東京都議会 2012-03-14
2012-03-14 平成24年予算特別委員会(第3号) 本文
午後一時開議
◯大塚委員長 ただいまから
予算特別委員会を開会いたします。
これより付託議案の審査を行います。
第一号議案から第二十七号議案までを一括して議題といたします。
昨日に引き続き総括質疑を行います。
伊藤ゆう委員の発言を許します。
◯伊藤(ゆ)委員 それでは、私の方から、東京湾の防災対策について、まずお伺いをしたいというふうに思います。
あの
東日本大震災から一年余りが経過をいたしました。ちょうど本会議が終わった後に控室にいるときに、震度五の揺れに襲われたことを今も思い出します。私自身も帰宅困難者となりまして、控室でテレビなどから情報を収集していたということでありましたけれども、夜になりまして、地元が目黒区でありまして、その友好都市である気仙沼が火の海で覆い尽くされているという光景を見ましたときに戦慄いたしました。
実際には、海に広がりました重油等に引火して、その火がまち全体を覆っていたように見えたわけでありまして、海の上でも炎上するということを私自身も初めて知りました。そうした私自身が見た光景というものを踏まえて、東京湾の震災対策についてもお伺いをしたいというふうに思っております。
気仙沼のまちが一面炎で包まれている状況を見まして、東京湾では果たしてこうした炎上というものが起きずに済むんだろうかという疑問を持ちました。そこで、こうした事情に詳しい早稲田大学の
濱田政則教授のもとを訪ねたところでございます。
濱田教授は、現在東京都が
液状化予想マップ見直しのために設置している専門委員会の委員長を務めていらっしゃる方でありますので、都にとっても信頼の置ける専門家であるといえるんではないかと思います。
濱田教授はかつて、国土交通省の
関東地方整備局に依頼をされまして、東京湾の被害想定をまとめました。これがその報告書ということになります。平成二十一年の三月でありますので、あの震災よりも以前に出されたものということになります。
この中に、東京湾の
石油タンクの配置と数が記されてございます。
実は今、お手元にお配りをさせていただいておりますが、一番として、こちらをごらんいただければと思います。
東京湾がこのようにある中で、特に
京浜臨海地区ということで、この地域がいわゆる川崎港の周辺になります。全体で五千六百六十基という多くの
石油タンクがひしめく東京湾の中において、二千百四十一基が川崎周辺に存在をしていることがわかります。
いうまでもなく、東京湾には一日当たり五百隻の航行があり、常に約二百隻程度の船が停留または待機をしているといわれておりますので、その多くの船が物資を積み込み、東京にとってはなくてはならない、当然、航路がここに横たわっているわけであります。
その報告書によれば、直下型地震が発生をしたときに、
東京湾沿岸部の
石油タンクの一部が破損をし、石油が漏れ出すということでありました。では、なぜ流出するのかということでありますけれども、それは
石油タンクを支える地盤の液状化による崩壊であるというふうに書かれてございます。
現在、
石油タンクは、特に東京湾に存在をするものは、小さいものですと大体五〇%程度が耐震化をされています。それから、大きなものですと大体一〇〇%が耐震化をされて、多くは事業者の負担でこれらが耐震化として費用を賄われているわけでありますけれども、問題なのは、実はその
石油タンクの耐震化ではありません。実はその
石油タンクを支える地盤の方に大きな問題がございます。
図2をごらんいただきたいと思いますけれども、これは兵庫県の南部地震、一九九五年のころですけれども、神戸市の深江浜で起きた地盤の水平移動を示しています。起きたときに、あの地震の際にこの地域の地盤面がどれほど移動したのか。数字が入っておりますがこれはセンチメートルでございます。ですので、一番大きな水平移動を見せたのは三百六十五センチなど、二メートルから三メートル、場合によっては四メートル近く、水平方向に地盤面が移動をしたわけでございます。これに伴いまして、LNGの貯蔵の配管バルブが変形をいたしまして、当然断裂をし、そこからガス等が漏れ出したというような事故も起きてございます。
ちなみに、よくお台場の周辺などは
液状化対策がなされているというふうにいわれております。確かに、お台場の周辺は比較的最近の埋立地でありますので、いわゆる締め固めというそうですけれども、砂などを入れて締め固めて液状化しにくい状況をつくっていると、この、いってみれば
液状化対策が効果として発揮されたのは、私は
東京ディズニーランドだったと思います。駐車場はそうした対策がなされていなかったために、しばらくの間閉鎖をされましたけれども、本体は何事もなかったということでありました。
そして、図3をごらんいただきたいと思います。
実は、日本でこの液状化という現象が認知をされましたのは、新潟の地震以来だということでございまして、これは一九六五年のことでございます。すなわち
ディズニーランドも、あるいはお台場も、一九六〇年以降の埋立地はこうした
液状化対策が十分になされているといわれておりますけれども、それ以前の地盤面に関しては、十分な
液状化対策がなされていません。
先ほどもごらんいただきました川崎港の周辺といいますのは、まさに一九六五年以前の埋立地が四〇%を占めてございます。こうした地盤面における液状化の危惧というものが、まさに指摘をされているわけでございまして、濱田教授の指摘によれば、川崎の埋立地盤が最大で七メートル水平移動する可能性があるというふうに、この報告書の中でも指摘をされております。
すなわち、
石油タンクそのものは耐震化されていますけれども、地盤面が動いてしまうことによって、いわゆるバルブだとか、あるいはタンクとタンクをつなぐような、そうした配管類が断裂をするということが当然考えられますし、また、
地盤そのものが崩壊をすれば、それに伴って上に乗っている
石油タンクが海に放出をされるというようなことも、当然考えられます。
この報告書によりますと、
川崎直下地震による被災タンクの数は百十六基というふうに見積もりをされております。実はこの百十六基というのは、タンク数が五千六百六十基であることは先ほど申しましたので、それを分母にいたしますと、わずかに二%という極めて控えめな想定だと私は思います。さらにその被災タンクの中に、必ずしも内容物が満杯で入っているわけではありませんので、五〇%程度入っているというふうに想定をいたしますと、大体流出量は二万九千キロリットルということになってございます。そのうち、さらに大きな事故を引き起こしやすい重油ということになりますと、その半分の一万二千キロリットルとなる計算でございます。
そこでお伺いをしたいと思います。
もし、この一万二千キロリットルの重油が東京湾に流出した場合、東京湾内にはどのような措置がとられるのか、お伺いしたいと思います。
◯笠井総務局長 東京都
地域防災計画では、災害発生に伴う流出油への対応といたしまして、海上保安庁、警視庁、東京消防庁のほか、都、沿岸区などが連携して対応することを定めております。
具体的な対策といたしましては、流出した油の拡散を防止するための
オイルフェンスの設置、火災発生時における消防艇などによる初期消火及び
延焼防止措置、船舶の交通規制、沿岸住民への情報伝達、避難誘導などの措置をとることとしております。
◯伊藤(ゆ)委員 図4になりますけれども、こちらをごらんいただければと思います。
これは、油が流出した後、七日後の予想ということでございます。仮にも
川崎直下地震を想定をいたしておりますけれども、川崎直下の地震が起きたとき、この辺が川崎港ということになりますけれども、この川崎港から、先ほど一万二千キロリットルの重油が漏れ出す可能性があると申し上げました。その重油が漏れ出した場合、一週間後に大体千葉港の周辺、あるいは袖ケ浦の周辺まで拡散をするというふうに予想されています。つまり、東京湾を横断する形で満遍なく拡散をし、川崎から千葉に至るまで油が広がるということでございます。冬であれば、これが横須賀港まで拡散するということでありまして、こうなりますと、東京湾一帯が汚染されるということになります。
ちなみに私も、伺って初めて知りましたけれども、東京湾内に配置をされているいわゆる集油船、油を集める船というのは一隻のみであるというふうに伺っています。恐らくこれはタンカー等が座礁したときのことを想定をしているんだと思いますが、漏れ出した油が引火するおそれは十分にありまして、とても短期間に油の除去ができるとは私には思えません。
先般、経済・港湾委員会の質疑の中でも私、このことを問題視させていただいて、答弁をいただいたところ、そのときの答弁としては、川崎で大量に油が流出した場合に、東京港への出入港というのは不可能になるという答弁をいただきました。さらには東京港の担っている物流機能が停止するという答弁も、そのときにはいただいたわけでございます。
翻って考えてみますと、こうした油の回収に二カ月もかかり、その間東京港が封鎖されるというようなことにもなりますと、今は特に原発がとまっている中で火力に頼る電力事情というものを考えますと、まさに燃料が東京湾から届かないという状況になれば、東京の物流機能だけではなくて、経済機能が完全に麻痺するというふうに私は思います。
そこで、二つのことを私から問題提起をさせていただきたいと思います。
一つは、仮にも流出した油を回収し、その回収した油を置いておく場所のことでございます。
都は既に回収油の一時保管所を定めていますけれども、既存の施設をこれは利用することになっておりますので、必ずしも臨機応変に、すぐに回収油の一時置き場として活用できるとはいえないものだそうであります。さらに専門家からは、作業効率を考えたときに、今の保管場所でいいのかというような指摘も上がっています。
そのため、私は東京湾内に、常時使用可能で効率的に排出できる集積地というものを、あらかじめ定めておくべきなのではないかと思います。そのためには、周辺住民への事前の説明あるいは合意というものも必要になってまいります。
もう一つは、
液状化対策が十分なされていない川崎市などの護岸の強化でございます。
先ほど申し上げたように、地盤の締め固めについては、既存の構造物がその地盤面にある場合にはなかなかできない仕組みになっていますので、これは締め固めというよりも、護岸の整備をしっかり行うことによって、構造物の転倒流出を防ぐというのが最善の策ではないかと思います。
しかしながら、この護岸を、
石油タンクのある場所に限ったとしても整備するならば、恐らく相当な費用がかかるというふうにいわれていますので、鉄板で護岸を完全に固めていくというよりも、専門家の試算によれば、例えばそれを鉄のくいにしていくことで、随分コスト的には軽減できるのではないかというような提案もなされています。例えば、川崎の
石油タンク密集地の護岸整備に約二百億円程度を投ずれば、相当な対策が進むんではないかというお話も伺いました。
私は現在、
石油タンクの震災対策が事業者任せになっている事情に強い危機感を抱いております。行政がこれに取り組まない限り、抜本的な対策は講じられないと思います。しかし、川崎市や千葉市など、自治体独自では財源的な限界が必ずあり、油が流出すれば東京湾に県境はありません。
ここは、都が国や千葉県、あるいは神奈川県や基礎自治体に対して働きかけを行い、抜本的な対策を打ち出すべきではないかと思います。都は、地震災害による
石油タンク流出事故を未然に防ぐ議論をスタートさせて、特に都のリーダーシップによって国に強く働きかけていくべきだと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
◯笠井総務局長 石油コンビナートなどの危険物施設などの安全対策は、本来、
石油コンビナート等災害防止法という法律に基づきまして、国と事業者に適切に対応すべき責務がございます。
このため、九都県市では、これまでも
石油タンクなどに被害を及ぼす長
周期地震動対策などの一層の推進について、国に要望を行ってまいりました。
今回の震災による
石油タンク等の火災被害を受けまして、国は昨年十二月、
危険物施設等における地震、津波対策のあり方を検討し、事業者による配管や建築物などの耐震性能の再確認等を内容とする報告を取りまとめたところでございます。
今後、九都県市の防災・
危機管理対策委員会におきまして、この報告内容を検証し、安全確保に向け、国、地方自治体、事業者が担うべき役割分担を踏まえた実効ある対策の推進を国に求めてまいります。
◯伊藤(ゆ)委員 ある事業者に私、伺いましたけれども、この
石油タンクを扱う事業者の業界というのは、大変横並びの強い業界であって、一社が先行して耐震化を進めれば、当然横並び、ほかの会社も影響を受けるということもありまして、なかなかこうしようということをいい出しにくい業界文化があるというようなことも、お話をされていました。
同じことが、実は国においても川崎市においても、あるいは当該の自治体においてもいえるのではないかと思います。どうしても、自分たちからいい出せば、あるいはこの報告書に基づく対策を行おうとするならば、その財源をいい出しっぺが求められるという一種の警戒心から、この議論が進んでいかないものというふうに思います。
ぜひ、知事におかれましても、こうした東京湾の問題を東京都の問題として、国や、あるいはほかの自治体に働きかけをお願いをしたいというふうに思います。
次に、震災時の
買い占め対策についてお伺いをしたいと思います。
三・一一の震災直後から、都内では被害が小さかったものの、原発の事故の影響などもあり、食品店においてはなかなか水や食料が手に入らないという状況がありました。
実は、うちも去年の二月に子どもが生まれたところでありまして、震災は一カ月後ということでありますので、乳児がおりましたので、この水が手に入らないというのは本当に死活問題でございました。ただ、そのことを気にしてくれた商店街の近くのおじさんが、お宅も子どもが生まれたんで、水を取り置いた、取りに来なさいということで、いわゆる売り控えをしてくれたということがございまして、本当に感謝をしたわけであります。
しかし、その商店街のおやじさんに聞いたところ、あの殺気立っている状況の中で、多くの人が物資を買い求めている中で、ある物を売らないということはなかなか難しい選択でありまして、段ボールが積まれていればそれを売れというような方も大変多くいらっしゃったということであります。
しかし、男手があったり車があれば、大量の物資を買い込むこともできますが、例えば、子どもを育てているお母さん、あるいは母子家庭などでいえば、本当に人手もなくて水が手に入らないというお困りだった経験は、都内いろんなところにあったはずだと思います。
都に聞いてみたところ、東京都は三月十六日の時点で、食料品等の
買いだめ鎮静化に向けた協力という要請書を、
日本チェーンストア協会や
日本スーパーマーケット協会などに送付されております。それに応じたスーパーなどでは、店舗によって一人一本規制が行われました。私の家のそばのダイエーでも、一人一本規制のようなものが行われていました。
しかしながら、こうした対策がとられたのは震災の五日後ということもありまして、小売店ではいち早く駆けつけた消費者によって多くの物品が買い占められてしまったわけであります。その商店街のおやじさんも、もしあらかじめ明確なルールというものが示されていたならば、もっとお客さんに物をいいやすかったということでありました。
これは商売にかかわることですので、私は条例のようなものはなじまないと思うんですけれども、一定規模の震災が発生をした場合は、水、食料の買い占めを抑制する協力要請が自動的に発効するような仕組みというものがあってもいいのではないかというふうに思います。
こうした事前の協定があれば、小売店も一人一本規制というものを自主的に開始することができるというふうに思いますけれども、都の所見をお伺いしたいと思います。
◯笠井総務局長 東日本大震災では、道路や港湾などの被害や燃料不足などによって
物流ネットワークに影響が及んだほか、消費者需要の著しい増大に伴いまして、店頭の商品不足が引き起こされました。
国の消費者庁によれば、例えば飲料水は通常の二・五倍から四倍以上供給されておりましたが、消費者の需要は三十倍以上に増大していたとされております。
首都直下地震等の発生時にはさらなる混乱が生じることも懸念され、こうした事態の回避に向け、消費者に冷静な行動を求める必要があることから、今後、
地域防災計画の修正に当たりましては、消費者に適切な行動を促し、必要な物資を行き渡らせるための対策について検討を進めてまいります。
◯伊藤(ゆ)委員 ぜひこの検討は具体的に行っていただきたいというふうに思います。
次いで、都立高校の夜間警備についてもお伺いしたいと思います。
私、ある都立高校のグラウンドの目の前に去年の九月まで住んでおりまして、ちょっとした珍事件というのがございました。それはもう二、三年ぐらい前のことになりますけれども、夜の十時ころだったでしょうか、グラウンドの方からキーンというような金属音というか、
ハウリング音が聞こえてまいりまして、何だろうと思ったら、後でわかったところですけれども、部室の中から電源が入りっ放しになっていたスピーカーがハウってしまって音がしていたということでございました。
そのことは別にさしたる問題ではないのでいいのですけれども、しかし、夜の十時ということもあって、周辺の住民の方々は学校の周辺に集まってまいりました。しかし、これは入れないんですね。今、都立高校は夜間警備、機械警備になっていますので中に入れない。また、どこの会社が警備しているかの表示も、当時全くありませんでしたので、連絡のしようもないということがございまして、夜ということもあってなかなか都庁サイドとも連絡がとれずに、結局数時間立ち往生するということが経験としてございました。
その経験をもとに考えますと、本当に震災になったときに都立高校に逃げ込もうと思ったときに、中に入れるんだろうかと。例えばグラウンドぐらいでしたら、フェンスをよじ登れば何とか入れないこともありませんけれども、しかし、体育館は恐らくかぎが閉まっていて中に入れないということがあると思います。これは地方であれば、恐らく教員の方々がその地域に住んでいるということもあると思いますが、都立高の場合はとりわけて目黒に必ずしも住んでいらっしゃる先生ばかりでありませんので、こういう不測の事態というものが十分に考えられると思います。
そこでお伺いしたいんですけれども、都立高校で避難所に指定されている学校は何校あり、そのうち
夜間無人警備になっている学校は何校になるのか、お伺いしたいと思います。
◯大原教育長 都教育委員会は、区市町村から都立高校を避難所に指定したいとの要請を受けた場合には、東京都
地域防災計画に基づきまして、その指定に協力をしております。
平成二十四年二月末現在、都立高校百八十九校のうち百五十三校が、区市町村から避難所の指定を受けております。この百五十三校のうち、
首都大学東京との合築の一校及び島しょ地区の六校を除く百四十六校が、現在、機械警備を導入しております。
◯伊藤(ゆ)委員 今答弁にもありましたとおり、多くの学校、百五十三校が避難所の指定を受けております。そのうちの大半がこうした機械警備を導入しているということでございました。無人警備である以上は、不測の事態に備えて、これはかぎを周辺住民の方にお預けをするなど、その対策を講じておくべきであるというふうに思います。
その当時の私の経験をもとに、そのことは震災があった直後に教育庁に指摘をさせていただき、対策を講じていただいたところでございますが、その後、こうしたかぎの預け渡しというもの、どれぐらいあったのか調査をしてもらいました。その調査の結果と、どのようにその後対策を講じたのか、お伺いしたいと思います。
◯大原教育長 都立高校では、夜間、休日の災害に備えまして、学校近隣の教職員の中から
学校危機管理担当者を指定して、発災時などの初動対応をさせることとしております。
これをさらに支援していただくために、地域の自治会等に依頼いたしまして、
地域緊急連絡員を選出して、都立高校の
初期危機管理活動への支援を得ることとしております。その支援の一環として、今お話がありました、夜間、休日等で
学校危機管理担当者が登校する前に住民避難が円滑に行えるよう、門のかぎを預かっていただくこととしております。
昨年のご指摘を受けまして、十月に都立高校の実態調査をいたしました。この実態調査によりますと、まず
学校危機管理担当者、これは学校から五キロメートル以内、もしくは近辺に居住する職員の中から指定をするわけでございますけれども、七四%が自宅から三十分以内に登校する、四十五分まで延ばしますと八六%が登校します。六十分まで延ばしますと九六%の職員が登校できるということがわかりました。
それから一方、かぎについてですけれども、
地域緊急連絡員になることを断られた例、それから、連絡員にはなっていただきましても、かぎを預かることは断るということで、預かっていただけなかった例などがありまして、現在、大半の高校ではかぎを預けることができておりません。
ただ、かぎを預けていない学校でありましても、通用門等を常時開錠しておくなどの方法によりまして、いざというときに住民が学校敷地内に避難できるよう、対策は講じているところでございますが、防犯上の理由もありますので、このことを広く一般にお知らせするということは、やっていないというのが実情であります。
こういう実態を踏まえまして、昨年の十二月、校庭避難が可能な施錠していない門扉の位置を近隣住民に周知することなどの対策を講ずることといたしまして、各学校あてに通知をするとともに、本年一月、校長連絡会で周知徹底したところでございます。さらに、ご指摘もございましたように、災害発生時等に、住民がどの門扉に到達しても緊急対応が円滑に行えるよう、全都立高校のすべての門扉に緊急時連絡先を表示することといたします。
今後、これらの対策の実施状況を定期的に確認をして、遺漏がないように万全を期してまいります。
◯伊藤(ゆ)委員 今、断られた例もあるということでしたけれども、知事が再三いわれておりますように、近所の力をまさにここでも発揮するために、今、学校では地域の住民の方と協議会をつくったり、熱心に地域交流を図られていることだと思います。そうした交流の場所の中で防災教育ということもあろうと思いますので、こうしたことをぜひ徹底していただきたいと思います。
ちなみに、開錠をされている部分も今あって、中には入れるということですが、これは体育館はやっぱりかぎ締まったままなんです。(「金づちでぶっ壊したら」と呼ぶ者あり)これ金づちで壊せる程度ならいいんですけどね、結構最近のものは頑丈にできている例もございますので、そういう意味では、確かに中の非耐震化の構造物が落ちてきているんじゃないかとか、そういう懸念はあると思いますけど、それよりも、やっぱり地域の人たちにかぎを持ってもらって、自分たちで判断して中に入ってもらうということがあっても、私はいいんじゃないかというふうに思います。
それから、都立高校と同様に各区市町村の教育委員会にも、
夜間機械警備の学校があるというふうに認識をしております。地元住民にかぎを預けるなど、これらの──これは市区町村が設置者なので、基本的には市区町村の判断だと思いますけれども、対策を講ずるように、都の体験を生かす形で働きかけていただいたらどうかと思いますが、所見をお伺いしたいと思います。
◯大原教育長 都教育委員会はこれまで、学校危機管理マニュアルの策定や改訂にあわせまして、このマニュアルを参考に個別の課題を点検、分析し、児童生徒の安心・安全の確保に取り組むよう、区市町村教育委員会に働きかけてまいりました。
今後、区市町村教育委員会に対して、
夜間機械警備の学校での住民の避難対応等について、ご指摘の方法も含めまして、地域の実情に応じて適切な対応がとられるよう働きかけてまいります。
◯伊藤(ゆ)委員 ぜひ、そうした積極的な働きかけをお願いしたいと思います。
次に、オリンピック・パラリンピック招致についてお伺いをしたいと思います。
二回目の招致挑戦に挑んでいる東京都でありますけれども、前回は残念ながら落選いたしました。私は前回の失敗の経験を思い出しながらいろいろ思いをめぐらせていますけれども、東京の計画が高く評価された中で、残念ながら招致のネックに、国内的にはなったのは、国内の支持率の低さだったというふうに思います。私は、必ずしも五〇%程度の支持率というものが落選の決定打になったとは思いませんけれども、しかし、多くの方々が情熱と歓喜で迎えるオリンピックにするような努力をするのが、我々の使命だというふうにも思います。
そこで、私の同年代の仲間とよく話すんですけれども、やっぱり何で東京でオリンピックやらなくちゃいけないのかなという素朴な疑問を持っている仲間が大変多いわけです。夢と感動、スポーツの力で国を一つにすると申し上げましても、一九六四年のオリンピックを知らない世代にとりましては、なかなか伝わらない部分があります。
しかし、東京という都市が、ほかのアジア諸都市の猛追を受けて、かつて誇っていた日本の市場価値というのが年々低下していることに対する若い世代の危機感というのは、私は少なくともこの数年高まってきているというふうに確信しています。
私も最近、上海やあるいはホーチミンなど、活気にあふれたまちにできるだけ足を運ぶようにいたしていますけれども、ホーチミンにおいては、市民の平均年齢が二十八歳だそうです。東京は四十五歳とか六歳とかいうことでございまして、それはもう空港におり立ったそのときから、まちのにぎわい、活気というものを感じます。こういう若い市民が放つまちの活力というのは、さまざまなビジネスチャンスというものをおのずから感じさせられますし、今の東京にはないにぎわいというものもそこにはありました。
こうした都市の鼻息を感じるごとに、東京の地位低下を感じずにはいられませんが、実はそうした都市間競争の激化に特に気づかされたのは、四年前の森稔会長との出会いからでございました。
森さん、森会長は、大変残念ながら一昨日他界をされまして、そのことは痛恨のきわみでありますけれども、そのとき森会長がいわれていたのは、オリンピックに反対をするという余裕は今の東京にはないということでございまして、東京という都市を強くしていかない限り、日本の景気回復もないし、また圧倒的に東京という都市がおくれをとるということも、危機感を持ってお話しになられていたのが印象的でございます。
何度かお会いした森氏の言葉の中に、私は、都市の磁力というキーワードがあって、とても感銘を受けました。都市の磁力、磁力のある都市とはどういうものなのかというふうにお伺いしたところ、帰りの飛行機の中で、もう一回行きたいと思うような都市がまさに磁力のある都市であると。その魅力というのは、必ずしもビジネスチャンスだけではなくて、芸術とか、文化とか、あるいはさまざまな人が集うそこの情報であるというものに魅力というものを感じさせられるし、それらが磁力としてオーラを放つんだということをいわれていました。
翻って東京には、他の都市にない、あるいはそれ以上の、江戸から続く文化と伝統と、その両者が織りなす食文化や、あるいは江戸の風情というものが要所要所にございます。しかし、その魅力というのが国内外に十分に伝わっているとは、私はいえないんじゃないかなと思います。
私自身もそうですが、ミシュランで三つ星をとる東京のレストランの多さに、実はだれよりも驚いているのは日本人でありまして、日本人自身が驚いている始末ですから、もっと東京の魅力に私たち自身が気づき、これを磨いていくべきではないかと思っています。
そういう意味で、私たちは、オリンピック招致の提言書の中に大江戸ルネッサンスというキーワードを盛り込みまして、これを招致の横ぐしとさせていただきました。江戸の風情を思い描きながら、今高度に成熟した東京のよさと、一方で悪さを整理して、いま一度沈みかねた東京の磁力を高める試みを、このオリンピック招致で行っていくべきではないかと思います。
例えば、東京のまち並みはロンドンと違って、やはり急激な開発によって形成されてきたために、多くの点で景観を損なってまいりました。以前、ベニスに行ったことがありますけれども、ベニスはまさに川に向かって玄関があり、また建物が建っていますが、残念ながら、東京の日本橋周辺の川べりを見ますと、背中を向けて建物が建っていて、エアコンのダクトなどがむき出しになっている姿というのは、本当に残念な日本の水辺だというふうに思います。
さきの一九六四年のオリンピックのときに、これは時間がなかったということもあって、急激に開発が進み、その象徴として首都高が日本橋の美貌を奪いました。また、埋め立てられた小川などが今は歩道となって水辺がなくなりました。
私は、文化的で調和のとれたまち並み形成こそ、急速に発展したアジア都市が目指す次なる目標であり、川のせせらぎを楽しむ都市開発には、都民も賛同するものというふうに思っています。江戸時代にあったあの毛利庭園というものを、六本木ヒルズは復活をさせたというのも、またこうした試みの一つではなかったかというふうに思います。
そこで、東京は二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック招致を目指しているわけですけれども、まさに我々の同年代の仲間にも、こういうふうに都市が変わるので一緒に盛り上げていこうよといえるような、まちのイメージ図、青写真というものをぜひ知事から示していただきたいと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
◯石原知事 これからの東京のまちづくりについて、非常にサジェスティブなお話を伺いましたが、しかし、これだけ集中、集積がこういう形で進み過ぎますと、オリンピックを主催する競技場の周辺の整備ぐらいできますが、東京全体を変えるというのはこれは至難なことですよ。
議会棟にやってくる通路の横に二枚の写真があります。一つは、一八九五年ですか、イギリスの写真家が愛宕山の上から撮った日本の、当時の江戸の風景です。これは本当に見事なモノクロームの、屋敷も白い塀で、全部かわらで、それに比べて、この都庁の上から三百六十度撮った写真を見ますと、美しいまちとはとてもいえない。局所局所はいいところがありますけどね。
ですから、私は知事になって、都市計画局なんてしゃれた名前はやめろと、先進国だから都市整備局に変えろと変えさせましたがね。整備のし尽くしようもないようなところもたくさんあります。
例えば、震災に一番弱い木密地域もありますけれども、いずれにしろ、このかつて近世で世界一の大都市であった東京というのは、これは上水道まで備えた、人口も世界最大の大都市でありまして、成熟した文化というのが花咲いたわけですが、私たちはそれをにわかに取り戻すすべもありませんけれども、しかしやっぱり、これからもいろいろまちの改良が行われるでしょうけれども、そのときに、ただ物をつくるということだけじゃなしに、周辺との兼ね合いというものを考えた、そういうその感性というものを踏まえた都市の再開発が絶対に必要だと思いますね。
この間も木密地域の問題がさんざん問題になりましたが、私も最近、また改めて何度かいいましたけれども、なかなかいいんです、あのまちね。あれ、モロッコのカスバと同じですよ。ただ、向こうは石づくり、こっちは木づくりだからすぐ燃えちゃってぶっ壊れるんだけどね。人情もいいんですが、しかし、これで済むものでもない。
そういう点で、何の答えにもならないかもしれませんけれども、やっぱりその一部一部で、東京駅の前の行幸通りとか改良してもとの姿に戻していますし、ノスタルジーだけではまちは発展しませんが、やはりその地域地域に残っている伝統的な特性というものを生かしながら、場所によったら非常に機能化する必要もありますけれども、そういう多角的な視点でのこれからのまちづくりを、ぜひやってもらいたい。
お役人が考えたのっぺりした、あの隅田川をめちゃくちゃにしてしまった川づくりなんていうのは、私はやっぱり一番その悪い例だと思いますので、ああいったものを反省の素材にして、東京をつくり直していってもらいたいと思っております。
◯伊藤(ゆ)委員 ありがとうございます。
私は今知事のお話を聞いて、本当にこれだけ成熟した都市が、何か一つのキーワードだけで解決する問題じゃないとは思います。ただ、オリンピックのすごさというのは、だれもがオリンピックにはやはり関心を最終的には持ちますし、どういうまち並みになるかという、一つの心をつくるというふうに思います。私は日本橋の船着き場を再生させるに当たって、あそこは三井だったと思いますけれども、事業者の方々が数十年の規模で再開発を進めてまいりましたが、映像をつくられました。これは見事な映像で、まち並み、あの周辺一帯をCGの形でどういうふうに変わっていくのかという映像をつくられて、特にあそこはもちろん高層階にはなっていますけれども、一階から三階分は全部軒先を合わせるというようなこともされていますし、まさに江戸情緒ということも、あそこの周辺の七福神などという歴史的な背景も生かして盛り込んでいたというのが印象的でした。
やっぱりこれだけ都民が成熟した中で、一つのイメージを与えていくということは難しいとは思いますけれども、オリンピックにまさるCMの機会はないと思います。残念なのは、例えばお台場でいえば、細切りに、ここの街区を、じゃ買ってくださる方はどこでしょうかといって公募をかけますけれども、本当に何というか、横ぐしが刺さっていない、グランドデザインのないものになりやすいと思います。
そういう意味では、このオリンピックを通じて、なかなか都庁の各部局ではできないことを、知事のサイドで横ぐしを刺すような、東京がこれから特に海外のお客さんを呼び込むためには、こういう少なくとも一階から三階ぐらいの目に見えるところは、まち並みというものにしていかなきゃいけないんだという理念とか、イメージ図というものを与えていただきますと、これからの多くの事業者にとっても非常に参考になると思います。
私、意外と好きなのは、やっぱりこの間できた羽田空港の国際線ターミナルの、あの江戸情緒のあふれる軒先というのはやっぱり好きですし、これから商店街等も活性化していく中で、そういう軒先をイメージしたつくり込みというのも当然出てきてもいいんじゃないかと思います。このオリンピックを通じて、私が江戸情緒ということをすごくいいなと思って提案させていただいているのは、まさにそこにありますので、知事からもこうした提言というものをぜひ行っていただければと、こういうふうに思っております。
あと二分という中途半端な時間になりましたが、もう一点は、これはちょっといいっ放しになるかもしれませんが、行革のことでございます。
私は去年、東京都の全体のホームページの金額というのをちょっと調べさせていただきました。これは五年間で実に十六億円がホームページ代に使われていました。この十六億円というのが高いのか安いのかということですけれども、五年でですから大体毎年三億円ということですけれども、大体ほかの自治体と比べますと、やはり圧倒的に高いことがわかります。
どれぐらい高いかと申しますと、五年で十六億円が東京都ですが、神奈川県でも、大体五年間で一億六千六百万円、愛知県では五年間で一億五千九百万円。今話題の大阪市では、何と東京よりも圧倒的に高くて五年間で二十五億二千六百万円と。これは余り参考になりません。で、あるいは大阪府は、回答もしてきませんでした。そういう一つ、体質をあらわしているのかどうかわかりませんけれども、ばか高いところはともかくとしても、東京都は情報量が多いとはいえ、これはやっぱりなぜこういうことになっているのか、私なりに分析しましたけれども、各局がそれぞればらばらに契約をしていまして、仕方ない面もありますけれども、やはりITの専門家みたいな方が一つ一つの契約に目を通しているかというと、必ずしもそうでない事例がたくさんありました。
これはもう要望にしますけれども、総務局にぜひ頑張ってもらって、それぞれの局に対して働きかけをしてもらいたいと思っております。
以上です。(拍手)
◯大塚委員長 伊藤ゆう委員の発言は終わりました。
─────────────
◯大塚委員長 吉原修理事の発言を許します。
〔委員長退席、鈴木(あ)副委員長着席〕
◯吉原委員 それでは、私の方から質問をさせていただきます。
しょっぱなで恐縮でございますけれども、知事の方に最初に質問をさせていただきたいと思います。
我が国に暗い影を落としましたあの三・一一、もう一年がたったわけでございます。この一年間を振り返りますと、被災地への人的あるいは物的支援から始まって、原発事故、そして計画停電への対処など、かつてない事態の連続であったように思います。加えて、懸念されている首都直下地震への備えや、あるいは防災、減災への対応も今急がれているわけでございます。まさに今、政治の力、そして政治の役割が本当に問われた一年であったように思うわけであります。
被災したあの陸前高田市の戸羽太市長は、私の住んでいる町田に小学生のときから二十八歳まで住まわれておりました。戸羽市長もあの災害で奥様を亡くされたわけでございますけれども、こんなことをいっておりました。震災後の復興のおくれは間違いなく人為的ミスだと念を強くしていました。さらに、被災地のニーズは日々変わってるんだ、きのうの課題、きょうの課題、そしてまた、あしたの課題、目まぐるしく毎日の状況が変わる中、被災直後から被災者が求めているのは、何といってもスピードなんですというふうに訴えておられます。
その最たる象徴は被災地の瓦れき処理問題であります。瓦れきの受け入れについて各地で反対運動が起こっています。
何段階もの放射能検査で安全をしっかりと確認して、市区町村とも連携をしながら、東京都がいち早く受け入れをいたしました。これは何といっても石原知事でなければ到底でき得なかったことだというふうに理解をさせていただいております。
被災地の復旧に直接障害となるばかりか、被災地の皆さんの心を折ってしまいかねない瓦れきの山をいち早く取り除くことは、本来、国のリーダーシップによって取り組むべき緊急課題であります。しかしながら、国は昨日、ようやく文書で都道府県に受け入れを要請することに決めたようであります。しかしその要請をするまでには、まだまだ日にちも時間もかかるようなことをいわれております。しかしながら、これも幾ら要請をしてもお願いでしかなく、何ら具体的な効力を持っておらないわけであります。
また、福島原発の事故は大変な事態でありまして、東京に膨大な電力を供給して大都市を支えてきた福島のために、最大限、力を尽くしていかなければなりません。一方、石原知事は、先の見通しもない、ただ脱原発を唱えるだけの動きを牽制し、エネルギー戦略の重要性を繰り返し繰り返し指摘されております。複合的に発想して対応することこそ、本来の政治であることはいうまでもありません。
我が国は、これまでの歴史をひもとくまでもなく、社会全体が一種の気分のようなものに支配されてきたことが幾度もありました。
東日本大震災と原発事故という未曾有の事態の衝撃によって、我々の日常は大きく覆されましたけれども、こうしたときこそ、政治は社会や国家を踏まえた大きな志で行われるべきであります。
瓦れきの問題のように、いかに反対されようとも理を尽くして語りかけながら、いざというときに決断することはとても大切であります。さらに今後は、電力供給の問題や原発の問題のように、民意を踏まえつつ、政治家はみずからの信念と後の世代を含めた責任を背負って行動していくことが、特に求められていると思います。
知事に、震災後のエネルギー問題の対処を初めとするこの国の政治の現状とリーダーシップのあり方について、所見をお伺いいたします。
◯石原知事 今回の大震災は、戦争による被害に近い惨状を日本のある部分にもたらしたわけですけれども、その結果、我々が享受している文明生活を支えているいろいろな企業の生産そのものが、部品の調達が不可能になることでとまったという、非常に国家というものが、地域が離れていても思いがけない形で機能的に結ばれて運営されているということを、災害が明かしてくれたと思います。
そういう意味では、狭いようで広い、広いようで狭いこの日本の中に生きている国民にとって、これはまさに一蓮託生といいましょうか、国家というものはやっぱり自分の人生にとっては運命共同体だという認識をさせてくれたと思います。
そういうときに、この戦に近い災害にどう立ち向かうかということは、それぞれ局所局所の行政の責任でもあるでしょうけど、やはりその頂点にある政府というものがリーダーシップを発揮すべきだと私は思いますし、そういう点でも、残念ながら、現政府のこの災害に対する対処は、後手後手といいましょうか、余りにも時間がかかり過ぎたという印象を否めませんですね。その復興庁なるものが、新しい役所として一年後にようやくできたというのは、象徴的な事例でありますけれども。
いずれにしろ、その瓦れきの問題も、世の中で、例えば東京のまちを歩いていて、だれかが車にひかれて、はね飛ばされて、そこで血を流して転がっていたら、みんな自分の手が汚れても助けますよ。これを自治体がやらないというのはおかしな話じゃないですか。やらせたらいい。総理大臣が倒れている人間を助けなさいということを命令したらいいじゃないですか。私は、それがリーダーがいったら、それは国民は決して拒否しないと思いますよ。
とにかく国が保証していて、三回の段階で国民が恐れている放射線が含まれていないという瓦れきを、三回の調査のあげく運び込んで来たものを、始末する施設を持ちながら拒否する市民というのは、これは別にそんな者の意見をいちいち聞く必要は毛頭ないんで、どこかの県がやっていますけれども、これは首長が拒否して、やることをやったらいいと私は思います。
それからさきのエネルギーの問題にしましても、確かに日本は世界唯一の被爆国でありますから、そのトラウマもあるでしょうけれども、しかしやっぱり、これからの日本の経済成長、世界の経済成長というものを勘案して、シミュレーションして、この日本でどれだけの成長を望み、どれだけのエネルギーが必要とされるかということを換算すれば、私は、事故が起こったからといって、放射線が怖いのはだれでも当たり前ですけれども、同じように、日本と同じような原子力発電所を運営しているフランスで事故が起こっていない。これは結局その対比というものは日本のシステムが悪いんであって、立地も含めて日本のシステムが悪いと私は思います。
極端なことをいうと、私は東京湾のどこかに原子力発電所をつくってもいいと思います。ただ海岸のそばじゃなしに、地震の問題もあるかもしれませんが、しかし、千葉県の山なんかたくさん残っていますから、鋸山の頂点にでもつくったらいいじゃないですか、基礎をきちっと築いて。そういうものだと思います。
ですから、日本人全体がちょっとトラウマに襲われてヒステリーになっていますけれども、放射線というのは確かに怖い、放射能が怖いのはわかっているが、しかし、今日本人が体験している、非常に微量な要するに放射線というものを、長期にわたって被曝するという経験というのは人類持っていないんですね。こういったもののやっぱりシミュレーションは必要でしょうけれども、いずれにしろ、それだけでとにかく原発という大事な、人間全体が開発したエネルギーの供給源というものを否定されるというのは、私は極めて野蛮な話だと思います。
