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  1. 東京都議会 1996-11-22
    1996-11-22 平成8年臨海副都心開発特別委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時七分開議 ◯田中委員長 ただいまから臨海副都心開発特別委員会を開会いたします。よろしくお願いいたします。  本日は、過日の委員会で聴取いたしました報告事項、進出事業者等との契約変更について及び臨海副都心用地の暫定利用についてに対する質疑を行います。  この際、理事者の出席について申し上げます。  本日の委員会には、お手元配布の名簿の理事者が出席しております。よろしくお願いをいたします。  これより臨海副都心開発及び関連する地域の開発等について、総合的に見直し、調査検討を行います。  これより報告事項、進出事業者等との契約変更について及び臨海副都心用地の暫定利用についてに対する質疑を行います。  説明の際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  資料について理事者の説明を求めます。 ◯前川港湾局開発部長 去る十一月十八日開催の当委員会におきましてご要求のありました資料につきましてご説明を申し上げます。  お手元配布の資料、臨海副都心開発特別委員会要求資料をごらん願います。  まず、目次をお開き願います。ご要求のありました資料は全部で十三項目でございます。順次ご説明申し上げます。  それでは一ページをお開き願います。資料第1号の世界都市博覧会経済波及効果及び中止に伴う財政的影響についてでございます。  まず、1の経済波及効果については、東京都職員研修所調査研究室で推計したものでございます。建設投資額、開催運営費、来場者消費額の合計六千二百五十億円から生じる生産誘発額は、一次波及効果から三次波及効果までの合計で一兆七千百八億円でございます。  次に、2の都市博中止に伴う財政的影響についてでございます。既執行額に損害の補償、シーサイドフェスタ等の開催に伴う経費を加えたものが約六百十億円で、これに臨海副都心進出事業者及び基盤整備第三セクターの施設利用客減少等による推定影響額約三百六十五億円を加えますと、全体で約九百七十五億円となります。  二ページをお開き願います。資料第2号の現行の新土地利用方式による土地賃貸借契約の特徴でございます。  主な特徴の1は、土地賃貸借契約の終了後の再開発等を視野に入れた契約期間の設定でございます。2は土地の評価方法、3は賃料の上昇率の算定方法の明確化、4は借地権割合の固定と土地賃貸借契約満了時の金銭給付でございます。詳細は記載のとおりでございますので、ごらんいただきたいと存じます。  三ページをお開き願います。資料第3号の今回の契約改定を実施しなかった場合に想定される開発への影響でございます。  第一次進出事業者への影響と今後の臨海副都心開発への影響について記載してございます。詳細は記載のとおりでございますが、結果として臨海副都心開発が苦境に陥るおそれが強いというものでございます。  四ページをお開き願います。資料第4号の第一次進出事業者の契約改定に当たっての要求内容でございます。
     三項目に分けて記載してありますが、地価の大幅引き下げ、権利金の精算、五年間一〇〇%の賃料減額等が主な内容でございます。  五ページをお開き願います。資料第5号は広域幹線道路等整備スケジュールでございます。  広域幹線道路公共交通機関に大きく区分して、従前の計画と七月の基本方針とを比較したものでございます。詳細につきましては、記載のとおりでございますので、ごらんいただきたいと存じます。  六ページをお開き願います。資料第6号の新土地利用方式と今回予定している長期貸付方式の比較でございます。  詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じますが、大きな相違点は、土地の評価方法、貸付期間、賃料の算定方法、開発スケジュールとの連動、不均衡の是正でございます。  七ページをお開き願います。資料第7号の新土地利用方式と今回予定の長期貸付方式の収支比較でございます。  これは、下にありますような一連の条件を設定して計算したものでございますが、今回予定の長期貸付方式による収入の合計は三千二百二十九億七千九百万円、または千三百九十億九千万円、新土地利用方式による収入の合計は六百六十三億九千七百万円、長期貸付方式との差額は記載のとおりというものでございます。  八ページをお開き願います。資料第8号の事業者別の土地価格等一覧でございます。  平成八年三月一日時点で、個々の事業者別に、土地価格、権利金額、年額賃料について、改定前と改定後で比較をしてございます。詳細につきましては、記載のとおりでございますので、ごらんいただきたいと存じます。  九ページをお開き願います。資料第9号の賃料の特別減額の企業別減額率及びその基準でございます。  着工企業六社に対して、2に記載してある減額基準及び減額率を設定して、始動期終了後の平成八年四月から三年間、五〇%から二〇%の間で賃料を減額するものでございます。各社別の適用につきましては、ごらんいただきたいと存じます。  一〇ページをお開き願います。資料第10号の公示価格の推移でございます。  地価公示法に基づく一月一日現在の商業地の公示価格について、昭和五十八年を一〇〇として平成八年までの価格の推移を表にしたものでございます。平成三年から全面的な地価下落が始まったさまがおわかりになるかと存じます。  一一ページをお開き願います。資料第11号の暫定利用の希望内容の主な例でございます。  施設内容、土地面積、借り受け希望期間について記載してございますので、ごらんいただきたいと存じます。  一二ページをお開き願います。資料第12号の有明北地区、豊洲地区、晴海地区の三島の地権者との協議状況でございます。  それぞれの地区ごとに、協議状況、協議回数、主な協議内容について記載してございますので、ごらんいただきたいと存じます。  一三ページをお開き願います。資料第13号の土地価格の時価評価の算定根拠でございます。  今回の契約変更に当たっての時価評価では、基準標準画地を台場G街区に設定し、この価格を基準に各街区の地域要因及び個別要因を考慮し、それぞれの価格を求めました。基準標準画地の価格については、一般的な不動産鑑定評価方式である取引事例比較法を採用し、一平方メートル当たり百三十八万円と評価した次第でございます。  以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 ◯田中委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料を含めて、本件に対する質疑を行います。  発言を願います。 ◯大西委員 この臨海副都心の開発については、ここ数年の間に実に大きく揺れ動いて、いろんな論議がなされてきたわけですけれども、そういう経過を踏まえて、ことしの七月に見直しの基本方針が決定されたわけです。そして、臨海副都心開発というのは、東京の二十一世紀にとって、東京の活力を生み出す、あるいは日本経済の先導役として、世界の都市間競争の中で生き残って、引き続き東京を豊かで希望に満ちたものにしていく、そういった基本的な大事な開発の推進というものがスタート台にようやく立ったわけでございます。今後この事業を推進していく上で、まずクリアしていかなければならないことは、この臨海開発の事業を真っ先に理解し、ともに生命共同体としてこの開発の先兵を担おうとして進出してきた一次進出企業者の人たちとの信頼関係をしっかりと固めて、今後これらの事業を推進していかなければならないと思うわけでございます。  そういった観点の中から、今回新たに一次進出企業者との契約改定の問題が生じてきたと思うわけですね。一般の都民の間では、今財政状況が厳しい、行財政改革が叫ばれている、そういう中で、なぜ五百二十三億円もの巨額なお金を企業に返さなければいけないのか、社会経済状況が変化をしたからといって、企業がそういった社会的なリスクを負うのは、これは責務ではないか、それをなぜ東京都がこういった企業の投資によるリスクを補償しなければいけないんだというような都民の疑問があることも事実ではないかと思うんです。そしてさまざまな経緯の中から、今回契約改定を行うに当たって、進出事業者からさまざまな要求があったと伺っているわけでございます。そこで、まずその内容についてお尋ねをさせていただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 進出事業者からの要求内容についてのお尋ねでございますが、大きく要約いたしますと、四点ほどあるかと思います。  一点が地価の下落等に対応して、まず地代を大幅に、約四九・五%引き下げろという要求でございます。二点目が契約の解約、新規再契約を行って権利金を返還しろという要求でございます。三点目が地代率を、これは現行東京都は六%にいたしておるわけでございますが、これを二%から三%に引き下げろという要求でございます。また四点目といたしまして、着工企業、未着工企業の格差を是正するために、賃料について、最大五年間、一〇〇%減額しろと、主にこういった要求がなされたところでございます。 ◯大西委員 今回の契約の変更では、単に貸付方式の変更にとどまらずに、この権利金差額相当額を精算するということは、大きな問題であると思うんですね。そしてこれについては、やはり都民が納得する理由を明らかにしていくべきだと思うんです。  そこで、お尋ねするんですけれども、あえて権利金差額相当額の精算にまで踏み切った理由をわかりやすくお示しいただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 今回行います権利金相当額の精算でございますが、これは、例えば長期貸付契約であるとか、そういった同じ土地処分方式が継続する中で権利金の一部を返還する場合とは、全く事情が違うというふうに私どもは考えております。すなわち、現在の企業との契約につきましては、土地処分方式は新土地利用方式を採用してきたわけでございますけれども、この新土地利用方式──ちょっと説明を申し上げたいと思うんですが、地価が大幅に下落をしたとかそういった社会経済状況の激変によりまして、二十五年間、毎年六%に物騰率を加えた、二%程度ですか、これを加えて地価を上げていくという新土地利用方式を維持することが大変困難になったと、これに伴って通常の長期貸付方式へ変更すると、こういうことを大きな理由といたしております。新土地利用方式と通常の長期貸付方式は、地代算定の仕組みなど、大きく性格を異にいたしますので、通常の長期貸付方式による権利金額を算定いたしましたところ、新旧の権利金額に格差が生じたので、これを精算する次第でございます。  なお、この措置のいわば手続的な根拠といたしましては、現行契約第三十五条に不均衡是正に関する規定がございますが、これを合理的に解釈するとともに、平成五年九月の推進会議の決定、さらには本年七月の基本方針の中で必要な調整を行う、こういうふうにいたしておりますので、これらを総合的に勘案して実施いたすものでございます。 ◯大西委員 さらに今回、賃料の減額を行うわけでございますけれども、その減額の根拠、理由についてわかりやすくご説明をいただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 賃料の減額の根拠でございますが、先ほども申し上げましたが、土地賃貸借契約を締結した後に社会経済状況が大きく変化をしたと。これによりまして、都の開発方針もこの七月に見直しを行ったわけですが、その中で開発スケジュールが五年から十五年延伸されたわけでございます。そうした中にあって、第一次進出事業者は、これまで当初の契約条項をおおむね遵守し、まちづくりについての先導的な役割を果たしてきたといえるかと思います。こうした進出事業者の臨海副都心開発に対する貢献を評価する必要があると考えたところでございます。また臨海副都心開発は、都と事業者が協力して進めるべきものでありまして、今回の措置を通じて、両者の信頼関係を確立し、将来の開発を促進する効果が期待できる、かように考えております。  なお、今回の減額措置の根拠といたしましては、東京都臨海副都心用地開発規則第四条第二項第五号を根拠としているところでございます。 ◯大西委員 今のご説明を伺っていても、広域基盤整備の遅延、東京都の約束違反というんですか、そういったことによって、こういった進出企業の信頼にこたえなければいけない、そういった基本的な考え方があるということはわかるわけですけれども、いずれにしても、まちづくりというか、都市づくりというのは、五年や十年の長さでやっていくものではなくて、五十年、百年という大きな流れの中で行っていく。そういった場合に、景気のいいときもあれば悪いときもある。あるときには戦争が起きたり、自然災害が起きたり、さまざまな紆余曲折を経て都市づくりというのが行われていくわけです。ですから、広域基盤整備の遅延という状況を振り返ってみたときに、こうした社会経済情勢の厳しい状況を克服して、東京都の臨海という新しいまちづくりのために見事な努力をしてきたんだという、歴史的な評価を受けられるという側面もあるのではないかと思うんです。  しかしもう一つ、都が今回のような対応をせざるを得なかった大きな理由の中に、世界都市博の中止、これがあるのではないかと私どもは率直に思うんですね。先ほどこの資料第1号の中で、一兆七千億円に上る経済的な波及効果をゼロにしてしまったんですね。そして今九百七十五億円の全く余分な経済的な波及効果というか、都民にとってほとんど利益のない支出が九百七十五億円もある。今回の五百二十三億円も、そうした観点からとらえれば、世界都市博中止によって、一千四百億円を超える負担を都民に強いるようなことになってしまっているんじゃないでしょうか。これは今の財政状況の中で、一千五百億円に迫る巨額なむだと申しましょうか、都民の生活の向上、あるいは都民の豊かな生活に全く寄与しない、こういった支出については、大きな問題があると思うんですね。ですから、世界都市博の中止がこういったことをせざるを得ない今日の臨海を取り巻く状況を生み出してしまった、そのことについて、どのように今お考えになっているのか、率直なご意見を聞かせていただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 都市博の中止の関連でございますが、先ほど申し上げました、進出事業者から、先生お話がありましたような都市博の中止を理由として、特別減額が主でございますけれども、今回の対応をしろと要求があったことは事実でございます。  しかし、私どもといたしましては、先ほどご説明申し上げましたが、今回の権利金の差額相当額の精算は、土地処分方式の変更に伴う調整である、また特別減額の措置は、進出企業の臨海副都心のまちづくりに対する先導的役割を評価したことによるものである、こういうふうに位置づけておる次第でございます。 ◯大西委員 都市博の中止が進出企業の経営に影響を与えたというのは事実ですよ。しかも、あの都市博が行われていたら、さまざまな投資も行われたでしょうし、一兆七千億円に上る経済的な波及効果が生まれていたことも事実なんですよ。それによってあの臨海部でのにぎわい、そして臨海への大きな世界的な注目、こういった中から、今回のような地価の下落をすべてとどめられなかったとしても、多少はとどめることができたのではないかと思うんですね。  やっぱり都市博の中止というのが進出企業の経営に大きな影響を与えたのは事実であるということは、事実として認めて、そして、そうした謙虚な反省の中から、あしたに向かっての前進をしていかなければいけないと思うんですけれども、もう一度お答えをいただきたいと思います。 ◯今沢港湾局長 都市博の中止が進出企業に与えた影響が大きかったということは、企業側も私どもにそういうことをもちろんいっておりますし、私どもも、そうであったというふうに思っております。  しかしながら、今回の措置につきましては、先ほど開発部長からご説明いたしましたように、土地処分方式の変更に伴う措置として権利金の精算、それから、その他の具体的な措置をいたしまして、さらに今後とも臨海開発を促進していくための契機としたいという考えから、今日ご説明をしている次第でございます。 ◯大西委員 それこそ港湾局長も、こういった激しく揺れ動いた問題の中で、犠牲者の一人ではないかと思うんですね。それこそある日突然、天から青島知事が降ってわいてきた。そして、それは公約という名のもとに、信義を守るという名のもとに、個人的な公約によって一千何百億円もの都民の税金がどぶに捨てられてしまうような状況が起きてきてしまった。しかも、議会の決議や何かも無視して、それが行われてきた。そして、臨海開発は見直して進めようとしている。そのために、今、一次進出企業との信頼を回復するために新たな支出をしようとしている。明らかに矛盾しているんじゃないですか。道理の整合性からいったら、もし都市博を中止するんだったら臨海開発も中止して、そして、すべての責めを青島知事が受けるべきじゃないですか。こんな中途半端な姿勢であるからこそ、今、進出企業者に対しても、このような契約の改定をせざるを得ないような状況に追い込まれてしまったのではないかと思うんです。  これ以上、私も繰り返しませんけれども、これはやはり東京都の歴史の中で、こういった指導者の誤った判断が都政に、あるいは東京都の臨海のまちづくりに大きな汚点を残した、傷を残した。これは永久に消えないものであるということを指摘させていただきます。  次に、今後の問題に移りますけれども、まず権利金についてですが、ここで疑問に思うことが率直にあります。それは、土地の価格が下がったから評価額が下がり、その結果、その差額を返すということになると、これ、将来、土地の価格が下がれば、また返すということになるようにも思われますよね、普通、常識的には。反対に、土地が高騰したら追加払いをしてもらうということになるように思われますけれども、この点についてはどのようなお考えでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 今後の対応についてでございますが、今回の措置は、先ほどご説明申し上げましたが、契約の根幹をなす土地処分方式が新土地利用方式から通常の長期貸付方式へ変わった、これに伴って行うものでありまして、地価の下落それ自体を理由としているものでは当然ございません。  したがって、今お尋ねがございましたが、将来、地価が下落したとしても同様の措置をとることは毛頭ありませんし、逆に高騰した場合でも、当然、特別な措置は考えておりません。 ◯大西委員 それでは、権利金の精算が今回限りの特別措置とした場合に、今後、二次公募以降の契約において、この不均衡是正条項の条文はどのようになるのかについてお伺いをしたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 新しく契約を締結する場合、今お尋ねの不均衡是正条項は、削除する方針でございます。 ◯大西委員 第一次進出事業者は、景気が長期的に低迷する中にあって多くの不安を感じる中で、勇気ある経営決断によって積極的に臨海部への進出をしたわけですね。始動期後の臨海副都心のまちの発展に大いに貢献をしているわけです。これら進出事業者のおかげで臨海副都心の開発は踏みとどまれた、今日のにぎわいがあるといっても過言でないと思います。そうしたことから、特に今回、開発の見直しに伴う広域幹線道路整備の延伸などの状況のもとで、着工、開業した事業者のまちづくりへの先導的な役割を評価する必要があることは、我が党も認めるところでございます。  ただ、ここで確認しておく必要があると思いますけれども、今回の特別減額措置は、あくまで今回限りの措置なのか、将来、またインフラの整備がおくれる、これは社会経済情勢の変化によってわかりません、そうした場合に、遅延した場合に、また特別減額するのか、この点についてもお伺いをしておきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 同じく今後の対応でございますが、今回の特別減額は、バブルの崩壊という大変な社会経済環境の変化があったわけでございまして、それに伴って都も開発方針を見直し、開発スケジュールを延伸せざるを得なかった。そういう中で、第一次の進出事業者が立地を続け、着工、開業して先導的な役割を果たしたということを評価したものでございます。  今後は、この七月の基本方針に基づきまして臨海開発を着実に進めていくという考えでございますので、特別減額につきましては、今回限りの措置と考えております。 ◯大西委員 答弁を伺っていると、今回の措置というのは、これまでの経緯を踏まえた特別な対応である、臨海副都心が新しく出発するための、いわば緊急避難的な対応、苦渋に満ちた決断である、そのように理解ができるわけでございます。  もし、今回のこういう対応を行わなかったとした場合に臨海副都心開発はどのようになるのか、率直なご意見をお聞かせいただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 今回の対応を行わなかった場合の事態でございますけれども、私どもは、一言で申しますと、臨海副都心開発は極めて厳しい状況に追い込まれるであろうというふうに考えております。  例えば、第一次進出事業者につきましては賃料の一部不払いであるとか、未着工企業については撤退するといった事態が考えられますし、最悪の場合には、訴訟といったこともあり得ないことではないと考えております。  また、これから臨海の開発を進めるためには、二次公募等をどんどん進める、こういうことが大変重要でございますけれども、その第二次公募にも悪影響が出ることは間違いないと考えられますし、都と事業者との信頼関係というのは大きく揺らぐことになるだろうと思います。  こうしたプロセスを通じまして、私どもは、臨海会計の収入が大幅に減少し、開発全体が立ち行かなくなるおそれがあるのではないかというふうに考えております。 ◯大西委員 進出事業者との問題に区切りがここでつけられるわけでございまして、これによって本格的な事業展開を行うことができる環境が整うわけでございます。そして、進出事業者の方は懸案事項が整理され、新たな事業展開を行う契機ともなって、未着工企業に対しては工事着工が促進されると私どもは推測しているわけでございます。  そして、臨海副都心開発は、いよいよ正念場を迎えてくるんですね。これから暫定利用の問題もある、そして、二次公募あるいはまちづくり、こういったものを積極的にこれから進めていかなければならないわけでございますけれども、今回のこうした事態に陥るまでの数年間の経過を見たときに、果たしてこのまま不退転の決意の中で、都庁が一体となって知事を先頭にこうした臨海開発に取り組んでいける、そう一〇〇%、我々はまだ信頼を与えることができないわけでございます。ある意味では、臨海開発と苦楽をともにしたというか、希望と挫折と、そしてまた、その挫折の中からよみがえって今日の臨海開発の新しい機能をつくってきた。港湾局長、今後のこの事業についての決意のほどをお伺いして、私どもも、そろそろ時間になってきましたので質問を終わりたいと思います。そういった今までの経過を踏まえて、港湾局長、あなたが一番よくわかっているわけですから、不退転の決意を表明していただきたいと思います。 ◯今沢港湾局長 七月の基本方針におきましても述べられておりますとおり、臨海副都心開発は、自然と共生する質の高い生活の場でありますとともに、あすの東京の活力と創造力を生み出す場として、また、東京全体のまちづくりにも貢献する新たな副都心としての役割が期待されているというふうに思っております。  