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  1. 埼玉県議会 2022-02-01
    02月25日-03号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    令和 4年  2月 定例会二月定例会  第九日(二月二十五日)令和四年二月二十五日(金曜日)第九日 議事日程 一 開議  午前十時 二 知事提出議案(第六十号議案~第六十三号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問(代表)    九十三番  田並尚明議員    九十一番  西山淳次議員 三 次会日程報告    二月二十六日(土)、二十七日(日) 休日休会    二月二十八日(月) 午前十時開議、質疑質問続行、委員長報告、同報告に対する質疑、討論、採決 四 散会          ----------------本日の出席議員    八十七名         二番  金野桃子議員         三番  岡村ゆり子議員         六番  小川直志議員         七番  杉田茂実議員         八番  阿左美健司議員         九番  深谷顕史議員        十二番  秋山もえ議員        十三番  平松大佑議員        十四番  柿沼貴志議員        十五番  八子朋弘議員        十六番  中川 浩議員        十七番  高橋稔裕議員        十八番  逢澤圭一郎議員        十九番  山口京子議員        二十番  千葉達也議員       二十一番  渡辺 大議員       二十二番  松井 弘議員       二十三番  高木功介議員       二十四番  橋詰昌児議員       二十五番  白根大輔議員       二十六番  町田皇介議員       二十七番  守屋裕子議員       二十八番  江原久美子議員       二十九番  松坂喜浩議員        三十番  並木正年議員       三十一番  宮崎吾一議員       三十二番  関根信明議員       三十三番  木下博信議員       三十四番  藤井健志議員       三十五番  美田宗亮議員       三十六番  吉良英敏議員       三十七番  松澤 正議員       三十八番  浅井 明議員       三十九番  飯塚俊彦議員        四十番  安藤友貴議員       四十一番  辻 浩司議員       四十二番  山根史子議員       四十三番  前原かづえ議員       四十四番  浅野目義英議員       四十五番  石川忠義議員       四十六番  井上 航議員       四十七番  岡 重夫議員       四十八番  横川雅也議員       四十九番  内沼博史議員        五十番  岡田静佳議員       五十一番  細田善則議員       五十二番  永瀬秀樹議員       五十三番  日下部伸三議員       五十四番  小久保憲一議員       五十五番  新井 豪議員       五十六番  荒木裕介議員       五十八番  萩原一寿議員       五十九番  水村篤弘議員        六十番  秋山文和議員       六十一番  村岡正嗣議員       六十二番  醍醐 清議員       六十三番  鈴木正人議員       六十四番  岡地 優議員       六十五番  白土幸仁議員       六十六番  小川真一郎議員       六十七番  齊藤邦明議員       六十八番  武内政文議員       六十九番  須賀敬史議員        七十番  新井一徳議員       七十一番  梅澤佳一議員       七十二番  宇田川幸夫議員       七十三番  立石泰広議員       七十四番  塩野正行議員       七十五番  蒲生徳明議員       七十六番  高木真理議員       七十七番  山本正乃議員       七十八番  柳下礼子議員       七十九番  中屋敷慎一議員        八十番  諸井真英議員       八十一番  神尾高善議員       八十二番  高橋政雄議員       八十三番  田村琢実議員       八十四番  本木 茂議員       八十五番  宮崎栄治郎議員       八十六番  齊藤正明議員       八十七番  小島信昭議員       八十八番  小谷野五雄議員       八十九番  長峰宏芳議員        九十番  石渡 豊議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  木村勇夫議員       九十三番  田並尚明議員   欠席議員    一名       五十七番  権守幸男議員地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   大野元裕  知事   砂川裕紀  副知事   橋本雅道  副知事   高柳三郎  副知事   堀光敦史  企画財政部長   小野寺 亘 総務部長   真砂和敏  県民生活部長   安藤 宏  危機管理防災部長   小池要子  環境部長   山崎達也  福祉部長   関本建二  保健医療部長   板東博之  産業労働部長   強瀬道男  農林部長   北田健夫  県土整備部長   村田暁俊  都市整備部長   宍戸佳子  会計管理者   北島通次  公営企業管理者   今成貞昭  下水道事業管理者   高田直芳  教育長   原 和也  警察本部長             発言(質問)通告書  二月二十五日(金)議席番号 氏名      要旨 答弁者九十三番 田並尚明議員  1 令和四年度埼玉県一般会計当初予算案について 知事              (1) 感染対策と地域経済の活性化の両立について              (2) 新型コロナウイルス感染症対策推進基金について              (3) 財源調整の基金確保について             2 DXの推進について 知事              (1) 職員の意識改革、能力強化に向けた取組について              (2) 推進体制の強化について              (3) DXを推進するに当たっての基盤整備について              (4) 県による市町村支援について             3 新型コロナウイルス感染症対策について 知事              (1) 新型コロナウイルス感染拡大防止社会経済活動の両立について              (2) パンデミック下の検査キットの確保体制について             4 県内の事業者支援について 知事             5 コロナ禍がもたらす子どもの育ちへの影響について              (1) 子どもの体力低下について 教育長              (2) 学習環境への影響について 〃              (3) 子どもの貧困について 知事             6 命を守るための孤独・孤立対策について 知事             7 農業分野での脱炭素に向けた取組について 知事             8 部落差別解消推進条例について 知事九十一番 西山淳次議員  1 時代認識について 知事             2 地球温暖化対策について 知事 下水道事業管理者 公営企業管理者             3 新型コロナウイルス感染症対策について 知事             4 働く障害者の支援について 知事             5 障害者相談支援事業について 知事             6 尿もれパッドはどこへ 知事             7 訪問医療、訪問介護の安全対策について 知事             8 順天堂大学附属病院の誘致について 知事             9 教育問題について 教育長              (1) 教員の働き方改革              (2) オンライン学習の現状と課題          ----------------午前十時一分開議 出席議員    八十七名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十五番   二十六番  二十七番  二十八番  二十九番    三十番  三十一番  三十二番  三十三番   三十四番  三十五番  三十六番  三十七番   三十八番  三十九番   四十番  四十一番   四十二番  四十三番  四十四番  四十五番   四十六番  四十七番  四十八番  四十九番    五十番  五十一番  五十二番  五十三番   五十四番  五十五番  五十六番  五十八番   五十九番   六十番  六十一番  六十二番   六十三番  六十四番  六十五番  六十六番   六十七番  六十八番  六十九番   七十番   七十一番  七十二番  七十三番  七十四番   七十五番  七十六番  七十七番  七十八番   七十九番   八十番  八十一番  八十二番   八十三番  八十四番  八十五番  八十六番   八十七番  八十八番  八十九番   九十番   九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    一名   五十七番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △開議の宣告 ○梅澤佳一議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ----------------知事提出議案(第六十号議案~第六十三号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問(代表) ○梅澤佳一議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。 発言通告がありますので、順次これを許します。 埼玉民主フォーラム代表、九十三番 田並尚明議員       〔九十三番 田並尚明議員登壇〕(拍手起こる) ◆九十三番(田並尚明議員) おはようございます。埼玉民主フォーラムの田並尚明でございます。このたびは質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。 また、本日はお忙しい中、傍聴にお越しくださいました皆様に心より感謝を申し上げます。ありがとうございます。 さて、冬季オリンピックでは、日本選手の皆様が我々にたくさんの元気を与えていただきました。今度は、政治が県民の皆様に元気を与えられるよう、そして少しでもその一助になれればと願い、会派を代表して質問させていただきます。 それでは、議長のお許しをいただきましたので、順次質問させていただきます。 まず、一、令和四年度埼玉県一般会計当初予算案についてのうち、(一)感染対策と地域経済の活性化の両立についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症との闘いは長引いており、現在も本県は三月六日まで、まん延防止等重点措置期間となっています。こうした状況下で、令和四年度当初予算案においては、「一、直面する危機からの脱却」「二、日本一暮らしやすい埼玉に向けた将来像の実現」を主要施策として掲げ、一般会計で約二兆二千三百億円という過去最高額の予算案となっています。 長引くコロナ対策を踏まえ、令和四年度当初予算においても、感染対策と地域経済の活性化との両立を見据えて予算編成をしたと思います。しかしながら、足元では、オミクロン株による感染急拡大に対応せざるを得ない状況となっており、今後もこうした突発的な感染対策を行わざるを得ない状況が十分に想定されるのではないでしょうか。 令和四年度当初予算案における歳入予算を見ると、県税収入は対前年度四百六十七億円増を見込んでおりますが、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税は対前年度一千二十五億円減となっており、財政調整のための基金を対前年度二百十三億円増の七百三十億円を取り崩すことで、何とか収支を合わせています。そうした状況の中で、感染対策への歳出圧力が更に高まることになれば、地域経済の活性化と両立も困難になり、今まで以上に収支のバランスを維持することが困難になるのではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。新型コロナウイルス感染症への対策とウィズコロナの下での地域経済の活性化、この二つの両立を見据えた上で、どのように収支バランスに配慮しながら予算編成されたのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、(二)新型コロナウイルス感染症対策推進基金についてお伺いいたします。 コロナ対策については、県独自の財源確保策として令和二年五月に、一、新型コロナウイルス感染症のまん延防止、二、医療提供体制の整備、三、県経済の回復及び活性化の三点を推進するため、百億円のコロナ基金が創設されました。当初は感染症の拡大防止や医療提供体制の整備・強化を中心に活用し、令和二年度末時点の基金残高は約八十億円となっていました。 その後、長引くコロナ対策の影響もあり、令和三年度に入り基金を活用し続けた結果、一旦は残高がほぼ枯渇した状態になったのではないでしょうか。令和四年度もコロナの収束がなかなか見通せない状況において、県民の安心安全を確保しながら、引き続きコロナ対策に取り組んでいくためには、県独自の財源として更なる基金の確保が必要です。 そこで、お伺いいたします。コロナ基金の財源枯渇に対して、財源確保の見込みと今後の活用予定について、知事の御所見をお伺いいたします。 予算関係の最後に、(三)財源調整の基金確保についてお伺いいたします。 昨年度の代表質問の際にも、基金復元の取組についてお伺いいたしました。コロナ禍のように突発的で先も見通せない事象に対し、県民の生命、生活、そして県内経済を守っていくためには、迅速かつ適切な対応が求められ、補助金など国の動きを待ってから初めて県が動くということになれば、対応の遅れにつながります。県が迅速かつ適切に対応するために、県としても独自の財源確保が必要である旨お伺いしたところ、知事からは「基金残高を一定程度余裕を持って確保していく必要がある」との御答弁をいただきました。 そこで、お伺いいたします。令和四年度当初予算案においても、財源調整三基金を多額に取り崩すようです。繰り返しになりますが、基金の一定額の繰入れはやむを得ないことと重々承知をしております。その上で、令和四年度当初予算編成後において基金残高は確保できているのか、また、基金の確保にどのように取り組んでいくのかについて、改めて知事にお伺いいたします。 次に、直面する危機からの脱却として、本県の令和四年度の主要施策にもなっておりますデジタルトランスフォーメーションについて質問いたします。口が回らないので、以下「DX」と略させていただきます。 国において閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」には、その目指すべきデジタル社会のビジョンとして、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」が示されました。このビジョンを実現するためには、自治体におけるDXの推進が必要とあり、今後、自治体の果たす役割は大変重要かつ膨大な作業が必要になってくると予想されます。 県のDXビジョン・ロードマップを拝見しますと、「より確実な埼玉県のデジタルトランスフォーメーションの実現を図る」とあり、様々な分野での取組が掲載されております。これらのビジョンを実現させていくためには、まず、その土台がしっかりしていないと、速いスピードで変化が求められる社会のニーズについていけない、中途半端なDXとなってしまうのではないでしょうか。 そこで、本県がDXを推進していく上で、その土台の部分について質問させていただきます。 まず、(一)職員の意識改革、能力強化に向けた取組についてお伺いいたします。 デジタル社会形成基本法には、自治体がDXを推進するに当たり、首長や幹部職員から一般職員まで、「DXとはどういうものか」「なぜ今DXに取り組む必要があるか」など、基礎的な共通理解を初めに形成することが不可欠である。また、職員一人一人が、ビジョンの実現に向かって自ら実践しようとの意識を醸成することも必要である。あわせて、利用者中心の行政サービス改革を進めるという、いわゆるサービスデザイン志向の共有も求められるとあります。 本県においてDXを進めていく上で、「DXは誰かがやるだろう、自分は違う部署だから関係ないや」ではなく、職員一人一人が行政におけるDX推進の意義をしっかりと理解し、ビジョンの実現に向かって自ら実践しようという意識改革、まずはDXの前にCX(コンシャストランスフォーメーション=意識のトランスフォーメーション)が大切だと思います。 こうした意識改革は、外部の人間を入れて一気に変えていく方法も考えられますが、私は、人の意識を一気に変えていくのは難しいのではと考えております。いろいろな取組を重ねて意識改革を行うことにより、より深くDXの取組の意義が理解されるのではないでしょうか。一気にやるのではなく、一貫してやっていくことが重要だと考えます。 例えば、神戸市では、庁内公募制度によるDX育成コースを新設し、研修や実務を通して集中的にスキルの向上を図る取組をしています。また、栃木県では、DXの推進に向けた職員研修の実施方針を策定し、DX担当課だけでなく、一般職など各部門ごとに研修内容などを設定し、さらには、市町村の職員等にも研修を実施することとしているそうです。また、実際にDXに取り組んでいる企業や自治体の現場に、その事業に関係する部署の職員を派遣して、実際にDXの取組を経験してもらうという方法も考えられます。 このように、研修や現場での実務経験を積み重ねる取組を続けることにより、職員一人一人が行政におけるDX推進の意義をしっかりと理解し、ビジョンの実現に向かって自ら実践しようという意識改革、さらには、職員のDXに対する能力強化も図れると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、(二)推進体制の強化についてお伺いいたします。 埼玉県において、限られた予算や期間の中で、組織の壁を越えて全体最適化の見地からDXを推進するためには、そのエンジンとなる効果的な推進体制が必要ではないでしょうか。資料によりますと、知事直轄プロジェクトとして、知事をトップに、その下に副知事をCIOとしたDX推進会議とあります。CIOは、トップである知事の下、庁内マネジメントの中核であり、庁内全般を把握するとともに、部局間の調整にも力を発揮しなければならず、この体制では少しぜい弱ではと思います。 総務省の自治体DX推進計画には、「自治体のDX推進に当たっては、CIOのマネジメントを専門的知見から補佐するCIO補佐官等の役割が鍵となる」、さらに、自治体DX全体手順書には、「専門的知見から補佐をするには、外部人材の活用を積極的に検討する」とあります。 そこで、お伺いいたします。限られた予算や期間の中でDXを推進させる効果的な推進体制構築のためには、専門的な知見を持った外部からのCIO補佐官を任用すべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、体制を強化するには、ただ単に担当課の人員を増やすだけでなく、先ほど述べた意識改革、能力強化をした上で、適切に全庁的な人員配置を行う必要があると思います。