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  1. 東京都議会 1997-10-22
    1997-10-22 平成9年文教委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時五分開議 ◯池田委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。  初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。  当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯池田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。  この際、傍聴の方々にお願い申し上げます。  傍聴人の方々は、都議会委員会傍聴規則を守って静粛に傍聴をお願いします。ひとつご協力をお願いいたします。      ━━━━━━━━━━ ◯池田委員長 本日は、教育庁関係の都立高校改革推進計画の報告に対する質疑を行います。  これより教育庁関係に入ります。  都立高校改革推進計画の報告に対する質疑を行います。  本件につきましては、既に説明を聴取しております。  その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  資料について理事者の説明を求めます。 ◯大久保総務部長 過日の委員会でご要求のございました事務事業にかかわる資料につきましてご説明申し上げます。  お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。今回ご要求のございました資料は、1、一般会計に占める教育費の割合の推移から、34、東京文化会館の十年間の収支状況までの三十四件でございます。  それでは、一ページをお開き願います。一般会計に占める教育費の割合の推移でございます。昭和五十二年度から五年ごとの都一般会計に占める教育費の割合をお示ししてございます。  二ページをごらん願います。一校当たりの平均学級数及び一学級当たりの平均児童・生徒数の推移(過去五年間)でございます。東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府の公立小中学校の一校当たりの平均学級数及び一学級当たりの平均児童生徒数の推移について、平成五年度から九年度までお示ししてございます。  三ページをごらん願います。前ページと同様、公立高等学校の一校当たりの平均学級数及び一学級当たりの平均生徒数の推移につきまして、全日制、定時制の課程別にお示ししてございます。なお、平成九年度の他県の状況については、現在各県で集計中でございます。
     四ページをごらん願います。欧米等の学級編制基準等でございます。日本、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツの学級編制基準等をお示ししてございます。これは、文部省の「教育指標の国際比較 平成八年度版」より抜粋したものでございます。  五ページをごらん願います。都内公立小・中学校教員の年度途中の欠員及び補充状況でございます。年度途中の教員の欠員と補充状況について、欠員となった事由と人数、そしてその補充状況を、平成七年度から小学校、中学校別にお示ししてございます。なお、平成九年度につきましては九月一日現在で作成しております。  六ページをごらん願います。東京都公立小・中学校教員採用候補者選考実施状況でございます。公立小中学校の教員採用候補者選考につきまして、小学校、中学校別に応募者数、受験者数、名簿登載者数、採用者数を、平成三年度選考から平成八年度選考までお示ししてございます。採用者数につきましては、選考実施年度の翌一年間の採用者の数でございまして、平成八年度選考の採用者数につきましては、平成九年四月一日から九月一日までの採用者数でございます。なお、採用者数が名簿登載者数を上回っておりますのは、補欠等から採用したことによるものでございます。  七ページをごらん願います。都内公立小・中・高等学校における「いじめ」の発生件数の推移(過去五年間)でございます。平成三年度から平成七年度までのいじめの発生件数を、小学校、中学校、高等学校別にお示ししてございます。なお、参考として、いじめの主な態様をお示ししてございます。  八ページをごらん願います。登校拒否(不登校)児童・生徒数と保健室登校児童・生徒の実態でございます。  (1)の都内公立学校における登校拒否児童生徒数(五年ごとの推移)は、登校拒否児童生徒数につきまして、全国及び東京都の人数を小中学校別に、昭和五十六年度から五年ごとにお示ししてございます。なお、(注)2にございますように、登校拒否児童生徒とは、各年度間に学校嫌いを理由として五十日以上欠席した者をいいます。  続きまして、(2)の保健室登校児童生徒の実態でございます。文部省・日本学校保健会の平成二年度と平成八年度の調査でございまして、抽出して調査した小中学校のうち、保健室登校の児童生徒がいる学校数について、全国の実態をお示ししたものでございます。なお、保健室登校の定義としては、常時保健室にいるか、特定の授業に出席できても、学校にいる間は主として保健室にいる状態をいいます。  九ページをごらん願います。都立高等学校の生徒数及び都内公立中学校卒業者数の推移(過去十年間)でございます。都立高等学校の全日制、定時制課程別の生徒数と都内公立中学校の卒業者数について、昭和六十二年度から平成八年度までお示ししてございます。  一〇ページをごらん願います。都立羽田高等学校及び都立羽田工業高等学校定時制課程の教職員定数の内訳、生徒数でございます。(1)は羽田高等学校定時制課程の、(2)は羽田工業高等学校定時制課程の教職員定数の内訳、生徒数を、それぞれ平成九年五月一日現在でお示ししたものでございます。  一一ページをごらん願います。都立羽田工業高等学校定時制課程の学級数、定員、入学者、卒業者の推移でございます。(1)は第一学年の学級数、定員、入学者、卒業者数を、(2)は全学年の定員及び生徒数を、それぞれ昭和六十三年度から平成九年度までの十年間の推移をお示しした表でございます。  一二ページをごらん願います。第一学区における都立高等学校定時制課程の生徒数の推移でございます。一橋高等学校から鮫洲工業高等学校まで延べ十六校の定時制課程の在籍生徒数の推移を、昭和六十三年度から平成九年度までについてお示ししてございます。  一三ページをごらん願います。第一学区における都立高等学校定時制課程第一学年で就業している生徒の割合でございます。平成九年五月一日現在で、一橋高等学校から鮫洲工業高等学校まで十四校の定時制課程第一学年の生徒で就業している生徒の割合をお示ししてございます。就業している生徒の内訳は、正規、自営手伝い、パート・アルバイトに分け、お示ししてございます。  一四ページをごらん願います。全日制課程・定時制課程併置都立高等学校における定時制課程の生徒数及び教職員数の推移でございます。都立高等学校の全・定併置校のうち、定時制課程の生徒数及び教職員数を、昭和六十二年度から五年ごとにお示ししてございます。  一五ページをごらん願います。都立高等学校学科別中途退学者数(過去五年間)でございます。平成三年度から平成七年度までの都立高等学校の普通科、商業科、工業科等の学科ごとに、中途退学者と中途退学率を全日制、定時制課程別にお示ししてございます。  一六ページをごらん願います。都立高等学校における中途退学者数の推移(過去十年間)でございます。昭和六十一年度から平成七年度までの十年間について、全日制、定時制課程別にお示ししてございます。  一七ページをごらん願います。都立高等学校中途退学者の理由別内訳の推移でございます。昭和六十一年度から平成七年度まで、都立高校全日制課程の中途退学の理由別内訳の推移を、同様に、一八ページは定時制課程についてお示ししてございます。  一九ページをごらん願います。都立高校改革推進計画における実施計画対象校の中途退学者数等(全日制)でございます。都立高校改革推進計画における適正配置計画対象校の中途退学者数と退学率を、普通科、専門学科別にお示ししてございます。  二〇ページをごらん願います。都立高等学校中途退学への対応についてでございます。都教育委員会が行っている中途退学の具体的な取り組み策として、都立高校個性化、特色化の推進を初め、諸施策についてお示ししてございます。  二一ページをごらん願います。都立高等学校教員の退職者数の推移でございます。都立高等学校教員の平成四年度から平成八年度までの五年間の退職者数と、今後平成十三年度までの退職者数の推計についてお示ししてございます。  二二ページをごらん願います。都立高校改革推進計画に基づく教職員定数の推計でございます。(注)にもございますように、平成二十三年度の学校数につきましては、都立高校改革推進計画に基づき、普通科百十九校、専門科高校四十二校、総合学科高校十校、島しょの高校は七校、計百七十八校とし、教員定数は、今年度の教員定数配当基準を適用し、試算いたしました。なお、括弧内は平成九年度との差をお示ししたものでございます。  二二ページ中段の、職業高等学校で三十五人学級の実施に必要な教員定数をごらん願います。全日制職業高等学校ホームルーム定員を四十人から三十五人にした場合の必要教員数を平成二十三年度で試算したものでございます。  二三ページをごらん願います。都立高校改革推進計画に対する要請、意見、署名の件数等でございます。平成九年七月十五日以降十月一日までに、都立高校改革推進計画に対する要請、意見、署名について、都教育委員会に寄せられました件数及び内容の特徴でございます。  二四ページをごらん願います。都立晴海総合高等学校の開設科目数並びに開設予定科目数でございます。平成八年四月に開校した晴海総合高等学校の第一学年及び第二学年の開設科目と第三学年の開設予定科目を含めた科目数についてお示ししてございます。  二五ページをごらん願います。羽田地区総合学科高校(仮称)の概要についてでございます。羽田高等学校と羽田工業高等学校を発展的に統合し、総合学科高等学校を設置する羽田地区総合学科高校(仮称)の概要についてお示ししてございます。開校時期としては、平成十四年四月を予定しております。  二六ページをごらん願います。公私連絡協議会についてでございます。昭和六十年度の公私連絡協議会での合意事項と、二七ページに参りまして、平成八年度の公私連絡協議会の合意事項をお示ししてございます。昭和六十年度の合意では六十一年度の進学率を九二%とし、平成八年度の合意では九年度の進学率を九六%とし、それぞれ公私の受け入れ分担等を確認いたしました。  二八ページをごらん願います。都立学校建築年度一覧でございます。都立高等学校及び都立盲・聾・養護学校の建築年度を二八ページから三〇ページにお示ししてございます。表の中で学校名に下線が引いてあります学校は、現在改築中の都立学校でございます。  三一ページをお開き願います。都立肢体不自由養護学校在籍児童・生徒数及び学級数一覧でございます。光明養護学校以下あきる野学園養護学校まで十四校の肢体不自由養護学校について、普通学級、重度重複学級別在籍児童生徒数、学級数について、小学部、中学部及び高等部ごとにお示ししてございます。  三二ページをごらん願います。都内公立小・中学校心身障害学級の教員定数と講師時数についてでございます。小学校、中学校別に、学級数、教員定数、講師時数について、平成九年度と平成八年度を比べたものでございます。  三三ページをごらん願います。文部省が諮問した「心の教育」についてでございます。平成九年八月四日に第十六期中央教育審議会「幼児期からの心の教育の在り方について」の要約についてお示ししてございます。  三四ページをごらん願います。都立高等学校の生徒指導の取り組みについてでございます。都立高等学校の生徒指導の取り組みについて、(1)の問題行動の校内指導規定から、(10)の定期考査後の追試、補講等の実施までお示ししてございます。  三五ページをごらん願います。東京都教育委員会における性教育の状況でございます。都教育委員会が行っております性教育の施策の状況と、都内公立小中高等学校における性教育の実施状況についてお示ししてございます。  三六ページをごらん願います。主要施設の使用料等についてでございます。主な文化施設の使用料、料金の算定根拠及び原価の考え方についてお示ししてございます。  三七ページをごらん願います。同様に、主な体育施設の使用料、料金の設定根拠及び原価の考え方についてお示ししてございます。  三八ページをごらん願います。財団法人東京都交響楽団の活動実績と運営状況(平成八年度)でございます。各演奏会の演奏日数、演奏回数及び入場者数の活動実績と、財務関係と組織関係の運営状況についてお示ししてございます。  三九ページをごらん願います。東京文化会館の十年間の収支状況でございます。昭和六十二年度から平成七年度までの十年間の収支状況をお示ししてございます。  以上、簡単でございますが、事務事業に関して、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 ◯池田委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料を含めまして、都立高校改革推進計画の報告に対する質疑を行います。  発言を願います。 ◯黒須委員 私は、都立高校改革に対する教育委員会の基本姿勢というものをまずお伺いをしたいと思います。  まず、この問題が財政健全化計画の主要三十項目の中に取り入れられているということが一つの根拠にもなっているんだろうと思いますけれども、いうならばこの都立高校改革が財政面からのリストラの一環としてのと、こういうふうな受けとめ方をされている部分が多くあろうと思うんですね、特にマスコミがそういう報道をしておりますから、リストラがまず第一だと。そして、それを補完をするというか、あえて、いうならばつけ足すような形で新しいタイプの学校の設置が計画されている、こういうように受けとめられている、そのことによって都民の多くに不安が生じている、このことは間違いないんじゃないかというふうに私は思うんです。特に対象校になっている学校等では、当然のことながら関係者による反対署名というのが起きるわけですよ。特に一部の教職員の人たちもそういう運動を積極的にする、父兄に対しても、うちの学校がなくなってしまうんですよ、いいんですかと。当然のことながら、これはいいと思う人はいないわけです。また、一部の政党によってそういうことが宣伝をされる、こういう嫌いもあるんじゃないか、私は実はそういうふうに思っております。  そうではなくて、今の都立高校というものが、いうならば多様化している都民のニーズにこたえられているかどうか、そういう観点からまず都立高校の改革が必要なんだ、私はそう考えております。特に、昨日ですか、いただきましたけれども、中途退学者、これが年々ふえておりますし、昨年一年間で都立高校の退学者が五千四百三十人もあったと。これは、数においても、率においても一昨年を上回っている。一校当たり二十五・七人も一年間に退学をする、これは考えてみると異常なことですよ。こういうことから見ても、今の都立高校というものがニーズにこたえられているというふうには、私は疑問を呈さざるを得ないわけなんです。  今、高校へ進学する子供たちが、中学校卒業者のうち九六%。ですから、行きたいと思っている子供はほとんど行くわけですよ。しかし、学業が好きでないという子供さんたちもたくさんいるわけですよね。義務教育の段階でも、いわゆる学業が好きだとか嫌いだとか、そういう分かれ方というのが当然出てくるわけですから、学業が好きでないという子供さんもたくさんいるわけです。しかし、今の社会的な構造からいって、高校だけはやはり出ておかなければ──これは父兄もそうですし、それから本人もそうだと思うんですね。ですから、ある意味ではやむを得なく行く、しかしどうもついていけない、そういう人たちが多いわけですよね。  ですから、そういう面で、いろいろなニーズにこたえられるような新しいタイプの学校をつくっていく、そのことがまず最初にあるべきなんです。そして、同時に、生徒の減少期対策とか、そういう意味での適正配置というものを考えていく、このことをもっと明確にしていかなければいけないんじゃないか。私は率直にいって、教育委員会の対応というものは余り上手じゃない、ちょっと厳しいいい方ですけれども、こういうふうに申し上げたいというふうに思うんです。そこで、教育委員会の基本姿勢というものをまずお伺いをいたします。 ◯市川教育長 お話がございましたように、都立高校改革推進計画は、単に少子化に対応した高校の適正配置、そればかりではなくて、高校教育の質的な充実を図りますための今後の展望を明らかにした総合計画でございます。したがいまして、単なる都財政の財源論ということでないことも明らかでございます。  私どもといたしましては、計画に沿いまして、都立高校生がみずからの希望や適性などに合った教育を受け、その個性を豊かに伸ばすことができるよう、都立高校の改革に全力を挙げて取り組んでまいります。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 都立高校の改革につきましては、東京都教育委員会は、平成七年十二月の都立高校白書の発表以来取り組んでまいりました。改革に向けて、生徒の多様化への対応と少子化による生徒減少への対応を大きな柱として検討してまいりました。今回、都立高校長期構想懇談会の答申の趣旨を踏んまえまして、特色ある学校づくりの推進、開かれた学校づくりの推進、都立高校の規模と配置の適正化の推進、教育諸条件等の整備、その四つの柱を基本的方向とする都立高校改革推進計画を作成したものでございます。  ただいま黒須委員ご指摘のように、統合などの部分のみが財政論からくるリストラと受け取られている面がありますが、これは本意ではございません。この計画は、単なるリストラではなく、都民の期待にこたえるため、都立高校の抱える課題の解決を図り、今後の展望を明らかにする総合的な計画という性格を持つものでございます。今後、この計画を着実に実行していくことにより、都民に信頼される魅力ある都立高校を実現し、都民の皆様の期待にこたえてまいりたいと考えております。 ◯黒須委員 教育長が最初に決意をお述べいただきましたけれども、私はもう少し質問させていただいて、最後に、どういうふうに考えておられるのか決意をお伺いしたいというふうに思ったんですけれども、強い意志を持ってこの都立高校改革に取り組むということを理解できましたので、質問を次に移らせていただきたいと思います。  そこで、生徒が多様化をして、そして、いうならばその多様なニーズに対応できるような都立高校が求められている、これはもう再三申し上げていることでございますけれども、この多様なニーズに対応できるような都立高校というのは、どんなタイプの高校を設置しようとしているのか、具体的内容についてお聞かせいただきたいと思います。また、同時に、多摩地区におけるこの計画についてどんなものがあるのか、これもお聞かせいただきたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 生徒や都民の多様なニーズに対応するために、既設校における特色ある学校づくりとあわせて、新しいタイプの高校を設置する必要があると考えております。このため、今回の計画においては、都民のさまざまな期待や多様なニーズに対応するために、全日制の新しいタイプの高校として、総合学科高校、単位制高校、科学技術高校、中高一貫六年制学校、体育高校、第二国際高校、総合芸術高校を、合わせて十八校設置することを計画しております。また、このほかに、選択幅の拡大や弾力化により一層特色化を進める学校を二十一校設置する計画であります。  これらの新しいタイプの高校等については、適正配置の観点から、区部と多摩に、地域バランスを考慮して設置していく計画であります。具体的な設置場所は、今後既設校の統合や改編との関連で検討していくことになりますが、例えば総合学科高校につきましては、島しょを除く全学区に設置することを目指しております。また、第二国際高校については、地域バランスを考慮して、多摩地区へ設置を目指しているものであります。 ◯黒須委員 新しいタイプの高校をこれだけ考えていながら、ほとんど報道されていないわけですよね。私は、そのことを非常に残念に思います。あなたの学校がなくなりますよということだけ優先されて、そして報道されている。これはあえて、先ほどもいいましたけれども、PR不足、これは否めない、私はそう思っております。  また、特に多摩地区の設置については、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。なぜならば、リストラということを前提にこの新しいタイプの学校をつくるのではない、多様なニーズにこたえられるような新しいタイプの学校をつくるんだということがまず前提にあるならば、二十三区の方が子供さんが減少の度合いが高い、そして多摩地区は緩やかである、だから多摩地区にはつくらないんだ、まだこれから後になるんだといったら、やはり矛盾を生じてきますよね。そういう意味でも、私は、ぜひ積極的に多摩地区に設置をすることに取り組んでいただきたい、こういうふうに要望をいたします。  次に、都立高校における進学対策についてお伺いをしたいと思うんです。私は過去いろいろな機会に、進学も都民の都立高校に対する多様なニーズの一つであるはずだ、このことを明確にしてもらいたいということをいつもいってきました。さかのぼればもう三十年前後になるんですか、あの小尾通達ですね、あの通達以来、都立高校において進学というものが取り上げられる機会がなかったわけですよね。あえていうならば、タブー視されてきた。そのことによって、いうならば大学というものがあるんだから、当然のことながら高等学校教育の中に進学というのが必要であるにもかかわらず、それをタブー視してきた、避けてきた、そのために私立高校の、いうならば後塵を拝することになってきた、これは事実ですよね。そういうことから考えて、今回進学対策の充実というものを明確化したということは高く評価をしたい、私はそう思っております。そこで、この進学対策における基本的な考え方、具体的な方策というものをお伺いをしたいと思います。 ◯加島学務部長 今回の都立高校改革におきまして、都民の期待にこたえる学校という観点、また特色ある学校づくりの推進の観点から、生徒の進学希望を実現する教育を進める学校を、教育委員会と学校が連携して組織的に推進していきたいと考えております。そのために、各学校が生徒の特性や進学希望を踏まえた指導内容、方法の改善工夫を進めまして、生徒一人一人が個性や能力を生かして自己実現を図れるよう、進学対策の充実を図っていく必要がございます。  推進するための具体的な方策として、三つ考えております。第一には、学校で行う進学セミナーへの予算的対応や進学指導研究協議会の開催等により、進学対策に積極的に取り組む学校に対して支援していくということでございます。第二点は、進学を重視した単位制高校の設置や、進学対応の新しいタイプの工業高校である科学技術高校の設置、進学対応の商業高校の検討などを計画しております。第三点でございますが、都立の大学や短大との連携を進めるとともに、専門高校からの進学の道を開くために、推薦枠の拡大や専門高校卒業生選抜の拡充など、大学への働きかけを進めることを考えております。 ◯黒須委員 進学という問題については、これは高校生のニーズのすべてじゃないことはよく承知をしているわけです。ですけれども、今まで進学というものを、先ほどいいましたようにタブー視してきた、避けてきた、このことは基本的に間違いだった、私はそう思っています。多様なニーズという言葉をよく使われますけれども、そのニーズの一つに明らかに進学というものがあるんだということを明確に受けとめて対応していただきたい、そういうふうに思います。  それからもう一つ、これも私の持論なんですけれども、私は、全・定併置校の解消というものを今まで訴えてきました。これは、全日制と定時制の併置校ですね。もちろん、全・定併置校というのができた当初の社会環境というのはよく理解をしているんですけれども、今はもう全く様相が違ってきていますよね。今、定時制百四校ですか、一万四千四十六人、一校当たり百三十五人ということですね。当時は、お仕事をきちんと持って、そして、夜頑張って学びたい、こういうお子さんたちが、いうならば勤労少年というのが九六%だった、そういう数字がありますね。しかし、今、同じような、仕事を持って夜学びたい、学んでいるという生徒さんというのは一〇%前後ですよね。あるいは一〇%を切っているかもわかりません。フリーターをやっているとかアルバイトをやっているという人たちはもちろん昼間は時間があるわけですけれども、昔の状況とは著しく変わってきている、これは事実ですね。私は定時制の在校生にいろいろ聞いてみても、夜でなくてもいい、本当は昼間行きたいんだという子供たちが圧倒的に多いです、事実。  そういう中で、全・定併置校の、いうならばメリットというのはあるのか。昔は、子供さんがいっぱいいて学校が少なかったから、一つの学校を二回に分けて使った、そういうメリットはあると思うんですね。しかし、今はそのメリットというのはほとんどないですよ、実際に。もしあったら、お聞かせをいただきたいと思うんです。一つの学校を昼と夜使って、そして、実は五時になったら、昼間の生徒さんは夜のためにクラブ活動も切り上げなければいけない、図書館も上がらなければいけない、例えばクラブ活動で頑張っていても、夏なんか、まだ明るいにもかかわらずあけなければいけない、そういう面がありますよね。それから、昼間の学校はちゃんと制服を着てきちんとした子供さんが多いのに、夜は、働いている人たちが多いから、もちろん服装も違うし、率直にいって、同じ高校生というふうには全く考えられないような、そういう生徒さんが一つの学校にいるわけですよ。そういう点では、私はメリットというのは何もないと思います。あるのはデメリットだけだ、現状ではね。そういう点では、私は、もっと積極的に全・定併置校というものを解消して、それに対応できるような新しいタイプの学校をつくるべきだと思うんです。  私は、例えば山吹高校、あれもじっくり拝見してきました。いい学校ですよね。子供さんが非常に意欲を持って取り組んでいます。ああいう学校が、まさにニーズの一つだろうと思うんですね。これらにもっと積極的に取り組まないということは、私は実は不思議でしようがない、そう思っておりました。  そういう点で、積極的にこの全・定併置校というものを解消し、そして、その受け皿として昼間定時制、あるいはチャレンジスクールというのを今教育委員会で打ち出していますよね、あれもいいだろうと思いますね。そのチャレンジスクール、あるいは定時制の独立校というのを設置すべきだというふうに私は考えておりますけれども、これについて、教育委員会の考え方をお聞かせいただきたいと思います。  それから、これについてもやはり同じように、くどいようでありますけれども、多摩地区においてもぜひ設置をしていただきたい、私はこういうふうに考えておりますけれども、この点についてもあわせてお伺いします。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 ただいま黒須委員ご指摘のとおり、現在、定時制高校では勤労青少年は減少し、全日制を希望したが果たせなかった生徒、中途退学者、中学時代不登校であった生徒など、多様な生徒が学んでおります。夜間より昼間の時間帯に通学することを希望する生徒が多くおります。また、現在、ほとんどの定時制は全日制と併置されておりますが、生徒の登下校時間やクラブ活動などが制約されるので、課題があるというふうに考えております。  そこで、改革推進計画におきまして、定時制に通う生徒の多様なニーズに対応でき、また、弾力的な履修形態を可能にする昼間定時制の単位制高校やチャレンジスクールを、既設校の再編を進めながら、独立校として設置することとしました。このうち、昼間定時制の単位制高校は現在新宿山吹高校が設置されているところですが、地域のバランスを考慮して多摩地域に増設することとし、今後、設置場所を検討するなど具体化に努めてまいります。 ◯黒須委員 これはぜひ前向きに取り組んでいただいて、そして、昼間定時制あるいはチャレンジスクール、あるいは山吹高校も定時制ではありますけれども、通信制を併用すれば三年間で卒業できましたね、そういう学校をぜひ積極的に、前向きに取り組んでいただきたいなというふうに思っております。  総じて、今回のこの都立高校改革というのは、総論賛成ではあっても、各論になるとなかなか理解が得られないという性格のものですよね。ですから、そういう点でも、これは教育委員会がしっかりした意思を持って改革に取り組んでいただかなければ、なかなか成就できないんじゃないかというふうに私は思っています。