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  1. 埼玉県議会 2018-12-01
    12月07日-02号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    平成30年 12月 定例会十二月定例会  第五日(十二月七日)平成三十年十二月七日(金曜日)第五日 議事日程 一 開議  午前十時 二 議席の変更の報告 三 常任委員の所属変更 四 特別委員の所属変更 五 図書室委員の任命 六 本定例会に提出された請願の報告 七 知事追加提出議案の報告、一括上程    第百二十七号議案~第百三十号議案 八 知事の提案説明 九 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問    六十八番  神尾高善議員    七十七番  山本正乃議員     六十番  蒲生徳明議員 十 次会日程報告    十二月八日(土)、九日(日) 休日休会    十二月十日(月) 午前十時開議、質疑質問続行 十一 散会          ----------------本日の出席議員    八十三名         二番  松坂喜浩議員         三番  木下博信議員         四番  中川 浩議員         八番  藤井健志議員         九番  金子 勝議員         十番  美田宗亮議員        十一番  吉良英敏議員        十四番  前原かづえ議員        十五番  金子正江議員        十七番  大嶋和浩議員        十八番  並木正年議員        十九番  石川忠義議員        二十番  松澤 正議員       二十一番  宇田川幸夫議員       二十二番  浅井 明議員       二十三番  飯塚俊彦議員       二十四番  横川雅也議員       二十五番  内沼博史議員       二十六番  杉島理一郎議員        三十番  山根史子議員       三十一番  秋山文和議員       三十二番  井上 航議員       三十三番  岡 重夫議員       三十四番  岡田静佳議員       三十五番  細田善則議員       三十六番  清水義憲議員       三十七番  永瀬秀樹議員       三十八番  板橋智之議員       三十九番  日下部伸三議員        四十番  小久保憲一議員       四十一番  新井 豪議員       四十二番  荒木裕介議員       四十三番  安藤友貴議員       四十四番  権守幸男議員       四十五番  江原久美子議員       四十六番  井上将勝議員       四十七番  村岡正嗣議員       四十八番  醍醐 清議員       四十九番  岡地 優議員        五十番  柿沼トミ子議員       五十一番  白土幸仁議員       五十二番  山下勝矢議員       五十三番  小川真一郎議員       五十四番  齊藤邦明議員       五十五番  武内政文議員       五十六番  中野英幸議員       五十七番  須賀敬史議員       五十八番  新井一徳議員       五十九番  塩野正行議員        六十番  蒲生徳明議員       六十一番  水村篤弘議員       六十二番  高木真理議員       六十三番  柳下礼子議員       六十四番  鈴木正人議員       六十五番  中屋敷慎一議員       六十六番  石井平夫議員       六十七番  諸井真英議員       六十八番  神尾高善議員       六十九番  岩崎 宏議員        七十番  土屋惠一議員       七十一番  高橋政雄議員       七十二番  田村琢実議員       七十三番  立石泰広議員       七十四番  木下高志議員       七十五番  萩原一寿議員       七十六番  石渡 豊議員       七十七番  山本正乃議員       七十八番  木村勇夫議員       七十九番  小林哲也議員        八十番  本木 茂議員       八十一番  宮崎栄治郎議員       八十二番  荒川岩雄議員       八十三番  鈴木 弘議員       八十四番  齊藤正明議員       八十五番  小島信昭議員       八十六番  鈴木聖二議員       八十七番  小谷野五雄議員       八十八番  長峰宏芳議員       八十九番  野本陽一議員        九十番  福永信之議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  田並尚明議員       九十三番  浅野目義英議員   欠席議員    なし地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   上田清司  知事   奥野 立  副知事   飯島 寛  副知事   砂川裕紀  企画財政部長   高柳三郎  総務部長   矢嶋行雄  県民生活部長   槍田義之  危機管理防災部長   加藤和男  環境部長   知久清志  福祉部長   本多麻夫  保健医療部長   渡辺 充  産業労働部長   篠崎 豊  農林部長   西成秀幸  県土整備部長   野川達哉  都市整備部長   上木雄二  会計管理者   立川吉朗  公営企業管理者   岩中 督  病院事業管理者   粟生田邦夫 下水道事業管理者   小松弥生  教育長   富田邦敬  警察本部長             発言(質問)通告書   十二月七日(金)議席番号 氏名      要旨 答弁者六十八番 神尾高善議員  1 さいたま赤十字病院の移転に伴う問題について 保健医療部長             2 次世代技術実証・普及センターについて 農林部長             3 茶業研究所の講堂建て替え整備について 農林部長             4 埼玉県の魅力発信について 県民生活部長             5 放課後児童クラブについて 福祉部長             6 農業高校の今後の方針について 教育長             7 県北地域の医師確保について 保健医療部長             8 八高線沿線地域の観光エリアとしての魅力発信について 産業労働部長             9 地域の道路整備について 県土整備部長七十七番 山本正乃議員  1 平成三十一年度予算編成方針の基本的な考え方について 知事             2 子どもの貧困対策について              (1) ジュニア・アスポート事業について 知事              (2) こども食堂・こどもの居場所づくりについて 〃              (3) ひとり親家庭の支援について 福祉部長             3 災害に備えた自助の取組の促進について 危機管理防災部長             4 小学校英語教育の導入に係る専科教員の配置と取組について 教育長             5 会計年度任用職員制度の導入について 総務部長             6 公共サービス基本条例について 企画財政部長             7 都市計画道路浦和野田線(元荒川工区)の整備について 県土整備部長 六十番 蒲生徳明議員  1 高齢者の利用しやすい交通手段の確保について 知事             2 「(仮称)シニア応援ショップ」の創設を 知事             3 今こそ防災減災を県政の主流に 知事             4 災害時に避難所となる体育館へのエアコンの設置について 知事             5 県民への災害情報の発信と避難行動に結び付ける環境整備について 危機管理防災部長             6 本県における地区防災計画作成の推進について 危機管理防災部長             7 災害時にペットを守るボランティアリーダーについて 保健医療部長             8 かかりつけ医と病院の連携について 保健医療部長             9 草加かがやき特別支援学校の過密対策について 教育長             10 東埼玉道路の整備と周辺開発について 県土整備部長 公営企業管理者             11 草加柿木フーズサイトの整備について 公営企業管理者             12 都市計画道路草加三郷線の柳島工区及び瀬崎町工区について 県土整備部長          ----------------午前十時二分開議 出席議員    八十三名     二番    三番    四番    八番     九番    十番   十一番   十四番    十五番   十七番   十八番   十九番    二十番  二十一番  二十二番  二十三番   二十四番  二十五番  二十六番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   五十九番   六十番  六十一番  六十二番   六十三番  六十四番  六十五番  六十六番   六十七番  六十八番  六十九番   七十番   七十一番  七十二番  七十三番  七十四番   七十五番  七十六番  七十七番  七十八番   七十九番   八十番  八十一番  八十二番   八十三番  八十四番  八十五番  八十六番   八十七番  八十八番  八十九番   九十番   九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    なし 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △開議の宣告 ○齊藤正明議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △議席の変更の報告 ○齊藤正明議長 まず、本日付けで藤井健志議員の議席を一番から八番に変更いたしましたので、御報告いたします。          ---------------- △常任委員の所属変更 ○齊藤正明議長 次に、常任委員の所属変更の件を議題といたします。 八番 藤井健志議員から、常任委員の所属変更の申出がありましたので、産業労働企業委員会から警察危機管理防災委員会へ所属変更することに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と言う人あり〕 ○齊藤正明議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。          ---------------- △特別委員の所属変更 ○齊藤正明議長 次に、特別委員の所属変更の件を議題といたします。 八番 藤井健志議員から、特別委員の所属変更の申出がありましたので、少子・高齢福祉社会対策特別委員会から自然再生・循環社会対策特別委員会へ所属変更することに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と言う人あり〕 ○齊藤正明議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。          ---------------- △図書室委員の任命 ○齊藤正明議長 次に、図書室委員の任命を行います。 二番 松坂喜浩議員図書室委員辞任に伴い、六十一番 水村篤弘議員を図書室委員に任命いたしますので、御了承願います。          ---------------- △本定例会に提出された請願の報告 ○齊藤正明議長 次に、本定例会に提出された請願につきましては、請願文書表としてお手元に配布しておきましたので、御了承願います。〔参照-(一八〇)ページ〕          ----------------知事追加提出議案の報告 ○齊藤正明議長 知事から議案の追加提出がありましたので、御報告いたします。 議事課長に朗読させます。       〔議事課長朗読〕 財第三百六十号  平成三十年十二月七日 埼玉県議会議長  齊藤正明様                        埼玉県知事  上田清司        県議会付議議案について 本議会に付議する議案を次のとおり提出いたします。 第百二十七号議案 特別職の職員の給与及び旅費に関する条例及び埼玉県教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例 第百二十八号議案 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例 第百二十九号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例 第百三十号議案 学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 ○齊藤正明議長 ただ今報告いたしました議案は、お手元に配布しておきましたので、御了承願います。〔参照-(一一六)ページ〕          ---------------- △第百二十七号議案~第百三十号議案の一括上程 ○齊藤正明議長 知事から追加提出された第百二十七号議案ないし第百三十号議案を一括して議題といたします。          ----------------
    △知事の提案説明 ○齊藤正明議長 知事の説明を求めます。 上田清司知事       〔上田清司知事登壇〕 ◎上田清司知事 ただ今、御提案申し上げました議案につきまして、御説明いたします。 職員の給与改定につきましては、去る十月十八日に、議長及び私に対しまして、県人事委員会から勧告及び意見がございました。 主な内容は、民間給与との較差を解消するため、給料表の水準を引き上げること、勤勉手当の年間支給割合を〇・〇五月分引き上げること、深夜の看護業務に対して支給される夜間看護手当を、国の改定内容等を踏まえて引き上げることなどでございました。 こうした勧告等の取扱いにつきましては、職員の労働基本権が制約されていることの代償措置という制度の趣旨を踏まえ、慎重に検討を行いました。 その結果、第百二十八号議案「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」、第百二十九号議案「職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」及び第百三十号議案「学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」を今回提案することとし、人事委員会の勧告等に基づき、職員の給与の改定を行うものでございます。 また、第百二十七号議案「特別職の職員の給与及び旅費に関する条例及び埼玉県教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例」は、一般職の勤勉手当の引上げや国の動向などを総合的に勘案し、特別職の期末手当の年間支給割合を〇・〇五月分引き上げるなどの改定を行うものでございます。 なお、今回の給与改定に伴う所要額につきましては、既定予算の範囲内で対応可能なことから、予算の補正は見送らせていただきたいと存じます。 以上で私の説明を終わりますが、何とぞ慎重審議の上、御議決を賜りますようお願い申し上げます。          ----------------知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問 ○齊藤正明議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を行います。 発言通告がありますので、順次これを許します。 六十八番 神尾高善議員       〔六十八番 神尾高善議員登壇〕(拍手起こる) ◆六十八番(神尾高善議員) 皆さん、おはようございます。六十八番、北第四区、深谷市、美里町、寄居町選出の自由民主党、神尾高善でございます。本日は早朝より地元から多くの方々が傍聴に来ていただきました。日頃から大変お世話になっております。お忙しいところありがとうございます。 それでは、議長の許可をいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 初めに、さいたま赤十字病院の移転に伴う問題について伺います。 県は、さいたま赤十字病院さいたま新都心への移転に際し、さいたま赤十字病院に対し本県の県有地を二割減免して貸し付けています。一方で、赤十字病院側は、移転前の跡地を民間事業者である株式会社島忠に、より高額の賃借料で貸し付けており、差引きで利ざやが生じております。 この問題については、平成二十八年十二月定例会の一般質問で小林哲也議員が、また、平成二十九年十二月定例会の企画財政委員会の中で、所管事務調査として田村琢実議員がそれぞれ質問されたところであります。執行部からは、「現在のさいたま赤十字病院の土地については、過去の例なども参考にして賃借料の減免をしている。跡地については、日本赤十字社やさいたま赤十字病院の経営判断で貸付けを行っている」旨の答弁がなされ、「所管部局と議論をして対応させていただきたい」との答弁がありました。 しかし、現在のところ、さいたま赤十字病院への土地貸付けを所管している保健医療部を含め、執行部から議会に何ら報告がなされておらず、極めて遺憾な状態であります。 そもそも、当該跡地は地域の医療機関誘致活動から始まり、当時の地権者が無償で日本赤十字社に贈与したものであります。その趣旨は、地域医療体制の構築でありました。その善意の土地を経営判断等の理由で高額な賃料で貸し付けることは、信義則上いかがなものでしょうか。地権者の善意を踏みにじるものではないでしょうか。また、そのような状況だからこそ新都心への移転に際し、自民党からは跡地に関して「医療や福祉に貢献するもの」との意見を添えていたところであります。 そこで、保健医療部長に伺います。まず、県は、さいたま新都心の現さいたま赤十字病院への県有地の土地貸付けと日本赤十字社所有の旧さいたま赤十字病院跡地の株式会社島忠への土地貸付けでは、契約者の名義が異なると言っていますが、私にはそのようには思えません。なぜならば、県の代表は当然上田知事であり、さいたま赤十字病院を運営している日本赤十字社埼玉県支部の代表も上田知事だからであります。島忠には日本赤十字社本社の名義で貸し付けており、埼玉県支部の代表者である上田知事は契約者とはなっていませんが、契約当事者は実質的には上田知事と言えるのではないでしょうか。見方によれば、利益相反行為に当たると考えられますが、保健医療部長に伺います。 また、さいたま赤十字病院は、移転して高度医療を行うに当たり、県から一億円の補助金を受けています。この補助金を交付せず、二割減免措置も中止し、土地の貸付けによる利ざやを充てるべきではないでしょうか。既に県民の貴重な税金を用いてこのような形で利ざやを上げている中、さらに補助金を交付することは、県が二重に利益を与えていることと同じであり、適切とは言えません。このような問題をどのように整理し、どのような対応を行うのか、保健医療部長に伺います。 次に、次世代技術実証・普及センターについて伺います。 