こうした目標の達成に向けまして、開発を軌道に乗せてまいりますためには、これからの数年間がまさに正念場であると思っております。交通基盤の整備、暫定利用、さらに二次公募等、積極的に取り組んでいく必要があると考えているところでございます。  今回の対応は、このために不可欠なプロセスでございまして、今後とも、都民、議会、また事業者のご理解とご協力をいただきながら開発を着実に推進してまいりたい、このように考えております。 ◯五十嵐委員 本日は、大体の終わりの時間も理事会で確認されたようでございますので、重点を絞って何点かについて質問させていただきます。  今、大西委員からも質問がありましたけれども、東京都の臨海副都心開発については、当初から長年の時間的経過を経ながら、その中でも大きなバブル崩壊という経済の変動、そしてまた、都政の中でも鈴木都政から青島都政にかわる等々、いろんな大きな転換がなされてきたと思います。そんな中で、この臨海副都心開発のまちづくりもいろいろ検討がなされ、また、それぞれに対する対応の措置をお互いに考えるという今日に至ってきているのではないかと思っております。  そんな中で、青島都政にかわり、先般、臨海副都心開発懇談会のもとで新しい見直しの基本方針が七月に策定されて、今までの検討、いろんな紆余曲折が精査される中で、時代に合ったこれからの新しい臨海副都心の展開がいよいよなされていくのかな、そういう意味では、過去のいろんな問題に対する清算といいますか、そういうような問題を処理するといいますか、そういう時点での今回の契約改定の方針であり、さまざまな方針が新たにここで出てきているんだろう、そんなふうに認識しております。  今、いろいろ大西委員からもありましたけれども、率直にいって、都民にとってなかなかわかりにくいいろんな背景等があると思いますが、契約条項に基づくことで返金だとか賃料等の減額だとか、どういうことなんだろうという率直な疑問が私もわいてきます。今回、特に私の方からは、そんなことを中心にしながら、確認を含めて何点か伺いたいと思います。  重複するかと思いますが、まず初めに、今回の契約改定において総額約五百二十億円の権利金の差額分を精算するとしていますが、この権利金の精算はどういう理由でなされるのか、お伺いしたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 今回の権利金の精算理由についてのお尋ねでございますが、進出事業者との土地賃貸借契約におきましての根幹部分は、土地処分方式でございます。この土地処分方式を新土地利用方式から通常の長期貸付方式へ今回変更する、これに伴いまして新旧の方式による権利金額に差が生じたために、その差額相当額を精算するといったものでございます。  新土地利用方式というのは、地価の異常な高騰といった当時の経済状況を背景にして、平成二年の公募の際に導入されたわけでございますけれども、バブル崩壊後の地価の大幅な下落などの社会経済状況の変化によりまして、この方式を維持することは困難となった。そこで、平成五年の推進会議の決定、それから、本年七月に決定いたしました臨海副都心開発の基本方針におきまして、通常の長期貸付方式へ変更する、こういったことが定められた次第でございます。  今回の措置は、こういった経緯を踏まえまして、現行の契約書の第三十五条を根拠として行うものでございます。 ◯五十嵐委員 東京都における開発方針の変更といいますか、そういうものに基づいて行われる変更というふうに受けとめるわけですが、通常、いわゆる民間同士の賃貸借契約の場合は、権利金は契約が終わっても返されない。当然、その契約を締結した後に地価の変動等があっても、それに対しての権利金を減額したりとか、そういう措置をしないのが通常、常識的な措置だと思います。  どうもこうした民間の通常の取引例から見ると、腑に落ちない、何か異例な扱いではないかというふうに感じられるのですが、そこで、今回の異例とも思われるこの対応、権利金を精算する最もわかりやすい説明をしていただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 今回の措置、今申し上げましたとおり、土地処分方式の変更に伴うわけでございまして、通常、同じ土地処分方式が──例えば長期貸付が契約は継続している、そういった中で権利金を仮に返還するとなったような場合とは、事情が根本的に異なるというふうに我々は考えております。  それでは、なぜ新土地利用方式を変更するかでございますが、大きな背景といたしましては、いうまでもなく、バブルの崩壊という社会経済状況の大変な変化があるということでございます。  この新土地利用方式を導入した当時は、いわば日本全体が右肩上がりの経済成長を前提として物事を考えていたというふうに思われますけれども、現在では、地価の大幅な下落によって、この土地処分方式の維持が困難になった。具体的に申しますと、平成三年から地価の下落が始まりまして、進出事業者と契約をした平成五年三月には、地価の下落が今後さらに続くとしたならば、新土地利用方式の維持は将来困難ではないか、そういった危惧が広がった次第でございまして、その結果、現行の契約に、三十五条でございますが、将来、第二次公募以降の契約と不均衡が生じた場合には、これを是正することができるという条項が盛り込まれた次第でございます。 ◯五十嵐委員 先ほど来、資料もいただいておりますので、くどいようですけれども、この新土地利用方式が一番今回の基本として考えなきゃならない前提条件であるわけですが、また改めて聞くのも何ですが、もう一回、ちょっとここでこの新土地利用方式のポイントをきちっと説明していただけませんか。 ◯前川港湾局開発部長 新土地利用方式のポイントについてのお尋ねでございますが、先ほども資料にございました四点の中で、特に今回の措置との関係で申し上げますと、大きなポイントは二つであろうと思います。  一つは、臨海副都心について、二十五年間、毎年六%ずつまちとして熟成をしながら都心部並みになっていく、そういう考え方をとりまして出発点の土地価格を設定した。さらに、この土地価格を、毎年六%ずつの熟成率に、国民総支出のデフレーターのいわば物騰率ですが、当時は二%と想定をいたしましたが、これを合わせました八%で毎年上昇をさせていく、これが大きな特徴であろうかと思います。  今日の目で見ますと、先ほどもちょっと触れましたが、当時、日本全体の右肩上がりの成長が長期間続くということを前提にしていたといって間違いではなかろうと思っております。 ◯五十嵐委員 確かに現実の地価の動向を見れば、毎年上昇していくこの新土地利用方式を今後継続することは大変困難であり、大幅に見直さなければならないということは、私もこの制度自体は理解できるのですが、一方、これからの臨海副都心は、進出企業等の協力もなければ、新しいいいまちができないのは当然だと思います。決して、企業をどうのこうのという立場でいうのではありませんが、通常の契約条項から考えて、どうしても理解がいかない点があります。都民感情からしても、今回の措置は大変理解が得にくいような、そんな感じもしてならない。権利金を返すとか精算するとかという言葉自体はともかくとしても、本来返すべきではない権利金を返すと同じような措置、やはり抵抗があるように思われます。  一次進出事業者が臨海副都心に進出したのは、だれかに強要されて進出したわけでもなく、当然みずからの企業判断の責任において行動したと思います。通常の経済活動の中では、進出するに当たって絶対に間違いないと確信しても、いろいろな変化の中で、結果として失敗するような場合もあると思うのですけれども、そういうリスクが生じたときに、みずからがやっぱり当然負担を、リスクをしょわなければならない、これも一つの基本ではないかと思うのです。  都政が大変財政事情が厳しい中で、今回のこの措置だけを見ますと、何か東京都だけがそのリスクをしょっていかなければならないような結果になっているのではないか。やはりその点では、進出する企業側にも一定のリスクというものはあってしかるべきではないのかなというのが率直な声でもあろうかと思いますが、この点に対しての考え方、ご意見を聞かせていただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 事業リスク、企業リスクの問題でお尋ねでございますが、経済活動の原則と申しますのは、先生ご指摘のとおりであろうと思いますけれども、ただ、この臨海副都心の事業者が事業リスクを負担したらどうか、これについてはいろんな見方があるところであろうと思います。しかし、既に申し上げておりますように、今回の権利金精算は、契約の中身である土地処分方式を変更する、それに伴って行う措置でございまして、現行契約の三十五条によりまして、契約の当初からその可能性が予想されていたというふうに私どもは考えております。 ◯五十嵐委員 どうもその辺の域を脱しないのかもしれませんが、その次に賃料の減額措置の問題も出てくるのですが、今回の賃料減額は、いわゆるこれから過去三年間にわたっての減額措置をやると。権利金を平成五年の三月時点にさかのぼって減額、返還し、賃料については、そのさかのぼっての措置をしない、率直にいって、この扱いがどうしても何か──同じ新土地利用方式に制度を変えた中での措置とするならば、やっぱりその平成五年の三月時点を起点として、いい悪いは別として、賃料も権利金も考えなきゃならないのじゃないかなという疑問がわいてくるわけですが、その辺いかがでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 賃料の精算といったことについてのお尋ねでございますが、今回の契約の変更と申しますのは、現在の契約が平成五年三月で契約をされている、これが三年たちまして、今年の三月一日現在で賃料の改定を行う時期に、契約上の約束ですけれども、なったわけでございます。そこで私どもは、この三月一日を基本的に基準といたしまして権利金の精算も行っていくと。その前提としては、当然土地処分方式もその時点で将来に向かって変えていく、こういうことをしようと考えているわけでございます。  一方、そうしますと賃料につきましては、それまでの三年間、過去の、現実の土地使用の対価として適正に既に支払われたものでございますので、ちょっと権利金とは性格が異なりまして、精算すべき性格のものではないというふうに考えております。 ◯五十嵐委員 どうも理解できないのですが、平成五年にさかのぼって権利金の差額を返還する、そこがやっぱり起点になっていると思うのですね。いわゆる新土地利用方式を、今回見直しによって長期貸付、一般の制度に変更するので、さかのぼって権利金を──差額をもっての調整としてやる、見直した額の、当時の評価額と今回の地価との差の部分について、一回返してもらって、あと差額分をもらうというようなやりとりをするわけですけれども、平成五年から今日までいろんな変遷があって、臨海副都心のまちづくり自体にいろんな経緯があったと。そういう中での、一方では開発のコンセプトを見直した、それに基づく権利金に及ぶ部分に対しての調整措置をすると。  であるならば、平成五年の契約時点から今日まで三年間、通常の地代としていただいてまいりましたとおっしゃるけれども、地代もこの間いろいろあったと思うのですね。権利金を精算する考え方と、賃料についても何か考える、一緒にあわせて考えるのが普通ではないかという気がして、私一人が理解できないのかどうかわかりませんけれども、そこの部分が、いろいろ検討したけれども、地代は地代で契約なんだからいいのだ、三年間、通常の契約に基づいてやってきたのだから払ってもらうという理屈であるならば、当初、事業者がそれなりの認識のもとで契約したのだから、今日に至る経過というのは当然考えた上で権利金も支払っているのだから、賃料と同じように、この三年間についてはそのままであり、今度の見直しに基づいての新しい契約変更は、今日の時点から、これからに基づいていろいろ変更していくのであって、権利金や賃料について過去にさかのぼらないという判断が普通じゃないか。一方では、賃料はさかのぼらないし、今後についての調整をする、権利金については、さかのぼっての調整をする、その辺、どうしても矛盾というか、理解できないのですが、もう一回よくわかるように説明していただきたい。 ◯前川港湾局開発部長 大変説明が悪くて恐縮でございますが、今回の土地処分方式の変更は、平成五年にさかのぼるわけではなくて、平成八年三月一日時点で、そこから将来に向かってすべて出発するわけでございます。したがいまして、権利金の精算も平成八年三月一日時点であり、賃料についても同じく三月一日時点でやるというわけでございます。ですから、厳密に申しますと、本当は金利等といった問題もあるのかもしれませんけれども、それについては今回は考慮しない、そういうことでございます。 ◯五十嵐委員 考え方の差だろうと思うのですけれども、どうしてもその辺が、どっかに何かある、お互いに譲り合わなきゃならない交渉経過の中の妥協点だったのかなという感じもします。やっぱりその中には、先ほどいわれた大西理事からの質問の中にもありましたけれども、都市博の中止等々の影響も事業者にとっては非常に大きなリスクであったし、交渉過程でそういうことも大きな原因の一つで、こういう措置の方法が見出されたのかなというふうな、私は、個人的には率直な感じがしております。ともあれ、いずれにしても、これからの開発事業が順調に進まなければならないし、せっかく今日まで来たわけですので、これからの開発を進めていく上に、きちっとした、都民の理解が得られるような対応をしていかなければならないと思います。  それで、賃料についてもう少し伺わせていただきますけれども、今回のこの報告書によりますと、第一次進出事業者はこれまで厳しい社会状況のもとであったにもかかわらず、当初の契約条項を遵守し、始動期末までに着工または開業していること、及び開発方針見直しに伴う広域幹線道路整備の延伸などの状況のもとで、着工、開業した事業者のまちづくりへの先導的役割を評価する必要があるということを、今回、賃料の減額に対する判断としているようであります。進出事業者の貢献度、いろいろいわれておりますけれども、ことしの夏あたりの臨海副都心のにぎわいなんかを見ますと、第一次進出企業者は、そういう意味では事業的にも、採算的にも、収支的にもある程度収益が上がり、もうかっているのではないかなと、そういうことも一方では感じられます。一方では、その進出の貢献度、先導的役割に対して減額措置をするのだという評価の査定になっておりますけれども、その進出企業が第一次公募で出て、いろいろな事業を一生懸命やってきた、開業もしてきた。その中における収益も大変好調ではないのか──よそさまの会計なんですけれども、外から見るとそんな気もいたしておりますが、その辺は、ただ減額するだけの、開発の貢献度だけの見合いでいいのか、一事業としての、事業者としての事業展開の中の、損害があったとか、リスクがあったから、それだけの減額措置をしてくれという要求もあるのでしょうけれども、一方ではそういう減額措置の必要のないような、立派な営業をなされている事業者もあるのではないか、その辺の考慮はされていたのかどうか、ちょっとお伺いさせていただきます。 ◯前川港湾局開発部長 ただいまお尋ねの問題は、今回の減額措置のいわば性格といったことであろうかと思いますが、私ども、今回の減額措置は、今、五十嵐委員のご説明にございましたように、都が開発スケジュールを延伸するという状況にあっても、事業者が立地をして、まちづくりに積極的な役割を果たしてきた、それを評価して実施するものでございます。事業者が具体的にどういう収益を上げているかとか、あるいは経営の問題とは関連づけるべきではないというふうに考えております。  また、あわせまして私どもとしましては、この措置を通じて、開発の責任者としての東京都の姿勢を明確に示して、今後の開発促進をしていきたいというふうに考えているところでございます。 ◯五十嵐委員 私は、この進出事業者に恨みもつらみもあるわけではございません、むしろ、協力していただけるテーマとしてのまちづくりは大変だと思いますけれども、このいろんな減額措置を講じる基準の中で、今ちょっと申し上げたのですけれども、一方では、そういう先導的役割を果たした事業者に対する優遇措置というのを考えている、また、そういう意味では第一次進出事業者でありながら、まだ進出していない、着工していない事業者、この辺の事業者に対して、今いわれたような説明からするならば、そういう先導的役割の優遇措置とあわせて、逆の意味でそういう方たちは、じゃどうなんだろうか、大変厳しいいい方ですが、例えばペナルティーみたいな、そんな何らかの措置をしなければいけないのかなと。優遇措置を考えるのであれば、そういうところを評価するのであれば、逆な意味でのものも考えなきゃならないのかなと、率直にそんな気がしてならないのですが、その辺は考え方としてはどうなんでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 未着工企業等に対しては、いわば減額ではなくて、むしろペナルティーを科す方が適当ではないかというお尋ねであろうかと思いますが、(「そこまでは強くいってない」と呼ぶ者あり)──恐縮でございます。私ども、臨海副都心計画の見直しを東京都が行って、七月の基本方針で、広域交通基盤の整備スケジュールを五年から十五年間延伸をした、こういう中で当初の開発スケジュールが変更されたわけでございますけれども、こういう現実を背景にいたしますと、未着工企業が竣工期限を守らないことで、一方的にペナルティーを科すのはいかがであろうか、適切ではないのではなかろうかというふうに考えております。  また、これから長い目で見まして、二次公募を推進いたしまして、臨海副都心の開発に弾みをつけていく、そういう上でもそういう措置は望ましくないのではなかろうかというふうに考えております。 ◯五十嵐委員 いろいろ見解の違いもありますけれども、いずれにしても、今回の措置が広く都民に理解されることは当然必要ですし、その辺は明確にしていくことが大事だと思います。それぞれ見解の差はあろうかと思いますけれども、やはり大事なことは、これからの、せっかくここまで来た臨海副都心開発を順調に推移させていくことが、お互いの責任であろうと思います。  ただ、ちょっと確認の意味で、減額基準についてはいろいろ資料等もいただいておりますけれども、もう一回、賃料の減額基準はどういうふうになるのか、具体的にここで説明しておいていただきたいと思います。
    ◯前川港湾局開発部長 減額の基準の内容でございますが、ただいまお話もございましたとおり、私どもといたしましても、減額をするからには、その基準はすべて客観的に事実として判断できるものであることが必要であるし、また、合理的で妥当な内容といたしたいと考えていたわけでございます。  具体的には、お手元の資料にもございますが、五項目を考えたわけでございます。着工の有無、基本協定書の契約期限の遵守、公募時の施設内容の遵守、始動期内に開業したか否か、平成八年度中に開業をしたか否か、この五項目を具体的に設定をして五〇%から二〇%の割合で実施をする。この五項目については、すべて事実行為として判断ができる範囲であるというふうに考えております。 ◯五十嵐委員 契約上の具体的な問題をいろいろ伺ってきましたけれども、こういう措置が結果として臨海開発の会計上の収支の上においても、最後になって、これが東京都あるいは都民にとって、結果として大変マイナスになってしまったのではなく、やっぱり結果としてプラスになったのだというふうに終わらなければ、この措置は大変大きな間違いになってしまうと思います。いろいろ経済動向の変動の中で、開発の基本である開発方針、土地の貸付方式等を見直す中での変更は、これはある程度理解できるものですが、そういう中で結果として収支上の問題でプラスになるのか、マイナスになるのか、この辺はいかがでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 収支上のプラスマイナスについてのお尋ねでございますが、具体的には、私どもこの七月に長期収支の試算を発表いたしておりますが、それへの影響であろうかと思います。これにつきましては、今度の措置に伴う支出増、収入の減を七月の長期収支の試算に単純に上乗せをしたとすれば、それなりの影響は避けられないというふうに考えております。  そこで私どもといたしましては、現在策定中の事業化計画の中で、都市基盤整備事業などの支出内容を精査いたしますとともに、暫定利用、二次公募等を進めまして、収入の確保を図りまして、収支均衡に大きな影響が出ないように努力をしてまいりたいというふうに考えております。 ◯五十嵐委員 今回の権利金の差額の精算は埋立事業会計からやるということで、一般会計、都民の税金はつぎ込まないのですよね、確認の意味で。 ◯前川港湾局開発部長 税金の投入はどうかというお尋ねでございますが、今ご指摘ありましたように、権利金差額相当額等の精算の財源、こういったものにつきましては埋立事業会計からの長期借入金で行うということにいたしておりまして、一般の税収の負担はないところでございます。 ◯五十嵐委員 大分時間も迫ってまいりましたが、こういう措置を講ずる中で、冒頭申し上げたように、新しいまちづくりに新たな展開をしていく、いわゆる見直しに基づく開発が、スケジュールの延期等を含めてスタートしようとしているわけですけれども、やはり今回の契約問題については、企業との契約書を都民に公開することが大事だと思いますし、きちんと都民にわかりやすい、明朗な形で措置することが重要だと思います。そういう立場に立って、またさらに、この措置をやる中で、冒頭申し上げたように、今後の臨海開発の新しい展開のスタートになるのではないかと我々も思っております。これから事業が着実に進展していって、結果として、このことが都民のためになったんだということが理解できるような事業展開をしていくことが、今後の見通しとして大事になってくると思う。そういう意味で、いろいろいってまいりましたけれども、最後に局長のご意見として、この情報公開、契約書の中身の公開と、今後の開発に向かっての決意などお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 ◯今沢港湾局長 今回の措置につきましては、社会経済状況の激変によりまして、土地処分方式を見直さなければならないというような状況の中で実施するものでございまして、異例の措置を含むものというふうに認識しております。その意味では、大変厳しい選択を迫られたわけでございますが、東京と日本の未来を開く重要な事業でございます臨海副都心開発を着実に推進していくためには、避けて通れないプロセスであるとも考えております。  私どもは、この措置を今後の開発を進めていく上での契機として、交通基盤の整備、二次以降の公募など、今後のまちづくりに全力を尽くす決意でございます。  また、今回の措置につきましては、都民の皆様のご理解をぜひとも得てまいりたいと考えておりまして、このたび、新賃料、権利金差額相当額の精算額、減額の基準等もすべて議会に示し、明らかにしたところでございます。  今後、ご指摘の新たな契約書の公開等々につきましても、どのような対応ができるかということも含めまして検討し、広く都民に理解をいただけるよう努力してまいります。 ◯菊地委員 私は、港区選出でもありますし、この臨海副都心は港区のお台場として、新しく私たちの仲間入りをしたまちで、発展していくことを願っている者の一人として、確認という意味で三点ほどご質問させていただきたいと思います。  今回の土地賃貸借契約の改定の対象であります第一次進出事業者のうち、未着工の事業者が四社あると聞いておりますが、これらはいずれも台場地区に進出を予定する事業者であり、まちを創出していく上でも、早期の着工が望まれております。  