東京都議会 > 2020-02-26 >
2020-02-26 令和2年第1回定例会(第2号) 本文

  • "医療機器整備"(/)
ツイート シェア
  1. 東京都議会 2020-02-26
    2020-02-26 令和2年第1回定例会(第2号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時開議 ◯議長(石川良一君) これより本日の会議を開きます。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(石川良一君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(石川良一君) これより質問に入ります。  百十六番増子ひろき君。    〔百十六番増子ひろき君登壇〕 ◯百十六番(増子ひろき君) 令和二年第一回東京都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事及び警視総監、教育長、都技監、関係局長に質問します。  質問に先立ち、新型コロナウイルスにより亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、罹患された皆様に心よりお見舞いと一日も早いご回復をお祈り申し上げます。  いよいよ本年は東京二〇二〇大会が開催されます。都は、大会準備の総仕上げを行い、大会の成功に向けて万全な対応を進めなければなりません。あわせて、私たちは、大会後の東京、そして日本全体のあるべき姿を描き出し、東京二〇二〇大会をきっかけに、その実現に向けた歩みを加速させる責務を有しています。  現在の東京は成熟の局面にある一方で、人口減少、少子高齢化、日本経済の国際競争力の低下、世界規模での地球温暖化など歴史的な転換点に直面しています。それに伴い、年功序列、終身雇用等に代表される従来の人生モデルも揺らぎ、価値観の多様化が進んでいます。  一つの正解がない現在に求められるのは、多様な生き方を包摂し、都民一人一人の人が最大限力を発揮できる環境を整え、多様性を都市の成長につなげていくことです。そのためには、未来を見据えた戦略的な投資と無駄を省くめり張りのきいた財政運営を欠かすことができません。  小池知事は自身の給料半減を継続されています。また、事業評価による四年間での財源確保額は三千五百億円以上に上ります。加えて、更新費用二千億円超と見込まれた工業用水道の廃止、都立施設の見直しによる約四百億円を初めとする東京二〇二〇大会経費の削減、マラソン、競歩の札幌移転に伴う都の経費負担ゼロの確保など、都民からお預かりしている税金のワイズスペンディングが徹底されています。  しかし、先日、都が公表した財政収支の長期推計でも、都の財政の見通しは決して楽観視できるものではなく、また、国による不合理な都税収奪も繰り返されています。  そして、都民の安全・安心を守るために、予測できない事態に対して迅速な対応が求められる場面もあります。小池知事は本定例会に先立ち、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、四百一億円の補正予算を編成し、都民の安全・安心の確保を目指すと表明しました。この補正予算に先立ち、私たちは小池知事に対し、検査体制の強化や中小企業支援など都民の不安払拭に向けた要望を三度にわたり行いました。これらの要望が反映された本補正予算が都民の不安払拭に貢献することが期待されます。  東京が歴史的転換点を迎えている中、令和二年度予算案は東京二〇二〇大会の成功と大会後の東京における人と都市の姿を描き出し、その実現に向けた歩みを加速させるものである必要がありますが、本予算案の基本的な考え方について知事の見解を伺うとともに、今回の新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算案の基本的な考え方についてもあわせて伺います。  新型コロナウイルス感染症対策について伺います。  都内、国内においても感染者が日増しに増大していることに鑑み、感染の拡大抑止と感染した方への適切な治療といった両面の対策が求められています。  感染拡大の抑止策としては、感染の疑いを持った方がちゅうちょなく相談でき、必要と認められた方が検査できる体制づくりが急務です。規模拡大のためには、民間の検査機関との連携強化をも視野に入れることが必要です。
     また、医療の現場における適切な情報共有も極めて重要です。医師会などと連携し、感染症に対する基本的な対応方法を簡易な動画にまとめるなどして、医療関係者が閲覧、確認できる方策も検討すべきと考えます。  感染症に罹患した疑いを持った方が相談、検査を受けられる体制の充実、そして国、民間を含めた医療機関、受入体制の連携体制の確立や医療機関における基本的な対応方針の周知徹底など、感染者を受け入れる医療体制の強化が急務と考えますが、本日の対策会議を含め、都における新型コロナウイルス感染症対策についての知事の見解を伺います。  なお、現在、都内全域でマスクなどの感染防止に資する資源が不足しています。東京マラソンを初め、都が関係する行事の延期、中止に当たっては、これらの資源の都民への提供など、都民の感染防止に役立つよう利用することの検討も求めておきます。  新型コロナウイルスによる産業への影響の視点も欠かすことができません。感染症の不安を経済的な不安に拡大させないためにも、事業活動に影響を受けた中小企業への融資や観光産業にかかわる区市町村への支援が重要です。  加えて、人混みによる感染拡大を防ぐ面で、これまで都が働き方改革、通勤混雑解消の観点から強力に取り組んできたテレワーク、時差出勤の意義が改めて注目されています。災害、感染症の際に事業活動を適切に継続する観点からも、テレワークの導入に向けた支援と都内企業への呼びかけが必要です。  都内中小企業や観光産業への支援、そして都民の安全を守るためにも有益なテレワークの普及を一層強力に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。  新型コロナウイルス感染症対策については、刻一刻と事態が急転し、今なお関係者の負担は甚大であると理解しています。感染症対策に当たられている都庁職員を含む関係者の皆様に心から敬意を表します。私たちも引き続き、都民の立場に立って対策に必要な提言、行動を行っていく所存です。  子育て支援、女性活躍について伺います。  私たちは、都の長期戦略への提言において、多様性を都市の成長につなげる取り組み、都市のデジタル化、都市と自然との融合を掲げ、合理的根拠に基づくEBPMの考え方で戦略を絶えず見直す視点を示しました。今回公表された戦略ビジョンでは、私たちの提案が数多く反映されていることを評価します。今後は、この戦略ビジョンを実現していくための具体的な政策や体制の構築が重要です。  例えば、将来的な合計特殊出生率二・〇七とした目標に対して、仮称チーム二・〇七プロジェクトを立ち上げるとのことですが、抜本的な課題解決のためには、海外の事例も研究した上で、過去の政策の延長にとどまらない大胆な取り組みに挑戦し、政策の効果検証をしながら優先順位をつけて政策資源を投入していかなければなりません。  合計特殊出生率二・〇七という意欲的な目標を含め、未来の東京戦略ビジョンの実現に向けた取り組みを今後一層具体化する必要がありますが、今後の長期戦略の策定及びその実現に向けた知事の見解を伺います。  少子化を克服し、合計特殊出生率二・〇七を達成していくためには、安心して妊娠、出産、子育てができる環境を整備することが急務です。  育児のプレッシャーを和らげる産後ケアの重要性は、東京都医師会、助産師会を初めとする多くの方からご指摘をいただいており、また、児童虐待死はゼロ歳が最も多く、産後の母親への支援は児童虐待防止の観点からも重要です。さらに、母子の状態把握を一層定期的に行うことの重要性や、子育ての負担が特に大きい多胎児初め多子世帯への配慮も強く訴えてきました。  都が私たちの要望を受けて、これまで行ってきたゆりかご・とうきょう事業を継続、拡充し、とうきょうママパパ応援事業を新設したことは極めて重要です。  より一層子育てがしやすい東京の実現に向け、これまで評価されてきた産前の取り組みの継続に加え、区市町村ごとの取り組みにばらつきが多い産後ケアの充実、多胎児初め多子世帯の支援強化、母子の状態把握を定期的に確認する取り組みの強化などにより、妊娠、出産、子育てに対する切れ目のない支援を一層強化すべきですが、知事の見解を伺います。  小池知事就任以来の待機児童対策の結果として、昨年四月一日現在の都内の待機児童数は、一昨年に比べて保育所等の利用申し込み数が大きく増加したにもかかわらず、四半世紀ぶりの水準となる三千六百九十人と公表されました。区市町村や保育事業者の方々とともに着実に進めてきた小池都政の非常に大きな成果であり、施策をさらに加速させる必要があります。  一方、育児や働き方など家庭環境が多様化する中で、ベビーシッターの利用への期待の声は大きく、制度の使い勝手を一層向上させ、保育所だけでは対応できない育児の選択肢を補完するべきです。  このようにベビーシッターに対する社会的期待が高まる中で、都からも繰り返し強く税制改正を求めていると理解していますが、都による助成を雑所得として課税する国の現在の税制は、残念ながら極めて不合理といわざるを得ません。  待機児童対策の視点に加えて、子育て家庭のさまざまなニーズに応えながら、育児支援の選択肢としてベビーシッターの利用がさらに拡大するように、より使いやすい制度とすべきですが、知事の見解を伺います。  保育の待機児童に合わせて、小一の壁といわれているように、保育所から小学校に上がった子供たちの放課後の居場所の充実が引き続き求められています。  私たちは、さまざまな機会を捉えて学童クラブの充実について質問し、要望してきました。都は国に上乗せする形で、学童クラブの整備や都型学童クラブ事業に補助を行い、量の確保と質の向上を図ってきており、知事就任以降九千人以上登録者が増加しています。今後は、働く保護者のニーズに合わせ、午後七時以降まで開設する学童クラブを一層ふやすとともに、子供たちが放課後の時間を過ごす場としてのさらなる質の担保も重要です。  都は、学童クラブの利用者枠をふやし、同時に質の拡充にさらに力を入れるべきと考えますが、都の見解を伺います。  私たちが独自に実施した都民アンケート調査によると、子供が二人以上いる家庭の四割以上が多子世帯への財政支援が少子化対策に必要だと回答しています。私たちは国の幼児教育無償化に当たり、保育料における多子世帯支援を求め、都独自の支援が実施、実現されています。加えて、私たちの東京都長期戦略への提言では、一層の多子世帯支援を求めたところです。  子育ての負担軽減に関しては、保育のみならず、教育の経済的負担の軽減も極めて重要です。  私たちは令和元年第二回定例会の代表質問で、国の就学支援金の支給額の上限引き上げに合わせたタイミングで、私立学校の実質無償化の制度見直しを求めました。このたび、授業料負担軽減の対象世帯が都立高校と同じ年収約九百十万円未満に引き上げられ、公私間格差の是正が前進したことは重要ですが、少子化対策の観点からは、教育費に関する多子世帯への支援を強化する必要があります。また、こうした保護者負担軽減制度について、多くの都民に周知し活用を促すこともまた重要です。  私立、都立の双方において、多子世帯における教育費の軽減を強力に推進するとともに、制度の周知を徹底すべきと考えますが、知事の見解を伺います。  なお、多子世帯とは第三子以降がいる世帯に限られるものではなく、第二子がいる世帯も含まれるべきという点を指摘しておきます。  また、教育の負担軽減には一層取り組むべきである一方で、幼児教育、保育の無償化の際にも一部指摘がなされた不合理な授業料の値上げの防止策なども、あわせて求めておきます。  東京の離婚率は一・七〇で、全国平均を常に上回っており、平成三十年に親が離婚した二十歳未満の子供は、都内で一万七千四百六十五人いますが、養育費が支払われない事例が多く、ひとり親家庭の貧困率は約五〇%程度といわれ、大変厳しい状況にあります。  都はこれまでも、ひとり親家庭支援センターにおける支援などに取り組んできましたが、これまで私たちが当事者から切実な声をいただいて都に求めてきたとおり、子供の利益を第一に考え、また、ひとり親家庭の貧困問題の実態に対応する上でも、養育費の確保には一歩踏み込んだ施策展開が求められます。  都として、都内自治体と連携しながら、子供の養育費の確保のための施策展開をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。  国は昨年、女性活躍推進法を改正し、女性活躍の行動計画の策定義務を従業員百一人以上の中小企業に拡大することとしていますが、ノウハウを持たない中小企業が実効性のある計画づくりに取り組めるよう、きめ細かく支援することが必要です。  私たちの女性活躍推進本部は、昨年二度にわたって行った女性のための政策要望の中で、女性就労者に対する待遇の改善をより多くの事業者に対して促すために、中小企業全体の実に四割が利用している制度融資のインセンティブを付与するなど、制度融資の活用を求めてきました。  都は一層の女性活躍に向けて、中小企業が女性活躍推進に取り組めるよう行動計画の策定を支援するとともに、中小企業に対する制度融資を活用するなど、より多くの企業に対して影響力のある経営的なインセンティブを検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。  未来を担う人の教育こそ、東京の成長に欠かすことはできないものです。昨年末に発表された未来の東京戦略ビジョンでは、人に着目し、人が輝く東京をつくり上げることを目指しています。  そのためには、急速に変化し続ける時代の中で、子供たちが笑顔で健やかに育っていけるよう教育のあり方もまた変わっていくことが求められており、ICTを活用したスマートスクールやソーシャルインクルージョンの理念を教育の場で実現し、学びの個別最適化を進めることが重要です。  そこで、未来の東京戦略ビジョンにおいて今後検討することとされている新たな東京型教育モデルについて、どのような方向を目指していくのか、知事の見解を伺います。  学校教育の長時間労働は長らく社会課題化しており、私たちは校務のICT化や外部人材の積極活用を求めてきました。都も出退勤管理システムの導入やスクールサポートスタッフ等の外部人材の活用、時間外労働時間の抑制等に努めてきました。  しかしながら、過労死ラインを超える残業をする教員は依然として存在しており、特に副校長については、小学校で三割、中学校で二割強に及んでいます。都は本定例会において、学校職員の勤務時間条例を改正するとともに、規則において、時間外労働時間の上限を規定するなどの取り組みを行うとしています。  さらに、昨年七月に設立された東京学校支援機構では、令和二年度から人材バンクや学校法律相談デスクなどの事業を開始し、学校を多角的に支援していくこととしています。  今後、教員が児童生徒と向き合う時間をしっかりと確保できるように、学校における働き方改革に向けた取り組みを一層進めていくべきと考えますが、教育長の見解を伺います。  人生百年時代に向けた対応について伺います。  受動喫煙対策について伺います。  いよいよ四月一日から東京都受動喫煙防止条例及び改正健康増進法が全面施行となります。都が先日実施した調査結果によると、実に八割以上の都民が本条例の取り組みをよい、またはややよいと積極的に評価しているとのことです。  これまで私たちは、啓発、指導、助言等に当たる人員体制の強化や区市町村と連携した共同キャンペーンなどを求めてきましたが、昨年八月には調布市長とともに、また今月上旬には受動喫煙防止カウントダウンキャンペーンの一環として港区長とともに、知事みずから飲食店を訪問し、街頭でPR活動をするという共同キャンペーンを実施しました。都内全域での一体的な機運醸成のために、私たちが訴えてきた統一イメージのためのユニホームやのぼりなども導入が開始されており、都の積極的な取り組みを評価します。  受動喫煙対策について都条例の実効性確保に向けた今後一層の取り組みを展開すべきですが、知事の見解を伺います。  現在、受動喫煙防止カウントダウンキャンペーンとして実施されている各区市町村の取り組みのうち、好事例については、まだ取り組みがされていない他の区市町村にも広げるため、都から積極的に働きかけるよう要望します。  二〇二五年に東京都で暮らす認知症の方の推計は約五十六万人、約六人に一人が認知症になる時代がやってきます。私たちはこうした変化に備え、認知症疾患医療センターでの相談機能充実や認知症サポーターの活動促進などのさまざまな提言を行ってきました。  今後は、地域で認知症の方が安心して暮らせる共生社会の実現とともに、AIやビッグデータ等を活用して認知症の予防に資する取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。  昨年、第三回定例会において、私たちは高齢者及びその予備軍に対し、その後のライフプランをイメージできるよう就業、社会参加、フレイル対策、介護等に関して適切な情報提供を行うことを求め、知事から、五十代から六十代前半の都民を対象とした読本の作成に取り組んでいく旨の答弁をいただきました。  元気高齢者の活躍、フレイル予防、介護、支援等の情報提供など、五十代から六十代前半の都民を対象としたこの読本の作成、配布を通じ、都民が健康で活力ある暮らしを送れるよう支援を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。  人生百年時代に向け、多くの高齢者が働き続けることを希望していますが、現状では六十五歳以上の方のうち就業している方は全体の四分の一にとどまっています。中小企業などでは雇う側にノウハウがなかったり、高齢者の働きやすい環境が整備されていなかったりすることから十分に取り組めていない状況です。  都においては、昭和五十年から行ってきているシルバー人材センターに加え、さまざまなシニア就業応援プロジェクトを進めてきました。私たちはシニアを含む全ての人たちが生き生きと働くことのできる支援と環境づくりを継続して求めてきました。  国において、令和三年度から、企業に七十歳までの就業確保の努力義務を課すことが見込まれている中、都としても、高齢者が活躍し続けられる社会の実現に向け、高齢者の雇用が一層進むよう就業支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。  前定例会において知事から、都立、公社病院を一体的に地方独立行政法人へ移行する方針が示されました。  私たちは平成十八年に独立行政法人化、平成二十六年に非公務員型に移行した大阪府立病院機構を視察し、理事長初め関係者の方々と意見交換を行いました。  そこでは、行政的医療における役割を継続的に果たしつつ、医業収入を大幅に拡大しており、質の高い経営体制の確立に取り組んでいる状況について伺うことができました。さらに、医師、看護師などの人材を柔軟かつ機動的に確保するための採用制度や、職員のモチベーションを高めるための給与体系や、研究費配分の工夫が採用されていた点も重要と認識できました。さらに、医療や現場を熟知し、改革マインドを持った理事長や病院長の人選が非常に重要であるという点も感じたところです。  今後、都立病院、公社病院において、現場で働く職員並びに都民及び地域の医療機関等の理解を得つつ、また行政的医療を安定的に提供し続ける体制を確保しながら、独法化への準備を進めていくべきと考えますが、今後の方針について知事の見解を伺います。  企業のみならず医療機関においても、近年の大規模化する災害、特に風水害への備えが急務となっています。  一般的なBCPが平時と同程度の事業継続、または早期回復を目標とするのに対して、医療機関においては、負傷者の発生等によって、平時以上の医療需要に対応する医療提供体制が求められます。特に、浸水想定区域では電源喪失リスクが高まるなど、診療機能を継続するための地域特性に応じた計画の策定が重要であり、私たちは水害版BCP策定の必要性を訴えてきました。  現在、全ての災害拠点病院でBCPが策定されていますが、災害拠点連携病院での策定率は百三十八病院のうち約六割となっています。  そこで、全ての災害拠点病院及び災害拠点連携病院でBCPを策定するとともに、今後予測される大規模な風水害のリスクを想定した医療機能を継続できる体制の構築を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。  ダイバーシティーの実現に向けた取り組みについて伺います。  昨年の第一回定例会において、私たちから制定を提案した犯罪被害者支援条例の条例案が約一年の検討を経て、いよいよ本定例会に提出されました。被害者やそのご家族の方々からも、条例の制定を心待ちにしていたとの声を多く聞いています。  そこでまず、本条例制定を決断した知事の思いを改めて伺います。  条例の制定を契機として、被害者等に寄り添った支援を一層進めていかなければなりません。これまでも都は支援計画のもとで、相談や精神的ケアなどを実施してきました。しかし、医療費などさまざまな費用の負担、被害現場となった住まいからの引っ越しの必要性、自分でも気づかないトラウマなど、被害者等が日常生活を取り戻すための課題はさまざまです。  また、都内で犯罪被害に遭われた外国人が相談できる環境の不足などを指摘する声もあり、こうした生の声をしっかりと酌み取っていく必要があります。  都は、犯罪被害者の方々に対する経済的支援の充実を求める私たちの主張を受け、新年度から見舞金の創設などに踏み切りました。  このような支援の手をこれまでの相談対応からさらにその先へと進め、見舞金、引っ越し費用や弁護士への法律相談費用などの経済的支援を初め、被害者のさまざまな困り事の解決をサポートする取り組みを一層充実させていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。  昨年の第四回定例会において、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例が制定されました。本条例により、就労に困難を抱える人たちと一般の人たちがともに働く場がふえ、お互いに理解を深めながら働くことで、共生社会の実現につながることが期待されます。  今後、ソーシャルファームを創出し、東京ひいては日本全国に根づかせていくためには、実効性ある認証基準と効果的な支援策をつくることが重要なポイントであり、これらを定める指針の早期公表が待たれるところです。  都は、指針の策定に向けて、就労に困難を抱える人たちへの支援が全国に広がるよう、国に新たな仕組みづくりや法の制定等を検討するよう要望することも含めて多面的に議論すべきであるとともに、指針の策定に向けた現在の取り組み状況と、日本で初となる公的な認証に向けたロードマップを明らかにし、ソーシャルファームの誕生に期待を寄せる都民に示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。  いわゆる就職氷河期世代は、現在三十代半ばから四十代後半に至っており、今なお不本意ながら非正規雇用の状態に置かれている方などが多く存在し、支援が必要な方が約百万人いると見込まれています。  私たちは、就職氷河期世代を対象とした都職員の採用を求め、また都民の雇用や就業を支援するための東京しごとセンターにおける支援強化を求めてきました。  就職氷河期世代の方々の都庁における積極的な採用を進めるとともに、企業側の採用や育成などへの取り組みを促進することにより、就職氷河期世代の正規雇用化に向けた支援を一層強化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。  地域の生活課題が複雑化する中で、地域福祉の推進に重要な役割を果たしている民生児童委員への期待は一層高まっていますが、負担感の増大や担い手不足等が大きな課題です。  私たちは、委員活動の多様化による経済的負担が早期退任や担い手不足の一因との指摘もある中で、負担感軽減のための実費の直接支弁や、地区の協議会に対する支援を求めました。知事も一日民生委員として活動され、都も令和元年に活動費の単価の見直しや年齢要件の緩和などの活動支援に取り組んできました。  経済的困窮やひきこもり、認知症、虐待、いじめ、不登校など、複合的な課題や子供たちを取り巻く問題に対して、民生委員、児童委員自身の知識や能力の向上がますます求められている中で、民生委員協議会が実施している視察や勉強会などの研修に参加する際の自己負担を軽減させるなど、さらなる活動支援を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。  東京二〇二〇大会を機に、多くの外国人が東京を訪れ、多文化共生意識が高まるとともに、大会関連のボランティアが誕生して、ボランティア意識が醸成され、共助社会づくりの機運も高まっています。都は、こうしたレガシーを生かし発展させるために、コミュニティの活性化を支援する新たな財団を設立する方針を明らかにしました。  私たちは、民間の知見の活用を分野にかかわらず訴えてきましたが、特に多文化共生については、従来、東京都国際交流委員会など民間の各種団体が中心的な役割を果たしてきました。コミュニティの姿が大きく変わりつつある今、これらの民間組織とより一層連携を進める方向性は重要ですが、一方で、財団設立の意義がしっかりと検証されなければならないとともに、都民から新財団の設立が天下り先の確保ではないかとの疑念を万が一にも抱かれないようにしなければなりません。  これまで都と民間の任意団体である東京都国際交流委員会とがNPO団体などと連携して取り組んできた実績がある中で、新たに法人を設立する意義があるのか、国際交流委員会との関係も含めて伺います。また、民間人材の登用など、適切なガバナンス体制の確保が必須と考えますが、あわせて都の見解を伺います。  仮称都民の城について伺います。  今回示された都民の城の改修基本計画では、改修に関する概算費用が約百三十六億円とされています。都民の城は将来的には、周辺都有地との一体的活用を目指す方針が示されていますが、そこでは今回の改修費用が、将来における一体的活用においても妥当な支出と判断されるよう検討が進められる必要があります。  都民の城の検討とそれに続く都有地一体としての長期利用を進めるに当たっての有識者会議における議論を今後どのように進めていくのか、都の見解を伺います。  スマート東京の実現に向けた取り組みについて伺います。  AI、ビッグデータなど第四次産業革命のコアとなるテクノロジーの社会実装の面で、日本は世界から大きくおくれをとっているのが現実です。首都東京は危機感を持ち、都市のスマート化において、世界のモデル都市としての地位を確立することが急務です。  都が先般公表したスマート東京実施戦略では、電波の道でつながる東京、公共施設や都民サービスのデジタルシフト、都庁のデジタルシフトを掲げ、東京のスマート化を強力に推進するとしています。デジタル化を通じて、都民生活の向上を図るべきとする私たちのこれまでの主張と軌を一にするものであり、都の今後の取り組みに大いに期待をするところです。  都では、5Gアンテナ基地局等の設置加速に向けて、都有地などの都が保有するアセットを通信事業者等に開放するとともに、ワンストップ窓口を創設し、利用手続の簡素化に取り組んでいます。これは全国初の取り組みであり、通信事業者からも評価されていると聞いており、都の取り組みを日本全体のスマート化につなげることが重要です。  5Gアンテナ基地局等の設置加速において、先行する取り組みを全国の自治体へも共有していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。  スマート東京実現のためには、全庁を挙げて局横断的に方向性を持って進める体制と、さらには、民間事業者とのコラボレーションができる体制の構築が急務です。  これまで私たちは、局横断的に施策を実行する権限と責任を持つチーフ・デジタル・オフィサー、CDO等の設置も求めてきましたが、民間の情報通信企業のトップとして、さまざまな主体とコラボレーションして事業を進めてきた経験をお持ちの宮坂副知事にはCDO等としての働きが期待されます。  デジタル化を通じた都民生活の質の向上のためには、システム導入、構築やデジタル化に関する都庁各局の施策を一体的にまとめながら、民間も含めたコラボレーションを推進する必要があると考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。  現在、都市全体を3Dモデル化して都市開発や課題解決に利用する取り組みが生まれており、シンガポールでは、バーチャル空間に都市全体を3Dモデルとして再現し、そのモデルに、交通情報や水位、人間の位置情報などの各種のリアルタイムデータを統合した都市のデジタルツインが形成されています。  各インフラを整備する計画の立案や太陽光発電パネルの設置場所の検討、アクセシビリティーの改善、渋滞の解消や公共交通機関の改善といったさまざまな利用が考えられ、今後の都市運営の基盤となり得るものです。現在検討を進めている官民連携データプラットホームと連動させ、民間も広く活用できるようにしていくべきです。  そこで、都として都市のデジタルツイン構築に取り組むとともに、3D都市モデル上でさまざまなシミュレーションなどを実施し、その結果を還元することによって社会課題の解決や政策立案に活用すべきと考えますが、都の見解を伺います。  これまでも私たちは、学校におけるICT環境整備の充実を強く求めてきました。都では令和二年度より、TOKYOスマート・スクール・プロジェクト、すなわち教育のICT化を強力に推進することとし、先般の私たちの代表質問に対しても、都立学校におけるICT環境の整備の強化が示されました。加えて、都内でのスマートスクールの実現のためには、都立学校に加え、区市町村立学校における取り組みを支援することが必須です。  区市町村立学校におけるICT機器の整備支援に加え、現場でICT機器の導入活用を支援する人材の確保も強化すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。  5Gの普及は、都内中小企業やスタートアップにとって関連市場に参入し事業拡大を図る絶好の機会であり、シェアリングエコノミーとの連動なども期待されます。生産分野での活用によるスマート化や新たなワークスタイル創出により企業の生産性を高め、そこで働く人のクオリティー・オブ・ライフの向上にも寄与する取り組みとしても期待され、都としても積極的に後押しすべきです。  時期を逸することなく、都が率先して産業分野や働き方の分野で5Gの活用を広げるべきと考えますが、都の見解を伺います。  私たちの島しょ振興政策研究会では、これまであらゆる東京の島しょ部を訪れ、現地の声を伺ってきましたが、大きな課題の一つが交通の利便性です。天候等により突発的に欠航が発生することがあり、また、運航事業者ごとに季節や曜日によってダイヤが異なります。そのため、島への旅行者にとっては、実際に目的地までどのようにすれば行けるのか、また、万が一欠航になった場合にどうすればよいのか、わかりづらいのが現状です。
     MaaSといわれる移動のサービス化の大きな流れの中、島しょにおける交通も、情報を一元化するポータルサイトアプリの開発に加え、チケットレス化や予約決済のデジタル化など、さらなる取り組みを進めていくべきです。  将来的なMaaSも念頭に、島しょ地域の交通情報をわかりやすく提供することで、来島者の利便性を高めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。  障害があると証明したり、各種割引を受けたりするのに必要な障害者手帳ですが、現在障害者手帳は紙製です。破れやすく劣化しやすい、外出先で取り出すのに手間取るなどの不便さから、障害者手帳のカード化は当事者の長年の要望でした。四月から交付主体の都道府県や政令指定都市、中核市の判断でカード型の手帳が発行できることになりました。  都においても、利便性の向上や耐久性の向上が期待される障害者手帳のカード化を推進するとともに、さらなる利便性向上に向け、カード化に加えて、ICTの活用、例えば、スマートフォンなどで併用できるアプリなど、さらなる利便性向上策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。  稼ぐ東京の実現に向けた取り組みについて伺います。  知事は施政方針において、来年度、中小企業の支援のあり方を見直し、明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業と中小企業新戦略支援事業を新たに立ち上げ、技術、サービスの高度化に取り組む企業や、市場開拓、ICT化などに取り組む業界への支援の充実を図ることを表明されました。厳しい経営環境の中、懸命に頑張っておられる中小企業の経営者、業界の皆さんの実情に寄り添ったものであり、極めて意義深いものです。  激動する世界経済、目まぐるしく進展する技術革新、さらには、人口構造を大きく変えていく少子高齢化の進行など、中小企業を取り巻く環境が劇的に変わる中、こうした変化に適応しながら、未来志向で挑戦を続ける中小企業への支援に都はしっかりと取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。  国では昨年、人手不足対策として外国人労働者の受け入れ拡大に向け、新たな在留資格の創設なども行いましたが、都内中小企業における外国人材の確保に当たっては、海外に向けて、東京で働く魅力を発信するとともに、在留資格の手続や社内体制の整備等への支援に加え、文化や言語の違い等に起因する職場のトラブルの未然防止への対応など、受け入れ後も見据えたきめ細かな支援が必要です。  都はこれまでも、中小企業に対し、外国人の採用に関する情報提供や外国人材とのマッチングなどの支援に努めてきましたが、外国人の雇用を取り巻く環境が劇的に変化する中、これまで以上に多様な施策を展開すべきです。また、外国人労働者の現状に詳しい外部の有識者などの意見を取り入れて、より効果的な事業展開を図っていくべきと考えますが、あわせて都の見解を伺います。  地域コミュニティの重要性が改めて見直される中、その核として人と人をつなぐなど大きな鍵を握る商店街の価値に改めて光を当てていくことが必要です。  先日、知事は施政方針において、商店街の重要性に言及し、その魅力を広く発信するために、大東京商店街まつりを開催し、地域産業の活性化を図っていくとの方針を表明されましたが、これは私たちの主張とも軌を一にするものです。  地域の活力の源泉である商店街の活性化に向け、その魅力や役割などを広く発信していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。  私たちは、市場を取り巻く環境が大きく変化し、また、厳しさを増している中で、市場運営の基盤となる市場会計をより強固なものとし、持続可能な経営を可能とするとともに、海外輸出やICTの活用など、時代に即した取り組みを市場業者とともに進めていくことが重要と訴えてきました。  市場業者による創意工夫を後押しするため、都は今年度から、中央卸売市場活性化支援事業を実施しており、市場業者からは、新たな事業を実施するきっかけとなったなどの声をいただきました。  一方で、資金的な余裕がなかったことや、補助金審査にかける時間的な余裕がなく、補助を受けずに事業を実施した事業者もいたとのことです。  令和二年度は、より多くの市場業者に寄り添い、制度を利用していただくために、さらに使い勝手を向上させていくべきと考えます。令和の時代における中央卸売市場の活性化に向けて、市場業者の取り組みを後押しすべく、一層強力に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。  セーフシティーの実現について伺います。  都民の防災意識の向上に向け、これまで都は、町会、自治会等や子育て世代などに対する取り組みを重点的に行ってきました。例えば、パパママ東京ぼうさい出前教室などは、多くの応募があると聞いています。  今後は、ターゲットをより明確にした取り組みが重要になります。例えば、都内の分譲マンションの総戸数は総世帯数の約四分の一に達していますが、昨年の台風第十九号の際には、高層マンション等の電源が浸水し、停電により上下水道やエレベーターが利用できない事態が発生するなど、マンション居住者特有の課題もあります。また、今後増加していく都内の外国人居住者や高齢者に対する取り組みの工夫も必要です。  そこで、マンション居住者や外国人、シニア、子育て世代など、ターゲットをより明確にした上で、都民の防災意識の向上にさらに取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。  私たちはかねてより、災害時の電力確保の重要性を訴えており、都が、私たちの求めに応じ、区市町村庁舎に対する非常用電源確保支援を行っていることを高く評価します。  しかし、発災時の電力確保は十分とはいえません。もはや必要不可欠なインフラとなったスマートフォンなどの情報機器端末が災害時に使用できなくなる事態を回避するため、共助のかなめとなる町会、自治会等の自主防災組織の活動拠点等において、災害時に地域住民等が充電できる環境を整備していくことが必要です。  発電機の中には百万円を超えるようなものもあるといいます。町会、自治会からは、一時的にとはいえ、こうした負担をすることは難しいという話を聞いており、自主防災組織が活用するためには一層の工夫が求められ、発災時の電力確保のための区市町村に対する支援を実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。  東日本大震災の震災関連死の調査では、約三割の死因が、避難所などにおける生活の肉体、精神的疲労でした。災害による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽くされなくてはならないとするスフィア基準の基本理念を念頭に、避難所の質の向上を図ることが重要です。  特に簡易ベッドは、床にじかに寝るより体の負担が少なく、エコノミークラス症候群等の防止にも有効とされ、抵抗力の落ちたお年寄りや体調のすぐれない方が病気を発症しにくくなる効果も期待されています。  日本でも、二〇一八年の西日本豪雨の避難所で段ボール製の簡易ベッドが導入されるなど、近年注目度が高まっています。  そこで、大型台風や首都直下型地震に備えて、都としても段ボール製簡易ベッドを備蓄すべきだと考えますが、都の見解を伺います。  国内外から多くの観光客が訪れる東京二〇二〇大会の成功には、テロや犯罪への対策が十分に機能することが不可欠です。  テロ対策においては、さきの定例会でも答弁のありました大会関連施設における危険箇所の把握、専門部隊の対処能力の向上、官民連携の取り組み等の諸対策がありますが、大会の脅威は、テロにとどまらず、近年頻発する大量で無差別な犯行が大会をターゲットとして行われるリスクがあり、また、大会期間中に警備が手薄になる地域を狙った犯行についても、決して許してはなりません。  新たに就任された斉藤実警視総監は、これまで長らく警備畑を歩んでこられた警備のエキスパートであり、昨年は警視庁副総監として、天皇陛下の御即位に伴う一連の儀式や、ラグビーワールドカップなどの警備の指揮もしてこられたものと聞いています。  これまで積み重ねてきた東京二〇二〇大会の安全で円滑な開催に向けた諸対策を総動員しつつ、都全域の治安を維持し、首都東京の万全な警備を行うべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。  本年は、東京二〇二〇大会が開催される年であり、また国内でのたび重なる凶悪事件の発生も踏まえ、防犯カメラの設置、維持管理、さらには運用に関する経費への支援を希望する声は一層多く寄せられており、私たちも都に一層の支援を要望してきたところです。  今や必要不可欠な公的インフラとなっている地域の防犯カメラについて、設置促進に向けて支援を一層拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。  都内における救急出場件数は、高齢化の進展、都民の救急ニーズの変化等により、十年連続で過去最多を更新し、年々増加の一途をたどっています。急病や事故については、例えば心停止から一分経過するごとに救命率が約一〇%ずつ低下することなどが知られており、一刻も早い心臓マッサージの実施等の必要性が明らかになっています。  一人でも多くの命を救うためには、私たちとしてこれまで求めてきた救急隊の現場到着時間のさらなる短縮化に加えて、今後は、通報から出動までの時間を短縮し、また有効活用すべきと考えます。  救急隊の傷病者への早い接触とバイスタンダーによる早期の応急処置が重要と考えますが、近年の東京消防庁の新たな取り組みについて伺います。  