県農業技術研究センター久喜試験場では、貴重な優良農地を使用し、次世代施設園芸埼玉拠点としてイオンアグリ創造株式会社が水耕栽培によりトマトを生産しております。この次世代施設園芸埼玉拠点の水耕栽培施設の設置に当たっては、平成二十七年二月定例会の予算特別委員会で「事業の執行に当たっては、県内生産者への影響に十分注意するとともに、事業のメリットを県内生産農家が享受できるようにするべきである」との附帯決議が、また、平成二十八年二月定例会の環境農林委員会で「県内園芸生産農家の技術の向上、生産力の強化のため、県が責任を持って実証・普及を一元的に行う体制が整ったと認められるまで、当該事業者に対する補助金支出の執行停止を求める」との附帯決議が付されており、さらに平成二十八年九月定例会及び十二月定例会の環境農林委員会の中で所管事務調査として質問されるなど、様々な議論があったところであります。 そこで、平成二十九年二月に、農業技術研究センター久喜試験場内に稼働した次世代施設園芸埼玉拠点について、改めて現状とその後の進捗状況、県内トマト生産農家にどのような影響を与えているのか、また、久喜試験場の土地利用は正しかったのかお聞きしたいと思います。 我々自民党からの指摘により、水耕栽培だけでなく、県内トマト生産農家のためになる土耕栽培施設が設置されました。しかし、施設の現状は、イオンに土地を貸して建てられた水耕栽培ハウスの面積は、三千平方メートルのハウス十一棟、延べ三万三千平方メートル。一方で、県の施設として建てられた県内トマト生産農家の栽培方法に近い土耕栽培ハウスの面積は、栽培室と作業室を含め合計八百三平方メートルに過ぎません。 さて、設置されて二年が経過しましたが、両施設は県内トマト生産農家にどのような影響を与えたのでしょうか。まず、次世代施設園芸埼玉拠点の水耕栽培による実証について伺います。この施設ではトマトが年間七百五十一トン生産されているとのことです。そのトマトはどこで販売されているのか、その生産量は県内生産者を圧迫していないのか、農林部長に伺います。 次に、次世代技術実証・普及センターの土耕栽培について伺います。一年目は、炭酸ガス施用とLED補光効果の検証により収穫量が一九パーセント増加したとの結果が得られ、二年目は、細霧冷房活用により栽培期間の延長に取り組んでいると聞いております。そこで、この施設で得た成果を今後どのように運用し、県内トマト生産農家へ普及していくのか、農林部長に伺います。 さらに、水耕栽培と土耕栽培で収穫されたトマトの品質、形状、大きさ、糖度、生産コスト及び一平方メートル当たりの収穫量を比較した結果はどのようなものだったのか、そもそも久喜試験場の土地利用は正しかったと思われているのか、農林部長に伺います。 次に、茶業研究所の講堂建て替え整備について伺います。 お茶は健康に良く、栄養もあるとされています。埼玉大学の研究トピックス一覧に「緑茶カテキン免疫チェックポイント阻害剤の活性があることを発見」とありました。これは、同大学大学院理工学研究科戦略的研究部門の菅沼雅美教授の研究グループがマウス実験により緑茶カテキンが肺がんの増殖を抑制することを発見したという研究報告であります。この報告によれば、緑茶抽出物を飲用させたマウスは、水を飲用させたマウスに比べて肺がんの発生を三七パーセント抑制し、緑茶カテキン免疫チェックポイント阻害剤として作用することが示され、今後は緑茶カテキンと抗がん剤の併用による新しい革新的がん治療へと発展することが期待されるとのことであります。 また、お茶に含まれるカテキンの健康への効果には、先ほど申し上げましたがん予防に役立つ抗がん作用、動脈硬化の予防に役立つコレステロールを下げる作用、食中毒予防や胃潰瘍予防に働く殺菌・抗菌作用などがあります。さらに、お茶には水溶性ビタミンであるビタミンB群の一種である葉酸が豊富に含まれています。葉酸を摂取することによって健康な血管を維持することができ、認知症や脳卒中の原因となる動脈硬化の予防効果や胎児の先天性障害を減らす効果があるとされています。 私は、この葉酸の研究を進めている坂戸市にある女子栄養大学に、十一月二十二日に少子・高齢福祉社会対策特別委員会で、葉酸を活用した健康長寿に向けた取組の視察に伺いました。同大学では、葉酸摂取による健康づくりの拡充を目指し、平成十八年度から坂戸市と共同で葉酸プロジェクトに取り組み、セミナーや講演会を開催するなど普及活動を行っているとのことでした。また、食品関連企業と連携し、葉酸を多く含む食品の開発やレシピの考案を行い、葉酸摂取を奨励する活動にも取り組んでいるとのことでありました。 このように、本県の代表的な特産物であるお茶を、県内外の人々に健康のために役立てていただくことが肝要ではないでしょうか。 そこで提案ですが、おもてなしの場として、現在耐震性の問題から使用されていない茶業研究所の講堂を建て替え、活用すべきと考えます。私は、建て替えるならば生産者と消費者の交流の場としての機能を持ち、三十年先を見据えてお茶の効能や良さを知っていただくPRコーナー、試飲コーナー、販売コーナーを設け、県民が気軽に利用できる開かれた施設にするべきと考えます。もちろん各種品評会にも利用できる施設を備えることも考慮すべきであります。そこで、茶業研究所の講堂建て替え整備についてどのように考えるか、農林部長に伺います。 次に、埼玉県の魅力発信について伺います。 今年も都道府県魅力度ランキング等を含む「地域ブランド調査二〇一八」が民間調査会社のブランド総合研究所から発表されました。茨城県、栃木県、群馬県の北関東三県と共にワースト五に沈んだのが、埼玉県でした。 本県の人口は、平成三十年十一月一日現在の推計で約七百三十二万五千人と全都道府県で五番目に多く、大宮駅のような全国屈指のターミナル駅を持つ街もあります。一部メディアは、「地域ブランド調査二〇一八」で本県は、東京都や大阪府と同様に、「交通の便」や「生活に便利・快適な地域」「教育・子育て」の項目では上位に位置付けられているものの、秩父や長瀞といった豊かな自然がある田舎的な印象が強いためか、都会的な魅力を十分に伝え切れていないと分析しております。この分析結果について私も同感であります。 我が国の人口が平成二十年の一億二千八百八万人をピークに減少に転じ、年々減少している中で、我が埼玉県は人口増を続けています。本県が人口増を続けているのは、県内の過疎地域の人口減を補う県南地域への人口流入であり、その要因は教育や子育てがしやすく、生活も便利で交通の便もいいという本県の魅力があるからではないでしょうか。現在の本県のPRは、河川面積日本一から「川の国埼玉」を打ち出しています。ごもっともだと思います。が、しかし、それよりも私は、埼玉は都会だと認め、「交通の便」や「スポーツの参加・観戦が楽しめる」「生活に便利・快適」「教育・子育て」などイメージの良いところを伸ばしていくような魅力発信や政策が大変重要だと考えています。 そこで、現在、県は、埼玉は教育や子育てがしやすく、生活も便利で交通の便も良い都会だというイメージを戦略的に積極的にPRされていますか。また、今後、県内外に向けてどのような情報発信に注力していくべきと考えていますか、県民生活部長のお考えを伺います。 次に、放課後児童クラブについて伺います。 放課後児童クラブは、放課後の子供の健全な育成を支えるとともに、保護者が安心して就労と子育てを両立できるように支援する重要な取組であります。特に核家族世帯の割合が高い本県では、放課後児童クラブに対するニーズが高いため、全国に先駆けて国が求める基準以上の職員配置、指導員体制、必要面積のガイドラインを整備し、常にトップランナーとして質の維持・向上に努めていただいております。例えば、職員配置については、児童数十九人以下の場合、国と同じ二人以上、児童数二十人以上の場合は国が二人以上であるのに対し、本県は三人以上としています。また、指導員体制については、国が規定していないのに対して、本県は常勤指導員を複数配置することが望ましいと規定しています。近隣都県を見ても独自のガイドラインを設けているのは、本県のみであります。 一方で、放課後児童クラブの運営の実施主体は市町村であるため、市町村の考えにより職員配置状況に大きな格差が見られます。放課後児童クラブの質を考える上で支援員の存在は極めて大きく、県ガイドラインでも職員の複数配置の重要性を指摘しているところでもあります。しかし、市町村の中には、人員配置の必要性を理解しつつも、その確保に苦慮しているところがあるのも実情であります。県は、ガイドラインの遵守を市町村に求めるのであれば、県単独事業も含めて人材確保を進めるべきと考えますが、福祉部長にお伺いします。 次に、農業高校の今後の方針について伺います。 本県を含め、全国的な問題として農業の担い手不足が深刻な状況です。そのため、農業に従事する人の数はハイペースで減少の一途をたどっており、高齢化が進んでいます。新たな担い手が増えない一番の原因は何かと考えたとき、やはりもうかる農業の姿が見えないからではないでしょうか。 さて、言うまでもなく農業を学ぶために農業高校があり、実情はどうでしょうか。現在の県立の農業高校の授業では、古い機械を使用して昔のやり方で専門技術や知識を教えているところが多いようであります。こうした環境で農業の将来に希望を持ち、担い手になろうと思うことができるでしょうか。 一方で、県立の農業高校卒業生の先輩には、米麦、露地野菜、施設野菜、畜産の牛、豚、鶏、さらには花、植木等、農業後継者として安定経営をされている方々が数多くいらっしゃいます。私は、自らが目指す将来の姿を身近に感じることができる、もうかっている先輩からじかに学ぶことで新たな担い手になろうとする生徒たちの背中を押すことになると思います。 そこで提案です。埼玉県版として、学業の現場から農業への担い手としてしっかりとした経営ができる人材を生み育てるために、こうした経営能力のある先輩を講師として迎え入れ、実践経営のノウハウを学ぶ機会を作ることはできないでしょうか。また、先輩の農家に中長期の農業実習を受け入れてもらうことはできないでしょうか。埼玉県として、こうしたもうかる農業を実践している先輩から学ぶという特色ある学校づくりをすることはできないでしょうか。県内農家、農業関係者に不足している人材を県立の農業高校で新たな担い手として育てていく考えはあるのかないのか、教育長に御見解を伺います。 次に、県北地域の医師確保について伺います。 厚生労働省の調査では、熊谷市、本庄市、深谷市、美里町、神川町、上里町、寄居町を区域とする北部二次保健医療圏の人口が約五十万人であるのに対し、医療施設に従事する医師数は七百九人とのことであります。これは県平均の医師数と比べると百四人少なく、県内でも医師不足が深刻な地域と言えます。 特に、私の地元にある深谷赤十字病院には、正に県北地域の拠点病院として重要な役割を担っていますが、医師確保が思うように進んでいません。中でも小児の二次救急医療については、深谷赤十字病院を中心に行田総合病院、熊谷総合病院と連携して熊谷・深谷地区及び児玉地区の輪番体制を支えていますが、小児科医師が不足しているため、圏域の外にある病院からの医師派遣に頼らざるを得ない状況となっており、小児科医師の確保は喫緊の課題であります。 そこで、まず、これらの地区の小児救急患者の数と県外で医療を受けている小児救急患者の数や割合の実態について、保健医療部長に伺います。また、県北地域の小児科医の確保について県はどのように支援をしているのか、併せて保健医療部長に伺います。 さらに、県北地域の方々は小児科以外も含め群馬県内の病院を受診したり、入院することが多いのが実情であります。深谷赤十字病院が県北地域の拠点病院として安定的、持続的に運営できるよう、医師確保について継続的な支援が必要と考えますが、今後、県はどのように取り組んでいくのか、保健医療部長の御見解を伺います。 次に、八高線沿線地域の観光エリアとしての魅力発信について伺います。 八高線にSLの運行を実現させることについては、県議会の一般質問でたびたび取り上げられております。直近では平成三十年六月定例会の一般質問で武内政文議員が質問しておられます。 改めて申し上げるまでもなく、八高線は県北部地域及び西部地域を南北に走り、高麗川駅以北はディーゼル区間で、一日当たりの乗車客数は各駅とも数百人以下という状況であります。これらの地域では人口減少が進んでおり、人口の維持又は流入人口の増加は、重要かつ切実な課題であります。 私ども八高線・川越線沿線活性化議員連盟は、沿線市町とJRと連携しながら、この八高線を観光路線化してにぎわいを創出し、交流人口の増加はもとより移住の促進も図ることを目指して積極的に活動しているところであります。 そして、八高線にSLの運行を実現することを一つの大きな目標とし、議員連盟としては今年の一月、JR高崎支社に対して「SLの運行」「フリー切符の発行」そして「サイクルトレインの運行」の重点三項目を強く要望してまいりました。高崎から水上まで走っているSLを八高線に延長して走らせることは、群馬から横浜まで絹を運んだ歴史に照らしても、もとより重要なストーリー性を持っています。 さらに先日、群馬県選出の県議会議員と意見交換する中で、JRグループ旅客六社が群馬県への誘客に取り組む「群馬デスティネーションキャンペーン」が二〇二〇年春に実施されるというニュースを耳にいたしました。注目すべき点は、世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」と関係が深い埼玉県北部や秩父地域など、県境を越えた関係市町と共に連携して実施されるというところであります。これは八高線沿線地域の魅力を発信するとともに、八高線にSLの運行を実現するための正にビッグチャンス。これを契機として一気呵成に実現してはどうでしょうか。 オリンピック・パラリンピック開催年でもある二〇二〇年に実施される「群馬デスティネーションキャンペーン」を契機として本県の観光振興、とりわけ八高線沿線地域の観光エリアとしての魅力発信に積極的に取り組むべきと考えております。また、SLが運行されれば同キャンペーンの大きな目玉となり、八高線沿線地域の観光エリアとしての魅力が倍増するのではないでしょうか。 十一月二十九日に、八高線電車化促進期成同盟会会長のときがわ町の渡邉一美町長とお会いした際に、「ときがわ町ではこのキャンペーンに合わせた観光PRの一つとして、明覚駅で一日限定十個の駅弁を作って販売する駅弁キャンペーンをやってみたい」といったお話を伺いました。このように、沿線市町はこのキャンペーンを好機として捉えて、魅力発信に取り組もうと考えております。 そこで、このキャンペーンに向けて、八高線沿線地域の観光エリアとしての魅力発信について県としてどのように取り組んでいくのか、また、キャンペーンに絡めて目玉となるSL運行についてどのように考えるのか、産業労働部長に伺います。 最後に、地域の道路整備について伺います。 まず、県道花園本庄線の整備についてです。 県道花園本庄線は、旧花園町と本庄市をつなぐ道路であり、花園インターチェンジや本庄児玉インターチェンジへアクセスする道路となっています。この道路の整備は、今後深谷市が発展するためには欠かせないと考えております。そこで現在、旧花園町地域の荒川工区及び旧岡部町地域の榛沢新田工区における道路整備について、現在の進捗状況と今後の見通しを県土整備部長に伺います。 次に、県道広木折原線の整備についてです。この路線は美里町と寄居町を結ぶ地域の幹線道路ですが、円良田湖周辺は狭あいで、かつ屈曲しているため、大型車の通り抜けが困難な区間があります。この状況が改善されれば観光名所となっている円良田湖にも観光バスで来ることが可能となり、地域の活性化につながるものと考えております。 このような状況を御賢察いただきながら、現在県において狭あい区間の整備に着手していただいておりますが、現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長に伺います。 以上で私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○齊藤正明議長 六十八番 神尾高善議員の質問に対する答弁を求めます。       〔本多麻夫保健医療部長登壇〕 ◎本多麻夫保健医療部長 御質問一、さいたま赤十字病院の移転に伴う問題についてお答えを申し上げます。 まず、日本赤十字社から民間事業者へのさいたま赤十字病院跡地の貸付けは、契約当事者が実質的には上田知事であり、見方によれば利益相反行為に当たるのではないかについてでございます。 日本赤十字社埼玉県支部長の役割につきましては、実際には本社社長の代理として寄附者に感謝状を代読して授与するなど、権限を伴わない、多分に名誉職的な役割が主になっているともお聞きしております。 さいたま赤十字病院の跡地は、平成二十七年十月に日本赤十字社の規則に基づき、跡地の所有者である日本赤十字社本社と民間事業者との間で賃貸借契約が結ばれました。跡地の貸付けに当たっては、さいたま赤十字病院が公募を行い、応募のあった提案を審査の上、第一優先交渉者を株式会社島忠と決定し、日本赤十字社本社が同社と契約を行ったと聞いております。 契約者は日本赤十字社本社ですが、実際には本社とさいたま赤十字病院が役割を分担して事務を進めたと承知しております。実質的にも日本赤十字社埼玉県支部長である知事が契約当事者であるとは言い難く、利益相反には当たらないのではないかと考えております。 次に、県がさいたま赤十字病院に対して補助金と県有地貸付料の減免という二重の利益を与えている問題をどのように整理し、対応を行うのかについてでございます。 県の補助金は、高度で不採算な救急や周産期医療の運営費に対して、国庫補助事業の要件に該当する範囲内で助成するもので、こうした医療を県民に提供する上で不可欠なものとなっています。救急医療につきましては、平成二十九年度にはさいたま赤十字病院のほか、五つの救命救急センターに対して助成をしております。県有地貸付料の二割減免は、研修や災害対応など、補助金ではカバーできない公的医療機関としてのさいたま赤十字病院の役割を考慮し、条例等に基づき行っているものです。 また、日本赤十字社法第三十九条では、地方公共団体は、日本赤十字社が行う施設整備に対して通常の条件よりも日本赤十字社に有利な条件で財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができると定めており、他県におきましては、無償で県有地を貸し付けている例もございます。本県における過去の赤十字病院以外の例でも同様に扱っており、他県の水準を超えて行っているものでもありません。県としては、補助金と減免はそれぞれ根拠や目的が異なる独立したものであると整理し、それぞれが適正に行われているものと認識しております。 また、さいたま赤十字病院からは、跡地の貸付料収入を県有地の賃借料のほか、新病院建設のための百七十六億円に上る借入金の償還などに充てると聞いております。 県としては、県民に必要な医療を安定的、継続的に提供していただくことに役立つものと考えています。 御質問のとおり、平成二十八年十二月定例会の一般質問及び昨年十二月定例会の企画財政委員会質疑で、さいたま赤十字病院の跡地の賃貸料と県有地の賃借料に差額が生じているとの御指摘を頂いたところです。県有地の貸付契約の次期更新に向けて、御指摘があったことを踏まえ、また、さいたま赤十字病院の果たしている役割をよく分析しながら、さいたま赤十字病院と協議を行ってまいります。 次に、御質問七、県北地域の医師確保についてお答えを申し上げます。 