群馬県議会 2020-10-02
令和 2年第3回定例会環境農林常任委員会(環境森林部関係)-10月02日-01号
自然環境課長 侭田浩一 尾瀬保全推進室長 増田一郎
林政課長 多胡正洋 経営管理室長 黒沢 勉
林業振興課長 高山逸夫 きのこ・
林業担い手室長 笛木元之
森林保全課長 神戸 徹
緑化推進主監 束田健靖
林業試験場長 曲沢 修
△開議
○
泉沢信哉 委員長
ただいまから、
環境農林常任委員会を開会します。
本日の
委員会は、お手元に配付の次第により、
環境森林部関係の審査を行います。
なお、本日の
委員会は、「
新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた第3回定例会の運営に関する申合せ」により、発言は着座して行うこと、
所管事項に関する質疑は通告制ですが
配付資料に関する質疑は通告なく行えること、
執行部出席者を説明または答弁のある課の職員に限定していることが決定されておりますので、ご承知おき願います。そして、委員一人あたりの質疑時間は制限しないこととしておりますので、その点にご留意願います。
△
委員長あいさつ
○
泉沢信哉 委員長
(
委員長あいさつ)
本日、傍聴人が1人見えておりますので、ご報告いたします。
△
付託議案の説明
○
泉沢信哉 委員長
それでは、本
委員会に付託された議案について、説明をお願いします。
◎岩瀬
環境森林部長
(第118号議案「令和2年度群馬県
一般会計補正予算(第7号)」について、議案書及び
予算説明書により説明した。)
○
泉沢信哉 委員長
以上で
付託議案の説明は終わりました。
△
付託議案の質疑
○
泉沢信哉 委員長
これより、
付託議案の質疑を行います。
なお、
所管事項に関わる質疑は
付託議案の質疑が終了した後に行いますのでご了承願います。
委員の質疑及び
執行部の答弁におかれましては、簡潔明瞭にお願いします。
(「なし」との声あり。)
○
泉沢信哉 委員長
以上で
付託議案の質疑は終了といたします。
△
所管事項の説明
○
泉沢信哉 委員長
次に、
所管事項について説明をお願いします。
◎藤巻
環境政策課長
(「令和2年版
環境白書」及び「
次期群馬県
環境基本計画(骨子案)」について、資料1及び資料2により説明した。)
◎黒沢
経営管理室長
(「
次期群馬県森林・
林業基本計画(骨子案)」について、資料3により説明した。)
○
泉沢信哉 委員長
以上で
所管事項の説明は終了しました。
その他資料については、説明を省略させていただきます。
△
所管事項の質疑
○
泉沢信哉 委員長
これより、
所管事項の質疑を行います。
こちらは通告制となりますので、ご注意願います。
ただし、
配付資料に関する質疑は通告なく行えますので、希望する委員は適宜、挙手願います。
なお、委員の質疑及び
執行部の答弁におかれましては、簡潔明瞭にお願いいたします。
◆
久保田順一郎 委員
悪臭対策の臭気については、人間の鼻によって臭気に対しての感覚が異なるものである。
悪臭対策では、臭気をどのように客観化や定性化するかが一つの
メインテーマである。
知事は、数値的なデータに基づき、農作物や物産類を判断する方針を打ち出している。美味い、不味い、これをどう数値化して判断するか言えないと、各物産の競争の中で勝ち得ることはできない。また、数値化することによって、生産者の努力が客観的に評価される。
そこで、群馬県は、臭気の
定性試験をいち早く実施した県であり、
臭気指数という数値化した形の尺度を導入している。これについて、他の
都道府県ではどのようなアプローチを行っているのか、事例も含め説明いただきたい。
◎中島
環境保全課長
悪臭防止法の規制については、特定の物質を捉えて測定をする
濃度規制と
臭気指数規制という二つの
規制方法がある。
群馬県では、平成16年度から
臭気指数規制が人の感覚に非常に近く感じ、臭気の濃度がわかる仕組みであることから、積極的に取り入れている。
平成30年度末では、全国47
都道府県のうち、35
都道府県の
市町村で
臭気指数規制を導入している。
そのうち、全域で
臭気指数規制を実施している
都道府県は、群馬県、東京都、栃木県、山梨県のみである。
また、全国の
市区町村における
臭気指数の
導入状況は、
全国平均で27.3%にあるのに対し、群馬県の導入率は97.1%と高い導入率となっている。
◆
久保田順一郎 委員
かつて、館林の
工業団地の中にコウカプラントという会社があり、
焼却処理で異常な異臭が地域に放たれ、4軒、5軒の家庭が転居し、或いは住民が
精神疾患を患ったと聞いている。
