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  1. 埼玉県議会 2021-02-01
    03月03日-05号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    令和 3年  2月 定例会二月定例会  第十三日(三月三日)令和三年三月三日(水曜日)第十三日 議事日程 一 開議  午前十時 二 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問      八番  千葉達也議員    五十八番  萩原一寿議員    三十四番  宇田川幸夫議員 三 次会日程報告    三月四日(木) 午前十時開議、質疑質問続行 四 散会          ----------------本日の出席議員    八十九名         一番  金野桃子議員         二番  岡村ゆり子議員         三番  平松大佑議員         五番  高橋稔裕議員         六番  逢澤圭一郎議員         七番  山口京子議員         八番  千葉達也議員         九番  深谷顕史議員        十一番  白根大輔議員        十三番  柿沼貴志議員        十四番  八子朋弘議員        十五番  杉田茂実議員        十六番  中川 浩議員        十七番  渡辺 大議員        十八番  松井 弘議員        十九番  高木功介議員        二十番  宮崎吾一議員       二十一番  関根信明議員       二十二番  木下博信議員       二十三番  藤井健志議員       二十四番  橋詰昌児議員       二十五番  町田皇介議員       二十六番  辻 浩司議員       二十七番  守屋裕子議員       二十八番  江原久美子議員       二十九番  松坂喜浩議員        三十番  並木正年議員       三十一番  美田宗亮議員       三十二番  吉良英敏議員       三十三番  松澤 正議員       三十四番  宇田川幸夫議員       三十五番  浅井 明議員       三十六番  飯塚俊彦議員       三十七番  横川雅也議員       三十八番  内沼博史議員       三十九番  岡田静佳議員        四十番  安藤友貴議員       四十一番  東間亜由子議員       四十二番  山根史子議員       四十三番  前原かづえ議員       四十四番  浅野目義英議員       四十五番  石川忠義議員       四十六番  井上 航議員       四十七番  岡 重夫議員       四十八番  永瀬秀樹議員       四十九番  日下部伸三議員        五十番  小久保憲一議員       五十一番  立石泰広議員       五十二番  新井 豪議員       五十三番  荒木裕介議員       五十四番  岡地 優議員       五十五番  白土幸仁議員       五十六番  小川真一郎議員       五十七番  権守幸男議員       五十八番  萩原一寿議員       五十九番  水村篤弘議員        六十番  秋山文和議員       六十一番  村岡正嗣議員       六十二番  醍醐 清議員       六十三番  鈴木正人議員       六十四番  齊藤邦明議員       六十五番  武内政文議員       六十六番  中野英幸議員       六十七番  新井一徳議員       六十八番  梅澤佳一議員       六十九番  中屋敷慎一議員        七十番  木下高志議員       七十一番  諸井真英議員       七十二番  細田善則議員       七十三番  須賀敬史議員       七十四番  塩野正行議員       七十五番  蒲生徳明議員       七十六番  高木真理議員       七十七番  山本正乃議員       七十八番  柳下礼子議員       七十九番  神尾高善議員       八十一番  高橋政雄議員       八十二番  田村琢実議員       八十三番  小林哲也議員       八十四番  本木 茂議員       八十五番  宮崎栄治郎議員       八十六番  齊藤正明議員       八十七番  小島信昭議員       八十八番  小野五雄議員       八十九番  長峰宏芳議員        九十番  石渡 豊議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  木村勇夫議員       九十三番  田並尚明議員   欠席議員    一名        十二番  秋山もえ議員地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   大野元裕  知事   砂川裕紀  副知事   橋本雅道  副知事   堀光敦史  企画財政部長   北島通次  総務部長   山野 均  県民生活部長   森尾博之  危機管理防災部長   小池要子  環境部長   山崎達也  福祉部長   関本建二  保健医療部長   加藤和男  産業労働部長   強瀬道男  農林部長   中村一之  県土整備部長   濱川 敦  都市整備部長   板東博之  会計管理者   高柳三郎  公営企業管理者   岩中 督  病院事業管理者   今成貞昭  下水道事業管理者   高田直芳  教育長   原 和也  警察本部長             発言(質問)通告書  三月三日(水)議席番号 氏名      要旨 答弁者  八番 千葉達也議員  1 病室内のWi-Fi(無線LAN)整備について              (1) 埼玉県立病院について 病院事業管理者              (2) 総合リハビリテーションセンターについて 福祉部長              (3) 民間病院や公的病院への導入促進について 知事             2 若年者の在宅ターミナルケア支援について 保健医療部長             3 教育施設の耐震化について 教育長              (1) 本会議における過去の答弁について              (2) 耐震化率一〇〇%に向けた今後の計画について              (3) 市町村立小中学校の耐震化率について             4 「川の国埼玉」の実現に向けて              (1) 農業集落排水処理施設の下水道接続について 下水道事業管理者              (2) 単独処理浄化槽の転換促進と浄化槽の管理の向上について 環境部長             5 本県の水田フル活用ビジョンに基づく政策について 農林部長             6 中川上流のかんがい排水と中川改修について              (1) かんがい排水事業の進捗状況と課題について 農林部長              (2) 中川改修の進捗状況と今後の見通しについて 県土整備部長             7 地元問題について 県土整備部長              (1) 加須・板倉利根川新橋の早期建設について              (2) 東武伊勢崎線の立体交差について              (3) 国道一二五号加須羽生バイパスの四車線化について              (4) 県道久喜騎西線バイパスの整備推進について五十八番 萩原一寿議員  1 新型コロナウイルス感染症対策について 知事              (1) 県内経済への影響と中小企業の支援策について              (2) 雇用対策について              (3) 情報発信について              (4) 誹謗中傷への対策について             2 がん治療と仕事の両立支援について 知事             3 不妊治療と不育症対策について 知事 保健医療部長             4 環境科学国際センターについて 知事 環境部長             5 住宅施策について 都市整備部長              (1) マンション施策について              (2) 県営住宅について             6 シルバーサポーター制度について 警察本部長 県民生活部長             7 福祉タクシー券について 福祉部長三十四番 宇田川幸夫議員 1 スタートアップの創出に向けて 知事              (1) 支援体制整備の方向性について              (2) 埼玉県の特色を生かした支援について              (3) 起業家教育について             2 県の計画に対するコロナ禍の影響の反映について              (1) 埼玉県5か年計画について 知事              (2) 埼玉県子育て応援行動計画について 福祉部長             3 児童発達支援センターについて 福祉部長              (1) 機能強化について              (2) 医療ネットワークの構築・強化について             4 認知症対策について 福祉部長              (1) 埼玉県認知症施策推進計画について              (2) 「チームオレンジ」構築のための支援について             5 COPD対策について 保健医療部長              (1) COPDの危険性や予防法の周知について              (2) セルフチェックの推進について             6 産前・産後のサポートについて 保健医療部長              (1) 産後ケアの努力義務化について              (2) コロナ禍におけるリモート対応への取組について             7 日本医療研究開発機構(AMED)などの外部研究費を活用した魅力的な環境の整備と医師確保について 病院事業管理者          ----------------午前十時一分開議 出席議員    八十九名  (本会議場で審議)     一番    三番    五番    七番     八番   十一番   十四番   十五番    十七番   十八番   二十番  二十一番   二十三番  二十四番  二十六番  二十七番   二十九番   三十番  三十二番  三十三番   三十五番  三十六番  三十八番  三十九番   四十一番  四十二番  四十四番  四十五番   四十六番  四十八番  四十九番   五十番   五十二番  五十三番  五十五番  五十六番   五十八番  五十九番  六十一番  六十二番   六十四番  六十五番  六十七番  六十八番    七十番  七十一番  七十二番  七十三番   七十五番  七十六番  七十八番  七十九番   八十一番  八十二番  八十三番  八十五番   八十六番  八十八番  八十九番  九十一番   九十二番  (新型コロナウイルス感染防止のため第四委員会室で審議)     二番    六番    九番   十三番    十六番   十九番  二十二番  二十五番   二十八番  三十一番  三十四番  三十七番    四十番  四十三番  四十七番  五十一番   五十四番  五十七番   六十番  六十三番   六十六番  六十九番  七十四番  七十七番   八十四番  八十七番   九十番  九十三番 欠席議員    一名    十二番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人  (本会議場で出席)   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   企画財政部長   環境部長   福祉部長     保健医療部長   農林部長   県土整備部長   病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長  (新型コロナウイルス感染防止のため執務室で待機)   総務部長     県民生活部長   危機管理防災部長   産業労働部長   都市整備部長   会計管理者    公営企業管理者  警察本部長 △開議の宣告 ○田村琢実議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問 ○田村琢実議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。 発言通告がありますので、順次これを許します。 八番 千葉達也議員       〔八番 千葉達也議員登壇〕(拍手起こる) ◆八番(千葉達也議員) 自由民主党県議団、加須市選出の千葉達也でございます。 質問に先立ちまして、二月二十八日、自由民主党県議団の岩崎宏議員が御逝去されました。地域発展、そして埼玉県、商工会のために御活躍されました岩崎宏議員の御冥福を謹んでお祈り申し上げます。 また、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた皆様に哀悼の意を表し、現在療養されている皆様方の一日も早い回復をお祈り申し上げます。 コロナ禍におきまして身を賭して御尽力されている医療関係者の皆様、ソーシャルワーカーの皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。 田村琢実議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次質問させていただきます。 一、病室内のWi-Fi(無線LAN)整備について質問させていただきます。 病院において新型コロナウイルス感染症の影響で大きく変化したことがあります。それは、入院患者さんに対して誰もお見舞いに来てくれないこと、さらには、小児がんの患者さんに対して家族の面会も禁止されていることなどが挙げられると思います。 長い入院生活を送られた患者さんから、Zoom、LINE、ユーチューブに救われたというお話をお伺いすることができました。つまり、ネット環境のない病室では、精神的に追い詰められている患者さん、家族とお話すらできない小児がんの患者さんなどの心の安定が得られず、治癒力が大きく低下している患者さんが数多く存在するということです。 今、コロナ禍で外部との接触ができない状況下、がん患者、筋ジストロフィーや、ろう者などの障害者など、多くの患者さんたちにとって病院でWi-Fiを使えることが、外部とのコミュニケーションのために本当に重要になっているのです。 病室内のWi-Fiの整備について昨年の九月に執行部にお伺いしたところ、埼玉県としては調査したことがなく、資料がないとのことでした。先日、#病室WiFi協議会のホームページを確認したところ、日本には民間、公共を合わせて約九千の病院があり、既に八一・一パーセントの医療機関がWi-Fiを導入していますが、患者さんなどにWi-Fiのアクセスを提供しているのは、二七・三パーセントにとどまっているそうです。 病室へのWi-Fi導入に関しましては、医療機器に影響を与える、セキュリティが不安など様々な誤解が世の中に広がっております。国立がん研究センター中央病院、がん研有明病院、中国中央病院、さいたま市立病院など、病院内のみならず病棟にもWi-Fiが整備されておりますが、現時点で問題は発生していないとのことです。 デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXやデジタル庁設置など社会のデジタル化が声高に推進され、国連では「誰一人取り残さない」をスローガンに掲げております。そして、我が埼玉県の大野知事も、「県民の誰一人も、どの地域も取り残すことのない日本一暮らしやすい埼玉の実現に向けて県政を推進してきました」とおっしゃっておりました。 今、日本、埼玉県におきましては、駅でもホテルでも、ありとあらゆる場所でWi-Fi接続が当たり前の時代となっております。入院患者さん誰一人も取り残すことのないように、病室へのWi-Fi接続を進めるべきだと考えます。 そこで伺います。 まずは、(一)埼玉県立病院について。 民間病院に先立って、埼玉県立病院が旗振り役となる必要があります。循環器・呼吸器病センター、がんセンター、小児医療センター及び精神医療センターの病室では、現在、Wi-Fiを導入していません。なぜ導入しないのか、その理由と今後の取組について、病院事業管理者にお伺いいたします。 ○田村琢実議長 八番 千葉達也議員の質問に対する答弁を求めます。       〔岩中督病院事業管理者登壇〕 ◎岩中督病院事業管理者 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 県立四病院では医療用のWi-Fiは整備されておりますが、患者や外部訪問者のインターネット接続用のWi-Fiは、経費の問題もあり、一部病棟を除いて導入しておりません。 精神医療センターでは治療上の観点からスマートフォンの持込みを制限しておりますが、他の三病院では患者向けWi-Fiの整備は医療の質の向上に有用だと考えております。 小児医療センターでは、親の発熱等で面会ができない子供たちにスマートフォンを貸し出し、親とのビデオ通話のサービスなども既に行っています。 今後、地方独立行政法人化を契機とし、患者向けWi-Fiの整備を含めた患者サービス向上の取組について検討を始めてまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 再質問させていただきます。 先ほど、今後、地方独立行政法人化を契機として患者向けのWi-Fiの整備を進めるというふうな、患者サービスの向上の取組について検討を進めていくとの答弁がありました。 具体的に患者向けのWi-Fi整備の検討はどのように進めていくのか、病院事業管理者にもう一度お伺いいたします。       〔岩中督病院事業管理者登壇〕 ◎岩中督病院事業管理者 具体的な整備についてでございますが、まずは、やはり入院期間が長くて、かつふだんでも面会制限のある無菌室の病棟であったり、あるいは少しでも多くの方々に長時間にわたる面会を提供したい緩和ケア病棟など、療養環境の改善が特に有用であると思われる病棟から、まず検討を始めたいと思っています。 病院全体へのWi-Fiの設置に関しましては、これらの病棟への導入後、その効果を検証させていただいて、段階的に進めさせていただきたいと考えております。 ◆八番(千葉達也議員) ありがとうございました。よろしくお願いいたします。 次に、(二)総合リハビリテーションセンターについてお伺いいたします。 当該センターの入院患者は高齢者が多いと思いますが、七十歳以上の方でも六五・五パーセントの方がスマートフォンを利用しているとの調査結果もあります。 そのため、当該センターの病室へのWi-Fiの接続も必要であると思いますが、福祉部長に御所見をお伺いいたします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 総合リハビリテーションセンターにおきましても、医療用のWi-Fiは整備されておりますが、患者や外部訪問者のインターネット接続用のWi-Fiは導入しておりません。 一方で、議員お話しのとおり、センターの入院患者は高齢者の方が比較的多い状況であり、高齢者の多くの方がスマートフォンを利用されています。センターは他の病院よりも入院期間が比較的長期にわたる特性があることから、病室内のWi-Fi整備を行うことは、入院患者のサービス向上につながるものと考えております。 現在、センターでは経営改善に取り組んでおりますが、今後、患者サービス向上の視点からその導入について検討してまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 前向きな答弁をいただきました。しっかり検討して進めていただきたいと思います。 そして、(三)民間病院や公的病院への導入促進について。 埼玉県内の民間病院や公的病院への導入促進も必要であると考えますが、大野知事に御所見をお伺いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 病院でのWi-Fiの利用状況につきましては、関係省庁や団体で構成される電波環境協議会が昨年六月に、二〇一九年度医療機関等における適正な電波利用推進に関する調査の結果を公表しております。調査では、Wi-Fiは八一・一パーセントの病院で導入されており、患者や外部訪問者のインターネット接続用としては二七・三パーセントの病院で導入されております。二〇一六年度の同調査では、Wi-Fiを導入する病院は七七パーセント、患者等のインターネット接続用は一四・八パーセントでありましたので、患者等が利用できる院内のWi-Fiは、この三年間で約二倍となっております。 院内での患者等のWi-Fi利用は、入院患者のサービス向上に資するものと考えます。一方、患者満足度向上のために、どういった患者サービスを付加価値として考え優先して提供するのかについては、それぞれの医療機関の経営者の判断によるものと考えております。 