まず、熊谷・深谷地区及び児玉地区の小児救急患者数と県外で医療を受けている小児救急患者数と割合についてでございます。 熊谷・深谷地区及び児玉地区における小児救急患者の搬送件数は、平成二十九年度で千七百八十六件、このうち県外への搬送件数は二百五十三件で、同地区の搬送件数に占める割合は一四・二パーセントとなっております。県全体では、小児救急患者の搬送件数に占める県外への搬送割合は約四パーセントとなっており、熊谷・深谷地区及び児玉地区における県外搬送件数の割合は県平均よりも高い状況となっています。 次に、小児科医の確保について、県はどのような支援をしているのかについてでございます。 県北地域については、慢性的に小児科医不足であったことから、県立小児医療センターと協議し、平成二十二年度から深谷赤十字病院に対し週二回の当直医の派遣を開始し、現在も継続中です。平成二十六年度からはこれに加え、埼玉医科大学病院にも御協力を頂き、熊谷総合病院への週一回の小児科医の派遣を開始し、県北地域の小児二次輪番体制の維持に努めているところです。 次に、深谷赤十字病院の医師確保について、今後、県はどのように取り組んでいくのかについてでございます。 県では、将来医師が不足する地域や、医師が不足する小児科などの診療科への勤務を要件とする医学生向けの奨学金制度を平成二十二年度から実施しております。今後これらの奨学金貸与者の卒業が本格化し、二〇二五年度以降は毎年約四十人の卒業生が、本県の医師不足地域や小児科などの医師が不足する診療科において従事する予定となっております。 現在、奨学金を貸与している医学生百九十七人のうち、県北地域出身者は十四人、また、小児科に関心を持っている学生は四十一人おります。奨学金貸与者の将来の勤務先につきましては、本人の希望や出身地、医療機関の実績などを踏まえながら埼玉県総合医局機構で調整いたしますが、一人でも多くの医師が県北地域で活躍できるよう努めてまいります。 こうした取組を通じ、県北地域の方々が安心して専門医療を受けられるよう深谷赤十字病院の医師不足の解消を図り、医師確保について継続的に支援してまいります。       〔篠崎豊農林部長登壇〕 ◎篠崎豊農林部長 御質問二、次世代技術実証・普及センターについてお答えを申し上げます。 まず、次世代施設園芸埼玉拠点で生産されたトマトはどこで販売されているのか、県内生産者を圧迫していないのかについてでございます。 埼玉拠点で生産されたトマトは、県内のイオン、ダイエーをはじめ東京、神奈川のイオン系列スーパーに配送センターを経由し直接配送され、販売しております。また、埼玉拠点における平成三十年十月までの直近一年間の生産量七百五十一トンは、県内のトマト生産量の一パーセント未満です。さらに、卸売市場を経由した流通ではないことなどを考えると、県内生産者への影響はないものと考えております。 次に、次世代技術実証・普及センターの土耕栽培、いわゆる実証ラボで得られた成果を今後どのように運用、県内トマト生産農家へ普及していくのかについてでございます。 実証ラボでは、平成二十九年十一月から炭酸ガスの施用やLEDライトでの補光による収量増加の実証研究を行っております。今年の八月からは、ミストによる細霧冷房を活用し、夏場のハウス内の温度を下げることで栽培期間の長期化に取り組んでおります。 県では、実証ラボにおいて、実証ラボと埼玉拠点で得られた生産、生育、収量などのデータ提供や新技術情報を紹介する研修会を毎月一回開催しています。これまでに十二回開催し、県内のトマト生産者など延べ五百四十一名が参加しております。参加者からは「研修会は新たな栽培技術や最新情報が得られる」「生産者同士の情報交換の場になる」「トマトだけでなくキュウリなどの施設園芸全般で参考になる」などの意見を頂いております。今後も、生産者の増収、収益向上につながる技術情報を提供するなど、実証成果を普及してまいります。 次に、水耕栽培と土耕栽培で収穫されたトマトの品質、形状、大きさ、糖度、生産コスト及び一平方メートル当たりの収穫量を比較した結果はどのようになったかについてでございます。 埼玉拠点は、施設内を最適な環境にコントロールする統合環境制御技術を活用し、水耕栽培で年三作、年間を通じ収穫する実証施設です。一方、実証ラボは、同様に統合環境制御技術を活用し、県内のトマト栽培において主流である土耕栽培で年一作、九か月間収穫する実証施設です。このように、二つの施設は実証しようとする内容に違いがあり、トマトの栽培方法、収穫期間、栽培する品種も異なるため、議員御指摘の品質や生産コストなどの比較は行っておりません。しかしながら、炭酸ガス濃度やハウス内の温度など統合環境制御技術に係る栽培管理データは次世代技術実証・普及センターで一元的に分析し、実証研究や研修会に生かしております。 最後に、久喜試験場の土地利用についてでございます。 久喜試験場は、本県における次世代施設園芸の推進と果樹振興の拠点として位置付けております。気候変動に対応した安定的な生産や食に対する安全・安心への関心が高まる中、県内生産者の次世代施設園芸に対する期待は高いものがあると考えております。 県といたしましては、今後とも次世代技術実証・普及センターと埼玉拠点の取組を通じ、生産者の技術向上と最新の栽培技術に関する情報発信に努め、埼玉の施設園芸の発展につなげてまいります。 次に、御質問三、茶業研究所の講堂建て替え整備についてお答えを申し上げます。 茶業研究所は、昭和四十六年に設置されて以来、茶の生産から加工、流通まで幅広い研究課題に取り組み、狭山茶振興において重要な拠点施設となっております。議員お話しの講堂は、「全国茶品評会」や「関東ブロック茶の共進会」など全国レベルの品評会が開催できる設備を有し、生産者が高度な技術を競う場として利用されてきました。また、茶業研究所の研究成果の発表の場や茶業者の技術研修の場としても活用されてきました。さらに、毎年六月に開催される「狭山茶摘み体験フェスタ」では、訪れた県民の皆様にお茶をよりおいしく味わっていただく入れ方教室や品種ごとの試飲会の実施など、お茶に親しみ、狭山茶の魅力を伝える場としても重要な役割を果たしております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、耐震性の問題から現在は講堂の使用を見合わせざるを得ない状況にあります。このため、今年度耐震診断を実施し、現在その結果に基づき、建て替えを含め今後の方針を検討しているところです。品評会の開催など茶業関係者の要望も踏まえ、早期に講堂が利用できるよう施設の整備を進めてまいります。 なお、議員御提案の試飲や販売コーナーの設置については、茶業研究所の役割や組織の在り方の見直しも必要となることから、今後の検討課題としてまいります。       〔矢嶋行雄県民生活部長登壇〕 ◎矢嶋行雄県民生活部長 御質問四、埼玉県の魅力発信についてお答えを申し上げます。 埼玉県は、人口の密集する都市部と緑豊かな中山間地域が共存していることが特徴であります。都市部の利便性や豊かな自然環境など、様々な強みを発信していくことで魅力度もアップするものと考えております。 御質問の、県は都会だというイメージを戦略的に、積極的にPRしているかについてでございます。 議員お話しの、教育や子育てがしやすく生活も便利で交通の便も良いことにつきましては、これまでも知事記者会見や彩の国だより、テレビ、ホームページ、SNSなどメディアによりPRを行ってまいりました。また、昨年度発行いたしました「埼玉の魅力」というPR冊子でも、観光や産業、食文化の紹介に加え、都会の魅力を感じさせる交通の利便性や大規模集客施設につきましても大きく取り上げております。 こうした結果、新幹線網や高速道路網の整備により交通の要衝であること、さいたまスーパーアリーナなど多くの大規模集客施設は全国的に認知度が高まり、都会だというイメージにもつながっているものと考えております。ただ、都会的なイメージが十分に形成されているかと言えば、まだまだ伸び代のある状況にあると認識をいたしております。 次に、今後、県内外に向けてどのような情報発信に注力していくかについてでございます。 県では、ウェルカムベイビープロジェクトやウーマノミクスプロジェクト、冠奨学金によるグローバル人材の育成など全国に先駆けた政策を数多く展開しております。こういった先導的な政策の中で、教育や子育てしやすいなどの都会的イメージを形成するものや、その成果をPRすることも埼玉の魅力アップにつながるという意識を新たに持つことが重要であると考えております。 今後は、各種メディアはもちろんのこと、商品開発やイベント参加などによる企業との連携、発信力のある著名人、いわゆるインフルエンサーの活用を更に推進してまいります。様々な機会を捉え、県内外にしっかりと情報発信していくことで都会だというイメージの構築を進めてまいります。       〔知久清志福祉部長登壇〕 ◎知久清志福祉部長 御質問五、放課後児童クラブについてお答えを申し上げます。 県では、平成十六年度に全国に先駆けて「放課後児童クラブ運営基準」を策定し、県内クラブの質の向上を図ってまいりました。平成二十七年度の制度改正により、クラブの運営基準は国が定める基準を踏まえて市町村が条例で定めることになりましたが、県では改めてガイドラインを策定しました。 議員お話しのとおり、ガイドラインでは国の基準を上回る職員配置数などを示しており、その遵守を市町村に働き掛けております。県では、ガイドラインが求める支援員を設置している民営の放課後児童クラブを対象に県単独の補助を行っております。県単独の補助を実施しているのは、関東一都六県では東京都と本県のみでございます。 また、支援員一人一人の質の向上を図るため、平成十年度から県内全ての支援員を対象とした研修を実施しております。研修では大学教授やベテラン支援員などによる指導の下、子供を取り巻く課題の共有や実技の習得などを支援しており、昨年度は六回開催し、合計二千五十二人が参加されました。さらに、平成二十七年度から国の「放課後児童支援員等処遇改善等事業」を活用し、職員の賃金改善などに対して年間約百五十万円を上限とした補助を行っております。これに加えて、平成二十九年度から国の「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」を活用し、経験年数に応じて月額約一万円から三万円の賃金補助を行っております。 現在、これらの国の事業を活用している県内市町村数は三十六であり、支援員の確保・定着を進める上で、より多くの市町村で国の制度を活用して処遇改善を図ることが重要と考えております。そこで、県としては、市町村担当者会議を開催し、活用事例を交えながら丁寧に説明し、制度の活用を働き掛けております。 放課後児童クラブの質を確保する上で、支援員の存在は極めて重要です。今後も県単独事業を堅持しつつ、研修を通じて支援員をサポートし、各クラブにおける人材確保を支援してまいります。       〔小松弥生教育長登壇〕 ◎小松弥生教育長 御質問六、農業高校の今後の方針についてお答え申し上げます。 まず、もうかる農業を実践している先輩から学ぶ特色ある学校づくりができるかについてでございます。 農業高校においては、専業農家や農機具メーカーなどから社会人講師を学校にお招きし、生徒に技術指導をしていただいております。また、学校外での農業実習については、三年間で三日から五日間程度、野菜や草花生産農家などで管理や収穫体験などを行っております。このような学びの成果として、先月開催された埼玉県産業教育フェアでは、生徒が育てたシクラメンを観賞された柴山昌彦文部科学大臣からお褒めの言葉を頂いたところでございます。 今後、農業におきましては、グローバル化や法人化、企業参入などに対応した経営感覚が必要になることから、議員御指摘のとおり、地域の農業経営者から実地のノウハウを学ぶことは大切なことと考えます。また、こうした農業実習を行うことにより、生徒が自らの職業生活について考える機会となるとともに、技術や経営力を身に付けることができ、実践的な職業教育につながるものと考えております。 県といたしましては、農業経営者のお知恵も借りながら農業現場での効果的な実習について検討し、特色ある学校づくりを進めてまいります。 次に、県立の農業高校で農業の新たな担い手を育てていく考えはあるのかについてでございます。 農業高校の卒業生の就農者は少なく、就職者に占める過去五年間の就農率の平均は二・一パーセントという状況でございます。また、本県の農業高校では生産基盤を持たない、いわゆる非農家出身の生徒の割合が約九五パーセントとなっております。このようなことから、たとえ農地を持たない家庭の高校生であっても農業を魅力ある産業として認識し、職業にまでつなげるため、先輩方の姿を間近に見せ、具体的なイメージを持たせる取組は重要でございます。 安全・安心な農産物の持続的な生産と供給に対応するため、埼玉県の基幹産業の一つである農業の担い手を育成していくことは農業高校の使命と捉えております。 県といたしましては、議員の御提案を踏まえ、高度な技術と経営感覚を身に付け、もうかる農業経営ができる人材を育てるため、関係者の御協力を頂きながらしっかりと農業教育に取り組んでまいります。       〔渡辺充産業労働部長登壇〕 ◎渡辺充産業労働部長 御質問八、八高線沿線地域の観光エリアとしての魅力発信についてお答えを申し上げます。 まず、群馬デスティネーションキャンペーンに向けて、八高線沿線地域の観光エリアとしての魅力発信についてどのように取り組んでいくのかでございます。 議員お話しのとおり、二〇二〇年春のデスティネーションキャンペーンの開催地は群馬県に決定いたしました。このキャンペーンは、JRグループが全国規模で展開するもので、群馬県や関係自治体、観光事業者が一体となって集中的にイベントを実施するとともに、観光資源などを紹介するものであります。詳細は未定ですが、来年春にはプレキャンペーン、二〇二〇年には本キャンペーン、二〇二一年にはアフターキャンペーンが実施され、三か年にわたり全国に情報が発信されます。対象エリアは群馬県が中心となりますが、隣接する本県の北部地域や秩父地域も含まれることとなりました。これは県内の観光振興にとっても大きなインパクトをもたらす絶好のチャンスと考えます。 そこで、本県の魅力を効果的に発信できるよう、現在、PR手法などについて群馬県と打合せをしているところです。現時点での打合せでは、プレキャンペーンにおける全国の旅行会社やメディア関係者をターゲットとしたイベントの開催やモデルツアーの実施などが議論されております。 本県といたしましては、こうしたイベントなどを通じて八高線沿線を含む北部地域や秩父地域、ひいては県全体の観光振興につながるよう取り組んでまいります。 次に、キャンペーンに絡めて目玉となるSL運行についてどのように考えるのかについてでございます。 SLの運行につきましては、保安員の配置などの安全対策や、折り返し運転のための転車台の設置に多額な費用を要するなどの課題があるとJR東日本から伺っております。昨年八月に東武鉄道が運行開始した「SL大樹」では初期費用として約三十億円が投入されたとの報道もございました。また、新たにSLを運行させる場合には、初期費用に加え警備などの費用もかかります。このような費用面の課題もありますが、八高線の利用促進と沿線地域の活性化の観点から、県では今までにもSLの運行などについてJR東日本に粘り強く要望しているところです。 八高線沿線で今回のキャンペーンの対象となる地域には、絹産業遺産群と関連が深い本庄市の競進社や神川町の冬桜などこだわりの観光資源がございます。さらに、寄居町の水天宮祭をはじめ、美里町の百八燈など文化財が数多く存在します。今回のキャンペーンにおいては、観光という視点からこうした多彩な観光資源を紹介することにより、SL運行の機運醸成に積極的に努めていきたいと考えております。 八高線沿線にはたくさんの観光資源があります。この機会を捉え、市町村と共に沿線地域の魅力を全国に発信し、地域の活性化につなげてまいります。       〔西成秀幸県土整備部長登壇〕 ◎西成秀幸県土整備部長 御質問九、地域の道路整備についてお答えを申し上げます。 まず、県道花園本庄線の整備についてでございます。 この路線は、旧花園町と本庄市をつなぐ幹線道路であり、関越道へのアクセス道路ともなっております。旧花園町地域の荒川工区では、国道一四〇号から秩父鉄道の踏切までの三百二十メートル区間で拡幅整備を実施しております。この区間については、本年五月に最後の用地交渉がまとまり、全ての用地売買契約が完了しました。今後は、道路工事に支障となる農業用パイプライン移設などの協議を進め、早期に工事に着手できるよう努めてまいります。 また、旧岡部町地域の榛沢新田工区では、藤治川から本庄市境までの約一・六キロメートル区間でバイパス整備を実施しております。この区間の用地買収率は九二パーセント、工事進捗率は一五パーセントとなっており、平成三十年度から志戸川に架かる橋りょう下部工の工事にも着手しました。 引き続き、残る用地取得に向け地元の皆様の御協力を頂きながら交渉を続けるとともに、工事も併せて推進し、早期に完成できるよう努めてまいります。 次に、県道広木折原線の整備についてでございます。 この路線は美里町と寄居町をつなぐ地域の主要な道路ですが、円良田湖周辺は狭あいで大型車の通行が困難な区間があります。このため、美里町大字円良田地内から寄居町大字末野地内へ至る約二キロメートル区間について拡幅事業に着手したところです。 美里町区間につきましては、これまでに道路の詳細設計が完了しました。今後、用地測量のための説明会を開催し、平成三十一年度には用地買収に着手する予定です。 寄居町区間につきましては、地形や土地の権利関係が複雑なため、最適なルート案や道路の構造について検討しているところです。ルートが決定した後には関係者の皆様に検討結果を御説明し、その後、設計に必要な調査や測量などを順次実施してまいります。 引き続き、地元の皆様の御理解と御協力を頂きながら、事業の推進に努めてまいります。       〔篠崎豊農林部長登壇〕 ◎篠崎豊農林部長 先ほどの御質問二、次世代技術実証・普及センターについての答弁の中で、埼玉拠点のトマトの生産量につきまして、県内トマト消費量の一パーセント未満と申し上げるところを、誤って県内トマト生産量の一パーセント未満と申し上げました。おわびして訂正させていただきます。          ---------------- △休憩の宣告 ○齊藤正明議長 暫時、休憩いたします。午前十一時十三分休憩          ----------------午後一時四分再開 出席議員    八十二名     二番    三番    四番    八番     九番    十番   十一番   十四番    十五番   十七番   十八番   十九番    二十番  二十一番  二十二番  二十三番   二十四番  二十五番  二十六番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   五十九番   六十番  六十一番  六十二番   六十三番  六十四番  六十五番  六十六番   六十七番  六十八番  六十九番   七十番   七十一番  七十二番  七十三番  七十四番   七十五番  七十六番  七十七番  七十八番   七十九番   八十番  八十一番  八十二番   八十三番  八十五番  八十六番  八十七番   八十八番  八十九番   九十番  九十一番   九十二番  九十三番 欠席議員    一名   八十四番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○高橋政雄副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○高橋政雄副議長 質疑質問を続行いたします。 