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  1. 東京都議会 1999-10-14
    1999-10-14 平成11年行財政改革基本問題特別委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後零時十一分開議 ◯森田副委員長 ただいまから行政改革基本問題特別委員会を開会いたします。  議長から、去る十月一日付をもって、花川委員長の辞任を許可した旨の通知がありましたので、暫時私が委員長の職務を代行させていただきます。ご協力をお願いいたします。  初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。  議長から、去る十月一日付をもって、花川与惣太委員長黒須隆一理事内藤尚委員渋谷守生委員竹下友康委員嶋田実委員及び大河原雅子委員の辞任を許可し、新たに矢部一委員、三宅茂樹委員、町田てるよし委員、野村有信委員清原錬太郎委員寺山智雄委員及び尾崎正一委員を選任した旨の通知がありました。ご報告いたします。      ━━━━━━━━━━ ◯森田副委員長 ただいまご報告いたしましたとおり、花川委員長の辞任に伴い、委員長が欠員となっております。  これより委員長の互選を行います。  互選の方法はいかがいたしましょうか。 ◯寺山委員 副委員長の指名推選の方法で、直ちに指名していただきたいと思います。 ◯森田副委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯森田副委員長 異議なしと認めます。よって、委員長に矢部一委員をご指名申し上げます。ご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯森田副委員長 異議なしと認めます。委員長には矢部一委員が当選されました。  委員長より就任のごあいさつがあります。    〔森田副委員長退席矢部委員長着席◯矢部委員長 ただいま委員長に指名をされました矢部一でございます。  この特別委員会は初めてでございますが、記録等も読ませていただきました。民主的な運営に努めて、そして、東京都の行財政の改革に先鞭をつけていけるような委員会になるよう努めさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いをいたします。      ━━━━━━━━━━
    ◯矢部委員長 次に、大西英男副委員長から、去る十月一日付をもって、副委員長を辞任したい旨の申し出がありました。  お諮りいたします。  本件は、申し出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯矢部委員長 異議なしと認めます。よって、申し出のとおり、大西副委員長の副委員長辞任は許可されました。      ━━━━━━━━━━ ◯矢部委員長 次に、ただいまの大西副委員長の副委員長辞任に伴い、副委員長一名が欠員となっております。  これより副委員長一名の互選を行います。  互選の方法はいかがいたしましょうか。 ◯寺山委員 委員長の方から直ちに指名していただきたいと思います。 ◯矢部委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯矢部委員長 異議なしと認めます。よって、副委員長に山崎孝明委員をご指名申し上げます。ご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯矢部委員長 異議なしと認めます。副委員長には山崎孝明委員が当選をされました。  山崎副委員長より就任のごあいさつをお願いいたします。 ◯山崎副委員長 山崎でございます。  この委員会設立当初からずっといさせていただいて、大変感謝しておりますが、東京都の行財政改革について、委員長を補佐しながら全力で頑張っていきたいと思いますので、よろしく理事者の皆様にもご協力お願いいたします。ありがとうございます。      ━━━━━━━━━━ ◯矢部委員長 次に、理事一名が欠員となっております。  これより理事一名の互選を行います。  互選の方法はいかがいたしましょうか。 ◯寺山委員 直ちに委員長から指名していただきたいと思います。 ◯矢部委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯矢部委員長 異議なしと認めます。よって、理事には田代ひろし委員をご指名申し上げます。ご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯矢部委員長 異議なしと認めます。理事には田代ひろし委員が当選をされました。      ━━━━━━━━━━ ◯矢部委員長 次に、議席の変更についてお諮りをいたします。  議席につきましては、お手元にご配布をさせていただいております議席表のとおりといたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯矢部委員長 異議なしと認めます。よって、議席はそのように決定いたしました。  なお、本日の委員会の議席につきましては、ただいまご着席をいただいておりますとおりとさせていただきたいと思います。ご了承をお願いいたします。  この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ━━━━━━━━━━    午後一時五分開議 ◯矢部委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  本日は、過日の委員会で聴取いたしました報告事項、行政改革の取り組みの基本的方向及び監理団体改革への取り組み、並びに財政再建推進プランについて、前回の委員会に引き続き質疑を行います。  なお、本日の委員会には、さきの理事会で申し合わせをいたしましたとおり、石原知事並びに福永副知事及び青山崎副知事に出席をいただいております。ご了承をお願いいたします。  これより質疑を行います。  発言を願います。 ◯内田委員 本日は、知事初め副知事のご出席、本当にありがとうございます。  当委員会としては、二年前から、まさに都政百年の計を、この行政改革によってグランドデザインを描いていこうと、こういう形で出発したわけでございます。今、地球の人口が六十億人を超すと。過日の新聞では、六十億人目の赤ちゃんはどこの国で生まれるかなと、大変話題になっておりました。それほど地球における人口増というのはあるわけでございますが、とりわけ二十一世紀は、その六十億の人口の約半数が百万以上の世界の諸都市に集中するといわれております。そういうことで、二十一世紀は都市の時代といわれているのは、ご承知のとおりであると思います。  現在八百万人を超す大都市といわれるのが、東京を含めて、二十一世紀には約三十に上るといわれております。そういう中で、先進諸都市また発展途上国、色分けはあるわけでございますが、とりわけ先進諸都市の中では六都市、その中にこの東京が含まれているわけでございます。そういう都市の時代のリーダーは、当然先進諸都市が担っていく。世界の経済を引っ張り、地球の繁栄を考えながら、また、世界人類のいろんな意味での福祉の貢献を果たしていこうと、そういう意味での大都市の役割というのは大変大きなものがある、こう思っているわけでございます。  石原知事も、この大都市東京の重要性を、いわゆる国際化の中で、また日本の国の中で数々の発言をされているわけでございますから、当然、私たちといろんな意味で議論を闘わせながら、よりよい大都市自治大都市運営を確立していくことが東京都政の大きな役割である、こういうふうに思っておる次第でございます。  いろんな意味で、都市は人間の集積があり、そういう中で最優先課題としては、雇用機会の確保というのが大きなテーマになっております。そういう中で企業活動があり、産業活動があり、そしてそこに住まう人がある。ですから社会資本の整備というのが大変重要になっているわけでありまして、そういう中にあって、都市基盤の整備、そして生活基盤の整備というのが大きな課題になっているわけでございます。  しかし、このことが日本全体の中で、ほかの地方の皆さん、また諸都市の皆さん、そういう方々に本当に理解をされているか、ましてや国政の中で、このことが本当に理解をされているか、こういうことになると、全総計画を含めて、いろいろ疑問のあるところでありまして、やはり地方自治が頑張って、そして都政からこのことを発信していく、これが、三千三百ある自治体の中のリーダーとしての都政の大きな役割だというふうに私たちは認識をする。また、執行機関と議決機関という地方自治体の特性の中で、議会側がどういうふうに都民の声を受けて、頑張って提言をしていくか、こういうことも重要だということで、当委員会が開かれたわけであります。  そういう中で、これからお話しさせていただくのは、行財政改革基本問題特別委員会と命名した由来であります。これは、これからいろんなお話をしていく中で知事にご理解をいただいて、そして議会の提言に対して真摯に受けとめていただきたい、こう思う次第でございます。  ちょうど六年前の四月に、東京都は国連と共催で、都市経営世界会議というのを東京で開催しました。そのときに、大変いろんな意味で都市経営の必要性を、世界の都市の皆さんとともにかなりの部分で認識をし合った。しかし、そのことが今日に具現化されているか、そして、この東京のいろんな意味での都市づくり、運営のために生かされてきたかというと、これもまた大変疑問を呈するところであります。ですから、二十一世紀を指呼の間に控えて、やはり都政として、きちっとこの問題に取り組んで、いろんな形でやっていきたい。  そのときの世界都市会議の中では、いわゆる都市経営の必要性ということで、都市経営における行政運営の改革、都市経営と分権化、都市経営に関する連携と協力、この三つの点が大きなテーマとして議論をされたわけでございます。そして、この東京をそういう面から見たときに、この三点は大変重要なテーマであるというふうに思うし、この視点で東京を本当に考えていかないと、大都市問題、東京問題は解決しない、こう思っているわけでございます。  東京もそうなんでございますが、多くの大都市の場合、複数の自治体によって構成されていまして、そしてこの政治的分立状態というのが、まさに──本来、都市というのは機能でつくり上げられていくもの、論じられていくもの、こういうふうに思うんでありますが、どっちかというと、この東京は、おのおのの行政体がそれぞれの地域特性の中で、いろんな意味での都市の要件を備えていこうと、こういう形で分立状態でやりましたから、ある意味では行政都市であったというのが、この東京を総括するといえるのではないか。これは、大いなる反省のもとに、都市が発展し、つくり上げられていく状況であるならば、それぞれが頑張る、しかし、ある程度成熟して一定のところへ来た以上は、やはりそれはお互いが連携をし合って、相談をし合って、圏域として、いわゆる東京圏として、都市運営、そして都市づくりを考えていかなければいけない、こういうふうに思うのは、皆さんも全く同じ考えであると私は思うのであります。  しかし、役所の機構、よく縦割り機構といわれております。そういう中で、やはり全体主義的な形の構成ができない、横断的な議論ができない、それから事業を伴うから、それぞれ責任を持って分担された形で、縦割りの形で事業をやっていく、そういういろんな意味で、この都市運営で反省があったんではないかというふうに思っております。  一方では、都政が、昭和二十二年、新しい憲法のもとに地方自治が保障されて、地方自治の確立が成ったわけでございまして、それからおよそ四十数年、時間を経過しております。そういう中で、地域に責任を持つという地方自治体の責務の中で、どうしても行政需要に対応できない部分があるわけでございまして、これが国と地方の役割分担、いわゆる分権の発想になっていったわけで、ようやく地方の時代といわれ、地方分権が一括法として国会で法律化された、来年から施行される。しかし、細かな部分の、政令の部分で、まだまだ分権に対する状況は整っていない、こういう中で東京都政はどういう役割を果たしていくかというのも、大きな重要な部分であります。  東京都政というのは、まさにほかの自治体と違って、地方自治でありながら、大都市自治大都市運営をしてきたという大変特色ある形をとっております。ですからいろんな意味で、この東京が今三千万人を超える人口規模、その主要な部分を都政という行政が担う責任の中で、世界の先進都市を見た場合に、人口規模でいって三千万を超える都市の運営はされたことがない、これが実態であります。ですから、よその先進都市の今までに取り組んできたいろんな都市問題、それ以上の大変難しい問題を内蔵しているんだというのはおわかりいただけると思うわけでございます。ですから、ある意味では超法規的な、まさに創造の世界、そういう中でこの都市自治、都市運営を考えていかないと、東京問題は解決していかないんじゃないかと、かねてから私はそういうふうにいわせていただいてきたわけでございます。  振り返りまして、国の全総計画、いわゆる日本の国土を均衡あるものにするという形で、国の仕事としてはやはり当然なことだというふうに思っていますし、過密過疎の解消、こういうことが合言葉で、国土庁を中心にして全国総合開発計画というのがつくられてきているわけであります。これを今、一つ検証しながら、いろいろお話をさせていただきたい、こう思うわけでございます。  ちょうど三十年前に、第一次全国総合開発計画が策定をされました。全総計画とこれからいわせていただきますけれども、これは拠点開発方式という形で、また、第二次総合開発計画は、大規模工業基地交通通信ネットワーク、いわゆる大規模のプロジェクト方式をそこにうたったわけでございます。そして第三次が定住圏構想、それから第四次が多極分散型の国土形成、こういう形で全総計画が策定され、そして国によって実施をされてきたわけでございます。  第二次全総計画に対するいろんな意味での反省、それは何かというと、こういう全総計画を行っても──最初は東京と大阪という大都市の過密を分散しようという形で、そういう発想で出発したらしい。しかし依然として、四全総まで全総計画を進める中で、やはり都市の過密は解消されなかった。いわんや、なおかつ東京に集中をしてきた。大阪の場合は、東京との対比で、今では十対一の経済の規模になってしまった。東京に極めて一極集中をしてしまったというのが大きな現象でありました。ですから、全総計画は、試みとしてはいろいろ理想があってよかったのかもしれませんけれども、これが失敗に終わったことだけは、私は確かなものであるというふうに思うわけであります。  第二次の全総計画に対する総点検作業というのが実はあったわけでありまして、それは巨大都市における生産機能のみならず、中枢管理機能の選択的な分散が必要だというふうに、総点検作業の中でいわれたわけです。要は、大都市が幾らそうやっても分散していかない、そうなると管理中枢機能を分散するしかない。これが実は首都機能移転という発想に、第三次全総計画に盛られた大きな原因であったわけでございます。果たしてそうだったんだろうか、私は疑問に思うわけでございます。  第一次全総では、拠点開発を打ち出して新産業都市をつくるといった、しかしこれもある意味では失敗に終わった。それから第二次全総では、大規模工業基地交通通信ネットワークの整備を主体とした。しかし、幾らそういうネットワークをつくろうとしても、地方では拠点とならなかった。依然として東京が大きな情報発信の拠点にならざるを得なかった。ですから、郵政省も東京に通信ネットワークを再シフトしようと、こういうふうに考えてきた。それから第三次全総では、定住圏構想を策定し、人口の地方定住を図ろうとした、しかし人口の定住は図れなかった。なぜかというと、それはその地域の中で、いわゆるハードの面はかなりいろんな意味で国としては支援をした。しかし、ソフト面については、なかなか支援をし切れなかった。ですから、地方の都市なりそういう拠点なりに、新たなその地域の特性を踏まえたような文化とか福祉とか国際化とか、そういうものが結局育たなかった。ですから、魅力がない、それと比べたら、やはり東京に魅力があるということで、東京にますます人が集中してきた、こういうことがあったわけでございます。  そういう意味では、あと情報の面もそうであります。そういう中で、第四次全総計画が策定される前に、国土政策懇談会というのが発足をしました。知事、もちろんこのことはご承知だと思っておりますが、そこでは東京を国際金融情報都市として位置づけて、これから東京圏について光を当てながら、こういう状況だったら、人口が集中する中で、東京をどうしていくかということを考えていくことが大都市問題を解決するんだという提言、中間報告がなされたわけでございます。これを発表しましたら、地方の知事さんを初め、そういう中で反対の声が上がって、結局は多極分散型の国土形成となってしまった。ですから、東京問題というのは、本当にもう少し早く手当てをしていれば、この二十一世紀に間に合ったようないろんな形がとれたのかもしれないけれども、そういう意味では間に合わなかったと、こういうふうに思うのであります。  東京圏というのは、第四次の全総計画の中、また国土政策懇談会の中、いろいろ議論をされたんですが、結局そういう形でおさまっていった。たまたま資料を調べておりましたら、懇談会の中間発表の中で、こういうことがいわれていました。東京圏は、我が国の首都としてのみならず、国際金融等の面で、世界の中枢的都市の一つとして、また、全国の各地域に対し世界的規模での情報を提供する等、高次の機能を有し、我が国及び国際経済社会への発展に寄与するんだと。そして、そのために東京圏については、世界都市としての機能を圏域全体で適切に受けとめるため、業務核都市への諸機能の選択的分散等、地域構造の再編を推進するとともに、高度利用の要請がますます高まる東京湾及び東京湾沿岸地域の総合的利用を進めるのが適切である、こういう的確な提言を実はしているわけであります。しかし、今いったように地方の反対に遭って、このことが国の政策として成らなかった。大変残念なことだというふうに思っております。  しかし、ここへ来てバブルの崩壊、それから不況、この左右をする大きな発信源がこの東京であるということが、やはり全国の皆さんにわかっていただいて、改めて東京問題というのが俎上に上がってきたことは事実であります。そういう意味では、二十一世紀の東京をどうするかというのが、全国の皆さんの期待であるとともに、世界の期待である、また東京の責務だというふうに私は思っているわけでございます。  そして、この全総計画をずっと行ってきた中で、先ほどちょっと申し上げましたけれども、地方で、そういう文化とか福祉とか情報とか国際化というのが進まなかった、魅力がなかった。しかし、その後の各地方自治体の頑張りの中で、地域特性を踏まえたいろんな文化をその地域でつくり上げていくとか、そういう企画が、かなりこの全総計画の失敗を契機に出てきて、今大分変わってきている。  ですから、先ほど申し上げました首都機能移転というのは、まさに東京の過密を、どこに政治責任を持っていくんだという意味で政治の責任を放棄して、いわば首都機能移転ということでもってごまかしをするような感じ。本来、東京の特色というのは、世界に大きく存在をしたのは、いわゆる政治、経済、文化の管理中枢機能と、また、都市としての産業経済の立地が一緒になって大きな求心力を持ち、これが発展につながってきた、こういうのはだれもが認める事実でありますから、やはりこの特性は、日本の都市の特性として大きく位置づけていただきたいし、今後も維持をしていただきたい、こう思うわけであります。  話は戻りますが、そういう中で、いわゆる首都機能の移転じゃなくて、東京がこのままどこまでも肥大していくということに対しては我々も疑問を持っていますし、そのための都市の成長管理とか、それから都市の成長促進とか、そういうものを、いろいろ政治的な役割の中で交互に使い分けていく必要性というのはよくわかっておるつもりですが、しかし、多少の成長管理もしていかなくちゃいけない。適当な都市規模というのは、国の中では、この東京の人口規模が二千八百五十万と、こういうふうに指標を出していたところもあるわけですから、私はそういう分散が、この地方の頑張りの中で、やはり定住化していく、そういう中で都市集中を抑えていく、こういうことが必要だというふうに思っております。  ですから、東京都政では、今まで首都機能移転反対の大きなキーワードとして、分権の推進により東京の過密を解消する、まさにこれは正解な話でありまして、私が今申し上げているのも、そのことをなぞっていわせていただいているわけでございまして、いわば地方分権により、首都機能移転に変わるような形をつくっていく、このことがやはり大切なことではないかと思っておる次第でございます。  今、東京都政が行う都市運営等につきまして、国の計画とも対比しながら、かいつまんで申し述べさせていただきました。この件につきまして、知事のご感想、ご所見をお伺いいたしたい、こう思う次第でございます。 ◯石原知事 大変啓示に富むお話を伺いまして、非常に心強い思いがいたします。申し上げたいことはたくさんございますけれども、まさに東京は過密でありますが、しかし、過密ということの意味と、集中、集積ということの意味は、明らかに違うと思います。現代はコンピューターエージともいわれておりますけれども、現代文明というものをコンピューターエージと呼ぶならば、それは、まさにコンピューターが象徴する非常に短時間での集中、集積というもの、つまり能率機能ということが現代文明の中核だと思います。  ただ、東京の過密というのは、いろんな見方もあるでしょうが、やはりアクセス、通勤を含めて、あるいは企業活動を含めての都内での行き来というものに非常に時間がかかるということが、物すごい経済効果を阻害していると思います。しかし、これはかつての美濃部都政時代に、調査費まで組んであった外郭道路をばっさり切ってしまった、そういったものの後遺症が続いているわけでありまして、新しい居住者がふえたり何だりして、その悪い条件が増勢してしまったものですから、今は遅々としてはかどりませんが、ただこれは、やはり思い切って圏央道と外環道路というものを整備していけば、東京の中の混雑、つまり過密というのは、はるかに軽減されるわけであります。  そういうことも含めて、私は、内田理事が今おっしゃったように、東京都でなくて、東京を中心とした首都圏、東京都圏という形でこの首都を考えていかなきゃならないと思いますし、現に、昼間、隣県から四百万近い人たちが東京に通勤してきて、ここで活躍し、東京の機能、首都の機能を運営してくださっているわけであります。そのおかげで、東京首都圏は日本のダイナモであり、心臓部であり、頭脳部であり得ているわけでありまして、それをやっぱり私たち踏まえて──首都移転というのは、このごろ本当に論拠が乏しくなってきて、わけのわからぬ論がばっこしておりますけれども、一方、世界を眺めてみますと、ヨーロッパはユーロができましてから、とにかく自分たちの後輩であるアメリカにもう一回キャッチアップしようということで、熾烈な努力をしておりますけれども、その中心たらんとして、例えばベルリンとパリの間に、熾烈なヨーロッパのナンバーワンの、グローバルプレーヤーとしての地位争いというのが行われている。  日本の場合には、非常に安閑としておりまして、このままでいきますと、その位置を北京にとられるか、上海にとられるかわかりませんが、世界の中で都市間の競争が熾烈に行われているのに、全く逆行した現象が行われているわけで、非常に心寒い思いがいたしますが、いずれにしろ、おっしゃったように、私たち、東京を中心とした東京の首都圏というものの機能が、いかに日本にとって不可欠かということを踏まえてのこれからの東京づくり、東京を中心とした首都圏づくりというものを積極的に考えていかなきゃならないと思っております。  たまたま、どうも論拠が非常に不明というか、いかがわしい首都移転論が立ち上がってきまして、どういう時点で、どういう結論が出るかわかりませんけれども、むしろこれを私たち好機ととらえて、やっぱり東京を中心にした首都圏の、日本の将来にとっての意味合いというものを、お互いに明確なビジョンをつくり、設計図をつくって、できるだけ早くそういうものをつくって、日本全体に喧伝していく必要があると思います。  実は、私ごとになりますが、昨日、私の古い友人の長崎県の県会議員と鹿児島県の県会議員が一緒に来まして、私たちにしてみると東京移転は断固反対である、わけのわからぬことは許せない、今度の十二月の大会には自分たちも参加するといってくれましたので、大変心強い思いをいたしました。 ◯内田委員 今のご答弁で、東京に対する知事の取り組み姿勢というのは、よくわかったつもりであります。我々と全く意を一つにするものでありますから、今後とも一緒になって頑張っていきたいと思うわけでございます。  いわゆる都市経営ですから、また、地方自治が行おうとしている都市経営ですから、当然地方自治の本旨にのっとって、そこの地域を構成する住民とか企業とか団体、そういう皆さんの声を集めて、自治体政策としてつくり上げていく。また、行政としてどういうまちづくりをするのか、どういう都市経営をしていくのか、これをそういう皆さんに発信をする。しかし、先ほどもいったように、やはり都市というのは境界のないものだ、そういう中で拡大をしながら、一都三県にまたがっているところに、一都三県と四政令指定都市が存在をする、こういう中でそれぞれの地域の特性を持ちながら頑張っているわけでございますが、しかし東京という大都市としての存在を考えたときに、やはり圏域的に考えなければいけない。  ですから、私は七都県市の協議の場というのが、大変重要になってくるというふうに思っております。そうすれば、知事がいわれている空港問題にしても、この東京には国際空港が幾つ必要なんだろうか、一つでいいのだろうか、やはり三つは要るんじゃないか、そういう議論が圏域の中で総意としてつくり上がっていけば、これはつくり上げていくときに、本当に大きな促進剤になるわけでございますから、いち早い都市整備につながっていくと、私はそういうふうに思うのであります。  