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  1. 埼玉県議会 2019-12-01
    12月09日-03号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    令和 1年 12月 定例会十二月定例会  第八日(十二月九日)令和元年十二月九日(月曜日)第八日 議事日程 一 開議  午前十時 二 人事委員会意見回答報告    第百二十四号議案~第百二十六号議案 三 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問      八番  千葉達也議員     十二番  深谷顕史議員    四十五番  前原かづえ議員 四 次会日程報告    十二月十日(火) 午前十時開議、質疑質問続行 五 散会          ----------------本日の出席議員    九十二名         二番  岡村ゆり子議員         三番  平松大佑議員         四番  柿沼貴志議員         五番  高橋稔裕議員         六番  逢澤圭一郎議員         七番  山口京子議員         八番  千葉達也議員         九番  渡辺 大議員         十番  松井 弘議員        十一番  高木功介議員        十二番  深谷顕史議員        十三番  白根大輔議員        十四番  町田皇介議員        十五番  秋山もえ議員        十六番  八子朋弘議員        十七番  杉田茂実議員        十八番  江原久美子議員        十九番  中川 浩議員        二十番  宮崎吾一議員       二十一番  関根信明議員       二十二番  木下博信議員       二十三番  藤井健志議員       二十四番  美田宗亮議員       二十五番  吉良英敏議員       二十六番  松澤 正議員       二十七番  橋詰昌児議員       二十八番  辻 浩司議員       二十九番  東間亜由子議員        三十番  守屋裕子議員       三十一番  松坂喜浩議員       三十二番  並木正年議員       三十三番  石川忠義議員       三十四番  宇田川幸夫議員       三十五番  浅井 明議員       三十六番  飯塚俊彦議員       三十七番  横川雅也議員       三十八番  内沼博史議員       三十九番  岡田静佳議員        四十番  細田善則議員       四十一番  永瀬秀樹議員       四十二番  安藤友貴議員       四十三番  山根史子議員       四十四番  井上将勝議員       四十五番  前原かづえ議員       四十六番  秋山文和議員       四十七番  井上 航議員       四十八番  岡 重夫議員       四十九番  醍醐 清議員        五十番  日下部伸三議員       五十一番  小久保憲一議員       五十二番  立石泰広議員       五十三番  新井 豪議員       五十四番  荒木裕介議員       五十五番  岡地 優議員       五十六番  白土幸仁議員       五十七番  小川真一郎議員       五十八番  権守幸男議員       五十九番  萩原一寿議員        六十番  水村篤弘議員       六十一番  高木真理議員       六十二番  村岡正嗣議員       六十三番  鈴木正人議員       六十四番  武内政文議員       六十五番  中野英幸議員       六十六番  須賀敬史議員       六十七番  新井一徳議員       六十八番  梅澤佳一議員       六十九番  中屋敷慎一議員        七十番  木下高志議員       七十一番  諸井真英議員       七十二番  杉島理一郎議員       七十三番  齊藤邦明議員       七十四番  塩野正行議員       七十五番  蒲生徳明議員       七十六番  山本正乃議員       七十七番  木村勇夫議員       七十八番  柳下礼子議員       七十九番  神尾高善議員        八十番  岩崎 宏議員       八十一番  高橋政雄議員       八十二番  田村琢実議員       八十三番  小林哲也議員       八十四番  本木 茂議員       八十五番  宮崎栄治郎議員       八十六番  齊藤正明議員       八十七番  小島信昭議員       八十八番  小谷野五雄議員       八十九番  長峰宏芳議員        九十番  石渡 豊議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  浅野目義英議員       九十三番  田並尚明議員 欠席議員    一名         一番  金野桃子議員地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   大野元裕  知事   奥野 立  副知事   飯島 寛  副知事   石川英寛  企画財政部長   北島通次  総務部長   小島康雄  県民生活部長   森尾博之  危機管理防災部長   小池要子  環境部長   知久清志  福祉部長   関本建二  保健医療部長   加藤和男  産業労働部長   牧 千瑞  農林部長   中村一之  県土整備部長   和栗 肇  都市整備部長   上木雄二  会計管理者   立川吉朗  公営企業管理者   岩中 督  病院事業管理者   砂川裕紀  下水道事業管理者   小松弥生  教育長   高木紳一郎 警察本部長             発言(質問)通告書  十二月九日(月)議席番号 氏名      要旨 答弁者  八番 千葉達也議員  1 知事公約と今後の施策展開について 知事             2 埼玉県AI・IoTプラットフォームについて 産業労働部長             3 安心安全のまちづくりについて 県土整備部長             4 若手土木系技術職員の育成について 県土整備部長             5 野菜生産者に対する支援について 農林部長             6 中川上流地域における高収益作物の普及と一級河川中川改修について 農林部長 県土整備部長             7 賑わいのあるまちづくりについて 産業労働部長             8 国道一二五号バイパスの早期整備と安全対策について 県土整備部長             9 地元問題について 県土整備部長              (1) 利根川に架かる新たな橋りょうについて              (2) 県道久喜騎西線バイパスの整備について 十二番 深谷顕史議員  1 防災・減災を県政の主流に 知事             2 令和元年台風第十九号被害を踏まえて              (1) 福祉避難所について 福祉部長              (2) 建設業との応急復旧体制について 県土整備部長              (3) 県管理河川の監視体制について 〃              (4) 排水機場等の整備について 〃              (5) 県立学校体育館エアコン整備、照明LED化について 知事             3 電力会社等と連携した災害時における停電復旧作業について 危機管理防災部長             4 JR川越線荒川橋りょうの複線化仕様での架換えについて 知事             5 音響信号機の整備状況と誘導音について 警察本部長             6 川越市内における内水氾濫対策について 下水道事業管理者 県土整備部長四十五番 前原かづえ議員 1 台風第十九号の被害を繰り返さないために              (1) 被災者の一刻も早い生活・生業再建のために 知事 危機管理防災部長 産業労働部長              (2) 農業被害による廃業農家を一人も出さないために 知事 農林部長              (3) 障害を持つ被災者に全力の支援を 福祉部長              (4) 都市内水被害を繰り返さないために 知事 県土整備部長              (5) いち早い避難のために、自治体は何をなすべきか? 知事 福祉部長             2 知ってください!!本当につらい香りの害 知事 県民生活部長 教育長             3 かけがえのない公立・公的病院を、医療圏に責任を持つ県こそが守れ 知事 保健医療部長             4 税徴収にあたっては「納税者の保護」の観点を貫くこと 知事          ----------------午前十時一分開議 出席議員    九十二名     二番    三番    四番    五番     六番    七番    八番    九番     十番   十一番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十五番   二十六番  二十七番  二十八番  二十九番    三十番  三十一番  三十二番  三十三番   三十四番  三十五番  三十六番  三十七番   三十八番  三十九番   四十番  四十一番   四十二番  四十三番  四十四番  四十五番   四十六番  四十七番  四十八番  四十九番    五十番  五十一番  五十二番  五十三番   五十四番  五十五番  五十六番  五十七番   五十八番  五十九番   六十番  六十一番   六十二番  六十三番  六十四番  六十五番   六十六番  六十七番  六十八番  六十九番    七十番  七十一番  七十二番  七十三番   七十四番  七十五番  七十六番  七十七番   七十八番  七十九番   八十番  八十一番   八十二番  八十三番  八十四番  八十五番   八十六番  八十七番  八十八番  八十九番    九十番  九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    一名     一番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △開議の宣告 ○神尾高善議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ----------------人事委員会意見回答報告(第百二十四号議案~第百二十六号議案) ○神尾高善議長 この際、報告をいたします。 本定例会に知事から追加提出された議案のうち、第百二十四号議案ないし第百二十六号議案について、人事委員会に意見を求めておきましたところ、回答がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(一六〇)ページ〕          ----------------知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問 ○神尾高善議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。 発言通告がありますので、順次これを許します。 八番 千葉達也議員       〔八番 千葉達也議員登壇〕(拍手起こる) ◆八番(千葉達也議員) 東第三区、加須市選出の自由民主党県議団、千葉達也でございます。 本日は質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。また、地元加須市よりたくさんの皆さんに傍聴いただき、重ね重ね御礼申し上げます。知事及び執行部の皆さんにおかれましては、何とぞ、前向きな御回答をいただきますようお願い申し上げます。 神尾議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問に入らせていただきます。 初めに、地域包括ケアシステムについて、知事公約の工程表との関連で質問いたします。 大野知事公約の埼玉版スーパーシティプロジェクトの中に、「『埼玉版スーパー・シティ』構想により、地域包括ケアをすすめ、一人暮らし高齢者の見守りと空き家対策を強力にすすめます」とあります。大野知事により、過日提出されました工程表の中には、令和元年度から令和五年度までの間、「地域包括ケアシステムの構築支援」と一本の矢印が引かれているだけですが、一日目の武内議員の質問に対する答弁の中で、大野知事は、「行政には、より一層、民間企業の経営感覚を取り入れることが必要であると感じております」と述べられました。 私は、以前、建設業に従事しており、埼玉県に工程表を提出する際には、着手から竣工まで表現し、いつまでにどの工程を完了するか、全体の進捗状況も含めて表現しなければ、埼玉県の職員の方に受理していただけませんでした。 さて、地域包括ケアシステムは現在大きな変革期にあると考えております。平成二十七年頃から、厚生労働省では、「我が事・丸ごと」の地域づくり構想に向けて動き出したと聞いております。「我が事」とは、今までの縦割りの福祉を、県民が人の事を自分の事のように考え助けることへの意識改革と、「丸ごと」とは、どんな生活課題にも対応する構えを作ること、つまりは、全方位型の包括支援システムを各市町村において構築するということであると考えます。埼玉県には様々な地域があり、それぞれの地域に合った地域包括ケアシステムの構築が必要であると考えます。実施母体である市町村に対して、国での施策をしっかり研究しながら、それぞれの市町村に対する積極的な支援と国への強い要望が不可欠であると思います。 そこで、お尋ねいたします。 知事が公約の中でお考えの地域包括ケアシステム構築とは、具体的にはどのようなシステムの構築を目指すのか。公約にある「一人暮らし高齢者の見守りと空き家対策」だけではなく、全方位型のシステムをお考えなのか。また、知事が考える地域包括ケアシステムをこの五年間でどこまで具体化させるつもりなのか、大野知事にお伺いいたします。 次に、高齢者の介護認定について質問させていただきます。 高齢者介護を行っている家族にとって、ケアマネジャーはなくてはならない存在であり、良きパートナーであります。また、介護保険の認定調査員は、適切な介護サービスを受けられるよう、高齢者の状態を正しく判断するために重要な役割を果たしております。 家族で介護をしている者にとっては、家族を施設にお願いする際、家族だけでは面倒を見切れなく、いっぱいいっぱいの状態になってから行政や包括支援センターに相談することが現在では一般的だと思います。それから一月半程度待って介護認定をいただき、さらに家族に適した入所できる施設を決定するなど、時間的な大きな制約がのしかかっております。この状態を解決するためには、介護認定を一刻も早くもらえるようにすることが必要です。 これから高齢者が大幅に増加することが、まず大きな課題です。その上、ケアマネジャーの高齢化・受験者の減少や合格者の激減、平成二十九年度合格者は一千四百六十八人、それに対しまして平成三十年度は二百六十五人です。今後は更に少なくなると思われます。また、認知症患者の増大に伴う施設に従事するケアマネジャーの方の在宅介護に対する対応力の低下など様々な理由により、ケアマネジャー介護保険認定調査員の不足は、各市町村において大きな混乱を招くことが容易に予想されます。 ケアマネジャー介護保険認定調査員の確保については、民間企業の経営感覚をお持ちであるならば、いつまでに、どのような政策をもって対処されるのか、大野知事にお伺いいたします。 次に、埼玉県AI・ⅠoTプラットフォームについてお伺いいたします。 先月、十一月二十日に、県内の産業振興を図るために埼玉県AI・ⅠoTプラットフォームが完成いたしました。地方自治体のみならず、産業界や大学、起業家などが持つ新しい技術やアイデア、サービス、知識などを組み合わせて社会的に変革を起こそうとする「オープンイノベーション」のコンセプトの下、グーグルの人工知能を活用して作り上げられ、世界が進むべき新たな社会であるSociety 5・0を実現する取組として、大いに期待するところであります。 このAI・ⅠoTプラットフォームは、登録していただいた会員が利用できる「AIポータルサイト」と、省電力長距離通信を活用した「ⅠoT/LPWAポータルサイト」で構成されております。私の知る限り、地方公共団体が自ら利用するAIとは別に、社会に使ってもらうために人工知能環境を整備することは、日本初かと思います。最近では、文書を作るソフトはワード、表計算はエクセル、プレゼンはパワーポイントが当たり前のように使われておりますが、今後、ワードやエクセルといったソフトと同じように気軽に人工知能を活用する社会が必ず到来いたします。 従来、このように先進的な技術の導入は、東京、大阪といった大都市や大手企業から始められましたが、このAIポータルサイトを活用すれば、県内の中小企業からもイノベーションが始まり、競争力も高まります。 では、どのようにAIポータルサイトを活用するのかというと、現在、県内企業の多くが人工知能を活用できておりません。というよりも、人工知能を使うことで従来の業務がどのように効率化できるのかイメージすらできないのが実態だと思います。 そのような中、AIポータルサイトで提供されているグーグルの人工知能を活用すれば、従来の業務を人工知能に置き換えることが可能か確認することができます。その後、本格的に人工知能を利用する場合は、eラーニングを通してプログラミング言語を習得し、人工知能を自ら構築する仕組みです。今後、多くの県民の皆さんにこのAIポータルサイトを活用していただくことは、県内産業の振興に効果的であると考えます。 また、ⅠoT/LPWAポータルサイトでは、LPWAを活用した取組事例の紹介や収集データの提供を行っております。県では、LPWAを活用した社会課題の解決に向けた実証実験を行う企業に対して補助を行っており、毛呂山町のコミュニティバスのⅠoT化では、今月中にもLPWAを活用したバスロケーションシステムの実証実験が開始されると聞いております。今後、隣接する市町村にこのシステムの導入が進めば、県内のコミュニティバス路線がメッシュ状に広がり、県民の利便性が飛躍的に高まることが期待されます。 このように、先進的な取組は自動運転や宇宙分野まで県内至るところで始まっており、それらを受けて自民党県議団内にも人工知能プロジェクトが設立され、新たな社会の構築に向けて対応を進めております。 そこで、産業労働部長にお伺いいたします。今後、AIポータルサイトをどのようにして全県に広めていくのか。また、現在十三市町で実施しているLPWAの事業をどのように他の市町村に展開していくつもりなのか、御所見をお伺いいたします。 次に、安心安全のまちづくりについてお伺いいたします。 先般の台風第十九号では、今までの想定をはるかに超える降水量がありました。国土交通省利根川上流河川事務所は、十四日正午までの七十二時間で、群馬県西野牧雨量観測所で四百九十六ミリ、栃木県葛生雨量観測所で四百十一ミリを観測し、栗橋水位観測所は最高水位九・六一メートルを観測いたしました。これにより、氾濫危険水位の八・九メートルを十時間近く超過する大規模な洪水が発生し、渡良瀬遊水地のほか四つの調節池だけでも、過去最大となる二・五億立米、何と東京ドーム約二百杯分の洪水を貯水し、首都圏の洪水被害防止に大きく貢献いたしました。また、同様に国土交通省荒川上流河川事務所でも、観測史上最高を上回る水位を記録したと発表しております。 