東京都議会 1958-06-24
1958-06-24 昭和33年第2回定例会(第11号) 本文
午後三時二十五分開議
◯議長(上條 貢君) 只今より昭和三十三年第二回
東京都議会定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。この際会議時間の延長をいたしておきます。
議席の変更についてお諮りいたします。十七番は四十七番へ、四十七番は十七番へ、四十三番は八十七番へ、八十七番は四十三番へ、九十一番は四十六番へ、四十六番は九十一番へ、六十七番は六十四番へ、六十四番は六十七番へ、それぞれ変更いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
◯議長(上條 貢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。議席変更のあつた方々はそれぞれの議席にお着き願います。
─────────────
◯議長(上條 貢君) まず会議録署名員を定めます。本件は会議規則第百二十四条の規定に基き、議長から御指名申し上げます。二十一番村木正彦君、八十一番森傳君にお願いいたします。
─────────────
◯議長(上條 貢君) 議事部長をして諸般の報告をいたさせます。
〔
佐々木議事部長朗読〕
三三財主議発第一六一号
昭和三十三年六月十七日
東京都知事 安 井 誠 一 郎
東京都議会議長 上 條 貢殿
都議会定例会招集について
六月十七日東京都告示第五百二十二号をもつて、昭和三十三年第二回
東京都議会定例会を、六月二十四日に招集したから通知します。
告示(写)
東京都告示第五百二十二号
昭和三十三年第二回
東京都議会定例会を、六月二十四日に招集する。
第百八十九号議案 砂町
下水処理場西側敷地埋立工事請負契約
第百九十号議案
のり養殖漁場災害復旧資金貸付契約
第百九十一号議案 霜雪害による被害農業者に対する経営資金貸付契約
以 上
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三三財主議収第二〇〇号
昭和三十三年六月二十四日
東京都知事 安 井 誠 一 郎
東京都議会議長 上 條 貢殿
議案の撤回について
昭和三十三年六月十七日送付した下記議案は、都合により撤回いたします。
記
第百五十号議案 土地売買契約
以 上
─────────────
三三財主議収第一九九号
昭和三十三年六月二十四日
東京都知事 安 井 誠 一 郎
東京都議会議長 上 條 貢殿
議案の誤植訂正について
昭和三十三年第二回
東京都議会定例会に提出した議案中誤植があるので、下記のとおり訂正されるようお取り計らい願います。
記
一、第百二十九号議案 支出科目中「晴海ふ頭建設費」を「晴海埠頭建設費」に、
二、第百三十号議案 支出科目中「昭和三十三年度」を「昭和三十二年度繰越使用」に、それぞれ訂正する。
─────────────
三三財主議発第一六三号
昭和三十三年六月二十四日
東京都知事 安 井 誠 一 郎
東京都議会議長 上 條 貢殿
昭和三十二年度東京都各会計予算の繰越について
地方自治法施行令第一五六条の二第二項の規定に基き、下記の各会計予算の繰越について別紙のとおりそれぞれ報告いたします。
記
一、昭和三十二年度東京都一般会計予算
一、昭和三十二年度東京都病院会計予算
一、昭和三十二年度東京都
中央卸売市場会計予算
一、昭和三十二年度東京都
港湾事業会計予算
一、昭和三十二年度東京都用地会計予算
(昭和32年度東京都
一般会計繰越使用計算書省略)
(昭和32年度東京都
病院会計繰越使用計算書省略)
(昭和32年度東京都
中央卸売市場使用計算書省略)
(昭和32年度東京都
港湾事業会計繰越使用計算書省略)
(昭和32年度東京都
用地会計繰越使用計算書省略)
─────────────
三三財主議収第一六四号
昭和三十三年六月二十四日
東京都知事 安 井 誠 一 郎
東京都議会議長 上 條 貢殿
昭和三十二年度東京都各
公営企業会計予算の繰越について
地方公営企業法第二十六条第三項の規定に基き、下記の
公営企業会計予算の繰越について別紙のとおりそれぞれ報告いたします。
記
一、昭和三十二年度東京都
交通事業会計予算
一、昭和三十二年度東京都
下水道事業会計予算
(昭和32年度東京都
交通事業会計予算繰越計算書省略)
─────────────
三三財主議収第一八号三
昭和三十三年六月二十四日
東京都知事 安 井 誠 一 郎
東京都議会議長 上 條 貢殿
出納長選任の発令について
さきに都議会の同意を得た出納長の選任については、下記のとおり発令しました。
記
日 比 野 七 郎
東京都出納長に任命する。
昭和三十三年五月二日
東京都知事 安 井 誠 一 郎
─────────────
人委発第一三四号
昭和三十三年五月八日
東京都
人事委員会委員長 大 野 木 克 彦
東京都議会議長 上 條 貢殿
地方公務員法第八条第一項第二号の規定に基き、職員の通勤手当について別紙のとおり報告いたします。
(別紙)
本委員会は、昨年十一月三十日提出した「一般職の職員の給料表その他の給与制度についての報告書」において通勤手当については、国家公務員に対する措置が決定するまで、これが意見を保留したのであるが、今般国家公務員に対しては、本年四月二十五日法律第八十七号をもつて公布された「一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律」により本年四月以降通勤手当が支給されることとなり、地方公務員についても同法附則第二項の規定により地方自治法第二百四条が改正され通勤手当を支給することが可能となつた。
したがつて、従来この点について特別の措置が施されていなかつた本都職員については下記の主旨により、通勤手当を支給することを適当とするの結論に達したので、この旨を報告いたします。
一 支給を受ける者の範囲
支給を受ける者の範囲は、国家公務員の場合とおおむね同様とすべきも、つぎの点を考慮する必要がある。すなわち、国家公務員の場合は、原則として片道二KM未満の通勤者は支給の対象外となつている、ところが、本都職員の通勤状況調査(別添資料3~4頁参照)によれば、職員の大多数の者は交通機関を利用している実情である。そしてこの事実は交通機関の発達した大都市におけるきわめて自然な生活態様であると思料される。
よつて、片道2KM未満の通勤者であつても、交通機関を利用することを常例とし、かつ、そのことがその者の生活環境からも相当と認められる場合は、通勤手当を支給することが適当である。
二 支 給 金 額
本都職員の通勤費負担の状況は、別添資料記載のとおりであつて、七百円以上の通勤費を負担するものは、全職員の四〇・四%を占めている。しかしながら、支給額については地方公務員法第二十四条第三項の規定の主旨および現行通勤手当の非課税限度額が六百円となつている事情にかんがみ、本都職員の場合においても最高支給月額は六百円とし、国家公務員の場合と同一の基準により支給することが適当である。
三 支 給 方 法
支給方法については、国家公務員の例によることが適当である。 以 上
(資料省略)
─────────────
都公委第三〇六号
昭和三十三年五月九日
東京都
公安委員会委員長 堀 切 善 次 郎
東京都議会議長 上 條 貢殿
集団示威運動(示威行進)の不許可処分について
標記のことについて、集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例第三条第四項の規定により左記のとおり報告する。
記
┌───────────┬─────────────────────────────────────────────┐
│ 項
目 │ 記 事 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│集会、集団示威運動の
│エニウエトク島核実験反対、
勤務評定粉砕夜間学生集会 │
│名称
│ │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│主催者住所氏名 │東京都新宿区榎町六〇番地 山田時太郎方 │
│ │ 永 見 堯 嗣 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│主 催 団
体 │関東夜間学生自治会連合 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│開催予定日時場所(行 │昭和三十二年四月二十五日 午後六時─午後九時 │
│進路線)及び
参加予定 │ 東京都港区芝公園四号地 東京児童館 │
│人員 │ 会場─神谷町─西久保巴町─米国大使館前─溜池─虎の門─田村町一丁目─新橋駅 │
│ │参加予定人員 三〇〇名 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│不許可年月日 │昭和三十三年四月二十四日 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│不許可の理由 │別紙のとおり │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│その他
参考事項 │申請にかかる行事は、集会及び集団示威運動であるが、集会については、これを許可し、夜間の集団│
│ │示威運動(示威行進)のみ不許可処分としたものである。 │
└───────────┴─────────────────────────────────────────────┘
(別 紙)
この行事の許可申請は、昭和三十三年四月二十二日所轄愛宕警察署に提出されたものであるが、内容を審査してみるに、夜間における集会及び集団示威運動(行進)であつて、集団示威運動の行進路線は、御成門、神谷町、米国大使館前、虎の門、田村町一丁目を経て新橋に至る主要幹線道路であり交通頻繁のため昼間における示威行進ですら実施困難な状況である。
しかも解散場所に至つては時間的、場所的に最も混雑を極める新橋駅であり、夜間において集団示威行進を実施することは交通上の危険等からして全く不可能な状態にある。
加うるに主催団体は、後記事例のとおり昨年中四回にわたつて夜間の集会及び集団示威運動を実施したが、示威行進に際して甚しく交通上の危険を惹起し或は夜間の静穏を害する等の行為を行なつた事実がある。
このたび、申請のあつた行事の内容は、名称、目的、参加者の範囲等いずれもこれらの行事と同じ内容のものであり、依然としてかかる公共の危険性を内包していることが明らかに認められた。
しかしながら当公安委員会は、基本的に申請を尊重する態度に立つて直ちに処分を決定することなく、可能な範囲において実施せしめたい意向を持つて事前に三回(四月二十二日、二十三日、二十四日)にわたつて主催者と折衝を持ち集会については支障ないが、夜間の集団示威行進については、前記の事情からして実施困難であるから日没までに終る計画に変更されるよう要望したが、主催者は公共の安寧を考慮することなくあくまでもこの要望を拒否し続けた。
よつて、当公安委員会は、万一かかる事情の下において申請にかかる夜間の集団示威運動(示威行進)をそのまま許可した場合は前例にかんがみても公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められたので、集会についてはこれを許可し、集団示威運動については、集会、集団行進および集団示威運動に関する条例第三条第一項の規定によりやむなくこれを不許可処分とした。
なお、当公安委員会は主催者に対してこの処分の決定書を交付するにあたり、処分の内容、理由並びに集会許可の付帯条件を説明し、条例に違反することのないよう指示した。
主催者は、この指示を了解の上集会を開催し、午後九時十六分頃これを終了するも平穏に解散することなく会場前広場において隊伍を整え愛宕警察署長の警告に従わず約三百名で示威行進を起そうとしたが、警察官に阻止されたため、同所において管理者の警告を無視して示威運動を行つた後再び新橋駅構内に集合して気勢を挙げ、午後十一時頃漸く解散した。
事 例
一 主催団体は、昭和三十二年五月十七日日比谷公園において「原水爆実験反対、勤学学生に対する差別撤回のための総決起大会中央集会」を開催し、その際二千五百余人をもつて会場から虎の門、田村町一丁目、新橋、土橋を経て会場まで夜間の集団示威運動(示威行進)を行つたが、行進中交通頻繁な道路において激しい蛇行進、渦巻行進等を繰返して沿道の交通を甚しく妨害しかつ危険を生ぜしめた。しかもそのつど違反行為を中止するよう警察官から再参にわたり警告、制止されたにもかかわらずこれに応ずることなく午後九時四十分頃まで許可条件に違反して行進を続け、もつて公共の安寧に重大な支障を生ぜしめた。
また、この行進に参加した者のうち約二〇〇人は同日午後十時四十分頃大挙して英国大使館に押寄せ、陳情と称して深夜に面会を強要し或は表門鉄扉を暴力的に押しあけるなど不穏な行動にでた上、さらに翌十八日午前一時頃まで同館正門前に坐り込み合唱などを行つて甚しく夜間の静穏を害した。
二 主催団体は、昭和三十二年七月六日千代田区富士見町法政大学構内において「
昼夜差別撤廃要求全国夜間学生総決起大会」を開催したときは許可条件に違反して、さらに同年九月十六日および十月三十一日日比谷公園においてそれぞれ原水爆実験禁止を目的として集会を開催したときは、許可なくしていずれも会場周辺の交通頻繁な道路において警察官の警告、制止に従わずに夜間の集団示威運動(示威行進)を行い甚しく交通上の危険を惹起した上、合唱などによつて夜間の静穏を害する等極めて悪質な違反事実を積み重ねた。
─────────────
都公委第三〇九号
昭和三十三年五月二十七日
東京都
公安委員会委員長 堀 切 善 次 郎
東京都議会議長 上 條 貢殿
集団示威運動(示威行進)の不許可処分について
標記のことについて、集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例第三条第四項の規定により左記のとおり報告する。
記
┌───────────┬─────────────────────────────────────────────┐
│ 項
目 │ 記 事 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│集会、集団示威運動の
│エニウエトク、クリマス島核実験反対、
勤務評定粉砕全国夜間学生総決起会 │
│名称
│ │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│主催者住所氏名 │東京都新宿区榎町六〇番地山田時太郎方 │
│ │ 永 見 堯 嗣 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│主 催 団
体 │関東夜間学生自治会連合 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│開催予定日時場所(行 │昭和三十二年五月十五日 午後六時─午後九時 │
│進路線)及び
参加予定 │ 東京都千代田区日比谷公園大音楽堂 │
│人員 │ 会場─防衛庁前─虎の門─田村町一丁目─土橋─数奇屋橋─国鉄労働会館前 │
│ │参加予定人員 二、五〇〇名 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│不許可年月日 │昭和三十三年五月十三日 │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│不許可の理由 │別紙のとおり │
├───────────┼─────────────────────────────────────────────┤
│その他
参考事項 │申請にかかる行事は、集会及び集団示威運動であるが、集会については、これを許可し、夜間の集団│
│ │示威運動(示威行進)のみ不許可処分としたものである。 │
└───────────┴─────────────────────────────────────────────┘
(別 紙)
この行事の許可申請は、昭和三十三年五月十二日所轄丸の内警察署に提出されたものであるが、内容を審査してみるに、夜間における集会及び集団示威運動(示威行進)であつて、集団示威運動の行進路線は、防衛庁前─虎の門─田村町一丁目─土橋─数寄屋橋を経て東京駅八重洲口に至る主要斡線道路であり交通頻繁のため昼間における示威行進ですら実施困難な状況である。
しかも解散場所に至つては時間的、場所的に最も混雑を極める東京駅八重洲口の国鉄労働会館前であり、夜間において集団示威行進を実施することは交通上の危険等からして全く不可能な状態にある。
加うるに主催団体は、後記事例のとおり昨年中四回、本年に入り一回計五回にわたつて夜間の集会及び集団示威運動を計画し、このうち昨年九月以降は許可を得ずして夜間に集団示威運動を敢行し、甚しく交通上の危険を惹起し或は夜間の静穏を害する等の行為を行なつた事実がある。
このたび、申請のあつた行事の内容は、名称、目的、参加者の範囲等いずれも右の行事とほとんど同じ内容のものであり、依然としてかかる公共の危険性を内包していることが明らかに認められた。
しかしながら当公安委員会は、基本的に申請を尊重する態度に立ち、可能な範囲において集団示威行進をも実施せしめたい意向を持つて、申請書受理の際ならびに翌十三日の二回にわたつて主催者と折衝を持ち集会については支障ないが、夜間の集団示威行進については、前記の事情からして実施困難であるから日没までに終る計画に変更されるよう要望したが、主催者は公共の安寧を考慮することなくあくまでもこの要望を拒否し続けた。
よつて、当公安委員会は、万一かかる事情の下において申請にかかる夜間の集団示威運動(示威行進)をそのまま許可した場合は前例にかんがみても公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められたので、集会についてはこれを許可し、集団示威運動については、集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例第三条第一項の規定によりやむなくこれを不許可処分とした。
なお、当公安委員会は主催者に対してこの処分の決定書を交付するにあたり、処分の内容、理由並びに集会許可の付帯条件を説明して、条例に違反することのないよう指示した。
主催者は、この指示を十分に了解の上集会を開催し、午後八時五十分頃これを終了するも平穏に解散することなく、丸の内警察署長の警告に従わず約八〇〇名が会場前道路において隊伍を整え集団示威行進を起そうとしたが、日比谷公会堂裏で警察官に阻止されたため、同所において午後十時二十分頃まで示威運動を行い、その後再び有楽町駅構内に集合し一団となつて気勢を挙げ一般乗客の交通を甚しく妨害するなど無謀な行動を繰返し、午後十一時頃に至つて漸く解散した。
事 例
一 主催団体は、昭和三十二年五月十七日日比谷公園において「原水爆実験反対、勤労学生に対する差別撤回のための総決起大会中央集会」を開催し、その際二千五百余人をもつて会場から虎の門、田村町一丁目、新橋、土橋を経て会場まで夜間の集団示威運動(示威行進)を行つたが、行進中交通頻繁な道路において激しい蛇行進、渦巻行進等を繰返して沿道の交通を甚しく妨害しかつ危険を生ぜしめた。しかもそのつど違反行為を中止するよう警察官から再三にわたり警告、制止されたにもかかわらずこれに応ずることなく午後九時四十分頃まで許可条件に違反して行進を続け、もつて公共の安寧に重大な支障を生ぜしめた。
また、この行進に参加した者のうち約二〇〇人は同日午後十時四十分頃大挙して英国大使館に押寄せ、陳情と称して深夜に面会を強要し或は表門鉄扉を暴力的に押しあけるなど不穏な行動にでた上、さらに翌十八日午前一時頃まで同館正門前に坐り込み合唱などを行つて甚しく夜間の静穏を害した。
二 主催団体は、昭和三十二年七月六日千代田区富士見町法政大学構内において「
昼夜差別撤廃要求全国夜間学生総決起大会」を開催したときは、許可条件に違反して、さらに同年九月十六日および十月三十一日日比谷公園においてそれぞれ原水爆実験禁止を目的として集会を開催したときは、許可なくしていずれも会場周辺の交通頻繁な道路において、警察官の警告、制止に従わずに夜間の集団示威運動(示威行進)を行い甚しく交通上の危険を惹起した上、合唱などによつて夜間の静穏を害する等極めて悪質な違反事実を積み重ねた。
三 主催団体は、昭和三十三年四月二十五日港区芝公園四号地東京児童館において夜間「エニウエトク島核実験反対、
勤務評定粉砕夜間学生集会」を開催した際、集団示威行進は禁止されたにもかかわらず集会終了後平穏に解散することなく約三〇〇名が会場前広場において隊伍を整え、愛宕警察署長の警告に従わず新橋駅に向つて集団示威行進を起そうとしたが、警察官に阻止されたため、同所において管理者の警告を無視して示威運動を行つた上さらに午後十時四十分頃再び新橋駅構内に集合し、一団となつて気勢を挙げ午後十一時頃まで一般乗客の交通を甚しく妨害するとともに合唱などによつて夜間の静穏を害する等の違反行為を繰返した。
─────────────
監委発第三一号
昭和三十三年五月一日
東 京 都 監 査 委 員
東京都議会議長 上 條 貢殿
昭和三十三年三月末日現在における例月出納検査の結果について
地方自治法第二百四十条第三項の規定にもとづき標記の件別紙報告書のとおり報告する。
例月出納検査報告書
昭和三十三年三月末現在
東京都監査委員 大 久 保 重 直
河 野 平 次
山 内 吉 雄
青 木 吉 三
一、検査日時及び施行箇所
昭和三十三年四月二十一日(月)二十二日(火) 警視庁並びに東京消防庁副出納長所属
昭和三十三年四月二十三日(水) 出納長所属
昭和三十三年四月二十四日(木) 交通局長所属
昭和三十三年四月二十五日(金) 水道局長所属
二、計数の確認
本検査においては、出納長、副出納長、交通水道両局長より提出された諸表を中心として、当月分の計数について出納関係諸帳簿、金庫提出の収支計算書、預金通帳、証憑書類、証券等と照合検査した結果過誤のないことを確認した。
なお、警視総監所管にかかる歳入歳出外現金についても同様過誤のないことを確認した。
(諸計算表省略)
─────────────
(写)
三三監委発第三五号
昭和三十三年五月二十六日
東京都監査委員 大 久 保 重 直
河 野 平 次
山 内 吉 雄
青 木 保 三
東京都議会議長 上 條 貢殿
昭和三十二年度定期監査の結果の報告について
地方自治法第百九十九条第八項の規定に基く標記のことについて別添のとおり報告する。
総 括
昭和32年度の定期監査は本都行政の合理化、適正化を確保せしめるための具体的改善を求めるため、その事務事業のうちから、下記のような監査項目を選定し、昭和33年1月26日より同年4月25日までの期間に亘つて各局、室庁及び各所属事業所、現場等について実施した。
記
┌─────┬───────────────────────┬───────────┐
│ │ │ 索 引 │
│局 名│ 監 査 項 目 ├─────┬─────┤
│ │ │ 分 冊 │ 頁 │
├─────┼───────────────────────┼─────┼─────┤
│財 務 局│都有財産について │ 1 │ 1 │
│主 税 局│都税滞納整理及びその対策について │ 1 │ 16 │
│民 政 局│民間委託保護事業の現況並びに運営について │ 1 │ 37 │
│労 働 局│職業補導事業について │ 1 │ 61 │
│経 済 局│中小企業の貸付業務について │ 1 │ 69 │
│建 設 局│区画整理事業について │ 1 │ 81 │
│建 築 局│住宅建設事業について │ 1 │ 104 │
│港 湾 局│島しよ港湾修築工事について │ 1 │ 116 │
│港 湾 局│未浚功地及び水面その他の管理について │ 1 │ 119 │
│清 掃 局│ごみ、ふん尿処分について │ 1 │ 127 │
│出納局室 │資金前渡制度の運用について │ 1 │ 147 │
│水 道 局│排水管の維持管理及び建設事業について │ 2 │ 1 │
│交 通 局│軌道及び電線路の維持管理について │ 2 │ 18 │
│教 育 長│特殊学校の運営について │ 2 │ 31 │
│警 視 庁│宿舎、住宅、待機寮について │ 2 │ 42 │
│消 防 庁│宿舎、住宅、待機寮について │ 2 │ 53 │
└─────┴───────────────────────┴─────┴─────┘
┌─────┬──────────────────┬──────────────────────────────────┬────────────────────────────────────────────────────────┬─────┬─────────────────────────────────┐
│局 名│ 監 査 項 目 │ 監 査 の 主 た る 観 点 │ 監 査 結 果 の 概 目 │ 索 引 │ │
│ │ │ │ ├──┬──┤ 実 地 監 査 場 所 │
│ │ │ │ │分冊│ 頁│ │
├─────┼──────────────────┼──────────────────────────────────┼────────────────────────────────────────────────────────┼──┼──┼─────────────────────────────────┤
│財 務 局│都有財産の管理状況について │1.現行規程に改正または補足を要するものはないか。 │(1)都有財産関係規程に改正または補足を要するもの │ 1│ 1│南多摩地方事務所 │
│ │ │2.事務担当者の責任体制は確立されているか。 │ (ア)財産管理に従事する職員の職名又は任務を明確に規定する要がある。 │ │ │江東、太田品川各財務事務所 │
│ │ │3.財産管理機構は整備されているか。 │ (イ)職員の行為の制限に関して規定することが望ましい。 │ │ │財務局管財部 │
│ │ │4.財産台帳は完備されているか、又備付制度に改善を要する点はないか。 │ (ウ)貸付契約の解除についての補償を規定すべきである。 │ │ │港湾局 │
│ │ │5.財産表は的確に作成されているか。 │ (エ)貸付料の免除は厳格に規定する要がある。 │ │ │建設局南部公園緑地事務所、第一、第三、第四区画整理事務所 │
│ │ │6.財産調査は進捗しているか又的確に把握しているか │ (オ)売払契約等の継続の承認と延滞損害金について規定する要がある。 │ │ │経済局、繊維工業試験場、同青梅分場 │
│ │ │7.財産所管区分は合理的であるか、又、明確に区分されているか。 │ (カ)条例付則第4項失効後の適正処理について速やかに措置を講ずる要がある。 │ │ │農業試験場、水産試験場、 │
│ │ │8.公用を廃止した財産は雑種財産となっているか │ (キ)財産管理の自己検査について規定すべきである。 │ │ │奥多摩分場 │
│ │ │9.財産管理規程に違反した処分をしているものはないか。 │(2)財産管理事務取扱者の責任体制を確立する要があるもの │ │ │建設局、四谷、品川各保健所、品川福祉清掃事務所 │
│ │ │10.都有財産の売却処分で改善是正を要するものはないか。 │ (ア)取扱責任者を明確する要がある。 │ │ │品川消防署、品川警察署、 │
│ │ │11.その他改善又は検討を要するものはないか。 │ (イ)都有財産に密着した事務事業を執行する機関、又は吏員が管理をなすべきでありその責任を負うべきである。 │ │ │教育庁 │
│ │ │ │ (ウ)財産管理者の下部機構の職務内容と責任をあきらかにする必要がある。 │ │ │教育研究所、日比谷図書館、東京都体育館、都美術館、駒沢総合運動場、│
│ │ │ │ (エ)財産管理上の事務引継を明確にする要がある。 │ │ │城南高等学校 │
│ │ │ │(3)財産管理機構について検討の必要がある。 │ │ │上野高等学校 │
│ │ │ │ (ア)用地測量事務の進捗を図るため、測量関係機構を充実する必要が認められる。 │ │ │ │
│ │ │ │ (イ)他局所管の同性質事務所との協力体制と、これが統一化の要否について検討する必要がある。 │ │ │ │
│ │ │ │(4)財産台帳備付制度を改革すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(5)財産台帳の完備と財産表の的確な作成を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(6)財産管理の適正化を図る調査の促進と恒久化が望ましいもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(7)財産所管区分の明確化、合理化を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(8)現実に公用を廃止しているものが雑種財産に切替えられていないもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(9)財産管理規程に反した処分をしているもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(10)建物取りこわし経費の負担区分が不統一である。 │ │ │ │