都はこれまで、防災都市づくり推進計画のもと、震災時などに甚大な被害が想定される木造住宅密集地域の不燃化十年プロジェクトを行うなど、令和二年度を一つの目標として、整備地域の不燃化を推進してきました。その目標達成に向けてはいまだ道半ばであり、地域ごとの進捗状況や、その課題に応じた整備プログラムの見直しや、新たな施策の展開が必要不可欠です。  木密地域の解消に向けて、先般、私たちは小池知事に対し、木密地域不燃化十年プロジェクトの取り組みの延長や、基礎自治体への支援の一層の強化など、防災都市づくりの推進に向けた緊急要望を行いました。  木密地域の不燃化を推進する新たな施策を展開していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。  震災時に建物倒壊による道路閉塞を防ぎ、避難や救急消火活動、緊急物資輸送を円滑に進め、早期の復旧、復興につなげるためには、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化が必要不可欠です。  これまで私たちは、建物所有者等への働きかけを強化するとともに、耐震改修等への各種支援の拡充を求めてきました。昨年末に公表された耐震改修促進計画改定素案では、新たな施策が盛り込まれています。そこでは個々の建物に着目した耐震化率だけでなく、通行機能確保の観点から、区間到達率や総合到達率といった新たな指標を用いた目標が設定されましたが、耐震化の実効的な促進につながるものにしなければなりません。  そこで、特定緊急輸送道路の通行機能の確保のため、今後、区間到達率や総合到達率による新たな耐震化の目標達成に向けて効果的な施策を展開していくべきですが、都の見解を伺います。  都市環境の整備について伺います。  過去に経験したことのない豪雨、四十度を超える暑さなど、気候変動による影響は差し迫った深刻な状況です。  そうした中、昨年五月に東京で開催されたU20メイヤーズ・サミットにて、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロに貢献すると小池知事が宣言し、さらに昨年末に、ゼロエミッション東京戦略として、気候変動に立ち向かう行動宣言をしたことは、世界諸都市のこれまでの気候非常事態宣言よりも一歩踏み込んだ決意と具体策を示したものであり、高く評価されるべきものです。  日本政府が国際的な批判を受ける中で、都は都民、国民や経済界などの世論や協力を喚起し、日本、世界をリードしていく役割を担うべきであり、あらゆる場面を活用し、ゼロエミッション東京戦略の考え方を共有、浸透させていくべきです。  ゼロエミッション東京戦略の意義を都民及び世界へ広く発信するとともに、その実現のため、都民や経済界を巻き込み、行動変容を起こしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。  ゼロエミッション東京戦略では、都は国の導入目標を上回る形で、二〇三〇年に新車販売台数の五〇%をZEVとする目標を設定しました。この目標達成に向けては、私たちも指摘してきたとおり、いかにZEVを利用しやすい環境を整備できるかというインフラ整備が大きな課題です。  庁有車のEV導入拡大や、都有施設を活用した急速充電器の整備は評価できる取り組みですが、民間事業者等との一層の連携、そしてFCVの普及に不可欠な水素ステーションの多摩地域を含めた整備拡大などが必要です。  今後建設されるビルや集合住宅において、一定規模以上の施設を中心に充電器設置の協力を促進するなど、ZEVの社会定着に向けた環境整備を民間事業者も巻き込み推進していくべきですが、都の見解を伺います。  私たちが提言している自然と融合した都市環境の推進には、都市の緑化の一層の進展が必要です。  いわゆる二〇二二年問題により、生産緑地のさらなる宅地化が懸念される中、東京都農業会議を初め、多くの方から、緑の確保、農地の保全に関するご意見をいただいてきました。私たちの要望を受け、今回の緑確保の総合的な方針の改定において、確保地の項目の中に特定生産緑地の項目が新設されたことを評価します。  国の調査によると、生産緑地の指定を十年間延長できる特定生産緑地に移行しないとした都内農家が全体の二割おり、これらの農家からの早期の買い取り申し出が想定されます。しかしながら、区市にとっては財政的負担が大きいことがネックとなり、あるいは買い取り交渉がうまく成立せず、まだまだ実績が少ないのが現状であり、私たちが求めてきたとおり、都として強力な後押しが必要です。  都市農地の減少を抑制するためには、区市による生産緑地の買い取りとその効果的な活用を後押ししていくことが重要ですが、都の見解を伺います。  東京には世界でもトップレベルの高密な鉄道ネットワークが発達していますが、その強化は、国際競争力のさらなる強化や多摩地域の発展、ひいては日本全体の発展に寄与する極めて重要なものです。  私たちも、空港アクセス線、多摩都市モノレールに代表される多摩南北交通、ベイエリアなど、都全体の鉄道ネットワークの強化を求めてきました。  平成三十年度の鉄道新線建設等準備基金の創設に加え、来年度予算においても六路線等に関する検討に向けた調査費が計上をされており、鉄道ネットワークの整備促進についてさらなる進展が期待されます。  多摩都市モノレールを初め、交通政策審議会答申でも進めるべきと示された六路線など、鉄道ネットワークの実現を早期に図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。  二〇二七年を予定しているリニア中央新幹線の開通まで七年となりました。リニア中央新幹線は、品川駅─名古屋駅間を最短四十分で結び、日本の人、物の流れを大きく変え、世界に類を見ない巨大な経済圏を生み出すことが期待されます。  都は、高輪ゲートウェイ駅や橋本駅といったリニア停車駅周辺の整備のみならず、両駅への広域的なアクセスや隣接地域のまちづくりをあわせて進めることで、リニア整備の波及効果を最大化しなければなりません。  さらに、環状四号線、南多摩の大動脈の一つである南多摩尾根幹線など両駅周辺へとつながる道路交通ネットワークは、リニア開通に遅滞なく進めることが重要です。  リニア中央新幹線の開通時期を見据え、品川駅周辺や橋本駅付近へのアクセス性の向上に資する道路整備を推進させるべきと考えますが、都の見解を伺います。  日本橋周辺の首都高の地下化を前進させることは、単に老朽化対策や交通の円滑化にとどまらず、東京二〇二〇大会後の東京の姿として、歴史あふれる美しい水の都東京を世界に示すことにつながります。  これまでも私たちは、日本橋周辺の首都高地下化に関し、安全・安心の観点、日本橋地域全体のにぎわいの観点、歴史や文化など日本橋らしさをどのように将来にわたって継承していくのか、また、経済的な合理性、災害時のライフラインの確保など、本事業の意義や効果について多くの理解と協力が得られるよう要望してきたところです。  東京の魅力を高めるためにも、日本橋以外のエリアにおいても、日本橋のように、まちづくりと連携して首都高の地下化などの大規模更新を促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。  現在、都内の約四分の一の世帯がマンションに住み暮らす一方、建物の老朽化とともに、居住者の高齢化もあわせて進んでいます。  これまで私たちは、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を進めるとともに、老朽マンション等の再生を促進していくことで、都民生活の質の向上、そして都市の再生につなげていくことを求めてきました。  都道府県で初となるマンションの管理状況届け出制度が本年四月から施行されます。今後、この届け出制度を契機として、都においてマンションの適正管理とその再生がしっかりと進むよう、実効性ある施策を積極的に展開していくべきと考えますが、知事の見解を求めます。  地域の居場所づくりに関し、私たちからは、子供食堂の推進とともに、高齢者の地域活動との連携も求めてきました。  都営住宅は都内各所にあり、集会所などの交流施設が設置されていることから、これらを活用した居場所づくりは、高齢化や単身化が進む都営住宅における緩やかな見守りの役割を果たすとともに、周辺住民も含めたコミュニティ活性化、ひいては安心して暮らし続けられる住環境の形成に資するものです。  今後、東京みんなでサロンを展開する上では、高齢者だけでなく、地域に住む多世代の方々の居場所づくりにつながるよう工夫を凝らすとともに、都営住宅の居住者に限らず、例えば周辺住民に対する交流施設の積極的な開放など、地域に開かれた都営住宅の契機とすべきですが、都の見解を伺います。  昨年のラグビーワールドカップは、日本代表の活躍もあり、日本中が熱狂に包まれました。ラグビー人気は大会後も継続していますが、ラグビーをできる場所が近くに確保できないという声が上がっており、私たちも、より多様な人々がラグビーに触れ、競技を楽しめるレガシーとしていくため、都として環境を整えることを求めてきました。  他方、都立公園でラグビー場整備を進めるのは重要ですが、それにより他競技での利用を制限されるのではないかとの心配の声も届いています。  都立公園において、ラグビーの裾野を広げる競技環境を整えていくに当たっては、他競技の利用と調和する形で整備されるべきと考えますが、都の見解を伺います。  行財政改革について伺います。  小池知事の就任により開始された二〇二〇改革は、一貫して都庁の生産性向上、機能強化に取り組み、着実な成果を上げてきましたが、昨年末には、二〇二〇年以降を見据えた新たな都政改革ビジョンが公表されました。  その中では、東京二〇二〇大会後を見据えた都庁組織の検討も含まれていますが、私たちは、大会後に多数の都職員が組織委員会から戻ることも踏まえながら、大会のレガシーをスポーツの振興にとどまらず、幅広く生かすとともに、長期戦略ビジョンの実現に適した組織への再編が必要と訴えてきました。  さらに、これからの行政は、都民の顧客満足度をしっかりと定義し、それを最大化するという、民間企業に近い視点も求められます。あわせて、データに基づいた政策の効果検証を常に行っていくことで、真に都民のための都政を進めていくことが必要です。  それこそが都民ファーストの視点だと考えますが、行政サービスの向上を追求し、都庁の人材や組織を変貌させていくという新たな都政改革に取り組むに当たっての知事の決意を伺います。  今後、中長期的に水道料金収入が減収に向かい、一方で、老朽化した水道管の更新費用の増加や水道事業を担う人材の不足が見込まれるなど、都の水道事業の効率化は待ったなしの重要課題です。先日公表された東京水道長期戦略構想では、政策連携団体への業務移転の強化が示されました。  水道事業はいうまでもなく、都民の生活に不可欠な、最も重要な社会インフラの一つであり、安定した水の供給に支障が出るような事態は決して許されません。損益管理やガバナンスなど、民間企業の利点を生かした政策連携団体の効率化、都との関係性、委託事業に対する責任の所在など、さらなる議論が必要です。また、政策連携団体に業務を移管することによって、事業に対する都民、議会のチェックが弱まることがあってはなりません。  これまで私たちは、ワイズスペンディングの視点から、水道あんしん診断の実効性を根本から問うなど、今後の水道事業のあり方について、さまざまな問題提起を行ってきました。  ICTの活用など、これまでにないさまざまな新しい発想を持って、水道事業の効率化を図ることはもちろん重要ですが、都民生活の根本である水道事業の責任は都が負うことを明確にし、しっかりと議会のチェックのもとで組織運営を図ることを徹底し、加えて、東京水道から民間事業者への委託、発注の公平性、透明性の一層の向上を図ることが安定した事業運営の継続のために極めて重要であると考えますが、都の見解を伺います。  虐待などの痛ましい事件が各地で発生する中、専門機関である児童相談所の果たす役割が極めて重要であることは、改めて指摘するまでもありません。法改正により、特別区も申し出により児童相談所を設置できるようになり、来年三つの特別区が区立児童相談所の開設を予定しています。  こうした中、今回の都区財政調整協議では、特別区の財源配分割合を来年度に〇・一ポイントふやして五五・一ポイントとすることで合意しました。協議では、都と特別区の意見がまとまらず、協議期間を延長したとも聞いています。都区双方が粘り強く協議を行い、合意に至ったことは前向きに評価できるものです。  今後の検討のためには、今回の議論の経緯が正確に理解されなければなりません。  そこで、今回の都区財政調整協議では児童相談所についてどのような議論があったのか、また、どのように合意に至ったのか、今後の協議はどのようになるのか知事の見解を伺います。  東京二〇二〇大会は、世界中に興奮と感動を呼び起こすとともに、都民の記憶と誇りとなり、大会後の東京の成長につながるものにしなければなりません。そのためには、都が区市町村の主体的な取り組みを積極的に後押ししていく必要があります。私たちは、区市町村が行うコミュニティライブサイトやパブリックビューイング、聖火リレーやボランティア育成、スポーツ環境整備などへの支援の充実を訴えて、強く求めてきました。  これらを踏まえて、都は、区市町村に対する支援を一層充実し、大会成功に向けてともに臨んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。  オリンピック・パラリンピック教育の総仕上げである子供たちの観戦機会の確保に関し、これまでも私たちは、子供の年齢への配慮、車椅子対応、暑さ対策など、子供たちの個別の事情に十分に配慮することを求めてきました。公共交通機関を使った移動や、熱中症の懸念等についての学校、そして保護者の不安の声には、引き続きしっかりとした対応が必要です。  夏のテストイベントの検証結果等も踏まえ、子供たちが集団で移動するという点を考慮した十分な安全対策、そして暑さ対策を行うべきと考えますが、教育長の見解を伺います。  私たちは、チケットがなくても世界のトップスターを間近で感じられる機会の一つとして、駒沢公園に決定したサッカーの公式練習会場の公開を都に求めてきました。  都は、こうした要望を受けて、選手にとって最もデリケートな公式練習会場の公開について、IOCやFIFA等と慎重な協議を重ね、公開の合意を取りつけました。さらには、サッカーを皮切りに、ほかにも練習会場の公開に前向きな競技があると聞いています。  競技団体の理解を得ながら、子供たちに一生に一度の体験を提供すべく、関係機関と交渉を重ねた都の姿勢を評価します。  今後は、練習風景の公開が、選手にとっては支障がなく、見学者にとっては最高の体験となって、東京二〇二〇大会のレガシーとなるように取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。  東京二〇二〇大会のレガシーの一つが、容器包装の削減やリサイクルなどに代表される持続可能な社会の実現に向けた取り組みです。プラスチック容器のリサイクルで表彰台を製作する取り組みも行われていますが、大会自体の持続可能性だけでなく、都民の行動変容や事業者の新たな取り組みを促すなど、大会後にも残るレガシーをつくることが重要です。  東京二〇二〇大会を通じ、プラスチックの資源循環の実現に向けて、リサイクルに当たって、より付加価値の高いものを生み出すアップサイクルの考え方などに基づき、より高度なリサイクルにも挑戦し、レガシーとしていくべきですが、都の見解を伺います。  東京二〇二〇大会の大きなレガシーに位置づけられるものが、障害者スポーツの環境整備です。今大会で培われたパラスポーツの灯を消さず、東京、そして日本におけるソーシャルインクルージョンの推進の大きな節目が東京二〇二〇大会であったと後世から評価されるよう、大会後に何をレガシーとして残すかが極めて重要です。  障害者スポーツの環境整備など、大会後を見据えた障害者スポーツの振興をどのように進めていくのか知事の見解を伺います。  都が直接支出した経費については、経費関係書類は公文書として保管され、適切に公開されますが、公益財団法人である組織委員会については、その限りではありません。また、組織委員会には経費書類のみならず、IOCとのさまざまな交渉記録なども残されていることから、重要書類が散逸しないように、都と組織委員会などで今後協議される予定の文書管理の仕組みを裏づける条例をつくり、事後検証を可能にすべきです。
     本定例会に提出しました東京二〇二〇大会に係る文書等資産の保管及び承継に関する条例案は、組織委員会から精算人に引き継がれた重要書類についても散逸がないように求めるもので、オリンピック史上極めて重要な取り組みであり、今後の開催都市にとってもレガシーになる条例です。  小池知事は就任早々に、東京都公文書管理条例を制定し、文書の保管や情報公開の意義を強く訴えてこられました。  そこで、東京二〇二〇大会後の経費の検証の必要性と大会関係文書の保管、承継の意義について知事の見解を伺います。  昨年十二月に大会経費V4が公表されました。組織委員会の支出が収入を超え、負担し切れない事態に陥った場合には、最終的には東京都が責任を負うことになる以上、大会後も見据えた適切な費用対効果のあり方が引き続き検討されなければなりません。私たちはこれまで、開催が近づくにつれ、不合理な経費の膨張が生じないよう、組織委員会に対する関与の強化を繰り返し求めてきました。  一方、組織委員会の収支が黒字となり、剰余金が生じた場合には、開催都市契約では、JOCが二〇%、IOCが二〇%、組織委員会が六〇%の割合で分配するとされています。しかし、組織委員会は東京都の出資等比率は五〇・〇%、常勤職員の三分の一以上が都派遣職員であり、その活動の多くが都のリソースに基づくものです。また、改めていうまでもなく、オリンピック・パラリンピックを初めとするスポーツ大会は、特定の誰かの利益のために開催されるものではありません。  大会には都民の多額の税金が投入されており、大会経費が決して赤字となることのないよう、組織委員会と連携してコントロールしていくとともに、仮に剰余金が生じた場合には、都への適切な返還を求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。  以上で代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)    〔知事小池百合子君登壇〕 ◯知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えいたします。  当初予算案と補正予算案の基本的な考え方についてのご質問がございました。  世界中の視線が注がれる東京二〇二〇大会を大いなる成功へと導き、真に世界に誇る大会とすることは、開催都市東京に課せられた使命であります。同時に、大会が終了した後も、世界の中で輝き続ける東京を築き上げていかなければなりません。  一方で、都政を取り巻く環境に目を転じますと、我が国の経済的地位の低下や、第四次産業革命のうねり、人口減少など厳しい状況に直面をしておりまして、このままでは世界から大きく取り残される、こうした強い危機感を持って予算編成に臨んだところでございます。  いつの時代にありましても、危機を乗り越えるのは人の力であります。都市の活力の源泉であります人が輝く社会を築き、成長と成熟が両立した東京、日本の輝かしい未来をつくり上げていく、こうした思いを胸に、予算案を練り上げたところでございます。  具体的には、当初予算案におきまして、人が輝くための施策でありますChildren、Choju、Community、三つのCや、スマート東京の実現などの施策を展開いたしまして、過去最高の四百二十件の新規事業を立ち上げるなど、積極的な施策展開を図ることといたしました。  あわせまして、施策の効率性や実効性の向上に向けまして、施策の新陳代謝を図る事業評価の取り組みをさらに深化させるとともに、将来世代の負担を考慮いたしまして、引き続き都債の発行を抑制するなど、財政の健全性もしっかりと確保しているところであります。  また、当初予算案の編成以降、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況が大きく変化をいたしまして、現在、予断を許さない局面となっております。  感染拡大に伴う都民の不安解消と都民生活の安全・安心の確保に向けまして、感染症対策を強化するとともに、経済活動への影響を最小限に抑える観点から、今年度と来年度をまたぐ補正予算案を同時に編成いたしまして、都がなすべき対策を機動的かつ効果的に講じていくことといたしました。  これらの補正予算と当初予算が一体となり、いわゆる十三カ月予算として切れ目なく施策を展開することによって、首都東京の安全・安心を確保し、人が輝き、活気あふれる都市へと東京をさらに進化させていく、都議会の皆様とともに手を携えながら、確かな歩みを進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いをいたします。  新型コロナウイルス感染症への対策についてのご質問でございます。  中国武漢市での感染拡大に端を発しました新型コロナウイルス感染症でございますが、我が国におきましても、患者、感染者の報告が相次いでおります。  都におきましては、危機管理対策会議の開催や、私を本部長といたします対策本部の設置などを通じまして、新型コロナウイルス感染症対策に全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。  先月末には、都民の皆様に正確な情報を発信し、冷静に正しい行動をとっていただけますよう、都のホームページに専用サイトを設けまして、電話相談を受け付けますコールセンターを開設いたしました。  また、感染の可能性がある方から、二十四時間体制で相談を受け付ける帰国者・接触者電話相談センターを設置いたしまして、感染が疑われる場合には、受け入れ体制が整備されました帰国者、接触者外来を受診する体制を、都内の保健所や医療機関と協力して整えております。  東京都健康安全研究センターにおきましては、感染の有無を確認するためのPCR検査を一日に百二十件まで実施可能な体制に増強いたしまして、都内の医療機関から報告されます疑いのある患者の検査を迅速に実施しているところでございます。  検査の結果、陽性となった方に対しましては、積極的疫学調査を実施するとともに、感染症指定医療機関等で入院治療を行っております。これらの医療機関には、院内感染防止のため防護服も提供をいたしております。  現在は、国内での感染拡大を防ぐための重要な局面であります。  都といたしまして、二月二十一日に開催いたしました対策本部会議におきまして、都主催のイベントの延期、中止の考え方や、隗より始めよで取り組みます都庁のテレワーク等の取り組みを初めといたしまして、基本的な方針をお示しいたしました。  週末を挟んで全国的に感染経路が明らかではない患者が多く発生している状況にあって、この一、二週間が感染の拡大か収束かの瀬戸際とされております。  本日、こうした状況を踏まえまして、短期間に集中的に取り組む対策を取りまとめました。具体的には、医療体制の充実、感染防止の拡大、広報の強化、徹底といった三つの視点を踏まえまして、さらなる感染拡大防止に向けて取り組むことといたしました。  特に都立学校につきましては、授業の開始時間をおくらせる、春休みを前倒しにするなどの具体的な施策を指示したところでございます。  引き続き、感染拡大の防止の観点から、多言語化や聴覚障害のある方へのファクシミリによる相談の受け付けを行うなど、より都民が利用しやすい電話相談体制などの充実を図りますほか、民間検査機関も活用して検査体制を一層強化するなど、徹底した取り組みを進めてまいります。  都民の皆様方にもご不便をおかけすることもありましょうが、ご理解をいただきたいと存じます。  また、あらゆる手段を講じまして、感染患者が増加するペースを可能な限り抑制する、医療体制の確保についてもスピード感を持って取り組んでまいります。  今後とも、国や多くの医療関係者等と緊密に連携をいたしまして、医療体制の強化を迅速に進めて、都民の皆様や企業、関係自治体のご協力も得ながら、新型コロナウイルス感染症対策に全力を尽くしてまいります。  同じく新型コロナウイルス感染症に係る経済対策についてのお尋ねでございます。  新型コロナウイルスの流行が経済活動に与えます影響を最小限に抑える観点から、中小企業や観光産業へのきめ細かな支援を迅速かつ切れ目なく展開することが重要でございます。  あわせまして、東京二〇二〇大会に向けて導入促進を図ってきたテレワークでございますが、公共交通機関や職場での感染防止対策にも有効でございます。  私は、この機にテレワークが当たり前の社会を一気に実現させるとの思いを込めまして取り組んでおります。こうした認識のもとで、今回の補正予算にはさまざまな対策を盛り込んでおります。  具体的には、観光客の減少やサプライチェーンの寸断等によりまして、事業活動に影響を受けている中小企業に対して、融資目標額を一千億円といたします緊急融資制度を新たに創設をいたします。この制度におきましては、信用保証料も全額補助することで、事業継続につながる経営支援を着実に行ってまいります。  また、感染の拡大に伴って売り上げ減少などの影響を受けております中小企業に対しまして、経営や法律の専門家を無料で派遣するとともに、国内外への販路の開拓支援も強化してまいります。  さらに、事態の収束後、速やかにインバウンド需要を回復できますよう、都といたしまして、海外でのCM等を活用した積極的なPRを展開するとともに、区市町村の観光振興に資する取り組みもしっかりと支援をしてまいります。  加えまして、この機会にテレワークの導入、拡大を図るために、業界団体等への働きかけを強化いたしますとともに、二〇二〇TDM推進プロジェクトへ参加する企業に対しましては、機器やソフトウエア等の導入を強力に支援をしてまいります。  新型コロナウイルス感染症によります景気の停滞も懸念される中で、こうしたセーフティーネットの取り組みを総合的に進め、東京の経済の活力維持に万全を期してまいります。  都の長期戦略についてのお尋ねがございました。  今後、東京が迎えます大きな変化、変革を見据えまして、時代を切り開く人が大いに輝ける社会を確立することこそ、東京が未来へと発展し続ける鍵でございます。  子供が社会で大切にされ、笑顔で元気に学び、伸び、育つ、長寿の方々が経験を生かして活躍する、女性や障害者、外国人など誰もが活躍できる環境を整える、こうした人に寄り添った政策を展開して、多様性や包摂性に富んだ人が輝く東京を実現してまいります。未来の東京戦略ビジョンは、こうした思いを込めて策定をいたしたものでございます。  戦略ビジョンでは、明るい未来を切り開くため、二〇三〇年に向けました二十の戦略と戦略実行のための約百二十のプロジェクトを盛り込んでおります。ビジョンは描いて終わりではありません。スピード感を持って実行してこそ意味がございます。新年度を待つことなく、各プロジェクトに早期に着手をいたしまして、具体的に取り組むべき内容を明らかにした上で、施策の展開を図ってまいります。  未来を担う子供に関しましては、子供の目線に立ったまちづくり、切れ目なく子供や家庭を支える、社会のマインドチェンジ、これらを柱とする子供の笑顔のための戦略を掲げております。  子供への投資に本気で取り組む観点から、海外の事例や子供に関する調査を実施いたしまして、エビデンスに基づいて効果的な政策を練り上げる。また、組織横断のチームを立ち上げまして取り組みを推進するなど、各局が連携してプロジェクトの効果を高めてまいります。  ビジョンに掲げます目標の実現に向けまして、今月には、経団連など産業界とも未来の東京について意見交換を行っております。東京に集積をする多様な主体の力を結集いたしまして、社会全体での取り組みを築き上げて、東京二〇二〇大会後に策定をいたします長期戦略に結実させてまいります。  これまでの延長線にとらわれることなく、果敢な挑戦を積み重ねる東京大改革を通じまして、誰もが自分らしく、生き生きと活躍できる都市東京をつくり上げてまいります。  妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援についてのご質問でございます。  都は、平成二十七年度から、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握をして、継続した支援を行う区市町村を支援してまいりました。  来年度からは、子育て家庭が抱えるさまざまな悩みに、よりきめ細かく対応するため、産前産後の支援を大幅に充実したとうきょうママパパ応援事業を開始いたします。  具体的には、区市町村における産後ケアの取り組みを促進するため、区市町村の負担分を全額補助するとともに、産後の母子に寄り添って、家事、育児を支援するサポーターの派遣や、多胎児を育てる家庭に対する移動支援などの取り組みを実施してまいります。  また、歩き始めの時期や言葉の理解の程度などの個人差、自我の芽生えによりまして子育てに関する悩みが多くなる一方で、健診など行政がかかわる機会が少ない一歳前後の子供がいる家庭に対しまして、育児パッケージの配布を通じ、子育て支援等の情報提供や家庭状況の把握などを行います区市町村を支援してまいります。  私は、この東京を、安心して子供を産み育て、子育ての喜びを実感できるまちにしていきたいと考えております。この実現に向けまして、区市町村と連携をいたしまして、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制のさらなる強化に取り組んでまいります。  ベビーシッターの活用についてのご質問でございます。  女性の力を引き出して、その活用を後押しするためには、誰もが働きながら地域で安心して子育てができる環境を整えていくことが必要であります。  私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけまして、都独自にさまざまな取り組みを講じてまいりました。  平成三十年度には、待機児童の対策を一層進めるとともに、多様な保育ニーズにきめ細かく対応するために、ベビーシッター利用支援事業を開始いたしております。  この事業で養成している保育人材を有効に活用して、子育て家庭を幅広く支援するため、来年度は、日常生活上のさまざまな事情によります一時的な保育や、ベビーシッターと一緒に育児を行う共同保育を必要とする保護者を新たに助成の対象といたします。  また、多胎児を育てる家庭につきましては、育児に係る負担が特に大きいことに配慮いたしまして、利用時間の上限を拡大してまいります。  多様化する子育て家庭の保育ニーズに適切に対応できますように、区市町村と連携しながら、保育サービスの充実に全力で取り組んでまいります。  次に、多子世帯の高校授業料の負担軽減についてのお尋ねでございます。  全ての子供が将来の希望を持って育つ東京を実現するためには、子育てにかかわる負担を社会全体で支え、子育て世帯の経済的負担を軽減することは重要であります。  このたび年収約九百十万円未満の世帯に対し、私立高校授業料の実質無償化を行うとともに、特に多子世帯におけます教育費負担の軽減を図るために、年収が九百十万円を上回る世帯でありましても、扶養する二十三歳未満の子供が三人以上おられる場合は、私立や都立の高校に通う生徒の授業料について、新たな支援を行うことといたしました。  また、新たな支援を広く都民にお知らせするために、東京都のホームページへの掲載、SNSでの発信などに加えまして、制度内容を記載したリーフレット等を作成いたしまして、学校を通じて配布するなど、あらゆる機会を活用して、より多くの方々に周知するよう努めてまいります。  今後も、子供たち一人一人が安心して学び、育つことができる環境を整えて、子供の笑顔があふれる東京を実現してまいります。  ひとり親家庭への支援についてのご質問でございます。  ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手の二つの役割を一人で担うため、負担が大きく、世帯収入も両親がいる世帯と比較いたしますと低い傾向にございます。  こうした生活実態を踏まえまして、都は、ひとり親家庭自立支援計画に基づいて、相談体制の整備、就労支援、子育て支援や生活の場の整備、経済的支援の四つを柱といたしまして、ひとり親家庭への総合的な支援を実施しております。  また、ひとり親家庭支援センターにおきまして、生活相談や就業相談などさまざまな支援を行っておりまして、お話の養育費につきましては、金額の取り決めや支払い履行などに関する相談に応じるとともに、家事事件に精通した弁護士が専門的な相談にも対応しております。  来年度は、相談する都民の利便性に配慮いたしまして、多摩地域にも相談拠点を新たに開設をいたします。  さらに、ひとり親家庭が元配偶者などからの養育費が不払いとなった場合に備えまして、都民からの提案に基づいて、民間保証会社と連携し、養育費の立てかえ保証を行う区市町村への補助を実施してまいります。  ひとり親家庭が安定した就労や生活のもと、子供を健全に育むことができますよう、区市町村とも連携をしながら、ひとり親家庭への支援を一層推進してまいります。  新たな東京型教育モデルについてのご質問でございます。  これからの時代を切り開く鍵は人であります。とりわけ未来を担う子供たちは社会の宝、子供への投資を積極的に行って、社会全体で大切に育てていくことが重要であります。  グローバル化が急速に進展をして、AIやビッグデータ等の先端技術の社会実装が進む中で、これからの変化の激しい時代を生きる子供たちには、みずからの生き方を選び、それぞれの人生を生き抜いていけるように自立性や創造力を培っていく必要がございます。  子供の学ぶ意欲に応えて、子供が持つ力を最大限に伸ばしていくために、ICTを活用して学校内の情報をデータ化し、エビデンスベースの教育を展開することで、個別最適化された学びを実現するTOKYOスマート・スクール・プロジェクトを本格的に始動させます。  また、東京におきましては、企業や大学等の社会資源が集積をいたしておりまして、多様な専門人材が数多く存在しております。こうした強みを生かしてイノベーションを生み出し、世界を舞台に活躍する人材を育成してまいります。  こうした取り組みを通じまして、全ての子供の教育的ニーズに的確に応えるインクルーシブな教育を促進するなど、一人一人の個性や成長に応じましたきめ細かなサポートを充実させてまいります。  今後、教育委員会と力を合わせまして、東京ならではの教育モデルを確立し、子供たちが将来への希望を持ってみずから伸び、育つ東京の実現を目指してまいります。  次に、受動喫煙対策についてのお尋ねでございます。  受動喫煙防止条例を実効性あるものとするためには、都民、事業者の皆様の一層のご理解とご協力が必要でございます。  都はこれまで、専門アドバイザーの派遣や、喫煙専用室の設置費等への補助など、事業者の取り組みを支援するとともに、公衆喫煙所の整備や専用の相談窓口の設置など、区市町村が実施をいたします地域の実情に応じた取り組みを支援してまいりました。  昨年十二月に行いました調査では、八割以上の飲食店が、全面禁煙や喫煙室を設置予定と回答するなど、受動喫煙の防止に取り組む意識は高まっております。  今月から開始いたしましたカウントダウンキャンペーンにおきましては、私もみずから街頭に出まして、区市町村と連携しながらPR活動を進めているところでございます。  本年四月の条例の全面施行後も、都内の保健所が事務を円滑に実施できますよう、事業者への指導、立入検査などにつきまして、事例の共有や意見交換を進めてまいります。  引き続き区市町村や関係団体、事業者の皆様のご協力をいただきながら、オール東京で受動喫煙対策を推進して、都民の健康ファーストを実現してまいります。  次に、シニア予備軍向けの読本についてでございます。  人生百年時代におきまして、誰もが元気で心豊かに自分らしく年を重ねることは大切でございます。  そのため、都は、主に五十代から六十代前半の方々に早くからご自身の今後のライフプランを考えていただいて、高齢期を元気で生きがいを持って過ごせますよう、必要な情報を掲載した読本を作成いたしております。  この読本におきましては、生涯現役で元気に活躍できますよう、仕事や社会貢献、学び、趣味の場を紹介いたしております。また、地元の子供たちとサッカーを通じて交流している方など、実際に活動しておられる方々の事例も掲載をいたしまして、自分らしいセカンドライフを考えたり、地域活動に参加するきっかけとしてもらう考えであります。  さらに、運動や食事など、五十代から取り組めるフレイル予防につきまして、イラストを用いてわかりやすく伝えますほか、高齢期を迎えましても安心して暮らしていけますよう、困った時の相談窓口や必要な支援、サービスなどの情報も提供しております。  来年度、区市町村や企業の皆様のご協力をいただきながら、さまざまな手段を講じまして、五十歳から六十四歳の都民の方を中心にお手元に届くようにいたしまして、誰もが幾つになっても安心して暮らし、生き生きと活躍できる、そんな東京を実現してまいります。  都立、公社病院の地方独立行政法人化についてのご質問でございます。  感染症医療や周産期医療など、民間医療機関だけでは担うことが困難な行政的医療の提供は、都として果たすべき重要な役割でございます。  今回の新型コロナウイルス感染症への対応におきましても、都立、公社病院は、患者の受け入れなどにおきまして、その役割を果たしております。  行政的医療の提供は、都民のセーフティーネットであり、医療環境が大きく変わっていく中でも、公的な病院として担い続けなければなりません。
