和五年度に、都内で給食費の全額支援を予定している自治体があることは承知しております。 ◯中村委員 都教委の方でも把握をされているということなんですが、多くの自治体が無償化に踏み切り始めています。これ、先ほどもいろいろ議論があったんですけれども、保護者の負担ということですけども、自治体が出しちゃいけないということではないというふうに思っています。都として何とかこれができないかという思いがあるわけです。  特に、これだけ二十三区の方が先行して進んでくると、ある意味、市町村の方がなかなかまだ進まないということで、新たな三多摩格差がということになってしまいます。積極的に都が支援していただけることを求めたいというふうに思っています。  そこで、改めて、都として学校給食の無償化に踏み出すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯浜教育長 学校給食法では、学校給食は学校設置者が実施し、食材費等の学校給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされております。学校給食費の取扱いについては、国の責任と負担によるべきものであると考えております。 ◯中村委員 国の責任と負担によるべきものということではありました。  そうであれば国に求めていただきたいと思うわけですが、例えば千葉県などでは、昨年五月にも、学校給食費の無償化に取り組む自治体への新たな補助制度を創設することというものを国に要望しています。  学校給食に関して、国とどのような協議をしているのか、見解を伺います。 ◯浜教育長 学校給食費の取扱いについては、国の責任で財源を確保すべきと考えております。  国に対しては、既に全国都道府県教育委員会連合会が臨時交付金の継続をはじめとした国の責任による施策の提示など、学校給食費に係る支援について、要望しております。 ◯中村委員 この全国都道府県教育委員会連合会は、今は浜教育長が会長をしていると伺っております。ぜひ、先頭に立って積極的に国に対してこれを行ってほしいということ、国の責任だというだけではなくて、もちろん国がやっていただきたいという思いもあるんですが、都も積極的な姿勢を見せていただきたいというふうに思います。  特に、いろんな自治体で進み始めていると、都内、住んでいる場所によって、無償かどうかということが違ってきてしまいます。同じ都内に住むのであれば同じようにこういった給食無償化ができるようにということをぜひ積極的に取り組んでいただきたいということを改めて求めさせていただき、次の質問へと移りたいと思っています。  さて、次は、子供、子育て支援について、〇一八サポート事業に関連して伺います。  昨年十二月に視察をした兵庫県明石市では、児童虐待の早期発見策として、子供の顔を必ず見た上で現金を給付しています。基本は振り込みですが、子供の状況が確認できないと直接給付に切り替えるとのことでした。  東京都の〇一八サポート事業でも、市区町村と連携することで、こうした工夫ができないものでしょうか。  例えば、現在、都内各自治体で乳幼児期に子供と会っていますが、幼児期を過ぎてから、学童期直前などには、必ずしも子供と会えてはいません。また、市区町村と連携すれば、学童期、青年期における親と子供と学校とのコミュニケーション機会の確保を図っていくことも可能です。  〇一八サポート事業については、国の現物給付の動向をはじめ、今後の展開として、市区町村と連携した取組を求めるものですが、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 〇一八サポートにつきまして、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に都が直接給付するものでございます。  区市町村とも連携をしながら、本事業を通じまして、子供を産み育てたいという願いを応援するメッセージを発信してまいります。 ◯中村委員 先ほど明石市の話もお話をさせていただいたんですけれども、いろいろとただ単にお金を給付するというだけではなくて、市区町村と連携すればいろいろともっと効果を出せるんじゃないかということでお話もさせていただきました。実際、東京都が直接やるといっても、住民票の情報を東京都が持っているわけではないわけですから、市区町村との連携というのはどうしても必要になってくると思っています。  昨年来、子供の医療費のこととか低所得者向けのお米の給付、そしてまた、今回のこの〇一八といい、どうしても全部市区町村の協力を得ないとできないものなわけですけれども、情報がぽっと出てしまって、そういったところにきちんと連携ができていないという声も、私たちのところにも届いています。  ぜひこれ、今回は直接給付ということで予算計上しているようなんですけれども、今後の在り方等を含めて、しっかりと市区町村と連携していけるように、一度じっくりと話していただきたいと思いますし、何よりも、こういった事業を行うときには、情報がなかなか急にマスコミ報道を通じて知るということであると、やはりうまく関係がいきませんから、丁寧な説明と対応を求めたいというふうに思っています。