「備えあれば憂いなし」、国土交通省においても、気候変動が進んでも治水安全度が確保できるように、降水量の増大を踏まえて、河川整備計画の目標流量の引上げと検討策の充実を図ることなどを求めております。 さて、現在、埼玉県で進めている調節池は全体計画六十七か所あり、容量二千百六十二・七万立米となっております。台風第十九号襲来時に機能した調節池は三十九か所、約一千二百万立米であり、その九〇パーセントに当たる一千百万立米を貯水したとのことです。 そこで、お尋ねいたします。 気候変動による水害リスクが顕在化する中で、埼玉県の治水安全度を確保する上で、現在未着手の二十一か所を含む全体計画の六十七か所全ての早期完成は必要不可欠であると考えますが、いかがでしょうか。治水安全度を向上させるための県の現在の取組も含めて、県土整備部長の御所見をお伺いいたします。 次に、若手土木系技術職員の育成についてです。 洪水や地震などの災害発生時に危機管理の最前線で活躍され、地域の発展を担っている土木系技術職員の能力アップについてお伺いいたします。 埼玉県職員には、土木・建築・農業など多種多様な技術者が大勢おり、日々、様々な分野で県民のために働いていただいております。今回は、その技術者の中で県土整備部の技術系職員について質問させていただきますが、技術者全般の置かれている問題とお考えいただけましたら幸いでございます。 昨今、温暖化による集中豪雨や長雨等が増加し、全国各地で大きな洪水被害が発生しております。本県においても、平成二十七年には関東・東北豪雨において、県東部を中心に四千八百棟を超える浸水被害が発生しております。また、平成二十五年には越谷市や熊谷市で竜巻による被害、平成二十六年には秩父地域や県北部地域で大雪による被害が発生しております。このようなときに、県民の安心安全を最前線で守っていただいているのが県土整備部の技術系職員です。また、地域経済発展においても、例えば圏央道の整備に合わせ、アクセスする県道の整備等、インフラ整備を日々担っていただいているのも県土整備部の技術系職員です。このように、県土整備部の技術系職員の役割は非常に重要なものと認識しております。 その一方で、団塊の世代が退職し、その後十年が経過し、代わって採用された若手職員が増加しております。建設業界の中からは、担当職員の若返りもあり、職員の現場経験不足、技術力の低下を懸念する声が聞こえてきております。 また、働き方改革という名の下で、多様で効率的な働き方が求められていて、このことは建設業界にとっても切実な問題であります。働き方改革、このこと自体は決して悪いことではありませんが、土木技術は経験工学とも呼ばれ、時間をかけて現場経験を積むことによって技術が蓄積され、向上されるものです。つまり経験が重要であり、現場の土の匂い、風の音を聞きながら、それぞれの現場に合わせたものづくりが重要なのです。単に効率化して、技術力が培われるものではありません。このような技術向上の特性を踏まえて対策を考えることが重要であると思います。 「鉄は熱いうちに打て」との言葉もあります。今、多くの若手職員を適切に育成することは、これからの県民の安心安全を築き、そして持続可能な発展を進める上で非常に重要であると考えます。そこで、技術系職員の技術力向上に向けた考え方、また、その取組について、県土整備部長の御所見をお伺いいたします。 次に、野菜生産者に対する支援についてお伺いいたします。 埼玉県の農業は、平坦な地形、穏やかな気候、豊かな土壌など、恵まれた自然環境と、県全域が東京都心から百キロメートル圏内に位置する地理的条件を生かして発展しております。消費者に安心で新鮮な農作物を安定供給する重要な役割を本県の農業は果たしております。 野菜を生産する友人から言われたことを思い出しました。埼玉県は東京から近いこともあり、消費県と生産県という二つの条件が混在する地域であるため、群馬・茨城・栃木などの生産県と比べて県の支援が少ないとのことでした。例えば、ある野菜農家がビニールハウスを新しく増築する際、生産県よりも埼玉県は支援の要件が厳しいということです。それでは、これから農業を始めようと考えている方や生産量を増やしたいと考えている農家の方が資金をどうやって調達すればいいのか。せっかく起業しようとする者や後継者として生産量を拡大しようとする若者の生産意欲を失わせてしまうのではないかと懸念しているところであります。 誇りが持てる強い農業を育てていくためにも、後継者の育成の立場からも、野菜農業に対するより積極的な支援が必要と考えますが、強い埼玉農業を育てていくために、今後、野菜の振興にどのように取り組んでいくのか、農林部長にお伺いいたします。 次に、中川上流地域における高収益作物の普及と一級河川中川改修についてお伺いいたします。 昨今の集中豪雨において、一級河川中川周辺の農地は慢性的に冠水しているところであります。地元の農業を守る、地域の財産と言える農業・農村を次の世代へ受け継ぐためにも、現在、羽生領島中領用排水路土地改良区の野本理事長を会長として、土地改良区、加須市、羽生市、久喜市、幸手市、農業協同組合が集結し、中川上流地区国営事業等推進協議会が設立され、農林水産省関東農政局により、国営地区調査として中川上流地区の国営かんがい排水事業実施に向けた調査が進められており、中川上流地域にとって、とても重要な時期であると考えます。 また、この中川上流地区の国営かんがい排水事業の計画として、現在の排水形態である自然排水から、地区内を機械排水区域と自然排水区域に区分し、両区域の排水調整を行うことで地区全体の排水機能の向上が図られると聞いております。この事業によって、水稲中心から高収益作物を組み合わせた営農へと発展していくことで、農業経営の安定化に結び付きます。現在は事業計画策定のための事業調査段階でありますが、今の段階から、よりおいしい、より丈夫な高収益作物の導入をしっかりと計画しておくことが、地元の農業を守っていくために大切なことだと思います。 そこで、国営事業の事業化に向けた現在の取組状況と今後の県における取組について、農林部長にお伺いいたします。 また、事業対象地域に高収益作物を導入させるためには、ゲノム編集による新たなオリジナル品種を育成し、埼玉県主要農作物種子条例などにより、しっかりと種子・種苗を生産・供給していくことが重要です。そのためには、農業技術研究センターの研究員や普及指導員の強化育成が必要であると考えますが、県の考え方について農林部長にお伺いいたします。 さらに、中川上流地域のかんがい排水事業の実現に向けては、農業排水の排出先となる一級河川中川の改修工事の完成が不可欠です。現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。 次に、賑わいのあるまちづくり、中心市街地の賑わいの創出についてお伺いいたします。 現在、市街地の商店街には、廃業し、閉め切りになったシャッターが多く目立つようになっております。商工会にお尋ねしたところ、大型店舗の立地やインターネットショッピングの普及などの影響から、後継者不足や売上げの不振などを理由に、廃業に追い込まれる会員が少なくないとのことでした。この問題をどうしたら解決して賑わいのあるまちを取り戻すことができるか、そのためにはどのような支援が必要か。 もちろん、各商店街や各個店が変わろうと認識して、やる気を創出しなければならないことは理解しております。以前、プレミアム商品券の事業を実施したときには会員は大幅に増大し、売上げもかなり大きくなったと聞いております。これを一時的なイベントとして捉えるのではなく、商店街や個店の皆さんが継続的に努力していくような対策を県として支援していただくことが必要だと考えます。 そこで、既に埼玉県内八か所で実施しているNEXT商店街プロジェクトによる伴走型支援を、年間四か所でなく、スピード感が感じられる施策に改良して、できるだけ多くの地域の商店街に普及していただくことや、地域の特性に応じて地元の商工会議所、商工会と連携して、各地区に特化した内容、伴走年数、支援内容を検討することが必要と考えます。 過日、自民党県議団同期で構成する「令和会」で、姫路・大阪の四つの商店街を視察させていただきました。その際、商店街の方々から学んだ二つのことを御紹介させていただきます。 一つ目は、現在は世の中の変革期であり、変化に対応できる商店だけが生き残ることができること。そして二つ目は、成功の秘訣は、新しい風と外部の方からのちょっとした提案が必要であること。この二つでした。どうにかしたい、何とかしたいと真剣に向き合うリーダーがいれば商店街は変わることを学びました。 そこで、お尋ねいたします。 賑わいのある商店街を取り戻すために、個店や商店街のやる気を起こさせる仕組みづくりが必要であると考えますが、産業労働部長の御所見をお伺いいたします。 次に、国道一二五号バイパスの早期整備と安全対策についてお伺いいたします。 国道一二五号バイパスは、久喜市の国道一二五号を起点に、熊谷市の国道一七号バイパスを結ぶ総延長二十三・八キロメートルの路線であります。埼玉県北東部の人の交流、物流、医療など、地域づくりを支援する重要な東西方向の主要幹線道路であり、延長十九・九キロメートルの区間が供用開始されております。これにより沿線における地域開発が促進され、沿線に大型商業施設が立地するなど、地域経済の活性化に大きく寄与しております。 そこで、まず、現在施工中のバイパス、最後の未開通区間である栗橋大利根バイパスの開通の見通しをお伺いいたします。 また、栗橋大利根バイパスは四車線で整備が進められ、沿線では加須インターチェンジ東地区産業団地も並行して進行しておりますが、既に開通している東武伊勢崎線をまたぐ神戸陸橋など、加須市及び羽生市内の一部区間が暫定二車線のままで、四車線化整備がされていない区間があるため、各市街地部分において、今後交通渋滞が発生することが懸念されているところです。そのため、供用開始区間内の早期四車線化整備の必要性が高まってきているところでございます。つきましては、国道一二五号バイパスの四車線化の早期整備についての進捗状況と今後の計画についてはどうか、お尋ねいたします。 さらには、全線開通に伴い、過日開通した県道北中曽根北大桑バイパスの延伸に当たる県道砂原北大桑線と国道一二五号バイパスの交差点部分における安全対策についてですが、通学路に当たるということもあり、歩道橋の設置が必要であると考えております。 以上の三点について、県土整備部長にお伺いいたします。 最後に、地元問題について二点お伺いいたします。 一つ目は、利根川に架かる新たな橋りょうについてです。 利根川に架かる埼玉大橋は、埼玉県東北部に位置する加須市と群馬県東毛地域に位置する板倉町をつなぐ橋りょうであり、昭和四十七年の供用開始以来、近隣自治体住民の日常の生活道路として、また、県域を越えた地域間を結ぶ経済の大動脈として多くの方々に利用されております。 このような中、国土交通省道路局が実施した道路交通センサスにおける一般交通量調査によると、埼玉大橋における十二時間当たりの自動車類交通量は、平成十七年度が一万三千九百七十三台、平成二十二年度が一万五千二百八台、平成二十七年度が一万六千九百六十六台と年々増加しており、慢性的な交通渋滞が発生している状況であります。 さらには、加須市と板倉町は利根川と渡良瀬川の二大河川に挟まれた低平地であり、過去にはカスリーン台風に代表されるように幾度も洪水被害に見舞われた歴史もあります。そのため、水害対策における広域避難経路の確保は、加須市、板倉町の両市町の共通した重要な行政課題であります。したがいまして、加須市と板倉町を結ぶ利根川新橋の早期建設及びその架橋に係る幹線道路の整備は、災害時の広域避難経路や緊急物資輸送経路を確保するため、緊急輸送道路である国道一二五号と国道三五四号を南北に結ぶ広域的な交通ネットワークの構築に大きな役割を果たし、地域防災力の強化につながります。 過日の台風第十九号のときには、北川辺地域から埼玉大橋を渡って市内騎西地域の避難所へ向かった方の中には、到着するまでに二時間三十分もかかってしまったという住民の方もいらっしゃいました。人や物が双方向で活発に交流する地域経済の活性化につながる、この加須市と板倉町を結ぶ利根川新橋の早期建設が大いに望まれております。現在、加須市長、板倉町長を中心に、加須・板倉利根川新橋建設促進協議会が結成され、実現に向けて活動を行っております。 そこで、県土整備部長にお尋ねいたします。利根川に架かる新たな橋りょうの建設に関する県の考え方について、御所見をお伺いいたします。 二つ目は、県道久喜騎西線バイパスの整備についてです。 都市計画道路幸手久喜加須線、通称県道久喜騎西線バイパスは、県道加須菖蒲線から幸手市を結ぶ延長約十一キロメートルの都市計画道路であります。また、平成十九年十月に県道加須菖蒲線から国道一二二号までの延長四千五百二十メートルの区間を、新たに都市計画道路下高柳道地線として都市計画決定し、この一部区間を県道久喜騎西線のバイパスとして埼玉県で整備を進めております。 都市計画道路幸手久喜加須線については、平成二十一年十一月より市道一三八号線(ビバモール)より東へ県道北中曽根北大桑線バイパスまでの延長約二千メートルの区間が工事着手されております。また、都市計画道路下高柳道地線については、平成二十三年度より県道加須菖蒲線から市道一四八号線までの延長約一千三百メートルの区間が工事着手しております。 本路線の早期整備と、更に西側へ県道礼羽騎西線までの事業実施により、現在、令和三年十月開院を目標に計画が進行しております加須駅南口の(仮称)埼玉県済生会加須病院や新久喜総合病院等の医療機関へのアクセスが容易になります。このことにより、緊急医療ネットワークの構築及び地域住民の安心安全が確保されるものと確信しております。このようなことから本路線の早期整備を熱望するところですが、現在事業中の県道久喜騎西線バイパスの進捗状況及び県道礼羽騎西線までの整備延伸の今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。 以上で私の一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○神尾高善議長 八番 千葉達也議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 千葉達也議員の、知事公約と今後の施策展開についての御質問にお答え申し上げます。 まず、公約の中の地域包括ケアシステム構築とは、具体的にどのようなシステム構築を目指すのか、全方位型のシステムを考えているかについてでございます。 地域包括ケアシステムは、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年を目途に、高齢になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができる体制を構築するものであります。これまで、医療と介護の連携拠点の整備や介護予防の普及、高齢者の生活を地域で支える生活支援体制の整備に取り組んでまいりました。 そうした中で、高齢者を取り巻く生活課題には、介護と子育てを同時に抱えるダブルケアや介護が必要な高齢の親と障害がある子の支援など、複合したものが多く現れてきています。また、一人暮らしの高齢者や認知症の方が増加し、医療や介護サービスなどの公的サービスだけでは生活を支援することが難しい状況が出てきています。地域包括支援センターでは、こうした複合的課題に対応するため、関係機関との連携を強化する動きが出てきています。 さらに、住民や企業、ボランティア団体など様々な人たちが主体的に参画し、ともに支え合う機運醸成や地域づくりが重要だと考えています。住民主体で実施する地域食堂などは、高齢者、子供、障害のある方がともに集う場が生まれ、地域での支え合いにつながる例が出てきています。こうした現在の動きを、議員お話しの「変革期」と捉えるならば、その認識は私も同様であります。公約の中では、私の考える地域包括ケアシステム構築の一部を取り上げましたが、それにとどまるものではありません。高齢者から始まった地域包括ケアシステムの構築は、様々な課題に対応する、議員お話しの全方位型の考え方に沿って広がるものと私は考えております。 次に、知事の考える地域包括ケアシステムをこの五年間でどこまで具体化させるのかについてでございます。 医療と介護の充実は、高齢者の生活の安心のため重要です。在宅医療で重要な役割を担う訪問看護師や介護福祉士など公的なサービスの基盤となる人材について、その確保に努めてまいります。 また、地域包括ケアシステムは、地域の実情に応じた構築が求められています。市町村が求める支援の内容は様々であることから、職員が全ての市町村を訪問して意見交換を行い、市町村の課題や要望に合わせてオーダーメイド・伴走型で支援する総合支援チームを派遣しているところであります。平成三十年度は、職員、リハビリテーション専門職、地域づくりの専門家などを延べ五百九十八回派遣し、令和元年度にはこれまでに延べ三百回以上の派遣を行っています。市町村のニーズの変化なども考えられることから、令和二年度にかけて現在の取組を改めて検証し、更に効果的な支援策を検討してまいります。 一方で、社会の変化に伴って生じる新たな課題にも柔軟に対応するため、地域包括ケアシステムを全方位型に広げることは重要であります。全方位型へと広がる地域包括ケアシステムには、地域の支え合いが不可欠であり、支え合いを広めるために、その理念を広く県民に周知してまいります。そして、必要な医療・介護人材が確保され、必要な方に十分なサービスが提供されるとともに、地域の支え合いの機運が県民の方に広く浸透している状態を、この五年間で目指してまいりたいと考えております。 次に、ケアマネジャーや介護認定調査員の確保について、いつまでに、どのような政策をもって対処するのかについてでございます。 平成二十九年の国の調査では、埼玉県ではケアマネジャーが約五千六百人働いています。現段階では、ケアマネジャーが不足しているとの大きな声は伺っておりませんが、議員御指摘のとおり、将来的には介護ニーズが増大し、より一層必要となると思われます。ケアマネジャーの実務研修受講試験においては、平成三十年度に資格要件を大きく見直す制度変更が行われました。制度変更後間もないため、今後の合格者数が正確には見通せない状況でございます。まずは、早期に不足数を把握し、ケアマネジャーの不足が生じないよう、職能団体とも連携しつつ、受験者数を増やすなどの必要な施策を検討してまいります。 介護認定調査員については、現在、市町村職員として約六百人が従事しています。市町村の人事異動や退職などによる変動を踏まえ、毎年度二百人前後の調査員を養成していることから、必要な人数は確保できると見込んでおります。今後も市町村のニーズを把握し、必要に応じて養成規模を拡大するなど、調査員の確保に取り組んでまいります。 なお、現場主義、最大の施策効果、新技術を活用した行政改革などの民間の経営感覚は大事ですが、セーフティネットの構築においては経営感覚だけではない部分もあると考えており、適切な対応を心掛けてまいります。後期高齢者の増加に伴い、要介護者も増えることが見込まれますので、こうした人材をしっかりと確保し、地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。       〔加藤和男産業労働部長登壇〕 ◎加藤和男産業労働部長 御質問二、埼玉県AI・ⅠoTプラットフォームについてお答え申し上げます。 まず、AIポータルサイトをどのようにして全県に広めていくのかについてでございます。 県内産業が持続的に発展していくためには、県内企業が第四次産業革命と呼ばれるAI・ⅠoTなどの技術革新に適切に対応していく必要があります。そこで県では、県内企業へのAI・ⅠoTの普及や人材育成を図るため、本年八月、産学官連携による埼玉県AIコンソーシアムを設立いたしました。コンソーシアムには、企業、大学・研究機関、商工団体、自治体など約百五十の企業・団体が加入しており、AI・ⅠoTに関するセミナーや交流会など様々な活動を行っております。 