ですから、ぜひともこの七都県市会議、それも東京が、真にこの中心地域の行政を担う立場として、皆さんによくお話をして、職員の相互交流とか、そういうことも含めてやっていただきたい。それから、その間の情報を、今インターネットの時代でございますから、どんどんやっていただいて、やはり積み重ねを図っていただいて、確かな情報を住民の皆さん、企業の皆さん、団体の皆さんにお伝えをして、そして一緒になってこの東京をつくり上げていく。こういう立場でぜひともやっていただきたいし、そのための都政、行政の責任としての行財政改革というのが私はあるんだというふうに思っておりますから、いわゆる行財政改革というネーミングを実はさせていただいたわけでございます。  さっきもいったように、分権を行って、地方自治体がそれぞれの地域で頑張っていくときに、当然一番重要になってくるのが地方税制の問題、また地方財政の問題であるわけでございますから、これは分権とともに、国が本当に権限移譲をしていただくことが、一番日本の発展のためにつながっていく、また、都市運営を行う自治体の発展にもつながっていくと思うわけでございます。そのことで、当東京都議会としては、地方分権推進特別委員会と、この行財政改革基本問題特別委員会と二つの委員会を設けながら、過日、両方の議員連盟を発足させていただいたわけでございまして、これは議会としても、執行機関、また知事と一緒になってこの問題に取り組んでいって、東京問題を解決していこう、こういうふうに思っておる次第でございます。  多少総論で進みましたので、少し具体論をいわせていただきたい、こう思う次第でございます。  例えば、行革を行うに当たって、国と地方、地方の中の分権ということで、二つの分権がある。相手のあることだから、そういう方々たちの意見も十分聞きながらこの行革をつくり上げていこうじゃないかということで、当委員会としては進めてきたわけでございます。  例えばの話、東京の中心といわれる二十三区、ここの地方自治に限っても、特別区制度という形で変形的な自治が行われております。そういう中で、基礎的自治体というのは、二十三区に限っては東京都政が担っているわけでございますから、いわば、ここは一層制で、この五十年余り地方自治の実践をしてきた。しかし、来年から都区制度の改革で、二十三区の自治としての独立を図っていこうということで、いろんな意味での制度改革が行われるわけでございますが、まだまだ二十三区が普通公共団体に移行するには──やはり、いろんな意味での特例の制度移管であると思っているわけでございます。  そういう中にあって、じゃ東京都政が行ってきた二十三区の中の広域的行政、いわゆる基礎的自治体が担う交通とか消防とか、それから上下水道とか、ごみとか、こういう広域的行政を都政がやってきて、都民の立場、ここを構成する企業、団体の立場からして、本当に瑕疵があったのかと、そういう検証も私は行革論議の中でしなければいけないんじゃないか。いわゆる大都市であるがゆえに、ほかの地方自治体と違うのは、大事業、大供給という大きな形があるわけで、そういう中での効率性とか、またいろんな意味での経費の問題とか含めて、やはり大都市制度という中で特別な地方自治があるんではないかと、私は、実はこの地方自治を実践しながら思ってきたわけでございます。  今回、ごみの移管がありましたけれども、これ一つとっても、二十三区とのいろんな問題があったわけでありまして、本当に都民にとって一番幸せなこと、いわゆる行政というのはサービス機関であって、質の高いサービスを提供するのが大きな役割でありますし、なおかつ最少の経費で最大の効果をあらわす事業をやっていく、こういうことを考えますと、二十三区の間にもう一層設けて何かをすることがいいのか、それとも、都政が自信を持って広域的な自治として、引き続き、地方自治法を変えてまでも一つの事業として、大都市事務の事業としてやっていくのがいいのかとか、こういうことも論じたり何かしながら、相手のあることですから、そういう中で行政改革をやっていく。そういう都政のあるべき姿、都政の果たす役割というものが二十一世紀に向けて見えなければ、グランドデザインが描けなければ行政改革ができないと、こういうふうに私はずっと主張をしてまいったわけで、青島都政の行革はまさに拙速だというふうに申し上げてきたのは、そういう意味からであったわけであります。  ですから、今一つの例としていわせていただきましたけれども、こういう地方自治の進展、高まりの中で、知事は大都市自治としての地方自治をどう考えていらっしゃるのか、お答えを賜りたい、こう思う次第でございます。 ◯石原知事 現に、東京にかかわるいろんな本質的な状況変化が進みつつあるわけでございまして、例えば二十三区へのごみの清掃事業の移管もそうでありますし、それを踏まえて今、白熱した二十三区と東京都の財源分与の話し合いが行われているわけであります。この落着の仕方も注目を要しますけれども、それだけではなくて、文明の変化といいましょうか、そういうもので都民のニーズもさまざまに変わってきましたし、いずれにしろ行政は、おっしゃったとおり、コストがかからず、しかも満足感のある、よりよいサービスを提供するのが義務でありまして、その限りでいいますと、二十三区と東京都のかかわりは、これからさらにどう変わっていくかということも、なかなか予断を許しませんし、また、それはそれなりに議会とも議論をして、ある想定の上でフレームをつくっていきませんと、おっしゃるとおり、ただ机上の空論で、間もなく役に立たなくなるような組織をつくってもしようがないと思います。  ですから、やはり大事なことは、こういう変化の激しい時代に、お互いに都民に選ばれた人間同士でありますから、要するに都民のニーズをそれぞれ背負って、披瀝し合いながら、一〇〇%全部が合意するわけにいかないでしょうけれども、おっしゃるとおり、そういう将来というものを分析、想定しながらの行革というものをしませんと、行革の効果も上がってこないと認識しております。 ◯内田委員 今、二十三区の関係で、二十三区とそういう協議をしてもいいんじゃないかという話もさせていただきました。国との関係も、今知事がいわれたように、東京湾をどのように使うのか、またウオーターフロントをどうしていくのかと、そういう問題の中で国とのかかわり合いというのは出てきている。お互いにいろんな立場で、それぞれの職員をしょいながら仕事をしたいというのが現状でありますから、いろんな話があると思う。しかし、やはり東京湾の存在というのは、東京の皆さんの有効に使える大きな、ある意味では資産である、こういうふうに思っておりますから、どこがどうということではなく、それだけのノウハウ、そして知恵を、また政策を持ったところがやはり主体的に行っていく。そしてそのことについては、お互いに信頼して任せ合う、こういう形がいいし、また、協議する部分は協議する部分があってもいいと思っているわけでございまして、そういう役割分担をどうしていくかというのが、ある意味では行革の大きな柱にもなっているわけでございます。それには一定の時間がかかるということはご承知いただけると思うし、まずは東京都政が、いわゆる二十一世紀に対してどういう都市像、また自治体像を発信していくか、このことがやはり大事だというふうに思っております。  この委員会は、前にも申し上げましたとおり、今日的な財政再建、それに伴うような行革はどんどん執行権限の中でやっていただいて結構だ、しかし中長期的な、いわゆる東京の百年の計といわれるようなものについては、きちっと論議をしながら行政改革という形、それも大綱という形でつくり上げていこうと、こういうことでございます。私は、ぜひとも石原知事に、行革大綱をつくり上げて、推進計画、そして推進組織もきちっとつくり上げながらやっていっていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。  例えばの話が、今、官房三局がこの委員会の所管として、我々の質疑応答に加わっていただいている。また、前の青島行革をつくったときも、行革プランをつくったときも、この三局が主体となってやられた。しかし、先ほどいったように、都政五十年の歴史を振り返ったときに、やはり都政が行ってきた事業、その事業をやってきた局があるわけですから、そこの局が事業評価とか含めて一番よく知っているわけでございますから、そういうところが参加しない行革の論議、推進体制というのは、ちょっと推進体制としては、いろんな意味で欠ける部分があるんじゃないか。ですから、そういう意味での推進体制をつくっていただきたい、こういうふうに一つ思っております。  また、この十一月に危機突破・戦略プランというのを発表されるそうでございます。これは当面する課題について、対応処理としてやっていただきたい。今までの行革というのは、まさに第一次から、青島行革を含めれば五次まで行革をやられてきたんですが、それぞれ、その時々の対応主義、いわゆる対応的な行革であったというふうに思っているんです。ですから、今回初めて石原知事の時代に、将来を見越した、先取りした行革プランを私はつくり上げていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  そして、来年の十二年の秋には都市構想を発表されるといわれております。ぜひとも、今までの東京の分析を十分されて、また世界の諸都市のいろんな実践も踏まえて、東京の都市像、そして都市構想をつくり上げていただきたい。それをつくり上げた後に、やはり行革大綱というのも手続を踏みながらつくり上げていただきたい、こう思っております。そういう日程で私は認識をしておるつもりですが、知事はいかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。 ◯石原知事 幾つかの問題にお答えします前に、東京都と東京都議会のかかわりというのは、明らかに国会における政府と政党のかかわりと違いますね、向こうは議員内閣制ですから。ここは、理事者は理事者で官僚の試験を受けて通られた方々ですけれども、しかし我々と違うところは、つまり背中に都民を直接しょっているわけではない。これは知事も政治家、議員も政治家ですけれども、政治家が都民の声をしょっているわけでありますから、私たちはやっぱり東京のためにあれかしと思うことだったら、それは忌憚なく議論して──要するに今度の危機突破・戦略プランというのは、これは内側の理事者として、行政を執行する側としての意見を出しますけれども、もっと大きな行革に不可欠な新しい東京のビジョンというものは、結局、これはもうやっぱりみんなでつくらなければどうしようもないことで、それが、実は私はいまだになかなか見えてこない。  忙し過ぎるわけじゃなしに、いろんなことがありまして、どうも考えれば考えるほど、新しい十年、十五年先、東京がこうあったらいいというビジョンが、なかなかわかるようでわかっていなくて、例えば、外環の道路が整備されたとされないとは随分違ってきます。それから、先ほどのお話に出ましたけれども、二十一世紀のまさに先進国での首都のあり方というのは、例えばこの間の国会の委員会でも出ましたけれども、これから、要するに世界のグローバルプレーヤーというんですか、世界都市たる資格というものの条件が幾つかあるんでしょうけれども、その一つに、例えばスーパーソニックというワシントンによくある、四時間で東京へ来れる飛行機が飛んでくる時代に、新しい首都が東京なのかどこになるか知りませんけれども、四千メートルの滑走路を持つハブ空港が一体どこにできるんですか。そんなの、考えたら水面につくるしかないわけでしょう。  そのときに、国がどういうつもりで何を考えるかわかりませんけれども、やっぱり首都の当事者たる私たちが、都民の声というものを拝見して、都民の利益だけじゃないけれども、やっぱりそれを通じて日本の利益のために東京をどう変えるか、どういう東京をつくるかということを、私も考えますけれども、ひとつ皆さんにも考えて出していただきたい。やっぱり代案のないところに討論ありませんから、それはかんかんがくがくやることで、物事がブラッシュアップされてよくなってくると思うんで、これは逆にお願いいたしま。  決して、議会をないがしろにして東京都庁側で物をつくることをいたしませんから、折節ご意見を賜りたいし、また、今努力して、本当に熾烈にナンバーワン争いしているパリとベルリンがどんなことをやっているかも、ひとつ有志の方々、都民を代表して見てきていただいて、そういう分析というのをぜひお伝え願いたいと思います。 ◯横山総務局長 今後の行政改革を進めるスケジュールについてでございますが、先ほどお話がございましたように、例えば特別区と大都市行政を抱える東京都との関係一つとりましても、大変いろんな問題がございます。そこで現在、都政の問題点、課題の洗い出しを行っているところでございまして、そこで洗い出された問題点や課題につきまして、この秋策定予定の危機突破・戦略プランにおいて明らかにするとともに、その取り組みの方向をまず示していきたい。  そうした中でも、中長期的な課題につきましては、さらに分析、検討を加えまして、中未来、十五年から二十年になりますか、その東京の将来像を見据えた抜本的改革の内容を示す、新たな行政改革大綱ともいうべき都政改革ビジョンを、来年度策定予定の都市構想の内容も踏まえて策定していく、こういう手順を考えております。 ◯内田委員 私は、あえて青島行革のいろんな点について、批判をしたり分析をしない、そういう形の中で今後どうするかということでお話をさせていただいて、いわば原点に戻って、もう一回新たに取り組みましょうよということでご提言申し上げている。ですから先ほど、行革大綱を定めていく、また、それを定めるために、大綱をつくるためのいろんな知恵を集める、庁内の知恵を集める、議会の意見を聞く、いろんなところの意見を聞く、そういうことも含めて推進体制をつくり上げていただきたいと、こういいました。それが、官房三局じゃなく、やっぱり事業局も入れて、ぜひともそういう体制をつくっていただくことがベターではないかと、私はそう思います。先ほどもそういうふうにいわせていただきましたけれども、この点について、今現在のお考えを聞かせていただきたいと思う次第でございます。
    ◯石原知事 私、正直いいますと、いまだに東京都の中の機能というものを明確に掌握し切れていないんです。例えば、幾つかありますラインの是非も、これから多分話題になるでしょう監理団体をどうするかという問題もふえてもきますが、これなどは、やっぱりそれぞれのラインが掌握し過ぎていて、ほかのラインに見えてこないところがありまして、結局、何かわけのわからないうちに、東京全体がそれをしょっちゃうような形になっているんです。だから、ラインの是非というものは、これからも行革の中での大きな問題になってくると思いますが、ただ、決してとらわれているとはいいませんが、私、自分自身が今、中に身を置いております官房三局が、いかなるラインがメーンなのかよくわかりません。  いずれにしろ、そこだけが都のグランドデザインを左右するなんということがあってはならないと思いますし、東京都そのものが各部局、各ラインというのでしょう、そういうもので構成されているわけですから、当然そこの意見を十分しんしゃくしなければ、とてもじゃないけれども、現場を無視したいたずらな設計図になってくると思います。  そういう点で、私は別に前任者を批判するつもりはありませんが、あれを拝見する限り、ちょっと私の考え方と違うし、感触も違うし、私はできるだけ早くやりたいが、時間はかかりますけれども、いずれにしろ皆さんと合議しながら、これがやっぱり二十年後の東京のあるべき姿だという、あるめどがついたときに、それを効果的に運用できる、つまり実現していくことのできる組織というものを行革として推進していきたいと思っております。 ◯内田委員 今までの行革に対する当委員会のいろんな論議も踏まえて、そういう中で新たな石原都政としての行革を行っていくという認識でご理解させていただきたい、こう思うわけでございます。  先ほども申し上げましたように、いわゆる都市づくりとその運営というのは、まさに都市基盤の整備と生活基盤の整備という社会資本整備を整えていくわけだと。これには、その地域を構成する住民、企業、団体皆さんの、いわゆるすべての人々の英知を結集して、それが地方自治として、都政の大きな役割であるというふうに私は思っておりますし、また、みずからのそういう責任と、相互調整としての責任を負っていかなくちゃいけない。ですから、そのためには、地方自治体が事業体だといわれたこの時代を、分権という中で、地方の時代という中で、やはり政策自治体として生まれ変わらせていく、そして事業体としても、同時に経験を踏まえて自信を持って運営をしていく、そういう都政に実は変わっていただきたい、こう思っておる次第でございます。  石原知事として、最後にお聞かせいただきたいんですが、二十一世紀の理想とする都市像というのは、先ほど皆さんの英知を聞きながら、かりながらと、こういう話をいわれました。私どもも、いわゆる二元制のもとで、知事も私どもも、政治の世界に存在をするわけであります。しかし、行政という枠の中に入って、住民の皆さんよりか、また、そこに生活をする人々、企業、団体の方々よりかは、いろんな意味で情報は専門として一番とりやすい状況にある。ですから、そういう中で大きく情報を集めながら、的確な判断をして政策として具現化していく、こういう必要性があるというふうに思っております。  お役人の皆さん、そんなことをいっては悪いんですが、確かに都政の行う基本的な事務については、まさに専門家として、法のもとにきちっと処理をされていく、そのことに対しては大変たけているわけであります。先ほど、東京というのは、これからまちづくり、都市運営をしていく中で、全く創造の世界だと申し上げましたけれども、まさにその創造世界をつくり上げていくのは、政治がその方向性を発信しなけりゃならないと、私は、実はそういうふうに思っているわけでございます。知事も当然、都政の最高責任者として、そういう努力をされるでしょうし、私ども議会も、議会みずからの権威と権能のために一生懸命努力をしていきたいし、またいろんな提言もしていきたい、こう思っているわけでございます。  このことに対して、石原知事のご所見をお伺いして、最後の質問とさせていただきたいと思います。 ◯石原知事 社会一般で、いずれの部分に知恵があるか、まさに内田さんが今おっしゃった創意というものがあるかということになれば、私は、これはやっぱり民間にかなわないと思います。その民間の声を背負って私たちは選ばれてきたわけですから、私たちこそが一番知恵のある、創意のある民間の意思というものを体現する責任があるし、もちろん官僚の諸君にも創意はあるでしょう。しかし、やっぱりそういうものをぶつけ合うことで、よりよきものが生まれてくるわけでありまして、そういう意味で、まさにおっしゃるとおり、政治というのは、行政というのもそうですけれども、過去の要するにやり方を踏襲せずに、やっぱりいつも新しいものを心がけていくことで効率も上がると思いますし、それが私たちの責任だと心得ております。  それから、一つ加えさせていただきますと、これからの新しい東京、そのために私たち働くわけですが、にわかにコンクリートなイメージでは出てこないんですけれども、少なくとも二〇五〇年は、やっぱり日本はアジアの中で、アジアを代表するワールドプレーヤーというんでしょうか、世界都市でありたいと思いますし、そのことを私は国会議員のときもいってきましたが、関係官庁がぼやぼやして、結局一時期、金融というもののメッカは香港にとられ、上海に移っちゃいましたけれども、またちょっとこのごろ機構が変わってきましたんで、日本も可能性がかなりあると思いますけれども、そういうものに対していつも備えていくことが、私たちの政治家の責任だと思っております。 ◯内田委員 ありがとうございました。  一番最初に当委員会のネーミングについて、普通は行革特別委員会とするんですが、行財政改革基本問題特別委員会としたのは、いわゆる地方自治のいろんな意味での努力による分権によって、この東京問題を片づけていきたい、それから、中長期的な形の中で、ある意味では総論を踏まえて基本論をやっていきたい、こういう形で当委員会が発足したということでありますから、このことをよくおわかりいただいたと思う次第でございます。  ともに頑張ることをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)      ─────────────    〔曽根委員、委員、理事者に資料を渡す〕 ◯渡辺委員 知事及び関係局長に質問いたします。  知事がさきに発表いたしました二つのプラン、財政再建推進プランと「福祉施策の新たな展開」は、大型開発、大型公共事業は温存したまま、私学助成、中小企業制度融資を初め、福祉、暮らし、教育、住宅など、都民生活のあらゆる分野にわたり廃止を含めた切り下げを行うという、かつてない都民犠牲の計画でございます。  中でも重大な問題は、知事が、福祉についても聖域を設けないという姿勢を殊さらに強調していることであります。財政再建推進プランが重点見直し対象とした百三十八事業のうち、実に四割を超える五十九事業が福祉、医療であります。しかも、「福祉施策の新たな展開」では、新しい福祉の基本方向を示すなどといって、高齢者や障害者、乳幼児、母子・父子家庭のためになくてはならない支えとなっている、いわゆる経済給付的事業の全面的切り下げを鮮明に打ち出しました。事業名を挙げますと、乳幼児医療費助成、児童育成手当、ひとり親家庭医療費助成、老人医療費助成、シルバーパス、老人福祉手当、重度心身障害者手当、心身障害者福祉手当、心身障害者医療費助成であり、いずれも都民の宝というべき先進的施策であります。  そこで初めに、知事の福祉に対する基本姿勢についてお伺いをいたします。  知事は、ことし六月号の雑誌「都政研究」のインタビューに答えて、次のように話しています。特に福祉は、局長みずから、ばらまきでやってまいりました、だから他の県に比べてこれだけ金がかかりますといっていました、そのとおりだと思うんだと。また、「文藝春秋」七月号では、何がぜいたくかといえば、まず福祉、東京の福祉は他県に比べて充実しています、都の役人がみずからばらまきといっているくらいですからと。さらにまた、「財界」という雑誌のインタビューでは、身体障害者に対する福祉なんか、ほかの県に比べて過剰なくらいだということを、繰り返し述べているわけであります。  これらは皆、活字になったものですが、知事は、東京の福祉は、ばらまきだ、ぜいたくだ、やり過ぎだという考えでおられるのでしょうか。 ◯石原知事 東京のほかにも幾つもの地方自治体がございまして、それなりの責任で福祉行政を行っています。それぞれ、また財政の事情も違いますから、いろいろひずみがありますし、特に交付団体に対しては、国家の指導でナショナルミニマムという最低限の、しかし、福祉を受けている方々の人権を保障し得る手当てが行われているわけでありますけれども、たまたま東京は、高度成長の時代の収入も他県に比べて非常に多大なものがありましたので、ニーズのままに非常に手厚い福祉を行ってきました。  私は、福祉というのは、行政の中の非常に大きなものの一つだと思いますけれども、しかし、ご存じのように現況が、東京の財政がこれだけ逼迫してきまして、まさに積立金を食いつぶして、八千億以上あったものが今、十五億しかない。もうどうにもこうにもならないんですよ。  皆さんの需要を全部満たせる予算を組んだら、これはパンクするわけですから、瞬間的に私たちは再建団体に転落する。その瞬間、国がまかり出てくれば──かつて池田さんが通産相のころ、貧乏人は麦を食えといってひんしゅくを買って首になりましたけれども、あれは一面の真理がありまして、私は、別に飢え死にして死ねといったわけじゃないと思うんです、池田さんは。つまり、収入相応の食事をしたらどうかということをいったわけですけれども、ただ、東京は貧乏人になりたくない。なりたくないがゆえに、私たちの自主性を持って東京独特の福祉というものを、今までしてきたそれを続けたいと思いますけれども、ただ、ばらまきといういい方は好ましくないかもしれませんが、しかし結果として、福祉予算の中での、要するに現金給付のポーションが余りに大き過ぎる。これは、やっぱりそういう発想そのものが非常に陳腐で、つまり本当のサービスにつながっていないと思いますね。  やはりこの時代に、ニーズがいろいろ変わってきているわけです。それに対応するような、コストはたとえ今まで以上にかからなくても、もっと満足度のある、そういう福祉の仕方があると思いますし、それを東京都も心がけていきたいし、そういう意味で私は、福祉はやっぱりある部分、見直す時期に来ている、見直さざるを得ないと思っているわけでございます。 ◯渡辺委員 財源論については、後でまた論じ合いたいと思いますから、それは後にいたしますが、今の知事の考え方というのは、やはり私は、東京で生活している都民の生活実態という、この問題を余りにもわかっていないというふうにいわざるを得ないですね。  例えば、お年寄りの六五%の年金生活者ですけれども、その方が受け取っている年金というのは五万円以下なんですよね。そういう実態だとか、あるいは社会保障の問題を一つとってみたって、これはヨーロッパと比較すれば、比較にならないような状態ですよ。こういう中で、東京都の中の福祉はこれまで頑張ってきたんですよね、財源はいろいろあるけれども。だから、そういう都民の生活実態ということを踏まえて、この福祉というものは考えていかなきゃならないと思うんです。  ぜいたくだとか、あるいはまた、やり過ぎだなんていうことは、本当にこれは許されない問題だと私は思います。そういうことをはっきりと知事に認識していただきたいということを改めて強調して、次の問題に移ります。  それでは、具体的な問題についてお聞きします。  まず、乳幼児医療費助成であります。これについても、知事は見直すとしておりますけれども、しかし、知事は六月の対政府重点要望で、少子化の進行は社会の活力維持などに大きな影響をもたらす重大問題であるとして、経済的負担の軽減策、中でも児童手当の拡充と乳幼児医療費助成制度の創設を求めているわけです。  