東京都議会 1973-10-04
1973-10-04 昭和48年_第3回定例会(第19号) 本文
午前十時十八分開議
◯議長(醍醐安之助君) これより本日の会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
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◯議長(醍醐安之助君) 次に議事部長をして報告いたさせます。
〔
小松議事部長朗読〕
四八財主議第二三七号
昭和四十八年十月四日
東京都知事 美濃部亮吉
東京都議会議長 醍醐安之助殿
昭和四十七年度
多摩ニュータウン水道事業会計決算書の誤植訂正について
昭和四十八年九月二十一日付四八財主識第二〇六号をもって送付いたしました昭和四十七年度
多摩ニュータウン水道事業会計決算書について、誤植訂正の箇所がありますので、別紙正誤表により訂正方よろしくお取り計らい願います。
◯議長(醍醐安之助君) 正誤表はお手元に配付してありますので、ご了承を願います。
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(昭和四十七年度
多摩ニュータウン水道事業会計 決算書正誤表 略)
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◯議長(醍醐安之助君) 次に日程の迫加について申し上げます。
日照条例等審査特別委員会委員林永二君より、当骸委員の辞任願いが提出されましたので、これを東京都日照条例に対する陳情とあわせて本日の日程に追加いたします。
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◯議長(醍醐安之助君) 昨日に引き続き、質問を行ないます。
二十八番小島一君。
〔二十八番小島一君登壇〕
◯二十八番(小島一君) 私は、水道一元化並びに
中央卸売市場の設置について、知事にお伺いいたします。
三多摩市町村がかかえている問題の中で、特に水道の格差是正は緊急の課題でありました。すでに各市町村とも水源である地下水は日増しに低下しており、これに対し人口は急増の一途をたどり、給水能力は悪化し、都からの分水に依存する水量は急激に増加し、これが経営面に対して大きな圧力となり、料金等の格差がますます開いていくのが現状であります。このような急迫する事態に対し、都は三多摩地区の水道事業を都営に一元化し、格差の是正をはかるべく計画され、都は各市町村との協議を重ね、多くの諸問題を解決し、このたび都営一元化の実施の見通しはついてまいりました。このことは三多摩都民の願望かない、格差是正の第一歩である水道一元化については一応の評価をするところであります。
そこでお伺いいたします。このたび実施される小平、東大和、武蔵村山並びに狛江の各市は、十一月一日より統合の予定と承知しております。残る二十四市町についての統合計画は今後どのように実施されるのか、未実施市町についても、住民は早期に格差是正を期待し、その実現について深く望んでおりますが、今後の見通しについてお伺いいたします。
次に逆委託方式であります。当初都の基本計画では完全なる一元化を標榜しておりましたが、今回の成案によりますと、市町に対してすべて業務を委託し、当初計画とは異なる方式を採用したのであります。これは本来の水道業務のあり方としてはまことに不自然な形態であると考えざるを得ません。答申に示されたごとく正常な方式に戻すことが必要であろうと考えますが、今後どのように取り計ろうとしていられるか、お尋ねいたします。
第三点として、一元化後の配水施設の拡充計画について、都は昭和五十年までに、三多摩地区の普及率を九五%に、五十五年までに一〇〇%にすべく計画し、予算も考えていると説明されておりますが、これは多摩地区の急増する人口、これに対する行政需要の増大、そして物価騰貴による工事費の値上がり等に対応できるものであるかどうか。また年度別の予算については、市町と協議し、その要望等を十分取り入れて実施されるべきであるものと思いますが、この対策についてお伺いをいたします。
次に三多摩に
中央卸売市場の設置計画についてお伺いいたします。
今日、最も都民が関心を寄せているものは物価問題であります。物価の上昇を抑制するには、まず産地より都民の台所までの過程が円滑に行なわれる流通機構の改善が必要であろうと考えます。都民の台所をまかなう生鮮食料品を取り扱う
中央卸売市場は、現在二十三区内に限られ、この取扱数量は、年間、青果物二百八十五万トン、水産物八十五万トン、食肉六万トンという膨大な数量であります。しかし三多摩地区では小規模な民営の地方市場のみで運営されているのが現状であります。
東京都は昨年の三月、
中央卸売市場整備計画を立案し、三多摩地区に散在する二十七の地方市場を統合収容し、二十三区と同様に取り扱う
中央卸売市場を設置するという内容を発表しております。三多摩地区における生鮮食料品の取り扱いの現状を見ますと、地方卸売市場が二十七社、その内訳を見ますと、青果物取扱は二十二社、青果物と水産物の両方を取り扱っているのは二社であります。水産物のみ取り扱っているのが二社、また食肉の取り扱いは一社という現状であります。その地方卸売市場が取り扱う年間の野菜は四十三万九千トン、日量千四百六十三トン、くだもの二十二万トン、日量七百三十トン、水産物九千百八十一トン、日量三十一トンの扱い量により三多摩の二百八十万の人口をまかなっているのが実情であります。
東京都の中期計画の基礎指標によると、昭和五十五年には三多摩地区の人口は三百五十万に達することが推定されております。これをまかなう生鮮食料品の消費量は、野菜四十五万トン、日量千五百三十五トン、くだもの二十七万九千九百トン、日量九百三十六トン、水産物十三万トン、日量四百三十五トンと、膨大な量が必要になると推定されております。
この実情から見ましても、現在の地方卸売市場でこれをまかなうことは非常に困難なことがあろうと考えられます。特に水産物については、現在三多摩の
地方卸売市場の四社で取り扱っている量から見ても、昭和五十五年には約十四倍という膨大な需要量が必要となります。
さらに現在、新鮮さを要求されております水産物の仕入れについて、その多くを築地市場に依存しており、区内の交通渋滞の中をぬぐっての仕入れは、当然価格の高騰を招き。三多摩都民は区内より高価な魚介類を買っているのが実情であります。また青果物等の運賃は東京汐留を基準として
中央卸売市場までの運賃は荷主負担であり、三多庠の地方市場までの運賃は荷主負担と
地方卸売市場負担との二本立てになっております。汐留よりの距離によっても多少の差がありますが、たとえばミカンについて見ますと、十五キロ入り一ケース二十円程度の運賃が加算され、その他の小ものの取り扱いについても同様な運賃体系になっているのではないかと考えられます。このように三多摩の消費者は、同じ都民でありながら生鮮食料品については不利な取り扱いを受けているという結果になっております。将来三多摩地区の生鮮食料品の供給体系を円滑にするためにも、三多摩の格差是正の観点からも、早急に
中央卸売市場の建設をすべきであろうと考えられます。その計両の概要及び進捗状況についてお伺いいたします。
中央卸売市場を建設しようとするには、今日の都市構造から見て解決しなければならない幾つかの問題点を包含していると考えざるを得ません。それは交通問題、環境問題等であります。
中央卸売市場整備計画の予定建設地についても、用地の規模、道路条件並びに周辺の環境等の立地条件を十分考慮して行なうべきであります。用地の取得が三多摩地区においても年々困難になってきている現状からして、広大な面積が必要とされる
中央卸売市場の建設については、計画年度を先行してでも用地の取得をすべきであろうと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
次に
中央卸売市場が建設されたとき、及び建設されるまで、現在ある
地方卸売市場に対して育成をはかり、物価対策について真剣に取り組む必要があると考えますが、その施策についてどう対応されようとしているかお伺いいたします。
最後に、
中央卸売市場の建設に際して、
地元関係市町村の都市計画との関係が生じてまいると思われますが、その点についていかに対処されようとしているのかお伺いいたします。
以上をもって私の質問を終わりますが、明快なるご答弁をお願いいたします。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 今後の市町の水道統合の取り扱いの問題でございますが。市町の要望に応じてできるだけ早期に統合が実現できるよう精力的に努力をするつもりでございます。
次に逆委託の問題でございますが、
多摩地区市町水道の都営一元化については、お話のとおり地域内の業務を都が直接実施しないで市町に委託するということで、都の当初計画を一部修正いたしました。しかし、この業務の委託は水道格差の是正、つまり住民との関係については、都の計画をいささかも変えるものではございませんので、市町長とも十分協議して取り入れたのでございます。委託とはいえ、地域内業務はこれまでどおりそれぞれの市町が行なうので、特段の問題は生じないと思います。委託業務の執行にあたりましては、個々の市町の実情や物価騰貴の実勢等を勘案して支障のないよう配慮していく考えでございます。
中央卸売市場の建設についてでございますが、三
多摩地区消費者に生鮮食料品の円滑な供給を確保するため、
中央卸売市場整備計画により、東久留米地区、国立、府中地区。八王子、町田地区及び武蔵村山地区の四ヵ所に
中央卸売市場を建設し、流通機構の充実をはかりたいと考えております。その進捗状況でございますが、八王子、町田地区につきましては、関係者の理解を得まして、近い時期に用地買収に着手する予定でございます。その他の地区につきましても、現在関係市と十分協議し、できるだけ早く候補地を決定できるよう検討中でございます。
次に用地取得につきましては。候補地が決定次第、ご指摘のとおり先行取得等により用地の確保につとめてまいりたいと存じます。
また、三多摩地区における
地方卸売市場の当面の対策といたしましては、公正な取引の推進と迅速確実な代金決済に主眼を置いて、生鮮食料品の円滑な流通とその集荷力を高めるよう指導育成してまいります。
なお、三多摩地区に
中央卸売市場建設の暁には、現在の
地方卸売市場の磯能を収容して、三多摩地区における生鮮食料品の円滑な流通の役割りを果たすことができるよう指導してまいります。
次に都市計画につきましては、地元関係市の都市計画に整合するよう、地元市と十分協議の上、候補地を決定していきたいと思います。
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◯議長(醍醐安之助君) 三十五番高橋知一君。
〔三十五番高橋知一君登壇〕
◯三十五番(高橋知一君) 私は
日本共産党都議団を代表して、都民の暮らしにとってきわめて重大な影響を持つ道路問題と日照問題について知事並びに警視総監、教育長に質問をいたします。
最初に道路をめぐる諸問題についてお尋ねをいたします。
今日政府自民党は
日本列島改造計画による工業の再配置や
地方中核都市づくりを進めるとともに、東京を全国の中枢管理機能として一そう強化をするため、幹線道路計画や情報網の先行的な整備を推進しようとしております。とりわけ超高度成長のために絶対不可欠なものとして高速道路の建設を強行しようとしています。都内において高速道路が至るところに出現し始めてから十年余になりますが、この間都民の交通問題を解決するかのごとき幻想を一部に与えつつ、都市高速道路の結果が示した真のねらいは、第一に、
モータリゼーション政策をより一そう推し進め、高度成長の戦略産業としての自動車産業をはじめ、石油、鉄鋼、建設などの大資本がばく大な利潤を得るためのものであり、第二に、大資本が輸送コストの軽減、輸送力の増強をはかるための産業道路としての役割りを果たすものであり、第三に、市街地再開発など都市を一そう大資本の産業活動のための高い効率を保障する拠点にするためのものであることははっきりしています。しかも、住民の側からすれば、都市高速道路は住民の期待した交通問題の解決になり得ないばかりか、おそるべき公害ゾーンになっていることであります。首都高速道路では四十六年度で渋滞回数三千七百七十四回、渋滞時間約一万時間であり、それが年々増加をしている事実からも、車がふえるから高速道路をつくるという政府自民党、大企業のいい分が、逆に高速道路をつくるから車がふえるのだということを、事実を、もって住民に証明しているところであります。
また、都公害局の調査によれば、東京の大気汚染に占める
自動車排気ガスの割合は、一酸化炭素九四%、炭化水素六七%。窒素酸化物六八%であります。つまり、現在都内を走る八百万台の車は、脱硝装置なしの清掃工場約一万三千ヵ所の建設に匹敵するものであります。このほか騒音、振動、日照、電波障害、落下物、生活地域の分断、建設に伴う公害も著しいものがあります。さればこそ、いま都内各地で幹線道路、高速道路の建設をめぐって住民の激しい抵抗迎動が起こり、道路公害を直接の対象とする住民運動は百団体近くも結成されています。今日、全国的にも世界的にも車優先から人間優先へ大転換の時期に来ていることは世論の示すところであります。このことは自民党もさきの都議選で、
東京ふるさと計画の中で自動車の新規登録を二年間停止するという公約をせざるを得なかった点から見ても明らかであります。(発言する者あり)私は、都内におけるこうした実態の幾つかに触れつつお尋ねをしたいと思います。
第一に、中央高速道の環八との交差点、上高井戸地区におけるランプの設置の問題であります。
杉並区立富士見丘小学校は、給食調理室からわずか三十メートルのところに中央高速道と放射五号線がのしかかるように建設をされ、このために学校用地が削り取られ、最悪の状態であることに加えて、校舎のすぐそばにオンランプが取りつけられます。また
反対側オフランプのすぐそばは、
老人ホーム浴風園の宿舎があります。当然この状態に不安を持った毋親たちは、現状ですら大気汚染がどんなに子供の健康をむしばんでいるかはかり知れないのに、中央高速道が開通をしたら一体どうなるかといって、工事の中止とオンランプの取りはずしを要求して、道路公団に対して粘り強く住民運動を続けています。
ご承知のように、環八は都内でも有数の公害道路であり、沿道住民は命と健康を守るために各所で運動に立ち上がっています。住民の要求にこたえて都は、さきに環八を片側二車線に落とし、歩道を広げ、緑地帯をつくる方針を発表しました。いま中央高速道の環八ランプの設置を許せば、一そう環八への自動車流入が増大をし、上高井戸地区を含む環八の公害は一そう激しくなることは火を見るよりも明らかであります。そしてそれは都が今回打ち出した施策に逆行することになるとも考えます。公団は九月二十二日、現地における
高井戸地区公害対策協議会との話し合いで、都市計画決定されたものであり変更できないと、かたくなな熊度で臨み、さらに強行着工の動きもあるや、に伺っています。都民の命と暮らしを守る自治体の責務からしても、都は公団に対しランプ設置について再倹討を強く求めるとともに、いやしくも強行着工などの事態を招かぬよう公団に強く申し入れるべきだと考えますが。知事の所見を伺いたいと思います。
第二に、
中央高速道北鳥山地区の建設について伺います。関係住民は道路公団、住宅供給公社、都の四者で粘り強く話し合いを進めてきました。ところが、道路公団、建設省は、住民との公害予測の共同調査を約束しているにもかかわらず、一方的に建設を強行する態度を示しています。このような住民無視のやり方は許せないところであります。従来都当局がこの問題でとってきた立場を堅持して、公団に対して住民との話し合いによる解決をさらに強く求めるべきだと考えますが、知事の所見を伺います。
第三に、高速道路建設に伴う区画整理であります。区画整理による減歩という住民の犠牲によって高速道路用地をただ取りする手法が世田谷の喜多見地区、足立の舎人地区で行なわれています。舎人地区では住民の運動の結果、一定の軽減措置がとられましたが、なおその後の地価暴騰により買収地区との間に大きな価格差が生じ、二万坪にのぼる用地を減歩負担によって一方的に押しつけられる結果となっています。当然このような区画整理による
幹線道路づくりは行なうべきではないと考えますが、知事の所見を伺います。
第四は、環状六号線上に高速道路を建設し、
東京中央環状高速道とする計画についてであります。四十七年の第四回定例会でわが党議員が指摘したとおり、この計画は国土縦貫道路、百メートル湾岸道路をつなぐ大資本優先の通過産業道路であります。今日、高速道路の建設が交通渋滞に何らの役割りも果たさず、かえって車をふやす役割りを果たしていることが明らかであり、都の前の建設局長であり。現在首都高速公団の山田正男副理事長も、首都高速道路も自滅の道をたどるしかない、車の需要にこたえて道路を供給する時代は終わったと語っています。こうした段階で高速道路を都心部に建設することには、きわめて慎重な態度を要するものと考えます。そこで環六上の高速道路建設を含めて、都内の高速道路網の現計画について中止を含む抜本的な再検討を早急に行なう必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
次に、これから建設を予定している都市計画道路について伺います。
昭和四十八年第一回定例会においてわが党議員の質問に対して、知事は、都市計画道路の全面的再検討と都の公害防衛計画との整合をはかりつつ、環六以内は昭和五十一年を目途に、環六外周についてもそれ以後実施すると答弁をされました。一方、さきに行なわれた放射三六号道路の住民投票に関する調査会の中間的なまとめによれば、これからの新しい道路づくりにあたっては自動車交通量のみならず、公害など地域環境に及ぼす影響を重視し。科学的に予測すること、各種の情報は計画作成段階から常に積極的に住民に公開し、住民参加による道路づくりを進めることを提言しました。知事はそれを積極的に受け入れ、現在各種の施策を進めておられるところであります。そこで伺いますが、第一に、都市計画道路の再検討にあたり、三六調査会からの提言の趣旨を生かし、住民参加による科学的で民主的な再検討を進めることが必要だと考えます。
第二に、都市計画決定にあたって、建築制限など多くの迷惑を受けている都民にとっても、また広場と青空の東京構想を早急に具体化する上からも、その検討期間を極力短縮する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
次に、既設の幹線道路がまき散らしている公害に関連をして伺います。
私のいる練馬区の環状七号線では、オリンピックを口実に建設された当時の予定交通量一日三万二千台が、現在では一日十万台にも達しています。そのため深夜、早朝を問わず疾走する大型重量車の騒音と振動で住民は眠ることさえできず、せめて三時間は眠らせてほしいと血を吐く思いで、環七を考える会を中心に住民は運動に立ち上がっています。オリンピックのためならと三分の二の用地を提供した沿道の南町保育園は、八十名の園児の大半が呼吸器をおかされ、情緒障害も多く発生をしています。かっての閑静な住宅地は一年じゅう雨戸を締めて生活しなければならなくなり、振動による被害も大きく、沿道は住宅としては住むにたえないものになっています。住民運動の発展の中で、本年四月から大型車は深夜には道路中心線の二車線のみを走り、速度も五十キロと制限をされましたけれども、ほとんど実効はあがらず、依然として騒音は夜問環境基準五〇ホンのみならず。騒音規制法により公安委員会に車の規制を要請できる、いわゆる要請基準値六〇ホンを大幅に越え、振動についてもいささかも改善されていないのが現状であります。
そこで知事に伺いますが。第一に。環七全線を片側二車線とするなど道路構造の抜本的な改善をはかること。第二に、沿道の学校、病院、保育園、住宅などに対し防音装置などの環境維持に必要な措置をさらに充実するとともに、沿道住民の被害について万全の救済措置を講ずる必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
また、警視総監に伺いますが、環七沿線住民の命と健康を守るために、二十四時間にわたる交通総量削減のための規制を進めるとともに、深夜、早朝における大型車の通行の禁止ないし制限を行ない。安眠ゾーンを設定をすること、バス運行時間帯の環七全線にわたる
バス専用レーンを設置をし、そのレーンは
タクシー清掃車、緊急車以外の通行を禁止をすること、制限速度、制限積載量の違反車の摘発の強化を行なうなどの措置をとる必要があると思いますが、所見を伺います。
次に、車公害による学童擁護員の健康障害について教育長に伺います。
交通戦争から幼い学童の命を守るため、雨の日も風の日も激しい車公害の中でみどりのおばさんは旗を毎日振り続けています。そして、この制度により多くの幼い命が救われ、父母も安心して子供たちを学校に送り出すことができており、今後ともさらに拡充すべき施策であります。しかし、彼女らが毎日立って学童を守っている道路の環境は一体どうでありましょうか。窒素酸化物、一酸化炭素、炭化水繁、アルデヒド類、有害物質を含む、粉じんなど環境基準をはるかに越える汚染物質を一日じゅう吸い込み、
光化学スモッグに身をさらし、騒音と交通事故に神経をすり減らしているのが現状であります。そのため、このところ学童擁護員には死亡者や病気による長欠者が急速にふえています。目黒区では、七月から八月にかけて二名の学童擁護員が亡くなりました。死因は、一人は喉頭ガン、一人は心筋梗塞でありますが、自動車公害による疑いも考えられます。
都職労目黒支部の調査によれば、擁護員の九割以上がからだの不調を訴え、都職労本部の調査によっても、学童擁護員は都庁の普通勤務の女子職員に比べて二倍以上の自覚症状率であります。子供の命を守るためにみずからの命を削って労働に従事しなければならないような状態は即刻改めるべきだと考えます。
そこで第一に、一校二名という人員の配置基準を少なくとも一校三名に改定をし、労働条件を改善をすること。第二に、多くの学校で専用の休憩室もなく、きわめて劣悪な施設の中でからだを休めるゆとりもない状態を改め、施設設備を改善すること。第三に、健康管理のため、現在の一般的な健康診断ではなく、その労働環境にふさわしい健康診断の内容に充実強化することが必要だと考えますが、教育長の所見を伺います。
最後に、道路問題について総括的に知事にお尋ねいたします。
それは、去る三月の定例本会識でわが党議員の質問に答えて知事は、道路に対する考え方が、この数年間における自動車の激増やそれによる公害の増加などにより大きく変わってきております。したがって、前にきめた道路計画をそのまま直線的に推進することには多くの問題が含まれるようになりました。道路は都民のためにあるという原則に基づいて再検討をしてまいりたいと思います。と述べられました。私は、道路は都民のためという原則の強調に心からの賛意を表するものであります。実に今日の高速道路など産業優先の道路建設はことごとく住民生活破壊の巨大な凶器となっています。知事のいう原則の見地からすれば、都民のためにならない道路計画については計画変更、施行の中止を断行し、現地住民の生活防衛、環境防衛の運動の中に行政が積極的に参加をし、住民参加による民主的な地域整備計画を立案をし、生活道路の整備を最優先して、知事権限による都市計画の手直しの実効をあげることこそ急務であると考えるものでありますが、いかがでありましょうか。
次に、日照権をめぐる問題について伺います。
今日、日照をはじめとするさまざまな住環境を確保することをめぐって起きているいわゆる日照紛争は、政府自民党の
高度経済成長政策に伴う産業と人口の都市への異常な集中と、公共住宅の建設をお
ざなりにして民間依存の住宅建設を進める政府の政策を背景にして、営利を目的とした民間資本による高密度、高層建築物の建設によって住環境が破壊されているところにその原因があります。このような大企業による住環境の破壊に対して、住民は日照を守る住民運動に立ち上がり、大企業の横暴な開発を取りやめさせ、あるいは変更させるなどの成果をあげるとともに、公園などの公共施設を確保するなど、運動を住民参加の民主的な町づくりの方向に発展させつつあります。
また、このような住民運動を背景にして、多くの区市町村が幾多の困難を排して、関係住民の同意と公共施設の開発者負担などを内容とする指導要綱を制定し、都においても建築物の事前公示制と高度地区指定をいち早く実施したことはきわめて積極的な意義を持つものであります。また、裁判においても、目黒のマソション建設の工事中止決定、江戸川区の工業地域におけるマンション建設の設計変更の仮処分決定など、健康に密接に結びついた環境権として確立されてまいりました。今回の日あたり条例の制定の直接請求は、これらの運動の現段階における一つの到達点としてきわめて積極的な意義を持つものであります。
わが党は、日照をはじめとする都民の住環境を抜本的に改善するためには、大企業の横暴な東京食い荒らしと自民党政府の大資本優先の都市政策、公共住宅の建設をなおざりにしてきた民間依存の住宅政策をやめさせ、建築基準法をはじめ都市計画法などの現行関係法を国民本位に抜本的に改正することが必要だと考えます。
そこで伺いますが、今日提起されている日あたり条例を制定するにあたって、わが党は次の三つの基本的な態度を堅持することが必要だと考えます。第一は、住民運動の現在までの到達点を後退させるものであってはならないことであります。第二は、革新都政の従来の姿勢と施策から後退するものであってはならないことであります。第三は、区市町が現在までとってきた行政指導の到達点から後退するものであってはならないと考えるものであります。こういう立場に立って都の施策を一そう前進させるべきだと考えますけれども、知事の所見を伺います
以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 中央自動車道の高井戸ランプは、高速自動車国道法に基づく整備計画により、日本道路公団が施行しているものでございます。しかしながら。その実施にあたっては公害防止対策等について地域住民と十分に話し合い、この問題の解決をはかるよう臨んでおり、すでに道路公団とこの問題について接触を始めております。
北鳥山地区の中央道問題については、都はこれまで一貫して話し合いのルールの中で解決することを基本的理念として対処してまいりました。烏山四者協議会もそのような精神にのっとったものでございます。都のこの考え方は今後とも変わらないし、中央道問題が話し合いの中において解決点を見出すことを強く念願しております。
区画整理事業によって幹線道路の用地を生み出すことは、お話のとおり問題点がございますので、今後事業を進めるにあたっては、住民の負担を極力軽減する方向で検討いたしたいと思います。
今日の自動車公害の現状から見て、自動車交通の対策としては、車の乗入規制、使用制限等、交通の総量を抑制することが必要でございます。一方、都市改造によって都市機能を維持し、都民が快適に生活できるようにすることも必要でございます。問題となっている都市高速道路の使われ方を見ますと。業務交通が約八〇%を占め、利用区間も六ないし八キロという区間が最も多い状況であります。そのような機能を持つので、都市高速道路も必要最小限の建設はやむを得ないものと考えます。しかしながら、その建設にあたっては、沿道の環境保全の立場から、都民が安心できる対策を実施しながら、十分な住民参加を重ねて、慎重に実施してまいりたいと思います。
都市計画道路の再検討については、現在実態調査を含む基礎調査を実施中であり、当初の目標年度と合わせて作業中でありますが、今後極力短縮するよう努力いたしたいと思います。また、計画素案の段階に至った場合には、三六調査会の中間まとめで提言されている趣旨を尊重しつつ、民主的にきめられるよう努力してまいりたいと思います。
幹線道路においては、騒音規制法に基づく夜間帯について、現在東京都では告示により二十三時から六時までと定めております。これは都民の生活時間帯実態調査を参考に設定したものでございますけれども、ご指摘の時間帯についてはさらに検討してまいりたいと思います。また、騒音の基本値の改正及び振動の基準値の設定については、国に対してきびしい基準を設定するように、今後も要望してまいりたいと思います。
最近、大型自動車の過積みによる騒音、振動等が環七の沿道に特に大きな影響を及ぼしております。環状七号線については、公安委員会と協議して超過荷重取締のための台貫所の設置、振動防止のための舗装の改善並びに歩道、緑地帯の設置など、住環境に及ぼす悪影響を減少させるようつとめております。このため、本定例会に台貫所設置と舗装改善のための予算を提案しております。なお公安委員会においても、片側三車線を夜間二車線に規制するなど、環境改善につとめております。
交通騒音防止対策として、公立学校についてはすでに基準を設け、中期計画の一環として実施中でありますが、今後病院、保育園、住宅などについても、調査検討の上善処いたしたいと考えております。
本来道路は、人間のためにつくられるべきものでございます。また、これを機能的に見れば、道路は交通路のみならず、上下水道、ガス等の各種施設の収納場所であり、防災、避難のための空間であるなど、多目的空間として都市には欠くべからざるものでございます。したがって必要な道路については、人間尊重、地域環境保全の立場から、十分な検討を加えつつ住民参加のもとに実施すべきものと考えております。
日照保護の施策は、多くの都民運動の成果、及び従来都が行なってきた高度地区の指定、建築確認に伴う行政指導等の施策を踏まえて、総合的に実施することにより、一そう前進させたいと思っております。
〔警視総監槇野勇君登壇〕
◯警視総監(槇野勇君) 環状七号線の交通公害あるいはバスレーン等についてお尋ねでございますので、お答え申し上げます。
環状七号線の交通対策については、警視庁はかねがねこれに真剣に取り組んでおるわけでございます。ご承知のように、都内の主要幹線の中でも交通量が非常に多い、また通過交通も多いという異常な状況でございますので、たとえば夜間の騒音、振動を少なくするための車線の縮小その他の手を打っておりますが、ただいまご指摘の総交通量の削減というものを、環状七号線だけを対象にいたしますと、これはむしろ他の道路に非常に大きな影響を及ぼすことになりまして、かえって都全体から見ますならば、交通公害あるいは騒音というものがひどくなることも考えられるのでございます。したがって、その場合には、やはり都内全体を対象にしてその手を打っていくということが適当であろうと思います。現に、パーキングエリアを可及的に縮少する、あるいは駐車違反取り締まりを徹底していく、さらには裏通りの規制をさらに強化する、バス優先レーンをつくっていくというふうなことは、総交通量の削減を期待した対策でもあるわけでございます。
その次に、大型車の通行禁止について、でございますけれども、現在環状七号線の一日の交通量は約七万二千台になっております。夜間は約二万一千台、この中でいまご指摘の五トン以上の大型車というのは、大体一日で九千台、夜間で三千台ということになっております。このうち生鮮食料品を運搬するトラックはどのくらいあるのかと見てみますと、都民の日常生活に直接関連する生鮮食料品の運搬が、五トン以上の大型車で約六〇%を占めている状況であります。この現状を見ますときに、これらの代替輸送機関を考えないでこれを直ちに禁止した場合には、都民の毎日の台所にすぐさま影響することが考えられますので、これについては慎重に検討する必要があろうと思います。公害防止、騒音防止のためには、やはり車の技術的な、エンジンの騒音防止、あるいはタイヤの騒音を低下させる、あるいは排ガスの公害低減というふうなことを考えることと、いま一つは、やはり何としても流通経済というか、物流という問題の中でこれをとらえていくということが必要であろうと考えております。
次にバスレーンについてでありますけれども、環状七号線についてすでにバス優先レーンを、約一・六キロでございますが、実施しておる状況でございまして、今後専用レーンの設置については、現場の実情を十分見て前向きに取っ組んでいきたい、かように考えております。
また、速度違反、過積みの問題につきましては、交通事故の主たる原因でもあるわけでございますから、また騒音、震動等の交通公害の原因でもございますので、従来からも重点的に取り締まっておるところでございます。
〔教育長日向美幸君登壇〕
◯教育長(日向美幸君) 学童擁護員につきましては、児童の通学安全対策の上から、また勤務条件の面からも、かねてから適正な配置につとめております。現在区立小学校に一校二名を配置し、さらにその特殊な勤務条件を考慮いたしまして、六校に一名の割合で加配いたしております。
なお、人員増につきましては、ご趣旨の線に沿いまして関係局並びに区市町村とも十分協議して検討してまいりたいと存じます。
次に、擁護員に対する休養室の問題でございます。現在ある休養施設につきましては、都としても改善につとめ、また関係区市町村に対しましても趣旨を徹底いたします。なお、校舎の増改築等にあたりましては、学校の管理関係諸室の利用計画の中で休養等にふさわしい施設設備を含め整備していくとともに、関係区市町村に対しても指導してまいりたいと存じます。
次に学童擁護員の健康管理につきましては、現状のような道路環境の中で勤務するという職務の特殊性がございますので、昭和四十九年度から一般の健康診断のほか肺機能検査、鉛の検査など九項目の特別健康診断を行ない、学童擁護員の健康管理の充実をはかってまいる所存でございます。
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◯議長(醍醐安之助君) 七十番奥山則男君。
〔七十番奥山則男君登壇〕
◯七十番(奥山則男君) 第一期美濃部都政に対して寄せられた、かってない多くの都民の期待と希望は、その任期半ばを過ぎた今日、バラ色の東京構想も単なる構想だけに終わり、知事みずからの手で策定した中期計画も、いまや全く色あせて看板倒れになろうとしているのであります。本定例会冒頭の知事発言によりますと、知事は二十六万職員とともに歴史の新たな要請にこたえ、前例をこえた政策の創造に日夜身を挺している由であります。しかし残念ながら、都民の命と暮らしを守るべき都政の原点から見て、時間との戦いの中で緊迫した都市問題の解決に迫られており、ごみ問題をはじめ住宅、道路、交通、環境、公害、防災対策等々あらゆる面で行政は停滞し、行き詰まり、混乱し、都政運営の前途はまさに日暮れて、道遠し、の感を深くするものであります。(発言する者あり)
すでに何回かこの議場において触れられたのでありますが、知事は見せかけはりっぱだが、実際の行政能力は乏しいと批判されれば、それは悪声であり、この種のあげつらいには一々諭駁を加える興味はさらさらないと述べておられます。あるとき知事は、都政に対する声には細大漏らさず謙虚に耳を傾けるといいながら、今度は興味がないとおっしゃる、あらゆる危険と困難とが集積されているこの東京において、都民の命と暮らしをいかにして守るべきなのかは、私どもも都民の代弁者として真剣に東京の今日的課題に取り組んで、あすへの政策の創造に挺身をしている一人であります。私どもの議会における知事に対する率直な批判も提言も、すべてが都民の声であり、この東京をどうするという切実な叫びなのであります。
真の民主主義の政治原則とは、最大多数の最大幸福を求めるというところにあると私は確信するのでありますが、杉並清掃工場建設問題に関する知事発言の、民主主義の政治原則そのものが問われているのだと考えざるを得ない、あるいは、用地買収ができるかできないかの問題以前に民主主義の根幹に触れる問題として理解しているといわれますが、これは知事として一行政施策に関する問題の責任を民主主義云々ではぐらかす無責任発言であると、多くの都民は美濃部都政に失望し、あなたのいう怒る資格のある大多数の都民が怒っているのをご存じでありましょうか、(拍手)