埼玉県でDXを推進するには、更なる体制の強化が必要と考えますが、どのように取り組まれていくのか、併せて知事の御所見をお伺いいたします。 次に、(三)DXを推進するに当たっての基盤整備についてお伺いいたします。 これまで意識改革や推進体制などソフト面についてお伺いしてまいりましたが、ここではハード面の基盤整備についてお伺いさせていただきます。 偉そうなことを散々言ってまいりましたが、私はDXの質問なのに、資料も紙、下書きも手書きという超アナログ人間ですが、そんな私でも、DXを推進するに当たっては、ものすごい量のデータが行き交うんだろうなということぐらいは想像できます。 しかし、県庁の職員さんたちに庁内のデジタル環境を聞くと、「PCのスペックが低いため処理能力が追い付かない」「回線速度が遅いときがある」「職員ポータルが遅い場面が多い」「リモートが多いことに由来したとみられる県庁LAN全体の回線遅滞が多い」、その他にもここには書き切れないほど多数の御意見をいただきました。こうした職員さんの話を聞く限りでは、いまだ庁内デジタル環境は整っているとは言えない状況です。言わば、細い水道管に大量の水を流し込んでいる状況だと思います。県としても改善を図っているところですが、少し遅くはないでしょうか。 DXの推進は、県の主要施策であるとともに、これからの県内経済や県民の皆様の安心で快適な生活環境をつくり出すためにも重要な施策です。意識改革や体制の強化といったソフト面に加え、DXのハード面である基盤整備の強化も早急に取り組む必要があると考えます。 そこで、お伺いいたします。令和四年度も取り組まれる予定になっておりますが、本県において本気でDXを推進するためには、庁内のハード面の基盤において、もっと集中的に予算を投下して早急に整備をするべきと考えますが、知事の意気込みをお伺いいたします。 続きまして、(四)県による市町村支援についてお伺いいたします。 私は、石渡議員さんの「調査なくして質問なし」という言葉に大変感銘を受けており、今回も見習おうと思いましたが、ちょっと遠かったので、ウェブでの調査となってしまいました。 先日、産学官でのDXの推進を行っている富良野市の担当職員さんにお話を伺う機会がありました。富良野市さんの場合は、北大大学院の学生と大手ソフトウェア会社のDX推進室との連携で、除雪やワインの販売、ごみのリサイクルなど、DXによる市の課題解決に向けた実証実験を行ってきました。 富良野市の担当者さんは、「今回の取組は、民間の会社とのマッチングなど、道の支援があったので実現した。やはり国や道の支援がないとDXを進めるのは難しい」とおっしゃっていました。また、今後DXを進めていく上でどのような支援があると助かるか伺ってみますと、「今回みたいな連携先とのマッチング支援をはじめ、システムの共通化などには、国や道の使える予算の情報提供や技術的なアドバイス、人材の支援など。また、オープンデータに関しては、実際、市町村としてデータを公開するのは怖い。その点をアドバイスしてくれる人材を支援してくれると助かる」など、ほかにも多数ありましたが、今後、本県でDXを進めていく上で、県内市町村においても、国や県に対して様々な支援を期待していると思います。 そこで、お伺いいたします。県として、どのように市町村の要望を吸い上げて対応していくのか。特に、システムの標準化や人材の確保・育成などは県で支援していくべきと考えますが、県としてはどのように支援をしていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 続きまして、三、新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、(一)新型コロナウイルス感染拡大防止社会経済活動の両立についてお伺いいたします。 二〇二〇年一月に、国内で初の感染者が出てから、新型コロナウイルスと向き合う生活も既に二年を超えました。二年前は、このウイルスに対する知見もワクチンや治療薬もなく、社会経済活動を止めてでも感染防止を徹底すべきという状況もありました。その後、現在の第六波に至るまで、ウイルスの度重なる変異や感染拡大と、本当に目まぐるしくその時々の状況が変わり、その都度、国の基本的対処方針などに基づき、本県は様々な対策や各施策を講じてきました。 この第六波の対応については、国、本県においても、これまでの知見や経験を基に、医療提供体制など事前に十分に備えたはずでしたが、新たなオミクロン株は、従来株より重症化リスクは低いものの感染力が強いという特性があり、事前の想定をはるかに超えた新規感染者数が発生しています。感染者数の絶対数が増えることで保健所業務等もひっ迫し、高齢者への感染も増えることで、病床使用率の増加や死者の増加にもつながっています。感染状況はいまだ厳しい状況ではありますが、国も本県も、現在、感染拡大防止と社会経済活動の両立という方針の下、各施策を講じております。 本県においては、全国で唯一、ワクチン・検査パッケージを導入しました。本日もお越しいただいておりますが、浦和社交飲食業組合の役員さんたちは、「国や県の支援があったおかげでここまでやってこれた。本当に感謝しています」とした上で、今回も「せっかく大野知事が頑張ってくれたからお店をやる」と言ってパッケージに登録し、協力してくださっておりますが、「パッケージの意味が伝わっていないようで、お客さんが感染を心配して来ないし、来てくれたとしても『ワクチン接種証明を見せてほしい』と言うと、怒って帰ってしまう人もいるんだよ」とおっしゃっていました。 知事は、現状において考えられる、より高い感染防止対策をする中で、安心して経済活動を行う手段として導入したものと捉えています。しかし、結果として、酒類を提供する要件が一都三県で最も厳しく、また、県民への周知不足から店頭でのトラブルもあるなど、知事の思いが伝わらず、パッケージに対する疑問の声も少なからずあるのも事実です。この感染拡大防止と社会経済活動の両立についての考え方は、マスコミの世論調査を見ても、感染対策を強化すべきか、緩和すべきか、世論が二分していますし、政府の分科会などでも、感染症の有識者と経済の有識者では意見が異なります。 そもそも、三回目のワクチン接種も諸外国と比べ大幅に遅れているということと、また、検査キットの不足から、いつでもどこでも検査ができる体制にないというのが今一番の課題で、ここを進めていくことが、まず、感染拡大防止と社会経済活動の両立の土台になる部分であり、対処が急がれます。 そこで、お伺いいたします。先ほども述べたとおり、第六波の主流となっているオミクロン株は、従来のウイルスよりも重症化率は低下しているものの、感染力は強く、感染者数は爆発的に増えており、保健所はひっ迫し、医療機関も厳しい状況です。その反面、オミクロン株の重症化率は低いことから、社会経済活動を回していくために、新型コロナウイルス対策を緩和すべきとの声もあります。 新型コロナ対策については、従来の対策の延長でいくのか、新たな段階に入っていくのか、そのはざまにあり、判断が非常に難しい局面に来ていると考えます。基本的対処方針など国の方針という枠組みの中での県の対応、施策という一定の制約はありますが、埼玉県として県民や県内事業者などが実感できる形での感染拡大防止と社会経済活動の両立について、このバランスを現状ではどのように考えているのか。また、今後も新たな変異株の発生や感染拡大の懸念がある中で、戦略的にこの両立をどのように進めていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 また、先ほど述べたとおり、ワクチン・検査パッケージなど県が講じる施策などに対し、知事の考え、施策の真意が県民や関係者に十分伝わっていない状況があると感じます。施策を進めていく上では、県民や関係者らへの理解、共通認識を持つことが最低限必要と考えますが、その点について知事の御認識と今後の対応についてお伺いいたします。 次に、(二)パンデミック下の検査キットの確保体制についてお伺いいたします。 現在、想定を超える需要により検査キットの不足が問題となっていますが、国は、医療機関などの行政検査に優先的に供給する新たな方針を決定し、各メーカーにも増産を要請しています。感染症対策で必要な検査キットの供給については、今回のように供給不足となった場合は、その差配は国の主導となり、都道府県が直接的に関与できない状況にあります。検査キットの供給不足の状況により、市場では、本来感染の有無を調べるためのものではない未承認の研究用の検査キットが出回り、数多くのトラブルや死亡事故につながるような事例も発生しています。 そこで、お伺いいたします。知事が今月十日に、まん延防止等重点措置下でも、検査キットなどの物資の売渡しや収用を知事権限で行えるように法改正することを国に対し要望しているのは承知していますが、このような緊急災害時に県内卸業者の在庫を県が優先的に要請することなど、検査キットを確保する体制が必要と考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、四、県内の事業者支援についてお伺いいたします。 新型コロナウイルスの影響により苦しんでいる県内事業者に対して、当初三年間無利子、保証料ゼロの新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロ負担融資を令和三年三月三十一日保証申込み分まで実施しておりました。埼玉県でもいち早く対応したおかげで、県制度融資を積極的に活用された法人、個人事業主がたくさんおり、県における素早い対応については感謝します。 しかし、コロナウイルスは一年で終息すると思われていたため、三年の据置き後は金利が発生することから、このゼロ負担融資を利用した企業の実に五九・二パーセントが、金融機関からの据置きをしない、若しくは一年以内の融資を選択しております。 また、令和三年度の一月末までの経済安定資金などセーフティネット系の融資はゼロ負担ではないためか、令和二年度のゼロ負担融資の五万五千九百七十六件と比較すると、九百七十五件と大分落ち着いてしまっています。 令和四年度当初予算案では、法人二税の税収アップ等により、県税収が前年度より四百六十七億円増収見通しとしております。その要因の一つとして、銀行をはじめとする金融業界の業績の好調があります。新聞報道によりますと、「昨今の倒産しそうであった中小企業も、このコロナゼロ融資により救われており、その結果、企業の倒産に備える貸倒引当金が想定以上に低く収まった金融業では、政府保証付き融資のおかげで本業が支えられた結果として、法人二税の増収に起因している」とありました。つまり、全体の景気が上向いているから税収がアップしたということではないと思います。 多くの中小企業を抱える本県では、引き続き経営が厳しい企業が多く、県としてもバックアップする必要があります。埼玉県では、中小企業者の資金繰り確保に向けて、知事から各金融機関に対して、事業者の実情に応じた柔軟かつきめ細やかな対応をするよう、たびたび要請してくださっているとは承知しております。また、当会派でも昨年七月に会派要望を出したところでもあります。ただ、あくまで金融機関が貸主となりますので、様々なケースも考えられ、据置期間の延長を金融機関に申し出た際に、今後の融資については難色を示された事業者もあると聞いております。 そこで、お伺いいたします。本年から多くの企業でゼロ負担コロナ融資の返済が始まりますが、長引くコロナ禍の状況で返済据置期間の猶予を求める事業者に対して、金融機関が条件変更とみなさないよう、改めて知事から呼び掛けをしていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、県の中小企業対策として、令和四年度では中小企業のデジタル化支援などDX関係の予算が計上されております。このようなソフト面の予算は、県内中小企業の底上げの一助になると考えます。 一方で、精密機械などの産業、とりわけベンチャーや県内中小企業の設備投資などのハード面に対しての補助が他県と比較しても小さいと言われております。このままだと、新規事業や事業拡大を考えている企業の他県への流出が危惧されます。 そこで、お伺いいたします。県として、今後成長する企業や中小企業の活性化、誘致に向けて、設備投資などのハード面においても支援していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 さらに、県内の農業事業者においても、農業用ビニールハウスなどに使う生産資材等の値上げと、A重油や灯油の度重なる値上げなど生産コストが増える一方、農産物価格への転嫁が難しく、苦しい状況が続いております。 先日、我が会派では、そうした施設園芸農業従事者からの声を受け、大野知事へ燃油価格高騰に対する緊急要望を提出しました。今期は、農林水産省において施設園芸セーフティネット構築事業を発動してくださっているのは存じておりますが、この制度では、積立ての基金から補助を受ける仕組みなので、原油高騰に備えるために事前に加入していなければ、この基金からの補助を受けることはできず、県内では六団体、三十三名しか同制度の利用がありません。加えて、補助金額も月額数千円程度となっております。 そこで、お伺いいたします。県内の農業事業者を守るためにも、県として独自の支援や、加えて国への改善要望を訴えていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、五、コロナ禍がもたらす子どもの育ちへの影響についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の拡大が始まり、三年目に入りました。私たちの社会が抱えている様々な問題がコロナ禍の中で顕在化していますが、そのしわ寄せは、社会のより弱い存在のところに、より強く影響が出る傾向があると考えます。特に、発達途上にある子どもへの影響については、将来にわたって影響することであり、大人の私たちがその対策について真剣に向き合う必要があります。 そこで、三点質問させていただきます。 まず、(一)子どもの体力低下についてお伺いいたします。 スポーツ庁が二〇二一年十二月に発表した全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果によれば、コロナ禍の二年間で、子どもの運動能力が急減しているとのことです。その要因として、コロナ禍での子どもの生活の変化が挙げられます。外遊びが減り、運動時間が減少した一方で、テレビ、スマホ、ゲームなどを視聴するスクリーンタイムが増加しました。こうした状況から、小学生男女と中学生男子の肥満割合は過去最高を記録、名古屋大学などの研究グループの調査では、児童のバランス機能の低下により、転倒リスクは緊急事態宣言前の約一・九倍に上昇したとの結果となっております。 そこで、お伺いいたします。このような状況に対し、コロナ禍での子どもの体力低下を防ぐためにどのような対策が必要か、教育長にお伺いいたします。 次に、(二)学習環境への影響についてお伺いいたします。 分散登校や短縮授業によって、授業時間の確保や児童生徒の学習意欲、学習の遅れが心配されます。県立高校は、原則、オンライン学習を活用した分散登校を実施していますが、小・中学校については、自治体ごとにそのやり方に違いがあります。コロナ禍で児童生徒一人一台タブレット端末が貸与されたものの、分散登校や学級閉鎖など児童生徒が家庭で学習する場合、子どもの発達段階や健康面への配慮など様々な理由から、オンライン学習を実施していない学校があるのが現状です。 そこで、お伺いいたします。小・中学校におけるコロナ禍の学習環境への影響に対する学びの支援について、埼玉県の現状と今後の方針を教育長にお伺いいたします。 続いて、(三)子どもの貧困についてお伺いいたします。 内閣府において、子どもの貧困に対して初の全国調査となる「令和三年子供の生活状況調査の分析報告書」が発表されました。報告書によると、「コロナ禍において収入が減った」という回答が全体で三二・五パーセントですが、準貧困層三九・六パーセント、貧困層では四七・四パーセントとなっています。また、「お金が足りなくて、必要な食料や衣服を買えないことが増えた」と答えた世帯は、全体では一〇・六パーセントでしたが、準貧困層では一四・八パーセント、貧困層では二九・八パーセントと高くなっています。 実際、コロナ禍以前の平成三十一年一月時点では、県内二か所だったフードパントリーネットワークの加入団体ですが、本年一月には五十八か所と急速な勢いで増えています。さらには、貧困が原因で進学を諦める子どもたちも増えています。 そこで、お伺いいたします。こうした経済的に困窮し、食事の回数を減らしたり、進学を諦めている子どもたちに、県として手を差し伸べるべきと考えます。埼玉県において、コロナ禍における子どもの貧困問題の現状はどうなのか、また、県として子どもの貧困対策についてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、六、命を守るための孤独・孤立対策についてお伺いいたします。 昨年末に政府の孤独・孤立対策推進会議は、孤独・孤立対策の重点計画を取りまとめました。昔から孤独や孤立といった問題はありましたが、近年の雇用環境の変化や人口減少、少子高齢化、核家族化等のライフスタイルの変化により、人と人とのつながりがより一層希薄化してきました。そして、二年前からのコロナ禍で外出自粛要請やテレワークの導入、雇用環境の悪化などにより、人の交流が減少しました。望まない孤独や社会的孤立は人々に希望を失わせ、生活困窮や貧困を招き、ひいては自殺や孤独死などにつながります。 二〇一六年の野村総合研究所の「生活困窮者の実態に関する調査研究報告書」によれば、経済的困窮に限らず、生活困窮と社会的孤立は強い相関関係があるとされています。そして、二〇二一年の日本財団「第四回自殺意識全国調査報告書」によれば、自殺未遂原因の四割が「経済生活問題」とされています。また、自殺念慮や自殺未遂のリスクが高い層は、家族などに助けや助言を求める相手がいなく、疎外感や孤立感を感じているとの調査結果が出ています。 なお、年間の自殺者数は、二〇二一年は二万九百八十四人(暫定値)で、定まった定義はありませんが、孤独死は年間で三万人とも言われております。 さて、現在、孤独や孤立は幅広い年代で様々な問題につながっています。高齢者であれば、孤独死につながったり、家族や社会とのつながりが減少することにより健康を損ない、認知症が進行したり発症したりします。このことは、昨年の代表質問でも、「コロナ禍での高齢者の健康づくり」という項目で指摘をさせていただきました。 そして、埼玉県の単身高齢世帯は、平成二十七年の二十七万五千七百七十七世帯から、令和二年は三十三万二千九百六十三世帯と増加しております。また、現役世代でも孤独や孤立は大きな問題となっており、孤独死をされる方の五割以上が六十五歳以下と言われております。高齢者であれば、民生委員さんや地域の見守り活動の対象となりますが、現役世代はこうした福祉の網から漏れやすいからです。誰にも相談できずに、家族の介護に疲れ果てての無理心中という事件もありました。 そして、十代や学生の間でも孤独や孤立は深刻な問題となっています。家庭環境が良くない子供たちにとっては、コロナ禍以前は学校やアルバイト先が逃げ場になっていましたが、長引くコロナ禍でそうした社会との接点を失い、追い詰められる子供や若者も増加しています。 今回質問をするに当たり、孤独・孤立対策に取り組み、支援を行っている民間団体の方と意見交換をさせていただき、深刻な現状をお伺いいたしました。