     さて、次に、段差の解消について伺います。  所得制限の撤廃を求めた私たちの代表質問に、小池知事は、それぞれの施策の目的などを踏まえて適切に判断されるべきものと答弁をしました。  高額所得者への支援には批判もありますが、本来、高額所得者には税による相応の負担をお願いし、行政サービスは誰もがひとしく保障されるべきです。そのことで、知事がいうところの罰を受けているという状態も解消されると考えています。  特に、高校生をはじめとした乳幼児、子供への医療費助成は、市長会などからも厳しい意見が寄せられており、施策の目的などを踏まえれば、所得制限は撤廃すべきです。  私は、高校生をはじめとした子供の医療費助成に関して、所得制限を撤廃する方向で、区市町村と協議していくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 子供の医療費助成事業について、都は、子育てを支援する福祉施策の一環として、所得制限など一定の基準を設けており、具体的な実施内容は、実施主体である区市町村がそれぞれの地域の実情を勘案して定めてございます。  なお、高校生等医療費助成事業に関する令和八年度以降の財源や所得制限の取扱いなどについては、都と区市町村との間で設置した協議の場で、今後検討することとしてございます。 ◯中村委員 三年間は都がこれを払うということで今検討しているということではあるんですけれども、ぜひ、この自己負担のこと、所得制限のことも検討していただいて、できれば私たちの要望としては撤廃していただきたいと思うんですけれども、都内、どこにいる、住む子供たちもひとしくこういった医療費の助成が受けられるように、お願いしたいというふうに思っております。  さて、私たちは、教育の無償化を訴えていますが、私立高等学校の特別奨学金は、所得制限によって受けられるサービスが大きく変わってしまいます。  東京版子供手当、いわゆる〇一八サポート事業も雑収入となり、人によっては、突然、収入基準がオーバーでサービスを受けられなくなることがあり得ます。  例えば、年収九百万円、子供二人の四人家族モデルで、子供一人四十七万五千円の特別奨学金を二人分受ける予定の世帯が、〇一八サポート事業の支給で所得基準を超えてしまった場合、特別奨学金が受けられなくなる、つまり、逆転現象が起きるのではないかと危惧しています。  そこで、改めて確認いたしますが、特別奨学金の支給には、所得基準が設けられていますが、これを超過した場合、支給はどのように変わるのか伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 特別奨学金の支給を判定するに当たりましては、税額等に基づいて審査を行うものでありまして、要件を満たす方について支給対象としてございます。  都といたしましては、国に対し、〇一八サポート事業について、自治体で取り組む子供に対する支援がより効果的なものとなるよう税制上の必要な措置を講じることを提案要求してございます。 ◯中村委員 今の答弁にあるように、これ、要件を満たす方が支給対象ということで、満たさなければ支給対象外となってしまうということかと思っています。年間、〇一八サポートで一人六万円だとして、二人なら十二万円受け取ることで、子供一人が例えば四十七万五千円と先ほどいいましたが、二人分で九十五万円、これが支給されなくなるということになってしまうわけです。それこそ、知事がいうところの罰を受けているかのようではないでしょうか。  そこで、私立高等学校の特別奨学金制度の所得制限を撤廃すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 先ほどご答弁申し上げました特別奨学金の支給の判定でございますが、税額等に基づいて審査を行うものでございまして、個々の状況によって全て異なります。ですので、断定的に、支給対象になる、ならないというのを申し上げることがなかなか難しいということでご理解をいただきたいと思います。  ご質問ですが、私立高校等の授業料の助成は、親の経済状況に子供の学校選択が左右されるべきではないとの考え方などから、国が定めた基準も踏まえて、年収約九百十万円未満という所得制限を設けて実施しているものでございます。 ◯中村委員 私たちは、今回、この〇一八サポートの所得制限を撤廃したことを評価はしているわけです。だからこそ、いろんなほかの政策も同じように撤廃しないと矛盾が生じるのではないかということでこの質問をさせていただきました。  個別のケースによって計算式が違うのは分かるんですが、モデルケースなり含めて、そういう可能性があるという点では、この〇一八サポートを受け取ると、ほかのこの私立学校の奨学金が受けられなくなってしまうということが起き得るので、こういったこと一つ取っても、この所得制限は撤廃すべきではないかということで質問させていただきました。ぜひこれは本当に検討していただきたいというふうに思っております。  そしてまた、所得基準があることでまたもう一つ支障があるのが、その判定によって時間がかかってしまうということもあるんだと思っています。このことで、所得制限があることで審査が必要となり、せっかく特別奨学金の制度があっても、保護者の手元に届くまでに時間がかかってしまいます。その間、保護者は資金繰りを強いられるなど、要らぬストレスを抱え込むことにもなります。  最低限、奨学金の早期支給を通じて、子育てに関する無用なストレスの解消に向けて取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 特別奨学金は、厳しい家計状況にある生徒の授業料負担を軽減するものでございます。その支給に当たりましては、税額等の情報を活用することや、申請者が相当数いることから、審査に一定の時間を要し、支給時期は十二月末でございました。  