ここで私は、知事が政治理念として四十六年六月定例会で引用された橋の哲学について申し上げたいのであります。たとえ橋一つつくるにしても、そこに住む多くの人々の合意が得られないならば、橋はかけなくてもよい、船で渡ればよい──きのう社会党の西浜議員とその解釈論が展開されましたが、このフランツ・ファノンのことばの引用については、咋年の第三回定例会において、当時のわが党高橋政調会長の代表質問の中で論議が提起され、高橋議員は、この不用意な引用が都民の理解の中では、一人でも反対があれば橋はかけなくともよい、一人でも反対があれば都市計画事業は推進すべきではないという認識が蔓延し、都民を不幸におとしいれていると述べたのに対しまして、知事はそれに答え、地域エゴも住民参加の原点と認め、そして地域住民の全員の納得が得られなければ仕事をしないという意味ではございませんと答えてはいるものの、この橋の哲学が表明されてから二年余り、ますます高橋議員が指摘したところの都民の認識が、蔓延どころか、すべての都の計画事業に対して、一人でも反対があれば云々という個人エゴを助長している事実は、認めざるを得ないと思うのであります。(拍手)
共産党の高木議員の代表質問の中で、民主主義の原則に照らして杉並滑掃工場の問題は、多少の反対はあっても大多数の利益のためには知事は勇断をもって実行すべきだとのご趣旨の発言があり、また社会党の西浜議員の論旨からも同様な意見の開陳がありました。したがって、住民参加、住民運動の指標として評価されているいわゆる橋の哲学が、大かたの都民から間違って解釈されている現実に対して、この際知事は橋の哲学を撤回するか、あるいは解釈理解の誤りを訂正する必要があると思うのでありますが、まずもって知事のお考えをお伺いしたいのであります。
私は、社共両党の認識の中で、ごみ問題のみについては民主主義の原則を適用し、他の道路その他計画事業については一般的に解釈されている橋の哲学を適用するというのでは、筋が通らないと思うのであります。(拍手)今議会の論戦の中で、社共両党がむしろ一般的解釈の橋の哲学を否定し、民主主義にのっとって知事の決断を求めていることは、都民のために大いに喜ばしいことと私は思っているのであります。
さて以上の前提に立って、停滞したままの都政を前進させるために私が過去二年間、数回にわたる文書質問、本会議質問の中で提起した都市改造問題について、知事の決意を重ねてお尋ねしたいのであります。
都の予測する昭和六十年の東京の人口は、一千二百十一万ということであります。区部の人口は減少し、三多摩と一部周辺区がふえる、いわゆるドーナツ化の傾向が続くと見られております。都心区における人口の過疎化に反し、練馬、世田谷、足立、江戸川、葛飾等周辺区はともに人口増加区であり、特に練馬区は最も人口増が著しく、現在の五十四万人が、昭和六十年には六十五万になることが予想されております。私は、今日における都政の課題として将来を展望し、都心部の人口空洞化、すなわち夜間人口の過疎対策を真剣に考え、都心区への人口Uターン計画を政策的に促進すべきであり、抜本的な都市改造により防災都市として、健康で文化的な町として東京をよみがえらせることこそ急務であると思うのであります。そしてその基本は都市の骨格である幹線道路の整備促進であり、新しい交通網の整備であることは論をまちません。
一例をあげますと、千四百ヘクタールに及ぶ広大な農地を有し、宅地化の余地を大きく保有する練馬区は、みずからスプロール化の波をかぶりつつ、人口急増の都下、埼玉県など周辺部住民の通過区域として、さまざまな都市問題を集中的にかかえさせられているのであります。道路、下水、ごみ、公害、大量輸送機関、教育施設、住宅、公園等々、急を要する問題ばかりであります。私は遠からず練馬区が都内平均の人口密度に達し、七十万以上の市街地が形成され、そしてそこに住む人々に健康で快適な文化生活を保障する都政の責任を考えるとき、その将来にきわめて不安を感ぜざるを得ないのであります。道路面積率において、公園率において、都内最下位の練馬の生活環境基盤や教育施設、福祉施設を都心区の平均まで整備するだけでも、多摩ニュータウンに匹敵する膨大な財政投資が要請されるとともに、知事の大きな政治力と東京の将来に対する洞察力とが要求されるゆえんであります。知事は都政の中で、二十三区全部でありますが、特に練馬区についてその位置づけをどのようにお考えであるか、伺っておきたいのであります。
最近、練馬区で実施した区民意識調安の結果によりますと、七〇%をこえる高い割合で文教、公園、住宅地域として練馬区を位置づけ、地域的特徴を生かした将来像と社会的諸条件の整備に、区民の強い要求と期待が寄せられております。また、区内各駅周辺の再開発については、五八%の人々が積極的にその必要性を認めております。また、幹線道路として環八、放射三五、三六号線、補助一三四号線についても。五三%の人々が整備促進の必要性を認めているのであります。これら道路計画について、絶対反対はわずかに四%であり、公害がふえるとの理由を付して反対している者が二三%であります。知事が諮問しようとしている三六調査会の結論を待つまでもなく、地域住民の道路に対する認識と意向は区の調査ですでに明らかであります。知事の決断こそ望まれるゆえんであります。さらにまたこの調査で、裏通りの交通規制を強化することは八〇%の住民の強い要望であるのでありますが、この規制強化の前提として最小限の幹線道路を、つとめて公害のない形で整備促進をはからなければならないと考えるのでありますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
地下鉄をつくるにしても、下水道を促進するにも、知事のいう
バス専用レーンを完備するにも、災害に強い町づくりを推進するにも、車の流れをよくして自動車公害を少なくするためにも、新しい構想の道路づくりを進めなければならないことは、すでに多くの都民が理解するところであります。そのためには、私が提唱したところの公共用地公社構想を実現をするとともに、公共事業協力感謝金、代替地の提供等について基金制度を設けるなど、条例化することの必要が私は痛感されるのであります。協力感謝金方式はできませんと知事は私の質問に答えておりましたが、最近、杉並清掃工場については協力感謝金のようなものを考慮するといっておられるようでありますが、用地取得について一年前の予算を一挙に三倍にするような、その場限りの場当たり策でなく、制度として定着させるべきであると思うのでありますが、いかがでありましょうか。ところで新しい計画道路を促進するに当たって、まずもって解決しなければならない事柄は、環状七号線など既存道路の公害問題であります。特に環七道路沿線に住む方々の公害対策は、知事の歯切れのよい約速にもかかわらず、一向にはかどっていないようであります。先刻、同じ選挙区の高橋議員からの質問がありましたので、実情についての説明は省略いたします。ただし環七公害等については、自民党も共産党もあげて沿線住民の立場に立ってその改善を求めていることを強く理解し、その抜本的な対策をすみやかに講ずべきであることを強く要求しておく次第であります。(「社会党もやっている」と呼ぶ者あり)そのとおり、社会党もそうでしょう。高橋議員からは当面の打開策についてのご意見がございましたが、私はむしろ長期的、抜本的な施策について一つのご提案を申し上げたいと思うのであります。
これら幹線道路の自動車公害から近くに住む人人を守るためには、交通量を規制するだけでは解決にはならないと思うのであります。先ほど警視総監からの説明にもあったように、通過道路ではあっても、同時に都民全体のための生活道路であるというようなことでありますが、私はむしろ、車も通すけれども安心して人間が住める、歩けるという目標のもとに一つのご提案を申し上げたいと思うのであります。
沿道両側のおよそ五十メートル以内を都で買収し、その道路側二十メートルに中高層の都営アパートを建てて、賃貸あるいは分譲をする。もちろん完全な防音、空調設備を整えるのであります。残りのおよそ三十メートルは、車は通さない、歩行者と自転車専用の公園道路などの環境保全スペースをとるわけであります。こうすれば日照問題もなく、いざという場合の災害避難道路にもなり、騒音や振動からも住民を守ることができて、一石数鳥の効課が得られることになるのであります。古代バピロンの城壁やアテネの市壁、中国の万里の長城にならうまでもなく、近代的な城壁兼住宅とグリーンベルトを幹線道路に並行してつくることによって、関係都民を公害から救うとともに、後背地域住民を車公害からも守ることができるのであります。
そんな公害道路のはたに住むことができるかとおしかりを受けるかもしれませんが、防護設備さえあれば問題はないと思うのであります。現に環状七号線に都の住宅供給公社、豊玉南住宅十四階建てが存在し、その入居率は三百倍をこえたということであります。職住近接を望む善良にして勤勉な都民が、実際には公害無防備建築の中での生活を営んでいるのであります。住宅用地確保のためには金に糸目はつけないと知事もいっておられるのでありますから、住宅難解消の特効薬にもなるのではないでしょうか。一万五千戸の都営住宅予算を返さなくても済むと思うのであります。このことは実は私自身が先日、環状七号線に沿った板橋区小茂根の東京武蔵野病院での二泊三日の生活体験から得た結論であります。終日終夜、切りもない大型車の、地響き、とうなりと発進時の排気、爆音、停止時の摩擦音等は、まさに想像以上であります。高橋議員が指摘したとおりであります。病院は鉄筋のビルでかなりりっぱではありますが、特に耐震構造ではなく、二重窓もありませんでした。音は上に上がるといわれますが、振動は一階がひどく。騒音は三階に直撃であります。知事もぜひひとつ環七を考える上で、その抜本策となる知事の名案を生み出すためにも、この病院の人間ドックを体験されたらどうかと、おすすめをする次第であります。
次は、都営住宅払い下げ促進についてお尋ねを申し上げます。
昨年、私がこのことについて知事に質問いたしましたご答弁は、国の方針の払い下げを認めていないから、払い下げはしないということでありました。ところが、つい最近テレビ、新聞等で報道されましたとおり、去る九月二十三日、田中総理に公営住宅払下げ連合会の代表が会い、公住法立法の精神にかんがみ払い下げを実現してほしいと陳情したところ、建設省に指示して払い下げに踏み切る旨言明したと伝えられております。国の方針が、と答えられた知事でありますから、今後建設省が払い下げに方針を転換した場合にはその方針に従われるかどうか、はっきりお答えをいただきたいのであります。
都と賃貸契約を結んでいる入居者には、居住権が法的に保護されているはずでありますが、たまたま本年四月二十五日の住宅港湾委員会の、公明党宮沢委員の質疑に答えて、岩松住宅局長は、狭小な──狭い住宅用地において、そのまま中高層団地として不適当なものについては、木造住宅を撤去して、他の行政目的に使うことを考えていると答弁しておられます。このことは、都のあるいは知事の都営住宅に対する基本姿勢が、行政財産という点に重きを置き、契約に基づく住民の居住権、財産権を全く無視しているとしか考えられない。この基本姿勢こそが、用地難を唯一の理由に、みずからのふるさとを追い立てられようとしている都営住宅住民の怒りとなって爆発し、憲法を守るはずの知事が、一片の次官通違や条例で基本的人権を踏みにじってよいものかという都民の声を、知事はどう受けとめておられるのか、お伺いしたいのであります。
また、去る九月二十八日、約八百人の公住連の人々が知事に面会を求めた結果、知事は、住宅不足の解消、中高層化によるオープンスペースの確保、町の不燃化を目標に建てかえをいたします。
しかる後、希望者に分譲をする、ただし、居住スペースは希望により設計を変更してもよい、分譲価格、支払方法についても話し合いに応じます、との応答があり、一転して分譲政策に踏み切ったということでありますが、このことについて、再確認の意味で、知事から明快なお答えをいただきたいと存じます。さて、知事は用地難、用地難といわれますが、前にも申し上げたとおり、やり方によっては、幾らでも用地の発掘はできると思うのであります。たとえば、行政財産を含めて都心部のあらゆる都の建物を高層立体化して、上を都営アパートにしたならば、住宅問題の解消のみならず、同時に都心部への人口Uターンにもなり、職住近接、通勤ラッシュの緩和、マイカー抑制など、これまた一石数鳥の施策と申せましょう。都心部の過疎小中学校や保健所、都税事務所、警察、消防署、出張所、庁舎等々すべて高層化し──中にはもうバスの車庫の上あるいは第四建設事務所の上なども実現をしている向きもありますが、その上に住宅をつくる。その気になりさえすれば、用地買収費、都市施設の公共投資もゼロで済む。同時に、都心の再開発を推進することにより、周辺区や都下、近県に流出した人口を呼び戻すことは、ニュータウン建設に付随する鉄道、バス、道路、学校、上下水道、福祉施設等々の膨大な公共投資で行き詰まっている実情から見て、これからの都市再開発、改造について、発想の転換をこそすべきだと思うのであります。都営住宅払い下げ反対の論拠としての用地難、大量住宅建設、これも一挙に解決するはずであります。
過疎小中学校について、ちょっとだけ調べてみました。
台東区の台英小学校は特別な事情の地域とはいいながら、全校児童数九名、併設された台英中学の生徒数たった六名、この両校の敷地面積は三千四百三十四平米。千代田区の番町小学校は千五十人の児童のうち、区内居住の児童は一、二割、あとは区外からの越境組、校地面積は約七千平米、麹町中学校は八千平米の広さで、千四百名の生徒中区内居住者これまた一、二割、いずれも越境入学で過疎校のらく印を免れているのが実情であります。中央区の城東小、常盤小はいずれも全校児童数百八十名弱で、校地は三千八百平米余り、日本橋中学は百九十九名で三千二百平米、港区港南中学は全生徒二百五十一名で一万八百五十五平米であります。
土一升金一升は江戸時代の話とはいえ。貴重な土地の有効利用こそ、これからの都市改造、住宅建設のきめ手ではないでしょうか。高層ビルとオープンスペースとのバランスのとれた大東京づくりに、知事は勇断を持って臨んでもらいたいものであります。知事のご所見を承りたいと思うのであります。
最後に、清掃工場建設について一つの妙案を申し上げたいと思うのであります。
杉並、江東、新宿等々にきらわれもののごみと清掃工場立地は、知事がどのように高邁なごみ哲学や民主主義を説いてみても、現実に私の地元の石神井清掃工場のように、知事が何回私の質問に答えて約束をしたにもかかわらず、地元還元施設の何一つできていない。その上、分別収集になったら公害が出ませんといいながら、プラスチックなど有害ごみを分別して焼却した結果、大幅に減るはずの排気ガスが逆に倍増したということであります。都民に理解と協力を願い、特に主婦の方方には公害をなくするためにということで、たいへんなご苦労を願って分別収集した結果が大気汚染倍増では、都は一体何をしているのか、協力はできないといわれても当然だと思うのであります。九月二十七日付毎日新聞の、ごみ分別焼却─排ガス測定したら汚染倍増、の記事は、都民に大きなショックを与え、知事のたよりない技術過信と空虚な政治的信念に、大方の都民は限りない失望感を抱いたのであります。そこで私は知事発言を引用して、具体的な清掃工場用地についての提案を申し上げたいと思うのであります。
知事のいわく、清掃工場に主役の座を与えようとするもので、現在の技術水準をもってすれば、周囲との調和をそこなうことなく、美観や他の都市機能と両立させることが十分可能であるとのことであります。せっかく知事が試みられた発想の転換でありますので、事のついでにこの際、適当と考えられる都立高校に、それぞれ小規模な地下式焼却工場をつくってはどうかということであります。知事のいわれるとおり、現在の技術をもってすれば、無公害で教育環境との調和を何らそこなうこともないと思われますし、温水プールを併設し、集中暖冷房を施し、給食施設の熱源にも利用可能でありましょう、日量百トンから二百トン程度の小規規模工場とし、集配地域を周辺に限定し、加えて夜間収集等を考慮すれば、地域住民の方々のご理解も得られましょうし、第一に、知事と最も相互信頼関係にある日教組傘下、都の教職員組合の協力は、知事さえその気になれば当然得られるものと確信をする次第であります。清掃工場を無公害にすることができたなら、搬送距離をつとめて短縮するとともに、一ヵ所に集中する車とごみの量を、現工場の三分の一以下に押えるということが、清掃工場周辺の迷惑を軽減するただ一つの方法であると思うのであります。
ついでに申し上げますが、高校、小、中学校の周辺住民の方々は、現に校内ごみを校庭において焼却する煙公害で悩まされているとともに、学校側でも、北側から苦情が出れば焼却炉を南側に移し、南から苦情が出れば西側に移し、ごみ焼却炉を校内転々と移動させるなど、苦心を払っている例は枚挙にいとまがありません。いまこそ知事のごみ哲学と高邁な理念を現実のものとして教育の場に共存並立させ、お互いのメリットを享受すべきであります。重ねて申し添えますが、石神井清掃工場のような公害倍増、地域住民無視の悪い見本を一刻も早く解消することがごみ問題解決の要締であると確信し、知事の明快なご所見を承りたいのであります。
以上、この東京をどうするという観点から、都市改造の諸点につきその具体的手法を私の提案としてお伺いした次第であります。知事の積極的なご答弁を期待いたしまして質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) お答いたします。
昨日も答弁したところでございますが、私がかつて述べた橋の哲学は、地域住民に影響を与える問題に関しては関係住民の意見を十分尊重して施策を進めることが住民参加の行政であり、民主主議の原則であるということを、ファノンのことばをかりて申し述べたものでございます。私の発言が誤って受け取られているならばまことに残念でございます。しかしいずれにしても、あらゆる努力を払ってより多くの地域住民の同意を得るということが基本的原則であって、今後もこの考え方を貫いていく所存でございます。ご指摘のような練馬区民の要望もございます。そこで他の同様な状態の周辺区とともに、主として練馬区は住宅地として位置づけ、必要な公共公益施設の整備をはかるべきものであると考えております。
次に、環七についてで、ございますが、幹線道路は住宅地の生活環境を保全するため裏通りの通過交通をなくし、地域の発生交通量を集約する役割りを持っておりますが、沿道に及ぼす影響も大きいので、地域住民の生活環境について十分な配慮を加え、住民の合意を得て整備してまいりたい、そう思っております。公共用地取得についてでございますが、公共用地取得の重要性についてはご指摘のとおりでございます。都においては従来から用地会計、都市開発資金会計の特別会計を設けて、公共用地先行取得に努力してまいりましたが、今後ともこれらの会計の一そうの充実を行ない、公共用地の量的確保をはかるつもりでございます。
公共事業協力感謝金につきましては、現行の損失補償基準の制定の経緯にかんがみ創設は困難でありますが、公共事業にご協力くださった方々に対しては、貸付金などの生活再建措置の充実をはかり、事業執行の円滑化を進める所存でございます。
代替地の提供は事業の執行を容易にしておりますので、予算の増額を今定例会に提案し、ご審議をいただくことになっております。
環七についてのご提案でございますが、確かに両側に緑道をつくるということは非常にけっこうなことでございます。それを空地にしておくことだけでもたいへんけっこうであると思いますが、この計画を実施するといたしますと、現に住んでいる方々の合意を得ることが非常に困難でございます。しかしながら、十分研究してまいりたいと考えております。
都営住宅の払い下げについてで、ございますが、現在都営住宅の払い下げ要望は木造都営住宅について出されております。しかしながら、木造都営住宅については、都市の不燃化と土地の有効な利用をはかり公共の空間を生みだす必要から、これを払い上げずに建てかえていく考えであることは、しばしばお答え申し上げたとおりでございます。ご質問の国の方針が変わることがあったときにはその時点で検討してまいりたい、そう思います。
都営住宅は都民の共通の財産であり、これを都民全体のために有効に活用すべきであると考えております。この意味において木造都営住宅の建てかえを進めております。しかしながら建てかえに当たっては、居住者との話し合いを通じて理解と協力を得ることを第一義的に考えて実行しております。なお多家族に対する世帯分離、建てかえ後の住宅使用料の軽減等の措置を講じております。さらに今後は、住宅供給公社あるいは都営住宅でない別の住宅を建てまして分譲をするということも考えております。それでございますから、都営住宅を建てて、そうしてそれを分譲するというのではなくして、別に都営住宅とは別個の住宅を建てて分譲をするという意向でございます。
都市再開発と都営住宅建設について具体的なご提案をいただきましたが、今後の方向として研究の課題としてまいりたいと思います。
分別収集は清掃工場の公害対策上非常に効果があったと思います。たとえば石神井清掃工場では、分別収集実施前後の調査を比較すると、ごみ組成中の焼却不能物は約三〇%、不燃物は約六〇%減少し、その結果排水、残灰等に含まれる重金属類は著しく減少いたしました。またお話の排気ガス中の塩化水素につきましては、測定方法の違いや測定値のばらつきによるものであり、倍増したものではございません。なお、今後測定方法を確立するとともに、特に塩化水素の主要発生源と見られるプラスチック、フィルム類の分別については必ずしも徹底していない面もございますので、PR、指導などをより一そう強化し、公害対策に万全を期したいと思います。
適当な都市施設を立体的に活用するという考え方は、今後の清掃工場建設の有効な方法の一つと考えられます。しかしながら、高等学校への併置については、搬入路対策、付近環境整備を含めた用地の広さの問題と、その具体化のためにはなお多くの困難な問題がございますが、その問題等をよく検討いたしまして、できるものならばお話のとおりの措置をいたしたいと思います。
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◯議長(醍醐安之助君) 十三番斉藤一雄君。
〔十三番斉藤一雄君登壇〕
◯十三番(斉藤一雄君) 私は、社会党都議団を代表して地域地区改正と道路公害、それに公害行政における都民参加のあり方について若干の提案を含め質問を行ないたいと存じます。
その第一は、地域地区改正についてであります。周知のとおり、今回の地域地区改正は、人間尊重、生活優先を基本として生活環境の保護及び改善と、都市公害の防止などを目標としてきました。特に住宅地につきましては、その環境を保護するため、現在住居専用地域となっていない住居地域についても、第一種もしくは第二種住居専用地域を積極的に指定し、かつ地区の特性に応じた適正な容積率及び高度地区を指定するという指定基準に基づいて行なわれたはずであります。したがって、その作業も当然都民参加のたてまえから。民主的な方式で地域住民の意見を吸収したものと推測しておるわけでありますが、その点について知事の所見を伺いたいと存じます。
また、この機会に、私自身若干の疑問を感じさせられている点もありますので、首都整備局長に率直にお尋ねいたしたいと存じます。
第一点は、第一種高度地区の面積に関する限り現行より少なくなっているのはなぜかという点であります。この点は特に日照権、環境権を守る立場からきわめて重要だと考えております。
第二点は、特別用途地区の積極的活用についてであります。ご承知のとおり八種類の基本地域だけでは地域の純化をはかることはとうてい困難であり、それを補完する意味において文教地区、厚生地区などの特別用途地区、特に自然環境保全の意味から風致地区の積極的活用をどうして考えなかったのか。また厚生地区条例の制定は急務の課題であると思うがどうか。
第三点は、特定街区についてであります。特定街区は知事が地域地区の一つとして都市計画の決定を行なうことになっておりますが、特定街区が決定をされますと、建築容積の増加、高さ制限の緩和などによって、周辺住民の住環境に少なからぬ影響を与えることは明らかであります。したがって。特定街区の決定にあたっては計画案に関係住民の意見を十分に反映し得る方途を講ずるとともに、事業者に対しましてもその旨指導すべきものと考えますが、都の見解をお伺いいたしたいと存じます。
第四点は、新用途地域指定後の部分的手直しの問題についてであります。ご承知のとおり、都市計画法では五年に一度基礎調査を行なって用途地域の色塗りを行なうことになっておりますが、都市化の進展著しい今日、地域によっては今回の色塗り施行後といえども再度手直しをしなくてはならない地域があると思います。また五年を経ずして色塗りをしてはならないとは法律でも明文しておらず、まして住民参加の実をあげるために問題のある地域を手直しをすることは当然あり得ると思いますが、この点についての都の見解をお聞きいたしたいと存じます。
第五点は、かけ込み建築物の防止と着工の取り扱いに関してで、あります。私は今年施行される新用途地域にからんで、いわゆるかけ込み申請と工事が多発し紛争が激化するのではないかとたいへん心配いたしております。今度の場合は昨年七月の建築安全条例の改正や、本年四月の新高度地区指定のとき以上に混乱が予想されるからであります。そこで早急にこれに低触する建築確認申請や工事に対しては適正な行政指針を確立し、強力な行政指導を行なって、少なくともかけ込み建築物を防止することが必要かと存じます。特に建築工事着工の取り扱いについては従来からいろいろな解釈や取り扱いがなされていたように伺っておりますが、建築施行技術が多様化している現在、これを明確に表現することはむずかしいとは思いますが、この際、建築工事の着工について見解を明らかにしていただきたいと存じます。
第六点は、都市計画審議会委員の構成についてであります。都市計画審議会の委員定数は三十五名でありますが、都市計画法第七十七条に基づく政令ではその他にも臨時委員若干名を知事が任命できるように定められております。専門化、多様化された今日の大都市問題解決のためには多角的、総合的な検討が必要であり、それぞれの分野における有識経験者を臨時委員として任命し、慎重に審議する必要があると思いますが、この点について都の考え方をお聞きしたいと存じます。
第七点は、地域地区と固定資産税との関連性についてであります。すなわち昭和四十八年度の固定資産税制の変更により、都下二十三区の標準的住宅地の税負担額は昭和五十年度には四十七年度の三・七倍になるとのことでありますが、地域地区制の改正によりさらに固定資産税の評価額が高くなり、商業地域に指定された区域内の居住用土地の税負担が増加することが危惧されております。
そこで主税局長に次の事項についてお尋ねいたしたいと存じます。地域地区制の改正により固定資産税評価額は実際に上がるのかどうか。上がるとした場合、居住用土地の税負担に対しては別途軽減措置が考えられないかどうかであります。
第八点は、建築にかかわる総合窓口の設置についてであります。近年社会情勢の多様化並びに技術の進歩発展に伴いまして、都市計画関係、宅地住宅関係。安全衛生、公害関係並びに建築関係法規などが複雑かつ専門的になってまいりました。したがって、行政所管も多岐にわたっている場合が今日たいへん多いのであります。ちなみに世田谷北鳥山の幸竜寺の建築について見ますと、建築基準法。土地区画整理法、それに開発行為に関連した都市計画法、自然保護条例、これは公害局関係、墓地、埋葬等に関する法律、これは衛生局、都市公園法、これは建設局、森林法、これは経済局、宗教法人法、これは総務局などと多岐にわたっており、関係住民がたらい回しされてたいへん迷惑を感じていることが多いわけであります。
このことは基本的には官庁組織の矛盾、また縦割行政に根ざす問題であるかと思いますが、住民サイドに立って住民にわかりやすく便利な窓口をつくって、行政の事務を合理的に進めることが必要かと思いますが、この点について知事の所見を伺いたいと存じます。
以上で地域地区関係の質問を終わり、続いて公害関係の質問に入らせていただきたいと存じます。
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という憲法第二十五条の規定は、「憲法を都政に」という美濃部知事の方針に基づいて、都政の中に受け継がれてきました。この点を公害防止の観点から見るならば、「すべて都民は、健康で安全かつ快適な生活を営む権利を有するのであって、この権利は、公害によってみだりに侵されてはならない。」という東京都公害防止条例にはっきりと具現されております。私は美濃部都知事があらゆる施策を通じて公害防止のために努力されていることに対して、心から敬意を表するものであります。しかし現実には、美濃部知事のこのような献身的な努力にもかかわらず、公害はますますひどくなりつつあります。特に東京における道路公害は、今日全く救いようのない状態におちいっております。一体その責任はどこにあるのでありましょうか。私を、していわしむるならば、今日まで自民党政府がとり続けてきたGNP至上主義と、産業優先の道路行政、具体的には昭和三十七年の全国総合開発計画、続く四十四年の新全国総合開発計画と田中総理の日本列島改造論こそ、公害たれ流しの最大の元凶だと、いわなけば、なりません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
今日、一般都民は鉄とコンクリートの町の中に閉じ込められ、車の排気ガスと騒音、振動、日照妨害、電波障害などによって生活と健康を破壊され、交通事故によってとうとい人命までも奪われております。そればかりか、子供の遊び場や通学路、老人のいこいの場、主婦たちの生活道路までが、今日、車によって完全に占領され、社会環境は悪化の一途をたどっております。こうした道路公害、交通公害をなくすために、いまこそ知事と議会、都民が一体となって運動を進めるときだと考えます。
それには、まずこれまでの道路についての概念を根本的に改める必要があると思うわけであります。生活道路以外の、いわゆる産業道路は、これ以上つくらせないようにしていかなければならないと思います。現在の環七、環八などの幹線道路は、早急に車線を減らして、両側にグリーンベルトを設置させる必要があります。生活に密着した裏通りを車から解放して、歩行者専用道路や自転車道に転換させなければなりません。少なくとも車の排気ガスや騒音など、環境基準をオーバーしている道路については、直ちに車の総量を規制する必要があるのであります。(「そんなことができるか」と呼び、その他発言する者多し)今日やじっておる人がありますが、公害たれ流しの、住民に関係のない道路は一切つくる必要がないんです。そのことを都民は大きく期待をしておると私は確信をいたしておるわけであります。
こうした問題については、もちろん国や警視庁に対して、住民と一体となって強力に働きかけなければなりませんが、こうした私の提言についても知事の所信をお伺いいたしたいと存じます。
また道路公害に関連をして、現在世田谷の北鳥山で問題になっております中央高速道路問題について、この機会に都民室長にお伺いをいたしておきたいと存じます。
ご承知のとおり北烏山の中央高遠道路問題につきましては、鳥山北住宅道路対策協議会と日本道路公団、東京都住宅供給公社、それに東京都が入った四者協議会におきまして、あくまで話し合いによる円満解決の了解覚書をかわし、今日話し合いが続けられておるわけでありますけれども、たまたま八月三十日の参議院内閣委員会におきまして、わが党の上田哲議員の質問に答えて金丸建設大臣及び前田道路公団総裁が行なった「十月着工を強く希望する」との意思表明、続いて公団側から道対協に申し入れられた文書が、ひどく関係住民、世田谷区民等多くの都民を刺激いたしております。このように公団側が突如期限を切って回答を迫ってきたことは、これまでの了解覚書を一方的に無視したものであり、ルール違反もはなはだしいといわなければなりません。幸い都のほうからも、話し合いで解決するためにも、回答期限が早過ぎる、と公団のほうにいっていただいたようでありますが、そうした住民の側に立った都の姿勢について、私は高く評価をいたしておるところであります。
しかし問題はこれからであります。都は今後も四者協の覚書に基づいて、国や公団に対し、あくまで住民サイドに立ってがんばる必要があると思いますが、この点について都の見解をお聞きいたしておきたいと思います。
次に公害行政と都民参加のあり方について、知事の所信をお伺いいたしたいと存じます。
先ほど道路公害について述べましたように、都民を取り巻く公害の状況は依然として好転せず、この夏の
光化学スモッグの多発に加え、水銀、PCBによる魚の汚染など、新たな公害が広がっております。いまさら私が申し上げるまでもなく、公害防止、環境保全に関する住民の要求は切実であり、住民運動もそれだけ目ざましく発展をいたしてまいっております。問題は、従来の法律や条例ではとうてい対応しきれないほど問題が多様化しているところにあると考えるのであります。都民参加による新しい公害行政の推進が常に強く要求されるのも、そうした背景があればこそだと思います。そこで、公害行政における都民参加のあり方について、東京都公害監視委員会の活助と関連させながら、二、三、知事にご質問を申し上げたいと存じます。
ご承知のとおり、公害監視委員会は、公害防止条例に基づき、公害防止のための住民運動の協力を得ながら、年々都民参加の実をあげているように思います。それは、日夜献身的な活助を続けてこられた委員各位の努力によるものと私は評価いたしておりますが、しかし同時に、まだまだ不十分な点があろうと思います。この機会に、私の提言も含め、率直にお伺いいたしたいと存じます。
第一は、東京都公害監視委員会から数度にわたる報告、要望を、公害行政の面で具体的にどう反映させているかという問題であります。
第二は、公害行政の原案作成段階で、たとえば公害防止計画などに都民の意見を取り入れるという意味で、分委員会の意向を吸い上げたことがあるかどうかという点であります。
第三は、公害防止の都民運動との関連から見ますと、年一回の環境週間ではきわめて不十分ではないかという点であります。少なくとも私は、春秋二回は、最低限実施すべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
第四は、東京都公害対策監視委員会の活動予算が年間わずかに一千二百万円であります。美濃部知事が常に声を大にして呼ばれておられます都民参加、また都民参加の公害行政という面から見るならば、あまりにもこれでは少な過ぎるのではないでしょうか。部会や住民組織との意見交換の場をふやすためにも、私はこの公害監視委員会に対する予算を大幅に増額し、文字どおり都民参加の公害行政として発展することができるように要請を申し上げておきたい次第であります。
公害監視委員会につきましてはこの程度にいたしまして、次に都市公害対策審議会についてお尋ねをいたしたいと存じます。
今春設置された自然環境保全審議会におきましては、一般都民代表も参加をし、運営されておりますけれども、都市公害対策審議会は昭和三十五年の条例制定当時のままで、旧態依然たる構成のように見受けられるでありますが、より都民参加の実をあげる方策について検討すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
また公害行政については、庁内各局あるいは各区市にまたがる問題が多く、その間の連携、調整が行なわれているとは思いますけれども、都民に対してこれらを総合化した窓口を整備して、もっと住民に対する情報提供等のサービスを一本化すべきだと思うが、どうでしょうか。
また東京都公害対策会議など、庁内における連携、調整は具体的にどのように行なわれているか、ご質問いたします。
さらに自然の保護と回復に関する条例に基づいて設けられた千人の緑の監視員の活用のあり方については、単に既存のモニターなどのあり方にとらわれず、各地域における自主的活動、自主的会合等をどしどし保障すべきだと思いますけれども、いかがでありましようか。