コロナ禍で、相談件数が三倍以上になったとおっしゃっていました。まだ窓口を探して相談できる方はよいのですが、相談窓口が分からなかったり、自分が孤立していたり困窮していたりする現状に気が付いていない方もいるとのことです。事態が深刻化する前に早めに相談をしていただき、支援制度につなぐことが肝要とのことです。ワンストップで相談できる窓口やSNSの活用、困窮の一つの基準として、例えば、税金を滞納していたりする方に各種支援制度の案内を郵便で送るなどの支援も必要だと考えます。 そして、県が実際の孤独・孤立対策の最前線となる市町村をリードする必要があると考えます。孤独や孤立は、突然の解雇や職場のトラブル、家族との死別などにより、誰にでも起こり得る問題です。個人の問題ではなく、社会的な課題として捉える必要があります。孤独や孤立を恥ずかしいこととか、甘えているとか、自己責任などと考える方もおり、相談したり人を頼ったりしにくい風潮があります。まずは、支援を求める声を上げやすい環境を整備することの必要性も、国の重点計画ではうたわれています。そして、居場所づくりも大切です。 一方、注意しなければいけないのは、孤独や孤立を苦にしない方や好む方もいることから、孤独や孤立は悪いことだとする同調圧力も警戒しなければなりません。 以上を踏まえてお伺いいたします。 今後、いつまで続くか分からないコロナ禍、そして収束しても以前には戻れないかもしれない時代の変化の中で、国の方針を受けて、どのように基礎自治体や民間団体などと連携して孤独や孤立に悩んでいる方の支援を行っていくのでしょうか。また、声を上げやすい環境づくりにどのように取り組んでいくのでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、七、農業分野での脱炭素に向けた取組についてお伺いいたします。 ここ数年、地球温暖化による異常気象が原因と考えられる様々な自然災害が国内外を問わず多く発生しています。このような地球温暖化による環境問題を、負の遺産として将来世代に残すわけにはいきません。 こうした環境問題は、一九八〇年代後半から本格的に議論され始めました。世界的には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立され、国内においては一九九〇年から環境庁に地球環境部が設置され、温暖化対策が本格的に取り組まれてきました。 最近の温暖化対策の一つである脱炭素社会に向けた取組を見ますと、海外ではカーボンクレジット市場が第二のゴールドラッシュとして注目され始め、世界で発行されたカーボンクレジットの市場が二〇一五年から二〇二〇年までに三・八倍に増えています。また、投資においてはESG投資が注目され始め、投資先として今までのように目先の利益至上主義ではなく、SDGsの考えに則り、働き方や環境にも配慮し、将来的にも持続して成長できるであろう企業を投資先として選ぶ傾向にシフトし始めていると聞きます。 我が国でも経済産業省において、今後、世界的にもカーボンクレジットの需給両面での拡大が見込まれる中、国際的なESG資金拡大の動きと合わせ、世界の脱炭素ビジネスの拠点となるようなカーボンクレジット市場の在り方について方向性を示すなどを目的とした検討会が進められており、日本においても今後カーボンクレジット市場の拡大などにより、脱炭素社会に向けた取組が更に加速されることが期待されるところです。 こうしたカーボンクレジットの取組は、企業間だけでなく、農林業分野でも取り組まれ始めています。報道によると、アメリカのある農家で、およそ一千二百ヘクタールの広大な畑で、秋から春までの畑を使わない間、収穫用ではなく土壌改善用に植えていたライ麦が、より多くの二酸化炭素を土の中にとどめ、大気中の二酸化炭素の削減につながる効果があるとして、その削減量を売ることによって、五年間で約一千九百万円の収入になったという、カーボンクレジットが大きな収入につながったという例があるそうです。また、国内でも、高知県の森林吸収クレジットの販売をはじめ、民間でも国内クレジット制度を利用した農林漁業者とのCO2削減事業が取り組まれています。 このように、脱炭素社会に向けた取組は、今までのように企業間だけではなく、農林業にも深く浸透し始めてきています。国においても、脱炭素社会実現に向けた農林水産分野の取組として、みどりの食料システム戦略を進めているところです。 そこで、お伺いいたします。農業分野での脱炭素に向けた取組として、埼玉県においても、林業における排出権取引や地球温暖化防止等に効果の高いエコ農業の推進に取り組まれるようなことを聞いておりますが、脱炭素社会に向けた取組を更に加速させるため、もう一歩踏み込んで、農業分野においてもカーボンクレジットのような取組を進めていくことができないでしょうか。そのために、まず、今までの農業に利用する燃料を脱化石燃料にするなどの取組に加えて、例に挙げたアメリカの農家のように、農地によってより多くの二酸化炭素を土の中にとどめ、大気中の二酸化炭素を削減できる、いわゆる農地による炭素貯留などの新たな脱炭素の研究を始めることができないか、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、八、部落差別解消推進条例についてお伺いいたします。 「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」、これは言うまでもなく、日本国憲法第十四条の条文です。 結婚相手の身元調査に使用するため、一部の司法書士や行政書士が職務上請求書を偽造して、一万件に及ぶ戸籍や住民票を不正取得したいわゆるプライム事件や、中古住宅販売会社が中古住宅を購入する際に、そこが同和地区かどうかを調査していた事件など、そういった事態が後を絶たないことを受け、二〇一六年十二月には、長年の懸案であった部落差別の解消の推進に関する法律が制定されました。このことは、部落差別が存在していること、部落差別は許されないことを明確にするとともに、国や自治体の責務を明確にし、かつ、行政や教育委員会の取組に根拠を与えました。 過去にも同様の質問を二回行い、一回目は部長から、「条例制定を前提に進めてまいりたいと思います」との答弁をいただき、一年ほどかけて、法や憲法との整合性も含め検討していただいた結果、推進法があるなどの理由で、条例はふさわしくないとのことでした。 また、二回目は知事から、「部落差別は絶対に許されるものではありません」とした上で、条例制定については、「国が行う全国の実態調査の結果に基づき、地方公共団体の役割を踏まえ、本県の実情や条例を制定している府県での効果なども確認しながら、その必要性を検討したいと思います」との答弁をいただきました。 しかし、就職や結婚相手に対する身元調査のための戸籍謄本、住民票の不正取得や、ネット上の書き込み、動画の投稿などによる部落差別の被害は、なくなるどころか後を絶ちません。和歌山県は、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会の実現を目指すとして、「和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例」を令和二年三月二十四日に公布、施行しました。 また、法律ができてから条例を制定した県は、和歌山県以外にもあります。ある県の担当者さんに、なぜ法律があるのに条例ができたのか尋ねてみますと、「部落差別は許さないという強い気持ちです」とおっしゃっていました。私は、法律があるなしではなく、「うちの県は部落差別を絶対に許さない」という強い気持ちが大事だと思います。 今こうしている間にも、差別により苦しんでいる人がいます。今こうしている間にも、心ない大人たちによる差別で子供たちの笑顔が奪われています。こうした差別で苦しんでいる人たちは、国の動向や他県の効果を確認するのを待っている余裕などありません。きたんなく申せば、四の五の言わず条例を作れと言いたいです。 特措法が失効した後も、法的根拠や予算がない中で埼玉県はよくやっていただいていることは評価しています。その今までの取組の成果を更に確固としたものにするためにも、「うちの県は部落差別を絶対に許さない」という強い気持ちで条例制定に取り組んでいただきたい。他県でできて、埼玉県にできないということはないと思います。 お互いを理解し、思いやる気持ちの醸成が優しい社会をつくるのではないでしょうか。この条例の制定が、そういう社会の構築への大きな一歩になると私は信じています。是非、条例制定に向けた知事の力強い前向きな答弁をお願いいたします。 これで私の質問を終了させていただきます。 一日も早くコロナが収束し日常の生活が戻ること、そして一日も早くウクライナに平和が訪れること、そして日本に住んでいらっしゃるロシア人個人に対しての誹謗中傷や差別が個人には及ばないことを心からお祈りいたしまして、質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)          ---------------- △休憩の宣告 ○梅澤佳一議長 暫時、休憩いたします。なお、再開は十時五十五分といたします。午前十時四十六分休憩          ----------------午前十時五十六分再開 出席議員    八十七名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十五番   二十六番  二十七番  二十八番  二十九番    三十番  三十一番  三十二番  三十三番   三十四番  三十五番  三十六番  三十七番   三十八番  三十九番   四十番  四十一番   四十二番  四十三番  四十四番  四十五番   四十六番  四十七番  四十八番  四十九番    五十番  五十一番  五十二番  五十三番   五十四番  五十五番  五十六番  五十八番   五十九番   六十番  六十一番  六十二番   六十三番  六十四番  六十五番  六十六番   六十七番  六十八番  六十九番   七十番   七十一番  七十二番  七十三番  七十四番   七十五番  七十六番  七十七番  七十八番   七十九番   八十番  八十一番  八十二番   八十三番  八十四番  八十五番  八十六番   八十七番  八十八番  八十九番   九十番   九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    一名   五十七番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○梅澤佳一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(代表)(続き) ○梅澤佳一議長 質疑質問を続行いたします。 九十三番 田並尚明議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 田並尚明議員の埼玉民主フォーラムを代表されての御質問に順次お答え申し上げます。 まず、御質問第一の令和四年度埼玉県一般会計当初予算案についてのお尋ねのうち、感染対策と地域経済の活性化の両立についてでございます。 第五波を乗り越え、現在直面しているオミクロン株による感染急拡大には、改めて今後の新たな変異株による感染再拡大への対応の必要性を感じたところであります。令和四年度当初予算では、一日も早い感染症の収束に向けて、「直面する危機からの脱却」を基本的な方針の一つといたしました。そのために、新型コロナウイルス感染症の拡大防止はもとより、社会全体のデジタルトランスフォーメーション推進による地域経済の回復や成長を実現すること、この両立を強く意識した上で予算編成を行ったところであります。 具体的には、検査・医療提供体制の確保やワクチン接種を着実に進めるとともに、感染症専門人材の育成など、今後の感染再拡大への備えも万全にしてまいります。同時に、経済回復や成長の実現に向けては、強い埼玉県経済の鍵となるデジタル技術を更に活用し、社会全体のDXにつなげていくことが重要です。例えば、県内企業のニーズを踏まえたデジタル人材の育成・確保や、デジタル技術を活用した新製品の開発を図るなど、県内中小企業のDX推進を支援することにより、地域経済の活性化につなげてまいります。 こうした両立を図るため、まずは、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金をはじめ、地方創生臨時交付金などの国庫補助金をできる限り活用いたしました。それに加えて、県の独自財源である新型コロナウイルス感染症対策推進基金や財源調整のための基金をフル活用することで、収支バランスに配慮し、必要な予算を確保いたしました。 私は、コロナ対策に必要な財源については、本来、国が全額を措置することが適切であると思います。新たな変異株による感染再拡大への対応は最優先ですが、コロナ対策への多額の財政負担が制約となり、他の事業実施に支障が出ないよう、必要な財源措置を国に対し強く求めてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症対策推進基金についてでございます。 国から十分な財源が措置されていない中、県独自で柔軟かつ機動的に活用できる財源を確保するため、県では、令和二年五月に百億円の新型コロナウイルス感染症対策推進基金を創設いたしました。また、多くの県民や事業者の皆様から、この基金に対する寄附をお寄せいただき、その額は七億円にも上っております。この基金を活用し、これまでPCR検査費用の地方負担分や医療従事者への支援など様々な事業を実施してきたことにより、残高が一時的に五億円まで減少いたしました。コロナの収束が見通せない中、今後の感染再拡大に備えるためにも、引き続き県独自の財源を確保していく必要があると考えます。 そこで、今定例会に追加提案をさせていただきました補正予算において、コロナ基金に百五十三億円を積み増し、残高の復元を図ったところであります。令和四年度当初予算においては、感染拡大傾向時の知事の要請に基づく検査の無料化など、コロナ基金を約百二十億円活用する予定となっており、活用後の残高見込みは四十億円程度となります。 次に、財源調整の基金確保についてでございます。 今後、持続可能な財政運営を行っていくためにも、状況が許す限り、一定程度の余裕を持った残高を確保していくことが望ましいとの思いには変わりはございません。追加提案した令和三年度二月補正予算では、県税等の収入増や執行節減等により捻出した財源を活用し、四百六十七億円の取崩しを中止するとともに、更に六百二十億円を積み増し、残高を確保したところであります。 しかしながら、令和四年度当初予算では、財源調整のための三基金から、昨年度と比べて二百十三億円多い七百三十億円を取り崩すこととしており、年度末の残高見込みは四百九十七億円となっております。今後も安定的な財政運営を行うためには、歳入・歳出の両面で取組を徹底しなければなりません。 歳出面では、更なる事務事業の見直しはもとより、中長期的な視点から行政のデジタル化などによる行政プロセスの見直しを行い、コストの削減を図ります。また、歳入面においては、納税方法の拡充など県税収入の一層の確保、国庫補助金の活用のほか、企業版ふるさと納税をはじめとした寄附金の受入れ促進など、更なる歳入の確保に努めてまいります。 次に、御質問第二のDXの推進についてのお尋ねのうち、職員の意識改革、能力強化に向けた取組についてでございます。 昨年四月の第一回DX推進会議では、社会全体のDXの実現に向けて全庁を挙げて計画的に実行していくことを職員に指示し、部局横断的なプロジェクトチームを構成し、庁内全体でのDX化を推進してまいりました。議員からは、意識の改革、コンシャストランスフォーメーション(CX)が重要との御指摘もございました。そのとおりです。 DXは、デジタル化が目的ではなく、これを活用した仕事や社会の在り方の変革、つまりDXのDではなくX、つまりはトランスフォーメーションが大切で、デジタル化はあくまでも道具であることを強調しております。DX推進会議に先立ち、私への説明や会議の場において、紙を一切持ち込ませないペーパーレス化を推し進めてまいりました。トップが変わらなければ県庁は変わらないとの思いからであります。 このように、個々の職員が身近で自分から実践できることを積み重ね、多くの成功体験を生み出すことで、DXの実現に向けて力強く歩み出せるものと考えています。今後もあらゆる機会を通じて、職員の意識改革のため、私自ら率先垂範し、訴えてまいります。 職員の能力強化については、県庁職員に必要なデジタル技術を身に付けていただくため、基礎から応用までの研修を行っています。また、最新の知見について実践を通して学ぶため、民間企業のDX部門に職員を長期派遣しております。さらに、昨年十二月からはデジタル庁に職員二名を派遣しており、そこで異業種の職員と協働して得た経験や知見を埼玉県に持ち帰ってもらうこととしています。 これらの取組を更に強化するため、DX推進に必要なデジタル人材像を明確にした上で、中長期的な育成の指針を定め、職員の資質向上を図ってまいります。DXの実現に向け、職員の意識改革と能力強化を一貫して行い、個々の職員が自分事として主体的に参画できるよう取り組んでまいります。 次に、推進体制の強化についての、外部からのCIO補佐官を任用するべきではないかについてでございます。 議員御指摘のとおり、DXの実行において、専門的知見によりCIOを補佐する体制を構築することは重要であります。そのため、本県では今年度より、DXに詳しい外部専門家のコンサルティングを受けることとし、海外の先進事例や最先端のデジタル技術などに関する知見の提供により、CIOを補佐しております。 また、組織的には、全庁のデジタル化に関する政策を取りまとめていくデジタル政策幹を行政・デジタル改革課に配置し、さらにその下に、DXを推進する専門の担当としてDX推進担当を設置しました。デジタル政策幹は、本県の大規模な情報システム開発や情報戦略の企画立案を行ってきた経験を有する職員を任命しており、デジタル化と行政の両方の知見を持つ人材として、CIOを補佐する役割も担っております。 近い将来、国との間で高度な技術の調整や民間事業者との連携など、更に複雑化した課題に対応するフェーズが必ずやってまいります。当面はコンサルティングやデジタル政策幹によりCIOを補佐してまいりますが、今後はフェーズに応じて必要となる専門性を有する外部人材の活用について、議員御指摘のような任用形態も含め検討してまいります。 次に、DXを進めるための更なる体制の強化です。 DXの推進においては、議員御指摘のとおり、単に人数を増やすだけでなく、意識改革、能力強化をした上で、特に部局間の連携を活発化していく必要がございます。本県では現在、それをDXプロジェクトという体制によって実行しています。本プロジェクトは、DX推進に係る企画や取組の調整などDXの実行部隊の役割を担った組織で、全庁の総勢約二百六十名のメンバーが部局単位で構成されたユニットに分かれて活動をしております。各ユニットにはリーダーが配置され、縦割りではなく、横の連携を行っています。また、プロジェクトメンバーに対しては、DXの知識・意識の底上げのため、外部講師を招いて国やデジタル技術の動向などDXに関する勉強会を定期的に開催しています。今年度は、本プロジェクトでDXビジョン・ロードマップの策定作業を集中的に行いましたが、共通するビジョンとそれに関連する施策・事業における部局間の連携についても有効に機能したと考えております。 今後はシステムやサービスの実装段階に入るため、データフォーマットの統一やシステム連携のための業務プロセスの共通化など、今まで以上に個別具体的なテーマの検討が必要となります。このような検討の際には、必要なときに必要な対象組織が速やかに構成できるプロジェクトベースでの推進が有用と考えます。