それが多くの良識ある都民のニーズにこたえるものだ、私はそういうふうに確信を持っております。  特に、先日、都立高校に対する都民意識調査、出ましたよね。あれは、私が取り上げるたびに、教育長も渋い顔をされておられますけれども、実際に非常に残念なことに、都民の一般的な認識として、都立高校が私立高校に対してすぐれているという点は、男女共学と、それから学費が安い、この二点だけだ、こういう結果が出た。それがすべて事実であるとは私は思いませんけれども、多くの都民がそういう認識を持っておられるということを私は残念に思っておる一人です。  ですから、こういうことが続くと、一部に出ているように、何も義務教育じゃないんだから高校教育は私学に任せればいいじゃないか、その方が特色のある教育というのは進められるんだという、聞き方によっては暴論かもわからないけれども、そういう意見すら一部には出ているんですよね、都立高校不要論というのが。私はそうは思っていませんよ。私は、都立高校を少しでもいい学校にしてもらいたい、そして都民の多くの皆さんに支持されるような都立高校になってもらいたい、そういうふうに期待をしている者ですけれども、都立高校の存続をかけたこの改革だというふうに思っておりますから、そういう点で教育委員会の皆さんは強い認識を持って、そして取り組んでいただきたい、このことを強く要望して終わります。 ◯かち委員 私は、今回の都立高校改革推進計画が九月十一日に、大変な都民の批判のある中で強行されたわけですが、この推進計画が決定されるまでの過程について、経過についてちょっとお聞きしていきたいと思っております。今回の推進計画が決定されるまでの経緯と、実施計画における当該校の関係者への説明や合意をどのように図られたのか、お聞きします。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 改革推進計画決定までの手続でございますが、七月十五日に適正配置の実施計画を該当校の校長に示しました。その後、該当校の教職員、保護者、同窓会、あるいは職員団体、その他の団体と説明や話し合いの場を数多く持ちました。その上で計画を決定いたしました。七月に計画を明らかにして、九月に決定した理由でございますけれども、今回は、教育条件整備などを含む総合的な長期計画と適正配置の実施計画、そういうことをあわせて計画化をしたものでございます。 ◯かち委員 七月十五日に一般紙を通じて発表されたわけですけれども、この間九月十一日まで二カ月足らずの間に、数多くの説明、いろいろなところにやってきたとおっしゃっています。この期間というのは、私ども新しい第十五期議員改選もできていない、そして、学校ではまさに夏休み直前、そして八月いっぱいは夏休みという、そういう空間の虚をついて出されてきたようにも思えるんですね。  この間、私どもも、当該校の関係者の皆さんや学校関係者の皆さんからいろいろとお話や陳情を受けました。実際、教育委員会がどのようにその関係者にお話をされたかというようなことも聞いております。いろいろお話をしてきたということですけれども、電話一本で、七月十五日にこういう話があるけれども驚かないでくれと、これが関係者の皆さんへのお話をしたという教育委員会の数多くの数に入っているんじゃないですか。これで、どうして誠意を持って皆さんと対応されてきたといえるでしょうか。  この間、東京都の方にもいろいろと関係者、議会等から陳情や請願が来ていると思いますが、資料にもあるようですけれども、もう一度お伺いします。その実際をお聞きします。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 都立高校推進計画に対する要請、意見、署名の件数でございますけれども、七月十五日から十月一日までのものを資料につけさせていただきました。要請件数でございますけれども、都民が一件、区議会、区議会議長から二件来ております。あと、各団体から七十一件、計で七十四件でございます。意見ですが、都民から八件、各団体から九件、合計十七件でございます。トータルで九十一件出ております。 ◯かち委員 肝心なところを聞いていないですけれども、署名の数と、議会の方から出ているというところはどことどこでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 失礼いたしました。署名人数ですが、二十五件で十五万二百六十八人でございます。区議会からの要請でございますが、北区と板橋区から出ております。 ◯かち委員 大変な状況の中で突然計画の枠組みの変更を出し、ご理解いただきたいという説明を受けたわけで、教職員も生徒も、同窓生や父母、地域の皆さんも本当にびっくりしたと思うんです。こんなやり方は許せない、非民主的だという声が上がるのも当然だと思います。  日本共産党都議団も、九月十一日の教育委員会での拙速な決定はしないようにという旨を教育庁に申し入れましたけれども、また、同様の趣旨で、北区議会議長さんや板橋区議会からも意見書が上げられてきたわけですね。しかし、東京都の教育委員会は受け入れず、傍聴者も半分は締め出される、こういう状況の中で改革推進計画が強行決定されたわけです。こういう状況を認識されて、なお教育委員会としては、この推進計画が都民の合意を得た、都民の合意が図られたと判断するのでしょうか。そして、もしそうだとすれば、何をもってそう判断されているのか、お聞きします。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 東京都教育委員会は、平成七年の十二月の都立高校白書発表以来、これまで三年にわたって改革の準備を進め、その節目におきまして都民や都議会に公表し、ご意見をいただいてきたところでございます。長期構想懇談会の答申を受けて計画の検討に入ってからは、高校や中学校の校長及びPTA連合会、区市町村の教育委員会に説明し、意見を伺ってまいりました。さらに、全都立高校の校長と意見交換をするとともに、「広報東京都」を通じて広く都民の意見を募ってきたところでございます。これらを通じて寄せられた意見も参考にして検討を進め、七月十五日に適正配置の実施案を当該校の校長に示したものでございます。その後、約二カ月間ではありましたが、該当校の教職員、保護者、同窓会、あるいは職員団体、PTA連合、その他の団体等と数多くの説明や話し合いの場を持ち、その上で計画を決定したものでございます。 ◯かち委員 私は経過を聞いているのではなくて、今まさに署名が十五万集まっていて、今もなお、教育庁としては該当校の関係者の皆さんと話し合いも続けている段階だと思うんです。そういう中でも、合意の得られていない状況が多々あるわけですよね。そういうことを認識されながら、これは合意を得たから進めるんだ、そういう立場に立っているのかどうかをお聞きしているんです。お答えください。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 今回の実施計画は長期計画の一部を具体化したものでございまして、また、実施計画の内容につきましても、今後該当校の教職員の意見を聞きながら、さらに具体化していく部分があります。今後とも引き続き関係者の意見、ご要望を伺いながら、取り入れられるものは取り入れて、新しい学校の具体化を図っていきたいというふうに考えております。 ◯かち委員 今度の推進計画が決定されるまでの間には、都立高校の白書とか長期構想懇談会の手はずをとられてきたのは事実です。構想懇談会は、四名の公募委員を入れて、一年かけて論議を深めてきたところでありますが、この論議の中でも、いろいろ真っ向から食い違う意見も多々あったやに聞いております。二十二回委員会が開かれておりまして、この間ずっと一回も休まずに傍聴してきた方のお話も伺っております。この中では、学級規模はG7の国々では二十人が基本になっている、おくれている国の基準に合わせるのではなく国の改善の方向を示すべきだとか、意欲を選抜で判断するのでなく意欲を引き出す教育環境が大事だ、こういう基本的な意見から、まとめ方への批判まで出ていたわけですよね。  結局、一年間二十二回の審議の末、出された答申は、異例の座長談話が載っています。この談話の中には、改革の具体的実施に当たってはさまざまな形を工夫して、保護者、学校関係者、地域の意見などを幅広く聞く機会を持ち、関係者の理解のもとに施策を展開するように努めること、こういう座長の談話が載っているんです。今回の経過の中で、この談話の精神がどこに生かされているといえるのでしょうか。本来なら、九月十一日の決定前に、少なくとも保護者や学校関係者や地域の意見、とりわけこれから高校進学をする小中学生、小中学校の保護者や子供たちを含めた、こういう関係者の声を聞くべきではなかったのでしょうか。十一日の強引な決定をするなというその声を無視してこういうことをやってきたわけですから、そのことに対して教育庁としては何ら振り返る必要はない、そういう姿勢でおられるのでしょうか。 ◯市川教育長 今どういうふうに考えているかということでございますけれども、先ほど電話一本でというお話がございましたが、これは事実に反していることでございまして、校長に直接示しているわけでございますし、それから、先ほども担当部長が答弁いたしましたように、三年間かけていろいろな方面から意見を聞いてきたという実績、さらに、議会で再三にわたり、こういうことを今検討しています、懇談会の答申を得て、それでご説明を申し上げますといったような経過もございますわけでございます。  したがいまして、二カ月というお話がございましたし、それから夏休みというお話もございましたが、少なくとも教員は、その四十日の期間全部が夏休みであるわけはございません。したがいまして、私は、十全といういい方ができるかどうかは別にしても、話し合いをする時間はあったし、しかも、これからも話し合いをしていくということを申し上げているつもりでございます。 ◯かち委員 これからも説明をしていくつもりだというお答えですけれども、何回説明会を開いても、そこに集まった皆さんの理解と合意が得られなければ、それは形だけで、時間だけが過ぎていくものだと思うんです。  私は、十月十九日、日曜日、ちょうど羽田工業高校定時制の統廃合をめぐっての説明会があるというご案内をいただきましたので、参加をさせていただきました。そのときに私が感じたことですけれども、七月二十八日に第一回の説明会が行われ、今回で二回目とのことでした。ここでは、現役の生徒やOB会の皆さん、保護者会などの皆さんが百名ほど集まっていました。前回の説明会の話では、この羽田工業高校の問題は後でいいますけれども、特殊な状況もありまして、急に条件が変わったということもありまして、とても納得がいかない、ぜひ再考してほしいということを担当者に申し入れまして、担当者は上司に伝えるという約束をして、待っていたわけです。その間に多少の行き違いがあったかもしれませんが、関係者の皆さんは、九月十一日に決定される前に何らかの反応というか回答があるだろうということで待っていたのですが、結局話し合いは持たれずに、十月十九日になったわけです。  そこで出されたのは、私たちのこういう思いがどのように伝えられ、どのように検討されてこういう結果になったのか、そこをきちんと話してほしいということでした。担当者の方が説明をした中身は、皆さんからの要望を上には伝えた、この間いろいろな各方面の方とお話し合いもしてきました、その中には反対意見もありました、しかし総合的な判断をして、こういう統廃合する結果になったんだというお話でした。でも、これでは聞いている皆さんには何も理解できない、前から何も前進していないということではないでしょうか。総合的な判断とは一体どういうことなんでしょうか、お聞きします。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 今お話がありましたように、統合対象校の関係者の中にはまだご理解をいただいていないという方もおります。その方たちについては、今後も引き続き十分説明して、理解をいただくように努めてまいりたいというふうに思っております。  なお、決定前にいろいろ反対の署名だとか要請だとかご意見をいただいておりますが、それらのご意見につきましては、教育委員会で決定する際に、説明の際に委員さんにお渡しして説明をしまして、その上で決定したものというふうに考えております。 ◯かち委員 羽田工業高校の定時制については、この間三年間もかけていろいろ検討をしてきた結果、今回、この計画書によりますと、港工業全日制と工業定時制、鮫洲工業定時制と羽田高校、羽田工業高校、四つの定時制と一つの全日制を合わせた単位制の工業高校をつくるという計画で進んでいたようですけれども、当初は、現在ある羽田工業高校の土地にできるものというふうに皆さんは認識していたんです。東京都の方も、教育庁の方もそのように説明をしてこられたと思います。  その辺の経過についてお聞きしたいんですけれども、羽田工業高校、羽田高校、二つの、全日制の統廃合もそこに絡みましてちょっと複雑になるんですけれども、その全日制の統廃合との関係で、どういうふうに今日の結果になったのか、その辺の経過をお示しください。全日制の方は総合学科ということですけれども、それとの関係でお話しください。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 都教育委員会としましては、全日制をあわせて、両校の定時制を統合する方向で検討してきました。今回の都立高校の改革推進計画の策定に当たりまして、城南地域一帯の視野を広げ、港工業高校の移転改編に合わせて、定時制の適正規模及び適正配置を検討した結果、鮫洲工業高校、羽田高校、羽田工業高校から通える場所に四つの定時制を統合し、学校の規模を確保して、生徒の多様なニーズにこたえられるようにすることが適当であるというふうに判断したものでございます。 ◯かち委員 全日制の統合については報告書があるわけですね。第二総合学科高等学校基本計画委員会の報告書というのがあります。これはいつの時点で報告されたのでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 平成九年四月十八日でございます。 ◯かち委員 ことしの四月十八日に報告をされたと。この中をよく見ますと、ほとんどは全日制のことについてしか書いてないんですが、施設一覧という表がありまして、この表の中に、定時制関係施設という欄があります。この中には、職員室が一、教材室が一、生徒会室が一、厨房室が一、食堂が一というふうに、この新しい建物の中に定時制関係施設をはめ込むということが計画として進んでいて、少なくとも四月十八日の時点までは、教育委員会としてもそのつもりで、その認識の上でやってきたということですよね。確認します。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 当初総合学科高校を検討する際には、そういうことで、四月十八日の答申には確かにそういう施設が盛り込まれております。しかし、その後の都立高校改革推進計画策定に当たりまして、定時制課程と、それから工業高校の適正規模、適正配置を検討した結果、四つの工業高校を一緒に合わせてつくるという結論に達したものでございます。 ◯かち委員 その後のとおっしゃいますけれども、この推進計画は総合的に進めてきたものじゃないんですか。全日制の総合学科、大変すぐれた学校をつくるということですけれども、そういうことを進めていきながら、途中で、定時制については都合が悪くなったからこれを外すということでは、当該の皆さんはやはり納得しませんよ。しかも、四月十八日まではその方向であって、もうちょっといきますと、七月十一日の時点で教育庁の方から当該の学校関係者に連絡が行った、今回はこの総合学科の方には入らないんだという連絡が行ったということで、まさに、皆さんが知ったのは七月の十一日なんですよ。それで、どうして合意が得られるんですか。七月の十五日には一般的に発表されて、説明会が七月二十八日ですから、本当にその間はわずかですよ。何年もかけて検討してきた結果、たった一カ月足らずのうちに変わってしまうという、こういう受け入れる側の心情というか気持ちをお考えになったんでしょうか。本当に皆さんがやっていらっしゃることは机上での数合わせでしかない、極論をいえばそういうふうに私たちには見えるんです。  適正規模、適正配置を考え、工業系を四つまとめることにしたといいますけれども、第一学区は大変広い地域です。大田区内にあっても、羽田は本当に南の方の外れにあるんです。それを港区の工業高校と一緒にして、どうして港区に通っていた子供さんがあの外れまで通えるんでしょうか。定時制高校というのは、とりわけ通学時間が問題です。勤労青年というのは、通学時間はせめて三十分以内でやらなければなりません。そういうことからすると、もう少数は切り捨てるということをいわぬばかりのようにしか見えないんですよ。切り捨てるわけではない、財政問題先にあるわけではないというならば──私はいろいろな施策があっていいと思います。改革推進、少子化対策をどうするか、そういうことを検討し、施行していくのも必要だと思います。しかしながら、そういうことによって少数の子供たちが切り捨てられてしまう、そういうことは断じてあってはならないことだと思うんです。
     ですから、七月十一日に急遽変わって、七月二十八日の話し合い、それで十月十九日の話し合いで合意が得られていない、こういう皆さんに、どのように合意をかち取っていくつもりなのか。ただ努力しますだけでは納得できませんよ。きちんとお話しして、ここでどう説明されるのか、示してください。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 今回の適正配置の考え方でございますけれども、四校の工業高校を一つにまとめて学校規模を確保した上で、生徒の多様なニーズにこたえられるようにしてまいりたい、そのための統合という形で考えております。そういうことについて、学校がとにかくよくなるんだということをご理解をいただけるように説明をしてまいりたいというふうに考えております。 ◯かち委員 幾ら立派な学校をつくる──学校ができることはいいですけれども、そのために通学条件を悪化させるようなことは決してしないでください。  で、羽田工業高校の皆さんが、何度も同じ担当者の方からお話を聞いても納得いかない、合意できる努力をされるというならば、ぜひ責任者が来て、きちんと話を聞きたいんだとおっしゃっています。部長は、みずから出ていって説明会に臨む意思があるのでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 説明会の日程が合えば、ぜひ行って、ご理解を得るよう説明をしたいと考えております。 ◯かち委員 本当にこの計画を都民合意のもとで行うというならば、そういう努力をぜひしてください。  定時制高校の役割が変化をしてきた、そういうことは確かなことです。そして、今日的に定時制高校の果たす役割、教育的役割がいかに貴重なものかということも事実です。学校不適応やいじめ、挫折など、精神的に傷つき自信を失っている青少年が、少人数の定時制に通って、異年齢の人生経験豊かな大人やいろいろな困難を抱えたクラスメートとの交流の中で次第に自分を発見し、人間性を取り戻していく、こういうすばらしい経験や実践が行われていることは、教育委員会としてもよくご存じだと思います。なぜここではこういう教育実践ができると思うのでしょうか。  先ほど、中退の非常にふえているという問題がありました。全日制の方も定時制も、相当数の中退はあります。だから、多様化しているから、チャレンジだ、単位制だ、一概にそうはいえないんじゃないでしょうか。なぜ中退してしまうのか、なぜ学校の学力についていけない──学力についていけないというのが二十数%ありましたよね。今の高校教育が、すべての子供たちが基本的な学力を身につける状況に合っていないというのも事実ではないでしょうか。こういう子供たちを本当に救う場所、本当に自分を取り戻すオアシスになっているのが定時制だと思うんです。この定時制で本当に豊かな教育が行われているんだというご認識はありますか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 現在定時制高校に通う生徒の中には、競争や緊張感から離れて学びたいという生徒や、これまでの教育の中で自己の持てる力や適性を十分生かし切れずに中退だとか不登校になり、定時制に通うことになった生徒もいるというふうに考えております。これらの生徒の一人一人に対して、定時制ではゆっくりとした雰囲気の中できめ細かい指導をこれまで行ってまいりました。こうした定時制教育のよさは、今回統合によってつくります望ましい生徒規模を確保した上でのチャレンジスクールを、私どもとしてはその方策として考えております。 ◯かち委員 私は、こういう豊かな教育ができるのは、少人数だからこそ、先生の手が行き届いて、ゆっくりと対応できるからだと思うんです。チャレンジスクールという一見目新しい教育、それも私は否定するものではありませんけれども、いろいろなトラブルや困難や問題を抱えた子供たちが、四十人学級の中で本当にそういうことが実現できるだろうか、大きな危惧を抱いております。  私は、定時制高校の本当にすばらしい教育が行われているということを、この「わが青春の記録」という、東京都教育委員会で出している冊子からも学びました。この中には、本当に涙なくしては読めないという中身があります。この間この編集をされている先生ともお会いしたんですけれども、本当にそうおっしゃっていました。  ちょっとご紹介しますけれども、日比谷高校の三年生の方です。すべて僕が、本当の自分とは何か、僕にとって本当にやりたいものは何か、そういう思いがいつも心の片隅を離れず、常に自分の居場所を探し求めるようになったことに由来します。全日制高校での登校拒否、そして中退、その中で、何のために勉強するのか、何のために生きているのか、また、自己の価値観についてまでも悩んでいました。悩めば悩むほど、学校を休めば休むほど自分を追い詰めて、現状の生活から逃れたくなりました。そして、今、今までと違う環境、違う場所に出口を求めたのでした。この方は、フリースクールなどにも行ったけれども、そこも自分とは違うということで、結局、日比谷高校の定時制に編入しました。ここでは、印象に残ったことは、久しぶりに受けた授業がとても新鮮でおもしろく感じた。そして、生物や世界史や数学などの教科も、勉強していくうちに、自分で新しく発見していくこと、直接出会って考えていくということが本当の勉強、いや、学問というものなのかもしれないと思うようになった。定時制高校に行って、本当に自分を再発見したというふうに書かれているんです。  ほかにも、全日制を中退した人、いじめから定時制に来た人、また、いじめた側だった人たちが、こういう定時制に来て正常に育っていく、そういう内容が書かれています。ここには、教育委員会自身が、この記録の一つ一つは、多くの困難を抱えながらも、敢然と立ち向かって克服し、みずからの目標に向かって着実に進んでいくことの大切さ、すばらしさを私たちに教えてくれますと書いています。  こういう教育をつぶしてしまうことにならないのでしょうか。適正配置ということで、少数校、単学級校をつぶしてしまうということは、ここに求めている子たち、こういう学問を求めている子たちの教育権を剥奪してしまうことにならないのでしょうか。新しい再編をするならば、この定時制高校の少人数学校からの教訓をぜひ生かしていただきたいと思います。高校再編ということでどんなにハードメニューをそろえても、心の通う教育ができなければ、同じ失敗を繰り返すと思います。そのための最低条件が少人数のクラス編成です。定時制高校がそれを証明しているではありませんか。少子化を理由に学校を統廃合し、通学条件を悪化させ、学ぶ権利を剥奪するようなことがあってはなりません。とりわけ、勤労青年を対象にする定時制高校だからこそ、慎重に対処すべきです。  平成五年から七年にかけて、都立定時制高校の適正規模、適正配置計画を実施されましたね。この計画での学級減予定数と実際の実態はどうなったか、わかるでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 平成五年から七年度の定時制適正規模、適正配置計画でございますけれども、三年間で、募集停止した学校が九校九学級でございます。募集停止した学科が九校十学級でした。前回の計画は、平成七年度をもって終了しております。 ◯かち委員 ちょっと数のとり方が違うのかもしれませんが、当初の学級減予定数は、九十七ではなかったでしょうか。で、結果的には五十になったというふうに私は認識しているのですが、違うでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 当初の学級減の目標は九十七学級でございます。達成学級減数は、おっしゃるとおり、五十学級でございます。 ◯かち委員 結局、百学級近く減らそうと思ったけれども、結果的には三年間で半分しか減らせなかったと。これはどうしてそうなったのか。この結果について、教育委員会としてはどのように分析されているのでしょうか。 ◯加島学務部長 三カ年にわたりまして定時制の適正配置を行ってきたわけでございますが、新たに高校推進計画というものに取り組むことになりましたので、その中で改めて計画化しよう、こういうことで一時中止といいますか、中断したものでございます。 ◯かち委員 計画は三カ年で、三カ年ちゃんと数字としては出ているのですから、一時中断ではなかったんです、計画の結果が出たわけですから。その結果についてどのように分析しているんですか。それを途中でやめて、移行されたわけではないでしょう。 ◯加島学務部長 ことしの、平成九年度の定時制の入学者選抜状況を見てみますと、五千七百九十名の募集に対して三千五百十七名が入学したということでございまして、この間の五千七百九十と三千五百十七の間の開きが非常に多いということがございます。当時もそうした状況がございましたので、もっと充足率を高める必要があるのではないか、そしてまた、それぞれの単学級の学校についてはやはり学校の活力というものがなくなるのではないか、そういうような状況から、ああした適正配置計画を立てて、それを推進してきたわけでございます。ただ、その過程で多くの反対の意見が寄せられたことは事実でございますが、先ほど申し上げましたように新たに都立高校の改革計画に取り組む、そういうことがございましたので、一時中断したものでございます。 ◯かち委員 実際の数は大きな開きがあるから──であれば、もっと目標どおり学級数減はできたはずですけれども、それができなかったというのは、おっしゃるように、この間大きな運動がありました。二十三区でも十三区で反対意見書が上がっておりましたし、ほとんどの区で反対するという請願陳情が継続審議されている、そういう状況もありました。何よりも、できなかった原因というのは、そこには子供たちが通っている、通学時間、通学条件ですね、それが合わなくてつぶすことができないというのが現実ではないでしょうか。実際にはそういうことだと思うんです。机の上で幾ら数が合っても、実際にはうまくいかない問題点が十分出てくると思うんですよ。ですから、こういうことを教訓とするならば、一学区においての、一全日制、四定時制を一まとめにして単位制高校を起こすなどということは、およそ考えられないんじゃないかと思うんです。  一つ質問を途中で落としましたので、思い出しましたので、やりますけれども、羽田工業高校の、総合学科の方には入れないで、別の土地に持っていくんだというお話でしたよね。では別の土地はどこかという、そのどこかがまだ決まっていないという状況。決まっていないけれども、出ていくのは確かだよという、そういういい方も、関係者の皆さんには非常に受け入れられない状況だと思うんですよ。ですから、この計画そのものが、計画であって、まだ条例とかそういうことで決まったことではありませんから、計画というのは変更が可能だ、変更を伴うものだという前提でいいんですよね。  では、羽田工業高校の新しい土地は、今現在確定しているのかどうか、今後の見通しはどうか、この計画というのは今後どういう扱いになるのか、ちょっとお聞きします。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 大田地区単位制工業高校は、港工業高校の移転改編や羽田地区総合学科高校の設置計画との関係から、平成十六年度の開校を目標としております。この計画を着実に実施するため、基本的な方向性を明らかにする必要がありますので、設置場所は大田区内で、ご指摘のように特定できていませんが、実施計画に盛り込んだものでございます。都教育委員会としましては、一日も早く決定できるよう積極的に折衝を進め、決定すれば、直ちに学校関係者の方々に連絡いたしたいというふうに考えております。  なお、この推進計画の性格でございますけれども、この計画は私ども東京都教育委員会で決定した行政計画でございます。