今回の見直しは、これら未着工事業者の着工に向けた大きな追い風になると考えますが、都側は、未着工事業者の事業着工の意向について、どのような感触、見通しを持っているか、まず伺いたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 未着工事業者の工事着工意向はどうかというお尋ねでございますが、私ども、今回の契約の変更の協議を通じまして、いろいろ話し合いを持ってきたわけですが、この措置を通しまして、用途指定どおりに着工していく旨を明言いたしております。 ◯菊地委員 それでは、今回の見直しは、短期的には収入減になり、事業の足を引っ張るかもしれませんが、しかし、暫定利用等によるにぎわいの創出とも相まって、第二次公募以後の企業誘致が促進される等、長期的には有効と考えられますが、第二次公募のスケジュールと企業からの打診の状況についてはいかがでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 ただいまご指摘がございましたとおり、今回の措置を通じまして、私ども、第二次公募を促進していきたいと考えているわけでございますが、第二次公募につきましては、ただいま事業化計画の策定作業を行っております。この事業化計画の策定等の条件が整い次第、早ければ今年度内にも実施をしてまいりたいというふうに考えています。  既に、事業者からの具体的な問い合わせもあり、また、私どもとしては、現在、幅広く企業の意向を把握するために調査を行っている次第でございます。 ◯菊地委員 次に、台場地区の居住者の方々から直接ご意見なりを聞きますと、その中で切実な要望の一つなんですが、臨海副都心の交通アクセス改善、特に新交通「ゆりかもめ」の交通混雑の改善が切迫した急務であると思います。今回の見直しによる収入減が、広域的交通基盤の整備に影響を及ぼすことになっては元も子もないと思いますが、そうした整備事業へ影響を与えることがないかどうか、確認したいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 交通基盤、特に広域的な交通基盤の整備といいますのは、今後の臨海副都心開発にとって極めて重要であるというふうに考えております。  今回の措置によります臨海副都心開発事業会計への影響につきましては、現在取りまとめております新たな事業化計画の中で明らかにしていく考えでございますけれども、こういった作業を通じて、基盤整備費等の精査を行いまして、本年七月の臨海副都心開発の基本方針で示しました整備スケジュールに沿って着実に交通関連の事業の推進を図ってまいりたい、かように考えております。 ◯菊地委員 今回の契約改定に当たりましては、都民から見ますと理解しにくい面が多々あるかもしれませんが、開発の経緯、この間の社会経済の大激変を見ると、ぎりぎりの選択であると思います。都民に理解を求める努力を一層重ねてほしいと思っております。  次に、これは要望ですが、お台場地区の居住者の方々から切実な、先ほど申しましたように、要望が出されておりまして、その中で、「ゆりかもめ」、そしてもう一つ、駐車場問題に関してであります。  現在、多くの人たちがこのお台場地区を訪れており、自動車利用も多く、駐車需要が増大し、違法駐車や、駐車場を探す不要な交通の発生と、多大な迷惑を及ぼしております。台場地区には、暫定も含め、現在八カ所の駐車場が用意されておりますが、ドライバーに駐車場の位置、利用状況等の情報が十分に提供されているとはいえず、効率的な利用がされているとはいえません。駐車場が効率よく利用されれば、違法な路上駐車や、周辺を動き回る不要な交通の除外等も可能となるわけであります。こうしたことから、今後は、駐車場の整備に加え、駐車場利用者へ的確な情報を提供する駐車場案内システムの設置等のソフト対策が有効であると考えますが、この点について、きょうは質問ではなく、現在策定を進めておられる事業化計画の改定にぜひ反映していただくようお願いしておきたいと思います。  以上です。 ◯曽根委員 今回、臨海副都心開発がいわゆるバブルの計画といわれる最大のゆえんでありました新土地利用方式が、破綻は前からわかっていたんですが、ついに始末をつけなきゃならない事態になったわけであります。  臨海部の土地が六%ずつ毎年価値が上がり、物騰分も含めると八%ずつ地代を上げていけるんだという、錬金術のようなおとぎ話が、全くの砂上の楼閣であったということが、今日明らかですが、改めて、このツケが極めて重くこれから都政にのしかかってくるということについて確認しておかなければならない。しかも、今回の決着のつけ方、そのしわ寄せのツケの持っていきどころ、これが新たな開発の破綻の入り口であり、都民犠牲の泥沼の入り口であるということも申し上げておかなければなりません。  それにしても、今回、権利金五百二十三億円を含めて、都政への影響が六百億円近く出るということについて、ましてや特別の地代も減額とか、聞いた人たちはみんなあきれているわけです。臨海開発の企業だけ何だと、零細業者の人なんか、かんかんです。青島知事の泣きそうな顔の漫画を入れて、都財政は火の車だって宣伝をしておいて、こういうところになると、ぽんと五百億円以上のお金が出てくる。一体そんな金どこにあったんだという話であります。  まず、権利金の精算についてお聞きしますが、今回のような都有地の賃貸契約の変更に当たって、権利金を返還した例がこれまであったのか。臨海副都心関連ではどうか、また、港湾局の所管事業では過去に例がありますか。 ◯前川港湾局開発部長 お尋ねの返還の例は、これはございません。 ◯曽根委員 臨海開発でさえないし、港湾局所管のいろんな契約関係にはないという。  きょうは、せっかく各事業局がいらしてますので、それぞれの局にお聞きしたいと思うのですが、建設局は区画整理部長さんがいらしてますよね。区画整理部長さんの仕事の中で、もしくは建設局の中で、いろいろな土地絡みの契約があると思いますが、権利金を返還するというようなことがありますか。 ◯高本建設局区画整理部長 建設局におきましても、権利金を返還した例はございません。 ◯曽根委員 土地の値段が下がったから権利金の精算ができるとなれば、今、区画整理部長が抱えている、難航している区画整理の事業なんか、もう随分解決しますよ。  それから、住宅局は住宅政策担当部長がいらしてますが、住宅局の政策にこういうのはあるんですか。 ◯椋住宅局住宅政策担当部長 住宅局においては、権利金を返還した例はございません。    〔「わかり切ったことを聞くなよ」と呼び、その他発言する者あり〕 ◯曽根委員 今、事業局、大きいところね、土地絡みの契約をいっぱい抱えているところに聞いたけれども、ないと。  まあ、わかり切ったことというお話でしたが、詳しくご存じのようですけれども、東京都、都政の行政全部シラミつぶしに調べて、こういう例はほかにないんじゃないですか。いかがですか。 ◯前川港湾局開発部長 今お尋ねの件につきましては、私どもで関係の局に聞いた限りでは、ないと聞いております。  ただし、念のため申し添えますが、今回の措置は、いわば通常の契約の変更に伴う権利金の返還ではございません。土地処分方式の変更に伴う特別な措置でございます。 ◯曽根委員 そんな、前川さん、余計ないいわけするから、かえって墓穴を掘ることになるんですよ。  賃貸契約が続いていて、その同じ場所を借りてるわけですよ、企業は。契約は事実上続行しているわけですよ。それを、土地が三年後に下がっている分を、権利金をそっくり補償してやる、こういう話はちまたじゃ通らないということなんですよ。  私の近くでは、赤羽西口再開発というのをやっていて、この間完成したんですけれども、この再開発では、私いろいろな相談を受けているんですけれども、地価が一番高いときに権利変換が行われたんですよ。それまで借家で営業してきたお店は、権利床を買わなきゃならない。そうじゃないと再開発地域内にお店が残れないわけですね。一番高いときに床を買わされた。その後、地価はどんどん下落する。もう借金抱えて大変なんで、廃業したいけれども、今売ったって借金返せないんですよ。どうしようかと。こういう中小企業の人たちがこの話を聞いたら、怒って当然じゃないですか。嫌なら出ていけでしょう、普通の再開発なら。ここの臨海の企業だけそうならない、特別優遇。もしこの契約変更が実施されて、こういういろいろと再開発やその他、公的な、民民の関係でもいいですよ、土地契約で苦しんでいる人たちがこういう話を聞いて、東京都の契約の相手方だった場合に、うちもこういうふうにやってくれといわれたら、どういうふうに答えるんですか。 ◯前川港湾局開発部長 先ほどちょっと触れましたが、今回の契約の変更は、確かに土地賃貸借契約自体は継続をしておりますけれども、その重要な根幹部分が変わったことによるものでございます。ですから、土地処分方式が同じ形で継続をしていて権利金を返還する場合ではございませんので、通常の場合とは違うと考えております。 ◯曽根委員 そんな理屈は通りませんよ。  それじゃ、一般の長期貸付の賃貸契約でも、三年たって、契約を一たん解除して、そこからまた新たな契約を結んで、権利金はその場で精算するというようなことが事実上できるんですか。 ◯前川港湾局開発部長 契約の解約、新契約ということでございますが、私ども、今回の対応につきましても、旧契約を解除し新契約を結ぶわけではございません。 ◯曽根委員 一般にはそんなことできるわけないわけですよ。臨海副都心開発だから、こういう特別な扱いが堂々とまかり通るという事態になっている。この発想は、私は大問題だと思います。大体都財政が厳しいと、五千億円足りないから、投資的経費は原則として五割減らせという依命通達が出ているわけでしょう。やむを得ないものも含めて、もう全体で投資的経費は三割減らせという来年度予算の方針が出されているときに、臨海開発の進出企業には、五千億円足りないというときに、逆に五百億円以上、東京都のお金を返してやる。それも、過去にも例がない権利金の返還だと、そういうやり方で返していく。要は、臨海開発は特別扱いなんだ。つまり、全くの聖域だということじゃないですか。  今回の五百二十三億円、これが、先ほど、契約上、不均衡是正という話があるというような、義務的な支出であるというようなニュアンスの答弁もありましたが、そんなことはだれも納得しません。この不均衡是正という、契約の第三十五条に入っている、この項目というのは、どういういきさつで入ったんでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 現在の契約は、平成五年三月に締結をしたわけでございます。この時点の社会状況ですが、地価の下落はもちろん始まっていたわけでございますけれども、その時点で、今後地価の下落が継続する可能性は高いけれども、下落傾向の定着が確実かどうか、その認定ができなかったために、将来そういう場合には新土地利用方式を変更する可能性があると、それを考慮して、契約に不均衡是正条項を入れた、こういうわけでございます。 ◯曽根委員 我が党は、この平成五年の三月の契約時点で、とにかく地価はもう下がり始めていたんですから、そういうときに、長期の収支の見通しがどんどん瓦解しているときに契約なんかするなと要求したんだが、当時の港湾局長は、断固として契約するということで押し切ったわけですね。しかも、そのときには、新土地利用方式は将来瓦解する、崩壊することはもう大体わかっていた。だから、切りかえができるようにということで、こういう条項が入れられたんじゃないですか。これは、だれが考えたって、契約する企業の側で要求を出して、東京都がそれを、とにかく開発を続行するために企業には出てもらわなきゃならないから、のまされたという図式だったということはもう明らかじゃないですか。いざとなれば、この条項を盾に東京都を揺さぶれば何とかなると。現に何とかなったわけです。そして東京都も、企業をつなぎとめたいので、こういう筋の通らない条項ものまされて、予想どおり今回権利金を返すと。進出企業の思惑どおり、異例の譲歩というふうになったんじゃないでしょうか。これからも、この調子で次々と企業の要求をのまされて、そのたびに結局はお金は都財政に回り、都財政から最後は都民に回るということになれば、東京都の財政再建どころじゃないと思います。  私たちは、もともとこの臨海部に副都心をつくるという開発の基本目標自体が根本的な問題を抱えているということを追及してまいりました。都心からわずか六キロ、しかも通勤人口を吸収できる後背地を持たない臨海部で、みんな都心を通らないとここに通ってこれない、地盤も悪い、副都心としても最も立地条件の悪い上に、東京湾やその沿岸の自然環境にも、ヒートアイランド現象など、負荷も大きい、やればやるほど都民との矛盾は大きくなると警告してまいりました。  東京都は、都民の反対を抑えつけるために、都民に財政で迷惑はかけないといいわけして、開発者負担の大きい無謀な財政計画を立てて、これを押し切った。バブルの当時はそれでも企業が群がりましたが、しかしバブルがはじけて矛盾が一気に噴き出した。第一には、不況の到来と都心のオフィスビルの供給過剰で企業進出が見込めなくなってきた。二つ目に、地価の下落で開発の収入見込みが大幅に減少した。  結局、都民に迷惑をかけないという財政計画が破綻したわけです。そのツケが今大きくのしかかろうとしている。問題は、この間も議論したことですけれども、ここで大企業向けの副都心づくりの開発目標を都民の要望に沿って根本から見直すチャンスだった。にもかかわらず、開発の根本問題は先送りして、企業の進出を最優先するために、企業の要求に応じてその負担を減らしてやる。そのかわり、都民の財政を次々投入する。開発の財政破綻を都民の財政で穴埋めをする、ここにあるわけです。  この企業進出優先、開発の継続優先の姿勢が続く限り、私は、この権利金問題に限らず、都民犠牲はますます拡大していくということを申し上げておかなければなりません。(「青島が都市博をやめたからそういうことになっているんだ、それはさっきから自民党がいっているじゃないか」と呼ぶ者あり)先ほども、都市博が今回の破綻の原因であるかのような、いわばとぼけた議論がありましたけれども、(「それは問題だぞ」「公党の意見として問題だぞ」と呼ぶ者あり)都市博が中止になる前から、新土地利用方式の(「とぼけたとはなんだ」と呼ぶ者あり)破綻が見えていたというのは、先ほど当局のご答弁にもありました。  地価がどんどん下がっているから、バブルの財政計画はもう破綻するかもしれない。だからこういう条項が入ったんですからね。私たちはそのことを申し上げているわけです。(「委員長、訂正させてよ、不穏当な発言があったから」と呼ぶ者あり)その上に、三年間、これから三年間の、現在下げようとしている賃料の、そのまた減額措置がとられるという計画が出されました。  発表された翌日の朝日新聞ですけれども、先行進出企業にご褒美、こういう大きな見出しをつけました。私はまさにこのご褒美という言葉が当たっていると思うんです。このご褒美の理由が、この資料1に載っていますけれども、大変振るっております。第一次進出企業は厳しい社会経済状況下にあったにもかかわらず、(発言する者あり)当初の契約条項をおおむね…… ◯田中委員長 速記をとめてください。    〔速記中止〕 ◯田中委員長 速記を再開してください。  理事会を開きますので、暫時休憩いたします。    午後二時三十分休憩      ━━━━━━━━━━    午後二時四十六分開議 ◯田中委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  この際、傍聴人に申し上げます。  傍聴人の方々は、東京都議会委員会傍聴規則を守って、静粛に傍聴を願います。傍聴人は可否を表明したり、騒ぎ立てるなど、議事の妨害となる行為をすることは禁じられております。委員会傍聴規則等に違反する場合には、退場を命ずることがありますので、念のため申し上げておきます。ご協力をお願いをいたします。      ━━━━━━━━━━ ◯田中委員長 それでは、曽根委員。 ◯曽根委員 冒頭に申し上げたいと思います。  先ほどの私の発言の中に、とぼけた発言という表現がありましたが、これは表現が不適切でしたので、おわびして訂正いたします。  それでは、質問を続けます。  先ほど資料1を紹介しましたが、ここにある今回の特別減額の理由、先ほど1)は申し上げましたが、2)は進出企業の先導的役割を評価するというものがあります。これは一体どういう意味なのか。東京都は、契約を守ったという当たり前のことだけで地代を五割もおまけするという、つまり、朝日新聞によれば、ご褒美だということができるのでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 賃料の減額措置についての評価の理由でございますが、私どもは都が当初にお示しをした開発スケジュールを延伸する中でも、まちづくりに先導的な役割を果たした事業者に対して、今後とも臨海副都心開発に貢献をしていく、このことを評価して実施するものでございます。契約条項の遵守は、その事業者のまちづくりへの貢献のいわば指標の一つとしたものでございます。  なお、今ご褒美というあれがございましたが、私どもそういうことは毛頭考えておりません。 ◯曽根委員 この間、臨海副都心が厳しい社会情勢であったから契約を守らなくていいという理由なんかになるはずもないし、逆に、この情勢の中で、契約どおりやったからといって、もちろんご褒美の理由になるはずもありません。これが理由になるのだったら、この数年間の都の契約相手はみんなご褒美もらえるじゃないですか。みんな社会情勢厳しかったんです。  しかも、今回の契約では、先ほど申し上げたように、過去に例がない権利金の値引き返還までやるというわけですから、その上に何が必要なのか。おまけの上におまけを重ねるようなものだ。三年間で特別減額は六十九億円になるわけですけれども、財務局にお聞きしたいのですが、臨海副都心ならこういうことを認めてしまうのでしょうか。 ◯木内財務局主計部長 今回の措置につきましては、先般七月に見直されました基本方針に基づくところの臨海副都心の開発につきまして、これを着実に推進するために必要なものであるという判断をしたものでございます。 ◯曽根委員 臨海副都心開発を着実に推進するためにはこういうこともやっていいんだということ自体が、結局臨海副都心を聖域扱いしていることにほかなりません。しかも、そのご褒美を契約内容を守り切れなかった企業にも二割から四割の範囲で出そうというのは、ますますわけがわからない。これを説明してください。 ◯前川港湾局開発部長 今契約内容を守らなかった企業にもというお話がございましたが、今回の減額の判断基準として採用した五項目と申しますのは、着工を基本として契約から今年度内の開業まで、ここに至る一連の客観的事実から構成したものでございます。いわば、この五項目への該当の度合いに応じて、まちづくりへの先導的役割を果たしたか否かの評価をしている、こういう次第でございます。 ◯曽根委員 ちゃんとした説明になっていないと思うんですよ。具体的にお聞きしますよ。例えば、住友商事なんかは、九三年三月の契約期限までに契約しなかったわけですね。当時の港湾局長は、もうこの期限までに契約しなければその意思がないものとみなすとまで議会で述べていた相手ですよ。それだけじゃありません。その後も、契約の期限をずるずると東京都は認めてきましたが、結局、一年後の九四年の三月末まで延ばしたけれども、住商は契約に応じなかった。そのときに、これは議会でも西田議員から質問していますけれども、その住商グループの社長から五カ月後の契約に向けて最大限の努力をしたいんだ。だから、そのあかしとして十億円を都に預託したいという申し出があった。これは法令上受け入れる性質のものではないのでお断りしましたという答弁があります。会社の側も、さすがに一年の契約を延ばして、さらにそれも守れないというんじゃ、ちょっとお金でも出さなきゃしようがないかというぐらいのとんでもない契約──それが二割もご褒美をもらえる。私、こういうのは一般の契約にかかわる人たちから見ると、異常というか、異様というか、全然信じられないような話だと思うのです。  結局今後の、この住商についてお聞きしておきますけれども、この住商が結局一年五カ月契約がおくれたわけですね。これによって、権利金はそのおくれた分だけ上乗せして取ったようですけれども、これは今回精算されます。利息分は若干違いが出るでしょう。地代の方は、今回の精算に入っていませんので、一年半分地代を払わないで、残り一年半、一年七カ月ですか、払った。ほかの九三年三月に契約した企業を想定した場合と比べて、東京都はこの地代をどれぐらい取り損なったのですか。 ◯前川港湾局開発部長 住商についてのお尋ねでございますが、まず事実から確認をさせていただきます。契約がおくれたことによりまして、賃料収入につきましては、約八億八千万ほど、フルに三年間契約した場合と比べますと減ったことは事実でございます。しかしながら、権利金につきましては、当初よりも結果として二十億円も多く支払っている。これは、新土地利用方式で地価が上がっていきますので、それを反映しまして約二十億円多く払っている。したがいまして、トータルでいいますと、約十一億円ほど多くを支払ったという結果になっている。これが事実でございます。  それから、問題は住友商事についての評価でございますが、私どもはこの減額基準五項目に照らして評価をいたしておりまして、今申しましたように、契約がおくれた、それから協定内容と違う内容のものをつくったといったことを勘案して減額率は低くなった、こういう次第でございます。 ◯曽根委員 権利金の話もされましたので、私から申し上げておきますが、権利金は今回同じ百三十八万の平均基準地価格のベースで精算をしたわけですから、残されるのは一年七カ月の間の利息だけなんですよね。そのことを申し上げておきたいと思います。  こういう東京都が契約をするに当たって全く振り回されたといいますか、そういう相手にさえ特別の減額をしてやるというむちゃくちゃなやり方を、都議会で特別委員会もつくっていてきちんとチェックできないのは、私議員として、都民の代表機関としての存在価値が問われるなというふうに本当に自分で思うんですよ。  最後に、港湾局長にお聞きしたいのですけれども、先ほど私も気がついたことをちょっと申し上げましたが、投資的経費の削減方針がある中で、臨海副都心事業会計があってどうしてこういうことになっちゃうのか、大盤振る舞いじゃないかというのが都民の率直な声だと思いますが、どうしてこの臨海副都心だけが聖域になってしまうのですか。 ◯今沢港湾局長 先ほど来答弁申し上げておりますように、今回の措置につきましては、土地処分方式を新土地利用方式から通常の貸付方式に変更するという契約の根幹の変更を前提として権利金の精算等を行うものでございます。これをすることによりまして、先ほども私お話し申し上げましたけれども、今後の臨海副都心の着実な推進にとって効果があるであろうという、明るい臨海副都心の開発ができるだろうということを思い、これを提案したわけでございます。 ◯曽根委員 明るい臨海副都心開発の見通しを立てるためには、ほかは犠牲にしてもいいんだという発想じゃないですか。これは、本当に臨海副都心開発というのが今都政の中で聖域中の聖域になっている。手つかず状態、進出企業の要求はどんどんのまされていく。この図式を何としても打ち破らなければ都政のあすはないと私たちは思っております。このことを申し上げておきたいと思います。  例えば、教育庁なんかは、この投資的経費の削減方針を受けて、今年度実施するはずの予算のついた事業まで先延ばししようというのですよ。それも真っ先にやらなきゃならないはずの学校や体育館の耐震改修とか、養護学校に通う生徒が送迎バスに乗りおりするときに、せめて雨にぬれないように学校の駐車場に屋根をかけるといったごくささやかなものまで、八年度分で十校、九年度分六校、既に実施に一たん予算がついたものまで先延ばしするということまでやっているんですよ。