七十七番 山本正乃議員       〔七十七番 山本正乃議員登壇〕(拍手起こる) ◆七十七番(山本正乃議員) 七十七番、東第八区、越谷市より選出いただいております立憲・国民・無所属の会の山本正乃です。議長の許可をいただきましたので、通告に従い、順次質問させていただきます。 初めに、平成三十一年度予算編成方針の基本的な考え方についてお伺いいたします。 現在、国内経済はいわゆるアベノミクスにより順調に回復していると言われていますが、その果実は平等に分配されておらず、一部の富裕層を除き消費は冷え込んでいます。また、非正規雇用者の増加などで格差が拡大した結果、かつて「一億総中流」と言われた社会構造は過去のものとなり、子供の相対的貧困率も極めて高い状況です。そして、民間の調査によれば、シニア世代の九割が老後に不安を持ち、また、若い世代も結婚、子育てに希望を見いだせず、将来に不安を抱えています。 こうした状況において、本県では上田知事の下、旧来の価値観を打破し、県民に夢を与え、新たな未来を創造する取組に積極的に挑戦しており、高く評価しています。 例えば、高齢者が健康でいつまでも活躍できるようにするためのシニアの活躍推進や健康長寿埼玉プロジェクトは、高齢者の不安を解消するだけでなく、年を重ねるということを前向きに捉えた取組です。また、少子化に歯止めをかけるためのウェルカムベイビープロジェクトや、貧困の連鎖を断ち切るためのアスポート事業、県内中小企業の技術と研究機関の先進的な研究結果を融合させイノベーションを起こすための先端産業創造プロジェクトなども、正に新たな未来を創造する取組です。人口減少や急速な高齢化などに対処し、将来の不安を取り除き、持続可能な成長と発展ができる社会を創造することは、私たちの目指すところです。 そこで、知事にお伺いいたします。一、新たな時代の課題への挑戦、二、「希望・活躍・うるおいの埼玉」の更なる推進、三、「賢く」「省く」による事業の重点化と財政健全性の堅持の三つを基本方針として掲げられた基本的な考え方について、知事の御見解をお伺いいたします。 次に、子どもの貧困対策についてお伺いいたします。 子供の貧困対策を総合的に進め、貧困の連鎖を断つことを目的とし、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が平成二十五年六月に、超党派議員による議員立法で衆参両院において全会一致で可決されました。この法律が成立後、子供の貧困に関する報道が増え、改めて世の中の関心を集めています。 県内の子供の生活実態を見ると、約一割の世帯が生活困難層とのアンケート結果も出ています。埼玉県では子供の貧困対策として様々な取組をされていますが、以下三点についてお伺いいたします。 まず、平成三十年度からモデル的に開始された貧困世帯の小学生を対象とした学習や生活支援、体験活動、食事の提供などを行う「ジュニア・アスポート事業」についてお伺いいたします。 先月、ジュニア・アスポート宮代・杉戸教室を見学させていただきました。当日は、十一人の児童に八人の指導員やボランティアの皆さんが学習支援を行っていました。各自それぞれに指導員が付き、丁寧に学習指導されていました。また、自分の思いを素直に指導員に投げ掛ける姿も見られ、児童と指導員の人間関係が形成されている様子がうかがわれました。宿題や勉強を終えた後、けん玉や編み物など自由遊びを楽しそうにしている頃に、調理室ではボランティアの皆さんが夕食の準備をされていて、大変おいしそうな匂いがしてまいりました。 当日は、この事業を受託している一般社団法人「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」の白鳥代表理事とアスポート学習支援春日部センターの森山センター長にお話をお伺いすることができました。「五月から打合せを始め、福祉事務所の御協力の下、事業を開始。食事の提供については民生委員をはじめとする調理ボランティアの皆さん、食材はアグリパークや地元の農家さん、セカンドハーベストなどの御協力で成り立っている。町の御協力で会場を確保していただき、学習支援と食事提供、体験活動などを行っている」とのことでした。 また、「平成二十二年九月から生活保護世帯の中学生を対象に、高校進学に向けた学習支援事業の経験や、平成二十五年からは高校生も学習支援の対象とし、高校を中退することのないよう支援してきた経験が今生かされている。中学生や高校生からの支援では時間がかかることでも小学生なら短時間で変化が出てくる。小学生対象のジュニア・アスポート事業はとても意義がある」とおっしゃっていました。 貧困は、学力格差、収入格差をもたらすだけでなく、非認知能力の格差ももたらすと言われています。非認知能力には大きく二つの力があります。まず、自尊心、自己肯定感、自立心、自制心、自信などの「自分に関する力」です。そして、一般的には社会性と呼ばれる協調性、共感する力、思いやり、社交性、良いか悪いかを知る道徳性などの「人間と関わる力」が挙げられます。 このジュニア・アスポート事業は、貧困によって小学生のときから学力や非認知能力の格差が生じていることから、より早い段階から幅広い支援を行うことで、誰もが自分の可能性を広げ、活躍できるようにとの考えから実施に至ったとお伺いしています。私もこの事業は大変有意義だと実感しているところです。 そこで、知事にお伺いいたします。現在モデル的に実施している七市町以外にも広げていき、全国に発信できるような事業にしていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、こども食堂・こどもの居場所づくりについてお伺いいたします。 地域の子供たちに無料か安い値段で食事を提供する子ども食堂が全国で広がっています。埼玉県内の子ども食堂も県で実施した「子ども食堂」実態調査によると、昨年八月時点で七十六か所であったものが、一年後の本年八月時点では六割増の百二十三か所で実施されていることが確認されています。 このような中、子ども食堂や子供の居場所を増やそうと、十一月二十六日に埼玉県主催で「こども食堂フォーラム~広げよう!こどもの居場所~」が開催されました。私も行ってまいりました。十二時半の開場前から会場には行列ができており、会場いっぱいの来場者で熱気があふれていました。この企画は、福祉部少子政策課と県民生活部共助社会づくり課との共催で実施されており、県庁内での横断的な取組の成果だと感じました。 事前申込みが必要なミニ講演会、パネルディスカッションは満席で立ち見の方々も多く大盛況でした。パネルディスカッションにパネリストとして参加されていたNPO法人地域こども包括支援センターの野口理事長は、「子ども食堂は、食を通じて親子の会話が増え、多世代の交流も図られている。細くていいので長く続けることが大切」と発言されていました。 事例発表では、埼玉県初の食料無料配布活動、フードパントリーと言いますけれども、この食料無料配布活動を越谷市と協力しながら行っているせんげん台こども食堂の事例や、子ども食堂への支援としてフードドライブに取り組んでいる明治安田生命越谷支社の事例などをお伺いでき、とても参考になりました。特に、食料無料配布活動、フードパントリーは今後県内に広めていただきたい新たな取組でした。 ブース出展では、子ども食堂をはじめ県内各地で展開されている無料塾や、子供が自由に遊べるプレーパークなどの様々な形態の子供の居場所づくりの取組、それらを支援する企業・団体の取組が紹介され、関係者同士の交流が図られていました。 子ども食堂などの子供の居場所は、地域コミュニティにおける支え合いの考え方が具体化されたものであり、活動している人たちの自主性を尊重しながら、地域の子供のために継続して居場所を提供していくことがとても大切であると感じたところです。 そこで、知事にお伺いいたします。知事は、地域で展開されている子ども食堂などの子供の居場所についてどのような認識をお持ちでしょうか、御見解をお伺いいたします。 また、子ども食堂などの子供の居場所が継続的に地域に定着できるには、支援する企業・団体、地域の方との出会いの場が必要と考えます。今回のこども食堂フォーラムの地域版を県主催で開くべきと考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。 次に、ひとり親家庭の支援についてお伺いします。 子供の貧困率は、二〇一五年度は一三・九パーセントで七人に一人ですが、ひとり親家庭では二人に一人が貧困状態です。そこで、ひとり親家庭への支援が大変重要と考えます。ひとり親で頑張っている方々が力をつけて十分な収入を得られる職業に就くための支援の一つとして、高等職業訓練促進給付金があります。埼玉県では平成三十年五月現在の支給人数は四百六十二人、平成二十九年度実績では資格取得者数百八十人、就職件数百十三件となっています。 この制度については平成二十四年に事業の見直しが行われ、給付額について平成二十四年四月以降に入学した場合は、市町村民税非課税世帯で十四万一千円から十万円に減額されています。一方で、平成二十八年にも見直しが行われ、支給期間が二年から三年に延長され、対象資格も拡大されるなど、資格取得につながるよう拡充が図られています。 ひとり親の自立支援に当たって、この職業訓練促進給付金は資格取得のための手段の一つであり、最終的には安定した就労に就ける環境整備が重要です。母子家庭の約八割は就労しているにもかかわらず、その約六割がパート・アルバイトなどの非正規雇用です。安定就労につながる資格を取得することで、ひとり親世帯の経済的自立につながります。特に、看護師や准看護師は、養成機関に入学すれば高等職業訓練促進給付金も使いながら資格が取得でき、安定就労につながります。しかし、高校を卒業していないなど学力にハンディのあるひとり親にとっては、養成機関の入学そのものが大変なハードルです。そのような方であっても着実に資格取得につなげるよう支援することが、ひとり親世帯全体の自立支援につながるのではないかと考えます。 ひとり親世帯の自立に向けて着実に資格取得につなげるよう支援を充実させるべきと考えますが、福祉部長の御見解をお伺いいたします。 次に、災害に備えた自助の取組の促進についてお伺いします。 本年は自治体消防七十周年の年であり、私も七十周年式典に参加させていただきました。消防団や消防行政に携わる皆様には、三百六十五日、二十四時間、地域の安心・安全を守るために日々御尽力いただき、感謝の思いでいっぱいです。 「災害は忘れた頃にやってくる」ということわざがありますが、最近では「災害は忘れる前にやってくる」という状況が続いています。今年は、特に大阪府北部地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震、相次ぐ台風の上陸など、これだけ災害が続くと消防に携わる方々の力に頼るだけでなく、住民自らが災害から命を守る自助の取組の重要性を感じているところです。 確実にやってくると想定されている関東直下大地震や火事、台風、不審者の侵入など様々な災害からどうすれば自分や家族の命が守れるのか、まずは災害状況を的確にイメージする力「災害イマジネーション」を高めることが重要と考えます。人は、イメージできない災害状況に対して適切な心掛けや準備はできません。様々な時刻や場所、季節や天候に応じて発災からの時間経過の中で、自分の周辺で起こる災害状況を具体的にイメージできるように、自分を主人公とした物語を作ることが必要だと言われています。 そこで提案です。自助の取組の一つに、東京大学の目黒教授が提案されている「目黒巻」を取り入れてはいかがでしょうか。「目黒巻」は災害の状況を自分自身の問題としてイメージするツールです。災害の種類を想定し、災害発生時の条件を設定、時間の経過とともにどのような行動をするのか書き込んでいくシートがあります。これはちょっと拡大した大きい版のシートになりますけれども、「目黒巻」というのは目黒区の目黒に、巻物の巻という漢字で検索していただければ、どなたでもダウンロードができます。 そして、そのダウンロードした紙をA4の紙二枚、これA4の紙なんですけれども、この二枚がこの基になっておりますけれども、それぞれを半分に折って横につなげていくんですね。これを拡大したものですけれども、そうしていくとその発災後十秒、一分経過、五分というふうに時間の経過の中で、そのとき自分が何ができるか、どういう状態かと想像していくものを書き込むツールになります。 このシートにいろいろ書き込んでいくことで、私もちょっとやってみたんですけれども、寝ているときに大震災が起こったらどうかと、はたと思うと、私はかなり危ないところに寝ているなというふうに思いまして、いろいろ寝る位置を変えたりもしてみましたけれども、そういったことで何が起こって、起こったときにどうなるかということを自分で考えていくといろんな点に気付いていきます。このシートを作ることによって、物語をハッピーエンドに変えるためには、直前、直後、事後の対策をどうしたらいいかということが自分の中で発想の中に浮かんできますので、これ大変有効なツールだと思っています。この目黒巻は一人で書いても十分楽しめるツールですが、何人かで書いて話し合うともっと効果があるそうです。 この災害時のイメージを高める「目黒巻」を県として周知していただきたいと思いますが、危機管理防災部長のお考えをお伺いいたします。 この災害に対するイメージができたら、次は、どのように日頃から備えていけばいいのかという関心が起きてきます。私が今回この質問をしようと思ったきっかけは、身近に、私の姉が愛媛県宇和島市に住んでいるんですけれども、西日本豪雨で水害に遭いまして、本当に誰もが予想しなかったお水が出て、うちがこのくらい水浸しになったんですね。夏にちょっとお手伝いに田舎に帰ってきたんですけれども、まだまだ泥がいっぱい、夏でもありましたし、大変想像のつかないことだったということをしきりに言っていました。なので、今、私も水害に遭ったらどうしようということでいろいろ考えたりして、大事なパソコンとかいろんな機械類は絶対二階だなとかというふうに考えたところです。 また、この宇和島市では、山崩れにより浄水場が破壊され、長期間にわたる断水が続き、水の重要性を痛感したという多くの声を聴いてきました。また、被災直後は崖崩れがあったりして買物に行けずに、水や食料が不足した方々も多くいらしたようです。飲料水は大人一人につき一日二~三リットルが必要と言われています。飲料水のほかにも洗濯、トイレ、歯磨きなど生活用水としてもかなりのお水が必要になります。災害時にライフラインが止まったときのために、日頃から各家庭で水を備蓄することは極めて重要です。 災害時のために普段食べているもの、飲んでいるものを多目に買い置きし、なくなったら新たに補充する備蓄方法として「ローリングストック法」があります。消費期限が長いものをわざわざ準備することなく、うっかり消費期限切れといった失敗もありません。県の「イツモ防災」の取組の中では、例えば水や食料の備蓄については最低三日分、できれば七日分以上をローリングストック法で備蓄することを推奨しています。 今後、県はこのような備蓄の取組をはじめとした自助の取組をもっと普及していく必要があると考えますが、危機管理防災部長の見解をお伺いいたします。 次に、小学校英語教育の導入に係る専科教員の配置と取組についてお伺いします。 小学校での英語教育は、二〇〇二年度に総合的な学習の時間を使って始まり、二〇一一年度からは小学校五・六年生で外国語活動が年間三十五時間必修となっています。この間、小学校での外国語活動は定着してきたところですが、今までは教科ではないため教科書もありませんし、国語や算数のような数値による成績もつきませんでした。文部科学省から指導用の教材は提供されていましたが、何をどのように取り組むかは市町村教育委員会や現場の学校、先生方に任されていました。 二〇二〇年度からは、新学習指導要領の全面実施となり、小学校三・四年生では外国語活動が始まり、五・六年生では外国語科が始まります。日本の公立学校では外国語とは英語ですから、二〇二〇年四月からは英語が小学校で教科化され、国語や算数のような数値による成績をつけることになる予定です。 県内の全小学校で質の高い英語教育が行われるためには、教員の指導力を高めることが必要です。一方で、国には小学校英語教育充実のための専科指導教員を配置する制度があります。文部科学省では、今年度全国で千人の専科教員の配置の予算を計上し、埼玉県においても要望のあった市町村に対して配置をしています。しかし、英語の加配教員は埼玉県内で三十二人、六十五校のみとなっています。今後、多くの学校では英語の免許がない教員が成績をつけることになります。 一人でも多く専科教員を配置できるよう、市町村教育委員会に働き掛けをすべきではないでしょうか。英語の免許状を有する者が全校に配置されるのが当然であり、県教育委員会として全校配置を文部科学省に働き掛けることも必要と考えます。 また、英語専科教員の配置が進まない理由の一つとして、国からの条件が厳しいという声もあります。条件緩和も国に働き掛けるべきと考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。 次に、会計年度任用職員制度の導入についてお伺いします。 総務省調査によると、自治体で働く臨時・非常勤職員は二〇一六年四月現在で全国で約六十四万人となっており、増加傾向にあります。この人数は地方公務員総数の約四人に一人に当たります。その多くの職員が恒常的業務に就いており、現状において地方行政の重要な担い手となっています。 こうした状況を受け、二〇一七年五月に地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律が成立し、二〇二〇年四月から自治体の非正規職員に会計年度任用職員制度が導入されることになりました。この改正法の内容は、一般職の会計年度任用職員を創設し、任用、服務規律等の整備を図るとともに、特別職非常勤職員及び臨時的任用職員の任用要件の厳格化を行い、会計年度任用職員制度への必要な移行を図るものです。また、会計年度任用職員への給付については、職務給の原則や均衡の原則に基づき、正規職員との均衡を図ることが求められています。 公共サービスの多様化に対応し、安定的にサービスを提供するためには、臨時・非常勤職員の存在は不可欠です。制度移行に当たっては、経験・スキルのある人材を確保するために、改正法の附帯決議の趣旨を踏まえ、雇用継続と正規職員との均衡を求める制度設計が必要と考えます。また、現在、県で働く該当の職員が不利益を被ることなく新しい制度にスムーズに移行できることが望まれ、働く環境を改善することで更なる公務サービスの向上につながるものと考えます。 そこで、以下二点、総務部長にお伺いいたします。 まず、総務省が実施した「会計年度任用職員制度の準備状況等に関する調査」では、任期や勤務時間にかかわらず、当自治体で働く臨時・非常勤職員の人数、勤務時間、業務内容など現状把握が求められています。現状をどのように把握されているか、お伺いいたします。 次に、今回の法改正は、自治体臨時・非常勤職員の処遇がこれまで法の谷間に置かれ、劣悪な労働環境に置かれてきたため、その改善が法の趣旨と考えますが、県においてもその趣旨にのっとり、処遇改善にしっかりと結び付けていく意思があるのかについてもお伺いいたします。 