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  1. 埼玉県議会 2021-06-01
    06月24日-06号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    令和 3年  6月 定例会六月定例会  第十一日(六月二十四日)令和三年六月二十四日(木曜日)第十一日 議事日程 一 開議  午前十時 二 諸報告   (1) 監査結果(埼玉県県央地域振興センターほか百四十六か所)   (2) 埼玉県議会定例会議案等に係る変更表の提出 三 陳情の報告 四 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問    四十九番  細田善則議員    三十四番  吉良英敏議員     七十番  梅澤佳一議員 五 第八十八号議案~第百一号議案及び請願の各委員会付託 六 次会日程報告    六月二十五日(金)、二十九日(火)、七月一日(木) 議案調査    六月二十六日(土)、二十七日(日) 休日休会    六月二十八日(月)~三十日(水) 委員会    七月二日(金) 午前十時開議、委員長報告、質疑、討論、採決 七 散会          ----------------本日の出席議員    九十名         一番  金野桃子議員         二番  岡村ゆり子議員         三番  平松大佑議員         六番  阿左美健司議員         七番  高橋稔裕議員         八番  逢澤圭一郎議員         九番  深谷顕史議員        十一番  白根大輔議員        十二番  秋山もえ議員        十三番  柿沼貴志議員        十四番  八子朋弘議員        十五番  杉田茂実議員        十六番  中川 浩議員        十七番  山口京子議員        十八番  千葉達也議員        十九番  渡辺 大議員        二十番  松井 弘議員       二十一番  高木功介議員       二十二番  宮崎吾一議員       二十三番  関根信明議員       二十四番  橋詰昌児議員       二十五番  町田皇介議員       二十六番  辻 浩司議員       二十七番  守屋裕子議員       二十八番  江原久美子議員       二十九番  松坂喜浩議員        三十番  並木正年議員       三十一番  木下博信議員       三十二番  藤井健志議員       三十三番  美田宗亮議員       三十四番  吉良英敏議員       三十五番  松澤 正議員       三十六番  浅井 明議員       三十七番  飯塚俊彦議員       三十八番  横川雅也議員       三十九番  内沼博史議員        四十番  安藤友貴議員       四十一番  東間亜由子議員       四十二番  山根史子議員       四十三番  前原かづえ議員       四十四番  浅野目義英議員       四十五番  石川忠義議員       四十六番  井上 航議員       四十七番  岡 重夫議員       四十八番  岡田静佳議員       四十九番  細田善則議員        五十番  永瀬秀樹議員       五十一番  日下部伸三議員       五十二番  小久保憲一議員       五十三番  新井 豪議員       五十四番  荒木裕介議員       五十五番  岡地 優議員       五十六番  白土幸仁議員       五十七番  権守幸男議員       五十八番  萩原一寿議員       五十九番  水村篤弘議員        六十番  秋山文和議員       六十一番  村岡正嗣議員       六十二番  醍醐 清議員       六十三番  鈴木正人議員       六十四番  小川真一郎議員       六十五番  齊藤邦明議員       六十六番  武内政文議員       六十七番  中野英幸議員       六十八番  須賀敬史議員       六十九番  新井一徳議員        七十番  梅澤佳一議員       七十一番  中屋敷慎一議員       七十二番  宇田川幸夫議員       七十三番  立石泰広議員       七十四番  塩野正行議員       七十五番  蒲生徳明議員       七十六番  高木真理議員       七十七番  山本正乃議員       七十八番  柳下礼子議員       七十九番  木下高志議員        八十番  諸井真英議員       八十一番  神尾高善議員       八十二番  高橋政雄議員       八十三番  田村琢実議員       八十四番  本木 茂議員       八十五番  宮崎栄治郎議員       八十六番  齊藤正明議員       八十七番  小島信昭議員       八十八番  小谷野五雄議員       八十九番  長峰宏芳議員        九十番  石渡 豊議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  木村勇夫議員       九十三番  田並尚明議員 欠席議員    なし地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人  (本会議場で出席)   大野元裕  知事   砂川裕紀  副知事   橋本雅道  副知事   高柳三郎  副知事   堀光敦史  企画財政部長   小野寺 亘 総務部長   真砂和敏  県民生活部長   小池要子  環境部長   山崎達也  福祉部長   関本建二  保健医療部長   板東博之  産業労働部長   北田健夫  県土整備部長   北島通次  公営企業管理者   今成貞昭  下水道事業管理者   高田直芳  教育長   岡田昭文  選挙管理委員会委員長   原 和也  警察本部長  (新型コロナウイルス感染防止のため執務室で待機)   安藤 宏  危機管理防災部長   強瀬道男  農林部長   村田暁俊  都市整備部長   宍戸佳子  会計管理者             発言(質問)通告書  六月二十四日(木)議席番号 氏名      要旨 答弁者四十九番 細田善則議員  1 デジタルガバメントのアップデートを              (1) 組織横断について 知事              (2) データ戦略について 〃               ア データ戦略策定について               イ ベースレジストリ(電子基本台帳)構築について              (3) デジタル庁発足に際し人事派遣を 知事              (4) LegalTechについて 総務部長             2 eスポーツの推進について              (1) 県の推進組織体制について 知事              (2) 計画への記載について 〃               ア スポーツ推進計画               イ 障害者支援計画              (3) 障害者eスポーツの可能性について 産業労働部長             3 ウェアラブルデバイスの活用について 保健医療部長              (1) 新型コロナウイルス患者の体調管理について              (2) コバトン健康マイレージ事業等について             4 ACP推進と同時に価値観の整理整頓を 保健医療部長              (1) 県内での状況把握調査について              (2) ALP領域の重要性について              (3) 価値観を見直すツールの活用について             5 高齢者の安心のために 福祉部長              (1) 成年後見制度について               ア 中核機関の設置目標について               イ 近隣市町村の連携              (2) 身元保証代行について             6 四十五フィートクラスの大型トレーラーに対する安全対策について 警察本部長             7 自転車等の追い越しルールについて              (1) 道路交通法違反の教育について 警察本部長              (2) 思いやり一・五mルールについて 県民生活部長三十四番 吉良英敏議員  1 情報発信・情報収集に対する県の姿勢について 知事              (1) 戦略的な情報発信について              (2) 情報の価値を踏まえた情報収集について             2 ヤングケアラー支援の更なる推進について 教育長              (1) 更なるヤングケアラー実態調査に向けて              (2) ヤングケアラー支援を推進するための施策について              (3) 心のケアについて              (4) ヤングケアラー支援へのオンライン環境の活用について              (5) 特別支援学校でのヤングケアラー支援について             3 ケアラー支援のためのサロンの運営支援について 福祉部長              (1) サロン設置の目標について              (2) サロンの運営支援について              (3) オンラインサロンの導入について             4 地域包括ケアシステムの構築に向けた今後の取組について 福祉部長             5 ケアラー支援を行う市町村への支援について 福祉部長             6 ケアラー支援の普及啓発について 福祉部長 七十番 梅澤佳一議員  1 更なる広域行政の推進について              (1) 県内のごみ処理の広域化 知事              (2) 水道の広域化 知事 公営企業管理者              (3) 広域行政や広域連携による埼玉県の未来に向けて 知事             2 保健所の機能強化策 知事             3 県立高校について 教育長             4 埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進計画 保健医療部長              (1) 計画の進捗状況              (2) 「第七次埼玉県地域保健医療計画」との整合性              (3) 「心不全パンデミック」、心臓弁膜症の明記を             5 中小流域下水道の将来を見据えた経営基盤の強化 下水道事業管理者             6 立候補予定者説明会における出席者の旧姓の通称名使用について 選挙管理委員会 委員長             7 地元問題 県土整備部長              (1) 県道加須幸手線バイパスの整備について              (2) 県道川越栗橋線小林交差点の整備について              (3) 一級河川野通川・小林調節池の整備について          ----------------午前十時開議 出席議員    九十名  (本会議場で審議)     一番    三番    六番    八番     九番   十二番   十三番   十五番    十六番   十八番   十九番  二十一番   二十二番  二十四番  二十五番  二十七番   二十八番  二十九番  三十一番  三十二番   三十四番  三十五番  三十七番  三十八番    四十番  四十一番  四十三番  四十四番   四十六番  四十七番  四十九番   五十番   五十二番  五十三番  五十五番  五十六番   五十七番  五十九番   六十番  六十二番   六十三番  六十五番  六十六番  六十八番   六十九番  七十一番  七十二番  七十三番   七十四番  七十六番  七十七番  七十九番    八十番  八十一番  八十三番  八十四番   八十六番  八十七番  八十九番   九十番   九十二番  九十三番  (新型コロナウイルス感染防止のため第四委員会室で審議)     二番    七番   十一番   十四番    十七番   二十番  二十三番  二十六番    三十番  三十三番  三十六番  三十九番   四十二番  四十五番  四十八番  五十一番   五十四番  五十八番  六十一番  六十四番   六十七番   七十番  七十五番  七十八番   八十二番  八十五番  八十八番  九十一番 欠席議員    なし 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人  (本会議場で出席)   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   総務部長     県民生活部長   福祉部長   保健医療部長   産業労働部長   警察本部長  (新型コロナウイルス感染防止のため執務室で待機)   危機管理防災部長 環境部長     農林部長   県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者  下水道事業管理者   教育長 △開議の宣告 ○木下高志議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △諸報告 △監査結果(埼玉県県央地域振興センターほか百四十六か所) ○木下高志議長 この際、諸般の報告をいたします。 監査委員から、埼玉県県央地域振興センターほか百四十六か所に対する監査結果の提出がありましたので、報告いたします。〔参照-(一六三)ページ〕          ----------------埼玉県議会定例会議案等に係る変更表の提出 ○木下高志議長 次に、去る六月十八日、第百二号議案が議決されたことに伴い、知事から第八十八号議案及び同議案の予算説明書に係る変更表の提出がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。          ---------------- △陳情の報告 ○木下高志議長 次に、前定例会から今定例会までに提出された陳情につきましては、一覧表をお手元に配布しておきましたので、御了承願います。          ---------------- △知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問 ○木下高志議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。 発言通告がありますので、順次これを許します。 四十九番 細田善則議員       〔四十九番 細田善則議員登壇〕(拍手起こる) ◆四十九番(細田善則議員) おはようございます。自民党議員団の細田善則です。 一般質問の初日に、日下部議員の答弁に対して大野知事は、絶対に成し遂げたい三つ目にデジタル化による住民サービスの向上を挙げておられました。デジタルガバメントを2・0にアップデートしていこうという思いで質問してまいります。よろしくお願いいたします。 一、デジタルガバメントのアップデートを。 (一)組織横断について。 本県では、新型コロナウイルス感染症対策特別委員会における自民党議員団の提言を受けて、DX推進計画が策定されました。計画の中でメリットの例として、県民が氏名や住所など基礎情報を一度入力すれば再度求められないで済む、ワンスオンリーを掲げております。 そのために、県庁データの一元的な利活用、縦割りの組織の壁を越えていくことが不可欠と思います。本県の計画では、副知事をCIOのトップにして各部から副部長が参加する会議体を設置する方針ですが、この会議体が機能するか、いささか心配しているところです。 国がデジタル庁を新設してまで強い権限を付与しようとしているのは、各省庁の利害を超えて取り組まなければならないからと考えますが、県において組織横断をどのように進める考えか、知事にお伺いいたします。 ○木下高志議長 四十九番 細田善則議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 細田善則議員の御質問にお答えいたします。 議員御指摘のとおり、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの実現には組織横断的な取組が不可欠であります。そのため、県DX推進計画を全庁的に推進する体制として、全部局で構成するDX推進会議を設置いたしました。その上で、この会議に対して私自ら指示できる仕組みを整えました。本年四月に開催させていただいた会議においては、私から直接しっかり時間をかけてDXの重要性を示すとともに、部局横断で取り組むように強く指示いたしました。 具体的には、この会議の機能を強化するためのDXプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、各部局を行政分野ごとに再構成した十六の部局ユニットと、各ユニットから出てきた共通的な課題や解決策などを横串で調整していく統括ユニットで構成されています。県庁の将来を担う中堅、若手を中心に約二百四十名の職員が知恵を出し合い、本県がDXで目指すべき将来像であるビジョンについて議論を深めていきます。このビジョンは県民サービス、事業者サービス、行政事務などに分かれており、それぞれの関係ユニットの知見を生かしていただけると考えています。 統括ユニットのマネジメントの下、各部局にまたがるデジタル技術の活用やシステムの共通化などの検討が既に進んでおり、新たな連携が始まっています。こうした取組が進むことで、単に行政の効率化が進むだけではなく、様々な事業が有機的につながることにより、県民サービスがより良いものに変革していくものと確信しています。 今後も私自らが指揮を執り、DX実現に向けて各部局の知見を生かしつつもDX推進会議を横断的に機能させ、取組を強力に推進してまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 御答弁で、知事が本当に主体的に指示するということですので、次にまいります。 (二)データ戦略について。 ア、データ戦略策定について。 行政DXの本丸は、行政が持っている膨大な量かつ活用されていないデータ群を使える状態にして使い倒していくことだと思います。内閣官房は先週に包括的データ戦略という方針を決定し、今後の具体的な進め方を示しました。 そこで伺います。県庁のDXを加速させていく際にデータ活用についての戦略策定が必要だと思いますが、知事に御所見をお伺いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 DXを実現するためには、御指摘のとおり、データ活用は非常に重要な要素と思います。効果的にデータ活用を行っていくためには、戦略的に取り組んでいくことが私も必要と考えています。 県DX推進計画を進めるに当たり、将来像であるビジョンとビジョン実現に向けた工程を示すロードマップを定め、実効性ある取組にしていくこととしています。既に庁内でビジョンの議論をする中で、例えば、県内事業者が一つのIDで県の様々なサービスを便利に利用できるようにするといった、データ活用に関する具体的なアイデアが出てきています。このアイデアを戦略と呼べる水準にまで更にブラッシュアップすることが必要でございます。そのため、先ほどの例で言えば、このビジョンの実現には事業者IDのようなデータの共通化の取組が必要で、それをいつ、どのような手順で進めていくかといったことをロードマップの中で定めていくことになります。 ビジョンを設定することでデータ活用の目的や対象が決まり、ロードマップによって具体的な取組や工程が明確となります。さらに、統括ユニットを中心にそれぞれのロードマップを整合性をもってまとめ上げることによって取組の全体が調和し、戦略まで昇華していくものと考えます。 県独自のデータ活用戦略という名前にはなりませんが、このビジョンとロードマップが戦略と戦術の双方の役割を果たしていくものと考えております。 ◆四十九番(細田善則議員) 再質問いたします。 今の御答弁で、ビジョンの中にデータ戦略のようなものが位置付けられるというお話ですが、今回なぜ質問したかと申し上げますと、他の都県ではCIOやCDOを外部から招へいして進めていくという手法をとられております。外圧を使って進めていくという方針だと思います。それは、いわば人の個人のパワーによって進めていく方法だと思います。 本県では、先ほど副知事また知事がやるということですが、やはり内部のマネジメントということで、だとすれば、そういった戦略というものがしっかりと明文化されて確固たるもの、本当に都度都度知事が登場して裁定しているんじゃ進まないと思いますので、確固たる戦略がほとんど知事の出番がないぐらい作り上げられることが重要かと思いますので質問いたしました。 再度その辺の、もうビジョンができれば知事が出張っていってわざわざ指示しなくても進んでいく、そのぐらいのレベルまで作り込まれることを確認させていただきたいので、再答弁をお願いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 細田善則議員の再質問にお答えさせていただきます。 例えば、外部から人材を招へいする等も一つの案であろうと思っています。他方で、現時点においては、まだデータにつきましては国のデータ戦略そのものが活用が決まっていなく、例えば国などのデータとの連携が使われる方の立場からいえば必要になってこようと思っています。 そういった行政的な調整を含めて現時点では幅広い見方を行わなければならないために、専門的な人材の御意見をしっかりと、外部の方を生かしながら、県内でDXプロジェクトもしくはDX推進会議といった場で推進させていただくことが重要と思っています。 もう一方で、これらは様々なレイヤーというか層がございまして、例えばデータを使用される方にとって使いやすく、かつそれぞれ用途に合致したものとしてお使いいただくことが私は必要と思っていますけれども、先ほど申し上げた国との連携だけではなく、例えば使われる方々の立場に立ったUI(ユーザーインターフェース)、あるいはUX(ユーザーエクスペリエンス)、こういった使う方々の正に個々のものもあります。また、県と国とが連携するものとしてセキュリティの問題がありますけれども、特にエンドポイントについては地方自治体で行わなければなりません。 この正にすり合わせ、こういったものが必要になっていますので、統括ユニットを作り上げて、そこに先ほど御指摘のとおり、私はそんなに知見はありませんけれども、しっかりと副知事以下皆さんに、能力がある方々にお預けをしながら進められるような体制を、まず今立ち上げの時期でございますので、国とも連携を取りながら進めていきたいと思っております。 ◆四十九番(細田善則議員) 私の質問は、そのビジョンが精度が高いものになるようにということですので、次の質問に移ります。 イ、ベースレジストリ(電子基本台帳)構築について。 データ活用をする際にまず初めに挙げられるのが電子の台帳、いわゆるベースレジストリの構築ということです。ベースレジストリデジタルガバメントに欠かせないインフラであると思います。それが整備されることで県民からの各種電子申請業務が拡大することはもちろん、さらに、運用されていく中で申請のデータも蓄積されていきます。そのデータを匿名化してオープンに使用できることで新たなイノベーションも促され、社会全体のコストがダウンしていくということになってくると思います。 将来のために人、土地、法人等のデータをデジタル活用しやすいように整えておくことが、今の世代の責任であります。国は二〇二五年までに整備する方針ですが、埼玉県のベースレジストリ整備に対する考え方を知事にお伺いいたします。       〔大野元裕知事登壇
