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  1. 埼玉県議会 2022-06-01
    06月29日-06号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    令和 4年  6月 定例会六月定例会  第十三日(六月二十九日)令和四年六月二十九日(水曜日)第十三日 議事日程 一 開議  午前十時 二 常任委員の所属変更 三 監査結果報告(埼玉県南部地域振興センターほか百六十八か所) 四 陳情の報告 五 知事追加提出議案の報告、上程    第百六号議案 六 知事の提案説明 七 知事提出議案(第百六号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問    三十四番  藤井健志議員 八 議員提出議案の報告、一括上程    議第十五号議案及び議第十六号議案 九 提案説明    議第十五号議案の提案者代表 二十一番 渡辺 大議員    議第十六号議案の提案者代表  二十番 千葉達也議員 十 知事提出議案(第百六号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問(続行)    三十九番  浅井 明議員    七十一番  梅澤佳一議員 十一 第百六号議案、議第十五号議案及び議第十六号議案に対する質疑 十二 第九十一号議案~第百六号議案、議第十五号議案及び議第十六号議案並びに請願の各委員会付託 十三 次会日程報告     六月三十日(木)、七月四日(月)、六日(水) 議案調査     七月二日(土)、三日(日) 休日休会     七月一日(金)、四日(月)、五日(火) 委員会     七月七日(木) 午前十時開議、委員長報告、質疑、討論、採決 十四 散会          ----------------本日の出席議員    八十五名         二番  金野桃子議員         三番  岡村ゆり子議員         六番  石川誠司議員         七番  小川直志議員         八番  杉田茂実議員         九番  深谷顕史議員        十二番  秋山もえ議員        十三番  平松大佑議員        十四番  柿沼貴志議員        十五番  八子朋弘議員        十六番  中川 浩議員        十七番  阿左美健司議員        十八番  高橋稔裕議員        十九番  逢澤圭一郎議員        二十番  千葉達也議員       二十一番  渡辺 大議員       二十二番  松井 弘議員       二十三番  高木功介議員       二十四番  橋詰昌児議員       二十六番  白根大輔議員       二十七番  守屋裕子議員       二十八番  江原久美子議員       二十九番  松坂喜浩議員        三十番  並木正年議員       三十一番  宮崎吾一議員       三十二番  関根信明議員       三十三番  木下博信議員       三十四番  藤井健志議員       三十五番  美田宗亮議員       三十六番  吉良英敏議員       三十七番  松澤 正議員       三十八番  宇田川幸夫議員       三十九番  浅井 明議員        四十番  安藤友貴議員       四十一番  町田皇介議員       四十二番  辻 浩司議員       四十三番  前原かづえ議員       四十四番  浅野目義英議員       四十五番  石川忠義議員       四十六番  井上 航議員       四十七番  岡 重夫議員       四十八番  飯塚俊彦議員       四十九番  内沼博史議員        五十番  岡田静佳議員       五十一番  細田善則議員       五十二番  永瀬秀樹議員       五十三番  日下部伸三議員       五十四番  小久保憲一議員       五十五番  立石泰広議員       五十六番  新井 豪議員       五十七番  権守幸男議員       五十八番  萩原一寿議員       六十一番  村岡正嗣議員       六十二番  醍醐 清議員       六十三番  鈴木正人議員       六十四番  荒木裕介議員       六十五番  岡地 優議員       六十六番  小川真一郎議員       六十七番  齊藤邦明議員       六十八番  武内政文議員       六十九番  須賀敬史議員        七十番  新井一徳議員       七十一番  梅澤佳一議員       七十二番  横川雅也議員       七十三番  白土幸仁議員       七十四番  塩野正行議員       七十五番  蒲生徳明議員       七十六番  水村篤弘議員       七十七番  山本正乃議員       七十八番  柳下礼子議員       七十九番  中屋敷慎一議員        八十番  諸井真英議員       八十一番  神尾高善議員       八十二番  高橋政雄議員       八十三番  田村琢実議員       八十四番  本木 茂議員       八十五番  宮崎栄治郎議員       八十六番  齊藤正明議員       八十七番  小島信昭議員       八十八番  小谷野五雄議員       八十九番  長峰宏芳議員        九十番  石渡 豊議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  木村勇夫議員       九十三番  田並尚明議員   欠席議員    二名       五十九番  山根史子議員        六十番  秋山文和議員地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   大野元裕  知事   砂川裕紀  副知事   橋本雅道  副知事   高柳三郎  副知事   堀光敦史  企画財政部長   小野寺 亘 総務部長   真砂和敏  県民生活部長   三須康男  危機管理防災部長   目良 聡  環境部長   金子直史  福祉部長   山崎達也  保健医療部長   板東博之  産業労働部長   小畑 幹  農林部長   北田健夫  県土整備部長   村田暁俊  都市整備部長   宍戸佳子  会計管理者   北島通次  公営企業管理者   今成貞昭  下水道事業管理者   高田直芳  教育長   原 和也  警察本部長             発言(質問)通告書  六月二十九日(水)議席番号 氏名      要旨 答弁者三十四番 藤井健志議員  1 埼玉県の成長と発展を支えるまちづくりについて 知事             2 今後の観光戦略について              (1) 顧客に刺さる観光施策の推進について 知事              (2) 観光インフラの整備について 産業労働部長             3 災害から命を守る取組の推進              (1) 帰宅困難者対策について 危機管理防災部長               ア 一斉帰宅抑制について               イ 一時滞在施設や備蓄の確保状況              (2) 平成十二年耐震基準前の住宅の耐震化促進について 都市整備部長             4 順天堂大学附属病院の整備について 知事              (1) 整備に向けたスケジュールについて              (2) 医師派遣の具体的内容について             5 県営住宅の入居者ニーズを踏まえた利便性向上を 都市整備部長             6 県立学校の再編整備と有効活用について 教育長              (1) 県立高校の「再編整備の進め方」について              (2) 転用教室の活用について              (3) 再編整備後の活用策について             7 世界かんがい施設遺産にふさわしい「見沼代用水」の景観を 農林部長             8 随意契約の公表について 会計管理者三十九番 浅井 明議員  1 知事公約の「LGBTQ」について              (1) LGBTQの公約の進め方について 知事              (2) 教育現場におけるLGBTQの取上げ方について 教育長             2 太陽光パネルについて 環境部長              (1) 埼玉県における太陽光パネルの廃棄・リサイクルについて              (2) 事業用太陽光パネルの廃棄処理の今後について              (3) 新技術の開発・取組について             3 埼玉県の米作政策について 農林部長              (1) 世界から注目される米粉について              (2) 主食用米から米粉など加工用米への転換と生産拡大について              (3) 加工、流通と一体となった生産について             4 こども家庭庁について              (1) これまでの県の取組について 福祉部長              (2) 今後の取組について 知事             5 所沢航空発祥記念館について 都市整備部長              (1) 日本初の陸軍飛行場と、陸軍航空学校の歴史を踏まえた記念館に              (2) 航空発祥記念館でも積極的に平和教育を             6 都市計画道路越谷市役所通り線の事業化について 県土整備部長七十一番 梅澤佳一議員  1 八ッ場ダム完成後の利根川流域の治水・利水対策について 知事             2 本県のエネルギー政策の方向性について 知事             3 利根川の首都圏氾濫区域堤防強化対策とその周辺環境を活かした取組について 橋本副知事             4 本県の持続的発展を支える土地利用の推進について 都市整備部長             5 地方独立行政法人化後の県立病院の取組について 保健医療部長             6 流域下水道の将来について 下水道事業管理者             7 地元問題 県土整備部長              (1) 県道幸手久喜線の歩道整備について              (2) 県道川越栗橋線小林交差点の整備について              (3) 小林調節池整備の進捗状況、今後の見通し及び効果について          ----------------午前十時開議 出席議員    八十四名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番  七十九番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十六番  八十七番  八十八番  八十九番    九十番  九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    三名   五十九番   六十番  八十五番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △開議の宣告 ○中屋敷慎一議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △常任委員の所属変更 ○中屋敷慎一議長 まず、常任委員の所属変更の件を議題といたします。 八番 杉田茂実議員、二十三番 高木功介議員から、常任委員の所属変更の申出がありましたので、お手元に配布しておきました名簿のとおり、それぞれ所属変更することに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と言う人あり〕 ○中屋敷慎一議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。〔参照〕        常任委員所属変更名簿 議席番号  氏名   会派名   変更前委員会   変更後委員会   八番 杉田茂実  自民    県土都市整備   総務県民生活 二十三番 高木功介  自民    総務県民生活   県土都市整備          ---------------- △監査結果報告(埼玉県南部地域振興センターほか百六十八か所) ○中屋敷慎一議長 この際、報告をいたします。 監査委員から、埼玉県南部地域振興センターほか百六十八か所に対する監査結果の提出がありましたので、報告いたします。〔参照-(二二四)ページ〕          ---------------- △陳情の報告 ○中屋敷慎一議長 次に、前定例会から今定例会までに提出された陳情につきましては、一覧表をお手元に配布しておきましたので、御了承願います。          ----------------知事追加提出議案の報告 ○中屋敷慎一議長 知事から議案の追加提出がありましたので、報告いたします。 議事課長に朗読させます。       〔議事課長朗読〕 財第二百五十号  令和四年六月二十九日 埼玉県議会議長  中屋敷慎一様                        埼玉県知事  大野元裕        県議会付議議案について 本議会に付議する議案を次のとおり提出いたします。 第百六号議案 令和四年度埼玉県一般会計補正予算(第三号) ○中屋敷慎一議長 ただ今報告いたしました議案は、お手元に配布しておきましたので、御了承願います。〔参照-(一〇二)ページ〕          ---------------- △第百六号議案の上程 ○中屋敷慎一議長 知事から追加提出された第百六号議案を議題といたします。          ---------------- △知事の提案説明 ○中屋敷慎一議長 知事の説明を求めます。 大野元裕知事       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 初めに、去る六月十七日に、「令和四年度埼玉県一般会計補正予算(第一号)」の議案を御議決いただき、厚く御礼を申し上げます。 それでは、ただ今、御提案申し上げました議案につきまして、御説明いたします。 六月二日及び三日の夕方に県北部や東部地域を中心に発生した降ひょうにより、小麦やスイートコーンなどの農作物をはじめ、農業用生産施設などにも大きな被害が発生いたしました。これらの被害総額は埼玉県農業災害対策特別措置条例を適用した過去の降ひょう被害と比較をいたしましても、最大規模である約三十八億円を超えることが判明いたしました。 こうした状況を踏まえ、県では、今回の降ひょうによる災害を六月十七日に条例に基づく特別災害に指定をしたところであります。今後、一日も早い復旧に向け、市町村や県内農業協同組合等と連携しながら、被害を受けた農業者をしっかりと支援してまいります。 具体的には、傷付いた農作物の生育回復に必要な肥料代や、代替作や次期作に必要な種苗代等のほか、損壊した農業用生産施設の復旧に要する経費への補助を市町村と連携して行います。また、こうした補助に加え、農業者に対して復旧に必要な資金を支援するため、農業災害資金及び農業近代化資金の融資枠を拡大するとともに、農業者負担の無利子化を図るため、市町村と連携して利子補給を実施いたします。 さらに、今回の被害規模が甚大であることを考慮し、条例に基づく支援の対象とならない農業者に対しても、農業近代化資金の融資枠を拡大し、農業者負担の無利子化を図るため、県独自での利子補給を実施いたします。 この結果、一般会計の補正予算額は八億七千四百五十万八千円となり、既定予算とさきに御提案申し上げました補正予算第二号、そして今回の補正予算第三号を合わせた累計額は、二兆二千三百二十億八千三百二十五万九千円となります。 以上で私の説明を終わりますが、何とぞ慎重審議の上、御議決を賜りますようお願い申し上げます。          ---------------- △知事提出議案(第百六号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問 ○中屋敷慎一議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。 発言通告がありますので、順次これを許します。 三十四番 藤井健志議員       〔三十四番 藤井健志議員登壇〕(拍手起こる)
    ◆三十四番(藤井健志議員) おはようございます。さいたま市大宮区選出、自民党の藤井健志です。議長のお許しをいただきましたので、発言通告に従い、順次質問に入らせていただきます。 まず初めに、一、埼玉県の成長と発展を支えるまちづくりについて伺います。 国の国土形成計画において、さいたま市の大宮が東日本の対流拠点という位置付けがなされており、現在、略称GCS、すなわち大宮駅グランドセントラルステーション化構想や、バスタ大宮の設置検討など、具体的な取組を国とさいたま市が連携して進めております。しかし、広域的な視点を持つべき県として、積極的かつ具体的な取組がないのは残念です。確かに制度上は、埼玉県から政令市であるさいたま市に都市計画等の権限は移譲されており、県としての関わりは限定的です。 私は、大阪府と大阪市の先進的かつ具体的な連携に着目してきました。昨年十一月に設置された大阪都市計画局は、正に広域的な視点からまちづくりを府市一体で進めるために、大阪府と大阪市の都市計画部門を統合して共同で設置した組織です。大阪府の職員百二名、大阪市三十三名の職員で構成されております。権限も府に一元化されております。かつて地方分権の流れの中で、大阪市に様々な権限が移譲されましたが、都市計画の決定に関して、広域的かつ重要部分の事務を府に一元化しております。二重行政の解消や、市が持つ大規模開発のノウハウを市外に広げる狙いもあります。 現在、大阪府には二つのグランドデザインがあります。一つは、グランドデザイン・大阪です。国際競争に打ち勝つこと、便利で快適な大都市、多様な人材の集積、安心・安全などを看板として大阪市内の都市空間を創造するものです。北陸新幹線、リニア中央新幹線、関西空港などを有する新大阪駅駅前地区など六つのエリアのポテンシャルと今後の取組を提示し、具体的な計画が進められてきました。 もう一つは、大阪府内の市町村や近隣の県を包含したグランドデザイン・大阪都市圏です。二〇五〇年を目標に大きな方向性を示すものです。 そこで、知事にお伺いいたします。 埼玉県の成長と発展を支えるまちづくりについて、グランドデザイン・大阪やグランドデザイン・大阪都市圏、そして、これらを推進する組織、大阪都市計画局は二重行政の解消も含め、大いに参考とするべき点があると思いますが、御見解をお願いいたします。 ○中屋敷慎一議長 三十四番 藤井健志議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 藤井健志議員の御質問にお答え申し上げます。 大阪府と大阪市の二つのグランドデザインやそれを推進する大阪都市計画局は、大阪の成長と発展を支える取組として意欲的なものだと思います。一方で、政令指定都市の権限である都市計画行政を大阪市から大阪府に任せることは、大阪市民の住民自治に関わる問題との指摘もございます。 私は、同じ政令指定都市といっても大阪市とさいたま市では、府と県との関係や解決すべき課題、解決方法も当然違うものと考えております。重要なのは、地域の実情に応じた方法で二重行政を排して住民サービスの向上に努めることです。 県とさいたま市は、これまでも頻繁にコミュニケーションを取ることで良好な関係を築いており、様々な課題を解決してまいりました。令和二年度からは、県・市にわたる政策課題や重要施策について一層の連携、協調を図るため、トップ同士での意見交換会も開催をしております。 令和二年八月の第一回の会議では、新型コロナウイルス感染症対策について協議をし、本格的な台風シーズン到来前、コロナ禍での避難所の確保について更なる連携を図ることといたしました。また、令和三年七月の第二回の会議では、一級河川の治水対策について協議をし、災害情報の共有などを図るとともに、地下鉄七号線の延伸についても意見交換をし、中間駅周辺のまちづくりなどを推進することといたしました。 大阪の例に限らず他県の取組を参考にしつつ、本県においては引き続きこうしたトップ同士の協議や事務レベルでの調整を行い、埼玉県の成長と発展を支えるまちづくりに取り組んでまいりたいと考えます。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再質問させていただきます。 今、知事からコミュニケーションとか、トップ同士の意見交換というお話がございました。これは、より良い手法に至るまでのプロセスの話なんだと思うんですね。今、私がお話しさせていただいたのは、プロセスを経て生まれた手法、具体的な手法なんだと思います。 ただ、知事はですね、連携の重要性というのはすごく強く認識していただいていると思うんですけれども、現場で実際どうなっているかと言いますと、例えば、大宮駅グランドセントラルステーション化構想、こちらには県の職員さん参加をしていただいているんですけれども、積極的な発言がないがために参加メンバーや地元市議会議員から、大変恐縮なんですけれども「ただいるだけ」というような意見も出ているんですね。これが現実なんだと思います。 今回、私は大阪の手法、例示をさせていただいたわけなんですけれども、何かこの埼玉県らしいというかですね、埼玉県にマッチした具体的な手法、代替案、知事は何かお持ちなんでしょうか、再質問させていただきます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 先ほど申し上げましたとおり、住民自治の観点も踏まえつつ、埼玉県といたしましては、さいたま市の考え方も尊重しながら、地域の事情に応じ二重行政を排した形で住民サービスの向上に努めることといたしております。 このような中で、御質問はグランドデザインへの代替策ということかもしれませんけれども、私どもといたしましては当然考え方も、それから地域における実情も異なりますので、グランドデザインに対する代替策という、それが正確に対応するものが必要であるかどうかについても認識を持っておりません。 他方で、さいたま市におけるこの計画を、埼玉県として地域の実情に応じながら支援をすることは大変大切と考えており、そこで先ほど申し上げたように、知事と市長との間のトップ同士の意見交換も開催し、その中で地下鉄七号線の延伸などについても協議したところであります。 例えば、グランドセントラルステーションについては、地域の交通の利便性や、大宮駅を中心とした埼玉県のみならず東日本における交通の便を考えていくところ、これをまだ構想の段階ではありますけれども、県として二つ以上の市町村を、例えば、市をまたぐようなこのような地下鉄七号線のような計画などで支援することによって、さらに、利便性を高めることができますし、また、大宮の駅の周辺のにぎわいを含めて、例えば、ボールパーク構想などを含めて私どもとしては市、それから市を中心とした埼玉県全体のにぎわいを支援するなどの手法をしっかりと確立し、そして今後推進をしていきたいと考えております。 ◆三十四番(藤井健志議員) 知事、お話がありましたとおり、首長同士の連携とかをする中で、必要な課題、しっかりと改善に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。 次の質問に移ります。 二、今後の観光戦略についての(一)顧客に刺さる観光施策の推進について伺います。 観光を目的とした宿泊旅行をしているのは国民の半数にとどまり、国民の二割で市場の七割を占めるといわれております。こうしたことから、観光は規模ではなく、顧客に刺さる特徴的な魅力を作り出すことが大切だと私は考えます。各市町村全ての観光名所を平等に扱うなど均衡のとれた取組を否定はしませんが、世界を舞台に顧客に刺さる観光施策を推進するべきと考えます。 顧客に刺さるためには、とがる必要があります。私は、これまで特にこのとがる部分の成果を上げる組織として、大阪観光局を参考に本県でも観光局を創設するべきと提案してまいりました。これに対して、県は、「DMO法人の認定を受けている一般社団法人埼玉県物産観光協会を大阪観光局を参考に支援する」といった答弁でありました。しかし、その後、目立った転換はありません。 そもそも観光協会とDMOの本質には明確な違いがあると考えます。観光協会は名称のとおり、事業体の集まりといった側面があり、行動原理が事業者目線です。事業者目線は誰も反対しない取組しかできないのではないでしょうか。対して、DMOの本質は顧客目線であり、顧客に刺さることを旨とします。総花的な観光施策を推進するよりも、DMOの顧客に刺さるプロモーションや商品開発などを実施することで熱狂的な顧客を獲得できれば、高いブランド力や付加価値を得ることも可能となります。 また、埼玉県物産観光協会は一般社団法人ですが、この法人形態に問題があるとする指摘もあります。社団法人は人の集合体として会員の意見を聴くところから始めるのに対して、財団法人は基金が基軸となっています。ここでは細かく述べませんが、この違いによって財団法人であれば法人の目的に即した取組を行いやすくなります。ちなみに大阪観光局の法人形態は公益財団法人です。 そこで、質問いたします。 本年の予算特別委員会において指摘された必要な予算増額措置は当然のことながら、顧客に刺さる観光施策推進のために法人形態の見直し、さらに、改革を内外に示すための名称変更などを含め、埼玉県物産観光協会の抜本的な組織改革に向けて積極的に働き掛けるべきと考えますが、知事の答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 議員お話しの大阪観光局は、平成二十九年にDMOとなり、夜間の時間帯の特性を生かす、データに基づくマーケティングやインバウンド旅行者の交通の便を図るなどの取組を行っています。また、大阪のDMOには交通事業者や旅行事業者の現役出向者もおり、専門的な知見や経験を生かして業務を行っております。二つの国際空港を擁し、関西方面の観光のハブ拠点である大阪と本県とではおのずと異なる点はあるものの、大阪のDMOの手法はアプローチのやり方として参考にするべき点があると私も考えております。 本県におきましてもこうした取組を進めるため、観光に関連する事業者等を結び付ける経験とノウハウを持った人材や、デジタルデータの活用に優れた知見を持った専門人材の活用などを検討いたします。 一方、議員からは、法人形態の見直しや名称について御意見をいただきました。国内に約二百四十あるDMOの約八割は一般社団法人で、財団法人は全体の約一割、残りが株式会社やNPO法人となっております。一般社団法人であっても定款で示された目的に則し、地域資源を活用して顧客に刺さるとがった取組をしているDMOは数多くあり、顧客目線の取組ができるかどうかは必ずしも法人の形態と関連せず、定款に従った目的は一般社団法人は行わず、財団法人は行うという御指摘と同じとは私は考えておりません。 顧客に刺さるとがった取組を行うためには柔軟なアイデアや機動的な対応に加え、関係者を巻き込んで目標に向かっていく調整力やネットワークを持った組織となっていくことが不可欠であります。現在、県では様々な主体が参加する県観光プロモーション戦略会議を設置しております。県物産観光協会がDMOとして自立できるよう、県と協会がともにこの会議での活動を通じて多くの関係の皆様の御協力をいただきながら、議員御指摘の刺さる取組を含め、埼玉の観光振興に資する取組を進めたいと考えます。 ◆三十四番(藤井健志議員) ありがとうございます。観光施策が重要だということで御答弁をいただきました。 ただですね、ちょっと二点だけ分からないことがありましたので、まずは指摘していきたいんですけれども、人材確保というお話がございました…… ○中屋敷慎一議長 再質問でよろしいですか。 ◆三十四番(藤井健志議員) はい、再質問させていただきます。 人材確保というのはこれまでもやっていただいているので、ちょっとそれはこれまでの取組の延長上に過ぎないのかなということが一つ。それから、プロモーション戦略会議で顧客に刺さる取組を作れるのかどうか、ちょっとそれが分からないということをまず指摘をさせていただきます。 そして、抜本的な組織改革という点で再質問させていただきたいんですけれども、知事にとって外部組織ではあるんですけれども、この埼玉県物産観光協会の組織改革というのがちょっと他人事のようなお話というように聞こえるんですね。ちょっとそれは私の認識がもしかしたら違っていたら大変失礼なんですけれども、そういう意味では大阪観光局の場合は首長の明確な意思があって、その府の戦略に基づいて組織改革を行っております。 府と市、そして経済界巻き込んで七億五千万円の出資も行っているわけなんですけれども、そういう意味におきまして、もっと知事のリーダーシップを発揮していただいて組織改革をしていただきたいと思うんですけれども、御答弁お願いできますでしょうか。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 三点御質問をいただいたと理解をしております。 一点目は人材確保、二点目が戦略会議、三点目が組織改革について、三点お答え申し上げます。 一点目の人材確保は、これまでもやっているので延長線上の取組ではないかという点でございますけれども、先ほども御指摘をいただきました大阪のDMOを見ますと、交通事業者や旅行事業者の現役出向者もおり、専門的な知見を生かしていること、さらには、デジタルデータの活用に優れた人材が登用されていること、これらについては私どもも勉強させていただいて、この活用というものは延長線上であろうがなかろうが、これはやはり改善していくべき点と考えておりますので、人材登用については引き続き観光協会の強化に向けて取り組んでいきたいと思っております。 二つ目の戦略会議で作れるのかどうかという話でございますが、戦略会議では多様なステークホルダーが関わっており、そのような中では、いわゆる売り手側と買い手側、さらには、それに関わる側が参加しており、これらの意見をしっかりとぶつけていただく組織になっているかどうか、あるいは会議になっているかどうかということが問題であり、会議の形態とか、組織の問題ではないのではないかと考えております。 また、物産観光協会の組織改革については他人事ではないかという話でございますが、もしも仮にこれが財団法人か一般社団法人かということであるとすれば、私どもとしては先ほど申し上げたとおり、定款の目的を一般社団法人は実施しないということではないと思っていますので、そこについて私どもとして取り組むつもりはございませんが、他方で、この物産観光協会が所定の目的を実現するに当たって何が必要かということについては、県のリーダーシップが必要と考えております。 例えば、昨年度におきましては、私の発案で観光課長に対していわゆるVRを活用して、あるいはアニメ、こういったものを活用することによって、選挙によってアニメの大使を、春日部つくしさんとおっしゃったかな、を選考させていただくなど、そういったこれまでに我々が働き掛けてこなかった層に働き掛けることを指示をさせていただいております。 また、現時点では、私の方からも関係部局に対して売り手の論理ではなく、買い手の論理から観光を推進していくことが重要と考えており、例えば、海外の人たちが日本に来たときに、私も外国人としてよく海外に行っておりましたので、そのときにやはり見るのは首都の近郊でどういった所に数時間の間に行けるかということを、やはりまずは気にする方々が多いので、こういったその利便性を生かした取組ということを全体の総花的なもの、つまり埼玉に泊まって周遊してということも必要だけど、そちらに力を入れるということを今取り組ませていただいているところであり、私としても御指摘のとおり、知事としてのリーダーシップを引き続き発揮していきたいと考えております。 ◆三十四番(藤井健志議員) 次の質問にいきます。 (二)観光インフラの整備について伺います。 大宮駅西口に埼玉県物産観光館「そぴあ」があり、県内の土産品を販売しております。しかし、この「そぴあ」は多くの課題を抱えていると考えております。コロナ以前から年々その売上げは減少の一途であります。しかも日曜日には閉店しております。以前、日曜休館の理由を尋ねたところ、駅から離れた場所に立地しており、日曜日に人は来ないというもので大変驚きました。そんなものが観光館と呼べるのでしょうか。 一方、さいたま市は反対口の大宮駅東口に「まるまるひがしにほん」を設置し、物産品を扱ったりしております。埼玉県が西口、さいたま市が東口、こうしたばらばらな状態は顧客目線とは程遠く、かつ二重行政の極みともいわれております。 今、大宮では、先ほども少し触れましたけれども、駅前広場と隣接するまちづくり、そして駅機能の更なる高度化、GCS化構想に取り組んでおります。この機会を捉えて、新たな観光インフラを県・市一体となって検討する必要があるのではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 GCS、すなわち大宮駅及び周辺のまちづくり、生まれ変わりに向けた取組を契機として、さいたま市との連携を図りながら新たな観光のインフラ設置に向けて検討するべきと考えますが、産業労働部長の御認識をお伺いいたします。       〔板東博之産業労働部長登壇〕 ◎板東博之産業労働部長 藤井健志議員の御質問にお答え申し上げます。 大宮駅は新幹線六路線、在来線七路線が乗り入れ、一日約五十二万人が利用する日本屈指のターミナル駅で、東日本の交通の要衝です。現在、さいたま市は、大宮駅グランドセントラルステーション化構想により、駅前広場を中心とした交通基盤整備やまちづくり、乗換改善など駅機能の高度化を進めております。さらに、駅周辺で高速バスターミナルの整備を行うバスタプロジェクトも検討されていると伺っております。駅の利便性や駅周辺の魅力が、今後更に高まることが期待されるところであり、これを契機に大宮駅を埼玉県の観光振興に積極的に活用したいと考えております。 一方で、大宮駅を利用されている方の多くは埼玉県在住・在勤の方であることから、県外の方に向けてPRを行うためには工夫が必要であると考えます。氷川神社や鉄道博物館、大宮盆栽美術館などの観光資源に加えて、魅力的なショッピングやグルメを楽しむ都市型観光地としての可能性や大宮を宿泊地として県内観光を行うなど、埼玉観光のハブ拠点となる可能性もあると考えております。 大宮駅に関する構想は長期的なものであり、構想と連動したさいたま市の観光に関する具体的検討はこれからと伺っております。大宮駅を活用した観光振興につきましては、さいたま市に連携を働き掛け、今後の大宮駅のポテンシャルをしっかりと見極めながら、ソフト、ハードの両面から検討してまいります。 ◆三十四番(藤井健志議員) これまでの答弁と比較すると、前向きな答弁をいただけたのかなと思います。 次の質問に移ります。 三、災害から命を守る取組の推進の(一)帰宅困難者対策についてでございます。 埼玉県地域防災計画によれば、大規模地震が発生し公共交通機関が停止した場合、約百二十二万人の埼玉県民が帰宅できず、地域に戻れなくなるとされております。また、埼玉県内には六十七万人の帰宅困難者が発生すると見込まれております。 地震直後は落下物や火災に巻き込まれるなどの危険性、主要駅などでの混乱などが懸念されております。したがって、大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドラインに基づき、むやみに移動を開始しない一斉帰宅抑制を周知徹底するとともに、企業や学校、主要駅周辺での一時滞在施設の確保など、安心してとどまれるための取組を実施することとなっております。 そこで、以下、二点確認していきたいと思います。 ア、一斉帰宅抑制について伺います。 本県における一斉帰宅抑制について認知の状況はどのようになっているのか、危機管理防災部長にお伺いいたします。       〔三須康男危機管理防災部長登壇〕 ◎三須康男危機管理防災部長 藤井健志議員の御質問にお答え申し上げます。 議員の御指摘にもございましたが、大規模地震の発生直後は多くの人が混乱に陥って二次被害の発生、災害応急対応に支障が生じる危険性もあるため、この一斉帰宅を抑制する取組は非常に重要であります。県は、これまで近隣都県、市町村、企業や鉄道事業者などと連携しまして、その周知、普及に取り組んでまいりました。 一斉帰宅抑制の認知の状況につきましては、国が令和三年に実施したアンケート調査では、埼玉県内でその言葉を知っている人は約五〇パーセント、内容まで理解をしている人は約三六パーセントとなっております。 引き続き、今後も様々な機会を捉えまして、一斉帰宅抑制の周知に丁寧に取り組んでまいります。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再質問いたします。 理解している人が三六パーセントということなんですけれども、これは極めて低い数字だと思います。しっかりやる必要があるんですけれども、今、部長からお話がありましたとおり、企業での取組ということをお話をされておりました。従業員の災害時の帰宅ルール、定めたりすることがすごく重要だというふうにいわれているんですけれども、これ本県でももちろんしっかりやっていただかなくちゃいけないということは認識していただいていると思うんですが、と同時にですね、埼玉県民が他の都県で働いていることを考えれば、他の都県でも同様に、この企業等に対する周知というのはしっかりやっていただかなくてはならないというふうに考えております。 そういう意味では、九都県市首脳会議などで広域的に共通の認識、課題に対する共通の認識を持っていただいて同じように取り組んでいただく、こういったことが必要だと思うんですけれども、危機管理防災部長の答弁をお願いいたします。       〔三須康男危機管理防災部長登壇〕 ◎三須康男危機管理防災部長 再質問にお答え申し上げます。 帰宅困難者の対策は、広域的に首都圏一体となって取り組むべき共通の大きな課題であると捉えております。そういった意味でも、今お話をいただきました九都県市の場で協議をするというのは非常に有意義であると考えます。 現在、啓発用の共通リーフレットによる周知・啓発のほか、コンビニエンスストアやガソリンスタンドなどと協定を締結しまして、帰宅支援などの取組を行っているところでございます。 今後は、企業に対する働き掛けにつきましても、この九都県市の場を活用しながら、しっかり近隣都県で協議をしてまいりたいと思っています。 ◆三十四番(藤井健志議員) 次に、イ、一時滞在施設や備蓄の確保状況について伺います。 東京都が首都直下地震等による被害想定を十年ぶりに見直しました。それによると、多くの人が避難所等に訪れると備蓄物資が早期に枯渇する可能性があるとしております。しかし、それでは県民の安心と安全が十分に確保されません。 本県及び本県以外の都県における一時滞在施設や備蓄の充足の状況はどのようになっているのか、危機管理防災部長にお伺いいたします。       〔三須康男危機管理防災部長登壇〕 ◎三須康男危機管理防災部長 御質問にお答え申し上げます。 まず、一時滞在施設につきましては、勤め先や学校にとどまれない方や、買物等で街なかに訪れた方が帰宅困難となった場合に、一時的に受け入れるための施設でございます。そのため、充足という考え方では整備しておりませんけれども、埼玉県では令和三年十一月一日現在で二百二十八か所、あと例えば、東京都では令和四年一月一日現在で一千百五十五か所、原則市区町村によって確保されております。 また、帰宅困難者向けの備蓄につきましては、企業や一時滞在施設それぞれが行うこととされておりまして、なかなか全体の充足の状況を把握できておりませんが、国の調査によれば一都三県と茨城県の企業のうち、三日分の飲料水を備蓄している割合は約六七パーセント、食料については約六二パーセントとなっております。 なお埼玉県では、県内の企業や一時滞在施設において備蓄物資が不足した場合に備えまして、県内五か所ある防災基地に帰宅困難者用の備蓄食料として八十六万食を確保しております。埼玉県から多くの県民が行き来しております東京都においても、同様の考え方で備蓄物資を確保して対応するものと伺っております。 引き続き、市町村とも連携しながら一時滞在施設の確保に努めるとともに、帰宅困難者に必要な物資が必要なときに適切に届くよう備えてまいります。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再質問いたします。 さきの質問で扱いましたけれども、一斉帰宅抑制というのを呼び掛けるんですよね。でしたら、この備蓄や一時滞在施設の確保というのはちゃんとやらなければいけないんだと思います。この施設や備蓄が足りるのか、より詳細な実態把握に努めるとともに、確保に向けて更に取り組むべきと考えます。 また、東京都や他の都県でも足りているか足りていないかちょっと分からない状態というか曖昧にするんじゃなくて、県民の安心を守る、安全を守る、そういったことをしっかり主張していただきたい、このように考えます。 さきの一斉帰宅抑制と同様にですね、九都県市等でしっかりと議題として取り上げられるべき課題だというふうに考えておりますけれども、危機管理防災部長の答弁をお願いいたします。       〔三須康男危機管理防災部長登壇〕 ◎三須康男危機管理防災部長 再質問にお答え申し上げます。 東京都内、あるいは他の県内で発生した帰宅困難者への対応というのは、基本的にはその自治体が実施することになります。例えば、先ほどの埼玉県内の例で言えば、県内の一時滞在施設で備蓄物資が不足した場合は、防災基地から提供するということを申し上げました。 大事なのはですね、各自治体が近隣都県の状況を、御指摘にもありましたように把握をした上で、これをよく理解した上で、それぞれの役割をより充実させていくことだと思います。そうすることで、いわゆる埼玉都民も含めて広く住民の安心・安全の確保につながるものと考えます。 帰宅困難者対策は首都圏共通の課題でございますので、一時滞在施設や備蓄の確保について御指摘のあった九都県市の場はもちろんですが、今いろいろ、埼玉と東京の連携会議という場もございます。そこの部会も通じましてお声掛けをさせていただいて、しっかりお話のそ上に載っけてですね、一緒になって取り組んでいきたいと思っています。 ◆三十四番(藤井健志議員) 安心・安全のために、是非しっかりと努めていただきたいと思います。 次に移ります。 (二)平成十二年耐震基準前の住宅の耐震化促進について伺います。 本県では、埼玉県建築物耐震改修促進計画において、昭和五十六年五月三十一日以前に工事着手し建築された、いわゆる旧耐震基準の建築物の耐震化を図ることで、住宅の被害の軽減化対策を進めております。 確かに昭和五十六年六月以降の新耐震基準における建築物は、比較的地震に対して安全だといわれております。しかし、それは鉄筋コンクリート造などの一部の建物のことで、木造建築には課題があるとされていました。そこで、平成十二年に建築基準法が改正され、より安全な平成十二年耐震基準として筋交いの接合金物などが規定され、耐力壁の配置バランスが明確化されました。 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が建築防災協会の一般診断法に基づき、平成十二年以前の新耐震基準住宅一万四千二百二十四軒の耐震診断を行っておりますが、これによると九千百四十六軒の住宅において倒壊する可能性が高いとされ、その割合は実に六四・三パーセントを占めております。 国は、住宅の耐震化に向けて耐震診断及び補強工事に対して補助事業を実施しております。しかし、国からの補助を受けるには地方公共団体の補助が必要となっており、本県で実施している市町村は久喜、越谷、狭山の三市のみです。対して、千葉県では県独自の補助を実施しており、十四市において補助制度を実施しております。 そこで、質問いたします。 県民の命と財産を守るため、住宅の耐震化をより一層進める必要があります。平成十二年耐震基準前の住宅も耐震化を進めることによって被害軽減効果を得られることは明確であります。埼玉県として市町村の取組を後押しするため、住宅の診断及び補強工事について県の補助を実施するべきと考えますが、都市整備部長の御見解をお伺いいたします。       〔村田暁俊都市整備部長登壇〕 ◎村田暁俊都市整備部長 藤井健志議員の御質問にお答え申し上げます。 昭和五十六年五月以前のいわゆる旧耐震基準建築物の耐震化は、埼玉県建築物耐震改修促進計画に基づき、県と市町村が役割を分担し、連携しながら取り組んでいます。県は、広域行政を担う立場として、大規模建築物や震災時の活動上、重要な輸送道路沿道の建築物の耐震化を進めております。県が管轄する重要な輸送道路沿道の建築物は、令和三年度末時点で残り十七棟まで耐震化が進んでおります。一方、住民に身近な存在である市町村は住宅の耐震化を進めており、六十一市町に補助制度があります。 旧耐震基準で耐震化されていない木造住宅は、令和三年度末時点で約十六万戸残っておりまして、市町村にとって喫緊の課題でございます。実際に、平成二十八年熊本地震でも旧耐震基準の木造建物は半数近くの四五・七パーセントが大破又は倒壊しており、優先的に対策を講ずる必要がございます。さらに、熊本地震では、平成十二年耐震基準前の木造建物も一八・四パーセントが大破又は倒壊しました。議員御指摘のとおり、こちらの対応も必要なことは十分認識をしております。 県としては、この課題を広く市町村と共有し、市町村の無料耐震診断や補助対象を平成十二年耐震基準前まで拡大するよう働き掛けてまいります。また、技術職員がいない市町村を補完する目的で県が実施をしております無料耐震診断の対象も、同様に拡大するよう検討いたします。 ◆三十四番(藤井健志議員) 命と財産を守る取組だと思いますので、県単補助について今後の課題としてしっかり認識していただければと思いまして、次の質問に移ります。 四、順天堂大学附属病院の整備についての(一)整備に向けたスケジュールについて伺います。 順天堂大学附属病院の浦和美園地区への整備は、医療審議会が平成二十七年三月に整備計画の承認を答申し、事業が進められてきました。しかしながら、順天堂大学側の一方的な計画変更により遅れが生じ、昨年十二月には同大学から病院計画変更申請書が提出されました。