     そのために必要な経費は、地方独立行政法人化後も都が負担することで、行政的医療を将来にわたって確実に提供してまいります。  また、行政的医療を初めとした医療は、多様な人材が支えておりまして、効果的な人材の確保や活用が医療の質に直結してまいります。このことから、医療課題や都民ニーズに対応いたしまして、機動的に人材を確保すること、職員が意欲と能力を最大限発揮できる制度づくり、これらが重要でございます。  法人化によりまして、病院の現場にふさわしい独自の勤務制度などの構築が可能となってまいります。このメリットを生かしまして、職員の意見も聞きながら、職員がよりやりがいを持って働くことができるよう、具体的に検討してまいります。  法人化の目的は、行政的医療を初め質の高い医療を提供して、患者サービスを向上させることにあります。  引き続き、都議会の皆様や、都民やそして地域の関係者の方々のご理解を得ながら、法人への移行に向けまして、着実に準備を進めてまいります。  次に、犯罪被害者等支援条例の制定についてのご質問でございます。  誰もが犯罪に遭うことなく、安全で安心して暮らすことは都民全ての願いでございます。しかし、不幸にして犯罪に巻き込まれた犯罪被害者やそのご家族は、犯罪による直接的な被害に加えまして、精神的、経済的な負担、さらには周囲の理解不足による二次的被害に苦しめられることも少なくありません。  都はこれまでも、犯罪被害者等支援計画を策定いたしまして、総合相談窓口の機能強化など充実を図ってまいりましたが、都の被害者支援の姿勢を明確に示すとともに、社会全体での取り組みを一層進めるために、この定例会におきまして条例案を提出したところであります。  本条例では、被害者等が受けた被害の回復、または軽減、そして被害者等を社会全体で支えることなどを目的として規定をいたしまして、そのための方策として、相談体制のさらなる充実や経済的負担の軽減に加えまして、先般の京都市や川崎市における事件を教訓といたしました大規模被害への緊急支援など、都が実施する被害者支援の施策とその方向性を提示したものであります。  今後、新たに制定される条例に基づきまして、被害者に寄り添った支援策を総合的に展開をして、誰もが安心して暮らしていける都市東京の実現に努めてまいります。  同じく被害者等支援策の一層の充実についてであります。  今回の条例の検討に当たりましては、パブリックコメントや被害者等を対象とした実態調査によって把握した被害者の切実な思いを踏まえまして、条例の施行に合わせて支援策の拡充等についても検討を行っております。  具体的には、医師等の専門家によりますカウンセリングなど、性犯罪被害者への精神的なケアの充実を図るとともに、経済的な支援策として被害者のニーズが高かった見舞金の給付、法律相談、都道府県で初となる転居に要する費用の助成を来年度から新たに実施をいたします。  これらの取り組みを着実に実施するとともに、被害者が安心して暮らしていけますよう、さらなる支援策についても検討いたしまして、令和三年度から始まる次期支援計画の改定を進めてまいります。  次に、ソーシャルファームについてのお尋ねでございます。  就労に困難を抱える方を多数雇用し、活躍する場を提供するソーシャルファームにつきましては、都民からの期待も大きく、その創設や認証に向けて、取り組みを加速させていく必要がございます。  このため、現在、企業経営や就労支援の専門家などによります検討会を設置いたしまして、具体的な認証基準とともに、事業を立ち上げる際の助成制度など、経営支援策につきまして検討を進めているところであります。  今後、検討会での議論を踏まえまして、六月ごろを目途に、認証基準と支援策を盛り込みました指針を公表いたします。この指針に基づいて、事業者を募集し、審査などの手続を経まして、来年度中にはモデルとなるソーシャルファームを東京に誕生させたいと考えております。  あわせまして、ソーシャルファームの支援拠点を新たに開設いたしまして、創設を目指す事業者からの相談への対応や認証を行ったソーシャルファームに対します経営支援を実施してまいります。  さらに、都の取り組みを全国に広げていくために、国に対しましても、ソーシャルファームの普及を働きかけてまいります。  ソーシャルファームを社会に根づかせ、誰もが生き生きと働き活躍できるダイバーシティーの実現につなげてまいります。  次に、就職氷河期世代に対する支援についてでございます。  就職氷河期世代の方々は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行っておられ、新卒時に希望する就職ができず、現在も不安定な就労や生活が続いているなど、困難な課題に直面している方々もおられます。  今後、高齢期を迎えるこうした世代の方々に対しまして、将来の不安を解消し、安定的に働いていただくためには、都庁や企業におけます積極的な取り組みが重要であります。  都庁におきましては、これまでも幅広い年齢層を対象として経験者採用を実施しておりますが、来年度から氷河期世代を主な対象といたしました採用試験の実施を予定いたしております。  また、就職氷河期世代の方を正社員として雇用した企業に対しまして、キャリアアップの研修や指導育成の取り組みに対します助成金を新たに支給するなど、この世代の正規雇用化と定着を促進してまいります。  誰もが生き生きと活躍できる東京の実現を目指しまして、氷河期世代への就業支援に取り組んでまいります。  次に、民生児童委員への活動支援についてでございます。  民生児童委員は、高齢者や障害者、ひとり親家庭など、支援を必要とする方の相談や見守り、関係機関への橋渡しなど、地域住民の皆様に大いに頼りにされており、地域社会を支える重要な役割を担われておられます。  私も、昨年五月に開催されました普及啓発パレードに、一日民生児童委員として参加いたしましたが、民生児童委員の方々が、日ごろから熱意を持って、それぞれの活動に当たられていることを改めて認識をし、感銘を受けたところであります。  地域住民の中には、経済的な困窮、認知症、ひきこもりなど、複合的な課題を抱えている方もおられることから、民生児童委員の相談対応能力を高めていくことは急務であります。  このため、都は、平成三十年度に民生児童委員活動への支援や環境整備の充実に向けた検討を進めまして、昨年四月から地域の実情に応じた委員の確保や活動の活性化に向けました区市の取り組みを新たに支援するとともに、十月には活動費を増額いたしております。  さらに、来年度は、ご要望のありました活動の基盤となっております民生委員協議会が自主的に行います研修等への支援を拡充して、今後、民生児童委員や区市等の関係者の意見も聞きながら、活動支援の強化に取り組んでまいります。  5Gアンテナ基地局等設置に向けた都の取り組みの全国展開についてのご質問でございます。  未来の東京戦略ビジョンで示しました都民のQOL向上を目指しますスマート東京、その実現の基盤となるのが電波の道、TOKYO Data Highwayでございます。  都は、都保有アセットの開放をこの電波の道の構築に向けました重要な取り組みと位置づけまして、約一万五千件の都が保有する土地及び建物をデータベース化して公開をいたしまして、通信事業者等に開放をいたしております。  また、ワンストップの窓口を設けまして、5Gアンテナ基地局等の設置に関します相談や申請の窓口を一本化することで、現地調査開始までの大幅な期間縮減等の効果が出ております。現在、第一期といたしまして、現地調査の申し込みのありました四十四の土地建物につきまして、通信事業者等が基地局設置の調査を進めておられます。通信事業者等から、継続的な都アセット活用の希望をいただくなど好評を得ております。  これらの取り組みにつきましては、既に山梨県、埼玉県や大阪府、大阪市等からお問い合わせをいただいておりまして、意見交換を開始いたしております。  今後は、全国知事会等の場も活用いたしまして、都のアセット活用の成功事例やノウハウを全国の自治体に広く共有してもらうことで、円滑な基地局整備を後押ししてまいります。  こうした取り組みを通じまして、5Gの環境整備を進めて、区市町村とも連携をいたしながら、5Gと先端技術を活用する施策を広く展開いたしまして、全国の共存共栄、日本の持続的な成長に貢献をしてまいります。  次に、東京の中小企業振興についてのお尋ねでございます。  都内の企業の九九%は中小企業でございます。そのすぐれた技術力やアイデアをもとに革新的な製品をつくり出し、地域の雇用や経済を支えて活力をもたらす原動力となっております。  しかし、東京は現在、経済のグローバル化や第四次産業革命の進展といったパラダイムシフトに直面をしておりまして、中小企業、とりわけ小規模企業におきましては、従来の経営手法が通用しない、厳しい状況にさらされております。  中小企業がこうした大きなうねりを乗り越えられるように、効果的に後押しをするためには、社会経済の変化に柔軟に対応しながら、支援策を不断に磨き上げる視点が重要でございます。  そこで、来年度は、製造業のサービス化の進展やサービス産業の生産性の向上が求められている状況も踏まえまして、技術の高度化やサービス高付加価値化のための取り組み等への支援をさらに強化してまいります。  また、第四次産業革命の中核でございますテクノロジーへの対応を、小規模な企業へも効果的に広げていくために、中小企業団体などがみずから取り組みますICT技術の活用を推進するとともに、戦略的な販路開拓モデルの構築を支援してまいります。  こうしたさまざまな取り組みを強力に推し進めることで、都内中小企業の稼ぐ力を伸ばして、我が国経済を力強く牽引する東京の成長を後押ししてまいります。  商店街の活性化に向けた支援でございます。  消費者の買い物スタイルの変化や後継者不足に加えまして、キャッシュレスの広がりへの対応など、商店街を取り巻きます経営環境は非常に厳しさを増しております。  商店街は、地域に密着した買い物の場のみならず、人々が顔の見える関係で交流をする地域コミュニティの中心として、安全や安心を生み出す重要な役割を果たしており、まさにまちの動脈でございます。  厳しい状況の中にあってもなお、商店街が今後も持続的な発展を遂げていくためには、こうした商店街の魅力や地域におけます役割などを力強く都民へ伝えていく必要がございます。  このため、東京二〇二〇大会後に、その盛り上がりの流れを生かしまして、大東京商店街まつりを、秋ごろを目途に区部と多摩地域の双方で開催をいたします。都内のさまざまな商店街を一堂に集めまして、世界に誇るべき多様な魅力や活動をアピールする大規模イベントとして実施をしてまいります。  こうした取り組みを通じまして、都民の生活になくてはならない東京の宝物として、商店街を広く発信し、さらなる活性化につなげてまいります。  防犯カメラの設置促進に向けた地域への支援についてのご質問がございました。  都は、地域の防犯力向上のため、区市町村とともに、町会、自治会、商店街に対しまして防犯カメラの整備費用などの補助を行っております。  お話のとおり、今年度は凶悪事件が起きたこともあり、地域の防犯意識が高まって、非常に多くの設置要望をいただいたことや議会でのご議論を踏まえまして、防犯カメラの整備補助について補正予算を設置したところでございます。  令和二年度におきましては、東京を訪れる方の増加が見込まれるところから、都民や来訪者の安全・安心を確保するために、防犯カメラの設置を促進するとともに、地域の防犯力の維持向上に取り組む町会、自治会、商店街等をより一層支援するために、電気料金や共架料などの防犯カメラの運用に係る経費につきましても、新たに補助を実施いたします。  今後も、今年度新たに開始した保守点検費などの維持管理経費の補助とあわせまして、地域の安全・安心の確保に向けて、区市町村と協力をして、地域の防犯活動を支援してまいります。  次に、木密地域の不燃化についてのご質問でございます。  阪神・淡路大震災から二十五年、地震による火災が瞬く間に広がった光景を今も忘れることができません。近い将来、首都直下地震が東京を襲う可能性が高い中で、市街地の不燃化など、安全・安心のまちづくりの推進は喫緊の課題でございます。  木密地域の不燃化を加速させていくため、一月、防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案を公表いたしました。この改定案におきましては、整備地域の不燃領域率七〇%の目標達成に向けまして、不燃化特区制度のさらなる活用に加えて、無接道敷地での建てかえの促進や高齢者の住みかえの円滑化など、一歩踏み込んだ取り組みを新たに展開していくことといたしました。  今年度末を目途に基本方針を定めまして、それを踏まえて区とも連携をして、来年度、地区ごとの具体的な取り組みを示します整備プログラムを取りまとめてまいります。  災害の脅威から都民を守る強靭な東京の実現に向けていただいた要望も踏まえながら、今後も工夫を加えまして、燃えない、燃え広がらないまちづくりを強力に推進をしてまいります。  次に、ゼロエミッション東京の実現に向けた取り組みについてでございます。  世界全体が気候危機にある今、気候非常事態という表現を超えて、気候危機に立ち向かう行動を強く表明するため、私は、戦略とあわせまして気候危機行動宣言を行ったところであります。  この戦略によって、東京が脱炭素化に向けた明確なビジョンを持って、具体的行動に踏み出していくことで、大きな効果を生んで全体を牽引する力となる。  戦略策定後、業界団体や大学、関連事業者等に配布、周知をいたしまして、ご理解とご協力を呼びかけるほか、先日、日本経済団体連合会との意見交換会を開催いたしまして、引き続き連携を図りながら、気候変動対策に取り組んでいきますように要請を行ったところでございます。  都の具体的な行動といたしまして、既に約一千の企業や都民が登録するチームもったいないを活用しまして、行動変容の輪を広げていくほか、自治体や企業、大学等と官民連携のアライアンスを組むことで、ムーブメントの醸成や技術、知見の共有を行って、取り組みの強化、推進を図ってまいります。  さらに、企業による先進的、革新的なビジネスモデル構築への支援、都民に身近な区市町村との連携支援の強化など、社会システムの変革に向けた多様な施策を展開してまいります。  今後、国内外の多様な主体に広く共感、協働を呼びかけて力を合わせ、この一大プロジェクトに取り組んで、魅力あふれる都市東京を実現してまいります。  次に、六路線等の整備についてのご質問でございます。  東京が持続的に成長して、全ての世代が生き生きと活躍していく、そのためには、誰もが快適に移動できますよう、都民の足となる鉄道ネットワークのさらなる充実が重要でございます。  都はこれまで、国の答申におきまして、事業化に向けて検討などを進めるべきとされました六路線を中心として、国や地元自治体、鉄道事業者などと連携をいたしまして、需要、そして採算性の検証、事業スキームの構築に向けました検討などを実施してまいりました。  このうち、多摩都市モノレールの整備につきましては、箱根ヶ崎方面の延伸に関します予算を新たに計上いたしまして、基本設計を行うなど事業化に向けまして一歩踏み出すことといたしました。  地下鉄八号線などの各路線につきましても、未来の東京戦略ビジョンにおきまして、取り組みの方向性を示したところでございます。  引き続き、関係者との協議、調整を加速して、鉄道ネットワークの充実に向けて取り組んでまいります。  次に、マンション施策の展開についてでございます。  都内におきましては、高度経済成長期に建設されましたマンションの多くが更新時期を迎えております。また、着工から四十年以上が経過したマンションが今後急増することが見込まれておりまして、その適正な管理や再生を促進することは、重要な課題であると認識をいたしております。  都は、本年四月から開始をいたします管理状況届け出制度の円滑な施行に向けまして、区市町村や関係団体等の協力も得ながら、対象となる全てのマンションに対しまして、届け出を促してまいります。  制度の施行に当たりましては、行政職員、マンション管理士等から成るマンション適正管理啓発隊を発足させまして、管理不全の兆候がありますマンションを個別に訪問するなど、実効性を確保してまいります。  これらにより把握した管理状況に応じまして、適正管理に必要な助言指導を行うとともに、再生に向けました合意形成を促す契機としてまいります。  また、都独自の支援策でありますマンション再生まちづくり制度の活用によりまして、良好な市街地環境の形成にも寄与いたします老朽マンション等の再生を進めてまいります。  さらに、今後十年間の具体的な施策を示します東京マンション管理・再生促進計画を年度内に策定をいたします。  こうした取り組みによりまして、適正な管理から円滑な再生につながります切れ目のない施策を展開して、都民の豊かな住生活を実現してまいります。  新たな都政改革の推進についてのご質問がございました。  昨年末に策定をいたしました新たな都政改革ビジョンにおきましては、都庁の永遠のミッションは、都民の幸せを実現することであり、そのミッションを果たすために、都民の満足、いわゆるCSの向上を追求していくことを改革の基本に据えております。  改革を推進していくためには、多様化する都民ニーズをいち早く捉え、民間と都庁が一体となって、新たな政策を生み出す都庁へと変えていかなければなりません。  そのため、ビジョンでは、人材マネジメント、組織運営、行政サービス、この三つのアプローチで改革を進めていくことといたしております。  具体的には、民間人材が都庁で活躍できる仕組みづくりや高度な専門性を持つ職員の育成などによって、政策を迅速に実施できる柔軟性、機動性の高い執行体制を確立してまいります。  また、スタートアップ等の民間との建設的なコラボレーションによりまして、新たな視点や発想で課題を捉え、先進的な政策として実現をいたします。同時に、規制改革や行政手続のデジタル化などを進めまして、都民の利便性の向上を図ってまいります。  来年度早期におきましては、中長期に取り組むべき課題と解決の方向性、新たな人材確保策、東京二〇二〇大会後の組織のあり方など、速やかに着手する具体策を示します実行方針を策定いたします。改革の具体策を順次打ち出していくことで、絶え間なく改革を推進いたしまして、東京の明るい未来を支える都庁へと変貌させてまいります。  今年度の都区財政調整協議についてのご質問でございます。  特別区が来年度から設置をいたします児童相談所の運営経費等の負担に関しまして、一区設置ごとに都区の配分割合を変更すべきとする特別区側の主張と、設置予定の半数、十一区の実績を見て議論すべきとする都側の主張が対立をいたしまして、協議は平行線となりました。  児童相談所は、児童の健やかな成長を願って家庭とともに考えて問題解決する専門機関であり、未来を担う子供たちを守る重要な役割を果たしております。  昨今、虐待や非行など困難な事案が増加しておりまして、初の区立の児童相談所の設置を控えて、その運営に関しましては、都区の連携協力を一層推進する必要がある中で、協議がまとまらないことは避けるべきとの考え方から、都区双方が歩み寄りまして、特例的な対応といたしまして、特別区の割合を〇・一ポイントふやすことで合意をしたものでございます。  この特例的対応によります〇・一ポイント分も含めまして、来年度開設する三区の通年の実績が明らかになる令和四年度に、配分割合のあり方につきまして、改めて協議をしていくことといたしております。  区市町村に対する支援の充実につきましては、東京全体で東京二〇二〇大会を盛り上げて成功につなげていくためにも、都と区市町村が緊密に連携をいたしまして取り組んでいくことは重要であります。  このため、都は、これまでさまざまな機会を通じまして、区市町村と意見交換を行うとともに、大会に向けて区市町村が実施する機運醸成やスポーツの普及啓発、事前キャンプ受け入れのための施設改修工事など、財政的な支援に取り組んでまいりました。  こうした都の支援策を活用して、区市町村では、オリンピアンやパラリンピアンなどを招いたイベントの開催や各国に対します事前キャンプの誘致に主体的に取り組んでこられました。  来年度は、これらに加えて、区市町村が実施するパブリックビューイングや聖火リレーのセレモニー等にも助成を行ってまいります。
     また、大会の感動と記憶を後世に伝えるために、区市町村が、聖火リレールートや練習会場などに銘板等を設置できるように支援をしてまいります。  さらに、大会を契機にスポーツへの関心が高まる中、より一層の区市町村によります身近な環境におけるスポーツ機会の創出であるとか、障害者を初め、誰もがスポーツに親しめる環境の整備に対する支援も創設してまいります。  こうした取り組みを通じまして、区市町村と十分連携をいたしまして、多くの都民が大会に参加したと実感できるよう、準備を確実に進めて大会を成功に導いてまいります。  次に、大会後を見据えた障害者スポーツの振興についてのご質問でございます。  私は、パラリンピックを成功させて、真の共生社会の実現につなげていきたいと考えております。そして、大会後に障害者スポーツをレガシーとしてしっかり根づかせたい。そのために、これまでチームビヨンド等を通じました障害者スポーツの魅力発信や身近な地域におけます場の開拓、支える人材の育成など、大会後につながるさまざまな取り組みを展開してまいりました。  今後は、スポーツや福祉、医療等の多様な専門家の連携によりまして、障害のある方が身近な地域で安心してスポーツに親しめる環境づくりを行うとともに、障害者スポーツの場といたしまして、特別支援学校の活用をさらに拡大してまいります。  また、障害者スポーツを支える体制をより強固なものとするために、コーディネーターの活用によりまして、企業等による持続的な障害者スポーツ支援の取り組みを後押ししてまいります。  さらに、競技団体に対しましては、財政的支援に加えて、研修や会計士等の専門家によります相談、法人格の取得に向けた助言など、きめ細かな支援を行って、競技力の向上と裾野拡大を図ってまいります。  そして、障害のあるなしにかかわらず、誰もがスポーツに親しむ環境を整備し、スポーツを通じました共生社会を実現してまいります。  大会後の経費の検証と文書の保管、承継の意義についてのご質問でございます。  都民とともに進める都政を実現させるためには、情報公開の基盤であります公文書の適正な管理が必須であり、その取り組みを進めるとともに、大会経費につきましては、透明性の確保に取り組んでまいったところでございます。  東京二〇二〇大会の成功とともに、その成果を後世に引き継ぎ、レガシーを将来にわたって残していくためには、組織委員会の文書の保管、承継も極めて重要なことと認識をしております。そうしたことが、世界的なスポーツイベントの開催ノウハウの承継や大会後の経費の検証などに寄与するものと考えております。  そのため、これまでも組織委員会には、大会後を見据えた文書の適切な保存、管理について働きかけてまいりました。大会後におきましても、組織委員会の経費に係る書類や活動記録などの重要な資産が適切に保存、管理されますよう、今後とも積極的に関与してまいります。  大会におけます剰余金についてのご質問でございます。  都民に支持される大会とするためには、大会経費が納得の得られるものとなるよう取り組む必要がございます。  そのため、これまでも都立新規恒久施設の整備費用の削減や組織委員会と連携してIOCに対しまして要件緩和を求めるなど、大会経費の縮減に取り組むとともに、組織委員会に対しましてはできる限りの収入確保を求めてまいりました。  こうしたことなどを反映して、今般の大会経費V4では、都におきましては、経費精査により生み出した百億円を緊急対応費として計上するとともに、組織委員会におきましては、増収努力により生み出した二百七十億円を予備費として計上しております。  今後、組織委員会の収支につきましては、テストイベントの結果や大会直前の準備におきまして、新たな経費が必要となることが見込まれる中におきましても、赤字を出すことのないよう取り組んでいく必要がございます。  そのために、新たに組織委員会の収入と支出につきましては毎月報告を受けて収支を確認するとともに、その内容を公表してまいります。  仮に、組織委員会の収支が黒字となって剰余金が生じる場合には、大会経費を組織委員会、東京都、国が負担していることも踏まえまして、組織委員会及び関係者によって、その取り扱いを慎重に決めるべきものと考えており、都民のご理解がいただけますよう、取り組んでまいりたいと考えております。  なお、その他のご質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。  以上です。    〔副知事宮坂学君登壇〕 ◯副知事(宮坂学君) デジタル化の都庁全体での推進についてでございます。  江戸期における水道網の構築や昭和初期の地下鉄整備など、最先端の技術を果敢に取り入れ、都民生活を豊かにする、これが我が東京の歴史であり、伝統であります。こうした先人たちの努力により、今では、東京は世界の都市総合力ランキングで、ロンドン、ニューヨークに次ぐ第三位につけております。  では、東京が今、取り入れるべき最先端技術は何か、それは情報技術であります。情報技術を都市に取り入れ、都民のクオリティー・オブ・ライフ、生活の質を向上させ、東京のポテンシャルを解き放つ。  先般策定したスマート東京実施戦略は、東京全体を俯瞰した初のデジタル戦略であり、私が先頭に立って、都庁の行政系職員とICT系職員、さらには外部の専門人材の三者でスクラムを組み、全ての事業系部門で縦割りを超えた部局横断的な取り組みを展開してまいります。  また、スマート東京の実現に向けては、民間のグローバルなデジタル競争の中に身を置いてきた経験を最大限生かし、民間事業者とも強固なパートナーシップを築き、行政におけるデジタルトランスフォーメーションを進めてまいります。  こうした民間とのパートナーシップ、コラボレーションは、まずはスマート東京先行実施エリアでの取り組みから実践し、この相乗作用でお互いのスキルやノウハウの飛躍的な向上を図り、その輪を区市町村、都全体へ広げてまいります。  私は、常に最先端技術を取り入れ、都民を幸せにするという東京の歴史と伝統をデジタルの時代においても継承していきたい。この強い決意を持って、東京でイノベーションを巻き起こし、デジタルトランスフォーメーションを進めてまいります。    〔警視総監斉藤実君登壇〕 ◯警視総監(斉藤実君) 大会警備と首都東京の治安の維持についてであります。  東京二〇二〇大会につきましては、平和の祭典という雰囲気を損なうことなく、安全で円滑な開催に万全を期すことが警視庁に課せられた使命であると考えております。そのため、警視庁では、開催決定直後から対策本部を設置し、警備や交通など多角的な視点から諸対策を積み重ねてまいりました。  そして、大会が目前に迫る中、それら諸対策を集大成させるべく、さらにギアを上げて取り組んでおります。  他方で、議員ご指摘のとおり、大会期間中における都内の治安維持が重要であることはいうまでもありません。  警視庁では、東京が開催都市となった要因の一つとされる首都東京の治安のよさを、都民の皆様はもとより、国内外から訪れる全ての方々にも体感、実感していただけるよう、全部門、全所属が総力を挙げて各種警察活動に取り組んでまいります。  大会警備を初め、警視庁の取り組みには、都民の皆様のご理解とご協力が不可欠でありますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。    〔教育長藤田裕司君登壇〕 ◯教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えをいたします。  初めに、学校における働き方改革についてでございますが、都教育委員会はこれまで、教員の意識改革や業務改善、部活動の負担軽減など、さまざまな取り組みを推進し、教員の時間外労働の状況について一定の改善を図ってきたところでございます。  今後、さらに取り組みを強化していくため、来年度から、都立学校における統合型校務支援システム等の開発を行うなどICTの活用による校務の効率化を推進するとともに、スクールサポートスタッフや部活動指導員等の配置を拡充いたします。  加えて、学校や区市町村教育委員会が、東京学校支援機構の人材バンクを活用することにより、質の高い外部人材を安定的に確保できるよう支援してまいります。  こうした多様な取り組みを総合的に推進し、教員の負担軽減と教育の質の向上により一層努めてまいります。  次に、小中学校のICT環境についてでございますが、子供たち一人一人の資質、能力を確実に育成するためのICT環境の充実は喫緊の課題であり、都教育委員会は、新たにTOKYOスマート・スクール・プロジェクトを展開し、学校のICT活用を加速いたします。  小中学校につきましては、国のGIGAスクール構想に基づき区市町村が行う校内通信ネットワーク整備費用のうち、国の補助に加えて都も一部を補助いたします。また、児童生徒の一人一台端末を整備するために国が補助を行いますことから、都といたしましては、端末導入支援員の配置費用を補助し、円滑な導入や効果的な活用をサポートしてまいります。  これらにより、未来を担う子供たちが持てる力を最大限伸ばすことができるよう、区市町村のICT環境整備に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。  最後に、子供のオリンピック・パラリンピック競技観戦の安全対策等についてでございますが、競技観戦は、学校の教育活動の一環として行うものであり、子供たちの安全に十分配慮して実施していく必要がございます。  そのため、都教育委員会は、安全対策といたしまして、各学校が円滑に移動できるよう、分散乗車や乗降時間について鉄道事業者と調整を行いますとともに、各学校の移動や観戦の状況を一元的に管理する運営本部を設置いたします。  また、暑さ対策として、会場内にクールスポットを設置するほか、一人一人に熱中症を防止するための飲料水やグッズを配布いたします。  加えて、現在、会場への円滑な入場のための子供専用ゲートの設置につきましても、関係機関と調整を行っているところでございます。  こうした取り組みをさらに進め、競技観戦が子供たち一人一人の心にかけがえのない記憶として刻まれるよう、関係機関と連携を図り、安全対策等に万全を期してまいります。    〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕 ◯東京都技監(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。  まず、特定緊急輸送道路沿道の耐震化の促進についてですが、震災時における救急活動などの通行機能を確実に確保するため、このたび耐震改修促進計画を改定し、より効果的に施策を推進していくことといたしました。  新たな取り組みとしては、まず、特に倒壊の危険性が高い建築物の段階的な改修について、二回目以降の工事が未定の場合も対象とする補助要件の緩和を行います。  また、テナントビルなどの耐震改修について、占有者にかかわる費用分を加算する補助の拡充を行います。  さらに、新たに導入した指標である区間到達率を用いて路線ごとの通行機能の確保状況を見える化し、その進捗状況を公表するとともに、耐震化を重点的に進めるべき路線の建築物の所有者に対して働きかけなどを行います。  こうした取り組みにより、耐震化をさらに推進してまいります。  次に、首都高の大規模更新とまちづくりとの連携についてでございますが、東京を成熟した都市としていくためには、首都高の大規模更新の機会を捉えた日本橋周辺のまちづくりのように、円滑な交通と快適な環境の両立が重要でございます。  首都高では、都心環状線の築地川区間において大規模更新が予定されており、国は同区間をモデルケースとして、都市再生と連携した高速道路の老朽化対策に向けた検討を推進することとしております。  また、地元の中央区は、掘り割り構造となっている同区間の上部空間を活用することで、新たな都市空間を創出する考えを示しております。  都といたしましても、まちづくりと連動して進める日本橋の取り組みも参考にしながら、築地川区間の大規模更新を促進してまいります。    〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕 ◯福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。  まず、学童クラブについてでありますが、都は、学童クラブの整備を進めるため、施設の新設や改築等に係る経費を補助するとともに、賃貸物件を活用する場合の賃借料につきましても独自に補助を行っております。  また、常勤職員を含めた二名の職員配置などを要件とした都型学童クラブ事業を実施し、質の向上に取り組む区市町村を支援しているところでございます。  来年度は、学校敷地内で午後七時以降まで開所するなど一定の要件を満たす学童クラブを整備する場合、区市町村負担分を全額都が補助し、整備促進を図るとともに、学童クラブの職員の資質向上に向けた研修を開始いたします。  令和六年度までに登録児童数一万六千人増を目指す考えであり、学童クラブの量と質の拡充に向けた取り組みを推進してまいります。  次に、認知症対策についてでありますが、都は、認知症の専門医療、相談等を担う認知症疾患医療センターの設置など、認知症の人が地域で安心して暮らし続けられる体制の構築に取り組んでまいりました。  来年度からは、世界アルツハイマーデーの都庁舎ライトアップや学生向けの学習会等を通じ、認知症に関する意識啓発を図るとともに、地域で認知症の人等の支援ニーズと認知症サポーター等をコーディネートできる人材を養成するなど、認知症との共生を進めてまいります。  さらに、東京都健康長寿医療センターが蓄積してきた膨大なデータを活用し、認知症等の研究に利用できるデータベースや、医師の診断を補助するAI画像診断システムを構築するなど、早期からの対応や重症化予防等の認知症予防に向けた研究を推進してまいります。  次に、風水害リスクを想定した医療救護体制についてでありますが、都は、近年の豪雨災害などによる浸水や停電等の影響を踏まえ、今年度から、自家発電機や受水槽等の浸水対策に取り組む災害拠点病院等に対する支援を開始いたしました。  来年度は、地震以外の大規模な災害に備え、医療機関向けのBCP策定ガイドラインに、病院の規模や機能に応じた電力量、備蓄量等の例示や風水害対策を盛り込むとともに、新たに災害拠点連携病院向けのガイドラインを作成することとしております。  また、病院に対し、防災訓練説明会等の機会を活用して風水害への備えを働きかけるとともに、BCPを策定する病院がアドバイザーを活用し、病院の状況に合った計画の策定を支援するほか、移動電源車による電源確保など、災害時の医療救護体制の充実を図ってまいります。  最後に、障害者手帳についてでありますが、障害者手帳は、税の減免や交通運賃の割引などを受ける際の証明書や本人確認の身分証としても活用されており、障害の種別など特に配慮を要する個人情報が記載されております。  今般の手帳のカード化に当たっては、利用者である障害当事者や障害者団体から多くの機能が盛り込めるICカードへの要望をいただく一方で、プライバシーへの配慮が必要との声も寄せられております。  国は、障害者手帳を初め各種カード等とマイナンバーカードとの一体化等を検討する方針を示しており、都といたしましては、こうした国の動向を踏まえ、適切に対応していく必要があると考えております。    〔産業労働局長村松明典君登壇〕 ◯産業労働局長(村松明典君) 五点のご質問にお答えいたします。  まず、中小企業における女性の活躍推進についてですが、労働力人口が減少する中、女性の活躍推進は喫緊の課題であり、とりわけ人材不足が深刻化している中小企業においてその取り組みが進むよう支援する必要がございます。  このため、都は、女性の採用やキャリアップ等の目標を定める行動計画を策定する中小企業に対して、研修等の実施により支援を行うとともに、来年度から新たに専門家を派遣し、各企業の実情に応じたきめ細かな助言を行ってまいります。  また、中小企業の自発的な行動を促すため、制度融資では来年度、女性の活躍推進に取り組み、その状況を公開する場合に、融資利率を〇・四%優遇するとともに信用保証料の三分の二を補助する特例制度を創設いたします。  これらの取り組みにより、女性の活躍を一層推進してまいります。  次に、高齢者の就業支援についてですが、これまで都は、高齢者の希望や能力に応じた就業を推進するため、セカンドキャリアに向けて必要な知識を幅広く学べる講座を開催するとともに、再就職に必要なスキルをOJTで身につけられるよう、派遣社員として短期間トライアルで就業する事業を実施してまいりました。  来年度は、セカンドキャリアの講座に現役世代向けコースを新設し、定年後の働き方を考えるきっかけを提供するとともに、トライアル就業の派遣規模を拡大いたします。  また、高齢者が働きやすい環境整備を促進するため、短時間勤務など柔軟な勤務制度の導入や身体的負担を軽減する機器の活用等にモデル的に取り組む企業を支援し、その好事例を発信してまいります。  こうした取り組みにより、高齢者の就業を一層推進してまいります。  続いて、産業や働き方の分野での5Gの活用についてですが、5Gの普及により、東京の稼ぐ力が高まり、企業の生産性や働く人の生活の質の向上が期待されております。  このため、都みずからローカル5G免許を申請し、都立産業技術研究センターで、中小企業やスタートアップの製品開発試験の支援を行う準備を進めているところでございます。この取り組みが中小企業等の早期の5G活用につながりますよう、先週、大学や通信事業者とも協定を結び、今後、産学公共同で技術開発を行い、事業化を後押ししてまいります。  また、生産性向上や新しい働き方の創出に向け、スマート工場や次世代型テレワークのモデルとなる取り組みを支援するとともに、5Gを備えたシェアオフィスを整備し、働き方とシェアリングエコノミーの先進モデルを発信し、普及を図ってまいります。5Gの活用を促進し、産業や働き方のスマート化を実現してまいります。  次に、中小企業の外国人材受け入れへの支援についてですが、労働力人口が減少していく中で、中小企業が持続的に成長していくためには、外国人材を効果的に受け入れ、その活用を図ることが重要でございます。  このため、都は来年度、専門的な知識や技能を有する外国人材を都内企業に積極的に呼び込むためのプロモーションイベントを海外において実施いたします。  また、外国人材の受け入れに関する総合相談窓口を開設するなど、中小企業の人材ニーズにきめ細かく対応してまいります。  さらに、海外事情や外国人雇用に精通する専門家等による検討体制を構築し、その意見を踏まえ、外国人材に関する施策を展開するなど、その実効性を高めてまいります。  これらの取り組みにより、中小企業における外国人材の効果的な活用を推進してまいります。  最後に、生産緑地の保全についてですが、二〇二二年問題などによる生産緑地の減少を防ぐためには、営農継続に向けた農業者への支援に加え、農地の買い取りや活用に向けた区市への支援が重要となります。  これまで都は、農業者の収益力を向上させるための新技術導入等を支援するとともに、特定生産緑地への移行に関する説明会をきめ細かく開催するなど、農業者の営農継続に向けて取り組んでまいりました。  来年度はこうした取り組みに加えまして、区市の生産緑地買い取りや、その活用を支援する事業を開始いたします。  具体的には、区市が生産緑地を買い取る場合に、その経費の半額を、また、当該生産緑地に福祉農園等を整備する際には、その施設整備費として五分の四を補助いたします。生産緑地の保全に取り組むことにより、東京農業の持続的な振興を図ってまいります。    〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕
    ◯生活文化局長(浜佳葉子君) 新財団のあり方についてでございますが、都におけるコミュニティは、在住外国人の増加や都民の価値観の多様化を背景に変革期を迎えており、新たな視点を導入し、活性化を図っていく必要があります。  そのため、これまで東京都国際交流委員会が行ってきた多文化共生社会づくりの取り組みを引き継ぎ発展させるとともに、ボランティア文化が定着し、相互に助け合う共助社会づくりを推進するための財団を設立して、柔軟な執行体制を確保し、コミュニティの活性化を支援してまいります。  新財団では、地域に密着した専門人材を配置し、NPO等との継続的な連携を築くとともに、行政と異なる視点を有する役員等によるガバナンス体制を確保し、効果的な事業実施に取り組んでまいります。    〔財務局長武市敬君登壇〕 ◯財務局長(武市敬君) 仮称都民の城についてでございます。  今般お示しした概算工事費は、都民の城を皆様にご利用いただくために必要な経費でございますが、都有地の将来の一体的な活用を見据えまして、この概算工事費を上限といたしまして、今後設計を進める中で、可能なものは最大限継続利用を図るなど、コスト面ではワイズスペンディングの考え方のもと、さらに徹底した精査を図ってまいります。  また、有識者検討会におきましては、都民の城の活用状況や関係権利者との調整状況を踏まえまして、可能な場所から先行開発に着手することも選択肢に含め、あらゆる視点から価値の最大化を図ることが重要であると考えております。  そうした中で、都民の城につきましても、どの程度の期間利用していくのかなど、その取り扱いを含めまして有識者検討会の中で具体的に検討を進め、目指すべき方向性を導いていきたいと考えております。    〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕 ◯戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) 3Dビジュアライゼーションの実証についてでございます。  センサーなどから取得したデータをもとに、建物や道路などを仮想空間上に双子のように再現する、いわゆるデジタルツインでございます。これの構築につきましては、都市の状況をリアルタイムで把握できるようになるとともに、現実空間では困難な分析やシミュレーションを仮想空間で行うこともでき、さまざまな活用が期待されているものでございます。  そこで、都は、こうした仮想空間上に再現した、いわばバーチャル東京、これにおきまして、例えば電車の車両ごとの混雑状況の把握や工事等に伴う交通状況への影響、あるいは来街者の消費行動など、さまざまなシミュレーションを実施し、さらにその結果を現実空間に還元することで、社会的課題の解決につなげる実証事業を開始するところでございます。  今後は、関係各局とも連携を図りながら、都民の生活の質の向上とともに、お話にありました意思決定や政策立案等の場面での活用も目指してまいります。    〔港湾局長古谷ひろみ君登壇〕 ◯港湾局長(古谷ひろみ君) 島しょ地域の交通アクセス情報についてでございますが、本土と島しょ地域を結ぶ航路や航空路は、季節で運航ダイヤが異なり、また、気象、海象条件で運航状況が変わりやすいため、最新の交通情報をわかりやすく発信するなど、利用者目線に立ったサービスの向上を図り、来島機会の増加につなげていくことが重要でございます。  そこで、都は、MaaSの取り組みの進展も見据えて、各交通事業者の発信情報を集約いたしまして多言語で提供するポータルサイトやアプリの制作を進めております。これによりまして、外国人観光客も含め、欠航時の代替経路や島内の情報をスマートフォン等でスムーズに取得できるようにしてまいります。  今後、開発を加速いたしまして、本年夏に運用を開始することで、交通アクセスの利便性向上を図り、島しょ地域の活性化につなげてまいります。    〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕 ◯中央卸売市場長(黒沼靖君) 市場業者の取り組みへの支援についてでございます。  市場条例の改正による規制緩和を契機に中央卸売市場を活性化するには、日々の取引を担う市場業者の意欲ある取り組みを一段と加速させることが重要でございます。  都は今年度から、市場業者の先駆的な取り組みを支援しておりまして、ICTを活用した販売力強化を初め、現場のニーズを踏まえたさまざまな取り組みが、都内の全十一市場において行われております。  来年度は、より多くの市場業者が機を逸することなく事業を行えるよう、中小事業者に対する補助率を三分の二へ引き上げるとともに、手続の簡素化などの改善を図り、一層の取り組みを促してまいります。  時代の変化に即した創意工夫ある市場業者の取り組みを力強く後押ししていくことで、市場のさらなる活性化を図り、都民の豊かな消費生活を支えてまいります。    〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕 ◯総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。  まず、都民の防災意識の向上についてでございますが、都はこれまで、「東京防災」の配布や東京都防災アプリ等で広く都民への普及啓発を行うほか、子育て世代や町会、自治会等を主な対象としたセミナーを開催してまいりました。  来年度は、この子育て世代向けの出前教室と町会、自治会等向けのセミナーの規模を大幅に拡大し、取り組みをさらに強化いたします。  加えて、年度内には、デジタル版の東京マイ・タイムラインを、英語版のほか、新たに八つの言語に対応させるとともに、東京都防災アプリに新たにマンション特有の課題をわかりやすく解説するコンテンツを追加し、内容の充実を図ってまいります。  こうしたターゲットを絞ったさまざまな普及啓発を進めていくことにより、都民の防災意識のさらなる向上に取り組んでまいります。  次に、発災時における電力確保のための区市町村支援についてでございます。  災害時に、共助の中核を担う町会、自治会等の自主防災組織には、迅速な避難誘導や避難所の運営等で重要な役割を果たすことが期待されております。そのため、さまざまな情報収集や住民の安否確認に不可欠なスマートフォン等の電源を確保することが重要でございます。  そこで、来年度から、自主防災組織が避難所等に非常用発電機を整備する際、支援を行う区市町村に対し、費用の二分の一を助成する制度を新設いたします。この制度は、区市町村みずから機器を購入し、自主防災組織に供与する場合も対象といたします。  これらの取り組みにより、町会、自治会等の費用負担の軽減を図り、災害時における自主防災組織の電力確保を支援してまいります。  次に、段ボール製の簡易ベッドの備蓄についてでございますが、長期の避難所生活では、健康に配慮した居住スペースの確保等避難所の生活環境を向上することは重要でございます。ご指摘の段ボール製の簡易ベッドは、呼吸器疾患の予防等のほか、誰でも簡単に組み立てが可能なことなどから、避難所での活用に適しております。一方で、保管に当たっては、湿気により劣化が生じることや広い保管スペースが必要となるといった課題もございます。  このため、都は来年度、段ボール製簡易ベッドの調達先として、新たな民間事業者と協定の締結を図るとともに、避難所に対し、緊急に提供するために、二千台を備蓄いたします。  これらの取り組みを通じまして、長期化する避難所生活者の生活の質、いわゆるQOLの向上を図ってまいります。    〔消防総監安藤俊雄君登壇〕 ◯消防総監(安藤俊雄君) 近年の増大する救急需要への取り組みについてでございますが、平成二十七年以降、救急隊の計画的な増隊を行うとともに、曜日や時間帯による救急需要の変化に応じて運用する救急機動部隊やデイタイム救急隊を整備してまいりました。  その結果、救急隊の現場への平均到着時間は、平成二十六年の七分五十四秒と比較して、昨年は一分十九秒短縮し、六分三十五秒となりました。  来年度は、救急隊三隊を増隊するほか、バイスタンダーに対してより的確に応急手当てのアドバイスが行えるよう、口頭指導体制を強化するとともに、通報者のスマートフォン映像を活用した口頭指導の有効性を検証してまいります。  増大が予想される救急需要に、今後一層的確に対応し、到着時間をさらに短縮するなど、一人でも多くの命を救うための取り組みを推進してまいります。    〔環境局長吉村憲彦君登壇〕 ◯環境局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えします。  まず、ZEVの社会定着に向けた環境整備についてでございますが、充電器等のインフラ整備の促進には、民間施設などへの導入を積極的に誘導していくことが必要でございます。  都は、一定規模以上の新築等に当たり、環境配慮の取り組みを記載した建築物環境計画書の作成等を義務づけております。この中において、新たに本年四月より、充電器の設置状況についても評価項目といたします。  また、先日開催いたしました充電インフラ拡大ミーティングにおいて、充電器設置に意欲的な企業の先進的な取り組みを共有し、知事からは、さらなる設置に向けた協力を求めました。  今後、こうした企業の取り組みをホームページなどを通じて広く発信するなど、他の民間事業者にも積極的に設置を働きかけ機運の醸成を図ってまいります。こうした官民連携の取り組みを推進しながら、ZEVの普及を促進してまいります。  次に、二〇二〇大会を通じたプラスチック資源循環についてでございますが、東京二〇二〇大会を契機として、資源を一切無駄にしないゼロウエースティングを目指し、持続可能なプラスチック利用を実現していくことは重要でございます。  都は、組織委員会等と連携し、これまで再生利用が困難であった食品残渣が付着するプラスチック製弁当容器について、都内会場のボランティア等が使用したもの全てを再生樹脂としてリサイクルいたします。  また、大会関連の装飾物などは可能な限り再生樹脂を活用し、大会後は二万枚程度のエコバッグへ加工するなど、新たな価値を生み出すアップサイクルにも取り組みます。  こうした資源のリサイクルとリユースの新たな取り組みを、大会後のレガシーとして着実に継承し、プラスチックの循環的な利用を推進してまいります。    〔建設局長三浦隆君登壇〕 ◯建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。  初めに、品川駅周辺や橋本駅付近へのアクセス性の向上に資する道路整備についてでございますが、リニア中央新幹線の開業により他圏域との移動時間が劇的に短縮し、人々の広域的な交流が促進され幅広い経済波及効果が期待できることから、リニア新駅へのアクセス向上に資する道路整備を推進することが重要でございます。  国際交流拠点が形成される品川駅周辺では、環状第四号線の旧海岸通りから北口駅前広場の区間で、リニア開業までの開通を目指し、来年度から橋梁工事に着手をいたします。  南多摩尾根幹線と接続し、多摩地域から橋本駅付近への連絡機能を強化する町田三・三・五〇号線では、来年度に相模原市と連携し、同時に事業に着手いたします。  リニア開業に向けた道路整備に全力で取り組み、都市間競争に打ち勝つ東京を実現してまいります。  次に、都立公園における他競技の利用と調和する形でのラグビーができる場の整備についてでございますが、都立公園全八十二公園のうち、約五割には野球場やサッカー場、陸上競技場などさまざまな運動施設があり、広く都民に利用されております。  このうち、ラグビーができる広さの確保が可能な代々木公園、府中の森公園におきまして、他競技の利用と調整を図りながら、令和二年度に改修のための設計に着手いたします。また、整備中の高井戸公園におきましても、他競技の利用と調整を図りながら、具体的な設計を進めてまいります。  今後、地元自治体やスポーツ団体とも連携し、さまざまなスポーツが楽しめる場として、都立公園の一層の整備に取り組んでまいります。    〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕 ◯住宅政策本部長(榎本雅人君) 都営住宅の東京みんなでサロンについてでございますが、未来の東京戦略ビジョンで掲げた、誰もが集い、支え合う居場所づくりを都営住宅において実現し、地域コミュニティの活性化を図ることは重要でございます。  このため、都は、都営住宅の集会所等を活用し、居住者や近隣の方々が食事等を楽しみながら交流を深めることができる事業を実施することといたしました。実施に当たっては、大人から子供まで幅広く参加しやすいよう、事業名を東京みんなでサロンとし、参加者同士の交流を促すイベント等も工夫して、早期にモデル事業を開始いたします。  今後、地域や参加者、時間帯等を変えて実施、検証しながら事業を拡大し、都営住宅が地域に開かれた居場所の拠点となるよう取り組んでまいります。    〔水道局長中嶋正宏君登壇〕 ◯水道局長(中嶋正宏君) 安定した水道事業運営の継続についてでございますが、都の水道事業は、広域水道の一体性と責任を確保しつつ、公共性と効率性を両立する観点から、基幹的業務を当局と政策連携団体が担うグループ経営を推進しております。  今回の団体統合は、この東京水道グループの経営基盤を強化するものであり、持続可能な水道事業の実現に向けた改革の第一歩でございます。  具体的には、最終的な責任を持つ水道局が、新団体に対する指導監督をさらに徹底するとともに、統合で業務を包括的に担えることとなる新団体が、より一層の責任と創意工夫のもと、効率的かつ効果的な業務運営を行ってまいります。  また、こうしたグループ経営を客観的にチェックするため、東京水道グループコンプライアンス有識者委員会におきまして、幅広い見地から検証を行うとともに、新団体は、政策連携団体では初めてとなる監査等委員会を設置し、業務を執行する取締役への監査体制を強化してまいります。  さらに、新団体から民間事業者への発注につきましては、契約の公平性や透明性を確保するため、都と同様に、広く門戸を開き、競争契約を原則とした制度を運用してまいります。  こうした取り組みに加え、東京水道グループ全体の事業運営に関する情報発信や新団体の契約情報を都と同様に公開することなどを通じまして、都民に対する説明責任をこれまで以上に果たしてまいります。    〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕 ◯オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 東京二〇二〇大会の練習風景の公開についてでございますが、練習会場は、選手にとって試合前の最終調整の場であり、練習風景の公開には選手への配慮が求められます。  一方、練習風景を見学する場を設けることにより、地元での大会機運醸成や将来を担う子供たちに、夢や希望を抱かせるすばらしい機会が創出されるところであります。  そこで、都は、練習会場となる公立施設について、組織委員会を通じて国際競技団体との調整を進めておりまして、都立五施設では、指定された時間、会場において、都内小中学生の練習風景の見学等が可能となる見込みでございます。  今後、各国チームやアスリートの意向を十分に踏まえた見学スケジュールとするとともに、見学に加えまして、選手との交流についても可能な範囲で取り組むなど、具体的な検討を進めてまいります。 ◯議長(石川良一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。    午後三時三十六分休憩      ━━━━━━━━━━    午後四時開議 ◯副議長(橘正剛君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  質問を続行いたします。  百八番東村邦浩君。    〔百八番東村邦浩君登壇〕 ◯百八番(東村邦浩君) 第一回定例会に当たり、都議会公明党を代表して質問します。  二〇二〇年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催される記念すべき年です。大会招致への苦しい道のり、そして招致決定に涙した瞬間、さらに大会成功に向けて万全の準備に取り組んできた長い日々を経て、この新たな年を迎えました。  多くの人々が積極的にかかわってきた東京大会は、復興五輪の使命を果たすためにも、何としても成功させねばなりません。開催の年を迎えた今、最後まで気を引き締めて準備に取り組んでまいりたいと考えます。  一方、新しい年の開幕とともに私たちが直面しているのが、新型コロナウイルスによる感染症の拡大という事態です。現在、市中感染という新たなフェーズに入っています。まだまだ厳しい試練が続きますが、東京はこれを断じて乗り越えていかなければなりません。感染の拡大を食いとめ、終息させるまで、私たち都議会公明党は、都や都民と力を合わせ対策に取り組んでまいります。  まず、新型コロナウイルス対策について質問します。  都議会公明党は、都内での新たな感染が報告されたことを受け、二月十七日、知事に直接会って三度目の緊急要望を行いました。これらの要望を踏まえ、知事が迅速に補正予算を編成したことを評価いたします。  知事に緊急要望した同じ日、政府は、医療機関の新たな受診基準を発表しました。これにより、都のコールセンターや各保健所の電話相談窓口への相談は大幅に増加しつつあります。  そのため、専門機関とも協力しながら、二十四時間の相談体制を構築するなど、より一層の強化を図るべきです。知事の見解を求めます。  都は、相談後の対応として、感染が疑われる人に対して外来診療を行う医療機関や、入院が必要な患者を受け入れる医療機関の体制をしいていますが、今後、都内での流行が進むことを想定し、先手を打って体制拡充を早急に進めるべきと考えます。また、これら以外の民間医療機関では、診察に来る感染者に直面する可能性があることから、必要な医療資機材の提供を推進することも急務です。あわせて知事の見解を求めます。  感染症に対応できる多摩総合医療センターは、現在、感染症指定医療機関になっていません。国は、二次医療圏に一カ所設置でよいとしていますが、機能の強化を図り、感染症指定医療機関の指定に向けて取り組みを進めていくべきです。知事の見解を求めます。  武漢市から帰国された方々の受け入れ施設の確保は容易ではありませんでした。また、今回の新型コロナウイルスの感染では、クルーズ船で多くの感染者が出ました。東京では、ことし新たな国際クルーズターミナルが開業し、今後、多くの客船の寄港が見込まれます。  今回の教訓を踏まえれば、将来に備え、千人規模で感染症の経過観察ができる施設を既存施設の改修も含めて検討すべきと考えます。知事の見解を求めます。  中国での感染拡大は日本経済にも大きな影響を及ぼしており、特に観光業やサプライチェーンを含めた事業にかかわる中小零細企業への支援が必要です。  都発注案件でも、部品調達が間に合わないため、納期に対応できない事業者への柔軟な対応が必要です。こうした取り組みについて、あわせて知事の見解を求めます。  重篤化しやすい高齢者の感染を考慮すれば、都内の介護施設など高齢者関連施設に対しマスクや消毒薬等の支援をしていくべきです。都の支援だけでなく、区市町村が備蓄するマスクの活用も働きかけるべきです。  また、学校、幼稚園、保育園などに通う子供たちのことも心配です。予防に必要な対応とともに、子供や教職員に発症者が出た場合、速やかに対処できるよう、あらかじめ準備しておくべきと考えますが、それぞれ知事の見解を求めます。
     本定例会で審議される令和二年度当初予算案には、私立高校授業料無償化の拡充や子育て支援を初め、これまで都議会公明党が本会議や各委員会での質問、予算要望などを通して都に実施を求めてきた内容が随所に反映されており、評価いたします。  当初予算を編成するに当たり、我が党はかねてより決算の重要性を指摘してまいりました。それを受けて、昨年の決算特別委員会の審査では、都議会史上初めて知事が出席し、令和二年度予算を編成する上で非常に重要な審議が展開されました。今後も、決算審査をより充実させていくことが必要です。  さらに、健全な財政基盤を維持しながら、絶えず事業等の見直しを行い、時代の変化にも迅速的確に対応していく上でも、決算についての議論を翌年度の予算編成に生かしていくことが重要でありますが、知事の見解を求めます。  次に、私立高校授業料の実質無償化について質問します。  都議会公明党は、家庭の経済状況によって子供の教育の機会が奪われてはならないと、私立高校の授業料の実質無償化を世帯年収九百十万円未満の世帯まで実施するよう、二〇一六年に知事に政策要望いたしました。  これを受けて都は、第一段階として、二〇一七年度より年収約七百六十万円未満世帯まで私立高校授業料の実質無償化をスタートし、保護者より大変に喜ばれています。  そして、このたび、公明党の推進により、国において、ことし四月から年収五百九十万円未満世帯の私立高校授業料の実質無償化がスタートすることから、その財源を活用し、所得制限を九百十万円未満世帯まで拡充するよう、昨年の第二回定例会代表質問等で求め、今般の予算案に九百十万円未満世帯に拡充することが盛り込まれました。  あわせて、我が党の提案により、多子世帯の授業料負担軽減制度の創設が盛り込まれたことも高く評価いたします。  そこで、私立高校授業料の実質無償化と多子世帯への私立高校及び都立高校の授業料負担軽減制度について、経緯と具体的な内容について知事の見解を求めます。  その上で課題なのが、通信制高校です。通信制高校については、国において、都道府県認可の全ての通信制高校を年収五百九十万円未満世帯まで無償化の対象としています。  しかし、都は、今回の拡充対象はもともと対象になっている都認可の八校のみとして、他の道府県認可校は対象から外れたままになっています。  他の道府県認可とはいえ、都内に自校の施設があるなど、都民にとっては違いがわかりづらく、同じ通信制高校であることはいうまでもありません。他の道府県認可の通信制高校に通う生徒の家庭まで都の実質無償化の対象に加えるべきと考えます。知事の見解を求めます。  次に、子育て支援について質問します。  昨年十二月に公表した都の未来の東京戦略ビジョンで、チルドレンファースト社会の創出を目的として、社会のマインドチェンジを図るとしています。  都は、来年度予算案で、ゆりかご・とうきょう事業をとうきょうママパパ応援事業として拡充、発展させるとしており、その取り組みを評価します。  特に、都議会公明党が提案した多胎児支援を新たに明確に打ち出しています。  また、ベビーシッター利用支援事業においても、在宅家庭も対象に加える方針を明らかにしました。  そこで、多胎児支援の具体的な内容の答弁を求めるとともに、双子や三つ子など多胎児の家庭が利用しやすく、多胎児家庭に寄り添った制度とすべきと考えます。都の見解を求めます。  次いで、双子ベビーカーの移動についてです。  我が党は、多胎育児のサポートを考える会の皆様とともに、昨年十一月にはアンケート調査を交通局に提出し、意見交換、次いで、東京バス協会との懇談、本年一月には、知事に直接双子を育てる保護者の声を聞いていただきました。  また、さきの第四回定例会代表質問では、まず、交通局に対し、双子ベビーカーを折り畳まずに都バスに乗ることができるよう、検討を進めることを要望いたしました。  国土交通省では、双子ベビーカーを折り畳まずにバスに乗車するに当たっての安全性の検証を進めており、近くその検証結果を取りまとめると聞いています。  交通局としての具体的な取り組み状況について見解を求めます。  次いで、不育症への支援についてです。  都議会公明党は、都に対し、不妊症に悩む方々への支援はもとより、妊娠しても流産や死産を繰り返す不育症についても支援を行うよう質問してきました。  これを受け、都は、本年一月より不育症検査費助成を開始しました。  また、都職員の病気休暇制度においても、ことしの一月から、不妊症と不育症の検査や治療、療養を対象に加えており、都庁の中でも取り組みが進んでいます。  都は、不育症の方々への支援をさらに充実させるべく、仕事と治療の両立支援について、企業の職場環境整備を後押しすべきと考えます。見解を求めます。  次いで、予防接種についてです。  小児がん、白血病等の子供たちが、抗がん剤治療や骨髄移植等の医療行為を受けた場合に、既に受けた予防接種の免疫が消失、あるいは減少してしまうことがあります。罹患患者は、体全体の免疫力が落ちており、改めて予防接種を受けることは重要です。  現在、小児を対象にした定期予防接種は、十三疾病に対応した十種類ですが、全額自己負担だと二十万円ほどかかる状況です。現時点で、都内では十五自治体、全国でも九十を上回る地方自治体が支援を実施しています。  昨年の第一回定例会で、都議会公明党が紹介議員となった同趣旨の請願が趣旨採択となりました。  予防接種の再接種について検討している国に対して、結論を急ぐよう強く求めるとともに、先行して支援を実施する市区町村に対しては、来年度から速やかに支援を実施すべきです。都の見解を求めます。  次に、犯罪被害者等支援条例について質問します。  都は、今定例会に犯罪被害者等支援条例を提出しましたが、この条例策定に当たって、都議会公明党は、先進県の事例視察を重ねて、本会議や委員会で具体的な提案を行ってきました。  今回提案された犯罪被害者等支援条例の中で、新たに設ける支援制度として、法律相談への助成を行うことを明らかにしました。  また、我が党の提案により、犯罪被害者や遺族への転居費用を助成する制度を新たに盛り込みました。これは、自宅が犯罪現場であった場合、被害者や遺族が精神的な負担により、自宅では住めないケースがあるからです。  この転居費用の助成を行うのは、都道府県では都が初めてと聞いています。  そこで、助成の具体的な内容について見解を求めます。  現在、犯罪被害者には国から給付金が支給されますが、申請から支給まで約六カ月かかります。そのため、我が党は、犯罪被害により、当面必要となる経費を給付することで経済的な負担を軽減し、被害者等が日常生活や社会生活を早く回復できるよう、見舞金制度をつくるべきと訴えてきました。  都が今回、亡くなられた犯罪被害者等に見舞金を支給する決断をしたことを大いに評価します。  そこで、見舞金制度を導入した経緯と具体的な内容について明らかにすべきです。知事の見解を求めます。  次に、オリンピック・パラリンピックについて質問します。  まず、学校連携観戦についてです。  学校連携観戦事業は、オリンピック・パラリンピック競技の観戦機会を提供するため、都内の小中高生、また、幼稚園、保育園児を招待するものです。公立、私立学校合わせて約九十万人を超える大規模なものとなっていますが、安全な観戦に向けた対策が求められています。  最寄り駅から競技会場までのいわゆるラストマイルは混雑が予想されており、特に競技の開始や終了の時間帯は、子供たちが混雑に巻き込まれるリスクも想定されます。  そのため、低学年児童が利用するバス駐停車場の確保やラストマイルの混雑緩和など、安全対策が求められていますが、都教育委員会の対応について見解を求めます。  次いで、各会場に入った後の暑さ対策についてです。  会場には、学校連携観戦用の空調つきスペースであるクールスポットを整備し、熱中症対策を進めていると聞いています。  特に、東京スタジアムなどは一セッション当たり最大で一万五千人という多くの子供たちが来場を予定するとのことですが、クールスポットを一度に利用できる人数に上限があることから、観戦の時間帯を調整するなど、会場内の暑さ対策に万全を期していくべきと考えます。見解を求めます。  次いで、ライブサイトの暑さ対策についてです。  暑さ対策としては、水分補給とともに直接体を冷やすことも有効です。夏の時期、テーマパーク等では、水を使ったイベントが開催され、子供たちに大変好評です。  そこで、暑さ対策として、水遊びや水を浴びることができるエリアの設置や、シャワーを放水するキャストを配置するなど、多様な取り組みが効果的と考えますが、都の見解を求めます。  次いで、東京オリ・パラ大会のレガシー施設についてです。  都議会公明党は、一九六四年大会のレガシーを含め、東京オリ・パラ大会の記憶を後世に長く伝える記念施設の整備を繰り返し求めてきました。特に、世界初の二回目の夏季パラリンピックを開催した都市として、パラリンピックの記録とパラスポーツの魅力を後世に伝えていくことが重要です。  昨年九月にJOCが開設した日本オリンピックミュージアムは、オリンピックの歴史や日本とのかかわりを紹介する展示などがある一方で、パラリンピックの展示は極めて限られています。  そこで、都においては、例えば、都庁展望台や東京スポーツスクエアなど多くの人が集まる施設を活用して、パラリンピックも含む東京オリ・パラ大会の記念施設を整備すべきと考えますが、見解を求めます。  次いで、大会経費の課題です。  昨年十二月末に東京オリ・パラ大会の大会経費バージョンフォーが公表され、最終的な大会収支の見通しが示されました。その中では、新たに予備費として二百七十億円が計上されています。  今後、新型コロナウイルスなど、予期し得なかった事態への対応が求められる可能性もあります。そうした際に、収入確保と執行管理の強化とあわせて、予備費を活用し、都民、国民の不安を払拭し、安全・安心な大会を実現するため、機動的に必要な措置を講じることができるようにしておく必要があると考えますが、都の見解を求めます。  その上で、大会が黒字となり、剰余金が発生した場合の取り扱いについては、開催都市契約に定めがあり、IOCが二〇%、JOCが二〇%、組織委員会が六〇%の割合で配分することになっています。そのうち組織委員会の六〇%については、開催国のスポーツの全般的利益のため使用するとなっています。  開催都市契約締結後に、大会の役割と費用分担を整理した大枠の合意において、都が六千億円、国が一千五百億円を大会経費として支出することになっています。それを考えると、組織委員会が受け取る六〇%の剰余金は、大会経費を支出した国と都が、その負担割合で受け取ることが本来の筋です。  都は、大会の決算において剰余金が生じた場合の取り扱いについて、担っている責任に相応していくべきと組織委員会に主張すべきです。知事の見解を求めます。  なお、本定例会に都議会公明党は、東京二〇二〇大会にかかわる文書等資産の保管及び承継に関する条例案、いわゆる五輪文書管理条例案を共同で提出しています。  これは、東京二〇二〇大会の歴史的価値を継承するとともに、その開催経費等を大会後も検証可能とするため、東京都が大会組織委員会に対し、文書保管、承継のために必要な指導、調整を行うことを求め、JOCその他の関係機関に対しては、必要な協力を要請することを定めるものです。各会派のご賛同を求めるものであります。  次に、都立、公社病院について質問します。  さきの第四回定例会で、知事から、都立、公社病院を一体的に、地方独立行政法人への移行準備を開始する旨の表明がありました。  また、昨年末には、地方独法化への移行準備に至る考え方、そして、独法化することで充実する医療などを示した新たな病院運営改革ビジョン(素案)が公表されました。  都立、公社病院は、行政的医療の安定的、継続的な提供や地域医療の充実への貢献といった役割を将来にわたって果たし続け、都民の生命と健康を守り、都民が期待する医療を提供し続けていかなければなりません。  公表されたビジョンでは、この役割を担い続けていくために独法化を必要としています。病院経営本部の広報誌を見ても、独法化しても都立病院でなくなることはないといった記載がありますが、なぜ独法化するのかということがわかりにくいとの声が寄せられています。  また、ビジョンでは、都民ニーズに迅速かつ効率的、効果的に応え続けるため、制度的制約を解決するにふさわしい経営形態に見直す必要があるとしています。この制度的制約とは何か、都立病院の現在の経営形態でいかなる課題があって独法化する判断に至ったのか、明快な説明を求めます。  病院運営は、医療技術の高度化に伴い、より専門性の高い人材確保が今後とも必要になります。そのため、医療環境の変化や求められるニーズに即応するには、機を逃さずに必要な人材を確保することが重要です。  都立病院ではこれまでも、その必要に応じて人員を拡充してきましたが、ビジョンでは、職員定数は地方自治法による予算単年度主義に伴い、予算の裏づけとともに条例で定めることが原則であるため、医療課題の変化に対応し、迅速かつ柔軟な人材の確保が困難であるとしています。都立病院の現在の経営形態についての課題、独法化による解決策について具体的な答弁を求めます。  医療人材確保に加え、医療の高度化、多様化にも対応した施設設備の整備も重要です。今後、AIやIoT等の新技術の社会実装化による医療技術の変化にも対応していくことが求められています。  ビジョンでは、新たな医療機器を整備するに当たっても、毎年度、自治体の予算調整等の手続を経る必要があり、医療課題の変化に対して迅速な対応が困難であるとしています。現在の経営形態についての課題、独法化による解決策について、具体的に答弁を求めます。  次に、住宅確保要配慮者に向けた取り組みについて質問します。  都内の賃貸住宅では、今なお多くの空き家を抱えていますが、本制度の実情として、登録住宅数の令和七年度までの目標三万戸に対し、この二月現在で千七百六十二戸にとどまっているという厳しい現状があります。  さらに、専用住宅などに向けた補助については、平成二十九年十月の制度発足以来、家主に対する制度を設けているのは二市四区のみであります。  都議会公明党は、こうした状況を改善するため、家主と長年にわたって信頼関係を構築してきた不動産業者などへのインセンティブの付与を提唱してきました。令和二年度の新年度予算案では、この点の具現化が図られるとのことですが、その詳細を明らかにしていただきたいと思います。  加えて、こうした公費投入を図る際には、何よりも納税者である都民の理解と賛同が重要であります。本制度は、都民、利用者から見て信頼に値する事業者によってこそ、活用されていくべきと考えます。一層の登録促進に向け、あわせて見解を求めます。  市区町村の中には、補助制度を設けない理由として、家主側からの要望が少ないことを挙げる例もあるとのことです。  しかし、家主には、バリアフリー改修や家賃低廉化に役立つ補助金であることが余り知られていません。加えて、家賃債務を保証する補助制度まで整えられていることなどは、ほとんど知られていません。こうした内容が広く認識されるようになれば、補助制度の発足を求める声は大きく高まるものと考えます。  このたび都は、住宅確保要配慮者のためのセーフティーネット住宅という国制度について、東京ささエール住宅という都独自の愛称を決めました。  この機を生かし、市区町村の担当者はもちろんのこと、さまざまな広報ツールなどを用いて、広く都民に制度の周知を積極的に図るべきです。見解を求めます。  次に、都営住宅での自己資金により取りかえる風呂釜の取り扱いについて質問します。  都議会公明党は、新規入居者における取り扱いとは異なり、自己資金で風呂釜や浴槽などを整えた従前からの居住者だけが、故障した場合の買いかえにおいても自己資金での調達を強いられている不公平を指摘し、改善を求めてきました。  知事からは、昨年の第一回定例会の代表質問で、執行体制の整備を機に、計画的、効果的な進め方について検討してまいりますとの答弁が初めて示され、第二回定例会での代表質問では、居住しながら効率的に工事を行う方法などの検証を行うとの住宅政策本部長答弁がありました。  かつて、自己資金で浴室設備を購入した居住者の高齢化は著しく、経済的にも買いかえは困難です。こうした現状を踏まえれば、新規入居者との不公平は一日も早く是正されるべきであります。  加えて、老朽化した住棟の建てかえでは、全ての浴室設備が一新されますが、建てかえまで長期間を要する住棟も多く、その間の経年劣化に伴う修繕費の支払いはできないなど、不安の声が多く届いています。  そこで、令和二年度の新年度予算では具体的な対策を開始すべきと考えます。詳細について見解を求めます。  次いで、都営住宅における東京みんなでサロンについてです。  都営住宅では、六十五歳以上の世帯が約七割を占め、その半数が単身高齢者世帯です。コミュニティの活性化が喫緊の課題になっています。今回都が、都営住宅の集会所等を活用して、東京みんなでサロンという多世代交流の場を設け、居場所づくりを進めることとしたことは、フレイル対策にもつながり、大変意義があることだと考えます。  こうした交流の場は、町会やNPO法人などが中心になって、地域で取り組んでいる例も少なくありません。それらの活動も生かしながら、東京みんなでサロンを展開していくべきと考えますが、都の見解を求めます。  次いで、買い物弱者対策についてです。  近隣に店舗等のない都営住宅の高齢の居住者からは、買い物に行けず困っているとの声が数多くあります。食事や食料品を届けてもらうサービスだけに頼ると、外に出る機会もなくなり、孤立化を招きかねません。こうした課題を解決するために、都は、移動販売サービスの誘致に取り組んでいます。  一方、URの団地では、居住者の利便性の向上と団地の活性化を図るために、連携協定を結び、UR団地内にコンビニ店舗を設置する事例もあります。  都営住宅が第一種低層住居専用地域にある場合、店舗の出店に制約がありますが、国では、同専用地域にも店舗が設置できるよう、規制緩和をする動きもあります。  そこで、今後の超高齢社会を見据え、買い物弱者対策として、都営住宅においても店舗等を活用すべきと考えますが、都の見解を求めます。  次に、交通不便地域の移動支援について質問します。  都議会公明党はこれまで、高齢者や障害者がさまざまな交通手段を利用して、安心して移動できる環境整備を強く求めてきました。我が党は、横浜市や小平市の取り組みを調査するとともに、今月には、都が臨海副都心エリアで実証実験をしたMaaSを視察しました。
     この実証実験は、多言語対応のアプリを使って、デマンド型シャトルや公共交通、さらにはシェアサイクルなど、多様な交通手段を切れ目なく利用して目的地に行けるようにするもので、利用料金の決済もアプリで自動的に行われます。  そこでまず、デマンド型シャトルのような新しい移動サービスを活用して得られた今回の実証実験の成果や課題について明らかにすべきです。見解を求めます。  デジタルテクノロジーの利点を生かした移動サービスは、都内の交通不便地域での有効な移動手段になると考えます。今回の実証実験を踏まえ、都内の交通不便地域において、MaaSのような新しい移動サービスの社会実装に取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。  次いで、警視庁による認知機能検査と高齢者講習について質問します。  昨年末の都内教習所における平均予約待ち日数が、認知機能検査で約五十日、二時間の高齢者講習が約六十三日、三時間の高齢者講習が約六十六日と、依然長い状況にあります。  都議会公明党は、昨年の第一回定例会において、七十五歳以上の免許更新で必要な認知機能検査が、都内四十六カ所の教習所の多くで数カ月先まで予約がとれない状態にあり、結果、検査後の高齢者講習においても長い受講待ちを余儀なくされている実態を取り上げました。  そして、埼玉県の事例を取り上げ、警視庁においても、認知機能検査は公的機関中心の体制に切りかえ、教習所が高齢者講習に可能な限り専念できるよう、早期に改善をすべきと提案しました。それに対し警視総監は、警視庁による認知機能検査の実施枠の拡大を図り、各教習所が高齢者講習の受講人員枠を拡大できるよう努めると答弁いたしました。  その後一年が経過いたしましたが、改善に向けた警視庁の取り組みについて警視総監の説明を求めます。  次に、木造住宅密集地域の対策について質問します。  都内に多く存在する木密地域は、火災の延焼を防ぎにくいなどの課題を抱えています。  そのため、都は、防災都市づくり推進計画に基づき、木密地域の不燃化を着実に進めてきました。  しかし、整備地域の不燃領域率は二〇一七年度末時点でようやく六二・五%に達したものの、目標の七〇%の達成には、今なお隔たりがあります。  改善が進みにくい要因にはさまざまな事柄が考えられます。中でも、十分な幅員の道路に接していないために建てかえが進みにくい建造物や、所得的に余裕のない高齢者の入居者が多い賃貸住宅などでの対応が重要です。  都は、今後のスケジュールを含む目安となる期限を示し、防災都市づくり推進計画の改定に取り組む中で、決め手となる対策の具体化を急ぐべきと考えますが、見解を求めます。  木密地域の不燃化対策は、住民の積極的な協力が何よりも肝要です。  しかし、相続の機会にしか不燃化を伴う建てかえが進まないなど、遅々とした状況が続いています。  こうした現状を打破するためには、地域住民がこぞって建てかえに関心を寄せるような魅力あるまち並みの創出や、新たな客足につながる商店街のリニューアルなど、夢や希望が膨らむ木密対策への転換を図るべきと、都議会公明党は強く求めてきました。  そのためにも、防災対策の枠組みを超えて、良質な景観の形成や商店街振興などの他分野などとも連携する、新しいステージに立った木密対策を進めるべきと考えますが、見解を求めます。  次いで、民間病院での非常用発電装置の整備についてです。  都は、都議会公明党の求めに応じて、災害拠点病院向けの補助制度を既に実現させ、さらに、連携病院も視野に入れた補助制度の拡充を検討しているところです。令和二年度は、連携病院についてもさまざまな施策に取り組むと聞いています。  そこで、災害拠点連携病院の機能強化に向けた今後の取り組みについて見解を求めます。  重油などを燃料とする発電装置の稼働は、基本三日間の稼働を想定したものになっています。停電で長期化した場合には対応が不可能になってしまいます。しかも、三日程度の稼働という想定は、平常時の六割程度の電力使用を想定したものであり、不眠不休のフル稼働ともなれば、一日で燃料の貯蔵が底をつくおそれがあります。追加供給の協定を結ぶ実例もふえつつありますが、災害時に供給に携わる要員の確保は、どの地域でも大きな課題です。  この点、都市ガスを燃料とする発電装置の場合、中圧管を用いたものであれば、災害発生時も低圧管とは異なり、ガス供給がストップされることはなく、安定した発電が望めます。  その一方で、中圧管は都内でも細かく敷設されておらず、国や都の補助制度も、敷地内でのガス管敷設にしか適用できません。病院まで中圧管を敷設する工事に、発電装置の購入や設置以上の費用を要してしまうため、二の足を踏む事例も多いと聞いています。  そこで、都は、都市ガスを燃料とする自家発電機への燃料供給についてみずからも調査を実施するなど、検討に取りかかるべきであると考えますが、見解を求めます。  次いで、河川護岸強化についてです。  昨年、東京を襲った台風十九号は、都内の多摩西部を中心に浸水被害が発生しました。特に、秋川や平井川では護岸崩壊等が数多く発生しており、我が党も被災直後から現場に足を運び、つぶさに調査を行い、地元の声を聞いてまいりました。  今回の台風では、河川の湾曲部で護岸崩壊や道路崩壊が発生し、集落の孤立化や長引く避難生活を招く結果となりました。  そこで、今回の被災を教訓に、川の流れに最も影響がある土砂や樹木を含めて、改めて川全体のチェックを行い、護岸の強化対策を実施すべきであります。あわせて、国管理の多摩川河川強化を要望するなど、多摩の河川の安全性を早急に向上させていくべきと考えますが、都の見解を求めます。  次に、中小企業における5Gの活用について質問します。  IoTやロボットの活用などデジタル技術の高度化が進む中、新たな通信規格である5Gは、高速大容量等の利点を生かした自動化や遠隔操作等により生産性が飛躍的に向上し、中小企業のものづくりの現場をも劇的に変えていく可能性を有しています。  一方、中小企業の現場では、5Gの活用の必要性は理解していても、具体的にどのように活用していけばよいか迷っているのが実態であります。5G技術の実用化はようやく緒についたところであり、今後、中小企業が5Gの活用方法やその活用効果を具体的にイメージできるようにすることが肝心です。  そこで、都は、中小企業での導入モデルを広く公募し、具体的な事例を創出するとともに、その効果を検証し、中小企業に幅広く発信していくべきと考えますが、見解を求めます。  5Gの技術は、中小企業の生産現場にとどまらず、社会のさまざまな現場で活用されることが期待されています。  例えば、遠隔医療が実現されれば、高度医療が不足している地域へより質の高い医療を提供することができます。  また、人手不足が深刻化している建設現場においては、5Gによる遠隔操作だけでなく、自動施工との組み合わせにより、現場全体での人手不足に対応する省力化や効率化が可能となります。  さらには、教育現場や災害対策、福祉の現場、農業改革など、さまざまな場面で5G技術を活用し、社会的な課題解決が期待されます。  このことを具現化していくためには、革新的なアイデアを持つスタートアップの知見を生かし、既存の枠組みを超えた新たなビジネスモデルの展開が求められています。  そこで、都は、5G技術を活用し、新たな製品やサービスの開発に取り組むスタートアップへの支援を本格的に進めるべきと考えます。見解を求めます。  次に、ユニバーサルデザインタクシー、通称UDタクシーの普及について質問します。  環境性能にすぐれ、車椅子の高齢者や障害者も利用しやすいUDタクシーの普及は、環境と人間優先都市東京の構築にとって重要であり、我が党は強力に推進してきました。  都内のUDタクシーは、国や都の補助金もあって、二〇一六年度から二〇二〇年度まで五年間の目標である一万台を昨年前倒しで達成し、これに都の来年度予算案に計上されている助成分六千台の入れかえが加わると、都内タクシーの約四万七千台の三分の一がUDタクシーとなります。  しかし、補助事業が二〇二〇年度で終了することから、タクシー事業者は、二一年度以降の導入計画が立てにくいという課題を抱えています。  さらに、環境性能をより向上させた車両の導入も求められています。  