それぞれの予算あるいは学校の設置、廃止につきましては、条例で議会のご審議をいただくという形をとると思います。あくまでも、今回の計画は教育委員会で決定した行政計画でございます。 ◯かち委員 そのことはわかっていていっているんですけれども、要するに計画は計画である、計画は変更も伴うものであるという認識であるということを再度確認しておきます。ですから、当該者の皆さんに説明をされるときも、これは決定でもう動かせないんだというような断言をしないでいただきたいんです。だって、場所も決まっていないのに──もし場所が見つからなかったらどうなさるんですか。そういう中途半端な形で計画だけを押しつけるということは絶対にすべきではない、このことを申し上げておきます。  私は、北園高校にも行ってまいりました。第四学区において、北園、赤羽商業、池袋商業の定時制と城北高校の全・定が一つになって、チャレンジスクールになるという計画です。もし、この計画どおりにいけば──もう一つは、牛込商業高校夜間定時制が廃校になるということで、四区には商業高校が一つもなくなってしまうということになるんですよ。適正配置、適正規模とおっしゃいますけれども、一区に、今まであった商業とか工業、こういうものが全くなくなってしまう。ほかにもこういうことはあるのでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 第四学区の商業科につきましては、城北高校の跡に城北高校を改編してつくりますチャレンジスクールに、商業に関する科目が選択できるような学校にしたいというふうに考えております。 ◯かち委員 私が申し上げたのは、定時制の商業高校がなくなるということなんです。今度の城北高校の方にこの四つが入るということは、全日制で、午前中が二単位、午後二単位、夜一単位、五単位ですよね。今までの四つの商業、夜間の定時制がこの一単位の中にはめ込まれるということですか。それとも、それは夜間でもどこでもとれるということなんでしょうか。要するに、夜間でなければ学べないという子供たちの教育が本当に保障されるのかどうかということなんです。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 チャレンジスクールには夜間部もございます。 ◯かち委員 それはあいまいな返事として受けとめておきます。  改築十年に満たない北園高校です。まだ大変新しい立派な高校です。ここは本当に交通の利便性も高くて、今日の少子化の時代にあっても八クラス百三十二名の学生を維持する、本当にすぐれた教育をやっているなということをつくづく痛感してきました。その廃止は、近隣学区域の生徒たちの修学保障を損なうものであるというふうに板橋区議会からの意見書もいっております。  こういう高校がなぜ再編されなければならないのか。城北高校に統合されれば、三田線沿線の子供たちは通えなくなってしまうんです。幾ら数の上で適正配置だからということで、今やっているすぐれた教育をつぶしてまで、なぜやらなければいけないのか、そこが私は理解できないところです。計画は計画であっても、本当に具体的に検討したときに、本当にこれでいいのかどうか、その辺を再考するゆとりや余裕はないのでしょうか。持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 北園高校を含む四つの定時制を統合することによって、生徒数を確保して、生徒の多様なニーズにこたえられる活気あるチャレンジスクールを実現したいと思っております。  その中では、相談機能だとかガイダンス機能だとか少人数学習、そういうことを含めてゆとりある教育ができるというふうに思っております。 ◯かち委員 平行線のようですけれども、私は、やはり新しいものをつくるから、今あるいいものまで壊してしまう、そういうやり方をぜひ改めてほしいということを強く要望しておきます。  ことしの特別区文教委員長会の要望にも、まだ東京都の方には届いていないかもしれませんが、都立高校改革推進計画については児童生徒等の不安や混乱がないよう、当該学校関係者などと十分協議し、慎重に対応されたい、こういう内容が盛り込まれたと聞いております。この精神というのはあらゆるところでいわれていることですから、ここに謙虚に耳を傾け、姿勢を正していただきたいと思います。  最後に、計画は計画でも、具体的な検討の中では、やはりいろいろと改めなければならない問題も出てくると思うんです。現に第五区の忍岡高校と上野忍岡高校の統廃合の問題、これもOBの皆さんがすごく熱心に運動されておりました。私つくづく思うんですが、学校というのは、そこに箱があって、三年間子供たちが通り過ぎていくものでは決してない、歴史があるんだということを本当に感じたんです。そういうOBや地域の皆さんが支えてくれるから学校教育というものが成り立っているということを、教育委員会としてもしっかりと受けとめてほしいと思うんです。  もし、これを計画どおりどうしても進めようというならば、せめて誇りあるこの歴史、両高校とも忍岡という名前があるんだ、名前を残してほしい、こういう声だとか、教育は、改築、解体するといっても、子供たちは例年入ってくるわけです。そういう子供たちに犠牲を押しつけることはならないと思うんです。その工事期間中にかかわったり、学校が新しく生まれ変わってしまうところにかかった子供たちにも教育を継続する、教育を中断しないでほしい、この歴史を続けてほしいというのが皆さんの願いでした。そのためには、工事期間中もぜひ仮校舎等を借りて、その教育の継続を続けてほしいんだ、こういうことをおっしゃっていました。  これから具体的な問題にも入っていくとは思いますが、そういう点で、教育委員会としては本当に当該の皆さんの声に耳を傾けて、具体的なところで十分に対応していただきたいと思うんです。千歳と明正高校でもそうでした。やはり教育を中断しないでほしい、そういう声が出ております。こういう声について、教育委員会としてはどういう対応をされようとしているんでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 忍岡高校につきましては、これまでの説明や話し合いの中で、学校関係者から、新しい学校を実現するためのいろいろなご意見、ご要望を承っているところです。  こうした関係者の方々のご意見、ご要望につきましては、今後、新しい学校の具体化を図る中で検討してまいりたいというふうに考えております。 ◯かち委員 だから、皆さんの要望を受け入れて具体化をしていくということですよね。  そのことをもう一度確認しておきますが、本当にこういう改革計画を進めていくということは、大変大きな犠牲を伴うものでしょうか。しかし、学ぶ子供たちの教育条件や権利を奪ってまでやるものではないと思うんです。すぐれた教育は生かしつつ新しいものに転化していく、そういう視点に立って、ぜひこの改革推進計画を柔軟な、再考するという態度も含めて検討をしていただくことを強く求めて、私の質問を終わります。 ◯土持委員 今、東京都政は財政難で大変厳しい状況にあるわけであります。特に各局挙げていろんな課題に今挑戦をしているところだと思いますけれども、私は、この財政再建化計画の中に教育の問題がこのように提示されたことに非常に疑問を持っているわけであります。なぜかといいますと、教育の行政というのは本来、計画に基づいて子弟を育成をしていくという大切な機関でありますし、何かの東京都の変革によって教育がゆがめられるというか、違う方向に進むということは、これは遺憾なことだというふうに認識をしております。  この財政再建化計画、東京に住む私たちにとって大切な、これから挑戦をしなくちゃならない課題になるわけですけれども、その中に教育行政、特に統廃合の問題が入ってきたということについて、当初から予想していたかどうかということを、まずお伺いをしたいと思います。 ◯市川教育長 財政健全化計画に盛り込まれることを予想していたかというお話でございますが、実は、先ほど来、部長並びに担当部長からお答えしていますように、この計画を進める、あるいはこういった改革が必要だということを考えたのは実は三年前からでございまして、その延長から申しますと、その時点では当然、財政健全化計画に盛り込まれるということを考えて、あるいはそういうことをねらってやったわけではございません。 ◯土持委員 財政再建化計画と、それから高校教育の改革というのは別だという認識でよろしいですね。 ◯市川教育長 私、今、言葉足らずで失礼しましたが、全く別ではなくて、私どもは予算を要求する権限はございますが、予算を決定するのは知事の権限でございますので、そういう意味では財政健全化計画に盛られているということは事実でございます。 ◯土持委員 こういう計画、適正配置のときにも大変な論議を経まして、改革をするということはなかなか大変なことだと思うんですね。ましてや統廃合という、人の気持ちをどういうふうに本当に理解を得ていくかということになるわけで、これは当然、各区議会とか市議会でも意見書や、あるいは請願や陳情になりやすい、反対ができない、こういう課題を改革の中でも調整しようとしているわけですね。  その中でやはり大事なのは都民の合意ということ、この合意の範囲も大変難しいと思いますけれども、教育長は合意について、どの辺まできちっと対応すれば合意になったというふうに思われますか。 ◯市川教育長 合意がどの辺まで行き渡ればというご質問でございますが、大変難しいご質問でございます。ただ、いえますことは、関係する学校の関係者、つまり卒業生でありますとか、在校生でありますとか、それから生徒、保護者の皆さんが、その学校が存続してほしいということを願う気持ちは、これは心情的に十分理解できますし、あるいは伝統なり、先ほど、かち委員が校名の話をなさいましたけれども、そういうものも残してほしいということは、心情的にはもちろん私ども十分理解をいたします。  ただ、しかし、この改革は、先ほど来申し上げておりますように、将来にわたって東京都の高校をどうするかということでございまして、いってみれば、現にある高等学校も、皆さんの、在校生、関係者の母校でありますと同時に、都民の大きな財産であるわけですから、その財産を将来的にどういうふうに有効に使っていくか、教育的な意味で使っていくかということでございまして、その辺は十分お話し合いをして理解を求める必要があると思います。  つまり、心情については大変理解はできますけれども、それじゃ統廃合計画が進まないということでございまして、都民全般の財産という観点からも、あるいは高等学校が将来どうあるべきかということからも、そして五年先、十年先の生徒にどういう学校を用意したらいいのかというような点も十分説明して、大方それならばという線ができれば、それはご理解が得られたということだろうと思います。当然、今も申しましたようなことでございますので、全員一致、関係者全員が賛成するという事態というのは、これは極めて難しかろうというふうに認識しております。 ◯土持委員 改革を行うわけですから、当然、新しい高校改革のプランができ上がるわけですね。その統廃合される方、また、どうしてもそうせざるを得ない今の社会情勢で、少子化の中でやむを得ないという面があるわけですけれども、その方たちを含めて、卒業生も含めた中で、この改革がこういうふうに大切なものなんだということを、もっと都民に広く理解をしてもらうための努力が必要であったんじゃないかと思うんです。適正配置のときもそうでしたけれども、何となく理解が中途半端なままで実施しているような傾向にどうしてもなっているような感じがしてならないわけですね。何回かのいろんな改革の中で考えられるわけです。  今回のこの高校教育の改革についての都民の合意をいただくための具体的な行動というのは、教育庁としてどのようなことを行ったか、示していただきたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 教育委員会としましては、平成七年十二月に都立高校白書を発表して以来、三年間でいろいろ改革の準備を進めてきて、そのたびに都民や都議会に公表してご意見をいただいたんですが、そのほかに長期構想懇談会の答申を受けて検討をしていただきました。  それから、高校や中学校の校長先生、あるいはPTA連合会、区市町村の教育委員会に説明をいたしました。ご意見も伺ったところでございます。さらに、都立高校全校長に一人ずつお会いして、意見の交換もいたしました。それから、都のお知らせといいますか、「広報東京都」というのがございます。これを通じて広く都民のご意見も募ってきたところでございます。  それから七月十五日以降は、当該校の教職員、保護者、同窓会、あるいは職員団体とかPTA、そういう方々にも何回か説明をいたして、ご理解をいただくよう今努力しているところでございます。 ◯土持委員 この改革を行うときに、大変大きな改革の内容になっているわけですから、それなりに都民の皆さん、できるだけたくさんの皆さんに知っていただくということは非常に大事だと思うんですが、今、都民の方が実際にそうしたニュースを知ったりということは、やはりマスコミの力というのが非常に大きいと思うんですね。例えばテレビとかラジオとか、また新聞とか雑誌とか、いろいろあると思いますけれども、そういうマスメディアに対する積極的な姿勢は、いろいろやってきたと思いますけれども、具体的にどういうふうにされたか、お示しください。 ◯市川教育長 いわゆるマスメディアに対してどういうアプローチをしてきたかということでございますが、やはり今回の計画は財政の裏づけを伴うものでございまして、財務当局と調整が成り立つまではなかなか発表はできない。しかも、例えば発表の中にありますホームルーム定員を三十五人にするというような計画につきましては、大変いろんなところへの影響もあるわけでございまして、したがいまして、オーケーが出た時点で、あるいは、もうこれは発表してもひっくり返ることがないという時点まで待つというような、あるいは発表できないというようなこともございまして、難しい部分はございました。  しかしながら、お話しできることについては、努めて、私を初めとしてお話しできることは取材があればお答えを申し上げてきておりましたし、したがいまして、発表の当日につきましても、新聞各紙あるいはテレビ各社に放映していただいたというようなことでございます。  その後どうかということでございますが、ごく具体的な動きはそれぞれ計画が進むにつれて学校ごとの話になりますので、なかなか興味を持って取材をしていただけないというようなこともございます。 ◯土持委員 最初にマスコミのニュースは、三十校統廃合ありきから始まっているわけですよね。新しい改革をするという内容は本当に目につかない、そういう状況だと思うんですね、現実には。その部分なんですよ。新しくこういうふうに改革するんだという自信を持ってやるわけですから、そのことをいかにPRするかということは極めて大事だと思うんですけれども、どうですか、教育長。 ◯市川教育長 土持委員お話しの話は、七月十五日に最初に実施計画の部分が先に出て、それから計画全体、ただいま話したようなチャレンジスクールでございますとかホームルーム定員の話が後に出てきたので、そのタイムギャップがあったというようなことをご指摘だろうと思いますが、先ほどもご説明申し上げましたように、財務当局あるいは関係方面と制度的にも財政的にも裏づけをとるという必要があったために同時に発表できなかった、こういう状況がございました。 ◯土持委員 これは、これからもまた話し合いが続くというふうに部長もお話がありましたけれども、ぜひ改革を進める中で都民の合意を取りつける、また話し合いを進める中で、こういう改革ですばらしいんだということを、自信を持って、これからも教育長はみずから本当に都民の皆さんに話をしていかなくちゃならないんじゃないかというふうに思いますので、ぜひこれからご努力をいただきたいと思います。  それで、この財政再建化計画の中に出てまいりました統廃合の課題について一つだけ質問させてもらいたいんですが、財務局が発表したわけですけれども、その発表の内容を見て、知事あるいは財務局の方にどのような話を教育長としてされたか、確認をしたいと思います。 ◯市川教育長 知事部局あるいは知事にどういうお話をしたかということでございますが、私が申し上げましたのは、区部において十年後には子供の数が七五%程度、多摩地区においても八〇%程度になってしまう。これは子供の数の話でございますから、推計とはいえ、確実にそういうことが見込まれる。その場合に学校の数等が現在のままでいいのかということが一つと、それから、子供たちの学ぶ意欲、あるいは社会状況の変化に応じて子供たちの物の考え方、これはいろいろと変わってきております。  したがいまして、従前どおりの、いわゆる批判を受けています画一教育みたいなことだけで済むのかというような教育の内容の問題、それから施設整備の問題、この点を挙げまして教育改革の必要性ということを説明申し上げ、理解を得た次第でございます。 ◯土持委員 その教育の問題を施策の切り捨てというふうにとらえて私たち選挙をやってきたんですけれども、その施策の切り捨てについて、そういう見方をされたことについて、知事か、あるいは財務局の方に話をされたかどうかということなんです。 ◯市川教育長 はっきり申し上げて、そういう意味ではお話ししたことはございませんでした。 ◯土持委員 一年間で教職員が退職されるのは大体何人ぐらいで、補充はどのぐらいか。資料に書いてあるかと思いますけれども、それによって財政的にはどのぐらい、逼迫した都財政を支えることができるのか、示してください。 ◯押切人事部長 資料の二一ページにございますけれども、退職数は平成八年度四百二十一名、今後の推計としましては、九年度で三百七十三名、飛びまして平成十三年度で三百七十九名でございます。  九年度ベースで都立高校の職員の平均給与が九百七十万ぐらいでございますので、四百人前後掛ける一千万ということでございますので、私ども、はじいてございませんけれども、そういった計算になります。 ◯土持委員 財政再建化計画の中に組み込まれて、どうなるのかというのがぱっと出てこないんじゃ、しようがないじゃないですか。大体こういう計算なんか、当たり前のようにぱっと出てこなくちゃ。何のために質問しているかわからないじゃない。情けないと思いますね、本当に。そういうことが考えられて、やはり財務からいわれたわけでしょう。そうじゃないんですか。ほかにこの統廃合の要素があっていわれたんですか。財務局が計画をされたんですか。その辺がおわかりになりますか。 ◯市川教育長 先ほども土持委員にご答弁申し上げましたように、この計画をすること自体は三年前から構想がございまして、いろいろ準備を進めてまいりました。したがいまして、お話しのように、私どもとしては、こういうことをして統廃合をしたり、いろいろ見直しをする中で、新しいタイプの学校、こういう学校をつくっていきたいというような計画をそのたびごとにお話をしてきたわけでございまして、いってみれば、両々相まっていると申しますか、私どもと財務当局とのそういった話し合いの中で盛り込まれたものだというふうに私は承知をしております。 ◯土持委員 この改革というのは大変難しいし、また、ちょうど時が財政再建化計画の時期にも当たっているということもありまして、非常に都民の皆さんが混同しているというのが現実だと思うんですね。ですから、これからスタートするわけですけれども、ぜひ改革に、いいところはいい、悪いところは悪いんだということで、自信を持って進んでいただきたいと思います。  特に財政面で、今、一点お伺いしましたけれども、細かく聞いていきますと、大変厳しいところもあるわけです。実際には、こういう状況であっても、新しい生徒のために学校をつくろう、特色ある学校をつくろうということで、大変にまた費用がかかるわけです。それをまた理解いただかなくちゃいけないわけですから、本当に腹を決めて推進をしていかなければ、成就ができない改革ではないかと思います。ご期待をしておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 ◯寺山委員 三点質問をさせていただきたいと思いますが、まず初めに、東京都の学校教育というものを考えた上で、当然、公立の部分と、そして私学の、私立の部分というようなことがあるわけですけれども、今回の改革推進計画を策定する上で、公と私という公私の間の関係というのを一体どのようにお考えになっていらっしゃって、そして、今回の計画を策定する上でどのような協議がこれまで行われてきたのか、まずお伺いします。 ◯加島学務部長 現在、公立と私立の間には公私連絡協議会という組織がございます。ここで現在、生徒減少に対する──長期的に生徒が減少するわけでございますので、今後、生徒の受け入れ分担をどのようにしていくかという中長期にわたる話し合い、中長期計画に関する話し合いを行っているところでございます。これはまだ結論が出てないわけでございまして、今回、推進計画をまとめるに当たりましては、推進計画の将来の年度において、どんなふうに都立は生徒を受け入れるかという一定の推定をいたしました。その推定の根拠は、平成八年度に公私連絡協議会で就学計画を立てたわけでございますが、その就学計画の計画進学率と公私分担比率、これを使って将来の都立高校の生徒の受け入れを推定した、こういうことでございます。  また第二番目に、話し合いの経過ということでございますが、長期構想懇談会が開かれたときに、私学関係者が委員に参加しておりませんので、私どもの長期構想懇談会でございますが、そこに私学関係者の方がおいでになって意見陳述をされた、懇談会で意見のヒアリングを行ったというようなことがございます。  それからまた、この六月に、高校改革の計画を我々は策定中であるので、それに対して私学の方はどのような意見をお持ちですかということを問いかけました。これに対して私学の方からは、都立高校の統廃合について、約九十校が適当ではないだろうかというような意見書が提出されたところでございます。  その後、先ほど申し上げましたような、平成八年度の就学計画に沿った形で将来の受け入れを考えた都立高校の適正配置計画を、具体的な内容が決まりましたので、それを私学側に説明いたしました。そのときに、私学側からは、先ほど申し上げました、公私が中長期的就学計画について協議中であるので、今後、計画進学率や公私分担比率を変更した場合には、その適正配置計画も変更すべきだ、そのような意見があったところでございます。 ◯寺山委員 今、私学と公立の学校の関係の話をしているわけですけれども、この問題は、結局これからの都立高校の改革の計画のフレームの問題だし、あるいは最も足腰、土台というか、例えば私学とのこれまでずっと続けてきた進学計画率あるいは公私分担比率というものが変わってくるとすれば、この計画全体というものが、これはやはり必然的に変更されなければならないということになってくると思うんですが、それはいかがですか。 ◯加島学務部長 生徒減少期に対して、公私の間でどのように生徒を受け入れるかということにつきましては、公私連絡協議会の中で、六十年であったかというふうに思いますが、五六対四四で受け入れ分担をしようと。五六は都立側、四四が私学側ということでございます。  そういうことで、生徒減少期に対する受け入れ分担ということは一応決まっていたわけでございますが、その後、生徒の減少がさらに続く中で、私ども公立側も、また私学側も、もう少し改めて考え直して中長期の計画を決めたらどうか、こういうことで協議を行っているところでございますので、私どもとしては、一定の、先ほど申し上げたようなこれまでの公私連絡協議会の五六、四四の線を修正するような形、多少修正を行うというような提案を行っているところでございますので、今後の協議次第でございますけれども、大幅に変われば、現在の適正配置計画も変更の可能性はあるのではないか、こういうことでございます。 ◯寺山委員 今、部長がお話しいただきました昭和六十年度に合意した五六、四四というのがあるんですけれども、これは当然、昭和六十年ですから、昭和五十年代後半から既に少子化の傾向がわかっていて、どんどん生徒数が激減していくということがわかっていたわけですよね。昭和六十一年から昭和六十二年のときに若干生徒数が伸びたときがありましたけれども、それ以外の大まかな、これからの生徒の減少というのはわかっていた。  この昭和六十年のときの五六、四四というふうなものの合意事項というのは、何年先ぐらいまでを想定してつくっていたものですか。 ◯加島学務部長 本日の文教委員会資料の二六ページに、六十年十月三十一日の公私連絡協議会の協定文がございますが、そこには五六、四四を基本とするということが書いてございます。そのときに協議経過として何年先ぐらいまで見通したかということでございますけれども、ちょっと今、定かでない、そういうことでございます。 ◯寺山委員 定かではないということですので、定かではないんだろうと思います。(笑声)だから、結局、私が今質問した何年先までを大体見越してというのは、大まかには恐らくあったでしょうけれども、基本的な合意文書にそのことが明示されているわけでもないし、それはきちんと毎年これから協議をしていくというふうな形になっていますけれども、やはりこれはきちんと早急に、公私の受け入れの分担というのをこれからどうやっていかなければいけないのかというのは、緊急に解決していかなければいけない問題ですね。  先ほど部長もおっしゃいましたけれども、この計画の進学率、年々、若干ではありますけれども、だんだんと上がってきている。これを一〇〇%というようなことまできちんと計画を立ててやっていくということを、一〇〇%進学率というのを明示したような計画をつくった上で、その上でまた公私の分担をどうしていくのかということを含めて……。  というのは、私学の場合には、結局は生徒数がどんどん減っていく。平成八年度と平成二十二年度を指数で見た場合に、平成八年度を一〇〇とした場合には、平成二十二年度は七七ですよね。公立の中学校を卒業した生徒さんの数が、それぐらい減ってくるということがわかっているわけですから。  ですから、これからまず、将来にわたって公私の分担をどういうふうにしていくのかということを、やはり早急に検討していく必要があると思います。そのことが私学との間でもきちんと誠意を持って検討するというふうに書いてありますけれども、そのことをきちんとこれからやっていく決意を示していただきたいのですが、いかがでしょうか。 ◯加島学務部長 東京の高等学校教育は、公私が連携して現在まで来ている、そしてそれはお互いに切磋琢磨する、また協力をする、そうしたことによって東京の高校教育が活性化するんだ、こういうことがあろうかというふうに思います。  したがいまして、今後の受け入れ分担につきましても精力的に協議を続ける必要があろうかというふうに思っておりますが、現在の協議状況を見てみますと、今後の協議は非常に厳しい状況があるのではないか、このように認識しているところでございます。 ◯寺山委員 公私格差ということの是正を、私学の側からは毎年私どもにも要請がありますでしょうし、それから都教委の方にも当然そういった要請が毎年あると思います。これは、父母の方々の教育費の負担を見ても、全体としてやはり公立に比べて私立の学校に通わせていらっしゃる父母の方々の負担が二倍強になっているというふうな現実もあるわけで、これから生徒がどんどんと激減してくれば、当然私学の方としては、自分の学校の経営基盤をまさしく揺るがされるような事態になってくるわけですね。  これまでは協議をして切磋琢磨でよかったかもしれませんけれども、私学の側からすれば、これからはまさしく闘いの時代になっていくわけですね。公立と私立との闘い、私学の中での闘いというのがあるわけですから、再三いうようですけれども、今、学務部長の方から、これからの協議は厳しいということが予想されるというふうなこともおっしゃいましたけれども、やはり都立側から、今回の推進計画というのを誠意を持ってきちんと説明して、そして、都立高校が東京の教育を支えていく上での柱というふうな考え方だけではなくて、当然お持ちでしょうと思いますけれども、私立との誠意ある協議をきちんとやっていただきたいということをお願いをしておきたいというふうに思います。  続いて二番目の質問ですけれども、これまでの各委員の先生方からも質問が出ておりましたが、今回の改革の推進計画の中でも中途退学に対する対応策というものが盛り込まれています。その中で、スクールカウンセラーというものが出ていますけれども、これは文部省が予算をつけて既に実施している事業なんですが、これまでのスクールカウンセラー事業の概要と、スクールカウンセラーを配置した学校でどのような効果なり、そういったものがあらわれているのかを教えてください。