    ◎大野元裕知事 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 ベースレジストリとは、法人情報や地図情報、公共施設情報などの基本的なデータが蓄積された社会の基盤となる公的情報のデータベースと考えています。これは国や自治体などが共通的に利用することによって価値が高まるものであることから、国がまずは主体となって整備することとなっています。 ベースレジストリが整備されることにより行政手続のワンスオンリーが実現し、申請者の再入力時間やコストの削減が期待されます。また、行政においては、システムの重複投資の削減につながるなどの効果が期待されているところであります。 しかしながら、ベースレジストリは各団体が共通的に利用することから、国と利用団体が協議、連携して整備していくことが重要であると考えます。国といたしましては、国の整備を待つだけではなく、整備に当たり考慮するべき点などについて国に積極的に働き掛けを行っていくとともに、その後、県での活用について積極的に検討を行い、有意義な連携となるよう図ってまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 再質問させていただきます。 今の御答弁で、国と連携しなければならないということは、もう理解しております。 しかし、国はロードマップを作成して二〇二五年目標というふうに明確に立てておりますので、それを県が同調するのであれば、二〇二五年に一番最初に取り組むべき、優先すべきデータベースというか、レジストリが完成して県民サービスがリリースされるよと、始まっていくよということをおっしゃっていただくことで、県民がDXで私たちの生活が変わるねというふうに思っていただけるものかと思いますので、再答弁をお願いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 細田善則議員の再質問にお答えさせていただきます。 国のデータベースもしくはベースレジストリと、県のベースレジストリもしくはデータベース、これが別個のものであってはならないと考えています。例えば県のベースレジストリ、データベースをウェブデータ化する、オープンデータの公開、こういったことを行うための整備は、私どもとして独自のロードマップを定めることができることになりますが、このそれぞれのデータベースを連携してベースレジストリをお使いになる方々にとって有益にするためには、国の整備の方針やあるいは情報の取扱いの基準について、現時点で統一情報基準がございますけれども、そういったものを再構築されることと我々は考えております。そこで、国の在り方を見ながらではありますが、待つだけではなく、我々のほうからも積極的に関与をして、お示しができるようになったら、ロードマップをしっかりと作りたいと考えております。 なお、先ほどの御質問一、デジタルガバメントのアップデートをの(二)データ戦略についてのイ、ベースレジストリ構築についての答弁におきまして、「県といたしましては、国の整備を待つだけではなく」と申し上げるべきところを誤って、「国といたしましては」と申し上げてしまいました。おわびして訂正させていただきます。 ◆四十九番(細田善則議員) 次に、(三)デジタル庁発足に際し人事派遣を。 六月四日、デジタル庁の組織体制案が公開され、民間からもCTO(最高技術責任者)、又は最高AI責任者など幹部職員の募集が始まりました。組織図の中では四つのグループ、戦略・組織、デジタル社会共通機能、国民向けサービス、省庁業務サービスが設置され、まずは各省庁からの人選がされるようですが、業務の内容から自治体の職員も組み込まれるものと予想されます。本県として早急にDX人材を育成していく必要があり、是が非でも出向させるべきです。 出向者の費用負担についてですが、本県は一人当たりの職員数は少なく、通常の業務に加え、コロナ禍の対応で各課が何とかやりくりしていることは理解しております。一旦本県を辞職し、省庁に完全に本籍を移す方式が最も望ましいですが、研修員制度という県職員のまま出向させる制度もございます。現在でも五名の職員が本県に籍を置いたまま研修員として省庁に出ております。 早期に国のデジタル化の方向性やノウハウを得ることで数千万円、また数億円分の最適化に結び付くことができれば、一名分の給与は一撃で回収できますし、今後の県庁を牽引する代え難い人財への投資になると考えます。今回のデジタル庁への出向は、いわゆる研修派遣という方式だったとしても、是が非でも送り出すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 今年度県では、総務省や厚生労働省など七つの省庁と衆議院に十六名の職員を派遣しています。派遣に当たりましては、国の制度や施策を学ぶことができ、それを県の施策に生かせる職場であるかについて考慮いたします。 本県では、この三月に作成した「埼玉県デジタルトランスフォーメーション推進計画」に基づきデジタルトランスフォーメーションを推進しており、他県や市町村はもちろん、国との連携が大変重要でございます。そのため、デジタル社会形成の指令塔となるデジタル庁に県職員を派遣することは、本県のデジタルトランスフォーメーションの推進に当たっても有効な手段の一つと考えております。また、県とは違う組織で仕事をすることで職員の視野が広がるほか、専門的知識を深めることができるなど、人材育成面においても成果が期待できます。 派遣の成果を最大化するためには、デジタルトランスフォーメーション推進に関して素養と関心がある職員を選定する必要があります。具体的には、職員が派遣先で取り組みたい課題とその取組方針などを提案する職員応募制度の活用などが考えられます。 デジタル庁における本県職員の受入れの可否や業務内容などを確認した上で、派遣につき前向きに検討したいと思います。 ◆四十九番(細田善則議員) ちょっとだけ再質問させていただきます。 今、意義はもう認めていただいているので、私もタイトルだとデジタル庁発足に際しということで、九月一日を目途に質問しておりまして、年度途中でありますが、時期をお答えいただければと思います。再答弁をお願いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 細田善則議員の再質問にお答え申し上げます。 まずは先ほど申し上げましたとおり、デジタル庁に早期に職員を派遣し、デジタルトランスフォーメーションの推進に関する国の動向を把握することは、本県にとって有意義と考えております。その上で、現時点ではデジタル庁側で受入れの体制が整っていない状況にあると聞いております。 今後、新型コロナウイルス感染症の感染者数やワクチン接種の状況、また、デジタル庁における地方自治体職員の受入体制を踏まえながら、派遣時期については総合的、しかしながら前向きに検討したいと考えております。 ◆四十九番(細田善則議員) こちらが費用を持つ研修員であれば、向こうが受け入れないということはないと思いますので、早期、九月一日を目標にお願いしたいと思います。 次に移ります。 四、LegalTechについて。 独自な世界観で構築されてきたのが、いわゆる霞が関文学とも呼ばれる法律、公文書の書き方です。最近では社会課題の変化が速く、それに対応するように短期間で法改正、条例改正が行われます。その際に関連する他法令との整合性や条ずれなど、文書課、担当課の皆様が途方もない労力を割いてチェックしていただいているというふうに思います。本当に大変な業務だと思います。 それを新たな技術で解決しようとするのがLegalTechです。現在でもLegalTechの一部が使われておりまして、新旧対照表などは自動作成のツールが稼働しているとのことですが、今後AI、ディープラーニングの進化により劇的に効率化できる可能性を秘めております。 県として積極的に新技術を取り入れるべきと考えますが、どのような方針でソフトウェア等の導入をしているのか、総務部長にお伺いいたします。       〔小野寺亘総務部長登壇〕 ◎小野寺亘総務部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 現在のLegalTechの水準は、新旧対照表の作成や、条文上の第二条を削った場合に第三条以下を繰り上げるといった簡単な改正条文の作成などの機能にとどまります。複雑な条文を自動的に作成する機能を有するLegalTechは、現状ではまだございません。 今後、AI技術の進化などにより、その機能が現在は作成できない準用規定をはじめ条文を自動的に作成するような水準まで向上すれば、導入を進めることができるものと考えています。このような水準のLegalTechがあれば作業量は大きく軽減され、職員は条例の規制が目的に対して適当なものなのか、また罰則を定めるべきかといった政策的な部分の検討に注力することができます。 議員御指摘のとおり、法制業務はLegalTechを活用することにより劇的に効率化できる可能性がありますので、アンテナを高くして情報を収集しデジタルトランスフォーメーションに対応できるよう、その導入を検討してまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 常にアンテナを張って導入を検討していただければと思います。 次に移ります。 二、eスポーツの推進について。 さて、eスポーツは主に対戦型ビデオゲームをスポーツ競技として競うもので、以前から海外を中心に人気を博していました。それがステイホームやユーチューブ等の動画配信ブームなどで更に追い風を受けております。総務省の調査でも市場規模が爆発的に増加していることが報告されておりまして、二〇一八年に世界で一千億円程度だったものが、二〇二一年には一千七百五十億円超という急成長ぶりで、更に伸びると言われております。 今年四月にはIOCがパワフルプロ野球二〇二〇、グランツーリスモなど実在するスポーツをゲーム化したものを、オリンピックバーチャルシリーズという形で枠組みを打ち出しました。自転車競技のソフトでは、選手が実際の自転車をこぐことでゲーム内のキャラクターを操作するというリアルでの身体的運動を求められる、eスポーツの中でもバーチャルスポーツというジャンルが採用されています。大野知事も、昨年十一月に埼玉県庁を開放して開催されましたバーチャルサイクリングゲーム大会に参加し、いい汗をかいておられましたので、イメージされやすいかと思います。 eスポーツで養われる能力は分析力、思考力、情報処理力、創造力、コミュニケーション力など正に新しい時代、Society5・0に必須なものであると私は考えております。 eスポーツ及びバーチャルスポーツの有用性や将来性、県として取り組む意義について共有できたところで質問に移ります。 (一)県の推進組織体制について。 eスポーツは新しい分野であるために、既存の行政組織には収まらないものです。本県で言えば、スポーツという意味では県民生活部、観光や経済という意味では産業労働部、この後触れます障害者eスポーツという点では福祉部と、担当がはっきりいたしません。 こういった組織体制、取組の違いで、既に自治体間で差が出ております。例えば群馬県では、eスポーツ・新コンテンツ創出課を設置し、誘致に力を入れております。茨城県では、いばらきeスポーツ産業創造プロジェクトという知事肝煎りのプロジェクトとして取り扱われています。eスポーツを取り扱う企業の皆様にお話を伺うと、やはり連携ができているところとは話がどんどん進み、縦割りでたらい回しにされるようなところはもう相手にしないということです。 eスポーツの推進において本議会では、木下議長が令和元年に一般質問で取り上げておられます。質問に対し県民生活部長が「県としてどう関わるか検討してまいります」との答弁でございましたので、もう結果は出ていると思います。本県のeスポーツの取り組む姿勢を明確にし、窓口となる部署をはっきりさせる必要があると私は考えます。 そこで伺います。今後バーチャルスポーツも更に盛んになっていくことから、スポーツ振興課が総括するのが適切かと思いますが、知事の御所見を伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 スポーツとは、健康及び体力の保持増進等を目的とした身体活動であるとスポーツ基本法に定義されています。一方、eスポーツは、コンピューターゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称であります。 eスポーツは、既存のスポーツの概念ではくくることができない多様な価値を有しています。スポーツという視点からは、現実空間で体を動かし仮想空間で競うバーチャルスポーツの推進が、県民のスポーツ実施率の向上や新たなスポーツを始めるきっかけになると考えます。観光や経済という観点からは、若者を中心にeスポーツへの参加者や視聴者が世界的に広がる中、大手企業がeスポーツを通じた広告活動を活発化させるなど、拡大するeスポーツ市場に対する注目が集まっているところです。 多くの参加者や視聴者があるeスポーツイベントでの観光情報などの配信は、本県への集客の確保や県産品の販売促進につながることが期待されます。また、障害があっても自らの能力を発揮し活躍できるチャンスが広がることから、障害者の社会参加につながるという側面もあります。 このようにeスポーツは身体活動としてのスポーツ分野だけではなく多面的な要素を含んでおり、それぞれの分野での有用性を生かした取組が必要と考えます。このため、県のホームページのトップに総合案内としてのeスポーツのバナーを貼り、事業者や県民の方にeスポーツに関連した情報を発信する役割を県民生活部が担うこととし、それぞれの分野での有用性を生かした取組については、産業労働部や福祉部と密接に連携して推進することといたしました。 例えば昨年度、私も参加し、いい汗をかかせていただきましたバーチャルサイクリング大会のe-sports BIKE「埼玉CUP二〇二〇」は、県とつながりのあるプロスポーツチームからの要請に応え、ソフト会社の協力を得て開催しましたが、その際にはスポーツという側面により強い焦点が当てられました。一昨年には「シャドウバース」の世界大会にも私も参加させていただき、またKADOKAWAとの間でeスポーツでの連携の可能性についても協議を行いましたが、この場合には産業労働部の参画が不可欠となります。 今後もそれぞれの担当分野からの多角的な視点や、日頃の顔の見える関係団体とのつながりを生かし、事業者や県民のニーズに応えることができるよう、一元的な窓口は定めるものの組織横断的な体制を構築してまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 知事も公約の中で掲げておりますので、次に進みます。 (二)の計画への記載について。 例えば、群馬県スポーツ推進計画では、eスポーツの市場規模が毎年一〇パーセント以上増加していることから成長産業として捉え、今後の施策展開の柱としてeスポーツの普及、拠点化を明記しております。 そこで伺います。 ア、スポーツ推進計画。 本県としてスポーツ推進計画にeスポーツをどのように位置付け、記載していくのか、知事にお考えをお伺いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 埼玉県スポーツ推進計画は、県がスポーツを推進していく上で目指すべき施策の方向性や取組を示すものであり、埼玉県5か年計画を踏まえた部門別計画となります。現行の計画は、平成三十年度から令和四年度の五年間を期間とした計画であり、次期計画は今年度策定される国のスポーツ基本計画を参考にして来年度策定する予定となっています。 eスポーツは観光などの経済効果やスポーツを始めるきっかけづくりになるなど、多くの可能性を持っていると考えます。他方で、eスポーツをスポーツという視点から見ると、オンラインで離れていても一緒に体を動かすことができるバーチャルスポーツなどは、年齢や性別、身体的な差異を超え、分け隔てなく楽しめるバリアフリーなエンターテインメントであることから、多様な主体の参画も期待できます。 eスポーツを次期埼玉県スポーツ推進計画にどのように位置付け、記載していくかについて、有識者や公募で選ばれた県民等からなる埼玉県スポーツ推進審議会に諮問し、議論を深めていただきたいと考えております。 ◆四十九番(細田善則議員) 次に、イ、障害者支援計画。 この後質問いたします障害者eスポーツの観点で障害者支援計画にも記載されるべきと考えますが、どのように位置付け、記載していくのか、知事にお考えをお伺いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 埼玉県障害者支援計画は、障害者の自立と社会参加を支援し、障害のある人とない人で分け隔てられることなく、地域の中で共に育ち、学び、生活し、働き、活躍できる共生社会の実現を目標としています。現行の計画は、令和三年度から令和五年度の三年間を期間としたものであり、本年度第六期の計画がスタートいたしました。 障害者支援という視点から見ると、eスポーツは障害のある方が障害のハンディキャップに負けず、自らの能力を発揮して活躍できるチャンスがあり、障害のある方もない方も同様に社会参加ができる、そういった社会の促進につながるものと期待ができます。 eスポーツを次期埼玉県障害者支援計画にどのように位置付け、記載していくかにつきましては、有識者や障害者団体の代表の方々からなる埼玉県障害者施策推進協議会に御意見をお伺いした上で、是非検討させていただきたいと考えております。 ◆四十九番(細田善則議員) 次に、(三)障害者eスポーツの可能性について。 障害者の社会参加のツールとして、eスポーツを活用する取組が始まっています。昨年、愛媛県では地域スポーツ課が障害者施設等対抗オンラインeスポーツ大会を開催し、特別支援学校や障害者施設を対象にeスポーツ環境を整備する予算なども計上しています。 私も先日、障害者eスポーツのオンラインコミュニティに「Discord」というeスポーツをするときに便利なアプリケーションで参加いたしました。そこでは、eスポーツが就労にも活用されているというお話を伺いましたので、御紹介いたします。 ある会社が障害者雇用をする際に思い切った手法をとられました。採用選考の一つとして、既存の社員さんと障害をお持ちの求職者約二十名とeスポーツをプレーすることで、面接、グループワークの一部として取り扱い、もちろんコミュニケーション能力、人間力、ほかの能力も総合的に判断し、二名の採用を決定したそうです。こういった事例を含め、障害者eスポーツには障害者の皆様の可能性を引き出す力がある、そのように感じました。 eスポーツの持つ障害者雇用への波及効果を期待して伺います。障害者雇用へ関心を持ってもらうため、県内の多くの企業へ障害者eスポーツのことを周知する必要があると考えますが、産業労働部長にお考えをお伺いいたします。       〔板東博之産業労働部長登壇〕 ◎板東博之産業労働部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 障害の有無にかかわらず取り組むことができるeスポーツは、障害者の方にとって高い集中力や技術力、そして持続力などを自ら表現できる機会となります。企業には障害者の持つこうした能力を改めて知っていただくことで固定観念をなくし、今までと異なる分野での障害者雇用の可能性に気付いていただきたいと考えております。 県では毎年障害者ワークフェアを開催しており、障害者雇用に関心のある多くの企業に参加いただいております。まずは、こうした場でeスポーツで活躍する障害者の方を企業に紹介し、新たな分野での採用を検討していただき、雇用拡大のきっかけにしていきたいと考えています。また、障害者の雇用をためらっている企業には理解を深めていただくため、埼玉県障害者雇用総合サポートセンターが企業訪問の際などにeスポーツでの障害者の活躍を紹介してまいります。 障害者eスポーツによる就労はまだまだ未知数ですが、新たな可能性を広げるものと考えております。今後、障害者eスポーツの就労に関する研究を進め、障害者雇用の推進に努めてまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 次の質問に移ります。 三、ウェアラブルデバイスの活用について。 近年、血圧、心拍数、血中酸素等の身体情報(バイタルデータ)を身に付けられる計測器、いわゆるウェアラブルデバイス、以降、デバイスと呼びますが、この登場により手間をかけずに二十四時間データを蓄積できるようになりました。そのデータをブルートゥースでスマートフォンを経由してネットワークに接続することで、急性の心筋梗塞や脳梗塞など本人の意思で救助を求めることが困難な事例も感知することができます。もちろん介護でもデバイスの活用でいち早く対処ができるようになる可能性があります。 厚生労働省でも在宅診療の推進や高血圧、糖尿病など生活習慣病、電子カルテへのリンクなどが議論され、経済産業省の資料からも二〇一七年に四千九百三十八億円だった市場規模が、二〇二〇年に一兆五千八百億円とわずか三年で三倍になっていることが示されています。性能的にも価格的にも実用レベルまで来たというふうに思いますので質問いたします。 (一)新型コロナウイルス患者の体調管理について。 現在、新型コロナウイルス患者へはパルスオキシメーターを配布して、測定した酸素量を報告していただいております。国の予算でパルスオキシメーターを購入し使用しているという事情も理解できますが、県として更に有効な手法を模索することも重要だと考えます。 急激に重症化するこの新型コロナウイルス感染症、例えば単身の療養者にデバイスを配布することによって、容体が急変した場合に効果的だと思います。日頃の電話での聞き取り調査の負担軽減にもなります。 一年半で蓄積されました新型コロナ患者へのケアという経験を踏まえて、パルスオキシメーターに代えてウェアラブルデバイスを用いることの有用性について、保健医療部長に御所見をお伺いします。