都は、ゼロエミッション東京の実現に向けて、二〇三〇年までに都内の乗用車の新車販売に占めるゼロエミッションビークル、すなわちCO2や排出ガスを出さない車の割合を五〇%まで高めるという目標を掲げています。このため、現行のハイブリッドUDタクシーが、ゼロエミッションビークルのUD車へ移行することも念頭に置かなければなりません。  UDタクシーを中小タクシー事業者も含めて計画的に普及させていくためには、二〇二一年度以降の都の支援計画を早急に打ち出すべきと考えます。知事の見解を求めます。  一方、UDタクシーに対しては、乗車拒否や車椅子の乗車に時間がかかるなどの指摘もあります。  こうした課題を解消するには、都の補助金交付の条件としているドライバーの講習と、事業所ごとの車椅子乗車練習を徹底すべきと考えます。都の見解を求めます。  次に、就職氷河期世代の方を対象にした就労支援策について質問します。  国は、就職氷河期世代へ、就労支援策の積極的な展開を予定しています。都としても、国と連動して、これまでしごとセンターで実施してきた事業などの充実を図り、氷河期世代への支援を一層強化すべきと考えます。  就職氷河期世代で未就労や低賃金就労の状態にある方は、長年にわたる低収入や無収入状態などから、支援サービスの利用に必要な交通費を工面できない可能性があります。  そこで、我が党は、政府に交通費を支援対象に加えるよう働きかけ、国会質疑でもその旨の明快な答弁を得ました。  都においても、国の支援メニューも踏まえて、交通費はもちろんのこと、就職氷河期世代の方が支援プログラムを受けている間に生活に困窮することがないよう、生活実態を踏まえた支援に踏み出すべきと考えます。知事の見解を求めます。  次に、就活中のセクハラ対策について質問します。  昨年、就職活動中の若者などをターゲットにしたセクハラ事件が相次ぎ、対策の強化が求められています。  この問題は他国でも課題となっており、国際労働機関、ILOでは、昨年六月、就活中のセクハラ防止策の推進を含む条約案が審議されました。その際、日本は、政府と労働団体の代表は賛成票を投じたものの、残念ながら、企業団体の代表は評決を棄権する意思表示を行っています。条約を批准した国は、まだ一つもない状況にあります。  そうした中、我が国において、政府は、就活中のセクハラ対策を雇用中のセクハラ対策と同格に扱うことが望ましいとする指針を明記しました。  都は、都内の各企業団体と連携して、企業側の自主規制が本格化するよう積極的に取り組みを進めるとともに、国に対しても、早急に企業側と連携して対策の推進を求めるべきです。  加えて、被害の危険性を感じたり、被害に遭ったりした際に、若者が抵抗感少なく相談できるように、LINEなどのSNSを活用した相談体制をつくるべきです。  就活セクハラの根絶に向け、国と連携を図りながら、企業側と若者双方への効果的な取り組みを進めるべきと考えますが、知事の見解を求めます。  次に、学校体育館の空調設置について質問します。  都議会公明党が提案、推進する学校体育館の空調の設置については、市区町村の小中学校において、令和元年度に約三割の五百八十五校で事業が実施され、迅速に整備が進められています。  こうした中、昨年の台風十九号では、多くの地域で避難勧告等が出され、学校などに開設された避難所に都民が避難している現場を目の当たりにしました。こうした事態を踏まえ、今後、市区町村が新たな学校体育館等の空調設置を追加し、実施する可能性が大いにあると考えられます。  現在、令和三年度までの空調設置の整備計画を、昨年六月に市区町村が提出することを条件として、国の補助金が獲得できなかった場合に、都独自の加算や上乗せ補助の対象としていますが、今後、市区町村が追加する整備計画の内容も補助対象とすべきであります。都立高校の学校体育館の空調設置状況とあわせて、都の見解を求めます。  次に、教員間のパワーハラスメント対策について質問します。  昨年、神戸市の小学校の教員間において、身体的な暴力や暴言、性的な嫌がらせ等を内容とするハラスメント行為が行われていた問題が大きく取り上げられました。子供たちを指導する立場の教員がこのような問題を起こすことは言語道断であり、絶対にあってはならないことです。  現在、都では、教職員間のパワーハラスメント相談窓口として、都立学校では学校経営支援センター、市区町村立学校では各教育委員会に設置した相談窓口において、教職員からの相談を受け付けている現状ですが、早期解決のためには、さらに相談しやすい環境整備が必要です。  そこで、来所または電話による受け付けに加えて、新たに電子メールでの相談受け付けを設置すべきであります。教育長の見解を求めます。  また、パワーハラスメント防止対策について、令和元年六月五日、改正法が公布され、施行は公布後一年以内となっています。  都の労働相談情報センターへの平成三十年度の都内の労働相談件数は、平成十八年度以降、五万件を超え、パワハラを含む職場の嫌がらせの相談が初めて最多となりました。この状況を踏まえれば、教育現場においても、ハラスメントに悩む教職員が多数存在していると考えます。実際、我が党にも教育現場におけるパワハラ相談が多く寄せられています。  今般の法制化を受け、国が公表した対策マニュアルでは、職場のパワーハラスメント防止対策を効果的に進めるためには、まずは各教職員の実態を把握するための取り組みが必要であると示されています。都教育委員会でも、学校におけるパワーハラスメントについて、各教職員の状況を把握するため、調査をすべきであります。教育長の見解を求めます。  次に、地域力向上について二点質問します。  一点目は、都が二〇〇七年度に立ち上げた地域の底力発展事業についてです。  同事業はこれまで、町会、自治会のイベント等に、延べで約四千七百件が活用されています。助成額は、例えば単一町会であれば、一回目が上限二十万円の満額、二回目からはその二分の一を助成してきました。二〇一六年度からは特例措置として、オリンピック・パラリンピック関連イベントであれば、単一町会が毎年行っても、一回二十万円の満額の助成が行われています。  しかし、この特例措置は、東京オリ・パラ大会終了時までの期間限定であります。町会、自治会からは、地域力をさらに向上させるために継続してもらいたいとの声が強く出されています。  このため、近年急増している外国人のスムーズな地域受け入れなど、都が緊急に取り組むべき施策につながる地域の取り組みについては、地域の底力発展事業の特例措置として手厚い支援を継続すべきと考えます。知事の見解を求めます。  二点目は、地域に設置されている防犯カメラの維持管理費負担についてです。  都議会公明党は、地域における防犯カメラの設置を強力に推進し、新規設置や保守点検、修繕費に対する支援策も充実させてきました。  しかし、地域の防犯カメラの電気料金や電柱への設置に係る共架料は補助対象外となっており、設置者である町会、自治会、商店街が負担をしています。このため、東京都町会連合会から我が党に対し、防犯カメラの維持費がかさむほか、増設にも二の足を踏まざるを得ないとの切実な声が寄せられました。  これを受けて我が党は、知事に対する来年度予算要望の際に、重点的に取り組むべき課題として迅速な対応を求めました。  防犯カメラの整備は、犯罪抑止や事件の早期解決に大きな力を発揮する、非常に公共性の高い取り組みであり、都は町会、自治会、商店街の維持管理費負担を軽減すべきと考えます。都の見解を求めます。  次に、外堀の水質改善について質問します。  都は、未来の東京戦略ビジョンの中で、外堀浄化プロジェクトとして外堀の対策に取り組むことを表明しました。  都議会公明党はこれまで、都に対し、関係する国、都、地元区と連携するための協議体をつくることを初め、外堀の水質改善の具体策について、多摩川など河川からの水を、玉川上水を活用して外堀に導水することなど、さまざまな提言を行ってきました。  この対策が実現すれば、外堀の水質改善だけでなく、江戸の昔の水の流れを取り戻し、また、玉川上水の分水網にも今以上の水量を通水することができれば、東京全体の水環境向上だけでなく、首都直下地震時の延焼拡大防止や、飲み水、トイレ用水を確保する緊急水利システムの構築につなげることもできます。  我が党としても、プロジェクトの実施により、都のシンボルの一つである外堀の美しい姿がよみがえることを大いに期待しています。  そこで都は、今後、外堀での対策を速やかに実施することが不可欠であると考えますが、今後の取り組みについて知事の見解を求めます。  最後に、気候変動について質問します。  災害の激甚化にあらわれているとおり、気候変動は地球規模で環境に大きな影響を及ぼしており、対策は待ったなしの現況にあります。  都は昨年五月、二〇五〇年のCO2排出量実質ゼロを目指すゼロエミッション東京を宣言し、昨年末、実現へのロードマップを盛り込んだゼロエミッション東京戦略を発表しました。あわせて、戦略と密接な関係にある気候変動適応方針、プラスチック削減プログラム、ZEV普及プログラムも公表しました。  気候変動対策に果敢に取り組むべき都として、これらの計画を着実に進めていく必要があります。特に、ゼロエミッション東京戦略に盛り込んだ目標は、断固達成をしていかなければなりません。  そのために、毎年度の進捗状況や目標達成の見通しをゼロエミッション東京白書として明らかにし、進捗状況に応じて適切な見直しも図る必要があると考えます。都の見解を求めます。  都は、ゼロエミッション東京戦略の発表に合わせて、気候危機行動宣言を発表しました。世界各地の自治体では気候非常事態を宣言し、行動を呼びかける動きが広がっており、国内でもその動きが始まっています。今回、気候危機行動宣言を出した都は、こうした諸都市とも緊密に連携し、取り組みのリーダーシップを担っていくべきと考えますが、知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)    〔知事小池百合子君登壇〕 ◯知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えをいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症の相談体制についてのご質問でございます。  新型コロナウイルス感染症は、中国を中心に短期間で急速な広がりを見せており、いまだ未解明の部分も多い感染症であることから、都民の皆様に正しい情報を伝え、不安を解消していくことが重要でございます。  このため、都におきましては、都民の皆様に冷静な正しい行動をとっていただけますよう、都のホームページに専用サイトを設けまして、トップページにバナーを掲載したほか、電話で相談を受け付けますコールセンターを開設いたしております。  また、感染の可能性がある方からの相談を二十四時間体制で受け付ける帰国者・接触者電話相談センターを設置いたしまして、感染が疑われる場合には、他の患者との接触を避けて受診することが可能な帰国者、接触者外来で受け入れる体制を整えております。  さらに、二月二十八日からは、コールセンターにつきまして、より多くの都民の皆様方からの相談に対応できるように回線を増設するとともに、英語、中国語、韓国語による対応や、聴覚に障害のある方へのファクシミリによる相談の受け付けを開始するなど、体制を充実させます。
     今後の感染の状況も踏まえながら、関係機関とも連携いたしまして、より都民が利用しやすい、新型コロナウイルス感染症に関します相談及び正確な情報発信に努めてまいります。  なお、本日午前中に開催をいたしました対策本部会議におきましては、短期間に集中的に取り組む対策を取りまとめたところでございます。  民間検査機関の活用による検査体制の強化、あすから都庁展望室を閉鎖するなど、感染拡大の防止に向けた取り組み、特別広報チームや専門ホームページの立ち上げなどによります広報の強化、徹底などを進めていくことといたしておりまして、ここを正念場として、スピード感を持って対策を講じてまいります。  今後の感染拡大を想定した医療体制についてのご質問でございます。  都は今月、新型コロナウイルス感染症の発生以降、入院患者を受け入れる感染症指定医療機関や、帰国者、接触者外来を開設する診察協力医療機関に加えまして、指定二次救急医療機関等を対象にして説明会を二回開催し、患者の受け入れ体制の確保を働きかけております。  このうち、受け入れ体制を確保しております医療機関に対しましては、医療従事者用の防護服を提供いたしております。  現在、都内におきましては患者数が増加しつつあり、感染源が不明な患者や重症患者も発生しているところであります。  こうした状況を受けまして、先般の対策本部におきまして、東京都医師会などの有識者から、今後の感染拡大の可能性を見据えて、速やかに医療体制を整備するようなご意見をいただいております。  また、昨日、国は、新型コロナウイルス対策本部で感染の拡大に備えた対策の基本方針を決定いたしております。  今後、これらを踏まえながら、国や多くの医療関係者等と緊密に連携をいたしまして、医療体制の強化を迅速に進めてまいります。  あわせまして、マスクや消毒薬等の安定的な流通につきましては、引き続き国に働きかけていくとともに、医療機関との調整の上、必要な防護服を提供するなど、医療従事者の安全を確保して、患者を確実に診療する体制を構築してまいります。  次に、多摩総合医療センターの感染症指定医療機関への指定についてのご質問でございます。  現在、都内には、感染症法に基づきます感染症指定医療機関は十二ございまして、これらの医療機関を中心に感染症医療体制を構築しているところであります。  一千三百万人の都民が暮らし、海外との往来が活発な大都市である東京におきましては、海外から感染症が侵入して拡大するリスクが高うございます。  このため、将来の新興、再興感染症の発生に備えまして、感染症医療提供体制をさらに強化していくことが必要でございます。  今回の補正予算でございますが、多摩総合医療センターにおけます施設を改修して、一部の病床において二類感染症相当の感染症患者を受け入れることのできる設備面の整備を図ることといたしております。  今後、多摩総合医療センターの感染症指定医療機関としての指定に向けまして、準備を進めてまいります。  感染症に対する今後の備えについてでありますが、今回の新型コロナウイルス対策に当たりましては、中国の武漢市から帰国された在留邦人の方々や、大型クルーズ船に乗船されていた方々に対しまして、国内で適切に経過観察を行う施設の確保について課題があったと考えております。  こうした認識のもとで、今後新たに発生する感染症への備えの一つといたしまして、感染の疑いがある方々に対して経過観察可能な施設の整備について、来年度から検討を進めてまいります。  具体的には、経過観察可能な施設として必要な機能や規模、施設の立地条件やコスト、平時における活用方法や運営体制等につきまして、年内を目途に調査検討を実施してまいります。  都民の皆様方や東京を訪れる方々の生命と健康を守っていくために、新型コロナウイルス感染症対策のさらなる強化を行いながら、今回の事態を教訓として将来を見据えた取り組みにも目を向け、都民の安全・安心の確保に努めてまいります。  新型コロナウイルス感染症に対して、中小企業の支援についてでございます。  感染症の流行に伴って懸念されますサプライチェーンの寸断といった経済への影響を最小限に抑えるという観点から、中小、小規模企業への支援を迅速に進めていくことは重要でございます。  そのため、中小企業の資金繰りや経営に関する特別相談窓口を直ちに設置するとともに、私みずから、中小企業団体の方々から厳しい経営の状況を直接伺うなど、日々刻々と変化する現場の実態を把握してまいりました。  こうした声を真摯に受けとめまして、切れ目なく対策を進める必要がございますので、今回、さらなる支援の充実を図ったものでございます。  資金面からの支援におきましては、融資目標額を一千億円とする緊急融資制度を創設いたしまして、信用保証料の全額を都が補助するなど、中小企業の大幅な負担軽減を図ってまいります。  この融資におきましては、感染症による影響が広範にわたっていることを踏まえまして、一定の売り上げ減少などがある幅広い中小企業が利用できるようにするとともに、資金の使途につきましても、当面の運転資金や設備投資など、さまざまな活用ができることといたしております。  また、感染拡大に伴って厳しい状況に直面しております中小企業に対しまして、経営や法律の専門家を無料で派遣するとともに、国内外への販路開拓支援も強化してまいります。  加えまして、都発注工事の工期の延伸につきましては、受注者から申し入れがありました場合は必要に応じて延伸を行うなど、円滑な工事の進捗に努めてまいります。  こうした支援を速やかに開始いたしまして、都内の中小企業が安心して事業活動を継続できますよう、全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、高齢者施設での感染対策への支援についてでございます。  先日、都内の介護施設の職員が新型コロナウイルスに感染する事例が発生をいたしました。  高齢者は感染症で重症化しやすいため、それぞれの施設では、感染対策委員会を設置して、感染症対策のための指針を策定して職員への周知を図るなど、日ごろから感染症の予防や拡大防止に取り組んでいるところであります。  都におきましては、毎年、感染症の流行に備えまして、施設の管理者や看護師などを対象として研修を実施いたしております。  今回の新型コロナウイルス発生後は、国の通知やマニュアルに基づきまして、マスクの着用や手洗いなどの励行、職員や入所者の健康状態の把握など、施設内感染対策の徹底につきまして、注意喚起を行っているところでございます。  都は、マスクや消毒薬等の必要な衛生資材の安定的な流通につきまして、国に緊急要望を行っており、患者数の増加を踏まえて、高齢者施設等につきましても、現場の状況を把握するとともに、衛生資材が安定的に供給されますよう、改めて国に働きかけてまいります。  さらに、衛生資材を取り扱います業界団体に対しましては、高齢者施設等への優先供給を要請するとともに、区市町村に対しましても、必要に応じて備蓄資材の提供など、適切な支援を行うように協力を求めてまいります。  新型コロナウイルスに関しましての学校、幼稚園、保育所等への対応についてでございます。  新型コロナウイルスの感染を予防するためには、まずは、手洗いやせきエチケットなどの基本的な感染症対策の徹底が重要でございます。  都はこれまでも、国や区市町村と連携をしながら、学校、幼稚園、保育所等におきましても、子供や教職員がこのような対策を講じるように周知をしてまいりました。  また、保護者との緊密な連携のもとで健康観察を徹底して行って、子供に発熱等の風邪の症状が見られますときは、無理をせずに自宅で休養するように促して、教職員にも同様の対応を求めております。  さらに、感染のおそれが生じました場合には、学校や幼稚園については保健所、学校及び設置者の間で情報を共有するとともに、子供には出席停止の措置をとって、教職員には出勤を抑制することといたしております。  保育所等につきましては、都、保健所を設置する市または特別区が、登園や出勤を避けるよう要請することといたしております。  都立学校におきましては、始業時間の繰り下げなど、公共交通機関の混雑時を避けた登下校を実施するほか、学年末考査を終了した学校から順次春休みを前倒しするとともに、卒業式の参列規模の縮小、時間短縮を図るなどの対応を行ってまいります。  今後、都は、状況の変化に的確に対応いたしまして、感染の拡大防止に努めるとともに、発生をいたしました場合には、学校の一部または全部、感染者がいない学校の臨時休業等を含めまして速やかに対応いたしまして、子供たちの安全・安心を守ってまいります。  次に、時代の変化に的確に対応する予算編成についてのご質問でございます。  激甚化する自然災害への備えや、人口減少、少子高齢化への対応など、都政を取り巻きます課題に的確に対応していくためには、絶えず施策の見直しを図っていくことは不可欠であります。  私も出席いたしました先般の決算特別委員会におきましては、現場の実情を踏まえました真摯な議論が行われましたが、一つ一つの事業に磨きをかけて施策を進化させるためには、決算なども踏まえまして、各事業の効果を検証し、浮かび上がってきました課題に対しまして的確に策を講じていくことが重要であります。  令和二年度予算では、これまでに明らかになりました課題を踏まえまして、例えば、ICTやAI等の最先端技術を活用した水門等の遠隔監視制御に関する検討を初めとする豪雨災害への備えや、子育てにおきまして多くの課題を抱えます多子、多胎児世帯への支援を充実するなど、取り組みの強化を図っております。  今後とも、事業評価におけます事後検証の徹底等を含めまして、決算から予算編成、事業の執行に至りますPDCAサイクルを有効に機能させることで、一つ一つの事業を磨き上げ、健全な財政基盤を確保するとともに、時代の変化に的確に対応した積極的な施策展開を図ってまいります。  次に、高校授業料の負担軽減についてでございます。  家庭の経済状況によりまして子供たちの将来の希望が閉ざされてはなりません。  都は、私立高校等に在学する生徒の保護者の経済的な負担を軽減するために、平成二十九年度に特別奨学金制度を大幅に拡充、年収約七百六十万円未満の世帯まで授業料の実質無償化を実現いたしましたが、対象となる世帯の範囲は都立高校と異なっておりました。  そこで、このたび国の就学支援金制度が拡充されましたことから、この財源を活用いたしまして、都の特別奨学金の対象を、既に都立高校において授業料無償化の対象となっている年収約九百十万円未満の世帯まで拡大することといたしました。  また、多子世帯におけます学費の負担を考慮いたしまして、年収約九百十万円を上回る世帯でも、扶養する二十三歳未満の子供が三人以上いる場合には、私立高校や都立高校に通う生徒一人当たり、公立高校授業料の半額相当の授業料負担を軽減することといたしました。  これからも、東京の未来を切り開く人に焦点を当てた支援によりまして、誰もが希望する教育を受けられる環境を整えてまいります。  東京都認可以外の通信制高校の授業料の負担軽減についてでございます。  通信制高校につきましては、履修単位数に応じまして生徒一人ずつ異なる授業料等を正確に把握する必要がございますため、特別奨学金は、指導監督権限のある都認可の通信制高校に在籍する生徒を対象にしております。  一方、都民の中には、都認可以外の通信制高校に在籍する生徒も少なからずおりまして、施策の公平性の観点から、こうした生徒も特別奨学金の対象にしてほしいとの声がございます。  しかしながら、都の指導監督権限が及ばない都認可以外の通信制高校からは、特別奨学金の支給に必要な生徒一人一人の授業料等の情報を得ることは、実は困難でございます。  こうしたことから、都認可以外の通信制高校に在籍する生徒の授業料負担の軽減を行うためには、新たな仕組みが必要でございまして、今後、その方策について検討してまいります。  次に、犯罪被害者等への見舞金制度についてのお尋ねでございます。  犯罪の被害に遭われました方及びそのご家族は、犯罪による直接的な被害に加えまして、身体的、精神的、経済的に困難な状況に直面しておられ、被害直後から途切れることのない支援が重要でございます。  条例案の検討に合わせて行いました被害者等への実態調査等におきましては、犯罪に遭った結果、医療費や裁判費用等の支出を余儀なくされた、あるいは、収入が減り生活が苦しくなったなどの理由によって、行政による経済的な支援を望む声が多数寄せられたところでございます。  こうした状況や都議会公明党を初めとする各会派からのご要望を踏まえまして、見舞金制度を新たに創設し、国による犯罪被害者給付金の支給までの間、当面必要となる経費に充てるために、被害者遺族に対して三十万円、重症を負った被害者本人に十万円を給付するというものであります。  この取り組みによりまして、被害者等の生活再建の第一歩を後押しして、誰もが安心して暮らしていける都市東京の実現につなげてまいります。  次に、大会におけます剰余金についてのお尋ねでございます。  大会経費につきましては、大枠の合意に基づいて、組織委員会、東京都、国、それぞれの役割分担、経費負担を担いながら連携して大会の準備を進めてまいりました。  一方で、開催都市契約におきましては、剰余金の分配についてJOCに二〇%、IOCに二〇%、組織委員会に六〇%とされておりまして、これはJOCと協議の上、日本におけるスポーツの全般的な利益のために使用することとされております。大会における剰余金が生じる場合には、こうしたことを踏まえまして対応する必要があると考えております。  組織委員会の収支につきましては、今後、大会本番の運営など、さまざまな業務が具体化をいたしまして、新たな経費が必要となることが見込まれる中におきましても、まずは赤字を出すことのないよう取り組んでいく必要がございます。  そのため、新たに組織委員会の収入と支出につきまして毎月報告を受け、収支を確認するとともに、その内容を公表してまいります。  仮に組織委員会の収支が黒字となって、剰余金が生じる場合には、大会経費を組織委員会、東京都、国が負担しているということも踏まえまして、組織委員会及び関係者により、その取り扱いを慎重に決めるべきものと考えておりまして、都民のご理解がいただけますように取り組んでまいります。  次に、UD、ユニバーサルデザインタクシーについてのご質問でございます。  世界に誇る日本の環境技術とおもてなしの心を集約したユニバーサルデザインタクシーの普及は、東京二〇二〇大会のレガシーともなる重要な取り組みでございます。  令和二年度予算案に計上いたしております補助金の執行によりまして、来年度には都内タクシー台数の約三分の一に相当いたします一万六千台がユニバーサルデザインタクシーに切りかわる見込みであります。  これによりまして、誰もが利用しやすく、CO2排出量の少ない都市交通が実現されますが、環境負荷の低減に向けましては、さらなる普及や、ご指摘のような将来のユニバーサルデザインタクシーのZEV化なども視野に入れていく必要がございます。  今後とも、業界団体の意見も十分に聞きながら、長期的な視点に立ちまして、環境にも優しいユニバーサルデザインタクシーの普及に努めてまいります。  次に、就職氷河期世代への就労支援についてでございます。  就職氷河期世代には、長期にわたって非正規雇用が続くことなどによって、スキルアップの機会に恵まれないことに加えまして、経済的に不安定な状況に置かれている方が数多くおられ、こうした状況を踏まえた支援を行っていく必要がございます。  このため、都は、しごとセンターにおきまして、氷河期世代の方が基本的な職務スキルを身につけて、正規雇用を目指す支援プログラムを実施しており、経済的な心配をせずにプログラムに参加できますよう、交通費等に活用できる奨励金を支給いたしております。  さらに、来年度からは、氷河期世代の方が実際の企業現場で派遣社員としてスキルを磨いて、派遣先企業で正規雇用として就職ができますよう、新たな支援事業を開始いたします。この事業の実施に当たりましては、氷河期世代の方の生活面をサポートするため、派遣期間中の賃金と交通費をあわせて支給してまいります。  これらのきめの細かい支援によりまして、就職氷河期世代の方の安定した就労を後押ししてまいります。  次に、就職活動中のセクシュアルハラスメントについてのご質問でございます。  セクハラは、働く方の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であり、労働者はもとより、就職活動中の学生等に対しましても、あってはならないものでございます。  今般、国が改正した指針におきましても、事業主に対して、就業活動中のセクハラ防止に関して適切な対応を求めております。  都は、この指針の実効性を高めていくため、国に対し、事業主への助言指導など、対策の一層の強化を働きかけるとともに、都におきましても独自の対策を講じてまいります。  まず、事業主に対しましては、経済団体等と連携をいたしながら、新たに就職活動中のセクハラ防止に関しますセミナーの開催、啓発冊子の配布など、普及啓発を進めてまいります。  また、就職活動中の方に向けましては、学生などが利用しやすいように、SNS等を活用して相談に応じる仕組みを新たにつくり上げまして、国とも連携をして、事業主に対して相談内容を踏まえた対応を図ってまいります。  これらの対策によりまして、就職活動中のセクハラ防止を強力に推進してまいります。  次に、地域の底力発展事業助成の特例措置についてのご質問でございます。  町会、自治会は、防犯、防災、高齢者見守りなど、都民生活の安全・安心の確保、魅力ある地域づくりにおいて大きな役割を果たしておりまして、また、都内におけますオリンピック・パラリンピックの機運醸成についても多大なご協力をいただいているところであります。  お話のように、現在都内に住む外国人は五十七万人を超えておりまして、今後さらに増加が予想されるところであります。こうした中で、地域によりましては、ごみ出しや騒音の問題など、トラブルも発生していると聞いております。これは生活習慣や文化の違い、コミュニケーション不足などが原因と考えられるところであります。  多文化共生社会づくりを推進していくためには、地域コミュニティの中核であります町会、自治会が中心となって、在住外国人を地域の一員として受け入れる意識を高めていくことが重要でございます。  このため、こうした町会、自治会の多文化共生社会づくりに資する活動に対しまして、地域の底力発展事業助成の補助率に関する特例措置を適用いたしまして、その取り組みを支援してまいります。  こうした取り組みを通じまして、日本人も外国人も仲よく暮らす社会を築き、地域コミュニティを活性化してまいります。  外堀の水質改善についてのご質問でございます。  水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力ある都市の顔づくりを進めることは重要でございます。  十二月に公表いたしました未来の東京戦略ビジョンにおきましては、東京の歴史的財産である外堀の水質改善を進め、都心で働く人々に癒しの場を提供するとともに、品格ある景観の形成による地域全体の活性化を図る外堀浄化プロジェクトを提示したところであります。  外堀の水質浄化に向けましては、これまでも庁内関係局が連携をいたしまして、効果的な改善方策を幅広く検討して、河川水等の導水の有効性など確認をしてまいりました。  今後は、外堀に導水するための水源、水量の確保、導水路の整備方法等につきまして検討を進めるなど、国や地元区などとも連携をいたしまして、外堀浄化プロジェクトを着実に進めて、水の都にふさわしい、まちに潤いを与える東京を実現してまいります。
     最後に、気候危機に対します諸都市との連携についてのご質問でございます。  気候変動の問題に立ち向かうためには、危機感を表明し、訴えるだけではなく、行動を起こすことが重要でございます。  このため、都は、気候の危機的な状況を広く発信する気候非常事態という表現を超えまして、その状況に立ち向かう行動をより強く表明をする、そのために気候危機行動宣言を表明いたしたところでございます。  ゼロエミッション東京戦略において取りまとめましたビジョン、具体的な取り組み、ロードマップをもとに対策を講じまして、都民や企業を初め、国や区市町村など、あらゆる主体に共感と協働を呼びかけまして、ともに気候危機に立ち向かう行動を推進してまいります。  気候変動対策には、バウンダリー、つまり境がなく、国、都市、それぞれが対策を進めなければ間に合いません。  都は、世界の大都市の責務としてリーダーシップを発揮いたしまして、私自身、副議長を務めておりますC40やイクレイなどのグローバルネットワーク、また、国内の広域都市連携の枠組みも活用しながら、都の先進的な取り組みの共有、連携の強化を図りまして、国内外の脱炭素化に向けて行動を起こしてまいります。  なお、残余のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。    〔警視総監斉藤実君登壇〕 ◯警視総監(斉藤実君) 高齢者講習の受講人員枠の拡大に係る取り組みについてであります。  警視庁では、従来、教習所において実施をしていた高齢者講習及び認知機能検査のうち、認知機能検査を警察施設において実施することで、教習所における高齢者講習の実施枠の拡大を図ってまいりました。  昨年五月には、江東運転免許試験場、十月には警視庁滝野川庁舎においても認知機能検査を新たに実施したところであり、本年四月中には、八王子市内の警察施設においても開始をする予定であります。  これらの取り組みにより、本年四月以降は、全ての対象者に対する認知機能検査を警察施設で実施できる体制が整う予定であります。    〔教育長藤田裕司君登壇〕 ◯教育長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えを申し上げます。  初めに、子供の競技観戦における安全対策についてでございますが、競技観戦はオリンピック・パラリンピック教育の一環として行うものでございまして、安全を第一優先に実施してまいります。  そのため、都教育委員会は、ラストマイルの混雑緩和を図ることを目的として、一般客の来場が集中する時間帯を避け、学校ごとに時間差を設けて入退場できるよう割り振りを行うことといたします。  また、会場への動線や救護所の所在等を含む、観戦に係る情報を引率者向けに解説をした観戦の手引を配布し、全校対象の説明会を実施するなど、学校の安全な引率体制を支援してまいります。  さらに、区市町村が行う会場近辺までのバス移動につきましては、利用希望の状況を把握し、駐停車場の確保等に向けて、引き続き関係機関と調整を図ってまいります。  次に、会場内の暑さ対策についてでございますが、競技観戦に当たり、暑さの影響を受けやすい低年齢の子供に対しては、原則として暑さの和らぐパラリンピック期間の屋内競技を割り当てることとしております。  また、引率教員が会場内の動線や救護所などを確認することができる機会を事前に設定をいたしまして、子供たちの安全な引率に向けた準備を着実に行ってまいります。  観戦当日は、子供専用のクールスポットを設置し、入場前に涼む場とするとともに、競技観戦中、ぐあいが悪くなった子供の休憩場所としても活用いたします。さらに、熱中症を予防するため、一人一人に暑さ対策グッズと飲料水を配布することといたしております。  こうした取り組みを着実に進め、関係機関と連携を図りながら、暑さ対策のより一層の徹底を図ってまいります。  次に、学校の体育館等の空調設置についてでございますが、学校体育館等は、児童生徒が日常的に活動する場でありますとともに、非常災害時には避難所等としての役割も果たしますことから、安全性の確保や防災機能の強化への取り組みを促進させることが重要でございます。  都立高校の体育館につきましては、昨年夏までに二十校で整備を完了しており、本年夏までにさらに百校程度における整備完了を目指し、現在、導入機種や設置場所の確認等の準備を進めております。  一方、区市町村立小中学校には、令和三年度末までを事業期間とした計画的な整備に対し、着実な支援を実施しているところでございます。  都教育委員会は今後、区市町村がこれまでの整備計画に、新たな学校体育館等を加えて空調設置する場合にも整備が行えるよう、具体的な対応策を検討してまいります。  次に、教職員向けのパワーハラスメント相談についてでございますが、学校において、ハラスメントはあってはならないことでございます。悩みを抱える教職員がいつでも安心して相談できる環境を整備し、早期に対応することが重要となります。  現在、都内公立学校では、各学校の校長や副校長が相談に応じるほか、各教育委員会に設置されている相談窓口等におきましても、来所や電話により相談を受け付けております。  今後は、都教育委員会におきまして、さらに相談しやすい環境を整えるため、令和二年度から全ての公立学校教職員を対象といたしまして、電子メールによる相談受け付けを開始いたします。受け付けた相談につきましては、区市町村教育委員会等と情報共有し、事情を丁寧に聞き取った上で、早期解決に向けて適切に対応してまいります。  最後に、学校におけるパワーハラスメントに係る調査についてでございますが、パワーハラスメント対策に当たりましては、教職員の状況を把握した上で、その結果を未然防止や問題解決の取り組みに生かすことが重要でございます。  都教育委員会ではこれまでも、区市町村教育委員会に対して相談窓口設置を初めとした対応策の強化を促しますとともに、教職員向けに啓発資料を作成するなど、あらゆる機会を通して対策を進めてまいりました。  こうした取り組みに加えまして、今後、都教育委員会では、教職員のパワーハラスメントに関する実態及び意識や捉え方等について調査を実施することで、教職員の意識啓発を図りますとともに、調査結果を活用し、各職層向けの研修や相談体制を充実するなど、パワーハラスメントの防止と解決に努めてまいります。    〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕 ◯東京都技監(佐藤伸朗君) 二点のご質問にお答えいたします。  まず、木密対策についてでございますが、これまで都は、防災都市づくり推進計画に基づき、木密地域の不燃化に取り組んでまいりました。その取り組みをさらに進めるため、先月、推進計画の基本方針の改定案を取りまとめ、不燃化特区制度のさらなる活用に加え、無接道敷地での建てかえの促進や高齢者の住みかえの円滑化など、一歩踏み込んだ取り組みを新たに展開していくことといたしました。今年度末を目途に基本方針を定めるとともに、来年度に整備プログラムを取りまとめてまいります。  今後、区に対し、新たに各整備地域内の不燃化の現状や将来の見通しなどを詳細に示した地域別カルテを提供するとともに、目標達成に向けて強化すべき事業の実施などを促して、地区ごとの特性に応じた実効性のある取り組みの展開につなげてまいります。  次に、新しいステージに立った木密対策についてでございます。  都内に約八千六百ヘクタール存在する木密地域の改善に当たりましては、改善後の魅力的なまち並みの将来像を描くことが重要であり、都は、基本方針案におきまして、地域特性を生かしたまち並みづくりを促進する考え方を示しました。  この考えを早期に具体化するために、都は、計画の改定に先立ち、来年度から防災性の向上とあわせて、地域特性を生かしたまち並みづくりのモデル的な取り組みを行う区への支援を新たに開始いたします。  また、商店街など地域の持続的な発展のため、建てかえや事業継続の際に、経営面での課題等に対応できる専門家を派遣するなど、ソフト面の支援においても関係部局とより密接に連携してまいります。  こうした取り組みにより、災害の脅威から都民を守る強靭で美しい東京を実現してまいります。    〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕 ◯福祉保健局長(内藤淳君) 四点のご質問にお答えいたします。  まず、多胎児を育てる家庭への支援についてでありますが、多胎児を育てる家庭は、同時に二人以上の育児をすることに伴うさまざまな困難に直面する場合も少なくございません。  そのため、都は来年度から、多胎児家庭に対しまして、予防接種や乳幼児健診など、母子保健事業を利用する際の移動経費の支援、家事、育児や外出時の支援を行うサポーターの派遣、ベビーシッターを活用した一時預かり等の支援のほか、多胎育児の経験者との交流会等を行う区市町村の取り組みへの支援を開始いたします。  多くの多胎児家庭にこれらの支援が届き、負担軽減を実感していただけるよう、区市町村に対しまして早期の事業実施に向けて積極的に働きかけるとともに、申請方法の工夫など利便性への配慮についても求めてまいります。  次に、治療により免疫が消失した方の再接種についてでありますが、予防接種の実施に当たりましては、使用するワクチンの有効性や安全性が確認されていることが重要であり、都は、昨年から国に対し、再接種の扱いについて、安全性や有効性の観点から必要な検討を進め、早期に考え方を示すよう提案要求を行っております。  国は現在、再接種の定期接種化に関し、対象となる方への支援のあり方や接種の努力義務についての考え方、接種年齢など、さまざまな観点から検討を行っており、都は国に対して、引き続き早期に考え方を示すよう求めてまいります。  また、既に再接種に関して助成を行っている区市町村に対して、来年度から都としても支援を開始し、治療後の再接種を行う方々の経済的負担の軽減を図ってまいります。  次に、災害拠点連携病院の機能強化についてでありますが、災害拠点連携病院は、大規模災害発生時に災害拠点病院を補完し、主に中等症患者または容体の安定した重症患者の収容等を行う役割を担っております。  近年の大規模化、多様化する自然災害の状況を踏まえ、都は、災害拠点連携病院がより円滑に多数の傷病者を受け入れられるよう、来年度から新たにBCPの策定や待合室等での医療処置に使用する医療用ガス配管の整備などへの支援を実施いたします。  