吉本隆明君という、かつては反体制の、共産党ではありませんよ、共産党ほど愚劣じゃなくて非常にすぐれた人物ですけれども、この人間がある週刊誌のインタビューに、人間の文明というのは、人間が開発して、挫折しながらもそれを克服して今日まで来たと、これが近代の精神だと、今度の出来事だけで原発を否定するというのは、人間が猿に戻ると同じことだといったんですが、私は同感を禁じ得ません。
◯吉原委員 どうもありがとうございました。
今、知事のお話を聞いておりまして、私も、被災地にお伺いもさせていただきました。また、テレビやマスコミを通じて得た状況の中に、亡くなられた方が一万五千を超えておられます。そしてまた行方不明の方々もたくさんいらっしゃる中、そうしたそれぞれ亡くなられた、まだ行方不明の方々がいるご家族であっても、他人様のことを心配している、そういう姿が幾つも何回も目にしたわけであります。そういったことを考えると、我々国民がそういう思いを持っているということについては、先人の皆さんの教えが今も伝わってきているものが地域の中にはあるなというふうな実感をしております。
そうした意味でいえば、一般の国民はそういう思いをしながらも、政治家が、政治家になった途端にそういうことを忘れてしまっているのか、あるいはリーダーがそういうことを余り気にしない環境にあるのかわかりませんけれども、とても残念なことだなということを、今思ったところでございます。
次に、防災教育について伺います。
東日本大震災は、私たち日本人一人一人に、自然災害の脅威や防災の大切さを改めて実感させました。日本は豊かな国であると同時に災害の多い国でもございます。防災白書によれば、我が国の面積は世界の〇・二五%程度でございますけれども、災害発生率は、マグニチュード六以上の場合でございますが、地震回数が何と二〇・五%だそうでございます。
東京においても、近い将来、直下地震の発生が予測されていることも踏まえ、私は昨年十二月の定例会において、我が党の代表質問で、子どもたちへの防災教育のあり方について質問をさせていただきました。それに対して、教育長より、小中学校用に新たに作成する防災教育補助教材「三・一一を忘れない」などをもとに、教育活動全体を防災の視点から積極的に見直すとの答弁でありました。
この新たな防災教育補助教材、小中学校版でございますが、「三・一一を忘れない」は、一月末から都内の公立小中学校、特別支援学校に配布をされました。そして小学校五年生と中学校二年生の全児童生徒の授業で活用が始まっていると伺っております。
そこで改めて、補助教材の「三・一一を忘れない」を作成した趣旨と内容について、お伺いをいたします。
◯大原教育長 小中学校版「三・一一を忘れない」は、
東日本大震災を踏まえまして、児童生徒の防災意識や安全対応能力を一層高め、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる人材を育成する防災教育を推進するため、東京消防庁や警視庁等の協力を得て作成したものでございます。
小中学校版ともに、防災訓練への参加や家庭での防災対策をまとめた自助、共助の心を育てる教材、AEDや消防ポンプの操作法について学ぶ教材「稲むらの火」や津波てんでんこ等、先人の教えから学ぶ教材など、児童生徒が具体的にイメージできる内容で構成いたしました。
また、すべてのページにわかりやすい写真や図表等を掲載することで、防災についての児童生徒の理解、関心が高まるよう、工夫をしたところでございます。
◯吉原委員 ご丁寧な答弁ありがとうございました。
きのうは総括の我が党の質問で、「江戸から東京へ」のこの資料についても、大変すばらしい、こんなお話があったところでございますけれども、本当にこの「三・一一を忘れない」、私も小学校版、中学校版を見させていただきました。大変すばらしいものだなというふうな感じをいたしておりました。
そうしたところに、私、地元の方からでございますけれども、小学校の校長先生、あるいは教育には余り関係をしていない市役所の職員の方からも、大変すばらしいものだという絶賛の評価をいただきました。私のところにもこういった感想が来ているぐらいですので、きっと教育庁にもさまざまな感想が寄せられているんだろうと思います。その一端をお聞かせいただけたらありがたいと思います。
◯大原教育長 配布して一カ月後に実施いたしました、本補助教材に関するアンケート調査によりますと、すべての教育委員会から、防災教育を推進するためのすぐれた補助教材として、来年度も各学校で積極的に活用させたいという評価をいただきました。また、被災地の同年代の子どもたちのことを深く考えることができたという生徒の感想や、自助、共助、公助の流れがわかりやすく構成されており、活用しやすいという教員の意見があったことが、区市町村教育委員会から報告されております。
さらに、校長からは、学校便りに本補助教材を掲載し、保護者に対して活用を呼びかけた事例や、全校朝会で本補助教材を朗読した事例など、さまざまな場面で工夫して活用しているとの報告が、直接私ども
都教育委員会にも寄せられております。
◯吉原委員 さまざまなところから、すばらしい声が届いているんだということを、また改めて承りました。
とにかく行政は、スピード感がないといわれがちでございます。大地震のあの発生から今日までの短い期間でありましたけれども、内容も充実したもの、緊急対応として、この「三・一一を忘れない」、よくぞ作成をしていただき、配布していただいたと思います。しかも、各方面からの高い評価を得た補助教材であることに、東京都の教育委員会の防災教育への真剣さを強く感じているところでございます。
国においても、防災教育のあり方に関する検討が行われていると聞いているわけでございますけれども、東京の各市町村の中にあっても、地域の実態を踏まえた防災教育の見直しが今、進められていると思います。
今後も、今回の大地震の教訓や、発生も懸念されている首都直下地震への備えなど、新たなデータを盛り込んだ補助教材にすべく、さらなる改善を加えていくべきと考えますが、所見を伺います。
◯大原教育長 本補助教材につきましては、東京都の防災教育のあり方について検討するために、来年度設置いたします学校防災教育推進委員会におきまして、内容を精査し、その結果を踏まえて、必要な箇所について改訂していきます。
例えば、首都直下地震の被害想定の見直しを踏まえた新たなデータを掲載することや、被災地の復興の状況等を紹介するページを設けることなどでございます。
今後、安全教育推進校における本補助教材を活用した授業実践の成果や、実際に使用している児童生徒や学校からの声を生かしまして、よりよい教材に改善してまいります。
◯吉原委員 高校一年生用にも、保健で用いる補助教材として「災害の発生と安全・健康 三・一一を忘れない」を、既にことしの一月から全都立高校においても活用をいただいているようでございます。
こうした防災教育補助教材「忘れない」については、各教科ごとに学ぶことができて、なおかつ小中、高校生の年齢に応じた防災意識や災害時の安全な行動を身につけさせるためのすぐれた教材だというふうに思っているわけでございます。
二十四年度につきましても、新たなデータを盛り込んで改訂をしていただく、こういうことでございますけれども、とにかく小学校の五年生がまた六年生になっても使います、中学校の二年生が三年生になっても使うわけでございまして、二十四年度においてもぜひつくっていただきたい。
そしてまた、その改訂したものは、つくったものを全都内の子どもたち、小学校五年生、新たな二年生にも全員に行き渡るように配布してもらいたいなというふうに思っているわけでございます。予算の中を見ましても、どういう形でそういうことが可能になるかなというふうに思っているわけでございますけれども、やりくりをしていただきながら、ぜひお願いを申し上げたいというふうに思っているところでございます。
続きまして、学校危機管理マニュアルの実践的な活用についてお伺いをいたします。
災害時におきまして、公立学校は、児童生徒の安全確保のほかに、地域の防災拠点として住民の避難施設となるなど、重要な役割を担っています。
都教育委員会は、平成十九年度に学校危機管理マニュアルを策定いたしましたが、
東日本大震災を踏まえて、保護者と連絡がとれるまでは原則として学校で保護することや、帰宅支援ステーションの運営のあり方と教職員の役割等についての見直しを行っているというふうにお聞きしております。
今回のマニュアルの改訂で満足することなく、全体で二百ページを超える膨大な量の学校危機管理マニュアルを、災害時に各教員が確実に実施するためには、さらに工夫が必要ではないかなというふうに思っているところでもございます。
また、このことは都立学校のみならず、区市町村立の学校にも周知徹底が必要と思いますけれども、見解を伺います。
◯大原教育長 学校は、自然災害や犯罪、事故、新興感染症等、さまざまな危機への対応を求められておりまして、
都教育委員会は、これらのさまざまな危機に対する標準的な対応策をまとめた学校危機管理マニュアルを作成しております。これに基づきまして各学校は、個々の実情に即した危機管理計画を策定し、教員の役割分担を決め、組織的な対応を図っているところでございます。
生徒等の安全を確保するためには、全教員がこの計画におけるみずからの役割を理解し、災害時に的確に行動することが必要でございます。
各教員がみずからの役割を着実に果たせるよう、打ち合わせを徹底するとともに、常時携帯できるポケットメモを配布することを通しまして、マニュアル全体の理解を深めさせ、組織的な危機対応能力を高めてまいります。さらに、区市町村教育委員会にも、これらの方法をお伝えいたしまして、区市町村立学校の組織的な危機対応能力を高めるよう支援してまいります。
◯吉原委員 今までのマニュアルは二百ページにも及んでいたわけでございまして、学校の書籍棚に飾られていたのか、どこに埋もれていたのかわからないような状態が先生方にもあったわけでございまして、今お話しいただいたように、各先生方にポケットメモなるものを、きちっとを携帯できるような形でやっていただくということについては、大変ありがたいことでございますので、ぜひよろしくお願いいたします。
続きまして、私立学校の防災マニュアルについて伺います。
我が党の本会議での代表質問で、私立学校の校舎の耐震化や防災備蓄物資の補助などの安全対策の取り組みについて質疑を行いました。私からは、災害の発生に備えて、各学校が整備すべき防災マニュアルに対する支援について質問をいたします。
都内の私立幼稚園、小学校、中学校、高校には、現在六十万人を超える児童生徒が通学をしております。子どもたちに対する災害時の安全確保は、各学校が定める防災マニュアルに基づき取り組まれています。
一方、
東日本大震災では、これまでに想定されてこなかったさまざまな課題が明らかになりました。今回の教訓を踏まえて、各私立学校が防災マニュアルの見直しを適切に進めていくことが大変重要であります。
しかし、私立学校が個別にこうした見直しに必要な情報を収集したり、新たな対策の企画立案などを進めるには、おのずと限界があるといわざるを得ません。このために、行政として防災マニュアルの見直しを強力に支援する必要があると思います。
各私立学校が行う防災マニュアルの見直しに対する支援について、都の取り組みをお伺いいたします。
◯井澤生活文化局長 今回の
東日本大震災では、都内においても、大量の帰宅困難者の発生や帰宅途中の児童生徒の安否確認など、これまで想定していない新たな課題が明らかになりました。
これらの課題への対応を含めて、首都直下地震を想定した効果的な対応策を提示し、各私立学校の防災マニュアルの改訂を支援することが極めて重要であると認識しております。
このため、現在都は、私立学校の防災力の向上を図るため、緊急対策として、今年度内を目途に防災マニュアル改訂のための手引の作成に取り組んでおります。
◯吉原委員 都は手引を作成しているということでございますけれども、一方で、国においては、学校防災マニュアル作成の手引を今作成して、先日発表されました。しかしながら、国の手引は、日本全国の学校を対象として作成されているわけでございます。全国平均の標準的な対策に関する内容にとどまっています。
そこで、都が作成する手引では、東京という地域の特性や大都市東京における私学の実情を踏まえた内容にしなければならないと思います。
各私立学校における防災マニュアルの見直しを的確に支援し、児童生徒のより一層の安全を確保していく必要があると考えますけれども、見解を伺います。
◯井澤生活文化局長 作成に当たりましては、国の手引も参考にした上で、東京の私学の実情に応じて十分な検討を行い、都全体で策定が進められている総合的な防災対策と連動した取り組みを提示することが必要不可欠と考えております。
例えば、木造住宅密集地域の中に立地する学校の存在や、あるいは遠距離通学する児童生徒の登下校中の安否確認など、私学が集中している東京ならではの課題につきまして、学識経験者や防災に携わる私学関係者の意見を反映させた対応策を取りまとめ、私立学校にとって有効な手引としてまいります。
◯吉原委員 ぜひとも、東京の私学の状況を的確に反映することによって、学校の防災力向上を図り、子どもたちの安全の確保を進めるものとなることを期待しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
続きまして、水道事業についてお伺いをいたします。
東日本大震災では、水道施設も大きな被害を受け、二百万戸を超える断水被害がありました。津波被害地域を除き、水道がおおよそ復旧した七月中旬までの四カ月間もの間、被災地の方々は大変不便な生活を強いられておりました。
東京もいつ何どき大規模震災に襲われるかわかりません。断水を最小限に控え、一日も早く水道が復旧できるよう、水道施設の耐震化を進めなくてはなりません。
我が党がこれまで何度も取り上げてきたように、水道局では、耐震継ぎ手管への取りかえを積極的に進めてきました。中でも、救急医療機関など重要な施設への供給ルートの耐震化は、都民生活と首都東京を支える上で極めて重要な事業です。
そこで、救急医療機関等への供給ルート耐震化の実施状況についてお伺いをいたします。
◯増子水道局長 水道局では、平成十九年度より、救急医療機関や首都中枢機関などの重要施設への供給ルートを優先して耐震化を図っております。
平成二十二年度末現在、対象施設三百五十三カ所へ供給する管路、延長にしまして約百六十キロメートルのうち、四六%に当たる七十二キロメートルが耐震化済みであります。現在、平成二十八年度の完成を目指し、鋭意、耐震化を実施中であります。
◯吉原委員 人命にかかわる医療救護活動や首都機能を支える政治経済活動などに支障を来さないよう、これらの重要施設への供給ルートの耐震化を、今後も着実に進めていただきたいと思います。
一方、
東日本大震災では、住むところを失った多くの人々が避難生活を強いられ、避難所では断水により、トイレで水が使えなくなるなど、被害者に一層不自由な生活を強いることになりました。
震災時には多くの人が避難するような場所でこそ、水が使い続けられるようでなければなりません。
そのためにも、震災時に多くの都民や帰宅困難者が集まる避難所、あるいは主要な駅等においても水を確保できるよう、これらの施設への供給ルートの耐震化を図るべきではないでしょうか。
そこで、避難所等における給水確保に向けた取り組みについて見解を伺います。
◯増子水道局長 さきの震災では、お話のように被災地の避難所においても、断水により飲料水やトイレ用水などが不足し、避難所生活に大きな支障が生じました。
こうした状況や首都直下地震の切迫性を踏まえ、これまで取り組んできた救急医療機関などの重要施設に加え、震災時に多くの都民が集まる避難所や主要な駅、約二千六百カ所につきましても、供給ルートの耐震化を優先的に推進してまいります。
◯吉原委員 今回の震災においても、都内では、配水管から各家庭などにつながっている多くの給水管が被害を受けました。
首都直下地震が起きた場合、都内の給水管の被害件数は数万件にも及ぶとのことであります。避難所への給水管が被害を受けると、生活用水を十分に確保することができずに、避難所生活に多くの不便を来すばかりでなく、衛生上の問題も発生するおそれがあります。このために、給水管だけでも先行して耐震化すれば、避難所での給水確保にも役立つのではないでしょうか。
そこで、避難所や主要な駅への給水管の耐震化を先行して進めるべきと考えますが、見解を伺います。
◯増子水道局長 ご指摘のとおり、震災時に多くの人が集まる避難所や主要な駅への給水を着実に確保するためには、身近な給水管の耐震化は極めて重要であります。
そのため、避難所などへの供給ルートの耐震化に先行して、配水管の分岐部分から水道メーターまでの給水管の耐震化を実施してまいります。
これらにより、震災時における避難所や主要な駅の断水被害を最小限にとどめ、給水を可能な限り確保するよう全力を挙げて取り組んでまいります。
◯吉原委員 ぜひとも総力挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、目標を持てる生徒の育成について伺います。
都内の中学校で実施されるのは珍しい立志式が、昨年十一月、台東区の中学校で開催されました。生徒がみずから志を立てて自己の生きがいを考える機会を目的に、十四歳に達する中学二年生を対象に行われたものであります。もともと、古来の成人式である元服に倣って、大人への第一歩を踏み出す式ともいわれているわけでございます。
立志式は、中学校の学習指導要領の学校行事の儀式的行事として、入学式や卒業式と同様に位置づけられております。保護者や来賓の参列する中、開式の辞、国歌斉唱、校長式辞などがあり、生徒みずからの目標とその実現に向けて、みずからを向上させようとする強い意志や具体策を盛り込んだ立志宣言式でございます。
学習指導要領の中には、学校生活に有意義な変化や折り目をつけ、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機づけとなるような活動を行うとあります。将来の我が国を牽引しなければならない若者が、ひ弱な内向き志向ではなく、グローバル社会でも通用する人材として成長するために、将来への明確な目標を持つことはとても重要なことだと思います。
そこで、自己の生き方を考え、将来の目標を持つことができる中学生を育成するために、立志式のような取り組みは重要であると思いますけれども、見解をお伺いいたします。
◯大原教育長 中学生が自分を見詰め、今後の目標を明確に立てることや、その目標を決意として表明することは、自分の役割と責任を理解するとともに、みずからの意思で自己の生き方や進路を選択する力を育成する上で重要でございます。そのため、
都教育委員会は、入学式や卒業式など学校生活の節目となる機会に、児童生徒に自己を振り返り、目標を新たにすることの大切さを教えるよう、各学校を指導してまいりました。
お話の立志式のように、自己の目標を明確に立てて、それを決意として表明する機会を計画的に設定することは、大切な取り組みであると認識しております。
今後とも
都教育委員会は、区市町村教育委員会や関係機関と連携し、自己の適性や個性を理解し、みずからの将来に向けて、希望にあふれる目標を持つことができる中学生の育成に取り組んでまいります。
◯吉原委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
次に、保育サービスについて伺います。
待機児童の解消は喫緊の課題でございます。
都は、平成二十二年度に、認可保育園や認証保育所など、保育サービス定員を一万一千人分以上拡充いたしましたが、それでもなお、平成二十三年四月一日の時点で、待機児童は八千人近くに上っています。
これまでも計画を上回るペースで保育施設を整備し、また、来年度からの三年間でさらに保育サービスを二万四千人分ふやす計画としています。経済状況の悪化や他県からの転入による人口増などにより、東京都の待機児童はなかなか解消いたしません。
都議会自民党としても、過日、政府に対して、保育制度の改革に関する緊急要望を強く申し入れてきたところでございます。
待機児童解消のためには、地域の実情に応じたサービスを拡充していく必要がありますが、さまざまな保育サービスの中で、都は、認定こども園制度についてはどのように位置づけているのかお伺いをいたします。
◯杉村福祉保健局長 区市町村では、保育を必要とする人がそれぞれのニーズに応じて利用できますよう、認可保育所、認証保育所、認定こども園、家庭的保育などの多様なサービスを適切に組み合わせて整備していくことで、保育サービスを拡充いたしております。
その中で、認定こども園は、幼児教育と保育を一体的に提供する機能と、地域における養育相談の機能などを有するサービスでございまして、幼稚園と保育所のよさをあわせ持ち、待機児童解消にも資するサービスであると認識をいたしております。
◯吉原委員 待機児童解消に資する認定こども園には幾つかのタイプがあります。特に都内においては幼稚園型が多いと思いますけれども、都内の幼稚園数と、幼稚園型認定こども園の設置数、さらには幼稚園型のゼロ歳から二歳までを受け入れている園の数、そして整備促進に向けた都の取り組みをお伺いいたします。
◯杉村福祉保健局長 都内の幼稚園は、平成二十三年五月一日現在、千五十一園でございまして、幼稚園型認定こども園は四十一施設となっております。そのうちゼロ歳から二歳までの受け入れを行っているのは十三施設でございます。
幼稚園型認定こども園の運営費につきましては、国は幼稚園部分のみを財政措置の対象としておりますが、都は保育所機能に対しましても、独自の補助制度により支援を行っております。また、施設整備に当たりましても、区市町村や事業者の負担を軽減する独自の補助を実施しておりまして、これらの取り組みによりまして整備の促進を図っております。
◯吉原委員 答弁をいただきましたとおり、都内幼稚園の設置数に比較して、ゼロ-二の幼児を受け入れていただいている認定こども園はとても少なくて、十三園、十三施設にとどまっているわけでございます。なぜなら、幼稚園が十一時間の幼児教育と保育を行う認定こども園になるためには、相当の負担と、そして決断が必要になるからではないかなというふうに思われます。
より多くの幼稚園が認定こども園に移行して、ゼロ-二の子どもの保育に取り組んでもらうためには、社会資本である幼稚園の関係団体と協議を重ねることはもとよりでありますけれども、関係局との連携もとっていただいた中で、都としてさらなる支援策について検討すべきではないかというふうに思います。
即効性のある施策をすぐに打ち出すことは大変難しいことかもしれませんけれども、まずは幼稚園について認定こども園制度が活用されるよう、市区町村や関係団体と十分に連携を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
◯杉村福祉保健局長 区市町村は、認定こども園を含む多様なサービスを組み合わせて保育サービスを拡充いたしておりまして、都としてもこうした区市町村の取り組みを支援いたしております。
今後、区市町村の待機児童解消に向けた取り組みにおいて、幼稚園型認定こども園制度が活用されますよう、現在、認定こども園で取り組んでいるサービスや運営のノウハウを紹介するなど、関係各局、区市町村、関係団体が連携をした取り組みを進めてまいります。
◯吉原委員 先ほどお話しいただきましたように、幼稚園は、公私を合わせると、全都内で千五十を超えている、こういうことでございます。これに比べますと、認定こども園、幼稚園型についてはたったの十三園ということでございますので、そのことを考えれば、幼稚園が認定こども園に参加をしていただければ、相当の待機児童、ゼロ-二の解消につながっていくんだろうと思います。
しかしながら、幼稚園は幼児教育でございますので、幼稚園の先生方にも誇りやプライドというものがあるわけでございますけれども、そういったものをどういう形で克服していくかということについてはしっかりと検討しなきゃならないなというふうに思っているわけでございます。
とにかく東京都における生文局と教育庁、そして福祉保健局、一体とならなければこのことは解決できないと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
◯鈴木(あ)副委員長 吉原修理事の発言は終わりました。(拍手)
─────────────
◯鈴木(あ)副委員長 西岡真一郎副委員長の発言を許します。
〔鈴木(あ)副委員長退席、委員長着席〕
◯西岡委員 まず最初に、都の防災対策について伺います。
東日本大震災から一年が経過しました。今後も、東京からの被災地の復旧、復興支援と東京の災害対策の両面を、力強く進展させていかなければなりません。とりわけ、東京を地震から守るために、震災による教訓から、これまでの想定を超えるさまざまな対策を講じていかなければならないと思います。
きょうは、災害時に支援が必要な要援護者対策について質問いたします。
震災では、お亡くなりになった方のうち六十歳以上の高齢者が六割以上を占めました。災害時に犠牲となる多くの人は、高齢者、障害者、妊婦など支援が必要な人々であります。特にご自宅で暮らしている要介護者、視覚、聴覚障害者や、歩行困難な障害者は、周囲からの手助けがなくてはみずから避難することは困難であります。さまざまな福祉団体からの災害時要援護者の対策を講じる声が、我が会派にも多く寄せられております。
今後、著しく高齢化が進展する中、このような方々への支援はますます重要となりますが、総務省消防庁の調査によれば、平成二十三年四月現在、都内区市町村における要援護者支援の全体計画の策定状況は、策定済み三十七自治体、策定中または予定が二十五自治体であり、重要な情報となる要援護者名簿については、整備済みが四十自治体、整備途中が十七自治体となっています。
災害時要援護者への支援体制の構築は、住民に身近な区市町村が実施するのは当然ではありますが、いまだ十分とはいえず、その取り組みには相当のばらつきがあります。特に、支援の際に重要な情報となる要援護者の名簿の扱いは、いざ災害が起きたときのかぎを握るものでありますが、この扱いにもばらつきがあります。区市町村にしても、支援の担い手確保や個人情報保護の問題などの課題があります。
私としては、何よりも大切な命を守るためであれば、個人情報保護の課題などは早期に乗り越えていかねばならないと考えております。
要援護者の人々に広く手を差し伸べるため、民生児童委員、自治会や町内会、消防署、消防団などに、災害時要援護者名簿などを提供し、関係者間の輪を広げるとともに、情報の共有化をさらに進めておく必要があります。
災害時要援護者対策の推進のためには、区市町村に対し、財政的支援に加え、課題解決に向けた具体的方策や、先駆的取り組みを行っている自治体の事例を紹介するなど、区市町村を都が支援すべき立場にあると思います。
その取り組みを一層促していく必要があると考えますが、ご所見を伺います。
◯杉村福祉保健局長 都はこれまで、要援護者の支援計画の策定や、要援護者名簿の整備等を行う区市町村を、包括補助事業等により支援を行っております。また、日ごろから備えるべき事項を盛り込んだ災害時要援護者への災害対策推進のための指針や、要援護者の特性に応じて災害時にとるべき具体的な行動をまとめた、災害時要援護者防災行動マニュアルへの指針を策定いたしまして、区市町村の取り組みを支援いたしております。
さらに、平成二十年度から区市町村の福祉、防災担当者向け研修会を開催いたしまして、個人情報の取り扱いなど要援護者対策を進める上での課題について、専門家からアドバイスを受けますとともに、先駆的な取り組みを行っている自治体や団体のさまざまな事例紹介を行っております。
今後とも、こうした取り組みを進めまして、災害時要援護者対策の充実を区市町村に働きかけてまいります。
◯西岡委員 ありがとうございました。
東日本大震災を経験し、また震度七の発生も予想される首都直下地震が危惧されている今、災害発生時に一人でも多くの災害時要援護者が救われるよう、都のこれまで以上の積極的な働きかけを要望します。
一方、この災害時要援護者対策については、住んでいる地域からの視点による取り組みが主な対策となっておりますけれども、要援護者が外出している場合に、その現場、地域で、どのような対策が行われるのか、また、帰宅困難者対策の中での位置づけも極めて重要です。
東日本大震災の場合では、都内で三百五十万人の帰宅困難者が発生しました。首都直下地震時の想定では、災害時要援護者の方々が外出先で災害に遭い、多くの場合、帰れない状態に陥ります。災害時要援護者の方々が居住地で災害に遭った場合には、支援する方策が区市町村で検討されていますが、外出先ではこうしたサポートを受けにくい状態に陥ります。そのため、災害に関する情報の提供、避難誘導、医療などのさまざまな場面で支援が必要になります。また、個人に求められる対応が異なるという大きな課題もあります。
この間、こうした議論が十分には行われてこなかったように感じていますし、この課題もまさに震災時に東京が経験した教訓であります。
都は、総合的に帰宅困難者対策を推進するため、本定例会に条例案を提案しておりますが、帰宅困難者対策は社会全体で取り組むものであり、災害時要援護者に対する支援のあり方についても、都を初めとした関係者で十分に議論をし、対策を講じていく必要があります。
そこで、災害時要援護者の方々が外出先で災害に遭った場合の対応について、今後、都としてどのように取り組んでいくのか、総務局長に伺わせていただきます。
◯笠井総務局長 大規模災害発生時におきましては、高齢者や障害者、外国人などの災害時要援護者の安全確保や、避難誘導等にきめ細やかな対応が必要となることから、条例案では、帰宅困難者対策を推進するに当たりまして、災害時要援護者へ特に配慮することを規定しております。
このため、都はこれまで、帰宅困難者等対策協議会において、経済団体や鉄道事業者等と議論を重ね、駅における利用者保護や一時滞在施設への受け入れに当たり、災害時要援護者に対し優先的な対応をとることを中間報告に盛り込んだところでございます。
今後、こうした対応の具体化や災害時要援護者にわかりやすい情報提供のあり方、さらには自宅への優先的な搬送等について協議を進め、その結果を実施計画に盛り込んでまいります。
◯西岡委員 ぜひ早期に、外出している要援護者の方々のための備えも浸透し、行き渡るよう、さまざまな想定をして、具体的に取り組んでいただきたいと要望いたします。
一方、居住地域における日ごろからの要援護者対策を取り入れた我々都民レベルでの訓練や備えも重要であります。
三月四日には、東京消防庁世田谷署で、災害時要援護者の搬送訓練を取り入れた防災訓練が行われました。地域防災力を高めるためには、発災時に要援護者を守るための防災訓練もとても重要であります。
そこで、地震時における災害時要援護者対策を取り入れた防火防災訓練について、東京消防庁ではどのような対策を行っていくのか、ご見解を伺います。
◯北村消防総監
東日本大震災の被災状況等を踏まえ、震災時における災害時要援護者の安全対策を推進することが重要であると認識しております。
東京消防庁では、これまでも消防職員が行う防火防災診断等を初め、関係機関を通じて、災害時要援護者の自力避難の可否などの実態把握を行い、災害発生時の早期対応体制の確立に努めてまいりました。
今後は、地域住民による災害時要援護者の安否確認などを取り入れ、町会、自治会等が整備した簡便な救助資器材を活用いたします、より実践的な訓練を指導し、共助体制の一層の充実を促進してまいります。
◯西岡委員 防災訓練においても、要援護者を救うという視点を取り入れた訓練が浸透するよう、今後の対応をお願いいたします。
また、青少年への実践的な防災訓練や防災教育の中にも、要援護者への対策を講じていくことで、利他の精神がさらに高まるものと思います。ぜひ取り入れていただきたいと思います。
地域の防災力を高める中でも、要援護者対策について、三つの局に絞って伺ってまいりましたが、横断的な取り組みが必要な課題でもありますので、都庁を挙げた取り組みを要望いたします。
地域防災力を高めるためには、我々一人一人の役割が何よりも重要であります。いざ災害が発生すれば、初期対応が何よりも重要であります。しかし、行政機関の支援には限りがありますから、その支援を過度に期待せずに、自分や家族の命は自分たちで守り抜く、自助、共助の取り組みが重要であります。
そこで、都民自身の応急手当てや救命技能の向上がどうしても必要となってまいります。先日も、連日、専門家をお招きして議論を行っている都議会民主党防災対策PTにおいて、都心部における地震災害時の際には、軽傷、重傷も含めて、相当数のけが人が発生し、その現場でAEDの使用やけが人への対応ができる人がいるかどうかが極めて大きなかぎを握っているとのお話を伺いました。
多くの都民が応急手当てや救命技能を身につけていることは、日常生活においても重要であることはいうまでもありません。東京消防庁では、防災訓練時における指導や救急救命講習に取り組んでいます。私も定期的に上級救命講習を受講するようにいたしております。
私は、救命講習は大事だなと思っているのは、自分自身の体験もありまして、十年近く闘病と療養生活を続けていた弟がおりまして、何かあったときには大変だということで、何か自分が兄としてできることはないかということで、せめて何かあったときには手助けができるようにということで、この訓練を受けるようにしました。残念ながら、六年前に他界いたしましたけれども、こういう、自分の一人の力が小さくても、いろんな学びを通じて何かお役に立てることは大事だと思っております。
また、先ほどもお話がありましたが、私も交通事故の現場にたまたまに居合わせまして、あるおばあちゃんがひかれました。運転手の方はもうパニック状態。おばあちゃん、倒れまして、頭から血を流してしまっております。すぐ救急車を呼んで、私ができたのは、とにかくそのおばあちゃんの手を握って、救急車が来るまで我慢してね、今来るからねということでありました。そんなことから、この救命講習というのは非常に大事だなということを思わせていただいているところであります。
東京消防庁では、防災訓練時における指導や救急救命講習に取り組んでいます。しかし、実際の現場では、幾ら訓練を受けていても相当慌てるんだと思うんですね。ですから、何度も何度も継続して反復して、継続受講するということも大切だと思っています。
昨年八月、総務省では、応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱の一部改正が行われ、災害時における救命率を向上させ、講習を普及促進するために、新たに小児、乳児、新生児を対象とした普通救命講習や、小学校高学年、おおむね十歳以上を受講対象とした救命入門コースが創設されました。
そこで、東京消防庁が実施する救命講習を幅広く、より多くの人たちに受講してもらうための取り組みについて伺わせていただきます。
◯北村消防総監 東京消防庁では、一人でも多くの都民が応急手当ての知識、技術を習得できるよう、救命講習を積極的に推進しており、毎年二十万人以上が受講しております。
本年一月からは、お話のとおり、心肺蘇生に関するガイドラインの改正などに基づき、幅広く、より多くの人たちが受講できるよう、小学校高学年以上を対象に、心臓マッサージやAEDを中心とした九十分の救命入門コースを新設し、また、救命講習の受講時間がとれない方などのためには、分割して受講できるステップアップ制度を導入いたしました。さらには、自宅などで、個人の自由な時間にインターネットにより、講習内容を事前学習し、受講時間を短縮できることといたしました。
東京消防庁といたしましては、これらの講習制度を推進し、より一層、救命技能の普及拡大を図ってまいります。
◯西岡委員 ありがとうございました。毎年二十万人が受講しているとのことでありました。
また、ことしの一月からは新たな取り組みがスタートしているということでありました。そのPRも含めまして、ぜひ積極的に受講者の拡大に寄与していただきたいと要望いたします。
私は、学校課程における受講の例えば義務化、社会人においては、例えば運転免許証を取得する際には救命講習技能証を義務づけること、また、率先垂範にて公務員の方々も、全員が必ず定期的に受講することなどを考えていく必要があると考えております。
防災訓練が活発に行われている状況で、例えば、出前講座的に訓練の中に講習時間を設けて技能を身につけていただく方々をふやすことや、大変要望があるのは、土曜日、日曜日の講習開催も要望があります。土曜日、日曜日の講習開催も大きな成果を生むと思いますので、さらなるご検討を要望いたします。
続きまして、多摩地域の問題に議論を移したいと思います。知事、よろしくお願いいたします。
多摩地域の振興に当たり、極めて大きなかぎを握る横田基地の軍民共用化を推進する立場から、今後の展望について伺わせていただきます。
多摩振興に絶大な影響を及ぼすと期待されていた軍民共用化に関する日米政府間協議は、都や推進してきた関係者のさまざまな努力にもかかわらず、なかなか進展しない中で、昨年三月十一日に
東日本大震災が発生いたしました。
震災発生時には、羽田空港や成田空港が一時的に完全閉鎖されたことから、空では両空港に向かっていた八十六機もの航空機が着陸先を失い、首都圏の空は緊迫し、危機的な状況に陥り、横田基地に米国機などが代替着陸し、緊急避難が行われました。
首都圏が大震災に直面した場合を想定いたしますと、民間機の受け入れが可能な横田基地の存在は極めて大きく、現在の首都圏の空港状況を考えれば、横田基地の軍民共用化が持つ意義を改めて痛感させられました。
一方、首都圏の空港容量に目を転じますれば、羽田空港の再拡張化と第四滑走路の供用開始や、成田空港の滑走路延長の実現によって、当面の猶予はできたと認識できます。
しかしながら、今後予想される中国や東南アジア諸国の経済の急成長や、日本においても本格的な就航が始まったLCC、格安航空会社の参入拡大、産業界からのニーズの高いビジネスジェット機などのさまざまな航空需要の増大により、近い将来、再度、満杯になることが確実視されていると認識いたしております。
また、横田基地の軍民共用化は、ただ首都圏の空港容量の確保に寄与するだけではなく、ビジネスを初めとしたさまざまな航空ニーズにこたえ、さらに多摩地域の産業集積、産業交流を飛躍的に大きく促進させるものであると考えます。そして、多摩地域の持てるポテンシャルをさらに高めることから、多摩地域の振興には不可欠となる大きな起爆剤になるものであります。
四百万人を超える人口を擁する多摩地域が、首都圏の中核としてさらなる振興と発展を遂げるために、今日においても、改めて横田の軍民共用化に対する期待も効果も極めて大きいと確信をいたします。
共用化実現に向けた知事のご見解と、今後の決意を伺わせていただきます。
◯石原知事 横田の存在の意義というのは、ご指摘のように、災害時の緊急離発着用ということだけには、決して限りません。私と亀井君が、かつての盟友が努力して、割と早く、国交省をせっついて、四本目の羽田の滑走路を開港させましたが、しかし、そんなもので、日本に対する外国からの乗り入れのリクワイアメントというのは満たされるものじゃありません。現にアメリカの国防総省が関係しております有力なシンクタンクは、このままでいっても、日本の航空需要というのは二〇二〇年にも限界に達して、満杯になるだろうということをいっておりますが、そのとおりだと思います。
そういうものも見越して、就任以来、いろいろ手をかえ品をかえ、結果としては返還ではなしに、最低限、有事のときには全面協力して軍用に資するから、共有、共用という形で折り合ってくれという持ちかけをしてまいりましたが、いろんなバリアがありまして、今日までなかなかそれが実現できません。
とにかく、その最たるバリアは日本の外務省でありまして、昨年の暮れですか、ジアラという前の日本部長と、国防省の、ちょっと名前を失念しましたが、在日米軍の前総司令官をパネリストに選んで、シンポジウムを毎年やっておりますが、今回もやりました。
ゲストがゲストだけに、外務省もマークしてたんでしょうかね、そのシンポジウムの前日に、事もあろうに北米局長がこの二人を外務省に呼びつけまして、羽田に四本目の滑走路ができたから、この日本への乗り入れのリクワイアメントは、もうほとんど、要するに満杯になったと。満たされたと。ゆえに、横田の共同使用などというものは、日本にとってはナショナルイシューじゃないと。だからあなた方は発言に気をつけろという、ばかな牽制をしたんです。
私はシンポジウムに一々出ませんけれども、そのときも、従来は日本の防衛省と国交省が必ず出席し、外務省も出ておりましたが、今回に限って外務省は出なかった。しかも、前日に二人のパネリストにそういうことを北米局長がいった。
後でその二人、ご当人から、一体これはどういうことなんでしょうかと。どうも国がまとまっていないようですなという話を聞いたので、私は外務省に行って激怒いたしました。残念ながら、あなたの政党の外務大臣で、それが使っている北米局長ですけれども、そのときに、前原君に、一体何で外務省はこのシンポジウムをボイコットしたんだといったら、一々地方自治体のやっている行事に国が参加する必要はないというから、あんたはなりたてでばかなこといわない方がいいよと。なりたての外務大臣、何も知らずに、今までのいきさつを知らずに、こんななりたての北米局長のいうことを聞いて国益を損することになりますよと。一体君らはどこの局長なんだ、どこの国の、どこの大臣だと、面罵しましたよ、私、腹立ったから。彼らはしゃれっとして、日本の外務大臣だ、日本の局長でありますというけれども、こういう無知の限りというか、僣越といおうか、国益も考えずに、何の都合ですかね。
前原君はなりたてだからしようがないかもしれないけれども、日本の外務省の役人というのは全部アメリカに気兼ねして、アメリカが気になることは絶対にいわないんです。しかも、これは主に国防総省相手の人でしょうけれども、国防総省自身もこの認識を持ってきているわけですからね。これはよっぽど、東京が逆立ちして頑張ってもどうにもなる問題じゃない。やっぱり政府がその気になって、日本の国益というものを考えなかったら、これはやっぱり、仁川の国際空港もどんどん立派なハブになっていますし、どんどん上海にも抜かれ、韓国にも抜かれて、日本はえらいことになりますよ。
そういうことを、都議会はみんな理解していただいているけれども、肝心の政府や肝心の外務省が、上にだれが来ようがばかなことをいっているので、こういう外務省というのは、私は淘汰しなくなったら、この問題はなかなか国益に沿っての解決にならないと思いますので、お互いに頑張りましょう。
◯西岡委員 この質問は、知事から私たちにも厳しいお声があることを承知の上で、しかし、なお地域にとっても、多摩にとっても、東京にとっても、極めて大きな問題ですから、あえて知事に答弁を求めさせていただきました。
横田基地の軍民共用化を実現していくためには、これは国なくしてはもちろん取り組めない課題であります。困難な課題ではありますが、多摩地域の都民として、我々も決してあきらめない決意でこの問題に取り組んでいきたいと思っております。よろしくお願いします。
また、横田基地の軍民共用化が実現すれば、首都圏西部地域で進む三環状道路の整備の進展と相まって、多様な産業の集積、連携が大きく促進され、多摩地域の振興に大きく寄与するものであり、雇用や、経済波及効果にも大きなものがあります。共用化の実現に向けて、災害時におけるさまざまな取り組みも重要であります。