県は、当該申請書について医療審議会に諮問したところ、一、令和九年までに八百床を開設すること、二、令和四年度中から医師派遣をすることの二点について、同大学側に確認がなされ、本年四月の医療審議会に、この二点の確認事項について従う旨の回答があったところです。 そこで、知事にお伺いいたします。 まず、令和九年までの八百床開設を同大学が受け入れましたが、この計画変更には基本設計、実施設計、工期など多くの変更を伴うもので、全体の計画スケジュールを示して初めて実現可能性が確認できるものであります。病院変更計画の更なる変更申請書は提出されているのか、確認をさせていただきます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 令和三年十二月に順天堂大学から提出された病院の整備計画の変更を医療審議会に諮問したところ、医療審議会からは二度にわたり、順天堂大学に対し開院時期の更なる前倒し及び医師派遣の早期実現についての求めがありました。これに対し、順天堂大学からは令和四年四月に、令和九年内に八百床を開院すること及び令和四年度中に医師派遣を実施することについて、書面にて回答がございました。 この回答を踏まえ、令和四年四月の医療審議会において改めて病院の整備計画の変更を諮問したところ、令和九年までに八百床の病院を開院すること、令和四年度中に医師派遣を開始することなどを条件として、変更申請は適当であるとの答申を受けたことから、県としても条件付きで整備計画の変更を承認したところでございます。 これを受け、順天堂大学から令和四年五月に、変更後の全体の計画スケジュールを含む病院の整備計画変更申請書が提出されました。議員御質問の病院の変更計画変更申請書という話がございましたが、整備計画の変更申請書というのであれば、このように提出をされてございます。 変更後の計画におきましては、基本設計を令和五年一月から十二月まで実施し、その後、実施設計を令和六年一月から令和七年三月まで行った後、建設工事を令和七年四月から着工、令和九年十一月に開院となっております。こうしたスケジュールを前提に現在、順天堂大学では、来年一月から開始するとされている基本設計の準備が進められているというふうに承っております。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再質問させていただきます。 先ほども指摘をさせていただいたんですけれども、平らな言い方をしてしまうと、これ一回約束がほごにされている状況でございますので、しっかりと詳細な確認をしていく必要があると思うんですけれども、これ具体的な事業のスケジュールというのは示されているのでしょうか、再質問させていただきます。知事にお願いします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 議員の再質問にお答え申し上げます。 先ほど申し上げました整備計画の変更申請書におきましては、変更の全体の計画が変わることに関わるものでございますので、スケジュールにつきまして先ほど申し上げたとおり、基本設計を令和五年一月から十二月まで、その後の実施設計を令和六年一月から令和七年三月まで行った後、建設工事を令和七年四月から着工し、令和九年十一月に開院するというスケジュールが提出をされているところでございます。 ◆三十四番(藤井健志議員) もうちょっと具体的なスケジュールが出ているかということで趣旨でお聞きしたんですけれども、是非出ているのであれば議会にも共有を図っていただきたいと思います。 次の質問に移ります。 (二)医師派遣の具体的内容について伺います。 本年度中の医師派遣が行われるとのことですが、医師派遣を行ったことのない順天堂大学で対応が可能なのか疑問が残ります。また、例えば、外科医一人だけ派遣されたことによって、県内医師派遣協力を可とするようなことがないようにしていただきたいと考えております。 県内各地域には医療偏在、診療科偏在など医師不足の状況に見合う派遣を要請していただいて、それに伴う対応を実行してもらってこそ初めて医師派遣の実施がなされたものと考えます。そこで、県の示す医師派遣の具体的実施内容について、知事にお伺いしたいと思います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 県では、人口十万人当たりの医師数が県平均以下など相対的に医師数の少ない地域を特定地域と定め、地域枠奨学金貸与者に義務年限中に勤務いただくなど、勤務医の地域偏在解消を図っているところであります。これらの対策の一つとして、今回の順天堂大学からの医師派遣を位置付けており、派遣先としては、まずは医師の確保が困難な地域において中心的な役割を担う公立・公的病院とすることを考えております。 現在、県では順天堂大学からの医師派遣を希望する公立・公的病院に対し、派遣を希望する診療科や派遣者数などの要望を聞き取り、その情報を順天堂大学に伝え、医師派遣が円滑に進むよう協議の場を設定しております。まずは、医療審議会が付した条件を踏まえ、受入れを希望する特定地域の公立・公的病院に対し、今年度中に要望に応じ適切に医師が派遣されるよう、県として順天堂大学に要望したいと考えております。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再質問させていただきます。 今、知事から答弁いただきましたけれども、具体的な医師の派遣の人数、規模感ですね、こちらについてはどのようになっているのか、再質問させていただきます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 派遣の人数、規模感に関してでございます。 先ほど申し上げたとおり、現在、順天堂大学と派遣を希望する病院との間で、医師派遣の実現に向けた協議を開始しております。協議では、派遣を希望する診療科やその中で付す優先順位などのほか、経験年数やスキル、あるいは待遇面等の勤務条件まで細部にわたりマッチングを行っているところであります。 医療審議会の答申では、年度内の医師派遣が条件となっていますが、派遣を希望する病院側の要望に適切に応えるマッチングを実現するためには、順天堂大学の努力はもとより、受入病院側の環境づくりも必要になることから、現時点で県が今年度派遣できる医師数を見込むことは困難でございます。 県としては、医師派遣を計画的、継続的に行うことを求めており、御質問の規模感がその後も含めるとすれば、受入病院側との調整も含め、その後の計画的、継続的派遣も円滑にしていくべく努力をしてまいりたいと考えます。          ---------------- △休憩の宣告 ○中屋敷慎一議長 暫時、休憩いたします。なお、再開は十一時八分とさせていただきます。午前十時五十六分休憩          ----------------午前十一時八分再開 出席議員    八十四名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番  七十九番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十六番  八十七番  八十八番  八十九番    九十番  九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    三名   五十九番   六十番  八十五番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○中屋敷慎一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○中屋敷慎一議長 質疑質問を続行いたします。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再々質問させていただきます。 知事は、今の取組の状況等をお話しいただきまして、人数とか規模はこれからだという趣旨の答弁だったと思うんですが、県は整備費の補助、これ二分の一というふうに聞いているんですけれども、整備費の補助であったり、土地の無償提供など多額の予算をこれから投じることになるというふうに思うんですね。でしたら財政負担、県の財政負担に見合った医師不足がしっかりと解消されるべきだというふうに思うんですよ。もちろん順天堂大学のこの当該の取組によって、全ての医師不足が解消されるわけではないということは承知はしているんですけれども、財政負担に見合った医師不足を解消すべきだというふうに思うんです。 したがいまして、医師派遣の数値目標であったり、指標であったり、そういったものをしっかり持つべきだというふうに考えるんですけれども、知事の御答弁をお願いしたいと思います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再々質問にお答え申し上げます。 順天堂大学の新規建設につきましては、医師派遣が大きな目的の一つではございますが、それのみではないことをまず確認をした上で御答弁させていただきますが、医療審議会の答申では、年度内の医師派遣が条件となっておりますが、人数については付されておりません。 また現在、受け入れる側の病院の派遣の希望について聴取をしているところであり、今後の調整の中で適切な派遣を希望する医師数や、あるいは診療科等が明らかになっていくと思いますので、その段階で目標が見えてくるものと思います。 ◆三十四番(藤井健志議員) 県民の税金投入されておりますので、しっかりそこは追及していただきたいと思います。 次にいきます。 五、県営住宅の入居者ニーズを踏まえた利便性向上をについて伺います。 県営住宅は現在三百三十四団地、約二万七千戸ありますけれども、世帯全員が六十五歳以上のところが四〇パーセントを超えています。こうした高齢化などを背景に駐車場需要が低下する傾向にあり、空き区画が全体で約二千区画、全体の約二〇パーセントを占めるようです。 先日、県営住宅の自治会長から来訪者用のコインパーキングを整備してほしいとの要望をいただきました。また、県営住宅の中には駐車場を備えていない団地もあり、お年寄りの入居者を訪問する家族などのために来訪者用の駐車場が欲しいという声もあるようです。 そこで提案したいのが、コインパーキング等の導入です。民間事業者によって県営住宅内の空きスペース又は空き区画にコインパーキングを設置することで、自治会による来訪者用駐車場管理の負担がなくなります。また、駐車場のない団地にとっては、お年寄りの入居者の家族、あるいは訪問介護など来訪者が訪れやすい環境となります。さらに、民間事業者からは賃料収入などを得ることもできます。 他の自治体では既にコインパーキング事業、インターネットによる予約駐車場サービス、カーシェアリング事業などを実施しているところが多数あり、好評を得ているとのことでございます。また、余剰スペースを活用した店舗等の設置について、こちらは既に東宮下団地において事例があるようですけれども、要望をいただいております。 それぞれの事情や地域性などを考慮し、自治会等にニーズを聞くことも大切だと思います。しかし、しっかりと検討を進めていくことも重要だと考えます。 そこで、質問します。 民間事業者との連携により、県営住宅敷地内におけるコインパーキング等の設置について、ニーズの的確な把握の下、入居者、家族、周辺住民の利便性の向上、さらには、経営の観点から整備に向けて検討を進めるべきと考えますが、都市整備部長の答弁をお願いいたします。       〔村田暁俊都市整備部長登壇〕 ◎村田暁俊都市整備部長 御質問にお答え申し上げます。 国の補助金を受けて整備した県営住宅の駐車場などは、公営住宅法により入居者のために必要な施設として位置付けられており、入居者以外の者のために活用するには国との協議が必要となります。一方、本格的な少子高齢社会の到来を踏まえると、議員お話しのとおり、これからの県営住宅は入居者やその御家族の利便性の向上と地域への貢献を図っていくことが重要です。また、未利用の財産を活用して新たな収入を確保していくことは、経営の観点からも必要であると考えます。 県では、これまでも県営住宅の建替えに伴い生じた余剰地を活用し、地域貢献の観点から、民間事業者との協働により高齢者施設や子育て施設を導入してまいりました。具体的には、大宮東宮下団地では地域密着型介護サービスを導入し、大宮植竹団地では認可保育所を整備しています。また、高齢入居者の利便性を向上させるため、近隣にスーパーなどがない十八団地において民間事業者による移動販売サービスを導入してまいりました。 議員御提案のコインパーキングなどの設置について、まずは団地自治会にアンケート調査やヒアリングを実施し、ニーズを的確に把握してまいります。その上で、活用可能な財産を把握するとともに、民間事業者との連携の可能性を調査し、コインパーキングなどの導入に向けた検討を進めてまいります。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再質問いたします。 かなり前向きな答弁いただきまして、ありがとうございます。 この事業なんですけれども、余り財源を必要とせずにできるんだと思うんですね。もちろんニーズの的確な把握をしていただくとともに、どうやって事業者を募るか、そういった検討はしていただく必要があると思うんですけれども、スピード感をもってやっていただくことができるんじゃないかなと思っているんですが、スケジュール的にできれば是非もうすぐにでもニーズ調査など始めていただきたいと思うんですが、どのようにお考えなのか、都市整備部長のお考えをお聞きしたいと思います。       〔村田暁俊都市整備部長登壇〕 ◎村田暁俊都市整備部長 再質問にお答え申し上げます。 県営住宅の未利用財産の活用の一方策として重要な視点をいただきました。実現可能性の調査、あるいはニーズ調査につきましては、できるだけ早く取組を始めたいと考えております。 ◆三十四番(藤井健志議員) 次の質問にいきます。 六、県立学校の再編整備と有効活用についての(一)県立高校の「再編整備の進め方」について伺います。 県立高校百三十四校の生徒数のピークと現在の生徒数を比較してみました。紙があるんですけれども、皆さんにおかれましては、サイドブックスの方に資料を掲載させていただきましたので、併せて御覧いただければと思います。 県立高校の全体の生徒数のピークは平成元年です。各学校のピークはばらつきがあると見込まれますが、単純にピークの平成元年と直近データの令和三年度を比べてみました。ピークの平成元年は総計十六万九千九百七十六人、令和三年度は十万一千三百七十一人となっております。平均で実に四割強もの生徒数が減少している現実があります。 一方、県教育委員会は、平成三十年に公表した再編整備の進め方で、令和十一年三月までに現在の百三十四校を最大十三校、すなわち一割程度減らすとしています。既に四割もの生徒が減少し、更に減ることが見込まれている一方、再編整備は一割にとどまります。 再編整備は適正な学校規模の維持に加えて、地域や社会ニーズへの対応や近隣の高校の設置状況が加味されていることは承知しておりますが、生徒数の減少、そして、学校施設の本来のキャパシティを鑑みると、現在の取組でよいのか大いに疑問があります。 そこで、質問いたします。 県立高校の魅力を高める取組の必要性は論を待ちませんが、現実を直視した場合、残念なことではありますけれども、再編整備を更に進めていかなくてはならない状況であると考えます。学校経営や行政財産の有効活用の観点からも再編整備に係る計画を見直すべきと考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 藤井健志議員の御質問にお答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、県立高校の生徒数はピーク時の平成元年から大きく減少してきております。県では、これまで平成十一年度に「二十一世紀いきいきハイスクール推進計画」を策定し、当時百五十三校あった全日制高校を平成二十五年度までに百三十四校に再編してまいりました。また、平成三十年四月には新たに「魅力ある県立高校づくりの実施方策策定に向けて」を策定し、令和十一年四月をめどに、更に百二十一校から百二十四校程度とする再編に取り組んでいるところです。 他方、この間、法令で定める一学級当たりの標準生徒数が四十五人から四十人に改められ、また、複数の教室に分かれて授業を受ける選択科目の増加などにより、必要となる教室数が従来とは異なる状況も生じています。さらには、学校の再編整備に当たっては、地域の学びの場の確保や通学の利便性など様々な観点を考慮しながら、丁寧に対応していくことが必要と考えます。 こうしたことから、学校の再編整備の規模は、単に生徒数の減少に比例して考えるのではなく、生徒のより良い学習環境の整備という観点から考えてきたところでございます。県といたしましては、現在取り組んでいる再編整備を着実に実施するとともに、令和十一年度以降の更なる生徒数減少を見据えた次の再編整備についても検討に着手し、魅力ある高校づくりを推進してまいります。 ◆三十四番(藤井健志議員) 御答弁ありがとうございます。 先ほど話したとおり、どんどん学校を減らしてほしいという趣旨じゃなくて、現実を直視してしっかりと取り組んでいただきたい、こういった意味で質問させていただきました。 次の質問に移ります。 (二)転用教室の活用について伺います。 こちらも資料ありますけれども、サイドブックスの方に資料ございますので、併せて御覧をいただければと思います。 この資料の中で、普通教室数と実学級数とか記載がありますけれども、普通教室数から実学級数を差し引いた数が転用教室数です。転用教室は選択講義室や多目的室、実習室、自習室などに活用されるようですが、転用教室がゼロの学校がある一方で、普通教室数のうち六割が転用教室という学校もあるようです。ここで言及しませんけれども、表の中を見ていただければ分かると思います。 そこで、お聞きいたします。 学校ごとにばらつきはあるとは思いますけれども、積極的に活用されていない教室があるように思えます。各学校の転用教室が実際どのように活用されているか具体的に把握できているのか、教育長にお伺いします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 御質問にお答え申し上げます。 県では毎年度、各学校の施設の実態調査を実施しており、その中で普通教室の使用状況についても把握をしております。令和三年度の調査結果では、全日制の県立高校百三十四校の全普通教室は三千四百三十四教室あり、そのうち二千七百五十二教室がホームルームとして使用され、残り約二割の六百八十二教室はそれ以外の教育目的の用途に活用されております。 具体的な活用例ですが、議員お話しのとおり、生徒のニーズに応じた選択科目の授業を行うための教室や、生徒の自主的な学習のための自習室として活用されております。また、そのほかにも例えば、数学や英語などの教科で、生徒の習熟度に応じたきめ細かな指導を行うためにグループ別に分けて授業を行うための教室、進路や学校生活に関する相談室など、教育活動全般に有効に活用されております。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再質問します。 転用教室の活用については、更なる実態把握に努め、適切な活用について検討を進めるべきと考えますが、教育長のお考えをお聞きします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 限られた教育施設を最大限有効に活用することは、大変重要なことと考えております。そのため、今後は使用頻度なども含めまして、より詳細な実態把握に努め、その結果を踏まえて有効な活用方法を検討してまいります。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再々質問いたします。 今、活用を進めるという答弁いただきましたけれども、これの活用を進めるに当たり、その負担を学校とか、現場の先生方に押し付けるのは私の質問の趣旨ではございません。 経産省とかの議論を聞いておりますと、そういう空き教室については、例えばカフェとか、レストランとか、学習補助教室など民間事業者と連携をして地域も経済も元気にする方策について検討しているというふうにお聞きしております。既に事例もあるようです。 このように、公民連携の手法を視野に入れた幅広い検討を県教育委員会が主体となって検討するべきと考えますけれども、教育長の御見解をお伺いしたいと思います。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再々質問にお答え申し上げます。 県立高校はそれぞれの学校の方針に従いまして教育活動を行っており、また、学校の立地条件や施設の状況も様々でございます。そのため、普通教室をどのように有効活用していくのかということにつきましては、まずは各学校でそれぞれの方針に基づいて検討する必要があると考えております。 ただ今の、例えばカフェにという御提案をいただきましたけれども、さいたま桜高等学園、特別支援学校がございますけれども、特別支援学校四校では構内に生徒が活用するカフェを設置しております。このカフェは生徒の社会的自立を育む教育の一環として設置をされたものでありまして、地域との交流を図る良い場にもなっております。 民間企業が運営するカフェなどを教室に設置するということは、教育的な効果とともに学校管理上の観点も踏まえる必要があるかと存じます。その上で県といたしましても、生徒にとってより良い活用ができないか、あるいは、地域にとっても有益な活用方法がないかなど施設の効果的、効率的活用といった観点から、学校とともに教育委員会が積極的に関わりながら検討を進めていきます。 ◆三十四番(藤井健志議員) 次に、(三)再編整備後の活用策について伺います。 生徒が減少する一方で、以前から指摘しているとおり、特別支援学校の需要は高く、速やかな整備が求められております。また、不登校特例校あるいは国際バカロレア認定校なども、高い需要があるのではないかと考えます。 そこで、お伺いします。 県民のニーズを的確に捉え、速やかに特別支援学校や不登校特例校などへ転換を図るべきと考えます。もちろん変革のために関係者との丁寧な対話は必要ですが、改革に手をこまねいている状況ではありません。教育長の御見解をお伺いします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、特別支援学校の過密状況の解消や不登校児童生徒の支援などは、大変重要な課題と受け止めております。 こうした課題に対応するため、例えば、高校内の施設を活用して特別支援学校の分校を整備するとともに、再編整備後の高校の活用策として、新たな特別支援学校の設置なども行ってまいりました。一方で、再編整備後のより効果的な活用策も幅広く検討する中で、総合教育センターや衛生研究所といった県の機関の設置や地元自治体への売却など、県行政全般や地域における活用なども行ってきたところでございます。 再編整備後の学校施設をどのように活用するかは、その地域にとっても大きな影響があることから、地域の皆様の御意見を伺うことも大変重要と考えます。