各テーマに合わせて、関係するユニット、組織を機動的に集め、これまでの縦割り行政を克服し、横の連携によりDXプロジェクトの活動を更に活発化させ、体制の強化を図ってまいります。 次に、DXを推進するに当たっての基盤整備についてでございます。 議員御指摘のとおり、DXの推進には、職員の意識改革や能力強化に加え、業務のデジタル化を進めるツールの導入や、そのツールを利用するための盤石な情報基盤の整備が必要です。県では、情報基盤の中心となる県庁LANを平成十年に稼働して以降、これまで三回の更新で回線速度の向上や機器の増強を行い、業務に支障が生じないように取り組んでまいりました。 しかしながら、DX推進に伴う業務のデジタル化のために大きな変化が訪れ、例えばウェブ会議システムの利用増加などに伴い通信量が急増し、特に始業時などに遅延するケースも見られています。必要な増強を行い、昨年度よりは大きく改善をしてまいりましたが、それでも新しいシステムを円滑に利用するためには、それに対応したネットワーク全体の再設計が必要となります。予算をかけて継ぎはぎ的な対処を行っても効果は限定的で、根本的な解決には至りません。 令和四年度予算案では、令和五年度末の稼働に向けた新たな県庁LANの構築経費をお願いしております。設計に当たっては、通信量が多く発生するウェブ会議システムなどの利用を前提としています。また、敷設から二十年以上経過しているLANケーブルの更新も予定し、ボトルネックのない通信ができるよう対応してまいります。稼働が二年後となりますが、二年間にわたる大規模な事業にしっかりと挑み、職員がハード面でストレスを感じることなくDXに取り組むことができるよう、情報基盤の整備を行ってまいります。 次に、県による市町村支援についてでございます。 本県においては、県と県内全市町村で構成するスマート自治体推進会議とその部会を設置し、情報提供や意見交換を通じて市町村のニーズを把握しています。今月開催した全体会議でも、県の取組であるDXビジョンやロードマップ、埼玉版スーパー・シティプロジェクトに加えて、県が提供する市町村共同クラウドの活用事例を紹介しました。あわせて、町村会からは国のガバメントクラウドのモデル事業に採用された美里町と川島町の事例について講演をいただきました。市町村の興味や関心の高い分野であったこともあり、活発な意見交換が行われたと聞いております。 人材育成の支援としては、市町村の要望を伺った上で、自治体単独では実施が困難な実際のネットワーク機器を用いた研修など、県が企画、運営しております。一方、基幹業務システムの標準化は全ての自治体に関わることであり、一義的には国が主導して実施すべきものと考えておりますが、本県より、経験を踏まえて要望や提案も行っております。自治体においても連携に積極的に取り組む必要があることから、当時の武田良太総務大臣に対し、私より直接、連携に向けてインセンティブを自治体に対し付すことを求めております。また、昨年七月には藤井比早之内閣府副大臣、十一月には小林史明デジタル副大臣に対して、それぞれ私から、標準化したシステムを搭載する共通プラットフォーム、ガバメントクラウドについて、全ての自治体が過度に負担することなく利用できるよう、強く要請をしたところです。 今後も国の動向を十分に踏まえつつ、スマート自治体推進会議やその部会を通じて、市町村のDX推進に向けた取組を支援してまいります。 次に、御質問第三の新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねのうち、新型コロナウイルス感染拡大防止社会経済活動の両立についての、県民や県内事業者などが実感できる形での感染防止対策と社会経済活動の両立についてのバランスを現状ではどう考えているのかについてであります。 新型コロナウイルスの特性については、この二年間で様々な知見が積み重なってまいりました。感染防止対策と社会経済活動をゼロサムの関係に置くのではなく、両立させていくことが重要で、例えば、現在感染が拡大しているオミクロン株については、その特性を踏まえ、ウイルスに感染した方の重症化や命に関わるケースを最小限にとどめることを戦略目標として感染拡大防止に取り組むとともに、いかにして経済活動を担保していくかが重要であると考えました。 一方、長期に及ぶ感染防止対策をいつまで継続するか、終わりが見えない中、大変に事業者や県民の皆様には御協力をいただいてはいるものの、自粛要請に対する疲労感は高まっており、体力が低下する事業者も出てきております。また、飲食店からは、専ら飲食事業者を対象にした自粛要請に対し、疑問の声も上がっております。 多くの県民、事業者の協力が不可欠な中、重症化や命に関わる事例をできる限り最小限にとどめるための感染防止対策と社会活動の正常化、活発化に向けた取組との両立を図るためには、事業者の協力がいただけるような、めりはりのある要請が必要だと思います。 そこで、ウィズコロナの社会、経済を構築するため、産官学金労で構成する強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議を日本で初めて構成させていただき、感染防止対策と社会経済活動の両立を目指し、皆様の御意見をいただき、社会実装すべき取組をまとめ、実践してまいりました。この取組の一つとして導入したのが、国と共同で国内最大規模の技術実証を行ったワクチン・検査パッケージ制度です。 前提として、本県では、他県に先駆けて導入した彩の国「新しい生活様式」安心宣言飲食店+(プラス)の認証制度により、飲食店の感染防止対策が徹底されることとなりました。また、感染力の強いオミクロン株では、いわゆるブレークスルー感染が生じるなどワクチン接種による発生予防効果は低減はしたものの、二回接種であっても、季節性のインフルエンザワクチンと同程度かそれ以上の高い効果が認められており、重症化防止効果には、依然として高い期待が寄せられています。 このような組合せによるワクチン・検査パッケージは、店舗の感染防止対策とワクチン効果の相乗効果で、感染防止対策を講じる飲食店が安全に営業を継続していることをしっかりと訴えることができるとともに、お客様やそこで働く方にも安心して御利用をいただける制度でございます。 午後八時までの営業時間短縮と酒類提供自粛という厳しい措置が埼玉県では原則です。しかしながら、その一方で高いレベルの感染防止対策に取り組む事業者の経済活動の制限を緩和することによって、事業者の意欲の継続と感染防止対策の維持を目指したところであります。 また、オミクロン株の特性として、新規陽性者数がこれまで経験したことがないスピードで急増し、濃厚接触者を含む欠勤など新たな課題も明らかになりました。県としては、戦略会議において事業継続に取り組んでまいりましたが、このような傾向が顕著であったため、国に対し、感染者の療養解除期間、濃厚接触者の待機期間の見直しや検査キットの十分な供給量の確保などを要望し、社会経済活動が停滞しないよう取り組んでまいりました。 次に、今後、戦略的にこの両立をどのように進めていくのかでございます。 新型コロナウイルスについては、科学的知見が蓄積されてはいるものの、まだまだ分からないことも多い、これが現実であります。ウイルスが変異を繰り返し、現在のオミクロン株よりも更に感染力が強まったり、強毒化した新たな変異株が発生する可能性も否定できませんが、引き続きウイルスに感染した方の重症化や命に関わるケースを最小限にとどめることを戦略目標として、感染拡大防止に取り組んでまいります。 本県の埼玉県新型感染症専門家会議では、県内外の医療の専門家のみならず、昨年の五月から四名の経済委員に参画をしていただいております。既存の戦略会議に加え、経済団体や労働者の観点からの御意見も専門家会議に反映をさせることで、時宜を逃さない感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指してまいります。 次に、施策を進めていく上では、県民や関係者らへの理解、共通認識を持つことが最低限必要と考えるが、その点についての認識と今後の対応についてでございます。 議員御指摘のとおり、県の施策を進めていく上では、県民や事業者、関係者の皆様などの御理解と共通認識を持っていただくことが重要だと認識しています。そのため私は、県民に協力をお願いする際には、記者会見やSNSなどを使うだけではなく、できる限り現場に足を運び、一人でも多くの県民の皆様に御協力をいただけるよう、自らの言葉で直接県民に語り掛けるようにしております。相手に思いを伝え、理解していただくことは容易ではありません。あらゆる媒体を使い、工夫を凝らしながら、私の思い、県の施策についての県民の御理解や共感を得ることができるよう努めてまいります。 次に、パンデミック下の検査キットの確保体制についてであります。 検査キットの不足に対しては、国がメーカーに買取保証を行い、一日八十万回分の供給量引上げを要請していると承知していますが、県内の医薬品卸事業者に確認をしたところ、入荷量は増えているものの全ての注文には応じ切れておらず、診療・検査医療機関でも十分な検査が行えない状況が継続しています。 また、新型インフルエンザ等対策特別措置法第二十四条第九項に基づく要請に応じた感染に不安のある方の検査についても、薬局など検査実施事業者におけるキットの不足から、需要に応じた検査が行えない状況が継続をしています。 私は、検査キットが不足することで医療機関で必要な方の検査が滞ることは、極めて深刻な事態であると捉えています。県といたしましては、まん延防止等重点措置が適用される際に、卸事業者に対して在庫などを確認した上で、酒類提供やイベント参加人数制限の緩和に活用ができるとして国が定めた対象者全員検査の導入は到底できないと判断をし、理論上、五分の一の検査数で足りるワクチン・検査パッケージの導入になりました。国には、検査キットや試薬の十分な供給量の確保と医療機関への優先配布の徹底を同時に強く、数度にわたり求めてまいりました。 こうした中で、新たに国が医療機関から直接検査キットの緊急的な購入の希望を受け付け、供給可能な地域の卸売業者による供給に結び付ける仕組みを整備したところであります。こうした仕組みを医療機関に周知し、検査キットの供給不足の解消に努めてまいりたいと考えています。 なお、現時点ではこのような国の取組を注視していきたいとは考えますが、深刻な不足が解消されてはおりません。このような状況が継続する場合には、まん延防止等重点措置下においても、都道府県知事に対し、売渡し要請や収用を認めるよう法改正するべきと考えており、国に対して要望しているところであります。 次に、御質問第四の県内の事業者支援についてのお尋ねのうち、金融機関に対し、知事から呼び掛けることについてでございます。 県では、事業者の手元資金に不足が生じないように、新型コロナウイルス感染症対応資金を創設するなど、制度融資の充実に取り組みました。この結果、令和二年度の融資額は一兆一千八百十五億円と過去最高の融資実績となり、企業の資金需要に十分対応できたものと考えます。令和三年度には、当面の資金不足が回避できたことなどから、一月末現在の融資実績は三百八十三億円と、企業の資金繰りは落ち着いた状況が続いています。 一方で、コロナ禍が続く中、返済が始まったことから、資金繰りに懸念が生じている事業者も散見されます。こうした事業者のために、県では、据置期間の延長や借換えなどの相談に柔軟に対応していただくよう、金融機関に対し繰り返し要請を行ってまいりました。新型コロナウイルス感染症はいまだ収束せず、原油・原材料価格の高騰など、県内中小企業を取り巻く経済環境は先の見通せない状況が続いております。金融機関及び信用保証協会には、事業者からの個別の相談に弾力的かつ丁寧に対応していただくよう、改めて働き掛けてまいります。 次に、ハード面における支援についてであります。 これまでも県では、社会課題の解決につながる技術やAI、IoTなどを活用した新技術についての研究開発費をハード面も含めて補助してまいりました。また、企業誘致に当たり、土地や建物の取得に係る不動産取得税相当額を補助することで、県内への積極的な投資を呼び込んでまいりました。 一方、通常の生産設備の導入については、企業活動そのものであり、事業者に自ら投資していただく必要があることから、資金繰りの面からの支援を主に行ってまいりました。ハード面への補助については、支援の対象や手法について工夫をし、社会課題の解決や未来への投資につながるなど、広く県民に効果が及ぶような支援策とすることが重要と考えます。令和四年度当初予算案には、新型コロナウイルス感染症対策に資する技術や製品の開発について、特別枠を設けて重点的に支援していくことを盛り込んでいます。 また、ハード面への支援に当たっては、県単独で取り組むだけではなく、金額の大きな支援が可能となるよう、国の経済対策と連携し、これを積極的に活用していく視点も重要と考えます。国の事業再構築補助金は、ハード面も含めて活用できますが、綿密な事業計画を求めるなど採択の要件が厳しいことから、小規模事業者にはハードルが高いと言われています。そこで、商工会議所連合会内に開設した埼玉県事業再構築支援センターできめ細かい支援を行うとともに、計画策定の専門家への依頼費用を助成することで、国の補助金獲得をトータルで支援してまいります。 引き続き、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の社会経済情勢の変化に県内中小企業が的確に対応し、稼げる力を高めていけるよう、国、関係機関としっかり連携し、効果的な支援を行います。 次に、県内農業事業者を守るための支援についてであります。 議員御指摘のとおり、農業用資材や燃油価格は上昇傾向にある中で、施設園芸においては生産コストに占める燃油購入費の割合が高いことから、その経営が圧迫されています。施設園芸の燃油高騰に対しては、国の対策が用意されており、あらかじめ生産者と国が一対一の割合で積み立てた資金から、燃油の購入価格と基準価格の差額分が補填をされます。例えば、令和三年十一月は、A重油の購入価格は基準価格に対して一リットル当たり二十二円高くなりましたが、この全てが積立金から補填されました。県としては、燃油が高騰したときの対策として、こうした国の制度を活用することが基本と考えており、これまでも市町村やJA、生産者組織を通じて、生産者に対し周知を徹底してまいりました。 現在、加入者が限られている理由としては、平成二十七年より令和三年二月まで燃油価格が安定しており、発動実績がなかったこと、生産者単独では加入できないこと、事務手続に手間がかかることなどが挙げられます。県としては、多くの生産者が制度を活用しやすくなるよう国へ要望してまいります。また、対策に加入しておらず、資金繰りにお困りの生産者に対しましては、日本政策金融公庫による融資の活用を促してまいります。 二年前には、本県より強く要望したこともあり、コロナの影響で売上げが減少した施設園芸農家に対する国の支援が拡充されたという経緯もございます。施設園芸農家の経営安定が図られるよう、現下の生産者が置かれた状況を踏まえ、引き続き国に本県の要望を伝えながら、生産者支援にも取り組んでまいります。 次に、御質問第五、コロナ禍がもたらす子どもの育ちへの影響についてのお尋ねのうち、子どもの貧困についてであります。 コロナ禍による県内の子どもの貧困問題への影響ですが、無償で食料支援を行う民間のフードパントリー団体からも、ひとり親世帯など支援を希望する方が増えていると聞いており、厳しい状況にあると認識しています。 そこで県では、フードパントリー活動などの支援の輪が広がるよう、また、活動が円滑に行われるよう、様々な取組を行っています。例えば、食材を安定的に配布するため、活動に欠かせないお米を毎月五百キログラム以上も継続的に寄贈してくださる企業や、輸送や保管に協力してくださる企業と団体とのマッチングを行っています。また、フードパントリー団体からの要望を踏まえ、県社会福祉協議会と協力して大型冷蔵庫九台を寄贈することで、冷凍食品の受入れと配布が可能となり、食材の幅が広がりました。さらに、給食がなくなる夏休みに合わせ、県社会福祉協議会と連携して、レトルトカレー五万食を困窮世帯に配布するなど、取組も実施しております。 また、家庭の困窮によって、子どもが進学を諦めることがないよう支援を行うことも重要です。このため、非正規雇用が多く、コロナ禍の影響が大きいひとり親世帯に対し、県福祉事務所の自立支援員がきめ細かな相談支援を行い、子どもの進学のための資金貸付けなどの支援を行っております。 さらに、貧困の連鎖を断ち切るため、子どもたちの将来を見据え、町村部の困窮世帯を対象とした学習支援に引き続き取り組むとともに、市に対し実施を働き掛けてまいります。 こうした子どもへの支援や困窮世帯全体への支援を通じ、子どもたちが誰一人取り残されることのない社会を実現できるよう、全力で取り組みたいと思います。 次に、御質問第六の命を守るための孤独・孤立対策についてのお尋ねのうち、基礎自治体や民間団体などの連携についてであります。 議員お話しのとおり、新型コロナウイルス感染症は、孤独・孤立の問題を顕在化させ、その影響が長期化することで、より一層深刻な社会問題となっています。この深刻な問題に、県庁がワンチームとなって部局横断で総合的に取り組むため、砂川副知事に指示し、八部局二十八課から成る埼玉県孤独・孤立対策推進会議を設置し、二月十五日に第一回会議を開催いたしました。あらゆる世代の方々が様々な課題に直面していることを踏まえ、ライフステージに応じた孤独・孤立対策を整理するとともに、部局間における連携の強化や、民間、NPOなどと連携するべき取組を検討しております。今後、市町村、社会福祉協議会、経済団体、NPOなどから成る意見交換の場を設置し、官民連携やNPO相互の連携の在り方を検討するとともに、その基盤となるプラットフォームの形成を進めてまいります。 こうした取組を通じ、官、民、NPO等の連携による支援体制を構築し、それぞれの役割を担うことで、御本人や家族への寄り添った支援につなげてまいります。 次に、声を上げやすい環境づくりについてであります。 望まない孤独・孤立は、人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るものであり、支援を求める声を上げることや人に頼ることは、自分自身を守るために必要であって、人に批判されるべきものではありません。国の重点計画においても、支援を求める声を上げやすい機運の醸成が重要であるとされています。このため、広く県民に対して、孤独・孤立問題について様々なメディアを活用して広報、情報発信を行い、この問題についての正しい理解が得られるよう進めてまいります。 また、御本人やその家族に対する支援情報の提供や気軽に御相談いただける体制を充実させることも重要です。そこで、孤独・孤立問題に直面し、支援を求める方が、自らが置かれた状況に応じて適切に必要な情報にアクセスし、相談支援を受けられるよう、各部署が設置している相談窓口を一覧で掲載したホームページを開設し、広く情報発信をしてまいります。 孤独・孤立は、御本人にとっても社会にとっても大きな損失であり、官、民、NPO等の連携により、きめ細かな支援を行うとともに、声を上げやすい環境づくりに取り組み、誰一人取り残さない埼玉県を実現してまいります。 次に、御質問第七、農業分野での脱炭素に向けた取組についてのお尋ねでございます。 私自身、地球温暖化対策に係る脱炭素化の取組は非常に重要と考えており、今年度、庁内に部局横断のプロジェクトチームを設置し、農業に関わる取組も含め、幅広い検討を行っているところであります。 国においても、令和三年五月に策定されたみどりの食料システム戦略で、二〇五〇年までに農林水産業の二酸化炭素ゼロエミッション化を実現することを目指し、革新的な技術の開発・実装を進めることとしています。