また、横田基地エリアの旅客需要は五百六十万人と推計されておりまして、山梨県、埼玉県、神奈川県を含めた地域との緊密な連携を、今後とも高めていく必要もあると考えております。
また、来年九月七日、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致を何としても実現もいたしまして、ぜひとも横田基地への国際民間機の乗り入れ交渉も、ぜひ積極的に進めていただきたいと要望させていただきます。
続きまして、私の地元であります小金井市の可燃ごみ処理について伺います。
まず、小金井市の喫緊の課題は、今現在も処理体制が確立していない可燃ごみの処理体制の一刻も早い確立であります。この間、多摩地域の自治体の皆様から、小金井市の危機的状況へのご理解を賜り、可燃ごみの受け入れ支援を行っていただいていることに関し、心より厚く御礼を申し上げます。
あわせて、四百万多摩都民のために、焼却灰などの最終処分に多大なご尽力をいただいている日の出町の皆様に、心より感謝を申し上げます。また、広域自治体としてさまざまな調整など、危機的状況にある小金井市の取り組みにご支援をいただいている都にも、心より感謝を申し上げます。
昨年は小金井市政が混乱し、多くの関係者の方々に不安をもたらしました。この問題の解決には、近隣自治体や東京都との信頼関係が何よりも重要であり、一日たりとも市民のごみ収集をストップさせてはならないという重い命題と、小金井市が一刻も早く恒久的な処理体制を確立しなければならないという課題を解決しなければなりません。
そのためには、行政、議会、市民が真に結束し、失われた信頼を取り戻し、多摩地域の皆様や東京都からの信頼を得つつ、小金井市の恒久的な処理体制を一刻も早く確立することが求められております。
平成二十三年度分の支援体制は、多くの関係機関の方々のご尽力により、おかげさまで市民生活に影響を及ぼすことなく処理されました。改めてご協力いただいた皆様に感謝を申し上げます。
今後は、平成二十四年度分の支援体制と、平成二十四年度内に恒久的な小金井市の可燃ごみ処理体制の方針を示すことが求められております。
今後ともあらゆる方策を講じて、小金井市が果たすべき責任をしっかりと果たすべきことは、これはいうまでもありません。この間、多摩地域の自治体の皆様などから幅広いご支援をいただくとともに、私もさまざまな取り組みを行ってまいりました。
また、小金井市は、国分寺市との共同処理を目指して、鋭意努力を積み重ねてきたところであります。しかしながら、両市の可燃ごみ処理体制の問題は抜本的な解決には至っておらず、課題として残っている状況にありますが、このままいたずらに時を費やすことは許されません。
こうした課題を解決するために、当事者である市町村の努力や自治体間の話し合いだけでなく、広域自治体である東京都の支援、調整が必要であると考えますが、都のご見解を伺わせていただきます。
◯大野環境局長 ごみの処理は市町村が責任を持って実施をしておりますが、清掃工場の建てかえ時等におきますごみ処理の相互支援につきまして、都は助言を行うとともに、施設整備に際しましては技術職員の派遣などを行っております。
また、今回の小金井市と国分寺市の共同処理の取り組みにつきましては、都と両市で三者協議会を設けまして、情報交換を頻繁に行うほか、多摩地域の廃棄物行政連絡会等の場で、小金井市のごみの広域支援に関する要請なども行ってまいりました。
今後も、都は広域的な立場で、多摩地域におけるごみ処理問題の解決のために、必要な技術的支援と、市町村相互間の調整を行ってまいります。
◯西岡委員 ありがとうございます。
これまで、多摩地域の可燃ごみ処理体制や小金井市の現状などについて、私の考えを述べさせていただき、今、環境局長からご答弁いただきました。
多摩地域には、可燃ごみ処理体制の問題を初めとしたさまざまな課題が存在しています。それらの課題を解決するためには、市町村同士の連携が必要なことはいうまでもありませんが、都と市町村が一体となって取り組む必要があるとも考えます。
最後に、市町村の行財政運営の支援や多摩振興を所管する総務局長から、こういった諸課題の解決に向けた基本姿勢について伺わせていただきたいと思います。
◯笠井総務局長 地域が抱えるさまざまな課題を解決するためには、まずは市町村間の連携が必要であるとともに、広域自治体である都と基礎的自治体である市町村が、役割分担をしながらも一体となって取り組んでいく必要がございます。このため、都はこれまでも、広域自治体として市町村に対し、行財政運営に対する支援や助言、情報提供を行うとともに、市町村との間で職員の相互派遣などを行ってまいりました。
今後も、お話の可燃ごみの処理などの市町村の自主的、自立的な取り組みに対し、広域的な立場から市町村相互間の調整を行うとともに、市町村の行財政運営に対する支援などを行うことで、さまざまな課題の解決に向けて積極的に取り組んでまいります。
◯西岡委員 ご答弁、ありがとうございました。環境局長、総務局長から、小金井市の可燃ごみ処理の課題解決などに向けた力強いご答弁をいただきました。
小金井市は、さまざまな経過があるこの困難な課題の解決に向けて、大きな成果を上げている市民のごみ減量への極めて熱心な取り組みも含めて、これまで懸命に努力してまいりました。今後とも、小金井市は市民生活を守り、課題を解決するために、これまで以上に関係者が一丸となって協力し合い、みずからの責任を果たしつつ、あらゆる方策を検討し、取り組みを進めていかなければなりません。来年度が正念場になるものと考えます。私も市民の一人として、小金井市や関係者と連携し、一層努力してまいります。
そして、ご答弁にもありましたように、積極的かつ力強い東京都の支援、調整をお願い申し上げ、多摩地域の可燃ごみ処理体制についての質問を終わります。
次に、多摩地域に有する国の史跡玉川上水、国の名勝小金井桜について伺います。
玉川上水は貴重な史跡であり、将来世代に継承していくためには、護岸の保護などの多くの課題を解決していくことが求められています。また、江戸時代に植えられた小金井桜は、玉川上水堤の六キロメートルにわたる桜並木で、その美しさが江戸じゅうに広まり、明治天皇も行幸され、その後、国の名勝に指定されました。
しかし、都市化に伴う生育環境の悪化などから、保全対策が急務の課題となっていました。そこで、私も都議会の場で、小金井桜並木の保全を要望させていただきました。
その後、都の検討が進み、平成二十一年八月には、今後十年間の具体的施策を定める史跡玉川上水整備活用計画が策定され、その中に名勝小金井桜ゾーンが位置づけられました。そして、二十二年度から三カ年、小金井地区六百四十メートルがモデル地区となり、都、小金井市、市民との協働事業として、悪影響を与えている雑木などを伐採し、後継樹を補植する桜並木復活に向けた事業がスタートいたしました。
このモデル事業を着実に成功させ、そしてそこで培ったノウハウなどを検証し、四年目以降の全体事業につなげていくことが重要であります。
そこで、これまでの玉川上水整備活用計画の進捗状況と、名勝小金井桜復活事業である二年間のモデル事業への評価と今後の展望について、伺わせていただきます。
◯増子水道局長 玉川上水を貴重な土木施設、遺構として、将来にわたり良好に保存するため、現在、史跡玉川上水整備活用計画に基づき、のり面の保護、眺望の確保のための樹木の伐採や剪定を実施しているところでございます。
名勝小金井桜の保存、復活に向けたモデル区間約六百四十メートルの整備事業につきましては、今年度までに約三百九十メートルの区間が終了いたしました。住民の皆様や学識経験者からは、日照などの桜の生育環境の改善のみならず、景観がよくなった、落ち葉が減少したなど、生活環境も大幅に改善されたとの意見をいただいております。
平成二十四年度も引き続きモデル区間の残り約二百五十メートルの整備を進めてまいります。
この成果を踏まえ、関係各局や地元自治体、地元団体との連携を図りながら、今後の名勝指定区間の整備に取り組んでまいります。
◯西岡委員 ありがとうございました。今後とも着実に、玉川上水の整備活用計画を進展させていただきたいと思います。
また、名勝小金井桜区間六キロメートルは、小金井市、小平市、西東京市、武蔵野市にまたがる区間であります。今後、都と沿線四市とが情報の共有化を図り、本事業がさらに都民のコンセンサスを得られる事業として展開できるよう、要望いたします。
次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致について伺ってまいります。
今、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックを開催する意義は、東京にとっても、日本にとっても極めて高く、これは何としても招致を実現していかなければなりません。復興、再生、未来に向けてのオリンピック・パラリンピックをオールジャパンで日本に招致するため、東京がその使命を果たすべきものと考えます。
ここでは、昨日も知事からお話がありましたけれども、メーンスタジアムについて伺ってまいりたいと思います。
オリンピック・パラリンピックでは聖火がともされ、開閉会式会場となり、多くの観客を魅了するメーンスタジアムも極めて重要な施設となります。ロンドン・オリンピックでは、英国大使館のホームページで、四十億人が、ダニー・ボイルとスティーブン・ダルドリーが監督を務めるロンドン・オリンピックの開会式を見ることが予想されますと宣伝されております。四十億人というのは大変な数字であります。また、ちなみにオリンピックスタジアムの屋根は、不要になったガス管でつくられましたとも宣伝されております。
その開催国のありようを象徴するのがメーンスタジアムと開会式のプレゼンテーションともなり、メーンスタジアムはIOCからの評価の大きな対象となる施設であります。また、その国のレガシーともなります。
前回招致の際は、メーンスタジアムは晴海に建設予定であり、太陽光パネル、外壁緑化など、自然と共生するスタジアムとされていました。前回招致の際は、経費の面や国の関与を高める観点からも、国立競技場の再整備を会派としても要望しましたが、今般、国の決断と協力もあり、オリンピック招致に合わせた、老朽化した国立競技場の全面改築となりました。文部科学省では、来年度予算に一億円の調査費を計上しています。
国立競技場の全面改築は、前回招致以上の評価にもつながり、日本のスポーツ振興も含め、さまざまな利点、メリットが生まれるものと考えます。先般、三月六日には、国立競技場の構造や将来構想を検討する有識者会議の初会合が開かれ、ことし十一月までにその内容が決定されると聞いています。石原都知事も委員の一人に就任されています。
そこで、東京が目指すメーンスタジアムのコンセプトについてのご所見を伺わせていただきます。
◯細井スポーツ振興局長 先日、日本スポーツ振興センターが開催しました国立競技場将来構想有識者会議では、建てかえ検討に当たっての要件として、二〇一九年のラグビーワールドカップ開催に見合った八万人の規模や、球技と陸上競技の共用など、検討の方向性が示されました。オリンピックスタジアムは開閉会式の会場となり、大会の象徴的存在として広く世界に情報発信する大会の代表的な施設でございます。
今後、有識者会議において具体的な検討が進められることとなりますが、周辺環境との調和やアクセスの充実などとともに、世界レベルの大会が開催可能なホスピタリティースペースの確保など、大会の顔としてのふさわしいスタジアムとなり、また周辺環境も含め、日本を代表するスポーツクラスターとなることを強く求めていく考えでございます。
なお、この地域は三区にまたがりまして、複雑な都市計画規制を乗り越えて、スピード感を持って建設を促進する必要がございますため、国家事業として位置づけて進めるよう、先般、知事が総理に特段の要請を行ったところでございます。
◯西岡委員 ぜひ、オリンピックを開催するにふさわしいスタジアム、東京の中心地にふさわしいナショナルスタジアムとなるよう、国や日本スポーツ振興センターに、東京都としてのさまざまな意見や提案をしっかりと伝え、具現化していただきたいと要望いたします。
先日、改めて私も現在の国立競技場を見てまいりました。前回大会の開催から五十年近くが経過してもなお、メダリストの銘板や聖火台、各国用の国旗掲揚柱を初め、競技場全体からオリンピックの感動が感じられました。
改築により施設が最新鋭と生まれ変わっても、この雰囲気、空気はしっかりと残していくべきであります。その上で、一九六四年以降積み重ねた歴史に、二〇二〇年からの新たな歩みをつないで、世界に誇れるオリンピックレガシーとしていかなければなりません。
そこで、建てかえ後の国立霞ヶ丘競技場がオリンピックレガシーとしてどのような価値を持つと考えているのか、伺わせていただきます。
◯細井スポーツ振興局長 国立霞ヶ丘競技場は、建てかえにより、オリンピック開催後も、スポーツ基本法が目指します大規模国際大会の招致が可能な競技場となり、日本のスポーツ振興の可能性を大きく広げることとなります。また、立地上も東京体育館や明治神宮野球場などとともに形成するスポーツクラスターの中核施設として、大小さまざまなスポーツイベントの開催される日本のスポーツの中心地となります。
さらに、今回の有識者会議には、日本最高レベルの建築家や芸術家、スポーツ経験者が入り、世界にアピールできるスポーツクラスターとなることが期待できます。
いずれにしましても、六四年、二〇二〇年、両大会の記憶を長くとめるにふさわしい施設や周辺環境となるよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。
◯西岡委員 新しい国立競技場が五十年、百年後にも、将来世代に引き継いでいけるスタジアムとなるように、今後の議論を進めていただきたいと思いますし、私たちもさまざまな提案をしてまいりたいと思います。
また、衆議院、参議院で可決された決議の末尾には、オリンピック・パラリンピックを東京都に招致するため、政府、国会が一体となり、国を挙げて、必要となる支援や競技環境など、その準備体制を整備すべきであると明記されております。我々もその趣旨が貫徹されるよう、努力してまいりたいと考えております。
次に、スポーツ祭東京二〇一三について伺ってまいります。
スポーツ祭東京二〇一三には、スポーツ振興のほか、
東日本大震災の被災地並びにいまだ復興の過程にある三宅島への支援、障害者スポーツの振興、スポーツ施設の改善、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの東京招致への機運の向上、スポーツと環境やスポーツツーリズムという新しい理念の具現化、開催地域の活性化、新しい国体の形を東京から発信するというさまざまな価値が含まれています。何としても成功させていかなければなりません。
この間私は、これまでの国体のイメージを払拭し、東京ならではの国体となるよう、多くの都民も参加し、だれもが生涯にわたってスポーツに親しめる社会実現の一大契機とする必要性、とりわけデモンストレーションとしてのスポーツ行事の積極的な活用を提案してまいりました。
先月、都の実行委員会常任委員会では、デモスポ行事の追加と、全国障害者スポーツ大会のオープン競技が選定されたと聞いています。障害者を初め、子どもから高齢者まで安心して楽しめるスポーツであるユニバーサルスポーツを普及し、スポーツの多様な可能性を示すためにも、デモスポ行事は重要であります。
また、国体と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として行う、東京ならではのスポーツ祭東京二〇一三の実現につながっていきます。また、全国障害者スポーツ大会でも、十三の正式競技以外に、手のひら健康バレーなど、障害者の方々が親しめるスポーツがオープン競技として実施されています。
そこで、デモスポ行事の実施規模、中でも障害者の方がともに参加できる行事はどの程度あるのか、そしてそのオープン競技についてはどのようになっているのかを伺わせていただきたいと思います。
◯細井スポーツ振興局長 国民体育大会におけますデモンストレーションとしてのスポーツ行事は、都民のだれもが参加でき、幅広いスポーツの普及振興を目的としております。東京におけるデモスポ行事は、国体史上最多の五十七種目でございまして、五十三の区市町村、七十八に上る会場で実施されます。
これらの種目のうち、障害のある人もない人もともに参加できるユニバーサルスポーツにつきましては、現在、ブラインドサッカーやユニバーサル駅伝など、十二種目を開催する予定となってございます。
また、全国障害者スポーツ大会におけるオープン競技は、障害者スポーツを広く普及させる観点から、競技団体が主体となって実施するものでございます。
都は、十七のオープン競技を選定いたしましたが、これは過去最多であった兵庫県の五競技をはるかに上回る競技数でございます。日ごろから練習を重ねている障害者の方はもちろん、初心者でも気軽に参加できる競技もございまして、障害者スポーツの普及に大きく貢献することが期待されるところでございます。
◯西岡委員 たくさんの競技、デモスポ、オープン競技が準備されております。あとは多くの方々が参加していただけるように、ぜひ今後の周知を含めて頑張っていただきたいと思います。
それでは、このスポーツ振興の一番最後の質問、用意させていただいた質問に移らせていただきます。
競技団体や区市町村から寄せられるさまざまな競技施設の関係について伺わせていただきたいと思っております。
スポーツ振興には、都民が日常的にスポーツへのかかわり度合いを高めていくことが重要でありますが、スポーツを行う環境、とりわけ施設の拡充は重要な課題であります。しかし、スポーツ施設は地域によって偏在し、区市町村間に格差が生じ、競技や地域によっては活動場所の確保に苦労している状況もあります。
健康志向の高まりにより、ニュースポーツ、障害者スポーツの普及が広がり、総合型地域スポーツクラブも増加していることから、スポーツの種類や形式は多様化し、施設への需要も高まっています。私も日ごろ、さまざまな競技団体、スポーツ関係団体から、施設の不足に対する切実なご意見を伺います。
そこで、都民のスポーツ活動を支援するために、都は、競技団体や都民からの要望や意見を吸い上げ、施設の利便性の向上や施設の有効活用を図る取り組みを行っていただきたいと考えますが、最後にご見解を伺わせていただきたいと思います。
◯細井スポーツ振興局長 都は、東京体育館等の指定管理者であります東京都スポーツ文化事業団や東京都体育協会などを通じまして、競技団体を初めとする施設利用者などからの要望や意見の把握に努めてございます。
こうした施設に対するニーズを踏まえ、新たに区市町村の施設担当者による連絡会を開催いたしまして、施設の有効活用について意見交換をしていくことを検討いたします。
また、都内の公立スポーツ施設を検索し、各施設の基本状況や空き状況、予約サイトへのリンクなどを表示するポータルサイト、スポーツTOKYOインフォメーションにおいて、今後、携帯電話でも施設検索ができるよう、サービスを提供してまいります。
こうした取り組みによりまして、スポーツ施設利用者の利便性向上や施設の有効利用を積極的に図ってまいります。
◯大塚委員長 西岡真一郎副委員長の発言は終わりました。(拍手)
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十三分休憩
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午後三時三十分開議
◯鈴木(貫)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
野上純子委員の発言を許します。
◯野上委員 最初に、防災教育について質問をいたします。
東日本大震災では、大津波から自分の命を守り抜いた岩手県釜石市の子どもたちが注目されました。いわゆる釜石の奇跡です。
あの日、釜石市の小学生約二千人、中学生約千人のうち、津波が来たときに学校の管理下にあった児童生徒については全員無事でした。その中でも、釜石東中学校では、生徒たちが揺れの大きさから、ただごとではないと察知し、避難場所まで走って避難を始めました。それを見た鵜住居小学校では、校舎の三階に避難していましたが、外への避難を決断し、小学生たちは、中学生の後を追ったのです。その際、中学生は小学生の手を引き、避難を助けました。避難所のございしょの里も、まだ危ないとの判断で、さらに高い場所にある老人福祉施設まで移動しました。その五分後です。小学校も中学校も、校舎は津波にのみ込まれたのです。
判断を過たず、五百六十二人が全員無事に避難することができたのです。これはふだんから、釜石東中学校と鵜住居小学校が合同で避難訓練を行ってきたことが、いざというときに生きたあかしです。
そこで、災害への危機意識を子どものころからしっかりと身につけさせていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
◯石原知事 たびたび申しておりますけれども、日本というのは地勢学的に世界で最大の火山脈、ファイアリングの上にあるんですね。
アラスカから日本列島で分岐して、一つはフィリピンへ行き、一つはマリアナを通じてサイパンまで行っている。しかも、この三宅島の、要するに災害のときに、いろいろ専門家にお話を聞いたときにわかったんですが、ミッドウェーから真西に向かって、日本に向かって一千マイル来たところに、日本人の学者が見つけた海底火山がありまして、ずっと、それがやっぱりアラスカまでつながっている。
最初の火山が日本の天皇の名前がついて、神武、綏靖、安寧、懿徳、孝昭とずっと続いていて、アラスカに一番近いところの火山が、名前は忘れましたが、明治時代の──いや、済みません、徳川時代の天皇の名前なんです。天皇陛下の名前というのはたくさんありまして、それほど、とにかく日本列島に、横にも同じように火山脈が走っているという、こういう地勢学的な悪条件の上にある国土というのは、世界でめったにないと思います。
ゆえに、委員がおっしゃるように、そういうものを認識した上で、子どものころから津波、地震というものが必然的にあり得るんだということを教えて、一種の刷り込みとして、そういう退避というものを体得させるということは、絶対に必要だと思いますし、これは大人になってからじゃ遅いので、やっぱり子どものころ、九九算を覚えさせるみたいに刷り込みをする必要が絶対にあると思いますし、その必要性というのがいかに大事かということが、今度の、今ご指摘の釜石ですか、小学校、中学校の生徒によって明かされたと私は思います。
◯野上委員 片田教授は、大いなる自然の営みに畏敬の念を持ち、みずからの命を守ることに主体的であれという信念のもとに、想定にとらわれるな、最善を尽くせ、率先避難者たれという避難三原則を釜石の各学校で指導されてきたということです。
大震災から一年を迎えたこの三月、インタビューに答えた釜石東中学校の校長先生の言葉が印象的でした。
奇跡というより、生徒がふだんどおりのことをやり、そこに偶然が重なっただけ。葛藤はいろいろあります。欠席していた生徒の命は救えませんでした。自分の命をどう守り抜くか、この点の教育を怠ってはならない。教育者の使命だと思っていますと。
そこで、
東日本大震災の教訓を風化させないために、これまで取り組んできた各学校における防災教育を、一層充実させていくべきと考えますが、教育長の所見を伺います。
◯大原教育長 都教育委員会は、
東日本大震災を踏まえまして、副読本「地震と安全」を都内のすべての児童生徒に七月までに配布いたしますとともに、新たな補助教材「三・一一を忘れない」を作成いたしまして、防災教育の充実を図りました。
また、都立学校及び区市町村教育委員会に対しまして、さまざまな場面や条件を想定するとともに、AEDの使用や避難所運営訓練等を消防署や自治会等と連携して実施するよう、避難訓練等の見直しを指導してまいりました。お話のように、この未曾有の災害から得た教訓が薄らいでいくことを防がなければならないと考えます。
そこで、今年度の取り組みを一過性のものとせず、継続することの大切さを都立学校及び区市町村教育委員会に対して指導することで、今後も防災教育を充実させてまいります。
◯野上委員 ただいま教育長の答弁にありました、先ほども出ましたけれども、この「三・一一を忘れない」、これは、表紙に、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる人になるためにと書いてあります。
この教材の非常にすばらしいところは、この見開き一ページで勉強ができるようになっておりまして、ここのところに、どこの教科で勉強するかが出ております。これだったら国語、それから特活、道徳というふうに、それぞれ使えるようになっております。大変すぐれた教材になっております。
中学校版防災教育補助教材、小学校もそうなんですけれども、「三・一一を忘れない」を、授業や特別活動でしっかりと活用して、子どもたちの防災力を高めていくべきと思います。所見を伺います。
◯大原教育長 小中学校版「三・一一を忘れない」は、社会、理科、道徳等の授業におきまして、防災に関連して学習できるように、小学校版二十二教材、中学校版二十一教材を掲載しております。
これらの教材につきましては、例えば被災地の児童生徒の作文や絵などは、生命尊重や感謝について考えさせる道徳の授業で活用することができます。
また、
東日本大震災と関東大震災の被害状況を比較した教材や、日本で過去に発生した主な災害の年表は、社会科の授業で活用することができます。
都教育委員会は、今後とも、本補助教材のすぐれた活用事例を収集いたしまして紹介するなどして、各学校の取り組みを支援してまいります。
◯野上委員 現場は大変忙しいですから、各学校が時間を工夫して防災教育の授業として活用していただければと思っております。
東日本大震災では、地震が来たら津波が来ると、津波が来るから高台に避難するということでした。首都直下地震では、東京直下型の地震では、建物の倒壊から身を守ることができた後は、火災から身を守ることが要求されます。首都直下では、五七%が火災で亡くなるとの想定です。ですから、放射熱からどう身を守るのか、あるいは木造密集地域にいたとき、迫りくる炎からどう逃げるのか、そういったことが大変大事ではないかと思っております。
災害を、自分自身の身近な危険と認識した上で必要な知識を持ち、日ごろから備えていくことが大変有効です。大災害をとめることはできませんが、最悪の事態を想定して、日ごろからの備えをしていくために、この「三・一一を忘れない」を活用し、自分の命を守り、そして地域に貢献できる力を高めていただくことを期待して、次の質問に移ります。
次は、東京都の教職員互助会が運営している三楽病院の精神科の医師によりますと、教師は、教師生活に支障が出るまで受診しない傾向にあり、休職者の七割が受診直後に病気休暇に入る、いわゆる手おくれ受診だそうです。これは、なぜもっと早く受診しなかったのか、その理由は、学級担任で休めないとか、自分が休むとほかの先生に迷惑がかかるとか、自分が不調なのをほかの先生に知られたくないとか、まだ我慢ができる、まだ耐えられると思っている、さまざまな理由がございます。
休日受診の機会をふやす等の改革を行わないと、休職者の数を減少させることはできないのではないかと思って、教職員のメンタルヘルスについて質疑をさせていただきます。
東京都の公立学校の教員の精神疾患による休職者は、平成二十年度の五百四十人をピークとして、二十一年には五百三十二人、二十二年には五百十九人と、少しずつ減少傾向ではありますけれども、依然として年間五百人以上が休職している現状がございます。
都教育委員会は、早期自覚、早期対処に重点を置いた施策を展開していただいておりますが、多くの教員が休職となっていることも事実でございます。担任教員が元気になり、職場復帰することも、児童生徒に対する教育を考える上で大変重要です。
教職員のメンタルヘルスに対しては、リワークプラザ、これは都で休職した先生方の現場復帰の訓練機関ですが、平成二十二年五月に設置されました。二年近くが経過しております、このリワークプラザ東京の今年度の実績と活用状況について伺います。
◯大原教育長 平成二十三年度のリワークプラザ東京における職場復帰訓練の申請者数は、二月末段階で百三十七名でございました。既に訓練を終了した者が七十九名、そのうち復職した者は十三名、今後復職を予定している者は六十二名でございます。
職場復帰訓練では、精神科医などの医師による面接を踏まえまして、訓練の開始や終了時期について、
都教育委員会が慎重に判断いたしますとともに、臨床心理士と、経験豊富な校長OB等が学校を訪問いたしまして、個別の復帰訓練プログラムの作成、訓練の段階に応じた指導助言を行っております。
さらに、復職した教員に対しては、学校へのフォロー訪問を行い、復帰後の状況に応じて、必要な助言、支援を行うなど、区市町村教育委員会や学校経営支援センター等とも連携し、再度の休職を予防するための取り組みを進めているところでございます。
◯野上委員 精神疾患で休職した教員や、休職に至らなくてもメンタル不調に陥っている教員に対して、カウンセリングが非常に重要です。
都教育委員会では、さまざまなメンタルヘルス対策を実施する際にも、臨床心理士の専門性を活用し、カウンセリングを充実していく必要があります。
都教育委員会が行っているメンタルヘルス事業において、臨床心理士をさらに活用するべきであると思いますが、これはいかがでしょうか。
◯大原教育長 都教育委員会におけるメンタルヘルス事業では、初任者や昇任した副校長等を対象としたカウンセリングやリワークプラザ東京の職場復帰訓練、メンタルヘルス不調を訴えている教職員同士がグループ活動を行うピアカウンセリング等におきまして、臨床心理士が専門的な立場から助言や支援を行っております。
さらに、教職員を対象とした臨床心理士による相談窓口につきまして、これまで日曜日は多摩地区のみで開設していたものを、平成二十四年度からは二十三区内においても、土曜日に加え、日曜日も新たに開設するなど、臨床心理士の一層の活用を図ってまいります。
◯野上委員 少しでも早目に受診できるように、二十三区は、日曜日に教職員を対象としたカウンセリングの相談窓口を拡充する、さらに日常的に臨床心理士を活用していくというご答弁でした。楽しくなければ学校ではない。希望の登校、満足の下校となるように、ご支援をよろしくお願いいたします。
次に、若年性認知症について、お伺いいたします。
知事は、本会議の施政方針演説で、働き盛りの年代でも発症する若年性の認知症について、ワンストップの相談窓口を新たに設置し、就労継続、医療、介護の問題など多岐にわたる支援につなげていくと述べられました。現代世代の認知症である若年性認知症は、本人が社会的な居場所を失うだけではなく、一家の大黒柱が職を失うことにより、家族も経済基盤を失い、深刻な生活苦に陥ることも多いです。
こうしたことから、私は平成二十二年の第二回定例会で、代表質問で、若年性認知症の専門相談窓口の整備を要望いたしましたが、今回、これが実現される運びとなり、大変うれしく思っております。
まず、この新たに設置される若年性認知症総合支援センターにおける相談の具体的な流れについてお伺いいたします。
◯杉村福祉保健局長 若年性認知症総合支援センターは、三年間のモデル事業の成果を踏まえて設置するものでございまして、医療、介護、就労の継続など、多岐にわたる若年性認知症特有の相談をワンストップで受けますとともに、関係機関と連携して早期に適切な支援に結びつける役割を担うものでございます。
相談対応の流れを具体的に申し上げますと、まず本人や家族は電話や来所によりセンターに相談を行います。相談を受け、センターは、本人が現在受けているサービスや、介護者の負担の要因などを把握をいたします。その上で、地域包括支援センターなどの関係機関と調整を行いながら、介護保険サービスや障害福祉サービス、あるいは年金受給などの支援につなげてまいります。また、必要な場合は、医療機関の受診や行政手続に同行するなど、きめ細かな対応も行ってまいります。
◯野上委員 若年性認知症の方や、その家族は、複雑な制度に戸惑い、心理的にも大変つらい思いをしていらっしゃる方が多いので、このご相談には、きめ細かく対応していただくようお願いいたします。
一方、広域的なワンストップの専門相談窓口の整備も重要なんですが、身近な地域で相談を受けられるように、地域包括支援センターの強化を図っていくことも同時に必要だと思いますが、これはいかがでしょうか。
◯杉村福祉保健局長 都は昨年度、若年性認知症の基礎知識や、医療、福祉、年金などの多岐にわたる支援策を掲載いたしました若年性認知症ハンドブックを、若年性認知症の方が身近な地域の中で相談できるよう、都内すべての地域包括支援センターに配布をいたしまして、センターの相談対応力の強化を図ってまいりました。
来年度は、若年性認知症総合支援センターにおきまして、モデル事業で得られた相談支援のノウハウを生かしながら、地域包括支援センターに対し、個別ケースに即した助言を行うなど、さらなる強化を図ってまいります。
◯野上委員 広域的なセンターと地域包括支援センターが密接に連携して、若年性認知症の相談体制が大幅に強化されていくこととなるように、ぜひ積極的な取り組みをお願いいたします。
都では、平成二十一年度から今年度末までの三年間、若年性認知症支援モデル事業に取り組み、相談に来られた方全員が要介護認定を受け、介護保険サービス等につながることができました。大変有効な取り組みであったと思っております。
今後、正式にセンターが開設された後は、若年性認知症の方や、そのご家族が安心して相談できる総合窓口として、広く都民に知られる存在になっていただきたいと思いますが、都はPRにどのように取り組むのか伺います。
◯杉村福祉保健局長 都は、若年性認知症総合支援センターを広く都民の方に知っていただくため、開設にあわせまして、その業務や連絡先を記載したリーフレットを作成し、地域住民が相談に訪れる地域包括支援センターや、区市町村の窓口などに配布をいたします。また、医師会や事業者団体、認知症疾患医療センター、若年性認知症の家族会などにもこのリーフレットを配布いたしまして、地域の医療機関を初めとする関係者の理解促進を図ってまいります。
さらに、センターの情報を、東京都の認知症専門のポータルサイトでございます、とうきょう認知症ナビに掲載いたしますなど、さまざまな媒体を通じて都民や事業者等へのPRに努めてまいります。
◯野上委員 若年性認知症は、いつ、だれがなってしまうかわかりません。前々からセンターの存在を知っていれば、ご家族の中で悩むこともなく、気軽にセンターに相談することができると思います。ぜひ積極的なPRをお願いし、次の質問に移ります。
次は、成年後見人制度について質問いたします。
この成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が不十分で、動産や預貯金などの財産管理ができなくなった人が利用する可能性もあります。都内における認知症高齢者、約三十三万人、愛の手帳交付者、約六万九千人、精神障害者、手帳の交付者が六万一千人、合計すると四十万人を超えるわけです。
これらの方が、親が先にお亡くなりになった後、親族や専門職以外の市民による後見活動も不可欠であると考えております。今般の老人福祉法の改正により、都は来年度から区市の後見の人材が育つように取り組んでいかなければならないと義務づけられました。
人材育成について、都の取り組みについてお伺いいたします。
◯杉村福祉保健局長 成年後見制度は、判断能力が十分でない方々が地域の中で安心して生活する上で大変重要な制度でございます。
都は、この制度の活用の促進を図りますため、平成十七年度から、成年後見活用あんしん生活創造事業を実施いたしまして、後見人等のサポートを目的に、区市町村が設置をいたします成年後見制度推進機関の支援を行ってございます。
この事業では、区市町村が推薦する都民を対象に、都が後見業務に関する基礎講習を実施いたしまして、その修了生に対し、推進機関が実習活動の支援などを行うなど、都と区市町村が協力をして後見人等の候補者を養成いたしております。
これまで基礎講習を修了し、実習活動の登録をしている方は二百六十六名でございまして、このうち七十四名が、家庭裁判所の審判を経て後見人等として活動をいたしております。
◯野上委員 実習活動の登録者二百六十六人のうち、七十四名が後見人等として活動している。残りの百九十二人はまだ後見人となっていないわけです。その方々が行っている実習活動の具体的な内容についてお伺いいたします。
◯杉村福祉保健局長 実習活動では、判断能力の低下した方の福祉サービスの利用等を援助することや、区市町村の成年後見制度推進機関が法人後見を実施する場合に、その後見業務の一部を担い、被後見人を支援することなどを行っております。
こうした実習活動によりまして、後見業務に必要な経験や能力の向上を図っており、その後、推進機関において、適性等を慎重に判断した上で、後見人等の候補者といたしております。
◯野上委員 弁護士とか司法書士といった専門職でない市民後見人が、適切に後見活動を行うためには、地域の行政等による支援が必要です。フォローアップの仕組みについて伺います。
◯杉村福祉保健局長 区市町村では、推進機関が市民後見人の業務の監督を行いますとともに、後見人として活動を行う上で生じます、さまざまな問題について相談に応じるなど、きめ細かな支援を行っております。
また、都におきましても、後見業務に関する基礎講習の修了生を対象といたしまして、年一回フォローアップ研修を実施し、市民後見人の資質向上を図っております。
◯野上委員 区や市で積極的に取り組んでいるところもあれば、そうでもない区があって、大変、区市町村の取り組みにばらつきがあるということなんです。今後、市民後見人の活動をさらに推進していくためには、区市町村における取り組みの一層の推進が大事だと思っております。
都としての所見をお伺いいたします。
◯杉村福祉保健局長 都はこれまで、市民後見人の活用を促進いたしますため、区市町村や推進機関の職員を対象といたしました実務研修、具体的な事例の研究、後見人等の業務に関するマニュアルの作成、そして区市町村が独自に行う後見人養成事業への支援など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
今後、さらに市民後見人の活用を進めるためには、これまで以上に区市町村が主体的に、かつ地域の実情に応じて取り組んでいくことが必要でございます。
このため、来年度は、区市町村職員や学識経験者等から構成をいたします検討会を設置いたしまして、地域における市民後見人養成の実施方法等について検討を行い、その結果を踏まえまして、区市町村における取り組みを一層促進してまいります。
◯野上委員 検討会を設置していくとのことですが、この成年後見制度は待ったなしの大事な役割を持つ制度であります。都としては、区市の実態を把握し、バランスよく人材育成を図ってください。
次に、超高齢社会から人口減少に転じていくわけですから、亡くなる方も多く、お墓も大変な数が必要となります。安くて便利で永代供養もある都立墓地は人気があり、抽せん倍率も、一般墓地は八倍と高くなかなか当選しません。また、民間で墓地を新設しようとしても、近隣住民の同意を得るのが難しい場合も多くあります。
墓地に使用する土地の価格が高い東京都へ、新潟県津南町の上村憲司町長さんから、町で計画している土地を墓地としてお使いいただくよう提案をいただいております。
津南町には、区が経営しているグリーンピアがあります。その中に、百十五万坪の広大な余剰地があります。その場所を墓地公園として東京の方々に使っていただきたい、生前に自分の好きな木を申し込み、その根元に死後遺骨を埋葬する樹木葬の形式です。桜の好きな人は桜の下に、梅の好きな人は梅に、ハナミズキ、リンゴの木、広大な土地に色とりどりの実や花が咲き誇る中にゆったりと眠っている状況を想像してください。美しい景色の中に埋葬される樹林の中の墓地はすばらしい景観になります。ぜひ検討していただくよう要望いたします。
津南町のような取り組みが理想だと考えますが、土地の狭い東京では難しい現状があります。東京都は、都民の高い墓所需要にこたえるべく、新しい形式の墓地の供給に取り組んでいると聞いております。
そこで、都立霊園における樹林墓地など、新たな形式の墓地の取り組みについて伺います。
◯村尾東京都技監 平成二十年二月、東京都公園審議会において、都立霊園の新たな墓所の供給と管理についてが答申されました。答申では、自然に返りたいという思いにこたえるため、死後は明るく美しい樹木のもとに埋蔵されるというイメージが醸し出されるような空間として、樹林墓地と樹木墓地が提案され、都として、これらを整備することといたしました。
樹林墓地は、緑豊かな樹林の下に設けられた納骨施設に、多くの遺骨を一緒に埋蔵するタイプの墓地でございます。樹木墓地は、シンボルとなる樹木の周辺に遺骨を個別に埋蔵するタイプの墓地で、地表面は芝生などで修景するものでございます。
小平霊園において、平成二十三年度から樹林墓地の整備を行っており、二十四年度には募集を開始いたします。また、樹木墓地につきましては、二十四年度から整備してまいります。
◯野上委員 都立霊園という限られた空間の中で自然に返りたいという都民にこたえた新たな墓地を供給することは大変大事な事業です。今後とも、都民のさまざまな需要にこたえていただきたいと思います。
次に、健康政策として、受動喫煙防止対策について質問いたします。
福島原子力発電所の事故では、多量の放射線が放出されました。小さなお子様を持っている家庭では心配な状況が今でも続いております。東京大学、中川恵一准教授によりますと、受動喫煙により、がんの死亡リスクが〇・五%上昇するといわれ、一〇〇ミリシーベルトの放射線を浴びた場合に相当するとのことです。
たばこを吸うのは個人の趣向ということで自由です。しかし、受動喫煙は個人の自由だけでは済まされません。副流煙の方が二倍から五倍、発がん性が高いんです。
私たちが副流煙の被害に遭うのが事業所と飲食店ですが、今回は飲食店を取り上げます。その店が禁煙なのか、喫煙なのか、分煙なのか、時間分煙なのか、ステッカーを表示して対応していただいておりますが、なかなか店の前にそういうステッカーはなくて、把握するのが難しいです。飲食店については、受動喫煙を防ぐ取り組みを推進していかなければなりません。
特に、受動喫煙を受ける機会が多い場所である飲食店の受動喫煙防止について、都の取り組みをお伺いいたします。
◯杉村福祉保健局長 都はこれまで、受動喫煙防止ガイドラインを策定いたしまして、公共の場所等での対策を推進してまいりました。飲食店に対しましては、店舗での禁煙、分煙への取り組みを呼びかけるリーフレットを作成、配布いたしますほか、具体的な対策の進め方や、事例を紹介する研修会を毎年開催いたしまして、自主的な取り組みを支援してまいりました。
また、都民が飲食店を選択する際の参考となりますよう、店内の禁煙、分煙の取り組み状況を店頭に表示するためのステッカーを作成し配布いたしております。