次に、公共サービス基本条例についてお伺いします。 平成二十一年、公共サービスは国民生活の基盤であるとして、その基本理念や国、地方公共団体の責務等を規定した「公共サービス基本法」が議員立法により全会一致で成立しています。医療、介護、福祉、子育て、教育、地域交通など県民の生活と公共サービスは切っても切り離せない関係にあります。必要とする人々にきちんと公共サービスが行き届くこと、良質な公共サービスが供給されることは極めて重要な課題です。こうした課題に応えるために公共サービス基本条例が必要と考えます。 平成二十八年六月定例会において、必要とする県民に過不足なく質の高い公共サービスが提供されるよう公共サービス基本条例を制定し、公共サービスの基盤整備と質の向上を図るべきとの思いで、公共サービス基本条例についての質問をさせていただきました。「県としては、公共サービス基本法の趣旨も踏まえ、質の高い公共サービスの提供に取り組んでいるところであり、条例の制定については、引き続き公共サービスの質の向上を図る観点から、関係部課とも連携して条例化が必要な事項等の課題について研究していく」との答弁がありました。 その後、平成二十九年二月定例会では、会派の水村議員も質問されています。そのときの御答弁は、「県として法律に加えて新たに条例化を必要とする事項の洗い出しが課題となっている。県としては、引き続き関係課で連携し、公共サービスの向上のための取組を進めるとともに、条例について研究していく」とのことでした。 水村議員の質問から一年十か月が経過しています。この間の条例についての研究の進捗状況、特に、条例制定に向けての課題をどのように捉えているのか、企画財政部長にお伺いいたします。 次に、都市計画道路浦和野田線(元荒川工区)の整備についてお伺いいたします。 都市計画道路浦和野田線は、国道四号と野田橋間の約八・三キロメートルの東西連絡の強化、周辺の主要な幹線道路の慢性的な渋滞緩和、周辺地域の活性化、安全、円滑な交通の確保を目的に計画された道路です。このうち、長い間懸案となっている国道四号から東武鉄道付近までの元荒川工区は、昭和六十二年に現在の都市計画に変更され、既に三十二年が経過しています。 この間、県には地元説明会を開催するなどいろいろと対応してきていただいております。特に、周辺自治会や元荒川の自然を守る会などで構成する浦和野田バイパス問題連絡協議会には、平成十四年度から継続的に意見交換を実施していただいております。ただ、本工区は国道四六三号のバイパスとして既に開通している都市計画道路新浦和越谷線と接続する区間として早期の全線開通が望まれています。本年八月二十四日には、越谷市大吉地内、キャンベルタウン野鳥の森公園付近が開通し、大変周りの方も喜んでいるところです。 昭和六十二年当時は、左岸側の北越谷土地区画整理事業の完了直後であり、右岸ルートでは文教大学などに支障があったことから、河川と道路を一体的に整備する計画が立てられました。河川の中を縦断する現都市計画ルートを基本として、土工案、橋りょう案、シールド案、ボックス案などを検討していただいていましたが、どの構造形式においても実現が困難とのことから、現道路計画に代わる実現可能なルートとして、本年五月、十三年ぶりに地域全体を対象とした地元説明会が開催されました。元荒川の左岸側とするルート案が示されたところです。 説明会では、「新ルートは国道四号、足立越谷線などの幹線道路や地域内道路との接続が可能。北越谷中心地区の連絡道路網の強化が図られ、周辺地域の活性化にも寄与」とのメリットが示されました。参加された地域の方々からは、様々な御意見や心配のお声もあり、まだまだ合意形成が必要と感じたところです。 県としては今後どのようにこの事業を進めていくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 以上で質問を終わります。(拍手起こる) ○高橋政雄副議長 七十七番 山本正乃議員の質問に対する答弁を求めます。       〔上田清司知事登壇〕 ◎上田清司知事 山本正乃議員の御質問に順次お答えをいたします。 まず、平成三十一年度予算編成方針の基本的な考え方についてのお尋ねでございます。 間もなく平成という時代が幕を閉じようとしております。この時代が幕を開けた三十年前、日経平均株価が最高値を記録し、世界企業の時価総額ランキングでは日本企業が上位を独占しておりました。しかし、バブル景気が崩壊し、負の遺産処理に「失われた二十年」と呼ばれる長い時間を要した結果、産業構造の転換を果たした各国の後塵を拝し、その状況は現在も打破しておりません。この間、戦後一貫して増え続けてきた人口が減少を始め、合計特殊出生率も一・五を下回る水準が続く一方で、高齢化率は異次元の伸びを見せ、この三十年で倍以上となる三〇パーセント近くまで上昇しております。 こうしたある意味では困難な時代の潮流の中、本県では新たな未来を切り開こうと地方自治体の枠にとらわれず、他団体や国のモデルとなる数多くのプロジェクトに取り組んでまいりました。今後も積極果敢に挑戦を続けることで、持続可能で活力あふれる本県の新しい時代を築いていきたいと考えております。 そこで、三十一年度予算編成に当たり、三つの基本方針を掲げております。 まず第一に、「新たな時代の課題への挑戦」です。 持続可能で活力あふれる本県の新時代を築くために、将来を見据え、早目に対応すべき課題に着実に取り組んでいくことであります。例えば、今後、少子高齢化による生産年齢人口の減少が更に進み、人口構造の変化が見込まれます。二〇四〇年頃には高齢化率が高い水準で安定するとの見込みもあり、経済成長の減退や社会の活力低下が懸念されます。そのため、平成三十年度から開始したAIやIoTなど新たな技術を活用した「スマート社会」や「スマート県庁」を実現する取組を更に加速させ、生産性の向上を図ってまいります。 また、高齢化が進んだ社会では、高齢者の活力がますます不可欠なものとなります。そのため、これまで進めてきたシニアの活躍拡大や健康長寿などの取組を更にバージョンアップしていく必要があります。誰もが希望に応じ、あらゆる場面で活躍することができる人生百年時代を他の自治体に先駆けて実現できるようにと思っております。 さらに、平成二十七年に国連で採択されたSDGsにもあるように、「持続可能」という言葉が現代社会において最も大切なキーワードの一つになっております。例えば、本県が先駆けて行い全国に広がりを見せた生活保護世帯の子供たちへの学習支援は、SDGsに最初に掲げられた「貧困をなくす」という目標に資するものではないかと思っております。 このような取組に加え、子ども食堂への支援なども充実させ、子供の居場所づくりという持続可能な社会を構築する上で欠かせない取組を更に進めてまいります。改めて持続可能という視点を再確認し、豊かな未来を切り開いていかなければと考えております。 第二に、5か年計画に基づく「『希望・活躍・うるおいの埼玉』の更なる推進」であります。 これまで様々な施策に取り組み、特に「新たな産業の育成と企業誘致の推進」や「医師・看護師確保対策の推進」は、目標達成に向けて順調に推移しております。一方で、「児童虐待防止・児童養護対策の充実」など進捗が遅れている施策もあります。そのため、計画期間の折り返し地点となる平成三十一年度は、十一の宣言をはじめとする各分野五十六の施策に係る取組を更に推進していかなければなりません。そして、「希望と安心」「活躍と成長」「うるおいと誇り」のある埼玉の実現を確かなものにしてまいりたい、このように思います。 第三に、「『賢く』『省く』事業の重点化と財政健全性の堅持」でございます。 積極果敢に新たな課題に挑戦していくには、無駄を「省く」ことで真に県が行うべき事業に財源を集中させ、十分な効果を「賢く」生み出す必要がございます。各役所に「省」という文字が当てられているのは、いにしえの賢人が行政は肥大化していくことを知っており、その戒めとして「省く」という文字を当てたのだと解釈しております。 そこで、全ての歳出を総点検し、必要性、緊急性の低い事業は思い切って「省く」ことで財源を生み出し、本当に必要な事業に重点化を図ります。例えば、今年度から総務事務システムなどのヘルプデスクに職員の質問に対応できるAIを導入いたしました。質問への対応に要する時間を「省く」ことでコスト削減につなげ、財源の重点化を図ることができます。単一的、画一的な削減ではなく、「賢く」無駄を「省く」ことでめりはりのある予算として財政の健全性を堅持してまいります。 以上の三点の基本方針に基づき、予算編成を進めていきたいと考えております。 次に、子どもの貧困対策についてのお尋ねのうち、ジュニア・アスポート事業についてでございます。 県では、生活保護世帯の子供の四分の一が残念ながら大人になって再び生活保護を受けるという実態に着目し、平成二十二年九月から全国に先駆け、高校進学に向けた学習支援事業を実施いたしました。この取組が国会において取り上げられ、政府においても評価され、平成二十七年度からは生活困窮者自立支援法の事業として対象者を生活困窮世帯の子供に広げ、中学生の学習支援を中心に全国で展開されるようになりました。 一方で、貧困世帯と一般世帯の子供では、小学生の早い段階から学力や非認知能力に格差が生じているとの調査もあり、早期の支援が必要だということが分かってまいりました。そこで、県では、本年七月から小学生を対象に学習や生活支援、体験活動、食事の提供などを総合的に行うジュニア・アスポート事業を始めたところです。 開始後四か月しかたっていませんが、様々な効果が表れております。議員も見学していただき、感謝するところです。この事業に携わる志のある大人と恒常的に接することで子供たちは感化され、見る見るうちに変わっている、このようなことも報告を聞いております。 私自身も行ってまいりました。不登校だった子供が教室の他の子供たちと触れ合うことにより自信を付け、徐々に小学校に通えるようになったという話もございます。また、様々な体験学習や生活上のサポートを定期的に受けることで表情が明るくなり、いろいろなことに前向きに取り組む子供が出てきているということを聞いております。こうした子供の変化に刺激を受け、保護者が意欲的に就職活動に取り組み始めたという事例も生じたそうです。このほか、地域で貧困家庭の子供を支える体制ができつつあるということも効果の一つとして挙げられます。 この事業では、大学生ボランティアが勉強を教え、食材は農家や農協、寺院などから提供を受け、食事作りや体験活動は社会人や企業、社会福祉法人などが担っています。教室を中心に「アスポートサポーター」とも言うべき存在が着実に広がっているようです。まずは、こうした成果やノウハウを市町村に提供することにより、全県展開を図っていきたいと考えております。 国でも、来年度から生活困窮者自立支援法の学習支援事業に体験活動や食育の充実、居場所の提供といった生活全般のサポートも加える方針を打ち出しております。ジュニア・アスポート事業は、正にこうした国の動きを先取りした取組であり、国に対しこの事業の成果を示すことで更なる財政支援も働き掛けていきたいと考えております。 本県の偉人であります渋沢栄一翁も、「国家の富が増すほど貧民が多くなることは、実験上の事実である」と述べられております。そして、「この困難の人をしてよくそのところを得せしめるのがすなわち王道であって、同時に世の富豪家の鑑むべきことである」と説かれております。大変残念ですが、国家の富が増せば増すほど貧民が多くなるということが起こっている。明治においてもそういったことが既にあったということを述べられ、そして政治や行政はそうした困難な人をしっかりと導くことができるようなことをするのが、政治・行政の王道だというふうに説かれておられます。肝に銘じていきたいと思っております。 正に渋沢翁が看破されましたように、貧困の連鎖を断ち切るという事業は最も重要なことだと考えております。この事業が貧困の連鎖解消のための先進モデルとして全国に広がるよう、今後ともしっかりと取り組んでまいります。 次に、こども食堂・こどもの居場所づくりについてのうち、子ども食堂など子供の居場所についての認識についてでございます。 子ども食堂などの子供の居場所は、地域の皆さんが知恵を出し合い、地域の特色を生かしながら様々な形で展開されています。子ども食堂が果たす役割は、単におなかをすかせた子供に食事に提供するということにとどまっておりません。ある子ども食堂では、パイロットや公認会計士、看護師などをゲストに招いて話をしてもらい、子供の職業観を育んでおられるそうです。また、シニアや学生ボランティアと一緒に芋掘りや簡単な料理をするなど様々な体験をさせている子ども食堂もあるそうです。 持続可能な社会というのは、子供が立派に育ち、社会を担う力を育むものでなければならないと思います。正に生きる力だと思います。子供が地域の立派な大人に触れ合うことで「自分はできる」という自己肯定感が生まれ、自立して生きる力を育んでいくものと考えております。ジュニア・アスポート事業も含め、子供の居場所は子供だけではなく、学生やシニアなど多様な世代が集い、支え合う地域のキーステーションになればいいのではないかと考えます。 次に、こども食堂フォーラムの地域版を県主催で開催することについてでございます。 子ども食堂など子供の居場所が各地域に広がり、継続していくためには、居場所を作りたい方とそれを支えたい方との間での顔の見える関係づくりを各地域で展開していくことが重要でございます。そこで、本年十一月に実施した「こども食堂フォーラム」のような関係者の出会いの場を、地域レベルでも開催したいと考えております。御提案のとおりです。来年一月には川越市内で地域版「こども食堂フォーラム」を開催し、全県版とは違う、より地域に根差した出会いの場を提供していければいいなというふうに考えております。さらに、各市町村でも同じような取組ができないか働き掛けてまいります。 県としては、子供の居場所の多様性と運営される方の自主性を尊重しつつ、その活動をしっかり応援していきたいと考えております。       〔知久清志福祉部長登壇〕 ◎知久清志福祉部長 御質問二、子どもの貧困対策についてのお尋ねのうち、(三)ひとり親家庭の支援についてお答えを申し上げます。 平成二十八年国民生活基礎調査によると、母子世帯の年間所得は平均で約二百七十万円であります。子育て世帯全体の平均年間所得が七百八万円であるのに対し、母子世帯はその四割にも満たない状況にあります。経済的に厳しいひとり親世帯が自立するためには安定した職業に就くことが重要であり、そのための資格取得は非常に有効な手段です。 議員お話しの高等職業訓練促進給付金は、ひとり親が看護師や保育士などの資格取得のための養成機関に通学する間、当面の生活費を支援するものです。県内では本年五月現在で四百六十二人が受給し、その八割が看護師や准看護師の養成機関に通い、資格取得に向けて頑張られております。 一方、高校中退や卒業してからブランクが長いなど学力にハンディがある方にとっては、養成機関の受験そのものが高いハードルです。県では今年度、新たにひとり親を対象とした「看護学校受験対策講座」を県内四か所で開講し、入学受験の支援をしています。この講座には五十九人が受講し、これまでに行われた看護学校や准看護学校の受験に三十人が挑戦しており、約六割に当たる十七人の方が合格しました。この受験対策講座では、同じ志を持つ者同士が励まし合い、悩みを相談し合う仲間づくりの場にもなるという効果もありました。また、看護師や保育士だけでなく、例えば歯科衛生士など人気の高い資格に関する業務内容や資格取得支援制度を紹介するセミナーを今年九月から新たに開催しています。 さらに、県の福祉事務所にはキャリアコンサルタントなどの資格を持つ就業支援専門員を平成二十六年度から配置し、資格取得や就職後のフォローアップまで伴走型の支援を行っています。今年度からこの就業支援専門員を三名から五名に増員し、四月から十月までの七か月間での相談件数は四千百二十九件で、資格取得につながった方もおり、全体の就職者数は八十七人となっております。 今後も、ひとり親世帯の状況に応じてきめ細やかに資格取得から就労まで、自立に向けた切れ目のない支援に取り組んでまいります。       〔槍田義之危機管理防災部長登壇〕 ◎槍田義之危機管理防災部長 御質問三、災害に備えた自助の取組の促進についてお答えを申し上げます。 まず、災害のイメージを高める「目黒巻」の周知についてでございます。 県民の皆様が災害時に自分が置かれる状況を具体的にイメージし、被災時の行動や問題点などについて家族で話し合い、共通の認識をつくっておくことは非常に重要です。「目黒巻」はそのきっかけづくりに大変有効なツールだと考えます。県では、災害時のイメージを高めることなどを目的に、本年三月の埼玉県防災学習センターのリニューアル時に「埼玉防災絵巻」という展示を設置しました。そこには、発災前、発災時、発災後と時間が変化していく中での人々の様子が描かれておりまして、災害時の対処や日頃の備えについて楽しく学べる展示となっています。 今後、埼玉防災絵巻を解説する企画イベントを計画しておりますので、その際に「目黒巻」を紹介するなど、様々な機会を捉えて周知に努めてまいります。 次に、備蓄の取組をはじめとした自助の取組の普及についてでございます。 県では、自助の取組を促進するため、平成二十七年度から「イツモ防災事業」を市町村と共に展開しています。この事業は、イラストを使い分かりやすく説明したマニュアルブックなどを活用しながら、水や食料の備蓄など各家庭での備えの重要性を県民の皆様に幅広く啓発し、実際の行動に移していただこうとするものです。今年度はNTTタウンページ株式会社の御協力を得て、県内全世帯及び全事業所約三百五十万か所に「防災啓発冊子」を配布しました。 また、講座やワークショップで講師となる「イツモ防災インストラクター」を養成し、市町村や企業のイベントの場を活用して県民の皆様へ直接働き掛ける活動も実施しています。十一月十四日の県民の日に県の危機管理防災センターで行った自助の啓発イベントにも千六百人を超える方が集まり、熱心にインストラクターの話に耳を傾けていらっしゃいました。 全国的に大きな災害が続いたことなどを反映し、今年度の県政世論調査における県政への要望では「災害から県民を守る」が一位となりました。防災に対する県民の意識が高いこのタイミングを捉え、家庭での備えをはじめとした自助の取組促進に市町村と共に努めてまいります。       〔小松弥生教育長登壇〕 ◎小松弥生教育長 御質問四、小学校英語教育の導入に係る専科教員の配置と取組についてお答えを申し上げます。 まず、一人でも多く専科教員を配置できるよう市町村教育委員会に働き掛けをすべきではないかについてでございます。 議員お話しのとおり、今年度、小学校の英語教育を充実するため英語を専門に教える専科教員を配置いたしましたが、二十市町に三十二名、六十五校での指導にとどまっております。配置した市町村からは、英語のみを教える教員として配置されていることから十分な授業準備が可能となり、系統的な指導ができることで英語の授業の質が高まったと聞いております。また、専科教員は学校内だけでなく市町村の英語教育全体の推進につきましても中心的に活躍し、平成三十二年度に全面実施となる新学習指導要領に向け、教員の指導力が向上するなどの成果が見られるとのことでございます。 