十一月二十日には、コンソーシアムの会員向けに、AI・ⅠoTの学習や動作体験などができるAIポータルサイトを開設いたしました。サイトを広く周知するため、コンソーシアムの会員向けにデモンストレーションやパソコンを使用した操作研修会などを実施したところでございます。サイトの活用を更に広げていくためには、日頃から中小企業と密接なつながりのある商工会議所や商工会を介して有効性をアピールしていくことが重要と考えます。 既にコンソーシアムには、鶴ヶ島ジャンクション周辺十三市町の商工団体に参加いただいております。今後は、十三市町以外の商工団体にもコンソーシアムへの参加を促し、経営指導員を通じた企業への働き掛けなどによりサイトの普及に努めてまいります。 次に、現在十三市町で実施しているLPWAの事業をどのように他の市町村に展開していくのかについてでございます。 LPWAは、ⅠoTを支えるネットワークの一つとして、低消費電力で広いエリアをカバーするという特徴を持っており、低価格で利用できるため、様々な分野での活用が期待されております。県では昨年度、鶴ヶ島ジャンクション周辺十三市町にLPWA通信網を整備し、子供の見守りや河川の水位監視など社会的課題の解決に向けた実証実験を行っております。 また、本年度は、社会的課題の解決に役立つLPWAのアプリケーションなどを開発し実証実験を行う企業を支援しており、議員お話しの毛呂山町でのコミュニティバスの実証実験もその一つです。このような取組を他の市町村に展開していくためには、社会的課題の解決につながるLPWAの活用事例を広く紹介していくことが効果的と考えています。今後は、市町村向けに説明会を開催いたしますとともに、誰でも利用できるⅠoT/LPWAポータルサイトを通じて実証実験の取組事例などをPRしてまいります。引き続き、県内産業の振興や社会的課題の解決に向けて、埼玉県AI・ⅠoTプラットフォームの利用拡大に努めてまいります。 次に、御質問七、賑わいのあるまちづくりについてお答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、県内の商店街は、大型店の進出やインターネット販売の普及など環境変化に直面しております。平成二十八年度に実施した埼玉県商店街経営実態調査では、「やや衰退している」又は「衰退している」と回答した商店街が約六割に上っています。県では平成三十年度から、危機感が強く意欲の高い商店街を集中的に支援するNEXT商店街プロジェクトを実施しております。 このプロジェクトでは、外部専門家を中心に、市町村や商工団体等が一体となって商店街の賑わいづくり、活動を支える人材の育成、リノベーションによる空き店舗対策などに取り組んでおります。支援事例として、外部専門家のアドバイスを受け効率的なイベント運営を実現し、毎月、継続的に実施していくことで、新たな来街者を呼び込んだ例があります。また、外部専門家が中心となって、商業者と地域の若者との交流の場を作り、まちづくりについて意見交換を重ねる中で、商店街活動に参画する若い人材が現れてきております。 プロジェクトを進める中で、商店街や地域の方が一緒になって、小さな成功体験を一つ一つ積み重ねていくことで商店街が自信を回復し、やる気を高め、新たな目標に向かっていくという好循環が見られました。このような商店街活動のノウハウをホームページや成果発表会などを通じて広く周知することで、一つでも多くの商店街のやる気を促してまいります。 一方、商店街の賑わいを取り戻すためには、魅力があり集客力の高い個店を増やしていくことが必要です。そのため、経営革新計画の策定支援を通じて、個店の持つ強みや弱み、周辺住民の年齢構成の変化などを分析し、新たな取組を実施する個店を増やす取組に力を入れております。 また、商店街の大きな課題である空き店舗を改修し、賑わいを作り出す取組を表彰する「空き店舗ゼロリノベーションコンペ」も実施しております。昨年度の優秀事例では、築九十年の古民家にお茶の専門店と地域の子供たちが集まる図書室を併設し、商店街に新たな地域交流の場を作り出し、売上げの増加につなげたものがありました。県といたしましては、新しいアイデアを持ってチャレンジする個店を支援し、その事例を積極的に情報発信することにより、やる気を促してまいります。 今後とも、これまでの取組の成果をしっかりと検証し、商店街や個店にやる気を起こさせる仕組みづくりを進め、商店街が賑わいを取り戻せるよう努めてまいります。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 御質問三、安心安全のまちづくりについてお答え申し上げます。 県では、時間雨量五十ミリメートル程度の降雨を安全に流下させることを目標とした河川整備計画に基づき整備を進めております。議員お話しのとおり、この計画に位置付けられている調節池は六十七か所あります。このうち、既に供用済みの三十九か所については、十月の台風第十九号において東京ドーム九杯分に当たる一千九十二万立方メートルの洪水を貯留し、下流域の浸水被害軽減に大きく貢献いたしました。今後は、目標の早期達成を目指し、未着手である二十一か所の調節池の整備について、各河川の整備状況や浸水被害の発生状況などを踏まえ検討してまいります。 また、治水対策は、調節池の整備のほか、上下流のバランスを確保しつつ、堤防の整備や河道の掘削など様々な手段を各河川の特性や流域の状況に応じて組み合わせ、洪水時の水位を下げることが重要です。そのためには、調節池や放水路、排水機場などの既存の施設の機能を増強し活用することも有効です。今後とも、未整備の調節池や河道の整備などを計画的に進めるとともに、既存施設を効率的に活用し、地域の治水安全度の向上に努めてまいります。 次に、御質問四、若手土木系技術職員の育成についてお答え申し上げます。 土木系技術職員の現在の年齢構成を見ますと、現場の最前線で活躍が期待される三十代から四十代前半の職員が少ない状況にございます。一方で、議員御指摘のとおり二十代の若手職員が増加し、日常業務を通じベテラン職員から指導を受ける機会が減少するなど、若手職員の育成が課題となっております。このため、研修による基礎知識の習得に加え、経験に裏付けされた技術の継承が必要であると考えております。 基礎知識の習得につきましては、調査、設計、施工管理などの技術力を養成する研修を行っており、特に新規採用職員は、採用後二年間を基礎固めの期間として集中的に受講させております。さらに、経験に裏付けされた技術の継承のため、先輩職員が若手職員とともに現場に赴き、先輩職員が現場で技術指導を行う「現場の日」を設けております。この取組により、「上司や先輩から現場で実践的な指導を受けることができた」「現場へ行く回数なども増えた」など、若手職員の約八割が効果を実感しております。引き続き、研修の充実とともに、ベテラン職員の知識や経験を現場で伝える取組を行うことで、若手職員の技術力向上を図ってまいります。 次に、御質問六、中川上流地域における高収益作物の普及と一級河川中川の改修についてのうち、一級河川中川の改修についてでございます。 一級河川中川は、幸手市内の幸手放水路から加須市の新槐堀川合流点までの約十五・四キロメートル区間の改修を進めており、これまでに約九・三キロメートルの改修が完了しております。令和元年度は、幸手市内において県道幸手境線の上船渡橋下流約四百メートル区間の築堤工事を行っております。また、久喜市内においては、JR宇都宮線橋りょうの架換えに向けた詳細設計を実施するとともに、工事用道路などの整備に着手してまいります。さらに、加須市内においては、河道拡幅のための用地買収に着手したところでございます。 引き続き、当該区間における事業の進捗を図るとともに、架換えが必要な道路橋十橋のうち、幸手市、久喜市内の五橋については詳細設計を進めてまいります。また、加須市内の五橋については、現在行っている詳細設計が終わり次第、早期に工事着手できるよう用地買収を進めてまいります。今後とも、中川上流地域のかんがい排水事業の進捗も踏まえつつ、関係機関と調整を図りながら河川改修を推進し、中川流域の浸水被害の軽減に努めてまいります。 次に、御質問八、国道一二五号バイパスの早期整備と安全対策についてお答え申し上げます。 まず、国道一二五号栗橋大利根バイパスについてでございますが、現在、加須市内で中川に架かる橋りょうの工事を行うとともに、久喜市内で佐間西交差点の横断歩道橋の架換工事などを進めています。引き続き、残る工事を進め、令和二年三月に全線開通できるよう努めてまいります。 次に、暫定二車線で供用している区間についてでございますが、四車線化に向けた用地買収は完了しており、現在、東武伊勢崎線をまたぐ神戸陸橋の下部工事を進めています。引き続き、早期四車線化に向け、順次工事を進めてまいります。 次に、県道砂原北大桑線と国道一二五号バイパスとの交差点については、これまで警察や地元小学校などと協議をしてまいりました。その結果、交差点には信号機が設置され、歩行者は歩行者用信号機により渡ることとなっています。今後とも栗橋大利根バイパスの開通に向け、必要な安全対策に取り組んでまいります。 次に、御質問九、地元問題についてお答え申し上げます。 まず、(一)利根川に架かる新たな橋りょうについてでございます。 御質問の新たな橋りょうについては、平成三十年三月に加須市と群馬県板倉町による加須・板倉利根川新橋建設促進協議会が設立されたことは承知しております。 一方、本県と群馬県の境を流れる利根川への橋りょうの建設につきましては、複数の期成同盟会などから請願や要望をいただいております。現在、本県では、両県を結ぶ橋りょうの老朽化が進んでいることから、埼玉大橋をはじめ、武蔵大橋や刀水橋の修繕工事を群馬県と共同で実施しているところです。 御質問の新たな橋りょうについては、両県を結ぶ橋りょう周辺の交通状況や土地利用の動向などを踏まえ、広域的に整備の在り方を群馬県や地元市町と研究してまいります。 次に、(二)県道久喜騎西線バイパスの整備についてでございます。 現在、久喜騎西線のバイパスとして整備を進めている県道北中曽根北大桑線バイパスから市道一三八号線までの区間は、これまでに用地買収率が九九パーセント、工事進捗率は三四パーセントとなっています。引き続き、残る用地の取得に取り組んでまいります。 次に、県道加須菖蒲線から市道一四八号線までの区間については、現在の用地買収率は九九パーセント、工事進捗率は七一パーセントとなっています。このうち、県道加須菖蒲線から県道加須鴻巣線までの区間は令和二年度、加須鴻巣線から市道一四八号線までの区間は令和三年度の供用を目指し、重点的に整備を進めてまいります。 最後に、市道一四八号線から県道礼羽騎西線までの区間についてですが、令和元年度は地元説明会を実施し、道路の位置を現地に示す測量を行っています。今後は、県道久喜騎西線バイパス全体の進捗状況を勘案しながら、用地取得に着手する時期を検討してまいります。引き続き、地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、事業の推進に取り組んでまいります。       〔牧千瑞農林部長登壇〕 ◎牧千瑞農林部長 御質問五、野菜生産者に対する支援についてお答え申し上げます。 本県は、野菜の農業産出額が全体の四九パーセントを占め、全国第七位の野菜主産県であるとともに、議員お話しのとおり消費県でもあります。このため、ほかの野菜生産県と比較して、消費者に届くまでの物流コストが低く抑えられるという地理的優位性を持っています。 一方、生産面では、小規模な農業経営が多いことから、生産者の高齢化などにより、耕作面積の減少の加速化が懸念されます。こうした状況を踏まえ、県では、生産拡大、高品質化につながる機械や施設の導入、出荷や箱詰めなどの作業の分業化を進める上での拠点施設の整備などを支援しています。例えば、平成二十八年度には、加須市において高精度の選果レーンを備えたトマト選果機を整備しました。平成三十年度には、秩父市や小鹿野町の新規就農者を含むキュウリ生産者や毛呂山町のイチゴ生産者に対し、災害に強いハウス、計百二十六アールを整備しました。さらに令和元年度からは、今後十年先を見据えて、露地野菜産地の核となる農業法人に対し、植付けから収穫までの一連の作業を一気に機械化できるよう、五年間で百四十件を目標に支援を行っています。 今後は、ICTなどの革新的な技術を活用したスマート農業を導入し、超省力・高品質生産を推進することで生産性を高めていきます。こうした中で、新規就農者や規模拡大をしようとする生産者は、本県の野菜生産において重要な担い手でもありますので、これらの方の要望にもきめ細やかに対応し、本県の主力である野菜の振興を積極的に図ってまいります。 次に、御質問六、中川上流地域における高収益作物の普及と一級河川中川改修についてお答え申し上げます。 まず、国営事業の事業化に向けた現在の取組状況と今後の県における取組についてでございます。 中川上流地域は、加須市、羽生市、久喜市、幸手市に広がる約六千六百ヘクタールの農地で、県を代表する水田農業地帯となっています。しかしながら、本地域の排水施設は、老朽化による機能低下や近年の都市化の進展などにより、台風などの大雨の際には一部地域で湛水被害が見られます。 そこで、地元と県が連携して国に対し要望を行った結果、本年四月から農林水産省において、中川上流地区として国営事業の前段階である地区調査を行うこととなりました。現在の取組状況ですが、国では、現地調査や排水計画の検討などを進めており、本年度中には、受益となる農地面積を取りまとめる予定と聞いております。 本地域での高収益作物導入につきましては、県と市が協力して導入構想を検討したほか、高収益が見込まれる野菜の作付けに意欲的な若手農家やJAと一緒に先進市視察や意見交換を行っております。また、地元では、円滑な事業化を図るため、議員お話しのとおり、土地改良区、関係市、JAからなる中川上流地区国営事業等推進協議会が設立され、県も参与として参画しています。 併せて、県では、地元や地域の排水を所管する関係機関を構成員とした中川上流地域連絡調整会議を設立し、農業排水事業と河川改修事業などとの調整を行っています。今後の県の取組としては、引き続き連絡調整会議などを通じて国営調査が計画的に進むよう調整を行うとともに、高収益作物の普及に向けた品目や適地の選定について、市と連携して地元農家を支援してまいります。県といたしましては、国をはじめ土地改良区や関係市などと、より一層連携し、本地域の湛水被害の解消と高収益作物の導入に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 次に、農業技術研究センターの研究員や普及指導員の強化育成についての県の考え方についてです。 まず、研究員についてです。 多様化する本県の農林業における研究課題を解決するためには、研究機能の強化が重要であり、それを担う意欲と能力のある研究員をどのように育成していくかがポイントです。このような考えの下、県では、近年進展が著しい先端的技術などに対応し、次代の研究開発を担える若手研究員の確保と計画的な育成を進める必要があると考えています。また、そのほかにも、外部の有識者の招へいによる内部研修の実施や、国や民間企業との連携研究などを進めることにより、全ての研究員の資質向上に努めてまいります。 次に、普及指導員についてです。 普及指導員は、直接農業者に接して技術指導や経営相談を行うことにより、農業者の経営支援に取り組んでいます。こうした中で、近年はスマート農業のような技術革新が進むとともに、農地集積などの地域が抱える課題に対応する必要もあり、従来に比べ、より幅広い知識や経験、高い専門性が求められています。こうした状況を受けて、県では普及指導員研修計画を毎年度策定し、経験年数や専門分野別に普及指導員の計画的な育成を図っています。特に、経験の浅い普及指導員に対しては、基礎的な指導力が身に付けられるよう、常日頃の活動の中でベテラン職員が指導を行い、技術や知識が着実に継承できるよう進めています。 県といたしましては、これらの取組を通じて、研究員や普及指導員の強化育成に努めてまいります。          ---------------- △休憩の宣告 ○神尾高善議長 暫時、休憩いたします。午前十一時四分休憩          ----------------午後一時二分再開 出席議員    九十一名     二番    三番    四番    五番     六番    七番    八番    九番     十番   十一番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十五番   二十六番  二十七番  二十八番  二十九番    三十番  三十一番  三十二番  三十三番   三十四番  三十五番  三十六番  三十七番   三十八番  三十九番   四十番  四十一番   四十二番  四十三番  四十四番  四十五番   四十六番  四十七番  四十八番  四十九番    五十番  五十一番  五十二番  五十三番   五十四番  五十五番  五十六番  五十七番   五十八番  五十九番   六十番  六十一番   六十二番  六十三番  六十四番  六十五番   六十六番  六十七番  六十八番  六十九番    七十番  七十一番  七十二番  七十三番   七十四番  七十五番  七十六番  七十七番   七十八番   八十番  八十一番  八十二番   八十三番  八十四番  八十五番  八十六番   八十七番  八十八番  八十九番   九十番   九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    二名     一番  七十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○新井豪副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○新井豪副議長 質疑質問を続行いたします。 十二番 深谷顕史議員       〔十二番 深谷顕史議員登壇〕(拍手起こる) ◆十二番(深谷顕史議員) 議席番号十二番、西第七区、川越市より選出いただいております、公明党議員団の深谷顕史でございます。 本日は、初めての一般質問の機会をお与えいただきましたことに、心から感謝申し上げます。また、寒い中、支援者の皆様方に傍聴にお越しいただきました。心から御礼申し上げます。本当にありがとうございます。公明党議員らしく、現場第一主義の信念を胸に、質問に臨みます。どうぞよろしくお願いいたします。 質問に先立ちまして、台風第十九号が猛威を振るい、本県にも大きな被害をもたらしました。改めて、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問させていただきます。 初めに、一、防災・減災を県政の主流にについて質問いたします。 私は、台風が上陸した十月十二日と十三日、川越市内の河川の増水状況や地域を見回り、開設された避難所にも伺いました。二年前の平成二十九年に内水被害に見舞われ、当時、私自身もボランティアに通った川越市の寺尾地区では、十二月四日時点で床上浸水百四十一件、床下浸水百二十五件という甚大な内水被害に遭ってしまいました。落胆する住民の皆さんの姿がまぶたに焼き付いて離れません。以来、本日に至るまで、とにかく現場に足を運び、被災されたお一人お一人の声を聞き、無我夢中で対応に当たってまいりました。 さきの十月臨時会における決議のとおり、防災・減災、国土強靱化緊急対策事業を積極的に活用し、県管理河川の改修計画の前倒しや、国直轄管理河川の改修に併せた治水対策を行うなど国の有利な制度をできる限り活用し、県土強靱化の予算を大幅に確保するべきであります。 加えて総務省は、自治体が実施する河川のしゅんせつ工事等を地方交付税で財政支援する仕組みについての検討に入りました。