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  1. 埼玉県議会 2019-09-01
    09月27日-02号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    令和 1年  9月 定例会九月定例会  第八日(九月二十七日)令和元年九月二十七日(金曜日)第八日 議事日程 一 開議  午前十時 二 本定例会に提出された請願の報告 三 知事提出議案(第八十三号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問    五十二番  立石泰広議員    六十三番  鈴木正人議員    四十三番  山根史子議員 四 知事提出急施議案(第八十三号議案)に対する質疑 五 知事提出急施議案(第八十三号議案)の企画財政委員会付託 六 次会日程報告    九月二十八日(土)、二十九日(日) 休日休会    九月三十日(月) 午前十時開議、質疑質問続行、企画財政委員長報告、同報告に対する質疑、討論、採決 七 散会          ----------------本日の出席議員    九十三名         一番  金野桃子議員         二番  岡村ゆり子議員         三番  平松大佑議員         四番  柿沼貴志議員         五番  高橋稔裕議員         六番  逢澤圭一郎議員         七番  山口京子議員         八番  千葉達也議員         九番  渡辺 大議員         十番  松井 弘議員        十一番  高木功介議員        十二番  深谷顕史議員        十三番  白根大輔議員        十四番  町田皇介議員        十五番  秋山もえ議員        十六番  八子朋弘議員        十七番  杉田茂実議員        十八番  江原久美子議員        十九番  中川 浩議員        二十番  宮崎吾一議員       二十一番  関根信明議員       二十二番  木下博信議員       二十三番  藤井健志議員       二十四番  美田宗亮議員       二十五番  吉良英敏議員       二十六番  松澤 正議員       二十七番  橋詰昌児議員       二十八番  辻 浩司議員       二十九番  東間亜由子議員        三十番  守屋裕子議員       三十一番  松坂喜浩議員       三十二番  並木正年議員       三十三番  石川忠義議員       三十四番  宇田川幸夫議員       三十五番  浅井 明議員       三十六番  飯塚俊彦議員       三十七番  横川雅也議員       三十八番  内沼博史議員       三十九番  岡田静佳議員        四十番  細田善則議員       四十一番  永瀬秀樹議員       四十二番  安藤友貴議員       四十三番  山根史子議員       四十四番  井上将勝議員       四十五番  前原かづえ議員       四十六番  秋山文和議員       四十七番  井上 航議員       四十八番  岡 重夫議員       四十九番  醍醐 清議員        五十番  日下部伸三議員       五十一番  小久保憲一議員       五十二番  立石泰広議員       五十三番  新井 豪議員       五十四番  荒木裕介議員       五十五番  岡地 優議員       五十六番  白土幸仁議員       五十七番  小川真一郎議員       五十八番  権守幸男議員       五十九番  萩原一寿議員        六十番  水村篤弘議員       六十一番  高木真理議員       六十二番  村岡正嗣議員       六十三番  鈴木正人議員       六十四番  武内政文議員       六十五番  中野英幸議員       六十六番  須賀敬史議員       六十七番  新井一徳議員       六十八番  梅澤佳一議員       六十九番  中屋敷慎一議員        七十番  木下高志議員       七十一番  諸井真英議員       七十二番  杉島理一郎議員       七十三番  齊藤邦明議員       七十四番  塩野正行議員       七十五番  蒲生徳明議員       七十六番  山本正乃議員       七十七番  木村勇夫議員       七十八番  柳下礼子議員       七十九番  神尾高善議員        八十番  岩崎 宏議員       八十一番  高橋政雄議員       八十二番  田村琢実議員       八十三番  小林哲也議員       八十四番  本木 茂議員       八十五番  宮崎栄治郎議員       八十六番  齊藤正明議員       八十七番  小島信昭議員       八十八番  小谷野五雄議員       八十九番  長峰宏芳議員        九十番  石渡 豊議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  浅野目義英議員       九十三番  田並尚明議員 欠席議員    なし地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   大野元裕  知事   奥野 立  副知事   飯島 寛  副知事   石川英寛  企画財政部長   北島通次  総務部長   矢嶋行雄  県民生活部長   森尾博之  危機管理防災部長   小池要子  環境部長   知久清志  福祉部長   関本建二  保健医療部長   加藤和男  産業労働部長   牧 千瑞  農林部長   中村一之  県土整備部長   和栗 肇  都市整備部長   上木雄二  会計管理者   立川吉朗  公営企業管理者   岩中 督  病院事業管理者   砂川裕紀  下水道事業管理者   小松弥生  教育長   高木紳一郎 警察本部長             発言(質問)通告書  九月二十七日(金)議席番号 氏名      要旨 答弁者五十二番 立石泰広議員  1 知事の政治姿勢及び選挙公約について 知事             2 台風十五号の影響と対応について 知事 危機管理防災部長             3 災害対応工程管理システムの導入について 危機管理防災部長             4 県税納税率の更なる向上について 総務部長             5 屋内五十メートルプールの整備について 県民生活部長             6 地元問題について              (1) 川口市北東部への新たな警察署の設置について 警察本部長              (2) 老朽化した東川口駅前交番の建替えについて 〃              (3) 芝川改修事業と川口都市計画道路本町元郷線中央橋改修事業について 県土整備部長六十三番 鈴木正人議員  1 令和元年台風十五号の被害を踏まえて 知事              (1) 本県から千葉県への支援の状況について              (2) 大規模停電に向けた、本県の備えについて             2 豚コレラの発生に係る対応について 知事             3 北朝鮮による拉致問題解決に向けた、上田県政の継承と大野知事の方針について 知事             4 北朝鮮拉致問題啓発教材「めぐみ」と「横田滋・早紀江さんからのメッセージ」DVDの活用について 教育長             5 児童相談所の体制強化について 知事             6 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを前に、国旗、国歌の成り立ちや国歌の意味を小・中学校の授業でしっかり教えているのか 教育長             7 地域包括ケアシステム構築の現状と今後の促進について 福祉部長             8 警察官の訓練状況と警察力強化の取組について 警察本部長             9 地元問題について 県土整備部長              (1) 国道二五四号和光富士見バイパスの早期開通について              (2) 中央通停車場線第三工区の整備について四十三番 山根史子議員  1 知事の県政への基本姿勢について 知事             2 性的少数者(LGBTなど)の諸課題について 知事             3 JR川越線荒川橋りょうの複線化仕様の架換えについて 知事             4 PTAの改革について 教育長             5 がん対策について              (1) 女性特有のがん患者の就労支援について 保健医療部長              (2) がんゲノム医療の促進について 病院事業管理者             6 健康マイレージ事業の拡充について 保健医療部長             7 健康経営を活用した働く女性の労働環境の改善について 保健医療部長             8 外国人労働者の受入れの拡充について 県民生活部長 都市整備部長             9 教育支援システムの導入について 教育長             10 県道川越日高線の交差点整備について 県土整備部長          ----------------午前十時二分開議 出席議員    九十三名     一番    二番    三番    四番     五番    六番    七番    八番     九番    十番   十一番   十二番    十三番   十四番   十五番   十六番    十七番   十八番   十九番   二十番   二十一番  二十二番  二十三番  二十四番   二十五番  二十六番  二十七番  二十八番   二十九番   三十番  三十一番  三十二番   三十三番  三十四番  三十五番  三十六番   三十七番  三十八番  三十九番   四十番   四十一番  四十二番  四十三番  四十四番   四十五番  四十六番  四十七番  四十八番   四十九番   五十番  五十一番  五十二番   五十三番  五十四番  五十五番  五十六番   五十七番  五十八番  五十九番   六十番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番  七十九番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十五番  八十六番  八十七番  八十八番   八十九番   九十番  九十一番  九十二番   九十三番 欠席議員    なし 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △開議の宣告 ○神尾高善議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △本定例会に提出された請願の報告 ○神尾高善議長 この際、報告をいたします。 本定例会に提出された請願につきましては、請願文書表としてお手元に配布しておきましたので、御了承願います。〔参照-(七七)ページ〕          ----------------知事提出議案(第八十三号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問 ○神尾高善議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を行います。 発言通告がありますので、順次これを許します。 五十二番 立石泰広議員       〔五十二番 立石泰広議員登壇〕(拍手起こる) ◆五十二番(立石泰広議員) 皆さん、おはようございます。自由民主党、立石泰広でございます。 本日は、一般質問の機会をいただき、ありがとうございます。また、地元から大勢の皆様、傍聴にお越しいただき、ありがとうございます。 大野元裕知事、当選おめでとうございます。四年間、県民の期待に応えて頑張っていただきたいと思います。 それでは、神尾高善議長からお許しをいただきましたので、発言通告に従い、質問をさせていただきます。 まず、知事の政治姿勢及び選挙公約についてお伺いいたします。 大野知事は、上田県政の「継承と発展」を柱に掲げて知事選を戦い、初当選されました。県民のための政治という上田前知事の県政運営の柱を必ず守っていきたいと、報道でも述べています。知事が県民のための政治を行うのは基本で、私ども県議会議員も県民のための政治を実践することは当然であります。 そこでまず、県民本位、県民が主語の県政の推進、知事の言われる「県民が主語」とは、どのような意味なのか。また、上田県政の何を継承するのか具体的にお示しください。 次に、知事の政治、憲法に対するスタンスをお伺いいたします。 今回の埼玉県知事選挙は「野党共闘の勝利」と、報道各社の見出しが躍りました。大野知事は、今回の選挙の勝因は野党共闘にあるとお考えでしょうか。また、当選後、埼玉県議会において最大会派である自民党県議団とのスタンスは、どのようにお考えでしょうか、御所見を伺います。 選挙後の共産党系機関紙には、「市民と野党の共闘の力で歴史的な逆転勝利、自公改憲勢力を打ち破る。改憲勢力に埼玉県政を渡すわけにはいかない」と記載されています。知事は、日本国憲法についてどのようなお考えをお持ちか、一言一句改正に反対でしょうか。それとも、改正の必要性を感じるところをお持ちでしょうか、御所見を伺います。 次に、埼玉県知事の在任期間に関する条例、いわゆる多選自粛条例についてお伺いいたします。 この条例は、上田前知事の肝入りの条例として平成十六年に上田前知事自身が提案し、県議会の議決により制定されました。知事には、県民に条例を守るよう指導する立場があります。この条例は、上田前知事自身が提案したにもかかわらず、若気の至りであったと改廃もせず、責任を取らぬまま退任してしまいました。現在でも、条例は生きています。 そこで、大野知事は多選自粛条例を継承し、そのまま放置されるのか。それとも、別の方向性を示されるのか、知事の所見を伺います。 次に、知事選挙での発言について伺います。 知事は、自身を「政策通」とPRし、選挙戦を戦われました。その中で、「過去一年間に参議院に出された議員立法のうち、約一割は私が筆頭提出者だ」と述べています。過去一年間に参議院に提出された議員立法は一〇九本、うち、知事が筆頭提出者になっているものは七本でありました。しかし、知事が過去一年間に提出した議員立法のうち、成立した法律は残念ながらゼロ本であります。 国会においては与野党の攻防もあるので、成立は難しいことも理解します。私は、政策を提言や提案することは容易であっても、実現するのは大変難しいことだと思っています。行政との意思統一や予算の確保、関係諸団体や県民の理解と協力など、長く困難な道のりを一つずつ乗り越え、最終的に課題の解決に導いていくことが政策の実現であり、それこそが政策通の条件だと私は考えております。 そこで、知事がおっしゃる政策通とは、どういうことを指すのか、県民に対してどのようなことをお訴えしたかったのかお伺いします。 次に、知事が公表した政策集についてお伺いいたします。 知事がどのように百二十八項目の政策を実行していくかが課題となります。 そこで、以下三点に絞って知事の所見を伺いたいと思います。 第一に、知事の公約の柱である五大プロジェクトのうち、「埼玉版スーパーシティプロジェクト」について伺います。 知事は、埼玉版スーパー・シティをエコタウンプロジェクト×スマートエネルギーネットワーク×スマートシティ×コンパクトシティであると定義し、エネルギーを軸に移住を促し、全てを小さなエリアに集約することで少子高齢化の課題を一挙に解決する方策だとしておりますが、これは一体どんな地域なのでしょうか。 まず、中心となるエネルギーですが、この基礎となる上田前知事のエコタウンプロジェクトは、単なる太陽光パネル等の補助事業にとどまり、エコタウンとまでは言えないものでありました。知事は、これに加え、火力発電所の建設も公約に掲げていますが、これもまた、建設場所や水の確保、周辺への影響など、実現可能性には疑問が残ります。 次に、柱となる移住促進、つまり地域を集約化していくという手法は、既存のコンパクトシティそのものであると思います。そう考えると、埼玉版スーパー・シティの実態は、単にエコタウン×コンパクトシティなのだと考えます。効果が不透明なエネルギー政策を軸に、県民を一つのエリアに集約していくという政策に、本当に明るい未来を見ることができるのでしょうか。 今、世界はSociety5・0の未来社会に真剣に向き合っています。私は、この道こそ、少子高齢化と経済発展とを同時に克服する政策であると考えております。正にこれは、我々自民党県議団が主導してきた農業大学校跡地の開発を中心とした超スマート社会の実現に向けた政策であり、政府と連携し、本県が全国をリードしていくことこそが現実的に県民に明るい未来を示すことになるのではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。まず、埼玉版スーパー・シティにおけるエネルギー政策において、エコタウンプロジェクトの反省も踏まえたその具体策と実現可能性について知事の見解を伺います。 次に、「埼玉版スーパーシティ」における地域の集約の在り方は、コンパクトシティとはどう違うのか。コンパクトシティへの評価も含めて知事の見解を伺います。 さらに、少子高齢化という難題に立ち向かうためには、これから新たに埼玉版スーパー・シティに取り組むよりも、今進み始めている超スマート社会の実現に集中して取り組むべきではないかと考えます。知事の見解を伺います。 第二に、「あと数マイルプロジェクト」について伺います。 私は、都市政策を考える上で、鉄道や道路の結節していることが大切だと思います。よって、知事の「あと数マイルプロジェクト」が示す埼玉高速鉄道、日暮里・舎人ライナー、都営三田線、都営大江戸線、多摩モノレールの五つの鉄道路線を延伸して埼玉県内の交通を便利にするという公約は、是非とも達成していただきたい公約であります。 しかし、都市政策を学んできた私の私見でありますが、埼玉高速鉄道を除く四つの路線は東京都が運営している鉄道であり、東京都の政策によって整備されたものであります。その延伸は、なかなか困難であると想定します。 そこで、知事の交通政策についてお伺いいたします。 あと数マイルプロジェクトを実現するに当たり、五つの路線について現時点でどのような工程で進めていくのか、時期、延伸距離、手法、予算等について御所見をお伺いします。 第三に、県庁舎建替えについて伺います。 知事は、公約では県庁舎建替えについて、任期の四年の間には着手しないとし、慎重な姿勢を見せています。現在、県庁舎の建替えについては、さきの六月定例会にて私ども自民党の木下高志議員による質問での指摘、提案を受け、県議会では特別委員会を設置し、十年後を見据えた議論を行っているところであります。 また、私が所属しております総務県民生活委員会では、先日、オフィス関連家具の開発、販売等を行っている株式会社内田洋行を視察させていただきました。同社では、執務環境の整備と、行動・意識の変革の支援の両輪で企業の働き方改革と生産性の向上を支援するショールームをオープンし、様々な成果を上げています。私は、今回の視察を経て、快適で意欲の湧く職場環境の整備を更に進め、働き方改革とワークライフバランスの更なる推進を図っていかなければならないと、再度実感したところであります。 