たかが臭いであるが、そこに長年居住する県民にとっては、非常に深刻な問題である。また、臭いが健康に及ぼす具体的な影響もあることから、臭気の法令に関した
環境等のアセスメントも要素として導入していただきたい。
その中で、農産物を美味い不味いと客観的に判断する手法について、群馬県がいち早く定量化したという実績を踏まえ、臭いについての
定性試験を確立する可能性について伺いたい。
◎中島
環境保全課長
臭いの
評価方法は、
臭気指数として
悪臭防止法に対応している。
臭気指数は、臭いの成分ではなく、臭いの強さによって決定している。強い臭いをだんだん薄めると弱い臭いになり、どのくらい薄めると臭いを感じなくなるのかという手法で
臭気指数を決定している。 そのため、例えばアンモニアや
硫化水素など臭いのある特定の物質が多いということではなく、臭いの強さによって規制する手法である。
臭いには、心地よい匂いと不快な臭いという二つの種類がある。心地よい匂いは、香りという成分であり、不快な臭いの成分が悪臭となる。
悪臭防止法については、快・不快の臭いの質で判断すると個人の嗜好や居住する
生活環境に影響を受け、判断することが非常に難しいため、臭いの強さを
判断基準として
臭気指数を定めている。
今後は、心地よい匂いが大切になると考えている。
例えば、国では、香りがいいところを「全国かおり100選」として選出しており、群馬県では
草津温泉の湯畑の香りが、「全国かおり100選」の中に選ばれている。
◆
久保田順一郎 委員
香水のオーデコロンやシャネルの5番の匂いも最近の
子供たちは知らないため、臭いと言う。
匂いの表現の仕方は、個人差があり環境にも影響され、非常に不安定なものである。
例えば、美味しいという感覚は、甘さ、堅さ、歯触りなど定性的な話の中に多様性があるが、
悪臭対策は、
臭気指数という形で取り組んでいる。
臭いに対する基準について、より客観的なデータを築き上げていただきたい。
次に、安中の
ライフル射撃場について、建物は完成したが銃刀法に定める基準に適合しないため、完成が遅れている説明をお願いしたい。
◎侭田
自然環境課長
県では
鳥獣害対策を計画的に推進する目的で、
安中総合射撃場を捕獲の担い手の
確保育成の拠点と位置付け、平成30年11月から既存の
クレー射撃場の施設に
ライフル射撃施設を併設する工事を進めてきた。
射撃場として利用開始するためには、銃刀法に定める基準に適合する構造とし、
県公安委員会で
指定射撃場としての指定を受ける必要がある。
これまで、
指定射撃場の基準を満たすために有効と認められる設備を設置することで技術的に解決可能であると考え、
整備工事と並行して検討を進めてきたが、この課題が解決できずに今日に至っている。
このような状況に至った経緯について、調査、検証した上で、
対応策を様々な角度から慎重に検討していきたい。
◆
久保田順一郎 委員
どのような
対応策を考えているのか、例え話でもかまわないので、わかる範囲で説明いただきたい。
鳥獣害対策の中で、例えば、
エアライフルでは、広島からプロの
ハンターをお願いして
カワウ対策を実施した実績があるが、ここにきてカワウが増え始めている。
ライフル射撃場の利用が開始されれば、
エアライフルの練習が可能となり、次の
ハンターを養成することができる。
鳥獣害対策についての期待が大きく、イノシシのCSFや海外で発生しているASFは恐ろしいものであることから、
ライフル射撃場建設に対する期待も大きいものである。
早期に
ライフル射撃場を利用開始していただきたい。
参考までに、具体的な
対応策の例について伺いたい。
◎侭田
自然環境課長
具体的な
対応策の例について、様々な角度から検討しており、例として挙げるとそれが独り歩きしてしまうため、答弁を控えさせていただきたい。
◆
久保田順一郎 委員
単価だけでは、安いRCや鉄骨と勝負ができないので、今後、
アフターコロナで家の中にいる時間が多くなることもにらみながら、しっかりと今までの分析をして、
CLTの
利用促進について検討していきたい。
◆
金井康夫 委員
最終的に川上から川下へ繋がる施策が必要である。
石破地方創生大臣就任時に、沼田で城を築城する計画があり、
沼田市長が
石破大臣と面会する機会があった。
沼田市長が、無垢の木材の城を築城したいと伝えたところ、
石破大臣は設計図がないことを承知のうえで、設計図があれば国が半分出すと答えた。
世界中探しても
CLTの城は多分ない。
小泉環境大臣は、自民党の
CLT議連で
中心的役割を担っている。
国では、
環境施策で
CO2固定など、環境を考えた
CLT利用促進も考えられる。