甚大な被害のあった本県は、被災前よりも防災力を向上させる改良復旧の考えを取り入れ、さらに河川のしゅんせつ、河床掘削、河道拡幅などの整備を強力に推進すべきです。 災害のリスクは、水害だけではありません。三十年以内の発生確率が七〇パーセントとも八〇パーセントとも言われる南海トラフ大地震や首都直下地震など、東日本大震災を上回る巨大な被害をもたらす大地震が刻一刻と日本列島に迫っております。大規模自然災害から県民の命と財産を守るために、多くの課題が浮き彫りとなった今回の災害を教訓に、河川整備をはじめ、被害を最小限に抑える防災・減災対策をあらゆる面で早急に強化する必要があります。 そこで、お伺いいたします。 自然災害から県民の命と財産を守るために、今こそ防災・減災を県政の主流に押し上げ、あらゆる対策を講ずるべきであります。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、二、令和元年台風第十九号被害を踏まえて、私自身が現場で見てきたこと、そして県民から伺った切実な声を基に、順次質問いたします。 まず、(一)福祉避難所についてお伺いいたします。 浸水被害を受けた川越市の障害者支援施設「初雁の家」に入居していた四十人のうち、当時施設にいた二十一人は、十二日午後、身の危険を感じ、自主避難を開始しました。しかし、避難所の事情により三か所を転々とし、最終的には川越市総合福祉センター「オアシス」の体育館で避難生活を送ることとなりました。大変な御苦労があったと伺っております。十二月五日時点で十名が避難生活を送られています。 ところで、現在、川越市には福祉避難所が二十七か所設置されていますが、浸水した特別養護老人ホームや初雁の家も含めて、このうち十二か所がハザードマップで浸水区域に入っています。この指定については、全般的な見直しの必要があると思います。また、オアシスは川越市の避難所に指定されていませんので、避難生活を送っている方々は、県発表の避難者数には入りません。ここは、福祉避難所でも一般の避難所でもない。これが理由です。 初雁の家の施設職員の方にお話を伺いました。「自閉症などの障害を抱える入居者は、慣れない環境下に置かれ、変化に対応し切れず、大きな不安とストレスを抱えている。また、職員は泥だらけになりながら施設の復旧作業を進めつつ、当直での見守りを行うなど、大変に大きな負担がかかっている」とおっしゃっていました。しかし、苦難に負けず懸命に前を向く姿に胸を打たれました。 一方、福祉避難所を利用するには、まずは地域の避難所に避難しなければなりません。福祉避難所が開設された後、保健師から個別に指示を受けた人だけが福祉避難所を利用できます。仮に早期に福祉避難所が開設されたとしても、直接行くことはできません。しかし、その特性ゆえに、地域の避難所に行くことが難しいのが自閉症などの障害を抱える方々です。御家族も周りの目が気になり、二の足を踏んでしまう現実があります。 そこで、以下四点について、福祉部長にお伺いいたします。 一点目に、福祉避難所の指定について、水害リスクを考慮した見直しが必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。 二点目に、福祉避難所となる施設には元々の入居者がおり、集団での受入れが厳しいものと思われます。今回を教訓として、集団での受入体制の構築が急務です。今後どう改善していくのか、御所見をお伺いいたします。 三点目に、初雁の家の施設復旧にはまだまだ時間がかかります。移転を検討されているとも伺っています。入居者を自宅で引き取られている御家族は、今後の見通しがつかない中、限界が近づいております。集団で受け入れられる施設がない中、大型の福祉仮設住宅の整備や既存の川越市の施設を改修して一時使用するなどの検討もしていただいてきましたが、一刻も早い対応が待たれます。初雁の家は、幾多の反対運動を乗り越え、設立まで七年かかり、一九八五年に設立されました。施設が水害リスクの高い川沿いに位置していた理由でもあります。こうした背景を踏まえ、私は、政治の責任において、今後の施設の将来、そして入居者の方々の未来をあらゆる角度から最大限に支援していくべきと考えます。現在の本県における支援の状況についてお伺いいたします。 四点目に、障害者の特性を考慮し、避難する際は最初から福祉避難所に避難することはできないのでしょうか、御所見をお伺いいたします。 次に、(二)建設業との応急復旧体制についてお伺いいたします。 台風第十九号で、川越市において越辺川の堤防が決壊しましたが、二十四時間体制、わずか約十日間で仮堤防を造ったのは建設業の皆さんです。私の地元川越市の建設会社の方も協力してくださいました。災害からの早期の復旧・復興への大きな力となるのは、建設業の皆様方であります。地域建設業の協力がなければ、地域防災力の向上はないことを強調しておきたいと思います。 今回、気象庁は十月十一日午前中の段階で、十二日夕方から夜にかけて、台風第十九号が非常に強い勢力を保ったまま東海地方又は関東地方に上陸し、東日本を中心に記録的な暴風と広い範囲での記録的な大雨になると発表し、河川の氾濫が相次いだ昭和三十三年の狩野川台風に匹敵するおそれもあると警告していました。 私の地元川越市の建設各社には、十月十一日の十六時に川越県土整備事務所から、台風接近時におけるパトロール活動の要請と土のうの保有状況等の確認がありました。大雨が降り続いていた翌十二日の十六時、ある建設会社には、やっと県から土のうの製作・設置の依頼があり、急きょ社員をかき集め、夜十時頃までかけて六百袋を製作し、順次、河川の越水危険箇所に積み終えました。暴風と大雨の中の作業は、大変な御苦労があったと想像に難くありません。こうして、いざというときに身をていして県土を守ってくださるのは建設会社の皆さんであります。もっと早い段階で土のうの製作・設置の依頼をする、もしくはあらかじめ土のうの在庫を備蓄しておけば、より迅速に対応できたことは明白であります。 そこで、以下二点について県土整備部長にお伺いいたします。 一点目に、出水期や今回のような記録的な大雨が予測された場合、一定数の土のうの在庫を事前に確保、備蓄しておくことはできないのでしょうか。 二点目に、建設業との災害時における応急対策業務の協定は、地震がメインに想定されていると認識しております。地震の場合は、震度五弱が応急復旧対応の基準となりますが、風水害に対しては明確な基準がありません。こうした実態から、応急対策業務における協定が充実しているとは思えません。建設業の皆さんの自発的な横の連携に頼り過ぎている状況ではないでしょうか。どんな不測の事態が起こっても柔軟に考え、行動できるようにするのが、本来の協定の使命であります。この協定には人命が懸かっています。より県がリーダーシップを発揮する形で、各県土整備事務所と地域建設業との協定の見直しをするべきと考えます。御所見をお伺いいたします。 次に、(三)県管理河川の監視体制についてお伺いいたします。 都道府県は、水防法に基づき、大きな洪水被害が予想される河川として、洪水予報河川、水位周知河川を指定しており、埼玉県は、洪水予報河川として四河川、水位周知河川として十四河川を指定しています。 しかしながら、台風第十九号で決壊、氾濫した県管理の三十河川の五十七か所は、この洪水予報河川、水位周知河川として指定されていない区間でありました。また、県管理河川百五十一河川のうち、水位計を設置しているのは六十四河川百八十七か所、全体の四二パーセントにとどまっております。このほか、洪水時の水位観測に特化した低コストで設置できる危機管理型水位計について、昨年度二十か所設置し、今年度十か所設置を予定しております。 一方、台風第十九号が接近、また上陸後に、「埼玉県川の防災情報ウェブサイトに配信されていた河川のカメラ画像が見れない」「夜は暗くてよく見えない」という声を多くの県民から伺いました。このために、多くの住民が自分で川を見に行くなどの危険な状態が続きました。川越県土整備事務所においても、ウェブサイトで監視カメラの画像を見れないため、専用回線の端末一台を皆でのぞき込んでいる状況であったとも伺いました。 そこで、以下三点について県土整備部長にお伺いいたします。 一点目に、今回の被害を受け、水防警報河川の指定拡大と、それに伴う危機管理型水位計の大幅な増設が急務と考えますが、御所見をお伺いいたします。 二点目に、今年度、簡易型河川監視カメラが三十七基設置され、ノーマル型のカメラ四十七基と合わせて八十四基となります。住民が一目で河川の様子が分かる体制づくりは非常に重要だと思います。東京都では、夜間でも高精細な映像を撮影できる四Kカメラを使っての動画配信を始める方針を決めました。本県においても、カメラの設置範囲拡大、夜間監視能力の強化を進めるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。 三点目に、川の防災情報ウェブサイトは、現状、六万を超えるアクセスが殺到した場合、障害が発生すると聞いております。今回の災害時には三十八万程度のアクセスがあったとされております。河川監視カメラ画像データの容量が大きいことを考えれば、現状での安定運用と今後の増設を考慮した、川の防災情報ウェブサイトのサーバCPUやメモリーの強化は必須と思いますが、御所見をお伺いいたします。 次に、(四)排水機場等の整備についてお伺いいたします。 本県の排水機場は、河川放水路に十八機場、調節池に二十六機場あります。河川放水路の十八機場は、予防保全型の修繕計画が定められておりますが、調節池の二十六機場は長期修繕計画が策定されていません。したがって、防災上極めて重要な設備であるにもかかわらず、壊れたら交換するという対応で、いざというときに正常に作動するか不安が残ります。 排水機場のポンプや電気設備は設置後十五年でオーバーホール、三十年で交換となっておりますが、標準的な耐用年数を経過しているのが、河川放水路の排水機場で七機場、調節池の排水機場で七機場、合計十四機場あり、早急な対策が必要です。 また、県管理の水門は八か所あります。水門についても、長期修繕計画が策定されていません。水門の電気設備については、早急に予防保全型の修繕計画を定めるべきと考えます。その他、老朽化が進む樋門や樋管が正常に機能を果たしているのか、今回の災害を機に、より綿密な動作確認を加えた点検を実施すべきと考えます。 そこで、今後の排水機場、水門、樋門や樋管の保全計画について、県土整備部長にお伺いいたします。 次に、(五)県立学校体育館エアコン整備、照明LED化についてお伺いいたします。 知事は、今回の災害時に避難所となった学校体育館を視察されましたでしょうか。本年九月の台風第十五号では、私の地元川越市立南古谷小学校に十三名の方が避難。ほとんどが災害弱者といわれる高齢者や小さなお子さん連れの御家族であります。蒸し風呂のような暑さで、準備に当たっていた川越市の職員も汗びっしょりでありました。台風第十九号の際は、同体育館に二百名以上の方が避難され満員となり、蒸し暑さで気分が悪くなりそうな方がたくさんおりました。大規模自然災害への備えとして、避難所の環境改善の必要性を痛感しております。 熊本県が行ったアンケート調査では、避難生活が一週間を超えるなど長期化した場合には、空調、照明等へのニーズが高まるとされております。近年頻発する自然災害による被害状況や災害弱者の健康維持とストレスの低減を考えると、生活環境に関する設備の早期稼働が不可欠であります。そこで、暑さ対策として新たな事例を紹介したいと思います。 十一月二十八日、私は奈良県葛城市へ伺いました。同市は、市内三か所の体育館に、天井吊・ダクト形の大型スポットクーラーを常設設置しています。そのために必要なコストは、エアコンの本設置に比べ、工事費込みで十分の一以下まで抑えられたそうです。この大型スポットクーラーは、暑さ指数(WBGT)に着目し、熱中症予防を重視した設備で、今夏の運用において、利用者からは「空気が対流し、体感温度が下がった」との喜びの声を多数いただいたそうです。職員は、災害時に避難所となった場合も含め、その冷房効果に自信を持って語られていたのが印象的でありました。 一方で、本県は暑さ対策として可動式エアコンでの対応を想定していますが、もし小型のスポットクーラーしか確保できなかった場合、冷風も出ますが、排気もその場で出てしまいます。せいぜい排気の熱を人のいない方向にダクトを向けて逃がすくらいの対策しかありません。災害級の暑さといわれる真夏に災害が発生し、体育館に多くの避難者が押し寄せた場合、その冷房効果には疑問が残ります。このことは、電気や空調設備を扱う業者の方も口をそろえてそうおっしゃいます。 一方、大型スポットクーラーは、熱気は室外機から屋外へ放出されます。そもそも、災害により道路が寸断されれば、可動式のエアコンを運んでくることもままなりませんし、必要な台数を確保できる保証がないことは明白であります。 次に、照明の問題であります。 六月定例会一般質問で木下高志議員が取り上げたとおり、多くの体育館の既存のHID照明では調光ができないため、災害時に避難所となった場合、避難者の睡眠の妨げになることがあります。HIDとは、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及び高圧ナトリウムランプの総称です。HIDランプは、二〇二〇年以降、生産中止になるとの大手メーカーの発表もあり、早期の調光機能付きLED照明へのリニューアルが必須です。安全性の面でも、HID照明は照射面がガラス製のため、地震による破損、落下の危険性があります。一方、LED照明の多くは照射面がポリカーボネート製のため、リスクを低減できます。 しかし、本県の対応は遅れています。県立学校体育館照明のLEDへの改修状況は、高等学校が一一パーセント、特別支援学校が二五パーセントにとどまっています。残念ながら、全て調光機能は付いていません。 そこで、以下二点について、知事にお伺いいたします。 一点目に、これまで公明党は、財政上有利な緊急防災・減災事業債の活用というチャンスを生かし、県立学校体育館へのエアコン本設置を求めてきましたが、現在の本県の考え方は、空調機器設置済みの避難所がない十四の地域の県立学校体育館に電源の整備だけを行い、いざというときには、さきに述べたように冷房効果に疑問のある可動式のエアコンを運んでくるものです。これでは役に立たないと我々は考えております。せめて、奈良県葛城市で導入している天井吊・ダクト形の大型スポットクーラーを常設設置することを是非検討していただきたいと思います。御所見をお伺いいたします。 二点目に、調光機能付LED照明への改修については、大規模改修のタイミングを待っていては、全て交換できるまで数十年を要します。交換を前倒しすべきと考えます。御所見をお伺いいたします。 次に、三、電力会社等と連携した災害時における停電復旧作業についてお伺いいたします。 本年の台風第十五号により倒壊・損傷した電柱は、経済産業省の推計によれば、千葉県内だけで約二千本との試算があります。最大約九十三万戸が停電し、完全復旧まで長い時間がかかりました。その要因には、電線等の電力設備への倒木撤去に時間がかかったと言われています。倒木が電線に絡まっている場所が多くあり、東京電力だけでは倒木を撤去できる装備がない、逆に、建設会社だけでは電気事業法により電線に触れることができず、復旧が難しいケースが相次いでいたということです。 昨年の台風第二十一号により大規模停電の被害を受けた和歌山県では、本年四月、関西電力、NTT西日本それぞれと災害時における停電復旧作業の連携等に関する協定を締結しました。電線に寄り掛かっている樹木や道路上に倒壊した電柱など、復旧作業の妨げとなるものの除去を相互に連携して支援する協定です。この協定により、両社が復旧要員を派遣することが困難な場合、電力会社が安全確認を行った上で、県が樹木伐採など障害物の除去を行えることになります。市町村が行う作業についても、県が積極的に助言や支援を行う体制となっております。この協定によって、電力会社が県と一体となって復旧作業に当たり、それぞれの災害対応力を強化できるのではないかと期待されております。本県においても、大規模停電への備えとして、早期の停電復旧に取り組む体制を強化すべきであります。 そこで、和歌山県が取り組む、電力インフラの早期復旧への電力会社等との協定を、本県においても導入すべきと考えますが、危機管理防災部長の御所見をお伺いいたします。 次に、四、JR川越線荒川橋りょうの複線化仕様での架換えについてお伺いいたします。 JR川越線の日進駅以西の複線化は、川越市民及び産業界の長年にわたる悲願であります。私は、南古谷駅から徒歩十分程度のところで四十年以上生活してまいりました。現在、南古谷駅北口の開設と駅舎の橋上化の計画が進んでおり、十一月三十日からは、相鉄・JR直通線も開業しました。沿線住民の足としてのみならず、都心三十キロ圏内の東西交通の軸として重要な役割を担っており、今後の発展性は非常に高いものがあります。 国土交通省の荒川第二・三調節池造成に伴う工事により、複線化よりも先に、荒川に架かる橋りょうの架換えが決まりました。私は、本年八月二十六日に現場を視察し、国土交通省の職員から改めて概要を伺いました。台風第十九号では、荒川橋りょうの橋桁下面の高さが計画高水位に対して一メートル低いため、ぎりぎりまで水位が上がりました。橋りょう部分両側の堤防も低いままです。そこで、荒川第二・三調節池事業では、堤防のかさ上げを行うこととしており、そのためには橋りょうの架換えが必要となります。荒川が氾濫すれば、被害は甚大であることは言うまでもありません。一日も早い工事完了を望んでおります。 令和元年度に入り、川越線の複線化について一般質問で取り上げるのは私で五人目であります。その思いをくんでいただくことを念願し、知事にお伺いいたします。 もし単線のまま荒川橋りょうが架け換えられれば、ほぼ永久に複線化はできません。このチャンスを逃さないために、川越市では複線化の早期実現を要望する署名活動も始まりました。荒川第二・三調節池造成に伴う工事の最終年度は二〇三〇年、この大事業を勘案すれば時間はもうありません。今こそ知事がリーダーシップを発揮し、川越市、さいたま市と一致結束して、将来の複線化を見越し、複線の幅員を持たせた橋りょうに架け換えるよう国とJR東日本に協力を要請すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、五、音響信号機の整備状況と誘導音についてお伺いいたします。 昨年十二月早朝、東京都駒込駅近くの横断歩道上を歩いていた視覚障害者の男性が車にはねられて死亡するという痛ましい事故が発生しました。事故現場の信号機に音響信号装置は付いていましたが、夜七時から翌朝八時までの間、周辺住民の要望により誘導音が停止されていたとのことです。誘導音が鳴らない横断歩道での横断は、常に危険を伴います。視覚情報から青や赤の判断がつかない視覚障害者にとって、音での情報は必須です。視覚障害者も健常者と同様に、早朝や夜間にも仕事等の理由で外出することがあります。したがって、音響信号機の夜間・早朝の誘導音の停止は、視覚障害者にとって極めて深刻な問題であります。 本県における音響信号機は全部で九百九十六基、うち二十四時間継続して運用しているのは、たったの二基であります。これ以外に、高齢者押しボタン又は視覚障害者が携帯する発信機、いわゆるシグナルエイドで音響装置が二十四時間起動する信号機が百一基であります。つまり、残り八百九十三基は二十四時間運用しておらず、大半が朝七時から夜七時までの運用時間となっております。 そこで、以下二点について警察本部長にお伺いいたします。 一点目に、運用時間を制限している音響信号機について、二十四時間継続して運用できるように拡大すべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。 二点目に、誘導音に対する近隣住民への配慮をするならば、わずか一〇パーセントにとどまる高齢者押しボタン又はシグナルエイドに対応する音響信号機を大幅に増やすべきと考えます。御所見をお伺いいたします。 最後に、六、川越市内における内水氾濫対策についてお伺いいたします。 平成二十九年十月の台風第二十一号、そして今回の台風第十九号において、江川流域都市下水路の新河岸川への合流点付近で甚大な内水被害が発生しました。寺尾地区では、住民は、僅か二年前に自宅をリフォームしたにもかかわらず、再び内水被害に遭われました。 県では、平成二十九年の内水被害を受け、排水ポンプ車の進入路として堤防の拡幅整備を実施。この整備によって、今回、川越市、ふじみ野市、国土交通省の合計四台の排水ポンプ車による、江川流域都市下水路から新河岸川への排水作業が夜を徹して行われました。新河岸川の水位上昇を抑え、内水を排水しやすくするための渋井水門の増設工事も、令和二年度末の完成を目指し、進められているところであります。 私は、職員が大雨と暴風の中を排水ポンプ車での排水作業に当たっている姿を見守っておりました。しかし、排水ポンプ車のポンプの能力は一台当たり毎秒〇・五トンしかないため、排水が追い付かず、結果、江川流域都市下水路はあふれました。 そこで、お伺いいたします。 二度と寺尾地区で内水による大きな浸水被害を発生させないためにも、江川流域都市下水路の新河岸川への合流点に排水ポンプ場の設置、地下貯留施設や調整池の設置など、あらゆる検討が必要と考えます。今後の取組について、下水道事業管理者にお伺いいたします。 また、新河岸川は江川流域都市下水路との合流点付近において、近年、しゅんせつ工事などは行われておりません。新河岸川のしゅんせつなどを行い、堆積した土砂を撤去することで河川の断面積を拡大し、流下能力を向上させるべきと考えます。県土整備部長の御所見をお伺いいたします。 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、大変にありがとうございました。(拍手起こる)