以上、私の若干の提案を含め、知事に対する質問を終わらしていただきたいと思います。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 地域地区の改正につきましては、区市町村をはじめ住民の意向を尊重することを基本としてやっております。
それから都市計画審議会の委員についてで、ございますが、都市計画地方審議会の臨時委員についてはご趣旨のとおりと考えますので、今後その線に沿って検討をしてまいりたいと思っております。
ご指摘のとおり、最近建築に関係のある法令は複雑多岐にわたり、かつ非常に専門家されております。住民サービスの面から見て、一ヵ所において処理することは理想ではありますけれども、現実にはなかなか困難な点がございます。しかし現在でも都においては都市計画相談室を設けて、住民の便宜をはかっております。また各区においてもそれぞれ建築相談窓口の設置をはかっておりますが、このような相談関係において整備拡充をはかることは必要であると思いますので。今後ともに検討をしてまいりたいと思っております。
次に道路公害についてで、ございますが、道路公害対策につきましては、私はかねてから道路は人間優先でなくてはならないし、生活環境を守るためには自動車の規制も必要であるという基本的考えに立って施策を実施してきましたし、今後もその姿勢は貫いていくつもりでございます。しかし交通公害対策については、国や警視庁の協力にまたねばならない点か多いので、これまで以上に、都民の世論を背景として、この考え方が実現できるよう働きかけていく考えでございます。
公害監視委員会からは、すでに四回の報告と、六回に及ぶ要望書をいただいております。この報告、要望のうち、すぐに具体化できるものは直ちに事業化しており、またその後の計画立案の際にも取り入れるよう努力しております。たとえば昨年の自然保護条例制定の際には、立案の段階から意見をいただき、条例の制定に織り込み、また
光化学スモッグ対策等についても個々にその要請の採用につとめてまいりました。今後とも報告、要望を十分検討して、都民の意見を取り入れるべく努力してまいりたいと思います。
公害防止は、都政はもとより、都民総ぐるみで立ち向かわなければならない課題となっております。したがって常時公害防止運動は根づく都民運動として行なわれているところであります。その運動の盛り上がりを環境週間として各種の行事を集中しているものでありますけれども、今後その運営については、関係団体と協議をしてまいりたいと思っております。
公害委員会関連の予算につきましては、その設置目的である都民参加の実があがるよう従来とも心がけておりましたが、今後とも十分な運営ができるよう努力をしてまいりたいと思います。
都市公害対策審議会は、計画の樹立、規制基準の設定など、専門的、技術的分野の調査、審議をお願いするため、学識経験者等によって組織されております。一方、公害行政においては特に都民参加が必要なことにかんがみ、他の行政分野に例のない東京都公害監視委員会を設置し、発生源の監視方法その他公害防止の措置について調査、審議をお願いしているところでございます。この両機関の特色を生かした活動によって、都民参加の公害対策の実をあげていく考えでございます。
公害行政を実効あらしめるためには、都民の理解と協力が不可欠でございます。そのためには都民に対してあらゆる情報が的確に提供されなければなりません。この観点から、公害局に相談課を設けて努力してきましたが、今後も都民の側から見てより利用しやすいよう検討いたしたいと思います。
公害行政については庁内各局にまたがる分野が多いので、公害局が中心となって、毎年度、関連施策の計画、予算等について、都民を公害から防衛する計画の策定を通じて調整を行ない。総合性の確保をはかっております。また公害対策の企画の総合性、統一性を確保し、必要な事業の調整をはかり、効率的な執行を行なうため、東京都公害対策会議を設置し、各局間にわたる公害対策のうち重要なもの、たとえば
光化学スモッグ対策、カドミウム汚染対策、
PCB汚染対策、東京湾汚染魚対策などについて、この会議で方針の決定をしております。そのほか各局間で特に緊密な連絡をはかりながら実施する必要のある事業につきましては、対策会議の下部機関である幹事会を随時開催して、その調整を行なっております。
みどりの監視員が各地域の集まりを持つ等、自主的な活動を行なうことは、制定の趣旨から見てまことに望ましいので、都といたしましてはこのような自主的活動に積極的に対応し、提言、意見を受けるとともに、これらを行政に反映させるよう。なお一そう努力をしてまいりたいと思っております。
〔首都整備局長堀内亨一君登壇〕
◯首都整備局長(堀内亨一君) 第一種高度地区指定の経緯について申し上げます。
旧第一種高度地区は、区部では都市施設の未整備な周辺部の旧緑地地域約九千ヘクタールを含めまして広く指定されておりました。しかし、その後、地元のご協力を得て区画整理事業が進展した場所、並びに一団地計画等により中層住宅がすでにりっぱに建ち並んでいる区域等ができております。今回の地域地区改定に当たりましては、旧高度地区二万ヘクタールのうち、それらの既開発区域等を含めまして約五千ヘクタールは、地元住民の要望もあり、第二種住居専用地区、第二種高度地区とすることにいたしました。なお区部の第二種高度地区として新たに指定された面積は、千百八十ヘクタールでございます。多摩におきましてもほぼ同様な経緯でございます。
次に特別用途地区の制度を積極的に活用すべきであるというご意見でございます。これにつきましては、建築基準法の改正により、用途地域の種別が四種から八種となり、従来と比べますればきめこまかい指定ができるようになったわけでございますが、さらにこれを補完する意味では、特別用途地区の活用は必要なものと考えております。
ご指摘のございました厚生地区につきましては、その制度につき今後検討いたしたいと考えております。風致地区はすでに制度としてございますし、指定もされておりますが、緑地公園計画との一体性を考える必要もございますので、あわせて引き続き検討いたしたいと思っております。
特定街区の決定についての問題でございますが、特定街区は街区周辺に十分な有効空地を確保するとともに、公園、道路等必要な都市施設をあわせて整備するなど、関係住民の意見をできるだけ反映して、良好な住宅環境その他の環境を形成するよう指導につとめてまいりましたが、ご指摘の点を含めまして今後一そう周辺住民の意見が反映できるようにつとめたいと考えております。
新用途地区指定後の部分的手直しの問題でございますが、これは都市計画法第六条には、おおむね五年ごとに都市計画の基礎調査を行なうべきことが示されております。この基礎調査の結果に基づき、必要な修正を行なうことになっておりますが、都の地域地区改正の指定基準にもございますとおり、五年を待たずして、必要な場合には随時改正を行なっていきたいと考えております。
次にかけ込み建築の防止と着工の扱いでございますが、このたびの新用途地区の指定に当たりまして、いわゆるかけ込み建築の防止については強力に行政指導を実施する考えでございます。また着工の見解につきましては、ご指摘もございましたように施工方法が多岐にわたっているので一律に表現することはまことに困難ではございますが、たとえば建築現場において根切り、くい打ち工事等の開始されている場合は、工事の着手と認められます。したがいまして、単に建築確認、工事請負契約の締結のみでは着工と認められないと考えております。
〔主税局長石葉光信君登壇〕
◯主税局長(石葉光信君) 地域地区制と固定資産税評価額との関係でございますが、固定資産税の評価における地区の区分は、都市計画法に基づき指定された地城地区の区分によるものではなくして、それとは一応別個の地方税法に基づく固定資産評価基準により、その利用実態に応じて定められるものでございます。またその評価は三年ごとに行なわれ、昭和五十年度までは現在の評価額が据え置かれることになります。したがって今回の都市計画上の地域の改正によりまして、住宅地が新たに商業地区と指定されたとしても、直ちに評価額が改められ、税負担が増加されることにはならないわけであります。
次に住宅用地に対する軽減措置でございますが。本年度より住宅用地につきましては、地方税法上。非住宅用地に比較いたしましてその税負担を二分の一とする特例が設けられております。さらに昭和四十九年度分から、一定規模以下のものにつきましては軽減措置をはかるため。国におきまして検討を進めている模様でございます。つきましては、都においても、その実現方を国に対しまして強く要望してまいりたいと存じております。
〔都民室長野村しん市君登壇〕
◯都民室長(野村しん市君) 北烏山地区の中央道の問題につきまして、都といたしましては、関係者の話し合いによって問題の解決をはかるよう最大の努力をはらっております。九月十六日に日本道路公団から、九月末までに公団の提案しておりますシェルター案、すなわち道路の高架トンネル案に対する住民側の回答を求める申し入れがありました。このことにつきましては、現在なお道路騒音の共同実測や、公害に関する小委員会で検討を続けているところでありますので、都といたしましては四者協議会の精神にのっとり、あくまでも話し合いによる解決をはかっていきたい旨、四者協議会の席上においても申し上げ、また道路公団にもこの趣旨を申し入れております。
今後とも、このような基本的な考えに立って、話し合いによる解決を目ざしてまいりたいと考えております。
◯議長(醍醐安之助君) この際、議事の都合により、おおむね一時間休憩いたします。
午後零時二十五分休憩
━━━━━━━━━━
午後一時二十八分開議
◯副議長(西方国治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
一番橋本辰二郎君。
〔一番橋本辰二郎君登壇〕
◯一番(橋本辰二郎君) 私は、都内の河川汚濁発生源にしぼって、知事に質問いたします。
河川汚濁の問題は、幾多の人が取り上げておりますが、これはごみ以上に人間の生命を守る重要な問題のため、公害問題の一環として取り上げました。いささか詳細にわたりますが、知事の明快なる答弁を期待するものであります。
隅田川はかって、大江戸の昔から、庶民のいこいの場として、白魚もとれ、花火大会も行なわれて、都民の心に郷愁を感じさせてくれたのであります。しかし、現在の隅田川の状況はどうでありましょうか。悪臭を放ち、どす黒い色をたたえており、魚も住めない川になってかって、の面影は全くしのばれなくなってしまったのです。
河川の浄化について、世界の国々においては、イギリスのテームズ川の浄化運動の例や、数日前もテレビでニューヨークのハドソン川汚濁浄化の状況が報道されておりましたが。多額の予算をかけて河川汚濁問題と真剣に取り組んでおります。ハドソン川は、何と三十年ぶりに魚が住むようになったというではありませんか。
知事も昭和四十六年第一回定例会において、「いま私は、東京から公害を追放する到達目標の一つとして、真剣に隅田川の花火の復活を考えております。これを復活できるような条件を実現することが、東京から公害を追放したことのあかしになると思うからです。」と述べておられることは、全く昔の河川本来の姿を忘れさせられてしまった都民にとっては、心からの賛意と拍手を送るものですが、さきに述べたように一向に隅田川の浄化は進んでおりません。世界の国の例を見るならば十年もおくれてしまっているし、美濃部知事の代になってすでに六年も経ておりながら、ほとんど何らの施策も行なわれず、今後さらにどのぐらいおくれるかわからないのが実情であります。
それでは、東京に河川浄化の実例がないかといいますと、小さい河川ではありますが、江戸川区が区内を流れる古川を浄化した例があります。この古川は死の川と呼ばれ、ドブ川同様で、区民の悩みの川であったのです。しかし、区は精力的に自浄作用等の研究と調査を進め、わずか一年にして川を本来の川に戻し、この夏は子供たちの楽園として大いににぎわったのであります。
このような実例を考えるときに、やればできるし、計画はあっても、実行しなければ河川の浄化は一向に進まないのであります。はたして都は、隅田川及び主要河川の浄化を、いつまでに、どの程度までに浄化しようとするのか、知事の新たなる所見をお聞かせ願いたいのであります。
そこでわが党は、知事の考えの原点をとらえながら。東京の河川をきれいにしよう、そしていこいの場を取り戻そう、自然を回復しようという深い決意に基づいて、都議選終了直後から、精力的に河川汚濁発生源の調査を行なったのであります。調査した河川汚濁発生源に対する具体例をあげて、その実態と問題点を示しながら、知事の所見をお伺いいたしたいと思います。
隅田川を都民の手に戻す、とは、知事の正直な告白ともいえる公約でありますが、その隅田川の汚濁を追放するためには、まず第一にその発生源の一つ一つを取り除く必要がありますが。その一つは、まことに遺憾ながら都の施設であります。隅田川の流域にある都の各種の施設はたくさんあります。すなわちごみ積みかえ場所として、堀船、尾竹橋取扱所が二ヵ所、屎尿積みかえ場所として、長後、江北、銅像堀、尾久作業所の四つがあります。また下水処理場としては、隅田川に小台並びに三河島処理場、新河岸川に浮間処理場と、現在建設中の新河岸処理場、神田川に落合処理場があります。これら下水処理場はともかく、ごみ、屎尿の積みかえ場所は全くお粗末な施設であります。堀船の積みかえ所などは、四十七年に三千八百万円もかけて改修したにもかかわらず、ごみが風にあおられて川に散乱しているのであります。その散乱したごみを機械船と称する清掃船で、係員がトビコでかき集めては収集している状態で、非能率的なることおびただしく、大半の散乱したごみは流れるか、沈んでヘドロとなっております。また屎尿積みかえでは、かっての、不法投棄のようなことはなくなったとしても、近代都市東京の代表的河川である隅田川は、外国流にいえば「父なる隅田川」とでもいえます。その隅田川沿岸、にある都の施設なのですから、徹底的に完備された施設にするか、それができなければ、これら施設を撤去することまでも考えなければならないと思いますが、知事のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
第二に、小台処理場についてであります。この排水口は隅田川にあります。ここから排出される処理水は異様に赤い色をしているのであります。担当者に解決策を聞いても。これ以上はしかたが一ないという答えであり、目下色素を取る研究を進めているとのことです。これは科学的都政を進める美濃部都政下にあって、まことにふしぎな現象といわざるを得ません。芝浦処理場の排水は、一部を再生水利用として、食肉市場で床など清掃用に使うほどきれいな水になっているのであります。それにもかかわらず、小台処理場の水はまっ赤な水であります。その原因は、化学薬品工場二カ所から排出される工場汚水が原因だというのであります。もしも金属性の色素を用いているとするならば、重金属類が含まれていて、あの水俣病の悲劇を起こすおそれがないとはいえないと思うのであります。われわれが、あるところにこの水の脱色について依慎したところ、全く透明な水に脱色されることを実験で確認されました。このように脱色が可能なものを、いまだに都として脱色処理ができなかったのは、いかなる理由によるのか、またこれら化学工場から排出される汚水について、下水道法上、その検査を公害局に行なわせたのかどうか。また検査をしたとするならば、その内容について、また脱色については、いかなる処置をとってきたのか、知事の責任ある答弁を求めるものであります。
第三点は、隅田川の汚濁の元凶は新河岸川にあることは周知の事実であります。そして、この新河岸川の浄化については、東京オリンピックのときに緊急浄化対策として、利根川表流水を日量にして百二十万トンないし二百万トンを浄化用に放流してきました。それが、現在では日量二十三万トンぐらいしか放流しておりません。さらに、このときの緊急策の一つとして、荒川丁地域といわれる板橋区内の工場排水を一括して前処理するために、浮間に前処理場を建設して実施してきたのであります。ところが、本年四月一日から水質汚濁防止法の施行に伴って、浮間前処理場を廃止して、下水道法による新河岸処理場を建設して、浮間とあわせて板橋、練馬一帯の汚水処理を行なう計画であります。浮間処理場の排水はBOD一二OPPMでありましたが、新河岸処理場ができるとBOD二OPPMにまで下げて排水するというのですから、汚水処理は飛躍的に進み、新河岸川浄化に大きな力となり得るものと期待されます。
しかしながら、ここに大きな矛盾が一つあります。それは、東京都は国にさきがけて、隅田川の浄化を昭和五十三年度までにBOD八PPMまで下げるという計画を立てており、これは国の五十五年BOD一〇PPMより進んでいる計画であるにもかかわらず、新河岸処理場の計画を最終的にBOD二〇PPMにするということです。しかし知事は、わが党の質問に対して、二次処理から三次処理への切りかえ、処理水の再生利用については明確にお答えになっております。その三次処理によってBOD八PPMまで下げられるといわれているのでありますから、知事の考えと実行には大きな違いがあることになります。よって、現在、計画されて建設中の新河岸処理場は、なぜ二次処理方式を用いているのか、知事が八PPMに下げるという言明とは矛盾するではないかとの疑問を持たれます。この点について、知事の明快なるお答えをいただきたいのであります。
また、ふしぎなことには、現在三河島の処理場で処理水の一部を再生利用し、砂町工業用水道の浄水場に送っています。これは江東地区の地盤沈下対策のため、工業用水として、地下水のくみ上げ規制の見返りのために送られているものであります。この再生利用のため、三河島処理場ではBOD六から八PPMまで処理して送水いたしております。このようにBOD六から八PPMまで下げられる技術を持っているのに、なぜこの機能を新河岸処理場に生かさないでBOD二〇PPMで放流する計画を立てられたのか、はなはだ疑問とするところであります。この点に関しても、知事の明快なる答弁をお願いいたします。
次に、新河岸川支流の汚濁によって、新河岸川の浄化はたいへん困難な状況下にありますので。一、二例をあげてご質問いたします。
それは浮間処理場より上流地点で前谷津川、白子川があり、埼玉県に入って黒目川があります。これらの河川は、河川とは名ばかりで。全くドブ川にひとしいものであります。前谷津川流域には三十一の工場があり、工場排水はたれ流されているといっても過言ではありません。また白子川は、同様に家庭排水で全くひどいものであります。しかも新河岸川との合流点付近には、養豚場や牛舎、また屠殺場等があって、その汚水は全部たれ流されている状態であります。また黒目川には、埼玉県朝霞市ほか三市で環境衛生組合ができておりますが、この組合が管理する汚水処理場がこの川に面しております。この衛生組合では、約二十五万人、日量二百七十二キロリッターの屎尿を扱っておりまして、現在施設を増設中でありますが、昭和四十九年三月完成見込みで工事を急いでおります。完成時には屎尿が日量三百五十キロリッターとなり、この排水は現在日量五千五百トンでありますが、完成時には八千トンに増加いたします。そして、その時点のBODは二五から三〇PPMといわれているのであります。このように新河岸川支流の各河川は、すべてたれ流し状態であります。
この対策について、知事はどのような見解のもとに、どのような対策を立てて、新河岸川の浄化をはかろうとするのか、その施策をお聞かせいただきたいのであります。
さらに、この新河岸川支流の蓮根川、出井川等の流域にある荒川丁地域の工場群に対し、その対策を質問いたします。
これらの流域の工場群の大半が中小企業及び小規模経営の零細企業であります。かつては浮間の前処理場において、一括して工場排水を処理しておりました。しかるに水質汚濁防止法の施行に伴って、本年三月三十一日まで、下水道法で工場排水の水質基準はBOD三〇〇PPM以下で工場より放流を認められ、その範囲内で工場側は除害施設を設置してきたのでありますが、四月一日より水質汚濁防止法に基づき、都公害防止条例でBOD一二〇PPM以下に規制されたことはご承知のとおりであります。工場側は、三〇〇PPM以下のものを一二〇PPM以下の除害施設に急遽改造を要求されているのであります。よって工場側とすれば、二重に除害施設の設置費を費さなければならないといっても過言ではありません。そのため財政的に困難なこれら工場群は、除害施設の設置に対して思うにまかせない状熊であります。これでは、せっかくの排水の水質基準規制もうまくいくわけはないのです。都は公害防止条例できびしく規制したがゆえに、もっと公害防止資金貸し付けのワクを大幅に増大するとか、補助金等を考えて、企業者側が早急に水質基準に合った排水を行なえるようにすべきであると考えます。また、せっかく優秀なる除害施設を取り付けたとしても、維持管理が適切でなければ施設の効果は一〇〇%生かされません。しかし、この維持管理にはばく大な費用と管理者を必要としますが、各工場とも管理者をさがすのに困っております。採用しても給与の支払いに困る状態であります。よって、都の行政指導によって、これら企業の共同管理者を採用するとか、また、もっとよい方法がないか検討する必要があると思いますが、あわせて知事の見解をお伺いいたします。
また、除害施設について、もう一つの問題はスラッジ処理対策があります。除害施設には、必然的に多量の有害物質を含むスラッジが形成されます。その処理については、昭和四十五年に制定された廃棄物の処理及び清掃に関する法律によって事業者の責任において処理することになっております。しかしながら、実情ではほとんどの工場は業者に委託して処理しているのでありますが、この業者がどこに処理しているのか明確になっていません。どこに捨てたかわからないスラッジは、必ずや公害発生の原因となってまいります。たとえばメッキ工場のクローム・スラッジ等は特に公害の原因となっています。もちろんこの処理は工場側の責任でありますが、都においても共同処理施設をつくって、公害発生を食いとめることが肝要であると考えますが、知事は、このスラッジ対策についていかなるお考えを持っているのか、見解を示されたいのであります。
以上、隅田川浄化に対しての質問を終わりますが、種々指摘してまいりました点を、すべて施策として完全に計画実行するならば、隅田川は魚の住むきれいな状態になってまいりましょう。
次に、東京都のもう一つの主要河川である江戸川の水質汚濁防止対策について、最重要の問題であるため、その実態を明らかにし、質問いたしたいと思います。
江戸川は、ご承知のように利根川の水が関宿水門を経て江戸川に流入して参ります。上水道の利用河川としては、都内では最高の水質を保つ河川でありますが、近年とみに汚濁がはげしくなっております。松戸市の坂井、市川市の真間川の排水口付近の汚濁の進みぐあいにはすごいものがあります。坂川排水口下流に金町浄水場の取水口があり、ここから取水する水が、東京の水道の原水として日量一五〇万トン、約三分の一であることを考えますとゾッとするのであります。事実、水道の原水は、公害対策基本法第九条の規定に基づく水質汚濁にかかおる環境基準によって河川より取水する場合は、AA水道一級BOD一PPM以下、A水道二級BOD二PPM以下、B水道三級BOD三PPM以下と定められており、しかもこのB水道三級三PPM以下でさえ、前処理を伴う高度な浄化操作を行なうものとの条件がついているのです。
しかるに金町浄水場の取水する水はどうでしょうか。浄水場よりわずか二百メートルぐらい上流の新葛飾橋のもとで、昭和四十七年三月から四十八年二月までの平均値がBOD三・六PPMであり、公害局のデータによれば、四十七年六月に、何と最高の数値であるBOD七・七PPMを示しております。明らかにB水道三級にも劣る、公害基本法に反する原水であり、関係当局は一体何をしておったのか、責任を追及されてもいたしかたがありません。知事はこの事実を知っておられたのでしょうか。事生命にかかわる水に関することであります。知らなかったとすれば、これほど無責任なことはなく、都民にくさい水を飲ませ、公害基本法に反する水を飲ませていたことになるのです。かかる重要な問題の責任をどうおとりになるのか、知事の明確なるお答えをお願いいたしたいのであります。
次に、さきにも述べたように、江戸川左岸の坂川、真間川の両河川から排出される日量約十三万トンの汚水によって江戸川の汚濁はさらに進むものと思われますが、そのため両河川の汚濁防止対策が最も緊急であると思うわけです。現在千葉県の事業として、昭和四十八年三月に都市計画決定がなされ、昭和六十六年完工予定で、江戸川の河川浄化対策として江戸川左岸流域の下水道事業が計画されております。しかしながら、この計画は市川市、松戸市、流山市、野田市等にわたるものであって、現在では終末処理場の用地買収に反対運動もあって、非常に困難をきわめております。したがって、このような状態から考えても、この事業計画をさらに早めるためにも、江戸川から原水を取水している都としては良好な水を確保できるよう、千葉県に積極的に協力して、なかなか補助を出さない政府に対して強く働きかけるべきであると考えるものであります。しかも、この事業計画が六十六年完成であり。あと十八年間の間さらに汚濁が進んでいくものと思われます。このままいけば、江戸川上水の取水中止というピンチが都民に振りかかってくるわけであります。知事の所見をお伺いいたします。
さらに、本年の第一回定例会で、わが党が現在一都三県の公害防止協議会が持たれているが実効ある処置を行なうために共同作業班─ワーキンググループをつくるべきであるとの提案をしたのに対して、知事は明確に約速をしているわけですが、その後その具体的な計画はどのように練られたのか、いつ実行されるのか、計画を明確にすべきであると考えます。また、同じく排出量の総合的総量規制に対してそのスケジュールを明らかにされておりますが、前言したとおりBOD三PPM以上の原水を取水している状態を考えれば、せめて江戸川だけでも一刻も早く総量規制を実施すべきときであると考えますが、知事の責任あるお答えをお願いしたいものでございます。
次に、江戸川流域の千葉県下六市二町と東京都下江戸川、葛飾両区の行政組織と民間団体、関係企業団体が協力して、江戸川水質保全のために、昭和三十九年から江戸川を守る会を組繊して運動を展開しております。千葉県当局もこの運動に参加して、毎年助成金も支出して積極的な活動を行なっています。また、埼玉県三郷市も参加する気配を示しているということであります。都はこの守る会に約九年間も何ら関心を示さないとして、市川市、松戸市も不満の色をあらわしておりますので、この運動に参加して流域下水道の促進をはかる方法もあるのではないかと考えます。日ごろ知事は、住民運動の先頭に立つと機会あるごとに明言しているようであります。先日北区の新幹線反対集会でも先頭に立つといっているようでありますが、都民一千百万に良質の水道水を確保するために、この運動の先頭に立って広域下水道の促進、江戸川水質汚濁防止に活動する考えはないか、見解をお示し願いたいものであります。
終わりに私はここで、一民間団体でありますが、住民の力強い結集のもと、河川浄化に対する粘り強い一念が実った例をあげます。それは綾瀬川をきれいにする会であります。昭和四十五年に結成され、一万名の署名運動等を展開しながら国に働きかけ、埼玉県に働きかけ、この三年間努力を重ねてきた結果、年々に綾瀬川を死の川からよみがえらせてきたのです。そして本年九月、埼玉県庁始まって以来一住民運動に公文書を出して、綾瀬川流域につながる下水道促進の計画を打ち出し、抜き打ち検査をして、排水基準をこえたものすべてにきびしく勧告することを約速しております。一民間団体であっても、このように関係当局をすべて動かし、みずからの自然環境の保護と回復に努力しているのであります。東京都がリーダーシップをとり、積極的に江戸川汚濁防止対策に取り組めば、必ずや水質改善は可能であると思うわけであります。いま都民は、百の公約より一つの実行を望んでいるのであります。(拍手)幾ら対話を重ねても河川汚濁は解消されません。いまこそ知事の勇気ある英断と実行を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 隅田川沿岸にはごみ、し尿の積みかえ施設が六ヵ所あり、これらは古い沿革を有する施設であって、清掃車による陸上交通の緩和対策、作業効率の観点からも欠くことのできない施設でございます。施設の改善、改築等整備を進めてきておりますが、なおご指摘をいただく点もあり、まことに恐縮でございます。さらに積極的に改善をはかるほか。飛散ごみ、その他の浮遊物についても河川清掃船の配置を強化してまいりたい、そう考えております。
小台処理場の放流水についてのご指摘でございますが、色については下水道に流入させる前に工場自身で脱色すべきものと考えますので、工場に対し指導を行なってまいりました。しかし下水道法で定める排水の除害施設設置基準に色についての規制がないため、強制力を持たないのが現状でございます。河川汚濁には色の問題も当然含まれると存じますので、国に対して法で規制できるよう働きかけてまいります。また、従来から実験を続けていた処理場における脱色技術の開発になお一そう努力すると同時に、工場に対しても強力に指導を行ない、隅田川の浄化につとめたいと存じます。なお。工場の排水については数回水質検査を行なっておりますが、重金属その他の水質は法の基準に適合しております。
隅田川を浄化するには新河岸川の水質向上が不可欠なことは、ご説のとおりでございます。建設中の新河岸処理場は当面二次処理で稼働させますが、より高度の三次処理を行ない、BOD八PPM以下にできるよう早期に計画を進めてまいりたいと思います。
新河岸川の浄化については。基本的には下水道の整備と汚濁発生源に対する排水規制の強化とが必要でございます。都においてはこれまでもきびしい発生源への監察を行ない、特に昨年度は、大型住宅団地や、し尿処理場の総点検を実施して設備改善を求めてまいりました。さらにまた、新河岸川へ流入する各支川の浄化は広域的な対策が必要なことはいうまでもないので、このたび新河岸川流域にある排水型工場等のうち特に大規模工場及び住宅団地のし尿浄化施設に対して。埼玉県と一斉監察を実施すべく協議中でございます。また、規制規準の強化、県南の流域下水道の整備促進を申し入れており、今後とも埼玉県と協調をはかってなお一そう規制を強化してまいります。
浮間地区の排水工場については、ご指摘のような事情を考慮いたしまして、関係工場と数度にわたる打ち合わせの上、昭和四十七年度においては関係二十八工場に対し約一億八千万円の公害防止資金の貸付を積極的に実施いたしました。なお昭和四十八年度においても引き続き、現在までに二十三工場、約二億円の資金の助成を行なっており、今後ともこの制度を充実して対処していく所存でございます。
なお、除害施設の維持管理をするための管理者については。共同管理者の設置等、関係工場の実態に見合う方法を関係工場とも打ち合わせて、実施できるよう強力に指導していきたいと思います。
次にスラッジの問題でございますが、ご承知のとおり産業廃棄物の処理については自己処理責任の原則が法定されており、都としては自己処理体制を整備するよう強力に指導しております。しかしながら自己処理が困難な中小企業については、お話のように公害対策上からも公共処理施設を建設する計画でございます。
江戸川につきましては、上流に排出されている都市下水等の影響によって水質が悪化したことはご指摘のとおりでございます。現状においては高度な上水処理を行なって水質基準に適合した衛生上安全な水を供給しておりますが。水道原水としては将来にわたり不安のない清浄な水質を確保することがぜひとも必要であります。このためには関係県と協力をして、排出源の規制強化、下水道の普及、一斉監察等により、昭和五十年度までに栗山取水口から上流は二PPM以下、栗山取水口から江戸川水門までは三PPM以下、下流は五PPM以下の目標水質を違成したい考えでございます。本年五月、一都三県公害防止協議会総会において、都県際河川沿岸発生源の一斉監察を実施することを決定いたしました。具体的実施方法については、特に同協議会内に一都三県のほかに横浜、川崎市を加えて、広域的発生源対策小委員会を設け検討を行ないました。その結果、近く一斉監察が実施できる運びとなり、現在日程等について諸調整をしております。
江戸川の総量規制につきましては、本年五月に東京都水質審議会から知事あてに、「排水規制の基本方針と総量規制の導入等について」として答申のあったところでございます。この答申を受けて昭和五十一年度から本格的な総量規制を実施すべく、答申の趣旨に沿って現在その規制手段及び規成内容について鋭意検討中でございます。特に総量規制の基本である都内主要河川の環境容量ともいうべき許容汚濁負荷量及びその削減すべき汚濁量についてはすでに調査を実施し、一応算出されているところでございます。しかしながら、この削減量の配分方式の確立と具体的な規制値の認定など、なおむずかしい問題が残されております。このことは、工場等の排出規則として地城的にするか業種別にするかという問題であり、現在検討しているところでございます。
以上のような技術的な問題を解決し、他県との協議を十分に行ないつつ、できるだけ早い機会に総最規制の実施に踏み切れるよう、最大の努力を続けていく所存でございます。都民にとって江戸川は貴重な水資源の一つであり、これ以上の水質の汚濁は何としても阻止しなければなりません。したがって、私は江戸川を守る会と協力して、今後とも汚染の防止につとめてまいる所存でございます。
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◯副議長(西方国治君) 九十四番深野いく子君。
〔九十四番深野いく子君登壇〕
◯九十四番(深野いく子君) 私は、まず、第一に清掃行政について知事に貿問いたします。
昭和四十六年九月二十七日、江東区議会においてごみ持ち込み反対の決議がなされ、翌二十八日第三回定例都議会において知事はごみ戦争の宣言を行ない、下水道のように、はなはだおくれを来たしているものと異なり、ごみ対策はいまからでも問に合うものといわれたのであります。そして、地域住民の十分な理解を得ながら、計画に基づいて清掃工場と埋め立て処理場の建設を強力に推進していくと表明したのであります。しかるに、以来二年たって、今日いまだに具体的に杉並はもとより自区内処理施設のない十三区が場所の決定すらできないことは、まことに遺憾にたえないところでございます。
本定例会において知事は、二年間に各区のごみに対する考え方が協力的になり住民意識が変わったと高らかに語っておられますが、依然として総論賛成、各論反対ではないでしょうか。江東区の状況は逼迫しております。十五号地の埋立地はもう十三メーターをはるかにこえ、第二庁舎の高さまで、なまごみ、が積み上がって、とうていあと一ヵ月も捨てることは不可能な状態になっております。中央防波堤の工事は、江東区民の同意の条件として次のことが約束されています。それは杉並工場建設について四十七年十二月末日までに地元の了解を得るということです。しかるに、地元の了解が期限までに得られないのに、江東区民に一言のあいさつもなく工事は続行されておりますので、このことについて全区民がたいへん不満に思って、この成り行きを重視しているのでございます。しかも江東区との約束事項もその場その場の弁明といった形で、すべて都合の悪いことはほおかぶりをしているというありさまで、何ら一貫性のない行政になってしまったという感じがいたします。知事はどう考えておられますか、お伺いいたしたいと存じます。
第二に、四十六年九月の定例会において私が清掃行政に対する都の姿勢について質問を行なった中で、ごみ終末処分に対する基本的な考え方を伺ったとき、知事は十五号処理場への投棄完了までに全量焼却を行なうよう強く表明するとともに、不燃ごみと残灰捨て場として埋立地は必要であるが、現在最もきらわれている、なまごみ、の埋め立てはなくなると思うということを答えられております。したがって江東区民は、なまごみ、は江東清掃工場で千八百トン焼却、中央防波堤にはなまごみは捨てず不燃性ごみと残灰の捨て場になるのだと、知事のいわれたとおり信じておりますが、この点はそのとおり信じてよいのか、お答えをいただきたいと存じます。