令和五年度から、保護者の負担軽減を目指しまして、一部の例外を除く受給者に対しまして、支給時期を十月中旬といたしまして、約二か月半の早期化を図ることとしております。 ◯中村委員 保護者の方から早い支給をという求めがあったので、十二月末から今の制度の状況の中で十月中旬ということで前倒しになることは一定理解したいと思っています。ただ、所得制限がなくなればもっと大幅に早くできるんだろうと思いますので、ぜひ、このことは検討していただいて、保護者の方々の負担軽減に努めていただきたいというふうに思っています。  次に、住まいの確保、家賃補助について伺います。  段差があるのは子育て支援策だけではありません。  都営住宅の入居者でも、収入が上がるとそれ以上に家賃が上がったり、場合によっては、退去しなければならなくなるので、積極的に働く意欲を失ってしまうこともあり得ます。  家賃の設定は国の基準であり、現時点で都が独自に段差をスロープに改めることは難しいことは理解します。しかし、さらにもっと大きな課題として、同じ低所得でありながら、当たり外れの運で受けられるサービスが大きく異なる状況は改善すべきです。  すなわち、私は、低所得者に対する家賃補助を実施すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯山口住宅政策本部長 家賃補助制度につきましては、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題のほか、生活保護制度との関係など、多くの課題があると認識しております。  都民の居住の安定の確保につきましては、都営住宅を住宅セーフティーネットの中核として的確に供給していくとともに、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅の供給促進に向けて取り組みまして、重層的な住宅セーフティーネットの強化を図ってまいります。 ◯中村委員 都営住宅が中核だということでお答えがありました。  先ほども当たり外れの運でというふうにいったんですが、なかなか都営住宅に入りたくても入れない方々が大勢いらっしゃいます。空いているところは都心から離れれば離れるほどあるといわれますけれども、ご高齢の方等で急に生活環境を変わるわけにいかないところがあります。  やはり住み慣れた環境等で暮らしたいと思ったときに、じゃあ、申し込もうと思えば何十倍とか、下手をすれば百倍とかということになってしまうと、もうほとんど運で都のサービスが受けられる、受けられないが変わってしまいます。  ましてや、年金で暮らしていらっしゃる方々は、本当に普通に民間住宅を借りればそれだけで生活費がほとんどなくなってしまうところもありますから、都営住宅が当たる、当たらないで本当に大きな差が出てしまうというふうに思っています。  もちろん都営住宅の意味合いも、高齢者なり、低所得者や障害者、これは一定必要だと思っていますけれども、それだけではどうしても入り切らない部分があると思っています。民間の空き家等もたくさんあるわけですから、そういったところを含めて家賃補助制度の創設ができないかということで提案させていただいていますので、ぜひ引き続きこれは検討していただきたいというふうに思っています。  特にこれ、できないというわけではなくて、自治体でやっているところがあるわけですから、それで聞いているわけです。  特に市区町村では、高齢者や障害者、子育て世帯に対して、居住継続支援などの家賃補助を実施していますが、実施しているのは今、十七の市区にとどまっています。  そこで、市区町村が実施する家賃補助事業の半分を東京都が負担するなど、市区町村を財政支援することで、家賃補助制度に取り組む市区町村の拡大に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。 ◯山口住宅政策本部長 市区における家賃補助制度は、地域の実情に応じて、それぞれ独自の観点から対象者を設定し、様々な助成が実施されているものと承知しております。  都としては、引き続き、東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進等を図りまして、住宅困窮者の居住の安定確保に取り組んでまいります。 ◯中村委員 東京ささエール住宅の方も取り組んでいただいているというのは十分承知はしているんですけれども、残念ながら、まだなかなか実績が上がっていないというところもあります。これ、やっぱりそれだけでは足りないというところがあるので、それはそれでやっていただいているのもいいとは思うんですけれども、やはり直接的な、こういった低所得者を含めて、家賃補助制度の創設が必要なのではないかということを改めて申し上げさせていただきまして、次の質問に移りたいというふうに思います。  次に、高齢者施策について伺います。  今定例会の施政方針で小池知事は、高齢者施策について、約二分程度でしたが発言されました。この間、小池知事からは、あまり高齢者施策に関する発言が聞かれなかったので、取りあえずほっとはいたしましたが、子供を前面に出したように、高齢者施策についても、都庁は本気で取り組んでいただきたいというふうに思っています。  今定例会には、福祉保健局を分割し、福祉局と保健医療局とを新設する条例案が提案されています。これにより、介護は福祉局、医療や健康づくりは保健医療局に分割されることになります。  今後、高齢者施策は今以上に地域包括ケア、医療と介護との連携を強く求められるようになり、また、一人暮らしの高齢者の増加など、その重要性はますます増してくるものと考えています。  