それで削減額は八年度、九年度分合わせて四億三千六百万ですよ。こういうところにまでしわ寄せをしながら経費を削っていく。その一方で、こちらの金の使い方は何だという都民の声にどう答えるのか。  私は、今進められている臨海副都心開発は、まさにこの都民の疑問に答える何らの資格も持っていないというふうに考えております。この点で、冒頭に申し上げましたように、今回の措置は、開発について明るい見通しという局長のお話はありましたけれども、企業が第二次公募以降、どんどん進出してくる見通しが立っているわけでもないし、長期出資の問題もあります。したがって、新たな破綻の入り口になる可能性が強い。しかも、都民の犠牲はますます膨らんでいく。こういう流れにならざるを得ないということを厳しく指摘して、私の質問を終わりたいと思います。 ◯嶋田委員 質問をいたします。  今回の進出事業者等の契約変更に伴うこの五百二十億円余の権利金負担相当額の精算等については、必ずしも都民の十分な理解が得られていないというのが実情だと思います。反面、都民からの批判や疑問の声が多いのが現状であります。地価下落を理由とするその契約中途での権利金の一部返還は、通常、民と民の契約では、私はあり得ないことだと思っています。  そういう中で、今都は健全財政に進んでいるわけでありまして、この五百二十億円以上もの巨額の支出を本当になぜ行うのかという都民の声が私たちの会派にも寄せられているわけでありますけれども、まずこうした都民の声に対して納得いただける説明が必要だと私考えるわけでありまして、まずこの件についてお答えをいただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 五百二十三億円の権利金の精算の理由ということでございますが、今回の措置につきましては、先ほど来ご説明申し上げておりますが、進出事業者との土地賃貸借契約土地処分方式を変えた。それに伴って、権利金額が新旧で差が生じたために、その差額相当額を精算するものでございます。新土地利用方式がいわば地代を年六%プラス二%程度の物騰率という、八%程度で上昇させていくといったものであったわけですが、これが社会経済状況の大きな変化によりまして、維持が困難になった。そこで、平成五年の推進会議決定及び本年七月の基本方針を踏まえまして、今回通常の長期貸付方式へ変更をしようというところでございます。  この措置につきましては、今後の臨海副都心開発を着実に進めていくためには必要不可欠である、私どもはそう考えておりますので、広く都民にご理解をいただけるよう努めてまいりたいと存じております。 ◯嶋田委員 今、前川部長の答弁ですべてが理解できる材料ではないと思いますけれども、いずれにしましても、第四回定例会、具体的に補正予算案が提案された中で、十分なお答えができるように、また一歩ご努力をいただきたいと思います。  さて、私は五年九月に、土地処分方式を新しい土地利用方式から通常の長期貸付方式に変更した経緯についてもただしているわけでありますけれども、その際私は、長期貸付に変更した場合、一次公募企業と二次公募企業との権利金の調整は具体的にどのように行っていくのかを聞きました。当時の開発部長の答弁では、長期貸付の権利金は地価の七割程度を想定しているので、既に契約した企業からは不足分を改めて納めてもらうと考えているという答弁をいただきました。またさらに、私の方から、そのことは企業が本当に受け入れるのかどうかただしたところ、通常の長期貸付は進出企業にとって受け入れやすく応じてもらえると思うという答弁をいただきました。また、企業の方からも、新土地利用方式は現在の経済実情に合わないという情報があるとも述べられていました。
     つまり、新土地利用方式を通常の長期貸付方式に変更することは、平成五年の九月の時点で企業も納得の上の話で、またその変更の際は、権利金を返すということではなく、逆に不足分をもらうという想定をしていたということではないかと私は考えていたわけでありますけれども、この点について確認をいただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 権利金率の問題についてのご質問であると思いますが、この問題については議論があるところではございますけれども、ご質問、答弁がありました平成五年九月時点の長期収支試算では、ご指摘のとおり、通常の長期貸付方式での権利金割合を七割にすることを想定をしていたのは事実でございます。  しかしながら、本年七月の基本方針における長期収支試算におきましては、地代による開発利益の吸収が五割にした方が有利である。そういう理由で、権利金割合を新土地利用方式と同様に五割にするということを決めたものでございます。今回の対応は、この方針を踏まえているものでございます。 ◯嶋田委員 開発利益をできるだけ吸収していくためには、借地権割合を七割から五割にするという点では、私も十分理解できることであります。しかしながら、通常の土地契約では、権利金は借地権を設定した対価として支払われるものであると考えるわけであります。そのもととなっているのは、借地権割合が同じ五割であれば、権利金のやりくりということは一切一般的にはないというのが慣行だと思うわけであります。  そういうところから、違った観点から伺ってみたいと思いますけれども、現行契約の三十五条の不均衡是正、これを盛り込んだり、五年の九月の推進会議での既に進出した事業者との必要な調整を行うという具体的な決定は、権利金を返すことを想定したものなんでしょうか、どうなんでしょうか、伺いたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 平成五年三月の契約の不均衡是正条項でございますが、これは、地価の下落の傾向があるけれども、それが将来確実に続くという認定が必ずしも明確でなかった、そういう時点で、地価の下落が継続する場合も視野に入れて、現行契約に入れた次第でございます。下落傾向が確実となった場合には、第二次公募時に新土地利用方式から通常の長期貸付方式へ変更することは十分可能性が想定されておりまして、当然その際には、権利金差額相当額の精算を行うことも想定していたところでございます。  その後、地価下落が確実となってまいりましたので、平成五年九月の推進会議で土地処分方式を変更することを決定し、一次進出事業者とは、今申しましたような内容を踏まえて、必要な調整を行うことを決定した次第でございます。 ◯嶋田委員 不均衡是正の条文等は、社会経済状況の変化に、とりわけ地価の変動に応じて賃料の具体的な調整を行うという趣旨だと思うわけでありますけれども、権利金の精算までは含まれていなかったのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 不均衡是正の条文の内容についてのお尋ねでございますが、今お話がありました賃料の調整につきましては、これは格別に契約で定めなくとも、現行の借地借家法によりましても、借地人には地代の減額請求権は認められているところでございます。そういう意味で、わざわざ契約に明記をいたしましたのは、今申しました趣旨も踏まえてだったと私どもは考えております。 ◯嶋田委員 ちょっとくどいようですけれども、一歩譲って、不均衡是正条文は任意規定であって、あえて権利金を返還する必要はないのではないかと思うわけでありますけれども、もう一度ちょっと答弁いただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 三十五条の性格についてのお尋ねでございますが、今ご指摘ありましたとおり、確かに三十五条では措置を講ずることができるとしているものでございまして、それ自体の性格はご指摘のとおりであると思いますが、今回の措置につきましては、この条文の趣旨を合理的に解釈をするとともに、これまでご説明してまいりました推進会議決定あるいは基本方針等を踏まえて、臨海副都心開発を今後着実に進めていくためには避けられない措置である、長期的には必ず臨海副都心開発にプラスに働くといったことを総合的に勘案して決めた次第でございます。 ◯嶋田委員 確かに当時は既にバブル経済が崩壊をして、大幅な地価下落が顕著になり、開発の先行きが不透明であったことは現実だと思うのです。三十四条の開発スケジュールの大幅な変更等、それから三十五条の不均衡是正が契約に盛り込まれたということ、それから三十四条と三十五条が契約に盛り込まれた経緯、これについてどうなっていましたか、教えてほしいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 三十四条、三十五条が盛り込まれた経緯と申しますか、性格等についてのお尋ねかと思いますが、三十四条につきましては、これは開発スケジュールあるいは開発計画を都が変更した場合に、新土地利用方式のいわば枠内でまちの熟成率とか、二十五年というこれまでの熟成期間を見直すと定めたもので、いわば新土地利用方式に伴うものであるというふうに考えております。  三十五条は、これは性格が異なりまして、先ほど来ご説明申し上げておりますが、平成三年から地価下落が始まった、その後の地価動向が不確かな中で、平成五年三月の時点では、地価が引き続き下落していた場合、新土地利用方式の維持が困難になる可能性もあったことから、当該条文を設けたものというふうに考えております。 ◯嶋田委員 いずれにしましても、東京都と進出企業との間で不均衡是正等について認識のギャップがあって、かつ具体的な話し合いがなされないまま放置してきたことが、今日まで契約改定を延ばす結果になったのじゃないかと私は考えるわけであります。仮に、権利金の精算も是とするとしても、五年の九月の土地処分方式の変更を決定した時点で、契約改定を前倒しにするとか、あるいは柔軟な措置を講じていれば、その支出もある程度、現在の規模まで膨らまなかったんじゃないかと考えるわけです。したがって、なぜ五年の九月の時点で契約改定を行わなかったのか、このことについて説明をしてください。 ◯前川港湾局開発部長 平成五年九月の時点での対応についてでございますが、現行契約の第九条第一項では、初回の賃貸料の改正の時期は三年後の八年三月一日ということを明記をしております。一方、同じく現行契約の第三十五条では、先ほど申しましたように、いわばこれの例外として第二次公募時の不均衡是正を定めていた。総合的に考えればそういうことではないかと思っております。  このために、平成五年九月の推進会議決定では、土地処分方式の変更は第二次の公募時とした。つまり、第三十五条に合わせる意味も含めて第二次の公募時として、第一次進出事業者についてはその際に必要な調整を行うこととしたものである、こういうふうに理解をしております。 ◯嶋田委員 それでは、次に、資料の7でご提出をいただきましたけれども、土地処分方式の変更について伺います。  新しい土地利用方式と通常の長期貸付方式の収支比較、七ページに出ておりますけれども、この資料によりますと、一定の前提条件を置いた方では、今回の権利金の精算を行っても、通常の長期貸付方式に変更した方が東京都にとっても有利であることが数字でうかがえるわけでありますけれども、前提条件などわかりやすくちょっと説明をいただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 新土地利用方式長期貸付方式の収支の比較でございますが、お手元にございます資料は現在の第一次進出事業者十社を対象としたものでございます。  まず、今回の長期貸付方式と従来の新土地利用方式の両方の方式に共通する仮定といたしまして、(1)にございますように、土地価格を契約時点で平米当たり百六十四万円、それから八年三月時点の土地価格を百十四万円、借地権割合を五割などとしたわけでございます。また、新土地利用方式の土地価格の上昇率につきましては、契約から二十五年間が八%、それ以降が二%、長期貸付方式の土地価格の上昇率は、基本方針の収支試算と同様に平成十一年度まではゼロ%、平成十二年度から平成十六年度までが二%、平成十七年度以降は三%といたしまして、こういった前提で収入の権利金額、賃料の合計金額、満了時支出額及びその合計を比較したものでございます。  ごらんをいただきますと、合計で比較した場合、今申し上げました仮定による比較ではございますけれども、長期貸付方式が契約を更新するものとした場合二千五百六十六億円、契約満了時に新土地利用方式と同時に、満了時の土地価格に五割相当額の支出があると仮定した場合には七百二十七億円、通常の長期貸付方式の方が有利という結果となっております。 ◯嶋田委員 通常の長期貸付方式での契約満了時の構造物の撤去の問題とか、あるいは市場金利の動向等、これだけでは比較できない部分もありますけれども、このことからいっても新しい土地利用方式そのものが、当初から問題点を抱えていたものであったということも指摘できるんじゃないかと思うわけであります。地価の鎮静化を図るためとか、その他の要因はあるにしても、今から振り返れば、市場における地価の動向とは関係なく、契約の終了時に支払うことになる給付金は、進出企業にも多大のメリットがあったのではないかと考えるわけであります。新しい土地利用方式について、当時私たちもさまざまな角度から問題点を指摘してきましたけれども、当然その結果責任の一端も担っていることも事実であります。  今回の土地処分方式の変更に当たって総括して、先ほどもありましたけれども、新しい土地利用方式とはどういうものであったか、局長の総括を聞かせていただきたいと思います。 ◯今沢港湾局長 新土地利用方式といっていますのは、臨海副都心という大規模な埋立地におきまして、開発利益を吸収して都市基盤等を整備していくという新しい方式の土地賃貸借関係でございまして、平成二年当時、異常な地価高騰が続く中で、土地売却による地価の顕在化を防ぐことを目的として導入したものでございます。  しかしながら、ご案内のように、バブル経済の崩壊という社会経済状況の激変を経た現時点で振り返ってみますと、この新土地利用方式につきましては、日本全体が右肩上がりの経済成長を前提としていた時代の開発方式であったかなという思いがしております。当時といたしましては、極めて画期的な開発方式でありましたが、地価が大幅に下落した今日におきましては、維持していくことは困難なものであるというふうに認識しております。 ◯嶋田委員 次に、賃料の値上がりについて、二、三伺っておきたいと思いますけれども、提出していただきました資料4の第一次進出事業者の契約改定に当たっての要求内容によりますと、事業者からは五年間の一〇〇%の減額の要求が具体的にあったと記載されているわけでありますけれども、この五年間一〇〇%減額のそもそもの理由はどういうところから出たものでしょうか、お答えください。 ◯前川港湾局開発部長 一次進出事業者のうちの着工事業者が五年間一〇〇%の減額要求をしてきた理由でございますが、開発当初の計画を信頼して進出をしてきた。しかしながら、開発の見直しによって、開発スケジュールの大幅な延伸等の事態が生じて、自分たちの進出の前提が崩れたんだというふうに主張をしております。こうした前提が崩れた中にあっても、自分たちは当初の約束どおり着工、開業したものであって、都はこれを評価してこういった措置をとるべきであると求めてきたところでございます。 ◯嶋田委員 事業者の理由はわかりましたけれども、それではどうして東京都は特別減額を具体的にすることになったのか、この理由をあわせてお聞きしたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 先ほど来ご説明申し上げておりますが、土地賃貸借契約の締結以後社会経済状況が大きく変化をした。そういう中で都の開発方針が見直され、開発スケジュールが五年から十五年間延伸をされた。それにもかかわらず、第一次進出事業者がこれまで当初の契約条項をおおむね遵守してまちづくりに先導的な役割を果たしてきた。こうした貢献を評価して、今回の減額を行う次第でございます。また、これによりまして、今後の二次以降の公募が促進されるなど、開発を促進する効果は必ずあると考えております。 ◯嶋田委員 仮に、権利金の精算が契約に基づくものであることを認知したとしても、この特別減額に関していえば、臨海副都心用地規則の第四条の用地の管理及び処分にかかわる価格、または料金の決定の中の第二項の五にある、知事が臨海副都心開発事業の実施のため、特に必要があると認めるときという項目でしかできないと私は考えますけれども、いかがなものでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 ご指摘のとおりでございまして、当該条文を根拠として行うものでございます。 ◯嶋田委員 それでは、資料3に、今回の契約改定を実施しなかった場合に想定される開発への影響、これは損害賠償とか、いろいろ物騒ぎなことが書かれているわけでありますけれども、特別減額を取りやめた場合、先ほど具体的にちょっと説明がありましたけれども、どういうスケジュールのもとに、どんな状況がこれから出てくるか、想定されるか、具体的に述べてほしいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 特別減額を取りやめた場合の影響の想定でございますが、進出事業者は地代の引き下げ、それから権利金の差額相当額の精算、特別減額、この三者をいわば一体とした対応を求めてきている次第でございます。したがって、今回何らかの形で対応を行わない場合、一言で申しますと、臨海副都心開発は極めて厳しい状況になると思われます。  例えば、第一次進出事業者につきましては賃料の一部不払い、あるいは未着工企業の撤退等が考えられ、最悪の場合には訴訟ということもあるかと思います。あるいはまた、第二次以降の公募にも影響が出ることは避けられないと思われますし、都と事業者との信頼関係は大きく揺らぐこととなります。  こうしたプロセスを通じまして、私どもおそれますのは、臨海会計の収入が大幅に減少し、開発全体が立ち行かないことになるといった事態でございます。 ◯嶋田委員 要は、この特別減額はとにかく実施しなければ、企業との関係が白紙になることが想定されるということでありますけれども、それでは、この特別減額は期間が三年としているわけでありますけれども、本当に三年で終わるのか、あるいは延長があるのか、そういうことについて、今はっきり三年間だということがいい切れるのかどうか、その説明をいただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 今回このような減額措置をとります背景は、バブル経済の崩壊という通常ではまずない大きな社会経済状況の激変を受けて、都としても開発計画の見直しを行った。こういう中で第一次進出事業者が臨海のまちづくりにいわば先導的な役割を果たしている、これを評価して行うものであります。  今後の臨海副都心の開発につきましては、本年七月の基本方針に基づいて、今後着実に事業を進めてまいりますので、今回のような減額措置は今回限りとする方針であります。 ◯嶋田委員 最後に意見を述べて質問を終わりにしたいと思いますけれども、今までるる説明もいただきました。こうしたいろんな根拠についても聞きました。まだ、若干私たちの会派としても疑問が残るところであります。私たちは、さきの基本方針について一定の評価をして現在まで来ました。今回の具体的な東京都の措置そのものがやむを得ないものかどうか、これについては今後の審議の中でしっかりと勉強も加えながら見きわめていきたいと思うわけであります。  時間との関係で触れることができませんでしたけれども、暫定利用の問題であります。これについては、ちょっと要望だけを申し上げます。実施方針決定後、規則の改正等を直ちに実施するという考え方でいるわけでありますけれども、早急にこの作業に着手をしていただいて、あるいはむやみに企業等に無償で提供することがないよう、収入の確保等を中心として努めていただきたいというふうに私は考えるわけであります。この点も要望をしておきたいと思います。  以上です。    〔委員長退席、大木田副委員長着席〕 ◯望月委員 質問をさせていただきます。  ここまで本委員会の審議を通して、特に契約改定に関して権利金の精算や賃料の特別減額など、大きく議論の対象になったかと思われます。確かに現在の非常に厳しい都政、とりわけ財政非常事態宣言の出ている都財政のもとにあって、総額で五百八十九億円もの補正予算を組むことは非常な決断があったことと思いますし、それに関して議論になることは当然であります。  そこで、確認をさせていただきたいと思いますが、契約の条文の三十五条、もう一度全文を読み上げて、前川さんにお願いをしたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 現行契約の三十五条でございますが、第二次公募以降の公募条件及び進出企業との契約内容において、この契約と不均衡が生じたと東京都と事業者協議の上認めるに至った場合には、双方協議の上、不均衡を是正する措置を講ずることができる、こういうふうに規定されています。 ◯望月委員 我々通常契約をいろんな形で行いますけれども、契約書に明文化されている是正を行う、賃料の是正をするということでなく、また権利金の是正をするというふうに明記をされていない、いわゆる減額を、全体を是正するんだということになって、明確に契約書にうたってある以上、これは東京都として、契約の一方の当事者として、血を流しても払わなければいけないというふうに私どもは解釈するわけであります。とかく日本人の悪い癖でありまして、契約は契約、そこを何とかお願いしますという形の議論は、今後こういう公の場ではなじまないというふうに私どもは考えております。  我々はここで、臨海副都心開発の意義をもう一度十分確認をしておく必要があると考えます。国際化、情報化、経済のグローバル化が進む中で、東京都は今後とも世界都市として確固たる地位を築いていかなければならないと考えております。しかし、円高の急速な進展に伴い、製造業を中心にコストの削減を求めて、海外、特に東南アジア地域へと生産拠点を各企業が移しておる。こうしたことが国内の産業の空洞化をもたらす一方、東南アジアの諸都市は急速な経済成長を今遂げているわけであります。その結果、世界の中、特にアジアにおいて、日本の地位の相対的な低下が懸念されております。  日本経済をリードし続けるためには、東京の活力を維持向上させていくことが不可欠であり、それに対応し得る都市機能を具備したまちの整備が必要であります。また、国際貿易や新たな産業の基盤の拠点づくりも同時に求められておるところでありますし、しかも緊急性が求められております。臨海副都心開発はまさにこうした機能を有する副都心を整備し、将来の東京の経済を牽引する活力を高めていくためにも、ぜひともなし遂げていかなければならない大切な事業であると認識をいたしております。都民生活の維持向上という観点からも、絶対にこれは成功をさせなければならないものと私どもは解釈をいたしております。  そこで、土地処分方式の変更そのものは、既に平成五年九月の推進会議において新土地利用方式から通常の長期貸付方式へと変更することが決定されており、これに基づいて二次公募に契約改定を行うことは既定方針だったわけですが、それが先ほど来議論になっておりますバブルの崩壊、そして世界都市博覧会の中止による景気の低迷や、その後の開発の見直しの議論が行われたことにより二次公募が行われず、本年三月の契約改定時期を過ぎても、契約が改定できずに今日、年末に至っているわけであります。したがって、今回の土地処分方式の変更に伴い、権利金の差額相当額を精算することは今後の臨海副都心開発を着実に進めていく上で避けられない問題と考えております。  