議員御指摘の農地の炭素貯留やクレジット制度もこの戦略に位置付けられており、国や自治体、民間研究機関の連携の下、間伐材や竹などを炭化させたバイオ炭を農地に施用して炭素を貯留する研究などが進んでいます。 本県として行う研究においても、農業分野の脱炭素化は、今後更に研究を充実させ、取り組んでいくべき分野と考えており、来年度から新たな研究に取り組みます。具体的には、議員お話しのライ麦のように、土壌にすき込む作物を稲を収穫した後の農地で栽培し、有機質肥料として利用する効率的な栽培方法と農地への炭素貯留効果について研究を行います。 また、施設園芸では、本県が新たに育成したイチゴ品種の「べにたま」が低い気温への適応性を持つことを生かし、冬場の暖房用の燃料消費を抑える栽培技術の研究にも取り組みます。 農業分野の脱炭素化を進める上では、県による研究のみならず、国や民間企業が行う研究も含め、全体として大きなイノベーションを引き出すことが不可欠です。県としても、国などと連携しながら、カーボンクレジットの活用にもつながる本県農業に適した脱炭素化の取組を進めてまいります。 最後に、御質問第八の部落差別解消推進条例についてのお尋ねであります。 議員御指摘のとおり、残念ながら部落差別は現在もなお存在しており、いわれのない差別として、絶対に許してはならないものであります。平成二十八年に制定された部落差別解消推進法は、「部落差別」という文言を法律の名称に初めて使用し、部落差別の解消と、部落差別のない社会の実現に対する強い決意を示しました。 この法律に基づき国が行い、令和二年六月に公表された実態調査では、部落差別に関する人権相談や人権侵犯事案の件数はおおむね横ばいであるが、インターネット上の誹謗中傷などが増加傾向にあることが明らかになりました。県が令和二年度に行った県民意識調査でも、子供の結婚相手が同和地区出身者であると分かった場合、「こだわる」「反対」などの回答が四人に一人に上るなど、これまでよりは改善しているものの、偏見や差別意識が依然として残っていることが示されました。同和問題は、憲法が保障する基本的人権の侵害に関わる重要な問題であり、こうした深い偏見や差別意識を見過ごしてはなりません。 また一方で、同和問題を解決するために必要なこととして、「教育・啓発広報活動の推進」が大切と答えた県民が四六・二パーセントと最も多数を占めました。部落差別解消推進法が施行された現在、県にまず求められているのは、地域の実情に応じた施策を講ずることであり、人々の心に届く適切な教育・啓発が重要であると考えております。 他方、議員御指摘の条例制定につきましては、今後国が示すであろう地方公共団体の役割を踏まえ、本県の実情や、条例を制定している府県での効果なども確認しながら、引き続きその必要性を検討したいと考えています。部落差別を絶対に許さないという強い気持ちを常に抱きながら、真摯にこの問題と向き合い、部落差別のない社会の実現に対し、効果ある対策に取り組んでまいります。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 田並尚明議員の御質問五、コロナ禍がもたらす子どもの育ちへの影響についてお答え申し上げます。 まず、(一)子どもの体力低下についてでございます。 コロナ禍においても、可能な限り学校や家庭において児童生徒が運動する機会を確保し、体力の低下を防ぐことは重要であると考えております。本県では、各学校で児童生徒一人一人の体力の伸びや目標が分かる体力プロフィールシートなどを活用しながら、教員が授業の工夫や生活習慣の改善を通して、児童生徒の体力の向上に取り組んでおります。これらの取組により、令和三年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の全国順位は、例えば、中学二年生の女子が二位となるなど、例年上位を維持しております。 しかし、議員御指摘のとおり、コロナ禍において全国的に児童生徒の体力が低下しており、本県も同様の傾向にあります。体力低下の要因としては、コロナ禍での感染防止対策に伴う体育の授業や部活動等での活動内容の制限、また、家庭における外出の自粛で運動する機会が減少したことなどが考えられます。 そこで、例えば、小学校において、休み時間の校庭の使用を学年で区切り、密を回避しながら運動できる時間を確保するなど、体力低下を防ぐ取組を進めております。また、家庭に対しては、児童生徒が自宅で体幹部のトレーニングなどに取り組める運動動画、「新 彩の国 体つくりチャレンジプログラム」を提供するなどの取組を行っております。 引き続き、学校、家庭との連携を図り、コロナ禍においても工夫しながら、できる限りの運動機会を確保し、子どもたちの体力の維持・向上に努めてまいります。 次に、(二)学習環境への影響についてでございます。 県内の多くの小・中学校では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、学級閉鎖や学年閉鎖などの対応を余儀なくされており、また、感染不安により、やむを得ず登校できない児童生徒もいる状況です。このような状況にあっても、児童生徒の学びを継続し、学習意欲の低下や学習の遅れが生じないよう対応していくことが重要であると考えております。 このため、県では市町村に対して、各地域の感染状況や児童生徒の発達段階等に応じて、一人一台端末を活用したオンライン学習に取り組むとともに、感染予防対策を徹底した上で授業を行うことなどを求めてまいりました。学級閉鎖等を行っている多くの学校ではオンライン学習に取り組んでおりますが、例えば、自宅で一人でオンライン学習をすることが難しい小学校低学年においては、ワークブックやプリントを活用した学習を併用するなどの工夫をしながら学習を継続しております。 また、通常の授業でも、音楽や体育等の感染リスクが高い活動においては、演奏や実技の映像を活用するなどの工夫も行われております。 議員から御心配をいただきました学習の遅れにつきましては、埼玉県学力・学習状況調査では、ほぼ例年同様の結果が確認されておりますが、児童生徒一人一人の学習意欲の低下や、学習に遅れが生ずることがないように引き続き取り組んでいくことが大切です。コロナ禍においては、今後もオンライン学習をはじめとする効果的な学習を進めるとともに、一人一人の学習状況を丁寧に把握して個別に指導するなど、全ての児童生徒に対する学びの支援が継続できるよう、市町村とともに取り組んでまいります。          ---------------- △休憩の宣告 ○梅澤佳一議長 暫時、休憩いたします。午前十一時四十一分休憩          ----------------午後一時再開 出席議員    八十七名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十五番   二十六番  二十七番  二十八番  二十九番    三十番  三十一番  三十二番  三十三番   三十四番  三十五番  三十六番  三十七番   三十八番  三十九番   四十番  四十一番   四十二番  四十三番  四十四番  四十五番   四十六番  四十七番  四十八番  四十九番    五十番  五十一番  五十二番  五十三番   五十四番  五十五番  五十六番  五十八番   五十九番   六十番  六十一番  六十二番   六十三番  六十四番  六十五番  六十六番   六十七番  六十八番  六十九番   七十番   七十一番  七十二番  七十三番  七十四番   七十五番  七十六番  七十七番  七十八番   七十九番   八十番  八十一番  八十二番   八十三番  八十四番  八十五番  八十六番   八十七番  八十八番  八十九番   九十番   九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    一名   五十七番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○梅澤佳一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(代表)(続き) ○梅澤佳一議長 質疑質問を続行いたします。 公明党代表、九十一番 西山淳次議員       〔九十一番 西山淳次議員登壇〕(拍手起こる)
    ◆九十一番(西山淳次議員) 九十一番、公明党の西山淳次です。公明党県議団を代表して質問させていただきます。よろしくお願いします。 まず、時代認識について伺います。 私は、昨年の代表質問で、コロナの出現を「風の谷のナウシカ」の物語になぞらえた論考を紹介し、コロナ禍が意味するものは何かと知事に問いました。コロナの出現は、自らの欲望のままに自然を征服し、壊し続けてきた人類のおごりに対する自然からのしっぺ返しであり、警告であるというのが私の問題意識だったからであります。一年がたち、ますますその思いは強くなっております。 「あなたたちは、一体、このままでよいのですか」。二〇二〇年代の初頭、全地球的な規模で、医療だけでなく、社会経済に、そう、社会経済にも甚大な影響を与えている新型コロナウイルスは、人類にこう語り掛けているような気がしてなりません。 もし、この警告を無視し続けたならば、その先に待っているものは何でしょう。それは、破局という取り返しのつかない事態になる可能性が高い。これは、私が勝手に言っているのではありません。既に人類の第一級の知性が繰り返し訴えてきた警告なのであります。 今から五十年前の一九七二年、「成長の限界」と題されたレポートが民間シンクタンクのローマクラブによって発表されました。同レポートは、ローマクラブの委託を受けたマサチューセッツ工科大学の研究者らが二十一世紀の人類社会の姿をシミュレーションしたものです。その結果は、驚くべきものでした。「人口増加や環境汚染などの傾向が続けば、遅くとも百年以内に地球上の成長は限界に達し、破局を迎える。一刻も早い方向転換を」と呼び掛けたのです。このレポートは、大きな反響を巻き起こしました。一部に「成長の限界」の予言は外れたとする向きもありますが、資源持続性への移行を強調したけい眼と先見性は、今も色あせておりません。 また、文明史の研究で知られるジャレド・ダイアモンド氏は、著書「文明崩壊」の中で次のように語っています。「そう、私たちは今、持続不能に至る道を急ぎ足で歩いている。現在の子供たちや若者たちが生涯を終えるまでの間に、世界の環境問題は何らかの決着を見るだろう。問題は、それが自分たちの選んだ快適な方法による決着か、戦争、大量殺りく、飢餓、疫病、社会の崩壊など選ばざる不快な方法による決着かということだけだ」。 ほかにも、現代社会の在り方に疑問を呈し、その転換を促す有識者は決して少なくありません。コロナという未曽有の災厄に世界が見舞われた今こそ、私たちは、こうした英知に謙虚に学んでいくべきではないでしょうか。私たちは、本当にこのままでよいのでしょうか。今、方向転換ができなければ、私たちの子供や孫の世代で、世界は本当に破局を迎えてしまうかもしれないのです。 残された時間はそんなに長くはありません。この二〇二〇年代の十年間にいかなる方向付けができるかで、三十年後、五十年後の姿が決まります。その意味で、私は、この十年間は人類の分岐点となる極めて重要な十年間であると考えております。西山さんはまた、随分大きなことを言うねと思われるかもしれません。私は一県議会議員ですが、一県議会議員が地球や人類の行く末を思い、議員として行動していくことがとても大切だと考えています。私たち一人一人が、そして、やがては多くの人々が意識と行動を変えていくことが、破局を防ぐ唯一の道だからであります。 大野知事、私は、昨年に引き続きコロナ出現の意味を問いたいと思います。そして、現在、私たちは人類史の大きな分岐点に差し掛かっており、私たちの世代には大きな責任があると考えています。大野知事はどうお考えですか。私と見解が異なっていても全く結構です。大野知事の時代認識について、どうぞお聞かせください。 次に、地球温暖化対策について伺います。 言うまでもなく、地球温暖化は人類の生存基盤に関わる最優先課題の一つであります。よって、質問が少々長くなろうかと思いますが、御理解ください。 地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、二度より十分低く抑え、一・五度に抑えることを目標とし、そのために国際社会は、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすること、つまり脱炭素化を目指しています。二〇五〇年に温室効果ガス排出実質ゼロという人類共通の目標を達成するには、二〇三〇年までの十年間が決定的に重要です。その二〇三〇年の目標として、現在我が国が掲げているのは、二〇一三年比で最低でも四六パーセントの温室効果ガスの削減です。これが達成できれば、二〇五〇年への光明も見えてくるでしょう。もし、できなければ、前途に暗雲が立ち込めることになります。私は、私たちの世代の責任として、この目標は何としても達成し、次世代にバトンタッチをしたいと念願をしております。 さて、二〇三〇年までの十年間を計画期間とする現行の埼玉県地球温暖化対策実行計画(第二期)の削減目標は、二〇一三年比で二六パーセント、国の目標である四六パーセントとは二〇パーセントもの大きな隔たりがあります。国の新たな目標設定を受け、本県も急きょ計画の見直しを始めていますが、どうやってこのギャップを埋めていくのかが問われております。 当然のことですが、本県の温暖化対策を進めるには、できるだけ多くの県民・事業者に協力していただくことが重要です。本県はまだ、二〇五〇年での脱炭素化、いわゆるカーボンニュートラルを宣言していない数少ない県になってしまいましたが、その意味でも温暖化対策の重要性を県民に強くアピールし、一人一人の意識改革と行動変容を促す必要があります。 そこで、カーボンニュートラル宣言を含め、各種イベントの活用や広報強化など、温暖化対策への県民意識を高めるために知事が先頭に立って取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、本県が温暖化対策を具体的、効果的に進めるには、オール県庁で取り組む必要があります。二〇三〇年の目標達成に向け、あらゆる部門があらゆる政策立案、事業執行の段階で、温暖化対策という観点を念頭に置くべきです。今後、本県の政策立案、事業執行に、温暖化対策という横串を通すことについて、知事の見解を伺います。 さて、先ほど申し上げた本県の地球温暖化対策実行計画の見直しでありますが、まずは、二〇三〇年の目標設定は、国の目標である四六パーセント以上と考えてよろしいでしょうか。また、その目標達成のための新たな対策として、どのような取組を検討しているのか、知事に伺います。 脱炭素化を目指すには、再生可能エネルギーの利用拡大は必須要件です。国は、二〇三〇年のエネルギー基本計画において、再生可能エネルギーの割合は三六から三八パーセントを目標としています。これは、二〇一九年度実績の一八パーセントを少なくとも倍増しなければならない目標です。経済界は既に、脱炭素サバイバルの時代に入ったとも言われ、再生可能エネルギーの利用は、企業の生き残りのための必須要件になりつつあります。 そこで、今後、県民や県内事業者の再生可能エネルギー利用拡大を県としてどう進めていくのか、知事の考えを伺います。 一方で、温暖化対策として見逃せない重要なもう一つの対策は、省エネであります。エネルギーの使い放題を前提にしないで、エネルギーの消費量そのものをできる限り減らすことは、脱炭素化に向けて大変に重要です。この省エネに県としてどう取り組んでいくのかについても、知事に伺います。 次に、埼玉県庁自身の取組について伺います。 埼玉県の部局別の温室効果ガス排出量の現状は、下水道局が約六割、水道事業を行う企業局が約二割と、この二部門で全体の約八割を占めています。県庁自身が脱炭素化に向かうには、この二部門の責任と役割は大きいと言わざるを得ません。上下水道という生活インフラを担う両部門には、安定した事業運営を行いつつ、大幅な温室効果ガス削減を行うという困難な課題が待ち受けていますが、是非頑張っていただきたい。下水道事業管理者公営企業管理者それぞれに、二〇三〇年の削減目標及びその目標達成に向けた取組について伺います。 あわせて、本庁舎や地域機関、各種県有施設など県管理の公共施設に対する目標と取組についても、知事にお尋ねいたします。 加えてですが、本県の公共事業の発注や物品の調達についても、徹底したグリーン調達を行っていくべきです。この点についても、知事からお答えください。 もう一点でありますが、コロナ禍で大きなダメージを受けた飲食、観光などの分野に対する支援策に、グリーンな視点を盛り込むことはできないでしょうか。今後、感染状況が落ち着いてくれば、「とくとく埼玉!観光応援キャンペーン」など各種支援策の再開が期待されます。その際に、例えば、観光に自家用車ではなく公共交通機関を使うと更にお得になる、あるいは、飲食店への支援事業では、お弁当などのテイクアウトにプラスチック容器を使わないようにする、環境に配慮し、ごみを出さないイベントにするなど、環境負荷を減らす誘導策を県で用意し、事業者と利用者の双方にグリーン意識を持ってもらうのです。お考えを伺います。 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 現在も正に第六波の渦中にあり、私たちの身近にり患した方、濃厚接触で自宅待機中という方が多数おられる状況です。心よりお見舞いを申し上げます。 また、最前線で奮闘される医療従事者の皆様には本当にお世話になっております。深甚の感謝と敬意を申し上げたいと思います。 そして、知事はじめ担当部局の職員の皆様にも大変な御尽力をいただいております。特に保健所の皆様は、本当に大変だろうと思います。改めて、その御労苦に感謝申し上げます。 さて、オミクロン株の感染爆発は、私たちの想像を全く超えていました。新年が明けて、あっという間に一日の新規感染者数が一千人を超え、ピークとなった二月五日には、何と七千三百五十三人を記録しました。一昨日、二月二十三日時点で本県の累計患者数は約二十九万人となり、実に県民の二十五人に一人がり患したことになります。第六波に備えて様々な対策を準備してきたわけですが、これだけ急速な感染拡大では、あちこちで問題が生じてもおかしくありません。 以下、三点について知事に伺いたいと思います。 第一に、医療提供体制であります。 現在、本県のレベル判断は、レベル二。「一般医療及び新型コロナへの医療の負荷が生じはじめているが、段階的に対応する病床数を増やすことで、医療が必要な人への対応可能」というものです。爆発的な感染増加でありながらレベル二にとどまることができているのは、オミクロン株の特性と、これまでの教訓に学んだ対策が功を奏している点もあるでしょう。そこで、医療提供体制の現状についてどう評価しているか、総括的にお答えください。 二点目として、自宅療養者への対応についてです。 オミクロン株の特性により、自宅療養者の数がこれまでと比べて圧倒的に多くなり、二月二十三日現在で三万一千四十八人に上りました。そこで重要になってくるのは、できる限り自宅療養者の不安を取り除くことだと思います。 毎日のように、数千人の新規感染者が発生している状況では、保健所からのファーストタッチや健康観察をショートメールなどのSNSに変更するのはやむを得ないと理解をいたしますが、一部の自宅療養者、家族から、分かりにくいといった声を聞いております。電話からSNSへの変更をしっかりアナウンスするとともに、その文章や内容を、患者さん本位に親切で分かりやすい表現に工夫していくべきと思いますが、いかがですか。 