• 霊堂(/)
ツイート シェア
  1. 東京都議会 1999-02-25
    1999-02-25 平成11年_予算特別委員会(第3号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時二分開議 ◯佐藤委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。  これより付託議案の審査を行います。  第一号議案から第三十一号議案まで、及び第百三十一号議案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、総括質疑を行います。  山崎孝明理事の発言を許します。 ◯山崎委員 質問の順番を変えてお伺いいたします。  まず、東京空襲犠牲者名簿の収集、作成について伺いますが、今定例会における我が党の内田幹事長の代表質問で、東京空襲犠牲者名簿の収集、作成に向けた早期取り組みを開始すべきであるとの質問に対して、知事は、犠牲者の名簿を収集、作成することは意義深いことであるとした上で、名簿収集、作成の意義を明確にし、早期に準備を進め、平成十一年度のできるだけ早い時期に具体的な取り組みを開始していくと、極めて前向きなご答弁をいただきました。それ以降、我が党にはたくさんの電話が入りまして、お礼の電話がたくさん参りました。十を超える区市町村から、名簿作成促進の意見書も出されております。こうしたことで都が腰を上げたことは、大変私どもも喜んでおりますし、高く青島知事の決断を評価したいと思っております。  ここで私自身の話をちょっとしたいんですが、私は昭和十八年十月生まれで、戦災のとき、一歳半でございました。たまたま疎開先から母親が私をおぶって江東区の今の住んでいる砂町に三月九日に戻ってまいりまして、その夜、空襲に遭いました。  母は、私をおぶって、今の新砂方面、海岸の方面にやっとのことで逃げた。そのときに、おぶいばんてんにくるまれていて、おぶいばんてんが真っ黒に焦げていて、余り泣きもしない、静かなので、死んだのではないかと思って海岸で抱きかかえてみたら、すやすやと眠っていた、おまえは本当にいい子だったよというのを、子どものころから、もう何十、何百回と母から聞いてまいりました。逃げるコースを間違えれば、恐らく私はこの世にいなかったのではないか。そうした意味で、いまだに母の戦争の話を聞くたびに、母に心から感謝をしております。  その逃げる道すがら、何人もの人が倒れていたとか、あるいは私の家のそばには仙台堀川という運河があります。この運河には、それこそ材木も浮かんでいるんですが、そこは黒焦げの人の山だった。道路には、翌日たくさんの死体が山積みにされて、それをトラックにほうり投げて、どこかで埋葬したんでしょう。そういう話をずっと聞いてまいりまして、今日ある私がこうして元気でいられること、それと同時に、そのときに亡くなったたくさんの方々のことを思うと、本当に心が痛みます。  当時幼い子どもで、両親、兄弟をなくし、遺骨の確認もできずに、せめて生きていたあかしを名簿にとどめたいといっている方、また、幼い子どもを亡くし、せめて自分が生きている間に名前だけでも残して供養したいといっている方など、たくさんの方々がそうした思いで今日もいらっしゃいます。  私の父は、その空襲のときには警防団長をしておりましたので、母や私とは離れて、近所の人の防火活動とか、あるいは救助とかに携わっておりました。後に聞きますと、角の何々さんは、あの後見当たらない、恐らくあのとき死んでしまったんだろうと。そういう思い出を持っている人たちも、みんな高齢化してきまして、その名簿をつくるといっても、大変困難だと思うんです。  そこで、何としても早くこれを行動に移していただきたいと思うのですが、確認の意味で伺いますが、十一年度のできるだけ早期にとは、具体的にいつごろを指すのか、その点についてまずお伺いをいたします。 ◯青島知事 まず、東京空襲犠牲者名簿の早期収集、作成について山崎理事からお話がございまして、今、お母様並びにそのときの状況など熱い思いをお聞きしまして、思わずまぶたが熱くなる思いがいたしました。  実は私も、私の母のすぐ上の姉が、おばでございますけれども、猿江に当時住んでおりまして、あの日の空襲で犠牲になりました。それと同時に、私の一番親しくしておりましたいとこも、そのとき一緒に死にました。毎年夏になりますと、大勢のいとこたちと避暑に行くというようなことで、ごく親しく、兄弟同然にしていたいとこでございますので、非常につらい思いをしたことを覚えております。  私のことは別にいたしましても、都といたしまして、登載者の範囲とか、あるいは個人情報の保護のあり方など、なお検討すべき事項もあることはあるわけでございますけれども、遺族、関係者の方々からの熱いご要望もこれありということでございますので、早速取りかかるように検討を進めさせておるところでございます。  今、その時期はというお尋ねでございますので、平成十一年の夏ごろまでには何とかしていきたい、開始ができるように準備を進めたいと思っておるところでございます。 ◯山崎委員 ありがとうございました。夏ごろまでに、ぜひこれはやっていただきたいと思います。  ところで、同じ代表質問で内田幹事長は、空襲犠牲者の追悼の慰霊碑の早期建立は、空襲で亡くなられた方々の遺族の一致した願いであり、都民にも異論はないと提案を行いまして、これに対して都は、提案の趣旨を踏まえ、今後、適切に対応するという答弁をいただいたところであります。
     私の住んでいる江東区、これは江東区に限らず東京じゅう、あるいはどこでもそうなんでしょうが、三月十日、町を歩くと、あちこちでお線香のにおいがしてきます。私は毎年三月十日にお参りしているところは、亀戸の普門院さんというお寺で、戦災供養をやられております。千石地蔵あるいは東陽町に親子地蔵、こうあるんですが、親子地蔵というのは、三月十日の空襲で、母親が赤ちゃんを抱いて焼かれて亡くなっているのを見たまちの有志が、お地蔵さんをつくって、それ以来、ずっと三月十日に供養を続けている。  それから、私の住んでいるところには、戦前から、木場が近いせいもあり、あるいは町工場もいっぱいあったせいで、馬車の運送屋さんがたくさんあったんです。そして、私の昔の家の隣には馬小屋がありました。あの戦争で、三月十日に、当時、馬が何百頭も焼け死んだんです。道路にそれも山積みにされていたという話も聞いております。この馬たちを飼っていた運送屋さん、今はトラック輸送ですが、その方々が馬のを慰めるために馬頭観音というのをつくりまして、これは高さ三メートルぐらいの碑でしょうか、そして、これも三月十日に必ず供養を続けておられます。馬たちでさえも、生き残った方々が慰霊碑をつくって供養しているんですから、ぜひとも都として、戦災で亡くなられた方々の慰霊碑を一日も早くおつくりいただきたい。  これについて、もう十数年前、私、区議会のころに、木場公園ができるときに江東区の方々が、木場公園にどんな小さな碑でもいいから建ててほしいという署名をやりまして、いろいろやったんですが、実現ができませんでした。今回、平和祈念館の問題が起きてから、慰霊碑建立の話も随分出ております。青島知事も、そうしたお身内の方々のつらい思いもおありでしょうし、知事個人としてよりも、人間の心として、ぜひこの建立をしていただきたいというのが多くの方々の願いでもあり、残されて今日生きている我々の責任でもあろうと思うのです。  知事、いかがですか。お気持ちだけでも結構ですから、お聞かせいただければありがたい。 ◯青島知事 祈念館のほかに、慰霊碑だけでも建てようじゃないかというお話もあることは、私も承知をいたしております。今のお話も十分説得力のある話でございまして、私にも身につまされるところがございます。  しかし、できるだけ多くの方々のご意思を尊重いたしまして、ご議論をいただきました末に、どうしたものが適当かということをお決めいただいて、建立することも、あえて否定はいたしません。できる限り何とか実現したいものだと、私もひそかに思っております。 ◯山崎委員 知事があと一カ月ほどで退官されるわけで、何とか青島知事が、これは青島知事がつくってくれたんだよという、多くの遺族、あるいはそういう願いを持っている方々のためにも、青島知事の残した大きな業績として評価されると思いますので、ぜひひとつ、これはお願いしたいと思います。  次に、組織再編案を発表しました知事の責任について伺います。  青島知事は、去る一月二十八日に組織再編案を発表し、そのわずか四日後に、二月一日、次期知事選への不出馬を表明しました。確かに、行政改革組織再編は時代の要請であり、我が会派は、知事がそれに対する考え方を明らかにすることまでは、おかしいとか問題だとかいっているわけではなく、拙速にならないように十分な議論を踏まえて実施すべきである、こう主張してまいりました。しかし、今回の組織再編案は、単に考え方を表明するにとどまらず、七つの局名を出して、具体的な再編後の組織の姿を明らかにされております。  先日の一般質問で我が会派の大西議員も指摘したように、庁内にあった強い異論を押し切ってまで再編案を取りまとめた以上は、みずからの手で、責任を持ってその実現を図るという決意がなければならない、こう思います。また、その実現は次期知事の手にゆだねるというのであれば、局名や局数などは、庁内にも議会にもまだ異論があることに配慮して、いたずらに急ぐことなく、十分時間をかけて各方面から意見を聞き、検討すべきであります。  再編案だけは急いで強引に取りまとめ、実施を待たずに、ご自身は知事をやめてしまうというのでは、単なる知事の個人的な自己顕示欲の誇示や、なすべきことはすべてなしたと、こうおっしゃる知事のアリバイづくりのための再編案ではなかったのでしょうか。  そこで伺いますが、昨年八月の組織再編素案の中で、今後、都民を初め広範な議論を経て組織再編を行うと述べていますが、議会を含め、この点は本当に十分行われた上で再編案を発表したとお考えでしょうか、知事、お願いします。 ◯青島知事 私は、何事につきましても、独断専行ということはなるべく避けて、幅広く皆さんのご意見をお伺いしながら物事を進めていくというのが本当であろうというふうに、都政運営の基本姿勢として据えているところでございます。  組織再編素案につきましても、行財政改革基本問題特別委員会を初めといたしまして、都議会や都民のための行政改革を考える会、あるいは行政改革戦略会議、さらには「知事と都政を語るつどい」あるいは行革ご意見箱などの設置によりまして、広く議論を重ねるとともに、貴重なご意見をちょうだいしていたところでございます。  組織再編案は、このような経過を踏まえて策定したものでございますので、私の自己顕示欲とか、そういう意味合いでつくったものではないということをご承知おきいただきたいと思います。 ◯山崎委員 知事は今、特別委員会を初め、十分議論をしたという認識を示されました。  しかし、私も所属している特別委員会では、昨年八月に行革大綱見直し方針組織再編案が出されてから、組織再編素案について議論されたのは何回ありましたか。総務局長、ご答弁願います。 ◯木宮総務局長 八月の末に組織再編素案及び行革の方針をお示ししたわけでございますけれども、その後、行革の方につきましては、都合三回あったかと思いますが、組織につきまして、組織だけで議論をしたということにつきましては、一回あったかどうかというふうに思っております。 ◯山崎委員 一回ですよ、一回。行革大綱見直し方針組織再編素案の二件について、昨年の十一月と十二月で一回ずつ質疑をしているわけで、組織再編素案については、実質上、一回。これで十分なんですか、知事。  十分議論したとおっしゃっておりますけれども、行政改革のために設けられた特別委員会なんですよ、その委員会ですら一回しかやっていないじゃないですか。それでも十分議論をした、こういえるのでしょうか。 ◯木宮総務局長 行政改革特別委員会においてはお話のようなことでございましたけれども、第三回定例会及び第四回定例会におきましても、ご議論をいただいたところでございます。 ◯山崎委員 では、特別委員会は必要ないということになるじゃないですか。何のための特別委員会なんですか。  十分な議論などされていないわけですよ。だから、再編案を出す前に、今回の案を出す前に、少なくとも一回は行革委に概要を報告して質疑をして、そして議会のさまざまな意見を再編案に反映させていただきたいという、理事会や何かでそういう意見が出た、そういう議会の要望は知事に伝わっているんですか。知事、聞いていますか、この件は。 ◯青島知事 理事者側としては、そういうことで求めていたようでございますけれども、なかなか機会が得られなかったということも聞いております。  しかしながら、組織再編案につきましては、都議会を初め各方面のご意見を十分に伺うようにという意向で進めてきたわけでございまして、私は、昨年の第四回定例会におきましても、組織再編案につきましては、本年度のできるだけ早い時期にお示しをしてまいりますと、都民の皆さんにもお約束したところでございまして、先月の二十八日に発表したというわけでございます。 ◯山崎委員 特別委員会がありながら、その特別委員会の要望を無視して、一月二十八日に再編案が発表されてしまいました。  庁内の議論においても、なお強い異論があったと聞いておりますが、一般都民においても議会においても、再編素案に対する議論が不十分なまま、今回の再編案が発表されたわけですが、なぜそれほどまでに急ぐ必要があったのでしょうか、知事、いかがですか。 ◯青島知事 社会経済の状況が急変をしている時期でございますし、旧来型の対応では、都政のあり方では対応し切れない部分もあるかと思いまして、適切に対応してまいりますためには、組織につきましても、それに対応できるだけの改編が必要であろうということから、組織再編を初めとする行政改革を考えたわけでございます。  これは、どなたが知事であっても、この時期やらなければならない都政の重要課題であろうというふうに考えたわけでございまして、その上、私どもで検討いたしました組織再編案につきましては最善のものであると考えておりますので、実現に向けましては、なお、また十分にご議論をいただくために発表したわけでございまして、よろしくご了解のほどをお願い申し上げます。 ◯山崎委員 我々は、組織再編、その他行革については、これはやらなきゃならぬということは、十分、何度も申し上げています。ただ、組織再編については、十分な議論をして、庁内も議会も、すべてがよし、これでいこうというには、もっともっと時間をかけなきゃならぬだろう。ただいたずらに組織を改正すればそれで済むという問題ではない、こういうふうに主張し続けているわけであります。  庁内で十分議論したといいますが、どのような観点から議論されたか、我々にはさっぱり伝わってまいりません。実際に事業を行っている各局で、今の組織でどのような問題点があって、都民サービスにどんな悪影響が出ているのか、そして組織再編をしてそれがどう改善されるのか、各局事業について、民間委託あるいは民営化、区市町村との役割分担、これら組織を考える上で重要な事項について、少なくともこれらの将来方向ぐらいは議論し、結論を導いたと、そして再編案が決めていかれたと思います。  そこで、きょうお集まりの各局長にお一人ずつ、それぞれ自局の事業についてどのような議論がなされ、今申し上げた事項について、その将来方向をどう定めたのか──一人ずつ皆さんから聞きたいですよ、時間さえあれば。時間がないから、残念ですがね。組織再編が都民にとって、具体的に都政の何がよくなるのかがわからなければ、何のための改正か、全くわからなくなってしまいます。  改めて伺いますが、発表した知事の真意は何ですか。 ◯青島知事 行政改革が必要である、どのように検討していこうかということは、抽象的には明確になっているわけでございますけれども、それぞれ具体案が出なければ、議論のたたき台にもならないではないかと。そこで、具体的な案を出して、その案について具体的な事実それぞれに基づいて、各局の考え方なども反映して議論を重ねていこうではないかということで、たたき台としても有効に、皆さん方にご了解得られるようなものということでつくり出した具体案でございますので、十分にご議論いただきたいというふうに申し上げているわけでございます。 ◯山崎委員 では、今回出したのは、たたき台ということですね。たたき台、あくまでも。それを見てどうするかこうするかというのは、新たにここからスタートするというふうに受けとめざるを得ないと思います。  年度内に組織再編案を出したいと知事がいわれたわけですが、それは知事の思いなんです。その思いをかなえるために、少なくとももう一回は議論しようという議会の思いを無視した。一体この再編案はどういう位置づけか。それが今お答えのように、たたき台だということがわかりました。今後の議論の素材であって、これをもとに大いに議論しましょう、知事の考えも十分説明してもらって大いに議論する、その後に議会の意見を十分入れて、新しい再編案を、いわば最終案を作成する、そのための議論の素材、たたき台という意味合いがあるというお答えでよろしいでしょうか、知事。 ◯青島知事 私ども庁内で検討した結果、最善最良のものであるというふうに考えておりますので、でき得る限り、これに沿って具体化していっていただきたいというふうには思っておりますが、十分ご議論なさることは、ご自由でございます。 ◯山崎委員 知事の真意が全くわかりません。再編案は今後の議論の素材というなら、再編案を出したのは、組織再編検討のスタートである。そのスタートにあって不出馬というのは、一体何なんでしょうか。知事の案である再編案ですよね、これは。これからですよ。それなのに、なすべきことはなしたと、これこそ不出馬のアリバイづくりでなくて何でしょう。全く無責任としかいいようがありません。  新しい知事がフリーハンドで築くべき都政最大の重要政策を、議論不十分のまま出すだけ出していなくなる、全く見識を疑わざるを得ません。再編案は、次期の知事の判断にゆだねるべきであったと思いますが、知事、いかがですか。 ◯青島知事 十分に参考にしていただきたいと思っております。 ◯山崎委員 十分議論していただくために発表したという答弁では、先ほど来は、都議会を初め各方面と今まで十分議論を積み重ねてきた、こういっておりますから、知事の最初の答弁と随分食い違いがあります。私は、この点は指摘をしておくにとどめます。  知事はご存じかどうかわかりませんが、組織条例に関しては、自治省の行政実例などでも、発案権は知事に専属し、議会が提案したり、実質的にそれと同様の結果となるような修正をしたりすることは許されないと解釈されております。だからこそ我々は、提案前に十分時間をかけて、謙虚に議会の意見に耳を傾けるべきだといってきたのであります。今回の再編案の取りまとめに至る過程での知事の姿勢は、こうした謙虚さに欠けていると私は思います。なぜならば、先日本会議で、我が党の大西議員の質問に対する知事の発言、議会で代案を出せばいいとかというような発言がありました。恐らく自治省の見解というようなものも知事は知らなかったのでありましょう。承知であれば、あのような無謀な発言はなかったことと思います。  おやめになる知事を余り責めても、我が会派の武士の情けとしてこの程度にさせていただきますが、ただ、最後に申し上げたいことは、今回発表された再編案は、青島知事の選挙を意識したパフォーマンスの一環だ、こう受けとめられても仕方ないと思います。出馬するために急いでつくった、しかし、やめる気になって急いでまとめた、私はこんな気がしてなりません。私どもは、新しい知事のもと、都の将来像を踏まえた都民のための組織再編について、基本に立ち返って、一から議論をし尽くしていくことが肝要である、こう思っております。  次に、新木場地区臨港地区解除について伺います。  新木場という町は、昭和四十五年、東京都が策定した木場対策基本方針に基づいて、木場の方々が最終的に六百社ほどが移転し、当時は原木輸入量は三百万トン、ところが、平成九年には六十三万トン、こんな状況になっておりますし、製材業だけいいますと、当時八十一社あったのが、今はわずか、ほんの数社になっております。地元の皆さんは、東京都の方針に協力して移転をしてこられて、その移転の後に臨港地区の網がかぶさった。これは、平成八年三月の予算特別委員会で、青島知事が最初の予算委員会にお出ましになったときに、私はこの新木場の現状について、知事はまだご存じないでしょうから、しっかりと聞いてくださいということで質問をしたことがございます。現在、都は、こうした状況の変化や地元の動きについてどのように対応していくつもりか、お聞かせいただきたい。 ◯今沢港湾局長 新木場地区につきましては、東南アジアを中心とする原木産出国の輸出規制などを背景といたしまして、東京港における原木輸入量の減少傾向が、ここのところずっと続いております。さらに、木材の流通システムの変化などの影響もありまして、新木場地区におきましては、物流業などの木材関連以外の土地利用が多く見られ、移転時と比べ、土地利用が大きく変化しております。このようなことから、港湾機能と関連した土地利用が薄れてきておりまして、土地利用規制の見直しが必要である、こういうふうに考えております。  都といたしましては、臨港地区の解除を目標としておりますが、解除にはかなりの日時を要することなどから、当面の措置といたしまして、比較的短期間で対応可能な商港区から無分区へ変更してまいりたい、このように考えております。商港区から無分区に変更いたしますと、分区条例による構築物等の制限がなくなり、解除とほぼ同等の効果が得られるわけでございます。 ◯山崎委員 商港区から無分区への変更を行うことになるわけですが、無分区へ変更して分区条例による規制がなくなると、建築物などの用途規制はどのようになりますでしょうか。 ◯成戸都市計画局長 無分区になりますと、一般の市街地と同様に、用途地域による規制が働くことになります。現在、新木場地区は準工業地域及び工業専用地域が指定されておりますので、それぞれの地域指定による用途規制が働くことになります。具体的に申し上げますと、準工業地域内では、一部の用途を除きまして、ほとんどの用途の建築物が建築可能でございますが、工業専用地域内では、住宅、学校、病院などの用途が制限されます。 ◯山崎委員 ただいまの答弁を伺いますと、無分区に変更すると、商港区により統一的な土地利用規制が行われていたものが、同じ新木場地区でも場所によって異なる規制が働くことになるということですが、そのような状況は、地元に大きな混乱を招くことになるわけです。地元からの要望もあるように、工専の区域を準工に変更して、新木場地区全体としての統一的な土地利用を図るよう誘導すべきと考えますが、見解を伺います。  あわせて、用途地域の変更にはどのくらいの期間が必要なのかもお伺いいたします。 ◯成戸都市計画局長 新木場地区で、分区条例によります制限が解除されました場合には、用途地域を統一いたしまして、地区全体として整合のとれた土地利用を図ることが適切であると考えております。その場合、用途地域の変更は、当該地区のまちづくりに大きな影響を及ぼすことになります。したがいまして、地元区が地域の合意に基づいたまちづくりの方針や将来の土地利用のあり方を地区計画等によりまして、都市計画として明確に位置づけた上で、都として用途地域の変更を行うことが必要であると考えております。  また、都市計画決定までの期間でございますが、手続がございます。区が地区計画の案を策定する段階で、地元の合意形成を図りながら行いますが、その案を策定してから、縦覧期間等の法定手続などに約六カ月を要するものと想定しております。 ◯山崎委員 私は、前から機会あるごとに、この問題について議会で質疑を重ねてまいりまして、今回、都の方から一歩踏み込んだお答えをいただくことができました。  さらに確認させていただきますが、分区の変更の時期はいつごろになるのか、また、臨港地区の解除の時期はいつごろか。  そして、あわせて、今後、臨港地区の解除に向けての手続を進めるに当たっては、地元の皆さんの意見を反映して、江東区とも十分調整を図りながら進めていくべきと思いますが、都のご見解をお伺いいたします。 ◯今沢港湾局長 無分区への変更手続は、区が地区計画の案を策定いたしましてから、約六カ月要するものというふうに思っております。  なお、臨港地区の解除につきましては、将来の土地利用計画、都市基盤の整備が都市計画として定められた時点で、その手続に入っていくということになります。  あと一点の地元との関係ですが、都といたしましては、都と地元区で合同の連絡調整会議を既に設置してありますが、新木場地区土地利用規制のあり方について検討を開始したところでございます。  今後は、国との協議はもとより、地元区、地元の皆さんとは十分意思疎通を図り、ご指摘の方向で着実に実施してまいりたい、このように考えております。 ◯山崎委員 青島知事、知事就任の最初の予特で私がお話ししたころ、運輸省あるいは建設省の絡み、そういった行政の縦割りで、この問題は非常に難しい──知事もわざわざ質問が終わった私のところへ来て、山崎さん、これは難しそうですね、頑張りますよ、こういっていただいたのをいまだによく覚えております。三年半たちまして、やっとここまで前進できたということは、地元の新木場の業者の皆さんも大変喜んでおります。  青島知事のこの四年間でなされてきた数あるうちでも、私は、この新木場地区の用途地区の変更という目安がついたことは、大きな青島知事のお力であったと、先ほどは随分攻撃もいたしましたが、この件については本当に感謝をいたしております。地元の方々も、そのように伝えてほしい、このようにおっしゃっていることをお伝えいたしておきます。本当にありがとうございました。  次に、清掃事業について伺います。  清掃事業の特別区への移管についてでありますが、清掃事業の特別区への移管については、昨年末に、移管後の運営形態や職員の身分の扱いについて、関係者間の基本的な合意が成立いたしました。その後二カ月が経過しましたが、都区協議がどのように進んでいるのか、なかなか我々の目には映ってまいりません。そこで、年末の合意形成後の都区間協議の経過と内容についてお伺いいたします。 ◯木宮総務局長 昨年末の関係者の合意を踏まえまして、一月の区長会総会に出席をし、私から今後の都区間の協議の進め方についてご説明を申し上げました。また、二月上旬には、都区間の協議組織でございます清掃事業検討会等を開催し、移管後の清掃事業の具体的な実施方法や職員の身分取り扱いの具体的な内容等について鋭意協議をしているところでございます。 ◯山崎委員 移管するまであと一年ということで、非常に大変な作業を続けていると思いますが、検討しなければならない項目が、細かく数えると百以上あるというふうにも伺っております。したがって、清掃事業の移管については、区側の意見を十分に吸い上げなければならぬ、このように私は思うんですが、都区協議に臨む東京都の考え方について伺います。 ◯木宮総務局長 清掃事業の移管につきましては、議会の皆様方のご支援がありまして、昨年末に基本的な合意が整ったところでございますが、細部にわたる事項につきましては、お話しのようにまだまだ検討すべき部分がございます。  区長会でも申し上げたところでございますけれども、今後、これまでにも増して都区間の緊密な連携を確保するとともに、事業主体となる特別区の意向を十分に尊重しながら、移管後の清掃事業が円滑に行われるように協議を尽くしてまいりたいと考えております。 ◯山崎委員 次に、十一年度の移管準備経費なんですが、清掃事業の移管に向けては、さまざまな事業がこれから必要になるんですが、そこで、まず、十一年度の移管準備経費は、各区は当初予算に計上しているんでしょうか。二十三区は当初予算に計上しているのかどうか、そして、都はその内容を把握しているかどうか、この点。  あわせて、十二年四月から区の職員が急に清掃局の仕事をやるということで、清掃局から行った職員と区の職員との調和というか融和、あるいは仕事がスムーズにできるかどうか、移管後の職員の指揮監督権は特別区が有することになるわけですけれども、そうしたために、職員に対して今どう研修しているのか、その三点についてお伺いいたしておきます。 ◯福永清掃局長 まず、予算の点からお話し申し上げますと、平成十一年度の特別区における移管準備にかかわります予算につきましては、車庫整備経費や一般廃棄物処理計画策定経費を特別区は見込んでおります。このほか、車両の表示の変更ですとかPR経費、こういうものにつきましては、ほとんどの区でまだ当初予算には計上していないという情報を得ております。このために、都といたしましては、特別区における移管準備のためのこれらの必要な経費を、特別区が平成十一年度の補正予算として計上できるよう、適切に情報提供をしてまいります。  また、都の予算といたしましては、直営車の車庫整備補助金及び清掃事業総合情報システム改修経費などを計上しております。  次に、指揮監督の問題でございますが、特別区は、清掃事業の受け入れ準備といたしまして、清掃事業の実態に精通した職員の育成を計画的に行うこととしておりまして、都はこれを受けまして、平成六年度から特別区の係長職等の職員を、これまで合わせて百四十四名、派遣研修として受け入れております。このうち平成十年度には、事務系四十一名、技術系十二名の職員が、本庁や清掃事務所、清掃工場などで研修を行っております。  また、これに加えまして、平成十年七月からは、特別区から管理職を受け入れておりまして、清掃事務所の副所長として、所の管理運営にかかわる研修を実施しております。  今後、平成十一年度におきましても、管理職等の派遣研修を受け入れまして、移管後、収集、運搬の現場で混乱が起きないようにいたしたいと思います。 ◯山崎委員 ありがとうございました。(拍手) ◯佐藤委員長 山崎孝明理事の発言は終わりました。      ───────────── ◯佐藤委員長 浅川修一委員の発言を許します。    〔委員長退席、木村副委員長着席〕 ◯浅川委員 それでは、私は、多摩の市町村への支援について伺います。  昨日の予算特別委員会で、我が党曽根委員の質疑の中で、全国の自治体が、公共事業費のための借金の増大によって極めて深刻な財政危機に陥っていることを取り上げ、その原因について、国の公共事業の押しつけがあることを取り上げ、知事にただしたのに対して、知事は、一因であるということをお認めになりました。  そこで、知事の認識を改めて伺うことはいたしませんけれども、ここで、多摩、島しょ地域の市町村についても、公共事業の拡大が財政破綻を招いた原因であることについて、明らかにしておきたいと思います。  まず、自治体の財政力を判断する際の指標の一つであります経常収支比率についてですが、多摩地域の場合、九七年度の決算で八〇%を超えている自治体は、四十一団体中三十三団体、二十六市四町三村であります。一〇〇%を超える自治体も二団体となっています。一般的には、経常収支比率の適正水準は七〇から八〇%といわれておりますので、多摩地域の自治体の財政状況の深刻さがあらわれていると思います。  次に、自治体の財政が健全かどうかを判断する目安となります公債費比率は、平均で一〇・八%となっています。一般的には一〇%を超えないことが望ましいとされておりますので、一〇%を超える自治体二十一団体、十六市二町三村というふうになっております。このうち、警戒ラインといわれております一五%を超えているのは、国分寺市と八王子市であります。  そこで、問題は、このような財政危機の原因が何であったかということであります。ここにグラフを用意いたしました。これは、この間の普通建設事業費と地方債の状況をグラフにしたものであります。七〇年代の後半から八〇年代半ばにかけては、伸びというのはそう高くなっておりません。