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  1. 埼玉県議会 2019-06-01
    06月27日-06号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    令和 1年  6月 定例会六月定例会  第十一日(六月二十七日)令和元年六月二十七日(木曜日)第十一日 議事日程 一 開議  午前十時 二 監査結果報告(埼玉県県央地域振興センターほか百五十八か所) 三 陳情の報告 四 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問    二十四番  吉良英敏議員 五 特別委員会の設置    県庁舎建替え等検討特別委員会 六 県庁舎建替え等検討特別委員の選任 七 県庁舎建替え等検討特別委員会正副委員長の互選結果報告 八 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問(続行)    四十一番  永瀬秀樹議員     五十番  日下部伸三議員 九 第七十一号議案~第八十一号議案及び請願の各委員会付託 十 次会日程報告    六月二十八日(金)、七月二日(火) 議案調査    六月二十九日(土)、三十日(日) 休日休会    七月一日(月)~三日(水) 委員会    七月四日(木) 休会    七月五日(金) 午前十時開議、委員長報告、質疑、討論、採決 十一 散会          ----------------本日の出席議員    九十三名         一番  金野桃子議員         二番  岡村ゆり子議員         三番  平松大佑議員         四番  柿沼貴志議員         五番  高橋稔裕議員         六番  逢澤圭一郎議員         七番  山口京子議員         八番  千葉達也議員         九番  渡辺 大議員         十番  松井 弘議員        十一番  高木功介議員        十二番  深谷顕史議員        十三番  白根大輔議員        十四番  町田皇介議員        十五番  秋山もえ議員        十六番  八子朋弘議員        十七番  杉田茂実議員        十八番  江原久美子議員        十九番  木下博信議員        二十番  宮崎吾一議員       二十一番  関根信明議員       二十二番  藤井健志議員       二十三番  美田宗亮議員       二十四番  吉良英敏議員       二十五番  松澤 正議員       二十六番  宇田川幸夫議員       二十七番  橋詰昌児議員       二十八番  辻 浩司議員       二十九番  東間亜由子議員        三十番  守屋裕子議員       三十一番  松坂喜浩議員       三十二番  並木正年議員       三十三番  石川忠義議員       三十四番  中川 浩議員       三十五番  浅井 明議員       三十六番  飯塚俊彦議員       三十七番  横川雅也議員       三十八番  内沼博史議員       三十九番  岡田静佳議員        四十番  細田善則議員       四十一番  永瀬秀樹議員       四十二番  安藤友貴議員       四十三番  山根史子議員       四十四番  井上将勝議員       四十五番  前原かづえ議員       四十六番  秋山文和議員       四十七番  井上 航議員       四十八番  岡 重夫議員       四十九番  醍醐 清議員        五十番  日下部伸三議員       五十一番  小久保憲一議員       五十二番  立石泰広議員       五十三番  新井 豪議員       五十四番  荒木裕介議員       五十五番  岡地 優議員       五十六番  白土幸仁議員       五十七番  小川真一郎議員       五十八番  権守幸男議員       五十九番  萩原一寿議員        六十番  水村篤弘議員       六十一番  高木真理議員       六十二番  村岡正嗣議員       六十三番  鈴木正人議員       六十四番  武内政文議員       六十五番  中野英幸議員       六十六番  須賀敬史議員       六十七番  新井一徳議員       六十八番  梅澤佳一議員       六十九番  中屋敷慎一議員        七十番  木下高志議員       七十一番  諸井真英議員       七十二番  杉島理一郎議員       七十三番  齊藤邦明議員       七十四番  塩野正行議員       七十五番  蒲生徳明議員       七十六番  山本正乃議員       七十七番  木村勇夫議員       七十八番  柳下礼子議員       七十九番  神尾高善議員        八十番  岩崎 宏議員       八十一番  高橋政雄議員       八十二番  田村琢実議員       八十三番  小林哲也議員       八十四番  本木 茂議員       八十五番  宮崎栄治郎議員       八十六番  齊藤正明議員       八十七番  小島信昭議員       八十八番  小谷野五雄議員       八十九番  長峰宏芳議員        九十番  石渡 豊議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  浅野目義英議員       九十三番  田並尚明議員 欠席議員    なし地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   上田清司  知事   奥野 立  副知事   飯島 寛  副知事   石川英寛  企画財政部長   北島通次  総務部長   矢嶋行雄  県民生活部長   森尾博之  危機管理防災部長   小池要子  環境部長   知久清志  福祉部長   関本建二  保健医療部長   加藤和男  産業労働部長   牧 千瑞  農林部長   中村一之  県土整備部長   和栗 肇  都市整備部長   上木雄二  会計管理者   立川吉朗  公営企業管理者   岩中 督  病院事業管理者   砂川裕紀  下水道事業管理者   小松弥生  教育長   富田邦敬  警察本部長             発言(質問)通告書  六月二十七日(木)議席番号 氏名      要旨 答弁者二十四番 吉良英敏議員  1 これからの学校の在り方について 教育長             2 教員の負担軽減について 教育長             3 教育現場の声について 教育長             4 子ども食堂の支援について 福祉部長             5 市町村に対する支援の在り方について 企画財政部長             6 公共交通の在り方について 企画財政部長             7 商店街支援の在り方について 産業労働部長             8 シルバー人材センターの在り方について 産業労働部長             9 県営公園の在り方について 都市整備部長四十一番 永瀬秀樹議員  1 行政のスマート化について 企画財政部長 産業労働部長             2 今後の街路樹のあり方について 県土整備部長             3 災害拠点病院の備蓄強化について 保健医療部長             4 密集市街地の改善について 都市整備部長             5 屋内五十メートルプールの整備について 県民生活部長             6 県産木材の利用促進について 農林部長             7 地元問題              (1) 川口市北東部への新たな警察署の設置について 警察本部長              (2) 川口駅のホーム新設について 企画財政部長 五十番 日下部伸三議員 1 令和二年度の国の施策に対する提案・要望について              (1) 医学部の新設について 保健医療部長              (2) 新専門医制度導入に伴う専攻医の都市部集中について 保健医療部長 企画財政部長              (3) 東京一極集中の是正について 企画財政部長              (4) 鉄道新線建設における支援制度の拡大について 〃             2 順天堂大学医学部附属病院分院誘致の進捗状況及びタイムスケジュールについて 保健医療部長             3 県立病院地方独立行政法人化の進捗状況及びタイムスケジュールについて 病院事業管理者 福祉部長             4 救急現場のDNAR(心肺蘇生不実施)について 危機管理防災部長 保健医療部長             5 治安とプライバシーについて 警察本部長             6 架換えが決定しているJR川越線の荒川橋りょうの複線仕様について 企画財政部長             7 埼玉県指定文化財の維持管理について 教育長          ----------------午前十時四分開議 出席議員    九十三名     一番    二番    三番    四番     五番    六番    七番    八番     九番    十番   十一番   十二番    十三番   十四番   十五番   十六番    十七番   十八番   十九番   二十番   二十一番  二十二番  二十三番  二十四番   二十五番  二十六番  二十七番  二十八番   二十九番   三十番  三十一番  三十二番   三十三番  三十四番  三十五番  三十六番   三十七番  三十八番  三十九番   四十番   四十一番  四十二番  四十三番  四十四番   四十五番  四十六番  四十七番  四十八番   四十九番   五十番  五十一番  五十二番   五十三番  五十四番  五十五番  五十六番   五十七番  五十八番  五十九番   六十番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番  七十九番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十五番  八十六番  八十七番  八十八番   八十九番   九十番  九十一番  九十二番   九十三番 欠席議員    なし 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △開議の宣告 ○神尾高善議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △監査結果報告(埼玉県県央地域振興センターほか百五十八か所) ○神尾高善議長 この際、報告をいたします。 監査委員から埼玉県県央地域振興センターほか百五十八か所に対する監査結果の提出がありましたので、御報告いたします。〔参照-(一四二)ページ〕          ---------------- △陳情の報告 ○神尾高善議長 次に、前定例会から今定例会までに提出された陳情につきましては、一覧表をお手元に配布しておきましたので御了承願います。          ----------------知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問 ○神尾高善議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。 発言通告がありますので、順次これを許します。 二十四番 吉良英敏議員       〔二十四番 吉良英敏議員登壇〕(拍手起こる) ◆二十四番(吉良英敏議員) 皆さん、元気ですか。東十一区、幸手市、杉戸町選出の埼玉県自由民主党県議団の吉良英敏でございます。本日は、地元から非常にたくさんの支援者の皆さんにおいでいただきましたこと、まずもちまして心より御礼を申し上げます。 そして、今日の質問は「自由」をテーマに質問させていただきます。そして、この夏は知事選挙もございます。これまでの四年間、そしてこれからの埼玉県のためにもしっかりと検証させていただきながら、質問に入らせていただきます。 初めに、一、これからの学校の在り方について。 埼玉県の小中学校では、働き方改革の一環で午後六時前後からの留守電体制が進んでいます。すなわち先生はもう夕方学校にいないんです。既に県内二割の市町村で導入済みで、これから全県に広がる予定であります。「苦情はない」「緊急時にはしっかり対応する」聞くとそんな答えは返ってきます。現在の学校には例えばスクールカウンセラー、ソーシャルワーカー、支援員、相談員、様々な人が学校を支援し、教員を支えています。さらに最近では部活指導員、スクール・サポート・スタッフも取り入れています。これは学校の変わらぬ役割と責任を果たすために、こうした新たな支援体制を築いてきた。これは重要なことだと思います。しかし、留守電となると、これは学校そのものの在り方が変わるのではないかと思うんです。 これからの学校をどのようにしていくのか。近年、学校と地域が一体となって運営し、盛り上げるコミュニティ・スクールが話題です。国の努力義務規定ではございますが、今年埼玉県は四百校以上に拡大する見込み。学校外の様々な協力で教員の負担も軽減されるものと期待しております。しかし、今後の計画では五か年で六百五十校にするという目標数。それは全体の六割程度であり、非常に中途半端に感じます。 なぜ全ての学校でやる目標でないのか、努力義務だからですか。まず、これを教育長に伺いたいと思います。 こちらを御覧ください。私のうちです。これは、私が地域の方々と運営している小学生対象のきらきら☆こども塾の風景です。大学生が小学生に化学の授業をしています。次に、こちら。車に自由に色を塗るアートの授業です。ちなみに、この車は私の街宣車です。おかげで乗れなくなりました。全く意味のない作業。しかし、後で子供たちの日記を見ると、これが一番楽しかったと言うんです。しかも、よく見てください。この車にはプロペラがついています。 どうでもいい話と思うかもしれませんが、子供たちは真剣な顔をしてこう聞いてくるんです。「先生、これ本当に飛べるのか」。「飛べるはずないだろう」。ただ、子供たちに「飛べるようにしてほしい」と言うんです。この塾には物理を教えて、あるいは化学や数学の大切さ、さらには英語の必要性を肌で実感させる、そんなプログラムを作っています。 正に興味はつながり、そしておもしろさを教えます。そして、このこども塾、公共機関などはチラシ一枚も置いてくれません。しかしながら、ネットの申込み、開始数時間でいっぱいになる。とても人気があるんです。学校以外で完全にやり切るプログラムです。コミュニティ・スクールでもこのような取組ができるのではないか、私は大きな期待をしています。 話を戻します。本気でコミュニティ・スクールを拡大させるのであれば、例えば夕方や土日をはじめもっと学校を開放すべきだと私は思っています。しかし、実際には留守電の閉店ガラガラ。やっていることがある意味、正反対に思えるんです。コミュニティ・スクールのこの拡大方針の一方で、この留守電体制、この二つの整合性について、教育長にお伺いをいたします。 さて、先生が生徒を評価する、これはよくある話です。でも、逆に生徒児童が学校を評価している事例を御紹介いたします。現代の小学生は八割の子が習い事に通っています。学習塾に限って言えば四五・八パーセント、小学生の約半分は学校以外でも勉強しています。そんな塾に通う子供たちにベネッセ教育総合研究所が意識調査をしました。授業の分かりやすさ、満足度はいずれも塾の方が高い。しかし、学校が上回っている項目が一つだけありました。何だと思いますか。「生徒・児童の話を聞いてくれるのは学校か塾か」、こういった項目です。学校が塾に唯一勝っているものでした。 皆さん、埼玉県内の子供を取り巻く環境はどうでしょうか。児童虐待通報件数は十一年連続で過去最多、児相はいっぱい、里親も足りない。いじめ。自殺。近年、自殺が減ったと言われておりますけれども、子供たちの自殺は減っていないですからね。十代が一番多い。そして不登校、どれだけ増えているか。そんなときに、帰っちゃうんですか、通じなくなっちゃうんでしょうか。子供たちの声、聞こえていますか。 しかし、ここまで言って申し上げるのもなんですが、私は決して留守電に反対しているわけではないです。こちらのパネルを御覧ください。子供たちを育む環境を分かりやすく図にしたものです。学校と家庭の重なったところがPTA、学校と地域が重なったところがコミュニティ・スクールとなるでしょう。そしてこちら。そして、これが現在の状況を踏まえた図です。留守電で学校の範囲は縮小、家庭も核家族化で縮小、地域の部分は学童、あるいは子ども食堂、あるいは私の塾のような学校外の教育活動で大きくなっている。むしろ近年は、私は学校は大き過ぎた、任せ過ぎていたんじゃないかなとも思います。いずれにせよ、相対的にバランスよく子供たちを支えられればいいと思うんです。 さらに話を進めます。県は、教員を増強して今までの学校の役割を果たそうとするのか、もしくは教員を増強せず学校の役割を縮小させるのか。例えば、こういう見方からすると県の立場は前者だと思うんです。なぜなら教育長は、教員の増員に対して「国に要望していく」とおっしゃっています。しかし、ここで問題なのは、国へ要望するということは何もしないということ。やるというのは、自分たちの県の予算で教員を増やすということ。 そこで、質問に入ります。 一つ目、これまで教育長は、教員の増員に対して「強く国へ要望する」と言い続けてこられました。どれぐらいの効果がこれまであったのか、前進したことはあるのか伺います。 そして二つ目、県の予算で教員を増員しない理由を伺います。 そして三つ目、教育長は「これまでも、これからも学校の役割は変わらない」そうおっしゃいます。しかし、増員もできない、留守電もするでは、これからの学校の役割と責任を果たすことはできないと思うんです。教育長はどのようにこれを果たしていくのか。覚悟とか熱意とかそういうのではなく、具体的に考え方と政策をお示しください。 次に、二、教員の負担軽減について、従来とは全く違う観点から質問します。 埼玉県は、年に二億円以上かけて県学力調査を四年間実施してきました。以前、岡田議員にも取り上げていただきましたこの県学力調査、これは児童・生徒一人一人の学力の伸びを測れるメリットがあります。そして、伸びの大きいクラスを特定して、担当の教員の効果的な指導方法を抽出して全県で共有することができるそうです。しかし、これは同時に、先生の能力を測る一つの指標になっています。先生や学校こそ総合的に評価されなければならないのに、調査結果が現場に強烈な影響を与えているのも事実です。様々な現場の声を聞いてみると、それによる教師の点数化、学校の点数化が負担となり、先生も児童も四月の試験対策に追われているという声も聞こえてきます。 そこで、質問をいたします。調査の目的と効果は理解はいたしますけれども、一方で、現場にどのような影響を及ぼしているのか把握されているのでしょうか。また、教員や学校へのバランスのとれた評価はどのようにされているのでしょうか。そして、このような負担に対し具体的にどのように対応していくのか、教育長の見解を伺います。 次に、現場の負担といえば、小学校の英語の必修化であります。