第三に、昭和四十六年十月四日、小杉隆議員の質問に対して、知事は自区内処理の原則に基づき焼いてもらう区に対して迷惑料とかお世話料としての報償金の支払いも考えていると答え、四十六年十月十三日の衛生経済清掃委員会では、他の区のごみを引き受けている区に、公害を引き受けているのだから何らかの謝礼を払うべきだ、もちろん費用は都が負担するのが当然、と発言をされました。四十六年十月四日、社会党石井ひろし議員の発言で、焼いたり埋めてもらう区からお世話料として処理する費用を取って、財政調整の中で処理せよという意見に対して、知事はごみのお世話料まことにけっこう、そしてそれを協力して払うということを考えていると発言されましたが、実行しているのかどうか、その点について伺いたいと存じます。
第四に、焼却工場未設置の区のごみ収集を有料にするという考えはございませんか、この際伺いたいと存じます。
第五に、さらに焼却工場を持たない区のごみ減量対策として、ごみの収集回数一週三回を二回に、回数の規制を行なうよう指導してはいかがですか。
第六に、都知事は本年五月二十四日江東清掃工場に行かれましたが、どう感じられましたか。いまもって見渡す限りのごみの山の中にただ清掃工場のみが建っております。清掃工場の建設に伴い建てることを約束された余熱利用の運動公園、体育館、老人いこいの家、熱帯植物園等は、清掃工場の完成と同時に完成を、させるという約束でありましたが、約速のものは何一つできておりません。清掃工場の見学に行った都民はびっくりして反対に回るのは当然であり、実情を聞いて知事に不信の念を抱き、各区がつくりたがらない気持ちを持つようになるのも、これまたしごくあたりまえの話であります。(拍手)清掃公園などの施設がおくれた責任はどこにあるのか、ご説明をいただきたいと存じます。
第七は、このことについて江東区民に対してあなたはどのような説明をして了承を得る考えを持っておられるのか、お伺いいたしたいと存じます。
第八は、江東区のごみの日量は五百トン前後です。一千八百トンのごみはどこから収集したものか、各区の収集先を明確にしていただきたいと思います。
第九は、約束の専用道路はできておりますでしょうか、どのような状態か、ご説明をいただきたいと思います。
第十は、私の質問に対して埋立地以外の土地で江東の中にどうしても都立病院を設置する必要があると考えて検討中であると発言されております。その結末はどのようになっておりましょうか。以上十項目にわたって、明快なご答弁をいただきたいと存じます。
次に震災対策に関連する木場移転問題についてご質問いたします。二十年来の懸案でございました木場移転もいよいよ具体化されてまいりましたことは、関係者一同感謝しているところでございます。そこでこの際、五項目にわたってお伺いいたしたいと存じます。
第一に交付公債の補充についてであります。東京都は移転者に対して支払決算する場合、約六〇%が交付公債になっているのであります。百円の公債に対して現実には額面九十一円という安価になっているのが実態でございます。このため公債を割り引く際には多額の赤字を計上することとなり、事業の執行上にも支障を来たしているのであります。また公債の利子の面から見ましても、四十八年四月までは七分、八月七分六厘というように、そのときの金融情勢によって変動させておりますが、この際、これらの移転企業者に対して何らかの救済措置を講ずることができないかどうか、お伺いいたします。
第二に、十四号埋立地に接続する主要道路の建設であります。十四号埋立地の払い下げは、昭和四十七年度を初年度として四十九年度までの三ヵ年にわたって実施され、契約の翌年度に移転を完了しなければならないことになっておりますが、新たに埋立地に立地した企業が当初より十分その機能が発揮できるためには、物的流通が円滑に行 なわれることが基本的条件であります。この意味からしても、東京湾百メートル道路及びこれに接続する高速九号線をはじめ、補助一四四号線の早期完成が必要とされているのであります。しかしながら、このうち現在の東雲ゴルフ場の用地の一部を使用しなければ道路建設が促進されない個所がありますが、これらの関係を含めて道路建設の促進を強く進めるよう要望するところでありますが、今後道路建設の見通しについてお伺いをいたしたいと存じます。
第三には、十四号地内公有水面の使用についてであります。十四号地内には二カ所約四十八ヘクタールの貯木場がありますが、この年間貯木能力は百二十五万四千トンとされております。一方昭和五十年度の十四号地への外材、原木流入計画では百六十五万トンと推定されていることからしても、十四号地内貯木場は全面的に十四号埋立地に立地する企業の取り扱う原木の貯木場として使用いたしましても、なお四十万トン近くが不足をするのが実情でございます。したがって十四号地内貯木場は十四号埋立地に立地する企業が自主的に管理運営することが効率的であると考え、また、業務面からも適材入荷の促進、滞貨の防止や円滑な原木の流通取り扱い、価格の適正から見ても最善の策であると思います。また十四号地貯木場は各企業の管理する地先水面の延長という性格を持ち、他の貯木場とは異なる特異性を持つ貯木場であるから、その使用につきましては全面的に木場協同組合が管理することが好ましいという判断からして、共同管理下に置かれる用地がおありかどうか、お伺いいたしたいと存じます。
第四は、護岸から十五メートル以内に構築物を建設する際の財政問題についてであります。埋立地は構築物を建設する場合、護岸から十五メートル以内は地盤が軟弱であり。〇・五トン以上の荷重がかかる建築物を建設する場合には、事前に港湾局の指示を受けるたてまえになっております。かりにこの地域内に建設しようというときには、その護岸を補強するための経費は一メートルにつき約百万円の費用を要さなければ施行できない現状でございます。このように多額の経費を必要とする補強工事について、分譲者である東京都としては、その一部を負担するという財政措置を講ずることはできないかということであります。都が分譲する際に補強工事を施行していればこのような事態は免れていたことでもあり、今後都として財政援助をする考えがあるかどうか、お伺いいたします。
第五は、共同従業員宿舎用地の確保についてであります。本年三月、業界において実施したアンケート調査によりますと、百三十七社の企業が単身従業員約一千名、世帯主従業員約九百三十世帯を受け入れる共同宿舎の建設を希望しているのであります。今後労務対策から見ても、従業員の福利厚生施設の拡充は絶対的なものといわなければなりません。幸い単身者従業員宿舎の建設については、都のご理解によって建設が可能であると推測できるものでありますが、単身者従業員と同様に、世帯主宿舎にいたしましても建設ができるようご配慮をいただきたいと存じます。幸い七号埋立地である辰己団地付近に適当な都有地がありますので、木場移転事業の重要な一環として、これを共同従業員宿舎用地として適正な条件で分譲されるお考えがあるかどうか、お伺いいたしたいと存じます。
次に震災対策について質問いたします。
放河角傳士の説によって、地震対策のための防災拠点の再開発並びに内部河川の防災計画が立案され、白鬚地区の計画が具体化されつつあることはご案内のとおりでございます。強震の危険に入る昭和五十三年といえば、あとわずかに五年の期間を残すのみであります。もしこの計画の実施が予定どおり進行したといたしましても、完成まで十年から十五年の期間を必要とされているのでございます。おそらくこの膨大な計画の完成を待たずして強震による危険にさらされ、水害と火災という二重の災害によって江東地区の七十万住民のうち五十六万人の生命と財産が奪われる結果になるということも当然のことと思います。そこで私は、防災計画の実施に当たって次の三つの対策を早急に実行に移していただくならば幸いと考え、ここに提案をいたします。
第一に拠点計画を調べてみますと、拠点と拠点の間も不燃化していくということでございます。
それならばまず木造建築の危険を考え、建てかえを希望する住民については頭金を少額にして特別に低利で長期の融資を行ない、木造家屋を不燃化することによって火災の危険から守るということを検討していただきたいと存じます。
第二に、だれもが住宅や倉庫、車庫、工場、商店を建設する場合、道路の高さを基準として建築を行なうものです。現在は江東区も改良下水道によって水のはんらんも浸水の被害もございませんが。強震によって四十四キロに及ぶ護岸が一部でも決壊したならば、水は高きより低きに流れるということわざのとおり、たちまち浸水の危険にさらされ、その上火災が発生したならば、とうてい生き延びることはできないでしょう。そこで避難道路はもとより公道はできる限り、年々地盤の沈下することも考慮して構築を行なうべきと思います。その点についてご意見を承りたいと存じます。
第三は、地盤の低いこの地域について、常に一般の住民に対して、いつ浸水が起こっても自分自身の置かれている場所が浸水の場合どの程度まで水位が上がってくるかを知らせておくことが大切なことと存じます。それによっていち早く安全な場所に避難をすることもできると思います。そこで現在江東区においてはキテイ台風後に建設されたものがところどころにございますが、これはいつの水害でどこまで水位が来たかを示すものです。私はあらためてこの地点の地盤高はどれだけで、何月の満潮時に護岸が決壊したならばどこまで水位が来るという、水位の高さを示す標示をわかりやすい場所に行なっておくことが大切と思います。このことについてご答弁をいただきたいと思います。
限られた時間でございますので、十分に意を尽くせませんけれども、ご了察の上明快なご答弁を期待いたしまして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) お答えいたします。
江東区には長い間ご迷惑をかけまして、たいへん申しわけなく思っております。都といたしましては、このようなご迷惑を一日も早く取り除くため、自区内処理の原則をはじめとするごみ対策の基本方針を確立し、都民参加のもとにこれを実現すべく懸命の努力を重ねております。江東区に対しても常にこの基本方針に基づいてお話し申し上げ、ご協力を願っているところでございます。
不燃ごみは全量焼却、不燃不適ごみは破砕などの前処理の後埋立処分することがごみ処理の基本方針であり、そのためには清掃工場をはじめとする清掃施設の整備が急務でございます。私は、こういう基本方針であるということを、四十六年九月の定例会において申したつもりでございます。したがって、このような施設整備が完了するまでの間は、一時的に公害対策の万全の措置を講じながら、可燃ごみも埋め立てざるを得ないものであると考えております。
ごみ処理についての地域の負担は公平でなければなりません。このような考え方のもとに、たとえば清掃工場の建設に当たっては、地域の状況に応じ財政措置を講じてあり、福祉施設の整備などに努力をしております。
焼却工場未設置の区のごみ収集を有料とする考えはないか、また収集回数を三回から二回に減らす考えはないかというご質問でございますが、十分傾聴すべきご意見ではありますけれども、自区内処理の原則が徹底し、関係区においても工場建設について積極的に努力中である現在、工場がないという理由によってごみ収集を有料化し、収集回数を減ずるという処置をとることはいかがかと考えます。
江東清掃工場の付帯施設の整備につきましては、道路未整備、軟弱地盤により立ちおくれておりまして申しわけなく思っております。温泉プール、体育館などの運動公園は昭和五十年度、熱帯植物園は特殊な構造物を軟弱地盤に建設するため、一年おくれの昭和五十一年度完成の予定でございます。また老人休養ホームについては、江東区のご協力をも得まして昭和四十九年度の完成を目途としております。江東清掃工場は本年九月下旬から試運転に入っておりますが、本稼動に当たっては、他工場の改築、オーバーホール時を除いて、通常江東区周辺の七区から搬入する予定でございます。
江東清掃工場搬出入専用道路につきましては、湾岸道路沿いに設置する計画で、本年十月に設計が完了し、十二月に工事着工、五十年三月に竣工する予定となっております。
都立病院の設置につきましては、医師会をはじめ関係機関との協議の場を設けるべく話し合いを進めております。
次に木場移転の問題でございますが、木場移転企業者に対する跡地買収の問題については、業者の移転を容易にし、事業の一そうの促進をはかるために、交付公債と現金との支払い比率の改定について考慮をいたしたいと思っております。
百メートル道路は建設省及び首都高速道路公団の施行により、昭和五十年には大井埠頭その一の環状七号線接続点から十四号地その一の補助一四四号線までの間が整備される予定でございます。
問題の東雲ゴルフ場区間については目下和解審理中であり、早期解決に努力をしております。
十四号地地先公有水面約二十ヘクタールについては、当埋立地に進出される東京新木場商工協同組合に対して占用を認めることになっております。しかし十四号地貯木場は、港湾施設として広く不特定多数の者に利用していただくための公共施設であるので、同組合に対して、原木の自家用保管施設として使用させることはできないと考えております。
ご指摘のとおり、護岸から十五メートル以内の港湾隣接地域において、〇・五トン以上の構築物を建設する場合は、港湾法の規定により、一定の基準に従って設計審査をすることになっております。このことは分譲案内において説明しているところでございます。
構築物の基礎等、地盤補強は構築物等の荷重によっても異なるものであり、経費が幾らかかるかはケース・バイ・ケースでございます。安全性と経済性を考慮し、個々の実態を可能な限りしんしゃくして審査をしていきたいと思っております。
埋立地については、同一の基準により造成を進めてきており、利用の実態に応じて、買受者において手当てをしていただきたいと考えております。
七号地の払い下げというご趣旨でございますが、広く都の住宅政策の一環として取り入れ、考慮していきたいと考えております。
防災拠点相互間をつなぐ地帯をはじめ、危険区域の不燃化対策は、震災対策上きわめて重要でございます。震災予防条例におきましても、特別危険区域における建築物の不燃化を促進し。避難道路、避難場所周辺に災害防止帯を指定して、必要な規制、助成を行なうことになっており、現在その不燃化対策のための具体策について鋭意検討中でございます。
江東デルタ地帯の内水河川の震災対策について、西部地区は護岸の補強を行ない、東部地区は水位低下をはかり、出水を防ぐこととし、現在一部工事に着手しております。また埋め立て可能の河川については埋め立てを行ない、避難道路の築造を進めることとしております。この対策と相まちまして、道路築造については、今後ご趣旨の点を配慮してまいりたいと思います。
なお、建築をする側でも、地盤を上げることを考える必要があろうかと思います。
強震によって内部護岸が決壊した場合の浸水予想水位については、十分調査の上、避難に支障のないよう表示するなど。諸周知につとめたいと思っております。
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◯副議長(西方国治君) 八十三番石井大三郎君。
〔八十三番石井大三郎君登壇〕
◯八十三番(石井大三郎君) 私は、共産党都議団を代表いたしまして、高井戸清掃工場建設問題を中心に、これにかかわる幾つかの問題について、知事にお尋ねする次第でございます。
まず高井戸工場建設促進の意義についてでありますが、第一に、杉並の高井戸清掃工場を早期に建設することは、ごみ戦争を解決するために決定的に重要な課題であります。知事としては、当面の中心的な任務として位置づけるべきものであると考えております。
それは、東京のごみ処理はかって、埋め立て、処理を重点に行なってきたものでありますけれども、この処理方式は現実に行き詰まり、限界に達しております。したがって、今日のごみ問題の処理は、全量焼却による以外に道がないし、そのことを避けることができないことは、何人も否定し得ないところであります。
ごみ処理の問題は、すべての都民にかかわるものであり、都と区とすべての都民が共同して、その解決のためにそれぞれの責任を果たさなければならないのは当然であります。しかも日量一万数千トンのごみを全量焼却することは、限られた一定地域で処理することが不可能であり、そこからそれぞれの地域で処理しなければ解決しないという、今日厳然たる事実の中で、自区内処理の原則を貫くということは、当面のごみ問題解決の一つのかぎであります。
それにもかかわらず自区内処理を拒否することは、結局江東区に犠牲を強いることであり、江東区民にだけは耐え忍べということにつながるのであります。だからこそ、江東区が声を大にいたしまして自区内処理を強調するもの、当然過ぎるほど当然であります。だからこそ杉並区におきましても、わが党が区内八ヵ所で集会を組織いたしましたが、参加いたしました住民は、一体だれが建設を妨害しているのか、また建設される工場の近代的な構想などを初めて知りまして。協力の意思を述べておるのであります。ある大企業の社員住宅で行なわれた集会では、参加者が、このような話を反対同盟にしてあげたらよい、こういっておりますし、また、こんなりっぱな施設なのになぜ反対するのかと、率直にいっております。九月二十九日には、清掃協力会、消費者の会など四十数団体、三百名の区民代表で、高井戸工場建設促進アピールが採択されました。
また第一線の現地では、日夜を分かたず、局長以下職員が熱烈に業務に取り組んでおり、促進を願う区民から称賛の的になっております。住民集会に参加いたしました推進本部の職員は、休日であっても、夜おそくとも、三人、四人でもよろしい、私たちは清掃問題について正しく理解してもらうために説明をしたいと、その熱意を率直に述べております。ここには行政が住民運動の中に入り、住民運動と一体となっている姿があらわれているのでありまして、これはこれからの革新都政の前進を保障する上でたいへん重要な経験であり、まさに知事のいう都民参加が前進しているといえるのであります。
現に高井戸地域において、いまや清掃工場を建設することに協力しようとする機運が広がっておるのであります。したがって、この面からも、断じて高井戸工場を建設しなければなりません。
以上述べてまいりました諸般の動向から考えましても、杉並の清掃工場を建設することが、自区内処理の原則を各地区に徹底させ、実現させる上で最大のかなめとなっているのであります。
また杉並区議会では、区労協から提出されました建設促進の請願が、自民党とそれに同調した無所属議員の反対があったにもかかわらず採択されたという経過がございました。この反対者の熊度は、それまでしばしば区議会でみずからも参加いたしまして、全員一致で採択した高井戸地区建設の促進の責任をみずから裏切るものであり、区民に対する背信行為といわなければならないと考えます。このことは、自民党が自区内処理の建設方針を挫折させるために、それぞれの地域において陰に陽に反対運動を扇動している反都民的な態度の端的なあらわれであります。だからこそ、これらの反都民的反対運動を打ち破るその必要性と緊急性が生じているのであります。
二つ目に、国の施策と行政の上で、清掃工場の、場合は都市づくりの施設として考えず、排出されるものを片づける施設、つまりごみ焼き場として疎外し、きたないもの扱いにして、徹底して軽視されてまいりました。知事はごみ戦争宣言の中でこれを指摘し、工場は、住民生活にとってなくてはならないものとして発想の大転換をはかりました。
自区内処理の原則と必然性を認めるならば、これからの革新都政にふさわしい清掃工場は、当然都民の命と暮らしを守り、地域の生活環境をよりよくする重要な施策といたしまして、だれしもが協力し得る住民との違和感のない内容と形態を創造しなければなりません。この立場で、工場と工場地域を考えるときに、工場そのものは、安全にして衛生的、しかも公害のないものを建設目標にすることは自明のことであります。
大体以上のことから、高井戸に工場を建設することはまことに必然的なものといわなければなりませんし、今日、この事態を直視するとき、知事のいう緊急避難は何を意味するかは別といたしましても、高井戸工場建設のために知事が勇断をもって対処すべきであると考えますが、知事の所信をお尋ねする次第であります。
次に、工場建設計画についてであります。
当局は、すでに杉並清掃工場建設試案を発表しておりますが、必要なことは、工場用地に限らず、工場を中心とする周辺を、環境のよい地域社会にする構想に発展すべきではないでしょうか。この地域には、現在敬老会館、児童館が各一ヵ所、児童公園六ヵ所、このほかに保健所があるだけで、成人、婦人向けの機能を持った施設は全くありません。私が提言いたしますこの地域社会の規模は、ほぼ小学校区程度のものといたしまして、現在杉並区が進めようとしております地域整備計画との整合性を十分考慮の上、まず歩行者専用道を設置し、工場を中心といたします八号環状線道路は、一定区間現在の六班線を四車線に縮小し、その部分に緑樹帯と自転車道を設けることであります。また用地内を利用して設置する施設には、身障者福祉施設、老人給湯設備のある休養施設、住民のための集会施設、成人向け社会教育施設、主婦のレクリェーション施設などを必要とし、これら施設建設計画のためには、用地外地域に新たに必要なだけの用地取得をすることは当然であります。このような清掃工場建設のためには、民主的な努力を積み重ねまして、住民の合意と協力を得る、いわゆる都民参加の建設を進めなければならないことは当然であります。
次にお尋ねすることは、重大な任務を果たした都区懇談会に関する問題であります。自民党はじめ反対同盟の一部によって、都区懇談会の運営とその成果は、欺瞞と行為による非民主的行政の典型であるというデマゴギーが飛ばされております。私は、こうしたデマゴギーについて、いかに欺瞞に満ちたものであるかを、事実経過に照らして立証し、あらためて知事の見解を伺いたいのであります。
まず都区懇談会を組織いたしました直接的な理由についてであります。そもそも都区懇談会は、杉並工場建設について、住民の理解と協力を得るために最も民主的な道筋を歩むための努力として設置したものであります。
ここで私は、都区懇談会が民主的に取り組んだその事実を明らかにしたいと思います。
一つには、自由な意見交換の中で方向づけるという都区懇談会の運営方針のもとで、都側が提出いたしました十一を数える候補地のほかに、参加した住民代表、区議会議員から自由に提示する新たな十三を数える候補地がリストアップされました。この上で五つの候補地が選定されたものであります。
また、第六回懇談会では、杉並選出都議会議員六名が、都区懇談会の結論は、各党とも尊重していくことに合意し、結論の推進役になる旨の表明がなされました。また、予定地について最大限客観的に選定のできるデルファイ法による評価方式を採用することも全員一致で決定をいたしました。デルファイ法による評価を、五つの候補地について実施するには、事前に五つの地区の住民の意見を聞くことを決定したものであります。
五月十五日に至りまして、十一回目を重ねました懇談会は、自民党都議の懇談会ぶちこわしの扇動と、トロツキスト暴力集団との共謀によって暴力行為を働き、混乱を引き起こし、審議不能におちいったのでありますが、こうした事態の中でも公開制の原則を貫いてきたのであります。しかしながら、懇談会は最後まで任務の遂行のために、困難を乗り越え、ついに評価結果を懇談会の報告として知事に提出されたものであります。
以上、一連の事実経過で見られますとおり、なし得る限りの民主的運営を貫いてきた懇談会メンバーの努力は、都市問題の民主的解決をめざして、貴重な経験をされ、革新都政における今後の指針に大きく寄与したものでありまして、懇談会に参加された方々の努力は高く評価されねばなりません。
以上の事実が示しますように、懇談会は最大限の努力を傾けて、民主的運営に終始したことはまぎれもない事実であります。このことは、現在東京都が直面しておりますところの困難な都市問題を解決するための新しい都民参加の方式の一つの典型をつくるものというべきものであります。知事は、都区懇談会の民主的運営とその成果にあらためて確信を持たれ、対処される必要があると思いますが、そのご見解を承りたいと思うわけであります。
第四にお尋ねしたい問題は、プレス工場についてであります。いま杉並区民のごく一部には、高井戸工場の予定地取得をめぐって暗礁に乗り上げているから、その打開策といたしまして、昭和五十二年には建設可能な国有地、農林省蚕糸試験場の筑波移転跡地を、廃棄物のプレス工場用地として至急決定すべきであるという意見があります。この土地は、昭和四十一年に都が杉並清掃工場の候補地十二カ所にあげられた一つであります。
しかしながら、土地懇談会で検討が加えられまして、面積不足と用地確保の時期は、推定してなお数年先であるために、五十年全量焼却という事業目標に合致せず、全員一致をもって失格となったものであります。また、当該地は、本年三月、杉並区議会において、避難広場を兼ねた公園及び地域区民センターなどの生活環境施設整備用地として活用できるよう、関係官庁にこれまた全員一致をもっての意見書が提出されたものであります。
こうした条件を明らかにした上でお尋ねするわけでありますけれども、プレス処理は、今日の段階で実用に供せられるほど有効なものであるかどうか、
日本共産党都議団の調査では、まだまだ実験程度の域を出ていないと、このように確認しておりますけれども、これについてのご見解を伺いたいと思うわけでございます。
終わりにあたりまして、自民党はじめ大資本など反都民的立場から、革新都政に加えている攻撃について一言触れておきたいと思います。
彼らは、行政上の不履行状態をとらえて、辞任せよ、やめろといいますが、みずから事業の進展を妨害する自民党議員にして主張するとはもってのほかであり、彼らにやめろという資格はどこにもございません。自民党はじめ大資本など反動勢力の露骨な攻撃のねらいは、革新都政の前進とその成果に敵意を燃やし、大企業の利益に奉仕する都政を復活させるための政治的突破口とする意図によるものであり、こういう意図は歴然たるものであります。
さて、若干の、じぐざぐ、を経てきました高井戸問題は、当初からその困難は予測され、事実において今日まで八年間を経過している現在も、なお、困難をかかえていると見なければなりません。しかしながらであります。問題は、絶えず都民大多数の利益を真剣に考え、このためにこそこの困難に挑戦する粘り強い誠意ある態度にかかっていることを思い直すことが重要でありましょう。
この間の事実で、四回にわたる高井戸対話の努力は。まさに知事が先頭であり、知事の政治的信条を体現した努力として何人も認められるものであります。この上、困難をなおも増大させる要因あり、とせば、もはや相手側の道理を尊重せぬ態度であり、加えて自民党はじめ大資本など反革新勢力の政治的妨害であります。知事の現在までの努力からいたしますれば、推進する知事の側にこそタイムリミットを主張すべきでありましょう。それであればこそ、ゴミ戦争解決のため、差し迫った時間とのたたかいであることも具体的な決意に加えて、断固たる姿勢で対処しなければならないと考えるものであります。(発言する者あり)
いま一つ、知事といたしまして責任をとるあり方として、ゴミ問題の解決を困難ならしめておりますところの根本的な原因は、自民党政治とその行政においた、清掃事業が一貫して軽視されてきたという事実を余すところなく都民に周知させることであります。
その主たるものは、歴代自民党政府が、東京都に対して、昭和四十七年度まで、事実上補助金ゼロということに自民党政治の反都民性が如実にあらわれていることなどであります。
また、革新都政実現後、六年余を経過し、戦後二十二年に及ぶ自民党都政時代の大企業優先を主とした諸施策の遺産のうち、とりわけ都の清掃行政は、非科学性、非合理性、非理論性の典型としてのその根深い欠陥を克服するために、なお、数々の困難が前途に横たわっていることをあらためて全都民に訴え、都民の一そうの協力を求めるべきであろうと考えるものであります。
いま、都民が知事に期待しているものは、自民党のいう辞任しろという攻撃に屈することではありません。都民の大多数が、一日も早くごみ戦争の解決を願っていることでありまして、知事はますます不退転の決意を固めて、断固として清掃工場を建設していくことであります。
この際、あらためて知事の強い決意の表明を求めるものであります。
以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 清掃工場は、自区内処理の原則にのっとり、建設につとめておりますが、杉並清掃工場は、従前から建設計画を進めているものであり、したがって、この実現いかんは、今後の十三区工場の進捗状況にもきわめて大きな影響を与えます。したがって、その建設のために、不退転の決意をもって当たりたいと思っております。(拍手)
これからの清掃工場は、単にごみを処理するだけの施設ではなく、地域開発の一環として、地元住民の生活と福祉の向上に役立つべきものと考えます。その点は全く同意見でございます。したがって。高井戸における杉並清掃工場の建設にあたっても、地元住民の意向を十分に取り入れて、駅前において、決してそぐわないようなものでないことはもちろんのこと、地域に積極的に寄与する地域センターなどを建設して、地域整備の拠点とするとともに、地元住民が喜んで利用できるような施設を計画いたしたいと思っております。
都区懇談会は、杉並区内の各界、各層の意見が十分反映されるよう、杉並区及び杉並区議会とご相談して、構成と人選を決定いたしました。都区懇談会は昨年十月から約八ヵ月にわたり公正かつ慎重に審議し、科学的、客観的評価を目ざして運営されました。したがって、その性格、構成、人選、運営等、きわめて民主的であったと思っております。
杉並清掃工場の用地については、都区懇談会の答申を受け、本年五月、高井戸地区を決定いたしました。都区懇談会は民主的に構成され、また運営されました。その答申に基づき用地を決定したのでありますから、変更するつもりは毛頭ございません。
また、プレス工場の建設については、技術的にも解決すべき問題が多く、この際考えておりません。
私は、杉並清掃工場は。九月末までに着工のめどをつけなければならないと思って努力してまいりました。若干時間は延びましたが、解決の方向に着実に前進をしているので、話し合いで合意に達すると確信しておりますし、そのためにさらに努力することが私の責務であると考えます。(拍手)
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◯副議長(西方国治君) 二十七番渋谷守生君。
〔二十七番渋谷守生君登壇〕
◯二十七番(渋谷守生君) 私は、拡大する三多摩格差是正について、特に、教育、福祉、道路、交通、医療機関などの一部実情を訴え、財政措置と機構改革などについて知事の基本姿勢と施策について質問する。
三多摩各市町村のかかえている問題は、人口急増による都市機能が立ちおくれ、新財政需要の増大が市民の日常生活を著しく住みにくいものにしており、これらの問題を解決していかなければならない点にあるのである。三多摩各市町村は、地方自治を守るための財源に欠け、みずから三割自治と自称し、超過負担や特別会計の赤字は累積するばかり、貧乏自治体の苦悩は、人口がふえると、すぐ小中学枚を建てることで四苦八苦、保育所、幼稚園も不足して、一升ますに二升も三升も入れなければとうてい間に合わないのが実情であります。
いまここに、首都圏随一の団地急増都市、注目の町田市を例にあげて述べると、市制施行して十数年、人口は四倍の二十四万人に激増、ここ四、五年間に、住宅公団、公社、都営住宅の進出が二万五千余と、全所帯の三分の一を占め、民間団地を合わせると、団地人口は、全人口の三分の二を占めるという状況下で、小学校の新設は、毎年四校から五校ずつ、今後十年間に数十校も建て続けていかなくてはならない。これが町田の革新市政の状況であり、同じ知事はこれをどう援助されるか、伺うものであります。
さらに重要な点は、学校をつくる場合の財政援助の算定が低い。つまり現行の基準価格を時宜に適するよう大幅に改正をしなければならない点について、知事の基準価格改正に対する所信をあわせて伺うものであります。
三多摩各市町村と区部との格差をその不足率で見ると、小学校の場合は区部の一・三%に対し、三多摩が六・五%、中学校においては区部の〇・四%に対して。三多摩は四・九%という高い不足率を示しております。
保育所については、特に人口急増団地における若い主婦層の要望は集団的に高く、収容能力はまさに六〇%にも満たなく、未就園児があふれて社会問題化しておるのが実情であります。
幼稚園についての区部の幼児人口が二十四万三千人余であるのに比し、三多摩は九万七千九百人余で、人口比率は区部の四〇%でありますが、幼稚園数が区部の九百六十七園に対し、三多摩は三百五園で三〇%になっており、公立幼稚園にあっては区部の二百十六園に対して三多摩はわずかに十一園、五%というお話にもならない状況で、これはいかに三多摩が、小中学校の建設に追われて、保育、幼稚園に手が回らないかがうかがえる何よりの証左としておわかりになると思うのであります。公立私立を問わず、その設置補助等についてすみやかに再検討すべきであると思います。
道路の舗装率についても区部の九〇・六八%に比し、三多摩は四〇・七七%と低く、幅員についても区部の六・八一メートルに対し、三多摩は四・〇六メートルという状況で、いかに整備がおくれているかがうかがえるのであります。
次に、保健所、普通病院、診療所について見ますと、特に深刻な三多摩での不足が目立つのであります。保健所においては、区部は一所当たり十四万三千人余りですが、三多摩は十六万七千九百人で、二万四千人も多くかかえており、面積は区部の九・四六平方キ、に対して、三多摩は七七・四〇平方キロという約八倍であります。
普通病院及び診療所については、区部の一カ所当たりの人口が九百十五人であるのに対し、三多摩は千四百十七人となり、一・五倍という状況であり、人口十万人当たりを見ますと、区部は百九ヵ所、三多摩は七十ヵ所という率になっておるのであります。しかしながら、三多摩市町村のかかえておる市町村立病院は、都立病院に比し、財政援助が著しく低い点を指摘したいのであります。
すなわち、一ベッド当たり、都立病院は百万円も要しているのに比べて、市町村立の病院はわずかに二〇%の二十万円程度にすぎないのであります。したがって、現在十指を数える三多摩の各市町村立の病院は、合計で十億円に達する赤字を背負い、医師、看護婦の不足や待遇改善等で苦慮し、ひいては医療水準の低下をもたらし、市民の信頼を失うのを憂うるのであります。
例を町田市立病院にとると、べッド、数は二百八十六床、医師、看護婦、薬剤師、事務職員が二百五十六名を擁して、四十七年度の一般会計からの交付金が一億七千万円、現在補正後の累積欠損金が一億一千六百万円となり、これらが常に議会での問題となり、ついに病院再建審議会を発足させ、その答申によると、総合病院の体制と高等看護学院の新設などに二十億円を要するなど、大きく都財政に依存しなければならないという状況をうたっておるのであります。
知事は、三多摩各公立病院の実情を理解し、今議会に提出されております陳情請願を尊重して、都立病院同様の財政援助をされるか、あるいは都立病院として受け入れることを提案されるか、二者択一のこの重要医療体制の解決に、都民の生命と健康を守るための勇断な措置を希望してやまない。知事の即答を求めるものであります。
私は、最後に、格差の素因とも考える振興交付金のうち、一般交付金十六億二千万円は、何と微々たる額ではないか。特定交付金、調整交付金、これらすべてを合わせて五十五億五千万円余は、その算定基準について、長年にわたって誤りがないかと疑問に思わざるを得ないのである。その基準を伺うとともに、将来の行き届いた対策を示していただきたいのであります。三多摩格差解消は、これら交付金額の根本的是正を実行されたいとともに。三多摩各自治体を包含する東京の長たる知事さんは、その責任を強く自覚して、三多摩都民のための施策に万全を期せられるために、私は次のような抜本策を知事に提案するから実行に移されたい。