そこで、知事に伺います。知事が県庁を利用するようになってから一か月がたとうとしています。この間、働いている県職員の目線に立って職場を御覧になっていると思います。現在、職員が働いている執務室は快適で意欲の湧く職場と言えるでしょうか。県庁舎の状況を実際に御覧になった現在の知事の県庁舎建替えについての御所見を伺います。 知事は、「一期四年は具体的な建替えに向けた工事には着手しない」「限られた財源は建替えよりも公教育、警察など次世代のための投資を優先させる」と述べています。確かに、県庁舎建替えより優先すべき課題はあると思います。しかしながら、更新費用も非常に多額で、かつ、県政運営の要である本庁舎の建替えは、今から検討しなければ適切な維持管理、マネジメントができなくなってしまいます。財源が限られていることは、私も十分認識をしておりますが、だからこそ、豊島区役所などに見られる民間資本を取り入れる手法や国庫補助金の活用、移転による建設費負担軽減策など、様々な手法を検討しなければならないと考えます。建替え問題を凍結するというお考えなのか、はたまた検討には着手して積極的に議論を重ねていくべきとお考えなのか、重ねて知事の所見を伺います。 選挙公約は、実現するためにあります。民主党政権誕生時のマニフェストは、「政権交代」「国民の生活が第一」「コンクリートから人へ」とのキャッチフレーズから、高速道路の無料化、子ども手当三万円、八ッ場ダムの建設中止、普天間基地の県外移設など、実効性の伴わない政策は次々と頓挫し、現在でも影響を受けているものもあります。 選挙公約は、実現できなかったときは失望が待っています。是非、県民に対し、失望でなく希望を与える知事であると期待して、次の質問に移ります。 質問の二点目は、台風十五号の影響と対応について。 九月九日、過去最強クラスの勢力で関東地方を直撃した台風十五号は、千葉県内で送電線の鉄塔を倒壊させ、大規模な停電を発生させるなど、大きな被害をもたらしました。また、鉄道会社が実施した計画運休は、通勤・通学の足を奪い、駅によっては入場規制のために長蛇の列ができるなど、多くの人に影響と混乱をもたらしました。県内でも突風による重軽症者や屋根が飛ぶなどの被害、学校の休校や始業時間の遅れ、県職員が登庁できないなど、様々な影響が出ました。残念ながら、埼玉県の避難情報の発信は、最長で十五時間も遅れるという致命的なミスが起きていました。 県には、各市町村から集められた避難情報などを事前登録した人にメールなどで配信するシステムがあり、今回は大雨洪水警報などの気象情報は配信できましたが、高齢者向けの避難開始情報や避難所開設の情報が流れない設定になっており、情報の発信が最長で十五時間遅れたと発表しました。幸いにも、今回の台風では避難が遅れ、命を落とすようなことはありませんでしたが、情報発信ミスによって大惨事を招きかねないという危機感をしっかりと持つべきです。 大野知事は、八月三十一日に和光市で開催された総合防災訓練が就任後の初仕事となりました。まず、知事は就任直後に発生した今回の災害時、どのような対応をなされたのか。埼玉県の情報発信の対応ミスをどのように考えるのかをお伺いいたします。 次に、台風十五号による県内の被害状況と被害対応状況、九日の職員の登庁状況はどのような状況だったのか。また、情報発信ミスはどのようなことが原因で起こったのか、何が問題だったのか。今回のミスを受け、行った検証結果と今後の対応策について、危機管理防災部長にお伺いいたします。 三点目は、災害対応工程管理システムの導入についてです。 先日、私は熊本地震という大規模災害を経験した熊本県を視察し、災害対応工程管理システムについて調査してきました。熊本地震の検証では、年度当初の発災であったこともあり、災害対策本部マニュアル等の不備、不徹底が顕在化したことや、県地域防災計画から必要な情報を素早く把握することが困難であったことなどが課題として明らかになりました。 このシステムには様々な特徴があります。災害対応工程をフロー図化することで容易に全体が把握できること。個別業務フローは業務別、組織別で表示が可能のほか、誰が、いつ、何を、どのように実施するかが容易に把握できること。参考となるマニュアルやガイドライン、過去の課題、教訓等が参照可能なことです。中でも、特に感心したのは、漏れのない災害対応のため、災害対応工程全体を示したフロー図に各種災害対応チェックリストが関連付けられていることです。抜け、漏れのない災害対応が可能になる上、自治体間で災害対応の共有が図れるようになりました。 当該システムを活用することで、業務を熟知していない職員でも必要な情報を素早く把握し、災害対応を迅速化できるとともに、対応のレベルの均質化を図ることができます。正に、経験したからこそ考えられたすばらしいシステムで、埼玉県でもこのシステムがあれば、今回の台風十五号での対応ミスを防ぐことができたと思いました。 埼玉県のシステムの年間管理料は約五千万円、内容の違いがあるものの熊本県のシステムは約三百万円と、とてもリーズナブルです。本県においても、最少のコストで最大限の成果を上げるために、災害対応工程管理システムを導入してみてはいかがでしょうか、危機管理防災部長に御所見を伺います。 四点目は、県税納税率の更なる向上についてであります。 私は、県税納税率向上のためには県税収入未済額の九割を占める個人県民税対策が重要であり、とりわけ収入未済額の多い大規模市への集中的な支援が必要であると提案してまいりました。私の地元川口市では、平成二十六年二月に現在の市長である奥ノ木信夫市長の就任以来、市政の根幹を支える税収の確保に注力しております。 平成二十七年度から県による職員派遣などの支援を継続的に受けるとともに、滞納市税などの徴収を専門的に行う特別債権回収室や納税コールセンターを設置するなど、徴収体制の整備を進めてまいりました。その結果、川口市における平成三十年度の個人県民税の納税率は、私が最初の一般質問を行った平成二十六年度と比較して六・六ポイントアップ、収入未済額についても十七・二億円、率にして五五パーセントも圧縮しています。そして、県内における個人県民税納税率の市町村順位は、平成二十八年度に、それまで四年連続で続いていた最下位を脱却しました。 ほかにも、所沢市や草加市など、大幅な改善を果たしている市があると聞いております。これは、県と市との連携による対策が実を結んだものであり、市税はもとより県税全体の納税率の向上や収入未済額の圧縮に大きく寄与しています。 実際、八月に発表された平成三十年度決算における県税の納税率は九八・二パーセントで、平成二十六年度当時と比べて二・一ポイントアップとなっています。また、収入未済額についても平成二十六年度の二百五十億円から平成三十年度は百二十一億円と半分以下にまで圧縮しています。この結果、県税納税率の全国順位は平成二十九年度には、それまで八年連続で続いていた最下位をついに脱却し、四十六位となり、平成三十年度は四十四位と、更に上昇しています。県税納税率を更に向上させていくためには、引き続き県が賦課徴収を行う自動車税などの徴収対策を進めるとともに、個人県民税の徴収対策、特に大規模市と連携した取組を一層強化していく必要があると考えます。 そこで、県税納税率の更なる向上のために、今後どのような取組を進めていくのか、総務部長に伺います。 質問の五点目は、屋内五十メートルプールの整備についてです。 本県は、オリンピックをはじめとする多くの水泳競技大会において多数のメダリストを輩出してきた水泳王国であります。昭和四十二年と平成十六年に本県で開催された国民体育大会でも、川口市のプールが競技会場となるなど、川口市は水泳に対する熱意が非常に高い街であります。学校の水泳部の数を調査してみますと、高校では上尾市に二校、川口市に三校と差はありませんが、公立中学校では上尾市が二校に対して川口市は十六校と、さいたま市の七校と比較しても圧倒的に多く、裾野が広いことが分かりました。天候に左右されず、競技に集中できる屋内五十メートルプールの建設は、川口市の悲願でもあります。水泳王国の本県にとっても、国内の主要大会が開催できる規模の屋内プール施設の整備は、早急に取り組むべき事案であると考えます。 建設候補地の一つである川口市の神根運動場は、電車であればJR武蔵野線東浦和駅から徒歩圏内、車でも首都高速道路や東京外環自動車道のインターチェンジから近距離にあり、交通利便性が非常に高くなっています。周辺の交通渋滞も少なく、非常に便利な立地条件であります。また、川口市からは埼玉県の施設が誘致されるのであれば、屋内プール施設配置を前提とした周辺の土地利活用の計画を考えていくと聞き及んでいます。 そこで、県民生活部長にお伺いします。昨年度、スポーツ医・科学拠点施設、屋内水泳場整備基本計画策定支援・事業手法等検討業務委託を実施し、屋内五十メートルプールの施設規模や立地検討、整備手法の検討を行っていますが、その結果はどのようになったのか。また、建設地はいつ、どのように決定するのかお伺いします。 最後に、六、地元問題について、そのうち(一)川口市北東部への新たな警察署の設置についてお伺いします。 埼玉県の警察官一人当たりの人口負担は六百三十六人と、四十七都道府県の中でワースト一位となっております。その中でも、川口市は人口増加が著しい上、外国人登録者数が県内一位であります。川口署と武南署の二署で六十万人、一署当たり三十万人の安全を守っていただいております。お隣のさいたま市は七署で百三十一万人、一署当たり十八・七万人の安全を七つの警察署で守っています。一署当たりの人口負担が大きいため、その分、多くの警察官を配置していただいておりますが、川口署、武南署ともとても狭あいで、署員の業務環境の問題や利用者の不便さが指摘されております。 川口市は人口六十万人を超え、特に川口市北東地域に目を向けますと、安行藤八特定土地区画整理事業区内の都市計画道路浦和東京線(けやき通り)が平成二十九年七月に開通したことで交通アクセスが飛躍的に改善されるとともに、生活利便性が向上し、住宅建設が進み、市街化が促進されるなど、様々な要因で当該地域の人口は増加している状況にあります。 一方で、懸念されるのは治安の悪化であります。川口市内の犯罪認知件数を見ると、平成十六年をピークに減少し続けているものの、県内で比較した場合、非常に高い水準で推移し、川口市はさいたま市に次いで犯罪件数が多いのが現状であります。 こうした中、人口六十万人の治安維持を堅持するためには、川口・武南、両警察署に次ぐ第三の警察署、川口市北東部への新たな警察署の設置をでき得る限り迅速な判断とスピード感を持って、具体的に進めていただくことが肝要であると考えます。 そこで、警察本部長にお伺いします。以前、「川口市北東部への新たな警察署の設置の必要性は高いものと認識している。また、川口市から新警察署用地の情報提供を受け、調査を進めている」との答弁をされております。川口市民からも大きな期待があり、大変注目されております。川口市の奥ノ木市長からは、「情報提供した土地で決定していただければ、早速周辺整備に入りたいので、是非ともよろしく」とも言われております。川口市北東部における新たな警察署の設置について、いよいよ方針を決定していただけないでしょうか、見解をお伺いします。 地元問題の二番目は、老朽化した東川口駅前交番の建替えについてです。 川口市では、JR武蔵野線東川口駅周辺の人口増加に伴う行政需要の高まりのため、川口市の北の玄関口にふさわしい行政施設として(仮称)東川口駅前行政センター建設の検討に入っています。現在、川口市では行政センターの建設候補地として、東川口駅南口前にある自転車置場を想定しておりますが、この候補地内に武南警察署の東川口駅前交番があります。この交番は、昭和五十六年三月に建築され、既に三十九年が経過しており、老朽化が著しい上、交番内も手狭であり、女性警察官の仮眠室もないのが現状です。これでは地域人口や東川口駅利用者の増加に伴う事件・事故への迅速な警察活動に支障が生じかねません。 そこで、警察本部長にお伺いします。県警察として、老朽化した東川口駅前交番の建替えについて検討されているのか。また、建替えするとしたら、川口市が建設を検討している行政センター施設と同一の建物に入ることについて見解をお伺いいたします。 三点目の質問は、芝川改修事業と川口都市計画道路本町元郷線中央橋改修事業についてであります。 川口市本町地区における都市計画道路日光東京線(一般国道一二二号)の本町ロータリー交差点は埼玉県の玄関口として交通量が非常に多く、複雑な形状になっており、渋滞が激しく、大変危険な交差点であります。このため、県では平成三十年度から渋滞対策、歩行者の安全確保を目的に交差点改良など、街路整備事業に着手したところであります。 一方、この交差点の東に接続する川口都市計画道路本町元郷線の街路整備事業は、十年以上、事業進捗が図られていないのが現状であります。とりわけ、一級河川芝川に架かる中央橋は、昭和三十六年に架設された橋りょうであり、老朽化が進み、防災上の観点からも早期対策が求められています。この一級河川芝川の改修は、昭和五十六年度から埼玉県と川口市が一体となり整備促進を図っている事業で、中央橋付近の改修は川口市の管理区間となり整備され、事業完了時には県へ管理移管されるものと聞き及んでおります。 こうした中、先般、地元川口市の六月定例市議会でも自由民主党、関裕通市議会議員から、県が行う本町ロータリー交差点改修事業の進捗に合わせ、街路整備事業を効果的に整備すべきとの一般質問がなされるなど、地元からも強い要望が出されています。川口市では、河川改修事業と街路整備事業の連携により中央橋の改修を行う計画で、現在、埼玉高速鉄道の地下トンネルへの影響など、隣接する環境の変化に対応すべく、調査を行っていますが、河川拡幅用地でもある買収に目途が立たず、交渉が難航しているとのことでした。河川改修や中央橋の架換えなど、川口市が行う事業であるものの、難航する事業用地の問題に目途が立てば、大きく進展するものと考えます。 公共事業の促進を図る上で、こう着する要因の解消に向け、県の協力も重要であると考えますが、県土整備部長の御見解を伺います。 以上で質問を終わります。(拍手起こる) ○神尾高善議長 五十二番 立石泰広議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 立石泰広議員の御質問に順次お答えを申し上げます。 まず、知事の政治姿勢及び選挙公約についてのお尋ねのうち、「県民が主語」とはどのような意味なのかについてでございます。 私は、選挙戦では一貫して「県民本位」「県民が主語の県政の推進」を訴えてまいりました。多くの県民の利益が最大になることを判断基準に置きながら施策を展開することが、「県民が主語」の県政の推進だと考えております。こうした県政を実現するため、県民の皆様と直接お話をする「どこでも知事室」を新たに設けるなど、しっかりと県民に寄り添ってまいります。 次に、上田県政の何を継承するのかについてでございます。 上田県政においては、選択と集中の方針の下、施策を展開し、自治体を経営体と捉え、マネジメントを行うなど成果を上げてこられました。上田前知事が先頭に立ち、進めてきた企業誘致は、平成三十年までの十年間の企業本社の転入超過数が日本一となるなど、実績を上げております。こうした良いところを継承しつつ、本県が直面する人口減少や超少子高齢化などの課題に対し、公約でお示しをした新たな視点を取り入れ、埼玉の持つ魅力を最大限に生かすことで、埼玉をもっと元気にしてまいります。 次に、今回の選挙の勝因は野党共闘にあると考えているのかについてであります。 私は、どの政党からも御推薦をいただかない立場で知事選に臨み、「県民本位」「県民が主語の県政の推進」を一貫して申し上げてまいりました。完全無所属の立場で、県民の皆様一人一人に丁寧にお訴えをしたことが、今回の選挙結果に結び付いたのではないかと考えております。 次に、自民党県議団とのスタンスをどのように考えるのかについてでございます。 知事と県議会は、県政を推進していく二つの大きな車輪です。県議会議員の皆様は、それぞれに地域に寄り添い、県民の声を受け止めて活動をされ、県民の生活実感や率直な意見を一番お分かりになられていると思います。皆様の御意見や御提言を真摯に受け止め、しっかり県政への反映を図ってまいります。「県民が主語」の県政を実現していく上で、一党一派に偏ることなく、自民党県議団の皆様をはじめ、県議会議員の皆様としっかり議論をしていくことが大切だと考えております。 次に、日本国憲法についての考え方でございます。 私は、かつて参議院議員時代に憲法第九十九条の憲法擁護義務を考えてもなお、憲法改正を起草する権限を有する議員として、見解を表明することが適切であるとの考えの下、憲法九条改正及び国際貢献に関する新条追加を月刊誌で論じたことがありました。 しかしながら、憲法起草の権限を有する国会議員と、知事としての権限と責任はおのずと異なると思います。現時点で、知事として憲法改正の必要性に直面しているわけではありませんが、必要な場合には県民に開かれた議論をしてまいりたいと考えております。 次に、多選自粛条例についてでございます。 埼玉県知事の在任期間に関する条例については、上田前知事のみに適用される条例であり、退任によって実質的な効果は失われています。一方で、議員御指摘のとおり、条例として存在をしていることもまた事実でございます。知事の在任期間制限については、昭和四十二年に国会で自由民主党から知事の四選禁止法案が提出されたものの、結論に至ることはありませんでした。極めて難しい問題だと認識しております。今後、引き続き県議会議員の皆様からの御意見を伺ってまいります。 次に、知事が言う政策通とはどういうことを指すのかについてでございます。 私は、一度も自らを政策通と申し上げたことはございません。一般論で政策に通じているということだと思いますけれども、私がそのような意味で政策通である立石議員に御評価をいただいているとすれば、大変光栄なことでございます。私は、これまで立法府に身を置く者として懸命に政策の立案に取り組んできたつもりでございます。今後の県政運営に当たりましては、国会議員をはじめ、外交官、民間企業の経営者として身に付けた知識や経験も生かし、誠心誠意、尽力していく所存でございます。 次に、県民に対して選挙戦を通じ、どのようなことを訴えたかったのかについてでございます。 これまでの経験を生かし、埼玉の未来を切り開くために取りまとめた十二分野、百二十八項目の具体的な政策の実現を訴え、御理解いただいたと考えているところでございます。 次に、政策集についてのお尋ねのうち、「埼玉版スーパーシティプロジェクト」についてでございます。 議員お話しのエコタウンプロジェクトは、既存住宅における再生可能エネルギーを中心とした総エネと省エネ、そして市町村と連携し、エネルギーの地産地消モデルを全国に発信という二つのコンセプトで実施をされました。太陽光発電等による総エネと家電の買替えなどによる省エネにより、一定のエネルギーの削減効果はありました。 一方、既存住宅を対象としたことから、世帯によっては協力を得られなかったことなどにより、横展開することが難しかったと聞いております。埼玉版スーパー・シティにおいては、これらの成果や反省点を踏まえ、エネルギーなどを呼び水にしたコンパクト、スマート、クリーンなまちづくりを目指していきます。 公約の中には、すぐに実現できるものと、今から取組を始めても一期四年では完全には実現できないものがあり、埼玉版スーパー・シティは後者になると考えています。既存市街地のみならず、地域の条件に合わせ、例えば再開発などを進めるときに、それに合わせて実現していくことが効率的と考えています。 また、民間が事業に参画するような工夫も必要でございます。これらにより、エネルギーの地産地消、安心・安全で強じんなコンパクトシティを実現してまいります。エネルギーを効率的に利用するとともに、エネルギーを核としたコンパクトシティスマートシティをつくってまいります。 