│ │ │ │(11)都有財産(不動産関係)の売却処理に改善是正を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │ (ア)不法入居者があるため売却処分がなされないもの。 │ │ │ │
│ │ │ │ (イ)売却処分によらずにして、局間の所管替が適当と考えられるもの。 │ │ │ │
│ │ │ │ (ウ)払下条件が履行されていないもの。 │ │ │ │
│ │ │ │ (エ)払下げの促進を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │ (オ)払下げによらずして、転用による有効的な活用が望ましいもの。 │ │ │ │
│ │ │ │ (カ)建物売却時における検査員制度の確立を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │ (キ)財産売却処分後の部内連絡事務がなされていないもの。 │ │ │ │
│ │ │ │ (ク)財産管理運用委員会の議決を経ないで払下処分がなされているもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(12)次の諸点に改善是正が望まれる。 │ │ │ │
│ │ │ │ (ア)一団地一筆の原則を確立すべき。 │ │ │ │
│ │ │ │ (イ)財産整理区分及び種別変更と所管換の促進を要するもの。 │ │ │ │
├─────┼──────────────────┼──────────────────────────────────┼────────────────────────────────────────────────────────┼──┼──┼─────────────────────────────────┤
│主 税 局│都税滞納整理及びその対策について │1.滞納票の管理並びに整理は適確に行われているか。 │(1)滞納票管理上の諸帳簿並びに諸表について、その内容及び滞納票と照合の結果相当誤謬が認められるものがある。 │ 1│ 16│主税局(徴収部)南多摩地方事務所 │
│ │ │2.滞納整理上事故ものはどう処理されているか。 │ (ア)名寄票を中心としたもの。 │ │ │新宿・墨田・中野・台東・世田谷・荒川中央・大田・港・ │
│ │ │ │ (A)滞納票があつて名寄票に記載洩れのもの │ │ │千代田各税務事務所 │
│ │ │ │ (B)名寄票を重複作製のもの │ │ │ │
│ │ │ │ (C)名寄票と税額重複記載のもの │ │ │ │
│ │ │ │ (D)名寄票に他人の税額を記載しているもの │ │ │ │
│ │ │ │ (E)名寄票に税額を誤記しているもの │ │ │ │
│ │ │ │ (F)名寄票てん末欄に処理経過未記載のもの │ │ │ │
│ │ │ │ (G)徴収簿は完結済で名寄票に記載漏れのもの │ │ │ │
│ │ │ │ (h)名寄票並びに滞納票で監査当日に時効完成のもので未処理のもの │ │ │ │
│ │ │ │ (i)課税取消等にかかわる徴収簿、滞納票が未処理のもの │ │ │ │
│ │ │ │ (イ)滞納票交付簿を中心としたるもの │ │ │ │
│ │ │ │ (A)滞納票交付簿による滞納整理実績表と処分吏の手持滞納票間に誤差のあるもの │ │ │ │
│ │ │ │ (B)滞納票総括簿の記帳ならびに保管が適当でないもの │ │ │ │
│ │ │ │(2)滞納票の再製が本局並びに各税務事務所とも相当数に上るので、滞納票管理事務に検討の余地がある。 │ │ │ │
│ │ │ │ (ア)滞納票を再製後に於て本票が発見されたもの │ │ │ │
│ │ │ │ (A)不動産差押調書に本票が添付されていたもの │ │ │ │
│ │ │ │ (B)局稟議の上又は署長決裁において執行停止した関係書類の内に本票があつたもの │ │ │ │
│ │ │ │ (C)事故票として整理係で保管中のもの │ │ │ │
│ │ │ │ (D)書内交付要求分として整理係において保管中のもの │ │ │ │
│ │ │ │ (E)要調査中に発見されたもの │ │ │ │
│ │ │ │ (F)滞納票格納箱に保管したまま失念していたもの │ │ │ │
│ │ │ │ (イ)本票の所在が不明確なもの │ │ │ │
│ │ │ │ (A)名寄票に停止班(整理係)引継済と記載しているもの │ │ │ │
│ │ │ │ (B)不動産差押事務処理に本票を紛失したと思われるもの │ │ │ │
│ │ │ │ (C)機構改革の際紛失したと思われるもの │ │ │ │
│ │ │ │ (D)決済照合時に本票を紛失したと思われるもの │ │ │ │
│ │ │ │ (E)名寄票徴収簿等に記載してあるもの │ │ │ │
│ │ │ │(3)滞納票の管理並びに整理について改善是正を要するものがある。 │ │ │ │
│ │ │ │ (ア)再製滞納票の表示取扱事務について統一の要があるもの │ │ │ │
│ │ │ │ (イ)滞納票並びに名寄票の記載が不十分なもの │ │ │ │
│ │ │ │ (ウ)滞納票交付簿並びに滞納整理実績表に改善の要がある │ │ │ │
│ │ │ │ (エ)再製滞納票の作製にあたつて、催告書を発走していないもの発送していないもの │ │ │ │
│ │ │ │ (オ)外勤職員の配置に相当考慮を要する │ │ │ │
│ │ │ │(4)滞納整理の調査事務を確立すべきである。 │ │ │ │
│ │ │ │ (ア)滞納票が紛失したために時効完成したもの │ │ │ │
│ │ │ │ (イ)少額の滞納税金を永年繰越しているもの │ │ │ │
│ │ │ │ (ウ)長期間放置したままで結局徴収不能になるもの │ │ │ │
│ │ │ │ (エ)賦課を取り消すべきものを永年滞納税金として扱つているもの │ │ │ │
│ │ │ │ (オ)滞納整理事務がづさんなもの │ │ │ │
│ │ │ │ (カ)課税額の疑義により長期間解決しないもの │ │ │ │
│ │ │ │ (キ)積極的な滞納整理処分を要するもの │ │ │ │
│ │ │ │ (ク)効果的あるいは合規の滞納処分をしなかつたために徴収不能になつたもの │ │ │ │
│ │ │ │ (ケ)事務上一考を要するもの │ │ │ │
│ │ │ │(5)執行停止事務処理にあたつてはさらに慎重を期すべきである。 │ │ │ │
│ │ │ │ (ア)不充分な調査で執行停止処分しているもの │ │ │ │
│ │ │ │ (イ)債権の確保をしておかなかつたために執行停止処分にしなければならないもの │ │ │ │
│ │ │ │ (ウ)徴税令書が公示送達になつているものを数年経てから執行停止処分しているもの │ │ │ │
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│民 政 局│民間委託保護事業の現況並びに運営 │1.施設に対する会計事務その他指導監督に欠ける点はないか │(1)事業組織及び運営の一元化について検討を要するもの。 │ 1│ 37│第1、2平和荘 │
│ │について │2.施設の目的に即した利用がなされているか │(2)民間委託宿泊所提供施設の運営について検討を要するもの。 │ │ │高浜寮、小岩寮、渋江寮、網代母子寮、塩崎寮 │
│ │ │3.利用者の措置状況及び処遇の状況はどうか │(3)民間委託宿泊所の運営について検討を要するもの。 │ │ │新宿宿泊所 │
│ │ │4.使用料の収入状況はどうか │(4)救護施設につき根本的対策を検討する要のあるもの。 │ │ │民生病院、大泉寮 │
│ │ │5.施設の立地条件並びに財産の管理状況は適当か │(5)民生病院の運営につき検討を要するもの。 │ │ │民生局保護部 │
│ │ │6.施設利用者の更生及び稼働状況はどうか │(6)婦人の保護施設の運営に検討を要するもの。 │ │ │民生局児童部 │
│ │ │ │(7)民間委託保護施設の管理規程制度について検討すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(8)保護施設定員の決定について考慮すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(9)更生施設の長期在寮処置について検討を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(10)委託保護施設の土地建物について管理を明確にすべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(11)保護施設の経営委託について適正な措置を要するもの。 │ │ │ │
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│労 働 局│職業補導事業について │1.補導事業の運営は適正か │(1)補導教程について検討すべきもの。 │ 1│ 61│多摩公共職業補導所 │
│ │ │2.補導種目についての改廃の必要はないか │(2)補導科目について考慮すべきもの。 │ │ │東京身体障害者公共職業補導所、荏原・品川公共職業補導所、 │
│ │ │3.補導課程は適正か、改正の要はないか │(3)特別補導事業について検討すべきもの。 │ │ │職業安定部 │
│ │ │4.職員配置は適当であるか │(4)内職公共職業補導所の運営について検討を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │5.補導所生産品の収入及び繰越の状況 │(5)実習材料の調達に注意すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(6)欠格者の入所について対策を考慮すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(7)過年度収入及び繰越製品について検討すべきもの。 │ │ │ │
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│経 済 局│中小企業の貸付事業について │1.予算の編成及び執行は事業の円滑な運営に適合して合理的に行われて │(1)協同組合公共施設設置資金の貸付について考慮すべき。 │ 1│ 69│産業部、通商部 │
│ │ │ いるか │(2)収入の確保に努むべきもの。 │ │ │農林部、 │
│ │ │2.事業の運営にあたつて改善を要するものはないか │(3)貸付機械の管理措置について考慮を要するもの。 │ │ │各貸付現場 │
│ │ │3.貸付機械の管理及び資金貸付後の事務処理は適切に行われているか │(4)連帯保証人及び担保提供者の取扱について考慮を要すると思われるもの。 │ │ │ │
│ │ │4.資金(使用料)の回収が遅延しているものはないか │(5)貸付機械の火災保険の加入促進を要するもの。 │ │ │ │
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│建 設 局│区画整理事業について │1.予算編成及びその執行の合理化、適正化を図るべきものはないか │(1)予算編成の合理化と執行の適正化について再検討を要すべきもの。 │ 1│ 81│区画整理部 │
│ │ │2.戦災復興区画整理事業の計画について遺憾な点はないか │(2)戦災復興整理事業計画について再検討すべき │ │ │第一・第二・第三・第四・第五区画整理事務所 │
│ │ │3.用地管理は適正か │(3)用地管理にあたり、不法占用等に対し適切な措置を講ずべきもの。 │ │ │ │
│ │ │4.補償事務は適正に処理されているか │(4)補償金の算定及び支払につき適正でないもの。 │ │ │ │
│ │ │5.各種造成工事の施工について遺憾な点はないか │(5)建物撤去の促進をなし、併せて区画整理の進捗を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │6.清算事務は適正になされているか │(6)駅前広場暫定工事に伴う仮移転について建築及び用地管理に適性を欠いているもの。 │ │ │ │
│ │ │7.組合施工事業に対する指導に遺憾な点はないか │(7)各種造成工事について改善を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(8)清算事務につき改善を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(9)組合施工事業について指導すべきもの。 │ │ │ │
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│建 築 局│住宅建築事業について │1.都営住宅の建設計画は適正か │(1)都営住宅建設に考究を要するもの。 │ 1│ 104│建築局、総務部、 │
│ │ │2.宅地の取得実績及び工事の執行状況は良好か │(2)繰越工事解消に更に努力が望まれるもの。 │ │ │業務部、 │
│ │ │3.取得した宅地は効率的に活用されているか │(3)取得用地のうち、未使用団地の活用促進を要するもの。 │ │ │住宅建設部 │
│ │ │4.工事監督の状況は適正か │(4)建築工事の監督に当り考慮を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │5.工事の設計、契約、施工時期、材料検収、施工、中間及び竣工検査は │(5)設計内訳を明示すべきもの。 │ │ │宅地及び工事 │
│ │ │ 適正か │(6)敷地造成工事の着工時期に高所が望まれるもの。 │ │ │現 場 │
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│港 湾 局│島しよ港湾修築工事について │1.工事計画は適正妥当であるか │(1)基礎設計に適切を欠いたと思われるもの。 │ 1│ 116│本局、大島 │
│ │ │2.工事設計書の積算に誤りはないか │(2)起工方法の改善を要すると思われるもの。 │ │ │三宅島 │
│ │ │3.工事施工について遺憾な点はないか │(3)修築計画の修正を要するもの。 │ │ │八丈島 │
│ │ │4.契約事務その他は適確に処理されているか │ │ │ │本局 │
│ │未浚功地及び水面その他の管理について│1.未浚功地に関する認許可事務は円滑適正に行われているか │(1)埋立免許権に基く埋立工事が多年に亘り進行していないもの。 │ 1│ 119│総務部 │
│ │ │2.未浚功地の管理に遺憾な点はないか │(2)埋立権譲渡に際しての協定書による工事の一部が未だ履行されていないもの。 │ │ │港営部 │
│ │ │3.公有水面等の使用許可は適正に行われているか │(3)速やかに浚工認可の手続をとるべきもの。 │ │ │現場 │
│ │ │4.不法占拠者、不正使用者に対する措置は適正になされているか │(4)貸付地の管理について考慮を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │5.事務処理に改善すべき点はないか │(5)不法占拠者がいたため未売却になつたもの。 │ │ │総務部 │
│ │ │6.貸付等、使用料等の収入について遺憾な点はないか │(6)貸付料を改訂すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(7)不法占拠者の急速なる解決に努力を要するもの。 │ │ │港営部 │
│ │ │ │(8)筏の潮待ちについて検討を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(9)水面使用に適性を計るべきもの。 │ │ │ │
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│清 掃 局│ごみ、ふん尿処理について │1.事業計画は実情に即応したものであるか │(1)作業能率の平均化を測るべきであると思われるもの。 │ 1│ 127│作業部 │
│ │ │2.作業は計画通り実施されているか │(2)汲取券の取扱いについて改善を与すると思われるもの。 │ │ │神田清掃事務所 │
│ │ │3.作業員および事業実施についての指導監督は十分に行われているか │(3)申告及び苦情処理の取扱について改善を要するもの。 │ │ │浅草 〃 │
│ │ │4.運搬契約は適確に実行されているか │(4)指導員制度の活用を計るべきであるもの。 │ │ │荏原 〃 │
│ │ │5.事務運営に改善を要する点はないか │(5)事務所の整備充実について検討を要するもの。 │ │ │世田谷 〃 │
│ │ │6.規程等で改善の必要はないか │(6)作業計画と実施が相違しているもの。 │ │ │品川 〃 │
│ │ │ │(7)ごみ運搬自動車の積載量について考慮を要するもの。 │ │ │城東 〃 │
│ │ │ │(8)自動車の値上契約における距離計等に考慮を要するもの。 │ │ │中野 〃 │
│ │ │ │(9)親子自動車の契約について考慮を要すると思われるもの。 │ │ │杉並 〃 │
│ │ │ │(10)手数料未納について考慮を要するもの。 │ │ │作業部 │
│ │ │ │(11)夜間作業に対する給与について考慮を要すると思われるもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(12)機械化を強力に推進すべきであるもの。 │ │ │ │
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│出納長室 │資金前渡制度の運用について │1.条件、規則等の改善を要するものはないか │(1)経常的経費の前渡資金額の範囲決定に当り検討を要すると認められるもの。 │ 1│ 147│出納長室(庶務課、審査課、決算課) │
│ │ │2.資金前渡額及び前渡方法は適正であるか │(2)経常的経費の前渡資金の繰越手続について考究すべきもの。 │ │ │南多摩地方事務所、同出納事務所、 │
│ │ │3.出納及び清算事務は適当であるか │(3)清算残金の繰越処理をすべきが適当と思料されるもの。 │ │ │総務局、財務局、民生局、衛生局、建築局、建設局、港湾局、 │
│ │ │4.保管現金の取扱いに遺憾な点はないか │(4)分割資金前渡の適用範囲について一考を要すると認められるもの。 │ │ │経済局、養育院、教育庁、広報渉外局、労働局 │
│ │ │ │(5)前渡金の清算事務に対する見解の統一を図るべきである。 │ │ │中央・大田・港・台東・新宿・豊島・千代田・墨田・品川・世田谷・ │
│ │ │ │(6)前渡資金を再前渡により補助職員に支払を行わしめるための事務手続を定める必要が認められる。 │ │ │渋谷各出納員室及び所管事務所 │
│ │ │ │(7)給与金の資金前渡事務に考究を要すると認められる。 │ │ │ │
│ │ │ │(8)規則改正に当り、配意を要するものが認められる。 │ │ │ │
│ │ │ │(9)会計事務手続及び処理に関する各局の自主的通達につき統制を要すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(10)前渡金での支払は、契約書等に基き行われるべきが至当であると認められる。 │ │ │ │
│ │ │ │(11)前渡資金の取扱並びに事務処理に適性でないものが認められる。 │ │ │ │
│ │ │ │ (ア)公簿の備付並びに記帳方法の不備なもの │ │ │ │
│ │ │ │ (イ)保管理金の取扱いの十全でないもの │ │ │ │
│ │ │ │(12)会計事務指導体制の確立を要するものと認められる。 │ │ │ │
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│水 道 局│配水管の維持管理及び建設事業について│1.事業計画は適切か │(1)計画工事に対して実施が遅延しているもの。 │ 2│ 1│給水部、建設部、総務部、 │
│ │ │2.予算の執行状況はどうか │(2)工事着手の遅延しているもの。 │ │ │東部・西部・南部・北部・本郷・芝各排水事務所、 │
│ │ │3.人員配置の状況はどうか │(3)工事計画に関し検討すべきもの。 │ │ │淀橋・金町各工事事務所、王子・板橋各営業所 │
│ │ │4.計画と実施との間にズレはないか │(4)給水不良地区解消の促進が望まれるもの。 │ │ │亀戸・江戸川・大森・蒲田・三河島・足立各営業所 │
│ │ │5.材料の需給関係は適切か │(5)配水管移設工事の計画的実施を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(6)計画の設定にあたり調査が不充分であつたもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(7)漏水防止の調査研究に財政的配慮が望まれるもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(8)配水管の規格統一に考慮すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(9)配水管の敷設にあたつて考慮すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(10)補助管改造工事に関し検討すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(11)漏水率の算定に検討を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(12)配水管の維持管理に十全でないもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(13)設計に当り単価表の採用に検討を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(14)工事材料の調達に考慮を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(15)材料費設計額が過大と認められるもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(16)資産区分に関し検討すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(17)事務処理の遅延しているもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(18)人員の配置について検討を要するもの。 │ │ │ │
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│交 通 局│軌道及び電線路の維持管理について │1.事業計画ならびに予算は合理的なものであるか │(1)工事計画及びその事前調査につき検討すべきもの。 │ 2│ 18│総務部、工事部、電気部電気部東部・北部・西部出張所 │
│ │ │2.人員の配置は合理的であるか │(2)工事計画に慎重を要するもの。 │ │ │工務部港・王子・渋谷出張所 │
│ │ │3.関係資産の管理は適正であるか │(3)計画工事に対し実施が全般的に遅延しているもの。 │ │ │地中線出張所 │
│ │ │4.施設は効率的に運用されているか │(4)計画外工事に対し考慮すべきもの。 │ │ │第三変電区 │
│ │ │5.事業の実施に遺憾なものはないか │(5)人員配置に検討を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(6)予算の配分に考慮を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(7)予算の執行に改善を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(8)固定資産減価償却額過剰引当を改正すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(9)帳簿整理の不適当なもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(10)資産管理の不充分なもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(11)事故の減少に一層の努力が望まれるもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(12)休止及び廃止軌道の処理につき検討が望まれるもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(13)工事の実施にあたり連絡を密にする要のあるもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(14)工事延長の事務処理に適当を欠くもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(15)器材整備に着意すべきもの。 │ │ │ │
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│教 育 庁│特殊学校の運営について │1.特殊学校の対象児童生徒数は把握されているか │(1)特殊学校の児童生徒の総合的収容対策を早急に樹立し、これが就学促進に特段の努力が望まれる。 │ 2│ 31│本庁、文京・八王子盲学校、大塚・品川(同新宿分校) │
│ │ │2.児童生徒の収容状況並びにその対象児童生徒数からみて現在施設の │(2)昭和32年度における校舎建設用低工事で未着工のもの。 │ │ │江東・足立・立川ろう学校、 │
│ │ │ 収容力は十分であるか │(3)校地の買収事務を促進すべきもの。 │ │ │青島・光明(同多摩分校)養護学校、水上小学校 │
│ │ │3.校舎、施設の建設計画に対するその実績はどうか。 │(4)事務組織の改善を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │4.校舎、施設の維持管理は適切になされているか。また不法占拠されて │(5)歳出予算の計画的執行を確保すべき。 │ │ │ │
│ │ │ いるものはないか。 │(6)栄養管理上改善が望まれるもの。 │ │ │ │
│ │ │5.予算は計画的に執行されているか │(7)特殊学校就学奨励費の支給事務に考慮が望ましい。 │ │ │ │
│ │ │ │(8)賄費の調停手続に改善を要するもの。 │ │ │ │
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│警 視 庁│宿舎、住宅、待機寮について │1.管理運営に検討を要するものはないか │(1)管理運営の統一を欠いているもの。 │ 2│ 42│総務部、警務部、隼町A3、B3号校舎 │
│ │ │2.予算の執行は合理的であるか │(2)単身寮の家族寮等への転換等その運営に関し検討すべきもの。 │ │ │翠光寮及青山荘待機寮、第1.2.3南砂川寮、裕美寮各待機寮 │
│ │ │3.使用料は適正であるか │(3)予算編成に検討を要するもの。 │ │ │元総監公舎、池尻2号校舎、若葉寮、西神田荘、啓明寮、 │
│ │ │4.施設の効率的運営はなされているか │(4)予算の執行に改善を要するもの。 │ │ │小松川西寮、糀谷寮本部日航荘 │
│ │ │5.施設の整理総合対策はどうか │(5)事業の執行に計画性を欠いているもの。 │ │ │ │
│ │ │6.経費の校舎、待機寮の区分はなされているか │(6)使用料の算定方法及び徴収範囲に関し検討すべきもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(7)部外入居者について処置を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(8)財産管理事務の整備促進を要するもの。 │ │ │ │
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│消 防 庁│宿舎、住宅待機寮について │1.予算並びに予算執行は合理的且つ的確に行われているか │(1)予算計上にあたり慎重を要するもの。 │ 2│ 53│総務部(経理課、厚生課)、警防部(施設課、通信課) │
│ │ │2.使用料は適正か │(2)未使用の土地建物の効率的運営について検討を要するもの。 │ │ │公舎(1.2.15.16.17.18.27.28.43の各号) │
│ │ │3.維持管理状況はどうか │(3)住宅並びに待機寮の使用区分に明確を欠いているもの。 │ │ │待機寮(板橋寮、笹塚寮、猿楽寮)、 │
│ │ │4.勤務と居住との関係はどうか │(4)署敷地内の住宅について考慮を要するもの。 │ │ │消防住宅(幡ヶ谷第一寮、曙寮、小桜寮) │
│ │ │5.施設は効率的に運営されているか │(5)財産の所管区分を明確ににする必要があるもの。 │ │ │防火協会住宅(永代寮、郡南寮、四谷防火協会住宅) │