    ◯蛭田指導部長 文部省は、平成七年度からスクールカウンセラー活用調査研究委託事業を開始いたしました。都教育委員会は、文部省からの委託を受けまして、初年度の平成七年度は四校、平成八年度は二十二校、平成九年度は五十六校にスクールカウンセラーを配置いたしました。なお、高等学校につきましては、平成七年度は一校、平成八年度は五校、平成九年度は十校でございます。  成果といたしましては、スクールカウンセラーが生徒や保護者、教員との相談を行うことによりまして、いじめを受けていた子供が学級の友達と心を通わせられるようになったこと、保護者が登校拒否の我が子に余裕を持って対応できるようになったこと、また、教員が自信を持って学級の子供の指導に当たれるようになったことなどの事例が報告されてございます。 ◯寺山委員 これは日本経済新聞の記事ですけれども、三月に出たもので、これは高校の記事は出てないので──東京の八王子の中学でスクールカウンセラーを配置されて、スクールカウンセラー配置で学校が変わったというような内容が出ていまして、学校の中でのそういった生徒の皆さん方からの相談、それから父母の方、それから学校の教師の先生方も、やはりこのスクールカウンセラーの方々のところに行って実際に相談を受けて、そしてそれから問題解決の糸口を見つけていったというふうな例が非常にわかりやすく、よく書いてあるわけです。  このスクールカウンセラーをこれからこの計画の中でもどんどんと増配置をしていくということなんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、今現在は文部省の予算づけによって行っているということなんですが、今後、東京都が独自に予算づけをしていって、どんどんとこのスクールカウンセラーの制度というのを広げていくお覚悟があるのかどうか、いかがでしょうか。 ◯蛭田指導部長 いじめや問題行動、中途退学等の予防、解決に資するため、スクールカウンセラーの果たす役割は大きいものと考えております。このため、都といたしましても、スクールカウンセラーの拡充について検討してまいりたいと考えております。 ◯寺山委員 このスクールカウンセラーの制度をどんどんと広げてほしいということは、先ほどの新聞記事も紹介しましたけれども、学校の現場の先生方や、あるいは父母の方々からも随分やはり要望が高いというふうに聞いています。  しかし、スクールカウンセラーの資格というのが、臨床心理士の資格を持っているということが一番の要件であるということなんですけれども、この臨床心理士の資格をお持ちになっていらっしゃる方というのは非常に今まだ少ないですよね。また、当然、暇をして家にずっといらっしゃる方ばかりではなくて、さまざまな医療機関ですとか、あるいは民間の会社にお勤めになっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるわけです。  私、これからどんどんとこのスクールカウンセラーの需要が高まってくるにつれて、スクールカウンセラーは臨床心理士の資格を持っていなければいけないということだけではなくて、さまざまな能力あるいは経験というものを踏まえている方であれば、柔軟な対応をしてスクールカウンセラーをやっていただくというようなこともこれから必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。 ◯蛭田指導部長 現在、児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識経験を有する臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置しているところでございます。スクールカウンセラーは、教員による対応だけでは困難な生徒の事例や保護者の悩みについて援助したり、課題のある生徒の理解や対応の仕方を教員に助言したりして、多くの成果を上げているところです。このことは、臨床心理士が持つ高度な専門性によるものと考えております。  今後、人材の確保に当たりましては、スクールカウンセラーが備えるべき専門性や資格要件について、多面的に研究しながら進めてまいりたいと考えております。 ◯寺山委員 ぜひこのことを研究していただいて、これは東京都だけで決められることでは──現時点も文部省から予算づけをされているということでしたら、それは難しいかもしれませんけれども、ぜひこれからそういった意味での研究を推進をしていっていただきたいというふうに思います。  スクールカウンセラーの方々も一つの相談機能といっては、人ですので失礼かもしれませんけれども、さまざまな保護者の方の悩みとか、先ほどもいいましたが、生徒、それから先生方のお悩みというものを聞く相談役になっているわけですね。不登校とか、それから中途退学者対策の中で、これはもう本当に、表には出てこない中でたくさん悩んでいらっしゃる、あるいは悲しい思いをしていらっしゃる、自分のお子さんの将来について本当に憂いていらっしゃる保護者の方、たくさんいらっしゃると思います。  昨年の八月に、総合教育相談窓口を東京都は整理統合しました。これは、相談の窓口をできるだけ一本化をして、言葉は悪いかもしれませんけれども、相談する側が問題によって何カ所にもたらい回しをされるような、そういったことがないようにということもあったと思いますが、昨年八月に窓口を統合したことによって、この総合教育相談窓口、今現在どのような現状になっているのか、お答えください。 ◯蛭田指導部長 東京都総合教育相談室では、高校進級あるいは進路、就学相談等、多くの相談を受けておりますが、電話による相談が大幅に増加いたしまして、高校進級、進路、就学相談における開設後一年間の相談件数は八千七百五件でございました。これは、開設前一年間の一・三倍に当たります。  また、総合窓口を開設したことによりまして、相談者が抱える複数の課題への対応が可能になったこと、また、休日や夜間の電話受け付けによりまして、相談者の都合のよい時間に相談ができるようになったことなどが成果として上げられると思います。 ◯寺山委員 相談件数がふえて、それから、休日ですとか、そういったときの相談できる機会が広がったということで、相談がふえてきているということです。今回の計画の中で、この相談窓口の件にしても、スクールカウンセラーですとか、あるいはチャレンジスクールですとか、こういった問題をこれから重視してやっていくような方向性もありますけれども、ぜひ引き続きこういう相談窓口の充実、それから、先ほどご答弁いただきましたけれども、やはり広く都民の皆様や、あるいは保護者の皆様方からの意見も取り入れて、よりよくなるような相談体制を築いていっていただきたいというふうに思います。  それから、チャレンジスクールについてお伺いをしたいと思いますけれども、先ほど委員の先生からもお話がありましたけれども、定時制を統合していって、チャレンジスクールに持っていく上でさまざまな問題があるということは、私もそうだろうというふうに思います。先ほどからずっと議論がありますとおり、先ほど市川教育長もおっしゃいましたが、その学校の父母の方とかOBの方とか、あるいは、今現在その学校で勉強し、先生とともにその学校の歴史を一つ一つつくっていただく生徒さん方の気持ちも十分わかります。  きょうの新聞でもありましたけれども、しかし、中途退学の状況を見てみますと、残念ながら、定時制の中途退学という問題は改善されているようには、数字の上からではなかなか見受けられない。さまざまな意見があると思いますけれども、やはりこれまでの定時制というものから幅を広げ、それから、そこで勉強する生徒さんたちのいろいろな学習意欲を高めていく。それから、興味を持って学校に続けて通っていただけるような、そういった定時制の改革というのはやはり私は必要だろうというふうに思っています。  このチャレンジスクールがこうやって上がってくる前に、これは検討委員会を設けて協議をなさっていらっしゃっています。しかし、その検討委員会のメンバーを見ますと、各学校の校長先生、それから教育庁の幹部の皆さん方で計画をおまとめになっています。私は、それを否定するものでもありませんけれども、今、民間でもフリースクールですとか、そういった活動をたくさん広げてやっていらっしゃる方もいらっしゃいます。また、実際不登校、それから過去に不登校であった子供を持つ親御さんたち、そういった方々から意見を聞く場というのを積極的に設けていったらどうだ、よりよいチャレンジスクールをつくっていくために、それこそ本当に都民の皆さん方の声をより反映するべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 定時制に通う生徒の多様化、全日制における中途退学者の増加等への対応が課題となっております。今日、ご指摘のように、チャレンジスクールへのニーズや期待は極めて高いと受けとめております。実施計画に盛り込みました三つのチャレンジスクールにつきましては、その設置に当たり、統合することによる既設校の保護者を初め諸団体に対して、これまでも説明する場を設け、意見や要望を伺ってまいりました。近々、教育庁の担当職員と該当校の校長とで委員会を設置して、教育課程など具体的な検討に入ることとしておりますが、今後もさまざまな機会を利用して、生徒や保護者を初め、広く都民の方々から意見や要望を承り、取り入れてまいりたいというふうに考えております。  ただいまご提言のありました、現在、民間においてもさまざまな教育改革の試みがなされております。それらの経験もぜひ参考にして、都民の期待にこたえられるチャレンジスクールをつくってまいりたいというふうに考えております。 ◯寺山委員 チャレンジスクールは、恐らくさまざまな経験を持った、あるいはさまざまな考え方を持った、あるいはさまざまな生活をしていらっしゃる、そういった生徒さんたちがそこで勉学をなさり、そして人間性もそこで高めていくような場になると思うんですね。  今、定時制の統廃合の問題で、映画でもありましたけれども、仕事をしながら夜間の学校に通うという昔のパターンというものがだんだんと変わってきている。しかし、統廃合を反対して、自分の学校の伝統や歴史を守りたいという方々のお話を聞いていますと、これはやはり先生がお子さんと一緒に裸になって闘う、いろんな悩みとか、そういったものを持っていらっしゃるお子さん方と本当に、ある意味で心と心を通じ合って、そしてやっていらっしゃったということがあっただろうと思うんですね。その先生の質というか、そういう教師の方々も、これからそれがチャレンジスクールに移行していっても、必ずこれは問われていく問題だろうというふうに思います。チャレンジスクールに置くこれからの教師の方々の質というか、経験というか、そういったものをこれからどのように維持し、より高めていくようにお考えになっているのか、お答えください。 ◯押切人事部長 チャレンジスクールにつきましては、その設立目的や特色を十分生かした教職員の配置といったものが必要だというふうに考えております。  先生ご指摘のように、チャレンジスクールには多様な生徒が入学してくるものと考えられますので、生徒の学習指導のみならず、生活指導などにも意欲的な教員を配置したいというふうに考えております。また、専門的な特色ある講座も開設されると思われますので、豊かな経験とすぐれた識見や技術を持った社会人講師を活用していきたい、こんなふうにも考えております。 ◯寺山委員 そういった教師の方々の質の向上ということも、ぜひこれから検討していっていただきたいというふうに思います。  最後になりますが、今回の改革案の統廃合によって生じてくる、余剰になる学校とか施設のこれからの利用についてお伺いをしたいというふうに思います。  まず最初に、今回の改革推進計画によって生じてくる余剰の学校数と、それから教室の数というのはどれぐらいあるのか、教えてください。 ◯石井施設部長 今回の実施計画によりまして廃校となる、校舎として使用しない予定の学校数及び学級数でございますけれども、現在のところ、奥多摩町立氷川中学校の一部を借りております多摩高校の奥多摩分校、それから鮫洲工業高校、これは工業高専の校舎を借りておりますが、この二校を除きまして八校、校名は港工業高校、明正高校、代々木高校、永福高校、それから池袋商業高校、上野忍岡高校、墨田川高校堤校舎、深川商業高校、この八校の延べ二百二十五教室でございます。 ◯寺山委員 今、学校の教育施設を、さまざまな問題がある社会問題に有効利用していこうという動きが全国で進んでいるというのは、ご承知のとおりだろうというふうに思います。まさしく学校教育の場で使うものではあるんだけれども、それはやはり都民の財産であるし、納税者の平等な財産であるというような視点で広がってきているというふうに思いますが、学校教育の目的以外にこれを転用ですとか利用する場合に、国の法的な規制があるというふうにお伺いしているんですが、それは一体どのようなことでしょうか。 ◯石井施設部長 法的な制限とか指導等でございますが、具体的には、国の補助事業によって取得した施設につきましては法律がございまして、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、この法律によりまして財産の処分制限期間が定められております。したがいまして、その期間については、ほかへの転用ができないということでございまして、その財産処分制限期間を過ぎていない建物の目的以外への転用につきましては、原則として文部大臣の承認が必要になります。  なお、補助金を受けないで建築した建物については、このような制限はございません。 ◯寺山委員 これも新聞で、これはきのうですか、ありましたけれども、全国で教室が変身をしたということで、小中学校の統廃合が進んで再利用されたというのが記事に出たわけですけれども、例えば北海道では災害救助犬の訓練場にしたり、あるいは歴史体験展示場にしたり、青少年活動センターとして使ったり、あるいは文化プラザというのに使ったり、非常に多種多様な目的に教室というものが変更してきているというような現状が今あるわけですね。  今、東京都のこういった教育、学校施設に、さまざまなそういった施設を使いたいというふうな希望が寄せられているのではないかと思いますけれども、どのような希望が寄せられているでしょうか。 ◯石井施設部長 具体的に都教委にあてての施設の利用希望ということは、今のところございませんけれども、ただし、ご指摘のように、小中学校につきましては、従来ですと、原則として教育関係の施設に転用する、あるいは併設するというようなことでございましたけれども、最近では、教育以外の福祉についての、例えばデイサービスですとか、そういった形の、地域に即した福祉的な施設に活用するという例が多うございます。 ◯寺山委員 先ほど、今回の統廃合によって生じる学校で、港工業、それから代々木高校、それから永福、池袋商業が、今回、文部省の法的な制限を受けないでほかに転用できる可能性を持った学校であるということでありますので、今、福祉の分野に向けて学校の施設を利用するニーズがあるというようなことを今ご答弁されましたけれども、このことについては、東京都の全体の社会の問題を解決していく上でこれは貴重な財産になり得るものですので、先ほどいいましたほかの分野への転用ということも考えながら、ぜひこれからやっていっていただきたいというふうに思います。 ◯藤川委員 私が二点資料要求させていただいたんですが、今までの方にその二点の資料は利用されてしまって(笑声)役立てていただいたわけですが、そういう面では、私自身、説明するポイントがなくなってしまいましたので、そうなるであろうということを予想しまして、もう一つ違った観点から質問を用意しておりましたので、その質問をさせていただきたいと思います。  これは、私自身、かつて都立高校に在学して、都立高校の卒業生であるということ、それから、かつては多感な高校生であったということから、タイムスリップさせまして、その時点に帰って質問をさせていただきたいと思います。  と申しますのは、私が高校一年のときに、我々よりもはるかに精神年齢の高いクラスメートがおりまして、その男は我々が読んでいる本よりももっとレベルの高い本を読みこなしておりまして、クラスに来ると、おまえ、ああいう本を読んだか、こういう本を読んだかというふうに聞くわけです。おれはこういう本を読んだけれども、おまえはまだこういう本を読んでいないだろうと。そのときにいわれた本の一冊が、「星の王子さま」という本なんです。こういう本を読んだけれども、藤川、おまえ読んだかといったけれども、そんな本があるということすら知らないわけですから、もちろん読んでないわけです。いわれて、悔しいから読んだわけです。その時点では、高校一年の段階では、「星の王子さま」は、私は童話の域の中で読んだわけですけれども、それが最近になって、この本は大変な本である、単なる童話ではないんだというようなことがようやくわかってきたわけです。ですから、そういう意味で、私がこれからします質問は、高校一年のときに既に用意されていたんだということをいっても過言ではないのではないかと思うわけです。  その中で、星の王子様が何といっているかというと、大人っていうのはどういうものだということを定義しているわけですけれども、大人というのは数字で物を考えるやからであるというふうに定義しているわけです。数字で考える。そうです、今本当に我々は、ややもすると数字で物を考えるわけです。それからもう一つは、大人というのは、かつて自分が子供であったということを忘れてしまっている人たちだということもいっております。だから、そういう面で、今回の都立高校の改革推進計画というものは、やはりもう一度我々は高校時代の年齢にまでタイムスリップさせながら論議していく必要があるのではないかというのが、私の用意した質問なわけです。  前置きが長くなりましたが、質問させていただきます。  私は、人はだれでも、その人しか持っていない天賦の才能みたいなものを持って、価値ある存在として実存しているんだ、そういうふうに考えているわけです。その人にはその人なりの価値がある。私の小学校のときに、全く読み書きそろばんはだめだったけれども、駆けっこをさせると飛び抜けて速いという人がいました。彼は、年に一回、運動会だけで生きていたという形のものがあったわけですが、彼にはやはりすばらしい脚力があったわけです。  そういうことを考えると、人生というのは、そのようにして生まれながらにして持ってきている天賦の才能を、それが何であるかということを見出して、それを磨き続けるという、そして、より一層その存在が価値ある存在になるというところに価値があるんだというふうに私は考えているわけですけれども、今回の都立高校の改革推進計画に当たって、まず、教育長はこの辺のところはどのようにお考えであるかということをお聞きしたいと思います。 ◯市川教育長 教育の役割についてのお話だと思うわけでございますけれども、人間は生まれながらにして天賦の才能を持っているというお話につきましては、まことにそのとおりであろうというふうに思っております。  教育をある面から考えますと、その役割というものは、人間として必要な基礎基本を身につけさせるということと同時に、お話しの個性も見出して、みずからにふさわしい生き方を選択する。そして、それぞれが自己実現が図れるようにしていくというのが教育の役割であろうというふうに思っております。 ◯藤川委員 都立高校が何かおかしい、それから、都立高校が都立高校らしくなくなってしまったということがいわれ始め、私自身もそういうことを仄聞し始めたのは、五年や十年の年月じゃなくて、相当前からそういうことがいわれ始めたわけです。それは、ある面では、都立高校が今日の形に大きく改編されたというその時点からといっても過言ではないと思うんです。  私の母校の野球部で長いこと野球部の監督をしていた人が、おもしろいことをいい残して監督をやめたわけです。それは、こういうことはうちの野球部にはなかったんだけれども、最近、例えばノーアウト、ランナー一塁三塁でバッターが立っているときに、そのバッターがどういう打ち方をしたときに、その一塁と三塁の走者はどういうふうな判断をして動くべきかということを教えるというわけです。ところが、昔は、一回教えると、よくのみ込んでくれたんだけれども、最近は二回教えても三回教えても、すぐ忘れてしまって、そうはならないというわけですね。何か最近の母校の野球部の選手たちはおかしいということを、その監督がいい出したわけです。そうですか、それじゃ、ノーアウト、ランナー一塁三塁でピッチャーゴロを打ったときとか、レフトフライを打ったときとかなんとかいうときには、おのおのいろんな対応の仕方を教えるけれども、そういうふうなことをすぐ忘れちゃうんですかというと、すぐ忘れてしまうというわけです。  それは、先ほど教育長が土持さんの質問に対して、要するに子供たちの考え方や生活のあり方というのが随分変わってきているから、そういう面では、従来どおりの教育で対応していいのかということを疑問を持たれておられたようですが、私自身も、物すごく今の高校生のレベルの人たちというのは物の考え方が変わってきているんだ、そういうふうに思うわけです。  生文でもちょっとそのことについていいましたけれども、私の勉強会の中で、私は今の若い人たちは異邦人であると思っていたら、同じ勉強会にいたお母さんが、いや藤川さん、それは違うと。今の若い人たちは、我々から見ればエイリアンだというわけですね。それほど考え方が違ってきちゃっているというわけです。ですから、もしそうだとすると、今までの都立高校のあり方ということに関しても、やはりここで手直しをしなくてはいけないんだろうと思うわけです。  特に、先ほど大人とは数字で物を考える人であるというふうなことが「星の王子さま」の本に書かれているといいましたが、そのいい例が偏差値であると思うわけです。そういうわけで、これほど人間の存在に対して冒涜を加えている数字というのはないと思うわけですが、今日までの都立高校の教育は、そのような一人一人の持って生まれた天賦の才能、特性を伸ばしていたという自負を皆さんお持ちであるのかどうかということについて質問させていただきたいと思います。 ◯蛭田指導部長 現在、都立高校に入学しております生徒は、その能力、適性、興味、関心がますます多様化しているという現状にございます。そのため都教育委員会では、これまでそうした生徒の多様化に対応するために入学者選抜制度の改善を初めといたしまして、国際高校、単位制高校、総合学科高校等の新しいタイプの高校を設置するとともに、多様な学科やコース制の導入、特色ある選択科目の開設などを積極的に推進いたしまして、生徒一人一人の能力、適性等に応じた教育を進めてまいりました。  今後とも、そうした一人一人の生徒の多様化に対応した高等学校づくりを特色ある学校づくりとしてさらに進めてまいりたい、このように思っております。 ◯藤川委員 私は衛生労働経済委員会という委員会に入っていたことがあります。そのときに、二信組の問題で東京都が三百億出すか出さないかということで、その委員会で随分いろいろ論議がなされたことがあります。  そのときにつくづく感じたことは、これは極論かもしれませんけれども、日本がだめになるとしたら、いや、現にだめになりつつあるし、そういうおかしな状態にあるわけですが、もしそういう形がこれから突き進むとすれば、それはサラリーマンがそういう形をつくっていくんだろうと私は思っているし、そうであろうと思うわけです。大変失礼ないい方ですけれども、自分自身も含めて、私、十八年のサラリーマン経験がありますので、自分の反省も込めていっているんですが、それはどういうことかというと、自分がその衝にある、例えば担当課長であり、担当の主任であるというときに、自分の前に投げ出された問題を担当課長としてその衝に当たるときに、適当にやっておけば後は野となれ山となれという形で、もうどうでもいいんだと。だから、ここで都立高校の改革推進計画というものがもっともらしく出されたとしても、これが、そういう考え方から単なる文字の羅列であったら何にもならないわけです。だから、それを物すごく懸念しているわけです。  教育長は先ほど質問者に対する答弁で、東京都の大切な財産なんだ、これをこのままにして、現在の問題点をこのままで放置していいのかということを少しいっておられましたが、私も単なる言葉の羅列だけで終わらせるべきではないと思うんですが、この点について都教育委員会はどのような姿勢で取り組もうとしているのかということを、その決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。 ◯蛭田指導部長 今回の都立高校改革推進計画では、青年期という大切な、一回限りの時期を送る高校生にとってふさわしい高等学校をつくっていくという、そういう基調でつくっているわけでございます。  その際、先生ご指摘のように、一人一人のいわばライフスタイルとか学習スタイルというのが現在多様化しておりますので、こうした高校生に対応するための学校をつくっていくということが大切であると思っております。具体的には、一人一人の生徒の興味、関心等に応じて学ぶことができるような、多様で弾力的な教育課程を編成するとともに、生徒の進路希望や学習希望等に応じた教育を積極的に推進していきたいと考えております。 ◯藤川委員 今回の都立高校の改革推進計画は、先ほどからも論議されておりますように、単なる数字合わせではないんだ、一人の人間の大切な一生をおもんぱかっての、大切な若い人たちのための改革推進計画であるということを願ってやまないわけです。  そして、私は、これからの世の中はどんな世の中なのかなと思うんですが、この間の我々の都議会議員の選挙のときに、あの低い投票率を見たときに本当に残念だなと思ったわけです。それは、何か個性とか個人というものが、あるようで、決してなかったんだと。何か知らないけれども、何か一つのムードか大勢に動かされてしまって、ただ漠然と考えていたから、まじめに考えた人は数少なくて、結局四〇・七%だったですかね──ぐらいの低投票率であった。これは個人が育っていないんだと。要するに、いい意味でのインディビジュアリズムというようなものがまだ日本では育っていない、そういうふうに私は解釈したわけです。  だから、私は、これからの世の中は、大衆の中に個人を、別言すれば個性を埋没させてしまうのではなくて、多様性の中から個人及び個性を際立たせるようにすべきだ、私はそういうように考えているわけですが、この点に関してはいかがでしょうか。 ◯蛭田指導部長 今日の我が国は、国際化、情報化、高齢化等の社会の変化とともに、価値観の多様化が急速に進みつつございます。このような社会にあって、青年期の高校生が自分自身を見失うことなく、自分の生き方や考え方をしっかりと持った人間として育ってほしいという、そういう願いがございます。  このような考え方に立ちまして、東京都教育委員会の基本方針の一つとして、個性を生かす学校教育の充実を掲げてございます。児童生徒が生涯を通じて社会の変化に主体的に対応できるよう、基礎基本の徹底とともに、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現等の育成を重視して、一人一人の個性を生かす教育の充実を今後とも図っていきたい、このように考えております。 ◯藤川委員 私の対人関係、人間関係、また人生というふうに置きかえてもいいんですが──についての基本的な考え方があります。それは、たった一つの命をひっ提げてこの世の中に出てきた人、各人を、決してその存在を無視するようなことはできないんだと。まずその存在を認めて、それから、各人各様のそれぞれの存在価値を認めていって、そういう各人がひっ提げてこの世に生まれてきたその才能を伸ばしてあげたい、認めてから伸ばしてあげたい、そういう基本的な考え方を私は持っているんですが、東京都の教育方針というのは、まさにそこに力点が注がれるべきであると私は思いますが、最後に、この点についてもう一度確認させていただきたいと思います。 ◯蛭田指導部長 教育におきましては、一人一人が人間として互いにかけがえのない存在であることを認め合い、それぞれの個性や能力を伸長することが重要であると考えております。  東京都教育委員会は、今年度の教育目標におきまして、基本方針の第一に人権尊重教育の推進を掲げ、人権尊重を基盤とした相互理解と連帯感をはぐくむとともに、一人一人の生徒の成長発達と自己実現の達成を図る教育の推進に努めておるところでございます。 ◯藤川委員 最後にもう一点、違った質問をさせていただきます。  都立高校改革推進計画の第4章に書いてあります都立高校の「開かれた学校づくりの推進」というくだりがございますが、これについて、先ほど申しましたように、これが単なる言葉の羅列ではなくて、相当思いを入れた姿勢であるということをただしたいわけです。  というのは、私の経験から、いろいろと都立高校は現在開かれた状態にないというふうな理解をしているわけです。先ほど、かちさんが、学校が成り立っていくためには地域とOBとがしっかりと支えなければ、学校は成り立たないんだということをおっしゃいましたが、全くそのとおりだと思うわけです。それならば、地域だとかOBとかそういうような形で、現在の都立高校がいろいろな形で連絡を取り合い、都立高校の活性化という面において努力しているかということについては、私は考え方は否定的なわけです。そういう面で、単なる言葉の羅列ではなくて、具体的にどうしようとしているのかということを最後に質問させていただきます。 ◯加島学務部長 今回の改革におきましては、開かれた学校づくりの推進のために二つの方策を打ち出しているところでございます。  第一は、地域・社会に開かれた学校づくりでございます。また第二は、生徒に開かれた学校づくりでございますが、第一点の地域・社会に開かれた学校づくりについては、中学生の体験入学や中高間の連絡協議会の実施によりまして、中学校との交流、連携を深めること、授業の公開や学校評価に保護者や地域住民の外部評価も取り入れることによって、家庭や地域との連携を進めること、また、ボランティアについて必要な情報や実践例をまとめた手引を作成し、地域におけるボランティア活動を推進すること、施設など必要な条件を整備して、公開講座や学習、文化施設や体育施設の開放を一層進めることなどを考えているところでございます。  また、第二点の生徒に開かれた学校づくりでございますが、生徒の声を十分に聞くとともに、多様な学習要望に応じた科目の開設など、生徒にとって魅力ある教育課程を編成すること、学校間連携を進めるために、ガイドラインの作成やモデル校を設置すること、こうしたことで開かれた学校づくりを進めていくわけでございますが、このような開かれた学校づくりを進めるためには、施設の整備、予算の充実、社会人講師枠の拡大などの条件整備とともに、教職員の意識を変えていくことが必要でございます。そのために研修の一層の充実、必要な情報の提供などに努めてまいる、そのような考えでございます。 ◯藤川委員 最後に、まとめとして意見を申し上げたいと思います。  私は、十六、十七、十八を都立高校で過ごしてきて本当によかったなと思ったわけです。現在の自分の基本的な物の考え方は、この三年間で基礎づけられたといっても過言ではないと思うわけです。そして、本当にありとあらゆる分野でいろいろな友達、学友に会い、そして先輩後輩から──後輩からは突き上げられ、先輩からは押しつぶされ、そしてその中で生きてきたわけですが、その三年間において得たものは非常に多くのものがあった。そして、自分自身が身を置いた高等学校で得たものは非常に大きかったという、非常に自分はそういう満足感に浸っているわけです。  ですから、これからもし皆さんが高校改革の推進を計画されているのであれば、本当にこれからの高校生が、要するにあのときの改革というものは本当にすばらしかった、そのために我々は高校生活を今エンジョイしているんだという実感を持てるような、そういう責任感と自負を持ってこの推進計画に臨んでもらいたい、そのように最後に意見として申し上げまして、私の発言とさせていただきます。 ◯池田委員長 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。    午後三時五十五分休憩      ━━━━━━━━━━    午後四時十分開議 ◯池田委員長 休憩前に引き続き、委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  発言を願います。 ◯土屋委員 重複した質問が随分出てしまったので、その点については省いてご質問をさせていただきたいと思います。  統廃合案が七月の十五日に明らかになりまして、九月の十一日に決定をしたわけですけれども、さまざまな批判があるわけです。私の板橋の選挙区では北園高校がございますので、当然、父兄の方を含めて数多くの方々がこの問題について反対だと。幾つかの論拠があるんですけれども、その大きな論拠は実は知らなかった、こういう新しい高校ができることについては全く知らなかったと。ただ、それはどうかなという面が一つありまして、長期懇の答申なんかをよく読んでみますと、少なくとも新しい高校はできるということがしっかりと書いてありますので、ご父兄は知らなかったのかもしれませんけれども、教職員の方も含めてそういう新しい高校ができることについて、知らなかったというのはちょっとどうかなというのははっきりとさせていただきたいと思います。  ただ、一つ、やはり都教育庁の方も少し配慮が足りなかったなと思うのは、七月の十五日の段階で北園高校を統廃合して城北高校に新しいチャレンジ高校をつくるというお話があったわけですから、どなたか先ほど質問の中で触れてましたが、九月の十一日まで余りにも時間がなかった、何年間かけて立派な構想をつくって提示をされたわけですから、本来都民の皆さん、父兄の皆さんに周知徹底する時間は必要だったんじゃないか。何も統廃合することだけが今度の都立高校の学制改革の大きな主眼であったわけじゃないわけですから、やはり今都立高校の抱えている問題を、新しい高校に直すことによって、学制改革をすることによって、そうした問題を克服して、都民の東京都政に対する、教育庁に対する負託にこたえようというのがこれの大きな主眼だったと思うんですけれども、そこら辺はもう少し時間をかけていただきたかったというのが私の希望です。  その点について、チャレンジ高校について、本来、これは逆な話で、統廃合の話が先にあって、その後チャレンジ高校の内容について話しているようなんですね。ですから、本来はチャレンジ高校というのはこんな立派な高校なんだと、今都立高校の定時制の抱えている問題をチャレンジ高校を新設することによって、統廃合することによって、こんな解決方法があるんだというのを、本来は明示をした後で都立高校の統廃合というふうに、順序が逆だったんじゃないかなと思うんですが、その点についてご答弁をいただきたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 チャレンジスクールについてのお話でございますが、確かに一月の長期構想懇談会の答申に、自分にチャレンジする学校をということで設置する必要があるという方向で載っておりました。その後、教育庁の内部で、学校関係者の参加のもとに教育庁内に設置した検討委員会におきまして、その基本的な内容を検討して、七月上旬に報告書を取りまとめたんですけれども、その後のPRが教員にも行き届かなかったという点があろうかと思います。  今後、チャレンジスクールでは、新しい教育内容や指導方法を通じて、生徒が自分の進路への自覚を含め元気や意欲がわいてくるような教育を目指しております。定時制に学ぶ生徒の減少と多様化、全日制における中途退学者の増加に対応するため、早期に設置する必要があることから、三校を実施計画に盛り込んだものでございます。近々、この三つのチャレンジスクールにつきまして、教育庁内部で具体的にどう進めるんだという検討委員会、教育課程だとか、中身につきましていろいろ検討をしてまいりたいというふうに思っております。 ◯土屋委員 ぜひお聞きしたい問題が一つありまして、都立高校の現在抱えている問題というのは、立場によっていろいろあろうかと思うんですけれども、教育庁としては、都立高校が現在抱えている基本的な問題は何であるかという認識を持っていらっしゃるでしょうか。 ◯蛭田指導部長 社会が変化し、少子化や生徒の多様化が進む中で、それらに対応できるよう各学校の個性化、特色化を推進することが現在の最も大きな課題であると考えております。具体的には健全育成の推進を中心とする生活指導の充実、生徒の進路希望を実現するための学習指導や進路指導の充実を図るとともに、増加傾向にある中途退学問題に対応することが重要な課題であると考えております。 ◯土屋委員 全くそのとおりでありまして、私も、都立高校の抱えている問題というのは、生活指導が欠落をしている、教務指導が欠落をしている、それと同時に進学指導も欠落している、欠落しているところがたくさんあって、申しわけないと思うんですけれども、欠落をしている、そういう状況を克服するために、学制改革をして新しい高校をつくるというのはよくわかるんです。先ほどどなたか質問されまして、中途退学者が五千四百三十名もいるということなんですけれども、都立高校の中途退学者の中で、どのような理由で中途退学をしているかについてお聞かせをいただきたいと思います。 ◯蛭田指導部長 全日制課程の中途退学者の主な理由でございますが、進路変更が四八・〇%、学校生活、学業不適応が二八・七%、学業不振が一三・九%などとなっております。 ◯土屋委員 そうしますと、進路指導が、私もその資料を見させていただいているんですけれども、おおむね四三%から四六%あるということになると、教育に携わっている人にこれを聞いていただければわかるんですが、中学の進路指導の間違い、進路指導のミスがあったんじゃないかというのが一つ。もう一つは、都立高校に入った後に、自分が予想をしてなかったような教科内容だとか、学校の雰囲気だとか、そういうのを含めて現在の進学した学校に失望したという理由だと思うんですね。  この都立高校の問題といいますか、高校の問題を基本的に考えるには、中学の進学問題を考えていかなきゃいけない。今はちょうど十月ですから、これから早いところ、早いところというか本当は遅いんですけれども、熱心な先生は夏休み前にやっているはずですが、三者面談が始まって、そろそろ私立の高校の単願とか、単願確約なんか十二月にやるわけですけれども、大体二〇%がそれで決まってしまう。年を越すと、都立の推薦枠が大体二〇%あるわけですから、そこの指導が始まるということです。  偏差値というのはいろいろ議論があったんですけれども、確かに偏差値によって生徒を輪切りにしていたというのは事実なんですね。ただ、しかしながら、偏差値というのは、先生方の質の幅があるわけですけれども、その幅を埋めてたんじゃないか。指導力がない先生でも、少なくとも新教育が出していた、いわゆるマニュアルを見れば、ある程度の確率でその子供がどこの高校に一番進学ができやすいかということについて、最低限の指導ができてたわけですね。確かに偏差値によって生徒の輪切りはしてたんですけど、今のやり方ですと、ある中学の中で校内模試をして、そこで校内の偏差値をつくる。先生方も、ご案内のとおり、よっぼど能力のある先生方が集まって問題をつくらないと正確な偏差値分布表は出てこないわけです。今は偏差値の輪切りはなくなったけれども、昔はナイフですぱっと切ったんですね。ロールケーキを切ったようなものなんですけど、今はぎざぎざののこぎりかなんかでロールケーキを切っているような進学指導だと。そうなってくると当然、自分の入りたいような高校に行けない。そして、偏差値はまだ生きているわけですから、偏差値が低いといわれている、例えば三〇台後半、それから四〇台前半の子供たちというのは、おまえたちは都立に行け、もしくは定時制に行け、工業科に行け、商業科に行けという指導が厳然として中学の教育現場の中で行われているのは事実なんです。  先日、公立中学校の校長の皆さんがお見えになりまして、いろんな議論になりました。校長先生方は、その中で、いや、進学校を決めているのは父兄と子供たちだといううそをおっしゃってましたけれども、実はそうじゃない。お母さんやお父さんにそれだけの知識があれば別なんですが、そういうお子さんも実はいるんですけれども、大方のお父さんやお母さんはやっぱり学校の先生方によって、ここじゃないとなかなか受かりませんよ、おたくのお子さんだと、まあせいぜいこの程度でしょうという言葉を信じて子供さんたちを高校に進学をさせるわけです。高校進学で一番大切なのは、やはり希望を持って高校進学をすることであって、そして高校は入るのが目的ではなくて、卒業するのが目的です。そこでやはり進学指導に誤りがあれば、進路変更という形で四三%から四六%の子供たちが学校をやめてしまうということになるわけですから、当然公立の中学の側と、一度こういう問題について本当は協議をすべきだと思うんですね。  これはここ一、二年こういう傾向が出ているんではなくて、過去の資料を見ますと、かなり前からこうした傾向が出ているわけですから、東京都庁、教育庁としてはこの問題について、公立中学側と今まで協議をしたことがあるのかどうか。また、今後そのような協議をする意思があるのかどうかについてご答弁をいただきたいと思います。 ◯蛭田指導部長 まず、お尋ねの高等学校と中学校の両者の話し合いがされているかどうかという実態につきましてご報告いたしたいと思いますが、現状は、例えば各学区、区市単位の中高連絡会というのが年に二回から三回ございまして、中学校と高等学校との進路に関する情報交換をいたしております。また、中学校では各学校単位でそれぞれ体験入学などに参加をさせて、高等学校の実態を把握するというような努力をしたり、あるいは高等学校から進路説明のために来校していただいて、さまざまな情報を得ているというような実態がございます。  都教委の取り組みとしては、都立高等学校に関する情報として「きみの明日に」ということで、すべての中学校に冊子を配布しております。また、特に専門高校における進路指導の資料として「価値ある将来のために」というようなものも発行しているところでございます。  なお、ご質問のございました現在の高等学校の改革と中学校の、特に進路指導が連携しなければ真の高校改革ができないんではないかという点につきましても、大変重要なご指摘であると私ども考えておりまして、今後何らかの方策について検討してまいりたいと思っております。 ◯土屋委員 ありがとうございます。ぜひその点について、山の手の方の中学は、こういういい方はいいか悪いかわからないんですが、お父さん、お母さんとも高学歴だといわれているんですね。そうすると、例えばお母さんなんかも大学で教育心理学を習われて、ある意味では教職の免許証を持っているという方もいるんですけれども、私の選挙区の板橋、そういう方もいますけれども、板橋や葛飾については、別に悪口をいっているわけじゃないんです、これは事実だからはっきり申し上げるんですけれども、やはり中学の先生のいうがままになるわけですよね。
     実際、これは名前をいっちゃいかぬといわれるんで、僕はいわないようにしているんですけれども、ある中学のある先生なんかは、偏差値が四五ぐらいの女の子、もしくは四〇から四五くらいの子、そういう子の、共働き、もしくは母子家庭のお母さんが学校に何度も行かれますよね。そうしますと、そういうことについて、もううるさいから帰れといわれたお母さんも実はいるわけです。それで、例えば足立区のある中学校の先生方にお話を聞いてみると、偏差値がある程度安定している子から進路指導した方が楽だというのは当たり前でして、確かにそのご意見は当たり前なんです。  というのは、やはり私立のある──もう四月になると、各学習塾なりを回って、各中学を回って推薦をお願いしているわけですよね。そういう私立というのは、偏差値でいうと、偏差値が低いお子さんが欲しいということよりは、偏差値がある程度安定したお子さんを当然欲しいわけですから、そういうお子さんを優先的にご紹介をするということによって、その中学の、口座とよくいうんですけれども、口座がそこに開かれる。ある一定の人数は推薦入学が可能になるということになるわけです。ただ、そこまで学力が到達してないお子さんはたくさんいるわけですから、それは何も本人だけが悪いわけじゃないですね、教える側にも問題があるわけですから、そういう協議をすることによって、その子供たちが希望を持って高校に進学をして、そして入った高校で卒業まで行くというご努力をしてぜひともしていただきたいと思います。  それから、ちょっと質問を変えます。都立高校の現状というのは、僕は基本的にかなり悲観的だと思うんですね。何が悲観的かというと、教務の問題が実はあるんですけれども、それにも増して一番問題になるのは、生活指導ができてないということだと思うんです。これはさまざまな例を挙げればいいんですけれども、一番わかりやすいのがPHS、子供たちはピッチというんですけれども、これを例えば学校で禁止しているかどうか。いつだったか忘れたんですけれども、産経新聞が夕刊で「じゅくーる」というおもしろい連載をしていまして、その中に出ていたことなんですけれども、大方の私立はPHSを使っちゃいけないということになっているんですね。ただ、都立の方は任意に任せるというんですね。人権がはやりですから、さっきだれかが答弁してましたけれども、人権尊重と連帯感の学校をつくるんだって、僕は絶対難しいと思うんです。少なくともそういう学校をつくる以上、PHSも野放しなのかなと思うんです。少なくとも私が知っている限りでは、生活指導ができてない学校で教務指導ができている学校というのは、例外が一つありまして、これは麻布中学なんですね。麻布中学は茶髪であろうと、ピアスを鼻にしていようが、成績がよければいいという中学で、これ以外の中学や高校で、生活指導ができてないのに教務指導ができているところというのはまずないわけですね。  教育というのは基本的に強制を伴うわけですから、僕は、チャレンジスクールでどうやって教育するのかなと、後で具体的に質問をいたしますけれども、少なくとも基礎学力については強制を伴うわけですね。漢字の読み書きについて、理解をしていただくとか、人権尊重と連帯では、とてもじゃないですけれども、漢字は覚えられませんから、これは覚えてこいと、そして動詞の不規則変化表についても、あしたまでにこれは絶対に覚えてこいという強制がなければ、とてもじゃないですけれども、教育はできないわけですね。  ですから、生活指導というのは、その学校を示す指針だといわれているんです。ですから、例えば大手の学習塾でお母さんたちに進学相談会があると、これは必ずいうことなんですけれども、学校の参観日に行きなさい、二番目に、登下校の状態を見なさい、登下校の状態を見れば、その私立学校がどの程度生活指導に力を注いでいるかわかりますからという指導が必ずあるんですね。これは当たり前の話で、生活指導ができないところは教務指導もできない、ごく当たり前のことをいっているんです。都立高校ではPHSは野放しという状態なんですが、これについてご意見をお聞かせいただきたい。 ◯蛭田指導部長 携帯電話やポケベルにつきましては、近年急速に普及をしているわけですが、高等学校の生徒も、そうした機器を学校に持ち込んでいる現状がございます。そうした情報機器の利便性が逆に学校教育の中でマイナスの余波をもたらしていることも事実でございます。現在の都立高等学校の携帯電話等の扱いの指導でございますけれども、禁止をしている学校は一四・四%でございます。他の学校におきましては、授業等に支障を来すということが最近出ておりますので、こうした携帯電話等を授業中などで使用しないように指導を現在強めているところでございます。 ◯土屋委員 これはよっぽどしっかり指導していかないと、都民の税金でといういい方はよくないんですね、どなたかお話ししてましたけれども、今回の財政健全化計画の中で教育費に触れるというのは基本的には反対だと思うんです。ただ、少なくとも、これは戦後民主主義についても反省をしなきゃいけないところなんですが、権利と義務については表裏一体だということをきちっと教えることが絶対的な必要要件だと思うんですね。当然、教育費についてはやはり触れない。当然教育庁のいろいろ企画することについては、この議会で審議をして、教育費については、これからの日本を担う子供たちの費用だと思って、聖域ではないですけれども、そのくらいの決意でもって予算をつけていかなきゃいけないんですが、少なくともそこに学ぶ子供たちを、教えるのは子供たちだと思うんですね。  今ご答弁いただいたんですけれども、この前僕は教育長がおいでにならなかったんで発言しなかったんですが、援助交際の問題がありました。援助交際のときもそうなんですが、昭和六十三年のときに援助交際どうしようかといったときに、実は処罰規定を入れないかわりに、性的自己決定能力を入れたと。ところが、昭和六十三年から今日まで九年間の間に、生活文化局をおくとして、教育庁の方では、いわゆる「性教育の手引き」をちょっと配っただけで終わっているわけですね。それは九年間の間に社会は非常に混乱を起こして、こういう状態になった。その九年間の無策の中で、例えば覚せい剤に手を出して、やくざの情婦になっちゃったやつもいるかもしれないし、人生を狂わせたやつがいるかもしれないですね。  ですから、今みたいなご答弁、確かにPHSだけの問題ではなくて、私が住んでいる板橋の近くの高校を見ますと、茶髪は多いし、ロン毛は多いですよね。それからルーズソックスは多いですし、それから当然朝の登校時に、先生は入り口に立って、おおい、あと五分だぞ、一分だぞと、カウントダウンしてますよね。カウントダウンしていると普通は走るわけですけれども、走らないわけですね。関係ねえよと。夕方になれば、七時か八時ぐらいになると、彼らのいうところの、うんこ座りをしてたばこを吸っている。先生方は中で見ているわけですね。  先生方のご苦労というのは、私も随分わかるんですね。三楽病院という病院があって、そこの神経科に随分と、都立高校の先生を含めてノイローゼだとか、うつ病になっちゃった先生が通院している話も聞きますから、わかるんですけれども、そういうところをしっかりやらないと、いつまでたっても、新しい高校をつくって新しいカリキュラムで教育をしようとしたところで、生活指導できない。というのは悪い言葉でいえば、基本的な生活習慣というのは幼稚園から小学校の前半でつくわけですから、そういう子たちを集めて、幾ら個性だ、多様化だといったところで、もう収拾がつかなくなるんじゃないですか。  例えば、この前ある会合でこういうことをいった組合の方がいたんですね。百人いれば百人の教育をしてくれ、そんな教育なんか世界じゅうやっているところありゃしないですよ。冗談じゃないですよ。そんなものは個人が勝手にやればいいわけで、やはり公教育ということをよく考え直していただいて、東京都庁も、やはりだめなものはだめなんだと、組合があってもだめなものはだめなんだというはっきりとした意思表示をしていただいて、子供たちを育成するのは教育庁なんだというくらいの決意でやらないと──アンケートの調査を見てください。アンケートの調査で、私立学校と都立学校を選択する理由というのを見てください。私立学校は、生活指導、先ほど私がいった教育指導、進学指導ができている、これが上位に入っているはずなんです。翻って、都立高校というと、男女共学、学費が安い、地理的に至便だ、これなんですね。男女共学と地理的に至便と学費が安いというのは、高校の持つ絶対必要要件かと。学費の問題は確かにあるんですけれども、そのほかの二つは果たして本当にそうかなと。私なんか高校に行くのに、毎日一時間半から二時間かけて通っていたわけですから、そんなことは眼中になかったわけですね。自分の好きな高校に行くのが一番重要だったわけですから。ですから、やはり都立高校も、せっかく学制改革をやろうというわけですから、この際正すべきところは正して、はっきりいえば切るところはきちっと切って、都民の皆さんが安心してお子さんをお預けになれるような高校制度改革をやれば僕は大いに応援をしたいと思います。  その中で、卒業生のうちに無業者が随分いるという学校も実はあるんですね。無業者というのは、結局何もしない。大学進学もしないし、就職もしないということなんですが、これはどの程度いるものなんでしょうか。 ◯蛭田指導部長 平成九年三月の全日制課程の卒業者のうち無業者は七千八百六十人で、全体の一五・八%となっております。また、その内訳は、進学希望在家庭者が四八・五%、就職希望在家庭者が二七・六%などとなっております。 ◯土屋委員 無業者が多いから悪いというわけじゃないんですけれども、やはり三年間の教育の成果がそこに出ているわけですよね。ですから、何にもしない人たちをつくるのが教育の──つくるというとまた反発をする人たちがいるんだけれども、そういうのが目的でわざわざ公教育をやっているわけじゃないと思いますので、ぜひそれは再考していただきたい。  また、先ほどの中退の問題に戻るんですけれども、例えばある高校で定数が五百というところで百二十名も三年生になってから補充をしているような、補欠募集をしているような都立高校というのがあるわけなんですね。ですから、これについて質問しませんけれども、先ほどの問題、進路変更の問題とリンクして、中学ときちっと協議をしていただいた上で、高校の中の受け入れの問題をぜひとも考えていただきたいと思います。  それから、チャレンジ高校のことなんですけれども、いわゆる少人数指導をするんだということを随分うたっていると思うんですね。これも偏差値はいやだっていっても、今生きているわけですから、偏差値でいうと、例えば偏差値で都立高校の下位の部分というのは三〇から三二なんですね。内申でいうと、十六とか十七ぐらいになると思うんですけれども、その子供たちを受け入れて、これからチャレンジ高校という新しい高校の中で教育をしていかなきゃいけないということになりますと、三〇とか三二というのは、中学の学習領域のどの程度の部分を習得したというふうにお考えでしょうか。 ◯蛭田指導部長 一つの例で申し上げますと、分数の計算がわからなかったり、アルファベットが正確に書けなかったりするなど、基礎的な内容が十分身についていない、そういったような学習段階ではないかと思われます。 ◯土屋委員 そうしますと、小学校でもそういう例が随分あるんですよね。ゆとりの時間の導入とか、週休二日にすることによって、余裕のある時間が制限されますから──落ちこぼれという言葉は私はよくないと思うんですね。学習が到達してないという子供たちなんですけれども、それに対して中学で十分な補習をしていなかったと思うんです。ただ、そういう子供たちを、私は全入というのはおかしいと思っているんですけれども、都立側は、ともかく形だけの試験なんだけれども、試験して、受け入れているわけなんですね。そうしますと、受け入れた以上、私はその子供たちの将来と現在に対して責任があると思うんですね。私だったら絶対受け入れないですけれども、偏差値三〇から三二の子供たちを少人数指導するということになると、もうそれは個別指導しかないように思うんですけれども、どうでしょうか。 ◯蛭田指導部長 現在の都立高校におきましては、そうした基礎学力の十分でない生徒につきましても、例えば授業の中での習熟度別指導であるとか、あるいは放課後に特別な課題を与えまして補習を行ったりして、それぞれの生徒の学力実態に応じながら指導しているところでございます。 ◯土屋委員 そうしますと、この都立高校白書にも、生徒の実態に応じて教科書のほかに補助プリントを用意するなど、学習指導を工夫していますという結果が今の、ていたらくといっちゃ悪いんですけれども、こういう都立高校の状態なんですよね。先ほど補習といったんですけれども、これは組合の人も賛成してくれて、僕は教師というのは聖職者だと思ってますから、当然自分の教えていた子供の成績には責任を持たなきゃいけないと思いますよ。だから、居残り授業なんて当たり前のことだと僕は思っているんだけれども、実際今までそういう補助プリントだとか、おっしゃるような居残り、補習授業というのを具体的にどの程度行っているんですか。 ◯蛭田指導部長 現在、平成八年度の例でございますが、二百十四校中基礎学力等の補習を行っている学校が、普通科で百二十八校、専門学科で四十七校、総合学科で一校でございます。 ◯土屋委員 そうしますと、全部じゃないわけで、チャレンジ高校では、当然多様化した子供の個性に合わせると、百歩譲ってそれを認めるとしても、その中で補習授業がきちっと行われるわけですか。 ◯蛭田指導部長 基礎学力の補充というのは、入ってきている生徒がこれから高等学校の教育についていけるための前提となるものでございますので、チャレンジスクールにおきましても、もしこれからの高等学校教育についていく上の基礎が十分でない場合は、当然この基礎学力の定着のための補習指導は行われるものと考えております。 ◯土屋委員 そうしますと、これは再度確認なんですけれども、偏差値が三二ぐらいの子というのは本当に大変なんですね。まず高校の一年生の分野はほとんどわからない、習ってないんですから、わからないんですけれども。中学三年のところもほとんどわからない、中学一、二年生の基礎的なところが少しわかる程度ですから、教員の皆さんを含めて土日返上ぐらいでやらないと、補習を完璧にこなすというのは難しいというふうに理解しているんですが、それでよろしいんですか。 ◯蛭田指導部長 この基礎的な学力につきましては、指導の方法はさまざまでございますけれども、一番学力をつけるための方策として効果的と思われるものは、やはり本人が学んだ達成の意欲といいますか、できてよかったという、そういう意欲を引き出す指導が重要でございます。したがいまして、指導の時間や場所については、それぞれの学校の中で工夫が可能であると思っております。 ◯土屋委員 そうしますと、土日というのは極論なんだけれども、補助プリントを使って──私立でも随分あるわけですよ、具体的な名前はいわない方がいいとというからいわないんですけども、私立でもそれで成功している学校も随分あるわけですね。その私立の教科書を見ますと──教科書は使ってないわけですよ、補助プリントがほとんどで、先生方がつきっ切りでやっているわけですから、もしおっしゃるとおり、そのチャレンジ高校の中でそうした指導がしっかりとできれば、ただ相当教職員の皆さんに負担がかかる、僕は当たり前だと思います、先生をやっている以上。