    ○新井豪副議長 十二番 深谷顕史議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 深谷顕史議員の御質問に順次お答え申し上げます。 まず、防災・減災を県政の主流にについてのお尋ねでございます。 初めに、深谷議員が今回の台風に際し、地元の河川の状況の確認や避難所への訪問など速やかに現状を把握され、ボランティアとしても御活動いただきましたことに敬意を表します。 今回の台風第十九号は記録的な豪雨をもたらし、複数の河川の氾濫や堤防の決壊により、極めて広範囲にわたり家屋等が浸水するなど、本県は甚大な被害に見舞われました。私も被災地を訪問し、自らその爪痕を目の当たりにし、自然の脅威と被害の大きさにがく然としました。同時に、国や市町村と連携して防災・減災対策を速やかに強化する必要性を改めて強く感じました。このため、十月二十一日に、神尾高善県議会議長をはじめ、被害の大きかった七市町の首長の皆様とともに、国に対し、防災・減災の観点を含め、緊急かつ重点的な支援を求める要望を行ったところでございます。 また、本定例会では、被災地の復旧、そして被災者の生活となりわいの再建に向けた取組を更に加速させるため、補正予算を提案させていただいており、御賛同いただきますようお力添えをお願い申し上げます。 水害については、気候変動により更に降雨量が増大し、頻発化、激甚化することが懸念されています。このため、流域の状況に応じ河床掘削や河道拡幅、調節池の整備、雨水流出抑制施設の設置など様々な対策を進めるとともに、防災情報の充実を図るなど、ハード・ソフト一体となった総合的な治水対策を進めていきます。 台風第十九号では、堤防の決壊をはじめ、県内各地で河川からのいっ水、越水などが発生したことを受け、堤防等の災害復旧を早急に進めるとともに、計画に定めている治水対策のスピードアップを図ります。 また、地震につきましても、東京湾北部でマグニチュード七クラスの地震が今後三十年間に七〇パーセントの確率で発生すると予想されています。このため県では、昭和五十五年より古い基準で建設された橋りょうについて、平成七年度から耐震補強工事を実施してきました。さらに、平成二十八年に発生した熊本地震の被災状況を踏まえ、平成八年より古い基準で建設された橋りょうについても、令和元年度から耐震補強に着手しました。 こうした対策とともに、いざ災害が発生したときに被害を最小限にとどめるためには、危機管理体制の強化が不可欠であります。県は、消防、自衛隊などの実動部隊を持たず、また、国と異なり専門知識を有する人材も限られています。 そこで、災害や危機ごとに対処すべき具体的なシナリオを作成し、訓練を重ねながら、専門的な知識を有する様々な官民の機関、組織を連結させる取組を進めてまいります。私が目指す埼玉県像は「日本一暮らしやすい埼玉県」であり、これを支えるのは、何よりも県民の安心・安全を確保することです。このため、防災・減災対策を県政の主流の一つとして、しっかりと取り組んでまいります。 次に、令和元年台風第十九号被害を踏まえてのお尋ねのうち、県立学校体育館エアコン整備、照明LED化についての県立学校体育館に大型のスポットクーラーを常時設置することについてでございます。 近年の猛暑を考えますと、避難所となる県立学校の体育館の環境整備については、課題として認識しております。議員お話しのとおり、天井吊・ダクト形と呼ばれる大型のスポットクーラーには、初期投資が低額であるというメリットがあります。しかし、エアコンは空間全体を冷やす機能を有しているのに対し、スポットクーラーは特定のエリアにのみ冷風を送るものとなっています。このため、夏季の災害時に避難所として使用する際の効果については、検証が必要であると考えています。 一方、現状では、暑さ対策以外にも、避難所となる建物そのものの老朽化など施設面の課題もございます。このため、現在、校舎、体育館などの老朽化対策や、生徒が使用する実習棟などの耐震化といった、建物そのものの安心・安全に関わる対策を優先させていただいているところでございます。大型スポットクーラーの設置につきましては、新たな御提案でございますので、こうした課題も踏まえつつ、他の自治体の事例、体育館の構造や球技など生徒の利用への影響など、幅広く研究をしてまいります。 次に、調光機能付LED照明への交換を前倒しすることについてでございます。 現在、照明のLED化につきましては、照明のみを単独で改修するよりも、大規模改修の中で行う方が、単独で足場を設置する必要がないなど工事費が抑えられることから、大規模改修の機会に実施しています。 しかしながら、議員お話しのとおり、水銀灯などの照明器具は、メーカーの生産中止により、交換が困難になることも予想されます。今後、こうした事態により学校活動に支障が出ないよう課題を整理しながら、大規模改修以外の機会も捉えて調光機能付LED照明への交換をしてまいります。 最後に、JR川越線荒川橋りょうの複線化仕様での架換えについてのお尋ねでございます。 JR川越線は、大宮と川越を中心とする県西部方面を結ぶ路線であり、沿線の通勤・通学の足としての役割を果たすなど、地域の重要な鉄道路線です。議員お話しのとおり、相模鉄道とJR東日本は、十一月三十日から相鉄本線とJR埼京線の相互直通運転を開始し、一部列車は川越駅まで直通するなど、利便性が向上したところです。 国は、平成二十八年三月に荒川水系河川整備計画を定めており、荒川第二・三調節池事業の中で川越線の橋りょうの架換えを予定しております。一方、複線化につきましては、混雑の状況、沿線開発に伴う今後の輸送状況などを踏まえ、鉄道事業者のJR東日本が判断をするところです。JR東日本が複線化を検討するためには、沿線開発などによる利用者の増加などが必要となり、まちづくりの主体となる地元市の意向が重要となります。このため、平成三十年十一月から県とさいたま市、川越市との打合せの場を設けており、川越線の利用や橋りょうの架換えなどに関する情報を共有し、意見交換を行っています。 さらに、この三者に加え、JR東日本と国も加えた意見交換の場も設けています。本年十一月にも関係五者で、川越線の荒川橋りょうの架換えを含む荒川調節池整備の概要等について、情報共有や意見交換を行いました。JR東日本の見解はこれまでと同様に、現在の利用状況では複線化の必要性は低いとのことでした。川越線は、沿線開発の進展などにより、利用者数はこの十年間で約一割増加してきており、今後も沿線の開発が進めば更に利用者の増加も期待できるものと考えます。 一方で、人口減少社会の到来など社会環境の変化も考慮しなければなりません。このため、さいたま市、川越市においては、これまで以上に利用者を増やす取組を検討していただくことが必要と考えます。川越線の複線化は、首都圏における交流人口の増加につながることが期待されます。県としても、引き続き関係者間の検討に積極的に取り組むとともに、地元市と連携し、その意向を踏まえ、橋りょうの架換えを含む複線化について、国及びJR東日本に対し要請を行ってまいります。       〔知久清志福祉部長登壇〕 ◎知久清志福祉部長 御質問二、令和元年台風第十九号被害を踏まえての(一)福祉避難所についてお答え申し上げます。 まず、水害リスクを考慮した指定の見直しについてでございます。 福祉避難所は、災害時に備え、災害対策基本法に基づき、一般の避難所と同様に市町村長が指定する指定避難所の一つです。指定に当たっては、国の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」を踏まえ、対象となる施設がバリアフリー化していることや、施設自体の安全性が確保されていることが求められます。市町村では、地震や土砂災害のほか、水害時の安全性の確保も念頭に福祉避難所の指定を行ってきましたが、今回の水害を踏まえますと、施設が浸水想定区域内にあるかどうか、これまで以上に留意する必要があります。このため、市町村に対して、現状の福祉避難所の立地について再度検証するとともに、今後の指定に当たって様々な災害リスクをより一層考慮するよう働き掛けてまいります。 次に、集団での受入体制の構築が急務である、今後どう改善していくのかについてでございます。 施設では、非常災害時の計画を策定し、災害時にはあらかじめ定められた避難所に入所者を一時的に避難させることとなっています。今回の災害では、施設が床上浸水したことから、施設の復旧工事が終わるまで入所者が施設に戻れず、避難が長期に及ぶことになりました。しかしながら、入所者が長期に避難する場合まで考慮した計画となっていなかったため、落ち着いた避難先の確保に時間を要しました。 このようなことから、今後は施設に対し、避難が長期に及ぶことも想定し、事前に入所者の受入先の確保について、市町村や事業者団体と連携し検討するよう指導してまいります。県といたしましては、入所者がまとまって避難できる場所が確保できないケースも想定されることから、事業者団体の協力を求め、入所者を分散して他施設に受け入れられる体制の構築を推進してまいります。 次に、初雁の家に対する県の支援状況はどうかについてでございます。 初雁の家に対する復旧支援につきましては、中核市として施設を所管する川越市が施設の意向を確認しながら進めているところです。県といたしましては、被災施設応援のため、事業者団体などと協力して埼玉県災害派遣福祉チーム(DWAT)を派遣し、避難している利用者の食事や入浴に対し応急的な支援を行いました。また、初雁の家から、事業者団体である埼玉県発達障害福祉協会に対し、他の入所施設に分担して受け入れてほしいとの要望がありましたので、県も協力して調整を進めているところです。今後も川越市や事業者団体と連携し、県としてできる限りの支援を行ってまいります。 次に、障害者の特性を考慮し、最初から福祉避難所に避難することはできないかについてでございます。 国のガイドラインでは、災害が起きたときは、まずは一般の避難所に避難し、そこで保健師などが福祉避難所に移ることが適当と判断した障害者などに福祉避難所へ避難していただくこととされております。福祉避難所は災害の状況に応じて開設され、その受入人数は限られているため、混乱を避け、機能を十分に発揮させるためには、原則どおりガイドラインに基づく対応を図ることが基本と考えております。 しかしながら、避難する障害者の状態は様々であり、また、地理的な状況などにより、直接福祉避難所へ避難することが必要な場合も考えられます。県といたしましては、市町村に対して、ガイドラインを基本としつつも、平時から特別な配慮が必要な方の把握に努め、地域の実情に応じた、よりきめ細やかで適切な対応を図るよう働き掛けてまいります。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 御質問二、令和元年台風第十九号被害を踏まえてについてお答え申し上げます。 まず、(二)建設業との応急復旧体制についてのうち、出水期に記録的な大雨が予想された場合、一定数の土のうの在庫を事前に確保、備蓄しておくことについてでございます。 各県土整備事務所では、毎年定める水防計画に基づき、水防時に使用する土のう袋などの資材を水防倉庫などで備蓄しています。また、出水前には県土整備部風水害事前活動指針に基づき、事前に必要な土のうなどの資材を確認し、必要に応じあらかじめ補充を行うこととしております。 一方で、土のうは土砂を詰めた状態で長期間備蓄すると袋が劣化し、破れて使用できなくなるというデメリットがあります。また、大量の土のうを運搬するためには、積込みや荷卸し、設置作業に多くの人員が必要となることから、設置する箇所の近くで製作することが効率的です。今後は、水防活動をより効率的に実施するために、実際に設置作業を行う建設会社の意見を聞きながら、土のうの備蓄を含めた事前の準備方法について検討し、水防体制について万全を期してまいります。 次に、地域建設業協会との協定の見直しについてでございます。 県では、昭和六十年十月に建設業協会と締結した「地震災害応急復旧工事に関する基本協定」を地震災害以外にも適用できるよう改定し、平成二十一年四月に、「災害時における応急対策業務に関する基本協定」として再締結いたしました。これにより、県土整備部が管理する公共土木施設において、地震、風水害などの災害が発生した場合、又はそのおそれがある場合に、地元建設会社による応急対策が実施されております。今回の台風におきましても、この協定に基づき、地元建設会社により二次被害防止のために堤防決壊箇所や洗掘箇所に大型土のうを設置するなどの応急復旧工事が実施されたところです。 今後、気象災害のリスクが高まってくる中、地元建設会社との協力はますます重要になってまいります。議員御指摘のとおり、風水害に対しては応急対応業務を開始する明確な基準がないことから、建設業協会との意見交換の場などを利用し、風水害や地震など応急復旧対応業務に関する基準や運用の在り方について議論を進めてまいります。 次に、(三)県管理河川の監視体制についてでございます。 まず、水防警報河川の指定拡大と危機管理型水位計の大幅な増設についてでございます。 本県では、水防法に基づき、浸水実績の有無、氾濫区域における資産の集積の度合い、河川の整備状況などを基に、洪水により相当な被害が生ずるおそれがある河川として、十八の河川を水防警報河川に指定しているところでございます。水防警報河川の指定拡大については、水防団の活動や住民の避難行動の迅速化などにつながることから有効な手段ではございますが、水防警報発令のためには、水位計を設置するだけでなく、発令の基準となる水位を定めるために必要な観測データの蓄積に時間がかかります。このため、まずは、要配慮者施設や市役所などの重要施設が浸水する危険性の高い箇所を中心に、迅速な水防団の活動や的確な避難判断につながるよう、危機管理型水位計の設置を進めてまいります。 また、これと並行し、水防警報河川に指定された場合には市町村にも法令上の義務が生じることから、平成三十年五月に設立した「埼玉県管理河川の氾濫に関する減災対策協議会」などを通じ、指定河川の拡大に向け、市町村などと調整を進めてまいります。 次に、河川監視カメラの設置範囲拡大と夜間監視能力の強化についてでございます。 県では、これまで水防警報河川十八河川二十か所を含む合計四十七か所に河川監視カメラを設置し、その画像をホームページで公開しています。今年度中には、低コストで設置が容易な簡易型河川監視カメラを更に三十七か所に設置する予定としています。 カメラの夜間監視能力については、カメラの周辺にお住まいの住民のプライバシーへの影響を考慮して、本県では赤外線カメラを使用しております。そのため、夜間は白黒画像になりますが、画像に映し出される量水標や水位警戒ライン、近傍の橋脚などの構造物を目安に、河川の水位状況は確認できると考えています。東京都が検討を始めている高画質映像による河川状況の提供については、得られる効用とコストの両面から情報収集してまいります。 次に、川の防災情報ウェブサイトのサーバCPUやメモリーの強化についてでございます。 県では、水位観測所、雨量観測所、河川監視カメラなどの情報を「埼玉県 川の防災情報」としてホームページ上で提供しております。本ホームページへのアクセスは、平常時は一日当たり一千件程度、現システムで許容できるアクセス数は一日当たり約六万件となっております。 ところが、台風第十九号の際には約三十八万件と集中したため、外部からはホームページが一時的に閲覧できなくなる状況となりました。川の防災情報を的確に県民に伝えることは重要であり、今後、現在のカメラ設置数を前提とした安定性のみならず、将来の拡張性も十分検討し、アクセス集中に対応したシステムの強化を進めてまいります。 次に、(四)排水機場等の整備についてでございます。 県が管理する排水機場のうち、内水排除を目的とした十八機場については、議員お話しのとおり、予防保全型の修繕計画である長寿命化計画を既に策定しています。現在は、調節池に設置されている二十六機場を対象に、令和元年度中を目指し、長寿命化計画の策定を進めています。令和二年度からは、県が管理する水門、樋門、樋管を対象とした計画策定を予定しているところです。 なお、水門、樋門、樋管につきましては、台風第十九号通過後に被災状況調査を行いましたが、被災は確認されておりません。 今後、来年度の出水期までに点検を行うとともに、出水期中も動作確認を実施するなど機能確保に努めてまいります。 次に、御質問六、川越市内における内水氾濫対策についてのうち、新河岸川の江川流域都市下水路との合流点付近におけるしゅんせつ工事についてお答え申し上げます。 川越市内の新河岸川については、平成二十二年までに畳橋の下流まで改修が完了しております。改修した新河岸川の流下能力を確保し続けるためには、上流から流れて堆積する土砂を適切に撤去する必要があります。県では、土砂が多く運ばれ、堆積しやすい不老川との合流点付近を対象に、定期的にしゅんせつ工事を実施しております。これにより、土砂が下流に流れ、新河岸川と江川流域都市下水路との合流点などで堆積することを防いでおります。今後も土砂の堆積状況を定期的に把握し、新河岸川の流下能力を確保できるよう適切にしゅんせつ工事を実施してまいります。       〔森尾博之危機管理防災部長登壇〕 ◎森尾博之危機管理防災部長 御質問三、電力会社等と連携した災害時における停電復旧作業についてお答え申し上げます。 本年九月の台風第十五号がもたらした記録的な暴風により、千葉県内では多数の倒木が発生し、広範囲にわたり電柱や電線などの電力設備が大きな被害を受けました。そして、復旧作業が難航したことにより停電が長期間に及び、県民の生活や経済活動などに極めて深刻な影響をもたらしたところでございます。 こうした影響を最小限に抑えるためには、様々な機関が専門性を発揮しながら連携して復旧に取り組む体制や仕組みを整えることが重要でございます。現在、県では、災害時に障害物の除去や倒木の処理を迅速に行えるよう民間事業者の御協力をいただき、災害時応援協定を締結しています。これに加え、更に、議員お話しの和歌山県のように電力会社と協定を締結することで、より早期の復旧が期待できると考えております。 