そこで、地域包括ケアの実現と高齢者施策の推進に向けて、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 多くの高齢者の方々は、たとえ介護が必要になっても可能な限り住み慣れた地域で暮らしたいと望んでおられます。  このため、都は、高齢者保健福祉計画に基づきまして、地域の中で医療や介護、生活支援サービスなどを一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築に向けました様々な施策を展開いたしております。  引き続き、高齢者施策の充実を図り、誰もが安心して暮らせる長寿社会を実現してまいります。 ◯中村委員 今、知事の方から、そういったご答弁の方もいただきましたが、なかなか子育てのことと違って、高齢者の方が施策として目立たない部分であるんですけれども、ただ、やはりこれから超高齢化社会ということになってくると本当に大事な部分だというふうに思っていますので、私は、知事には、子育てに関しては本気だという姿勢を示していただいておりますが、高齢者施策も本気で取り組むんだという姿勢を示していただいて、暮らしていらっしゃる方に安心していただけるようにしていただきたいと思っています。  また、私たち立憲民主党は、党の綱領の中で、全ての人に居場所と出番のある共生社会を構築するというふうにしていますが、そこで、この高齢者の方々含めて、居場所や出番についての質問をしたいと思っています。  私は、昨年の予算特別委員会で、高齢者の居場所づくりとして都営住宅における東京みんなでサロンについて質問しました。当時は、コロナ禍もあって、食事などを楽しみながら交流を深めるという事業は難しい時期でしたが、今後は、食事を通じて高齢者が交流する居場所の確保についても、積極的に取り組んでいくべきと考えます。  令和五年度予算では、都民提案ですが、TOKYOシニア食堂の取組も予算化されました。  私は、こうした提案も含め、高齢者の居場所づくりを積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、高齢者の孤立や閉じ籠もりを防止するとともに、介護予防、フレイル予防を推進するため、高齢者が気軽に立ち寄れるサロンの設置や、会食しながら悩みや不安を相談できるカフェの運営など、高齢者の居場所づくりに取り組む区市町村を支援しています。  来年度は、TOKYOシニア食堂推進事業を実施することとしており、引き続き、高齢者の多様なニーズに対応した居場所づくりを支援してまいります。 ◯中村委員 いろいろと場所の提供はつくっていただけるとは思うんですけれども、なかなかこの間、コロナで三年ぐらい間が空いてしまうと、本当に人が途切れてしまっていて、これまでのノウハウがなくなってしまったりもしています。  特に、地域で活動していただいている方々も比較的高齢なものですから、改めて、こういったところをもう一度つくっていくのは大変だと思っていますが、ぜひ市区町村と連携しながらやっていただきたいと思っています。  また、私は、昨年の予算特別委員会で、専門的な知識や経験を地域で発揮したい高齢者と、サポートを必要とする個人や団体とを結びつけるIT等を活用したマッチング事業について質問もしました。地域には、まだまだ地域のために役立ちたい、人のために役立ちたいと思っている高齢者が多くいることは変わりません。  改めて、私は、こうした人たちを市区町村の区域を超えて、東京都全体の地域でマッチングするなどして、高齢者の社会参加を積極的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、社会参加の意欲がありながら活動に結びついていない高齢者等と、新たな担い手を必要とする地域の団体等をつなぐことを目的に、今年度から人生百年時代社会参加マッチング事業を開始しています。  この事業では、高齢者等の相談支援や地域活動の掘り起こしに取り組む区市町村を支援するとともに、有識者等で構成する委員会での検討結果を踏まえ、高齢者等と社会参加活動との広域的なマッチングのためのオンラインプラットフォームを構築することとしています。 ◯中村委員 高齢者といっても、おおむね八割ぐらいは元気な方が多いわけですから、元気に活動していただきたいと思っていますし、ITが弱いというふうなイメージはあるんですけれども、今の六十代、七十代は、十年、二十年前であればもう現役のときにI機器を使っていますから、そういったところも積極的に活用していただいて、活用の幅が広がるようにしていただければというふうに思っています。  次に、コロナ対策について伺います。  新型コロナウイルス感染症が報じられた二〇二〇年一月以降、都の職員の皆さんにも、次々と起こる問題に懸命に対処してこられたことは心から感謝を申し上げます。  未曽有の感染症に対して十分な準備や想定がない中でしたが、様々な課題や教訓を踏まえて、いつまた起こるか分からない感染症危機に備え、これまでの対応を客観的、科学的に評価する必要があると考えます。  学校や保育所の臨時休業、緊急事態宣言解除後にも続いた度重なる時短や外出自粛要請、医療確保、救急搬送の逼迫、保健所業務の在り方、平時はあまり注目されなくても専門的知見を持った職員がいかに重要かなど、外部の方も含めてできるだけ多くの方が関わって、検証を行うことは歴史に対する責任でもあります。  コロナを五類に移行する政府方針が決定し、まだまだ油断はできないものの、一つの節目を迎えようとしています。