国から情報を収集し、前向きに検討いただきたい。
◎小山
森林局長
執行部や県議会、業界も含め、しっかり検討して対応したい。
◆金子渡 委員
群馬県は水素の促進というものを、
再生可能エネルギー促進事業の中心の一つとして、
全力疾走366プランに基づき、
水素ステーションを設置したが、その概要と状況等について伺いたい。
◎木島
気候変動対策課長
本県における
水素ステーションの
導入状況については、今年4月に本県初の
水素ステーションが、高崎市の京目町にオープンしたところである。
現状、
水素ステーションは県内でこの1店のみであるが、これにより、本県でも水素が
日常生活や
産業活動で利活用され、
水素社会の実現が今までより身近なものになると考えている。
◆金子渡 委員
初の
水素ステーションがオープンしたことから、
ガソリン車から
電気自動車、そして、
水素自動車へと大きく変わっていく中の第一歩として、大変すばらしいことである。
民間との
共同事業であるが、
水素ステーションは実際に
安全性等も確保され、利用が進んでいる。今後、この自動車以外の分野等で、水素を活用できる可能性や行政の取組について伺いたい。
◎木島
気候変動対策課長
水素の
利用促進策については、「
ぐんま5つのゼロ宣言」
実現プランの中で二つの柱を掲げている。
一つはFCV(
燃料電池自動車)の普及・活用、もう一つは、
水素利活用コンソーシアムの設立である。
FCVの普及・活用については、今後もさらなる
普及促進が必要と考えている。
水素の利活用については、現在、国が主催する、地域における
水素利活用アイディア検討会が実施されており本県も参加している。
昨日、第1回目の
検討会が行われ、長期的な視点に立って、地域の特性を生かして
水素利活用を広げることを目的として、
取組方法や
実現方法の検討をすることとなった。この
検討会で情報収集や検討の方法を考えたい。
また、コンソーシアムについては、県庁32階イノベーションハブを活用して、有識者、民間事業者と様々な
意見交換をして進め、水素エネルギーを含めた環境技術の異業種交流の場として設立したい。
今後の
普及促進、啓発についても、これに沿って検討を進めたい。
◆金子渡 委員
水素は、まだまだ未知のエネルギーであるが、実際には様々な分野で幅広く期待ができるものである。
イノベーションハブで様々な人が会して、活性化できればよい。
渋川市では、いくつかの廃校利用が始まり、そのうちの一校で、バイオマスの利活用を研究する企業が利用を開始した。
木質の小さなプラントで廃熱を用いて、ハウスに熱を供給して農業実験をしている。
さらには、その熱を用いて、地上養殖の研究にも取組み、もう一つのバイオマスの研究では、バイオマスタウンの利活用でエネルギー資源としての使途と水素の研究に取り組んでいる。
国内のプラントで、バイオマス発電で炭化した時に、水素も同時に取り出す技術が確立をされており、バイオマスで発電した電気で
電気自動車を走らせ、取り出した水素で
水素自動車を走らせ、群馬で生み出したエネルギーで車を走らせる時代になる。
イノベーションハブで、水素についての情報交換がある場合は、幅広く様々な企業に声をかけていただきたい。また、県外企業がせっかく、地方に来て様々な研究をしており、企業誘致や雇用創出にも繋がる。群馬県の中山間地域の特性を生かした研究の一つであり、連携を図りながら進めていただきたい。
◎木島
気候変動対策課長
異業種で
意見交換を行うことで、それぞれの業種で確認や発見できなかったものも、新たなアイディアとして生み出すことができる。イノベーションハブや
検討会など、様々な意見をいただきながら進めていきたい。
◆金子渡 委員
バイオマス発電は、水素が取り出せることから、企業として経営基盤が強化される。
小型の2メガのバイオマス発電の普及が促進し、県内各地に分散型エネルギーが確保できれば、災害時の停電ゼロとして、
ぐんま5つのゼロ宣言に繋がる。
今後の再生可能エネルギー推進計画の中で、分散型エネルギー推進を中心に据えながら、計画に取り組んでいただきたい。
◆
本郷高明 委員
プラスチックごみゼロへの取組について伺いたい。
◎木島
気候変動対策課長
ぐんま5つのゼロ宣言については、「
ぐんま5つのゼロ宣言」
実現プランに基づき、全庁体制で施策の構想と実行を同時に推進している。
プラスチックごみ「ゼロ」については、
ぐんま5つのゼロ宣言の4で、環境中に排出されるプラスチックごみをなくすことを掲げている。
主な取組としては、本年3月に群馬県グリーン購入ガイドラインを改正し、県有施設内の食堂や売店等においてワンウェイプラスチック製容器の使用をやめるなど、ワンウェイプラスチックから再生プラスチックへの転換を進めている。