そこで、東京電力と協定締結に向けた調整を始めたところでございます。できるだけ早く協定を締結し、停電の復旧体制を強化してまいります。       〔高木紳一郎警察本部長登壇〕 ◎高木紳一郎警察本部長 御質問五、音響信号機の整備状況と誘導音についてお答え申し上げます。 音響式信号機については、視覚障害者関係団体等からの要望を踏まえ、視覚障害の方がよく利用される施設、駅、病院、特別支援学校等の周辺に県内九百九十六基整備しており、今年度は九基の増設を予定しております。 音響式信号機の音響鳴動時間は、夜間、早朝における音響に対する住民の要望により個々に時間設定を行い、運用しております。具体的には、午前七時から午後七時の運用のほか、午前七時から午後九時までの運用など、それぞれ設置箇所周辺の住民の理解を得ながら、可能な限り運用時間の拡大に配慮しているところであります。 他方、議員御指摘のとおり、視覚障害の方から音響鳴動時間の拡大要望があることも十分承知しておりますので、引き続き、設置箇所周辺の住民と調整を行うなど、二十四時間の運用も含め、更に運用時間の拡大を図ってまいります。 次に、高齢者押しボタン及びシグナルエイドに対応する信号機は、視覚障害の方のために誘導音を鳴らすだけではなく、通常の青時間では渡り切れない方のために横断時間の青時間を通常よりも延長するものであります。そのため、視覚障害の方以外の方が押すことにより、夜間及び早朝の時間において音が鳴る場合もあります。 しかしながら、鳴る頻度が少ないため、設置箇所周辺の住民の理解を得やすいことから、視覚障害の方の要望を踏まえ、高齢者押しボタン及びシグナルエイドに対応する信号機の拡大に努めてまいります。       〔砂川裕紀下水道事業管理者登壇〕 ◎砂川裕紀下水道事業管理者 御質問六、川越市内における内水氾濫対策についてのうち、江川流域都市下水路に関する今後の取組についてお答え申し上げます。 川越市では、平成二十九年の台風第二十一号の被害を踏まえ、市が管理する江川流域都市下水路に関し、台風第二十一号内水浸水検証委員会を設置いたしました。この検証委員会は有識者や県職員などで構成され、審議を重ねた結果、平成三十年八月に今後の内水対策についての答申が示されました。 この答申を受け、直ちに着手可能な対策として、応急排水ポンプや排水ポンプ車を配備いたしました。また、住民が水位や現地状況をリアルタイムに確認できるよう監視カメラを設置し、情報発信を行いました。しかしながら、今回の台風第十九号では、二年前よりも降雨量が多かったことなどから、配備した応急排水ポンプやポンプ車により新河岸川へ排水したものの、多くの内水被害が発生いたしました。 川越市では、引き続き、検証委員会の答申で示された内水対策に関する基本的な考え方に基づき、更なる対策を実施していくとのことでございます。答申では、ハード対策として、地上や地下への調整池の整備、段階的な排水ポンプなどの整備が示されておりますが、いずれも事業用地の取得が必要なことから、整備には一定の期間を要することが見込まれます。 そこで、川越市では、今年度、浸水シミュレーションを実施した上で具体的な浸水対策を決定し、ふじみ野市との協議や都市計画決定などの手続を経て、早ければ令和三年度から事業に着手する予定とされております。県といたしましては、引き続き、県と市で設置いたしました河川・下水道事業調整協議会などを通じまして、川越市、ふじみ野市との連携を図るとともに、法的手続や交付金を円滑に活用できるよう積極的に支援してまいります。          ---------------- △休憩の宣告 ○新井豪副議長 暫時、休憩いたします。午後二時二分休憩          ----------------午後三時一分再開 出席議員    九十一名     二番    三番    四番    五番     六番    七番    八番    九番     十番   十一番   十二番   十三番    十四番   十五番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十五番   二十六番  二十七番  二十八番  二十九番    三十番  三十一番  三十二番  三十三番   三十四番  三十五番  三十六番  三十七番   三十八番  三十九番   四十番  四十一番   四十二番  四十三番  四十四番  四十五番   四十六番  四十七番  四十八番  四十九番    五十番  五十一番  五十二番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   五十九番   六十番  六十一番  六十二番   六十三番  六十四番  六十五番  六十六番   六十七番  六十八番  六十九番   七十番   七十一番  七十二番  七十三番  七十四番   七十五番  七十六番  七十七番  七十八番   七十九番   八十番  八十一番  八十二番   八十三番  八十四番  八十五番  八十六番   八十七番  八十八番  八十九番   九十番   九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    二名     一番  五十三番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○神尾高善議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○神尾高善議長 質疑質問を続行いたします。 四十五番 前原かづえ議員       〔四十五番 前原かづえ議員登壇〕(拍手起こる) ◆四十五番(前原かづえ議員) 日本共産党の前原かづえです。党県議団を代表して質問いたします。 初めに、一、台風第十九号の被害を繰り返さないために、(一)被災者の一刻も早い生活・生業再建のためにについてです。 十月十二日、関東地方を直撃した台風第十九号により、県内では死亡者三名、重傷者一名、住家被害は合計六千二百五十四棟、全壊百十二棟、半壊百六十六棟、床上浸水二千二百五十五棟、床下浸水三千三百七十棟と、甚大な被害を受けました。被災された方々に心からお見舞い申し上げます。 また、この間、限界まで削減されてきた県職員の皆さんが、CSF感染防止対策と台風第十九号などの災害対応と、不眠不休で頑張ってきたことに心から敬意を表します。 強力な台風や集中豪雨が頻発する要因として、地球温暖化が指摘されます。スーパー台風と言われた台風第十九号では、戦後経験したことのない豪雨によって、県内では国管理の都幾川、越辺川などで複数の堤防の決壊が起こりました。今後の水害を未然に防ぐためにも、無堤地区の早期解消、堤防強化、河道掘削、樹木伐採など河川改修、遊水池の整備など流域全体を対象にした治水対策に力を入れるべきだと考えます。知事の減災、防災についてのお考えをお示しください。 ふじみ野市の元福岡や川越市の寺尾地域は、二年前も台風第二十一号で都市下水川越江川があふれました。「一千万円かけてリフォームしたのに、今年になってカビが生えてきた。二度も床上浸水に遭い、引っ越したい。でも、障害を持つ家族がいるので無理」「もうこんな土地に住みたくないが、買い手はつかない」と、被災者は途方に暮れています。 被災者の生活・生業再建は、何よりも急がなければなりません。党県議団は、発災前の十月十一日、災害救助法の適用を県に要請し、県は、災害救助法を四十市町村に、その後、ふじみ野市など加え四十八市町村に適用しました。また、十月十五日には、台風第十九号による被災者の支援のための緊急要望を行い、さらに十一月二十二日に、十三市町の議員と住民とともに、県に対し、「台風被害復旧・被災者生活再建のための申し入れ」をいたしました。 さて、災害救助法に基づく住宅応急修理制度についてですが、ふじみ野市では、他の自治体に一週間遅れて法適用となったことに加え、市の制度について周知したビラを配布したのが十一月一日と遅れたため、周知以前に自費で応急修理を行った被災者が支援を受けられないという事態が発生しました。 危機管理防災部長に質問です。 災害救助法の適用は、発災時に遡及すべきと考えますが、いかがですか。 また、小さな自治体は職員数も少なく、多数の事務連絡、通知が届く中で混乱を極めました。住民にいち早く支援のメニューを周知できるように、支援マニュアルを県が示し、職員を応援派遣するなどの県の支援を求めます。 坂戸市では、床上一・二メートルであったために大規模半壊となった住宅の地域は水が引かず、一日半も水没していたため、建替えが必要なのに「全壊」になりませんでした。被害認定を機械的に行わず、住宅の実情に合った柔軟な対応をすべきと考えますが、いかがですか。 また、県には見舞金制度がありますが、埼玉県被災者安心支援制度に見舞金制度を創設すべきです。 以上四点、答弁を求めます。 台風の被害は、地域の企業や個人事業主にも及びました。東松山市の電気工事業者は、在庫のエアコンなど全て水没、ケーブルなど電気部品も使い物にならず、被害総額は億単位に上るといいます。高齢の事業者は、「融資では返す当てがない。このまま廃業してしまおうかと思うが、補助があれば少し先の見通しも見える」と、国・県がなかなか補助制度の詳細を示さないことにいら立ちを見せていました。 また、浸水被害に遭った歯科医院は、いずれも一・五メートルの浸水で、ガラス張りの壁が破壊され、診察台、レントゲンなど全て買換えが必要です。県は、今定例会の補正予算で被災事業者への補助金制度を創設していますが、被災個人事業主などの実態に合わせ柔軟な制度とするために、第一に、広範な事業者に適用すること、第二に、既に修理が終わっている場合などにも適用すること、第三に、ガラス張りの壁など施設の修繕にも適用すること、第四に、補助要綱の周知徹底や交付事務について早急に進めること。 以上四点について、産業労働部長の答弁を求めます。 続いて、(二)農業被害による廃業農家を一人も出さないためにです。 農林業に関わる県内被害額は、十一月二十九日現在で五十市町村、約七十九億円に上ります。党県議団は、坂戸市で米、麦など約百ヘクタールを耕作する大規模農家からお話を伺いました。県内で初めて、小麦「ハナマンテン」を栽培した農家の一人で、近隣の未耕作地も引き受け、埼玉農林業賞を受けた優良農家です。今回、越辺川の氾濫により、作業所は二メートルを超える浸水に襲われました。収穫済みの米約三十トンは全て廃棄。トラクター、コンバイン、乾燥機、色彩選別機などの農機具全てが使用不能。修理も不能。被害総額は概算一億円とのことです。田畑は全て冠水し、泥を除去しなければ、予定している小麦の作付けもできないと頭を抱えていらっしゃいました。 このような被害は、規模の大小にかかわらず起きています。見沼田んぼで耕作している農家からは、「浸水被害を受けた自分のような小規模農家も、支援なしでは農業を続けられない」という声が寄せられています。知事は、記者会見で農業中小業者被害に対してもきめ細やかな支援が必要、陣頭指揮を執ると表明されました。心強い限りです。高齢化、後継者不足など厳しい環境の中でも懸命に頑張ってきた農家が、台風被害で農業への意欲を失うことがあっては取り返しがつきません。台風による農業被害から一人も廃業農家を出してはなりません。知事の断固たる決意をお示しください。 県は、八市三町を特別災害地域として指定し、農家には十二月下旬より補助金交付事務をスタートさせることとしました。さきの臨時議会では、農業近代化資金の融資枠拡大などの補正予算を決定しましたが、被災した農家の実情は、借金をする余裕がないのが現実です。国及び県における農業被害への支援が、形だけのメニューで実効性がなくては意味がありません。 十一月七日に政府は、この八月から九月の大雨及び台風第十九号による農林水産関係被害の予備費一千三百十六億円、支援対策いわゆるパッケージ支援を発表しました。国の強い農業・担い手づくり総合支援交付金で、農業用機械などの再建、修繕については、十分の五の補助へと引き上げられたとも聞きました。しかし、残っている農家負担を最小限に抑えるため、県としてどのような役割、責任を果たすのか。 第一に、農業用ハウス・農業用機械等の再建・修繕・買換え・撤去の経費。第二に、被害を受けた農作物の植替え、未収期間に要する経費の助成。第三に、これらの再建・修繕・買換えなどを事前着工した場合、遡及して補助支援を行うことについて。農林部長、答弁を求めます。 また、被災農家の皆さんからは、「国・県・市からもそれぞれ説明はあったが、複雑で理解し難い。個々の問題にどのような制度が適用するのか分かりやすくしてもらいたい」との声が上がっています。被災農家への相談窓口の一本化についてどう対応し、どう周知を図るのかもお答えください。 続いて、(三)障害を持つ被災者に全力の支援をについてです。 川越市などで障害者や高齢者の施設が被災しています。特に、川越市の障害者施設の場合、入所者十人の方たちがいまだに総合福祉センターの体育館で職員とともに避難生活をし、ほか約二十一名は自宅待機となっています。センターには浴場があり、温かい食事も出て、丁寧な対応がされていますが、体育館ではアリーナの片側に男性、もう片側には女性と布団が敷かれ、間仕切りもありません。自宅待機している障害者の八十四歳のお母さんからは、一日も早い施設復帰を求める切実な訴えがありました。早急な施設の再開のために、県としての全力支援を求めます。特に、被災施設災害復旧のための国の補助金には四分の一の法人負担があります。法人負担をできる限り減らすよう、県として力を尽くすべきです。いかがですか。 この施設の皆さんは、現在の総合福祉センターに避難するまで三か所を転々とせざるを得ませんでした。重度障害者施設の緊急避難には大変な困難があります。障害者入所施設の緊急避難所確保について、部長の見解を伺います。 また、福祉避難所の指定についてですが、県内に福祉避難所が七百五十八ある中で、障害者向けが五百五十六か所です。今回は、福祉避難所に指定されている施設が浸水し、避難所の機能が果たせないという事態が生じました。改めて、県内の福祉避難所に指定されている施設の調査を行い、整備強化を市町村に促すべきです。 以上三点、福祉部長の答弁を求めます。 次に、(四)都市内水被害を繰り返さないためにです。 私の地元ふじみ野市周辺では、都市内水によって繰り返しの被害を受けました。この地域は、新河岸川に対して、雨水幹線川越江川と福岡江川が流入し、さらに下流には砂川堀があります。この三本の雨水幹線が毎年の台風のたびに新河岸川への流入困難となり、その周辺に浸水被害をもたらし続けているのです。川越江川の下流、ふじみ野市の元福岡地域は三十五件の床上浸水、百十二件の床下浸水となりました。二年前の台風第二十一号の際にも、救命ボートが出動するような浸水被害があった地域です。さらに、下流の福岡江川流域の水宮でも三十一軒の床上浸水が発生し、富士見市の砂川堀沿いでも二年前と三年前に浸水被害がありました。毎年の豪雨におびえる地域のために、一刻も早く新河岸川への流入口の整備を進めるべきです。 県土整備部長、川越江川流域住民は、新河岸川への放流量増加と寺尾調節池への豪雨時の排水を求めています。福岡江川の新河岸川への放流量増加についても求めますが、どうでしょうか。砂川堀の合流点改修も一刻の猶予もありません。完成の見通し、その進捗状況について、三点、御答弁を求めます。 実は、この内水被害地域の福岡江川付近は、産業誘導地区として国道二五四号バイパスふじみ野地区計画、砂川堀付近には富士見上南畑地区産業団地整備事業と、それぞれ開発計画が進んでいます。国道二五四号バイパスふじみ野地区は組合方式、富士見上南畑は県企業局が主体です。もともとハザードマップでは、荒川と新河岸川、両河川の決壊の可能性が指摘され、浸水数メートルと書かれている土地です。この地域を開発し、企業誘致する計画に対し、今回浸水被害を受けた地域から、更に湛水能力が失われ、周辺に被害をもたらすのではないかと危惧の声が上がっています。同じ国道二五四号バイパス沿いのららぽーと富士見開発の際には、条例基準の一・三倍の貯留施設が地下に整備されましたが、それでも三年前の台風で周辺は浸水被害を受けています。このような開発には、これまでの常識をはるかに超えた貯留施設が必要だと考えます。 知事に伺います。 第一に、開発に係る貯留施設等の必要対策量を定めた埼玉県雨水流出抑制施設の設置等に関する条例について、気候変動の時代にふさわしく見直すべきだと考えますが、どうか。第二に、二つの開発計画について、市街化区域の編入など都市計画決定をする以上、絶対にこの地域、周辺住民に迷惑をかけない、この開発によって浸水被害は絶対に引き起こさない対策を講ずるべきです。答弁を求めます。 次に、(五)いち早い避難のために、自治体は何をなすべきか?についてです。 台風第十九号の上陸時、特別警戒警報の下、県内市町村ではそれぞれ避難指示が出されました。避難所に膨大な住民が押し寄せ入り切れない、避難所の備品が不十分などと、ほとんどの自治体が円滑な避難ができたとは言えません。これを教訓として、市民が安全に避難できるよう今から備えるべきです。 加須市では、台風第十九号の際に、自主避難を含む市の避難地域人口三万人の三分の一に当たる九千五百人が茨城県古河市、栃木県栃木市、群馬県板倉町に広域避難しました。市は、これから市民アンケートも実施して、防災計画を更に充実するそうです。 この広域避難が実現した理由は、第一に、防災意識を職員から市民レベルまで丁寧に浸透させていたことです。毎年、「釜石の奇跡」で著名な片田敏孝東大特任教授を招き、利根川の右岸と左岸で二回開かれる講演会に延べ一千五百人が参加しています。また、浸水深と避難先が明記されている「水害時の避難行動マップ」を毎年全世帯に配布しています。 第二は、避難行動要支援者の避難行動個別計画が作成されていたことです。加須市では、民生委員を中心に、要支援者名簿は一万四千五百九十四人分を丁目ごとに整備し、うち、当事者の同意を得て六千二百六人分が自主防災組織にも共有されています。今回は、要支援者が延べ十五台の大型バスで五百人が避難しました。 ここで知事に伺います。このような日頃の備えを全ての市町村が進めていく上で、県の役割は重要だと考えます。知事の見解を求めます。 特に重要なのは、避難行動支援者名簿、個別計画の作成です。個別計画着手自治体は五十九自治体となっていますが、今回の災害で生かされていたでしょうか。県としても、加須市はじめ要支援者の避難に特別な取組を行っている自治体の状況を把握し、全県に広げるべきです。福祉部長、答弁を求めます。 加須市が個別計画にこだわるのは、さきに紹介した片田東大特任教授の「高齢者や障害者が家にいれば、『逃げろ』と言われても逃げられない」という経験に基づくアドバイスがあるからです。最も弱い人を守ることこそが全員避難の要です。全ての要支援者名簿に基づく個別計画の策定のための決意を部長に求めます。 続いて、二、知ってください!!本当につらい香りの害についてです。 化学物質過敏症の中には、芳香剤や柔軟剤、消臭スプレーや制汗剤などに含まれる人工の強い香料や化学物質が原因で、頭痛、めまい、吐き気や、自律神経や多臓器に不具合を引き起こす方がいます。重症化すると、仕事や学業などの社会的活動はおろか、日常生活を送ることも困難になります。内山巌雄京都大学名誉教授、東賢一近畿大学准教授らの調査によりますと、無作為抽出七千二百五十四人のうち、匂いを含む化学物質過敏症の人は四・四パーセントでした。香りによる化学物質過敏症は、周りの配慮によって症状を緩和することができます。 県は、二〇一五年に「知っていますか?香りのエチケット」というポスターを作りました。早い段階で啓発に乗り出したことは評価したいと思います。これに続いて、全国的にも様々な啓発チラシが作成されています。 しかし、香りの害についての理解はまだまだ広がっていません。芳香剤などに成分を表示する義務がないことも問題です。私は、新座市在住の化学物質過敏症の方にお話を聞きました。