また、長時間にわたる停電時においても病院機能を維持できるよう、可搬型発電機等の資器材や自家発電機、移動電源車からの給電を可能とする電源接続盤の整備を支援するとともに、都におきましても移動電源車の確保を図るなど、災害時の医療提供体制の強化を進めてまいります。  最後に、病院の自家発電機への燃料供給についてでありますが、現在、多くの病院では、災害時に備え、重油などの液体燃料を使用する自家発電機を導入しておりますが、一部の病院では、地震にも強いとされる中圧ガス管を敷設し、自家発電機に都市ガスを供給する方式を導入しております。  ご指摘の中圧ガス管を活用した燃料供給は、安定的な供給を確保する上で重要な課題と受けとめており、病院で導入した事例を把握するとともに、ガス事業者から情報収集を行ってまいります。  今後は、ガス事業者から得た情報や自家発電機の燃料確保に係るさまざまな取り組み事例につきまして、防災訓練説明会等の機会を活用し紹介するなど、病院がそれぞれの土地や建物の強度などに応じて、災害時に備えた体制を整備できるよう支援してまいります。    〔交通局長土渕裕君登壇〕 ◯交通局長(土渕裕君) 双子用ベビーカーのバスへの乗車についてでございますが、双子用ベビーカーを利用されているお客様より、ベビーカーにお子様を乗せたままバスに乗車させてほしいとの声が寄せられている一方、その際の安全性につきましてはいまだ確認されていないことから、交通局では、国土交通省に検証を行うよう申し入れてまいりました。  これを受けまして、子育て関連団体等も参加した国の実証実験が行われることとなり、交通局では、営業所の敷地や車両を提供するなど、必要な協力を行ったところでございます。  現在、国土交通省が試験結果を踏まえまして、学識経験者等の意見も聞きながら、安全にご乗車いただくための統一的なルールを取りまとめていると聞いておりまして、交通局といたしましても、事業者としての知見を提供するなど、引き続き積極的に協力してまいります。    〔産業労働局長村松明典君登壇〕 ◯産業労働局長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。  まず、不育症と仕事の両立への支援についてですが、不育症は、検査、治療に時間を要し、本人の体力的な負担も大きいことから、不妊症と同様に、その治療と仕事が両立するよう、職場の環境整備や理解の促進を図ることが重要でございます。  このため、都は、不妊治療と仕事の両立を図る休暇制度を整備する企業への奨励金について、来年度から、不育症のための制度整備も対象に加え、奨励金を十万円加算するとともに、支援企業の規模を拡大いたします。  さらに、不育症に対する都民や企業の理解促進に向けて、女性活躍を進めるイベントのほか、トレインチャンネルやSNSを活用して普及啓発を行ってまいります。  こうした取り組みにより、不育症の方が検査や治療を受けながら仕事を続けられる環境づくりを進めてまいります。  次に、中小企業の工場等における5Gの活用についてですが、5Gは工場における機器類のリアルタイムでの一元的管理などに活用することで、ものづくり分野での生産性を飛躍的に向上させる可能性がございます。  こうした中、多くの中小企業にその活用を促していくためには、導入モデルを示して、そのメリットを実感できるようにすることが重要となっております。  こうしたことから、都は来年度、モデル企業を創出するため、自社工場に5Gを先駆的に導入する中小企業に対しまして、無線設備の整備等に必要な経費の五分の四を最長三年にわたり、一億二千万円を上限に支援いたします。  あわせて、モデル企業での導入成果を積極的に情報発信し、中小企業の5G導入による生産性の向上等を促進してまいります。  最後に、5Gを活用するスタートアップへの支援についてですが、経済のグローバル化や高齢化等に伴い東京が直面する課題を解決するためには、5Gを活用した新たなビジネスを生み出すスタートアップへの支援が重要でございます。  このため、都は来年度、5Gの通信環境を提供できる大手キャリアと連携し、スタートアップ支援の新たなプロジェクトを開始いたします。プロジェクトでは、都が医療や福祉などの課題を示して選定した複数のコーディネーターを通じて、有望なスタートアップを掘り起こし、大手キャリアの協力のもと、都を中心に三者が一体となり開発支援を行うこととしております。  スタートアップによる5Gの技術を活用した製品、サービスの創出を加速し、誰もが快適で質の高い生活を送れる東京を実現してまいります。    〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕 ◯総務局長(遠藤雅彦君) 犯罪被害者等への転居費用の助成についてでございますが、有識者懇談会の議論や実態調査等により、自宅が殺人事件の現場となった場合や、性犯罪事件において、自宅を知る加害者からさらなる被害を受けるおそれがある場合等、被害者が自宅に住み続けられない状況に置かれているにもかかわらず、転居費用を捻出できない例が少なくないという実態が明らかになりました。  このため、都は、都道府県として初めて、被害者等が転居を余儀なくされる際に必要となる費用の助成制度を導入することとし、殺人、性犯罪等身体犯の被害者及びそのご家族に対し、二十万円を上限に転居費用の実費を支給することといたします。  これにより、犯罪被害者等が安心して住める住居を確保し、速やかに生活再建ができるよう支援してまいります。    〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕 ◯オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。  まず、ライブサイトの暑さ対策についてでございますが、屋外の会場におきましては、水分補給を適切に行うこととともに、外部からも体を冷やすことは有効でございます。  これまでも、都ではさまざまなイベントにおいて暑さ対策に取り組み、昨年夏のテストイベントでは、冷風機やミストシャワー等を設置したほか、過去大会時のライブサイトにおいては、大会パートナーの協力による水遊びコーナー等を設けたところでございます。  二〇二〇大会時には、多くの観客でにぎわうことが見込まれます大規模会場にミストシャワーを設置するほか、全ての野外会場で携行型ミストを導入するなど、幅広い対応を検討いたします。  引き続き、さまざまな主体の協力も得ながら、誰もが安心してライブサイトを楽しめることができるよう取り組んでまいります。  次に、大会の記憶を伝える施設についてでございますが、メダルや聖火リレーのトーチ等の記念品や記録等のアーカイブ資産を、大会を象徴する資産として将来に引き継いでいくことは重要であります。  こうした資産を保存、展示し、大会の感動と興奮を分かち合うことはもとより、大会を契機に取り組んできた持続可能性や東京の文化の発信など、開催都市としての多様な施策をレガシーとしてさまざまな場面で都民等へ発信してまいります。特に、パラリンピックを契機としたパラスポーツの振興等の取り組みを効果的に伝える展示等を検討いたします。  今後、都におけるアーカイブ資産の展示のあり方について、多くの方に魅力を感じていただけるよう、スポーツ関連の都有施設の活用なども含め、JOC等関係機関との調整のもと、具体的に検討し、方針を策定してまいります。  最後に、大会経費における財政面での対応についてでございます。  大会経費につきましては、これまでも、都立新規恒久施設の整備費用の削減や、組織委員会と連携してIOCに要件緩和を求めるなど、経費の縮減に取り組むとともに、組織委員会に対しては、増収努力を行い、収入確保を図るよう求めてまいりました。  そうした中で、大会経費V4においては、組織委員会の増収が図られ、これを財源として、今後予期せずに発生し得る事態等に対処するため、予備費が計上されております。  今後、大会が間近に迫る中で、安全・安心を確保し、大会を成功させていくためには、こうしたことを踏まえ、引き続き、コスト管理や執行統制を行うとともに、状況に応じて機動的な対応が図れるよう、組織委員会とともに取り組んでいく必要があると考えております。    〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕 ◯病院経営本部長(堤雅史君) 三点のご質問にお答えいたします。  まず、都立病院の地方独立行政法人化についてでございますが、都立病院は、感染症医療や周産期医療など、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療等を着実に提供し、都民の生命と健康を守る使命を果たし続けていかなければなりません。  そのためには、超高齢社会の本格化や医療の担い手不足など、医療課題が深刻化していく中でも、医療環境の変化や都民ニーズに迅速かつ柔軟に対応できる病院運営を実現することが必要不可欠でございます。  こうしたことから、都立病院はこれまでも、都民の医療ニーズに対応するため、地方自治法や地方公務員法等の範囲内においてさまざまな工夫を凝らし、医療提供体制の強化や患者サービスの充実に取り組んでまいりました。  しかし、現行の経営形態には法令等の制度的制約があり、医療ニーズの変化に応じたタイムリーな人材確保の面や、設備整備の面で機動的な対応が困難な状況にございます。  行政的医療等を着実に提供し続けるためには、こうした制度的制約を一体的に解決しなければならないことから、地方独立行政法人が最もふさわしい経営形態であると判断いたしました。  医療環境の変化に確実に対応できるよう、地方独立行政法人への移行に向け、準備を着実に進めてまいります。  次に、人材確保の課題と解決策についてでございますが、現行の経営形態では、人員は毎年度の要求、調整を経て、東京都職員定数条例により年度末に次年度の定数が決定されるため、医療ニーズに機動的に対応した人材確保が困難であり、職員を配置するまでタイムラグが生じております。  例えば、二年に一度行われる診療報酬改定において、民間医療機関等が改定時期に合わせて人員体制の整備を図るところ、現在は、診療報酬が改定された年度に人員増を要求し、翌年度に定数措置がなされるため、採用選考を経て実際に職員が配置されるまでに、診療報酬改定から約一年を要しているのが現状でございます。  また、薬剤師など職種によりましては、定数措置された年度の採用選考となりますことから、配置されるまでにさらなる時間を要しておりまして、新たな体制での診療を迅速に行えないケースが生じております。
     地方独立行政法人化することで、より柔軟な人員配置や、医療現場の実情に合った勤務制度の構築など今以上に働きやすい勤務環境の整備等により、機動的な人材確保が可能となるため、今後、その仕組みの具体化を進めてまいります。  最後に、医療機器整備の課題と解決策についてでございますが、現行の経営形態では、予算は、地方自治法による予算単年度主義のルールのもと、定数と同様に、毎年度の要求、調整を経て、議会の議決により次年度の予算が決定されております。  このため、医療ニーズに対応した迅速な医療機器の整備が困難でございまして、設置までに一定の期間を要しております。  例えば、手術用支援ロボットなど高額医療機器を導入する場合、定められた時期に導入費用の予算要求手続を行い、予算措置の裏づけのもと、翌年度に契約手続を行っております。結果的に、予算要求から機器が設置されるまで一年以上を要しているのが現状でございまして、医療ニーズへの迅速な対応が困難となっております。  地方独立行政法人化することで、中期計画の範囲内での整備時期の変更や、年度をまたぐ契約手続を柔軟、機動的に行うこと等が可能となるため、今後、具体的な制度設計を進めてまいります。    〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕 ◯住宅政策本部長(榎本雅人君) 五点の質問にお答えいたします。  まず、セーフティーネット住宅の登録促進についてでございますが、登録の促進に当たっては、貸し主や不動産事業者の登録に向けた協力を促すため、インセンティブの付与など、効果的な施策が必要でございます。  都は来年度から、空き家等の専用住宅への登録を条件に、貸し主や事業者に対し、それぞれ一戸当たり五万円の報奨金を交付する制度を開始する予定でございます。  本制度の適正な運用を図るため、都の居住支援協議会の構成員である不動産団体への所属や、居住支援法人との連携を報奨金の申請条件とすることなど、信頼性の高い事業者等に利用されるような仕組みとしてまいります。  今後、貸し主の不安を軽減するための施策とあわせ、本制度を積極的に展開していくことにより、セーフティーネット住宅の登録をさらに促進してまいります。  次に、住宅セーフティーネット制度の周知についてでございますが、住宅確保要配慮者の居住の安定を確保するためには、制度の認知度向上を図り、都民の理解を深め、制度が活用されやすい環境を整備することが重要でございます。  都は、わかりやすいパンフレット等を作成し、不動産団体等の協力を得て周知を図るとともに、区市町村に補助制度導入を促しております。特に、貸し主には広報東京都で登録メリットを解説するなど、登録意欲の向上を図っております。  今後は、先行する自治体の取り組み事例の紹介等、区市町村への働きかけを効果的に行ってまいります。また、住生活月間等のイベントも活用するとともに、SNSや広報誌等さまざまな媒体において、都独自につけたセーフティーネット住宅の愛称、東京ささエール住宅を用いたPRを展開するなど、都民向け広報をさらに充実させてまいります。  次に、都営住宅の浴室の設備更新についてでございますが、これまで都は、建てかえや空き家修繕の際に浴室設備を更新してまいりましたが、それ以前から居住者が住み続けている住戸では、いまだに更新が済んでいないものが残っております。  このため、居住中の住戸につきましても、浴室設備を都設置に切りかえる事業を来年度から試行いたします。事業を計画的、効果的に進めるため、建てかえ対象ではない、昭和五十年代及び耐震改修済みの昭和四十年代の住棟のうち、バリアフリー化された、またぎの低い浴槽の設置が可能な住棟を対象に、都による更新を行います。  あわせて、故障した浴室設備につきましても、当面は優先順位を設け、住戸ごとに都による更新を行います。  今後、試行結果を検証した上で、居住者が設置した浴室設備の更新に努めてまいります。  次に、都営住宅の東京みんなでサロンについてでございますが、世帯の高齢化、単身化が進む都営住宅において、居住者や地域の方々が食事等を楽しみながら交流を深める東京みんなでサロンは、地域コミュニティの活性化や、緩やかな見守りの実現に資するものでございます。  実施に当たりましては、地域活動を担う団体や社会貢献事業に取り組む民間事業者などが行っているコミュニティ活性化の取り組みを生かして、それぞれの地域の実情に合わせた居場所づくりにつながるよう工夫を凝らし、早期にモデル事業を開始いたします。  今後、地元区市等との連携を図り、お話のフレイル対策に資するイベント等も積極的に取り入れながら、東京みんなでサロンを展開してまいります。  最後に、都営住宅における買い物弱者対策についてでございますが、都営住宅において、団地内、または近隣の店舗等の閉店等により買い物をする場所がなくなり、高齢の居住者等が不便を感じている団地もございます。  このため、居住者の日常生活の利便性向上とコミュニティの活性化のため、地元自治体と連携して移動販売を実施しており、今後も、移動販売サービスの周知や地元自治体への働きかけなどにより、拡大を推進してまいります。  お話のコンビニエンスストア等の店舗の設置につきましては、店舗事業の採算性、公有財産上の取り扱いなど課題がございますが、都営住宅における地域の居場所づくりを検討していく中で、今後重要となる買い物弱者への支援の観点も含め、事業者ヒアリング等の調査を行ってまいります。    〔戦略政策情報推進本部長松下隆弘君登壇〕 ◯戦略政策情報推進本部長(松下隆弘君) 二点のご質問にお答えいたします。  まず、移動サービスに係る実証と成果についてでございますが、MaaSにより移動の利便性の向上を図るためには、地域特性を踏まえて、さまざまな移動サービスを組み合わせることが重要でございます。こうした認識のもと、今年度、都は、臨海副都心エリア及び竹芝エリアにおきまして、相乗り移動サービスを取り入れた実証実験を実施したところでございます。  この実証実験の実施者からは、来街者の回遊性を向上させるための新たな移動サービスとして非常に有効であると、そういった評価をいただいており、利用者からも、具体的な感想といたしまして、これまで勝どきからお台場まで行きにくかったところであるが、座れて行けるようになって便利であった等の好意的な声をいただいております。  今回の実証実験は、無料で移動サービスを提供しニーズを把握すること等に力点を置いておりますが、今後は、料金設定等、ビジネスとして成立する条件の整理が課題になってくるものと考えております。  次に、交通不便地域における移動サービスについてでございますが、今後、都内では、人口減少や路線バス、タクシーの運転者不足による移動サービス水準の低下、これが懸念されておりまして、特にご指摘のように交通不便地域におきましては、移動手段の確保が求められているものでございます。  こうした状況において、MaaSの社会実装による新たな移動サービスの提供を都が支援していくこと、これは重要であると考えております。  今後は、現在国が検討しているタクシーの相乗り制度、あるいは将来実用化が見込まれる自動運転システム等の活用を含めまして、交通不便地域における新しい移動サービスを取り入れたMaaSの社会実装モデルを早期に構築し、普及を図ってまいります。    〔建設局長三浦隆君登壇〕 ◯建設局長(三浦隆君) 多摩地域を流れる河川の強化についてでございますが、台風第十九号で被災した多摩の河川につきましては、護岸崩壊箇所の出水期までの本復旧に加え、各河川の特性を踏まえ、安全性の早期向上を図ることが重要でございます。  このため、溢水が発生した南浅川を初め七河川では、河道の蛇行区間や狭あい箇所等を把握する調査に着手しており、その結果を踏まえ、局所改良によるボトルネック解消や湾曲部の護岸の強化に取り組んでまいります。  また、洪水時の川の流れに支障がないよう、樹木の伐採や堆積土砂のしゅんせつを適切に実施いたします。さらに、多摩川などを管理する国に対しまして、洪水処理能力向上のため、河道掘削などの推進を求めてまいります。  今後、多摩地域を流れる河川のさらなる安全性向上に向け、着実に取り組んでまいります。    〔環境局長吉村憲彦君登壇〕 ◯環境局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えします。  まず、ユニバーサルデザインタクシーへの車椅子の乗降についてでございますが、国は、車椅子利用者に対する乗車拒否は、道路運送法に違反するものであり、厳正に対処することを業界団体へ通知しております。また、メーカーでは、スロープの設置が容易になるよう改善を行っているところでございます。  都は今年度より、乗務員が車椅子利用者のスムーズな乗降支援方法を学ぶ認証機関による研修の修了と、定期的な社内研修の実施を補助条件に追加いたしました。  今後とも、補助申請受付時に実施している研修修了の確認を確実に行うとともに、国や業界団体とも連携して社内研修の実施状況を適切に把握し、必要に応じて改善を求めてまいります。  次に、ゼロエミッション東京戦略の進捗状況の公表と取り組みの見直しについてでございますが、気候危機に立ち向かうためには、戦略に基づき、一つ一つの政策を着実かつスピード感を持って実行していくことが重要と認識しております。  このため、毎年度、戦略に掲げる目標や取り組みの進捗状況等を把握し、報告書として取りまとめ、公開、周知することで、都民や事業者などの理解と行動を促進いたします。  また、環境審議会等の専門家の意見もお聞きしながら、進捗状況を多角的に分析、検証し、時期を逸することなく見直し等を検討いたします。  今後、PDCAサイクルの持続的な取り組みにより、目標や施策のバージョンアップを図りながら、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。    〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕 ◯都民安全推進本部長(國枝治男君) 防犯カメラの維持管理費負担の軽減についてでありますが、地域の防犯力の向上のためには、多くの防犯ボランティア人材を育成するとともに、町会、自治会、商店街等による防犯カメラの設置を促進するなど、多様な見守りの目をふやしていくことが効果的であります。  都はこれまでも、町会、自治会、商店街等に対し防犯カメラ設置費用などの一部を補助してまいりました。  これに加え、来年度は、地域の防犯力の維持向上に取り組む町会、自治会、商店街等の負担を軽減するため、お話の電気料金や共架料などの経費の一部について新たに補助を実施いたします。  今後とも、犯罪が起こりにくく、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指し、区市町村と連携しながら、地域の安全・安心の取り組みを積極的に支援してまいります。 ◯副議長(橘正剛君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。    午後五時五十五分休憩      ━━━━━━━━━━    午後六時二十分開議 ◯議長(石川良一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  質問を続行いたします。  百二十二番鈴木章浩君。    〔百二十二番鈴木章浩君登壇〕 ◯百二十二番(鈴木章浩君) 令和二年第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。  初めに、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。  現在、新型コロナウイルス感染の拡大が世界的に懸念されております。罹患されました方々とご家族に心からお見舞いを申し上げます。  そして、この間、関係機関と連携して、治療や感染拡大の阻止、都民生活の安定に懸命に努められております都庁職員、全ての関係者に衷心より敬意を表します。  私たち都議会自民党は、都民の皆様の不安を受けとめ、これまで五回にわたり、きめ細かい対策の実施を小池知事に要望してまいりました。これからも、より一層の危機感を持って都民生活に配慮し、国や区市町村、関係機関と連携して、事態収束に向けて全力で取り組んでいくことをお誓いし、質問に入らせていただきます。  小池都政の任期最後の来年度予算は、知事選挙を控え、区市町村や各団体へのヒアリングを通し、四方八方の要望に政治的に応えた大盤振る舞いの予算になりました。  その中には、全く実態に即さない、政策として根拠不明な予算も散見され、思いつきによる思慮を欠いた投資や将来的に減額調整しづらい予算は、今後、禍根を残すものといえます。  これまでも、知事の思い込みから事態を混乱させ移転延期となった豊洲市場においては、結果として、市場業者への補償費用や築地、豊洲両市場の維持管理などを合わせ、二百億円もの新たな費用負担が生じました。  その上、かつての築地市場のように、にぎわいを創出するはずであった千客万来施設の開業が大幅におくれていることによる影響もはかり知れません。  さらに、東京二〇二〇大会の輸送計画において重要な環状二号線が予定どおり完成できなくなるなど、いまだに大きな混乱が生じております。  また、短慮から、一旦白紙撤回をしておきながら、三年後に再び購入を決めた旧こどもの城は、いまだ中途半端な計画であり、十分な説明もないまま、当時より百五十五億円も高い五百二十五億円で購入した上、今般、最短で令和十一年に取り壊すことも想定される条件つきの改修予算百三十六億円が来年度予算に計上されております。  さらに、五千四百二十三億円を投じた築地市場跡地を、築地は守ると公約したにもかかわらず、結果として、食文化などの制約を課して、七十年以上にわたり民間に貸し付け、開発させるという先の見えない無責任なまちづくりが始まろうとしております。  そのほか、来年度から、スマート東京の名のもとで、詳細が不明な百五十八億円規模の事業を展開するとしています。  こうした余りにもパフォーマンス優先で無責任な都政運営が可能なのは、小池知事就任以前の血のにじむような行財政改革と、堅調な都税収入によるものであります。  しかしながら、改めて触れるまでもなく、都税収入は景気変動の影響を受けやすく、過去には一年で一兆円の大幅な減収に見舞われるなど、不安定な形で増減を繰り返しており、丁寧な議論、実効性のある執行体制の構築など、周到な準備をした上で必要な予算を計画的に投入していく姿勢が不可欠です。  内閣府が二月十七日に発表した二〇一九年十月から十二月期のGDP速報値は、消費増税前の駆け込み需要の反動減や台風の影響、暖冬による消費の伸び悩みにより、物価変動の影響を除く実質で前期比一・六%減、年率換算で六・三%減と、五四半期ぶりのマイナス成長に転じ、日銀の短観でも大企業製造業の景況感はゼロとなり、平成二十五年三月の調査以来の低水準となりました。  そして今、世界中が対策に追われている新型コロナウイルス感染症による、日々の生活はもとより、経済活動への影響が各方面に拡大しております。  今後は、日本経済の動向、新型コロナウイルス感染症への影響も勘案し、都財政のたがを緩めるのではなく、先を見通した堅実で真のワイズスペンディングが求められます。  今後の都財政について、知事の見解をお伺いします。  都政の発展を支える計画的な財政運営についてお伺いいたします。  都財政を取り巻く環境の先行き不透明さが増す中で、今後、中長期的な都財政の見通しをより具体的に踏まえながら、都債と基金を活用するなど計画的で戦略的な財政運営が必要です。  その中で、都債には、世代間の負担均衡という役割がある一方、償還、つまり借金の返済が長期的にわたることから、極力都も発行額の抑制に努めてきました。  知事は、ことしの知事査定の初日、機関投資家向けグリーンボンド発行額を二倍の二百億円に増額したと発表し、この都債が倍増したことを発行額の拡大だとして予算案の中で強調しておりました。  確かにグリーンボンドの市場規模は、ESG投資に関心の高い投資家により年々拡大し、二〇一八年の世界での発行額は約十八兆円に上っております。国内でも前年比二・四倍の約三千五百億円に急増しており、発行する企業だけでなく投資家にとってもメリットがあり、大変注目されております。  しかし、グリーンボンドは法律で定義されているわけでなく、環境分野に投資されているか定期的に見きわめる必要があり、都民への十分な説明が不可欠です。  特に、投資した事業者が環境事業に取り組んでいたかのような見せかけで批判を浴びた事例や、かつて国内でも巨大な太陽光発電事業が、エリアの電力供給を不安定にした事例など、慎重に見きわめていくことが必要です。大切なことは、定期的に民間事業者への投資の実績と多額の都債を発行してどのような結果が得られているのか、都民に適切に報告することです。  こうしたことから、現在の財政運営、将来見通しを踏まえると、来年、機関投資家向けのグリーンボンドの発行額を二倍にする、つまり都債を倍増する必要性が不明といえます。  また、多くの懸念もある中で、今年度の最終補正予算に、財政需要に備えるという漠然とした理由で三つの基金を新設しました。その一つが、スマート東京推進基金五百億円で、実施戦略の中にも明記されております。  ところが実際は、都内中小企業のイノベーション創出事業に運用されてきた基金百九十二億円を取り崩して、その上に約三百億円を積んだということです。それを五百億円の基金を新設したと発表しているのです。  イノベーションの創出のため、生産性向上のため、新たな通信技術を一番必要としているのは中小企業であり、その中小企業を所管する産業労働局から予算を取り上げ、財務局が所管する新たな基金に統合する意味はどこにあるのでしょうか。  小池知事は、都債発行額を懸命に抑えている最中に、グリーンボンド発行額、つまり都民の将来負担を倍増させたことを賢い環境対策として強調し、その一方で、貯金、つまり基金の新設を実際よりも膨らまして説明しています。  いうまでもなく、都債も基金も東京の将来の財政運営にとって大切な活用手段です。特に、景気の先行きが不安になってきた今こそ、その取り扱いは慎重に、そして都民に対して正直に、わかりやすく的確な発信を行いながら進めるべきであります。誤解を与えるパフォーマンスのような取り組みは、厳に慎むべきです。  財政運営にとって一番大切なのは、都民の信頼を得ることです。知事の見解をお伺いします。  知事は、人口減少、少子高齢化への対応や大規模災害への備えなど課題が山積した都政において、未来の東京戦略ビジョンに掲げる二〇四〇年代の東京の姿を目指し、未来への投資を積極的に行うことにより、成長が財源を生み、さらなる政策へとつながる好循環を生み出していくことが重要であると予算等の概要の中で述べております。  しかし、都が発表した未来の東京戦略ビジョンは、財政的な裏づけがないため、イメージばかりが羅列され、抽象的な印象を拭えません。  一方で、同時期に公表された東京都の財政収支の長期推計は、過去の決算ベースで推計が行われ、戦略ビジョンに基づき今後具体化される新たな事業費は織り込まれていません。  そこで、未来の東京戦略ビジョン作成に当たり、財務局は財政運営の視点からどのように関与してきたのか、また、今後の戦略ビジョン事業の具体化を財政運営においてどう担保するのか、あわせてお伺いいたします。  都が昨年五百二十五億円で購入した旧こどもの城の中期的な活用について、二回のパブリックコメントを経て、今月、都は都民の城改修基本計画を示しました。  パブリックコメントは三百八十九件の意見が寄せられ、そのうち七割近くを占めるのが、舞台芸術の創造、発信地としての青山劇場を復活してほしい、残してほしいというものだったのですが、都は、舞台設備の全面復旧にはさらに四十四億円の追加費用を要することから、多目的ホールにするとして、寄せられた大多数の意見を退けています。  また、あくまでも、とはいいながらも、最短で令和十一年までの中期利用のために、百三十六億円もかけて改修することを疑問視する声さえ上がっております。  三十年にわたり、ミュージカル、アニーや演劇、バレエなどで親しまれてきた劇場を残してほしいという都民の声に対して、残すには四十四億円追加でかかるからと却下しておきながら、結果として都が示したのは、計画は、具体的な期間も示せないような中期利用のための改修に百三十六億もの多額の費用をかけるという内容です。これがワイズスペンディングといえるのでしょうか。都民ファーストといえるのでしょうか。知事の見解をお伺いします。
     都区制度に関してお伺いします。  都と特別区は、児童相談所の設置に向け、都区間の協議を続けてきました。  昨年度の時点では、都の主張は一貫して、一括して移管することを都区合意した清掃事業、保健所の区移管と同様のものと考えておらず、配分割合を変更する理由には当たらない、財源配分はおろか、財調算定すること自体検討する状況にないと主張してきたと理解しておりますが、間違いないか、まずお伺いいたします。  今回、まさに急転直下で方針を覆したのですが、都は、特別区への配分を〇・一%ふやすとの提案を、いつ、誰が、どのような理由、経緯で行ったのか、具体的に説明をお伺いいたします。  最終的に、都区間の協議で決める事項であることは承知しております。しかし、都区間の配分変更は、都の財政運営に直接影響するものであり、特別区との協議の前に、都内部の関係局の議論はもとより、都議会とも慎重に協議検討した上で判断すべき事項だと考えております。  そこで、三点確認させていただきます。  一つ、財源配分の変更を特別区に提案するに当たり、総務局は都財政を所管する財務局に対して、いつ、どのような説明、調整を行ったのか、お伺いいたします。  二つ、今回の争点である児童相談所を所管する福祉保健局に対して、総務局は、いつ、どのような説明、調整を行ったのか、お伺いいたします。  三つ、今回の財源配分の変更は、多羅尾副知事がみずから発言したとおり、内訳が示されておりません。これはほかにない極めてイレギュラーな判断であります。これでは合理的な説明がつかず、将来に禍根を残しかねません。今後の都の収入を削り、財政運営にも大きな影響を及ぼす方針変更ですが、財務局は納得ができているのか、また、今回に限った対応と考えているのか、財務局長にお伺いいたします。  今回の都区間配分の変更は、都区財政調整制度の運用に当たり、丁寧に歴史を積み重ねてきた都行政、都議会の先人たちの努力を無にし、都区財調制度の根幹を破壊する暴挙としかいいようがありません。このことを改めて指摘しておきます。  東京、さらには我が国全体の発展を促進するためには、東京の活力の増進が必要不可決であり、東京の重要施策の実現に対する国の協力が重要であることはいうまでもありません。  こうした観点から、我が党は国に対し、東京の重要施策を着実に推進する仕組みづくりを要望し、その結果、一昨年十二月に国との協議の場、実務者協議会が設定されました。  昨年一月に開催された第一回の協議会において、外環の整備促進や鉄道新線の整備など都の重要施策八項目について、国が協力していくことが確認され、その後の各施策の進展を大いに期待したところであります。  そのため、我が党は一年前の代表質問において、都の本気度を示すにはスタートダッシュが肝心であり、勝負はこの一年であるため、今後どのような戦略を持って協議を進めていくのかと質問をいたしました。  それに対し、実務者協議会のトップである長谷川副知事からは、戦略的に協議を進め、実質的な成果が得られるよう私自身が先頭に立って協議を進めていくとの答弁がありました。  それでは、実際に一年以上たった現在、どこまで協議は進んだのでしょうか。  昨年七月に第二回が開催されましたが、都は来年度の予算要求への反映などを国へ要望しただけであり、その後半年以上たちますが、一度も開催されず、具体的な成果も全く見えていないのが現状であります。  このままでは、この協議会が形骸化し、国の協力が得られず、都の重要施策が暗礁に乗り上げてしまうのではないかと大変危惧をいたしております。  そこで、協議開始から一年がたった今、現時点の到達点と今後どのように戦略的に取り組んでいくのかについて、改めて長谷川副知事の所見をお伺いいたします。  新型コロナウイルス感染症の終息に向けた対策は、今、首都東京が直面する喫緊の課題であり、まさに国難への挑戦です。産業面においても危機管理上の問題として認識しなければなりません。  日本経済の代表的な指標であるGDP成長率は、一月から三月期についてもマイナスになる公算が高く、仮にそうなったとすれば、半年間マイナス成長が続くことになります。  現下の、そして今後の日本経済への影響は深刻に受けとめざるを得ません。  日本経済に占める中国経済のシェアが大きいがゆえに、中国の経済の行方が混沌とする中で、新型コロナウイルス感染症が東京の経済にどの程度、いつまで影響するのか、極めて不透明であります。  特に観光産業に係る産業、例えばホテル、旅館、タクシー、ハイヤー、イベント関連業、屋形船といった分野では、既に甚大な影響が生じており、とりわけ中小零細企業への影響が大きくなっております。  先日、都は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、中小企業者等特別相談窓口を設置したところですが、これだけでは十分ではありません。今や、まさに基金を取り崩すぐらいの大きな決断が必要な状況にあるといっても過言ではありません。  こうした強い危機感から、我が党は昨日、二階幹事長、岸田政務調査会長に対して、新型コロナウイルス感染に対する緊急経済対策に関する要望を行ったところであります。  そこで、今こそ大型の緊急対策をとるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。  今後、感染が拡大した場合には、新型コロナウイルス感染症患者を診療する体制の整っていない一般の医療機関も含めた体制整備が必要であるとの専門家からの指摘があります。  また、容体が変化した場合には、転院搬送を行えるようにすることが重要と考えます。患者に適切な医療を提供するため、必要に応じて転院できるよう、患者の搬送体制への支援が必要と考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。  今回のコロナウイルスは新たな感染症であるため、不明な点が少なくありません。わからないがゆえに、多くの都民が不安を感じております。正しい情報を周知し、知らないことによる不安を払拭することが重要と考えますが、都民への情報提供についての都の考え方をお伺いいたします。  今回の感染症の発生に伴い、東京を訪れる外国人旅行客の減少など、観光関連産業を初めとしてさまざまな影響があらわれており、今後は、中国との取引関係のある産業などに影響が広がってくることも心配されます。  我が党は先日、都に対して、事業活動に多大な影響を受ける中小零細企業に対する資金繰り支援について要望を行い、都は新年度を待たず補正予算により緊急融資を実施する方針を示しました。  緊急融資をできる限り早期に開始することはもとより、その実施に当たっては、経営への影響を受けている中小零細企業に着実に支援が行き届くような体制を整える必要があります。  そこで、緊急融資の利用要件の考え方と融資相談の体制について、都の見解をお伺いいたします。  各種イベントが休止する中、東京マラソン財団は、本年三月一日に開催予定だった東京マラソン二〇二〇について、一般ランナーの参加を取りやめ、参加料は返還できないが、来年出走する権利を与えると発表しました。  感染拡大を防止し、都民生活を守る必要があることなどからも、こうした判断に至ったことは理解できます。  我が党は、規約上、参加料は返還できないことは理解しておりますが、東京マラソンを楽しみにしてきた多くの一般ランナーへのさらなる配慮について、マラソン財団とも協力して早期に具体策を策定すること、そして、感染防止のために、ランナーに配布予定であったマスクを都内の感染防止に有効に活用するなど、マラソン財団が感染防止のためにストックしている資源を都内の感染拡大防止や安全・安心なスポーツ環境整備のために有効活用することを都に要望いたしました。現在の都の取り組み状況をお伺いいたします。  昨日、コロナウイルスの感染の広がりを受けて、文科省が対応方針の基準を示しました。そして、本日の午前十時三十分に開催された東京都の対策本部会議においても、学校等における対策の強化として、都立学校における対応が示されました。  その中でも触れられていますが、現在、学校現場が悩んでいるのは、感染者を出さないための具体的な指針です。校外学習などの教育活動や三月の卒業式や謝恩会、四月の入学式などの対応をどうすべきか、児童生徒の皆さんや保護者の方々にも困惑が生じております。  都内区市町村立学校に関して、都は、都立学校の方針の共有と連絡体制強化を図り、取り組みを支援するとしております。  学校での感染防止対策を徹底し、区市町村立学校も含め、都内各校の対応の混乱を未然に防止するには、平常時の教育行政の枠を超えて、知事からより明確なメッセージを発信し、感染拡大防止に万全を期す知事の強い意思を示すべきであります。  ちなみに、北海道知事は、先ほど、あすから一週間、小中学校の休校を各市町村に要請いたしました。あわせて、一部の地域で起きている小規模な集団感染クラスターの発生をいち早く見つける専門家チームの派遣を国に要望いたしました。知事の取り組みに対する見解をお伺いいたします。  今回、いよいよ東京でオリンピック・パラリンピック大会が開催されます。スポーツの祭典であることはもちろんですが、東京が世界にさまざまなメッセージを発信する絶好の機会でもあります。  我が党は、世界五大マラソンが、がん撲滅などのテーマをもって開催されている現状を踏まえ、東京マラソンにもテーマを与えるべきと提言し、地球環境を掲げて開催した時期がかつてありました。  地球温暖化はいよいよ進行し、国内各所で大水害が発生し、大きな爪跡を残しております。温暖化は、まさに地球規模で全世界に影響を及ぼし、各国、各地域で取り組みの加速が叫ばれており、都としても、地球温暖化対策は喫緊かつ最重要課題の一つであります。  ことしのオリンピックにおいても、暑さ対策の一環としてマラソン競技の札幌移転が決定され、国内では地球温暖化問題が再確認されました。  猛暑が危惧される現状を鑑み、東京大会において、地球温暖化対策の促進を世界に対して発信する絶好の機会と考えます。知事の認識と見解をお伺いいたします。  環境問題として、プラスチック廃棄物がクローズアップされております。プラスチックは、さまざまな商品に使用されておりますが、その反面、ごみとして大量に廃棄されております。  二十三区では、ごみの埋立処分量の削減に向け、廃プラスチックを清掃工場で焼却し、熱回収を行うサーマルリサイクルで対応するとの方針が示されております。  しかし、プラスチックの主原料は化石燃料であることから、焼却時に大量の温室効果ガスが発生いたします。  