先ほど申し上げましたように、契約の条文を東京都が守らなければ、東京都と今後契約をする企業は皆無となるでありましょう。もし一次進出事業者との契約改定が行われない場合には、先ほどお答えになったように、進出事業者の賃料の不払いや臨海副都心からの撤退、さらには開発の続行が不可能となるなど、不測の事態が考えられるわけであります。そのような事態は何としても東京都として避けなければならないと考えています。  また、賃料の特別減額については、一次進出企業の臨海副都心のまちづくりへの先導的な役割を積極的に評価するとともに、今後の臨海副都心開発への促進効果を考慮した措置だということ、また、権利金の精算と同時に、これも今回限りの特別の措置ということがこれまでの答弁によって確認されたことと思います。権利金の差額の精算と賃料の特別減額等を含む今回の措置は、都財政を取り巻く状況が非常に厳しい中にあって、まさに苦渋に満ちた選択だと考えております。  しかし、この苦渋の選択は、臨海副都心地域が二十一世紀の東京の活力の源となり得る魅力あふれる副都心として成長するため、そして本格的な事業を展開していくためのいわば避けて通れないクリティカルパスともいうべきものであります。臨海副都心開発がこれから正念場を迎え、二次公募を初め本格的に事業展開をしていかなければならない時期であり、契約変更にこぎつけた一次進出事業者と東京都の努力を積極的に評価するところであります。  さて、今回契約改定とともに未利用地の暫定利用の方針案も示されております。臨海副都心の今後の開発を着実に進めるためにも、また今後予定されている二次公募をぜひとも成功させ、まちとしてさらなる発展をしていくためにも、臨海副都心のまちのにぎわいの継続がぜひとも必要であります。  我が会派は、さきの都議会第三定例会においても、さらなるにぎわいの創出として、未利用地を開放して、フリーマーケットの誘致、そしてストリートミュージシャンやダンサーなど若者が集まりやすいような環境と条件をつくることを主張いたしました。来年の二月には暫定利用の募集が開始されるとのことでありますが、事業の積極的な推進を期待するところであります。一次進出事業者との長い間の懸案であった契約改定問題にここで区切りをつけ、これをむしろ今後の開発にプラスに働く方向へと持っていくべきであります。また、臨海副都心のまちのにぎわいを継続させるためにも、暫定利用をぜひとも成功させたい考えであります。  そこで、一問お伺いをいたします。今後の開発の着実な推進に向けての局長の決意のほどをお伺いをいたして、質問とさせていただきます。 ◯今沢港湾局長 臨海副都心の開発は、望月委員お話しのとおり、あすの東京の活力と創造力を生み出す場として、東京全体のまちづくりにも貢献する極めて重要なものであるというふうに私は認識しております。一次進出事業者との間におけます今回の措置は、七月の基本方針に基づいて、今後の臨海副都心開発の推進をするに当たりまして、欠くことのできないものであるというふうに考えるところでございます。  また、お話にございました暫定利用は、当面処分を予定していない用地を活用いたしまして、まちのにぎわいを積極的につくり出していくものでございます。本格利用に至る途上でのまちの発展を促進していくものとして大変重要な意義を有するものとこれまた考えております。  臨海副都心開発につきましては、広域交通基盤等の整備が進む今後数年間が極めて重要な時期でございます。今後事業計画の見直しを行い、二次以降の公募を積極的に進めるなど、本格的に事業展開を図り、豊かで活力のある東京実現に貢献することを目指し、開発の着実な推進に全力を投入する決意でございます。 ◯上島委員 今回補正額で臨海副都心の開発事業会計で五百二十六億計上されております。しかも、法的にも常識的にも理解できない、権利金を返すということですが、問題は、平成五年に締結した土地賃借契約書の三十五条、この特例を設けた理由が今日のネックになっていろいろともめている、これがポイントだと思うので、これがいわゆるこの支出の根拠になると思うので、なぜ例外的な条項を設けたのかというのはさっきいろいろ理由がありました。僕は、この中で折衝の経過について伺いたい。  初めてここに出てくることですから、まず最初に伺いたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 交渉経緯についてのお尋ねでございますが、今回の決定に至るまでには、今回の契約の改定の時期が平成八年の三月の一日でございましたので、その前に当然進出事業者から文書での申し入れがあり、その申し入れについては事務的に協議を重ねてきた次第でございます。  協議の過程では、当然私どもは都として、公共的な立場からいわば客観的な基準条件で交渉を詰めてきた次第でございます。おおむね事務的な協議が整いましたので、都として臨海副都心用地管理運用委員会、東京都財産価格審議会に諮りまして、先週でございますが、十一月十五日、都としての方針を決定した次第でございます。 ◯上島委員 私は、本会議で一般質問をしました。最初のマスタープランは、臨海開発区域内は自分たちの臨海会計で全部やりますよ、国道だとか都道などの取りつけの部分だけは市民の税金で多少カバーしてもらいますよというのが、最初のこの臨海会計のスタートなんですよ。この一般会計にご迷惑をかけて具体的に出てきたのはこれが初めてなんですが、つまり、都民に税金をこれだけどんどん押しつけてくるということになるわけで、これはちょっと、平成三年に見直し論がありました。このときも見直しを糾弾だけして、全然いじらなかったんですね。それで全面開通に向かって、今日のいわゆる倒産じゃないけれども、僕にいわせればやはりもう破綻に突入してきたというのが間違いないと思うのです。  今日に至ってきているわけですが、これはもうこの間の話ですが、本会議の当時の石川局長は私の質問に、経済見通しは甘くないか、政策の決定も間違っていた、失敗だと率直に都民に謝ったらどうかといったら、いや、おわびする必要ない、誤っていません、こういう答弁でした。私は、見通しは必ず間違っていた。そのために今日この五百二十六億なんて出てきたんですよ。しかも政策も見直しもしなかったというのも誤りだ。この点、今度の新土地利用方式から一般長期方式へ変更するに当たって、私はこれは後で述べますが、権利金を返すことについては違法性もある、重大な政策決定の変更だ、こういうふうに見ているわけです。  そこで、五百二十六億という大金は、さっきも曽根議員からも話がありましたように大変なものです。今沢局長は、あの当時のやりとりをそばで聞いてもうご存じだと思う。そこで、この案件、今度の補正を提出したことに対して、都民に対して、今現在の段階で率直にどう思いますか。今までの経過を追ってきて、現在この補正を出さざるを得なくなった。この経過について、過去のマスタープランから経済見通しも含めて、感想をまずお聞きいたします。  もう一つ、あわせて、この権利金の返す──五百二十六億円は僕は新聞で見たのです。そして、正式に我々に聞かされたのは、十一月十八日、まだ一週間にならない。特別委員会の委員ですよ、私たちは。これは議会軽視も甚だしいんじゃないですか。それでもうすぐ今度の議会に上げるなんていうのは、考える暇さえ与えないというのはどういうわけですか。具体的に出たのは今度が初めてですからね。これは何事ですかね。僕はこれも含めて、局長の意見を伺いたい。 ◯今沢港湾局長 二定のやりとりのことを今おっしゃったような感じがいたしますけれども、中身がどのようなことであったかは詳しくは記憶しておりませんが、先ほどもご答弁申し上げましたが、この契約の根幹でございます新土地利用方式は、臨海副都心という大規模埋立地におきまして、開発利益を吸収して都市基盤整備を行うという新しい方式の土地賃貸借契約関係でございまして、平成二年当時異常な地価高騰が続く中で、土地売却による地価の顕在を防ぐことを目的として導入したものでございます。  しかしながら、バブル経済の崩壊という社会経済状況の激変を経た現時点で振り返って考えてみますと、この新土地利用方式は、日本全体が右肩上がりの経済成長を前提としていた時代の開発方式であったかなという思いがしております。しかしながら、当時といたしましては極めて画期的な開発方式でございましたが、地価が大幅に下落した今日においては維持が困難なものになったというように考えております。  それから、もう一点の新聞報道に関係することでございますが、この本日報告しておりますことは十一月の十五日に都としての案を知事決定したものでございまして、その後直ちに十八日の本委員会に報告したものでございまして、私どもは議会軽視などという気持ちは毛頭ございませんので、ご理解いただきたいと思います。 ◯上島委員 議会軽視というのは、具体的に五百二十六億円と出たのが──おれなんかが知ったのはまだ一週間にもならない。新聞でまた知らされるという状況です。冗談じゃありませんよ。何のために特別委員をやっているかわからない。今回の具体的な五百二十六億円を出したこの交渉経過について、一体いつだれが、どこで、何回やって、どういう方々が出て交渉に臨んで、これが煮詰まってきたのか。  なぜそういうことを聞くかというと、少なくとも、これは「週刊ポスト」ですか、こんなに大げさに四千三百億円も、料亭か何か知らないけれども、議会費で金を使っているとか、僕なんかこんなところに出たこともない。(笑声)我々も出たことないと思う。それを疑われても困るんだよ。臨海のことでやったか何かわからないから。もしあったらこれは大変なことですから。だから含めて、具体的にこれをおっしゃってくださいといいたくなるわけです。八カ月で六十七件やったそうですから。そういうことで、ひとつはっきりとまずお答えください。 ◯前川港湾局開発部長 交渉の経過についてのお尋ねでございますが、先ほどもちょっとご説明申し上げましたが、今回の十五日の決定に至るまでには、私ども事業者側と事務的な協議を十分重ねてまいりました。当然個々の個別の内容については、これはいわば私どもの行政上の関係でございます。  また、今ご指摘がございましたけれども、交渉経過の途中で、今週刊誌でお示しいただいたような事実は、これは当たり前でございますが、当然全くございません。 ◯上島委員 ないというふうにお願いしてというか、希望しておりますけれども、後で出てきたら大変だなと思って心配しているんですが、いずれにしてもそのようにこれはきちっとしていかなきゃならない問題だと思っています。  この交渉経過の中で、私はさっき違法性といいましたけれども、これから法的な要件その他も含めて申し上げていきたいんですが、確かに違法性が非常にあるのです。非常に問題になる、解釈問題はありますけれども、通説にはちょっとまずいなというところも、権利金そのものもおかしいところがありますので、この辺について、企業の方から多少おどかされているとか、そんなのでこうなったのかなという側面も、僕は多少感じざるを得ないんですが、この権利金の法的構成要件は一体どういうものですか。それが第一点。  さっき今まで権利金を支払っていないということになりますといいましたので、これはいいです。今まで東京都もやったことないです、民間もやったことがないんです、権利金の返還。そういう性質のものではない。返還する性質のものではない。いわゆるその構成要件ですか、一体何をもって返還に踏み切るという法的根拠をお示しください。 ◯前川港湾局開発部長 最初のお話は、権利金のいわば法的性格についてのお尋ねであろうかと思いますが、権利金の法的性格につきましては、先生ご存じだと思いますが、地代の一部一括前払い説であるとか、あるいは借地権設定の対価説であるとか、いろんな説があるところでございます。ただ、その具体的取り扱いにつきましては、これはそういった学説のいかんではなくて、実際の契約の中でどう決まっているか、それによって決まってくるものであると通常もちろんされているところでございます。  今回の措置は、先ほど来ご説明申しておりますとおり、現行契約における三十五条の不均衡是正条文の趣旨等を勘案して精算するものでございまして、毛頭違法性などはあるわけはないと私どもは考えております。  それから、今ご指摘がありましたように、正確に申しますと、権利金そのものは確かにお話しのとおり、返すことはないというのが事実であろうと思います。今回も、私どもは権利金そのものを返すのではなくて、土地処分方式の変更に伴って権利金の設定に差が生じた。その差額を精算する、そういった位置づけにいたしております。 ◯上島委員 ちょっと格好よく逃げているように見えるけれども、権利金そのものを返さないでいいと、それは確かに返さないと肯定していただいたんですが、権利金というのは法律用語にもないんですよ。これは一般の不動産屋が使ういわゆる俗語といった慣習法で流れてきているのです。権利金というのはないのです。だから、何ですか、地代及び家賃の統制問題という批判問題も出てくるわけでしょう。これは権利金の持っている、最高裁あるいは下級裁も含めて、いろんな説が出ていますけれども、問題は権利金というのは本当は取るものじゃない。取る以上は、それはもう七割の私権を譲渡したというふうにみなされる、これが普通なんです。  したがって、内容というのは五つあるんですよ。つまり、営業的に、営業上利益を対価とするもの、二番目には場所の利益を対価とするもの、三番目には借地権そのものを対価とするもの、四番目には賃料を一括前払いして対価とするもの、五番目には、借地権、賃借権の譲渡性を付与して、それを対価とするもの、この五つしかない。この五つのどこを選んだんですか、これは。これによっていろいろ法律効果、裁判が負けたり勝ったりすることがある。どうですか。これはどこをとったのですか。 ◯前川港湾局開発部長 権利金の法的性格についての議論であろうと思いますが、今ご指摘の五つについては存じ上げておりますが、先ほど申し上げましたとおり、主な説としては、設定の対価説であるとか賃料の前払い説が有力であるのだろうと思います。  ただ、重ねて申し上げますが、今回の措置は契約に従ってやるものでございます。権利金の学説のいかんによって、返還といいますか、精算の是非が決まってくるものではないのでございます。  それからまた、今権利金というのが存在しないというお話がございましたが、確かに民法上あるいは借地借家法上の実定法上、明文で規定されているわけではありませんけれども、これは民間の実例、あるいは行政上の実例、あるいは裁判上の判例といった形で既に慣習として成立しているというふうに私どもは理解をしております。 ◯上島委員 契約に基づいてといいましたけれども、契約というのは、いわゆる条規法、法律があって、その範囲内で公序良俗に反しない限り、善良な契約が民事上でできるというのが前提なんですよ。私がいうのは、そんな役所が法律用語にない不動産屋のまねをしちゃいけませんよといいたいんです、本当に。なぜそんなことを使うんだというんですよ。だから、この格差の是正というのは、さっきから話が出ていましたが、これは権利金で処理するものじゃない。地代で調整をやるのが本当なんですよ、理屈は。だから、ここに問題が出てくる。(「でも、権利金、取っちゃったんだもの」と呼ぶ者あり)極論は、いわゆる役所がもう権利金を取っちゃったから、役所が不動産屋のまねしたようなことを余りするものじゃないといいたいんです。  ところで、この権利金が、五百二十六億円、土地代として払い下げるわけですが、既存の開業している業者十社に、また先導的役割を評価して、五〇%から二〇%という話がさっきから出ていますけれども、これも一年間で二十三億、三年間で大変な金ですね、この財政の苦しいときに。これはパンク寸前の都財政に対して、私はここまで企業にまける必要はないんじゃないだろうか。また、企業だって、あのホテルなんかは、あれは全日空ですか、満員ですよ。結構はやっているそうですよ。(「日航ホテル」と呼ぶ者あり)日航ホテルね。もしくは、世界万博の補償も多少やっているんですからね。追っかけてまた二十三億というのは、(「都市博」と呼ぶ者あり)都市博の補償もやっているんですが、二十三億というのは、僕はちょっと甘過ぎると思いますが、局長、これ、もう一回汗を流して交渉して、パアにするような気持ちになりませんか。 ◯今沢港湾局長 今回の措置は、これからの臨海副都心の開発につきまして、ぜひとも必要なものであるというつもりで行いました。また、それの内容につきましても、進出企業等からはいろんな要望がございましたが、私どもの考え方を納得していただいてこういうものにしたのでございまして、ぜひともこれでまとめてまいりたい、このように思っております。改めて交渉するつもりは全くございません。 ◯上島委員 不誠実な答弁ですけれども、(笑声)冗談じゃないよ、本当に。僕はこれは違法性だと思っています、本当にいうならば。これ監査請求とか裁判をやられたら負けますよ。今の法体系の中で、これ、見ていますけれども、私もゆうべずっと徹夜で読んでみたよ。だれも返還すると書いてないです。事後処置の場合には返還を、どうあるかということはある。途中での返還というのはないとさっきもいわれましたけれども、私が他人の土地をバブル時代に借りて、そこに鉄筋の家をつくったら、今下がっているからその権利金をよこせといって取れますか。普通じゃ通用しないでしょう。権利金というのはそういうものじゃない。物に対する一つの対償ですから。したがって、これはいわゆる、地上権も成立していますから、地上権を含めて、いわゆる善良の第三者に売ることもできるんだから、これが通常権利金というのです。それを返すというのはちょっと理解しにくい。あの当時あの当時の権利金の性格、地代であったのだから、今は今の地代でこれは区切りをつけるべきであって、この問題は私は納得して了解するわけにはいきません。  それから、きのう進出企業の、書いた人が間違ったかどうか知りませんけれども、住所を全部十社分もらったんです。住所が全然違うんだよ。電話したら、うちの住所は違います。どういうことよ。東京都にきちっとした台帳があるわけでしょう。この進出した企業は、これは行政財産ですか、普通財産ですか。 ◯前川港湾局開発部長 まず、住居表示と地番の関係でございますが、ご質問で、地番と住居表示の問題で、地番の問題はこれは当然不動産登記法上の問題でございまして、住居表示は住居表示に関する法律でございます。現状を見ますと、確かに地番で表示されている場合と、住居表示で表示されている場合と、両方あるわけでございます。  普通財産については、恐縮ですが、また後ほどお答えさせていただきます。 ◯上島委員 それがないと質問できないんだよ。何財産か。これは普通財産ですか、行政財産ですか、その今土地を使わせているところは。 ◯前川港湾局開発部長 申しわけありません。ちょっと質問の意味を明確に──これは普通財産でございます。 ◯上島委員 台場の出店企業、例えば住友商事、これは三井地所ですか、三菱地所が買ったんでしょう、あるいは日本生命、フジテレビジョン、日商岩井、サントリー、イトーキ、これが大体台場です。台場だけ違うんです。  これはおたくの港湾局の臨海の全財産の東京都に出している財産目録です。もちろんこれは毎年出さなければいけない。この目録には台場というのは三つしかない。これは載っていないじゃないですか。どういうわけですか。普通財産にも行政財産にも載っていない。 ◯前川港湾局開発部長 恐縮でございますが、ちょっとその資料を私ども見ていないものですからあれなんですが、恐らく一般会計と臨海会計との所属の違いではないかと思います。先生のお持ちの資料は一般会計のものではないかと思います。 ◯上島委員 これ、一般会計でないのよ。私は決算書も特別会計も全部見てみましたよ。港湾の普通財産、行政財産は必ず東京都に全部出さなきゃならないでしょう。それは行政のイロハのイじゃないですか。それが台帳にないというのはどういうことですか。番地も何もなくて。 ◯前川港湾局開発部長 台帳への記載でございますが、ちょっと先生のお手元の資料はわからないのですが、私どもの手元にあります資料では、臨海副都心開発事業会計所属の土地として、台場について、あるいは有明について、ずっと一連に記載をされております。もし必要でございましたら、後ほど資料を差し上げたいと存じます。
    ◯上島委員 伊豆の大島からきれいに全部書いてあるんですよ。これは会計法で財産台帳をつくらなきゃならないでしょう。何で台場でこれ三つしか載っていないの。会計の決算、七年度、六年度見ました。普通財産、行政財産、区別して載せるのが本当でしょう。それで何で地上権の設定で鉄筋の他人の家が建つんですか。そんなでたらめをやるから、私はこれは審議できませんよ。 ◯前川港湾局開発部長 資料を共通にしているかどうか確認できないんですが、私どもの手元、例えば、申し上げますと、一般会計港湾局土地で行政財産、大島空港用地、あるいは城南島海浜公園敷地であるとか、あるいは波浮港船場用地、大島港の港湾事務所用地であるとか、あるいはまた一般会計、臨海会計につきましては、臨海副都心開発事業用地、埋立地が台場の一から二といった感じで全部記載をされております。 ◯大木田副委員長 前川部長、資料をちょっと見せてやってください。 ◯前川港湾局開発部長 もしよろしければ後ほど……。 ◯上島委員 これは財務局の資料ですからね。台場は三つしかないんだよ。 ◯大木田副委員長 上島委員、その資料をちょっと見せてください。 ◯前川港湾局開発部長 その資料をちょっと拝見させていただきます。    〔上島委員、前川港湾局開発部長に資料を示す〕 ◯前川港湾局開発部長 大変失礼をいたしました。お手元の資料を拝見いたしたのですが、これは恐らく用地会計の関係で、その所管の土地を港湾局というか、所属別ではなくて、一連で並べただけではないかと。私どもが持っておりますのは台帳のコピーでございまして、確実に記載をされております。ちょっと資料の性格が異なるのではないかと思います。 ◯上島委員 その資料というのは、財務の財政の方には、必ず所管財産目録は全部出さなきゃならない。それで我々は審議して決算をやったり、予算決算を毎年やるのよ。それには普通財産、行政財産の区別をする。行政財産は行政目的を伴ったものを行政財産という。売ったり買ったりできません。地上権の設定もだめです。市民の財産ですから、厳しい網がかぶっているのです。普通財産は売ったり買ったりできますよ。そのために普通財産と行政財産と区別しているんだろうけれども、皆さんのところ、普通財産はどれどれと、全部載っているんだよ。しかも、今営業しているホテルも含めて、サンケイグループも含めて、もう家が建っているのも、その財産目録は出ない、番地もわからない、これはどういうことですか。これは審議になりませんよ。それが明確に出るまでは、私は審議を多少中断させていただきます。 ◯前川港湾局開発部長 先ほど来申し上げておりますが、私どもは当然所属の財産の管理につきましては、きちんと台帳に搭載をして厳正に管理をいたしております。それは間違いない事実でございます。大変恐縮でございますが、先生お持ちの資料は財産台帳とはちょっと性格が違う資料であると思います。 ◯上島委員 私は、きのうですよ、これ、財務局からいただいて、これの財産目録全部持っている。各所管の財産運用その他全部やっているわけでしょう。記録に残っているわけでしょう。おたくのが出ていないから私はいっているのですよ。それをはっきりともう一件出してください。はっきりと。 ◯木内財務局主計部長 ただいまの先生ご指摘いただいた資料につきまして、詳細を把握しておりませんので、正確に申し上げることはできかねますけれども、後ほど取り寄せてお話をさせていただきますけれども、財産の管理につきましては、臨海会計の所管に属するものにつきましては港湾局で行っているところでございまして、公営企業についての扱いと一般会計における扱い等につきましては、それぞれ異なっているところでございますので、財務局管財部においてどうした資料を調製、先生のご趣旨がどんな形でご要請いただいた結果の資料であるかという趣旨がわからない中にあっては、その資料の性格について申し上げることはできかねるわけでございます。  