八五年にちょっと下がっておりますが、この八五年の普通建設事業費というのは一千四百八十九億円で、そのうちの単独事業費が千五十九億円で、比率は六九%であります。これが、グラフの頂点になっておりますバブルが弾けた九二年には、普通建設事業費が四千二百一億円、単独事業費は三千五百九十四億円にそれぞれ三倍以上に膨らんで、単独事業費の割合が八五%にもなっております。これが、五年後の九七年度決算では、普通建設事業費が若干削減されたとはいいますが、二千五百五十七億円、単独事業費はそのうち二千六十三億円で、割合はいまだに八〇%という状況であります。  このように、八〇年代の後半から投資的経費は急激にふえて、ピーク時には、多摩、島しょ地域でも四千二百一億円にも上ったという数字であります。  この八五年と九七年を比べると、九七年の方が投資的経費、単独事業費とも一千億円も高くなっております。一方、地方債の現在高は、これは上の折れ線グラフで示しておりますけれども、八五年が四千七百二億円、九二年が六千三百五十八億円、九七年は九千六百五十四億円で、自治体財政を急激に圧迫しているということを示しております。  そこでお伺いいたしますが、このような財政運営が困難な市町村の今の窮状といいますか、この点を都としてどのように認識されているか、お伺いいたします。 ◯木宮総務局長 お答えいたします。  市町村において、かつてと比べ経常収支比率が高まるなど、財政の硬直化が進んでいることは事実でございますが、投資的経費の増大が財政を圧迫しているということよりも、経常的経費が伸びていることに加え、景気の低迷等により税収が伸び悩んでいることが大きな要因ではないかと考えております。 ◯浅川委員 ちょっとそれは認識が違うんじゃないかというふうに思うんです。経常経費といいますが、これは、過去の投資的経費の借金の返済に充てる公債費が経常経費に含まれているとか、あるいは開発への補助金も大体経常経費として計上されていることが多いというようなことは、この間議論があったところであります。大体、公共事業の問題というのは、きのうの答弁でも、知事が、地方財政危機の原因の一因として認められていたではありませんか。また、小渕総理自身も、全国の自治体の財政危機の要因として認めていたんですよ。  そういうふうに、それほど認めたくないというのであれば、もう一つのグラフを見ていただきたいと思うんです。これは、東京都と市町村の投資的経費の推移を、八七年を一〇〇として伸びを示したものであります。こちらで見ていただきますと、都が緑で、市町村が赤でございます。都の伸びよりもはるかに市町村の伸びの方が上回る数値を示しております。市町村の投資的経費の数値が東京都の伸びを上回る数値を示している、これが多摩地域の財政困難の原因となっているのであります。なぜ市町村が東京都以上に投資的経費が高い数値を示しているかといえば、多摩の市町村は、この間、国の政策や、あるいは都の政策に強く引っ張られてきたからであります。  そこで、この間の公共事業を増大させる背景となっております国や都の開発計画を、私は調べてみました。そういたしますと、八六年にいわゆる四全総と第四次首都圏整備計画の基本計画が策定されていますが、この計画のもとで、業務核都市や、あるいは建設省のインテリジェントシティー、郵政省のテレトピア計画が推進されてきました。東京都の場合は、四全総の路線に沿って東京都多摩振興構想懇談会を設置して、国の八王子、立川、青梅、町田などの業務核都市構想に追随をして、青梅・秋留台開発、多摩の心の育成、地区の中心整備、圏央道、核都市間幹線道路など、拠点を結ぶ骨格幹線道路網などを打ち出して、多摩地域の大規模開発、企業都市づくりを行政主導で行ってきました。これらのうち、業務核都市開発が、八王子、立川、青梅、町田など現在いずれも破綻し、地元自治体に重い負担となっていることは、今度の議会の清水議員の一般質問でも明らかにしたところであります。  また、この地区の中心整備というのは、二十七市のほとんどの市で、駅を中心とした再開発や区画整理などを推進すべきと打ち出して、これも住民の追い出しや負担増となって、自治体にしわ寄せをするものとなっています。  さらに、圏央道関連では、あきる野市では、一部地下化に伴い、地上部を市道で整備することになり、百億円の支出になるといわれています。都が持ち込んだ秋留台開発では、平井川北開発が破綻して、日の出町に大きな負担を残しております。  このような開発型の行政は、それを受け入れたそれぞれの市町村の責任はもちろんありますが、多摩市町村の場合は、国や都の開発計画が、バブルが崩壊した後も、景気対策と一体となって公共事業をばらまくように推進してきた最大の原因があるのではないでしょうか。  都は、財政難といいながら、改訂重点計画では、多摩の心の計画のこの予算を三倍もふやそうとしていますが、自治体の財政困難をもたらしている大型開発について、東京都として責任の一端があるとお思いになりませんか。 ◯佐々木政策報道室長 多摩の心の育成・整備事業につきまして、若干問題があるのではなかろうかということでございますが、私どもは、むしろこの事業は、快適で創造性豊かな生活が楽しめる、魅力ある多摩自立都市圏を形成していくものでございまして、東京全体を職と住のバランスのとれた都市構造に再編していくためには大変重要な事業である、このように思っております。したがって、今後とも、多摩の振興を図るため、多摩の心の育成・整備を初め、必要な事業を着実に推進していかなければならない、このように思っております。  なお、事業費につきまして、これは別な計画事業でございます事業のうち、多摩の心にかかわる区画整理事業を重ねて掲げたものでございまして、この事業費を三倍にふやすというようなものではございません。
    ◯浅川委員 いつも判で押したような答弁ばかりされるわけですが、これまでの論戦で、こうした公共事業の拡大が自治体の財政を悪化させたということは明らかなんです。その公共事業を自動的に拡大していく仕組みであるこれらの開発計画を見直すことなしに、今の財政危機を回避することはできない、こういうふうに思います。大体、これらの計画が国や都が持ち込んだものであることについて、私は反省すべきだというふうに思うんです。  八王子の場合は、業務核都市の計画づくりには、建設省など国の役人と都の役人が何人も乗り込んできてつくっていったと、市の関係者が打ち明けてくれています。地元に八王子市の職員は一人か二人だったということであります。  また、同じ業務核都市の指定を受けている立川の市長は、立川市のことだけを考えたら、こんな大規模な開発は必要ないと、以前マスコミに語っています。  さらに、国分寺市が、ここに持ってきておりますけれども、昨年十二月に発表いたしました国分寺市の財政白書では、こういうふうに書いております。国分寺市は、全国三千余ある市区町村のうち、納税者一人当たりの課税対象所得四百七十九万七千円と、最高に近い、全国で第十位に位置づけられている。その市が、今、財政が非常に厳しくなっているわけですけれども、この財政白書では、もとは財政力の豊かな市だったが、九〇年代の不況による税収の下落、多額の起債による投資がなければ、財政の健全化は維持できた。バブル崩壊後、国分寺駅北口再開発を中心に、投資的経費中心の施策の軌道修正がなされなかったために、危機的状況にあると述べています。この国分寺の開発も、多摩の心及び地区の中心整備に位置づけられてきたものであります。矛盾が今あちこちであらわわれているということを認識すべきなんです。問題は、こうした開発型行政によるしわ寄せのあらわれが、今、市民サービスの後退としてあらわれていることであります。  そこで、学校施設の問題、介護保険に対応する問題、子育てに関する問題の三つに絞って、整備のおくれについてお伺いしたいと思います。  まず、多摩の小中学校で施設の整備のおくれの問題についてお伺いいたします。  多摩市町村の学校は、六〇年代から七〇年代にかけて、人口の急増とともに学校を次々建設されてきたものであります。したがって、これらの学校が今、改修の時期にどんどん入っております。しかし、市町村の財政状況では対応が困難で、毎年わずかずつの改修計画しか立てられないのが現状であります。  ここに持ってきましたこれは、各市の学校などから出された施設改善の要望書であります。本当に切実な要望が書かれておりまして、私も三人の子どもを小学校に通わせていただいておりますが、全く人ごとだというふうには思えません。我が党はこの間独自に調査も行いましたが、この中でも次々と驚くような実態が報告をされております。雨漏りや危険な施設など、一日も放置できないということは明らかであります。  この要望書の中から幾つか紹介させていただきますが、三鷹市の学校からは、防火扉が使用できないとして消防署より指摘をされているとして、改修の要望が出されています。調布市の学校では、蚊が大量に発生して子どもたちが何十カ所も刺されている、授業にも支障が出る、網戸を設置してもらいたい。あきる野市の学校では、校舎の老朽化があり、特に窓について修理部分の部品がないために、窓の開閉が重く、外れたことがある。窓の下は通路になっているため、落下した場合非常に危険なので、窓枠の取りかえをしてほしいというような要望が出されています。  こういうような小中学校の施設のひどい実態を、これでよいというふうに思っていらっしゃるのでしょうか。 ◯中島教育長 都教育委員会といたしましても、雨漏り等を含めます校舎の実態につきましては、重要な問題でございますので、該当の市町村教育委員会から聞き取り調査を行っております。その結果、一時的に雨漏りがしたり、台風などの風雨が強い折に雨漏りがしたような学校が一部にはありましたが、そのような学校につきましては早急に修繕を実施し、現在は授業に支障がないように対応している、こういう報告を受けておりまして、劣悪な状態にはないと、このように考えております。 ◯浅川委員 とんでもありませんよ。大体今の答弁で、雨漏りがしたようなというような状況は、一体どういう調査をされたんですか。一体いつ、だれから聞き取り調査をされたものなんですか。 ◯中島教育長 教育委員会の担当者から聞き取り調査をしております。 ◯浅川委員 今、答弁されたように、皆さんが聞き取ったのは、区市町村の教育委員会の担当者からではありませんか。学校へちゃんと行って、そうして調査されたんですか。私たちは、学校を訪ねて、現場を見て調査をしているんです。それを、電話の聞き取りで済ませて、いかにも調べましたというようなことで対応されるのはとんでもないというふうに思うんです。  いつ聞き取りをしたかというふうに確認をしましたら、けさだっていうじゃありませんか。私がこの特別委員会で取り上げることになって、知事に伺うということで、あわてて電話を入れて調査をしたということじゃないんですか。それを、今、答弁をされれば、とっくの昔に調査をされたかのようにいわれるのは許せないというふうに思うんです。私たちは、繰り返し本会議でも常任委員会でもこうした問題を取り上げてきたんです。子どもの教育に責任を負う教育長の答弁とはとても思えません。  ここにパネルを持ってきました。これが今いわれた雨漏りの写真なんです。これは、内部でここまでしみ出してくるというのは、本当に大変な実態なんです。こういう実態を本当に調査してつかんでいらっしゃるんでしょうか。  次に、これは壁に穴があいていて、ベニヤで一応応急の処置をしている、こういう学校の状況さえあるんです。  さらに、これは廊下の天井に穴があいて、蛍光灯がここに見えますけれども、こういう状況が放置されている、修理の予算がなかなかつけられない、こういう実態であります。  こういう状況は、私どもよく聞く戦後直後の、まるで何もないような時代と変わりがないというような状況ではありませんか。私たちが調査をしたこの市では、二十二校中十九校で雨漏りをしているといわれています。これでも放置できない実態というふうに思わないんでしょうか。先ほど教育長は、授業に支障がないというようなことをいわれましたけれども、授業に支障があったら、これは大変なことなんですよ。このパネルのような状況があちこちにあるんです。これでも劣悪な状態にないというんでしょうか。  知事、この写真を見ていただいて、いかがですか。何にも感じられないんですか。 ◯青島知事 今、拝見した写真によりますと、相当劣悪であるという印象は受けましたが、専ら学校の校舎の修復並びに整備に関しましては、区市町村が担当するものと私は認識をいたしております。 ◯浅川委員 いいですか、市町村は今、資金がなくて困っているんですよ。国の区市町村への公立学校施設整備補助金は、一九七五年、もう二十年以上前ですけれども、この時期にもうわずか百三十五億円しかなかったんです。それが、八五年には八十六億円、九五年には七十七億円と、二十年間ずっと減らされてきた。それがこうした結果を招いているんです。国は、大型開発には大盤振る舞いのときでも、学校施設の整備予算というのはずっと減らしてきたんです。こういうところには冷たく、市町村がやりたくてもなかなか予算が組めないというのが実態じゃないですか。  今回、今年度の補正予算で、文部省から学校の施設整備に関する予算額が提示されたと聞きますが、区市町村の対応はどうだったのでしょうか。 ◯中島教育長 都教育委員会は、十二月に可決されました国の第三次補正予算を受けまして、市町村教育委員会に対し、国庫補助制度の活用の周知徹底を図ったところでございます。その結果、三市から七件の補助申請がございました。  なお、先ほど、聞き取り調査につきまして、けさ行ったというようなご意見がございましたけれども、けさ、一件につきましては聞き取り調査を行いましたが、既にその前からやっているということでございます。 ◯浅川委員 けさやったんじゃないですか。  補正は組んだけれども、申請が三市しかなかったといいましたが、なぜ三市しか、今、市町村が手を挙げられないのかということを都は考えるべきなんですよ。国の予算では到底賄い切れないからではありませんか。市長会は、国に対して学校改築などの補助制度の充実を求めるとともに、東京都にも独自の補助制度を要望しております。革新都政時代は、制度化として東京都からの個別の補助金制度がありました。だから、財政力の弱い市町村でも、学校の改修や改築などに積極的に取り組むことができたんです。今のような財政状況のときこそ、市長会の要望にこたえて、今、紹介したような緊急な対策が必要な施設、この改修について、都として補助をしてあげることが教育的な配慮というものではありませんか。  公立小中学校の施設整備について、原則として区市町村がその経費を負担すること、これは先ほど答弁がありました。それはそのとおりでありますけれども、しかし、各設置者において、市町村において、国の助成措置を十分に活用して適切に配置をする、そういう皆さんの考えだけでは十分に対応できないというふうに思うんです。ぜひ都として補助をしてあげる、そういう立場に立たないんでしょうか。 ◯中島教育長 先ほどご答弁ございましたように、公立小中学校の施設整備につきましては、原則として設置者である区市町村がその経費を負担することとされております。各設置者において国の助成措置を十分に活用して適切に対処すべきものと、このように考えております。  また、今回、補正予算におきまして、三市七件ということでございますが、実は、第一次国の補正予算につきましても、昨年に追加申請をしておりまして、このときは三十件の申請がございました。今回比較的少なかったのは、今回の第三次補正につきましては、国の景気対策として十一年度事業の前倒しによる対応を急遽求められたということもございまして、設計等の時間がかかる、あるいは補正予算に計上することが困難である、それからさらに、学校施設整備計画を変更する上での協議の時間が少ない等々、物理的な面の制約もあった、このように私どもは推測をしております。 ◯浅川委員 数多い小中学校の中で、やったとはいったって三十件じゃありませんか。そういう冷たい答弁をされる、そのことが問題だというふうに思うんですよ。国の補助だけでは到底対応できないから、しかも、一刻も時間を争うような問題、こういう意味からいっても、子どもたちの教育にかかわる問題を、都の教育庁あるいは東京都として、見て見ぬふりをする、こういうような姿勢は許せないというふうに思うんです。  例えば、地元の反対にもかかわらず都が推し進めている調布保谷線などの幹線道路でありますとか、こういうものを凍結するとか、あるいは、バブル企業の救済となる再開発を見直すとか、こういうことをすれば、財源は十分確保できるんであります。これからでもおそくはありません。支援を行うということを強く要望しておきます。  次に、介護保険の対応について伺います。  介護保険の実施を目前にして、都民の中には、今受けているサービスが受けられなくなってしまうのではないかという不安の声が広がっています。先日私たちが行った介護保険のシンポジウムには、百人を超える市民が参加しました。パネリストには、市の介護保険準備室長、市内老人ホームの施設長さんなどになっていただきまして、住民と行政も一体で少しでもよいものをと、さまざまな意見が交わされました。そこでの要望の一つに、今、東京都が行っておりますサービスが、介護保険後も引き続きぜひ受けられるようにしてほしいということであります。このことは、市町村がサービスを行う上でも欠かせないものであります。介護保険については、今、欠陥保険といわれるように、改善の要望は多岐にわたっております。このことについては、これも区市町村の仕事だから都は知りませんというようなことのないように、東京都が本気になって対応すべきであります。  そこで、きょうは、介護保険の対応に伴う電算システムへの支援の問題を伺います。  市町村の介護保険の準備の中で障害となっておりますのが、この電算システム開発に大変なお金がかかるということであります。それでなくても、介護保険のための財政負担が増大をして、市町村はやりくりに大変な思いをしております。その上、当初は余り想定をしておりませんでした電算システムの導入であります。そのため、市長会は都に対して支援を求める要望を提出していますが、いまだに都からの援助はありません。今、市町村は大変困っています。介護保険の準備のため必要な財政支援を行うべきと考えますが、答弁を求めます。 ◯神藤高齢者施策推進室長 介護保険制度の円滑な実施のためには、電算システムの開発は重要でございまして、区市町村は、現在その開発に取り組んでいるところでございます。都は、区市町村と一体となりまして、国に対しまして、実情に応じた補助が行われるよう要望してきたところでございます。その結果、国におきましては、十年度の補正予算で、当初の予算より増額措置され、東京都では、特別区に五億七千万円、市町村に八億五千万円、総額約十四億二千万円が補助されることになりました。 ◯浅川委員 いかにも補正予算で対策が講じられたかのようにおっしゃいますけれども、これは全部国の予算なんですよ。それで、都はこのことに対して一円も出されておりません。国の補助も、多摩、島しょの自治体は、四十の自治体がありますから、一自治体当たりにすれば二千万円になるかどうかということなんです。かかる費用は、一市一億前後といわれていますから、到底足らないのが実情です。この点では、二十三区と比べて財政力の弱い多摩市町村の負担は、より重くのしかかってくるというふうに思うんです。結局、こうしたことが都民サービスの格差となってしわ寄せをされてしまうということになるんです。これ以上市町村の格差を広げることにならないように、多摩地域市町村への行政支援をするという立場から対策を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯木宮総務局長 お答えいたします。  ただいま神藤室長の方からお答え申し上げましたとおり、区、それから市町村については国の補助があるわけでございますけれども、そのほかに、準備経費として、国の方で交付税の措置もされているところでございまして、この特別区の方との関係でいけば、区の方は財調で見ておりますし、市町村については交付税で見ている、こういうことでございます。 ◯浅川委員 それは、多摩地域には数多くの不交付団体もあるわけですから、そういうことも含めて対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◯木宮総務局長 交付税の不交付団体についてどうか、こういうお話でございますけれども、相対的にいえば、不交付団体につきましては、他の交付団体に比べて財政的に余裕度があるということでございまして、その中で運営でお願いをするのが筋ではないかというふうに考えております。 ◯浅川委員 東京都も余裕があるんですか、じゃ。なぜ財政危機宣言をするんですか。おかしいじゃないですか。大変だから支援をしてもらいたい。少なくともそれを行うのが総務局であり、あるいは行政部であり地方課、そういうところじゃないんですか。ぜひ、こういう本当に大変な思いをしている市町村に対して──今お示ししましたように、電算システムの開発には一億円からのお金がかかるといわれているんですよ。そういう点では、ぜひ総務局として、区市町村を支援する立場から、さらに援助を検討できないかというふうに思いますが、いかがですか。 ◯木宮総務局長 東京都の市町村につきましては、ご案内のように、調整交付金であるとか振興交付金といった、他県にはない財政支援を実施しているところでございまして、そういう中で、ただいまお尋ねの問題につきましても、総体としてご援助申し上げているわけでございまして、その中で対応をお願いしたいというふうに考えております。 ◯浅川委員 振興交付金、調整交付金は、ピーク時に比べれば何割も減らしているんですよ。そういうふうにして市町村は大変な思いをしているわけですから、その実態を理解されないというのは、私はおかしいというふうに思うんです。  ぜひ重ねて、振興交付金、調整交付金というのが減らされている実態も含めて勘案していただいて、この検討はできないでしょうか。 ◯木宮総務局長 現在、都の財政が非常に厳しいことは、もうこの特別委員会で種々議論のあったところでございます。そういう都の厳しい財政状況の中で最大限の努力をして、本年度も調整交付金、振興交付金について措置をしたところでございまして、ご理解いただきたいというふうに思います。 ◯浅川委員 それは理解できません。同じ都民として、少しでも格差を解消していくというのが東京都の役割であります。少なくとも、この介護保険の問題で二十三区と多摩地域の格差が生まれることが絶対ないように、この点を強く要望しておきます。  次に、子育て支援について伺います。  子育てについて、保育料など、いまだにこの点でも格差があります。せめて新たに実施する事業では同じように進んでもらいたいというふうに思うのは当然であります。若い母親やひとり親家庭など、最近、子育てについての相談がふえていることは、東京都も承知されていると思いますが、その中で、子育て中の家庭から、不安や悩みを抱えていても相談できる人がいない、あるいは、出張や急用などで子どもを預けられる施設がないなど、家庭ではとても解決できない問題に対する要望も強いものがあります。  そこで伺いますが、都は、子育て支援についてどのような立場で臨んでいるのか。  また、この子育て支援をする都の仕組みとして、子ども家庭支援センター、こういうものがありますけれども、都は、全区市町村の実施を二〇〇五年としておりますが、いまだに五区三市のみの実施であります。このままでは目標どおり進まないというふうに思います。この原因はどこにあるのか。  そして、最後に、都はせめて、このような子育てを支援してもらいたいという父母の願いにこたえて、多摩地域でも子ども家庭支援センターが開設されていくように支援すべきだというふうに思いますが、答弁を求めます。 ◯石川福祉局長 三点のご質問にお答えいたします。  まず、子育ての支援についてですが、だれもが安心して子どもを産み、育てられるよう、子育て支援策を総合的に推進していく必要があることは、そのとおりだろうと思います。  子育て支援につきましては、基本的に、住民に身近な区市町村が、地域のニーズを踏まえて施策を推進していくべきだというふうに考えております。東京都といたしましては、広域団体として、子どもが輝くまち東京プランに基づきまして、今後とも区市町村と連携をして、適切に対応してまいります。  二点目の子ども家庭支援センターでございますが、この制度は、東京都が独自にこのセンターの設置の必要性を認識いたしまして、区市町村に対して支援をしているものでございます。区市町村におきましては、それぞれの子ども家庭支援計画の事業に組み込むなど、それぞれの整備に向けて検討はしております。したがいまして、今後、設置が促進されるように働きかけをしていきたいと思っております。  三点目ですが、この子ども家庭支援センターにつきましての区市町村に対する支援の中身は、運営費の助成でございます。区市町村におきましては、この中身がなかなかわかりにくいということもありますので、現在、区市町村の関係課長をメンバーとする検討会を設けまして、子ども家庭支援センター運営マニュアルづくりなどを進めておりますので、そうしたマニュアルづくりを通じて理解が進むものと私の方は考えております。 ◯浅川委員 終わります。(拍手) ◯木村副委員長 浅川修一委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯木村副委員長 大木田守委員の発言を許します。    〔木村副委員長退席、中山副委員長着席〕 ◯大木田委員 こうしてここに立ちますと、四年前、青島さんが知事に就任しまして、あの世界都市博覧会をめぐりまして大変な激論を交わしたことを、ついきのうのように思い出すわけであります。幻の世界都市博覧会になりましたけれども、あれから四年、都知事の重責を担われ、今回勇退をされると決断されたことに対しまして、心より敬意を表するものであります。今後は、この貴重な四年間の経験を生かし、多彩な才能をお持ちですので、十分健康に留意され、活躍されますよう、心よりエールを送ります。  そこで、この四年間、さまざまなことがあったと思いますが、一番心に残ったものは何かと。私も時折本を出版しますけれども、物書きとして、この経験を生かして回想録のようなものをまとめる気持ちはあるのか、今後のことについて知事のお考えを伺います。 ◯青島知事 まず、委員の、私に対しまして心からエールを送るということで、ご理解をお示しいただきましたことに対しまして、感謝を申し上げる次第でございます。  まず、この四年間の思い出に残ることは何かというお話でございますが、私も、この四年間、一生懸命努めてまいりましたが、時に悩むこともしばしばでございまして、しかしながら、そうした折には必ず、住みやすい東京、わかりやすい都政というものをいかに実現していくかということにねらいを定めまして、真っ正直に、地道に努力を重ねてきたところでございます。  まず、思い出に残りますのは、今おっしゃられたお話の中にありますように、私は、知事に就任いたしましてすぐに、世界都市博覧会の中止問題という大変な問題に直面いたしまして、悩みに悩んだ末に中止を決定したわけでございますが、これも忘れがたい思い出でございます。  また、成熟社会を迎えるに当たりまして東京都はどうあるべきだろう、一たん生活者の視点に立って都政のあり方を見詰め直してみる必要があるだろうということから、生活都市東京構想というものを打ち立てまして、これからの近代都市が持続的な発展を遂げてまいりますためには避けて通れない、資源循環型社会というものを構築していかなきゃならないだろうということで、リサイクルの青島と呼んでほしいということまで申し上げて、循環型社会の構築に尽くしてまいりました。  それからまた、開かれた都政ということで、都政について包み隠ししないこと、それを都民の皆さんの信頼の上にご理解いただこうということで、公文書の開示条例などに向けまして一生懸命努めてきたところでございまして、私といたしましては、都政の中から隠し事をなくし、都民と都政の距離が甚だしく詰まったのではないかということを実感しているわけでございます。  それから、もう一つ、この間の思い出について回想録のようなものをまとめる気はないかというお話でございますが、私にとりましては、今はそういうふうに計画を持っていないわけでございます。しかし、何はともあれ、四年間、この重責を担わしていただきましたことに関しまして、心から皆様に御礼申し上げるわけでございまして、都議会の皆様方、また都民の皆様方から、この間、たくさんのご提言や、あるいは叱責もありました。叱咤激励もございました。そうした皆様方の熱い思いに支えられて、この四年間全うできたというふうに考えておりますので、心から皆さん方に感謝を申し上げる次第でございます。  また、まだ四月二十二日まで任期がございますので、お言葉にありましたように健康に留意をいたしまして、任期満了の日まで頑張ってまいりますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。 ◯大木田委員 また、この四年間、青島知事を補佐をしてまいりました三人の副知事、植野さん、檜垣さん、瀬田さん、そして出納長の谷口さん、心よりご苦労さまと申し上げたいと思います。  そこで、三人の副知事と出納長に、この四年間で一番心に残ったものは何か、それぞれ伺いたいと思いますので、植野副知事からよろしくどうぞ。 ◯植野副知事 初めに、私に対しましても過分なる慰労のお言葉をいただきまして、まことにありがとうございました。  これまで一番心に残ったことは何か、こういうご質問でございますが、率直に申し上げまして、私は、ご案内のとおり、前職が港湾局長でございまして、臨海副都心開発を進める立場でございました。そして、その起爆剤として位置づけられた世界都市博覧会の中止が、私にとりましても一番印象深く思い起こす次第でございます。  しかし、その後は、よりよい都政の発展を目指しまして、知事とともに十分に話し合い、都政運営に全力で取り組んできたつもりでございます。  浅学非才の私ですが、今日までやってこられましたのも、都議会の先生方のご支援のたまものと、この際心から御礼申し上げまして、残りの任期いっぱい頑張りたいと思います。 ◯檜垣副知事 私にとりましても、この四年間、心に残ること、貴重な経験を数多くさせていただきました。感謝をしております。  その中の一つが、名誉都民と接する機会を得たことであります。毎年、東京都では名誉都民を顕彰いたしておりますが、いずれの方も、世界的な業績を上げられまして、都民に敬愛されるすばらしい方々でございます。また、年齢を感じさせないお元気さで、社会で活躍をされております。私どもが話を伺う機会は大変短いものでありますけれども、いずれも大変感銘を受けたことを記憶しております。私たちは、こういう方々をぜひ大事にしたいというように考えております。  そのお一人に日野原重明さんがいらっしゃいます。昨年、名誉都民になられました。聖路加看護大学の学長を務められまして、医療・福祉の分野では大変高名な方でございますけれども、この先生のお話が大変印象に残っております。先生のお話の内容は、日本は平均寿命が長く、これは世界でも一番長いわけでございますけれども、長寿国として誇りを持っているけれども、実態はどうだろうか。日本のように、寝たきりあるいは寝かせきりのお年寄りの多い国はないのではないか。また、寝たきり、寝かせきりというのは、いわゆるクオリティー・オブ・ライフといいますか、生活の質の面からも、人間の尊厳の面からも大変問題があるのではないだろうか。それを考えると、長寿というだけで誇りにしていいかどうか疑問に思っているというお話でございました。続けて、現在の社会的、あるいは医療・福祉のシステムあるいは仕組みが、寝たきり、寝かせきりをつくるようになっているのではないだろうか。私は、これを変える必要があると考えていて、これまでも大変努力をしてきたけれども、苦労しているというお話でございました。  