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 新型コロナウイルス感染症により自宅などで療養される軽症、無症状の方には、体温のほかパルスオキシメーターにより酸素飽和濃度を測定していただき、健康観察の際、保健所が数値を確認しております。ウェアラブルデバイスを通してネットワークと接続し、自動的に測定された結果を把握できるようになれば、患者、保健所の双方にとって負担軽減につながります。 一方、自動的に測定された結果は、デバイスによってデータ形式が異なることも想定されると思いますが、そうしたデータを患者情報を把握、管理するシステムにどのように取り込むのかといった技術的な課題のほか、費用対効果も検証する必要があるものと考えます。こうしたことが解決されれば、極めて有効な手段であると考えます。 ◆四十九番(細田善則議員) 次にいきます。 (二)コバトン健康マイレージ事業等について。 県民の健康管理促進事業として行われておりますコバトン健康マイレージ事業では、今は歩数というデータを対象としております。デバイスを活用すれば、更に精緻なデータによる改善が見込めます。歩数のみだと人によって歩くペースがまちまちとなり、運動としての質が安定しません。なので、同じ一万歩でも思いのほか負荷が軽過ぎて効果が薄いケースや、逆に負荷が重過ぎて体に良くないほどの激しい運動になっているということもあり得ます。デバイスを活用すればウォーキング中の心拍数から運動の強度が算出でき、その方に最も適した心拍レベルの運動をサポートできるのではないでしょうか。 そこで伺います。県民の健康維持管理に心拍数等のデータを活用することに関して、保健医療部長の御見解をお伺いいたします。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 コバトン健康マイレージ事業については、健康づくりに取り組むきっかけを提供することを目的としており、歩数のみを計測するものとなっております。また、ウェアラブルデバイスについては、心拍数などのバイタルデータを取得する機能や運動の活動量を計測する機能が付いたものなど、様々な種類が出回っております。 議員お話しのとおり、コバトン健康マイレージにこれらの各種データを取り込むことで、その方に適した健康づくりに寄与するとともに、行動変容を促し生活習慣病の予防にもつながるものと期待されます。一方、デバイスごとに規格の異なるデータをどう取り込むかといった技術的な課題もございます。 議員御提案のウェアラブルデバイスによる心拍数などのデータの活用につきましては、今後、市町村など参加団体とともに検討してまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 今のマイレージ事業で使っているムーヴバンド2も五千九百八十円程度で、それがデバイスの価格とある程度合致してくれば、是非検討いただければと思います。 次の質問に移ります。 四、ACP推進と同時に価値観の整理整頓を。 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、人生の最終段階において医療的ケアについて、本人と家族と医療ケアチームと話し合って決めていく取組です。埼玉県でも高齢者施設職員を対象としたACP推進のための人材育成研修会を実施し、公式ユーチューブで公開するなど取組が始まっています。 (一)県内での状況把握調査について。 二〇一七年に厚生労働省の調査で約七割の医師がACPを実施していないということを受けて、国は愛称「人生会議」と命名し、広報しています。ですが、出だしでつまずいてしまったこともあり、まだまだ一般的な認知度が低く、医療の現場でも言葉や概念は知られていても、実際に実施しているのはごく一部にとどまっています。現状値を伺っても、まともな数字は四年前のこの厚生労働省の調査のみで、推進を図る以前にまず実態の把握が必要です。 そこで、県として県民意識調査等を活用して認知度等を測定し、今後の目標を定めて推進していく必要があると考えますが、保健医療部長にお考えをお伺いいたします。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 ACPの普及については、県では県医師会などに協力し、人生の最終段階の医療やケアについて自ら考える機会や本人が意思決定を表明できるよう取組を進めております。これまで県医師会作成の家族のみとり体験を収録した啓発用DVDや、希望する医療を前もって表明しておく「私の意思表示ノート」の広報など、広く県民への普及に取り組んでおります。 議員お話しのとおり、ACPに関する全国的な意識調査としては、厚生労働省の検討会が「人生の最終段階における医療に関する意識調査」を二〇一七年に実施したものが直近となっております。そのため、国の調査以降の意識の変化や県内の状況を把握するため、今年度県が毎年実施しております県政世論調査の中で、ACPに関する調査を実施することといたしました。調査内容としては、ACPの認知度をはじめ人生の最終段階における医療についての話合いの経験や、人生の最期を迎えたい場所などを伺うものです。 この調査によりACPの認知度やACPの実態を把握し、課題を抽出した上でそれを基に目標を設定し、施策を展開してまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 次にまいります。 (二)ALP領域の重要性について。 ACP推進のために作られたツール、今答弁でありましたとおり、埼玉県医師会が県の助成で作成していただいた「私の意思表示ノート」をはじめ、様々な厚生労働省はじめ各病院なども作成したものがあります。 どれも医療的ケアを決めるというACPのコアの部分にはしっかり作り込まれているものだというふうに思いますが、私が実際に利用者の目線になって使ってみると、少し物足りない項目があります。それは、一番初めの自分の大切にする価値観について考える場面です。今のツールでは価値観がたくさん羅列してあって、選択肢の中からそれをチェックして選ぶ、又は「大切な人と話し合ってよく考えてください」と促すぐらいで、これでは本人の考えを十分引き出すことはできないのではと考えております。 私は、医療的ケアを決める前の下準備、本人の価値観の整理という領域をもっと丁寧に行うべきと考えます。このことをアドバンス・ライフ・プランニング(ALP)と定義する専門家もいます。 そこで伺います。ACPの推進と同時並行的に、本人の価値観の整理整頓を促すALPの領域にも力を入れるべきと考えますが、保健医療部長に御所見を伺います。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 ACPは、もしものときに本人が希望する医療やケアが行われるように、本人と家族や医療、介護の従事者が前もって繰り返し話し合うプロセスです。このプロセスの中では、希望する医療やケア以前に、自分にとって何が大切かというような人生観や価値観を整理することが重要です。 そうした議員のお話のALPは、ACPを進めていくに当たってはその前提となるものですが、決して容易なことではないと考えます。ALPの概念をより効果的に取り入れることについて検討してまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 今、意義についてお認めいただいた上で、容易なことではないということでありました。次に質問を用意しております。 (三)価値観を見直すツールの活用について。 ALP領域の重要性が確認できましたので、具体的な取り組み方を提案させていただきます。 一般社団法人iACPがアメリカの「Go Wish」というゲームを参考にして作成したのが、こちらの「もしバナゲーム」というカードゲームです。複数のプレーヤーがそれぞれ五枚カードを持って、自分の優先したい価値観を一枚取るごとに、その手元に六枚になるわけですから、その優先順位が低いものを一枚切るというゲームです。カードにはどれも大事な価値観が書いてありますので、それを選択するのは迷ってしまうのですが、その過程を通じて自分が本当に大切にしたい価値観を整理していくことができます。 面白いのが誰かが捨てたカードをほかのプレーヤーが拾うこともできる点で、自分が捨てたカードをほかの人が是非ということで拾うということで、気付かなかった価値観にも触れることができ、自分の価値観を見詰め直すことができると言います。 また、ACPは繰り返し行うことが重要なんですけれども、一般的なACPの作成時は、作成者の本人だけが価値観やケアのことを話さなければならないということで、プレッシャーやストレスを感じます。そうすると、もうできることならやりたくないなと思われる方も少なくないようです。 そういった点でも、このゲームではプレーヤー全員が自分の価値観をお話しする、そんな平等さが働くために、自分一人だけ話さなければならないときより抵抗感なく自分の本心を話すことができるようになります。 そこで伺います。県として、ACP作成の補助となるツールを積極的に活用することが有効と考えますが、保健医療部長に御所見を伺います。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 議員御提案の「もしバナゲーム」は、人生の最終段階における自分の価値観を整理するための有用なツールの一つと考えます。県では、地域の医療・介護関係者のACPの理解が進むよう、郡市医師会が行う研修会などの取組を支援しております。 その一例として、これまで郡市医師会では医師や看護師、ケアマネジャーや地域包括支援センターの職員などを対象とした研修会や住民向けの講習会を開催しており、その中で「もしバナゲーム」を活用しております。参加者からは、「難しい話を考えるきっかけとなる」「家族に自分の価値観を伝えるのに役立つ」との声が寄せられています。 県としては、こうしたALPのツールを活用することによってACPを進めてまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 次の質問に移ります。 五、高齢者の安心のために。 (一)成年後見制度について。 成年後見は認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方々を保護し、支援する制度です。しかし、県民の皆様にお話をすると、「うちは家族が多いからお世話になることはないよ、関係ないよ」とおっしゃる方も少なくありません。 しかし、いざ家族を後見人候補として裁判所に申請しても、例えば家族間に対立がある場合、流動資産の額が高額又は種類が多い場合などは、家族は選任されないということもあります。家族の多い少ないに限らず、誰しもが必要になるかもしれない制度であることを踏まえ、質問いたします。 ア、中核機関の設置目標について。 昨年、松井弘議員の一般質問に対する答弁で、中核機関未設置の市町村へ働き掛けを行うということでしたが、その後数か所のめどがついたようですが、いまだに多くの市町村で見通しが立っていないと承知しております。 私は、現5か年計画の指標に倣って、全市町村への中核機関設置を期日を決めて進めるべきと考えますが、福祉部長の御見解をお伺いいたします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しの中核機関は、成年後見制度を利用促進するために制度の広報、相談支援、後見人支援などの機能を備えた組織であり、全ての市町村への設置が国から求められております。県と県社会福祉協議会は、市町村の成年後見制度利用促進に向けた取組を連携して実施しており、これまでも市町村や市町村社会福祉協議会を訪問し、中核機関の設置を強く働き掛けてまいりました。 今年五月には、市町村や市町村社協、家庭裁判所、弁護士会など百を超える関係機関で構成する成年後見制度利用促進協議会を開催いたしました。協議会では、中核機関の設置に向けた市町村の取組事例の情報共有などを行い、横展開を図ってきたところでございます。 現在、県内で中核機関等を設置している市町村は二十四であり、今年度中に設置の見込みがある市町村は六となっております。未設置の市町村からは、専門職の人材が不足しているなど課題が挙げられています。このような市町村に対しては、既に課題を乗り越えて中核機関を立ち上げた市町村の事例を紹介するとともに、個別に丁寧な助言を続けていくなど、必要な支援を行ってまいります。 中核機関は市町村が設置主体であることから、期日を定めた設置目標については市町村が自ら定めるものであると考えております。県といたしましては、その達成に向けて弁護士会などの専門職団体とも連携して市町村を全力で支援してまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 再質問いたします。 やはり質問の趣旨は、県が5か年計画のように目標を立てるからこそ全市町村が達成していくという、5か年の経験を踏まえて伺っておりますので、目標についての再答弁をお願いいたします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 再質問にお答え申し上げます。 中核機関は先ほども申し上げましたとおり、設置主体が市町村でございます。県といたしましては、今後とも市町村に個別に訪問して中核機関の設置を強く働き掛けるほか、複数の市町村に対して連携のメリットを引き続き働き掛けるなど、こうした支援を行ってまいりたいというふうに考えております。御理解いただければと思います。 ◆四十九番(細田善則議員) それでは、次にいきます。 イ、近隣市町村の連携について。 全国の事例を見ますと、複数の自治体で連携している例もあります。規模や生活圏が重なる自治体の連携は、コストやノウハウの蓄積などで有利な面があります。 しかし実際、協議を進めていくと自治体間の足並みが揃わないということで、そういったときに調整を行うのが県の役割なのではないでしょうか。福祉部長に御所見をお伺いします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、規模の小さい町村など複数の自治体が連携して中核機関を設置することも有効な方法でございます。県では、県社会福祉協議会と連携して設置の検討が進んでいない市町村に直接職員が足を運び、検討状況を把握して個別具体的な助言を行っております。また、昨年度は、実際に生活圏が重なる一つの圏域内の市や町の担当課長にお集まりいただき、中核機関の設置に向けた意見交換を行ったところでございます。 さらに、今年度は弁護士会、司法書士会、社会福祉士会などの専門職団体と協力して訪問するなど、市町村に対する働き掛けを強化してまいります。 今後も引き続き広域的な見地から、県の役割をしっかりと果たしてまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 次に、(二)身元保証代行について。 身寄りのない高齢者は、施設入所や入院時等に必要な保証人を立てることができません。そんなとき保証人を代行する業者、いわゆる身元保証代行業者が急増しております。適正な金額で請け負っている業者が大多数である一方で、ごく一部あくどい業者がばっこしています。 今年一月に名古屋地裁で判例があり、契約者が死亡した後には、その全財産を代行業者に譲るというとんでもない契約がさせられ、死後に契約者の銀行から六百二十万円を引き出そうとした業者が銀行の指摘により裁判となり、契約自体の無効の裁定を受けております。 そこで伺います。現在、そういった業種に対して行政としての認可や登録等の管理制度がないため、県民が悪徳業者とまともな業者を選別できません。県として登録制などを創設すべきと考えますが、福祉部長に御所見をお伺いします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 介護施設の現場では、施設の入退所時の手続や費用の支払いなど緊急時の連絡のため、身元保証人や身元引受人による署名や立会いを求める場合が多くあります。議員お話しの業者の登録制度については、仮に県が制度を立ち上げても利用者が埼玉県登録以外の業者と自由に契約することができるため、実効性を上げることが難しいのではないかと考えております。 県民が悪質な業者の被害に遭わないようにするためには、高齢者の相談窓口等を通じた広報、啓発を行うことが重要です。厚生労働省は、平成三十年度に身元保証サービス等を行う事業者を利用する上での注意すべきポイントをまとめたチェックシート式のパンフレットを作成しました。県では、このパンフレットをホームページに掲載するとともに、高齢者の施設入所手続に関わるケアマネジャー、地域包括支援センターなどの相談窓口に周知を図りました。 さらに、一部の心ない業者から利用者を守るためには、成年後見制度を利用することも一つの有効な方法です。成年後見制度を利用することで、本人に身元保証人がいない場合でも施設への入所手続等を円滑に進めることができます。 このため、県としましては、市町村社会福祉協議会等が行う法人後見の取組の拡大や市民後見人制度の一層の普及など成年後見制度を推進していくことで、県民がトラブルに巻き込まれないよう積極的に取り組んでまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 再質問させていただきます。 今、登録制度の抜け穴みたいなこともお話がありましたけれども、県民がやっぱり今基準が一切ない中、ここは絶対使っちゃいけないとか、もちろんそういう裁判での例は社名が出てきますので、そこは外すというのはありますが、そこで隠れてしまっている悪徳業者を見極めるには、まともなところを登録させるということで一定の判断基準を提供できるのではないかと思っておりますので、再答弁をお願いいたします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 再質問にお答え申し上げます。 登録制度につきましては、先ほどもお話ししましたが、本県だけで作りましても全国的な組織としないとなかなか実効性がないのかなというふうに考えているところでございます。 一方、悪質な事業者に対しましては消費者契約法に係る法令等で適切に対応していくこともできると思いますし、先ほど申し上げましたように、事前の予防措置として様々な啓発活動を行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆四十九番(細田善則議員) 正にこちらの身元保証代行には行政が対応が間に合っていない、そういった課題だということが分かりましたので、次に移らせていただきます。 六、四十五フィートクラスの大型トレーラーに対する安全対策について。 私の地元戸田市、特に川岸地区の周辺で大型トレーラーの通行が増加しています。今年一月には、戸田市内で大型自動車と自転車との事故が発生し、自転車側の女性がお亡くなりになるという痛ましい事故がございました。心より御冥福をお祈り申し上げます。 表題の四十五フィートクラスのトレーラーは、海上コンテナの大型化によって二〇〇五年にISO規格となり、当初は特区のみで認められておりました。二〇一五年に更に規制が緩和されたという経緯です。長さ約十八メートルと大型自動車の中でもかなり大きな車両で、基本的に港湾や工業地帯を走ることを前提としております。一方で、住宅を中心とする生活道路は歩行者の数も多く幅員も狭いため、大型車が入り込むとオーバーハング、内輪差、死角などで事故が起きる可能性が高く、事故が起きればおのずと被害も大きくなります。 そこで伺います。歩行者等が優先されるべき生活道路において、大型自動車の流入を抑制すべきと考えますが、その点について警察本部長に御所見を伺います。       〔原和也警察本部長登壇〕 ◎原和也警察本部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、いわゆる生活道路における交通安全対策は極めて重要であると認識しております。これまで県警察におきましては、生活道路の交通安全対策として対象となる道路や交通の状況等を踏まえ、最高速度三十キロの速度規制を主としたゾーン三〇をはじめ信号機や横断歩道の設置など、各種対策を実施してきているところであります。 また、議員御指摘の生活道路における大型自動車流入抑制に関しては、児童、幼児の通学路、住宅地等にある歩車道の区分のない道路が大型自動車等の通行に十分な幅員がない場合等において、大型自動車等の通行止めの交通規制を実施している事例もございます。もとより実際の交通規制を行うに当たっては、当該道路の道路状況や交通実態を踏まえ、安全対策の必要性や内容を十分に検討するとともに、住民の方々や道路を利用する関係者の御意見についてもしっかり伺うことが重要であると考えております。 今後とも生活道路の交通安全対策はもとより、交通の安全と円滑を確保する観点から、適切な交通規制や道理管理者と連携した安全対策を行ってまいる所存でございます。 ◆四十九番(細田善則議員) ありがとうございます。 御答弁にもございました大型の通行禁止など適正な道路規制を含めてお願いしたいというふうに思います。 次に移ります。 七、自転車等の追い越しルールについて。 自動車が歩行者や自転車等を追い越す際のルールについてお伺いいたします。しっかり間隔を空けて適正な速度まで落とす思いやりあるドライバーさんが大多数である一方で、追い越すときにわざとぶつかるすれすれをアクセルをあおりながら抜き去っていく乱暴なドライバーも少なくありません。 (一)道路交通法違反の教育について。 自動車が歩行者や自転車を追い越す際に適切な距離を保たなければならないことは、道路交通法上でもはっきり明記してあります。第十八条で、歩道と車道の区別がない道路を車が通行する場合は、歩行者と車の距離を安全に保てるように間隔を空けて徐行運転で通行しなければならないこと、第二十八条では、ほかの車両を追い越そうとするときは、右側をできるだけ安全な速度と方法で進行しなければならないとありまして、ともに反則金と懲役が規定されております。 事前に県警本部に状況をお伺いいたしますと、これらの違反はほかの違反に比べて検挙される件数は少ない違反だということです。ですので、教習所を卒業してからドライバーはその知識と意識が徐々に薄れていって、いつの間にか追い越す際に間隔を空けないことが習慣化、当たり前、そのドライバーの癖になってしまっているということだと思います。 そこで、自動車の運転者に対して両条文で規定される義務違反についての指導、教育はどのように行っているか、警察本部長にお伺いいたします。       〔原和也警察本部長登壇〕 ◎原和也警察本部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、警察が運転者に対し実施する主な交通安全教育といたしましては、免許証の更新時講習や安全運転管理者等講習、事業所における交通安全教育があります。