都内では、ほとんどの廃プラスチックを焼却処理する自治体がある一方、プラスチック製容器包装のリサイクルを導入して焼却量の削減に取り組む自治体もあり、自治体間でリサイクル方針に大きな隔たりがあります。  都全域で廃プラスチックのリサイクルを進めていくためには、都がリサイクルとCO2削減効果の関係性を調査し、廃プラスチックのリサイクルの考え方を区市町村や都民に丁寧に説明して理解を求めていく必要があります。都の見解をお伺いいたします。  同時に、現実的なリデュース、ごみ削減の取り組みを具体的に示す必要があります。そのための施策についても、あわせてお伺いいたします。  イギリスで、ガソリン車等の販売禁止の二〇三五年への前倒しが発表されるなど、世界中で脱炭素化の動きが加速する中、東京においても実効性ある取り組みにより世界をリードすることが求められます。  その切り札となるのが水素であり、まずは官民挙げて初期需要の創出に努め、価格低下や技術革新を促していく必要があります。  そのために不可欠な水素の供給インフラとなる水素ステーションに対しては、これまで国や都によるさまざまな支援策が講じられるとともに、整備、運営コストの削減につながる規制緩和も徐々に進められてまいりました。  しかし、都内では、現在わずか十六カ所と、一層の努力が必要な状況であります。今後の水素ステーションの整備促進に向けた課題について、どのように認識しているのか、都の見解をお伺いいたします。  東京二〇二〇大会の開催まで、あと五カ月を切りました。大会の招致を進めていた当時、日本は混沌と閉塞感に覆われておりました。その時代を乗り越え、東京だけでなく日本全体に明るい光をもたらすべく、我々都議会自民党は、これまでオリンピック・パラリンピックの招致と準備に取り組んできたのです。  招致活動は、福岡との国内選考から始まり、その後はまさにオールジャパン、総力戦でありました。二〇一一年には東日本大震災に見舞われましたが、被災地にも勇気を持っていただくためにも、大会を通じて、大震災から復興した姿を披瀝することで、世界への返礼としていく決意を示しました。  二〇一三年にはスポーツ祭東京を成功させ、スポーツ都市東京の魅力を広く発信するとともに、二〇一九年にはアジア初となるラグビーワールドカップの開催を、二〇二〇年大会と一体のものとして成功させるべく取り組んでまいりました。  東京開催決定後も、初めて発生する数多くの課題を乗り越えてまいりました。競技会場の見直しや経費の適正化、大会輸送と都民生活との両立、暑さ対策など、知事が三人もかわる中で、さまざまな課題に正面から向き合ってまいりました。  昨今、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、大会への影響を懸念する声も聞こえております。困難な課題ではありますが、国や組織委員会を初め、関係機関と十分に連携し、乗り越えていかなくてはなりません。  今、大会は目の前に迫りました。来月二十日には、アテネからオリンピックの聖火が運ばれてまいります。改めて、何のために東京はオリンピック・パラリンピックを行うのか。二〇二〇年はゴールではありません。二〇二〇年大会の成功を跳躍台として、長期的な視点に立って、東京というまちをどのように変革していくのかが重要であります。  都市基盤整備の充実や経済の活性化、障害者、高齢者、子育て家庭など誰にでも優しいバリアフリー都市の実現など、大会のレガシーを生かし、東京を世界で一番の都市にしていくことが重要であると考えます。  大会まで残された期間はわずかとなりました。万難を排し、大会を成功させるとともに、その成果をレガシーとして東京の魅力と活力の向上にどのようにつなげていくのか、知事の決意をお伺いいたします。  オリンピック憲章にも示されているように、オリンピックはスポーツと文化の祭典であります。かねてから東京大会の成功要素として、パラリンピック成功のみならず、文化プログラムの盛り上がりが必要不可欠であるとし、都はTTFとして、伝承のたまてばこやサラダ音楽祭といった文化プログラムを展開しております。  これまでに八百二十六事業、一千六百万人もの方が参加されたそうでありますが、東京大会と異なるエンブレムを使用しているTTFは、いまだにオリンピック・パラリンピックの文化プログラムと結びついていないように思われてなりません。  また、定例会初日に行われた施政方針表明では、知事はパラリンピックに対しては熱く語られておりましたが、それに比べて文化プログラムに対する言及は少なかったように思えてなりません。  東京大会開幕まで百五十日を切りました。これから行われる文化プログラムを真に東京大会成功につなげるため、知事みずからTTFの取り組みを発信し、拡充に努められるべきと思いますが、見解をお伺いいたします。  目の前に迫った大会の成功に向けて、今、都議会が一番注力すべきことは、輸送対策であります。  これまで都は、大会の成功は輸送が鍵であり、TDMの実施には、何よりも企業や都民の理解と協力が必要としてまいりました。  しかし、今なおTDMは十分理解されたとはいいがたい状況であります。我が党は、特に中小企業や商店街などの取り組みがおくれていると指摘をし、その結果、ようやく昨年末に補正予算をつけ、対策が進められようとしております。  今、一番課題である輸送対策について、どのように取り組みを進めるのか、知事に改めてお伺いいたします。  先月行われたアンケートによると、大会期間中の大規模な交通規制の可能性について、聞いたことがない、よく知らないと回答した方がまだ七割にも及んでおります。企業や都民に大会時のみずからの行動をイメージしてもらうためには、情報発信とあわせて、交通規制の内容を詳細に示していく必要があります。  昨年末に公表された輸送運営計画V2では、交通規制の内容がほぼ明らかにされましたが、詳細な期間は明らかにされておりません。そのために、大会時の具体的な対応を、いまだ検討できない状況にあります。先日の特別委員会では、二月末以降、調整のついたものから順次公表していくとの答弁がありましたが、期間を含め、交通規制の最終的な全体像も一日も早く確定し、その詳細を明らかにすべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。  大会中の輸送対策に対しては、日本一のコンテナ取扱量を誇る東京港における取り組みも重要であります。トレーラーを初めとする日中の車両の通行量を削減させるためには、コンテナターミナルのゲートオープン時間を深夜にまで拡大するなど、港湾地域での物流を可能な限り夜間にシフトさせることが有効ではないでしょうか。ただし、夜間へのシフトの移行には、物流に関係する多くの方々に多大な負担を強いるものであります。  都は、こうした取り組みを確実に進めるためにも、関係者の方々のご理解とご協力を得られるよう、ハード、ソフトの両面にわたる支援を十分に行うことを強く求めておきます。  二〇二〇年大会の本番が近づいてまいりましたが、オリンピック競技団体に比べ、国内の障害者スポーツ競技団体は、健常者のスポーツ競技団体と異なり、運営が不安定な団体が少なくありません。  その結果、練習環境や選手の強化費もままならない団体もあり、我が党は、こうした団体に対する事務局機能への支援の必要性も訴えてまいりました。  それは、大会本番のパフォーマンスはもとより、障害者スポーツの未来のためであり、こうした団体の基盤の安定化なしに、障害者スポーツの振興は絵に描いた餅であると考えるからであります。  日本財団が競技団体本部の事務所を提供するなどのサポートをしてくれることによって、大会本番を迎えることができますが、都団体に目を向けると、法人化ができていない団体も多いのが現状であります。  大会後、都としてどのように障害者スポーツ競技団体の活動を支援していくのかの見解をお伺いいたします。  東京大会後のレガシーの一つは、障害者自身が身近な地域で気軽にスポーツに参加できるよう、環境が構築されることにあります。そのための目標指針の一つこそが、障害者スポーツ実施率四〇%の達成であると考えます。  この目標達成には、指導者、補助者の育成や、障害者が参加しやすいスポーツ教室や体験会をふやすといったソフトの面の拡充と、障害者でも利用しやすい施設を、区市町村といったより身近な生活環境にある施設にも整備していくなど、ハード面の拡充の双方が不可欠であります。  加えて、企業や大学といった民間施設への働きかけも成果が出始めてきており、継続していただきたいと申し上げておきます。  パラリンピックを通じて醸成される障害者スポーツの理解や盛り上がりを一過性のものとせず、その後も継続できる環境整備のために、都はどのように取り組んでいくのかの見解をお伺いいたします。  ロンドン二〇一二大会では、パラリンピック大会の観客数とともに、ボランティアを初めとする運営スタッフとしても障害者が積極的に参加する機会をつくることにおいても成功いたしました。  報告書によれば、都市ボランティア全体で五%は障害者が参加したようであります。東京大会では、シティキャスト応募のうち、障害等による配慮、支援を求める方は百四十名と聞いております。ロンドン大会と単純に比較はできませんが、もっと積極的に参加できるよう取り組むべきだったのではないでしょうか。  大会が近づく中で、障害者の方からも、大会や機運醸成にもっと積極的にかかわりたいとの声がふえてきております。これまでにも呼びかけを行ってきたことは承知しておりますが、さらに積極的に参加する機会の創出、拡大に努力を講じるべきではないでしょうか。都としてどのように応えていくのか、見解をお伺いいたします。  東京大会の開催決定後、都内の各教育現場でオリ・パラ教育を進めてきました。いよいよその集大成であります。都立特別支援学校の子供たちにとっても、オリンピック・パラリンピック大会の競技観戦は、何度も経験できない大変貴重な機会となることでしょう。  しかしながら、実際には大変な観客数が見込まれる競技施設での観戦に向けては、さまざまな安全上の配慮が必要であることはいうまでもありません。移動時はもとより、さまざまな医療的配慮や支援が必要な児童生徒もおります。こうした児童生徒や保護者の方が安心して当日を迎え、観戦に臨めるよう、引率教員の増員など、介助体制、医療的ケアの体制についても万全の準備で事に当たらなければなりません。あわせて、組織委員会や競技施設を初め、関係各所との調整もあろうかと思います。  そこで、現在までどのような取り組み、調整をされているのか、教育長にお伺いいたします。  オリンピックを契機とした共生社会の実現に向けた都営交通の取り組みについてもお伺いいたします。  共生社会を実現するためには、障害者を初め、誰もが円滑に移動できることが不可欠であり、公共交通機関の役割は重要であります。  これまで都営交通では、さまざまなバリアフリー化に取り組んでまいりましたが、共生社会の実現に向けて、わかりやすい案内表示の設置など、さらに取り組みを進化させていくことが重要であります。  また、都内では、いまだに駅構内のエスカレーターで、歩く人のために右側をあける習慣があります。所によっては、左側をあける地域や歩くことを容認する国もあるとお聞きいたしております。  我が国では、単に輸送量の減少や安全性の問題のみならず、障害によっては右側にしか立ちどまれない方がいることを考慮すれば、エスカレーター利用のマナー啓発を促進することも必要であります。  東京大会には、我が国の環境になれていない多くの外国人も訪れます。共生社会実現に向け、さらなるバリアフリー化や相互理解促進の取り組みを進めていく必要があると考えますが、都営交通の取り組みについての所見をお伺いいたします。  大会終了後、東京の経済活動を一段と活性化させる取り組みも重要であります。日本では、未曽有の少子高齢化が進み、今後、内需の大幅な拡大が期待できない中、海外需要を積極的に取り込んでいくことが、持続的な経済成長を実現する上で不可避であります。  観光産業は、外国人旅行者による宿泊、移動、さらには買い物などによる経済波及効果が高く、二十一世紀最大の産業といわれており、海外需要の取り込みを目指す上で、極めて重要な産業分野であります。
     都では、観光庁の設置より六年も早く観光セクションを立ち上げ、先人たちの努力により、約十年間で日本の国際順位は、二十八位から十一位にと大きく順位を押し上げ、日本もようやく観光先進国の仲間入りを果たしました。  一方で、外国人旅行者受け入れ数トップであるフランスは八千九百万人であり、いまだ大きく水をあけられているのが現状であります。  昨今、訪日旅行者が急増していますが、これは、中国やインドなどアジアの中間層の増加やビザの緩和、LCCの増便が要因と考えられます。  今後は、東南アジアやアフリカの経済発展に伴う旅行者の増加が期待される中、潜在的な観光需要を東京にいかに取り込んでいくのかという視点が欠かせません。  東京は、海外の他都市に比べ、単なる高層ビル群だけでなく、江戸から続く歴史や文化、ミシュランの星つきレストランが最も多いなど、食のポテンシャルも非常に高いのであります。また、我々にとっては思いもよらないものが、外国人から見ると観光スポットとしてSNS等で世界中に拡散されております。  東京二〇二〇大会を目の前に控え、日本のゲートウエーである東京に世界の耳目が集まり、来年度は今後の観光産業の将来にとっての最大のチャンスであると同時に、これを逃せば最大のピンチにもなりかねません。  今後の観光産業の将来を見据え、観光を東京の一大産業にすべく、より一層取り組みを強化すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。  我が党はこれまで、首都直下地震から都民の生命と財産を守る上で、都内の木造住宅密集地域の不燃化を進め、災害が発生する前にハード面を整備することが重要であることを強く訴えてまいりました。都もこれに応えて整備を進めておりますが、いまだ道半ばであります。  しかし、災害は待ったなしであります。都内には、道路が狭隘で消防車などの緊急車両等が通行できない地域や、消防活動の困難な地域がいまだに多数存在しております。こうした地域で災害が発生した場合の対策にも万全を期すことが重要であります。  そこで、木造密集地域など消防隊の活動が困難となる地域における活動体制の強化についてどのように取り組むのか、お伺いをいたします。  一昨年、中国地方に甚大な被害をもたらした西日本豪雨や昨年の台風十五号、十九号など、最近は風水害による被害が多く発生しております。このような状況の中、災害から都民を守るために、地域と深いつながりを持つ消防団の力は不可欠であります。  そこで、消防団の装備資機材のさらなる充実を初め水防訓練の拡充など、頻発、激甚化する風水害による災害への備えを強化しておくことが重要と考えます。  消防団の活動体制の強化についての見解をお伺いいたします。  昨今、ドローン技術の進展は目覚ましいものがあり、宅配や農業など産業分野での活用とともに、災害対応での活用も期待されております。  そのような中、東京消防庁では、今後ドローンを活用した災害対策を拡充していくと聞いておりますが、現在までの活用方法や活用事例、今後の活用方策についてお伺いをいたします。  今月五日、神奈川県逗子市で崖崩れが発生し、女子高生一名が犠牲となりました。心からご冥福をお祈りいたします。  この崖崩れが発生した場所は民有地の斜面であり、土砂災害警戒区域にも指定されておりました。都内でも、この土砂災害警戒区域は約一万五千カ所が存在しており、都民にとっては大変身近な危険となっております。  昨今、気候変動により台風や集中豪雨による土砂災害が頻発、激甚化しており、いつ、どこで発生してもおかしくない状況にあります。土砂災害から都民の生命を守るためには、住民の防災意識を高め、みずから迅速な避難行動をとっていただくことが第一であります。  同時に、土砂災害を防止するハード対策も計画的に進め、危険な場所を可能な限り少なくする努力も重要であります。  都では、昨年九月末に土砂災害警戒区域の指定が都内全域で完了したところですが、今後さらに土砂災害対策を推進すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。  知事は、スマート東京の実現に向けて、ITサービスの分野で活躍してきた宮坂副知事を登用し、都庁でもICT人材を専門職で新設するなど、積極的に活用していくなどの姿勢を示しておりますが、それだけでは不十分であることは当然承知していると思います。  スマート東京で描かれた内容を実現するには、明確なマネジメントポリシーが必要であり、そこには国、自治体、民間との連携を進めることが肝要であります。  知事が描く夢のようなビジョン全てを実現しようとするならば、当然補正予算案に計上された五百億円の基金どころで済むわけがありませんし、相当な期間を要することはいうまでもありません。  国際競争力を高めるべく、スマート東京を実現しようという知事のアイデアを否定するものではありませんが、これまでの知事の都政運営への取り組み姿勢を知る者としては、また思いつきのパフォーマンスに終わってしまうのではないかと大変心もとないのが率直な思いであります。  知事の政治的パフォーマンスで終わるだけでなく、都民にも将来にわたり負担を強いる可能性すらあります。長期的には、東京の都市としての魅力や国際競争力を失うことにもつながりかねないことを指摘しておきます。  知事がスマート東京で描いた世界を本気で実現したいと思うのであれば、もっと地に足のついた実行計画を長期的かつ明瞭に描き、人も資金も大胆に投じ、愚直に施策を積み重ねていく覚悟が問われます。知事の覚悟をお伺いいたします。  そして、都は、スマート東京を進めるためとして、イノベーション創出基金を廃止し、新たに五百億円のスマート東京推進基金を設置するとしております。  廃止されるイノベーション創出基金は、東京のさらなる成長のためのイノベーション創出に向けた基金として設けられ、都内中小企業の成長と東京の産業基盤充実に資する事業に活用されてきた経緯があります。  イノベーション創出基金は、全額スマート東京推進基金に充当されると聞いておりますが、スマート東京推進基金においても、引き続き中小企業の成長につながる事業に有効活用すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  昨年末に都が発表した戦略ビジョンでは、二〇三〇年までにキャッシュレス決済比率を五〇%まで引き上げるとの政策目標を掲げております。  国の大規模なポイント還元事業等により、キャッシュレス化が普及しつつある一方で、決済手続の多様化やさまざまな事業者が進出してきたことにより、導入のハードルを高く感じる中小企業、事業主が多いのが実態であります。地域の消費生活を支える中小企業、事業主にとって、痛みの少ないキャッシュレス化でなくてはなりません。  機材等の導入コストの負担感や事業者にかかる手数料、現金化までのタイムラグといった三つの導入障壁を払拭するための施策こそ、実効性のあるきめ細かな導入支援といえます。都の見解をお伺いいたします。  先日公表されたPISA二〇一八によれば、日本は学校の授業、国語、数学、理科におけるデジタル化機器の利用時間が短く、OECD加盟国中、最下位とのことであります。  これからの社会経済を想像すると、教育では、未来のつくり手となる子供たちに必要な資質、能力を育成するべく、授業のさまざまな機会でICTを活用することは不可欠であると考えます。同時に、実効性のある質の高い取り組みが求められます。  都教育委員会は、来年度からTOKYOスマート・スクール・プロジェクトを始めると聞いておりますが、都立学校における取り組みと実効性についてお伺いいたします。  都は現在、東京都ひとり親家庭自立支援計画第四期の策定に取り組むなど、ひとり親支援の体制強化に改めて取り組んでおります。  この計画の基本理念には、ひとり親家庭の自立を支援し、生活の安定と向上を図ることや、地域で安心して生活し、子供を健全に育むことができるよう、都が施策を通じて環境を整備することを掲げております。  各種調査によれば、ひとり親、特に母子世帯において困窮の割合が高いという抜本的な問題があります。  このため、都は、母子家庭の親の経済基盤を確立すべく、養育費を確保することや安定した就業ができるよう支援を行っております。  しかし、現在の生活を何とか継続することが精いっぱいであり、将来への不安を払拭できていないのが実情との声も聞こえてまいります。  そこで、こうした支援を継続するとともに、その後の自立に向けて、ひとり親自身のキャリア支援を行うことが重要と考えます。都の見解をお伺いいたします。  都内の各保育所では、保育ニーズの多様化に伴い、障害児やアレルギー児の対応、延長保育など、多様な保育サービスの提供が求められております。  また、保育士の確保、定着のため、処遇改善のためのキャリアアップの仕組みを導入するとともに、保育の質の向上に向けた研修等に取り組んでおります。こうした中、それに伴うさまざまな事務が発生し、大変ご苦労されているということを管理者の方々から伺います。  また、昨年十月の幼児教育、保育の無償化のスタート後においては、給食費の徴収事務等が新たに発生し、事務負担が増大しているとの声が聞こえてまいります。  そこで、都は、保育事業者の事務負担軽減に向けて、中長期的な視点で対応策を検討すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。  東京の私立高校は、建学の精神と独自の教育理念に基づき、個性豊かな教育活動を展開し、東京の公教育において重要な役割を果たしております。  その重要性に鑑み、都議会自民党は、学校運営に対する経常費補助の充実に力を尽くすとともに、保護者の経済的負担の軽減や学校の耐震化、グローバル人材の育成を目的とした補助など、私学振興に幅広くきめ細やかに取り組んでまいりました。  そうした中、今般、私立高校の授業料負担を軽減する特別奨学金制度が拡充され、年収約九百十万円未満の世帯まで対象が拡大されましたが、まずはその理由についてお伺いいたします。  こうした直接的に保護者負担の軽減を図る施策は必要であります。一方で、学校に対する助成も重要であります。国際化、情報化の進展に対応する先進的な教育など、私立高校の多様な教育活動を支えているのが学校に対する助成であります。  また、学校に対する助成は、間接的に保護者負担の軽減を図ることを目的の一つとしており、所得にかかわらず、全ての世帯の保護者の負担軽減につながるものであります。  しかしながら、私立高校の収入に占める補助金の割合は約三分の一にとどまっているため、学校現場からは毎年拡充してほしいという要望が出ております。  私立学校への助成や保護者負担軽減などの制度は、学校や保護者を交えた長年の議論の上に総合的に構築してきたものであり、充実に当たっては、これまでの歴史や制度の積み重ねを踏まえ、総合的にバランスよく展開していくことが重要であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。  公立小中学校においては、外部人材の活用など多様な取り組みの結果、いわゆる過労死ライン相当の教員の割合が減少するなど、一定の改善が見られております。  しかしながら、国が定める時間外労働時間の上限である月四十五時間を超える教員は依然として存在しており、今後さらなる取り組みの強化が望まれます。近年の教員採用試験の倍率低下は、過重な勤務時間などのイメージも影響しているとも聞いております。  働き方改革とは、単に勤務時間を短縮することが目的ではなく、この取り組みによって、生産性かつ効率的で健全な職場環境を再構築すべき機会と認識しております。そうした意味でも、教職員の現場にICTを積極的に導入することは理にかなったものであります。  そこで、ICT化の推進をより一層積極的に図りながら、働き方改革に取り組むべきと考えますが、統合型校務支援システムの導入状況と今後の見通しについてお伺いいたします。  都内公立学校を多角的に支援する全国初の団体である一般財団法人東京学校支援機構が昨年七月に設立されました。今後、東京学校支援機構が学校運営をきめ細かくサポートし、東京の未来を担う子供たちを育む学校教育の質の向上に大きく貢献していくことを期待しております。  機構では、令和二年度から人材バンク、学校法律相談デスクとともに、都立学校の緊急修繕などの学校施設修繕業務の受託といった事業を開始すると伺っております。学校施設は、子供たち一人一人の発達段階に応じ、教育活動が展開される大切な場所であります。  こうした学校施設の緊急修繕等に係る業務について、新たに東京学校支援機構を活用することの意義をお伺いいたします。  子供たちへの施策の充実はもちろんですが、今後の超高齢社会を見据えた高齢者対策の充実強化も重要な課題が山積しております。  介護職員宿舎借り上げ支援事業についても、より人材の確保、定着に資するよう、また、高齢者施設が災害時に迅速に対応できるよう、補助要件等の見直しを行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。  都は、高齢者の社会参加や社会福祉向上に大きな役割を果たしているシルバーパスに関して、利用者実態調査を行いました。今後さらにふえ続ける高齢者に対して、都民の税金を適正に使い、持続可能で、より都民にとって使い勝手がよい制度として、シルバーパス制度をどのように見直していく考えなのか、これまで都としての見解は示されておりません。  今回の調査結果を受けて、シルバーパス制度を都としてどのように見直していく考えなのかお伺いいたします。  高齢化が進む中で、地域で暮らす障害者やその家族は、親亡き後などに不安を抱えております。  グループホームや日中の活動の場の整備が進められておりますが、障害者が地域で安心して暮らしていくためには、家族や本人の心身の状況が変わった場合にも、地域の中ですぐに対応してくれる仕組みが必要であります。  このため、国は、緊急時にすぐに相談でき、必要に応じて緊急的な対応が図られる体制として、地域生活支援拠点を区市町村ごとに整備することとしておりますが、多摩地区の自治体からは、具体的手法に関する情報提供、整備の財源などについて、都の支援を望む声が上がっております。  地域生活拠点の整備をさらに進め、充実させるための都の支援が必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。  中小企業こそ、景気、経済の中心であります。ゆえに、我が党は常に実態に即した中小企業支援を提言してまいりました。  今年度まで施行されてきた受注型中小企業競争力強化事業や団体向け課題解決プロジェクト支援事業は、中小企業支援の軸として高い評価を受けております。  こうした地に足のついた支援をより拡充していくことこそが都として求められます。都の見解をお伺いいたします。  東京都GAP認証制度についてお伺いいたします。  本年開催されます東京大会では、アスリートの活躍を間近に見られるだけでなく、さまざまな経済効果も期待されております。  例えば、選手村で提供される食材に東京産が使われることは、東京産の食材を世界にPRする絶好の機会だと考えます。  しかし、東京大会の選手村で使用される食品は、GAP認証食材であることが義務づけられていることから、都は、農林水産省のGAPガイドラインに準拠し、都市農業の特徴を反映した独自の東京都GAP認証制度を設け、その認証取得を奨励してまいりました。  本年一月時点では、四十六件の認証取得があったそうでありますが、肝心の東京大会の選手村への食材提供については、フードディフェンス、食品への意図的な異物の混入を防止する取り組みの観点から公表がなされませんでした。  そこで、都は、大会終了後、レガシーとしての東京産食材のPRや生産性向上や食の安全に資する東京GAP取得の継続的な取り組みを推進すべきと考えますが、これまでの成果と今後の取り組みについて見解をお伺いいたします。  次に、豊洲市場の物流機能についてお伺いいたします。  豊洲市場では、現在、車両入退場ゲートの遮断機バーが開いたままであります。  しかし、セキュリティーと円滑な物流の確保を目的に、各ゲートには高速道路のETCシステムに似た装置が設置され、車番を識別するカメラやICタグの発信で、バーを自動開閉し不審車両の侵入を防ぐとともに、貨物自動車を積みおろしする場所に安全に誘導する新システムが既に導入されております。  二〇二〇年大会のセキュリティー確保に万全を期するためにも、豊洲市場の売りであった車両入退場管理システムと車両誘導システムの本格運用を直ちに開始すべきでありますが、都の所見をお伺いいたします。  また、都営バスの増便がいまだ実現されないなど、交通アクセスの改善が滞る中、駐車場も、オフピーク時には余裕があるにもかかわらず、予想以上に買い出し人の足が遠のいております。  買い回りの範囲も広がらず、このままでは仲卸の店頭の品ぞろえは徐々に減りかねません。  しかし、都は、この問題解決を市場関係者の協議に任せ切りで、開設者としての役割を果たしておりません。  都は、豊洲市場への公共交通アクセスを改善し、駐車場問題を実態に即して解決しつつ、市場本来のにぎわいの前提となる買い出し人の方々のいわゆる買い回りをより円滑化していくために、関係者の協力を得て全体的な仕組みの見直しを行うべきであります。都の見解をお伺いいたします。  都の財政運営の大きな課題の一つに都心インフラの維持管理があります。  都民の生命、財産を守るために、インフラの整備や更新により防災力を高め、東京の強靭化を推進する必要があります。  昨年は台風により西多摩地域、島しょ地域において、インフラに大きな被害が発生いたしました。  西多摩地域や島しょ地域などの山間部の道路は、地域間を結ぶ唯一のルートとして、避難、救援活動のための命の道となっていることが多く、災害の発生により道路が通行不能になると、集落の孤立化が発生してしまいます。  これらの道路には、多くのトンネルがあり、適切な維持管理を行い常に安全に保つ必要があります。また、中には断面が狭小な山岳トンネルもあることから、予防保全型管理に合わせて更新を行い、円滑な通行を確保することも必要であります。  そこで、予防保全型管理の取り組みと今後の進め方についてお伺いいたします。  東京水道グループとして、水道局が水道事業全体を担ってまいりました。  そうした中で、今まで複数の不祥事を起こしたことは、知事に水道局の文化といわしめたのであります。根本的な改善が必要であり、統合を機に徹底的に改革を進めるべきであります。  今後、一新された組織として、東京水道グループを牽引する責任が水道局にあります。その責任をいかに果たしていくのかお伺いいたします。  続いて、多摩地域の下水道浸水対策についてお伺いいたします。  近年、集中豪雨の多発化や都市化の進展に伴い、短時間に大量の雨水が下水道施設に流入し、内水氾濫のリスクが増大しております。  昨年も台風第十九号により甚大な浸水被害が発生しましたが、他方で、各自治体により作成された洪水ハザードマップの精度がすぐれていることがわかり、その重要性、必要性が改めて認識されました。  洪水ハザードマップ作成のもとになる浸水予想区域図は、都が管理する全ての河川流域と一部の下水道処理区等について作成、公表しておりますが、流域下水道に属さない多摩地域の一部では、浸水予想区域図がなく、下水道による排水能力を超えた場合の浸水を想定した内水ハザードマップを作成できない区域が存在しております。  多摩地域の下水道の浸水被害を軽減するには、ハード対策はもちろんのこと、こうしたソフト対策を含めた浸水対策事業の促進に向け、公共下水道事業を担う市町村に対するさらなる財政的支援が必要だと考えますが、都の見解をお伺いいたします。  今定例会には、過去最高の件数の新規事業が打ち出されました。しかし、問題はその中身であります。  これまで、小池都政では、予算が全く執行されなかったり、途中で事業内容の変更に追い込まれたり、予算化した後から事業計画をつくるという本末転倒な予算措置も目につきました。
     冒頭述べましたように、こうしたパフォーマンス優先で無責任な都政運営が可能だったのは、知事就任以前の血のにじむような行財政改革と、これまでの堅調な都税収入に都政が支えられていたからであり、さらに知事の全方位外交により批判をかわしてこられたからでありましょう。  しかし、現実に、この四年間の都政は混迷を深め、先行きが大変心配されております。  知事は、四年間の任期の最終年度にもかかわらず、数多くのビジョンや戦略を発表しております。  しかし、どれも横文字をちりばめたバラ色のビジョンを並べるだけで、具体策に乏しく、大規模化する災害への備えや団塊ジュニア世代が高齢者となる二〇四〇年を見据えた人口減少、少子高齢化への対応など、シビアな現実を直視した姿勢が全く感じられません。  また、先般、知事は、新たな都政改革ビジョンを公表いたしました。これは、職員主体で推し進めた二〇二〇改革を発展させたものといわれており、情報公開の進展などの成果が挙げられております。  しかし、昨年末行われた職員のアンケートでは、七割近くの方々が小池都政を支持しておらず、その理由の一つが、情報公開に対して思いつきで政策プロセスが不透明なものが多いという理由でありました。また、合併して大きくなった東京水道サービスの社長にみずからの秘書を充てるなど、都政の私物化も挙げられておりました。  パフォーマンス主体の小池都政の真実が、一番身近な職員アンケートにあらわれていると感じたのは私だけではないと思います。  いよいよ本年は東京二〇二〇大会が開催されます。ここに来て、新型コロナウイルス感染症により、大会開催が不安視されております。  しかし、これまで、招致に至るまでのさまざまな困難、東日本大震災による絶望感など、大きな大きな困難を、職員の皆様、都民の皆様と一緒に乗り越えてきたのであります。  今、私たちに求められるのは、目の前の新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組み、多くの笑顔の中で東京二〇二〇大会を成功させ、大会のレガシーを通じて、東京を世界で一番の都市にしていくことであります。  東京二〇二〇大会の直前の七月五日には都知事選挙が行われます。新年度予算に向けた小池知事の所信表明の中で、予算執行の決意となる出馬表明は行われませんでした。  東京は、都政の担い手である職員と都民一人一人の活躍によって支えられております。そうした方々が活躍しやすい都政を築いていくことこそが私たちの使命であります。  都議会自民党は、これからも都民の与党として、輝きのある東京の将来のために今何をなすべきか、その一点に傾注して取り組んでいくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)    〔知事小池百合子君登壇〕 ◯知事(小池百合子君) 鈴木章浩議員の代表質問にお答えをいたします。  まず、今後の都財政についてのご質問でございました。  令和二年度の予算編成におきましては、施策の新陳代謝を図る事業評価の取り組みをさらに深化をさせまして、過去最高となります一千三十億円の財源確保につなげるとともに、八百八十四件の見直し、再構築を行ったところでございます。  知事就任以来、全ての事業に終期、終わりの期を設定するなど、毎年度その取り組みのさらなる充実を図っておりまして、創意工夫を凝らした結果、四カ年で約三千五百億円の財源を確保したところでございます。  予算の執行段階におきましても、創意工夫を重ね、効率化や経費の縮減に努めるなど、歳出全般にわたる見直しを不断に実施しております。  将来にわたります施策の展開を支える財政基盤をより強固なものとするためにも、今後とも、ワイズスペンディングの取り組みを一層推進してまいります。  次に、財政運営につきまして、都は、景気変動の影響を受けやすい不安定な財政構造を有している、そして、将来を見据えた安定的な財政運営を行っていくためには、基金や都債を戦略的かつ計画的に活用することは不可欠でございます。  こうした観点から、今回の予算案におきましては、将来の財政需要への備えといたしまして、既存の基金への積み立てを行うほか、未来の東京戦略ビジョンで描きます新たな政策の財源といたしまして、三つの基金を新設いたすところでございます。  また、金融分野からのSDGsの実現を後押しするために、東京グリーンボンドの発行額を拡大する一方で、将来世代の負担を考慮し、都債全体の発行額を抑制、残高も継続して減少させるなど、将来の発行に向けましての余力を蓄えているところでございます。  都はこれまでも、予算発表資料を初めとして、さまざまな機会を通じまして、財政情報を正確に発信しております。令和二年度の予算発表資料におきましても、基金と都債の状況を丁寧に説明いたしております。  今後も、持続可能な財政運営を行うとともに、都財政に対します理解、そして信頼がより一層深まりますよう的確な情報発信に努めてまいります。  仮称都民の城についてでございます。  周辺の都有地と合わせますと四・五ヘクタールに上りますこの広大な土地は、長期的に見ますと、都のさまざまな政策の実現にも資する可能性を有しておりまして、これからの都政にとって大変重要な意味を持つものでございます。  こうした将来的な周辺都有地との一体的な活用を見据える一方で、中期的には今ある建物を最大限有効活用するという視点も重要でございます。  今般お示しをいたしました概算工事費でございますが、都民の城を皆様にご利用いただくために必要な経費ではございますが、具体的な改修内容の検討を進める中で、さらに徹底した精査を図ってまいります。  都心に残された東京の成長を支える重要な土地でございます。長期的な活用に当たりましては、都民にとって、その価値を最大化できますように、あらゆる観点から議論を重ねて、将来の姿を描いてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症に係る経済対策についてのご質問がございました。  感染症の流行によって懸念されます観光客の減少やサプライチェーンの寸断等によります経済への影響を最小限に抑えるために、中小企業や観光産業への支援を迅速に展開する必要がございます。  こうしたことから、中小零細企業の資金繰りを支援するために、融資目標額を一千億円といたします緊急融資制度を創設して、信用保証料も全額補助することで、事業継続に向けた支援を着実に実施いたします。  また、感染の拡大に伴って、厳しい状況に直面している中小企業に対しましては、経営や法律の専門家を無料で派遣するとともに、国内外への販路の開拓支援も強化してまいります。  さらに、事態の収束後、インバウンド需要を回復できますように、都として積極的なPR活動を展開するなど、観光関連事業者の後押しも行ってまいります。  こうした支援を速やかに開始いたしまして、都内産業の活力維持にしっかりと取り組んでまいります。  学校におけます新型コロナウイルスの感染拡大防止についてでございます。  今般の新型コロナウイルス対策におきましては、私を本部長とする対策本部を速やかに立ち上げまして、全庁を挙げて取り組んでいるところであります。国、そして区市町村とも平時の連携体制を超えまして、緊密に連携をしながら取り組んでおります。  現在、都内では患者数が増加しつつありまして、感染源が不明な患者や重症患者も発生をしているところでございます。  そのため、今後三週間程度を重要な局面と捉えまして、本日午前中に開きました対策本部におきましても、各分野で集中的な取り組みを行うことといたしております。  都立学校におきましては、卒業式の参列規模の縮小や春休みの前倒しなど、独自の対応を実施することといたしましたのはご承知のとおりかと存じます。  この方針でございますが、都教育委員会を通じまして、区市町村教育委員会へと即刻通知をいたしまして、区市町村立の学校における対応を促すとともに、連携、即応体制をとっているところでございます。  今後、刻々と変化する状況を見きわめまして、これまでの取り組みに加えて、保護者や学校、区市町村に対します最新の情報を発信するとともに、状況の変化がありました場合には、速やかに対策のさらなる強化を図るなど、子供たちの安全を全力で確保してまいります。  東京二〇二〇大会におけます地球温暖化対策の発信についてでございます。  巨大なハリケーンや山火事、相次ぐ水害など、気候変動によります影響の甚大さが改めて浮き彫りになっている今、地球温暖化対策を進めて、それを発信していくことは極めて重要でございます。  都は、ゼロエミッション東京の実現に向けまして、そのビジョンや具体的な取り組み、ロードマップをまとめたゼロエミッション東京戦略を策定いたしまして、あわせまして気候危機行動宣言を行っております。  今後、この戦略に基づいて、気候変動の緩和策と適応策の総合的な展開を図って、資源利用に伴います都内外におけますCO2削減への貢献、省エネ、再エネの導入拡大を進めるなど、あらゆる分野の取り組みを進化、加速させてまいります。  開催まで残り五カ月を切った東京二〇二〇大会におきましても、都は、組織委員会などと連携をして、聖火台での水素エネルギーの活用のほか、大会に伴って排出されますCO2のオフセット、そして装飾物等を再利用するアップサイクルの推進、適応策としてのラストマイルなどにおけます暑さ対策などについても積極的に取り組んでまいります。  