これまで、知事から積極的な答弁がありませんでしたが、ここでようやく検証について考える時期を迎えているのではないでしょうか。私は、あえてこれ、知事に所見を伺いたいと思います。 ◯野間総務局長 都はこれまで、新型コロナ対策について総力を挙げて感染拡大防止や医療提供体制の充実に取り組み、得られた知見を次の対策に生かすことで、幾度も感染拡大の波を乗り越えてまいりました。  特に、強化を重ね、先手先手の対策を講じてきた保健、医療提供体制は、東京モデルとして、海外の専門家からも評価されております。  今後とも、これまで培った経験と知見を生かし、専門家の意見も踏まえつつ、適切に対応してまいります。 ◯中村委員 度々この検証については知事に伺ってきたんですけど、どうしても検証するということについてお答えをいただけていません。東京都は過去の振り返りはしたということなんですが、振り返るだけでは駄目なんだと思っています。やはり、これまでやってきた施策がよかったのかどうかということが後の世に生きることだと思っています。  ただ、これは必ずしも責めているだけではなくて、初めはコロナ自体について、よく分からなかったことなので、後手に回った部分もあったと思いますし、いろんなところはあったと思っています。いいところがあったところもあると思いますけれども、やはりぜひこういったことをしっかりと検証して残していって、後の世でどういった感染症がまた出てくるか分かりませんから、そういったときに備えていくという点でも、今こういった後世に伝えることというのが、私たち今に生きる人の責任だというふうに思っています。だからこそ、これは局長じゃなくて、政治家として、この危機に向き合ってきた都の責任者として、知事の見解を伺いたいと思っています。  改めて知事に対して、検証していかないのか、改めて伺いたいと思います。 ◯小池知事 都はこれまで、新型コロナ対策について総力を挙げて感染拡大の防止、医療提供体制の充実に取り組んでまいりました。得られた知見を次の対策に生かすということで、幾度も感染拡大の波を乗り越えてきたのがこれまでの三年間でございます。  特に、強化を重ね、先手先手の対策を講じてきた保健、医療提供体制、これは東京モデルとして、海外の専門家からも高く評価をされているところでございます。  今後とも、これまで培いました経験、そして、知見を生かして、専門家の意見も踏まえつつ、適切に対応していくという考えでございます。 ◯中村委員 知事にもお答えいただきましたが、やはりちょっと検証という言葉は使っていただけませんでした。言葉だけのことをいっているわけじゃなくて、本当にやってきたことがよかったか悪かったか、しっかりこれを見定めるということが大事だと思っていますし、それを残していくことが大事だと思っていますので、コロナはまだ終わったわけでありませんから、引き続き、ぜひ必ず機会を捉えて検証していただいて、後の世に責任として果たしていただければというふうに思っています。  さて、昨年十二月の代表質問で、私たちは、五類になったとしても、国に必要な財源の確保を求めるとともに、都としてもワクチンの公費負担の継続をはじめ、医療病床の確保や高齢者施設等の確保など、引き続きコロナによる脅威から都民の命を守るべく、万全を期すべきと主張してきました。  今年三月までとなっていた無料のワクチン接種については、今後も、当面継続する方針が示されていますが、高齢者や障害者、基礎疾患がある方、あるいはエッセンシャルワーカーなど、希望者が接種しやすい環境整備に引き続き取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。 ◯佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 国の厚生科学審議会の分科会では、令和五年度は、重症者を減らすことを目的に、重症化リスクが高い方や医療機関、高齢者施設等の従事者に対して春夏に接種を行うとともに、秋冬には全ての方を対象に接種を行うとの方針が示されております。  都は、国の方針を踏まえまして、四月以降も、ワクチンバスを活用して高齢者施設等での接種を進めるほか、一部の大規模接種会場を継続するなど、必要な方への接種機会を確保していくこととしております。 ◯中村委員 また、私たちが求めていた医療病床の確保でも、病床確保計画に位置づけられていない、いわゆる一般の病院に対しても、受入体制を整備すべく補正予算を計上しています。  しかし、新規感染者の全数把握を定点調査に変更し、週一回の発表にすることで、感染者数が急増した際に、早め早めの対応が取れず、救急搬送が逼迫したり、必要な医療を受けられないようなことがあってはなりません。  病床確保などについて、早め早めの対応が求められますが、見解を伺います。 ◯佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、五類移行後も、新型コロナの感染動向を的確に把握し、機動的な対策を講じていくためのモニタリング方法につきまして、東京iCDCの専門家などの助言をいただきながら、検討を進めることとしております。  感染拡大時には、新型コロナへの対応に医療資源を重点化できるよう、来年度の予算案に、医療機関に対するコロナ患者の受入支援や、休日の小児診療体制確保のための経費を計上しておりまして、通常医療との両立の観点も踏まえながら、適切に対応してまいります。 ◯中村委員 これから五類になっていって、コロナが終わったとは思いたいんですけれども、万が一、また急増しないとも限りません。