政府に対し重点課題として要望した以上、少なくとも、できる限り現在の都の制度と同じ水準の国制度が実現するまでは頑張り抜く、これが首都東京の知事たるものの責務だというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◯木内財務局長 いろいろお話をいただきましたけれども、先ほど知事がご答弁申し上げましたように、社会経済状況が大きく変化するというのも事実ですし、さらには財政状況もございまして、そうした中で、福祉のみならず、すべての施策について必要な見直しを行っていくというのが東京都の考え方でございまして、その上に立って施策を再構築していこうというのが財政構造改革の考え方でございますので、私どもとしては、そのように取り組んでいきたいというふうに思っております。 ◯渡辺委員 乳幼児医療費の対政府要望について、私は限定して聞いているわけです。一般的に聞いたわけじゃないんですね。  それで、知事が先頭になって国に要望する、いわゆる二階に上げておいて、そして、後ではしごを取り払う、こういうことじゃないですか。(石原知事「全然違う」と呼ぶ)知事の見識というものが問われるというふうに私は思いますよ。(石原知事発言を求む)ちょっと待ってください。答弁求めていませんから。  知事は、少子高齢化の急速な進行など、社会福祉を取り巻く状況が大きく変化しているなどと述べていますが、だからこそ乳幼児医療費助成の充実が必要なんじゃないですか。聖域なき一律削減の対象にするのは、全く筋違いだというふうに思います。  九月末の厚生委員会で福祉局は、現行の無料制度を廃止して一部負担を導入、あるいはまた有料化することも検討課題としていることを明らかにいたしましたけれども、一部報道では、定率一割負担の方向で検討が進んでいるとも伝えられています。  そこで聞きますが、乳幼児医療費助成に仮に一割負担を導入した場合、都民負担はどれくらいの額になるのでしょうか。 ◯木内財務局長 一割負担の導入につきましては、国において、高齢者の医療保険の改革をめぐって議論が出されているということについては、私どもも了知をいたしているところでございます。  乳幼児医療費の助成制度について、先ほど申しましたように、これらも含めて見直しをしていきたいというふうに私どもは考えているわけですけれども、その具体的な内容については、現在、論議をし検討しているところでございます。したがいまして、仮定の質問については、なかなかお答えがしにくいというのが率直な感想でございます。  しかしながら、あえてご指摘でございますので、機械的に計算をさせていただきますと、現行制度のもとでは、助成額が十一年度予算ベースで三十九億円でございまして、これに仮に一割負担を導入した場合には、経費は二十六億円となりますので、その差額は十三億円でございます。繰り返しになりますけれども、これは機械的な、いわば計算機ベースの話でございますので、よろしくお願いいたします。 ◯渡辺委員 時間がございませんので、簡潔にしてくださいよ、答弁は。  今の答弁ですが、それは都の補助額の影響額で、乳幼児医療費助成は都と区市町村で二分の一ずつ負担しているところでございますから、都民負担の総額は二倍の二十六億円、こういうことになるわけですね。  子ども一人当たり、年に直しますと一万六千円の負担増になる。それが四歳未満の子どものいる子育て世代にかかるわけであります。都が有料化した場合、区市町村が独自に対象年齢を引き上げたり、所得制限を緩和している部分も連動するので、その影響はさらに大きくなるというふうに思わざるを得ません。  知事が政府に要望したように、少子化対策のためには、経済負担の軽減策こそ必要であります。それが都民の切実な要求なんです。だから、多くの区市町村が一層の充実の方向を明らかにしているわけです。それを支援することこそ都の役割であり、現行制度を維持し、拡充していかなければならない問題なんです。これを強く求めておきたいと思います。  関連して、これも仮に一割負担とした場合についてですが、老人医療費の助成、障害者医療費助成、ひとり親家庭の医療費助成のそれぞれの都民負担はどれくらいふえるということになるのでしょうか。 ◯木内財務局長 三つのご質問にお答えいたします。  これも機械的な話で答弁しにくいのですけれども、東京都の制度の老人医療費制度についての助成額への影響、一割負担を仮に計算した場合ですけれども、十一年度予算ベースでは五十一億円でございます。  さらに、障害者の医療費についてでございますけれども、これについては、後で申し上げますけれども、これもまた二重の意味で仮定になってしまうので、ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。(「ああ、いいよ。結果だけでいいです、簡潔に」と呼ぶ者あり)  簡潔はわかりますけれども、いわゆるマル障、マル老といいますか、国制度の老人医療費の対象であり、かつまた都制度の障害者医療の対象である方々、それらの人たちについてどうするかによって、仮定の計算が異なってきます。そうした意味で申し上げて、国がいわゆる国制度の老人医療費に一割負担を導入するということを一つ仮定し、かつまた、障害者医療でも一割負担を導入するという二つの仮定を置いた場合については、その影響額は約百十六億円でございます。  さらにまた、三点目のご質問であるひとり親の医療費助成についても、都のベースでこれも仮定いたしますと、約九億円になろうかというふうに思います。  いずれも、仮定の計算でございます。 ◯渡辺委員 マル福五十一億、障害者医療費助成が百十六億、ひとり親家庭医療費助成が九億と。ひとり親家庭医療費助成は、これも乳幼児医療費助成と同じで、都と区市町村で二分の一ずつですから、負担増の総額というのは十八億円、こういうことになりますね。  今答弁された影響額、都民負担は、あくまで仮に一割負担とした場合の試算ですが、極めて重い負担であります。一年間の一人当たりの負担増というのは、マル福、ひとり親家庭が一万二千円、障害者が何と八万七千円にも上るということにもなるわけであります。  しかも、これは単なる仮定の話ではなくして、国の老人医療制度は定率一割負担の方向で検討が進められているのですから、マル福についても同様の検討がされるのではないかと、極めて現実的な心配であります。  また、二つのプランに基づく都の各医療費助成制度の見直しは、それぞればらばらに行うのではなく、まず共通する考え方で見直しを行い、その上でそれぞれの特性を配慮する方向だと聞いています。したがって、障害者医療費助成やひとり親家庭医療費助成についても、やはり一割程度の定率負担が、少なくとも検討課題の一つにされているのではないでしょうか。  都民は今、深刻な不況とリストラ、雇用不安に苦しみ、昨年からの医療費値上げ、来年四月から始まる介護保険の保険料、利用料の新たな負担増を初め、老後や将来への不安を強めているときであります。読売を初め新聞各社の世論調査でも、そのことがはっきり示されていて、もうこれ以上の負担増には耐えられないとの声が広がっているわけであります。そのときに、都民の不安を和らげ、都民生活を守るどころか、逆に追い打ちをかけるようなことは絶対にすべきではないと思うわけであります。  さて、この二年余にわたる都政の大きな焦点になってきておりますシルバーパスですけれども、これは知事に伺います。  知事は、第二回定例会で、シルバーパスを維持していくことは必要だと思いますが、側面的な見直しを行うと答弁しました。選挙中、医療関係の団体のアンケートがありましたけれども、それにとどまらず、テレビの討論会で繰り返し、現状どおり存続すると答えているのですから、その公約に照らしてみても、現状どおり無料パス制度を継続するというふうに理解していくことが当然だと思いますけれども、その考え方はいかがでしょうか。 ◯石原知事 候補者と就任した知事とは、おのずと、立場といいますよりも、その持つ情報なり認識が変わってくるのは当然だと思います。私は、候補者の限り、幅を持った答弁をしたと思いますし、とにかくアンケートというのは段ボールが何個も来るんですよ。一々、候補者が書いているわけにいかないので、スタッフが書いたんです。  だけれども、それに対して私は責任がありますが、いずれにしろ、今知事という責任ある地位についた限り、やっぱりこれはある部分、見直しせざるを得ないということは、いろんな原因があります。それは担当の局長からお話しさせますけれども、いずれにせよ、結果として、老人を支えている若い人たちを、逆に年配の人が差別するような形になっては、これもやっぱり不公平だと思います。いろんな問題が発生して出てきている。  ですから、それを検討した結果によって部分的に修正せざるを得ない。今、現職の知事として、そう認識しております。 ◯渡辺委員 知事の言葉は、本当に何をいっているんですかというふうに怒りが込み上げてくるんですよ。これをちょっとお渡しします。    〔木村委員、石原知事にコピーを渡す〕 ◯渡辺委員 今、お渡ししたものが、東京歯科保険医協会のアンケートに対する知事の回答であります。  一つは、財政再建については、どこにも丸をつけずに意見欄に記入しているということ。  それから、国の医療費値上げということについては、二割負担は仕方ない、こういうふうに丸をつけている。そして、シルバーパスとマル福などの医療費助成ということについては、縮小の方向で見直す、あるいはその他でもなく、今のまま存続は必要、現行どおり存続は必要に丸をつけて、意見欄というのは空白になっておるわけですね。  これでも、シルバーパスは、現状どおり無料パス制度を継続するとはっきりいえない、あくまでもこれは見直しをするんだという立場なんですか。もう一回、お聞かせいただきたい。 ◯石原知事 まことに申しわけございませんが、もって私は、いい逃れをするつもりはございませんが、これは私の字じゃございません。私、こういう端麗な字を書きません、ギッチョなものですから。多分、スタッフのだれかが総合的に判断したのか──まあ、それが選挙というものですな、お互いに。    〔発言する者多し〕 ◯渡辺委員 これは、都民からしてみたら、本当に重大な問題ですよね。これは、例えば(傍聴席にて発言する者あり)石原知事が候補者のときに…… ◯矢部委員長 傍聴人に申し上げます。  ご静粛にお願い申し上げます。 ◯渡辺委員 知事選挙のときに、石原候補者にこれをお渡しして、それで、そのアンケートを基本にどの知事を選ぶかということで、参考になる重要な問題です。それを知事が知らないなんていうことにはならないと思うんですね。それはスタッフが書いたからといったって、知事の責任なんですから。だから、そういう点では、公約として、やはりしっかり守っていくという立場が政治家の本当の姿勢じゃないですか。そういう点で、私は、明らかにこれは公約違反だということで、はっきりと申し上げておきたいというふうに思います。  あくまで無料パスの廃止、全面有料化まで含めた検討をするということであれば、これは先ほどもいいましたけれども、明白な公約違反だ。しかも、シルバーパスは、既に都民と都議会との間で決着済みの問題なんです。だからこそ知事も、選挙中は、現行どおり存続と公約したのではないかというふうに思うんです。それを投げ出すということは、民主政治のイロハをわきまえない暴挙だ、そのことを改めて強く強調しておきたいと思うわけであります。  さて、次は重度障害者手当であります。この見直しも、都民の実態を全く踏まえないものであります。  私は、ある重度の身体障害者の方とお会いして、話し合う機会を持ちました。きょうも傍聴に来ておられるかもしれません。この方は、若いころ、府中療育センターに入所していたのですが、重い障害があっても、一人の人間として当たり前の生活をしたいという一心で自立して、多くの人に支えられながら、地域での生活を続けてきたのであります。  重度障害者手当は、こうした重度の障害を持つ人が、どうすれば施設でなく地域での生活が可能となるのか、当時の東京都民生局と当事者の方々との話し合いの中でつくられて、充実させられてきたのであります。そうした長年にわたる努力の積み重ねについて、一言の言及もないまま、知事が一方的に見直しを表明したことに、多くの関係者から、驚きと強い怒りの声が上がっているわけです。  重度の障害者は、働いた収入で暮らしていくことはできません。したがって、多くの場合、生活保護を受けておりますが、重度障害者が生きていくために必要な二十四時間介助のための費用、介助にかかるさまざまな経費は、生活保護費からは出ないんです。重度障害者手当が切り下げ、あるいはまた廃止になれば、地域での生活は直ちに不可能となります。だから、重度障害者の方々は、手当の切り下げは生き死ににかかわる問題です、一歩も下がるわけにはいかないんですと、必死に訴えているのであります。知事、この声をどのようにお聞きになりますか。  知事が視察をした府中療育センターに入所している方たちと同じくらいの重い障害を持つ人たちが、少なからず在宅で生活しており、この人たちになくてはならない支えが重度手当であります。私が勝手にいっているのではないんです。手当を受けている人自身が、そう訴えているんです。それでもなお、聖域なき一律削減、存廃を含めた見直し、こういうことの対象にしていくのでしょうか。お聞かせいただきたいと思うんです。──知事、知事にお聞きしたんです。知事ですよ。    〔発言する者多し〕 ◯木内財務局長 先ほどの繰り返しの答弁で申しわけないんですけれども、財政の構造改革を進めていく上では、すべての施策について聖域なく見直しをしていく、施策についても、執行体制についても見直しをしていこうという基本的な考え方を持っているわけでございまして、先生からお話があった手当も含めて、個別の施策の見直しの中身、内容等々につきましては、それぞれ議論をし、検討しているところでございます。    〔傍聴席にて発言する者多し〕 ◯矢部委員長 傍聴人に申し上げます。  ご静粛にお願いいたします。  委員長の命令に従わないときは退場を命じます。 ◯渡辺委員 私は知事に聞いたんですけれども、知事の答弁は得られません。  もう一回伺いますが、知事は、さきの第三回定例会の我が党の代表質問に対して、府中療育センターの視察で感じたことを知事としてしっかり胸に受けとめ、福祉の問題に取り組んでまいりたいと答弁されました。その言葉に行政の長として誠実な対応をされるよう、強くこれはまた要望しておくものであります。(石原知事発言を求む)ちょっと待ってください。もう時間がないですからね。(「どっちなんだよ」と呼び、その他発言する者あり)  時間がないんです。答弁するとき、ちゃんと答弁すればいいんですよ。答弁するときに、ちゃんと答弁してくれれば、こういうことはないんです。(石原知事「その前提というのがあるんだよ」と呼ぶ)  重度手当は他県にもない独自の制度ですが、これがあるから、東京では重度障害者も地域の中で何とか生活できるのであり、それがノーマライゼーションの立場から、いわば当たり前のことなんです。しかも、その東京の水準も、実際はまだまだ不十分なんです。手当など経済給付的事業は、在宅福祉サービスの不可欠の重要な柱であります。経済給付的事業と在宅サービスを対立させて描くことは間違いであり、その両方を伸ばしていくことこそが今、必要なのであります。  地方自治体の最大の責務は、住民の福祉、暮らしを守ることであります。都民要望の第一位も福祉の充実です。そのために予算を使い、手厚い配分をするのが当然であり、自治体の本来の姿であります。  ところが、財務局主計部が先日まとめた内部資料の検討メモ「租税負担と行政サービス」、これは中身を見るとどうでしょうか。一つ一つの事業がどんなに大事な意義、役割を持っているか、どんなに切実な都民要望があり、どういう経過の中でつくられてきたものか、そういうことは全く考慮の外で、一人当たりこんなにお金がかかっている、それだけを、これでもかこれでもかと強調しているわけであります。  しかも、事実とかけ離れたところもたくさんある。代表例が、五ページに示されている重度身体障害者(単身)の在宅サービス利用者一人当たりに対する経費、年額九百八十二万八千円という数字であります。福祉局が六月に発行したグリーンペーパーの中でも同じ数字が使われているのですが、この積算の根拠を説明してください。そして、この水準のサービスを受けている人は都内で何人いるのか、明確にお答えいただきたい。 ◯木内財務局長 お尋ねの重度身体障害者の今の数字についてでございますけれども、先生のご質問の中にいわれていましたように、福祉局及び高齢者施策推進室が去る六月に公表したペーパーの在宅の重度障害者については、月額八十一万九千円というものをもとに算定し、それを単純に十二倍した数字が九百八十二万云々の数字でございまして、事実と違うということについては疑問に思っております。  具体的にそのモデルの中では、重度障害者が重度心身障害者福祉手当を受給し、かつまたデイサービス、あるいはホームヘルプサービス等々、一人で在宅していく上に必要なサービスを利用する場合に要する経費を算定したものでございまして、事実云々ということについては、私どもはそのようには考えていないところでございます。  なお、サービスに要する経費をモデル的に試算したものでございますので、当然のことながら、利用者数を特に何人いるとかいうことを申し上げるようなものではない、そうした性質のものではないというふうに私どもは考えているところでございます。 ◯渡辺委員 全く無責任きわまりない答弁だというふうに私は思うんですね。要するに、各種のサービスを最大限に受けた場合の単純な積み上げだと。そうでしょう。これだけ高い水準のサービスを受けている人は、実際はほとんどいない。私の足立区、六十四万を擁する自治体ですけれども、足立区の場合も一人もいませんということでした。  重度障害者の福祉に、それなりのお金がかかるのは当然じゃないでしょうか。それを誇張して描いて、いかにも平均的にこれだけかかっているかのような誤解を与えて、福祉に金がかかり過ぎているように事実をゆがめて描いて都民に宣伝する、こういうことはきっぱりやめるべきだ。しかも、このほとんど架空の最大限の数字である年額九百八十二万八千円の場合も、東京都の持ち出しというのは三百十四万円です。あとの六百六十九万円は、国とか区市町村の負担になっている。  質問の最初に、各種の雑誌における知事の発言を取り上げましたが、知事がこうした誤った情報をもとに、東京の福祉がぜいたくだ、やり過ぎだなどと考えているとしたら、重大な問題といわなければなりません。どんなに財政が大変でも、都民の福祉、暮らしを守り抜きながら、同時に財政の立て直しを進めるという、自治体本来の姿に立ち返るように強く求めておきたいというふうに思います。  時間がないから次に移りますが、知事は、昨年度決算で十八年ぶりに赤字になったことを根拠に、このまま財政再建団体に転落して福祉や教育などを国に切られるか、それとも、あきらめて自分たちで切り下げるかと、都民に二者択一の選択を迫る発言を繰り返しています。しかも、今日の財政難について、都税収入が落ち込んできた中で、投資的経費は半減したのに経常経費は同水準で減っていない、財政の構造改革は進んでいないといって、あたかも福祉や教育などが今日の財政難の原因であるかのようにもいわれておるわけであります。  そこで、知事がいわれるように、福祉や教育などの都民施策が今日の財政難の原因なのか、また、それらの施策を切り捨てないと、財政再建団体への転落が避けられないものなのかについて、私は明らかにしていきたいと思います。
     まず、今日の財政難をもたらした原因が何であったのかということです。それは、財政難の真の原因を明らかにして、そこにメスを入れることなしに、本当の財政立て直しはできないからであります。  そこで、バブル前の八四年から九八年までの十四年間にふえた普通会計決算での歳出額とその内訳を、土木費、福祉費、衛生費、教育費について挙げていただきたいと思うんです。 ◯木内財務局長 普通会計決算におきまして、昭和五十九年度、一九八四年度を基準年度に置いて、それ以降毎年度の歳出の増減額を平成十年度、一九九八年度まで累積すると、税連動経費を除いた歳出総額では、その増額の累積額は約三十兆円でございます。そのうち、土木費は十一兆三千九百億円、民生費は二兆六千六百億円、衛生費は二兆五千四百億円、教育費は三兆八百億円の増となってございます。  しかしながら、財政を分析するに当たりましては、お話のような算定式ということについては問題があるというふうに私どもは思っております。  まず、増減額の累積をもって、いわば先生が冒頭に話された投資の偏重云々を導き出すことについては、必ずしも適切ではないだろう。したがいまして、私どもとしては、昭和五十九年度と平成十年度とのストレートな比較、そうしたものを行う必要があるだろうと。そうした場合については、その増加額は二兆三千六百億円の増で、そのうち、土木費は六千二百億円の増、民生費は三千四百億円の増、衛生費は二千二百億円の増、教育費は二千五百億の増となります。  また、もう一つ加えれば、基準年度をどこに置くかという点でございます。東京都の財政は、基幹的な収入は都税収入でございまして、都税収入の今日のニアイコールの年次は昭和六十二年度でございますので、その時期と比較するのが通常行われるべきことというふうに私は思っております。そうした意味で、六十二年度と平成十年度を比較した場合には、その増加額は合わせて一兆二百億円でございまして、土木費は二千億円の増、民生費は二千七百億円、衛生費は一千八百億円、教育費は一千五百億円の増でございます。  さらに、あえてもう一つ加えれば、投資的経費については、財政状況に応じて歳出を増減することができるのに対して、経常経費については、一度制度を創設すれば、なかなかそれを調整していくことが難しいという面もあることもご理解をいただいて、財政の弾力性という点において、投資と経常を単純に比較するのは、私どもとしてはいかがかというふうに思っているところでございます。  長々と答弁して、失礼いたしました。 ◯渡辺委員 まあ、いろんな数字を並べてはぐらかそうとしたわけですけれども、そんなことをいったって、数字は事実で明確なんですから。  私は、そこで、そんなことだろうと思ってグラフをつくってみました。(パネルを示す)お渡ししてあるかと思いますけれども、十四年間にふえた歳出の累計が三十兆円、そのうち土木費に使った額が三七・八%、約四割を占めているわけです。これに対して福祉費と衛生費は、合わせても五兆二千億余であります。比率は一七・四%。これに教育費を加えても二七・七%。土木費の伸びには、はるかに及ばない。このことを見るだけでも、いかに都の財政運営が、この間、大型開発を初めとした公共事業に偏って伸ばしてきたかということがわかるんだというふうに思います。  次に、都庁舎や国際フォーラムなどの主要な大規模施設が建設された、八八年から九五年までの期間の投資的経費の金額と補助、単独の金額を示してください。簡単にひとつお願いします。 ◯木内財務局長 普通会計決算における投資的経費につきまして、昭和六十三年度から七年度までの八年間を合計すると、十三兆七千六百億円となります。また、普通建設事業費の補助事業費の合計額は二兆三千二百億円、単独事業費の合計額は十一兆一千億円でございます。 ◯渡辺委員 八年間で十三兆五千億円ですから、毎年平均で一兆五千億円です。これもグラフをちょっとつくってまいりました。(パネルを示す)皆さんのところにお渡ししてある内容です。こういうのを見れば、一目瞭然でよくわかると思うんです。この中の八割が、都の単独事業として行われています。ピークの九二年には、二兆円ものお金が投資につぎ込まれております。そして、十三兆五千億円を都民一人当たりに直しますと、百十三万円。これは、赤ちゃんからお年寄りまで残らず百十三万、こういうことになるわけですね。  十三兆五千億円、これだけあったら、シルバーパスの事業費が百五十七億円ですから、八百六十年分に当たる。あるいはまた、私学助成は千百七十九億円、こういうことですから、百十五年分に当たる。それだけの大きな額だということを理解してもらいたいということですよ。わかりますか。私は、今回この計算をして本当に驚きましたよ。  その上、バブル崩壊で九二年から都税収入が激減し始めましたが、投資的経費は逆に二兆円のピークを迎え、そのまま高水準を続け、その税収の足りない分を都債、借金で賄ってきたために、九二年から九五年のわずか四年間で三兆三千四百八十三億円、こういう莫大な借金をふやしているわけです。その後も、七千億円、八千億円と巨額の借金を続けてきました。この借金が、今日の都財政を苦しめている最大の原因であって張本人だ、そういうことでしょう。  そこで、まずお伺いしますが、知事はなぜ今回の推進プランで、財政健全化計画のときに掲げた投資的経費の総枠抑制を外したのでしょうか。 ◯木内財務局長 七月に公表いたしました財政再建推進プランの中でうたっておりますように、四つの柱の中の一つの施策の見直しの中で、投資的経費につきましても、一般財源ベースで三〇%を削減するという目標を具体的に掲げているところでございます。  そのために、限られた財源を重点的に充てていく、さらにまた、国庫補助事業の割合をふやすことによって事業量の確保を図る、あるいは、コストの縮減を図ることによって事業量の確保を図るというようなことを再建推進プランの中でうたっておりますので、計画としては、私どもとしては、具体的な枠といいますか、目標を掲げているというふうに理解をいたしているところでございます。 ◯渡辺委員 一般財源で六百億円削減するから、それで満足と、私はこういうような印象に受けとめましたけれども、投資的経費で一般財源が多く充当されている事業は、生活道路や道路補修、公園などなんですね。生活密着型の公共事業にしわ寄せが行くんですよ、これでは。  その一方で、大幅に起債に依存している大型公共事業、大型道路などは対象外となっている。例えば骨格幹線道路は、今年度予算では事業費九百三十八億円ですけれども、このうち、一般財源はわずか二百万円ですよ。プランにも、大型開発を見直すとはどこにも書かれていない。これでは、野放しとしかいいようがないではありませんか。  