これらの教育では、交通事故情勢や交通ルール、交通法令の改正等の説明を行い、安全運転に必要な知識や安全意識の向上を図ることとしており、昨年は更新時講習については約百万人、安全運転管理者等講習については約一万八千人、そして事業所における交通安全教育については約二万七千人の方が受講いたしました。 各講習におきましては、先ほど申しましたとおり、主として最近の事故情勢等について説明を行っているのでございますが、このほか自転車の保護をはじめとする交通の方法等について記載した交通教本等の学習を受講者に求めているところでございます。 今後、自転車等の関係する交通事故の減少を図るためには、議員御指摘のとおり、運転者に対する安全教育を徹底することも重要であると考えております。警察といたしましては、自転車等の特性に配慮した安全運転に関する運転者教育を一層推進するなど、今後とも交通事故の抑止のための諸対策を強力に推進してまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 御答弁にもありました更新の際に最近の改正がいろいろありますので、その中でこの両違反についてもしっかりと触れていただければと思います。 次に移らせていただきます。 (二)思いやり一・五mルールについて。 愛媛県の自転車安全利用促進条例では、第六条に自動車等運転手の責務として、自転車との安全な間隔の保持又は徐行を促す規定を設けています。それに基づいて、自転車の側方を通過するときは、一・五メートル以上安全な間隔を保つ又は徐行していただくように呼び掛ける「思いやり一・五m運動」という、愛媛県独自の交通安全啓発事業を展開されています。 私は、自動車の運転手だけが気を付ければこの問題が解決するわけではなくて、例えばなんですが、自転車の運転手の方も抜かれる際にペダリングをやめて、ふらつかないようにして抜いてもらうとか、ほかにも同じ車両同士で抜いたり、抜かれ返したりということの回数が頻繁に起こると、本当にサイクリストの中でよく言われるんですが、一度追い越された車両に追い付いても、次に追い越さない。またその方が自分を抜かなければならないということが発生するので、追い越し返さないという、そういったマナーのいいサイクリストが心掛けていることも大切だと思います。 お互いに思いやりある安全な追い越しが、本県に定着することを目指して伺います。本県も間隔の目安を数値で表して標語やルールを作り、自動車又は自転車の運転手双方に伝わるように広報する必要があると思いますが、県民生活部長に御所見をお伺いいたします。       〔真砂和敏県民生活部長登壇〕 ◎真砂和敏県民生活部長 細田善則議員の御質問にお答え申し上げます。 自動車が自転車を追い越そうとするときは、道路交通法ではできる限り安全な速度と方法で進行しなければならないと定められており、その場合には急な自転車の転倒なども予測しながら運転する必要があります。 自転車が自動車に追い抜かれる際に抱く危険性について国が過去に行った調査によりますと、自動車の速度が五十キロメートルでは、間隔が一メートル以下で自転車は危険を感じるなどの結果が出ております。そのため、自転車に圧迫感や危険性を感じさせないように追い抜くための安全な間隔としては、最低でも一メートル以上必要であり、それ以上の間隔がなければ安全で快適な自転車利用環境とならないと考えております。 自転車利用者の安全を確保するためには、自動車が自転車を追い抜く際の安全な間隔を明確にすることは重要であると考えておりますが、道路環境や交通の状況等が同一ではないため、場所によって安全な間隔は異なってまいります。また、自転車が関係する交通事故の多くは、自転車側にも何らかの法令違反が認められております。 議員お話しのとおり、運転にはお互いに思いやりを持つこと、これが重要かと思っております。そのため県では、自動車運転者に対する自転車の側方通過時の安全な間隔保持、あるいは、自転車利用者に対する交通ルールの遵守について啓発してまいります。あわせて、自転車を追い抜く際の安全な間隔など具体的な事例を交えながら、思いやり運転の意識を醸成させるような広報・啓発活動を推進してまいります。 ◆四十九番(細田善則議員) 御答弁で、本県の事情として一・五メートルはなかなか現実的に保てないところがあるということも理解いたします。 また、自転車レーンの問題とちょっと外れてしまうんですが、ちょっとこれではというような幅の所にもかかわらず青く自転車レーンとされているような所が本県にもあるということを、少し別な話ですが指摘させていただきたいと思います。 本県としてしっかりと自転車と自動車の運転手双方に心が通じるような、そんな広報をしていただくように期待いたします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)          ---------------- △休憩の宣告 ○木下高志議長 暫時、休憩いたします。午前十一時十八分休憩          ----------------午後一時二分再開 出席議員    八十九名  (本会議場で審議)     一番    二番    六番    七番     九番   十一番   十三番   十四番    十六番   十七番   十九番   二十番   二十二番  二十三番  二十五番  二十六番   二十八番  二十九番   三十番  三十二番   三十三番  三十四番  三十五番  三十六番   三十八番  三十九番  四十一番  四十二番   四十四番  四十五番  四十七番  四十八番    五十番  五十一番  五十三番  五十四番   五十五番  五十七番  五十八番   六十番   六十一番  六十三番  六十四番  六十六番   六十七番  六十九番   七十番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十七番   七十八番  八十一番  八十二番  八十四番   八十五番  八十七番  八十八番   九十番   九十一番  九十三番  (新型コロナウイルス感染防止のため第四委員会室で審議)     三番    八番   十二番   十五番    十八番  二十一番  二十四番  二十七番   三十一番  三十七番   四十番  四十三番   四十六番  四十九番  五十二番  五十六番   五十九番  六十二番  六十五番  六十八番   七十一番  七十六番   八十番  八十三番   八十六番  八十九番  九十二番 欠席議員    一名   七十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人  (本会議場で出席)   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   県民生活部長   福祉部長     教育長  (新型コロナウイルス感染防止のため執務室で待機)   総務部長     危機管理防災部長 環境部長   保健医療部長   産業労働部長   農林部長     県土整備部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者   下水道事業管理者 警察本部長 △再開の宣告 ○岡地優副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○岡地優副議長 質疑質問を続行いたします。 三十四番 吉良英敏議員       〔三十四番 吉良英敏議員登壇〕(拍手起こる) ◆三十四番(吉良英敏議員) 東第十一区、自由民主党県議団、吉良英敏でございます。 午前中は細田議員からの知性あふれる質問でありましたけれども、私の場合は感性から質問したいと思います。また、今回の質問は、全てケアラー関連に絞り質問させていただきます。テーマは「価値ある県の役割」について。どうぞよろしくお願い申し上げます。 一、情報発信・情報収集に対する県の姿勢について。 (一)戦略的な情報発信について質問いたします。 オリンピックの開催が間近に迫ってまいりました。当県は競技開催県になっているものの、ここ最近、オリンピックの情報発信が積極的に行われたという印象は乏しく、率直に言って、知事の発信には物足りなさを感じました。確かにコロナ対応で大変な状況でありましたが、あれほどオリンピックを成功させると言われてきた中で、レガシーを醸成してきた埼玉プライドはどこに行ったのだと残念でありました。 なぜこうした話をするかというと、基本的に埼玉の発信力そのものが弱いからです。具体例を挙げます。昨年秋に行われた県内のケアラー実態調査。特に注目されていたヤングケアラー調査では、何と二十五人に一人がヤングケアラー。これが分かったとき、マスコミ各社はばーんと報道を一斉にしました。しかし、しかしです。知事や教育長からも、最前線での発信、メッセージは全くと言っていいほど聞けませんでした。 全国が見守る絶好のチャンスであったにもかかわらず、報道機関からのみの解説、発信となり、中には「どの自治体も手を打っていない深刻な問題だ」と報道していました。「いやいや埼玉やっているから」と、突っ込みたくなりました。県が主体的に報道していればこんなことはなく、むしろ更なる施策の推進につながったはずです。 この原因は、県が情報の価値を正確に捉えておらず、戦略的な発信ができていない。広報戦略であったり、メディア戦略といったものが大いに欠けている。実際に県の広報は各部局に一人いる広報監がその監修を行っていると聞きますが、県全体であったり、あるいは社会全体をふかんした戦略が練られているとは全く思えません。今回のコロナ禍でも情報発信がいかに重要であるか、知事も認識されたかと思います。 そこで質問いたします。知事は、県の情報発信について今後どのように戦略的に進めていくつもりでしょうか、御見解を伺います。 ○岡地優副議長 三十四番 吉良英敏議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、戦略的な情報発信は大変重要なことでございます。本県では、記者会見などで発信してマスコミに取り上げてもらうパブリシティを報道長が、県が持つ各種広報媒体などを利用して行う自主広報を広報課が担当しております。今年度から報道長の下に広報戦略幹を設置し、広報課長に兼務させることによってパブリシティと自主広報の連携をより強化し、県全体をふかん的に見た戦略的な広報につなげていくことといたしました。 重要度の高い情報は私自ら記者会見を行い、マスコミを通して広く発表していただくとともに、県ホームページやSNSで浸透を図るなど、報道部門と広報部門が密接に連携して情報を発信しております。その際に重要なことは、お伝えしたい内容に応じて、どのようなタイミングで、どのようなターゲットに、どのような媒体を活用して効果的に訴えるかという広報戦略だと思います。 例えば、新型コロナウイルス関連の広報においては、刻々と変化する状況に応じて私自身が記者会見を開き、県の考えを発信してまいりました。その内容は速やかに県ホームページやSNSでも発信するとともに、特に高齢者に届けたい情報は直接家庭に届く県広報紙で丁寧に広報し、若者に届けたい情報は人気アニメとコラボした動画をウェブで配信するなど、それぞれの受け取り手にとって価値のある情報を工夫を凝らして広報を行っております。 また、新型コロナ以外の個別の事業につきましても、情報の重要度を判断し効果的な広報が展開できるよう、庁内の広報担当者向け研修などを通じて県庁全体の広報力の底上げを図っております。 今後とも様々な手法やメディアを選択し活用しながら、県の情報がタイムリーにしっかりと発信できるよう戦略的広報に努めてまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 広報戦略幹というお話をいただきました。いいですね。 ただ、これは再質問させていただきますけれども、広報戦略幹というのは一人と聞きます。これあまりにも弱いと思うんですね。これからのデジタル化の中で、改めて県の価値が情報というものを通じて問われるときにあると思います。これは今までの他県の動向だとか、あるいは国の動向ばかり見るのでなくて、何が違うかというと、自らが発信できる、そういったノウハウをしっかりと培っていかなければいけないと思うんですね。 こうした取組には当然核となる職員、そういった存在が必要だと思います。先ほどの広報戦略幹の話がありましたけれども、人材を育成するために例えば広報力、そしてメディア戦略に優れた民間企業に積極的に派遣するとか、あるいは担当職員全員がユーチューバーになるとか、より力強く具体的に施策展開をしっかりと進めていくということが、結局、発信力につながるのではないかと思います。 改めて、見解を伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 吉良英敏議員の再質問にお答え申し上げます。 先ほどの御指摘は、単なる広報戦略幹を置くだけではなく、広報力を向上させるための方途についての御提案、御指摘だったというふうに考えております。 その上で申し上げますが、県庁全体で広報力を向上させること、私も同様に大変大切だと思います。そのためには、まず職員一人一人が広報の重要性を正しく認識し、判断することが不可欠だと思います。先ほど申し上げた広報担当者向けの研修にとどまらず、広報監会議や庁内の優秀な広報事例を表彰するコンクールの開催などを通じて、全ての職員の広報意識の向上を正に自分事として図っていくことが重要であり、研修のみでとどめることはできないと思っています。 また、パブリシティのポイントなどを示したガイドブックを全庁に周知するほか、発表のタイミングあるいは手法などを工夫させ、県全体で一層効果的なパブリシティが行えるよう取り組んでいきたいと思います。 また、先ほど申し上げましたが、広報戦略幹の下、戦略的広報の推進、この両面、底上げと戦略、両方に努めてまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 是非、徹底的に進めていただきたいと思います。 さらに深掘りするために、次の質問に移ります。 (二)情報の価値を踏まえた情報収集について。 ただ今、情報発信について申し上げましたけれども、今度は情報の収集について質問したいと思います。 具体例を挙げます。今年一月にケアラー支援計画を策定するために、埼玉県はパブリックコメントを行いました。このパブコメでは、これまでにない規模の約百人から三百二十一件のコメントが寄せられました。県外からもたくさんの貴重な御意見をいただきましたが、平等に扱われませんでした。それでも計画を所管する地域包括ケア課からは県外の意見も参考にしたと伺っておりますけれども、要は差別されています。パブコメには県内の意見のみとの規定があるのでしょうか。県内外に関係なく、我が県にとって財産となる貴重な意見だと思います。 細かい話に聞こえるかも知れませんが、今回のケアラーのパブコメに限ったことではなく、県全体の損失に関わることだと、そう危惧しました。価値基準の判断を間違えることは、これからの情報化社会、目に見えないものに価値がある時代において致命的な欠点となります。 こうした現状にどう向き合い、今後価値ある情報収集のためにどのように対応していくのか、知事に伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 開かれた県政を実現するためには、様々な分野から幅広く意見や提言をいただき、これを県政に生かすことが重要であります。県民コメント制度は、施策等の立案について県民誰もが意見を述べることができる機会を保障する旨の要綱に基づき行われる、基本的に県民を対象としたものであります。 他方で、施策の実現に向け、議員お話しのとおり、県の内外を問わず県政に寄せられた貴重な御意見に対し、真摯に耳を傾けていく姿勢も重要だと思います。そこで、ケアラー支援計画策定のための県民コメントを取りまとめた際には、要綱に基づく県民コメント部分と県政に寄せられた県民以外からのコメントを丁寧に分けて示したものであり、差別ではございません。 このような県民コメント制度にとどまらず、本県ではほかにも県民に限らず広く意見を聞く制度として県政サポーター制度や知事への提案制度を設けており、実際、県内外から多くの御意見をいただいています。 例えば県政サポーター制度は、満十六歳以上を対象にインターネットを利用し県ヘのアンケートにお答えいただくものですが、令和二年度末には三千四百八名の方に御登録いただき、そのうち二百六十六名が県外の方となっています。また、令和二年度において知事への提案制度に寄せられた御意見、御提案は、全体の約一パーセントに当たる九十四件が県外から寄せられたものでございました。 いただいた御意見、御提案については、全て私が目を通した上で担当する部局に必要な指示を行い、施策等への反映に努めております。私の思いは、県政運営に当たり誰一人取り残さないことを判断基準として常に意識していくことにあります。 改めて、こうした私の考えを全ての職員と共有し、県政に寄せられた皆様の声に対し真摯に耳を傾けるとともに、施策などに反映させていただくことで県政運営にしっかりと取り組んでまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 先ほど差別ではないというお話もいただきました。是非こういったところもしっかりと分かりやすく、そして誰もが気持ちよく意見、そういったものが県政に生かされる、そして私たち県政の発展につながる、そういう仕組み、そういう発信も併せてお願いできればと思います。 それでは、次の質問に移りたいと思います。 二、ヤングケアラー支援の更なる推進について。 (一)更なるヤングケアラー実態調査に向けて。 今年五月にまとめられた国のプロジェクトチーム報告書では、十七人に一人の中学生がヤングケアラーであると、そういった衝撃的な結果が出ました。報告書でも「問題意識を喚起するためには、地方自治体単位で実態調査を行うことが有効である」、そうされています。 しかし、四月十三日の知事会見では、国の結果は県のものと大体同じであり、ある程度把握できたので、今後実態調査はしないとのことでした。要は十分だという、そういった見解かと思います。 しかし、本当に把握できたのでしょうか。ヤングケアラーにおいては不登校などが増える中で、学校からのアプローチが難しくなってきています。そのためには、さらにアウトリーチ的な手段も用いながら実態を把握することが必要ではないでしょうか。教育長に見解を伺います。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 学校においてヤングケアラー支援を適切に進めるためには、児童生徒の実態を的確に把握することが大切です。そこで県では、昨年七月から九月にかけ、県内の全ての高校二年生五万五千七百七十二人を対象に実態調査を全国に先駆けて実施しております。実態調査では二十五人中一人の高校生がヤングケアラーであることや、そのうち約六割の生徒が何らかの支援を求めているとの結果が出ております。 議員御指摘のとおり、学校には不登校などで日頃の家庭での様子が把握しにくい児童生徒がおり、こうした児童生徒の中には家族の看護や介護が原因で学校に登校できないという事例もございます。こうしたことから、教員やスクールソーシャルワーカーなどが一人一人の児童生徒に対してより丁寧に個別の状況やニーズを把握した上で関係機関につなぎ、課題解決に結び付けていくことが大切です。 県といたしましては、アウトリーチ的な手段を用いながらより丁寧な実態把握を行い、ヤングケアラーに関する支援を充実してまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 今の御答弁では調査をするということでよろしいのでしょうか、そういった解釈で、次の再質問をしたいと思います。 私が報告書にあった例を挙げましたけれども、問題意識の喚起のために調査が有効という報告書だったんですけれども、埼玉県はもうそのレベルではないと改めて申し上げたいと思います。数を把握するための実態調査ではなくて、具体的に支援するための調査にどんどんと深掘りする段階に埼玉県は入っている。 二十五人に一人の割合でヤングケアラーが存在して、さらに教育長がおっしゃった六割近くが支援を求めていると。顕在化されないで、しかも自覚もなくて、あるいは介護サービスとか相談先とか知らないまま負担を抱えているヤングケアラーが、この埼玉県内にかなりいるということです。一刻も早い具体的な支援のための調査、この必要性も含めて先ほど伺ったつもりでございます。 再度、御答弁をお願いいたします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 議員から御指摘もいただきましたとおり、高校二年生の中でこれぐらいの量として、数としてヤングケアラーがいて、しかも支援を必要としている者がこれぐらいいるという量的なものは、把握が概要できてきております。 議員から御指摘もありましたように、これからは個々具体的にこの子が何を必要としているのかということについてしっかりと把握していくことが、更なる支援の充実につながっていくというふうに私自身も思っておりますので、先ほど申し上げましたように、不登校がちの生徒がいてなかなか調査そのものもできないというようなことがあって、そういう生徒に対しては御指摘もいただいていましたようにアウトリーチ的な手法も用いながら、一人一人のニーズの把握につながるような調査について、学校を中心にしっかり取り組んでまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 質問を進めます。 (二)ヤングケアラー支援を推進するための施策について。 六月十八日の閣議決定で、ヤングケアラー支援が骨太方針に明記されました。国が本格的に支援するということです。お金が付いてくるということです。 一方、ヤングケアラーの認知度は、令和二年度一六パーセントにとどまっており、まだまだ認知されていません。そこで、本年度のケアラー支援普及啓発事業では、小学四年生から高校三年生までの全ての児童生徒及び教職員を対象として、七十万部のヤングケアラー支援のためのハンドブックを作成、配布するとしています。 全員に配布するということで非常に強い意気込みを感じる一方、作成は福祉部、配布は教育局、それぞれが対応するということで、福祉部との連携がとても重要になると思います。 このハンドブックを通じて適切な知識を行き渡らせ、社会全体で支援するといった目的をどのように果たしていくのか、教育長に伺います。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 児童生徒に対しヤングケアラーについて正しい知識を指導する上で、ヤングケアラー支援のためのハンドブックを活用することは、大変効果的であると考えております。ハンドブックの作成に当たっては、教育局も協力しながら福祉部で作成を進めており、ヤングケアラーの定義や相談窓口などの内容が盛り込まれることとなっております。 このハンドブックを活用することにより、児童生徒自身がヤングケアラーである場合には、気軽に悩みを相談できる人や専門の窓口があることを知ってもらうことを期待しております。