しかしながら、港湾局開発部長が申し上げましたように、それぞれの会計におきまして、財産は適正に台帳上搭載され、適正に管理されているところでございます。 ◯上島委員 適正に管理されていれば、年一回の決算に出てくるわけでしょう、決算委員会で。ないからいっているんですよ。だから、そういう──これは大事な問題ですよ。都民が聞いたら怒りますよ。わけのわからないような財産があったりなかったり──例えば街区でもやったり何かしているけれども。(発言する者あり)ちょっと待ってください。いずれにしても、きちっと……。 ◯前川港湾局開発部長 今私どもの手元に、私どもの関連の財産の台帳のコピーがありますので、今これを、委員長の許可を得て、差し上げたいと思います。 ◯大木田副委員長 では、見せてやってください。    〔前川港湾局開発部長、上島委員に資料を示す〕 ◯上島委員 ちょっとまだこれ、目も悪いし、小さくて見にくいし、それは別としても、いずれにしても、どの会計であろうと所管の会計であろうと、実際にはそれぞれ決算に財産目録を出すわけでしょう。それに出ていないというのはどういうわけだということも含めて、もっときちっとわかるようにしていかないと、私はこれを認定し、賛成したり、あるいはこれ以上審議を続けられないということで──そういうことで、一応もう一度この財産目録をきちっと、財政額も含めてもう一回出していただきたい。どうですか、その点。局長、どうですか。    〔大木田副委員長退席、委員長着席〕 ◯前川港湾局開発部長 先ほどお話し申し上げましたが、私どもの港湾局といたしましては、所管の財産につきましては、会計別に適正に管理をいたしていることが実態でございます。  今お話がありました所要の資料につきましては、これから先生に提出申し上げまして、後ほどご説明申し上げたいと思います。 ◯上島委員 総じて申し上げますが、非常に批判が多い。そしてまた、長い間、政争の具とされて非常に評判の悪い臨海開発、それだけに襟を正してきちっとしていかなければならない。そこで、今いった、私にいわせれば法律違反だろうと私は思います。つまり、権利金の時期格差の一部分ですけれども、還付することはあり得ない話である。権利金を取る、そのものも今の現行法では認めていない。これがいわゆる地代借地統制違反に触れるんじゃないかというおそれもある。だから、さっきいった五項目の中のどこだというと、総じてという皆さんの話ですが、それほど難しい問題である。  だから、私は役所はそういった危険な橋を渡らないで、やはり理屈どおり、法律の番人ですから、法律でない用語を使って、不動産屋のまねをするようなことだけは避けてほしい、こういうことを最後に申し上げて、終わります。 ◯池田委員 私も若干重なる点もありますが、流れもございますので、用意した質問を順次伺っていきたいと思います。  私たちは、臨海副都心開発については、市民参加を中心に据えて、その基本方針そのものを見直し、将来世代がまちづくりに参加をする、そういう余地を残すという意味で、段階的な開発の必要性を提案してまいりました。このことは、開発が危機に直面しているということも現在問題になっているわけなんですが、その開発を取り巻く経済情勢そのものが問題なのではなく、もっと一挙的な業務開発、業務中心のまちづくりを進めること、こういった当初の基本方向が問題だったからだということだと思っています。そして、今回の貸付方式の変更が不可避であるというのは、まず経済情勢に加えて、この本質から来ているということも、私が質問をする前に、私の視点ということで確認をさせて、強調をさせていただきたいと思います。  それで、初めの質問ですけれども、資料は7号だと思いますが、土地の時価の上昇率を平成十七年以降毎年三%というふうに見込んでおられるわけですが、最後の基盤整備が二十七年度に終わるというふうになっております。その後もまだ三%ずつ上昇をし続けるという想定になっているわけなんですけれども、通常土地の値段という、実勢というのでしょうか、そういうものの常識的な考え方の中では、基盤整備が終わると、大体都市というものの成熟度がそこで一定のところに達する。そこから地価は高原状態に入っていく、横ばいになっていくということが常識ではないかと思うのです。そういう意味では、今回また三%という伸び率を置いていらっしゃるということは、ちょっとこれにも無理があるのではないかと思うんですが、これについてご見解を伺います。 ◯前川港湾局開発部長 地価の動向でございますが、長期にわたる地価動向の推測は大変難しい問題であろうかと思います。私どもの臨海会計の長期収支の試算におきましては、将来の地価の設定に当たりまして、地価は一般に名目GNPあるいはGDPと相関関係にあるという考え方が有力であることから、地価の上昇については経済上昇率と相関関係にあるものとして想定をしたわけでございます。その上で、国等の具体的なGDPの将来予測等を参考にしながら、平成十二年度から平成十六年度までは二%、晴海通り等の道路が整備され、「ゆりかもめ」が豊洲まで延伸される十七年度からは三%の上昇を見込んだ次第でございます。 ◯池田委員 大体国のGNPの見通しのなさが今指摘されているところだと思いますが、私が今申し上げたのは、そこまで発展するということはあっても、その後の高原状態が来たときに、その後また三%という角度について、まだまだ問題があるのではないか、また見通しを誤るということがなければいいんですけれども、そこのところが心配だということを申し上げているわけです。  結局、市場原理に任せて、これからの開発を考えていこうということであるわけなんですけれども、開発利益の吸収という課題は結局どこにいくことになるのでしょうか。新土地利用方式と比較すると、開発利益はどのように吸収されるのかをお伺いいたします。 ◯前川港湾局開発部長 開発利益の吸収についてのお尋ねでございますが、まず最初に、開発利益と申しますのは、都市基盤施設の整備によって生じる地価上昇による利益を指すものでございます。これまでの新土地利用方式では、基盤整備によりまして地価は毎年六%の率で上昇する。これは先ほどから説明申しております熟成率でございますが、この地価上昇、つまり開発利益を土地運用収入で吸収する、そういうふうに想定をしていたところでございます。  今後は、時価評価方式による、今回通常の長期貸付方式に変更した場合におきましても、その時価評価の中に基盤整備による地価上昇は含まれる。したがって、新土地方式と同様に、開発利益の土地運用収入による吸収自体は、これはそのまま継続をするというふうに考えております。 ◯池田委員 時価が上がれば当然そこに開発利益が含まれているからというご説明なわけなんですけれども、結局、最初に一挙に基盤整備に投資をしたということが負債を生んでいて、結局、ここのギャップが都財政に大きな負担となって、今後も残ってくるということからすると、この三%という数字は、結果的にいえば、四十数年かかって均衡するというふうに均衡する時点を予測して、逆算して妥当かというようなふうに思われてしまうわけなんです。これは私どものとらえ方です。  新土地利用方式によって開発利益を吸収するという原則が崩れたことを今回意味しているわけなんですけれども、今回の契約に関して、過去を清算するといういい方を担当の方からはされているわけです。でも、契約というのは、将来に向かってこういった開発が行われるということをもとに結んでいくわけです。だから、新土地利用方式が破綻したともいえるわけなんですけれども、そういうふうに考えたときに、事業化計画が出されるということが契約の判断の中に含まれなければならないんじゃないかと思うわけです。その中で長期収支が明らかになって、初めて都民はこういうことであれば納得できるのかどうかという見解が持てるというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 今回の契約と事業化計画との関係でございますが、本来でございましたら第一次進出事業者との契約の変更は本年三月までに行われる、当然そういうふうに予定をしていたわけでありますけれども、開発の見直し等もございまして、契約の改定ができないまま現在に至った次第でございます。  今回、契約の変更の方針を決めさせていただいてご審議をいただいているわけでございますが、この契約の変更によりまして、臨海会計が影響を受けるのは、これは事実でございますけれども、今お話がございましたように、現在新たな事業化計画の取りまとめの作業を行っているところでございます。その中で改めて収入支出を精査をいたしまして、今回の措置も織り込んだ上で、長期収支の均衡が図れるように見直しをしていきたい、そういうふうに考えている次第でございます。 ◯池田委員 財政の問題がきっかけで見直しということになっているわけですから、初めにそういった事業化計画と収支が明らかにされるというようなことが必要で、その都度その都度決めていくという、全体像が見えないままやっていくということについては問題であるということを申し上げておきたいと思います。  次に、今まで権利金の問題は随分議論がここでもされてきたわけなんですけれども、私たちは権利金について、今まで都は契約更改や終了時に返還していないということが、ほかの方の質問の中でも明らかになりました。私たちも新土地利用方式といえども借地関係の一部であって、権利金の性格は基本的には同じものだというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 権利金の性格でございますが、先ほどいろいろご議論があったところでございますけれども、権利金の性格は、確かに同じ土地賃貸借契約が続く、そういう点では基本的に同じであろうと思いますが、ただ、先ほど申し上げましたが、具体的に、じゃその場合の権利金がどういう取り扱いになるか、こういったことは契約の中で定まってくるというふうに考えている次第でございます。 ◯池田委員 それで、新土地利用方式の問題というのは、結局そういった契約の中にも明らかなわけなんですけれども、そういう将来に、何というんでしょうか、結果的には今現在も問題が生じているという意味では、この方式での開発について見通しが甘かったというか、そこのところは改めて指摘をさせていただきたいと思います。  仮に、じゃ、その契約に基づいてやることだからということを割り引いても、進出企業に対して向こう三年間賃貸料を減額するということが、またこれも一つの特徴としてあらわれていると思いますけれども、この賃貸料減額については契約書にないわけですね、先ほどもお答えがありましたけれども。だから、このことに応じるということは極めて問題なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 今回の賃貸料のいわゆる減額の根拠は、東京都臨海副都心用地開発規則に基づきまして、その中で臨海副都心開発に知事が特に必要と認める場合、こういう条項がございますが、これを根拠として行うものでございます。 ◯池田委員 ということは、常識の中でやるのではなく、政策的な判断、こういうことになるわけなんでしょうね。契約を守るというのは、先ほど来議論が何人かの方からありましたけれども、当たり前のことだというふうに思うのです。ですから、その守った人を評価して減額を、その点数を高くするというようなやり方ということが変だと私は思いますし、またそれを臨海開発事業会計から支出されなくてはならないというのは、どういうことなのでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 減額と契約の遵守との関係でございますが、私どもはあくまでも着工、開業した事業者が先行立地をしてまちづくりに貢献をしている、それを評価するものでございまして、その評価の一つの指標として契約の条項を取り上げているものでございます。  また、臨海開発事業会計の問題につきましては、私どもはこの夏の基本方針におきましても、開発利益の還元方式はこれを堅持している次第でございまして、したがって、その中から全体の収支を考えていくということにしているわけでございます。 ◯池田委員 一般的に都の事業を行って、例えば道路が期限よりもおくれてしまうとか、鉄道が、地下鉄なんかそうですけれども、そういった道路や事業、再開発などがおくれるということはあるわけですね。そのたびに都はこういった減額なり権利金の、今回は返還というと違うといわれますが、そういう形でお金で償いをするというようなことはしてないわけですね。これはもし今回ここでやるということは、今後の前例になってしまうのではないかという点でも大変心配なことのわけです。これについてはどのようにお考えでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 一般の事業等への影響のお話でございますが、私どもは今回の減額措置はバブルの崩壊という大変大きな状況の変化だった。それを受けまして、臨海開発の見直しが行われてきたわけでございますけれども、そういう中で第一次進出事業者が開発の推進にいわば先導的な役割を果たしてきた、それを評価して行うものであります。したがって、基本的に問題の性格が異なるものでございまして、今後はまた本年七月の基本方針に基づいて着実に事業を進めてまいりますので、今回のような減額措置は今回限りといたす考えでございます。 ◯池田委員 当然今回限りでやめなければおかしいことは当たり前なんですが、この開発に貢献するとか、それを評価するとかといういい方そのものに、私はやっぱり都と民間の関係というのが何かちょっと変なのではないか。パートナーシップとしてまちをつくっていく、そういうイメージに合わないというような気がするわけなんです。そういう意味で、今回は契約に基づくということが一つの根拠になって、さらに契約外の減額についても、今のような形で次のステップを考えるということだったわけですが、今後のまちづくりのあり方の中においては、こういった言葉そのものについて疑問が残るということを申し上げておきたいと思います。  次に、確認しておきたいわけなんですけれども、今回の交渉に当たって、いろんな要求が進出企業側から出されている資料もございました。よく読んでみますと、私の感想としては、ここで事業をやっていきたくないんだというような気持ちが裏にあるように見えてしまうぐらい、要求が極端なものもあったと思うんですね。そういった交渉の中で、売却の話というのは出たんでしょうか。そして、それについて附帯事項、あるいは別途協定など、売却について約束をするということはあったのかどうか、お尋ねしたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 今回の契約変更に当たりまして、事業者の側から売却について要求があった事実はございません。また、これは別の附帯条項とかそういった形で今後を約束するとか、そういったことは毛頭考えておりません。 ◯池田委員 都有地はもちろん貴重な都民の財産ということで、今まで議論をしているわけなんですが、新土地利用方式の後始末という形で財産を使ってほしくないという声が少なからず都民の間にはあります。そういう意味では、真摯にこの声を受けとめて、これからの交渉なりは進めていただきたいというふうに思います。  それから、これまでの議論の中で、交渉環境が厳しいということはよくわかりました。約束違反という点では、企業に対して、それを、先ほどもいいましたが、償うというようなニュアンスが見えているわけなんですが、普通の都民、税金を払っている都民、そこに対しても実は約束違反というふうにいわれざるを得ない点が、今後生じるのではないかと思うわけです。当初は都民負担はないといってきたわけなんですが、今後一般財源の投入などしていかなくてはならない事態が生じるというような中で、他会計においても、九年度の予算は他の局が他会計から借り入れるというようなこともあるわけで、長期に財政にひずみを起こすような今回の財政の処理、これについては間接的にいえば都民に、すぐに一般会計を投入しているわけではないですが、紆余曲折、長期的というふうに考えたときに、やはり被害があったのではないかというふうに思います。  それで、これまで私どももいってまいりましたように、一挙開発型の新土地利用方式というバブル開発がもとになった、こういった是正状況を余儀なくさせたということについて、それが今回の権利金返還の問題につながっているわけですから、こうした事態になった都の責任というものも、都民が納得するのかどうかということを忘れてはいけないと思います。  また、このことからも、都の企業に対する姿勢というのが、私は大変弱腰というか、そんなふうに見受けるわけなんです。都民よりも企業を大切にして折り合いをつけているのではないかという印象をどうしても持たざるを得ませんので、その都民との折り合いをつけるということについてはどんなことを考えていらっしゃるのか、ご見解を承りたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 企業と都民という問題でのお尋ねでございますが、私どもは、まず基本的な前提といたしまして、臨海副都心開発は私ども行政と進出事業者とが密接かつ円滑に協力をして進めていくべき事業である、こういうふうに考えております。ただ、これは決して今お話があったような形で、企業にいわば弱腰というお話がありましたが、そういうことでは毛頭なくて、都民の理解を得ながら、東京全体の利益を確保する形で頑張っていきたい、こういうふうに決意をしているわけでございます。  今お手元にお配りしております資料をごらんいただきましても、企業側からは約四九・五%の賃料引き下げ要求が出されたわけでございますが、都心周辺の地価がこの資料の中でも約五〇%下落する状況の中で、私どもといたしましては、今回の契約改定では賃料の引き下げ率は二八・六%という形で、都が当初から示した方針でまとめた次第でございます。 ◯池田委員 それでは、新しい今度結ぶ契約の内容について、是正条項は入れないということは先ほど来の議論で明らかになったわけですが、例えば給付金についてどうするのかとか、そういった契約の主な内容について、今考えておられることを明らかにしていただけますでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 今度の新しい長期貸付方式の内容についてのお尋ねかと思いますが、(池田委員「契約ですね」と呼ぶ)今度の新しい契約は、お手元の資料にもございますが、通常の長期貸付方式を採用して契約する予定にいたしております。これは新土地利用方式とは違いまして、先ほど資料説明でも簡単に申し上げましたが、土地の評価方法であるとか、それから賃料の算定方法、貸付期間等について、性格を異にするものでございます。そういう中で、今お尋ねがございました──契約の満了時、権利金をどうするかということでございましょうか。それにつきましては、新土地利用方式では一定の給付金を、建物等の返還と引きかえに給付するということになっていたかと思いますが、今回の私どもの現在の考え方では、通常の長期貸付契約の場合と同様に、当然その性格からいって、権利金そのものの返還はないであろう。ただ、それにかわる何らかの手当てをするかどうかにつきましては、現在のところ、基本的に一般的な民間の扱いあるいは都の扱いに倣っていきたいというふうに考えている次第でございます。 ◯池田委員 さて、最後に、暫定利用についてお伺いをしたいと思います。  今回、五年、十年というふうに暫定利用の時期を決めて示されたわけなんですが、この十年の暫定利用については制度的に位置づけるというふうにありますが、これはどういう意味でしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 制度的な位置づけでございますが、東京都の現行の土地の貸付制度、これは臨海だけではなくて都全体でもさようでございますが、現行法令上の関係がありまして、一年未満の一時貸付と三十年間の長期貸付しか存在しないわけでございます。ただ、平成四年の借地借家法の改正によりまして、十年以上二十年以下の貸し付けについて、事業用借地権、事業用借地制度が新たに導入されたわけでございます。今回はこの制度を活用して、暫定利用に対応した制度として臨海副都心地域に導入をしていきたい、そういう意味で制度化と申し上げた次第でございます。 ◯池田委員 そうしますと、定期借地権の制度的なことからということですので、更新ということについてはどういうふうに扱うことになりますか。 ◯前川港湾局開発部長 これはそもそも定期借地権が法令上導入された理由が、更新について原則的にやらないという制度をつくるということでやったわけでございますので、今回導入する場合には、貸付期間が満了した場合、更新はできない、こういう事情になるかと思います。 ◯池田委員 更新という形ではないかもしれませんが、同じ契約を新規に結ぶということはあり得るということはいえますね。 ◯前川港湾局開発部長 それは、私どもまだきちんとこれからまた位置づけなくちゃいけませんが、通常、いわば脱法行為みたいな形でやるのは、それは当然問題がありましょうし、一般の場合にはそういうことは想定していないのではないかというふうに考えております。 ◯池田委員 今おっしゃったあれなんですが、いわば定期借地権の更新がないということが、法律上規定していないということでしょうが、当事者同士が合意すれば新たな契約として結ぶことができるというふうに、結果的にはなるのではないかと思います。私たちは、この地域の開発について、結果的には将来世代の選択の余地が残るようにということを、これまでも土地のリザーブ的活用ということを提案してきたんですけれども、こういったところの暫定利用の推移を見ながら、この土地利用計画の柔軟な見直しを含めた運用が必要だというふうに思っております。このことについてはどんなふうにお考えか伺いたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 土地の柔軟な利用といった面からのお尋ねでございますが、暫定利用というのは、本来将来的な土地の本格利用に余り大きな影響を与えない、支障を与えないということが当然前提であろうかと思います。  今後の土地利用計画につきましては、現在策定作業を行っております事業化計画の中で見直しを行っていく、そういう考えでございますけれども、一応七月の基本方針にもございましたように、おおむね五年ごとに、必要に応じて見直しを行うということは、これは事業計画全体について当然いえることでございますので、そういう中で、状況に応じて柔軟に対応していきたいというふうに考えております。 ◯池田委員 これから事業化計画が明らかになってくるわけなんですけれども、本来そういうものが示され、私たちはこの問題が単に今度の補正予算を控えての財政的な議論だけで終わってしまうのではなく、生活都市東京をどうつくるかというふうな本格的な、本質的な議論を切り離してはいけないのではないかというふうに思っております。こういった議論も、また事業化計画が明らかになる中でさらに進めさせていただきたいということを申し上げて終わります。 ◯田中委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。    午後四時四十分休憩      ━━━━━━━━━━    午後四時四十六分開議 ◯田中委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  この際、上島委員の発言を許します。 ◯上島委員 先ほど私の資料要求したのが不備でありまして、先ほど臨海開発の事業会計を全部見ましたら、間違いなくきちっと入っておりました。  