次に、コンパクトシティについてのお尋ねであります。 コンパクトシティは、市街地をコンパクトにし、地域の中で支え合い、仕事も子育ても買物もできる、歩いて暮らせるまちを目指す取組と捉えています。私は、急速な少子高齢化や生産年齢人口の減少により発生する課題の解決には、コンパクトシティが最善であると考えていました。ところが、これまで国で進めてきたコンパクトシティの取組については、必ずしも期待された効果を上げていません。それは、企業や人を呼び込むためのインセンティブを欠いていたからです。 そこで、エネルギーをインセンティブの一つとしてコンパクトシティを推進しようと、「埼玉版スーパーシティプロジェクト」を公約に掲げました。 次に、超スマート社会の実現に向けた取組でございます。 議員お話しの自民党県議団が推進する超スマート社会は、IoT、インフラ通信網の整備や農業、工場等のスマート化を図り、地域経済の好循環を生み出そうとするものと承知をしております。急激に少子高齢化が進展する本県において、労働力不足の解消、新産業の創出等を図るため、私はSociety5・0の実現に向け、AI、IoT、5G等を積極的に活用することが重要と認識しております。このため、選挙戦の公約において技術の進化による産業構造の変化に対応し、埼玉の稼ぐ力を強める方針を明記し、AI、自動運転等の活用、データ産業における人材育成支援などの項目を掲げているところでございます。 自民党県議団の皆様のお考えは、最先端の技術を幅広く生活、産業に取り入れ、イノベーションや課題解決を目指していく私の考えと基本的に同じ方向性であると考えております。今後とも、県議会の御意見をしっかりとお伺いしながら、超スマート社会の実現に積極的に取り組んでいきたいと考えております。 次に、「あと数マイルプロジェクト」の路線をどのような工程で進めていくのかについてでございます。 私が掲げた公約の中には、すぐに実現できるものと、今から取組を始めても一期四年では完全に実現できないものの、将来に向けて道筋を付けるものがあります。あと数マイルプロジェクトは、県内の公共交通網や道路網について一層の利便性向上策の検討を進め、実現に向けて取り組むものであります。このうち、鉄道については埼玉高速鉄道線の延伸もあれば、議員お話しの日暮里・舎人ライナーなどもございます。 例えば、埼玉高速鉄道線の延伸については交通政策審議会答申に位置付けられており、まちづくりなどの面的な視点も含めた関係者間の様々な検討が必要だと考えています。私は、知事に就任してすぐ、こうした公約の項目について各部局に検討を指示し、先日、知事公約に係る「取組の方向性」として公表させていただきました。その中では、このプロジェクトについて将来の人口や需要、新たな技術の動向等を把握し、これまでの経緯等を踏まえつつ、検討を進めていくこととしたところでございます。 また、限られた予算の中で、県境路線を含めた効果の高い部分について重点的に整備を進めることといたしました。現在、この取組の方向性に基づき、具体的な取組の進め方を工程表として整理をしているところでございます。今後、取りまとまった段階で、しっかりと御説明させていただきたいと考えております。 次に、県庁舎の建替えについてでございます。 私は、知事選挙において、一期四年の間には建替えに向けた着手はしない。限られた財源は、建替えよりも公教育、警察などの次世代のための投資を優先させると訴えてまいりました。財源が限られている中で、より県民ニーズが高いものがあれば、それを優先するべきと考えています。 なお、知事に就任し、短い期間ではありますが、県庁職員と接する中で庁舎は古くとも職員は意欲を持って取り組んでいると感じております。県庁舎は、当然新しい方が良いと思いますが、現在の庁舎についても耐震改修をはじめ、トイレ改修や照明のLED化など、きちんとしたメンテナンスが行われているという印象を持っております。 もちろん、この庁舎が未来永劫使用できるわけではありませんので、時期を見て建替えの検討をする必要性については認識をしております。県庁建替えの議論については、県民参加を重視し、多様な県民ニーズを把握し、慎重な検討を加えてまいりたいと思っております。 次に、台風十五号の影響と対応についてのお尋ねのうち、どのような対応をしたのかについてでございます。 台風十五号は、知事として初めての災害対応となりましたが、熊谷地方気象台から台風の進路や風雨の予測などの情報を得て、幹部職員による台風対策会議を開催し、対応方針を決定いたしました。その上で、被害情報を迅速に把握すること、空振りを恐れることなく、避難勧告等の発令を行うよう市町村に周知すること、県民に対して身を守る行動を取るよう注意喚起することを指示いたしました。 また、危機管理防災部、県土整備部及び下水道局では職員を夜通し配置するなど、災害が発生した場合にすぐに対応できる体制を敷いたところであります。もちろん、私自身、いつでも連絡を受け、指示できるようにしておりました。 災害や危機が発生したときに、県民の生命や財産を守ることが私の最も重要な使命であると考えております。防災体制をより一層充実させていかなければならないと改めて強く感じたところでもあります。 次に、情報発信の対応ミスをどのように考えるかについてでございます。 災害時には、県民の皆様に自らの命を守る行動を取っていただくことが何よりも重要であります。そのためには、防災に関する情報を広くタイムリーに発信する必要があります。このため、市町村では独自に運用している防災メールや防災行政無線など、様々な手段を用いて避難情報等を住民に発信しております。また、県でも防災情報メールやツイッターなどで直接県民に発信するとともに、テレビやラジオ経由で県民に伝達をしております。 議員のお話のとおり、台風十五号の際には防災情報メールやツイッターなどの部分について避難情報、避難所開設情報の発信が大幅に遅れてしまいました。万が一、これらの情報がなかったために命を失われる方が出ていたら、取り返しのつかないことになっていました。二度と、こうした事態が繰り返されることのないよう、原因を徹底的に追及し、対策を講じるよう指示したところでございます。 私自身も、反省するべき点については反省し、強い危機感を持ってしっかりと対処していかなければならないと肝に銘じたところでございます。       〔森尾博之危機管理防災部長登壇〕 ◎森尾博之危機管理防災部長 御質問二、台風十五号の影響と対応についてお答え申し上げます。 まず、県内の被害状況と被害対応状況、九日の職員の登庁状況についてでございます。 台風十五号により重傷者一人を含む計十人の方がけがをされ、それぞれ医療機関に搬送されております。また、強風による屋根の破損が十五棟、床上浸水が一棟の計十六棟の住家被害が発生しましたが、消防職員が必要に応じてブルーシート張りを支援したと聞いております。 九日の職員の登庁状況でございますが、出退勤管理システムで確認したところ、朝九時の時点で知事部局の本庁及び地域機関で約二千百五十人、率にして約三二パーセントの職員が出勤しております。 なお、二百三十人以上の職員が前日の八日から引き続いて災害対応に当たっておりました。 次に、情報発信ミスの原因と問題点についてでございます。 まず、原因についてでございますが、県では県内市町村等の被害情報や避難に関する情報を集約し、防災関係機関で共有するため、災害オペレーション支援システムを運用しております。避難情報や避難所開設情報は、このシステムのサーバーを介して自動的に防災情報メールやツイッターなどにより県民の皆様に発信される仕組みとなっております。今年二月にシステムを修正した際、サーバーのプログラムに一部誤りがあったため、避難所情報と避難所開設情報についてサーバーから発信できませんでした。 なお、九日の朝六時過ぎにプログラムの修正作業が終了し、その後は正常に発信できていることを確認しております。 問題点といたしましては、プログラム修正後の動作確認が不十分であったこと、システムの不具合が起きていることに気付くのが遅れたこと、原因の特定や手動での発信に時間がかかったことが挙げられます。 次に、検証結果と今後の対応策についてでございます。 現在、システムの管理を委託している業者と鋭意検証作業を進めており、来月の半ばを目途に結果を取りまとめる予定でございます。現時点の対応策といたしまして、メールやツイッター等で情報が正しく発信されているか、チェック体制を強化したほか、定期的な通信テストの実施に向けまして、現在具体的な方法を詰めているところでございます。今回の事態を重く受け止め、引き続き問題点を徹底して洗い出しながら、更に幅広く対応策を検討し、実効性のある取組を順次実施してまいります。 次に、御質問三、災害対応工程管理システムの導入についてお答え申し上げます。 県内で大規模な災害が発生すれば、全庁を挙げて多くの職員が対応に当たることとなります。そのため、分かりやすいマニュアルを整備するとともに、研修や訓練を実施することで職員がいざというときに迅速に災害対応業務に取り掛かれるように努めております。 一方、大規模災害時には緊迫した状況の中で物資の確保や支援の受入れ、被災者への対応など、ふだん経験したことのない業務が一斉に発生し、その量も膨大なものになります。議員お話しの災害対応工程管理システムは、災害時に実施すべきことを四十八種類の工程、約五百の業務に分類し、それを時系列に整理したもので、正に対応の抜け、漏れを防ぐ効果があると考えております。 また、発災の初期段階からの滞りない災害対応業務の実施につながることも期待できます。熊本県では、平成三十年四月から大規模地震に対応したシステムの運用を開始し、さらに今年度は風水害にも対応できるよう、機能の拡充を進めていると聞いております。今後、熊本県のシステムの詳細や運用状況などについて十分に確認しながら、災害対応工程管理システムの導入について検討してまいります。       〔北島通次総務部長登壇〕 ◎北島通次総務部長 御質問四、県税納税率の更なる向上についてお答え申し上げます。 県税納税率を高め、税収を確保していくためには、県税収入未済額の約九割を占めております個人県民税対策の強化が必要でございます。とりわけ、川口市など収入未済額の多い十市で未済額全体の約六割を占めておりますことから、こうした市と連携した対策が重要となります。 そこで、これらの市へ県職員を派遣し、その市の徴収体制の強化や高額・困難な滞納事案の徹底的な整理などをこれまで行ってまいりました。このような取組に加えまして、平成三十年度には収入未済額の更なる圧縮が必要だった所沢市を重点市に位置付け、県と市の職員からなるチームを設けて、高額・困難事案の滞納整理を実施しました。その結果、平成三十年度における本県の個人県民税の納税率は九五・七パーセントと、二十九年度と比較して〇・六ポイントアップし、全国順位も四十三位から三十七位に上昇したところでございます。 令和元年度におきましても、収入未済額の多い市との連携強化を引き続き実施しております。特に、昨年度の所沢市への対応が効果的であったことから、本年度は川越市を重点市に位置付け、市の職員とのチームにより高額・困難事案を一千三十二件、税額にして約三億八千万円の滞納整理を現在行っているところでございます。また、それ以外の市町村についても地方税法第四十八条による直接徴収や市町村の実情に応じた助言など、様々な対策を講じております。 さらに、市町村の人材を育成するため、十五市町から十七名の職員を実務研修生として県で受け入れ、OJTによる徴収技術の向上を図っております。自動車税など、個人県民税以外の県が徴収している税目については、平成三十年度の納税率は九九・六パーセントと全国平均以上の実績を上げております。令和元年度におきましても、納税方法の多様化などによる納期内納税の促進を図ってまいりますとともに、未納となった事案につきましては滞納が累積しないよう、早期着手、早期完結、これを徹底してまいりたいと存じます。 引き続き、県税納税率の更なる向上に向け、市町村と連携した個人県民税対策をはじめ、税務職員一丸となって県税収入の確保に取り組んでまいります。       〔矢嶋行雄県民生活部長登壇〕 ◎矢嶋行雄県民生活部長 御質問五、屋内五十メートルプールの整備についてお答え申し上げます。 まず、一点目の屋内五十メートルプールの施設規模や立地検討、整備手法の検討結果についてでございます。 県では、平成三十年度に五十メートルプール整備の基本計画策定に必要な様々な課題を整理するための業務委託を行いました。業務委託では、施設規模につきまして、国内主要大会を開催するためには五十メートルプールやウォーミングアッププールのほか、選手の控室や報道関係者用の部屋など、様々なスペースが必要との報告を受けました。 次に、立地につきましては、活用可能な県有地の調査結果や議会からいただいた御質問を踏まえ、川口市の神根運動場と上尾運動公園を調査対象といたしました。両候補地について、県内各地からのアクセスや土地や周辺道路の状況、スポーツ施設の集積状況、都市計画上の制約などの現状について調査を行いました。特に、アクセス面では川口は東京外環自動車道のインターチェンジから近く、交通の便が良い、上尾は県の中央に位置し、県内全域からのアクセスが良いといった特徴がありました。 最後に、整備手法につきましては、民間のノウハウや資金を活用することで魅力ある施設を整備し、維持管理費を抑えられるPFI手法について調査を実施いたしました。 他県では、民間提案により大会が開催されていないときに空いているスペースを体操教室に活用したり、早朝・夜間の営業時間に工夫をしたりすることで、多世代の利用者を呼び込んでいる事例がございました。これらの検討を踏まえまして、現在基本計画の策定に向け、鋭意進めております。 次に、二点目の屋内五十メートルプールの建設地は、いつ、どのように決めるのかでございます。 建設地の選定に当たりましては、整備にかかる経費、収益性の確保、周辺のスポーツ施設などとの連携の可能性や、周辺の将来のまちづくりなどの課題を総合的に勘案して判断していく必要がございます。屋内五十メートルプールは、これからの埼玉スポーツ振興の拠点になる施設であり、大きなプロジェクトでございます。そのため、県議会やスポーツ関係団体をはじめ、様々な方々の御意見も伺いながら、できる限り速やかに建設地を決定していきたいと考えております。       〔高木紳一郎警察本部長登壇〕 ◎高木紳一郎警察本部長 御質問六、地元問題についてお答え申し上げます。 まず、(一)川口市北東部への新たな警察署の設置についてでございます。 議員御指摘のとおり、川口市北東部においては新設道路の開通等により交通網の発展や生活利便性が向上し、都市化が進んでおります。加えて、市内の二警察署の業務負担は高く、狭あい化が進んでおり、警察署新設の必要性は高いものと認識しております。川口市より警察署用地として情報提供があった土地については、県警察として調査した結果、高さ制限の緩和等の条件付きではありますが、位置、広さ、地盤等に関して現時点で問題がないと考えております。 引き続き、川口市等と協議を継続してまいりますが、協議全体は前向きに進んでいるものと認識しております。可能な限り川口市等との協議を加速させ、諸課題を解決しつつ、警察署新設の条件が整った段階で方針決定ができるよう、関係部局と協議を進めてまいります。 次に、(二)老朽化した東川口駅前交番の建替えについてでございます。 議員御指摘のとおり、東川口駅前交番は敷地も含めて狭あいな上、老朽化した施設であることから改築を検討しているところであります。検討に当たっては、川口市とも情報共有を図っており、その際、川口市から現在東川口駅前交番が建っている場所に行政センターを建築するという情報提供を受けております。交番は、地域安全センターとして地域住民に対し、密着した警察活動を行う上で非常に重要な拠点でございます。県警察といたしましては、駅前に建設される行政センターは地域住民の利便性や交番の視認性等の立地条件にかなうことから、同センター内への交番設置を念頭に置きつつ、川口市をはじめとした関係機関と調整を図ってまいります。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 御質問六、地元問題についての(三)芝川改修事業と川口都市計画道路本町元郷線中央橋改修事業についてお答え申し上げます。 都市計画道路本町元郷線のうち、本町ロータリー交差点からエルザタワーまでの三百五十メートル区間は、川口市が平成九年度から事業に着手しております。事業着手後、順調に用地買収を進めてきましたが、芝川に架かる中央橋の架換え及び芝川の拡幅に必要となる用地の交渉が難航しており、事業が停滞していると伺っております。これらの事業を促進するためには、事業主体である川口市が権利者と交渉を重ね、事業への協力を得る必要がございます。 県では、用地事務に関する多くの経験があり、これまでも市町村から様々な用地取得に関する相談を受けております。県といたしましては、川口市の事業が円滑に進むように用地の困難案件の解決に向けて適切な助言などの支援を行ってまいります。       〔五十二番 立石泰広議員登壇〕 ◆五十二番(立石泰広議員) 再質問いたします。 一番、知事の政治姿勢及び選挙公約についての中の埼玉県知事の在任期間に関する条例、いわゆる多選自粛条例についてであります。 知事の答弁では、議会と相談をして検討したいというお話でありました。この問題については、長らく前任期の議会でも大変問題となった点であります。今回、大野知事が就任されて、上田県政の継承と発展というスローガンを掲げておりますが、この私の質問は多選自粛条例を継承し、そのまま放置されるのか、それとも別の方向を示すのかという質問であります。この判断は、やはり知事自身がするべきというふうに私は考えております。もう一度、そのまま放置されるのか、それとも別の方向性を示されるお考えがあるのか再質問をさせていただきます。(拍手起こる) ○神尾高善議長 五十二番 立石泰広議員の再質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 立石泰広議員の御質問一、知事の政治姿勢及び選挙公約についての再質問にお答え申し上げます。 先ほど、私の答弁で申し上げさせていただきましたとおり、埼玉県知事の在任期間に関する条例については上田前知事のみに適用される条例でございます。したがって、退任によって実質的な効果が失われているところ、上田前知事の任期についての中身について今変える必要があるとは思っておりません。 他方で、御指摘のとおり、条例として存在をしているこの条例の取扱いについて、どのように取り扱っていくかについては議会とお諮りをさせていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。          ---------------- △休憩の宣告 ○神尾高善議長 暫時、休憩いたします。午前十一時十分休憩          ----------------午後一時三分再開 出席議員    九十二名     一番    二番    三番    四番     五番    六番    七番    八番     九番    十番   十一番   十二番    十三番   十四番   十五番   十六番    十七番   十八番   十九番   二十番   二十一番  二十二番  二十三番  二十四番   二十五番  二十六番  二十七番  二十八番   二十九番   三十番  三十一番  三十二番   三十三番  三十四番  三十五番  三十六番   三十七番  三十八番  三十九番   四十番   四十一番  四十二番  四十三番  四十四番   四十五番  四十六番  四十七番  四十八番   四十九番   五十番  五十一番  五十二番   五十三番  五十四番  五十五番  五十六番   五十七番  五十八番  五十九番   六十番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番   八十番  八十一番   八十二番  八十三番  八十四番  八十五番   八十六番  八十七番  八十八番  八十九番    九十番  九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    一名   七十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長