│ │ │6.関係施設は整備されているか │(6)財産の管理区分を是正すべきもの。 │ │ │閉鎖出張所(内川寮武蔵小山寮、南六郷寮、旧上智出張所) │
│ │ │ │(7)待機寮の地域的不均衡使用を調整する必要があるもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(8)使用料の算定に当たり考慮を要すると思われるもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(9)維持管理に検討を要するもの。 │ │ │ │
│ │ │ │(10)電話の架設が望まれるもの。 │ │ │ │
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(局別報告書省略)
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三三監委発第三九号
昭和三十三年六月十七日
東京都監査委員 大 久 保 重 直
同 河 野 平 次
同 山 内 吉 雄
同 青 木 保 三
東京都議会議長 上 條 貢殿
私立学校に対する助成金監査の結果報告について
地方自治法第百九十九条第六項の規定に基き、昭和三十三年四月二十一日から五月十三日にいたる十四日聞に実施した標記監査の結果を別紙のとおり報告する。
私立学校に対する助成金監査報告書
一、監査対象の概要
私立学校は、その教育の独自性、自主性などの特色を生かし、それぞれ伝統に培われた個性味ゆたかな校風をもつて、有為な人材の育成に精進し社会の進展に多大の寄与をしている。
しかるに戦後、私学経営は財政的に誠に困難な時代が続き、ために学校当局の不断の努力にも拘わらず、私学教育の進展を招来しえないものが少くなかつた。
ここにおいて、昭和二十四年私立学校法(法律第二百七十号)が制定され、「国又は地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、私立学校教育助成のために学校法人に対して助成することができる(同法第五十九条」ことになつたので、都は昭和二十六年二月東京都私立学校教育助成条例を制定し、
(1)職員の待遇及び資質の両上
(2)職員の福利厚生
(3)施設及び設備の改善
(4)教育上の研究
などを主な目的として、都内各学校法人に対し、助成を行うこととなり、その助成は今日まで八年間に九億五千万円余の巨額にのぼつている。殊に昭和三十三年度においては前年度の倍額を上廻る三億八千余万円の助成が予定せられており、新たに発足する東京都私立学校助成審議会の運営と相まつて、私学振興の格段の向上が期待されている。
二、監査の対象
総務局縁務部私学課
東京都私立学校教育助成条例第四条に基き助成金を交付した三百一法人中下記二十六法人につき実施した。
攻玉社 目黒高等学佼
東工学園 青山学院
芝浦学園 明治学院
石川島工業高等学校 中央学院
宝仙学園 実践学園
守屋教育学園 成蹊学園
明星学苑 村井学園
山崎学園 立教学院
川村学園 豊昭学園
大妻学院 白百合学園
工学院大学 帝都育英学院
自由学園 慈生会東星学園
麻布学園 日本大学第三学園
三、監査の重点
(1)私学課における助成金算定の基準及び事務手続は適切なものであるか
(2)助成金交付の時期は適当であるか
(3)所期の効果は十分に達せられているか
(4)学校法人において助成金は適正に受入られているか
(5)助成金(待遇改善費、設備充実費、福利厚生費、産業教育補助金、定時制教育補助金、理科教育補助金)はその目的に副うて効果的且つ確実に執行されているか、等に重点をおき、昭和三十一年、三十二年の両年度分について四月二十一日より五月十三日までの間実働十四日監査を実施した。
四、監査の結果
助成に関する事務処理は、全般的に昭和二十八年監査当時に比較して、向上の跡が見られるが、次に述べるような改善を要するものが認められたので、その是正につとめ、これが万全を期せられたい。
なお、私学振興の実をあげるためには、都の助成金をまつまでもなく、学校法人の自主的努力による面が少なからずあるのであるから、学校法人においては、都の助成施策の充実と相まつて、今後一層の努力を致されたい。
(1)助成金配分方法の改善が望まれるもの
都の単独助成である教職員の待遇改善費及び教育設備充実費の配分方法は画一的であつて助成策として適当とは考えられない。
即ち教職員の待遇改善費は、教員の給与水準を引上げ、その資質向上を目ざすものであるが、各法人の給与ベースは、公立学校に比し、その水準を上廻つている所或ははるかに下廻つている所等一率ではない。
従つて受領する側の法人にとつては真に職員の資質向上に役立つている度合が異つている。
又設備の充実率も、設備基準の三十%~七十%以上と甚だしい開きがある。これは学校法人の財政力によることは勿論であるが、殊に財源の大半が授業料収入によつて占められるところから考えると人件費、設備費に投入できる比率は、普通料課程と工業科課程或は定時制課程とでは当然差異が出てくるし、又法人自体の積極的な努力と熱意にも関係があると思われる。
これらの諸条件のみを考えて見た場合でも単に画一的に配分することは、助成の所期の効果をあげる点で安易すぎると思われる。
少くとも学校法人の財政状態と改善についての努力の度合を加味した配分方法に改善することが望ましい。
(2)福利厚生費の交付にあたり注意を要するもの
私立学校教職員の福利厚生と資質の向上を図る目的をもつて、昭和三十二年度七百八十万円を各学校法人に交付しているが、これが交付にあたつては各学校法人の委任状(下記協会常任委員長某学園理事長某を受領代理人とする)に基きその全額を一括交付している。
(一)私立中等学校恩給財団の掛金補助(恩給財団) 四百二十万円
(二)私立学校教職員資質向上費補助 百六十万円
(東京都私立中学、高等学校協会、同私立初等学校協会、同私立幼稚園協会)
(三)私立学校福利厚生費(東京都私立中学、高等学校協会) 二百万円
計 七百八十万円
これら助成金は上記の協会に一括払込まれ、使われており、交付条件との関連が明確でないので今後においては使途内容を明らかにし助成の実効を期すべきである。又その配分にあたり当然対象となるべき学校法人で委任状の提出なき学校法人分(九法人)を他の学校法人分に加算して交付しているのは妥当でない。交付に当り厳に注意すべきである。
(3)貸借対照表の取扱に考慮が望まれるもの
学校法人は、「定期的に貸借対照表を作成しなければならない」(私立学校法第四十七条)ことに定められているにも拘らず、今回の監査においては二十六校中十一校が作成していなかつた。
しかも、作成している十五校の貸借対照表についての都助成金及び助成に係る設備等の取扱は、各学校法人ともまちまちであつた。
都においては、助成に関する勘定科目の統一ある指示が必要であるとともに、学校法人においても、これが励行を望みたい。
なお、現行の助成条例において、助成に必要な申請書の添付書類(第五条)中に貸借対照表の提出が省略されているが、助成を受ける法人の具備条件(第四条「学校の経営状態が健全であること」)の重要資料としてこれが活用を図るべきであつて省略したのは遺憾である。
速やかに条例を改正して貸借対照表の提出を求め運用の万全を期せられたい。
(4)助成金の交付時期の遅延しているもの
昭和三十二年度設備充実助成金四千四百二十五万七千八百五十二円の学校法人あて交付指令署は、昭和三十三年三月五日、出納長室からの支払通知は四月二十八日と甚だしく遅れて行われたため、学校法人が助成金を受領したのは四月三十日以降である。
助成金に基づく購入物品は当該年度扱となるものであるから、各法人において年度内に処理できるよう、交付事務の促進を図り、可及的速やかに交付すべきである。
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一、特別区執行委任予算監査結果報告
(一)昭和三十二年度例月出納検査
一 月 分 江戸川区、新宿区
二 月 分 新宿区、江戸川区、品川区、江東区
三 月 分 品川区、目黒区、渋谷区、新宿区、江戸川区、中野区、豊島区
四 月 分 目黒区、大田区、渋谷区、江戸川区、豊島区
(二)昭和三十三年例月出納検査
二 月 分 板橋区
三 月 分 世田谷区、板橋区
四 月 分 港区、墨田区、目黒区、世田谷区、大田区、渋谷区、江戸川区、豊島区
五 月 分 港区
(三)昭和三十二年度定期監査
台東区
(四)昭和三十三年度定期監査
葛飾区
(五)昭和三十二年度第一回臨時出納検査
新宿区、台東区、世田谷区
(六)昭和三十二年度第二回臨時出納検査
目黒区、中央区
(七)昭和三十二年度事務監査
新宿区、目黒区
(報告書省略)
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◯議長(上條 貢君) この際会期についてお諮りいたします。今次定例会の会期は本二十四日より六月二十八日までの五日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(上條 貢君) 御異議ないと認めます。よつて今次定例会の会期は五日間と決定いたしました。
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◯議長(上條 貢君) 先般出納長に選任されました日比野七郎君の御挨拶があります。
出納長 日比野七郎君。
〔出納長 日比野七郎君登壇〕
◯出納長(日比野七郎君) このたび出納長を拝命いたしました日比野でございます。不つつか者でございますが、微力をつくしまして御奉申し上げるつもりでございます。どうぞ今後ともよろしく御指導、御鞭撻をお願いいたします。(拍手)
◯議長(上條 貢君) 次に昭和三十二年度定期監査の結果について監査委員より報告があります。
監査委員 大久保重直君。
〔監査委員 大久保重直君登壇〕
◯監査委員(大久保重直君) 只今御報告になりました「昭和三十二年度定期監査」並びに「私立学校に対する助成金について」の補助団体監査結果の概要につきまして御報告申し上げ、各位の御参考に供したいと存じます。
まず定期監査について申し上げますと、今回の監査は都行財政の適正にして効率的な運営の確保に寄与するため、本都の事務事業のうちから重点的に次に申し述べます十六の事務事業を選定いたしまして、昭和三十三年一月十六日により四月二十五日までの期間にわたつて監査を実施いたしました。その監査の結果の詳細につきましてはすでに御手元に配付いたしてあります報告書により御覧いただきたいと存じますが、その概要を簡単に申し述べてみたいと存じます。
まず財務局関係といたしましては「都有財産の管理状況」について監査いたし、都有財産の管理機構の再検討、関係規程の改正、財産調査事務の恒久化、等十二項目について指摘いたしました。
次に主税局関係といたしましては「滞納整理及びその対策」を主体に監査いたし、滞納事務の管理上検討が望まれるもの、調査事務の充実を要するもの、等五項目二十一件についてそれぞれ改善あるいは再検討するよう要望いたしておきました。
民生局関係といたしましては「民間委託保護事業について」監査いたし、その事業の事務組織及び運営上の一元化の問題、民間委託宿泊所、救護施設、民生病院等において十一項目につき再検討を要すべき点が見受けられましたので、これに対しては速かに改善するよう警告を発しておきました。
また労働局関係といたしましては「職業補導事業」につきまして監査いたし、内職公共職業補導所及び特別補導事業の運営等七項目について再検討の必要性が見受けられました。
経済局関係といたしましては「中小企業の貸付事業」にっきまして監査いたし、協同施設設置資金の貸付、連帯保証人及び担保提供者の取扱い等について、五項目の考慮検討すべき余地があるものが認められました。
建設局関係といたしましては「区画整理事業」について監査いたし、戦災復興整理事業の計画についての再検討不法占用の適切なる措置、区画整理、建物撤去の促進等九項目についてその改善是正について指摘いたしまして、これが改善を要望いたしておきました。
また、建築局関係といたしましては「都営住宅建設事業」につきまして監査いたし、都営住宅建設の合理化に対する考究の要あるもの、取得用地の効率的活用等七項目につき指摘いたしました。
次に、港湾局関係といたしましては「島しよ港湾修築工事」につきまして監査いたし、その基礎設計、起工方法建築計画等に改善修正を要する点が見受けられ、また「港湾の未竣工地及び水面管理」につきましては、埋立工事進行状況、竣功認可の遅延、水面使用等、九項目について改善あるいは修正を要する点が見受けられました。
次に、清掃局関係といたしましては、「ごみ、ふん尿処分」につきまして監査いたし作業能率の平均化、汲取券の取扱い、苦情処理等十二項目について考究の要があると認められたので、これが改善方を要望いたしておきました。
教育庁関係といたしましては、「特殊学校の運営」について監査いたし、特殊学校の総合的収容対策の樹立、校地買収事務の促進、事務組織の改善等、八項目について考慮の必要が認められました。
次に、出納長室関係といたしましては「資金前渡制度の運用」につきまして監査いたし、前渡資金の範囲の決定、清算事務の合理化、事務処理の適正化等、十二項目について再検討をするよう要望いたしました。
また消防、警視庁関係といたしましては、「宿舎、待機寮」について両庁とも監査いたしましたところ、管理運営について検討を要するもの及び合理的な予算編成について考究すべきであると思われるもの等十六項目について考究すべきものが認められました。
終りに、公営企業関係について申し上げますと、水道局につきましては「配水管の維持管理及び処設事業」について監査いたしまして、給水不良地区の解消、漏水防止等の研究及び配水管移設工事の計画的実施の必要性等十八項目について指摘いたし、その善処を要望いたしておきました。
また交通局といたしましては、「軌道及び電線路の維持管理」につき監査いたしまして、慎重な工事計画を要するもの、資産管理の適正化を要するもの、事故防止対策の樹立、等十六項目について指摘いたしましたので、これが是正改善等に努められるようお願いしておきました。
以上まことに簡単ではありますが各局室等、百四十八項目にわたる監査指摘事項のうち主なるものの概略を申し上げた次第でございます。
以上申述べました指摘事項はいずれも必須事項のみでありますので、改善すべきは速かに改善し、是正すべきはこれまた速かに是正して、再び指摘せられないよう当該局部に要望いたしておきました。
さらに地方自治法第百九十九条第六項に基きます「私立学校に対する助成金について」の補助団体監査を四月二十一日より五月十三日に至る間実施いたしましたので、その概要を簡単に申し述べてみたいと存じます。私学振興を目的とした学校法人に対する助成は、今日まで八年間に九億五千万円余の助成をいたしておりまして、毎年三百の法人に対して行われておりますが、このうち今回は約一割に当る二十六法人を監査の対象として取り上げましたところ、助成物品の出納管理等六項目にわたり指摘いたしました。また都の助成方法、私立学校に対する指導等、これまた六項目にわたつて指摘いたしましたが、ことに昭和三十三年度においては前年度を上回る三億八千万円余の助成が予定され、新たに発足する東京都私立学校助成審議会にも、本議会より委員が送られることでもあり、今回の監査において指摘した十二項目にわたる改善事項はまことに貴重な資料を得たものと信じております。なお監査の結果の詳細につきましては、すでに御手元に配付いたしております報告書を御覧いただきたいと存じます。われわれ、監査委員といたしましては、以上のように監査いたしました結果が本都の事務事業に反映し、よりよき効率的な運営を期待することはもちろんでありますが、他の事務事業につきましても同様に、適正にして効率的運営につき今後さらに努力を払われるよう要望いたし、御報告を終りたいと存じます。御清聴を感謝いたします。(拍手)
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◯議長(上條 貢君) この際、日程の追加について申し上げます。
本日、議員より議員提出議案第十号「異常渇水対策に関する決議」及び知事より第百七十七号議案「都営住宅33-R一〇〇一工事請負契約」外四議案が提出されました。これらをあわせて日程に追加いたします。
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◯議長(上條 貢君) これより質問に入ります。八十二番金子二久君。
〔八十二番 金子二久君登壇〕
◯八十二番(金子二久君) 教育上の問題に対して、私が現在文教委員長として質問することはおかしいようでありますが、御承知の通りに委員長は質問や意見を述べることをしないので、本会議を利用して、この際申し上げます。
私は教育長の今までの方針に対しては、いかなる点を考えても落度はないと存じておりますけれども、教育上のあり方に対して、現在、児童生徒が非常な悪化を来たしております。これは何を物語るものかと深く考えて、われわれは大いにこれを考慮しなければならんと思うのであります。今までは大部分の生徒が方々の場所で、いろいろな問題を起して、あるいは補導員の手にかかり、はなはだしきは感化の要を生ずるようなことにもなつたのでありますが、近ごろは、私は幼少年保護の立場から、学校名並びに児童名は申せませんけれども、過去三四ヵ月の間に、中学生が友達に対して見方によりますと、強盗のような行動をとつたので、それを先生が戒めたところが、ただちに先生を追つかけ、しかも小がたなを持つて教室まで押しかけた子供があるのであります。いかに自由と申しましても、これらは放縦の最もはなはだしいものでありまして、われわれは将来の国民を育てるところの場である学校において、かくのごときことが現われるとするならば、これはわが国の将来においてゆゆしき問題であると思うのであります。一生徒だけの悪化ではございません。国民全体の思想の上において、国作りのごときは及びもつかない結果になると、私どもは思うのであります。
翻つて、その学校の先生方のあり方を考えますと、こういう子供のできたところには、今回の勤務評定反対で、あるいは取調べられた方々もその先生方の中にあるということを思うときに、子供を育てるのには、身をもつていつくしまなければなりません。われわれが知事の推薦により、東京都民を代表するりつぱなる人物と認めたところの教育委員の方針や、教育長の指示を非なりとして認めないとするならば、秩序ある国家ということは言えないと思うのであります。上司の指示に従わず、親の意見に従わない、それは親と申しましてもいろいろございましようけれども、親は自分がいかに不幸でありましても、子供だけはりつぱな人間に育て上げたいというのが、ひとしく世の親心であろうと思うのであります。こういう大切なる子供を預かるところの先生方が、私どもは学校において、ある先生方の場に接したこともございますが、これは全部の方ではございません、むろん一部の者に限つたことではありますけれども、学校の最も優秀な生徒の出るところは、公立と私立とを問わず、校長と先生が一致団結して、優秀なる児童育成の上に昼夜をわかたず勉強している、そういう学校には、そんな悪化した児童は皆無と申しまして差しつかえございません。通常、学校の校長とその学校の先生との間柄は、一は教育上の指令機関であり、一はこれを受けて働く機関として、がつちり団結をしておつたならば、決して先生が子供に悪影響を及ぼすものではない。先生も、人間は顔の違うように心も違うし、考え方も違つていますが、その違つているところをまとめる者がすなわち校長であります。そのまとめ役である校長に何ら権限を持たせずして、責任だけ持たせるということが、今日の学校における欠陥の第一であると私は思います。一人の先生を採ることはできますが、もしある一人の先生が、校長の教育方針に従わないからといつて、その本人の承諾なしに、これを他にやるということは、校長はなすことができない。そういう校長に、教育の全責任を持たせるということが、そもそも私は違つていると思う。責任を持たせるなら、責任を持たせるだけの権利と義務とを負わせなければならん。教育基本法の第一条を見ましても、教育の目的として、教育は、人間の育成で、社会人として国家のためになるりつぱな子供を育てなければならんというようになつております。人格の向上、人格は人をしてりつぱに格づけるものであります。また自由とは何ぞやと申しますと、人間が義を守つて、自分の貴務を果す、しかして後に、そこに自由が与えられるのてあります。権利を先にとつて、義務をあとから果すのは借金ぐらいのものであります。借金は確かに権利を先に取つて、そして義務をあとで果す、しかしながら人間はそれであつてはならない、やはり義務を先に負うべきものであります。
今の先生方の考えに対しましては、もちろん全部ではありません、一部の方であることは申すまでもない、私はこれに対して政治家として深く考慮しなければならんと思うことは、いかなる問題でも国の法規、あるいは条例、規程に基いて発せられたところの指令を絶対守らないというならば、これは法治国の人間ではごさいません。法治国の人間は法を守り指示に従つて、しかして後におのれの自由と権利を獲得するものであります。自由とは何ぞや、物権ではございません。自由はおのれの心にある。おのれの心にないものに、いかに自由を与え、権利を与えても、それで満足するものではありません。
ここで時間をかりて、たとえ話をしては申しわけないんですが、私の所に三十二年前に十九歳で秋田から来た女中がおります。その女中の友達が一方は土地一番の金持ちの娘で、片一方は貧乏人の娘ですが、ともに肺病をわずらつた。ところが私の所の女中が言うことには、片つ方はちよ子、片つ方はきよ子といいますが、ちよ子の家は村一番の金持ちですから、ちよ子が肺病をわずらつたというんで特別の治療室をこしらえて、八畳の間に、四畳に六畳の間をこしらえて、看護婦と女中をつけて、お医者は二人抱えて看護をした。ところがその女中いわく、ちよちやんのところにお見舞いに行つたら、「私は何という不幸な家に生まれたろう、きよちやんは六畳の間に親子四人が仲よく寝ている、私はこういうなさけない家に生まれたために、お母さんもお父さんも、兄弟も一緒に寝ることができないで、たつた一人でこういうところに寝なければならん。何という不幸な家に生まれたのであろう。」とその娘が言つたというのを聞いて、人間の幸福や自由は一体どこにあるか。幸福は精神にある……(発言する者あり)社会問題がわからんから、特に聞かせている。どちらにしても人間はいかに権利を与えられても、心に満足がいかないものは決してそれで満足するものではない。やはり法に従い、規定に従つて、そして教員としてりつぱな優秀な子供を育て上げるという、秩序のあるところの学校の校風をこしらえるところに、真の優越感と楽しみがなければならない。闘い取つたものにおいて満足するということは、今たとえて言いましたように、絶対満足できるものではありません。精神によつてこそ初めて満足は得られるものであります。今、学校長はちよつと間違いがあり、あるいは火事があつても、すぐもう首の心配をして進退伺いを出さなければならん。また一方、他の先生が間違つても、あるいはまた小使が間違つて、火が出ても小使より先に先生に責任を持たせる。だから私はこの間これを称して必罰無賞と言つた。この罰は必ず与えるが賞は与えないということが、数育上の第一の欠陥であると私は思う。
こういうことに対して、将来教育長は、もう少ししつかりした観念を持つて、われわれが全部認めたところの委員会の方針に従つて、どこまでもその自分の意思を貫徹し、すなわち絶対多数の意思によるところの表現は、どこまでも通すべきであるということを私は申し上げて、教育長の再考を促したいと思います。
次に、これは大部分警視庁の取締りのことになるのでありますが、現在自動車が市中に氾濫しております。あるいは自家用車、自家用車と申しましても、乗りまわすのばかりではない。オート三輪車あるいは小型トラック、農家が野菜等を運ぶものもあります。ところが、これらに対して今車庫というものがない。これは陸運局の関係もありますけれども、取締りの上から警視総監はそういう点に大いに注意を払うべきものと思います。と同時に、この自動車が今横丁のちよつと広い道路ですと、大型が五台も六台もとまつている。車庫に入れてある自動車のごときはほとんどございません。みな道路のまん中、あるいは端の方に置いてある。万一非常事態が起つた場合、消防自動車などが来ましても、そこはちやんと図面の上にはあるが、行つてみるとトラックやいろいろなものがあつて通ることができない。これが人命救助の上に、あるいはまた都民の財産擁護の上に、いかに影響するかということを考えなければならん。これは簡単な問題ではございません。今のままにおくならば、おそらく消防自動車などは横丁の道路のごときは通ることができなくなつてしまうでしよう。あるいは急救車などが人命救助にやつて来ましても、その用をなさないことになつてしまうと思う。それに対して警視総監は陸運局その他によつて、今の自動車のあまりにも乱雑な状態、すなわち置きつぱなしで道路が車庫になつている状態を何とかしてもらわなければならん。これは絶対許すべきことでないと思う。近所でも非常に迷惑しております。これに対してどういうお考えをお持ちであるか、伺いたいと思います。
次は河川にゴミや汚物を棄てる問題であります。いかに規定を設けても、あるいは都の条例を設けても、河川に汚物を捨てたり、ゴミを棄てる者が跡を絶たない。これにはもちろん罰則や科料はごさいますけれども、この罰則を励行しないから一人もきく者がない。はなはだしきはリヤカーで川にゴミを捨てております。ちり取りで捨てるごときはもう朝タのことであります。このために石神井川のごときは三、四年前まではコイやフナが釣れた。今はミミズも育たないほどゴミだらけになつている。こういう状態をこのままにおいて、文化国家だとか衛生都市だというのは私は世界の笑いものになると思う。はなはだしきにおいては大下水、これは元用水路であつたかもしれん。そういうところにおいて橋の下にゴミが溜つたら、その付近は急激な増水によつて床上まで水がかかる。にもかかわらず、今もつてゴミや汚物を捨てるのを放任して知らん顔をしている。ここに日本人の大きに悪いところがあると私は思う。なぜならば罰則はある。科料はある。あつてもそれをとがめない。これを厳格に法規に基いて、あるいは条例に基いて取締るならば、一人もゴミなど捨てる人はなくなつて、りつぱに河川を維持することができると思いますけれども、今も学校の先生のたとえで言つたように、法規や条例があつても、それの罰則が励行されなかつたならば、きかない人間が出てくることは当然です。こういう点から考えて、理事者は大いに日本人の個性を研究した上で善処していただきたい。それはお互さま考えればわかることでありまして、必ずしも他人事ではない。お互相戒め合つてこそ国をりつぱに守ることもでき、都市美を発揮することもできると思うのでありまして、この点を大いに考慮していただきたい。以上申し上げまして私の質問を終ります。(拍手)
〔教育長 本島寛君登壇〕
◯教育長(本島 寛君) 只今小中学校から問題少年がだいぶ発生しておるという具体的な事例と、さらに学校において火災等が起りましたときのその処分の問題を引用されまして、学校長の責任と権限の問題について御質問がありました。その点についてお答え申し上げたいと思います。
学校長の学校経営者としての責任と権限とはまことに重大であります。学校長のその責任の自覚また自分に課せられた職責を公正に勇敢に執行するというその態度、気力、努力というものは挙げて私は学校教育全体の成果に大きな影響を来たすものとつねづね考えております。従つて校長の職務が常に公正に、正しいことに対しては強くこの信念が実現できるように私どもとしては希つているわけでございます。教育の中立性の確保、自主性の確保ということは、まず教育の現場から行われなければならないことは当然でございますし、経営の責任者として校長がそのような態度をもつて仕事をしなければならないこともまた言うまでもございません。従つて責任だけを負わしておいて、教員一人採るのにさえなかなか思うようにならないというようなお話が今回も重ねてあつたわけでございますが、私どもとしましてはまず学校自体の問題についてはできる限り学校長の意見を聞く、そしてあとは東京都全体としてあるいはその地方の特殊の事情等を考慮して、その仕事が実現できるように配慮しているつもりでございます。もちろん全般的な基準を定めるとか、選考をするとかいうことは都自体の仕事で、校長が自由にすべてを自分の思うままにやつてならないことも当然でございますが、法なり委員会が定めた秩序の範囲内におきましては、できるだけ校長の意見を尊重して仕事に当つていくように考えている次第でございます。なおこのことは従来ともすれば不明確な点がありましたので、先年来私ども組合なり、校長なり、あるいは市町村委員会の意見を聞きながら、学校教育法施行細則を制定いたしまして、校長の責任と権限また一般教員の校務分担等の場合における責任なども明確にいたしたつもりでございます。
それから問題が起つたときの責任を問う点につきまして、校長の責任のみを強く問うような嫌いが従来あつたというようなお語がございましたが、私どもそうは考えておりません。火災なり問題が起りました場合に、まず事前にそういうことの起らないような方策が第一でございますが、不幸にして問題が発生いたしました場合には、よくその原因を探究いたしまして、それに応じた公正な措置をとることを考えております。従つて校長は監督者としての責任は免れない。また事実問題を起した。職員なり用務員に対しては、それぞれの事情を糾明して公正なる態度で臨む、いつ同じような事件が起つても同じような態度で措置するというようなことでやつておりますので、決して一方にのみ重く、また下の方にのみ軽いというようには考えていないつもりでございます。今後もその態度で臨みたいと思つております。ともあれ問題少年の発生防止のために、あるいは事故発生防止のために、いろいろな面からわれわれは校長の責任、権限自体にとどまらず、今後とも都民に御迷惑のかからないよう、努力いたして参るつもりでございます。