ご案内のとおり、国も東京都も、寝たきりゼロを目指しまして努力をいたしておりますけれども、現実には、介護保険で見られますように、現に寝たきりになった方をどうするかという現実の問題に対策が集中しがちでございまして、まだまだ道遠しの感がございます。改めて多くの方々が、名誉都民のようにとは申しませんけれども、いつまでも意欲を持って生活し、尊敬されるような社会を目指して努力をする必要があるのではないかということを実感したわけでございます。また、そのためには、心の通った福祉の再構築がぜひ必要であるということも痛感した次第でございます。 ◯瀬田副知事 この四年間は激動の四年間でございましたので、悩み、苦しみ、汗したことが多々ございますので、一つに絞ることは大変困難なことではございますが、何といいましても、私は、フロンティア本部長として二年半、都市博の準備を進めてまいりました、その都市博が中止されたということは、心に残るものでございます。  また、深い感慨を覚えますのは、都議会を初め関係者の皆様のご尽力によりまして、都区制度改革の関連法が国会で昨年成立したということ、また、昨年末には、大変困難な交渉ではございましたが、特別区、また職員団体と、清掃事業の移管に関しまして、移管後の運営形態あるいは職員の身分取り扱いについて合意に達したということが、非常に感慨深いものとして残っております。  ご案内のとおり、特別区制度の改正につきましては、半世紀にわたる長い特別区の悲願でございまして、都区、さらには区民、関係者の悲願でございまして、それが、第一歩と申しますか、確かな歩みを始めたということは、非常に感無量のものがございます。  いずれにしましても、これまでやってこられましたのは、都議会初め都民の皆様からいただきました終始変わらぬご支援と、そして職員が我々を助けていただいたということのたまものであるというふうに考えておりまして、心から感謝を申し上げたいと存じます。 ◯谷口出納長 心に残ったことばかりでございまして、一つに絞るということは難しゅうございますが、内向きの話になりますが、この四年間を通じまして、政策会議でございますとか、あるいは行革の戦略会議、知事の予算査定会議等通じまして、それぞれ所管を超えまして自由に議論を交わしてまいりました。時には非常に厳しいやりとりになるときもございましたが、意見交換を続けてまいりました。このことが、大変に強く印象に残っております。  こうしたことは、本来、当たり前のことでございますが、これまでなかなかなかったことでございまして、こういう場に、末席ではございますが、終始いられたということにつきましては、心から感謝している次第でございます。  皆様方の四年間にわたりますご支援に対して、心から感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。 ◯大木田委員 大変率直な思いを語っていただきましたけれども、それにしても、青島知事の勇退の表明によりまして、各方面に大変な波紋を呼んでおります。きょうより知事選まで、あと一カ月と。二月が二十八日ですから、あと二十八日で知事選が始まるわけでございますけれども、大変な乱戦が予想されております。場合によっては、有効投票の二五%をとる候補がいないのではないかと。  私は北区に住んでおりますけれども、昭和二十二年に、北区の区長選挙で、一位、二位の決戦投票というのをやりました。二十七年に公職選挙法が改正されまして、現在のように、二五%以上とらない場合は再選挙、再選挙ということになるわけでございますけれども、四年前の知事選を想定しますと、九百七十万の有権者が約五一%の投票率ですから、五百万票と。百二十五万票以上、青島知事が百七十万を超えましたので当選したわけですけれども、昨年の七月の参議院の選挙は、有効投票が五百三十六万ですから、百三十二万票とらないと当選できないと。小川さんが百二万ですから、三十万票足りないという、こういう実態があるわけでございますけれども、そうなりますと、再選挙ということが具体的な形になってくるわけでございますが、選挙管理委員会事務局長に再選挙の流れについて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◯荻野選挙管理委員会事務局長 ただいま先生のお話のとおり、公職選挙法第九十五条によりますと、知事選挙におきましては、有効投票の最多数をもって当選とする、ただし、有効投票の総数の四分の一以上の得票がなければならないと規定されております。  したがいまして、有効投票の総数の四分の一以上の得票を得た候補者がない場合、すなわち当選人がない場合につきましては、同法第三十四条に基づきまして、その事由が生じた日から五十日以内に再選挙を行うこととなっております。 ◯大木田委員 四月十一日投票で、即日開票になりますけれども、それが不服申し立て等がなければ、四月二十七日に確定をして、二十八日から五十日ということは、六月十六日がその範囲内ですね。そうすると、考えられるのは、公示が五月六日、投票五月二十三日、二つ目は、五月十三日告示、五月三十日、三つ目が、五月二十日告示、投票六月六日、四つ目が、五月二十七日告示、六月十三日と、こうなるわけでございますけれども、例えば、青島知事は四月二十二日で任期が切れます。先ほどあいさついただきました三副知事は、五月十一日で任期が切れます。再選挙になりますと、知事、副知事が不在になるわけであります。再選挙をやっても、さらに二五%とらないと、これが永遠に続くわけです。  それから、その間に万一、選挙人や候補者から選管に不服申し立てがありますと、これは裁判になります。そうすると、今、早いので一年数カ月になっておりますので、一年以上、知事、副知事が空白ということになりますけれども、こうなった場合、都のこれだけの十二兆の運営をどうするのか、こういう手続上のことで、総務局長に見解を伺っておきたいと思います。 ◯木宮総務局長 再選挙の場合における知事の職務代理についてのお尋ねがございました。  地方自治法第百五十二条におきまして、その一項で、知事が欠けた場合は、副知事が職務を代理する、二項において、副知事が欠けた場合は、知事の指定する吏員がその職務を代理する、三項におきまして、指定する者がいない場合は、当該普通地方公共団体の規則で定めた上席の事務吏員がその職務を代理すると、このように規定をされております。 ◯大木田委員 そういう可能性もあるという今回の知事選ですけれども、しかし、いずれにしましても、今回の知事選の波紋というのは、衆議院選挙制度の見直しが急浮上しております。私は、首長選挙の再選挙、再々選挙が続くようなこの選挙制度の見直しを今後していくべきであると、このように思っております。  これで選挙に関する質問を終わりまして、次に、金融財政問題に移りたいと思います。  ビッグバンが行われて、今、大変な金融の再編が進んでいるわけでございまして、東京都の取引銀行である北拓、あるいは長銀、日債銀等の国有化などを含めまして、これからも大変な再編の動き、七兆円の投入を含めて進んでいくわけでありますけれども、都債の円滑な発行のために、都としては、こういう金融再編の中でどのような対応をしていくのか、まず伺います。
    ◯横山財務局長 都債につきましては、現在、市場の評価も維持されておりまして、全体としては引き受けは順調でございます。したがって、金融機関の変動に対しましては、都債引受シ団編成の見直しを行い、対処しております。ご指摘のように、金融界の変化も速くなっておりますので、年一回の定例見直しに加え、必要があれば、随時対処してまいります。  北海道拓殖銀行や山一證券などにつきましては、昨年八月の見直しにより対応済みでございまして、国有化されました二行につきましても、今後の受け皿銀行選定等の動きを注視しつつ、都として対応を検討してまいります。 ◯大木田委員 これからの焦点が、都債七兆円が大きな課題になってきますけれども、平成十二年以降、都債の償還と最近の長期金利の上昇の影響について伺いたいと思います。 ◯横山財務局長 借りかえ分を除いた実質的な元利償還額は、一般会計ベースで申し上げますと、平成十二年度約三千七百億円、平成十三年度約四千億円でございますが、平成十四年度になりますと約六千二百億円、平成十五年度約八千六百億円、平成十六年度約七千三百億円となる見込みでございます。  また、金利についての件でございますが、これまでに発行した都債については、それぞれ金利は確定しておりまして、平成九年度末現在の一般会計の残債の平均金利は、約四・〇%となっております。  最近の長期金利につきましては、都債の流通実勢で見ますと、平成十年十月から平成十一年二月中旬までに一・四ポイント程度上昇しまして、一時は二・七%台に達すなど変動が見られました。  今後、都債の発行規模を年間五千億円程度とした場合、金利一%の変動は、年五十億円の利払いの変動となってきますので、都としても、長期金利の動向に深い関心を払っているところでございます。 ◯大木田委員 例えば岐阜県の年間予算が六千億ですから、平成十四年の償還だけで六千百五十四億、平成十五年に至っては八千五百億を超えるという、大変な都債の償還ということになるわけでございまして、まさに予算編成ができるかどうかと、最大の危機を都財政としては迎えると思います。  そこで、こういう重なってきたのは、都債の償還が十年ということになっているから集中するわけでございますけれども、今後、この発行を五年物、十年物、十五年物、二十年物というような形にいろいろと工夫したらどうかと思いますが、いかがでしょうか。 ◯横山財務局長 都債は借金でございますから、当然、期限が来れば返さなければなりません。平成四年度以降の都債増発の影響が出てくることは、ご指摘のとおりでございます。  こうした償還に備えまして、既に減債基金への積み立てを行っているところでございますが、一時に償還が集中しないような発行方法の工夫としまして、ご指摘のような、都債の償還年限の多様化についても検討してまいります。 ◯大木田委員 昨年九月の定例会で我が党が、平成十年度四千億の財源不足になる、税収不足になるということを代表質問で取り上げましたけれども、これが大変な波紋を呼びまして、ロイター等を含めて世界が、欧米が、日本の動向、東京都の動向に注目が集まったわけでございますけれども、東京都の格付ですね、これが今後──今は政府保証になっておりますが、今国会に提案されております起債制限団体の当分の間というのが、五十年ぶりに今国会で取れると。  そうなると、平成十八年から起債制限の枠が取れるわけでありますが、東京都の格付ということも、今後、地方債を発行する場合、非常に重要な形になってきますが、この点は今どうなっているか、財務局長に伺いたいと思います。 ◯横山財務局長 格付の取得に当たりましては、債務の返済能力があるかどうかが厳しくチェックされますが、全世界の市場に対して、その債券の信用度が示されることになります。現在、日本国内では、都債はリスクのない債券とされており、格付の必要はございません。  しかし、外債につきましては、ご指摘のとおり、格付の取得が必須でございます。これまでは政府保証、すなわち日本国債の格付で発行しておりましたが、政府保証の対象事業が限られていることも事実でございまして、資金調達の多様化の観点などから、格付取得による外債発行ということも検討していく必要があると考えております。 ◯大木田委員 先ほどの起債のときにも話がありましたけれども、五千億で、一%の変動で五十億の金利負担が変化するということでありまして、私は、今、音を立てて護送船団方式があらゆる分野で崩れておる、適正な競争原理が導入されない限り、だんだんだんだん「タイタニック」の方向に向かっていくのではないかという懸念を持っております。  そういう意味では、水道メーターの問題とか、要するに競争原理の働かないところにさまざまな問題が今出てきているわけでございますが、都のこれだけの大きな財政を資金運用しているわけでございますので、私は、特に出納長室の資金運用に当たっては、公正な競争原理のもとに資金の運用を図っていくべきであると思っておりますけれども、今日までどういうふうにそれを行ってきたか、今後どう行っていくか、出納長に伺いたいと思います。 ◯谷口出納長 公金の保管、運用に関しましては、確実かつ有利にというふうに定められております。したがいまして、これまでも元本を確保しつつ、より有利な方法により資金の運用を図ってきたところでございます。  しかし、ご指摘のように、金融ビッグバンが進行する中で、金融機関の状況は大きく変化してきておりまして、また、今後、さまざまな新規金融商品の開発も予想されます。しかし、一方で二〇〇一年四月からは、預金に関するペイ・オフの実施も予定されております。  こうした状況を踏まえまして、既に一部の資金におきましては、入札方式の導入試行などに取り組んでいるところでございますが、今後とも、安全性の確保に十分配慮しつつ、公正な競争原理の導入をも視野に入れた対応策を検討し、より効率的で適正な資金運用に努めてまいります。 ◯大木田委員 ぜひ適正な競争原理が働くように、お願いをしたいと思っております。  明日、政府の経済戦略会議の最終報告が固まりますけれども、内容が既に明らかになっております。都も大変な財政再建にこれから取り組んでいくわけでございますが、この経済戦略会議の最終報告案につきまして、財務局長の見解を伺いたいと思います。 ◯横山財務局長 経済戦略会議の最終報告の骨子が、二月二十四日ですか、新聞で報道されておりますが、これによりますれば、国においては、当面は景気対策を優先し、二〇〇三年度から財政再建に本格的に取り組むこととすると伝えられております。  しかしながら、都におきましては、財政再建団体あるいは起債制限団体という現行税財政制度の制約の中で財政運営を強いられている、これらを何としても回避しなければならない、いわば待ったなしの状態に置かれております。  したがいまして、健全で強固な財政基盤を確立するための計画的な取り組みを早急に進めていく必要があると考えております。 ◯大木田委員 次に、行革に関連して伺います。  第一都庁、第二都庁、第三都庁という言葉がありますが、知事は、どう認識しておりますか。 ◯青島知事 第一都庁、第二都庁、第三都庁ということですが、寡聞にして聞いたことはございませんので、存じ上げておりません。 ◯大木田委員 これはいろいろといわれているわけでございますが、第一都庁は、都の十九万職員の都庁本体、第二都庁は、外郭、三セクを含めた都の関連、第三都庁とは、OBの天下りの巨大な都の権力構造と、こういわれているわけでございます。  それで、第一都庁である都の本体の行革につきましては、行政改革プランが示されておりますが、民間の人と話してみますと、非常に民間のリストラの厳しさというものを、我々は常に聞かされているわけでございますが、まだまだスリムな都庁、小さな都庁、本当にこの具体化に当たっては、むだを排して、徹底的にそのことを詰めていくべきであると、こう私ども考えておりますが、いかがでしょうか。 ◯木宮総務局長 行政改革プランは、都の行政計画として決定され、平成十年度を初年度として既に実施中でございまして、今考えられる最善の策であると考えております。  このプランは、都民から期待される都の役割を的確に果たし、スリムで機敏な都政を実現するためにも、着実に実行しなければならないものでございまして、今後とも、その実現に向けて鋭意取り組んでまいりたい。 ◯大木田委員 次に、第二都庁といわれます、いわゆる外郭、三セクについてでありますが、私は、次のような考え方を持っております。一つは、民間と競合するものは民営化すべきである、そして、どうしても残さなければならないものについては、徹底したリストラをすべきである、そして、既にその使命を果たしたものは廃止すべきであると、こう考えておりますが、いかがでしょうか。 ◯木宮総務局長 監理団体に対する指導監督の基本は、団体の事業執行が都民サービスの向上に、より一層貢献し得るようにするとともに、恒常的な経営改善と自律的経営を促進し、各団体が設立の趣旨を的確に果たすように行うものでございます。  そのため、東京都では、東京都監理団体指導監督事務要綱及び同基準を定めまして、団体統廃合につきましても、基準を設けて取り組むなど、適切な団体運営を指導してきたところでございます。  今後とも、経営評価結果を踏まえますとともに、行革プランを着実に実施する中で、団体みずからが組織の統廃合、事業の再編、役職員の削減、あるいは最適な経営形態の選択など、可能な限りの経営改善に取り組むように指導監督をしてまいります。 ◯大木田委員 次に、第三都庁といわれますOBの天下り等についてでありますが、東京都としてはどのような考えを持っておりますか。 ◯木宮総務局長 都を退職した幹部職員の民間企業への再就職につきましては、企業から求めがあった場合、人材の社会的活用の観点から、退職者の情報の提供を行っているところでございます。  都の退職者が在職中に培った知識や能力を民間企業において活用し、社会的に貢献することは、意義のあることと考えております。しかし、民間企業への再就職に当たりましては、都民の誤解を招かないよう、都と民間企業との関係を厳正に保つことが極めて大切であると考えております。 ◯大木田委員 幹部職員の天下りが民間企業との癒着ということで、しばしば、繰り返し繰り返しマスコミの批判を受けておりますけれども、これについて、都はどのような対応をしていますか。 ◯木宮総務局長 地方公務員の場合、国家公務員とは異なりまして、民間企業への再就職は法律で規制はされておりませんが、都では、これまで独自に取扱基準を定め、関係者への指導を行ってまいりました。  昨年三月には、国の規定に合わせて基準を見直し、退職後二年間は、退職前五年間に担当した職務に関連した営業活動に従事しないように、指導の強化を図ったところでございます。 ◯大木田委員 私は、この取扱基準が内規になっていて公表されないために、有効に機能していないのではないかと、こう思っているわけであります。特に各企業等については、各局が関与しているということでありますけれども、今後、こうした批判に対しまして、都としてどう対応していくか、それを示していただきたい。 ◯木宮総務局長 ただいまお答え申し上げました取扱基準の遵守につきましては、これまでも、関係者に徹底するように、各局とともに対応してきたところでございます。  今後とも、都と企業との関係を適正に保ち、都民の批判を招くことのないように、取扱基準の遵守につきまして徹底を図り、厳正に対処してまいります。 ◯大木田委員 次に、審議会について伺います。  現在設置されている審議会の数と、この一年間で一回も開かれないものは幾つあるのか、あるいは法律や条例に基づかないものも含めて、示していただきたいと思います。 ◯木宮総務局長 まず、法律または条例に基づく附属機関でございますが、平成十年十二月一日現在で百三設置されております。法律または条例に基づかないものといたしましては、懇談会や専門家会議などがございますが、百七十九設置されておりまして、合計で二百八十二となってございます。  そのうち、平成九年度の一年間に一回も開催されていないものは、附属機関が十一、専門家会議などが十九であり、合計三十となってございます。 ◯大木田委員 私は、この機会に、審議会のあり方も総点検をする必要があるのではないか。そして、必要のないものは廃止をして、必要なものであっても、そのあり方等について積極的に見直しをすべきであると考えておりますが、いかがですか。 ◯木宮総務局長 審議会等につきましては、これまでも、目的が達成されたものの廃止や、機能が類似しているものの統合を進めるなど、不断に見直しを行ってまいりました。  このたびの行政改革プランにもお示しいたしましたとおり、今後とも審議会等の設置について見直しを進め、その整理統合にも努力してまいりたいと考えております。 ◯大木田委員 次に、職員住宅について伺いたいと思いますが、職員住宅の実態、どのような種類の職員住宅があって、その利用実態はどうなっているか、これについて伺います。 ◯木宮総務局長 職員住宅には、看護婦寮などの職務の必要性から設置をいたしております職務住宅、そして災害発生時に初動体制要員確保のために設置をいたしております災害対策住宅、及び職員の福利厚生施策の一環として、人材確保や住宅困窮職員のために設置をしております福利住宅、この三つがございます。  平成十年三月三十一日現在で、知事部局におきましては、職務住宅が三千七百四十九戸、また、災害対策住宅が二百八十二戸、福利住宅が千五百二十三戸で、全体で五千五百五十四戸の職員住宅を設置をいたしております。利用状況は、それぞれ七〇%、九五%、八二%の利用率となってございます。 ◯大木田委員 職員住宅の空き家がかなり目立つ、こういう声を聞いております。管理体制はどうなっているかと。例えば、清掃局の空き家が目立つという声もあります。それから白金の住宅の空き家が目立つと、こういうこともいわれておりますけれども、この実態はどうなっていますでしょうか。 ◯木宮総務局長 職務住宅につきましては、各局が事務事業の必要性から、夜間、休日の非常事態に対応できる職員の確保等を目的に設置をしているものでございまして、維持管理から入退去などの管理運営も各局において行っております。  また、白金の独身寮につきましては、入居者の入れかえ等により一時的にあいているものがあるほか、給排水設備の老朽化や、一部居室面積の極めて狭い部屋があることなどから、空き室が発生しているものがございます。入居率は約八〇%となってございます。 ◯福永清掃局長 清掃局の職務住宅は、昭和四十年代に建設されたものが大半でございまして、部屋が狭い、あるいは建物が老朽化してきているということから、空き室が目立っておりまして、現在の入居率は約七〇%となっております。 ◯大木田委員 私は、職員住宅については、これも一回、利用状況はどうなっているかと、都の資産有効活用の面から、あるいは建物の狭隘や老朽化とか、いろいろありますので、その実態を総点検すべきではないか、それで次の対応を立てるべきだ、こう思いますが、知事の所見を伺います。 ◯青島知事 職員住宅は、それぞれの事業目的に沿って設置されてきたものでございますが、中には、まさにおっしゃられるとおり、老朽化が進んでいるものもあり、また、事務事業を取り巻く環境の変化などによりまして、そのあり方を見直していくべきだと考えられるものもあるわけでございまして、このため、その実態をよく調査をいたしまして、職員住宅の有効活用の検討を行うとともに、今後一層適切な管理運営に努めていくべきだと考えております。 ◯大木田委員 ところで、防災住宅は足りないと、こういわれております。また、大きな大震災が起きれば、大変な初動体制がとられなければならないわけですが、現在の状況と、今後どの程度整備していけばいいのか、その状況について伺います。 ◯木宮総務局長 災害対策職員住宅につきましては、これまで東京都防災センター及び立川の地域防災センターの初動要員を確保するために、新宿周辺及び立川に二百八十二戸の災害対策住宅を整備してまいりました。発災時、防災センターへ参集し、災害対策本部の運営、情報収集等に従事をいたします本部の初動要員につきましては、必要数が確保されたものと考えております。  しかしながら、このような本部の初動要員とは別に、各局の初動体制要員につきましては、まだ十分に確保されていないのが現状でございます。  今後は、既に用地を確保いたしております社会事業大学跡地等において、これらの災害対策職員用の住宅整備を検討してまいりたいと考えております。 ◯大木田委員 次に、人口問題について伺いますが、少子化が大変進行しております。こうなりますと、さまざまな施策の面でも影響が出てくるわけでございまして、都の人口の推移について、長期展望をどのように見ているか、伺います。 ◯佐々木政策報道室長 東京都では、これまで長期計画において、計画期間をおおむね十年から二十年間の人口想定を行っておりますが、最近では、平成九年の二月に策定いたしました生活都市東京構想、これにおきまして、平成七年の国勢調査の結果を踏まえて、平成二十七年までの人口想定を明らかにしております。  そこでは、東京の人口は、しばらくは横ばいないしは緩やかな減少にとどまり、その後は、少子高齢化の進行などによりまして次第に減少幅が拡大しまして、平成二十七年には千百四十万人程度になるものというふうに想定してございます。  昨年十一月に策定いたしました改訂重点計画におきましても、この人口想定に基づきまして諸施策の展開を図っているところでございます。 ◯大木田委員 時間が来ましたので、以上で終わります。(拍手) ◯中山副委員長 大木田守委員の発言は終わりました。  この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。    午後三時一分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時二十三分開議 ◯井口副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  清原錬太郎委員の発言を許します。 ◯清原委員 それでは、初めに、築地市場の再整備問題についてお伺いいたします。  築地市場は、都民に毎日欠かすことのできない水産物、青果物の生鮮食料品を供給する総合市場であり、特に水産物においては、我が国最大の取扱量を誇り、古くから魚河岸の名で親しまれ、日本を代表する市場です。  この築地市場において、昨年から、現在地での整備か移転推進かをめぐり、大いに議論が交わされ、世間の注目を集めているところですが、水産物の取扱量において、都の卸売市場の九割近くを占め、全国の生鮮食料品流通の拠点でもあるこの市場の将来のあり方は、都民にとって、また、国民にとっても極めて重要な問題であると考えます。  この認識から、私は、都議会として初めて築地市場の移転問題を取り上げました。昨年三月の第一回定例都議会の予算特別委員会において、全業界が一致して移転についての調査検討の要望を提出してくれば、これにこたえるべく調査検討する考えはあるのかと質問いたしました。それに対して、中央卸売市場長からは、そのような要望があれば、市場として調査検討を行いますとの答弁がありました。  その私の質問から約一年が経過し、いろいろと動きがあったと聞いております。そこでまず、その辺の経過から伺いたいと思いますので、できるだけ具体的にご答弁を願いたいと思います。  この問題について、業界内で何度も話し合った結果として、昨年四月に、築地市場業界一致により、都に要望書が提出されたと聞きますが、それはどのような内容であったのか、まずお伺いいたします。 ◯宮城中央卸売市場長 平成十年四月二日、築地市場業界六団体の連名により、市場長あてに要望書が提出されましたが、その内容は、現在検討している都の計画素案では、工事中の動線や種地の確保が困難で、基幹市場としての機能維持に支障を来す懸念があり、整備後も最小限のオープンスペースの確保が困難であるので、臨海部に市場をつくることが可能かどうかについて調査検討願いたいとするものでございました。 ◯清原委員 つまり、業界の要望書は、都の計画素案では問題が多いので、臨海部への移転の可能性について調査検討してほしいというものでございますが、そもそもその要望書はなぜ提出されたのか、これまでの経緯を含めてご説明をお願いいたします。 ◯宮城中央卸売市場長 都は、築地市場の大井埋立地への移転をめぐる市場業界との論議などを経て、昭和六十一年に首脳部会議で現在地での再整備を決定して以来、再整備計画を着実に進めてきたところです。その後、平成八年四月の東京都卸売市場審議会からの現行基本計画を見直すとの答申を受け、見直し計画素案を作成し、市場業界と協議を進めてきたところでございます。  その中で、市場業界において、市場の移転論が浮上し、全業界の総意により、築地市場の臨海部、豊洲への移転可能性に係る検討についての要望書が都に提出されたと認識をいたしております。 ◯清原委員 これまでの経緯を聞きますと、やはり都の提示した見直し計画素案自体に問題があったのではないかと思います。具体的にお聞きしますが、見直し計画素案においては、現有規模と比べ、施設面積がほとんどふえないと聞いております。現在の敷地で施設面積を大きくふやすには、私は、当初の計画案のように、一、二階を水産物と青果で分け合い、三階を駐車場とする、市場棟の全面立体化案に戻るしか方法がないと考えるのでございますが、都として、市場棟の全面立体化案についてどう考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。 ◯宮城中央卸売市場長 現況の限られた敷地スペースの中で、施設面積を大きく拡張するためには、ご指摘のように施設の立体配置を行うしか方法はないと考えております。  しかしながら、施設の全面立体化に対しては、荷の上下搬送に要する時間が増加し、非効率で使いにくい施設となることから、市場業界からも難色が示されております。  また、施設の建設費やエレベーター等の維持管理費が大幅に増加するなど、困難な問題が多く生じると思います。 ◯清原委員 現在地での再整備は、施設全体の完成までにこれから二十年もかかると聞いております。本当でしょうか。確かに築地市場は大規模な施設であり、営業を継続しながらの再整備は、複雑な工事であります。しかし、この時代に、工事がそのように長期にかかるというのは通常は考えにくいことであります。業界では、長期にわたる工事が営業に大きな影響を及ぼさないか、大変心配しております。何か工期短縮の工夫はないのか、お伺いいたします。 ◯宮城中央卸売市場長 現在地で営業を継続しながら、ローリング方式により工事を進めるとした場合、設計から全体の完成まで、おおよそ二十年程度は必要と考えております。  築地市場の再整備においては、営業時間帯における工事がさまざまな制約を受けることから、工期を大幅に短縮することは困難と見られますが、プレハブ製品の積極的活用によって現場作業時間の短縮を図るなど、工夫により、若干の工期の短縮は可能かと考えております。 ◯清原委員 これまでの答弁を聞きますと、現在地での再整備には大変難しい問題があるとのことのようですが、一方で、昨年四月の業界からの調査要望に対し、都はどのように対応したのでしょうか、お伺いいたします。 ◯宮城中央卸売市場長 都は、昨年四月二日の築地市場業界六団体からの要望を踏まえ、豊洲地区への市場立地の可能性について検討を行い、その結果を、昨年六月三十日に、六団体に対し中間回答をいたしました。  この中間回答では、都として引き続き移転可能性の検討を加える方針を示すとともに、業界の一致した意思を明らかにするよう求めたところでございます。 ◯清原委員 都においては、豊洲地区への市場立地の可能性について検討中とのお話ですので、それではお伺いいたします。仮に豊洲地区に築地市場の立地を想定した場合、どのようなメリット、デメリットが考えられるのでしょうか、お答え願いたいと思います。 ◯宮城中央卸売市場長 現在、築地市場の整備構想にかかわる委託調査なども行い、検討を進めているところでありますが、仮に豊洲地区において十分な規模の市場用地が確保できるといたしますと、そのメリットといたしましては、例えば、卸売場や駐車場等において、十分な広さの施設規模が確保できることが考えられ、また、工事施工の面においては、営業への支障がなく工事を進めることが可能となります。