今後、各医療機関が自院の患者サービスの提供について検討する際の参考にしていだくため、議員御指摘のような、例えばWi-Fi導入病院の先行事例などの情報の提供に努めてまいりたいと思います。 ◆八番(千葉達也議員) 先頭に立って、埼玉県のまず県立病院から進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、二、若年者の在宅ターミナルケア支援についてお伺いいたします。 AYA世代、特に二十歳から三十九歳までの若年がん患者へのがん支援体制について質問させていただきます。 若いがん患者さん、特に在宅医療を選択される場合に国の制度のはざまになってしまい、若いがん患者さんの方々にはほとんどの支援策がない状況で、末期がんの患者さんが自宅で療養したいというような願いがあったとしても、経済的な負担や、あるいは介護、支援においても十分でなく、なかなか願いがかなわないのが現状であると思います。 本件については、昨年の予算特別委員会及び九月定例会において、自民党の山口京子議員からも質問させていただきました。この質問に対しまして「先行している七県の取組を調べたところ、ほとんどの県では介護保険制度に準じ市町村が主体となって実施しており、県は市町村に補助金を交付しております。また、アピアランスケアについては、患者の皆さんのライフスタイルに合った適切な選択ができるよう、判断する際の多様な情報の整理や相談に対応できるよう体制の整備を検討していきます」との御回答をいただいたと思います。 若年者の在宅ターミナルケアについては、横浜市、兵庫県の補助を受けて実施する神戸市、名古屋市などが先行して実施しておりますが、埼玉県においても現在四月からの運用を目指し、さいたま市、そして加須市において予算に計上されているとお伺いしました。 埼玉県としても若年がん患者を総合的に支援するべきです。すなわち、若年者の在宅ターミナルケアを支援する市町村に対して補助金などを交付することや、県としてアピアランスケアに関するがん患者さんからの相談体制を構築することについてどのように考えているのか、保健医療部長の御所見をお伺いいたします。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 令和二年九月議会の後、がん診療連携拠点病院などにヒアリングを行い、おおむね全県で、若年がん患者の終末期を支える在宅医療や在宅介護サービスは提供できる状況にあることを確認することができました。その際に、若年がん患者は、親御さんに頼れるか、お子さんがいるかなどによりニーズが異なることや、状態の悪化が急激なため、退院の際には細やかな配慮とスピード感のある支援が必要となるなどの御意見もいただきました。 若年者の在宅ターミナルケア支援は、介護保険に準じた制度となるため実施主体となる市町村の意向を確認したところ、実施を検討しているのは二か所、県の補助があれば検討するが二十一か所、実施は考えていないなどが四十か所でございました。 市町村などからは、若年がん患者のターミナル支援についてはこれまでほとんど経験したことがないため、研修会の開催などの要望もございました。そのため、まずは施策の必要性について市町村に理解を深めていただくための研修会を開催するとともに、来年度からの実施を検討している二市の実施状況なども伺いながら、しっかりと検討してまいります。 次に、アピアランスケアの相談体制の構築についてでございます。 県のがん対策推進協議会での意見を踏まえ、国立がん研究センター中央病院の協力を得て、がん診療連携拠点病院のスタッフを対象とした県独自の研修会の開催を検討してまいります。このことにより、県内十三か所ある全てのがん診療連携拠点病院で、科学的知見に基づくアピアランス相談が受けられる体制を整備してまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 再質問させていただきます。 先ほど、さいたま市、加須市の運用状況を確認しながら支援を検討するとの前向きな回答をいただきました。 しかし、本事業は埼玉県の多くの市町村に広めていくことが重要だと思います。先行する市町村に対しまして支援等のインセンティブを与えることも手法の一つと考えますが、保健医療部長にお伺いいたします。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 千葉達也議員の再質問にお答え申し上げます。 市町村からは「実施は考えていない」との回答が多くを占めておりました。こうしたことから、インセンティブの前段階として、まずは実施主体となる市町村に若年がん患者への支援の必要性について理解いただくことが重要と考えます。 市町村などから要望があった研修会の開催などを通じまして、市町村の理解をまずは図っていきたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。 ◆八番(千葉達也議員) どうか全県に行き渡るように進めていただきたいと思います。 次に、三、教育施設の耐震化について質問させていただきます。 二月十六日の日経新聞の記事を見て大変驚きました。「県内十校で耐震性不足、二一年度から工事順次着手」とありました。県内教育施設の校舎及び体育館の建物本体の耐震化は一〇〇パーセントだと認識していたからです。 この事案を受けまして、過去の本会議における当問題について議論の一部を調べさせていただきました。 平成二十五年二月定例会において福永信之議員から、「県立学校の校舎及び体育館の建物本体の耐震化工事は、知事の指導性の下、本県はいち早く完了している」と発言があり、これを受けて当時の教育長は、「今後とも生徒や避難者の安全を確保するため、県立学校の耐震化対策について全力で取り組んでまいります」と答弁しております。 平成二十九年六月定例会及び同年九月定例会では、石井平夫議員、新井豪議員が実習棟の耐震化について質問しております。特に新井豪議員においては、「埼玉県が文部科学省への耐震化率の報告に含めていなかった実習棟、食堂、格技場、部室棟などを含めて報告すべきであって、埼玉県が報告している耐震化率一〇〇パーセントは虚偽報告であり、その教育委員会の隠蔽体質が問題ではないのか」と質問がありました。これに対し当時の教育長から、「校舎と体育館の耐震化率は一〇〇パーセントとしてまいりましたが、次回の調査の際には実習棟なども耐震改修状況調査の対象とする」と答弁がありました。 続いて、平成三十年六月定例会において安藤友貴議員は、県立高校・特別支援学校等の校舎、体育館、武道館、部室、寄宿舎などの耐震化工事の進捗状況について御質問されました。教育長は、「市町村立小中学校の耐震化につきましては、平成三十年四月一日時点で一〇〇パーセントとなっております。県立学校では高等学校の耐震化率九一・三パーセント、うち校舎、体育館、格技場は既に耐震化率が一〇〇パーセントとなっております。また、特別支援学校は一〇〇パーセントでございます。部室棟を除いた実習棟、食堂兼合宿所などは平成三十四年までに耐震化率一〇〇パーセントが達成できるように鋭意取り組んでいるところでございます」と答弁されております。 これら過去の答弁を踏まえまして、三点、教育長に質問させていただきます。 まずは、(一)本会議における過去の答弁について。 本会議での答弁は大変重たいものです。我々は地域の代表として各地域で埼玉県の教育施設の安全性について、本会議の答弁を基に説明させていただいております。今回のような間違いは、その信頼関係を根底から失墜させてしまう危険性があると思います。 教育長の御見解をお願いいたします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 これまで県では、現行のいわゆる新耐震基準に移行した昭和五十六年六月一日より前に建築された建物について、耐震対策を順次進めてまいりました。そのような中、このたび耐震性が確保されていると判断していた教育施設のうち、県立高校の体育館一棟、食堂兼合宿所九棟、計十棟の耐震性が不足していることが新たに判明いたしました。 今回の誤りの原因は、新耐震基準への移行日をまたいで工事を行った建物について、全て耐震対策が必要であると整理すべきところを、その一部について見落としてしまったことにあります。このことは、教育施設の安全性に関わる重大な誤りであり、県民の代表である県議会の場において誤った答弁を行ってしまったことに対しまして、県議会の皆様をはじめ県民の方々に心から深くおわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。 今後、このようなことが二度と起こらないようチェック体制の徹底を図り、再発防止に万全を期してまいります。
    ◆八番(千葉達也議員) 次に、(二)耐震化率一〇〇%に向けた今後の計画について。 今回発覚した体育館一棟、食堂兼合宿所九棟の耐震性不足に関して、これらの建物や今まで除外されていた部室棟を含めた耐震化率一〇〇パーセント達成に向けた今後の計画はどうなっているのか、タイムスケジュールを示した上で御答弁ください。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 今回耐震性の不足が確認された建物十棟のうち体育館につきましては、令和三年度中に補強設計と補強工事を行い、また、食堂兼合宿所につきましては、令和三年度に補強設計、令和四年度に補強工事が完了することを目指してまいります。これらを含め教育施設全体の耐震対策につきましては、部室棟を除き、令和四年度までに確実に耐震化率一〇〇パーセントとなるよう取り組んでまいります。 耐震対策につきましては、生徒の滞在時間の長い校舎、体育館、食堂兼合宿所などの建物を優先して進めてきたため、部室棟は今年度から耐震診断に着手したところでございます。このため、部室棟の耐震対策につきましては、耐震診断の結果を踏まえ、できる限り早期に行うよう計画的に進めてまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 最後に、(三)市町村立小中学校の耐震化率について。 市町村立小中学校の耐震化率につきましても、生徒や避難者の安心・安全を確保するため、新耐震基準となった昭和五十六年六月一日をまたいで建築された建物について誤認がないか、具体的な視点を示した上で注意喚起し、調査を実施する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。       〔高田直芳教育長登壇〕 ◎高田直芳教育長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 市町村立小中学校の耐震化の状況につきましては、毎年度、文部科学省による調査が行われており、現在、令和三年四月一日時点の状況について市町村に照会しております。今回の調査では、耐震基準が変更された昭和五十六年六月一日をまたいで工事を行った建物について、耐震基準に誤りがないか新旧耐震基準の適用について分かりやすく示した資料を添付した上で、改めて確認を依頼したところでございます。 今後とも、児童生徒の安心・安全が確保されるよう、市町村立小中学校の耐震対策に対し必要な支援を行ってまいります。 ◆八番(千葉達也議員) よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 次に、四、「川の国埼玉」の実現に向けてについてお伺いいたします。 「川の国埼玉」の実現に向けて、河川の汚濁の主要因である生活排水を適切に処理することは不可欠であり、浄化槽と併せて「川の国埼玉」を支えているのが、下水道や農業集落排水処理施設であると思います。 そこで、県は、埼玉県生活排水処理施設整備構想において、令和七年度までに生活排水処理人口普及率一〇〇パーセントの目標を掲げ、各地域の特性に合わせて集合処理や個別処理に分け、下水道整備区分の見直し、公共浄化槽の推進、浄化槽整備事業補助金による支援、農業集落排水整備推進交付金による支援など様々な事業を展開し、目標達成のために活動されていることは承知しております。 この目標を達成するために、今回は集合処理の観点から下水道の広域化について下水道事業管理者に、個別処理の観点から単独処理浄化槽の転換促進について環境部長に質問したいと思います。 まず、(一)農業集落排水処理施設の下水道接続について。 現在、埼玉県には下水道局が管理する九つの水循環センターに加えて、市町、組合が管理する十八の下水処理場や百三十五の農業集落排水処理施設が存在しております。そのうち、久喜市北中曽根地区、深谷市上原地区をはじめ六か所の農業集落排水処理施設の下水道接続が、最も早い地区では令和三年度から運用開始を予定しているとお聞きいたしました。 下水道接続の有効性や埼玉県におけるその他の下水道処理場、農業集落排水処理施設との接続に関する今後の取組について、下水道事業管理者にお伺いいたします。       〔今成貞昭下水道事業管理者登壇〕 ◎今成貞昭下水道事業管理者 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 下水道事業や農業集落排水事業を取り巻く経営環境は、施設の老朽化に伴う更新費用の負担や人口減少に伴う使用料収入の減少などにより厳しさを増しており、より効率的な事業運営が求められております。現在、下水道局では広域化・共同化計画の策定に取り組んでおり、農業集落排水処理施設の下水道接続や下水道処理場の統廃合などを進めております。広域化は市町が施設の更新費用や維持管理費用を縮減できる一方、流域下水道を運営する県としても汚水量の増加による新たな収入を確保できるなど、お互いにウィン・ウィンの取組であると考えております。 平成二十八年度に実施した農業集落排水処理施設を有する十九の市町に対する意向確認を皮切りに、久喜市や深谷市、本庄市、美里町の四の市町、計六地区で鋭意、農業集落排水処理施設の接続工事や手続を進めております。また、その他七の市町でも、下水道接続のための段階的な準備、検討に着手しております。さらに、深谷市や坂戸、鶴ヶ島下水道組合では、管理する複数の下水道処理場間の接続工事を進め、一か所に集約することで事業の効率化を図っております。 今後とも市町、組合と丁寧に意見交換しながら、農業集落排水処理施設の下水道接続などの汚水処理施設の広域化に積極的に取り組んでまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 次に、(二)単独処理浄化槽の転換促進と浄化槽の管理の向上について。 令和元年度に浄化槽法が改正されました。単独処理浄化槽の転換を促進することと、浄化槽の管理の向上を主な内容としております。 浄化槽については、県内の浄化槽設置基数四十七万六千七百二十七基のうち、単独処理浄化槽が二十三万九千五百二十一基と約半数を占めていることから、合併処理浄化槽への転換を加速する効果的な施策展開のため、浄化槽台帳の整備が必要であると考えております。市町村と連携していくことはもちろんですが、保守点検や清掃などの関係事業者並びに指定検査機関ともしっかり連携する必要があり、特に指定検査機関が保有する情報等を反映させることが近道であると考えます。 また、本県における法定検査受検率は、設置後すぐに実施される七条検査が九三・三パーセント、毎年一回定期的に実施される十一条検査が一九・三パーセントであり、受検率は全国平均四三・一パーセントを大きく下回っているのが現状であります。 川の国埼玉の実現に向けては、単独処理浄化槽の転換に加えて、法定検査制度、保守点検及び清掃との一括契約制度といった浄化槽の管理の向上の両方を進める必要があります。両方をどのように進めて川の国埼玉を実現させるのか、環境部長の御所見をお伺いいたします。       〔小池要子環境部長登壇〕 ◎小池要子環境部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 河川水質の改善を通じた「川の国埼玉」の実現には、議員お話しのとおり、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換に加え、合併処理浄化槽も含めた管理の向上が課題と考えております。そのためには、浄化槽台帳に現在の所有者や最新の維持管理情報などがしっかり反映されていることが必要です。 そこで、県では令和二年七月に、浄化槽関連団体や市町村などを構成員とする埼玉県浄化槽適正処理促進協議会を立ち上げました。この協議会では、指定検査機関や保守点検、清掃に関わる事業者の方の協力をいただき、それぞれが保有する情報を浄化槽台帳に反映させる仕組みづくりについて協議を進めてまいりました。今後は、これらの情報を盛り込んだ浄化槽台帳を市町村と共有することにより、単独処理浄化槽をお使いの方の状況に合わせて転換を共同で働き掛けてまいります。 また、十一条検査を受検していない方の把握も容易になりますので、より積極的な受検指導が可能となります。その際に、例えば維持管理をまとめて行う便利な一括契約制度を勧めることも有効と考えております。 いずれの取組におきましても、市町村や指定検査機関、関係事業者との連携は欠かせません。今後、一層連携を密にし、単独処理浄化槽の転換と浄化槽の管理の向上に取り組んでまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 次に、五、本県の水田フル活用ビジョンに基づく政策について伺います。 埼玉県主要農作物種子条例に基づき、本県独自の品種の彩のきずなや彩のかがやき等の優良品種の確保と安定生産、品質向上に向けて技術支援、さらには埼玉県の気候風土に適した品種の開発について常に取り組むことは、県として重要な使命であると考えており、環境農林委員会において生産振興や販売振興について所管事務調査等で様々な議論をさせていただいているところであります。今回は、県の水田フル活用ビジョンに基づいての政策についてお伺いいたします。 水田フル活用ビジョンとは、おおむね三年から五年間の水田活用の取組方針として、非主食用米の作付面積の目標や生産拡大に向けて導入する技術などを示したものであります。令和二年産米は消費量の減少傾向が続き、さらに新型コロナウイルス感染症の影響により米の民間在庫が例年以上に積み上がっており、令和三年産の米価に大きな影響があるのではと、生産者や販売者の間で大変危惧されているところであります。 全国で過去最大規模の作付転換が必要とされている中、今、県としてもこの問題解決のために対策を打つ必要があると思います。需要に応じた生産を進めるためには、主食用米と飼料用米の生産量や価格をバランス良く取り込むことが重要であり、主食用米の民間在庫が積み上がっている現在においては、主食用米より飼料用米づくりに取り組むことの魅力を向上させる必要があります。 「飼料用米を作りましょう」との呼び掛けだけでは生産者は振り向きません。飼料用米の手取り額を主食用米の手取り額よりも高く設定するなどの明確な誘導策が必要であり、生産者の生活を守っていく政策を実施するべきだと考えております。 県として、具体的にどのような誘導策を考えているのか、農林部長にお伺いいたします。       〔強瀬道男農林部長登壇〕 ◎強瀬道男農林部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのように、令和三年産米については、全国で過去最大規模の作付転換が求められています。本県でも、県とJA等の関係団体で構成する埼玉県農業再生協議会において、令和二年産の主食用米の作付面積三万六百ヘクタールから、およそ五パーセントに当たる一千五百二十ヘクタールを減らす生産の目安が設定されたところです。 さらに、農業再生協議会は、生産の目安の設定と併せ、麦、大豆、飼料用米、米粉用米などの主食用米以外の作物の取組方針を提示しています。米からの作付転換は麦や大豆などの作物で対応してきましたが、今回の急激な規模の拡大には対応が難しいため、同じ稲作でより転換しやすい飼料用米を中心に推進する方針となっています。こうした方針を県の水田フル活用ビジョンに反映させ、作付転換を進めることとしています。 水田フル活用ビジョンの推進については、国から地域の取組を支援する産地交付金が配分され、その取組内容と助成単価は県が設定することとなっております。県では、産地交付金の助成単価を見直し、主食用米よりも飼料用米の手取り金額が高くなるよう単価を設定してまいります。その上で、JA系統組織、市町村などと連携し、生産者に対して交付金の仕組みと助成単価の周知を図り、生産者の理解を得ながら飼料用米への作付転換を推進してまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 再質問させていただきます。 産地交付金は国から埼玉県へまとまった形で交付され、その交付金を埼玉県が独自に様々な形で割り振ると御答弁がありました。その交付金を利用して飼料用米への助成を手厚くするということは、麦、大豆、加工用米、米粉用米など様々な農作物への助成単価に影響が出てくるのではないでしょうか。 生産者が安心して水田農業に取り組めるようにするためには、産地交付金だけでなく、様々な支援制度をうまく併用するべきだと考えますが、農林部長の御回答をお願いいたします。       〔強瀬道男農林部長登壇〕 ◎強瀬道男農林部長 千葉達也議員の再質問にお答え申し上げます。 水田の高度利用を促すため、産地交付金を活用して二毛作の助成を行っています。来年度は、主食用米を組み合わせた二毛作の助成単価を見直して、これを原資として飼料用米の単価に上乗せすることを計画しています。