来年度から学習指導要領の改訂で英語が教科化され、小学校三年生・四年生は年間三十五時間、五年生・六年生は七十時間導入されます。しかし、まず心配なのは、小学校には英語の専門の先生はいないということです。では、誰が教えるのか。そのときの担任の先生です。ちなみに、小学校の教員の試験には英語指導の科目がありません。本当に英語が教えられるのか。 さらに、この英語が負担となっている理由として、どこの授業も削っていないということです。小学生に一日七時間授業は大変だろうということで、朝や昼に数分ずつ分散させたり、総合学習の時間なら削ってもいいということになっている。もはや総合は何でもありです。 今年の予算では、教員の英語指導力の養成ということで、各小学校から一名を研修、七百人対象、一千万円の予算、むしろこの規模の準備で大丈夫かと思いますが、既に事業は始められています。県はALTやボランティアスタッフを十分に配置するから大丈夫だと言いますが、現場の声を聞くと一様に足りないと言われます。 そこで、質問します。教員の英語指導力、ALT、ボランティアスタッフの配置、現状と照らし合わせ、現場の環境がどこまで整っているのか明確に教えてください。そして、英語教科化による教員負担の認識と対策を伺います。 まだやります。次に、三、現場の声を届けているのか。私は、英語必修は本当に必要なのかと率直に思うときがあります。地元の先生ともよく話すのですが、例えばスマホの普及率は今八五パーセント、便利なアプリ、特に翻訳アプリはすごいです。日本語をしゃべれば同時通訳し、スマホがしゃべってくれます。是非ここで実演したいと思うのですが、スマホの持ち込み許可はいただけませんでした。また、別のアプリでは、スマホカメラで写すと何と英文のところだけが日本語に置き換えられて写ります。実際やるともうドラえもんの世界です。来年には5G、加速度的に進むAI、既にメガバンクが大幅な業務削減を進める中で、なくなると言われている職業が通訳です。これほど多様で進歩する中で、日本の画一的な底上げ型の英語教育で大丈夫か、そう思うときがあります。 また、別の先生とも話しました。語学は必要に迫られないと身に付かないし、無理やり教えてもつまらない。しかも小学校三年生、九歳の自由な英語活動にどんな評価をするのか。あるいは中学校においては週に国語が三時間、英語は四時間です。私たちの言葉は大丈夫なのか、心配をしている現場の声は少なくありません。これはまた、例えばプログラミングの教育、あるいは道徳の必修化でもたくさん声をいただきました。これは県の教育全体のガバナンスの問題でもあります。 そこで、質問に入ります。このような現場の教員が不安や不満を感じている現状をどのように認識し、対応しているのか。さらに、英語に限らず現場の声を国に対しどのような機会でどのように届けているのか、具体的にお示しください。 次に、四、子ども食堂の支援について伺います。 子ども食堂は今、全国に広がっています。三年前の二〇一六年に全国で三百十九か所だったものが、現在は三千五百か所、三年で十倍以上です。いかにニーズがあるのか、この数字が如実に表わしています。県は、全国に先駆けて子ども食堂を県内全ての小学校校区八百か所に設置する目標を掲げています。しかし、地域によって状況は様々、統廃合目前の地域も少なくない中で、なぜ均一設置なのか。地元のあるPTAの総会で全校区に設置する、その話をしたときに明らかに首をかしげられる場面もありました。埼玉県はこの四年間、地域包括ケアシステムをはじめとする福祉政策で市町村単位で任せる御当地主義、あるいは部局横断的に取り組む方針を掲げてこられました。 そこで、福祉部長に伺います。子ども食堂のニーズをどのように把握をして今回この目標、計画を立てられたのか、なぜ今回の場合は御当地主義でなく均一設置の目標にしたのか、根拠を教えてください。さらに、全校区に設置するのであれば、子供の移動負担などを考慮すると学童もある学校内でやることが安心で効率的と考えますが、なぜやらないのか、御答弁をお願いいたします。 次に、子ども食堂の拡大が更にニーズを掘り起こしてしまっている現状について質問します。 幼児教育も無償化、学童クラブも増やす、食事も提供する、ただならもらう、無償なら預ける、自腹を切るのはあほらしい、作れば作るほど、無償化すればするほど需要が増えていく。時としてまじめに頑張っている人がばかを見ることにもつながりかねない。かえって家庭や地域の責任や力を弱めてしまうときもある。昭和のときに貧しくても子供たちのために我慢をし、頑張れたのは希望があったからです。今は希望のない社会、夢のない政策を行っている、そう言っても過言ではないかもしれません。 そこで、以下、福祉部長に質問いたします。 一つ目、子ども食堂が本当に必要な子供に当てられる工夫はどのようにされていますか。 二つ目、そもそも子ども食堂のニーズが起こらないために、要は子ども食堂がなくてもいい世の中にするための県の希望ある方針と、子育て環境はこうあるべきだという基本的な考え方を教えてください。 次に、五、市町村に対する支援について伺います。 私は、これまで地方創生に関わる政策は失敗だったと思っています。その理由は、現在の状況を見れば明らかです。その大きな要因の一つに、時代に合った政策に転換できなかったことが挙げられます。 具体的に申し上げます。例えば、埼玉県ふるさと創造資金などは市町村に対して補助金を支給していますが、その額は膨大。「あのイベントをやってどれだけ効果があったんだ」と地元で言われることがあります。肝心なことは、掛けたお金に対し何が得られたのか。市町村に対する幅広いまちづくり系の補助金は、自腹だったらやらないが補助金があればやるということになりかねない。さらに、こういった補助金がどんどん地域の弱体化も招くと言われることもあります。「まちづくりの補助金は麻薬だ」と、そこまで言う人さえいます。 そこで、質問いたします。市町村の支援の際に、地域コミュニティ、にぎわいなど具体的に何の要素を優先して支援していますか。また、それには例えば投資的な発想だとか、どのようなイメージを持って支援しているのですか、お示しください。 さらに、支援に対する結果をどのように確認をしているのか、成果指標は明確か、企画財政部長に伺います。 次に、六、公共交通の在り方について伺います。 二〇一七年の国の調査では、高齢者世帯の半分は既に一人暮らしであります。二〇三五年には全世帯の半分が一人暮らしと予測をされております。十五年後には日本は一人暮らし中心の社会になります。そのような中で、これまで公共交通に関して言えばたくさんの質問がありました。「市町村の地域公共交通会議に関わりながら支援、調整する」そういった答弁は何度も聞きました。しかしながら、なぜ依然として課題が残っているのか。県は自ら主体的に解決させるという意識が足りないと思います。今後、最大の問題になるであろう住民の足の問題、さらに踏み込んで支援する姿勢が必要だと思いますが、今後どのように取り組むのか。特に今までと違う取組、プランを企画財政部長に伺います。 そして、文句ばかり言っていられないので新しいアイデアを提案いたします。今シェアリングエコノミーが注目されております。所有から共有の時代です。先日訪問した台湾では、自転車をシェアしていました。アメリカ、ヨーロッパでは車をシェアしている都市も増えています。例えば、私たちの身近で言うと県内に点在する産業団地の朝夕走るこうした企業の送迎バス、あるいは頻繁に行き来する福祉関連のバスの空き時間、あるいは空きスペース。これをシェアすることができればより低負担できめ細かいサービスが構築できます。 県はよく産官連携を強調しますが、県主体で積極的に踏み込むときです。また、市民、県民の生活圏は明らかに広がっています。従来の市町村の枠にとらわれない広域的なネットワークも必要です。 そこで、従来の単なる支援という程度ではなく、より具体的なビジョンを持って取り組むべきと考えますが、今申し上げたバスのシェアも含めて、企画財政部長の御所見を伺います。 次に、七、商店街支援の在り方について質問いたします。 埼玉県がこれまで掲げてきた稼ぐ力の強化、地域経済の中心として商店街を支援してこられました。私もこの支援は必要だと思います。しかし、県内にはどれぐらいの商店街があるか。とにかくたくさんあります。そして、現状どれぐらいの商店街が盛り上がっているのか。また、現在の商店街のシャッター率はどれぐらいか。相当あります。そもそも商店街の役割は、商品を仕入れて売ること。物がない時代、人の移動手段が限られていた時代に機能したものです。すなわち、今の物にあふれ、移動が自由に広域化した現代において、昭和型の商店街は役割を終えていると言っても過言ではありません。 だからこそ、今後どのような商店街が必要になるのか、埼玉県が描く商店街の具体的なビジョンが問われているんです。例えば、県が掲げる次世代が誇りを持てる商店街の実現、これ言われることあるんですが、誇りを持てる商店街、曖昧で分かりません。政策の中身はというと、五千万円の予算で専門家に商店街の運営体制を支援してもらう事業、あるいは優勝したら三百万円の空き店舗リノベーションコンペ、あるいは集客アップを掲げたイベント、こうした施策はそのときはそれなりに盛り上がるかもしれません。しかし、盛り上がったとか、満足度とかそういった曖昧なものでなく、集客と売上げにつながっているかをしっかりと検証しなければ稼ぐ力は強化されません。 そこで、産業労働部長に伺います。 まず、支援している先は、昨年で言えば全商店街の十二分の一でしかありません。かなり限定的な支援が目立ちます。支援の仕方に対する考え方を伺います。 次に、ほかの大多数の商店街に対してはどう考えているのか、これを伺います。 そして最後に、今後どれくらいの規模感で商店街を存続、発展させるものと考えているのか、その考え方も含めて伺います。 次に、八、シルバー人材センターの在り方について質問をいたします。 県の重要施策の一つが、先ほどの稼ぐ力の強化でした。残りの二つがシニア革命、そして人財の開発です。これらの指針の目玉として、シルバー人材センターの活性化が掲げられてきたかと思います。しかし実際は、会員数が大幅に減少しています。こちらを御覧ください。私の地元、幸手市、杉戸町の十年前と現在の会員数の推移です。大きく減少しています。ちなみに、私の地元のシルバー人材センター会員数は、グラウンドゴルフ協会会員数の約半分という状況です。 そこで以下、産業労働部長に伺います。まず、高齢化社会と人手不足の時代、シニアの皆さんに更に活躍をしていただかなければならないにもかかわらず、会員数が減少している現状をどのように分析をされているのか伺います。 さらに、今後職域を拡大する方針と聞いていますが、問題はそれだけでなく、シルバー人材センターの考え方と利用者のニーズに大きなずれが生じている。働ける時間の制限など、それらの制限を緩和し、時代のニーズに合ったものに改善すべきと考えますが、それに対する御所見と今後どのような制度設計を持って取り組んでいくのか伺います。 最後に、九、県営公園の在り方について質問いたします。 私の地元の県営権現堂公園は最近テレビ等でも頻繁に取り上げられ、年々来場者が増えています。今年の幸手桜まつりでは、何と来場者は百九万人、現在は幸手あじさいまつりでもにぎわっております。しかし一方で、渋滞や駐車場待ちで混乱も招いています。ひどい日は駐車場で朝から長蛇の列、駅からのピストンバスは通常十分かからないところを一時間三十分、しかも停留所がないので途中で降りることもできません。これは主催者や地元の問題です。しかし、今や県を代表する観光資源であり、利用者から見れば県営の公園であります。是非、現場の管理者や地域としっかりと連携を密にし、様々な角度から改善、運営されていくべきではないかと思います。誇れる県営公園にするためにこの現状に対しどのように対応されるのか、都市整備部長に伺います。 次に、こちらを御覧ください。埼玉の偉人といえば、時の人、渋沢栄一先生ですが、公園といえば日本の公園設計の父、本多静六博士であります。百年前を生き、日比谷公園、明治神宮、大宮公園をはじめ数々の公園を造られました。皆さん、これらの設計図には何と五十年後、百年後、百五十年後の予想図が五十年ごとにその設計図に記されているものもあるそうです。 なぜこの本多博士を取り上げるかというと、県営権現堂公園は今、大規模な拡張工事が行われており、そしてそのすぐ近くに宇和田公園という本多博士が造ったすばらしい森、公園が広がっているからです。部長はこのことを御存じだったでしょうか。以前、「公園づくりには、なるべく様々な声を取り入れてほしい」と私が言ったとき、担当の方から「もう設計図は完成していますので」、そう言われました。どれくらい地域の声や歴史、そして思いを酌んでいただけたでしょうか。 百年前の先輩たちのこのスケールの大きさに学び、百年後を見据えた公園づくりを是非進めていただきたい。それが魅力ある県土と考えますが、県はどのような公園づくりの理念、哲学を持って取り組んでいるのか、都市整備部長に見解を伺います。 質問は以上でございます。百年後の公園だけでなく、例えば百年後の学校、そして皆さんの百年後の地域、そして百年後の埼玉県、皆さんとともに思いをはせ、この愛する郷土を良くしてまいりたいと思います。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手起こる) ○神尾高善議長 二十四番 吉良英敏議員の質問に対する答弁を求めます。       〔小松弥生教育長登壇〕 ◎小松弥生教育長 御質問一、これからの学校の在り方についてお答え申し上げます。 まず、なぜ全ての学校でコミュニティ・スクールを設置する目標ではないのかについてでございます。 コミュニティ・スクールは、学校運営協議会を設置することで学校と地域が目標を共有し、課題を解決していく上で有効な仕組みでございます。これまで県では、コミュニティ・スクールの推進のため研修会を開催するなど市町村教育委員会に働き掛けてまいりました。段階的な目標として埼玉県5か年計画では、令和三年度に約三割に当たる三百校、第三期埼玉県教育振興基本計画では令和五年度に約六割に当たる六百五十校としております。最終的には全校への導入を目指すため、市町村に対して引き続き働き掛けてまいります。 次に、コミュニティ・スクールの拡大方針の一方で、留守番電話を導入することの整合性についてでございます。 留守番電話の導入は、緊急以外の用件は勤務時間を少し超える一定時間内での対応とさせていただき、教員が本来行うべき授業準備や学級運営のための事務等の時間を確保するためのものでございます。もちろん緊急を要する内容につきましては、市町村教育委員会や学校長に連絡が取れる仕組みになっておりますし、学校の役割の範囲を縮小するものではございません。留守番電話の導入に当たりましては、保護者や地域にその趣旨を十分理解していただくよう説明する必要がございます。コミュニティ・スクールの仕組みの中で、教員の働き方改革について協議していただくこともあろうかと存じます。より充実した教育活動を目指す教員の働き方改革の一方策である留守電と保護者、地域住民の意見を学校運営に反映させるコミュニティ・スクールの取組とは、十分整合性を持って行われるものと考えております。 次に、教員の増員について国へ要望し、どれくらいの効果があったのかについてでございます。 教員の増員につきましては、本県をはじめとする多くの自治体から毎年度、繰り返し要望を行っております。財政的視点のみから見ると、子供の数が減っているので教員は減らされる一方であるからです。これらの要望を受け、平成二十九年には通級による指導や、日本語指導に対応する教員を安定的、計画的に確保できるよういわゆる義務標準法の改正が行われました。また、本県の教員一人当たりの児童数を見ても、十年前の平成二十年度に小学校で二十・三人でございましたが、平成三十年度では十八・〇人と二・三人減少しております。 次に、県の予算で教員を増員しない理由についてでございます。 県では、独自の取組としていわゆる小一プロブレムへの対応や、初任者研修に参加する教員に代わって授業を行う非常勤講師などを配置しております。しかし、教員を将来にわたって安定的に任用していくためには、県の単年度予算ではなく、法に基づいた国の財源措置が必要と考えております。今後も引き続き教員の増員について国へ要望してまいります。 次に、学校の役割と責任をどのように果たしていくのかについてでございます。 現在、教育改革の大きな柱として、教員の働き方改革と社会に開かれた教育課程及び学校運営の二つがございます。留守電も含む教員の働き方改革は、教員や学校の役割を後退させるものではなく、教員や子供たちにとって重要な資源である時間を最も効果的に配分するためのものです。その中で、学校と社会との連携を重視、強化するということで、二つの柱は密接に関係しております。教員の専門性で足りない部分については、スクールソーシャルワーカーなど専門的な知識を持つ人材を配置し、チーム学校としての協働体制に努めてまいります。また、教員の負担軽減をするためのサポートスタッフや部活動指導員の配置も進めてまいります。 学校の様々な取組については、コミュニティ・スクールや学校応援団など保護者や地域の理解と協力を得ながら行っていくことが必要です。社会に開かれた教育課程の実施のためには、地域の教育資源、人的、物的資源様々ございますが、それらを活用して実社会で役に立つという実感を持てる教育活動を充実させてまいります。学校がしっかりとその役割を果たせるよう、このように支援してまいります。 次に、御質問二、教員の負担軽減についてお答え申し上げます。 まず、埼玉県学力・学習状況調査が現場にどのような影響を及ぼしているか、実態を把握しているのかについてでございます。 本調査は、子供一人一人の学力の伸びを把握し、やる気を引き出すとともに、その調査結果から学校や学級の効果的な取組を明らかにし、指導に生かしていくことを目的としております。県では、指導主事が直接学校に出向き、調査の目的や活用方法について説明するとともに、アンケートを取るなどして実態を把握しております。本調査を活用した学力向上の取組が浸透してきている一方、中には御指摘のように学校や教員の比較につながるのではないかという心配の声もございます。そうした声に対しては、本調査は教員間で良い取組を共有し、学校全体の指導力向上を図るものであり、個々の教員の評価に使うものではないということを丁寧に説明しております。 次に、教員や学校へのバランスのとれた評価はどのように行われているのかについてでございます。 調査結果から学力を伸ばした教員は分かりますが、各学校には授業のほかにも生徒指導で力を発揮する教員、子供との関わりが得意な教員など様々な持ち味のある教員がおります。そうした個々の教員の良さや各学校の特色を生かした学校運営をはじめ、教育活動全般を捉えて学校は内外の関係者から評価されているものと認識しております。 次に、このような負担に対し具体的にどのように対応していくのかについてでございます。 学校現場において本調査の目的や活用方法などの正しい理解が進み、議員お話しのような負担を感じることなく調査が活用されるよう、今後も引き続き丁寧に説明してまいります。 次に、英語教育の現場の環境がどこまで整っているのかについてでございます。 県では、これまで国の中央研修を受講した教員を講師として英語教育中核教員養成研修を実施し、各地域における英語指導の中核として活躍が期待される教員を五年間で約三百人育成してまいりました。また、新学習指導要領に対応するため、小学校教員の英語の指導力を高める講座を昨年度から実施しており、二年間で約一千四百人が受講することになります。