そのほかの児童生徒には、周囲には家族の看護や介護をしている友人がいて、理解や支援を必要としていることを知ってほしいと考えております。 また、教員には、このハンドブックを活用してヤングケアラーがどの学校、どのクラスにもいるという認識の下、児童生徒が自分自身や他人を共に尊重する態度や良好な人間関係を築く力などを身に付けられるよう指導することが求められています。そのためにハンドブックを配布する際には、作成の目的はもとより、授業などでの活用の方法、留意点などについて具体的に示し、各学校で積極的に活用されるよう促してまいります。 県といたしましては、このハンドブックを活用した指導を通して、ヤングケアラーに対する理解と支援が社会全体につながるよう積極的に取り組んでまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 教育長から何度も積極的に取り組むと御答弁いただいたんですけれども、再質問させていただきます。 これは言葉で言うほど簡単ではないと、私は思っております。これは教育長が一番分かっていらっしゃるのではないかなと思います。要は教員の負担の問題があります。教育長は今年、予算特別委員会で教員の負担軽減が叫ばれる中でも、ヤングケアラー支援はやはり教員が中心となってやるべきと答弁されました。 先日、あるスクールソーシャルワーカーさんと話す機会がありましたが、その方が「疲れているのは、病んでいるのは学校のほうじゃないか」、そんなこともおっしゃっていました。ヤングケアラー支援の前に教員支援をするべきではないか、そうも思うくらいです。 それでもしっかり取り組めるのか、再度教育長の御答弁をお願いいたします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 教員の多忙化につきまして言及いただきましたこと、ありがたく思っております。ただ、教員はやはり目の前の子供たちが困っているという状況があれば、それは放っておけないというのが教員の本来の姿だというふうに思っております。 現場の働き方改革を進めながら、ケアラー支援が適切に進むよう取り組んでまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 再々質問いたします。 もうそれ以上、教育長、お答えになれるところはないと思いながらも再々質問させていただくのは、これは「ヤングケアラー」という言葉が浸透しづらいからであります。新しい言葉、概念、しかも横文字であります。 昨日、浅井議員にも取り上げていただきました。例えば若者の自殺が減っていない問題であったり、あるいは不登校の問題、改めて言うまでもなく貧困、様々な問題がある。子どもの権利条約に関わる、このヤングケアラーというのは重大なことでもあります。これでヤングケアラーの支援にしっかりと取り組めなかったら、私はSDGs、ましてや埼玉版SDGsと掲げている意味がないと思っております。 一つ、思うことがですね、教育長は例えばヤングケアラーを減らすべきだと考えていますか。それともそうでないと考えていますか。これはまだ質問ではありません。 私の自論というか思いなんですけれども、ヤングケアラーを少なくしなくてもいいと思うんです。ただ、ヤングケアラーになっても大丈夫だよ、あるいはそんな安心してみんなでケアできるような社会にする、福祉教育ですね。あるいは子供たちが大人になったときに、例えば子供が障害を持って生まれてきても大丈夫なんだよ、みんなで支えるよ、支援するんだよ、そういう社会を目指していく。非常に深いものであると思っております。あるいは現場では、お前、ヤングケアラーじゃないのか、家庭内介護なんかしなくていいんだよ、大丈夫なんだぜ、そういうような間違った認識を届けてしまう可能性もあるんです。そのためにもしっかりとした適切な福祉教育はしなければいけない。それぐらいの思いを持っております。 改めて、教育長の御見解を伺います。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再々質問にお答え申し上げます。 様々な家族の状況の中で、家族に対して親御さんですとか、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんですとか、兄弟ですとか、いろんな家族に対して自分が家族の中で果たすべき役割として看護や介護を担っていると。そのことを家族から感謝されて誇りに思っているという生徒もいるかもしれません。ですから、一概に私も議員お話しのとおり、減らすべきだという考えは持っておりません。 ただ、そうした状況の中で、自分の思いとは別に学校に行けないとか、あるいは勉強に時間が割けないとか、部活動が満足にできないとかという状況があれば、それは学校としては放置できないというふうに思っておりますので、子供たち一人一人のヤングケアラーとしての気持ち、立場、そういうものをしっかり理解しながら、一人一人に合った支援ができる学校にしてまいりたいと存じます。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 次の質問に移ります。 (三)心のケアについて。 次に、心のケアについて質問したいと思います。 実態調査では、ヤングケアラーのうち六割が支援を求めており、求められている支援の中身はというと、ざっくり言うと半分は物理的なサービスではなくて心の問題であるということが分かりました。正に心のケアを充実させなければいけない。 ただ治すということではなくて、例えば共にいることとか、あるいは生きる意味だとか、様々な人生相談などもあるでしょう。また、ケアの仕方も例えばハンドセラピー、さすってもらうだけで落ち着くとか、あるいはヤングケアラー支援で進んでいるイギリスなどでは支援の一環で瞑想の時間もあります。すなわち、答えを用意している専門職につなげることばかりではないと思うんです。 こうした心のケアについてどのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 ヤングケアラーは悩みや不安、葛藤など様々な思いを胸に収め、自分一人でつらさを抱え込んでいることが多いため、心のケアを適切に行っていくことが大変重要です。 学校では教員やスクールカウンセラーなどが日頃の児童生徒の様子を把握した上で親身に話を聴くなど、児童生徒の気持ちに寄り添った支援を行っております。また、ヤングケアラーにとって自分の生活や時々の気持ちを伝えられる友人がそばにいることも心の支えになり、何でも話し合うことができ、互いに悩みを打ち明けられるような人間関係をつくることも大切です。 私は、ヤングケアラーを含めた全ての子供たちにとって学校は学びの場であるとともに、教員と子供たち、あるいは子供たち同士の信頼を基にした良好な人間関係の中で、安心して一日を過ごせる居場所であってほしいと考えております。 議員御指摘のヤングケアラーの心のケアにつきましては、このような学校づくりを進める中で、児童生徒一人一人に寄り添いながら丁寧に対応してまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 再質問させていただきます。 スクールカウンセラーが寄り添う、あるいは丁寧にというお言葉をいただきました。ただ一方で、先ほど申し上げたとおり、教員の負担、こういった問題もあります。また、私たちはすぐ専門職につなぐという言葉を使ってしまうんですけれども、例えばカウンセリングにしてもどこか治療という感じがあって、すごく抵抗があるという声が非常に多い。あるいはスクールカウンセラー、先ほど寄り添うという話ありましたけれども、スクールカウンセラーにあまり相談していないという調査結果もあるんですね。でも一方で、実態調査では、相談したい、話を聞いてほしいと、そういうニーズがあることが今回分かったんです。 これは私の自論なんですが、学校とか社会の中に例えば目的のない場所、こういったところが必要なのではないかと思うときがあります。例えば家族や家庭、こういったものに目的があるか、あるいは成果指標が家族とか家庭にあるか。ただ安心して、ただほっとする場所が子供たちに必要になっているのではないかと思うときがあります。社会全体で心のケアに取り組むとは、そういうことなのではないかと思うことがあります。 神奈川県立田奈高校とか、あるいは神奈川県立大和東高校では、地域の人が中心となって学校の図書館にサロン、カフェみたいなものを開設して、昼休みとか放課後には何か甘いものを食べたりとか、あるいは音楽が流れていると、そういったくつろげるような場所ができ始めております。 ふだん執行部の皆さんには、成果指標とかPDCAとかと言っている我々でありますけれども、こういった広い意味での目的のない場所というか、そういったものも必要ではないかなと思うところでございます。 もう少し先ほどの再質問となりますけれども、具体的な考えも含めてそういった取組はないのか、お伺いいたします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 ヤングケアラーといわれる世代は思春期でございますので、どうしても自分のことを周りによく見せたいという思いが強い世代でございます。したがいまして、ケアラーとして家族の介護に当たっている中でも、そのことをあまり人に知られたくない、放っておいてほしいという思いのある子供もいます。あるいはそのことを理解して寄り添ってほしい、悩みを聞いてほしいという子供もおります。 ですから、一人一人の寄り添い方、黙ってそばに座っていてくれればいいという生徒もおります。そうした中で様々な生徒、それぞれの性格などもございますので、一人一人の人間性に合った支援をしていく必要があるかと思いますが、その中で議員から御提案のありました図書館ですとか、あるいは子供によっては部活をやっていれば部室ですとか、いろんな自分が肩の力を抜ける場所があるということが非常に大事だというふうに思っておりますので、学校の中でなかなか場所に制約があるかもしれませんけれども、そうした場所を見つけられるように学校にも指導してまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 心のケアということでなかなか目に見えにくい、また答えにくい質問が続いておりますけれども、御安心ください。次は、提案型の質問です。 (四)ヤングケアラー支援へのオンライン環境の活用についてです。 昨年の一般質問で、私は県の学力・学習状況調査を福祉分野でも活用していくことを提案いたしました。前向きな御答弁もいただきました。今回は更に進めます。 先日、県は今後、段階的にこの調査をオンライン環境を活用したCBT方式、いわゆるタブレット等を使った調査に移行していくというような発表がありました。本格的にオンライン活用を実践していく中で、ヤングケアラーのアンケート調査やオンライン相談、情報提供、こういったものに生かして、ヤングケアラー支援のためのオンライン環境の有効活用を提案したいと思いますが、教育長の見解を伺います。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 国のGIGAスクール構想により小中学校では児童生徒一人一人に端末が整備されるとともに、高等学校においてはBYOD方式によるオンライン学習の環境整備が進んでおります。これにより一人一人の学習状況に応じた課題を配信するなどの個別、最適な学びが可能となります。また、議員御指摘のとおり、ヤングケアラー支援の取組を進める上でも有効に活用できると認識しております。 議員御提案のアンケート調査やオンライン相談、情報提供としての活用につきましては、今後、学校や市町村教育委員会とともに積極的に検討してまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 積極的に検討していくということでございます。非常に前向きな御答弁いただいたと思うんですけれども、再質問させていただきます。 心のケアの部分でも触れましたが、何でも教員が対応していただけるほど現在の教育現場は余裕があるものではないということは、先ほど来より話が上がりました。このヤングケアラーというのは、多数存在することは今回の調査で分かりましたけれども、クラス内では少数派、共感できる存在はなかなかいないんですね。 そんな中、そうした子供たちがオンラインでつながることで、子供同士でも心のケアをし合えるというか、相互補完、支え合いというものがオンラインの中でも始まると、私は予感しております。こうした視点からも、我々が思う以上にとても有効だと思いますので、積極的に検討するというお話がありましたけれども、もう一つ踏み込んだ御答弁を再度伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 GIGAスクール構想で整備した端末を使って、児童生徒同士が悩みを相談し合うようなツールとして活用したらどうかという御提案と受け止めさせていただきました。 まずは現状をしっかりと把握させていただいた上で、効果的な方策について更に検討を進めてまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 次の質問に移ります。 (五)特別支援学校でのヤングケアラー支援について。 障害などのある子の兄弟姉妹のことを「きょうだい児」と言います。前回も取り上げさせていただきました。ヤングケアラー実態調査でも、ヤングケアラーのうち二二パーセントが「兄弟姉妹の介護を行っている」と回答していました。きょうだい児は障害などのある兄弟姉妹をケアしたり、周りの家庭との違いに孤独感や、あるいは家庭内でも孤立感を感じたり、支援を必要とするケースが多くあります。 そこで、県内に特別支援学校四十三校でありますけれども、ケアラー、ヤングケアラー支援を推進するために、生徒はもちろんのこと、その家族、兄弟姉妹にも支援する視点が必要ではないかと考えますが、教育長に御見解を伺います。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのきょうだい児は、障害などのある子供の兄弟姉妹について誰にも相談できずに孤独感を感じたり、自身も支援が必要となるなど、課題を抱えているケースがあると認識しております。このため、特別支援学校におけるヤングケアラー支援を進めていく上で、児童生徒のみならず家族、兄弟姉妹といった家庭への支援という視点が重要であると考えます。 特別支援学校では、担任の教員や市町村の福祉担当者等の関係者で構成されている支援会議において、生徒が抱える課題等について情報共有をした上で関係機関による支援につなげる取組を行っております。また、土曜参観日を活用して、きょうだい児同士が語り合ったり、悩みを分かち合う場を設けている学校がございます。そのほか学校で実施している保護者会の中で、きょうだい児を含め子育て全般について気軽に相談できる機会を設けている学校もございます。 今後、これらの取組を全ての学校に周知するなど、特別支援学校におけるヤングケアラー支援が充実するようしっかりと取り組んでまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) これは再質問を用意していたんですけれども、十分な御答弁いただいたので、次の質問に移ります。 三、ケアラー支援のためサロンの運営支援について質問いたします。 (一)サロン設置の目標について。 昨年度県が行った調査では、ケアラーの四割以上の方が相談や情報がほしいと回答されています。また、ヤングケアラーでいうと更に増えており、六割。サロン設置の重要性、これがうかがえます。それで、令和二年十月時点で市町村介護者サロンは五十三市町村に設置されているものを、埼玉県は令和六年当初には六十三市町村にするとの目標を掲げました。 全市町村に設置することはとても重要と考えますが、当初の設置数を考えるともっと高い目標でもよかったのではないかと思います。この箇所数について、そしてその根拠について、福祉部長に伺います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 令和三年三月に策定した埼玉県ケアラー支援計画では、地域におけるケアラー支援体制の構築を進めるため、数値目標として介護者サロンを設置する市町村数を令和六年四月一日までに全市町村と定めました。これは、まずは介護者サロンが設置されていない市町村に対し、介護者サロンの必要性を理解してもらい、三年間で全ての市町村に設置することが重要であると考え、目標を設定したところです。 介護者サロンの設置に関する理解の輪を広げるため、まずは全ての市町村に介護者サロンが設置されることを目指して積極的に市町村を支援してまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 再質問いたします。 非常に目標がそれでも低いのではないかと思うんです。これは箇所数の根拠を伺いましたけれども、その根拠は伺えませんでした。私は前回の一般質問のときに、スープの冷めない距離、すなわち約一千か所ぐらいが埼玉県内に必要なのではないかと訴えました。私のイメージともしかしたら二桁も違うんじゃないかなというふうに思っております。 先ほどの御答弁でありましたけれども、それにはやはり理想的にどれぐらいのイメージをされているのか、あるいはどれぐらい必要としている人の人数がいるのかと、ある程度イメージして今回基本目標とかを立てていらっしゃるかと思いますので、その辺も含めて再度御答弁いただければと思います。全体的なイメージというか、答えられる範囲で再質問させていただきます。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 再質問にお答え申し上げます。 ケアラーにとって介護者サロンはできるだけ身近にあることが望ましいと考えており、その思いは議員と同じでございます。県としても全市町村に設置されれば、それでよいとは考えてはおりません。 ケアラー支援にはケアラーに身近な市町村の関わりが不可欠ですが、介護者サロンがないとしている市町村は、ともするとケアラー支援の必要性に対する理解が十分ではない可能性がございます。まずはこうした市町村に対し、介護者サロンの必要性を理解してもらうことから取り組みます。 また、条例においても社会全体で支えるということになっております。ということは、やはり全ての市町村が理解してケアラー支援を進めるということが大変重要だというふうに考えております。 三年のうちに全市町村に介護者サロンが設置されることを目指して取り組んでまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) なかなか規模感のイメージまでできていないのかなというところでございますけれども、次の質問に進みます。 (二)サロンの運営支援について。今度は運営支援について伺います。 政府は今年、孤独・孤立対策室を立ち上げました。もう社会全体で様々そういった孤立や孤独という問題が出てきておりますけれども、県ではこうしたコミュニティ確保のために市町村、社会福祉協議会、地域包括支援センター、地域の団体等による介護者サロンの立ち上げについて運営支援を行っていくと伺っております。マニュアル整備も行うようでございますが、立ち上げたいという人にとっては、マニュアルだけでなく後方支援がなければ難しい、そのように思います。 そこで、具体的な運営支援の内容について、福祉部長に伺います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 令和二年度に地域包括支援センターを通じてケアラー本人へ調査した結果、約七割のケアラーが「ケアが原因で自分自身の生活や人生について悩みがある」と答えています。議員お話しのとおり、ケアをしている中で、同じ悩みを持つケアラー同士のつながりを確保することは、ケアラーの孤立を防ぐ上で大変重要と考えます。 介護者サロンを実際に立ち上げた方からは、場所の設定やお仲間の確保、サロンの広報、ケアラーが参加して気軽に話せる雰囲気づくりなどの運営のノウハウがあらかじめ知りたかったという声を伺っております。このため県では、ケアラーが集う介護者サロンなどを運営している団体等を取材し、立ち上げから運営までのノウハウを冊子にまとめ、市町村やNPO、サロンの立ち上げを検討される方などに配布するとともに、県ホームページにも掲載してまいります。 また、介護者サロンの立ち上げを検討される方に対しては、サロンの立ち上げに関するノウハウのある民間支援団体を紹介したり、実際に地元でサロンを運営している方につなぐといった支援も行ってまいります。 介護者サロンの具体的な運営支援については、身近な市町村の理解、協力も重要と考えます。そこで、市町村や市町村の社会福祉協議会でもサロンの立ち上げ支援が進むよう、研修等を通じて介護者サロンの立ち上げのノウハウを学んでいただくとともに、立ち上げの経験者を含むチームを県から派遣して実地に支援してまいります。 このようにして、市町村と連携してサロン立ち上げを希望する方に対し寄り添って支援してまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 是非、この伴走支援という形を実現していただきたいなと思います。 さらに質問を進めます。 (三)オンラインサロンの導入について。 ヤングケアラーを含めると幅広い年代がケアラーになりますので、サロンは多様にしなければなりません。そこで、昨年の定例会で提案させていただきましたオンラインサロンの導入、これが非常に有効かと思います。 実は、私もいわばオンラインサロンのようなものを立ち上げてというか、毎週のように高校生と意見交換をしております。また、オンライン上では参加者同士のネットワークが生まれ、これは拡散していくなということも実感しております。このオンラインでのつながりは、指数関数的に広がるのではないかと言っても過言ではないと思います。 県では、今年度オンラインサロンの実施、これを実際に行うようですが、誰が運営し、どのように声を聴き、そして寄り添っていくのか、規模感など運営の全体イメージも含めて、福祉部長に伺います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 県が実施したヤングケアラー実態調査によると、ケアに関する悩みや不満を誰にも話すことができないヤングケアラーが約二五パーセントおり、ヤングケアラーにとって相談しやすい場が必要と考えております。悩みや不安を抱えるヤングケアラーに寄り添い、傾聴し、共感するには、ヤングケアラーのことを十分に理解した運営が必要です。そのため、ヤングケアラーの支援の経験がある事業者と共にオンラインサロンを運営してまいります。 サロンは、愚痴を言ったり、日頃から抱えている悩みや不安を相談できる場として安心して気軽に参加できるよう、規模感としては一回当たり十人程度の参加者を考えています。おおむね月一回程度、ヤングケアラーが参加しやすい休日に二時間程度での開催を予定しております。 