来年度は飲食店等における受動喫煙防止対策を一層推進いたしますため、店頭表示ステッカーやリーフレットを改定いたしまして、二万六千部配布をいたしますとともに、引き続き研修会を実施いたしまして、飲食店等における取り組みを促してまいります。
◯野上委員 二万六千店が、新たにしっかりと受動喫煙防止がなされるように推進していただきたいと思っております。
次に、地元葛飾区に関連して何点か質問させていただきます。
最初に、水道事業について伺います。
私は十七年前に杉並区から葛飾区に引っ越してきました。そのときに、水道水がカビ臭いと感じました。金町浄水場に高度浄水処理が導入されてから、だんだんとおいしく飲めるようになりました。いよいよ平成二十五年度には金町浄水場の全量が高度浄水処理されるようになることから、おいしさは一層向上するものと期待をしております。
そこで、現在の水道水の現状を都民はどう評価しているのか伺います。
◯増子水道局長 水道局では、平成十六年から一人でも多くのお客様に水道水を飲んでいただくため、安全でおいしい水プロジェクトを推進しておりますが、その効果を把握するため、定期的に飲み水に関するお客様満足度調査を実施しております。
この調査の推移を見ると、おいしさに満足している人の割合は、平成十八年度の二五%と比べて、今年度は四七%と約二倍に増加しております。また、水道水のおいしさに対して不満を感じる人の割合は、平成十八年度の四五%と比べて一七%と減少し、安全でおいしい水プロジェクトの施策は着実に効果を上げております。一方、どちらともいえないという人の割合は三五%を占めております。
◯野上委員 今ではペットボトル水を外出時に持ち歩いて水を飲んでいる姿をよく見かけますが、まちや公園に水飲み栓があっても、そこで水を飲んでいる人を見かけることはほとんどありません。
しかし、海外にはまち中にこのような水飲み栓がございます。(パネルを示す)これはストラスブールでございますが、上からは水を飲むことができ、横からはペットボトル等に水を入れることができるようになっております。もし都内にも、こうしたおしゃれな水飲み栓を設置して、そこで水道水を飲んでいる人を、多く人が目にするようになれば、何となく水道水を飲んでいない人にも格好のPRになるのではないでしょうか。
そこで、蛇口から水を飲む日本の文化を継承していくためにも、外で水道水を快適においしく飲めるような工夫をしていただきたいと思いますが、見解を伺います。
◯増子水道局長 いまだ、どちらともいえないという人が三五%であり、こうした人々をターゲットにしたPRは、安全でおいしい水プロジェクトの効果をさらに推進するために重要であると考えます。そのため、ご指摘のとおり、外で水道水を飲んでいる姿を多くの人が目にするようになれば、ふだん何となく水道水を飲まない人にも水道水を意識していただくことになり、安全でおいしい水のPRに大きく寄与するものと考えます。
そこで、諸外国の例を参考にしながら、都内でも多くの人が行き交う場所で、快適に水道水をおいしく飲むことができるデザイン化された水飲み栓の設置を検討してまいります。
こうした施策を展開しながら、今後ともより多くのお客様に満足していただける水道を目指し、取り組んでまいります。
◯野上委員 局長から前向きな答弁をいただきました。ぜひ積極的に検討していただきたいと思っております。
次に、葛飾区の七曲がりについて質問させていただきます。
東日本大震災から一年過ぎましたが、今なお、その余震と思われる震度五クラスの地震が関東地域で発生しております。昨年の三月十一日の地震で私が住んでいる葛飾区では、区道から砂が噴き出し、家屋が傾くなどの液状化現象が発生いたしました。すぐ私は現地に急行いたしました。
河川では幸いにも被害は見られなかったものの、大地震が起きて堤防や護岸が崩れてしまったら、水面より低いところに住んでいる私たちの地域は浸水するおそれもあるので、多くの方々が不安を感じております。改めて大地震に対して、堤防や護岸をより強固なものにする河川の耐震対策の重要性を認識しているところでございます。
この問題につきましては、三年前も予特で行いましたけれども、改めて中川七曲がりに対する耐震対策の取り組み状況についてお伺いいたします。
◯村尾東京都技監 地盤が低く、多くの人口や資産が集積する東部低地帯を、大地震による水害から守るためには、河川施設の耐震対策が極めて重要でございます。
このため、中川の七曲がり区間では、上平井水門下流の外郭堤防の完了に引き続き、平成二十一年度から、上平井橋より上流の二・五キロメートルにつきまして、国の基準に基づき、鋼管ぐいによる補強や、地盤改良などの耐震化工事を計画的に進めてまいりました。
現在、東京都防災会議で示されたマグニチュード八クラスの海溝型地震等を想定し、耐震性能の確認を進めるとともに、技術検証委員会で耐震性の向上策について検討を行っております。二十四年度は、これらの結果を踏まえ、新たな整備計画を策定してまいります。
◯野上委員 現在、進められている耐震工事によって、川におりられる階段がつくられて、護岸前面で通路となるスペースが生み出されておりまして、このテラス護岸のスペースを利用して、三月十一日には第五建設事務所、江東治水事務所の協力を得て、自治町会、市民消火隊を主体とした、防火防災訓練が行われました。本田消防署、地元消防団、ハイパーレスキュー隊、葛飾警察も加わって、大規模な放水訓練とボートの訓練が行われました。この護岸前面のスペースを、水辺に親しみ、散策でき、いざというときに役に立つテラスを整備することは、地域にとっても大変重要であります。
そこで、この中川七曲がりにおけるテラスの整備状況についてお伺いいたします。
◯村尾東京都技監 中川七曲がりにつきましては、耐震化工事により生み出される護岸前面の幅、約四メートルのスペースに階段、転落防止さく、ベンチ兼用の植樹帯などを設置し、人々が散策できるテラスとして活用しております。これまで両岸約二・三キロメートルを開放しており、その一部の東立石地区では、隣接する公園と一体となった都のスーパー堤防整備をするなど、地域の方々の憩いの場となっております。
平成二十四年度の整備区間におきましては、テラスとしてのさらなる活用を図るため、一部階段では踊り場を広げ、東京スカイツリーや富士山などの景観が一望できるビュースポットとする予定でございます。
今後は新たな整備計画に基づき、地元区と連携しながら、安全で水辺を楽しめる中川七曲がりの整備を着実に進めていきます。
◯野上委員 ビュースポット、とても楽しみにしております。今後も引き続き、中川護岸の耐震対策と、葛飾区と連携した魅力あるまちづくりに積極的に取り組んでいただくことをお願いいたします。
最後に、連続立体事業についてお伺いいたします。
これはなかなか、もう時間がないんですが、葛飾区の京成高砂駅について、今後の──もう時間がないです、済みません。
◯鈴木(貫)副委員長 野上純子委員の発言は終わりました。(拍手)
─────────────
◯鈴木(貫)副委員長 引き続き、高橋信博委員の発言を許します。
〔鈴木(貫)副委員長退席、鈴木(あ)副委員長着席〕
◯高橋委員 それでは、六項目ほどにわたりまして質問をさせていただきます。
初めに、東京の都市力について伺います。
昨年三月に発生いたしました
東日本大震災は、未曾有の被害とともに、我が国の首都東京の都市のありように、これまでの想定を超えるさまざまな事態をもたらしました。今、その教訓を生かし、都市としての危機管理能力をさらに高めることが求められております。
そこで、まず私が指摘したいのは、国内だけではなく、海外都市との連携協力による危機管理対策の重要性でございます。
昨年十月の、都立小金井公園で実施されました東京都総合防災訓練では、来日したアジアの各都市の救助隊が訓練に参加する様子を間近で視察をいたしました。ソウル、シンガポール、台北、台北に隣接する新北の四都市から二十一名の救助隊員が参加しており、あらかじめ状況を知らされない実践的な設定のもと、いわゆるシナリオのないブラインド訓練のもと、東京消防庁のハイパーレスキュー隊と意思疎通を図りながら、懸命にかつ整然と救出活動を行う姿に感銘を受けました。
このように、アジアの各都市が連携して訓練に取り組む姿は、アジア大都市ネットワーク21の十余年にわたる活動を通じて、各都市に共通するさまざまな課題に対応してきた成果のあらわれというべきであります。
今回のような大規模災害の発生に備え、今後ともアジア大都市ネットワーク21の枠組みを通じて、アジア各都市の災害対策の充実強化を図るとともに、危機管理能力のさらなる向上に資するよう取り組んでいくことが重要と考えますが、まず局長のご所見を伺います。
◯秋山知事本局長 アジア大都市ネットワーク21では、自然災害やテロなど、大都市に共通する危機に対応するため、共同事業といたしまして、危機管理ネットワークを立ち上げ、各都市の専門家が一堂に会し、経験やノウハウの共有を進める危機管理会議の開催、都市間の連絡網による平時からの危機管理の情報交換、高い救助技術の付与を目指した専門研修の実施などによりまして、各都市の危機管理能力の向上を図ってきたところでございます。
また、毎年、東京都総合防災訓練に各都市の救助隊を招聘いたしまして、合同で訓練を実施しているほか、今年度は、消防、医療など危機管理に携わる職員を対象に、
東日本大震災被災地での東京消防庁の救援活動を中心とした研修を実施をいたしました。
来年度は、バンコクで開催される第十回アジア危機管理会議におきまして、タイの大洪水など、アジア各都市で発生した大規模災害の経験から得られた知見や対応策の共有をさらに推し進めるなど、引き続きアジアのネットワークを通じて危機管理能力のさらなる向上を目指してまいります。
◯高橋委員 引き続き、アジア大都市ネットワーク21の各都市との緊密な協力をお願いいたします。
さて、今回の大震災では、大規模な計画停電に加え、放射能の影響など、経験をしたことのない事態に直面し、世界から、東京は安全なのか、大丈夫なのかという指摘を受けております。
資源が少ない我が国は、これまでも創意工夫にあふれる高度な技術力で世界に貢献してきました。都市の危機管理能力の向上にもこの技術力が役立ち、世界が抱いている不安感をぬぐい去ることができるものと信じております。
東京には、小惑星探査機「はやぶさ」に活用された技術に象徴されるように、世界に誇る技術力を有する中小企業が数多く存在するほか、地震大国である日本では、地震対応の技術においては世界のトップクラスでございます。
その中でも私が注目したいのが免震技術でございます。地震の揺れを三分の一から五分の一に吸収してしまうという、今、大変注目されている免震タワーマンションや免震高層ビルのことで、この技術のことでございます。この超高層ビルなどにおける免震技術は世界からも注目されており、それを東京から世界に発信していけば、注目度はさらに高まります。
また、昨年、袖ケ浦のサーキットで試験的に運用が開始されました走行、放水機能とも電動化された次世代型のEVポンプ車も、東京の企業が生み出した新しい技術でございます。
こうした技術力こそが、東京の持つ強み、すなわち都市力となっているのでございます。この技術力を駆使することで、災害対策を初め、さまざまな都市課題を解決し、東京は安全・安心であると世界に発信していくことが今こそ重要であり、そのことはオリンピック・パラリンピック大会招致にもつながると考えますが、知事のご所見を伺います。
◯石原知事 委員のおっしゃるとおり、日本の技術というのは非常にすぐれておりまして、それすなわち、この国の力の表象だと思っております。今、免震性の技術についていわれましたが、日本のような地震の多いところに高層ビルをつくるというのは非常に困難な作業ですけれども、結果として、設計どおり、数十階の建物を建てても、上で一センチの狂いもないという技術は、これは世界に比類がない。
実は、この技術をNASAは活用しまして、月の目的地にロケットをおろす、宇宙船をおろす快挙にも成功したわけでありますが、いずれにしろ、こうした技術というものを支えている高度な人材が東京には集中、集積をしております。毎年、すぐれたベンチャーテクノロジーとして、十ほどの技術を表彰しておりますけれども、これも中にはノーベル賞クラスの新しい技術がございまして、審査する先生方の方がむしろ驚くような現実がございます。
いずれにしろ、こうした最先端の免震、耐震技術や、あるいは高度防災都市を構成するための諸技術、あるいはがんの早期発見や認知症の治療方法の開発など、医療技術の活用によって、世界に比べて進んだ健康な都民生活の実現を目指していきたいと思っております。
いずれにしろ、こうした東京に潜在している高度の技術というものを国そのものがもうちょっと高く評価して認めて、国全体がこれをバックアップして、とにかく輸出もする、あるいは製品にかえていくという、そういう援助というものをもっともっと積極的にしていくべきだと思いますし、してもらいたいものだと思っております。
◯高橋委員 どうもありがとうございました。
ぜひとも、さまざまな英知を結集して、東京の都市力を全世界に発信し、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック大会招致につなげていただきたいと思います。
次に、都営バス事業について伺います。
東京電力の株式配当が見込めないことにより、これを充当している都営バス事業の経営は厳しいものになるのではないかと懸念しております。
我が会派は昨年の第三回定例会の代表質問で、今後の都営バス事業の経営について伺いましたが、交通局長からは、当面経常黒字を確保することが難しい状況だが、数年にわたる地道な取り組みにより収支改善に努め、都民の足としての役割を果たしていくという答弁をいただきました。
今回の平成二十四年度予算は、震災後初めての予算であり、さまざまな工夫をして組まれたことと思います。
そこでまず、都営バス事業の経営状況がどのように推移してきたのか、また、東京電力の配当収入が見込めなくなったことを踏まえ、平成二十四年度予算においてはどのように経営改善に取り組んでいくのか伺います。
◯野澤交通局長 都営バス事業はこれまで、鉄道の開業等による乗客数の減少が続く中、不断の経営改善に努めてまいりました。その結果、平成十六年度以降は毎年経常黒字を確保し、資金面においても、二十二年度末には累積資金残が三百三十二億円となるなど、財務状況が改善してまいりました。
しかしながら、今般、東京電力の配当金が見込めなくなったことなどから、バス事業はさらなる経営努力が必要な局面にございます。このため、平成二十四年度は、バス路線の見直しにより利用者の増加を図るとともに、さまざまな工夫を重ねることで支出の抑制に努めるなど、収支改善に取り組んでまいります。
これにより、二十四年度予算では、経常収支は十億円の赤字にとどまる見通しでございますが、今後とも収支改善のための取り組みを続けてまいります。
◯高橋委員 予算編成の概要についてはわかりました。独立採算で経営する公営企業としては、赤字をそのままにしておくことは許されません。
現在、都営バスを取り巻く環境としては、鉄道の開業などにより苦戦を強いられている地域がある一方、再開発が進んでいる地域や東京スカイツリーの周辺のように、新たな利用客が見込まれる地域もあるのではないかと思います。
私は、バス事業の収入をふやすためには、より一層、利用の実態に即したダイヤを作成するなど、めり張りをつけた事業運営が不可欠であると思っています。
そこで、交通局では、今後どのような考え方に基づき、路線、ダイヤの見直しを行うのか伺います。
◯野澤交通局長 これまでも乗客潮流の変化を的確にとらえ、路線やダイヤの見直しを行ってまいりました。
近年、都内では、鉄道等の開業やコミュニティバスなど新規事業者の参入により、都営バス以外にも公共交通機関が整備されてきている地域がございます。一方、豊洲や勝どき及びその周辺など、オフィスや大規模住宅の開発が進み、都営バスへの需要が高まっている地域もございます。
こうしたことから、今後、交通局では、地元自治体の動向も見据えつつ、地域の需要に合わせて、人や車両を再配分するなど、都営バスの限りある経営資源を有効に活用することで、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、路線やダイヤの見直しを行ってまいります。
◯高橋委員 路線やダイヤの見直しについての考え方はわかりました。地域ごとの状況変化に合わせて見直しを行うことは重要だと思います。
ところで、路線やダイヤというのは、バス事業者にとっては大事な商品であるといえるのではないでしょうか。
例えば、交通局に聞いてみたところ、渋谷から六本木に行くには、地下鉄だと途中乗りかえが必要になりますが、都営バスならダイレクトで行けるそうです。私は、地下鉄が発達している都心部においても、都営バスならではの便利な路線がまだまだあるのではないかと思います。都営バスは、こうした商品をもっとアピールし、利用者のすそ野を広げていくべきだと思います。
そのためには、都営バスの路線のPRを充実させるような取り組みを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
◯野澤交通局長 これまで、路線図や沿線の紹介を広報誌やホームページで行うなど、広く都営バスのPRに努めてまいりました。
このような取り組みに加え、今後、より一層都営バスの利便性を知っていただくため、運行頻度が高く、駅と駅や、駅と大規模施設を結ぶ路線などに焦点を絞った効果的な情報提供を行う必要があると考えております。
そのため、新たに、こうした路線の主な停留所や所要時間等をまとめたリーフレットを作成いたしまして、沿線の企業、学校への配布、職員による駅での乗客誘致キャンペーンを実施するとともに、ホームページにもこの情報を提供するなど、広くPRしてまいりたいと考えております。
◯高橋委員 ぜひ効果的なPRを行い、増客、増収につなげていただきたいと思います。
さて、経営改善のためには、増収の一方で支出削減の取り組みも重要です。先ほど都営バスは、これまでも事業全般にわたってさまざまな努力を行い、経常収支の均衡を維持してきたとの答弁をいただきました。
今回の自動車事業の予算案を見ますと、昨年度に比べ支出額が三億四千五百万円ほど減っておりますが、今後とも、さまざまな発想で支出の抑制を図っていく必要があると思います。
そこで、都営バス事業における支出削減のこれまでの取り組み内容と今後の具体的な方策について伺います。
◯野澤交通局長 これまで、一部の事業所の運行業務などを外部に委託するとともに、バス運転手などの給与水準を見直すなど、支出の削減に努めてまいりました結果、十年前と比較いたしまして年間約八十億円を削減いたしました。
今後のさらなる取り組みといたしまして、ふぐあいが生じる前に計画的に機器を交換する、いわゆる予防保全により、車両故障の発生が近年大幅に低下していることから、これまで十三年としてまいりましたバス車両の使用期間をさらに三年程度延長することにより、車両購入費の削減を図っていくことといたしました。
このほかにも、営業所の改修などに当たりまして、工事内容をこれまで以上に精査することや、備品類についても可能な限り長期使用するなど、さまざまな工夫を行い、支出の削減を図ってまいります。
◯高橋委員 今後とも、新たな発想を取り入れながら、さらなる経営改善を図っていただきたいと思います。
交通局では、これまでお聞きしたような収入、支出両面における努力を重ね、持続可能な経営を行っていかなければなりません。
一方、高齢社会が到来する中で、私は、バスのよさがもっと見直されるべきであると思います。また、都営バスとしても、都民のニーズや社会的要請を的確にとらえていくことも必要であると考えます。
今後、こうした都民の期待にこたえるため、どのような事業運営を行っていくのか伺います。
◯野澤交通局長 バスは、乗りおりしやすく、身近で便利な公共交通機関として、高齢社会においてますます重要な役割を担っていくものと考えております。
このような中で、交通局では平成二十四年度には、大規模なバス事業者としては全国で初めて、保有するすべての車両をノンステップバスとするとともに、地球温暖化対策の観点から、引き続き、環境負荷の低いハイブリッドバスを導入する予定でございます。
今後とも、こうした福祉や環境などの社会的要請に対応しつつ、安全の確保を最優先に、都民や利用者のニーズを的確に反映した路線、ダイヤの見直しを行うとともに、例えば携帯電話等を活用した運行情報サービスの充実など、各種サービスの向上に努め、引き続き都民の足としての役割を果たしてまいります。
◯高橋委員 企業経営ということを考えれば、今般の予算案における取り組みは、黒字確保に向けた一里塚であると思います。引き続き経営改善の取り組みを積み重ね、都民の足としての役割を果たしていけるよう努めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
次に、水道事業について伺います。
私たちの愛しております多摩川でございます。多摩川は、東京都の緑豊かな自然を残す憩いの場であるとともに、都民の大切な飲み水となる貴重な水源であります。その上流にある水道水源林は、水道局が百年以上も前からしっかりと管理を行っております。
一方、小河内貯水池上流域の森林の約四割を占める民有森の多くは、長期にわたる林業不振の影響によりまして荒廃が進んでおります。
この問題を我が党が指摘してきたことから、水道局では、小河内貯水池上流域の荒廃している山林を取得して、水源地域を守ることを目的とする民有林購入モデル事業を推進しております。
しかし、山林所有者に手放す意向はあるものの、境界確認などへの対応に時間を要することなどから、契約締結の見込みが立っているのは数件にとどまっていると聞いております。
そこで、山林の契約締結に向けての具体的な課題について伺います。
◯増子水道局長 購入に向けての課題といたしまして、第一に、山林所有者の名義は明治時代の登記のまま放置されているなど、相続登記されずに代がわりしていることが多くあります。そのため、相続にかかわる権利者を特定することが難しく、相続手続が煩雑となっております。
第二に、隣接する土地につきましても、同様に相続登記がされていないため、すべての所有者を特定することが難しく、境界確認の作業に時間を要しております。
これら山林特有の問題を解決することは、申込者にとって大きな負担となっております。
◯高橋委員 相続登記されてないまま代がわりしていることなどが多いなど、山林には特有の問題があり、契約締結に至るまでには時間がかかり、容易でないことがわかりました。
そのような問題を相続手続にふなれな山林所有者みずからが解決するのは、非常に難しいことではないでしょうか。このような課題に対して、局として積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
◯増子水道局長 水道局では、これまで相談窓口を設置し、申し込み予定者からの相続などに関する問い合わせに対応してまいりました。
今後は、これまでの対応により積み上げてきた実績をもとに、より具体的なアドバイスを行うとともに、権利者の特定作業について積極的に支援を行ってまいります。
また、本来、申込者が行うべき隣接所有者の特定作業につきましても、水道局が実施してまいります。
これらの支援策を行うことにより、申込者の負担を軽減して、申込者の数をふやすとともに、購入までの期間短縮を可能な限り図ってまいります。
◯高橋委員 それらの支援策を確実に実施して申し込みをふやすとともに、契約締結までの期間をぜひとも短縮していただきたいと思います。
ところで、民有林購入モデル事業は、小河内貯水池上流域のみに限定しておりますが、その周辺にも、荒廃している山林が多く見受けられます。中でも流域が隣接している日原川は、台風などによって濁りがひどくなり、これを水源とする浄水所が取水停止になることがありました。
そのため、小河内貯水池上流域でだけではなく、対象地域を拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
◯増子水道局長 日原川の濁りがひどくなる主な原因は、流域山林の荒廃による土砂流出であります。そのため、平成二十四年度からは、本事業の対象地域を多摩川と日原川との合流点より上流域に広げ、面積を約一・六倍に拡大いたします。
こうした取り組みや、先ほど述べました申込者の負担軽減策により、所有者が手放す意向を持つ荒廃した民有林の購入をふやし、水道水源林として適切に管理することで、都民の貴重な水源を守り続けてまいります。
◯高橋委員 森林の荒廃を抑制し、貴重な水源である多摩川の水質がさらに良好な状態で保たれることを大いに期待しております。
都民の大切な水道水を確保するため、これからも多摩川の水源を守り続けていくことを強く要望し、水道局への質問を終わります。
次に、下水道の情報通信網の整備について伺います。
このたびの震災では、地域の通信システムは大混乱を来しました。そのような中、私も家庭の状況を確認するのに大変苦慮し、情報通信の重要さを身にしみた次第であります。
流域下水道では、大震災の際にも各施設の運転制御は支障がありませんでしたが、通信会社の回線を使用しているとのことであり、今後、震災時における流域下水道の機能を確保するために、情報通信システムの防災能力をより高めていく必要があるのではないかと考えております。
そこで、流域下水道における震災時の情報通信をより確実なものにするために、具体的にどのような対策を講じるのか伺います。
◯松田下水道局長
東日本大震災の際は、多摩地域の流域下水道の各施設の運転制御には支障が生じませんでしたが、新宿の下水道局の災害対策本部との間で情報連絡がとりづらい状況が生じました。
このことを踏まえまして、流域下水道の情報通信基盤を強化するため、流域下水道本部庁舎と七つの水再生センター、さらに、既に整備をされております区部の下水道光ファイバーネットワークなどとの間を専用線で結ぶ新たな下水道の光ファイバーネットワークを構築する計画を進めております。
今年度は、基本構想として、光ファイバーの敷設ルートなどについて検討を行っておりまして、この検討をもとに、来年度は設計などに着手をする予定でございます。
◯高橋委員 流域下水道では、新たに信頼性の高い光ファイバーネットワークを整備していくとのことですが、東京では、首都直下地震など甚大な被害が想定される大地震の切迫性が指摘されております。災害時に下水道の光ファイバーネットワークの特性を生かした機能が十分に発揮されることが求められております。
そこで、流域下水道が新たに下水道の光ファイバーネットワークを整備することで、どのような効果があるのか伺います。
◯松田下水道局長 下水道の光ファイバーは地下に埋設をされるため、電柱を使った場合と比較して、地震や火災などによる断線などの危険性が少なく、震災時にも安定した情報通信網を確保できます。
さらに、大容量のデータ通信によって、鮮明な動画送信や遠隔施設の監視機能を大幅に向上することが可能となり、震災時に正確で克明な状況把握を行うことができます。また、被災した施設の復旧に当たる際には、流域下水道本部と下水道局災害対策本部とのテレビ会議などによりまして、きめ細かな連絡調整を行えるため、速やかな応援体制の構築が可能となります。
大規模災害に備えて流域下水道の情報通信基盤を強化することにより、防災体制を向上させ、さらに多摩地域の高度防災都市づくりにも貢献をしてまいります。
◯高橋委員 光ファイバーネットワーク構築による効果がわかりました。震災時にも多摩地域の下水道機能が安定的に確保され、高度防災都市づくりにも貢献する流域下水道の光ファイバーネットワークを早急に整備していただくことを要望しておきます。
次に、都市農業の振興について伺います。
最近、私の地元小平市を含む都内各地で、亀戸大根や馬込三寸ニンジン、寺島ナスなどの江戸東京野菜の栽培がふえており、直売所や飲食店などから引き合いも多いと聞いております。
さきの本会議一般質問では、同僚の吉住議員も、都がこうした都内産食材を使用している飲食店を紹介したガイドブックを取り上げ、評価したところでありますが、都民からも大変好評とのことでございます。まことに喜ばしいことであり、こうした都内産農産物の消費を拡大していくことは、消費者にとっては新鮮でおいしい食材を得られることになり、農業者にとっては経営の安定につながるものであります。
都は、現在改定作業中の農業振興プランでも地産地消を大きく取り上げており、今後、都内産農産物の販路をさらに拡大していくべきと考えますが、所見を伺います。
◯前田産業労働局長 お話のとおり、地産地消を通じた新たな販路の開拓は、農業者と消費者の双方にとって有益でございます。
このため、都は来年度に、都内産農産物流通ネットワーク事業を立ち上げまして、生産地と都心部などの消費地とを結ぶ多様な販売ルートの開拓に取り組んでまいります。
具体的には、青果店や量販店等のニーズを把握するためのマーケティング調査や、都内産農産物をPRするための試食会を開催するほか、飲食店等を対象とした商談会などを行います。
また、生産地におきましては、販売先のニーズに対応できる生産出荷体制の整備や、農業者との意見交換のための生産地視察を行います。
こうした取り組みにより、都内産農産物の販路を拡大することで、都市農業の振興につなげてまいります。
◯高橋委員 多くの都民の皆さんが都内産農産物を食べる機会がふえるよう、しっかり取り組んでいただくようお願いいたします。
一方、都市農業を振興していくためには、新たな施策の展開とあわせて、農地制度や税制度の改善が不可欠である。我が党は、これまでも若い農業者や農業団体との意見交換などを踏まえ、制度改善の重要性を強く訴えてきました。
こうした中、現在、国土交通省が所管する社会資本整備審議会や、農林水産省の都市農業の振興に関する検討会では、都市農地保全に向けた制度のあり方や、都市農業振興のための政策について検討が行われるなど、国でもようやく、都市農業や都市農地を都市に有用な存在として積極的に評価しようとする政策転換の兆しが見られるようになりました。
そこで、今後、都は、こうした国の動きを加速すべく、都市農業に係る制度改善を一層強く訴えていくべきと考えますが、所見を伺います。
◯前田産業労働局長 都はこれまでも、国に対しまして、農地制度や相続税制度の改善を求めてきております。お話のように、近年、国におきましては、都市農地の保全に向けた制度のあり方などの議論が始まっております。
このため、現在改定中の東京農業振興プランでは、こうした国の動きを一層促すため、国に対する農地制度改善などの提案を重要事項に位置づけております。
具体的には、新たに、都市における農業と農地の位置づけを明確にして、その振興と保全を図る基本法の制定や、農地を貸し付けても相続税納税猶予の適用が受けられる特定貸付制度を生産緑地にも適用することなどを明記しております。
都は、今後とも、国に対して制度改善を強く働きかけるなど、都市農業の振興と農地の保全に努めてまいります。
◯高橋委員 都市農業の基本法の制定や特定貸付制度などの制度改善を国に強く働きかけるとのことですが、都市農業の振興と農地保全のために、よろしくお願いいたします。
最後でございます。
次に、府中所沢線の整備について伺います。
私の地元小平市の発展に欠かすことのできない府中所沢線の整備について伺います。
多摩南北道路は、多摩地域における機能的な都市活動と快適な都民生活を支える幹線道路でございます。中でも府中所沢線は、いまだ半分も完成しておらず、早期に整備することが必要でございます。
特に、小平市内や隣接する国分寺市内の区間では、南北方向の幹線道路が府中街道に限られており、幅員が狭いため、道路交通が集中し、渋滞が発生しております。
また、渋滞によって地域に用事がなく通過するだけの自動車が生活道路に進入してきており、大変危険であります。
こうした状況を改善するために、東京都では、青梅街道の北側の交通のボトルネックとなっている西武拝島線との交差箇所付近において、現在、小平三・三・八号府中所沢線の拡幅整備と、これに合わせた西武線の立体交差化を進めており、既に下り線が高架化されております。
地元の方々は、一日も早く上り線も高架化がされて、踏切がなくなり、さらに鉄道と交差する小平三・三・八号線の道路が完成し、交通渋滞が解消するとともに、地域の安全性が高まっていくことを心から待ち望んでおります。
そこで、初めに、小平三・三・八号線の事業中区間について、交差する西武拝島線の立体交差化を含め、進捗状況と平成二十四年度の整備予定を伺います。
◯村尾東京都技監 府中所沢線は、多摩地域の自立性を高め、地域の活性化などに寄与する南北方向の重要な骨格幹線道路でございます。
このうち、事業中の小平三・三・八号線につきましては、西武線小川駅前から東村山市境までの延長約九百メートルの区間で道路の拡幅整備を行っており、あわせて、踏切を除却するため、交差する西武拝島線の高架化を進めております。
既に踏切の南側五百メートルが完成しており、平成二十四年度から、残る四百メートルの街路築造工事に着手してまいります。
西武拝島線につきましては、昨年の下り線に引き続き、上り線の高架化工事を進めており、平成二十四年秋に踏切を除却いたします。
◯高橋委員 ことしの秋には、いよいよ踏切がなくなるとの答弁をいただきました。長い間、踏切がなくなることに大きな期待を寄せていた地元の方々の喜ぶ顔が目に浮かんできます。引き続き、道路の拡幅整備も早期に完成していただきたく、強く要望いたします。
一方、五日市街道の南側の国分寺市内では、国分寺三・二・八号府中所沢線の事業が進められています。用地取得も順調に進み、資材等を搬入するための道路も整備する工事に着手したと聞いていますが、本区間も鉄道交差部があり、進捗状況が気になるところでございます。
そこで、現在、事業中である国分寺三・二・八号線について、進捗状況と平成二十四年度の整備予定を伺います。
◯村尾東京都技監 国分寺三・二・八号線につきましては、多喜窪通りから五日市街道までの延長約二・五キロメートルで事業中でございます。
本区間につきましては、沿道環境に配慮し、車道の両側に環境施設帯を設けることとしており、平成二十三年度に都と地元市、市民から構成される検討会を設置し、沿道利用のための副道や緑豊かな植樹帯の配置などについて話し合いを進めております。
これまで約八割の用地を取得しており、二十三年度から二カ所にある鉄道交差部のうち、JR中央線をまたぐ橋梁工事用に着手しております。
二十四年度は、引き続き、中央線交差部の工事を進めるとともに、西武国分寺線との立体交差部につきましてもトンネル工事に着手いたします。
◯高橋委員 既に用地取得が約八割となり、平成二十四年度には西武国分寺線との交差部でも工事に着手するとのことであります。引き続き、着実に進めてほしいと願っております。
これまでの答弁にあったように、五日市街道の南側でも、青梅街道の北側でも、府中所沢線の整備が着実に進められているとのことですが、その間にある五日市街道から青梅街道までの小平三・三・八号府中所沢線については、いまだ事業に着手されず残されております。
この区間については、現在、都市計画変更及び環境影響評価の手続が進められており、平成二十四年度には都市計画変更される予定と聞いております。
地元の方々の中には、府中街道の渋滞がひどく、狭い道路に車が入ってきて危ないので早く整備した方がよい、道路の計画線の位置はどこになるのか、用地買収はいつ行うのかなどの声があります。
こうした小平市民や地権者の声にこたえるためにも、早期に事業に着手していかなければならないと思います。小平市内及び国分寺市内のすべての区間を早期に整備しなければ、効果が十分発揮されないと考えます。
最後に、未着手区間であります五日市街道から青梅街道までの早期事業化と、府中所沢線の整備に向けた今後の取り組みについて伺います。
◯村尾東京都技監 多摩南北主要五路線の一つである府中所沢線の整備は、道路ネットワークとしての機能を充実させることにより、交通の円滑化や都市間の連携強化を図るとともに、多摩地域の魅力と活力を高め、防災性を向上させるものであります。
未着手区間である五日市街道から青梅街道までの約一・四キロメートルにつきましては、早期事業化に向け現在進めている都市計画変更及び環境影響評価の手続と並行して測量を実施しております。
都市計画変更の後、計画道路の新たな位置を速やかに地権者に提示するとともに、平成二十五年度には事業着手してまいります。
今後とも、多摩地域の発展に寄与する府中所沢線の早期完成を目指し、地元の理解と協力を得ながら、積極的に整備を推進してまいります。
◯高橋委員 府中所沢線は、地元市でも都市の構造上の骨格となる道路などと位置づけられており、地域の活力を高めていくためにも必要不可欠な道路であります。
小平市内の未着手の区間も事業化へ道筋がつき、府中所沢線が早期に完成されるよう、全力で取り組んでいかれることを強く要望し、私の質問を終わります。(拍手)
◯鈴木(あ)副委員長 高橋信博委員の発言は終わりました。
─────────────
◯鈴木(あ)副委員長 田の上いくこ委員の発言を許します。
〔鈴木(あ)副委員長退席、西岡副委員長着席〕
◯田の上委員 政治は、ばらまきではなく、仕事で生きがいを与えることが肝要です。私が江戸川区議会議員になった年に、母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法が成立し、初めての本会議で取り上げ、高等技能訓練促進費などが区で使えるようになったという経緯があります。法改正による児童扶養手当の一部減額もあり、自助を促す就業支援に転換したときです。
東京都の児童扶養手当受給者数は、平成二十三年十二月のデータで、母子家庭、父子家庭合わせて八万七千百六世帯、母子家庭の平均年収は平成十八年度全国母子世帯等調査によると二百十三万円で、全世帯平均年収五百六十四万円の四割以下になっていることはご案内のことと思います。
ひとり親家庭の支援は経済支援から就業支援へ、その後、在宅就業に特化した支援を平成二十一年から進めています。
安心こども基金の中にあるひとり親家庭への支援は、平成二十二年三月に、都に三十四・五億円分配され、その後も積み増しされています。しかしながら、現在、この基金でひとり親家庭への支援で執行されているのは、二十二年度までで七・五億円、うち在宅就業支援事業では二億円です。
在宅就業支援事業を行っているのは、はあと立川を拠点とする東京都、区市では、世田谷区のみとなります。
なぜ実施自治体が少ないのか、また、今後どのように区市への働きかけをしていくのか伺います。
◯杉村福祉保健局長 在宅就業支援事業は、ひとり親家庭に対して、在宅就業に必要なスキルを習得させ、自立の促進を図るものでございまして、平成二十二年度から開始をいたしております。
この事業は、国の安心こども基金を活用しておりまして、当初、国が示した事業期間は平成二十三年度末までと、二年間に限定されておりました。
また、事業を実施する自治体が、研修に加えまして、業務の開拓、成果物の品質管理や納入など実務を経験させ、その指導を行うことが要件となっておりました。
こうしたことから、区市におきましては、体制整備が困難で取り組みが少なかったものと考えております。
今回、本事業の実施期間が延長されたことから、先行事例の紹介などの情報提供や助言を行いながら、区市の取り組みを働きかけてまいります。
◯田の上委員 期間のこともおっしゃっておりましたが、在宅業務の開拓等まで業務の範囲が広がることが区市にとって負担となっているとのことでした。
この事業は、実際には民間の団体に委託されることが多く、受託する団体を探すのが困難ということもあるかと思いますが、他の自治体ではコンソーシアムをつくり、一社だけで事業を行うというより、どれかに特化した企業、NPOが集まって共同体として事業を推進している自治体もあります。ぜひ参考にしていただきたいと申し上げます。
先ほどの調査によると、母子家庭の就業率は八五%ですが、常用雇用率は平成十八年時点で四三%。安定した雇用と住まいを得たいと思いながら、低収入で仕事を重ねています。ダブルワークの負担を抑えるためにも、在宅就業を活用していくことが重要と考えます。
厚生労働省では、在宅就業により見込まれる収入のレベルを二つ示しています。一つは、無理なダブルワーク解消につながるレベルの収入として、文書レイアウト編集などの専門的な在宅ワークで月六万円程度のもの、もう一つは、生活の維持や将来の教育費等に備えるレベルの収入として、データ入力など月三万円程度のものです。
都で進めてきた在宅就業支援事業においては、どのようにこの成果をとらえているのでしょうか、伺います。
◯杉村福祉保健局長 都におきましては、在宅就業支援事業で実施をする業務を、生活費を補完するものと位置づけまして、研修が家庭生活において過度な負担とならないよう考慮したことから、データ入力やホームページ作成など、月収三万円程度の一般的なレベルの業務に必要な研修を実施してまいりました。
研修が修了した者の修了後三カ月の平均収入を見ますと、約三万円となっておりまして、当初見込んでいたとおりの実績を上げております。
◯田の上委員 月収六万円の方はなかなか難しいということかと思います。都においても、約三万円の実績に甘んじることなく、一定の目標を掲げて取り組んでいただきたいと思います。
先ほども申し上げましたが、基金としてはかなり予算がありますが、実際にはなかなか使われていない現状があります。しかしながら、他の自治体の例を見ますと、愛媛県松山市では、参加者の就労意欲の維持向上を目的に、成功事例の紹介や講師を招いての啓発セミナーを開催したり、北海道では、ひとり親のニーズを把握するとともに、本事業実施へのアドバイスを得るため、有識者による会議を開催したりして、企業等にニーズを聞くというようなこともしております。
こういった例を生かしながら、さまざまな工夫が必要と考えますが、再度ご見解を伺います。
◯杉村福祉保健局長 都は、平成二十二年から二カ年にわたりまして、ひとり親を対象といたしました在宅就業に関するセミナーを計八回実施しておりまして、約二百五十名の参加がございました。
また、本年二月には、企業と従事者のマッチングを行う就業フェアを実施いたしまして、二十二社の企業の出展と約五百名の来場者を得ており、就業に結びついております。
さらに、ひとり親家庭に対する相談窓口では、就業を含め、子育てや住宅など生活全般に関する相談に応じております。
今後とも、セミナーの参加者、発注企業の声や他の自治体の動向も参考にしながら、在宅就業従事者の支援に取り組んでまいります。
◯田の上委員 ぜひ工夫をしていっていただきたいと思います。
先ほど、国の在宅就業支援事業は、研修や在宅業務の開拓、相談支援等、すべてが要件で、大変であるということでございましたが、多岐にわたる横断的な業務だということであれば、福祉だけではない、就労の視点からも働きかけが必要ではないかと思います。産業労働局とも連携した取り組みを要望いたします。
在宅就業は、時間と場所を選ばず、ひとり親家庭にとって柔軟な働き方ができることが何よりのメリットです。また、今後進行する高齢社会の中で、身体的理由により働きに出られない方にとっても有用な働き方となります。