◯八十二番(金子二久君) 警視総監には考えてもらえばいいので、答弁は要りません。
◯議長(上條 貢君) 十四番田山東虎君。
〔十四番 田山東虎君登壇〕
◯十四番(田山東虎君) 工場の廃水によりまして河川等の水質が次第に汚濁の度を増しているということに対しまして、全都においてすみやかに措置を講ずべしという世論が巻き起つているのであります。去る六月十日に江戸川区の本州製紙工場に発生いたしました事件は、この問題と関連して今後の都政の上にきわめて重要なる示唆を与えるものでございます。そもそもこの事件の発端はあやふやな都行政に端を発していろばかりでなく、この事件に介在して警視庁二百十数名の警官の出動は、川合警視総監着任以来の警視庁の一大失態であるといわなければならないのであります。私はこのような見地から社会党を代表いたしまして、これらの関連ある事項につきましてそれぞれの所管に御質問を申し上げたいと思うのであります。質問の要点につきましてはなるべく親切、明快に各所管より御答弁をいただきたいということをお願いいたす次第であります。
事件解明の順序といたしましてこの際私はこれらの事件の由つて来りました経緯をまずもつて申し述べることをお許しいただきたいのであります。
さきに東京都は本州製紙江戸川工場内にドラムパーカー、SCP装置増設の許可を与えられたのでありまするが、これが操業に伴う多量の廃液排出をめぐつて周辺の漁民の二回にわたる大規模な実力紛争を生じましたことは、本都のためはなはだ遣憾なことであります。本工場の位置は魚介類の成育に格好な江戸川河口のいわゆるデルタ地区に位し、工場排水口と川口の中間、新川を通じて江戸川放水路に連なつております。二之江、古川の枝川等いわゆる葛西浦漁業地と対岸の浦安を合せまして本都内水面漁業者の最大の集落地となつているのであります。加うるに江戸川水域は汚水汚濁の厄を免れている本都唯一の清澄河川として、水郷一日の行楽をほしいままにできる都民の安息地帯でもあります。このゆえに本都の産業発展を口にする人々といえども、この環境と水質の現況を保存することには御異存のないところであります。
しかるに四月初旬、本州製紙江戸川工場の前述の運転が開始されるとともに、漁民が黒水と称し恐れおののいている廃液はたちまちにして河川を汚濁せしめてしまつた。酸性の強い臭気は岸辺を洗い、都民の遊楽は奪われ、またたく間に魚介類は斃死あるいは不漁と相なつたのであります。漁民はこれをもつて排水の結果であるとなし、爾来毎日のように千葉県庁あるいは東京都庁その他本州製紙工場、各方面に実情に即し即時この廃液排出を中止するよう、かつ無害にして適切な設備改善方を歎願して参つたのであります。しかしながら役所の方ではこうした苦情処理等が非常に不手際であります。ために漁民の不信を買う結果となり、彼らは一日の遷延は打撃回復の時期を失するものとなして、かたがた工場側の不誠意に憤激いたしまして、遂に去る五月二十四日には約一千名の漁民が実力をもって工場に至り排水口をせきとめた。これがために工場は操業を中止するのやむなきに至つたのであります。作業の再開をおそれる漁民はここにおいて一段と各方面に中止方の陳情をいたして参りました。しかしながら都と会社側、工場と漁業組合、さらに八ヶ浦の漁業協同組合と工場側の再三の会談も交渉は決裂いたしました。工場は許可を楯といたしまして六月二日に再び操業に入つたのであります。幸いにも東京都側の水質の検査、現場実験の結果に基きまして、建築局は六月六日に至りまして会社側責任者を招致し、口頭をもつて漁民と話合いが成立するまでは工場の操業を中止すべきであるということを伝えました。会社側もこれを受諾いたしまして、六日夜半に排水は止まつたのであります。しかるに会社側はその三日後の九日午後、会社の一方的な都合によるものとして作業開始をする通告をいたしました。三十分後には三たび廃液は漁民をあざけるがごとく滔々として排出を始めたのであります。都の威令を無視してこのように実力操業に入つた会社側は、このときすでに漁民と実力抗争を決意したものと考えるのが至当であります。彼らは門前にバリケードを築き、特設電話を架設し、工場の中には早くから警察官二百数十名を潜伏せしめまして、漁民の到来を待ち構えておつたのであります。
最大の被害者である浦安の町民諸君は、六月十日に町民大会を開催いたしまして、生活を守るための決議等が次々に可決されまして、町長、町会識員の各代表によつて引率されるバス十台に便乗いたしました陳情団は、まなじりを決して国会、都庁あるいは工場へとこの決議文の伝達に赴いたのでありますが、不祥事が勃発いたしました現場には十日の夕刻に到着をいたしたのであります。
陳情団の代表は事無きを得ようと周到なる努力をいたしたのでありまするが、これはむなしかつた。工場の門は閉ざされ、バリケードはものものしく、立入禁止の高札がそこに立てられてあつたのでありまするが、さらに幾つかの立入るべからずと書いたプラカードが工場の中からこの訪れた陳情団の頭上にひらひらと舞い上つたときに、この事件は爆発点に達しまして、工場内に乱入をし、好餌ござんなれと待ち構えていた警察官とあのような不幸を惹き起すに至つたのであります。漁民の傷つく者、重軽傷合して百四十三名、かつての砂川の惨状をしのぐ不幸な事件は以上のような経過発展をたどつたのであります。
うろたえました建築当局は、翌十一日文書によつて再度作業停止の示達を行なつたのでありまするが、これはすべてあとの祭りであつて、本件のごとき不祥事を根絶いたしまするために、本都議会は事件の内容を大胆率直にかつ慎重に検討することを望むものであります。
私は事実と調査に基きまして次に建築局長に御質問を申し上げたいと思うのであります。
第一は、許可を与えました経緯の詳細について御説明を願いたいという点であります。新装置の竣工許可の月日は本年の四月十七日と相なつておるのでありますが、聞くところによりますと立会検査に赴いた係官は工場側においてその日は機械が故障であると称して、稼動の現場を見せなかつたにもかかわらず、竣工の許可を即日与えているようであります。そこで私が不審に思いますることは、六月の十八日会社側で発行いたしました工場排水資料によりますと、すでにこの機械の試運転は三月十八日から行われている。そして四月七日以後は常時作業運転と見なされるいわゆる長時間継続排水も行なつておるのでありまして、これを立証するものといたしましては、現に四月の上旬には経済局水産課には漁業組合から、黒水が河川より海面に向つて流出をしている、この時期には川を遡つて来るはずの稚鮎が激減をしているから調査をせよ、こういう陳情を実は受けておつたのであります。このような事実というものは一体竣工の許可には参考になるのかならないのか、こういう点もひとつお伺いしたいと思うのであります。
さらに指導部長は、全国的に製紙工場の排水の被害を調査したことがあるかどうかという私の質問に対しましては、結論的に被害は皆無であると回答しております。ところがその後私が調査いたしますると、これとはたいへん異なつた資料が出てきております。まず高知市の浦戸湾におきましては昭和二十六年に製紙工場ができまして、被害はだんだんと広がつてきて、現在は湾外に汚水が流れ出しまして、魚貝類やノリの漁業というものは全滅に瀕しており、しばしばこれが県会等の問題となつておるということであります。また山口県の岩国市の実例は、製紙工場の廃液が原因したか、魚介類は死滅し、それがために約六百名の漁民に対しまして昨年は一千三百万円の損害料が会社から支払われている。今年の被害はそれよりももつて甚しく、目下五千八百万円の要求がなされているというわけでありまするが、都の調査とこういうように違つておるのは一体どのようなわけか。水産の問題は都としては経済局の所管でありまするが、この許可に際して同局と建築局は協議通報の必要はあるのかないのか、この点もひとつお伺いをいたしたいと思うのであります。
第二点は、建築局はそれならばなぜすみやかに工場公害十八条の発動を行わなかつたかという点を私は質問したいのであります。五月の十三日と十四日には経済局は本格的な調査を実施いたしました。その結果は十六日に建築局は通報を受けておるはずであります。これによりますと、まず水質については「S・C・P廃液を含む本工場の排水は赤禍色を呈して川輻一ぱいに流出し、多量の泡が水面に浮かんでいた。五百メートルの下流では褐色となり、一千メートル以下の下流においては黒褐色となり、上流のコバルト色のきれいな川水と著しく異なつている。PHも排水口では四・二以下で酸性を示しているが、五百メートル下流でも五・三と酸性であつた。溶存酸素は少く、C・O・Dは排水口附近で九七・九PPMと非常に高く、水産生物に著大な影響を与える値である。」こういうように報告をいたしております。なお、現場試験におきましては、まずポンプ室で採水をして川水でこれを十倍に稀釈してこの中にわか鮎を放養したところ、ただちに狂奔、鼻⊥げして二十二分後には全部が斃死した。下流三十メートルでは十九時間以内にわか鮎、ちつぶ、あいかわの魚類は全部斃死をした。さらに下流五百メートル付近においては十八時間以内に、鮎は三二%、あいかわは四〇%斃死をした。すなわち本州製紙の排水は明らかに有害なりと経済局は断定を下しております。千葉県側の試験の結果もおおむねこれと同じであります。聞くところによれば、建築局の首脳部の間に見解がまちまちであつて、「著しく」との程度の解釈で小田原評議に終つて、荏再時を過したといわれているのであります。いずれにいたしましてもその間建築局は工場側と、あるいはまた漁民側とに何ら方針らしいものを示していなかつた、一方において許可につきましては電光石火のごとくこれを許可し、事が起ると春日遅々たるこのありさま、この都政の渋滞を一体どう思うのですか。この点について建築局長の所見をお伺いいたしたいと思うのであります。
第三点は、行政的な処理解決についてお伺いをいたしたい。局では濾過沈澱設備というものを考えているようでありますが、従来の数倍の悪水量をうまく処理することができるのかどうか。水質を現況のままで保存するというようなことができるかどうかということについての専門的な今後の見通しをこの際質しておきたいと思います。
次に私はただ一点経済局長に御答弁をお願いいたしたいことがございます。先ほど申し上げましたように、局ではせつかくりつぱな調書をこしらえたのでありまするから、それならばなぜ本件の発生以前に法律によつてこれらの解決策とらなかつたのか。たとえば水産資源保護法第四条、漁業調整法第三十六条によつて打つべき手はあつたように私は考えるのでありますが、局長の心境を伺つておきたいと思うのであります。
次は安井知事ないしは所管の副知事に弁明を求めたいことがございます。第一は、十一日の作業停止命令のこの指示をいたしました文書なるものは、条例に準拠していない単なる行政指導に過ぎぬように私どもは考えるのでありますが、あるいは法律の適用と関連して政府と何らか今後の打合せを行なつた上でこのような文書を出したものかどうか。
第二点は、建築局は六月六日に口頭をもつて工場側に伝えました作業の停止指示というものを、ご存じのように会社は破つております。このことは都条例違反と同様だと建築局ではあげて激昂をしておるようであるが、われわれもまたこれは会社の暴力行為であると確信をいたしております。ところが警視庁はこの暴力行為を助けたのである。この点について当然都は厳重に警視庁に抗議をいたすべきであると考えるのであるが、この点についての所見を伺いたいと思うのであります。
第三点は、損害補償の問題が残されておりまするが、浦安の本漁協だけでも組合員は大体一千三百八十一名おります。三十二年の四月と五月中の水揚高を今年の同月と対照をいたしますと、張網、打瀬、小網、延縄、採貝の業別の金額資料等は私の手元にはございますけれども、おおむね昨年の二分の一ないしは四分の一しか今年はとれないという非常な不漁である。本州製紙は毎期四億円の利益金を計上しておる。こういう実力からいたしますると、このような漁民に対する補償金の額のごときは問題ではなかろうと思うのでございまするが、そのやり口から見ますると、誠意解決の途ははなはだけわしいと見なければなりません。都はこの交渉あつせんについて今後どの程度責任を持つか、以上についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
川合警視総監には語尾を一そう強くいたしまして私は問責をいたさなければなりません。さきに申し上げました本件の経緯につきましては、警視総監の見解と私の見方は大体一致しておると思うのであります。去る十三日、警察庁浜中監察官は国会の公述においてかようなことを申しております 六月の十日二百十余名の警宮を、事件が勃発する約五時間前に、しかも工場内に潜伏待機をさせたのは、警察側の状況判断と工場側の情勢判断とがかくすることに一致をしたからである、かように申しております。工場側が門前にバリケードを築き特設電話を設けたのは、すでに六月九日に都の指示を破つて作業開始をしたその時から、彼らは漁民と実力抗争を決意したからであります。一体警視庁は加害者とはこのように緊密に連絡をし、全力をあげて応援をするけれども、被害者には通報もなければ情報も知らさない、ただ工場の器物と財産の損害のおそれあることにのみ働くのが使命なりやという点を伺いたいのであります。去る十日の警視庁警官の多数出動の以前に東京都の停止措置が工場に出されておりましたことについては、警視庁がこれを知らずしてこの行動に移つたものであるといたしまするならば、複雑なる首都の治安などはとうていこれを全うし得ないことになります。あるいはこの事情を知つて出動したということに相なりまするならば、警察官もまた法を守らざる市井無頼の徒と何ら相異なるところがないことになりましよう。以上について警視総監の所信と見解をお伺いいたしたいと思います。
第二点は、警察行政の指導についてお伺いをいたしたい。去る五月二十四日にはこの事件で約一千名の漁民が排水を阻止する実力行使に出ております。それ以後に黒水がとまらぬ限り、ただちに不祥事が再発する危険というものは、警察側はわかつていたはずであります。従いまして、漁民と工場との交渉、あるいは六月六日の建築局の停止の指示、さらに九日の再開の事情、こういうことは刻々情報をとつていたはずであります。その間一体建築局にどのような情勢連絡を警視庁の方から行なつているのか。工場にバリケードを築かせ、警察官を派遣する以前に、何ゆえに本州製紙に対し都の指示を守らせるような指導をいたさなかつたのか。この場合の安全弁としてはただ一つ、黒水をとめるということであります。よしんば警察力の介入を必要とするといたしましても、漁民が来襲する以前にまず会社側にこのことを確約させる強制指導の措置もあつたはずではないか、これらの失態の責任は一体だれが負うべきものであるか、見解とあわせてこの点をお伺いしたいのであります。
第三は、都の幹部の見解を総合いたしますと、本事件に出動をしたのは政府筋の要請とも見受けられるのであります。なるほど私もそう言われてみますと、工場内の警官の布陣は、何とかして単純な漁民を引きずり込んでたたきのめす検挙第一主義に出ているようであります。ここに詳しい負傷者の傷の診断であるとか、あるいはけが人の陳述書等を持つているのでありまするが、警察側の暴力、積極性はいずれの面においても証明されるのであります。資本家擁護があまりにこれでは露骨になり過ぎている、警視庁が政治警察化しているというこの事実に対しましては、私は厳重に都民の名において抗議をいたさなければならないのであります。こういう点につきましても、総監はこの点を明らかにする必要があると考えるのであります。
以上第一回の質問を終るのでありまするが、もし答弁に不満があると考えました際には、さらに回を重ねて登壇をお許し願いたいのであります。(拍手)
〔建築局長 中井新一郎君登壇〕
◯建築局長(中井新一郎君) 本州製紙の汚水放流の問題に関しまして、関係の皆様方の御迷惑、お手数をわずらわしましたことはまことに遣憾に存ずる次第でごさいます。
さて三点ございました質問の第一点の許可認可の経緯でごぎいます。この認可申請を受けましたのは昨年の九月六日でございまして、建築の一般申請と同時に、工場公害防止条例の認可申請を受けたものでございます。この種の工場は最近新しく計画をされておりますものでございますので、実例についてその実際を調査することかできませんので、私どもといたしましては他府県の実例を参考といたしまして、工場から計画として出しました排水のデータをとりまして、それによつて支障ないものとして認可をいたしたのであります。その節あわせて御質問でございまして、指導部長が全国に同種の工場に被害がないと言つたが、高知県、あるいは山口県の例をあげられまして、実害があつたのをどう思うかという御質問でございますが、これは本州製紙の江戸川工場におきまする製紙の作業工程と違つた工程をとつているものでございまして、高知の例は和紙の製造と聞いておりますし、山口県のものは専門的で恐縮でごさいますが、ケミカル・パルプというものでやつているわけでございます。そういう実害のあるものでございますから、それらの工程を改良いたしまして、本州製紙におきまするものはセミ・ケミカル・プロセスでやつているものでございます。そういう実例につきましては全国数種の例があるのでございますが、それらにつきまして実害がないということでございましたので認可をいたしたようなわけでございます。
御質問の第二点でございますが、工場公害防止条例の十八条の発動がなぜできなかつたか、経済局、あるいは千葉県の水産課におきまする試験の結果が当時でもわかつておつたのじやないかという御質問でございます。私ども五月十三、十四日の経済局の試験は十六日に承知をいたしておつたのでございますが、この試験は水質試験、それから生物試験でございまして、当時いまだ漁業に対しまする被害の程度が明らかでなかつたために、十八条の発動を見ることができなかつたわけでございます。
御質問の第三点といたしまして今後の行政措置をどうするかということでございます。これは現在工場はその操業を中止いたしておりますが、すでに二十日に沈澱池の設備の切りかえができております。私どもはこれによりましてもなお排水につきまして疑義を持つておりますので、さらに廃液の回収、濃縮の方法、なお加圧濾過の方法等必要を感じておりますので、工場に指示をいたしまして、その実際の設備方について検討さしているわけでございます。工場におきましてもその趣旨を了といたしまして、目下その設備の設計検討に従事中でございますので、この設備の完成を見まして、なお漁業等に実害のないことを私どもとして確認いたしました上でなければ、工場の作業は許可いたさないつもりでございます。
〔経済局長 江藤彦武君登壇〕
◯経済局長(江藤彦武君) 御質問の第一点でございますが、この問題について水産資源保護法、あるいは漁業法の発動についてどうだという御意見でございますが、御存じのように四月二十二日に正式に会社側がこの作業を開始いたしますと同時に、四月二十五日に漁業法に基きますところの内水面漁業委員会がこの問題について調査いたしました。その漁業法に基いたものによりまして一応建築局に書面が出ております。五月八日にはやはり漁業法及び水産資源保護法に基きます内水面委員会と私ども水産試験場及び水産課でこれに対しまする処理施設に対しまして異議を申しまして、会社側の善処方を申し述べているわけでございます。そういう点から考えまして私どもといたしましては、今回の処置につきましては水産資源保護法及び漁業法を根拠にいたしまして取扱つておる次第でございます。
〔副知事 佐藤基君登壇〕
◯副知事(佐藤 基君) 先ほど建築局長からも申しました通り、条例十八条による行政処分をどうしてしなかつたかという点に関しまして、私どもといたしましては条例十八条による行政処分をなすべきかいなかにつきまして事実上の判断なり、あるいは法律上の判断について相談したわけであります。ところが、いろいろ疑義もありましたし、一方におきましてすでに事件が発生しておりますから、これをほうつておくわけにいかない。そこでまず文書による勧告をしたわけであります。幸いにその文書による励告が効力を発生しまして、現在汚水の排出ということは停止されているわけでございます。その前に口頭をもつて停止すべきことを都の方から会杜に申し出たにかかわらず、これを会社が守らなかつたということは、われわれとしては非常に遺憾に存じておる次第であります。
最後に会社と漁民との関係でありますが、これは結局民事上の損害の加害者と被害者の問題であります。加害者たる会社と被害者たる漁民においての問題でありますが、この問題はその関係者が相当多い。しかしてこれは社会的の問題にもなつているという実情でありますので、われわれ都の行政をあずかる者といたしましては開係の千葉県とも相談いたしまして、必要によりあつせんいたさなければならんかと思つておる次第であります。
〔警視総監 川合壽人君登壇〕
◯警視総監(川合壽人君) 本州製紙江戸川工場の新しい今次の機械設備につきましては、警察といたしましては直接の指示権、指導権を持たないのでありますが、すでに四月半ばごろから心配な警備情報が入つておつたのであります。五月二十四日の事案、田山議員も十分御承知の通りちよつとしたトラブルがありまして、これは非常に重要な問題である、浦安その他の漁民の人たちの生活権の問題ではあるけれども、このようなことで大きな事案になるということは非常に心配だというので、私どもといたしましては工場側並びに建築当局に対しまして数回にわたっていろいろな連絡をいたしたのであります。たとえて申しますと、五月二十二日に一時仮排水が出ていろのでありますが、五月二十四日にあの事故が起りました。これは大へんだと思いまして、六月二日に方面本部長をして実査をさせているのであります。これは警察的の見地に基いて実査をさせまして、六月六日に建築局の方から使用停止の勧告が出ているのでありますが、これにつきまして私どもの方では、翌七日に小松川警察署に近藤という会社の常務取締役を招致いたしまして、これは厳重に処理してもらわなければいけないということを申したのであります。一方同じ日に会社に通告をいたしまして、漁民の人たちに十分に納得をするように、東京都下の投網組合その他は納得をしているように思われるけれども、浦安の漁民の人たちにはまだ納得さしてないじやないかということで私ども非常に心配をしまして、会社側にそういう意味の連絡を強調いたしておるのであります。ところが、今副知事も申されました通り六月九日、これは私どもしろうとにはよくわかりませんが、試験的に廃液を排出したということで、六月十日にあのような不祥な事案が発生いたしたのであります。警察のとりました措置につきまして、工場に対してだけ加担したようではないか、建築局に対するいろいろな連絡もまどろつこしいというお叱りでありますが、この点につきましては私どもとしましては警備情報に基いて相当な措置をとつたものと確信いたしております。ところが六月十日の事案につきましては私どもも非常に迷いまして、川島自民党幹事長に漁民の人たちが七百名午後二時二十分にあらかじめ面会の約束に基いて面会をされたのでありますが、このときにちよつとしたトラブルが議員会館の中であつたのであります。ところが、都庁に陳情されましたときには非常に静粛でありまして、バスを全部楠公さんの近くにとめておいて、穏やかに代表の人たちが都庁で陳情いたしまして、今日はなるほど大きな生活権の問題ではあろうけれども、不祥な事案は起らないで済むのじやないかと、とつおいつ考えておつたのでありますが、しかしかなりな人数でもあるし、四囲の情勢からして必ずしも楽観できないのではないかという見解のもとに、実は漁民の人たちを刺激しない方がよかろう、しかし最悪の場合間に合わないでも困るので、かりに二個中隊を工場の正門からは見えませんところの百メートル奥の食堂の中に待機をさせた次第であります。そのあとの事案は田山議員も十分御承知の通りでありまして、何と申しますか、七百名の人たちはつき添つてこられました町長さんやら組合長、あるいは議会議長の制止がほとんど耳に入らなかつたように聞いております。正門は閉つておりましたが、これもずいぶんと漁民の人を刺激したようでありますが、会社はちようど作業をとめたあとでありまして、その立ち入り禁止の標示を出しましたのも、代表者の方だけに入つてもらいたいというわけで、かんぬきにはかぎをしないでおつたわけであります。ところが、そういうことにはほとんどおかまいなく、塀を乗り越え、かんぬきをはずして、そのあとガラスや器物などをさんざんにこわしたわけでありますが、この場合における警察の措置としましていずれがよかつたか、全然警察官を置かない方がよかつたかどうか、これは私としましてはやはりあの人数ぐらいは置いておかなければいけなかつたろうと思います。
第二次の検挙の問題でありますが、第一回の事務室のガラスその他の破壊行為に対しては四名の検挙者を出しておりますが、このあとでまた私ども非常に苦慮いたしたのであります。それは夜明けになるまでこの大人数の人たちとしやがみ込んで待峙をしておく方がいいのじやないかというふうに、一時は私ども首脳部も考えた次第であります。これ以上けが人を出したり、逮捕者を出したりするということは事柄が事柄だけに好ましくないということで、その点では非常に考えあぐねたのでありますが、ちようどその時、悪いことにオート三輪車を漁民の人が持つてきておつたと見えまして、このオート三輪車である部隊に対して突つ込みをかけられたのであります。これは非常にすさまじい勢いでありまして、このようなことではとても翌朝まで持たない、かたがたまわりにはたくさんの瓦礫その他こん捧類がありまして、これをときどき気勢を上げて警察官なり器物の方へ投げかけるという状況で、なおまた私どもその前に実査をいたしましたところによりますと、液体塩素の貯蔵所があり、変電所があります。そのほかの重要な物もありますので、まわりは暗いことでもあるし、これはやはり漁民の人たちにこのような状況下で占拠してもらうということは、翌朝までに大へんなことが起りそうだということで、今の漁民の人たちのオート三輪の突つ込みを契機として、実は警棒までも使用して門の外へ出した。門の外へ出しまして一時はうまくいつたのでありますが、なおまたそれを押し返されまして、ちようど四回出たり入つたりいたしたのであります。決して田山議員が申されましたように初めから漁民を敵視して、これを大きく検挙して名前をあげるというような意思では全然ありませんので、当時の実情を私はとくと部下から聞きまして、御報告申し上げる次第であります。
〔十四番 田山東虎君登壇〕
◯十四番(田山東虎君) 只今の答弁に対しましてそれぞれの所管に対しまして再度御質問申し上げたいと思います。経済局長に対して私先ほど答弁を要求いたしましたのはこういうことであります。水産資源保護法の第四条一項四号には「水産動植物に有害な物の遣棄又は漏せつその他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止」と明瞭に指摘されている。こうした都条例よりもつと強い法律によつてこれを阻止することができるのに、経済局としてはどうしてあのような確たる資料を持ちながらこういうことをやらなかつたのか。今後ともこういうことについては一体やらせるつもりなのか、あるいはまたやる意思がないのか、こういう点を実はお聞きしたかったのでありますが、要点が漏れておつたようであります。
なお漁業調整規則第三十六条は読み上げませんけれども、これでも十分にこの問題を処理していけると考えるので、こういう点についてもあわせて見解を伺つておきたいと思います。
建築局長に対しましては、だいぶ局長も今度の汚水はみずからも腹中へ飲んだと見えまして、生きてはいるけれども相当に参つているようであります。しかし今後の処置については、今の議場での約束をそのままにわれわれが信用いたすといたしまするならば、そう簡単に会社側に汚水は流させない公算の方が強いように私は受け取りましたので、その実施の誠意をこれから見ていきたいと存じます。
副知事に私がお尋ねいたしましたものの中では、われわれが聞かんとする最も大事なことが抜けているようであります。副知事は、東京都のたとい口頭にもせよ会社側が一且了承した指示に対して、これを守らなかつたことははなはだ遺憾であるとはつきり言つている。そのはなはだ遺憾であるところの法を守らない本州製紙に対して加担をした者は、都民の税金によつて養つている警視庁の多数の警官ではないか。この点からいたしまするならば、副知事は少くとも都民に代つて警視庁に対して厳重に将来を戒めることこそ、最も大事なことではなかろうかと思うのでありまするが、この点に対する答弁を伺いたいと思うのであります。