     一方、デメリットといたしましては、買い出し人等に対する公共交通機関の便が、築地に比べて低下することが考えられます。 ◯清原委員 昨年の六月三十日の都の中間回答においては、市場業界に対し、一致した意思を明らかにするよう求め、その回答が昨年十二月に都に提出されたと聞きますが、それはどのような内容だったのでしょうか、お伺いいたします。 ◯宮城中央卸売市場長 昨年十二月に、市場業界六団体から都に回答が提出されましたが、東京都水産物卸売業者協会、東京魚市場買参協同組合、築地市場青果連合事業協会、築地市場関連事業者等協議会の四団体からは、連名により、豊洲への移転が最善の方策であり、将来における築地市場のあり方は、基幹市場としての機能の確保及び市場流通に必要な諸施設を兼ね備えることが前提条件であるとの回答がありました。  また、水産仲卸で組織する東京魚市場卸協同組合と東京都中央卸売市場買出人団体連合会の二団体からは、それぞれ、都の従来の方針どおり、現在地再整備を推進されたいとの回答がございました。 ◯清原委員 業界六団体の回答は、それぞれ議論を重ねた上で機関決定したものと聞いております。結果は、移転推進と現在地整備に意見が大きく分かれることとなりました。これまでの経緯を見ますと、今後も意見の一致を見ることは簡単でないように思います。このような中で、行政の判断も重要になってくると思いますが、今後、都は、この問題についてどのように取り組む方針か、お伺いいたします。 ◯宮城中央卸売市場長 昨年十二月の市場業界の回答では、六団体が一致しなかったことから、都としては、引き続き、築地市場再整備推進協議会において、まず、現在地における再整備を中心として検討していくことといたしております。  一方、業界との協議と並行して、築地市場の整備にかかわる問題について、総合的な見地から検討を行うため、本年二月八日に、都の関係部局の職員を構成員とする築地市場整備問題検討会が発足したところであります。  今後、相互に関連するところも出てくると思われますので、この点も十分に留意しながら、検討を進めていきたいと考えております。 ◯清原委員 お話を伺っていますと、昨年十二月の市場業界の回答では、六団体が一致しなかったので、都としては、引き続き築地市場再整備推進協議会において、まず、現在地における再整備を中心として検討していくといわれております。  また、一方では、業界との協議と並行して、築地市場整備問題検討会が二月八日に発足し、その検討会では、広い視野に立って市場整備のあり方を検討し、課題や問題点を整理するといわれますが、何が目的なのか、いま一つはっきりしないように思います。とりようによっては、推進協議会と検討会の双方で検討することから、検討や調整に時間を要し、築地市場の整備はますますおくれてしまうのではないかと危惧されます。  また、一方では、業界から十二月に出された結論が四対二であったことから、各業者団体間であつれきが高まらないか、私は心配いたします。これらについて、市場長のお考えをお聞かせいただきたい。 ◯宮城中央卸売市場長 築地市場の整備につきましては、急がれているところであり、築地市場再整備推進協議会において、市場業界との協議を精力的に進めるとともに、都庁内に設置された築地市場整備問題検討会においては、幅広い視野から、課題や問題点について鋭意整理していく予定でございます。  この問題に対する市場業界の意見は、現時点で大きく分かれている状況にありますが、市場業界とも十分協議し、できるだけ早期に業界全体のコンセンサスが得られるよう、全力で取り組んでまいります。 ◯清原委員 現時点では市場業界の意見は一致になっておりませんが、開設者である東京都は、都民の立場に立って、この問題に対してそろそろ積極的なリーダーシップを発揮し、基幹市場である築地市場を、将来ともに揺るぎないものとするためにはどうしたらよいのか、みずからの責任において決断すべき時期に来ていると私は考えます。  最後に、築地市場の整備に対する市場長の決意のほどをお伺いして、この質問を終わりたいと思います。 ◯宮城中央卸売市場長 築地市場は、都民の台所であるとともに、首都圏の基幹市場として極めて重要な役割を担っております。築地市場の整備に当たりましては、将来の卸売市場のビジョンを的確に見据えて、さまざまな流通環境の変化に対応し、生鮮食料品の安定供給という都民の期待に十分こたえられるよう、先頭に立って取り組む所存でございます。 ◯清原委員 次に、環状二号線新橋―虎ノ門地区の市街地再開発事業についてお尋ねします。  この区間は、これまで五十年間にわたって事業化されず、放置されてきました。この間、地元住民は、都市計画制限を受け、廃案運動等もあったところであります。私は、今後も住み続けたいという地元住民の思いと、地域の発展に寄与する幹線道路としての環状二号線の整備の必要性を両立させるためには、地下道方式しかないと考えまして、昭和六十二年の建設委員会において、これを採用するよう提案いたしました。  その結果、平成元年に立体道路制度が法制化されました。そして、この制度を活用した市街地再開発事業の第一号として、この環状二号線を整備することになったわけでございます。  こうした動きを受けて、地元では、環状二号線地区まちづくり協議会が設立され、将来のまちづくりの検討が進むなどの進展が見られ、昨年十二月には、ようやく都市計画決定がなされました。  この環状二号線の事業は、地域のバランスのとれた発展と地元住民の生活再建を考えたまちづくりとして大切な事業であることは、先ほどから申し上げているとおりでありますが、これに加えて、経済対策上も、いわゆる都市型公共事業の代表的なものとして推進していく必要があると考えます。  この間、自民党東京都連としても、政府に対して、環状二号線新橋―虎ノ門地区市街地再開発のための公共事業費の確保について、積極的に要請活動を行ってきたところであります。  そこで、初めに、環状二号線再開発事業の現在の状況と今後の進め方についてお伺いいたします。 ◯佐藤東京都技監 環二地区の再開発事業につきましては、お話しのように、昨年十二月に都市計画が決定をされ、都議会を初めとする各方面のご支援をいただき、年度の途中であるにもかかわらず、国庫補助対象事業として新規に採択されました。  今後、用地の先行取得を進めるとともに、事業計画策定に向け、地元協議や業務床の需要調査などを実施してまいります。 ◯清原委員 次に、地元協議を進めていく上で、まちづくり協議会から出された要望書への対応についてお尋ねいたします。  この要望書に盛り込まれた意見や要望は、いずれもこの地区の将来のまちづくりにとって貴重なものばかりであります。特に、環状二号線地上部を公園道路としてほしいという要望は、今後の地域のまちづくりにとって非常に重要なものであります。これは、同時に要望されている事業区域の拡大により、権利者の生活再建の場を確保することが条件であることはいうまでもありませんが、環状二号線地上部の三階建て再開発ビルが拡大部分に移せた場合は、この地上部を公園道路化して、新橋―虎ノ門を結ぶ動線軸にしてほしいという内容であります。  現計画では、道路上に三階建て再開発ビルが配置されているため、前面道路の幅員不足による斜線制限によりまして、沿道のまちづくりも制約され、せっかく立派な道路が整備されても、道路に面したビルは、すべて五階以上は傾斜してしまうという、東京の都心部にはまれに見る不格好な町並みとなってしまうことは、まことに残念でなりません。  地元の要望にあるように、環状二号線地上部を公園道路化することができれば、四十メートル道路として、その後の沿道のまちづくりの促進にも寄与し、将来の地域の発展にもつながることはもとより、この地域で不足している緑の量も充足され、百年後の人々にとっても感謝されるような立派なまちづくりができると思いますが、ご所見をお伺いいたします。 ◯佐藤東京都技監 お話しの公園道路化についてですが、本事業は、立体道路制度を活用し、環状二号線の整備とともに、その上部に建物を配置して、権利者の生活再建が現地でできるように計画したものであります。したがって、お話しのように、生活再建の場が事業区域を拡大した部分で確保されるなど、条件が整えば、実施計画の見直しに取り組んでまいります。 ◯清原委員 最後に、新橋地区の将来のまちづくりにとって最も重要であると地元の人たちが考えているものに、換気所と第一京浜国道の交通渋滞の問題があります。これら、地元住民の環境に対する要望は、そこに住み、生活し続ける人にとっては切実な問題です。私は、昨年十一月の都市計画地方審議会において、都市計画決定後であっても、地元住民との合意形成に努め、関係者の納得のいくよりよいまちづくり案がまとまれば、どんどん取り入れるなど、柔軟な対応をすべきだと、こう意見を述べてまいりました。  せっかくここまで来たこの事業が、今後もスムーズに進められるよう、新橋四丁目の換気所については、地元の強い熱意を酌み、関係者の納得を得てから進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、第一京浜国道との交差点においては、交通渋滞が生じないような方策を講じるべきです。今までの案では、環状二号線の地下道を通ってきた車は、全部第一京浜国道へ出てしまうという、こういうことになったら渋滞が起こることは初めからわかっていることでございます。  そこで、私が考えますのは、例えば、臨海部を含めた環状二号線の地下トンネルが全線開通するまでの間は、汐留地区まで地下トンネルを延伸し、新橋と汐留の二カ所にランプをつくることが、交通量の分散を図る上で最も有効な方策と考えますが、ご所見をお伺いいたします。 ◯佐藤東京都技監 お話の換気所は、環状二号線をトンネル構造としたことから必要となる施設であります。その設置については、今後とも地元の方々と具体的な話し合いを重ね、合意のもとに進めてまいります。  また、第一京浜との交通処理についてのご提案は、交通分散を図る上で効果的であると考えますので、今後、関係機関と調整を行うなど、積極的に取り組んでまいります。 ◯清原委員 次に、我が政府・自民党が、貸し渋り対策の抜本的解決を図るため昨年の十月一日からスタートさせた、中小企業金融安定化特別保証制度についてお伺いします。  まず最初に、この制度の直近の実績について、東京信用保証協会が受け付けた申請件数、申請金額及び保証承諾した件数、金額をお示し願いたいと思います。 ◯大関労働経済局長 今月二月十九日現在の実績でございますが、保証申し込みが件数で約十五万五千件、金額で約三兆六千八百七十六億円でございまして、保証承諾は件数で約十四万二千件、金額で約三兆二千十七億円となっております。 ◯清原委員 今の労働経済局長の答弁によりますと、東京信用保証協会が保証した件数は約十四万件、保証金額は約三兆二千億円とのことですが、これは全国の都道府県の中でも第一位の実績であると伺っております。  この安定化特別保証制度に申し込んだ中小企業のうち、不承諾や取り下げとなった件数、金額の比率はどれくらいになっているのでしょうか。また、どのような理由で不承諾や取り下げとなったのか、主なもので結構ですから、その理由を明らかにしてください。 ◯大関労働経済局長 安定化特別保証制度の昨年十月からことし一月末までの実績を見てみますと、申し込みをして審査結果が出たもののうち、不承諾となったものや、取り下げを行った率は、件数で五・四%、それから金額で見ますと六・五%となっております。  また、不承諾や取り下げとなった主な理由でございますけれども、大きく四点ほど挙げられようかと思います。一つは、保証協会から代位弁済を受け、その返済が終わっていないものや、今後、代位弁済が見込まれるものでございます。二つ目は、既に受けている保証つき融資が延滞しているものでございます。三つ目は、保証協会の保証対象業種でないものや、一年以上の事業実績がない等、申し込みの資格がないものでございます。四点目は、条件つきで保証の内定を受けましたが、その条件である連帯保証人や担保の提供ができなかった等が挙げられると思います。 ◯清原委員 次に、この制度は全国一律の制度で運用されており、その要綱の中で、いわゆるネガティブリストと呼ばれている留意事項十項目に該当した場合等は、保証承諾できないこととなっております。私は、これに該当する企業や、保証の資格要件等に欠ける中小企業者まで保証せよとはいいません。しかし、これに該当するかしないかの境目にある企業が、多くあるのも事実です。  例えば、税金を滞納し完納の見通しが立たないような企業の場合は、保証の対象としないことになっております。長期にわたる不況により、やむを得ず税金が未納となっているケース等は、中小企業ではよく見られるところであります。もとよりこの制度は、税金で支援している国の制度ですので、税金を滞納しているものを保証承諾の対象とすることはできないことは、もちろんであります。  しかし、このように税金を滞納しているケースでも、近々のうちに完納できるという確たる見通しのある中小企業であれば、保証承諾の対象としてもよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ◯大関労働経済局長 お話のような、税金を滞納している場合は、原則として保証を受ける資格がないわけでございます。しかし、税務署が中小企業者に納付受託証書を発行するなど、近々のうちに完納できることが確実である、このように判断された場合には、信用保証協会といたしまして、保証の対象となるように努めているところでございます。 ◯清原委員 次に、金融機関から融資を受けて返済中の中小企業が、取引先の倒産等の影響を受けて資金繰りがつかなくなり、返済期日までに返済できず、少し延滞してしまったようなケースもあり得ると思います。過去に融資してもらった借入金を順調に返済できないような中小企業に対し新たに保証することは、金融の常識として難しいことは十分承知しております。  しかし、長引く不況の影響を受けて苦労している中小企業者のことでもあり、わずかな返済のおくれがあるという理由だけでノーというのではなく、返済のおくれを取り戻すなどの努力をしている中小企業者に対しては弾力的な取り扱いをすべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。 ◯大関労働経済局長 融資の返済がおくれている中小企業がこの金融安定化特別保証制度を申し込んだ場合は、保証を承諾することができないわけであります。  しかしながら、信用保証協会といたしましては、その延滞金額を一括返済しておくれを取り戻す等の企業努力が見られれば、延滞がなかったものとみなしまして、その上で、企業の財務内容や事業継続の見通し、あるいは返済能力等を総合的に審査し、その企業の体力に応じて保証するように努めているところでございます。 ◯清原委員 次に、先ほどのネガティブリストの中の一つに、業績が極端に悪化し、大幅な債務超過の状態に陥っており、事業の好転が望めず、事業の継続が危ぶまれる場合も挙げられております。  しかし、不況の影響を受けて赤字決算に陥って、資産より負債の方が多いという債務超過状況にある中小企業も少なからずあるのも、また事実であります。このため、単に赤字だからとか、債務超過額が多くあるからと、そういう理由だけで門前払いにするのではなく、今後の事業計画、その会社の将来性等も十分勘案して審査すべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◯大関労働経済局長 信用保証協会は、これまでも、単に決算の赤字や債務超過額のみで判断するのではなくて、企業の事業継続の見通しや返済能力、あるいは将来性等を十分に勘案した審査を行ってきているところでございます。今後とも、保証に当たりましては、経営内容を総合的に審査するよう、信用保証協会を指導してまいります。 ◯清原委員 今まで述べてきたように、この安定化特別保証制度のおかげで、都内の企業倒産件数は四カ月連続で前年を下回るなど、多くの中小企業が救済されたことは、高く評価したいと思います。この制度は、来年三月までの臨時、特別の緊急措置であるという点を踏まえ、国や都及び保証協会に対し、引き続きこの制度の適切な運用に努められるよう要望するとともに、一刻も早く本格的な景気回復が訪れるよう期待いたしまして、安定化特別保証制度にかかわる質問を終わります。  では、次に移ります。  今日、都心部における交通渋滞は依然として激しく、これが円滑な都市活動の大きな妨げになっております。私は、この大きな原因の一つとして、通過交通の存在があると考えます。東名高速道路、中央高速道路、関越高速道路などの都市間高速道路から、東京に用のない車、特に大型長距離トラック等が都内に入り込んでおります。これが都内の渋滞を引き起こしていると考えております。  私は、かねてから、大深度地下を利用してこれらの通過交通をさばくことができれば、地上部の交通量は減り、現在の一般道路を含め、特に高速道路の渋滞は大幅に解消されるのではないかと考えております。  このことから、平成八年の予算特別委員会などにおいて、大深度地下空間の活用について質問してまいりました。これまでの質疑では、大深度地下利用については、平成七年八月に、臨時大深度地下利用調査会設置法が施行となり、これに基づいて臨時大深度地下利用調査会が設置され、諸問題について検討されているということでしたが、その後どのように進んでいるのでしょうか、お伺いいたします。 ◯成戸都市計画局長 お答えいたします。  臨時大深度地下利用調査会では、大深度地下利用の基本理念、公共的利用の円滑化のための施策等について調査、審議を行いまして、昨年五月、調査会から内閣総理大臣に対し答申がなされました。 ◯清原委員 それでは、その答申についてですが、どのような事柄がまとめられたのでしょうか、お伺いいたします。 ◯成戸都市計画局長 答申は、大深度地下利用に関する諸課題、具体的に申し上げますと、大深度地下の定義でありますとか、大深度地下空間の権利関係及び補償の必要性の有無、さらには、安全確保や環境保全の視点からの技術的対応の可能性及び適用事業の範囲などなど、さまざまな課題につきまして調査、審議された結果を取りまとめたものでございます。 ◯清原委員 それでは、大深度地下空間の活用の実現に向けて、今後どのように検討されていくことになるのでしょうか、お伺いいたします。 ◯成戸都市計画局長 現在、国におきまして、私権等の具体的調整方法や補償方法、技術的基準などの課題につきまして検討を行っていると聞いております。また、このほか、例えば大深度地下における安全対策や環境対策、引き続き検討すべき課題があるというふうに考えております。 ◯清原委員 都としても、国の検討動向を踏まえ、今後積極的に大深度地下空間の活用に取り組み、都内に用のない通過交通によって引き起こされる交通渋滞解消に向けて努力すべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◯成戸都市計画局長 大深度地下空間の利用が可能になれば、今後の都市基盤施設の新たな導入空間として有効な方策の一つになると認識しております。その一方で、都市基盤施設が深くなることによる建設費及び維持費の増大や、環境面への影響などの課題も生じてまいります。  今後とも、国の動向の的確な把握に努めますとともに、通過交通によって引き起こされる交通渋滞の緩和に向け、多様な手法を活用しながら、積極的に道路の整備に努めてまいりたいと考えております。 ◯清原委員 私は、来るべき二十一世紀には、真に豊かでゆとりのある都市生活が実現されなければならないと考えています。こうした都市生活をつくり出すためには、とりわけ道路交通の円滑化が不可欠であり、その有効な手法として大深度地下空間の活用が求められているわけです。大深度地下の用途には、鉄道、河川、共同溝などいろいろあると思います。しかし、大深度地下の利用が法制化された暁には、通過交通による交通渋滞を解消する画期的な交通対策として、まず一番初めに、大深度地下高速道路の建設に取り組んでいただくことを強くお願いいたしまして、私の質問を終わります。  以上で終わります。(拍手) ◯井口副委員長 清原錬太郎委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯井口副委員長 星野篤功委員の発言を許します。    〔井口副委員長退席、委員長着席〕 ◯星野委員 まず、財政に関係する問題から質問させていただきます。  昨日の代表質問の中で、我が党の比留間議員が、再建団体についてかなり突っ込んだ質問をさせていただきましたが、この問題は、まだ現実に再建団体になったわけではありません。あくまでそうなったらと想定のもとでの質疑でありますから、お答えの方も現実的な厳しいものではなかったと思います。  そこには、都はまだまだ再建団体なんて、とてもならないよというような思いがあると思います。もちろん、そうあってはならないことですが、しつこいようでございますけれども、私は、もう一度、少し違う角度から質問をさせていただきます。私にもわかるように、また、都民の皆様、議会、そして都庁の皆様にも、この問題の認識と意識を確認する意味で質問させていただきますので、お答えを願いたいと思います。  まず、確認しておきたいと思いますが、過去に都道府県で再建団体へ転落した団体はありますか。 ◯横山財務局長 道府県におきまして、過去、財政再建団体となった事例としましては、昭和三十年代ですが、青森県と和歌山県の二つがございます。 ◯星野委員 大分昔の話ですから、参考にはとてもならないと思います。財政再建団体は、実質収支の赤字がいわゆる赤字限度額を超えた場合になるわけですが、十一年度予算に財政再建団体に転落する可能性はないといっておりますが、もう一度お答えください。 ◯横山財務局長 十一年度予算編成に当たりましては、前年度を上回る内部努力や施策の見直しによる歳出削減等とともに、緊急措置として、可能な限りの財源対策を実施し、収支上の財源不足を解消したところでございます。  今後の景気動向など不確定な要素はございますが、この予算を着実に実行することによりまして、十一年度において直ちに財政再建団体に転落することはないと考えております。 ◯星野委員 十一年度に早速そういうことになってはとんでもないことだと思いますけれども、それでは、十二年度はどうなるのか。都税収入が大きく落ち込む中で赤字限度額も減少すると思われますが、十一年度の赤字限度額はどういう見込みとなりますか。 ◯横山財務局長 赤字限度額は、各年度の交付税算定における標準財政規模を基礎として算出されるものでございますので、したがいまして、十一年度の赤字限度額につきましては、現在の時点で正確な数字を申し上げることはできませんが、標準財政規模が都税収入と同じ割合で減少すると仮定しまして計算しますと、十一年度の赤字限度額は、約二千八百億円と試算されます。 ◯星野委員 さきに示されました財政の収支見通しでは、十二年度には六千二百億円に及ぶ財源不足が見込まれています。これに十年度の赤字額一千億円を加えれば、七千二百億円の財源不足ということになります。一方、赤字限度額については、十一年度の見込みでは、今、二千八百億円程度ということですが、仮に十二年度も同程度とすれば、十二年度は、実に四千四百億円の新たな財源を見出すなり、歳出の削減をしなければ、財政再建団体になるということには間違いございませんか。 ◯横山財務局長 今後の経済動向等が非常に不透明な中で、将来の収支を的確に見通すことは大変困難でございますが、一定の前提条件のもとで試算を行いますと、十二年度には六千億円程度の財源不足が見込まれる状況でございます。  したがいまして、十年度に生じる一千億程度の赤字をも考慮しますと、十二年度において四千億円を超える歳出削減などの方策を講じなければ、財政再建団体に転落する可能性があるということは、ご指摘のとおりでございます。 ◯星野委員 再建団体への転落が、まさに現実の問題ということだと思います。  では、再建団体になったときに、再建計画を策定し、その中では歳入の確保策と同時に歳出の削減策を盛り込むことになりますけれども、具体的にどういう歳出削減が求められるのですか、確認します。 ◯横山財務局長 都が仮に財政再建団体に転落した場合には、財政再建計画を策定しまして、自治大臣の承認を得て、国の指導監督のもとで財政運営を行うことになります。  したがいまして、福祉、教育分野を初めさまざまな事業で、国の水準を上回るサービスであるとか、あるいは、都が独自に行う事業につきましては、廃止を含めて見直さざるを得ないということになります。 ◯星野委員 これは仮定の問題でやりとりをしているわけですから、なかなか答えにくいとは思いますけれども、もう少し具体的にお答え願いたいと思うんですね。本当はここで、福祉のこういう事業はどうなるのか──例えば老人福祉関係で、国に東京都が上乗せしていますよね、そういうものが実際にはどうなるかということを本来は聞きたいわけですけれども、なかなかそうはいきませんでしょうから、例えば財政健全化計画実施案で示された代表的な見直し項目に挙げられましたシルバーパスだとか、老人医療費助成等、福祉施策も削減されるのか、その辺、もう一度お聞きいたします。 ◯横山財務局長 申しわけございませんが、財政再建団体への転落によりまして見直すこととなります事業につきましては、財政再建計画を策定する際に、自治省と当然折衝することになりますが、具体的にその段階で検討されることになります。  したがいまして、現在の時点におきまして明確にお答えすることはできませんが、いずれにしましても、都民生活に密着した行政サービスの水準を大幅に引き下げざるを得なく──避けられないということは、多分そうなるだろうと考えております。 ◯星野委員 非常に心配ですね。そうした福祉事業を初めとして、さまざまな事業が都の主体性をなくし、縮小しなければならないというような事態には、決してなってほしくないというふうに思います。やはり事業を見直すには、合理的な根拠や、実態に即した見直しがあってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯横山財務局長 事業の見直しに当たりましては、一律にその廃止や縮小を行うのではなくて、時代変化への適合や緊急性の度合いなどの視点に立ちまして、すべての施策について再構築を行う必要があると考えております。今後、ご指摘のように、合理的な根拠や実態を踏まえまして、あらゆる角度から検討を行ってまいります。 ◯星野委員 今後のことでございますけれども、大幅な財源不足を解消していくためには、施策の厳しい選択、再構築が、今お話に出ましたように、避けて通れないと思います。しかし、そうした見直しは、あくまで都民ニーズを的確に踏まえた上で、都が主体的に都独自の方針で実施するべきである、そういった観点から、この夏までに再建計画を策定すべきと考えますが、どうでしょうか。 ◯横山財務局長 地方自治体の運営におきまして、それぞれの自治体が、地域の実情に応じて、住民にとって最も望ましい方針を自主的に定めることが基本であると考えております。  都の策定します財政再建計画は、こうした観点から、財政再建団体への転落を回避しますとともに、自主的、自立的な財政運営が可能となるよう、健全で強固な財政基盤を確立するための取り組みを都みずからの手で行うものでございまして、本年夏の策定に向け、全力を挙げてまいります。 ◯星野委員 一番単純な部分でずっとお話を伺いました。
     私は、昨日から各会派でこの問題を──何度か出ておりますから、これ以上新しい問題は特別には出てこないと思いますし、そのつもりもありません。その中であえてこういうことを再三申し上げるのは、先ほど前半で申し上げましたように、私ども都議会もそうであるし、きょうここにおいでの都の幹部職員の皆さん、それから特に都民の皆さんに、今から不安を持たせることはないでしょうけれども、この意識だけは、こういう経済下に置かれているわけですから、意識づけを願うために質問をさせていただきました。  どうもありがとうございました。この件は終わります。  続いて、水道局の関係について質問をさせていただきます。  去る二月四日、水道管などに使われる鋳鉄管のシェアの配分についてやみカルテルを結んだとして、メーカー三社が公正取引委員会から刑事告発をされました。今後、警察当局の徹底した捜査を期待します。  メーター業界の談合問題が発覚してからまだ日も浅いうちに、またかと思われるような事件でございました。これは、私のみならず、この不況下で税を払っている都民の皆さんがどういうふうにお考えになっているだろうかというふうに思います。この種の事件がこれで最後になるという保証はないんですね。今まで百年間、水道局が残してきた業績、名誉をこんなことでつぶしてはならないと思うんですね。そういう意味も含めて、ある意味では情報を公開するというような意味合いでお答えを願いたいと思うんです。そういった観点から幾つかお聞かせを願います。  今回の独占禁止法違反があったとされるダクタイル鋳鉄管を含めて、水道局は工事用材料を一括して購入しているんですが、こういうような方法を採用しているのはなぜか、また、ほかの都市ではどうなっているのか、まずそこからお聞かせいただきます。 ◯赤川水道局長 都が主要な水道用資器材を一括購入している理由については、一括購入による価格の低廉化、あらかじめ資器材を準備することによる工事の円滑な推進、突発事故や震災時への対応のほか、品質及び規格の確保等によるものです。  他都市の状況ですが、政令指定都市につきましては、大部分が都と同様に支給材料制度を採用しており、その他、比較的小規模な都市につきましては、工事請負者持ち制度が多いと聞いております。 ◯星野委員 水道はまずは安全でなければならない、そして一日も欠かせないものであります。それだけに水道施設に使用する材料の品質規格を確保することが重要でありますが、どのように確保してきたのでしょうか。 ◯赤川水道局長 水道施設に使用する資器材は、各事業体が地域の実情に合わせて採用しており、全国的な規格に統一されているわけではありません。都においては、日本工業規格や日本水道協会規格によるほか、都の実情に合わせて独自の規格を定めております。 ◯星野委員 都独自に定めているものがあるということですけれども、その理由は何ですか。 ◯赤川水道局長 東京の水道は、水道資器材の日本工業規格等が整備される以前から事業を行ってきており、品質の確保を図るため、都独自の規格を定めた経緯がございます。現在も一部の資器材、例えば特殊消火栓用T字管とか、こういうものがございますが、一部の資器材にそれらの規格が残っているものがありますが、都独自の規格はできるだけ共通の規格に合わせるように努めてまいります。 ◯星野委員 都独自の規格の材料については、当然余り一般的ではないというものがあるわけですね。そういうことで、製造するメーカーは限られてくるのではないか。これが今回の問題を引き起こした最大の原因であろうと思いますが、また、東京都という大都市において使用される材料は、大型で特別なものが必要となることもあると思います。そのような材料を製造するメーカーは少なく、少数のメーカーしかないというふうに思います。都が購入している材料のうち、メーカーの数が少ないものはどういったところでしょうか。 ◯赤川水道局長 水道用資器材には、例えば口径の大きな管類や大型バルブなど、例示いたしますと、鋼製仕切り弁だとか、あるいはダクタイル鋳鉄管の大口径のつぎ輪だとか、そういうものがございますが、特殊な用途のものにつきましては、ご指摘のようにメーカーが限られているものがございます。 ◯星野委員 私の方で民間の業者等から資料を集めたものがあります。それによりますと、資料の中には、それほど特別大きな口径でもないもの、それほど特殊でもない例えばバルブ等が、この十三年間ほど価格の変動のないものがあるんです。バブル期を挟んで、他の建設資器材など、十三年間も変動がない価格を維持しているものなんかないわけですね。  水道局のこういったものに対する見解を聞きたいんですけれども、安全な資器材の確保ということも重要でしょうけれども、気をつけていかなければならないのは、水道局の購入価格が水道資器材の市場価格の高値安定につながってしまうということなんですね。これは事実だと思います。