また、リユース食器の活用促進については、本年の7月、8月に開催した県庁前SUNSET(サンセット)キッチンベースにおいて、リユース食器を導入し普及に努めたところである。
さらに、7月1日からレジ袋有料化の制度改正に伴い、動画「ストップレジ袋」を配信し、マイバッグの使用を呼びかけたところである。レジ袋の有料化は、プラスチックごみ「ゼロ」の第一歩であると考えており、引き続き、マイバッグ、マイボトルの使用を呼びかけるなど、ライフスタイルの変革に向けた
普及啓発を行ってまいりたい。
その他、マイクロプラスチックごみ対策としては、桃ノ木川の河川水を、試験的にサンプリングし、分析を行っている。
今後、河川水のマイクロプラスチック調査も予定している。
引き続き、国や
市町村と連携するとともに、県民、事業者、関係団体等のご理解とご協力をいただきながら、
実現プランの取組を着実に実行することにより、プラスチックごみゼロを含めた5つのゼロ宣言を実現してまいりたい。
◆
本郷高明 委員
5つのゼロ宣言が発表されて、昨年12月から
実現プランの取組を開始したが、新型コロナウイルスでステイホームが求められている中、プラスチックゴミが増えてきている。
7月にレジ袋が有料化となったが、プラスチックは便利であることから、プラスチックごみの増加が懸念されている。
削減のために全力を尽くしているが、12月から始まって状況も変わってきている。
今後は、進捗状況の把握や分析をしっかりと行い、検証していただきたい。
検証が不十分では、次に繋がらない。検証を踏まえながら改善に取り組み、尽力をお願いしたい。
県内の河川のマイクロプラスチック対策について、具体的な内容を伺いたい。
◎中島
環境保全課長
河川中のマイクロプラスチックの測定は、現在、工程表が定められていない。
本県では、環境省が行った調査や神奈川県や東京都が行った調査手法を参考にしながら、今回、試験的に市内にある桃ノ木川で、プラスチックの調査を行っている。
マイクロプラスチックは、河川水の水質分析のように1回水を汲んで、後で試験室で分析することだけではない。
河川には、プラスチック以外の植物の枯れたものや水生生物の抜け殻など、目で見てプラスチックか判別できないものがある。あらかじめ、綺麗に選別するには、研究者の熟練度が必要である。河川水を採取して、様々な経験を積んで正確な値が出るよう努力している。
一定程度の分析手法を確立し、年末までに群馬県を流れる川の中で、サンプリングをやって、測定するというのが今年度の大きな目標ということで今取り組んでいる。
◆
本郷高明 委員
河川水のサンプリングは、47
都道府県で初の試みであるのか。
◎中島
環境保全課長
近県では、山梨県と栃木県で、昨年度、河川水のサンプリングを終えている。
◆
本郷高明 委員
群馬が初めてのサンプリングであれば、宣伝になったかと思うが、ぜひ、遅れをとらないようにしていただきたい。
マイクロプラスチックの問題は、気が遠くなるような話であるが、環境問題だけに世界的な規模で行われる大変重要な問題である。
群馬は、海はなくても、川が海で繋がっていることから、プラスチックが海に流れ魚が食べる。
魚以外にも、亀やイルカなども食べてしまい、胃を開けたらほとんどプラスチックだったという報道がされた。魚がプラスチックを食べるとお腹がいっぱいだと勘違いし、餓死する問題も発生している。 あと5年もすれば、魚の量と海のマイクロプラスチックを含めたゴミの量が一緒になる問題もあるので、進めるようお願いしたい。
木質バイオマス由来の代替プラスチックの取組について伺いたい。
◎高山
林業振興課長
木質バイオマス由来の代替プラスチックについては、国や民間企業において、木材成分を原料としたセルロースナノファイバーや改質リグニンといった製品開発が進められている。
セルロースナノファイバーについては、すでに紙おむつや運動靴に使用されている。
改質リグニンについては、現在、大量生産技術の実証段階の状況である。
改質リグニンについては、日本の杉から抽出され、
製材工場のおがくずなどを原料としている。
特に、本県は、人工林のうち約45%が杉林であり、県産のスギを使う改質リグニンの製造を期待している。
このような状況から、今年度から予算を確保し、製品開発の研究機関や企業への調査、情報収集を考えている。県産材を原料とした供給から製造の可能性について、しっかりと検討していきたい。
◆
本郷高明 委員
事業者の取組として、代替プラスチックの技術開発や新技術、新製品等の研究開発も進んでいるので、バックアップしていただきたい。