目標とする作付転換面積の範囲内では、県の重点作物である麦や大豆などの助成単価には影響を及ぼさず対応できるものと試算しています。 また、麦と大豆については、産地における団地化と生産性の向上の取組を支援する、国の新たな補助事業などの活用も推進しています。 引き続き、様々な支援制度を活用して、米の需要に応じた生産を推進してまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 次に、六、中川上流のかんがい排水と中川改修についてお伺いいたします。 (一)かんがい排水事業の進捗状況と課題について。 本地域は低平地であることに起因する地域全体の排水不良への抜本的対策も十分に講じられておらず、豪雨のたびに農地の湛水が発生しており、高収益作物導入の大きな障害となっております。 令和元年十二月定例会の一般質問でも取り上げました。現在の排水形態である自然排水から、施設の改修と併せて地域内を機械排水区域と自然排水区域に区分し、両区域の排水調整を行うことで排水機能の向上を図り、水稲中心から高収益作物を組み合わせた営農へ転換することにより、農業経営を安定させることについて質問させていただきました。その際、農林部長より、「今後の県の取組としては、国営調査が計画的に進むよう調整を行い、高収益作物の普及に向けて市と連携し、地元農家を支援する」との御回答をいただきました。 当初のスケジュールでは、令和元年度から令和三年度までの三年間で、農林水産省関東農政局を中心とした中川上流地区の国営かんがい排水事業実施に向けた国営地区調査が予定されており、令和二年度は営農計画、排水計画、施設計画案の作成、地質調査、費用対効果の算定が実施される計画となっております。 令和二年度が間もなく終了しようとしておりますが、現在の進捗状況と実際に進めてみての課題について、農林部長にお伺いいたします。       〔強瀬道男農林部長登壇〕 ◎強瀬道男農林部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、中川上流地域の排水を改良し農業収益を向上させるため、関東農政局において国営かんがい排水事業の実施に向けた調査が行われているところです。また、国営事業の円滑な事業化を図るため、土地改良区、関係市、JAなどからなる推進協議会が設置され、国が策定する事業計画に関して協議できる体制が整備されています。推進協議会には県も参画し、必要な助言を行っています。 本地域においては、水稲中心の営農から野菜などの高収益作物を組み合わせた営農へと発展することで、地域の農業経営の安定を目指しています。また、本事業を実施する上では、工事期間が終了する段階において計画された区域で高収益作物の作付けが見込まれることが求められてもおります。昨年十二月には、推進協議会の営農部会において、本事業に係る営農計画の核となる高収益作物を作付けする区域の検討が行われ、二百七十三ヘクタールの区域が設定されました。 このほか、御質問の排水計画、施設計画、地質調査及び費用対効果の算定につきましても、関東農政局において作業が進められており、今後、推進協議会で報告され、検討が行われる見込みとなっています。 実際に事業を推進してみての課題については、水田地域において野菜などの高収益作物の作付けを行う担い手を確保することであると改めて認識しています。 本事業においては広範囲な地域で排水改良が実施され、事業規模、予算規模とも大きいため、計画期間と工事期間を合わせ全体で十年以上の期間を要します。また、排水改良を行う事業は、上流から下流まで工事が完了しなければ地区全体の事業効果が発現しません。工事期間の終了までに高収益作物を作付けする農家を確保する必要がありますが、農家にとって、事業効果がまだ現れていない段階で高収益作物の導入を決断することには不安が伴います。このため、県では地元農家と連携し、地域に適した野菜の導入に向けた実証を進めるため、本地域の一部で先行して排水改良を中心とした整備を行う予算を今議会に提案させていただいています。 引き続き、国をはじめ関係市やJAなどと連携し、将来の担い手の確保を進めつつ、早期の事業着手に取り組んでまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 次に、(二)中川改修の進捗状況と今後の見通しについて。 中川上流国営事業推進協議会の令和二年度の総会資料によりますと、「全体実施設計については、河川改修の状況及び地区調査の状況を踏まえ移行の確認を行う」と明記されております。中川改修の進捗状況は、本計画の遂行に大きな影響を及ぼすといっても過言ではありません。 今回は、特に二か所の進捗状況に絞ってお伺いいたします。一つは、河川の狭あい部となっている久喜市内に存するJR宇都宮線橋りょう、もう一つは、古門樋橋から上流の延長約九・五キロメートルの未整備区間についてです。 当該箇所の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、河川改修に伴うJR宇都宮線橋りょうの架換えについては、令和二年四月に、県において工事用道路や施工ヤードの整備に着手いたしました。また現在、JR東日本との基本協定の締結に向けた協議を進めており、協定締結後はJR東日本において橋りょう架換え工事の発注準備を進め、令和三年度内の工事着手を目指しております。 次に、古門樋橋から上流約九・五キロメートルの河川改修については、現在、古門樋橋から新槐堀川の合流点までの約三・七キロメートル区間を重点的に進めております。令和元年十月から、この区間の用地買収や排水樋管等の設計を進めているところであり、引き続き早期着工を目指し用地買収などを推進してまいります。 今後とも、中川上流地区の国営かんがい排水事業の推進に資するよう、農林部やJR東日本などと緊密に連携を図るとともに、国の「防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策」を活用し、中川の河川改修を推進してまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 最後に、七、地元問題についてお伺いいたします。 初めに、(一)加須・板倉利根川新橋の早期建設について質問させていただきます。 昨年の一般質問でも、台風第十九号避難状況と結び付けて質問をさせていただきました。また、本年も加須市長、群馬県板倉町長、加須市議会、板倉町議会の各議長とともに、昨年に引き続き中村県土整備部長に要望書を提出させていただきました。さらに本年は、その際、知事、議長にも表敬訪問をさせていただいたところでございます。 令和元年九月に板倉町において実施した加須・板倉利根川新橋建設促進のための署名運動では、九千五百五十七名の署名が集まり、また加須市においても、令和二年七月に加須市自治協力団体連合会により市内全百七十九の自治協力団体の代表者を対象に利根川新橋建設促進のための署名活動が行われ、代表者全員から署名された要望書が提出されたところです。加須市、板倉町での新橋早期建設に対する思いは、日に日に大きくなっております。 新橋の実現により、緊急輸送道路である国道一二五号と国道三五四号を南北に結ぶ広域的な交通ネットワークの構築、災害時の広域避難経路や緊急物資輸送経路が確保され、地域防災力の強化が図られることと考えております。どうか命の懸け橋として進めていただけないでしょうか。 県土整備部長に、加須・板倉利根川新橋の建設に関する県の考え方をお伺いいたします。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 本県と群馬県の境を流れる利根川への橋りょうの建設につきましては、複数の箇所でそれぞれの期成同盟会などから請願や要望をいただいております。新橋に対する地元の思いは承知しておりますが、他県へまたがる橋りょうの建設については、架橋位置や取付道路をはじめ調整すべき事項が数多くございます。 一方で、県が管理する道路でも橋りょうの老朽化が進んでおり、順次、修繕を進めておりますが、中には架換えが必要な橋りょうもあります。現状の交通を阻害することなく橋りょうを架け換えるには、新たに橋りょうを建設するよりも予算を要することとなります。 県といたしましては、これまで造り上げてきた橋りょうなどの社会資本が今後も安全かつ安心して利用できるよう取り組むとともに、御質問の橋りょうについては周辺の交通状況や土地利用の動向などを踏まえ、広域的に整備の在り方を群馬県とともに研究してまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 次に、(二)東武伊勢崎線の立体交差について質問させていただきます。 加須市は二〇一〇年三月に旧加須市・北埼玉郡騎西町・北川辺町・大利根町が新設合併して誕生いたしました。その合併による地理的要素が影響しているのかは、なかなか限定できませんが、幹線道路である国道一二五号バイパス、国道一二二号バイパス、国道三五四号バイパスなどのネットワークが強化され、さらに東武伊勢崎線が市内を横断しており、東西方向のネットワークが充実してきております。 一方、南北のネットワークを見ると、東武伊勢崎線を立体交差している道路は、加須市道の花崎陸橋の一か所だけであります。多くの踏切において渋滞が発生しております。東武伊勢崎線の南側には済生会加須病院が立地する予定であり、緊急搬送に必要となる道路の南北をつなぐ道路ネットワークの強化が求められています。渋滞緩和や新病院、高速道路のアクセス等を考慮しますと、数か所、せめてあと一か所の東武伊勢崎線に対する立体交差が必要であると考えております。 県の考え方について、県土整備部長にお伺いいたします。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 加須市内は、東武伊勢崎線が東西に横断しているため鉄道との交差箇所が多く、東武伊勢崎線の踏切は市内に二十四か所あり、そのうち四か所が県道の踏切となっております。 議員御提案の立体交差化は、加須市の南北方向の交通対策に有効な手段の一つと考えますが、東武伊勢崎線との立体交差が都市計画決定されている箇所は、加須市が整備した花崎陸橋のみとなっております。既に市街地が形成されている箇所の立体交差化に当たっては、踏切周辺の土地利用との調整や用地の取得、既存踏切の廃止など多くの課題を解決する必要がございます。 このため、地元加須市とともに東武伊勢崎線との立体交差の在り方について研究してまいります。 ◆八番(千葉達也議員) 次に、(三)国道一二五号加須羽生バイパスの四車線化について質問させていただきます。 令和元年十二月の一般質問において、国道一二五号バイパスの東武伊勢崎線をまたぐ神戸陸橋を含む加須羽生バイパスの区間について、早期の四車線化整備の必要性について質問させていただきました。 四車線化整備を進めるためには、神戸陸橋の早期完成が必要と考えております。また、加須市内の暫定二車線区間は四車線分の用地が確保されているものの、未整備区間には工事の発生土が仮置きされており、見通しが悪いなどの声も地元から出ております。国道一二五号バイパスは県北東部を横断する重要な幹線道路であり、地元からも早期四車線化を強く要望されております。 そこで、国道一二五号加須羽生バイパスの四車線化整備の現在の状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 国道一二五号加須羽生バイパスにつきましては、暫定二車線となっている不動岡小学校入口交差点から国道一二二号までの約三・五キロメートル区間の四車線化を進めております。このうち、現在は東武伊勢崎線をまたぐ神戸陸橋の四車線化工事を重点的に進めており、これまでに八基の橋脚のうち三基が完成し、二基が施工中となっております。 今後も引き続き神戸陸橋の工事を進めるとともに、令和三年度からは陸橋東側区間の工事に着手するなど、加須羽生バイパスの早期全線四車線化に向け取り組んでまいります。 ◆八番(千葉達也議員) よろしくお願いいたします。 最後に、(四)県道久喜騎西線バイパスの整備推進について質問させていただきます。 令和三年一月二十七日に県道加須菖蒲線から県道加須鴻巣線の八百八十メートル区間が開通いたしました。これにより、既に供用されている市道一三八号線(工業団地常泉通り線)から県道加須鴻巣線までが通行できるようになり、東武伊勢崎線の加須市内唯一の立体交差である花崎陸橋への動線が確保されました。 また、令和四年度にオープンが予定されている済生会加須病院までのアクセス道路となる県道加須鴻巣線から新病院が立地する市道一四八号線(加須駅騎西線)までの三百四十メートル区間についても、現在工事が進められております。病院開院に伴い、道路環境が変化することが容易に予想されます。その際に、久喜騎西線バイパスの延伸整備が更に急がれる状況にあり、地域の皆さんも熱望されております。 そこで、質問させていただきます。現在開通している区間の東側の県道北中曽根北大桑線までの下高柳工区、西側の県道加須鴻巣線から県道礼羽騎西線までの区間の早期開通が必要と考えますが、それぞれの区間の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 千葉達也議員の御質問にお答え申し上げます。 県道久喜騎西線バイパスの整備については、既に供用している区間から東側約二キロメートルの下高柳工区において用地買収率が九九パーセントとなっており、まとまって用地が取得できた区間の工事を進めております。引き続き、残る用地の取得に努め、早期完成に取り組んでまいります。 次に、供用している区間の西側では、県道加須鴻巣線から済生会加須病院が接する市道一四八号線までの三百四十メートルの整備を重点的に進めております。この区間は病院の開業に間に合うよう工事を進めており、令和三年度末までの供用を目指しております。さらに、市道一四八号線から県道礼羽騎西線までの一・三キロメートル区間については、令和元年度に路線測量を実施し、令和二年度には道路詳細設計を進めております。 今後は、計画道路の構造などを地元の皆様にお示しした後に、用地測量を進めてまいります。 ◆八番(千葉達也議員) どうかよろしくお願いいたします。 以上で私の一般質問を終わりにいたします。これからも埼玉県並びに加須市発展のために頑張ってまいる所存でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)          ---------------- △休憩の宣告 ○田村琢実議長 暫時、休憩いたします。午前十一時十六分休憩          ----------------午後一時再開 出席議員    八十八名  (本会議場で審議)     一番    二番    五番    六番     八番    九番   十三番   十五番    十六番   十八番   十九番  二十一番   二十二番  二十四番  二十五番  二十七番   二十八番   三十番  三十一番  三十三番   三十四番  三十六番  三十七番  三十九番    四十番  四十二番  四十三番  四十五番   四十六番  四十七番  四十九番   五十番   五十一番  五十三番  五十四番  五十六番   五十七番  五十八番  五十九番   六十番   六十二番  六十三番  六十五番  六十六番   六十八番  六十九番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十六番  七十七番   七十九番  八十三番  八十四番  八十六番   八十七番  八十九番   九十番  九十二番   九十三番  (新型コロナウイルス感染防止のため第四委員会室で審議)     三番    七番   十一番   十四番    十七番   二十番  二十三番  二十六番   二十九番  三十二番  三十五番  三十八番   四十一番  四十四番  四十八番  五十二番   五十五番  六十一番  六十四番  六十七番    七十番  七十五番  七十八番  八十一番   八十五番  八十八番  九十一番 欠席議員    二名    十二番  八十二番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人  (本会議場で出席)   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   企画財政部長   総務部長   県民生活部長   環境部長     福祉部長   保健医療部長   産業労働部長   都市整備部長   警察本部長  (新型コロナウイルス感染防止のため執務室で待機)   危機管理防災部長 農林部長     県土整備部長   会計管理者    公営企業管理者   病院事業管理者  下水道事業管理者 教育長 △再開の宣告 ○小久保憲一副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○小久保憲一副議長 質疑質問を続行いたします。 五十八番 萩原一寿議員       〔五十八番 萩原一寿議員登壇〕(拍手起こる) ◆五十八番(萩原一寿議員) 議席番号五十八番、南第二区、公明党議員団の萩原一寿でございます。議員団を代表して一般質問に入らせていただきます。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 まず、県内経済への影響と中小企業の支援策について伺います。 新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、二度目の緊急事態宣言により、我が国の経済への影響は更に不透明な状況にあります。医療従事者から始まったワクチン接種が起爆剤となり感染拡大が抑えられ、我慢を余儀なくされている生活から通常の生活に戻り、経済が回復基調になることを望みます。 新型コロナによる経済への影響は、業界によって大きく差があるのも一つの特徴です。そこを踏まえたきめ細やかな支援が必要と考えます。 本県は、昨年五月に強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議を立ち上げ、様々な政策を進めてきました。その一つが、先日開催された中小企業の販路開拓のためのビジネスマッチングイベント「オンライン彩の国ビジネスアリーナ」です。この新しい取組に期待を持って参加された事業者さんもいました。これにより、企業同士のマッチングが進むことを願っています。 いずれにせよ、経済が回復し、県民の生活が守られるのかどうかが重要であると考えます。今、必要な経済支援と新型コロナが終息した後も見据え、効果的な施策を打ち出すべきです。 そこで、大野知事に伺います。 新型コロナの感染が広まってから約一年間の県の経済政策に関する検証と今後の取組についてお尋ねします。 また、企業への個別支援の主流は融資型支援になります。無利子などコロナ対策の融資を受けた事業者の据置期間が一年の場合、返済の時期に入っています。そのような事業者への支援をどのように進めていくお考えか伺います。 加えて、コロナ禍が始まる前に受けた融資、中でも金融機関のプロパー融資について条件変更を望む声が現場から寄せられています。何とか踏ん張っている県内中小企業を支えるため、知事から県内の金融機関に対して条件変更に積極的に応じるよう働き掛けてほしいと考えますが、いかがでしょうか。 さらに、新型コロナによる影響で事業等に係る収入に相当額の減少があった方を対象に、県税の納税猶予の特例制度を行っています。その対象は、納期限が令和三年二月一日までに到来する県税に限られていますが、申請手続が期限に間に合わなかった事業者への対応について伺います。 さらに、二月二日以降に納期限が到来する県税について、柔軟に対応すべきと考えますが、御見解を伺います。 次に、雇用対策について伺います。 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇止めは、今年二月十九日時点で見込みを含めて累計八万八千五百七十四人に増加したと発表しました。二月は計三千八百一人で、前月より増加ペースが上がっており、業種別では製造業が一万九千七十一人で最多、飲食業が一万一千七百七十三人、小売業が一万一千六百五十五人の順としています。 都道府県別に見ると、東京都が二万六百二十三人で最も多く、次いで大阪府が七千五百九十八人、愛知県が四千八百四十二人となっております。埼玉県は一千六百七十一人です。厚生労働省が把握できているのは全体の一部であり、実際の人数は更に多いと見られています。埼玉労働局が発表した今年一月の本県の有効求人倍率は〇・九八倍で、昨年一月との対比でマイナス〇・三六ポイントでした。 今年二月十二日に厚生労働省が発表した新たな雇用・訓練パッケージでは、離職を余儀なくされた労働者や支援のシフトが減った非正規労働者への支援などが柱になっています。感染症対策業務などで十万人規模の雇用創出が認められるとしています。県としても緊急時であるからこそ、経済が安定するまで雇用の維持、創出に向けての積極的な施策の実施が必要と考えます。 そこで、大野知事に以下三点質問します。 一点目は、県がこれまで進めてきた雇用対策の成果と今後どのように事業を進めるおつもりか、その方向性についてお答えください。 二点目として、二〇〇九年、リーマン・ショック時の経済への打撃は大企業が中心だったのに対し、今回の新型コロナによる経済の打撃は中小企業が中心です。特に、女性を中心とした非正規雇用に関する離職が目立ちます。今後、どのように対策を講じていくのかお答えください。 三点目として、新型コロナの影響で退職を余儀なくされた方を対象に、職業訓練によりIT人材を県が育成して転職に結び付けるべきと考えます。