警視総監の説明は、ただ単に部下を可愛がる、失態を隠蔽するという一語に尽きることははなはだ答弁としては誠意を欠くものであります。当時のいろいろな模様はむしろ十分に情報や資料を取つている警察のことでありまするから、これらの問題をわれわれはあれこれとここで申し上げようとは思いません。しかし一体敵が来ないというのにどうして五時間も前から工場の中に二百数十名の警官を潜伏させたのか。事件が起つてからでも十分にこれは間に合うはずではないか。その間少くとも五時間の時間はあつたはずであります。五時間の時間があれば、会社に誠意を尽してなぜ東京都のこの指示に従わせる努力をいたさなかつたのであるか。今総監はいかにもかような努力をいたしたかのごとく都民をいつわつているのでありますけれども、これはうそである。現に私はちようど十一日の晩には現地の指揮官である第七方面隊長、小松川の署長と談判をしている。この点をついた会談の内容についてはあなた方の部下は当時速記を取つている。私はこの点を十名の同志とともに突つ込んだのである。衡に当つた第一線のこの署長と第七方面隊長は何と言つて私に詑びたか。「大変その点については気がつきませんでした。今にして思いまするならばさような手を施したならばこういう問題は起らなかったのではないかと惜やまれてなりません」とそのときはつきり言つていろではないか。私はこの機会に、警視総監に対して再びかくのごとき失態を期することなきようあらためて厳重に警告を発しまして、今後の警察の処置を監視しようとするものであります。
〔経済局長 江藤彦武君登壇〕
◯経済局長(江藤彦武君) 只今重ねてお尋ねのありました今までの処理及び今後の問題につきましても、御指摘の通り水産資源保護法及び東京都の漁業調整規則等を根拠にいたしまして、東京都、千葉県及び会社側、漁業組合等の構成のもとに十分慎重に処理いたしたいと思います。千葉県につきましては先般この申入れをいたしましたら、たまたま本日午前中に千葉県知事からもこの問題についての円満なる解決を期するために東京都と協力をいたすという御返事が参つております。
〔警視総監 川合壽人君登壇〕
◯警視総監(川合壽人君) 六月十日のあの事故につきましては、私どもの措置は私どもとしてはベストを尽したつもりでありますが、四月半ばから警備情報を受けまして、五月二十四日に事件があつて、そして六月二日、六日というふうに東京都庁のいろいろな措置があつたのでありますが、これに並行します工場側、都庁側、こういうものにつきましては私どもの知識もさまで深くありませんので、私その間において、おそらくもつと強力な警備情報を入れたらばあの不祥な事態は幾らか軽減されたのではないかということを実は悔んでいるのてあります。ただ関係者が東京都管内だけでなく、千葉県の領域にわたつておりまして、私どもも千葉県警察本部からいろいろな情報を受け、千葉県の水産課からもいろいろな情報を受けているのであります。会社に対する私どもの態度も割合に複雑になりまして、会社の本社が実は銀座にあるのでありますが、これらの問題も絡んで非常に知識が浅いことと両方で、私どもの情報に基く警備的な勧告、通告、連絡がもう一歩強く出た方がいいのじやなかつたかというようなことを感じております。しかし申し添えますが、この問題につきましては千葉県警察本部、水産課ともに連絡が非常によくできておりまして、現に七百名の人たちが午前中に大会を開いて東京都へ行くというときも、そのように大人数で行かんでもよろしいではないかと、非常に熱心に制止をされているのであります。しかし今日は決議文をやるのであるから、その決意を示す上においてもこのくらいの人数は必要だというので出て来られたのでありますが、やはりかねてのうつぷんが重なりまして、工場の門を見たり、あるいは白煙がちょうど工場から出ておつたのでありますが、作業停止中であるにもかかわらず白煙が出ていたので非常に激昂されたのではないかというふうに私ども推察しているのであります。工場公害問題につきましては私どもも将来は警備情報の扱い方、それからいろいろな事端が起きましてからの私どもの態度は十分慎重を期したい、かように考えております。
〔副知事 佐藤基君登壇〕
◯副知事(佐藤 基君) 会社が口頭の勧告を無視した点が遺憾であるということと、これに対する警視庁の行動についての御質問は実は私ちよつとのみこめないのでありますが、首都の治安の最高責任者である警視庁がああいう場合に準備をされろということは、やむを得ないことだと思つている次第であります。
◯議長(上條 貢君) 三十一番 山川國藏君。
〔三十一番 山川國藏君登壇〕
◯三十一番(山川国蔵君) 私は社会党を代表いたしまして最近政府が行つております労働組合、特に全逓、都教組に対する不法な弾圧並びに不当な介入について川合警視総監及び本島教育長に対し、都の立場においてどのような見解と立場をとつておられるか、御質問を申し上げます。
御承知のように全逓信労働組合は賃金引上げ、最低賃金制の確立、スト権奪還、労働基本権の完全確立などの要求を掲げ、その獲得と解決のために闘争を続けて参りましたが、その一つの手段として本年三月二十日に東京中央郵便局支部に対し職場大会の開催を指令したのであります。従つてこれは憲法に認められた団体行動権を正当に行使したのでございます。しかるに職場大会を開くまでの過程におきまして郵政当局の不当な干渉と、警視庁の不必要に早やすぎる、そしてまた不必要に数の多い警官の配置という不当な介入があつたため、職場大会は阻止され、混乱し、そのために郵便物がはなはだしく停滞したのでございます。従つて明かに労働争議の結果、しぜんに発生した郵便物停滞という現象にすぎないというのが今度の事件の本質でございます。ところが、政府は自らの不手際を隠ぺいし、またこの機会に労働組合の組織を混乱せしめ、分裂に導くきつかけをつくるため、卑法にも郵便法第七十九条にいう「郵便の業務に従事する者が、ことさらに郵便の取扱いをせず、又は之を遅延させたときは」という条項を悪用いたしまして、刑事事件としてでつち上げようと企らんだのであります。もちろん郵便法第七十九条でいう「ことさらに郵便物」云々ということは、刑法の学理上の犯意を指しているのではなく、違反となる客観的要件、すなわち郵袋をかくすとか、破棄するとか、通常の作業の過程において作為をして郵便事業の運行を阻害する犯罪となるための構成要件を指しているのでありまして、労働組合の行う争議行為には適用しないことが明らかになつているのでございます。また東京都教職員組合に対する不当な弾圧は地方公務員法違反を口実に教育者を逮捕し、刑事事件として取扱つているのでありますが、今申しましたように全逓の場合は公共企業体関係労働法で、また都教組の場合は地公法で、さらにまた両者ともに労働組合法第一条第二項に争議行為の刑事上の正当性は明記され、ゆるがないものがあるのでございます。にもかかわらず、あたかも都の教職員や全逓の労働者が重大な刑事上の犯罪を犯したかのごとく、大がかりな検挙を行つたことは、その時期、方法などから判断して、明かに自民党の選挙を有利にするための手段であつたと断ぜざるを得ないのであります。ことに教職員の諸君に対する逮捕取調べ捜査の実情は、先ほど同僚田山議員からも言われましたように、あの本州製紙に対する警察官の暴力的な、無知な行動と相まつて、良識ある都民の憤激を買つております。たとえば品川区内の各学校の家宅捜査をしたのは六月七日の午後一時でございます。土曜日とはいえ多数の児童生徒が残っているその目の前で行われました。また港支部長の和田明氏を逮捕した警察官は、授業中に逮捕連行しようとしました。六月十三日午前十時三十五分青山中学で起つたことでありまして、和田明氏は授業が終つてからにしてくれと言つたのでありますが、警察官は頑として聞き入れず、手をとろうとしたのであります。ここで和田明氏は生徒に対する重大な影響を考慮いたしまして、せめて校庭を出るまでは離れていてくれと強く主張して、やつと納得させたというのが実情であります。このために理科の一時間の授業が流れてしまいました。また任意調査あるいは聞込み等に際しましても、先生はいま授業中だからあとにしてくれないかと断わりますと、校長先生のところへ参りまして、あの先生に授業を中止してここにすぐ来るように命令をしなさいと、強迫的に出た例は数限りなくありまして、そのために授業は中断され、その教育に及ぼす影響はまことに重大なものがあり、捜査官の常識を疑わざるを得ません。
さらに六月十八日に中央区の明正小学校へ任意調査に参りました公安二課の田城警部補は、調査を強行しようとするその勢いが余つて、宮下教員に対して暴力で室外に突き出そうとしたような不祥事件が起つております。調査が終つてから帰るときに猫なで声で「申しわけなかつた、ぜひひとつこれは問題にしないでくれ」と言つたそうでありますけれども、ここまで警察官の理牲を失わせ昂奮せしめたものは何であつたか。それは無理に刑事事件としてでつら上げをさせようとする背後からの力があまりに強いこと、しかし実際に捜査をするにはその確信がないこと、そのジレンマによつて起る興奮であり、無理な取調べ、不祥事であるということがいえるのであります。
全逓に対しては三月二十四日から今日まで約百名の者が取調べられ、四十一名が留置されました。また中央本部など機関が五ヵ所、自宅が十三ヵ所捜査を受けましたが、何ら違反の事実はあがつておりません。何も悪いことをしておらないから、あがらないのが当然であります。ですから取調官は非常にあせつて、取調べの中におきましても、お前たちは悪いことをやつている、曳かれ者のくせに生意気だ、君らは弁護士から一切黙秘でいけといわれているが、黙秘をして得をするのは弁護士だけだ、弁護士は事件が延びれば延びるだけ金になるからなとか、また、総評や社会党の尻馬に乗つてあんなだらしのない職場大会をやつて、あれは革命なのか、それとも武装蜂起の練習なのか、こういうようなまつたく時代錯誤の暴言を吐いておるのであります。しかし考えてみますと、こういう時代錯誤の考え方が基礎になつているからこそ、民主的な労働組合、また熱心に教育を守ろうとする平和的な教職員の教育に対する熱意を理解することができないのであります。こんな時代錯誤の頭で取締ろうとするから、問題がこじれてくるのでごさいます。
ここて私は警視総監に数点お尋ねしたいと存じます。
まず第一に、中央郵便局の事件を郵便法第七十九条違反と断じ、また都教組に対して地公法第三十七条違反と断定したのは、警視庁独自の判断によるものかどうかということでございます。前に述べましたように、国会の法務委員会の政府答弁でも、争議行為の刑事罰はないという点が明らかにされておりますので、政府の指示であるか、あるいはまた警視庁独自の判断にいて捜査をする決意をされたのかどうか、その点を明確にしてもらいたいと思います。
第二に、都教組の場合、任意調査家宅捜査に際しまして、教育上児童生徒に対しての悪影響が多くの方面にわたつてあつたのでありますけれども、事前に教育長なり当該絞長に連絡をしたかどうか、この点を伺いたいと思います。
また全逓の場合、四十一名を逮捕しましたけれども、これを留置して取調べようとして勾留請求を出しますと、裁判官は、これは無理に身柄を拘束してまで調べる必要はないということで、これがただちに却下になつております。事件発生後七十幾日かを過ぎまして、その間百名に近い者を取調べているのに、その上身柄を拘束し勾留してまで調べる必要はないというのが裁判官の決定でありました。それによつて釈放されておるのであります。ところが、これを不服としてさらに準抗告を申出で、あくまでも身柄を勾留しようとしている。こういう悪どい方法で準抗告を申出たのでありますけれども、これに対してもその必要はないということで却下になつております。こういう血迷つた、人権を無視した、あくまで組合幹部を苦しめてやれ、こらしてやれ、ただそれだけの感情的な悪どい態度を繰り返したのであります。私はここで、同一の事柄でしかも同一の容疑内容なのでありますから、警視庁としては一度勾留請求が却下され、あるいは準抗告が棄却となつたならば、この決定書にもありますように、そういう方法でなくても任意取調べによつて事件の解明はできるではないかという、その裁判官の指示に従つて冷静に反省し、捜査の方法を変更するのが民主的な警察のあり方だと考えますけれども、その点について警視総監はどう考えるか、お尋ねをしたい。公正な裁判官が勾留の必要ないと判断したのでありますから、先ほど金子議員が言われましたようにこれに従うのが法治国の捜査官のとるべき態度だと考えますので、この点について明快に御答弁を願いたいと思います。
ところが、このように全逓について勾留請求をして却下され、準抗告をやつても棄却になるということがあつたにもかかわらず、その後都教組に対しても同じようないやがらせの任意調査あるいは家宅捜査を行い、それでもあきたらず今日まで二十一名を逮捕いたしました。しかしこれに対しても全逓のときと同様に勾留請求は却下され、準抗告は棄却となつたのでありますが、それでもまだ次々と逮捕しようとしているのであります。これこそ捜査の行過ぎであり、また教育という尊い環境を無視した暴力的人権無視のいやがらせであり、岸政府の都教組、全逓に対する組織分裂を意図した悪らつな弾圧であり、警視庁はその手先となつている歴然たる証拠がここに現われていると考えるものでありますけれども、警視総監の見解心境を率直にお伺いいたしたいと思います。またこういうことが繰返されているのでありますけれども、これ以上今後とも、勾留請求却下あるいは準抗告棄却ということが行われても同じような捜査方法でいく気かどうか、これも先ほどの質問に関連してお答えを願いたいと思います。
次に教育長に対して簡単にお尋ねをしたいと思います。教育長は教育の神聖な環境を守り自由な立場を守るという義務がございます。しかるに今回の事件では、神聖な環境は警官の泥靴に蹂躙され、授業は警官の強引な授業中の任意調査、授業中の逮捕などで大きな障害を来たし、自由はまつたく葎われてしまいました。あまつさえ非常識な捜査方法に教育者としての威信を傷つけられ、そのショックから品川旗の台小学校の倉竹先生は家出をいたしまして、今もつて行方がわからないという憂慮すべき事態が発生いたしました。教育行政を司る教育長として、こうした情勢の中でいかにして教育の自由を守り、神聖な教育環境を維持すべきか、教育長は真剣に考えたことがおそらくないだろうと思うのでありますけれど、その点について多少は考えたことがあるかどうか、またこれからはこういう問題に対してどういう処置をとり、今までどういう処置をとつてきたか。いわゆる大学におきましては大学の自由というものが守られております。警察官が教室へ勝手に入ることはできない。こういうような自由というものが教授あるいは学生によつて守られておりますけれども、中学校、小学校においてはそういう自由が守られておらない。こういう点についていかなる考えであり、いかなる処置をする意思があるか、お尋ねをいたしたいと思います。答弁にあたりましては、教育長は、官憲の圧力に属することなく教育の自由と神聖な環境を守る立場から、また毅然たる態度で、わが子にひとしい教職員に対して愛情のある態度をもつて御答弁あらんことを切に期待をいたしまして、第一回の質問を終ります。(拍手)
〔警視総監 川合壽人君登壇〕
◯警視総監(川合壽人君) 私どもの執行務は、法規の範囲内において許された労働行為その他のことにつきましては全然無干渉の態度をとるわけでありますが、今回の全逓の行動、都教組の行動はまさに合法的な行為であるのに、警察はこれに不法な干渉をいたしたというふうなことであるが、これは警視庁がきめたのであるか、どこからその指示が参つたのであるかということが第一の御疑問のように承わりました。現在の警察の建前は、御案内の通り、東京都におきますところの警察の具体的な執行務は、東京都公安委員会の管理のもとに警視庁が断定をいたしまして執行するわけでごさいまして、今回の二つの事件につきましても、只今申し上げましたコースに従つてきめたわけでごぎいます。しかし全国にもいろいろな慣例がございますし、また裁判所のいわゆる法廷維持の技術の関係もありますので、このような大事なことをやりますときにおきましては、時日のゆとりがあります場合におきましては警察庁、それから所轄の検察庁とも連携をとることを常といたしております。
第二番目に、都教組の家宅捜査などについて非常に不適当ではないか、なかんずく小学校の生徒などがまだ在校しておつて、その影響がきわめて悪いように思うがという御指摘でございます。これは御案内の通り、刑事訴訟法第百十四条によりますれば、「公務所内で差押状または捜索状を執行するときは、その長またはこれに代るべき者に通知してその処分に立さ会わせなければならない。」という規定がございますので、私どもはこの時刻をきめます場合において、実は非常に苦心をいたしております。小学校、中学校におきましては、土曜日の午後一時から一時半の間を選んだのでありますが、御指摘の学校の場合は大体において校長さんや教頭はこの時刻にはまだ在校される、学校の子供はおおむねもう引揚げたあとであろうということでやつたのでありますが、掃除当番その他の者が私どもの行動をすぐにかぎつけまして、非常に蝟集して参つたのであります。それから悪いことに新聞社の方々で潜行しておる人がありまして、この新聞社の報道班や写真班の人に対しましては、現場でもつて、どうか生徒への影響もあるのでひとつ小使室その他に身をひそめてもらいたい、というふうなことを連絡したこともあるのであります。しかし将来はこの時刻、方法につきましては、とくとお示しのこともありますので、十分に検討いたしたいと考えております。
それから勾留請求その他の法律のプロセスがきわめて警察その他に不利であつて、もつと反省しなければいかんじやないかという御指摘であります。この勾留請求それから準抗告に対する申立の却下、これは現在におきましては検察庁と裁判所との間に見解の相違がありまして、このようなことになつておるのであります。決して郵便法七十九条なりあるいは地方公務員法三十七条の違反そのものについてではありませんで、裁判所においてはもうすでに事案が起てから相当な日にちがたっているじやないか、それから任意の捜査その他の方法でもつて検察陣営にも資料はかなりあるではないか、今さら何がゆえに七十二時間以上をとめおく必要があろうかという御意見なのであります。ところが検察庁の方におきましては、謀議の関係を断定する上において、どうしても捜査取調べの技術上いま少しく日にちを貸していただかなければ、七十二時間でもつて黙秘権を行使されたあかつきには、今まで手持ちの資料だけでは法廷維持ができかねるということで、現在は御承知の通り特別抗告をいたしておるわけであります。この最高裁判所の判定がいかが出るかわかりませんが、私どもとしましては若干それは反省しなければなりませんけれども、山川議員のおつしやつたように、七十九条そのもの、地方公務員法そのものについての意見については、逮捕状をお出しになつておる振合いから見ましてもこれは相当容疑な点があるとお考えでありまして、ただ資料証拠の収集その他についての見解において、両官庁の御意見が違つておるということなのでございます。
それからもちろん私どもとしましては、御指摘がありましたように、このような事案は、ことに都教組の場合等においては、いろいろな関係からして任意取調べを主体といたしたいと思います。しかし実際におきましてはなかなかその目的が達せられません。従いまして山川議員も御承知かと思いますが、決してむげに手錠を使いましたり、あるいは生徒の目前、家族の目前でもつて非常にあこぎなことで引致をするということを避けております。それから言動その他につきましても、あるいは刑事などの中に教養至らない者があろうかと存じますが、この点は十分に戒慎をしたい、かように考えております。
私どもの今回やりましたことは、事柄は非常に重大でありまして、社会に及ぼす影響も大きいと考えておりますが、法秩序を維持しなければならぬという執行務を負わされております私どもとしましては、先般の三月二十四日の職場大会、それから四月二十三日の全校休校の措置は、どうしてもこれを看過するわけにはいかないので、この挙措に出た次第でございます。
〔教育長 本島寛君登壇〕
◯教育長(本島 寛君) 学校がよりよい教育環境のもとに常に置かれるというために、私どもとしてはそのための関心は常々深く持つておりまして、これを怠るような気持はいささかもございません。今回の場合におきまして、教職員に対する地公法違反の疑いをもつての捜査活動が行われるということからいたしまして、そのことが教育への支障を及ぼしてはならない、できるだけ教育上の支障を避けるためにそれらの捜査活動がなされることが望ましいという点は、当然私どもとしても考えているところでありまして、この点については十分警視庁当局にも連絡をいたしてありますが、只今総監からもお答えがありましたように、教育への支障を及ぼさないようにということについて再々の注意をして、その仕事を執行するということを述べられておるわけであります。私どももそれを期待しておりますし、今後ともそうしていただきたいことを望んでいるわけでございす。現場におきまして現実にいろいろな問題が起りましたときには、またその問題自体をつかまえて私どもとしても善処いたしたいと考えているわけであります。
なお、これらに対してどのような措置をとつたか、教育環境をよりよく保持するためにまつ先にこういう問題について考えていたことがあるかというようなお話でありましたが、私はまつ先に考えたとはつきり申し上げます。大体事後になつてこういう不祥な問題を教育の現場に起させたくないために、十分なる注意も事前に数回にわたつてしましたし、警告も発し、さらに具体的にこのような況動は望ましくないという注意を喚起いたしておりますし、あの前にこういう事態を回避する措置をとつたことは御承知の通りであります。私どもとしましては全力をあげてああいう問題を起さないように考えたのでありますが、残念ながらああいう情勢下において起つたのであります。この自後の措置といたしましても、いま申しましたように、教育環境をできるだけいいものに保持したいということについては、常々変るところがございません。いかなる問題とにかかわらず、今後そういう態度で臨んでいくことは当然でありますし、私どももその点については強くやつていきたい。ただしかしながら、教職員なるがゆえに公然と法律違反をしてよろしいということを私はカバーしようとする気持はございません。ただすべきは当然ただしていかなければならない。ただ、そういうことをやるために教育の場が不当にいろいろそこなわれてはならないということを心配して申しておる次第でございます。
教職員に対する愛情云々という点についても、私は何人にも劣つておるとは考えておりません。今後とも、従来この問題についてやつて参りましたような基本的な考え方をもつて、自後の措置に万全を期していきたいと考えている次第であります。
〔三十一番 山川國藏君登壇〕
◯三十一番(山川国蔵君) 警視総監の答弁は、あらゆる点において非常に不満であり不足でありますので、数点について具体的な例をあげて再質問を申し上げたいと思うのであります。
まず第一に、数育に対する影響というものを十分に考え、特に小さい児童に対する影響を考えて、授業中を避けたということでありますけれども、先ほども例をあげましたように、青山中学の和田明先生に対しては、午前十時三十五分、授業中であります。この授業中に逮捕をした。しかも逮捕のときのいろいろな手続について、これもできるだけ影響のないように、そういう環境を考えてやれという指示を与えたということでありますけれども、この場合手を取つて一緒に出ていこうとするのを、先生は、こういう状態で曳かれていくことは困る、子供に対する影響が非常に大きいから、せめて校庭だけは離れて行つたらどうかということを強硬に申し入れまして、やつと納得したという事実があるのであります。従つてそういうような指示というものは非常に徹底をしておらなかつた。そういう事態があつたということについて率直に遣憾の意を表すべきではないか、かように考えますので、この点についてその意思の表明を要求いたします。
それから、逮捕し、勾留の請求をして、これが却下され、準抗告を行なつてもこれが棄却される。この問題については現在裁判所と検察庁の問に見解の相違があつてこういうことが起つているのだ、こういうことを言つております。これは警視総監として、特に法律を守らなければならない警視総監として、はなはだ遺憾な言葉であります。これは明らかに裁判官が神聖なる協議の結果、棄却するのが妥当であるということで準抗告を棄却しているんじやないですか。こういうものを、検察庁と裁判所の見解の相違であるというようなあいまいな観点に立つて、これに従おうとする意思がない。こういうことが大きな問題であります。従つてこれは明らかに裁判所が権威をもつて、行なつた準抗告の棄却であるという点を十分に考慮して、今後この問題に対処すべきではなかろうかと考えますので、再度この問題についての答弁をお願いしたいと思います。
さらに政府との連絡について非常にあいまいな答弁をしておられた。いわゆる外交辞令としての答弁としては、これは警視庁独自の立場、東京都民の状態というものを考慮の中においてやつているということでありますけれども、その最後に言われましたところの、いろいろ検察庁その他との連絡という点に、私は大きな疑いを持たなければならない。それは、捜査の時期、逮捕の時期、手段、あるいは労働組合に対して現実に不当な干渉が行われている。たとえば中央郵便局の事件の場合に、全逓の労働組合の支部としては、執行部の改選を行なつた。これは組合が組合独自の見解によつて改選を行なつたのです。ところがこれに対して郵政当局は、今度新しくできた執行部については認めないというような、不当な干渉を行なつた。ところがこれと同じようなことを警察官がやつている。取調べに来、あるいは任意出頭で出て来た人を取調べる場合において、不必要なこの問題を取上げて、中央郵便局における前の役員は非常に悪い役員なんだ、今度出てきた役員の方がいいのだというようなことをいつておるが、そういうようなことが本問題に対してどういう立場から必要なものであるか。これは明らかに労働組合の組織に対する不当な警察官の干渉であるといわなければなりません。これは警察官の非常識によるものであるか、それともこれが一つの指導によつて行われているのかという点については、今までのあらゆる争議の事実の中から見るとき、これは明らかに岸政府の一貫した労働組合に対する弾圧分裂の一つの方針として打出されているものである。つまり背後に強い糸を引く者がある。その結果このような不当干渉というものが下部において行われているという事実を私はあなたにお知らせして、今後の厳正な態度をお願いしたいと思います。
さらにまた、家宅捜索におきましても不必要なものを非常に持つていつている。金銭の出納帳、住所録、個人の私信、あるいは手さげ金庫までも持つていつている。今度の中央郵便局に起つた事件に対してなぜそういうものが必要なのか。あるいは都の教職員に対しましても同様に、十割休暇をやつたというような正当な行為に対して、そういう不必要なものまで持つていく必要がどこにあるか。あるいは警視総監は自分では公正な態度でやつていると思つているかもしれないけれども、過去においてはこういうような不当な事態が幾多起つているという事実をたくさん申し上げて、この点についての見解をさらに表明していただきたいことを要求いたします。
さらに教育長にお尋ねしたいのは、教育長はいわゆる愛情を持つて教育の自由と神聖な環境を守るためにいろいろ処置して来られたと、非常に名論をここで吐かれましたが、その最後において、法律違反をしているということを言つている。法律違反という字句の解釈はどうあろうとも、今度のこの事件が刑事事件として取上げられているその不法性というものについては、これは裁判所が認めております。あるいは法律というものを地公法に限定するならば多少の違反もあるかもしれないけれども、しかしそのことをとらえて教育者に対して刑事事件として取上げ、これをこらしめようとしている。このことに対して教育長が認めているということ自体が、これが教育長の錯覚であり認識不足であります。この点について、法律違反は行なつていないという確信のもとに、特に刑事事件として取上げられることは、教育者の立場、教育行政の立場からまずいのだという確信を持つて、その点については特に警視庁あるいは検察庁に対して抗議するのが、教育長としての正しい態度、勇気のある態度ではないかと考えますので、その点について見解を表明していただきたいと思います。
〔警視総監 川合壽人君登壇〕
◯警視総監(川合壽人君) 青山中学の和田明氏に対する逮捕の時刻、方法がきわめて不穏当であつたというお叱りで、これは私具体的に報告を受けておりませんが、特にこの時刻にこの方法でやらざるを得ない捜査上の必要 かつたとすれば、私不穏当だと思いますので、ただちに調査をいたしたいと思います。
それから準抗告につきましての検察庁と裁判所との現在は見解の相違でありますが、法組織のもとにおきましてはもとより最後の決定は裁判所系統がなさるわけでありまして、ただ検察庁としましてはその点についてどうしてもうべないかねるので、法に基いたいろいろな抗告の手続をしていいるということを申し上げたわけでございます。もちろんこれは最終的には裁判所の系統でもつて断ぜられる問題なので、それについて不服を申すというような気はさらさらありません。
警察庁と検察庁との連絡について、どうもおかしい点があるということでありますが、これらにつきましては再三申し上げます通り、これは警視庁の責任において公安委員会の管理下に行うことでありますが、事例が非常に複雑で、他府県にもいろいろ同様の事柄があり、なお法規関係も非常にむずかしいので、たとえば全逓の場合におきましては郵政監察局、それから都教組の場合におきましては都の御意見も十分に参酌をいたすわけなのであります。
全逓の新執行部についての軽はずみな意見を申した者があるよしでありますが、これはどういう意図であつたか、もしも軽卒に申したとしますれば、これは誤解を招く点がありますので、注意をいたしたいと思います。
それから直接関係のないものの押収をやる場合もありますが、これは持ち帰りましたあとで至急に点検をいだしまし、直接事案に関係のないものはただちに還付をするように、私本日も捜査、公安第二課長に申し聞けた点であります。
〔教育長 本島寛君登壇〕