私自身も母子家庭で育ち、幼いころは母が仕事に出かける姿を恨めしく思ったものです。生活維持のために働かなくてはいけない、でも、少しでも子どもと一緒にいたい、そんな親の選択肢の一つとして、在宅就業支援を積極的に進めていただきたいと強く要望いたします。
次の質問に移ります。障害者雇用です。
全国の企業数の約二一%を抱える東京都では、先進的な取り組みが求められていますが、達成企業割合では、企業の数の多さもあってワーストワンとなっています。三百人以下の中小企業で雇用を促進させることも進めていかなくてはなりませんが、中小企業における障害者雇用は一長一短ではありません。
企業の常勤者の人数と雇用した障害者の数は、ほぼ比例しています。障害者の就業の場をふやすという大命題のもと、平成二十三年六月のデータで四八・四%でとどまっている従業員数千名以上の大企業の法定雇用率達成企業をふやすことにも同時に力を注ぐべきではないかと考えます。
東京都では、どのように取り組まれているのか伺います。
◯前田産業労働局長 法定雇用率の達成に向けた個々の企業の取り組みは、障害者雇用拡大の観点から重要であります。
未達成企業への個別の指導は、企業規模を問わず国が実施するというものでございますが、都は、障害者雇用に関するセミナーや個々の企業の実情に合わせた支援を行う東京ジョブコーチ支援事業等を通じて支援を行ってまいりました。
一方、企業規模別の雇用率について見ますと、大企業に比べ、中小企業では低迷している現状でございます。
また、一昨年七月に施行された改正障害者雇用促進法によりまして、障害者雇用納付金の対象がより規模の小さな中小企業に拡大することとなりました。
このため、都は今年度から、意欲ある中小企業を対象としたモデル事業を開始するなど、中小企業に対する働きかけと支援を強めております。
◯田の上委員 厚生労働省の障害者雇用の集計結果を見ると、平成二十三年の法定雇用率未達成企業は四万一千二百十一社、そのうち、不足数が〇・五人または一人である企業が六三・九%となっています。あと一人というところに踏み込めない原因を考えなければなりません。既に法定雇用率を達成している企業であっても、現場の話を聞いていると、指導員の努力は大変なものであると感じます。
例えば、国の障害者雇用優良企業の認証のように表彰制度を設けるなど、企業の努力を認める制度を構築することも一つのインセンティブになると考えます。ぜひさまざまな工夫をしていっていただきたいと要望いたします。
昨年の第四回定例会代表質問で、都議会民主党では、
都教育委員会が法定雇用率未達成事業者として適正実施勧告を受けていることを例に挙げ、さまざまな方策を講じ、法定雇用率を達成していくべきだと主張いたしました。
先日、地域の障害者雇用企業連絡会に出席をいたしましたが、公的機関の法定雇用率未達成は、頑張っている民間企業にとって大変不満となっています。民間企業では、なるべく仕事をつくるために、親会社から特例子会社に発注するように心がけています。
例えば、名刺をつくる特例子会社があれば、すべての部署に営業して回り、努力をしています。まさに随意契約の最たる理由になります。
東京都の仕事の多くを受注している、中でも随意契約の多い監理団体の実雇用率はどのようになっているのでしょうか。都の認識を伺います。
◯笠井総務局長 監理団体における障害者の雇用確保は重要であるというふうに認識しており、これまでもその促進に向け指導を行ってまいりました。
平成二十三年六月一日現在、障害者雇用促進法に基づき、障害者雇用状況をハローワークに提出している二十二団体のうち、法定雇用率を達成している団体は六団体であり、前年度と比較して二団体増加している状況にございます。
今後も、未達成の団体に対しましては、バリアフリー化などの職場環境の整備や障害者に適した職務内容の見直しなどを行い、ハローワークなど関係機関とも連携を図りながら、それぞれの実情に応じた雇用の取り組みを強化するように働きかけてまいります。
◯田の上委員 ご案内と思いますが、民間企業の法定雇用率は一・八%、国や都道府県などの機関は二・一%となっています。
監理団体のうち、対象団体は二十二団体、そして、そのうち達成しているのは六団体で、昨年、淺野克彦議員の質問の後、二団体ふえたということでございますが、まだまだ働きかけが必要と思います。
事業によっては難しい分野もございますが、例えば福祉保健局所管である東京都医学総合研究所〇・八%や東京都保健医療公社〇・九二%、産業労働局所管である東京都中小企業振興公社〇・五八%など、障害や雇用を担当する局が所管の団体は、特に達成することが期待されます。
報告団体においても、同様に調査をしたところ、五十団体のうち五十六人以上の規模の団体は十九団体でしたが、ゼロ%の団体が幾つも見られました。
また、指定管理者についてはどうかと調査をかけたところ、指定管理者選定時や事業報告として提出を求めていない、企業側から公表を差し控えたいというコメントを掲げる局もあり、実態はわかりませんでした。
先ほども申し上げましたが、民間企業から見れば、公的機関の法定雇用率未達成はモチベーションの喪失につながります。公的施設を管理している団体は、都民から見れば公的機関と同じで、公務を行っているのと同じです。
当然に雇用率を達成していてしかるべきですが、今後、総務局はどのように指導されるのでしょうか、伺います。
◯笠井総務局長 指定管理者制度は、公の施設の管理運営の効率化とともに行政サービスの向上を図ることを目的とした制度であり、指定管理者の選定と評価は施設の適正な管理運営の能力に基づき、なされるものでございます。
一方で、お話の障害者の雇用促進は、障害者の職業生活における自立を促進し、職業の安定を図ることを目的とするものであり、重要な雇用施策の一つであると認識をしております。
指定管理者制度の運用に当たりましては、雇用施策を初めとするさまざまな施策との関係や他の施設の管理形態との均衡などを考慮する必要がございますが、障害者雇用の促進に向け、今後、幅広い観点から検討してまいります。
◯田の上委員 先ほど来出ていますが、法改正により、障害者雇用納付金制度の対象が中小企業にまで拡大されています。平成二十七年四月からは、百人を超える事業主にまで拡大されます。不景気や円高の先行きの見えない中も、中小企業の雇用促進が求められています。
一昨年の委員会質問の答弁で、産業労働局は、法律で障害者雇用が企業に義務づけられており、一定規模以上の企業において法定雇用率に達しない場合には、納付金が課されるということについて、企業の理解を深めることが重要という言葉で、法遵守の大切さを述べていました。
監理団体や指定管理者など、税金が多く投入されている、あるいは公的施設を管理している団体において、契約のあり方を工夫するなど、実雇用率の提出を求める仕組みをつくるべきと要望いたします。
一回で助成金をもらうよりも、職の定着、雇用継続のためには、少ない金額でも継続した支援の方がよいという企業からの意見をよく聞きます。
都では、中小企業を対象に、重度障害者一人当たり月額三万円、それ以外では月額一万五千円を最長二年間支給する制度がありますが、時限であり、また、企業の規模が限られています。
今後、制度改正によって高齢者を六十五歳まで雇う必要が生じることも予想されますが、これは障害者も同様であります。
定着支援の一環として、長期雇用に直接つながる支援のあり方を再検討する必要があるのではないでしょうか。都の見解を伺います。
◯前田産業労働局長 障害者の安定的な雇用の確保に当たりましては、障害者と企業双方に対する定着支援が効果的です。
このため、都は、ご指摘の助成金制度のほか、在職している障害者向けの訓練による職業能力の開発、向上や、東京ジョブコーチ支援事業による職務の調整等を通じ、障害者それぞれの方々の体調や業務等の変化に柔軟に対応できるよう支援を行っております。
今後とも、それぞれの施策を効果的に活用して、職場定着に向けた支援を行ってまいります。
◯田の上委員 さまざまな企業の方から聴取しましたが、継続雇用において必要な支援は、薄くても長いものということでございました。定着支援のためにさまざまな施策があることは承知しておりますが、今後、前向きに検討していただきたいと要望いたします。
次に、発達障害を中心とする特別支援教育です。
昨年の第一回定例会で、特別支援学校における知的障害と発達障害をあわせ持つ配慮の必要な生徒への対応について質問いたしました。知的障害だけでなく、発達障害の特性も踏まえた指導、支援をしていかなくてはなりません。
平成十七年度から、自閉症に関する教育課程の研究を進めているが、二十三年度からは中学部、高等部生徒の自閉症教育の研究にも着手していくという趣旨のご答弁をいただきましたが、発達障害の範囲は自閉症にとどまりません。
今回、医療と連携した発達障害児への教育支援モデルの研究という予算が計上されました。この経緯について伺います。
◯大原教育長 現在、小中学校や都立高校で学ぶ発達障害の児童生徒の支援のニーズは、発達障害の程度が重い児童生徒への指導や地域生活支援を必要とする児童生徒への対応など、極めて多様化しております。
こうしたニーズに早期から適切に対応し、学校卒業後までの継続的な支援を充実させるためには、教育と医療、福祉等がこれまで以上に連携を強め、適時適切な指導と支援を行っていく必要があります。
そのため、
都教育委員会では、医療機関や大学等と共同した現状調査や実践的な研究を行い、今後の教育活動等に活用できる支援モデルの構築を意図いたしまして、医療等との連携による発達障害児の教育支援モデルの研究に取り組むこととしたものでございます。
◯田の上委員 二〇〇一年のWHO総会で正式に採択された国際生活機能分類では、治療を中心とした医学的モデルから社会的モデルへと障害観の転換が図られました。医学モデルは、医療やリハビリによって障害者に働きかけ、障害をなくす、軽減することを重視するものですが、社会モデルは、障害そのものを問題にするのではなく、社会適応が困難となっている環境を改善することで障害のある人々の社会参加を進めるものであり、今後の浸透が期待されます。
発達障害の方々の生きにくさの背景にある環境を改善することが大切です。こうした考えのもと、発達障害の児童生徒が社会生活を送る上で抱えるさまざまな困難を克服するため、学習環境や指導の工夫が必要と考えますが、ご見解を伺います。
◯大原教育長 発達障害の児童生徒が抱える困難を克服するためには、本人に対する個別の指導だけではなく、授業への集中力を高めるための環境の整備を行うとともに、同じ学級の児童生徒や保護者に障害に対する正しい理解を促すなど、発達障害の特性等に配慮することが重要でございます。
そのため、
都教育委員会は、小中学校や高校等の教員に対しまして、発達障害の児童生徒に配慮した座席配置、掲示物、教材、教具などの工夫、さらには学級での人間関係の形成等について指導資料の配布や講習会の開催を通して理解の促進を図っております。
◯田の上委員 ぜひ医療だけではなく、環境づくりという側面からもご支援をお願いいたします。
発達障害の児童生徒は、小中学校だけでなく、都立高校にも相当数の生徒が在籍していると推測されます。都立高校では、特別支援教育推進体制の整備のため、平成二十年度以降、すべての都立高校で特別支援教育コーディネーターの指名と校内における委員会の設置が行われました。
一年前の一般質問で、都立高校での特別支援教育の充実について質問したところ、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、チャレンジスクール等の中からモデル校を指定し、適切な指導、支援のあり方について実践的研究を行うとのことでした。
そこで、今後、都立高校における実践的研究がどのように進められていくのか伺います。
◯大原教育長 今年度は、教育庁関係者や都立学校長から成る検討委員会を設けまして、都立高校における発達障害の生徒に対する特別支援教育を一層推進するための体制のあり方について検討してまいりました。
平成二十四年度には、モデル校として、チャレンジスクール、エンカレッジスクール及び昼夜間定時制高校の中からそれぞれ一校を指定し、実践的な研究を進めていきます。
具体的には、心理の専門家による巡回相談の活用や進路指導の充実、都立特別支援学校及び外部専門機関との連携のあり方等について、特別支援教育コーディネーターと校内に設置した特別支援教育に関する委員会が中心となって研究を進めまして、その手法や効果について検証してまいります。
◯田の上委員 ぜひ実践的研究とともに、一刻も早く都立高校の現場の教育に生かしていただきたいと思います。
先ほど障害者雇用の質問をしましたが、発達障害の研究は教育分野のみならず、就業においても発展途上です。平成二十三年四月から十二月のデータでは、都内ハローワークでの精神障害者の雇用が知的障害者の就職件数を上回りましたが、ここに含まれているであろう精神障害で認定を取得した発達障害の方々の数字はわかりません。
発達障害も多岐にわたりますが、障害についての知識や理解がますます必要になってくることと思います。福祉、教育、労働など関連する分野での局の連携と施策の向上にご努力されることを改めて要望いたします。
次に、豊洲新市場の土壌汚染対策についてです。
土壌汚染対策の方法については、今までにも議論を重ねてまいりました。今回の工事に当たっての底面管理の調査も行われ、不透水層と呼ばれてきたYc層の深部にも汚染が発覚いたしました。
砒素と鉛については、二深度とも基準超過を確認している地点が五十五地点中五十三地点とのことです。砒素と鉛について、土壌溶出量が環境基準値の十倍以下、かつ全量分析値が国の施行通知の目安の範囲内のものを自然由来としていましたが、Yc層内部で砒素、鉛が環境基準の十倍を超えた箇所は何地点、何検体あったのでしょうか。
◯中西中央卸売市場長 今回行いました不透水層、いわゆるYc層内の土壌汚染対策範囲を確定するための底面管理調査におきましては、九十三地点、百九十一検体を調査いたしました。そのうち、砒素を対象にしたものは五十三地点、百六検体、鉛を対象にしたものは三地点、五検体でございます。
調査の結果、砒素と鉛については、Yc層内において、土壌溶出量が環境基準値の十倍を超過した箇所もあったものの、環境省から出された通知に示された自然由来に関する判定方法に照らし、ガス工場の操業由来の物質ではなく、自然由来と判断しております。
具体的に、超過した地点数につきましては、砒素では十二地点、十三検体であり、鉛では基準値の十倍を超過したものはございませんでした。
◯田の上委員 底面管理の調査では、深さ方向で二メートル、一メートルずつでございますが、すなわち二深度続けて汚染がないことを確認する二深度確認が行われます。二深度続けて汚染が出なくなるまで掘り進めるものです。
ところが、砒素、鉛は基本的に自然由来と判断され、Yc層内での二深度確認は行われず、二深度のみの調査でとまってしまいます。一律自然由来として二深度確認が行われないのはなぜでしょうか。
◯中西中央卸売市場長 今回の底面管理調査におきまして、Yc層内で検出された砒素、鉛につきましては、環境省から出ております通知による判定方法及び専門家の見解から、ガス工場操業に由来するものではなく、自然由来と判断いたしました。
環境省の判定方法に照らしてみますと、第一に、砒素、鉛はいずれも自然由来の可能性が高い物質に該当すること、第二に、全量分析による含有量が、砒素は自然由来の上限値の目安、一キログラム当たり三九ミリグラムに対しまして、最大でも一三ミリグラム、鉛は一キログラム当たり一四〇ミリグラムに対しまして八ミリグラムであり、いずれも目安値を大きく下回っていること、第三に、分布特性にガス工場使用履歴場所等との関連性を示す局在性が認められないこと、こうしたことから、自然由来の判定方法に合致することを確認したものでございます。
したがいまして、Yc層内で検出された砒素、鉛につきましては、いたずらに掘削を進めYc層を傷つけることや、汚染を拡散させないという観点から、二深度分の調査にとどめたものでございます。
◯田の上委員 自然由来の判定方法は、まず土壌溶出量で環境基準の十倍以下、そして、先ほどもご説明いただきましたが、土壌含有量の上限値の目安は砒素一キログラム当たり三九ミリグラム、鉛で一キログラム当たり一四〇ミリグラムです。種類、含有量の範囲等、分布特性の三つの観点から判断をいたします。
今回の調査の濃度計量証明書を見ると、O-28、P-27、P-28というあたりで集中的に溶出量が十倍を超え、かつ底面管理、二深度確認でございますが、できていない地点が、私が数えたもので六カ所ほどございます。
これは、市場がホームページに出しているものでございます。五街区の図になりますが、今回、底面管理調査を行ったところ、そして赤いところが二深度確認で汚染がないことが未了の地点でございます。私が示したのがこのあたり、ちょうどこのあたりになります。
二深度確認が未了の地点が、五十四地点のうち五十二地点、砒素でございますので大体このあたりということになります。
詳細調査の結果で見てみると、土壌含有量でO27-9というところ、ここは一キログラム当たり五〇ミリグラム、P27-8は地下水で一リットル当たり〇・三一ミリグラムの値を示しています。
地下水汚染が突出して高い、三十一倍です。また、P-28では、東京ガスの調査時点で、表層土壌溶出量四十倍を超え、六メートル連続で十倍を超え、そして、含有量において一キログラム当たり一九三ミリグラムという数字も出ています。
砒素汚染が見つかっており、周囲の分布を見ても突出したエリアであるといえます。こういった地点も自然由来として対策を行わないということでしょうか。
◯中西中央卸売市場長 ガス工場操業に由来する人為的な汚染は、操業地盤面から下へと汚染が浸透していくことから、汚染が土壌に混入いたします操業地盤面の濃度が高く、深くなるほど濃度が低くなる傾向となります。
ところが、ご指摘の区画周辺における帯水層内の砒素につきましては、深さ方向の濃度にばらつきが大きく、人為的な汚染が上から不透水層まで浸透したとは考えにくい状況でございます。
先ほどご答弁いたしましたとおり、自然由来の判定方法や専門家の見解から、不透水層内における砒素と鉛は自然由来であると判断しているところであり、ご指摘の区画周辺において、砒素の土壌溶出量は十倍を超えているとは申しましても、十一倍か十二倍と著しく超えているものではなく、さらに、十二倍の箇所における全量分析による含有量を見ると、一キログラム当たり一〇ミリグラムと、自然由来の目安値である三九ミリグラムを大きく下回っております。
こうしたことから、今回の調査地点における不透水層内の砒素と鉛は、ご指摘の区画周辺も含め、自然由来と判断し、掘削除去などの対策は行わないことといたしました。
なお、念のため申し上げますが、委員からは、底面管理調査の状況といたしまして五街区のマップをお示しいただきましたが、五街区だけを見ますと一部に汚染が集中しているもののように見えますが、市場用地全体、特に七街区などの状況をごらんいただければ、一部に特在しているわけではないことをご理解いただけるものと思います。
◯田の上委員 以前の調査でしっかりとした数字が出ている、そういったことも含めて考えていくべきではないかと思います。あくまでも環境省が示しているものは目安であり、それを判断するのは東京都であります。専門家の方の意見も聞いているのであれば、その報告書も提出していただきたいというふうに思います。
環境基準の十倍を超える、操業に由来する疑いのある汚染が、汚染されている深さの確認もしないままYc層内に残されるということになるかと思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
そして、先ほど、調査が途中であって、全体を見ないとわからないというような向きのご答弁がありましたけれども、ぜひ途中経過ではなくて、しっかりしたものを見て判断をさせていただきたいと思いますので、今後の調査結果を心待ちにしております。
帯水層は厚いところもあれば、かなり薄いところもございました。土壌汚染対策法では、難透水層の連続性や五十センチ以上の厚さを有するという条件がございます。以前質問したときには、百本程度、水道局やゆりかもめのものも含みますが、ボーリングデータによって不透水層が連続的にあると確認しているというご答弁でございました。
今回の汚染対策工事を行うに当たって、今までのボーリング調査等以外に不透水層の上端、すなわち帯水層の底面を確認されたのでしょうか、伺います。
◯中西中央卸売市場長 帯水層の底面、すなわち不透水層の上端につきましては、その存在と連続性は既に確認されていると認識しており、専門家会議からも同様の見解をいただいております。
具体的には、百本を超える地質調査ボーリング結果に加え、一千四百七十五地点で行いました絞り込み調査など、敷地全体を対象とした汚染状況を把握するこれまでの調査と、河川から運ばれてきた土砂が長い年月をかけて堆積した地層の成り立ちから、この不透水層の存在と連続性を確認しております。
以上のことから、土壌汚染対策工事で行います調査において、改めて不透水層の上端を調査する必要はございません。
◯田の上委員 土壌汚染対策工事に当たっては、新たに不透水層の上端を確認するという調査は行わないということでございました。
以前にも申し上げましたが、六街区の絞り込み調査でも、地層が五十センチ未満のところや、中には十センチというようなところもございました。また、同じく平成二十年の絞り込み調査で不透水層が確認できなかったという箇所が二カ所ありました。これは先ほど、砒素で土壌溶出量や含有量が高いという、私が示しました五街区のエリアの近くになります。確認をせずに進めていくことに懸念を示すものです。
どんな方法で汚染対策をするにせよ、残った汚染を封じ込めるから大丈夫というのが今までの市場のスタンスでした。
意見が食い違うかとは思いますが、AP二メートルより下の部分において汚染が発覚しているところは掘削されますが、土壌汚染対策法は百平米に一カ所の調査であり、汚染をすべて見つけるということは困難です。また、概況調査で発覚しなかった汚染物質は深度方向に調査しないので、表層で見つかった物質しか処理プラントで処理されないということになります。
地下水や震災による液状化で汚染箇所が移動している可能性もあります。また、自然由来の砒素と鉛が残置されることは市場当局も認めているところです。
いずれにいたしましても、汚染は残り、それを前提として申し上げますが、この封じ込めにおいて懸念するのは大きく二つです。一つは液状化、もう一つは地下水の管理です。今回は、液状化について質問します。
国の地震調査委員会では、首都圏で境界型以外も含めて、マグニチュード七クラスの地震が今後三十年以内に起きる確率を七〇%と予測しており、また、東京大地震研究所の酒井准教授は、直近のデータを踏まえると、今後三十年間で九八%になると予測しています。
第十五回技術会議では、
液状化対策をレベル一と発表しています。レベル二、レベル一とある中で、レベル一とはどの程度の地震の大きさを設定しているのでしょうか。
東日本大震災の
東京湾沿岸部での揺れを想定した場合、耐えられるものなのか伺います。
◯中西中央卸売市場長 土壌汚染対策工事の詳細設計におきましては、港湾の施設の技術上の基準・同解説に基づきまして、豊洲地区近傍の地震動に現地の土質データを加味した実態に合った設計を行っておりますことから、震災時における市場用地に必要な耐震性は十分確保できると考えております。
平成十九年に改訂されました港湾の施設の技術上の基準・同解説は、地震動の実態に合わせ、それまでの最大加速度、これはガルという単位を用いますが、これのみを使用する方式から、地盤特性等を考慮した地震動を設定する、より合理的な方式に改められました。
なお、レベル一の地震動は、施設の供用期間中に発生する確率が高い地震動であり、詳細設計においては、最大加速度に百四十四・六ガルという数値を使用しております。
また、液状化は地盤に地下水がある場合に起きる現象でございますが、豊洲新市場では、地下水位をAP二メートルに管理し、その上に液状化を生じない層を少なくとも四・五メートル確保することとしております。
さらに、
液状化対策の工法につきましては、臨海副都心や浦安などにおきまして、
東日本大震災においても効果が確認されました砂ぐい締め固め工法や格子状固化工法を採用しておりますため、同じような地震があったとしても問題はございません。
◯田の上委員 独立行政法人防災科学技術研究所発表による、昨年三月十一日、
東日本大震災時の東京湾の地震の大きさ、先ほど、ガルとおっしゃってました、最大加速度は東雲で百六十八ガル、辰巳で二百二十四ガルでした。しかも、今までの波形より長かったわけです。首都直下はもちろんですが、昨年と同じような地震、東京では震度五強だったと思いますが、そのような地震が起こったら耐えられないのではないかと懸念いたします。
先日発表された底面管理の調査では、Yc層、すなわち不透水層内でも汚染が見つかりました。平成十八年の地盤解析データでは、Yc層やEs層──江戸川層といいます。Yc層よりさらに深いところです──にも液状化判定が出ていることは以前より指摘させていただいております。液状化判定の出ているすべての箇所を対策するのでしょうか、伺います。
◯中西中央卸売市場長 今回の土壌汚染対策工事で実施いたします
液状化対策の範囲は、先ほど申し上げました平成十九年の港湾の施設の技術上の基準・同解説の改訂を受けまして、昨年度実施いたしました詳細設計の中で改めて液状化の判定を行い、技術会議委員にも相談の上、決定しております。
具体的に申し上げますと、Yc層より上部で液状化する可能性があると判定された層については、すべて対策を実施いたします。Yc層より下部で液状化する可能性があると判定された層につきましては、五街区の西側を除きまして、その上部に液状化しない層が十分にあることから、特に対策は必要ないと技術会議委員より見解をいただいております。
五街区の西側につきましては、Yc層内の対策にも適したコンクリートぐいにより締め固める工法を採用することで、Yc層も含めた対策を実施いたします。
このように、豊洲新市場の実態に合った合理的な液状化の判定に基づき対策を講ずることで、地震の際にも市場用地の安全・安心は十分確保してまいります。
◯田の上委員 今いろいろ難しいご説明がございましたが、実際に不透水層で
液状化対策をとられるのは五街区の西側、つまりボーリングナンバー七番とのことです。その他の部分は不透水層より上部のみの対策となります。
港湾の施設の技術上の基準・同解説の改訂を受けて液状化の判定を実施し、技術会議委員等にも相談をして、いろんな範囲を決定したということでございます。改訂では、施設に要求される性能のみを規定し、設計方法などの仕様を定めない性能規定への改訂などということで、つまりは十八年の資料に比べて低く設定されているかと思います。
土壌汚染対策法は最低限の基準、調査ということでございますけれども、それに比べて手厚い対策を今まで施していると市場は主張してまいりました。それは、やはり食を扱う市場だからということでございました。しかしながら、専門家会議を経て、そして今回のそういった改訂も受けて、対策レベルが低くなっているのではないかと懸念をいたします。
何度も申し上げていますが、土壌汚染対策か
液状化対策かをしっかりやらなくてはいけません。土壌汚染対策が万全とはいえない。万全になることは大変難しいです。汚染が残るのなら
液状化対策は万全にしなくてはならないということです。
市場の安全性については、消費者の立場を常に忘れてはなりません。今まで議会で明らかにならなかった土壌汚染対策の内容は、先ほど来何度も出てきていますが、詳細設計に基づいて工事を始めているはずです。また、今まで議会に説明してきたものと変更した部分もあるのかもしれません。そうであれば、詳細設計についてもできる限りわかりやすく公開をすることが必要であると考えます。
また、都民との継続した意見交換の場をつくるなど、リスクコミュニケーションを怠るべきではないと考えますが、見解を伺います。
◯中西中央卸売市場長 豊洲新市場予定地におけます土壌汚染対策工事の詳細設計につきましては、その成果でございます工事内容を技術会議で確認いただくとともに、説明資料をホームページで公表しております。
また、工事の進捗や工事に伴う各種調査結果についても広く都民に公開いたしまして、積極的な情報提供を行っております。
さらに、仮設土壌処理プラントの整備が完了し、処理結果をお示しすることが可能となる時期には、現場見学会を開催するとともに、市場関係者や学識経験者などを構成員といたします協議会を設置し、汚染土壌の処理状況について情報の共有化を図っていく予定でございます。
こうした取り組みを行うことにより、都民の理解と信頼を得ながら確実に工事を進め、首都圏三千三百万人の食の安全・安心を支える市場を整備してまいります。
◯田の上委員 平成二十二年一月の経済・港湾委員会の参考人でおいでくださった専門家会議の平田座長が、安全だけでなく、安心のためには、データはすべて開示するということが基本原則である、また、安心を担保するために管理そのものに一般市民も含めて参加をする。場合によっては解析もする、そういう集いが必要であるとおっしゃっていました。まさにそうした仕組みをつくり、都民に対するリスクコミュニケーションを図らなければ、この新市場に対する懸念は軽減されていきません。情報公開及びリスクコミュニケーションへのさらなるご努力をお願いいたします。
次に、緊急輸送道路沿道建物耐震化についてです。
緊急輸送沿道建築物の耐震化を推進する条例により、四月から対象建築物の耐震診断が義務化されます。耐震診断を確実に実行するため、分譲マンション及び延べ床面積一万平米以下の建築物では、原則として所有者負担がなくなる助成制度となっています。
耐震診断の費用は、建築物の床面積に応じて計算し、床面積当たりの補助単価を、一千平米以内は一平米につき二千円、一千平米を超え二千平米以内は、一平米につき千五百円等々と設定されています。しかしながら、単純に床面積だけで耐震診断の費用を計算することは適切ではなく、フロア当たりの面積が小さく、複層階になっている建物は自己負担が発生し、耐震診断が進まないのではないかと考えます。
面積が三千平米未満のときは、階数に十五万円を乗じた額を加算することになりましたが、このような小規模の建築物について、都ではどのように対応してきたのか、また今後、どのように対応していくのか伺います。
◯飯尾都市整備局長 小規模な建築物の耐震診断を行う場合、国の助成単価設定では実勢に合いませんことから、都は、条例施行に合わせまして、現地調査など必要な経費を加算する、都独自の助成制度を整備いたしました。
さらに、診断技術者の団体とも連携いたしまして、診断方法のマニュアル化や手続の簡素化を行うことによりまして、耐震診断に要するコストをできる限り抑えております。
こうした取り組みによりまして、図面が全くない場合など一部の特殊な例外を除きまして、所有者の自己負担なしで診断が実施されております。
今後とも、関係団体と連携し、円滑な耐震診断の実施に向け取り組んでまいります。
◯西岡副委員長 田の上いくこ委員の発言は終わりました。(拍手)
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◯西岡副委員長 原田大理事の発言を許します。
◯原田委員 まず、環境、エネルギー政策について質問をいたします。
冒頭、知事にお伺いしたいと思います。
昨年三月十一日の震災から一年が経過いたしました。震災は、我が国に大きな痛みをもたらしましたが、同時に我が国の美徳を呼び覚ましてくれたものであります。暴動も略奪もなく、商店にきれいに並ぶその礼儀正しいさま、あるいは、みずからのことを顧みず、お互いに助け合うさま、こういった姿は、ほかの国々から驚嘆を持って眺められたものであります。
しかしながら、その評価とは裏腹に、現実は厳しいものでありました。放射線被害を恐れて外国人は次々に国外へと出ていきました。
そうした中、名誉都民で東京都北区にお住まいのドナルド・キーン氏が日本国籍を取得する意向を示し、つい先日、取得されました。震災後、日本を離れた外国人が多い中で、キーン氏の示したこの深い共感は、離れがたきこの国土に生き続ける我々を勇気づけるものでありました。
国籍取得を受けての記者会見で、キーン氏は、ずっと待っていた知らせで、本当にうれしいとしながらも、その一方で、まちが明るく、必要のない看板がまたふえている、率直にいって、がっかりしたとも述べておられます。無論、この指摘は、日本への深い愛があってのものでありまして、外国人というお客さんではなく、日本人になったからこその発言とも述べておられます。
国のエネルギー政策においては、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入に向けての会合が開かれ、また、環境税の導入が決まるなど新たな展開も見えてきました。我が国の将来を切り開くためには、エネルギーの大量生産と大量消費によって成り立っていた震災前の東京に戻るのではなく、朝になると日が上り、夕方になると日が沈み夜を迎える、こうした自然の法則に寄り添って、人間が生物として感覚的に豊かに生きていける、そんな東京をつくることが大事だと思います。
キーン氏が名誉都民として顕彰されたのは平成十八年のことでありまして、石原知事の在任中のことでございますので、そのときのこともきっと覚えていらっしゃると思いますが、この一年の東京を踏まえた上で、今後の東京のエネルギー政策についてどのようにお考えかお伺いいたします。
◯石原知事 日本を愛するキーンさんが東京に戻られて、震災の後、みんなが節電に努力して、ヨーロッパの先進国と同じぐらいの、要するに夜の明る過ぎるまちに暗さが戻った、あの日本を評価されたのだと思いますが、それが瞬く間にもとに戻ったというのは、実際に私も東京を眺めて、その感慨を禁じ得ません。
ただ、やはりむだな電力、むだなエネルギーの消費っていうのは、私たち、これからも先のことを考えれば、要するに自戒して、自分を節していかなくちゃいけない大きな問題だと思います。
ただやっぱり、文明というものはいろんな技術で運用されているわけでありまして、その文明の運用に必要の最低限のエネルギーというものは私たちは確保しなくちゃいけないと思いますし、それについての大計、大きなシミュレーションをもとにした国家の大計というのは、いまだに今の政府では立っていない気がいたします。
あの震災の発生後、夏前に、担当の、新しくできた節電担当の大臣が来まして、東京にぜひ節電の協力をしてほしいといいましたから、それは大変結構だけれども、首都圏全体が大きな消費地だから、あなた、ほかの県回るのかねっていったら、東京だけですっていうから、とんちんかんな話で、やるならやっぱり政令を出しなさいと。
そしたら、政令っていうことがわからないんですな。それでね、考えますっていうから、考えて上申するんじゃなしに、君が決めて、政府に上げるのが政令の要するに正規な運用ですよといったら、わかったようなわかんないような顔をしてました。
そのとき私いいましたのは、実は田中角さんの時代にできた、オイルショックのときにできた政令がいまだに生きておりまして、あのときになかった、要するに電力の消耗源、例えば自動販売機などというものは、新規に、記載されて新しい政令として施行されるべきじゃないかといいましたら、よくわかったようなわかんないような顔をしてましたが、それがどういうわけか間接的に世間に知れて、不思議なことに、自動販売機業界も、それからパチンコ業界も自粛して、かなり電気の消費量というのを、消してくれましたですな。
これはやっぱり日本人の利口なところで、政府よりははるかに民間の人間の方が危機感があって、シャープだなって気がしましたけど、これがもとに戻ったっていうのも、私たちの一種の油断でしょうか、おごりでしょうか、やはり、例えて申しわけないけれども、夜中でもこうこうと電気をつける自動販売機が羅列されてる、あるいは昼間からパチンコ屋がじゃんじゃら鳴らしてネオンもつけて、雨の日は、朝から開店を、傘を差して並んで人が待つなんていうのは、こういう事象っていうのは、私は好ましくないと思いますから、キーンさんがどういうつもりでいったか知りませんけれども、私はやっぱり、最低限のエネルギーというものを心得た上で、そういった自粛というものを──政府が督励しないなら、私たち自身、要するに自分の教養に沿って判断していかざるを得ないんじゃないでしょうかな。私は日本人はそういう点で利口だと思いますから、期待しております。政府にはあんまり期待しておりません。
◯原田委員 単なる復旧ではなく、真の意味での復興をといったようなかけ声もありました。そうした意味で、この一年間のことを顧みて、さらにさらに我々も努力していかなければならないと、かように思う次第でございます。
申すまでもないことでありますが、エネルギー資源の確保は文明社会にとって欠かせない課題であります。古来より現在まで、エネルギー資源をめぐって国際紛争なども頻発している状況であります。
現在、我が国は、エネルギー資源のほとんどを外国からの輸入に頼っております。エネルギー自給の切り札として、原子力が大いに期待されてきましたが、核燃料サイクルも原子力発電自体も、現状では前途多難な状況であります。
国家としての主体性を保ち、国際社会を生き抜いていくためには、エネルギー自給率の向上が欠かせません。これは、外国からの干渉排除や有事の備えとして重要であるにとどまらず、エネルギー資源を輸入する際に代替手段を持つことは、相手から有利な条件を引き出すためにも必要なことであります。
東京も首都として、産業の集積拠点として、また、一大消費地として、日本全体の中で果たすべき役割を踏まえながら、都市としてのエネルギー戦略を立てて行動する必要があります。
その際、海外からの資源調達や送電網の国際連携といった部分は国に任せつつ、その動向を見きわめつつも、国内で取り組むことができる部分に注力すべきであります。
すなわち、エネルギー源として、地熱、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、こういった国内で開発可能なエネルギー源を活用すること、そして、エネルギーの供給源である他道府県との協力関係をしっかりと築いていくこと、そして、消費地として省エネや、例えば自動車燃料の石油からの転換など、消費構造の改革に努めることであります。
これは、国レベルの話になりますけれども、例えばアイスランドでは、地熱資源をキーとした総合エネルギー自給戦略を立てていました。電力は地熱発電で賄い、そして、暖房需要は地熱の熱そのものを利用し、そして、自動車や船舶は動力を燃料電池とすることによりまして、化石燃料の輸入に頼らない社会を目指したのであります。この詳細は、平成十九年度の都議会海外調査の報告書にも記載させていただきました。
ここで注目すべきは、アイスランドは環境に注目して、これらの地熱の開発に取り組んだのではなく、安全保障に着目して取り組んだということであります。実際、例えばバイオマスなどは、アイスランドは北極圏にほど近い国ですので、結局、輸入になるということで、実際の導入検討の対象にはならなかったようであります。
さて、東京を見てみますと、昨年の十二月、「二〇二〇年の東京」が発表されました。この計画の中で、東京産電力三百万キロワットの創出が掲げられています。しかしながら、その中身を見ますと、火力発電所の建設など、福島第一原発の停止を受けて緊急的に行う電力確保策と太陽光発電などが混在しております。
電源の安定性確保という点から見ますと、太陽光発電は、夜間や雨天時には発電できず、設備の能力としての最大発電量が同じでも、実際に発電できる量や、ピーク時に使えるかどうかといった発電の特徴は異なりまして、火力の百万キロワットと太陽光の九十万キロワットをそのまま並べて論じることはできないのではないかと思います。もっとも、太陽光の利点は別なところにありますので、都民の太陽光発電についての正しい理解と普及のためにも、より丁寧な説明が必要であろうと思います。
さらには、そうした違いをあえて無視しまして、具体的に数字で示された発電容量を足し合わせても、二百五十万キロワットにとどまっております。
そこで、東京産電力三百万キロワットの創出を掲げるのであれば、それぞれの特徴を踏まえた一つ一つの施策の整理と、そして施策の拡充が必要と考えますけれども、計画の運用に関する、都の今後十年間の取り組みについてお伺いいたします。
◯秋山知事本局長 「二〇二〇年の東京」計画では、百万キロワット級の発電所の設置に加えまして、自立分散型電源の拡充、太陽光発電やごみ発電などの、いわゆる再生可能エネルギーの普及など、あらゆる手段を講じて、二〇二〇年までに新たに三百万キロワットを創出し、都内発電能力を倍増することを目標に掲げております。
目標の設定に当たりましては、電力使用量が季節や時間帯により大きく変動し、かつ発電の方法により特性が大きく異なる中で、これを具体的な政策に反映させていく必要があることから、最大発電能力を基準といたしました。
この目標の達成に向けた具体的な政策展開でございますけれども、三カ年の事業展開や三年後の到達目標を示したアクションプランでございます実行プログラムの中で、大規模な都市開発とあわせて、コージェネレーションシステムなどの導入を誘導いたしますとともに、住宅を中心に太陽光発電設備等の設置を支援することとしておりまして、これとあわせて国に対しては、電力事業に係る規制緩和を強く働きかけてまいります。
また、実行プログラムは、社会状況の変化に迅速かつ的確に対応するため、毎年度改定をすることというふうにしておりまして、こうした機会に、より効果的な政策を展開するなど、東京産電力三百万キロワット創出プロジェクトの推進に全力で取り組んでまいります。
◯原田委員 全力で取り組んでいくという知事本局長のそのご答弁、高く評価するものでございますけれども、都民にとって必要なことは、数字を追い求めることではなく、実際に生活の安全、仕事の安全が確保されることでありますので、そうした成果にしっかりと、この取り組みがつながっていくよう求めるものであります。
さらに見てみますと、二次エネルギーである電力については、東京産を目指すとしていますけれども、例えば百万キロのエネルギー源となる天然ガスの確保は都だけでできる問題ではありません。そうした中で、太陽光発電への取り組みは、結果的に一次エネルギーからの自給策になっております。環境に優しいというこれまでの切り口だけではなく、エネルギー自給率の向上という観点からも、一次エネルギーである地熱、太陽光、太陽熱、風力、バイオマスなど再生可能エネルギーを最大限生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。
◯大野環境局長 天然ガスなどの一次エネルギーの確保は、現在、個々の民間事業者が行っておりまして、国は必要な役割を果たしておりません。
このため、都は国に対して、エネルギーの安価かつ安定的確保に向けた戦略の強化を要求するとともに、都内のエネルギー自給率を高めるため、天然ガス発電所や地域分散型発電の導入とともに再生可能エネルギーの普及拡大を進めております。
特に、都内において導入ポテンシャルが高い太陽エネルギーの普及拡大を目指しまして、平成二十一年度から太陽光発電設備への補助を開始し、大きな成果を上げております。一方、普及がまだ進んでいない太陽熱利用につきましては、今年度から新たな補助事業を開始しております。