この間も何回も波があったときに、やっぱり減っているときから急に増えてくるときに、まだ大丈夫だと思いたいんですが、その初動のところで本当にその体制を取るのがよかったのかどうかというのはあるかと思っています。  今後、特に定点観測に変わっていくとするとなかなか機会を捉えづらいところはあると思うんですが、ぜひ兆候を捉えていただいて、もし仮にこういったものが急増してしまうのであれば、早め早めの対応をお願いしたいと思います。  次に、コロナに関連して、保健所の体制の強化について伺います。  今回の新型コロナウイルス感染症対応を教訓とするならば、今後、保健所が目詰まりし、機能不全に陥ることのないよう万全の体制を構築していく必要があります。震災時のように、現場からの応援要請を待つのではなく、あらかじめ都庁からの支援体制を決めていく、人員計画をつくっておく必要があると考えます。  また、保健師、医師、看護師等の確保に向けては、厚労省が委託してやっている人材バンク制度、IHEATの積極的活用などが求められます。  現在、東京都では、感染症対応を踏まえた都保健所のあり方検討会を設置し、検討を進めているところですが、保健所の人員、人材の確保、育成に向けた取組について、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 都は、新型コロナの感染拡大に伴い、保健師の増員や応援職員の配置、会計年度任用職員の活用など、感染状況に応じた体制を確保してまいりました。  現在、感染症対応を踏まえた都保健所のあり方検討会で、専門人材の確保、育成を論点の一つに位置づけ、検討してございます。 ◯中村委員 多摩地域では、東京都の保健所と自治体との連携、役割分担が課題となりました。  昨年も申し上げましたが、保健所の所管人口は、地域保健法に基づく指針では、都道府県が設置する保健所の所管区域は二次医療圏に一つ設置することが原則で、二次医療圏の人口が平均的な二次医療圏の人口を著しく超える場合には、地域の特性を踏まえて複数の保健所を設置できることを考慮すると定めています。  全国の二次医療圏の平均人口は約三十七万九千人で、多摩府中保健所の所管人口は約百七万人で、これは、平均的な二次医療圏の人口を著しく超えています。
     多摩地域の二次医療圏において、都が複数の保健所を設置することなどについても積極的に検討すべきと考えますが、見解を伺います。 ◯西山福祉保健局長 住民に身近な保健サービスは市町村が、より専門的なサービスは保健所が実施するという地域保健法の考え方に基づき、都保健所は、二次保健医療圏に一か所設置しており、広域的、専門的、技術的拠点として地域の感染症対策の重要な役割を担ってございます。  なお、都は現在、検討会でその在り方について検討しております。 ◯中村委員 この間、検討会で検討しているということで、なかなかちょっと前向きな姿勢が取られないんですけれども、実際この間、多摩地域の場合は、二十三区がそれぞれの区が持っているのと違って、東京都が直接そこに責任を持っているわけですから、本当に体制が十分だったのかというのは、先ほどの検証の話も含めて、あるんだろうというふうに思っています。  実際、在宅療養の方が増えたときに、在宅で療養している方々が、区の場合であればその情報があったんですが、市町村の場合はなかったということで、そこでやはり市長さんたちから何で情報がないんだということがあって、在宅の療養管理を市長さんたちがやってもらって、そちらから情報をもらうような形になって、うまくいったところもあったと思っています。  私は、これは十分機能していなかったんじゃないかと思いますので、ぜひ改めて、この体制は見直さなきゃいけないと思いますので、検討会に任せるということだけじゃなくて、積極的に東京都もこの配置を見直すということをしっかり考えていただきたいというふうに思っています。  次に、気候変動対策としてのプラスチック対策について伺います。  国や都が二〇五〇年までにカーボンニュートラルを実現するためには、化石燃料を原料とするプラスチックを中心とする化学品分野でも、使用抑制やCO2削減の取組が求められます。現在、世界各国で海洋を含む環境におけるプラスチック汚染に関する国際条約の交渉が進められており、二〇二四年末には調整を終えるとしています。  世界大都市の一つ、東京都として、プラスチックのカーボンニュートラルに向けてどう取り組むのか、知事の見解を伺います。 ◯小池知事 二〇五〇年CO2排出実質ゼロに向けましては、プラスチック利用の大幅削減とともに、リユースを基調とした社会への移行が重要でございます。  このため、都は、ワンウエーから再利用可能な容器への転換を図るなど、先駆的なビジネスモデルの構築に取り組む事業者を支援し、社会実装化に向けた動きを後押ししております。  今後とも、こうした先進的な事業者との連携を図り、さらなるイノベーションを創出しながら、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。 ◯中村委員 ゼロエミッション東京の実現へ向けていっていただきたいと思うんですが、今もお話があったように、二〇五〇年という大分先の目標を掲げています。これ、先過ぎてしまうと、じゃ、そこまで、今どの位置にいるかというのが分かりづらくなってしまうんですが、できれば本当は、毎年毎年の積み重ねがあって二〇五〇年なわけですから、そういったところ、もう少し細かく目標を立てていただいて実現していただかないと、直前になってこれは無理だということになってしまいかねませんから、もう少し計画が、実現ができるように取り組んでいただきたいというふうに思っています。  