以上、報告申し上げ、おわびいたしましょう。どうも済みませんでした。 ◯田中委員長 それでは、質疑を続行いたします。  発言を願います。 ◯山崎委員 先日、新宿の南口の旧国鉄跡地に大きな百貨店ができまして、その中には、大きな本屋さん、あるいは日用雑貨、そしてアミューズメント施設ができました。大変なにぎわいで、駅の改札口からそこに至るまで行列ができるほどの、それこそ久しぶりに新宿のにぎわいがよみがえったような状況ができております。  そこで強く感じたことは、今日経済が非常に低迷している中で、この経済を活性化させるには、こうした大きな施設が一つの起爆剤として必要である。そういうものにたくさんの人が集まってにぎわいが創出される。いろいろ聞いてみますと、信州の方から電車に乗ってきたとか、あるいは千葉や埼玉や神奈川は無論のこと、新幹線で一度見たいという人が集まってきたというようなこともありまして、それはそれは大変なにぎわいでございました。  ちょうどそのオープンの前日だったと思うのですが、私は議会から地元に一たん帰ってまた戻ろうとしたところ、新宿の南口の甲州街道の大橋を渡るのに、その騒ぎで渡るだけで三十分もかかってしまって、Uターンして議会に戻ってきたこともあります。そういうにぎわいがこれから臨海副都心で、暫定利用の中で生まれればいいなと考えているわけでございます。  臨海も、ご存じように、ことしのオープン以来、新しい施設がどんどんできまして、国際展示場などで連日さまざまな催しが開かれ、たくさんの人が相変わらず臨海副都心を訪れております。今回、現在未利用地となっている土地の有効利用を図るべく暫定利用の方針案が示されました。今後のまちの一層の発展のためには、このにぎわいを創出しながら、第二次進出企業が出る雰囲気をつくりながら、そしてまた、臨海副都心の開発の一つの起爆剤となるような、そして東京都民が、あるいは日本国民が夢を持ってこの臨海副都心を訪れるような、そうしたすばらしいにぎわいをこれから生み出してもらいたい、こう考えているわけでございます。  これが東京の経済の活性化、あるいは日本の経済に対する刺激を与えることができれば、どんなにすばらしいだろう。かつて都市博に期待をかけた私どもにとって、この臨海副都心の暫定利用こそが、それにかわる一つの新しい方法として期待をしているわけでございます。そうした意味で、この暫定利用を行うことの案を東京都の皆さんがどのように考えてつくっているのか、まず改めて伺いたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 暫定利用の意義についてのお尋ねでございますが、臨海副都心開発は、東京の未来のために必ず成功させなければいけないと私ども考えているわけでございますが、特にこれから広域交通インフラが完成するまでの数年間が極めて重要な時期であるかと存じます。  この間、二次以降の公募に全力を挙げるとともに、当面処分を予定していない用地を活用して、まちのにぎわいを積極的につくり出していくことが重要ではないかと考えているわけでございます。これによりまして、本格利用に至る途上におけるまちの発展を促進していく、こうした観点から積極的に実施をしていきたい、こう考えております。 ◯山崎委員 今お答えのあったとおり、暫定利用が実施されて、そこにさまざまな事業者がイベントや商業活動を展開することになれば、今既にオープンしている進出企業のさまざまな施設と相まってさらに多くの人が訪れ、大きなにぎわいが生まれることになると思います。そこで、暫定利用の対象地として、現在利用されていない土地ということになろうと思いますが、暫定利用の対象地に対する基本的なお考えについてお伺いしたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 暫定利用は、最終的な土地利用が決まるまでの間、土地の有効活用を図るものでございます。したがって、当面処分を予定していない用地が対象となりますが、具体的に申し上げますと、まず共同溝が整備されていない、こういった理由で十年間の貸し付けが可能な土地、これは臨海新交通の青海駅の北側の街区、すなわち、青海S、T街区であるとか、あるいは、その他立地等諸般の事情でやはり十年間の貸し付けが可能であろう土地として、テレポートセンター横の街区、青海のE街区であるとか、こういったところが想定をされるかと思います。  それからまた、まちづくり都民提案制度の対象である副都心広場周辺の街区、青海のQ、Rといった街区、こういったところについては五年未満の利用が想定される。その他の土地につきましては、交通需要とか二次公募等のスケジュールをにらみながら、イベント等の短期の暫定利用を図ることになるかと考えております。 ◯山崎委員 原則として大体街区単位になっているようですが、そこを、いろいろなイベント、あるいは事業者によっては、大き過ぎるとか、狭過ぎるとか、いろいろ考えがあると思うのですが、例えばそれをまとめて二つ一緒にとか、あるいはもっと細分化するとかいうようなことは考えられますか。 ◯前川港湾局開発部長 暫定利用の実施規模についてでございますけれども、これは今お話がございましたとおり、原則として街区単位ではございますけれども、例えばその用地の規模につきましては、事業内容に応じて、場合によっては五千平米程度までは利用を可能にする場合もあり得るのかな、そういったことはその事業の内容とか期間とか、そういったことを総合的に勘案して、できるだけ柔軟に対応していきたいと考えております。  それから、こういった多様な形態での暫定利用、いろいろな事業を進めるという意味での多様な形態での暫定利用を推進するために、これより小規模な場合の要望もあるかと思いますけれども、これについては、これもまだ検討中でございますが、例えば共同利用であるとかいうようなことも、場合によっては対応していきたいと考えております。 ◯山崎委員 進出事業者の事業形態、あるいはどのような事業者から希望が出ているかということですが、この資料第11号で、物販を中心とした施設、あるいはアミューズメント、スポーツ施設についてはゴルフ場、人工スキー場、住宅展示場、各種イベントというふうに資料にいろいろ出ておりますが、トータルとして、長期間利用希望が今どのくらい来ていて、一日、二日というのは数多くあるんじゃないかと私は思うのですが、総体的に考えた場合、幾つぐらい事業者の希望が都の方に持ち上がっているのですか。 ◯前川港湾局開発部長 暫定利用の希望でございますが、これは今先生からお話がありましたとおり、極めて小規模なイベント等、それから大規模で長期間、十年間ぐらいのものとか、いろいろな形で多数の希望が来ているのが実情でございます。ただ、厳密な件数につきましては、率直に申しまして、話の角度が例えば経営計画等もにらんだものから思いつき程度までいろいろありますので、ちょっと正確には申し上げかねるところがございます。 ◯山崎委員 そこで、今後についてですが、十年程度の長期貸付の場合は公募が実施されるということでありますが、公募後の進出事業者の選定は具体的にどのように行うのですか。 ◯前川港湾局開発部長 事業者の選定の手続でございますが、当然公募要綱等を策定するわけですけれども、具体的な内容については現在検討を進めている段階でございます。いずれにいたしましても、事業者の最終的な選定は、私どもの内部に設置されております東京都臨海副都心用地管理運用委員会、ここで行うことになるかと思っております。まちのにぎわいをつくり出す、また、まちの発展を促進する、そういった暫定利用の趣旨に沿った事業者を選定していきたいと考えている次第でございます。  また、募集の具体的な手法、方法につきましては、事業者に余り負担をかけないように、できるだけ簡易な方式にしたいと考えております。 ◯山崎委員 まちの発展を促進するという趣旨もあるわけですね。ですから、今回の進出企業に権利金の返還というようなことで、それはまちのにぎわいをつくり出した先導的な役割があるからという趣旨で権利金を返還したりして、その貢献度を見たわけです。そうなると、暫定利用という形でここでいろいろなイベントや事業をやる方たちも、考えようによっては、まちのにぎわいをつくり、あるいは臨海副都心の先導的までいかないけれども、第二次先導的な役割を果たす事業者であろうと私は思うのです。  そうした意味では、暫定利用の利用者に対して、余りお役所的ではなくて、柔軟な対応をそれぞれしてあげる、あるいは期間の問題とか、土地の地代の問題だとか、あるいは事業者のいろいろな要望をよく聞いてあげて、後でお金を返すなんていう今回のようなことではなくて、最初から進出する事業者に対して柔軟な対応をしていただくようにぜひお願いしたいと思います。  そして、今後の利用開始までのスケジュールについてはどうなっているのか、お伺いをしておきます。
    ◯前川港湾局開発部長 今後のスケジュールでございますが、私どもは内容が大きく二つの類型に分かれるかと思っているわけです。一年未満の一次貸付の現行制度を適用して、これを五年程度まで、場合によって更新を繰り返す、こういったものか、あるいはもっと短い数日単位ぐらいからのものまであるわけですけれども、こういったものにつきましては、このご審議をいただいて実施方針を決定した後には、できるだけ早期に実施してまいりたいと思っております。  ただ、十年間の事業用借地権を導入してやります制度につきましては、庁内の関係の規則等の改正とか事務処理の関係もございますので、現在のところ、平成九年二月ぐらいには募集を開始して、進出事業者の選定は、今の目途としては五月ぐらいに行っていきたいというふうに考えております。 ◯山崎委員 先ほど冒頭申し上げたとおり、新宿の南口にできた大きな百貨店でありますけれども、私、議会から車で甲州街道に出て橋を渡るまで三十分かかった。となると、これから臨海副都心の暫定利用でそこに進出した事業が大変人気のあるものであったとしたらば、一番問題になるのは私はやはり交通問題だと思うのです。  そこで、現在も駐車場がないとか、新聞紙上でもいろいろにぎわしておりますし、「ゆりかもめ」が混雑しているとかいうこともあります。そうした意味で、今後の暫定利用、特に夏休みだとか、土曜、日曜とかいうことになると、事によると、臨海副都心に入るまで一時間も二時間もかかって、交通がストップしてしまうようなおそれがないとはいえないと私は思うのですが、その交通問題についてはどのようにお考えでしょうか。 ◯塩野港湾局臨海部開発調整担当部長 暫定利用に対応する交通機関でございますが、新たに生ずる交通需要につきましては、大部分が休日あるいは昼間の時間帯が中心と考えられますが、臨海副都心全体の交通需要への対応という観点から適切に対処してまいりたいと思っております。  そこで、まず、「ゆりかもめ」の混雑緩和を図るためには、運転間隔の短縮を図ることが効果的でございます。臨海新交通株式会社では既に二編成の車両を発注しておりまして、来年夏には、現在の最短六分の運転間隔から五分間隔にまで短縮することが可能となりますが、さらに車両の増強等を行って、四分間隔運転の実現に努力したいとしております。  こうした増強策と並行いたしまして、交通手段の一層の分散化を図るために、臨海高速鉄道あるいは都バス、さらには海上バスへの振りかえ対策を実施いたしますとともに、路線バスの増強についても関係局と協議をいたしまして、積極的に検討してまいりたいと思っております。 ◯山崎委員 それから、駐車場対策はどうなっていますか。 ◯塩野港湾局臨海部開発調整担当部長 駐車場対策でございますが、臨海副都心の中におきましては、駐車需要に十分対応できる駐車場を整備するということになってございます。暫定利用の実施に当たりましても、暫定利用者に対しまして、貸付街区の中に必要な規模の駐車場を整備してもらうということにいたしてございまして、案内板の設置、あるいは誘導員による来訪者の適切な誘導を指導するなど、路上駐車が生じないようにさまざまな対策を図ってまいりたいと考えております。 ◯山崎委員 今のご答弁を聞くと、進出事業者がその借りた土地の中で、自分で駐車場を用意せいということですね。それは大きなイベントだった場合に、駐車場が狭くて逆に大変困るのではないか。そうした場合に、私は、あいている、第二次進出予定地だとか、いろいろなところがまだあると思うのですが、そういったところも、先ほど申し上げたようにできるだけ柔軟に対応してあげないと、自分の借りている土地が全部駐車場で、イベントをやるところがちょこっとしかなくなってしまうようなことになったのでは、本来の趣旨から外れてしまうのではないかと思いますので、そうした意味でも、進出事業者が借りた土地を駐車場にしなさい、その地代も払わなきゃならぬ、そうすると、有料で駐車場をやらなければならぬということにもつながりかねないので、その辺はできるだけ柔軟に対応して、未利用地を自由に使わせてあげるぐらいの姿勢をひとつ持ってもらいたい。これは要望で結構でございます。  それから、大きなイベントがあったときに、その借りる土地というのは共同溝ができていない。となると、発生するごみの対策は一体どうするのか。となると、臨海副都心は世界都市、未来都市といいながら、ごみの車を走らせませんということで共同溝をつくり、管路収集をするといっていながら、まだそこまで整備できていない土地を貸すわけですから、その土地は清掃車が来て、ごみを毎日持っていかなきゃならぬということになると、臨海副都心開発の趣旨から外れてしまうので、その辺の対策をどう考えるか、お考えがあれば伺わせていただきたいと思います。 ◯塩野港湾局臨海部開発調整担当部長 清掃車の対策、あるいはごみ問題ということでございますが、臨海副都心におきましては、ごみ処理を初めとする供給処理につきましては共同溝を利用するということが原則になってございます。暫定利用に当たりましても、ごみ輸送につきましては、原則として共同溝を利用していただくことにしてございますが、共同溝未整備の街区がございます。これにつきましては、私どもが管理をいたしておりますプロムナード内、あるいは、公園内に設置をされておりますごみ管路収集のための投入施設の活用を図るなど、できる限り清掃車がまちの中を走らないというような方法で協力をさせていただきたい、このように考えております。 ◯山崎委員 基本的には、臨海副都心にはごみの車が走らないということですけれども、中央防波堤の外側処分場へごみの車が毎日走っている。私は、区議会のころから、おかしいんじゃないかということで、ごみの車が走らないまちをつくるといいながら、中防までトラックが毎日何百台、何千台と往復をしている、だから、これは地下道でもつくって、副都心はごみの車が見えないようにすべきだというような話もしたことがあります。現在、既にごみのトラックが走っています。しかしながら、目標である副都心の中はごみのトラックが走らないんだということなので、ぜひその辺を配慮して、訪れる人たちが日中はやっぱり見なかったというようなことができるようにご努力を願いたいと思います。  そして、この新しい制度である暫定利用について、局長の決意をひとつお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ◯今沢港湾局長 暫定利用につきましては、広域交通インフラの整備、あるいは第二次以降の公募を進め、臨海副都心の用地の本格利用を軌道に乗せるまでの間、まちのにぎわいを生み出し、副都心としての発展を促進する重要な役割を果たすものというふうに考えております。できるだけ早期に事業化を図りまして、多くの都民に足を運んでもらえる活気あふれるまちづくりを進めることを通じまして、臨海副都心開発を推進してまいりたいと考えております。 ◯山崎委員 結局こうやって考えて、今局長のお話しのように、まちのにぎわいをつくるために暫定利用という新しい方法で活気を引き起こすんだというお話を聞くと、今さらながら、じゃ、なぜ都市博を中止したのか。都市博があれば、何もこんなことをしなくても済んだのではないかというふうに思うわけです。  今回、先ほど大西議員も質問いたしましたけれども、都の考えとしては、この権利金の返還について、都市博中止が一つの原因ではないかというような質問をさせていただきまして、局としても、それもある程度あるとお答えがありました。私どもは、都市博をやっていれば、当然にぎわいはあったし、臨海副都心の開発は進んだし、東京の景気はよくなったし、経済は発展して大変なにぎわいができたろう、こんな権利金なんか返す必要は全くないような事態が訪れたであろう、こう思っているわけでございます。  局長、いかがですか、その辺は。局長も大変ご苦労されてきて、この臨海副都心開発、フロンティアについてはすべてご存じなわけですが、臨海副都心開発、今回のこの返還金について、局長自身、都市博をやっていればこんなことは起きなかったな、こう思っているのではないかと私は思うのですが、いかがでしょう。 ◯今沢港湾局長 先ほど大西委員からご質問がございましたが、確かに進出企業の方々も、都市博の影響につきましてはいろいろな厳しい意見をお持ちでございます。また私どもも、都市博の中止により企業の経営に大きな影響があったという認識を持っております。しかしながら、先ほどもご答弁申し上げましたが、今回の措置につきましては、権利金差額相当額の精算は土地処分方式の変更に伴う調整であり、また特別減額の措置は、進出企業の臨海副都心のまちづくりに対する先導的役割を評価したということでございます。  非常に複雑な心境でございますので、この場ではっきり申し上げることもできませんが、その辺のことはひとつよろしくお含みおき願いたいと思います。 ◯山崎委員 きのうの記者会見で、知事は、都市博中止が権利金返還の直接的な原因ではないかといわれているがどうかとマスコミから聞かれたときに、バブルの崩壊と経済の回復のおくれが原因といわれていて、直接的な原因とは思えない、こういうふうに青島さんは答えている。私はその辺で、一つには、知事と理事者、皆さんとが本当に力を合わせて一致したお考えで進んでいないような気がしてならない。  青島知事は、選挙のとき、そしてまた当選をして議会に来られたときに、税金は一円たりともむだに使わない、こうおっしゃいました。では、都市博中止で融資をいたしましたですね。その融資を受けた企業のうち何社かが倒産している。お金が返ってこない。それだって私は税金のむだだった。都市博をやっていれば、そんなことをしないで、関連企業にお金を融資することもなかったわけです。そしてまた今回のことについてもやはり税金のむだではないか。あるいは外国に行っておわびの行脚をしてきたということも税金のむだではないか。だから私は、都市博をやっていれば、こんなことにならなかった。税金はもっと有効に使えた。そして東京の経済がもっと発展し、世界における東京の地位も、あるいは東京港の活性化もあったはずだ、こういうふうに思っております。  そうした意味では、知事に、今回、これからの臨海副都心開発については、その罪滅ぼしとして、真摯に全力を挙げて頑張っていただかなければならないと私は思います。この発言を申し上げて、答弁は結構でございますから、局長の心のうちは痛いほどわかるつもりでおりますので、どうぞ暫定利用についても頑張っていただくようお願いをして、質問を終わらせてもらいます。 ◯岩舘委員 ただいま山崎委員が最後段で申し述べた意見、その趣意に基づいて違った角度からの質問を行います。  都市博中止、そして開発スケジュールが変更されたことによって、第一次進出事業者からさまざまな要求が出たわけでありますが、その内容についてお尋ねいたします。  記載されておりますけれども、現契約を解除して権利金を返還してもらいたい、これが出ています。二番目には、既に建設した建物を東京都さんが買い取ってもらいたい、こういう内容があるんですね。三点目には、ニュアンスが若干わからないところなんですが、進出企業者が都市博中止、そして開発スケジュールの遅延によって、得べかりし利益、つまり、逸失利益による損害補償をしてもらいたいという裁判が起こされる可能性もあるというふうにこの資料にはあるんですけれども、この点について、事業者はどのようにいっているのか。そして、仮に裁判、提訴された場合に敗訴してしまうとか、こういう事情が東京都にはあったのかどうか、その辺をお聞かせください。 ◯前川港湾局開発部長 今回の改定に当たりましての要求の内容につきましては、基本的に今ご指摘があったとおりでございますが、これは特に今お話がありました都市博との関連では、事業者の要求としては、特に着工、開業企業を中心といたしまして、都市博の中止によっていわば逸失利益が失われたのであるから、それをきちんと償ってほしいという要求が出されたのは事実でございます。  それから、業者の排除とおっしゃったでございましょうか。 ◯岩舘委員 いやいや、排除じゃない。 ◯前川港湾局開発部長 そうですか。私、ちょっと理解が十分ではなかったかもしれませんが、進出事業者につきまして、今回の対応で……。 ◯岩舘委員 建物を買い取ってくれと。 ◯前川港湾局開発部長 わかりました。大変失礼いたしました。これはこの資料にはございませんが、もちろんほんの少数でございますけれども、一部の事業者からそういった要求があったのは事実でございます。 ◯岩舘委員 ですから、第一次の進出事業者の立場に立ってみるならば、東京都が第一次の進出事業者と契約を結んだ際に、開発スケジュールに乗ってこういう契約をしました。ところが、開発スケジュールが取りやめになって延期になった。つまり、事業者からいわせるならば、東京都の契約不履行。したがって、これほど強い要求が出されてきたということは明白だと思うのです。  ですから、単に第一次進出事業者に対して迷惑をかけたといったようなものじゃない。確かにホテルが建ってしまっても開業できないでいる。建物を買い取ってくれ、こういうふうにいわれたわけでしょう。そしてまた全額補償しなさいと。ということは、それだけ東京都がこの契約、第一次進出事業者に対して迷惑をかけたという負い目があるんじゃないですか。  その辺を考えるならば、今回皆さんがいろいろと理屈をつけて答弁されていたこの権利金の返還、それだけ迷惑をかけて、また、この問題に対して、答弁の中でその辺が明確になっていないということは、本来ならば、本当にそれだけ迷惑をかけていることであるならば、この権利金を返すことは当たり前だというようにも受け取れる問題だと思うのです。  今までの三人、四人の質問者の中で、しつこくしつこくこの返還の理由を聞いた。それに対しては、あくまでも契約の変更である。三十五条の五によることだということにこだわっているということなんです。私は改めてここでそれをひっくり返せといっているわけじゃないんです。ただ、そうした権利金の返還の理由は、そうした背景があった、それだけ事業者に迷惑をかけてきた事実、それを踏まえて、この返還の理由なんです、こうなるならば、ある程度一般都民の方々も理解していくんじゃないだろうか、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 私からは、いわば事務的な協議の過程を申し上げますが、進出事業者から、都市博の中止を理由として、特に特別減額を中心に強い要求があったのは事実でございます。また、仮に都市博が実施された場合と比較をすれば、その場合に得べかりし利益、これが都市博の中止によって失われたのは事実であろうと、私どももそう判断をいたしております。今回、こういった形で対応を事務的なレベルでまとめましたのは、進出事業者の皆様方とのそういう協議の経緯を踏まえたのは事実でございます。 ◯岩舘委員 逸失利益を認めるならば、どのくらい事業者の方々が損をしたのか、その損金額を算定したものを出しなさいといいたいんですけれども、そんなところは出せるわけもない。しかし、それを明らかにしていくと、一番当初、九百七十五億、都市博中止によって損失するという額、その額と調整がつかなくなってくる。