オンラインサロンへの参加のヤングケアラーの呼び掛けは、教育局と連携して行ってまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 是非進めていただきたいと思うんですが、ちょっと再質問させていただきます。 さっき指数関数的にと言いましたけれども、かなり広がっていくのではないかなと私は実感します。先ほどの県が実施するものの規模感というのは、非常に限られたものなのかなと思っています。全体のイメージもちょっと伺いながら進めたいなとは思っていたんですけれども、そのオンラインの重要性を再度御答弁いただきたいなと思っているんです。 これはヤングケアラー同士で相互補完するんですね。お互いみんなで話し合って助ける子もいれば、助けられる子もいるし、そのときの気分も違うし、非常にこのオンラインというところは広がっていく。それと私は、オンラインサロンというのは更に進んで、孤立化して見過ごされがちなケアの状況をオンライン上で外に発信してくれる、いわゆるケアラー支援の目になるというか、そういった役割も出てくるのではないかと思うんです。見えないケアの現場の声をヤングケアラーがもしかしたら発信してくれるかもしれない。これはオンラインサロンの新しい価値、そのように私は思っております。 実際に私も毎週のヤングケアラーの皆さんとのオンラインサロンでいろいろ教えてもらっています。支援する側とされる側というような硬直された関係ではなくなる。これを私は支援の立体化と呼んでいるんですけれども、是非このオンラインサロンの役割、これのイメージも含めて再度御答弁いただければと思います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 再質問にお答え申し上げます。 ただ今議員のほうからお話がありましたとおり、ヤングケアラーにとってオンラインサロンというのは、そうした気軽に参加して実際に自分が助言をしたり、又は助言を受けたりと、そういう場になるというふうに考えているところでございます。 一方、先ほど申し上げましたとおり、場としてはやはり個人の情報というか、それぞれ自分の生の話をしますので、あまり何十人も一緒にやるということになりますと発言の機会もなくなってしまいますので、そういった規模になりますので、その場の内容につきましては、後ほど名前を伏せた上でこういうやり取りがあったということはホームページ等でお知らせして、ヤングケアラーの方にも広く伝えていきたいというふうに思っています。 場合によりましては、今度は名前を出してもいいという方もいらっしゃると思いますので、そうした方でシンポジウム的に話をしていただいて、多くのヤングケアラーの方にそれをウェブ上で見ていただいて、それに対して御意見いただいたりとか、場合によっては悩みのあるようなそういうチャットというか、意見が来れば、それに対して反応してあげたりとか、そういった形で議員がおっしゃったようなことは実現していければというふうに考えているところでございます。 ◆三十四番(吉良英敏議員) それでは、次の質問に移ります。 四、地域包括ケアシステムの構築に向けた今後の取組について。 ケアラー支援に密接に関連する地域包括ケアシステムの構築を掲げて七年がたちます。その間、社会福祉法も改正されました。本来の地域包括ケアシステムのあるべき姿とは、これまでの高齢者介護だけでなく、障害児・者はじめ様々なケアを包括的に支援できる仕組みにすることです。これは縦割りを越えた横軸展開、そしてここにさらにケアラー支援ということになります。今回の予算では、地域包括支援センター職員等を対象とした研修を実施し、ケアラーに対する相談支援体制の強化を図るとあります。 先日、地元の地域包括支援センターのケアマネさんと意見交換をさせていただきました。ケアマネさん、非常に忙しいんですね。ケアラー支援の前に、ケアマネ支援が必要だと思いました。 そこで、提案したいのが、支援資源をいかに増やすかということです。例えば、医師会に協力いただき、病院の医師、看護師の方々にもケアラー研修を行う。病院を受診したら、ヤングケアラーだなと看護師や医師の方にも気付いてもらう。また、こうしたケアは家庭内のトラブルとも関わることが多く、場合によっては警察の方にもケアラー研修を受けていただく、連携するということが必要だと思います。 こうした地域包括ケアシステムの構築に向けて、支援資源の拡充など今後どのように取り組んでいくのか、福祉部長に伺います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、高齢者の支援から始まった地域包括ケアシステムは、その考え方を深化させることが必要であり、ケアラー、ヤングケアラーを含めあらゆる人々を対象としていくことが今求められています。ケアラー支援を推進するためには、ケアラーに関わる可能性がある様々な人々にその支援の必要性について知っていただくとともに、地域で顔の見える協力体制を築いてもらうことが必要です。 このため、ケアラー支援を本来業務としている地域包括支援センターの職員に対して、これまで支援に関する研修を実施してまいりましたが、なお一層充実してまいります。また、ケアマネジャーは支援が必要なケアラー等の地域での発見、把握に重要な役割を果たすため、各種研修の場などを通じて支援について理解をいただいております。 議員お話しの医師等の医療従事者については、認知症のかかりつけ医や歯科医師、看護師、薬剤師等を対象とした研修などの機会を捉えて、ケアラー支援の役割を果たしてもらう必要性について理解を深めてもらう予定でございます。また、警察官等への周知については、どのような方法がよいかも含めて警察本部と調整を図ってまいります。 ケアラーに関わる様々な人々に理解と協力を呼び掛け、今後とも支援資源の拡充やその連携を推進してまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 支援資源を拡充していくという力強い答弁がございました。関連する質問ですけれども、次の質問に移りながら更に進めさせていただきます。 五、ケアラー支援を行う市町村への支援について。 埼玉県ケアラー支援条例第四条(県の責務)には、市町村に「助言その他の必要な支援を行うものとする」とされております。市町村総合相談支援体制だとか重層的支援体制だとかが言われている昨今でありますけれども、相談支援体制については、国も県もどこにつなぐのかを具体的に示しておりません。ケアラー支援計画にも書かれていません。 市町村の支援では、支援の流れをいかに明確に作るか、これが非常に大切になります。いつでも誰でもケアラーになり得る、そういった状況にあり、どんなケアになるかも分からない、縦割りでは対応できないケースもある。正に視界の悪い大海原に放り出されているようなものです。だからこそ、県は灯台のような目印、そしてしっかりとバックアップしてくれる拠点が必要だと私は考えます。 千葉県では、十数年前に障害者の支援として立ち上がった千葉県中核地域生活支援センターが県内に十三か所あり、分野横断的、包括的な相談支援等を行っています。今月、拠点の一つである市川市にある「がじゅまる」さんと意見交換させていただきました。時代の変化とともに役割も変わり、児童虐待や貧困をはじめとした生活支援に取り組んでいます。複雑、混合したケアラー、ヤングケアラーの現場の課題に対応していくため、正にこういったヤングケアラーの場合に、ケアラーの場合に、正にこうした包括的なバックアップ拠点が必要ではないかと思います。 一方、埼玉県の場合は、県庁から市町村支援という形であるため、現場のことは市町村に丸投げという場合が非常に多いようにも思います。さらには丁寧なバックアップをしていくことが求められていながらも、アドバイザー派遣にとどまってしまったり、無責任な御当地主義にも見えるときがあります。 ここで、この違いを分かりやすく説明するために、こちらを御覧ください。 ネットワーク・トポロジーを参考に申し上げます。これまでがこのツリーと呼ばれる樹形図トポロジー、一般的ですね。正に国、県、市町村、各地域包括のようなつながり方であります。ちなみに、緑の丸が県として見ていただければと思います。よろしいでしょうか。 それを今度はこちらのトポロジー、コネクテッド型。何が違うか。ポイントは二つあります。一つ目は、県もこのネットワークの中に入っているというところですね。 そして二つ目は、接続されている線の数に御注目ください。数学に強い人は何倍に増えているか分かりますでしょうか。このツリーのほうはもう一度お見せしますが、六本ですね。それがこちらになると何倍でしょうか、三倍の十八本に増えています。昨晩、何度も数えましたので間違いないと思います。 あえて現場を意味する青い丸を一つ付けてみました。どのように接続されるか、想像してみてください。指数関数的な接続の増加を見せます。これは連結力、すなわち複雑化、困難化した事例の解決力アップにもなります。市町村をバックアップできる県の体制を築くことで具体的事例に共同支援ができ、ケアラー支援の一層の推進につながるのではないでしょうか。 県が先頭に立って灯台、そしてバックアップ拠点の役割を果たすべきではないかと考えますが、福祉部長の見解を伺います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 ケアラー支援につきましては、令和三年三月に策定した県ケアラー支援計画に基づく体系的な取組が始まりました。まずは、各種研修会などを通じて市町村で支援に携わる方々に、計画の趣旨やケアラー支援の必要性を十分に理解していただくことが重要と考えております。 ケアラーが抱える個別の課題に対しましては、住民により身近な市町村が主体となって相談者に寄り添い、支援していくことが適切と考えます。このため、県ケアラー支援計画において、令和六年四月一日までに全市町村にケアラーからの相談などに対応するワンストップ型総合相談窓口や複合課題を調整するチームを設置することを目標として定め、施策を推進しているところです。 ケアラー支援を行う市町村の支援につきましては、市町村の相談体制の構築を支援するアドバイザーの派遣を行います。これには県職員も同行し、共に課題の整理や実現に向けた方策の検討を行うなど、伴走型の支援としてまいります。また、これまで市町村支援を展開していた地域包括ケア総合支援チームに新たにケアラー支援の役割を組み込み、直接訪問して支援を行うこととしております。 さらに、市町村においてケアラー支援に携わる人材の育成が何より大切であるため、担当職員や地域包括支援センターの職員等に対して研修を計画的に実施し、自治体の先行事例の共有を行うなど、きめ細かく支援を行ってまいります。 先ほど議員からネットワークの形についての事例がお示しされましたが、正に地域の様々な主体がケアラーに関する理解を十分に深め、包括的な支援が行えるようになることが理想でございます。 これらの取組を通じて、市町村が針路に迷うことなく効果的なケアラー支援に取り組めるよう、しっかりと市町村をバックアップしてまいります。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 是非、しっかりとバックアップしていただきたいんですけれども、再度質問させていただきます。 これは一般論のアドバイスではなくて、正に課題を一緒に解決してほしいという声が非常に多いんですね、現場の声です。答弁いただいた支援の方法、これは市町村が、現場が、本当にそれで助かっているかどうかに是非耳を傾けていただきたいと思います。県のいわゆるアドバイザーとか、あるいは調整監督役というんですけれども、正に県も一緒にプレーヤーになることがとても重要だと思います。それが知事の言うワンチームとか、そういった概念にも結び付くのではないかと思います。 再度もう一声、御答弁をいただければと思います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 再質問にお答え申し上げます。 地域における個別具体的な事例につきましては、まずは住民に身近な市町村が主体となって支援していくことが適切であるということは、これは考えはそのとおりでございますけれども、当然、県も例えば市町村単独で対応できない困難な事例であるとか専門的な課題、家族の中で薬物中毒の方がいるとか、精神疾患の方がいるとか、そういう市町村単独では対応できない課題がございます。そうした場合には県が、県の中でも地域包括ケア課が中心となりまして庁内の関係課所と連携して、必要に応じて専門機関につなぐなど、市町村の問題の解決に向けた支援を行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆三十四番(吉良英敏議員) それでは、最後の質問に入ります。 六、ケアラー支援の普及啓発について。 本年十一月、フォーラムをはじめとしたケアラー月間が開催されることになりました。ケアラーの認知度は令和二年度調査で一七パーセントにとどまっており、条例の基本理念である社会全体で支えるために、まず社会に広く浸透させることが大前提となります。ちなみに私も、独自に発行するこのケアラー新聞、電子版がメインになりますけれども、紙ベースでも二万部の発行を通じて普及啓発に取り組んでおります。 そこで、ケアラー月間中の普及啓発について四点、御提案させていただきます。 まず、当事者の声をしっかりと聞くためにヤングケアラーの体験記や作文、これをしっかりと募集しておくこと。ケアラーはどんな存在なのか、まだまだ認知されていない現状だからこそ編集していない意見、特に子供の意見が大切かと思います。 次に、学校で授業をやってみるということです。身近なところから接点を増やしていく。 三点目、ヤングケアラー調査で「支援してほしい」と回答があった方に向けて、実際にその期間中につなげてみる。 四点目、県内の市町村とも連携し、ケアラー月間中にアクセスしやすいポータルサイトみたいなものを立ち上げ、様々なネットワーク、例えば世界のケアラー支援情報であるとか、先進的な支援の現場の取組を紹介するとか、そういった社会全体で行えるような、そういった取組を紹介していくということを提案させていただきます。これは全国から注目されるからこそ、今後につながるものにしていきたい。 これらの提案を含めながら、ケアラー月間に対するイメージを福祉部長に伺います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 吉良英敏議員の御質問にお答え申し上げます。 埼玉県ケアラー支援条例の基本理念であるケアラーを社会全体で支えることを目指すためには、県民にケアラーのことを知ってもらうことが何より重要です。議員お話しのとおり、当事者の声を聞くことは重要なことですので、県が実施するヤングケアラーオンラインサロンに参加した当事者の声などをフォーラムの場などで発表できるようにしてまいります。 次に、図書館などにヤングケアラーのコーナーを作ることについてですが、施設によっては時宜に合わせて様々な企画ものを実施しておりますので、コーナーの設置に向けて関係機関と調整してまいります。また、学校で授業をやってみることについては、今年度から県政出前講座の中にヤングケアラーの現状や支援の必要性を伝えるテーマを設け、学校の授業でも利用いただけることとしております。 三点目のヤングケアラーの支援については、オンラインサロン開催やヤングケアラーからの相談を受ける窓口などを掲載したヤングケアラーハンドブックの作成などにより、支援体制の構築や居場所につなげていきたいというふうに考えております。 四点目のポータルサイトについては、現在も県ホームページにケアラー専用のページを作成していますが、十一月のケアラー月間に向けてページを一新し、市町村とも連携して先進的な事例や取組の情報を発信してまいります。 十一月に設定したケアラー月間は、期間中に集中的に広報・啓発を行うことでケアラーについて知っていただくとともに、ケアラー支援に関する機運を醸成する機会となることを目指してまいります。市町村をはじめケアラーを支える関係団体や経済団体、職能団体などに幅広く協力を呼び掛け、官民一体となって月間を大いに盛り上げていきたいと考えております。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 二分ありますので、再質問させていただきます。 私なりにケアラー月間のイメージをしてみました。ここでの質問もケアラー月間に対する全体のイメージを聞きながら提案もさせていただきましたけれども、例えば私たちの社会というのは、私はヤングケアラーを必要としていると思っています。例えばきょうだい児、これも社会が必要としていると思いました。これは小さい頃から障害児とともに生きてきた経験、これはこれからの共生社会にとってもとても貴重なものだと思っています。 そして共生社会の前に共感する社会、これが必要であります。もし私が経営者なら、学校の校長先生だったら、スタッフに兄弟、きょうだい児、ヤングケアラー、そういった人たちと一緒に過ごして活躍してもらう、そういった思いがあります。 最後に、再質問になりますけれども、社会の新たな価値をつくるという意味でケアラー月間、このイメージを再度お伺いできればと思います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 再質問にお答え申し上げます。 先ほどの御答弁でも申し上げましたが、埼玉県ケアラー支援条例の基本理念にあるケアラーを社会全体で支えることを目指すためには、県民にケアラーのことを知ってもらうことが何より重要でございまして、十一月の月間はまずこれを実現するためにということで取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ですので、様々関係する方がいらっしゃいますが、さらに賛同する企業又は団体には、例えば従業員の仕事と介護の両立支援、広報・啓発、研修会などに自ら取り組むことをケアラー支援宣言として宣言してもらうような取組を月間中に考えております。もちろん県も宣言を行います。 また、オンラインによるフォーラムを開催して、学識経験者からの基調講演や関係団体の方も含めて支援の在り方などを議論していただいたり、現にケアラーとして頑張っている方からのメッセージなどもいただきたいというふうに考えております。 このほかにも月間中にヤングケアラーからの相談を受ける窓口などを掲載したヤングケアラーハンドブック、これにはヤングケアラーの定義でございますとか、セルフチェック表などもつけたいというふうに思っておりますが、こうしたものを配布したりとか、オンラインサロンなどを行うことにしております。 こうした様々な取組を集中的に行うことによりまして、ケアラーを社会全体で支えるという機運をつくっていきたいというふうに考えております。 ◆三十四番(吉良英敏議員) 是非、成功させていただきたいと思います。 最後に、県民の皆さんとケアラー支援の価値を共有できますこと、そして社会全体で支援することを願い、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)          ---------------- △休憩の宣告 ○岡地優副議長 暫時、休憩いたします。午後二時十七分休憩          ----------------午後三時一分再開 出席議員    九十名  (本会議場で審議)     二番    三番    七番    八番    十一番   十二番   十四番   十五番    十七番   十八番   二十番  二十一番   二十三番  二十四番  二十六番  二十七番   二十八番   三十番  三十一番  三十三番   三十四番  三十六番  三十七番  三十九番    四十番  四十二番  四十三番  四十五番   四十六番  四十八番  四十九番  五十一番   五十二番  五十四番  五十五番  五十六番   五十八番  五十九番  六十一番  六十二番   六十四番  六十五番  六十七番  六十八番    七十番  七十一番  七十二番  七十三番   七十五番  七十六番  七十八番  七十九番    八十番  八十二番  八十三番  八十五番   八十六番  八十八番  八十九番  九十一番   九十二番  (新型コロナウイルス感染防止のため第四委員会室で審議)     一番    六番    九番   十三番    十六番   十九番  二十二番  二十五番   二十九番  三十二番  三十五番  三十八番   四十一番  四十四番  四十七番   五十番   五十三番  五十七番   六十番  六十三番   六十六番  六十九番  七十四番  七十七番   八十一番  八十四番  八十七番   九十番   九十三番 欠席議員    なし 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人  (本会議場で出席)   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   副知事(高柳)  企画財政部長   環境部長     保健医療部長   県土整備部長   公営企業管理者  下水道事業管理者   教育長      選挙管理委員会委員長  (新型コロナウイルス感染防止のため執務室で待機)   総務部長     県民生活部長   危機管理防災部長   福祉部長     産業労働部長   農林部長     都市整備部長   会計管理者   警察本部長