県といたしましては、市町村を集めた会議においてこの制度の趣旨や成果等を改めて周知するとともに、専科教員の配置について積極的に働き掛けてまいります。 次に、英語専科教員の全校配置を文部科学省に働き掛けることが必要ではないか、また、配置の条件緩和も国に働き掛けるべきについてでございます。 文部科学省は、平成三十一年度の概算要求において、小学校外国語教育の授業時間数の増加に対応し、質の高い英語教育を行うことのできる専科教員の増員を要求しております。県といたしましては、こうした国の動向を積極的に市町村に情報提供するとともに、より多くの学校に配置できるよう、引き続き専科教員の増員を強く国に要望してまいります。 また、国では専科教員の配置要件として、一週間当たり二十四時間以上の授業を実施することが必要であると示しております。議員お話しのとおり、市町村からはこの配置要件が厳し過ぎるとの声も上がっております。配置要件の緩和につきましては、市町村の実情に応じ、より柔軟な配置ができるよう全国都道府県教育委員会連合会とも連携し、平成三十年七月に要望しておりますが、引き続き国に対して要望してまいります。       〔高柳三郎総務部長登壇〕 ◎高柳三郎総務部長 御質問五、会計年度任用職員制度の導入についてお答えを申し上げます。 まず、会計年度任用職員制度の導入に当たって、臨時・非常勤職員の現状をどのように把握しているのかについてのお尋ねでございます。 本県におきましても、非常勤職員や臨時職員の配置状況や業務内容などの実態を把握した上で、これまで適正な人員配置に努めてまいりました。例えば、知事部局の非常勤職員は、嘱託医や顧問弁護士など勤務時間が比較的短い職員を除くと、人数は平成三十年五月一日現在で五百三十一名おります。このような非常勤職員は、多様な県民サービスに対応するため様々な分野の業務に従事しておりますが、例えばパスポート発給事務や土地の登記事務の補助業務などに従事しております。また、臨時職員につきましては、例えば簡易な資料作成やデータ入力を中心とした事務補助的な業務などに従事しております。 議員お話しの総務省調査につきましては、こうした実態把握を踏まえ、回答させていただいたところでございます。 次に、処遇改善に結び付けていく意思があるのかについてのお尋ねでございます。 今般、改正法の趣旨は、地方公共団体における非常勤職員や臨時職員の適正な任用や勤務条件を確保することであると認識しております。また、議員お話しのとおり、改正法には政府に対して附帯決議が付されております。その中では、現在の非常勤職員などの会計年度任用職員への移行に当たっては、不利益が生じることなく適正な勤務条件の確保に努めることなどが示されております。会計年度任用職員の給付や勤務条件等につきましては、法改正や附帯決議の趣旨を踏まえた総務省通知に基づき、常勤職員や国の非常勤職員とのバランスを考慮して適切に設定したいと考えております。 改正法が施行される平成三十二年四月に向け、円滑に制度が導入できるよう、総務省通知にもあるとおり、職員団体との協議を経た上で関係規定の整備なども行い、しっかりと準備してまいります。       〔砂川裕紀企画財政部長登壇〕 ◎砂川裕紀企画財政部長 御質問六、公共サービス基本条例についてお答えを申し上げます。 議員の御質問にもございますように、公共サービス基本条例の前提となる公共サービス基本法には、公共サービスの基本理念や国、地方公共団体の責務等が規定されております。この法律の中で、国や地方公共団体の責務は、広く住民の意見を求め、不断の見直しを行い、基本理念にのっとり公共サービスを実施することとされております。国は法律の目的を達成するため、法に規定された基本的施策に沿って、公共サービスを委託した場合の損害に関する責任の所在等の明示や、申請手続のオンライン化などの取組を行っております。 県におきましても、指定管理者制度における役割分担とリスク分担の明確化や、許認可等の標準処理期間の短縮など公共サービス向上の取組を行っております。また、多様な県民の意見を行政運営に反映させるために、例えば5か年計画の県民満足度の調査においては、対象を県政サポーターから無作為抽出した県民に変更するなどの見直しにも努めております。 御質問の公共サービス基本条例につきましては、平成二十八年に庁内研究会を立ち上げ、条例について幅広に研究をしてまいっております。研究会では、国の動きや他県の状況について調査するとともに、課題となっている条例化を必要とする事項として、県民の意見の反映や利便性の向上などについて意見交換を重ね、知恵を絞っている状況でございます。 引き続き県として、県民の声をしっかりと捉え、質の高い公共サービスの提供に努めるとともに、条例の規定すべき必要な事項について研究してまいります。       〔西成秀幸県土整備部長登壇〕 ◎西成秀幸県土整備部長 御質問七、都市計画道路浦和野田線(元荒川工区)の整備についてお答えを申し上げます。 浦和野田線の元荒川工区は、国道四号から北越谷地区を経て東武鉄道との立体交差に至る延長約一・三キロメートルの都市計画道路です。この工区は、河川と道路を一体的に整備する計画でしたが、河川にかかる部分の道路構造や景観の保全、沿道住宅地への影響などの課題がございました。県では、平成十七年度から越谷市と共に検討会を設置し、様々な代替ルート案の比較検討を行ってまいりました。その結果、国道四号、県道足立越谷線などの幹線道路及び北越谷地区内の生活道路との接続や事業の実現性などから、元荒川の左岸側を通るルートを選定しました。 そこで、本年五月に北越谷地区の住民を対象とした地元説明会を開催し、二日間で延べ約三百名の方に御出席いただきました。さらに本年八月と九月には、広く地域の方々に御理解を頂くため、北越谷地区の対岸の荻島地区などの住民を対象とした説明会も二回開催いたしました。説明会では、より詳細なルートの選定理由、橋りょうやトンネルでの整備の実現性などの御質問がございました。 今後の進め方ですが、まずは北越谷地区の住民を対象として本年十二月九日と十日に、これまでの説明会で頂いた御質問などについて再度説明会を開催いたします。また、住民の方々により詳細な計画図面をお示しするため、現地の詳細な測量や概略設計などを実施する予定です。 今後とも、地元越谷市と連携し、地域にお住まいの皆様との合意形成を図りながら事業化に向けた都市計画の変更に取り組んでまいります。       〔高柳三郎総務部長登壇〕 ◎高柳三郎総務部長 ただ今の御質問五、会計年度任用職員制度導入についての答弁におきまして、知事部局の非常勤職員数について、五百七十一名と申し上げるべきところを、誤って五百三十一名と申し上げました。おわびして訂正いたします。          ---------------- △休憩の宣告 ○高橋政雄副議長 暫時、休憩いたします。午後二時九分休憩          ----------------午後三時二分再開 出席議員    八十三名     二番    三番    四番    八番     九番    十番   十一番   十四番    十五番   十七番   十八番   十九番    二十番  二十一番  二十二番  二十三番   二十四番  二十五番  二十六番   三十番   三十一番  三十二番  三十三番  三十四番   三十五番  三十六番  三十七番  三十八番   三十九番   四十番  四十一番  四十二番   四十三番  四十四番  四十五番  四十六番   四十七番  四十八番  四十九番   五十番   五十一番  五十二番  五十三番  五十四番   五十五番  五十六番  五十七番  五十八番   五十九番   六十番  六十一番  六十二番   六十三番  六十四番  六十五番  六十六番   六十七番  六十八番  六十九番   七十番   七十一番  七十二番  七十三番  七十四番   七十五番  七十六番  七十七番  七十八番   七十九番   八十番  八十一番  八十二番   八十三番  八十四番  八十五番  八十六番   八十七番  八十八番  八十九番   九十番   九十一番  九十二番  九十三番 欠席議員    なし 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○齊藤正明議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○齊藤正明議長 質疑質問を続行いたします。 六十番 蒲生徳明議員       〔六十番 蒲生徳明議員登壇〕(拍手起こる) ◆六十番(蒲生徳明議員) 六十番、南第一区、草加市選出、公明党の蒲生徳明です。通告に従い、一般質問を行わせていただきます。 初めに、高齢者の利用しやすい交通手段の確保について知事に伺います。 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、全国の高齢化は三大都市圏を中心に急速に進み、二〇一五年に三千三百八十七万人であった六十五歳以上の高齢者人口は、団塊ジュニア世代が全て高齢者となる二〇四二年に三千九百三十五万人、高齢化率三六・一パーセントとピークを迎え、七十五歳以上はその後も二〇五四年まで増加し続ける見込みです。急速に高齢化が進む中、医療、介護の分野はもとより高齢者の交通手段の確保は同じく重要課題です。 先日、県内の高齢者から、「友人が亡くなり、葬儀場に行くにもバスを何度も乗り継がなければ行くことができない」。そして、「一人暮らしで年を取ると、買物や通院など外出の際、足の確保に非常に不安を感じている」との声を聴きました。そして、お二人とも「もっと公共の交通機関を充実させてほしい」とのことでした。 公共交通機関が多少不便でも、自ら車を運転できたり、家族が送迎できる場合はそれほど困らないと思いますが、高齢者の運転免許証の自主返納の数は年々増加しています。また、三世代同居の世帯は減少し、一人暮らしや夫婦二人だけの高齢者世帯が増え、今後、移動手段を持たない高齢者の増加は避けられない状況です。 地域の公共交通には、民間の路線バスに加え、市町村のコミュニティバスやデマンド交通などがありますが、兵庫県はコミュニティバスの運行経費に対して、また、近県の茨城県はコミュニティバスやデマンド交通などの導入経費に対して補助を行っています。 今後、急速に高齢化が進む中、本県でも、高齢者が利用しやすい交通手段の確保のため、交通事業者や市町村への支援をしっかりと行うべきと考えますが、上田知事の御所見を伺います。 次に、「(仮称)シニア応援ショップ」の創設をについて知事に伺います。 仮称と言いましたが、埼玉県にはよく似た名前で県民にとても親しまれ、日常的に利用されている「パパ・ママ応援ショップ」があります。十三年前に私たち公明党が提案し、埼玉県でも事業化されました。この制度は子育て家庭への優待制度で、十八歳に達して次の三月三十一日を迎えるまでの子供、又は妊娠中の方がいる家庭に配布しているカードを協賛店で提示すると割引などのサービスが受けられます。このパパ・ママ応援ショップカードは、お子さんをお持ちの親御さんのお財布には必ずと言っていいほど入っています。本県の行政の中でも県民の皆様から絶賛されている満足度スリーA級の事業です。協賛店の数は八月三十一日現在、二万二千六百五十九店と全国ナンバーワンを誇ります。 注目すべきは、協賛店に県からの謝礼など一切ないことです。子育てを社会全体で応援しようとする県民の思いがそこにあります。子育て応援ムーブメント全国一位の本県です。ここでシニア応援のムーブメントも大いに盛り上げていただき、シニアの活躍全国一位を築いてほしいと思います。 そこで、御提案します。知事、本県でも「シニア応援ショップ」を立ち上げませんか。 近県では、群馬県がシニア応援の優待制度を実施しています。名前は「ぐんまちょい得シニアパスポート」と言います。もとより群馬県にも本県と同様の子育て応援カード「ぐーちょきパスポート」があり、シニア応援ショップカードの仕組みは子育て応援ショップカードと同様です。対象は六十五歳以上の群馬県在住者で、希望された方に配られています。裏面には氏名、生年月日、緊急連絡先、血液型、かかりつけ医などが記入できるようになっています。 群馬県が行う事業目的は二つ。一つは、外出による地域とのつながりの強化であり、健康保持です。正に元気なシニアの後押しをするものです。もう一つは、裏面に記入された緊急連絡先やかかりつけ医の記載により、緊急時に迅速な対応を可能にすることです。 協賛する店舗数は十一月九日現在、千九百四十四店舗で、スタート時の約二・四倍となっています。協賛店にはのぼり旗とステッカーが提供され、高崎市内には「わたしたちだって、オトク」と書いたのぼり旗が街中にはためいています。シニアの群馬ちゃん、すなわち群馬県のおじいちゃんとおばあちゃんが笑顔いっぱいに「わたしたちだって、オトク」と言っているのです。 ほかにも、既に取り組んでいる自治体は、埼玉県内ではさいたま市、秩父市、東松山市。関東では群馬県のほか、茨城県、横浜市が取り組んでいます。 私たち公明党県議団の元にも「埼玉県でも是非シニア応援ショップの導入をお願いします」との声が多く寄せられています。どうか御勇断を。知事の御所見を伺います。 次に、今こそ防災減災を県政の主流にについてです。 六月の大阪府北部を震源とする地震、七月の平成三十年七月豪雨、そして九月の北海道胆振東部地震など、今年は例年に増して大規模災害が頻発しています。このような大規模自然災害から県民の命や財産を守るために、多くの課題が浮き彫りとなった今年の災害を教訓に、被害を最小限に抑える地域の特性に合った防災・減災対策を強化する必要があります。 県の行った「県政への要望」定期調査で、「災害から県民を守る」が第一位となりました。そこで、本県の防災・減災の在り方について何点かお聞きします。 大阪府北部地震では登校中の女の子がブロック塀の下敷きになり、亡くなりました。一九七八年宮城県沖地震で十八人がブロック塀などの下敷きで亡くなり、その後、八一年に耐震基準が変わって、危険なブロック塀の撤去や改修が進められてきたはずでした。しかし、今回、公明党の井上幹事長が菅官房長官に通学路の総点検と危険箇所のブロック塀の改修、通学路の変更などを申し入れたところ、総理が関係閣僚会議を開き、点検の指示を出して、危険箇所が全国に六千か所あることが判明しました。井上幹事長は、「宮城県沖地震から四十年たつのに、まだ社会の状況はこうなのか。結局、災害対策というのは社会の有様を変えなければならない」と語っています。本当にそうだと思いました。 私も、岡山県倉敷市真備町の豪雨への被害対策、北海道胆振東部地震の行政と北電の対応について視察してまいりましたが、これまでの被害想定をはるかに超える中、対応し切れずに大きく被害が広がってしまったことを嘆く声がありました。 本県は比較的災害の少ない県であります。しかし、想定外の災害から県民の命を守るためにも、今こそ防災・減災の観点から、社会の有様を変えていく作業をもう一度丁寧に開始しなければならないときが来ているのではないでしょうか。 そこで、今年、そして近年の災害を踏まえ、今こそ防災・減災を県政の主流に押し上げていくべきと考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、災害時に避難所となる体育館へのエアコンの設置についてお聞きします。 本年、地震や豪雨などの災害が相次ぐ中で、猛暑の続いたこの夏、災害時に避難所となる体育館へのエアコンの設置は、被災地はもとより、全国的な課題として受け止められています。さきの定例議会でも同様の質問が行われていましたが、体育館へのエアコンの設置は多額の予算が必要となり、地元草加市をはじめ県内の自治体でも、やりたくはあるが実施はなかなか困難というのが本音でした。 そんな折、私の友人が国の緊急防災・減災事業債が活用できるのではと教えてくれ、総務省に確認した上で、十一月五日の参議院予算委員会で公明党の西田まこと参議院議員に取り上げてもらいました。「学校体育館へのエアコンの設置にこの緊急防災・減災事業債を活用できるのではないか」との西田議員の質問に対し、石田総務大臣から「避難所指定を受けていることを前提にして、小中学校の体育館では緊急防災・減災事業債を活用できる」との答弁がありました。 この緊急防災・減災事業債は、返済に当たり、その元利償還金の七割が普通交付税の算定の基礎となる基準財政需要額に算入されます。しかも、起債枠は十分に確保され、自治体の実質的な負担は三割となる非常に有利な起債であり、国からの交付金とそれほど遜色がありません。そして、この事業債は、避難所指定を前提に小中学校だけではなく、県立学校の体育館へのエアコン設置にも利用できます。 先日十一月二十六日に、我が団は「県立学校体育館へのエアコン整備を求める緊急要望」を知事に行いました。九月定例県議会補正予算により、県立高校普通教室へのエアコン整備は近く一〇〇パーセントとなりますが、県立高校体育館のエアコン整備はゼロか所で、次の大きな課題です。本県の県立高校百三十九校の体育館のうち百十九か所、特別支援学校三十六校の体育館のうち二十九校が避難所指定されており、大半の体育館は制度の対象となります。 エアコンなしの体育館は近年の異常とも言える真夏の暑さの中、果たして避難所としての役割を果たせるのでしょうか。また、教育環境向上の意味からも体育館のエアコン整備は重要です。防災・減災、教育環境向上の両面から、今こそ体育館へのエアコン整備が求められています。 そこで、本県でも財政上有利な「緊急防災・減災事業債」の活用というチャンスを生かし、県立学校体育館のエアコン整備を精力的に進めるべきと考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、県民への災害情報の発信と避難行動に結び付ける環境整備についてお聞きします。 災害から県民の命を守るためには災害時の情報発信が非常に重要です。しかし、報道によると、二百二十四名の方が亡くなった平成三十年七月豪雨で、最も被害の大きかった広島県では二百十七万人に避難指示や勧告が出されていたにもかかわらず、実際に避難したのは僅か〇・三パーセントの六千人余りにとどまったそうです。広島県では、今回の災害における県民の避難行動とその行動理由を調査し、より効果の高い被害防止策の構築に取り組んでいます。 災害時に人はなぜ逃げ遅れるのでしょうか。このことについて関西大学社会安全学部の元吉忠寛教授は、「常識的には情報を出せば人は逃げると考えがちだが、そうとは限らない。人は目の前の危機からは身を守るために逃げる選択をするが、警報など間接的な情報は必ずしも避難行動の動機付けにはならない」。そして、「人には一般的に都合の悪い情報を過小評価し、自分は大丈夫だと思い込む心理的特性『正常性バイアス』と呼ばれるものがあり、これはむしろ人間として当然の反応であるということを私たち一人一人も、行政側も理解する必要がある」と話しています。 また、元吉氏は、「災害の危険性をできる限り正確に情報で伝える一方、情報だけでは人は逃げないことを前提に対策を講じていくことが重要で、普段から心掛けることは安全な場所への移動を習慣化することと、例えば行きたくなるような避難所にするために、快適な避難所にしていくことが求められる」と話しています。 避難所は、災害により被害を受けた、あるいは受けるおそれがある人たちが不安を抱え、逃げ込んでくる場所です。少しでも生活しやすい環境を確保するためには、空調設備の設置、安否確認や災害に関する情報収集を行うため、携帯電話、スマートフォンの充電も必要となります。