東京都では、IT人材育成支援事業を民間による委託事業として開始しています。三十五歳以下で求職中か非正規雇用で働いている方を対象に募集したところ、定員五十名に対し三百名が応募、二か月間の訓練を終え、二期生の訓練も始まっています。本県においても、同様の人材育成に関する事業を行うべきと考えますが、御見解を伺います。 次に、情報発信についてお尋ねします。 新型コロナの影響による経済支援として、持続化給付金、無利子の融資、家賃支援等々の事業が行われてきました。それは、県のホームページ、SNSなどをはじめ、彩の国だよりや商工団体からの発信など様々な方法で周知されてきました。 一月の緊急事態宣言が発令後、県内のほとんどのエリアで急に飲食店の時短営業要請による協力金事業が始まりました。事業者にとっては、短期間で大切な判断を下さなければならない場面があったのです。 私は、一月に県内のある事業者から、「国の家賃支援は申請したけれども、県の家賃支援は知らなかった」との話をいただきました。県の家賃支援について簡単に伝えると、「すぐにスマホで申請します」との答えとともに、「是非LINEで県の事業者向け支援メニューを発信してください。新着情報を発信してもらえば、忙しく従業員が少ない事業所の方でも見ることができる」と言われました。LINEは幅広い年齢層で利用されており、支援メニューを多くの人に周知できると考えます。 経済産業省はLINEアプリを活用して、新型コロナで影響を受けた事業者に対し、支援メニューに関する情報を発信しています。本県では、保健医療部が実施している埼玉県-新型コロナ対策パーソナルサポートがあります。しかし、これは事業者向け以外の情報がメインで発信されており、そこに事業者向けの情報を頻繁に発信すると登録者からブロックされるおそれがあります。 そこで、LINEによる事業者に特化した県独自の支援メニューを県民に発信すべきです。大野知事の御見解を伺います。 次に、誹謗中傷への対策について伺います。 我が国で新型コロナウイルスの感染が初めて確認されて一年以上が経過し、それを理由にした偏見や差別が報道されてきました。特に憤りを感じるのは、医師や看護師など医療機関で働く人とその家族に対するものです。例えば、親が看護師であるという理由で保育園から預かりを断られたり、病院職員だからと引越作業を業者に断られたといった事例が報道されています。インターネット上でも医療従事者に対する中傷が後を絶ちません。命懸けで職責を果たそうとしている人たちのことを思うと、残念でなりません。心ない言動が医療従事者の離職や休診、診療の差し控えにつながる懸念もあります。 福井県では昨年七月、感染したことが原因で起きた困った事案などについて、県内の感染者百四人を対象にアンケートを実施。このうち二十四人が、「陽性だったことがSNSで一気に拡散され、普通の生活ができない」とか、「『家の前を通るのも嫌』と言われることもある」など、誹謗中傷を経験していることが明らかになっています。 その後、福井県福祉課人権室ではAIシステムを活用し、インターネット上の新型コロナに係る誹謗中傷、差別の投稿へのモニタリング体制を構築。それらを防止する取組を昨年十一月から開始しています。専門業者が構築したAIシステムを用いて、SNSや掲示板サイトにおける福井県や県内市町村名、新型コロナに関する専門用語などから絞り込まれたワードから検索、判定を行います。そこから問題投稿を抽出し、県に報告。被害者から相談があれば、県から情報提供を行うことによりプロバイダーを紹介し、投稿の削除を依頼することができます。 福井県によると、今年二月四日現在から新型コロナの感染が拡大し始めた昨年三月までさかのぼって調査しました。その結果、計百三件にわたる問題の可能性がある投稿を保管しています。それにより、今年一月時点の福井県が報告を受けた誹謗中傷の投稿件数が、昨年四月時点に比べて約八〇パーセントも減ったのです。 そこで、大野知事に質問します。 新型コロナウイルスに係る誹謗中傷を抑止するために福井県のような県独自のAIによる監視制度を行うべきと考えますが、御見解を伺います。 次に、がん治療と仕事の両立支援について伺います。 厚生労働省の人口動態統計によると、がんは一九八一年から日本人の死因の第一位となり、二〇一八年には全国で約三十七万人が、がんで亡くなったと発表されています。県民の命を守るために、そして希望を持って生活ができるように、新型コロナウイルス対策に取り組みながら、国民病と言われている、がんへの対策を更に進めるべきです。 二〇一六年改正がん対策基本法の成立によって、がん患者の就労支援の施策が追加されました。二〇一七年策定の働き方改革実行計画においても、病気の治療と仕事の両立支援が挙げられています。 本県においても、二〇一九年にがん患者の治療と仕事の両立などの相談に応じる、がんワンストップ相談を開設しました。これには、公明党の蒲生徳明議員が議会一般質問で、私も予算特別委員会で病院外の相談窓口設置の必要性を取り上げてきました。全国初の取組であり、相談窓口に関わって御尽力されている保健医療部をはじめとする関係者の皆様に感謝申し上げます。 そこで、大野知事に以下三点質問します。 一点目として、更なるがん治療と仕事の両立支援について、県として新たな強化月間を設け、これまで以上の啓発を行うべきと考えますが、御所見を伺います。 二点目として、国立がん研究センターの調査によると、がんの疑いと説明を受けた時点で三三・三パーセントが離職を検討しており、五・七パーセントは、確定診断を受けるためにがんの専門病院を初めて受診するまでの間に離職してしまう、いわゆる「びっくり離職」の状況にあったとしています。 このように、がんの告知を受けてから早い段階での離職を防ぐために県はどうすべきと考えておられるのか、大野知事に伺います。 三点目として、更に治療と仕事の両立を進めるためには、企業の理解も必要です。この点についてどのように進めていくお考えか、知事の御見解を伺います。 次に、不妊治療と不育症対策について伺います。 昨年十二月、政府は不妊治療について二〇二二年四月から保険適用を実施するとし、それまでの期間は現行の助成制度を拡充するとの閣議決定がなされました。具体的には、今年一月から夫婦合計で七百三十万円未満の所得制限を撤廃、初回三十万円、二回目以降は十五万円だった助成額は二回目以降も三十万円とし、助成回数も生涯で通算六回までから子供一人当たり六回までに見直されました。また、対象は法律婚の夫婦だけでなく、事実婚のカップルにまで拡充されました。 その一方で、妊娠していても流産や死産を繰り返す不育症への対策も進みます。厚生労働省では毎年三万人が発症していると推計しています。現在は、子宮の形や血液を調べるといった検査は保険が適用されていますが、約六五パーセントが原因不明とされており、保険適用外となっています。そのような研究段階にある検査の保険適用に向け、今年の四月をめどに助成制度を創設します。 そこで質問です。 一点目として、前述したがん対策と同様に、不妊治療においても治療と仕事の両立支援は大きな課題です。企業や県民の理解促進をどのように進めていくのか、大野知事に伺います。 二点目として、国の制度が変わる中、不妊治療と不育症の現在行っている県単独の助成制度に関して、令和三年度はどのようになるのか、保健医療部長に伺います。さらに、不育症検査費助成について、不妊治療と違い不育症指定医療機関の制度がなく、埼玉県外だと助成が受けられない状況です。助成を受けられるようにすべきと考えますが、併せて御見解を伺います。 次に、環境科学国際センターについて伺います。 埼玉県環境科学国際センターは二〇〇〇年に開設して以降、身近な環境問題から地球規模の環境変化への対応まで行っており、環境学習、試験研究、国際貢献、情報発信の四つの機能を併せ持つ国内唯一の環境研究所です。環境科学の共有を基本理念として、地域のみならず世界に開かれた施設としております。二十年以上前に公明党の先輩議員がセンターの設置を発案し、開設に尽力してきました。 昨年十一月、公明党議員団で加須市にある同センターを視察してまいりました。センター内は環境について体感できる展示や、昭和三十年代の埼玉県東部の里山をモデルにしたビオトープなどの魅力ある内容が数多くあります。くまなく見学すれば二時間は過ごすことができます。この貴重な施設を本県の環境政策に十二分に生かすべきと考えます。 そこで、大野知事に二点伺います。 一点目として、環境科学国際センターには、全国でも有数と言える約五十名体制の研究所を有しております。この研究所の取組を通して県政にどのように生かし、県民に啓発していくお考えかお尋ねします。 二点目は、センターが持つ機能として国際貢献があります。これは国境を越えた協力関係や、環境面での国際的な連携を図るなどの取組です。地球的規模の問題についても、県単位の取組としては大変にまれな機能を有しています。 今後、センターとして国際貢献の取組をどのように進めていくのか、その方向性について、知事に伺います。 次は、環境部長にお聞きします。 環境科学国際センターには、地域気候変動適応センターが設置されています。喫緊の課題である温暖化対策の最新情報を発信しています。また、地域気候変動適応センター設置の根拠法である気候変動適応法においては、市町村の設置の努力義務をうたっています。本県が市町村に対し、センター設置に関する県の役割について御見解を伺います。 また、環境科学国際センターの太陽光発電システムが経年劣化により使用できない状況です。本県の国際という名前まで冠した環境施設の電力が、再生可能エネルギーを利用されていないのはいかがなものかという気がします。その点について早急に修繕すべきと考えますが、環境部長に御見解をお尋ねします。 次に、住宅施策について伺います。 まず、マンション政策について伺います。 昨年九月議会で公明党の蒲生徳明議員が同様の質問をしており、それを踏まえ質問いたします。 昨年、老朽化したマンションの修繕などを促進する改正マンション管理適正化法と改正マンション建替え円滑化法が成立しました。これにより都道府県及び市と区は、マンション管理適正化推進計画を作成することができるようになります。民間の調査によると、埼玉県の分譲マンションのストック戸数は約四十六万戸、マンション化率は一四パーセントです。 今後、建物の老朽化とマンション住民の高齢化という二つの老いに直面していきます。例えば、住民の高齢化による管理組合の役員のなり手不足で、その運営が進まなくなります。そして、管理組合の修繕積立金が足りなくなり、管理組合の運営が行き届かなくなると、十数年に一度の大規模修繕が行えなくなります。建物が傷み、設備が劣化し、排水管は詰まって汚水が逆流し悪臭が立ち込めてしまう。敷地内にごみが散乱し、耐えかねた住民は去っていくと、待っているのはスラム化です。 滋賀県野洲市の築四十八年のマンションが十数年前から九室全てが空室となりました。その後、九人の所有者の合意が取れず、廃墟のまま昨年にそのマンションを野洲市が行政代執行によって解体したのです。分譲マンションは個人資産でありますが、まちづくりに影響を及ぼすことを考えれば、行政の一定の関与が必要になります。 行政がマンション政策を怠り、前述のように管理不全マンションが増えれば、そのツケを地元自治体が税金で負担する可能性が出てきます。マンション政策を怠ってはなりません。県全体のマンション政策が進むように県が積極的にリーダーシップを取り、市町村とともに取り組むべきです。 都市整備部長に三点お尋ねします。 一点目として、県は今後マンション政策をどのように進めていくおつもりか。また、県内の市町村とどのように連携を取りながら取り組んでいくのか、お答えください。 二点目は、県全体のマンション政策を進めるために重要なのが、その実態を示すデータです。二〇一〇年に県の分譲マンション実態調査が行われて以降、実施されていません。いち早く実態調査を実施すべきと考えますが、御見解を伺います。 三点目は、県内の一部の市で行っているマンションの登録制度を県として積極的に推進すべきです。御見解を伺います。 次に、県営住宅について伺います。 本県の県営住宅は、建築後二十五年以上の一般住宅において十年の期限付き入居制度を実施しています。二〇〇七年この制度が開始となったときの応募倍率は十一・七倍でした。その後、下降傾向になり、二〇一九年度は二・七倍になっています。もちろん、県内の地域によってその倍率は異なりますが、入居しやすくなっています。 その一方で、入居されている方が七十代や八十代の年齢で、十年の入居期間を終了する前に新たな住宅を確保していくことは、現役世代と比べて経済力の違いや保証人を探すことなど手続を進める上で負担が大きく、体力や気力の面で非常にきついとの御意見をいただきました。県営住宅の高齢者が退去後、新たな住宅の入居について困窮しやすいことも踏まえ、十年という入居期限について改めて考え直すべきです。 そこで、都市整備部長に質問します。県営住宅に高齢で入居されている方については、一定の配慮をすべきと考えますが、本県の県営住宅における一般住宅の十年の入居期限についてどのようにお考えか、御所見をお尋ねします。 次に、シルバーサポーター制度について質問します。 シルバーサポーター制度という名前はそれほど聞き慣れた制度ではないと思いますので、御説明させていただきます。運転免許証を持つ高齢者で、免許証の自主返納を申し出る方が多くなっています。返納時、運転経歴証明書を渡されることは御存じでしょうか。こちらが運転経歴証明書です。運転経歴証明書は金融機関等の身分証明書として使えます。一生涯有効ですし、住所変更や再交付もしてくれます。とても便利な身分証明書でもあります。 私の元に地元警察署に免許を返納された方からお話がありました。「免許を返納した際、運転免許経歴書だけでなく、シルバーサポーター制度事業所一覧表という紙を渡されました。その際、こうした説明がありました。シルバーサポーター制度事業所というのは、様々なサービスや特典が受けられるお店のことです。この運転経歴証明書を提示しますと、お得なサービスが受けられますよ。活用してください」と、笑顔いっぱいにして、しみじみと感謝の言葉をおっしゃっていました。 調べてみました。あるスーパーでは購入した商品の配達料金を割引に、あるデパートでは駐輪場の料金を無料にしてくれます。飲食店やスーパー銭湯では割引があります。長年使ってきた運転免許証を返納したときの場面を思い浮かべてください。穴を開けられた免許証と運転経歴証明書が手元に返ってきた。そのときに県警が温かいお気遣いでシルバーサポーター制度を御説明してくれた。とても良い話だと思います。この特典制度の協賛店は、今年一月現在で約一千二百四十店舗あります。 そこで、警察本部長に伺います。 この協賛店ですが、本県警察本部は県内各署と一緒になって協賛店の拡充と、より多くの県民に周知していただきたいと存じます。運転免許証の返納者を笑顔いっぱいにしていただけないでしょうか。御所見を伺います。 この件は、県民生活部長にもお伺いいたします。 シルバーサポーター制度と似ている制度があります。それはパパ・ママ応援ショップ優待制度です。このパパ・ママ応援ショップ優待制度は、実は公明党の提案です。協賛店は、今年二月末時点で二万三千八百七店舗です。今では全国に流布する少子化対策の一つの柱になっています。 その協賛店の開拓を担われたのが、県民生活部の職員の皆様です。培った経験を生かし、警察本部とともに店舗の開拓と制度の周知に動いていただきたいと存じます。県民生活部長にお尋ねします。 最後に、福祉タクシー券について伺います。 福祉タクシー券は、障害者の社会参加を促す目的で市町村が実施主体となり、タクシーの初乗り運賃を助成するものです。例えば、透析で通院されている方や視覚障害者の方が多く利用されているとの話があります。朝霞市では、福祉タクシー券の交付とバス・鉄道共通ICカードの交付、又は自動車燃料費の補助のうち、どれか一つを助成しています。また、所沢市では、福祉タクシー券の対象区分を三つに分け、身体障害者手帳一級で透析治療されている方は、年間で最大九十枚交付されます。 県は、昭和五十五年から平成十二年まで福祉タクシー券について補助金を出しており、平成十八年から平成二十年までの間は国庫補助事業として実施されてきました。それ以降、現在のような市町村の単独事業となっています。 現在、年一回、県は自治体、タクシー業者などと協議会を行っており、関わりを持っています。そこで課題として指摘されているのが、令和元年における県全体のタクシー券の平均利用率が四四・九パーセントと、半分も使われていないことです。また、もう一つの課題は、タクシーの初乗り運賃が昨年二月一日に改定となり、それまでの二キロ七百四十円から一・二三キロ五百円、もしくは一・三キロ六百二十円になったことです。タクシー券一枚分の単価が減り、利用者サービスは実質的に低下していると考えます。 現在、埼玉県内で一回につき利用できるタクシー券の初乗り分は一枚のみです。東京二十三区のほとんどが利用できる枚数に限りはありません。いずれにしても、本県においても利用者のサービスを考慮すべきです。 そこで、福祉部長に質問です。 さきに挙げた利用率が低いことと利用者サービスが低下していることについてどのようにお考えか、伺います。また、対象となっている方にとってサービスが向上するようにすべきと思いますが、御見解を伺います。 以上になります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○田村琢実議長 五十八番 萩原一寿議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 萩原一寿議員の御質問に順次お答え申し上げます。 まず、新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねのうち、県内経済への影響と中小企業の支援策についての県の経済政策に関する検証でございます。 昨年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大当初、私は当面の経済政策の指針を三つ立てました。まず、止血的な措置としての資金繰り支援、次に雇用を守る取組、そして感染収束後のV字回復であります。この取組の実行のため、県民全体がワンチームになることを呼び掛け、経済団体と連携し、国に対し国が取り組むべき事項の要望と地方と一体となった取組を働き掛けました。 その後、未知のウイルス感染の対策として緊急事態宣言が発出され、強い行動抑制を行うに至るとともに、長期化への見通しが出てきたため、早期のV字回復ではなく、感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指すことといたしました。影響が広範で幅広い業種を対象とする支援策としては、埼玉県中小企業・個人事業主支援金や追加支援金、家賃支援金を創設いたしました。また、事業者の新しい生活への対策に対する支援策としては、業種別組合や商店街の感染防止や販路拡大の取組、テレワークに必要な整備費用の助成などを実施いたしました。 五月には、強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議を立ち上げ、第二波、第三波に備えた事業者の取組を産官学金労で議論し、現在の緊急事態宣言下でこれを実践しています。例えば、議員からお話がありました非接触型のオンライン展示会、「オンライン彩の国ビジネスアリーナ」の開催や「埼玉県お持ち帰りグルメ応援サイト」による持ち帰りグルメ応援などの利用促進支援であります。 さらに、現在は、感染再拡大を受け事業の執行を停止していますが、経済活性化策として国のGo To キャンペーンの周知や相乗効果を狙う取組として、県内物産事業者、バス事業者、宿泊・旅行事業者などを支援する県民向けの観光キャンペーンを実施いたしました。 こうした支援施策を切れ目なく、その時々のタイミングを的確に捉え実施することで、県内の経済情勢は、例えば、民間調査機関の新型コロナウイルス関連破綻件数は全国で一千七十九件のところ、本県では三十二件と、同規模の他県と比べコロナの影響を低く抑えることができていると考えております。 次に、今後の取組についてでございます。 私は、これまでの経済施策の効果をしっかりと検証し、適時適切な支援を行うとともに、ポストコロナも見据え、新たな需要を喚起し経済を動かしていくことが重要であると考えています。令和三年度当初予算案には、オンライン活用型ビジネスマッチング「彩の国ビジネスアリーナ」を、機能を充実させて行うとともに、新たに海外の販路開拓支援として製造業向けの越境eコマースの活用セミナーの開催や出店料の助成なども盛り込みました。さらに、感染症や自然災害に備え、事業継続の基礎となるBCP策定の支援強化や、ビジネスチャンスの創出につながるデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。 引き続き、強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議を中心に、オール埼玉の体制で効果的な経済施策を推進し、確かな経済回復により、県民が安心して生活できるように取り組んでまいります。 次に、融資が返済の時期に入ってくる事業者への支援をどのように進めていくのかについてでございます。 県内事業者の資金繰り支援については、昨年二月に県制度融資の対象者要件を緩和して以降、その内容の充実を図ってきたところです。その結果、多くの事業者に御利用いただき、令和二年度の融資額は一月末現在で九千七百七十三億円、埼玉県信用保証協会の保証承諾額は二月に一兆円を超えております。