セルロースナノファイバーは、費用が高く、開発に掛かる費用や実用後の値段も今のプラスチックに比べると高いので、様々なバックアップをお願いしたい。
続いて、
ぐんま緑の県民税と
森林環境譲与税のすみ分けについて伺いたい。
◎多胡
林政課長
ぐんま緑の県民税は、県民の共有の財産である大切な森を守り育て、次世代につなげるために、平成26年度に導入し、現在、2期目となっている。
森林環境譲与税は、国民で森林を支えるための仕組みとして、国が令和元年度に創設し、併せて、導入された森林経営管理制度を運用するための主要財源と位置付けられている。
すみ分けとして、
ぐんま緑の県民税は、林業経営が成り立たない奥山の森林や、荒廃した里山や
平地林などの整備などに活用し、
森林環境の保全に大きな効果を発揮している。
森林環境譲与税については、
市町村との連携により、人工林の多い
市町村の森林経営管理制度の円滑な運用のため、
森林所有者の意向調査などの委託費を使途としている。さらに、人工林が少ない
市町村については、木材の
利用促進に活用し、林業の成長産業化につなげていきたいと考えている。
なお、このすみ分けの方針は、平成30年11月20日に開催した林業県ぐんま推進会議において、
市町村長に直接説明し一定の理解をいただいている。
今後も
ぐんま緑の県民税と
森林環境譲与税の2つの税を活用して、県内の森林整備の水準向上を図ってまいりたい。
◆
本郷高明 委員
2つの税については、完全に重複はないとの解釈でよいか。
◎多胡
林政課長
県の方針を
市町村に説明しており、すみ分けがされていると考えている。
◆
本郷高明 委員
2つの税について、説明を求められる機会が多いので、県民への説明についてお願いしたい。
市町村提案型事業で
ボランティア団体等への支援があるが、
ボランティアによる森林整備管理の実績はどのくらいあるのか。
◎束田
緑化推進主監
ぐんま緑の県民税の
市町村提案型事業のうち、令和元年度に
ボランティアが携わった事業は、216か所、31,745千円で、1箇所あたり14万7千円である。
◆
本郷高明 委員
28年の
市町村提案型の採択事業は、2億7千万円であったが、令和元年では事業費が減少している。
ボランティアによる森林管理費は、28年度で6%しかなく、逆算すると134件の森林整備が
ボランティアによって行われ、1団体当たりでは、12万円程度である。
12万円程度を
ボランティア団体に渡されても、ジュースとお弁当を購入して終わりである。事業の考え方が、
ボランティアへの助成ではなく、
市町村への委託費を中心としているのではないか。
◎束田
緑化推進主監
ボランティア団体への助成は、
ボランティア活動で実際にかかる刈払機の刃や鎌などの消耗品や燃料、食糧の購入費を対象として、1日当たり3時間以上活動した場合の経費を積み上げたもので、活動に必要な費用に対して補助金を支出している。
◆
本郷高明 委員
事業では、3万円以上の備品購入が認められていない。替刃の購入費用や
市町村によるチェーンソーの購入費用は認められているが、
ボランティアが作業するには、様々な道具が必要である。
使い勝手のいい事業となるようお願いしたい。
次に、県内の森林の整備状況について伺いたい。
災害や土砂災害に対して、森林の間伐が効果があると新聞記事にあった。
県内の森林の間伐の進捗について伺いたい。
◎多胡
林政課長
県内の間伐の状況であるが、本県では民有人工林が約11万ヘクタールあり、そのうち、概ね約6割が経営の成り立つ森林と考えている。
経営が成り立つ森林については、林道や作業道、高性能林業機械等により、基盤整備を進めるとともに、利用間伐などに支援して間伐の整備を進めている。
一方、経営が成り立たない条件不利地の森林、約3万4000ヘクタールについては、平成26年度より、
ぐんま緑の県民税を活用し整備を進めている。
ぐんま緑の県民税の目標では、整備が必要な1万ヘクタールの森林整備を進めており、6年間で3,743ヘクタール、概ね4割の森林が整備された。
引き続き、施業の低コスト化を一層進めることで進捗を図るとともに、所有者や境界が不明な土地の森林整備については、森林経営管理制度や
森林環境譲与税を活用し、健全な森林を維持してまいりたい。
◆
本郷高明 委員
緑のインタープリターとして、年2回、間伐状況の視察や除草作業に参加している。
間伐は景観を良好にすることや成長を促すことに寄与するが、土砂崩れに効果的なものであるのか疑問である。
太古の昔は、自然淘汰されていたが、間伐は、自然災害や土砂崩れに効果があるのか伺いたい。
◎多胡