ですから、そういう方向で進んでいくんでしたら、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  それと、制度というのは制度でつくるわけですけれども、一番の問題は学校の質だと思うんですね。学校の質って何っていうと、いろいろLLの機械が入っていたり、映像のものが入っていたり、体育館がこうだとか、それと同時に教員の質だと思うんですね。いわゆる問題ある教員というのが随分いらっしゃるそうなんですけれども、これはどういうことなんですか。 ◯押切人事部長 問題のある教員についてのご質問ですが、ご質問の趣旨から想定しますと、精神疾患と、心身の障害や生徒への指導力不足などの理由によりまして、人事上何らかの配慮を要する教員ということではないかと考えられますけれども、こうした教員は都立高校の場合、平成九年六月現在で六十八人と把握しております。 ◯土屋委員 資料を見ますと、心身の故障が六十三名で、指導力の不足というのはよくわからないんですが、五人いるんですね。これは全然違うんじゃないかと私は思うんですよ。全然違うと思うんです、本当のことをいうと。実はきのう発行された本で「学校って、なんだろう」というのがある。これは産経新聞の夕刊の連載の記事を新潮社がまとめたやつなんですけれども、その中で先ほど私がお話ししたとおり、三楽病院の神経科に通っている先生方が随分多いというんですね。私は先ほどから随分お話をしているんですけれども、先生にもいい先生と悪い先生がいるわけですね。何がいい先生で何が悪い先生かって随分話があるんですけれども、お役人の人にもいいお役人とか悪いお役人、ここにいるのは皆さんいいお役人なんですけれども、議員の先生もここにいるのはみんないい議員ですけれども、中には悪い人もいる。わからないですけれども、大抵そうだと思っているんです。  そうすると、これは役所としては答えられないんですけれども、困難校というのがあるらしいんですね。そういうところに配置されると、たまらないらしいんですよ。それでノイローゼになっちゃうということらしいんです。ちょっとだけ時間をかしていただいて読ませていただくと、始業後しばらくして突然真っ赤な口紅を塗った女子生徒が器に盛られた焼きそばをほおばりながら教室に入ってきたのです。先生が、授業中だから食べるのはよせと注意すると、だって、腹が減っているんだから仕方ねえだろうといって、彼女はそのまま自分の席について残りを平らげていました。学校では、教師が二人一組になって校内の巡回を続ける。目的は三つある。一つは喫煙に注意、もう一つはトイレや廊下などに落ちているたばこの吸い殻や空き缶を拾うため、最後は、授業が始まっても教室に入らない生徒が多いと。始業の鐘が鳴っても、随分時間がたってトイレに行くと、女子生徒をデートに誘う男子生徒、空き教室には一人雑誌を読みふける男子生徒というんですね。これが教育困難校、どれだけ出ているかと思って半分読んだら、こんなに教育困難校の話が出ているんです。一説によると、都立高校のかなりの部分がこの教育困難校に近いというお話も聞くんですが、それについてはいかがですか。 ◯蛭田指導部長 ただいまの事例が都立高校において皆無であるということは、私も自信がありませんが、しかし、一方で、そうした生徒に対して、かなり現在の都立高校の教員が努力して指導に当たっているということはいえるものと考えております。 ◯土屋委員 そうしますと、チャレンジ高校で、多様化だとか、そういうものは一回捨てた方が僕はいいと思いますよ。というのは、戦後の民主主義というのはいい面もすごくあるんです、私も人から強制されたりするは好きじゃないから。ただ、自立を教えていかないと、いつまでもひ弱なところで──温室じゃないですから。産経新聞のこれにも書いてあるんだけれども、別にこれに書いてあるから正しいというわけじゃないんですが、社会に出たら、それぐらいのストレスや何だかんだ幾らでもあるわけですから。いつまでたっても、三十年たってもお母さん、お父さん、四十年たってもお父さん、お母さんなら別ですけども、社会に出たら、男の人も女の人も闘っていかなきゃいけないですから。  ですから、自立できるような教育を進めるべきだし、それから、援助交際のときにもお話をしたんですけれども、売春は悪いんだ、犯罪をしたら罰せられるんだというのは当たり前のことなんで、人権だとか、いろんな制約があって、なかなか都立高校側としてはそれについて本心をいえないということについてはよくわかるんですけれども、せっかくつくる都立高校、新しい高校ですから、やはりその点に配慮して……。  つまり、一つ理由があって、私立がこれだけ全盛ですよね。いわゆる公私の比率というのは幾つか、さっきお話ししたとおりあるんですけれども、中学からどんどん私立に入れちゃおうという親もいるわけです。早いところは、小学校から入れちゃおうという親がいるわけですね。ところが、やはり経済的な理由で都立高校を選ばなければいけないお子さんというのは実際いるわけですよ。それは、僕はよくいうんだけれども、その本人の責任じゃない、それはお父さんなりお母さんの責任、とはいわないけれども、経済的にもいわゆる支障があって、行けない子供だっている。でも、その子だって一生懸命勉強やって高校に入って、そして大学に入って、東大に行くか行かないかは別としても、一生懸命頑張れば都庁のお役人にもなれるわけですから、生まれた家の経済状況でその子供の一生が左右されるというのは僕は極めてよくないと思うんです。  そういう子供たちが都立高校を、僕は一生懸命頑張るんだと、今は中学はふざけた教師がいておもしろくないから勉強しなかったけど、都立高校行ったら頑張ってやるんだという子がいっぱいいますよ。そういう子が入っていったときに、授業中ふらふらしていて、授業を聞かない生徒を先生方が、いや人権だとか個人の多様性だとかいって認めてたら、本当に意欲のある人間がどんどん勉強しなくなっちゃう。それでやめていっちゃうというのも、四三%の中にあるんじゃないかと思うんです。はっきりいって、ここは自己責任というのを、教育の中でもはっきり打ち出す必要が絶対あると思いますので、ぜひともそういう方向で新しい都立高校をつくっていただきたいと思います。  最後に、進学重視型単位制高校というのを都立高校の方で──これは余り成績の悪い子ばっかり都立高校が引き受けて、優秀な子供たちが入ってこなくなっては困るという発想でつくられたんじゃないかなと思いますけども、これはどうして設置をするんでしょうか。 ◯加島学務部長 都立高校改革におきまして、都民の期待にこたえる学校という観点や、あるいは特色ある学校づくりの観点から、生徒の進学希望を実現する教育を進める学校をこれまで以上に推進していきたいというふうに考えております。  その中で、進学重視型の単位制高校として、生徒が自己の進学希望に合わせて必要な科目や講座等を選択することができるように、単位制の特性を生かした学校を設置することを考えているところでございます。この学校においては、第一に、学校としての組織的な進路指導体制の確立を図る中で、生徒の進学希望を実現する教育を推進すること、また第二に、この学校の設置の趣旨やねらいを実現するために、意欲やすぐれた指導力等を有する教員の配置を配慮をすること、第三に、この学校で学ぶことを希望する生徒のために入学者選抜において推薦入学の比率を高めることを検討する、このようなことを考えております。 ◯土屋委員 せっかくそういう高校もつくって、教育庁としては精いっぱいバラエティーに富んだ都立高校の編成というのをしようという意気込みはよくわかるんですけれども、しつこいようですけれども、今都立高校の持っているイメージというのは、正直今私がいったようなイメージ、これはお母さんたち、お父さんたちが、多少余裕があればどうしても、私立に上げたいなという気持ちから私立に集中するということからもおわかりいただけると思うんですけれども、ただ、一生懸命やっている子もいるんだということはぜひご理解をいただきたいと思います。  それと、一番最初の問題、今回の高校制度改革、都庁からすれば、三年間の審議を経て、七月の何日かに、こういう期間、夏休みがあったじゃないか、先生方も全部休みじゃなかったんじゃないかというお話にもなろうかと思うんですけれども、実際問題唐突に、北園高校という高校が板橋にあるわけです。いなば先生も同じ選挙区ですので──板橋にありますけれども、区議会でも意見書採択をされているわけですから、唐突に、伝統があって、なおかつ今生徒数も安定している高校を、ここは、おまえのところは統廃合だといわれても、納得しろというのがなかなか難しいと思うんですね。幾らいいチャレンジ高校でも、本当はこういう議論は前にすべきだと思うんです。限られた時間だけではなくて、円卓という形をとっているわけですから、この中で時間制限なしで議論するぐらいの教育庁の方の度量があっていいんじゃないか。結局、そういう手続を、どうしても言を左右にしてしまいますから、要らぬ誤解を受けることが随分あるんじゃないかなと思います。純粋に自分たちの母校を思って、北園高校の存続を願うお母さんたちの気持ちもありますので、その点については十分これからもしんしゃくしていただきたいと思います。それで、チャレンジ高校はこうあるんだ、これから東京都立高校はこうあるんだというお話も、なるべく広報などを通じてしていただければと思います。  ただ一つ、僕は最後にいいたいんですけれども、反対する人たちの気持ちはわかるんだけれども、子供たちを巻き込んだ形でこういう運動はやっていただきたくはないですね。やはり子供たちは判断能力が劣ってますから、この反対運動に子供たちを巻き込んだ形でやるというのは私は基本的に大反対です。  以上です。 ◯野村委員 大分長時間にわたりましたので、皆さんもお疲れかと思いますが、お願いいたします。  私は、今回教育委員会が発表いたしました都立高校の改革推進計画というこの計画が、当初、財政健全化計画実施案に都立高校の適正配置、こういう名前で載せられたと。都が財政危機だから、あすの日本を担う子供たちの教育を削ろうとする、このやり方を絶対に許すことはできないという立場で質問させていただきたいと思います。  そしてまた、今教育の分野で何を、どういう教育改革をなすべきか、そういうこともお尋ねしながら進めていきたいと思います。  まず、押さえたいのは、我が国の教育は、基本は憲法、教育基本法に基づいて行われなければならない、行われている、こういうことを押さえていきたいと思います。憲法では二十六条に「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」。第二項に「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」、そして「義務教育は、これを無償とする。」というのが加わっておりますが、こういう規定のもとで進められておりますし、また、さらにその憲法をもとにつくられました教育基本法では、第一条の教育の目的で、「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。」というふうに書かれているわけです。そのもとにあります、今度は学校教育法、第四章が高等学校の項目になっておりますが、ここをちょっと、四十一条と四十二条をご紹介いただきたいと思います。 ◯蛭田指導部長 第四十一条「高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。」。第四十二条「高等学校における教育については、前条の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。一 中学校における教育の成果をさらに発展拡充させて、国家及び社会の有為な形成者として必要な資質を養うこと。二 社会において果たさなければならない使命の自覚に基き、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な技能に習熟させること。三 社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、個性の確立に努めること。」。 ◯野村委員 ありがとうございました。  まさに、ここに据えた高等学校でなければならないということなわけですが、現在の教育、きょうもこれまでの審議の中で、さまざまな教育の実態やら、見方がいろいろでございますが、出されていたと思います。しかし、この中で私は特に憲法の規定で、ひとしく教育を受ける権利、教育機会均等、こういう立場でちょっと考えてみたいと思います。  特に、今子供たちが置かれている現状というのは大変深刻だと思うんですね。いじめの問題あり、不登校の問題、この間審判が出されました神戸の中学生の事件、こういう状況の中で、東京では中学卒業生が、一番多いとき十五万人台だった子供たちが七万人台にこれから減っていく──今九万人台ですか、こういうときに、これらの今押さえました憲法や教育基本法、学校教育法の立場にのっとれば、本当に一人一人の子供たちに主権者としてしっかりした力をつけさせるためには、希望者を高校にみんな入れて教育を進めるということが数的に可能な時期になっている、これはさまざまないい方でいわれておりますが、そういう時点に到達をしていると思うんですね。ところが、相変わらず受験戦争が大変深刻でありまして、高校入試の重圧が子供たちの上に大変のしかかって、人間形成にさえゆがみをもたらしているというふうにいえると思うんです。  ご紹介したいのは、都教組の分会のアンケート調査で、先生方が子供たちの状況をあらわしていることなんですが、今の選抜方法は単独選抜になって、二次募集の倍率が非常に高くなった。私立の推薦合格の決定と都立の一般合格決定の間が一カ月もあるような状況になってきて、早く決定した子供は、自重していても何となく気持ちがわくわくふわふわする。都立一本勝負で未決定の子供は、自分が取り残されたような焦燥感を持っている。繊細な感受性の子は拒食症になって入院した、そういう子もあるというケースも出されていますし、合格の可能性が少ないと感じた子供では、周りの環境の変化を感じて不登校になってしまった、こういう子もあった、こういうことも書かれておりました。また、授業中、これも本当に大変だと思うんですが、自分の手の甲にシャープペンを押しつけましたり、急に大声を出すなど、まさにストレス症状が学校の中でも見られる、こういうことが書かれております。このように子供たちが高校入試の重圧を受けているというこの実態、これについて教育庁ではどうお感じになるか、ご答弁をお願いしたいと思います。 ◯蛭田指導部長 現在、中学生が高等学校の入学者選抜を強く意識しているということは事実でございます。私どもも中学校の三年間の生活が安らかに、そして精いっぱい学ぶことができるようにということで、選抜の実施時期をできるだけ後ろに持ってくるよう、公私協調して努力をしているところですが、残念ながら、平成十年度につきましていいますと、一月十六日に私学の推薦が開始され、そして都立は二十六日から推薦を受け付ける。そして一次の学力検査が私学は二月十日、都立が二十日と、こういうことで四回にわたりまして選抜の関門をくぐるということが心理的な不安をもたらす例もあるというふうには思っておりますが、できるだけ今後とも公私協調して選抜の実施時期を後ろに持ってくるよう努力したいと思っております。 ◯野村委員 いろいろな努力をとおっしゃいますけれども、この選抜の方法がさまざまに工夫されて、いろいろと変遷がございましたよね。今こういう中で推薦というのが都立の中にも入ってきて、推薦がどうのということではありませんけれども、ますます複雑化して、子供たちは推薦で受けて落ちてしまえば、一般で受けれるものを推薦で受けたいということで受けて、挫折感を持ってまた一般募集を受けてという、そういうような非常に厳しい状態に、不安な状態に置かれているということで、この問題は、本当に入学試験という問題を考えていかなければならないというふうに思うわけです。ですから、こうした状況の中で、もうここまで来ているのだから、準義務教育化している高校教育は、希望者全員入学を実施すべきだ、こういう声が父母や教職員だけじゃなくて、各方面から上がっている、これは当然ではないかと思います。  そして、その一つの声ですけれども、全日本中学校長会が、「新しい時代に対応する中学校教育」というものを出しまして、その第III章に、「個を生かす高等学校入学者選抜」という項を起こしておられますが、ご存じですよね。そういう報告書というか、校長会自身が、公的に校長会のですよと認定したわけではないというふうにいっていらっしゃるようですが、そういう文書が出されていること自身はご存じですよね。いかがでしょうか。 ◯加島学務部長 そのような資料があるということは存じております。 ◯野村委員 公的に出されているものじゃないということで、ご遠慮いただいたと思いますが、この中身を私も読ませていただきました。この中には、全体として入学者選抜の立場は、やっぱり中学浪人を出さないということで取り組みを提起しているわけですけれども、一つは、一学区一校で、学区内の中学卒業生の高校入学希望者を全員入学させる、各高校に多様な講座、コースをつくって自由にそれを選択できるようにする、こういう提起をしています。もう一つは、一学区複数の中学区制にして、学区内の中学卒業生の高校入学希望者を全員入学させる、こういうことなんですね。この中では、それだけではなくて、学級規模の縮小、四十人学級よりもっと小さくするということも提起をしていらっしゃいます。  私はこれを読みまして、本当に長年現場で子供たちと一緒に入試の問題で苦しんでこられた校長先生方だからこそ、こういうことをいわしてくれというか、いわざるを得ないというか、そういう思いでこういう提案をなさったのだと思いました。  もう一つは、広島県でこの数年間にわたって進学率を高めているという実績を持っていらっしゃると聞きましたが、それをちょっとご紹介ください。 ◯加島学務部長 広島県教育委員会が平成七年八月に広島県高等学校中長期ビジョンというものを作成いたしました。その中に、今ご質問のご趣旨だと思いますが、高等学校教育を受ける機会の確保というのがございまして、高等学校への進学を希望するすべての生徒の進学を保障するという観点に立って、高等学校教育を受ける機会の確保に努める必要がある、こうした一文がございます。 ◯野村委員 そして、そういう立場に立って、進学率を実際に高めてきているという進学率のデータ、お持ちですよね。それをお願いしたいんです。 ◯加島学務部長 今手元に資料が九年度分まであるわけですが、七年の八月にこのビジョンができておりますので、七年度、八年度、九年度あたりを申し上げたいと思います。全日制の進学率でございますが、平成七年度が九六・五%、平成八年度が九六・八%、九年度が九七・〇%、そのようなことでございます。 ◯野村委員 だんだん高めて、確かに東京より高いんですね。九年度、私、電話で伺ったところ、九九・七%というふうに伺ったので、九七%もすごいですが、九九・というのはすごいなと思ったんです。こういう形で、田舎といっては悪いですが、地方の県でこういう形で高校の入学率を高めて、入りたい子はみんな入れる、この九七%、ここまで高まってきますと、もう入試は要らなくなるというふうにこの方々はいっておられるんですね。その中で、この進学率を高めてこられたその当時の教育長でいらっしゃいました寺脇研さんという方が本を出されました。文部省高等教育局の医学教育課長さんということで本を出されて、教育が変われば日本が変わるというんで、「動き始めた教育改革」、こういう本なんですが、この中でいろいろと、先ほどの入りたい子はみんな入れるとか、そういう話を出されておられるわけですね。既に、こういう形で県段階でというか、都道府県段階でも実践が始まっているということでご紹介をさせていただきました。  それから、もう一つ、都教委が昨年四月に都立高校に関する都民意識調査というのを発表されましたね。あの中でも、希望者全員入学というところを見ますと、五五・八%という高い比率で希望者全員入学ということが都民の願いだということであらわれている。まさに希望者全員入学というのは、時代の要請だといってもいいのじゃないかと思います。中学の校長先生方、県教委、さらにもう一つ、財界の方からも、中部経済連合会ですか、そういうところから、こういう入試問題について提案が出されているということも聞いておりますし、東京都の場合は特に子供たちがどんどん減っていくという中で、施設はもう十分あるし、先生方も、減らさなければちゃんといらっしゃる。ですから、今やる気になれば、希望者全員入学はできるんだという時代に来ているわけですね。そういう中で、本当に子供たち一人一人を豊かに育てる、こういう機会を、それをそちらに進めないで、そういう教育改革を進めないで、高校は余るからというんで統廃合してしまうというところが、やはりこれは時代の要請からも、また都民、こうした多数のいろいろの立場の方々から出されている願いからも遊離しているんじゃないかということを申し上げたいと思います。  もう一つ、希望全員入学と並びまして、学級規模の縮小というのも強い都民の要求だと思うんですね。これについては、今度の教育改革の中でも、ホームルーム定員、職業科については三十五人というふうなことを打ち出しておられるわけですから、三十人学級まで行かないでも、学級規模の縮小というのは、それもまた時代の要請、必然性になってきているというように私は思います。  私、十二年前に初めて本会議で質問いたしましたときに、その当時は四十五人学級だったので、それを四十人学級にしてほしいということを取り上げまして、そのときに取り上げました世界教員会議、これは一九七七年、大分前の話なんですが、その会議でイーハードさんという前会長さんが発言をした言葉を引用いたしました。もう一遍それを復習したいんですが、四十人学級は群れであり、二十人ほどの学級は集団である。群れの中で周りに話しかける子供は授業を妨げ、懲罰を受けるが、適度の集団の中で話しかける子供は相互に影響し合い、励まされる。本当に国際的に古い話なんですよね、七七年ですから。しかし、我々にとっては大変新鮮に受けとめられる話ではないでしょうか。  この委員会資料で出していただきましたけれども、国際比較を見ましても、四十人学級というのはもう恥ずかしいと、これには載せられなかったけれども、資料としては中国が四十人というのがあるんですよというお話もございまして、ちょっと見せていただきましたが、国際的なというかヨーロッパ水準というか──もはや三十人をさらに超えてというか、さらにそれを進みまして、二十何人学級の時代に突入をしている、そういう時代になっていると思います。これが一つ、世界の趨勢。  もう一つ、都立高校で、きょうもいろいろとお話が出されておりましたが、都立の教育困難校、そういう学校での実践データで、少人数指導の実施効果があるということ、私もこれはずっと前に、教育の内容で、こういうテストでこういうふうに学力が向上したというのを取り上げさせていただいたことがありますけれども、今度調査をなさって、退学者が減ったというような、そういう実践がおありになるので、それをちょっとご紹介いただけませんでしょうか。 ◯蛭田指導部長 平成八年度の少人数編成実施校の結果について申し上げますと、中途退学率が三十二校中、結果としてふえたのが十九校、中途退学率が減少したのが十三校、以上でございます。 ◯野村委員 私も教員をしておりましたわけで、さまざまな子供が、私の指導がこうだからというんじゃなくて、持ちごまといいましょうか、そのときに集まってきて私のクラスに入った子供がどういう子供だったかということによって、そのクラス全体の雰囲気だとか、いろいろ変わりますから、これは必ずしも、こういう指導をやったから、即完全に全部そうなるという機械的なものではないわけで、成功しなかったという例も幾つもあるというお話だったと思うんですが、ちょっとはっきりとした数字でご紹介すれば、ある学校で六学級を七グループ指導に転換している、こういう指導の中で、H校ということで出されておりました。中退率が一二・四%だったのが次の年度、少人数指導によって五・八%に減少している。それからL校の方は五学級、六グループ指導、六展開ですね。それで中退率の一二・四五%、それが五・二八%に、同じように、これは三十人から十一人にという、こういう実数が見られました。こういうような減り方をしている。これは本当にすばらしい実績だし、ここにこそ少人数指導がいかに子供たちの力をきちんとつけるのかということを示していると思うんですね。  私も教育の立場におりまして、学力が落ちてしまって、落ちこぼらされてしまったというような、そういう状況の子供たちが、中学校、高校においては、先ほど指導部長答弁されましたけれども、意欲を持ったとき、こういうふうにやれるんだという見通しがつかまれたときに、子供たちがいかに伸びるか、これはきょうも傍聴していらっしゃる先生方の中でも実感を持っている方が大勢いらっしゃると思うんですね。子供の教育というのは機械みたいなものじゃありませんから、そういうことが起こるんですよね。突然その子が何かをつかんだときに、そうだと思ったときに、それから本当にこの先生と一緒にやってみようと思ったときにどんどん、ぐんぐん進歩する、こういう力を教育というのは持っているわけですね。  そういう意味で、少人数の指導がこういう形で実績を上げているということは、東京都の一つの実績として大変大事な、そして貴重な、すぐれた経験で、ここにこそ少人数の指導、学級規模の縮小というのが大事だということを示している一つだと大いに申し上げさせていただきたいと思います。  それから、今ここにこういう本を持っておりますが、東京都立高等学校基本問題検討委員会(第二次)報告書(I)というんですが、東京都の公立高等学校長協会というところで、ことしの三月五日に出されたパンフレットなんです。ここで書いていらっしゃる。協会としても都立高校改革についての意見集約が必要だという観点から、この基本問題検討委員会を発足させた。長期構想懇談会は概括的な提言になるだろうという見通しから、批判を恐れず、大胆な高校改革の提言を、また財政的な立場から実現不可能との批判があるのは承知の上で、理想的な一つの試案として提案しております。こういう形、そういうことをわざわざ書いていらっしゃるんですから、この校長先生方のこれまでの指導の上でぶつかって、お金が足りない、財政的な立場から実現不可能だという批判があるに違いないけれども、だけど、あえてこれだけはいいたいという提起をしていらっしゃる。この提起をぜひ確認をしたいと思うんですが、その内容、特に今三十人学級、四十人以下学級、学校規模の縮小のところを話しておりますので、その内容についてご存じのはずです、これ公表されておりますから。ご紹介くださいませんか。 ◯加島学務部長 この委員会の第二次報告書でございますけれども、普通科等においては一学級三十六人とし、一学級四十人、一学級三十二人の学校があってもよい。専門学科においては一学級三十二人を学級定数とすることが望ましい、このような記述がございます。 ◯野村委員 そういうことで、普通学級は三十六人にして、先ほど困難なというような話ありましたが、そういうような学校では三十二人、本当に進学を重視するような学校では四十人でもいいんだ、そういうことも含めながら、本当にこれは校長先生方が自分のこれまでの体験の上からこういうことをあえていいたいという提起で、私たちが重く見るというか、押さえる必要があるのではないかと思います。  こういうご紹介してまいりましたが、先ほどご紹介しました寺脇さんという元広島県教育長の方が、この中にも三十人学級について書いてございまして、クラス定員を三十人、つまり三十人学級にしただけでも、先生たちはもっとゆとりを持って、今よりきめ細かな充実した教育ができるはずです、いじめも必ず減らせます、こう断言をしておられます。  そして、それを実現に向けての提起がもう一つあるんですが、全国一律に実施するのが難しいというなら、自治体ごとに行うこともできます。ある県の県民が、うちはよその県よりも税金が高くてもいいから、一クラス二十人以下にしようという合意ができれば、それを邪魔するものはありません。そしてさらに、国がいっている学級基準定数とは、四十人でなければ許さないというような規則ではないのです。教員の人数を四十人学級を基準にして計算して、その給与の半分を国が負担するという、そういう国庫負担法ですか、そういうのがありますから、あとは都道府県ごとに出してくださいということなのです。三十五人学級や三十人学級にするには、今よりももっと多くの教員を雇わなければなりません。そのための費用をみんなで負担していこう、合意が国民レベルよりも先に県民単位でできるならば、読み変えれば、都民単位で合意ができるならば、一クラス三十人あるいは一クラス二十人でもすぐ実現できます、こういうことを書かれているわけですね。  ですから、私はそのときに、今度の高校改革推進計画の中で、ホームルーム三十五人、私ども都議団に来て説明をいただいたときに、学級定員三十五人と書かないで──職業科ですね、ホームルームと書いてあるのは、それは何ですかってすぐに伺ったんですけれども、まさにそういうホームルーム定数というような言葉に置きかえなくても、普通科の三十五人学級も、その気になればというか、本当にみんなでやろうではないかという気になればできる。