県制度融資額が一兆円を超えたのは、歴史上初めてのことであります。 一方で、今後は昨年に融資実行した資金の据置期間が満了することなどにより、返済負担が重くなることが見込まれます。そこで、県では、二月十八日から埼玉県新型コロナウイルス感染症対応資金の借換制限を緩和し、同資金間での借換えができるようにいたしました。これにより、新たな据置期間が設定されるなど、既存借入金の返済負担の軽減につながると考えております。 次に、県内の金融機関に対して、プロパー融資の条件変更に積極的に応じるよう働き掛けてほしいについてでございます。 県では、これまでも返済負担の緩和につながる返済猶予や借換えなどの相談に柔軟に対応していただくよう、金融機関に対し繰り返し要請を行ってきております。また、国でも令和三年一月十九日付けで、内閣総理大臣、財務大臣兼金融担当大臣等の関係大臣の連名で、金融機関等に対し既往債務の条件変更について最大限柔軟な対応を行うことなどを要請しております。 今後も、事業者の返済負担の緩和につながる条件変更について柔軟に対応いただけるよう、金融機関の代表者に対してあらゆる機会を捉えて直接働き掛けてまいります。 次に、県税の納税猶予についてでございます。 議員お話しの納税の猶予の特例制度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入に相当の減少があり、納税することが困難である事業者等に対し、最長一年間徴収を猶予するものであります。対象は、令和二年二月一日から令和三年二月一日までに納期限が到来する県税であり、原則として納期限までに申請していただくことが必要であります。 御質問の、申請手続が期限に間に合わなかった事業者への対応についてですが、期限までに申請することができない、やむを得ない理由がある場合には、期限後であっても申請を受け付けております。また、二月二日以降に納期限が到来する県税につきましては、納税者から納税することが困難であるとの申出があったときには、状況をよく伺った上で、既存の猶予制度の適用などを検討するよう県税事務所に指示しております。 この猶予制度は、一括して納税することにより事業の継続や生活が困難になるなどの事情がある場合に、納税を猶予することができるものでございます。コロナ禍で厳しい状況に置かれている納税者の負担を軽減していくため、申請の手続を極力簡素化するなど、柔軟かつ丁寧な対応を行ってまいります。 次に、雇用対策についてのこれまで進めてきた雇用対策の成果と今後の方向性についてでございます。 コロナ禍では、まず雇用の維持が重要であります。県では、昨年三月から雇用調整助成金等に係る緊急相談会を延べ二十七回開催するとともに、休業支援金のPRも私の記者会見やSNSなどで積極的に行っております。また、失業者支援も重要なことから、コロナ禍においてもハローワーク浦和・就業支援サテライトなど県施設を開所し、令和二年度は一月末時点で就職確認数が延べ四千二十四名の実績を上げております。 今後の方向性につきましては、感染拡大の収束までは引き続き雇用の維持の取組を実施するとともに、新しい生活様式に即した就職支援の充実と人材育成の強化に積極的に取り組んでまいります。 次に、特に女性を中心とした非正規雇用者の離職に関し、今後どのように対策を講じていくのかについてでございます。 埼玉県女性キャリアセンターでは、このコロナ禍においても電話やオンラインを活用して相談に対応するなど、仕事を求める女性や働き続けたい女性に対して切れ目のない支援を行っています。来年度は主に非正規雇用者を対象に正規雇用としての就業を目指し、資格取得やスキルアップにつなげるための講座を実施いたします。また、昨今、需要が高まっているオンライン面接への対応セミナーを開催するなど、離職を余儀なくされた女性が速やかに再就職できるよう支援してまいります。 今後も雇用情勢の変化を注視し、女性を中心とした非正規雇用者など厳しい環境に置かれている方々に対し、きめ細やかな対策を講じてまいります。 次に、IT人材の育成に関する事業についてであります。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で求職者数が増加している中、新たな分野にキャリアチェンジを目指す方々が職業訓練を活用することは大変有効であります。本県では、民間教育訓練機関に委託してウェブサイト制作やプログラミングなどIT関連の職業訓練を実施するとともに、職業紹介など就職支援を一体的に行っております。 先日成立した国の第三次補正予算において、短期間や短時間の訓練などを新たに可能とする多様かつ柔軟な職業訓練制度が創設されました。これを踏まえ、議員お話しの東京都のIT人材育成支援事業の課題や効果を見ながら、本県においても効果的なIT人材育成に引き続き取り組んでまいります。 次に、情報発信についてであります。 事業者向けの支援情報は、県ホームページを基本とし、彩の国だよりやメールマガジン、SNSのほか、支援機関、関係団体を通じた個別の周知などにより行ってまいりました。特に、新型コロナウイルス感染症関連の支援策は、ホームページに国の支援内容も含め分かりやすく一欄にまとめてあります。 埼玉県のLINE公式アカウントとしては、コロナ関連の情報を発信する「新型コロナ対策パーソナルサポート」があります。これまでに緊急事態措置の要請内容や協力金の案内などを事業者向けにも発信してまいりました。LINEによる情報発信は、即時性が高く、プッシュ型で届けられるメリットがあります。 一方、議員御指摘のとおり、発言内容に関心のない情報が多くなると見ていただけないなどの課題もあります。こうした課題を踏まえ、運用するコストと効果を見ながら、導入について前向きに検討してまいります。 次に、誹謗中傷への対策についてであります。 新型コロナウイルスの陽性者やその家族、医療従事者等に対する誹謗中傷や差別的取扱いは決してあってはなりません。インターネットの匿名性を悪用した公開されたSNS上での誹謗中傷のみならず、非公開のグループ等における中傷やいわれなきうわさなど大きな問題となっています。 県としては、媒体の監視ではなく、差別を助長する行為の根絶を優先して取り組んでまいります。昨年十二月には、インターネットを使った誹謗中傷の防止をテーマとしたイベントをオンラインで開催し、三千人以上の方々に御参加いただきました。また、本年二月には、「コロナ禍でも頑張る人へエールを送る応援団になりましょう」と記載した啓発ポスターを作成し、市町村の公共施設や県内の医療機関等に掲示していただくよう依頼しました。 さらに私自身、県ホームページにコロナ差別防止の解説動画をアップするなど、差別の防止徹底を強く呼び掛けているところです。 議員からは、AIによる監視について御提言をいただきました。モニタリングを行う場合、インターネットの特質から、監視する対象やプロバイダー等の管理者の範囲は日本全国に及びます。インターネットによる人権侵害に対しては、全国レベルで一元的に取り組むことが最も効果的であるとの考えから、これまでも政府に対してその実施を要望してまいりました。政府は、本年二月二十六日、被害を受けた人が発信者を特定しやすくするための法案を今国会に提出するなど、対応を進めていると聞いております。 県としては、しっかり国と役割を分担し、差別の防止に向けて丁寧に対応してまいります。 次に、がん治療と仕事の両立支援についてのお尋ねのうち、県として新たな強化月間を設けることについてでございます。 がん治療と仕事の両立支援は、非常に重要な課題と認識しております。本県では、毎日多くの方が県域を越えて働きに出掛けていますので、議員お話しの課題については県内にとどまらず、幅広い関係者とともに集中的に実施していくことが望ましいと考えます。 県では、昭和三十五年九月から六十年を超えて展開されている「がん征圧月間」を活用し、関係団体と連携しながら治療と仕事の両立支援を含めて啓発に取り組んでまいりました。その一環として、全国規模で開催されているがんのイベントである「リレー・フォー・ライフ」では、例年九月に県内二会場で開催し、約五千人の参加者全員にチラシを配布するとともに、会場内で治療と仕事の両立支援の相談にも対応しています。 新たな強化月間を加えることにつきましては、これらの協力をいただいてきた機関や関係者に対し、まずは意見をお伺いしてまいります。 次に、がんの告知を受けてから早い段階での離職を防ぐために、県はどうするべきかについてであります。 平成三十年度に国が実施したがん患者を対象とした調査では、「治療開始前に医療スタッフから就労継続について話を受けた」と回答した割合は三九・五パーセントに過ぎないとの報告があります。また、議員お話しの国立がんセンターの調査では、がんと診断された際に働いていたがん患者の多くが「治療スケジュールや副作用について早めに知りたい」と回答されておられます。 早い段階からの離職を防ぐには、診断早期から患者が、今後の就労の見通しが立てられるような治療スケジュールなどの情報を、患者にしっかりと届けることが重要と考えています。具体的な対策については、がん診療の専門家やがん経験者、経済団体の代表者などに参加いただいている県がん対策推進協議会などの場において、意見をお伺いしながら進めていきたいと思います。 次に、企業の理解を得るためにどのように進めていくのかについてでございます。 検診で見つけることができるがんは、早期であれば治癒の目安となる五年相対生存率は八割を超えています。また、働いている方の多くは職場でがん検診を受けていることから、治療と仕事の両立支援はがんの早期発見、早期治療と一体的に行うことが望ましいと思います。 そこで、県では、昨年十一月からがん検診受診促進宣言という事業を新たに開始いたしました。この事業は、経営者が自らの従業員に対して、精密検査を含むがん検診の受診促進と治療と仕事の両立支援に取り組むことを宣言いただき、県が登録するものであります。県経営者協会など県内の経済団体に御賛同いただき、県内企業への周知と事業参加の呼び掛けを行い、これまでに百六事業所からがん検診受診促進と治療と仕事の両立支援を宣言していただいております。 今後は、がん検診受診促進宣言事業を着実に広め、がん検診の受診率を向上させるとともに、治療と仕事の両立支援についてより一層の企業の理解が進むよう努めてまいります。 次に、不妊治療と不育症対策についてのお尋ねのうち、治療と仕事の両立支援について企業や県民の理解促進をどのように進めるのかについてであります。 国の調査では、「不妊治療と仕事を両立している」と回答した人は五三パーセントと全体の半数にとどまり、治療と仕事が両立できる職場環境の整備が喫緊の課題であります。県ではこれまで、「仕事と生活の両立支援相談窓口」の設置や両立支援ガイドブックの配布など、企業支援や啓発に取り組んでまいりました。 国は、令和三年度予算案に休暇制度の導入など、不妊治療を受けやすい職場環境の整備に取り組む中小企業への助成を柱とする新たな支援制度を盛り込んでおります。県としても、こうした国の取組を積極的に周知するとともに、埼玉県産婦人科医会と連携したセミナーを新たに開催するほか、企業にアドバイザーを派遣するなど、引き続き丁寧な支援に努めてまいります。 さらに、国、県、労働団体、経済団体で構成する埼玉県公労使会議を活用するなど、今後も官民一体となって不妊治療と仕事が両立できる社会を目指し、企業や県民の理解促進に取り組んでまいります。 最後に、環境科学国際センターについてのお尋ねのうち、環境科学国際センターにある研究所の取組を通して県政にどのように生かし、県民に啓発していくかについてであります。 環境科学国際センターにある研究所は、試験研究機能の中核を担っており、分析調査、政策支援、情報提供の三つに取り組んでおります。 このうち、分析調査は、センターの基盤となる重要な機能であり、河川等の水質検査などの定期的な調査に加え、緊急的な事故対応なども行っております。例えば、河川における変色や魚類の大量死など水質事故が発生した場合には、迅速な分析により原因物質を明らかにし、原因者の特定、事態の収束に大きく貢献しております。 政策支援は、試験研究によって政策に科学的な根拠を与える役割を担い、県政の企画立案に活用しています。例えば、県の温暖化対策実行計画を策定する際、前提となる温室効果ガス排出量の推計を行い、計画の目標設定に寄与しました。 近年、気候変動やプラスチックごみ、生物多様性など様々な環境問題への対応が求められています。今後は、このような新たな環境問題も含め、センターが有する高度な分析調査、研究機能を最大限に活用し、効果的な施策を企画、実施してまいります。こうした試験研究を通じて得た結果や情報を広く県民に役立てていただくため、センターではウェブや広報紙などで積極的に公開しております。 今後の官民データ活用の一環として、これらの環境データをGISで提供するなどのサービスも拡大してまいります。例えば、地盤沈下の研究のために収集した地層の情報は、安全なビルの建築等に活用されております。環境問題の解決のためには、県民が自ら行動することが極めて重要であり、今後のSNSの一層の活用のほか、県民参加型の調査における参加者同士の情報交換会の開催や研究員による出前講座など、普及啓発も強化してまいります。 次に、今後、国際貢献の取組をどのように進めていくのか、その方向性についてであります。 これまでは、深刻な環境問題を抱えているアジア地域から研修員を受け入れるとともに、センターの研究員を派遣し、環境保全に関する人材育成や技術の提供を行ってまいりました。現在、海外の四か国、十七の研究機関と協定を締結し、これまでセンターが蓄積してきた環境対策面での技術や知見を提供し、情報交換や研究交流などを行っています。 一方、アジア地域の中でも急速に科学技術が発展している国もあり、その関係もこれまでの技術協力から対等の立場での共同研究へと変わりつつあります。例えば、PM二・五の中国、韓国との共同観測はセンターの働き掛けで始まり、互いに技術向上や情報交換を重ねながら研究を行い、国境を越えた汚染実態の把握、解明により、対策へとつながりました。 環境問題のグローバル化が一層進展する中で、世界共通の課題解決の一翼を担えるよう取り組んでまいります。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 御質問三、不妊治療と不育症対策についてお答え申し上げます。 まず、令和三年度の県の独自助成事業についてです。 議員御指摘のとおり、不妊治療については令和四年度から保険を適用することになっており、大きな転換点を迎えております。これまで県が独自に行ってきた助成制度は、妻の年齢が三十五歳未満の夫婦の不妊治療に対する初回の上乗せ助成、出生による助成回数のリセット、不妊検査及び不育症検査費の助成がございます。 令和三年度については、まず、初回の上乗せ助成は引き続き県独自事業として実施し、国と同様に所得制限を撤廃するとともに、事実婚の方も対象に加えます。また、出生による助成回数のリセットについては、国の助成制度に含まれることとなったため、県独自の助成制度としては廃止いたします。不妊検査及び不育症検査費の助成については、令和二年度と同様に引き続き助成を行ってまいります。 次に、埼玉県外の医療機関も不育症検査助成の対象とすべきについてでございます。 現在、不育症検査費助成の対象機関は、全国の不妊治療費助成事業の指定医療機関及び県内で不育症検査費助成に同意いただいた産婦人科及び泌尿器科の医療機関となっております。不育症検査費への助成は県の独自制度であり、検査の実施証明書の発行等に御理解いただく必要があることから、不妊治療費助成事業の指定医療機関以外は県内の同意をいただいた医療機関に限定しております。 一方、不育症検査費助成の申請件数は年々増加しており、県外の医療機関で検査を受ける方からの相談も増えております。また、令和三年度から新たに国が先進医療に係る不育症検査費の助成制度を開始する予定となっており、県外の医療機関で検査を行った場合も助成対象となることが見込まれます。 このため、国の対象範囲などを参考にしながら県独自の助成事業について、不育症検査を行ったことの証明等を発行いただける県外の医療機関についても助成事業の対象とすることなどを検討してまいります。       〔小池要子環境部長登壇〕 ◎小池要子環境部長 御質問四、環境科学国際センターについてお答え申し上げます。 まず、市町村の気候変動適応センター設置に関する県の役割についてでございます。 地球温暖化対策としては、温室効果ガスを削減する緩和策と、温暖化の影響による被害を回避、軽減するための適応策とがあります。気候変動適応法では、都道府県及び市町村に対して地域において気候変動に関する情報収集、提供等を行う拠点として、地域気候変動適応センターの設置を努力義務としております。都道府県では、平成三十年十二月に本県が環境科学国際センターに設置したのを皮切りに、現在二十四府県に設置されております。適応策を進めるためには、都道府県のみならず地域住民とより近い市町村におけるきめ細かい取組が必要です。 しかしながら、適応センターの設置には気候変動の情報提供や分析などを行うための人員やノウハウが必要なため、市町村では川崎市と那須塩原市の二市しか設置されておりません。そのため、本県としては、環境科学国際センターの知見を生かし、市町村の適応センターの設置を進めていくことが、県が果たすべき役割と考えております。 具体的には、環境科学国際センターが各市町村と共同で地域気候変動適応センターを設置し、市町村別の気候変動に関する実態データや将来予測状況の提供のほか、適応計画策定の支援などを行います。各市町村に働き掛けたところ、現在五つの市が設置に関心を示しておりますので、まずこれらの市との調整を進めてまいります。 今後も市町村と連携し、地球温暖化の適応策に取り組んでまいります。 次に、経年劣化により使用できない太陽光発電システムを早急に修繕すべきについてでございます。 環境科学国際センターの太陽光発電システムは開設当初に設置したものであり、大規模施設長期保全計画に基づき令和六年度の更新を予定しておりました。その後使用できない状況となりましたが、環境施策の推進の拠点であるセンターにおける再生可能エネルギーの利用は大変重要であり、今後、可能な限り早急に更新できるよう検討してまいります。       〔濱川敦都市整備部長登壇〕 ◎濱川敦都市整備部長 御質問五、住宅施策についての(一)マンション施策についてお答え申し上げます。 まず、マンション施策をどのように進めていくか、また、どのように県内市町村と連携し取り組んでいくのかについてでございます。 県内の築四十年以上の分譲マンション戸数は、二十年後に四・六倍となることが見込まれており、老朽化マンション対策は喫緊の課題であると認識しています。令和二年六月のマンション管理適正化法の改正により、今後、県及び各市がマンション管理の適正化を推進する計画の策定や、管理組合に対する指導、助言等を行うことが可能となります。この改正で市の役割が明確となり、今後は県内各市の取組が重要になるものの、各市の体制や取組には差があります。このため、県がより一層リーダーシップを発揮し、県全体のマンション施策を推進することが必要であると考えております。 そこで県では、マンション問題に積極的な七つの市に働き掛け、県内各市との連携づくりの第一歩として勉強会を発足しました。この勉強会での議論を踏まえ、他の市のモデルとなるように県の推進計画の策定に取り組んでまいります。また、県全体で管理不全マンションを発生させないためには、各市の取組を底上げすることが必要です。 今後はさらに、将来老朽化マンションが多くなる市を個別に訪問するなど、推進計画の策定等について直接働き掛けてまいります。 次に、マンション実態調査についてでございます。 議員お話しのとおり、マンション施策を進めるためには実態の把握が重要です。そこで県では、推進計画を策定するため必要となる調査を実施します。その上で、その調査の具体的な進め方や過去の実施結果のデータを提供するなど各市の負担を軽減させ、実態把握に取り組みやすくなるよう支援してまいります。また、各市の調査結果を集約し県全体の実態把握に努め、マンション施策の推進に生かしてまいります。 次に、マンション登録制度についてでございます。 県内では、先進的な一部の市がマンション登録制度に取り組んでいます。マンション登録制度は、管理組合等が分譲マンションの基礎的データや管理の状況について市に届け出るもので、登録された場合には相談会やセミナー等の情報が提供されます。マンションの良好な維持管理を促進するためには、市が管理組合との関わりを積極的に持つことが重要と考えております。 そこで県では、登録制度に取り組もうとする市が速やかに導入できるよう、先進事例を紹介するなど必要な支援を行ってまいります。 次に、(二)県営住宅についてでございます。 一般住宅の入居期間を十年間とする制度は、県営住宅の入居機会の公平性を確保することを目的として、平成十九年度から導入しました。制度導入以降、応募倍率は大幅に緩和されており、入居機会の公平性の確保という目的は一定程度達成されたと考えています。制度の運用に当たっては、引き続き入居を希望する場合、入居期間が満了する二年前から県営住宅の申込みができるようにし、当選すれば継続して入居が可能となるなどの配慮を行ってきました。 一方、議員お話しのとおり、入居者が高齢となり、退去時期を迎えた際に新たな住宅を確保することが困難な場合もあることは認識しています。また、県営住宅の入居者の高齢化も進む中で、コミュニティが形成された地域に住み続けたいとの要望もいただいております。 