一つ、都庁の機構を改め、三多摩担当の副知事を選任すること。
二つ、三多摩局を新設し、格差是正に取り組むこと。
三つ、三多摩財政を確立すること。これが一番大事である。
以上の三点を骨子とした施策を実行しない限り、三多摩格差は解消されないと思う。重要なこの私の提案に対し、知事の所信を問うものである。お答えを願いたい。即答を願いたい。(笑声)
もう一点、交通対策についてでありますが、六月定例会におけるわが党の質問に対して、知事は京王線、小田急線の多摩ニュータウンへの延申について述べている。しかしながら、小田急の利用状況から見ると、多摩ニュータウンの足の確保や地下鉄の九号線の乗り入れに伴う新線建設だけでは全く片手落ちといわざるを得ないのである。なぜならば、小田急線は新百合ヶ丘までの線増計画以前の問題として、すでに数年前より、新百合ヶ丘駅以遠の相模大野。新原町田まで、急行線の乗車効率が二五〇%前後となっており、深刻な通勤通学難を来たしているからである。したがって、この対策としては、東北沢から新百合ヶ丘までの線増に万全を期するのはもちろんのことであるが、さらに新百合ヶ丘から新原町田、相模大野付近までの輸送力増強計画が万全な策と考えられる。これについて知事の所信を伺うものである。
以上をもって、私の質問を終わる。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 国におきましては、本年七月政令改正によりまして、公社の面積基準を平均二〇%引き上げました。また、建築単価については、本年度予算で対前年比一〇%引き上げましたが、最近における建築資材の高騰による影響で。さらに一〇%増の改定を行ないました。都といたしましては、なお実態に沿うよう単価引き上げを強く国に要望するとともに、急増市町村の義務教育施設に対する助成措置を、単価の面でも補助方式の面からも一そう充実し、市町村の財政負担の軽減につとめてまいりたいと思います。
市町村公立病院に対する財政援助につきましては、毎年可能な限り増額をはかってまいりましたが、人口の急増している多摩地区にあって、地域医療の中核としての市町村公立病院の役割りは重要であると考えておりますので、都としても市町村の財政事情を勘案し、今後とも増額を検討してまいる所存でございます。
三多摩に対する都の施策は、関連各局の連携のもとに整合性を保って推進することが必要なことと考えます。しかしながら、ご提案のあった機構の改革については種々困難な面もありますので、慎重に対処いたしたいと思います。
なお、市町村財政の強化については、都としては都財政の許す限り、市町村振興交付金、基金及び補助金の充実をはかってまいりたいと思います。一方国に対しても、実態に即した財源配分、並びに超過負担の早期解消を強く要請してまいりたいと思います。
次に小田急線につきまして、昭和四十七年三月の都市交通審議会においては、小田急線の東北沢から新百合ケ丘までの間の線路の増加を答申し、多摩ニュータウン新線についてはすでに工事中でございます。また本線新百合ケ丘以遠については、電車の増発、十両編成の央施等、輸送力を増強し、混雑緩和につとめる必要があると思います。これらの事業の促進については、小田急電鉄に事業の促進を要望いたしたいと思います。
◯副議長(西方国治君) この際、議事の都合によりおおむね二十分間休憩いたします。
午後三時十九分休憩
━━━━━━━━━━
午後三時四十四分開議
◯議長(醍醐安之助君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
十九番鈴木善次郎君。
〔十九番鈴木善次郎君登壇〕
◯十九番(鈴木善次郎君) 私は、都政の重要課題である水資源問題について質問いたします。
知事は、今定例会の所信表明の中で、水問題の重要性を認め、ごみ戦争の次は水戦争だと考えると述べ、さらにこの戦争は予想以上に急テンポで都民に迫ってきていることを強調しております。まさにこの水間題は、東京の都市機能や都民生活を破壊するかいなかの重要問題であります。
本年は。異常渇水があったとはいえ、昨年に引き続いて給水制限を行なわなければならなかった責任は重大であります。本年三月の定例会でわが党代表が、水問題の解決のためにその対策の確立を訴えて、警鐘を乱打したのでありますが、そのときの知事の答弁には、今年の給水事情については、水源地域の積雪量が昨年に比べてさほど多くはございませんが、幸い小河内、村山、山口の三貯水池はほぼ満水に近い状態であり、昨年程度の水源事情であるならばまずだいじょうぶだと考えられますと、自信のほどを明確に述べているのであります。
しかし、案に相違して、利根水系の異常渇水で原水の取水ができない状態に追い込まれ、給水制限のやむなきに至ったわけであります。しかも、この時点における小河内ダムの貯水量は一億二千万トンあったわけですから。都の取水体制に不備があったことは明らかであり、いまだに都の水源対策はお天気まかせの不十分なものであるといわざるを得ません。
その上、昭和五十年度に完成が予定されるダムは草木ダムだけで、ほかのダムはほとんど見通しがつかない実情にあり、日量二百万トンから二百五十万トンの原水不足が見込まれる深刻な状況で、都民にはまさに東京砂漠の運命が待っているのであります。このままに水源対策を放置すれば、責任は重大であります。
そこで知事は本年五月二十八日、磯村副知事を会長として各関係当局の参加のもとに、水の有効利用対策協議会を庁内に発足させ、まさに水戦争に対する作戦参謀室を設置したのであります。しかし、いまだにこの会議は二回しか開かれず、節水部会、循環利用部会の発足後、現在専門分野で研究中とのことで、水問題解決の糸口すらどこにも見当らないのであります。総合的な節水対策、下水処理水の再利用、産業用水の循環使用システムの開発、さらに普及など、全く知事の意に反して、あとで述べるごとく進展していないのであります。
そこで、昭和五十年度の計画、一日最大給水量約七百万トンを確保するために、知事は国との折衝、さらに水源地を控えた隣接諸県との協力体制について、どのような努力をしてきたのか、また今後の措置についてはどう考えているのか。基本的な姿勢と対策について具体的にお答えを願いたいのであります。
そこで、わが党は都議会改選後、直ちに水資源開発事業の現地調査を実施いたしました。この調査は群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉。都内の、合計一都五県にわたり、都民の水源確保のため、積極的な調査活動を行なったのでありますが、その実態訓査に基づいて、問題点を明らかにしながら知事の所信を伺いたいと思います。
まず第一点として、霞ヶ浦開発事業であります。建設省が昭和四十三年四月に治水計画を樹立し、着工以来すでに五ヵ年を経過しております。その間、四十六年三月に水資源開発公団が工事を引き継ぎ、五十一年三月に完成の予定で施行中のものであります。目的は、霞ヶ浦周辺に湖岸堤を新改築して、流入する五十河川の洪水を防除するとともに、茨城県、千葉県北総東部の農地約二万五千二百ヘクタールに、かんがい期に平均毎砂十六・六四トンを供給し、また茨城県、東京都に対して都市用水を毎秒二十三・三六トンを供給する目的の事業であります。
この霞ヶ浦を調査した結果、問題になるのは西浦水域の水質汚濁問題であります。特に汚染度の激しい水域は土浦と川島村、さらに石岡台地の高浜入、そして北利根橋付近の各水域であります。
土浦水域は、最近の急激な都市化現象によって、境川をはじめ流域五河川に生活排水が直接たれ流され、湖に放流されているのであります。
また出島村水域は、特に約三十万頭ともいわれる日本一の養豚場をかかえ、その一頭分の屎尿排出量は、人間に換算して何と七名から八名分の量となり、いわば人口約二百万人分の屎尿量が湖にたれ流しされている計算になっているのであります。
さらに、高浜入も北利根橋付近にしても、土浦水域と同じ状況で、生活排水がそのまま湖にたれ流しとなっており、その汚濁度は極度に悪化の一途をたどっております。国から指定された環境基準値にするため、県も地元の土浦市もやっきになっているのが現実であります。
特に本年は異常渇水あって、七月十九日には高浜入水域の養魚コイが、高温による酸欠によって何と三十三万匹が一度に死んで、その被害総額は約二十一億円にも及んでおり。補償問題にまで発展するという不幸な事件を引き起こしたのであります。これらの現況から、霞ヶ浦の水質保全対策こそがまさに緊急課題といえましょう。
ゆえに問題となることは、利根川の水を霞ヶ浦の水位まで上げることによって、北千葉導水路、野旧緊急導水路を通して東京の水道用原水として取水することであります。すなわちこの霞ヶ浦の汚濁された水が東京の水道原水となる心配があるのであります。関係筋の話では、実際は霞ヶ浦の水でなく、水位が上がった利根川から取水するから心配ないとのことであります。しかしながら、これらは科学的根拠のない話であります。われわれは信用できないのであります。
しかも現在すら江戸川でも、先ほど指摘があったように、環境基準に照らして好ましからぬ原水を取水するという状況から判断して、たいへんな危険性を持つといわざるを得ません。
したがってこのことは、第四次利根川系水道拡張事業を開始している現在、知事は霞ヶ浦の完全な汚濁状況の調査、及び水質の検査を、公害局に命じて行なわせてはどうかと思うのであります。
また、科学的に水位が上がってきたことによって利根川の水がどのように汚染されてくるかいなか、究明がなされているかいなか、水道の原水として取水する以上、知事は一千百万都民の生命と健康を守るためにも、積極的な調査と対策を行なうべきであろうと考えますが、知事の明快なるご答弁を期待するものであります。
次に、湖岸堤の新改築工事も急がなければならないのであります。当水域の中で問題なのは高浜入水域であり、当水域は農林省が先行事業として昭和四十二年から現地に千四百五十三ヘクタールを干拓し、当初稲作政策を打ち出したが、相次ぐ減反政策によって干拓事業の農政変更や、自然保護政策に対する不信感から、強烈な反対運助が起こっております。現地は一切立入禁止で、政治闘争化し、第二の成田空港事件にもなりかねない、まさに最悪の状態であります。したがって当水域の湖岸堤工事は、農林省の所管である以上、霞ヶ浦水域の完全工事のメドは全くわからないのであります。
ゆえに、この干拓事業にめどがついて湖岸堤の完成ができない限り、毎秒二十三・三六トン、日量百八十万トンの水を取水することができなくなるのであります。ひいては東京の水道原水の絶対量はますます不足することになり、この対策について知事はどのように考えているのか、明快なる答弁をお願いいたします。
ここでわれわれが知事に提言したいことは、水源確保の早期実現をはかり、長期的展望に立って利水を考えるならば、その対策として、水質保全対策の早期確立であります。すなわち、下水道施設の完全整備を促進するために、地元県当局と関係流域市町村に対して、財政面も含めた協力体制を確立し、国に対し、当地域流域下水道施設計画を早急に完成できるように、強力なあっせんをはかるべきであると思うが、知事の所見をお聞かせ願いたい。
次に、思川、開発について質問いたします。この計画は、昭和四十年三月から予備調査が開始され、四十四年に実施調査が完了して、四十五年に第二次利根川水系水資源開発基本計画に組み入れられたもので、規模は、貯水量最大一億四千万トンであります。
このダムの問題点は、計画そのものに疑問があり、現地の今市市、鹿沼市の市民生活に直接影響を及ぼす地下水の確保であり、この地下水の問題がダム建設後にも絶対保証されるとの実証を示さない限り、一歩も計画を推進することができないのであります。まさに現地も水戦争は過熱の度を加え、ダム建設現場は一歩も立ち入りできない状態で、公団思川調査所は全く開店休業といった異常事熊であり、この問題打開策として県が専門学者グループにその解決を諮問し、今年度中に予定されている答申をまって、計画の再検討を行なうとのことであり、昭和五十年工期完成とはいいながら、予備調査発足以来実に八年間が経過し、将来に至っては全くめどがつかないのが実態であります。
そこでわが党は、取水の主流である大谷川を現地調査したところ、水源地である男体山系の山々が最近特に老化現象が激しく、台風や大雨のたびに山くずれが発生し、そのたびに土砂が雨水とともに大谷川に流れ込み、河床が年々上っている実態が判明し、そのため地下水の水位低下は避けられず、市民生活の死活問題として受けとめられることは、理解できるのであります。建設省林野庁の治山対策による砂防工事もしょせん焼け石に水であり、大谷川上流の完全治山対策の確立こそ地元住民の願うところであり、この計画を推進する一つのきめ手ともなるものと思われるのであります。
また、ダム建設予定地は鹿沼市の山間部に位置し、風光明媚な思川渓谷の部落であり、住民としてはまさに死活の場所であり、土に生き土につながるふるさとであります。建設に伴って墳墓の地を追われる住民の立場を考えるならば、八年間の歳月はあまりにも長く、心のいら立ちはことばではいい尽くせないものがあります。
知事はこの際、これらの事情から判断して、その計画を前進させる意味からも、地元県当局との協力体制をはかり、男体山系の治山対策の早期完成と、ダム建設現場の住民に対する将来にわたる生活一切の補償の取りつけを、国に対して行なうべきでありましょう。東京の水源を確保するためには、この思川、開発に対して知事はいかなる対策を持っているのか、明快なる答弁を期待するものであります。
次に奈良俣ダムでありますが、今回の調査に、よって一番可能性のあるダムでありました。このダムは、矢木沢ダムの手前に洞元湖があり、それよりさらに右に登ったところに建設が予定されており、水没予定地帯は国有林が大半で一部民有林がありますが、補償問題に関するトラブルはまずないものと思われます。本年六月に実施調査に入り、早期完成を待たれるものであります。
次に昨日も質問の課題になりましたハツ場ダムのことであります。これは「やんバダム」と申すもので、知事は「やつばダム」とおっしゃつておりましたがこれは間違いでございますから、訂正を申し上げたいと思います。このダムは、利根川水系の吾妻川上流流域に建設が予定されており、昭和三十九年の予備調査以来今日に至って、約九年間、全く長い間です。現地住民の理解が得られぬままに反対されて、建設の見通しが全くつかない重大事態となっております。
このダム建設の問題点は、建設予定地の設定にあるのであります。現地は川原湯温泉郷をかかえ風光明媚な場所で、川原湯岩脈等の自然の影観はまた格別なものがあります。春夏秋冬訪れる客があとを絶たず、地元住民の立場からいえば重大な死活問題であります。その上、国鉄吾妻線、また国道一四五号線が水没予定のため、代替鉄道路線の確保、代替国道の確保もからんで、反対と賛成両派の争いは地元長野原町の総合開発計画にも大きな彫響を与えるとして、まさに政治闘争化の空気さえ見られるのであります。温泉旅館街でも、温泉源の代がえ、が保障されない、として猛反対を唱えており、建設計画の設定の無理を強く非難してまいりました。しかも、最近反対同盟代表から建設絶対反対、建設地変更の猛裂な電報が都議会議長あてに届いており、この建設計画も全く白紙にひとしく、五十年完工どころか、建設不可能といった状況であります。この建設が進まない場合において、都は水道の原水としてどのぐらい不足するのか、知事は科学的調査を進めてきたと思うが、その所見をお聞かせ願いたい。
次に荒川水系の中津川流域にある滝沢ダムでありますが、昭和五十年の完成目標で本年一月基本計画が告示されました。水没予定家屋七十一戸の反対運動もありますが。補償問題も含めた生活再建のめどや、過疎化の促進等々の諸問題はあるとしても、誠意をもって解決に努力すれば、建設も可能と判断されるものであります。特に当ダムの問題点は、過疎現象により老人世帯が多いため、立ちのき後の生活再建のめどが全くつかないという、過疎化の促進につながる死活問題であります。さらに地元は水には全く困らないのでありまして、東京、埼玉での水不足には一応の理解は示しているものの、そのために何で地元民が犠牲を強制させられるのか全く理解できないと、行政に対する不満をぶちまけており、水がほしければ、埼玉県知事も東京の美濃部都知事もここに頼みにくればいいではないか(拍手)一度だって来たことがありますかと、はっきり名ざしで非難しているのであります。地元の大滝村村長も過疎化と観光開発の板ばさみで、その方向づけにたいへんな苦労をしております。知事もこの際東京の将来の水事業を考えるならば、みずからが先頭に立って対話の中からお互いの理解を深めて、建設促進の方向づけに努力すべきであると思うが、知事の決意のほどをお聞かせ願いたい。
次に、同じ荒川水系で秩父市のすぐ郊外に浦山川があります。ここに計画されている浦山ダムについてでありますが、この計画は建設省が担当して施工する関係上、詳細は不明であります。われわれの調査によれば、地元秩父市長は建設計画に対してよく理解を示しており、その立場から、将来発展計画との関連でいろいろと意見を持っておりました。その一つとして、ダム建設に伴う林道開発計画があります。この林道は奥多摩町に通じており、ハイカーの利用に役立たせ、ひいてはダム周辺の観光開発に通じる大きな再建計画をどうしても実施したいというもので、この際都側の絶対協力を希望しているのであります。いずれにせよ、このダムも将来都として利水上絶対確保すべきダムであり、地元市の計画に協力すべきであると思うのですが、知事の所見をお聞かせ願いたい。
最後に、北千葉導水路。野田緊急暫定導水路についてでありますが、野田導水路は北千葉導水路が完成するまでの暫定措置であり。都の利水配分も、現地調査の結果毎秒十トンのうち最低限約三トンが見込まれていますが、北千葉導水路についてはいまだその利水配分は決定を見ておりません。したがって、北千葉導水路、完成後の野田導水路も、引き続き取水の確認を取ることも必要であるし、北千葉導水の利水配分もできるだけ確保するように細心の努力を必要とすると思われるが、知事の所見をお聞かせ願いたい。
以上、調査によって明らかなごとく、昭和五十年までに完成のめどがついているのは草木ダム一つであって、それ以外には何にもないのであります。第二次水資源開発基本計画にのっている思川開発、霞ヶ浦開発、ハツ場ダム等の建設は大幅におくれ、工期も迫っているが着工さえめどが立たず、完成などとうてい見通しがつきません。ゆえに、事薬計画の原水確保は目標の約五〇%がやっと維持されるという、全くたいへんな事態となったのであります。
都の水道供給体制も、第三次利根川系水道拡張事業によって確実な事業遂行が見込まれてはいるが、昭和五十五年までの計画、一日給水量である八百三十四万四千トンに対する増加水量の二百二十万トンの原水確保は、現実の問題として不可能に近いのであります。しかし、都の需給計画は架空の数字ではなく真実に近い数値を示しており、現実に五十年から五十五年にかけて日量二百万トンから二百五十方トンの原水不尼が予想されます。そこで、現在都の人口を一千百万人と押えて水道の需給計画が進められているが、はたして今後の都市構造の変貌や、さらに生活様式の変化に伴って、大口需要は絶対に避けられないと知事も所信表明で明らかにしており。人口の増加、今後の需要の見通しを含めて、ここで都の需給計画を抜本的に再検討、をはかり、特に大口需要に対する何らかの措置を示すべきだと思うが、知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。
さらに、知事は迫りくる水戦争に打ち勝つためにも、いままでの態度を改めて積極的な行動を起こすべきだと思うのであります。なぜならば、これまでは利水に対して関東地方行政連絡会議を含めて五つの連絡機関を通し、企画調整、首都整備、建設、水道各局がその対策に当たってきたが一向に水源の確保はできず、その上、水不足の解消は全くされておりません。この際、知事はみずから統括的な立場で真剣に将来の水事情に対処するために、効果のあがる実質的な水問題対策の委員会を何らかの形で発足させるべきであると思うが。知事の所見をお聞かせ願いたい。
次に草木ダムの水質についてであります。今回の調査で、昭和五十年には日量五十万トンの原水が確保される見通しがついたとはいえ、当地上流には、鉱毒公害で歴史上有名な足尾銅山があります。知事もご存じのごとく、本年も赤水が大量に渡良瀬川に放流されて大問題を引き起こした事件は、記憶に新しいところであります。幸いに都の水道には全く影響がなかったのですが、しかし、これとても完全に不安はぬぐい去れません。草木ダムに貯水する水質については関係筋も心配はないといっておりますが、問題が起きてからでは間に合いません。水質は絶対安全だと都民にいい切れるのかどうか、明確に答弁を願いたいのであります。
次に、相模川からの日量二十三万トンの取水契約打ち切り問題であります。取水権を国から認められている経過があるとしても、昭和五十年には一応期限切れとなり、現在の水道原水では日量二十三万トンは絶対に欠かすことのできないものであります。神奈川県当局から強硬な打ち切りを打ち出された場合、この問題に対し知事はどのような対策をお持ちなのか、この際明確に答弁を願いたいと思います。
また、第四次利根川系水道拡張事業にある日量二百二十万トンの新浄水場を三郷市に計画中と聞いておりますが、タイムリミットも含めて具体的に用地確保、規模等どの程度の方向づけがなされているのか、さらに、この計画を推進するにあたり膨大な事業資金を要するものと思われるし、完成は決して楽観はできないと思うのでありますが、その資金計画はどうするのか、具体策があれば明確にご答弁願いたい。
次に、このほど建設省河川局が、昭和六十年における水需要の見通しについての広域利水調査第二次報告を発表しましたが、その報告によれば、今後人口の集中がこのまま続けば、南関東地域では人口一人当たりの降水量が年間に七百五十トン程度まで減少するものと予想され、その時点での人口一人当たりの年間需要量は四百トン程度になり、降水量の半分も利用しなければならないという水需要の増大と将来への水源不足を、いまから決定づけて報告しているのであります。この予想どおり大きな水不足が生じると、都民の水が計画どおり確保できない不幸な事態が発生することが必至であるが、知事はどのような対策を考え水確保にあたられるのか、水戦争に勝ち抜く知事の決意のほどをお聞かせ願いたい。
次に「水道需要を抑制する施策」(提言)として本年一月水道当局が発表したパシフレットを見ますと、結論として、事業体や住民の協力がどの程度まで得られたかによって、その効果が左右されると書かれています。したがって、水を使用する人の良識と生活の知恵に期待する度合いが大きいと、はなはだ消極的な節水PRを結論としているのであります。はたして、これで一千百万都民の節水意識の革命に自信があるのでしょうか、その真意を疑うものであります。
そこで、提案でありますが、都の水事情は長期にわたって決して楽観できるものではありません。したがって、節水意識の徹底は絶対に必要であります。水の大切さ──水は生活に欠かすことのできないものであるならば、小さいころから教育の課程で思想の徹底をはかるべきであり、その段階として都内全小学校五年生以上、さらに都内全中学枚生徒全員に水問題の都の実情と、水の大切さと、節水に対する具体的な指導を組み込んで副読本を作成し、無料配布して水に対する思想の強化をはかるべきであると思うが、この計画を実施する考えがあるかどうか、まず知事の所見をお聞かせ願いたい。
さらに、水道は水道法に明らかにされているように、清浄な水を豊富低廉に供給することにより、公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与するものとされてきたのであります。節水運動の考え方として一般家庭の節水効果をあげることも必要ではあるが、問題は、大口需要者の節水効果のほうが大切ではないかと思われます。したがって、都は、将来の水事情に対処する意味からもこの際大口需要者の突態調査を実施して、総合的な立場から大口需要者に対して水の有効利用を積極的に義務づけすることが、私は大幅な節水量の効果をあげることができると思うのでありますが、知事の所見をお聞かせ願いたい。
最後に、海水の淡水化実用問題であります。近代社会の中で、海水の利用は原子力開発時代を迎えて最大の課題であります。公害問題対策について一応の不安はぬぐい切れないものがありますが、最も魅力のあるところであります。膨大な費用を必要とすることから供給単価が非常に高く、河川水の場合の数倍であり、コスト低下のための技術開発が特に必要でありますが、わが国でもすでに実用化されて、多段フラッシュ法といわれる蒸留法によって、九州の松島炭鉱では日量二千六百五十トンプラントが島民給水用として運転されており、多重効用法─これも蒸留法でありますが、瀬戸内海の因島において日量五百トンプラントが運転され、また、イオン交換膜法、通称、膜法では東京都式根島で日量二百トン、大島でも同じ方法で日量千トンプラントが運転されておるのであります。
あるデータによれば、工業技術院の大型プロジェクトでは、大規模プラントで造水コストをトン当たり三十円台にすること、造水コスト引き下げに役立つような副産物利用技術を開発することを目標に研究開発が進められており、この計画では、とりあえず昭和五十年度までに総額五十億円を投入して、日量十万トンプラントの建設を可能にすることを目ざしており、なお、通産省関係の考えでは、日量百万トン規模プラントの建設可能な時期を昭和五十年代後半としているようであります。
このように、海水の淡水化への努力は着々とその成果を生みつつあり、近い将来、生活用水として安価に求められる時代は必ずくるものと確信しておりますが、都も将来の水事情を考えるとき、その水利用の用途を含めて総合的に研究開発を進め、さらに淡水化への基地の設置等の考えがあるか、意のあるところをお聞かせ願いたい。
以上、私は都民の立場で東京の水問題を長期的展望に立って実態調査の結果、必ずしも楽観できない水行政のあり方について種々の意見や提言をしてまいりましたが、どうか知事の責任ある答弁を期待して質問を終わります。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 水資源の確保につきましては、広域的な立場で計画並びに事業を担当している国に対してその促進を要望してきましたが、今回、水源地域対策特別措置法が成立して、下流の受益県から水源県の事業について財政的協力を強化していくルールができたので、これを足がかりに水源県に対して財政面等の協力をすると同時に、原水の確保について要請をしてまいりたいと考えております。
霞ヶ浦の水質調査は、水道局において将来の水源調査の一環としてすでに継統的に実施しております。なお、建設省、茨城県等の関係諸機関においても種々調査、検討されているところであり、これら諸機関と十分連絡をとりながら、積極的に対処していく所存でございます。
霞ヶ浦水域の農林省所管の干拓工事については、関係者の一部に反対運動があり、そのために工事がおくれていると聞いておりますが、都は今後とも早期解決を国に対して要望してまいりたいと思います。
霞ヶ浦の開発利用に当たって流域下水道の整備は必要欠くべからざるものであり、都も地元県とともに国に要請してきたところでございます。その成果として、水源地域対策特別措置法により、都も受益団体として流域下水道についても経費の一部を負担することになったので、今後とも事業の推進に協力していく所存でございます。
思川開発につきましては、当初から大谷川の取水について今市市等から科学的調査の要望があり、現在、栃木県が中心になって調査中でございます。その結果、必要な対策や、地元の要望が明らかになった段階で、都としてもでき得る限りの協力をしてまいりたいと思います。
ハツ場ダムの建設は、建設省が実施計画作成のための調査を行なっている段階でございますが、都市用水としての総量は毎秒十六トン程度と予想されております。なお、各府県への配分量は全く未定でございます。
埼玉県の水需給関係も本都と同様に非常にきびしいものがあり、滝沢ダムの問題については、今後とも緊密な連絡をとって推進していく所存でございます。県内の諸事情もありますので、直接地元折衝に当たっている県知事ともよく連絡をとり、その上で私自身が直接地元へ出向いてお話する所存でございます。
林道開発計画について、でございますが、お話のようにこの林道は林産資源の面より、むしろ観光的なウェートが大きいのではないかと思います。この区域は国立公園内であり、また水源林でもございますので、自然保護の立場からも十分関係機関と協議し、慎重に調査、検討してまいりたいと思います。
野田導水路につきましては、建設費の負担割合を暫定的にきめただけで、利水、配分はまだきまっておりません。しかし、緊急暫定導水路とはいえ当然将来にわたって有効な施設となり得るので、一都二県でそのときどきの需給事情に照らして水利、運用をすべきものと考えております。
なお、北千葉導水路は、調査の段階から導水量の増加を国に要望しており、利水配分等についても、ご指摘のように都の実情に対応できるよう努力してまいりたいと思います。
大口需要に対しては、下水処理水の再利用による雑用水の供給、地区循環、個別循環の義務づけをはかり、極力需要を抑制していく方向でその制度化の検討を進めております。また節水型用水機器の取りつけの義務化、特別の負担金制度、累進制を強化した料金制等もあわせて検討し、条例等の再検討をする予定でございます。当面は特定の大規模ビルの新築については、二系統給配水設備及び節水機器の取りつけ等につき行政指導を行なっております。なお、これらの需要抑制を盛り込み、都の水需要計画の再検討をいたしたいと思います。
水問題については、ただいまも全庁的に真剣に取り組んでおりますが、ご指摘の組織については、早急に検討したいと思います。
渡良瀬川の水は従来から金町浄水場の原水の一部として利用しておりますが、これまで重金属類によって水道水に影響を受けたことは一度もなく、将来とも心配ないものと考えております。
草木ダムは金町よりはるかに足尾に近接しておりますが、水質については心配ないとの報告を受けております。しかし、水質の保全には念を入れて、検査を怠らない所存でございます。
次に相模川分水については、都の水源事情はきわめてきびしい状態にあるので、期間満了後においても引き続き分水を継続するよう、神奈川県及び川崎市はもちろんのこと、国の仲介を得て、強力に折衝を続けてまいりたいと思います。
次に第四次利根川系水道拡張事業における三郷市に建設予定の浄水場敷地面積は約三十万平方メートルで、すでに県及び市と調整、協議を経てその位置の決定を見ており、買収については地元と折衝中でございます。浄水場の建設は昭和五十年度に第一次として八十万立方メートルを通水し、逐次増加させ、昭和五十五年度に二百二十万立方メートルの全量を通水する予定でございます。
次に第四次利根川系水道拡張事業の全体事業費は二千億円で、全額起債を予定しており、必要資金は確保できる見込みでございます。
所信表明の際に、水の問題については重大な決意のほどを申し上げました。この問題は、今後は生活用水優先を前提とし、都自身でできるあらゆる手段、つまり域内河川の再開発、漏水防止、水の循環利用、節水をはかりつつ、諸県の水需要と共存協力し合いながら、都民の水を確保するため全力をあげてまいりたいと思います。
お話のとおり、次代をになう小中学生に対し、教育の場で節水思想を植えつけることは、きわめて重要なことと考えます。このため、本年度から社会科副読本「水道のはなし」を作成し、公私立小学校四年生全員に対して無料配布しており、来年度よりさらに現在の小学校五年生以上、中学生全員に対して作成、配布する所存でございます。
次に海水淡水化については、都としては当面通産省が実施中の技術開発の成果を期待するとともに、海水淡水化を採用する場合の公害対策などの諸問題を含めて種々調査を進めております。今後とも関係諸機関と十分連絡をとり、早い機会にこれの、実用化が可能となるように検討を進めてまいりたいと思っております。
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◯議長(醍醐安之助君) 四十九番山中充君。
〔四十九番田中充君登壇〕
◯四十九番(田中充君) 手形は切るが、落とせない美濃部知事に、清掃行政、特に杉並清掃工場建設問題を中心にお尋ねをいたします。
本部長以下四十六人の職員を配属し、鳴りもの入りで六月一日に発足した杉並清掃工場推進本部に、私はある夏の昼下がり、その労をねぎらうために訪問をいたしました。そこには大半の職員が仕事もなく、テレビの前で高校野球を観戦し、その片手間にPR用のアジビラを折っている姿に接したとき、都民の血税がいかに浪費されているかを知ったのであります。数十種類のアジビラや、パンフレットを杉並区全世帯はもとより、都内にすでに五百七十万部、約二千万円を費し、あたかも選挙の紙爆弾のごとく、一方的に、ところかまわずばらまかれているのであります。このことは高井戸地区に対して強力な圧力をかけ、世論をでっち上げ、黒を白という卑劣な方法であります。
この巧みな世論操作は、高井戸住民を悪者に仕立て上げようとする陰謀であり、人民裁判であり、また第二次世界大戦におけるアドルフ・ヒトラーがとった得意の宜伝手段そのものでございます。(拍手)まさに美濃部知事がヒトラーであるなら、その腹心である志賀清掃局長は、宜伝大臣のヨゼフ・ゲッベルスともいえるでありましょう。
この美濃部革新独裁都政がみずから引きがねを引いたごみ戦争は、九月末のタイムリミットの公約を果たすことなく、秋風とともに過ぎ去り、杉並をはじめ十三区の五十年全量焼却はもろくも敗北に帰したのであります。
知事は六月四日この本会議において、わが党の古谷議員の質問に答え、杉並清掃工場は五月適地選定、九月のめどは五十年全量焼却を達成するためのぎりぎりの建設着工の開始時期であると断言をいたしております。しかしながら、高井戸の土地所有者は、七年前と変わりなく、都営住宅用地ならばともかく、清掃工場用地としては絶対に売らないと断言し、反対期成同盟も、知事との対話を通じてますます決定の非民主制を暴露できると、自信を深めております。
六年半、かかって、ごみ問題一つ解決できなかった知事の行政能力は、いかに無能力者呼ばわりされても弁解の余地はありません。(拍手)知事は政治生命をかけたごみ戦争に破れたのであるから、この際、男らしく政治責任をとるべきだと思いますが、知事の見解を伺いたい。(拍手)
また、今日、江東区が実力行使に踏み切った場合、知事はこれにどう対処するか、知事の見解を伺いたいのであります。
次に、知事は一昨日のわが党の田島議員の質問には、時問が若干おくれても、高井戸とは話し合いで合意に達する方向に進んでいると答弁をしておきながら、昨日の大塚議員の強制収用をするかしないかとの質問には、あるいはするかもしれませんと、とんでもない無責任な答弁をしているのであります。一方では権力をたてにおどし、一方ではスマイルで手招きをしている、この二枚舌外交にはあきれてものがいえないのであります。
知事は四十七年二月、反対期成同盟の内藤裕作委員長、地主代表の内藤庄右ェ門氏と覚書を交換しているのであります。覚書の中には、「東京都知事は、今後前記杉並清掃工場建設用地及びこれに付随する用地について将来にわたっていかなる場合にも強制力による手段をもっては前記土地を取得しない。」と書き、ごていねいにも覚書交換に当たっての統一解釈文書には、『いかなる場合』とは、今後行なわれる話合いが決裂した場合をも含む。」、『強制力による手段をもっては前記土地を取得しない』とは、東京都収用委員会の裁決がくだされた場合などにおいても強制力による一切の手続をとらないということである。」、この公文番は道義的にはもちろんのこと、法的にも有効であるにもかかわらず、知事の収用発言は高井戸住民を、ぺてん、にかけた重大な発言でございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)したがって、これからの話し合いは、この発言が撤回されない限り一歩も進まなくなることは明白であります。一切の責任はあげて知事が負うべきであり、高井戸住民に対し何と釈明をするのか、知事の見解を賜わりたいと思います。