林政課長
数値を示すことは難しいが、昔のように森林が循環利用されていれば災害に強いが、現在は森林が高齢化し太くなっており、雨が降ると一本の木に多くの雨水を貯める。
雨水を含み木自体が重くなるため、太い木を巻き込んで山腹崩壊が起きていることもあると考えている。
◆
本郷高明 委員
間伐の主な目的は、景観や木の成長を促すことであるのか。
◎多胡
林政課長
適宜、間伐や植栽することにより、循環利用を図ることで、災害に強い森林となることが目的である。
◆
本郷高明 委員
ボランティア団体は目的も不明なまま作業をしている方が多いので、
ボランティア団体への周知についてよろしくお願いしたい。
◎神戸
森林保全課長
間伐により地面に光が届き下層の植生が表面浸食を防止するとともに、残存木の根が発達することで土壌を緊縛する。
間伐は、森林全体の土砂崩壊防止や水源涵養機能の効果を高める極めて重要な作業である。
◆
今泉健司 委員
農業と福祉を連携させる農福連携については、着実に一歩ずつ進んできている。
全国的にも林福連携に取り組んでいる
都道府県はないが、本県における林福連携の現状と考え方について伺いたい。
◎笛木 きのこ・
林業担い手室長
林業現場は、急峻な地形や重量の重い木材を扱うなど、条件の悪い屋外の作業で、労働災害が他産業の10倍に及んでいる。
こうしたことから、林業現場では、障害者雇用は行われず、林福連携に取り組んでこなかった。
しかし、林業・木材産業、きのこ産業の一部の分野では、社会福祉法人が菌床きのこの分野や木工分野に参画し、障害者が菌床きのこを栽培したり、木製の賞状や箸等の製造に携わっている。また、一部の
製材工場では、障害者を雇用し受け入れている。
このような苗木生産や木工作業、菌床きのこの生産などの分野においては、障害者それぞれの特性に合った作業内容を見つけて、対応することは可能である。
林福連携が可能な分野を洗い出し、県が間に入り農業と同じような取組が可能なのか事業者の意向を踏まえながら、検討を進めてまいりたい。
◆
今泉健司 委員
県が事業者と障害者の間に入って、林福連携に取り組んでいるのか。
◎笛木 きのこ・
林業担い手室長
現在、林業分野においては、県が事業者と障害者の間に入って取り組んでいることはない。
◆
今泉健司 委員
林業の現場は、1トン、2トンぐらいの木を倒していくことから、かなり危険な現場である。
インターネットを閲覧すると長野県や北海道では、きのこ栽培や木の賞状の製造など、様々な取組が行われており、気づきからスタートすることが大変重要である。
農福連携は、一つずつ積み重ねてきたからこそ、特別支援学校の方々に事業所を訪問いただいて、就職できるような状況を生み出している。
10年後、20年後に花咲くため、今が本当に重要な時期であることから、県が事業者と障害者の間に入っていただいて、ワンストップでの紹介も含めて取り組んでいただきたい。
林福連携は、今までに想像もしなかった、ニューノーマルとして、新しい職種への障害者の就労など様々な可能性がある。
障害のある方々が、林業で働けるような環境づくりをしっかりと考えていただきたい。また、インターネットで林福連携を検索したら、すぐに群馬県が出るような施策を講じていただきたい。
◎笛木 きのこ・
林業担い手室長
林福連携は、林業の様々な分野で波及できると考える。
波及できる分野も含め、林福連携が可能かを探り、可能なところから実施していきたい。
林福連携という言葉自体も事業者が理解していないことが多いため、
普及啓発も含め、検討していきたい。
◆
今泉健司 委員
みどり市では、住友林業が苗木を生産しているが、事業者への
普及啓発が進めば林福連携に繋がる。
県内企業も含め、障害者施設、事業者等の様々な団体も含めて、県が間に入って紹介するような施策を講じていただきたい。
次に、
ぐんま緑の県民税の竹林整備の取組内容について伺いたい。
◎束田
緑化推進主監
ぐんま緑の
県民基金事業による竹林の整備については、
市町村が主体となる
市町村提案型事業のうち、荒廃した里山・
平地林の整備で竹林の整備を実施している。
主な取組内容の1点目は、
地域住民やNPO、
ボランティア団体等が行う竹林の刈払い、竹の伐採、玉切り、集積積み込み等に補助している。
2点目は、
困難地整備支援として、
地域住民やNPO
ボランティア団体等では整備が困難な箇所について、
市町村が委託等で実施することに対する補助である。
2つの補助事業は、補助の上限額以内であれば、全額補助が可能な事業である。
また、竹林の整備では、竹の処分に困ることがあるが、焼却施設までの運搬経費等に補助することも可能である。