そのため、一般住宅については、高齢者が引き続き安心して住むことができるよう、期限付き入居制度の見直しを行ってまいります。       〔原和也警察本部長登壇〕 ◎原和也警察本部長 御質問六、シルバーサポーター制度についてのうち、協賛店の拡充と県民への周知についてお答え申し上げます。 シルバーサポーター制度は、運転免許を返上したいと考えている方に対し自主返納しやすい環境を整備する観点から、多くの協賛事業所の御協力の下、平成二十年に運用を開始したものです。これまで、県警察として多くの協賛事業所を募るため、各事業所の団体等を通じて依頼を行うとともに、県警ホームページ等で本制度の概要や目的の周知を図ってきたところでございます。また、県民の方々への周知を図るためポスターやチラシ等を作成し、各種イベント等において活用や配布を行っているほか、協賛事業所の店頭にポスターやステッカーを掲示していただいております。 これら取組の結果、本年三月一日現在で、シルバーサポーター制度にタクシー事業者六十二社、自宅配送を行うスーパー等の四社をはじめ二百九十一事業所、約一千二百四十店舗に協賛いただいているところであります。 本年は、高齢者の交通死亡事故多発に伴う緊急対策を実施しておりますところであり、その一環として、警察本部と警察署が連携し協賛事業所拡充に向けた働き掛けや県民の皆様への周知を、現在、正に強化しているところであります。 県警察といたしましては、今後も運転免許の自主返納を考えておられる高齢者の方々の声に耳を傾けながら、県をはじめ関係機関と連携を強化し、必要な取組を推進してまいります。       〔山野均県民生活部長登壇〕 ◎山野均県民生活部長 御質問六、シルバーサポーター制度についてのうち、県警本部とともに店舗の開拓と制度の周知をについてお答え申し上げます。 近年の交通事故による死亡者は、約半数が高齢者であります。交通死亡事故を減少させる上で、高齢者の交通事故防止対策は喫緊の重要課題であります。議員御指摘のシルバーサポーター制度は県警察が所管している事業ですが、知事部局においてもこれに協力して制度の周知を図っているところでございます。 令和二年度は、新たにイラストを多用した分かりやすいパンフレットを作成いたしました。そこでは、シルバーサポーター制度を分かりやすく解説するとともに、協賛事業所や協賛の内容を高齢者にも見やすい大きめの字で紹介しております。このパンフレットは、協賛事業所の皆さんにとっても事業内容を発信できる広報媒体となります。皆さんからは「是非掲載をお願いしたい」との積極的な声もいただいているところです。 議員からは、パパ・ママ応援ショップを拡充した際の事例の御紹介もいただきました。こうした取組の経験なども生かしながら、高齢者のニーズに合った事業所に個別に足を使って働き掛けるなど、今後とも県警察との連携を強化して協賛事業所の拡大とシルバーサポーター制度の周知に積極的に取り組んでまいります。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 御質問七、福祉タクシー券についてお答え申し上げます。 まず、利用率が低いことと利用者サービスが低下していることについて、どのように考えるかについてでございます。 議員お話しのとおり、福祉タクシー事業は、障害のある方に利用券を交付しタクシーの初乗り運賃を補助するもので、各市町村が実施主体となっております。県は、市町村とタクシー事業者の代表で構成する福祉タクシー運営協議会の事務局として、利用する方が、県内どこでも共通の利用券で補助が受けられるよう制度全般について調整を行っております。 まず、利用率が低いことについてですが、初乗り運賃を超える部分は自己負担となることや、交通事情などの地域性が背景にあると考えております。障害のある方の社会参加の促進という観点から、こうした要因を更に分析するとともに、利用率を高めるための取組について考えていく必要があると認識しております。 次に、利用者サービスが低下しているとのことについてでございます。 運賃改定による初乗り運賃の引下げを受けて、令和元年十二月に福祉タクシー運営協議会を開催し、市町村、タクシー事業者と対応方針を協議した結果、初乗り運賃の補助という従来の考え方は変えないことといたしました。その際、運賃引下げによる補助額減少について十分考慮する必要があると考え、サービス低下につながらないよう各市町村で配慮することを県から提案し、合意をしております。この合意に基づき、各市町村において利用者の声を踏まえながら適切な対応が図られるべきものと考えております。 次に、対象となる方にとってサービスが向上するようにすべきについてでございます。 運賃改定に伴うこのたびの対応方針を決定するに当たっては、市町村やタクシー事業者から利用者のサービス向上という観点を含め様々な意見がございました。先ほどの利用率向上という課題と併せ、今後も運営協議会の場などを通じて市町村やタクシー事業者と現状をよく検証し議論を深めながら、より良い制度となるよう取り組んでまいります。       〔五十八番 萩原一寿議員登壇〕 ◆五十八番(萩原一寿議員) それでは、一点だけ、一、新型コロナウイルス対策の(四)誹謗中傷への対策について再質問させていただきます。 先ほどの知事の答弁でいきますと、国と県の役割を分けてというふうなことで、県のこれまで進めてきた事業、最近は知事が動画でこのことも発信されたことも、私、拝見させていただきました。本当にトップがそういうふうな形でされているというのは、私にも伝わってきたところなんですけれども、これまでの事業というのは、やはり情報提供と啓発。私が質問しているのは、この誹謗中傷に対する抑止がどこまでできるのかというところであります。 そういう意味だと、この誹謗中傷された方の目線に本当に立っているのかどうかというところを踏まえて、知事に再答弁をお願いします。(拍手起こる) ○小久保憲一副議長 五十八番 萩原一寿議員の再質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 萩原一寿議員の御質問一、新型コロナウイルス感染症対策についての(四)誹謗中傷への対策についての再質問は、役割分担、情報提供だけではなく抑止という観点も踏まえて、いかなる誹謗中傷への対策を県として講じることになるのかという趣旨の御質問だというふうに理解し、再質問にお答え申し上げたいと思います。 本年二月、新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正されまして、新型コロナウイルス感染症に関する偏見や差別を防止するため、国や地方公共団体が取り組むべき事項が定められることとなりました。県では、差別防止を分かりやすく解説する動画やポスター等、広報や啓発活動を確かに強化したところでございます。その一方で、差別的な取組に対する抑止の効果が期待できる刑罰、人権侵害については、法務省がこれを取り扱うということになっております。 他方で、議員御指摘のとおり、福井県等での例も御紹介いただきました。福井県の例についても、起点をどこにとるかによって、対策を講じて以降は、逆に投稿数が増加しているという統計も承知しております。 いかなる対策が効果があるのかについて今後もしっかりと検討させていただきながら、議員の御指摘も踏まえて、今後閉じられたコミュニティ内での差別やいじめ等、いわゆるインターネット等での調査では分からないところも含めて、県としては差別の実態を把握しつつ相談窓口を整えるなどしてきめ細かく、県としてしかできない対応について国と役割分担を踏まえて実施していきたいと考えております。          ---------------- △休憩の宣告 ○小久保憲一副議長 暫時、休憩いたします。午後二時二十分休憩          ----------------午後三時一分再開 出席議員    八十九名  (本会議場で審議)     二番    三番    六番    七番     九番   十一番   十三番   十四番    十六番   十七番   十九番   二十番   二十二番  二十三番  二十五番  二十六番   二十八番  二十九番  三十一番  三十二番   三十四番  三十五番  三十七番  三十八番    四十番  四十一番  四十三番  四十四番   四十五番  四十七番  四十八番   五十番   五十一番  五十二番  五十四番  五十五番   五十七番  五十八番   六十番  六十一番   六十三番  六十四番  六十六番  六十七番   六十九番   七十番  七十二番  七十三番   七十四番  七十五番  七十七番  七十八番   八十一番  八十二番  八十四番  八十五番   八十七番  八十八番   九十番  九十一番   九十三番  (新型コロナウイルス感染防止のため第四委員会室で審議)     一番    五番    八番   十五番    十八番  二十一番  二十四番  二十七番    三十番  三十三番  三十六番  三十九番   四十二番  四十六番  四十九番  五十三番   五十六番  五十九番  六十二番  六十五番   六十八番  七十一番  七十六番  七十九番   八十三番  八十六番  八十九番  九十二番 欠席議員    一名    十二番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人  (本会議場で出席)   知事       副知事(砂川)  副知事(橋本)   企画財政部長   福祉部長   保健医療部長   産業労働部長   病院事業管理者  (新型コロナウイルス感染防止のため執務室で待機)   総務部長     県民生活部長   危機管理防災部長   環境部長     農林部長   県土整備部長   都市整備部長   会計管理者   公営企業管理者  下水道事業管理者   教育長      警察本部長 △再開の宣告 ○田村琢実議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○田村琢実議長 質疑質問を続行いたします。 三十四番 宇田川幸夫議員       〔三十四番 宇田川幸夫議員登壇〕(拍手起こる) ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 自由民主党の宇田川幸夫です。どうぞよろしくお願いいたします。 議長より発言の許可をいただきましたので、一般質問をさせていただきます。 一、スタートアップの創出に向けて。 (一)支援体制整備の方向性について。 政府は二〇二三年までにユニコーン企業を二十社創出という目標に向けて、二〇一八年六月にJ‐Startupプログラムを開始しました。このプログラムでは、これまで百三十九社が選定されました。また、国の集中的な支援、スタートアップ・エコシステム拠点都市として、東京圏、中部圏、関西圏、福岡圏が選定されました。スタートアップ・エコシステムの形成が進められ、行政や民間主導による支援施設が全国的に広がりを見せています。 例えば、愛知県では行政主導のPFIによりスタートアップを集積させる総合的な中核支援拠点として、ステーションAiの設置を進めています。また、世界有数のグローバル・キャピタル/アクセラレーターであるプラグアンドプレイ社は、東京、大阪、京都に拠点を構え、同社のノウハウやネットワークを活用し、国内外のスタートアップと大企業との共創を生み出し、独自のスタートアップ・エコシステムを構築しています。 そこで伺います。 埼玉県においてもスタートアップを支援する体制整備が必要です。愛知県のように行政主導のPFIや、NUS(シンガポール国立大学)との連携によるインキュベーション施設なのか、又は独自のスタートアップ・エコシステムを有するプラグアンドプレイ社などを誘致して支援していくのか、知事の見解を伺います。 ○田村琢実議長 三十四番 宇田川幸夫議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 現在、新型コロナウイルス感染症の影響下にあって、新しい生活様式やビジネスが動き出しております。ウィズコロナからポストコロナへと変わっていく社会において、スタートアップが次々と生み出され、その中からイノベーションの新たな担い手が創出されることが期待されます。 渋沢栄一翁は、「民の力を強くしなければ、世の中の繁栄はない」との信念の下、生涯で五百社とも言われる企業の設立に関わるなど、日本の経済発展にその後大きく貢献することになる企業を多数生み出しました。言わば、渋沢翁はスタートアップのかがみとも言える偉人であります。 こうした渋沢翁の信念を現代に再現するため、私は、新事業の創出や大きな成長を目指す企業を支援する渋沢栄一創業プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトでは、スタートアップの成長を支援するため、起業家や異業種の企業が交流しビジネスマッチングが生まれる場として、仮称ではありますが渋沢栄一起業家サロンの検討を開始しました。サロンの設置に向けて、学識経験者やベンチャー企業経営者など企業の成長支援に知見のある有識者による会議を設置し、求められる機能、場所、運営方法等について検討してまいります。県主導の整備とするのか、誘致による支援とするのかについても、有識者会議において検討していただきます。 愛知県など行政主導によるものやプラグアンドプレイ社など民間事業者の先進事例も参考にしつつ、渋沢翁の名前にふさわしい埼玉県ならではの交流の場の創出に努め、渋沢スピリットを受け継ぐスタートアップの創業や成長を支援してまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 今、知事の御答弁の中で起業家サロンということで、こちらの中で手法も、集積のスタイルとかも決めていくということで、一度御確認させていただきたいと思います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 宇田川幸夫議員の再質問にお答え申し上げます。 スタートアップのサロンで検討するのではなく、その前の有識者会議においてスタートアップサロンの在り方や場所、機能等について検討していただくということになります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 再々質問させていただきます。 ここで手法は決めないと。そのサロンの前の有識者会議で手法は決めるということでいいのか、もう一度お伺いします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 私、正確に御質問を把握しているかどうか分かりません。 ここで決めないというのは、サロンはその後でございまして、その前に有識者会議があり、その有識者会議において埼玉県もそうですけれども、各地域においてインキュベーションもしくはスタートアップ支援、これについては既に幾つものところでなされていると思います。他方、そのもう一方で一定程度育った方々が企業として独り立ちするためには、例えば商売、あるいは人、さらには技術、こういったものとのマッチアップ、この両面が必要だというふうに考えております。 したがって、これまでのインキュベーション等を行っていた埼玉県の一定程度のものがありますが、これを更に拡大するとともに、マッチアップを進め商売につなげていく。このためには、有識者会議においてそのためのマッチアップのサロン、この在り方について検討いただき、そこで御助言いただいた上で決定するというプロセスを考えております。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) ちょっと私が理解できていないのかあれなんですけれども、手法はそこで決める、サロンで決めるのか、その有識者会議なのかというところがちょっと疑問なんですけれども、再々質問までなので、次の質問に替えさせていただきます。 (二)埼玉県の特色を生かした支援について。 J‐Startupの認定では、東京都に本社を構える企業が多く選定され、スタートアップの集積や支援の状況は東京の一人勝ちの状況です。残念ながら埼玉県からはJ‐Startup認定企業は生まれていません。埼玉県からJ‐Startupに認定されるような企業を創出するためには、東京都との差別化を図る取組が必要と考えます。 そこでお伺いいたします。 埼玉県には東京にはない鉄道網、道路網、河川、広大な土地、文化などの特色があります。これらの特異性を生かしスタートアップが創出されるよう、施設の提供など支援を考えるべきと思いますが、知事の御所見を伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、充実した交通網や広大な土地は本県の特色であり、大きな強みだと思います。このような特色や強みを背景として、過去十年間の本県への企業転入超過数は全国第一位になるなど、企業から選ばれる埼玉県となっております。一方で、我が国に約一万社存在すると言われるスタートアップの企業の集積状況を見ると、現状では東京への集積が顕著となっています。 このような状況を変え、本県の特色を生かしてスタートアップの集積を促進したいという思いは、私も全く同感でございます。例えば、本県の特色として、本県には我が国が世界に誇る知の拠点である理化学研究所が和光市に立地しており、県は理化学研究所、中小企業基盤整備機構及び和光市と連携して新事業の創出に取り組んでおります。 有望なスタートアップを支援するため、機構が理研隣接地にインキュベーション施設を整備し、県と市がインキュベーションマネージャーを配置するとともに入居者への賃料補助を行っております。この取組では、理研の研究成果の活用が可能となっており、研究開発型のスタートアップにとっては大きな魅力となっていると思います。また、ものづくりが盛んな川口市にある産業技術総合センターのインキュベーション施設では、センターが保有する機器や知見を活用した施設の提供が可能となっています。 さらに、これらのスタートアップ企業が一本立ちするためには、地理的特性を生かしてマッチングするための取組を(仮称)渋沢栄一起業家サロンにも加え、段階に応じたきめ細やかな支援により、数多くのスタートアップが埼玉県で創出される環境を整えたいと思っております。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 再質問させていただきます。 今、私がお互いに認識しなければいけないというのが、J‐Startupの企業がゼロ、だから先ほどの質問で、まずは手法を決めましょうよと。それは民間主導なのか、PFIで行政主導でいくのか、まずはそこからがスタートかなと。そこが決まって、その後に集積地。やはりスタートアップをどこでやっていくか、集積させていくか、そこが重要なのかなと思うんですけれども、その辺のところを一回整理させていただきたいと思うので、今回のこの(二)で質問しているのは、支援の集積する場所も含めた形で御答弁願いたいということだったので、そこをもう一度お伺いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 宇田川幸夫議員の再質問にお答えさせていただきます。 今の再質問につきましては、事業の形態についてはPFIとするのか、民間主導がいいのか、こういったことについてこの議会において今、議論したいと、そういったお話だというふうに理解させていただきました。 その上で申し上げれば、議員御指摘のとおり、こういった事業の主体や形態については極めて重要であると私も思いますし、それらの事業主体が埼玉県の特性等をしっかりと御理解いただいた上で進めることが大切だと考えております。 この重要性であるからこそ、私どもとしては有識者の知見もしっかりと伺いながら、その上で御報告させていただきたいと思います。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 再々質問させていただきます。 有識者が決めて、知事がそこで御判断していくと。民間主導なのか、PFIなのか、どちらかのプランをお決めになるという認識でいいのか、お伺いします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 宇田川幸夫議員の再々質問にお答えさせていただきます。 最終的な決定の責任は私が負うことになりますが、スタートアップ企業は多岐にわたっており、残念ながら私一人の知見だけではなかなか追いつかないところも、これは正直に認めざるを得ません。したがいまして、様々な専門家の御意見をいただきながら、専門家の方と県の担当部局とでしっかりと練り上げてまいりたいと思います。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 是非とも埼玉県はちょっと遅れている部分があるので、取り組んでいただきたいと思います。 次の質問に移らせていただきます。 (三)起業家教育について。 二〇二〇年版の中小企業白書では、起業に対する意識を国際的に比較している。「起業することが望ましい」「周囲に起業家がいる」など五つの項目については、「はい」と答えた成人人口の割合を見ると、日本は、アメリカやイギリスなど調査対象の七か国のうち、全ての項目で最低の割合となっています。諸外国に比べて、起業に必要な外部環境や条件が整っていないと認識されていることや、起業に対する前向きなイメージが低いことは、スタートアップを創出していく上で非常に残念な状況であります。 