東京都が逆に価格の基準をつくってしまうという、これは東京都が意図したことではないでしょうけれども、結果的にはそういうことになってしまうわけですから、東京都が購入する──作業によって、例えばこの十三年間も価格の変動を見なかったということは、東京都の水道局自身も重大な責任があるわけです。このことも伺います。  競争の原理が働きにくい現在の水道局と少数メーカーの関係をどこかで改善しない限り、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、痛くもない腹をさぐられるわけですね。今後も第三、第四の先ほど来の事件が起きないという保証は全くないわけでして、今までどおり、資器材の支給制度を維持していこうとするならば、もっと新規の業者が参入するように、また、どの業者でも参加できるような入札制度等々を改善していかないと、メーターの次にパイプで、ちょっと想像しただけで、次はバルブかな、何かなと。それはそうです。同じようなメーカーがつくっているわけですから、パイプだけ談合していて、ほかのものをしていないという保証はなくて、逆に、あるんではないかと思われても仕方ないわけですね。そんなこともお答え願いたいと思います。 ◯赤川水道局長 水道用資器材の購入に当たり、契約における競争性、透明性が確保されていることは重要なことと考えております。これまでも、こうした考えに沿って公募制指名競争入札を採用するなど、契約制度の改善に努めてまいりました。ご指摘のとおり、水道用資器材全般にわたって、より一層の競争性等を確保していくため、入札参加者をできるだけ広げるなど、新規参入が容易になるよう幅広く検討してまいります。 ◯星野委員 済みません、予告していた質問はそこまでなんですけれども、最後に、このほど、この問題に対処するために、物品購入事務総点検委員会を設置したということです。これはもちろんこれからの水道局の契約等々について公正を図っていこうという意味でおつくりになったと思いますが、これがどういうふうなことをしていこうとしているのかが一つです。  もう一点だけ、申しわけありませんが、こういういわゆるメーカーと、それを買い入れる水道局との間柄の中で、この百年も続いて、もちろん水道局が事業を遂行するためにはメーカーの協力が必要ですね、それがあって初めて安定した仕事ができるわけですから、それはだれしも認めていることですけれども、ただ、新聞にもちらっと出ていましたけれども、業界との癒着を思わせるようなことが載っていました。それは、OBがそういった業界にというような話がありましたけれども、その後聞いてみますと、そんなことはないよということですから、その辺には触れないようにと思ったんですが、実は、ダクタイル鋳鉄管をつくっているいわゆるメーカーの協会の方ですね、協会の方には現在でもOBが行っていらっしゃるということですから、今後、そういった、ただでさえ疑われやすい体質のところにあるわけですから、その辺の、最後に局長の見解を伺って終わりにしたいと思います。 ◯赤川水道局長 ダクタイル鋳鉄管協会は営利を目的とした企業ではなく、ダクタイル鋳鉄管の品質と施工技術向上のための研究とか技術開発などを行うために設立された団体ではあります。しかしながら、ご指摘の点なども踏まえ、今後とも、都民の誤解を招かないよう厳正に対処してまいります。 ◯星野委員 次に、教育委員会の方の関連でお聞かせいただきたいと思います。  現在、東京都内に二千校以上の小中学校があるわけですけれども、この小中学校に事務職員がどういうふうに配置されているかということをお尋ねします。 ◯中島教育長 公立小中学校には、学校教育法などの関係法令に基づきまして、都費負担の事務職員を、原則一校一名配置することとなっております。平成十年度の学校基本調査によりますと、区市町村立学校二千五十五校に、都費負担の事務職員が二千二百五名配置され、これに加えまして、各設置者の判断により、区市町村負担の事務職員が千四百三十二名配置されております。 ◯星野委員 各学校に、都の負担の事務職員と区市町村の負担による事務職員が配置されている。普通、典型的には、一人ずつ出し合って二人でやっている、そういう理解だと思います。この両方から出ているところ、任命者が違うわけです。しかし、同じ学校という職場で、それも大多数が二人きりでやるわけですね。この方々の職務分担というようなものはあるんですか。 ◯中島教育長 事務職員の職務は、学校の教育活動が円滑に行われるための諸条件の整備に関することでございまして、具体的には、人事事務、経理事務、施設管理などでございます。  都費負担の事務職員と区市町村負担の事務職員の職務につきましては、それぞれの教育委員会の判断により決定されております。 ◯星野委員 実は、これは全部に当てはまるわけではないんですけれども、都の派遣と地元から派遣されている職員さんは、非常に仲の悪いのが多いんですね。職務分担を、今のお話ですと、地元のというふうに伺っていますけれども、そうすると、地元の教育委員会の方針に基づいて、すべて東京都から派遣している職員さんもやっていらっしゃるんですか。東京都から派遣された職員さんは、また東京都に対して特別に毎月何か報告するとか、そういうようなことはあるんですか。 ◯中島教育長 それぞれの学校に配置されております都費負担の事務職員につきましても、その職務分担は、各区市町村教育委員会の判断により決定されておりますので、私どもから都費負担の職員に対して報告を求めるようなことはございません。 ◯星野委員 それでは、ちょっと違う角度でお尋ねします。  区市町村で、特に多摩の市の方で、行政改革の一端としては、東京都でもここでたくさんの職員の方を少なくしていく、実はやっているわけですね。その中で、いろいろなところでリストラを各市町村でやっていますけれども、ちょっと不思議に、当然考えるのは、生徒は減ってきています、教員の数も減ってきています。その中で、今申し上げております現場の事務職員は減っていかないんですね。減っていかないというよりも、手がつけてないんです。というのは、一つは、国のいわゆる法律のもとに東京都が一校当たり一人ずつを配置して、なおかつ設置者である地元の市町村がその要員をもう一人ずつ出している、これが現状ですけれども、これが、よくいわれるんですが、例えば児童が千人もいる学校でも、今は百人ぐらいしかいない学校もあります。生徒は十分の一、仕事がそれだから十分の一になるという乱暴なことをいっているわけじゃないんですけれども、少なくとも二人いるところを一人でできるんじゃないかというのが素朴な私の考え方ですが、実はこういう問題が地元でささやかれていまして、これはもう一つの見方をいいますと、東京都の考え方が一校一人ずつという伝統の中にあって、なぜ地元の市区町村から配置している人間が削っていかれないのか、削られていないのかについてお聞きしたいと思います。 ◯中島教育長 小中学校の児童生徒が近年減少しておりますことは、お話のとおりでございます。区市町村負担の事務職員の配置につきましては、設置者である区市町村が学校の状況等を勘案して決定しておりまして、一部でございますけれども、区市町村負担の事務職員を配置してないケースもございますし、区市町村によっては、この事務職員の配置の見直しを検討している例もあると聞いております。 ◯星野委員 ということは、ここが一番最後に聞いておきたかった部分なんですけれども、そうすると、地元の市区町村でその部分の職員を減員するということは、東京都は何ら関与しない、要するに地元の判断でどんどんやってもいい──どんどんやるかどうかは別として、やってもいいというふうに理解してよろしいんですね。 ◯中島教育長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、区市町村負担事務職員の配置につきましては、設置者である区市町村が配置したということでございます。したがいまして、当該教育委員会事務局と学校との、事務分担や学校の状況等を勘案して決定することができる、このように判断をしております。 ◯星野委員 それでは最後になりますが、次に、玉川上水の保全策について伺います。  この一月、玉川上水の歴史環境保全地域指定の答申が、東京都自然環境保全審議会から知事あてに提出されました。玉川上水の保全については、淀橋浄水場廃止後、多くの都民の要望を受けた都議会が昭和四十五年に趣旨採択しており、以来、史跡指定を目指したものの、途中困難な状況になるなど、三十年近い時間の経過の中で、保全の実現は遠のいたような印象がありました。しかし、今回、都独自の制度を活用して、三百五十年前の先達が残してくれた歴史的遺産の価値と都心に連なる緑の価値を評価して、後世まで残そうという方向が定まったことは大変感慨深いものがありますし、また、ぜひ適切な保全を進めていただきたいと思います。  そこで何点か伺います。  玉川上水は、関東ローム層に掘り抜かれた素掘りの水路で、そののり面自体が貴重な土木遺構であります。小平監視所から下流の両岸には掘り割り当時の素掘りの水路が見られますが、崩落しているところもあり、危険な場所が見られます。のり面の保全についてどのような対策を考えているのかまず伺います。 ◯柿沼環境保全局長 玉川上水の保全に関する基本方針は、このたびの東京都自然環境保全審議会の答申に述べられておりますように、歴史的土木構造物である素掘りの水路を、可能な限り現況を損なうことなく後世に伝えることでございます。しかしながら、関東ローム層に掘られた素掘りの水路が、自然的な要因によって徐々に崩落、崩壊していくことを防止するのは困難でございます。  したがいまして、ある程度ののり面の崩壊は許容せざるを得ないものと考えておりますが、一部に緑道や民有地等に崩壊が及ぶことが懸念される危険箇所も見られますので、今後とも、可能な限り保全の基本方針を踏まえながら、適宜適切なのり面補修対策を講じていきたいと思います。 ◯星野委員 この玉川上水についての住民の価値観は千差万別です。それぞれ緑と水の空間をこよなく愛していますが、現実には、樹木の枝一本にしても、切れという人、切ってはいけないという人がおります。年に二、三回玉川上水を訪れる人と、近隣で日照に悩む住民とでは、その管理についての意見が大きく分かれます。このような住民の意識の調整をどのようにして行い、管理に反映させていくのか、大変難しいことと思いますけれども、伺います。 ◯柿沼環境保全局長 住宅密集地域を縦断しております玉川上水は、貴重な水と緑の空間として、長年、流域の周辺住民に親しまれてまいりました。そのため、東京都自然環境保全審議会の答申でも、特にこの点に配慮いたしまして、地域の人々との連携を図り、玉川上水の保全事業を実施するとしております。都といたしましては、この趣旨を十分に踏まえまして、都、関係区市及び地域住民から成る玉川上水都区市連絡協議会の場を活用するなどいたしまして、それぞれの地域にふさわしい保全事業の実現に向けて調整を図ってまいります。 ◯星野委員 ところで、この玉川上水が歴史環境保全地域に指定されますと、橋も通せない、新しく橋もつくれない、一本の木も切れなくなるんではないかという心配をする住民、私もそうなんですが、そう思うんですけれども、そうした点はどうなるんでしょうか。 ◯柿沼環境保全局長 国または地方公共団体が、保全地域内に道路や橋などを設置する場合は、東京における自然の保護と回復に関する条例の規定に従いまして、知事への協議が必要になっておりますが、その協議の際に、保全地域指定の趣旨を踏まえ、かつ公益性、公共性にも配慮しながら対応してまいります。  また、お話しの樹木の伐採につきましては、今年度内に、玉川上水歴史環境保全地域保全計画を策定する予定でございます。それに基づきまして、関係者のご意見を伺いながら、個別、具体的な問題は適切に対応していきたいと思います。 ◯星野委員 次に、今度は管理の問題で伺います。  玉川上水の事実上の管理は、水道局及び水道局が使用認可した局や区市が行ってきています。今回の歴史環境保全地域の指定後も、各管理者は従来どおりということになるんでしょうか。環境保全局が一元的に管理できないのでは、保全の効果は上がらないのではないかと思われるんですが、どうですか。 ◯柿沼環境保全局長 玉川上水の管理につきましては、流域住民や自治体からも、窓口の一本化と総合的な植生管理について強い要望が寄せられております。今後は、環境保全局が総合窓口になるとともに、各管理者に対する調整機能につきまして一元的に担当してまいります。  しかしながら、清掃や苦情処理などの日常的な管理につきましては、区市及び関係機関で分担していただく方が現実的かつ効果的な対応が期待できることから、そのような方向で引き続き調整をしてまいります。 ◯星野委員 今回の指定区域以外にも、隣接して市の公園や緑地があります。また、羽村取水口から宮本橋までの区間が地域指定から外れております。地元の羽村市では、保全地域指定を強く希望していますが、これらの区域の拡張の可能性はあるのでしょうか。 ◯柿沼環境保全局長 保全地域に隣接しております都市公園や緑地につきましては、地元区市や地権者の同意があれば、追加指定は可能でございます。  また、ご指摘の羽村取水口から宮本橋までの区間につきましては、都立自然公園に指定されておりますために、東京における自然の保護と回復に関する条例第三十一条の規定がございますために、今回の指定区域から除外をいたしました。  しかし、地元羽村市及び地域住民から追加指定の強い要望が寄せられておりますので、都といたしましても、今後この区間を追加指定できるよう、その方策について引き続き検討してまいります。 ◯星野委員 よろしくお願いします。どうもありがとうございました。(拍手) ◯佐藤委員長 星野篤功委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯佐藤委員長 馬場裕子委員の発言を許します。    〔委員長退席、井口副委員長着席〕 ◯馬場委員 私は、まず、臨海副都心線についてお伺いをいたします。  品川区におきましては、昭和五十五年七月に請願を採択したのを皮切りに、六十三年七月には、区民と区が一体となった京葉線・埼京線延伸促進協議会を設立し、その実現に向けて取り組みを進めてまいりました。その後、臨海副都心の開発に合わせて、臨海副都心線として新木場から大崎駅まで設置されることになりました。平成三年には、東京臨海高速鉄道株式会社が設立され、一期工事の終了後、二期工事が引き続き順調に進められていると思っておりました。臨海副都心線の第二期区間については、そのほとんどが品川区を通り、地元の品川区民としては、平成十二年末の開業に大きな期待を寄せてきたところでございます。  ところが、二月八日、都は、臨海副都心線の大崎延伸について、開業時期の見直しを発表いたしました。これまで十二年末としてきた開業時期を十四年十二月とし、天王洲までは十二年度末を目途に暫定開業するというものです。この際、開業がおくれる理由について詳しくご説明ください。 ◯成戸都市計画局長 臨海副都心線の工事につきましては、これまで、工期短縮に資する施工方法の採用などを行いまして、平成十二年十二月の開業を目指してまいったところでございます。  しかしながら、一つには、東品川駅付近におきまして、地下約五十メートルのところに伏流水の存在が判明いたしまして、地下約三十メートルと計画していた擁壁──土どめ壁でございますが、この深さを約六十メートルといたしましたこと、あるいは、大井町駅付近において鉄道のシールドが地下を通過することによりまして支障となるJRアパートの基礎ぐいの受けかえ工事等について、昼夜間工事と計画しておりました施工時間が、地元調整等の結果、昼間のみとなりまして、予想以上の工期を要することになりましたことなどなど、全線にわたり市街地での厳しい条件下での工事となりまして、結果的に開業がおくれる見通しとなったものでございます。 ◯馬場委員 それでは、なぜ、今開業時期を見直すことになったのか、お答えください。 ◯成戸都市計画局長 臨海副都心線につきましては、昨年中に全線で工事に着手いたしますとともに、東京臨海高速鉄道と東急電鉄の間で、臨海副都心線のシールドトンネルが東急大井町線と交差する部分の協議が昨年末に基本的に完了いたしましたことなどから、全線の工事工程の見通しが明確にできる状況となりましたので、工期の精査を行いまして、二月に公表したものでございます。 ◯馬場委員 東京臨海高速鉄道と東急電鉄で東急線交差部の協議が調ったということですが、この工事は、それではどのように行われるのでしょうか。 ◯成戸都市計画局長 東京臨海高速鉄道と東急電鉄との協議によりまして、シールド通過に伴います影響を調査いたしました結果、東急大井町線の列車運行の安全性を確保するとともに、シールドトンネルをなるべく早く通過させますために、両者間で基本的な覚書を結びまして、約四百メートルの仮線を新たに設置することとなりました。  また、これに関連いたしまして、高架構造となっている東急大井町線構造物につきましては、必要に応じ、改築や補強工事を行うことになっております。 ◯馬場委員 この交差部の工事につきましては、高架下にたくさんの地下商店もあります。また、大井町駅から品川区役所までの間に、小規模な商店、飲食店がたくさんありまして、皆さん大変心配をしておられます。地域の商店街にどのような影響が見込まれるのか、お教えください。 ◯成戸都市計画局長 東急大井町線との交差部工事につきましては、東京臨海高速鉄道、東急電鉄、日本鉄道建設公団の三者が、工事内容につきまして地元に説明を始めている状況でございます。東急大井町線構造物の工事に当たりまして、高架下店舗につきましては、一時移転等の措置が必要になると聞いております。 ◯馬場委員 その一時移転ということに関しましては、移転先や営業保障など、地権者や関係者間との個別協議が必要になると思われます。直接的には東急と各商店との交渉となると思いますが、地元も不安を感じておりますので、原因者である東京臨海高速鉄道も地元に対して適切に対応するよう、都としてもぜひご指導いただきたいというふうに要望しておきます。  ところで、東急線の仮線設置とあわせて、今後、当初予想を超えて事業費が増加するのではないかと考えますが、いかがでしょうか。また、どのくらいふえるのでしょうか。 ◯成戸都市計画局長 臨海副都心線の事業費につきましては、現在、東京臨海高速鉄道と日本鉄道建設公団におきまして精査を行っているところでございますが、JR東日本や東急電鉄と関連する箇所におきまして、設計や積算がまだ終わっていないことなどのために、現時点におきましては、具体的な事業費は明らかになっておりません。 ◯馬場委員 一期工事は、工事委託方式というのでしょうか、こういう方法で一千三百億円の予定価格内で完成したというふうに伺っております。今回の二期工事のこの事業費は現在のところ明らかではないと今お答えがありましたが、東急大井町線の四百メートルに余る仮線を設置すること、また、今の線を、高架を補強工事をすること、またそこへ戻す復帰作業をすること、それに加えて、商店街等の対策費用、これら大変な事業費がふえるというふうに思います。  二期工事は、完成後、所要予算──今お話をさせていただきました費用すべて含めて、つまり、かかった費用の総額で臨海鉄道が鉄建公団より買い取る方式であるということをお聞きしました。かかった費用は、開業後、基本的には利用者、すなわち私たちが運賃として負担しなければならないのではないでしょうか。また、先日の中途議決で多摩モノレールの支援を決めたばかりですが、こうした事態も想定できます。今後、一層のコスト削減を踏まえて工事の推進をすべきと思いますが、いかがでしょうか。 ◯成戸都市計画局長 鉄道工事には多額の費用がかかるわけであります。また、時間も限られている、また難しい状況の中で事業を行わなければならない、いろいろな厳しい状況はございますが、今後とも、工事コストの削減に努めながら事業を進めてまいりたいと思っております。 ◯馬場委員 ありがとうございました。  臨海副都心線は、埼京線と相互直通運転されることにより埼玉方面ともつながり、広域交通ネットワークを形成する鉄道です。地元も埼京線の延伸と臨海副都心線の延伸を強く働きかけてまいりました。都は、臨海副都心線の大崎延伸に伴い、埼京線と相互直通運転する計画であるということですが、この見通しはいかがでしょうか。 ◯成戸都市計画局長 臨海副都心線と埼京線が相互乗り入れすることによりまして、埼玉方面と臨海副都心が直結いたしまして利便性が向上いたしますとともに、鉄道経営上でもメリットが生じるというふうに考えております。  臨海副都心線と埼京線の相互直通運転の実施につきましては、東京臨海高速鉄道とJR東日本で基本的に合意をしておりまして、これが可能となるよう大崎駅を改良することにいたしております。今後、全線開業時に合わせまして相互直通運転を行えるよう、具体的な調整を進めてまいります。 ◯馬場委員 新駅を設置する東品川や大崎駅の周辺では、まちづくりも進んでおります。特に大崎地区では、六番目の副都心として、長期にわたる取り組みの結果、大崎ニューシティに続き、本年二月にはゲートシティ大崎がオープンをしております。四月には、当地に品川労政事務所も移転すると伺っております。大崎駅と大井町駅が結ばれることは、地元商店街も活性化の起爆剤として臨海副都心線の開業を心待ちにしております。今後とも、臨海副都心線の事業促進を積極的に図っていただきたいと思います。工事推進の決意をお伺いさせていただきます。 ◯成戸都市計画局長 臨海副都心線は、臨海副都心へのアクセスの向上、東京圏における広域的交通ネットワークの形成、さらには、東京の都市構造の再編にとりまして極めて重要な路線であるというふうに認識をいたしております。今後、新たな目標を達成いたしますために、全力を挙げて事業推進に取り組んでまいります。 ◯馬場委員 ありがとうございました。当初計画よりも大規模な工事にならざるを得ないという状況であります。地元と協議をし、大井町駅周辺の再開発として再度検討する必要もあるのではないかなと私は思っております。この点を指摘させていただきまして、次の質問に移ります。  一九八五年の男女雇用機会均等法施行は、女性の職場進出を飛躍的に広げました。あれから社会は大きく変化し、今、二十一世紀を前に、時代は大きなターニングポイントを迎えております。社会のさまざまなシステムが変化し、不況を経験し、働き方も多様化し、ムードだけの女性の時代から、本当の女と男の時代が始まろうとしております。  国では、明二十六日、男女共同参画社会基本法案が閣議決定される予定と伺いました。青島都知事も、東京都男女平等推進基本条例の十一年度制定を約束してくださっております。女性の自立支援と老後や子育ての不安を解消するため、以下質問をさせていただきます。  まず、庁内対策といたしまして、職員の旧姓使用についてお伺いいたします。  婚姻によって姓を変更することは、特に働く女性にとっては、せっかく実績を築いていても、改姓によって人間関係や信頼関係が途切れることもあるなど、社会的不利益が大きく、選択的夫婦別姓制度の早期の実現が望まれているところです。  平成八年二月の法制審議会の答申後、いまだに政府・自民党の無理解により法案は提出されず、この間、議員立法による民法改正案が二度提出されています。夫婦別姓制度しかない韓国などの国を見れば、この制度が家族を崩壊させるというのは全くの誤解ではないでしょうか。  こうした夫婦別姓の動きは当然の社会的趨勢と考えますが、法的整備がおくれている中、職場での旧姓の使用を認める企業も増加しており、日本労働組合総連合会が、昨年、加盟の八百三組合から回答を得た調査では、民間企業の三五・七%が旧姓使用を認めております。  東京都においては、いまだ職員の旧姓使用が認められておりませんが、既に幾つかの自治体では旧姓使用を認めている例があると聞きます。そうした他府県の状況について、まずお伺いをいたします。 ◯木宮総務局長 旧姓使用を要綱等により制度的に認めている県は、平成九年九月の埼玉県が最初でありまして、その後、宮城県、静岡県が加わり、現在三県でございます。  旧姓使用を認める範囲につきましては、いずれの県も、法令等の規定に反するおそれのない、専ら職員間で使用している文書等で、職務遂行上誤解や混乱を招くおそれのない場合に限って認めているというふうに承知しております。 ◯馬場委員 昨年、生活文化局が実施した男女平等に関する東京都職員の意識調査によれば、女性職員の九一・六%、男性の七六・九%が、職場における旧姓使用について、希望する人の旧姓使用に賛成であると回答しています。現在、制度的に旧姓使用が認められていないため、職員の中には、結婚してもあえて入籍しないという選択をする方もいると聞いております。  東京都は男女平等参画の推進を掲げており、東京都みずからが先行的に取り組むことによって、社会を先導する役割も期待されています。世論を喚起する意味からも、また、女性や男性が働きやすい職場をつくっていくためにも、東京都は職員の旧姓使用を認めるべきと考えますが、ご見解を伺います。 ◯木宮総務局長 現在、都におきましては、公権力の行使や採用、退職など職員の身分変動にかかわる場合は戸籍名によらなければならないこと、また、戸籍名と旧姓とを併用した場合、公務の執行や組織運営上混乱を招くおそれがある、こういうことから、旧姓使用を認めておりません。  しかし、先ほどお答え申し上げましたように、使用範囲を限定して旧姓使用を認めている他県の事例もありますので、使用の実態や効果等について引き続き調査をしてまいりたいと考えております。 ◯馬場委員 夫婦別姓は社会的な趨勢であります。既に都内でも幾つかの自治体で旧姓使用を認めており、今の総務局長の答弁では、極めて消極的で後ろ向きといわざるを得ないのではないかと思います。木宮総務局長さん、また理事者の皆さん、あなた方の知人の方が、これから結婚をし、相手の女性の方の姓を選択せざるを得ない場合、旧姓を使うことができればいいのではないかと思われませんでしょうか。  社会に与える影響が大きい東京都として、早急に実施すべきと考えます。引き続き調査をするというご答弁でしたが、できる限り早く、できれば、東京都の男女平等推進基本条例制定に合わせて、ぜひこのご返事をいただけるように要望して、次の質問に移ります。  次に、審議会等への女性委員の任用について伺います。  東京都は、公的分野における女性の参画を進めるために、平成十二年度までに審議会等における女性委員の任用比率を三〇%以上にすることを目指して、任用計画を策定し、推進を図っています。男女があらゆる分野に平等に参画し、責任を担える社会をつくるために、東京都が率先してこのような計画を着実に推進していくことが重要であると考えます。
     東京都は、毎年度この計画の達成状況を調査し、進行管理を図っているとのことですが、平成九年度の計画と実績はどうなっていますか。また、計画を下回っている局はどのくらいあるのか、お伺いをいたします。 ◯茅野生活文化局長 平成九年度につきましては、女性委員の任用率を二二・二%にするという計画に対しまして、二二・六%の実績となり、計画数値を上回っております。  また、各局別の任用状況を見ますと、任用計画の対象となった二十局のうち、六局が計画目標を下回っております。 ◯馬場委員 九年度実績においては、多摩都市整備本部や建設局、高齢者施策推進室での女性の任用率が低くなっています。それぞれの局におきましては、より積極的に女性委員の任用に努めていただきたいと思いますが、こうした任用率が低い局は、どのような理由で任用率が低いのか、お伺いをいたします。 ◯茅野生活文化局長 任用率が低い主な理由は、審議会等の設置目的から、委員が団体の役職者で構成され、その団体の役職者に女性が少ないこと、また、委員が特定分野の専門家で構成され、その分野に女性が少ないことなどが挙げられます。 ◯馬場委員 東京都全体では平成九年度の計画目標を上回っていますが、今ご答弁のあったような理由で目標を達成できないところもあります。今後、実質的な女性委員の任用を進めるためにどのように取り組むのか、お伺いをいたします。 ◯青島知事 審議会等への女性委員の任用促進を図るに当たりましては、個々の審議会等のあり方を踏まえ、具体的目標を着実に達成していくことが重要であると考えております。このため、審議会等委員の任用に当たりまして、各局において進行管理を適切に行っていきますとともに、委員の選任に際しまして、関係団体や機関等に対し、女性委員を積極的に推薦するよう、都として働きかけていくようにしてまいりたいと考えております。 ◯馬場委員 去る一月二十日には、建設局主催のシンポジウム、住みよいまちづくりと女性職員というシンポが開かれておりました。今後の各局の取り組みについてさらに期待をさせていただきまして、次の質問に移ります。  次に、老後の不安の一つであります墓地の承継についてお伺いをいたします。  家から個人という時代の流れの中で、お墓に対する都民の意識も変わりつつあります。東京都も、かつての家制度にとらわれることのない新たな施策展開が求められています。  ところで、都営霊園の使用者の承継につきましては、長子、配偶者以外の者が承継を希望する場合は、祭祀の主宰者としての長子の同意書を必要としているため、長男優遇ととられかねない承継制度となっています。こうした長男優遇は憲法の精神に反するのではないかという批判も寄せられており、家族で承継者を決めるという新しい考え方に変更する必要があります。このことは平成九年十一月の女性問題協議会報告書でも指摘されており、関連する手続について早期に見直すべきと考えますが、ご見解を伺います。 ◯佐藤東京都技監 都立霊園の承継につきましては、少子化や核家族化の進行及び墓地に対する意識の変化など、今日の社会状況を踏まえ、十一年度中を目途に見直してまいります。 ◯馬場委員 平成七年の東京都の調査によれば、だれと一緒に埋葬されることを望むかという問いに対して、男性は、家族、あるいは先祖代々との埋葬を希望する傾向があるのに対し、女性は、配偶者、あるいは特にこだわらないとする人が多いようです。  一方、少子化や核家族化が進展するにつれ、墓地承継者のいない都民がふえており、承継してくれる身寄りがいないなどの理由により、墓地の承継者について何らかの不安を持つ人は二一・四%に上っています。  こうした状況の中、現在東京都では、小平霊園において、一つのお墓に多くの遺骨を一緒に埋蔵する、新しい形態の合葬式墓地の整備を行っております。この墓地は五年間に分けて三千人分を募集する予定ですが、既に昨年七月から八月にかけて行われた使用者の募集では、生前申し込みが四・四倍と、他の募集倍率を上回っております。もちろん遺骨を抱えたまま納骨できないでいる人たちにとっても、お墓の問題は切実であり、私は、こうした合葬式墓地を都営霊園の中に積極的に整備していくべきと考えますが、ご見解を伺います。 ◯佐藤東京都技監 これまでも、都民の墓地需要にこたえるために、お話しの合葬式墓地を初め、芝生墓地、壁型墓地、多磨霊園のみたまなど、新しい形式の墓地の提供に努めてまいりました。  今後の整備につきましても、既存霊園の有効活用など、適切に対応してまいります。 ◯馬場委員 ただいま、都立霊園のお墓の承継や合葬式墓地の整備についてお伺いいたしました。  ライフスタイルが多様化していく中で、お墓の問題はもとより、人生の最後にかかわる葬儀の問題なども含め、従来の家制度や家意識にとらわれない、自分らしいライフスタイルを選択する女性が多くなってきております。そのことはまた、葬儀を初め、従来の行政ニーズにおさまらない新しいニーズがいろいろな施策に関連して確実にふえてくることを意味しております。単身で一生を過ごした方や子どものいない夫婦等、承継者のいない場合、民間霊園での対応が難しいと聞いております。永代使用や散骨の問題等もあります。東京都の霊園行政を進めるに当たっては、これらの視点を十分に踏まえながら施策展開を図るよう要望しておきます。  