再編整備後の学校施設は県にとっても、地域にとっても貴重な財産でありますので、地域の皆様はもとより、広く県民の皆様に御理解いただけるよう、効果的な活用策についてしっかりと検討してまいります。 ◆三十四番(藤井健志議員) 再質問させていただきます。 私もあまりこういう答弁聞きたくないんですけれども、スケジュール感についての何か具体的なものが全く見えない答弁であったと思います。 生徒の減少率が高く、どんどん少なくなっている。しかも学校同士が近接している学校もあると思うんですけれども、具体的な検討はされているんでしょうか。教育長の御見解をお願いします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 現在、令和十一年度をめどに再編整備を進めているところでございますので、その後の再編整備につきましても速やかに検討に着手して、議員の御指摘も踏まえてしっかり対応してまいります。 ◆三十四番(藤井健志議員) 次にいきます。 七、世界かんがい施設遺産にふさわしい「見沼代用水」の景観をについて伺います。 約三百年前に建設された見沼代用水は歴史的価値が極めて高く、まだ皆さんの記憶に鮮明だと思いますが、令和元年九月には世界かんがい施設遺産に登録されました。世界に誇れる用水路です。 しかし、見沼代用水が偉大なる歴史資産として引き継がれるためには、乗り越えていかなくてはならない課題が存在します。管理者である見沼代用水土地改良区のミッションは、あくまで農業のために用水を管理することです。農地所有者や耕作者等の減少に伴い財源も不足する中、農業用水として使われていない区間も含めた全流域を管理することは、必要な区域に管理が行き届かないばかりでなく、重い負担になっております。 農業用水路として役割を終えた部分については、市町に管理主体を変更するべきと考えます。あるいは管理主体が変更されないまま土地改良区が管理を継続するのであれば、市町の賦課金の増額又は埼玉県による財政支援が必要になってまいります。本来は、誰が主体的に管理者となって維持管理するべきなのか、埼玉県がイニシアチブをとる中でしっかり真剣に議論し、結論を出すべき時期が到来していると考えます。 また、水路をきれいに保つばかりでなく、殺風景な鉄条網の更新、道路の改良、街路灯の設置、自然と調和する癒しの空間の創出など、本来の農業用水以外の機能についても改善への期待が更に高まっています。 そこで、質問します。 世界かんがい施設遺産にふさわしい見沼代用水の景観を創造するため、適切な維持管理、あるいは設備投資、さらには、必要な財源等について広域行政を担う埼玉県が十七市町や見沼代用水土地改良区と連携を図り、保全と発展の観点から長期ビジョンを策定するべきと考えます。農林部長の御見解をお伺いします。       〔小畑幹農林部長登壇〕 ◎小畑幹農林部長 藤井健志議員の御質問にお答え申し上げます。 見沼代用水は、見沼元圦公園や見沼通船堀など豊富な地域資源を有する県下最大級の農業用水であります。その反面、維持管理や農業用水以外の機能に関することなど、様々な課題や地域からの要望があることは、議員御指摘のとおりです。 県といたしましては、見沼代用水に関する課題の一つである緑のヘルシーロードなど、水路沿線の遊歩道の管理を主要なテーマとして、土地改良区、水資源機構及び見沼代用水沿線の十一市町を構成員とした見沼代用水環境整備連絡協議会で検討してまいりました。 見沼代用水を様々な角度から捉え、より広い関係者が共通認識をもって今後の在り方を検討していくことは非常に重要です。このため、今後はこの協議会員に加え、水路沿線ではないものの農業用水の供給先である六市町も含めた関係者の意見を集約できる方法を検討し、可能な限り幅広く議論していきたいと考えます。 土地改良区や関係市町と連携し、見沼代用水が偉大な歴史遺産として次の世代に引き継がれていけるよう、見沼代用水の在り方を示す長期ビジョン策定に向けた取組を進めてまいります。 ◆三十四番(藤井健志議員) 最後の質問に進みます。 八、随意契約の公表について伺います。 行政機関の調達は地方自治法などにのっとり、一般競争入札が原則となっております。しかし、緊急を要する場合などは、例外的に随意契約を選択できることとなっております。もちろん、こうした場合の随意契約を否定するものではありませんが、経済的合理性は働きにくいとされております。 コロナ禍においては随意契約が数多くありました。一つ、私にとって印象深いものがあります。クラスター対策のためのPCR検査が、適正とは思えない単価九千九百円という高額で調達されておりました。随意契約です。 福祉保健医療委員会において、最少の費用で最大の効果を上げるよう附帯決議によって厳しく指摘したことにより、指摘後は従前が単価九千九百円だったものが最大三千五十八円まで引き下げられ、全体の削減効果は約二十二億円という額に上りました。 随意契約という経済的合理性が機能しにくい中で減額の成果を上げることができたのは、民間事業者や執行部の御努力もありますが、きっかけは議会が行った調査と厳しい指摘です。議会がチェック機能を働かせることは言うまでもなく重要なことです。しかし、事後的に公表するなどして、制度的に公平性や経済的合理性を高める必要があるのではないかと考えました。 そこで、質問いたします。 契約の透明性を確保するとともに…… ○中屋敷慎一議長 藤井議員に申し上げます。 発言時間が終了いたしましたので、以上をもって藤井議員の質問を終結いたします。 藤井議員は自席にお戻りください。(拍手起こる)          ---------------- △議員提出議案の報告 ○中屋敷慎一議長 議員から議案の提出がありましたので、報告いたします。 議事課長に朗読させます。       〔議事課長朗読〕  令和四年六月二十九日 埼玉県議会議長  中屋敷慎一様                      埼玉県議会議員  小島信昭                             ほか三十五名        議案提出について 本議会に付議する議案を次のとおり提出いたします。 議第十五号議案 埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例          ----------------  令和四年六月二十九日 埼玉県議会議長  中屋敷慎一様                      埼玉県議会議員  小島信昭                               ほか九名        議案提出について 本議会に付議する議案を次のとおり提出いたします。 議第十六号議案 埼玉県部落差別の解消の推進に関する条例 ○中屋敷慎一議長 ただ今報告いたしました議案は、お手元に配布しておきましたので、御了承願います。〔参照-(一一〇)ページ〕          ---------------- △議第十五号議案及び議第十六号議案の一括上程 ○中屋敷慎一議長 議員から提出された議第十五号議案及び議第十六号議案を一括して議題といたします。          ---------------- △提案説明 ○中屋敷慎一議長 これより、提案者の説明を求めます。 議第十五号議案の提案者代表 二十一番 渡辺大議員       〔二十一番 渡辺大議員登壇〕(拍手起こる) ◆二十一番(渡辺大議員) 二十一番、自由民主党議員団、渡辺大でございます。 議第十五号議案「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」について、提案者を代表して御説明申し上げます。 令和二年度に行われた埼玉県多様性を尊重する共生社会づくりに関する調査において、無作為に抽出された県民の三・三パーセントが性的マイノリティに当たることや、これらの方々のうち七割以上の方が「自分は価値のない人間だと感じた」ことがある、また「死ねたらと思った、または自死、自殺の可能性を考えた」ことがあると回答したことが分かりました。このように性的指向又は性自認に関して社会の不合理や不平等を感じて生きている県民の方々が相当数いらっしゃる現状があります。 そこで、私たち自由民主党議員団は令和三年九月にプロジェクトチームを立ち上げ、関係団体や執行部、県民などから意見を伺った上で議論を重ね、条例の策定に向けて検討をしてまいりました。 それでは、条例案の概要を御説明いたします。 まず、第一条の本条例案の目的でございますが、性の多様性を尊重した社会づくりに関し、基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、性の多様性を尊重した社会づくりに関する施策の基本となる事項を定めることにより、性の多様性を尊重した社会づくりに関する取組を推進し、もって全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とするものであります。 第二条では、性的指向、性自認及びパートナーシップ・ファミリーシップという用語について、この条例における意義を定義しております。 次に、第三条において、性の多様性を尊重した社会づくりの基本理念として二つの柱を掲げております。一つ目は、全ての人があらゆる場において性の多様性を尊重され、安心して生活できるよう、行われなければならないこと。二つ目は、性の多様性に関する理解の増進、相談体制の整備及び暮らしやすい環境づくりに関する取組が行われなければならないこと。この二つを基本理念に掲げました。 次に、本条例案に規定した主な内容でございます。 第四条においては、まず、性的指向又は性自認を理由とする不当な差別的取扱い、次に、性的指向又は性自認の表明の強制又は禁止、最後に、正当な理由のないアウティング、この三つを禁止する旨を規定しました。 第五条においては、県の責務として、基本理念にのっとり、性の多様性を尊重した社会づくりに関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする旨を規定しました。また、多様な当事者のニーズを把握して効果的に施策を実施するため、県は施策を実施するに当たっては、市町村、関係団体等と相互に連携を図るものとする旨を規定しました。 第六条においては、県は、市町村が性の多様性を尊重した社会づくりに関する施策を実施するため、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする旨を規定しました。 第七条においては、県民の責務として、基本理念にのっとり、性の多様性に関する理解を深めるとともに、県が実施する性の多様性を尊重した社会づくりに関する施策に協力するよう努めるものとする旨を規定しました。 第八条においては、事業者の責務として、基本理念にのっとり、性の多様性に関する理解を深め、その事業活動を行うに当たって性の多様性に配慮した取組を行うよう努めるとともに、県が実施する性の多様性を尊重した社会づくりに関する施策に協力するよう努めるものとする旨を規定しました。 第九条から第十五条までの規定においては、性の多様性を尊重した社会づくりに関する主要な施策等を規定しました。具体的には、基本計画の策定、県が実施する事務事業における性の多様性への合理的な配慮、パートナーシップ・ファミリーシップに関する制度の整備等、啓発、教育、人材の育成、相談体制等の整備及び財政上の措置について規定しました。 なお、本条例は公布の日から施行することとしております。 以上、本条例案の提案理由及びその概要について御説明させていただきました。 議員各位におかれましては、よろしく御審議いただき、何とぞ御賛同賜りますようお願い申し上げます。(拍手起こる) ○中屋敷慎一議長 議第十六号議案の提案者代表 二十番 千葉達也議員       〔二十番 千葉達也議員登壇〕(拍手起こる) ◆二十番(千葉達也議員) 二十番、自由民主党議員団、千葉達也でございます。 議第十六号議案「埼玉県部落差別の解消の推進に関する条例」について、提案者を代表して御説明申し上げます。 部落差別とは、日本社会の歴史的過程で形づくられた身分制度に由来する人権問題です。 一方で、令和二年度に本県が実施した人権に関する県民意識調査では、「お子さんの結婚相手が同和地区出身者であると分かった場合、あなたはどうすると思いますか」という問いに対して、「ややこだわりがある」又は「反対だが、子供の意思を尊重する」などの忌避意識を感じさせる回答が二五・一パーセントを占めるなど、現在もなお、県民の間に偏見や差別意識が存在することが示されました。また、近年では、インターネット上に悪質な書き込みや同和地区の所在地情報の流布が見られるなど、情報化の進展に伴う新たな問題も発生しております。 こうした問題を背景に、平成二十八年十二月十六日には、部落差別のない社会を実現することを目的に、部落差別の解消の推進に関する法律が公布、施行されました。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、現在もなお県民の間に偏見や差別意識が存在していることから、県として部落差別を許さないという強い姿勢を示す必要があると考えています。 そこで、私たち自由民主党議員団では、条例により先進的な取組を行っている和歌山県とのZoom会議や市町村、関係団体並びに執行部から意見を伺った上で議論を重ね、条例の策定に向けて検討してまいりました。検討に当たっては、ホームページにおいて一か月間、県民コメントを行いました。今回の条例案は、県民コメントで寄せられた貴重な御意見を踏まえて作り上げたものでございます。 それでは、条例案の概要を御説明いたします。 まず、第一条の本条例案の目的でございますが、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、部落差別の解消を総合的に推進するために必要な事項を定めることにより、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的とするものであります。 第二条では、本条例案の基本理念として、部落差別の解消に関する施策は、全ての県民が等しく基本的人権を共有するかけがえのない個人として尊重されるものであること、部落差別を解消する必要性に対する県民一人一人の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することを掲げました。 次に、第三条において、部落差別の禁止として、何人も図書、地図その他資料の公表又は流布、インターネットの利用による情報の提供、結婚又は就職に際しての身元の調査、土地建物等を取引の対象から除外するための調査その他の行為により部落差別を行ってはならないと規定しました。 次に、本条例案に規定した主な内容でございます。 第四条においては、県の責務として、基本理念にのっとり、部落差別の解消に関する総合的な施策を実施する旨等を規定しました。 第五条例及び第六条においては、県民及び事業者の責務として、基本理念にのっとり、部落差別を解消する必要性に対する理解を深めるとともに、県が実施する部落差別の解消に関する施策に協力するよう努める旨規定しました。 第七条では教育及び啓発、第八条では相談体制の充実、第九条においては部落差別の実態把握についてそれぞれ規定しました。 なお、本条例案は、公布の日から施行することとしております。 この条例案の成立により、県として部落差別を許さないという強い姿勢を示した上で、国、市町村としっかり連携するとともに、県民一人一人が部落差別を解消する必要性を深く理解し、部落差別を他人事ではなく自分自身の問題として考え、差別を許さないという強い意思を持って行動することで、部落差別の解消がより一層推進されるものと考えております。 以上、本条例案の提案理由及びその概要について御説明させていただきました。 議員各位におかれましては、よろしく御審議いただき、何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手起こる)          ---------------- △休憩の宣告 ○中屋敷慎一議長 暫時、休憩いたします。午前十一時五十二分休憩          ----------------午後一時再開 出席議員    八十四名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番   八十番  八十一番   八十二番  八十三番  八十四番  八十五番   八十六番  八十七番  八十八番  八十九番    九十番  九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    三名   五十九番   六十番  七十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○武内政文副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △発言の訂正 ○武内政文副議長 この際、さきの本会議で議第十五号議案の提案説明を行いました二十一番 渡辺大議員より発言を求められておりますので、これを許します。 二十一番 渡辺大議員       〔二十一番 渡辺大議員登壇〕 ◆二十一番(渡辺大議員) 二十一番、自由民主党議員団、渡辺大でございます。 先ほどの議第十五号議案「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」についての提案説明の中で、令和二年度に行われた埼玉県多様性を尊重する共生社会づくりに関する調査において、「自分は価値のない人間だと感じたことがある」、また「死ねたらと思った、または自死、自殺の可能性を考えた」ことがあると回答した方々の割合について、本来「六割以上」と申し上げるべきところ、「七割以上」と申し上げておりました。おわびして訂正いたします。          ---------------- △質疑質問(続き) ○武内政文副議長 質疑質問を続行いたします。 三十九番 浅井明議員       〔三十九番 浅井明議員登壇〕(拍手起こる) ◆三十九番(浅井明議員) 三十九番、自由民主党県議団の浅井明です。議長の許可をいただき、質問をさせていただきます。今回で八回目の質問ができますことに対し、自由民主党県議団に心より感謝申し上げ、ありがとうございます。 初めに、一、知事公約の「LGBTQ」についてのうち、(一)LGBTQの公約の進め方について、知事にお伺いいたします。 このところ、SDGsやジェンダー、サブスク、COVID-19など、やたらと英文字や片仮名言葉がちまたに飛び交い、戸惑うことがあります。皆様は既に御承知でしょうが、性的指向・性自認で、Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシャル、Tはトランスジェンダー、Qはクエスチョンで分からない、定まっていない、この問題で悩んでいるという英単語の集合だそうです。 県では、知事の公約実現に向けた取組の中に「LGBTQ実態調査・啓発」とあり、県庁内検討会議の立上げ、実態調査による検討会議結果を踏まえた取組・啓発を行うとされています。昨年度の県議会においてもこの問題に対し数名の方が質問をされており、この性指向・性自認に悩むマイノリティの方々の支援施策を実施するとあります。 ただ、LGBTQに対する支援施策は様々な議論があります。日本では、基本的人権の尊重が日本国憲法で保障されています。基本的人権は具体的に、一、平等権、二、自由権、三、社会権、四、参政権、五、受益権、六、包括的基本権の六つの権利に分かれています。平等権は差別されない、自由権は自由に生きる、社会権は社会で生きていく権利、参政権は文字どおり選挙を通じ政治に参加する権利、受益権は国務請求権ともいい、これにより基本的人権を阻害されている人は国に訴えることもできます。 私は、人権には男性も女性もありません。性的指向も、性自認も関係がありませんと思います。お互いに人権の尊重という立場で臨めば大概の問題は解決するという考えもありますが、様々な問題を抱える方々がいらっしゃる中で、性的マイノリティの支援施策を整理することが必要です。 そこで、知事にお伺いします。 このような現状もあることを踏まえ、今後どのようにLGBTQの公約を進めていくのでしょうか。 ○武内政文副議長 三十九番 浅井明議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 浅井明議員の御質問にお答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、基本的人権は憲法が定める権利の中でも最も重要な権利と認識しております。 私は、誰もが活躍し、共に生きる社会を実現するため、LGBTQへの支援にこの観点からも取り組んでまいります。LGBTQは見えないマイノリティといわれます。その多くが周囲から差別や偏見をおそれ、当事者であることを家族に対してでさえ隠して生活しておられます。 議員が取り上げられました、これも片仮名言葉なんでしょうか、マツコ・デラックスさんのようにカミングアウトされた方のみならず、自らの悩みを全く打ち明けられない方すらおられます。そのため、公約で示したとおり、実態の調査が重要です。令和二年度に県で実施した実態調査では、LGBTQの方はLGBTQ以外の方と比べ、孤立感あるいは自己否定感が強いことが分かりました。「死ねたらと思った、または自死の可能性を考えた」「生きる価値がないと感じた」といった経験がある方の割合は六割を超えており、命に関わる困難を抱えておられます。 LGBTQの方は、これまで長い間支援から取り残されており、これは多様性が尊重される時代にあって直ちに対応すべき人権問題だと思います。そこで、LGBTQの方に対しては理解増進や相談体制の充実にとどまらず、安心して生活できる環境づくりにまで踏み込んで支援していく必要があります。 こうした取組について法律や国の方針が示されていない中、当事者の方が抱える様々な課題に配慮するため、学識経験者等からなる検討会議を立ち上げ、様々な側面から御意見を頂戴しながら検討を進めております。LGBTQへの支援を通じ一人一人の多様性が尊重される社会を実現したいと考えます。 ◆三十九番(浅井明議員) 再質問をさせていただきます。 ただ今、知事の答弁の中で、学識経験者で庁内検討会議を開いたとありますが、学識経験者以外で検討会議の中にいらっしゃる方いますか。例えば、当事者がいるとか、その当事者の生の声を聞くことがあったのかどうか、その辺のことをできたら教えていただきます。再質問です。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 再質問にお答え申し上げます。 先ほど申し上げました学識経験者等で構成される検討会議の「等」の中には、議員御指摘のとおり、当事者の方も会議のメンバーに入っておられます。これは、私自身が直接指示をさせていただき、当事者の方が抱える様々な問題に配慮するために、当事者団体等を代表する方に入っていただくこととさせていただいたものでございます。 また、御指摘のとおり、この当事者の方も含め、様々な御意見を当事者の立場からいただいております。 ◆三十九番(浅井明議員) 六月二十五日、With You さいたま開設二十周年イベントで、埼玉大学生が次のような意見が出され、とても印象的でした。 ○武内政文副議長 浅井議員に申し上げます。 これは再々質問でしょうか。 ◆三十九番(浅井明議員) はい、これ申し添えて次の質問に入る、どうしても…… ○武内政文副議長 次の質問に入る。 ◆三十九番(浅井明議員) 再質じゃないんです。よろしいですか。 ○武内政文副議長 次の質問か、はっきりしていただければと思います。再々なのか、次の質問なのか。 ◆三十九番(浅井明議員) 再々質問にさせていただきます。 六月二十五日、With You さいたま開設二十周年イベントで、埼玉大学生から次のような御意見がありました。知事は、その前に意見交換されたということでありまして、オープニングのときには部長が質疑応答されました。その中で印象的な言葉がありましたので、このLGBTQに対して「社会の議論が足りない。啓発のために議論をしていきたい」とのコメントがありました。 このことについて知事はどのように今の言葉を聞いて感じましたか、答弁願います。 ○武内政文副議長 三十九番 浅井明議員に申し上げます。 ただ今の質問は、さきの質問にない新たな事項であります。再々質問として認められませんので、御了承願います。 質問を続行してください。 ◆三十九番(浅井明議員) 失礼しました。 次の質問に入ります。 (二)教育現場におけるLGBTQの取上げ方についてです。 LGBTQの概念は定まったものではなく、多くの研究者たちからも、固定化された概念で法制化されることに対し様々な意見があります。また、今の概念でLGBTQを教育の現場で取り上げることに懸念を抱いている人たちもいます。 教育現場における児童生徒の理解促進をどう進めていくのか、教育長にお伺いいたします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 浅井明議員の御質問にお答え申し上げます。 児童生徒が性的指向や性自認は多様であり、一人一人の性の在り方は大切で、それぞれが尊重されるものであることを正しく理解することは大変重要と考えます。そのため県では、こうした性の多様性について小学校五年生から高校三年生までの児童生徒を対象として、それぞれの段階に応じて適切に理解できるよう、令和三年度にリーフレットを作成いたしました。 小学生向けには、LGBTQという言葉を学ぶというよりも、自分も含めて人それぞれにその人らしさがあり、それをお互いに大切にし合うこと、それぞれの性の在り方も多様であり、尊重すべきものであることが学べるようにしております。中学生及び高校生向けには、性の在り方は全ての人に関わるものという視点から、LGBTQについて理解し、お互いの性の在り方を尊重することを学べるようにしております。 こうしたリーフレットの活用に際しては、教員が適切に指導できるよう、性の在り方を決めつけたり、ほかの人に勝手に話すことは人権侵害に当たることなどの指導上の留意点を明記した教員用資料も作成しております。 県といたしましては、こうした資料を活用しながら、性の多様性に関する児童生徒の理解の促進に努めてまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 教育長、ありがとうございます。 再質問させていただきます。 教育長は現場で活躍されていたと聞いておりますので、学校の先生方が第一線で取り組むことの気持ちがよくお分かりの方だと思います。そこで、教員の方に対して実態把握のためのアンケート等をとり、課題の取組の考えがあるかどうかをお尋ねします。教員の方に対する意識のアンケート。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 午前中の本会議におきまして、LGBTQに関する条例も提案されているところでございます。条例が可決、施行された場合には、学校においても果たすべき責務が規定をされているところでございますので、今後、より児童生徒の理解を促進するためには、教職員がしっかりと理解をした上で指導することが大切だと考えておりますので、議員の御提案も踏まえてしっかり対応してまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 次に、二、太陽光パネルについての(一)埼玉県における太陽光パネルの廃棄・リサイクルについてです。 カーボンニュートラルを目指した、CO2を排出しない自然エネルギーとして脚光を浴び、国や自治体の補助制度で広く普及した太陽光発電システムですが、今、赤信号が点灯しました。それは、太陽光パネルの廃棄問題です。リサイクルには高額な処理費用がかかるため、比較的安価な埋立廃棄が選択され、有害物質が染み出す等の公害も危惧されております。 太陽光パネルの寿命はおおよそ二十年から三十年とされ、普及から三十年、大量廃棄が既に始まっており、リサイクルの体制整備が求められております。太陽光パネルには、資源価値の高い銀もありますが、有害な鉛などが含まれているということから、有害物質については廃棄処理の際に対策が必要であります。 私は、令和三年三月の予算特別委員会において、太陽光パネルのリユース、リサイクルへの県の取組について質問しましたが、その際、「有用物質や有害物質についての情報を事業者の方々に提供することで処理の支援を進めたい」との答弁をいただきました。また、埼玉県は、住宅用太陽光パネル導入量が全国で二番目に多いことから、今後の住宅の建替えに併せて大量に発生する廃棄パネルの効率的な回収の検証を行ったと聞いております。 廃棄パネルのリサイクル技術も様々な方法が開発されていますが、県は廃棄パネルのリユース、リサイクルにこれまでどのように取り組み、今後どのように進めていくのか、環境部長にお伺いします。       〔目良聡環境部長登壇〕 ◎目良聡環境部長 浅井明議員の御質問にお答え申し上げます。 県では、近い将来の大量廃棄に備えるとともに、資源の有効利用の観点からも太陽光パネルのリサイクル処理体制の整備を推進しております。太陽光パネルをリサイクルするには、パネルの適切な破砕や素材ごとの選別が重要となります。環境科学国際センターに試験用の破砕機を設置して、効率的なリサイクル方法を検討するとともに、パネルに含まれる貴重な銀の回収についての研究を行ってきました。 また、大量廃棄時に備え、県内に十分な数のリサイクル事業者を確保することも必要です。そこで、太陽光パネルメーカー、産業廃棄物処理業者や研究機関等をメンバーとする太陽電池モジュールリサイクル協議会を設置しまして、事業化に向けた支援を進めた結果、彩の国資源循環工場内の事業者が県内初となる太陽光パネルリサイクル処理事業を開始いたしました。 一方、戸建て住宅の屋根に設置された太陽光パネルが多い本県では、住宅の建替え、解体に伴って廃棄パネルが少量ずつ発生するため、回収効率が悪いという課題があります。そこで昨年度、環境省の実証事業に参加し、回収に当たっては廃棄パネルを集約する回収拠点の複数設置が効果的なことや、専用の運搬ケースを用いることで運搬時におけるガラス面の破損や、意図しない発電が防げることなどを確認いたしました。 今後、こうした取組成果を生かしながらリサイクル協議会で検討を深め、県内における太陽光パネルの円滑なリサイクルに努めてまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 次に、(二)事業用太陽光パネルの廃棄処理の今後についてであります。 県が参加した実証事業は住宅用太陽光パネルだけでしたが、廃棄処理の問題は事業用太陽光発電の方がより一層大きいと思われます。なぜならば三・一一震災後、原子力発電に代わる発電システムとしてFIT制度で固定価格買取りが決まり、他の発電事業、火力・水力等に比べ参入要件が低いため、様々な事業者が参入し、高値買取りや補助金目当ての投機的事業者による設置で休耕田や畑、自然豊かな丘陵地が乱開発され、さらに、近隣住民との設置に関するトラブルも見られました。既に不法投棄やシステム自体が放置された報告もあります。 二〇一七年に改正FIT法で廃棄費用の積立ての計画、報告が義務化されましたが、実効が伴わないとされました。二〇二二年に廃棄費用の外部積立て、源泉徴収的なものが決定され、来月七月から開始されるようですが、今後の事業用太陽光発電のパネル廃棄の適正処理、循環利用にどのような対策をお考えか、環境部長にお尋ねいたします。       〔目良聡環境部長登壇〕 ◎目良聡環境部長 御質問にお答え申し上げます。 事業用太陽光発電施設がある地域では、寿命を迎えた太陽光パネルが廃棄費用の問題などから、そのまま放置されたり、不法投棄されるのではないかという不安の声があります。今回、国が太陽光発電事業者に支払われる売電価格から将来の廃棄費用をあらかじめ差し引いて、外部で積み立てる制度を新設したことは、パネルの適正処理に寄与するものと期待しており、今後の状況を注視してまいります。 その一方で、太陽光パネルのリサイクルをスムーズに進めるためには、廃棄パネルを十分に受け入れられる事業者の確保と処理ルートの整備が必要です。パネルリサイクル事業者は、まだ県内に一社しかなく、大量廃棄時の受皿としては十分とはいえない状況にあります。現在、事業への進出を検討している事業者が県内に数社ありますので、効率的な処理方法などの技術的支援を行い、リサイクル処理事業者の確保、育成を進めてまいります。また、実証事業での成果を踏まえながら、処理ルートの検討を進めてまいります。 さらに、廃棄パネルの大量発生が放置や不法投棄などの不適正処理につながらないよう、監視、指導もしっかりと行ってまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 次に、(三)新技術の開発・取組についてです。 ロシアのウクライナ軍事侵攻によるロシア制裁で天然ガスや原油の物流が止まり、価格の高騰で今後の電力需給のひっ迫や予想される大型自然災害に備えるために、太陽光発電の促進を図る政策は理解できますが、パネルの廃棄問題を考えると、環境に優しい今の太陽光パネルが実は環境に不安を残す。なぜか矛盾を感じます。 さて、このような課題がある太陽光発電ですが、朗報もあります。最近、東芝、シャープ、リコーなどの電機会社でフィルム(有機被膜)型の太陽電池が競合しながら開発されております。薄く曲げられ、従来は設置できなかった強度の弱い屋根やオフィスビルの窓など多様な場所に設置でき、シャープでは実用サイズの変換効率三二・六五パーセントを達成。東芝のペロブスカイト太陽電池では、東京二十三区内の建物の屋上及び壁面の一部に設置した場合、原子力発電所二基分の発電量が見込まれると報告されております。変換効率の向上や低コスト等の実用化に向かっており、リコーでは二〇二三年度には量産が開始されるといわれています。 県として太陽光発電の普及拡大に当たり、今後は新技術のモジュールを対象とした補助事業にされるのか、環境部長にお伺いします。       〔目良聡環境部長登壇〕
    ◎目良聡環境部長 御質問にお答え申し上げます。 再生可能エネルギーの導入を拡大していくためには、技術革新による発電効率の向上やコスト低減などが極めて重要と考えております。 議員御紹介のフィルム型太陽電池を活用した設備導入などの新たな事例が出てきた場合でも、発電動力などの補助要件を満たすことにより、現行の太陽光発電設備導入に関する補助制度の対象とすることができるものと考えております。 県では、こうした新たな技術を活用した取組の普及を積極的に促進してまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 次に、三、埼玉県の米作政策についての(一)世界から注目される米粉についてです。 今、米粉の活用が話題となっています。米粉から何とチーズが製造されました。これは米穀卸大手の会社が開発した製品で、乳製品の発酵食品であるチーズを、米粉にみそという日本古来の伝統食品から生み出した画期的な製品と注目を集めています。日本はもとより、動物性食品を忌避する方々にとっても大きな朗報であり、輸出商品としても大きな期待がもたれています。また、米粉を使用した小麦粉のパンに勝るパンや、その他たくさんの米粉食品が続々と開発されております。 今、日本人の米飯食離れが進み、米の一人当たりの消費量が昭和三十七年度に百十八キログラムであったのが、令和二年度には五十・七キログラムと半分以下に減少し、この傾向は更に加速するといわれています。この主食用米の需要減少を補う、米粉の特徴を生かした需要拡大を図るためには、新たな品種改良、製粉技術の開発・向上、ノングルテン米粉第三者認証制度や米粉の用途別基準の施策の実施、さらに、製造業者の知恵と様々な工夫が必要であります。 余談ですが、私の子供の頃は玄米パンと呼ばれる食品がありました。小麦粉のパンとはかけ離れた食品でしたが、これが米粉活用の始まりだったのでしょうか。 官民一体の施策と努力で需要拡大を図った米粉ですが、平成の間は伸びませんでした。原料価格と製粉コスト、そして製品価格が小麦粉のものと価格差を払い切れませんでした。現在、ロシアのウクライナ侵攻や北米産の干ばつ等の影響により、小麦粉の国際相場が高騰しており、世界の穀倉地帯のウクライナ侵攻が長期化すると小麦粉の物流、そして、穀物生産そのものが破綻すると危惧されています。 ウクライナの惨状を考えますと心苦しくなりますが、日本のノングルテン米粉が世界、特にヨーロッパ各国から注目されているのは明らかです。EU諸国への輸出量は、二〇二一年一月から四月より二〇二二年の同時期は二・三倍になっております。 こうした様々な状況を踏まえた米粉の位置付けについて、県はどのように認識しているか、農林部長にお伺いします。       〔小畑幹農林部長登壇〕 ◎小畑幹農林部長 浅井明議員の御質問にお答え申し上げます。 現在の輸入小麦の価格高騰は食料品の値上げなどにつながるなど、国民・県民の生活に大きな影響を与えております。こうした中、小麦粉の代替として米粉の利用が期待されております。最近では製粉技術が向上したことにより、米粉はパンやうどん、お好み焼き、ラーメン、ピザ、天ぷらなど幅広い料理で使用されています。こうした米粉の魅力を広く県民の皆様に周知するため、県では料理教室やイベントでの試食・即売などの開催を支援しております。 また、議員お話しのとおり、米粉はグルテンフリー食品として海外からも注目を浴びており、米粉輸出の期待が高まっています。県内では、大手米粉製造業者が世界最高水準のノングルテン米粉認証を取得し、また、食品の輸出商談会に出展するなど、積極的に米粉の輸出に向けた取組を行っています。この結果、アメリカ、オーストラリア、EUなどへ約十六トンの輸出を実現しています。 県としては、米粉は小麦粉の代替として重要な位置付けを持つと認識しており、また、輸出品としても期待をしております。 ◆三十九番(浅井明議員) 次に、(二)主食用米から米粉など加工用米への転換と生産拡大についてです。 主食用米の生産は消費の減少傾向に加え、新型コロナの影響による外食需要の減少もあり、米価は下落している状況で、米生産農家からは主食用米を生産しても売れない、もうからないという現状です。埼玉県でも耕作面積が年々減少しており、転作や魚等の養殖池に転換する農家も見受けられますが、耕作放棄地も増え、埼玉県の耕作放棄地率は全国でも上位となっていると聞いております。 米粉の生産は、今後の国内の需要拡大や世界への輸出増加を捉えますと、今の加工用米の作付面積では十分ではないと思われます。この現状に、国・県などは米価の安定を図るため、主食用米から米粉用米、飼料用米など非主食用米への作付けの転換を推進していると聞いております。 そこで、農林部長にお尋ねします。主食用米からの転換を県ではどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。       〔小畑幹農林部長登壇〕 ◎小畑幹農林部長 御質問にお答え申し上げます。 主食用米から加工用米への転換については、米づくりであることに変わりがないため、米農家は新たな機械整備の必要がなく取り組みやすいものと認識しています。また、加工用米の生産に対しては、国から交付金を受けることができるため、米農家は主食用米の価格に左右されることなく安定した所得を得ることができます。 このため県では、麦、大豆などの転換作物の導入が難しい湿田地域を中心に、加工用米への転換を積極的に支援してきました。この結果、本県の加工用米の栽培面積は、平成三十年度の八百七十六ヘクタールから令和二年度には一千四十一ヘクタールに増加しました。 県では、主食用米からの転換作物として地域の実態に合わせて加工用米の生産を推進しており、米農家の経営安定を図るための手段として必要なものと考えています。 ◆三十九番(浅井明議員) 次に、(三)加工、流通と一体となった生産についてです。 米粉を生産するには、主食用米のように生産者、精米業者、流通業者、小売業者が様々に入り組んでしまった状態ではなく、作付生産、製粉、製品加工、流通販売が一体となったプラント化した状態が望ましいとされています。水耕栽培、キノコ栽培等で成功例が多くあり、安定的な運営管理がなされています。 一子相伝的な農家経営は難しい時代で、補助金政策だけでは後継者も育ちません。離農がますます増えている状況であります。今までの家を中心とした経営方針では、もはや農業経営は困難だと思います。 県としても加工、流通販売と連携して米粉生産を行うべきではないかと思いますが、農林部長のお考えを伺います。       〔小畑幹農林部長登壇〕 ◎小畑幹農林部長 御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのように米粉の生産を通じて米農家の経営安定を図る上では、加工、流通販売と連携することが重要と認識しています。県では、県産の加工用米の生産拡大を図るため、生産者団体と協力して県内の米農家と米粉製造業者とのマッチングを図ってきました。 先ほど御紹介しました米粉製造業者は、保管コストがかからない輸入米も利用していますが、輸入米から県産米へ切り替えたいとの要望があったところです。このため県では、県産米を貯蔵するための原料サイロや加工用機械の導入などの支援を行っています。これにより輸入米から県産米への置き換えが進み、米粉製造業者と契約した県内米農家では、新たに年間約三百トン、面積にして約六十ヘクタール分を安定的に買い取ってもらえる環境が整ったところです。 こうした取組を通じて、今後とも加工、流通販売と一体となった米粉の生産を支援してまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 再質問させていただきます。 輸入米から県産米にという大変いい答弁がありました。この件について、もう少し具体的に取り組んでいる例を挙げていただけると大変農家の方、更にやる気がでると思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。       〔小畑幹農林部長登壇〕 ◎小畑幹農林部長 再質問にお答え申し上げます。 先ほど、県内の米粉製造業者の方で輸入米を使っているというような答弁をさせていただきました。 輸入米につきましては、必要な量を必要なときに配達されるというようなことで、業者とするとそちらの方が非常にコストもかからないというようなことで、それ中心に使用がされておりましたけれども、県産米ということで、地元の企業でございますので、是非とも使っていただきたいというような働き掛けを行いまして使っていただけるような形になっております。 ◆三十九番(浅井明議員) お米は主食でありますので、コストがかからないというより安心・安全な食べ物ということを申し添えて、次の質問に入ります。 四、こども家庭庁について。 (一)これまでの県の取組についてお伺いします。 私は、昨年六月の一般質問において「加速する少子化は喫緊の課題であり、対策として関係部署が横断的に連携し、総合的に対処していくような埼玉版こども庁の創設の必要性がある」と質問しました。それに対し、「今後も関係部局の連携を密に図りながら、少子化対策にしっかりと取り組んでいく」との答弁をいただきましたが、まず、この一年間、具体的にどう取り組んできたのか、福祉部長にお伺いいたします。       〔金子直史福祉部長登壇〕 ◎金子直史福祉部長 浅井明議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しの関係部局との連携については、部局を横断する次世代育成支援対策推進庁内会議を開催し、埼玉県子育て応援行動計画の取組に係る進捗の確認や意見交換を通じて課題を整理し、各施策の効果的な推進を図ってまいりました。 関係部局と連携した事業といたしましては、少子化対策としてSAITAMA出会いサポートセンターがあり、県、市町村、企業等が連携してAI婚活を実施し、昨年度は百二十八件の成婚に結び付いております。また、パパ・ママ応援ショップや乳幼児との外出を支援する赤ちゃんの駅などを企業の協賛を得て約二万三千店設置しているところでございます。 さらに、庁外の連携といたしましては、県内経済六団体と「未来を担う子供たちへの支援に関する協定」を締結し、関係部局も参加する意見交換会を開催して、子ども食堂等の子供の居場所の支援、結婚・子育て支援などの少子化対策などについて、どのようなことができるか議論を始めたところです。 こうした連携事業のほかに、保育所や放課後児童クラブの整備、子育て支援センターなどの地域における子育て支援拠点の運営支援など着実に進めてきたところです。 引き続き、関係部局はもとより、民間企業や団体などと連携を図りながら、少子化対策にしっかりと取り組んでまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 次に、(二)今後の取組について、知事にお伺いいたします。 先日、第二百八回通常国会において、こども家庭庁設置法案が可決され、来年四月に内閣府の外局に設置されます。これまで子供に関する諸課題、少子化、児童虐待、子供の貧困などは各府省が所管していましたが、これらを一元的に対応する機能を持ったこども家庭庁が設置されることにより、政府の仕組みや組織、子供の年齢によらないスムーズな支援が期待されます。 児童虐待を例に挙げます。近年、子供の無残な虐待死も多数報告されています。虐待の認知から解決策を講じるまで多くのセクションでたらい回し的な扱いで解決に至らず、尊い命が奪われ、誰も責任をとらない事案が見られました。法案成立を受けて、埼玉県においても関係部局の垣根を越えた更なる連携で、子供の権利「生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利」を果敢さと迅速さで守る心得の部局を設立することが求められます。 こども家庭庁の発足は来年四月であり、まだ組織のことは具体的に分からない状況ですが、国に先駆けて県独自でできることはあると考えます。先ほど申し上げたとおり、少子化は加速度的に進行しており、対策は待ったなしの状態です。少子化の進行に歯止めを掛けるには、安心して子供を産み育てる環境づくりが重要であります。来年発足するこども家庭庁の動向を注視するという悠長なことは言っていられないと思います。 国では、今回懸案であった幼保一元化は見送られ、こども家庭庁への一元化においては、幼稚園を含む教育や学校でのいじめ問題、不登校対策は移管されず、引き続き文部科学省が所管することとなり、こども家庭庁は他省庁の政策が不十分な場合、是正を求めることができる勧告権を持つに止まりました。