また、同白書によれば、起業を希望する動機付けとなった起業家教育などの経験時期は、「最終学歴以降」との回答が約八割を占め、「中学校以前」と回答した人の割合は一パーセント前後しかありません。より若い世代に、起業に関心を持つきっかけを与えていただくことが重要だと指摘しています。 DXの進展、新型コロナウイルスの感染拡大の影響など相次ぐ社会変革に対応するため、様々な場面でイノベーションが求められています。そのような中、起業家が持ち得る創造性やチャレンジ精神などといった素養は、起業家のみならず多様な人々と仕事をしていくために必要なものであり、幼少期から起業家の素養が身に付くための教育がなされるべきと考えます。 そこで伺います。 産業分野を所管する知事部局が主導し、教育局と連携して起業家教育を進めるべきと考えますが、知事の御所見を伺います。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 先月十四日、我々が待ち望んでいた郷土の偉人、渋沢栄一翁の生涯を題材としたNHK大河ドラマ「青天を衝け」がスタートいたしました。初回、第二回は、少年時代の栄一とその家族との生活を中心に展開されましたが、私がとりわけ関心を抱いたのは、父である市郎右衛門との交流でした。研究熱心な藍の栽培農家で、藍玉の製造販売により中の家を再興させるなど優れた経営者でもあった父を尊敬し、そして大きな刺激を受けたということが描かれていたというふうに見ていました。後に五百ともいわれる企業の設立に関わった渋沢翁の原点は、市郎右衛門の後ろ姿にあったのではないでしょうか。 幼き頃の栄一が父から大きな影響を受けたように、若い時代から起業家マインドを学ぶことは、私も大変重要なことだと思います。このため、本県では、第一線で活躍している地域の起業家が学校を訪問し、創業までの道のりややりがい、挑戦し続けることの大切さなどを講演する出前起業家講座を産業労働部と教育局で連携して実施させていただいております。 今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が懸念されましたが、二月末現在、県内の中・高等学校二十三校で開催し、四千四人に受講していただきました。受講した生徒へのアンケートでは、「受講前より何かにチャレンジしてみたくなった」「起業や新しい事業を創造することに関心が高くなった」との回答が八割を超えるなど、起業家マインドの醸成に寄与しているものと考えております。 今後も、創業支援を担う産業労働部と教育局が連携し、新しいことにチャレンジする意欲、リーダーシップ等の起業家精神を育み、将来の地域経済を担う人材を育成してまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 埼玉県、やっぱり企業数が減るとGDPにも影響するというふうに言われていますので、是非とも起業家教育を進めていただきながら未来を創っていただけたらなと思います。 次の質問に移ります。 二、県の計画に対するコロナ禍の影響の反映について。 (一)埼玉県5か年計画について。 5か年計画の計画期間は二〇一七年度から二〇二一年度までとなっており、この間、二〇一九年度にローリングが行われています。一方では、計画策定時やローリング時から、私たちの生活は新型コロナウイルス感染症の影響により大きく変化しています。医療や経済、教育、福祉など様々な分野で、パラダイムシフトとも呼べる変化が発生しています。これだけ社会情勢が変化しているのだから、県で策定している様々な計画で遅れや変更が生じていると思慮するが、県の行政運営の基本計画である5か年計画にも現況と合わない部分が多々発生していると思われます。 先日の小島団長の代表質問では、「知事公約を令和四年度からの次期5か年計画に体系的に位置付けていく必要がある」との御答弁がありました。コロナ禍での教訓を最大限生かし県を成長させるため、コロナ禍の影響を反映することも必要なことだと考えます。 そこで伺います。 埼玉県5か年計画についてコロナ禍の影響をどのように反映していくのか、知事にお伺いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 新型コロナウイルス感染症の拡大は未曽有の危機をもたらす一方で、経済、社会や人々の意識を大きく変え、新たな社会へのシフトももたらしています。例えば、高度なデジタル社会へ変革し、新しい価値を生み出すデジタルトランスフォーメーションが声高に叫ばれるようになり、テレワークの実施などの働き方改革は加速しています。 また、コロナ禍の中、ひとり親世帯等に食材の無償配布を行っているフードパントリーの団体数が急増しているなど、ポストコロナを見据えた新たな社会の構築において、「誰一人取り残さない」というSDGsの基本理念の重要性は、経済だけではなく一層高まっていると考えています。 議員御指摘のとおり、様々な分野で生じたパラダイムシフトとも呼べる大きな変化や重要な価値観を、県政運営の基本となる5か年計画にもしっかりと反映することは必要と考えます。令和三年度に現在の5か年計画は計画期間が終了することとなります。このため現在、次期5か年計画の策定準備を進めているところであります。 計画策定に当たっては、SDGsの達成目標である二〇三〇年やその先の二〇四〇年を見据えた中長期的な視点を持って検討する必要があり、その際には、先ほど議員からも御指摘があった、コロナ禍の影響を踏まえた新たな社会を強く意識しなければなりません。具体的には、デジタルトランスフォーメーションやSDGsを計画の全施策を貫く、いわば横串の視点として位置付けることを検討しております。 コロナ禍で生じたこのような新たな視点も踏まえ、持続可能で誰一人取り残さない「日本一暮らしやすい埼玉県」を実現できるよう、次期5か年計画の策定を進めたいと考えております。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 今、知事の御答弁の中で「県政運営の基本」という御答弁がありました。まさしくそうだと思います。 このコロナで大分計画のいろんなものが遅れていく。でも、コロナに対して集中的にフォローしていかなければいけない。これはもう間違いなくやらなければいけないことだと思います。 でも総体的に、全体的に県政を見てきた中で、やはり県政のこの計画が遅れていくということは、やっぱりそこはどこかでフォローしなければいけないと思うんですよね。そこはやはり経済が遅れているんだったら、次の年にしっかりとそこで補う。それを担保していかなければいけないのかなと思うんですけれども、その辺のところを知事としても、遅れてきてしまったところをしっかりとフォローしていくというお考えでいいのか、お伺いいたします。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 宇田川幸夫議員の再質問にお答えさせていただきます。 経済に関しての御質問と理解いたしましたが、コロナ禍においては三つの要素があると思っています。 一つ目は、コロナ禍の現時点で確かに計画と異なることがありました。しかしながら、それでも経済、社会は生きておりますので、それをしっかりと下支えすること、これが一点目だと思います。 そして、二つ目には、計画が遅れたことに対してどのようにキャッチアップを行うか、これが二つ目だと思っています。 そして、三つ目には、コロナ禍を奇貨として、更に変化を求められている分野がございます。 その三つの分野について、県政として取り組んでいく必要があると考えております。 一点目につきましては、既にるるお話しさせていただいておりますが、簡単に申し上げさせていただきますけれども、例えば資金繰り、あるいは雇用の維持、さらにはコロナ禍でのマッチング、こういったものをこれまでもやらせていただきました。これはコロナが残念ながらすぐには終わらないと思いますので、しっかりとやらせていただきたいと思っています。 そして、キャッチアップについては、いわゆる政府がいっているGo Toなども含めてV字回復が可能になるように、新しい経済、新しい生活様式の下での経済回復をそれぞれの団体とも協力しながら進めてさせていただきたいと思っています。 そして三つ目が、先ほどちょっと申し上げましたけれども、デジタルトランスフォーメーションあるいはSDGsもそうですけれども、これらが例えばSDGsにおける取組が現在社会における発展のファンド等における基準、いわゆるSRIにもなっていますので、こういったものも意識しながら新たな経済というものを作り上げていく。 これらの三点において、私どもはしっかりとフォローアップさせていただきたいと思います。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 私もちょっと質問が長くなってしまったからあれなんですけれども、では、しっかりと修正していくというお考えでいいのか、再々質問させていただきます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 新しい5か年計画が令和三年度に切れた後、もちろん、これまでも検討してまいりましたけれども、新たな新型コロナウイルス感染症対策及びその後に出てくるポストコロナというんでしょうか、ウィズコロナというんでしょうか、その新しい価値観を反映して、新たな社会へのシフトを入れ込んで検討の変更を加えていくつもりでございます。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 是非ともしっかり反映させていただければと思います。 次の質問に移ります。 (二)埼玉県子育て応援行動計画について。 コロナにより、大変な状況に陥っている人はたくさんいらっしゃいます。その中でも、子供たちの生活については早急に手を打たなければなりません。 文部科学省は先月、新型コロナウイルス流行により一斉休校などがあった二〇二〇年に自殺した小中高校生は、統計のある一九八〇年以降最多の四百七十九人だったことを示しました。また、厚生労働省のまとめによると、令和二年一月から九月までで十八歳未満の子供が親などの保護者から虐待を受けたとして児童相談所が対応した件数は、全国で十四万七千六百六十五件に上り、前年同時期と比較すると七・一パーセントの増加となっています。 これらの原因として、在宅勤務や休校等により外出の制限や育児の負担、収入の減少など先行きの見えない不安やストレスが増加していることが指摘されています。そして、その矛先が子供に向かってしまうケースが増えたのではないでしょうか。原因は見えているのに対策が追いついていないのが現状ではないかと、私は捉えています。 そこで伺います。 新型コロナウイルス対策本部にて専門家の意見を聞かれていることは承知しています。しかし、子供たちの安心で安全な生活を守るために専門家の意見をより詳しく収集し、子育て応援行動計画の実効性が高められるよう、早急に反映していく必要があると思います。福祉部長の御見解を伺います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 埼玉県子育て応援行動計画は、「すべての子供の最善の利益」を基本理念として掲げ、子育て支援などに係る施策を一体的、総合的に推進するための計画です。この基本理念の下、コロナ禍で深刻化している人と人がつながる機会の減少や、ひとり親家庭の困窮、子育て家庭の孤立などの問題にしっかりと対応していかなくてはならないというふうに考えております。 こうした中、県では、埼玉県児童福祉審議会の委員から、「自粛の影響で孤独になっている人やストレスに悩んでいる人に対しては、今までとは異なるアプローチを検討すべき」といったような御意見もいただいているところでございます。そこで、SNSを活用して、虐待に関する悩みなどを誰にも知られず、どこからでも相談できる窓口を開設し、昨年の九月から相談を受け付けているところでございます。 また、ひとり親家庭等に無償で食材を配布するフードパントリー団体への食材のマッチング等のサポートを通じて、生活に困窮する子育て家庭を支援しております。 さらに、地域の身近な子育て支援の場である地域子育て支援拠点で、オンラインを活用した親子同士の交流や子育て相談が行えるよう、令和三年度予算案に事業費も計上しているところでございます。 今後も、有識者の方や地域の子育てに関わる方々の御意見をお聞きし、コロナ禍にあっても全ての子供が安心で安全な生活を送ることができるよう、しっかりと取り組んでまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 再質問させていただきます。 九月から相談窓口なんかを開設されたということで、それはそれでしっかりやっていただきたいんですけれども、今のお話だと例を挙げてもらったんですけれども、本来のこの計画を作った方々のいろんなジャンルの方々がいると思うんですけれども、そこにお話を聞いたりとか、そこの場で本当に今の現状をもっと収集しているのかということをちょっとお伺いしたいと思います。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 宇田川幸夫議員の再質問にお答え申し上げます。 いろいろ専門家の方の御意見をちゃんと伺っているのかという御質問かというふうに思いますけれども、今、児童福祉審議会委員の方のお話をさせていただきましたけれども、それ以外にも子育て支援の専門の方ですとか、大学教授の方ですとか、児童虐待の専門の方ですとか、そういった方からも折に触れ御意見を伺いながら施策については検討して、計画の趣旨に沿って進められるように取り組んでいるところでございます。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 是非とも専門家の皆さんの意見を取り入れて反映していただければと思います。 次の質問に移ります。 三、児童発達支援センターについて。 (一)機能強化について。 発達障害児の支援体制について、まず現状を整理します。 県では、中核発達支援センターを県内三か所に設置し、医師や作業療法士などの専門職を配置して、診療から療育までを一貫して行っています。また、地域療育センターを九か所設置し、専門職が保護者からの相談や個別療育に対応しています。それぞれの地域では、児童福祉法に基づき設置された児童発達支援センターが障害児の療育を行うとともに、家族や関係機関からの相談に応じています。また、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスが身近な地域で療育を行っています。 このように発達障害児の支援には様々な機関が関係しておりますが、課題もあります。例えば、中核発達支援センターは初診まで半年近くお待ちいただく場合もあります。地域療育センターも多くのニーズに対応するため、利用期間を一年に制限しています。 こうした状況を踏まえると、身近な地域で早い段階から適切な支援が受けられるよう、地域において相談支援を行う児童発達支援センターの役割が非常に重要であります。また、相談支援はニーズをしっかりと受け止め、関係機関と調整しながら、適切なサービスにつなげていく障害児・者ケアマネジメント手法が重要であります。児童発達支援センターが中核となって、発達障害児のニーズを児童発達支援事業所や放課後等デイサービスの療育に適切につないでいく必要があります。 そこで伺います。 現状の連携体制はどうなっているのか、そして、更なる連携に向けて児童発達支援センターの機能強化に今後どう取り組んでいくのか、福祉部長にお伺いいたします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 児童発達支援センターは、市町村や社会福祉法人、NPOなどが設置主体となり、自ら療育を行うほか、地域の拠点として支援が必要な子の相談に応じ、療育サービスにつなぐ役割が期待されています。しかしながら、現状では二十六市町村に三十四か所の設置にとどまっておりまして、全ての市町村をカバーし切れておりません。また、相談支援機能が法令上必置となっていないことや、専門職の確保が難しいことなどの事情により、相談対応を行っていない児童発達支援センターも現状ではございます。 このように発達障害児の支援を進める上で、児童発達支援センターを中核とした地域連携は、残念ながら現状では十分と言えないのが実情でございます。 こうしたことから、本県では、独自の取組として県内九エリアに地域療育センターを設置し、作業療法士などの専門職が相談対応やセンターなど療育機関への指導、助言を行うなど地域における連携の一翼を担っています。今後におきましては、より身近な地域に児童発達支援センターが設置され、拠点としての役割を果たしていくことが望まれます。 県としては、児童発達支援センターの設置数を増やしていけるよう、地域の連携に精通したアドバイザーを派遣するなどして市町村に働き掛けてまいります。また、既存のセンターの職員を対象に、発達障害に関する専門性向上のための研修や訪問による助言などを行ってまいります。 こうした取組により、発達障害児の支援が身近な地域で円滑に行われるよう、児童発達支援センターの機能強化を支援してまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 部長が認識しているとおり、この児童発達支援センター、やっぱりカバーできていないわけなんですよね。 そこで、利用者、親御さんたちが一番欲しいなというのが、やっぱり相談窓口。相談支援のところでまず相談させてもらって、その後に療育なのか、その利用者が欲しいサービスをマッチング。しっかりそこをしてもらいたいというのが思いなんですよね。 その辺のところは市町村のサービスにはなるんですけれども、やっぱり県としてカバーできることがあると思うんです。そこの辺の御見解をお伺いします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 宇田川幸夫議員の再質問にお答え申し上げます。 先ほど、まだ児童発達支援センターは、地域で身近な相談機関としてなかなか機能し切れていないというお話を申し上げました。ですので、ちょっと若干繰り返しになって申し訳ないんですが、現在はそういうことで、独自の取組として地域療育センターを設置して、そちらの専門職で今御相談を受けていると。 ただ、議員がおっしゃられたように、一年間という期間のどうしても枠とかがまだあるわけなんですが、これからはその地域療育センターから、また児童発達支援センターにいろいろ訪問して指導して、なるべく児童発達支援センターにこれからは機能強化する。残念ながら議員の御指摘のように、身近なところで相談して発達障害をきちんと判断、診断してというか、それでちゃんとつないでいくというところが、まだそこの専門家の養成がなかなかどうしても不足しているところがございますので、そこに向けてこれから力を入れて取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 次の質問に移ります。ちょっと御提案を含めた形になります。 (二)医療ネットワークの構築・強化について。 先ほども述べさせてもらったんですけれども、中核発達支援センターは初診までの待機期間が長いという課題があります。 そこで、もう一度伺います。 中核発達支援センターの初期待機を解消するため、県内の児童発達支援センターに受診の相談機能と診断機能を持たせ、医療ネットワークの構築、強化を図ることが必要だと考えますが、福祉部長にお伺いいたします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 発達障害児の支援に当たっては、医療機関での診断を通じて子供の特性を正しく把握し、早期に療育につなげていくことが重要になります。児童発達支援センターに診断機能を持たせることにつきましては、待機時間の短縮につながりますが、その一方で、診療所の運営経費や医師の確保など様々な課題があり、その実現には高いハードルがございます。実際に児童発達支援センターに診断機能を持たせる医療型といわれるものは、県内にまだ二つしかございません。このため、中核発達支援センターの診療期間を解消するためには、当面、身近な地域の医療機関で受診できる体制を作っていく必要があるというふうに考えているところでございます。 県では、小児科、精神科の医師を対象に、発達障害の早期支援に必要な診療の知識や技術を習得していただく研修を実施しております。この研修などによりまして、発達障害の診療が可能な医療機関の確保に努めておりまして、現在百九十一機関を県のホームページで公表しております。 こうした医療機関の情報を児童発達支援センターとともに共有させていただき、御家族からの受診相談に適切に対応するとともに、医療と療育を円滑につないでいけるよう、医療ネットワークづくりを当面進めていきたいというふうに思っております。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 部長は県内で二つと言われていましたけれども、やっているところ、あとやりたいなというところも今出てきていますので是非とも研究してもらって、その全部ではなくても一部でもいいから、そこを取り入れるということを研究してもらいたいと思います。 次の質問に移ります。 四、認知症対策について。 (一)埼玉県認知症施策推進計画について。 国の閣僚会議では、令和元年六月に認知症施策推進大綱を決定し、共生と予防を車の両輪として認知症施策を推進することとしました。