知事自身、都の財政破綻について、大量の都債を活用した景気対策により将来の財政負担が増大したことを理由に挙げて、また、九〇年の日米経済構造協議での四百三十兆円の公共事業が、国や地方の財政を悪化させたともいわれています。さらに、都知事選挙でのある団体のアンケートに答えて、財政再建には、不要な公共事業の見直しが必要だともいわれています。  知事がこれらの言動に責任を持たれるというのならば、大型公共事業のための投資的経費を抑制することは当然ではないでしょうか。知事が幾ら聖域のない見直しといっても、実際には大型開発や幹線道路はどんどん進められているんです。  知事は、臨海副都心や外郭環状道路など、大型の公共事業の現場を相次いで視察されましたが、これらの事業にストップをかけるのではなく、進めることを表明されています。また、重点化といっても、第三回定例会で我が党の議員が質問いたしましたように、生活道路や歩道の整備は棚上げして、調布保谷線や首都高速中央環状線、あるいは圏央道にアクセスする幹線道路などに重点化するという意味ではありませんか。大型開発を同時多発的に進めるという都の考え方は、全く変わっていないのであります。私は、知事が今日の財政難の真の原因について正すつもりがないと思わざるを得ません。  そこで次に、財政再建推進プランに掲げている巨額の財源不足についてであります。  都は口を開くと、このままいけば、巨額の財源不足が生まれて財政再建団体に転落すると大宣伝をしています。財政収支の見通しによれば、来年度の財源不足額は六千二百億円になるといわれています。  そこで、私は公債費に注目したい。それは、足りないといわれる金額と、この公債費とがほぼ同じ水準だからなんです。来年度は、財源不足額よりも少し多くて六千五百億円、二〇〇一年も、財源不足額が七千億で公債費が七千二百億。このように、四年間の期間中、財源不足額と公債費がほぼ拮抗するという形です。  公債費というのは、この間の借金の返済や利子の支払いに充てるお金なんです。その財源は一般財源です。税金です。最初に私が取り上げた大型開発のツケです。つまり、プランがいうところの財源不足の正体は、要するにバブルの時代を通して拡大されてきた大型開発、公共事業の借金なんです。何が財源不足の原因かは明らかではありませんか。  かつて財務局長を務めたことのあるOBが、「都政研究」誌の小論文の中で、税収が厳しいときには、まず臨時的経費、すなわち投資的経費を抑制することが本筋だと述べていますが、そのとおりだと思います。  さらに、この財政収支の見通しを見てみると、どうにも首をかしげざるを得ないことがあります。例えば、公債費の中に含まれているというより、公債費の半分を占めている利子分です。財務局がプランの前提としてつくられた都債と減債基金の試算を見ますと、ことしの利子分が二千四百八十七億円なのに、来年度は、一挙に六百七十億円もふえて三千百十七億円になってしまうわけですね。九六年から今年度までは、毎年の増加額はおおむね百数十億円、今年度は百二十二億円ですから、異常なふえ方だと。  どうしてこんなにふえるのかということで、お聞きしたい。簡潔にお願いします。 ◯木内財務局長 公債費の話がございました。公債費はすなわち起債、景気対策云々から説き起こされた話でございますけれども、この間の景気対策の中で公共事業を行うということは、この間、社会的な大きな要請であった、都財政としても、私どもとしては、でき得る限りそれにこたえていくことが必要であるという認識のもとに行ってきたわけでございます。  しかしながら、それと同時に起債の発行というのは、一方ではサービス水準の維持、「危機に直面した東京の財政」の中で分析しておりますように、起債を増発することによって経常経費を維持してきたという側面も一方であり、起債の役割は、そうした二つの役割があった上で増をもたらしているわけでございます。  したがいまして、一概にそれを否定されることについては、納得いたさないところでございますけれども、個別の話でございますところの財政収支の推計に当たっての公債費の金利につきましては、既発債については、既に確定しております金利、基本的には四%ということで設定いたしているわけでございますが、十一年度の予算編成については、一年度のことでございますので、直近の金利、おおむね二・四%であったかと思いますけれども、それをもって推計したと。  しかしながら、長期に金利を推計する場合については、長期的なレンジ、トレンドの中で考えていかなければいけないわけですので、先ほど申しましたように、都債の残債の平均金利四%をもって推計したわけでございます。そうした推計については、私どもは適切なものであったと考えているところでございます。 ◯渡辺委員 もう一つ聞きますが、これは本当に数字だけを答えてください。  では、最近の金利は幾らですか。 ◯木内財務局長 直近の金利は、クーポンレートで一・八%と思います。 ◯渡辺委員 そういうことで、簡単に答えてくれればいいのに、もう時間がないですから。  計算よりも、二%以上低いわけですね。要するに、実際は一・八%とか二・四%とかの金利で都債を発行しているけれども、プランの場合は四%で計算しているわけですから、今年度よりも六百七十億円も多くなるというわけですね。来年度の利息を二・四%で計算すると、五百億円も差額が出るんです。要するに、水増し請求とでもいうものですよ、これは。  もう一つ、減債基金です。これも、来年度は二千八百六十一億円を積み立てる計算になっています。しかし、これは償還時期の来た起債を借りかえるなどによって、少なくとも二分の一に削減できる。実際に昨年度積み立てた基金は、計画の半分なんです。計画期間中も、それ以降も、それで十分対応できると私たちは思っています。  しかも、この財政収支の見通しでは、投資的経費が九千百億円で設定されていますが、これは、バブル前の八四年の一・六倍という水準です。ピーク時の半分に減っているから、いいんだというものではない。そもそもバブルが異常事態だったのですから。しかも、ピークの九二年度といえば、基金が一兆円以上もあり、二千七百億円も取り崩すこともできたときなんです。本気で財政再建、都財政の構造改革に取り組むというのならば、まず投資的経費をバブル前に戻すべきではありませんか。それを一・六倍もの高い水準を前提に財源不足だというのは間違いです。  それだけではありません。経常経費についても、その中に首都高速道路公団への出資金や、あるいは無利子の貸付金、いわば投資関連経費が含まれています。これも合わせると、ほぼ四千億円、経常経費の一割も占めている。つまり、投資的経費だけで一兆三千億円も計上しているということで、財源不足はないでしょう、そんなに組んでいて。  これまでも我が党が指摘してきたように、不要不急の公共事業を見直しして投資的経費を抑えることこそが、財政難を克服し、借金漬けから一日も早く抜け出す本当の道だと。さらには、減債基金あるいは土地開発基金の見直し、同和事業や旧コスモ信用組合の破綻救済、こういうところへの浪費やむだ遣いを改めることで、福祉や教育などにしわ寄せしなくても、財政再建団体への転落を避けることができるのであります。  最後に、知事が大型開発を一層拡大しようとしていることです。  知事は、さきの定例会で、副都心開発を羽田沖や豊洲・晴海などの臨海地域全域に押し広げ、都心部での再開発とあわせて東京再生の起爆剤とするとまでいわれ、また、我が党の臨海副都心開発の見直しを求めた質問に対しては、これまでの投資を最大限に生かしながら着実に開発を進めていくと、開発を続行することを表明いたしました。しかし、都の財政問題を考えるとき、臨海開発の抜本的見直しは避けて通れない問題であることは明らかではありませんか。  そもそも臨海副都心開発は、進出企業の地代や権利金で賄うとされ、都民の税金は一円も使わないと豪語してきたものであります。ところが、バブル崩壊によって、予定していた企業の進出が進まず、三セクビルもがらあきという事態を迎え、開発の収入見込みに五兆五千億円もの大穴があいたんです。そのため、既に三兆円を超える都財政が投入されましたが、それでも見通しが立たず、計画そのものが破綻したのではありませんか。  その後も、一次公募企業の新たな進出はなく、二次公募も、ことし三月が期限であったのに、いまだに契約にこぎつけた企業は一つもありません。傷口は、まだまだ広がり続けているのであります。  知事は、税金投入は三千九百億円に縮小したなどといいわけをしておりますけれども、都財政投入は、今わかっているだけでも二兆円、今後、都財政投入の蛇口を閉めなければ、際限なく広がることは明らかであります。  そこで、時間もありませんので、本日は、都民の貴重な税金が投入される有明の丘の買い取りについて伺います。  都は、来年度、有明の丘を防災拠点として二千二百億円で引き取るとしておりますが、もともとこの土地は都有地で、臨海開発支援のために埋立会計から無償で、つまり、ただで提供したものであります。何で今、二千二百億円もの巨額な税金を投入して買い戻さなければならないのですか。防災用地として使う必要があるというのだったらば、もともと都民の財産なんですから、無償で戻させるということが本当なのではないでしょうか。お聞かせください。 ◯木内財務局長 技術的なことですので、私から申させていただきます。  十六ヘクタールの有明の丘の問題でございますけれども、公営企業会計、金については埋立会計が臨海会計に出資をするということで行ったものでございます。それを、先生ご指摘のように一般会計がただで取り上げるというのは、一般会計と公営企業の間の負担区分、そうした大原則にもとるものというふうに私は思っております。 ◯渡辺委員 そんなことをいったって、東京都、都民の都有地ですよ。これをただであげて、それを、あえてまた都の税金で買い上げる、こんなばかげた話がどこにあるんですか。  都は、お金がない、赤字になる、財政再建団体に転落する、こういうことを口を開けばいいますが、だったら、どこから二千二百億円ものお金が出てくるんですか。話によると、起債で充てるというような話もありますけれども、起債であっても、いずれ一般財源、税金で借金を返さなければならないんじゃないですか。そうした七兆円のツケに、今苦しんでいるんです。しかも、数十億円の利息も払わなければならない。こんなばかげた話がどこにあるんですか。それでも買い戻すといわなければならないのですか。  私はそこで、このグラフをつくってみましたけれども(パネルを示す)、この土地の買い取りが、都民施策と比べてこんなに大きな開きがある。このグラフを見ていただきたい。お配りしてあります。  これが、シルバーパスや老人医療費助成、各種手当など、都が経済給付的事業だとして削減を求めている九事業、こちらが有明の丘の引き取りが行われる五年間の増加分の合計、有明の丘の買い取り費用ですね。そして、同じ五年間でその九事業の伸びはどうかといったら、六百三十八億円、二九%なんですよ。臨海会計にきちんと代金を払わせれば、これらの施策の見直しや予算の削減は必要なくなる。私はそう思うんです。  時間がありませんので、先に行きますけれども、こういうようなむだなことをやるから、財政をさらに一層困難なものにしてしまうんです。そんな買い上げるなんていうのだったら、都民に聞いてごらんなさい、どちらの方が都民に役立つものになるのか。こんな計画は、本当に直ちに中止すべきだということを強く私は要求しておきたい。  中止を決断できないということになれば、それはなぜかと。結局、この買い戻しが臨海救済にほかならないからです。それしかないんですから。  重ねて申し上げますけれども、今日の財政難を根本的に打開するために、その真の原因を明らかにして大胆にメスを入れること、これなしにはないんだということを改めて強く申し上げておく。知事のいうように、大型開発を拡大する道は、東京都を泥沼に引き込むものにほかならない。  今、知事が打ち出した二つのプランに対して、都民の怒りの声が広がっている。私学の関係者は、私学助成が削減されたら経営は成り立たないといわれ、父母の方は、授業料が上がるようなことがあれば、子どもをやめさせなければならないかもしれないと悲痛な声を上げている。都営住宅に住む高齢者の方々は、減免制度がなくなったら生きていけない、石原知事は都営住宅を出ていけというのかというような怒りの声も広がっているわけであります。  また、区市町村は、都の計画が実施されれば住民に大きな影響が生まれる、切り下げをそのまま住民に押しつけることはできないと、これまた厳しい批判の声を上げています。区市町村議会での、都の計画の見直しを求めて施策の継続を求める意見書も、全自治体の四割に当たる二十八自治体で決議しています。  私は、石原知事がこのような都民の声に耳を傾けて、都民いじめ以外の何物でもない、この二つのプランの具体化を直ちに中止するということを強く求めて、私の質問を終わります。以上です。(拍手) ◯矢部委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。    午後三時七分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時三十五分開議 ◯矢部委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  発言を願います。 ◯森田委員 私は、財政再建の中でも内部努力を中心にして、きょうは知事にお伺いしたいというふうに思っています。  まず、私どもは、知事の財政再建にかける取り組みについては評価したいと思っております。再建のために、職員定数の削減、施策の再検討、給与費の削減、また、外郭団体などの見直しについては、大変に理解できると考えます。しかし、施策の見直しに当たって、各施策は歴史的な経緯、あるいは都民や議会が築いてきたものがあり、安易に削減すべきではないと公明党は一貫して主張してまいりました。  そこで、まず、施策の見直しについての知事の基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。 ◯石原知事 おっしゃるとおり、それぞれの施策に過去からの経緯があり、それが歴史としてある重みを持っていることは十分承知しておりますが、やはり時代が変わり、都民のニーズも変わっておりますし、福祉なら福祉そのものも、国そのものが、例えば介護保険のような新しい制度を設けることで基本的に観点を変えてきた、考え方を変えてきた。その中で、私たち東京も、各施策について果たして正当な歴史性があるかどうかということを踏まえながら、結果として、都民に本当の満足をいただいているかどうか、いただけるかどうかという、ある意味で、それは費用対効果のコストプロフィットの問題もあるでしょう。それから、同じサービスでも、行政でも、時間がかかり過ぎれば効果も上がりませんし、そういう意味で、コストプロフィットと速度といいましょうか、そういうものが必ず都民の満足につながるということで、施策というものを点検していきたいと思っております。 ◯森田委員 知事のいうことはよくわかりますが、これから各施策について議論をしてまいりたいと思っております。  ここで、施策の見直しの前に、職員の意識改革が大変に必要ではないか。これは知事もそのようなことをいわれておりますけれども、むだを省いて効率化を図っていくことが何より必要なことだ、このように考えます。知事はよく、民間では考えられないことだということをいわれますが、知事にご就任されて半年たちました。民間と都庁とは、どのような点が特に違っているとお考えですか。 ◯石原知事 今申し上げたことが、民間ではもう少し徹底して行われている印象は否めませんね。つまり、余計な金がかかり過ぎている、余計な時間がかかり過ぎている、そういったものに対する意識が余りない。しかも、どんな行政でも財政を伴うわけでありますから、財政がここまで逼迫してきているならば、それなりの財政の危機感というものを持ってもらえれば、もうちょっと効率のいい行政も行われるでしょうし、また、新しい発想も出てくるんじゃないかと思います。  このごろ、若い職員からの意見を募っていますと、なかなかいい意見が出てまいりまして、本当に何でこういうことが今までできなかったのかなというようなことがいろいろございますので、そういったものも大いにしんしゃくして行政の実を上げていく、そういう努力をしたいと思っております。 ◯森田委員 私は、知事のリーダーシップに大変に期待している一人ですけれども、ぜひ職員の意識改革に取り組んでいただきたいなと。なかなか困難な課題だと思いますが、ここがポイントではないかなというふうに思います。私は、内部努力の中でも、先ほど来議論されている数百億円、数千億円のお金ではなくて、小さいお金でも、削減していけば、あるいは努力していけば大変な効果があるのではないか。その一環で、少し議論したいと思います。  私たち公明党は、都庁の高コスト構造ということを一貫して指摘してまいりました。コストが高い。これを低くしていけば、財政もそこにゆとりができるんじゃないか。かつて、少し前ですけれども、水道メーター事件というのがありました。今、水道局は四十二億円の返還訴訟をしているわけですが、四十二億円も高い金額で水道メーターを買っていた、こんな事件がありました。  それから、都庁全体がこういうことを反省していこうというふうに私は伺っておりましたが、余り変わってないんじゃないかなと思うんです。私は、ことしの三月の予算委員会で、資材の購入、特に薬剤購入、清掃局とか下水道局、水道局、こういう局が使っている薬剤の購入の談合問題を取り上げました。詳しいことは時間の関係で申しませんけれども、民間より高く買っている、あるいは他の自治体よりも高く買っている、しかも、購入時期あるいは購入業者が違っても、ほぼ同じ金額で購入している、こういう事実を指摘したわけです。  そうしましたら、つい最近ですけれども、一つの局、下水道局の一つの薬品だけ、ことしはこうなりましたという報告がありました。十年度に比較すると、その薬品だけで約六千万円安くなっている。これは、こういうことをやっていくと、都庁全体では大変な削減になるのではないかなというふうに思うんです。  これは、青島知事の時代のことでしたけれども、新しい石原知事になって、都庁の中でこういうことがあるという──事実はこういうことなんですけれども、薬剤等なんかでも高く買っている、そういう構造について知事はどのようにお考えでしょうか。 ◯石原知事 これだけ世帯が大きくて、それぞれの部門の行政の歴史も長いと、いろいろなもたれ合いとか、なれ合いとかがあるんでしょうね、やっぱり。ここまで来れば、思い切って断って、コストということを考えて当事者がやっていきませんと、結局、最後は都民に迷惑をかけるわけでありまして、今ご指摘の薬剤のことは存じませんが、若い職員の中で、この間、匿名でありましたけれども、例えば都立の高等学校の什器とか文房具の購入云々も非常にむだがある、そういう指摘がありました。  これは検討に値するものだと思って、早速、手をつけようと思っていますけれども、やっぱり若い職員の方が、これでいいのかなという意識をむしろ持っている節がありまして、それはそういう新しい可能性といいましょうか、発意というものに都としても期待せざるを得ないと思いますし、おっしゃったとおりでございまして、もはやなれ合いということで過ごせる時代じゃございませんから、ご指摘のように、ただただ危機意識ということではなくて、具体的にそれをどう体現していくかということを、強く指導していきたいと思っております。 ◯森田委員 その予算特別委員会での質問を受けて、財務局は、物品購入について調査を行ったようです。その結果、問題点と今後の課題が報告されているようですが、どんな内容でしょうか。 ◯木内財務局長 今回、財務局におきまして、さきの予算委員会における先生のご指摘を踏まえまして、薬品のような継続的、反復的に購入しております物品について、具体的な調査を行いました。その結果、ごみ処理や下水処理に使用する工業用薬品、ごみの収集車、被服などにつきまして、契約単価がほぼ同一で、少数の限られた相手方との契約になっているような傾向が、間々見受けられたところでございます。  この理由といたしましては、ごみの収集車、あるいは被服等について、東京都が独自の仕様を設定しているようなことがございますので、そうした仕様に基づいての車なり物をつくっていく業者が少ないというようなこと、あるいは工業用薬品なんかについては、市場価格に変動が少ないこと等々の理由が考えられたわけでございます。  今後の対応といたしましては、今申した都独自の仕様なんかについては見直しをしていくこと、あるいは指名選定の業者をふやしていくことなどによりまして、入札における競争性を高めていきたいというふうに考えております。その他等々、他の自治体の単価等を参考にすること、あるいは契約額の推移などをずっと反復的に見ていくというようなことをやっていくことといたしまして、できるものは十一年度から具体的に即反応し、先生お話があったように、薬品等については単価が縮減されたというふうに考えております。  今後とも、契約における一層の公正性、あるいは経済性の確保、二つながらを追求していきたいと思っております。 ◯森田委員 この調査ですべての物品をやったわけじゃないんでしょうけれども、幾つか局長が今報告していただいた中でも、こんなことができていなかったのかということがあるわけです。一つは、例えば被服関係では、今までは東京都の専用のものをつくっていた、だから高くなっていた。今回の調査で、可能な限り市販品を使用するなど、仕様の見直しを行うとか、工業用薬品については、今までは積算資料等の本ですね、情報誌中心で薬価を見ていた。しかし、これからは他の団体の取引等、事例を考慮して幅広い情報をもとに目途額を決定するとか、あるいは清掃車についても、東京都独自の仕様でつくっていたので高くなっていた、こういうような指摘があるわけです。これは当然、やるべきことですね。  今さらこういうことが行われて、今まで行われていなかったこと自身が不思議なことだなと。東京都全体でいうと、少し前に施策の総点検をやったというふうに僕らは伺っています。しかし、本当に何を点検したのかなという思いで、たびたびになりますけど、知事、こういうことを変えていくのが、ある部分では行政改革、内部努力ではないかなと思うんですが、いかがでしょう。 ◯石原知事 おっしゃるとおり、施策の総点検といったって、いうは易しいんですけど、具体的にどういう形で点検を追い込んでいくかという、マニュアルというんでしょうか、方程式、システムというんでしょうか、コードを十なり幾つなり構えて、それ一件一件にチェックしていくということをしませんと、総花的な話に終わってしまうと思います。  まさに、ここまで財政が来てしまったんですから、本当に爪に火をともすみたいな努力をしなくちゃいかぬと思っておりますし、それをどうやって具体的に徹底させていくかということは、私たち幹部で考えて、考え出すだけじゃなしに、本当に徹底するという努力を不断に続けていきたいと思っております。 ◯森田委員 ここにごみ収集車の契約単価の一覧表があるんですけれども、これを見てみましても、例えば四トンのごみ収集車、これは平成七年からしかデータがありませんけれども、ほとんど一台七百四十五万、少し安くて七百四十一万、こういう値段がずっと続いているんですね。年間百台以上買っています。もっと極端なのは、スイーパーといわれる特殊自動車ですけれども、これは台数は少ないんですけれども、私の持っているデータ、平成七年から十年まで、全部五百九十万に統一されている、こういう事実があるわけですね。  きょうは決算委員会じゃありませんので、この問題については触れませんが、こういう体質があるということを、知事、ぜひ知っておいていただきたいんです。ここを変えないと、都民に施策の見直しで負担を与えるといっても、それ以前に、都庁みずからがこういう努力をしないと、物を安く買う、むだを省く、そういうことを考えていかないと、都民の方たちは納得できないんじゃないか。財政が厳しい、厳しいといっても、本当に努力してここまでやったから、あと都民の皆さん、協力してくださいというふうに持っていかなければ、都民の皆さんは納得できないんじゃないかなと、そういうふうに思います。  もう一つ、具体的な例ですけれども、高コスト構造の例の一つです。今、東京都はたくさん軽油を使っている部署があるわけですね。二つありまして、一つは交通局、一つは清掃局。交通局は交通局独自で軽油を購入しています。清掃局は都庁本体で購入しておりますので、それぞれ購入先が違うんですけれども、同じ都庁が買っている軽油が、清掃局は大体リッター五十六円から七円で買っている。ところが、交通局は五十円前後と、六、七円の差があるわけです。同じ都庁の中で、大量に使っている二つの部門が、値段が違って、私もまさかと思ってデータを取り寄せたんですが、それだけの差が出てきている。そうすると、清掃局全体で、六円から七円高く買っていることで、数千万円のむだというか、高く購入している。こういうところを変えていかなければいけないんじゃないかなと。  だから、私が思うに、これはたまたま軽油であり、薬剤であったわけですけれども、こういうことがいろいろな部門であり得るのではないか。そのところを変えていかないと、防衛庁とは比較できませんけれども、今、防衛庁で燃料の購入に関してさまざまな問題が起こっていますね。東京都はそういうことはないと思いますけれども、ぜひその辺を点検して、もう一度都民の皆さんが納得できるような形をとっていただきたいなと。再度、知事、よろしくお願いします。 ◯石原知事 むしろ、そういう具体的なご指摘を伺う方が、こちらもはずみがつきましてね。一事が万事というんでしょうか、おっしゃるようなことが、きっとあちこちにもあるんでしょう。ですから、それを切り詰めることの方が、自分たちがもらっている給料を切られるよりも、職員にとってみたら楽だと思うんですな。その努力をまずすることが、結局自分を助けることになるんだという、そういう意識を何とか徹底させるつもりでございます。ありがとうございました。 ◯森田委員 私どもが指摘するよりは、担当している職員が一番よくわかるんですね。僕らはたまたまデータを入手してわかるのであって、担当している幹部職員の皆さんは、よくわかっていることではないかなと思います。例えば清掃車の問題、あるいは薬品の問題、データを見れば、私たち素人でもこれは何かあるなということが感ぜられる。そういうデータは、その部門の管理職の皆さんは持っているわけですから、そういうチェックをするということが大事なことじゃないか。それが、全職員の意識改革ということになるんじゃないかなというふうに思うんです。  私は、全職員、これだけ大きな都庁の職員の意識改革というのは、時間も労力も大変だと思います。しかし、管理職の皆さんが少し考え方を変えていけば、こういうことがわかってくるのではないか。知事は、行政評価制度というのをやろうと。平成十三年からやるというふうに伺っていますけれども、十三年といわずに、こういうことをチェックしていくのが、ある部分では行政評価ではないかなと。そして、これには明確な目標を立てて、都庁として何をするのか、そして、どれだけのむだを省くのか、目標を定めて取り組んでいく。そこに幹部職員の意識改革もあると思うんですが、目標を定めることについてはいかがでしょう。