省庁間の権益の強さを改めて感じます。 そこで例えば、県において教育分野を含めた子供に関係する施策を所管する課所を横断する組織を設置すれば、国よりも一歩進んだ体制となり、少子化を止める有効な手段になると考えます。十年以上前の平成二十年に我が埼玉県議会自由民主党県議団の田中千裕議員も提案しておりました。時代は平成から令和へと変わりました。組織の在りようも時代の変化に適合させていくべきです。 今回のこども家庭庁設置法案成立を受けて、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 私は、「子育てするなら埼玉県」と全国に発信することが大切と考えています。「埼玉県、よく考えているな」と、国やほかの都道府県から言われるような前向きな答弁を期待しています。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 御質問にお答え申し上げます。 こども家庭庁につきましては、議員お話しのとおり、幼保一元化は見送られましたが、「子供を真ん中に据えた社会を実現する」とする政府は、こども家庭庁に一定の役割を持たせる決意のようであります。国では、来年四月の創設に向け、設立準備室が設置されたところですが、少子化や児童虐待、子供の貧困などの施策をこども家庭庁でどのように一元化していくのか、また、財源をいかに確保していくのかなど、課題が山積していると認識しております。 県では、現在、子供施策については埼玉県子育て応援行動計画に基づき、関係部局がその専門性を生かしつつも連携を図りながら、部局横断的な庁内連絡会議を設置し取り組んでおります。議員御指摘の虐待などについては、警察や外部の組織、専門家等も交えて連絡、相談の体制を構築してまいりました。また、子供の居場所については、地域における子供に関する一元的窓口の役割を担っていますが、埼玉県ではこのネットワーク化も推進しております。 県の組織の在り方については、一般的には新たな部局や横断的な調整機能のある組織、あるいは部局間の連絡会議の設置など様々な方法が考えることができます。引き続き、こども家庭庁における施策の一元化の内容、子供施策の財源の確保等について積極的に情報収集するとともに、既存の体制やネットワークを活用することも含めて、県としてより効果的な子供施策の在り方につき議論をしてまいりたいと考えます。          ---------------- △休憩の宣告 ○武内政文副議長 暫時、休憩いたします。なお、再開は二時三分といたします。午後一時五十三分休憩          ----------------午後二時三分再開 出席議員    八十四名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番   八十番  八十一番   八十二番  八十三番  八十四番  八十五番   八十六番  八十七番  八十八番  八十九番    九十番  九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    三名   五十九番   六十番  七十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○武内政文副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○武内政文副議長 質疑質問を続行いたします。 ◆三十九番(浅井明議員) 次に、五、所沢航空発祥記念館についての(一)日本初の陸軍飛行場と、陸軍航空学校の歴史を踏まえた記念館にについてであります。 明治四十四年四月一日、後に大日本帝国陸軍の所沢陸軍飛行場となる日本初の飛行場が所沢に開設されました。大正八年には陸軍航空部の発足と同時に、陸軍航空学校の本部が所沢に設置され、飛行機操縦に関する諸学術の教育機関として多くの学生が学ぶ陸軍航空教育の中心の場所でありました。 敗戦後、アメリカ軍に接収されましたが、所沢市民の粘り強い返還運動等もあり、現在は七割が返還され、所沢市役所や所沢警察署、法務局、県税事務所等の官公庁になっております。そして、平成五年に日本で初めて飛行場ができた場所として、所沢航空発祥記念館が開館しました。 サイドブックスにある資料一、所沢航空発祥記念館御案内を御覧ください。この案内やホームページを見ますと、日本で初めてできた飛行場跡ということは書かれていますが、歴史的な経緯が全く書かれていません。 資料二を御覧ください。こちらは入口に置いてあり、希望する来館者が取得できる資料です。こちらには詳しい歴史が書かれていますが、所沢の陸軍飛行場、陸軍航空学校の記述がありません。ホームページの詳細ページのアバウトも同様の内容です。 航空発祥の地として重要な役割を果たした陸軍飛行場と陸軍航空学校の歴史をきちんと踏まえた記念館にすべきと考えますが、まずは、パンフレットやホームページに旧陸軍の記載がなされていない理由を都市整備部長にお聞きいたします。       〔村田暁俊都市整備部長登壇〕 ◎村田暁俊都市整備部長 浅井明議員の御質問にお答え申し上げます。 所沢航空発祥記念館は、我が国の航空発祥の地である所沢航空記念公園内に、平成五年四月、航空に関する歴史・文化・技術などを総合的に展示することを目的に開設しました。公園自体も日本初の飛行場である旧陸軍所沢飛行場の跡地であり、その歴史を正しく発信することは大変重要でございます。 しかし、議員御指摘のとおり、現在のパンフレットやホームページでは、所沢飛行場の歴史的な経緯などの説明が希薄な面があります。このようなことが生じた理由として、パンフレットやホームページは現在の展示や取組を紹介することに重点を置いて作成していたことによるものでございます。 パンフレットやホームページについては、所沢飛行場の歴史について、陸軍航空学校など固有名詞を含め正確に記載するなど、所沢航空発祥記念館に関心を持たれた県民の皆様に分かりやすく情報提供できるよう改善いたします。 ◆三十九番(浅井明議員) ありがとうございます。 答弁をいただきました。「現在の」という答弁がありましたが、現在とは過去があって現在があり、それが未来につながるということで、再質問させていただきます。 せっかくいい答弁をいただきましたので、それをもっと自信をもって大きく県内外に発信するような工夫もしていただければ、更に歴史の史実というものが正確に全国に広がると思いますので、その辺についての取り組み方について答弁を求めます。       〔村田暁俊都市整備部長登壇〕 ◎村田暁俊都市整備部長 再質問にお答え申し上げます。 所沢航空発祥記念館は、我が国の航空発祥の地として所沢飛行場の歴史だけでなく、航空機に関する文化や技術など総合的に発信する役割を担っています。また、子供を中心として飛行の原理を学ぶ映像や体験など、楽しみながら学習する機会も提供しております。 所沢飛行場の歴史は、より正確に、かつ分かりやすく紹介しつつ、航空に関する様々な情報発信などバランス良く展示してまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) ありがとうございます。 次に、(二)航空発祥記念館でも積極的に平和教育をについてであります。 地元の子供たちに聞くと、日本で初めて飛行場ができた場所ということは知っているようですが、誰の、何のための飛行機だったのかということは知っている子は少ないようであります。 航空発祥記念館でも平和教育を積極的に行う必要があると考えますが、都市整備部長に御見解をお尋ねいたします。       〔村田暁俊都市整備部長登壇〕 ◎村田暁俊都市整備部長 御質問にお答え申し上げます。 平和への関心が高まっている現在、所沢航空発祥記念館も展示やイベントを通して平和の尊さを理解していただくことは重要であると考えます。 所沢航空記念公園内には、昭和十八年に造られた少年航空兵の像があります。当時、この地にあった所沢陸軍航空整備学校内に建立されたもので、翼を抱き、空を見上げる航空整備兵三人の姿は、当時の少年飛行兵や整備兵のシンボルとされていました。この像は、所沢航空記念公園の開園まで残されていましたが、傷みが激しかったため、所沢航空資料調査収集する会が、後世にわたりこの像を保存していこうと平成九年に修復工事を行い、現在も設置されています。 所沢市と調査収集する会が像の隣に設置した説明板には「空への夢と希望を抱いたこの像が、市民のやすらぎや平和の祈りを込めた像として永く市民に親しまれていくことを願ってやみません」と記載されています。こうした平和への思いや尊さを子供たちに伝えられるよう、指定管理者とともに展示やイベントの内容、方法について研究してまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 次に、六、都市計画道路越谷市役所通り線の事業化についてお尋ねします。 この越谷市役所通り線の事業化については、当選以来、たびたび一般質問で取り上げてまいりました。令和二年六月の定例会にて、越谷市新庁舎建設に伴う、当該道路に接続する市道の拡幅整備計画について述べさせていただきました。市では、この地域について越谷の顔としての魅力と活力のあるまちづくりを目標に掲げ、活性化に向けた取組を総合的に推進することとしております。 越谷市役所通り線に接続する幅員二十五メートル、延長七十メートルの市道の拡幅計画がいよいよ軌道に乗り、市は地権者への説明会を開催しました。市道の拡幅整備に必要となる用地取得面積は一千七百九十五・〇五平米、十五筆であり、現在は用地買収を進めております。この市道の拡幅整備に合わせ、越谷市役所通り線の整備が完遂すれば、越谷駅から新しくなった新庁舎までが一本の道路でつながり、越谷の顔としての道路となり、利便性はもとより、歩行者、児童生徒、高齢者の安心・安全や地域の活性化、にぎわいが取り戻せます。 この地域は江戸時代から中心市街地でありましたが、周辺地域の整備が進む中で取り残された地域でもあります。この越谷市役所通り線の事業化の決定が地域活性化の起爆剤となります。 そこで、都市計画道路越谷市役所通り線の事業化について、県土整備部長に伺います。       〔北田健夫県土整備部長登壇〕 ◎北田健夫県土整備部長 浅井明議員の御質問にお答え申し上げます。 越谷市役所通り線は、越谷駅東口駅前広場と県道足立越谷線を結ぶ幅員二十五メートル、延長三百メートルの都市計画道路です。このうち、越谷駅東口駅前広場から五十メートル区間が市街地再開発事業により整備されております。また、越谷市では新庁舎の建設事業に関連して、越谷市役所通り線に接続する県道足立越谷線から越谷市役所までの七十メートル区間の整備を進めております。 越谷市役所通り線の沿道は商業地域に指定されており、住宅や店舗、ビル等の建物が立地していることから、道路拡幅には数多くの移転が必要となります。市の計画では、沿道を含むこの地域を商業・業務系エリアに位置付け、活性化に向けた取組を進めていることから、市のまちづくりと一体となった道路整備を行う必要があります。 このため、越谷市役所通り線の事業化につきましては、駅周辺のまちづくりの状況を勘案しながら、地元市とともに道路整備の進め方について総合的に検討してまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 再質問させていただきます。 ただ今答弁の中で、この越谷駅東口駅前から市役所の道路に関しては、確かに商業地であります。建物が幾つかありますが、そこに住んでいる方々の七五パーセントの方は協力してくれるということになっております。これも以前の資料で渡したと思いますが、それで残りの二五パーセントはどのような人かと申しますと、計画が事業化していないからはっきりと答えられないということであって、反対する方はいないという現状でございます。そして、越谷のまちづくりの大きな大事な核となる駅前通りですので検討し、その後、事業化に向けて一日も早く進めていただきたいと考えています。 毎日、この県庁、県議会に来るとき、その道路を通ってきますが、歩道もない駅前道路ですので、大変な道路に人が歩き、自転車が走る、そういう状況でございますので、もし何かありましたら、もちろんドライバーの責任ではございますが、長年にわたって事業決定ができない、してもらえない、こういうところにも、それなりの責任があるのかなと勝手に思っておりますが、その件について部長の答弁を伺います。       〔北田健夫県土整備部長登壇〕 ◎北田健夫県土整備部長 再質問にお答え申し上げます。 越谷市役所通り線の事業化には、市のまちづくり計画や活性化に向けた取組を踏まえながら、市のまちづくりと一体となった道路整備が必要だと考えております。今後とも、地元市とともに道路整備の進め方について総合的に検討してまいります。 ◆三十九番(浅井明議員) 以上をもちまして、一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手起こる)          ---------------- △休憩の宣告 ○武内政文副議長 暫時、休憩いたします。午後二時二十一分休憩          ----------------午後三時二分再開 出席議員    八十五名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番  七十九番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十五番  八十六番  八十七番  八十八番   八十九番   九十番  九十一番  九十二番   九十三番 欠席議員    二名   五十九番   六十番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○中屋敷慎一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○中屋敷慎一議長 質疑質問を続行いたします。 七十一番 梅澤佳一議員       〔七十一番 梅澤佳一議員登壇〕(拍手起こる) ◆七十一番(梅澤佳一議員) 七十一番、自由民主党県議団、久喜市選出の梅澤佳一です。 まず、六月二日、三日と県北部や東部地域を中心に降ひょう被害によって大きな被害が発生いたしました。被害に遭われました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。特に農産物や生産施設に対し支援が必要であります。自民党県議団もいち早く知事や国に対し支援策を緊急要請いたしました。今日も、補正予算等が提出されましたが、県、議会が一丸となってスピードをもって対処していきたいと思います。 それでは、通告に従い、順次質問いたします。 一、八ッ場ダム完成後の利根川流域の治水・利水対策について伺います。 八ッ場ダムの完成式典がコロナウイルスの感染拡大の影響で延期となっていましたが、去る五月二十八日に八ッ場ダム完成感謝のつどいが行われ、私ども八ッ場ダム建設事業の推進を求める埼玉県議会議員連盟を代表して、長峰会長が出席をされました。 皆さん御存じのように、民主党政権下、「コンクリートから人へ」を掲げ、公共工事の中止や見直しが進められ、代表的な公共工事である八ッ場ダムが標的となったことと思われます。八ッ場ダムについては、一都五県で事業を推進、埼玉県では治水対策・利水対策など、特に利水対策では三割の暫定水利権を安定水利権にするために、長い年月と貴重な県税を投資してきました。突然の中止方針には党派を超えた県議会が団結し、毎年、地元群馬県とともに抗議活動を実施してまいりました。このような危機的状況もありましたが、ようやく完成式典に至ったことは大変感慨深い思いであります。 令和二年十二月定例会においても質問をいたしましたが、令和元年東日本台風の際には、私の地元である久喜市をはじめとする利根川流域において、ダムの貯水効果が十分に発揮されたことは強く印象に残っているところであります。 利根川流域では、平成十六年から進められています利根川堤防強化対策を実施しています。さらに、渡良瀬遊水地は谷中湖を含め、第二、第三の遊水地を完成させてきました。このような対策が進められた結果、第一九号台風での被害は最小限にとどめられたと思われます。 利水面では、ダム完成前には埼玉県の水利権の三割が暫定水利権でありましたが、完成後は暫定水利権が解消され、安定水利権が一〇〇パーセントとなりました。また、利根大堰から取水をする冬季通水については、いわゆる冬水です。利根大堰建設前のように冬場でも十分通水されていることが、古くから地元の願いでもあります。八ッ場ダムの完成によって安定水利権の取得など環境が整ったことで、冬季通水による水環境改善などの効果が十分発揮されているところです。 このように八ッ場ダムが完成した現在、治水・利水面での効果は大きなものと思われます。 そこで、知事に伺います。 利根川流域の治水対策についてどのように評価していますか。特に、貯水量の変化や堤防強化対策についてはどうですか、知事に伺います。 また、利水の効果による県民生活に対する影響の評価について、暫定水利権と安定水利権が渇水時、県民生活にどのような具体的影響を及ぼすのか。さらに、冬季の通水が順調に行われ、水環境の改善が図られていくのかを伺います。 さらに、今後の本県における水資源行政の対応についてですが、八ッ場ダムは計画調査から五十年にわたりようやく完成に至りました。一方で、現在実施中の思川開発事業について本県が参画している意義については、改めて確認する必要があると考えます。 そこで、思川開発事業の位置付け、今後の対応方針について、併せて知事に伺います。 次に、二、本県のエネルギー政策の方向性について伺います。 現在、我が国の経済は新型コロナウイルス感染症による影響もあり、厳しい状況が依然として続く中、原油等のエネルギー価格が高騰し、生活や経済活動に不可欠な電力料金は過去五年間で最も高い水準となるなど、家計や事業者の大きな負担になっています。また、今後の電力需要をめぐっては、老朽化した火力発電所の相次ぐ休止などによって、この夏の電力の供給が非常に厳しく、議場にも「電力需要ひっ迫状況下における節電のお願い」が配布されたとおり、電力の安定供給にも不安を抱えています。 先日、公表された経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太方針においても、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格等の更なる高騰の可能性を踏まえ、エネルギーの安全保障が重要課題であり、脱炭素の取組を加速させるとともに、エネルギー自給率の向上を図っていくと示されています。そのため、徹底した省エネルギーを進めるとともに、再生可能エネルギーなどエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することとしています。 エネルギー政策については国の役割が大きいところではありますが、県民や事業者支援を進めるにも県として取組を進めるべきと考えます。県では、六月補正予算案においても中長期的な視点から家庭や事業者の省エネ・再エネ設備導入を拡大するとしていますが、七百三十万県民を抱える本県としては、電力の安定供給が大切と考えます。 そこで、知事に伺います。 現在の原発や化石燃料による発電又は太陽光など再生可能エネルギーの割合について、どのようにお考えなのか。また、今後の本県のエネルギー政策の方向性について、知事に伺います。 次に、三、利根川の首都圏氾濫区域堤防強化対策とその周辺環境を活かした取組について、橋本副知事に伺います。 この利根川の堤防強化対策事業が栗橋地区で動き出して約十八年が経過しました。この事業は首都圏氾濫区域の安心・安全を守るために、言わば首都圏東京を守るために、江戸川・利根川の右岸堤防の強化策として国は直轄事業として決定しました。栗橋地区は堤防強化区域で唯一市街地を含む地域です。利根川流域と渡良瀬川流域の合流地でもあり、平成十六年に一部をいわゆるミニスーパー堤防とする堤防強化改良案として事業決定し、約二百二十戸の方が土地や家屋の提供をしてきました。 この堤防強化対策では、堤防の市街地側を七H工法で整備し、十メートルの堤防高であれば七十メートルで築堤するもので、今までの堤防から比べると非常になだらかな堤防のり面となり、堤防の川側においても五H工法で整備し、なだらかで大きな堤防とするもので、洪水した場合、越水しても破堤しない堤防となります。 当初、国は一期区間を十年で進めたいと話していましたが、十年でやっと土地の買収が終了した感じでした。その後、土地の買収が終わった場所から埋蔵文化財の発掘が行われ、令和四年現在も八坂神社跡地の発掘作業が行われています。 利根川の堤防は、令和元年第一九号台風のときには昭和二十二年カスリーン台風を超える流量を流し、地域の安全に大きく貢献し、堤防の必要性を改めて示しました。住民からは早期の完成に向けて努力してほしいという声が大きくなっており、堤防強化対策の早期の完成を願います。 また、人口の流出による地域コミュニティの喪失、商業の廃業が相次ぐこの栗橋地区において、堤防の周辺環境を生かした取組を行うべきと考えます。久喜市では、堤防近くに位置する防災公園に公的避難施設を設置することを決定いたしました。ここを防災活動拠点としてだけではなくて、防災教育の拠点として活用すべきではないかと考えます。 平成二十七年に関東東北豪雨が発生し、鬼怒川が決壊した当時、常総市に甚大な被害をもたらした当時、久喜市では消防団の拠点の設置の予定はありましたが、公的避難施設の計画の予定はありませんでした。そのようなときに、市が公的避難施設を設置するときには二分の一の国庫補助が使えるということを知りました。その後、県の協力もいただき、市の決断によって正式に防災公園内に公的避難施設の設置を決定、本年度、久喜市で設計予算が計上されました。 この公的避難施設では、消防や水防団の基地や住民の避難所としての機能はもちろん、二階では子供たちの災害に備えた防災学習の実施拠点として活用すべきと考えます。建築については市が基本的設計を作り、県から国へ上げると聞いています。また、地元協議会では、小学生や中学生に子供たちが喜び、興味を引く、防災学習施設の設置を要望しています。 工事や発掘の連続で活気がなくなっているこの地域に、にぎわいを少しでも取り戻したい。子供たちの元気な様子は、地域に活気を取り戻します。防災拠点としてはもちろん、子供たちの社会科見学にふさわしい拠点としても整備を進めたいと思いますので、是非とも県の協力を願うものです。 また、この地は国道四号利根川橋付近であり、国道一二五号や県道羽生外野栗橋線沿いにあり、非常に目立つ立地でもあります。また、利根川の自転車道がすぐそばを通っています。JR栗橋駅には徒歩十五分くらいですので、この地を自転車道路の休憩地として活用することで地域振興にもつながるのかなと考えます。 そこで、次の三点を橋本副知事に伺います。 一点目、栗橋地区を含む一期区間における堤防強化対策の進捗状況と完成時期について。 二点目、同地区の公的避難施設整備に対する埼玉県の協力について。 三点目、公的避難施設を自転車道路の休憩地として活用することは考えられるのか。 以上、橋本副知事にお伺いいたします。 次に、四、本県の持続的発展を支える土地利用の推進について伺います。 