また、こうした状況になると、我が党が推進した、県と市町村が患者情報を共有して、市町村が食料品やパルスオキシメーターを自宅療養者にいち早く届ける仕組みが非常に重要です。うまく機能し、迅速に患者のもとに支援物資は届いているでしょうか、確認をさせていただきます。 さらに、家庭内感染が多いことも第六波の大きな特徴です。家族内に感染者が出て、様々な努力をしたにもかかわらず、同居家族が感染してしまうケースが少なくないようです。そこで、陽性患者の隔離という意味で、自宅療養者が希望した場合には宿泊療養施設をもっと積極的に活用すべきです。この点についてはどうお考えでしょうか。 三点目として、県と保健所設置自治体との連携について伺います。 本県では、さいたま市、川口市、川越市、越谷市の四市が独自に保健所を持っています。現行の感染症法では、都道府県と保健所設置自治体は横並びであり、県が指揮権を持っているわけではありません。平時はともかく、コロナのような緊急時には県全体として足並みをそろえて動いていくことが必要になりますが、これまでのところ、県と保健所設置自治体との連携はうまくいっているでしょうか。この点についても伺います。 次に、働く障害者の支援について伺います。 私は議員として、これまで様々な障害者の働く現場を見させていただき、障害者の方が自分に合った仕事を得て一生懸命働いておられる姿に、いつも感動してまいりました。働きたいと願う障害者の方が、一人でも多く働ける埼玉県になってほしいと念願をしております。 そこで、まず、一般就労である障害者雇用について伺います。 本県の障害者雇用率は、かつて全国最下位という不名誉な状況にあり、私も幾度となく県の取組強化を訴えてまいりました。そして、本県は平成十九年、企業へ障害者雇用を働き掛けることを主な業務とする障害者雇用サポートセンターというユニークな取組を開始しました。その後、雇用開拓員やジョブコーチの配置、また、精神障害者の雇用拡大に力を入れるなど取組を強化した結果、本県の障害者雇用率は次第に上昇し、直近の令和三年の障害者雇用率は、法定雇用率の二・三パーセントを超える二・三二パーセントになりました。都道府県別の全国順位は二十二位と真ん中より上にランキングし、かつての汚名を返上するにまでに至りました。 先日、会派として改めて現在の障害者雇用総合サポートセンターを視察させていただきましたが、まずは関係職員のこれまでの御尽力を高く評価したいと思います。その上で、是非とも次は全国上位を目指していただきたいと思います。 そこで、次のステップアップへの課題であります。本県内に障害者雇用義務のある従業員四十三・五人以上の企業は三千六百四十七社あり、うち法定雇用数を達成しているのは一千七百四十三社、四七・八パーセントが達成をしています。一方、未達成企業一千九百四社のうち、一人も雇用していない零人の企業が一千百七十二社あり、そのうち一千十社が従業員百人未満の企業であります。つまり、従業員百人未満の企業が一人若しくは二人の障害者を雇用できるかどうかが今後の鍵であり、そこへのてこ入れが必要と考えます。そこで、指摘しました百人未満の企業に対するてこ入れも含め、更なる障害者雇用の推進に向けて今後どう取り組んでいくのか、知事に伺います。 次に、障害者の就労支援について伺います。 障害者就労には、雇用契約を結び最低賃金以上を保障するA型と、事業所と雇用契約を結ばずに工賃として生産物に対する成果報酬が支払われるB型があります。私は、今回の質問の参考にするべく、所沢市のきぼう工房と新座市の社会福祉法人埼玉福祉会という二つの障害者就労支援事業所を視察しました。両事業所とも、A型、B型双方の利用者がいます。 所沢市のきぼう工房は、監視カメラの組立て・検品や、ドライフラワーの製造・販売というユニークな事業を行っています。たくさんのドライフラワーがつるされた作業所では、利用者の方がかわいらしいドライフラワーのブーケを作っていました。手先の器用さと根気が必要な作業です。製造するだけでなく、川越市の蔵造りの町並みの一角におしゃれなショップを自前で構えており、利用者が作ったブーケなどがきれいにラッピングされて販売されていました。福祉を売り物にせず、あくまでもドライフラワーの専門店という中身で勝負をされていました。代表者の松永さんが言われた「たとえ良い品物でも、見せ方、売り方、ブランディングが大切です」との言葉が大変印象的でした。 また、新座市の社会福祉法人埼玉福祉会は、驚くほど多岐にわたる事業を展開しています。図書整理をはじめ、介護用品ショップ、出版・印刷、焼き芋やニンニクの製造・販売、イチゴ農園という多彩な事業展開で、障害者と健常者が一体となって働いています。特に、近年始めたイチゴ農園は人気を呼び、いつも午前中の早い時間に品物が売り切れてしまうとのことでした。私もいただきましたが、びっくりするほどおいしいイチゴでした。ちなみに、次は是非、埼玉特産の「あまりん」と「かおりん」を栽培したいと言っておられました。 さて、こうした多彩な事業展開に次々と挑戦してきた同法人の並木理事長は、「下請になってはいけない。ビジネスの利益を福祉に還元していく。福祉にも経営者の自覚が必要だ」と力説しておられました。「福祉の世界に経営を」との考えは、かのスワンベーカリーを立ち上げたクロネコヤマトの創業者、小倉昌男氏の信念でしたが、御紹介したお二人も、優れた経営感覚を持って奮闘されていると感じました。障害者に高い賃金、工賃を支払うには、何よりも売上げを伸ばさなくてはなりません。福祉にも経営をという観点に立って、県が福祉の現場を支援していくことは非常に重要だと考えますが、知事のお考えを伺います。 次に、障害者相談支援事業について伺います。 障害者がサービスを受けようとする場合、相談支援専門員という資格者がサービスの利用計画案を作成します。この相談支援専門員は、介護でいうところのケアマネジャーに当たる重要な職種です。そして、相談支援専門員の養成は埼玉県の役割になっています。 先日、私は、県北のある市の相談支援専門員の方から、以下のようなお話を伺いました。 その市では、相談支援専門員が少ないので、計画を作る相談支援事業所が少なくなっている。結果的に特定の事業所に業務が集中し、一人の相談支援専門員が担当する件数が多くなっている。国の基準は、一人三十五件だが、百件以上担当しているのが実情だ。相談支援専門員は、本来あるべきサイクルの業務ができず、とりあえず更新の手続をこなすので手いっぱいの状況が常態化している。適切なモニタリングもできず、利用者の状況を定期的に把握できないので、そのサービスが当人に合っているのかどうか判断が下せない。 以上、相談支援事業が現場できちんと機能していないとの指摘でありました。こうした現状が起きる原因として、そもそも相談支援事業を開設する事業所が少ないということがあるようです。また、せっかく相談支援専門員の資格を取っても、相談支援事業を行わないケースもあると聞きます。 次に、相談支援専門員になろうと思っても、なかなか研修が受けられないという点です。相談支援専門員の資格は、一定期間以上の実務経験のある人が七日間の初任者研修を受けることで取得できますが、本県の初任者研修は年一回、委託を受けた民間団体が行っていますが、研修の人数枠は百二十人、応募要領が記載されている県のホームページには、「近年、本研修について受講希望される方が大幅に増えており、応募されても一部受講できない方が出てしまう状況が続いています」と記載されており、受講者枠の早急な拡大が必要なのは明らかです。 そこで、知事に伺います。「本県の相談支援事業がきちんと機能していないのでは」との現場の声を受け、まずは県内の実情をしっかり把握した上で、相談支援専門員の養成、配置等をはじめ、相談支援事業の充実に本県として改めて取り組むべきと考えます。相談支援事業所に対する補助制度を創設した千葉市などの先進事例もあるようです。本県の相談支援事業をしっかりと機能させるためには、新たな取組が必要と思いますが、見解を伺います。 次に、尿もれパッドはどこへについて質問いたします。 一月三十一日付け埼玉新聞一面に掲載された日本骨髄バンク評議員の大谷貴子さんの寄稿「尿もれパッドはどこへ」は、出色の記事でした。 近年、前立腺がんや膀胱がんなどの増加に伴い、男性で尿もれパッドを着用する人が増えていますが、男性用の個室トイレにはほとんどごみ箱がないため、使用した尿もれパッドの捨て場所に人知れず苦労している男性が多い、何とかする必要があるのではとの御提案です。一読して、とても重要な御意見と敬服しました。 前立腺の摘出手術を受けた人の大半は、術後しばらく尿のコントロールが難しく、尿もれパッドが必要だそうです。そのほか、膀胱の手術やその他の疾患でも尿もれパッドが必要な男性は少なくありません。 では、今までどうしていたのか。やはり捨て場所がないので、ビニール袋に入れるなどして持ち帰っている人が多いようです。考えてみますと、多ければ二百五十ccもの水分を含み、臭いもする尿もれパッドを外出先から家まで持ち帰るのは、神経も使い、しんどいことです。男性特有のプライドでしょうか。人に知られたくないという心理もあって、この問題は余り表立って語られてこなかったようです。私も全く認識がありませんでした。 そこで、埼玉県民でもある大谷さんの勇気ある提言に是非お応えしたいと思います。以下、知事に質問いたします。 まず、本県県有施設の男性用個室トイレへのごみ箱、サニタリーボックスの設置状況はどうなっているでしょうか。 次に、尿もれパッドが捨てられるようなごみ箱、サニタリーボックスを男性用個室にも是非設置していくべきです。まずは、県有施設の男性用個室トイレへの設置を進めていただきたい。なお、その際は清掃される方への配慮が必要なことは言うまでもありません。 そして、市町村や不特定多数の県民が利用する施設にも働き掛けるなど、県は率先してこの課題に取り組むべきと考えますが、知事のお考えを伺います。 次に、訪問医療、訪問介護の安全対策について伺います。 先月二十七日に、本県ふじみ野市内の住宅で、医師が男に散弾銃で殺害されるという衝撃的な事件が発生しました。男は、亡くなった母親の在宅医療に不満を持ち、担当していた医師の鈴木純一さんら関係者七人を呼び出し、犯行に及びました。また、報道によれば、男は母親を担当していた介護事業者にも、線香を上げに来いと来訪を求めていたそうです。 亡くなった鈴木医師は、二十四時間三百六十五日対応を掲げ、地域の在宅医療に献身的に取り組んでいた方と伺っております。心から哀悼の意を表したいと思います。 私は、この事件を契機に、本県は、訪問医療や訪問介護に伴うリスクをいま一度認識し、対策に取り組むべきと考えます。訪問看護師や訪問ヘルパーの多くは女性であり、ほとんどの場合、一人で利用者宅を訪問して看護やケアを行います。自宅という密室でケアは行われるだけに、利用者や同居家族からのセクハラ、パワハラがかねてから問題視されてきました。しかし、ケアする側の当事者からは、なかなか声を上げにくい状況がありました。 私は、平成三十一年二月定例会の代表質問で、介護職員のハラスメント対策を取り上げ、ハラスメント研修と相談専用窓口の設置を求めましたが、当時の上田知事からは、相談窓口については、専用ではなく既存の労働相談センターで対応していくとの答弁にとどまりました。 超高齢社会が進むにつれ、訪問看護や訪問介護は増加が見込まれる一方、人材不足が最も深刻なのもこの分野であります。訪問看護の全国団体が平成三十年に行った調査では、看護師の半数が患者、家族からの暴力行為を受けたと回答しています。この際、訪問する医師、看護師、ヘルパーが安心して仕事に取り組めるように、専用相談窓口の設置をはじめ、研修の充実、悪質なケースへの警察や警備会社との連携など、各種対策をしっかり検討し、早急に実行に移していくべきと考えます。知事の見解を伺います。 次に、順天堂大学附属病院の誘致について知事に伺います。 さいたま市の浦和美園地域に順天堂大学附属病院を誘致する計画が大幅に遅れています。当初の計画では、平成三十年三月に着工し、令和三年三月に病院が開院する予定でした。ところが、着工期限直前に、病院側から新たなスケジュールが明確にされないまま整備計画変更が申請され、これが認められました。そして、昨年十二月に新たなスケジュールを含めた整備計画が提出されました。 それによると、令和八年四月に着工し、令和十一年三月に四百床稼働、令和十二年三月にフルオープンという予定です。当初計画から、丸々十年も遅れることになります。なぜこのように大幅に遅れたのか、まずはその理由を明確に御説明をお願いいたします。 次に、そもそも論になりますが、この際、本県が医師不足解消策として最優先でやるべきことは何かを確認させていただきたい。 本県の人口当たりの医師数が全国最下位であることは有名な話であり、最下位脱出は、当然目指すべき課題でありますが、そのようなアバウトな話ではなく、医師不足といっても、どの地域にどういった課題があるのか。もっと言えば、ある地域では何科の医師が何人不足しているのかといった具体的な課題が明確になっていなくてはなりません。そして、その課題解消がどうしても必要であり、そのために大学病院の誘致が有効であると結論できるなら、多額の建設費補助が慣例化している大学病院の誘致でも、県民の理解を得ることができるでしょう。 この医師不足の具体的実情について、私は、平成二十九年二月定例会の代表質問で明確にせよと質問しましたが、県の答えは、今後、地域医療構想の調整会議を行うことにより、状況を把握できる可能性が出てきたという不十分なものでした。 そこで、改めて伺います。本県の医師不足という大きな課題の中で、最優先で取り組むべき具体的な課題は何かをお答えください。また、その課題は順天堂大学附属病院を誘致することで解消できるのか。加えて、新たな整備計画どおりに進めた場合、県の補助額、負担はどの程度になるのでしょうか。 三点目として、今後の方針について伺います。 昨年十二月に提出された順天堂大学附属病院の新たな整備計画について審議している埼玉県医療審議会は、一、開設時期の前倒しはできるのか、二、県内の医師確保困難地域へいつから医師派遣ができるのかという二点について、順天堂大学側に回答を求めておりました。二月二十一日に返ってきた回答は、開院時期については十八か月の前倒しは可能、開院前の医師派遣については明確な答えがなかったとのことであります。 そこで、伺います。順天堂大学附属病院の誘致は大幅に遅れてきた経緯がありますが、今後も順天堂大学附属病院の誘致という方針に変わりはありませんか、それとも別の選択肢もあり得るとお考えでしょうか、伺います。 最後に、教育問題についての(一)教員の働き方改革について伺います。 我が党は、教員の働き方改革を教育分野の最重要課題の一つと考えています。長時間の超過勤務が慢性化して、希望と意欲に燃えていた教員が次第に元気を失い、心の病による休職が増加しています。教員のブラック化がけん伝されて教員志望の学生が減り、採用試験の倍率が年々低くなってきています。これは決して誇張ではなく、教育現場の偽らざる実情であります。事態は深刻であり、早急な改善が必要です。 私は、昨年の代表質問でも、我が党の提案で導入されたスクール・サポート・スタッフの成果や部活指導の負担軽減を取り上げるなど、働き方改革を具体的かつ強力に推進するよう教育長に求めました。 そこでまず、現状について伺います。 令和三年度は三年計画として定めた「学校における働き方改革基本方針」の最終年度でありますが、その進捗状況はいかがでしょうか。超過勤務を月四十五時間以内、年間三百六十時間以内に収めるという目標は、残念ながら達成できていないと聞いておりますが、どの程度進んだのか、その自己評価も含めて教育長に伺います。 次に、「学校における働き方改革基本方針」は目標達成に至らなかったため、令和四年度から三年間を計画期間とする次期の「学校における働き方改革基本方針」を策定中と聞いています。私は、その柱の一つとして、部活指導の負担軽減、なかんずく朝練の原則禁止、加えて学校行事の大幅な見直しが不可欠と考えています。 しかし、こうした改革は、県教育委員会がある意味では悪者になるくらいの覚悟で相当強く発信しないと、現場での実践は難しいものです。この点も含め、次の三年間で月四十五時間、年三百六十時間以内という目標をどう達成していくのか、教育長に伺います。 次に、(二)オンライン学習の現状と課題について伺います。 一昨年は、三月から三か月間にわたり学校の一斉臨時休業が行われ、現在は、オミクロン株の感染拡大で多くの学校が学級閉鎖や分散登校を余儀なくされています。こうした状況下で、オンライン学習の必要性が急浮上する中、国のGIGAスクール構想が前倒し実施になり、オンライン学習が急速に動き出しました。対面による授業ができないことは痛手ですが、結果的に小・中学校の児童生徒全員に端末が届き、通信環境も大幅に改善されるという形になりました。 では、現在、実態としてどのようなオンライン学習が行われているのでしょうか。ライブ配信で対面さながらの授業が行われ、教師とクラスの児童生徒全員がオンラインでやり取りをしている、そんなハイレベルなイメージを持っておられる方も多いかもしれません。そこで、現在、県内の小・中学校で実施されているオンライン学習の実情はどうなのか、具体的なイメージが湧くように御説明をお願いします。 また、今後、コロナが収束したとしても、オンライン学習は推進すべき課題であり続けます。その意味で、現時点で見えてきたオンライン学習の課題にはどのような点があるのかについてもお尋ねします。 そして、懸念されているのが、対面での授業が減った分、子供たちの学力が低下しているのではないかということです。学習機会の保障ということで様々な努力がされたようですが、このコロナ禍の期間、学力の低下はあったとお考えでしょうか。 以上、オンライン学習について三点、教育長よりお答えください。 以上で質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手起こる)          ---------------- △休憩の宣告 ○梅澤佳一議長 暫時、休憩いたします。なお、再開は一時五十五分といたします。午後一時四十五分休憩          ----------------午後一時五十六分再開 出席議員    八十七名     二番    三番    六番    七番     八番    九番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十五番   二十六番  二十七番  二十八番  二十九番    三十番  三十一番  三十二番  三十三番   三十四番  三十五番  三十六番  三十七番   三十八番  三十九番   四十番  四十一番   四十二番  四十三番  四十四番  四十五番   四十六番  四十七番  四十八番  四十九番    五十番  五十一番  五十二番  五十三番   五十四番  五十五番  五十六番  五十八番   五十九番   六十番  六十一番  六十二番   六十三番  六十四番  六十五番  六十六番   六十七番  六十八番  六十九番   七十番   七十一番  七十二番  七十三番  七十四番   七十五番  七十六番  七十七番  七十八番   七十九番   八十番  八十一番  八十二番   八十三番  八十四番  八十五番  八十六番   八十七番  八十八番  八十九番   九十番   九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    一名   五十七番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長   県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長   福祉部長     保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○梅澤佳一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(代表)(続き) ○梅澤佳一議長 質疑質問を続行いたします。 