そういう問題点を抱えている以上は、それが理由でこの返還理由としたのじゃないといっていることはわかるんです。その点の意味合いが皆さん苦しいだろうという推測は持っています。  したがって、局長、最後にもう一回答弁いただきたいのですが、いかがですか。そうしたことを踏まえて、今回の中で、理由としては先ほど述べていたような契約の変更、これでいいと思います。どうでしょうか。 ◯今沢港湾局長 つい最近まで都市博の後始末をしておりまして、今度は港湾で開発を推進するという立場になったわけですけれども、今回の措置が都市博とどの程度の影響があるかということについて考えるいとまもなく、この何カ月間を一生懸命やってまいりました。常に今後の開発に向けてどうすべきかということを前提にしてまいりましたので、そういう答弁でご勘弁いただきたい。(笑声) ◯藤川委員 このような時間なので、私自身三問質問を用意させていただいたのですが、今までの皆さんの質問の中で全部消化されてしまっておりますので、私としましては、意見にとどめさせていただきたいと思います。  私は、これからの世の中というのは、都市間の競争の時代に入るんだろうなと思います。そういう意識を強く持っていたものですから、十月の二十八日、二十九、三十、三十一日の四日間香港に行ってまいりました。香港がなぜあのように騒がれているのかということを自分の目と足でもってよく見てこようと思って行ったわけです。そうしたら、少しわかったような気がするわけです。  いろいろな企業を訪問させていただきまして感じたことは、香港の後ろには二つの大きな力がある。それは、これからはあの中国大陸である。要するに、深〓の第一特区、第二特区等を初めとして膨大なバックがある。それから、華僑とか華商の強力なバックがある。そういう面では、香港は東京にとって将来的には非常に大きなライバルになるであろうということを肌で感じてきたわけです。  そのときに、それならば東京が、深〓の第一、第二特区とか、華僑とか華商のような大きなバックグラウンドを持ち得ているかというと、千葉は東京のライバルでありますし、神奈川もそうである。東京の後ろにある埼玉や群馬や栃木が頼りになるかというと、どうもそういう形でもないらしいということになれば、やはり東京は、孤軍奮闘の中で自力でもって何かしないと、都市間の競争に勝ち得ることはできないだろう、そういうふうに私は感じたわけです。  そのもがきの中からかどうかわかりませんが、要するに臨海副都心ということを皆さんは考えられて始めたわけですが、ここにおいて一つこれから考えなくちゃいけないことは、今までの我々の物の考え方は、常に世の中は生々発展、成長するという基本的な考えがあったわけです。常に世の中は成長する、そういう大きな前提のうちにすべてのプランが立てられたわけですが、これからは、私自身は、そういう世の中じゃないだろう、常に将来生々発展することが約束されている世の中ではなくて、非常に不確実な、何が何だかわからないような状態の中で我々は生きていかなくちゃいけない時代に入ってきたのではないか、そういうふうに強く感じるわけです。  そのへ理屈を述べますと、十五分という時間を超えてしまいますから、今私がそういうことを述べているということに関しましては、賢明なる皆さんがいろいろと勉強していただくことによって、ああ、彼がいっていたことはああいうことだったんだなということを思い当たっていただきたいと思うわけです。  要するに、これからは非常に不確実な時代である。しかも、成長発展する時代ではなくて、時には停滞し後退することもあり得る。だから、皆さんがこれから立てられるプランのうちには、常にそういうことも念頭に置いて企画立案される必要があるだろう。ですから、もし企画立案されたものが誤ってしまったということであれば、自信を持って大胆に修正すべきではないか、そういうふうに私は考えるわけです。  特に十七世紀をもとにしまして、それからずっと我々がどういう形で現在の我々の思考形態を形づくってきたかというと、ニュートン以来、世の中はとどまることもないんだ、後退することもないんだ、常に我々は成長発展し続けるんだという考え方のうちに、我々はすべてそういう思考形態の中にいろいろなプランをつくってきたわけですが、これからはそうじゃない、そういう時代じゃないということを皆さんに強く思い至っていただきたいと思うわけです。  土地神話なんというのはまさしくその最たるものでありまして、その土地神話にのっとってできたものが、ある面では臨海副都心のプランであったのではないかと私は考えるわけです。でも、東京を何とかしようという皆さんの思いが臨海副都心の建設構想にある限りにおいては、こういう状態に立ち至った限りにおいては、皆さんの英知でもって、誤りは誤りとして素直に認めながら、大きく大胆に修正を加えていく。そして、だれにも頼ることのできない東京、ひとりで孤軍奮闘しなければいけない東京に力強い将来の活性化をもたらす起爆剤として、これを大きく発展させるという形を、皆さんの努力において臨海副都心の将来を探っていただきたいと強く希望するものであります。  これからは、ある面ではその修正の時代に入ってきたのではないかと私自身強く思います。事実、我々が将来についていかに正確に洞察することができないかということの一つの具体的な事例を申し述べたいと思うんですが、山崎さんは経済・港湾委員会でご一緒だったですが、ことしの三月の時点において、「ゆりかもめ」は空気を運ぶ乗り物であるといっていたわけです。そして、経済・港湾委員会でもそういう風潮が非常に強かった。ところが、五月の連休に至って、「ゆりかもめ」は二時間待たなければ乗れないという事態が出来したわけです。  ですから、我々議会においても、答弁をされておられた方も皆さんの中にはおられたと思いますが、あの時点を思い起こしていただければ、あの時点は、「ゆりかもめ」というのは否定的に解釈されていたわけですけれども、今や、私も二週間ぐらい前の日曜日に自分の足でもって歩いてまいりました。乗るまでに約一時間ぐらい待たされましたかね、そういう事態ができている。要するに、我々は将来を見ることもできないし、ある面では非常に不確実な時代にあるということは、我々は強く認識しなければいけないと私は思います。  ですから、局の皆さんにおかれましては、どうかそういう形で、人間は万能ではないんだ、だから、不確実な神ならぬ我々ボーンヘッドの人間であってみれば過ちは犯すんだ。だけど、一たんそれが過ちだというふうに認識した限りにおいては、堂々と自信を持ってそれに修正を加えていく、そういう努力をこれからお願いしたいと思います。  以上、私の意見として皆さんに申し述べさせていただきたいと思います。 ◯西田委員 最後になりましたけれども、よろしくお願いいたします。  ことしの七月に臨海副都心開発の見直しの基本方針が策定されましてから、今日までわずか四カ月しかたっていないわけですね。今回の権利金の返還と賃料の特別減額、そして地代の引き下げなどで、臨海会計が他会計から五百八十九億円、これを新たに借り入れなければならない。このことを見ても、臨海会計の収支に今度の措置が重大な影響を与えることは明らかだと思うんです。そこで私は、この問題に関連して質問させていただきたいと思います。  そこで、まずその前提条件としてお聞きしたいのですが、今回の賃料改定の算定基礎価格は、標準画地が一平米当たり百三十八万円ということで割り出されているというわけですが、最近の試算ではこういう価格表示というのは余りなかったんですね。七月の基本方針に伴う長期収支試算でも、平均の地価が一平米当たり百十六万円、こういうことで試算が行われているわけですけれども、これとの対比でいいますと、一平米当たり百三十八万円の標準画地の価格というのは一体どういう平均地価になるのか、これをまず伺いたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 標準画地百三十八万円で今回の契約は地価を評価したわけでございますが、今回対象となりました業務・商業地を平均いたしますと、平米当たり百十四万円でございます。 ◯西田委員 一平米当たり百十六万円の七月の試算の基礎価格が百十四万円と二万円下がっているわけですね。長期収支試算に重大な影響があると考えますけれども、どうでしょうか。七月の長期収支試算では、二〇三四年、つまり平成四十六年に収支均衡することになっていますけれども、単純に今度の減収分を加味して計算しますと、これが何年ぐらいおくれることになるのか、これをまず伺いたいんですが。 ◯前川港湾局開発部長 今回の措置が臨海会計に影響を与えることは事実でございます。ただ、現在、新たな事業化計画の策定作業を進めているところでございまして、その中で、今後の都市基盤整備費等をさらに精査をする。また、今後二次公募等を積極的に進めて収入の確保を目指す、こういう収入支出両面にわたる徹底的な洗い直しを行う考えでございます。したがいまして、ご質問の臨海会計の長期収支に与える影響については、これらを踏まえて、今後明らかにしていきたい、かように考えております。 ◯西田委員 先ほど来から議論がございましたけれども、他に例を見ない今回の特別な措置なんですね。それだけでも、権利金の返還で五百二十三億円、賃料の特別減額で三年間で六十九億円、それから、将来返還される国際展示場などへの権利金百五十億円余り、これで合計七百四十二億円なんですね。それに今度の二万円の地価下落ということで、あそこのすべて百三十九ヘクタールですから、この二万円下がった、これで全部処分した、貸し付けも売却も試算の中にはありますから、そういうことでやったとして、二百億円分ぐらいの減収になるはずなんですね。これは今の値段で凍結しての話ですから、今後地価が上がっていく、そういうことも考えますと、もっと開きが激しくなるということもあるわけで、二百億円だけ足しても九百四十二億円、そういう新たな上昇分なんかを加味した賃料の減収分をさらに加えますと、一千億円か、あるいは一千五百億円になるのかわかりませんけれども、いずれにしても一千億円を優に超える減収になると思うんです。  これだけ大きな影響が出るのに、今度補正予算でとにかくお金を返します、こういう議案として出してくるわけですね。それなのに、何のそういう収支の見通しも示さずに、企業への支払いや精算だけをやろうとする。これはとんでもない話だというふうに私は思うんですよ。  そこでもう一度お尋ねをいたしますけれども、先ほどこれからどうやって措置をするか、当然のことながら手当ての話もあるわけですから、それはわかりますけれども、とにかく単純に計算をして、この減収分がどういう影響になるのか、どれだけ収支均衡年度がずれるのか、こういう点については、やっぱりそれはそれとしてちゃんと出して審議すべきだと思うんですよ。これはどうですか、もう一度お聞きをいたします。 ◯前川港湾局開発部長 七月の基本方針でお示しをいたしました臨海会計の長期収支試算に関しまして、今回の措置が影響を与えることは、先ほど申しましたとおり事実であると考えます。しかしながら、このほかにも、収入支出両面にわたりまして新しい要素、新たに考慮すべき要素があると考えておる次第でございます。  現在、新たな事業化計画の取りまとめを先ほど申しましたように行っておりまして、その中で改めて収入支出を精査するとともに、今回の措置も織り込んで収支均衡が適切に図れるよう見直しを行いまして、ご質問の収支均衡年度についても明らかにしたい、こう思っております。 ◯西田委員 基本方針の決定と長期収支の見通しが出されたというのは、つい四カ月前のことなんですよね。今、収入支出両面にわたって新たな考慮すべきことがある、こういうふうにいわれたわけですけれども、それはそうでしょう、影響が出るんですから。それは当然だと思うんですけれども、しかし、とにかくつい四カ月前にその対策をとられたんですよ。一般財源や都民の負担をふやす方向を打ち出して、その方針決定の前提として、その収支試算も出したんじゃありませんか。  私は、そのときの試算条件を変えないで、とにかく二万円減収になる、そういうことで、どれだけそれが影響するのかということを聞いているわけですが、何回聞いてもお出しにならないようですから、私の方からお聞きする仕方を変えてみますけれども、これまで臨海副都心開発懇談会、それからこの特別委員会や常任委員会にいろんな資料が出されました。その中には試算方法、これも書かれています。  私たちは、そういう条件やそういうものを参考にして計算してみたんですけれども、この地価の二万円の下落、こういう中で、今度の措置などで、先ほどいいましたように一千億円超えますね、これを超えるような減収がある。それを単純に計算すると、収支均衡年次はどう考えても五年から六年先に延びるというふうになるわけです。つまり、七月試算の四十六年度から五十年度を超えてしまう。一年超えるのか、二年超えるのか、その辺は細かくはあれですけれども、そういうことになってしまうというふうに考えているんですね。それは見当違いですか。 ◯前川港湾局開発部長 再三のお尋ねでございますが、今西田委員ご指摘がありましたように、仮に基本方針の長期収支試算に対し、これも仮定で、今回の措置の影響額のみをそのまま単純に織り込んで試算をする、こういったことをいたしました場合には、場合によっては委員のいわれるような結果になるかもしれませんが、私どもは、今回のこの対応による影響以外にも、先ほどからお話を申し上げておるとおり、新たに考慮すべき要素が幾つかある、それを合わせて事業化計画において収支均衡年度をお示しをいたしたい、こういうふうに申し上げている次第でございます。 ◯西田委員 場合によっては、私のいわれる結果になるかもしれない、こういうことをおっしゃいました。これは否定なさらなかったわけですね。どう考えてもそうなるんだろうというふうに思うんです。しかし、とにかく出と入りを考えなきゃいけない、これも当然でありましょう。  新たに考慮する要素がというんですけれども、先ほど議論になりました暫定利用というのも、あるいはその一つかなと思うんです。けれども、暫定利用で収入があったにしても、一千億円を超えるような穴を埋めるような収入にならないことは明らかだと思うんです。十分の一なのか、十五分の一なのかわかりませんが、そういうことにしかならないというふうに思うんですね。  ほかに何があるかといえば、とにかく何としても二次公募を、ちゃんと出てもらうという話になるのかもしれませんね。しかし、私は、事業開始以来半世紀たっても資金回収ができない、収支均衡しない、これは臨海開発推進の破綻、これのほかないと思うんです。しかも、五十年を超えるというのは、二次公募をして、企業が全部予定どおり出ての話なんですね。  そこで、その状況が一体どうなっているのかというのは改めて伺いたいと思うんですが、第一次公募で進出決定をして、まだ未着工の日商岩井とかサントリーとかイトーキ、これは竣工期限が十年の三月になっているんですけれども、今どうなっているのか、建築確認申請はなされているのかどうか、お聞きしたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 未着工企業四社の状況でございますが、この四社につきましては、今回の対応を通じまして、用途指定どおりに着工する旨を明言し、確約をしているところでございます。今お話がありました竣工期限、これは現在は十年三月でございますけれども、これの扱いにつきましては現在協議中でございますが、例えば一つの選択肢といたしまして、臨海高速鉄道の開業予定時期等も考慮をいたしまして、平成十三年三月とすることも検討をいたしております。  なお、建築確認申請につきましては、現在のところ行われておらず、そうした手続を早急に行うように働きかけていきたい、かように考えております。 ◯西田委員 もう一つ、やはり第一次進出企業で、未契約の資生堂、三井不動産グループ、この二つがあるわけですが、これはどういう動きになっているんでしょうか。 ◯前川港湾局開発部長 未契約の二社についてのお尋ねでございますが、この二社とは平成四年三月三十一日に基本協定書を取り交わしまして、平成九年度までに土地を引き渡すということになっております。今後二社と契約に向けて協議を進めていきたい、こう考えております。 ◯西田委員 今後予定どおり出てもらえるように協議を進めていくということだと思うんですけれども、ことしの六月、見直しの方針案が出されたときに、ある新聞が第一次進出企業にアンケートを行った企業ごとの見直し案に対する企業の評価が載っていましたね。この資生堂は本社ビルを建設するということになっているわけですけれども、道路計画などの具体的な計画が明確でなく、本社を建てるのに足る判断材料がない、こんなふうにいっておられますし、事務所や店舗ビルを建設する三井不動産グループ、青海ですね、これも、おくれや土地利用の変更がどうなるかが定かではなくて、具体的計画を待って判断する、こういうふうに述べておられるんですね。  この三井不動産グループが進出するのは青海なんですけれども、先日もちょっとあの辺を歩いてフロンティアビルへ寄ってみましたら、あそこはまだがらがらですね。テレコムセンターもとにかく大変な状況であるわけですね。いつだったか、しばらく前ですけれども、テレビの報道で臨海部のことをやっておりまして、先ほどもお話がありましたけれども、「ゆりかもめ」が大変繁盛して観光地化している、そういうのを映しながら、その一方で、この臨海副都心で働く企業の社員の方が、とにかく早く海の向こうに戻りたい、都内といったら変ですが、都心の方に戻りたい、こういうふうにインタビューで答えておられるのが紹介されております。  三井不動産が今度の措置で進出をしてくるのかどうかというのは大変不安だという声も、私も伺っているところであります。こういう状況の中で二次公募が行われるということなんですけれども、その見通しについてどうなのか、本当のところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。 ◯前川港湾局開発部長 二次公募の見通しでございますが、私どもは、臨海副都心開発の今回の対応も一応終えまして、事業化計画をこれから策定をしていく、それから、さらには暫定利用をやっていく、こういった条件をとどめながら、早ければ今年度末にも実施をしていきたい、それによって臨海副都心開発を軌道に乗せていきたい、かように考えております。  既に事業者からの具体的な問い合わせもあり、現在、広く企業の意向を把握するために、国内の上場、あるいは海外、在日の外資系企業等も含めた企業、約二千社でございますが、これを対象といたしましてアンケート意向調査も実施いたしております。 ◯西田委員 先ほどもいったような状況の中で、二次公募は今見通しがあるというようなお話なんですけれども、やっぱりなかなか大変なんじゃないかなと思うんですね。汐留の開発ももう動き始めているようですし、天王洲もあるし、都心側にある竹芝地域開発、ここも、入っている、入居率は高い、こういっているんですが、その経営の実態は大変で火の車だということも明らかになっています。  こういう状況の中で、もし予定どおり進出する企業が本当にないということになれば、地代収入はさらに減るわけですね。もし今度の二次公募で、売ってくれるなら出るよということになれば、地価が非常に下がっている中で売却ということになって、これはこれで、私は重大な影響を与えることは明らかじゃないかと思うんです。こうして考えますと、収支均衡年度が単純に計算して五十年を超える、けれども、対策をとればもっと早くなる、こういうふうにいわれるかもしれませんけれども、なかなか大変なんじゃないかなというふうに思わざるを得ないんです。  問題は、あくまでも企業都市づくりを進めるために、やっぱりそのツケが都民に回されてくるということなんですよ。七月の試算でも、いうまでもなく、広域幹線道路等の整備に四千五百億円の一般財源、それから、用地の買い上げなどの三つの措置で五千五百億円、そして、その他今後都民に一兆円を超える負担を負わせるという方向を決めたんですね。そういう状況の中で、またさらにこの収支均衡のために、穴を埋めるために、都民の負担がふやされていくなんということになったら、それはもうとんでもない話ですから、断じて許せないということになるわけです。  それで伺いますけれども、今回の権利金の返還、それから賃料の特別減額などに要する財源は埋立事業会計から借り入れるということになりましたね。それで、八年度末、そして九年度末で、それぞれ他会計からの借入金というのは幾らになりますか。 ◯前川港湾局開発部長 臨海会計の他会計からの借入金でございますが、今回の措置を含めて計算をいたしますと、平成八年度末で二千七百六十二億円となる見込みでございます。また、平成九年度借入金として三百十六億円を予定しておりますので、合わせますと、平成九年度末の借入金が三千七十八億円となる見込みでございます。 ◯西田委員 九年度末で三千七十八億円、大変な金額になるわけですけれども、七月の試算では、四十六年度収支均衡ということになりますが、他会計からの借り入れは全部で四千九百三十二億円借り入れることになっているんですね。さらに今回の措置で、あるいは地代が下がっているということで、この借入分はふえるわけですね。そうすると、六千億円を超える借り入れをせざるを得ないというふうになるんじゃないかというふうに思うわけです。こうした他会計からの借入金というのは、償還はどういうふうになるんですか。 ◯前川港湾局開発部長 八年六月の長期収支試算におきましては、収支均衡年度である平成四十六年度に一括して償還することといたしております。 ◯西田委員 平成四十六年度に一括して償還。つまり、ここに書いてありますけれども、収支均衡年度に一括償還と書いてあるんですね。ですから、四十六年度、六月の試算ではそうだけれども、これがまた五十年を超えるということになれば、そのときに一括償還ということになるわけですね。収支均衡しないとずっと返さなくていいという話になりかねないお金なんですね。随分都合のいいお金じゃないかと思うんですよ。  今、都の財政というのは、緊急事態宣言が出されたということで、大変だ、大変だということが強調されているわけですけれども、まさに臨海は聖域になっているわけですね。他会計の借り入れというのは都民の財源ですよ。この都民の財源を使って、進出企業などには何百億円も返してやるとか、あるいは精算してやるとか、そういうふうにやる。  一方で、先ほど曽根委員からもいわれましたように、子供たちの教育の施設も、そういう改修なんかを予算で決めているのに先送りする。そして、来年は都議会議員選挙だから、それが終わると、今度は私学助成だの、(発言する者あり)黙って聞きなさい──私学助成だの、あるいは老人医療費だの、福祉や教育をばっさり削る方向が、今度の健全化計画等でも出されてくるということになっているわけですよ。  前川部長さんは先ほど、一般財源の負担は求めません、こういうふうに答弁されました。しかし、この他会計からの借り入れというのは、一般財源に持っていけば、一般財源で借りてくれば、何十年も返さなくていいお金、こういう話になるわけですから、福祉や教育などそういう都民要求の実現のために、あるいは都民施策の充実のために使えるお金じゃありませんか。  私は、この基本方針に基づいて今事業化計画の見直しをしている、手はずは整えられているんだろうと思うんですけれども、早くも財政破綻しているようなこの臨海副都心開発を、その中で本当にもう一回抜本的に見直す、そして、都民要望に沿った都民の福祉、暮らしの充実、そういう都財政を進めていけるような見直しをするべきだということを改めて要求して、質問を終わりたいと思います。  以上です。 ◯田中委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯田中委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後五時五十七分散会...