次に、九月末のめどがつかないと見るや、清掃局は一部の美濃部ファンの婦人団体と選挙母体ともいわれる杉並区労協や、都の清掃労組をたきつけ、早期設置期成同盟なるいかがわしい団体を発足させたのであります。(発言する者多し)そればかりか、高井戸小PTA会長の共産党区議や、住民登録がないまま、わざわざ多摩市連光寺から越境入学ならぬ越境PTA会長として、高井戸中学のPTA会長におさまっている宮本共産党委員長夫人と連絡をとり、純粋なる住民運動に横やりを入れようとしていると聞いております。
しかし、今日賛成派である、共産党も、かって四十二年三月の杉並区議会本会議では絶対反対を打ち出し、意見の開陳をした事実がございます。当時の速記録を要約すると、先ほどの石井大三郎議員が区議会共産党を代表いたしまして、清掃工場は高井戸地区の環境を破壊する、環状八号線の拡張工事で交通公害や、交通事故が続発する、清掃工場から公害が発生しないという保証はない、このように絶対反対を唱えてきた共産党がいつの間にか賛成に変身してしまったことに、都民はあきれているばかりか、美濃部都政の七ふしぎの一つだといっております。
また、先月二十九日、高井戸工場促進派約二百五十人の集会で、共産党都議は自民党攻撃に終始し、かえって参加者からたしなめられるという一幕があったと聞いております。この政党色豊かな集会に児玉本部長や、都の清掃局幹部が出席し、指導的な役割りを果たしていたといわれておりますが、知事はどう思うか、見解を賜わりたいのであります。
次に九月末のタイムリミットについてお尋ねをいたします。都は江東区と五月末のゴミ戦争休戦協定では、杉並清掃工場のタイムリミットを九月末と約束している。しかしタイムリミットを過ぎた今日、その責任を一向にとろうとせず、知事は先般の衛生経済清掃委員会で、「タイムリミットをいったことは一度もない、九月めどは高井戸をおさめたい希望に過ぎない」と、開き直ったうその答弁をしているのであります。この発言は委員会を冒涜する重大発言であり、この発言の取り消しと陳謝を要求いたします。
次に今定例会に、知事は杉並清掃工場の予算として、任意協議による用地取得費五十七億円を計上いたしました。知事は、高井戸住民とあと数回話し合えば解決するようなことをいっておりますが、一体いつまでに任意協議によるめどをつけるのか、それが十月中なのか、あるいは次の定例会前までなのか、そのタイムリミットを、お尋ねいたします。
また都は依然として強制収用のための収用裁決を継続中であります。したがって今日、土地価格は固定化され、二十一億二千万円であります。一方では話し合い、一方では収用委員会に申請という形では、高井戸住民に対して二刀流で臨んでいることになり、住民は都の姿勢にますます不信を抱きます。したがって知事が真に平和路線で決着をつける自信があるならば、現在一時延申されているとはいえ、この不自然な裁決申請を取り下げるのが先だと思いますが、知事の見解を賜わりたいのであります。
次に都区懇談会について、お尋ねをいたします。都民参加を都政の基本姿勢とする知事が、昨年十月、杉並区に都区懇談会を設置いたしました。知事が三十八名の委員を委嘱したのであります。この都区懇談会は知事の隠れみので、初めから全委員中、知事側に立つメンバーを過半数任命しておいたのであります。この欺瞞性をいち早く見破って、町会連合会は不参加を表明し、その代表を最後まで送らなかったのであります。一方、二十四ヵ所候補の地から五ヵ所に選定された付近住民はある日突然の発表で驚き、地元住民の意見を無視して、かってに人の土地をきめることは、都民参加、住民対話に反すると強く反発し、候補地の代表者も委員に加えて公平に審議するよう、知事に申し入れをしたのであります。しかし知事はみずからの責任を回避するため、その責任を知事の名代として派遣した高橋正雄座長にかぶせたのであります。高橋座長は何の権限もないのに、この知事の要望にこたえ、住民代表を参加させなかったのであります。このときに住民代表を加えていれば今日このような状態にはならなかったはずであります。したがって、知事が口ぐせにいっている住民参加方式をなぜ、この杉並にとらなかったのか、お伺いをいたします。
次に清掃工場建設工事着手までの期間でありますが、都が誇る最新式多摩川清掃工場の場合、新発注方式によって工事着手以前にプラントメーカーの選定、JV構成、見積計画などの期間に十五ヵ月を費しております。この清掃工場は、候補地が決定されてから工事着手以前に十五ヵ月、工事期間が三十ヵ月の、合わせて四十五ヵ月かかっているのであります。したがってどんなに早くても全量焼却は、五十年度は、不可能であり、すでに五十二年以降に後退をいたしております。全量焼却による杉並区を含めた十四区工場のすべての建設完了年度は一体五十何年になるのか、はっきりと答弁を願いたいと思います。
ここで私は、杉並清掃工場建設の解決策として提案を行なうものであります。
一つは圧縮処理方式の採用であります。現在の清掃工場が敬遠される最大の理由は、公害、とりわけ大気汚染の問題であります。特に杉並区は
光化学スモッグの発祥地でもあり、そのアレルギーは他の地域よりも強いのであります。
そこで、杉並区清掃工場は、大気汚染の全く心配のないプレスエ場へ計画を変更するように提案をいたします。特にプレスエ場の場合は完全地下式が可能であり、地上はすべてオープンスペースとして使用でき、避難場所を兼ねた公園とし、福祉施設やスポーツ施設を設け、付近住民の福祉向上に役立てることができるのであります。この圧縮処理技術でありますが、すでに大阪市をはじめ、多くの都市がプレスエ場でごみを処理しており、データも腐敗、型くずれの心配がないことを物語っております。
次に、もう一点は、国有地の筑波移転跡地の利用であります。五十年度全量焼却計画がすでにくずれ去り、いまだに非民主的候補地選定ということで平行線をたどり、ますます行政不信をつのらせている以上、候補地選定について再検討すべきであると思います。都区懇談会においては、当初二十四ヵ所の候補地の中に入っていたこの蚕糸試験場が面積が四・四ヘクタールであるにもかかわらず、清掃局は故意にこれを三・四ヘクタールとして候補地からはずしてしまったのであります。杉並区以外の十三区については、国有地の跡地を候補地にあげております。以上のことを勘案し、杉並清掃工場建設用地は四十一年以来、二回も候補地にあがったにもかかわらず、全く反対のない農林省蚕糸試験場の筑波移転跡地に求めることを提案いたします。
この提案については、すでに杉並区内では杉並プレスエ場建設促進区民の会が結成され、杉並区内各地で住民運動が展開されております。もし杉並区がこの提案を支持し、多くの区民によって合意が得られた場合、今日の計画を変更すべきであると思うが、知事の所見を伺います。
最後に新宿副都心清掃工場についてお尋ねをいたします。その理由が何であろうとも、当日開かれていた衝生経済清掃委員会を無視し、発表したことは議会軽視もはなはだしいのであります。それにもまして許すべからざる行為は、本庁舎建設審議会をないがしろにしたことであります。知事は四十六年十一月、都の本庁舎のあるべき姿と位置について諮問をいたしました。以来審議会は今日まで候補地として丸の内か、新宿副都心の都有地三区画にしぼり、いよいよどちらかにきめようとしていた矢先、新宿の一号地を清掃工場用地として発表してしまったのであります。丸の内の四万六千平米、新宿副都心の三区画四万三千平米、両候補地ともほぼ同じ面積の条件であったのを一号地の発表により、新宿は丸の内の三分の二の面積になり、審議会での討議が大きく制約されてしまったのであります。
建設省基準によれば、十年後は延べ三十三万七千平米、二十年後は三十九万平米の庁舎規模が必要とされているのに、新宿の四号地、五号地だけでは審議の対象にならなくなってしまっているのであります。このような事態を招いた今回の構想は、全く審議会を無視したものであります。都政百年の計を立てるため真剣な討議を重ねている審議会を尊重する立場に立って、知事はこの新宿副都心清掃工場用地を審議会の結論が出るまで一時白紙に戻す考えはないか、質問をいたしておきます。
また審議会が新宿にもし本庁舎を建設する答申をした場合、あなたは白紙に撤回するかを伺っておきます。もしそうでなければ、知事はこの構想を打ち出すことによって、本庁舎は丸の内を示唆したと受けとめられてもしようがないのであります。あわせて質問をしておきます。
答弁次第では、再質問を留保いたします。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) だいぶ急に新しい問題が出ておりますので、あるいは答弁漏れがあるかもしれませんから、そういうときにはご注意を願います。
やめるか、辞任するかというお話でありますが、私は九月をめどにして杉並の問題を解決すると努力をしておりました。しかしながら、不幸にして九月末までにはできませんでしたけれども、しかしながら、十分に話し合いができて、そうして決着するめどがついておりますので、私はやめないで、あくまでもそれを実現をすることが政治家としての責任であると思います。(拍手)
それから江東が実力行使に入ったときどうするかというお話でございますが、私は江東が実力行使に入ることによって、杉並区民の生活が極度に危機におちいり、混乱をし、ごみに埋まる、そういう状態になると思います。そういうときには私はあらゆる手段を講じて、それを一日も早く平時の、平和の生活に戻すようにいたします。
それで覚書との関係でございますけれども、覚書においては江東の実力行使というふうな状況は予想されておりませんでした。したがって、江東がそういう事態になって、非常事態になった場合においては、あらゆる手段を講じて杉並区民の生活を平時の状態に戻す、それが私は政治家の責任であろうと思います。(拍手)それでありますから、覚書にはそういう状態になることが予想されませんでしたので、そういう条項が入っておりませんけれども(発言する者多し)しかし私はあらゆる手段を通じて杉並区民の生活がもとに戻ることに最善の努力を尽くしたいと思います。(「覚書」はどうしたと呼び、その他発言する者多し)それから都区懇談会の人事の構成でございますが、これは私は全然関知をしませんでした。これは杉並の区長と、区議会の議長とにおまかせをいたしまして、私は何ら干渉もしませんでした。そうして私は区長及び区議会の議長の選任された人的構成は公平であったというふうに思っております。それから全量焼却はいつかというお話でございますが、これはまだわかりません、できるだけ五十年に近づけるべく最大の努力をいたしますけれども、いつになるかということはまだいえるときにはなっていないと思います。
それから反対同盟というのかな、つまり推進同盟の会合に招かれまして、区長も、議長も、本部長も参りました。しかしながら、お話のようにそれを指導しているというようなことは全くございませんので、ご安心を願います。
それから委員会においてタイムリミットといったことを陳謝して取り消せというお話でございますが、(「あやまる必要はない」と呼ぶ者あり)それですから、私はあやまる必要はないと思います。(拍手)私は九月をめどにして、何とかしてそれまでに解決するように全努力を傾けてきたのでございますから、陳謝する必要はないと思います。(拍手)(発言する者多し)
それから高井戸の蚕糸試験場の問題でございますが、これは都区懇談会においても候補地としてあげられ、しかしそれが筑波に移転したあとでなければ利用できないということ、それから土地の面積が狭いということ、それではずされたものでございます。したがって、私は、蚕糸試験場に焼却工場を建てるということは考えておりません。(発言する者あり)
蚕糸試験場の面積は実際には四・四ヘクタールであるけれども、これをもっと狭く報告したというようなお話でございますが、蚕糸試験場の面積につきましては。首都圏整備委員会が作成した図面に基づいて宿舎面積等を考慮し、利用可能面積を算出したものであって、故意に数字を操作したものではございません。
それから新宿副都心の清掃工場の構想を発表したことについては、ごみ問題が都政における最大かつ緊急な課題でありますため、その解決の一つの考え方として発表した次第でございます。そのことが結果的に審議会に対しましてご迷惑をおかけすることになりましたことはまことに遺憾に存ずる次第でございます。発表の当日、事務当局をしてそのいきさつを各委員にご連絡申し上げましたが、なお近く開催される第一回審議会の席上においても十分ご説明申し上げ、ご了解を得たいと、心から願っております。
新宿副都心にはあと二区画、約二万八千平方メートル残っており、庁舎候補地あるいは公共用施設として貴重なものであるので、審議会で十分ご審議いただき、すみやかに本庁舎のあるべき姿及び位置について、ご答申をいただきたいと思います。
そのくらいだと思いますが……。(笑声、拍手)
〔四十九番田中充君登壇〕
◯四十九番(田中充君) ただいまの知事の答弁では全く不満足であります。したがって質問を続行させていただきます。
特に都民、いや全国民の注目であるこの高井戸問題の決着のめどがここで具体的についたという答弁をされました。したがって、こういう大切なことは一刻も早く都民に知らせる必要があります。具体的にあなたの答弁を求めます。
さて、知事は六月二十三日、都庁内に清掃局幹部と杉並清掃工場推進本部の職員全員を集め、異例の訓辞をしている。その席上、九月末までに問題解決もしくはめどがつかなかった場合、杉並と江東の関係はさらに険悪になり、再び江東が実力阻止をすれば、都政は大きな失政になる、これ以上都民に迷惑をかければ、私はやめなければならない、と訓辞しています。また七月二十日、杉並区議会全員協議会に出席した知事は、九月末までに土地の買収ができないで、江東区の実力阻止が起こったら、全責任は私が負う、と進退問題を明らかにしているのであります。江東区が実力で阻止をした場合、知事が辞任することは、これで明白であります。
そこで質問ですが、事態収拾もせずにやめてしまうのか、事態収拾をしてからやめるのか、辞任の時期についてお尋ねをしておきます。(発言する者多し)
あわせて質問をいたしておきますが、いままで気軽に政治生命をかけるとか、責任をとるとかいってきたのは、三選をしない胸中であるから、何とか一年半つけるだけのうそをついて、次は出馬しないと、こう理解しておいてよいのか。知事の答弁を求めます。
タイムリミットについては、都は、高井戸地区における話し合いの経過についてと題して、八月六日、第一回の知事と高井戸住民のやりとりを印刷したチラシがございます。そのチラシを読み上げますと、杉並もぜひ五十年には完成したい、また江東区との関係を考えると、九月末までにめどがつかない場合、また混乱が起きないとも限らないので、タイムリミットを九月末と考えなければならない、とはっきりいった、このチラシ二十五万枚を杉並清掃工場推進本部名で杉並区全世帯に折り込んでいるのであります。知事がタイムリミットはいわないものを、なぜ都がPRするのか、委員会に出席して発言の取り消しと、この場において重ねて陳謝を要求いたします。
収用裁決申請取り下げについては、三月二十八日、財務主税委員会で、わが党の大塚委員の質問に答え、知事は、適地が見つかれば、そのときは取り下げます、と断言をいたしました。また、六月四日の本会議で古谷議員の質問に答えては、五月をめどにしたのは適地選定であり、これは五月二十三日に決定している、と答弁をいたしております。したがって、この答弁に偽りがないとするならば、当然取り下げるべきだ、なぜ知事はみずから発言したことを守れないのか、伺いたいのであります。(発言する者多し)
新宿副都心清掃工場と庁舎審議会との関係については、知事は、本庁舎問題について、広く意見を聞き、その答申を尊重すると言明し、新宿は三区画を審識するよう諮問したはずです。それを知事みずから破った、この責任は大なるものがあります。そこで新宿に総合庁舎建設は不可能になったのでありますから、審議会委員の一人として、何のための諮問であったか、納得ができません。私は、十月三十一日に開かれるこの審議会で委員を辞任さしていただくことを言明しておきます。この点に関しての答弁は必要ありません。
以上です。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 私は具体的にめどがついたとは申しませんでした。(「おかしいじゃないか」と呼び。その他発言する者多し)そういうことは申しません。(「いったじゃないか」と呼び、その他発言する者多し)つまり、解決の方向に進んでいるということでございます。具体的にめどがついたとは申しませんで、解決の方向に着実に進んでいると、そう申しているわけでございます。
それからタイムリミットということばは、私自身としては使ったことはないつもりでございます。私は九月末をめどにして努力をするというふうにいっているつもりでございます。
それから、五十七億円の範囲内で買収し得るよう提案をいたしましたもので、合意の限界を考えて、年度中の執行を考えているということでございます。
〔「うその答弁をさせちゃだめだよ」「暫時休憩と呼び、その他発言する者多し〕
◯議長(醍醐安之助君) ちょっとお静かに願います。あんまりあれすると、退場を命じますよ。
◯知事(美濃部亮吉君) 私が杉並清掃工場建設推進本部の職員に対して申しましたことは、九月までにめどがつかない場合においては、情勢は非常に悪くなる、そういうふうになった場合には、私はやめなければならなくなることも考えられると、そういうことをいったので、私は、そういう決意を述べることによって、推進本部の職員を大いに激励をしたつもりでございます。(拍手)
しかしながら、九月をめどにいたしまして、九月の末までには問題は解決しませんけれども、なお解決をし得ることが考えられますので、私はやめる必要はないというふうに思います。(拍手)
〔「答弁漏れ」「答弁する必要なし」「議事進行」「議長、休憩」「議長、何をやっているんだ」と呼び、その他発言する者、離席する者あり〕
─────────────
◯議長(醍醐安之助君) 七十七番菅原宗一君。
〔七十七番菅原宗一君登壇〕
◯七十七番(菅原宗一君) 私は、日本社会党都議団を代表して、都の衛生行政について、一つは、乳幼児医療の無料化の充実策、一つは、都の歯科衛生、特に幼児の虫歯予防対策の強化、一つは、休日診療の充実策、この三点について、都知事から基本方針を、局長から具体的な実行の施策を承りたいと思います。
まず、第一に、都の歯科衛生行政の充実策、特に幼児の虫歯予防対策の強化についてでありますが、咋今特に目立ってふえてきた幼児の虫歯罹病率、医師不足による治療の欠陥が大きな社会問題となっております。おとといまで続いた朝のあのテレビのモーニングショーやあるいは次々と新聞にも出されておりますように、虫歯ですか、はい、来年来てください、子供を連れていくと、おとなしか診療しませんと、歯科医師は全く超満員で予約制、おまけに子供たちは窓口で疎外されております。厚生省は弱りました、困りました、歯科医師会もやむを得ません、すみませんと繰り返すだけであります。こんな状態では、当分の間虫歯の痛みはおとなも子供もじっとがまんの子でいなければならない状況に追いやられるでありましょう。政府、自民党の低医療費政策、これが国民の健康をここまでむしばんできているのであります。
そこで私は、虫歯一本、治療費十万、健保ではもう治療にはかかれない、こういう状況にまで追いやられておる歯科診療の実態でありますが、虫歯一本程度と笑っておれないたいへんな時代になったことを痛感いたします。政府も無策、ほとんどの自治体も無策、都の行政の中でも、右にならってこの施策は全く一歩も二歩もおくれております。こういう状態で、こういうままに放任されております状況を都知事はどのようにお考えになっておるでありましょうか。まず所信を承っておきたいと思います。
ご承知のように、毎年都が実施をする三歳児健康診断や、永久歯がそろそろ出そろう六歳の就学児健診では、幼児の、う蝕、率、いわゆる虫歯のある幼児数は年々増加をして、三歳児では七〇%をこえ、六歳児では九〇%と迫り、小学生全体では九五%も九六%にも及ぶ、う蝕、率であります。(「九七%だよ」と呼ぶ者あり)みんな虫歯っ子といわれるような数字を示しておりますが、その成長発育にはかり知れない障害を与えておりますことは、ひとしく識者の憂いとするところであります。
乳幼児に対する歯科の治療は、おとなの三倍もの人手がかかっておりながら、診療報酬は逆におとなの半分以下ですから、どこでも敬遠されがちです。教育庁が統轄しております小学校、中学校の嘱託医の診療にあたっても、虫歯予防の衛生指導が系統的、組織的に行なわれていない、そういう積極性がなくて、ただ治療を要すると指摘するだけで済まされておる。いや、医師は何とか治療したくても、これを受け入れる体制不足、医者不足であります。ほとんどの子供が未処置のまま放置されておるこの状態、まことに残念しごくといわざるを得ません。
そこで私は、乳幼児の虫歯対策に大きな成果をおさめております。また全国的に注目を浴びております大宮の予防歯科センターの活動状況を見学しました。そうしてそこで感銘を受けた。これを参考に一つ提案したいのでありますが、大宮の歯科医師会では、六年前から予防歯科センターを建設し、歯科医、小児科医、児童心理学者が協力し合って、衛生士やあるいは栄養士とすばらしいチームワークで、小児のための歯科衛生予防教育に専念してまいりました。幼児の、う蝕、率は、小児、母親、歯科医の三者一体の取り組みを継続して、みごとな成果を得ております。
二歳、三歳児を中心とした子供の治療と、母親に対する日常生活上の、う蝕、防止上の生活指導を続けておるのでありますが、最近の数字では、わずか一年間で普通児の、う蝕、いわゆる虫歯の罹患率を五分の一も、いや、六分の一も減らす顕著な成果をあげておるのであります。いかに歯科衛生の啓蒙教育が重要であるかを数字にあらわしております。積極的な対策、指導の徹底が続けば、虫歯はこのように退治、減らすことが、できるん、だという実証であります。
そのことは、活動事例の少ない東京都の保健行政の中で、地域の歯科医の非常な協力をいただいて、じみちに歯科衛生に取り組んだ杉並の西保健所の例にも、小学生の虫歯の処置率の向上、かなりの成果をあげておるのでありますが、これらは全都の者に及んでおりません。
乳幼児医療無料化のこの時期を契機に、都も保健所の陣容整備を進め、地域歯科医師会との連携を強化して、大宮に並ぶ歯科予防センターの構想を実施に移し、歯科医、衛生士の配置で、全地域の保健所が文字どおり歯科予防衛生の拠点となるよう、積極策を打ち立てるべきだと、思うのであります。せめて入学前の子供たちだけでも、いつでも急患にはこたえ切れるような受け入れ体制の整備を進めてもらいたいと思うのであります。
まさしく時はよしであります。昨日政府は、休日夜間診療固定診療所の構想を発表いたしました。これらの公的施設との併設も考えてしかるべきでありましょう。歯科医師との連携、協調による予防歯科センターの構想について都知事の見解を伺い、虫歯予防施策の具体策について衛生局長から回答を願いたいと思います。
第二の質問は、乳幼児の医療無料化の充実策についてであります。この制度化は、全都民の熱望にこたえた、あの老人医療の無料化に次ぐ、美濃部革新都政の栄光の施策として大きく評価されるものでありますが。実施をあと三か月後に迎えた今日、なお若干の混乱があり、医療者側に不安と不満が高まりつつあることを聞きます。この制度は、全都の医療従事者の格段の協力を得なければ円満な実施が望まれないのでありますから、問題の早期解決に一そうの努力を払われたいのでありますが、私どもは、現在の政府のこのような低医療費政策のもとで、患者とともに大きな犠牲を強いられている最前線の医療従事者の声に謙虚に耳を傾けてほしいと思うのであります。
そこで、第一に質問いたしたいことは、医療需要の増大に対処して、サービスの内容を低下させないため、都として独自の施策をどのように打ち立てておるのかということであります。
乳幼児の疾病対策は、早期発見、早期治療にあることは言をまちません。都民の健康衛生業務を強力に進めるためには、保健所等の機能が一そう拡大強化されなければならないのであります。乳幼児の健康管理や母親教育の徹底、診療活動とあわせてこのような予防衛生上の啓蒙活動が強力に展開されなければなりません。また医師や看護婦、保健婦等の要員確保や。民間医療機関と提携をする都立病院の受け入れ体制の確立についても、地域の医師は、一定のめどをつけて、この強化策を望んでおります。
第二は、医療担当者の事務量の増加に対する簡素化、この問題については、昨日の答弁によると、請求書あるいは報告書の複写式、こういうことで簡素化が進められるようであります。これをもっと早くやってもらいたかったのでありますが、その方向で進んでもらいたいと思います。
第三は、全く実情に合わない乳児の治療、診療報酬の是正にめどをつける運動を起こすべきだと思うのでありますが、この実現に至るまで、とりあえず診療報酬改善の日までは都が独自に大幅な乳児加算を認めるべきだと思うのでありますが、この準備は、どのように措置しようとしておるのでありましょうか。神戸市や清瀬市の例にならうまでもなく、少なくとも福祉医療協力費や事務手数料相当分の上積み、小児の外来一件当たりの平均点数の三分の一程度、この金額は補償すべきだというのが多くの医師からの願いであります。また私たちもそのことを感じます。民生局は現在その目途をどこに置いておるのかを伺いたいのであります。
さて、政府の医療に対する姿勢がいま若干変わりつつあります。先般出された医療基本法の中には、いままでの医療の定義を傷病者の診療に限定していたものから、治療、健康増進、予防、リハビリテーション、さらに健康環境まで含めた広義の医療解釈へと大きく変化を見せ、これらの整備は国の責務だと、いい、放っております。政府もことばだけで、いうて、楽しませておるだけではならないと思うのであります。この時期に強力、率直に医療、保健行政の問題点について都知事が先頭に国の施策の充実、改善の申し入れを行なうべきだと思うのでありますが、都の施策実行の展望とあわせ、その実現を目ざす都知事の決意のほどを伺いたいと思うのであります。
次は、休日診療の充実策についてであります。休日診療の実施は、全都民に大きな期待と喜びを持って迎えられたのであります。七月実施から三ヵ月間、着々その実績があがりつつある。お骨折りをいただいております関係者の皆さんには、心からの敬意を表するものでありますが、一面には、発足当初から非常に懸念をされていた問題点が、いま浮き彫りにされようとしております。衛生局長は、三ヵ月間の実績を踏まえ、施策のより充実のために次善の措置をとりつつあると思うのでありますけれど、次の諸点についての見解を明らかにしてほしいと思うのであります。
私は幾つかの区や市、その実施状況、医師の訴えを聞きながら、地区によって指定医療期間の配置計画や配置個所や、診療内容、診療時間にかなりのアンバランスがあることを見てとりました。感じさせられました。そうしてそのことは、都民へのサービス提供に不均衡が生ずるのではないかという不安を覚えたのであります。もちろん、この制度の実施面を担当してくれる医師の方々は、申し出のある者の輪番制であるために、結果的にはその配置にある程度の不均衡の生ずることは、やむを得なかったことでありますが、出発にあたって、なぜに地区ごとの全医療従事者、あるいは医師たちだけでも、十分な話し合いがなされなかったのでありましょうか。協力を申し出た、無理に、まあなんとかやりましょうと、その意向を示した医師にたよってばかりおる。そのために地区ごとのアンバランスを生じたのではないかという反省がされるのでありますが、まことに残念に思います。都の施策に協力をいただいておる医師の中にも、不満が徐々に高まっておる様子であります。医師が、みずからの休憩時間を返上して、このすばらしい革新都政の施策に奉仕をしようとしておる、奉仕をしておる現状ではあるのでありますけれど、これは背伸びであります。無理はいつまでも長続きするはずはございません。週休二日制の実施がいま広がりつつある現時点で、特にその感を深くするものであります。
そこで、条件整備についての質問の一つは、現場第一線医師の強い要望である、都の医療機関、衛生業務をつかさどる機関それ自体が、どのように率先垂範の実をあげてくれるかということであります。昨日の新聞には、休日と夜間診療の専用診療構想、この政府案が発表されてまいりました、医師二人、看護婦二人の陣容で、目標は人口十万人に一カ所当てとなっております。都立病院や保健所設置個所に休日診療の固定診療所を設置したり、あるいは政府がもくろむこういう公的な施設に併設をする。そうして順次固定診療所設置個所を増大していくべきだ、こういう多くの医者の期待、また私たちもそのことを願うのでありますけれど、こういう期待に衛生局はどのようにこたえようとしておるのか、この点について伺いたいと思います。
その二は、休日診療を担当される関係者への委託料の大幅改善の問題であります。現行の一万五千円程度では、あまりにも実情にそぐわない低額のものであります。また、多摩地区では、西多摩でも北多摩でも、いまこの休日診療の実行をされてから三ヵ月、いまなお都の衛生局の方針どおりに実行ができてない向きもあるやに聞くのでありますが、統一的に実施ができなかった原因はどこにあったのでありましょうか。休日診療突施の主体は、都、区、市町村、地方自治体であるとすれば、医師に手渡されるご苦労賃の性格を持つこの報償金、委託料と呼んでいいのか、助成金としていいのか、衛生局の思想統一が必要だといわれておりますけれど、特に三多摩地区に対しては、明確な指導が必要だと感じております。これらの点について、衛生局長の見解を求めるものであります。
以上、簡単でありますが、都の衝生行政、その中で乳幼児医療の無料化、その実施にあたっての充実策について、乳幼児を中心にする都の歯科衛生行政の強化策について、そうして休日診療のより拡充策についての都の見解を、都知事から基本方針と、関係局長から具体的な施策の方向を示してもらいたいと思います。
以上で質問を終わりたいと思います。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 乳幼児の虫歯対策につきましては、ご指摘のとおり非常に重要な問題でございますから、今後行政面に反映させるよう、衛生局を指導してまいりたいと思います。
診療報酬の改善につきましては、昨日もご答弁申し上げましたように、国に対し強く要望をしてまいりたいと思います。都といたしましては、医療従事者の不安を解消するためにも、ご指摘の点を十分に考慮して、この制度実施のためのいろいろな条件の整備をはかってまいりたいと思います。
国に対しましては、ご指摘のとおり乳幼児医療費の助成制度については、本来国が実施すべきものと考えております。したがって、私といたしましては、今後とも医療保険制度の改善について国に対し要望するとともに、乳幼児医療費助成制度の早期実現については、あらゆる機会をとらえて国に対し強く要望してまいりたいと存じます。いずれにいたしましても、この制度の実施については、関係団体等と協議を重ね、その協力を得てその実現をはかってまいりたいと思います。
その他のご質問につきましては、衛生局長をして答弁をいたさせます。
〔衛生局長朝日仁一君登壇〕
◯衛生局長(朝日仁一君) 最初に歯科衛生行政の充実、特に乳幼児対策の強化について、ご答弁を申し上げます。
乳幼児の虫歯対策は、何よりも予防対策が重要でございます。現在都におきましては、二十ヵ所の保健所に歯科衛生相談室を設置し、母子を中心とする歯科検診、ふっ素塗布等による予防処置、衛生教育等を実施しております。今後は歯科医師会のご協力を得て、一そう広範囲にその充実をはかってまいる所存でございます。
次に、休日診療の充実について申し上げます。休日診療は、医師会をはじめ民間医療機関の積極的なご協力を得て、本年七月一日から実施してまいりましたが、一ヵ月平均約一万人の方々の利用があり、全都的に見ますとほぼその目的を達成しつつございます。しかしながら、発足してまだ日が浅いために、一部の地区についてはご指摘のようなアンバランスがあることも事実でございますので、関係者と協議の上、逐次整備をはかってまいりたいと存じます。
ご提案の固定方式につきましては、特定の医療機関、あるいは公の施設利用を含め、今後の課題として検討してまいります。
なお、都立病院は、重傷患者の入院治療を担当すること及び特殊高度専門機能を活用することから、本事業に参画をいたしております。
次に、委託料単価の改善は、休日診療を独自に実施している区及び市との均衡を考えながら、関係部局と協議の上、実態に即し得るようつとめてまいりたいと存じます。
また、看護婦等従事職員の確保につきましては、十分な配慮をしてまいりたいと存じます。
看護婦、保健婦等の養成確保対策についてご答弁を申し上げます。医療従事者のうち特に保健婦、看護婦等の養成確保につきましては、都要請では、現在七ヵ所の学院で、一学年七百六十人を養成いたしておりますが、昭和五十年度にはこれを十ヵ所、千百人にふやす計画でございます。また、看護学生の修学を容易にするため、修学資金貸与制度及び民間養成所に対する運営費の補助事業の施策を進めておりますが、今後とも一そう充実するよう努力してまいる所存でございます。
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◯議長(醍醐安之助君) 四十七番伊藤昌弘君。
〔四十七番伊藤昌弘君登壇〕
◯四十七番(伊藤昌弘君) 詳細に質問通告をしてありますから、正直に答弁を願います。
まず。都市計画街路についてお尋ねいたします。
都市計画街路指定地域は、二十数年動きのとれない家の数が七万軒以上あり、個人の土地が網をかぶせられている、そして拡幅の実施もしてくれない、家の建てかえ時期になっても建てられない、一生涯家ができない、家族も困るし、従業員の部屋もつくれない、営業に著しい障害になっている、すなわち、公のためという名目でばく大な損害をこおむっているのであります。こんな不公正な政治はありません。練馬の清掃工場建設の犠牲以上の損失を受けているのであります。昨年、古谷議員の質問によって、都はこの不利益の一部を埋めるため、固定資産税の減免を実施しましたが、PR不足のため、七万軒余の対象者のうちわずか五百軒しか申告していないのであります。この結果は、主税局の職務不誠実を物語るものであり、政策は徹底させなければなりません。
一面、都内の計画街路を見渡すと、広範から見たその地域の交通情勢が変化しているのに一たび、定めた都市計画街路を改廃もしないで後生大事にかかえているなど、政治ではありません。たとえば、千葉街道、両国緑町、四ツ木橋以南などは、将来を見通したとき、拡幅の必要性は薄いと考えるものであります。都内に同種類のものが幾つもあるはずであります。行政官は行政の責任を強く感じ、四分の一世紀以上にも網をかぶせ、また将来の確約もないこの貧弱な都市計画街路行政に、都行政の面目にかけても全知全能を傾けて決着をつけなければなりません。知事、首都整備局長の決断をただします。
次に、東京湾横断道路建設構想に知事が反対して、協議会から脱会を申し入れました。その理由は、企業に利益をもたらすだけで、都民の生活には直接関係がないとのことであります。知事の考えは、常にうしろ向きで、進歩がありません。かつあなたは、生活はブルジョア、思想はマルクス闘争史観に基づく憎悪心が、常に反政府運動となってあらわれているのであります。
さて、京浜地区の現状は。このままでは八万ふさがり、じり貧で、環境はよくなりません。そこで、首都圏に一つの衝撃を与えて再開発の方向へ持っていく発想が必要であります。この一つの衝撃が広域行政であり、首都圏庁構想の行政改革であり、東京湾横断道路、東京湾環状道路の建設であります。首都圏がその機能を効果的に発揮していくためには、全国的な地域開発政策と調整しつつ、首都圏中心部における過密の解消をはかるとともに、首都圏全域にわたって諸機能の適正配置を促進して、各地域が適切にその機能を分担する効率の高い広域行政を建設する必要があると思います。現在の一点集中型都市形態を、多角型広域都市形態へ転換、再編成するためには、それぞれ異なった機能を有する諸都市を有機的に結合させる交通施設が必須の要件となるのであります。東京湾横断道路の建設期間十ヵ年の間に、横浜、川崎、千葉、東京の土地利用の規制、誘導等、必要な諸施策を並行的に進める政治がこれから必要なのであります。