首都直下型地震や大型台風などの災害時においては長時間の停電が想定され、電源の確保も極めて重要です。 そこで、お聞きします。まず、災害情報を迅速かつ確実に県民に伝えるための情報発信の在り方と、そして空調設備、電源確保対策などが整った、行きたくてしようがない、行列のできる避難所の整備など逃げ遅れを防ぐための環境づくりについて、今年の災害も教訓にした今後の県の取組について、危機管理防災部長にお聞きします。 次に、本県における地区防災計画作成の推進についてお聞きします。 公明党県議団はこの夏、西日本豪雨で大規模な被害を受けた岡山県倉敷市真備町を視察しました。被害状況は想像以上で、度重なる豪雨のために、正に真備町全体がプールの中に沈んでしまったような状態で、ある地域では全世帯が全壊扱いになっていました。 荒れ果てた被災現場には、現場にテントを張り、被災住民の声に丁寧に対応する我が党の市議会議員の姿がありました。そこには、正に公明党のモットー「小さな声を聞く力」を体現し、大衆のために戦う姿がありました。彼らと意見を交わす中で私が一番印象を受けた言葉、それは「一連の災害では多くの高齢者が犠牲となりましたが、地域防災計画があっても地区防災計画がないと絵に描いた餅で被害を防げない。また、自主防災組織が機能しなければ命を守れないという現実でした」という言葉です。 地区防災計画は、二〇一三年、災害対策基本法の改正に基づき新たに施行されました。地域に住む人々が自分たちの地域特性に応じた防災計画を策定し、行政に提案するという地域提案型の防災計画です。地域のハザードリスクを見詰め直し、自らの防災体制を検討する、そして、プロセスに地域住民の参加を得ることで、住民一人一人の的確な避難が可能となります。 しかし、先頃、内閣府による地区防災計画策定状況の全国調査結果が初めて公表されましたが、本年四月一日時点で、地区防災計画が市区町村の地域防災計画に反映されているのは四十市区町村の二百四十八地区。素案作成に向けて活動中なのが、百二十三市区町村の三千四百二十七地区でした。素案作成段階にある地区を抱えた市区町村数が全国に千七百四十一ある自治体の一割にも満たず、制度の普及啓発活動について「行う必要はあると思うができていない」と答えた自治体は全体の約六割に及びます。本県でも現在、秩父市と狭山市の二地区のみの策定にとどまっています。 様々な地域の防災対応で、助かる、助からないの正に分岐点は、実は地区防災計画に基づいた避難行動であったことが幾つかの事例で明らかになっています。 そこで、お聞きします。本県でも、地域の特性に合った防災体制を確立し、県民の命を断じて守るため、市町村と連携、応援をして、一日も早く本県の全地区で地区防災計画が策定できるよう支援の在り方を検討するとともに、住民の取組を支援する自治体の意識啓発に力を入れるべきと考えますが、併せて危機管理防災部長の御所見をお聞きします。 次に、災害時にペットを守るボランティアリーダーについて伺います。 現在、ペットは家族の一員と考えられ、災害時に飼い主がペットを連れて避難所に同行避難することは、動物愛護と飼い主である被災者の心のケアの観点からも重要と考えられます。一方で、避難所における動物の管理には、鳴き声やにおい、動物アレルギーなどもあり、一定のルールが必要です。ただ、災害時の混乱した状況では、飼い主も身の回りのことで手いっぱいで、ペットの世話を十分にできないことも考えられます。 静岡県では、「災害時動物愛護ボランティアリーダー登録制度」を整備しています。この制度によるリーダーは、災害発生時に避難所でペット連れの飼い主への指導やペットスペース運営の手助けを行います。また、県内外から駆け付ける動物愛護ボランティアを取りまとめたり、飼い主と行政との仲介役にもなります。ボランティアリーダーになるには県内自治体の推薦が必要で、行動指針に基づいた講習を受け、地域の「被災動物同行避難訓練」への参加が条件となります。 本県も、平成二十四年度に「災害時動物救護活動ボランティア登録制度」を開始し、その活動内容は避難所でのペットの世話のほか、被災したペットの保護や必要物資の搬送等で現在百八十九人の登録があります。 そこで、埼玉県においても、飼い主やボランティアからの意見集約や行政との橋渡しを行い、より専門的なボランティアリーダーが必要と考えますが、保健医療部長の御所見を伺います。 次に、かかりつけ医と病院の連携について伺います。 団塊の世代が全て七十五歳以上の後期高齢者となる二〇二五年に向け、国、県、市町村が地域包括ケアシステムの構築のため様々な取組を行っています。誰もが住み慣れた環境で、その人らしい生活を最後まで送ることができるようにするには、医師をはじめ訪問看護師やケアマネジャー、ヘルパーなど多くの専門職の皆様の助けが必要です。埼玉県では幸い、埼玉県医師会の全面的な御尽力で、県内三十ある郡市医師会全てに在宅医療などの相談窓口である在宅医療連携拠点が設置され、看護師資格などを持つコーディネーターが日々患者さんやその御家族だけでなく、ケアプランの調整を行うケアマネジャーなどからの相談にも応じ、訪問診療を行う医師の紹介や連絡調整を行っています。 とりわけ重要な役割を担うのが医師、つまり地域のかかりつけ医で、かかりつけ医の先生方が中心となって高齢者の療養生活をしっかり支えていくシステムを地域に築き、定着させていくことが基本となります。かかりつけ医として地域の先生方が患者さんの日常の療養生活を支えていく中、患者さんの体や心の痛みにどう対応し、家族の協力も得て、つらい苦痛を取り除いていくことが重要な課題です。例えば、専門病院に蓄積された体や心の痛みを和らげる緩和ケアの技術的なノウハウを、開業医の先生方に広く持っていただける仕組みを作っていくことも一つの方法ではないでしょうか。 地域において、患者に最も近い立場で在宅医療を支えるかかりつけ医と地域の中核病院や専門病院が連携を取り、緩和ケアの考え方や技術的なノウハウを共有していくために、今後県はどのように取り組んでいくのか、保健医療部長にお伺いします。 次に、草加かがやき特別支援学校の過密対策について伺います。 私の地元草加市では、平成二十五年四月に草加かがやき特別支援学校が開校しました。草加市としても市民の期待の大きい待望の特別支援学校であっただけでなく、開校により近隣の三郷、川口、越谷西の各特別支援学校の過密解消に大きな効果がありました。私も、市と連携を取り、議会質問や教育長への要望活動を通し開校に関われた一人として、その後の発展を見詰めてきました。 しかしながら、開校時二百十六人だった児童生徒数は今年度四百人となり、県内の特別支援学校で児童生徒数の最も多い学校になりました。過密の状況は著しく、私も視察させていただきましたが、児童生徒数の増加に伴って特別教室を普通教室へ転用する際、カーテンなどで仕切って使用している、教材などの備品を保管しておくスペースがない、手洗い場の数が少ないなどといった状況も起きていました。 県の関係課に保護者の思いを伝え、逐次状況を確認していただき、小松教育長にも本年二月、学校を訪問していただいて、お忙しい中、半日をかけてじっくりと視察していただきました。そこで、教育長として草加かがやき特別支援学校の現状を視察し、どのようにその現状を受け止めたのか、率直にお答えください。 その後、保護者や学校の要望に対して、教材などの備品を保管するための倉庫の設置や手洗い場の増設などを行っていただきました。保護者からは感謝の声が寄せられていますが、悲しいかな、過密化による教育環境の悪化に対し根本的な解消にはつながっていません。抜本的な対応策として、県は戸田翔陽高校の敷地内に新たな特別支援学校を設置し、草加かがやき特別支援学校にも効果を及ぼすべく取り組んでいます。しかし、開校は平成三十三年四月であります。開校までの二年間、児童生徒数は増加し続けるものと見込まれます。 保護者からは、普通教室に転用できる特別教室はあるのか、登下校時に昇降口、階段、廊下などを児童生徒が一斉に利用しているが安全は確保できるのか、学年や学部単位で実施される体育や音楽など学習活動は成り立つのかなど、現在も多くの不安の声が寄せられています。 そこで、県には、引き続き草加かがやき特別支援学校の過密状況に対する支援を是非お願いしたいと思いますが、平成三十三年四月の戸田翔陽高校の敷地内へ新校が開校するまでの間の過密状況に対する具体的な対応策についてどのように考えているのか、教育長にお伺いします。 次に、東埼玉道路の整備と周辺開発について伺います。 東埼玉道路は、八潮市の外環道を起点として私の地元草加市を通り、春日部市の国道一六号庄和インターチェンジまでの延長十七・六キロメートルの道路です。現在は、一般道が外環道から北に向かって順次整備が進められています。県内では圏央道の開通により、人・モノの流れが大きく変わり、周辺地域は流通業務を中心として企業の立地が相次ぎ、雇用をはじめとする大きな経済効果を生んでいます。高速道路などの自動車専用道路の開通が地域の在り方に大きな影響を及ぼすことは、圏央道の例を引くまでもありません。翻って、県東部地域には高速道路がありません。圏央道の効果も一部にとどまっています。 そこで、東埼玉道路ですが、この道路は一般道と自動車専用道路で構成され、現在は一般道の整備が先行して進められています。先般、国が中心となり、県も参加している「埼玉県渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ」が開催され、自動車専用道路の早期整備の必要性が議論されました。県東部地域にとって高速道路は希望、むしろ渇望ですらあります。 そこで、まず、現在国が整備を進めている東埼玉道路の一般道の整備の進捗状況について、県土整備部長に伺います。 また、東埼玉道路のうち、自動車専用道路については、国道一六号から杉戸町や幸手市を通り、圏央道までをつなぐ構想があり、この区間も含め完成すると県東部地域を貫く大幹線道路となります。 そこで、東埼玉道路のうち自動車専用道路について、外環道から国道一六号までの計画区間の事業化、さらにその先の圏央道までの構想区間の計画の具体化について、県として国にどのように働き掛けているのか、併せて県土整備部長に伺います。 また、高速道路は、その整備が結果として様々に投資を呼び込みます。逆に、そうした周辺整備が進むということが高速道路を整備する目的にもなります。正に道づくりは街づくりです。東埼玉道路周辺では、私の地元草加市の柿木地区、松伏町の田島地区で産業団地の整備が進められるなど地域のポテンシャルが高まっていますが、潜在的なポテンシャルはまだ高いと認識しています。ほかにも東埼玉道路の沿線で幾つかの産業団地の整備計画があると伺っています。当然ながら、企業局としても道路整備によるアクセス向上の期待があるからこそ、そうした整備計画を立てていると思います。道路整備による正のスパイラル効果の典型ケースであり、県経済の活性化への貢献も大きいと考えます。 そこで、公営企業管理者に伺います。まず、これまで行ってきた圏央道周辺での産業団地の整備によりどの程度の経済効果があったのか、それを受け、東埼玉道路での産業団地の整備をどのように進めていくおつもりなのか、併せて地元草加柿木地区では産業団地の整備が進められていますが、東埼玉道路の高速道路化により、更なる発展も期待できます。その期待について地元事業者の代表として御所見をお聞かせください。 続きまして、草加柿木フーズサイトの整備について伺います。 現在、私の地元草加市内で県企業局により草加柿木産業団地、(愛称)草加柿木フーズサイトの整備が昨年度から進められています。草加柿木地区は、住宅地などの開発計画が立っては消えることを繰り返してきたところで、今回ようやく企業局により産業団地整備が進むことになり、地元の注目度は大変高いものがあります。 この産業団地は、造成着手前に入居企業を募集し、区画の形状に対する希望などを整備計画に反映させる「エントリー&オーダーメード方式」によって整備が進められ、この方式は都道府県では初めての取組と聞いています。企業の早期操業のニーズに応え、それに伴い早期の雇用の創出と税収を確保することを可能にします。さらには、近くにある柿木浄水場から工業用水を供給し、稼ぐという点でも県にメリットがある、言わば一石三鳥のすばらしい事業で、現在はエントリーされた企業と意見交換を重ねていると聞いています。 しかし、いまだ工事が始まっていないこともあり、地元の皆様には草加柿木地区がどのように変わっていくのかがなかなか見えてきません。よく工事現場にある囲いには完成予想図とかがあったりしますが、現地にはまだその囲いもない状態なので、草加柿木地区がどのようになるのか、知人に紹介するときにどんなふうに紹介すればいいのかなど、整備が終了し、予定した全企業が操業した後の地区の姿に地元住民の皆様は興味津々であります。また、どのような企業がどう建築し、どんな景観をつくっていくのか、工事はどう進んでいくのか、危険はないのかなど様々な不安もあるというのが正直なところです。 そこで、現在まで企業と意見交換をしてきた中で、企業局が描いている草加柿木地区はどのような姿になっていくのか、整備はどのように進んでいくのか、公営企業管理者に伺います。 最後に、都市計画道路草加三郷線の柳島工区及び瀬崎町工区について伺います。 柳島工区は平成十五年度から県道吉場安行東京線との交差点である柳島交差点周辺において、瀬崎町工区は平成二十年度から県道足立越谷線から東京スカイツリーラインまでの瀬崎町地内において、県が県道を拡幅するための用地買収に着手しています。現地でも用地買収がかなり進んでいることが見て取れますが、特に柳島工区ではここ数年大きな変化がありません。両工区とも歩行者が多く、歩行者の安全確保のために地元からも早期の整備が切望されています。 そこで、都市計画道路草加三郷線の柳島工区及び瀬崎町工区の一日も早い整備が必要と考えますが、両工区の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いします。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○齊藤正明議長 六十番 蒲生徳明議員の質問に対する答弁を求めます。       〔上田清司知事登壇〕 ◎上田清司知事 蒲生徳明議員の御質問に順次お答えをいたします。 まず、高齢者の利用しやすい交通手段の確保についてのお尋ねでございます。 本県の高齢化は急速に進んでいます。平成二十九年の高齢者の運転免許自主返納者数も二万二千人を超えており、更なる増加が見込まれています。こうしたことから、高齢者の交通手段を確保することは大変重要な課題であると認識しております。県はこれまで、県民の日常生活に必要なバス路線の維持確保を図るため、秩父地域などの不採算となった二十二の路線に対して補助をしております。また、平成二十八年度からは「元気なバス需要創出モデル事業」として、病院やショッピングセンターを経由したルートに変更するなど、利便性の向上や利用者の増加につながる取組に対しても補助をしております。さらに、ノンステップバスの導入への補助に加え、平成三十年度からは高齢者をはじめ誰もが利用しやすいユニバーサルデザインタクシーの導入に対しても補助をしております。 今後、爆発的に増加する高齢者の交通手段を確保するためには、地域の実情をよく把握している市町村が中心になって交通事業者や住民など関係者と議論し、最適な手法を選択していくことが重要ではないかと思います。市町村では地域公共交通会議を設置し、関係者と協議しながら交通ネットワークに関する計画を策定するなど、高齢者の利用しやすい交通手段の確保への取組が広がっております。 こうした市町村の取組の参考になるよう、県では平成二十八年度から平成二十九年度にかけて県内の公共交通の現状や課題を調査し、今後の方策を「地域の足の活性化検討調査報告書」として取りまとめています。報告書では、持続可能な公共交通の確保充実を基本方針とし、様々な需要増加策や複数市町村の連携の推進などの方策を示しております。具体的には、バスとバスとの乗り継ぎの改善策や複数市町村が連携したコミュニティ交通の改善策などについて、全国の先進事例とともに紹介しております。 県としては、こうした取組などを通じ、高齢者の利用しやすい交通手段の確保充実のため、今後も市町村や交通事業者をしっかりと支援してまいります。 次に、「(仮称)シニア応援ショップ」の創設をについてでございます。 議員お話しのように、パパ・ママ応援ショップは、平成三十年八月末現在で協賛店が二万二千六百五十九店と全国一の規模を誇っております。これまで対象となる子供の年齢を高校生まで拡大したり、孫と同居していない祖父母も利用できるよう制度の充実を図り、子育て応援の機運の盛り上げに大いに役に立ったものだと思っております。 シニア応援のムーブメントを大いに盛り上げたいという議員のお考えにも、私は同感しております。高齢者に対する割引などのサービスについては、市場原理も働き、事業者から様々なサービスが提供されているところでございます。例えば、スーパー、映画館、レストラン、スポーツ施設など様々な施設で高齢者向けの割引制度が設けられています。私も六十歳になった途端、突然妻から映画の誘いが多くなりました。これまで年に一回行くか行かないか程度の映画鑑賞でありましたけれども、年に四、五回ぐらいの回数になりました。後で分かったことですが、正にシニア割引で利用額が半額になったということがその原因でありました。シニア割引でこうしたことが幾つもありますけれども、消費者としての高齢者人口が増加すると、正にこうした高齢者を目指したサービスが更に増加する可能性もあります。 一方で、パパ・ママ応援ショップカードは、社会全体から子育てを応援するという特別感というものを感じさせる役割を果たしているような気がいたします。シニア応援ショップカードの導入によって、その特別感が薄まるようなことがあってはならないというふうに思っております。今は幼児教育の無償化なども含め、子育て応援のムーブメントをいかに盛り上げ、社会全体で支えていくかが一番の課題であり、県も特に力を入れているところです。シニア応援ショップの創設については、正に高齢社会にとって極めて意義のある御提案だと私は思います。 御案内のように、新たな制度の創設については、一つは事業者の協力、一つは市町村との調整、この二つが重要でございます。即来年からというわけにはなかなかいかないと思います。多分に一年半ないし二年ぐらいかかるのかなというふうな臆測を私はしております。つきましては、市町村や事業者の皆様としっかり意見交換をしてまいりますので、検討のお時間、導入までの時間を頂きたい、このように思っているところでございます。 次に、今こそ防災減災を県政の主流にのお尋ねでございます。 私は、知事就任以来、「県民の安心・安全を守る」ことを県政の重要課題の一つとして位置付けて取り組んでまいりました。専担組織としての危機管理防災部を立ち上げ、また、防災ヘリを三機体制に増強するなど力を入れてきたところでございます。こうした中、東日本大震災以来、数十年に一度と言われるような大規模な自然災害が毎年のように頻発しております。正に「日本は災害列島化している」という感を強めており、備えを一層強化していこうと思っているところです。 今年七月の全国知事会議でも、防災・減災対策の考え方や取組を見直さなければならないとの危機感の下、全国知事会が先頭に立って行動する必要があるという認識で一致いたしました。そして、日本の防災・減災対策を新たなステージに進化させるために「北海道宣言」というものを採択しました。宣言のポイントは、従来の方策を更に一歩進めて事前復興という考え方でございます。