さらに、風力などを含む再生可能エネルギー全体の普及拡大を図るには、固定価格買い取り制度の実効性を担保するための適切な買い取り価格の設定がまず必要でございますので、都は既に、国に対して強く要求をしております。
◯原田委員 都市とはそもそも、電力に限らず、水や食料など生活に不可欠な要素について、都市外のさまざまな地域から供給を受けることで成り立つものであります。よって周辺の地域と協力関係を築き、広域的な共存共栄を図ることが大切であります。
電力の立地について、現行のプロジェクトを見てみますと、まず百万キロ級の天然ガス発電所については、出発点が都内産電力であったため、当然、都内になりましたが、一方、官民連携インフラファンドでは、必ずしも事業地域を都内に限定せず、九都県市で検討するとしております。
東京のエネルギー確保と安定供給を図るために、エネルギー供給プロジェクトをどのように構築していくのか伺います。
◯大野環境局長 今後、東京におきましては、遠隔地の大規模発電所に過度に依存しないエネルギー供給体制を構築していくことが必要と考えております。
このため、まず第一に、百万キロワット級発電所整備に向けた調査や、官民インフラファンド活用による発電所整備を進めるほか、大井火力発電所など老朽火力発電所のリプレースを促進するため、国や東京電力に申し入れを強力に行っております。
第二に、地域分散型発電を推進するため、臨海副都心への分散型エネルギーネットワークの導入などを推進しておりますし、第三には、太陽エネルギーなど都市型の再生可能エネルギーのさらなる普及拡大を図っております。
こうした三つの柱に基づく具体的な取り組みを進めまして、東京のエネルギーの安定供給に努めてまいります。
◯原田委員 先ほど局長の方からも、天然ガスについてのご言及もありましたけれども、国に対しては、この天然ガス調達について、速やかに状況を改善するよう求める必要があります。
天然ガスは、非在来型の資源であるシェールガスの本格的な採掘が始まったことによりまして、国際的な市場価格が下がっております。単位熱量当たり二ドル強とかなり低下しているのでありますけれども、日本が今回緊急に買ったのは十八ドル程度で購入しておりまして、これが、国富の流出と貿易赤字につながっているのであります。この問題に関して、国も動き始めたようではありますけれども、さまざまな主体としっかり連携し、国益、そして都民の利益にかなう施策を着実に進めていただきたいと思います。
都内産の電力ということでいえば、短期的には、大井火力発電所の緊急設置電源の有効利用が考えられます。この電源は二十万キロワットありまして、タイから無償で借り受けたガスタービンも含まれるのでありますけれども、余り稼働していないようであります。ほかの発電所に設置された緊急設置電源については、平日を中心に結構稼働しているようであります。
この緊急設置電源は、大気汚染防止法の排出基準はクリアできるんですけれども、都が環境確保条例で上乗せして定めた、より厳しい基準がクリアできません。そのため、都は、環境確保条例を改正して、去年の夏、ことしの冬と、電力需要の逼迫が懸念される時期に限りまして、特例措置として運転を認めることとしましたが、その内容と経緯についてお伺いしますとともに、この夏以降も同様の状況が想定されるわけですけれども、どう対応するのかお伺いいたします。
◯大野環境局長 大井火力発電所内の緊急設置電源は、お話のような排ガス中の窒素酸化物濃度が環境確保条例の上乗せ基準を遵守できないものでありましたが、都としては、昨年の夏、発電能力の増強が必要であると判断しまして、条例に特例措置の規定を設け、昨年四月二十二日から六カ月間の稼働を可能にしたものでございます。
しかし、昨年の夏は広範囲にわたる節電の取り組み等によりまして、供給力不足を補うための運転は、東京以外の他の緊急設置電源も稼働が少なく、大井でも二日間にとどまりました。
ことしの冬は、東京電力から、供給力は確保できているが、発電所の事故など万が一の事態に備え、特例措置の適用を受けたいという要請がございまして、二月一日から二カ月間、改めて稼働を可能といたしましたが、現在までこうした事態は生じておりません。
都としては、この緊急設置電源への排ガス規制緩和の適用は、あくまで緊急避難的なものと考えております。
今後は、中長期的な観点からの供給力の確保が必要でございまして、大井火力の緊急設置電源は、排ガス中の窒素酸化物濃度が高いことに加えまして、熱効率も三〇%程度と低いものでありますので、ことしの夏以降につきましては、これらの状況を勘案した対応を東京電力に求めてまいります。
◯原田委員 きれいな空気は、都市の国際競争力を高める重要な要素であるというふうに国際的にも認識されておりまして、都市部への近さ、人口密度などを考えれば、一定の厳しい基準があるということは合理性があると思います。
タイ国から借りているガスタービンは、現在はいわば最後のとりでになっているわけでありますけれども、我が国にとりまして、安全保障上も経済上も重要な国でありますタイからの支援が有効に生かされていくように望むものであります。
さて、我が国は世界でもトップレベルのエネルギー技術を持っております。天然ガス発電も高効率でありますけれども、最近の石炭火力発電の技術の進歩も物すごいものがあります。
石炭というと昔のイメージで、効率も悪く、排気も汚い印象を持たれている方も多いかもわかりませんけれども、熱効率でもクリーン度でもLNG並みを実現しているのであります。超々臨界圧石炭発電とか、石炭ガス化複合発電というのがありますけれども、高いものでは五七%の熱効率を達成しております。
こうした高効率にもかかわらず、初期投資も、あるいは発電コストも安い、さらには資源の地政学的なリスクも少ないということで、この技術は世界の垂涎の的であります。この技術は国産の技術であります。
火力だけではございませんで、再生可能エネルギーの分野でも、技術的に世界の最先端を行き、さらに、すぐにでも使えるエネルギー源として現実性を持つのが地熱であります。我が国は資源小国と思われておりますけれども、地熱の資源量が二千三百四十七万キロワットで世界三位と見込まれるなど、潜在的なエネルギー資源は豊富なのであります。
また、地熱発電のタービンと発電機のシェアにおいて、日本企業三社合計で、世界の何と七割を握っております。アイスランドで実際に視察した地熱発電の設備も日本製でありました。
また、フィリピン、この国は世界第二位の地熱大国なんですけれども、この地熱の約六割を、日本が円借款を利用して開発したと、そういう実績もございます。この再生可能エネルギーというと、単体での発電量が少ないイメージを持たれるかもわからないですけれども、レイテ島の施設は七十二万二千キロワット、ルソン島の施設は四十五万八千キロワットといった大規模なものであります。
また、都内でも、小規模なんですけれども、八丈島において地熱発電が行われております。
地熱発電は、その原理も単純であり、また、資源探査の精度や掘削コストに課題はありますものの、技術としては確立されております。
さらに、地熱発電は、気象による変動の大きい太陽光発電、風力発電に比べますと、出力が安定しておりまして、定格運転が可能であります。
ただ、有望な候補地の多くが国立・国定公園内にあって、これまで国によって開発が規制されてきた。この点さえクリアできればいいんですけれども、現在、規制緩和について、経産省、環境省等でも検討が始められているようであります。
地熱は、地震国であることと表裏一体として我々に与えられた資源であります。そのような国土であることを受けとめ、そして生かし、震災を乗り越えていくためにも、他道府県とも連携しながら地熱利用に取り組むべきであります。
さて、この地熱発電、あるいは太陽、風力など、再生可能エネルギーは、発電効率や発電量、コストなどの課題があるのは確かに事実であります。これらをクリアし、経済的に軌道に乗せるには、より効率的に、大量に発電した主体に、経済的に報われる仕組みを与えるということが必要でありまして、その切り札が固定価格買い取り制度であります。
初期投資にかかる補助金は、普及の始まりの段階で重要です。理想的には、固定価格買い取り制度によって初期投資を回収できる見込みが示されれば補助金等の必要はなくなるわけでございますけれども、そううまくいくかどうかは未知数でありまして、推移を見守った上で、補助的な施策が必要となる場合もありましょう。
さらに、地熱などの偏在する大規模なエネルギー源を生かし、普及させていくためには、この固定価格買い取り制度のしっかりとした制度設計に加えまして、広域的な利用拡大を進めることが必要であります。再生可能エネルギーの普及をどのように進めていくのか、都の見解を伺います。
◯大野環境局長 再生可能エネルギーの大規模な普及拡大を進めるためには、先ほども申し上げましたとおり、固定価格買い取り制度の買い取り価格が、事業採算のとれる水準に設定されることが必要ですが、それとともに、北海道や東北など、風力や地熱などのポテンシャルの高い地方において開発される発電設備による電力の広域融通を可能とすることが必要でございます。
電力の広域融通は、東日本におきましては、現在も周波数が五十ヘルツで統一されておりますので、現状でも技術的には可能でございますが、これまでは送電系統を電力会社ごとにばらばらに運用してきましたので、これが実現しておりません。このため、現状の運用方法を改め、送電系統の一体運用を実現するよう、都は、国や電力会社による積極的な対応を既に強く要求をしております。
◯原田委員 さて、もう一つ、再生可能エネルギーを安定して活用するには、蓄電池の果たす役割が重要であります。
蓄電池は、出力を調整したり、あるいは余剰電力をピーク時間帯に活用できるといったようなことから、発電所を新規に建設するのと同じような効果が見込めるわけであります。実際にNaS電池、リチウムイオン電池といった大規模化が可能な蓄電池のほか、いわゆるスマートシティー構想の中でも、電気自動車を蓄電池として活用しようと、さまざまな取り組みがなされているわけでございますが、蓄電池の課題と今後の方向性についてお伺いいたします。
◯大野環境局長 蓄電池は、電力のピークカット機能や再生可能エネルギーの調整電源としての機能に加えまして、災害時の電力供給源など多様な役割が期待されます。
日本の蓄電池に関する研究開発は、世界のトップ水準にございますけれども、大容量化、低コスト化、高効率化など、まだ課題も残っております。
都は今後、域内の電力需要の平準化や再生可能エネルギーの最大限の活用に資する蓄電池の活用可能性につきまして、その実用化の状況を見ながら検討してまいります。
◯原田委員 エネルギーを効率的に利用するという観点からは、例えばコージェネレーションシステムにおいては、発電効率の高い設備を導入するだけではなくて、発電に際して生じる排熱の利用、これをいかに高めていくかということが重要であります。
また、都内では、これまでも七十を超える地域冷暖房区域において熱供給事業が行われているんですけれども、未利用熱の活用、あるいは、この地域冷暖房区域間における熱の相互融通も熱の有効利用に資するものと考えます。
そこで、熱の面的利用、ネットワーク化によるエネルギーの有効な利用について、見解を伺います。
◯大野環境局長 平成二十二年の一月から、地域におけるエネルギーの有効利用を図るため、延べ床面積五万平方メートルを超える開発におきまして、地域冷暖房や未利用エネルギー等の活用などを含むエネルギー有効利用計画制度を開始しております。
こうした中で、地域冷暖房区域の間で熱を相互利用するネットワーク化を進める事業者もあらわれてきております。熱需要のバランスが確保された熱の面的利用は、高効率なエネルギー利用につながることから、都はこうした計画に対して、より効率の高いものとなるよう、計画制度等を活用して事業者への助言等を引き続き行ってまいります。
◯原田委員 さて、二〇一二年度の予算関連の税制改正法案が三月八日、衆議院を通過いたしました。このことにより成立が確実となったわけでございますけれども、これによりまして地球温暖化対策税が十月から段階的に導入されることになりました。
環境税は外部不経済を内部化するものでありまして、導入するだけでも意味があるわけでございますけれども、温暖化対策や再生可能エネルギーの普及に必要な諸政策の財源としても期待がされるわけであります。
東京都は、これまでも独自に地球温暖化対策に取り組んではきたわけでございますけれども、自治体が果たすべき役割をより一層アピールして、この温暖化対策税の中から適切に財源を確保して、さらに事業を進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
◯大野環境局長 今回、地球温暖化対策のための税を含む税制改正法案が成立する見通しとなったと報道がされております。しかし、追加的な税収規模を見ますと、全国で二千六百億円程度にとどまっておりまして、かつ、全額が国税という予定でございます。
国は、地方財源の確保充実に関しまして、平成二十五年度実施に向けて成案を得るべく検討を進めるとしておりますけれども、都としては、温暖化対策における地方自治体の果たす責任と役割を踏まえまして、国と地方で、税源を適切に配分することを、引き続き国に対しても強く求めるとともに、地球温暖化対策を進めてまいります。
◯原田委員 都はこれまでも、都として独自に環境税の制度設計を検討してきたという経緯もございます。そうしたことも踏まえまして、これからも積極的な取り組みを期待したいと思います。
この外部不経済の内部化という視点は非常に重要でございます。これまで、さまざまなものが想定外とされてきておりましたけれども、そうしたものをしっかりと社会経済システムに組み込んで考えていく。こうしたことが重要でありまして、我々の眼前にこれが先送りのできない課題として突きつけられているわけでございます。
こうした取り組みを、自分たちにとって都合がよいことも、あるいは不都合な真実もひっくるめてしっかりと受けとめて、日本国内で起こることは我が身に起こることなんだと、こういうことで真正面から受けとめるところに共感と、そして、連帯意識が生まれてくるものと思います。それができれば、本当の意味で、我が国は一体となりまして、そこから新しい日本の姿が生まれてくるものと考えております。そのことを願いまして、次の質問に移ります。
スポーツ文化の発展と施設整備についてお伺いいたします。
東京マラソン、これは年々参加者も増大しておりまして、一大イベントとして定着しております。こうしたスポーツの機運の高まりというものは本物であります。
一方、皇居ランナーの激増によりまして、歩行者等との摩擦が生じるなどの現象も起きていますが、その背景には、身近にスポーツを行ういい環境がない、限られている、こうした状況もあるわけでございます。
スポーツ文化の発展を図り、ひいては東京で行われるオリンピックや国際大会への関心を高めていくためには、真正面からこうしたスポーツを行う人に対する施策を行っていくこと、これが必要であります。
スポーツ文化の発展に寄与する地道な施策の一つとして、身近なスポーツ施設、スポーツ環境の整備が考えられます。
都が現在整備している大規模な競技場と、区市町村が整備する小規模の施設の中間的な、一定の広域的なエリアを対象としたそれなりのいい施設、この整備のニーズも高まっているわけでございますけれども、今後のスポーツ施設整備の考え方について見解を伺います。
◯細井スポーツ振興局長 施設整備につきましては、東京都スポーツ振興基本計画に基づきまして、都は、全都、広域的なスポーツ大会や交流の場としての機能を重視して施設を整備し、区市町村は、地域の日常的なスポーツ活動の場としての機能を重視すべきと考えております。
この方針に基づき、スポーツ祭東京二〇一三に向け、味の素スタジアムの第一種陸上競技場化改修工事を行うとともに、多摩におけるスポーツ振興拠点として、新たに第三種公認となる西競技場を整備しております。
さらに、スポーツ祭東京終了後には、アリーナや屋内プールなどを備えました武蔵野の森総合スポーツ施設の整備を着実に進めてまいります。
また、東京体育館等の既存の都立スポーツ施設についても、利用者や競技団体等のニーズを踏まえた大規模改修工事を計画的に行ってまいります。
今後、施設利用のあり方や民間企業などが保有するスポーツ施設との連携の可能性を探るほか、区市町村の施設担当者による連絡会を新たに開催するなど、関係機関との連携を緊密にし、都民がより利用しやすい施設となるように取り組んでまいります。
◯原田委員 何だか最近は議会のたびに地震が起こるようでございますけれども、質問を続けさせていただきます。
都立公園の活用についてであります。
都立公園には運動施設が配置されていることも多くありまして、広く親しまれております。近年のスポーツ人口の増加によりまして、都立公園内の競技場等の施設について、試合や大会での利用、こういったことを求める期待も高まっているわけでございます。
一方では、これまでの利用者を大切にしつつも、こうした新たなニーズにこたえていくことも、広く都民に愛され続ける公園であるためには重要であります。
今後、スポーツ利用者も快適に、身近に利用できるように、都立公園のさまざまなスポーツ施設について環境整備を行う必要があると考えますけれども、どのように取り組んでいくのか伺います。
◯村尾東京都技監 都立公園の運動施設は、多くの都民が気楽にスポーツに親しめる身近な施設であることを基本としております。そのため、グラウンドの整地や防球ネットの張りかえなどの維持管理を適切に行っております。
また、夜間照明の設置、テニスコートの人工芝化、野球場の排水設備の改修など、運動施設の更新に取り組み、質の改善を図っております。
今後とも、運動施設につきまして、快適性と利便性の向上を目指して施設改修を行ってまいります。
◯原田委員 次に、障害者スポーツについてお伺いいたします。
障害者スポーツに取り組んでいる人の中には、健常者以上の能力を発揮される方もいます。私も高校のときに柔道部だったんですけれども、いろんな方が練習に来られておりました。その中に、目の見えない方が練習に来られておったんですけれども、その方、最初は一緒に練習して大丈夫かなと思ったんですけれども、全くの杞憂でございまして、強いんですよね。そうした障害者でもすばらしいアスリートの方がいらっしゃいます。
ちなみにその方、バルセロナのパラリンピックで金メダルをとられました。
本当の意味で、健常者も障害者も同じ人間であることを感じ、生きていく、そうしたことを進めていくためには、体で感じる以上に強い体験はございません。障害者と健常者が同じフィールドでともに生きていく上で、パラリンピアン、あるいは障害者スポーツをやっている方と健常者が、スポーツというまさに体を使う場面で一緒に触れ合う、こういう機会をつくることは大事だと思います。
スポーツ祭東京、さらにはオリンピック招致の場面を初め、交流イベントに積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、都の見解を伺います。
◯細井スポーツ振興局長 障害者スポーツには、障害の有無や年齢、性別にかかわらず、だれもが楽しめるという魅力のほか、障害や障害のある人への理解を深めることができるなど多くの意義がございます。
都はこれまで、障害者スポーツを体験できる各種スポーツイベントや小中学校での出前授業等において、パラリンピアンが参加者や児童生徒の目前で高度なわざを披露したり、一緒にスポーツを楽しむなど、障害のある人とない人が触れ合う機会を提供してまいりました。
今後こうした機会をとらえて、パラリンピアンの派遣規模をふやしていくほか、地域スポーツクラブなどにおいても、障害のある人とない人がともにスポーツを楽しめる場をさらに広げてまいります。
◯原田委員 また、単発のイベントだけではなくて、常時交流できる仕組み、これをつくっていくことも必要であります。
北区には二十三区で唯一の障害者スポーツセンターがありまして、障害者スポーツ指導員の育成などを行っていますけれども、区市町村や、あるいは地域スポーツクラブと連携するなどして、日常レベルで一緒にスポーツができる環境づくりにぜひ取り組んでいただきたいと思います。障害者スポーツセンターが今後果たすべき役割とあわせて所見を伺います。
◯細井スポーツ振興局長 障害者スポーツセンターは、障害者スポーツの拠点としてさまざまな障害特性に応じた運動メニューの提供のほか、リハビリ段階にある方などについて、地域に移行するまでの橋渡しとなる支援を実施しております。
また、重度障害の方や競技力強化を目指す方など、地域での十分な対応が難しく、より専門的な支援を必要とする方へも適切な対応を行っているところでございます。
これに対し、障害のある人とない人がともに日常的にスポーツを楽しむためには、身近な地域での取り組みが重要となります。このため、都は、地域のスポーツ施設などで障害者スポーツ教室を開催できるよう、地域開拓推進員を設置し、区市町村や地域スポーツクラブに出向いてノウハウの提供や障害者スポーツ指導員の派遣を行うなど、継続的な取り組みとなるように支援いたしまして、新たな地域スポーツの場の拡大を図ってまいります。
◯原田委員 本当にせっかくの機会でございますので、障害者だけでとどまるということではなくて、さまざまな取り組みを進めていただきたいというふうに思う次第でございます。
次に、防災とまちづくりについてお伺いをいたします。
北区の十条地区では、民間施行によります駅の西口の再開発、さらには旧岩槻街道、補助八三号線の整備など、さまざまなまちづくりの事業が進行しております。
また、十条地域は木造密集地域でございまして、これまでもさまざまな取り組みが行われてきましたが、今回、木密地域不燃化十年プロジェクトの実施方針が公表されまして、不燃化特区制度に基づく新たな取り組みにも期待が集まっております。
それと同時に、さまざまな事業が同時並行で行われることで、一時期に負担が集中するのではないか、あるいは、取り残される事業があるのではないか、こうした不安の声もあります。
そこで、十条地区では現在どのようなまちづくりの取り組みが行われているのか、また、事業が効果的に実施されるために、各事業間の調整にどのように取り組んでいるのか伺います。
◯飯尾都市整備局長 十条地区は、老朽木造住宅が密集し、狭隘な道路が多いなどの課題を抱えておりまして、現在、都は、延焼遮断帯となる都市計画道路補助第八三号線の拡幅整備と、これとあわせた沿道のまちづくりを、地元区においても主要生活道路の拡幅整備などの事業を行っております。
また、十条駅西口地区では市街地再開発事業の準備組合が設立され、事業化に向けた検討が進んでおります。
これらの事業を効果的に推進するため、都と区とで行政連絡会を設置しており、この場を活用するなど、事業実施上の懸案解決や各事業間の調整に取り組んできております。
今後とも、区との連携を図りながら木密地域の改善を進めてまいります。
◯原田委員 しっかり連携に取り組んでいただきたいと思います。
その中で、特に進捗が心配されるのが埼京線の連続立体交差事業であります。特に駅前再開発などのほかの事業が終わってからではかえって事業に取り組みにくくなってしまうのではという懸念の声もあります。こうした不安を払拭すべく、各事業主体が積極的に地域にかかわりながら、ほかの事業の進捗状況を見据えた上で、地元の住民と将来像についての合意を形成していくことが望まれます。
そこで、このような状況を踏まえ、今後の鉄道立体化の推進に向けた取り組みについて見解を伺います。
◯村尾東京都技監 鉄道立体化に当たりましては、地元区が将来の都市施設や、それを実現する面的整備などの手法を具体的に検討し、地域の合意形成を図っていくことが必要でございます。
JR埼京線十条駅付近につきましては、現在、地元北区が地域の将来像を示す基本構想の策定を進めており、あわせて、駅前広場を含む駅西口再開発の都市計画や、関連する道路整備などの検討に取り組んでおります。
都といたしましても、これら地元のまちづくりに対する取り組みを見据え、区や鉄道事業者と連携して、鉄道立体化について検討してまいります。
◯原田委員 区や鉄道事業者と連携してということで、その点、しっかり進めていただきたいと思います。
木造密集地域の安全を図っていく上では不燃化への取り組みももちろん重要でございますけれども、同時に、いざというときの防火の備えも大切であります。
震災時に活用を図るために整備を進めている消防水利の充足の状況について伺います。
◯北村消防総監 東京消防庁では、震災時における市街地大火に備え、特別区内を一辺が七百五十メートルの区画に分け、その街区ごとの延焼危険度に応じた消火用水の確保を図っております。
今年度末における充足率は約九八%となる見込みでございますが、消防水利の用地確保が困難となっている地域が課題でございます。
今後とも、消火用水が不足している木造住宅密集地域等を重点に、その地域特性を勘案しながら、従来の防火水槽や建物の基礎を活用した地中ばり水槽の設置を促進するとともに、深井戸による地下水の活用など、多岐にわたる消防水利を整備してまいります。
◯原田委員 約九八%ということで随分進んでいるわけでございますけれども、逆にいえば、約二%はまだ残っているわけでございます。頑強な堤防もアリの一穴から崩れると申しますので、この二%についても着実に進めていただきたいと思います。
現在、十条地区では、消防署の敷地外としては初めてのケースとして、北区中央公園に深井戸の整備が進められています。また、平成二十四年度予算においては練馬区の中新井公園内におきまして深井戸の整備が検討されております。
水利不足の地域を解消するためには、今後一層の取り組みが求められるところでございますが、十条などに整備される深井戸の効果と今後の整備についてお伺いいたします。
◯北村消防総監 お話のとおり、深井戸については二百メートルを超える深さから地下水をくみ上げることにより、この地域に必要な大量の消火用水が効果的に確保できます。
また、一方、住民の生活用水などにも転用が可能であります。
今後とも、木造住宅密集地域等において、大量の消火用水が必要となる地域を選定し、深井戸の整備を進めてまいります。
◯原田委員 以上、エネルギー、スポーツ、そして、安全のまちづくりということでお伺いしてきましたが、これらの施策をしっかりと進めて、この東京に生きててよかったと、生き物として生きててよかったと感じられるような東京をつくっていただきますように願いまして、私の質問を終わります。(拍手)
◯西岡副委員長 原田大理事の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後六時二十四分休憩
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午後六時五十五分開議
◯鈴木(あ)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
山崎一輝委員の発言を許します。
◯山崎委員 初めに、産業振興について伺います。
まず、ものづくり産業の集積確保に向けた取り組みについて伺います。
私の地元の江東区には、多種多様な中小の製造加工業のまち工場が生産活動を行う地域を抱えております。こうしたまち工場の集まる地域では、周辺住民の生活との調和を保ちながら操業を続ける努力を行っています。都内の各地でも、製造業の集積するエリアに新たな工場を誘致するための工夫を地元の自治体が検討する例も多いと聞いております。
先日の本会議では、都は来年度から、ものづくり産業集積強化支援事業を立ち上げ、対象地域を設定して、工場周辺に配慮した環境対策のハード整備などに取り組む区市町村の事業などをサポートしていくことを明らかにしました。
こうした施策について、都は具体的にどのように実施をしていくのか伺います。
◯前田産業労働局長 中小製造業の集積を確保するため、都内の工場が継続して操業できる環境を整えるとともに、新たな生産現場を地域の中にふやすことが重要と考えております。
ものづくり産業集積強化支援事業における対象地域は、製造業の集積の確保という観点から、工業地域や準工業地域のように工場の多く集まるエリアを想定しております。その上で、地域の特性を踏まえた区市町村の取り組みに対する支援を幅広く行う考えであります。
具体的には、お話をいただきましたが、工場周辺の住民の生活に配慮し、騒音や振動の発生を防ぐハード整備への助成や、防音設備などを持つ工場アパートの設置なども対象といたします。また、製造業が機械設備の増設、更新や工場の新たな開設を行うことに伴う固定資産税や不動産取得税の納付相当額を補助する場合なども対象に含める考えであります。
こうした取り組みにより、ものづくりの担い手である中小製造業の集積を地域の中で維持するとともに、その発展を効果的に支援してまいります。
◯山崎委員 次に、商店街振興について伺います。
商店街は、商業活動に加えて地域の人々の暮らしを支える重要な役割を担っており、その支援に向け、我が党もさまざまな提案を行い、施策の実現を図ってきました。
こうした中、身近なところで買い物ができず、不便を感じる住民のため、商店街がその一翼を担えるのではないかというアイデアも出ています。このことは買い物弱者の問題として、一昨年に国が報告書を取りまとめてクローズアップされた経緯もあり、我が党も都内の実態把握をして、モデル事業を立ち上げるべきとの提案を行いました。
本会議の答弁にもありましたが、都は、調査の結果を踏まえて新年度には買い物弱者支援モデル事業を開始するとしています。その具体的な内容について伺います。
◯前田産業労働局長 商店街が買い物に不便を感じる住民へのサポートを行うことにより、地域社会の中で期待されております役割を適切に果たすことが重要と考えております。
お話のように、都は調査を踏まえまして、来年度から商店街による買い物弱者への対応をモデル的に支援いたします。
具体的には、区部と多摩地域でそれぞれ二カ所の商店街を選びまして、その支援を行う地元自治体の事業の経費の半分について、一千万円を上限として助成をいたします。
事業の例でございますが、ファクスで注文を受け、各店舗から商品を取りそろえて宅配する業務や、商品が重く自宅までの距離が長い場合に買い物客のために配達する業務などを想定しております。
こうした取り組みにより、すぐれた成果を期待できる商店街の工夫について、区市町村とともに支援して円滑な事業の運営につなげてまいります。
◯山崎委員 都内各地の商店街では、将来に向けた新たな担い手をどう確保するべきかが重要な課題ともなっております。
かつては江戸時代、でっちの仕組みや徒弟制度により小売などの商売を始めたり、子どもを商人として一人前にするためのさまざまな方法もありました。これらのすぐれた部分などを踏まえ、商業のノウハウや経営の知識を学び、開業の負担をも軽くできる、現代にふさわしい新たなシステムをつくり上げることが重要になると考えます。
そのために、行政としてサポートを行うべきとの我が党の提案を受けて、都は小売商業後継者育成開業支援事業を来年度からスタートいたしますが、具体的にどのような取り組みを行う考えであるか伺います。
◯前田産業労働局長 今日の商店街におきまして、商店の後継者や出店する意欲のある人材の育成と確保を適切に支援することが重要と考えております。来年度から開始いたします小売商業後継者育成開業支援事業では、こうした人材の育成などを支援してまいります。
具体的には、生鮮三品を初めとする各業界が実施しております研修会で、商売に不可欠な仕入れのノウハウを学ぶ際に必要な経費の一部に助成を行います。また、これらの研修に加えて、区市町村などが主催する講座で会計処理の方法など、経営に関する知識を習得し、商店街での出店に目途がついた場合に、店舗の内装経費や機器の整備などに要する開業資金の半額について、五十万円を上限額として補助する考えであります。
こうした取り組みを通じて、これからの商店街に必要とされる人材の育成や確保を着実に支援してまいります。
◯山崎委員 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
二月十三日にIOCへ申請ファイルを提出し、いよいよ招致レースも本格的になってきました。とにかく五月に行われる第一次選考において上位で選定されることを楽しみにしております。
さて、私は、二〇一六年の招致事業において少々物足りなさを感じました。それは、ブログやツイッターやフェイスブックなどの活用を挙げておきたいと思います。
確かに、当時は今ほどの普及がなかったかもしれませんが、現在では、去年の十月の統計では、日本国内の数値は、ツイッター月間利用者数二千百万人、フェイスブックは一千七百万人と爆発的な利用者の増加で、今では重要なコミュニケーションツールとして位置づけられております。
しかし、このようなときだからこそ、人々の心へダイレクトに思いや熱意を伝えられる手段を最大限活用することにより、一気に関心を引きつけることが大事ではないでしょうか。特に、芸能人や文化人のメッセージ、いわゆるつぶやきは、スポーツに関して関心のない層からの共感や支援を必ず獲得できることにつながるのではないでしょうか。見解を伺います。
◯細井スポーツ振興局長 スポーツに関心のない層を含め、より幅広い層からオリンピック・パラリンピック招致への支持を得るためには、今や多くの方が利用しているフェイスブックやツイッターなどのソーシャルネットワーキングシステムの活用が有効でございます。このため、既に招致委員会では、日々の活動記録をフェイスブックで発信し、徐々に賛同の輪を広げております。
今後は、こうしたソーシャルネットワーキングシステムを利用している芸能人や文化人等も含めまして、発信力のあるさまざまな著名人にオリンピック・パラリンピック招致に賛同をいただき、みずからの言葉でそれらの情報を発信してもらえるよう働きかけてまいります。
◯山崎委員 芸能人、文化人も、歌手とかいろいろな方がいると思いますけれど、一言つぶやいてもらうだけで、そのファンは必ず乗ってくると思います。そういった働きかけをぜひ戦略的に実施していただきたいと思います。
また、前回の招致活動報告書をひもといてみますと、区民、市民が実際に参加したり体験するなどのイベントが好評であったと総括されております。
私は、二月に東京ゲートブリッジ完成記念スポーツフェスタに参加してきました。二日間を通じて二万人もの参加者があったといいます。私も多くのウオーキング参加者と一緒になり、招致PR用の横断幕を持ちながら、でき上がったばかりの橋を練り歩いてきました。
参加者は、顔やウエアに招致ロゴのシールを張ってイベントに参加して、会場のあちらこちらで見られた招致ロゴとともに、特別な思い出の一ページとして心に刻まれたものと思います。だからこそ、今後も、このような取り組みを数多く実施していただきたいと思います。
これらを踏まえると、区民、市民のだれもが参加できるようなイベントを通じ、より一層招致機運を盛り上げることができると考えますが、いかがでしょうか。
◯細井スポーツ振興局長 都はこれまでも、スポーツ博覧会やTOKYOウオーク、東京スポーツタウンなど、多くのアスリートも加わった都民参加型、体験型のスポーツイベントを数多く実施しております。これらの参加型イベントは、都民にスポーツの楽しさや感動を直接肌で感じてもらうことができ、これに招致活動を組み合わせることで、機運の醸成に大いに役立つと考えております。
例えば、委員ご紹介の東京ゲートブリッジ完成記念スポーツフェスタでは、おっしゃったとおり、多くの参加者がみずから招致ロゴシールを手にとって体じゅうに張り、PRに協力してくれるなど、招致機運が大いに盛り上がったところでございます。
今後とも、これらの参加型イベントやスポーツ祭東京二〇一三関連イベントなどと招致活動を組み合わせ、招致機運の醸成を図ってまいります。
◯山崎委員 ぜひ多くの方の参加を集めて盛大にやっていただきたいことを期待しております。
なお、招致に向けた機運醸成を図ることはもとより、招致を獲得した後の具体的なイメージを持ってもらうことで、都民の機運もより一層高まるものではないでしょうか。
例えば、君も聖火ランナーになれる、こうしたうたい文句で都民から募集をしたり、君がオリンピックの縁の下の力持ちといって、親子でボランティアの依頼する支援内容を事前に提示するなど、ぜひこのようなことを検討してもらえば私はよいかと思います。それが都民参加型のオリンピックにつながっていくことと、私は提案をさせていただきたいと思います。
私はもう一つ心配がございます。国が早々に決議をしましたが、一般的には東京だけ盛り上がってとの意見がほかの道府県から出かねず、少し心配しております。
これらを避けるためにも、例えば、オリンピック・パラリンピック開催直前の最終合宿、最終調整を、国内各地で行われるようなことをあらかじめ示しておけば、全国的な機運醸成にもつながるのではないでしょうか。そういったことで地方の人たちにも、私たち、そして、おれたちも参加ができるということになるわけであります。
いずれにしても、今回の招致は東京のためだけでなく、日本全体が一丸となって取り組むべきであると、強いメッセージが発信されることが必要であります。
そこで、改めて、知事に招致獲得に向けた都民、国民への熱いメッセージを確認させていただきたいと思います。
◯石原知事 オリンピック招致を盛り上げるために、なかなか今、卓抜なご意見をいただきましたので、早速これは具体的に検討したいと思います。
いずれにしろ、未曾有の大震災から既に一年があっという間にたちましたが、どうもしかし震災の復興もままならず、日本全体がいまだに強い閉塞感にというよりも、ますます閉塞感に覆われている感じがしますけれども、こういうときこそスポーツが持つ夢、希望、それを達成するエネルギーというものがこの国を活気づけていくと思います。
日本が戦に敗れたあの直後、茫然自失の中で、オリンピックには日本は招待されませんでしたが、連中がオリンピックをやっている最中にこちらでは、古橋が大会でオリンピックで出ている世界記録をあっという間に破る次々の偉業をなしてくれました。
その後、力道山が白人の選手を空手チョップでなぎ倒すような快挙もありましたし、加えて、先般亡くなられました、まさに名監督でありましたバレーの松平康隆さん。この人は、東京オリンピックで日本の女子バレーが金メダルをとった。日本は実は男子バレーは銅をとったんですけれども、余り問題にされなかった。
それで発心して、よしということで、本当に綿密な、まずは大きな戦略を立てて、まず銀から次に金だということで、次のオリンピックには銀、そしてミュンヘンでは金をとられたわけですけど、そのために世界がやったことのない練習方法も考えて、その偉業を達成されたわけですけど、私はこういう指導者が政府にいてくれたらいいなと本当に思うんです。
ちゃんと大きな戦略を立てて、そのために人が考えつかないような奇抜ともいえる戦術を立てて、そして選手をしごき、鍛え、愛しながら、とにかく鍛えて、あの奇跡の金メダルをとった。そういう事例もありますし、なでしこジャパンも最近日本を本当に活気づけてくれました。いずれにしろ、こういう国家を意識して背負ったアスリートたちの活躍というのは、やっぱり国民全体に大きなエネルギーを与えてくれると思います。
そういう意味でも、私はこういう人たちの力もかりて、とにかくオリンピックをすることで日本の立ち直りというものを世界に示していきたいと思いますが、いずれにしろ、これによって私たち日本人が忘れている連帯感、結束感というのを取り戻していきたいと思っています。
この熾烈なレースをかち取るためには、さまざま、いろんな努力がありますが、あなたの父親だった山崎──あのころは幹事長ですか。あの人が私と一緒に日本全体のスポーツの各種団体の会長を呼びつけて、これ、何か半分やる気があるんだかないんだかわからないんだ、こいつら。何というのか、他力本願みたいなところがありまして、あなたのお父さんが私の次に、私がびっくりするような、まさに気合いを入れるんじゃない、恫喝に近い、とにかく演説をして、みんながぴりっとして、よし、やろうということになったのを覚えていますが、ご子息のあなたもそうだし、共産党は当てにならないけれども、ほかの皆さん、ひとつみんなで力を合わせてやろうじゃないですか。よろしくお願いします。
◯山崎委員 知事、大変ありがとうございました。江東区長にもよくいっておきます。ありがとうございました。
次に、子どもたちのスポーツとのかかわりの充実について質問をいたします。
スポーツには、する、見る、支えるなどの多様なかかわり方があります。そのため、オリンピックやパラリンピックを開催する場合にも、都民が競技を見て楽しむことや、例えば選手の応援や競技運営の補助など、さまざまなかかわり方が必要になると考えます。
そこで、オリンピックやパラリンピックの招致機運を高めるためにも、アスリートに直接触れ合うことや、オリンピックの意義を学ぶことによって興味、関心を高めていくことが必要と考えますが、所見を伺います。
◯大原教育長 学習指導要領の改訂によりまして、児童生徒は東京オリンピックの歴史的意義やフェアプレー精神の学習に加えまして、オリンピックの国際親善、世界平和への貢献やオリンピックムーブメント等についても学習することとなりました。
都教育委員会は、オリンピックや国体等の意義を学ぶための補助教材の作成、配布、アスリートによる一日校長先生事業の実施、スポーツ教育推進校の指定等の独自の取り組みを行っております。今後は、スポーツ祭東京二〇一三などの各種スポーツ大会の運営に高校生をボランティアとして参加させてまいります。
こうした取り組みを通しまして、児童生徒がオリンピック・パラリンピックへの興味、関心を高め、スポーツにより親しむことができるよう、特色あるスポーツ教育の一層の充実を図ってまいります。
◯山崎委員 次に、豊洲新市場の整備について伺います。
昨年は土壌汚染対策工事に着手し、ことしの一月には市場業者の移転支援策を発表、さらに二月には、移転後の築地のまちづくりの検討について中央区と合意したほか、水産仲卸業界が新市場の整備に関する協議に積極的に取り組んでいくことを明らかにいたしました。このように、開場に向け、着実にステップが踏まれております。
そこで、まちづくりなどについて幾つか質問に入りたいと思います。
私はこれまで、豊かな水辺空間に囲まれた豊洲の地域特性を踏まえ、新市場がまちづくりに貢献する施設となるように求めてまいりました。先進的な基幹市場として整備されるのはもちろんのことですが、四十ヘクタールという広大な敷地があることから、豊洲地区のまちづくりをリードしていく役割もあります。そのためには、周辺から見て、ただコンクリートの塊が来たのではなく、やはり地域との一体感を感じられるような施設として整備する必要があります。
そこで、景観に関し、施設の外観を中心とする設計、デザインにおいて、どのような工夫を行い、豊洲地区に適した景観形成を図っていこうとしているのか伺います。
◯中西中央卸売市場長 豊洲新市場予定地は都心にも近く、豊かな水辺空間に囲まれ、豊洲地区の約四割を占めることから、新たなまちづくりの核にもなり得る地域でございます。
このため、三つの街区に建設される大きな施設が互いに一体性を保ちながら、地域に溶け込んだ風景をつくり出せるよう、大屋根を太陽光パネル等で分節化し、緩やかに上空に膨らんだ曲面形状とすることでボリューム感を軽減し、リズミカルなスカイラインを形成するなど、設計、デザインの工夫を行います。