◯教育長(本島 寛君) 今度の問題につきましては、御承知のように、もし組合が事前に言つておりますように一斉休暇をするというようなことになりますと、これは地公法三十七条違反の疑いが非常に濃いということを事前に感じましたので、どうかそういうことをしてくれるなというようなことから、私としては最後にそういう条文などを引用いたしましての注意勧告を事前にいたしたのでありますが、遣憾ながらあのような事態になつたわけであります。従つてその事件が起つてしまつた後におきましても、何をやつても教育長はカバーするのだというような、愛情と申しましても溺愛的な愛情ではないというつもりで申し上げたわけであります。その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
〔議長退席、副議長着席〕
◯副議長(建部 順君) 百十八番 秋山定吉君。
〔百十八番 秋山定吉君登壇〕
◯百十八番(秋山定吉君) 私はこれから関係局長にお尋ねを申し上げたいと考えておるのでございます。ということは、都有財産の管理並びにその処置についての問題をお尋ねいたしたいのであります。
昭和二十六年九月に私が本議場で御質問申し上げた四点の問題、ということは、東京都の畢田区平川橋四の五所在で、鉄筋コンクリート二階延一棟、延坪百十九坪八台一勺、これは元の押上託児所。二つには、東京都墨田区小梅一丁目六番地所在鉄筋コンクリート三階建一棟、延坪二百六十坪四合、これは元の向島宿泊所でごさいます。三番目には東京都墨田区平川橋三ノ二所在鉄筋コンクリート二階建一棟延百七十八坪二合、旧本所授産場、四番目が東京都墨田区業平橋一丁目二番地所在鉄筋コンクリート二階建一棟延四十八坪九合七勺、これはもとの職業紹介所でございました。
右の都所有土地の建物の件でありますが、御承知の通り議会で問題となりまするや、これを調査するために本議会において都有財産管理実態調査委員会というものが設置されたのでございます。その後昭和二十七年四月二十八日には証言調査特別委員会というものがこれまた設置をされたのでございます。当時議員であられた糟谷磯平君の偽証問題が起きたのでありますが、当時の自民党諸君の温情あるとりはからいで一応の処置を見たわけでありますけれども、その後都有財産に関してはいくつかの課を設けまして不明、不審なもののないようにということから、職員を鞭撻して、しかもその職員の方々がかなり努力しておられますことは私もよく存じているところでございます。
ところで、これからが私のお伺いしたい点でございますが、昭和二十六年九月に問題が提出されまして以来、満六年数ヵ月かかつて、ようやく昨年の十一月三十日にその解決を見たのでございます。しかもその解決の仕方というものが、当時の委員会で糟谷君を呼び出していろいろとお尋ねした結果、昭和二十七年十二月十七日に特別調査委員会での調査の途上において、糟谷氏から委員会宛陳謝の意を表し、都有財産管理実態調査委員会で対象となつた都有地並びに建物を返還し、損害を補償するというような意思表示があつたと聞いておりますが、何ゆえにその後満六年数ヵ月も裁判所で争わなければならなかつたかということを私はお尋ねいたしたいのでございます。六年数ヵ月もかかつて、しかも解決したその結果を見ますると、私は理事者は自己の所有でないからこんなこともできるのだろう、と都民から思われるような節が多分にあるのでございます。かつて私がこの議場から知事に御質問申し上げたときは、知事は一切の私心を捨てて、戦後のこの東京都の都有財産のあり方については努力をすると言われておつた、にもかかわらず、今回この解決の跡を見ますると、これからいろいろ申し上げたいと思いますが、実際都民から疑われるような場面が多々あるのでございます。ということは昭和二十年十二月から只今まで申し上げた都有の土地建物を無断で使用して、しかもこれを他に転貸し、その結果は裁判所でこれを確認した。しかもその賃貸料が一ヵ月に十万五千七百三十一円、一力年に見積るならば百二十六万八千七百七十二円と相なります。しかもこれが戦後昭和二十年から三十二年十一月三十日まで、まる十二年というものこれを使用しておつた。あまつさえこの居住者から権利金まで取つておる。その相手方に対して都は今回の裁判の結果どのような処置をしたか。三十二年十一月まで土地建物の使用料として四百十六万五千五百六十七円を請求したまではいい。これは請求するのが当然だ。ところがそのあとが悪い。ということは、これだけのものを請求して、請求しただけ向うから受取つたかというと、そうじやない。相手方に対して内部の造作費だとか、あるいは焼土をかたしたとかいつて、驚くなかれその費用として三百九十万五千六百二円というものを支払つている。そうすると東京都へ納金したものはわずかに二十五万九百六十五円である。相手方は一千万円も取つている。しかもこの議会でかつて見られないところの幾多の委員会をこしらえて研究した結果というものはこういうことになつてしまつた。こういう点が私は実に不可解だと思う。しかもそれだけのもの、三百九十一万円というものは何を対象として支払つたか。行つてごらんになればわかりますけれども、かつての今申し上げたような授産場であり、託児所である。鉄筋コンクリートです。何もかたしたものはない。焼土と化した鉄筋の建物の中へ住まうところのない多くの人を連れてきてはぶつ込んで、その人たちが造作した。従つて造作費など払うことはないのです。また焼け土をかたす何ものもない。それに対して三百何万円払つている、この計数は一体どこから割出したものかということをお尋ねしたい。
またおそらく御答弁の中に、こういうものが補償の対象になるのだというお話があろうと思つて申し上げるのですが、あの授産場の中に空地がある。そこへもつていつて無断建築をした。これは一棟四戸建です。バラックで、今行つて見ると鉄錆で雨が漏つている。その無断建築したものに対して、何がゆえにこれに補償金を払わなければならないか。私どもが一たび都有地に無断建築をしたといたしますればどういうことになるか、直ちに建築局から来て工事の中止命令なり、あるいは撤去をくらわすにちがいない。それをだまつて五年、八年使わして、おまけに東京都がこれを買上げなければならぬというようなことは、はなはだしい矛盾じやないかと思う。こういう点をはつきり御答弁を承わりたいと思う。しかもです。私どもが最近調べてみますると、都の調べによれば七十戸七十八世帯、これは表札が一つで中へ入つてみると五世帯も入つている。そついう七十八世帯というコブつきをそのまま引受けて、都は将来これをどうするつもりなのか。しかも只今申し上げた通り昨年十一月三十日に解決して、その後はすべてこれが東京都の管理の下におかれている。しかるにそれが半年経つても都から家賃を取りに来ない、どうしましようかといつて相談に来ている。こんなばかげた話はないと思う。せつかく裁判をして、争いに争つた結果元へ戻つてきた。それが今日、半年経つてこの請求を相手方にしようとしない。これをどういうふうに処理するつもりなのか。七十八世帯というコブつきまで引受けて平然としている、このような考え方は是正しなければならんと思います。理事者のお考えがどのような点にあるのか、先ほど申した三百万円の補償金はどういうところから割出してこれをお払いになつたか、しかも今後において、今まで入つている七十八世帯の人たちをどういうふうに処置していかれるのか、行つてごらんになればわかりますが、ひどい建物です。都知事はハエや蚊をなくするという運動をやつて、たくさんの費用を予算に見積つておる。ところがここへ行つてみるとまつ暗で、私も二度、三度行つておりますが、電気がなければ入れないような、映画で見る魔窟そつくりです。そういう所に住まわしている。これは個人だから家賃を取つたようなものの、東京都なら家賃は取りません。何とか直さなければ、実にひどいものです。御不浄といい何といい、そういうものを七十四世帯も東京都が背負いこんで、これをどういうようにするつもりか、東京都は慈善団体じやないので、都民の税金をもつてすべてのものを賄つておると私は考えておりますが、都の理事者はこれをどういうふうに考えているか、明快なる御答弁を願いたいと思います。
第二の問題は浴場の問題です。これは経済局長にお尋ねいたすのですが、昨年十一月本議場でこれが問題になつた。浴場組合から値上げの問題が出て、議会でいろいろ審議した結果、一応これはやむを得ないじやないか、しかしながらこれについては券を売らなければならないということで私ども了承いたしております。経済局長はそういうようなことを言つたことがあるのかないのか、あつたとするならば、これももう半年にもなるにかかわらず、東京都内で券を売つているところが一軒でもありますか。私は少くともこの議場で言明された以上、都民としてはやはり東京都の理事者が言われたのだからという信頼感を持つていると思う。それにもかかわらず、言うだけは言つてあとはどうなろうとかまわない、こういう不親切な考え方であつてはならぬと思う。しかもそれについては議会側の責任ある立場の人も局長と話し合つて、三億の特別融資をしてやろうじやないかと言われた。その三億の融資についてはどういうことになつているか、その点もお聞かせを願いたい。
以上簡単でありますが、今申しました諸点について理事者の考え方を率直に聞かせていただきたい。今その住宅に入つている人たちも、なぜ都が家賃を取りに来ないのか、あまりたまつてから一ぺんに請求に来られても払えませんからね、と言つている。こういう点も考えて、一日も早く円満にこれを処理していただきたいということを特に理事者にお願いいたし御答弁によつては再質問をいたしたいと思います。(拍手)
〔財務局長 太田和男君登壇〕
◯財務局長(太田和男君) お答え申し上げます。長らく御迷惑をおかけいたしておりました言間貸家組合と都民住宅会に対しまする建物及び土地明渡しの問題でございますが、今御指摘のように、長い間この解決のために努力をいたしたのでございますが、結局当事者同士の話し合いではなかなか解決ができませんので、昭和二十八年九月に地方裁判所にこの明渡しの訴訟を提起したわけでございます。その後いろいろ経緯がございましたが、結局裁判所で申しますことは、この明渡しを要求するといたしましても、御承知のように入つておられる方々は、当然善意で戦災後の住宅にお困りの際お入りになつたものでございますから、これを都が明渡しを要求するとしますれば、当然他にこの方々を収容する住宅を考えなければ無理じやないかというような御判断から、これを和解調停の方に実はまわされたのでございます。そこでこの和解調停が御指摘のように三十二年十一月に成立をいたしました。その内容は御承知のようでございますから省略させていただきますが、第二のお尋ねといたしまして、和解の内容について多少不審がある。それは被告の方から納入させました四百何十万円に対して、約三百九十万円ほどの損害金を出しているじやないかというお尋ねでございました。これの計算の基礎でございますが、今申しましたように事件を裁判所の調停に委ねました関係上、この相互の費用につきましては裁判所に鑑定人を依頼いたしまして、その評価を、求めたわけでございますが、お二人の鑑定の方にお願いして出ました評価がAの方とBの方と差がございまして、それで都の管財部の方でもこれについて独自の観点から評価をいたしたわけでございます。その評価と申しますのは御案内のようにこの人たち、組合並びに住宅会が独自で戦災の残土を片づけ、あるいは建物を補修し、一応の住宅として貸与えるような条件に要した費用を、今申しました裁判所の鑑定人の評価と都の管財部の評価とを勘案いたしまして、一番都の方に有利な値段に出した数字が三百九十一万五千円という経費になりました。これを差引きました二十五万九百余円を納入させて、この事件が一応落着したという経緯でございます。これが調停の通り昨年十二月十日にこの差額が都に納入されました。十二月十日という月は調停できめられた日でごさいますので、一応この決定通りの措置が済みまして、建物四棟がすべて都の管理に移されたということでございます。
第三点といたしましては、その後の管理が不十分ではないか、なお将来どういうようにこれを処理するつもりであるかというお尋ねでございますが、その後の経緯をかいつまんで申しますれば、今申したように十二月十日にすべての条件が成就いたしましたので、十二月十九日に一応現在お住まいになつている方々に対しまして管財部の方から戸別に、この事件が落着をいたしまして今後は都の建物として都が管理して参るということを御通知申し上げております。それから実態がわかりませんので、この各建物に管財部の職員が出向きまして個々にお話をし、現在使われております建物の部屋の様子とか、あるいはお借りになつておつた従来の条件等を個々に調査いたしまして、これが完了いたしましたのが五月十九日でごさいます。従いまして七十軒内外のものに約五ヵ月を要したわけで、その間調査に時日がかかりすぎるじやないかというお叱りでございますれば、これは多少その嫌いがございますことは率直に申し訳をいたすより仕方がないと思いますが、ただ何しろ御承知のような建物でございますので、いろいろ係りの者も苦心をしてようやく全部の実態を詳細に把握したというのが現状でございます。そこで今後これをどういうように処置するかという最後の問題でございますが、御指摘のように非常に粗末な、ほとんど戦災当時のままのしような建物で、これを都営住宅として今後維持していく上には相当な経費を必要とすることは御想像の通りでございます。ただこれを都営住宅として直していくことがいいのか、あるいは民生局でやつております庶民住宅としてこれを管理して参るのがよろしいのか、あるいは現在そういうような事例はほとんどごさいませんが、いわゆる都営住宅ではなしに、都の雑種財産である建物を単に当分の間現在住まわれている方に住宅として提供しておくのがよろしいか、さらには最後の方法として、お住まいになつている方々と話し合つた上、その方々に適当な条件でこれを払下げて住宅としてお使い願うのがよろしいかという三点ないし四点の考え方が出るかと思いますが、いずれにしましても、今住まつておられる方々と十分話し合いをいたしまして、その資力なりお考え等を聞いた上でこれは措置しなければならんと思つております。もう少し時日をおかし願いまして、できるだけ速かに話し合いの上で善処して、御安心のいくような処置を講じたいと思います。よろしく御了承を賜わりたいと存じます。
〔経済局長 江藤彦武君登壇〕
◯経済局長(江藤彦武君) 第一点の浴場の回数券の問題につきまして御答弁申し上げます。御承知のように浴場の新料金が十一月一日に告示になりまして以来、回数券発行のことにつきましては十一月の四日に当時の浴場組合の理事長に懇談をいたしまして、理事長におきましては当時の組合の情勢からしばらく待つていただきたい、こういうお話がございまして、さらに同年の十二月六日にも浴場組合の他の幹部と懇談いたしました。なおこれは要するに浴場を監督しております保健所の御協力を願わなければなりませんので、十二月十二日保健所長会議においても、これにつきましての協力方をお願いしたような次第でございます。ところが、たまたま本年二月二十日に浴場組合の理事長以下幹部の更迭がございまして、三月七日に新理事が見えましたので、新理事長に対しまして回数券発行方の御依頼をいたしております。また四月になりましても理事長友び幹部に対してお願いをいたし、ごく最近は六月六日に、総務部長から理事長以下理事の方々にお願いをしておるような次第でございます。回数券の発行状況は二月三日現在十三浴場において発行しております。
第二の問題でございますが、年末におきまする修理資金及び年度初めにおきまする設備資金の概要でございますが、修理資金におきましては七十二件、千三百七十九万円の申込みがございまして、設備資金につきましては三十三件、四千六百七十万円の申込みがございます。以上でございます。
〔百十八番 秋山定吉君登壇〕
◯百十八番(秋山定吉君) 太田財務局長の御答弁で大体了承いたしたのですが、どうもおかしいと思うことは、これは私、本来ならばこの裁判に携わつた弁護士に出てもらいたいと思う。財務局長がこれをお答えになるのは少し筋違いじやないかと思うのです。これは総務の訴訟係三谷課長が主体でやつておられたので、この人が来れば話がよくわかる。何も知らない財務局長の太田さんをここへ引つぱり出して説明さすことは非常に酷じやないかと考えております。そういう思いやりは別として、これは将来のため、都の責任者に聞いておいていただきたい。これは先ほども申しましたようにおよそ七十軒、それは表札がちやんと出ております。しかしながら中へ入ると名札が五つも並んでおる。しかもそれが平川橋四丁目五番地にある第一製薬株式会社、これは営利会社です。いくらでも家をこしらえる金は持つている。それを前の託児所、これは一万五千二十何円かで借りている。鉄筋コンクリートで庭が相当ある。まだ家を建てようと思えば建てられる。そこへ名札を五つも立てられて、名義人は第一製薬株式会社である。その人たちの処理を今度どういうようにするのか、これが自分のものなら、いくら役人だつて大騒ぎだろうと思う 自分のものでないから行つても見ない。何をしようともしない、表だけ見気いるかりそうようなことになる。
もう一ヵ所ある。もう一ヵ所はあの業平橋のきわにある社団法人都民住宅会、代表者が岡田さん、ここにも中へ入つてみると、やはり五つばかりずらつと並んでいる。これを退かすのは大変ですよ。こういうような副産物を持つて、あなた方がこれを善処するというのは、実にその御苦労に対しては御同情申し上げるけれども、こういうことにならないうちに早く処理することを考えないかということです。わずか七十軒くらいのものに五ヵ月も六ヵ月もかかつている。一ヵ月に十軒くらいしかまわつていない勘定です。職員が怠けているわけでもないでしようが、そういうあり方でなく、何とかもつと手取り早くやつてもらいたい。今のお話のうちに、入つている人に分けてやるという、分けるといつてもどういう分け方があるか、何もありやしません。鉄筋コンクリートのボロボロの建物です。誰が考えたつて千円くらいの家賃を払つている人がどうしてこれを買えますか。そういうとぼけたことを言つていないで、ほんとうに芯を入れてやるようにお考えを願いたい。
浴場の回数券の問題に対して、経済局長は善処してやつておると言われるが、私は湯屋組合の理事長が改選になろうがなるまいが、そんなことはかまわない。早く券を発行して、都民に安井都知事がこういうふうに言つたからこうしますと、そうなることを都民は期待しているのですから、ぜひこれは善処していただきたいと思います。
◯副議長(建部 順君) 五十四番 飯塚愛之助君。
〔五十四番 飯塚愛之助君登壇〕
◯五十四番(飯塚愛之助君) 私は駐留軍労務者の離職の問題につきまして安井知事並びに関係者に質問いたします。時聞がだいぶ過ぎておりますからできるだけ要点だけを申し上げたいと思います。
第一点の問題は、駐留軍労務者が昨年六月から今日までで大体において一万人くらい解雇されている。そのうちでその後就職した者は二五%の二千五百人、残り七千五百人はまだ就職でき得ずして、家族を含む四万人が生活苦に呻吟している状態でありますが、そのうちで実にお気の毒な方は生活苦にたえ得ないで三人の自殺者が出ているということでありまして、そういう悲劇が起つており、いよいよこの問題が社会問題化しているわけであります。
しかるにまた軍の通達によりますと、六月末日までに新しい解雇者が出るということです。これは立川基地の千八十八名、TOSの四百四十名を筆頭にして八ヵ所で二千七十六名の人たちが六月中に首切られるということであります。そこで当然この問題につきましては全駐労東京地方本部の諸君が今月の七日に安井知事に対して要求書を提出しまして、私ども当時立ち会つておりましたが、これは萩原副知事に会つていただきましたけれども、その要求書は解雇撤回、PD切替絶対反対、離職対策等十数項目の問題であります。当時組合代表としてはこれに対する回答は十三日にしてほしいということでありました。そこで萩原副知事としてはできるだけそのときに回答できるように知事に伝えますということであつて、予定通り十三日に佐藤副知事から回答がなされました。それは軍と折衝した結果百七十八名の解雇の撤回であつた。しかしながら組合代表としてはそれに対して非常な不満の意を表したわけです。これはよその例を出して恐縮ですが、当時組合の諸君の言うことでは、神奈川県の内山副知事が組合の言うことをよく聞いて何回も会つてくれた。そしてその意思を聞いて直接軍に対してみずから折衝してくれている。従つて比較的神奈川県では離職問題は好転している。ところが東京都の安井知事はなかなか会つてもくれないし、折衝もしてくれない。おだてるのではありませんけれどもそこでこういうことを言つておつた。安井知事は内山さんとほ貫禄が違う。安井知事か本腰を入れて大東京の知事として駐留軍と折衝してもらえるならば、この問題はかなり好転するのではないか。だから今度はぜひ知事さんに駐留軍の司令官と交渉してもらいたいということを強く希望したわけです。この熱情と言いますか、それに対して佐藤副知事ができるだけ組合の皆様方の御意思を知事に伝えて、できるだけ希望に副うように善処いたしたいと思いますという回答があつたわけです。そういう約束がなされたわけでありますけれども、その後知事さんが折衝して下さつたかどうか、一体この経過はどうなつているかということを質問いたします。
次に第二点の問題でありますが、これはもちろん政府の方針でありますから各府県にできたと思いますけれども、昨年十月に東京都に知事を本部長とする駐留軍離職者対策本部ができ、委員会が設置されたわけであります。当時私ども社会党としては、委員会はいいけれども、条例で議員を含めたものでなければおそらく離職対策の目的は達成されないのではないかと指摘したわけです。そして幹事長を通じて議員が入れるようにしてほしいということを要望したのでありますけれども、当時国の方でも国会議員は入つていないから、このまま了承してもらいたいという話であつた。それは当時としてはやむを得なかつたかもしれません。しかしながら今度は幸いに五月十七日付をもって、駐留軍関係離職者等臨時措置法ができたわけです。この法律に従いますと、今度は各府県に離職対策協議会が設置されることになりまして、この協議会は条例をもつて、これは議員とは書いてありませんが、学識経験者を参加せしめるということになつている。われわれはどれだけの学識があるかわからないが、その中に議員が入れる措置があるわけです。従つて五月十七日の公布でありますから間に合つたかどうか知らぬけれども、特に今月中に二千人も失業するかどうかという重大な段階でありますから、設置条例案を本都議会に出してもらいたかつた。なぜ出さなかつたか、今度いつ出すのだ、出す意思があるかどうかということを質問申し上げます。
第三点でございますが、国の方では離職者に対して規定による退職金のほかに立上り資金を支給している。これはもちろん去年の六月以降の離職者でありますけれども、六月以降の離職者に対しては勤続年数の区分等によつて三千円、六千円、一万円の立上り資金を支給している。雇用主としての東京都もこの程度の立上り資金は自主的に支給してやるべきではないかと考えるのですが、これに対してどうお考えになつておられるか。
次は第四点でありますが、離職対策の一環として、勤務しているうちに基地内で自動車運転手とか、修理工とか熔接工等の職業補導をやつているわけです。これはそのうち失業する運命にあるわけですから、今勤務しているときに夜間とか、そういう時間を割いて勤務をしながら職業補導をやる、非常にいいことですが、問題はその予算で当初予算が九十一万八十六円、今都議会に二百六十八万五百十四円の追算予算が出てわりますが、これは全部国から来ている。都は一銭も出していない。今後さらに離職者が大量に出るということは仕事の性質から決定的です。そういうときに講師の謝礼とか、資材とか、たくさん金がかかると思うが、これだけの金で一体間に合うかどうか。間に合わないのではないか、不足だと私は感じております。従つて国の金だけでやるのではなくて、都としても自主的に離職対策として応分の支出をして、職業補導の万全を期すべきだと考えているわけでありますが、これに対してどういうふうにお考えになつておられるか。
次は第五点、これは問題が非常にたくさんございますが、具体的な雑職対策の根本問題について申し上げます。雑職者の中には自動車運転手がたくさんある。そこで自動車運転手が退職金を出し合つて企業組合を作って自動車を買つて、そして都のゴミや屎尿の運搬をしたいというので、私はその諸君を連れ清掃局に申し出たことがあるところが清掃局の当事社としては、それはいいことだけれども新規は許可しない方針だというのです。しかしながら、人口はふえているし、それから農村では近ごろ化学肥料を使うために、かつての農村汲取というものがだんだん減つているわけです。従つてその反対に運搬というものがふえているのだから、汲取の組合が一つや二つふえてもいい、それに離職対策になるのです。いま東京都のそういう契約というのはボスがほとんど入つているようでありますけれども、これはどういう義理があるか知らんが、ただ新規は要らないのだという紋切型ではなくて、何とか温情をもつてこういうことも考えてやる必要があるのじやないかと思いますが、この点について伺いたい。
次の問題も大体同じ内容ですが、これは自動車の運転手が集まつてハイタクの企業組合を作りたいというのです。これはもちろん認可権者は知事ではなくて陸運局でありますが、陸運局ではやはりこれも公式な議論としては、ハイタクの組合は新規に許可しない方針だということで、そこで壁にぶつかつているわけですね。そういう規定のワクのままでいくのでは離職対策にも何にもならないわけで、そのワクをはずして政治的に配慮しなければ、実際この離職問題は解決しないのです。こういう問題に対しては知事さんでも陸運局に行つて強力に談判して許可してくれと言つてこられるべきだと思うのですが、いかがですか。やはり都の人口はふえるし、自動車もだんだんふえているわけだから、一つや二つのハイタクの企業組合というのはふえてもいいんじやないか、こう考えるわけであります。
次には、やはり同じような趣旨をもつて、警視庁で今度新設した小金井の自動車試験場の隣接地に自動車の練習所を作りたいという問題です。ちようどあそこに開拓農民の土地があつて、開拓農民と折衝したところ快くその上地の入手ができた。もちろんその企業組合にその人たちが入るわけですが。そしてその手続をとつているわけですが、これは今度は建設局の方で若干の障害があるようであります。しかしさつき言つたように、普通のことを普通にやつていたんじや、こういう問題は解決しないのですし、都は一銭の金も要らない、ただ認可してやるだけで百名の人が救われるのだから、ある程度の障害はやはり除去してやつて、ほんとうに離職対策というものを考えてやるべきではないかと考えております。
次はやはりこれも離職対策でありますけれども、離職者の中には相当高齢者がいるわけです。若いのからクビになつているわけですから、残つているのは年寄りで、そういう関係でなかなか就職できないでいる人がたくさんいるわけです。こういう人は必然的に自家企業というようなものを自分で考え出す以外に生活の途がないわけですが、そこで行き詰まる問題は何といつてもわずかな退職金であるということで、仕事が始まらない。また過去の実績というものもないわけですから、なかなか金の調達ができない。それでせつかく自家企業を計画しても資金難で行き詰まつているわけです。しかしせつかくその人たちが仕事を見つけて一生懸命やろうとしているのですから、こういう場合にはやはり都が離職対策として手を打つべきではないか。かつて都は売春婦、浴場等に特別の資金融資を行なつたのだけれども、そういう臨時融資というような措置を講じてやるべきではないかと思うわけですが、この点についてどうお考えになつているかということです。
それからやはり離職対策の問題でありますけれども、東京都は各種多様の事業を行なつている。そこで先ほど申し上げましたように、私が七五%は失業しているというのは、これは労管の調べなんです。実際私は地元で解雇者の様子を聞いてみましたら、もつと余つています。二五%は就職したという話だが、昨日労管で聞いたところではそんなに、就職はしていないということです。そこでたくさんの未就職者、失業者がいるわけなんです。そういう者を多種多様の事業を、東京都はやつていつんですから、こういう事業の中で、それを集団的に使う仕事を それはもちろん都の永久的の職員としては使えませんが、臨時的に集団的の雇用計画を立てうということをやる必要があるんじやないかと思いますが、これらに対してもどういうふうにお考えになつているかお伺いしたい。
その次は税金の問題でありまして、住民税の減免措置の問題でございます。これは三十三年の四月五日に自治庁通達第十二号で、多発する駐留軍の失業者に対して、速やかに税金の減免の措置を講ずるようにという指示が出ております。しかしこれは調べてみると市町村の末端へ行くと徹底していない。そして税を負けたんじや収入が減るからだめだという市町村もある。これは税の減免によつて減収を生じた場合は、これを政府で補填することになつているんですけれども、そのことが市町村には徹底していません。だから市町村ではそういうことを言つているところがありますから、その減免措置について知事の方からよく市町村の方に徹底させてもらいたい。この減収分は政府で補償すると言つている。また実際失業している者から五千円でも六千円でも取るということは大へんなことなんです。せつかく、そういう措置が講ぜられるのに、それを市町村が知らないで、そういう者から税をとるので悶着を起している。これはぜひ急速に、知事さんの方から市町村に対しまして、その指示を徹底するようにお願いいたします。