    ◯石原知事 そういう、都民が聞けば不当な価格で物を購入する体制というものを淘汰するためには、徹底して思い切ったことをしなくちゃいかぬと思います。まさにそれが行革につながるものだと思いますし、意識の改革につながるんだと思いますが、これをどうやって──余り部内告発みたいなことを誘発したくもございませんから、正々堂々と、上にいる者が下を督励して、そういった体制というのを是正させていくことが望ましいと思います。内部の告発のし比べ、そんなことじゃなくて、堂々と正当な行政の順序の中で、組織の順序の中で、そういった弊害というものを淘汰していくために、具体的な方法、よき方法を、できる限り早急に考えたいと思います。どこかの局に強い宿題を出すつもりでおります。 ◯森田委員 ぜひ、リーダーシップのある知事にこの辺のところをしっかり取り組んでいただきたいなと。私は、都庁の重箱の隅をつつくようなことをやるつもりはないんです。しかし、今、こういう時代、特に財政再建ということで、都の職員、議員、あるいは都民の皆さんにまでいろいろな負担をおかけせざるを得ない、そういう中で、努力できるところは全面的に努力をして、そして、都庁がここまでやっているんだというところを見せていくことが、本当に必要なことではないかなというふうに思います。  たまたま幾つかの問題点を取り上げましたけれども、都庁の中には、まだそういう高コストでやっているところ、あるいは非効率なところ、さまざまなところがあると思いますので、ぜひ知事がリーダーシップをとって、この問題について取り組んでいただきたい。このことを要望して、私は質問を終わります。      ───────────── ◯石井委員 まず最初に、知事にお尋ねいたします。  知事は、二十五年の国会議員の生活をやめて、辞職をし、そして知事を目指されたわけであります。その国会議員をやめて知事を目指した動機は何なのか、また、知事になってみてのご感想をまずお伺いいたします。 ◯石原知事 二十五年というのは、ある意味で切りだったと思いますけれども、なぜ唐突にやめたのかといわれるんですが、私は私なりに考えてやめました。私は、もともと非常に短気で、せっかちな人間で、長いこと国会にいまして、いろいろなことに自分なりに気がつき、仲間とも語らって、こうしよう、ああしよう、これをしないとえらいことになるぞというような努力もそれなりにしたつもりですけど、なかなかはかがいかない。国民もいらいらしているでしょうし、国の勢いがどんどん衰えてきて、周りの国からばかにされる。そういう中で、私自身も口惜しい思いもしましたが、かといって、一生やっても、どうも自分自身の手ごたえがおぼつかない。そういうこもごもの感慨がございまして、詳しくは申しませんが、あいさつの演説でああいうことを申して、やめました。  その後、物書きに戻っておりましたが、なかなか国もうまくいかない。ただ、肝心の東京も私から眺めると、青島さんにも期待しましたが、空白といっていいような四年間がありまして、そういうものも、無為の堆積というものが東京を今日のていたらくにした。自分ならどうするかなということを考えているうちに、結果がこういうことになりましたけれども、就任してみますと、やっぱりえらいところだなという感じがしますね。やるべきことはたくさんあるし、知事一人でできるものじゃございませんし、先ほど申しましたが、お互いに都民に選ばれてきた人間として、いろいろ局面、局面では、イデオロギーとか政治の見識、違うところもあるでしょうけど、しかし、一〇〇%合意が得られなくても、意思を疎通し合って事を図れば、手ごたえのある変革が、東京なら知事の責任で、職員も督励し、議会の皆さんにも諮って行うことで、できるんじゃないかなどという自分なりの自負とは申しませんが、期待を持って今のところ何とかやっております。 ◯石井委員 今回、知事選で知事が選ばれた時代的背景というんですかね、都民の皆さんは何で石原慎太郎を信任したのか、その辺はどう率直に思われますか。 ◯石原知事 これはまあ、自分の口で余り答えるべき問題じゃないと思いますけれども、ほかの候補との比較において私が選ばれた、そう認識するにとどめたいと思います。  大事なことは、まず、最初の任期の四年間で何がどこまでできるかということだと思いますし、やっぱり最初の一年は助走期間だと思いますが、その後、ひとつ皆さんのお力をいただいて、お知恵もいただいて、もう党派を超え、流派を超えた、都民に直接つながる効果のある行政を実現したいと思っております。 ◯石井委員 私は、これまでの歴代の知事誕生の、都民の皆さんの選んだ動機というんですか、いろいろ調べてみました。昭和四十二年に登場した美濃部さんは、高度経済成長のひずみを是正するという意味で出てこられた。しかしながら、その後、昭和四十八年、五十二年、二回のオイルショックを乗り越えることができなかった。また、十八万の職員を二十二万人にふやしてしまって、行政改革というか、非常に肥大化して破綻寸前になった。経済の美濃部、経済に破れるということで、美濃部さんが去っていった。  五十四年に選任された鈴木さんは、そうした中で、財政再建というものをバックグラウンドにして出てきた。やがて景気の好調の追い風に乗って、四期十六年やってきた。しかしながら、知事も「国家なる幻影」の中で書いておりましたけれども、プラザ合意、そして中曽根民活という状況の中で、国土庁が過大なビル需要の見誤りを行う。そういう中で、日本がどんどんバブルに突き進んでいく。やがて、バブルに耐えられなくて、結局は鈴木さんも、地方自治の鈴木、地方自治に倒れるということで交代された。  その後、平成七年に、青島さんがそのバブルの終焉のさなかに出てくる。一つは、臨海開発が象徴的な事例でありましたから、都市博覧会中止、また、既に二信組の三百億円が決定された後、コスモ信組の、でたらめな経営で破綻した信用組合に都民の税金は使わせないという二つの旗印で出てきたけれども、第一番目の都市博の中止ということは公約いたしましたが、コスモ信組の二百億円はついに決定せざるを得なかった。庶民の皆さんに選択され、応援されて出てきたけれども、結局は、庶民の声にこたえられなくて、今回、再任の決意ができなかったと。そういう時代背景がありますね。  これまでの知事は、それぞれ都民の皆さんの大きな期待の中で出てきたけれども、一つは国家運営というんですかね、国の運営の影響をまともに受けて、結局は悩み苦しみ、沈んでいった。都政運営を行うためには、強固な財政基盤がなければならない。一つは、構造的に東京の場合は国に財政構造が制約されている。もう一つは、景気変動が激しい法人二税に依拠している。したがって、どうしても経済の側面で破綻せざるを得ない。  また、知事の書かれた「国家なる幻影」を初め、すべての書物を読ませていただきました。「弟」も「法華経を生きる」、「『NO』と言える日本」、最近は「太陽の季節」も読みまして、書物を読みながら知事の信条を勉強したわけでありますが、知事がなぜ国会議員を辞職したのか。最後の国会の演説の中でも明確に述べられているわけでありますが、結局は今日の中央集権的な官僚体制が日本を機能不全に陥れている、それを打破していかなきゃいけない、官僚機構に先導される政治であってはならないんだと。その夢を東京都政で果たそうというので、都知事に出てこられたんじゃないかなというふうに実は私は思うわけであります。  したがって、これからは二十一世紀に向けて東京が確実にソフトランディングしていくためには、中央集権的な官僚機構というんですか、いいにつけ、悪いにつけ、現実にそういうことがあるわけでありますから、それを超える──政治の主役は都民の皆さん一人一人でありますから、主権者である都民、住民の立場に立った都政を行っていく、それが石原都政に課せられた使命ではないか、私はこんなふうに実は思うわけでありますが、いかがでございましょうか。 ◯石原知事 私も、石井委員のご指摘のような自覚を持っておるつもりでございますが、なおおっしゃったことに共鳴しながら補足しますと、中央の官僚システムというのは大きくなり過ぎて、なかなか身動きがとれない。ならば、少しサイズは小さいけど、国家に近いすべての機能を持って、しかも三千三百万、人口は実際千四百万ですが、首都圏の中心にある東京が、議会と都庁の協力の上で、新しい行政の政治の進め方のモデルビルディングのようなものができましたら、国家もそれを評価せざるを得ないと思うし、国民もそれを評価することで、中央の官僚も動くんじゃないか。  だから、大事なことは、余り国会で見られません、かんかんがくがくの議論をしながら、一〇〇%とはいきませんでしょうから、最大公約数を取りつけることで、その合意の上で、都民が評価という以前に納得してくれる政治の進め方というものをここで実現していきたいなと。そのためには、議会の皆さん、私と同じように都民の声というものを背負って選ばれた人たちと、まず意思を疎通して、意見を出し合って、激しい議論もしながら、そういう夢を成就していきたいと思っております。 ◯石井委員 考えてみれば、バブルの招来、そして破綻によって十年になんなんとする今日、日本も東京も大変苦しんでいるわけですね。知事はアメリカに対してはっきり物をいっている、「『NO』と言える日本」ということで。確かに考えてみれば、昭和六十年のプラザ合意から、日本のバブルが大きく膨らんで、やがて平成二年に急に締めたものですから、今日の状況に来ている。ですから、アメリカに対してもはっきりと物をいうということは大事だし、それにも増して、それに追随する日本の官僚機構というんですかね、それにはっきり物をいうということは、私は非常に大事だと思います。  もう一つは、経済原則だけではなくて、生きとし生ける政治の主役である一人一人の住民に、知事も心を置いている側面は私は感動いたします。それは環境問題であります。かつて、知事も環境庁長官のときに、水俣病の患者についていろいろと誤解をされていたようでありますが、読んだ本でしか知ることはできないんだけれども、知事の人の心のひだに迫る記述を読んで、私は全くそのとおりだなと。現実に知事となって、NOx対策、ディーゼル車対策を強力に進めている、これは非常に大事なことだと実は思っているわけであります。  それから、行政改革の取り組みですね。今までの歴代の知事ができなかった、その行革への取り組みをやろうとしている。それは大変大事だし、私たち公明党も、口幅ったいいい方でありますが、都庁の中では一番行革を主張してまいりましたし、数々の実績を上げてきたと自負しているわけであります。  そこで、こうした立場に立って、今、東京都が進めようとしておりますさまざまな行政改革プラン、また、行革についてお尋ねいたします。  その前に、今、最大の都政の問題は景気対策でありますから、景気対策について、まずお伺いしたいと思います。  国は、間もなく自自公の三党合意に基づいて臨時国会を開き、そして、今、中小企業の方々が困っていらっしゃいますから、中小企業国会ということで、中小企業に対するさまざまな対策、またはベンチャー支援を初めとするさまざまな、今までなかなか目の届かなかった中小企業の方々に対して光を当てていこうということで、それに関連して補正予算も今考えているわけであります。従来の補正予算はどうしても、各都道府県の裏負担、ましてや東京都は不交付団体でありますから、国が恣意的に幾ら補正予算を組んでも、今日の状況ではそれについていけない。しかしながら、補正予算は非常に重要なわけであります。  まず、これは財務局長にお尋ねしたいんですが、都としても国に対して、裏負担の対応を知事を先頭に強力にやってもらうしかないわけでありますが、そうした対応はするとしても、都としても、重要な景気対策として補正予算を組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯木内財務局長 お話のように、国におきまして、事業規模としては十兆円を超えるような景気対策、総合経済対策を行うというふうに聞いております。あわせて、補正予算を編成すると聞いておりますけれども、先生お話がありましたように、東京都の財政、お話しするまでもない状況でございますので、何としても裏負担について、東京都は交付税の不交付団体──交付団体であれば、国としてさまざまな支援措置がされているわけですけれども、不交付団体であるがゆえに、実質的には何らされないわけですので、そうしたものについて特例的な財源措置を何としてもしてほしい。そうしなければできないんじゃないかというのが認識でございまして、議会の先生方のご協力といいますか、連携しながらそうしたことを行うことによって、編成できるような環境をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。 ◯石井委員 その件については知事にお尋ねしたいんですが、知事はよく総理に会ったり、自治大臣に会ったり、官房長官に会っておられます。国として、景気対策として大がかりな補正予算を組むわけですが、幾ら起債といっても、後に借金として残るのではどうしようもないわけでありまして、国に対して強力に裏負担を要請していただきたいと思いますが、いかがですか。 ◯石原知事 おっしゃるとおりでありまして、今、財務局長もご説明いたしましたが、少し具体的にいいますと、例えば公立の学校の先生の給料を、本来なら国が負担すべきものを全然払わない、その他この他、東京は金持ちだからいいだろうというのでほったらかしにしてきた。本来なら、東京の収入があるわけですね。それは、ここまで来れば、とにかくはっきり理解してもらって、東京に出すべきものははっきり出してもらうという努力はしたいと思っております。  行ってみると、今度、亀井君が政調会長になりましたが、要するに建設事業云々、それを重点的にやるといっていますが、それは結構ですけれども、東京だから黙ってついてこい、金があるだろうというわけにはなかなかいきませんで、どうせ国が使い残した金の使い道なんですから、東京がその対象になるなら、東京の窮状、しかも今まで随分我慢をさせられた部分だけは、今度ははっきり補てんしてくれという主張を、これからも執拗に繰り返したいと思っております。 ◯石井委員 今、知事のおっしゃった義務教育教職員の国庫負担金とか、道路譲与税とか、従来、東京都が制限されているさまざまな財源の確保はもちろんでありますけれども、国が補正予算を組むというならば、その財源は強力に求めていくべきだと思います。  それから、来年四月になりますと、東京都の機関委任事務が国に返還されるわけであります。その中に信用組合の指導監督があるわけであります。実は、平成八年に預金保険法が改正されまして、その八年以降の大阪の木津信組等々、信用組合は国の責任で破綻処理されているけれども、その八年以前に破綻した、東京では二信組、東京協和、安全、そしてコスモ信組、東京都は国にそのまま返しちゃいますから、東京都はほおかむりでいいんですが、肝心な中小企業、知事も一生懸命中小企業対策をいっておられますが、中小企業のコミュニティバンクとして機能している東京都の信用組合の方々が、二次ロスを含む処理費がかれこれ四十七億あるわけでありまして、例えば、信用組合の指導監督が国へいったとしても、そのままのスキームが残っていくと、信用組合の方々に対する負担が相変わらず変わらないわけであります。  本来ならば、大蔵省との約束で、破綻処理のスキームができたら必ず助けるから、その間の暫定的な措置として都信協が債権回収の機能を担っていただきたいと、大蔵省に頼まれて実はやったにもかかわらず、それが相変わらず残って、中小企業の方々が使っている信用組合が非常に大きなダメージを受けて、それが回り回って、中小企業の方々に大変不便をかけているわけであります。  都信協から知事にも要望が出ていると思いますけれども、けさの日経新聞を見ると、国が見るような話も実は出ているわけでありますが、ぜひとも国の責任でこの信用組合の二次ロスの破綻処理をするように、知事の方から国に対して強く要請すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯横山総務局長 今お話しの新聞記事につきましては、実は旧二信組、それからコスモ信用組合が破綻した当時、所管局におりましたので、重大な関心を持って読みました。  信用組合の破綻処理につきましては、お話のとおり、平成八年六月に金融三法が制定されまして、一定のルールが法定されたわけでございますが、旧二信組並びにコスモ信用組合につきましては、三法制定以前の破綻であることから、ルールの対象外とされて、今日に至っているわけでございます。この間、都としましては、国に対して所管局を中心にルールの対象とするよう、法令の改正を強く要望してきたところでございます。  お話の報道によりますと、二次ロスへの対応策として、旧二信組、コスモ信組の不良債権を対象とする、こんな報道がございまして、一歩前進したなという印象を持っております。そのためにも、旧二信組並びにコスモ信組の破綻処理を整理回収機構のルールの中に取り込んでもらうことが、まず第一に必要である。そういうことから、都としましては、今後とも強力に国に対して働きかけてまいりたいと考えております。 ◯石井委員 これは、都としてもずっと今までいい続けているわけでありますが、ぜひともこの際、知事からも強力に要請していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◯石原知事 実は、先般も幹部会議でその旨を確認しまして、これからも事あるごとにといいましょうか、内閣もかわりましたし、要所要所に、その要望を機会あるごとに続けるつもりでございます。 ◯石井委員 行政改革が進み、今後、東京都はこの十一月にも危機突破・戦略プランをつくる、そして、さらにそれを高めて都市構想に持っていく、このように出ているわけであります。  知事は、六月の所信表明の中で五つの危機を叫ばれました。そのとおりだと思います。さらに、都市構造の危機というふうに一番最初に述べられておりましたけれども、私は、震災対策の危機というのは、実は非常に重要ではないかと思います。けさの新聞報道によりますと、東京都は台湾に地震の調査団を派遣した。これは非常にタイムリーですばらしいことだと思うし、また、来年の防災訓練は自衛隊の協力を得て、大がかりな訓練をやっていくと。また、知事もこの間、訓練にも参加していただいた。あってはならないことですけれども、必ず大きな地震が来ると思います。  したがって、火災さえ出さなければ、また、家具の下敷きにならなければ、どんな大きな地震が来ても乗り越えることができるわけであります。しかしながら、東京都の一時避難場所である小学校、中学校は、まだまだ耐震診断もしていないような学校があります。医療施設についても、一般の病院については、ほとんど耐震診断すらされていない。来年四月の介護保険に合わせて療養型病床群になる病院については、廊下を広げたり、いろいろ改善はしているんだけれども、震災対策という点では、補助金も何もおりないものだから、全くなされていないわけであります。  浜田幸一さんが石原知事に、石原君に告げるというので本を書かれて、あの中に、東京は必ず地震が来るんだと書いてある。地震に備えろと。私は、地震に一番弱い墨田区に住んでいるものですから。トルコ地震では一万五千人が亡くなったといわれておりますけれども、大正十二年の関東大震災で、墨田区で三万八千人亡くなったんですね、被服廠で。あってはならないことでありますが、必ず来ると想定して、地震に対するハード、ソフトの備えをやるべきだと思います。  東京は、それなりにやっているわけでありますが、今後、危機突破・戦略プラン、また、都市構想の中で、先ほど知事から、ぜひともいろいろな提案をいただきたいというお話があったものですから、震災の危機ということを都政の重要な柱にぜひとも加えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯石原知事 浜幸さんの予言を拝聴しなくても、私も、遠からず何らかの形でかなりの地震が東京に来るんじゃないかという危惧を強く持っております。ですから、これはみんなが感じていることですから、あえて五つの危機に、余りにも自明なことなので入れませんでしたけれども、おっしゃるとおりでありまして、政府というか、国家の中枢機能は、都庁も含めてですけど、そういったものは耐震性で防御されていますけれども、木造の建築のもろさは、私も神戸の震災の直後に行って痛感いたしました。  それから、おっしゃられたことに一つ該当するのは、大きな病院が四階か何かで座屈しておりまして、実質的にそれから上は使えないという状況になっていました。ですから、これは際限なく金のかかることでもありましょうけれども、ともかくできるだけ有効な方法で犠牲を少なくする、何とかそういう手だてというのは、日々重ねて講じていきたいと思っております。 ◯石井委員 実は、今回の国の補正予算の中にも、防災のまちづくり、これは公明党が入れさせたんですけれども、入っているわけであります。景気対策にあわせて、この防災のまちづくりは中小企業に波及いたしますので、東京の課題解決とあわせて景気対策になりますから、ぜひとも進めていただきたいと思います。  次に、財政再建プランに関連してお尋ねをいたします。  知事は、聖域なく東京都の施策を見直しするということで、先日も財務局から、その中でも百三十八事業の中から八十事業に、五億円以上の東京都単独の事業を絞り込んでいるわけであります。私たち公明党は、今日の東京都のすべての政策をスクラップ・アンド・ビルドの立場で見直すことが重要だと思っております。  この列記されているさまざまな施策を見ても、中には、これは役割が終わったんじゃないかなと思われるようなものがありますので、当然、見直しは必要だと思います。ただし、その見直しをする際に、一律にカットするというのではなくて、垂れ流しとか、ばらまきであってはなりませんけれども、真に必要な福祉、真に必要な医療、真に必要な教育、こういう問題についてはきちんとめり張りをつけてやるべきではないかと思います。  例えば、今、少子化対策というふうにいわれております。今、東京都は、生まれる子どもがご夫婦で一・〇六人、二十三区は〇・九人。日本の人口は今一億二千万、あと百年たつと、このままでいきますと六千万、半分になってしまう。二百年たったら、日本民族は少数民族になってしまうというぐらい、大変な状況であるわけであります。したがって、なぜ子どもが生まれないのか。それは、教育にお金がかかり過ぎるからであるし、住宅の間取りが狭いからだし、また、共働きをしながら子育てする態勢にないからであります。  したがって、少子化対策として、住宅、教育、また就労ですね、こうした面から子育て対策をやることは、決してむだではないし、むしろ、日本の基盤を強くすることでありますから、そういう意味では、例えば、この見直し項目の中に出ております乳幼児医療の無料化とか、児童手当とかいうものは、ただ単に五億円以上だから、むだだからカットするというんじゃなくて、時代的な背景とか、バックグラウンドをよく見ながら、一つ一つ吟味しながらやるべきだと思いますが、知事、いかがでしょうか。 ◯石原知事 手のうちを明かすわけでもございませんけど、それは十分心得てやるつもりでおります。ただ、一応そういう姿勢を構えませんと、詰まるところは総論賛成、各論反対に終わってしまったのでは、結局、落ちるところが落ちてしまうわけでありますから、先ほど、共産党の質問にもありましたけど──答えようと思ったら、一人で演説されて終わっちゃったんだけど、やっぱり心の問題ですからね、福祉というのは。ですから、方法を変え、発想を変えて、結果として満足してもらう状況を維持できればいいので、それは金をただ続けるということじゃないと思います。  ですから、そういう意味で、こういう時代になりましたので、発想を変え、方法を変え、結果として満足と安心はしていただくような、そういう状況は福祉に関しては何とか続けたい。そのために、ひとつ皆さんのお知恵をかしていただきたいと思っております。 ◯石井委員 どうしても施策を見直すならば、一つは、大方の都民の皆さんの理解をいただく、これはしようがないなと。もう一つは、それ以前に新たな施策の展開をセットして、これは切るけれども、そのかわりこういうふうによくなりますよという、新たな施策をセットするということ、もう一つは、そのことについて関係する住民の皆さんが、これならいいだろうと。この二つが条件だと私たちはいっているわけであります。  そこで、次なんですが、行政改革についてであります。  そのように東京都の施策についても聖域なく見直すんだから、今度は、東京都の執行体制についても聖域なく見直すべきだと私は思います。行政改革というのは、ただ単に職員の皆さんの給料を削るとか、定数を削るだけではなくて、質の行革というんですかね、どうしても東京都がやらなければならない仕事、また、東京都でなくて民間でもできる仕事、現在東京都が行っている仕事をよく振り分けて、民間でできる仕事は大いに民間でやってもらうという、そういう視点が大事ではないかと思います。  東京都の仕事を見ていきますと、都庁組織を見ていきますと、一つは政策立案機能、もう一つは行政の権限に関する機能、これは民間でやりようがないわけですから、きちんと都政の中で純化していく、特化していく。