また、建物周囲の水際空間につきましても、豊かな緑や散策できる歩道を、隣接する街区と連続させるなど、豊洲のまち並みや環境に配慮した景観形成を図ってまいります。
今後とも、豊洲地区地区計画や江東区景観計画等を踏まえ、周辺のまちづくりにも十分貢献できる施設整備を進めてまいります。
◯山崎委員 景観は、地元江東区が目指すまちづくりの姿にも十分配慮をしていただきたいと思います。
次に、交通渋滞、路上駐車対策について伺います。
地元では、市場関係車両によって交通渋滞や路上駐車がふえないかなどを心配しており、私もその対策について繰り返し確認をしてきたところです。
そこで、豊洲新市場の周辺での交通渋滞や路上駐車が発生しないような交通の流れをどのように確保していくのか伺います。
◯中西中央卸売市場長 都は、豊洲新市場を初め臨海地域への交通アクセスを円滑にするため、晴海通りや環状二号線、補助三一五号線などの道路を整備しております。
また、市場内では、八カ所の出入り口や街区を連結する周回通路を整備し、売り場近くに荷さばき場を設けることで、荷おろしや荷積み作業を効率化いたします。
路上駐車対策としては、積み込み場や待機駐車場などについて、築地市場と比べ十分にふやした計約六千三百台の駐車台数を確保するとともに、冷凍車等の外部電源設備や運転者待機場所を整備してまいります。
そのほか、輸送関係業界に対する走行ルートの周知と協力要請や地元警察署との連携を図るなど、周辺地域の交通渋滞や路上駐車の発生防止に積極的に取り組んでまいります。
◯山崎委員 次に、新市場でのエネルギー対策について伺います。
昨年を振り返れば、大震災以降、我々の生活が単一のエネルギーに依存している現実の危うさを身をもって知ったところです。私はそういった教訓から、新市場の整備に当たっても、昨年策定された東京都防災対応指針に即し、多様なエネルギーを確保する取り組みが必要と考えます。
そこで、都は、豊洲新市場で使用するエネルギーをどのように確保していくのか伺います。
◯中西中央卸売市場長 豊洲新市場の整備に当たり、災害時にも市場機能を維持していくには、ご指摘の東京都防災対応指針や江東区の豊洲グリーン・エコアイランド構想を踏まえ、自立分散型発電の導入など多様なエネルギーの確保が不可欠でございます。
このため、隣接街区に計画中の地域冷暖房施設から空調用の冷水のほか、電力の供給を受けることといたしまして、外部電源の二元化を図ってまいります。この発電設備は、阪神・淡路大震災でも高い耐震性を示した溶接鋼管で供給される中圧ガスで稼働することから、災害時の電源喪失リスクの低減が可能となります。
また、市場内には非常用発電設備と太陽光発電設備も整備いたしまして、特定の電力事業者のみに依存することなく、エネルギーの多様化を図ることで災害対応力を強化してまいります。
◯山崎委員 さまざまな技術を組み合わせながら効率的、安定的なエネルギー対策に万全を期していただくよう、強く要望したいと思います。
次に、豊洲新市場とあわせて整備する千客万来施設について伺います。
この施設を現在の築地場外市場のように、多くの人でにぎわう場としてスタートしていただきたいと思います。そのためには、千客万来施設は民間のノウハウを積極的に活用して整備していくことが必要だと思います。
どのように施設を整備してにぎわいを創出していこうと考えているのか、伺います。
◯中西中央卸売市場長 築地で培われた食文化を継承し、にぎわいを実現するために計画しております千客万来施設においては、国内外から豊富な生鮮食料品が集まる新市場の隣接地という最大の強みを十分に発揮していくことが必要でございます。
このため、市場との連携を重視し、市場に買い出しに来た食のプロのニーズにこたえる良質な食材などの物販や、新鮮な食材を生かした飲食等のさまざまな店舗などにより、訪れた人が市場の活気を身近に感じられる施設となるよう、民間事業者の開発を誘導してまいります。
加えて、豊洲の水辺の景観や臨海副都心との相乗効果が期待できる立地条件を生かすことも重要です。
今後は、新市場開場にあわせて開設できますよう、来年度早期に事業者募集に向けた方針を公表するなど、事業への参加促進を図る取り組みを進めてまいります。
◯山崎委員 ぜひ豊洲でも築地に匹敵するにぎわいを実現するために、手順をしっかりと踏んでいただきたいと思います。
土壌汚染対策に関しては、対策工事の中で行った調査の結果が先日公表され、不透水層内でも汚染が確認されたとの報道がございました。
そもそも不透水層については、専門家の提言に基づき、対策工事の際に汚染の範囲を確定するために調査を行うこととなっており、操業に由来する汚染が確認された場合は対策を行うこととなっていたものであります。今回の調査や今後実施する調査の結果も踏まえて、引き続き土壌汚染対策工事を確実に行い、市場用地の安全・安心の確保に万全を期していただきたいと思います。
私は、将来、豊洲新市場が地域や関係者や都民にとって誇りとなるよう、新しい豊洲の伝統をつくっていくという目線を持ち、力強く前進していただきたいと思います。まちづくりや交通対策については、中央卸売市場だけでなく、都市整備局や港湾局、そして警視庁、そういったオール都庁で取り組んでいただくよう私から強くお願いをいたします。
次に、MICEについて伺います。
近年、国内外から国際会議等、MICEが注目を集め、アジアを初めとした諸都市による激しい誘致競争が展開されています。MICEの開催は観光振興の側面だけでなく、地域経済にもたらす効果も大きいものであり、また、昨年十二月に策定された「二〇二〇年の東京」でもMICEの振興が明記されております。
そこで改めて、都が考えるMICE開催の意義と、これまでの都の誘致促進に向けた取り組みについて伺います。
◯前田産業労働局長 都内におけます国際会議や展示会など、MICEの開催は外国人旅行者の誘致を進めていく上で、多くの外国人に対し東京の魅力を集中的にPRできる絶好の機会であるとともに、都市としての存在感を高め、東京の国際的な地位向上にもつながるものと考えております。
また、参加者の宿泊や開催費などの直接経費に加えまして、情報通信や金融・保険業など広範な業種への経済雇用効果も期待できます。
このようにMICEの開催は観光振興や地域経済活性化の観点から、極めて重要な意義を持つものと認識しておりまして、都はこれまで、誘致資金助成や開催資金助成などを通じて国際会議の誘致を促進してまいりました。
この助成金の活用により、来年度以降に開催される国際会議として、例えば八千人の参加者が見込まれる高度道路交通システムに関する世界会議、いわゆるITS世界会議など、大規模な会議を含めまして、現時点で十四件の誘致につながっております。
◯山崎委員 大規模国際会議の誘致には、本当に長い年月がかかるわけであります。これまでの都の地道な取り組みがこうした国際会議の誘致につながっていることがよく確認できました。
こうした中、ことし四月には世界旅行ツーリズム協議会、いわゆるWTTCサミットが、また、十月にはIMF、世界銀行の総会が都内で開催されます。今後、東京が外国人旅行者やMICE誘致拡大を図っていく上で絶好のチャンスであると考えます。
都はこうした機会を活用して東京の魅力を存分にアピールするとともに、国際会議の誘致施策のさらなる充実にも努めてもらいたいと思いますが、来年度の具体的な取り組みについて伺います。
◯前田産業労働局長 お話のWTTCサミットは、先ほどの誘致資金助成を活用して誘致につながった国際会議の一つでありまして、世界の有力旅行関連企業が一堂に会する場であります。また、IMFと世界銀行の総会は参加者が二万人ともいわれる世界最大級の国際会議でありまして、いずれもその情報発信力は極めて大きいものと認識しております。
そこで、これらの機会をとらえ、会議参加者向けに都内の観光ツアーや日本文化の体験プログラムなどを実施し、東京の魅力や安全性を集中的にPRしていくとともに、国などと協力し、会議運営をサポートしていくことで会議を成功に導き、MICE開催都市東京の存在感を世界に強力にアピールしてまいります。
あわせて、来年度は開催資金助成の予算額を拡充いたしまして、来年度以降の国際会議の開催地選定における競争力の強化を図ってまいります。こうした取り組みを通じてさらなるMICEの誘致につなげてまいります。
◯山崎委員 次に、臨海副都心地域での具体的な取り組みについて伺います。
臨海副都心には、既に東京ビッグサイトやホテル、商業施設など、MICE、国際観光施設が立地していますが、今後の開発によって世界レベルへと発展可能なわけであります。
「二〇二〇年の東京」計画では、東京ビッグサイトのMICE機能と連携して、青海地区南側を企業創生ゾーンとして活用するとのことです。これは我が国のものづくり産業の危機がいわれる中で、極めて意味のある時宜を得た取り組みであると思います。
今後、臨海副都心のポテンシャルを生かして、企業創生にどのように取り組んでいくのか伺います。
◯中井港湾局長 臨海副都心の青海地区南側では、研究開発と産業創生をコンセプトに開発を進め、現在では都立産業技術研究センターや国の産業技術総合研究所などの研究開発機能が集積しております。近隣にはSOHO施設も整備され、新たな起業の拠点としても機能しているところでございます。
こうした研究、起業の機能と東京ビッグサイトなどのMICE機能が集中、集積している利点を生かし、新しいビジネスの創出に向けて、新技術の開発、経営相談、セミナーの開催、起業家同士の交流など、さまざまな取り組みが進むよう、来年度創設予定の臨海副都心MICE拠点化推進事業などを活用し、新たな働きかけを行ってまいります。
これにより、技術革新と新しいビジネス機会の融合を図り、東京の産業力の強化につなげてまいります。
◯山崎委員 MICE機能の強化と同時に、国際観光機能の充実も重要であります。アジアの諸都市では巨大な高級ホテルやカジノ、劇場といったエンターテインメント施設など魅力的な観光資源を次々と開発し、観光客数を拡大するとともに、多くのMICE誘致にも成功しております。
日本には今、臨海副都心にも輸入関税免税店のような集客力のある新しい観光資源を開発していくべきと考えますが、見解を伺います。
◯中井港湾局長 ご指摘のとおり、日本にはまだ市中に輸入関税免税店というのはございませんが、外国人観光客にとっては、自分のスケジュールの中で自由にショッピングができるといった点で魅力的なものであり、大きな集客力があると聞いております。
臨海副都心では、今春に青海地区北側にダイバーシティ東京が開業を予定しており、日本初上陸となるアパレルブランドや、エリア最大級のフードコートなどのテナントが入り、新しいにぎわいの拠点となることが期待されております。
こうした多彩な商業施設の魅力がさらに増し、海外からの観光客の増加につながるよう、お話の輸入関税免税店についても関係者に働きかけを行うなど、誘致が実現できるよう取り組んでまいります。
◯山崎委員 ダイバーシティ東京の開業を初め、MICE、国際観光拠点が進むと、来訪者数も現在より増加し、人の流れが変化する予測もされます。
そこで、臨海副都心へのアクセスを向上させるとともに、多くの人々でにぎわう周辺の良好な歩行者環境を整備していくことも必要と考えますが、対策について伺います。
◯中井港湾局長 臨海副都心のMICE拠点化には、来訪者を輸送する交通基盤の充実が不可欠であります。このため、今後の交通需要の増加に適切に対応できるよう、「ゆりかもめ」に新車両を導入し、必要に応じてダイヤを見直すなど輸送力の向上を図ってまいります。さらに、BRTなど既存路線を補完する新たな交通手段についても関係者と連携して検討を進めてまいります。
また、域内についても、歩行者と車を分離し、安全で円滑な歩行者空間を確保することが必要であります。
具体的には、ダイバーシティ東京の開業に合わせて、東京テレポート駅から同施設に至る歩行者通路の拡幅を本年二月に完了させております。さらに、来年秋を目途に湾岸道路を横断する歩行者専用橋も整備してまいります。
◯山崎委員 とにかくMICEは、やはりこの厳しい国際競争を勝ち抜いて、都として積極的に、迅速な取り組みが必要だと思います。このことを強く申し上げて最後の質問に行きます。
最後には、東部低地帯の防災対策について伺います。
東部低地帯には約三百万人が、そのうち江東デルタなどゼロメートル地帯には約百五十万人が生活をしており、地震等の水害からいかに多くの人命、命を守るかが喫緊の課題です。
そのような中、荒川などで実施をしてきた国のスーパー堤防事業が平成二十二年秋の事業仕分けによって一たん廃止となりました。何にも代替案も示さず、事業費や長期間かかるとの理由からのもので、無責任きわまりないものでした。
そこで、まず国のスーパー堤防整備事業のその後の状況についてお伺いをし、またあわせて、東部低地帯における河川の水門について、耐震対策の現状と今後の見通しについて伺います。
◯村尾東京都技監 国のスーパー堤防整備事業は、想定を超える規模の洪水からも都民の命と暮らしを守り、東京の首都機能を維持する上で重要でございます。
このため、都は、事業仕分けの結果を受け、直ちに国に対して事業の復活を強く要請するとともに、都議会を初めとしてあらゆる機会をとらえ、事業の重要性を主張してまいりました。
その結果、国は、人口が集中し、堤防の損壊等により甚大な人的被害が発生する可能性が高い区域で事業を進めていくこととし、都内では、江東デルタなどゼロメートル地帯を含む東部低地帯の荒川、江戸川、多摩川を整備区間として復活させました。
引き続き国に対して、早期の事業着手と一層の整備促進を求めるとともに、都のスーパー堤防整備を着実に実施し、高度防災都市東京の実現を目指してまいります。
次に、東部低地帯を大地震による水害から守るためには、水門等の耐震対策が極めて重要でございます。都はこれまで、国の基準に基づき、関東大震災時の震度に対する対策を進め、一定の安全性を確保してまいりました。
こうした対策に加え、新たに東京都防災会議が示したマグニチュード八クラスの海溝型地震や七クラスの
首都直下地震等を想定して耐震性能の確認を行っており、その結果や技術検証委員会の議論等を踏まえ、これらの地震に対しても機能を保持するために必要な対策を計画的に進めてまいります。
平成二十四年度は、優先度の高い水門につきまして速やかな工事実施に向け、設計に着手いたします。
今後とも、安全で安心な都市東京の実現に向け、耐震対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
◯鈴木(あ)副委員長 山崎一輝委員の発言は終わりました。(拍手)
─────────────
◯鈴木(あ)副委員長 上野和彦委員の発言を許します。
〔鈴木(あ)副委員長退席、鈴木(貫)副委員長着席〕
◯上野委員 初めに、首都東京の防災対策について質問いたします。
先日、文部科学省の首都直下地震防災・減災特別プロジェクト、こちらの方では、東京湾北部地震がこれまでの想定を上回る最大震度七の揺れが出る可能性を指摘いたしました。阪神大震災も最大震度七ということで、その破壊力というのは極めて大きいということが想像されるわけでございます。私の地元でも住民の方々から、東京湾の水門、防潮堤は大丈夫なのか、こういった声が聞こえてきます。
東京港の水門につきましては、阪神大震災級のレベル二ということで整備していると。これについては港湾局を評価したいところでございます。
問題は防潮堤です。防潮堤は、関東大震災級のレベル一で構築されているわけでございますので、震度七に対する防潮堤の耐震の強化というのは今後の課題となっていく。これが一点であります。
もう一点は、南海トラフの巨大地震です。この
東日本大震災と同じ海溝型であり、またマグニチュードもかなり大きいと、このようにいわれておりますので、大きな津波とか液状化の発生が予測されるわけでございまして、この対策というのを急がなければなりません。
昨年の五月、私は、地震工学の学識経験者と岩手、そして宮城の海岸線被災地を調査してまいりました。そうした中で特に印象に残ったのが陸前高田です。陸前高田の海岸に行ってもう唖然としました。液状化で大変な破壊をされている。その専門家の方と一緒に話したわけですけれども、この防波堤、防潮堤は恐らく数メートルは沈下したんじゃないかと。
一番驚いたのは、目の前の防波堤のブロックです。このブロックが何と斜めに切られたような形で破壊されている。通常は、ブロックというのは、一番弱いのは継ぎ目、ジョイントの部分で、恐らく津波で押されて倒れているだろうと想像して行ったら、何とそういった形で、専門用語で剪断破壊といいますけれども、その専門家の先生がいわれていましたけれども、これはまさにすごいハンマーのようなもので衝撃を与えない限り、こういう割れ方はしないというんです。すなわち、津波の破壊力というのがいかに強いかと、このことをそのときに見まして、本当に身震いした次第でございます。
東京湾の防潮堤はいわゆる高潮の対策ということでつくられてきたわけですから、五メートルから八メーターという高さなので、これは津波の高さに大しては大丈夫だといわれていますけれども、じゃあ津波の破壊力にはどうなのか。
実は、防潮堤というのは、静水圧という静かな水の圧力で考えてつくられているわけです。だから、津波の破壊力、波力に対してどうなのかというと、これは非常に大事なんです。これをしっかりと検証していかなければなりません。
そこで、東京港の水門や防潮堤等の首都直下地震や南海トラフの巨大地震に対する耐震対策、
液状化対策、そして津波の波力対策などについて、早急な対策を講じるべきであると思いますけれども、港湾局の方、お答えください。
◯中井港湾局長 東京港における海岸保全施設整備につきましては、委員ご指摘のとおり、平成十八年度に緊急整備計画を策定し、水門については、これまでに想定されていた首都直下地震や関東地震を対象として、耐震性の強化の取り組みを既に進めているところでございます。
また、現在、東京都防災会議で検討されている地震や津波等を想定いたしまして、施設の耐震性、
液状化対策の必要性、波力の影響等を検証するとともに、技術検証委員会による検討等を踏まえ、整備計画の見直しなど、必要な対策を講じてまいります。
◯上野委員 ぜひともスピード感を持って対策を講じていただきたいと思います。
自然災害の脅威というのは、これは地震だけではありません。
近年、気候変動による台風の巨大化などが問題になっております。最近は、東京を台風が直撃するということはないわけでございまして、特に石原知事になってからは、東京に向かっていた台風というのが東京に近づいたら九十度角度を変えて離れていくという、こういった状況もありますけれども、地球温暖化に伴いまして、今後、この大型台風が首都圏を襲うことも十分考えられます。
そこで、このパネルを見ていただきたいと思うんですけれども、日本は太平洋で発生する台風の通り道に位置しておりまして、一年間や五年間、これを見ていきますと、一年間だと日本がよく見えます。
しかし、五年、十年、三十年、六十年たつと全く日本が見えないぐらい、どこにでも台風が来るというおそれがあるわけでございまして、特に私の地元江戸川区におきましては、河川のはんらんというのを一番心配しているわけです。河川の護岸は大丈夫なのか、大規模水害で崩壊しないのか、そのことを心配されております。
河川、これは、右岸というのは、下流に向かって右側が右岸、左側が左岸といいますけれども、荒川は右岸と左岸で高さが違うということが私も最近わかりました。なぜ違うんだろうかと。
言葉でいってもなかなかわからないので、実際にパネルにさせてもらいましたけれども、これは実際に江戸川区の土木部で測量をやったわけですね。そして、この青いところが荒川の右岸です。赤いところ、上の方はパラペットといいまして、本体の堤防の上に波滴がかからないような三十センチぐらいの。大事なのはこの下の方の線、この右岸の青い色と、左岸、これ、中川左岸と書いてありますけれども、荒川と中川は並行に走っておりまして、荒川の左岸と都が管理している中川の左岸というのは、これは兼ねているわけです。
これは、一メートルから三メートルぐらい低くなっている。もっとわかりやすくイラストで出たものがあります。これを見てもらいたい。これだとわかりやすいですけれども、右岸が都心側、左岸、これは江戸川区、葛飾側。水が上がってくると、江戸川区側の方に落ちるようになっている。これは心配なんですね。
なぜこうなったかというと、実は明治にさかのぼるんですね。明治四十三年に東京の大水害が発生いたしました。そのときに東京の都心、下町が大変な被害に遭ったということで、明治政府は、都心を守るために荒川放水路というのをつくっていこうということで、明治四十四年から昭和五年まで約二十年間かけてつくっていった。
そのときに、この右岸は、都心、城下町を守ろうと高くして、左岸、江戸川、葛飾方面になりますけれども、こちらの方は当時は田畑だったんですね。水田地帯ということで、そこを遊水池にしようという考えがあった。だからそこが低くなっていた。
これは放水が出た場合、田畑ですから、土が肥沃になるというのもあったんでしょうけれども、今は違う。今は葛飾、江戸川で百十二万人が住んでいらっしゃる。この状態をそのままほうっておいていいのかと。当然にこれは高くしなきゃならないわけです。高くするためには、地震にも強く、水害にも強いのがスーパー堤防です。
スーパー堤防というと、私も驚きましたけれども、つい先日もテレビ、マスコミで事業仕分けで仕分け人がいった、この二百年に一度の水害を防ぐのに四百年かかるのでは本末転倒という言葉を使っていましたよ。これはとんでもない話なんで、詭弁です。これをちょっときょうは話させてもらいたいんですけれども。なぜ詭弁か。
(パネルを示す)スーパー堤防の計画延長というのは、全体延長八百七十二キロで、六つの河川の総延長、この八百七十二キロすべてのスーパー堤防が完成するまでの期間を単純に試算したのが四百年なんですよ。これは全部完成しないと効果はありませんか。新幹線だってそうですね。全国に計画がありますけれども、東海道新幹線ができて、えらい事業効果がありましたよ。
スーパー堤防も、いわゆるゼロメートル地帯である江戸川、荒川で見ますと、足しても五十三キロなんです。全体の総延長八百七十二キロからすると、わずか六%なんですよ。仕分け人の計算でいくと、数十年でできる計算になっていくわけです。
知事もオランダのことはよくご存じだと思いますけれども、オランダは国土の四分の一がゼロメートル地帯ですね。オランダは、この地球温暖化の中で海面は上がっていく、氷河は解ける、川の水も上がっていくという状況の中で、この治水対策を命がけで今やっています。そうした中で、アムステルダムやロッテルダムなどの重要地域は一万年確率ですよ。その他の地域は五千年確率で治水対策をやっていこうとして取り組んでいる。
その中で、世界で最もすぐれた治水対策は何なのか。探してみたら、ジャパンダイクだと。スーパー堤防なんです。そして、オランダは一昨年の平成二十二年十一月十日に、そのためにオランダ政府の視察団十数名の要人がわざわざ日本に来たんです。東京江戸川区に来た。どこに来たかというと、スーパー堤防整備地区である都立の大島小松川公園ですよ。そこに来た。この平成二十二年十一月十日といったら、ちょうど事業仕分けでスーパー堤防を一たん廃止といっていたそのときに、くしくも来ているわけです。
そのときに聞いた話ですけれども、こういうふうに事業仕分けをやっているけど、どうなんだと。そうしたら、オランダの方がいわれるには、これまで政権が変わっても、国民の命を守るのはこれは国の役目なのだと。治水対策に取り組みますよと。たとえ治水対策を見直しても、計画が縮小されることは一回もなかったといっているわけですよ。これが本当の危機管理ですよ。これはしっかりとやっていかなきゃいけない。
とにかくいずれにしても、荒川が左岸が低いというのは、やっぱりぜひとも高くしていかなきゃならない。江戸川区は、地元で気候変動に適応した治水対策についてということで、これは江戸川区への提言ということで、学識経験者あるいは行政委員の国土交通省、内閣府、東京都も参加して、立派な提言を出されておりますので、今度、このことも東京都技監、ご一緒に検討してもらいたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
先ほども地震がありました。要するにハード対策が大事です。だけれども、これは時間がかかる。自然災害というものは、今起きてもおかしくない、あした起きてもおかしくないという状況の中では、何が一番大事かというと、それは避難対策なんです。この避難対策のソフト対策というのは最も重要なんですけれども、今の
地域防災計画の中では、そのことが全然充実していないわけですね。
そういった中で、最大震度七の首都直下地震が来れば、木密地域などの火災が起こる可能性も大きいわけでありまして、火災が起こった場合の避難対策は重要であります。さらには、大都市特有の災害として、地下街で発生する災害への対策も必要であります。
万が一、津波や大規模水害などによりまして地下街やゼロメートル地帯が浸水するようなことになりますと、多くの人々は逃げ場を失って大災害につながる、そういったおそれがあるわけです。したがいまして、発災時の避難方法、例えばシミュレーションとか、そういったことを行いながら具体的な検証というのをぜひとも総務局にやってもらいたいわけです。
そこで、避難対策の検討に当たりまして、そうした専門家を交えた検討部会で具体的な検討を行い、その検討結果を
地域防災計画に反映していくべきと考えますけれども、総務局長、お答え願います。
◯笠井総務局長 東日本大震災の教訓を踏まえ、大規模水害などに備えていくためには、施設整備などのハード対策に、避難などのソフト対策を組み合わせていくことが大変重要でございます。
このため、都は、避難誘導のあり方などについて知見を有し、釜石市において、児童生徒の防災教育に取り組んできた専門家を東京都防災会議の専門委員に選任いたしまして、同会議のもとに設置した避難対策に関する検討部会において、具体的な方策の検討を行うことといたしました。
この部会におきまして、安全な避難先の確保や広域避難を含めた的確な避難誘導のあり方などについて検討し、その結果を
地域防災計画の修正に反映してまいります。
◯上野委員 次に、液状化対策について質問いたします。
私は、昨年の八月、東京湾岸で最も被害の大きかった浦安市、こちらについて、市の職員と一緒に調査、視察いたしました。とにかく液状化の被害の甚大さには正直驚かされました。
被害地域を回っている中で、突然道路も宅地も液状化被害をほとんど受けていない地域があったわけです。これはどういう地域なんですかと聞きました。そうしたら市の職員が答えた。これはURが区画整理事業などの面的整備をする際に、事前に
液状化対策を施した地域だというんですよ。サンドコンパクションパイル工法とかサンドドレーン工法というのをやったんだといっておられました。まさに事前の
液状化対策の重要性が必要だということをここで改めて認識したわけでございます。
このたび東京都は、木造住宅密集地域の不燃化十年プロジェクトということで、不燃化、耐震化を加速する取り組みに着手いたしておりますけれども、この木密地域のうち、震災時に、特に甚大な被害が想定される整備地域、二十八地域というのが指定されました。
これは重点的な取り組みを実施するといわれていますけれども、じゃあ、この二十八地域は液状化は大丈夫なのか、このことを都が公表しております液状化予測図と重ね合わせしたのがこのパネルです。
皆さんの手元にもございます。これは東京湾ですね。ここは荒川です。これは東部地域のところになります。この青いところは液状化はほとんどしません。で、このピンクと黄色いところが液状化する可能性がある。特にピンクは発生しやすいといわれている。二十八地区のうち十五地区がこの地区に入っているんですよ。
木密地域、しっかりとした不燃化の建物を建てよう、倒れないものを建てよう、こういう目的で今やっていらっしゃいますけれども、どうも地盤から上のことしか考えていらっしゃらない。このままこういうところで幾ら不燃化の建物を建てても、砂上の楼閣になる可能性が十分にあるわけであります。
このこともしっかりと対策を立てていかなきゃならない、このことを強く思うわけでございます。
そういった意味で、しっかりと
液状化対策につきまして、今回の不燃化特区では、コア事業として都市計画事業などの手法を活用することを基本としておりますけれども、
液状化対策というのは、面的に実施することによって効果を出すわけであります。コア事業というのは、いわゆる面整備をやろうというところですから、こういうときは、
液状化対策を施行するチャンスでもあるし、減災対策につながるわけであります。
そこで、都市整備局長にお伺いします。
この不燃化特区におきまして、液状化が発生しやすい地域では、面的整備事業にあわせて
液状化対策を推進すべきと考えますけれども、意見を述べてください。
◯飯尾都市整備局長 不燃化特区では、区が主導いたしまして、老朽木造建築物の共同建てかえを行うなど、市街地の不燃化を進める核となる波及効果が期待できる事業をコア事業として実施することとしております。
液状化発生の可能性のある地域におきまして、不燃化特区を設定して、コア事業として防災街区整備事業などにより敷地を共同化いたしまして、不燃化建築物の整備等を行うような場合、
液状化対策をあわせて行う必要があると考えております。
都としては、そのようなケースにつきましても、区から具体的な提案がございましたら、支援策などについて区と協議してまいります。
◯上野委員 都市整備局長、ちょっとまだ席にいてもらいたいんですが、今のご答弁で、防災街区整備事業などといわれましたけれども、などというのは、これは区画整理事業も入るんですか。教えてください。
◯飯尾都市整備局長 防災街区整備事業でございますとか、あるいは再開発事業のような大きな建築物を伴う事業を今のところは想定しておりますけれども、具体的な事例につきましては、区からの提案を受け、支援策などについて協議をしてまいりたいと考えております。
◯上野委員 区画整理事業という言葉が出なかったのでちょっと心配しているんです。
十年プロジェクト事業の実施方針、こちらの方の七ページに、コア事業においては、都市計画事業など強制力のある手法を活用することを基本とすると。その注釈、市街地開発事業ということで、土地区画整理事業、市街地再開発事業、防災街区整備事業等と、こういうふうにちゃんと説明してあるんですよ。区画整理事業もやるんですね。
◯飯尾都市整備局長
液状化対策につきましては、敷地の中におきまして建物を建てるときなどに行うというようなことが想定されておりまして、区画整理は、敷地まで整備するということでございますので、建物を建てるようなことを今のところは想定しておりますけれども、区の方で区画整理事業などの中で提案があるということであれば、このようなものについても具体的に協議をしてまいるつもりでございます。
◯上野委員 非常に大事なことなんですね。
先ほど、敷地を共同化して不燃建築物の整備等には
液状化対策を行うと。これもまたちょっとおかしいわけであって、これは要するに、共同化というのは集合住宅になっている。大きい建物になりますと、こういった液状地盤というのは沈下するものですから、くいを打ちます。くいは支持層まで打ちます。N値が五十以上というところで、これは液状化が起きても地盤、要するに建物は沈下もしない、倒れないんですよ。ここに
液状化対策をやるといわれていますけれども、大事なのは一戸建ての住宅なんです。区画整理事業というのは、まさに戸建て住宅なんですよ。
私の江戸川区で、液状化で被害を受けた地域がありました。まさに一戸建ての住宅です。十数軒でした。被害を聞いてすぐ飛んでいきました。私は全く面識がなかったけれども、チャイムを押した。そこからご主人が出られました。被害の状況を聞いたら、中に入れといわれたんです。遠慮したけれども、入らぬとわからない、体感してくれといわれた。で、上がって、私たちの生活は二階だと。わかりましたと二階に上がろうと階段を一歩、二歩上がったら、後ろに倒れそうになったんですよ。私たちの感覚というのは、平衡感覚でいるわけですね。ちょっとでも傾いた場合にはそんな状況になるというのを私は体感いたしました。その方がいわれていました、この建物はわずか数年ですよと。要するに、新耐震基準で立派に建てたんです。それが、今沈下し傾いているんですと。私は、頭痛と吐き気で夜も眠れません、こういわれていました。
帰りに玄関で、五歳のお子さんとお母さんが私を送ろうとされました。私が去ろうとしたときに、五歳のお子さんが私にいったんですよ。おじちゃん、あの部屋は真っすぐなの、斜めなの、どうって。私は胸にずきんと来ました。その話を聞いたお母さんが突然泣かれたんです。
実は、この子は今幼稚園に行っています、幼稚園の先生から電話が来たんですと。みんなと一緒に廊下を歩いていた、何もつまずくものはないんだけれども、おたくのお子さんだけ何回も倒れるんです、心配です、病院に行ってくださいと。急いで行って、お子さんを病院に連れていって、お医者さんから、脳をやられているかもわからない、MRIをやりましょうといわれた。この小さい子に、MRIなんて私はやらせたくありませんと泣かれたんですよ。もうそのことは、私はずっと残っている。
大事なのは戸建て住宅なんですよ。そこの
液状化対策をやらなきゃいけない。ただ、東京都の、これは木密地域事業だ、
液状化対策事業だという、事業の縦分けでこれはできませんみたいなことをいっちゃだめなんです。都民の立場に立ってやっていくというのが大事なんです。そのことをしっかりと強く申し述べておきたいと思います。
次に、時間もございませんので、東京の危機対応力の一層の強化という観点から、事業継続計画、いわゆるBCPについて質問いたします。
震災などの危機に備えまして、都は平成二十年十一月、我が党の指摘に応じまして、都政のBCP、これを策定いたしました。
しかし、この
東日本大震災では、帰宅困難者の受け入れ体制の整備や物資の搬送体制の見直しといった課題も明らかになったと聞いております。こうした課題を踏まえて、早急に計画を見直す必要があります。
また、BCPは、常にその内容を見直して、計画の改善を図ることが極めて大事です。すなわち、PDCAサイクルを通じて継続的に改善を図っていってよりよくしていく、この事業継続のマネジメント、いわゆるBCMを進めることが、BCPを有効性ある、発揮するものになっていくわけでありまして、そのためには、このBCMの推進体制の強化と実践的な訓練というのが必要であります。
都は、都政のBCP策定委員会を活用して、BCMを行っているとのことですが、このBCPは既に策定されているわけですから、まず名称がおかしいですね。これはやっぱり、都政のBCM推進委員会、このように改めて推進体制を強化するべきであります。
また、さらに、発災時に、これは国、区市町村、そして民間団体と一体となって対応していかなきゃなりません。そのためには、こうした訓練というのを東京都独自でやるんじゃなくて、お互いに関係機関が連携して実施をしていくというのが極めて重要なわけです。
そこで、都は、
東日本大震災の教訓を踏まえて、計画内容を見直すことはもとより、BCMの一層の推進に向けまして、推進体制の強化や訓練の充実を図るべきと考えますが、都の見解を求めます。
◯笠井総務局長 発災時に都の機能を確実に維持するためには、都政のBCPを実効ある内容へと見直し、実践的な訓練等を通じてBCMを着実に推進することが重要でございます。
このため、大震災の課題への対応策はもとより、被害想定の見直しや
地域防災計画の修正内容も反映して、都政のBCPや危機管理マニュアルを見直してまいります。
また、都政のBCP策定委員会がより機能的なものとなるよう、名称や構成委員も含めて見直しを進め、
地域防災計画の修正にも反映させるなど、BCMの推進体制を一層強化してまいります。
さらに、情報通信や物資の受け入れ、搬送といった個別のテーマに沿って具体的な手順を検証する実践的な訓練を実施するとともに、国、区市町村、民間団体と連携した訓練についても検討を進め、関係者に働きかけてまいります。
◯上野委員 ぜひ、しっかりとBCMに取り組んでいただきたいと思います。
BCMの推進は、国際的な潮流に今なりつつあります。現在、ISOにおける国際標準化の検討は、ほぼ最終段階に入っておりまして、ことしじゅう、早ければ夏にも国際規格が発行する、このようにいわれておるわけであります。
大震災直後などの危機におきましては、さまざまな混乱の発生も懸念されております。例えば、自然災害のパニックに乗じましてテロが発生する危険性もあり得ます。もともとBCPというのが世界的に注目されたのは、アメリカの同時多発テロです。これによって非常に注目されたわけでございますけれども、危機というのは、いつ襲ってくるかわかりません。
東京が危機に際し機能不全に陥れば、都民の安全・安心の確保はもとより、国力の減衰をも招きかねません。衰退をも招きかねません。だからこそ、都はあらゆる事態を想定して危機に備え、その機能を維持していかなければならない使命があると思います。
そこで、さまざまな危機における首都東京の機能維持につきまして、知事の所見を伺いたいと思います。
◯石原知事 災害とかテロは、いつ発生するか全く予測がつかない問題でありますが、たまたま私、横田の問題の交渉にワシントンにいましたときに、国防総省に行ってラムズフェルド、ウォルフォウィッツという連中に会いました。
次の日にホワイトハウスに行ってライスに会うつもりでいましたが、起こされたら、ニューヨークで貿易センタービルが燃えていると、飛行機がぶつかって。ニューヨークが霧かと思ったら、いや、よく晴れている。
秘書にテレビをつけさせたら、次の飛行機がぶつかって、これはまさにテロだなということでしたが、なお、寝室の窓、カーテンを開けましたら、きのう行ったペンタゴンが目の前で燃えているわけですね。
これはやっぱり、私は非常にショックを受けましたし、何といっても、国防の中枢の中枢の中枢である国防総省が爆撃に遭って燃えているというのは、本当にアメリカにとってもショックであるしシェイムだったと思います。
そのときに私、四日間ですが、足どめを食ったんですけれども、そのアメリカがつくったFEMA、フィデラル・エマージェンシー・マネジメント・エージェンシーですか、このFEMAが実によく機能して、それが随所に見られて感心をいたしました。
これは日本にも必要だと思って、帰ってきて小泉総理にいいましたら、日本はその必要ないということで、それならこっちで勝手にやるわということで、首都圏だけのFEMAをつくりました。
ですから、今までは東京なり神奈川県に災害が起こると、自力でカバーできないときには官邸に電話しなくちゃいけない。もうそんな必要はない。我々は、神奈川県と東京の県境で起こった災害については、両県で連絡を取り合ってやるということで、とにかく電話番号で確認しようと。
要するに、デスクをきちっと確認することで首都圏全体の、テロにしろ災害にしろ、そういったときの互助機能というものをシステム化したわけですけれども、ご指摘のように、これは本当に、一つのビジネスがコンティニュイティーを保って、都全体のために国家のために機能するためには、いろんな措置が必要だと思います。
例えば、エネルギーの供給をどういうふうに補てんするとか、その他、疫病の問題もあったり、いろいろあるでしょうけれども、いずれにしろ、首都圏という広範囲の、非常に集中、集積が進んだ地域での出来事で国家を麻痺しちゃいけませんから、一種の広域行政として、首都圏を構成している自治体が、県にしろ、政令都市にしろ、とにかく積極的に協力をし合うという体制だけはとっております。
◯上野委員 知事の答弁をお伺いしまして、大変頼もしく、安心した次第でございます。
次に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
今回は、オールジャパンの体制で招致活動を進めていくと聞いておりますが、招致をかち取るためには、あたかも東京が危険な都市であるかのように主張して招致活動の足を引っ張るような意見に惑わされることなく、開催都市である東京都とオリンピックの主役であるスポーツ界の両者が、力を合わせて招致活動を引っ張っていくことが重要であると、このように考えます。
スポーツ振興局長、元気いっぱいの答弁をお願いします。
◯細井スポーツ振興局長 都は、スポーツ界、経済界、被災地などからの強い要請を受けまして、昨年九月に立候補申請をいたしました。
オリンピック招致は、国と国との熾烈な戦いでございまして、国家の総力を挙げて挑んでいかなければ、かち得ません。
都は、高い評価を得た前回計画をベースに、その後の状況変化を的確にとらえ、各分野の専門家の意見も十分に踏まえるとともに、IOCの意向に精通している海外アドバイザーからの助言も受けまして、最高の申請ファイルを策定いたしました。
また、四千億円を超える基金も準備いたしております。今後も、なすべきことは確実に実行してまいります。
昨年、東京で開催しました世界体操選手権は、
東日本大震災を受けまして、東京の安全性が疑われまして、他国での代替開催案が浮上いたしました。都や競技団体は東京の安全性を訴えまして、死に物狂いで東京の開催を守りました。これにより、水泳など、その後の世界大会の東京開催は予定どおり行われまして、外国からの訪問客数ももとに戻ったところでございます。
委員ご指摘のように、あたかも東京が危険であるかのごとく誇張するような一部の人の発言は、スポーツ関係者のこうした努力を無にし、オリンピック招致を求める国の声に、国民の声に水を差すことにつながります。
今後もスポーツ界は、各競技団体がイベント等にアスリートを派遣し、オリンピック招致機運を盛り上げるとともに、国際プロモーション活動にも全力を入れることになっております。
スポーツ界の熱い情熱に加え、国や都の力を結集させ、必ずや招致をかち取ってまいります。
◯上野委員 しっかりと国や都の力を結集させて、必ず招致できるように、かち取ってもらうように、お願いいたします。
次に、下水道事業について質問いたします。
下水道局では、私の地元、江戸川区の葛西水再生センターに大規模な太陽光発電設備を導入するなど、再生可能エネルギー等を積極的に活用しております。
また、下水道事業は多くの電力を必要とするために、節電や電力の安定確保にも取り組みを進めているところでございます。
今後も再生可能エネルギー等の導入を拡大するとともに、引き続き節電などに取り組むことが必要であると考えております。
また、処理水質の高度化や、頻発する集中豪雨への対応などによりまして、今後は温室効果ガスの増加も見込まれておりますので、より一層の温室効果ガスの削減努力も必要でありますので、あわせて見解を伺います。
◯松田下水道局長 下水道局は、都内の電力の一%を消費いたします事業者であり、ご指摘のとおり、再生可能エネルギーの活用や節電の取り組みはますます重要になっております。
お話の太陽光発電は、葛西水再生センターで導入したものでありまして、太陽の動きに合わせてパネルを回転させ発電効率を高める日本初の大規模な実用化施設でございます。