九十一番 西山淳次議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 西山淳次議員の公明党議員団を代表しての御質問に順次お答え申し上げます。 まず、御質問第一の時代認識についてのお尋ねでございます。 昨年に引き続き、コロナ禍をはじめ、現代社会が抱える様々な問題に対する幅広い示唆に富んだ御所見をいただきました。今回のコロナ禍は、人々の意識や日常生活を一変させ、価値観をも大きく変化させました。これまでは当然のことと考えていた会社への出勤や商品の購入などであっても、以前とは異なる行動が求められました。デジタル技術の活用とともにテレワークやオンライン会議、ネット購入などが普及し、県民の中に新しい働き方や暮らし方が着実に浸透してきております。 このように、人々が新しい考え方や生活様式を受け入れていく中で、古い習慣を捨て、新しい社会を迎えるという社会生活の在り方そのものの変革が進んでいます。 ただ、このような短いスパンだけではありません。私は、知事選挙に際して以来、繰り返し主張しておりますが、埼玉県は大きな変革期にあり、目先の課題とともに、中長期的な課題に応える必要に直面しております。我々は今、こうした大きな時代の転換点にいることを認識し、社会経済や人々の意識、行動における変化を的確に捉え、議員が指摘される破局に向かうことがないよう、新たな社会構造の構築に向けた変革に挑戦し続けることが極めて重要だと感じております。 私は今回、コロナ禍の中で得られた知見に謙虚に学びつつ、新しい生活様式も生かしながら、押し寄せる社会の大きな変化に対応し、誰一人取り残さない持続可能な日本一暮らしやすい埼玉の実現に向け、引き続き知事として県政の発展に全力を尽くしてまいります。 次に、御質問第二の地球温暖化対策についてのお尋ねのうち、県民意識向上のための知事の取組についてでございます。 地球温暖化対策は、正に待ったなしの課題であり、国では、二〇三〇年までに温室効果ガスを四六パーセント削減する極めて野心的な目標を掲げました。この目標を達成するためには、国はもとより、地方公共団体、事業者、国民が一丸となって取り組むことが求められます。 県としても、カーボンニュートラルの実現に向け、多くの事業者や県民の協力を得ていくことは大変重要と考えております。私はかねてから申し上げているとおり、事業者や県民の皆様にお示しする新たな削減目標は、裏付けのある取組をもって設定する必要があると考えております。 削減の中で最も大きな分野を占める発電部門等については、国の方向性なしに決定することはできず、宣言だけで終えるようなことは決してあってはならないと強く感じています。このため、カーボンニュートラル宣言をも視野に入れつつ、二〇三〇年度を目標年度とする県の地球温暖化対策実行計画の見直しについて、全庁を挙げて進めているところでございます。こうした見直しを進めていく中で、先月も環境省主催の地域脱炭素施策に関する会議において、山口環境大臣と県の課題や取組について直接意見交換するとともに、自らも取り組んでいるところです。 今後、県の実行計画の見直しを鋭意進め、事業者や県民の皆様に具体的な温暖化対策の方向性を示しながら、先頭に立ってその重要性をアピールしてまいります。 次に、政策立案、事業執行に温暖化対策という横串を刺すことについてです。 現在、県の地球温暖化対策実行計画の見直しを進めておりますが、地球温暖化対策は全庁の課題であり、全ての部署で取り組むよう指示いたしました。そこで、庁内に部局横断のプロジェクトチームを立ち上げて検討を行い、先日、各チームからの報告を受けたところであります。 二〇五〇年脱炭素社会の実現に向けて、今後の施策展開や事業執行に当たっては、温暖化対策という横串を刺すことを意識してまいります。 次に、本県の目標設定は、国の目標である四六パーセント以上と考えてよいか、また、その目標達成の新たな対策としては、どのような取組を検討しているのかについてであります。 四六パーセントの目標達成には、多量に温室効果ガスを排出する発電事業者に対し脱炭素化に向けた取組を促すなど、エネルギー政策をつかさどる国の果たすべき役割が大きいと考えています。本県といたしましても、これまで実施してきた各部門における削減対策の強化はもとより、エネルギーの供給面など、あらゆる視点からの検討が必要と考えます。その上で、県の新たな目標は、国の削減目標である四六パーセント以上としたいと思います。 他方、私は、裏付けのある取組をもって新たな削減目標を設定する必要があると考えており、施策の検討と併せて、学識経験者や産業界の関係団体などの御意見を伺いながら、削減目標を設定してまいります。 目標達成の新たな対策については、これまでにない視点からの検討も必要です。例えば、エネルギーの効果的な活用には、コージェネレーションシステムなどによるエネルギーの面的利用が有効であり、そのためには、まちづくりを進める段階からその導入を検討する必要があります。また、再生可能エネルギーの利用には、気象予測や需給データの解析、仮想発電所いわゆるバーチャル・パワー・プラント(VPP)技術を使ったエネルギーの需給調整や、AIやIoTなどのデジタル技術の進展や活用が欠かせません。 このようなことから、まちづくり、DX、脱炭素、この三つを三位一体で進められるような施策についても、埼玉版スーパー・シティプロジェクトをはじめ検討してまいります。 次に、県内の再生可能エネルギー利用拡大の推進でございます。 再生可能エネルギーの利用促進は不可欠でありますが、一方、その導入コストが高いという課題もあります。その利用拡大には、県民や事業者の皆様に脱炭素社会実現の必要性を正しく理解していただくとともに、その導入に当たり、インセンティブを高めることが重要と考えています。 また、世界が脱炭素社会実現を目指す中で、サプライチェーン全体で再生可能エネルギーの導入に取り組む大企業が増えています。今後、県内中小企業に対し、事業で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えることなどを求める動きが更に加速することも予測されます。 そこで、県では中小企業を対象に、太陽光発電や太陽熱、地中熱などの再生可能エネルギー導入に当たり、補助による支援を行っています。また、県民の皆様には、発電した再生可能エネルギーをため、いつでも利用していただけるよう蓄電池への補助も行っております。さらには、国においてエネルギー需給調整などデジタル技術を用いた様々な実証実験が行われており、このような取組に対しても、県内の事業者と連携し、参加を検討してまいります。 次に、省エネの取組についてであります。 二〇五〇年脱炭素社会の実現に向けては、EVの推進など、ますます電化が推進され、その使用量が増大することが予想されます。国際エネルギー機関(IEA)の推計でも、二〇五〇年には、二〇二〇年比で二・六倍の発電量が必要になるとされています。増大する電力の需要に応じて再生可能エネルギーを供給することは相当困難であり、徹底した省エネは不可欠です。 県全体の温室効果ガス排出量のうち、産業・業務部門で約四割を占めております。この部門における省エネの取組として、本県では、目標設定型排出量取引制度を平成二十三年度から取り組み、令和元年度では、事業者ごとに設定した基準排出量との比較で約三一パーセントの削減を達成しています。特に、中小企業に対しましては、従来の省エネ診断や補助、融資の制度に加え、脱炭素化に向け計画的に取り組む事業者を重点的に支援する補助を拡充してまいります。 また、日本の最終エネルギー消費のうち、直接的な電力としての利用は二六パーセントで、残りの七〇パーセント以上が化石燃料を用いた熱利用と言われています。他方で、投入された一次エネルギーのうち六割以上が最終的に熱として廃棄されており、未利用の熱エネルギーの活用は避けて通れない課題と認識しています。現在、県では工業団地におけるエネルギー利用の調査を実施しており、エネルギー事業者と連携し、複数工場間での熱の共同利用や、コージェネレーションシステムなどの導入による電気、熱の効率的な利用を検討してまいります。 次に、県管理の公共施設に対する目標と取組についてです。 私は、県民や事業者の皆様に高い削減目標を示すには、まず、県庁自らが姿勢を示すべきと考えております。そのため、先ほど申し上げた県全体に係る実行計画の見直しの前に、県庁の事務事業を対象とする実行計画の見直しを先行して行っております。県庁の事務事業を対象とする二〇三〇年の新たな削減目標は、県民や事業者に求めている目標を踏まえれば、少なくとも同等以上とすべきと考えております。 県庁が高い削減目標に向かって取り組んでいくためには、全ての職員が温暖化対策を自分事として捉え、意識、行動を変えていくことが何より重要です。ペーパーレス化を端緒としたDXによる一人一人の働き方改革や、施設単位での温室効果ガス排出量の見える化、施設改修・更新等による高効率設備の導入などに取り組んでまいります。 次に、本県の公共事業の発注や物品のグリーン調達についてであります。 県では、グリーン購入法に基づきグリーン調達推進方針を定め、物品の調達、役務の契約等に当たっては、環境負荷が少ない製品やサービスを優先的に行うようにしております。この方針には、使い捨てプラスチック製容器の原則不使用など県独自の取組を定めており、県庁の事務事業を対象とする次期実行計画にもしっかりと位置付け、より徹底を図ってまいります。 野心的な削減目標の設定と目標達成に向け、県庁ワンチームで取り組んでまいります。 次に、飲食、観光などに対する支援策にグリーンな視点を盛り込むことについてでございます。 昨年九月に開催した強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議においても、ウィズコロナ、ポストコロナの経済・雇用対策を検討する中で、国、県、経済・産業界の関係機関が連携をし、カーボンニュートラルを推進していくことが決定されました。 二月十五日には、関東経済産業局が中心となって主催し、県内経済団体や金融機関に呼び掛け、カーボンニュートラルに関する動向や取組の方向性、支援施策など基礎的な内容の理解を深める勉強会を実施するなど、連携強化の取組を進めております。県といたしましても、企業のカーボンニュートラルに関する主体的な取組を促すため、新技術、新製品の開発に関わる経費を補助いたします。 御提案いただきました観光分野につきましては、事業者支援のための感染症収束後に開始する観光応援キャンペーンについて、旅行代金割引支援の一部の対象を観光バスや公共交通機関の利用に限定するなど、脱炭素にも配慮してまいります。また、県主催の会議やイベントにおけるプラごみゼロや県庁売店における使い捨てカトラリーの利用辞退などを進めており、社会全体にグリーン意識が浸透していくよう、こうした取組を引き続き推進してまいります。 あらゆる行政分野の推進の中で、脱炭素社会実現を意識し、持続可能な埼玉県の実現に向け、私が先頭に立って取り組んでまいります。 次に、御質問第三の新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねのうち、医療提供体制の現状についてでございます。 現在、感染が拡大しているオミクロン株は、感染拡大のスピードが極めて速いことが特徴です。このため、陽性者が急激に増大し、それに伴い入院者数が増え、医療全体がひっ迫することが懸念されております。現在、重症病床使用率は二〇パーセント台にとどまっており、四十八時間を超えて入院調整ができないケースは出ておりませんが、急速な感染拡大とコロナ以外の一般入院患者の増加を受けて、医療に対する負荷が徐々に高まっており、予断を許さない状況にあります。 そこで、県では、コロナ病床のひっ迫を防ぐため、コロナの症状が軽快した入院患者を後方支援医療機関に転院させる取組を積極的に推進しております。二月二十一日現在、百六十七医療機関が後方支援医療機関となっており、二月一日より二十日までに二十七名の患者の方を後方支援医療機関に転院させました。今後、こうした患者の転院を更に拡大できるよう医療機関に働き掛けているところです。 また、一般医療への影響を最小限にとどめるため、医療機関と随時情報交換しながら、そのときの状況に応じて、一般の救急患者をコロナ病床に入院させることを認めるなど、柔軟な対応も行っております。国に対しては、救急などの一般医療を圧迫することなく感染症患者の受入病床を確保するため、今回の新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、基準病床数及び必要病床数の加算を可能にするなど、感染症対応を想定とした病床制度とするよう要望しているところであります。 今後とも、ウイルスに感染した方の重症化や命に関わるケースを最小限にとどめるよう戦略目標を定め、しっかりと医療提供体制を確保できるよう取り組んでまいります。 次に、自宅療養者への対応についてです。 一月から、オミクロン株の陽性者が爆発的に増加をいたしました。このため、陽性者へのファーストタッチを行う保健所や自宅療養者の健康観察を行う支援センターの業務が急激に増加をいたしましたが、埼玉県では、諸外国で先行したオミクロン株の特性を踏まえて、自宅療養者の急増に対応できる体制を準備し、国が想定する最大の自宅療養者の倍以上の方々でも対応ができる体制を作り上げ、議員御指摘のとおり、不安を取り除く必要に鑑みても、県民の方々に不安にお感じいただく状況にはないと考えております。 その一環として、第五波直後から保健所のデジタル化を徐々に推進し、My HER-SYSの利用促進や一月下旬以降にはショートメールも活用し、自宅療養者にいち早くファーストタッチできる仕組みに切り替えました。ショートメールには県のホームページのリンク先も記載しており、リンク先を見ていただくことで自宅療養に必要な様々な情報を得ることができます。また、My HER-SYSの使用方法についても分かりにくいという御意見がありましたので、親切で分かりやすい表現に改めました。さらに、問合せ先の電話番号も掲載し、丁寧に対応できる体制を整えており、容体急変の場合のセンターの受電率は一〇〇パーセントを一貫して維持し、容体急変の場合の酸素ステーションにつきましても余裕がある状態であります。 この新たな仕組みについて、県のホームページなどで県民にお伝えし、自宅療養者の皆様の声を反映させ、より分かりやすい表現となるよう工夫を重ねてまいります。 次に、自宅療養者を支援するための仕組みづくりであります。 昨年十月、自宅療養者への生活支援に係る連携事業に関する覚書を、保健所設置市を除く五十九市町村のうち五十四市町村と締結をいたしました。現在、保健所が陽性者の情報を確認した後、市町村と情報を共有し、市町村からパルスオキシメーターを、県からは食料品を配送しております。 新規陽性者数が第五波をはるかにしのぐ事態となったことから、二月上旬以降、一時的に県からの食料品の配送に遅れが生じています。食料品については、各市町村でも配食サービスの仕組みを整えて市民に提供しており、県の配食サービスの補完機能を担っております。 県としては、地域住民に身近な存在である市町村と連携することで、迅速に切れ目のない支援を行ってまいります。 次に、宿泊療養施設のより積極的な活用についてです。 議員御指摘のとおり、家庭内感染を防止するためには、宿泊療養施設の積極的な活用が大変有効です。県では第六波に備え、新たに三施設、三百五十九室の宿泊療養施設を新規開設いたしました。この結果、受入体制はこれまでで最大の十七施設、二千二百八十四室となっております。 最近では高齢者や小さなお子さんの感染者が多くなっていることから、宿泊療養施設の入所対象者が減少しています。このため、宿泊療養施設の稼働率は、現時点では余り高くなっておりません。現在、医療上の判断で宿泊療養とすべき方のみならず、議員御指摘の家庭環境も含め、保健所が隔離して療養すべきと判断した陽性者にも活用していただいており、今後もこの体制を継続させていただきたいと考えております。 今後とも必要な方が宿泊療養できるよう、受入体制の更なる拡充を図るとともに、円滑な搬送調整に努めてまいります。 次に、県と保健所設置自治体との連携についてです。 議員御指摘のとおり、コロナのような緊急時には、保健所設置自治体も含めて県全体で足並みをそろえてコロナに対峙していくことが重要です。 そこで、昨年、私が四市の市長と直接お話をし、市の保有する感染者の情報を県に提供するよう依頼をいたしました。情報提供に当たっては、県が様式を統一し、感染症法で定める市による県への情報提供に際し、必要な情報を共有できるような工夫も行っております。 また、県では月一回、県の十三保健所と四市保健所の所長が集まる保健所長会議を開催しています。この会議では、保健所間で情報の共有を図るとともに、保健所運営上の懸案事項について、それぞれの保健所長が率直な意見交換をしています。 さらに、県内の入院調整や宿泊療養調整を県の入院調整本部が一元的に担うなど、県と保健所設置市が自治体の垣根を越えて連携を行っています。 今後とも未曽有の危機に対応するため、保健所設置自治体と連携を深めてまいります。 次に、御質問第四の働く障害者の支援についてのお尋ねのうち、障害者雇用の推進に向けた今後の取組についてであります。 県内企業の障害者雇用率は、障害者雇用総合サポートセンターを中心に行った企業への働き掛けにより、大きく改善いたしましたが、議員御指摘のとおり、法定雇用率を達成した企業は、対象の半数を下回っております。特に、従業員数百人以下の企業は、不足する障害者の雇用人数に応じて課される障害者雇用納付金の納付義務がないことから、障害者の雇用が進んでおりません。 県では、こうした規模が小さい未達成企業を中心に企業訪問を実施しており、制度の概要や雇用に当たって利用できる助成金のほか、同規模同業種の導入事例などを御紹介させていただき、障害者の雇用を働き掛けています。また、障害者雇用の制度や支援の内容を分かりやすくまとめた動画を作成し、動画サイトで公開しているほか、訪問先の企業の経営者や担当者に御覧をいただいております。 一方、障害者雇用に理解を示さない企業に対しては、監督権を持つ埼玉労働局の職員と同行訪問し、企業への働き掛けを強化しております。さらに、来年度からは、重度障害者や精神障害者の方も企業が雇用しやすいように、週二十時間未満の超短時間雇用からのステップアップや、テレワークを活用した就労を支援してまいります。 今後とも、障害者雇用総合サポートセンターを中心に、埼玉労働局と連携しながら、障害者雇用の更なる推進に向けて取り組んでまいります。 次に、就労継続支援事業所に対する支援についてでございます。 埼玉県工賃向上計画では、工賃向上に向けた課題として、「購入する側の視点に立った商品開発が進んでいない」「企業経営のノウハウを持つ事業所が少ない」などを挙げています。このように、県では障害者就労支援においても、経営感覚は重要な課題であると認識しています。 そこで、事業所の管理者等を対象に、経営コンサルタントによる研修会の開催や、魅力ある商品開発、販路拡大に取り組む事業所へのアドバイザー派遣に関する経費を補助しています。今後もこうした取組を充実させるとともに、経営感覚あふれた成功事例を優良事例集としてまとめ、多くの事業所に周知して横展開を図ってまいります。 障害者就労継続支援事業所が経営感覚の視点を持って就労支援に取り組み、障害者が地域で潤いのある生活を送ることができるよう、全力で支援をしてまいります。 次に、御質問第五の障害者相談支援事業についてのお尋ねでございます。 