もう一つは、都民サービスに直結する出先の事業がありますね。さらに、その先には外郭団体があるわけであります。特に、東京都の警察、消防、教職員を除きますと、八割ぐらいがそうした出先の仕事、出先というか、事業所の機能になるわけであります。そうした事業所の機能は本当に必要なのかどうか、よく見直すべきだと思います。  今、行政評価制度とか、職員の皆さんでブレーンストーミングするとか──行政評価もブレーンストーミングも大事だと思うんだけれども、非常に見方が甘いように、私は実は思うわけであります。したがって、民間にゆだねられる部門については、思い切って民間に大いにゆだねていく。例えば、建設でも財務でも、また住宅でも、用地買収の部門がありますね。何もそれは東京都がやる必要はないのであって、民間の不動産業者の方々にその部門をゆだねるとか、それから公園の管理の部門とか、料金を徴収する部門とか、都民生活に直結する部門については、思い切って表にゆだねていくとか、公民の役割を明確に立て分ける、そういう改革も必要だと思いますが、知事、いかがでしょうか。 ◯石原知事 まさに時代は、日本に限らずそこに来ていると思います。イギリスなどはPFIを非常に積極的に行っておりますし、日本も民活とか、民営化とか、いろいろな問題がありますが、これから行政をスリムにし、かつ、都民に満足していただくためには、コスト意識というものを踏まえても、そういったアウトソーシングを含めて、民間との連携という形での行政の執行というのが、私は必ず今以上に大きな効果を上げると思いますので、個々に応じて、これから積極的にそういったものを検討し、採用していきたいと思っております。 ◯石井委員 例えば、財政再建をめぐる諸課題の中に、ごみ収集処分作業とあるんですね。東京都がごみを収集いたしますと、一トン、四万二千円かかるんですよ。民間だと一万五千円でできるんです。来年四月から区に移管されます。これまでの組合の流れがありますから、いきなり民間というわけにいかないけれども、実は出先の区では、非常にそれで困っているという現実があるわけですね。ですから、これはいずれソフトランディングさせていかなければならないけれども、本当に聖域なく見直すというならば、そうした都民サービスだけではなくて、みずからの執行体制も見直していかなければ平等ではないんじゃないかなと、私たちはいいたいわけであります。  最後に、職員の人事・給与制度も見直すべきだということを申し上げたいと思います。  仕事をやってもやらなくても給料は同じ、仕事をやってもやらなくても、試験ということはあるかもしれないけれども、だんだん役職が上がっていく。民間では考えられないことですから。それはそれで大事な機能はあるんだけれども、そうした年功序列賃金の中に、業績評価、幹部職員の方々は入っているようでありますが、やった人はきちんと評価をされる、やらなければむしろ降格されると。地方公務員法で降格というのはできないそうでありますけれども、そのぐらいの──世間では、納税者の方々は、そういう中で耐えて歯を食いしばって頑張っているわけですから、納税者の税金をいただいている私たち行政としても、納税者に思いをいたして、今後、施策の見直しとか、ぜひともこれはお願いしたい、私たちもやっていますと、みずから範を示して頑張っていけば、ただ単に給料をカットするとか、職員を削るだけじゃなくて、本当に仕事の質を削って、痛みを共有しているその心情を吐露していけば、私は、広範な都民の皆さんは評価してくれるんじゃないかなと思います。  したがって、先ほどは仕事そのものを見直すべきだと申し上げましたけれども、あわせて人事・給与制度の見直しも、一応やっておりますけれども、さらにきちんとやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯石原知事 これもまさに同感でありまして、今のようなシステムというのは、ちょっと世間で通らないと思います。ただ、どうやって勤務を評定するかという規格というものもきちんと徹底しませんと、恣意的になってはならないと思いますし、いずれにしろ、各局、各部門というものの能率を上げ、局長なら局長の成績を上げるためにも、そういった部下に対する厳しい査定というんでしょうか、評定というんでしょうか、そういうものは当然行われるべきだと私は思います。  早い話が、どこの会社でも営業を担当する人間というのは、その実績で評価されるわけでありまして、そういった民間の人事、給与の体系というものは、当然、これから官庁にも持ち込まれるべきものだと思っております。 ◯石井委員 確かに人事の業績評価についても、今知事がおっしゃったように、きちんとした物差しをつくらないと、上にごまをする人だけが評価されるというようなことであってはならないし、また、都としても行政評価にこれからいよいよ取り組んでいこうと。この行政評価も、何を物差しにするか、これも非常に基準が難しい面があります。都としても、さまざまな行革に取り組んでいるわけでありますけれども、私たちは、都民の皆さんに痛みを求めるならば、それ以前に、行政そのものはもっともっとみずからを厳しく見ていくべきだということを指摘いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。      ───────────── ◯尾崎委員 私は、知事は、さきに徹底した内部努力の姿勢を都民に示すという意味合いも含めて、職員の給与の引き下げを提案されましたが、この点について、まず、人事委員会のあり方についてお伺いしたい。  去る十月六日に、職員の給与を〇・二九%引き上げ、ボーナスを〇・三カ月分引き下げるという人事委員会勧告が出されました。この勧告どおり実施されますと、職員の平均年収は約十一万円減収となります。知事は、この勧告をどのように取り扱うのか、お考えをお伺いいたします。 ◯石原知事 ご承知のように、東京都は未曾有の財政危機を克服するための策を講じて、いろいろ努力をしているところでありますが、先ほどからのご指摘もありましたように、みずからが、まず自分の身をそぐということをしませんと、とても都民の皆さんにも納得していただけないし、支持もしていただけないと思います。  人事委員会の勧告は例年のように行われましたが、人事委員会が都政に関して、あるいは国政に関して、国の財政、都の財政に関して広範な、かつ長期な展望なりを持って事を考えられているわけでもございませんし、人事委員会には人事委員会のお立場があると思います。それはそれなりに私たちは十分酌量して、参考にさせていただくことには異議はございませんが……、ということでございます。 ◯尾崎委員 改めていうこともありませんが、地方公務員は争議行為などが禁止されている実情は、よくおわかりのことと思います。警察、消防の職員たちについては、勤務条件の維持向上を図るための団体を結成することも許されておりません。いうならば、一般公務員は手を縛られ、警察、消防の職員は、手だけではなく、足をも縛られている現状であります。そのかわり、人事委員会が適正な勤務条件を勧告するというのが現状の建前であります。この法律による労働基本権の制約と人事委員会勧告制度について、知事の見解をお伺いしたいと思います。 ◯石原知事 国家公務員も地方公務員も、ともに同じ日本という国家社会の中に住んで、暮らして、働いている人間であります。しかし、世間一般を眺めますと、非常にしわ寄せの厳しい中小企業では、三万を超す、主に経営者、経営の責任者が自殺している。東京都庁から一歩出れば、そこらじゅうにホームレスがいるという、東京そのものが日本最大の失業のスパイラル、渦である現況の中で、私は、そういう世間の今ある姿というものを対応の中で眺めれば、私は、公務員の諸君はかなり恵まれた立場にあると思います。その認識というものを、ぜひ人事委員会の方に持ってくださいとは申しませんが、これから組合との今までの信頼関係の上での交渉の中で訴えたいと思いますし、それを必ず都民の皆さんも、メディアを通じて支持していただけると思っております。 ◯尾崎委員 都の財政も、現在の景気の状況もよくわかっておりますけれども、賃下げを提案されたならば、そこで財務局長に聞きたいんですけれども、都の財政における人件費の比率はどうなっているのか、また、各府県の状況はどうか、大都市圏の大阪、愛知、神奈川などについてはどうなっているのか、お聞かせを願いたいと思います。 ◯木内財務局長 九年度の普通会計決算で人件費の比率を申し上げますと、東京都は二八・三%、大阪府は四一・四%、愛知県は三五・八%、神奈川県は四七・四%でございます。なお、そういう意味では東京都が相対的に低いわけでございますけれども、神奈川県、愛知県、あるいは大阪府では政令指定都市を抱えている、そうした意味で政令指定都市に事務の多くが移譲されている状況がある一方では、教職員等々についての人件費は、それぞれの府県が負担しているということの制度的な特殊性もございます。さらにまた、東京都にあっては、特別区の区域において東京都が市町村行政を行っているという特殊性もあるわけでございます。  それぞれ府県制と一くくりであったとしても、行政制度なり、仕事の仕組みというのは異なっている状況がありますので、人件費比率の高低をもって人件費の多寡とか、そうしたことを論議するのは、必ずしも適切ではないのではないかというような認識を私どもはいたしているところでございます。 ◯尾崎委員 人件費については、過去には、大体めどが五〇%前後、こういうような時期もあったんじゃないかなというふうに私は記憶しております。それを超えた場合もあったんじゃないかなと思いますけれども、今聞いて、占める比率というものが、私の立場からいえば大したことないなといいたいんですけれども、都の財政は非常に苦しいということでありますから、それなりに理解はしたいなと、このように考えます。  もう一つ、東京都の都債の残高は今年度末にはどのぐらいになる見通しですか、一般会計予算比で何%になるのか、同時に、国の国債残高はどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◯木内財務局長 都債の残高は、十一年度末では七兆五百八十九億円と見込まれておりまして、一般会計の予算規模と比較した場合の比率は一一二・一%でございます。それに対して、国の一般会計の国債の残高は、同じく十一年度末で三百二十七兆円程度と見込まれておりまして、一般会計予算規模の約四倍となっております。国においては、残高は大きいわけでございますけれども、今の国債の累増ということについては、さまざまな論議があることでございまして、東京都の比率が国に比して低いからをもって財政の云々ということは、これもまた、なかなかいいにくいのかなという、そんな感じもいたしているところでございます。 ◯尾崎委員 先ほど述べたように、都財政における人件費の比率は決して高くないといわざるを得ないんじゃないかなと考えます。国が抱えている借金と比較しても、それほどじゃないといえるのではないかと思います。都財政の危機的状況、その要因はどこにあるかという点をお答え願います。 ◯木内財務局長 財政状況、今日の状況といいますか、さまざまな分析をいたしておりますけれども、私どもとしてはこんなふうに考えているところでございます。  いわゆるバブル経済が崩壊する中、税収が大きく落ち込んだことが直接の原因ではございませんで、それらを背景とする中、都民のサービス水準を維持していこう、そのためには起債の発行も必要であろう、一般財源を生み出すことも必要であろうと、そうしたこの間の財政運営が結果として、顧みれば、今日の事態を招いたかなという自己の反省も含めながら考えているところでございます。  そんな意味では、先ほど来ご答弁申し上げていますように、聖域なき施策の見直し、あるいは執行体制の見直し、そうしたことを行うことが、今日の都財政については求められているというふうに考えておりまして、そうした立場で、これから財政再建に全庁挙げて取り組んでいくよう努めていきたいと考えております。 ◯尾崎委員 職員が仕事をしなかったから、都財政が危機になったというわけではないと思うんですね。景気対策を初め、国につき合わされた部分も多少あるんじゃないかなと。職員が一生懸命仕事をしてきたということについては自信を持っていえるんじゃないか、こういうふうに思います。労政事務所などでは、年間三万件の労働相談を受けているといわれていますが、今では年間五万件を超えているといわれています。職員を減らされながら、仕事は今まで以上にふえている。こうした職員に財政危機の責任があるかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。どこに責任があるのか。 ◯木内財務局長 なかなか難しい質問でございまして、一人一人の職員について、何といいますか、私ども管理職を含めまして、責任の重い者については、それぞれ職責に応じて、それぞれの責任があるんだろうというふうに、私個人としては思っております。しかしながら、今お話がありましたけれども、本都としての立場においては、これから財政再建に取り組んでいこうというのが、一致団結した私どもの意識でございまして、先生、今いろいろおっしゃいましたけれども、責任の所在を追及すると同時に、そのことがまた、次のステップに進むということの位置づけの中で議論いただくことの方が、よりありがたいのかなというふうに思っているところでございます。 ◯尾崎委員 ここで総務局長に伺います。もし万が一、人事委員会勧告が無視されたということで、一方的に破られた場合、相手側は相手側として、まあ、しようがない、ストライキでもやろうじゃないかということになって、都庁に旗でも立ててストライキが行われた場合、それについてどのように(「断固処分だよ」と呼ぶ者あり)あんたに聞いているんじゃないんだ、向こうでいわなきゃ困るんだよな。自分の方では一方的に人事委員会勧告については要求する、それについてどうしてもできないということになると、相談だと思うんだね、物は相談。そういう中で、ぎりぎりの線が出てくればいいけれども、不満が出て、ストライキなんかあった場合、地公法からいっても処分が出るのは当たり前なんだね。当たり前だけど、そこは話し合いで解決していくというのも、当局と組合側との話し合いだ、こういうふうに思うんですね。  だから、そういうことがあっちゃいけないのはわかっているんですね。なるべくしないようにするのも、あなたたちの努力じゃないかな、こういうふうに思うので、その点について、難しければ難しくても結構ですから、ご答弁を願いたいと思います。 ◯横山総務局長 ただいまご質問の中に、人事委員会勧告を無視するという言葉がございましたが、私どもは決してそういう姿勢はとっておりません。人事委員会勧告の取り扱いに当たりましては、都を取り巻く極めて厳しい社会経済情勢や、かつて経験したことのない未曾有の財政危機などを考慮しまして、都民の理解を得られるような対応が何よりも必要であると考えております。このため、現在、勧告の趣旨を考慮しつつ、慎重に検討しているところでございます。  なお、ストライキにつきましては、いかなる理由であれ、禁止される違法行為でございます。ストライキが実施された場合には厳正に対処すべきものと考えております。 ◯尾崎委員 それは当然わかっているんだよね、わかってて聞いているんだから。  バブルに浮かれて、一時、正直いって、東京都も非常に莫大な財政を抱えて、ここに新都庁舎をつくるときに、有楽町からこっちに来る道路状況がどうなんだというときは、一時は霞が関の弾丸道路、地下を掘るという話もあったんだね。そういう話もあったぐらい、バブルのときは景気のいい話があったんですよ、実際。それを踏まえると、今は非常に大変な時期に来ているといわざるを得ないな、こういうふうに思います。  都は財政危機なのだから、賃下げしなければならないというようにいっておりますけど、私は、みんな下ばかり見ているんじゃないかと思うんだな。景気が悪くなって、悪くなる方へ悪くなる方へ追求しているような気がしてならないんですね。確かに、今悪いけど、景気というのは循環しているんですよ。谷深ければ山高しという格言があるんですね。だから、そういう点では、今どん底だと思うんですよ。必ず景気はよくなるんです。このまま景気は悪い方へ、悪い方へ、下へ行くのであれば、日本はつぶれますよ。そういう点では財界も頑張っているんですね。今がどん底で、これからいい方向に上がっていくって、夢を持たなきゃおかしいんじゃないかな。私は、いつも苦しいときは苦しいところで、どこまで落ちるかわからないけど、落ちた時点から、またはい上がるという物の考え方があってしかるべきだと、こういうふうに思うんですよ。  だから、人勧は人勧でいいし、また、今いうように、給与の引き下げも今はやむを得ないだろう。そう考えたときに、景気がよくなったら、知事、それなりに心の温まるような施策をぜひ考えてもらいたい。これは要望です。 ◯石原知事 それは、景気はやがてうねって上がってこなきゃしようがないので、私もそれを希求していますから、いろいろな建言を政府にもしておりますけれども、あくまでも今度の提案は暫定措置でございますから、それはそういう意味でご理解いただきたいと思います。非常に景気がよくなっても、なお賃金を下げ続けるとか、保留するとかというものじゃないと僕は思います。ともに悲しみ、ともに悩み、ともに喜ぶ時期が来ることを私も熱願しております。 ◯尾崎委員 非常にありがたいお言葉をいただきました。全く同然だと思うんですね。みんなが一体となってやっていかなきゃ、この危機は乗り切れない、こういうふうに思います。  そこで、最後になりますけど、公務員の賃金を引き下げるということは、何も公務員だけではありません、公務員の賃金に準じて、社会福祉法人や中小企業の労働者の賃金も必然的に下がるのではないかという懸念があります。目先のことだけではなく、もっと全体のことを考えて──確かに現在の都の財政は非常によくない、こういう中で、来年度の予算を組むためには、どうしても収支のバランスを考えなければならない、このように考えますが、人事委員会勧告以上の賃下げの提案は、これまでの地方公務員制度を無視するのではないかなという懸念があるというのが私の意見ですよ。よほど誠意を持って職員との団体交渉に臨まなければ、理解を得ることはできないのではないかなと、こういうふうに考えます。  このような状況なのに、知事の発言については、もろもろの人がどうしたとか、役人は余っているとか、そのようなことではなくて、現場で汗を流している職員の気持ちを逆なですることなく──都民の反公務員感情をあおるような報道が行われているのも事実でありますが、そういうことではなく、都庁という組織の最高責任者が、大衆の面前では、部下のことについては余りとやかくいってもらいたくないなというのが本音であります。そして、職員のやる気を引き出すのが知事であり、管理者ではないかな、こういうふうに思います。  青島さんのときは、確かにいろいろな問題がありました。それはよく知っています。幹部では、青島さん、いいんじゃないかなという人もいるし、また、何だ、あいつはだらしがないなという人もいた。しかし、知事になってから、少しぴしっとし過ぎて、下がびりびりしているんじゃないかなという感じもするんですよ。そういう点は、全体がぴりぴりっとしているからいいのかなという感じもいたしますけれども、石原さんも親分でありますから、知事も親分らしく振る舞ってもらいたいなと思います。
     いずれにいたしましても、労働条件にかかわる事項については、労使間で十分な協議をしてもらいたいと思います。皆さんの合意を得るよう、私たちもはたから努力したいと思いますけれども、おのおの誠意ある交渉に臨んでいただきたいと思います。  以上をもって発言を終わります。      ───────────── ◯和田委員 尾崎同僚委員の引き続きの時間をちょうだいいたします。  まず初めに、石原知事の姿勢といいましょうか、ご発言といいましょうか、そういうことについてお伺いいたしたいと思います。  今まで、知事におなりになってからの石原知事のご発言をお聞きいたしておりますと、どちらかというと、二十五年という先ほどお説がありましたが、国会議員をおやりになっていたというようなことから、目指す方向が、国といいましょうか、都の区域を少しオーバーしたといいましょうか、それを少し包み込むようなご発言が多いように思います。それは、ある意味では国家主義的な発言だという人もおります。おなりになってから、まだそれほど長い月日がたっておりませんから、ご自身の姿勢も定着していないのかもしれませんが、石原知事は、東京というか、自治体といいましょうか、そういうものをどういうふうにお考えになっているのかなということについてお伺いしたいと思うんです。  例えば、来年からは、もう既に地方分権一括法が成立しておりますから、機関委任事務がなくなって、自治事務と法定受託事務に変わっていきます。そういうことは、地方自治体、とりわけ東京都などに役割分担がふえてくる、広がってくるということを物語るわけであります。そうなりますと、従前の国の役割は、まさに外交とか、あるいは安全保障というようなことにだんだん仕分けされまして、全国的な基準というものに国が関与していく、自治体については、内政全般が自治体の守備範囲になるのかな、こういうふうに思っているわけです。それを我々民主党は、分権型社会といっているわけでありますけれども、今、そこにお座りの石原知事は、このような分権型社会についてどのような感想をお持ちなのか、まずお伺いいたします。 ◯石原知事 さきの国会で分権法は確かに通過はいたしましたが、肝心の行政と不可分の財政の要因であります税源、財源というものの分与は一向に決められておりませんで、棚上げで、中長期ということになりますと、時間が幾らかかるかわかりません。現に政府の税調を調べてみますと、この分権にいささかかかわりのある税法の改正について論じられているのは、たかだか法人税にかかわる外形標準課税だけでありまして、あとは全く俎上にのっていない。ですから、私も知事会議のときに総理にいったんですが、五カ条のご誓文みたいで、趣旨は結構だけど、全然、仏つくって魂入れずだと申しましたが、その感は否めないと思います。  でありますから、この現況の中で、あるべき自治体の姿というのは、論ずるのは結構でありますけど、なかなかそれがにわかに実現されるわけではないと思いますけれども、地方分権すなわち地方主権ということで、それぞれの自治体がその個性を生かして、ローカリティーを生かして、そして行政を運営していくというのは結構だし、それをしなくちゃいけませんが、私は、東京はほかの県とちょっと違うと思います。東京を中心にした三千三百万のメガロポリスがありまして、何といっても、東京都に政府の中枢機能が集中しておりまして、経済も集中している。こういうメガロポリスというのは世界に例がないわけでありまして、繰り返した言葉になりますけど、日本の中枢部というか、心臓部であり、頭脳部であるわけで、これはほかの府県とちょっと性格が違う。私たちは、むしろそれを自負し、自覚して、政府にいうべきことはいっていかなくちゃいかぬと思います。  ただ、内政のすべてをこれから地方自治体が持つということも、私、まだ詳しく理解できませんが、しかし、いかなる内政が、あくまで国家が推進すべきものであるか、べからざるものか、そういう分析をしておりませんので、答えはここで申し上げられませんけど、いずれにしろ、地方というのは主権に近い権威を持ち、自信を持って行政を行っていくことが、これからの世のため望ましいし、レーガンの時代にアメリカがやったことも、結局、アメリカをその結果救った、中央政府を財政的にも救ったということは、もって範とすべきだと思います。 ◯和田委員 今、石原知事の方から、東京は他の府県とは違う、また、メガロポリスを自負して、自覚している、こういうことであります。私からいわせますと、地方分権一括法という法律は、あるところを地方に分権して、三千三百の自治体が、自由に裁量権を国から、あるいは上位団体から得て動けるようにする、そういう法律だと理解しておりますが、東京は他の府県と違うんだぞというふうに力めば力むほど、ほかの府県から、何だ東京は、我々と同じじゃないのか、違うんだったら、交付税の不交付団体でもしようがないだろうというふうに、逆ねじを食わされる可能性も十分あると私は危惧するんです。  したがって、東京がファンダメンタルズのところで、同じ部分の道府県とは同じだということを自覚した上で、いや、北海道と東京は違うよ、岐阜とも違うよというところの特異性を主張されるのであれば結構でありますけれども、東京は他の府県とは違うというふうに高飛車にきちっと物をいい始めると、ほかの府県からも反発があるだろうし、また、国からも反発があるのかもしれません。その意味で、再度、今のメガロポリス自負論についてのご回答をお願いいたします。 ◯石原知事 先般、ビル・ゲイツのマイクロソフトと、孫さんがやっているソフトバンクから東京にもオファーがありました。その後すぐに東電と組んで、彼らはここで新しい情報ネットワークをつくるようでありますけれども、これは彼らにいわせますと、東京を中心としたメガロポリスほど通信産業にとって格好なターゲット、市場はない。つまり、これだけの狭小の範囲の土地に三千三百万の人がいて、これだけの国家的な機能が集中している地域はない、これは本当に願ってもない我々の商売のあれだと。私はそのとおりだと思うんですね。  これは、東京のまさに特異性じゃないんでしょうか。東京に機能が、あるいは情報が集中、集積しているということこそ、まさに東京の特異性でありまして、その意味で、私は首都移転論に反対しているわけですけど、私は別に高飛車にいっているわけじゃない。これは相対的に考えて冷静な分析で、むしろそれを心得ないから、わけのわからぬ移転論が起こってくるので、そういう意味で、他の県と違う、明らかに違う。同時に、北海道は東京と明らかに違う、あるいは、静岡県も東京とかなり違うということは、私も認識しております。 ◯和田委員 私たちは、東京の自治権をこれからも堅持していくために、都民生活に大きなショックを与える財政再建団体への転落ということは、死んでも避けなければならぬ、こう思っています。そのために、我が会派も常任委員会あるいは本会議で、時と場所を得て、常に財政再建問題に言及してきたところであります。  