    △再開の宣告 ○新井豪副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○新井豪副議長 質疑質問を続行いたします。 六十三番 鈴木正人議員       〔六十三番 鈴木正人議員登壇〕(拍手起こる) ◆六十三番(鈴木正人議員) 無所属県民会議の鈴木正人です。議長の許可を得ましたので、大野新知事を迎えて初の定例会となる今回、会派の代表という立場ではなくなったこともあり、五年ぶりに一般質問をさせていただきます。執行部の皆さんや、特に大野元裕新知事におかれましては、「県民本位」「県民が主語の県政の推進」に向けて、県民の期待も大きいことから、分かりやすく丁寧な御答弁をいただけますよう、よろしくお願いいたします。 それでは、まず大きな一、令和元年台風十五号の被害を踏まえて。 本県にも人的被害十名、強風による屋根の損壊十五棟、床上浸水一棟などの被害を出した令和元年の台風十五号でありますが、御承知のとおり千葉県においては直接被害を受けた九月九日未明から二週間以上経過した段階でも、大規模停電は八市町村、約二千三百戸で続き、いまだに千葉市緑区や君津市など九市区、百二十七件については復旧のめどが立っていないとのことであります。 この台風により、千葉県内で送電線二本と電柱八十四本が倒壊したほか、約二千本の電柱が損傷していることが確認され、東京電力によると、九日午前八時のピーク時に約六十四万戸の大規模な停電が発生いたしました。驚いたことに、一週間以上経過した十七日午後七時半時点でも六万戸余りで停電が続き、その後の復旧に時間を要したことによって、停電は異例の長期に及んだのが特徴であります。 その間、通信網が途絶した地域からは被害の報告ができず、状況が正確に把握できない状態が続いておりました。大切な水のライフラインでも、浄水場などから家庭に送るポンプが停電の影響で使えず、また、高台にたまっていた水が減ったことなどから断水が発生したため、県知事から災害派遣要請を受けた自衛隊が給水車を派遣するという事態になりました。 森田知事も、十二日の定例記者会見で情報収集などの遅れを認め、東京電力に「不眠不休でやってほしい」と発言したことが炎上する一方、県の災害対策本部から職員を被災地域に派遣していない事実も判明しております。埼玉県も、九日の被害発生以降、千葉県に対して支援できることはないかと問い合わせておりましたが、四日経過した十二日の夕方の段階まで、「今は救援は必要としていない」「千葉県も被災市町村から救援要請を受けていないので、県として要請を出していない」ということだったとも伺っております。 森田知事が、「市町村では報告が遅れているところもあるので、県の職員を出そうと思っている」と語ったのが停電から四日目の発言。報道陣から「県が情報を収集し、支援を行っていくことが必要ではなかったか」と問われると、「大きな反省材料としてやっていかなければならない」と、対応の遅れを認める形となりましたが、情報収集などの初動の遅れがライフライン復旧への混乱を招き、復旧を長期化させたという見方が広まっております。 大野元裕新知事におかれましては、国会議員時代から危機管理に関してのエキスパートとして人の命を守る政治を心掛けておりましたので、台風十五号の被害を踏まえて、本庁と地域機関の危機管理体制についても早速検討を開始していると就任挨拶でも述べられております。 そこで、埼玉県では、台風十五号被害での千葉県の対応の遅れなどの反省を踏まえて、二点ほど大野知事にお伺いいたします。 まず(一)、埼玉県はようやく支援要請のあった九月十三日から千葉県に職員を派遣していると伺っておりますが、今日までの本県から千葉県への支援の状況について、どのように貢献されてきたのかお伺いいたします。 次に(二)、今回、多くの疑問の声や批判を浴びることとなった千葉県の対応ですが、客観的に振り返ってみて、どのあたりに問題があり、県のトップの指揮官として県の対応はどうすべきであったと考えるのか、本県にも多大な被害を与えかねない台風被害による大規模停電について、今後の備えをどうされるのかお伺いいたします。 次に、大きな二、豚コレラの発生に係る対応について。 去る九月十三日、十七日に秩父市及び小鹿野町において豚コレラが発生しました。この緊急事態に対し、県は予備費を活用し、殺処分等の防疫措置を速やかに実施していること、詳細に状況報告を行うなど、これまでの対応を高く評価するものであります。 しかしながら、収束宣言がいまだ出されていない現状、更なる感染拡大の防止策や発生養豚場への支援、風評被害防止等、県として取り組まなければならないことは山積しております。 そこで、まずお尋ねいたします。 現時点での被害をどの程度と把握し、発生した農家への支援をどのように行っていくお考えなのでしょうか。 また、日々刻々と変わる状況に合わせ、今後も更なる人的、財政的な支援やワクチン接種に関して国への要望活動なども必要と考えますが、今後どのような対応を行っていくつもりでしょうか。補正予算を組まれるとも聞いております。大野知事には、危機管理対応の経験を生かして、埼玉県の畜産業を守る更なる対策を期待して知事にお伺いいたします。 次に、大きな三、北朝鮮による拉致問題解決に向けた、上田県政の継承と大野知事の方針について。 埼玉県は、上田清司前知事初当選以降から、北朝鮮による拉致問題に対して積極的に支援をしてまいりました。上田前知事は、当選直後に「救う会埼玉」が平成十五年九月に初めて開催し、以後第十弾まで続いた拉致問題を考える埼玉県民の集いを皮切りに、退任までの間、街頭署名活動やその他の集会など、合計五十八回、北朝鮮による拉致問題解決のための活動を積極的に行ってまいりました。平成二十年には、「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」も結成され、二代目会長に上田清司前知事が就任いたしました。 大野新知事におかれましても、参議院議員時代に北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会の委員として活動され、知事選挙前や選挙期間中、そして当選後もブルーリボンバッジを着用し、拉致問題解決に向けた姿勢をしっかりと見せていただいていると思っております。 一方で、さきの埼玉県知事選挙において、私自身は大野知事が県民を主語とした県民党として戦っていたと認識しておりましたが、国政における与野党対決の構図ということがマスコミで多数報道されたことによって、北朝鮮による拉致問題解決に向けた過去の上田県政における積極的な取組が継承されないのではないか、最大の人権問題である北朝鮮による拉致問題の解決のないまま、人民を飢えさせ、ミサイルや核を開発し、力しか信じない独裁国家北朝鮮の影響を受けている朝鮮学校への県の補助金が再開されるのではないかとの心配の声が、救う会埼玉や家族会の皆様などから上がっているのも事実であります。 大野知事におかれましては、地元川口からも拉致被害者や特定失踪者が多数出ており、拉致問題には真摯に取り組んでいただけると思いますが、大野新知事の北朝鮮による拉致問題解決に向けた対応と今後の方針について御所見をお伺いいたします。 続いて、大きな四、北朝鮮拉致問題啓発教材「めぐみ」と「横田滋・早紀江さんからのメッセージ」DVDの活用について。 北朝鮮による拉致被害者救出活動に欠かせないのは、何よりも国民の世論であります。国民の世論や人の人生を一生奪う人権弾圧国家北朝鮮による拉致被害者を他人事ではなく、我が身内のごとく真剣に考えて、救出を願う国民の理解がなければ、政府も本気で動こうとせず、拉致問題の解決は望めません。 しかし、平成十四年に、まず拉致被害者五人が帰国し、その後、家族が帰国できましたが、既に十七年の月日が経過し、その間、新たな進展がない中で、若い世代は北朝鮮による拉致問題すら知らない世代になっており、拉致被害者救出の街頭署名活動を行っていても、最近では若者たちの反応は薄いと感じております。 このような状況の中、最大の人権教育でもある北朝鮮による拉致問題について、若い世代に伝えることが重要であり、アニメ「めぐみ」や「横田滋・早紀江さんからのメッセージ」DVDが学校でしっかり活用されることが大切であると考えております。 産経新聞が調査した今年六月のアニメ「めぐみ」の教育現場での活用状況については、我が埼玉県は単年度として活用した学校数の把握ができておりませんでした。ただし、埼玉県の担当者は「公立学校の担当者研修などで卒業までに一度は視聴するように呼び掛けている。全学年の生徒を集めて三年に一度の上映計画を立て、別年度に異なる教材を用いることも可能だ」と説明したとも報道されており、単なる活用率アップだけでなく、生徒たちが必ず一回は拉致問題啓発DVDを見て、人権教育を学ぶことができる環境づくりが私も大切であると考えております。 また、桶川西中学校では、全国で初めて北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさん(当時十三歳)の両親のメッセージ動画を活用した公開授業が行われ、非常に有意義な授業が三年生の社会科の一環で行われましたが、こうした取組も広めていくべきだと考えております。 そこで、改めて確認いたしますが、アニメ「めぐみ」「横田滋・早紀江さんからのメッセージ」DVDの活用状況と活用率向上のための努力をどうされているのか、またDVDが配られてからの活用状況だけでなく、一度活用後も三年に一度の上映計画を立てて活用されているのか、最後に桶川西中学校での公開授業というすばらしい取組が他校に広がっているのかについて、小松教育長にお伺いいたします。 続いて、大きな五、児童相談所の体制強化について。 まず、新たな児童相談所の設置についてでありますが、全国的に児童虐待の事件が後を絶ちません。昨年三月には目黒区で結愛ちゃん(五歳)がノートに「もうおねがい、ゆるして、ゆるしてください」と書き残し、虐待死いたしました。今年に入り、一月には野田市で心愛さん(十歳)が学校のアンケートに「お父さんに暴力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたり、たたかれたりしています。先生、どうにかできませんか」と書いたにもかかわらず、虐待死いたしました。 こうした頻発する事件について、児童相談所の対応を批判することは簡単ですが、それでは問題の解決にはなりません。今、児童相談所は激増する通告件数の対応に追われ、疲弊状態にあります。県の児童相談所の通告件数は、平成二十五年度は四千二百五十五件でありましたが、五年後の平成三十年度には一万二千五百九十七件と短期間で約三〇〇パーセント増となりました。 一方で、児童福祉司は平成二十五年度、百三十九人であったのが、平成三十年度には百六十二人と一六パーセント増にしか過ぎません。また、児童福祉司一人当たりの相談件数は七十三件で、全国で一番多い状況であります。これは危機的な状況と言わざるを得ません。 こんな状況でも、本県の児童相談所の職員は頑張っております。本県において悲惨な虐待事件を起こさないため、今求められているのは児童相談所の新たな設置だと思います。今年の四月に越谷児童相談所草加支所を格上げし、県内七か所目の児童相談所が設置されました。これに引き続き、新たな児童相談所を管内人口の多い川越児童相談所と所沢児童相談所の管内区域を見直すなどして、我が県南西部地区に設置すべきであると考えております。 知事は、「日本一暮らしやすい埼玉を実現する政策集二〇一九」の中で、「相談件数の多いエリアでの児童相談所整備を進めます」と公約をしております。児童相談所は、設置しようと思っても、土地の取得、建設、人員の確保など一定の年数を要するものであります。一年や二年でできるものではありません。速やかな英断が必要であります。知事の決意とお考えをお伺いいたします。 次に、職員の増員についてでありますが、国では東京都目黒区で発生した事案を受けて、平成三十年十二月に児童虐待防止対策体制総合強化プランを策定し、児童福祉司の数について国の配置基準を見直しました。平成二十九年度時点での全国に三千二百四十人いる児童福祉司について、令和四年度には五千二百六十人へと二千二十人増員することとしております。児童福祉法施行令も改正され、人口四万人当たり児童福祉司一人の配置だったのが、三万人当たり一人の配置となりました。相当の数の児童福祉司を採用し、配置しなければなりません。首都圏の都県でも同様に採用を拡大することが必至であります。 こうした中、知事は本県の児童福祉司の増員についてどうお考えなのか、またどのように職員の育成を図っていくのかお伺いいたします。 次に、大きな六、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを前に、国旗、国歌の成り立ちや国歌の意味を小・中学校の授業でしっかり教えているのかについて伺います。 平成十一年八月の国旗国歌法制定により、国旗は日章旗とする、国歌は君が代とすると定められ、当時の小渕総理大臣も「法制化を契機として、国民の皆様方が日章旗の歴史や君が代の由来、歌詞などについて、より理解を深めていただくことを願い、学校教育においても国旗と国歌に対する正しい理解が促進され、我が国のみならず、他国の国旗と国歌についても尊重する教育が適切に行われることを通じて、次代を担う子供たちが国際社会で必要とされているマナーを身に付け、尊敬される日本人として成長することを期待しております」と述べられており、大いに賛同するものでありますが、法律制定から二十年の月日がたち、国旗、国歌に対する正しい理解が進んだのかと考えると、いささか疑問なのであります。 学習指導要領の小学校音楽科では、国歌「君が代」について、「いずれの学年においても歌えるように指導すること」となっていて、学習指導要領解説では「児童が将来、国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長するためには、国歌を尊重する態度を養うようにすることが大切である。国歌の指導に当たっては、国歌「君が代」は日本国憲法の下において日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国統合の象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念した歌であることを理解できるようにする必要がある」とされております。 しかし、実態は一般の学校で入学式、卒業式などの行事で国旗が掲揚され、国歌も斉唱されてはいるものの、日本の国歌「君が代」について子供たちはうろ覚えのまま、何の意味も分からずに歌っているのが現状のようで、小学校六年生で歌詞を正しく書けるのは二〇パーセントくらいだったというデータもあります。 また、先生方も今まで特に学ぶ機会も少なかったようであり、意味や成り立ちについて知らなかった方がほとんどで、あるアンケート結果では、意味まで分かっている先生は十人に一人であったということであります。 現実には、多くの学校では国旗・国歌の意味や成り立ちを教えることなく、特に国歌に至ってはうろ覚えの中、とりあえず式典で歌っているのが実態のようであります。現役の先生方に伺っても、音楽の教科書の最後のページに載っているので、子供たちの目には触れてはいるが、教材としてはほとんど扱われていないということのようであります。 このような実態では、世界の常識である、自分の国の国旗や国歌について、その意味をしっかりと理解した上で、誇りを持って尊重し、他国の国旗や国歌を尊重する態度とかけ離れていると言わざるを得ません。 現在も、ラグビーワールドカップが開催され、来年度は東京オリンピック二〇二〇が開催される中、ホスト国の多くの国民が自国の国歌「君が代」の意味すらよく分からず、教える教師も一割程度しかその意味が分からないまま、世界中の皆さんを日本に迎えるのはいかがなものかと考えるのであります。 君が代は、古今和歌集から千年間、人々に愛されてきた世界最古の歌詞を持った国歌であります。国歌の意味については、天皇陛下を象徴としていただく日本国民が末永くずっと平和で繁栄しますようにという祈りが込められており、世界の国歌には戦争を経て建国をして生まれた国歌も多いことから、戦いの歌も多く見受けられる中で、日本の国歌「君が代」は大変平和的な歌であります。 ある教師の方が授業で国歌「君が代」の意味や歴史をしっかりと教えるようにしたところ、子供たちのほぼ全員が感想で、「今まで知らなかったけれども、僕たちもこれから意味を考え、日本の繁栄と平和を祈って歌いたい」「平安時代からある和歌だと聞いてびっくりした」などの、自分の国に対して誇りを感じられる内容を書いていたそうであります。 このように、国歌の意味をしっかりと子供に教えるということは、国際常識から考えてみても大変重要なことであります。最近では、留学先や修学旅行などの渡航先で、「日本の国歌の意味を教えてほしい」と聞かれたときに答えられず、恥をかいたなどというエピソードも伺っております。そうならないためにも、国旗・国歌について教員もその意味を知り、子供たちにしっかり教える必要があると考えておりますが、本県はどのように教師の方に研修などで理解させ、県はその実態を調査しているのでしょうか。 また、まだまだ国旗・国歌の歌詞や意味の理解が足りない子供たちが多数いると感じておりますが、現状はどのように国旗、国歌について教育されているのか、小松教育長にお伺いいたします。 続いて、大きな七、地域包括ケアシステム構築の現状と今後の促進について。 要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を最期まで続けることができるように、地域内で助け合う体制づくりである地域包括ケアシステムでありますが、それぞれの地域の実情に合った医療、介護、介護予防、住まい、生活支援が一体に提供される体制を目指しているものの、まだまだ課題は地域によって違いもあり、課題解決に向けて各市町村の実情に合った支援体制の強化など、県の役割や更なる努力が必要であると考えております。 私自身も、地元志木市の担当課からお話も伺いましたが、「自立支援型地域ケア会議が普及するよう、介護事業所経営者向けのセミナーを開催していただきたい」「認知症サポート医の養成を支援していただきたい」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護への事業者が参入しやすいよう、補助対象費を拡大するとともに、在宅療養支援病院の設置に向け、県医師会との協議及び財政支援をしてほしい」など、地域によって抱える課題は多岐にわたり、解決に向けては独自の要望が多くあることが理解できました。県も要望に対しては真摯に受け止め、対応はしておりますが、まだまだ地域包括ケアシステム構築に向けた課題解決には、過去のモデル事業によるノウハウを構築した上で、きめ細やかな市町村支援が大切であると痛感しております。 県は、総合支援チーム派遣によるオーダーメイド・伴走型支援、ケアサポートセンターによる専門職の派遣などを行っているようですが、その派遣実績と成果について伺います。また、県民や民間企業、ケアマネジャーなどに対してどのような支援をしているのか、今後どのようにシステム構築を進めていこうと考えているのか、併せて福祉部長にお伺いいたします。 