    △再開の宣告 ○木下高志議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○木下高志議長 質疑質問を続行いたします。 七十番 梅澤佳一議員       〔七十番 梅澤佳一議員登壇〕(拍手起こる) ◆七十番(梅澤佳一議員) 議席番号七十番、東第四区、久喜市選出の梅澤佳一です。 今日は今回、更なる広域行政を推進することで、県民が受ける行政サービスの向上につながると確信し、質問いたします。 まず初めに、県内のごみ処理の広域化について伺います。 県内のごみ処理施設を見ると、多くは老朽化が進み、更新時期を迎えているようです。人口減少や産業廃棄物、エネルギーの有効利用、大規模災害の頻発による災害廃棄物の増加など、廃棄物処理を取り巻く状況が大きく変化する中で、将来にわたり持続可能な適正処理を確保していくためには、中長期的な視点で安定的、効率的な廃棄物処理体制を構築していく必要があります。 国においては、安定的かつ効率的なごみ処理体制を維持するために、廃棄物の広域的な処理や廃棄物処理施設の集約化が必要であるとしています。一部の市町村では、近隣の市町村との広域化に向けた話合いが進められていますが、当事者同士ではなかなか解決できない課題もあるようです。令和二年三月には、広域化を目指して設立された組合が相次いで解散したことからも、当事者同士の話合いの難しさを示しています。 また、広域化になった場合は、分別・処理方法の変更なども検討され、その際、これまでプラスチックを分別回収していた市町村が広域化、集約化後、世界や国の資源循環への流れに逆行し、可燃ごみとして処理するなどの事例も想定されます。 市町村自身が今後の処理施設について真摯に話し合うことはもとより、広域行政を担う県が市町村の話合いに積極的に関与し広域化を推進していくとともに、処理方法など技術面からの支援をしていくべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、(二)水道事業の広域化について伺います。 埼玉県は、土地水政策課で水源を確保、企業局で浄水し、飲料水を作ります。各市町村の事業者へ給水しており、生活衛生課で各事業者支援を行ってきました。平成十七年に企業局では、水道の供給単価を統一し、浄水場の整備や昨年度からは高度浄水処理の導入に取り組んできました。今では地域によって一〇〇パーセント県水という自治体もあります。 この一方で、水道の広域化は進んでいません。水道法が改正され、水道事業の広域化は地域の水道事業の安定化と基盤整備を高め、水道の安全で安定した供給を達成することが目的であります。そのために各地区では県が主体となって勉強会を行い、県下を十二ブロックにすみ分けし、ブロック内での水平、垂直の統合を目指してきましたが、成就したのは秩父地域のみでした。総論賛成、各論反対なのでしょうか。首長や議会は独立を望んでいるのでしょうか。 水道は命の源です。現在では災害に強く、すばらしい水道管も開発されています。しかし、このような管ができていても布設替えもできない、国庫補助制度があっても申請できない、水道料金は上げたくないなど課題は多く、将来迫る大規模な施設の更新が心配です。 そこで、水道事業の広域化について進めていただきたいと思いますが、知事の御所見を伺います。 また今後、水道事業の全体を見ると、企業局の役割や責務が求められます。企業局には水道事業全体を見据え事業者に寄り添い、末端給水の更なる支援を望みますが、公営企業管理者の御所見を伺います。 次に、(三)広域行政や広域連携による埼玉県の未来に向けてについて伺います。 さきに質問したように、埼玉県も多くの課題解決のためにも広域行政や連携が必要であると思います。埼玉県は東京都に隣接し、比較的平地が多い地域です。ごみ処理や水道、下水道、消防、災害対策など、まだまだ広域行政の推進によって無駄をなくし、スケールメリットを生かす施策が必要と思いますが、知事の御所見を伺います。 また、今回のコロナ対策では東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県が広域連携で対策を実施しながら連携を深めてきました。今後についても予断は許されない状況ではありますが、多くの財産を得たように思います。一都三県が連携することで各県が抱えている問題や課題、例えば人口減少や高齢化対策、少子化対策、災害対策、また婚活や観光など様々な取組が生まれそうな気がします。 コロナという災害が一段落したときには、それぞれの地域資源を生かしながら経済の活性化をみんなで模索し、本県の未来を切り開いていくためにも協力しなければなりません。一都三県の広域連携について、知事の御所見を伺います。 次に、保健所の機能強化策について伺います。 私は、昨年十二月定例会でも保健所の人員の確保について伺いましたが、今回は保健所の機能強化対策について伺います。 平成二十一年二月定例会では、埼玉県保健所条例の一部を改正する条例が可決、成立しました。趣旨は5か年計画の地域区分の整合性を図り、簡素で効率的な行政組織とするために保健所を再編するものです。 内容としては、大きく三つあります。 一つは、所管区域の見直しとして、5か年計画の地域区分を基本に保健所の所管区域を改める。 二つ目は、保健所の移転であり、施設の老朽化や所管区域での保健所の位置などに配慮し、所沢保健所、越谷保健所に替わり、それぞれ狭山保健所及び草加保健所を設置しました。 三つ目は、関係条例の改廃として福祉保健総合センターの廃止で、十か所ある福祉保健総合センターを廃止、埼玉県感染症診査協議会条例の一部改正をし、保健所の再編に伴い規定の整備を行うこととしました。これによって、保健所と福祉総合事務所を分離し、併せて十一の分室も廃止されました。 平成二十二年四月、保健所再編が実施され、私もこの機に県議会でこの条例改正や実施に向けた機能強化につながるものと賛成した次第であります。しかし、保健所は食品衛生や動物対策、感染症、地域医療など多くの仕事を抱えており、年々社会生活の変化とともに仕事が増えてきているように思います。 県では、県内を四か所に分けて地域保健における課題の専門、高度化、広域化への対応や保健所の更なる専門性への向上、所管区域を越えた保健所相互の連携強化を目的に拠点保健所を設置し、機能強化を図ってきました。しかし、拠点保健所の設置によって機能強化が図られてきたのでしょうか。分室の廃止により地域との関わりをなくしていなかったのでしょうか。感染症の戦いは続きますなどと、多くの心配をしています。 そこで伺います。埼玉県の保健所はこのままでよいのでしょうか。平成二十二年以降の再編整備の結果については、どう総括されますか。各保健所を見ると、多くの保健所は老朽化、狭あい化で困っています。また、区域内の人口の変化、事業者数の推移、保健所の立地など、今こそ更なる再編を考えるときと考えますが、いかがでしょうか。知事の御所見を伺います。 次に、県立高校について伺います。 本年度の県立高校の志願者倍率を見て感じることがありました。これは先日、八子議員の質問と少しダブるところがありますが、違う視点からも質問させていただきます。 毎年、スポーツ等で人気の県立高校の受検者数の減少、倍率の低下がありました。特に地域密着といわれる学校で定員を下回る傾向が顕著にうかがえます。ここ五年間での中学生卒業予定者数を見ると、平成二十九年は六万五千五百十六人、令和三年度は六万一千百八十二人と四千三百三十四人減少していますが、県立高校志願者数はこれを大きく上回る七千三百三十六人減少しています。 また、授業料について国や県の補助制度もあり、私学への進学も容易になっています。中学校の先生や塾の先生にも伺いましたが、地域によっては大学への道や学校推薦などを考え、私学への希望が多いとのことです。大学への一般受験の回避傾向もあります。 県立高校の令和三年度入学者選抜の倍率から見ると、上位校ベスト5は、普通科、一位、川越南一・六七倍、二位、大宮一・五一倍、三位、所沢北一・四三倍、四位、浦和一女・浦和西一・三八倍で、専門学科では、一位、大宮理数科二・三五倍、二位、越谷北理数科一・七五倍、三位、松山理数科一・七五倍、四位、所沢北理数科一・七三倍、五位、久喜工業情報技術科一・六〇倍でありました。 また、倍率の低い学校は、普通科では、一位が飯能南〇・二三倍、二位、児玉〇・四八倍、三位、鳩山〇・四九倍、四位、八潮〇・五八倍、五位、蓮田松韻〇・六〇倍で、総合学科含む専門学科では、一位、羽生実業ビジネス会計科〇・〇〇倍、二位、小鹿野総合学科〇・二九倍、三位、皆野商業系〇・三二倍、四位、羽生実業商業科〇・三三倍、五位、芸術総合音楽科〇・四〇倍でした。 現在の県立高校が生徒や社会のニーズに合うのか心配であります。 今、私たちの地域の学校の様子を見ると、小規模校でありながら更に少人数学級に編成し、習熟度別指導や補習授業も実施してくれています。大変ありがたい限りであります。県は、小規模校といわれる学校や地域の教育委員会にヒアリング調査も実施しています。この調査は、県立高校の再編整備に生かされるものと思います。 また、昨年より産業界でもコロナの大きな影響が懸念され、高校生の就職も心配です。コロナ以前は多くの企業が学校を訪れ売手市場でありましたが、オイルショック以来の大きな打撃を受け、経済は不安定化しています。きめ細かな支援が必要です。 そこで、四点、教育長に伺います。 一点目は、今年度の県公立高等学校の入学者選抜の状況をどのように総括するのか。 二点目は、受検生から見る県立高校の魅力とはどのように考えるのか。 三点目は、学校や地域へのヒアリング調査を踏まえ、再編整備にどう生かしていくのか。 四点目は、コロナ禍での高校生の就職状況はどうなっているのか、またどのように支援していくのか。 以上、四点について、高田教育長の御所見を伺います。 次に、埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進計画について伺います。 まず、計画の進捗状況について伺います。 昨年十月二十七日、循環器病対策推進基本計画が閣議決定されました。この計画は、健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法に基づいて策定されたものです。循環器病対策推進基本計画は、循環器病対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、循環器病対策の基本的方向について定めるものです。そして、各都道府県は、地域の実情に合わせた都道府県版循環器病対策推進計画を今年度中に策定しなければなりません。 埼玉県ではいち早く埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進協議会を設置し、第一回目の会合が昨年十月二十二日に開催されました。会合では、同循環器病対策推進協議会の中に、脳卒中部会と心疾患部会の設置が決まり、その後それぞれの部会において活発な議論が交わされているやに聞いているところであります。 そこで、埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進計画の策定状況について、保健医療部長に伺います。 次に、(二)「第七次埼玉県地域保健医療計画」との整合性について伺います。 現在、第七次の埼玉県地域保健医療計画の中間見直しが行われている最中であります。この計画は、異次元ともいえる超高齢化社会を迎える本県において、将来にわたり持続可能で質の高い保健医療体制を確保するため、二〇一八年度から二〇二三年度までの六年間に取り組むべき施策の方向性を示しています。 そこで、第七次埼玉県地域保健医療計画と埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進計画との整合性について、保健医療部長に伺います。 次に、(三)「心不全パンデミック」、心臓弁膜症の明記をについて伺います。 心不全パンデミックとは、高齢者が増加することで高齢者の心不全が急激に増加することを意味します。全国ではおよそ一万人ずつのペースで心不全により入院する患者さんが増加しています。一般社団法人日本循環器学会の循環器病疾患診療実態調査によると、平成二十八年は二十六万百五十七人、平成二十九年は二十八万一千四百八十一人、平成三十年は二十八万九千五百九十九人が心不全で入院されました。このことからも心不全にもっと注目し、その対策が必要と強く思います。 心不全の原因疾患の割合は、七十代の高齢者においては弁膜症、心筋梗塞、高血圧の三つが原因の多くを占めています。中でも弁膜症は見過ごされやすいと言われており、一般社団法人心臓弁膜症ネットワークが昨年行った患者さんへのアンケート調査では、当初症状を感じたものの受診した人は四〇パーセントのみと報告されています。このアンケートでは、「弁膜症と診断がされるまでに長い時間がかかった」という声が多く寄せられ、「診断がつくまでに一年以上かかった」と回答した人も一六パーセントほどいたということです。 これらを踏まえて、埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進計画では、心不全及びその主要な原因疾患である弁膜症などについて、一つ、県民への認知度向上のための啓発活動の推進、二つ、心不全とその原因疾患を意識した診察が行えるよう、かかりつけ医の機能の充実、三つ、対象者が適切なタイミングで診断、治療を受け、再発、重症化予防までが確実に行われるよう、拠点となる医療機関と地域関係者のより一層の連携、協働を促す取組などの推進が望まれます。 そこで、これらをきちんと明記すべきと考えますが、保健医療部長の御所見を伺います。 次に、中小流域下水道の将来を見据えた経営基盤の強化について伺います。 私の地元である久喜市が加須市の一部とともに加入する古利根川流域は、その南部に位置する中川流域と同じ昭和五十八年に運用を開始いたしました。その際、両流域の維持管理負担金単価は四十二円と同額でありましたが、現在では中川の四十円に対して、古利根川は七十八円と大きな差が生じています。 担当に久喜市近隣地域の流域下水道への接続状況を聞いてみると、加須市は古利根川流域への接続を検討したが、延長が長く工事費が高くなるため、断念。羽生市は桶川市にある荒川左岸北部流域までの延長が長く、途中にポンプ場も必要なことから断念しています。 久喜市を中川流域につなげることも検討しましたが、宮代、幸手、白岡にある管は大きさが小さく、流量を飲み込むことができません。管を大きな管に替えるには工事費がかかり,さらに中川流域に入るには、中川流域がこれまで投資してきた費用であるいわば支度金だけで二十七億円、工事費を加えると約百億円以上かかる試算が示され、声も出ませんでした。 こうした状況の中、令和四年度には古利根川流域の維持管理負担金の改定が予定されています。流域下水道の維持管理負担金は、向こう五年間の収支を基に算定されていますが、古利根川流域を含む中小流域下水道の経営環境は、人口減少や施設の老朽化などによって更に厳しくなることが予想されます。 この際、料金改定のみならず、流域下水道の明るい将来につながるような方策を検討していただきたいと考えます。中小規模流域の経営基盤の強化を図るため、市町と協力した広域化はもとより、新たな発想が必要ではないでしょうか。 そこでまず、格差是正に向けたこれまでの取組について、下水道事業管理者に伺います。あわせて、今後明るい未来につながる取組について、下水道事業管理者に伺います。 次に、六、立候補予定者説明会における出席者の旧姓の通称名使用について伺います。 内閣府男女共同参画局が今年三月に公表した女性の政治参画への障壁等に関する調査研究報告書は、地方議員男女合計五千五百人に対するアンケートを行っていますが、その中で立候補を決める段階から選挙期間中の課題として、「旧姓を含む通称の使用ができない」又は「手続が煩雑である」と回答した女性議員が七パーセントいたことが挙げられています。 また、去る六月十六日に政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の改正が公布され、同日に施行されました。この法改正では、これまで国や地方公共団体には、政治分野における男女共同参画の推進に関する環境整備等を講じるよう努力義務が課せられていたところが義務化されました。都道府県では都道府県議会議員選挙などに際し、女性が立候補しやすく、議員となった後も活動しやすい環境等を整備する必要があります。 このような中、六月十四日付けの毎日新聞には、東京都議会議員選挙の立候補予定者説明会において、旧姓の通称名の使用が認められなかったケースが紹介されています。立候補予定者は、これまで旧姓で活動してきたことから立候補予定者説明会でも使用しようとしましたが、認められなかったというものです。 都選管は毎日新聞の取材に対し、立候補届出時には戸籍謄本などで旧姓を確認して旧姓などの通称名の使用を認めているが、一方で、説明会の時点では立候補が確定しない場合もあることから、旧姓の確認をせずに使用を認めてこなかったと回答しています。なお、都選管は今回の女性らの訴えを受けて対応を検討中であるとし、旧姓の使用に問題はないと判断した上で、今後は使用を認める方向で調整しており、次期衆議院議員選挙から適用する見通しであるとしています。 そこで、選挙管理委員会委員長に伺います。東京都議会議員選挙の立候補予定者説明会において旧姓の通称名の使用が認められなかったことについて、どのように受け止めておられるでしょうか。 次に、本県では、今般の政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の改正を受けて、立候補予定者説明会において旧姓の通称名の使用を認めるべきと考えますが、選挙管理委員会としてどのように対処なされるのか、お答えいただきたいと思います。 次に、地元問題です。 (一)県道加須幸手線バイパスの整備について伺います。 県道加須幸手線バイパスは、旧鷲宮市街の北部を東西方向に走る幹線道路です。この道路は、東北道加須インターチェンジがある国道一二五号から二つの工業団地を抜けて、桜の観光名所であります権現堂堤がある国道四号をつないでおり、正に地域経済活動を担う重要な道路であります。 これまで県道さいたま栗橋線から国道四号まで開通したことにより、周辺道路の渋滞は緩和され、地域を結ぶ動脈としての効果が現れております。しかし、その西側については一部完成している区間もありますが、まだ未整備の区間が多く残っています。地元としても一日でも早く全線開通するよう大きな期待を寄せています。 また、旧栗橋の済生会栗橋病院の加須市への移転が完成しますと、多くの地域住民はこの道を利用することで時間の短縮が見込まれます。利用者の健康を守る大切な道路でもあります。現在、加須川口工業団地の区間が整備されていることから、まずは加須川口工業団地から県道さいたま栗橋線までの鷲宮工区を早期に供用させることが必要と考えます。 そこで、県道加須幸手線バイパスにおける鷲宮工区の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。 次に、(二)県道川越栗橋線小林交差点の整備について伺います。 県道川越栗橋線は、川越市から久喜市に至る主要な幹線道路であります。久喜市におけるこの県道は多くの方が通勤通学に利用し、沿線にはモラージュ菖蒲や清久工業団地など大型商業施設や工業団地が立地するとともに、菖蒲城址あやめ公園などの観光施設もあることから、県道川越栗橋線の交通量は近年増加傾向にあります。 このうち、市道菖蒲五号線及び県道笠原菖蒲線と交差する小林交差点は、朝夕を中心に渋滞が発生しており、変則的な交差点形状であることから交通事故も起きている状態です。現在、県では交差点整備を進めていただいておりますが、地元からは早期の完成が望まれています。 そこで、県道川越栗橋線小林交差点の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。 次に、(三)一級河川野通川・小林調節池の整備について伺います。 近年の気候変動の影響に伴い頻発する台風や集中豪雨により、野通川流域は道路冠水をはじめ、たびたび浸水被害に悩まされております。このような中、小林調節池は野通川流域の治水安全度向上のため、県が整備を進めている調節池であります。平成三十年、令和元年には本格的な工事の着工に向け、排水機場の配置など具体的な計画について杉戸県土整備事務所が地元説明会を開催し、この説明会には私も出席したところであります。 この付近では、工事に先立ち埋蔵文化財の発掘調査が行われ、発掘では貴重な土器や土偶をはじめ数多くの文化遺産が発掘されたこともあり、開始以来多くの時間が費やされてきました。そのため、工事開始当時の計画からは変更されましたが、地元水利団体や住民の方との調整に丁寧に対処してくれたおかげで、地元調整も完了しました。今後は防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の一環として、事業のスピードアップが望まれます。 そこで、一級河川野通川・小林調節池の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長に伺います。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○木下高志議長 七十番 梅澤佳一議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 梅澤佳一議員の御質問に順次お答え申し上げます。 まず、更なる広域行政の推進についてのお尋ねのうち、県内のごみ処理の広域化についてでございます。 現在、県内では市町村等が設置するごみ焼却施設は四十七施設であり、そのうち二十二施設は設置後三十年以上となるなど老朽化が進んでおります。こうした施設の更新などには多額の費用を要することになり、広域化や集約化による効率的な処理体制の構築を検討することが必要となります。ごみ処理の広域化や集約化は、施設の整備や維持管理の効率化により経費が削減されるとともに、高効率なごみ発電施設の設置も可能となるなどのメリットがございます。一方、広域化に向けましては、収集・運搬経路の延長、分別方法の統一など慎重な検討が必要な課題もございます。 主に家庭ごみである一般廃棄物の処理は、住民生活に密接に関わる市町村の基本的な業務であり、住民の十分な理解の下、市町村が主体的に検討を進めていくことが何より重要であります。そのため県としては、市町村からの要請などに応じ広域化に向けた話合いなどにオブザーバーとして参加し、市町村の主体的な検討が進むよう積極的に支援しております。 また、処理方法など技術的な面からも、ごみ処理技術に知見を有する環境科学国際センターの研究員を市町村に派遣し、適切な助言を行うよう努めております。さらに市町村を対象とした研修会を開催するなど、広域化のメリットや先進的な分別収集事例、ごみ処理技術をはじめ幅広く情報提供を行ってまいります。 県といたしましては、こうした取組により市町村の安定的、効率的なごみ処理体制の構築をしっかりと支援してまいります。 次に、水道の広域化についてのお尋ねのうち、水道事業の広域化を進めることについてでございます。 水道事業の基盤強化を図るため、複数の水道事業者の間で事業統合などにより広域化を推進することは、有効な方策であると考えます。平成二十三年三月に策定した埼玉県水道ビジョンでは、県内を十二のブロックに分け、令和十二年度を目途にブロック単位での広域化を目指すこととしています。これまでブロックごとに検討部会を設け、広域化について協議してまいりましたが、実際に事業統合に至ったのは秩父地域ブロックにとどまっております。 水道ビジョンの策定後に各事業者は自己の経営環境の将来像を客観的に把握するため、経営状況の分析や施設更新のシミュレーションを行い、中長期的な経営戦略を策定いたしました。その結果、当面事業統合ではなく、資材の共同購入や電算システムの共用化といった他の事業者との事業連携により、事業基盤の強化を図ることを望む事業者も出てまいりました。 議員お話しのとおり、広域化の目的は安全な水を安定供給できる事業基盤を整備することにあります。この目的を達成する新たな考え方として、これまでの事業統合を前提とした広域化に事業連携を加えた広域連携という考え方が、平成三十年十二月の水道法改正に合わせ、国から示されたところであります。 議員御指摘のとおり、広域化については調整に困難がある部分も多く、今後、各事業者から個別に聞き取りを行い、それぞれの現状や意向を反映させる形で水道ビジョンを見直すことも踏まえ、広域化に加え広域連携の推進に努めてまいります。 次に、広域行政や広域連携による埼玉県の未来に向けてのスケールメリットを生かす施策についてでございます。 