市町村に対する補助として、竹を砕く粉砕機の購入等にも補助金を使うことができる。
竹林を1度整備して良好な環境になった場合であっても、継続して刈払い等を行う場合も支援を行っている。
◆
今泉健司 委員
ホームページでは綺麗に竹林が整備された写真があり、羨ましい限りである。
地元では、竹林が鳥獣の住みかとなっている。2年ほど前に地域の方々と野生獣がどんな動きをするのか観察したところ、竹林の中にイノシシやシカ、猿の足跡を発見した。国道を横断して竹林にやってきて、竹林が隠れる場所となっている。
市町村は、竹林の
整備事業を理解しているが、住民は、竹林に
整備事業が活用できることを理解していないため、手つかずの竹林が残っている。
市町村が竹林整備の計画を策定しないと県からの支援を受けられないことは承知しているが、手つかずの竹林の整備について
市町村と連携して、しっかりと取り組んでいただきたい。
ごみの問題もあるが、鳥獣害で困っている住民もいるので、
市町村と連携を図りながら進めていただきたい。
◆
大林裕子 委員
森林づくり、
平地林の環境を整え、安全・安心な生活を作ることを目的として、
ぐんま緑の県民税事業に取り組んでいるが、
市町村提案型事業の実施状況について伺いたい。
◎束田
緑化推進主監
ぐんま緑の
県民基金事業の
市町村提案型事業は、平成26年度から平成30年度までを第Ⅰ期として5年間事業を実施してきた。平成26年度は、29
市町村の参加であったが、次の年に31
市町村となり、3年目の平成28年度から全35
市町村に広まり、補助金額も2億円台を横ばいで推移している。
第Ⅱ期に入り、令和元年度からの2年間は、34
市町村で実施している。
◆
大林裕子 委員
26年度から5年間、継続して取り組んだ結果、35
市町村が参加し、年々事業数が増え、助成金額も2億円に増え、事業が
市町村に浸透してきた結果である。
平成26年から30年まで、各
市町村の推移であるが、
市町村ごとにばらつきがある。
多い
市町村では、平成30年度の32件の事業で412万円、少ない
市町村では、1件で2万7,000円。
また、
事業内容でも1件で345万円であったり、19件で5,200万円の
市町村もある。
県民1人700円の税金を、皆さんからいただいていることから、全県でもっと活用することが望ましい。
周知の仕方について伺いたい。
◎束田
緑化推進主監
周知活動については、第Ⅰ期の5年間では、竹林整備や森林整備時の財源について多く聞かれたことから、第Ⅱ期から事業者に、
ぐんま緑の
県民基金事業であることをPRするため、事業地での横断幕やのぼり旗の設置をお願いした。
また、群馬フェアや県の植樹祭、県庁の県民コーナー等でのPRのほか、各種イベントで、パンフレットを設置、また、職員が出向いて説明を行っている。
小中学校で
森林環境教育の事業を行う場合には、
児童生徒及び教員に向けて、この事業には
ぐんま緑の
県民基金事業が使われていることをPRしている。
今年度から、県庁32階の動画スタジオtsulunosでPR用に動画を作成して配信することを考えている。
例えば、非常に荒れた竹林等の整備において、着工前と着工後で効果がよくわかる箇所等の配信や
市町村に動画を配付して、自治会等への説明会で活用いただくなど検討していきたい。
◆
大林裕子 委員
市町村によって力の入れ方が違うということが、大きいのではないか。
地元の方は、この竹をどうにかしたいとか、或いは、この篠竹の密集地に、アライグマやハクビシンがいて、近くのブドウ園に出てくるため、農家の方は一生懸命わなで捕獲している。
ぐんま緑の県民税の事業での対応が周知されていれば、対処がスピーディーにできる。
ぐんま緑の県民税の事業では、10年間継続して、
ボランティアや地元の方で整備を続けなければならないのか伺いたい。
◎束田
緑化推進主監
竹林や
平地林を刈払い・除伐し、見通しをよくして鳥獣が住まないようにするには、継続して刈払いなどの管理を行わないと最初に整備した意味がない。
基本的には、地域の住民、
ボランティア団体の方が継続して整備し、地域に根差し、地域で完結することをこの事業で目指している。
いろいろな事情で、その地域の住民や
ボランティアの方が実施できない場合は、代わりに
市町村が委託等で実施することも可能である。
◆
大林裕子 委員
地域の住民が10年間整備を継続できない場合は、
市町村が、その代わりに業者に委託して実施することも可能であるか。
◎束田
緑化推進主監
市町村が、業者に委託して整備することは可能である。
ただし、
市町村が整備する場合であっても、
地域住民や