また、大会は、国内外から多くの観客が訪れて、世界の注目が集まる絶好の機会でございます。私は、これらの取り組みを広く世界に発信するとともに、レガシーとして着実に継承いたしまして、脱炭素社会の実現に向け、先導的な役割を果たしてまいります。  次に、大会の成功とレガシーについてのお尋ねでございます。  東京二〇二〇大会を真に世界に誇る大会とするために、二〇一三年の開催決定以降、都は、総力を挙げてそのための準備に邁進をしてきたところでございます。  さらに、大会を契機といたしまして、都民生活の質の向上、持続可能な成長を実現するレガシーを残すことは重要であります。  世界で初めて二度目の夏季パラリンピックを開催する都市といたしまして、真の共生社会の実現に向けて、高齢者や障害者、外国人など、誰もが優しさを感じられるバリアフリーのまちづくりを進めてまいりました。  また、スポーツを通じた健康づくりや世界をリードする環境先進都市の実現など、ハード、ソフトの両面で取り組みを推進してまいりました。  そして、昨年十二月には、大会を成功へと導いて、二〇二〇年のその先の明るい未来をつかみ取るための羅針盤といたしまして、未来の東京戦略ビジョンを策定したところでございます。  大会のレガシーにつきましても、未来へと着実に結びつけていくため具体的な検討を進めまして、今後策定する長期戦略へと結実させ、成長と成熟が両立した東京、日本の輝かしい未来を切り開いてまいります。  Tokyo Tokyo FESTIVALの発信とさらなる拡充についてのご指摘でございます。  東京二〇二〇大会を文化の面から盛り上げるためには、魅力的なプログラムを展開するとともに、Tokyo Tokyo FESTIVALへの参加を幅広く呼びかけていくことは重要でございます。  昨年十月には、東京都交響楽団が四十七年ぶりに日比谷公園の野外音楽堂でポップスコンサートを開催いたしまして、家族連れなど多くの方が、オリンピックマーチやスター・ウォーズのテーマなど多彩な楽曲を楽しんでおられました。  十一月に増上寺で行いましたアートとテクノロジーが融合したプロジェクトにおきましては、SNSで同時発信も行いまして、来場者だけでなく、国内外の多くの方々にご鑑賞いただいたところであります。  これらのイベントはもとより、都内各地で行われております民間の文化事業にも、私自身もできるだけ足を運びまして、Tokyo Tokyo FESTIVALの魅力を発信しているところでございます。  四月以降でございますが、大会開催の年だからこそできる十三のプログラム、スペシャルサーティーンが本格化いたします。  また、都立文化施設におきましては、オリンピック・パラリンピックにちなみました展覧会や浮世絵の展示等を行いますほか、ライブサイトにおきましては、競技観戦だけではなくて、伝統文化を体験できる場を提供いたしてまいります。  今後もさまざまな機会を捉えまして、こうしたプログラムや東京の文化の魅力を紹介して、二〇二〇年を文化の面からも盛り上げて、大会の成功に結びつけてまいりたいと考えております。  大会時の輸送対策でございます。  円滑な大会輸送の実現、経済活動の維持、この両立を図ることが大会成功の鍵の一つでございます。  都はこれまでも、大会時の交通混雑の緩和に向けまして交通需要マネジメント、いわゆるTDMや時差ビズ、テレワークなどをスムーズビズといたしまして、一体的に進めております。新たなワークスタイルや企業活動の東京モデルを確立して、社会に根づかせてまいります。  こうした取り組みは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにも有効でございます。前倒しで取り組んでいただくよう、企業等の皆様方に広く呼びかけるとともに、隗より始めよといたしまして、この都におきましても、テレワーク等の取り組みを推進してまいります。  また、物流対策につきましては、中小企業や商店街の方々の取り組みを促進するために、先月、私も出席をいたしまして物流TDM実行協議会を立ち上げております。商店街の連合会などさまざまなネットワークを活用しまして、現場の実情に即した取り組みをお願いしてまいります。  今後、大会の百日前を契機として一般向け広報を開始し、都民にも協力を求めるなど、スムーズビズの取り組みを一層拡大いたしまして、大会を成功に導いてまいります。  東京大会後の観光産業の振興についてのお尋ねでございます。  海外から東京を訪れる旅行者の消費活動は、大きな経済波及効果を生み出すものでございます。それを支える観光産業は、東京がさらなる成長を遂げていく上で極めて重要でございます。  そのため、大会開催を契機として、多言語対応や宿泊施設のバリアフリー化などの受け入れ環境の整備を着実に推進をして、大会後の旅行者の持続的な受け入れにつなげてまいります。  また、地域が主体的に行います観光資源の開発を支援いたしまして、大会後の都内各地域での一層のにぎわいの創出を実現してまいりたいと考えます。  さらに、大会のレガシーを活用した観光PRなどを集中的に展開することによりまして、東京のブランドの浸透を図ってまいります。  こうした取り組みを推進することで、大会後の観光産業のさらなる飛躍を目指してまいりたい考えであります。  スマート東京の実現に向けた取り組みに関してのご質問でございます。  東京が世界の都市間競争に打ち勝って、成長と成熟が両立した魅力的な都市へ進化していくためには、TOKYO Data Highwayを基盤として、先端技術を活用し、経済発展と社会的な課題の解決を両立させることは必要でございます。  今月策定いたしましたスマート東京実施戦略におきましては、取り組みを具現化、加速化させるべく、令和二年度をスマート東京元年と位置づけたところであります。  まずは、その実現を着実なものとするために、スマート東京推進基金を創設いたしまして、計画的、効率的な事業執行に努めるとともに、専門職でありますICT職種の新設など、都庁内の人材確保に向けた取り組みを強化したところでございます。  また、具体的な施策を進めていくために、都と民間で設置したTOKYO Data Highwayサミットなどを活用いたしまして、強固なスクラムを組んで、区市町村や国との連携を一層強化してまいります。  さらに、このような取り組みを全国で広く共有する仕組みを構築いたしまして、相互の強みや個性を生かすことで、全国の共存共栄、日本の持続的な成長につなげてまいります。  今後、都民のQOL、すなわち生活の質の向上に向けまして、東京を誰もが快適な生活を送ることができる活力に満ちたスマート東京へと進化させるべく、さまざまな取り組みを全力で進めてまいります。  最後に、スマート東京推進基金についてでございます。  最先端技術によりますサービスの高度化、イノベーションの創出、これは東京の稼ぐ力を高めて、都民のQOL、生活の質の向上を実現する上で必要不可欠でございます。  このため、都は、都民生活に広く最先端技術が浸透し、世界で最も便利で生活満足度の高い都市を実現するために、未来の東京戦略ビジョンにおきまして、スマート東京・TOKYO Data Highway戦略を掲げております。  スマート東京推進基金でございますが、将来の財政需要に備えまして、この戦略を着実に実行していくために新たに設置するものでございます。  この基金は、データと最先端技術を駆使して、社会におけるサービスの高度化や、スタートアップ企業や中小企業等によりますイノベーションの創出を推進することを目的といたしております。  来年度の予算におきましては、中小企業の5G・IoT・ロボット普及促進事業など十の事業について充当いたしておりまして、令和三年度以降の具体的な充当事業につきましては、各年度の予算編成の中で検討してまいります。  今後、基金を有効活用することで、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出して、都民が質の高い生活を送る、すなわちスマート東京を実現してまいります。  なお、残余のご質問につきましては、副知事、教育長、東京都技監、そして関係局長からのご答弁とさせていただきます。    〔副知事長谷川明君登壇〕 ◯副知事(長谷川明君) 国と東京都の実務者協議会についてでございますが、昨年一月の第一回協議会以降、協議事項につきまして、おのおのの省庁と実務的な協議を進め、七月には第二回会議を開催し、概算要求に向けて課題を整理いたしますとともに、十一月には私自身が先頭に立って要請活動を行うなど、協議事項八項目二十施策の実現に向けて、全庁連携して積極的に取り組んでまいりました。  その結果、令和二年度政府予算案におきまして、おおむね協議事項の全体像が確認できておりますが、今はその具体的な配分等に向けて一層の働きかけを行っているところでございます。  今後は、新年度予算の詳細が明らかになる四月ごろを目途に、各協議事項の達成状況を改めて検証いたしますとともに、将来的な方向性について整理を行い、協議内容にきめ細かに反映をさせてまいります。その上で、早期にこれらを国と共有するべく、次回会議は夏前の実施を目指してまいります。  本協議会を通じて、重要施策の実現に向け、都議会自民党のお力添えもいただきながら、全庁一丸となって積極的に取り組んでまいります。    〔教育長藤田裕司君登壇〕 ◯教育長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えをいたします。  初めに、特別支援学校に通う子供の競技観戦についてでございますが、障害のある子供は日常的に体調管理を必要とすることが多く、特に暑い時期の観戦につきましては、安全の確保に、より一層の配慮を要するところでございます。  そのため、都教育委員会は、特別支援学校に通う約八千人の子供の観戦について、原則として、暑さの和らぐパラリンピック期間の空調設備がある屋内の競技を割り当てるとともに、障害の状態や個々の状況に応じたきめ細かい対応を図るため、引率教職員を増員しているところでございます。
     また、会場への往復にはスクールバスを使用することとし、そのための乗降場所の確保や会場への医療機器の持ち込み等について、関係機関と調整を行っているところでございます。  今後、こうした取り組みを着実に進め、安全を確保することで、子供たちの心に残る競技観戦としてまいります。  次に、スマートスクールプロジェクトについてでございますが、ソサエティー五・〇時代を子供たちが生き抜いていくためには、さまざまな課題に主体的に取り組み、共同して解決する力などを身につけることが重要でございます。  そのため、スマートスクールプロジェクトでは、これまでのICTパイロット校やBYOD研究校でのICTを活用した授業改善等の成果を発展させてまいります。  具体的には、都立学校の全教室に無線LAN環境を計画的に整え、端末一人一台の学習環境の実現を図るとともに、新たに研究校を指定し、最新の学び方、教え方の研究開発を行ってまいります。  さらに、各校へのICT支援員の配置や研究校による成果報告会の開催のほか、管理職を含めた研修を実施し、校長のリーダーシップのもと、学校のICT活用能力を着実に引き上げ、質の高い教育を実現してまいります。  次に、小中学校における統合型校務支援システムの導入についてでございますが、教員の広範にわたる業務負担を軽減するためには、ICTを活用して校務を効率化することなどが有効でございます。  統合型校務支援システムは、児童生徒の名簿管理や成績処理、通知表の作成等の情報を一元的に管理するシステムであり、教職員全体の業務負担の軽減を可能とするものでございます。  都教育委員会は平成三十年度から、新たにシステムを導入する区市町村教育委員会に対し、その経費を補助してまいりました。令和元年度末時点では、約七割の地区で導入済みとなる見込みであり、二年度の導入予定地区を合わせますと、八割を上回る見込みでございます。  今後とも、区市町村教育委員会の働き方改革への取り組みを支援してまいります。  最後に、都立学校の緊急修繕等に係る業務についてでございますが、学校施設の修繕を行う際には、施工時期や学校特有の施設である実習室、体育館等の修繕方法に関し、教育活動への影響を最小にすることが求められているところでございます。  都教育委員会は昨年七月、教職員の負担軽減と教育の質の向上を図るため、一般財団法人東京学校支援機構を設立いたしました。機構が学校支援に特化した団体であることを生かし、修繕の内容に応じて、緊急対応が可能な近隣の施工事業者を調整するなどの業務について、他の政策連携団体から機構への切りかえを予定しております。  都教育委員会は、機構に対し、学校の施設設備に応じたきめ細かな対応が円滑にできるよう、公募による施工事業者の追加やノウハウの蓄積等による業務運営体制の充実を求め、質の高い教育環境の整備に取り組んでまいります。    〔東京都技監佐藤伸朗君登壇〕 ◯東京都技監(佐藤伸朗君) 多摩部の下水道の浸水対策についてでございますが、都はこれまで、内水氾濫による浸水被害軽減に向けた市町村施行の雨水管や雨水貯留施設の整備に対して、財政的な支援を行ってきております。  また、浸水予想区域図については、多摩部の約九割を超える区域、具体的には、都が管理する河川流域と流域下水道幹線等の対象区域内において、作成、公表を行っております。  一方で、施設管理者である地元自治体により浸水予想区域図が作成されていない区域があり、そうした区域においても作成が進むよう、地元自治体への技術的な支援など適切に対応してまいります。    〔財務局長武市敬君登壇〕 ◯財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えいたします。  まず、未来の東京戦略ビジョンの実現に向けた財政運営についてでありますが、戦略ビジョンでは、二〇三〇年に向けた二十の戦略の一つとして、新たな都政改革戦略を掲げ、戦略的な政策展開を可能とする持続可能な財政力を堅持することとしております。  都は、景気の荒波に翻弄されやすい不安定な財政構造を有しており、少子高齢化への対応など膨大な財政需要を抱える中、将来を見据えた財政運営を行っていくことが重要であります。  戦略ビジョン事業の着実な施策展開を財政面から支えていくため、無駄の排除を徹底するとともに、中長期的な視点に立って基金の積み立てや都債の発行余力を培うなど、引き続き、堅実な財政運営に努めてまいります。  次いで、都区財政調整における都区の配分割合の変更についてでありますが、今回の変更は、児童相談所の運営に関し、都区の連携協力を一層推進していく必要がある中、特別区の割合を〇・一ポイントふやすことで合意に至ったものでございます。  今回は特例的な対応であると認識をしておりまして、財務局としても了解しているものでございます。    〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕 ◯総務局長(遠藤雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。  まず、都区財政調整協議についてでございますが、昨年度の協議の時点では、特別区の児童相談所設置について政令指定の要請もなされておらず、ご質問のように、発生していない将来需要の算定について検討できる状況にはないとして、引き続き、財調協議の場で議論することとしておりました。  その後、昨年八月に、世田谷区、江戸川区、荒川区の三区が、政令により児童相談所設置市として指定され、来年度から区立児童相談所が設置されることとなりました。  そのため、今年度の協議で財調算定について都区が議論し、昨年十二月下旬に、地方交付税における取り扱いと同様、児童相談所運営経費を都区財政調整の基準財政需要額として算定する方向となったものでございます。  次に、都区の配分割合についてでございますが、来年度から設置される区立児童相談所に関し、一区設置ごとに都区の配分を変更すべきとの区の主張と、都の、設置予定半数の十一区の実績を見て議論すべきとの主張が対立し、事務方の協議は平行線となりました。  しかし、初の区立の児童相談所の設置を控え、その運営に関し、都区の連携協力を一層推進していく必要がある中、協議がまとまらないことは避けるべきとの考えから、一月十四日の区長会役員から都への要請や、多羅尾副知事と区長会会長との調整により、最終的には都区双方が歩み寄り、特例的対応として特別区の割合を〇・一ポイントふやし、令和四年度に配分割合のあり方について改めて協議していくことを一月二十八日の都区協議会で合意をいたしました。  次に、財調協議に関する財務局との調整についてでございますが、都区財政調整は、東京都の予算編成と連動するため、従前より、総務局と財務局とで必要な情報を共有しながら協議を進めております。  今年度の協議につきましても、毎回の協議の際に、協議方針を初め協議資料や協議での都区双方の発言など協議全般について、常に情報を共有しながら進めてまいりました。  最後に、財調協議に関する福祉保健局との調整についてでございますが、今回、財調協議において児童相談所の取り扱いを協議するに当たり、都の児童相談所の運営実績などについて、福祉保健局から事前に情報提供を受けております。  また、都区協議の状況については、総務局から事務的に連絡を行ってきているところでございます。    〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕 ◯福祉保健局長(内藤淳君) 七点のご質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症患者の搬送についてでありますが、感染症法に基づき、入院勧告を行った患者を感染症指定医療機関等に移送するのは保健所の役割であり、結核など二類感染症患者の移送の際には、民間救急事業者を活用しております。  都は、新型コロナウイルス感染症の患者移送に際して、各保健所が患者を円滑に移送できるよう、関係団体の協力を得て、事業者手配のための専用電話を新たに設置いたしました。  また、患者の容体等により事業者による移送が困難な場合には、都がエボラ出血熱などの一類感染症等の患者移送のために整備している感染症患者移送専用車両を用いて、移送を行うこととしております。  今後とも、各保健所等関係機関への周知を徹底し、必要なときに円滑に患者移送を行えるよう環境整備を進めてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症の情報提供についてでありますが、都は、都民の不安解消や感染の拡大防止のため、ホームページに専用サイトを設け、最新の情報や問い合わせの多い事項をQアンドA形式で掲載するなど、正確な情報を広く発信し、随時更新しております。  また、専用のコールセンターを設置して、都民からの感染予防などの相談に応えるとともに、感染の可能性がある方には専門の相談窓口を案内してございます。  今後は、このコールセンターにおいて、多言語による対応や聴覚に障害のある方への対応を行う体制を整えるとともに、新たな知見等が明らかになった場合には速やかに情報提供を行うなど、都民の不安解消に努めてまいります。  次に、ひとり親家庭への支援についてでありますが、都は、ひとり親家庭支援センターにおいて生活相談や就業相談、職業紹介を行うほか、養育費相談や離婚前後の法律相談など専門的な相談にも対応しております。  来年度からは、子供の進学など将来を見据えて必要となる収入の確保に向けて、人生設計を学ぶセミナーの実施や、専門家による助言、個別支援プログラムの作成など、個々の状況に応じたキャリアアップ支援を開始することとしております。  また、ひとり親家庭が元配偶者等からの養育費が不払いになった場合に備え、民間保証会社と連携し、養育費の立てかえ保証を行う区市町村への補助を実施することとしており、ひとり親家庭が安定した就労や生活のもと、子供を健全に育むことができるよう支援してまいります。  次に、保育事業者の事務負担軽減についてでありますが、保育事業者から、多様な保育サービスの提供や保護者へのきめ細かな対応などに加え、昨年十月から開始された幼児教育、保育の無償化に伴う給食費の徴収などにより、事務量が増加しているとの声も寄せられております。  都は、保育士が保育に専念できる環境を整備し、その確保、定着を図るため、日誌の作成や事務処理などを行う保育補助者の雇用や、書類作成の業務等を支援するシステムの導入に取り組む事業者を支援しております。  来年度は、具体的な事務内容やICTの活用の実態、各自治体が定める補助金などの申請書類、業務効率化への先進的な取り組み事例等について調査を行い、保育事業者の事務負担軽減に向けた有効な方策について検討してまいります。  次に、介護職員宿舎借り上げ支援事業についてでありますが、都は、住宅費負担の軽減による働きやすい職場環境の確保と、災害時における福祉避難所の運営体制の強化を目的として、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施しております。  近年の大規模災害では、都にも大きな被害がもたらされており、この災害対応職員用の宿舎を確保する事業者への支援を強化することといたしました。  具体的には、来年度から、一事業所当たりの補助の上限戸数を現行の四戸から利用定員に応じて最大二十戸まで広げ、新規受け付けの期間も三年間延長することとしており、介護人材の確保、定着を図るとともに、災害時に備えた事業者の取り組みを支援してまいります。  次に、シルバーパス制度についてでありますが、都が二十歳以上の都民及びパスの利用者を対象に行ったシルバーパス制度に関する二つの調査では、パスの対象とならない世代においても制度の認知度が九割に上るなど、都民の制度に対する意識や考え方、利用状況等について、概要を把握することができました。  現在のシルバーパス制度は、開始から約二十年経過し、高齢者の生活環境や健康状況は大きく変化しており、今回の調査への回答の背景にある高齢者を取り巻く環境や地域の状況などについて、さらなる調査が必要と考えております。  今後、区市町村における高齢者の社会参加促進のための取り組みとその課題、地域交通事情や都民の移動の実態の変化などについて、把握を進めてまいります。  最後に、地域生活支援拠点の整備についてでありますが、都は、障害者・障害児施策推進計画で、障害者や家族からの相談や緊急時の対応等の機能を備えた地域生活支援拠点について、令和二年度末までに各区市町村に少なくとも一つ以上整備することを目標としております。  この目標達成に向け、区市町村の担当者が参加する会議で、都内及び全国の好事例や対応方策等を共有するほか、拠点として位置づける通所施設などを整備する場合に、特別助成により設置者負担を軽減しており、平成三十年度末現在の都内自治体の整備状況は、整備済みが十団体、整備予定が三十九団体となっております。  来年度、新たな計画を策定する予定であり、障害者団体や区市町村等で構成する協議会におきまして、さらなる整備促進に向けて幅広く検討してまいります。    〔産業労働局長村松明典君登壇〕 ◯産業労働局長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。  まず、緊急融資の利用要件と相談体制についてですが、今般の新型コロナウイルス感染症により、観光客の減少やサプライチェーンの寸断など、中小企業の経営への広範な影響が懸念されております。  そのため、本融資では、こうした状況を踏まえ、一定の売り上げ減少などがある幅広い中小企業が利用できる仕組みとし、運転資金や設備投資などの使途に活用可能といたします。  また、本融資の取り扱い開始後は、現在設置しております都の特別相談窓口において、金融の実務経験が豊富な専門相談員が融資内容を丁寧に説明するとともに、信用保証協会や取扱金融機関を通じ周知も図ってまいります。これにより、都内中小企業の円滑な資金調達を着実に支援してまいります。  次に、中小企業のキャッシュレス化についてですが、現在、国において、中小企業が導入しやすいよう端末導入の無料化や決済手数料の引き下げなどを行っており、都は、こうした支援内容をリーフレットに掲載するなど広く周知するとともに、国に対し、事業の継続を要望してまいりました。  また、中小企業に対して、現金化までの期間短縮などの民間サービスの動向を丁寧に説明することを通じて、キャッシュレス化の普及にも努めてきたところでございます。  あわせて、地域の消費生活を支える商店街におけるキャッシュレス化の取り組みを他の商店街へも広く周知することで、意欲ある商店街の主体的な活動を促してまいります。  次に、中小企業への支援についてですが、東京の経済を支える中小企業が、経営環境の急速な変化に直面する中で持続的に発展していくためには、その支援のさらなる充実が必要でございます。  そのため、都では来年度、中小企業が行う技術、サービスの高度化、高付加価値化に向けた技術開発などに対する支援を強化することといたしました。  また、中小企業団体等が進めるICT化など業界の共通課題への取り組みに対する支援を行うとともに、戦略的な販路開拓モデルの構築も後押ししてまいります。  こうした取り組みを進めることで、中小企業のさらなる活性化につなげてまいります。  最後に、東京都GAP認証についてですが、GAPは、適切な工程管理により生産性の向上や食の安全を実現する農業経営にとって有意義な取り組みでございます。  このため、都は、農業者の認証取得を支援するとともに、都民や流通事業者向けのシンポジウムを開催し、制度の普及を図ってまいりました。その結果、現時点で四十六件の農業者が認証を取得し、今年度末には新たに約三十件の取得が見込まれているところでございます。  来年度は、東京二〇二〇大会への認証農産物の供給に取り組むとともに、大会での食材供給がGAPのさらなる普及拡大につながりますよう、イベントを通じたPRを実施してまいります。    〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕 ◯オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 五点のご質問にお答えいたします。  まず、東京マラソンに関する取り組み状況についてでございますが、東京マラソン財団では、東京マラソン二〇二〇に出走できなくなった全ての一般ランナーを対象に、来年の二〇二一大会に出走可能となる特別措置を行っております。  加えて、ランナーローブなど二〇二〇大会の各種記念品も配布することとしております。  今後、財団において、大会終了後に収支を精査すると聞いておりまして、収支状況を踏まえた上で、ランナーの皆様に対してどのようなことができるか、公表方法も含め、財団とよく相談しながら実務的に検討してまいります。  なお、ストックしているマスク等の有効活用のご提案については、財団にお伝えをしております。  次に、会場周辺交通対策についてでございます。  これまで、組織委員会とともに、区市や関係機関と調整を行いまして、規制内容や期間等の検討を進めてまいりました。  昨年六月に素案を公表した会場周辺交通対策について、地元町会や事業者等に説明を行い、さまざまな意見を伺い更新し、十二月に輸送運営計画バージョンツーの中で公表しております。  また、今月中に、対象道路や規制内容など検討中であった会場の一部について、更新し、公表いたします。  規制期間についても、関係者等と調整の整ったものから順次ホームページを更新するとともに、来年度早期にチラシを作成し、都内では二十七の競技会場等の周辺へ配布するなど、丁寧な周知に努めてまいります。  引き続き、皆様のご協力をいただき、円滑な大会輸送と会場周辺の交通混雑緩和に向け、取り組んでまいります。  次に、障害者スポーツ競技団体への支援についてでございます。  障害者スポーツ振興における競技団体の果たす役割は大きく、その体制整備や基盤強化は重要であります。  そのため、都内を統括する競技団体に対して、ガバナンス強化に向けた研修の実施や、プロボノを活用した団体の運営支援などに取り組んでまいりました。  来年度は、資金調達の手法をテーマにした研修会の開催や、会計処理の方法等に関する専門家による相談機会の提供、法人格の取得に向けた助言などの支援も行ってまいります。  今後とも、競技団体が障害者スポーツ振興において主体的な役割を果たせるよう支援してまいります。  次に、障害者のスポーツ環境の整備についてでありますが、大会後のレガシーとして障害者スポーツを社会に根づかせていくためには、身近な地域においてスポーツに親しめる環境を整備することが重要であります。  そのため、都は、区市町村のスポーツ施設のバリアフリー化や地域におけるスポーツ教室などの企画相談等の支援を行ってまいりました。  また、特別支援学校の体育施設の活用により、障害者団体等への貸し出しや体験教室の実施など、障害者スポーツの場の拡大を図るとともに、企業等のスポーツ施設の貸し出しに向けた働きかけも行ってまいりました。  今後とも、こうした取り組みにより、障害のある方がスポーツに親しめる環境を整備してまいります。  最後に、障害者のボランティア参加についてでございます。  都は、シティキャストについて、介助者と一緒に活動できる仕組みとし、募集説明会等において、障害者のボランティア体験とあわせてお伝えをしてまいりました。  応募時に配慮をお求めの百四十名に加え、その後の都職員による面談において、さらに二百名を超える方々から、活動に当たり配慮が必要であるというふうに伺っております。これらの方々が安心して活動いただけますよう、活動場所や内容、十分な休憩など、シティキャストの運営においてきめ細かな配慮を行ってまいります。  大会ではほかにも、地域の観光案内やイベント運営など、さまざまなボランティアが活動をいたします。  引き続き、区市町村等と連携し、障害者の活躍機会の拡大に向け、情報発信に取り組んでまいります。
       〔環境局長吉村憲彦君登壇〕 ◯環境局長(吉村憲彦君) 二点のご質問にお答えいたします。  まず、廃プラスチック対策についてでございますが、環境に優しい資源利用の促進を図るためには、ごみのリデュース、リサイクルなど3R施策を一層推進する必要がございます。  このため、都は、大学やオフィスビルなどと連携し、売店等の容器包装の削減やマイボトルの利用を促進する事業を初め、こうした大規模施設に専門家を派遣し、施設の実態に応じたプラスチックごみの削減方法や分別方法等を助言する試行事業を新たに開始いたします。  また、プラスチック製容器包装のリサイクルによるCO2削減効果を自治体や都民にわかりやすく説明するとともに、容器包装リサイクルの対象品目の拡大や、リサイクル実績の向上に取り組む自治体に財政支援を行います。  こうした3R施策を通じて、都民、事業者、自治体との連携を深め、廃プラスチック対策に取り組んでまいります。  次に、水素ステーションの整備拡大に向けた課題についてでございますが、水素エネルギーの普及拡大には、燃料電池自動車等への水素の供給インフラとなる水素ステーションの整備拡大が不可欠でございます。  水素ステーションでは、安全を確保しながら水素を超高圧に圧縮して充填するため、現状では、整備や維持管理に多額の費用を要するとともに、比較的大規模な用地を必要とし、都内ではその確保が難しい状況にございます。また、水素需要を創出する燃料電池自動車や燃料電池バスについても、一層の普及が必要でございます。  これらの課題を解決し、民間事業者、とりわけ中小事業者による水素ステーションの積極的な整備を促していくことが重要と認識しております。    〔交通局長土渕裕君登壇〕 ◯交通局長(土渕裕君) 共生社会の実現に向けた都営交通の取り組みについてでございますが、交通局では、障害者や外国人など誰もが安心して移動できるようハード、ソフト両面から環境づくりを進めております。  具体的には、エレベーターやホームドアの整備、車両のバリアフリー化のほか、ホームと車両との段差すき間対策などを進めております。また、ピクトグラムや多言語表記等を活用し、わかりやすい案内表示に努めております。  エスカレーターの利用マナーにつきましても、他の事業者や自治体等との共同キャンペーンを行うとともに、東京二〇二〇大会の機を捉えまして、開催都市の公営交通事業者として、国内外から訪れる多くのお客様に、手すりにつかまり、歩かずに立ちどまる安全な利用方法を発信してまいります。  こうした取り組みを通じて、共生社会の実現に貢献してまいります。    〔消防総監安藤俊雄君登壇〕 ◯消防総監(安藤俊雄君) 三点のご質問にお答えいたします。  まず、木造密集地域など、消防隊の活動が困難な地域での活動体制の強化についてでございます。  東京消防庁では、このような地域に対して、狭あいな道路でも進入可能な小型の消防ポンプ車や、可搬式の大量放水器具を配置するとともに、消防隊の活動計画を事前に作成するなど、即応体制の確保に努めてまいりました。  また、小型ポンプ車でも走行が困難な地域における活動体制を強化するため、より機動性が高い電動車両を活用したファーストエイドチームを本年一月に千住消防署に配置いたしました。  さらに、四月に葛飾区奥戸において運用を開始する即応対処部隊にもファーストエイドチームを配置するなど、今後も地域特性を踏まえた活動体制の強化に努めてまいります。  次に、水災時における特別区消防団の活動体制の強化についてでございますが、特別区消防団は、令和元年東日本台風において活動が困難な夜間を中心に、住民の避難誘導や土のうを活用した浸水防止活動並びに排水活動を実施いたしました。  東京消防庁では、これらの活動をさらに効果的で安全なものとするため、既に整備している救命胴衣に加え、今年度は、水面で避難誘導の目印になるフロートロープを初め、強力ライトや水面に浮かび堆積物の影響を受けない吸水器具を整備する予定でございます。  また、これらの配置資機材等を効果的に活用するため、来年度の水防訓練では、消防署隊と連携し、実戦的な教育訓練を推進することとしております。  引き続き、特別区消防団の活動体制の強化に努めてまいります。  最後に、ドローンの活用方策についてでございます。  ドローンは、災害の現場を上空から俯瞰した映像を撮影することができ、情報収集手段として極めて有効でございます。  このため、東京消防庁では、平成三十年の北海道胆振東部地震における要救助者の捜索を初め、昨年五月の檜原村で発生した林野火災における延焼範囲の特定や、昨年十月の隅田川で発生した水難事故における捜索などに活用しております。  今年度は、屋内での要救助者の捜索などに有効な小型のドローンを十機配置するとともに、来年度は、荒天時でも飛行可能な全天候型ドローンを二機導入する予定でございます。  今後とも、水難事故における捜索救助や、積載したスピーカーによる要救助者への呼びかけなど、災害活動に幅広く活用してまいります。    〔建設局長三浦隆君登壇〕 ◯建設局長(三浦隆君) 二点のご質問にお答えいたします。  初めに、土砂災害対策についてでございますが、土砂災害から都民の命と暮らしを守るためには、ソフト、ハード両面から対策を進めることが重要でございます。  ソフト対策といたしましては、避難の重要性を伝える出前講座の開催など、住民の防災意識を高める取り組みを実施しております。  ハード対策につきましては、避難所の有無等、優先度をつけて計画的に砂防堰堤等を整備することとしており、来年度、青梅市成木地区など六カ所で基本設計を実施いたします。また、土砂災害警戒区域内の斜面につきまして、所有者による対策が困難な場合には、区市町村からの要望を受け、急傾斜地法に基づき、崖崩れ対策を実施しております。  今後とも土砂災害対策を着実に推進してまいります。  次に、トンネルの予防保全型管理についてでございますが、都は、平成二十七年に策定したトンネル予防保全計画に基づき、劣化や損傷が進んでいる二十六本のトンネルの対策を十年間で優先的に実施しております。  また、断面が狭小な山岳トンネルにつきましては、必要に応じてバス等の大型車の円滑な通行を確保するため、断面拡幅などをあわせて検討することとしております。令和元年度までに十二本のトンネルの長寿命化事業を進め、現在八本が完了いたしました。  令和二年度は、鳩の巣トンネルなど二本に着手し、継続事業とあわせて六本の長寿命化を実施してまいります。  引き続き、都民の安全を確保するため、予防保全型管理を着実に推進してまいります。    〔生活文化局長浜佳葉子君登壇〕 ◯生活文化局長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。  初めに、特別奨学金制度の拡充についてでございますが、家庭の経済状況にかかわらず、誰もが希望する教育を受けられる環境を整えていくことは重要でございます。  都は、平成二十九年度に特別奨学金を拡充し、年収約七百六十万円未満世帯を対象に、国の就学支援金とあわせて都内私立高校の平均授業料額まで補助をしております。  一方、既に都立高校においては、国の就学支援金により、年収約九百十万円未満世帯が授業料無償化の対象となっております。  そこで、このたび、国の就学支援金制度の拡充に合わせて、特別奨学金の対象を年収約九百十万円未満世帯まで拡大することといたしました。  次に、私立学校の振興についてでございますが、個性豊かな教育により、多彩な人材を育成している私学の振興は重要でございます。  これまでも都は、私立学校が経営の健全性を確保しながら、子供たちの個性や能力に応じた質の高い教育を実践するとともに、保護者負担に対する公私間格差の是正を図るため、さまざまな施策の充実に努めてまいりました。  具体的には、基幹的補助である経常費補助を初め、グローバル人材の育成や施設の安全対策等の取り組みを支援する学校への助成を行うとともに、特別奨学金制度等により教育費負担の軽減に取り組んでまいりました。  今後とも、こうした施策を総合的に推進し、公教育の一翼を担う私立学校の振興に取り組んでまいります。    〔中央卸売市場長黒沼靖君登壇〕 ◯中央卸売市場長(黒沼靖君) 二点のご質問にお答えいたします。  まず、豊洲市場の車両の入退場管理等についてでございます。  豊洲市場では、場内に入場する車両を管理誘導する設備を整備しておりまして、現在、ナンバープレートの自動認証による車両の特定や通行台数の把握等を行い、車両管理に必要な情報を収集し、活用してございます。  入退場ゲートや車両誘導設備の運用につきましては、未登録車両や業界内における運用上の課題などがある中で稼働いたしますと、ゲートやバース付近での渋滞を招き、周辺交通に影響を与えるおそれがございますため、まずは車両登録手続を進めてまいりました。  来月には、車両登録手続の進捗を踏まえまして、五街区で入退場ゲートの試験運用を行うこととするなど、設備全体の活用に向けまして、今後も業界と必要な調整を進めてまいります。  次に、豊洲市場の使い勝手についてでございますが、都はこれまで、業界団体等からの意見を踏まえまして、交通アクセスの改善や駐車場の確保、買い回り支援など、豊洲市場の利便性向上に取り組んでまいりました。  とりわけ駐車場につきましては、現在、千客万来施設事業用地を買い出し人等の駐停車スペースとして活用してございまして、準備工事に着手をいたします本年五月以降の対応に関しまして、関係者と調整を進めてございます。また、場内駐車場の効率的運用に向けまして、駐車場を管理している街区協議会におきまして協議を行ってございます。  今後とも、豊洲市場のさらなる活性化を図るため、使い勝手の向上に必要な見直しを、業界団体と調整しながら進めてまいります。    〔水道局長中嶋正宏君登壇〕 ◯水道局長(中嶋正宏君) 東京水道グループの事業運営についてでございますが、今回の団体統合を契機に、最終的な責任を持つ水道局が、団体の業務運営に対する指導監督をさらに徹底するとともに、株式会社としての経営の自主性を向上させてまいります。  また、団体への発注方式に性能発注による包括委託を導入することなどにより、団体の責任と創意工夫のもと、効率的かつ効果的な業務運営体制を構築していくこととしております。  さらに、現場業務を担う固有社員の採用を強化するとともに、局が培ってまいりました技術力を継承し、人材育成に努めることで、団体の業務遂行能力を向上させてまいります。  こうした改革を進め、東京水道グループのガバナンスとコンプライアンス、そして経営基盤の強化を図りまして、都の広域水道としての一体性と責任を確保し、将来にわたり安定給水を継続してまいります。      ━━━━━━━━━━ ◯六十七番(岡本こうき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。  本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。 ◯議長(石川良一君) お諮りいたします。  ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(石川良一君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。  明日は、午後一時より会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後八時二十七分散会...