そのたびごとに、私どもが財務当局にお尋ねしているのは、もしも財政再建団体に陥ったときに、どういう姿がそこにシミュレーションできるのかな、どういうことがそこに想定されるのかなということをお聞きしたのでありますが、しかし、その都度、財務当局は、福祉や教育分野を初め、さまざまな事業について、国の水準を上回るサービスや都が独自に行う事業について、廃止も含めて見直すことになるという答弁で終始しているという議事録が残っています。具体的な事業名はもちろん出ておりません。都の単独事業や国基準を上回る事業の事業数、金額、そういうもの全部が秘匿された形で、今日まで集計結果だけが出てきたということなんです。  しかし、ここに来て、内部資料と銘打って、検討メモなるものが公になりました。平成十一年十月、財務局主計部となっています。これを私ども、つぶさに拝見いたしましたけれども、なぜ、この時期にこれが内部的資料として出されるようになったんでしょうか。財務局長、お答えください。 ◯木内財務局長 先生がお示しになりました「財政再建団体をめぐる諸課題」という冊子といいますか、これは仮にでございますけれども、私ども、先生と同じ認識でありまして、仮にとはいえ、そうしたことはあってはならないというふうに思っておりますけれども、仮に東京都が財政再建団体に転落した場合の都民生活への影響等について、内部の資料ということで取りまとめた資料でございます。その中にもありますように、当然のことながら、再建団体になったらこうなりますよといういい方ではなくて、こうした事業がいわば俎上に上って、廃止も含めて検討されますよという、そういういい方ではあるわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、冒頭申し上げましたように、自主的な再建を目指して、都民間の議論、さまざまな場所における議論の糧といいますか、一つの資料として活用できればありがたいことだというふうに思っているところでございます。 ◯和田委員 これも当然、財政再建の一つの道筋を我々に示しているものでありますから、公の文書だと思いますが、そこの中には、見直しの検討対象となることが想定される事業として、都単独事業、国基準を超える事業の例、先ほどちょっと触れました八十事業すべてが、私立学校の経常費補助、私立高等学校等特別奨学金補助など含め、最後は東京都交響楽団の運営費補助まで、きちっと対象事業としてここに明記されております。  私は、先ほど申し上げましたとおり、我々も財政再建団体を避けるという意味では、全く同じ方向を向いているわけであります。私は、落語に三方一両損というのがありますけれども、これからの都財政の方向は、三方一両減らしといいましょうか、職員の皆さんももちろん一両我慢する、住民の方も、都民も我慢する、我々議会の方も我慢をする、そういうところで耐え忍んでいく時代がそこに来ているし、始まっているというふうに思っている認識でございます。そういう意味で、これから我々はこの委員会にとどまらず、所管委員会で財政再建の方向に、きちっとした姿勢で臨んでいきたいと思っているわけでございます。  そこで、質問に入りますが、「財政再建団体をめぐる諸課題」、これであります。この諸課題に挙げられたすべての事業が、さきに読み上げた私立学校の経常費補助に始まって都響の運営費補助まで、それなりに今日まで、存在理由と必然性のもとで八十事業が少なくとも進められてまいりました。議会もきちっと審議をし、論議をしながら、これに補助してきたという経緯もあります。そう簡単にこれらの八十事業、少なくとも削減するものではないという認識を、私ども、まず持たなければならない。現実問題、持たなきゃならないと思うんです。  しかし、財政再建推進プランの目標に掲げられた、施策見直しの二千四百億円、税財源の移譲に一千七百五十億円ということで、都合四千億円余が、廃止の検討が想定されている事業、八十事業とたまたま偶然同じ額、匹敵するわけであります。それだけに、都民や各局、あるいは関係団体の反発する施策の見直し、あるいは税財源の移譲という時間のかかる国に対しての法律改正を求めなければならない、この二つの作業がセットになっているわけでありますけれども、これに向かっていく石原知事の意欲といいましょうか、決意といいましょうか、覚悟といいましょうか、それをお伺いいたします。 ◯石原知事 これは、今さら言葉を尽くして繰り返すつもりもございませんが、まさに身を挺してこの実現に頑張るつもりでございます。 ◯和田委員 私は、第三回定例会で我が党の代表質問に立ちました。そのときに、石原知事が答弁されたものを今覚えているのでありますけれども、改革が目指すものが、真に都民の利益にかなうものであれば、そして東京の将来を思うものであれば、徹底した議論の積み重ねの中で、必ずや賢明な選択が行われるという知事のご答弁を思い出します。このことを、私どもも同じ共通認識として確認して、行財政改革に進んでいきたいというふうに思っているわけであります。  この知事の、共通認識を議会とも持ちたいというお気持ちは、徹底した議論を議会の中で行うと同時に、都民にも同じ意識を持ってもらわなければ──都議会の議事堂と都庁舎だけの共有の感覚ではなくて、そこに、享受される都民の方々を巻き込まなければ、議会と理事者だけの議論の共有になってしまうだろう、感覚の共有になるだろうと思うわけであります。  そこで、私たちは、今回まとめた「財政再建団体をめぐる諸課題」という、ある意味では直近かもしれませんが、この資料というものをできるだけ早く正確に都民に知らしめて、共通の土俵の上で、理事者も議会も都民も、現状はこうなんだという作業を急ぐべきだと思うのでありますが、この「財政再建団体をめぐる諸課題」についての一般的な都民に対する情報提供といいましょうか、きちっとした公表というものをお考えになることはできないんでしょうか。 ◯石原知事 大変いいことをおっしゃっていただきまして、ありがとうございます。これも私は前から財務局に、私自身が駆け出しの知事でありますから、どうもすべての財政の末端についてつまびらかにしない、我々が今第一目標とするのは、要するに、再建団体に転落することを何としても阻止することであるが、そのためには、議会の同意を得、また、都民の同意を得るために、何かわかりやすい資料をつくってほしいと。その一つの素案という形でできましたが、もうちょっとこれをわかりやすく、議員諸兄のような専門家ではなくて、都民の方々には、こうなったらこうなっちゃうよ、それならこれぐらいの我慢をしようとか、これは何とかならぬかという都民の要望も含めての議論の種にしていただくために、もっとわかりやすい形にパラフレーズして公開し、都民にも意識を持っていただきたいと思いますし、これから、この議会の場だけでなくて、MXテレビも充実していこうと思っていますので、ぜひああいうところに議員の皆さんにそれぞれの立場を代表して出ていただいて、つまり、ここで行われた議論をもうちょっとわかりやすい形でメディアを通じて世間に知ってもらいたい、都民に知ってもらいたい、その努力をしたいと思っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。 ◯和田委員 事を急ぐわけでございますから、これをできる限り公表して、わかりやすくモディファイした上で公表していただくことを強くお願いいたしたいと思います。  次に進みます。次は、組織であります。  我が党はこれまで、東京都の職員組織を、政策局、あるいは都庁管理局、福祉保健局、土地整備局、都民生活局という、我々のプランでは少なくとも五つの局に再編統合する再編案、それから、直営の事業部門に競争原理を導入することなどを含めて提案してまいりましたし、また、青島都政のときでも、このようなお考えもちらちらしたことを覚えております。その結果、ことしの一月に組織再編案というのが示されました。  石原知事は就任後、たびたび議会答弁の中で、自分は自分なりの組織論というか、組織案があるので、自分なりのものを考えると繰り返されております。しかし、ここまで、そこにお座りの三局を中心とした方々が、ネーミングは青島都政のもとでというかもしれませんが、少なくとも、そのときのベストな案だと思って組織案をつくられたわけでありましょうから、そういう意味からも、石原知事の独自性を尊重いたすことはもとより当たり前でありますが、行政の継続性という点から見たときに、できるだけ早く組織再編の石原案を出していくべきだろう。その際に、ことし一月に出た再編案そのものも大きく参考にされることが必要なのではないか、こういうふうに思うのでありますが、いかがでありましょうか。 ◯石原知事 何度もお答えしましたように、私、非才のせいですか、半年おりますけれども、いまだに、なかなか自分の納得いく形で都の業務体制というのを掌握し切れておりません。先ほど内田理事の質問にもお答えいたしましたが、ゆえに、この東京は二十年後にどうあるべきかという確たるイメージがまだわいてこない。当面、しなくちゃいけない仕事がごたごたたくさんあるものですから、それに紛れて、それを沈思する機会がございませんが、それでも私なりに考えても、まだコンセプトがわいてまいりません。  これは、そういうイメージを持ち、それを知事として皆さんにお諮りして、それをさらに皆さんの手で修正もしていただいて、二十年後、我々、この世にどういう形でいるか知りませんけど、そのときにこういう東京を残していこうというイメージがない限り、組織はやっぱりみだりにいじれないと思いますから、継続性、コンティニュイティーということなら──このような体制で、こういう形で、とにかく都の業務が進んでいる、これがどういう蹉跌をそれから起こすのか、どういう見えにくい功績を上げているのか、まだそれも掌握しておりませんから。  いずれにしろ、もう少し時間をいただいて、とにかく前任者がつくられた組織案というのは、私がある自信を持った上でそれをもう一回再検討して、これでいいというなら私はそれでいいと思います。しかし、今、これを一応棚上げさせていただいている状況でありまして、その意味で、私自身が自分の案で何を加えるかということはまだわかりませんが、いずれにしろ、その段階で議会とも大いに話し合いながら皆さんのお知恵をいただいて、それで、二十年後の東京につながる組織というものをつくっていきたいと思っているわけでございます。 ◯和田委員 次に、監理団体についてお伺いいたします。  資料を見ますと、監理団体総点検のイメージ図というのがもう公になっておりまして、基本方針として、「監理団体すべてを対象に、外部専門家(第三者)を含めた総点検チームにより、団体活用の原点に立ち返った抜本的な見直しを行い、監理団体のより一層の活用とさらなる自律的経営の促進を目指し、都民サービスの向上を図る。」こういう方針をきちっと打ち立てております。その中で、点検項目として四つの項目が書かれています。点検1は事業執行体制の点検、点検2は人事・給与制度の点検、点検3は事業効果と財政負担の点検、点検4は経営状況の点検、このようにきちっと一つのフレームといいましょうか、そういうものがここに出されております。  私の本会議質問においても、石原知事は、不退転の決意で監理団体の見直しはしていきたいという意欲をしっかり示されました。不退転の決意はわかったのでありますけれども、じゃ、どういう手法で、どういうルートでそれを実行していくのかということをお考えなのかということで、点検1から4まではわかりますが、知事自身のお気持ちとして、どういう方向で、監理団体について統廃合といいましょうか、整理整とんといいましょうか、それをされようとしているのか、お伺いいたします。 ◯石原知事 今の四項目に加えて申し上げたいことは、ちょっと長たらしい説明になるかもしれませんが、実は九年度のバランスシートをつくることをお願いしました参与の中地公認会計士協会の会長が、先般、これからの東京のつくるべきバランスシートといいましょうか、貸借対照表といいますか、それについて論文を発表されました。  私は、これはとても有益な論文だと思いますけれども、そこで中地さんがいっているのは、東京都全体で考えると、貸方と借方、要するに損益計算書と貸借対照表のバランスがあって、これがこっちに傾いていると、もうかっている、こっちだとマイナスだと。つまり、いいかえると、資産と収益のそのバランスというものをやじろべえに例えていらっしゃるわけですけれども、その中に、実はいろいろなファクターがありまして、外郭団体もそうですし、各局もそうです、水道局なら水道局の事業もそうですし、それぞれがちゃんとした収支会計があるはずなんですが、そこが極めて見にくいんですよ。  特に外郭団体は、監理団体も含めてそうですけれども、何といったって東京の一般会計からの資金援助を受けているわけでありまして、いずれにしろ、東京に大きな貢献をしているというのは結構だけど、みんな足を大分引っ張っている、その実態がわかりません。つまり、大きなやじろべえの中に幾つかやじろべえがありまして、それがどれほど傾いている結果、東京がどう傾いているかという、そういう構図というものを各監理団体ごとに洗い出して、その収支を加算して初めて東京都の活動規模というのは見えて、その収支、あり高としてあらわれてくるわけです。それをしませんと、この外郭団体、監理団体はどうにもならぬ、これは何とかなりそうだとわかってきませんから、まずその洗い出しをして、辛うじてこの段階だったら、民間が引き受けてくれそうなものは民間が引き受ける、その方がよっぽど効率よく立ち直ってくるかもしらぬ、だめなのはだめで何とか切り捨てる、そういう方法をこれから積極的に講じていきたいと思っているわけでございます。 ◯和田委員 監理団体については、臨海を含めてまさに聖域なくチェックをされているようでありますが、都民の目から見て納得のいく形でのチェック結果を出していただきたいというふうに望んでおきます。  次に、歳入確保に関してお伺いいたします。  財政再建プランによりますと、目標額は、歳入確保全体は五百五十億ということで、徴税努力ということで目標額を四百億と設定しております。徴収率については、八年度の財政再建計画から、当時九一%だったものが一年一%ずつ上げて、十年度で九四%になっております。しかしながら、推進プランを見ますと、十五年までに一%のアップをいわれております。  私は、ほかの政令指定都市を調べてみました。例えば、平成七年を見ましょうか、平成七年の徴収率は、東京が九〇・四%に対して、大阪市は九五・一%、横浜市は九四%、名古屋市は九七・二%、全国の平均を見ると、九四という数字に落ちついていたんですね。  我々がここでもう一回確認しなきゃならぬことは、今回の再建推進プランの中でも、受益者負担の適正化という項目を一項設けておりますが、これを適正化しても百五十億の見直しなんですね。ところが、都税の一%の徴収率アップというのは、実に四百億円の増収になるわけです。一方は、都民にすごく不評というか、それは当然そうなるかもしれませんが、手数料、使用料等を含めて、改善してみると百五十億だけれども、ごうごうたる非難がある。ところが、徴税率を一%努力すると、四百億円上がってくるということで、八年度からは、現に三カ年で三%、千二百億円実績を上げてきている。私は、大きく徴税されてきた方々のこういう努力というものを評価しなければならないと思うんです。職員を、ただ怠けているとか、都民の風評はありますけれども、しかし、隠れたところで九一%から九四%まで、それが八〇%からの徴税率を八二とか三というなら楽かもしれませんが、もうぎりぎりのところで九一%のところから九四まで、一年に一%、四百億ずつ積み上げてきたという努力は、主税を含めて、皆さん方の努力を大きく評価していくということが大事だろうと思うんです。  私が心配することは、これから三カ年間で今の九四%の徴収率を九五%、一%アップすると計画をされておりますが、このアップさせることと、今既に平成十一年度百人ほど主税の職員は削減されておりますこのことが、この計画によっても、職員一人当たりの年収が一千万と踏んでいますから、結局、一%、四百億円を確保するために、短絡して考えれば、職員を削減することによって一%アップの原動力が欠員になりはしないのか。そうなったときに、この九五%の達成というのは、不可能になりはしないのかという余分な心配をしているわけなんです。これについては、当局はどういうふうな読みと判断をされているのか、お伺いいたします。 ◯横山総務局長 毎年度の人員の配置といいますのは、各局の事業動向を十分に踏まえながら、簡素にして効率的な執行体制となるように見直しを行ってまいりました。お話の主税局の体制につきましても、滞納整理の強化などの緊急税収確保対策に必要な要員は増強する一方で、間接的な事務の委託化を行うなど、めり張りをつけて行いまして、徴税率の向上と徴税コストの削減という目標に沿って見直しを行い、成果を上げてきているところでございます。  財政再建推進プランの中で、歳入確保のために、もう一段の徴収率の向上に取り組むことになっておりますが、主税局とも十分協議しながら、これに必要な事務に重点的に人員を配置していくとともに、引き続き徴税コストの削減に努めてまいります。 ◯和田委員 主税局全体のスリム化はいいんですが、少なくとも徴税ということで自主的に納付してくださる方は別にしても、どうしてもこちらからお願いしていかなきゃならぬとか、そういう事情がある方は多いわけでございますので、その方々には職員が出向かなければならない。出向く機会が多ければ多いほど、徴収率も比例する部分もあるでありましょうから、その意味での人員確保を強く求めておきたいというふうに思います。  もう一点は、三カ年間で一%アップという想定をされました。私は、苛斂誅求たれということをいっているわけではありませんが、少なくとも名古屋などは、いろいろな背景があったにしても、ずっと見ても、九八のときがあり、九八・八%の徴収率のときがあり、平成十年度でも九六・四%までいっているんですね。これはどういう徴収技術を使っていらっしゃるのかわかりませんけれども、少なくとも他の大規模な自治体では、九六%を超すような徴収技術を持っているということを強く研究する必要があると思うんです。確かに横浜などは、平成十年度は九三%になっていますけれども、かつては九四とか五とかになっておりますし、東京都も九四に遅まきながらなりましたが、少なくとも九六ぐらいを目指すノウハウといいましょうか、徴税技術の開発というものをぜひご検討いただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。 ◯横山総務局長 徴税率の問題につきましては、それぞれの団体、特に市町村と比べますと、税収の種目の問題もございますし、現在の主税局では総力を挙げて税収確保に向かっていると。今回、推進プランの中で一%アップの九五%、目標徴収率を上げましたが、大変な努力を要する数字であろうと考えております。 ◯和田委員 先ほど申し上げましたとおり、平成七年度の徴収率は九〇・四%、そのときに、横山さん今お話しのとおり、地方自治のいろいろな特徴がありますけれども、大阪は九五・一、横浜は九四、実に名古屋は九七・二となっております。全国では九四、さっきご紹介申し上げた。しかし、これまでは、ここまで低い徴収率であった背景には、東京都独自の徴税システムがあったわけでしょう。おくれていた、ここでは申し上げませんけれども。それを改善することによって、急遽九三、九四に追い上げてきたわけじゃないですか。したがって、これが通常の自治体の徴収技術といいましょうか、徴収システムだろうと私は思っていますから、これにもう少し何かをプラスアルファできるような技術を、他の道府県などと情報交流しながら、ぜひ進めてほしいということを要望として添えさせていただきます。  次に、PFIについてお伺いいたします。  しばしばPFIは知事のお口にも上りますし、推進プランの中にも記載されているところであります。そこには投資的経費の削減ということで、目標額六百億という提示の中から、投資的経費については、近年見直しを行ってきた結果、十一年度ではピークであった四年度に比べ半分以下の水準まで減少したが、今日の財政状況にかんがみて、さらに削減を行う必要がある云々とあります。そして、そこの一番末尾のところに、PFIなどの民間主導による公的施設の建設等の方策について引き続き検討を行うということで、プランの中にも検討の方向が示されているわけでございます。私ども都議会民主党といたしましても、このPFIについては、しばしば提言もしてまいりました。  ここで石原知事にお伺いしたいのでありますが、一口にPFIといいますけれども、かつてでいえば民活、あるいは第三セクター、こういわれてきたいろいろな、公的な行政とは違う処理の仕方を我々も口にしてまいりましたし、聞いてまいりましたが、石原知事自身、このPFIというのを、どういうご認識を持ってお使いになっているのでありましょうか。 ◯石原知事 同じような方法というものは、いろいろな形で少しずつオーバーラップしながら呼ばれてきた経緯があったと思いますが、PFIというのは、イギリスが例の財政危機に陥ったときに講じられて非常に効果を上げた、つまり、行革の一端として駆使された方法であったと認識しております。  これは、いろいろな形で、いろいろな部門に活用できると思いますので、国会の方もそれに関する法律をつくったようですけれども、とにかくこれからの時代に、こういう財政難の中で活用すべき方法の一つとして、積極的にどの部門に採用するかということを、これから検討していきたいと思っております。また、皆さんの方から、こういうことはどうだ、これに使ったらどうだという案もございましたら、ひとつご建言を賜りたいと思います。 ◯和田委員 実際に動いてから、PFIを東京都なりのものをつくっていこうという知事のお考えというふうに理解いたしました。  ところで、今、具体的にPFIのモデル事業は東京でも行われています。水道局の金町浄水場の常用発電施設の整備を進めるのにPFIを使っていると聞いているんですが、今どういう作業工程にあるのか。また、そのPFIをモデル事業として進めていく上で一番の難点といいましょうか、苦しい点といいましょうか、克服しなければならない問題がおわかりでしたら、どなたか教えてください。 ◯柿沼政策報道室長 ただいま水道局のPFIにつきましては、契約の業者が決まり、契約の手続に入っているという段階にございます。難点と申しますと、契約において日本の契約の仕組みといいましょうか、非常にあいまいさといいましょうか、疑義が生じたら甲乙後で協議するというふうなのが往々にしてあるんですが、極めて細分化されたリスクまでを事前に契約できっちり決めるという意味で、契約書だけでも膨大なものになるということで、新しいそういう契約の思想というものを、我々がどの程度消化できるかということは、これから大いに検討もしなくちゃならぬし、勉強もしなくちゃならない課題だろう、このように考えております。 ◯和田委員 契約思想の徹底している欧米、とりわけイギリスの思想を日本に入れようとするわけですから、日本のまあまあとか、なあなあという発想と全く衝突する場面があると私も思っているんです。したがって、何を申し上げたいかというと、事の成就までに時間がかかる。お互いさえ納得すればいいというんじゃなくて、すべてに一つ一つ契約書を交わすということは、時間がかかるわけでございますから、思いつきでPFIなどに組み込むことはできないということなんですね。  したがって、今、モデルとして金町浄水場の常用発電設備の整備をやっていらっしゃるということでありますが、ポイント、ポイントでは、できるだけ所管委員会なり議会の方に、今おっしゃった契約の思想そのものを日本人が理解するのは難しいぞというところを含めて、具体にどういうものなのかということの公表といいましょうか、報告といいますか、それをお願いしたいと思うんですが、いかがですか。 ◯柿沼政策報道室長 ただいまは試行として、水道局金町浄水場で一件進めているわけでございますが、知事が先ほど答弁いたしましたように、これから行財政改革を進めるに当たっての一つの手法として、我々も庁内を挙げていろいろ検討しているところでございますので、具体的な話が進行する過程で、議会の方にも、当然のことながら情報としては提供していきたい、このように思います。 ◯和田委員 よく、水道事業などにPFIをというお考えを聞くことがあります。しかし、これは今まだ模索中でありますし、私ども勉強中でありますから、何とも結論的なことはいえないのでありますけれども、独占的な企業体である水道事業を民営化するということによって、効率的、効果的なサービスが出てくるぞというふうに一概にはいえないだろうと、途中の検討結果でありますけれども、私どもは思っておりますから、すべての事業にPFIを導入できるとは思っていません。  そこで、私どもは具体的にこんなことを考えました。今後、PFIを活用するのに当たっては、都民に直接サービスを提供する事業といいましょうか、施設といいましょうか、すなわち、知事がしばしばいわれる写真美術館などのような美術館、図書館、さらに病院、公営住宅、こういうところにPFIの導入を予想しながら、今答弁いただいた契約の思想などもじっくり研究して事を進めてほしいと思うのでありますが、具体的に今申し上げた美術館、図書館、あるいは病院、公営住宅などについて、PFIが好ましいと思うかどうかということについてだけご答弁をいただきたいと思います。 ◯柿沼政策報道室長 いわゆるPFI法では、道路、港湾、上下水道等の公共施設に始まりまして、公営住宅や教育文化施設、あるいは廃棄物処理施設や医療施設、観光施設など、非常に幅広い分野を対象とした法律になっています。  東京都といたしましては、ただいま委員のご提案も含めまして、今後、国が基本方針を定め、各省庁がそれぞれの事業についてのガイドラインを決めることになっておりまして、それらを受けて検討を進めていきたい、このように思います。      ───────────── ◯山崎(泰)委員 知事も、きょうはいってみれば予算特別委員会のような形ですので、最初のころの本会議と違う答弁でなかなかお疲れだと思いますが、もうしばしおつき合いをお願いしたいと思います。  