群馬県議会 2018-10-02
平成30年第3回定例会環境農林常任委員会(農政部関係)-10月02日-01号
◎片山
農村整備課長
県は、神流町の農泊の取組を29年度から2年間、モデル的に支援している。29年度は、農泊の理解醸成、地域の将来像の
概略構想策定等、30年度は、
地域資源再発見、将来
構想策定、
受入体制整備等を支援している。
◆
後藤克己 委員
神流町は
宿泊施設「川の音」をつくったが、今後の農泊の取組はどうか。
◎片山
農村整備課長
神流町は、
宿泊施設「川の音」を核として、地域や町が一丸となり農泊を取り組む計画である。今後、
受入体制を整備するとともに、来訪者に農業や
農村文化などが体験できるよう、
滞在メニューづくり等を検討している。
◆
後藤克己 委員
「川の音」を核とし、広がりをもった取組にしてほしい。
「
普及現地情報」の中に、中之条町六合地区の
花き栽培において、4名の若者が新規参入しているという事例があったが、どのような取組か。
◎藤井
普及指導室長
六合地区では、高齢者を中心に山間の農地を利用し、約150種類の花の生産が盛んに行われているが、26年の雪害や高齢化の進行により、産地の弱体化が危惧された。そこで、27年に
関係機関が連携し「
新規参入者受入に関する検討会」を設立するとともに、東京で開催された、「新・
農業人フェア」へ出展し、六合地区での花作りの担い手を募集した。その結果、4名が就農を前提とした研修を始め、29年度に3名が就農、30年4月に1名が就農し、5月に初出荷となった。
◆
後藤克己 委員
地域に呼び込んだ
就農希望者を就農に結びつけるには、相当なサポートが必要であるが、六合地区の事例は短期間で就農に結びつけた優良事例である。積極的にPRするとともに、他地域へも波及させられるよう取り組んでもらいたい。
◆
酒井宏明 委員
鳥獣被害対策について伺いたい。
ニホンザルによる被害は減っていると聞いたが、どのような
被害対策が功を奏しているのか。
◎土屋
鳥獣被害担当参事
ニホンザルは群れの管理が必要である。
被害対策としては、群れを丸ごと捕獲できる
大型囲いわなやサルに効果のある
侵入防止柵の設置等を実証しながら進めるとともに、広域的な取組となるため、
関係市町村による合同の会議を開催し、情報共有を図っている。
◆
酒井宏明 委員
移動式の
大型囲いわな等の
被害対策をとる場合の
補助事業として、
国庫事業と
県単独事業をどのように棲み分けしているのか。
◎倉澤
技術支援課長
基本的には
国交付金を優先的に活用し、市町村の負担を少なくして
被害対策に取り組むことを考えている。
◆
酒井宏明 委員
市町村から要望があった場合には、国の交付金でなく
県単独補助事業でも柔軟に対応してもらいたいがどうか。
◎倉澤
技術支援課長
国交付金が活用できる市町村では交付金を優先するが、活用できない市町村では
県単独事業での取組を検討するなど、現場で使いやすいよう、
国交付金、
県単独事業、
市町村単独事業を組み合わせて現場の対策を進めていきたい。
◆
酒井宏明 委員
遺伝子組換えカイコについて伺いたい。
生物多様性の確保や環境への影響に不安を持つ人もいると思うが、管理上の
安全対策はどうか。
◎須関
蚕糸技術センター所長
管理上の
安全対策については、クワコとの「交雑性」への対応が重要であり、様々な対策を実施している。また、クワコとの交雑種の
モニタリング調査を実施しているが、これまでに交雑は確認されてない。
◆
酒井宏明 委員
出口対策として、商品化についての展望等はどうか。
◎須関
蚕糸技術センター所長
商品化については、
養蚕農家の収益性を高める上で、しっかり取り組む必要があると考えている。 現在、企業との
共同研究により、希少性があり付加価値の高い
商品開発を進めている。
◆
酒井宏明 委員
安全対策については、引き続きしっかり取り組んで欲しい。
日本絹の里の運営について伺いたい。リピーターが多いとのことだが、これまでの
新規来館者を増やす取組についてはどうか。
◎岡野 絹主監
企画展示については、養蚕、織物、絹文化、夏休みの子供を対象とした展示を年間7~8回行い、体験学習では、染色や織りの初心者向け、レベルアップした体験を企画し、利用者の確保を行っている。広報では、
ホームページやチラシ、
伊香保観光協会を通じたPRを行っている。また、マスコミを通じての広報や、
県外向けに旅行雑誌、
ドライブガイドにPR広告の掲載も行った。
◆
酒井宏明 委員
休憩所、ミュージアムショップを増設したとのことだが、どのような内容か。
◎岡野 絹主監
昨年の
地方創生拠点整備交付金を活用して、
シルクショップを20平米から88平米へ増設し、併せて