倶会一処、あの世に行ってもまた会おうねという意味の言葉です。おおらかで大変いい言葉だと思います。この言葉で、次の質問に移らせていただきます。  次に、女性の自立支援として、雇用についてお伺いいたします。  いよいよ四月から男女雇用機会均等法が全面施行されますが、事業主の理解がなければ、採用、教育訓練、昇進、配置などにおける男女間の格差の解消は容易ではありません。景気が低迷する中で、女子学生の就職難や女性労働者の雇用環境の悪化などが問題となっています。新規学卒者の募集、採用や、働く場での昇進や賃金についても、男女差別が指摘されています。特に男女間の賃金については、例えば労働省の賃金構造基本統計調査によれば、男性の所定内給与額三十九万九千円に対し、女性は二十五万七千円と、三分の二以下になっています。東京都においても、男女の賃金格差の是正など、職場における男女差別の解消を進めていくべきと考えますが、ご見解を伺います。 ◯大関労働経済局長 男女雇用機会均等法は、募集、採用、あるいは配置、昇進における男女の機会均等を事業主に新たに義務づけるなどの改正が行われまして、本年四月に施行されるわけでございます。職場における男女平等を推進するためには、労働者はもとより、事業主に対しても法改正の趣旨を十分に周知することが不可欠となっております。  このため、都といたしましては、企業を訪問して相談、指導を行うほか、啓発資料の発行や労働セミナーの開催などにより、改正均等法の普及を図ってまいります。さらに、賃金差別など個々の問題につきましては、労働相談や、職場における男女差別苦情処理委員会を活用して、男女差別の是正を図ってまいります。 ◯馬場委員 民間企業においては、固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から、管理職に女性が少ないなどといった男女の格差が生じております。こうした格差も解消していくためには、例えば、勤続年数が長い女性が多く勤務しているにもかかわらず、管理職の割合が極めて少ないというような場合には、三年間で女性管理職二〇%増加などという目標を掲げ、管理職候補者の女性を対象とする研修や昇進試験の受験の奨励などに取り組んでいく、いわゆるポジティブアクションの導入を奨励していくべきではないでしょうか。国においては、ポジティブアクションに取り組む企業に対し、この四月から援助を行うこととしています。東京都においてもこのような施策を進めていくべきと考えますが、ご見解を伺います。 ◯大関労働経済局長 現実に企業内にある配置や昇進などの男女の格差を是正するために企業が行う積極的な取り組み、いわゆるポジティブアクションを推進するためには、企業に対する普及啓発や、職場で中心となる人材の養成が重要であると考えております。  このため、東京都といたしましては、企業の人事労務担当者を対象に、女性活用に関する実践的な講座を開催して、企業における推進リーダーの育成を図ってまいります。さらに、平成十一年度から新たに、男女平等の職場づくり等に取り組む企業を表彰するとともに、そのすぐれた事例を広く紹介することにより、企業のポジティブアクションを積極的に促進してまいります。 ◯馬場委員 女性が結婚後も仕事を続けるためには、男性も家事などで応分の負担をすることはもちろんですが、保育サービスの充実など、職業生活と家庭生活が両立できるような社会的な条件整備が必要です。都内では、既に八王子市や足立区などにおいてファミリー・サポート・センター事業を実施しているところであり、私は、この事業をさらに多くの地域に広めていくべきと考えますが、ご見解を伺います。 ◯大関労働経済局長 地域において育児の相互援助を行うために区市町村が設立する会員組織のファミリー・サポート・センターは、少子化が進行する中で、働く人々の仕事と育児の両立を図るために有効な制度だと考えております。  都といたしましては、区市町村に対し、その設立を促進するための助言、指導を行うとともに、運営費を助成しており、現在まで六区市に設立されております。  今後とも、仕事と育児が両立できる環境を整備していくため、多くの区市にファミリー・サポート・センターが設置されるよう、支援してまいります。 ◯馬場委員 次に、パート労働対策について伺います。  人々の就業意識が多様化する中で、男性のパートもふえておりますが、多くの女性がパートタイマーとして働いております。しかし、昨年三月に労働経済局がまとめたパートタイマーに関する実態調査によると、約半数の事業所で年次有給休暇の制度がないなど、労働基準法さえ守られていない実態が続いております。本年四月一日から適用される予定の改正パートタイム労働指針では、事業主がパートタイマーに講ずべき労働条件や就業規則などの措置についてより明確に示されることになりますが、このような状況では、絵にかいたもちになりかねません。私は、新たな指針の着実な定着など、パート労働者の職場環境の改善に向けた東京都の総合的な取り組みを求めるものですが、ご見解を伺います。 ◯大関労働経済局長 パートタイム労働者が増加している中で、いわゆるパートタイム労働法に基づく指針が改正されまして、労働条件を明示した文書の交付義務や、雇用管理者の選任が明記されたところでございます。この新たな指針を事業主に対して周知することは、パートタイム労働者の雇用環境の改善にとって重要な課題であると、このように考えております。  このため、都といたしましては、各労政事務所に配置しているパートアドバイザーの企業への巡回訪問などにより、指針の普及を図るとともに、特別相談会の開催や啓発資料の発行など、パートタイム労働者の職場環境の改善に努めてまいります。 ◯馬場委員 民間企業でも行政でも、外部委託や民間委託化が進み、多様な働き方による雇用が創出されているとともに、新規学卒者の、特に女性の正規雇用が厳しい中で、女性の派遣労働者などもふえております。派遣労働者は、契約者と会社とのトライアングルの中で最も弱い立場に置かれており、契約や労働条件などに関するトラブルも相当発生しているものと思われます。こうした派遣労働者の人たちに対しても、労政事務所での相談機能等、対応策を考えるなど、今後、パートタイマーと同様に支援していくべきと考えております。  一年ほど前に「もののけ姫」という映画がヒットしました。この映画は、女性が活躍するのですが、主人公の青年のせりふに、いい村は女が元気だというのがありました。私は、女が元気に働けてこそ、いい東京だといえると思います。職場における男女差別をなくし、女性の活躍の場を広げ、職場と家庭の両立を支援し、すべての女性が生き生きと働けるよう、都の積極的な取り組みを要望して、次の質問に移ります。  保育サービスの充実についてお伺いをいたします。  保育事業は、区市町村が実施している許認可保育だけでなく、許可外の保育室、駅型保育所など、さまざまな形で実施されています。保育所の待機児童が増加している状況で、これらのさまざまな保育施設を広く活用して、待機児の解消を図るべきと考えますが、東京都はどのように考えておられますか。 ◯石川福祉局長 東京都は、改訂重点計画の中で、平成十六年度までに、ゼロ歳児の待機児童の解消を図ることといたしまして、保育所の低年齢児の受け入れ枠の拡大に努めてまいっております。低年齢待機児の早期解消のためには、認可保育所を最大限活用いたしますとともに、お話のように、保育室、家庭福祉員など、認可外の保育施設も積極的に活用していく必要があると考えております。 ◯馬場委員 利用者のニーズにこたえた保育サービスの充実も必要です。東京都は、十一年度予算案で、新たに、産休明け・育休明け入所予約モデル事業を実施する予定ですが、多様な保育需要にこたえていこうとする福祉局姿勢は評価するものであります。  そこで、産休明け・育休明け入所予約モデル事業の意義と今後の取り組みについて伺います。 ◯石川福祉局長 平成十一年度から新たに実施いたします産休・育休明け入所予約モデル事業は、低年齢の待機児が増加している状況の中にありまして、特に、産休、育休明けによる年度途中の入所が困難なことから、こうした需要にこたえるためのものでございます。  平成十一年度は、各区市一カ所の保育所でモデル実施を行いまして、その効果を見きわめながら、今後充実を図ってまいりたいと思っております。 ◯馬場委員 子育てと仕事の両立のためには、保育所だけでなく、幼稚園における預かり保育の実施や、幼稚園と保育園の垣根を取り払う、いわゆる幼保一元化が必要だと考えますが、幼保一元化についてどのように取り組んでいらっしゃるのか、伺います。 ◯石川福祉局長 平成十年三月に、文部省、厚生省の連名によりまして、幼稚園と保育所の施設の共用化等に関する指針が示されております。これは、当面、幼稚園と保育所の施設や設備の共用などを可能にするものでありまして、こうした方向は、都として、多様な保育ニーズに的確に対応するため、歓迎すべきものと考えております。地域の実情に応じた共用化が行われるよう、区市町村を積極的に指導してまいりたいと思っております。 ◯馬場委員 それでは、幼稚園と保育所の施設の共用を図っているものとしてどのような例があるのか、お伺いいたします。 ◯石川福祉局長 都内では、千代田区の公立の幼稚園と保育所の合築の例がございまして、保育所の調理室を利用いたしまして、幼稚園の預かり保育児童の給食の提供や園庭の相互使用など、共用化を図ってきております。また、世田谷区におきましては、私立幼稚園の園舎の建てかえに当たりまして、認可外の保育室を合築いたしまして、来年度から、ゼロ歳から二歳までの児童の保育を試行しようという例がございます。 ◯馬場委員 私は、施設の共有化のみならず、今後さらに運営の弾力化を進め、幼保一元化のための積極的な取り組みを行っていくべきと考えております。  品川の幼稚園では、積極的な取り組みが行われ、実践的に実績を上げている状況があります。例えば、八時間の保育を行っている保育所が、最近盛んにいわれております幼児教育を導入した場合と、幼稚園が、四時間の授業の後に、親のニーズに対応して四時間の預かり保育を行った場合とを比較すると、ほとんど同じ事業を行っているにもかかわらず、東京都からの補助金も、保護者の負担も大きく違うという状況があります。こうした利用者からの視点に立って、都がリーダーシップをとり、施設のみならず、施策の複合化を進めていくべきと考えます。  最後に、公私格差是正事業の見直しにつきましては、民間の福祉サービスを支える方たち、特に高齢女性労働者の労働のあり方にメスを入れることになります。慎重に、かつ丁寧な改革でなければならないと考えます。都の一方的と見える強引な実施はすべきでないと申し上げさせていただきたい。  女性の間で使う言葉に、ガラスの天井というのがあります。昇進できそうでできない状況とでもいいましょうか。行政にいいかえれば、私は、局と局の間にガラスの壁があるように思えます。見えていて、なかなか一緒に施策が進んでいかない。こうしたことについて青島知事に感想をお伺いしたかったのですが、またの機会にさせていただきまして、国の縦割り行政を、生活者の立場からの視点に変えて、だれもが夢を持てるロマンあふれる都政の実現を要望し、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) ◯井口副委員長 馬場裕子委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯井口副委員長 谷口卓三委員の発言を許します。    〔井口副委員長退席、中山副委員長着席〕 ◯谷口委員 まず最初に、産業廃棄物問題についてお伺いします。  リサイクルの青島、このことを標榜いたしまして、この四年間、知事の思いはどれほど達成されたとお思いか、まずご見解を伺います。 ◯青島知事 東京のみならず、世界じゅうの大都市におきましても、持続的発展を遂げてまいりますためには、環境に配慮した循環型社会への移行がどうしても必要であろうと考えているところでございまして、この考えに基づきまして、都民、事業者の皆さんとともに、資源・リサイクル、水の循環、エネルギーなどのさまざまな分野におきまして取り組みを進め、循環型社会づくりの道しるべとなりますエコロジー東京を策定したところでございまして、循環型社会づくりのためには、一人一人の取り組みが不可欠でございまして、私は、こうした意識や行動が都民の間に確実に広がってきたものと確信をいたしております。 ◯谷口委員 先般、あるテレビで、埼玉県所沢市のダイオキシン問題がセンセーショナルに報道され、大きな社会問題となりました。騒動そのものは一応収束に向かったようでございますけれども、根本的な解決とはなっておりません。知事は、この事態をどう認識しておられますか。 ◯青島知事 今回の事態は、国民がダイオキシンにつきましていかに大きな不安を持っているかということを如実に示したものだと考えております。  今、行政に求められておりますのは、何よりも、ダイオキシン類による環境汚染の実態を正確に把握し、ありのままを住民の皆さんに真っ正直にお示ししていくことだと考えております。同時に、あらゆる発生源を対象とした総合的な排出抑制対策を着実に進めていくことが肝要であろうと考えております。  都といたしましても、こうした観点から、ダイオキシン類対策を一層強化していかなければならないという認識を持っております。 ◯谷口委員 今回の所沢の騒動に対しまして、市場として、取引面でどんな対応をとったのか。また、市場における埼玉産の野菜にどんな価格変動が見られたのか、あわせてお答えを願いたいと思います。 ◯宮城中央卸売市場長 市場において、卸売業者は、特別な理由なく生産者からの引き受けを拒んではならないと法定されており、日ごろからその趣旨を徹底してまいりました。したがいまして、汚染の明確な根拠のなかった所沢産について、入荷を拒否した事実はございません。  また、価格変動につきましては、大田市場に入荷した所沢産のホウレンソウを例にとりますと、報道後の二月八日の価格は、他の産地のものに比べ大幅に下落いたしましたが、現在ではほぼ正常な価格に戻っております。 ◯谷口委員 埼玉県では、県外から流入する産廃の搬入規制を検討中であると、こういうふうに伺っていますし、所沢市では、今議会中に、国のダイオキシン類濃度の基準を大幅に上回る厳しい条例案を提出するとのことであります。これらの動向や内容につきまして説明をしていただきたいと思います。 ◯福永清掃局長 埼玉県では、建設系の廃棄物のうち、木くず、廃プラスチック類などの四品目を対象に、県外からの搬入を規制する要綱の策定を進めております。その内容は、ダイオキシン対策の一環といたしまして、適正処理の観点から、排出者の事前協議を前提に搬入を承認するというものでありまして、来年度の早い時期に施行をする予定となっております。  また、所沢市では、生活環境の保全を目的として、廃棄物焼却炉より排出される排ガス中のダイオキシン類を有害物質に指定し、平成十四年まで認められております国のダイオキシン類濃度の基準値を、平成十二年末からさらに二分の一に強化するとともに、罰則規定も盛り込んだ条例の制定を目指しておりまして、本年十月施行を予定いたしております。 ◯谷口委員 所沢市の条例案の中身は非常に厳しいものでございますけれども、この所沢市の例は、単に一地域の問題というわけではございませんで、こういった問題に的確に対応することによりまして、環境負荷にかかわる地球規模の問題をいかに解決することができるかと、こういう命題に一定の解答を見出すことができるのではないかと考えます。所見を伺います。  また、生活都市東京構想は、単に東京だけに快適な生活空間を実現すればよい、こういうものではございません。周辺の県に迷惑をかけ、東京のみが繁栄するということは許されないことであります。見解を求めます。 ◯佐々木政策報道室長 地球規模の環境問題を解決するためには、ご指摘のとおり、地域を超えた取り組みの積み重ねが大切でございます。  東京の都市活動は、資源・エネルギーなどさまざまな分野で、他の地域と密接に結びつきながら営まれております。したがって、これらの地域と、協力をいただきながら、ともに繁栄し、持続可能な発展を図っていくことが必要というふうに考えております。  このため、東京都は、循環型社会づくりを重要な施策の一つに掲げまして、その実現に向けて、廃棄物の減量やリサイクルの推進などに取り組んできたところでございます。こうした取り組みは、将来世代への責任を果たすだけでなく、他の地域の環境保全の上からも大変重要なことというふうに考えております。  引き続き、例えば七都県市首脳会議の場などを通じながら、関係自治体との連携を図りつつ、循環型社会づくりを推進してまいります。 ◯谷口委員 所沢市には、どれほどの産廃が搬入され、処理されているのか、お示しいただきたい。 ◯福永清掃局長 埼玉県が中間処理業者を対象に行いました平成九年度の調査では、県内全体といたしまして処理された産業廃棄物の量は年間約六百九十万トンでありまして、そのうち県外からの搬入量は約三百万トン、率で申し上げますと四三%程度になろうかと思います。  所沢市だけで処理された産業廃棄物は調査をされておりませんが、県全体の量から推計をいたしますと、所沢市における処理量の多くが、都内で発生した産業廃棄物であるというふうに推定をされます。 ◯谷口委員 今、埼玉県の県外からの産廃量を示していただいたわけでありますが、そのうちの七割から八割ぐらいが東京からの搬入だといわれております。  所沢市における最近のダイオキシン問題というのは、数々の前提条件がございまして、一例を挙げますと、今から二年前の春の議会で、所沢市で議員立法によりまして、ダイオキシン理念条例というものが全会一致で制定されております。当時、議会はもう既に規制条例を目指しておった。ところが、いろいろの圧力があったそうでございまして、理念条例にせざるを得なかったというふうなことがございました。また、二年前の参議院、十一月の十九日でございますが、参議院の委員会におきまして、くぬぎ山から四キロ離れた地点から半径五百メートル以内に住む七十三世帯を調査したところ、ここ一、二年に妊娠した女性七人のうち六名が流産し、一名が左手首が失われた状態で出産したというショッキングなデータを報告いたしております。  こういう状況でございまして、今回の事件は、直接的には所沢市内の産廃施設が原因だと、こういうふうなことになるわけでありますけれども、お示しいただいたように、東京からの産廃が大量に入っている。もとをただせば、都から持ち込まれた産廃の処理がかなりの大きなウエートを占めている、こういわざるを得ないわけでございます。  そこで、東京都の産業廃棄物対策の責任者として、知事の見解を伺っておきたいと思います。 ◯青島知事 産業廃棄物は、事業者がみずからの責任におきまして適切に処理することが原則でございます。広域処理が認められているところでございます。しかし、処理の多くを他県に依存する都におきましては、減量・資源化と適正処理の徹底が重要な課題であるというふうに考えます。このため、都は、排出事業者に産業廃棄物の最終処分に至るまでの確認を求める都独自のルールの普及など、法令に規定する以上の取り組みを図ってきたところでございます。  所沢におけます産業廃棄物処理の問題につきましては、その処理量の多くが都内で発生した産業廃棄物であると推定されますことから、私も大変心苦しく思っております。改めて、廃棄物の減量あるいは資源化と適正処理を徹底することによりまして、持続して発展できる資源循環型社会づくりを推進していかなければならないと、改めて強く決意したところでございます。 ◯谷口委員 今、所沢市議会にかかろうとしている新しい条例が可決され、実施されますと──現地の状況を聞きましたら、前回は行政の方はそれほど積極的でなかった、今回は議員立法ではなくて、市の方が積極的にこの条例案をつくったという状況があるようでございまして、まず間違いなく実施されるであろうといっておりますが、これが実施されますと、市内にありますほとんどの処理施設が、ある意味では稼働不能になるおそれもございます。また、関東地域にありましては、産廃の最終処分場の残余容量がわずか一年だというふうなこともいわれております。  このような状況を考えますと、東京の産廃のかなりの部分が行く先を失ってしまうことにもなりかねないと思うわけでありますが、都の見解を伺います。 ◯福永清掃局長 産業廃棄物は広域処理が認められておりますが、ご指摘のとおり、最終処分場の逼迫や、処理の多くを他県に依存しております東京都は、これまでも減量・資源化を推進するため、建設業者と適正処理・資源化推進協定の締結を進めてまいりました。  また、適正処理の観点から、排出事業者に廃棄物の最終処分に至るまでの確認を求める都独自のルールの普及など、法令に規定する以上の取り組みを図ってまいりました。  しかし、産業廃棄物を取り巻く最近の厳しい状況を踏まえますと、都は、これまで以上に減量・資源化や適正処理の確保が重要になると認識をいたしております。今後とも、産業廃棄物の一層の減量・資源化や適正処理の推進に努めてまいります。 ◯谷口委員 この厳しい条例が実施されますと、結果的に不法投棄や野焼きというものが多発するんじゃないかという心配がございます。このような事態に対しまして、東京都はどう対応されるおつもりですか。 ◯福永清掃局長 都は、不法投棄や野焼きを防止するために、早朝、夜間、そして休日を含めまして、随時、都の職員によるパトロールを実施するとともに、多摩市町村及び警視庁等関係局で構成をいたします連絡協議会を設置いたしまして、監視及び指導の強化に努めております。  また、不適正処理に広域的に対応するため、首都圏を初めとする他自治体との情報交換など、連携強化を図っております。  今後も、不適正処理の防止に向け、精力的に取り組んでまいります。 ◯谷口委員 所沢市の条例が引き金となりまして、今後、各地で国の基準を上回る規制が実施されることになるんじゃないかということが想像にかたくないわけでありまして、処理業者はもちろんのこと、多量の産業廃棄物の発生者であります東京都あるいは都内の各大企業は、重大な危機に立たされることは明らかでございます。  それでもなお東京都は、産廃は事業者責任だとの原則を貫いて、傍観し続けるおつもりなのかどうか、見解を伺いたい。 ◯福永清掃局長 都は、事業者指導の観点から、多量排出事業者の適正処理や資源化を推進するために、事業者処理計画書の提出や、適正処理・資源化推進協定締結などを通じて指導を強化してまいりました。  また、公共工事の発注者として、みずから率先して減量・資源化を進めるために、リサイクル目標率を定めるとともに、建設廃棄物の再生品利用ガイドラインを作成し、積極的に再生資材の使用に努めておるところであります。  都の公共関与といたしましては、中小企業対策として、これまでも破砕処理施設の整備や、都の埋立処分場への産業廃棄物の受け入れを実施しており、さらに新たな公共関与のあり方につきまして、現在検討を進めているところであります。 ◯谷口委員 ご答弁を伺っておりますと、東京都はいろいろの努力をしているというふうに聞こえるわけでございますけれども、いろいろな対策の実態、中身というものをよく見てみますと、例えば事業者処理計画書の提出、あるいは適正処理・資源化推進協定、こういったものは、中身はすべて企業の良識を信頼するというところに尽きるわけでございまして、根底は、一〇〇%企業責任、排出者責任で、ともかくうまくやってくれよというふうに考えているんじゃないかと指摘せざるを得ないわけでございます。
     しかし、今日の厳しい経済情勢を考えてみますと、良識はあっても現実が許さないというふうなこともございます。私は、決して企業に良識がないというわけではございません。良識があっても現実が許さないという事態は起こる。企業というのは利潤追求が第一でございますし、今、まさにサバイバルの時代に生き抜かなければ企業にあすはない。殊に建設業界にありましては、厳寒の時代を迎えているといわざるを得ないわけでございまして、そうなりますと、産廃を初めとして、いろいろの面でコストダウンが至上命令になってくる、こういうわけであります。  一方、所沢の例を取り上げるまでもなく、環境問題のためには、今後一段と規制を厳しくしていくのは当然である、こういうふうにもなります。  そういう意味で、処理業者の立場も考えてみますと、片方で規制は厳しくなっていく、片方で、とにかくコストダウンだということで処理代はたたかれていく、こういうことが起こってまいります。これでは、規制が厳しくなったから処理施設を改善しようと思っても、できないわけであります。そこで、仕方がないから不適正処理を覚悟するか、廃業するかの二者択一というふうなことになるんじゃないかと心配をするわけでございます。  清掃局長は、とにかく企業の良識をまず第一に考えていけば、産廃は適正処理できるんだというご確信があるのかないのか。あるかないか、一言でいいですから、お答えをいただきたいと思います。 ◯福永清掃局長 私どもといたしましては、やはり企業の良識ある判断、そして、法的に要請された産業廃棄物の処理のあり方、こういうものをしっかりと、我々行政も含めて産業廃棄物企業とこれからも連携をとりながら、産業廃棄物の再資源化あるいは適正処理等に努めてまいりたいというふうに考えます。 ◯谷口委員 次に、建設廃棄物につきましては、解体への対応というのが非常に重要でございます。分別解体をしてもストックする場所がない、あるいは、いわれているところのミンチ解体をすると非常に格安に上がる、こういった諸般の事情から、再資源化がなかなか進捗しないというふうにも聞いております。  東京都は、減量化の努力として、例えば、少なくともストックヤードの場所の提供、あるいは再資源化施設をつくる場所の提供などを考えてはどうかと思うんですが、いかがですか。 ◯福永清掃局長 都といたしましては、不法投棄等の不適正処理やリサイクルの低迷などから、建設系の解体廃棄物の適正処理は重要であると考えております。  現在、国におきまして、建築物の分別解体の義務づけや、解体工事のチェックシステムの整備を盛り込んだ、解体廃棄物のリサイクル法案の検討をいたしていると仄聞いたしております。  都では、今後もこれら国の動向を十分に見守りながら、引き続き建設廃棄物の適正処理、減量・資源化に努めてまいります。 ◯谷口委員 産業廃棄物問題というのは、内容も多岐にわたっておりまして、中でも処理施設の大半を都外に頼らざるを得ない東京都といたしましては、業者や他県の協力なくしては、都市経営そのものが不可能になってしまう。そういう意味で、東京都の指導体制の確立や他県との連携が、非常に重要であり急務であります。この点についてのご見解を伺います。 ◯福永清掃局長 都では、排出事業者、そして処理業者、行政の三者で構成をいたします問題協議会を設置をいたしまして、三者がそれぞれ実行すべき事項を取りまとめました推進行動計画を策定し、産業廃棄物の適正処理の推進に向け、連携して取り組んでおります。  また、不法投棄等の不適正処理の広域的な対応を図るために、首都圏を初めとする他自治体において、連携強化に努めております。  今後とも、事業者、処理業者はもとより、関係自治体との連携強化を図りまして、不適正処理の防止に向け、精力的に取り組んでまいります。 ◯谷口委員 ただいまご答弁をいただいた点は、東京都としては非常に重要なことでございますし、これからの東京の産業活動を活発化させていくその基盤として、どうしてもやらなきゃいけない、二十一世紀の都政にとっては非常に大きな課題だと思います。  次に、収集、運搬及び処理が、リサイクルあるいは資源循環といった環境保全の思想に基づいて適正に処理されるためには、それにふさわしい社会土壌といいますか、あるいはまた、適正価格といった条件も必要になろうかと思います。  いずれにいたしましても、二十一世紀の東京都にとって、産廃問題は大変に重要な問題である。殊に一般廃棄物処理の区移管後にあっては、都の清掃局の仕事の主流をなすんじゃないかというふうにも思っておりまして、府県業務としての産業廃棄物対策の取り組みというものが大変注目されるわけでありまして、このことについて最後に伺っておきたいと思います。 ◯福永清掃局長 東京都では、産業廃棄物行政の基本指針であります第五次処理計画を策定いたしまして、これに基づき、事業者、処理業者、そして行政の三者が協力連携して、適正処理や減量・資源化を図るための各種施策を積極的に展開しております。  二十一世紀を展望いたしますと、ご指摘のとおり、東京が安全で快適な生活環境を確保し、持続して発展できる都市を構築するためには、産業廃棄物対策がますます重要であるものと認識をいたしております。  このため、今年度は、産業廃棄物の動向などを把握するための実態調査を実施いたしております。この実態調査結果等を踏まえまして、二十一世紀を展望いたしました新たな処理計画を策定し、さらに効果的な施策を実施してまいります。 ◯谷口委員 次に、南多摩地域の道路のネットワーク化につきまして質問をいたします。  昨年十二月十七日、府中四谷橋が完成して開通いたしました結果、大渋滞が日常化していた関戸橋の通行がスムーズになった、渋滞がほとんどなくなったと。大変喜ばしいことでありまして、さらに東京都としては、多摩水道橋、多摩川原橋、是政橋、こういった中流部架橋の事業に大変積極的に対応していただいていることを高く評価するものでございます。しかし、こういった橋梁整備は、それに連動するアクセス、関連道路の整備がなされないと、機能効果というものを高めることができません。大変重要でございます。  そこで、まずお聞きいたしますが、南多摩地域における主要な幹線道路のネットワーク化、橋梁及び関連道路の整備も含めまして、東京都の基本的な考え方をお伺いいたします。 ◯佐藤東京都技監 南多摩地域においては、地域の連携と均衡ある発展を目指し、多摩川中流部橋梁と、これに関連する鎌倉街道や川崎街道などの幹線道路の整備を重点的に推進しております。  これらの事業については、道路ネットワークが効果的に形成されるよう、各事業の連携を図りながら進めているところであります。 ◯谷口委員 南多摩地域というのは近年、ここ二、三十年の間に大発展をしてきたところでございますし、多摩ニュータウンのエリアはかなり道路整備が進んでおりますけれども、全体としては途切れ途切れの道路になっているということで、さらにネットワーク化のために努力をしていただきたいと思うわけでございます。  そして、こうした橋梁整備に関連する道路整備が行われて、例えば多摩川原橋も今、四車線の橋になろうとしておりますが、その前後で立派な道路ができようとしております。この前、開通しました府中四谷大橋は、野猿街道から真っすぐ国立インターに通ずるような道路ができた。こういう形で、例えば、関戸橋から二万台の車が府中四谷橋の方に移ったというふうなことを伺っているわけでございまして、ともかくこの関連道路の整備というのは非常に大事でございます。その点に立ちますと、さきに完成を見ました稲城大橋、これは関連道路が大変未整備でございまして、機能が十分発揮されていないと思うわけでございます。  そこで、この稲城大橋の通行量はどうなっているか、お尋ねをしたいと思います。 ◯佐藤東京都技監 稲城大橋の通行量は、開通した平成七年度において、一日当たり約九千二百台でありましたが、平成十年度においては、現在のところ、一日当たり約一万四千台となっております。 ◯谷口委員 稲城大橋の事業計画を見ますと、実は一日二万四百台が一つの採算点ということになっていますが、現時点では、まだその七割ぐらいしか走っていないわけでございます。そして平成十四年、すぐ下流の方の多摩川原橋というのが開通いたしますと、さらに少なくなるおそれもあるわけでございます。だからこそ、稲城大橋に連動する関連道路の整備を早期に実施すべきだと指摘せざるを得ないわけでございます。  