そういうときに知事は、じり貧の東京を改善するすべを持たないで、横断道路がつくれるものならかってにつくってみろという独善僧悪のくせを出して、協議会を脱退することは、無責任であり、ひきょうといわざるを得ません。千葉県の責任者は何といっているかご存じですか。東京がかってなことをいうなら、野田導水路を断つとまで話しているのであります。東京は東京で、千葉県は千葉県で、エゴを出したら、広域行政の将来は憂うるものがあります。英知をもってこの道路を活用、利用する案を立てるべきであります。この道路が建設されれば、京葉間の交通量が大幅に減少し、東京外郭環状道路内の都市交通の混雑緩和が、計算結果からも予測されているのであります。これについての知事の再考を促します。知事の考えをまじめに答弁願いたいのであります。
次に、学校教育の荒廃、学校は一体だれのためにあるのかという根本問題が国民の間に高まりつつあり、主として非難のやり玉にあがっているのは、法律と税金によって手厚い庇護を受けながら、わがままほうだい、な教育環境をつくり上げている公立学校であります。教育を乱す元凶は、エゴイズムと階級闘争史観に基づくマルクス主義に取りつかれている日教組、そして東京都教職員組合の幹部であることは、正常な日本国民ならばだれもが肯定しているのであります。教師は労働者であるなどと旧式なマルクスの亡霊に取りつかれている都教組に振り回される都教育委員会のふがいなさを、私はいたく嘆くとともに、法と秩序を守り、公正を、とおとぶ、ような、日本人の教職員組合ができ上がることを。熱望するものであります。
さて、誤った教育執務をつくり上げているのは、教育委員会と組合間でつくった確認書であります。確認とは、法令の意味を明確にするものであるにもかかわらず、教育委員会の確認の回答は、逆に法令の意味を不明確にするものであり、そのため教育現場は異常な混乱におちいっているのであります。
まず、第一に、研修は自主的に行なうべきであり強制されるべきではないという組合提案に対し、教育委員会は、自主的に行なうべきであると回答しました。これは心の問題であって、確認する必要はないのであります。教特法十九条第一頃は、教員の研修を義務づけております。また同条二項の解釈として、教育委員会は教育委員会が計画した研修に教員を参加させる責任を負い、教員は研修を受ける義務を持つことであり、単なる自主、自発的にまかせてはいけないのであります。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)
第二に、職員会議についても、教育委員会の回答があいまいなため、組合は職員会議を決議機関のように見なす傾向が出ていますが、決議機関でなく、校長の諮問機関でなければなりません。
第三に、校務分掌は、本来、校長の権限に属すべきものを、教育委員会が、職員会議において民主的に話し合われることが望ましいと回答を出したため、教員の中には、職員会議を通して校務分掌を組合の思うままにしようとしている実例もあるのであります。
第四に、勤務条件にかかわる問題は、すべて組合との交渉事項とすると確認しておりますが、勤務条件は、組合交渉対象外たる管理運営事項に触れることも多々ありますので、こんな単純な確認のしかたは全く誤りであります。この条項を取り消さなければなりません。
第五に、正規の勤務時間は一週四十四時間とし。実働勤務時間は週四十一時間十五分で運用するものとすると確認しておりますが、実働勤務時間という勤務条件は、条例、規則のどこにも規定されていないのであって、実働勤務時間ということばは違法で、認めることはできません。かつ一日七時間半休息なしの実働でありますから、明らかに労働基準法違反にもなるのであります。労働基準法違反として告発してもよろしいですか。
第六に、時間外勤務の場合は、教員集団の了解を得なければならないと確認してありますが。組合は教員集団を職員組合と解したりしていることもあります。了解、合意を得られないならば、校長の職務命令も無視されることになるのであります。
また、給特法の国の基準は、体育、文化、遠足の行事は超過勤務ができる、となっていますが、都はこれを縮小して、修学旅行だけにしてしまいました。国の基準を縮めた理由は一体どこにあるのですか。そうして、これらの確認は校長の知らない間につくられているのです。
以上八点について、教育長の見解をただしたいのであります。
このように演説をしている私自身が、実は情けなくなるのであります。(発言する者あり)すなわち、教育という最もとうとい職に携わる教員と、それを監督をする、そして指導をする教育委員会の間で、こんな次元の低い問題しか協議ができないのかということについてであります。
次に、四月十七日、二十七日の違法ストは、春闘の統一行動とあって、交通関係組合とともに都労働組合もスト指令を発し、それに対し理事者は職務命令をもってスト中止を通達し、ストに入ったのですから、これはストライキとして成立しているのであります。違法ストに対しては、懲戒処分のほか、勤務しない分として……(発言する者あり)教えてやるから聞きなさい。勤務しない分として賃金カットが行なわれるべきでありますが、懲戒処分はいまだ行なわれておりません。一体いつ行なうのですか。
賃金カットについても、大なるごまかしが行なわれました。四月二十七日の賃金カット者のパーセントを述べると、知事部局はストライキ参加者のうちわずか二%しか貨金カットをしていない。(「おかしいぞ」と呼ぶ者あり)下水道局は二六%、水道局は五二%、交通局は八六%、教育庁は三五%であり、四月十七日のストも同じくらいであります各局が…(発言する者あり)頭悪いぞ。各局がこれほどばらばらな結果があらわれているのであります。これは一体どういうことですか。また、ストに参加をし、賃カツをされない職場は、東京都以外。私は聞いたことがありません。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)
そして、同じ都の職員でありながら、局ごとにこれほど大差の出た理由は一体何ですか。都民の納得するように法令に沿って説明をしていただきたいのであります。まず、最も良心のある交通局長、全く良心を持たない知事まで、水道、下水道、教育、総務局長にお答えを願いたいのであります。
さて、ここに怪文書があります。(発言する者あり)よく聞きなさい。ストライキ後一ヵ月も経た五月二十四日付の総務局人事部職員課長名、一つは、五月二十五日付の教育庁人事部長名の書面であります。内容は、四月十七日、二十七日のストに対する事務処理について、という事務連絡であり、交通情勢を考慮して特別扱いにするというものであります。スト後一ヵ月もして、何ゆえこのような事務連絡をする必要があるのか。たとえば教育の管理者は、交通等による給与減額免除の条例はみな心得ており、条例どおりのスト状況報告を区教育委員会にすでに提出済みであったのであります。
さらにこの事務連絡は、総務局人事部職員課長、教育庁人事部長と書いただけで、氏名もなければ公印省略の判さえない、文書の発番号も付していない、まさしくこれは怪文書であり、重大な問題であります。知事、総務局長、教育長は、この責任を明らかにしなければなりません。
もう一つの疑惑は、この怪文書発送の直後、たとえば、主税局長、主税局は出先の庶務課長を招集をし、賃カツ免除を強要したため、例をあげると──まあ名前をあげてもいいが、ここだけは隠しておいてあげましょう、ある税務事務所などは、スト後まとめた正しいスト状況報告書などを破り捨ててしまった。他の税務事務所もそれに相違ないのであります。当骸報告書を破り捨ててよいものであるか、知事にお尋ねをいたします。
また各区市ごとに、区教育委員会の指導室長が校長会を招集し、すでに提出してあった賃金カット申告書を書きかえる働きかけをしている事実をほとんどの全区において私は調査済みであります。
しこうして、その時点では、墨田区など七区、八王子市など十九市、一郡、七百五十八校は賃カット済みであった。また、千代田区など十六区、七市、約九百十八校は虚偽申告を出し直させたため、賃カツ免除となりました。これこそ、いかさま美濃部革新都政の本性をあらわしたものといわざるを得ません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
このことは法令違反行為というだけでなく、知事、教育長みずからが、管理者や校長に対し、うそをつくことを強要したことであり、都の教育と一般行政の基本にかかわる重大問題であります。
また、校長の多くがみずからの信念を押し通すごとができず、そのうその強要に屈したことを深く嘆くとともに、都教育行政がねじ曲げられていることに強い怒りをもって訴えたいのであります。
正しい人間教育をしなければならない教師たちがそろってうそをついて、一体教師の資格があると考えますか。
教育長にお尋ねをしますが、正しく貨金カットした学校と、不正の学校との不公平をいかに是正する考えですか。また、この責任をいかに感じますか。知事の所信も明らかにしていただきたいのであります。
納得のいく説明が得られない場合、私は文教委員会で真相を明らかにすると同時に、問題が重大なだけに、監査請求を出すということもつけ加えておきます。
次に、主税局の八月二十四日、八月二十七日のスト参加資料を見ますと、正確に処理している税務事務所もありますが、中には疑わしいところもあります。特に、頭上報告といって、職員の執務中に組合幹部が組合要求を演説するという慣行がありますが、実際はストをやりながら頭上報告として処理し、賃金カットをしないのではないかと疑いたくなる結果も出ているのであります。都民が不愉快に感ずることは、執務中に組合幹部が演説をしている姿を目にすることであります。(拍手)この見苦しい姿は、大衆の奉仕者である役人のなすべき行為ではありません。こんな行為はやめさせなければなりません。頭上報告をしたければ、執務終了後やればよいのであります。この行為は、地公法中、服務の根本基準、職務専念義務等に違反をし、都民からの信用失墜行為となるのであります。やめさせなければなりませんし、また懲戒処分にすべきであると思いますが、知事の考え方をただしたいのであります。
次に、特別昇給は、給与条例により、勤務成積が特に良好な者を昇給させるものであり、校長の具申により、教育委員会がきめるものであります。しかるに、いまのきめ方は、成績に関係なく、組合がつくって校長に強要するか、また区、市によっては、教育委員会が校長の具申を無視して、組合の要求どおり実施するところもあり、そのため、校長と組合との間にも、当然トラブルが生じているのであります。
私が持っている一つの資料は、はっきり名前を出しますが、調布市が──はっきり名前を出します。調布市が組合の地区協ニュースとして昨年の特昇について発表したもので、組合の定めた基準により、個人の名前が発表されています。これは、組合と教育委員会との取りきめであり、校長の具申権を無視した疑いがあります。ところが、正義感ある校長は、その資料の九名中四名は具申したが、五名は勤務評定の総評がABC三段階の一番ビリっけつ、のCであったために、成績が不良として申請せず、別の五名を、申請をしたところ、教育委員会は組合との約束もあったため、優良な五名をはずし、成績不良な五名を特昇したのであります。
正しいやり方は、最終的決定権を持つ教育委員会が条例どおり事実判断に基づいて行なうものであり、かくのごとき行為は背任、違法、不当支出といわざるを得ないのであります。
人はいいます、昔陸軍、今官公労働組合と、昔の陸軍は、青年将校が大将や大臣を突き上げ、将校の思うままにあやつっていた下克上でありました。昔、家の妻君が強情で、わがままだと、その家では妻君のことを陸軍と称しているのであります。東京都の職員組合は、そのとおりではないですか。下克上は国を滅ぼします。だから東京都の行政は、とうに滅びているのです。一事が万事、じり貧、八方ふさがりがそれを物語っているのであります。
そこで教育長に申しますが、この不法行為を続けるならば、特昇制度を廃止することです。いな、特昇制度を、存続をするなら、直ちに校長、組合に対し、条例どおり改めるよう通達を出さなければなりません。教育長の所信を伺いたいのであります。
また勤務評定の実施にあたっては、教育委員会と組合との間で、勤評は人事関係の資料として用いないという約束が以前取りかわされているそうですが、その内容を明らかにしていただきたいのであります。
以上、答弁によっては再質問を留保します。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) ご指摘の都市計画街路予定地の減額につきましては、本都の特殊事情を踏まえ、全国に先がけて実施するものでございます。本年度は、当面届け出のありましたものにつきまして、順次軽減措置を講ずることにいたしております。なお、詳細は主税局長をして答弁いたさせます。
ご指摘の計画道路は、防災上も必要なものと考えております。したがって、現在行なっている実態調査を含む基礎的調査の結果を踏まえて、結論を出すことといたしたいと思います。
横断道路建設計画は、都市内交通とのかかわり合いに全く見通しのないまま、実現のみが早められようとしておりますので、この際もう一度原点に返って、東京湾の環境保全を考えるべきときだと思います。
したがって私は、東京湾の汚染を招き、かつ車公害に拍車をかけ。そうして首都圏への人口集中を促進するおそれ十分な横断道路の建設を主要な運動目的とする協議会にとどまることは、都民の利益に反すると判断し、協議会を脱会したわけでございます。
賃金カットの問題については、ノーワーク・ノーペイの原則から、ストであるといなとにかかわらず、正当な理由によって勤務しない場合を除き、賃金カットを行なうというのが、従来からの方針でございます。
したがって、四月十七日及び二十七日のストについては、従来からの方針を順守するとともに、交通ゼネストと重なったという特殊事情も配慮した上で、適正な措置をするように、総務局長に指示いたしました。
ご質問の細部については、総務局長に答弁いたさせます。
さらにまた、いろいろの事実をお述べになりましたけれども、そういう点においては実態を調べて、適当に措置いたしたいと思います。
〔教育長日向美幸君登壇〕
◯教育長(日向美幸君) まず伊藤議員の確認事項から申し上げてまいりたいと思います。
私、考えておりますことは。研修、職員会議の運営、校務分掌の、この三項目につきましては、従来からの教育委員会の指導方針に沿った範囲内におきまして、その運用の問題に限定して話し合いを重ねたものでございます。学校の管理運営権は校長にあることは、これは何ら疑いのないところでございます。この確認は、校長の管理運営権には触れておりませんし、円滑かつ適正な学校運営を期待して行なったものでございます。
研修についての確認は、教特法第十九条第一項を不明確にしたものでは、ございませんで、教員が専門性を高めるためには常に切磋琢磨することが必要であり、そのためには教員の自主的、自発的な研修にも取り組む姿勢が期待されるわけでございます。確認においては、このことを述べたものでございまして、職務遂行上必要な命令研修があることは、これは疑いのないところでございます。私は、積極的に命令研修をやってまいります。
その次に、職員会議についてで、ございます。これは、先ほどもちょっと申し上げましたが、今回の確認で。職員会議の運営にあたって全教職員の意見ができるだけ民主的に反映されるよう、それを期待したもので、これは職員会議の運用としてそういうふうにしたほうがより、ベターであるということでやったものでございます。
次に、校務分掌の問題でありますが、校務分掌をきめるのは、校長でございます。しかしながら校務分掌に関して、職員会議その他において民主的に話し合われることは、望ましいことであります。
校長としましては、その話し合いの内容を参考にいたしまして、取るべきものは取る、捨てるべきものは捨てる、最終的には校長の責任において判断し、校務を分掌させることが必要であると考えております。
〔四十七番伊藤昌弘君「校長の権限をはっきりいいなさい」と呼ぶ〕
いまの校務分掌は、当然校長の権限でございます。職員会議は、あくまで校長の補助機関でございます。(「対話しているんじゃないぞ」「だまれ」と呼び、その他発言する者多し)
次に、勤務条件でございますが、勤務条件に関する職員団体の交渉の申し入れに対して、当局はその申し入れに応ずべき地位に立つ者で、おおむね地方公務員法の第五十五条第一項の規定に記されておりますので、この趣旨を受けて、今回確認したものであります。管理運営事項に関しては同法第五十五条第三項で、交渉事項からはずされておりますが、第三次公務員制度審議会の前田答申にもありますように、その管理運営権は、当然校長が持っておりますが、あるいは管理運営権そのものが勤務条件に反映するようなものについては、よく話し合いをすることが望ましいということが、答申にも出ているわけでございます。そのような関係で、その限度において私は交渉事項となり得ると考えたわけでございます。
〔四十七番伊藤昌弘君「そういうことをいうから不明確になるんだ」と呼ぶ〕
次に、教職員給与特別措置法の制定により、教職員については、原則として時間外勤務をさせないこととされたものでございます。このためには、まず勤務時間関係を前提にする必要があるため、確認書の前段で。正規の勤務時間は週四十四時間とする。実働時間は、週四十一時間十五分で運用すると併記したものでございます。なお、実働勤務時間は正規の勤務時間から休息時間を除いた時間でございます。
〔四十七番伊藤昌弘君「だから実働勤務時間なんというのはどこに書いてある、んだ。質問に答えなければいけないよ」と呼ぶ〕
次に、教員集団とは、これは複数の教員の意味でございまして、決して教員の組合の組織をさすものではございません。このことにつきましては、かねてから明確に説明しているところでございますが、さらにその趣旨を徹底させてまいりたいと存じます。
〔四十七番伊藤昌弘君「取り消しなさい、そんなもの」と呼ぶ〕
〔「無知で質問しているんだから気にするな」と呼ぶ者あり〕
次に、時間外勤務を命ずる範囲につきましては、国の例を基準として、各都道府県がそれぞれの実情に即してきめるように定められているわけでございまして、本都におきましても、国の例を基準として必要な範囲について定めたわけであります。たとえば学校行事につきましては、本都の実態から学芸的行事、体育的行事については、時間外勤務の必要がなく、正規の勤務時間内で計画運用するよう、時問外勤務の範囲からはずしたものであります。
次に、特別昇給の問題でございます。特別昇給については、都立学校の場合には校長の具申に基づいて、小中学校の場合は、校長の具申に基づく区の教育委員会または市町村教育委員会の内申によって処理されております。組合の意向が校長の具申を左右しているというようなことがもしあるとするならば、私はそういうことにつきましては今後十分に指導してまいりたい、かように考えております。
次に、勤評について、でございます。毎年度地教委、校長などの意見を聞く機会をつくり、改善の努力を重ねてまいりましたが、発足以来すでに十数年を経た時点に立ちまして、今後のあり方については、十分研究してまいりたいと存じます。
それから、先ほど知事がお答えいたしましたが、ストに参加した教職員の賃金カットにつきましては、従前から厳正に処理してまいりました。今回のスト、特に四・二七ストにおきましては、同時に行なわれました、異例な、広範な交通ゼネストのために、大半の教職員が定刻には出勤できない状況にありました。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)教育委員会といたしましては、このような状況のもとでは、個々の教職員の実態に即した処理を行なうことが適切であると考えまして、本人の良識によって、申告の機会を与えたわけでございます。そうしてそれを校長の判断によって処理するように指導いたしてまいりました。
以上でございます。
〔「教育長答弁漏れ」「何をいうんだ、いいんだ」と呼び、その他発言する者多し〕
〔四十七番伊藤昌弘君「懲戒処分はいつ発令をするのか、それから賃金カットの済んだ学校と賃カツをしない学校との不公正をどうやって是正するか」と呼ぶ〕
〔「議長、責任を持ってやれ」「ルールを守ってやれ」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
◯教育長(日向美幸君) ただいまの中で、懲戒処分につきましては、各任命権者と十分に慎重に協議した上で行ないたいと思っております。
それから、要するに賃カツをしたものと、賃カツをしなかったという、その関係につきましては十分に調査をいたしまして、措置をしてまいりたいと思います。
〔四十七番伊藤昌弘君「それから……」と呼ぶ〕
〔「議長、議長」「いいかげんにしろ」「やめろ」と呼び、その他発言する者多し〕
◯議長(醍醐安之助君) 静かにしてください。答弁漏れがあるといけないから……。
〔四十七番伊藤昌弘君「どうして五月二十四日の文書に判を押さなかったか、発番号をつけなかったか、それから名前をつけなかったか」と呼ぶ〕
◯教育長(日向美幸君) いまの問題については法制的な関係もございます。そういう関係から総務局長からお願いいたします。
〔四十七番伊藤昌弘君「それは違う。あなたが発令したんだ、おかしい、自分から、発令したんじゃないか」と呼ぶ〕
〔「議長は公平にやれよ」、「おかしいよ」「かってにやらせるな」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
◯議長(醍醐安之助君) お静かに願います。
〔交通局長田中白有君登壇〕
◯交通局長(田中白有君) 交通局関係についてお答え申し上げます。
八六・五%の賃金カット率でございますが、これは保安要員を引いたものでございまして、スト参加人員からいうと一〇〇%になるわけでございます。たいへん高い率になることは、申しわけのないことでございますが、スト参加率の高いということでございまして、この席をかりまして、多くの都民のためにご迷惑をかけましたことを、深くおわびを申し上げます。(拍手)
〔四十七番伊藤昌弘君「何だ、おかしいぞ」と呼ぶ〕
〔下水道局長西脇普一君登壇〕
◯下水道局長(西脇晋一君) 私のほうは、可能な限り実態を掌握いたしまして、それに対しては厳正な処分をいたしております。
〔水道局長小原隆吉君登壇〕
◯水道局長(小原隆吉君) 水道局の場合をお答えいたします。
従来の方針に従いまして、適正に処置をいたしました。
〔総務局長赤羽嘉郎君登壇〕
◯総務局長(赤羽嘉郎君) 先ほど知事が一般的なことを申し上げましたけれども、私から細部について申し上げたいと思います。
最初に賃金カットの実施状況が、各任命権者間でアンバランスがあるのはなぜか、特に知事部局の賃金カット実施状況が悪いのはどういう事情によるのかということでございますが、私は知事の賃金カットの指示を受けまして、検討の結果、まず本人の申請により、交通事故が確認できるものは事故扱いといたしまして、これとの均衡の上で休暇を願い出る者には許可をするということをいたしたわけでございます。それ以外の者につきましては、正当の理由ないものは賃金カットをする、こういうふうな方針を踏んだわけでございます。
各任命権者間にアンバランスがあることは、ご指摘のとおりでございますが、このことは各任命権者の判断と責任において処理した結果である、このように考えるわけであります。
それから三月二十四日付の事務連絡は、通知文としての要件を備えておらず、無効ではないかというご質問でございますが、事務処理方針の伝達に際しましては、事柄の性質上、しかるべき責任者を集めまして、口頭によって指示をしたわけでございますが、さらに念のためにその内容を、事務連絡という文書の形で伝達をしたものでございます。
なお、本件につきましては、外部に対する意思伝達と異なりまして、内部的な意思伝達にかかわることでございますので、いわゆる通知文の形式は必ずしも必要とするものではない、このように解しております。(「常識だよ」と呼ぶ者あり)
それから、スト実施後一ヵ月を経過して特例措置を認めたのはなぜかというお尋ねでございますが、交通ゼネスト職員のストとが重なったことは、前例を見ない異例なことであったわけでございます。したがいまして、従来の手続を適用することには、問題があったわけでございます。と申しますのは、一例を申し上げますならば、最も極端な形で、国鉄がこのときには二十六、七時間ですか、ストをやっておったわけでございますけれども、国鉄のみを利用しておる、たとえば東海道の逗子なら逗子というところから通っておる職員については、これは出勤しようとしてもできないわけで、そのときには当然一日休むことになるわけでございますが、これを機械的に賃カツするということになりますと、午前中だけ賃カツして、午後からは事故といったような扱いみたいになるわけでございます。
いまのようなのは、極端なわけでございますが、時間をだんだん詰めていきますと、どこかからが全部賃カツで、どこかからが事故扱いという形が中に生じてくるわけです。非常にこういうふうな点につきまして、問題があるわけでございます。したがいまして、私のほうもいろいろと考えまして、これにつきましては、職員サイドからも、また管理者サイドにも、いろいろな意見があったわけでございます。私も、この前、六月の本会議の席上で申し上げましたように、この点については各都市の状況も必要であろうということで、関西に実は二度も出かけまして、そうして向こうのほうの状況も知り、それでいろいろと検討を重ねたということでございます。先ほどのお話では、賃カツをしたかったところはどこもないというお話でございますけれども、これは事実ございます。(「どこだよ」と呼ぶ者あり)
そういうふうな状況でございまして、これは結局賃カツを全然やらないか、それでなければ形式的にやるかということが両極端にありまして、その中間が、結局いろいろなやり方があるわけでございまして、一方的に、たとえば国鉄なら国鉄のストである場合には、そこの沿線でもって通っている人たちを、その管理者の判断において、適当に事故の扱い、にしたり何かしていく、こういったような形のものとがあるわけでございます。
それにつきましては、東京都は、そうしたような一方的な判断は、実際のところよく把握できないわけでございます。前の日にどういう状況にあるかもわからないわけでございます。したがいまして、その場合においては、本人の申請を待って、そうして、その上に立って判断をしていく、こういうことをやったわけでございます。そういうふうなことがございまして、いずれにいたしましても、これを形式的に処置してしまうというふうなことにつきましては、職員の基本的な権利にかかわる重大な問題であると実は考えまして、また他都市の処理状況を十分に勘案したりする必要があった、こういったような理由によりまして、混乱を避け、統一的な処理方針を示すためには、若干の日時を要したものである、こういうふうなことでございます。
以上でございます。
〔四十七番伊藤昌弘君「答弁漏れ、だめだよ、ちゃんと書いておかなくちゃ、質問したものを、第一次のストのときに、いわゆる管理者がまとめたところの事故状況報告書を破っているが、これはどうしてなのか」と呼ぶ〕
〔「個人的にやっているんじゃないの」「何をやっているんだ」と呼ぶ者あり〕
◯総務局長(赤羽嘉郎君) 事故の報告書の件でございますけれども、それがどのように使われているか、実際のところよくわからないわけでございます。それが当然に証拠書類となるものであるならば、それは当然に保管しておくべきものだ、このように考えます。
以上でございます。
〔港湾局長奥村武正君登壇〕
◯港湾局長(奥村武正君) 横断道路に関しまして、協議会を脱退したことにつきましては、知事がおっしゃったとおりでございます。
〔主税局長石葉光信君登壇〕
◯主税局長(石葉光信君) まず都市計画街路予定地の固定資産の減額について、ご説明いたします。
先ほど知事の答弁にもありましたように、全国に先がけまして、東京都においてこの制度を採用したわけでありますが、ご指摘のように届け出をしたものは五百人にすぎなかったわけであります。主税局といたしましては、現在この約五百人の人に対しまして、その所有地につき調査を開始しております。そして、その土地が都市計画街路に該当する場合に、その該当する部分の比率の大小に応じまして、三〇%、二〇%、一〇%の三段階に分けまして、減額を実施することとしております。
なお、この減額を終わったものもありますが、大部分は、第三期、第四期の納税のときにおいて減額をする予定でおります。
この点に関しましては、ご指摘のとおり、周知不十分であったということは認めざるを得ぬと思います。そこで、主税局といたしましては、昭和四十九年度におきまして、該当者全員につきまして、完全にこの制度を実施することを目標といたしまして、努力を重ねていきたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。
次に、四月十七日及び二十七日の勤務に関しまして、主税局の本局におきまして、賃金カットの免除を強要したという趣旨のご指摘がありましたが、おそらく事故とストとの区分についての事実認定の基準を示したものを、そのようにとられたものと思います。私としては、そのような事実はないものと信じております。
次に、八月の二十四日と二十七日につきまして、頭上報告があったというご指摘でございますが、もしその頭上報告が職場放棄に当たり、かつその職場放棄が三十分以上にわたる場合においては、賃金カットを行なったものと信じております。
〔四十七番伊藤昌弘君登壇〕
◯四十七番(伊藤昌弘君) 全然答弁がなってないんだ、一番大事な問題ですよ、これは、
まずストの問題でありますが、条例を守ることが、基本なんです。ところが、このたびのストは、労使双方とも条例を守らない。労働者と管理者側が八百長しているのです。具体的にいいまする、とこういうことです。ストの真相というのは、まずその管理者は、スト前に条例どおり、交通事故届けを出しなさいと職員に話しております。それから、ストライキ後も、交通事故扱いをしますからおくれた人は事故届けを出しなさいと管理者はいっております。それでも職員は出さなかったのであります。どうして出さなかったかということは、あなた方はちゃんと知っているはずです。それは、このストについては上司が何といっても一切答えるなという指令を組合側は出していたんでしょう、知事、そういう指令を出したから、一般職員は上司のいうことを全然聞いていないわけです。そして職員の中には一日じゅう、八時間出勤をしなかった者もあるわけです。そうなると八時間分の賃金カットをしなければならない。届けも何にも出していないんですから、八時間分の貸金カットをしたら、その分を、補てんをするところの組合が困るので、あわてて副知事に会って、一ヵ月という余裕をごたごたさせて、そうしてこの怪文書たる事務連絡を出したわけであります。すなわちこの事務連絡というものは、条例を一時的にも改廃をしているんですぞ。
その理由を申し上げましょう。(発言する者あり)まずこの事務連絡の届け出の追認というものは違法であります。これは大事なことですから聞いてください。なぜかといいますと、このストライキはあらかじめ職員は全部知っているわけです。だからいわゆる交通でおくれるからというので事前に事故届けを出す意思があれば、まじめな職員ならば当然届け出を出しているはずです。また管理者は、事前に事故届けを出せと、いうて、おるし、それからストライキあとも事故届けを出しなさいといっておる。これを、拒否をした職員が、あなた方の怪文書にあるところのいまだ届け出を出さない者の実態なのであります。すなわち届け出を出さない者は、最初から条例を守ろうとしない悪質な職員であります。また学校において見ても、校長の正しい命令に従わなかったそういう者は違法者であります。それを一ヵ月後に、あまつさえいわゆる条例による正式な手続をとらないで、簡略な特例用紙を使って一括賃カツをまとめたわけであります。これはめちゃめちゃであります。
それから、その第二番目に書いてあるが、事故休暇の追認も明らかに法令違反であります。それを説明すると、労使の労働基準法違反でもあり、またこれは校長の権限の侵害であります。ご承知のように、四十八年三月三日、最高裁の判決によって休暇の追認は違法であるというものが出ております。すなわち、この休暇扱いは、校長の時期変更権を全く無視をして、一ヵ月後に休暇を認めよという重大な違反行為であることは、法律の知識のあるあなたがわからないわけありません。すなわち美濃部知事以下は、悪人のために便法をつくったわけです。(発言をする者あり)悪人のために便法をつくったわけです。あなた方だって良心があるわけであります。これがいわゆる内容であります。
それから交通局長はまじめに、やった、ですから、さっきあなたを私はほめましたけれども、交通局長にお尋ねをしますが、あなたのほうはこの怪文書のような事務連絡を出したか、出さないか。
それから総務局長、あなたはこの事務連絡というものを、通知文の形式であるから名前も要らないし、判も要らないし、発番号も要らないといいましたが、これは単なる事務連絡ではありません。いわゆる条例を一時的にでも改廃をするところの重大な通達事項であります。なぜあなた方の名前を書かなかったかというと、自分らは良心のとがめがあるから、局長の名前を使わないで、責任回避の手段として、いわゆる部長だとか課長の名前を使ってこの怪文書を出させた、まことに良心なき上司といわざるを得ないのであります。
それから先ほどは総務局長がいいかげんなことをいっておりましたけれども、いわゆる教育関係を見ますと、二十七日の半日のストは、お昼の十二時、すなわち始まってから四時間後にはほとんどの学校の先生は職場に復帰して、おるん、です。通ってこようと思えば国鉄だって通えるわけであります。それを総務局だけがそういういいかげんなことをやって、賃カツ免除をしたから、あなたの局は百人ストに参加してたった二人しか賃カツをしないということであります。私はすべてそういうものは調査済みなのであります。
次に教育長に再質問をいたしますけれども、いわゆる研修というもの、この確認はどういうものかというと、法令の不明確なものを明確化するというのが確認の趣旨であります。ところが、教育長の出したところの確認は、現場へ行くと、その法令が不明確になってくるような確認を出しておるから、いわゆる教育の現場を大きく乱すことなのであります。研修は確かに自主的にやることはあたりまえです。あたりまえのことを確認する必要はないのであります。またこの勤務時間に実働勤務時間ということがありますが、実働勤務時間などということは法令や条例には、ないんです。いわゆる条例にないものを教育長がかってにつくるという権限は教育長にはないはずであるが、この点もお答えをいただきたいのであります。また給特法の国の基準を縮める。それは、体育は授業中にやればいいということがありますけれども、何も、かわいい児童に対してからだを鍛えるために先生が放課後にやりたいというならば、やらしてあげたって悪いことはない、やっちゃいけないというような教育家はないわけであります。すなわち国の基準に戻していかなければならないのであります。
もう一つ、この重大な確認事項は、校長の知らない間に組合と教育委員会の間でつくられておるということは、まことに非常識きわまるものであります。したがってこの確認事項並びに確認書は全部改正をしなければならないと私は思っております。もう一度ご答弁を願いたいのであります。