時間の関係で、非常に早口に申し上げましたけれども、以上の問題について、ひとつ御答弁を願いだいと思います。以上です。(拍手)
〔知事 安井誠一郎君登壇〕
◯知事(安井誠一郎君) ひとつ簡単に申し上げますからお許しを願います。
例のスミス中将には、十三日にその話がありましてすぐ私は電話をしたんです。ところが中将は朝鮮に行つておつて、十七日の晩でなければ帰らないということで、それで帰るまでに司令部と打ち合せて日程をとつておつて、十八日に会いまして、事情をよく話しておきました。そのときのスミス中将の話も、実は佐藤副知事が始終あなたの代理で来て、いろいろ話をされているので、よく承知しているが、せつかく来られたので、重ねて現地の司令官に、それぞれさらに通達して考えさせるようにするというような話で、二つのことを申し上げておいた、それが一つと、いま一つは、いまの雑役のような連中を、民間の雇用に切りかえようとするのはよくない、それはケース・バイ・ケースで個々の場合に合うように考えてくれ、この二つのことをよく言うて、おきました。これはぜひひとつ調整してくれるように申しておきました。
この点については神奈川の知事がどうとか、埼玉の知事がどうとか、よく話が出るんですが、東京においては日米協議会でも、東京都の知事が出ずに、副知事をして委員長に充てている、よその県の知事は、その総会の会議の会長なり委員長なりに出て、平素全体の折衝をやつているが、東京都は最初から佐藤副知事にやつてもろうことになつているので、従つて私は始終佐藤副知事を通していろいろ話をしているので、決して私が会わぬからどうとか会うからどうとかいうことではないのですが、正式に会うてくれという話だつたので、それじや会おうというので、電話をかけて会つて、今のお話のように去年の六月から一万の人間が、二五%か二〇%しか片づいておらぬのに、また二千数百人をやるようだが、これは何とか考えてくれということを話しておきました。
それから例の臨時措置法が出て、これは今度条例を作らなければいかぬと思つておりますが、この議会に出すのを、どういう手続上出してなかつたのか、それはいずれ局長から話があると思いますが、今度やらなければこの次の議会には、ぜひ出して法律と合わせてきちつとしたものでいかなければならんと思います。ほかのいろいろな細かい点は、一応局長から御答弁を申し上げるようにいたします。
〔広報渉外局長 武富巳一郎君登壇〕
◯広報渉外局長(武富巳一郎君) 只今の知事の御答弁に若干つけ加えさせていただきます。
最初の人員整理のお話ですが、只今の御答弁のように、その後の交渉の結果は航空関係で立川の基地では解雇予告が一千百七十五人でございましたが、交渉の結果、労務者の皆様方の熱烈なる要望が通じまして、七百八人と減少いたしました。陸軍の関係では朝霞の基地で二百三十四人の解雇予告がございましたが、ちようど只今のような関係で百四十五人に減少いたしました。その後の関係では目下やはり同様に折衝中でございます。
なお、条例の関係でございますが、この次のなるべく早い機会の議会に提案をいたしたいと思います。実は労働省と、細目につきましていろいろ基準を作つておりますので、折衝中でございます。なるべく早い機会に出したいと思いますので、その節は何分の御指導をお願い申し上げます。
その次に、いろいろ御指摘がございましたが、多岐にわたりまして、関係局長もそれぞれおりますが、特に私が関係しますと思われる点についてのみ御答弁を申し上げまして、他の点についてはまたそれぞれの局長に御答弁をお願いしたいと思つております。特別給付金の関係でございますが、これは本年の五月十七日に交付になりまして、六月十日から支払いを開始しております。政府におきまして退職金につけ加えまして特別の措置として、そういう特別の給付金が出ておりますが、御案内のようにこれは全部国の機関委任による仕事でございますので、これを何か特別に都独自で、それ以外にまた別の何ものかをプラスするということは、非常に影響も大きうございますし、また相当重大な問題でございますので、只今ここで即答はいたしかねますが、慎重に研究させていただきたいというふうに御返事を申し上げるほかはないのでございます。
なお清掃の関係、あるいはハイタクの関係でお話がございましたが、清掃の関係では今後運送はなるべく機械化していく、なるべく人力を省きたいという御趣旨でございますが、この点についてはまだ十分の連絡はついておりません。ハイタクの関係は、陸運局の関係でございまして、従来も副知事以下、非常に御努力をいただいたのでございますが、まだ解決いたしておりません。但し東京都の対策本部の中に陸運局の部長や課長もメンバーとして入つております。そういうような関係で、今後とも御指摘の趣旨に従いまして、一層特段の努力をしていきたいと考えております。
それから府中に自動車学校、この練習所を作りたいという関係でございますが、離職されました人たちが組合を作つて自力で立ら上がるということについては、できるだけの助力をいたしたいと思つておりますが、たまたま御指摘の具体的な土地につきましては、都市計画事業として決定をいたしておりまして、いろいろ問題があるようでございますので、特に詳細にということでございましたならば、建設局長から専門的に御答弁をいただくことにいたしたいと考えます。
なお、自家営業のことにつきましては、まことにけつこうなことでございますが、何かそれについて特別の措置をということでございますが、只今までは、たとえば国民金融公庫だとか、あるいは中小企業金融公庫だとか、あるいは中小企業協同組合等に関係いたしまして、ずいぶんごあつせんを申し上げております。すでに三十二年から三十三年度にかけまして、七百何十万円かであつせんをしておりますが、東京都で独自にそれに何かを考えよという御指摘のようでございますが、その点につきましては只今即答いたしかねますので、対策本部もございますし、またあらためて条例によります対策協議会もできますので、そこで慎重に検討させていただきたいと存ずる次第でございます。
なお、住民税あるいは職業訓諫ということについてもお話がございましたが、その職業訓練につきまして御答弁申し上げます。一つは基地内の訓練で、三十二年度は百六十二万円ほどの予算を流しまして、年間、七種目、延べ千三百五十人でございました。三十三年度当初予算は九十一万円で、やはり七種目、延べ四千五百二十人でございましたが、今回御案内のように追加予算をお願いいたしまして、二百六十八万円で十四種目、延べ三千八百人でございます。というようなことで順次、金額も種目も、また延べ人員も追加をいたしまして、御希望に沿うように努力をいたしております。なお、離職後の訓練ということにつきましては、只今御指摘がございましたが、これは労働局の所管でございますが、序でに私からちよつと御答弁申し上げますと、三十二年度は千四百万円で十三種目、四千二百五十人の延べでございます。三十三年度の当初予算はやはり十三種目、二千百万円で延べ四千二百九十五人、今回追加予算でさらに二千九百万円、十種目、延べ約五千人というようなお願いをいたしまして、御指摘の通りに漸次拡大をいたしまして、離職の皆様方の立ち上がりと申しますか、再就職と申しますか、そういうことに一そうの努力をいたしたいと存じます。
以上、時間がございませんので簡単に御答弁申し上げました。何とぞ御了承を願います。
〔建設局長 藤本勝満露君登壇〕
◯建設局長(藤本勝満露君) 簡単に可否のことだけお答え申し上げます。
武蔵野公園の借地の件でございますが、この土地は昨年の十一月二十五日に都市計画事業の決定をいたしましたその面積は、十五万六千坪に及んでいるわけであります。そしてさつそくその中で六万一千九百余坪を昨年度二億一千余万円をもつて買収をいたしたわけであります。引続き本年におきまして予算の計上をお願いいたしまして、一万坪程度を買おうということでございます。従つてこの練習所のできますことについては都の総合対策の方面から見て、けつこうだとは存じますが、この公園の敷地内にそれを建てるという御希望でございますならば、またそのような御希望とわれわれ伺つておるわけでございますが、その点については数次のいろいろのお話合いもありましたが、遺憾ながらこの場所では御要望に応じかねる、他にもつといい考えはないだろうか、お互い協力し、研究しましようというような段階になつておりますから、御了承を賜りたいと存じます。
〔五十四番 飯塚愛之助君登壇〕
◯五十四番(飯塚愛之助君) 広報渉外局長、立ち上がり資金の問題は、はつきり答弁はなかつたんですが、これはもちろん金の問題だから広報渉外局長が答弁するのはむりだと思う。これは悪いけれども知事さんにひとついずれにしても名義上は知事がやることになるので、国はその親心かち三千円、六千円、一万円と出しているから、その程度の金は都も出していると思うけれども、これに対して金を出してやる意思があるかどうか、もう一回御答弁を願います。
それから今申し上げた中で、きようここで質問応答しても解決されぬ問題がたくさんある。特に離職対策の問題はここでは解決しない。きつき広報渉外局長は条例ができたら対策協議会ができるが、その中の学識経験者の中に議員が入ることになるが、できるだけ早く、議会が開かれたら、これを提案するということでありますが、ただできるだけ早くというのては、いつだかわからない 本会議がなければ出せないから、次の議会には出しますというぐらいの誠意は持つてもらいたい。そのできた対策委員会の中で、離職対策の根本的な問題を討議すれば、ある程度、そこで解決されるのではないかと思うし、また解決しなければならんと思う。ただお座なりの審議はだめだと言つておつては離職対策にならぬ。離職対策なのであるから、政治的な立場で、ある程度の障害は排除して、離職対策として扱つてもらいたい。ただ事務的にやつていたのではだめだ。次の本会議には必ず出す。その中で国民生活の問題を真剣に討議して、できるだけ早く実現していただきたいと思うわけです。
〔知事 安井誠一郎君登壇〕
◯知事(安井誠一郎君) よく、はつきりしなかつたんですが、立ち上がり資金ですか。
〔五十四番(飯塚愛之助君)「立ち上がり資金が三千円、六千円、一万円出ているんです。」と呼ぶ〕
◯知事(安井誠一郎君) その立ち上がり資金を都は別に出してやつてもいいじやないかということでしたか──これは少し研究させて下さい。
◯副議長(建部 順君) 十六番 川村千秋君。
〔十六番 川村千秋君登壇〕
◯十六番(川村千秋君) 第一に、去る六月十日、警視庁機動隊が、浦安漁民の陳情団に対して流血の惨事を引き起した事件について質問したいと思います。
本州製紙江戸川工場より放出した廃液に伴うところの被害についての諸問題につきましては、あらためてその経過を申し上げるまでもなく、周知の事実であろうと思います。私は、この問題について東京都政が独占資本との関係において、その利益を守るために常に奉仕してきた典型的な例として、これを取り上げたいと思うのであります。
去る六月十三日の参議院決算委員会においても、すでに明らかにされておりますが、同工場が新設備をするに当つて、昨年建築基準法による確認申請と、工場公害防止条例による認可申請が提出され、建築局はこれを許可し、工場は本年四月から新設備による操業を開始したということでありますが、この許可に対して東京都はその責任を正しく行使しなかつたばかりか、会社の言うがままになって、その許可をしてしまつたという事実を、私はまず第一に指摘しなければならないのであります。
工場公害防止条例はその一条、二条に明らかに示されているように、工場の設備または作業によつて発生するところの騒音、廃液、煤煙等によつて工場外の人または物に与える障害を防止するために設けられたものであります。従つて、工場から認可申請が出た場合は、この条例の規制するところのものが十分に果されておるかどうかを確認することが必要であります。ところが、参議院決算委員会において参考人として説明された建築局指導部長の言によると、工場の方で調査をしてもらつて、その結果、工場の方から害が無かろうということを申してきたからそれを信用したと言つております。
さらに重要なことは、多少不安があつたので、沈澱池、あるいは曝気をしてはどうかということを工場長に話したが、万一害が出た場合には工場の責任において全部解決をしますから御安心下さいという申出があつたので、それを信用して認可をしたと言つております。つまり会社の言いなりになつて認可をしたということを、はつきりと言明しているのであります。このことは認可に当つて詣導、監督の責任を全然果さなかつたということをみずから物語つているのであります。
さらに、被害か起きてからの都の態度でありますが、五月六日、水上警察から都の建築局の方に連絡があり、水産課においてはそれ以前に知つていたわけでありますが、水質検査を行なつたのは五月十三日で、その試験結果が指導部に通知されたのが十六日であります。そのときすでに魚類に対する相当の被害があるという一応の結論が出ていたのは、同じく参議院決算委員会における経済局長の説明でも、また先ほどの説明でも明らかであります。ところが都が本州製紙に対してようやく口頭をもつて操業中止勧告を行なつたのが、二十日後の六月六日であり、そして文書をもつて行なつたのが十一日であるというように事態の進展に伴つて、漁民がその生活権を守るためにいろいろの運動を開始してきた、こういう客観的な状態がどんどん発展してから、ようやく手を打つてきたというように、その間、いたずらに傍観的の態度をとつていたとしか思われないのであります。
すなわち、浦安を初めとするところの関係漁民は、廃液による被害が激増するにつけ、それぞれ会社や都を初め各方面に交渉してきたわけでありますが、何ら改善を見ることができないので、五月二十四日、大挙して工場に押しかけ、実力をもつて排水口を塞いだ。もし東京都が五月の十六日に有害であるという一応の結論を持つていたのであるから、この結論を本にして魚族を保護し、関係漁民の生活を保障するという立場に立つて、直ちに工場側に対し、操業中止方の処置を取つたならば、この二十四日の実力行使は当然防げたわけであります。同様にして六月十日のあの警官隊との衝突事件も回避することができたわけであります。
漁民諸君は、この工場の廃液であるいわゆる黒い水によつて魚類は遠く逃げ去り、貝類は死滅し、昨年の半分以下、五分の一、十分の一というような漁獲高しかないばかりか、さらに今年の秋や冬にとれるであろうところのアオヤギや、海苔の全滅すらも予想されるという深刻な状態において、たとえば河口の浦安町においては一万七千人の人口の七割以上が漁業によって、直接間接生計を維持しているわけであるが、正に全町民死活の問題として立ち上らざるを得なかつたほど、問題はきわめて深刻になつてきておつたのであります。しかし会社へ交渉しても相手にされず、都へ陳情しても解決されず、そして黒い水は相変らず流れ、魚介類はだんだん斃死するという状態においては、みずからの実力をもつて、黒い水を止める以外に残された道はなかつたのであります。
このような立場におかれたところの漁民諸君に対しましては、私どもは心から同情の念を禁じ得ないのでありますが、同時にこの問題をぜんぜん放置して解決を急がなかつたところの都の傍観的態度に対しては、その責任はきわめて重大であるというふうに考えざるを得ないのであります。同時に本州製紙の態度は、一貫して漁民を相手にせず、また監督官庁である都の勧告も無視するという態度であつたわけであります。
会社は、許可申請のときには害はない、あつても責任を持つとごまかして、都並びに千葉県の水産試験所の検査が明らかに害を認めており、現に甚大な被害が起つているにもかかわらず、その事実を頬被りして、いまだにあの黒い水が有害であるということを言明しておらないような状態であります。そればかりでなく陳情に参つたところの漁民の人たちに対しては、警官隊を配置して、これを追い払つてしまつた。
すなわちこの事件を通して現われたことは、本州製紙という大独占資本がその利潤を追求するためには、地域住民に対しいかなる犠牲を負わせても、これを強行するということ、そして東京都が例によつて大資本に対しては手も足も出ないほど弱い態度を示した。そして客観的にはむしろこのような大資本家の横暴を擁護してきたということであります。そしてなお、わが東京都の警視庁は全く大資本家の番犬としての役割を果したということを明らかに物語つていると思うのであります。
このような工場操業による極々な被害は、都内はもちろん全国至るところにあるわけてありまして、無力な住民は大資本の横暴に対して泣き寝入りさせられているのが実情であります。今たまたま本問題が起るに当つて東京都民は重大な関心を持つて見守つておりますのも、浦安、葛西を中心とする漁民の人たちに対する同情と支援であり、そしてまた大資本の横暴や、都や警視庁の大資本に奉仕しているところの態度に対して憤激をしているからであります。
東京都政が都民の生活を守り、その向上をはかることを最大の任務に課されている以上、今回の問題は都政上きわめて遣憾なことであり、安井都知事並びに警視総監の責任はきわめて重大であると考えるのであります。以上の観点に立つて知事並びに警視総監に対して質問を行いたいと思います。
第一に、許可申請に対して、会社側の一方的申立てだけによつて認可し、被害が明らかになつてからもいたずらに日を送つて、ようやく口頭の勧告に止め、遂に工場公害防止条例の適用による停止措置をとらなかつたのは、事態をますます粉糾に導いた大きな原因であると考えるわけでありますが、このような態度を続けてきたところの東京都の責任について、安井知事はどのように責任を感じておられるのか、その点をまず第一にお答えを願いたいと思います。
第二に、今後会社が操業するに当つて、地元の漁民は完全なる除毒装置がなければ認められないと言つております。まことに当然至極な要求であると思われますが、都はどのような条件をもつてこの再開を許可し、あるいは許可しない方針でいるのか、その基準を明らかに示してもらいたいと思います。また都の指示に反して会社が操業を開始した前例がすでにあるわけでありますが、今後都の指示に反して会社が再び操業を行うような揚合には、どのような処置をとられるかを明らかにしていただきたいと思います。
第三に、漁民の受けた被害に対し、また将来起り得る海苔、アオヤギ等の被害も含めて、この補償の問題はきわめて重要な問題だと思いますが、都は認可権者として、また適切な処理を欠いたという点において相当大きな責任があると考えるわけであります。従つて会社側が誠意をもつて住民に与えた損害のすべてを補償するように指導監督する必要があると思いますが、具体的にどのような処置を考えているのか、その点をお答え願いたいと思います。
次に警視総監にお伺いしますが、先ほどの御答弁では、きわめて不誠意であり、不十分であると考えますので、もう一度お答えを願いたいと思います。警視庁機動隊は、会社側と十分に打ち合せた上で構内で待機しておつて、そして陳情団に躍りかかつて警捧でなぐりつけ、また見物人までけがをさせております。そしてこれらけが人の大部分はうしろからなぐられて、背中に傷を負わされているわけであります。このような暴虐な行為を働いて、そしてまた番犬のように会社の構内で、漁民の陳情隊を待つていて挑発をかけた。このような行為は、生活の手段を奪われて万策尽きて立ち上がつた陳情団に対して、まず弾圧をもつて臨んだというふうに私どもは考えるわりであります。このような弾圧政策をとる警視庁の態度は、今までも数々の労働争議等で、常に資本家を擁護するために活動してきた、その正体を今回もまたはつきりと露骨に現わしたものと私どもは思うわけでありますが、このような態度こそ都民の利益とは全く相反するものであるといわなければならないものであります。
警視総監はこの事実を率直に認めて、地元の漁民の方々に対して陳謝の恵を表すると同時に、機動隊指導者の処置、地元けが人に対する見舞の善後処置をとる必要があると考えますが、その用意があうるかどうかをお伺いしたいと思います。
次に教育行政の問題につきまして、特に勤務評定につきまして、安井知事の見解を承わりたいと思います、都の教育委員会は去る四月二十三日に、全教職員並びに教育の自由と民主主義を守ろうとするすべての人たちの反対を押し切つて勤務評定実施を決議いたしました。しかし問題は、これで解決したのではなくて、今や日本の民主的教育の崩壊を防ぎ、教育の自由を反動的支配から守るために、勤務評定反対の運動は全国に繰り広げられてきているわけであります。
一昨日和歌山市におきまして開かれた日教組の全国代表者会議は、来る七月より八月中旬にかけて、勤評絶対阻止のため、より重大な決意をもつて、全国的な運動の最重要地点として今後東京都におきましても、勤評撤回のために全力をあげて闘争が続けられるであろうことは疑いのないところであります。なぜ事態がこのような緊迫した情勢に立ち至つたのでありましようか。いうまでもなく岸政府の反動的文教政策の強行であり、これに最も忠実な都教育委員会並びに警視庁の弾圧政策が、こういう緊迫した状態をもたらしてきているのであります。
本島教育長は、勤評実施を決議するに当りまして、都教組との話し合いを一方的に打切つて、これを強行いたしました。決議されたところの勤評案は、教育の実情を無視し、教職員を校長の主観によつて評定する結果、教育に対する熱意や児童に対する愛情よりも、校長のいいなりになる教師をつくることになるわけであります。そしてまた校長自体が教育委員会によつて評定されるということになつている。しかもその教育委員会はすでに公選ではなくて、任命によつて構成されるという制度にかえられているのであります。このことは政府や文部省の方針によつてすべての教職員を完全に支配することができるというまことにおそるべき内容を持つているものであります。すなわち勤務評定は、政治権力によつて教育をどのようにでも支配できるようにするために、たとえばこれに反対する教職員に対する生殺与奪の権を完全に握ることを目的にしたものであります。このような勤務評定に対し教職員はもちろん、心ある都民が反対したのはしごく当然と言わなければならないのであります。
ところで本島教育長は、これに反対して戦つた教職員に対して警察権による弾圧をもつて臨んで参りました。合法的に休暇をとつて反対運動に結集した都教組の各支部長の一斉逮捕がそれであります。品川区において白昼児童生徒の在校する中で数十ヵ所の小中学校を警官の泥靴で踏みにじつたのもそれであります。神聖な教育の場をこのように荒し回つたのは戦前戦後の弾圧の歴史の中でも、空前絶後の暴挙と言わなければならないのであります。このような暴挙をあえて行つた警視総監の責任はもとより徹底的に追及されなければならないのでありますが、同時にこのような警視庁の暴挙を容認している教育長ならびに都教育委員会の責任こそ、糾弾されなければならないと思うのであります。本島教育長は東京都の教育行政を警察官のピストルとこん捧を前面に押し立てることによつて遂行しようとして参りました。教育の自由と民主主義を守らなければならないはずの都教育委員会は、ファシズムによつて教育を支配し始めたと言わなければならないのであります。まさに東条やヒトラーの道に逆戻りしたのであり、軍国主義復活の教育の道をみずから切り開いてきているのであります。東京都民はこのような教育行政に対して大きな憤激をもつて見守つているのであります。都民はすし詰め教育の解消や、教育内容の改善や、施設の充実や、あるいはPTA経費の負担軽減等を心から望んでおります。これらの要求を無視して、警察権の介入によつて教育を支配することは、都民の利益に反することこれより大なるものはないと考えるのであります。従つて都民の代表として都行政の最高責任者である安井知事はこの間題をどう考えるか、以下の質問について答弁をお願いしたいと思います。
第一に、警視庁の暴挙を容認している都の教育行政をこのまま放置しておくつもりであるかどうか、この点を第一に伺いたいと思います。
第二に、警視総監並びに教育長、教育委員会の責任はきわめて大きいわけでありますが、特に都政の最高責任者である知事はさらに大きな責任を持つものと考えるのであります。どういう形でこの責任を果すつもりであるのか、その所見を伺いたいと思います。
第三に、勤務評定は九月に実施する予定のようでありますが、これを中止して教員組合と民主的に話し合い、事態を円満のうちに解決することが必要であると考えますが、その用意があるかどうかを伺いたいと思います。特に以上の質問を安井知事にお答え願いたいと思います。
第三に、民生行政問題について、特に保育園の問題を知事並びに関係理事者に質問したいと思います。本年の当初予算編成当時より問題にされてきました厚生省保育所措置費改善案が七月一日より実施と決定されております。この案は全国の保育園関係者並びに保母の猛烈な反対を受けたばかりでなく、地方公共団体のほとんどが国の予算の不足を地方に押しつけるものであるということで反対してきたのは周知の通りであります。なぜ保育関係者を中心に厚生省案撤回の要望がなされたのでありましようか。それは実は改善案と銘打つた改悪案にほかならないからであります。この案によれば、複雑な保育費負担基準を簡単にして、単価を一定しようと称するものでありますが事実は政府が本年度予算を削減して、そのワク内での保育を行おうとするところに問題があるのであります。そのために保護者の負担は年額平均二七%増徴となり、一方保育単価の切り下げによつて全国保育園中八割以上がさらに平均一万円余の赤字経営を余儀なくされ、場合によつては廃園せざるを得ないという状態に追い込まれようとしているのであります。現在東京都内において公私立約二万八千人の保育児童のほかに、推定要保育児童は約七万と称せられておりますが、この案によつて現在保育されている児童すら保育園から締め出されてしまう結果が出てくることが予想されるのであります。
これら保育園の現状を見ますと、たとえば東京同胞援護会の都内七施設におきましては年聞百五十二万円余の赤字が出るという見通しにおいて、措置返上よりほかに道はないのではないかということを決定しております。すでにその中の牛込保育園では四月から園児を募集せずに、閉鎖の寸前に追い込まれている。これらの例を見るまでもなく、児童の父兄は保育料のほかに維持費、整備費、給食費等々で保育料を上回る経費を負担させられております。また一方若い保母は五千円、あるいは六千円の低賃金と過重労働を余儀なくさせられているのであります。政府はこれらの実情を無視して、保育園に対する予算は実質的に年々削減してきており、社会福祉事業としての保育事業は完全に破壊の寸前にさらされてきているのであります。
今回の厚生省案が実施された場合の都保育行政に対する影響について言うならば、国庫支出金で五千万円、これに見合う都費が一千万円、計六千万円の減額になるのであります。この六千万円の赤字を父兄に転嫁して三千万円の父兄負担増を見込んでおります。これは実に規行負担額の六〇%増徴に匹敵するものであります。これでなお三千万円の赤字になるわけでありますが、実際に都の調査に基くと、月四百十万円、年間にして五千万円の赤字がなお生ずるといわれているのであります。厚生省ではこの赤字に対する補てんの要求が広範に起きたために、やむを得ず今年度に限り東京都に対しては月三百五十万円の補助金を赤字補てんに支出することをきめたようでありますか、なおそれでも月々六十万円の赤字であり、また来年度以降の赤字については何の保障もないのであります。つまりこの厚生省改善案なるものは、措置費を大幅に減額して父兄負担額の増徴に転嫁し、なお生ずる赤字に対しては暫定処置として一部を補助するという欺瞞に満ちた案であるわけであります。このような案に基いた今後の保育園行政は、絶えず赤字の累積に脅かされ、保母の労働強化や首切りの中で不安定な運営をせざるを得ないという重大な危機に見舞われることになるのであります。
またこの案の持つもう一つの面は、児童の保護者に対して徴収事務の簡素化の名によつて父兄負担の増徴を押しつけてきていることでありますが、特に家庭の負担徴収基準をABCDの四区分にして、機械的に負担額を決定徴収しようとするものでありますけれども、この中で特にC階層といわれる住民税のみを納めている層に対する負担増が重要な問題になつてきております。現行基準においては百円、あるいは二百円程度の保育料の負担が、このC階層の人たちについては一躍二倍から五倍の四百五十円という額を、ただ住民税を納めているというそのことだけによつて徴収される結果が生ずるのであります。C階層の人たちは全国平均で保育児童の六五.三%を占め、都においては三十三年三月一日現在において四三・七%を占めております。つまり保育行政の大半の対象者はこのC階層の人たちであります。この階層は税制改正、あるいは所得減収等によつて今後さらに増大することが見通されるのでありまして、最も保育行政の中心対象者が大幅な負担増を押しつけられるという結果を生じ、これらの人々は保育の機会を失うことが必至でなかろうかという見通しが持たれるのであります。その結果保育園は生活保護適用者及びこれに準ずる層、つまりボーダー・ライン層と、住民税のほかに所得税を負担できる富裕な階層の一部の人たちのものになり、児童を保育園に預け働きに出かける父母、内職をもつて生計を補つてゆく家庭の父母、こういう人たちの児童は多く保育園から締め出され、社会政策としての保育行政と全くかけ離れたものになる、そういうおそれが非常に考えられるのであります。保育徴収金を全額負担できる能力のある家庭の児童のみが入園することになり、幼稚園化は必至となるのではなかろうか、かように考えられるわけであります。
さらに新設の問題で見るならば、保育園関係者から保育園の新設、公立化、設備改善等々の多くの要望がなされているわけでありますが、要保育児童が七万人あるといわれている現在、このような現状にもかかわらず国が認めないとか、あるいは私立幼稚園等の増で飽和していると認定して、新設予算を全然組んでいない東京都の民生行政は、実情を無視したものであると考えざるを得ないのであります。