さて、脱炭素社会を目指す上で、プラスチックごみを大幅に削減するため、使い捨てプラスチック使用量を極力減らすことが必要です。  昨年のプラスチック資源循環法施行から、廃棄物収集や再商品化を担う役割がより求められるようになって、都も支援策を打ち出しましたが、自治体では財政面や収集時の運用などの課題があり、すぐに取組を開始することは容易ではありません。  都として、プラスチックごみの分別、再資源化支援策を拡充していくべきですが、見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 まず、委員から、先ほど二〇五〇年にゼロという話がございましたけれども、都として、二〇三〇年に四〇%削減という目標を持ってございます。  その上で、今の質問に対するお答えでございますけれども、都は、持続可能な資源利用の実現に向けまして、令和二年度からプラスチックの分別収集経費等について区市町村を支援する事業を開始いたしました。  昨年四月のプラスチック資源循環法の施行を受け、新たに製品プラスチックの分別収集経費も対象とするなど、支援を拡充したところでございます。  来年度は、今年度のおよそ二・六倍に当たる九億二千万円を計上してございまして、引き続き、区市町村の取組を強く後押ししてまいります。 ◯中村委員 市区町村によっても大分取組に温度差があったりもしますから、ぜひ都から積極的に支援していただいて、市区町村との連携を強めていただければと思います。  さて、二〇一九年、都や国の調査で、河川や東京湾でマイクロプラスチックなどが検出されました。海洋プラスチックごみの約八割は陸域から発生しているともいわれており、より一層対策を進めるためには、流域圏で内陸から沿岸及び海洋にわたる関係主体が一体となって発生抑制対策等を行うことが不可欠です。国は、河川マイクロプラスチック調査ガイドラインを作成し、都も海洋へのプラスチック漏出を防止する目的で、実地検証を行っています。  都内での河川からのマイクロプラスチック流出の現状把握と、都として発生、流出を減らす取組を進めるべきですが、見解を伺います。 ◯栗岡環境局長 都は、海ごみ問題を都民に広く啓発するとともに、使い捨てプラスチックの削減や清掃活動への参加を促すTOKYO海ごみゼロアクションを展開してございます。  具体的には、環境公社と連携して専用のウェブサイトを開設し、海ごみ問題を分かりやすく解説する動画や資料等を掲載するほか、本年一月には都民が参加するごみ拾い体験イベントを開催いたしました。  また、荒川と多摩川においてマイクロプラスチックの流出状況を把握するため、一立方メートル当たりの個数や、色等について調査を二回行ってございます。  こうした取組によりまして、引き続き、海ごみの発生抑制を図ってまいります。 ◯中村委員 このマイクロプラスチックの問題は、これから本当に問題になっていくところだと思いますから、ぜひとも対応のほどお願いしたいと思います。  さて、プラスチック汚染や海洋プラスチック問題の深刻さを踏まえ、地球環境を配慮した消費行動につながる考え方を普及させるべきだと思います。都のエシカルパートナー企業では、使い捨てプラスチックゼロを目指す取組や、植物由来のバイオプラスチック容器を使い始めるなどのプロジェクトも始めています。  都民がプラスチック問題を考え、エシカル消費を実践しやすい環境を構築し、具体的な行動に結びつけていくよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。 ◯横山生活文化スポーツ局長 都は、プラスチック問題への取組も含めた、人や社会、環境に配慮して商品やサービスを選ぶエシカル消費を広く都民に普及啓発しております。  昨年十二月には、企業、団体と協働してエシカル消費を推進するプロジェクト、TOKYOエシカルを開始いたしました。  今後、専用サイトやSNSにおいて、使い捨てプラスチックの削減やリサイクルなどの取組も含むエシカル消費につながる様々な情報を発信するとともに、企業等とエシカル商品を購入できるマルシェなどの体験型事業を実施し、都民の日常的なエシカル消費の実践につなげてまいります。 ◯中村委員 最後の項目として、賃上げに向けた産業、労働対策について伺います。  私は、中小企業が賃上げができるように、昨年の第四回定例会の代表質問で、賃上げの資金確保のため取引適正化の推進を求めたのに対して、都は、国のパートナーシップ構築宣言制度と連携した下請対策に取り組むと答弁しました。  しかしながら、年末から年初にかけて、その宣言を行ったそうそうたる大企業などが、価格転嫁を協議しなかった、価格交渉や価格転嫁に後ろ向きな企業として、国から企業名を公表されました。取引適正化について、労働団体から宣言企業をチェックすべきとの意見もあり、事業者団体からも強力な推進と下請企業の価格交渉促進に向けた個社支援、指導実施強化が求められています。  中小企業において賃上げが可能となるように、都として、取引の適正化にどう取り組むのか、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は、中小企業振興公社に専門組織を設置し、企業同士の取引に関わる相談への対応を行うほか、取引の実務に精通した相談員を中小企業に派遣し、値引き要請への対応方法などについて助言をしております。  