この講座は、さいたま市を除く県内の全公立小学校の教員が各校から二名ずつ参加することで、校内研修により全教員に伝わるようにしております。 また、平成二十九年度の国の調査では、県内の公立小学校五・六年生の外国語活動のうち、およそ九〇パーセントの授業でALT等が活用されており、ICT機器は全ての小学校で活用されております。 次に、英語教科化による教員負担の認識と対策についてでございます。 新学習指導要領では英語教育の時間が増加したことで、小学校の三年生から六年生で現行の学習指導要領と比べて週一時間分授業が増えることになります。そのため、研修の実施や英語を専門に指導する教員の活用促進、教科担任制の導入を進めることにより、教員の負担をできる限り軽減できるよう引き続き取り組んでまいります。 次に、御質問三、教育現場の声についてお答え申し上げます。 まず、現場の教員が不安や不満を感じている現状をどのように認識し、対応しているのかについてでございます。 新学習指導要領への移行をはじめ、現場の教員が今後の様々な変化に不安を感じていることは、会議や学校訪問を通じ把握しております。県としては、そうした教員の心配を払拭するためにこれまでも対策を講じてまいりました。御指摘の英語の必修化については、誰でもアクセスできる優れた授業の指導案等を集めた英語教材バンクの整備等を行うことで、現場の教員の心配を緩和できるよう努めております。 次に、現場の声を国に対し、どのような機会で、どのように届けているのかについてでございます。 例えば、英語を専門に指導する教員をより多くの学校に配置できるようにしてほしいとの現場からの意見を踏まえ、配置要件の緩和を国に要望しております。また、昨年度、全国都道府県教育長協議会では、外国語教育の充実に向けた取組の現状や課題について各都道府県で調査を行い、今後のICTを活用した遠隔研修等の必要性などについて国に伝えております。 今後も現場の声や意見等については、様々な会議で私自身が国の担当者に会うこともございますし、国主催の各教科担当指導主事が参加する会議などもございます。このような場で近隣の自治体とも連携をしながら国に伝えてまいります。       〔知久清志福祉部長登壇〕 ◎知久清志福祉部長 御質問四、子ども食堂の支援についてお答え申し上げます。 まず、どのようにニーズを把握して八百という計画を立てたのか、御当地主義でなく均一設置にしたのかについてです。 子ども食堂の運営に携わる方や利用者からは「子供が歩いて行ける距離で欲しい」という声が多くございます。県ではこうした地域の声を踏まえ、子供の居場所の望ましい数として各小学校区に一つの割合、約八百か所が一つの目安となると考えています。子ども食堂は地域に対して強制するものではなく、地域住民による自主的な取組として行われていくものでございます。また、県内全ての地域において均一的に居場所を作ることを押し付けるものでもございません。 次に、子ども食堂は学童もある学校内でやることが効率的と考えるが、なぜしないのかについてです。 子ども食堂をはじめとする居場所は、一律に効率を求めるのではなく、地域の特色や運営者の自主性を生かしながら多様な形で展開されていくことが重要と考えます。例えば、お寺でお供え物を有効活用している子ども食堂もあれば、農業体験を取り入れた畑付き子ども食堂もあります。 なお、学校内での実施については他県で好事例もありますので、今後、市町村や教育委員会など関係機関と情報共有をしてまいります。 次に、子ども食堂が本当に必要な子供に当てられる工夫などはどのようにしているのかについてです。 現在、我が国の子供の七人に一人が貧困状態にあります。三食きちんと食べられない、部活動の道具などが買えないなど当たり前の生活が営めない子供が数多く存在します。こうした経済的困難を抱えている家庭には必要な情報が届きにくい実態がございます。そこで、民生・児童委員や社会福祉協議会には家庭訪問を通じた相談、支援の中で、子ども食堂につなぐ役割を担っていただいております。また、県では今年度新たにポータルサイトを構築し、子ども食堂を必要とする方が簡単に情報を入手できるよう支援してまいります。 次に、子ども食堂のニーズが起こらないようにするための県としての希望ある方針、子育て環境に係る基本的な考え方についてです。 県では、貧困の連鎖を断ち切り、全ての子供が夢や希望を持って前向きに生きていけるようなきめ細やかな支援を行っています。平成二十二年度から全国に先駆けて実施したアスポート事業は、対象を小学生にまで拡大し、学習支援だけでなく生活支援、体験活動などを通じて生きる力を育んでいます。一方、核家族化による子育て家庭の孤立や子供がいる共働き家庭の増加など子供をめぐる環境が変わり、ニーズも多様化しています。このような中、子供の利益を第一に、誰もが子供を生み育てやすい社会を実現していくべきと考えております。 県では、子供が誰一人として取り残されない社会の実現に向け、地域の子育て支援の充実から貧困の連鎖の解消まで全力で取り組んでまいります。       〔石川英寛企画財政部長登壇〕 ◎石川英寛企画財政部長 御質問五、市町村に対する支援の在り方についてお答え申し上げます。 まず、市町村支援の際に何の要素を優先し、例えば投資的な発想など、どのようなイメージを持って支援しているのかについてでございます。 ふるさと創造資金は、魅力ある地域づくりをはじめ市町村の主体的な取組を県として支援するものでございます。本県には人口が増加している都市部から、自然豊かな農山村部まで地域ごとに個性豊かな魅力があり、そのことが埼玉県全体の多彩な魅力となっております。市町村の強みや地域資源は様々であり、市町村が魅力ある地域づくりのために取り組む分野も文化振興や観光、産業振興など多岐にわたっています。 県としては、分野を問わず市町村が創意工夫して取り組む事業で、より地域の魅力が向上すると見込まれるものについて支援しております。例えば、平成二十八年度に支援した東秩父村の和紙をPRする「ふるさと文化伝習館」の改修は、文化振興、交流人口の増加を目的とし、来館者数は改修前の約二倍となりました。本年度支援している嵐山町のラベンダー園は日本最大級であり、観光客の増加と加工品開発による農業、商業一体となった経済効果が見込まれます。また、草加市の皮革職人養成塾は、事業者がピークの四割以下に減少したと言われる皮革業界において新たな人材を育成することで、草加市を代表する地場産業の振興を図ります。 次に、ふるさと創造資金による支援に対する結果をどのように確認しているのか、成果指標は明確かについてでございます。 事業の効果測定については、市町村が成果指標の設定及び成果検証を行った上で、県が確認する仕組みになっております。成果指標の設定については、地域への具体的効果を示すアウトカム指標になるよう県が審査しています。また、成果検証についても、県が成果指標の達成状況や事業効果の内容を確認した上でホームページで公開しております。検証の結果、目標を達成できなかった場合は、県と市町村が改善策を協議し、次年度以降の事業実施に生かしております。例えば、先ほどの嵐山町の例では、ラベンダー園の有料入場者数を五万人に、草加市の例では皮革業界への就業意向を示す受講生の割合を六〇パーセント以上にすることを指標としております。 県としては、検証結果を今後の展開に生かしていくことで、各地域の取組がより良いものとなり、ひいては県全体の魅力が向上するよう、引き続き市町村を支援してまいります。 次に、御質問六、公共交通の在り方についてお答え申し上げます。 まず、住民の足の問題に今後どのように取り組むのかについてでございます。 急速な少子高齢化などに伴い、住民の足を確保することは一層重要性を増しており、地域の実情をよく把握する市町村において対策がとられています。県では、市町村の取組を支援するため地域公共交通会議に積極的に参加し、他市町村の優良事例の紹介や助言を行ってきました。また、こうした支援に加え、今後の地域公共交通の方向性を検討するため、平成二十八年度に有識者会議を設け、現状や課題を調査し、翌年度、活性化の方策を取りまとめました。県としては、更に踏み込んでこの方策を具体化するため、本年度新たな補助制度を創設し、市町村の施策に対し財政的な支援を行うこととしました。具体的には、市町村の地域公共交通網形成計画に基づくバス路線の再編やコミュニティバス・デマンド交通の導入などに補助するものです。 県としては、市町村に対する積極的な助言に加え、補助制度を活用し、今後も地域の実情に合った効果的な取組が行われるようしっかりと支援してまいります。 次に、企業の送迎バスなどのシェアや広域なネットワークのような、より具体的なビジョンを持って取り組むべきではないかについてでございます。 先ほど申し上げました活性化の方策では、持続可能な公共交通の確保・充実を基本方針として掲げています。これは、民間事業者と行政が連携して、地域にとって最適な公共交通ネットワークを実現していくという考えです。 議員御提案の企業バス等をシェアして有効活用することは、民間の交通事業者のみでは対応し切れない地域において公共交通を補完する効果的な方策の一つであります。企業バスそのものではありませんが、シェアの事例として、飯能市では本年六月から山間部の小学校のスクールバスに児童以外の地域住民の方も乗車できる取組も始まっています。今後、市町村職員を対象とした研修会などの場でこうした事例を取り上げ、他の市町村にもその有効性等を伝えてまいります。 また、地域によっては、買物や通院のため近隣の市町村に移動することもあり、広域的なネットワークなど複数市町村の連携した取組も重要と考えます。本年度創設した新たな補助制度でも複数市町村の連携した取組を補助対象としています。 県としては、超高齢化社会にふさわしい公共交通体系を目指し、新たな仕組みも取り入れながら住民の足を確保、充実してまいります。       〔加藤和男産業労働部長登壇〕 ◎加藤和男産業労働部長 御質問七、商店街支援の在り方についてお答え申し上げます。 まず、支援の仕方に対する考え方についてでございます。 商店街は身近な買物の場としてだけでなく、住民が憩い、交流する地域コミュニティの場としての役割も担っております。商店街の活性化を図るため、平成二十六年に埼玉県商店街活性化条例が制定されました。条例では、県の責務として市町村の区域を超えた広域的な見地から商店街振興に取り組むこととされております。商店街は、立地する環境はもとより、商店街の業種構成が様々であり、抱えている問題も様々です。そうした中でも広域的に見ると後継者不足、空き店舗の増加など共通した課題もございます。県ではこうした共通の課題を解決するため、意欲のある商店街を対象にしてモデル事業を実施し、その成功事例をより多くの商店街に波及させる、いわゆる横展開を図る考え方で支援を行っております。 次に、他の大多数の商店街にはどのように考えているのかについてでございます。 県では、モデル事業で得られた成果やノウハウをホームページや成果発表会を通じて広く周知し、より多くの県内商店街に活用していただきたいと考えております。活動経験が乏しいなど、こうした事例を活用できない商店街に対しましては、中小企業診断士などの専門家を派遣し、その実現のための支援を行っております。また、全県的な商店街組織である埼玉県商店街連合会等と連携をし、講習会や先進事例の視察などの実施を通じて、その実現のための支援を行っております。 次に、今後どれくらいの規模感で商店街を存続、発展するものと考えているのかについてでございます。 平成三十年度に中小企業庁が実施した「商店街実態調査」によれば、県内商店街の七割以上が「衰退又は今後衰退の恐れがある」と回答しております。一方で、商店街は気軽に買物ができる場や、子育て世代や高齢者の生活支援の場などとしての役割が期待されております。 県といたしましては、商店街を取り巻く環境が厳しい中でも、地元自治体や商工団体と連携し、一つでも多くの商店街が存続、発展していけますよう引き続き支援をしてまいります。 次に、御質問八、シルバー人材センターの在り方についてお答え申し上げます。 まず、会員数が減少している現状をどのように分析しているかについてでございます。 本県のシルバー人材センターの会員数は、平成二十一年度末の五万一千七百五十六人から三十年度末には四万七千八十九人と、率にして約九パーセント減少しております。この要因は、シニアを取り巻く就業環境の変化によるところが大きいと分析をしております。高年齢者雇用安定法が改正され、平成二十五年から企業に六十五歳までの雇用確保が義務付けられました。これにより六十五歳まで企業で働き続けるシニアが増えております。さらにシニアの就業意欲が高まり、六十歳代後半の就業率も上昇しており、六十歳代の会員数に限るとこの十年間で五四パーセント減少しております。一方で、七十歳以上の会員数は四〇パーセント増加しており、会員数全体ではここ数年はほぼ横ばいの傾向にございます。 現在、国においては、七十歳まで働き続けることができるよう企業に努力義務を課すことを検討しており、今後ますます会員の高齢化が進むものと考えております。 次に、時代のニーズに合った改善と今後の制度設計についてです。 シルバー人材センターは、会員に働く機会を提供することを通じて会員の生きがいの充実や健康の維持、増進を図ることを主な目的としています。生計の維持を目的とした本格的な就業ではないため、法令により臨時的かつ短期的、又は軽易な業務に限定をされ、就業時間は週二十時間以内に制限されております。こうした制約から働く意欲のあるシニアや、人手不足に悩む企業のニーズに応えられていない部分もありましたが、今後は時代のニーズに合わせ改善していく必要があると考えております。 現在、高年齢者雇用安定法の改正により、派遣の場合、知事が指定した地域、業種等においては週四十時間までの就業が可能になりました。平成三十年に行った会員へのアンケートでは、五七パーセントの会員が「二十時間以上働きたい」という希望を持っております。また、生産年齢人口が減少し人手不足が顕著になる中、企業もシルバー人材センターの会員が戦力となることを期待しております。 さいたま市のある保育園では、アンケートに「就業時間が拡大されると同じ人に週を通して来ていただけるのでとても助かる」と回答しています。そこで、県では、会員の派遣の実績が多い介護や保育、スーパーなどの小売の業種を対象にして、県内の全域で就業時間拡大の協議を国と進めており、同意を得た後に指定を行う予定です。就業時間の拡大により、会員の収入も増えることが期待できます。働く意欲のあるシニアが希望どおりに働ける制度を整備して、会員の増加につなげる好循環を狙っていきます。 今後もシニアや企業の多様なニーズに応えられるシルバー人材センターとなるよう、しっかりと支援をしてまいります。       〔和栗肇都市整備部長登壇〕 ◎和栗肇都市整備部長 御質問九、県営公園の在り方についてお答え申し上げます。 まず、県営現権堂公園の幸手桜まつりは、渋滞や駐車場待ちで大変混乱しているが、県としてどのように対応されるのかについてでございます。 この桜まつりは地元の方々の御努力により、近年では来園者が百万人を超える県の代表的な春の行事となっております。これに伴い、幸手駅周辺や公園周辺での交通渋滞、公園の駐車場不足などが課題となっていることは認識しております。主催者である幸手市観光協会は、平成三十一年三月に供用開始した権現堂二号公園駐車場も含め、近隣の工場や河川敷の活用など約千台の駐車場を確保するなどの対策を行っております。また、幸手駅から徒歩での来園の呼び掛けや、駐車場出入り口の左折入場、左折退場など工夫を行っておりますが、対策が桜まつりの人気に追い付いていないのが現状でございます。 県内各地の県営公園では大規模なイベントが行われることも多く、想定される周辺の交通渋滞に対して公園の状況や周辺環境に応じて様々な対策をとっております。例えば、熊谷スポーツ文化公園で開催されるうどんサミットでは、初年度は来園者の車両が駐車場で混雑し、周辺道路に大きな渋滞が発生いたしました。この反省を踏まえ、第二回の昨年度は主催者が公共交通機関利用の呼び掛けの徹底や、パーク・アンド・バスライドの更なる活用などにより渋滞緩和の成果を上げております。この成果は、桜まつりにおいても大変参考になる事例と考えております。 今後、指定管理者である幸手市や観光協会などの関係者に対し、交通渋滞解消に向けてこうした事例を活用できないか働き掛けてまいります。 次に、県はどのような公園づくりの理念、哲学を持って取り組んでいるのかについてでございます。 権現堂公園は地元市町などと協議の上、昭和六十一年に基本構想を策定し、平成六年に都市計画決定を経て整備を進めてまいりました。さらに、平成十八年度には検討会を開催し、整備内容、維持管理について地元の方々から御意見をいただき、整備を進めてきた経緯がございます。公園には緑や水辺を生かした憩いの場、大勢の人たちが活動するにぎわいの場、いざというときの防災拠点の場などの役割がございます。 県営公園はこうした機能に加え、県営としての規模感を持って各地域固有の自然環境や歴史的背景、また、その地域の特性などを生かし、時代の要請も取り入れて整備を進めてまいりました。現在、権現堂公園の桜堤は県を代表する名所となり、里山のあるまつぶし緑の丘公園は地元のシンボルとなり、埼玉スタジアム二〇〇二公園は国内外から大勢の方々に訪れていただいております。 公園づくりを行う上で、公園の特性などを共有しつつ、みんなでつくり育てていくことも大切であるため、地域の方々の御意見や必要に応じて学識経験者の意見も取り入れております。 県民共有の財産として将来にわたり愛される公園となるよう、地域特性などを生かした県民や地域の方々が誇れる公園づくりを今後も進めてまいります。          ---------------- △特別委員会の設置 ○神尾高善議長 これより、特別委員会の設置の件を議題といたします。 お諮りいたします。 県庁舎の建替え及びこれに伴う周辺整備・地域活性化等に関する件につきましては、県庁舎建替え等検討特別委員会を十四人の委員をもって設置し、これに付託の上、審査することに賛成の議員の起立を求めます。       〔起立多数〕 ○神尾高善議長 起立多数であります。 よって、さよう決定いたしました。          ---------------- △県庁舎建替え等検討特別委員の選任