このほかの太陽光発電では、砂町水再生センターの庁舎などに導入しておりますが、今後、森ヶ崎水再生センターや事務所、ポンプ所などへ導入を拡大してまいります。
さらに、外気温と比べ夏は冷たく冬は温かいという下水の温度差を利用したエネルギーを文京区後楽地区や江東区新砂地区などで地域冷暖房に活用しておりますが、今後、芝浦水再生センターの上部に建設を進めております大規模な業務商業ビルにも拡大をしてまいります。
節電の取り組みにつきましては、大幅な電力不足が予想された昨年の夏、NaS蓄電池の活用により、都全体の受電電力の抑制に大きく貢献をいたしました。
また、年間を通して、当局の使用電力の四分の一を占める水処理工程での送風機の抑制運転などで節減に努めております。
今後とも、これまでの実績を踏まえ、さらなる工夫を凝らして、引き続き効果的な節電に取り組んでまいります。
また、事業の充実強化によって温室効果ガスの増加が見込まれますが、さらなる取り組み、まさに重要であります。発生する温室効果ガスのうち、汚泥の焼却に伴う一酸化二窒素の割合が約四分の一を占めておりますので、現在、汚泥の高温焼却により大幅な削減に努めております。
今後は、さらに削減するために、日本初の汚泥ガス化炉や多層型流動焼却炉、ターボ型流動焼却炉の導入拡大を図ってまいります。
また、一酸化二窒素は水処理で出るのですが、これがなかなか測定ができなかった。当局で新たに開発をした日本初の連続測定器を活用して、発生の抑制技術を開発してまいります。
また、省エネ型の機器の導入、小型化、分散化などにより、きめの細かい運転管理を行って電力消費量の削減に努めてまいります。
今後とも、日本最大の下水道事業者として、現場の発想や新技術を積極的に導入することで、より一層の温室効果ガスの削減を図り、地球温暖化防止に貢献してまいります。
◯上野委員 下水道局は、温室効果ガスの約四割を東京都の中で占めているということから、大変悪者にされたりしておりましたけれども、先ほどの答弁にありましたようにアースプランを策定しまして温室効果ガスを大幅に削減する、この努力に対しましては、私は大変に評価しているところでございます。
次に、障害者対策について質問いたします。
国は来年度から、精神科の長期入院患者が退院し地域で生活できるよう、一緒に買い物に出かけたり、住まい探しを手伝うなどの支援サービスについて、患者が必要に応じて区市町村に利用を申し込む方法、すなわち個別給付について利用を促すこととしています。
精神科入院患者の中には、長期入院している間に大きくさま変わりしたであろう地域での生活に強い不安を抱いているわけです。
最初は退院を希望しないことも少なくないと聞いておりますけれども、また、そのようなときに、長年ケアをしている看護師の方が地域で暮らす勇気を持てと励ましてくれて、そしてしっかりと頑張ろうと、そういう気になったという話を聞いたことがあります。
そこで、新たな支援サービスを活用し、より多くの精神科入院患者が円滑に退院して再び地域で暮らすためには、患者自身や送り出す病院スタッフへの働きかけが必要だと考えますけれども、都の見解を求めます。
◯杉村福祉保健局長 都は、精神障害者の退院を促進いたしますため、地域活動支援センターなどにコーディネーターを配置いたしまして、入院中の精神障害者に対する退院に向けた働きかけや、退院後の支援機関との調整などを行い、地域移行を進めてまいりました。
この四月から、地域移行に関する相談支援が、今お話しのとおり、新たに障害者自立支援法のサービスに位置づけられますため、多くの事業者によるサービス提供が見込まれますが、その一方で、入院患者の中には、地域移行をためらう方も少なくございません。
そのため、都は、コーディネーターを活用いたしまして、入院患者や病院職員に対して、地域で暮らす当事者の体験を紹介するなど、働きかけを強化いたしまして、新たな相談支援サービスも十分活用して、精神障害者の地域移行を推進してまいります。
◯上野委員 そうした退院支援の促進によりまして、退院を希望される入院患者がふえれば、その方々が安心して地域で生活できるよう、移行後の生活基盤の確保というのが必要になります。
そこで、病院や施設から地域に移行する人にとっては、グループホームやケアホームが居住の場になります。これらの整備というのを一層促進すべきと考えます。
また、国は今後三年間で障害福祉サービスを利用するすべての利用者につきまして、ニーズを踏まえたサービス等利用計画を作成するとしております。
この利用計画を作成する相談支援専門員になるためには、一定の実務経験のほか、国が定める標準カリキュラムに従った研修を修了していることが要件となっております。
そこで、最後の質問になりますけれども、相談支援専門員をさらにふやしていくためには、官民協働して取り組む必要がある、このように考えますけれども、あわせて答弁願います。
◯杉村福祉保健局長 都は、第二期東京都障害福祉計画に基づきまして、障害者の居住の場でございますグループホームやケアホームの整備を進めておりまして、平成二十年度末から昨年十二月までで千三百七十一人分を整備してまいりました。
現在策定中の第三期計画におきましては、障害者の地域移行・安心生活支援三か年プランを新たに定めまして、平成二十四年度から三年間で定員を千六百人ふやすことといたしております。
この目標の達成に向けまして、整備費の事業者負担を軽減いたします特別助成を行いますとともに、より重度の障害者が利用するケアホームの創設に際しましては、消防設備に要する費用の補助を新たに実施し、整備を促進してまいります。
次に、障害者自立支援法等の改正によりまして、本年四月から、サービス等利用計画の作成対象者がすべてのサービス利用者に拡大されますとともに、サービス等利用計画作成に従事いたします相談支援専門員の養成研修につきまして、都道府県に加え、知事が指定する事業者も行うことが可能となりました。
そのため、都は本年一月から、事業者指定を開始いたしまして、養成研修の実施について、民間事業者の参画を促しながら専門員の養成に取り組んでおります。
また、平成十八年度から都が実施してまいりました養成研修につきましても、来年度は実施回数を拡大いたします。
これまで、都の養成研修を約二千二百人の方が受講しておりますが、今後は需要数の増加に対応いたしますため、民間事業者と連携をいたしまして、官民協働で相談支援専門員の養成に取り組んでまいります。
◯鈴木(貫)副委員長 上野和彦委員の発言は終わりました。(拍手)
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◯鈴木(貫)副委員長 島田幸成委員の発言を許します。
〔鈴木(貫)副委員長退席、委員長着席〕
◯島田委員 いよいよ本日最後の質疑になりますが、まず、産業振興についてお伺いいたします。
歴史的な水準となった円高などにより、我が国の製造業の空洞化の問題が取りざたされております。この東京においても、ものづくりの将来について厳しい見方がなされ、空洞化対策の必要性が強調されております。製造業の空洞化により東京の産業の力が弱まる事態は避けなければなりません。
幸いにも、都内の多摩地域には、すぐれた技術を持つ中小製造企業が集積しておりますが、これ以外にも大手の企業の研究機関や理工系の大学など数多く存在し、東京の産業発展にとって高いポテンシャルを持つエリアとなっております。
こうした多摩地域の力を十分に発揮することで、空洞化の危機は克服できると考えております。
しかし、多摩地域の産業の基盤である工場の集積は厳しい現実にさらされております。私の選挙区、これは羽村市域の工業専用地域内において、現在、市外宗教法人による墓地経営計画が進められております。
工業団地内の空き地、空き工場は、ニーズの変化や産業の新陳代謝を示すものとして多少の入れかわりはあったとしても、永年にわたる墓地が工業団地内に建設されてしまえば、産業集積を真に空洞化させ、工業団地として価値を低減させてしまうことになりかねません。
このような懸念が地域の商工会や羽村市から多く上がっております。各地で産業空洞化は深刻な状況になっております。
このような中、私の認識では対応が少し遅いかなというふうに思いますが、このたび東京都は、産業の空洞化を無秩序に進むのを防ぐ取り組みとして、ものづくり産業集積強化支援事業を計画しておりますが、まず、工業地帯が集積することによる意義とはどういうことなのか、お伺いいたします。
◯前田産業労働局長 中小企業が一定の地域に集まって生産活動を行うことは、高度な分業やグループ化を図る上で効果的であります。また、お互いに協力し高め合うことにより、技術のレベルに加え生産や経営の面での対応力を引き上げて産業力の強化を実現することができます。
このため、ものづくりの工程で不可欠な基盤技術の担い手である中小企業が、地域社会の中で確実に集積することによりまして、製造業におけるすぐれた技術力や将来の成長が期待される産業分野を伸ばすことが可能になるもの、このように考えております。
◯島田委員 ご答弁にありましたように、工業地帯の集積の意義は大変大きいというふうに思っております。
求められる工業地帯のあり方とは、単に個々の事業所が立地している状況をいうのではなく、インフラの整備等を含めた創業環境の充実、関連業種間の連携による競争力の強化、適正な競争と協力関係による経営力、技術力、産業力の向上など、集積することにより個々の企業の力が増強され、このことがさらに集積全体のポテンシャルを高めていくことが実現されている地域であるというふうに思っております。
創業、進出の際にも、集積の強さや度合いが誘因となって工業地帯の価値も上がっていくものであります。このように工業地帯の集積の意義は大変大きいというふうに考えております。
東京都では、ものづくり産業集積事業として二億二百万円が計上され、来年度は二自治体が対象となっております。都議会民主党では、研究開発機能の強化を含めた多摩シリコンバレーの取り組みを強く求めるなど、これまで機会あるごとに多摩の産業振興を求めてまいりました。
また、今定例会代表質問で山下幹事長から、今年度、区部においては、アジアヘッドクオーター特区の指定を初め、未来に希望の持てる施策が打ち出されておりますが、多摩地域の産業振興により一層の力を入れていくべきとの強い要望がありました。
このような観点から、多摩地域の産業振興のために、ものづくり産業集積事業を実施していくべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
◯前田産業労働局長 都は来年度から、ものづくり産業集積強化支援事業を開始し、さまざまな基盤技術を活用するものづくり産業が都内で生産活動を続けることができるよう、区や市町村と協力して支援を行います。
計画をつくっていただいて申請したことになりますが、区域につきましては、区部及び多摩どちらも対象となります。
具体的な支援に当たりましては、地域ごとの産業の実情を正確に把握している地元自治体、特別区、市町村との連携を十分に確保していく考えであります。
◯島田委員 今ご答弁ありましたが、ぜひ市区町村と協力、支援し、また、地域の産業集積を正確に把握している市区町村との連携を十分に確保し、この産業集積事業を行っていただきたいというふうに思っております。
地域のものづくりの集積維持に加えて、個々の企業が自社の技術を生かした高付加価値な製品を生み出すことにより、都内にとどまり生産活動を継続していく取り組みを支援することも重要であります。
多摩地域には、計測・分析器、半導体・電子デバイス、ロボットといった産業の核となる分野の集積があり、都でもこれらの企業の技術を伸ばし産業の育成を図る方向であると聞いております。
中小企業の最先端の技術開発に取り組むには、高度な知識やノウハウが必要となるので、多摩地域に数多く立地する大学や研究機関と連携することは効果的であると考えております。
また、開発した技術を用いて新しい製品を生み出すとなると多額の資金が必要となるので、その資金を提供する金融機関の協力も必要となってきます。
多摩地域のさまざまな主体が力を合わせて、地域の産業特性やメリットを最大限に引き出しながら、高い技術を有する中小企業の成長発展を支援していくべきだと考えております。
多摩地域の中小企業の技術力の向上に当たり、都としてどのように取り組むのか、お伺いいたします。
◯前田産業労働局長 すぐれた技術を持ちます多摩地域の中小企業が、大学や公的機関に加えまして金融機関とも連携することは重要と考えております。
都は平成二十一年度より、都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業を開始いたしまして、産学公金のネットワークをつくり、製品の共同開発に向けた検討などを支援してまいりました。検討中の開発テーマからは、製品化の見込める事例が出てきております。
来年度は、これらを市場に出すためのさまざまなサポートをするマネジャーを配置いたしまして、支援体制を充実いたします。
こうした取り組みにより、多摩地域の中小企業の技術力向上を支援してまいります。
◯島田委員 製品化の見込める事例が出てきても、これらを市場に出していかなくては何にもならないわけであります。市場に出すために、消費者のニーズに合った商品開発を初め、さまざまなサポートが必要だというふうに思っております。
今回新しい取り組みとして、都がマネジャーを配置し支援するということですが、ぜひこのようなことを進めていただきたいというふうに思っております。
先日、土曜日ですけれども、私の羽村市のところにイベントがありまして、これは日野自動車があるんですけれども、そこで新しく、日本で初めて電気バスが開発されまして、そして、このバスが地域のコミュニティバスとして運用を開始すると、その式に出てまいりました。
こうやって、地域でつくられたバスが地域で使われると。まさに地産地消なわけでありますけれども、こういうことが、この地域の誇りになると思います。東京の誇りであり日本の誇りである、こういう企業が多摩地域には多く存在しますので、ぜひ、それらの支援をよろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。
特に羽村では、ちょうど桜のシーズンをもうすぐ迎えておりまして、玉川上水の出発点、羽村の堰は非常にきれいなところですので、ぜひ知事もお越しになって地域の課題について考えていただきたいというふうに思いまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、教育改革についてお伺いいたします。
石原知事も今期から円卓会議を招集し、教育について幅広い議論を行い、次世代を担う人材育成について議論をしております。
こうした中、東京
都教育委員会では、都立高校改革推進計画を先ほど発表いたしました。都立高校改革における、特に中途退学者の対策を中心に質疑してまいりたいと思います。
まず、現在の都立高校における中途退学の現状、認識をお伺いいたします。
◯大原教育長 都教育委員会では、これまでの都立高校改革を通じまして、生徒の多様化に対応した新しいタイプの高校の設置などに取り組んでまいりました。
その結果、全日制及び定時制都立高校の中途退学者数と中途退学率は、都立高校改革に着手いたしました平成九年度の七千七百五十九人、四・八%が、平成二十二年度には三千六百十人、二・七%にまで減少するなど、成果を上げてまいりました。
しかしながら、いまだ三千六百人もの生徒が卒業することなく中途退学していることから、中途退学者数を減少させることが都立高校の大きな課題の一つであると認識しております。
◯島田委員 中途退学者は年々減っているということですが、二十二年度で三千六百十人、これは全日制普通科高校の五校分に当たります。これはかなりの数の生徒が中途退学していく現状であるというふうに思っております。これは、教育長も大きな課題であると認識されているという答弁でございますけれども、この課題は都立高校改革の重要なテーマだと考えております。
全日制普通科高等学校五校分に当たる三千六百十人、これだけ多くの中途退学者が出ているわけですが、その後、退学者はどうなってしまうのでしょうか。
都立高校白書によると、学校等への編入、再入学、就職などの割合が多いわけでありますが、特に問題なのは、学校にも行かず就職もしていない者が該当するその他の項目が、二十二年度は平成九年度に比べて大幅に増加しているという点であります。これらの中途退学者がニートやフリーターの予備軍になっていると考えられ、大きな問題であります。
中途退学後、何もしていない若者に対する教育委員会の対応についてお伺いいたします。
◯大原教育長 都立高校を中途退学した後、就業も就学もしていない者に対しましては、社会的、職業的自立のために必要な能力や態度を身につけ、復学等、みずから次の進路を見出せるよう、若者の再チャレンジに向けた支援が必要でございます。
その支援策を検討するに当たり、中途退学の原因等を分析する必要がございますことから、
都教育委員会は、平成二十四年度に中途退学者を対象に、都立高校を退学するに至った経緯や背景、退学後の状況などの実態を調査いたします。
◯島田委員 今、ご答弁ありましたとおり、今後新たな取り組みとして中途退学者を調査し、今後の対応を検討していくことは、一歩前進だというふうに考えますが、復学支援などの再チャレンジ支援策に対する具体策を早急に実施していただきたいというふうに思います。スピードが大事であるというふうに思います。このことを強く要望させていただきます。
それと同時に、高等学校で中途退学者を減らす取り組みを強化していただきたいというふうに思っております。
二年前、国は高等学校の無償化、そして私学には就学支援金を支給し始めております。これは、授業料の負担をなくし生徒の家庭の負担を軽減するとともに、これからの時代を担う若者に社会に出るために必要な教育を受け、そして最終的には、国のため、地域のために有益な人材になってもらいたいという強い理念のもとに実施されたものであります。
このような政策の理念をよく理解し、すべての高校生に中途退学することなく、次の進路に進んでもらいたいというふうに思っております。
高校無償化政策により、経済的理由による中途退学者の割合は減少しております。全国を見ると、平成二十一年、公立、私立を合わせて千六百四十七人が経済的理由による中途退学者の人数でありましたが、平成二十二年度には千四十三人と、六百人近く大きく減少しているわけであります。
国会でも高校無償化、就学支援金による効果が検証されているところでありますが、特に公立、私立高校における経済的な理由による中途退学者が減少していること、これは大いに評価できるというふうに考えております。
では、生徒たちはどのような理由で高校を中途退学してしまうのでしょうか。
過去五年間の都立高校の中途退学者の理由別内訳を見てみると、二十一年には経済的理由による退学者は四十二人、全体の二%であったのが、二十二年には四人、〇・二%ということで、経済的理由による退学者は減少しております。
ただ、中途退学の理由として、学業不振や学校生活の不適応など、これが二十二年で千五十人ということで全体の五五%以上あり、割合も高いということがわかります。
今後、中途退学者を減少させていくには、学業不振や生活不適応などの課題をどう克服していくかということが重要であります。
東京
都教育委員会では、中途退学者の数を減少させるために取り組みを行ってきたと思いますが、多様な課題を抱えながら学ぶ学校を都教委はエンカレッジスクールに指定し、これまで中途退学防止に大きな成果を上げてきたと聞いております。
しかし、生徒が卒業した後に自立した社会人になり得るよう育成するという点では、現状では必ずしも十分とはいえません。
こうしたことから、エンカレッジスクールの生徒の進路実現に向けた取り組みをさらに進めていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
◯大原教育長 エンカレッジスクールでは、学び直しのための基礎科目の設置や、二人担任制の導入などを通じまして、きめ細かな指導に取り組んでまいりました。
その結果、ある高校では、エンカレッジスクールになる前の平成十三年度に百三十一人おりました中途退学者が平成二十二年度には十七人にまで減少するなど成果を上げてきております。
一方で、進学も就職もしないで卒業する生徒が、エンカレッジスクール全体で卒業生の二割前後に達しておりまして、今後は、これまで重視してきました学校への定着、つまりは中退防止でございますけれども、こういう視点に加えまして、卒業後の進路実現を重視していく必要がございます。
このため、キャリア教育を通じて生徒に将来の明確な目標を持たせまして、その目標実現に向けて、必要となる基礎学力の定着や基本的な生活習慣の確立に向けた指導をより一層充実してまいります。
◯島田委員 これは新たな課題だというふうに思います。エンカレッジスクールできめ細かな指導をして、退学者は減っているということでございますが、進学も就職もしないで卒業する卒業生が二割もいるわけです。これは本当に大きな課題だというふうに思います。エンカレッジスクールの進路指導に課題があるということがわかりました。
ご答弁にもあったように、キャリア教育などを充実することにより、せっかく卒業した生徒が次の進路に進めるよう、対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。
課題を抱えながら生徒が学んでいる学校はエンカレッジスクールだけではなく、中途退学者数の数でいえば、このような進路多様校が多いケースもあるというふうに聞いております。進路多様校は学力に課題のある生徒も多く、学業不振が中途退学の要因の一つになっていると考えられます。
都教委は、生徒の中途退学を防止するためにどのような取り組みを実施していくのかお伺いいたします。
◯大原教育長 都立高校の中途退学者のうち、約二割が学業不振を理由としておりまして、中途退学防止のためには、生徒一人一人に着目したきめ細かい学習指導を行っていくことが重要でございます。
このため、
都教育委員会は、学力向上開拓推進事業を通じまして、引き続き授業改善や生徒の学力の向上を図ってまいります。
また、各学校で学力スタンダードを設定いたしまして、その水準に到達できるよう、指導内容、方法を見直すことで基礎学力を在学中に確実に定着させてまいります。
また、新たな都立高校改革推進計画で明らかにいたしましたように、修業年限の弾力化など、生徒に社会生活を送る上で必要な基礎学力等を確実に身につけさせて卒業させる仕組みを構築してまいります。
◯島田委員 到達目標に向けて努力するのはいいと思いますけれども、目標に到達した生徒のさらなるレベルアップ、そして到達しない生徒のフォローアップの指導体制を整え、きめ細かい学習指導をお願いしたいと思います。
そしてまた、今回新たに、修学年限を超えた在籍を容易にするということでございます。下級生とは別の教室を用意したり、数校ごとに一つのサテライトクラスを設けたり、留年後も履修単位を取得しやすい環境づくりをするなど、いろいろな対応を考えるわけです。
しかし、履修の弾力化に向けた小手先の取り組みだけでは不十分だというふうに思います。エンカレッジ校で経験しているように、生徒の将来への強い目標、そして教師の熱意あるサポートがなければ、弾力化により生徒が高校を卒業しても次の進路には結びつかないというふうに思います。この点も含めて対応をお願いいたします。
また、学年別の中途退学の推移を見ると、その多くは一学年の割合が多いということがわかります。中学校段階から学校生活不適応を抱えて入学し、各都立高の特色を十分に理解することなく入学した結果、学校生活に適応できないといったことが大きな要因であると考えます。
都教委は、特に高校一年次の中途退学者対策としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
◯大原教育長 学校生活、学業不適応に起因する中途退学者を減少させるためには、都立高校において生徒一人一人に着目したきめ細かい指導を行っていくことに加えまして、生徒を都立高校に送り出す側である中学校と連携した取り組みを推進することが重要でございます。
具体的には、中学校における生徒の個性や適性に応じた進路指導に資するよう、各都立高校の教育活動の特徴等について、引き続き中学校に対して情報提供を行ってまいります。
また、都立高校に入学してくる生徒の学習面や生活面の状況などについて、中学校から情報提供を受け、都立高校入学後の個に応じたきめ細かい指導に生かしてまいります。
◯島田委員 小一プロブレム、中一ギャップという言葉がありますが、この高校一年での退学者数が多いのを見ると、私は高一ギャップというのもあるのかなというふうに感じております。そして、この高一ギャップ対策をしていかなくてはいけないと考えております。
私は一貫して、文教委員会の質疑の中でも教育の連続性が重要だということを主張してまいりましたが、中学校との情報交換、教員の交流など、教育機関の壁をなくし、スムーズに高校課程に入れるような中高の連続性がまだまだ十分だとはいえません。十分な対応が必要だと考えております。よろしくお願いいたします。
中途退学をせずに高校を卒業していくには、何といっても将来の夢を持つ、あるいは、人生どう生きていくのか、自分が将来どんな形で社会に貢献できるのかなど、生徒の今後の生き方を指し示すことも学校の大きな役割だと考えております。最終的には、生徒がどんな社会人になるか、これが重要だというふうに思います。
今回、都教委は、中途退学防止を、さまざまにいろんな取り組みを今考えているわけでありますけれども、例えば、これは提案ですけれども、各校の数値目標を設定して中途退学者を減らす具体的な取り組みを検討するなど、都教委の今後の対応を期待しております。よろしくお願いいたします。
最後に、知事にお伺いいたします。
今の若い人材にとって重要なのは、人間力の向上だと思います。不登校になる生徒は人間関係が希薄で、それぞれの家庭でも孤立し、また、明確な目的意識を持つ機会がない中で生活を過ごしてきた傾向の生徒が多いというふうに聞きます。
生徒が中途退学しないためには、集団の中で埋もれないように、しっかりとした個を育てる、多くの機会を設けることが大切だというふうに思います。
知事が招集した教育再生円卓会議では、私立の中高一貫校である海陽学園の取り組みが紹介されました。全員、寮で暮らしながら、同じかまの飯を食べ、勉強のみならず、友達や教員、企業の方々と濃密な人間関係をつくり、自然との触れ合い等、さまざまな原体験を積みながら、目的意識をはっきり持てる教育システムが紹介されました。今の教育に不足しているのは、まさにこうした生きていく上での基礎となる人間力を育てることだというふうに考えております。
最後に、多様な人間関係を持つことができる、一人一人がさまざまな興味、関心を見出すことができる、体験を重視した教育について、知事の所見をお伺いいたします。
◯石原知事 あなたのおっしゃることは、よくわかるようでわからないところがあるんですが、いいじゃないですか、高校を卒業しなくたって。今度の芥川賞の田中君なんていうのは高校を卒業していないんで、前の西村賢太は中学卒業しただけで行っていないんです。それでも、能力があり意思のある人間で物を書いたりなんかすることで、別に小説家にならなくても、労働者になって働けばいいじゃないですか。
私は、いわゆる県立中学から県立高校に行きまして、学校がくだらないんで、一年間、私、登校拒否しましたけど、おやじが死んだんで、仕方なしに学校へ戻りましたが、要するに公立の中学校、特に高等学校の内容というのは、私は必ずしも現代のあの年齢の高校生たる諸君のために、マッチしたものとは思えませんね。
現に、私立の高等学校では中退者が少なくて公立の学校にそれが多いということは、これはやっぱり教育長も含めて教育委員会が考えて、基本的なことから公立の高等学校のあり方を直しませんと、私はだめだと思いますね。
私も、竹花君という副知事が警察から就任してきてくれて、今、教育委員をしてくれていますけれども、彼がやっぱり、申しわけないけど、東京の都立のある高等学校、これもオンレベルの学校だといっていましたが、実態を見て驚倒して、ぜひ石原さん見てくれというんで、私もお忍びで行きましたが、これはもう学校の先生から含めてだめですな。あんなことをやっていたら、子どもにばかにされるし、子どもは勉強する気にならぬですよ。
私、よほど相当のことを考えないと、公立学校というのはどんどんどんどん、向学心のある、また、それを育てようと思っている熱心な親の子弟が私立に行ってしまったら、むべなるかなという感じがいたしますね。
これは文部省だけの問題じゃなしに、政治家全体が高校の実態、公立高校の実態を見て、やっぱり自分たちの人生というものにかんがみて、自分ならこんなところへ行けるか行けないかと考えてみたらいい。私は全く行く気がしないから一年サボり、学校へ行きませんでしたよ。
そういう何というんでしょうね、基本的な、根本的な間違いがあると思いますね、今の公立の学校には。それを直さない限り、私は中退者といいましょうか、後を絶たないと思います。
◯島田委員 知事の意見を伺ったわけでありますが、教育円卓会議で教育のモデルというものが今後示されるというふうに聞いておりますので、ぜひこれも、人材教育、待ったなしだというふうに思いますので、そのモデルをぜひ示していただいて、そして議会でまた議論していく、そして実践していくということだと思いますので、よろしくお願いいたします。
◯石原知事 私、このごろの若い人を見ていて非常に遺憾に思うのは、こらえ性がないんですね。私が今でもやっておりますヨットのオーシャンレースですけど、要するに徹夜で雨の中も走るみたいなヨットの試合には、このごろ若い人は一人も乗らなくなりましたな。(発言する者あり)いや、そんなことないことない、あなた乗ったことないでしょう。(発言する者あり)ああそう、その船、余り走らないんじゃないか。(笑声)
それで、ともかくこらえ性といいましょうか、同じ現象が日本だけじゃなしに世界じゅうにあるみたいで、IOCの会長のロゲも私と同じヨットマンですが、彼も同じことをいっていました。
結局、三つのスクリーンが若者をだめにした。一つは携帯電話で、もう一つはテレビと、それからパソコンですか。うまいことをいっていましたが、それがすべてとはいいませんけど、そういうものに耽溺する若者が、何というのか、バーチャルな世界にだけに生きて、身体性というものを備えた人間関係というものを、要するに避けたがる。これは、私、やっぱり教育の問題だけじゃなしに、社会全体の文明の現象だと思いますね。そのことも、やっぱり基本的に反省してかからぬと、私は特に公立の学校の中退者の救済にはつながらないと思います。
◯島田委員 次の質問に移らせていただきます。
三月十一日以来、特にインフラの整備において、レジリエントな都市づくりが必要といわれております。レジリエントとは復元性という意味でありますが、甚大なトラブルが発生しても完全に停止しない、ゴムボールのようにへこんでまたもとに戻る、こうしたまちづくりが求められております。
電力において、スマートシティーといわれるように、自立型、分散型の地域系統電力システムが注目を浴びております。
多摩地域の自治体、武蔵野市においては八割、昭島市、羽村市については一〇〇%でありますが、地域の地下水源を利用し独自の水道事業を行っております。まさに地産地消であり、都と協定が結ばれ、バックアップとして都水を使用できることになっております。
都水道局においても、多摩地域で地下水を利用し地域に供給しておりますが、これらの水源は多摩地域にとって貴重な水源でありますし、災害時にはバックアップの水源として機能することも考えられます。
東京地域、特に多摩地域に地下水源はまだ多くあり、これらを十分活用することがレジリエントな自立型、分散型の水道供給体制を形成する上で重要なことだと考えます。
水道局の多摩地区における稼働している井戸の本数、一日平均揚水量及びその割合についてお伺いいたします。
◯増子水道局長 多摩地区におきましては、現在、二百五十一本の井戸が稼働中であり、平成二十二年度の地下水揚水量は、一日平均約二十三万立方メートルであります。
これは多摩地区統合市町における全配水量の約一九%に相当いたします。
◯島田委員 答弁がありましたが、多摩地区での都水の割合は二割と。都営でない羽村、昭島は地下水一〇〇%であります。武蔵野市は八割ということでございます。
多摩地区の地下水源は地域にとって貴重なものであります。使える水源は有効活用していきたいというふうに思います。
地下水源の活用の考え方、地下水の位置づけについてお伺いいたします。
◯増子水道局長 一般に、地下水は年間を通して水温の変化が小さく濁りが少ないといった特徴を有してはいますが、過剰なくみ上げは、地下水位の低下により地盤沈下を引き起こすとともに、水質の面からもクリプトスポリジウムによる汚染のおそれやトリクロロエチレン、1・4-ジオキサンなどの検出といった問題も発生しております。
こうしたことから、地下水は将来にわたる安定的な水源として位置づけることは困難でありますが、引き続き地盤沈下や水質の動向に十分配慮しつつ、災害や事故等における備えとしても可能な限り活用を図ってまいります。
◯島田委員 先ほどいったとおり、地下水は多摩地区にとって重要だと思います。安定的な水源として位置づけることは困難だというふうなご答弁でございますが、多摩の水道という水道局の広報紙には、地下水は良好で比較的安定的な水源とし、また、貴重な水源としております。
多摩地域における地下水取水量も大体ここ数年、平成十三年は二十七・五万立方メートルだったのに対し、二十一年は二十三万立方メートルということで、減少はしているけれども、安定して取水ができているという現状があるというふうに思います。いずれにしても、答弁にあるような可能な限り地下水を使用していくことが大事だと考えております。
可能な限り使用するには、現在、利用が休止している地下水を何とか再開し、地下水の量をふやす取り組みが求められます。
一昨年、私の地元、日の出町の大久野浄水所地域内で水道水から油臭が出る事件があり、現在も大久野浄水所は供給休止しているままであります。貴重な地下水の利用を再開させたいところであります。
現在、地下水の利用を長期間休止している場所も多いと聞きます。地下水源を活用するために、休止中の井戸についてどのような取り組みをされているのかお伺いいたします。
◯増子水道局長 多摩地区には二百八十本の水源井戸があり、そのうち二十九本は水質悪化、地盤沈下、井戸の能力低下等の原因により休止しております。
このうち水質悪化によるものにつきましては、先ほど申しましたとおり、クリプトスポリジウムによる汚染のおそれや、トリクロロエチレン、1・4-ジオキサンなどの物質の検出が原因となっております。
これらに対応するための浄水処理設備の導入は、敷地が狭く困難なことや、除去方法が確立されていないことなどから、当面、水質検査を継続し、水質動向の把握に努めてまいります。
また、地盤沈下防止のために休止中となっている井戸につきましては、地盤沈下の再発が懸念されることから、再開は困難であると考えております。
能力低下等で休止中となっている井戸につきましては、井戸の掘りかえ工事等によって揚水が可能であるかを見きわめてまいります。
◯島田委員 地下水の保全は、土壌汚染、今ありましたけれども、地盤沈下など課題が多いわけであります。一義的には事業者である水道局が対応するのは当然でありますが、水質悪化は悪化の原因の特定が困難な場合があり、また、地盤沈下は地下水の涵養など複合的、広域的な課題があります。
その解決には、水道事業者だけでは困難な場合が多いわけであります。広域的に水環境、土壌環境の保全に努める環境局等関係機関と水道事業者が綿密な情報交換をし、休止中の井戸を再開できるような取り組みを行ってほしいというふうに考えております。
では、その地下水の保全について環境局にお伺いいたします。
地下水は水循環を構成する重要な要素の一つとして考えられ、同時に、東京都水道水源の一部として重要な役割を担ってまいりました。東京都は、法や条例に基づき地下水の揚水規制を行うことにより、地下水を保全し、地盤沈下を防止してまいりました。
そこで、都がこれまで行ってきた地下水揚水規制の効果と都における地下水の現状についてお伺いいたします。
◯大野環境局長 都内では、過去におきまして過剰な地下水のくみ上げにより、昭和四十六年に公害防止条例による規制を開始するまで、最大四・五メートル程度の地盤が沈下いたしました。
その後、揚水規制等の結果、地盤沈下は沈静化傾向にありますが、地域によっては若干の沈下が見られます。また、地下水位も回復傾向にございますが、近年は微増から横ばい傾向になっております。
◯島田委員 揚水規制の効果により地下水位は回復傾向にあるということですが、一方で都内の湧水は減少していると聞いております。都民にとって、地下水を今後とも守り涵養していくことは非常に重要であります。
都民にとって貴重な地下水を守っていくために、都はどのような取り組みをしていくのかお伺いいたします。
◯大野環境局長 都は地下水を涵養するために、井戸の設置者に対しまして、区市と連携して環境確保条例に基づきまして雨水浸透ますの設置を指導するほか、各区市の担当者には雨水浸透・湧水保全に関する連絡会を通じて技術的な指導を行っております。
今後とも、地下水のくみ上げ量や地下水位などの調査、観測データを引き続き蓄積しまして検証を行っていくとともに、地下水の水質についても調査を継続してまいります。
◯島田委員 環境局が持っているデータは、地下水保全にとって非常に重要なデータであるというふうに思います。これらを活用することが大事であります。また、地下水の重要性を広く都民にPRし、これまで以上に環境保全に取り組んでいただきたいと思います。
地下水を活用することは、その地域の土壌を初め、地域環境を大切にすることにもつながります。羽村市では学校教育の中に取り入れ、子どもたちに地域の重要な資産である水源を利用していることの意義や、この水源を維持していくためにも地球環境、地域環境を大切にしていくことの大切さを教えております。非常に大切だというふうに考えております。
今までの質疑の中で、地下水が重要な水源であること、また、東京都は地下水を守る取り組みを行っているということがわかりました。現在、国では、地下水が国民共通の貴重な財産であり、公共の利益に最大限沿うように利用されるべき資源であるという観点から、地下水を保全するための法規制が検討されております。
都議会民主党も国に対して要望しておりますが、外国資本による水源地の森林買収が進んで多量取水も懸念されている中、地下水を国民固有の財産と位置づけ、水源林を含め地下水を保全する取り組みを行っていくことは重要なことであります。
緑のダムといわれているように、水を循環させていくには、森林を循環させることが重要であります。日本の地形は、他国に比べて山の占める割合が多く、その上、多くの雨が一定の季節に集中して降る傾向があります。
つまり、せっかく降った雨が川を伝って急速に流れ出してしまう傾向があるといわれております。地下水の滞留時間は、欧米などの平地型の地下水が数百年、数万年という滞留時間でありますが、日本では数年から数十年とかなり短いといわれております。
これらの理由から、地下水を循環させていくには、森を循環させ、森林が水の涵養機能を果たしていくことが大変重要であります。
今、国では八ッ場ダムを初め、ダムの建設を計画しておりますが、我が国にとって本当に必要なのは、この緑のダムを多く建設することなのではないでしょうか。
西多摩郡檜原村では、数馬の湯でまきボイラーを導入し、その燃料として間伐材を一トン五千円で買い取り、活用する計画を立てております。灯油の購入費は村外に流出いたしますが、村内資源の木材購入は地元経済を潤すことになると期待を寄せております。
間伐が促進され、森の循環が進めば森の機能も向上すると考えられますが、これだけでは不十分だとも思われます。水の循環が重要なように、森の循環も大切だと考えますが、都はどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。
◯前田産業労働局長 森林は、木材を供給するのみならず、水源の涵養などの多面的な機能を有しております。
これらの機能を十分に発揮するには、お話のように森林の循環が保たれた健全な森林を整備していく必要があります。
多摩の森林は七割が私有林であることから、都は伐採期を迎えた杉、ヒノキの伐採や、その後の苗木の植栽、間伐、枝打ち等の保育といった森林の循環のそれぞれの段階ごとに支援するなどの取り組みを行っております。
◯島田委員 先ほども申し上げましたが、水の循環のためには森の循環が大事であります。ぜひ森を循環させる取り組みを強化していただきたいと思います。
しかし、林業経営には多くの課題があります。長引く木材価格の低迷により、小規模の森林所有者ほど山の手入れを継続的に実施していくことは難しく、経営意欲が低下していると聞いております。
森林の循環を進める上で、小規模森林所有者の森林整備を進めていくことが重要であります。小規模所有の森林整備をどのように進めていくのかお伺いいたします。
◯前田産業労働局長 多摩の森林は小規模所有者が多く、スケールメリットを生かした効率的な施業が困難で、生産コストが高いことが森林整備を行う上での課題となっております。
このため、都は、複数の小規模所有者の森林を団地化し、森林作業道の整備と間伐、搬出を一体的に行うことでコストの低減を図る集約化モデル地区の整備を行っております。
また、所有者ごとの森林境界が不明確であることが森林整備の妨げになっていることから、森林境界の明確化に向けまして、所有者に対する説明会やGPS測量の経費支援などを実施しております。
こうした取り組みにより、森林整備を効率的に進めてまいります。
◯島田委員 今お答えをいただきましたが、小規模所有の森林を団地化して、そして集約する、それでコスト軽減を図れるということは非常に重要だと思いますし、そしてまた、森林の境界が不明確であることによる阻害があるわけでありまして、ぜひこの点を整備いたしまして、そして支援いたしまして、森を循環させるように、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
いうまでもなく、地下水を保全するためには、水道局、環境局、森林に関する産業労働局、河川を管理する建設局など各局にまたがる課題であり、現在、国では水循環政策本部を立ち上げ、各部署にまたがる横断的な課題解決に取り組んでいるところでございます。
国の水循環対策本部のような地下水保全のための課題を解決するため、東京都も関係各局を横ぐしで統括する部署を設置し、対応する必要があるというふうに考えます。
今後は、国の水循環基本法案制定などの動向を踏まえつつ、東京都が地下水の保全について明確な指針を策定するとともに、貴重な地下水を利用促進していくことを強く望み、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
◯大塚委員長 島田幸成委員の発言は終わりました。
以上で、本日予定しておりました質疑はすべて終了いたしました。
なお、あすは、午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後九時五分散会...