障害者の方が地域で安心して生活するためには、適切な福祉サービスを受けることが重要です。障害福祉サービスについては、市町村が実施主体となって、事業所の指定など提供体制を整備するものとされております。 一方、県では、市町村の体制整備を支援するため、相談支援専門員など人材を養成する役割がございます。相談支援事業の実情について、市町村や事業者の方からお話をお聞きしたところ、大きく分けて二つの課題がございました。 一点目は、県が実施している相談支援専門員研修の受講枠が少ないため、希望しても受講できないケースがあり、相談支援専門員の確保が十分ではないこと。二点目は、相談支援事業所の報酬体系が実際の業務に見合うものになっていないということでありました。 相談支援専門員を増やすためには、研修の受講者枠を拡大する必要があり、そのためには講師を務めるベテランの相談支援専門員を更に確保する必要があります。研修は小グループに分けての演習が五日間あり、グループごとに、現場で指導的な立場にある方に現場業務の時間を割いていただいて講師に来ていただき、務めていただく必要がございますが、県でその確保を十分に行うことは容易ではありません。そこで、現場の状況に通じている市町村に御協力をお願いし、講師をしていただくことが可能で、ふさわしい方を推薦していただくなどして新たな講師の確保に努め、受講者枠の拡大を図ってまいります。 また、令和三年度に県が指定をした事業者が受講料を徴収して研修を実施できるという制度も作らせていただきました。現在、一団体が指定に向けて準備中であり、指定事業者を増やすことによって研修機会の拡大を進めてまいります。 また、報酬体系につきましては、事業者から、計画相談は時間や労力がかかる割に業務の実態に見合う基本報酬になっていないというお声を多く聞きました。議員お話しの千葉市は、相談支援事業の基本報酬が低いことから、人件費に対する補助制度を創設し、相談支援事業所を支援しています。 地域において相談支援事業が円滑に実施されるためには、相談支援事業を行うインセンティブとなる報酬体系の充実が必要と考えております。県としては、市町村や事業所の意見を丁寧にお伺いし、報酬体系の改善について、他県とも連携し国に要望いたします。障害者が適切なサービスを受けられるよう、現場の実情をきめ細かく把握し、相談支援体制の充実に向けた支援に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、御質問第六の尿もれパッドはどこへのお尋ねのうち、県有施設の男性用個室トイレへのサニタリーボックスの設置状況についてでございます。 がん患者が、適切な医療や支援により社会とのつながりを維持し、生きる意欲を持ち続けるような社会をつくるためには、県有施設の管理者としても、きめ細やかな配慮をすべきと、改めて議員の御質問に考えさせられました。 前立腺がんで前立腺全摘除術を受けた直後には、多くの患者さんが尿もれを経験しますが、その多くは数か月から半年後までには日常生活に支障がない程度に回復をしています。一方、半年を過ぎても尿もれが続き、その後も症状が改善しない患者さんもおられるとのことです。 議員お話しのとおり、トイレにサニタリーボックスがあれば、使用済みのパッドを持ち帰らずに廃棄できるため、安心して外出をすることができます。県では、サニタリーボックスの有無について、一般の県民の方が利用する県の施設二百二十五か所の調査を行いました。そのうち、男性が利用できる多目的トイレにサニタリーボックスが設置されていたのは百五十八か所、男性用個室トイレに設置をされていたのは三十一か所でございました。 次に、県有施設の男性用個室トイレへの設置についてでございます。 パッドの交換には、男性用個室トイレに比べ、多目的トイレの方が広さに余裕があり、より多くの方の利用が見込まれます。まずは全ての多目的トイレにサニタリーボックスを設置することを最優先に進め、多目的トイレであればサニタリーボックスがあるということも周知に努めていきたいと思います。 多目的トイレ以外の全ての男性用個室トイレについてもサニタリーボックスを置くのが理想と考えますが、スペースが狭く、設置が困難な場合もございます。施設の実情に応じ、個室のうち少なくとも一か所はサニタリーボックスが設置できるよう取り組んでまいりたいと考えます。あわせて、設置されている個室を利用者がすぐに見つけることができるよう、例えばでありますけれども、「サニタリーボックスあります」といった表示についても検討したいと思います。 次に、県のこの問題への取組についてでございます。 サニタリーボックスの設置は、施設側にとっても衛生管理の面でのメリットがあります。このため、がん診療の専門家やがん経験者などで構成されている県がん対策推進協議会などの場において、様々な立場からの御意見をお伺いしながら、市町村や不特定多数の方が利用する特定建築物の所有者などに働き掛けを行ってまいりたいと思っています。 次に、御質問第七の訪問医療、訪問介護の安全対策についてのお尋ねでございます。 医療の現場では、医師の治療方針と患者・家族の思いの違いなどにより、医師と患者・家族との間でトラブルになることもあると伺っていますが、今回の医師が散弾銃で殺害された事件は、常軌を逸した想定外の出来事でした。しかし、今後はこうした事案がいつどこで起きないとも限らないという前提に立ち、対策を検討しなければならないと思います。 県としては、これまでも医療機関や介護事業所に対しては、暴言や暴力などのハラスメント対策に関する国の通知やマニュアル、研修動画などを周知してまいりました。今回の事件を受けて、改めて本年二月三日にも、医師会などを通じ各医療機関宛てに同様の国の通知などの周知を図らせていただいたところであります。 さらに、想定外の事態に対応するため、県医師会等と相談しながら、訪問診療を行う医師や看護師、介護事業者向けに、訪問する際の事前の情報収集や適切な準備などを含む暴力等への対策の研修会を今年度中に実施をしてまいります。 議員お話しの相談窓口については、今回のように悪質で命に関わることが予見されるケースでは、まずはちゅうちょなく警察に相談することが大切であり、先ほど申し上げた研修においても、警察の協力もいただきながら周知をしてまいります。あわせて、現場の実態や必要な支援についてアンケート調査を実施し、訪問する医師や看護師、介護従事者が安心して仕事に取り組めるよう必要な対策を早急に検討し、実施をしてまいります。 最後に、御質問第八の順天堂大学附属病院の誘致についてのお尋ねのうち、整備の遅延についてでございます。 順天堂大学は、建設に際して様々な要求を行い、また、事業地内での候補地の一部整備に時間を要したこともございましたが、平成三十年三月の当初の着工期限までには、県市ともに着工を可能にするための準備を整えることができました。 しかしながら、平成三十年三月に大学側から県に対し、着工期限を示すことなく着工の遅延を認めるよう要請があり、医療審議会も了承する旨の答申を行いました。その後、度重なる県からの大学に対する要請にもかかわらず着工には至らず、議員御指摘の昨年十二月の新たな整備計画の提出に至りました。これが遅延の経緯でございます。 次に、本県の医師不足に関し、最優先で取り組むべき具体的な課題についてでございます。 本県は、全国一のスピードで高齢化が進むと同時に人口も増えていることから、医療ニーズが増加している中、勤務医の地域偏在や診療科偏在の解消が最優先で取り組むべき課題です。そのため県では、医師確保が困難な秩父、北部、利根の三つの二次保健医療圏を特定地域とし、また、救急、小児、周産期の三つの診療科を特定診療科として、自治医科大学や地域枠の卒業生あるいは奨学金や研修資金の貸与者に、義務年限中働いていただいているところです。 次に、誘致による課題の解消についてでございます。 大学附属病院を誘致することにより、利根地域や県北地域の医師確保困難地域に対する医師派遣が可能となり、また、先進医療の提供や、医師、病床の確保にもつながります。特に、医師派遣においては、大学附属病院から一つの診療科を担えるような複数の医師をチームとして派遣し、医師確保困難地域にある病院の診療科を計画的、恒常的に支えることを目指すものでございます。医学部新設を国が認めない中、医師派遣の拠点を構築するとともに、救急及び周産期のように特にニーズが高い分野において、県内で勤務する医師を確保するには、今現在においても大学附属病院の誘致が有効な手段であることから、早期開院に向け、引き続き取り組んでまいります。 次に、県の補助額、負担についてであります。 今回提出された整備計画における整備費は、県が見積もるものではなく、あくまでも順天堂大学が見積もるものでございますが、確認書に従い、整備費の半分程度を県が支援する先例を尊重することとなっております。 次に、今後も順天堂大学附属病院の誘致という方針に変わりがないか、別の選択肢もあり得るのかについてでございます。 平成二十七年度に医療審議会の答申を受けて、順天堂大学の整備計画を採用いたしました。しかしながら、昨年末に大学側から新たな整備計画が提出されたことを踏まえ、計画を承認した医療審議会に対して、改めてこの新整備計画を諮問させていただいているところでございます。来月開催予定の医療審議会において、順天堂大学の回答を審議の上、整備計画の変更について答申を審議会からいただくことになっており、医療審議会の結論を待ちたいと思います。 県としては、早期の医師派遣の実現と早期開院により、県内の医療提供体制の一層の充実に取り組んでまいります。       〔今成貞昭下水道事業管理者登壇〕 ◎今成貞昭下水道事業管理者 西山淳次議員の御質問第二、地球温暖化対策についてのお尋ねのうち、私に対する御質問にお答え申し上げます。 まず、下水道局の二〇三〇年の削減目標についてでございます。 下水道局では、県人口の約七五パーセントの下水を処理しており、その結果、県庁全体の約六割を占める温室効果ガスを排出しております。その削減は大変重い課題であると受け止めるとともに、責任の重さを痛感しております。下水道局といたしましては、国の目標を踏まえ新たに策定される県の目標値を上回る削減を目標に、鋭意取り組んでまいります。 次に、目標達成に向けた取組についてでございます。 下水処理では、微生物の活動を活発化するための装置に多くの電力を使うため、その設備の更新に当たっては、省エネルギー性に優れた機器を導入し、消費電力の削減を図っております。例えば、反応タンクにおける空気をより細かくし、水に溶けやすくする超微細散気装置の導入を進めております。 汚泥の処理では、昨年十一月に中川水循環センターで全国最大級の汚泥消化施設が稼働したところでございます。この施設は、汚泥の焼却量を半分にし、温室効果ガスの排出を大幅に減らすことが可能であり、他の水循環センターへの導入についても積極的に進めてまいります。 また、汚泥の焼却時の廃熱を活用した発電機能を有する焼却炉を、荒川、新河岸川、元荒川の各水循環センターにおいて令和五年度から順次導入してまいります。 さらに、これまでベテラン技術者の経験に頼ってきた水処理の運転管理をAI技術に置き換える取組も現在進めているところでございます。昨年七月には、これらの対策を更に加速するため、下水道局内に流域下水道地球温暖化対策実行委員会を立ち上げ、局を挙げた体制を整備いたしました。今後とも下水道局の持てる力を結集し、目標達成に向け、温室効果ガスの更なる削減に取り組んでまいります。       〔北島通次公営企業管理者登壇〕 ◎北島通次公営企業管理者 西山淳次議員の御質問第二、地球温暖化対策についてのお尋ねのうち、私に対する御質問にお答え申し上げます。 まず、企業局における二〇三〇年度の削減目標についてでございます。 議員御指摘のとおり、目標達成に向け、県として温暖化対策を具体的、そして効果的に進めるためには、オール県庁で取り組む必要があると考えております。企業局といたしましても、国が四六パーセントの削減目標を掲げていることを踏まえ、県の目標達成に資するよう、知事部局や下水道局とともに力を尽くしてまいります。 次に、目標達成に向けた取組についてでございます。 企業局の温室効果ガス排出量の九七パーセントは、浄水場等における電力消費によるものです。このため、企業局単独の排出量は、供給される電力の電源構成比率の影響が大きく、国の計画の達成状況に大きく左右されるところでございます。 一方、企業局といたしましては、県庁全体の削減目標の達成に主体的に関わり、貢献すべきと考えており、削減目標の基準年度となっている二〇一三年度以前から、温室効果ガス排出削減に向け様々な取組を実施してまいりました。例えば、各浄水場では二〇〇八年度以降、電力使用量の多いポンプにエネルギーロスの少ない回転数制御設備を導入するなど、省エネルギー対策を順次進めております。また、行田浄水場や吉見浄水場に国内の浄水場では最大級の太陽光発電設備を導入するなど、再生可能エネルギーへの転換を図るための投資を行ってまいりました。昨年九月には、新たな対策を検討するため、局内に技術系の若手職員を中心としたプロジェクトチームを設置し、水道施設等を活用した小水力発電の可能性などの検討を始めております。 企業局といたしましては、自らの事業が県庁の排出量の約二割を占めているという責任を自覚し、更なる省エネルギー対策の推進に加え、環境負荷の少ない電力の調達に一層努めてまいります。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 西山淳次議員の御質問九、教育問題についての(一)教員の働き方改革についてお答え申し上げます。 まず、「学校における働き方改革基本方針」の目標達成状況でございます。 議員御指摘のとおり、私は、教員の多忙化などから教員採用試験の倍率が低下していることは、危機的状況にあると認識しております。教員にゆとりを持たせ、子供たちに質の高い教育を行うには、抜本的に教員の働き方を見直していかなければならないと考えております。 これまで県では、市町村や学校と連携し、スクール・サポート・スタッフの配置拡大に努めており、令和二年度から令和三年度にかけて二百六十二校の配置から三百六十一校に、部活動指導員においても七十九人から八十九人に拡大したところです。また、超過勤務が多い市町村や学校に教育局職員が直接訪問し、業務の抜本的見直しやICTの積極的な活用などについて働き掛けております。 しかしながら、超過勤務が月四十五時間を超えた教員は、令和三年六月現在、小学校で六一・八パーセント、中学校で六九・三パーセント、高校で四一・一パーセント、特別支援学校で二四・三パーセントおり、また、年三百六十時間を超えた教員も、全校種合わせて五七パーセントいる状況にあります。 一方、方針策定以前の平成二十八年六月時点と比較すれば、一か月当たりの超過勤務が四十五時間を超えた教員は、小学校で一五ポイント、中学校で一〇ポイント、高校で一九ポイント、特別支援学校で一二ポイント減少したところです。現状の数字から考えますと、期間内の目標達成は大変厳しい状況であると受け止めており、これまで以上に思い切った業務削減や業務改善を進めていかなければならないと認識しております。 次に、次年度からの三年間で目標をどのように達成していくかでございます。 次期方針では、超過勤務を月四十五時間、年三百六十時間以内の達成に向けた取組をより一層徹底する必要があると考えております。議員御指摘のとおり、行事をゼロベースから見直すことを全校種で取り組むとともに、小・中学校では、部活動の朝練習を含む始業前の活動を見直すことなどについて検討しております。 また、今年度、全校種で勤務実態等に関する調査を実施し、教職員一人一人の執務内容や学校独自に成果を上げている取組事例などについて把握、分析を行いました。その結果を基に、完全退校時刻の設定や業務の偏りの是正など、超過勤務縮減に効果のある十の取組を本県独自の業務改善スタンダードとしてまとめ、活用を促してまいります。 さらに、教職員の負担軽減に向け、外部人材の活用を推進するため、令和四年度予算案においてスクール・サポート・スタッフやスクールソーシャルワーカー、部活動指導員の増員を図るための予算を計上させていただいております。これらの取組を積極的に進めることにより、教員が毎日元気に生き生きと子供たちの教育活動に当たれるよう、令和六年度末までの目標達成を目指して、粘り強く取り組んでまいります。 次に、(二)オンライン学習の現状と課題についてでございます。 まず、小・中学校で実施されているオンライン学習の実情はどうかについてでございます。 オンライン学習の方法には、教員と児童生徒がオンラインを通じてやり取りを行う双方向型や、学習動画や課題をオンラインで配信する配信型がございます。具体的には、ビデオ会議システムを使った授業のライブ配信や質疑応答、アンケートシステムを活用した小テストやチャットを使った個別指導、サイトに掲載されている学習動画の視聴や電子メールで配信されるプリントへの取組などがございます。これらの様々な方法を、学習内容や発達段階などに応じ、組み合わせて行うことが効果的です。 昨年九月の緊急事態宣言下においては、分散登校などを実施した学校のうち、九九・三パーセントの学校で様々な実施形態を工夫しながらオンライン学習が行われておりました。また、今回のまん延防止等重点措置期間においては、学年末ということもあり、分散登校などを計画的に実施している学校はそれほど多くないものの、学級閉鎖や学年閉鎖の場合においては、オンライン学習が有効に活用されております。 次に、オンライン学習の課題についてでございます。 オンライン学習を推進していくためには、平常時から教員や児童生徒がICT機器を日常的に活用できるようになることが重要です。このため、教員自身のICT活用スキルの向上はもとより、児童生徒にICT機器の活用の仕方や情報モラルを身に付けさせるため、教員の指導力の向上が必要です。 また、ビデオ会議システムなどを用いてリアルタイムでのやり取りを行う際、端末の画面越しのため、児童生徒の表情や様子が分かりづらいなどの課題がございます。 次に、コロナ禍の期間における学力の状況についてでございます。 県では、小・中学校の児童生徒一人一人の学力レベルを測定し、その伸びを継続して把握できる埼玉県学力・学習状況調査を実施しております。令和三年度の調査結果からは、令和二年度には学校の臨時休業があったものの、その後の児童生徒の熱心な取組により、全ての学年・教科でほぼ例年と同様の学力レベルに達していることが分かりました。 コロナ禍が学力に与える影響は、引き続き慎重に分析していく必要がありますが、学校が感染防止に努めながら、学校行事や体験活動など児童生徒が集団で取り組むような活動を工夫しながら行うことによって、児童生徒の意欲を高め、学力向上に結び付けていくことが重要です。県といたしましては、教員研修の充実を図るとともに、個別の課題に応じたオーダーメード型支援、さらには、オンライン学習に関する好事例の収集と発信などを通じ、児童生徒の学力向上にも資するよう、オンライン学習の更なる充実に積極的に取り組んでまいります。          ---------------- △次会日程報告 ○梅澤佳一議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明二十六日及び二十七日は、休日につき休会といたします。 二十八日は、午前十時から本会議を開き、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行し、さきに各委員会に付託いたしました急施を要する第六十号議案ないし第六十三号議案について各委員長の報告を求め、質疑、討論及び採決を行います。          ---------------- △散会の宣告 ○梅澤佳一議長 本日は、これにて散会いたします。午後二時四十七分散会          ----------------...