    ○神尾高善議長 次に、ただ今設置いたしました県庁舎建替え等検討特別委員会の委員の選任の件を議題といたします。 お諮りいたします。 県庁舎建替え等検討特別委員会の委員につきましては、お手元に配布しておきました名簿のとおり選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。       〔「異議なし」と言う人あり〕 ○神尾高善議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 ただ今選任いたしました県庁舎建替え等検討特別委員会の委員の方々は、次の休憩中に委員会を開き、正副委員長の互選を行い、その結果を報告願います。〔参照〕        県庁舎建替え等検討特別委員会委員名簿 議席番号  氏名    会派名     議席番号  氏名    会派名 二十一番  関根信明  自民      二十二番  藤井健志  自民 二十三番  美田宗亮  自民      五十一番  小久保憲一 自民 五十四番  荒木裕介  自民       七十番  木下高志  自民 八十二番  田村琢実  自民      八十四番  本木 茂  自民   三番  平松大佑  県民      四十九番  醍醐 清  県民 四十四番  井上将勝  民主フォーラム 六十一番  高木真理  民主フォーラム  九十番  石渡 豊  公明      六十二番  村岡正嗣  共産党          ---------------- △休憩の宣告 ○神尾高善議長 暫時、休憩いたします。午前十一時十分休憩          ----------------午後一時二分再開 出席議員    九十二名     一番    二番    三番    四番     五番    六番    七番    八番     九番    十番   十一番   十二番    十三番   十四番   十五番   十六番    十七番   十八番   十九番   二十番   二十一番  二十二番  二十三番  二十四番   二十五番  二十六番  二十七番  二十八番   二十九番   三十番  三十一番  三十二番   三十三番  三十四番  三十五番  三十六番   三十七番  三十八番  三十九番   四十番   四十一番  四十二番  四十三番  四十四番   四十五番  四十六番  四十七番  四十八番   四十九番   五十番  五十一番  五十二番   五十三番  五十四番  五十五番  五十六番   五十七番  五十八番  五十九番   六十番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番   八十番  八十一番   八十二番  八十三番  八十四番  八十五番   八十六番  八十七番  八十八番  八十九番    九十番  九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    一名   七十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○新井豪副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △県庁舎建替え等検討特別委員会正副委員長の互選結果報告 ○新井豪副議長 この際、報告をいたします。 県庁舎建替え等検討特別委員会において、委員長に八十四番 本木茂議員が、副委員長に八十二番 田村琢実議員がそれぞれ互選された旨の報告がありましたので、御了承願います。          ---------------- △質疑質問(続き) ○新井豪副議長 質疑質問を続行いたします。 四十一番 永瀬秀樹議員       〔四十一番 永瀬秀樹議員登壇〕(拍手起こる) ◆四十一番(永瀬秀樹議員) 議席番号四十一番、南二区、川口市選出、自由民主党の永瀬秀樹でございます。よろしくお願いいたします。 時代は変わる、新しい任期、初心を忘れず、未来をより良い時代に変えるべく全身全霊で取り組んでまいります。それでは、新井豪副議長からお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問させていただきます。 初めに、一、行政のスマート化についてお尋ねいたします。 我が国の人口は二〇〇八年をピークに減少しており、二〇四二年には高齢者人口がピークとなり、総人口一億一千百万人のうち、六十五歳以上の人口は三千九百二十五万人と推計され、自治体の税収や行政需要に極めて大きな影響を与えると考えられています。医療や福祉、インフラ、空間管理など住民サービスの多くは地方自治体が支えており、二〇四〇年頃をターゲットに持続可能な形で住民サービスを提供し続けることができるよう、スマート自治体への転換が求められています。その大きな動きの一環として、行政の標準化や共通化とともに、破壊的技術とも言われる人工知能AIやRPAの導入が全国で活発化しています。 一点目として、行政事務のスマート化、RPAの導入についてお聞きします。 RPAとは、「Robotic Process Automation」の略語で、ホワイトカラーのデスクワーク(主に定型作業)をパソコンの中にあるソフトウェア型のロボットが代行、自動化する概念です。我が国では二〇一六年から言葉が使われ始め、二〇一七年には大ブームとなりました。処理時間とコストの縮減、正確性の向上、自律的な業務改善はもちろん、働き方改革の即効薬としても仮想知的労働者(デジタルレイバー)とも呼ばれ、スマート自治体を実現するための基礎的なインフラ技術として期待され、三十九の都道府県で取組が始まっています。 本県においても新たな技術を県庁に導入し、定型的な業務に係る負担を軽減することで業務の効率化や職員が政策立案に集中する時間の確保を図るため、昨年度、三課一センターの十五業務で導入を試行し、業務削減率六七・二パーセント、削減時間二千二百五十七時間の業務削減効果がありました。今年度からは定型業務の更なる自動化に向け、新たに導入するOCRの導入と合わせ対象業務を拡大し、本運用を開始するとお聞きしております。しかし、今年度の新たな対象業務は十業務程度であり、全国的な普及のスピードと比較するとやや不足感を感じます。 一般的に、業務時間削減や生産性向上といったRPAの効果を最大限発揮させるには、対象業務の選定が重要であり、大きく業務改善を進めるためにも現在の事業部門ごとに対象業務を挙げさせる方式ではなく、県庁全体の業務をふかんし、RPAに適した業務を選定する方法が望まれます。そのことで広範な意味で業務そのものを見直すBPR効果も期待できます。対象業務選定について悉皆調査等、方法の見直しを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、RPAは適切に活用すれば大幅な業務効率化が可能です。ただし、本格的な活用に向けては、庁内機運の醸成や技術の習得、管理スキームの整理等、幾つかの課題もあると考えられます。業務代行ロボットであるRPAは育成する必要があり、リリース時がゴールではなくスタートです。各部局における活用に向け、担当する人材の育成や包括的な支援も必要になります。全庁的な業務改善をスムーズかつ効果的に進めるために新たに専任の支援体制を作り、取り組むよう提案いたしますが、いかがでしょうか。 二点目として、RPAの市町村への導入支援についてお聞きします。 市町村においては窓口業務、内部管理業務ともに定型業務が多く、潜在的にRPA化できる余地が大きく、導入が求められると存じます。しかしながら、導入に向けた課題として、何から取り組めばいいのか分からない、対象業務や導入効果が不明、参考事例が少ないといった点が挙げられるなど、まず情報不足、メンテナンスや人材教育、育成に当たる人材不足、また、財政基盤が弱い自治体にとっては導入・運用コストが少なからぬ負担となるなど、RPAの普及には様々な阻害要因があります。 国も地方公共団体が将来的により少ない職員での行政運営が必要となることを踏まえ、RPA導入の促進を図ることなどを目的として総務省が革新的ビッグデータ処理技術の導入促進事業を実施し、地方公共団体の導入経費の一部を補助するなど導入を推進しようとしています。 本県としても、県庁業務自体におけるRPAの導入による県内市町村へのショーケース効果にとどまらず、相談窓口の設置や導入に向けてのナレッジのためのセミナーや研修会の開催、財政支援など市町村支援に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。 三点目として、AIのより広範囲な業務への活用についてお聞きします。 県では、人工知能を活用した行政のスマート化として、昨年度、庁内問合せにAI自動応答システム、ヘルプデスクを導入し、本年より県民向けAI救急相談、県民向け問合せAI構築事業も開始することとなっています。AIなどの新技術を活用した取組は、全国三十五の都道府県において七十四件の様々な取組が行われており、AIは今後、庁内や県民向けの問合せに対応するコンシェルジュ的な活用以外にも、行政事務や住民サービスのより広範囲な様々な業務に活用が広がると考えられます。県は今後、AIをどのような業務や分野に活用できると考えているかお教えください。 以上について、企画財政部長の見解をお聞かせください。 四点目として、RPAの大衆化、県内企業への導入支援についてお聞きします。 本県においては今後、生産年齢人口の減少が急ピッチで進み、労働力の確保が大きな課題となっています。特に稼ぐ力の確保のため、県内中小企業の人材不足への対応として働くシニアの応援や女性の就業支援、障害者に対する就労支援、外国人労働者の受入れなどに取り組んでいますが、三百六十五日休みなく働くRPA、デジタルレイバーの導入は、人材確保に悩む中小企業の労働力確保の新たな福音になるのではないでしょうか。しかしながら、県内企業数の九九・八パーセントに当たる中小企業においては、導入に際して情報や人材の不足、コスト負担等市町村同様の様々な課題があります。 県の経済を支える中小企業の労働力不足への対応と労働生産性の向上、言うなれば経済的発展と社会的課題解決の両立に資するべく、県としても相談窓口の設置やセミナーや研修会の開催、補助制度の創設など県内の中小企業への導入支援に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。産業労働部長の見解をお聞かせください。 次に、二、今後の街路樹のあり方についてお尋ねいたします。 日差しが強く、緑の木陰が恋しい季節になってまいりました。東京から埼玉県に戻ると緑が少ないなと感じる人は多いと思います。街の中にある最も身近な緑、街路樹が少なく、小さいからです。街路樹は現在、都市の景観の向上、緑陰の形成、防災、二酸化炭素の吸収など多くの機能を有し、東京都には高木が五十二万本、中低木が一千四百六十八万本植えられているのに対し、本県の高木は二十一万本、中低木は六百八十一万本です。このように比較すれば本県は本数も少ないですが、緑が少ないと感じる理由は本数だけではなく、街路樹の姿、樹形にも関係があると考えられます。 街路樹の管理は道路管理者が行うこととされており、県は県道及び一部県管理国道の約五万五千本の街路樹の維持管理を行ってきました。しかし、残念ながら県内の多くの街路樹は厳しい生育環境と様々な管理上の理由から樹形の悪化が見られ、本来求められる豊かな緑陰を形成しているとは言い難い状況にあると思います。樹形悪化の主な要因は、不適切な樹種選定や設計、沿道住民からのクレーム、道路管理者の理解不足、せん定技術の低下、維持管理予算の削減などが挙げられます。 私は、そうした要因を解決しながら街路樹の持つ本来の機能をより効果的に発揮させ、緑化効果を高めることで今後のより豊かな県土づくりに資するべく、街路樹の適正管理を行うために本来の街路樹のあり方について新たな検討が必要と考え、以下質問いたします。 一点目として、街路樹マネジメント方針の策定について提案いたします。 街路樹の管理及び利活用に関する様々な問題が発生する中、そもそも本県では今後の街路樹のあり方に関する方針が明確化されていません。街路樹を適正に管理し、都市の魅力を向上させる資源として活用するための方針の策定が必要ではないでしょうか。 例えば、管理面からは、道路空間や地域特性に応じた育成管理を行うこと。効率的かつ質の高いせん定管理を行うこと。せん定技術・管理監督技術の向上、技術者の後継者育成。市民や企業との協働による管理を推進。また市町村との連携。また、適正な緑の利活用の面から、街路樹が持つ緑の機能を有効に活用するイベントの開催。都市資源としての価値を高め、内外にPR発信。せん定枝、せん定木の新たなリサイクルの取組を推進する。市町村との連携。以上の点などを考慮した新たな本県の街路樹マネジメントの方針策定をすべきと考えますが、いかがでしょうか。 二点目として、街路樹・樹形再生マニュアルの見直しについてお聞きします。 本県の現在の街路樹管理の指針である街路樹・樹形再生マニュアルは、沿道住民と道路利用者に理解を得ながら、基本的に高木の強せん定を行う方法を策定したものです。百二十七ページから成るその内容は、個々のせん定技術は適切でも、思想的に街路樹の健全な育成と今後の成熟した都市にふさわしい潤いのある道路環境の整備管理には若干そぐわないものと存じます。 一方、近年、全国的に街路樹管理については小さく抑制する管理手法から、暑さ対策や防災性の向上など道路緑化の効果の拡大に向け、樹冠の拡大やより高く大きく、より木本来の自然な樹形に育てる方向、街路樹の充実、質の向上をより高める方向に変わりつつあります。東京都は、来年の東京オリンピックでの選手や沿道の観戦者の暑さ対策を契機に、管理手法の刷新となる「街路樹管理の刷新、抑制から樹冠拡大へ」の取組を二〇一七年から進めています。 この際、本県においても、そもそも強せん定を基本としたマニュアルではなく、大木となる並木を作り、街を代表するシンボルロードを形成、歩車道に緑陰を提供し、快適な交通空間を形成し、美しい並木による沿道の建築物の景観の質の向上など、街路樹が持つ本来の機能を発揮させることを目指した新たな街路樹管理マニュアルの策定を検討されてはいかがでしょうか。 以上、二点について県土整備部長の御所見をお聞かせください。 次に、三、災害拠点病院の備蓄強化についてお尋ねいたします。 平成時代最後の昨年は災いの年でした。西日本豪雨、北海道胆振東部地震などによりこれまでに経験したことのない事象が起こり、重要インフラの機能に支障を来すなど経済や生活に重大な影響が発生しました。災害時に人命を守るために機能を確保する必要がある重要インフラは病院です。国は、災害時に二十四時間体制で患者を受け入れる災害拠点病院について、近年多発する激甚災害時にもその機能が保たれるべく、広域災害やブラックアウトを想定し、外部からの供給がなくても病院機能を三日間程度維持させるため、これまで「確保する」としていた自家発電設備の燃料を「備蓄が必要」に変更し、また、診療に必要な水を少なくとも三日分は確保するよう指定要件を厳格化する方針を固めたと側聞しています。 国の調査結果によれば、全国七百三十六の災害拠点病院のうち、燃料の備蓄が三日未満の病院数は百十四か所、受水槽の容量が三日未満で地下水も利用できない病院が百七十七か所に上ります。 一点目として、本県の二十一か所の災害拠点病院のうち、燃料の備蓄が三日未満の病院は何か所か、また、水の備蓄が三日未満で地下水が利用できない病院数は何か所あるのかお教えください。 また、国は緊急対策として、自家発電装置の燃料確保と給水設備の増設等整備が必要な災害拠点病院に対しては整備に要する経費の一部を支援し、災害拠点病院の指定を担当する都道府県を通じ、二〇二〇年度末までに対応するよう求めるようです。自然災害時に県民の生命を守る重要インフラである災害拠点病院は、あらゆる災害に際してその機能を発揮できるよう平時から整備を進めることが必要であり、私は今回、災害時にも医療機能を保つための整備が必要であることが明らかとなった災害拠点病院については、早急に指定要件を充足させるよう、県としても支援していくべきと考えます。 県はどのように支援していきますか。公立病院と民間病院それぞれに対しお教えください。 以上、二点について保健医療部長の見解をお聞かせください。 次に、四、密集市街地の改善についてお尋ねいたします。 県内には国の基準には該当しないものの、老朽化した木造の建築物が密集し、狭あいな道路や袋路状道路が多く、公園などの公共施設が不十分な、大規模地震時に被害が想定される比較的小規模な住宅密集地が多く点在しています。県はこうした住宅密集地の改善に向け、平成二十八年に埼玉県住宅密集地改善連絡会議を設置し、準防火地域の指定や感震ブレーカーの配布、緊急避難ルートの整備など、燃えないまちづくりに取り組んできました。しかし、県の調査によれば、現在さいたま市を除く六十二市町村の七割が住宅密集地の対策について未着手で、住宅密集地がどこにあるかすら分からない状況であり、取組が進んでいるとは言えないのではないでしょうか。 住宅密集地の改善を図り、県民の安心・安全な暮らしを守るためには、県がこれまで取組と成果を検証し、改善率、改善目標年度、具体的な取組等について新たに広域的な観点から密集市街地整備方針を策定し、今後の方向性や枠組みを示し広く発信するとともに、市町村への技術的、人的、財政的な支援や国への働き掛けを行い、計画性とスピード感を持って取り組むことが必要と存じますが、いかがでしょうか。 次に、危険密集市街地の解消についてお伺いします。 危険密集市街地とは、二〇一二年に国土交通省が公表した「地震時等に著しく危険な密集市街地」のことで、十七都府県で約五千七百四十五ヘクタールあると公表されました。県内では唯一、川口市芝地区の二地区に五十四ヘクタール存在します。国の公表後、川口市では住宅市街地総合整備事業等の取組を行い、解消に努めていますが、一向に解消は進んでいません。 一方、二〇一二年の公表時、一千六百八十三ヘクタールの危険密集市街地があった東京都は、密集市街地を含む改善が必要な地区を平成三十二年度までの十年間、不燃化特区と定めて古い住宅の解体や建替え費用を補助するなど独自の制度を設けて解消を図り、三百十六ヘクタールまで減少させています。 また、全国最大の二千二百四十八ヘクタールの危険密集市街地を抱えていた大阪府では、大阪府密集市街地整備方針を定め、整備主体である市に対して土木事務所に密集市街地担当を配置、民間事業者への働き掛けや密集市街地対策プロジェクトチームの設置、市に対する府の補助の拡大など技術的、人的、財政的な様々な支援を行い、約三百六十三ヘクタールを減少させました。 一たび火事が起きれば簡単に燃え広がる恐れがあり、地震などで倒壊が起きやすく、防災上大きな課題を抱える川口市芝地区の危険密集市街地の一刻も早い解消に向けて、県もより一層の技術的、人的、財政的な支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。都市整備部長の御所見をお聞かせください。 次に、五、屋内五十メートルプールの整備についてお尋ねいたします。 埼玉県は、海なし県でありながら水泳競技において常に全国トップレベルの成績を誇り、オリンピックをはじめ多くの大会で優秀な成績を残した選手を多数輩出してきた水泳王国です。しかし、残念ながら公立の屋内五十メートルプールがなく、過去二度、本県で開催された国民体育大会の際も川口市の屋外プールが競技会場となることを余儀なくされるなど、天候に左右されず、競技に集中できる屋内五十メートルプールの建設は埼玉県民の悲願です。県としても整備に向け粛々と検討を進めていただいているようですが、その進捗状況はいささかスピード感を欠いているようにも思われます。 来年の東京オリンピック・パラリンピック後を見据え、国民体育大会及びインターハイなどにおける水泳力強化や県内水泳環境の整備のため、屋内五十メートルプールの設置が早期に実現することを願い、以下質問いたします。 一点目として、整備に向けた検討の進捗状況について伺います。 県は昨年度、基本計画の策定に着手し、屋内五十メートルプールの設置検討に向け、基本計画の策定支援や様々な調査等をするため民間会社に業務委託を行っています。規模、設備、候補地、概算事業費、ランニングコスト、民間活力の導入など事業手法についてどのような結果が示されたのか、お教えください。 二点目として、基本計画の策定状況についてお伺いいたします。 一般的に、実際の施設整備には基本計画策定後、実施計画、設計、施工、事業運営の整備などおおむね四年から五年の準備段階を経ることが必要と存じます。本年度は、実施計画の策定と事業手法の調査・検討に向け二千七百八十三万二千円の予算を計上し、既に委託業者も選定され、納品時期も示されています。