次に、このスト状況報告書を破り捨てたことは何かわからないということでありますが、これはこういうことです。いわゆる第一次に集めたところの賃金カット者数その他ストの状況報告というものがあるでしょう、きめられているのが、あれを破り捨ててしまっておるわけです。それでは一体証拠というものがなくなっちゃうじゃないですか。そういうようなことをやってはならないことはあたりまえであって、これについてあしたからさっそく調査をして、その回答を出していただかなければ困るのであります。
それから教育長は、賃金カットをした学校と、賃金カットをしない学校について、ろくな答弁もしないで去ってしまったけれども、すなわち、九百何十校は賃金カットをしてある、七百何十校は賃金カットをしていない、この不公正さを管理者は明らかにしなければならないのであります。いわゆる、組合費を、補てんをするから、職員には関係がねえから、何もいってこないから黙っているというような、そういう管理者の姿勢では誤りであると思います。
それから知事もひとついまのことについて、あなたは最高責任者でありますから最終的にご答弁を願いたい。
またこの頭上報告というのも、皆さん方現場で見て見苦しいと思いませんか。いわゆる大衆の奉仕者であるところの役人が仕事中に、都民がその現場へ来ていても、その場で堂々とストについての演説をするというような姿は、これは美濃部さん、東京都の信用を著しく傷つけるものであります。
こういうような問題を総括的に本会議場において述べて、いまの誤れるところの服務秩序をこの機会に美濃部さんの決断によって正していかなければならないと思って、私は演説をしたわけであります。どうかまじめな考え方でご答弁を願いたい。くれぐれも申し上げますが、最後には知事の総括的な回答を願います。
いま一ついい落としましたけれども、いわゆる賃金カットを免除した中には、歩いて通ってくる者、自転車で通ってくる者、ストのないところの私鉄で通ってくる者まで全部賃金カットを、免除をしたのでありますから、これは明らかに大きな不当支出であるということを最後に申し上げて、再質問を終わります。
〔総務局長赤羽嘉郎君登壇〕
◯総務局長(赤羽嘉郎君) 知事部局に行なわれました特例事項の違法性について三点ご指摘がございましたので、その点について考え方を申し上げたい、このように思います。
条例違反というふうなお話があったわけでございますけれども、ただいまご指摘になった関係のものは、すべて条例ではなくて、規則ないしは規程でございます。したがいまして即条例違反という形にはなってございません。
まず一般的に申し上げますが、条例、規則で定められております事項を、条例、規則を改正することなくその変更をするということはできませんが、規程、いわゆる訓令で定めた事項につきましては、他の意思決定によりましてこれを変更することも可能でございます。また規則で定められておる様式等につきましては、場合によりましてその様式等の形式を異にいたしましても、内容におきまして同様のものでございますれば、これを違法なものとして取り扱うよりも、その実質を見て合法と解することができるというふうには解されております。
今回の事務連絡の措置でございますが、事故の届け出、これは職員の服務規程で規定されておる関係のものでございますので、変更が可能であると解しております。
それから給与減額免除の申請書でございますが、これは給与条例の施行規則できめられておるものでございまして、これは別様式によりましたが、内容は同じと解して、合法と推定をしてございます。(「全く様式が違う」と呼ぶ者あり)
それから休暇の申し出の件でございますが、これは勤務時間に関する規則で規定してございます。これでは原則として、休暇願によりあらかじめ承認を受けるのをやむを得ない場合として、事後の請求を認めたという件でございます。これにつきましては、ただいま伊藤議員は判例を例示して出されたわけでございますけれども、私も法律の必ずしも専門家では、ございません、でして、うちの法律専門の職員の解釈では、それとはちょうど逆の形でございまして、この規則の十六条の、あらかじめ承認を受けさせることの趣旨は、職員の権利として持つ休暇について時期変更権の行使を容易ならしめることにあると解され、任命権者にとって有利な定めと考えられておる、したがって特別な場合に、任命権者みずからが職員に有利な取り扱いをすることは、同条の趣旨を逸脱するものではなく。事後の承認は合法といえる、このようにうちのほうでは解してございます。(発言する者あり)
それから事務連絡の関係でございますけれども、これは意思決定をしまして、その内容を事務的に連絡をするというふうなことでございますので。扱い方としまして、必ずしも適当でない面はあろうかと思いますので、この点につきましては、今後十分気をつけたいと思っております。(「条例どおりやっているのか」と呼び、その他発言する者あり)
〔交通局長田中白有君登壇〕
◯交通局長(田中白有君) 交通局に事務連絡があったかというご質問でございますが、そのような事務連絡を受けておりません。
〔「違う、違う、交通局は事務連絡をしたかというの」と呼ぶ者あり〕
交通局は各営業所等に事務連絡はいたしてございません。
〔発言する者あり〕
〔教育長日向美幸君登壇〕
◯教育長(日向美幸君) 事務連絡につきましては、総務局と同様に私どものほうで出しました。
その次に、研修のことでございますが、これ自体当時私たちが話し合いをいたしますときに、当然のものは一応それでもっていいじゃないかということでもってやったものでございますから、そこに誤解を招いた。このことについては校長会にもその後再三いろいろと話し合いをいたしまして、了解をいたしてもらっておりますが、そのあとまだいろいろとそういうようなことが尾を引くようであったらいけませんので、そのあとの、たとえば教特法の勤務時間、あるいはそういういろいろの問題等につきましては、必ず校長会とは十分に連絡をとり合って、その上でもってやったわけでございます。今後におきましても、私たちは、やはり学校の中心は校長でございますから、校長とは十分に連絡をとりながら、事態を処理してまいりたいと考えております。もちろんこれは学校側でございますから、職員とも話し合ってまいります。
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) よく実熊を調べまして、正すべきものは正そうと思います。
─────────────
◯議長(醍醐安之助君) 九十三番古谷太郎君。
〔九十三番古谷太郎君登壇〕
◯九十三番(古谷太郎君) 昨夜企画調整局の方が深夜私の家を訪れまして、質問についていろいろと私に尋問したのであります。私もよくお答えしておいたんですが、あるいは夜おそくなって調整局の方も報告を忘れていた点があるといけないと思いまして、いま原稿を預けたわけです。
質問に先立ちまして一言ご了解を得ておきたいと思います。私の質問の中に出てくるすべての事柄については、公開された新聞、雑誌あるいはまた書籍等によるものです。この原典とか敬称等については一々申し上げません。
三ヵ月前の六月定例会で、私はこの席からあなたに対して、三多摩水道の都移管による一元化、私立学校運営費補助を十二億七千万円ふやして二十三億円とする、また政府の方針である食肉のストックポイントをつくってくれということを提案しました。この三点について知事は今回私どもの勧告をすなおに取り入れ、十分とはいえないが、実行予算を提出した。知事がこのような変わり身を見せたことはまことに喜ばしいことであります。いずれにしても三ヵ月で実現さした実行力は高く評価いたします。私ども議員はまじめに、真に都民の立場に立って質問し、進言しているのでございますから、知事も冷静に反省し、今後はわが党の意見を尊重し、イデオロギーにとらわれないで、ひとつ都民のためにやってもらいたい。(拍手)
質問に入ります。
私は知事の都政に対する基本姿勢についてお尋ねいたします。原稿をお渡ししてありますから、よく読んでいただきたいと思います。
あなたは日ごろ自由とか平和、民主主義、これをうたい文句としております。そしてあなたは当選してきたのであります。ところが、はからずも今回の都議選で知事があらわした行動は、暴力と独裁に協力し、自由と平和を望む都民の期待を全く裏切ったのであります。すなわち去る五月十一日、知事はマルクス主義集団の一派である代々木派委員長の宮本顕治を訪問し、自己の保身と美濃部独裁都政確立のため助けを求めて泣き込んだのであります。このことについて知事の反省を促すとともに、その所信と弁明を求めるものであります。
私は、かねがね宮本君が私の生まれ故郷の南多摩に住んでいて(笑声、拍手)大きなおうちをつくったといううわさを聞いております。はからずも今回選挙の遊説の途上その事実を確認したのであります。多摩の丘陵の最も見晴らしのいいところであります。かって明治天皇がその風光をこの上なく愛され、しばしば行幸されました蓮光寺の向ヶ丘のまん中に彼の家があったのであります。彼の家の前には、明治天皇の御野立の記念碑が立っております。そこは多摩川の南絶壁の上にある平たんな台地でありました。多摩川の流れと関東平野、そして関東山脈が一望のもとに見渡せるまことによいところであります。この景勝の土地に、刑務所を思わせるような、高い、高い冷たいへいが、立っております。この、へいの中に二階建ての豪邸があります。あかずのとびらといわれますまっ黒な鉄の門が権力的にきらめいております。この門の表札の中に宮本と書いてあります。(「都政とどういう関係があるんだ」と呼ぶ者あり)しかも五十四平方メートルの地下壕があります。建て坪は二百九十七平方メートル、広大なお屋敷であります。
地下室の話を聞いたとき、私はハッと思ったのであります。紀元二五九三年、西暦一九三三年から九四年にかけて行なわれた宮本一派によるテロ事件を思い出さずにはいられなかったのであります。当時の東京朝日新聞は、「前代未聞、赤の兇刃下テロに躍る七百余名」と報じております。その記事によりますと「昨年十二月二十一日、都内赤坂の地下室から宮本君等の同志である大串雅美君がリンチに耐えかねて脱出し、警察に助けを求めた。それから二十五日後の一月十五日、渋谷区幡ケ谷の民家の床下から、上半身裸の男の死体が掘り出された」のであります。(「アル中」と呼ぶ者あり)このことからこの記事が始まっております。この死体こそ、宮本派の中央委員である小畑達夫君なのであります。
本件については。現在の宮本派の副委員長である袴田君が。深川の警察署において次のように自供し、署名、捺印を押しております。袴田君の供述はこう書いてあります。「十二月二十三・二十四日の厳寒の中で、徹夜で宮本君等は小畑君をスパイ容疑で査問した。小畑君はその時、師走の寒空の下で、シャツとズボン下だけにされ、手足を縛られていた」と述べております。赤軍事件そっくりであります。
また当時の大審院の判例はこのように記録しております。「宮本・袴田等の四名は、小畑を査問の際、威嚇用の用具として拳銃、出刃庖丁、薪ワリ用斧等を準備しておき、査問を実行し、特に二十四日は小畑に対して、ことさら暴虐、執拗なる方法をもって査問を敢行し、頭部・額面・腹部・手足等に多数の皮下出血、その他の傷害を負わしめ」云々となっております。
小畑君の死因は、東京大学の法医学の権威者、古畑種基教授によって解剖されました。その結果、外傷性虚脱死であると診断されました。それゆえに大審院、裁判所は、宮本君の罪名は不法監禁致死であります。袴田君は同様に傷害致死であります。
戦後宮本派の中央委員になった波多然は、当時の模様について次のようにいっています。私もその被害者の一人であり。戦後も生き残って活動してきた一人である。袴田君は私の事件に対して、スパイ嫌疑による査問と供述しているが、だが実際は、嫌疑ではなく最初からスパイであることの告白の追求であり、ピストルと短刀による脅迫、血の通わぬほどの手足の縛りと、息もつけぬほどの、サルぐつわ、合着で冬の寒さに数カ月耐え忍んだリンチ事件でありました。殺して埋める計画さえ持っていたのです。(「議長、議長」と呼ぶ者あり)私は幸い死を免れましたが、死ななかったのがむしろふしぎであります。十日間以上も仮死状熊におちいり、数個所に取り返しのつかぬ傷害を受け、手足は当時から今日まで一日も欠かさずマッサージをしている。(「アル中」「黙れ」と呼ぶ者あり)波多然さんの額にはいまでも焼け火ばしの跡が厳然と残っております。(発言する者あり)
私はいま、ここで戦前の宮本君や袴田君のご活動に対して云々をしようと思うのではないのであります。この宮本君らは、戦後もなおかつ自由と平和を乱し。暴力によって自己の勢力を拡張しているのであります。そうして、さらに驚くべきことには、みずからの暴力行為を他の者の責任になすりつけるのであります。(「議長、議長」と呼ぶ者あり)このようなひきょうな態度こそまことに許しがたいのであります。(「こんな発言許していいのか」「関係なし」と呼び。その他発言する者多し)
警察庁の発表によりますと、マルクス主義を唱える派閥間の乱闘の中で、宮本派と称する一派と反宮本派の間には、絶えざる暴力事件がございます。(「共産党のぺいぺいはわからないんだから、聞け」と発言する者あり)昭和四十五年には七十七回、四十六年には百十六回、四十七年十一月までに七十五回に及んでおります。実に宮本派対反宮本派の乱闘は、三日に一回どこかで行なわれているわけであります。しかもことしに入って九月までに、あなたの治下である東京都内の中で、もうすでに摘発されただけで十三件にも及んでいるのであります。(「都政とどう関係あるんだ」「聞け」と呼ぶ者あり)都民はこの宮本集団による暴力によってたいへんな迷惑をこうむり、また非常な恐怖を抱いているのであります。
私は、この集団によって実行され、また作戦を起こされて行動を起こされて。行動された一つの例をあげてみたいと思います。その数は数限りなくありますので、たくさんあげるわけにいきません。
それは先年、沖縄の琉球大学における電気工学部四年生町田宗秀君虐殺事件であります。宮本派は五月十九日の沖縄ゼネストで完全なる敗北をしたのであります。この破局に追い込まれてしまった宮本派は、勢力挽回をはかるために反宮本派に対して、殺人的暴力の赤裸々な展開を行なったのであります。(「演説会じゃないぞ」と呼ぶ者なり)宮本派の下部組織である沖縄民主主義青年同盟は、大挙して六月十八日の夜中です。琉球大学を囲んでしまいました。そして突撃隊五十余名は、へい、を乗り越えて学生寮に乱入、学生を一人死亡、二名が瀕死の重傷、十二名が重体におちいったのであります。(「早く質問しろ」と呼ぶ者あり)沖縄県警は直ちに出動しました。しかしながら、残念ながら暴徒は逃げ去ったのであります。
一瞬の悪夢でありました。瞬時のできごとであったのであります。この事件の後に宮本派の山城正輝以下十二名が県警に逮捕されております。
ところがこの原因をつくった大もとは上田耕一郎です。この事件の一ヵ月前の五月二十一日、十九日に破れ去った宮本派は緊急作戦会議を開きました。この会議には上田耕一郎、榊利夫、そして沖縄の瀬長亀次郎君らがいたのであります。この作戦会議こそ、この殺人的襲撃の指令となり、イデオロギー的基礎をなしているのであります。このことについてかっての宮本君の同志である高知サトシ氏は、次のように書いております。
町田君は。初めから殺意を持った宮本一派、地区民青によって瞬時に血祭りにあげられたのである。それは未必の故意でも傷害致死でもなく、民主主義青年同盟による問答無用の殺人行為であった、と公表しております。このことをあなた方の雑誌「前衛」七月号にも明らかであります。(「何を質問するんだ、明らかにせい」と呼ぶ者あり)
さらに重要なことは、この宮本君らがとった態度であります。上田耕一郎君らの責任は免れないにしても、御大である宮本派がとった態度はまことにみごとでありました。宮本派の機関紙「赤旗」は、最初から事件の報道に一種の情熱を燃やしておりました。異常な情熱でありました。宮本派は、初めはこの事件は、おれには関係ないんだということを盛んに主張しておりました。ところが事件が重大性を帯びてくると、今度は、あれは、革マル派の内粉だということを盛んにいいだしました。しかし、皆さん、実際に犯人として検挙され、裁判が行なわれているのは、宮本派の民主主義青年同盟の若者であるということは明らかであります。(拍手)みずから行なった襲撃を──襲撃というのは、一つの政治的実践であります、マルクス主義においては、(「あしたから泣き言いうなよ」と呼ぶ者あり)このような政治的実践を公然化しないばかりでなくて、彼らは二段がまえでひきょうにもその責任を他へ転嫁しているわけであります。このひきょう、卑劣な態度こそ宮本派本来の姿を赤裸々に浮かび上がらせているのであります。(発言する者あり)
宮本派の「赤旗」編集長上田耕一郎、そして論説委員榊利夫君らによるこのひきょうなキャンペーンは、宮本派の基本的な体質であります。上田、榊の両君は、皆さん、このおかげで二階級特進をするとうわさされております。(発言する者あり)十一月の党大会で宮本君に盲従したためにこの二人は二階級特進、上田耕一郎君に至っては参議院の公認候捕になったというふうな話であります。(「大きなおせわだ」と呼び、その他発言する者多し)
皆さん、その後東京でもすぐ民主主義青年同盟の諸君は、宮本派は、かの有名な早稲田大学で革マル派を襲撃しております。このように私が申し上げているように、宮本集団による暴力行為は数限りないものがあります。自由と平和に対する宮本集団のきびしい挑戦は、まことにすさまじいものがあるのであります。知事はこの事実を知りながら、何ゆえに宮本一派の協力を求めたのか。(「そうだ」と呼び、その他発言する者あり)また宮本一派である人たちの選挙応援は、とりもなおさず私たちにとってみれば、暴力の肯定を意味しているといわなければなりません。(拍手)そうすれば、知事はこれら暴力事件の間接的共犯者といわれてもしかたがないでしょう。(拍手)このことについてあなたの弁明を求めたいと思います。(発言する者あり)
さらに私は、代々木派、宮本派が非民主的集団であることを明らかに立証したいと思います。そして知事の考え方を承りたい。
暴力と反民主主義。宮本派の長い幹部であり中央委員であった神山茂雄君は、自分の著書の中で次のように書いております。
宮本一派は党機関をかってに動かし、相手にしては事実無根のことをでっち上げ、いきなり組織処分にしてしまうのである。つまり自分らが網領違反の決定をなすときには、反対意見者がその民主的討論、特に全党討議を要求しても、多数の力で圧殺してしまいます。そして計画的な処分に当たっては。弁明の機会を全く与えません。しかも処分後は相手の政治活動はもとより、基本的人権や生存権まで抹殺しようとします。このやり方はスターリン的というより、リンチ事件の宮本、袴田にふさわしい、と番いております。このことは、宮本派の集団の中では言論の自由がなく、会議の民主的運営が全く無視されていることを明らかに示しているのであります。(「どこの週刊誌だ」と呼ぶ者あり)
先日の参議院国会対策委員長の須藤五郎君は、当人が知らぬ間に、あっという間に首になっております。この事実一つ見ても明らかです。
慶応大学の中村勝範教授も、現在代々木宮本派の内部では、言論、集会、結社の自由すら全く認められていないと述べております。今月の「文芸春秋」をごらんなさい。このことは明らかに書いてあります。(「お黙り」と呼ぶ者あり)くやしかったら。文句いったらいいでしょう。(拍手)「文芸春秋」ではこう書いてあります。
宮本派においては、委員長や議長、書記長らを選ぶのにどのような討論が行なわれ、またどのような方法で決定されたのか全く公開されない。また新聞にも発表されていない。(発言する者あり)いやしくも人事や財政のように最も政党にとって大切な討論が全く知らされていない集団を、民主的集団と宜伝している宮本派、およそナンセンスな団体であります。(「そうだ」と呼び、その他発言する者多し)外部に対しては民主主義を唱え、言論の自由を幾ら書いてみたって、集団内部においてすら実行されていない事実は、宮本派が非民主的な集団であることを明白に物語っております。(「そのとおり」「情けないね、自民党」と呼び、その他発言する者あり)
このように自由と平和の破壊者であり。民主主義の敵である宮本一派と組んで、あなた、知事は選挙を行ない、東京の三多摩の一番西の端の青梅まで、一日がかりで宮本派の侯補の当選のために死力を尽くして応援に行ったのであります。(「くやしいか」と呼び、その他発言する者多し)確かにこの知事の命をかけた宮本派に対する選挙応援は、都民の選択を大きく狂わせました。日本社会党の大幅な敗退という結果をもたらしたのであります。(笑声、発言する者あり)
知事は三月の第一回定例会において、本議場を通じて都民に対してあなたはこういっているのですよ。民主主義を貫くためには都民の選択を尊重し、事前にこれに影響を及ぼすような言動は厳に慎まなければならない、私がこのような発言をいたしましたことはざんきにたえません、深くおわび申し上げる、と三月にいっておられます。涙を流していっていたんですよ。私は、知事は今度こそ誠意があるなということを受けとめたのであります。ところがです、この涙がまだかわかない五月十一日、突然に暴力集団の親分、宮本顕治君をあなたはわざわざ訪問して、都議選の応援を依頼に都庁から出かけていっております。情けないではありませんか。(笑声)美濃部君は、勝つためには手段を選ばず、都民への約束を破って、都民の選挙の選択に干渉を示したのであります。選挙戦を宮本君ら一派のために戦い抜いたのであります。これらの言動について知事はどのように反省しているか、所信を承りたいと思います。
また五月十一日の新聞記者会見で、知事は、私のいう都議選の勝利とは、社共だけで過半数を占めることだと述べているわけであります。選挙の結果は、あなた自身のことばによれば完全なる敗北であります。知事はあなた自身の良心に従って辞職すべきだと思うが、知事の決意のほどを承りたいと思います。
なお、宮本君の長い間の同志であり、戦後も党の、宮本派の最高責任者であった常任幹部会員として活躍しておりました西沢隆二氏が、同志宮本顕治君に次のような詩をささげております。私は、この詩はあなたにもふさわしいと思うので、朗読いたします。
裏切り者、心が暗くなれば顔も暗くなる。宮本顕治よ。鏡を見ることを忘れるな。顔が暗く、暗く、暗くなっていく。思想が暗くなれば心も暗くなる。(「恥を知れ」と呼ぶ者あり)
あなたの良識ある答弁、誠意を期待して、質問を終わります。
再質問を保留します。(拍手)
〔
知事美濃部亮吉君登壇〕
◯知事(美濃部亮吉君) 私の政治的主張を理解し、これに共感を持ってくれる政党が多数の都民の支持を受けてくれることを願います。それによって私の基本的政策が支持され、これが実現されることを願うのは当然でございます。私はこの考え方によって行動したまでであって、私の行動は正しいと思います。(拍手)
〔九十三番古谷太郎君登壇〕
◯九十三番(古谷太郎君) いまあなたは、自分の政策を実現するために、味方をふやしたいから頼みに行ったのだ、こういうふうな回答をなさいました。暴党であろうと、暴力集団であろうと、反民主的な団体であろうと、あなたの政権を確保するためにはだれでも頼みに行く。この行動が今日の東京都政の混乱を招いているのであります。ごみもできない、自動車は込む、水もできない、大体あなたのような考え、自分の権力だけに執念し、手段を選ばないという知事のもとにおいては、職員だって一生懸命働けなくなります。いわんや他府県の方は、あなたのために水をやろうなどという気が起きるわけがない。うそばかりついている。あなたは即刻やめることを、都民のために勧告して質問を終ります。(拍手)
〔九十一番田島衛君発言を求む〕
◯議長(醍醐安之助君) 九十一番田島衛君。
◯九十一番(田島衛君) 議事進行について、ただいま……
〔「識事進行」「議長、議長」と呼び、その他発言する者多し〕
◯議長(醍醐安之助君) 九十一番田島衛君。
◯九十一番(田島衛君) ただいまわが党古谷議員の質問中、アル中と呼んだ者があります。しかも二度にわたって呼んだ。これは公開の議場において、議場に対する重大なる侮辱であります。(発言する者あり)したがってこのことについて調査をする必要がありますから、会議の休憩を求めます。
〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〔「暫時休憩」「議事進行」「はからなければだめだ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
◯議長(醍醐安之助君) 暫時休憩をいたします。
午後七時八分休憩
━━━━━━━━━━
午後八時四十八分開議
◯議長(醍醐安之助君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問は終わりました。
━━━━━━━━━━
◯議長(醍醐安之助君) これより日程に入ります。
日程第一から第五十五までを一括議題といたします。
〔
小松議事部長朗読〕
一、第百五十五号議案昭和四十八年度東京都一般会計補正予算(第三号)ほか議案五十二件、諮問一件及び専決一件
(別冊参照)
◯議長(醍醐安之助君) 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
副知事磯村光男君。
〔副知事磯村光男君登壇〕
◯副知事(磯村光男君) ただいま上程になりました第百五十五号議案外五十四案件についてご説明いたします。
初めに第百五十五号議案外十件の昭和四十八年補正予算案について申し上げます。
第百五十五号議案は一般会計補正予算第三号で、予算総則第一条は歳入歳出予算の補正でございます。まず歳入については、都税八百八億四百万円。国庫支出金百七億九千万円、都債六十九億円、その他繰越金、諸収入等合わせて総額千五十四億五百万円を計上しております。
歳出については、物価対策経費十八億六千万円、ごみ対策経費百十八億九千七百万円、公害対策経費四十七億千四百万円、国庫補助事業の確定に伴う追加経費六十八億四千七百万円、人事委員会から勧告のありました職員の給与改定に要する経費等の給与関係費六百五十七億四千百万円など総額千五十四億五百万円を追加するものでございます。
予算総則第二条は、旧キャンプ王子跡地建物等の取りこわし工事外二十件の債務負担行為で、総額七十三億三千九百万円を補正するものでございます。
予算総則第三条は、清掃工場建設費等に対する起債で、七十一億八千六百万円を追加するものでございます。
次に第百五十六号議案は特別区財政調会計の補正予算で、特別区の職員の給与改定所要経費など百億八千八百万円を計上しております。
第百五十七号議案及び第百五十八号議案は、それぞれ工場会計、用地会計の補正予算で、給与改定経費のほか公園用地等の経費、合わせて七十億六千四百万円を計上しております。
次に第百五十九号議案から第百六十二号議案までは、いずれも給与改定などの給与関係費を補正するもので、新住宅市街地開発事業会計四千百万円、港湾事業会計千八百万円、病院会計十五億四千八百万円、屑屠場会計三千五百万円をそれぞれ計上しております。
第百六十三号議案は
中央卸売市場会計の補正予算で、株式会社東京都食肉供給公社への出資金など七億九千五百万円と、債務負担行為二億五千万円を追加するものでございます。
第百六十四号議案は水道事業会計の補正予算で、小平市ほか三市の水道事業一元化の経費五億九千百万円を計上しております。
第百六十五号議案は下水道事業会計の補正予算で、代替地の購入経費三十億円と区部下水道拡張事業の債務負担行為三百四十億円を補正するのでございます。
次は条例案でございますが、新たに制定する条例が第百六十七号議案一件、一部を改正する条例が、第百七十号議案、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例など二十四件、合わせて二十五件となっております。
次に契約案は、都営住宅、高等学校の建設など工事請負契約九件、事件案は、土地の買い入れ、水道事業の事務を小平市ほか三市に委託するものなど八件でございます。
このほか諮問一件、専決一件となっております。
よろしくご審議をお願いいたします。
◯議長(醍醐安之助君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
なお、本案中、第百六十六号議案、第百六十七号議案、第百六十八号議案、第百七十号議案及び第百七十六号議案については、地方公務員法第五条第二項の規定により、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
議事部長をして朗読いたさせます。
〔
小松議事部長朗読〕
四八人委第一、三八二号
昭和四十八年九月二十七日
東京都人事委員会 委員長 太田 園
東京都議会議長 醍醐安之助殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について
昭和四十八年九月二十五日付、四八議議第五二二号をもって照会のありました第百六十六議号案、第百六十七号議案、第百六十八号議案、第百七十号議案及び第百七十六号議案については、異議ありません。
◯議長(醍醐安之助君) おはかりいたします。
ただいま議題となっております日程第一から第五十五までは、お手元に配付いたしてあります議案付託事項表のとおり、各部門に分かち、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(醍醐安之助君) ご異議なしと認めます。
よって日程第一から第五十五までは、議案付託事項表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
─────────────
(別冊参照)
━━━━━━━━━━
◯議長(醍醐安之助君) 日程第五十六を議題といたします。
〔
小松議事部長朗読〕
四八財主議第二〇六号
昭和四十八年九月二十一日
東京都知事 美濃部亮吉
東京都議会議長 醍醐安之助殿
昭和四十七年度東京都公営企業各会計決算の認定について
このことについて、地方公営企業法第三十条第四項の規定に基づき、下記のとおり送付しますから、東京都議会の認定方よろしくお取り計らい願います。
記
一 昭和四十七年度東京都病院会計決算書及び同決算審査意見書
二 昭和四十七年度東京都屠場会計決算轡及び同決算審査意見書
三 昭和四十七年度東京都
中央卸売市場会計決算書及び同決算審査意見書
四 昭和四十七年度東京都埋立事業会計決算書及び同決算審査意見書
五 昭和四十七年度東京都
多摩ニュータウン水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
六 昭和四十七年度東京都交通事業会計決算書
七 昭和四十七年度東京都高速電車事業会計決算書
八 昭和四十七年度東京都電気事業会計決算書
九 昭和四十七年度東京都交通事業会計・高速電車事業会計・電気事業会計決算審査意見書
十 昭和四十七年度東京都水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
一一 昭和四十七年度東京都工業用水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
一二 昭和四十七年度東京都下水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
(決算書等省略)
◯七十番(奥山則男君) 本件は三十人の委員をもって構成する昭和四十七年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されんことを望みます。
◯議長(醍醐安之助君) おはかりいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(醍醐安之助君) ご異議なしと認めます。よって本件は、三十人の委員をもって構成する昭和四十七年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配付の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(醍醐安之助君) ご異議なしと認めます。よって委員はお手元に配付の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
─────────────
昭和四十七年度公営企業会計決算特別委員会委員名簿
小坂 辰義君(親) 保坂 三蔵君(自)
小倉 基君(自) 斉藤 一雄君(社)
池山 鉄夫君(共) 鈴木善次郎君(公)
萩谷 勝彦君(公) 近藤 信好君(自)
井上 吉男君(自) 小島 一君(自)
小林かんじ君(自) 川口 弘君(共)
菅原 世光君(公) 宮沢 良雄君(公)
伊藤 昌弘君(自) 田中 熊吉君(自)
小倉 康男君(社) 田中 安三君(社)
上村 重人君(共) 新井 一男君(自)
奥山 則男君(自) 酒井 良君(社)
沖田 正人君(社) 塩谷 アイ君(共)
小泉 隆君(公) 山村 久君(自)
細井ゆうじ君(共) 栗原 茂君(共)
藤原 行正君(公) 春日井秀雄君(自)
─────────────
◯議長(醍醐安之助君) なお、本日の会議終了後、役員互選のため委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。
━━━━━━━━━━
◯議長(醍醐安之助君) これより追加日程に入ります。
追加日程第一を議題といたします。
〔
小松議事部長朗読〕
一、四八第四百七十六号 東京都日照条例に対する陳情
◯議長(醍醐安之助君) おはかりいたします。
本件は日照条例等審査特別委員会へ付託いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(醍醐安之助君) ご異議なしと認めます。よって本件は日照条例等審査特別委員会へ付託することに決定いたしました。
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◯議長(醍醐安之助君) 追加日程第二、日照条例等審査特別委員会委員辞任の件を議題といたします。
日照条例等審査特別委員会委員の林永二君より、当骸委員を辞任したい旨の申し出がありました。
本件は申し出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(醍醐安之助君) ご異議なしと認めます。よって本件は申し出のとおり辞任を許可することに決定いたしました。
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◯議長(醍醐安之助君) ただいまの辞任許可に伴い、当骸委員の欠員を補充する必要が生じましたので、日照条例等審査特別委員会委員選任の件を本日の日程に追加し、追加日程第三として直ちに選任を行ないます。
本件は委員会条例第五条の規定により、議長から十一番藤原哲太郎君を指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(醍醐安之助君) ご異議なしと認めます。よって本件は議長指名のとおり選任することに決定いたしました。
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◯議長(醍醐安之助君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
受理いたしました請願三百九件及び陳情百八件は、お手元に配付の請願陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)
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◯議長(醍醐安之助君) おはかりいたします。
明五日から十四日まで十日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(醍醐安之助君) ご異議なしと認めます。
よって明五日から十四日まで十日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
なお、次回の本会議は十月十五日午後一時に開きます。
以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後九時散会...