さて六月初旬に全国社会福祉協議会保育部会では以上のような厚生省の改善案に対して次の要望を決議しております。すなわち
第一に、保育単価については経過措置において少くとも現行限度額を下回らないようにすること。
第二に、この経過措置は三ヵ年以上とすること。
第三に、保育料はC階層の負担を三百円以内とすること。
というものであります。当面これらの要望事項の実現が現在保育水準を維持するために必要な最低の措置であると考えるわけでありますが、以上の観点に立つて知事並びに民生局長に二、三の質問をいたしたいと思います。
第一に、このように押し進められている保育行政縮小破壊の政策に対して、今回実施に移されようとしている厚生省改善案を中止し、父母負坦の軽減、設備の改善、保母その他保育坦当者の待遇の向上等を保障する抜本的な政策を確立する必要がある、このように考えるわけでありますが、この実現のためにどのような考え方を持ち、あるいは努力するつもりなのか伺いたいと思います。
第二に、現実に生ずる赤字、あるいは父母負担増に対しては当面都費をもつてこのような状態をなくすべきであると考えますが、その用意があるかどうかを伺いたいと思います。
第三に、公立保育園の新増設に対して強く要望の声がありますが、全額都費をもつてしてもこの要望にこたえるべきであると考えますが、どう措置されようとするのか、この点を伺いたいと思います。
以上民生行政、特に保育園行政についての質問をいたしました。これをもつて第一回の質問を終りといたします。(拍手)
〔知事 安井誠一郎君登壇〕
◯知事(安井誠一郎君) どうも川村君の御質問には答えようがないのですがね。あなた方共産党の諸君は自由主義政党のやつていることを初めから否定してしまつたようなことでやつてこられるので、えらい大仰な作文を読まれるのですが、基本的に物の考え方が違うので、御判断は自由ですが、われわれは決して大資本とか何とかいうようなものに屈服したりしている考えは持つておりません。今度のやり方の手続においてうちの事務当局に届かぬところがあつたものと考えます。これは今も建築局長がお話したようですが、そういう点については十分気をつけなければならぬと思つております。
次に勤務評定の問題ですが、勤務評定の問題自体は御承知の通り本来教育委員会の問題であり、その結果につての警視庁の取扱いについては警視総監の取扱いであり、しかもこの警視総監を指揮しているのは公安委員会であり、公安委員会は私が推薦し、皆様もこれを御承認願つて決定をしたものであります。公安委員会の責任がまず私以前に考えられるので、しかもそれは議会の議決を経て任命をしているのですから、この点も御了承願いたいと思います。
それからこの解決の話合いをと言われるのですが、私はこの点については川村君の考え方あるいは社会党の皆さんの考え方とも違つておるかもしれんのですが、ともかくも二十七年に公務員に関する限り勤務評定を行うという国会の議決がある、法律になつて現に出ておるので、一応勤務評定をやるということだけは肯定して、その上にその勤務評定のいわゆる別表の作り方というものをどう作るのが最もそれぞれの職種に適するか、こういうことを考えるのならばこれは話合いという問題が起きてくると思うのであります。おそらく教育委員会はその意味において都教組と相談をされたことだろうと思うのですが、その前においてぶつかつて、これはどうにもならんので、これも決して一方的にきめたのではなくて、何でも何十回とかやられたとか聞いておりますが、そうした過程だつたろうと考えます。これは都労連とはすでに二十七年にわれわれは勤務評定を実施することを決定いたしております。そして私もハンコをついておれば都労連の委員長もハンコをついているはずであります。その都労連の傘下には都教組は明確にある。都労連の一員なんです。ですからその都労連傘下の単組としては当然に勤務評定を行うということについては同意をされておるとわれわれは考えるので、あまり多くを申し上げることは必要ありませんが、そういうふうに私は考えます。
それから保育所の問題ですが、これは実は川村さんたいへん長い作文を読まれたのですが、私は少しあなたよりもこれについての経験は深いので、御承知でもあつていただけると思うのですが、私は社会福祉の仕事は若い時分から苦労しておつたので、これは作文を読まれんでもあのくらいのことは承知しておるのです。あの厚生省の今度の改正は間違つていると思います。従つてこれは先般も保育所の幹部の方々が私のところへお話に見えたとき私はつきり申し上げておるので、川村さんにいま伺わんでもいいのですが、これは厚生省が間違つておると思う。もし厚生省の方であの通りやつたために東京都の現在のやり方よりも悪いことになるようならば、それは私は都議会の皆さんの同意を得ても必ずやりますから、現状で安心してやりなさい、こういうふうに申し上げておるのです。
〔警視総監 川合壽人君登壇〕
◯警視総監(川合壽人君) 警視庁は機動隊を駆使して今回の大資本家たる本州製紙の工場の擁護にのみあたつたのではないかということでございますが、当日の模様、その前の警備的な私どもの活動は先ほど来申し上げた通りでありまして、決してそのような意を抱きながらあの行動をやつたものではございません。会社の六月九日におけるやり方は現在どういう方法で問疑する方がいいかということははつきりと申し上げかねますが、たしかに無思慮なやり方だと思います。しかし川村議員が言われるように、すなわち自救行為をやつたのが何が悪いというふうな言い方につきましてはなはだ危険を感ずるものでありまして、この自救行為というものはやはり法の中で行使をしていただかなければ、私どもどうしてもうべないかねるわけであります。
それから漁民に対するいろいろな行動、なかんずく見舞、補償等の問題についてお話がありましたが、これは現在までの私どもの調査といたしましてはこの点についてお答えする段階に達しておりません。ただ人権擁護局におきましては、新聞で御案内の通り、私どものやつたことにつきましてまつたく公平に監査をしておられまして、私どもこの決定に対しては服するものであります。
◯副議長(建部 順君) 以上をもつて質問を終ります。なお、只今議員中山一君より公害防止対策についての文書質問が提出されました。本件はただちに執行機関に対し送付の手続をとります。なお答弁書提出の期日は来る六月二十八日といたします。
─────────────
◯副議長(建部 順君) これより日程に入ります。日程第一を議題に供します。
〔
佐々木議事部長朗読〕
一、第百三十三号議案 無
軌条電車敷設工事施行認可申請に対する意見について
─────────────
(議案記載省略)
─────────────
◯副議長(建部 順君) 本案に関し執行機関の説明を求めます。佐藤副知事。
〔副知事 佐藤基君登壇〕
◯副知事(佐藤 基君) 只今上程になりました第百三十三号議案について御説明いたします。この案は都において台東区下谷金杉町より浅草千束町に至る都道に無軌条電車敷設工事の施行に関する認可申請がありましたので、軌道法施行令第五条の規定により提案したものであります。よろしく御審議をお願いいたします。
◯九十一番(鯨岡兵輔君) 本件は委員会の審査を省略し、異議ないものと答申せられんことを望みます。
◯副議長(建部 順君) 只今の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯副議長(建部 順君) 御異議ないものと認め、動議の通り決定をいたします。
─────────────
◯副議長(建部 順君) 日程第二より第八までを一括して議題に供します。
〔
佐々木議事部長朗読〕
一、第百三十四号議案 都道の路線の認定について外六議案
─────────────
(議案記載省略)
─────────────
◯副議長(建部 順君) 本案に関し執行機関の説明を求めます。佐藤副知事。
〔副知事 佐藤基君登壇〕
◯副知事(佐藤 基君) 只今上程になりました第百三十四号議案外六議案について御説明いたします。
まず第百六十二号議案について御説明いたします。この案は、昭和三十三年度における職員の夏季手当に関する条例案でありまして、六月十五日に在職する都の職員に対し、給与月額に百分の七十五を乗じて得た額の範囲内において夏季手当を支給するものであります。
なおこのほか条例案四件その他事件案二件となつております。よろしく御審議をお願いいたします。
◯副議長(建部 順君) 本案中第百六十二号議案につきましては、地方公務員法第五条第二項の規定に基き、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきましたから、議事部長をして朗読いたさせます。
(
佐々木議事部長朗読)
人委発第二六八号の一
昭和三十三年六月二十四日
東京都
人事委員会委員長 大 野 木 克 彦
東京都議会議長 上 條 貢殿
職員に関する条例に対する意見について
昭和三十三年六月二十三日付三三都議発第四二七号をもつて御照会の左記条例案については本委員会においては原案に異議ありません。
記
一、第百六十二号議案 昭和三十三年度における職員の夏季手当に関する条例
─────────────
◯九十一番(鯨岡兵輔君) 本案はいずれも委員会の審査を省略し、原案通り可決せられんことを望みます。
◯副議長(建部 順君) 只今の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯副議長(建部 順君) 御異議ないと認め、本案はいずれも動議の通り可決確定いたしました。
─────────────
◯副議長(建部 順君) 日程第九より第五十一までを一括に供します。
〔
佐々木議事部長朗読〕
一、第百二十五議案 所属未定地の編入について外四十二議案
─────────────
(議案記載省略)
─────────────
◯副議長(建部 順君) 本案に関し執行機関の説明を求めます。佐藤副知事。
〔副知事佐藤基君登壇〕
◯副知事(佐藤 基君) 只今上程になりました第百二十五号議案外四十二議案について御説明いたします。
まず、第百五十五号議案外六議案の予算案について御説明いたします。
第百五十五号議案は、一般会計の追加更正予算案でありまして、本都職員に対する通勤手当の支給と、本年三月以降における霜雪害に対する諸施策並びに駐留軍労務者の職業補導等、緊急実施を必要とする事業の経費を追加更正するもので、総額六億四千四百七十七万余円を計上いたしました。
次に、第百五十六号議案外五議案は、病院会計外五特別会計の予算案でありまして、いずれも所属職員に対する通勤手当に要する経費で、総額一千三百六十四万円を計上いたしました。
なおこのほか条例案十件、契約案二十三件、その他の事件案三件となつております。よろしく御審議をお願いいたします。
◯副議長(建部 順君) 本案中第百六十三号及び第百七十四号議案につきましては、地方公務員法第五条第二項の規定に基き、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきましたから、議事部長をして朗読いたさせます。
〔
佐々木議事部長朗読〕
人委収第二八六号の二
昭和三十三年六月二十四日
東京都人事委員会 委員長 大 野 木 克 彦
東京都議会議長 上 條 貢殿
職員に関する条例に対する意見について
昭和三十三年六月二十三日付三三都議発第四二七号の二をもつて御照会の左記条例案については、本委員会においては原案に異議ありません。
記
一、第百六十三号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
一、第百七十四号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
─────────────
◯九十一番(鯨岡兵輔君) 本案は、いずれも当該常任委員会に審査を付託せられんことを望みます。
◯副議長(建部 順君) 只今の動議に御意義ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯副議長(建部 順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────
◯副議長(建部 順君) これより追加日程に入ります。
追加日程第一より第十五までを一括して、議題に供します。
〔
佐々木議事部長朗読〕
─────────────
(議案記載省略)
─────────────
◯副議長(建部 順君) 本案に関し執行機関の説明を求めます。佐藤副知事。
〔副知事佐藤基君登壇〕
◯副知事(佐藤 基君) 只今上程になりました第百七十七号議案ほか十四議案について御説明いたします。
まず、第百七十七号議案は、江東区深川千石町に都営住宅三棟七十二戸を建設するため、富士建設株式会社と総額三千二百万円をもつて、建築工事の請負契約を締結するものであります。
なおこのほか契約案八件、その他の事件案六件となつております。よろしく御審議をお願いいたします。
◯九十一番(鯨岡兵輔君) 本案は、いずれも当該常任委員会に審査を付託せられんことを望みます。
◯副議長(建部 順君) 只今の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯副議長(建部 順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。各常任委員会に付託いたしました議案の付託事項表は、御手元まで配付してあります。
なお、委員会に付託いたしました議案につきましては、来る二十八日午前中に審査を終了し、報告するよう希望いたします。
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議案付託事項
昭和三十三年六月二十四日付託
(総務広報渉外委員会)
一、第百二十五号議案 所属未定地の編入について
一、第百五十五号議案 昭和三十三年度東京都
歳入歳出追加更正予算中
歳 出 第 二 款 都庁費
第 三 款 人事委員会費
第 七 款 学務費
第十七 款 統計費
第十八 款 選挙費
第二十三款 諸支出金
第 一 項 監査委員費
第十一 項 渉外費
一、第百六十三号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
一、第百六十四号議案 東京都議会議員の選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例の一部を改正する条例
(財務主税委員会)
一、第百二十六号議案 橋梁新設(月島新橋卜部)工事請負契約
一、第百二十七号議案
仙台堀川水門建設工事のうち基礎脳躯体工頭請負契約
一、第百二十八号議案
防波堤築造工事請負契約
一、第百二十九号議案
晴海桟橋建設工事請負契約
一、第百三十号議案 第十一
号埋立地石枠護岸築造工事請負契約
一、第百三十一号議案 千五百
馬力電動ポンプ式浚渫船建造工事請負契約
一、第百三十二号議案 第三
台場南面貯木場建設工事請負契約
一、第百五十五号議案 昭和三十三年度東京都
歳入歳出追加更正予算中
歳 入…………全 部
歳 出 第 一 款 議 会 費
第二十三款 諸支出金
第 七 項 繰 出 金
一、第百六十号議案 昭和三十三年度東京都
競走事業歳入歳出追加予算
一、第百六十一号議案 昭和三十三年度東京都
工場歳入歳出追加予算
一、第百六十五号議案 東京都税条例の一部を改正する条例
一、第百七十七号議案 都営住宅33R-一〇〇一工事請負契約
一、第百七十八号議案 都営住宅33R(小)-一〇〇一工事請負契約
一、第百七十九号議案
ふん尿消化処分場東品川投入槽建設工事請負契約
一、第百八十号議案 東京消防庁々舎建築第二期工事請負契約
一、第百八十一号議案
都立武蔵丘高等学校改築工事請負契約
一、第百八十二号議案 土地及び建物等の買収について
一、第百八十三号議案 基本財産河岸地の処分について
(厚生文教委員会)
一、第百五十五号議案 昭和三十三年度東京都
歳入歳出追加更正予算中
歳 出 第 六 款 教 育 費
第二十三款 諸支出金
第十四項 諸 費
第二十八目 国庫支出金返納金
(教育 二八五、八八八円)
一、第百六十六号議案 東京都億
母子福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
一、第百七十四号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
(衛生経済清掃委員)
一、第百三十七号議案 土地の負担付譲与の受領について
一、第百五十五号議案 昭和三十三年度東京都
歳入歳出追加更正予算中
歳 出 第十三 款 保健衛生費
第十五 款 農 林 費
第十六 款 商 工 費
第二十三款 諸支出金
第十四 項 諸 費
第二十八目 国庫支出金返納金
(衛生 二、〇〇四、七四三円)
(経済 七〇四、九三二円)
一、第百五十六号議案 昭和三十三年度東京都
病院歳入歳出追加予算
一、第百五十七号議案 昭和三十三年度東京都
屠場歳入歳出追加予算
一、第百五十八号議案 昭和三十三年度東京都
中央卸売市場歳入歳出追加予算
一、第百六十七号議案 保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
一、第百七十二号議案 東京都
中小企業調停審議会条例
一、第百九十号議案
のり養殖漁場災害復旧資金貸付契約
一、第百九十一号議案 霜雪害による被害農業者に対する経営資金貸付契約
(建設港湾委員会)
一、第百三十六号議案 予算外義務の負担について
一、第百五十五号議案 昭和三十三年度東京都
歳入歳出追加更正予算中
歳 出 第 八 款 土 木 費
第二十三款 諸支出金
第十四 項 諸 費
第二十八目 国庫支出金返納金
(建設 四六六、三九五円)
一、第百五十九号議案 昭和三十三年度東京都
港湾事業歳入歳出追加予算
一、第百八十四号議案 都道の路線の認定について
一、第百八十五号議案 都道の路線の廃止について
一、第百八十六号議案 池袋駅付近街路四
号架道橋新設工事に関する協定
一、第百八十七号議案 一級国道二十号線(新宿区角筈地先)と京王線との平面交差除却に関する工事費の予算外義務負担について
一、第百八十八号議案 街路築造工事(中川大橋上部並びに街路)に関する協定
(労働建築委員会)
一、第百五十五号議案 昭和三十三年度東京都
歳入歳出追加更正予算中
歳 出 第十二 款 労 働 費
一、第百七十三号議案 東京都建築審査会条例の一部を改正する条例
(交通水道委員会)
一、第百三十八号議案 ふそう
ジーゼル乗合自動車購入契約
一、第百三十九号議案 いすずジーゼル乗合自動車車台購入契約
一、第百四十号議案 予算外義務の負担を伴う地下鉄蔵前二工区
建設工事請負契約
一、第百四十一号議案 予算外義務の負担を伴う地下鉄駒形工区
建設工事請負契約
一、第百四十二号議案 藍染川排水路改修その三工事請負契約
一、第百四十三号議案 芝浦下水処理場曝気槽散気設備その一工事請負契約
一、第百四十四号議案
芝浦下水処理場送風機その一工事請負契約
一、第百四十五号議案
芝浦下水処理場変電所電気設備その他工事請負契約
一、第百四十六号議案
芝浦下水処理場送風機室新築工事請負契約
一、第百四十七号議案 砂町
ポンプ所ポンプ井放流渠並びに上家基礎工事請負契約
一、第百四十八号議案 砂町
下水処理場消化槽その七工事請負契約
一、第百四十九号議案 砂町
下水処理場曝気槽工事請負契約
一、第百五十一号議案
小台下水処理場建設その一工事請負契約
一、第百五十二号議案
吾嬬ポンプ所雨水沈砂池増設工事請負契約
一、第百五十三号議案
電気ショベル売却契約
一、第百五十四号議案
電気ショベル売却契約
一、第百七十五号議案 東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
一、第百八十九号議案 砂町
下水処理場西側敷地埋立工事請負契約
(警務消防委員会)
一、第百五十五号議案 昭和三十三年度東京都
歳入歳出追加更正予算中
歳 出 第 四 款 警 察 費
第 五 款 消 防 費
一、第百七十六号議案 警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
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◯副議長(建部 順君) 追加日程第十六を議題に供します。
〔
佐々木議事部長朗読〕
一、議員提出議案第十号 異常渇水対策に関する決議
議員提出議案第十号
異常渇水対策に関する決議
右提出する
昭和三十三年六月二十四日
提 出 者
小 泉 武 雄 小 泉 隆 宇 野 喜 重 四 宮 久 吉
小 野 慶 十 大 山 雅 二 小 山 省 二 安 藤 章一郎
本 多 誠 田 中 宗 正 佐 野 進 依 田 圭 五
田 村 徳 次 田 山 東 虎 三 浦 八 郎 川 村 千 秋
村 上 ヒ デ 松 本 鶴 二 坂 本 重次郎 大久保 重 直
村 木 正 彦 樋 口 亀 吉 篠 原 虎之輔 北 島 義 彦
清 水 長 雄 村 田 宇之吉 河 野 一 郎 袴 田 円 助
野 口 辰五郎 染 野 愛 山 川 國 藏 竹 内 雷 男
久保田 幸 平 高 橋 清 人 宮 瀬 睦 夫 柳 田 豊 茂
梅 津 四 郎 建 部 順 玉 井 省 吾 上 山 輝 一
荒 木 由太郎 佐々木 恒 司 田 村 幾太郎 山 口 虎 夫
小野田 増太郎 鯨 岡 兵 輔 藤 田 孝 子 中 島 興 吉
小 川 精 一 伊 東 泰 治 井 草 市 郎 原 田 茂
川 口 清治郎 飯 塚 愛之助 河 野 平 次 中 山 一
青 山 良 道 川端下 一二三 齋 藤 清 亮 加 藤 好 雄
篠 統一郎 古 谷 榮 春日井 秀 雄 石 島 参 郎
鴨 下 榮 吉 内 田 道 治 小 林 三 四 栃 倉 晴 二
山 屋 八寓雄 友 成 四 郎 大 澤 梅次郎 佐々木 千 里
實 川 博 内 田 雄 三 大日向 蔦 次 岡 田 助 雄
中 島 喜三郎 森 傳 金 子 二 久 醍 醐 安之助
上 條 貢 杉 山 三 七 富 田 直 之 萬 田 勇 助
田 村 福太郎 大 森 一 雄 吉 峰 長 利 長 瀬 健太郎
曾 根 光 造 齋 藤 卯 助 中 塚 榮次郎 小 山 貞 雄
大 門 義 雄 板 橋 英 雄 川 端 文 夫 水 戸 三 郎
渡 邊 文 政 窪 寺 傳 吉 出 口 林次郎 島 崎 七 郎
八木澤 鶴 吉 宮 澤 道 夫 中 西 敏 二 菊 池 民 一
中 澤 茂 山 崎 七次郎 鏡 省 三 森 敬之助
浦 部 武 夫 大 村 仁 道 中 田 俊 一 富 澤 仁
守 本 又 雄 加 藤 千太郎 秋 山 定 吉 田 中 貞 造
北 田 一 郎
東京都議会議長 上 條 貢殿
異常渇水対策に関する決議
現下の異常渇水による都内給水事情については、本都議会において最も憂慮するところである。
よつて都当局は、この際万全の措置を講じもつて被害を最少限度に防止するよう特段の努力を払うべきである。
右決議する。
昭和三十三年六月二十四日
東 京 都 議 会
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◯九十一番(鯨岡兵輔君) 本案は、原案通り可決せられんことを望みます。
◯副議長(建部 順君) 只今の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯副議長(建部 順君) 御異議ないと認め、本案は原案通り可決いたしました。
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◯副議長(建部 順君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
本日までに「臨時職員の本採用化及び定数拡大に関する請願」ほか五十七件及び陳情十六件を受理いたしました。これらは、いずれも当該常任委員会に審査を付託いたします。請願及び陳情の委員会付託事項表は、御手元まで配付してあります。
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請 願 陳 情 付 託 事 項
(昭和三十三年六月二十四日付託)
(総務広報渉外委員会)
第三四一号 臨時職員の本採用化及び定数拡大に関する請願
第三四二号 臨時職員の給与改訂等に関する請願
第三七四号 東海大学原子炉設置反対に関する請願
第九〇号 技管連職員の身分切替に関する陳情
第九一号 都議会議員の選挙区に関する陳情
第九八号 婦人補導院建設反対に関する陳情
第九九号の二 電話加入権質に関する臨時特例法成立に伴う協力方に関する陳情
(財務主税委員会)
第三五〇号 耐火建築物を建築する場合、固定資産税の税率を五年間二分の一不動産取得税の税率を二分の一軽減方に関する請願
(厚生文教委員会)
第三三八号 世田谷区立駒沢小学校の校地拡張に関する請願
第三五二号 夏季手当支給に関する請願
第三五三号 都立板橋高等学校々舎増改築に関する請願
第三六五号 都立京橋高等学校新築移転に関する請願
第三六六号 大田区立大森第十中学校の体育館建設に関する請願
第三六七号 学校給食補助員の身分切換及び夏季手当支給に関する請願
第三七六号の二 日雇労働者に対する夏季措置に関する請願
第三七七号 板橋区立金沢小学校の増改築に関する請願
第三八六号 講堂建設の助成に関する請願
第三八七号 大田区立六郷中学校の防音施設整備に関する請願
第八九号 夏季手当支給に関する陳情
(衛生経済清掃委員会)
第三六一号 駒沢綜合グランド内に「アイソトープ」中央実験所設置反対に関する請願
第三八五号 新橋地区の塵芥処理に関する請願
第九二号 降雪凍霜被害対策に関する陳情
第九九号の一 電話加入権質に関する臨時特例法成立に伴う協力方に関する陳情
(建設港湾委員会)
第三三五号 霞川の改修に関する請願
第三三六号 新西新井橋架替工事促進に園する請願
第三三七号 立会川架蓋改修道路に関する請願
第三四四号 下水溝改修に関する請願
第三四五号 自動車道路に改修方に関する請願
第三四六号 都道の認定及び橋梁架設に関する請願
第三五四号 荒川及びその枝川の浚渫に関する請願
第三五五号 道路舗装に関する請願
第三五六号 都道第三二八号線の改修に関する請願
第三五七号 U字溝設置に関する請願
第三五八号 車道整備促進に関する請願
第三五九号 代沢大道の舗装に関する請願
第三六〇号 第一五地区区画整理継続に関する請願
第三七二号の一 千川暗渠工事に伴う損害補償並びに水道布設方に関する請願
第三七三号 都道認定及び幅員拡張に関する請願
第三八〇号の一 道路拡張、信号機及び防犯灯設置等に関する請願
第三八一号 都市計画補助第九十一号道路整備及び橋梁架設に関する請願
第三八二号 築地川本流を観光的河川として存置に関する請願
第三八三号 公園設置促進に関する請願
第三八四号 車道完全舗装促進に関する請願
第三八八号 道路舗装に関する請願
第八五号 山谷掘上の道路造成促進に関する陳情
第八六号 大井三又三角地帯の区画整理中止に関する陳情
第九三号 月島漁業基地建設に関する陳情
第九四号 第一五地区区画整理継続に関する陳情
第九六号 アスファルト乳剤の発注に関する陳情
(労働建築委員会)
第三四三号 江東区亀戸七丁目都営住宅敷地内の道路改修に関する請願
第三四七号 青山北町都営住宅の改築に関する請願
第三四八号 千代田区富士見町富士見印刷株式会社の騒音に関する請願
第三四九号 中高層耐火建築に対する助成措置に関する請願
第三六二号 北多摩郡保谷町都営西武柳沢第一、第二住宅の払下に関する請願
第三六三号 日雇労働者に対する夏季特別措置に関する請願
第三七五号 日雇労働者の夏季措置に関する請願
第三七六号の一 日雇労働者に対する夏季措置に関する請願
第三七八号の一 本州製紙による汚水の防止に関する請願
第九五号 日雇労働者の夏季措置に関する陳情
第九七号 北多摩郡保谷町下保谷第四、第五住宅の井戸改修に関する陳情
(交通水道委員会)
第三三九号 水道本管布設方に関する請願
第三六八号 給水状態改善に関する請願
第三六九号 水道管布設に関する請願
第三七〇号 水道管布設に関する請願
第三七一号 水道管布設に関する請願
第三七二号の二 千川暗渠工事に伴う損害補償並びに水道布設方に関する請願
第三七九号 水道管の延長布設方に関する請願
第八七号 多摩川第三発電所計画に関する陳情
(警務消防員会)
第三四〇号 自動車運転免許証の交付方に関する請願
第三五一号 小滝橋交さ点信号機設置に関する請願
第三六四号 交通整理信号機設置方に関する請願
第三七八号の二 本州製紙による汚水の防止に関する請願
第三八〇号の二 道路拡張信号機及び防犯灯設置等に関する請願
第八八号 深夜営業による青少年不良化防止のための補導取締強化についての陳情
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◯副議長(建部 順君) 以上をもつて本日の日程を終了いたしました。
お諮りいたします。明二十五日より二十七日までは、委員会審査のため休会し、来る二十八日午後一時より本会議を開会したいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯副議長(建部 順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします、只今御着席の方々には、あらためて御通知をいたしませんから、さよう御了承を願います。
本日は、これをもつて散会いたします。
午後七時五十七分散会...