しかし、現時点では実施計画を作るための基本計画がまだ策定されておらず、実施計画の策定に取り掛かれない事態となっています。 基本計画はいつまでに策定するのか、なぜ決まらないのか、課題は何か、屋内五十メートルプールの整備はいつごろの完成を想定しているのか、見通しをお聞かせください。 三点目として、候補地選定に関する県の考え方について伺います。 基本計画の策定には、候補地、施設の機能、規模など施設の概要を定めることが必要と考えます。候補地については、川口市から誘致の意向があると存じます。川口市の神根運動場周辺は、隣接した公園と合わせ約十二・九ヘクタールの規模の建設候補地の一つであり、電車であればJR武蔵野線東浦和駅から徒歩圏内にあり、車でも首都高速道路や東京外環自動車道のインターから近距離にあり、交通利便性が非常に高くなっています。周辺の交通渋滞も少なく、非常に便利な立地条件です。 また、川口市からは埼玉県の施設が誘致されるのであれば、屋内プール施設配置を前提とした周辺の土地利活用の計画を考えていくと聞き及んでいます。埼玉県水泳連盟創設以来、多大なる貢献をし、水泳にゆかりが深い川口市において誘致が実現すれば、東京に近い立地や交通利便性を生かし、水泳というスポーツによる新たな都市のブランディングを展開することで、来年の東京オリンピック・パラリンピック後に続く新たなスポーツ都市戦略による活性化も期待できます。 県は現在、候補地の選定についてどのように考えているのか、選定に際し重視するポイントは何か、また、都市の将来戦略に与える影響などを考慮しているのかについてお教えください。 以上、県民生活部長の見解をお聞かせください。 次に、六、県産木材の利用促進についてお尋ねいたします。 今年三月十五日、八年ぶりに県有施設の木造化・木質化等に関する指針が改正されました。時代の変化に鑑み、CLT等の新たな木質部材の活用が反映され、運用においては県有施設に係る新築、増築、改築、改修について、設計委託業務の予算規模段階からの木造化・木質化を検討することと、その検討状況を毎年一回調査することが定められました。持続可能社会の構築に向けて、今後の公共施設の木造化・木質化の推進に県が率先して積極的に取り組んでいく考えが明らかとなり、好ましいことと存じます。 一点目として、調査の今後の対応方について、実施時期や具体的な調査内容等をどのように考えているかお教えください。また、関係者が設計委託業務の予算積算段階から木造化・木質化を促進するためには、新たなノウハウの普及啓発が必要と考えますが、県はどのような対策を考えているかお教えください。 二点目として、県産木材を利用した住宅等への補助について伺います。 住宅等の県産木材の利用拡大により、森林の循環利用を促進し、安全な暮らしを守る機能を最大限に発揮する森林を保全するため、彩の国みどりの基金を活用して行われている事業が「埼玉の木みんなで使って豊かな暮らし応援事業」です。県産木材の利用など条件を満たした住宅等の新築、増改築、内装木質化に対し、使用した県産木材の量に応じた額を施主さんに直接補助する制度で、一戸当たりの上限は三十四万円、人気のある補助事業で過去二年間、上半期で予算を執行していると聞いています。大変有効な事業であり、今後も事業規模を拡大して継続すべきと存じますが、いかがでしょうか。 三点目として、県産木材の新たな利用促進策、木塀の設置について伺います。 東京都は、地震災害時などの安全性の確保に加えて、国産木材の有効活用も視野に入れ、都有施設と都立学校の五か所においてブロック塀に代えて国産木材を活用した塀の設置に取り組んでいます。また、都民が木塀を設置する場合、区市町村を通じた補助を行う制度も設けています。さらに今年三月には、国産木材を活用した塀等の設置ガイドラインを作成し、より一層取組を進めています。 本県においても、県産木材利用促進策の一つとして木塀の設置を検討してはいかがでしょうか。県民や民間企業が取組を進めやすいよう、まず県有施設にモデル施工する、木塀設置のガイドラインを策定する、現在の住宅本体の補助に加えて外構部にも補助金支出を行うなど様々な取組が考えられます。 以上について、農林部長の見解をお聞かせください。 次に、七、地元問題、(一)川口北東部への新たな警察署の設置についてお尋ねいたします。 川口市は人口六十万人を超え、にぎわいと活気のある街として発展を遂げています。特に埼玉高速鉄道沿線にある市の北東地域は、平成二十九年七月に都市計画道路浦和東京線、通称けやき通りが開通したことで交通アクセスが飛躍的に改善されるとともに、生活利便性が向上し、住宅建設が進み、市街化が促進されるなど人口が大きく増加しています。 一方で、人口の増加とともに懸念されるのは治安の悪化です。既に警察本部からも今後も人口増と都市の発展が見込まれる川口市の治安堅持のためには、川口、武南両警察署に次ぐ第三の警察署、川口市北東部への新たな警察署の設置の必要性は高いとの認識が示されており、川口市から提供された用地情報について検討されているとお聞きしています。私は、でき得る限り迅速な判断とスピード感を持って第三の警察署の設置を進めていただきたいと考えます。警察署用地として現在検討中の土地については、いつごろ判断されるのか、その進捗状況と今後の見通しについて、警察本部長の見解をお聞かせください。 最後に、(二)川口駅のホーム新設についてお尋ねいたします。 JR川口駅は京浜東北線しか停まりませんが、一日平均約十六万八千人もの乗降客が利用する県南の玄関駅です。特に通勤通学時には大混雑となり、一たび事故や故障が起きれば改札への入場が制限され、駅舎内からデッキまで人があふれるのもすっかり見慣れた風景になってしまいました。混雑緩和と利用者の安全確保のため、中距離電車の川口駅停車は川口市民の悲願です。 自民党、公明党の国、県、市の議員団、さらには地元の歴代市長の長年の要望活動により、平成二十八年には交通政策審議会の答申に川口駅ホームの新設が明記されるなど、事態は少しずつ改善に向けて進んでおります。昨年十二月には、非公式ながらJR東日本大宮支社から中距離列車を停車させた際の影響、ホーム新設の技術的な課題、工事手法などについて検討しているとのお話も側聞しています。 川口市としても、駅周辺の都市機能の課題や将来性も見据えた様々な調査をするために二千七百五十万円を予算化し、中距離列車の停車を実現させようとしています。中距離列車の停車が実現すれば混雑緩和に加えて更なる開発余力を生み、川口の新たな都市力の獲得にもつながります。県南部の発展にもつながる川口駅の中距離列車の停車に向けては、県にも更なる支援を賜りたく、以下、お伺いいたします。 県は現在の状況をどのように把握されていますか。また今後、川口市と連携しながらJRへ強く働き掛けをしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。さらに、県南部全域への波及効果を鑑み、ホームの工事費や駅舎の建設費などについて財政支援をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。 以上について、企画財政部長の御所見をお聞かせください。 以上をもって私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○新井豪副議長 四十一番 永瀬秀樹議員の質問に対する答弁を求めます。       〔石川英寛企画財政部長登壇〕 ◎石川英寛企画財政部長 御質問一、行政のスマート化についてお答え申し上げます。 まず、RPAの対象業務選定の方法の見直しについてでございます。 RPAは、簡易なプログラムによってパソコン上の定型的な業務を自動的に処理できるソフトウェアです。これまでは庁内の各部局から提案された業務のうち、よりRPAに適するものを選定し、試行的に導入してまいりました。これにより業務削減効果が確認できたため、来年度から本格的に全庁展開を図っていくこととしました。現在、導入できる業務と見込まれる効果を調査しているところです。この調査を踏まえ、例えば財務などの全庁的な共通業務について組織横断的に導入することを考えています。 次に、新たに専任の支援体制を作り、取り組むことについてでございます。 議員お話しのとおり、RPAなどの活用を全庁的に推進するため体制を整備することは重要でございます。そこで、本年度から企画財政部内に五名からなるAI等推進の専担組織を設置いたしました。また、六月初めには副知事をトップとするスマート県庁推進会議を開催し、外部有識者から具体的なアドバイスをいただくとともに、全部局を対象に説明会も開催しているところです。 次に、RPAの市町村への導入支援についてでございます。 行政のスマート化は、県だけではなく市町村とも連携、共同して取り組むことが重要です。そのため、七月には新たに県と市町村で構成するスマート自治体推進会議を開催いたします。この会議では、RPAの全国的な取組事例や導入ノウハウの提供、セミナー、意見交換などを実施してまいります。また今後、市町村の情報システムを集約するためのクラウド基盤の整備を行い、市町村の費用負担の軽減を図るなど様々な面から支援してまいります。 次に、AIのより広範囲な業務への活用についてでございます。 AIは画像データを学習し分類することや、大量のデータを組み合わせて分析することなどに優れています。こうした特徴を踏まえ、例えば農業分野では、画像データにより梨の摘果の判断を行うアプリの開発を進めています。また、教育の分野では、県の学力・学習状況調査の結果も活用し、児童生徒の学習状況や生活習慣データを分析して指導に生かす研究にも取り組んでいます。ほかにもこうしたAIの特徴を最大限に活用できる業務や分野は幅広く考えられますが、より大きな効果が見込めるものから個別の調整を始めているところです。 今後ともAIやRPAなど最新の技術の積極的な活用を進め、あらゆる分野でスマート化を進めてまいります。 次に、御質問七、地元問題の(二)川口駅のホーム新設についてお答え申し上げます。 まず、県はどのように現状を把握しているか。また、川口市と連携してJRに強く働き掛けをしていただきたいについてです。 川口駅の一日当たりの利用者数は約十六万八千人であり、JR駅では大宮駅、浦和駅に次ぐ県内三番目の規模ですが、ホームは京浜東北線にしかありません。そのため事故、故障による電車の遅延、運休などの際にはホームへの入場が制限され、通勤通学客を中心とした利用者が大きな影響を受けています。 川口駅に湘南新宿ライン等の中距離列車が停車すれば輸送能力が向上し、代替輸送も可能になるため、混雑の緩和と利便性の向上が見込まれます。一方で、停車駅が増えることで、中距離電車の速達性が損なわれることなどの課題もあります。川口市からは、今年度、ホーム新設を前提に駅周辺の都市機能の課題や将来像について検討を行うための調査費を計上していると聞いています。 県としては、川口市の検討状況を注視するとともに、川口市の意向をしっかり踏まえ、JR東日本に対して引き続きしっかりと要望してまいります。 次に、工事費などについての財政支援についてです。 これまで県内において多くの鉄道の新駅が設置されてきましたが、基本的には設置を要望してきた地元自治体がその費用を負担してきたところでございます。こうした経緯の積み重ねを考慮いたしますと、今回のホーム新設の際も同じ考え方で対応すべきものではないかと考えているところでございます。       〔加藤和男産業労働部長登壇〕 ◎加藤和男産業労働部長 御質問一、行政のスマート化についてのうち、RPAの大衆化、県内企業への導入支援についてお答え申し上げます。 労働力が減少する中、中小企業が稼ぐ力を維持していくためには、生産性の向上が不可欠です。特に人手不足に直面する中小企業にとっては喫緊の課題となっております。こうした中、先進的な中小企業ではRPAを活用し、個別に管理していた受発注、在庫、売上げ等のデータを自動連携し、転記ミスや作業時間を削減し、生産性を向上させ、人手不足を解消している事例も出てきております。県では、平成二十九年度から埼玉県産業振興公社に三名のアドバイザーを配置し、RPAの導入も含めたICTやAIの窓口相談や訪問相談を行っております。平成三十年に実施した民間の調査によりますと、RPAの導入は大企業が三七パーセントに対しまして、中小企業は三パーセントにとどまっております。 また、AIやIoTに比べまして、中小企業のRPAに対する認知度はまだまだ低いといった調査結果もございます。そのため現在配置しているアドバイザーによる相談の更なる周知に努めるとともに、関係団体と連携してセミナーや研修会を開催してまいります。補助制度につきましては、RPAも対象となる国のIT導入補助金の活用を促してまいります。RPAについては生産性の向上や労働力の不足を補うことから、中小企業の具体的な声を聞きながらその導入支援にしっかりと取り組んでまいります。       〔中村一之県土整備部長登壇〕 ◎中村一之県土整備部長 御質問二、今後の街路樹のあり方についてお答え申し上げます。 まず、街路樹マネジメント方針の作成についてでございます。 県の街路樹の維持管理については、道路利用者の安全確保を第一としたせん定や沿道住民から寄せられる落ち葉、害虫など多くの要望にも対応しております。さらに五年に一回、樹木医による街路樹診断を実施し、倒木の危険性の高い樹木の伐採や弱った樹木に対する土壌改善なども実施しております。議員御提案の項目のうち、リサイクルの取組や市民や企業と協働による管理については、県として取り組んでいるものもございます。限られた予算の中でこのような維持管理を実施し、道路整備の際に新たに街路樹を設ける場合には、道路構造令等によって植樹をしてまいりました。 道路利用者に潤いと安らぎを与える街路樹を、都市の魅力向上の資源として活用することは重要であると考えます。このためには、地域の特性を生かすなど地元市町村との連携が必要となることから、市町村の意見を聞きながら検討すべき項目もあると認識しております。このような検討項目や課題を整理しながら、今後の街路樹のあり方について検討してまいります。 次に、街路樹・樹形再生マニュアルの見直しについてでございます。 これまでも街路樹をせん定する場合、街路樹・樹形再生マニュアルに基づき、樹木の特性を生かした樹形となるよう適切な対応に心掛けております。こうした中には、枝の落下防止や視認性の確保が必要な場合など強めのせん定を実施することもございます。このマニュアルは策定から十二年が経過し、樹冠拡大による暑さ対策の必要性が高まるなど一定程度の見直しが必要であると考えております。見直しに際しては、御提案の一つであるシンボルロードの形成などが効果的に実施できることも重要であると認識しております。このような視点を取り入れ、快適で安全な道路空間が形成できるよう街路樹・樹形再生マニュアルの見直しを進めてまいります。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 御質問三、災害拠点病院の備蓄強化についてお答え申し上げます。 まず、燃料の備蓄が三日未満の病院数、水の備蓄が三日未満で地下水が利用できない病院数についてでございます。 停電や断水という状況になっても医療を継続していくには、発電のための燃料や診療に必要な水を確保する必要があります。災害拠点病院の指定に当たっての現行の自家発電に関する要件は、通常時の六割程度の発電容量の自家発電機を保有し、燃料については三日分程度備蓄するか、協定団体からの供給ルートを確保することとなっております。タンクの容量などの事情により燃料の備蓄が三日未満の災害拠点病院は七病院あります。また、水については、適切な容量の受水槽の保有や停電時にも使用可能な井戸設備の整備、優先的な給水協定の締結などの定めがありますが、日数の要件はありません。受水槽の容量などの事情により、水の備蓄が三日未満で地下水が利用できない病院は三病院あります。 次に、災害時にも医療機能を保つための整備に対し、県は公立病院と民間病院それぞれにどのように支援していくのかについてでございます。 現在、民間の災害拠点病院に対しては、非常用自家発電設備の燃料タンクの増設や井戸設備の整備、受水槽の整備などに要する経費の三分の一を補助する制度がございます。公立の災害拠点病院に対しては、設置団体が同様の対象事業に充てた病院事業債の元利償還金の全額を一般会計から繰り出した場合、その六五パーセントに対して普通交付税が措置されます。 現在、国では、燃料や水の備蓄を中心に災害拠点病院の指定要件の見直しについて議論が行われています。議論の方向を見据え、早急に災害時の備えを盤石なものとするため、災害拠点病院に対しこうした財政支援制度の積極的な活用をより一層強く促すとともに、国に対し財政措置の上乗せや診療報酬の更なる加算を要望してまいります。       〔和栗肇都市整備部長登壇〕 ◎和栗肇都市整備部長 御質問四、密集市街地の改善についてお答え申し上げます。 まず、県が広域的な密集市街地整備方針を策定し、計画性とスピード感を持って取り組むことが必要と考えるが、いかがかについてでございます。 東京都や大阪府の密集市街地は、密集度合いなど特性の類似する地域が広域的に分布しており、都や府が一律に密集市街地対策の方針を立て、その改善に向けた取組を進めております。一方、県内の住宅密集地はいわゆるミニ開発や旧市街地の密集地などであり、比較的小規模ないわゆる住宅地として点在している傾向にあります。このため都や府のような一律の方針に代えてそれぞれの地域の実情に合った計画を策定することが、県内の住宅密集地対策に最も有効であると考えております。 そこで、県では県内の全市町村へ働き掛け、平成二十八年度に住宅密集地改善連絡会議を設置し、先進的な取組や制度を市町村と共有してまいりました。この連絡会議の中で、各市町村に対し住宅密集地の把握状況を確認したところ、議員お話しのとおり、七割の市町村が地区を特定していない状況でございました。このため、地域の実情に詳しい市町村が主体的に取り組めるよう、平成三十年度に県が住宅密集地の特定基準や計画策定の考え方、改善手法の事例などを盛り込んだ住宅密集地改善の手引きを取りまとめました。 今後、県ではこの手引きを活用し、各市町村による地区の特定や改善対策の推進を支援するとともに、県の職員が市町村に出向き、地域の実情に合った支援を進めてまいります。 次に、川口市芝地区の危険密集市街地の一刻も早い解消に向けて、県もより一層の支援をすべきと考えるが、いかがかについてでございます。 県内では唯一、川口市芝地区が国の公表した地震時等に著しく危険な密集市街地になっております。密集市街地は、一たび火災が起きると次々と燃え広がる危険があると指摘されています。川口市では、危険密集市街地での延焼防止に効果のある道路拡幅を中心に改善を進めております。危険密集市街地の改善を推進するためには、そこにお住まいの方々に危険密集市街地における危険性の御理解と御協力をいただくことが何より重要です。東京都や大阪府では、民間事業者などを活用して危険密集市街地の改善の必要性や各種助成制度の住民説明を行っており、効果を上げていると伺っております。 今後、県といたしましては、危険密集市街地の危険性を御理解いただくために、必要に応じて川口市が行う住民説明会などへの参画や、全国事例の中から川口市に適合する成功事例を紹介するなど人的支援や技術的支援を行ってまいります。 なお、県の新たな財政的支援の創設は難しいところでございますが、現在、市で取り組んでいる事業費が確保できるようあらゆる機会を捉え、国へ要望してまいります。 県では連絡会議などをより一層活用し、川口市をはじめ県内の市町村とともに密集市街地の改善に向け、積極的に取り組んでまいります。       