本県は、関越自動車道、東北自動車道及び常磐自動車道を縦軸に、圏央道、外環道を横軸にした関東屈指の交通の要衝であり、充実した道路網を形成しております。県は、こうした交通利便性を追い風にして市町村が取り組む産業基盤づくりを支援し、より積極的に土地利用を図るべきと考えます。特に、企業誘致に関しては激化する近県との競争に打ち勝ち、本県経済の持続的成長を図るために是非とも必要であります。 私の地元久喜市では、本年三月に久喜市高柳地区が県の産業誘導地区に選定をされ、県の全庁的な支援体制の下、新たな産業基盤づくりが始まりました。この地区の土地利用は地元の長年の悲願でしたので、今後の雇用創出や税収増による地域活性化への期待は大変大きなものと考えます。 一方で、県内全体を見回すと、企業誘致に必要な用地の確保は、まだまだ十分とはいえない状況にあるのではないでしょうか。この五月に国が発表した工場立地動向調査によると、埼玉県の二〇二一年製造業等の立地件数は四十件で全国第七位、立地面積は五十三ヘクタールで全国第八位。また、圏央道などでつながる茨城県は、立地件数五十一件で全国第二位、立地面積九十九ヘクタールで同じく全国第二位です。土地面積の違いによる影響はもちろんでありますが、埼玉県の優位性を考えれば、足りない用地は作り出すとの発想で市町村を後押しし、産業基盤となる土地を生み出すことに取り組むべきです。 しかし、新たな産業基盤づくりには、様々な土地利用調整や造成に時間がかかります。長期化すれば、その間に企業は他県に流れてしまいます。これでは本末転倒、本県にとって大きなマイナスです。 そうした中、県は本年三月に「埼玉の持続的成長を支える産業基盤づくり取組方針」を策定しました。私としては、県がこれまでの実績やノウハウを生かし、これからの産業基盤づくりを更に積極的に推進するものと期待をしています。 そこで、今後の産業基盤づくりについて県としてどのように取り組むのか、都市整備部長にお伺いいたします。 次に、五、地方独立行政法人化後の県立病院の取組について伺います。 令和三年四月一日、臨時会を開き、県立病院の経営形態を地方独立行政法人埼玉県立病院機構に移行して、一年余りが経過しました。県立病院の地方独立行政法人化については、我が会派でもその必要性を訴え、実現に至ったところです。 地方独立行政法人化前の県立病院では恒常的に医師の欠員が生じており、せっかくの病院機能を十分生かし切れない状況でありました。独立行政法人化は、より弾力的、効率的な病院運営が可能となることから、医師確保、それによる地域医療の充実、少子高齢化などの医療環境の変化への柔軟な対応が期待できます。特に、人材確保の面では、独自の給与体系をはじめとした柔軟な人事制度が構築できることや、ニーズに応じた迅速な採用ができるため、医療従事者を確保しやすくなるといったメリットがあります。 県立病院では法人化前から、例えば、循環器・呼吸器病センターは、脳疾患や心疾患、呼吸器疾患に関する高度医療の基幹病院として県北の医療を支えてきました。また、小児医療センターは、総合周産期母子医療センターとしての役割や様々な先進小児医療の提供など、本県の高度専門・政策医療を担ってきました。独立行政法人化後も引き続き、これらの役割を果たすとともに、優秀な医療人材を多く確保することで、更に質の高い高度専門医療を提供し、県民の健康の確保に取り組んでいただきたい思いです。 また、東京都においても本県に続き、来月七月一日より都立病院等の独立行政法人化が予定されており、公立病院の地方独立行政法人化とその成果は全国的にも注目をされています。東京都に先行して地方独立行政法人化を果たした埼玉県立病院が法人化のメリットを最大限生かし、医療サービスの充実とともに埼玉県全体の医療水準の向上に大きく貢献し、公立病院の経営改革における全国的な成功モデルになることを期待しています。 昨年度は、地方独立行政法人化一年目という状況の中、県立病院としての高度専門医療等の提供に加え、新型コロナウイルス感染症にも対応する必要があったため、医療従事者の方々は御苦労も多かったことと思います。そこで、地方独立行政法人化後の県立病院はどのような取組を行い、県の地域医療の向上に貢献したのか、保健医療部長に伺います。 次に、六、流域下水道の将来についてです。 常に災害が発生すると社会インフラの復興が最優先に進められ、電気や水道、下水道は、私たちが生活する上で欠かせない社会インフラであります。 しかし、水道は断水、電気は停電といったように機能が停止した状態を示す言葉がある一方で、下水道はこれらに対する言葉はありません。これは何を意味するのか。下水道は常に稼働しているのが当然との意識が私たちの共通認識になっているのではないでしょうか。しかし、下水道がこれからも二十四時間三百六十五日稼働し続けるためには、これまでと同じ事業継続だけではなく、人口減少や地球温暖化対策などの課題解決に向けた知恵と工夫が求められています。 重要な都市インフラである下水道を今後も持続していくために、私は、令和三年六月定例会で流域下水道の明るい将来につながるような取組について質問をいたしました。この質問に対する答弁を踏まえ、下水道事業管理者に伺います。 前回の答弁で、「中川水循環センターの汚泥消化施設で発生するバイオガスを売却し、利益を中小流域も含めた流域全体の将来を見据えた取組に活用できないか考えている」と答弁しています。こうした下水資源の活用は、流域下水道事業全体の経営安定につながる可能性があり、実現を大いに期待しているところです。 そこで、まず、当該施設が予定どおりバイオガスを発生しているのか、運用実績を伺います。さらに、利益の活用の検討状況についても伺います。 また、大量の温室効果ガスを排出する下水道事業には、地球温暖化対策への積極的な取組が求められています。中川水循環センターの汚泥消化施設もそうした取組の一つとして導入したとのことですが、同施設がこれまでどのくらい温室効果ガスを削減したのか、伺います。 さらに、同様の施設の他流域への展開をどう考えているのかも伺います。 次に、七、地元問題です。 (一)県道幸手久喜線の歩道整備について伺います。 県道幸手久喜線は幸手市街地から久喜市街地を通り、県道さいたま栗橋線につながる道路で、物流はもとより地域住民の生活にとって欠かせない重要な道路です。この県道の久喜市内を通る約四キロメートルのうち、三・六キロメートル区間には両側に歩道が整備されていますが、久喜工業高校付近の約四百メートル区間では片側の歩道が整備されていないため、歩行者や自転車利用者にとって大変危険な状況となっています。 このため、私も令和二年十二月定例会において一般質問で取り上げるなど、歩道整備の必要性について訴えてまいりました。地元からも歩道の整備を求める声も多く、令和三年四月には、関係地権者の同意書を添えた歩道整備の要望書が地元自治体から県に提出され、県では整備に向けて現地調査に入ったと伺っています。 そこで、この区間の歩道整備の取組状況について、県土整備部長にお伺いいたします。 次に、(二)県道川越栗橋線小林交差点の整備について伺います。 県道川越栗橋線は川越市から、私の地元久喜市に至る主要な幹線道路です。久喜市内ではこの県道を多くの方が通勤や通学に利用し、また、沿道には清久工業団地などの産業拠点やモラージュ菖蒲などの商業施設、菖蒲城址あやめ園といった観光施設もあるため、交通量は大変多い状況です。 このうち小林交差点では、通勤時間帯を中心に県道笠原菖蒲線や久喜市道へ右折する車両により、上下線とも交通渋滞が発生しています。また、交差点の形が変則的であることや、歩道が一部設置されていないため、歩行者や自転車利用者にとって危険な状態です。現在、県では交差点の整備及び歩道整備を進めていただいておりますが、地元からは早期完成を望む多くの声が私の下にも届いています。 そこで、県道川越栗橋線小林交差点の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。 次に、(三)小林調節池整備の進捗状況、今後の見通し及び効果について伺います。 一級河川野通川、そして小林調節池の整備についてですが、令和元年東日本台風による大雨により、県内では堤防の決壊や溢水、越水による浸水被害が多発し、多くの県民が被害に遭われました。私の地元久喜市をはじめとする中川・綾瀬川流域においても浸水被害が発生し、地域住民の生活に大きな影響を及ぼしました。近年、全国的に豪雨災害が激甚化しており、いつどこで甚大な被害が発生してもおかしくないと感じております。 中川・綾瀬川流域のような低く平らな地形の地域においては、山間部のダムと同様に洪水をためられる調節池を整備することは非常に有効と認識をしています。このため、この流域に住む人々が安心して生活できるよう、一日も早い小林調節池の整備が望まれます。 昨年度の一般質問では、「令和三年度から調節池の南側の池の遮水工に着手するとともに、越流堤や連絡函渠などの設計を実施する」との答弁でした。私は、令和七年度までの防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算を活用し、できる限り事業をスピードアップさせるべきと考えます。 そこで、一級河川野通川・小林調節池の現在の進捗状況と今後の見通し、さらに、完成後の影響効果について、県土整備部長に伺います。 以上で私の一般質問は終わります。御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手起こる) ○中屋敷慎一議長 七十一番 梅澤佳一議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 梅澤佳一議員の御質問に順次お答え申し上げます。 まず、八ッ場ダム完成後の利根川流域の治水・利水対策についてのお尋ねのうち、利根川流域での治水対策、利水面での効果に対する評価についてでございます。 八ッ場ダムは、利根川水系において洪水・氾濫から人命・財産を守るとともに、都市用水の補給を目的として構想から約七十年を経て、ようやく完成に至りました。 その治水面でありますけれども、八ッ場ダムを合わせて八基となった利根川上流のダム群の洪水調節容量は、これまでの約一・五倍となりました。令和元年東日本台風では、これらのダム群に加えて渡良瀬遊水地などでも洪水貯留機能を最大限発揮したことや、現在も進められている堤防強化対策の効果により、利根川流域での甚大な被害が回避されました。八ッ場ダムの完成によって利根川上流域にバランス良くダムが配置され、上流域のどの場所で大雨が降っても、下流域での洪水被害は、これまで以上に軽減されることが期待できます。 また、利水面での効果ですが、利根川水系では平成に入ってから八ッ場ダムが完成するまでに九回の渇水が発生をし、取水制限が行われました。渇水時には、暫定水利権は安定水利権と比べ厳しい取水制限が課せられるため、家庭での断水やプールの使用自粛など県民生活に大きな影響が生じたことがありました。八ッ場ダムの完成により安定水利権が一〇〇パーセントとなり、利根川水系ではこの二年間、渇水に至るような状況にはなっておりません。利根川上流ダム群の利水容量が洪水期で約七パーセント、それ以外の時期で約一九パーセント増加し、それが渇水に至っていない要因の一つであろうと考えています。 次に、冬季の通水による水環境の改善についてでございます。 八ッ場ダム完成前の令和元年度と完成後の令和三年度を比較いたしますと、冬季に通水された日数は約一八パーセント増加いたしました。しかし、利根川の水量が少ないときには通水がカットされることがございます。冬場に水が流れることは、水質の改善や生態系の保全、景観の形成につながり、水環境の改善に大変効果があります。 今後も、河川管理者である国との情報の共有や調整をより密にし、水量が少ないときにでも切れ目なく水路に水が流れるよう、流域の市や土地改良区とともに国に要望してまいります。 次に、今後の水資源行政への対応についてでございます。 県では、日常生活に必要な水を安定的に利用できる水量の確保、それに加えて十年に一回程度発生する激しい渇水への対応のため、ダム等の建設事業に参画をしております。八ッ場ダムが運用を開始し、これまで完成したダム等で日常生活に必要な水量は確保できましたが、近年の気候変動などを踏まえると極端に雨が少ないことも想定しておく必要がございます。そのためには、八ッ場ダムに加えて、平成六年度事業完了が見込まれる思川開発事業が必要不可欠と考えております。 県としては、計画どおり完了するよう国、水資源機構に働き掛けてまいります。 次に、本県のエネルギー政策の方向性についてのお尋ねのうち、原発や化石燃料による発電又は太陽光など再生可能エネルギーの割合についてどのように考えるかについてであります。 エネルギー割合を決定するエネルギー基本計画は国が策定するものであり、令和三年に閣議決定された第六次エネルギー基本計画は二〇三〇年度の電源構成として、再生可能エネルギーは三六から三八パーセント、原子力は二〇から二二パーセントといった割合が示されております。 県としては、こうした国の計画等を踏まえて対応する必要がございますが、世界で最悪の電力供給不足となったともいえる歴史上、世界の中でデマンドレスポンスが最も長い期間導入されたのは、本県を含む東京電力管内であります。その大きな要因は、導入が進んでいた太陽光からの電力供給が雪により長期間停止したことにありました。 県としては、設備容量が十分あるのに供給が間に合わないという世界で初めて発生したこの事態を繰り返すことがないよう、中小企業等及び家庭の双方で蓄電池などの設備の導入補助をはじめとする再生可能エネルギーの活用促進に取り組むとともに、省エネ設備の導入補助も実施しており、今議会において拡充を御提案しているところでございます。 再生可能エネルギーの割合を定める国における基本計画にかかわらず、本県においては電力の安定供給のため、蓄電池や系統との連携、多様なエネルギー源の確保など、バランスをとった施策の展開が必要と考えております。 次に、今後の本県のエネルギー政策の方向性についてでございます。 六月二十六日には、経済産業省から東京電力管内で電力の需給ひっ迫注意報が初めて発令されるなど、電力確保をはじめとしたエネルギー環境の厳しさが再認識をされているところでございます。エネルギー基本計画を策定し、主としてエネルギーについて責任を有するのは国でありますが、エネルギーが県民生活や経済活動に不可欠なものである以上、県としても最大限の取組が必要と考えております。県では、埼玉版スーパー・シティプロジェクトの取組を推進しており、例えば、工業団地にコージェネレーションシステムなどの分散型電源を導入し、エネルギーの効率的利用を推進することが考えられます。 審議をお願いしている補正予算に反映されているとおり、現在のエネルギー価格の高騰が長期化することを想定し、県民の負担軽減を図ると同時に、高エネルギー効率機器への転換等、事業者の体質強化を推進する政策に力を入れてまいります。このような施策は、持続可能な発展をも可能にすると考えています。 また、脱炭素化も図る必要があります。県民や企業のエネルギーの安定的利用と脱炭素化との両立に向け、中長期的な視野に立ち、徹底した省エネルギー化や、再生可能エネルギーのバランスのとれた導入促進等、エネルギーの効率利用等を一体的に進めてまいります。 なお、先ほどの水資源行政への対応についての御質問に対する答弁の中で、「令和六年度に事業完了が見込まれる思川開発事業が必要不可欠です」と述べるべきところ、誤って「平成六年度」と申し上げてしまいました。改めて、おわびを申し上げ、訂正をさせていただきます。       〔橋本雅道副知事登壇〕 ◎橋本雅道副知事 梅澤佳一議員の御質問に順次お答え申し上げます。 まず、御質問三、利根川の首都圏氾濫区域堤防強化対策とその周辺環境を活かした取組についての、栗橋地区を含む一期区間における堤防強化対策の進捗状況と完成時期はについてお答えを申し上げます。 さきに議員からお話のあった八ッ場ダム完成感謝のつどいには、私も知事代理として出席させていただき、恩恵を受ける下流の都県を代表して、上流の皆様の御理解、御協力への感謝の気持ちを述べさせていただきました。この八ッ場ダムを含む上流のダム群や、国が実施中の首都圏氾濫区域堤防強化対策は、堤防の決壊リスクを下げるため、本県を含めたこの地域にとって治水安全上、必要不可欠なものであると考えております。 利根川では、茨城県五霞町から深谷市までの約四十九・五キロメートルの事業区間のうち、羽生市までの約二十三・五キロメートルを一期区間として堤防強化を進めております。御質問の栗橋地区を含む一期区間については、令和三年度末の進捗状況が用地買収率約九八パーセント、工事進捗率約八七パーセントとなっており、完成目標が令和五年度と伺っております。 引き続き、国に対し早期完成を要望してまいります。 次に、同地区の公的避難施設整備に対する埼玉県の協力について、及び公的避難施設を自転車道路の休憩地として活用することは考えられるかについては関連がございますので、一括してお答え申し上げます。 久喜市では、国の堤防強化事業に併せて、土地区画整理事業で整備する防災公園内に避難施設の建設を計画しており、この取組は治水事業と都市整備事業との連携による流域治水の一環と考えております。県では、避難施設の建設に係る市の財政負担を軽減できるよう、都市防災総合推進事業の交付金について国と協議を重ね、令和四年度の新規事業採択がなされたところです。これにより市では、令和四年度に避難施設の基本設計を行い、久喜市栗橋地区堤防強化事業対策協議会から要望を受けております水防団の基地や子供たちの防災学習などでの活用について検討を進めていくと伺っております。 また、御質問の利根川・江戸川サイクリングロードは、東京ディズニーリゾート付近から群馬県渋川市に至る総延長百七十キロメートルの川沿いでは日本一長い自転車道となっております。そこで、平常時には遠方からの自転車利用者など多くの方々に施設を利用していただき、広く防災に関する啓発を進めることは有効な活用方法であると考えます。 あわせて、避難施設に隣接する八坂神社で朝市などのにぎわいづくりを行う提案が、地元協議会から市に寄せられていると伺っております。このため、避難施設、防災公園及び八坂神社を含めた一体的なエリアで、地域のにぎわい拠点としてのコンパクト、かつ災害に強いレジリエントなまちづくりの実現に向け、国への交付金申請手続や実施計画に係る技術的支援など、市の事業を積極的に後押ししてまいります。       〔村田暁俊都市整備部長登壇〕 ◎村田暁俊都市整備部長 梅澤佳一議員の御質問四、本県の持続的発展を支える土地利用の推進についてお答え申し上げます。 県では、産業基盤づくりについて市町村からの御相談にワンストップで対応し、土地利用調整が円滑に進むよう全庁体制で取り組んでいます。令和四年度からは埼玉の持続的成長を支える産業基盤づくり取組方針に基づき、市町村の課題解決に向け積極的に支援してまいります。 例えば、候補地区を検討する段階では、早期に着手できるよう、土地利用上の規制が少ない土地を候補地とするなどの助言を行います。また、計画の熟度を高める段階では、市町村と関係部局との橋渡しをこまめに行い、調整に手戻りがないよう丁寧に対応いたします。 さらに、新たな方針では、埼玉版スーパー・シティプロジェクトの考え方を踏まえ、周辺地域と一体となったまちづくりを目指します。具体的には、市町村と進出企業などが共同宣言を行うとともに、進出企業には埼玉県SDGsパートナーへ登録をいただきます。そうした企業には、例えば、災害時の避難場所の提供やエネルギーの融通など地域の一員として活動していただくことにより、経済活性化に加え、地域コミュニティの活性化につなげていきます。 これまで培った土地利用調整のノウハウに加え、まちづくりの視点を持ち、本県の持続的発展につながる産業基盤づくりに積極的に取り組んでまいります。       〔山崎達也保健医療部長登壇〕 ◎山崎達也保健医療部長 梅澤佳一議員の御質問五、地方独立行政法人化後の県立病院の取組についてお答え申し上げます。 県は、埼玉県立病院機構に対して高度専門医療等の提供や地域医療への貢献などを定めた中期目標を指示し、機構では中期目標の達成に向けて四つの病院の専門性を生かした取組を展開しています。 まず、医師の処遇改善と併せ、これまで非常勤で雇用していたレジデントと呼ばれる研修医の常勤化を行い、四病院全体で常勤医師を八十七名増員するなど医療人材の充実を図りました。これにより、これまで空白となっていた二つの地区の小児救急医療の輪番体制に新たに医師の派遣を開始するなど、県の医療体制の強化にも大きく貢献しました。 そのほか、循環器・呼吸器病センターでは多くの新型コロナウイルス感染症患者を受け入れながら、脳疾患の救急にも積極的に対応し、小児医療センターでは小児生体肝移植について全国有数の実績を挙げました。さらに、新型コロナウイルス感染症への対応については四病院全体で百四十二床を確保し、重症者を含む多くの患者を受け入れました。 地方独立行政法人のメリットを最大限に発揮し、県立病院の医療サービスを充実させるとともに、埼玉県全体の医療水準の向上に貢献するよう、埼玉県立病院機構に対し引き続き働き掛けてまいります。       〔今成貞昭下水道事業管理者登壇〕 ◎今成貞昭下水道事業管理者 梅澤佳一議員の御質問六、流域下水道の将来について、順次お答え申し上げます。 まず、中川水循環センターの汚泥消化施設が予定どおりバイオガスを発生しているかについてでございます。 中川水循環センターでは、昨年十一月一日に汚泥消化施設とバイオガス発電施設が供用開始しております。この汚泥消化施設は、鋼板製としては現在、国内最大の規模となっております。十一月の供給開始から本年五月末までの七か月間のバイオガス供給量は、当初計画の二百九十二万立方メートルに対し、約一・三倍となる三百七十三万立方メートルと、計画以上の量を発電事業者に売却できております。 次に、汚泥消化施設の運用による利益の活用の検討状況についてでございます。 バイオガスの売却によって発生する利益につきましては、昨年度、中川流域の十五市町に対して、県の取扱いの方針について丁寧に御説明をいたしました。その結果、バイオガス売却利益を県に帰属し、流域全体の利益となるような将来を見据えた取組に活用することについて、賛成多数で同意をいただきました。令和三年度のバイオガス売却収入は約一億三千万円で、現在、コストを差し引いた利益額の算出を行っているところでございます。 今後、活用方法を検討し、趣旨に沿った事業を関係部局と調整の上、予算計上する予定としております。具体的には、汚泥の肥料化や将来的には赤字流域の補填等を想定しております。 次に、汚泥消化施設がこれまでどのくらい温室効果ガスを削減したのかについてでございます。 温室効果ガスの発生については様々な要素があり、現時点で詳細な削減量を算出するのは難しいところがございます。当初想定では、温室効果ガスの削減量は七か月間で二酸化炭素換算で約七千二百トンを見込んでおりました。バイオガスの供給量が当初計画の約一・三倍だったことを踏まえますと、相当量の温室効果ガスの削減を達成しているものと思われます。 最後に、汚泥消化施設の他流域への展開についてでございます。 中川水循環センターの施設が順調に稼働していることを踏まえ、今後は久喜市にある古利根川水循環センターについて同様の汚泥消化施設の導入を計画しております。今年度は基本設計を実施し、令和六年度の工事着工を目指してまいります。 