今後、この稲城大橋に関連する後背の地域の産業活動の活発化が見込まれるとすれば、状況の変化も起こってくるという、両面を考えることができるわけでありますが、その点、町田市と多摩市が、国の新しい首都圏基本計画におきまして、業務核都市として位置づけがなされるような話を仄聞いたしておりますが、これはいかがでございますか。 ◯成戸都市計画局長 現在、国におきましては、新しい首都圏基本計画を策定中でございます。新たな業務核都市の位置づけにつきましては、この中で検討が進められておりまして、本年三月には計画が取りまとめられる予定になっております。  都といたしましては、この計画におきまして、町田市及び多摩市が新たな業務核都市として位置づけられるよう、地元市とともに国に対して積極的に働きかけをしているところでございます。 ◯谷口委員 指定が行われた場合に、まちづくりがどのように変化をしてくるのか。これはいかがでございますか。 ◯成戸都市計画局長 業務核都市に位置づけられた場合、都は、関係市と協議の上、業務核都市基本構想を策定することとなります。その中で、都市整備に関します基本方針を定めますとともに、業務施設集積地区や中核的民間施設等を位置づけまして、当該都市の将来像を明らかにすることになります。  基本構想で定められました施設の整備につきましては、財政面や税制上の支援制度がございまして、これらを活用することなどによりまして、業務、商業、文化など多様な機能の集積した都市の形成が促進されるものと考えております。 ◯谷口委員 ニュータウンの整備で、最もおくれているのが尾根幹線でございます。多摩都市整備本部では、側道部を中心に整備を進めていると聞いておりますが、尾根幹線の位置づけと整備現状を伺いたいと思います。 ◯中山多摩都市整備本部長 南多摩尾根幹線は、多摩ニュータウンにおける東西方向の交通機能の確保と、周辺地域を結ぶ重要路線と位置づけております。  また、側道部の整備状況につきましては、全線十三・八キロメートルのうち、多摩、稲城市内の約九キロメートルが既に完成しておりまして、現在、稲城市内の約二百八十メートルの区間、及び八王子市と町田市にまたがる約二・二キロメートルにつきまして整備を進めているところでございます。  これによりまして、本年五月には町田街道及び鶴川街道にそれぞれ接続し、町田方面から稲城大橋へのアクセスが大幅に改善されることになります。 ◯谷口委員 ただいまご説明があった中の多摩ニュータウン内での交通網整備という観点に限りますと、側道整備だけでも一応間に合うかなというふうにも思います。しかし、将来、町田市だとか多摩市が業務核都市になる、そして、さらに都市の発展が見込まれるということになりますと、ちょうどこの二つの町のど真ん中を貫通しているのが尾根幹線ということになります。そして、この尾根幹線が稲城大橋を通って都心に直結する道路というふうにもなりますし、また多摩川原橋を渡って南北に結ぶ多摩地域の重要な幹線道路ということにもなるわけでございまして、そういった意味で、この尾根幹線の整備をもっと早くしてもらいたいと思っているわけでございます。  したがいまして、私の希望といたしましては、もう一度全庁的視野に立ちまして、整備方法を再検討していただきたいと強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  町田市の北部には、市街化調整区域が広範囲に残っております。ニュータウンと、その南にある町田市の市街地、そして西の方に行きますと相模原市の市街地がございまして、ちょうどその中に、大きく囲まれた緑の団塊が残っているわけです。そして、その中のまた三十三ヘクタールが、町田の図師小野路歴史環境保全地域という指定がなされております。近年、この地域に住む農家が、町田歴環管理組合というものを発足させまして、東京都が管理をしておる貴重な緑の保全再生を行うこととなりました。非常にこれはすばらしい試みでございまして、このことについて、この管理組合に関する都の見解をまず伺いたいと思います。 ◯柿沼環境保全局長 お話のように、東京都では、町田市の協力を得まして、平成八年から、地元農家の方々を中心に構成する町田歴環管理組合に、図師小野路歴史環境保全地域の里山復元事業を委託してまいりました。  都といたしましては、町田歴環管理組合の方々が、里山の原風景を取り戻したいという熱意を持って、地元での営農の経験と技術を活用し、かつての豊かな自然環境の復元を図っていることを高く評価をいたしております。 ◯谷口委員 一口に自然保護──自然保護団体の皆さんもいらっしゃるわけでございますけれども、自然保護とか緑の保全という言葉がいわれるわけでございますけれども、現実に、そういう自然を豊かに保全をするということになりますと、現場で作業をする人々の、本当に自然に対しての理解度、愛着心といったものがなければ、なかなか自然は生き生きとしてこないわけでございます。  私は、この歴環管理組合には、スタートの当初から理解をし、そしていろいろとお話し合いをさせていただいたわけでございますが、先日、同地域を訪れまして、山に入り、作業現場を視察し、そしていろいろの意見を聞いてまいりました。ともかく現場に参りまして、放置されたままの自然というのはこんなに荒れてしまうものかなと。私は和歌山県の山の中で育った人間でございまして、自然というのは、もっと生き生きしているものだと思っておりました。  ところが、東京都の貴重な財産である緑の団塊が、ササ山みたいなことになってしまいまして、木もひょろひょろしている。元気がない。今の東京の財政みたいなものでございますけれども、その点、この管理組合の手が加わりまして、やがて来る春には、今までなかったような生き生きとした自然がよみがえってくるであろう、こういうふうに如実に思えたわけでございます。  東京都が管理組合に植生管理を委託してわずか二年半でございますが、その業績は目覚ましいものがございます。環境保全局多摩環境保全事務所の報告によりますと、どこの谷戸もこのような豊かさであふれ返るようにしたい。東京のふるさとの自然をよみがえらせ、次世代に手渡したい。保全地域にふさわしい谷戸の管理のあり方を考えたとき、五反田谷戸──管理組合の管理地内にあるわけでございますが、五反田谷戸の豊穣さは絶好のお手本になると確信した、こういうふうにございます。  現地に立ってこの言葉を考えてみるときに、まさに実感そのものでございまして、この点について環境保全局はどのように考えているか、お示しください。 ◯柿沼環境保全局長 よく手入れされた谷戸の水田や、それを取り囲む雑木林などによって構成されたいわゆる里山は、生物多様性に富むすばらしい自然環境をつくり出しております。また、厳しい風土や自然条件を克服しながら我々の祖先が培ってきた、生活と文化の歴史を感じさせるものがございます。  したがいまして、その土地固有の生活と文化の歴史を次世代に引き継いでいくという考え方を踏まえまして、東京のふるさとの自然ともいえる谷戸などの里山環境の保全に努めていきたいと、このように考えております。 ◯谷口委員 あとは、まとめてご質問を申し上げます。  一つは、東京大学教授の竹内和彦さんという方が、二次自然の保全の重要性を説いております。これは、都市における都市周辺の自然の管理の問題でございます。  次に、歴環管理組合に典型的な自然保護のモデルを見ることができたのは、保全区域指定があることと、理事長を初め組合員の郷土愛の輝きがあった、こういうことがいえると思うんです。そういう意味で、このことを一つの参考にしながら、広く都民や企業が資金や労力を提供し、これらをコーディネートするようなトラストのようなシステムをつくってもいいんではないか。  もう一つは、この事業が、地元の中高年者の力を活用し、高齢者の生きがいづくり、雇用促進にもつながる多面的な効果が期待できる、同時に自然保護も拡大する、こういう意味で、いろいろの意義があると考えます。ご見解を伺います。 ◯柿沼環境保全局長 四点ご質問をいただいたと思います。  まず、二次自然の保全の重要性についてでございますが、東大の武内教授の定義に従いますと、東京の自然は、奥多摩の一部と島しょに残る原生林、原生的な自然を除きまして、大半は人工の植林地と里山の雑木林、すなわち、二次自然に分類されるといっております。したがって、東京都の自然保護行政が対象とする自然は、主として二次自然ということになるわけでございます。  都は、現在、平成十二年度をめどに緑地保全計画を策定中ですが、その主要な検討課題も人工植林地の複層林化であり、里山の復元と保全である、このように考えています。大都市東京におきまして、生物多様性の確保など生態系の保全を図っていこうとするときは、二次自然をいかに好ましい状態で維持していくかということが重要な課題ではないかと思います。  次に、図師小野路歴史環境保全地域での成果は、都内に残された里山や谷戸を保全する上で、貴重な先例を残したものと思います。自然保護事業の推進には、農家や林家の、お話にありましたが、技術とか能力を活用していくということが、非常に重要な、大変意義のあることであると思います。  今後とも、このような地元の農家や林家の技術並びに能力の活用も視野に入れながら、保全地域の指定及び管理に努めてまいりたいと思います。  それから、ご提案がありました三点目、トラストの話がございました。都民が主体となって行う緑地保全システムであり、現行の保全地域制度を補完し、かつ自然保護思想を広めていくという意味で、注目に値するシステムではないかと思います。今後、東京都の実態に合ったシステムの検討に着手したいと思います。  最後に、図師小野路歴史環境保全地域で実施したような事業は、ご指摘のとおり、地元の中高年の皆様方の知恵と力を活用したものでございまして、高齢者の生きがいづくりや雇用促進にもつながる点など、多面的効果が期待でき、同時に自然保護にもつながる有意義なものであり、他地域にも拡大していくべきものと考えます。  しかしながら、図師小野路歴史環境保全地域の場合は、地域の自然に対する愛着と強い熱意を持った人材に恵まれたことにより成果を上げているという一面がございます。したがって、今後、里山の管理や複層林化等の事業におきまして、人材の育成確保に努めながら、図師小野路歴史環境保全地域と類似の拠点をふやすよう、努力していきたいと思います。 ◯谷口委員 大変ありがとうございました。(拍手) ◯中山副委員長 谷口卓三委員の発言は終わりました。  この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。    午後六時十分休憩      ━━━━━━━━━━    午後六時四十四分開議 ◯木村副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  大山とも子委員の発言を許します。 ◯大山委員 初めに、地域の住民のための交通について伺います。  ここに私の地元であります新宿の交通の地図を持ってまいりました。JR中央線と、それから山手線、神田川に囲まれた地域です。この丸で囲まれたところは、バス停や駅、そして地下鉄などを中心に半径二百メートルの範囲を示したもので、お年寄りが日常的に歩いて利用できる交通機関からの距離を示しています。この色が塗られたところ、オレンジ色になっているところは、お年寄りにとっては、交通機関から切り離された、いわば交通不便地域です。  半径二百メートルとした理由は、武蔵野市が地域交通として導入したムーバスの導入検討に当たって調査した際に、お年寄りが百メートル歩いては一休みするという生活実態が明らかにされたことから設定したものです。武蔵野市では、この半径を三百メートルにしていますけれども、実は新宿区は結構坂道が多くて、歩行が大変なところが多いですから、二百メートルといたしました。  こうして見ますと、新宿区は副都心とされ、都庁舎があり、軌道系の交通が縦横に走っているように見えますけれども、一たん住宅地に入れば、この色塗りの地域が多くあるように、交通不便地域が存在しています。このことを知事は承知されていらっしゃるでしょうか。 ◯青島知事 実際に私はその辺を歩いたり走ったりした覚えはないんで、率直に申し上げて、その図面を見ただけで何とも申し上げかねますけれども、一応、ほかの土地から見ると、バスの路線などは細かく設けられているように見受けられます。  詳しいことは存じ上げておりませんので、ご勘弁いただきたいと思います。 ◯大山委員 新宿区に交通機関が集中しているのは承知していますけれども──このパネルを見れば、集中しているように見えるわけです。しかし、私がいっているのは、これまでの通勤や通学を基準とした路線整備では、これからの高齢社会には対応できないということを申しております。  お年寄りの生活からしますと、このオレンジ色の部分こそ──この辺は、戸山ハイツなどがあって住宅地です。こっちも住宅地、こっちも住宅地です。こういうところこそ、新しい交通不便地域というものです。ですから、これからは新しい目で見直す必要があるんじゃないかということを申し上げているわけですけれども、いかがですか。 ◯青島知事 私も詳しいことは存じておりませんけれども、その辺の道路事情や何かのことも考えなければいけないと思いまして、武蔵野市あたりでは、ミニバスと申しますか、従来のバスよりずっと小型なものが、かなり利便性高く活用されているというふうに伺っておりますので、もしそういうものが活用できれば、あるいはお年寄りの方々などにはご利用いただけるようになるかもしれません。そのように思っております。 ◯大山委員 ミニバスのようなものを活用できればというふうに、積極的に答弁していただいたわけです。  この交通機関、だれもがどこよりも便利だと考えている都心の中に、実はお年寄りにとって、障害者などにとって、交通の不便地域が残されている、つくられているということがあるわけです。これは、高齢社会を迎えようとしている今日、交通弱者ともいうべき高齢者人口がふえるにもかかわらず、地下鉄などの整備に伴って、お年寄りの足でありますバス路線が次々と廃止されたり縮小されたりすることによってつくり出されるという、今日的で新しい課題を私たちに突きつけているといえます。  例えば、都営地下鉄十二号線の放射部が新宿まで昨年開通しましたけれども、この開通に伴って、同じ系統を走っていた都営バスが、開業と同時に部分的に廃止されました。それまでバスで大学病院に通っていたお年寄りが、大変不便な思いをされているということが生まれているのです。  同じような苦情は、港区だとか、中央区だとか、文京区など、都心区に共通しています。それは、地下鉄は駅間の距離が平均一キロで、しかも、ホームまでの長い上りおりがあります。一方、バスは、停留所の間隔が平均三百メートルといわれて、しかも水平の移動ですから、お年寄りに優しい乗り物といわれています。地下鉄の一駅間に、バス停だと二、三カ所はありますから、まさに機能の違うものを、その機能の違いに関係なく切ってしまうということなんです。  そこで伺いますが、都心への通勤のための広域交通手段である鉄道や地下鉄の導入によって、これらの、今申し上げましたオレンジの色に塗ってある交通不便地域の問題は解決されると考えますか。 ◯成戸都市計画局長 お答えいたします。  今お尋ねの広域交通と、地域を担当いたしますバスのような地域交通とでは、交通に対します役割分担が異なりますので、その両方がお互いの役割分担を補完し合って、よりよい交通体系というものが形成されていく、こういうふうに私どもは考えております。 ◯大山委員 解決されるでしょうか、どうでしょうかとお尋ねしたんですけれども。 ◯成戸都市計画局長 ですから、先ほどもお答えいたしましたように、お互いの役割分担が違うわけでありますので、鉄道だけでバスの交通手段を代替することはできないだろう、それは事実だと思います。 ◯大山委員 そうなんです。解決されないんです。今おっしゃったように、広域交通手段と一定の地域の住民の足としての域内交通は、その目的も性格も違うからだといえます。  こうした中で、少なくない自治体が域内交通問題に取り組みを始めていることは注目すべきことです。  そこで参考となるのが、地域バスであるムーバスを二路線走らせている武蔵野市です。先日私も乗ってみましたが、つえをついた高齢の女性、赤ちゃんをおんぶして、まだ三歳ぐらいでしょうか、お兄ちゃんを連れた若いお母さん、買い物袋を提げた高齢者など、昼間でしたが、狭い車内はすぐにいっぱいになりました。交通不便地域の住宅地を、吉祥寺駅やコミュニティセンターなどを循環しているものです。  武蔵野市は、人口密度も全国第二位の過密都市であり、市の南を東西に中央線が走り、吉祥寺、三鷹、武蔵境と三つの駅があり、南北にはバスが頻繁に走っていますから、混雑はしていても、交通の便は極めてよいと考えられていました。  市の調査によって、駅にも一キロ以上離れていて、バス停にも遠い地域、バス停には近くても、一日にバス便が百本以下で昼間の便が少ない地域など、高齢者だけでなく、主婦にとっても、病院に行ったり、ちょっと買い物に出かけたりしたくても、外出しにくい不便な地域があるということがわかったんです。  そこで武蔵野市は、高齢者に的を絞り、高齢者にとって何が壁になっているのかということをつかむために、グループインタビューや家族も含めたアンケート、高齢者の路上行動調査などを行いました。また、どういうバスなら乗るのかということも調査しました。  そこでわかったことは、例えば高齢者は決しておとなしく動かないでいる世代ではないということ。買い物に出かける、友人を訪ねる、病院へ行く。社会、そして人間とのつき合いを想像以上に求めていたのです。しかし、心筋梗塞の持病で休み休み歩く人、持病がなくても、百メートルごとに腰をおろせるところがあればと願う人、若い人とは違って長い距離を歩き続けることはできないということもわかり、こうした実践的な調査の結果が、今評判のムーバスとして実ったのです。  このことからわかるように、高齢社会における都市地域においては、通勤や通学などの広域的な線としての移動とともに、地域の中の面としての移動、すなわち、域内交通をきめ細かく保障する視点こそ重要であると考えますが、いかがですか。 ◯成戸都市計画局長 現在、バス交通は、主な公共交通手段でございます鉄道やモノレールなどを補完する役割を担いますとともに、生活に密着した地域内交通手段として重要な役割を果たしているわけでございます。
     これからの高齢社会や地域の生活環境を重視する社会におきましては、域内交通手段としてのバスの役割は、今後さらに重要性を増していくものというふうに私どもは考えております。 ◯大山委員 今のご答弁の趣旨は、国や都の考え方だと思いますけれども、やはり第一に、バス路線を鉄道などの軌道系の交通の補完として位置づけているということです。その考え方自体を転換する必要に、今迫られているということだと思っています。  最初に紹介しましたように、都内には交通不便地域が多く存在して、今後解消されるどころか、ふえることが予想されています。そこで、都として、このような交通不便地域の実態について、まず調査をすることが急がれていると考えますが、いかがですか。 ◯成戸都市計画局長 先ほどご答弁いたしましたような状況もございまして、バス交通をめぐる現状あるいは諸課題につきましては、検討しているところでございます。 ◯大山委員 検討するというときには、何をおいても、現状がどうなんだということをつかむこと、つまり、調査が出発点になります。  さて、東京都は、二十三区について都営交通を走らせていますが、その意味で、これからの地域の交通について積極的に責任を負っていると思います。  そこで伺いますけれども、これは交通局に伺います。政府は、九七年三月、規制緩和推進計画において、乗合事業にかかわる需給調整規制について、生活路線の維持方策の確立を前提に、遅くとも平成十三年度までに廃止することを閣議決定していますが、これが実施されたら、東京全体のバス交通はどのように変わると考えていらっしゃるでしょうか。 ◯横溝交通局長 需給調整規制が廃止された場合、事業者間の競争が促進されまして、創意工夫の発揮や、よりよいバスサービスの提供が行われるようになるものと考えられます。一方、採算の図れない路線につきましては、退出の申し出がなされる可能性もあると考えられます。  なお、バス交通は地域に密着した交通手段でございまして、需給調整規制の廃止に当たりましては、混乱が生じないように、適切な措置が講じられるべきであるものというふうに考えられます。 ◯大山委員 今述べられたように、自由参入が可能になって、撤退も自由になるということになりますと、黒字路線に業者が集中して、その結果、もうけが少なくなって、生き残りのために赤字路線を廃止するということが予想されますね。今でも、都内の民間バスは八割が赤字だといわれています。また、都営バスでは、一月二十七日から、都バスの適正化という名のもとに、バス便が五十三系統、合計三百五十五回減ってしまいました。  私の地元の新宿を通っているバスも、十二路線で運行回数が減って、武蔵野市では、バス便不便地域の基準としている、日中十分も二十分も待たなければならない、一日百本以下の路線も六系統あります。しかも、今までも百本以下どころか、早81というのですけれども、この線は六十一本だったものを五十六本に、それから、橋63という系統は七十七本を七十三本に減らしてしまったのですから、日中は、平日でも一時間に三本、休日には二本、一日に三十八本という路線が、早81という路線なんです。  地域の住民の方たちの戸惑いや怒りは大変大きく、町会のニュースに記事が掲載され、ご意見をと呼びかけましたら、多くの町民の声が町会長のもとに寄せられました。十二号線の放射部開通に伴ってバス路線が廃止されたときは、事の重大さに、新宿区議会では全会一致で都に意見書が出され、区も要望書を上げるなど、大きな問題となりました。新宿だけではなく、三田線と重なっているということで文京区内のバス路線が縮小されたときは、やはり文京区議会でも反対の声が上げられました。  このように、不採算路線の便数の削減は、需給調整の廃止が計画されているもとで、生活路線の廃止を先取りするというものではないでしょうか。 ◯横溝交通局長 先般実施いたしましたダイヤ改正は、地下鉄の整備や、地域状況の変化等による乗客潮流と路線の特性を踏まえたものでございまして、いわゆる需給調整規制の廃止を前提としたものではございません。 ◯大山委員 都が昨年の末に発表した行政改革プランで、都営交通の民営化の方向が打ち出されました。これに先立った総務局との協議の中では、露骨に不採算路線の打ち切りを要望されたということが明らかにされています。このような民営化は、営利が優先され、不採算路線の廃止を促進するものとなると考えますが、違いますか。 ◯横溝交通局長 一般的に申しますと、民間企業におきましては、株主への責任が生じますため、営利を重視することが想定されますが、営業政策もございますので、個々の路線をどうするかは一概にはいえないというふうに考えております。 ◯大山委員 巨額な工事費に膨れ上がった、都営地下鉄十二号線などを初めとするゼネコン奉仕の大型開発のツケを、都民サービスの切り下げで切り抜けようとする行政改革プランが打ち出した民営化路線は、結局、生活バス路線の廃止という形で都民に犠牲を押しつけることになるのです。  さて、ミニバスの運行の試みは、東急バスが渋谷駅から代官山地域を約二十分で循環するミニバスを運行するなど、民間事業者も含め、導入の試みが進められています。企画にかかわってこられた方からお話を伺いましたが、バス事業が斜陽といわれてから行われてきた経営努力の方向は、運賃の値上げと、運行回数や路線の削減など後ろ向きのものばかりで、さらに乗客の減少を生む悪循環だった。このままで規制緩和が来れば、廃業につながるという危機感から、どういうバスなら乗ってもらえるかを考え始めて進めたことが実ったということでした。  こうしたバスの再生については、運輸政策審議会バス小委員会の中間報告で、既存の大型バスでは乗り入れが困難な都内交通不便地域等での新規需要開拓の必要性を指摘しているように、地域内を循環するようなミニバスなどの生活の足の確保の必要性は明らかです。  また、ことし一月に運輸省自動車交通局がまとめた、乗合バスの需給調整廃止に向けて必要となる環境整備の方策についての中では、公的補助のあり方について、具体的に補助の対象とする生活交通の範囲、輸送サービス水準等については、地域の実情や住民のニーズに通じている地方公共団体が主体的に決定することが適切であり、公的補助についても、地方公共団体が中心となって対応することが適当として、地域の足をどう確保していくか、その場合の公的補助のあり方、維持するサービス内容等について、地域の関係者が協議することを提案して、自治体の関与がますます必要になると指摘しています。  そこでまず、特に新宿のように交通不便地域ということが明白で、しかも都バスの圏域として責任を持ってきた地域について、住民も含めた協議会を早急に設置することを検討すべきと思いますが、どうですか。 ◯成戸都市計画局長 ただいまご指摘の運輸政策審議会自動車交通部会答申骨子の素案が今出ているわけでありますけれども、その中では、地域協議会について述べているわけでありますが、その役割、権限等が明確になっていない現在の段階でございますので、それらについての判断ができる段階ではないわけであります。  今後、最終答申の内容を見た上で、地域協議会等の対応のあり方等については考えていきたいというふうに思います。 ◯大山委員 このように、今までの線と線を結ぶ広域の輸送ではなくて、本当に地域の輸送、地域の足をどうするのかということですから、地域の皆さんと一緒に考えていくということが、東京都の役割として大きいと思っています。  東京都は、企業都市づくりには熱心で、それを支える広域交通にはお金はかけても、域内交通には冷たい姿勢をとり続けていますが、このような姿勢を改めて、本格的な高齢社会を迎えるに当たって、地域の足としてのLRTやミニバスやタクシーなど、域内交通の確立が東京の課題であると考えるものです。  また、規制緩和や民営化の名による不採算路線切り捨てなど行ってはならないことを指摘して、次の質問に移ります。  精神障害者の共同作業所について質問します。  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が施行されてから三年余になります。ほかの障害者に比べて格段にその福祉施策がおくれていた精神障害者にも、ようやく福祉の光が当たってきたということで、疾病から障害へ、病院から地域へということで出されたわけですけれども、そうなってまだ日が浅く、精神障害者対策の充実は、まさにこれから本格化させるときだと考えています。  その精神障害者が地域で暮らすとき、地域の受け皿として、共同作業所のような小規模な作業所は、対人関係などを苦手としている方々にとって、社会復帰して働きたいという力を蓄える重要な役割を持っています。  大きな役割を果たしている精神障害者共同作業所を、これまでは、東京都は、補助の申請が出てきたものは認めていました。ところが、今年度は、十二カ所申請を受けたのに、十カ所しか補助を認めない。来年度分については、昨年の六月の段階で既に十八カ所申請があるとわかっていながら、十カ所分の予算しかつけないということで、現在、来年度に向けて申請している共同作業所は何とかしてほしいという切実な声を上げています。  数が圧倒的に足りないのは、ほかの障害者施設と比較しても明白です。東京都精神保健福祉ニーズ調査をもとにすると、精神障害者では約四万人から五万人が障害者手帳の対象者となって、知的障害者で手帳を持っている方よりも多くなります。ところが、通所施設の数は圧倒的に少ないのです。  東京都が直接責任を持つ授産施設など法内施設の数は、知的障害者の法内施設百カ所です、これに比べて、精神障害者の授産所はわずか十六カ所、六分の一以下です。その上、共同作業所などの数は、知的障害者は四百八十八カ所ありますが、精神障害者の共同作業所は二百五十一カ所です。都が直接責任を持つ法内施設、これが圧倒的に少ないということが、まず基本的な大きな問題です。  しかし、その不足を補って始めた共同作業所も半分しかない。しかも、申請したものさえ認めない。都は、精神障害者の共同作業所は足りているという認識なんでしょうか。 ◯柳澤衛生局長 精神障害者共同作業所は足りているから、抑制方針をとっているのかというお尋ねでございますが、精神障害者共同作業所は、精神障害者の就労や自立した生活を支援していく重要な社会資源の一つであり、これまでも、その規模の拡大を図ってまいりました。  平成十一年二月現在で二百五十二カ所が設置運営されていますが、都としては、今後とも区市町村の取り組みを支援し、事業の充実に努めてまいります。 ◯大山委員 今は、その現状は話していただいたのですけれども、私が聞いているのは、精神障害者の共同作業所は足りているのかどうかということを聞いているのです。もう一度お願いします。 ◯柳澤衛生局長 ただいま申し上げましたとおり、平成十一年二月現在で二百五十二カ所が設置運営されておりますが、都としては、今後とも区市町村の取り組みを支援し、事業の充実に努めてまいります。 ◯大山委員 事業の充実に努めていきますとおっしゃるわけですから、足りていないという認識にあるのだと思っています。  足りていないというのだったら、せめて申請を出しているところくらいは認めるべきじゃないのでしょうか。 ◯柳澤衛生局長 平成十一年度においては、ホームヘルプサービス事業や地域生活支援センター事業等を重点的に整備するとともに、共同作業所についても、規模増を図ることといたしました。  今後とも、区市町村と協力し、地域における社会復帰施設や共同作業所の設置状況等を勘案しながら、その整備に努めてまいります。 ◯大山委員 整備に努めていくということですけれども、足りていないということならば、拡充していくということでしたら、明確に補助をすると、申請しているところはするのだということをどうしていえないのでしょうか。 ◯柳澤衛生局長 共同作業所の設置規模につきましては、今後とも、区市町村と協力し、地域における社会福祉施設や共同作業所の設置状況を勘案しながら、その整備に努めてまいります。 ◯大山委員 実際、来年、もう本当に切実に求めているところがどうなるのだろう、切られてしまうのだろうかということで、本当にせっぱ詰まっているのです。  練馬区に、来年度はぜひ東京都の補助をと申請している、工房「風」というところがあります。既にこれはもう皆さんの要望が大きいので、補助は受けていませんけれども、昨年の四月にオープンしています。希望者が本当に多くて、十九名が現在通所しています。  ここに通っている青年は、最初はどんな人たちがどんな作業をしているのか不安でしたが、今では緊張もなくなって、自分にとって楽しい場所になっています。パウンドケーキづくりには燃え、この工房「風」でどんどん成長していきたいと思っていますと語っています。  精神障害者にとって、自分に合ったところに通える、病気のことや、自分が苦しかったときのことを話せる相手がいる、こもり切りだった人も、自分の変化してきたことがわかって、希望が持て、明るくなります。このような重要な役割を果たしている共同作業所ですが、財政的には非常に厳しいのです。自宅を改造して、私財をなげうって作業所をつくり、会員を募って出資してもらっていますが、現在は専任の職員でさえも無償で働くなど、必死に支えています。今度、都から補助が出なければ、続けることさえ困難なのですと語っています。全く当たり前のことです。こういうところこそ、急いで支援してあげなければならないところではないでしょうか。  障害者基本法では、精神障害者も、身体障害者や知的障害者と同じ障害者として福祉施策の対象となることが明確となり、精神障害者のための施策が、その他の障害者の施策と均衡を欠くことがないよう、つまり、その他の障害者の施策と格差をつけてはいけないということが法の趣旨なんです。  