〔矢嶋行雄県民生活部長登壇〕 ◎矢嶋行雄県民生活部長 御質問五、屋内五十メートルプールの整備についてお答え申し上げます。 まず、一点目の整備に向けた検討の進捗状況についてでございます。 県では現在、国内主要大会が開催でき、最先端の技術で競技力向上を推進するとともに、県民の体力と健康づくりもサポートできる屋内五十メートルプール整備の検討を進めております。これまで大学の有識者や競技団体の関係者などで構成する検討会議を立ち上げて専門的な御意見を伺ったり、民間事業者から事業手法などのヒアリングを行ってまいりました。議員お話しの業務委託は、県が五十メートルプール整備の基本計画を定めるのに先立ち、法律上の条件や事業手法の可能性などについて様々な課題の整理を行うために実施したものでございます。 その結果、規模は五十メートルのメインプールのほか、二十五メートルのサブプールや相当規模の駐車場、円滑な大会運営のための様々な部屋の確保が必要であるとの報告を受けました。設備につきましては、複数のカメラで泳ぎを撮影することでフォームを確認できるシステムや、流水の中を泳ぐことで効果的なトレーニングができる流水プールなどの提案がありました。また、大会を開催していないときに子供から高齢者まで幅広く県民に有効活用していただくためには、プールの床を可動式にして深さを調整可能にすることが有効との報告も受けております。 次に、候補地につきましては、活用可能な県有地の調査結果や議会からいただいた御質問を踏まえ、川口市の神根運動場と上尾運動公園を調査対象といたしました。県内各地からのアクセスや土地や周辺道路の状況、スポーツ施設の集積状況などの現状について調査をいたしました。概算事業費やランニングコストにつきましては、他県の事例を調査したところ、立地する場所や規模、機能、事業手法によって様々であるとの報告を受けております。また、民間のノウハウや資金を活用するPFI手法の可能性についても検討をしております。他県の事例では、PFI手法を採用した場合、県が直接整備する場合と比較して事業費を二〇パーセント前後削減できたという報告もございました。 次に、二点目の基本計画の策定状況についてでございます。 現在、こうした調査結果などをもとに、県として整備する施設の規模や機能、事業手法、整備地などについて比較検討を進めております。基本計画につきましては、これらの課題を整理し方向性を見定めた上で、できる限り速やかに策定したいと考えております。 また、プールの完成時期につきましては、事業手法によって食い違いがございますが、PFI手法を採用した場合には、実施計画策定後から完成まで少なくとも五年程度は要すると考えております。 次に、三点目の候補地選定に関する県の考え方についてでございます。 候補地選定に当たりましては、先ほど申し上げました県内各地からのアクセスの良さなどのほか、整備に係る経費、周辺の施設などとの連携の可能性や収益性の確保などあらゆる課題を総合的に勘案して検討を進めております。議員御指摘のとおり、プールの整備は周辺のまちづくりにも大きな影響を与えますことから、そうした観点もしっかり考慮していく必要があると考えております。 県といたしましては、県内全ての県民の皆様にとって使いやすい、魅力ある屋内五十メートルプールとなるよう整備を進めてまいります。       〔牧千瑞農林部長登壇〕 ◎牧千瑞農林部長 御質問六、県産木材の利用促進についてお答え申し上げます。 まず、県有施設に係る木造化・木質化の調査の実施時期や具体的な調査内容等についてでございます。 県有施設への県産木材利用を進めるため、県では木材利用に関わる事業を所管する十三部局三十八課で構成する彩の国木づかい促進連絡協議会を平成八年に設置しました。木材利用については、施設の構造が決定する前の早い段階で取り組む必要があります。そこで、今年度より当協議会において、各部署における木造化・木質化の検討状況を毎年調査することとしました。調査の時期は、次年度の予算編成を考慮して六月から八月としております。調査の具体的な内容といたしましては、これから設置を予定している施設の構造や延べ床面積及び階数などにより、木造化・木質化の可能性を検討するものでございます。 また、新たなノウハウの普及啓発の対策については、当協議会の場で研修等を行っております。大きな断面の集成材により大空間を実現した埼玉県農業大学校や、規格材を重ねて強度を増すいわゆる重ねばり構造としてコスト縮減を図った杉戸町の保育園などの先進的な事例については、随時共有しているところです。 次に、県産木材を利用した住宅等への補助についてでございます。 森林の循環利用を進めるためにも、多くの県民の皆様に木材の魅力を知っていただくことが必要です。議員お話しの「埼玉の木みんなで使って豊かな暮らし応援事業」は、平成二十六年度から開始し、平成三十年度までに九百九十五戸への助成を行いました。県産木材を扱う工務店は、事業開始前の二十四社から平成三十年度には約九倍の二百十八社に増えており、県産木材の流通ルートが広がるという効果も出てまいりました。 議員御提案の事業の拡大と継続につきましては、これまでの事業成果の検証をしっかり行った上で費用対効果等を踏まえ、今後、総合的に検討してまいります。 次に、木製の塀、すなわち木塀の設置についてでございます。 議員お話しのとおり、木塀は県産木材の新たな分野での利用促進策の一つとして考えられます。全国知事会が平成三十年十一月に国に提出した「国産木材活用の更なる拡大に向けた緊急提言」にも木塀の設置が盛り込まれています。議員御提案の木塀設置のガイドラインの策定はすぐに始められる取組と考えますので、彩の国木づかい促進連絡協議会の場で諮ってまいります。 なお、本年度から森林環境譲与税が配分され、市町村における公共施設での県産木材の利用が広がってくると期待されます。県では今年度、市町村支援の一環として木材建築についての技術アドバイザー制度を創設します。その中で、木塀についても技術相談や情報提供をしてまいります。モデル施工や外構部への補助等についても、これらの取組と併せて事業効果などを今後研究してまいります。 議員の御提案を含め、県産木材の利用促進については今後ともしっかりと取り組んでまいります。       〔富田邦敬警察本部長登壇〕 ◎富田邦敬警察本部長 御質問七、地元問題の(一)川口市北東部への新たな警察署の設置についてお答え申し上げます。 川口市より警察署用地として情報提供のあった土地につきましては、現在、地盤の調査等を行うとともに、都市計画法や建築基準法の問題等について川口市等との協議を継続しているところです。警察署は、治安維持のための地域の拠点、また、災害発生時の防災拠点、さらに今後数十年にわたり県の財産として使用していくものです。したがって、その用地の適否判断においては、土地の形状、地盤の状況、交通の利便性等に加え、さらに各種法令に基づく建築条件等について十分に調査・検討を進めなければなりません。この点、御理解いただきたいと思います。 今後の見通しについて、現段階ではまだ具体的に申し上げられませんが、協議は前向きに進んでいるものと認識しております。 今後も川口市等と協議を継続し、警察署新設の条件が整った段階で更に関係部局と協議を進めるなど、諸課題を解決しつつ円滑に進めてまいりたいと、このように考えております。          ---------------- △休憩の宣告 ○新井豪副議長 暫時、休憩いたします。午後二時三分休憩          ----------------午後三時再開 出席議員    九十三名     一番    二番    三番    四番     五番    六番    七番    八番     九番    十番   十一番   十二番    十三番   十四番   十五番   十六番    十七番   十八番   十九番   二十番   二十一番  二十二番  二十三番  二十四番   二十五番  二十六番  二十七番  二十八番   二十九番   三十番  三十一番  三十二番   三十三番  三十四番  三十五番  三十六番   三十七番  三十八番  三十九番   四十番   四十一番  四十二番  四十三番  四十四番   四十五番  四十六番  四十七番  四十八番   四十九番   五十番  五十一番  五十二番   五十三番  五十四番  五十五番  五十六番   五十七番  五十八番  五十九番   六十番   六十一番  六十二番  六十三番  六十四番   六十五番  六十六番  六十七番  六十八番   六十九番   七十番  七十一番  七十二番   七十三番  七十四番  七十五番  七十六番   七十七番  七十八番  七十九番   八十番   八十一番  八十二番  八十三番  八十四番   八十五番  八十六番  八十七番  八十八番   八十九番   九十番  九十一番  九十二番   九十三番 欠席議員    なし 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○神尾高善議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○神尾高善議長 質疑質問を続行いたします。 五十番 日下部伸三議員       〔五十番 日下部伸三議員登壇〕(拍手起こる) ◆五十番(日下部伸三議員) 自由民主党の日下部伸三でございます。上田県政での一般質問の最後の登壇者になります。上田知事の三期と四年の労をねぎらいつつ質問させていただきます。 まず、この一、令和二年度の国の施策に対する提案・要望について質問させていただきます。 (一)医学部の新設について伺います。 私は、埼玉県における医学部の新設は国公立でないと意味がないと思っております。埼玉県、栃木県、岩手県には国公立の医学部がございません。厚労省が今年二月に発表した、より実態に即した新指標による医師偏在状況でも、栃木県が二十九位、埼玉県が四十三位、岩手県が四十七位といずれも下位に位置しております。 埼玉県には埼玉医大がございますが、私立ですので入学から卒業までに三千七百万円の学費を要します。埼玉県の二人以上世帯の平均年収六百六十二万円では、子供が医者になりたいと言っても埼玉医大を卒業させるには厳しいものがございます。一方、国公立の医学部では入学から卒業まで約三百五十万円の学費で済みます。年収六百六十二万円の世帯でも何とか頑張れると思います。 私が埼玉医大総合医療センターに勤務していたとき、極めて有能な整形外科の助教授の先生が「息子が医者になりたいと言い出したので、勤務医を辞めて開業する」と言ってメスを置かれたことを鮮明に覚えております。知事をはじめ執行部はよく「埼玉県の医者の数は増えている」と言いますが、その一方で、子供を医者にするため、有能な外科医がメスを置いている事実も知っていただきたいと思っております。 その息子さんは順天堂大学の医学部に行かれたのですが、私立の医学部で学費が一番安いのが国際医療福祉大学の一千八百五十万円、二番目に安いのが順天堂大学ですが、それでも二千八十万円かかります。国の高等教育の教育費軽減新制度が導入されても、支援の対象となる学生は住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生に限定され、六年間で最高額四百四十六万円の減免ですから、埼玉医大の勤務医の年収では厳しいものがございます。現在、埼玉県内の経済力がない世帯の医師志望者は、県外の国公立の医学部に進学するしかありません。私の息子も他県の国公立の医学部に進学し、現在、愛媛県で脳外科の専攻医をしておりますが、愛媛県の女医さんと結婚してしまったので、埼玉県には戻ってまいりません。 埼玉県に国公立の医学部がないために、親子が遠く離れ離れに暮らす運命になった日下部家の事情も踏まえて、保健医療部長に三点伺います。 埼玉県に国公立の医学部がない現状でよいと思っているのか否か。 国の施策に対する提案・要望の医学部の新設に括弧で(国公立)と付記すべきと考えますが、いかがでしょうか。 医学部新設の許認可権は文部科学省にありますが、上田知事は三期と四年の在任中に文部科学大臣に医学部新設の直談判に行ったことが一回もないと聞いておりますが、それに間違いがないか。 以上、三点について御答弁ください。 (二)新専門医制度導入に伴う専攻医の都市部集中について伺います。 医療現場の評判がすこぶる悪いこの新専門医制度は、これまで各学会が独自の制度設計で認定してきた専門医を、厚労省が統一性に欠け専門医の質が一定でないとの理由で、それまで一か所の研修病院で専門医が取得できたものを、大学病院を基幹病院として複数の病院をローテーションしなければならないように昨年度から導入したものです。 しかしながら、この専門医制度導入より、内科、外科、小児科など幅広く回る二年間の初期研修を終えた後期研修医、すなわち専攻医が大学病院の多い都市部に集中する結果になり、医師の都市部偏在を助長する結果となっております。特に関東では東京への一極集中が著しく、二〇一八年度は東京都一千八百二十四人に対し、埼玉県は二百二十八人、二〇一九年度も東京都一千七百七十一人に対し、埼玉県二百五十六人となっており、人口に対する専攻医の数は東京都が埼玉県の約四倍となっております。また、医師の間では絶滅危惧種と称されている脳外科の専攻医は、昨年度は青森、山形、新潟、山梨など十県でゼロ名、今年度も富山、山口、大分の三県でゼロ名であります。新専門医導入により診療科偏在も助長されております。 この制度が長く続くと地域医療は壊滅的打撃を受けるという危惧から、私、昨年の六月定例会の一般質問で「次回の国の施策に対する提案・要望の中に新専門医制度導入による医師の地域偏在、診療科偏在を是正する対策を講ずることを加えるべきではないか」と質問させていただきました。それに対し、昨年度の保健医療部長が「新専門医制度導入による医師の地域偏在、診療科偏在を是正する対策を講ずるよう、国に要望してまいります」と間違いなく答弁しながら、令和二年度の国の施策に対する提案・要望にそれが記載されていない。その理由を今年度の保健医療部長にお伺いいたします。 また、全国知事会では、制度開始前の平成二十八年、厚労省に対し医師の地域偏在、診療科偏在を助長することのない仕組みを要望されていたようです。制度導入後の専攻医の都市部集中の結果を受けて、上田知事が会長就任後の全国知事会でこの問題が取り上げられたことがあるのか否か、企画財政部長に伺います。 (三)東京一極集中の是正について伺います。 先ほど専攻医の東京一極集中の現状を述べましたが、先月二十四日の日経新聞には「診療所の新設も都市部に集中」という記事がございました。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて医師に限らず、ヒト・モノ・カネの東京一極集中が更に加速すると予想されます。 令和二年度の国の施策に対する提案・要望に東京一極集中の是正が記載されていない理由について、企画財政部長にお伺いいたします。 埼玉新聞によれば、先月の十六日、地方六団体の代表が片山さつき地方創生担当大臣と会談し、人口減対策などに取り組む自治体に配分する交付金の使い勝手を高めることや、利用が低調な企業版ふるさと納税の見直しなど東京一極集中是正の関連施策の拡充を求め、その一週間後の五月二十三日に地方創生の次期戦略策定に向けた政府の有識者会議が、高校生を対象に地域の産業や文化への理解を深める教育をすれば、進学や就職で首都圏に転出しても将来のUターンが期待できる、あるいはまた都市と地方の交流を促進すれば移住者が増加するといった報告書を公表しております。 それを受けて今月二十一日、つい最近ですが、政府が地方創生の第二期目となる二〇二〇年度から二〇二四年度の方向性を示す、まち・ひと・しごと創生基本方針を閣議決定したとのことですが、私は残念ながらこれら小手先の政策はほとんど効果がないと思います。 私、市議一期目から数えると政治に関わって十七年目になりますが、交付金や補助金、商品券、クーポンなどでは政策誘導できないこと、税金や年金などの社会保障制度の根幹に関わる部分を変えないと政策誘導できないことを学びました。ややドラスティックではありますが、これは例えばの話ですが、所得税、法人税の税率を全国一律ではなく段階的に人口密度に比例させれば、都市部へのヒト・モノ・カネの集中は止まり、埼玉県の南北問題も解消すると思います。 次回の国の施策に対する提案・要望に「東京一極集中是正のための税制や社会保障制度の根幹に関わる大胆な要望」をしてはいかがかと考えますが、企画財政部長の見解をお聞かせください。 提案要望の中で、(四)鉄道新線建設における支援制度の拡大について伺います。 これは埼玉高速鉄道、地下鉄七号線の延伸をはじめとして毎年国へ要望している問題ですが、地下鉄七号線の延伸は、私のさいたま市議一期目、二〇〇三年五月から何の進捗もないように思います。上田知事の一期目当選も二〇〇三年八月ですが、二〇〇三年八月と十六年後の二〇一九年六月と比較して地下鉄七号線の延伸は具体的にどこがどう進捗したのか、企画財政部長に伺います。 地下鉄七号線が採算性の観点から岩槻、蓮田に延伸できないならば、採算性と埼玉県の東西交通の充実の観点から、埼玉スタジアム、さいたま市立病院の地下を走らせて新都心から大宮駅につなぎ、軌道幅が同じで地下にプラットホームがあるJR川越線に乗り入れる案が検討されたことはないのでしょうか。企画財政部長に伺います。 これも私が県議一期目から言い続けていることですが、政令市を有する道府県には、通常具備されていながら埼玉県にはないインフラが三つございます。一つは、先ほどの国公立の医学部、二つ目が幕張メッセやパシフィコ横浜のような国際コンベンション施設、三つ目が地下鉄と地下街であります。上田県政三期と四年で、これらの三つのインフラ整備については全く何も進捗がなかったように思います。何もしなければ敵もできないので、低投票率の選挙では強いということも勉強させていただきました。 インフラ整備に力を入れてこなかった上田県政、ほとんど唯一のインフラ整備が新都心に病院を建てたことであります。しかしながら、新都心八-一A街区は病院にするには余りにももったいない場所だったと思います。国際コンベンション施設とホテルの複合体、あるいは一般質問初日に木下議員が質問し、本日特別委員会が設置されました県庁舎と国際コンベンション施設の方がよかったと申し上げて次の質問に移ります。 二、浦和美園に計画されている順天堂大学医学部附属病院の分院誘致の進捗状況とタイムスケジュールについて、保健医療部長に伺います。 この質問はタイトルどおりでございます。用地買収は完了しているのか、基本設計はできているのかなど現在の進捗状況と基本設計、実施設計、着工、開院のタイムスケジュールについて、保健医療部長にお伺いいたします。 三、県立病院の地方独立行政法人化の進捗状況とタイムスケジュールについて伺います。 県立病院への一般会計からの運営費繰入金は、平成十二年度は百四億七千百万円ありましたが、土屋県政時代の平成十四年度から武弘道先生が病院事業管理者に就任され、三年後の平成十六年度には七十七億五千六百万円、約三十億近くですね、削減されました。武先生は、この収支改善を一人の首切りも給与カットも行わずに医業収益を増やすことと医療材料の経費節減で実現しており、上田知事の言う経営体としての県庁への改革と言えると思います。 上田県政に変わり、伊能病院事業管理者時代の平成十九年度には一般会計からの運営費繰入金は六十七億六千六百万円まで減りましたが、その後、名和病院事業管理者時代になるとまた繰入金が増え出して、現在は岩中病院事業管理者ですが、平成三十年度には百二十五億八千七百万円に達し、上田県政における県立病院の運営は経営体としての県庁の改革には程遠かったと思います。 