続いて、大きな八、警察官の訓練状況と警察力強化の取組について。 本年の六月二十三日に、実刑の確定後に逃走した男が神奈川県で逮捕されました。男は保釈中に実刑が確定し、横浜地検が刑務所に収容に向かったところ、職員や応援の警察官二人に刃物を振り回して車で逃走してしまったのであります。また、大阪では六月十六日に交番の巡査が刃物で襲われ、重傷を負い、拳銃を奪われたばかりでありました。大阪の巡査は、不意を襲われた不幸もあり、早い回復を願っております。神奈川の事件について、体を張って収容するのは警察の仕事だが、刺されても連れてこいというわけにもいかないとの関係者のコメントもありましたが、それでも連れてくるのが警察の仕事ということになるのだと思います。 ですから、警察官は地域で尊敬されており、そういう存在にならなくてはならず、そのための準備は必要であります。本県におきましても、近年このような事案は発生してはおりませんが、他県の術科の取組については大差はないと思います。そのような情勢において、「警察は最近、銃剣道や逮捕術を軽視していないか、これが術科の指導者の待遇にも現れているのではないか」との警察官OBの方々からの心配の声と、「警察官よ、もっと強くあれ」という激励のお言葉をいただくことがあります。 そこで、警察官の訓練状況や強化に向けて、警察本部長にお伺いいたします。 まず、警察署において術科訓練はどのように実施されているのでしょうか。警察官として採用され、警察学校で銃剣道、逮捕術の訓練を行っておりますが、ほとんどの学生は初めての体験であります。警察署での訓練の頻度はどのような状況になっているのかお尋ねいたします。 次に、埼玉県の警察官の負担は全国一重い状況で、県議会としても県と連携して警察官の増員を引き続き国に働き掛けて取り組まなければならないのですが、日常の業務に追われて術科訓練が低調なのではないか、訓練の時間不足だけでなく、警察署における指導体制が弱体化しているのではないかとの心配もありますので、警察には柔道特別強化選手、剣道特別強化選手、逮捕術特別強化選手のOBが指導者として訓練を担当している中、本来の担当の業務多忙によって術科訓練まで手が回らない、待遇も不十分で指導者として意欲も低調なのではとの心配の声に対して、実際の状況はどうなっているのかお尋ねいたします。 さらに、警察官の大部分が術科の初心者であることから、意欲的に術科訓練に参加させるためにも、術科の底辺拡大を図る必要があるのではないかと考えますが、その方策についてもお尋ねいたします。 最後に大きな九、地元問題についてお尋ねいたします。 まず、(一)国道二五四号和光富士見バイパスの早期開通について。 周辺道路の渋滞緩和のみならず、広域的な物流の効率化、それに伴う企業立地、防災機能の強化等、様々な効果が期待のできる重要な幹線道路である国道二五四号和光富士見バイパスの早期完成につきましては、私の選挙区である志木市だけでなく、関係する近隣の富士見市、朝霞市、和光市の皆様方からも早期完成を望む声が高まっております。 特に、志木市が多く関わる県道朝霞蕨線から国道四六三号線までの第二期整備区間につきましては、国道四六三号から県道さいたま東村山線までの約一・四キロメートル区間を、令和三年度に供用できるよう事業を推進すると伺っております。しかし、工事の始まった区間でも用地買収が難航している箇所や遺跡が発見され、発掘作業に追われるなど、令和三年度供用が遅れるのではないかとの心配の声も上がっております。 そうした状況の中、地元志木市長が会長を務めるバイパス建設促進期成同盟会からも早期完成に向けて国に対し、円滑な物流の確保に向け、大きな補助を得られる重要物流道路に指定していただきたいとの要望がなされております。 このように、国道二五四号和光富士見バイパス第二期整備区間が予定どおり令和三年度までに国道四六三号から県道さいたま東村山線までの間が整備され、全体としても早期完成ができるよう本県には更なる努力をしていただきたいと思いますが、早期完成に向けた取組の内容と意気込みについて県土整備部長にお伺いいたします。 次に、(二)中央通停車場線第三工区の整備について。 志木市の表玄関、志木駅東口と志木市役所を結び、重要な道路である中央通停車場線の電線の無電柱化や歩道の拡幅工事も、残りは三工区と呼ばれる本町五丁目ユリノ木通りの交差点から本町三丁目交差点手前、市道一一九三号線まで全長三百三十メートルの街路事業整備だけとなりました。こちらも、地元の皆様方から早期の完成に向けた整備の声が日増しに強くなっており、多くの該当する地権者の皆様方からも早く用地買収に協力をしたいという声が多数寄せられております。 志木市では、市役所の建替え工事もいよいよ始まる予定で、駅前から市役所を結ぶ中央通停車場線の整備の重要度は増しております。そこで、早期完成に向け、用地買収などのスピードを速めていく必要があると考えますが、現在の進捗状況と今後の見通しについて県土整備部長にお伺いいたします。 以上で一回目の質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○新井豪副議長 六十三番 鈴木正人議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 鈴木正人議員の御質問に順次お答え申し上げます。 最初に、令和元年台風十五号の被害を踏まえてのお尋ねのうち、本県から千葉県への支援の状況についてでございます。 まず、台風十五号により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。 本県では、被害の大きかった千葉県に対して、九月九日未明の台風直撃直後から人的・物的の両面から支援を行ってまいりました。まず、人的支援でございますが、九月十日に災害派遣精神医療チームとして四人を、翌十一日には災害派遣医療チームとして二十二人を派遣して、被災した病院の状況確認や患者搬送などを行いました。九月十三日からは、全国知事会関東ブロックの代表として延べ八人の県職員を千葉県庁に派遣して、現地と関東各都県を結ぶ連絡調整役として任に当たっています。例えば、ブルーシートの提供可能枚数を各都県に打診し、関東地方から一万四千枚を千葉県内の市町村に提供する調整などを行いました。 また、同じ十三日には総務省からの要請を受け、その日のうちに災害マネジメント総括支援チームとして三人を富津市へ派遣し、現在までに延べ七人が活動しています。支援チームでは、災害対策本部会議などを通じて災害対応について市長への助言や支援に関する連絡調整を行っています。 さらに、住宅被害認定調査を支援するため、県が県内の市町村と調整し、九月二十日から十二市町の職員十二人を派遣しています。翌二十一日からは、環境省からの要請により県職員一人を同じく富津市に派遣し、仮置場での災害廃棄物の仕分け指導などを担っています。 本県は、他県に先んじて職員派遣を行っており、懸命に支援をしてまいりました。物的支援といたしましては、ブルーシート計六千枚を埼玉県トラック協会に輸送の協力をいただき、富津市、八街市、多古町に提供しております。自然災害の脅威は、正に人ごとではありません。引き続き、近隣都県と協力し、千葉県に対しできる限りの支援を行ってまいります。 次に、大規模停電に向けた本県の備えについてのうち、千葉県の対応はどこに問題があり、どうすべきであったかについてでございます。 現時点までに報道されていることが事実であるならば、千葉県の対応は情報収集が十分にできず、被害状況の把握が遅れたことが一番の問題と捉えています。仮に本県でこのような災害が発生し、通信が混乱した場合、まず、地上系、衛星系の防災行政無線、さらには衛星携帯電話といったあらゆる通信手段を活用しながら市町村の情報を得ることが重要で、改めて確認をさせたところでございます。併せて、災害発生時には防災ヘリで上空から被害の全体像を把握するよう指示いたします。さらに、大きな被害が見込まれる場合には市町村にはプッシュ型で県職員を派遣し、県の災害対策本部との連絡調整を行わせたいと考えています。 次に、台風被害による大規模停電への今後の備えをどうするのかについてでございます。 今回の千葉県の台風被害は広範囲で長期に及ぶ大規模停電を引き起こし、電気だけでなく、通信、水道と、極めて重要なインフラ機能を停止させるなど、生活全般に深刻な影響をもたらすことが改めて浮き彫りとなりました。現在、長期間にわたる停電への備えとして、県庁をはじめとする県の防災拠点での電源の多重化や石油連盟との覚書による公共施設や災害拠点病院など重要施設への燃料供給体制を整備しています。 また、電源車や発電機などを速やかに配備していただけるよう、国との緊急連絡体制も整えております。避難所の電源としての電気自動車活用についても、自動車会社と協議を進めております。また、家庭や地域での備えも重要です。各家庭に対しては、彩の国だよりやイツモ防災タウンページ、停電時に役立つ情報を盛り込む新たなマニュアルブックなどにより、水、食料のほか照明用ランタンなどを備える必要性を周知してまいります。 一方、地域では災害時に助け合いの核となる自主防災組織に対し、発電機の整備を支援しています。大規模停電に対しては、行政はもちろん、家庭、地域が一体となって備えることが大切であると認識しております。 さらに、今回対応が遅れた倒木の処理など、速やかな電力復旧を支援するための方策についても検討を進めてまいります。今後行われる国や千葉県の検証結果も踏まえて、関係機関や専門家の意見も伺いながら、大規模停電への備えにしっかりと取り組んでまいります。 次に、豚コレラの発生に係る対応についてのお尋ねのうち、現時点での被害の程度と発生した農家への支援についてでございます。 本県では、県内の養豚農場での豚コレラの発生が確認された後、豚コレラ緊急対策本部において家畜伝染病予防法などに沿って、豚の殺処分などを内容とする防疫方針を速やかに決定し、実施いたしました。その結果、一例目の秩父市の養豚農場では九百二十四頭、二例目の小鹿野町の養豚農場では一千三百七頭、合計で二千二百三十一頭の豚の殺処分を行いました。これらの豚については、養豚農家が出荷できなくなりましたが、家畜伝染病予防法においては殺処分された豚の評価額について、豚の所有者に対して国から手当金が交付されることとされています。県としては、その評価額の算定に当たり、適切に処理をしてまいります。 次に、更なる人的、財政的な支援やワクチン接種に関しての国への要望活動などの今後の対応についてでございます。 本県で二例目の豚コレラの発生が九月十七日に確認されたことなどを受け、私の判断で急きょ、同日夕刻に農林水産省に対して要望活動を行ったところです。その要望の中で、私からは、関東圏への感染拡大が非常に危惧されることや、今後の感染拡大などの事態の悪化を阻止するために、必要な財政的、人的支援を講ずることを農林水産省に対し強く求めました。また、豚コレラのワクチン接種についても、そのメリット・デメリットなどを総合的に踏まえた国としての考え方の早急の整理をお願いいたしました。 農林水産省は、九月二十日に予防ワクチンの接種が可能となるよう、特定家畜伝染病防疫指針の改定に着手することを決定いたしました。本日の朝刊各紙で指針改定案について報道されておりますが、国において都道府県向けの会議が本日夕方に実施される予定と聞いております。改定案をよく精査した上で、適切に対応したいと考えております。 また、今議会において感染予防・まん延防止のための各種対策、被害農家に対する経営支援策、消費者に対する正しい知識の普及・啓発などを含む補正予算案を提案したいと考えておりますので、何とぞ議会の御協力をよろしくお願い申し上げます。 本県としては、これ以上感染区域を拡大させないという固い決意を持って、豚コレラの発生予防などの措置を的確に講じ、県内養豚業者などをはじめ、県民の皆様の不安の解消に全力を挙げてまいります。 次に、北朝鮮による拉致問題解決に向けた、上田県政の継承と大野知事の方針についてのお尋ねでございます。 北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、鈴木議員におかれても、この県議会の皆様とともに懸命に取り組んでおられたことについて感謝を申し上げます。政府においては、安倍総理がトランプ大統領へ働き掛け、米朝首脳会談において拉致問題が取り上げられました。また、先月、フランスで開催されたG7(先進七か国首脳会議)で、日本人拉致問題解決に向けて各首脳に働き掛け、理解と支持を得ました。現在開催中の国連総会でも、金正恩委員長と直接向き合う決意を示しているところでございます。 日朝首脳会談開催の期待が高まっておりますが、これまでのところ拉致問題解決に大きな進展がないことは大変残念であります。議員からは、北朝鮮による拉致問題解決に向けた積極的な取組が継承されないのではないか、朝鮮学校への県の補助金が再開されるのではないかと心配する声が上がっているとの御懸念が示されました。拉致被害者御家族の高齢化が進み、その中には亡くなられたり、また救出に向けた活動を続けていくことが難しい方も出てきております。 私は国会議員時代、「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」に所属し、「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」の筆頭理事として拉致問題解決に取り組んでまいりました。今月十四日には、「拉致問題を考える埼玉県民の集い」に出席し、飯塚繁雄代表をはじめ御家族の皆様にお会いいたしました。 私は、一刻も早い拉致被害者の救出をという御家族の切実な思いを受け止め、決意を新たにしたところであります。私がこれまで政治家として取り組んできた、人の命を守る政治は、知事となった今日も変わることはありません。拉致問題の早期解決に向けた活動など、上田県政が取り組んできたことをしっかりと継承し、進展させる覚悟でございます。 最後に、児童相談所の体制強化についてのお尋ねのうち、児童相談所の設置についての決意と考えについてでございます。 増加する虐待通告に迅速に対応し、子供の安全を確保するため、児童相談所の体制強化に努めています。令和元年度は、児童福祉司を三十五人、児童心理司を七人増員するとともに、県内七か所目となる草加児童相談所を新たに設置いたしました。平成三十年度の全国調査によれば、全国の児童相談所の管内人口の平均は五十八万九千人となっています。本県で管内人口が全国平均を下回っているのは草加児童相談所のみで、川越児童相談所と所沢児童相談所にあっては、それぞれ百十万人を上回っており、平均の約二倍に及んでいます。また、議員御指摘のとおり、埼玉県の平成三十年度の児童福祉司一人当たりの相談対応件数は七十三件であり、全国平均の四十九件と比べ突出しています。 議員からは、児童相談所の設置について大変重要な御指摘をいただきました。私は、子供を虐待から守るためには児童相談所の更なる設置が必要であると考えています。今後、管内人口や相談対応件数などを丁寧に分析し、新たな児童相談所の設置を早急に検討してまいります。 次に、児童福祉司の増員についての考えと職員の育成についてでございます。 児童虐待に迅速かつ適正に対応していくためには、児童福祉司の増員が不可欠です。国の新しい配置基準によると、本県の児童福祉司は、現在の百九十七人から令和四年度までに三百七十九人へと百八十二人増員する必要があります。国全体では二千二十人の増員が必要とされており、他の自治体においても同様に採用を拡大することから、人材の確保は難しい状況です。社会福祉士、精神保健福祉士など民間での業務経験者の採用拡大や、関東近県の福祉系大学を所長や担当職員が直接訪問し、学生に対して本県への受験を勧奨する取組を充実してまいります。また、一般事務職のうち児童福祉司に発令可能な者の活用を進めます。こうした様々な方法により、児童福祉司の増員を図ってまいります。 職員の育成については、近年の採用拡大により経験年数の短い職員が多くなっていることから、大きな課題の一つとなっています。そこで、職位ごとの研修、重大事案の検証や弁護士を講師とした法的対応を学ぶ研修などを充実させ、職務遂行能力の向上を図ってまいります。加えて、若手職員が経験豊富な先輩職員の家庭訪問に同行するOJTを実施するなど、きめ細やかな人材育成に取り組んでまいります。 未来の宝である子供たちを虐待からしっかり守り、健やかに成長できるよう児童相談所の体制強化に全力で取り組んでまいります。       〔小松弥生教育長登壇〕 ◎小松弥生教育長 御質問四、北朝鮮拉致問題啓発教材「めぐみ」と「横田滋・早紀江さんからのメッセージ」DVDの活用についてお答え申し上げます。 まず、拉致問題に関する啓発DVDの活用状況についてでございます。 DVDアニメ「めぐみ」のこれまでの活用率は、さいたま市を除く公立学校につきまして小学校九八・二パーセント、中学校九九・四パーセント、高校七八・四パーセント、特別支援学校六二・八パーセントとなっております。いずれも前年度と比較して二から七ポイント増加しております。 また、平成二十八年度に公立高校と特別支援学校に配布したDVD「横田滋・早紀江さんからのメッセージ」は、高校五四・三パーセントで、前年度と比較し十二・二ポイント増、特別支援学校は三九・五パーセントで四・六ポイント増となっております。 次に、活用率を向上させるための取組についてでございます。 これまで、アニメ「めぐみ」や「横田滋・早紀江さんからのメッセージ」などに係る教師用指導の手引を作成し、研修会などで授業での活用を働き掛けてまいりました。さらに、今年度の研修会では桶川市立桶川西中学校での実践を紹介するなど、授業での積極的な活用を促したところです。今後も、様々な機会においてアニメ「めぐみ」や「横田滋・早紀江さんからのメッセージ」の活用についての好事例を提供し、活用を働き掛けてまいります。 次に、DVDの上映計画を立てて活用しているのかについてでございます。 県教育委員会といたしましては、各学校がDVDの視聴を指導計画に位置付け、児童生徒が卒業までの間に一度はDVDを使った学習が行われるよう、校長や人権教育担当者を対象とした研修会で周知しております。 次に、桶川西中学校での公開授業の取組が広がっているのかについてでございます。 桶川西中学校での公開授業の取組につきましては、今年度、様々な研修会で紹介いたしましたところ、積極的な問合せが幾つか寄せられております。今後も、授業でのDVDの活用を働き掛けるとともに、拉致問題を人権教育にしっかりと位置付け、学習するよう、様々な機会を捉えて働き掛けてまいります。 次に、御質問六、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを前に、国旗、国歌の成り立ちや国歌の意味を小・中学校の授業でしっかり教えているのかについてお答え申し上げます。 まず、本県ではどのように教員が研修などで理解し、県はその実態を調査しているのかについてでございます。 全ての子供たちに共通して指導しなければならない内容を定めている学習指導要領では、「国旗・国歌」の意義について社会科や音楽科、特別活動において指導することとされております。例えば、小学校社会科では「我が国の国旗と国歌は、それぞれの歴史を背景に、長年の慣行により日章旗が国旗であり、君が代が国歌であることが広く国民の認識として定着していることを踏まえて、法律によって定められていることを理解できるようにすること」とされております。 また、「国旗・国歌はいずれの国でもその国の象徴として大切にされており、互いに尊重し合うことが必要であることを理解できるようにすること」とされております。 議員御指摘のとおり、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックの機会を捉え、教員に対して国旗・国歌の意義や成り立ちについて更に理解を促すことは大変重要と考えております。