この大綱において、認知症の人やその家族のニーズと認知症サポーターなどの支援をつなげる仕組みであるチームオレンジの構築など新たな施策も盛り込まれ、二〇二五年に向けた目標も定められたところです。 このような状況を踏まえ、私は、昨年の予算特別委員会において、認知症施策推進大綱を受けての県の対応について伺ったところです。これに対して福祉部長から、「令和二年度に認知症施策推進計画を策定した上で、予算もしっかりと対応したい」との答弁がありました。 そこで、認知症の取組について令和三年度予算はどう反映したのか、福祉部長にお伺いいたします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 今年度、県は国の認知症施策推進大綱を踏まえまして、新たに認知症施策推進計画を策定することとしております。この計画は、認知症の人やその家族を地域で支えるために切れ目のない支援を総合的に推進することを目的とし、高齢者支援計画の一部として策定いたします。「普及啓発・本人発信支援・予防」など六つの項目から構成されており、チームオレンジの整備など七つの数値目標を設定しております。 チームオレンジは来年度からの新たな取組でございまして、認知症を正しく理解している認知症サポーターなどが見守りや声掛けなどの支援を行うボランティア組織の構築を支援するものでございます。また、県民の認知症に対する理解を更に深めるため、認知症の本人が自らの体験や考えを研修や講演等で発表していただく「埼玉県版認知症本人大使」を新たに任命するなど、計画に沿った取組を進めてまいります。 チームオレンジの整備や認知症本人大使に係る事業費は、必要な経費を令和三年度予算案に計上させていただいたところでございます。 今後は、認知症の人が尊厳と希望を持って地域で共に生きる社会の実現に向けて、計画に基づく取組をしっかりと推進してまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 再質問させていただきます。 先ほど御答弁があったとおり、この六つの項目が本当に大変重要で、そこをしっかりカバーできているのかということが、今回のこの令和三年度の予算に関わってくるのかなと思っていますので、その辺のところがしっかり対応できているのか、もう一度、御答弁をお願いします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 宇田川幸夫議員の再質問にお答え申し上げます。 今の六つの項目ですけれども、具体的には「普及啓発・本人発信支援・予防」、それから「医療・ケア・介護サービスへの支援」、それから「若年性認知症等の人への支援」、それから「認知症バリアフリーの推進、社会参加」、それから「権利擁護の推進」、最後に「虐待防止の推進」、この六つの項目で成り立っております。 今申し上げたもののうち、例えば「普及啓発・本人発信支援・予防」につきましては、先ほど申し上げました埼玉県版認知症本人大使の任命に係る事業費などを計上しておりまして、また、「医療・ケア・介護サービスへの支援」につきましては、かかりつけ医の認知症対応力向上に係る研修の事業費などを計上させていただいております。また、「若年性認知症等の人への支援」につきましては、若年性認知症支援コーディネーターの設置に係る事業費などを計上しておりまして、「認知症バリアフリーの推進、社会参加支援」では、先ほど申し上げましたチームオレンジの整備に係る事業費などを計上しております。さらに、「権利擁護の推進」では、成年後見制度の利用促進に係る事業費、「虐待防止の推進」では、施設の介護職員向けの研修などに係る事業費を計上しておりまして、令和三年度予算案では、これら六つの項目それぞれに対応させていただいたところでございます。 この予算によりまして事業展開を行いまして、計画の推進を図ってまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 次の質問に移ります。 (二)「チームオレンジ」構築のための支援について。 チームオレンジの構築については、これからの認知症施策における重要な取組であり、昨年の予算特別委員会において私からも、全国展開することが認知症施策推進大綱に明記されているので、計画の中にしっかり盛り込むようにと指摘させていただきました。 同時に、各市町村が行う高齢者の自立支援、重度化防止、介護予防等の取組に対し、それぞれ評価指標の達成状況(総合得点)に応じて国から分配されるインセンティブ交付金について、その確保に努めるよう申し上げたところであります。市町村においてインセンティブ交付金がしっかり確保され、チームオレンジの構築が進むよう県としてしっかり対応しなければなりません。 そこで伺います。 認知症施策推進計画のKPI達成状況などを踏まえ、県はどのように市町村を支援し、県内初のチームオレンジ構築に導いていくのか、福祉部長にお伺いいたします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、チームオレンジの構築については、認知症の人を地域で支えていくための大変重要な取組であるというふうに認識しております。このため県では、国の研修を受講した専門家を配置しまして市町村に派遣してまいります。専門家は、市町村の実情に応じて認知症カフェなどの現場に出向いてチームオレンジの必要性などを啓発するとともに、チームオレンジの立ち上げの仕方や運営に係る具体的なアドバイスを行ってまいります。 また、議員お話しの国のインセンティブ交付金でございますけれども、こちらは地域包括ケアシステムに関する取組の実施状況などを点数化して、それに応じて交付されるもので、当然この認知症の取組がどれくらい進んでいるのかというのも反映されるものでございます。県といたしましては、総合支援チームというものを派遣いたしまして、市町村がインセンティブ交付金を確保できるよう、きめ細かく助言してまいります。 こうした取組によりましてKPIが達成され、各市町村においてチームオレンジの構築が進むよう、しっかり支援してまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 再質問させていただきます。 今、埼玉県の状況は、チームオレンジがゼロということはまだ取り組めていないということなので、是非これはやっぱり来年度にしっかりと取り組むために先進事例をまずしっかり収集してもらって、そこからすぐにスタートできる体制にと、ここが大事かなと。まず一個作る、そのためにいろんな事例を集めておくということが大事だと思うんですけれども、その辺の調整はできているのかお伺いします。       〔山崎達也福祉部長登壇〕 ◎山崎達也福祉部長 宇田川幸夫議員の再質問にお答え申し上げます。 先進事例でございますけれども、今ちょっと私どもで把握していました例えば愛知県の豊明市というところで、認知症サポーターなどの人たちが認知症の人の話し相手とか、外出のときの付き添いであるとか、ごみ出しのお手伝いなど、幅広い活動を先進事例として展開している事例を承知いたしております。こうしたサポーターがチームとなって認知症の人のニーズに沿った活動をしている事例の情報をよく収集しまして、これを生かしてまいりたいというふうに考えております。 また、本県でも、認知症のサポーターが認知症カフェでボランティアとして運営に協力しているなど、これからチームオレンジに発展できそうな事例がございますので、これが見守りとか声掛けとか、そういった活動が認知症の人のニーズに沿うような形で広がるように、市町村とともに来年度にしっかり支援していきたいというふうに思っております。 まずは議員御指摘のように、初めの一歩となりますチームオレンジの活動が始まって、その後、県内全体に広がっていくように努めてまいりたいと思います。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 是非とも事例を集めながらも立ち上げの支援、こちらも気を付けていただけたらと思いますので、よろしくお願いします。 次の質問に移ります。 五、COPD対策について。 (一)COPDの危険性や予防法の周知について。 COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、たばこ等が原因で呼吸困難が起こる肺の生活習慣病です。GOLD日本委員会が行ったCOPDの認知度調査によると、二〇二〇年十二月時点の認知度はわずか二八パーセントであり、多くの方には認知すらされていない状況です。さらに、日本の四十歳以上のCOPD推定患者数は五百万人以上と言われておりますが、継続的な治療を受けているのは約二十六万人であり、約九五パーセントの人が適切な治療を受けておりません。 COPDを基礎疾患として有する人が新型コロナウイルス感染症にり患した場合、新型コロナが重症化するリスクは通常の五・七倍であり、その他の基礎疾患と比べても重症化リスクが断トツに高いと言われています。新型コロナから身を守るためにもCOPDの予防は重要です。COPDにかかってしまう県民を一人でも減らすために、COPDの危険性や予防法をしっかりと周知すべきだと考えます。 そこで伺います。 新型コロナ重症化のリスクも高いことから、県が今後発行する受動喫煙防止のガイド等でCOPDの危険性や予防法などを周知していくことはできないのか、保健医療部長にお伺いします。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、COPDは、たばこなどの有害物質に起因し、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクも高いことから、たばこによる健康被害を防止する対策を行う必要があります。このため、市町村や健康保険組合などでは、喫煙者は生活習慣病であるCOPDなどのリスクが高いことから、特定健診や特定保健指導を通じて禁煙指導を行っているところであります。 一方、平成三十年度の県民の健康に関するアンケートからは、COPDの認知度は三八・一パーセントと低い状況にございます。県では、健康長寿サポーター講習に使う応援ブックで、COPDは長期の喫煙で気管支や肺に障害が生じることや早めの受診が大切なことを周知、啓発しているところです。 今後、県民向けの受動喫煙防止の啓発パンフレットにCOPDの危険性や予防法も盛り込むなど、更なる周知に努めてまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 是非とも周知を行っていただきたいと思います。 またもう一点、ちょっと御提案を兼ねた質問をさせていただきます。 次の質問に移ります。 (二)セルフチェックの推進について。 東京都ではCOPDに関するパンフレットを作成し、その周知や予防を啓発しています。その中には、COPDの可能性があるかどうかを確認するためのチェックリストが含まれています。COPDの正確な診断には呼吸機能検査が不可欠です。しかし、この検査は人間ドック等では行われる例が多いものの、通常の健康診断では実施される例は少なく、ふだんの生活の中で自分がCOPDにり患しているどうかを考える機会が少ないと思われます。 そこで、COPDの早期発見、早期治療のためにセルフチェックができるパンフレット等を作成し、健康診断等で併用できるよう勧めることはできないのか、保健医療部長に伺います。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 COPDの症状には、長引くせき、たん、息切れなどがあります。これらの症状は、一見するとCOPDとは結び付かないため、年のせい、風邪の治りが悪いなどと自己判断で済まされ、結果的に重症化につながってしまう危険性があります。 議員御指摘のとおり、COPDにり患している可能性をセルフチェックできるパンフレットがあれば、早期に気付いて医療機関を受診するきっかけとなります。 パンフレットの内容や活用について、市町村や健康保険組合などの意見も伺い、検討してまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 是非ともお願いします。 次の質問に移ります。 六、産前・産後のサポートについて。 (一)産後ケアの努力義務化について。 本県では、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行う子育て世代包括支援センターが、令和元年度末までに県内全ての市町村に設置されました。出産後は、心身の不調や不安があるが、本県では特に核家族世帯の割合が高いことから、母子に対する心身のケアや育児サポートを行い、安心して子育てできる環境を整えることが大切です。 このような状況の中、母子保健法が改正され、令和三年四月から市町村における産後ケアを行う事業の実施が努力義務となります。しかし、本県では、産後ケアを行う事業の実施が二十七市町村と、まだまだ少ない状況です。 私は、助産師などの専門職が支援を必要とする家庭を訪問するアウトリーチ型や、病院や助産所等に宿泊し休養できる宿泊型支援を実施できるサービスの提供が重要と考えていますが、今後、県として実施主体である市町村をどのように支援していくのか、保健医療部長に伺います。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、産後の心身の不調や育児不安がある産婦をサポートするために、アウトリーチ型や宿泊型による産後ケア事業の実施は、大変重要であると認識しております。産後ケア事業を実施する市町村の数は、平成三十年度が十五市町、令和元年度が二十四市町、令和二年度は二十七市町と、まだ半数にも満たない状況です。 多くの市町村が事業を実施できるよう、県では平成二十九年度から継続して市町村の子育て世代包括支援センターを訪問し、地域の現状や事業実施の課題などについて意見交換を行っております。その中で、産後ケア事業の実施に向けては、宿泊先などの委託先をどのように探すべきか、委託金額や実施日数などを委託先とどのように調整すべきか、といった実施に向けての課題が多く挙げられております。 このため、令和二年度は、市町村職員を対象として既に事業を実施している市の具体的な取組を紹介する研修会を開催し、事業実施のノウハウの共有や情報交換を行いました。参加者からは、今後も同様の研修会を希望する声が寄せられたことから、研修内容を更に工夫し、より多くの市町村が事業に取り組めるよう支援してまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) この課題なんですけれども、一般質問で何度か取り上げさせていただいています。認識は多分部長とも一緒だと思うんですけれども、市町村が実施主体だから財政がないと、国がいくら半分出してくれても難しいと、この議論をずっとしているんですよね。これは国にしっかり我々も伝えなければいけないと思っています。 ただ、しかしながら今回はチャンスで、これは努力義務になるんですよね。だから、やっぱり目標設定をしてもいいんですね。ここは県として目標設定をどうするか、市町村と詰めていくということが一つできるのかなと思うんですけれども、その辺についてお伺いします。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 宇田川幸夫議員の再質問にお答え申し上げます。 目標設定をということでございますが、例えば国においては、昨年五月に閣議決定いたしました少子化社会対策大綱におきまして、この産後ケア事業については、令和六年度末までに全国展開を目指すということが示されております。 県としましては、このことにつきましても市町村と意見交換を行いまして、国の目標と同様に、令和六年度末までに県内全ての市町村がこの産後ケア事業に取り組むと、それができるように市町村とともに取り組んでいくというような目標設定をいたしました。 その目標に向けまして、先ほど申し上げました研修会ですとか、あるいは実施上なかなか困難な市町村もあると聞いておりますので、市町村の広域連携による実施、そういったことの調整などを県としては行うことによりまして市町村を支援してまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 大変いい答弁ですよね。広域連携をやっていこうということで。市町村だけでは本当に無理なので、ずっとこれはもう言い続けているので、是非とも国に改善を求めながら取り組んでいけるよう支援していければと思います。 次の質問に移ります。 (二)コロナ禍におけるリモート対応への取組について。 コロナ禍において、市町村で行う対面による相談支援や集団で行う母親教室などの事業の実施は難しいと聞いています。感染拡大防止のため、相談者が外出を控え施設に出向くことを避ける方や、保健師等が訪問できないために母子に会うことができないことも少なくないとも聞いています。 そこで、産前、産後の母親を支援するためにも、ウェブ会議システムなど遠隔で支援する仕組みを代替手段として導入する必要があるのではないかと思いますが、県として市町村をどのように支援していくのか、保健医療部長に伺います。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 宇田川幸夫議員の御質問にお答え申し上げます。 新型コロナウイルス感染拡大により、市町村での対面による相談支援や家庭訪問、集団で行う両親学級や母親教室などの開催が困難な状況にあります。 このような状況の中、Zoomなどウェブ会議システムを活用しリモートでコミュニケーションをとる手法が広く普及しており、母子保健事業においても有効に活用できるコミュニケーションツールだと考えます。県内においても、吉川市のようにZoomを活用した育児相談、個別相談、そして集団指導などを行っているところも複数ございます。また、国においては、市町村がオンラインによる保健指導を実施するための補助制度がございます。 県といたしましては、先行して取り組む市町の活用事例の紹介や国の補助制度を活用した環境整備の働き掛けを行うなど、県内市町村での母子保健事業におけるリモート対応が進むよう支援してまいります。 ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 一つ、ちょっと記憶の中に入れておいてもらいたいなと思うのが、コロナのときに助産師さんなんかがリモートをすぐにやったんですよね、お母さんたちと。でも、国の対応もあるんでしょうけれども、市町村の補助金を出すとか、すぐに対応ができなかったケースが結構あって、今でもそれが響いているところがあるので、その辺のところを今後とも御対応していただけるようにお願い申し上げます。 次の質問に移ります。最後の質問です。元気にいきます。 七、日本医療研究開発機構(AMED)などの外部研究費を活用した魅力的な環境の整備と医師確保について。 医師にとって魅力のある環境とは、診療面だけではなく、研究や論文執筆を行い自らの専門性を更に高める環境にあるかどうかも大切だと聞いています。その魅力を高めるための手段の一つとして、外部研究費を獲得して研究活動を活発に行うことで、病院の魅力を高めて医師を確保していくことができるのではないかと考えています。県立病院で一つ例を挙げますと、小児医療センターがAMEDを活用して小児の血液がんの研究を数多く行っており、その症例数は全国でも有数の多さであります。 そこで伺います。 病院の専門性を高め、AMEDをはじめとする外部研究費を積極的に獲得していくことで医師にとって魅力的な環境の整備が図られ、意欲的な医師を確保していくことができるのではないかと考えますが、病院事業管理者の御所見を伺います。       〔岩中督病院事業管理者登壇〕 ◎岩中督病院事業管理者 宇田川幸夫議員の御質問にお答えいたします。 医師にとって魅力的な環境とは、良い指導医の存在や症例数の多さ、高度医療に携わることに加え、研究や論文執筆、学会発表など自身のキャリア形成に資する環境が整っていることです。本年度、県立病院では九十九件の外部研究を獲得し、そのうちAMEDは三十一件の研究テーマが採択されています。 議員お話しのとおり、小児医療センターは小児の血液がんの分野では国内有数の実績を誇り、その豊富な症例数からAMEDの研究代表者を務める医師がいます。また、同センターの臨床研究部は、がんセンターの臨床腫瘍研究所とともに文部科学省の研究機関に指定されており、日本学術振興会の科学研究費につきましても六件の研究テーマで研究代表者を務めています。このように恵まれた環境が整備されていることもあり、今年度、小児医療センターの医師は六名増加し百二十二名となりました。 今後もこうした取組を続け、医療、研究の両面で埼玉をリードする存在となることで、医師確保に努めてまいります。
    ◆三十四番(宇田川幸夫議員) 是非ともAMEDの研究費が増えるよう、また質問も繰り返してさせていただけたらと思います。 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)          ---------------- △次会日程報告 ○田村琢実議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明四日は、午前十時から本会議を開き、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。          ---------------- △散会の宣告 ○田村琢実議長 本日は、これにて散会いたします。午後四時十九分散会          ----------------...