汚泥消化施設は、温室効果ガスの削減に極めて大きな効果がある施設でございます。その他の流域でも用地の確保等の課題はございますが、温室効果ガスの更なる削減に向け、同様の施設の導入について検討を進めてまいります。       〔北田健夫県土整備部長登壇〕 ◎北田健夫県土整備部長 梅澤佳一議員の御質七、地元問題についてお答え申し上げます。 まず、(一)県道幸手久喜線の歩道整備についてです。 久喜市内の県道幸手久喜線は、沿道の土地区画整理事業などで道路整備がおおむね完成していますが、久喜工業高校前の約四百メートルの区間の北側歩道のみ未整備となっております。この区間の沿道には住居や店舗が連たんしており、事業の推進には地権者など関係者の皆様との合意形成が不可欠です。 議員お話しのとおり、令和三年四月に市を介して地元自治会から地権者の同意書を添えた歩道整備を求める要望書が県に提出されました。このため県では、車道の拡幅と歩道整備に着手することとし、令和三年度に測量や設計を実施いたしました。令和四年度は移転が必要となる家屋などの物件調査を行い、用地取得を進めてまいります。 次に、(二)県道川越栗橋線小林交差点の整備についてです。 県道川越栗橋線の小林交差点は交差する県道や市道への右折帯が未整備であり、クランク形状であることから、通勤時間帯を中心とした交通渋滞や交通事故が発生しております。また、交差点付近に歩道が未整備となっている箇所があることから、歩行者や自転車の安全な通行に支障を来しております。 このため県では、渋滞解消と事故防止、歩行者の安全確保を目的として、小林交差点の整備と県道川越栗橋線の歩道整備を進めております。現在の用地買収率は五五パーセント、工事進捗率は二四パーセントとなっております。令和四年度は引き続き用地取得を進め、まとまった用地が取得できた箇所の歩道工事を進めてまいります。さらに、整備効果を早期に発現させるため、交差点部に歩行者のたまり空間の工事を進めてまいります。 今後とも、地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、残る用地の取得を進め、事業を推進してまいります。 次に、(三)小林調節池整備の進捗状況、今後の見通し及び効果についてです。 小林調節池は野通川の洪水調節を目的とし、見沼代用水の北側に二つと南側に一つの計三つの池からなる計画調節容量約六十八万立方メートルの調節池です。これまでに用地取得は全て完了しており、北側の二つの池で全体の計画調節容量の二六パーセントを暫定的に確保するとともに、令和三年度には南側の池の遮水工にも着工しました。令和四年度は水路の切回し工事や南側の池の遮水工を引き続き実施するとともに、北側の二つの池をつなぐ連絡函渠や、越流堤に架かる管理橋の工事などに着手してまいります。 この調節池の整備により洪水のピーク時に野通川の流量の約二割を貯留し、その効果として上下流にわたる河川水位の低下と、それに伴う流域全体の治水安全度の向上が見込まれます。これら効果を早期に発現させるためにも、引き続き防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算を最大限活用することで整備を推進してまいります。 ○中屋敷慎一議長 ほかに発言通告がありませんので、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問は終了いたしました。          ---------------- △休憩の宣告 ○中屋敷慎一議長 暫時、休憩いたします。なお、再開は四時九分といたします。午後三時五十八分休憩          ----------------午後四時九分再開 出席議員    八十四名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十六番   二十七番  二十八番  二十九番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番  七十九番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十六番  八十七番  八十八番  八十九番    九十番  九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    三名   五十九番   六十番  八十五番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○中屋敷慎一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △第百六号議案、議第十五号議案及び議第十六号議案に対する質疑 ○中屋敷慎一議長 これより、本日提出された第百六号議案、議第十五号議案及び議第十六号議案に対する質疑を行います。 発言通告がありますので、これを許します。 議第十五号議案に対する質疑 四十六番 井上航議員       〔四十六番 井上航議員登壇〕(拍手起こる) ◆四十六番(井上航議員) 無所属県民会議の井上航です。会派を代表して議第十五号議案に質問します。 問一、提案者が行った意見募集、県民コメントについてです。意見募集の総件数は。そのうち賛成意見は何件で、反対意見は何件か。 問二、意見募集を踏まえて素案から変更した点はあるか。 問三、条例推進派と思われる団体がコメント募集期間中にもかかわらず、差別をあおる反対意見で荒れており、反対意見だらけになると条例制定が遠のく可能性があるとの趣旨のツイートをし、賛成コメントを求めているのが分かりました。このような事態が生じた原因を県民コメント募集者としてどのように考えているのか。 問四、続いて、現状認識についてです。提案者は提案説明の中で、社会の不合理や不平等を感じる県民が相当数いる現状があり、それを解消するとおっしゃっているが、具体的にはどのような不都合、不合理があると認識しているのか。 これ以降は条文内の文言について伺います。 問五、第一条「目的」について。「この条例は、男女という二つの枠組みではなく連続的かつ多様である性の在り方の尊重」とした理由は。「二つの枠組みだけではなく」という表現の方が現実の感覚に近いと思いますが、いかがでしょうか。 問六、条文内で用いられる「全ての人」の範囲は。 問七、第二条の二の定義を踏まえ、本条例では性自認を重視するということですが、性別適合手術をして戸籍変更をしていなくても性自認の性として扱うことを県、県民、事業者に求めるということか、確認いたします。 問八、性自認は「自己の性別についての認識」とあります。どのタイミングでの自認を問うのか。つまり何をもって自認というのか、伺います。 問九、第三条の「あらゆる場」とは、あくまでも埼玉県内でのことを指すのか。 問十、「あらゆる場」とは、女性トイレや女湯、更衣室など女性のプライバシーの度合いが高い場も含むのか。 問十一、第四条第一項、「不当な差別的取扱い」とはどのようなことを指すのか、具体的な事例を示していただきたいと思います。 問十二、こちらから一点、具体例を出して伺います。例えば、入浴施設側が体は男性、性自認女性が女湯に入ることを拒むのは、不当な差別的取扱いに当たるのか。また、客が入ってほしくないと施設側に求めることは差別に当たるか。 問十三、男性が女装し、性自認を女性と主張して女性スペースに入るなりすましを防げるか。これが一番の論点であり、多くの条例制定を心配する声が寄せられている点かと考えます。性自認の定義が曖昧であれば、性自認の申告がそのまま認められ、犯罪に悪用されるおそれがあるのではないか、提案者の認識を伺います。 問十四、第四条第三項で、「正当な理由なくアウティングをしてはならない」とあるが、わざわざ「正当な理由なく」を足した理由は。 問十五、第七条の「県民」の範囲は、在住、在勤などの概念はどうなっているのか。観光客なども含むのか、伺います。 問十六、第十条に、「県が実施する事務事業において、性の多様性に合理的な配慮をしなければならない」とあるが、提案者は現在行われている県の事務事業において合理的な配慮に欠く具体例があると考えているのか。 問十七、県教育委員会の事務事業には県立学校があります。そこには男子校、女子校があります。提案者は、この条例が制定されたとして、男子校へ性自認男性を入学させる、又はその逆の性自認女性を女子校に入れるということも想定するのか、伺います。 問十八、第十一条で定めるパートナーシップ・ファミリーシップについてです。県下では三十五自治体が制定していますが、他方で、地域の理解が得られず制定していないところもあります。そのような中で、県として制度を作るべきと考えているのか。 問十九、この制度の利用実態は決して多くありません。利用が低調な中で、この制度を本条例で求めることの意義を伺います。 問二十、附則、公布の日から施行するとありますが、性に対する新たな解釈を加えるのに少し拙速過ぎるのではないかと考えますが、提案者の考えを伺います。 以上です。(拍手起こる) ○中屋敷慎一議長 四十六番 井上航議員の質疑に対する答弁を求めます。 二十一番 渡辺大議員       〔二十一番 渡辺大議員登壇〕 ◆二十一番(渡辺大議員) 御質問に対してお答えいたします。 一つ目、意見募集の総件数等々についてですが、意見募集は本来条例に関する質問ではありませんがお答えさせていただきますと、県民コメントはそもそも公開しないことを前提として実施しております。 続きまして、素案から変更した点はあるかという二問目の質問ですが、こちらは総合的に判断し、修正、変更した点はございます。 三つ目の質問です。ツイートの件ですけれども、個別の個人の言論活動についてコメントする立場にはないと考えております。 四つ目の質問です。具体的には、どのような不都合、不合理があると認識しているかという御質問ですが、例えば、差別的な発言やいじめによって傷付けられたり、同性カップルの方たちは手術の際の同意が認められない、生命保険の受取人になれないなどの不合理、不都合があると認識しております。 五番目の質問です。連続的かつ多様である性の在り方の尊重とした理由はという御質問です。「男女という二つの枠組みではなく」とした理由ですが、性の在り方はグラデーションなのだという性の多様性についての理解を深めてもらう必要があるためです。 六番目の質問、「全ての人」の範囲はですが、県内に住所を有する者及び県内に滞在する者、全ての人を指すと考えております。 七番目の質問です。性自認を重視するのかという御質問ですが、主観的な性自認を重視することについては、そのとおりであると考えております。 八番目の質問です。性自認のタイミングですけれども、これは御自身、御本人が認識した時点であると考えます。 九番目の質問、第三条についての「あらゆる場」とはという御質問ですが、これは埼玉県内、埼玉県で定める条例ですので、埼玉県内のことを指します。 十番目の質問ですが、「あらゆる場」とは、女性トイレや女湯、更衣室など女性のプライバシー度の高い場所も含むあらゆる場での性の多様性は尊重されるということかということですが、これはおのずから人権として権利を主張される場合、内心にとどまる限りは絶対的に保障されるものですが、内心にとどまらず外部の行為として表現される場合には、おのずから人権としての制約が働くと考えております。他の人権と御主張される人権が衝突する場合には、人権と人権がぶつかる、その人権相互の矛盾、衝突を調整する原理としての公共の福祉による制約をおのずから受けるものだと考えております。 問十一番目、不当な差別的取扱いとはどのようなことを指すのか、具体例を示してほしいということですが、具体的な事例としましては性的指向、性自認を理由として従業員を解雇することや、採用内定者の内定を取り消すこと、性的指向、性自認に関するハラスメント行為やいじめを行うことなどが挙げられると考えております。 十二番目の質問です。具体例として、入浴施設側が体は男性、性自認女性が女湯に入ることを入浴施設が拒むことは不当な差別的取扱いに当たるか、客が入ってほしくないと施設側に求めることは差別かという御質問ですけれども、これも先ほど人権のお話をさせていただいたものが基本的な理解としてありますが、具体的なお話をさせていただければ、本条例について公衆浴場等の施設の衛生及び風紀に必要な措置の基準において定められる男女の区別を設ける趣旨の規定の適用や、そのような趣旨の規定に基づいて施設の管理者が講ずる措置の適用を妨げるものではありません。当然、施設の管理者などにも営業の自由があります。 したがって、入浴施設の管理者が女湯への立ち入りを禁止することは、一律に条例違反となるものではないと考えております。また、お客さんの要望についても、一律に差別に当たるものではないと考えております。 十三番目の質問です。女性スペースに入るなりすましを防げるか、性自認の定義が曖昧で、性自認の申告がそのまま認められると犯罪に悪用されるのではないかという話ですけれども、これも先ほど申し上げたとおり、基礎的な人権の考え方をベースに考えていただきまして、性自認の申告がそのまま認められるという内容の規範ではございません。また、この条例案の規定が建造物侵入罪、偽計業務妨害罪、迷惑行為防止条例等の構成要件該当性を否定したり、違法性を阻却したりすることはございません。 十四番目の質問です。第四条第三項の「正当な理由なくアウティングをしてはならない」をわざわざ「正当な理由なく」と足した理由はということですけれども、正当な理由についてはですね、緊急搬送時等の本人に確認をするのを待っていては命に関わるような緊急事態であるとか、裁判における必要な対応等、本人の同意を得ることができないような場合を想定しております。 十五番目の質問、第七条、「県民」の範囲はですが、県内に住所を有する者、及び県内に滞在する者全ての人を指すと考えております。したがって、観光客も含むものと解しております。 十六番目の質問です。県が行う事務事業において合理的な配慮に欠くと考える具体例はあるかということですが、具体例を挙げさせていただきますと、パートナーとの県営住宅の入居であるとか、病院での手術の同意であるとか、県内パートナーシップ・ファミリーシップ制度が県内の自治体によってばらついていることであるとか、そのような具体例が挙げられると思います。 十七番目、県立学校の男子校への性自認男性を入学させる、又はその逆の性自認女性を女子校に入れるということも想定するのかという御質問ですが、これはお茶の水女子大をはじめ性自認女性である人の入学を近時は認めており、検討することは自体は可能だと考えております。 十八番目の質問に移ります。県としてパートナーシップ・ファミリーシップ制度を作るべきと考えるのかという御質問ですけれども、これは作るべきであると考えております。これは先ほど申し上げたとおり、住んでいる市町村によってパートナーシップ制度、ファミリーシップ制度が認められる要件が異なっており、それが不便だという県民の声があるためです。 十九番目の質問になります。利用実態に関してですね、低調だということで御質問ありましたですけれども、まず、制度を利用するためにはカミングアウトをすることになりますが、これまで長く苦しんできた方はカミングアウトすることによる抵抗というか、これまで苦しんできた嫌な思いということが非常にあり、おそれを持っていらっしゃいます。こうしたことがあり、なかなか利用が進んでいないということもありますが、社会の理解の進展に伴い、制度の利用も進むと考えております。あわせて、性の多様性を前提としたこうした選択肢を制度として、選択肢の一つとして制定することが重要であると考えております。 二十番目の質問です。公布の日から施行するとあるが拙速ではないかというお話ですが、性的指向又は性自認に関して社会の不合理、不平等を感じて生きている県民の方が相当数いらっしゃる現状を一刻も早く改善する必要が高いということ、加えて先ほどもお話ししたとおり、これは新たな解釈というものではなく、これまで国、県、県教育局でも広く啓発されている内容であり、問題はないと考えております。(拍手起こる)       〔四十六番 井上航議員登壇〕 ◆四十六番(井上航議員) それでは、何点か再質疑させていただきます。 まず、県民コメントについては公開する、そもそも公開を必須としていないということで、それは行政のパブコメとは違いますので、その主張には理解いたします。 その上で、報道等によりますと、それでも数値というのは報じられておりまして、伺うところによると、九割が反対の意見だったというふうに聞いております。その多くの反対意見が寄せられたにもかかわらず、提案の見送りであるとか、文言の修正、これらの状況がどうだったのかというところを確認させてください。 先ほど「素案から変更した点がある」とおっしゃっていましたので、どの点を修正したのか。そして、まずはその点を確認させていただいたほうがよろしそうですので……、では、パブコメの募集した案から変更した点があるということでしたので、そこをどう変更したのか、確認させていただきます。 続きまして、先ほど現状認識であるとか、県の事務事業に関する質問の中で、手術の同意に関する答弁がございました。私の方で保健医療部に確認をさせていただきましたが、少なくとも県の事務事業という意味も含みますが、県立の四病院では同性でもキーパーソンの同席というのは認めております。意識がない場合でも同居などの状況があれば同性でもOK。その場合は、特に証明や誓約書、また公正証書の提出なども求めていないということでした。また、こういった実態は、私がお話を伺った当事者の方も「現にこういう病院は増えてきている」というふうにおっしゃっております。 こういった実態を踏まえて、先ほど不都合、不合理であるとか、県の事務事業に対する答弁がございましたけれども、その点について再度認識を確認させていただきます。 そして、「目的」のところにある「二つの枠組みではなく」ということは、「グラデーションがあるからこそそうなんだ」というふうにおっしゃっていました。では、確認ですが、本条例では第十二条第二項で、「県は、学校の授業その他の教育活動において、性の多様性に関する理解を深める」とあります。学校でも「二つの枠組みではなく」と教えるという形をお考えなのか、確認をさせてください。 それから、先ほど銭湯の事例を出して、それに対しても答弁をいただきました。私が確認をさせていただいたところ、少なくとも埼玉県の公衆浴場の組合においては、特段決まったルールというのはないそうなんですね。なので、先ほど提案者もおっしゃっていたように、それぞれの営業の自由というか、それに基づいて判断されていくだろうということなんですが、やはり例えば、こうした性の多様性を認めようという同趣旨の法律がある海外では、悪用事例というのは報告されています。しかも、それが防ぐということだけでなく、後に裁判などにおいて、こういう法律があるから私は悪くないというような主張につながったりするわけです。 ですので、是非、提案者にはこの条例が可決されても、今私が言ったようなことはあくまでも取り越し苦労であると、心配に及ばないんだというような確証や担保があるのかという点をお聞かせいただきたいと思います。 以上です。(拍手起こる) ○中屋敷慎一議長 四十六番 井上航議員の再質疑に対する答弁を求めます。 二十一番 渡辺大議員       〔二十一番 渡辺大議員登壇〕 ◆二十一番(渡辺大議員) 再質疑に対してお答えさせていただきます。 まず、パブコメについての報道ということでございましたですけれども、先ほども申し上げましたとおり、自民党で県議団として行っているパブリックコメントについては、そもそも公開しないことを前提として実施しておりますということでございます。 素案から変更した点はあるか、どう変更したのかという御質問ですけれども、こちら先ほども申し上げましたとおり、総合的に判断し、修正、変更した点はございますということでございます。 ほかにですね、五番目の質問に関連してですけれども、性のグラデーションについてですね。学校においても教育をそのような認識でするのかという御質問だったと思いますが、既に教育局で児童生徒、小学校五年生以上に配布されている児童生徒に対する資料でもこのように、グラデーションであるというふうな説明がなされております。 あと、十二番目の質問に関して、悪用事例が増えるんではないか、確証があるのかということでありましたけれども、物事がゼロであるということを証明することは悪魔の証明といわれまして、これは不可能なものだと考えておりますけれども、先行している自治体だったり、海外の事例がありますので、少し御紹介させていただきますと、二〇一八年にUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の方で大規模な性犯罪増加の実態があるかという調査が行われましたが、この点で性犯罪が増加するということはないということが統計的には明らかになっています。三重県などでも同様の条例が先行的に実施されていますが、この条例を契機に性犯罪等々の悪用事例が増加したという報告はないと聞いております。 以上です。(拍手起こる) ○中屋敷慎一議長 渡辺議員に申し上げます。 質疑の中に、県立四病院では認めつつある状況があるということでの質疑がございましたけれども、その現状認識について答弁願います。 二十一番 渡辺大議員       〔二十一番 渡辺大議員登壇〕 ◆二十一番(渡辺大議員) 再質疑、答弁漏れがありまして失礼いたしました。 県立病院についての手術の同意については、県立病院では認められるということでお話がありましたけれども、先ほど挙げさせていただいた当事者が感じている不合理、不都合であったり、大きな悩みというものは、先ほどのは例示列挙に過ぎません。それにとどまらずにこうした当事者が感じられている不合理、不都合が解消されていくこと自体はすばらしいと思いますが、まだ厳然たる不合理、不都合が世の中には多く存在していますので、これらを解消していくために本条例は必要だという認識で提案をさせていただいております。(拍手起こる) ○中屋敷慎一議長 ほかに発言通告がありませんので、第百六号議案、議第十五号議案及び議第十六号議案に対する質疑は終了いたしました。          ---------------- △第九十一号議案~第百六号議案、議第十五号議案及び議第十六号議案並びに請願の各委員会付託 ○中屋敷慎一議長 これより、議案及び請願の付託を行います。 本定例会に提出された第九十一号議案ないし第百六号議案、議第十五号議案及び議第十六号議案並びに請願につきましては、お手元に配布しておきました付託表のとおり、各所管の委員会に付託いたします。〔参照-(九)(一五四)ページ〕          ---------------- △次会日程報告 ○中屋敷慎一議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明三十日、七月四日及び六日は、議案調査のため、本会議は開きません。 二日及び三日は、休日につき休会といたします。 一日、四日及び五日の三日間は、各委員会を開き、付託案件の審査を願います。 来る七日は、午前十時から本会議を開き、各委員長の報告を求め、質疑、討論及び採決を行います。          ---------------- △散会の宣告 ○中屋敷慎一議長 本日は、これにて散会いたします。午後四時三十七分散会          ----------------...