それが今の文部省のというか、そういうものなんだと。遠慮なさることはないんじゃないか。それについてどうでございましょうか。 ◯加島学務部長 学級の定員の問題につきましては、平成八年度に高等学校の普通科は四十人学級が実現したところでございます。今のお話はさらに進んで三十人学級というようなことでございますが、こうした学級定員の改善の問題につきましては、やはり国に標準法があるわけでございますので、国の学級編制基準の動向を見ながら検討するのがよろしいのではないか、こういうふうに考えております。 ◯野村委員 そういうご説明があるということは、これまで伺っているので、あえて、標準法があろうとも、それは規制ではないと、広島県の教育長をしてらした方が本に書いていらっしゃるわけですよ。そういう規制ではないんだと。本当にやりましょうということになればやれるんだと。そしてその三十人学級──四十人以下学級と、私も三十人をすぐにというふうには申しませんけれども、とにかく都は今回の改革計画、推進計画で三十五人の職業課程数というのをホームルームで出してこられたということから考えれば、また、先ほどの校長先生方の協会、校長協会が、普通学級は三十六人だ、困難校は三十二人だ、こういうような提起をしていらっしゃるということからも、すぐに三十人じゃなくても、とにかく四十人から下げていくということが、県段階というか、東京都段階の決断で可能だということを申し上げたいと思ったわけです。ですから、それについてどうですかという質問を、もう一度させていただきたいと思います。 ◯加島学務部長 このたび、この計画の中で、ホームルーム定員の改善について一部取り組むということがあるわけでございますが、これは中途退学がなかなか厳しい状況にある、そうした職業学科、あるいは一部の普通科において何らかの少人数指導、ホームルームにおける少人数指導を実現しよう、そういうことで行っているわけでございまして、全体的な都立高校の学級編制といいますか、学級定員の問題については、先ほど申し上げましたように、標準法の趣旨、また国の学級編制基準の動向を見ながら検討していくのが筋ではないか、こういうふうに思っております。 ◯野村委員 筋だとおっしゃったのを批判をしたのが、後からのつけ足しでございました。もうそれ以上申し上げませんけれども、とにかくそれは国との関係では可能であるということがこれで明らかになったわけですね。  それに、今度の高校が四十校余るという高校白書、その立場の際に、私どもの都議団の方から試算をしていただいて、高校が三十人学級にすれば三校足りなくなる、建てなければならないけれども、三十五人学級だったらば二十八校余るというような試算を出していただきました。そういうことからいえば、子供たちがますますさらに減っていくということで考えてあるわけですけれども、高校を新たに建てるとか、そういうようなことは何も心配しないで、きょう実証してきましたように、このように効果が認められている少人数指導に向けて、都のいう少人数ではなくて、学級規模の縮小に向けてぜひ足を踏み出す、それこそが今、東京都がしなければならない教育改革だ。大変困難を抱えている都立高校から、せっかく教育改革というなら、まずこれを実行すべきである、こういうことを申し上げたいと思います。  今度の職業高校の三十五人学級というのも、あらよかったと思いながら、もうちょっと詳しく見てみますと、長期計画、平成九年から十八年まで、その中で実施するとはいっていないんですよね。それこそ、先に先にと延ばしている。やるんだったら十八年かなと思うような、そういう記述だと思うんですが、そんなことをいわないで、困難を抱えているという今の答弁でも、大変中退者が多いということをいっていらっしゃるわけですから、すぐに実施をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯加島学務部長 今後の生徒減少と合わせながら、そのような改善を行っていきたいというふうに考えておりますので、あのような計画となっているわけでございます。 ◯野村委員 大変勇断だなと思いましたが、それだけ延ばすということになると、先ほどおっしゃったような困難はすぐ解決はできない、本当に大変残念なことだといわざるを得ないところです。  さて、先へ進めますが、今、希望者全員入学とか、三十人学級とか、そういう教育改革が実現をされれば、教育が必ず変わると思うんですね。この方のタイトルも、「教育が変われば日本が変わる」というすごいタイトルなんですが、そういうことは、いろいろな子供たちと接触する場面で、大勢の皆さんがそういうふうに考えていらっしゃるのではないでしょうか。一クラスの人数が減ればいじめが減るんだ、こういう感覚も大勢の方がつかんでいらっしゃる。こういうところで、きょうの答弁の中にもございましたし、また都立高校改革推進計画の中にも出されております、子供たちが多様化しているという問題も、私は一言ちょっと触れさせていただきたいと思うんですね。  子供たちが多様化しているというのは、一体何だということなんですよ。端的にいえば、今、新学力観というのがいわれていますけれども、できないことも個性だという、そういうとんでもない解釈がある。教育というのは、私どもは自分が子供たちを教えながら、このごろ本当に知識、基礎基本といいますね、それをしっかりと身につけてこそ、それをもとにした判断力が生まれるし、新たな関心も育つし、そしてさらに自分の世界というか、認識を発展させることができる、それが教育ですよね。ところが、今の子供たちが多様化しているというのは、本当に残念ながらそうした基礎や基本がなかなか習得できない。学校の先生のせいだとか、いろんなお話がありましたけれども、先生たちはいろんな人がいるにしても、総体としては本当に努力をしているけれども、教育政策がずっとこの間、私は昭和三十年から教員をやりましたが、刻々と変わってきたわけですよね、指導要領も変わりました。そういう中で落ちこぼれがあって、私は教師の立場で落ちこぼしといわなければいけないのですが、そういう子供たちが本当にふえてきちゃっている。それが現実で、その結果が高等学校の子供たちのところというか、中学卒業生のところに凝縮して、今この高校改革が必要だというところに来ていると思うんですね。  しかし、先ほど申し上げましたように、子供たちは非常に伸びる面を持っております。そして、茶髪で、ピアスでどうしようもないなという子供が本当に真剣に立ち直り、そういう格好はしながらも、子供たちの心の中は本当に一生懸命打ち込んでいる、そういうふうに変わってきているということを先生方はいっぱい経験しているわけです。そういう子供たちですから、子供たちがそういう力を持っているわけですから、初めから多様化した学校をたくさんつくって、そして子供たちに選ばせる、それが本当にいいのか、そこに一つの大きな問題があると思うんですね。  今度平成九年から十八年までの計画が出されましたが、それを完成させるのは二十三年ということで、この改革が進んだ結果、これはちょっと数を出していただければありがたいのですが、普通科の高校と、それからいわゆる多様化された特色ある高校ですか、形でいえば何学区という学区制に入れられない学校、そういう受験体制になる学校は幾つと幾つでしょうか、それを出していただけますか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 今回の計画によりますと、平成二十三年度の学校数でございますが、普通科が百十九校でございます。専門学科が四十二校、総合学科が十校でございます。このうち学区にとらわれないのは、専門学科四十二校と総合学科十校でございます。 ◯野村委員 そうすると、百十九と五十二ということになりますよね。本当に驚くというか、数からいえば、私はどの子も育つと、そういう立場で頑張ってきた者として、普通科が百十九で、ほかの特色ある学校が五十二ある、二対一の関係というのは非常に重大だなと思うんですよね。  多くの方々、例えばきょうの中に出しました、さっきご紹介いただきました高等学校長協会の先生方も、提案は、初めに全部高校に入れてしまおう、その中で多様な子供に対応していこう、そういうことをいっておられますけれども、私ども日本共産党がいつもいろいろなときに教育政策を発表しております。これは、高校問題、入試問題を大変詳しく発表いたしましたのが一九八六年なんで、ちょっと古いので、これから高校をもっとたくさん建てなければという時期なんですけれども、ちょっとご紹介いたしますと、高等教育の準義務教育化ということで、当面希望者の高校全入を実現し、準義務教育化している高校教育と義務教育である中学校教育との連携協力を深めつつ、その一貫性の確保を図ります。そして、公立と私立、普通科と職業学科、全日制と定時制、通信制などの設置形態や学科、課程などは現行のように残しながらも、公立高校を増設して条件を整備し、また公立と私立の格差、普通科と職業学科の教育内容の大きな違いを是正して、希望者の全員入学を実現します。そのために必要な条件整備の責任を国に負わせますという立場。  もう一つは専門教科のあり方改善、普通高校では男女の分け隔てなく、普通教育のほかに技術に関する専門的な教科を必ず学習するようにします、こういう特徴を持たせております。そして、逆に職業高校は、専門教科の内容を精選して普通教育を実施します、相互乗り入れ──そういう意味では総合学科がスタートしておりますが、そういう面も非常にあるというふうにいえるのではないでしょうか。その程度にしておきますけれども、そういう形でやっております。  また、さらに高校入試の改善について、中学校から高校への進学に当たっては、高校教育を受けるのにふさわしい学力を持っていることを確かめる試験はする。不十分な学力しか身につけていない生徒には、高校に入れてから特別な学力引き上げの指導を行います。現在のように学力に不自然に大きな格差がつけられている状況で、高低それぞれの生徒の学力をいずれも真に発展させるためには、グループ学習、到達度別学習、個別指導と集団学習との結合など、さまざまな試みを交流させ、学び合っていくことが必要だ、こういう政策を出しているんですね。  今ここで対峙されるのは、今の都立高校改革では、多様な学校を、初めから特色ある学校をつくっちゃって、どこに入るかというふうに割り振るというやり方、それで今端的に紹介した私ども日本共産党が出している、また大勢の方々が出していらっしゃるのは、全部普通科教育にして、そこにまず入ったら、そこの中で多様な選択肢をつくって、多様な勉強ができるようにしようではないか、こういう二つの道があると思うんですね。私はこういうふうに対峙をさせていただくわけでありますけれども、こういう考え方をどういうふうにお感じになりますか。 ◯加島学務部長 現在、中学校の生徒が高等学校に入る場合に、いろいろな個性を持った生徒がいるんではないかというふうに私たちは思っております。例えば、従来どおり専門学科に入るのも、これは一つの個性を持って入ってくるというふうな建前になろうかと思います。それからまた、総合学科というような学校の設置を私たちは計画しているわけですが、この総合学科については、主たる生徒といいますか、まだ将来の進路をはっきり決めていない、高等学校に入ってから進路を決めようという生徒が総合学科に入ってくる。総合学科においては職業科目から普通科目をかなり選択科目として置きまして、その中で本人が将来の進路を見きわめていく、そういうような学校として考えております。  また一方、国際高校であるとか、そうした学校については、将来的に国際関係で活躍したいという自覚を持った生徒が入学してくるというようなことで、中学校の生徒にあっても、あらかじめ目的意識を持っている子供もいますし、またそうでない子もいる。そうした状況があるとすれば、高等学校側においても多様な高等学校、特色ある学校を置いていくのが今後の改革の方向ではないか、このように考えているわけでございます。 ◯野村委員 違うんですよね、はっきりと。それは子供たちをどう見るかという子供観というか、生徒観というか、そういうところにもかかわると思うんですが、親が望む子供たちの教育というのは、十五歳の選択というような酷なことをやらせないでほしい。うちの子供を考えてみても、十五歳のときに私はこれでいこうと、そんなにはっきりした目的意識というのはつかめないですよ。私自身考えても、小学校の教員になろうと最後に決めたのは大学の四年生ですからね。そういう子供たちが十五歳の選択という形で、大変低いところで専門的なものを求められるというのが第一無理でね。  先ほど中退者の問題で、理由で一番高いのは何かといったら、進路変更ということになるわけですね。そうすれば、その子供たちは多様化された学校で、その進路を目指して入学した子供は、そこで学校をやめて、新しい自分の進路を見つけたところに転学せざるを得ないというか、転校せざるを得ない。もしも普通科教育が初めから、どこの学校に行っても普通科教育をばしっと受けられて、その中で希望する専門教育を選択して、こういうふうに勉強しているということであれば、進路変更は学校をやめないでも、退学しないでもできるわけですよ。  私、古い話で、先ほど藤川先生が高校時代の話をされましたけれども、新制高校の二期生なんですよ。まさに新制高校という、大学もそうなんですが、そういうものが出されまして、それこそ単位制というのを初めて聞いて、そういう高等学校教育というのはすばらしいものだと感動しながら、私はどの時間を選ぶか、必須時間以外はどの教科を選ぶのかというので、総合時間表を見ながら自分の選択するものを見つけて、それで当てはめていって、そうやって高校を卒業した者なんです。そういう意味で、自分の選択をこういうふうにしながら、普通教育をきちっと受けながら、選択をして、自分の進路を目がけて学ぶ、私はこういうシステムが高等学校教育にぜひほしいと。
     今、学校の特色化というのは、全体としては高校の序列化ということになって、大変不幸なことだと思うんですが、さっき進学のための高校とか、教育困難校とかという名前が既に出されておりますけれども、それも一つの序列。そして、そこに入る子供たちは、残念ながらそういうことを最後まで、今でも、三十幾つになってもいいますね、自分の出た学校はあほ学校だとかね。そういうような形で、そういう差別観を引きずって大人になっていく。こんな情けないというか、悲劇というか、そういうことがあってはならないと思うんですね。そういう意味で、高校の序列化を進めるこういう特色化、それから多様化、やっぱりこういうものはやめて、本当に希望者全員を受け入れて、子供の多様化に対応する、そういうのが今や高校義務教育化時代といえる現段階に求められている教育改革ではないかということを重ねて申し上げておきたいと思います。  さらに、私は、初めにいいましたが、今度の高校改革推進計画が財政健全化計画の中に入っているということについて、大変怒りを感ずるんですよね。先ほどどっちが先かという質問がありましたが、教育長さんは先に教育改革の方があったんだといわれて、後から財政健全化計画に含まれたんだというふうにいわれましたけれども、初めに考えていたのかもしれないけれども、財政健全化の一環として、事もあろうに子供たちの教育にかける予算を削ろうという立場、財政当局がつくったにしても、その要請にこたえているということは否めないと思うんですね。親や教師や一般都民、それから子供たちもみんな、教育にはちゃんとしたお金をかけてほしい、教育は削らないでほしい、こういう思いは切実です。私どもの立場は、財政健全化というならば、真っ先に臨海副都心開発を削れという立場でございますけれども、そういうことで浪費的な投資をやめて解決はできる、子供たちの教育に犠牲を負わせる高校改革は推進すべきではないという立場でございます。  そういう意味で、私は、今、教育基本法にもう一度立ち返りまして、十条、教育行政について、一項も二項もちょっと紹介をお願いいたします。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 教育基本法第十条、教育行政でございます。「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」。第二項「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」。 ◯野村委員 ありがとうございました。この教育基本法十条というのは、大変大事な規定だと思うんですね。教育委員会というのは、東京都政の中の一部分ではなくて、きちっと独立して、不当な支配からの独立ということをうたっている項目なんですね。ですから、そういう意味で、今、東京都の財政が大変だから高校を削ってくれよと、そういうようなことは許されないという立場で、教育長さんもそれが先でございますという答弁をなさったのじゃないかなということを思いますが、ほかのところと一律に教育にかけるお金を一〇%シーリングカット、そういうような形で削減をされるものであってはならない、こういうものだと思うんです。  いろいろと教育庁の皆様とお話をしておりますと、都立高校改革推進計画というのは、例えば今、老朽校舎の随分古い、何年ごろ建てた建物かという資料を出していただきましたが、大変古い建物がありますね。この間もそういう古い学校の一つを訪ねさせていただきましたけれども、特に神戸の大震災がありまして、本当に大丈夫なのかというのは、地域の皆様も含めて大変心配している学校がいっぱいあると思うんですよ。きょうはその耐震改築はどうなっているのというふうには伺いませんけれども、この耐震改築の問題などもちゃんと自覚をされて、教育委員会の方で、これはいつ建てかえたいからというふうに、だんだんローテーションでやっていきたいという計画を前に出されたんですよね、私この四年間留守でしたけれども。だけど、財政が厳しいからそれは抑えてくれというんで、それが切られちゃうという嘆きを伺いました。それを今度はこういう形で高校を統廃合すれば、今まで二校建てなければならないところを、統廃合すれば一校建てれば済むじゃないかとか、定時制高校は独立校にという要求も強いし、これも当然なんだけれども、それを実行するには、それを幾つも集めて、それで新しいタイプの高校にしようと、そういうような財政的な考えから高校の統廃合が出されたということも、大変大きな要因だというふうに思っております。  そこで、子供も少なくなったし、ここで一気に統廃合ということになったと思うんですけれども、しかし、この独立性が確保されるべき教育行政が一般施策に隷属して、こういう財政健全化計画にのせられる。きょうは、三年になりましたけれども、二年にわたってと、私はおとといまで聞いていたと思うんですけれども、都民に、一番初めは都立白書、それから長期構想懇談会、こういうふうに二年、三年にわたって都民に説明してきた。だから、今この統廃合をやるんだということをおっしゃるけれども、この都立高校白書の中にも、それから長期構想懇談会の答申の中にも、それからまたこの都立高校改革推進計画の中にも、私は本当に子供の教育に対する情熱もないし、子供に対する愛情がないと思うんですよ。見てくると、東京都の教育を何だと思っているのという怒りがむらむらしてくるような文章ですよね。これはやっぱり真実をいい当てているんじゃないかと思いますが、特に質問申し上げたいのは、独立性が保障されるべき教育行政が、こういう形で財政健全化計画に埋まっちゃっているという問題についてご答弁をお願いします。教育長にお願いします。 ◯市川教育長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、独立と申しましても、二つ教育委員会にはない、知事に専属する事柄がございます。一つは予算の編成権でございます。もう一つは、議会への条例の提案権でございます。これから予算を出すわけでございますけれども、その予算を査定するのは知事の権限でございます。 ◯野村委員 重ねていわせていただきますけれども、この財政健全化計画実施案が都立高校の統廃合計画をその一環として組み込んでいる。私は、これは教育行政に対する重大な干渉だといっても過言ではないんだと思います。それと闘うどころか、都教委がこれに従って、いわばそのチャンスを利用してというか、逆手にとって統廃合、実際歩いてみれば、統廃合じゃないですよね、廃校ですよ。そして、新しいタイプの学校をつくるというやり方、こういう計画を都民の声、国民の声を無視して押し通すというやり方は、私は絶対に許すことができません。  今、教育基本法の十条を紹介していただきましたけれども、まさに教育は不当な支配に服してはならない、これを確認したいと思います。偏向教育、軍国主義教育があったあの十五年戦争、その結果として新たな(「十五年戦争じゃないよ」と呼ぶ者あり)十五年戦争ですよ、終わった後つくられたやつですからね。(「十五年戦争なんてだれもやっていないよ」と呼ぶ者あり)その後で出されたものだから、特に不当な軍国主義教育を廃するという意味であると同様に、それとあわせてこうした教育が、財政という意味でもやっぱり教育委員会が断固として東京の教育を守る、子供たちの豊かな成長を守る、そのために力を尽くされる、こういうことをしっかりと押さえていただきたいと思います。この視点を忘れて、とにかく財政事情優先で統廃合計画をごり押しするという今のやり方、あえていわせていただきますが、この姿勢は教育行政の原点を踏み外しているといわなければならないと思います。  都の教育委員会は、今こそ教育行政の原点に立ち返って、都民の声に謙虚に耳を傾けるべきだと思います。東京都の子供たち一人一人を豊かに育てる、本物の高校教育改革こそ実行していただきたいと思います。高校改革推進計画については、都民が納得し、合意できるものにつくり直すべきだと思います。抜本的な見直しをすべきだと思いますが、それについても教育長、お答えください。 ◯市川教育長 先ほど来ご答弁申し上げておりますように、この計画は、高校白書を発行して、都民の意識調査をやり、ご意見を伺い、長期構想懇談会を発足させて、一年にわたって公募の委員、あるいは各組合、学校の先生、そうした方々も入っていただいた懇談会で結論を出していただき、そしてこのたびそれに財政的な裏打ちをして、計画としてまとめたものでございます。したがいまして、白紙に戻せというようなお話でございますけれども、私どもとしてはそのような考えはございません。 ◯野村委員 ちょっと一言、白紙に戻せといっているわけではありません、抜本的に見直してくださいということなんですが、本当に一つ一つちゃんと考えたら、そしてそれを都民にこういうふうな状況があるから、こうなんですという話を本当に突き詰めて行えば、そういうところはわかった、納得するということだって出てくると思うんですよ。それを全くしないで、先ほどからいわれているように七月十五日、それも発表といったけれども、校長先生のところに行って、それをPTAや先生方に話をしたのは、広げるのはその校長先生の判断ですよ。だから、プレス発表はしないですよね。なぜしないのと聞いたら、それはまだ教育委員会の決定をしていないから出さないんですよと、こういわれたけれども、こういうふうにしたいんだと、これをやっぱり大勢の方々に知らせる、そういう意味では発表はしていないわけですよね。まさに内定がひとり歩きして皆さんのところに伝わっていって、そしてその伝わり方が、やっぱりはっきりと出していないわけですから、なかなか広がらない、みんなに本当に知られていない。そのうちに九月十一日を迎えて決定してしまった。私もそのときに傍聴に伺いましたが、入りませんでしたけれども、そこにいらっしゃった方々がみんな本当に心配して、これからの教育はどうなるんだと、そういう方々の心配、本当にその方々はこれからの東京の教育はどうするんだと心配しているわけですから、そういう方々ととことんまで話し合って合意をつくって、そして一緒に東京の教育をよくしていく、そういう立場に教育庁が、教育委員会が立っていただくことを強く要望いたしまして、終わります。 ◯藤井委員 私は、特に定時制高校の統廃合について、私の地元であります羽田工業、羽田高校定時制の問題についてお聞きをしたいと思っております。  その前に今回の実施計画を見ますと、定時制高校十六校を統廃合して、単位制並びにチャレンジ校として四校に編成をするというふうに打ち出されております。今までの議論の中にも一部出てまいりましたが、私は、今回この定時制高校を統合する目的について、再度といいますか、改めてお聞きをしたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 今日の定時制高校は、全日制への入学を希望したが、果たせなかった生徒、中学校時代不登校であった生徒、中途退学者など、さまざまな生徒が在籍し、勤労青少年のように夜間でしか学ぶことのできない生徒は、現在ではむしろ少数となっております。  また、定時制高校は、生徒数が減少して、学校の小規模化が進んでいるため、教員配置の制約と生徒の多様なニーズへの十分な対応が難しくなっている一方、学校全体として沈滞化が懸念される状況にございます。生徒一人一人の興味、関心や能力、適性に対応できるよう多様な選択科目を開設し、また学校行事等の集団活動を生き生きと実施できるようにするためには、学校全体として適正な生徒規模を確保することが必要でございます。このため、周辺の定時制高校を統合して適正規模、適正配置を実施するとともに、統合校おのおののこれまでの教育実践の蓄積を発展的に生かし、生徒の多様なニーズにこたえられる定時制高校を設置することといたします。 ◯藤井委員 生徒数の減少、それから多様なニーズへの配慮、また学校行事等を生き生きと、というような趣旨で統廃合するということでございますが、私は「学校」という映画を見たことがあります。西田敏行の主演で、定時制の先生でございまして、生徒はたしか五、六人でした。一たんは社会に出て仕事についたけれども、また勉強したいということで入ってきた中年の人、それから韓国出身の文字が書けないおばさんとか、あるいは一度昼間の高校に入ったけれども、どうしてもなじめないので中退をしたけれども、ようやく親に説得されて入ってきた等々のいろんなケースがあって、教師と生徒一人一人との人間的な触れ合い、そしてまたそれぞれの個別の事情にも、西田敏行が扮する教師が本当に体当たりでぶつかっていく中で、人情と、また教育とはこういうものだというようなことを、非常に感動した経験がございます。  そういう意味で、今回、定時制が統合されて、教育委員会のこの計画では、一クラス三十人学級ということでクラスの人数がふえてくる。そしてまた、学級数が多くなり、大きな学校になりますと、定時制の特色といいますか、きめ細かな教師と生徒との信頼関係といったものが薄くなるのではないかというふうに懸念がされるところでございますが、統合されても教師がきめ細かく生徒に指導できるものなのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 定時制では、生徒一人一人にゆっくりとした雰囲気の中できめの細かい指導を行ってまいりました。統合により学校としての望ましい生徒規模を確保した上で、三十人学級の中で、またさらに多様な選択科目を設けたり、習熟度別指導など少人数指導を取り入れることによって、教師がきめ細かく生徒に接し、指導できる場をつくりますので、これまでの定時制教育のよさは統合後の学校においても生かしていきます。 ◯藤井委員 続いて、先ほども質問に出ました羽田工業高校の件についてお聞きしたいと思います。  この羽田工業高校定時制と羽田高校定時制の統合ということで、いろいろと今までの経過がありましたけれども、都教委としてこの学校関係者に対して今までどのように説明を行い、また、その際、地元の意見、要望としてどのようなものが出されたのか。それに対して教育委員会としてどう対応されてこられたのか、簡単にお伺いしたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 東京都教育委員会は、平成七年十二月の都立高校白書の発表以来、三年にわたっていろいろなところでご意見をいただいたり、ご説明をしたりということで行ってまいりました。この羽田高校や羽田工業高校につきましても、七月十五日に適正配置の実施案を該当校の校長に示した後、当該校の教職員、保護者、同窓会、あるいは職員団体、そういう方々と説明や説明会の場を持ちました。  話の中身の問題でございますが、説明会の中で述べられました代表的な意見でございますが、移転先が未定なのに、なぜ計画が決定されたのかという問題がまず一点でございます。それから、現地に高校が残るのに、なぜ移転しなければいけないのかというのが二点目でございます。これまで培ってきた伝統はどうなるのかという、この三点について大きな問題提起がございました。  私ども教育委員会としましては、これらの質問や要望に対しまして、定時制教育の現状の課題、適正配置の必要性、発展的統合による伝統の継承などについて、学校関係者に誠意を持って答えてまいりました。