また、下請企業との間で適正な取引を行うことを宣言した会社に対して、国の優遇の仕組みなどを伝えております。  引き続き、こうした取組によりまして、中小企業の適正な取引を支援いたします。 ◯中村委員 東京都が下請契約の適正化を求めるとともに、令和二年度調査に引き続き、実態把握調査を行って現状を把握する必要があると考えますが、見解を伺います。 ◯吉村財務局長 都は、建設業の担い手確保、育成に向けまして、建設労働者の適切な処遇確保を図るため、毎年度、元請事業者に対し下請契約の適正化を要請するとともに、契約後、物価変動が生じスライド条項を適用した場合には、下請契約における金額変更を適切に行うよう求めているところでございます。  お話の令和二年度の調査は、こうした取組のフォローアップとして実施し、おおむね適正との結果を得ましたが、物価高騰など社会経済情勢の変化も踏まえまして、昨年秋から改めて対象を拡大して調査しており、今後、調査結果を業界に還元してまいります。  こうした取組を通じ、引き続き、建設業における下請契約の適正化を促してまいります。 ◯中村委員 さて、都の公労使会議を構成する各団体の全国団体は、国の未来を拓くパートナーシップ構築推進会議の構成団体です。  そのため、都の公労使会議においても取引の適正化を議題に上げ、それぞれ意見を出し合うことが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は、中小企業の経営者をはじめ、業界や働き手の実情に詳しい団体の代表者などが参加する会議等において、中小企業の現場での実態や適正な価格で取引を行うことについて意見をいただいております。  今後とも、こうした取組によりまして、中小企業の支援を進めてまいります。 ◯中村委員 今、なかなか物価高ということになっています。中小企業の方も、本当は賃金を上げたいんだけど、なかなか原資がないんだということもいわれています。大企業の方々には、ぜひ自分の会社の方の賃金も上げてほしいんですけれども、こういった適正な取引ということで、中小企業の方々が賃上げできるような原資をつくっていただけるようにと思っています。  このことは当事者同士だけの交渉というわけにいかないので、ある意味で、この公労使会議ということじゃないんですが、公の部分ですね、都としても積極的にここは訴えていただいて、こういった機運醸成を図っていただいて、中小企業、下請で働く方々の賃上げに結びつけていただけるようにしていただきたいと思います。  さて、東京都がデジタル人材育成に取り組む中、国は、企業におけるDX推進を通じた価値向上に向け、デジタルガバナンス・コード二・〇を提示しました。この中で、最優先して育てるべきデジタル人材は、価値向上や新規ビジネスを創出する人材、ビジネスアーキテクトやデザイナーなどのデジタル推進人材です。  都におけるデジタル推進人材確保、育成の取組について伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は来年度、中小企業が従業員のデジタル技術の習得のため必要となる経費への支援に関し、規模を拡充いたします。  具体的には、民間教育機関に通う講習に加え、社内に講師を招きオーダーメードで実施する研修も対象といたします。  これらによりまして、中小企業の人材の確保と育成を支援してまいります。 ◯中村委員 国や都などで開催した東京都職業能力開発促進協議会においては、IT訓練における就職とのミスマッチが説明されました。都の中小企業有識者会議でも、IT導入の旗振り役が必要、自社に必要なデジタル化とは何か、全体を踏まえさらに深掘りした施策が必要として、IT知識を持ちリーダー的でマネジメントができる人材を求めているとも聞きます。  産業構造の変化にも対応できる、実効的なリスキリングプロジェクト、職業訓練による取組を推進させていく必要があると考えますが、見解を伺います。 ◯坂本産業労働局長 都は来年度、様々な方が、成長産業の中で力を発揮できるよう、能力開発や就職支援を年間二万人の規模のプロジェクトとして展開いたします。  これによりまして、従業員の新たなスキルの習得に向けた機会を提供する企業への支援を行うほか、デジタルの知識を基礎から学ぶプログラムなどを実施いたします。  こうした取組によりまして、リスキリングの支援を進めてまいります。 ◯中村委員 実効が上がる事業として、学んだことや何を生み出せるかなどという取組を評価、後押しをして、企業の成長を促していただきたいと思っています。  いろいろと今、中小企業や下請についても質問もさせていただいたんですが、本当に物価が厳しい状況にあります。中小企業の経営も、コロナ等もあって大変だったところもあったと思うんですが、そこで働く人も大変な状況にもあります。  ぜひ都としても、先ほど来述べさせていただきましたが、取引の適正化、そしてまた、賃上げにつながるような機運醸成を図っていただくことによって、何としてもこういった物価高で厳しい状況にあるところの危機を脱することができるように、都としても全力で応援していただければというふうに思っています。  以上述べまして、質問の方を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ◯小宮委員長 中村ひろし理事の発言は終わりました。  以上で本日予定しておりました質疑は全て終了いたしました。  なお、明日は午後一時から委員会を本委員会室で開会しますので、よろしくお願いします。  これをもちまして本日の委員会を閉会します。    午後十時十二分散会...