その方は、たばこや柔軟剤、消臭スプレー、香水などの香料とその中に含まれる化学物質によって、学校教諭の仕事も辞めざるを得ませんでした。電車には乗れず、美容院にも行けません。県庁に見えたときにも、庁舎内での香料の匂いに気分を悪くされ、しばらく休んでから控室に見えました。 知事、整髪剤や柔軟剤の匂いによって、このようにつらい思いをしている県民がいることについてどうお感じになっているのか。また、学校、庁舎など公のスペースで、香りのエチケットについて更なる啓発に努めるべきと考えますが、お答えください。 また、職員や教員が香りの害について認識することが必要です。まず、職員の研修や周知徹底について、県民生活部長、答弁を求めます。 本年九月に教育局が行った実態調査によりますと、香料を原因として配慮を求めている児童生徒の数は、県内の公立学校一千二百五十八校中、十九校に二十人いました。五年前に教育局が調査した際に、化学物質過敏症と見られる児童生徒が所属する学校は三十四校であったと聞いています。これだけの化学物質過敏症の児童生徒が存在していることは重大だと考えます。匂いが原因で不登校となる児童生徒もいます。今後、保健調査票に項目も設け、調査を行うべきです。また、教員への研修も積極的に行うべきですが、教育長の答弁を求めます。 続いて、三、かけがえのない公立・公的病院を、医療圏に責任を持つ県こそが守れです。 厚生労働省は九月二十六日に、公立・公的医療機関等の診療データ分析結果に基づき、全国で四百二十四病院、埼玉県では七病院を、再編統合に向けた議論の対象として公表しました。急性期病床があること、そしてがん治療や救急医療の診療実績が少ない病院、又は車で二十分以内に類似かつ近接する医療機関がある病院が対象です。 埼玉県は、国の方針に基づき地域医療構想を策定しています。それによれば、本県の病床数は二〇二五年度においても四千床以上不足とあります。病院の統廃合どころか、病床確保が必要です。地方が独自に作成した計画を無視して、頭越しに病院名を公表するやり方は地方自治の否定であり、その分析は地域や医療機関の実情を無視し、理解し難いものと言わざるを得ません。 例えば、所沢市民医療センターは、医療圏の小児救急医療体制の未整備を埋め、近隣の二次救急医療機関や三次救急医療機関の医師不足を補うために、深夜、休日の小児一次救急医療を始めました。小児救急医療の要である同センターが、なぜ救急医療実績の少ない医療機関となるのか、理解に苦しみます。 急性期病床がリストアップの前提なのに、急性期病床がほとんどない国立病院機構東埼玉病院が名指しされた理由も不明です。旧社会保険病院であるさいたま市のさいたま北部医療センターは、厚労省と協議の上で今年三月に建て替えたばかりだというのに名指しされました。 知事、このような根拠不明な結論を突如地方に押し付けるやり方が、全国の自治体から猛反発を呼んでいるのは当然だと思いませんか。地方自治無視の病院名リスト撤回を求めていただきたい。答弁を求めます。 また、指名された医療機関は、当該自治体のみならず、それぞれの医療圏にとってかけがえのない役割を果たしています。保健医療部長、県として七医療機関の存在意義を国に明確に説明していただきたい。また、地域医療構想どおりの病床不足のまま二〇二五年を迎えるわけにはまいりません。病床確保のために全力を尽くすこと。 以上二点、答弁を求めます。 最後に、四、税徴収にあたっては「納税者の保護」の観点を貫くことについてです。 近年、国から地方へ税源移譲されたことにより、地方自治体では徴税強化の傾向が強められ、本県においても、埼玉県・市町村個人住民税税収確保対策協議会の開催など徴税強化が進められています。その中で、強権的な徴収姿勢をよしとする風潮が生まれています。 しかし、いわゆる鳥取事件判決は、徴税活動も法のルールに従わなければならないことを厳に示しました。児童手当は差押禁止債権とされていますが、鳥取県は、「児童手当も預金口座に入金されたら預金債権である」という見解に立って、児童手当の口座を差し押さえました。この徴税側論理を退けたのが広島高裁です。高裁判決は、預金になった後も「児童手当としての属性を失っていなかった」と明言し、鳥取県に対して児童手当の返還を命じました。 県内でも今年の十一月、川島町にお住まいの子供一人の御夫婦が、川越市で独身時代に残した二百万円の滞納税を分割納付していた最中に、川島町から振り込まれる児童手当に使っている口座を川越市に差し押さえられる事案が発生しました。この措置は直ちに是正されるべきです。大阪高裁では、口座入金二日後の差押禁止財産の差押えを違法とする判決も十月に下されました。 私は、県自らも、そして県内全市町村に対し、一、差押禁止債権は預金入金後も差し押さえてはならない。二、児童手当に限らず、ほかの差押禁止債権にも当てはまる。三、法が定めるルールに違反する徴税はいかなる場合も許されない。これらルールをしっかりと徹底していただきたいのです。知事の答弁を求めます。 次に、税の支払等に関する相談窓口、相談ブースについて。 本庄市は、個人住民税の徴収で県から表彰も受けていますが、このブースには、「差押えの強化」「財産調査は相談なしに行う」「自宅などの捜索は滞納者の了解なしに実施する」「六百件の差押えを執行しました」などの文言が貼り出されています。並んで貼り出されている写真は、差押えをしている現場です。ここを訪れた滞納のある納税者の一人は、「怖かった、一人では行けない」と語っています。 国税徴収法は地方税法でも準用されますが、その柱の一つは「納税者の保護」です。納税者の保護として、法は、差押禁止財産、超過差押えの禁止、無益な差押えの禁止、納税の猶予、換価の猶予、滞納処分の停止などの制度を設けています。このブースには、これらの紹介は見当たりません。私は、税債権の確保のみに偏重し、訪れた方を威嚇し恐怖を与えるこのような相談窓口・ブースの在り方は許されないと考えます。まずは納税者保護制度の紹介こそが貼り出すべきと考えます。併せて知事の答弁を求めます。 以上、終わります。(拍手起こる) ○神尾高善議長 四十五番 前原かづえ議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 前原かづえ議員の御質問に順次お答え申し上げます。 まず、台風第十九号の被害を繰り返さないためにのお尋ねのうち、被災者の一刻も早い生活・生業再建のためにの減災・防災の考え方についてでございます。 台風第十九号の接近により、県内では、過去に大規模な被害をもたらしたカスリーン台風などと肩を並べる規模の記録的な豪雨となりました。十月十六日と十七日の二日間、私も被災地を視察いたしましたが、とりわけ国・県管理河川において五か所が決壊し、甚大な浸水被害となるなど、未曽有の水害の爪痕を目の当たりにし、自然の猛威や脅威を感じました。 県管理河川の強化を図っていく上で、合流先や下流に位置する国管理河川は重要であり、解明された被災原因を基に、堤防の復旧や強化を図るよう、国に要望しているところです。県管理河川においても、被災した堤防などの災害復旧を早急に進めるとともに、上下流バランスを確保しつつ、河道の掘削や調整池の整備など、様々な手段を組み合わせ、洪水時の水位を下げる治水対策を進めてまいります。 一方で、台風第十九号の際には、県が管理する三十九の調整池の合計で一千九十二万立方メートルの洪水を一時的に貯留するなど、今まで整備してきた治水施設が洪水被害の防止、軽減に確実に結び付いています。引き続き、計画的に河川整備を進めるとともに、国が進める「防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策」による土砂撤去や樹木伐採などを進めてまいります。 次に、農業被害による廃業農家を一人も出さないためにについてでございます。 台風第十九号では、浸水などにより、ネギなどの農作物の収穫量の減少、トラクターなどの農業用機械の破損のほか、農地への土砂流入など、県内の農業に極めて大きな被害が生じました。被災農家の皆様には、改めて心よりお見舞い申し上げます。被災農家の皆様が営農意欲を失わず、一日も早く経営再建できるようにするとの断固たる決意の下で、迅速な対応を行ってまいりました。 そこで早速、本年十月二十一日に国に緊急要望を行いました。神尾高善県議会議長や、特に被害が大きかった七市町の首長の皆様とともに、首相官邸に菅義偉内閣官房長官を訪ね、激甚災害の指定をはじめ、農地や農業用施設及び森林管理道の復旧、農林畜産業者の経営再建への支援などについて、強くお願いいたしました。 十月三十一日の臨時会におきましては、農家の復旧に係る資金需要に対応するため、実質無利子で借入れできる農業近代化資金の融資枠について五億円の拡大を提案させていただき、お認めいただきました。 また、十一月八日には、台風第十九号を埼玉県農業災害対策特別措置条例に基づいて特別災害に指定したところであります。 さらに、本定例会において、国に対し行った緊急要望の成果も踏まえ、七十一億円を超える農林業関係の補正予算を提案させていただいております。具体的には、被災農家に対する農業用施設・機械の再建・修繕に要する費用への助成や、農薬・肥料等の購入に要する経費への助成、農地及び農業基盤施設の復旧対策を実施するものであります。被災された農家の皆様が一日も早く経営再建できるよう、引き続き、全力で支援してまいります。 次に、都市内水被害を繰り返さないためにのお尋ねのうち、埼玉県雨水流出抑制施設の設置等に関する条例の見直しについてでございます。 本県においては、河川整備と流域対策を組み合わせた総合的な治水対策を推進し、浸水被害の軽減に努めているところであります。御指摘の条例は、流域対策の一環として、一定規模の開発行為に対し、雨水流出抑制施設の設置を義務付けることを目的に、平成十八年度に制定したものであります。本県独自の取組として、開発によって浸透できなくなる雨水の量に加え、盛土により湛水が阻害される量も加えた基準となっています。気候変動の影響により、更に降雨量が増大し、水害が頻発化、激甚化することが懸念されている中、河川整備の目標や流域対策について、不断の点検、評価が重要です。 一方で、河川管理者による河川整備と比較し、民間事業者による流域対策が過大な負担とならないよう、総合的な治水対策の中で十分配慮する必要があります。まずは、現行の条例に基づく指導を徹底するとともに、現行の計画に基づく河川整備や流域対策を推進し、浸水被害の軽減に努めてまいります。 次に、二つの開発計画により、周辺地域に対して浸水被害を引き起こさないよう対策を講ずることについてでございます。 県では、埼玉の活力を高め、稼ぐ力を生み出すため、第三次田園都市産業ゾーン基本方針を策定し、市町村が進める産業基盤づくりを支援しています。議員お話しの二つの開発計画についても、県では市から相談を受け、土地利用の調整において支援を行っているところです。 二つの開発計画のうち、国道二五四号バイパスふじみ野地区については、市街化区域への編入を目指しています。本地区は、台風などの大雨のときには一時的に水がたまることが想定されている区域であり、治水対策上の課題には特に配慮して調整を進めています。周辺地域も含めた浸水被害の軽減のため、条例に基づく雨水流出抑制施設の容量に加えて、ふじみ野市独自の治水対策を行うと聞いております。具体的には、平成二十九年に発生した台風第二十一号による浸水被害状況を踏まえて、周辺地域の雨水も貯留できる調整池が設置される予定であります。 また、富士見上南畑地区においては、現在、土地利用の調整を行っているところです。近年発生した台風による近隣集落等への影響を参考にして、十分な治水対策を行ってまいります。 県といたしましては、産業基盤づくりに当たり、市町村や開発事業者などと連携、協力して、周辺地域への浸水被害軽減に努めてまいります。 次に、いち早い避難のために、自治体は何をなすべきか?についてでございます。 平成十六年の台風第二十三号により、死者七名、五千棟を超える住家被害を受けた兵庫県豊岡市の中貝宗治市長は、「人は逃げないものであることを知っておくことが重要である」と語っておられます。また、平成三十年七月豪雨の際には、西日本を中心に、市町村が発令した避難情報が住民の避難に結び付かなかったという課題が改めて浮き彫りになりました。 住民の方に避難行動をとっていただくためには、日頃からの防災意識の向上と避難行動を促す取組が重要です。県は、一人でも多くの方の命を守れるよう、市町村が行うこれらの取組を積極的に支援するとともに、市町村の優れた取組を横展開し、防災力を高める役割があると感じています。 そこで、市町村がタイムリーに避難情報を発令できるよう、分かりやすいマニュアルを作成するとともに研修を実施しています。さらに、地域での防災意識の浸透や災害時における避難誘導などで大きな役割が期待される自主防災組織の充実を支援しています。 また、議員お話しの加須市の事例につきましては、これを参考に、それぞれの地域の実情に応じて、より実効性を高めていただけるよう市町村に働き掛けてまいります。市町村が防災力を高めていくために県の果たすべき役割は極めて重要ですので、今後も積極的に市町村を支援してまいります。 次に、知ってください!!本当につらい香りの害のお尋ねのうち、整髪剤や柔軟剤の匂いによってつらい思いをしている県民がいることについて、どのように感じているかについてでございます。 柔軟剤などの匂いなどで頭痛や吐き気などがするといった体の不調を訴える県民の方がおられることは承知しております。香りの感じ方は、自分にとっては快適でも、他人には不快に感じることもあるということを認識いただく必要があります。柔軟剤などの匂いには規制もないことから、周りの方に対する配慮として、香りに対するマナーアップが必要であると思います。 次に、学校、庁舎など公のスペースで、香りのエチケットについて更なる啓発に努めることについてでございます。 県では、香りのエチケット向上のポスターを作成し、各市町村に配布するとともに、県のホームページや広報紙、ラジオなどで啓発しています。また、平成三十一年二月に、国に対して、消費者が商品を選択できるように柔軟剤の香りのもととなる成分を表示するよう要望いたしました。引き続き、国に対し働き掛けてまいります。今後も県庁舎、学校など公のスペースにポスターを掲示し啓発に努めるとともに、これまで実施していた消費生活講座に、香りのエチケットの内容を新たに加え、広く県民に周知してまいります。 次に、かけがえのない公立・公的病院を、医療圏に責任を持つ県こそが守れについてのお尋ねでございます。 国は、今後の在り方の検証が必要な公立・公的医療機関として、診療実績の多寡など全国一律の基準により、議員お話しの七病院を選定したと聞いております。その上、地域医療体制の整備に責任を持つ都道府県にも事前に十分な説明すらなく、唐突に病院名を公表したことで、地方の不安をあおることとなっています。地域の実情を踏まえることなく、一方的に国が公表したことは、丁寧さを欠くものと言わざるを得ません。このため、国が設けた協議の場において、全国知事会として、全国市長会及び全国町村会とともに、「国は地方の意見を十分に踏まえ、協議を進めるべき」との申入れをしたところでございます。 一方、これまでに世界で誰も経験したことがない少子高齢社会を迎える中、安心な医療体制を確保していくためには、地域の関係者としっかり議論をしていく必要があります。現在、二〇二五年に必要となる医療提供体制を明らかにした地域医療構想の実現に向け、十の医療圏ごとに地域のニーズに沿った協議を進めています。今回の検証は、病院の再編・統合ありきではなく、医療機能の見直しや他の病院との連携などを含め、幅広く検討することが求められているものと理解しています。今後も医療需要の増加が見込まれる本県においては、地域医療体制の一層の充実を図るために何をすべきかという観点から、こうした検討を進めることが必要です。 国の公表方法には疑問があるところですが、既に公表されてしまったリストの撤回を国に求めるのではなく、将来にわたり県民に安心な医療を提供できるよう、地域における協議の場で建設的な議論を進めていくことが重要と考えております。 最後に、税徴収にあたっては「納税者の保護」の観点を貫くことについてのお尋ねのうち、差押禁止債権は預金入金後も差し押さえてはならないことなどの徹底についてでございます。 税の徴収にあたっては、何よりも公平であることが重要です。このため、資力があるにもかかわらず納期内に納税いただけない方に対しては、厳正な滞納処分を行う必要があります。一方で、財産がない方や生活困窮の方に対しては、その状況に応じた納税緩和措置が必要となります。 議員御指摘のように、差押禁止財産については、国税徴収法や児童手当法などに定められております。御質問にある裁判例は、鳥取県が行った預金債権の差押えが、実質的に差押禁止財産である児童手当の受給権に対するものであったと判断されたものであります。本県においては従来から、預金債権のうち、児童手当の受給額など差押禁止財産の相当額であると特定できる部分は、差押えを行っておりません。こうした取扱いについては、判決後の平成二十六年一月にも改めて各県税事務所長に通知し、注意を促しているところであります。また、市町村に対しても、本判決の内容を毎年、全市町村を集めた会議で周知しております。 次に、本庄市を例に御質問いただきました納税相談窓口・ブースの在り方についてでございます。 納税相談を行う相談室やブースにおいて、納税者に対して滞納処分の制度について御理解いただくことなどの目的で、ポスターや写真などを掲示している市町村もあります。一方、こうした市町村においても、納税相談の中では、生活困窮などにより納税できない場合は、納税の猶予など納税緩和措置のお話もさせていただいているとのことであり、この緩和制度の周知徹底を図ってまいります。 私は、納期内に納税いただいている納税者との公平性を損なうことがないよう厳正な滞納処分を行う一方で、生活困窮者などには適切に納税緩和措置が適用されることが大切であると考えます。今後とも、市町村と連携の上、法令の遵守、公平公正な徴収を徹底し、税収を確保してまいります。       〔森尾博之危機管理防災部長登壇〕 ◎森尾博之危機管理防災部長 御質問一、台風第十九号の被害を繰り返さないためにの(一)被災者の一刻も早い生活・生業再建のためにについてお答え申し上げます。 まず、災害救助法の適用についてでございます。 このたびの台風第十九号では、十月十二日に四十市町村に災害救助法を適用した後も国と調整を重ね、十九日には、八市について十二日に遡及して適用いたしました。 なお、被災者が自力で修理業者に依頼して住宅の応急修理を行った場合の取扱いについて、国の通知では、既に工事が終了し、修理業者への支払が済んでいる場合は災害救助法の対象にできないとする一方で、工事の途中で支払には至っておらず、修理業者と市町村との契約に変更することが可能であれば、対象としてもよいとしております。 次に、住民にいち早く支援メニューを周知するために県が支援することについてでございます。 国では、支援メニューを分かりやすくまとめた冊子をホームページに掲載しています。県では、発災後速やかにこの冊子の活用について市町村に案内させていただきました。併せて、県独自の支援制度を加えた冊子を新たに作成しまして、市町村に提供したところでございます。 また、彩の国災害派遣チームとして県職員と市町村職員延べ三百六十二人を東松山市など三市に派遣して、被害認定調査や避難所運営などの業務を支援いたしました。今後も被災市町村のニーズに応じた支援ができるよう取り組んでまいります。 次に、住宅の被害認定についてでございます。 被害認定の結果は、被災者が受けることができる支援の内容に大きな影響を与えますことから、迅速かつ的確に行われることが重要でございます。国は、被害認定の全国共通基準を定め、調査や判定の方法を具体的に示しており、これに基づいて住宅の壁や柱など部位ごとに詳細に調査して判定することになります。県では、被害の状況に沿った認定が行われるよう、市町村職員を対象に説明会を行ったところでございます。 