しかし、現在までのところ、十分な理解が得られていないので、引き続き説明し、要望を承って理解を得るよう努力を続けてまいります。 ◯藤井委員 私も十月十九日に行われました第二回目の説明会に出させていただきまして、いろいろと地元の要望、意見、また担当者のご説明等をお伺いする中で、やはりこの問題については、先ほどの答弁にもありましたように、地元のいろいろと心情的な、こういう伝統を残したいとか、あるいはまた今までのこういった人間関係、そしてまた地元の利便性、いろんな問題がありますけれども、先ほど土持委員が話したように、やっぱり東京都の考え方について、まだまだ地元に対しての十分な説明がなされていないということを肌で感じたわけでございます。  そこで、これらの統廃合される関係者、あるいはまた私たち議会の意見、要望、いろいろあるわけでございますが、そういった今まで出たものによって今回の推進計画を変更する考えがあるのかどうか、先ほども出ましたけれども、再度私からもお伺いしたいと思います。  また、これが教育委員会で決定したならば、もうこの計画は変えられないものなのかどうか、再度確認をしたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 計画決定に際しまして、都民の皆さん、あるいは組合の方々等からいただきました要請、お話し合いの中身につきましては、教育委員会で決定する際に配布をしまして、あるいは説明をした上で、決定をしていただいたものでございます。この計画につきましては、先ほどもお話ししましたが、行政計画ということでございますので、教育委員会としましては決定をしたというふうに考えております。  なお、決定後も説明や話し合いの場を持って、今後も引き続き関係者の皆さんのご要望などをいただき、新しい学校の具体化を図る中で生かしていきたいというふうに考えております。 ◯藤井委員 それを地元で説明すると、どうしても残してもらいたいという方たちとの意見の違い、平行線というような感じを私もいたしました。そういう意味では今後も、今ご答弁にありましたように、関係者の意見、要望、こういったものを新しい学校の具体化を図る中でどう生かせるかということが、教育委員会の大きな課題ではなかろうかというふうに思います。  そこで、この羽田工業高校、また羽田高校の定時制については、今まであったところを新しく第二総合学科にする。そして、羽田高校の定時制、羽田工業高校の定時制はいわゆる港工業高校、そして鮫洲工業高校と統合して、大田区内のどこかに、先ほども話がありましたけれども、まだ土地は未定だけれども、どこかにつくりますと。しかし、その場所はまだ決定されていないということですけれども、この羽田工業と羽田高校の場合は、実は今のところを出ざるを得ない。港工業とか鮫洲工業の場合は今までの校舎がありますからということですけれども、自分が出たところの跡に新しい総合学科高校がつくられるところ、こういう例はほかに今回の適正配置化計画であるのかどうか、お聞きしたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 両校の定時制と全く同じではございませんが、類似のものとして牛込商業高校の敷地に牛込商業高校全日制と池袋商業高校全日制を発展的に統合し、豊島地区商業高校を設置する一方、牛込商業高校定時制を募集停止にする例がございます。  羽田高校、羽田工業高校の定時制のように、他の場所に統合される例はありません。 ◯藤井委員 今ご答弁ありましたように、今回のいろいろと大きな統廃合計画の中で、やはり羽田高校、羽田工業の場合は自分たちが今いたところをどうしても出ざるを得ない、その跡に新しいものができる、何でそこに置いてくれないのか、これが大きな一番の地元の要望であるわけでございます。ほかのところみたいに、先ほど例で出されました牛込商業の定時制のように、募集停止になってなくなってしまうということであれば違うんでしょうけれども、実際に今まで自分たちが学んできた、あるいはまた母校がほかのところに行く、その跡に新しい物ができる、何でそこに置いてくれないかという、やはり大変心情的なものが強くありました。  そこで、この羽田高校、羽田工業高校定時制の関係者、先ほどもちょっとご質問にありまして、ダブって申しわけありませんけれども、この移転先がこういうところに行きますよ、大田区のこういうところに統合されますよ、そこがどういう地名になるのかどうかがわかっていれば、まだ検討もできる、仕方ないというふうになるかもしれない、また違う要望が出るかもしれないけれども、その決定がなされていないのに今回の統合計画を決定したことに対して大変怒っている。担当者、担当の課長さんが説明しても、怒号といいますかね、やじと非常に大変な雰囲気の中で説明会が行われておりましたけれども、こういう状況に対して教育委員会としてどう受けとめているのか、お伺いをしたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 大田地区単位制工業高校は、港工業高校の移転改編や羽田地区総合学科高校の設置計画との関係から、平成十六年度の開校を目標としております。この計画を着実に実施するため、基本的な方向を明らかにする必要がございますので、設置場所は大田区内で、特定できませんが、実施計画に盛り込んだものでございます。設置場所を決定できていないことについては、学校関係者には大変申しわけなく思っております。都教育委員会といたしましては、一日も早く決定できるよう相手先と引き続き積極的に折衝を重ねてまいります。 ◯藤井委員 この計画によりますと、平成十一年度以降、羽田地区総合学科高校の建設工事が始まるわけです。平成十二年度に開校されるわけですが、それまで十一年から十三年までですか、羽田高校、羽田工業高校はどこで授業を行う計画なのか、お伺いしたいと思います。 ◯石井施設部長 羽田地区総合学科高校の校舎は、平成十一年度から十三年度にわたりまして、現羽田高校の校舎を解体しまして、同校敷地内に建設を予定しております。したがいまして、工事期間中の羽田高校の授業は、羽田工業高校の敷地内に仮設校舎を建設し、そこで行う予定でございます。  なお、羽田工業高校については、工事に支障がございませんので、現校舎を利用して引き続き授業を行う予定でございます。 ◯藤井委員 それでは、羽田工業高校の校舎を使って両校の授業を行うということでございますが、羽田地区総合学科高校の中に教育委員会としては定時制の恒久的な施設をつくらない方針であるというふうに聞いております。先ほども質問に出ていたと思いますけれども、それでは平成十四年度に総合学科高校が開校する際、羽田高校及び羽田工業高校の定時制はどこで授業をするのか、施設利用計画についてお伺いをしたいと思います。 ◯石井施設部長 羽田地区総合学科高校の開校は、平成十四年度の予定でございます。羽田高校等の定時制を統合した大田地区単位制工業高校の開校予定は、平成十六年度でございます。そのため二年間は、羽田高校と羽田工業高校の定時制は羽田地区総合学科高校の校舎内に設置される予定となっております。したがいまして、教室は羽田地区総合学科高校の教室を併用いたしますけれども、職員室でありますとか、教材室、生徒会室等は、羽田地区総合学科高校の施設内に専用できるスペースを確保する予定でございます。  また、定時制専用施設であります厨房、それから食堂につきましては、安全、衛生などを十分配慮した仮設建物で対応いたしてまいりたい、このように考えております。 ◯藤井委員 要するにこの二年間は、羽田高校、羽田工業高校の定時制は新しくできた総合学科高校の校舎を使えるということですけれども、それ以降は今度新しい単位制高校のところに転居せざるを得ない。これも地元の生徒、あるいはPTA等にとってみれば、せっかく羽田総合学科に残れたのに、二年たったら出ていけと、これも納得できない、こういうことでございました。  今お答えがありましたように、定時制の専用施設であります厨房、食堂、これについては、総合学科にはそういった施設がないわけですので、仮設の建物をつくるというご答弁でしたが、くれぐれも、例えば工事現場の飯場みたいな、そういう何か掘っ立てたところに生徒を押し込むということがあってはならないというふうに私は思います。なぜならば、そういう新しい計画の途中で、生徒たちがやむを得ず、こういった仮設のところで住まなければいけないというような場合に、先ほどもご答弁でありましたように、あるいは生徒に配慮する意味では、何としてもある程度のしっかりしたものが必要ではなかろうかというふうに思います。この点について要望しておきたいと思います。  次に、単位制工業高校の開校が当初平成十六年の予定というふうになっておりますけれども、何らかの事情でこの開校が延期、あるいは中止になった場合といいますか、想定した場合、この羽田高校と羽田工業高校の定時制がそのまま第二総合学科の高校の施設を利用できるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 大田地区単位制工業高校を初め今回発表いたしました実施計画につきましては、関係者のご理解と協力を得ながら、予定しているスケジュールどおり着実に計画を推進してまいります所存でございます。 ◯藤井委員 先ほど申し上げましたように、もしそういうことになった場合ですね、教育庁としてはそうさせないというのは当然だと思いますけれども、もしそうなった場合に、港工業高校とか鮫洲工業高校の場合は校舎は残っているわけですね。しかし、羽田工業とか羽田高校の定時制の場合は、そのときは校舎がなくなっちゃっているということになりますので、そういった意味でくれぐれもその場合は関係者と十分協議をしながら、あるべき方向に進んでいただきたい、このように要望したいと思います。  それから大田地区の単位制工業高校を平成十六年度に開校するまでの間、羽田と羽田工業の定時制が一緒になるならば、平成十六年度以降も定時制課程を第二総合学科に併置することはできないのか、こういう地元の強い意見、要望、また新しくできる第二総合学科に定時制を併置すべきじゃないか、そのまま残すべきではないかという要望が出ておりますが、これについてはどのようにお考えになりますか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 羽田工業高校定時制は、十年前の昭和六十三年には全校合わせて二百六十人の生徒が在籍しておりましたが、平成九年には五十五人と、五分の一近くまで生徒数が減少しています。羽田高校定時制も百七十八人から七十八人と、半数以下になりました。今回の計画は、このように生徒の減少が進む中で、これからの生徒にどのようにしてよりよい教育を提供していくべきかを考えて策定したものであり、港工業高校の移転改編に伴いまして、鮫洲工業高校、羽田高校、羽田工業高校から通える場所に四つの定時制を統合して、規模の適正化を図るとともに、単位制を導入して生徒の多様な学習要望にこたえられる学校を設置するものでございます。 ◯藤井委員 羽田地区の総合学科を建設するといいますか、施設の検討に当たりましては、羽田工業、羽田高校の定時制の教職員の意見も聞きながら進めるべきではないかというふうに思います。現状では第二総合学科をつくるに当たっては、いわゆる定時制の人たちの意見というのは関係ないんだというような都教委の姿勢に対しても、地元の関係者は大変怒っていらっしゃる。全日制の総合学科であるからといって、定時制のあなたたちは関係ないよというような態度ではなくて、先ほどもご答弁にございましたように、二年間は定時制が第二総合学科の中に併置されるわけですから、その際に当たっては先ほどの厨房等の問題もありますし、また教室等の使い方の問題もあるでしょうし、そういった意味では定時制間の教職員の意見、要望も聞くべきであるというふうに思いますけれども、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。 ◯石井施設部長 羽田高校、羽田工業高校の定時制は、新たに建設されます羽田地区総合学科高校の校舎内に二年間設置されることになります。ご指摘のとおり、羽田地区総合学科高校の施設の検討に当たりましては、例えば今例に出していただきました厨房ですとか、食堂などの仮設建物につきまして、定時制の教職員の方々のご意見もお聞きいたしまして、その上で定時制の教育環境が良好に保たれますように十分に配慮してまいりたいと存じます。 ◯藤井委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それから定時制が統合されてできます大田地区の単位制工業高校、この高校の建設に向けての検討はどのように進めていかれるのか。また、統合される高校の教職員や保護者の要望、こういったものは反映されるのかどうか、反映すべきだと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。 ◯小海都立高校改革推進担当部長 大田地区単位制工業高校の教育課程などを具体的に検討するために、教育庁の担当職員と該当校の校長などをメンバーに年内にも検討委員会を設置することにしております。一般教職員にもこの検討作業に加わっていただきまして、現場の要望もできるだけ取り入れていく考えでございます。  また、保護者、同窓会などの方々に対しまして、今後もお話し合いや説明の場を設け、意見や要望を伺い、取り入れられるものはできるだけ取り入れて、理解を得る努力を続けてまいります。 ◯藤井委員 最後になりますが、ことしの八月、私ども党の視察団は晴海の総合学科を視察いたしまして、いろいろと見学させていただきました。昨年の四月にできた学校で、本当に近代的な設備と、また何よりも驚いたのは、先ほどの私の要求した資料の中にもありますが、全科目で百六十八の科目がある。例えば、英語の科目一つとっても、英語通訳基礎の科目とか、映画英語、ビジネス英語、実用英語とか、二十種類ぐらいあるわけですね。また、外国語も英語だけじゃない、ドイツ語、フランス語とか、五カ国語ぐらい科目がありました。そういう意味では、先ほどいろいろとご答弁にもありましたように、今後の生徒の多様なニーズに合わせられるものがそろっているなと。また、これからの情報化社会に向けて本当に最新鋭のコンピューターがたくさんそろえられておりましたし、そういう意味では今後の総合学科高校の役割というものが大変期待が大きいと思うのでございます。  と同時に、反面、先ほどの議論にもありましたように、平成八年度が過去最高の中途退学率、いわゆる中退率が三・六%とふえておりますし、さらにはまた学校が荒れているという先ほどの質問もございました。その中で今後生徒の個性化、あるいは特色化、そしてまたもっといえば、魅力ある都立高校づくりということで教育委員会が今回つくられました推進計画、これに対しまして我が党も今回の代表質問で土持委員が質問した中で、入学選抜制度の改善、福祉関係、いわゆるボランティア活動等を入学の際に評価をする、あるいはまたクラブ活動等を評価する、こういった新しい点も入っております。さらには、私どもの党が主張しました、今後総合学科を初め国際高校等のいろいろと特色ある学校づくりに取り組む姿勢といいますか、この点については私どもも大変評価をしたいと思います。  しかし、先ほど申し上げましたように、いろいろな課題が多い中で、今回発表されました都立高校改革推進計画を今後進めるに当たってどのようなご決意で、そしてまた、先ほどもいろいろ問題が出ました地元の皆さん方のいろんなご意見、ご要望をどのように今後取り入れながら進めていかれるのか、最後に市川教育長のご決意をお伺いして、終わりたいと思います。 ◯市川教育長 都立高校改革推進計画は、都立高校が抱えております課題の解決を図り、今後の展望を明らかにする総合的な計画でございまして、特色ある学校づくり、開かれた学校づくり、都立高校の規模と配置の適正化、そして教育諸条件の整備を基本的な方向とするものでございます。  今後とも実施に向けまして、具体的な検討の中でいろいろとご要望があることも承知しております。それらをできるだけ取り入れまして、新しい学校の具体化を図り、今後とも都民の期待にこたえるよう、都立高校の改革に向けて全力で取り組んでまいります。 ◯町田委員 実は先ほど中途退学者の関係で平成八年度三十二校の少数校での答弁があったんですけれども、ちょっと数字ですので、いま一度確認だけしておきたいと思います。 ◯蛭田指導部長 平成七年度と平成八年度を比較いたしますと、少人数編成を実施した三十二校中、中退率の増減について合計でいいますと、中退率の増加した学校が十九校でございます。逆に中退率が減少したのが十三校と、こういうふうになっております。 ◯町田委員 実は昨日なんですが、総務局から資料をいただきまして、都内の私立高校、これは全日制なんですが、退学者状況の概要が五年の数字で出てきたんですが、やはり平成八年度かなりの数なんですね。平成八年度一年間の退学者数が四千五百九十七人で、一校当たり十九・六人ということですから、まさに今、中途退学者というのが、いわゆる社会現象になってきているのかなということがうなずけますし、特に私学の場合には、ここ三年ぐらい数字が急に伸びてきているんですね。都立の場合には比較的同じような数字で五年間推移してきていますけれども、そういった実態を見ますと、これを解消していくということは小手先のものではできないということ。例えば、今報告がありましたように、三十二校の少人数校の中途退学者を見ましても、十三校が減少していますけれども、十九校が何と増加している、こういった少人数校でも同じような問題を抱えているということですから、抜本的な高校改革をしていかなければ解決できないのかなということを改めて私の方でも理解したわけです。  そこで、実は今回いわゆる都立高校改革推進計画というものが打ち出されたんですけれども、私は今回いろいろな報告を受けておりましたり、あるいは委員会等でのいろんな質疑、答弁を聞いておりまして、その中で一つわからない流れがあるんですけれども、それはご存じのように、確かに一つの生徒の受け皿としての高校改革であるということは十二分にわかるんですね。特に、いわゆる多様化してきた生徒に対するもの、また将来の大きな流れとして少子化の流れへの対応、これに対して当局は各学校の個性化と特色化で対応していこう、こういう流れであるんですけれども、都立高校も当然教育の一つですから、そこに教育理念、あるいはまた教育哲学というものが当然その中に、柱にあってこそ、初めてこういった改革の推進というものが進められるものだと私は思うんですね。  実は過日の文教委員会の中で市川教育長さんは、都の教育委員会はいわゆる人間尊重の精神を基調とした教育目標を定めていることで、これを一つの教育目標と考えられておるという理解なんですけれども、私自身、実際に今の義務教育を含めた中での教育を見ておりますと、確かに戦前には一つの欧米列強に対する、いわゆる明治からの一つの教育の柱というものを持ってずっと組まれてきたわけですが、戦後は民主主義教育を主体に推し進められてきたんですが、最近ともすると、この民主主義教育というものが個人主義に偏ってきているんじゃないか、こういった流れがあるわけなんですが、改めて教育長にお聞きしたいんですが、いわゆる東京都が目指す教育理念というものは何なのか、教えていただきたいと思います。 ◯市川教育長 ご質問の最初にございましたように、生徒一人一人の人権を認めて、その個性をできるだけ伸ばしていきたい、そういうのが教育の理念、端的に申し上げて、そういうことでございます。 ◯町田委員 今、生徒一人一人の個性を伸ばして、いわゆる人権尊重という形の中で進めていきたいと、こういったお話がございました。今まで委員会の論議の中で、今回の高校改革推進計画のいろいろ具体的なものについてかなり突っ込んだ論議がされておりましたので、私もこの改革についてはかなり理解をさせていただいたんですが、今お話がありましたように、柱となるものが必要であると同時に、私は実は今回改選を受けて七月から務めさせていただいているんですが、この推進計画をいろいろと勉強させていただいたり、あるいは読ませていただいた中に、確かに学校そのものを変えていこう、生徒の受け皿というものを変えていって、たくさんのメニューをつくっていこう、ここまではわかったんです。実は教育は人なりという言葉があるように、いわゆる都立高校の教員を中心にした内部改革というんですかね、実はこの都立高校改革推進計画を進める中で、自分たちの内部改革というものについては今まで論議をされたりしたことがあるのかないのか、またあれば、どのような論議がされてきたのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◯押切人事部長 都立高校改革を進めるに当たりましては、これまでの学校の持っている体質だとか意識、こういったものを改善していくことが必要だと思いますし、そのためには学校の内部の改革をすることが重要だというふうに考えております。学校の内部をより活性化していくためには、まず学校現場の責任者である校長のリーダーシップを十分発揮させていくということが求められますし、また教職員の参加意識のもとに全校が一丸となって改革に取り組むことが不可欠であります。  先生がおっしゃっておりましたが、外に向けた学校のさまざまな改革とあわせまして、学校の組織や任用のあり方、あるいは教員の意識改革の変革を含めまして、学校の内部の改革を進めていくことを両輪としまして、都立高校の改革を目指してまいりたいと考えております。そのためには、今回計画にのせております管理職や教職員の意識改革と資質の向上が重要な課題だと考えております。つきましては、この計画の実施に向けて努力してまいりたいというふうに考えております。 ◯町田委員 私も、当然両面で進めていく必要があるかなと思うんです。ただ、実はここで、いわゆる改革推進計画に絡んだ中で、たしかストライキが行われたと思うんですけれども、私はこの細かい実態がわからないんですが、どのような状態であったのか、教えていただきたいと思います。 ◯押切人事部長 高校改革を円滑に進めていくためには、教職員の理解を得ることが必要でありますし、職員団体等に対しましても、都立高校改革について七月の下旬以降、五回にわたりまして説明をしてまいりました。そういう中で、九月十二日でございますけれども、私ども都教委のストライキ回避の勧告にもかかわらず、東京都高等学校教職員組合が都立高校改革推進計画の撤回を掲げまして、全日制で授業の一時限目をカット、定時制におきましては四時限目をカットするということで、ストライキが実施されました。全日制二百十校中参加校数は六十二校、定時制におきましては百三校中二十五校が参加をしております。 ◯町田委員 いうならば現場の、いわゆる教員を含めた、特に組合の考え方がまさにこのとおりなんですよね。本当に実際に現場の人間がやる気があるのかなということ自体、実際に数字として中途退学者がどんどんふえてくる、こういう実態にあるわけですよね。これは当然ある意味では、他の委員も指摘がありましたように、現場の責任も私は特に大いにあると思うんですね。こういった違法なストライキをやっていること、こういったことは私は大変問題だと思うんですね。ですから、こういった違法なストライキに対しては当然処分ということで、きちっとした態度を示していく必要があると思うんですが、この辺についてはどう考えていますか。 ◯押切人事部長 先ほど申し上げましたように、ぎりぎりまで回避するよう都教委として勧告しておりましたけれども、結果としてそういう行為が実施されたことは大変遺憾だと考えております。このような違法なストライキに対しましては、引き続き厳重な処分で対処したいと考えております。 ◯町田委員 もう少し細かい処分内容もお聞きしたいんですが、大分時間もたってきましたので。  実は今、都立高校の中を見ましても、これは義務教育の小中学校にもいえることなんですけれども、いわゆる教員の高齢化という問題が起きてきていると思うんですね。これはご存じのように、子供がふえていかない、クラス数がふえていかないということで、新規採用がずっと減ってきてしまって、何かせんだってお聞きしたところによりますと、都立高校における二十代の教員は数%である、こういったことですよね。  私は直接教育現場に入ったことがないので、わからないのですけれども、校長先生や教員の方たちにお聞きしますと、年代である程度教員もそれなりの活動を柱にやっていくらしいんですね。例えば、二十代のころには比較的部活動を一生懸命やっていこうとか、三十代のころになったら多少研修的なものをやって、自分のものというものを身につけていって、四十代にある程度円熟した形の教育をしていこう、こういう何か流れがあるらしいんですね、実際にお聞きしますと。そうしますと、現在そういった二十代の教員が少ない、どちらかというと、恐らく四十代から五十代にかけての教員が非常に多いのが今の実態だと思うんですよね。ですから、そういう流れでいきますと、私は都立高校そのものの活力というものが非常に失われてしまうという危機感があるんですね。  確かに都立高校改革推進計画が進められて、ある程度今の社会のニーズに合った、あるいはまた今の多様化した生徒の流れに合った形の高校が仮にできていったとしても、今度は動かしていく教師の側に活力がなかったら、せっかくいいものを与えてやっても前へ進んでいかない、持ち味が生きないという実態になってしまうと思うんですね。ましてや今度はそれから五年、十年とたっていきますと、そろそろ管理職になっていく人間の数というものが少ないわけですよね。今は多い中で管理職に選ばれていきますから、いうならば質的なものがかなり高い管理職が選ばれているという実態ですけれども、将来的には全員が校長先生になるとかという事態まで起きかねないわけですね、せざるを得ないような、こういう実態にあるんですけれども、その辺は長期的に考えたときにどのようにとらえていくのか、お聞かせ願いたいと思うんです。 ◯押切人事部長 先生ご指摘のように、教員の年齢構成が二十代が約四%と大変少なくなっております。こうした教員の高齢化、若年層の減少というのが学校の活力の低下だとか、あるいは校長、教頭への要員の確保が困難になるといった問題がございます。私ども都教委としましては、基本的には年齢構成の不均衡を是正し、バランスのとれたものにするためには、将来の生徒数の増減の見込み、あるいは退職者の動向などを勘案しまして、計画的に教員を採用していくという必要があるというふうに考えております。  そこで、新規採用の枠というものをできるだけ拡大するということが必要になってきますけれども、方法の一つとしまして、教員の早期退職を促進するということがあろうかと思います。このためには、現行の勧奨退職制度につきまして、勧奨退職年齢の引き下げだとか、あるいは早期退職割り増し制度の導入などを図りまして、幅広く早期退職の促進を図っていく必要があるというふうに、まず考えております。  加えまして、こういった職員の高齢化の問題というのは、当教育委員会の問題だけではなくて、知事部局も含めて東京都全体の問題でもありますので、関係部局とも協議調整して、どのような方策があるかということについて検討してまいりたいというふうに思っております。 ◯町田委員 この改革推進計画を進めていく中で、受け皿としての高校の制度そのものをある程度、いろんな多彩なメニューでやっていこうということですから、ぜひ今度は教える側の教員に対しても、それなりの理念を持たれた方たちが、将来を担って立つ生徒を教えていくというような、こういった都立高校を実現していただきたいと思います。  最後になりますけれども、もう十五、六年前になるかと思うんですが、たしか京都府で府立高校の改革を進められたと思うんですね。やはりかなり厳しい状態になって、今回の都立高校改革推進計画を進める中で、この京都府が取り組んで、ある意味では一定の成果を出したと思うんですけれども、これらのことについて参考なり、あるいはまた何かの形で調査をされたということがあるかどうか、その辺をお聞きいたしまして、質問を終わらせたいと思います。 ◯加島学務部長 ちょっと時代確認と申しますか、それが記憶で正しいかどうかわかりませんが、あそこは従来小学区制をしいていたところでございます。その小学区制が状況に合わないということで、学区の拡大というようなことが図られたということは承知しておりますが、特に京都府の改革を今回の東京都の改革に引き写すとか、あるいは参考にしたということはございません。 ◯池田委員長 あとはないですか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ◯池田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  都立高校改革推進計画の報告に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯池田委員長 異議なしと認め、都立高校改革推進計画の報告に対する質疑は終了いたしました。  以上で教育庁関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後六時四十八分散会...