しかしながら、私は昨年度、県立病院の在り方検討委員会を立ち上げ、県立病院の経営形態は地方独立行政法人が望ましいとの報告を受け、県立病院の地方独立行政法人化へのかじを切った岩中病院事業管理者の手腕を高く評価しております。 県立病院の独法化と救急告示化は、私が県議一期目から主張していたことですが、名和病院事業管理者時代の上田知事は、病院局のお役人が書いた県立病院を独法化できない理由と救急告示化できない理由をほとんど棒読みするような答弁をされていました。岩中病院事業管理者に代わって、県立小児医療センターが救急告示化され、循環器・呼吸器病センターも医師の定数がそろい次第、救急告示化する方向となっております。県立四病院の独法化にもかじを切られ、衷心より御礼申し上げる次第でございます。 最近、岩中先生の表情が厳しくなり「臨床に戻りたい」と言っているといううわさも漏れ聞いておりますが、県立病院を独法化した病院事業管理者として、埼玉県政に名を残すまで頑張っていただきたいと思います。 前置きが長くなりましたが、新聞では県立病院の独法化の実現には約二年かかり、二〇二一年春からと報道されております。職員のコンセンサスなどその進捗状況、並びにがんセンターや循環器・呼吸器病センターは独法化しやすく、精神医療センターは独法化しにくい部分もあると思われますが、そのタイムスケジュールについて、病院事業管理者に伺います。 県総合リハビリテーションセンター、以下県リハと略します。この病院部門も福祉部所管ではありますが、同じく県立病院でございます。平成二十九年十一月の決算特別委員会では、私、日下部が、同年の十二月の福祉保健医療委員会では自民党の内沼議員が、平成三十年二月の予算特別委員会でも自民党の中屋敷議員が県リハの病院部門の独立行政法人化について質問しております。いずれも病院局の地方独立行政法人化の動向を見ながら、県リハについても検討していきたいという旨の答弁でしたが、県リハの地方独立行政法人化の進捗状況と今後のタイムスケジュールについて、福祉部長に伺います。 四、救急現場のDNAR(心肺蘇生不実施)について伺います。 今年五月十二日の産経新聞に、東京消防庁が年内にかかりつけ医らの指示によるDNAR、「do not attempt resuscitation」と言うんですけれども、心肺蘇生不実施を導入する方針を固めたという記事がありました。これは高齢者本人やがん患者本人が自宅などで心肺停止に陥った場合、蘇生措置を受けずに最期を迎えたいと希望していたにもかかわらず、救急隊が蘇生措置を実施したようなケースが後を絶たないからであります。 大多数の日本人は、最期は自分の家で家族に見守られて静かに息を引き取りたいと思っており、病院で管をたくさんつながれて死にたいとは思っておりません。しかしながら、いつの頃からか日本人は自宅で死ねなくなってしまいました。 私は、埼玉医大総合医療センターの救命救急センターで計五年間勤務いたしましたが、懸命に救命治療して生き残ったものの植物状態となり、それを誰が見るかで家族の仲が悪くなるケースもありました。膨大な医療費を使って救命はしたものの、患者さんも、家族も、医療従事者も誰も幸せになっていないケースも少なくありませんでした。 脳外科諸氏から反論はあると思いますが、私の救命救急センター五年間の経験では、七十歳以上で初診時の意識レベルがジャパン・コーマ・スケールのⅢ-百以上、少し専門的で申し訳ありませんが、分かりやすく言えば、たたいてもつねっても起きない、そういう重症の脳内出血、脳梗塞では、摂食、排泄、移動が自立するところまで回復した例は一例もございませんでした。人間も生物である以上、死は避けられません。その日は例外なく訪れます。 私は先のデータを平成六年の第二十二回救急医学会総会で発表した後、一撃で呼吸停止を来すような重症の脳卒中は、神が人間に与えてくれた苦しまずに死ねるいい死に方かなと考えるようになり、救命救急センターを退職いたしました。八十歳以上の重症脳卒中や末期がん患者に救急隊が心肺蘇生措置を施して病院に搬送してくることは、救命救急センターの医師からすれば医療費の無駄であるばかりでなく、本当に救命すべき患者さんのベッドを塞いでしまう、あるいは本当に必要な患者さんのところへ救急隊の到着が遅れるなど、むしろマイナスの面が多いと考えます。 そこで、質問いたします。救急隊の出動件数が年々増加し、七十五歳以上の搬送者が急増している現状を考えると、埼玉県でもDNAR(心肺蘇生不実施)を導入すべきと考えますが、危機管理防災部長の見解を伺います。 また、DNARの導入に関しては、患者本人とその家族に事前の意思表示の必要性を浸透させるとともに、それをかかりつけ医に伝えておくことが必要になります。私の病院では、私がかかりつけ医になっている患者さんについては、電子カルテの一面に「不必要な延命措置希望せず。副院長日下部」と目立つようにメモ書きしておりますが、今後、県としてどう取り組んでいくのか、保健医療部長に伺います。 五、治安とプライバシーについて伺います。 今年の五月二十八日、川崎市で包丁を持った男がスクールバスを待っていた児童らを次々と襲い、十九人が刺され、二人が死亡する事件がございました。平成十三年にも大阪の池田小学校で刃物を持った男により児童八人が死亡し、十五人が重軽傷を負う同類の事件がございました。私も三人の子供の父親ですが、全くいわれのない理由で子供を殺された親御さんの気持ちを考えると、加害者を生まない社会づくりのようなきれいごとを言っていてよいのかと思います。 そこで、質問いたします。こういう無差別殺人を防ぎようがない事件で片付けてはならないと思いますが、警察本部長の見解を伺います。 私は、こういう無差別殺人を防ぐには、テロ対策と同じ考え方に立つ必要があると思います。つまり、一旦事件が起こってしまえば多数の犠牲者が出ることは避けられず、情報収集により未然に防ぐしかないと考えますが、警察本部長のお考えを伺います。 現在、爆弾テロについては、爆弾の原料となる材料を購入する段階で身分の提示を求める制度になっていると思いますが、同様に刃渡り三十センチ以上の包丁を二本以上同時に購入する場合には身分の提示を求める。あるいは医師の守秘義務との兼ね合いがございますが、児童虐待と同様、医療機関すなわち精神科、心療内科、メンタルクリニックなどから危険人物の情報提供を求めることも必要ではないかと考えますが、これらについても警察本部長の見解をお聞かせください。 日本では刃物による、アメリカでは銃による無差別大量殺人がなくならないわけですが、個人情報が当局によって厳しく管理されている北朝鮮や中国でも同類の無差別殺人はあるのでしょうか。分かる範囲で警察本部長、御教示ください。 個人の自由やプライバシーの保護が重要であることは言うまでもありません。誤解のないようにお願いいたしますが、個人の自由やプライバシーと治安は、ある意味では反比例することを私たちは受け入れざるを得ないのではないかとも思います。警察本部長の見解をお聞かせください。 六、架換えが決定しているJR川越線の荒川橋りょうの複線仕様について伺います。 荒川の決壊は甚大な被害を招くため、国の事業で二〇一八年度から二〇三〇年度の十三年間で一千六百七十億を掛け、そのうち県の負担も百三十億円ございますが、堤防のかさ上げと第二、第三調節池の大規模改良工事が行われます。この事業では、低位置にあるJR川越線の鉄橋からの決壊を防ぐため、鉄橋をより高い位置に架け換えることも決定しております。私が国交省に鉄橋の架換えに幾らかかるのか聞いてみましたところ「単線で架け換える予算で約二百億円、国とJRはこれ以上出せません」との回答でした。ただし、鉄橋を複線仕様にする不足分を関係自治体が負担するなら、複線仕様の架換えも可能とのことでした。 私は、この機会を逃すとJR川越線の複線化は永久に難しく、土台だけでも複線化に対応できるものにしておくべきと考え、今年三月の予算特別委員会で「次の六月定例会に補正予算で調査費を計上すべきでは」と質問したところ、企画財政部長の答弁は「まだ調査費を予算措置する段階ではない」旨の、インフラ整備に力を入れない上田県政を象徴するような答弁でした。 今定例会二十四日の関根議員のJR川越線の複線化の延伸に関わる質問に対し、企画財政部長は「JR東日本が複線化を検討するためには、地元市の意向が重要であります。今後、地元市において方向性が定まり、JR東日本が複線化検討に対する効果を認めた場合において、調査費等の検討をすべきものと考えております」というのんきな答弁をいたしましたが、この鉄橋の架換えは後ろが二〇三〇年度と決まっており、用地買収の期間などを考えるとそんなに時間的余裕はございません。 私は、さいたま市の清水市長、川越市の川合市長とも意見交換しましたが「この機会を逃すとJR川越線の複線化は永久に難しく、土台だけでも複線化に対応できるものにしておくべき」という認識は一致しております。鉄橋の架換えについては地元市の方向性は既に定まっており、方向性が定まっていないのは埼玉県だけであります。 改めて、企画財政部長に三点伺います。 地元市の意向が重要と言われましたが、本県のような複数の市に関わる課題こそ県がリーダーシップをとるべきと考えますが、いかがでしょうか。 遅くとも今年度中に調査費を計上し、国、JR、県、さいたま市、川越市の五者による正式な協議会を設置し、複線仕様の鉄橋の建設には幾ら掛かるのか、土台だけでも複線仕様にした場合は幾らなのか、関係自治体の負担割合をどうするのかという議論を開始すべきと考えますが、企画財政部長の御所見をお聞かせください。 二〇一七年度から開始された極めて評判の悪い多子世帯応援クーポン事業に、令和元年度は五億七千五百八十二万三千円の予算が付けられておりますが、開始翌年、二〇一八年の埼玉県の合計特殊出生率は前年の一・三六から〇・〇二ポイント下落し、一・三四となっております。合計特殊出生率の全国平均との差も二〇一七年の〇・〇七から二〇一八年は〇・〇八へ拡大し、埼玉県の出生数も二〇一七年の五万三千六十九人から二〇一八年は五万一千二百四十一人に減少しており、少子化対策の効果は認められておりません。 そこで質問でございますが、JR川越線の荒川橋りょうの複線仕様の調査費と、費用対効果が認められない多子世帯応援クーポン事業の予算のどちらの優先順位が高いとお考えかも併せてお答えください。 七、埼玉県指定文化財の維持管理について伺います。 私の選挙区に昭和三十三年に県指定文化財となった大塚古墳という史跡がございます。その所有者さんから「もう自分も高齢になり、もう斜面の部分の草刈りと掃除ができないので県で維持管理してほしい」という陳情を受けたのが、四年前の平成二十七年五月二十日のことであります。所管である県の生涯学習文化財課に相談したところ「通常その史跡のある市町村、大塚古墳の場合はさいたま市に維持管理をお願いすることになる」という回答でしたので、さいたま市の文化財保護課に相談すると「市で県の指定文化財を維持管理する予算はありません」との回答でした。 「県でも市でも維持管理できないのならば、西大宮駅まで徒歩二分の立地条件なので、競売に出すから県の指定を解除してほしい」という所有者さんの意向を県と市の担当者に伝えたところ、さいたま市が部分的に発掘することを検討いたしましたが、部分的な発掘では何も出なかった場合、あるいは経典しか出なかった場合、経塚の場合ですね、という場合どうなるのかという問題が生じ、膠着状態に陥りました。 そこで、平成二十九年六月定例会の一般質問で、私この問題を取り上げさせていただき「今後、所有者の高齢化に伴い県指定文化財の維持管理が困難になることが予想されるので、県指定文化財の指定解除、あるいは継続的維持管理に関わる要綱を早急に策定すべきと考えるがいかがか」と質問したところ、教育長の答弁は「県指定文化財の維持管理については、一律に基準を定めることよりも個々の文化財の状況に応じて関係者が協議し、最良の方向を見出していくことが望ましい」というふうに答えております。この答弁から二年間、埼玉県もさいたま市も何もしておりません。 この大塚古墳の所有者さんは私の患者さんでございまして、既に八十六歳になられました。先日、外来受診時に「結局、市も県も全く動かない。私も息子も維持管理する気はないので、古墳も土地も県に寄附する」と申されております。教育長の言う個々の文化財の状況に応じて対応するやり方では、問題解決に向けた進捗が何も見られない結果になっておりますので、改めて県指定文化財の指定解除、あるいは継続的維持管理に関わる要綱を早急に策定すべきではということについて、教育長にお伺いいたします。 最後になりますが、今年の六月十七日の毎日新聞に「多選自粛条例は公布時に現職だった上田知事のみが対象で、辞職すれば実質的に無効になる。改廃について問われた上田知事は、記者会見で『どこかで整理されるとよいのでは』と人ごとのように答えた」という記事がございました。自らのために自らがつけた県政の汚点を他人に尻ぬぐいをさせるのは無責任であるということを申し添えて、私の一般質問を終わります。(拍手起こる) ○神尾高善議長 五十番 日下部伸三議員の質問に対する答弁を求めます。       〔関本建二保健医療部長登壇〕 ◎関本建二保健医療部長 御質問一、令和二年度の国の施策に対する提案・要望についてお答えを申し上げます。 まず、(一)医学部の新設についてのお尋ねのうち、埼玉県に国公立の医学部がない現状でよいと思っているのか否かについてでございます。 私立医科大学が一校しか立地していない現状は、医師不足である本県にとって厳しい状況と認識しております。医学部の設置は、喫緊の課題である医師不足を解消するため長期的に有効な手段であるとの認識は変わりありません。 次に、国の施策に対する提案・要望の医学部の新設に括弧で(国公立)と付記すべきと考えるがいかがかについてでございます。 国の検討会では、二〇二二年度以降の医学部定員について、減員に向けて見直すべきとの方向性が示されました。本県としては、私立、国公立を問わず医師不足地域においては医学部新設を認めていただくよう要望を続けていくことが重要だと考えます。 次に、上田知事は在任中に文部科学大臣に医学部新設の直談判に行ったことが一回もないと聞いているが、それに間違いないかについてでございます。 知事は常々「直談判はここぞ急所という場面で行うもの」と話しております。例えば平成二十六年八月には基準病床数の算定方法の見直しを求め、当時の田村厚生労働大臣を訪ねて長時間にわたって直接交渉いたしました。医学部の設置に関しても相応のプロセスを経て実現に至るものと考えます。時期によっては直接交渉が有効な手法になりますが、現在はトップ同士の直接交渉の段階ではないと知事は認識されております。県としては、文部科学省、厚生労働省、県選出国会議員に継続して要望してまいります。 次に、(二)新専門医制度導入に伴う専攻医の都市部集中についてのお尋ねのうち、国の施策に対する提案・要望に新専門医制度導入による医師の地域偏在、診療科偏在を是正する対策を講ずることが記載されていない理由についてでございます。 平成三十年七月の医師法の改正において、新専門医制度について国が日本専門医機構に対し意見ができる制度が創設されました。その際には、あらかじめ国は都道府県の意見を聴かなければならないとされています。県から国への意見提出の方法や時期については国から示されており、このため国の施策に対する提案・要望としてではなく、医師法に定められた方法により国へ要望することといたしました。 本県では、医師会、医療機関、大学等の有識者による議論を経て、埼玉県総合医局機構で意見を取りまとめました。本県の意見として、平成三十年十月に、都道府県ごと、診療科ごとに専攻医の上限設定など都市部集中への効果的な対応策を検討するよう国に要望いたしました。各都道府県の意見を受けた国は、同月、日本専門医機構に意見及び要請をしております。現在、日本専門医機構が令和二年度研修開始の専攻医の募集定員の上限について検討しているところです。この制度を活用し、新専門医制度の更なる改善に向けて継続して国に要望してまいります。 次に、御質問二、順天堂大学医学部附属病院分院誘致の進捗状況及びタイムスケジュールについてお答え申し上げます。 順天堂大学が貸与を要望している土地は三区画にまたがっています。このうち一区画は、貸与予定地として県議会の御同意を得て平成二十八年度末までに県が取得しました。さらに残り二区画は、さいたま市が平成二十九年六月に市議会の議決をいただき、公益的施設用地として取得しています。 また、基本設計の着手に当たり、これまで大学は浦和美園駅から新病院までの交通アクセスなどを懸念していました。しかし、今年四月に順天堂理事長自ら現地を視察し、その折、理事長が関係者から交通アクセスやまちづくりの取組について説明を受けたところです。その結果、大学において建設推進のための医師を含むプロジェクトチームを設置することが決まり、その旨六月五日に直接知事に報告がありました。 今後は順次、基本設計や環境アセスメントに進んでいく予定で、建設に向けて一歩踏み出したものと考えています。県議会の御協力をいただきながら着実に進んできたものでございます。第七次埼玉県地域保健医療計画の終期である二〇二三年度末までには開院していただけるよう取り組んでまいります。 次に、御質問四、救急現場のDNAR(心肺蘇生不実施)についてのお尋ねのうち、患者本人とその家族に事前の意思表示の必要性を浸透させることと、それをかかりつけ医に伝えておくことの今後の県の取組についてでございます。 命の危険が迫った状態になると、約七〇パーセントの方が医療やケアなどを自分で決めたり、望みを人に伝えたりすることができなくなると言われております。また、患者の意思は、時間の経過や病状の進行に伴う心身の状態に応じて刻々と変化します。もしものときに患者本人が希望する医療を適切に受けられるようにするためには、自らの意思を事前にかかりつけ医や家族などとその都度、書き改められるような書面の形で共有しておくことが重要です。 こうした背景から、平成三十年三月に厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が改訂されました。このガイドラインでは、患者や家族と医療従事者が患者本人の望む医療やケアについて前もって考え、繰り返し話し合い、共有する「アドバンス・ケア・プランニング」いわゆるACPが重要とされております。そこで県では県医師会などに協力し、人生の最終段階において希望する医療やケアについて自ら考える機会や、本人が意思決定を表明できるような環境整備を進めているところです。昨年度、県医師会は四組の家族の看取り体験を収録したDVDを作成し、県内の郡市医師会や市町村、地域包括支援センターなどの関係機関が行う研修などで幅広く活用されています。 今年度は、人生の最終段階を迎えた患者が自らの意思を表明できなくなった場合に備えて、本人が希望する医療を前もって表明しておく事前意思表明書の標準例を県医師会に協力して作成を進めております。この事前意思表明書は、かかりつけ医が患者と今後起こり得る病状の変化などについて繰り返し話し合い、理解を深め、患者の意思を共有するための一つの手段として活用されることを想定しています。また、患者がその時点での希望を自ら記載することが非常に重要です。今後、県医師会と協力して医療従事者に対する研修会を開催し、実際の診療場面での活用を促してまいります。こうしたACPの概念を広く普及していくことが、DNARの拡大に結び付くものと考えております。       