県としては、教員の理解を問う調査は行っておりませんが、今後オリンピック・パラリンピックを前に国旗・国歌の意義や由来などをまとめた資料を作成し、教員一人一人の理解を深めてまいります。 次に、現状ではどのように国旗・国歌について教育されているのかについてでございます。 各学校では、社会科、音楽科において指導を行うとともに、入学式や卒業式などにおける国旗・国歌の指導とを関連付けながら指導しております。例えば、九月二十四日に熊谷ラグビー場で行われたラグビーワールドカップのロシア対サモア戦において、熊谷市内の子供たちが両国の国旗を掲げ、国歌を歌って歓迎しておりました。来年は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、本県の子供たちも今まで以上に諸外国の方と接する機会が多くなると想定されます。県といたしましては、国旗・国歌の意義や尊重する態度の育成に向けて、教員の更なる理解を促すとともに、指導の充実を図ってまいります。       〔知久清志福祉部長登壇〕 ◎知久清志福祉部長 御質問七、地域包括ケアシステムの現状と今後の促進についてお答え申し上げます。 まず、総合支援チーム、ケアサポートセンターの派遣実績と成果についてでございます。 県では、きめ細やかな支援のため職員が全ての市町村を訪問し、意見交換を行い、市町村の課題や要望に合わせて専門職で構成する総合支援チームを派遣しています。平成三十年度は、県職員、リハビリテーション専門職、県社会福祉協議会などの地域づくりの専門家等を延べ五百九十八回、市町村に派遣し、支援してきました。また、ケアサポートセンターでは市町村の介護予防事業や地域ケア会議にリハビリテーション専門職を六千四十七人派遣しました。これらの取組により、現在、全ての市町村で地域の課題を話し合う協議体や介護予防の通いの場が設置されるなど、活動が広がってきているところです。 次に、県民や民間企業、ケアマネジャーなどに対する支援についてでございます。 地域包括ケアシステムの構築のためには、県民の皆様や民間企業など、様々な主体の理解や参画が必要です。そこで、平成三十年度に地域包括ケアシステムについてのアニメーション、令和元年度は認知症の理解などをテーマにした広報ツールを作成し、県民の方の理解促進に努めています。また、例えば、重い物が持てない高齢者でも商品の配送サービスがあれば、買物を楽しむことができ、外出支援につながります。 今後、こうした高齢者向けのサービス提供に関心のある企業向けにセミナーを実施するほか、現場の声を届けるため市町村と企業が交流する機会を設けてまいります。 さらに、ケアマネジャーのスキルアップを支援するため、ケアプランづくりの参考となるマニュアルの作成や研修を行ってまいります。 最後に、今後どのような地域包括ケアシステムの構築促進策を進めていくかについてでございます。 これまでの取組により、市町村における地域包括ケアシステムの基礎的な体制は整いつつあります。今後、後期高齢者や認知症高齢者などの急速な増加が見込まれることから、支え手の確保や成年後見制度の利用促進などが一層求められます。そのため、引き続き市町村の意見や状況を丁寧にお聴きし、総合支援チームなどを活用した個別支援を充実させ、地域の実情に即した地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいります。       〔高木紳一郎警察本部長登壇〕 ◎高木紳一郎警察本部長 御質問八、警察官の訓練状況と警察力強化の取組についてお答え申し上げます。 各警察署における術科は、年度当初に策定している訓練計画に基づき、各所属で計画的に術科訓練を実施しております。特に、各警察署や現場活動に従事する自動車警ら隊、機動捜査隊等については一か月に数日間の訓練日を設け、専門的知識を有する指導者の指導により柔道、剣道、逮捕術等について訓練を実施しており、原則若手はそのいずれかの日に二回以上、若手以外の者については一回以上の訓練に参加しております。加えて、各警察署においては創意工夫を凝らし、就勤時における短時間の逮捕術訓練を行っているほか、暑中稽古及び寒稽古期間を設け、集中的に訓練を実施しております。 また、警察署における術科訓練の更なる向上と警察署の訓練指導者の負担を軽減するため、警察本部の術科指導者による巡回指導を月一回から二回実施しており、この巡回指導の際には昨今の交番襲撃事案を踏まえ、交番における実戦に即した逮捕術訓練を併せて実施しております。 さらには、業務多忙等により訓練が低調な者には年に一度、警察本部の術科指導者により部招致指導も実施しております。各警察署には、柔道、剣道、逮捕術の複数の指導者を配置し、訓練を実施しており、指導者の指導力向上を図るため、年間十回の指導者講習を実施するとともに、その活動実績等に応じて各種表彰を行うなど、指導者としてのモチベーションアップも図っております。 併せて、術科の底辺拡大を図るため、若手による柔道、剣道二段以上の取得奨励や、各種大会の出場枠において二段以下の選手の出場を義務付けるなどの施策を推進しております。 以上が本県警察における術科訓練の状況でありますが、警察官が凶悪な事案に相対し、職務を遂行するためには、犯罪に立ち向かう精強な執行力が必要であり、警察官一人一人が意識を高く持ち、各種術科訓練を積極的に推進してまいります。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 御質問九、地元問題についてお答え申し上げます。 まず、(一)国道二五四号和光富士見バイパスの早期開通についてでございます。 このバイパスは、外環道から国道四六三号を結ぶ延長約六・九キロメートルの県内道路網の骨格を形成する重要な幹線道路です。これまでに外環道から県道朝霞蕨線までの約二・六キロメートル区間が開通しており、残る県道朝霞蕨線から国道四六三号までの約四・三キロメートルの早期開通に向けて整備を進めております。 現在、富士見市内の国道四六三号との交差点において立体交差工事を進めており、今年度中に橋桁の架設工事に着手する予定です。また、この立体交差南側の志木市区間においては用地買収率が九四パーセントとなっており、用地がまとまって取得できた箇所から埋蔵文化財調査や地盤改良などの工事を進めております。 今後も、残る用地の早期取得に努めるとともに、鋭意工事を進め、まずは国道四六三号から県道さいたま東村山線までの約一・四キロメートルを令和三年度に供用できるよう重点的に取り組んでまいります。 次に、(二)中央通停車場線第三工区の整備についてでございます。 この道路は、東武東上線志木駅東口から志木市役所へ向かう延長約一・三キロメートルの都市計画道路であり、これまでに約一キロメートルの整備が完了しております。現在、本町五丁目交差点から市道一一九三号線までの延長三百三十メートルを第三工区として、電線地中化を含む拡幅整備を進めているところでございます。平成三十年度から用地取得に着手し、現在の用地買収率は一五パーセントとなっており、令和元年度も引き続き用地の取得に努めてまいります。 今後も、地元の皆様の御協力をいただきながら、まずは重点的に用地の取得を進め、早期に工事に着手できるよう取り組んでまいります。          ---------------- △休憩の宣告 ○新井豪副議長 暫時、休憩いたします。午後二時五分休憩          ----------------午後三時三分再開 出席議員    九十三名     一番    二番    三番    四番     五番    六番    七番    八番     九番    十番   十一番   十二番    十三番   十四番   十五番   十六番    十七番   十八番   十九番   二十番   二十一番  二十二番  二十三番  二十四番   二十五番  二十六番  二十七番  二十八番   二十九番   三十番  三十一番  三十二番   三十三番  三十四番  三十五番  三十六番   三十七番  三十八番  三十九番   四十番   四十一番  四十二番  四十三番  四十四番   四十五番  四十六番  四十七番  四十八番   四十九番   五十番  五十一番  五十二番   五十三番  五十四番  五十五番  五十六番   五十七番  五十八番  五十九番   六十番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番  七十九番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十五番  八十六番  八十七番  八十八番   八十九番   九十番  九十一番  九十二番   九十三番 欠席議員    なし 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○神尾高善議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○神尾高善議長 質疑質問を続行いたします。 四十三番 山根史子議員       〔四十三番 山根史子議員登壇〕(拍手起こる) ◆四十三番(山根史子議員) 川越市選出、埼玉民主フォーラム、山根史子でございます。本定例会において、一般質問の機会をお与えいただきましたことに感謝申し上げます。 また、本日は地元川越市から、日頃より御支援をいただいている多くの皆様に傍聴にお越しいただきました。誠にありがとうございます。 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問させていただきます。執行部の皆様には、前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。 まず初めに、知事の県政への基本姿勢についてお伺いをさせていただきます。 大野元裕知事には、去る八月二十五日に行われました埼玉県知事選挙におきまして当選されましたことに、心からお祝いを申し上げます。大野知事におかれましては、県政のかじ取りを担う優れた資質を多く兼ね備えております。埼玉県選出の参議院議員として九年間、国政に力を注がれ、ヨルダンやシリアの外務省日本大使館書記官、民間企業の経営者、そして世界最大の社会奉仕団体ライオンズクラブで史上最年少の県代表を務めるなど、多彩なキャリアを積み重ねておられます。私たち民主フォーラムはもちろんのこと、県民の皆様、そして上田前知事も大野知事の即戦力、突破力を発揮した県政運営に大いに期待しているところです。 まず、知事にお伺いさせていただきます。 知事は、さきの知事選挙におきまして、各種世論調査で劣勢が伝えられる中、最終的にドラマを実演されるかのような大逆転の勝利を収められました。何が勝利の要因とお考えになられているのでしょうか。県民が何をどう知事に求め、期待されての審判であったと考えられているのかお聞かせください。 次に、知事は選挙戦を通じて、上田県政の継承と発展をスローガンとし、県民の皆様に日本一暮らしやすい埼玉県の実現を訴えてこられました。上田前知事が担った十六年間で、埼玉県政は大きく躍進しました。民の力を結集した「わがまち防犯隊」の成果などで、刑法犯認知件数はピーク時の三分の一までに減少しております。また、貧困の連鎖を断つ生活保護世帯の子供への学習支援は国を動かし、法律に基づく制度へつながりました。さらに、この十年間の埼玉県の名目県内総生産の増加額は全国第三位、企業本社の転入超過数は日本一です。 一方で、一貫して増加を続けてきた埼玉県の人口も近い将来減少に転じます。少子高齢化の進展により、生産年齢人口の減少や経済活力の低下も懸念されております。さらに、働き手不足や増加する単身高齢者への対応、LGBTや外国人住民をはじめとする多様な人たちが共生できる社会づくりなどの課題も山積しております。こうした課題に直ちに対応し、埼玉県の勢いを更に力強いものにしていくことが全ての県民の願いであります。 そこで、知事に伺います。社会の大きな変革期を迎えている今、県民の皆様の期待に応え、日本一暮らしやすい埼玉県を実現するために、県政のかじ取りへの意気込みをお聞かせください。 二、性的少数者(LGBTなど)の諸課題についてお伺いさせていただきます。 平成二十八年九月定例会での私の一般質問に対し、当時、上田知事が性的少数者、いわゆるLGBTなどの方への差別を解消するための条例制定の準備を進めると答弁してから三年が経過しました。質問当時、いわゆるパートナーシップ制度は全国五つの自治体で導入しておりましたが、現在は二十六自治体で導入されております。たった三年で五倍以上となった背景には、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて性的指向に対する差別を許してはいけないという自治体の積極的な姿勢を示す必要があること、また、人口減少社会を迎える中で、自治体は多様性を認め合う社会づくりの必要に迫られているという現状がうかがえます。 埼玉県にも、差別や偏見にさらされることを恐れ、ひっそり生きることを余儀なくされている性的少数者の方々が居住しております。自分らしい生き方を貫きたい、誰もが住みやすい魅力あるまちづくりをしていきたいという思いから、それらの方などが勇気を持って声を上げ、現在、埼玉県下十三の自治体でパートナーシップ制度を求める請願・陳情が採択されております。しかし、これらの自治体も近隣の自治体や県、国の動向をうかがう余り、制度導入に踏み込めていないのが現状です。 私の知人にも、性的少数者の方が多くいます。北海道に住んでいたゲイの知人は、母親にゲイであることをカミングアウトしたところ、「ゲイであることを墓場まで持っていきなさい」と言われ、隠すことの苦しみから逃れるために上京しました。その後、母親が住む自治体でパートナーシップ制度が導入されると、母親は息子に自分の言ったことを謝罪し、「市があなたみたいな子でも堂々と暮らしていいって認めてくれたんだよ。だから戻っておいで」と言ってくれたそうです。制度創設が人の意識を変えたのです。特に、地方や規模が小さい自治体では伝統的な家族観がより強い傾向にあり、根強い性的少数者への偏見と誤解があります。そして、これを解消することは喫緊の課題であると思います。 去る七月に、茨城県知事が都道府県で初となるパートナーシップ宣誓制度の導入を表明しました。その後、茨城県は県下に同制度の適用を呼び掛け、それに呼応した市町村が次々と同性カップルの市民病院における緊急手術の同意や病状説明への立会い、公営住宅の入居などを認め始めました。この制度に法的な効力はないとはいえ、県としてパートナーシップ制度を宣誓することで、基礎自治体の判断に大きな影響を与えております。 埼玉県は、東京オリンピック・パラリンピックの開催地や合宿地が点在しており、国際都市の責任としてもこの問題に積極果敢に取り組む必要があります。県下の民間企業は、自治体より早く同性カップルの福利厚生の適用や死亡保険金の受け取りなど、性的マイノリティの方々が差別を受けずに自分らしく働き、暮らしていける取組などを進められております。県内六十三にも及ぶ基礎自治体が性的少数者の人権を守れるよう、埼玉県でパートナーシップ制度を導入していただきたいと考えます。県内に暮らす多くの性的少数者の方は、知事が掲げたLGBTなどの権利を守るという公約に大いに期待しております。知事の御見解を伺います。 三、JR川越線荒川橋りょうの複線化仕様の架換えについてお伺いさせていただきます。 平成二十八年三月に国土交通省は、荒川水系河川整備計画を発表いたしました。この計画では、堤防のかさ上げと荒川第二・三調節池の大規模改良工事が行われることになっております。地元県民の一人として、私もこの計画によるこれらの事業が一日も早く完成することを期待しております。 私の地元川越市民が特に強い関心を持っているのは、堤防のかさ上げに伴うJR川越線荒川橋りょうの架換え問題です。JR川越線を単線として扱うのか、将来への複線化を見越した架換えとして扱うのかが決まってはおりませんが、それにより工事内容は全く異なってまいります。 この問題に関しては、さきの六月定例会の一般質問でも関根信明議員、日下部伸三議員が取り上げていました。当然、複線化を期待してのものでございましたが、企画財政部長の答弁では、JR東日本は現在の利用状況では複線化の必要性は低いとの見解で、JR東日本が複線化を検討するためには沿線人口などの利用者を増加させる必要があるとのことでした。県下随一の観光地としてにぎわう川越市をはじめとする沿線自治体の潜在的発展能力には高いものがあります。 特に、川越市南古谷地区は幕張メッセ規模の農地が広がり、地元ではその転用を期待する声も大きくなっております。どうしてもJRの負担で複線化ができないのであれば、この際、さいたま市、川越市をはじめとする大宮駅以西の沿線自治体に県が主導的に働き掛け、複線化の架換え工事の費用分担等を協議する場を具体的に設けてはいかがでしょうか。また、その協議をするに当たり、複線化仕様の架換えにはどのくらいの予算が必要とされるのか、JRと県の共同で調査することはできないでしょうか。 荒川第二・三調節池改良工事の最終年度は二〇三〇年となっております。タイムリミットがあり、一刻も早い県の行動が待たれております。遅くとも、来年度予算に調査費などの関連予算を組む時期に来ていると思っております。御決意も含め、以上、知事の御答弁をお願いいたします。 四、PTAの改革についてお伺いさせていただきます。 PTAは、学校にとり最高の応援団であり、良きパートナーだと言われております。これまでPTAが学校教育の中で果たしてきた役割は多大なものがあったのは事実です。しかし昨今、社会環境、家庭環境が激変しており、PTAは今大きな曲がり角に差し掛かっています。この状況を直視し、現状に合ったPTAの在り方を模索する時期が来ているのではないでしょうか。 ところで、朝日新聞が四年前に行った全国規模のアンケート調査によれば、埼玉県ではPTAの不要論が必要論を上回っているという結果が出ています。全国平均でも不要論が多数を占めており、この結果は軽視するべきではありません。それでは、不要論に賛同する方の本音は何かと探ってみますと、アンケートに寄せられている意見では、「必要だとは思うけれども、個人の負担が大きい」という声が圧倒的に多いようです。 私自身も小学生、中学生の親としてPTA役員の経験がありますが、高齢の両親の介護や共働きのため、活動するのに必要な日程を十分確保することができないなどの事情で、役員就任に苦しむ親御さんを目の当たりにしてまいりました。結局、役員の選出はほとんどの場合、くじ引きとなります。どうしても受けられない方は、多数の皆様の前で受けられない理由を述べ、納得していただくことが役員回避の条件となっているようです。それでも皆さんの納得が得られず、そのまま役員を受けないとなれば、保護者の間でいじめの対象となり、それが子供にも影響が及んでくるという事例もあると聞いております。 一方、教員は数年で異動となるため、校風の伝承者とはなりがたく、PTA役員がその役割を受け持っているという自負を持たれている方もおられます。また、PTAの役員となったことで学校の実情を把握できたり、保護者同士の人間関係の構築ができたりという利点があることも事実です。そして、何よりもPTAは学校運営を支える大きな柱の一つとなっていることは間違いありません。 今求められているのは、存続か廃止かという二つの選択肢ではなく、PTAの改革だと私は思います。PTAが担っている不要な役割はないのか、活動を簡素化することはできないのか、会費の透明性は確保されているのか、父親の参加はできないかなどなど、工夫、検討すべき点は数多くあるはずです。 特に今、高齢社会にあっては、元気な祖父母の参加を促すことは時宜にかなった判断であると思います。