まず最初に、認識が同じかどうかということもあえて確認をさせていただきたいんですが、東京都の場合、今日の財政状況がなぜここまでこういう厳しい状況になってしまったんだろうか、このことに関して、知事は率直にどんなふうにお考えでいらっしゃいますか。 ◯石原知事 東京都の財政にとっての税源、財源というもののあり方を考えますと、非常に多くの部分が国に負うている、国の税制、財政に振り回される、そういう機構を持っているわけです。だから、確かに大蔵省を初め国の経済のかじ取りが失敗した、へまだったために日本全体が不況に苦しんでいるわけでありますけど、しかし、それでもなお、私は東京都がちょっとレージーだったんじゃないかという気がしないでもない。  先ほど尾崎委員の質問にもございましたが、経済というのは大きくうねるわけでありまして、バブルで夢中になったのも結構ですが、その間、ある長期の予測、つまり、いつか来るかもしらぬ不況というものに、東京のようにポテンシャリティー、いろいろな可能性を持っている自治体ですから、自給自足性という言葉が正しいかどうかわかりませんが、そういう自助努力というものに対する腐心がなかった。つまり、国が景気よかったために、わっと貯金がかさんでいった。悪くなったらそれを使うだけで来てしまって、とうとう八千億円以上あったお金が十五億しかなくなったという体たらくで……。  ですから、これをもってすべて国のせいだ、国の経済のかじ取りが下手だったから東京も沈みかねたということには、私はなり切れないと思いますし、部署部署で、知事も含めて、政治を、東京を預かる人たちの楽観というんでしょうか、備えがちょっと薄かったんじゃないか、それも一つの原因として認識せざるを得ないと私は思います。 ◯山崎(泰)委員 今、お話がありました。確かに、時代を読み誤った責任はどこにあるのか。でも、そのツケは納税者というか、東京では都民に行くというのが一番大きなポイントだと思います。私、常日ごろいっているんですが、時代が変わってきたにもかかわらず、今の東京都でいうならば、法人二税に過度に頼り過ぎた税収構造が、いってみれば、昭和二十五年以来変えられなかった。いつか近い将来、景気が上向いて、税収が上がるだろう、そうすれば何とかなるだろうと首をすくめて、大蔵を初め東京都は待っていて、平成二年、三年のバブル崩壊からここまで来てしまった、これは困った、こういうところだろうしいというのは、財政需要が非常にふえて、公共サービス、それから施設等維持管理費等々も設けなきゃいけないのを、つくった直後に財政破綻したので、その部分が随分ひずみとして回ってきちゃっているな、こういうところだと思うんです。  石原知事の行革には、特に構造を変えるという意味で、今、何とか成功しないと東京都はもたないわけですから、成功してもらわなきゃいけないと思いますし、私たち議会としても、成功させていかなければいけないというふうに思うのでございます。  先ほどの答弁の中で、民間との連携ということをいわれました。私もそのとおりだと思いますし、私どもの会派も、そろそろ行政は管理という視点だけじゃなくて、いってみれば、今民間でやっているマネジメント的な発想を入れなきゃだめでしょうと。別に利益を生む団体、そういうことをいっているわけではなくて、ある程度、通常の税収が通常のものに回せるものができて、余力ができるということは、だれもが望むことなわけですから、そういった意味では、私どもの会派の主張とも、そういった民間との連携ということに関しては、軌を一にしているという認識を持っています。  冷静に考えてみると、民間企業というのは、投資家が投資のリスクを負いつつも、預かった資金で賄う。その民間企業だって、これだけ情報公開をしているわけですね、資産管理。片や東京都の場合には、半ば有無をいわさず税金を徴収して、それで成り立っているわけですから、考え方によっては、いわゆる民間の情報公開とか民間の資産管理を指針として、強制力があるわけですから、もっと厳しい財務管理みたいなのが求められてしかるべきだという考え方が私はあると思うんです。ぜひとも先ほどの民間との連携という中で、そんな視点も入れていただきたい。  私なりに、今の都の財政体質とか行政体質の問題点というのは、一体どんなところにあるのかしらと、ちょっと考えてみたんです。  大きくは五点ほどございまして、余りにも借金というか、借入金の体質に頼り過ぎてはいませんかということが第一点でございます。  これは、都の税収構造として、借入金と自主財源とを混同してしまうような、そういった歳出歳入構造がなかろうかということをそろそろ点検せにゃいかぬなと。特に、借入金というものに対する感覚がそのうち鈍ってきちゃって、結果として財政の硬直化ということを招いてしまっていなかろうか。経常収支比率が今、九九・三%、平成九年度ベースだと思いますが、何をかいわんやだと思うんです。  二点目は、資産の管理が余りにもできていなかったのではなかろうか、こんなふうに思います。  やっと知事の号令でBSがつくられたぐらいで、私は、これからこれをどう使うということがポイントだというふうに思います。民間でいえば、企業がどの程度の資産を持っているか、あいている事業所はなかろうか、もしかしたら、自分のところがワンフロア使わなくて、不景気だし、どこかに貸した方が逆に家賃収入になるんじゃないか、そういうような資産も全部きちっとチェックすることなしに、あしたから、悪いけど、あなたの給料を下げますよ、ボーナス何カ月カットですよ、そういって、納得してもらえるような企業はなかなかないんじゃなかろうか。いってみれば、石原知事が四月に来られるまでの東京都というのは、そういう面もあったんじゃないのかなと私は思っています。ですから、結果として資産過剰になりやすいという体質が都にはあるんじゃなかろうか。これは都に限りません。  三点目は、資産の経年の管理ができていなかったのではなかろうか。単年度会計の弊害。  これは、例えば民間の工場をあそこへ出そうといったときに、その後にかかる維持管理費というものを収入と見合わせる、それを考えずに工場投資をする会社はないわけでございます。ちょっと表現がきついかもしれませんけれども、経年管理が余りにもできていなかったんじゃないか。結果として、事業そのものの後年度の負担が肥大化しやすい体制があるんじゃないかということを、率直に思います。  四点目は、簿外債務の管理ができていなかったのではないかというふうに思います。債務保証額の問題、それから、後ほどご質問しますが、三セク等々を含めた不良債権の管理がどこまでできていたのであろうか、こんなことも思います。  五点目は、これも後ほど質問しますが、何とか財政危機を乗り越えなきゃいけないという職員の皆さんのモチベーションづけの仕組みが、なかなかなかったんじゃないかということを思うんです。  知事のいう危機意識も、私どもよくわかります。ただ、都が仮に財政再建団体になってだれが一番困るのか。職員の皆さんのプライドは大きく傷つく。でも、実際にそこで一番困るのは、施策のサービスを受けている一般都民の皆さんであるというようなところを含めて、職員の皆さんのモチベーションをこれからどうしていくかということは、もちろん、職員か都民かのレベルの問題じゃなくて、知事を先頭に、我々議会も何がしかの、かなり強い瀬戸際の責任感的なものを持って乗り切らなきゃいけないぐらいの問題だと思います。ただ、そうはいっても、民間は、何ぼ売ってどのくらいの成績、能力に反映しますよということを業績で反映できますから、それは民間はつくりやすいと。そこの部分、東京都はどうすればいいのかということは、かなり難しい問題だ。後ほど各論で何点か質問をさせていただきます。  そこで、今これから石原知事が進めようとされている行政改革の大きな柱立てと申しましょうか、今私が申し上げたこと、知事が抱いている、都の財政体質とか行政体質の抱えている問題意識等々も絡めて、石原知事が進めようとしている行革の大きな柱を教えていただきたい。 ◯石原知事 当面の東京都の最大の目的は、とにかく再建団体に転落することを何としてでも防ぐと。行革もまた、そのための手だてとして考えられなくちゃいけないと思いますから、何をする施策もすべて当面、再建団体への転落を阻止するという、その方向づけに沿って行われるべきだと思っております。  ですから、普通ならば、いろいろ柱が立って明記されるんでしょうけれども、もちろんそのためには、定員の削減もそうですし、職員の賃金のカットも柱として座っているわけでありまして、それを上回る眼目というんでしょうか、それはあくまでも当面、とにかく再建団体への転落を防ぐと。そして、一から出直すというつもりで私はやっております。 ◯山崎(泰)委員 わかりました。  先ほど申し上げた五点の問題について、一つ二つずつお尋ねをしていきたいと思っています。  まず、借金の体質ということでございます。特に今回は歳出のカットの部分に関して、厳しいかもしれませんけど、数字と年限を切った目標でなければ、なかなか目標とは呼べないのではなかろうかという中で、今回の財政再建プラン、十五年、九〇%以下、数字を見ると、できたかできないか、すぐ判断されちゃいますから、なかなか勇気が要ることだったと思いますが、それを示されたことに関しては、私は率直に評価をさせていただきます。  その歳出削減の努力の中で、平成十五年の九〇%以下はわかりましたが、ただ、考えてみれば、十二年、十三年、十四年があるわけで、その途中は一体どうやって進んでいくのかなと。すぐすり上がっていくのか、それとも、十五年にかけて幾つかクリアしなきゃいけないことがあって、やっと十五年度にはこの九〇%以下が達成できるという、いわゆるどういった形で年度別の経緯をたどるのかが、私は幾ら読んでも、そこからはわからないんですが、そこら辺に関してはどういうふうに目標値を達成するおつもりなのか。 ◯木内財務局長 財政再建推進プランの中では、当面、四年後には経常収支比率九〇%を目標にしているわけでございますけれども、先ほどの施策の見直しもずっとそうでしょうし、あるいは執行体制の見直しもそうでしょうけれども、年次別でやるのは、数字をつくることはある意味ではできるわけですけれども、何かをやっていくについては、まず施策の見直しについてだけに限れば、十二年度にやること、このことがまず最初に進むこと、一歩進めたことによって初めて次のステップが出てくるのかなと。そんな意味で、先生のご指摘とはちょっと異なるかと思いますけれども、私としては、まず十二年度、やることを先にやろうという意思を強く持っているところでございます。 ◯山崎(泰)委員 これまで最終目標の数字が出ていないときであれば、そういう答弁でもよろしいかと思いますが、今回は明確に区切った年限が出てきていますので、今私が申し上げたような質問を、また来年、再来年、平成十四年あたりでも──もちろんその途中には都議会の選挙がありますけれども、しなくて済むようにしていただきたいと思います。  もう一つ、歳出削減のところで、都債発行に対する基本的な考え方を知事にお尋ねしたいんですが、都債イコール現在の納税者と将来の納税者との間の負担の均衡を図る機能、確かに総論ではよくわかります。ただ、普通に考えてみれば、例えば親として子にツケ、祖父母として子孫に対するツケ、少しでもそのツケを、負担を少なくしようというふうに考えるのが、一方では普通の考え方であろうというふうに思います、例えが正しいかどうかは定かではありませんが。今現在で事ここに至っている以上、将来にわたる後年度負担をできるだけ抑えていこう、都債発行に関してでき得るだけ抑えていこうという基本的なお考えというか、発想は知事におありになるのかどうか、教えていただけないですか。 ◯石原知事 もちろん、そのつもりでおります。そうでなくてはならないと思います。今、都債を発行すれば、都の税収は、先ほどの質問にもありましたけど、じりじり上がってもきていますし、これは非常に大きな評価を外部には持っていまして、都債は速やかに売れるでしょうが、それは結局、後年度負担をいたずらにふやすことになりますし、今その措置を私はとるべきではない。ここまで来たら、それは避けなくちゃいけない問題だと思っております。 ◯山崎(泰)委員 ここまで来たら、それは避けなきゃいけないという知事のご答弁を聞いて安心しました。ぜひともそういう方向でお進めいただきたいと思います。
     これは先ほど申し上げましたが、借入金と自主財源とをしっかり分けて考える取り組み、仕組みづくりというものを、ぜひとも財務局、主税局を中心として考えていただきたい。お願いします。  歳入の方に関して、これも千七百五十億円という具体的な数字を盛り込まれました。ただ、これはいわずもがな、都内部だけで議論しているだけでは解決できない問題でございまして、先ほど来、話もありますが、地方分権の時代、国と地方の役割分担、地方税財政制度のあり方について積極的に国と議論し、また、都民の世論を盛り上げていくような活動が不可欠だと思いますが、知事は今後、具体的にどのようにして税財政制度の改革を進めて実現していこうとしているのか、お尋ねします。 ◯石原知事 私も、国会におりましたとき、今振り返ってみても、かなり卓抜な、やっていれば非常に効果のあった税制改革案などを提示したものでありますけれども、一向に聞き入れてもらえませんで、東京都が幾ら云々しても、国税のシステムというのは変わるわけはありませんが、しかし、何といってもメディアがフォーカスするこの東京都で、一部の限られた政治家が云々するのではなくて、そういう人たちが、火をつけるというと物騒な話ですけれども、世論を喚起して、東京こそがこういう税制改革を希求しているんだという、そういう世論というものをつくることも、また必要な手だてではないかという気がいたします。知事に就任しました限り、ひとつ皆さんのお力をいただいて、都議会が中心になって国に税制改革の要望をすると。  早い話が、災害対策の一つとして、木造建築を耐震性のある建物に建てかえる、リニューアルでしょうけど、そういうものも含めて住宅を新規につくる、そういった場合には無税にする、課税しない。五年くらいの時限立法でやったらどうだと。これは非常に物品が動いて、リニューアルだけでも、小さなものから大きなものまで、二千点、三千点のものが動くそうでありますが、なぜかやらないですね、大蔵省の一部が反対しましてね。結果としては、私は大きな引き金になると思う。アメリカは現にそれをやって成功しましたし、いまだに無税の制度が続いていますけど、そういった建言も、そこらの地方がするのと違って、東京が国にするということは大きな効果があるんじゃないか。しかも、それは地震対策になるわけでありますから。そんなこともひとつまた都議会の皆さんに考えていただいて、声を上げていただきたいなと思っております。 ◯山崎(泰)委員 わかりました。  一つだけ歳入確保のことについて、この場で申し上げておきたい。  歳入確保は大事だと思いますが、ただ、何でもかんでも歳入確保ということでどうなのかなと気になるのが、法人事業税の外形標準課税の問題でございます。東京都の平成九年度ベースで、累積で欠損法人の割合が六八・八%、ここに、今この段階で外形標準課税ということになると、最終的には国の所管事項になりますが、ただ、気になるのは、東京都の緊急措置の要望事項として、法人事業税の部分が中小法人の負担に配慮しつつとは、今の段階では明確に載っていますけれども、私としては、結果的にそれが税収にどうはね返ってくるかなということを思ったとき、長期的に気になることがありますので、要望にとどめておきますが、都の要望の項目としては、今の時期に果たしてこれを載せておくことがふさわしいのかどうかということに関しても、よく検討していただきたい。  時間が限られていますので、次に進みますが、歳入確保の問題に関して、先ほど木内局長から答弁がありました経常収支比率の問題、私からしてみると、平成十五年の六千三百億円、千七百五十億引いて四千五百五十億円の財源対策というのも、いきなり平成十五年に出てきたような感に映ります。このことに対して、年度別でどういうふうにやって進んでいくんですかとお尋ねしても、多分同じような答弁でしょうから、あえては聞きませんが、せっかくバランスシートをこういった段階でつくったんですから、私だったら、平成十五年で、じゃ、どういうバランスシートの状況になって、最終的に六千三百億の財源対策ができるかぐらいの、バランスシートの使い方というか、活用というか、そんなことも考えていただきたいと思います。  それから、資産管理ができていないのではなかろうかということに関して。  資産管理、なぜバランスシートをつくるかということも含めて、既存の資産を使った改革、具体的に売却等々でもしてキャッシュフローをつくるということ、保有コストをもう一回確認するということ、それから、新規資産が果たして投資として効率的なのかどうかということを確認するという、過去に向けたチェックの部分と将来に向けたチェックの部分、両方があると思うんです。  ちょっとお尋ねしたいんですが、私ども代表質問で申し上げた、個別の施設、既存、新規の部分も含めた各論のバランスシートの作成の状況は、今、果たしてどうなっているのか。加えて、経年管理ができていないという部分で、経年的な分析も必要というふうに財政再建プランには明確に書いてあります。その検討、作成状況、加えて簿外債務の管理という部分に関して、三セク等も含めたいわゆる連結型といっていいと思いますが、都全体の三セクなどを含めたバランスシートの作成等に対する今の取り組み状況というか、作成状況はどうなっていますか。 ◯木内財務局長 バランスシートにつきましては、再建推進プランの中に掲載いたしておりますけれども、現在、参与のもとにあって、その精度を高めるべく研究、検討を重ねているところでございます。お話があった個別の施設や施策に着目したようなバランスシートについても、あるいは三セク等々を含めた連結決算についても、それらの中で議論し、仕組みづくりを行っているところでございます。  そんな意味では、取り組みの過程にあるということで、それらがまとまり次第、公表していくことができればというふうに思っております。 ◯山崎(泰)委員 ちょっと確認で、知事にお尋ねしておきたいんですが、今の資産の管理部分、総論のバランスシートをつくったところですけど、私は、個別、各論のバランスシートって、一番活用方があると思うんですよ。それは、ある程度早くつくらなきゃいけないということも思っているんですが、その個別のバランスシートの問題。それから、公認会計士の先生方はいうんですが、最低でも三年ぐらい見ないと企業の診断なんかできないよと。中地先生、多分同じことをおっしゃっていると思うんですが、そういうことの問題。それから、三セク等々を含めた連結の部分での問題、そのことに関して、知事は今どのように指示をされて、今の答弁を聞かれて、今後に向けてどういった各局に対して指示をしていただけるのか、ご答弁いただきたいんです。 ◯石原知事 ことしから、都としての監査の体制も、外から人を入れてということになりましたが、いずれにしても中地さんの場合には、こちらがプロパーにお願いしたグループですけれども、それにしても、とにかく対象が膨大過ぎて、なかなか手が足りないですね。ただ、おっしゃるとおり、前のBSは、たかだか九年度のものを一つのモデルケースとしてやっただけで、十年、十一年、続けてやらなきゃ全く意味がありません。  ですから、それはずっと継続してお願いするつもりでおりますし、かつまた、本議会でも藤田さんなんかも同じことをいわれましたが、連結決算で各監理団体、そういったもののバランスシートというんでしょうか、財政内容をきちっとしませんと、東京都が見えないところで足を引っぱられているものがたくさんありまして、それは連結の形で決算して明示していかないと、とても長期の展望なんか開けませんし、確たる財政戦略も立てようがない。  ですから、人の手の要る、時間のかかることではありますけれども、それは今お願いしておりますし、そのための資料の提出というものも、各局なり各部署に応じて、セクターに応じて、とにかく協力するように指令しております。 ◯山崎(泰)委員 わかりました。  資産のことに関して、一つだけ申し上げておきます。  今、地方自治法上でいきますと、行政財産──私は、何でもかんでも売却の対象にしろということを決して申しているわけではなくて、普通財産、行政財産、いろいろ精査していったとしても、例えば同じ行政財産の中でも、もう少しこっちの方へ事業所は寄せられるんじゃないか、もう少し統廃合ができて、いろいろな形でコスト減につながっていくんじゃないかというふうに見ていったとしても、地方自治法の二百三十八条の四ですか、具体的には売却、賃貸、リースバックしようと思っても、かなり法的な壁があるというのも現実だというふうに思います。  確かにリースバック等々に関しては、短期的にキャッシュフローをつくれますが、長期的にはどうだと、いろいろ意見はあろうかと思いますが、ただ、そういうことも含めて検討すらできないという地方自治法上の制約というか、壁みたいなのがありますので、そういった地方自治法上の制約も、抜本的な行財政改革をする、それに向けた一環として、ぜひとも知事にも検討項目の一つとして入れておいていただきたいと、あえて答弁は結構ですので、お願いをいたします。  それから、職員の意識改革への仕組みづくりでございます。  私、七月六日の二定の代表質問のときに、知事が六月二十九日に、民間の皆さんと血のにじむような努力を一緒になって職員の皆さん、やろうじゃないかと。その次の日、おかしいじゃないですか、知事、六月三十日に〇・七九%で前年アップで、ボーナスが上がって──都民の皆さんにとっては、違った目で映るんじゃなかろうか。だからというわけじゃないでしょうけれども、今回、給与カットを思い切って提案されたことは、職員の皆さん方には酷な話かもしれませんが、この期間、頑張っていただいてという意味で評価しています。議会も自主的に削減をいたしたところでございます。  そういう中で、先ほど人事委員会勧告との絡みの話が出ましたが、削減、削減だと、どうも暗い話になりかねません。私が一般職員の成績率の導入なるものにこだわっているのも、業績能力主義、頑張った人には、ある程度そういったものが反映できるような仕組みをあわせて入れることが、逆に、職員の士気が下がらなくて済む一つの方策ではなかろうかというふうに思っています。  いずれにせよ、さっき知事のご答弁にあったとおり、地方公務員法で身分が保障されているわけですから、その現有の都の職員の皆さんを、いかに士気を高めて有効に使っていくかということを考えるしかないわけでして、そういった意味では、職員の皆さんの士気を一方で高めていくような、今の能力業績主義等々の問題を含めた意識改革の方策に関しては、どのようにお考えでいらっしゃいますか。 ◯横山総務局長 お話のように、限られた人材によりまして、機動的かつ効率的に行政目的を達成していくためには、職員一人一人の意欲と能力を引き出しまして、最大限に活用していくことが必要でございます。このため、努力し、成果を上げた職員が報われるよう、昇任や昇給等におきまして業績評価を適切に反映させ、一層の適格者選抜に努めますとともに、能力、適性や実績に基づく適材適所の職員配置を徹底していく必要があろうかと考えております。  今回の給与削減措置は、あくまでも時限的、緊急避難的措置でございまして、今日の都財政の危機的状況を乗り越えるため、職員に理解を求めていきたいと考えております。 ◯山崎(泰)委員 わかりました。  最後に、知事に申し上げたいんですが、石原行革は前向きな構造改革を目指していただきたいなと、個人的には思っています。それはどういうことかというと、橋本前総理の行革は、どちらかというと、我慢の行革だがゆえに立ち行かなかったんじゃないかということの指摘もされているわけです。先ほど来、「福祉施策の新たな展開」等々に関してもいろいろ議論があったところですが、あの中でも、見てみると、削る方、見直す方のメニューは各論でよく見えやすいんですが、先ほどの質問にありました、その後、かわり得る代替案をどういうふうに示していくのかということが、余りにも総論の域を出ない。初めて削るものと新たに目指すものと両方が見えて、その是非を議論できるというところもかなり大きいところがあると思いますので、そういった意味では、先ほど来の民営化の問題、それからPFIという話がありました。加えてアウトソーシングなんていうことを申し上げたいと思いますが、時には法改正も迫らなければいけない問題もあろうかと思いますが、構造改革の必要性を唱えたいと思います。  今回の話は、特に人件費削減、定数の削減の問題が出てきました。それに加えて、私は幾つかの改革が並行してやられて初めて、施策の見直し、人件費の問題に関しても、内なる改革に納得していただけると思います。それは、あと何かというと、民営化とか、民間委託とか、PFI等々を含めた形での、そもそも都の持つべき役割はどうなのかということに関しても、一回きちっと精査しなきゃいけないだろうなということ。それから、BSをつくったんですから、財産処分等々によるキャッシュフローに関しても、一回精査しなきゃいけない。それは、どこまで東京都が持っている資産であるのかなんていうことも、きちっと精査しなきゃいけない時期に来ているだろうというふうに思います。  それから、国に対しても、税財政制度の改善というのは、内に向けた改革をやる以上は、知事は時には先頭に立って国とけんかして、私たちも一生懸命やりますので、そういった意味で外に向けた改革ということもやっていただきたい。  というのは、従来の手法型での限界を感じます。従来の手法だけですと、どうしても最後、人件費を削減、施策の見直しで削減、そちらの方に傾きがちにならないためにも、今申し上げた幾つかの柱立てで、構造の改革をしていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。 ◯矢部委員長 ほかに発言がなければ、以上をもちまして本日の質疑を終了いたします。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後六時十分散会 行財政改革基本問題特別委員会速記録第二十六号 中正誤  ページ 段  行   誤    正      一  末五┐  二六       │評価表  評価票      三   八┘...