〔石川英寛企画財政部長登壇〕 ◎石川英寛企画財政部長 御質問一、令和二年度の国の施策に対する提案・要望についての(二)新専門医制度導入に伴う専攻医の都市部集中についてうち、制度導入後の専攻医の都市部集中の結果を受けて、全国知事会でこの問題が取り上げられたことがあるかについてでございます。 議員お話しのとおり、全国知事会では、平成二十八年七月に専門医の質の向上と地域医療の確保が両立できるよう新たな専門医制度に対する要望を厚生労働大臣などに行いました。それ以来、改めて新専門医制度に特化した議論は行われておりませんが、医師の確保や地域偏在解消は重要な課題であるため、その議論の中で話題に上がることはあります。県としては、全国知事会における議論の動向をしっかり把握してまいります。 次に、(三)東京一極集中の是正についてお答え申し上げます。 まず、令和二年度の国の施策に対する提案・要望に東京一極集中の是正が記載されていない理由についてでございます。 国への要望書には本県が施策を推進する上での課題を掲げ、その解決に必要な対応策などを具体的に記述しています。これは、本県の課題を国に明確に伝えて理解してもらい、国の制度や運用を改正してもらうためです。 議員お話しの東京一極集中の是正は重要であると認識しています。ただ、この東京一極集中の是正は、具体的な課題等の背景にある大きな社会的変化を捉えており、国へそのまま要望することにはなじまないものと考えます。国に対しては、関連する施策について所管省庁を特定した上で個別に要望することが効果的です。例えば保育士の給与は、国の公定価格において東京都と隣接する本県とで大きな差があるため、保育士が東京都に集中し、本県での人材確保が困難となっています。この格差を解消するよう国へ要望した結果、本年度見直しに着手すると聞いています。また、これまで全国で六倍以上の格差があった法人事業税や法人住民税についてその是正を要望してきたところ、本年度の税制改正により是正措置がとられ、本県税収も一定程度増加する見込みです。 次に、次回の国の施策に対する提案・要望に東京一極集中の是正のため、税制や社会保障制度の根幹に関わる大胆な要望の記載についてお答えします。 税制は、支払い能力や受ける利益に応じて負担するという公平の原則や経済活動の選択をゆがめないという中立の原則などを踏まえ、納税者の理解の上に成り立つ制度です。国民健康保険などの社会保障制度も受益と負担のバランスを図るなど、基本的に同様の考え方に基づくものです。このため税率等を人口密度に比例させることは負担の公平性を損ない、新たな地域間格差を引き起こす可能性があるなど、多くの課題があります。また、本県は東京都に隣接していることから、東京一極集中のメリットとデメリットの両方の影響があります。したがって、東京一極集中の是正に関連する要望を行う場合、本県にとって望ましい施策は何か十分に検討する必要があります。 今後とも本県の持続可能な発展に向けて有益な施策を実現することができるよう、積極的に国に対して要望してまいります。 次に、(四)鉄道新線建設における支援制度の拡大についてお答え申し上げます。 まず、二〇〇三年八月と二〇一九年六月を比較して、地下鉄七号線の延伸はどこがどう進捗したのかについてです。 県では二〇〇三年度、すなわち平成十五年度以前から国の施策に対する要望・提案の中で、毎年継続して鉄道新線建設の要望を行っております。具体的には、地下鉄七号線の延伸のための助成制度の創設や補助率の引上げなどを要望してまいりました。また、国の交通政策審議会の答申に位置付けられることは、延伸事業の必要性が明確になることから特に重要であり、平成二十七年十二月には知事が国土交通大臣を訪問し、直接要望しました。この結果、平成二十八年四月の答申において、地下鉄七号線の浦和美園から蓮田までの延伸が位置付けられたところです。一方で、答申では事業性に関する課題が指摘され、需要創出に必要な沿線開発や交流人口の増加に向けた取組が求められました。 こうした課題を受け、平成二十九年度にさいたま市が設置した有識者等による協議会に県も参画し、岩槻までの延伸について検討を行いました。検討した五つのケースのうち、沿線開発と快速運転の運行を組み合わせた二つのケースにおいて、費用便益比が一を超えることが示されました。この結果を踏まえ、平成三十年度からは県とさいたま市に鉄道事業者等を加えた実務関係者会議において、課題解決に向けた検討を始めております。このように地下鉄七号線の延伸については、段階的に取組を進めてきたところです。 次に、採算性と東西交通の充実のため、埼玉スタジアム、さいたま市立病院、新都心、大宮につなぎ、川越線に乗り入れるという議論はなかったかについてです。 浦和美園と大宮を結ぶルートは、東西交通大宮ルートとして先ほど申し上げた答申に位置付けられており、さいたま市がLRT等の輸送システムで検討を進めております。議員御提案のルートがこれとは別の新たなものであれば、これまで議論したことはございません。 次に、御質問六、架換えが決定しているJR川越線の荒川橋りょうの複線仕様についてお答え申し上げます。 まず、複数の市に関わる課題こそ県がリーダーシップをとるべきについてです。 複線化につきましては、混雑の状況、沿線開発に伴う今後の輸送状況などを踏まえ、基本的には鉄道事業者のJR東日本が判断します。JR東日本は、現在の利用状況では複線化の必要性は低いとの見解を示しています。JR東日本が複線化を判断するためには、地元市のまちづくりにより沿線人口などの利用者を増加させる必要があり、地元市の意向が重要であります。県としましては、地元市を含めた関係者間の検討にできる限りの協力をしております。 次に、今年度中に調査費を計上し、五者による正式な協議会を設置し、議論を開始すべきについてです。 現在、県とさいたま市、川越市にJR東日本と国を加えた五者による打合せの場を設け、意見交換を行っていますが、複線化の可能性を検討している段階であると認識しています。橋りょう架換えの具体的なスケジュールや、複線化の目安となる利用者数が示されていないといった議論もあります。また、両市の議会においては、川越線複線化について五者の間で情報共有を図りながら可能性の検討や研究を進めていく旨の答弁がなされています。 こうした状況を踏まえ、調査費については、今後地元市において方向性が定まり、JR東日本が複線化検討に対する効果を認めた場合において検討すべきものと考えています。 次に、JR川越線の荒川橋りょうの複線仕様の調査費と多子世帯応援クーポン事業の予算について、どちらの優先順位が高いかについてです。 多子世帯応援クーポン事業は、第三子以降が生まれた世帯に子育てサービス等に利用できるクーポンを配布して育児に係る負担を軽減する少子化対策事業です。この事業は、平成二十九年度から予算化され実施されています。一方で、川越線の複線化については交通分野に関するものであり、また、今後の可能性を検討している段階であることから、両者はおのずと異なるものと考えます。       〔岩中督病院事業管理者登壇〕 ◎岩中督病院事業管理者 御質問三、県立病院地方独立行政法人化の進捗状況及びタイムスケジュールについてお答え申し上げます。 私の今後につきまして御心配をいただきました。確かに外科医として診療業務と申しますか、臨床業務に若干の未練はございますが、引き続き病院事業管理者として責務を果たすべく、しっかり取り組ませていただきたいと思っておりますので、御心配無用に願います。 県立病院への繰入金が増大しているとのことですが、病院局では老朽化した三つの病院の建替えを順次進めることにより、民間病院では提供できない高度専門、政策医療がより一層展開できるようになりました。例えば、循環器・呼吸器病センターでは脳神経センターを開設しておりますし、がんセンターではがんゲノム医療への取組を進めています。また、小児医療センターでは小児救命救急センターの開設のほか、総合周産期母子医療センターの運営による東京への母体搬送の件数が激減するなど目に見える形で成果が現れています。このような取組を加速し、県民により適切な医療を提供するため、県立四病院は地方独立行政法人に向けて準備を進めることといたしました。 地方独立行政法人化の進捗状況についてでございますが、現在、法人化の準備に必要となる方針や計画等の意思決定を行う法人準備委員会を設置し、法人化に向けた議論を進めております。その中で、職員の勤務条件など特に検討を要する事項は、四病院を横断して様々な職種、職位の職員で構成されるワーキンググループを設置し、個別に検討を行っています。 また、法人化の準備を進めていく上では、診療現場の職員と意見交換をしていくことも大切と考えており、昨年度に引き続き県立病院職員勉強会を開催しています。この六月に開催した第一回目の勉強会では、四病院合わせて五百人を超える職員が参加し、活発な意見交換を行いました。 次に、地方独立行政法人化のタイムスケジュールについてでございますが、法人への移行には様々な準備が必要となることから、最も順調に進んだ場合には、令和三年四月からの移行となる見込みです。具体的なスケジュールとして、まず、今年度は法人の設立根拠となる定款を定める必要があります。来年度は法人運営の具体的な指針となる中期目標、その実行計画である中期計画を策定していきます。また、法人の財産や職員を定める手続も行い、法人が目に見える姿を作ってまいります。そして最終的には、総務大臣から法人設立の認可を受けることになります。法人の形態は、専門性の高い医師をはじめ医療スタッフの相互活用や管理部門を集約し、効率的に業務を進めることができる四病院一体を考えております。 県立病院が地方独立行政法人になっても、県民に対して小児、救急、精神などの高度専門、政策医療を提供していくその使命に変わりはありません。今後も県立病院が県民の生命と健康を支えられるように、地方独立行政法人の設立に向けてしっかりと準備を進めてまいります。       〔知久清志福祉部長登壇〕 ◎知久清志福祉部長 御質問三、県立病院地方独立行政法人化の進捗状況及びタイムスケジュールについてのうち、県総合リハビリテーションセンターの地方独立行政法人化の進捗状況と今後のタイムスケジュールについてお答え申し上げます。 総合リハビリテーションセンターの地方独立行政法人化を検討するためには、移行した際に自立的な経営が可能かどうか、財政基盤を確立できるかどうかなどを判断することが必要です。このため、まずは現在の経営状況をより正確に把握する必要があります。今後、二年程度の期間をかけて一般会計から公営企業会計に移行することとし、今年度から順次、固定資産評価や財務会計システムの構築を行うなど、移行のための準備を進めてまいります。併せて今年度から総合リハビリテーションセンターの在り方について検討を行います。 公営企業会計移行後の地方独立行政法人化や今後求められる政策的医療の範囲などについて、外部有識者等の意見をいただきながらしっかりと検討してまいります。       〔森尾博之危機管理防災部長登壇〕 ◎森尾博之危機管理防災部長 御質問四、救急現場のDNAR(心肺蘇生不実施)についてのうち、埼玉県でもDNAR(心肺蘇生不実施)を導入すべきについてお答え申し上げます。 現在、県内の八割以上の消防本部が、救急現場において傷病者本人が心肺蘇生を望んでいないことを家族などから伝えられた事案を経験しております。傷病者が心肺蘇生を望んでいないにもかかわらず救急を要請した理由は、突然のことで家族の気が動転してしまった、介護施設内での情報共有が十分でなかった、死亡を確認するためにかかりつけの医療機関に搬送してほしかったなど様々であると聞いております。一方で、救急隊員は救命処置を行いながら、迅速に医療機関へ搬送する責務を負っております。一分一秒を争う救急現場で心肺の蘇生を望まない意思が示されますと、隊員は処置を継続すべきか判断に大変苦慮することになります。 そのため、例えば埼玉西部消防局では、消防、地元医師会、救命救急センターの医師などで構成する地域のメディカルコントロール協議会の承認を受けたDNARの手順書を運用しております。この手順書では心肺停止を確認したときは、蘇生を開始することを基本とした上で、傷病者の意思が提示され、主治医などの指示があれば、心肺蘇生や搬送を中止できるように定めております。運用を開始した平成二十九年十二月から現在までの約一年半で、救命処置の中止を求められた事例は三十八件あり、この手順書に沿った対応で特にトラブルは生じていないとのことでございます。 また、総務省消防庁では、この全国的な課題を検討するため、救急医療関係者のほか法律や介護、福祉の有識者を交えたワーキンググループを平成三十年度に設置いたしました。今年度も実態を調査しながら引き続き検討を進めるとしております。 県内における七十五歳以上の救急搬送者の割合は全体の四割を超えておりまして、心肺蘇生を望まないケースも増えていくことが見込まれます。救急現場におけるDNARは家族の理解はもとより、地域の医療関係者などとの連携の上に成り立つものでございます。今後、国の検討状況や県内消防本部の意見を踏まえながら、県のメディカルコントロール協議会で丁寧に議論をしていきたいと考えております。       〔富田邦敬警察本部長登壇〕 ◎富田邦敬警察本部長 御質問五、治安とプライバシーについてお答え申し上げます。 最初に、無差別殺人に対する見解ということでございます。 警察は個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、公共の安全と秩序の維持に当たることを責務としております。法令に従い、このような事件の未然防止に向けた取組を推進することは、私どもの責務と考えております。川崎の事件は現在、神奈川県警察が捜査中で動機等についてはいまだ明らかになっておりませんが、当県では特に子供の安全を図るため、昨年六月、関係閣僚会議で決定された登下校防犯プランに基づいて、教育委員会、学校、保護者及び防犯ボランティア等の関係機関、団体が行う見守り活動と連携し、危険箇所をはじめ集団登下校の集合場所やスクールバスの停留所などを含んだ場所の警戒、不審者情報の共有、迅速な対応等を推進しているところであり、今後ともこうした取組を推進してまいります。 次に、情報収集による未然防止に関する見解でございます。 警察では、子供を対象とした事件の検挙に加え、県民の皆様からの通報、職務質問、その他の警察活動で把握した不審者情報を収集・分析しているところです。典型的には、例えば「家はどこ」とか「お菓子あげる」等の子供に対してそういったものの声を掛ける、声掛け事案と私ども呼んでおります。これは将来、あるいは略取・誘拐とか、性的犯罪等重大犯罪の前兆となり得るということで、私ども不審者情報として収集しております。その結果、法令違反がある場合は検挙いたします。そこに至らない場合でも特定した場合は警告を行っています。本年五月末現在で百六人に警告を実施したところです。昨年に比べて九人多い状態でございます。 また、先ほど申し上げましたが、警察と学校はこの不審者情報の共有を行っております。本年五月末現在で警察から学校へ提供した情報が三百六十二件、逆に学校から警察へいただいた情報が二百十五件でございました。昨年より多くなり、情報共有も活発化しております。引き続き情報収集、分析、関係機関による情報共有を進めるとともに、検挙、警告を進めてまいります。 次に、刃物購入時の身分確認及び医療機関からの情報提供に関する質問でございます。 複数の包丁を購入する者などに対する身分確認ですが、包丁はその用途により様々な種類のものが使い分けられておりまして、複数のものがセット販売されることも多く、また、柳刃包丁など刃渡りの長い包丁も食材の調理には、これは有用であるということで配慮が必要であります。 議員御指摘のとおり、硫酸・塩酸等の劇物、あるいは尿素等の爆発物の原料たり得る物質につきましては、ホームセンター、薬局等に対して毒物及び劇物取締法や私どもからの要請に基づきまして、管理の徹底や販売時の本人確認等をお願いしているところですが、これらと比較しましても包丁はどこの家庭にもある日常的な道具でございまして、その購入に際して身分証の提示を求めるということになりますと、一般社会に及ぼす影響が非常に大きくなります。現在、銃砲刀剣類所持等取締法においては、業務その他正当な理由がある場合を除き、一定の刃体の長さを有する刃物の携帯を規制しています。警察としましては同法に基づき、本来の目的以外に刃物を持ち歩く危険な行為などの取締りを徹底してまいる所存です。 なお、医療機関からの情報提供につきましては、医療の観点から御判断いただくことと考えております。 北朝鮮、中国での無差別殺人でございますけれども、これはお答えする立場にはございませんので、御了承願います。 個人の自由、プライバシーと治安は反比例するが見解はいかがかということでございます。民主主義国家の警察として個人の自由とプライバシーを尊重しつつ、法令に基づき警察活動を推進してまいります。       〔小松弥生教育長登壇〕 ◎小松弥生教育長 御質問七、埼玉県指定文化財の維持管理についてお答え申し上げます。 県指定文化財の指定解除や維持管理については、埼玉県文化財保護条例により規定されております。県指定文化財は将来にわたり保存すべき県民共有の財産であることから、指定解除につきましてはその価値を失った場合とされております。維持管理につきましては、御質問の草刈りやお掃除などでございますけれども、所有者が行うこととされており、特別な事情がある場合には、所有者が自らに代わり維持管理を行う管理責任者を選任することができることになっております。また、所有者が維持管理を行う場合であっても、その負担を軽減するため、協議により地元市町村に協力を仰ぐ場合もございます。 こうしたことから県は、前回の議員からの御質問の後も大塚古墳について、さいたま市教育委員会と所有者の協議を促してまいりました。さいたま市教育委員会は、草刈りなどを引き受けていただける複数の団体を探し所有者と協議を行いましたが、協議が調わなかったと聞いております。大塚古墳については、所有者とさいたま市の協議により適切な維持管理が図られるよう、引き続き助言や調整などに努めてまいります。 県といたしましては、県指定文化財の指定解除や維持管理については、既に条例に定めがあることから要綱の策定はせず、関係者間の協議により個々の文化財に適切な方法を見出してまいります。 ○神尾高善議長 ほかに発言通告がありませんので、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問は終了いたしました。          ---------------- △第七十一号議案~第八十一号議案及び請願の各委員会付託 ○神尾高善議長 これより議案及び請願の付託を行います。 本定例会に提出された第七十一号議案ないし第八十一号議案及び請願につきましては、お手元に配布しておきました付託表のとおり、各所管の委員会に付託いたします。〔参照-(六)(九二)ページ〕          ---------------- △次会日程報告 ○神尾高善議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明二十八日及び七月二日は、議案調査のため本会議は開きません。 六月二十九日及び三十日は、休日につき休会といたします。 七月一日ないし三日の三日間は、各委員会を開き、付託案件の審査を願います。 四日は休会といたします。 来る五日は、午前十時から本会議を開き、各委員長の報告を求め、質疑、討論及び採決を行います。          ---------------- △散会の宣告 ○神尾高善議長 本日は、これにて散会いたします。午後四時八分散会          ----------------...