森林所有者が協定を結ぶことが前提である。
市町村が実施する場合であっても、地域に根差した事業を目指している。
◆
大林裕子 委員
竹林や森林の整備に関心が高いのは、若者ではなく高齢者である。
竹林や森林の整備では、高齢者が多いため、10年間継続して整備することが足かせとなる。
市町村が、代わりに竹林や森林整備を委託するなど、使いやすい制度に変更することが重要である。
町道に接した松など、倒れそうな木を切ってもらいたいという町民からの声を聞くが、私有地で持ち主がいることから放置される。
ぐんま緑の県民税の一部を各
市町村に配分することで対処できるのではないか。
様々な使途を検討し、多くの県民が活用できる
ぐんま緑の県民税となっていただきたい。
◎束田
緑化推進主監
市町村提案型事業の使い勝手が悪いということは、第Ⅰ期の平成26年から30年までの間、多くの意見を頂戴したため、
市町村にアンケート調査を実施し、第Ⅱ期の開始時に制度の見直しを図ったところである。
第Ⅱ期開始後も様々なところで、使い勝手が良くないという意見も頂戴することから、こうした意見を吸い上げながら、この事業の目的趣旨に反しない中で、制度変更が可能なものを取り入れていきたい。
◆
大林裕子 委員
目的に即した事業として、
市町村に働きかけ、どんどん使うような周知をお願いしたい。
○
泉沢信哉 委員長
以上で、
所管事項の質疑は終了いたしました。
△休憩
○
泉沢信哉 委員長
暫時休憩いたします。午後1時から再開いたします。
(午後0時5分休憩)
(午後0時59分再開)
△再開
○
泉沢信哉 委員長
休憩前に引き続き、
委員会を再開いたします。
△
付託議案の討論・採決
○
泉沢信哉 委員長
これより
付託議案の採決に入ります。
議案の採決に先立ち討論される委員は挙手をお願いします。
(「なし」の声あり。)
○
泉沢信哉 委員長
討論がありませんので、本
委員会に付託された議案のうち
環境森林部関係の議案について採決いたします。
それでは、第118号議案について、これを原案のとおり可決することに賛成の委員は挙手を願います。
(挙手全員)
○
泉沢信哉 委員長
挙手全員であります。
よって、本議案は原案のとおり可決することに決定いたしました。
△請願の審査
○
泉沢信哉 委員長
次に、請願の審査に入ります。
本
委員会に付託された請願のうち、
環境森林部関係の請願は、新規1件であります。
それでは、第10号について、
執行部から説明願います。
◎侭田
自然環境課長
(第10号「西毛地区開発に関する請願〈2項6号〉」について説明した。)
○
泉沢信哉 委員長
説明は終わりました。
第10号の取扱いについて、いかがいたしますか。
(「趣旨採択」の声あり。)
○
泉沢信哉 委員長
それでは、挙手により賛否を問います。
趣旨採択に賛成の委員は挙手願います。
(挙手全員)
○
泉沢信哉 委員長
挙手全員であります。
よって趣旨採択と決定いたします。
△基本計画議決条例の適用に係る調査
○
泉沢信哉 委員長
次に、「群馬県行政に係る基本計画の議決等に関する条例」の適用について、ご協議願います。
はじめに、計画の概要について、説明願います。
◎藤巻
環境政策課長
(資料「計画等一覧表」により基本計画の議決等に関する条例の適用の対象となる計画等の追加について説明した。)
◎木島
気候変動対策課長
(資料「計画等の概要書」により「群馬県地球温暖化対策実行計画(2021-2030)(仮称)」及び「群馬県再生可能エネルギー推進計画(2021-2030)(仮称)」について説明した。)
◎中島
環境保全課長
(資料「計画等の概要書」により「群馬県流域別環境基準維持達成計画」について説明した。)
◎水澤 廃棄物・
リサイクル課長
(資料「計画等の概要書」により「群馬県一般廃棄物処理広域化マスタープラン」について説明した。)
◎多胡
林政課長
(資料「計画等の概要書」により「利根上流地域森林計画」について説明した。)
◎高山
林業振興課長
(資料「計画等の概要書」により「群馬県林業労働力の確保の促進に関する基本計画(第6期)及び「ぐんま県産木材の利用の促進に関する指針」について説明した。)
○
泉沢信哉 委員長
以上で、説明は終わりました。
それでは、説明のあった計画について、一括してお諮りしたいと思います。取り扱いはいかがいたしますか。
(「いずれも条例不適用」との声あり。)
○
泉沢信哉 委員長
それでは、これらの計画の取扱いにつきましては、当該条例の不適用ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり。)
○
泉沢信哉 委員長