あらゆることが起こり得るということを前提に、いち早く復旧・復興ができるような事前に準備をする、これが事前復興の考え方であります。どちらかといえば、少しでも減災しようとか、一日も早い復興をしようという考え方だったんですが、いざ起こったときにどうすれば早く復旧ができるか、復興ができるかという、最初からそういうインフラをつくっていこうという考え方でございます。私は、これがこれからの防災・減災の主流ではないかと考えております。 先月九日に開かれた政府主催の全国知事会議の場で、そのことを安倍総理に直接問題提起をし、御理解いただけたものと受け止めております。今後、埼玉県においても事前復興を前提にしてハード・ソフトのインフラづくりを進めていく考え方を主流にしていきたいと考えております。 加えて、今後の課題としては「複合災害への備え」でございます。東日本大震災では地震、大津波、原子力発電所事故が時間を置かずに次々と発生いたしました。そこで、県では地域防災計画に新たに複合災害対策編を設け、複数の災害が同時に発生した際の基本方針を定めて対処することにいたしました。来年一月には、「台風が接近してくる中で地震も発生」といったような複合災害を想定した図上訓練も実施してまいります。 災害から県民の生命はもとより、日常の暮らしを守ることは県政の基本でございます。議員が申されましたように、正にこうした考え方を県政の主流として防災・減災対策に一層力を入れていきたいと思います。 最後に、災害時に避難所となる体育館へのエアコンの設置についてのお尋ねでございます。 九月議会では、災害級の暑さから教育環境を守るため、県立学校の生徒が長い時間を過ごす普通教室にエアコンが設置されていない学校をなくす補正予算をお願いいたしたところでございます。災害時に避難所となる体育館にエアコンを整備すべきという御提案を頂きました。県立学校の施設としては、平成三十年度予算で実習棟などの耐震化に二十二億円、校舎棟などの老朽化対策に五十一億円の予算を計上しており、今後も増加は避けられない見込みでございます。また、父母や生徒からの要望の強いトイレの洋式化にも六億円を計上しております。今後も校舎以外の施設の耐震化やトイレの洋式化など、順次整備をしなければなりません。 確かに、県立学校の体育館へのエアコン設置では、「緊急防災・減災事業債」の活用により財政負担が軽減されるという極めて良いニュースがございます。一方、県立学校の体育館の多くはエアコンを設置することを前提に建築されていないため断熱性能が低く、電気代を含む維持費が非常に大きな金額になっています。こうしたことから、優先順位を定めながら整備をしていくことではないかと思っております。例えば、県立学校の周辺に利用可能なエアコンが設置された避難所がある場合には、その避難所を活用していくことなどが考えられます。県としては、近隣にそうした施設がない県立学校から優先的に整備していくことを考えます。 まず、市町村と相談しながら、しっかり調査分析して優先順位を決めていきたいと考えます。万が一、エアコンが未設置のまま災害が発生したようなときには、可動式のエアコンを設置して対応することも考えなければならないと決めております。 持続可能な社会保障制度の維持や適切な県民負担などのこと、様々なことを考えると大変難しい課題ではありますが、安心・安全のために優先順位をしっかり確認しながら整備をしていきたいと考えております。       〔槍田義之危機管理防災部長登壇〕 ◎槍田義之危機管理防災部長 御質問五、県民への災害情報の発信と避難行動に結び付ける環境整備についてお答えを申し上げます。 まず、災害情報の発信の在り方についてです。 昨年度、市町村長を対象としたトップフォーラムでは、兵庫県豊岡市の中貝宗治市長から平成十六年の大規模水害の際に自ら陣頭指揮に当たった経験を踏まえ、多くの示唆に富んだお話を頂きました。その中で、「災害に際し、人は逃げないものであるため、災害情報は緊迫感を持った言葉で語るなど、逃げる気にさせる技を持つことが重要」と強く訴えられていました。 現在、国では平成三十年七月豪雨の教訓を踏まえ、避難行動に結び付く災害情報の発信手法などについて検討しています。災害の切迫度を直感的に理解しやすくするため、レベル一からレベル五といった五段階の警戒レベルで防災情報を発する案などが示されています。また、七月豪雨では、防災行政無線の屋外スピーカーの音声が風雨で聞こえないという以前から指摘されていた課題も浮き彫りになりました。こうした状況を踏まえ、災害情報が確実に伝達され、適切な避難行動に結び付く情報発信の手法について市町村と共に検討してまいります。 次に、避難所の環境整備についてです。 御質問にございました避難所の電源対策についてですが、県内に市町村の指定避難所が約二千三百か所ございます。これに対し、市町村では発電機を約二千七百台備蓄しています。県でも五つの防災基地で発電機を百五十二台備蓄し、市町村からの要請があり次第、速やかに提供する体制を整えています。さらに、埼玉県冷凍空調工業会からは空調機器と共に移動式の非常用発電機を、また、携帯電話会社からは発電機付き充電器などを避難所に配備していただくことになっています。今年の一連の災害を受け、改めて関係団体や企業と災害時の連携体制について確認をしたところでございます。 県では、段ボールのベッドや間仕切りを提供する体制を整えるなど、大きな災害が発生するたびにその教訓を踏まえた取組を進めてまいりました。七月豪雨の被災地、倉敷市真備町で避難所運営に携わった本県職員からの報告によりますと、コミュニケーションを図りやすくするため、避難者からの要望で避難スペースの間仕切りをあえて低くしたとのことでした。「被災者支援において、状況に応じた対応の必要性を改めて感じた」とその職員は述べていました。 今後とも、災害からの学びを生かしながら被災者の方々が安心して避難できるよう、市町村とも連携して避難所の環境整備に取り組んでまいります。 次に、御質問六、本県における地区防災計画作成の推進についてお答えを申し上げます。 地区防災計画は、災害への備えとして地区における避難誘導の役割分担や実施すべき訓練内容などを住民が話し合って作成するもので、被害軽減につながる重要なツールと考えます。しかし、計画作成に多くの時間と労力を要することなどから、全国的にも作成が進んでいないという現状にあります。 御質問にもございましたように、県内ではこれまで二地区で計画が策定されています。その経緯を見ますと、秩父市久那地区では平成二十七年一月から明治大学の教授やゼミの学生のサポートを得て、避難所までの避難経路を示す「逃げ地図」を作成しました。その後、熱心な町会長を中心に五回のワークショップを行い、スタートから約三年後の平成二十九年十二月に「逃げ地図」を反映した地区防災計画を策定しました。狭山市入曽地区では、その地区に居住する自主防災組織のリーダー養成指導員が尽力し、平成三十年三月に計画を策定しました。このように地区防災計画の策定には、中心となって住民を引っ張るリーダーが必要です。 そこで、県では、今年七月に地区防災計画に関する国の検討会の委員を務める鍵屋一教授を招き、計画の必要性や作成の方法についての研修会を実施しました。この研修会には、地区防災計画の作成に大きな役割を果たす自主防災組織の指導員約六十名が出席し、参加者からは「計画の意義や作成プロセスがよく分かった」との声が聴かれました。県内の市町村の中にもモデル地区を作り、地区防災計画の普及に積極的に取り組んでいるところもございます。 県では今後、全国の優良事例などを市町村の防災担当課長会議で紹介するとともに、担当者向け研修会を開催するなど多くの地区で計画策定が進むよう努めてまいります。       〔本多麻夫保健医療部長登壇〕 ◎本多麻夫保健医療部長 御質問七、災害時にペットを守るボランティアリーダーについてお答えを申し上げます。 埼玉県の災害時動物救護活動ボランティアは、避難所のペットの世話や一時的な保護、物資の運搬などに御協力を頂くもので、現在百八十九人が登録されています。一方、現在、本県においては、意見集約や行政との橋渡しなどの役割を担うボランティアリーダーの登録を行う制度は残念ながらございません。 災害時を想定した場合、静岡県のように県内ボランティアの統括や調整を担うリーダーの育成を行うことは、避難所の円滑な運営を行う上で大変意義のあることと考えます。また、災害発生時には県外からボランティアが来てくださることも想定されるため、受入調整を行うボランティアリーダーの役割が大切であると考えます。 このため、静岡県など先進的な制度を研究し、これまでに育成した県内のボランティアや県外からの支援ボランティアが災害時に円滑に活動できるよう、リーダーとなるボランティア人材の確保・育成について検討してまいります。 次に、御質問八、かかりつけ医と病院の連携についてお答えを申し上げます。 昨今の医療技術の進歩により、延命のための様々な治療方法が選択可能な時代となっています。一方、急速な高齢化の進展に伴い、複数の慢性疾患を長く患ったり、進行がんに伴う長期療養や加齢による体力の衰えなど、ある程度延命は可能であっても根本的な治療については難しい場合も多く見られます。このため、高度な医療技術の提供のみならず、本人の御希望に基づいて心や体の痛みを取り除く緩和ケアは、今後ますます重要になってくると考えられます。 県では、がん治療に中心的な役割を果たすがん診療連携拠点病院において入院患者が緩和ケアを受けられるよう、拠点病院の医師を対象に緩和ケアの実践的な実技研修を行ってまいりました。これまでにがん治療に関わる拠点病院の医師の約八割が研修を修了しています。 議員お話しのように、自宅で穏やかな最期を迎えたいという方の希望をかなえるためには、がん診療連携拠点病院と地域のかかりつけ医などが連携して、在宅における緩和ケアの提供体制を強化していく必要があります。現在三十ある郡市医師会の在宅医療連携拠点を中心にかかりつけ医や訪問看護師、ケアマネジャー、ヘルパーなどが連携して、患者の在宅療養生活を支えるための研修や事例検討を行っています。 今後は、こうした場を活用し、地域の中核病院や専門病院とも連携しながら、かかりつけ医などに緩和ケアの専門技術やノウハウの研修の場を設けるなど、在宅緩和ケア提供体制の充実に努めてまいります。       〔小松弥生教育長登壇〕 ◎小松弥生教育長 御質問九、草加かがやき特別支援学校の過密対策についてお答え申し上げます。 まず、草加かがやき特別支援学校の現状を視察し、どのようにその現状を受け止めたのかについてでございます。 私は、本年二月一日に草加かがやき特別支援学校を訪問いたしました。清掃などを行うビルメンテナンスサービスの授業に取り組む児童生徒の様子や下校の際の昇降口の利用状況、特別教室の普通教室への転用状況などを見学いたしました。ほんの少しのスペースでも有効活用したり、一斉下校時に教員総出で児童生徒の安全確保に努めたりと児童生徒や教員が大変な苦労をしており、過密状況の解消は正に喫緊の課題であると認識いたしました。このため、担当課には早急に草加かがやき特別支援学校への対策について指示をいたしました。 次に、平成三十三年四月の戸田翔陽高校の敷地内への新校開校までの間の過密状況に対する具体的な対応策についてでございます。 議員お話しのとおり、今後も草加かがやき特別支援学校の児童生徒数の増加は続いていくと見込んでおります。そこで、過密状況の緩和のために、隣接する特別支援学校において児童生徒の受入れを進めてまいります。 現在、草加かがやき特別支援学校の通学区域は、草加市全域、越谷市の一部、川口市の一部となっております。具体的な取組といたしましては、平成三十一年度から越谷市在住で高等部への入学を希望する生徒は、本人、保護者の意向を確認の上、地元の越谷西特別支援学校で受け入れられるようにしてまいります。また、平成三十二年度に川口市在住で小学部一年生になる児童は、川口特別支援学校へ入学できるようにいたします。これらの取組により、草加かがやき特別支援学校の新規入学生の増加を最大で三十名程度抑えることができると見込んでおります。 さらに、平成三十三年四月の新校開校に合わせ、草加かがやき特別支援学校を含め近隣の特別支援学校の通学区域の再編を行います。平成三十一年度及び平成三十二年度の取組と合わせて百名程度減少する効果を見込んでおります。 県といたしましては、今後とも草加かがやき特別支援学校に通う児童生徒一人一人が生き生きと学べるよう教育環境の改善に努めてまいります。       〔西成秀幸県土整備部長登壇〕 ◎西成秀幸県土整備部長 御質問十、東埼玉道路の整備と周辺開発についてのうち、東埼玉道路の整備についてお答えを申し上げます。 東埼玉道路は、東北道や常磐道などの高速道路を補完するとともに、国道四号の交通混雑の緩和や東埼玉道路沿線の開発事業を支援する大変重要な幹線道路です。東埼玉道路は一般道と自動車専用道路で構成されており、一般道が先行して事業化されております。一般道については、八潮市八條地内の外環道から吉川市川藤までの五・七キロメートルが供用され、その先の春日部市水角地内の国道四号バイパスまでの八・七キロメートル区間が事業中となっております。 事業中の区間の進捗状況ですが、沿線市町の熱心な協力もあり、平成二十九年度末の用地買収率は八五パーセントになったと伺っております。また、工事については、大落古利根川に架かる橋りょう下部工の工事を進めるとともに、順次盛土工事を進めています。 次に、自動車専用道路のうち、既に都市計画決定されている国道一六号までの区間の事業化と圏央道までの構想区間の計画の具体化についての国への働き掛けについてでございます。 県では、これまでも沿線市町と連携し、早期事業化、早期計画の具体化に向け、要望活動など国への働き掛けを行ってまいりました。また、十月に開催された埼玉県渋滞ボトルネック検討ワーキンググループにおいて、県から県東部地域の更なる発展のためにも、自動車専用道路の早期整備の必要性について強く申し入れたところです。今後も引き続き、東埼玉道路の整備についてあらゆる機会を通じて国に強く働き掛けてまいります。 次に、御質問十二、都市計画道路草加三郷線の柳島工区及び瀬崎町工区についてお答えを申し上げます。 まず、柳島工区についてでございます。この工区は、交通渋滞の解消と道路冠水の改善を図るため、草加三郷線の三百七十五メートルの区間と交差する県道吉場安行東京線の三百三十七メートル区間の道路拡幅を進めております。現在の進捗状況ですが、用地買収率は九五パーセントとなっております。 道路拡幅には道路に沿って流れる水路の付替え工事を先行して行う必要があります。これまでに付替えが必要となる水路七百十二メートルのうち、用地がまとまって確保できた区間で三百二十メートルの水路が完成しており、合わせて二百四十メートルの歩道を整備いたしました。平成三十年度は交差点を歩行者がより安全に渡れるよう暫定的な歩道を整備する予定です。 次に、瀬崎町工区についてでございます。 この工区では、草加三郷線と県道足立越谷線が交差する吉町五丁目交差点から東武スカイツリーラインまでの百八十九メートル区間の道路拡幅を進めております。現在の進捗状況ですが、用地買収率は八四パーセントとなっております。この区間の道路拡幅につきましては、車道を一度南側に寄せて、北側に沿って流れる水路の断面を広げる工事を先行させる必要があります。南側に拡幅するための用地につきましては、地権者の御協力を頂き、年内に全て契約できる見込みとなりました。建物が移転し、用地が取得でき次第、暫定的に連続した歩行空間を確保する予定です。 今後とも、柳島工区、瀬崎町工区の地元の皆様の御理解、御協力を頂きながら残る用地の取得を進め、早期完成に向け取り組んでまいります。       〔立川吉朗公営企業管理者登壇〕 ◎立川吉朗公営企業管理者 御質問十、東埼玉道路の整備と周辺開発についてのうち、周辺開発についてお答えを申し上げます。 企業局では、平成十九年度から平成二十八年度までの間に、圏央道の周辺で六団地、百四十四・六ヘクタールを整備いたしました。これによりまして、四十四の企業を誘致し、約六千人の雇用拡大と四千七十八億円の経済効果を生み出したものと推計しております。 圏央道の周辺は、全面開通とこれにアクセスする道路の整備によって本県への企業立地が進み、大きな経済効果がもたらされました。東埼玉道路でも同様に、道路整備がもたらす地域の交通利便性の向上によりまして、その沿道は事業地の確保を検討している企業にとっても魅力的な地域となります。企業局では、そうした利便性向上を見込み、既に草加柿木地区及び松伏・田島地区で産業団地の整備を進めているほか、幾つかの地区で整備に向けた調査を行っております。県東部地域の更なる発展のため、東埼玉道路の整備と軌を一にした産業団地の整備を沿道地域の市町と連携してスピーディーに進め、企業誘致による地域経済の活性化と雇用創出に貢献してまいります。 さらに、東埼玉道路の高速道路化がなされれば、アクセスがより一層向上して、人とモノの盛んに行き交う県東部における地域経済の大動脈となります。現在整備を進めている草加柿木地区においても、県内外へのアクセス時間の大幅短縮が図られ、立地企業にとって大きなメリットがあり、産業団地の大きな魅力アップにつながるものと考えております。 次に、御質問十一、草加柿木フーズサイトの整備についてお答えを申し上げます。 草加柿木地区では、工業用水の使用を条件に立地企業の募集を行った結果、食品製造業で全ての区画が埋まり、「草加柿木フーズサイト」の名称で整備を進めております。食品製造業は、日常生活においてとても身近な存在であり、多くの人手を必要とし、雇用の拡大も見込めることから、企業を誘致する自治体にとっては大変魅力的な業種で、立地を希望する声を多く聴くところでございます。 また、この「草加柿木フーズサイト」は議員お話しのとおり、企業局が現在進めております「エントリー&オーダーメード方式」による第一号団地となります。この方式では、立地企業との意見交換を頻繁に行っており、企業からの様々な提案を受けております。例えば、立地企業が共同で運営する保育所の開設などを企業と共に検討しているところでございます。また、県からも、地元小中学生の工場見学や体験学習の場として提供するなど地域に開かれた産業団地となるよう、積極的に立地企業に働き掛けてまいります。併せて、隣接する越谷レイクタウンとの間にふれあい水辺公園や緑地を整備して周辺環境との調和を図り、地域の方々にゆとりとにぎわいの空間を提供いたします。 産業団地の整備に当たっては、企業への引渡しを平成三十二年度中に予定しております。それまでの工事期間は、通勤・通学時や休日における工事用車両の出入りを避け、交通渋滞が生じないよう対策を講じるなど近隣住民の生活環境に十分配慮いたします。 引き続き、地元草加市と連携の上、地域に根差し、地域と共に発展する「草加柿木フーズサイト」の実現を目指し、全力で取り組んでまいります。          ---------------- △次会日程報告 ○齊藤正明議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明八日及び九日は、休日につき休会といたします。 来る十日は、午前十時から本会議を開き、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。          ---------------- △散会の宣告 ○齊藤正明議長 本日は、これにて散会いたします。午後四時十分散会          ----------------...