市町村との連携の中で、PTA改革についてどのようにお考えになるのか、教育長の御答弁を求めます。 五、がん対策についてお伺いさせていただきます。 (一)女性特有のがん患者の就労支援について。 女性のがん患者に関しては、抗がん剤による頭髪の脱毛や、乳がんでは胸の切除により見た目が変わることなどで、周囲の反応に不安を持たれるケースがあります。ホルモン治療による生殖器への副作用など、女性特有の症状が出ることなどから、就労を断念してしまうケースもあるようです。これらは女性特有の事情と言えます。 私の知人で、がん治療を受けながらも第一線で精力的に働いている女性がおります。その女性は、がんになったからこそ、がん患者の社員のために労働環境の改善に向け、今、社内改革を進めております。しかし、治療と仕事を両立できるような労働環境を整えるのはなかなか難しいのが実情のようです。 がんの治療に加え、女性特有の事情とも闘いながら就労を続ける女性に対して、県として支援はできないでしょうか。また、こうした方々への労働環境整備を企業に求めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか、併せて保健医療部長にお伺いいたします。 (二)がんゲノム医療の促進について伺います。 先日、私は福祉保健医療委員会で京都大学医学部附属病院のがんゲノム医療の取組について視察をいたしました。がんゲノム医療とは、がん関連遺伝子の異変を調べ、個々の体質や症状に合わせて効果のある薬や副作用の少ない薬を選択するなど、それぞれのがんの特徴に合った治療を行うものです。がん患者の身体的負担軽減にもつながります。この遺伝子の解析により、今まで治療が難しいと言われていた部位のがん治療にも効果が発揮された例もあるようです。 私は、この視察で、これからの時代、全てのがんが治る病気となる日は近いと感じました。埼玉県においても、次世代がんゲノム医療により多くの県民を救済していただきたいと考えますが、県立がんセンターにおけるがんゲノム医療への取組と今後の展望はいかがでしょうか、病院事業管理者にお伺いいたします。 六、健康マイレージ事業の拡充について伺います。 福祉保健医療委員会では、京都市にあるロート製薬株式会社が取り組む健康経営についても視察をしてまいりました。そこでは、社員の健康づくりに関してポイント制が採用され、会社が健康に関する幾つかの項目を立て、社員が取り組むとポイントが付与される仕組みが導入されていました。項目によりポイント数も異なり、社員は自分の健康目標と獲得目標に応じた項目を自由に選択することができます。 例えば、たばこを吸っていた人が禁煙すると、一気に一万ポイントが付与されます。ほかにもチームで競い合うような仕組みづくりなどの工夫を凝らし、社員の健康増進に非常に力を入れておられました。ためたポイントは、ロート製薬株式会社が運営するレストランでの飲食や自社製品の購入、健康診断のオプションなどに利用することができます。 さらには、有給休暇との引換えも可能です。エレベーターを使わずに階段を歩くことで選べるポイントを重ねては、夏期休暇の大幅取得を目指し、家族のために汗を流す社員もおられるとの話を聞かせていただきました。 埼玉県では、健康長寿埼玉プロジェクトで様々な取組がなされております。中でも、県民参加型の健康マイレージ事業は、楽しみながら健康づくりに取り組め、年々登録者数も増え、県民からの評価も高いようです。マイレージは、ウォーキングによりポイントがたまる仕組みでありますが、マイレージをより多くの県民が楽しみながら取り組めるものにするため、もっと広く挑戦できる項目を増やすよう見直してはいただけないでしょうか。保健医療部長に御所見を伺います。 七、健康経営を活用した働く女性の労働環境の改善についてお伺いさせていただきます。 経済産業省が二〇一八年一月、働く男女五千四百二十二名を対象に実施した「働く女性の健康推進に関する実態調査」によると、女性従業員の約五割が女性特有の健康課題などにより職場で困った経験があると回答しております。そのうちの六割の方は月経痛、いわゆる生理痛や月経前症候群などの月経随伴症状によるものと回答しております。この症状は、貧血や腹痛、頭痛、腰痛、吐き気、睡魔、憂鬱感など、症状も程度もそれぞれであり、中にはのたうちまわるほどの痛みがある方もいれば、座っていられないほどの倦怠感がある方もいます。しかも、毎月一定期間、この苦しみと闘っております。 月経の際に就労することが著しく困難な状態の場合は、生理休暇の取得が認められております。その取得率は二〇一七年五月の厚生労働省の発表によると、昭和四十年には二六・二パーセントだったものが〇・九パーセントまで減少しているとのことです。その原因として、上司が男性の場合、申請しづらい、また上司が女性であっても月経痛の経験がない方の場合、理解されづらいということが一因として挙げられます。 埼玉県では、短時間勤務制度やテレワークに取り組むなど、ワークライフバランスを推進し、女性が働きやすい環境整備に積極的に取り組んでいる企業を「多様な働き方実践企業」として認定しており、平成二十四年度の制度開始以来、これまでに約二千九百社を認定したと伺っております。こうした女性が働きやすい企業が増えることは非常に望ましいことでありますが、企業側には更に女性特有の健康課題にも理解を深めていただく必要があると考えます。 一方、二〇一三年、健康日本二一推進フォーラムが公表した「疾患・症状が仕事の生産性等に与える影響に関する調査」では、月経随伴症状などによる社会経済的負担は年間六千八百二十八億円、労働損失は四千九百十一億円と試算されております。このことを踏まえると、企業は生産性の向上のためにも女性特有の健康課題に積極的に取り組む必要があると考えます。 先ほど紹介したロート製薬株式会社では、婦人科検診の全女性社員の無料化や女性の健康に関するセミナーを開催するなど、健康経営の取組の一つとして女性特有の健康課題に取り組んでおります。 そこで質問です。埼玉県では昨年度から、従業員の健康づくりに積極的に取り組む企業を認定する健康経営認定制度を開始しておりますが、この認定基準に女性特有の健康課題への取組を加えるべきだと考えますが、いかがでしょうか。そうすることで、企業の女性特有の健康課題に対し理解が深まるとともに、企業の生産性も向上するのではと考えます。生理休暇を申請したとき、職場での「また休むの」といった空気に苦しむ女性がいなくなるよう、働く女性の気持ちに寄り添った保健医療部長の御答弁をお願いいたします。 八、外国人労働者の受入れの拡充についてお伺いいたします。 昨年十二月、いわゆる出入国管理法が改正され、今年四月一日から外国人労働者の受入れを拡大する新たな制度がスタートしました。その中で、地方自治体が対応すべき課題として、言語と住居の問題があります。言語の問題に関しては、今年六月、「日本語教育の推進に関する法律」が可決、成立し、外国人への日本語教育に関する基本理念などが示されました。この法律では、国や自治体には日本語教育の推進に関する施策を定め、実行する責務があると規定されております。 埼玉県における外国人への日本語教育推進には、県内それぞれの地域事情に合った多様な教育方法が必要ではないかと考えます。そのためには、多国籍、多文化に対応し、かつ発想豊かな民間の知恵を積極的に活用するべきではないでしょうか。NPOなどの団体が日本語教室を運営しておりますが、こうした民間団体を県として支援することで、外国人への日本語教育を充実させることはできないでしょうか、県民生活部長の御所見をお伺いいたします。 もう一つの問題は住居です。多くの外国人労働者の住居確保が受入先の企業だけでできるのか不安があります。その一方で、空き家の問題もあります。そこで、外国人労働者の住居と空き家の問題をリンクさせる取組、つまり外国人労働者の住居として空き家を活用し、受入れ拡大を図っていくことはできないでしょうか。既存制度の拡充なども考えられるかと思いますが、生活習慣の違いや文化の壁など、外国人ならではの問題の解決も視野に入れ、積極的に支援する必要があると考えます。例えば、外国人労働者を積極的に受け入れる不動産関係団体への金銭的支援や顕彰制度なども考えられるかと思いますが、都市整備部長の御所見をお伺いいたします。 九、教育支援システムの導入についてお伺いいたします。 昨今、学校や教員を取り巻く環境は急激な変化を見せております。いじめや不登校、校内暴力などの問題が依然として深刻な状況にあるほか、子供の生命、安全が脅かされる事件もしばしば発生しております。教員は、授業とは関係ない事務作業なども年々増えており、学校現場は多忙を極めております。教員の病気による休職率はここ十年、依然として高止まり状況にあります。その多くは精神疾患による休職のようです。子供と向き合う教師の精神疾患が増えているのは好ましくありません。病気の原因は多岐にわたるようですが、大きな要因として業務量の増加が考えられます。 特に、経験が少ない若い教員にとっては、授業の準備や教材作成といった本来の教育活動に十分な時間が割けないといった状況が生じているのは問題です。この問題への対応として、新潟県ではベテラン教員たちの指導計画や指導案内をデジタルデータで共有する教育支援システムを昨年四月から導入し、県下で運用しております。教員は誰でも簡単にこのシステムにログインでき、毎日の教員活動に生かせる仕組みのようです。ベテラン教員たちのノウハウを生かし、教材や研修資料の作成のヒントにして時間を短縮するだけでなく、県内の教員と連絡を取り、校外の教員とも簡単にコミュニケーションや相談ができる場としても活用されていると伺っております。教育の専門性や指導方法の継承という面でも役に立つのではないかと考えます。 そこで伺います。埼玉県でも、教員を支えるこのような取組は、若い教員にとってだけでなく、教育現場の働き方改革のためにもなるのではないかと考えます。こうした取組の導入について、教育長の御見解を伺います。 十、県道川越日高線の交差点整備について伺います。 いよいよ東京二〇二〇オリンピック競技大会の開催まで残り一年を切りました。現在、大会組織委員会をはじめ、関係者の御尽力により大会開催に向けた準備が急ピッチで進んでおります。 御案内のとおり、私の地元川越市の霞ヶ関カンツリー倶楽部ではゴルフ競技が開催されます。県外や国外から多くの観戦客が会場を訪れ、喜々とした表情を浮かべながら競技を楽しまれる情景を想像し、私も胸が高鳴ります。この大会開催に向け、川越市は会場の最寄り駅となるJR笠幡駅周辺地区において、観戦客や大会関係者の利便性と安全性を確保するため、駅前広場及び県道川越日高線へのアクセス道路を整備しました。 一方、県ではこの県道とアクセス道路との交差点の整備を進めていると伺っております。オリンピック開会まで残り一年を切っております。県道川越日高線の交差点整備について、大会中も工事中ということにはならないか心配の声も上がっております。現在の進捗状況と今後の見通しはいかがでしょうか、県土整備部長にお伺いいたします。 以上で私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手起こる) ○神尾高善議長 四十三番 山根史子議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 山根史子議員の御質問に順次お答え申し上げます。 まず、知事の県政への基本姿勢についてのお尋ねのうち、さきの知事選挙では何が勝利の要因で、県民が知事に何を期待して審判したと考えるかについてでございます。 議員お話しのとおり、本県は人口減少、超少子高齢化といった世界でこれまでに経験したことのない急激な変化に直面いたします。これまでの参議院議員としての活動や今回の選挙戦を通じ、多くの県民の皆様と接する中で、こうした将来に対する漠然とした不安や懸念の声を伺いました。県民の皆様は、社会の大きな変化にしっかりと対応し、埼玉県の未来を託すことができるリーダーを求めていると感じた次第であります。 こうした声に応えるため、現状分析に基づくきめ細やかな施策をお示しし、一つ一つ丁寧に説明させていただいたことが勝因ではないかと考えております。 次に、日本一暮らしやすい埼玉県を実現するために、県政のかじ取りを行う意気込みについてでございます。 県政の運営に当たり、これまで培ってきた知識や経験、人的ネットワークを最大限に活用し、ふるさと埼玉県のために全力を尽くす所存であります。 まず、活用したいのが参議院議員時代に培った調整能力であります。議員立法の提出には、一に調整、二に調整とも言われるように、党内はもとより他党とも議論を重ね、関係者と細部にわたって内容を詰める必要があります。私は数多くの議員立法に携わり、過去一年に参議院で提出された議員立法の約一割は私が原案を作成し、あるいは筆頭提出者となりました。こうした経験は、今後、県として取り組んでいくべき様々な政策を進めていく上で生かしていけると確信しております。 次に、外交官や中東地域の専門家として培った国際感覚です。 加速するグローバル化の中で、本県でも外国人住民は増加の一途をたどっています。一方で、多くの県民の方が海外で活躍する機会も珍しくなくなってきました。また、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを契機に、多くの外国の要人や観光客の来県も見込まれています。外交官としてのこれまでの経験や、国内外の人的ネットワークを最大限に生かすなど、国際社会の動きも踏まえながら、多文化共生社会の実現を目指してまいります。 さらには、民間企業の経営者、社会奉仕団体の代表を経験して培ったマネジメント能力です。 県民の皆様にとって、最少の経費で最大の成果を上げられるよう、私のこうした経験を生かしてまいります。 一方、本県出身の偉人、渋沢栄一翁は「論語と算盤」を通じ、経営の根底には道徳が必要であると説いておられます。私は、県政をマネジメントする上で効率性だけではなく、社会全体の利益を常に頭に置いていた渋沢翁の考え方も大切にしてまいりたいと考えております。 そして、施策の推進に当たり、何よりも大事にしたいのが県民本位、県民が主語の県政の推進であります。県民の皆様と直接お話をする「どこでも知事室」を新たに設けるなど、しっかりと県民ニーズを吸い上げてまいります。七百三十三万県民お一人お一人の生命と財産を守り、誰一人、どの地域も取り残さない日本一暮らしやすい埼玉県の実現に向け、全身全霊を傾けてまいります。 次に、性的少数者(LGBTなど)の諸課題についてのお尋ねでございます。 パートナーシップ制度は、市町村が窓口業務を行っている婚姻届出制度に代わるものとして当事者が求めているものと理解しています。このため、パートナーシップ制度は市町村において十分議論をして導入の是非を検討していくことが必要であると考えております。 現在、さいたま市と川越市において、制度創設に向け検討をしていると伺っております。県といたしましては、まずは市町村からのパートナーシップ制度についての問合せに応じて、先行事例などを情報提供するという形で支援をしてまいります。山根史子議員におかれましては、性的少数者の諸課題について、これまでも取り組んでこられましたが、私もLGBTQをはじめとする、あらゆる人に居場所のある社会を構築することが重要と考えております。 LGBTQの方への周囲の無理解による偏見、例えば職場や学校における嫌がらせやからかい、また避けられたりすることなどは、社会の中にまだまだあると考えています。特に、LGBTQなど性の在り方に悩む子供たちは親に理解もされず、一人で苦しんでいるとの報道も目にすることが多くなりました。今後、子供たちの問題を含め、LGBTQの実態を調査した上で、社会全体で正しく理解されるよう必要な支援を検討してまいります。 最後に、JR川越線荒川橋りょうの複線化仕様の架換えについてのお尋ねのうち、沿線自治体と複線化の架換え工事の費用分担等を協議する場を設けることについてでございます。 JR川越線は、大宮から川越を中心とする県西部方面を結ぶ重要な路線であり、沿線の通勤・通学の足としての役割を果たすなど、地域の重要な鉄道路線であります。国は、平成二十八年三月に荒川水系河川整備計画を定めており、荒川第二・三調節池事業の中で川越線の橋りょうの架換えを予定しています。複線化につきましては、混雑の状況、沿線開発に伴う今後の輸送状況などを踏まえ、鉄道事業者のJR東日本が判断することになっております。 JR東日本は、現在の利用状況では複線化の必要性は低いとの見解を示しています。JR東日本が複線化を検討するためには沿線開発などによる利用者の増加などが必要となり、まちづくりの主体となる地元市の意向が重要となります。このため、平成三十年十一月から県とさいたま市、川越市との打合せの場を設けており、現在、川越線の利用や橋りょうの架換えなどに関する情報を共有し、意見交換を行っているところでございます。さらに、この三者に加え、JR東日本と国も加えた意見交換の場も設けております。 次に、複線化仕様の架換えにどのくらいの予算が必要とされるのか、JRと県の共同で調査することについてでございます。 JR東日本では、複線化の必要性は低いとの見解を示していることから、現時点ではJR東日本として共同での調査に同意できる状況には至っていないとのことであります。今後、意見交換の場などを通じて、地元市やJR東日本の意向を確認し、必要な対応をしていきたいと思っています。 県といたしましては、国の橋りょう架換えに関する動向などを踏まえつつ、引き続き関係者間の検討に積極的に取り組んでまいります。       〔小松弥生教育長登壇〕 ◎小松弥生教育長 御質問四、PTAの改革についてお答え申し上げます。 保護者と教職員により構成されるPTAは、家庭や学校における教育に関して相互に理解を深める団体であり、児童生徒の健全な成長を図る上で極めて重要な役割を果たしております。 議員お話しのとおり、共働きや家族の介護など、「様々な事情から活動する時間がない」など、PTA活動に不安や負担を感じている方もいらっしゃいます。一方で、PTA役員を経験した保護者からは「同じ年代の子供を持つ保護者同士が交流する機会となった」「初めは大変だと思ったが、子供たちの成長に関わることができ、やって良かった」などの声もございます。PTA活動は、一部の保護者に過重な負担がかからず、誰もが参加できるよう配慮することが大切だと考えております。 例えば、PTA活動に関する保護者アンケートを実施し、その結果に基づき役員会議の回数を縮小するなど、活動のスリム化に成功したところもございます。また、夜間や休日のPTA活動や子供を連れての参加を認めることにより、多くの保護者が参加するようになった例もございます。 県教育委員会では、市町村や埼玉県PTA連合会と情報共有を行い、各PTAの参考になるよう役員の研修会などにおいて好事例の紹介や指導助言を行っております。今後とも、保護者の負担が軽減され、祖父母を含む多くの保護者が参加し、PTA活動がより充実できるよう支援してまいります。 次に、御質問九、教育支援システムの導入についてお答え申し上げます。 教員が他の教員と指導計画や教材等を共有し、優れた実践を学ぶことは教員の負担軽減と指導力向上に資するものと考えております。本県では、県立総合教育センターのシステムにおいて、小中高等学校及び特別支援学校における全ての教員が学習指導案や優れた授業の動画などを閲覧することができます。 一方、新潟県の教員支援システムのような、教員が日常的にメッセージを交換できる機能を本県のシステムは有しておらず、メッセージを交換できるのは研修の期間中に限られております。近年、若手教員が増加する中、教員同士が学校の枠を超えてネットワークを構築し、情報を共有する環境を整えることは重要であると考えます。 今後とも、新潟県のシステムをはじめ、他県の優れた事例を参考にしながら、本県のシステムの充実に努めるなど、教員の負担軽減と指導力向上につながる取組を更に推進してまいります。