市町村が共通する課題を解決するため、一部事務組合や協議会をはじめとする広域行政の仕組みを活用することは、無駄をなくし、行政サービスを効率的、効果的に提供するための重要な選択肢の一つであると考えます。県では、広域行政を推進するため広域化のメリットについての情報提供を行うとともに、市町村からの相談にきめ細かく応じ、必要に応じて財政的な支援も行っています。 こうした中、西部地域の十七市町村では、スケールメリットを生かして業務の効率化を図るため、令和六年度からの消防指令業務の共同化を目指しております。これにより、維持管理費の縮減や情報の一元化による相互応援体制の強化などが期待されております。 広域行政は市町村間で自律的に調整されていくことが基本であると考えておりますが、県といたしましても引き続き市町村の実情を踏まえた支援を行い、広域行政を推進してまいります。 次に、一都三県の広域連携についてでございます。 新型コロナウイルス感染症対策については、生活圏を一体とする一都三県が緊密に連携することで、できる限り一体的に取り組んでまいりました。これまで対策の初期段階から機会を捉えてテレビ会議を開催し、各都県の感染状況や感染拡大防止の取組について率直な意見交換を行うとともに、県民への共同メッセージの発出、国への要望、そして合意ができる分野での協力などを進めております。一都三県の知事が共同して発信することでメディアに取り上げられる機会も増え、各都県が単独で発信するよりも大きなPR効果を生むことができたと考えています。 加えて、これまで一都三県に政令市を加えた九都県市の枠組みの中では、議員お話しの経済対策を含む広域的な課題も連携して取り組み、着実に成果を上げてまいりました。例えば、首都圏の産業競争力の強化を図るため、九都県市合同での商談会を毎年度開催しております。昨年度は初めて電話やウェブ会議を活用した非対面方式で開催し、一千四十一回と多くの商談が行われることとなりました。参加者からは、「コロナ禍で営業活動が制限される中、有益な取組であった」とのお声をいただいています。 このように一都三県で連携することにより、新型コロナ対策以外でも様々な分野で政策効果が上がっております。 新型コロナウイルス感染症の終息後は、経済の活性化が最重要課題であると同時に、これまで進められなかった課題を一気に解決につなげていくチャンスでもあると考えます。引き続き経済の下支えに万全を期すとともに、ポストコロナにおいても一都三県を含む首都圏がより一層密接に連携し、強い情報発信力を生かしながら、地域経済の活性化にしっかりと取り組んでまいります。 次に、保健所の機能強化策についてのお尋ねのうち、平成二十二年四月の保健所再編整備の結果をどう総括するのかについてでございます。 平成二十二年度の保健所再編は、5か年計画の地域区分との整合性を図り、専門分野に特化した県民の健康支援や健康危機管理の実施体制を整備することを目的として実施いたしました。議員お話しのとおり、分室を廃止して職員を本所に集約するなどして、十の福祉保健総合センターを含む十三保健所十一分室体制から十三保健所体制といたしました。 小さな組織が複数あるよりも、大くくり化することで組織が活性化し、一時的な事務の集中にも柔軟に対応できるというメリットがあります。このたびの新型コロナウイルス感染症の対応においても、保健所では全所的な応援体制を組むなどスケールメリットを生かした対応をとってまいりました。 また、南部、春日部、狭山、熊谷の四保健所を拠点保健所とし、保健所業務の専門性を強化するとともに、所管区域を越えた保健所相互の連携強化を図りました。具体的には、拠点保健所には食品監視担当を設置し、施設への監視指導を実施して広域的な違反食品の流通防止対策や食中毒の予防対策などを実施しております。さらに拠点保健所が中心となり、管轄の保健所や医療機関、消防、市町村など関係機関と連携して、大規模災害の発生や広域的な健康被害の発生を想定した訓練などを実施しております。 このように平成二十二年度の保健所再編により保健所の専門性が高められるとともに、スケールメリットを生かした健康危機管理体制が構築されたと考えております。 なお、御指摘もございました地域との関わりでございますが、地域保健法に基づき市町村保健センターが住民に身近な保健サービスを担い、保健所が広域的、専門的な保健行政を担うという役割分担になっており、すなわち市町村保健センターが地域との密接な関わりを担うこととなっております。 次に、多くの保健所が老朽化、狭あい化しており、更なる再編を考える時期だと思うが、いかがかについてでございます。 議員御指摘のとおり、保健所につきましては老朽化、狭あい化が進んでおります。そのため、長期保全計画に基づき計画的に施設の修繕を実施してまいります。 また、保健所は地域保健法に基づき設置されており、都道府県の保健所の所管区域は、二次医療圏とおおむね一致した区域とすることとされております。本県では、地域保健医療計画に定める十の二次保健医療圏を基本とし、人口や面積が大きい医療圏に副次圏を設定して十三保健所を県として設置しております。これに政令指定都市のさいたま市、中核市の川越市、川口市、越谷市が設置する保健所を合わせると全県では十七保健所体制となっており、法に基づけば現時点で再編を必要とする状況にはございません。       〔北島通次公営企業管理者登壇〕 ◎北島通次公営企業管理者 御質問一、更なる広域行政の推進についての(二)水道の広域化のうち、企業局による水道事業者への支援についてお答え申し上げます。 企業局は現在、県内五十七市町の五十四の水道事業者に水道用水を供給しており、県全体の給水量の約七七パーセントを占める全国でも最大規模の用水供給事業者となっております。企業局では水道施設を効率的に整備、運用するための技術力の蓄積に努め、昭和四十三年の給水開始以来、長年にわたり水道水の安定供給を実現してまいりました。 一方、末端給水を担う水道事業者には、技術力の確保が難しく、水道水の持続的な安定供給に不安を抱えている事業者もおり、企業局との技術連携を希望する旨の要請もいただいております。企業局では要請に応え、現在ときがわ町、羽生市、嵐山町、美里町の四事業者と協定を締結し、老朽化した施設の効率的な維持管理や更新計画策定に関する支援などを行っております。また、その他の事業者に対しましても、水道法改正により義務付けられました水道施設台帳の作成など、将来の広域連携を見据えた支援を行っているところでございます。 こうした状況を踏まえまして、今年度から企業局内に広域連携に取り組む担当を新たに設置し、水道事業者の様々な支援ニーズに応えられるよう体制を拡充しております。 議員お話しのとおり、県内水道事業全体を見据え、水道事業者に寄り添い、末端給水の更なる支援を行うことも、企業局の責務の一つと考えております。将来にわたり安全で安定した水道水の供給を確保するため、今後も水道事業者の求めに応じ必要な支援を行うなど、広域連携の推進に努めてまいります。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 御質問三、県立高校についてお答え申し上げます。 まず、今年度の県公立高等学校の入学者選抜の状況をどのように総括するのかについてでございます。 議員御指摘のとおり、令和三年度入試の志願倍率は、平成二十四年度から実施しております現行の入試制度の中で最も低くなっております。また、定員を満たすことができなかった全日制の県立高校は五十九校あり、近年で最も多くなっております。一般的に県南部を中心に人口の多い地域の高校では高倍率になる傾向がある一方で、県北部など人口が減少している地域の高校では募集人員を確保することが厳しくなってきております。 また、全県的に自分のペースで学習できるという点で、私立の通信制高校への進学希望者が増加していること、さらに私立高校においては建学の精神に基づいて様々な特色ある学校づくりが進められており、私立高校への進学希望者が少しずつ増えていることなどが考えられるところでございます。 私は、今年度の県立高校の志願倍率がこのように低い状況にあることに強い危機感を持っており、今後、中学生にとってより一層魅力ある県立高校づくりに取り組むことで、結果として志願倍率の向上に取り組まなければならないと考えております。 次に、受検生から見る県立高校の魅力とはどのように考えているのかについてでございます。 令和三年三月に実施した中学校長を対象にしたアンケート調査では、中学生や保護者が感じている県立高校の良い点として、通学時間や通学距離が短いこと、学校行事や部活動が充実していること、農業、工業、商業等の専門教育が受けられることなどが上位となっております。そのほか地域との連携、協働に力を入れている学校があることや、基礎的なことから学び直しができる学校があることなども、県立高校の魅力となっているのではないかと考えております。 次に、学校や地域へのヒアリング調査を踏まえ、再編整備にどのように生かしていくのかについてでございます。 現在県では、平成三十年四月に策定いたしました再編整備の進め方により、全日制高校について令和十一年四月を目途に現在の百三十四校を百二十一校から百二十四校程度に再編することとしております。県では、県立高校の適正規模を一学年当たり六学級から八学級としており、昨年度これを下回る規模の高校やその高校が所在する市町の教育委員会及びまちづくりを担当している首長部局と、学校の現状や地域の状況などについて意見交換を行ったところでございます。 学校からは例えば、「小規模校では教員の配置数が少ないため充実した教育活動や部活動に影響が出ている」といった意見や、「生徒が通学できる範囲に複数の県立高校を残してほしい」といった意見がありました。また、市町からは、「我々も県立高校と同様に小中学校の統廃合の問題を抱えており、県立高校の再編の必要性は理解できる」といった意見や、「地域の活性化や人口減少の抑制のため高校の存在は重要である」との意見もいただいております。 今回行いましたヒアリングの内容につきましては、今後の県立高校の再編整備を進める上で貴重な意見として活用していきたいと考えております。 次に、コロナ禍における高校生の就職状況はどうなっているのか、またどのように支援していくのかについてでございます。 埼玉労働局の発表によると、令和三年三月に卒業した県内の高校生の就職内定率は九九・八パーセントとなっており、コロナ禍以前の平成三十一年三月とほぼ変わらない高い内定率となっております。しかし、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響を多く受けた販売業やサービス業などを中心に、高校生の就職状況が厳しくなることが予想されております。そこで、五月十七日に私自身が県産業労働部雇用労働局長、埼玉労働局長とともに県内経済六団体を訪問し、埼玉県知事、埼玉労働局長、県教育長の三者連名による高校生の就職支援に関する要請を行ってまいりました。 また、県立高校に対してはキャリア教育を計画的に実施するとともに、ハローワークや企業と情報を共有し、個々の生徒に応じた丁寧な就職指導を一層充実させるよう、校長会議等を通じて指示しております。さらに、今年度から新たに教育局の担当者がハローワークや経済団体が主催する企業を交えた情報交換会に参加し、エリアを越えた企業の採用情報を全ての県立高校に提供することといたしました。 今後も関係機関と連携を密に図るとともに、県立高校における就職指導の取組を充実させ、高校生が安心して就職できるよう丁寧に支援してまいります。 県立高校は三十年、五十年、百年といった歴史を積み重ねながら数多くの人材を県内外に輩出するとともに、農業、工業、商業、家庭、看護、福祉といった様々な分野で県内で活躍する人材を育成するなど、大きな役割を果たしてまいりました。県といたしましては、県立高校に寄せる県民の期待をしっかりと受け止め、一人でも多くの中学生が「この高校で頑張りたい」という希望と意欲を持って入学してくれるような魅力ある県立学校づくりに全力で取り組んでまいります。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 御質問四、埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進計画の(一)計画の進捗状況についてお答え申し上げます。 循環器病対策推進計画につきましては、議員お話しのとおり、県は昨年十月に埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進協議会を開催し、具体的な検討を進めるため脳卒中部会及び心疾患部会の二つの部会を設置したところです。それぞれの部会では、県内の脳卒中・心臓病その他の循環器病に携わる医療や福祉関係者により、県内の現状や課題について熱心に御議論いただいております。 これまでに昨年十一月と今年五月に開催しておりますが、それに加え、随時メールやZoomなどを活用した委員間での活発な意見交換等を行っていただいております。次回は七月に開催を予定しており、各委員からの意見を集約し、具体的な計画案の骨子等をまとめていくことになります。 それぞれの部会での検討結果は、埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進協議会に報告し、計画案を策定し、十一月を目途に県民コメントにより県民の皆様から意見を募集し、計画に反映させることとしております。その後、再度埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進協議会の審議を経て、今年度末までには計画を策定できるよう取り組んでまいります。 次に、(二)「第七次埼玉県地域保健医療計画」との整合性についてでございます。 循環器病対策については、埼玉県地域保健医療計画では疾病ごとの医療提供体制の整備の項目において、脳卒中医療及び心筋梗塞等の心血管疾患医療を位置付け取り組んでまいりました。今回新たに策定する予定の循環器病対策推進計画は、脳卒中や心筋梗塞に限らず広く循環器系の疾患全体を対象とするものです。また、地域保健医療計画に記載された事項を深化させるとともに、循環器病全体について予防から急性期医療、回復期医療、そして再発、重症化予防、緩和ケアまで予防や医療及び福祉に係る在り方を含めた幅広い総合的な計画として策定する予定です。 今後の検討に際しましても地域保健医療計画との整合性を図り、循環器病対策推進計画が適切な内容となるよう努めてまいります。 次に、(三)「心不全パンデミック」、心臓弁膜症の明記をについてでございます。 心不全とは、心臓の働きが悪いために息切れやむくみが起こり、放置すると徐々に悪化し、命を縮める病気です。 議員お話しのとおり、今後、高齢化に伴い心不全患者の急激な増加が予想されており、このことをもって心不全パンデミックと言われております。今回策定する計画においても、患者数の急増が見込まれる心不全については、重点課題として認識しております。心疾患部会において議員御指摘の心不全や弁膜症についての啓発活動の推進やかかりつけ医機能の充実、そして再発や重症化予防のための地域連携による患者支援などについても議論されているところです。 今後とも、心疾患部会において弁膜症が心不全の原因となることや議員御指摘の重要な三つの施策も含めて、様々な視点からの御意見を伺いながら必要な内容を計画に位置付け、健康寿命の延伸等を図ってまいります。       〔今成貞昭下水道事業管理者登壇〕 ◎今成貞昭下水道事業管理者 御質問五、中小流域下水道の将来を見据えた経営基盤の強化についてお答え申し上げます。 まず、格差是正に向けたこれまでの取組についてでございます。 維持管理負担金単価は向こう五年間の見込みを算出し、収支均衡となるように設定しております。改定に当たりましては流域市町に丁寧に御説明し、十分に相談しながら御理解をいただいてまいりました。しかし、スケールメリットが得られない中小流域では、単価が高くなる傾向にございます。こうした維持管理負担金単価の流域間格差は、下水道事業管理者として常に念頭に置くべき大きな課題であると認識しております。 格差是正に向けては、維持管理費の縮減や処理水量の増加による収入の確保が重要であることから、下水道の広域化、共同化に積極的に取り組んでまいりました。具体的には、中小流域で発生した下水汚泥を大規模流域で一括処理し、効率化を図っております。加えて、本年四月から久喜市、深谷市各一地区の農業集落排水を流域下水道に接続し、処理を開始しております。 また、新たな発想による収入の確保と活用も進めてまいりました。平成二十八年度から中川、小山川の二つの水循環センターで太陽光発電を行い、その売電益の合計約一億七千万円を荒川上流、利根川右岸の二流域の累積赤字に補填しております。 これらは流域間の格差是正に向けた取組でありまして、流域の全四十七市町の多大なる御理解の下、実施しております。 次に、今後の明るい未来につながる取組についてでございます。 県では温室効果ガスの削減などを目的に、発生汚泥を微生物で消化させるプロセスの導入を進めておりまして、元荒川水循環センターでは令和元年度から運用を始めました。この消化プロセスで発生するバイオガスを発電事業者に売却することによって収入も得ております。 さらに本年十一月には、中川水循環センターにおいて元荒川の約五倍のガス発生量が見込まれます全国最大級の設備の運用を開始いたします。このバイオガス売却に伴う利益を中小流域も含めた流域全体の将来を見据えた取組に活用できないかと考えております。今後見込まれる利益の額などを精査していく上、流域市町に丁寧に御説明しながら進めてまいります。 引き続き、中小流域下水道の経営基盤の強化に向け、流域市町に寄り添いながらきめ細やかな対応をしてまいります。       〔岡田昭文選挙管理委員会委員長登壇〕 ◎岡田昭文選挙管理委員会委員長 御質問六、立候補予定者説明会における出席者の旧姓の通称名使用についてお答え申し上げます。 まず、東京都議会議員選挙の立候補予定者説明会において、旧姓の通称名の使用が認められなかったことについて、どのように受け止めているかについてでございます。 公職選挙法施行令の規定により、旧姓を通称として使用する場合には立候補の届出の際に通称認定申請書を提出し、選挙長の認定を受ける必要がございます。立候補予定者説明会は通称使用の認定手続がなされる前に行われるため、東京都選挙管理委員会では同説明会での旧姓の通称名としての使用を認めなかったものと受け止めております。 次に、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の改正を受けて、立候補予定者説明会において旧姓の通称名の使用を認めるべきと考えるが、どのように対処するのかについてでございます。 政治分野における男女共同参画を推進するため、立候補しやすい環境を整備することは大変重要なことと認識しております。立候補予定者説明会は公職選挙法の規定に基づき開催するものではないため、旧姓を通称として認定する手続は必ずしも必要ではなく、出席者の氏名に旧姓を使用することは問題がないものと考えます。 立候補者の情報を有権者の方に正確にお伝えすることを留意しつつ、衆議院小選挙区選出議員選挙の立候補予定者説明会までに旧姓の使用を認めることについて前向きに検討を進めてまいります。       〔北田健夫県土整備部長登壇〕 ◎北田健夫県土整備部長 御質問七、地元問題についてお答え申し上げます。 まず、(一)県道加須幸手線バイパスの整備についてでございます。 県道加須幸手線バイパスは、加須市の国道一二五号と幸手市の国道四号を東西に結ぶ延長約九キロメートルの幹線道路です。これまでに県道さいたま栗橋線から国道四号までの区間と、加須川口工業団地区間並びに加須流通業務団地区間を合わせて約六・六キロメートルが完成しております。 御質問の鷲宮工区は、加須川口工業団地から県道さいたま栗橋線までの約一・三キロメートルの区間です。これまでに用地取得と一部工事を実施しており、用地買収率は五〇パーセント、工事進捗率は二九パーセントとなっております。 令和三年度は用地取得を進めるとともに、用地がまとまった区間から工事を実施してまいります。引き続き地元の皆様の御理解をいただきながら事業の推進に取り組んでまいります。 次に、(二)県道川越栗橋線小林交差点の整備についてでございます。 県道川越栗橋線の小林交差点は右折帯が未整備のため、朝夕を中心に渋滞が発生しています。また、歩道が未整備の上、交差する県道笠原菖蒲線と市道がクランク状になっており見通しが悪いことから、交通事故も発生している状況です。 このため、交通渋滞解消と歩行者の安全確保を目的として、小林交差点の整備と県道川越栗橋線の歩道整備を進めております。現在の用地買収率は五一パーセント、工事進捗率は一九パーセントとなっております。 令和三年度は用地取得を進めるとともに、用地がまとまった箇所から工事を進めてまいります。引き続き、地元の皆様の御協力をいただきながら事業の推進に取り組んでまいります。 最後に、(三)一級河川野通川・小林調節池の整備についてでございます。 野通川の洪水調節を目的とする小林調節池は、久喜市の菖蒲総合支所に隣接し、見沼代用水の北側に二つと南側に一つの計三つの池からなる計画調節容量約六十八万立方メートルの調節池です。 現在の進捗状況ですが、これまでに用地買収は全て完了しており、北側の二つの池で全体の計画調節容量の二六パーセント、約十八万立方メートルを暫定的に確保しています。 令和三年度は南側の池の遮水口に着手するとともに、排水機場や越流堤、北側の二つの池をつなぐ連絡函渠などの設計を実施してまいります。 今後の見通しですが、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を活用し、連絡函渠や排水機場、越流堤の工事に順次着手し、小林調節池の整備を加速してまいります。 ○木下高志議長 ほかに発言通告がありませんので、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問は終了いたしました。          ---------------- △第八十八号議案~第百一号議案及び請願の各委員会付託 ○木下高志議長 これより、議案及び請願の付託を行います。 本定例会に提出された第八十八号議案ないし第百一号議案及び請願につきましては、お手元に配布しておきました付託表のとおり、各所管の委員会に付託いたします。〔参照-(一〇)(一一〇)ページ〕          ---------------- △次会日程報告 ○木下高志議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明二十五日、二十九日及び七月一日は、議案調査のため、本会議は開きません。 六月二十六日及び二十七日は、休日につき休会といたします。 二十八日ないし三十日の三日間は、各委員会を開き、付託案件の審査を願います。 来る七月二日は、午前十時から本会議を開き、各委員長の報告を求め、質疑、討論及び採決を行います。          ---------------- △散会の宣告 ○木下高志議長 本日は、これにて散会いたします。午後四時九分散会          ----------------...