また、精神保健福祉法では、その目的として、精神障害者の社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために、必要な援助が明記されたのです。こうした法の精神からいっても、この格差を一刻も早く埋めなければならないというのが、都の役割のはずです。こんなやり方では、精神障害者施策と他の障害者施策との格差は広がるばかりではありませんか。広がるばかりじゃないのでしょうか。 ◯柳澤衛生局長 お答えいたします。  精神障害者の社会復帰施設は、他の障害者施設とは一概に比較することはできませんが、都内の配置状況には地域的な偏在もありまして、必ずしも十分でないことは、ご指摘のとおりであります。  なお、共同作業所は、区市町村の積極的な取り組みのもとで、現在、都内のほとんどの区市町村に設置運営されております。 ◯大山委員 地域的な偏在ということがあるけれども、不十分じゃないということもおっしゃいましたけれども、他の障害者との格差、これはどうなんですか。格差が広がるばかりじゃないでしょうか、このまま抑制策をとっていったらということをお聞きしているのですけれども、どうですか。 ◯柳澤衛生局長 考え方としては、他の障害者と同様な対応をとっていきたいと考えております。 ◯大山委員 他の障害者ときちんと格差をなくすようにしていきたいということですね。しかし、もう一つ、許されない格差があります。  都営交通無料パスの交付についてです。他の障害者にはある交通無料パスですが、精神障害者には、いまだに交付されていません。この間いただきましたけれども、予算特別委員会の資料で明らかになりましたように、政令指定都市ではすべて実施されているではありませんか。なぜ精神障害者には交通無料パスを実施しないのですか。 ◯柳澤衛生局長 精神障害者の社会参加を促進するためには、地域での生活を支えていくさまざまな施策の充実が必要と考えております。  このため、平成十一年度はホームヘルプサービス事業、地域生活支援センター事業等の施策を重点的に拡充するとともに、救急医療体制を強化するなど、精神障害者施策の一層の充実を図ることとしております。  ご要望の都営交通無料乗車券の支給につきましては、私どもとしても、昨年、一昨年、この無料交通乗車券の支給について努力をしてまいったわけでございますが、残念ながら、ことしにつきましては、財政的な要素もございまして、使われなかったということで、支給ができなかったということでございます。  私どもとしては、社会参加を促進するために大変重要な施策であるとは考えております。今後とも引き続き、実施について検討をしてまいります。 ◯大山委員 何年検討すれば──もう去年もおととしも検討しているのです。直ちに実施するべきです。  そもそも精神障害者は特殊なケースではなくて、もう百人に一人という状況です。ですから、交通パスなどは直ちに実施する、そして法内施設もさらに充実するし、精神障害者の共同作業所の申請されている分、せめて申請している分くらい、きちんと実施するべきではないかということを再度確認して、質問を終わります。(拍手) ◯木村副委員長 大山とも子委員の発言は終わりました。      ───────────── ◯木村副委員長 近藤やよい委員の発言を許します。    〔木村副委員長退席、委員長着席〕 ◯近藤委員 まず初めに、試験研究機関の活動についてお尋ねいたします。  近年、ダイオキシンや環境ホルモン、あるいは自動車排ガスを主要因とする粒子状物質など、いまだにその影響を解明するのが困難、かつ重要な化学物質の存在がクローズアップされてきている一方で、いたずらに人々の不安をあおるような報道がされる中、都民の間には、できるだけ早くその影響を解明し、適切な施策を打ってもらいたいという期待感が高まっております。  そこで私は、こうした課題を技術的に解明する都の試験研究機関の果たす役割がいよいよ重要性を増していると認識しておりますが、知事はいかがお考えですか。 ◯青島知事 都の試験研究機関が、近年のダイオキシンや環境ホルモンなどによります人体への影響や、自然環境への影響などにつきまして解明を進めてまいりますことは、都民の健康と安全を確保する観点からますます重要になってくるという認識は、質問者と同じように考えております。  今後とも、試験研究機関が相互に連絡をとりまして、それぞれの特性を生かしまして、今日的な課題や新たな課題に柔軟に対応いたしまして、都民の福祉向上に努めていくべきであろうというふうに考えているところでございます。 ◯近藤委員 高まる重要性を認識していらっしゃるというご答弁の割には、その扱いに疑問が残ります。以下、試験研究に係る経費及び評価制度について伺います。  試験研究機関にかかわる予算総額は約五十億円程度といわれておりますが、そのうち、いわゆる管理費を除いた純粋な研究費部分は幾らなのでしょうか。また、その区分はきちんとされているのでしょうか。 ◯横山財務局長 都立直営の試験研究機関に係る経費につきましては、直接研究に係る経費と、建物維持管理等の管理経費との区分に関しましては、各試験研究機関の研究内容が異なるという特殊性から、これまでのところ、特段明確に区分はいたしておりません。 ◯近藤委員 明快なご答弁、ありがとうございました。  平成九年度各会計決算特別委員会に提出されました一般会計決算説明書を見ると、例えば土木技術研究所は、行った調査ごとにそれぞれ支出額が明確に報告されている一方で、あえて具体名は申しませんが、試験研究費を別建てで掲記することをしないで、一括して管理運営費として、その支出額を示しているにすぎない研究所も多いのが実情です。  研究機関にとって欠くべからざる研究費用が、一般的な管理経費に合算して報告されているだけでは、研究機関で行われている研究の実態が全く見えてきません。研究の内容によって、同一の基準を設定することには無理があるのかもしれませんが、少なくとも研究費用に含めるべき経費などについて、統一的な指針をつくるべきであると考えます。  これによって経費区分を明確化し、研究内容に比して経費が妥当であったかどうかなどのチェックを行うことにより、当該調査研究の意義などを問う一つの目安にすることが必要であると考えますが、所見を伺います。 ◯横山財務局長 試験研究機関にかかわります予算の経費区分を明確化していくことは、試験研究機関で行われている調査研究事業の効率性や透明性などを高めていく観点から、必要であると考えております。  このため、ご指摘の趣旨も踏まえまして、今後、経費区分の明確化を高めてまいります。 ◯近藤委員 私の手元に、職員研修所が平成八年度に発行した「東京都における政策形成と調査研究機能(シンクタンク機能)のあり方」という報告書がございます。  この報告書は、本来調査研究は政策形成に重要な要素であるけれども、都においては、現実的に政策形成への寄与が低く、形骸化している面があり、調査研究組織相互間の連携も必ずしも十分とはいえないと指摘して、改善に向けて四つの提言を行っています。  その一つが、予算査定と一定の連携を持った調査研究の評価調整制度の整備です。この報告書の中で提言された評価調整制度は、どこまで実施されているのでしょうか。A、B、Cの評価づけを含め、その実績と成果についてお伺いいたします。また、外部の人を入れて評価されているかどうかについてもお伺いいたします。 ◯佐々木政策報道室長 評価調整制度は、平成八年度に開始いたしまして、本年度で三年目を迎えておりますが、調査研究の成果を評価する事後評価も、本年度から開始いたしました。  本年度の事前評価の方につきましては、評価対象数が二百五十六件でございまして、その必要性、企画内容の成熟度を基準にして評価した結果、すぐれているというA評価が四四%、普通であるB評価が四九%、劣っているというC評価が七%でございます。  それから事後評価につきましては、対象件数が五十二件でございまして、その目標の達成度、成果の活用度を基準にして評価した結果、すぐれているというA評価が二一%、普通であるB評価が六七%、劣っているC評価が一二%となっております。  また、外部の専門家の参加についてでございますけれども、今年度から都立大学の都市研究所の参画を得まして、評価全般あるいは個々の調査研究内容につきまして、専門的な立場からご意見をいただいてございます。  この制度が、今後、改善、改良されつつ定着していけば、各局の調査研究の質の向上と、執行の効率化が図られるものというふうに考えております。 ◯近藤委員 現在、ご答弁でありました政策報道室が行っている調査研究に関する評価制度では、試験研究機関の調査研究活動はその専門性が高く、一般行政官による評価制度にはなじまないとの理由から、対象から外されていると聞いております。  前述の報告書によると、試験研究機関の調査研究に対しても、各分野に見合った研究評価の基準をつくり、研究の事前評価、中間評価、そして研究成果を問う事後評価を客観的に行う、外部の専門家を加えた評価調整委員会制度の設置を提言しています。  現在、委員会を設けている機関の数、また設けていない機関の数、さらに委員会を設けている機関で、外部委員を入れている機関の数についてお尋ねします。 ◯木宮総務局長 試験研究機関十九所のうち、評価委員会を設置しておりますのは十所でございまして、設置していないのが九所でございます。  また、評価委員会に外部委員を加えておりますのが三所でございまして、平成十一年四月から一所加わる予定でございます。 ◯近藤委員 先日、環境科学研究所において、都民委員を含む外部の学識経験者などから成る外部評価委員会、仮称ですけれども、を設置して、平成十一年度新規研究から事前評価を行うとともに、研究結果の事後評価など、いわゆる外部評価制度を導入することを明らかにしました。  環境科学研究所におけるこの評価制度導入の経緯と、今回、都民委員を含む外部評価制度の導入の意義について伺います。 ◯柿沼環境保全局長 お答え申し上げます。  環境科学研究所における研究の評価制度につきましては、平成五年度から、研究所内部での評価について検討を始めてまいりました。  当時の考え方は、環境問題の多様化に伴います新たな研究課題に研究所が柔軟に対応し、行政ニーズに的確にこたえる研究を推進するとともに、研究活動の活性化を図ることを意図して行ったものでございます。  ご指摘の外部委員の参画による外部評価制度につきましても、より客観的な評価を進める観点から、その当時から検討課題といたしておりました。 ◯近藤委員 現在のご答弁にもありましたように、当初よりその必要性が検討されていた外部評価制度の導入に、約五年も要したのはなぜなのでしょうか。
    ◯柿沼環境保全局長 検討を始めた当時は、ほかにモデルとなる制度が見当たらない状況でございまして、研究所内部の環境科学研究所研究等検討会の中で、研究内容のヒアリングやアドバイスなどを行いながら、評価の手法を模索しておりました。  この内部評価の実施については、何度か改定を繰り返してきたわけですが、平成九年の八月に、国において、国の研究開発全般に共通する評価の実施方法のあり方についての大綱的指針というのが出されまして、平成十年四月から本格的に実施しております。これによりまして、外部評価制度の下地がようやくでき上がったということでございます。  それで、一つには研究内容の充実、研究者の創造性の向上とともに、開かれた研究体制をつくること、二つには、限られた予算の重点的、効率的な配分を図ること、三つには、評価結果を公開することにより、都民と研究所とのパートナーシップを形成していくこと、これらを目的に、都民に開かれた研究所として、公募による都民と学識経験者による外部評価を、平成十一年四月から実施することにしたものでございます。 ◯近藤委員 今のご答弁で、研究機関においても外部評価制度の導入が必要であり、また、導入に当たっての機が熟してきたのだというようなご認識があるということがわかりました。  しかしながら、外部委員はおろか、評価委員会すら設置されていない局もある現状の中で、各試験研究機関の研究者が真に都民ニーズにこたえる研究を行っているのか、単に学会発表や、個人の専門領域の研究を高めるためにやっているのではないかなどと疑われても、仕方のないことではないでしょうか。  こうした都民不在の研究を、都民の本来のニーズにかなった研究に変えて、施策に有効に生かされる生きた研究にするためには、東京都技監の下にあります技術会議におきまして、分科会を設けて、各研究機関が外部専門家を入れた評価制度を導入し、しかも、その評価そのものの透明性や妥当性を高める工夫や方法を検討されてはどうかと考えますが、技監のご意見を伺います。 ◯佐藤東京都技監 東京都技術会議は、都政の重要かつ緊急な課題に対し、技術的側面から検討を加えるとともに、技術水準の維持向上を目的に、平成四年、設置されたものであります。  最近の主な活動は、循環型社会づくりに寄与する技術情報の収集や、耐震設計資料の検証と整理、及び高度建設技術研修の創設などであります。  また、技術会議では、お話の各研究機関が相互の連携を強化して、都民のニーズや都政の課題にこたえる、的確で効率的な調査研究を実施するべく、昨年十月、環境科学や清掃など、主要な七研究機関で構成する調査研究部会を設置いたしました。  ご提案の外部専門家を入れた評価制度の導入は、この部会の設置目的を一層進展させるものであります。  したがいまして、技術会議といたしましても、よりよい研究体制構築の一環として、積極的に取り組んでまいります。 ◯近藤委員 大変に明確な、前向きなご答弁をいただきました。この技監のご答弁をきっかけとして、調査研究機関に対します外部評価制度が全庁的に広がっていきますことを、私も切望しております。  また、一連の行政改革の取り組みの中で、都は、試験研究機関の将来像をどのように描いていらっしゃるのか、また、どのように改革しようとされているのか、伺います。 ◯木宮総務局長 これまでも、試験研究機関につきましては、社会状況等の変化などを踏まえまして、設置の必要性、設立目的の達成状況、また研究内容の適否などにつきまして、種々の観点から見直しを行ってきたところでございます。  今後の試験研究機関のあり方につきましては、ただいまのご質疑の中でご指摘をいただいた点も含めまして、都の事業として現在のまま継続していく必要性の有無、運営形態の適否、経営改善や業務形態の効率化の方策等を幅広く研究し、研究成果が十分に上がるように努めてまいります。 ◯近藤委員 最後に、報告書で提言されております都立大学のインターフェース機能についてお尋ねします。  報告書は、都立大学の都市研究所に対しまして、大学と都政を具体的につなぐためのインターフェース機能を求めております。都立大学は、こうした考え方についてどう受けとめられ、これまでどのような取り組みをなされてきたのか、伺います。 ◯齋藤都立大学事務局長 都立大学の都市研究所が、ご指摘のようなインターフェース機能を持つことは大変重要であると考えております。都市研究所は、これまで、大都市東京の課題について研究を進めつつ、行政部門や調査研究機関との連携にも努めてまいりました。最近の例で申し上げますと、循環型社会づくりの重要課題である交通需要マネジメントに関する調査研究や、お話の評価調整制度についても、都市研究所を窓口として、本学の教員が参画をしております。  また、本学の研究者がより広く都市研究所の活動に参加する道を開き、都政とのインターフェース機能をさらに高めるためにも、本定例会に都立大学条例の改正案をご提案しているところでございます。  今後、本学としては、都市研究所の一層の活性化を図り、都政への研究成果の還元と都民への情報発信等を積極的に行ってまいります。 ◯近藤委員 ありがとうございました。  以上で、調査研究機関についての質問を終わります。  次に、民間福祉施設に対する補助金の再構築について伺います。  まず、最初に知事に伺います。  昨日の委員会におきまして、周りが大変騒然としていた中、知事のお声が大変小さかったものですから、聞き取れないところがございまして、それを改めて確認させていただきたいと思い、まずお尋ねします。  きのうの委員会において知事は、東社協、つまり、関係団体から一応の理解を得ていると報告を受けているというご答弁をされました。私が伺いたいのは、知事が、一応の理解を得ているとおっしゃっている、認識されています中身についてでございます。一応の理解を得ていると認識しているのは、このたびの制度改正を利用者一人当たりの助成方式に改めるという基本的な方向性なのか、それとも、二月四日に関係者に提示された見直し案そのものを意味されているのか、明確にご答弁をお願いします。 ◯青島知事 私がお答えいたしましたのは、利用者一人当たりの助成方式に改めるとの基本的な方向につきまして、大方の理解を得ていると申し上げたわけでございまして、なお、提示した案につきましては、現在、ご理解いただけるよう議論をいたしているところでございます。 ◯近藤委員 それを伺いまして、少々安堵をいたしました。と申しますのも、二月の二十二日の関係者との折衝委員会におきましては、当事者の東社協の方から、今日の時点では意に沿った議論するまでに至っていないと認識しているというご答弁があったものですから、あえて確認をさせていただいたわけでございます。  次に、局長に伺います。  このたびの改正につきましては、あくまでもダウンの幅が大きいということの中で、各業種の施設から反対があるというふうに私は認識しております。経過措置がなくなった三年後に一気にまた落ち込むのではないか、ダウンの幅が大きいのではないかということを危惧している施設に対して、東京都は、積算をするとそういうことにはならないんだということでご説明をしているようですけれども、もし万が一、経過措置が終了した三年後に大幅なダウンとなるような施設が出てきた場合に、何らかの対応、十分な配慮をするおつもりがあるのかどうか、お尋ねします。 ◯石川福祉局長 今回の具体案について、個々の施設で、平成十四年度の本則のときにどうなるかというのはなかなか難しいわけです。その時点での職員構成等がどうなるかということによって判断をせざるを得ない。どうも、それぞれの個別の施設に計算をされているのは、平成九年度の職員の構成のままで、それが平成十四年度にそのままシフトをする、平成九年度の職員の平均経験年数を、単純に十四年で掛けているということでございます。実は、四年なり五年、経験年数がふえてまいりますので、必ずしもああいう数字には私はならないだろうと思っております。それは、経営者がどういうふうに平成十四年度の職員の構成を考えるかということによって、数字は変わると思います。そういうことだけは、まずご理解をいただきたいと思います。  それから、経過期間後のお話でございますが、私どもは緩やかに、三年間という中で段階的に経過措置をとるということを何回も申し上げておりました。この補助金につきましては、ご案内のとおり、都民の貴重な税金を投入しているということでございます。したがいまして、三年の経過期間の中でそれぞれの法人がいろいろ創意工夫されたり、いろいろなご努力をしていただく、そういうことをも見きわめ、あるいはそういうお話も聞きまして、そうして先生のご意見というものを十分踏まえて、適切に対応したいというふうに思っているわけでございます。 ◯近藤委員 最終、最後、私の意見を踏まえて適切に対応してくださるというところに、局長のほのかに薫る、何といいますか、思いやりですか──を感じながら、次の質問に移らせていただきます。  現在、東社協の折衝委員会を含め、関係者が最も不安に感じていることは、目前に迫った四月一日のこの再構築案、本当に東京都は四月一日に実施を強行するんだろうかというような点に尽きるのではないかと思うわけです。二月の四日に、福祉局は、関係団体の方にこのたびの具体案を提出なさいました。  そこで、衛生局長に伺いますが、衛生局の所管である乳児院に対して単価表を示したのはいつですか、また、今後どのように乳児院の関係者と折衝を持っていきますか。 ◯柳澤衛生局長 お答えいたします。  乳児院に対しましては、二月の二十二日に開催されました東京都社会福祉協議会乳児部会に、定員階層別単価表を提示いたしました。  さらに、施設全体でどのような影響があるか等、細部について三月上旬に説明する予定でございます。 ◯近藤委員 東社協について、利用者一人当たりの制度に改めるんだという基本的な考え方については、昨年からお話をしてきたわけでございますけれども、今の衛生局長のご答弁にもありました、二月の二十二日に乳児院に対して単価表を提出したというお話でございますが、きょうはご存じのように二十五日です。今週の月曜日に、わずか三日前に具体的な単価表を提示したわけです。そして、当日は、提示したにとどまって、細部についてどの程度の影響があるのか等については、これから三月上旬に席を持って説明をしていくということでございますので、まだ議論が煮詰まるも何も、入り口に立ったか立たないかというような状況であるということを、きちんと押さえておかなければならないと思います。  福祉局が所管の施設に対しまして二月の四日に具体案を提示したのに比べて、衛生局が、乳児院へ提示がおくれたのはどうしてですか。 ◯柳澤衛生局長 お答えをいたします。  職員の経歴年数など、算出に当たって必要な事項の精査に時間を要したことから、この日の提示となったものでございます。 ◯近藤委員 精査に時間を要したということでございますが、この計算、つまりいつから積算を始めたんでしょうか。 ◯柳澤衛生局長 お答えいたします。  二月の上旬に福祉局から具体的な積算方法の説明を受けまして、各施設職員の経験年数などの調査を行いました。調査の結果、必要なデータがそろった二月中旬から、定員階層別単価表の積算を開始したものであります。 ◯近藤委員 今のご答弁で、福祉局は、衛生局に対して具体的な積算の方法を二月の上旬に示したということをおっしゃったわけでございます。関係者に対して示しましたのが二月の四日、庁内の、少なくともお互いに共同の歩調をとっていかなければならない衛生局に対しても、具体的な積算の方法を示したのが二月の上旬、これでもって福祉局は本当に四月一日の再構築案の実施が合理的に可能であるというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。  といいますのも、四月一日に実施するためには、事務等の準備、実質的な時間がかかるというふうに考えています。ですから、きのうもご答弁にございましたように、四月一日の実施に向かって、誠心誠意話し合いを続けていくということでございますが、福祉局としては、四月一日実施のためには、東社協との折衝のデッドラインというか、最終目標をいつごろに設置していらっしゃるんでしょうか。 ◯石川福祉局長 本件につきましては、近藤委員もご案内のとおり、長年にわたる経緯がございまして、私の方としては、今回ぜひ再構築をしたいと思っております。ご案内のとおり、役所でございますから、四月一日というのが一つの会計年度でございまして、それぞれの法人から補助金の申請という、そういう行為もございます。したがって、今近藤委員から──若干両局の連携が悪いことについてはおわび申し上げますが、この問題について精力的に議論をして、私の方は三月の中ごろまでにはぜひめどを立てたい、私はそれはできると思っております。  それから、もう一つ、テクニカルターム的なことを申し上げますと、一般的に市町村との補助金の関係でも、いろんな、後で清算的なやり方という、技術的なやり方は幾らでもございます。ですから、できるだけ事務にご迷惑がかからないような、そうした方法というのはいろいろできると思います。  かつ、今回の方式の方が、私は必ず事務は簡便になると思いますし、かつ、毎月毎月の支払い申請という事務よりも、大体四半期別ぐらい、しかも単位費用化をする方が完全に事務は簡便になるというように私は思っております。あとは、具体的にその事務の進め方と、具体的に年度末でどういう処理をするかというのは、これは技術的には十分可能であるというふうに私は思っております。 ◯近藤委員 局長のご見解はわかりました。  最善の努力をされても、四月一日、デッドラインまでに関係者の理解が得られなかった場合は、延期も視野に入れるんでしょうか。四月一日というのは、ことしだけにめぐってくるのではありません。来年にも四月一日はあります。 ◯石川福祉局長 私の頭の中には、今、近藤委員のご質問のような想定はしておりません。 ◯近藤委員 二月十九日の厚生委員会で、今回の改正案について審議をしたわけでございます。各会派にさまざまな食い違いはありましたけれども、四月一日の実施については慎重にという点では、全会派が一致した見解であったというふうに私は認識しております。この委員会の認識を、局長は一体どういうふうに受けとめていらっしゃるんですか。 ◯石川福祉局長 この補助対象のそれぞれの法人の方々と今精力的に議論をしておりますので、ぜひその推移を見きわめていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。 ◯近藤委員 今回の制度改正の根本的な趣旨は、関係者同様、私も理解しているつもりです。都自身がドラスチックな改革ということで、この改革について大きな意気込みで臨んでいらっしゃるのは理解しますけれども、関係諸団体の、ある程度の、一定の理解が得られるまでは実施は延期するというような、局長なり知事なりのご答弁が得られない限り、この案そのものについても反対せざるを得ないというような気がいたします。東社協の折衝委員会の代表者は、幾ら厳しい提案であっても、こちらからテーブルをひっくり返すようなことはできない、そうすれば、一番困るのは末端の施設である、粘り強く最後まで折衝していく決意であるというふうに述べておられるわけでございます。  都が理解を得られるように最善の努力をしていらっしゃるということは十分承知していますけれども、くれぐれも見切り発車などされることないよう、要望しておきます。  意義が大きいだけに、十分皆さん方の理解を得た上でのきめの細かい配慮と対応をくれぐれもお願いをして、本件に関する質問を終わります。  次に、リサイクルの推進について伺います。  資源として集められたものが再利用されずに、余剰問題を引き起こして、回収業者を不必要に圧迫したり、せっかく回収した資源を、結局はごみとして廃棄するようなむだは何としても避けなければなりません。回収された資源の再利用の促進について、都はどのような対策を考えていらっしゃいますか。 ◯福永清掃局長 リサイクルを確実に進めていくためには、ご指摘のとおり、回収された資源が再利用されることが大切であります。このため、都としても、再生資源の需要拡大策について検討いたしております。まず、古紙については、畜産用の敷料を初めとする新規用途利用等への支援を検討いたしております。一方、ガラスカレットの再利用については、タイル等の建築材料や道路舗装材等の土木材料としての使用が考えられますが、材料としての適否やコスト面などを勘案して、総合的に判断をすべきものというふうに考えております。  現在、清掃局では、清掃工場の建設等において、防音パネルなどへの利用を計画いたしておりますし、また、都立石神井公園の園路あるいは高齢者福祉・医療の複合施設の建設における構内仮設道路などの一部に実験的に施工を行うこととしております。  今後、この実験結果などを踏まえまして、建設材料としての適格性を確認した上で再利用を図ってまいります。 ◯近藤委員 資源の余剰を考えるときに、ガラス瓶同様忘れてならないのが、古紙の余剰問題であるというふうに思っております。平成九年の春から夏にかけて、雑誌回収の一時停止というような象徴的事態に至ったことは、まだ記憶に新しいところです。この後、業界の大変な努力によりまして、古紙の輸出等をしていただいて、一時的に在庫が解消した状態に現在あるわけですけれども、決して古紙の需給状態そのものが根本的に解決したとは認識しておりません。  東京都は、新聞リサイクル推進会議を発足させまして、古紙需要の抜本的な解決案として、新聞リサイクル推進会議において、関係業者との連携を通して、再資源の需要拡大に取り組んでいるということを伺っております。この新聞リサイクル推進会議での新聞用紙への古紙配合率の引き上げを現在検討していらっしゃるということでございますが、この今後の方向性と、都として果たしていらっしゃるべき役割について見解を伺います。 ◯福永清掃局長 新聞リサイクル推進会議において、製紙メーカーからは、国内平均四二%といわれる新聞用紙の古紙配合率について、五〇%以上は可能との報告がなされております。配合率五〇%が実現いたしますと、新たに三十二万トンの新聞古紙の需要が生じる試算になり、根本的な需要拡大につながるものと考えております。  これに対しまして、新聞社は、古紙配合率の高い新聞用紙が規格にたえ得るなら、進んで使用したいとの意向を表明いたしております。具体的な配合率や導入時期については、新聞各社が調整の上、今後明らかになりますが、これを受けまして、新聞用紙の生産、調達双方の計画について、製紙メーカー、新聞社間の合意形成を図る必要がございます。  都といたしましては、引き続き両者の意見調整に努めてまいります。 ◯近藤委員 最後に、中央卸売市場の活性化について、一問お尋ねします。  都の中央卸売市場の売上高は減少傾向にあって、卸売、仲卸業者などの市場業者の経営も大変厳しくなっていると聞いています。そこで、都は、市場業者の経営基盤強化に関する研究会といったものを設けまして、その中間答申が出されております。それによりますと、仲卸業者を販売面の基幹業者と位置づけて、市場発展の重要な担い手であり、消費者ニーズに的確に対応していく自己革新の努力が必要であるというように答申をしているわけです。ある市場では、この答申をいち早く先取りしまして、仲卸業者など、市場業者みずからが当該卸売市場における取扱量の拡大とともに、個々の業者の経営改善を図るべく、卸売業者や小売と一体となって、自主的に実務的な研修や講演会を開いて、市場の活性化に取り組んでいる例もあります。  市場会計の中では、市場業者個々に対する補助は困難だとしても、この中間答申の意を酌んで積極的な取り組みをしている研修会や講演会に対して、都は、市場の開設者として何らかの助成を行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ◯宮城中央卸売市場長 市場業者の経営改善は、市場業者がみずから真剣になって取り組まなければならないということはいうまでもありません。しかし、市場業者個々の努力では、おのずと一定の限界があると思います。これまで、施設整備重視の方向から、ソフト面の施策に重点を置いた市場運営を展開するため、市場では、市場業者の経営基盤強化に関する研究会を設置いたしました。現在、その中で、専門家による経営相談窓口の設置や、仲卸業者の組合が研修会や講習会を行う場合の講師の派遣やあっせんについて論議がされております。  都といたしましては、三月に予定されている研究会の最終報告を踏まえて、来年度に向けて鋭意検討をしていきたいと思います。 ◯近藤委員 以上で終わります。(拍手) ◯佐藤委員長 近藤やよい委員の発言は終わりました。  以上をもちまして、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。  本日も大変お疲れさまでございました。  明日、あと一日よろしくお願い申し上げます。  なお、明二月二十六日は午前十一時から理事会を控室1で、また午後一時から委員会を当委員会室で開催いたしますので、よろしくお願いをいたします。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後八時散会...