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 御質問五、がん対策についての(一)女性特有のがん患者の就労支援についてお答え申し上げます。 乳がんや子宮がんといった女性特有のがんは、比較的若い年齢でり患し、高い割合で完治が見込めますが、治療に長期間を要するものが多いといった特徴がございます。このため、がんにかかったその後の生活の支援が特に重要と考えます。県内に二十六あるがん診療連携拠点病院と県のがん診療指定病院では、がん相談支援センターをそれぞれ設置しております。がん相談支援センターでは、特に女性にとって切実な悩みであります、がん治療による外見上の変化や就労など、幅広く相談に対応し、一年間で約七万件の相談を受け付けております。 また、働くがん患者の治療と仕事の両立を支援するため、がんワンストップ相談を本年七月から開始いたしました。この相談は、仕事帰りに相談ができるよう、さいたま新都心駅近くのWith You さいたまを会場に、平日の夜間に開催しております。医療従事者のほか、患者と職場との個別調整支援を行う社会保険労務士資格を持つ両立支援促進員や、がん経験者が相談に対応しています。治療と仕事の両立に加え、母親として子供にがんをどのように伝えたらよいかといった女性ならではの相談にも、同じような経験を持つがん経験者などがきめ細やかに対応しております。 今後も、働く女性のがん患者が就労を継続できるよう、がん相談支援センターやがんワンストップ相談を通じて支援を充実してまいります。 次に、労働環境整備を企業に求めていくことについてでございます。 抗がん剤治療や長期にわたるホルモン療法など、がん治療を受けながら働くことは、副作用による体調不良などにより職場の配慮が必要になります。このため、がんワンストップ相談の両立支援促進員は、個別の状態に応じて時間単位の休暇制度の提案など、企業との個別調整を行います。また、県関係部局と連携して、がん患者の仕事と治療の両立支援をテーマにしたセミナーを開催するなど、労働環境整備の重要性を伝えてまいります。こうした取組を通じて、女性のがん患者に寄り添った就労支援をしっかりと進めてまいります。 次に、御質問六、健康マイレージ事業の拡充についてお答え申し上げます。 コバトン健康マイレージは、健康に関心のない方や忙しい就労世帯にも気軽に健康づくりに取り組んでいただくため、平成二十九年度から開始いたしました。平成元年八月末現在で約六万四千人の県民の方に参加いただいております。議員御指摘のとおり、より多くの県民の方が楽しみながら、様々な健康づくりに取り組めるようにすることは、非常に重要でございます。 利用者に行ったアンケート調査では、ウォーキングを始めたことをきっかけに、「定期的に運動することに前向きになった」「健康に対する意識が高まった」という回答を多くいただいております。これらの方々に実際に行動していただくため、ウォーキング以外の運動や様々な健康づくりを促す仕組みを検討してまいります。 例えば、民間スポーツ施設などの利用や飲食店の健康メニューへのポイント付与など、企業との連携も含め、より多くの県民の方々に健康づくりに取り組んでいただけるよう、コバトン健康マイレージを活用した様々な取組について検討を進めてまいります。 次に、御質問七、健康経営を活用した働く女性の労働環境の改善についてお答え申し上げます。 埼玉県健康経営認定制度は、従業員全員の健診受診、有給休暇取得の促進やスポーツ施設利用料の会社負担など、一定の基準を満たす取組を行うことを企業に宣言していただきます。その取組を一年以上継続した場合に、健康経営実践事業所として県が認定するものです。従業員の健康づくりに取り組むことで、従業員の活力や職場の生産性が向上し、結果的に企業価値を高めることが期待されます。これまでに一千二百三十五の事業所に健康経営に取り組む旨を宣言していただき、このうち六百七十の事業所を認定しています。健康経営を通じて女性特有の健康課題に対応することは、企業の生産性等の向上とともに、女性が働きやすい労働環境の整備につながるものと考えます。 そこで、生理休暇を取得しやすい環境の整備など、女性特有の健康課題への取組を健康経営認定制度の認定基準の項目に追加し、健康経営をしっかりと推進してまいります。 先ほどの御質問六、健康マイレージの拡充についての答弁におきまして、コバトン健康マイレージの参加人数について、「令和元年八月末現在」と申し上げるところを、誤って「平成元年八月末現在」と申し上げました。おわびして訂正させていただきます。       〔岩中督病院事業管理者登壇〕 ◎岩中督病院事業管理者 御質問五、がん対策についての(二)がんゲノム医療の促進についてお答え申し上げます。 まず、県立がんセンターにおけるがんゲノム医療への取組についてです。 平成三十年度、国はがんゲノム医療の推進体制として、専門家による検討会議を実施し、治療方針を決定する中核拠点病院と、中核拠点病院の治療方針に基づき診療等を行う連携病院の二階層を整備いたしました。がんセンターは、連携病院として中核拠点病院である東京大学医学部附属病院と連携し、患者さんに適切な治療を開始しました。中核拠点病院で行われる専門家の検討会議に延べ七十五人の医師、看護師などの多職種が参加するとともに、その症例を基に院内の専門家で検討会議を実施するなど、がんゲノム医療の知識を積み上げてきました。また、相談や検査体制の充実を図るため、令和元年七月に専門組織としてがんゲノム医療センターを立ち上げました。 がんゲノム医療の対象となった患者数は、東京大学病院の連携病院の中では最も多い三十五症例となり、有効性が認められる治療を開始した患者さんがいらっしゃるなど、がんゲノム医療の成果が着実に現れています。 次に、今後の展望についてです。 国は、対象患者の増加に対応するため、中核拠点病院と同等の診療体制を持つがんゲノム医療拠点病院を新たに整備する方針を示し、令和元年九月十九日に全国で三十四医療機関を指定しました。がんセンターは、専門家による検討会議の体制、遺伝カウンセリングの実績、治験、先進医療の実績など、いずれも高く評価され、拠点病院の一つに選ばれました。がんゲノム医療を受ける患者さんは、今までは県外の中核拠点病院に通院する必要がありましたが、これからはがんセンターで受診から治療までの全過程をワンストップで受けることができます。 がんセンターでがんゲノム医療の適用となる患者さんは、これまでの十倍以上の年間約四百症例を当面の目標としています。これらの症例数に対応できるよう、拠点病院として県内の医療機関と連携を図り、更なる先進的ながん医療に取り組んでまいります。       〔矢嶋行雄県民生活部長登壇〕 ◎矢嶋行雄県民生活部長 御質問八、外国人労働者の受入れの拡充についてのうち、民間団体に対して県として支援することで外国人への日本語教育を充実すべきではないかについてお答え申し上げます。 本県の在留外国人の数は、平成三十年十二月末現在で約十八万一千人となっており、県民の約四十人に一人が外国人住民という状況でございます。今後も一層増加することが予想される中、外国人住民との円滑なコミュニケーションを図るためには、多言語による情報の提供だけではなく、外国人住民が日本語を学習する機会を提供することも必要となっております。 本県では、約百四十のNPOやボランティア団体などが二百もの日本語教室を運営しております。多くの日本語教室では、日本語の理解度に応じたきめ細やかな学習支援はもとより、お互いの文化を学び合うイベントの開催や身近な生活相談への対応など、いわゆるよろず相談所として幅広く活動しております。外国人住民の日本語教育を推進するためには、こうした多様な取組を実施している民間団体と行政との連携が必要不可欠と考えております。 現在、県では日本語教室のスタッフ同士や行政とのつながりを深めるため、日本語教育に関する意見交換会を実施しております。また、今年五月、県内の日本語教室を対象に実態調査を行った結果、会場確保が難しいことをはじめ、日本語教室の周知が不十分であること、日本語教室のスタッフや教材の不足など、運営上の様々な課題が判明いたしました。幾つかの市や町におきましては、公共施設の優先利用、広報紙やホームページ等による日本語教室の紹介の支援などを既に行っております。市町村と県との役割分担を踏まえ、県では日本語指導のスタッフを養成する研修や教材の作成、配布などの新たな支援策について、県としてどのような対応が可能か検討してまいります。 今後も、外国人住民のよろず相談所として、多文化交流の最前線で活動する地域の日本語教室に対する支援を充実させてまいります。       〔和栗肇都市整備部長登壇〕 ◎和栗肇都市整備部長 御質問八、外国人労働者の受入れの拡充についてのうち、住居の問題についてお答え申し上げます。 外国人労働者の住居として空き家を活用し、受入れ拡大を図ることはできないかについてでございます。 外国人労働者が日本国内で就労する上で、住まいの確保は欠かせません。今後、外国人労働者が増加すれば、その数だけ住居が必要となります。 一方で、議員お話しのように、空き家を外国人労働者のための住居として活用することは、空き家問題の解決にも効果があると考えております。 国は、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」を改正して、外国人などの入居を拒まない住宅を賃貸住宅事業者が登録する制度を平成二十九年度に創設いたしました。この法改正を受け、本県では翌年平成三十年度に賃貸空き家などを活用して令和七年度までに登録住宅の目標を八千戸とする計画を策定いたしました。今後、外国人を受け入れていただける住宅の確保にスピード感を持って取り組むため、賃貸住宅事業者の登録手続の負担軽減を図ってまいります。 また、不動産関係団体などと連携し、外国人などの住まい探しを支援するサポート店の登録を埼玉県独自の制度として行っております。サポート店では、賃貸住宅の借り方や住むときのルールの翻訳、通訳サービスなどが利用できます。この制度は、国の外国人向け住宅探しのガイドブックでも紹介されるなど、高く評価されております。今後、外国人労働者の増加により住まい探しの相談が更に増えることが予測されるため、不動産関係団体との連携を強化してサポート店の登録促進に努めてまいります。 議員お話しの不動産関係団体への支援につきましては、例えば、積極的に活動を行っているサポート店を顕彰することは登録促進効果を期待できることから、不動産関係団体の意見を伺いながら検討してまいります。 今後とも、外国人労働者が円滑に住居を確保でき、安心して暮らせるよう、様々な取組を進めてまいります。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 御質問十、県道川越日高線の交差点整備についてお答え申し上げます。 県道川越日高線とJR笠幡駅へのアクセス道路との交差点につきましては、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会のゴルフ競技の開催決定を受け、平成二十九年度から右折避譲帯と歩道の整備に着手いたしました。この事業区間は、組織委員会及び東京都が取りまとめた輸送運営計画案では、JR笠幡駅から霞ヶ関カンツリー倶楽部へ向かう徒歩ルートの一部として位置付けられており、川越市の協力を得て事業を進めているところです。 地権者の皆様の御協力により、平成三十一年四月までに全ての用地取得に関する契約を終えることができました。今後は、土地の引渡しが終わり次第、工事に着手し、オリンピックゴルフ競技の開催に向けて地元川越市と連携を図りながら交差点整備を進めてまいります。          ---------------- △知事提出急施議案(第八十三号議案)に対する質疑 ○神尾高善議長 これより、急施を要する第八十三号議案に対する質疑を行います。 発言通告がありますので、これを許します。 第八十三号議案に対する質疑 七十番 木下高志議員       〔七十番 木下高志議員登壇〕 ◆七十番(木下高志議員) 第八十三号議案「令和元年度埼玉県一般会計補正予算(第一号)」について質疑いたします。 本議案は、本年十月に予定されている参議院議員補欠選挙の関係予算です。御承知のように、今回の参議院議員補欠選挙は、大野知事が参議院議員の任期を残して辞職したことを受けて行われるものであります。選挙関係費は、議会制民主主義の制度の中でも根幹であり、選挙を執行する経費は当然に認められるべきものであります。 しかし、今回行われる参議院議員補欠選挙は、知事の参議院議員辞職時期によって回避できたものでもあります。つまり、大野知事が六月に知事選への出馬を表明し、参議院議員通常選挙公示日の前日までに辞職をしていれば、特例により参議院議員通常選挙での欠員分の補充が行われ、補欠選挙を行う必要はありませんでした。このことは、多くのマスコミからも指摘され、その上で今回の補正予算額である二十二億五百五十万円もの税金が何の疑問もなく執行されるということは、県民の理解を得られないと考えております。 そこで、知事に質疑いたします。 まず、第一に、知事自身の決断から導き出された今回の参議院議員補欠選挙の執行に二十二億五百五十万円もの血税が使われることの見識を伺います。 第二に、知事は参議院議員辞任時期について、改選の参議院議員が欠員となっている間は国会議員として特に緊急事態対応のエキスパートとして有事に備えておくべきとのことから、参議院議員通常選挙前の辞職を否定いたしました。この理由を聞いて、私は胸にストンと落ちませんでした。県民の多くが同じような気持ちを抱いたのではないでしょうか。当時、衆議院が解散する可能性が極めて低いことは、本年六月二十六日に第百九十八回通常国会が閉会したことから明らかであり、改選の参議院議員欠員による緊急事態対応にどの程度支障があるのか疑問が残ります。 また、今回の参議院議員通常選挙は参議院議員の任期中での施行であり、仮に衆議院の解散中であっても有事の際には改選中の参議院議員の召集がされるものであり、知事は緊急事態対応のエキスパートとして自認なさっておりますが、見識違いと思えてなりません。 これらのことから考えると、選挙前から既定路線としてマスコミで騒がれていた上田前知事とのバーターを狙った辞職との疑念が否めません。県知事就任に当たり、県民の誰もが納得し、県民はもとよりマスコミの方々を含め、みんなの胸にストンと落ちる説明をするべきだと考えます。知事の明快な見解を伺います。 第三に、大野知事の政治家としての姿勢についてです。 政治家としては、自らの進退によってどのような選挙が必要となり、どれだけ多大な経費が伴うかについても向き合うべきだと考えます。実際、参議院議員選挙に出馬する際に知事選挙を参議院議員通常選挙と合わせる形で上田前知事が辞任していれば、八月の知事選挙の経費も大幅に削減することができましたし、もとより参議院議員補欠選挙の経費が生じることもなかったわけであります。 選挙は、民主主義を支える重要な制度であります。その中で、効率、効果的に運用を示していくのは政治家の務めではないでしょうか。知事の所見をお伺いいたします。(拍手起こる) ○神尾高善議長 七十番 木下高志議員の質疑に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 木下高志議員の第八十三号議案「令和元年度埼玉県一般会計補正予算(第一号)」に対する質疑にお答え申し上げます。 まず、今回の参議院議員補欠選挙の執行に二十二億五百五十万円もの血税が使われることについてでございます。 今回の参議院議員補欠選挙は、欠員が生じたことにより公職選挙法の規定に基づき、県の選挙管理委員会が管理執行するものでございます。補欠選挙に要する経費は、民主主義を支えるための必要なコストでありますが、約二十二億円の貴重な税金が使われることを重く受け止め、適切な執行に努めてまいります。 次に、参議院議員辞職時期の疑念について、県民の誰もが納得する説明をすべきについてでございます。 私の参議院議員の辞職時期の判断については、知事としてお答えする立場にはございませんが、御質問いただいたことをしっかりと受け止め、知事就任前の参議院議員の立場からお答えをさせていただきたいと思います。 今回の参議院議員通常選挙の公示前には、衆議院解散による衆参同時選挙の可能性も取り沙汰されておりました。また、通常国会の閉会後に臨時国会を開いて解散する、いわゆる「死んだふり解散」も含め、様々な事態が想定される状況でございました。仮に、衆議院の解散後に有事となった場合には、国権の最高機関である国会の権能を代行する参議院の緊急集会の開催が想定されます。この緊急集会を含めた緊急事態対応については、国会議員の任期延長や衆議院解散後の日程を定めた憲法規定の改正の必要性などが国会の場で現在議論されているところです。 つまり、憲法第五十四条のとおり、衆議院解散から四十日以内に選挙を実施することについて、有事の際においても実施できるのか、現行の制度で足りるとは限らないというのが本件に関する憲法改正論者の認識であります。 このような有事の事態となった際に、私が何の役割も果たすことができないとすれば、有事分野を専門としてきた政治家として一生後悔が残るとともに、国会議員としての責任の放棄になると考えました。このような考えの下、参議院議員通常選挙後に召集された臨時会に全ての国会議員が初登院する八月一日をもって辞職願を提出させていただいたものでございます。私の参議院議員の辞職に関係し、様々な事実が積み重なり、結果的に誤解が生じたとすれば、知事の立場としては議員、県民の皆様に真摯かつ丁寧に説明をさせていただきたいと考えております。 最後に、選挙は民主政治を支える重要な制度であり、効率、効果的に運用を示していくのは政治家の務めであることについてでございます。 選挙は、民主主義の根幹をなすものであり、国民の重要な権利の行使であることから、それぞれの政治家はこの重さを十分に踏まえ、自ら出処進退を判断すべきものと考えます。 また、選挙に係るコストを縮減するのであれば、本来的には制度の改正で対応するべきものであり、さきの通常国会において唯一の議員定数削減法案を当時、参議院議員であった私が筆頭提出者となって提出をさせていただき、審議をお願いしたところでございます。 知事としての立場において、選挙に係る経費を含めた行政コストの縮減、適正化は非常に重要であると考えますので、この点を踏まえ、しっかりと県政運営に取り組んでまいりたいと考えております。 ○神尾高善議長 ほかに発言通告がありませんので、質疑は終了いたしました。          ---------------- △知事提出急施議案(第八十三号議案)の企画財政委員会付託 ○神尾高善議長 次に、急施を要する第八十三号議案の付託を行います。 本定例会に提出された議案のうち、急施を要する第八十三号議案につきましては、企画財政委員会に付託いたします。          ---------------- △次会日程報告 ○神尾高善議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 企画財政委員会においては、本日の本会議散会後、委員会を開き、付託案件の審査を願います。 明二十八日及び二十九日は、休日につき休会といたします。 来る三十日は、午前十時から本会議を開き、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行し、企画財政委員会に付託いたしました急施を要する第八十三号議案について、企画財政委員長の報告を求め、質疑、討論及び採決を行います。          ---------------- △散会の宣告 ○神尾高善議長 本日は、これにて散会いたします。午後四時十五分散会          ----------------...