次に、被災者安心支援制度への見舞金制度の創設についてでございます。 県と市町村が共同で運営する被災者安心支援制度につきましては、現在、支援対象の拡充について市町村と具体的に協議を重ねているところでございます。こうした中で、新たな制度を議論に加えることは難しいものと考えております。       〔加藤和男産業労働部長登壇〕 ◎加藤和男産業労働部長 御質問一、台風第十九号の被害を繰り返さないためにの(一)被災者の一刻も早い生活・生業再建のためにについてお答え申し上げます。 まず、広範な事業者に適用するについてです。 国では、被災中小企業を支援するため自治体連携型補助金を創設し、中小企業支援法に基づく中小企業を対象にすると聞いております。お話の個人事業主なども、一般論では中小企業者に含まれると解釈されておりますが、現時点では国の制度の詳細が固まっておりません。できるだけ多くの方の支援ができるよう、引き続き国と調整を行ってまいります。 次に、修理が終わった事業者への対応についてです。 国においては、復旧の前後の確認ができる写真などがあれば補助対象にする予定と聞いております。県といたしましても、既に復旧を終えた事業者を補助対象から除外することは、災害からの早期復旧という制度の目的にそぐわないものと考えております。 次に、ガラス張りの壁など施設の修繕にも適用するについてです。 被災前の機能を上回るような修繕については補助対象外となる可能性がありますが、被災前と同程度に復旧するような修繕であれば、補助対象になるものと考えております。 最後に、補助要綱の周知徹底や交付事務について早急に進めることについてです。 現在、県では一刻も早く被災した事業者の皆様に制度の詳細をお伝えできるよう、国に対して速やかな補助要綱の策定を求めているところです。今後、国の要綱が確認でき次第、速やかに県の要綱を定め、ホームページで公表するほか、商工会議所、商工会などの協力を得て周知徹底を図ってまいります。 交付事務につきましても、補正予算が成立し、準備が整い次第、直ちに申請が受けられるよう事務を進めてまいります。       〔牧千瑞農林部長登壇〕 ◎牧千瑞農林部長 御質問一、台風第十九号の被害を繰り返さないためにの(二)農業被害による廃業農家を一人も出さないためにについてお答え申し上げます。 まず、一点目の農業用ハウス・農業用機械等の再建・修繕・買換え・撤去の経費についてです。 台風第十九号の被災農家が早急に経営再建できるよう、国庫補助に加え、県の補助を一定の割合で上乗せする措置を講じた経営体育成条件整備事業を含む補正予算を提案させていただいております。このスキームでは、農業用機械、畜舎等の修繕などについては、国の補助率が十分の五であり、県が十分の二、そして市町村も県と同等の上乗せ措置を講じた場合、農家負担は十分の一となります。また、農業ハウスの修繕・撤去などについては、国の補助率が十分の三であり、県が十分の二、そして市町村も県と同様の上乗せ措置を講じた場合、農家負担は十分の三となります。 次に、二点目の被害を受けた農作物の植替え、未収益期間に要する経費の助成についてです。 県では、十一月八日に、台風第十九号を埼玉県農業災害対策特別措置条例に基づいて特別災害に指定し、八市三町を支援対象としました。このことにより、野菜などの被害農作物の植替えが必要となる場合には、種子や苗の購入経費に対して、県と関係市町が補助を行うことが可能です。また、未収益期間については、果樹において、国の持続的生産強化対策事業で、苗木の育成などに係る経費に対する支援が措置されています。 次に、三点目の再建・修繕などを事前着工した場合、遡及して補助支援を行うことについてです。 今回の対策では、既に再建・修繕に着工した農業ハウスや農業用機械なども支援対象となります。ただし、その場合には、被害状況が確認できる写真や、新たに農業用機械を購入した際には納品書等の書類が必要になってまいります。 次に、被災農家への相談窓口の一本化についてどう対応し、どう周知を図るのかでございます。 県は、国の対策の一部が発表された直後の十月下旬に、市町村などへ支援対策に関する説明会を開催するなど、関係者への情報提供を適宜行ってきたところです。その後も、国の支援策に関する情報収集に努め、市町村や関係団体と連携し、農業者の皆様への周知を行っています。今後は、国や県の各種対策が順次実行に移されることから、被災農家から書類の記載方法や支援要件など詳細についての相談が多くなることが見込まれます。 そこで、まずは各農林振興センターが相談をお受けする窓口となり、適切に対応を行うことで、被災農家が一日も早く経営再建できるよう、しっかりと支援に努めてまいります。       〔知久清志福祉部長登壇〕 ◎知久清志福祉部長 御質問一、台風第十九号の被害を繰り返さないためにの(三)障害を持つ被災者に全力の支援をについてお答え申し上げます。 まず、法人負担の軽減についてでございます。 社会福祉施設の災害復旧費における法人負担については、激甚災害の指定区域になった場合、法律による軽減措置がありますが、社会福祉法人が運営する障害者施設は軽減の対象となっておりません。このため、県といたしましては、障害者施設についても法人負担の軽減が図られるよう国に働き掛けを行っております。今後も法人の意向を確認しながら、施設の速やかな復旧に向け、川越市と連携し、しっかりと支援を行ってまいります。 次に、障害者入所施設の緊急避難所確保についてでございます。 今回の災害では、一時的な避難所から落ち着いた避難先を確保し、移動するまでに時間を要しました。このため、今後は施設に対し、避難が長期に及ぶ場合の受入先の確保についても事前に市町村等と連携し、検討するよう指導してまいります。県といたしましては、入所者がまとまって避難できる場所が確保できないケースも想定されることから、事業者団体の協力を求め、入所者を分散して他施設に受け入れられる体制の構築を推進してまいります。 次に、県内の福祉避難所に指定されている施設の調査を行い、整備強化を市町村に促すべきについてでございます。 県では、県内の福祉避難所の指定状況などにつきまして、全市町村を対象に毎年独自に調査を行っております。今回の台風による水害を踏まえ、新たに浸水想定区域内の避難所の有無についても速やかに調査を行い、県内の状況把握に努めてまいります。この調査を通じて、各市町村に現状を認識してもらうとともに、福祉避難所の指定に当たって、より一層水害のリスクを考慮するよう働き掛けてまいります。 次に、(五)いち早い避難のために、自治体は何をなすべきかのお尋ねのうち、要支援者の避難に特別な取組を行っている自治体の状況を調査し、全県に広げることについてでございます。 議員お話しの加須市では、市内のバス事業者と連携した避難訓練を行っています。また、各自治体で結成された要配慮サポーター隊が要支援者の避難時の支援に協力するといった取組を実施している自治体もあります。こうした事例を広く集め、今後、市町村を対象とした研修会などにおいて情報を提供してまいります。 次に、全ての要支援者名簿に基づく個別計画の策定のための決意についてでございます。 個別計画の作成については、法律上、作成の義務はありませんが、国の取組指針において、市町村は個別計画を作成することが望ましいとされています。県で実施した個別計画の作成状況の調査では、県全体の避難行動要支援者は約四十九万人となっております。このうち、個別計画の作成に同意している人は約十四万人であり、そのうちの約四割の方に対して個別計画が作成されています。 市町村からは、地域のつながりが希薄であることに加え、個別計画の必要性の理解がなかなか進まないという話も聞いています。そこで、県では研修を実施し、自主防災組織との訓練などを通じた地域の意識啓発や個別計画の作成が進んでいる地域の事例の紹介などを実施しています。実効性のある個別計画は、災害時に大変重要であり、より多くの避難行動要支援者の個別計画が作成されるよう、市町村に強く働き掛けてまいります。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 御質問一、台風第十九号の被害を繰り返さないためにのうち、(四)都市内水被害を繰り返さないためにについてお答え申し上げます。 まず、川越江川から新河岸川への放流量の増加と寺尾調節池への豪雨時の排水についてでございます。 川越江川と新河岸川の合流部は樋門構造となっており、新河岸川の水位が上昇した場合、樋門を閉めることとなっております。樋門閉鎖後に新河岸川へ放流できる量については、川越市から協議があり、既に提示しております。今後、排水ポンプ設置についての申請があった場合には、適切に審査してまいります。 また、豪雨時に内水を直接寺尾調節池に排水することについても、川越市へ既に回答しており、ポンプの設置位置など引き続き調整してまいります。 次に、福岡江川の新河岸川への放流量の増加についてでございます。 福岡江川も樋門構造となっており、排水ポンプの設置については、ふじみ野市から小規模なポンプの設置申請があり、既に承認しております。今後、新たなポンプの増強について申請があった場合には、新河岸川への放流が可能な範囲において適切に審査してまいります。 次に、砂川堀雨水幹線の工事の進捗状況についてでございます。 新河岸川合流点から勝瀬橋までの約四百メートル区間の整備を進めており、これまでに砂川堀第一号橋の架換えが完了したところです。現在、合流点から砂川堀第一号橋までの堤防かさ上げ工事に着手したところであり、その後、既存の樋管を撤去し、令和二年度末の完成を目指してまいります。       〔小島康雄県民生活部長登壇〕 ◎小島康雄県民生活部長 御質問二、知ってください!!本当につらい香りの害のうち、職員の研修や周知徹底についてお答え申し上げます。 柔軟剤などの香りに関する相談は、平成三十年度、県内の消費生活センターに二十五件ほどありました。香りの感じ方は、自分にとっては快適でも、他人は不快に感じることもあります。県庁へは多くの県民の方々が来られますことから、県職員が香りのエチケットを身に付けることも大切です。県職員研修での意識啓発や県庁舎内にポスターを掲示するなど、香りのエチケットについて一層の啓発を行ってまいります。       〔小松弥生教育長登壇〕 ◎小松弥生教育長 御質問二、知ってください!!本当につらい香りの害についてお答え申し上げます。 まず、保健調査票に化学物質過敏症の項目も設け、調査を行うことについてでございます。 保健調査票は、保護者が児童生徒の発育・健康状態などを記載するものであり、学校に健康上特別な配慮を求める事項を伝えることができるものです。学校では、保健調査票に新たに項目を作らなくても、香りの害を含む化学物質過敏症で体調不良を訴える児童生徒を把握することができており、しっかりとサポートも行われております。 次に、教員への研修を積極的に行うことでございます。 県では引き続き、管理職の会議や養護教諭の研修会などで、県民生活部や環境部が作成した資料なども活用しながら、化学物質過敏症に悩む児童生徒の存在や対応策について、教員の理解促進に努めてまいります。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 御質問三、かけがえのない公立・公的病院を、医療圏に責任を持つ県こそが守れについてお答え申し上げます。 まず、県として、七医療機関の存在意義を国に明確に説明していただきたいについてです。 国は、高度医療、不採算医療の実績など一般的に公立・公的医療機関などに期待される役割を念頭に、全国一律の基準で対象病院を選定しました。しかし、病院に求められる役割は地域の状況により異なります。それぞれの医療圏において、地域の関係者が七病院に期待する役割などを踏まえて、医療体制の一層の充実が図られるよう協議を始めています。県としては、協議の結果を踏まえ、地域における必要性などを国に対してしっかりと説明してまいります。 次に、病床確保のために全力を尽くすことについてです。 地域医療構想において推計した必要病床数の確保に向けて、国と基準病床数についての協議を行った結果、第七次地域保健医療計画において新たに一千六百三十八床の整備が可能となりました。このため、病床の公募を行い、地域で不足している医療機能を強化するために必要な病床について、関係者による協議を重ねてまいりました。 その結果、高齢化の進展に伴い需要の増加が見込まれる回復期医療を中心としながら、地域によっては急性期医療の強化を図るなど、地域の実情に応じた病床の整備を進めております。今後も地域における関係者の協議を踏まえて、各地域の医療提供に必要な病床を確保するよう全力を尽くしてまいります。       〔四十五番 前原かづえ議員登壇〕 ◆四十五番(前原かづえ議員) 前原かづえです。 知事に再質問いたします。 先ほど病院の統廃合の問題で、「国に対しては撤回を求めるものではない」という発言がされたんですけど、今の保健医療部長の答弁などを聞きますと、やはり充実させていくという立場に立っておりますので、是非、国がきちんと撤回するというふうに言わないと物事が進まないと思うんですね。だから、しっかりと県民の命を守るためには、その立場に立って撤回するという形で、それを求めることというのは必要だと思うんですが、その点についてお聞かせください。 それからもう一つ、納税者保護の観点についての再質問です。 国税徴収法の三本柱で、国税債権の確保、私法秩序の尊重、納税者の保護ということで、市町村を指導するものではないと言いながらも、税の徴収率向上をあおっていますよね。それから税の公平性を守ると言って、納めていない人と納めている人に差をつける、きちんと公平にするためにという形で税徴収の確保というふうにおっしゃっているんですけれども、やっぱりきちんと納税者の保護をする観点で、今、具体的には本庄市の例を挙げましたけれども、納税相談に来た方たちに、きちんとこれからの生きていくところを教えていく、そういうふうな対応ができるようにしていくべきだと思うんですね。 私、なぜこう言うかといいますと、大野知事になって、様々な団体の方が訪問されていると思うんです。先日、私も同席させていただきましたけれども、知事室の前で知事がにこやかに迎えてくださいまして、訪問者はそれだけでも心が解放されると思うんですね。そういう納税者に安心を与える、そういう環境を作っていくという意味でも、それをトップとしてやっていくためにも、税の種類によって担当が違うとか、そういうことじゃなくて、納税者保護の観点、人権を守る、そういう環境に、是非、改善していただきたいと思うんですが、その点について、一言お願いしたいと思います。 それからあと、危機管理防災部長にお聞きしますけれども、半壊に近い一部損壊と認定されれば災害救助法の応急修理が利用できるけど、被災者が自力で修理した場合は資力ありとみなされ、対象外になってしまうということで、この点について、もっと柔軟な対応をということでお聞きしたわけなんですが、確認したいんですけど、修理したけれども、支払の前であればこの制度の対象になるということであるということで確認していいのかということが一つ。 それからもう一つは、先ほど見舞金の創設については、対象の拡充については協議しているけれども、新たな制度を加えるのは無理だという、すごい非情な答弁をされたんですけれども、再三被害を受けている、毎年毎年被害を受けている方たちは、「今度出たら、もう二階でずっと一生涯住めということでしょうかね」って。「もうとにかく財産も使い果たして修理に対応してきた。でも、もう被害に遭っても、畳さえも上げる気力もない。ぬれた畳の上で過ごすしかない」とか、いろいろ大変な声が聞こえているんですね。 ですから、せめて見舞金制度について、新たな制度を加えるんではなくて、やっぱり対象の拡充について話し合っているわけですから、その拡充を更に被災者の状況に合った形にするためにも、一つの方法として見舞金制度、当座の資金として見舞金制度をきちんと創設する、それを是非考えていただきたいと思うんですが、その点について答弁をお願いしたいと思います。 ○神尾高善議長 四十五番 前原かづえ議員の再質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 前原かづえ議員の再質問に対して御答弁をさせていただきます。 最初に、かけがえのない公立・公的病院を、医療圏に責任を持つ県こそが守れについてのお尋ねでございます。 先ほどの再質問におきましては、国に撤回を求めるべきという御主張だというふうに理解をしております。今回の国の発表につきましては、診療実績の多寡など全国一律の基準によって、都道府県に事前に十分な説明もなく、また地域の実情を踏まえることもなく、一方的に公表されたものであって、この点については、私は丁寧さを欠いたものだというふうに思っています。 他方で、現時点では、二〇二五年に必要となる医療提供体制を明らかにした地域医療構想の実現に向けて、十の医療圏ごとのニーズ、地域のニーズに従った協議を進めているところであり、既に公表されたこのリストについての撤回よりも、私は、それぞれの地域医療体制に沿った議論を、それぞれの医療圏ごとに進めることの方が建設的であるという御答弁をさせていただいたところでございます。 そして、二点目でございますけれども、税徴収にあたっては「納税者の保護」の観点を貫くことについての再質問についてお答え申し上げたいと思います。 まず、税に関しましては、納税者の平等、それから徴税率の向上等につきましては、これは当然の話だと私は思っております。その一方で、法令の遵守や、あるいは公平公正な税制業務、さらには人権の保護、これらについても同様に大切なことだと思っておりまして、その点におきましては、前原議員の御指摘になられた税に関する人権の保護を安心として伝えていくことについては共感するところではございます。しかしながら、明らかに法令に違反する行為があったこと、あるいは人権に対する保護、そしてさらには納税を決められた期限に行っていない方々に対する徴税率の向上については、バランスをとる必要があると考えているところでございます。それぞれの観点に従いながら、県税事務所当局や市町村に対し要求をしていくところだというふうに御答弁をさせていただいたところでございますので、引き続き人権の観点も重視しながら税制業務について努めていきたいと思います。       〔森尾博之危機管理防災部長登壇〕 ◎森尾博之危機管理防災部長 前原かづえ議員の御質問一、台風第十九号の被害を繰り返さないためにの(一)被災者の一刻も早い生活・生業再建のためにについての再質問にお答え申し上げます。 まず、住宅の応急修理についてでございます。 先ほども御答弁申し上げましたとおり、工事の途中で支払には至っておらず、修理業者と市町村との契約に変更することが可能であれば、対象としてもよいというのが国の通知で書かれてございます。 もう一点、見舞金制度でございます。 これも先ほど御答弁申し上げましたが、現在、埼玉県・市町村被災者安心支援制度につきましては、支援対象の拡充に向けて、市町村と具体的に協議を進めております。その中で、見舞金という新たな制度の創設を議論に加えますと、これまで議論を重ねてきたことに影響を与えてしまう可能性があると捉えております。まずは支援対象の拡充について、市町村と合意形成が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。          ---------------- △次会日程報告 ○神尾高善議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明十日は、午前十時から本会議を開き、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。          ---------------- △散会の宣告 ○神尾高善議長 本日は、これにて散会いたします。午後四時二十分散会          ----------------...