絹製品等の品揃えも増やした。桑畑が見える休憩所も整備し、来館者に好評である。
◆
酒井宏明 委員
新商品や
目玉商品等、ショップの品揃えを充実させ、評判が広まることで更に来場者も増えると思う。
群馬ならではの施設であるので、
絹文化等の発信についてよろしくお願いしたい。
◆大和勲 委員
ため池緊急点検及び今後の対策について伺いたい。
緊急点検の結果はどうか。
◎片山
農村整備課長
県内のため池505箇所のうち、下流の家屋や
公共施設等に被害を与える可能性のある396箇所の
緊急点検を、8月に
市町村等と連携して実施した。緊急的に対策を要するため池は確認されなかったが、
洪水吐周辺の草や雑木の除去など、簡易な対策を19箇所で実施した。
◆大和勲 委員
505箇所のため池の
管理区分はどのようになっているか。
◎片山
農村整備課長
管理区分の内訳は、市町村135箇所、
土地改良区34箇所、水利組合180箇所、
自治会等156箇所となっている。
◆大和勲 委員
国の
定額助成制度の延長への県の対応はどうか。
◎片山
農村整備課長
定額助成制度は、30年度までの時限であるため、
政策要求として
制度延伸を要望している。
なお、国は概算要求において、
制度延伸を盛り込んで要求していると聞いている。
◆大和勲 委員
対策工事に係る補助率と本年度の
実施状況はどうか。
◎片山
農村整備課長
国庫補助事業の補助率は、豪雨、老朽化対策で国50%、県25%、
市町村等25%であり、地震対策では、大規模なため池で国55%、県34%、
市町村等11%である。なお、
県単独事業は、県75%、市町村25%である。
現在、
国庫補助事業で3箇所、
県単独事業で4箇所の
対策工事を実施している。
◆大和勲 委員
今後の対応方針はどうか。
◎片山
農村整備課長
「防災重点ため池」125箇所の「地震」や「豪雨」に対する検証を早期に完了させ、基準を満たさないため池については、早めに市町村と調整を図り整備していきたい。
併せて、ハザードマップ作成などのソフト対策による安全確保を行い、農村地域の防災減災の向上に努めたい。
◆大和勲 委員
水稲新品種「いなほっこり」について伺いたい。特徴と導入経過についてはどうか。
◎土屋
蚕糸園芸課長
県が、米麦二毛作地帯向けの高温に強い品種の選定を行ってきたところ、国の西日本農業研究
センターが育成した新品種「いなほっこり(仮称)」が、高温条件下に強く有望な品種であることが確認された。
◆大和勲 委員
今後の普及計画、PRについてはどうか。
◎土屋
蚕糸園芸課長
県では、29年に県の認定品種に決定し、本年から種子生産を行っており、来年から一般栽培を開始する計画である。
当面、県内平坦部で200ha程度の普及を計画しており、生産者や消費者にPRし、二毛作地帯での生産拡大を図りたい。
◆大和勲 委員
猛暑に耐えられる上、食味もよい等のメリットがある品種とのことなので、地元の米麦の盛んな地域において、私自身も積極的にPRしていきたい。
◆
加賀谷富士子 委員
今年の猛暑による畜産の被害状況はどうか。
◎小茂田
畜産課長
今年の7月1日から9月15日までの被害状況は、特に採卵鶏と乳用牛への影響が大きかった。
各家畜の死廃状況は、採卵鶏が9,353羽で対前年比671%、ブロイラーが13,288羽で対前年比287%、乳用牛が103頭で対前年比224%である。鶏では暑熱により餌の摂取量が減少し卵のサイズが小さくなり、生産量も落ちてくる。乳用牛では、乳量が5~7%程度減少するなど、生産性へ影響が出ている。
◆
加賀谷富士子 委員
それに対して、畜産農家はどのような対策をしたのか。また、県としてはどのような対応をしたのか。
◎小茂田
畜産課長
畜産農家は、これまでも屋根への石灰塗布、散水、葦簀(よしず)やカーテンによる遮熱などの暑熱対策を行っている。畜種別に見ると、鶏舎や豚舎はクーリングパッドの設置、乳用牛では、牛舎内への扇風機の設置やトンネル換気、ミスト散布の対策をとっている。
県としては、
家畜保健衛生所の家保だよりを通じて、全ての畜産農家に向けて暑熱対策の指導助言と注意喚起を図っている。
◆
加賀谷富士子 委員
今後、県はどのような対応をするのか。
◎小茂田
畜産課長
来年度以降も、暑熱対策に関する的確な情報収集と注意喚起、指導助言等を行っていく。
◆
加賀谷富士子 委員
酪農家から話を聞いたところ、気温が40度くらいになると、暑熱対策として扇風機やミスト等の活用では足りず、新たに断熱材を導入するなどの対応が必要となる。その場合、多額の費用がかかるが、県として
補助事業の検討はできないか。
◎小茂田
畜産課長
全ての畜産農家が対象なので、支援策を講じるのは難しい。現状でも、国の
補助事業で暑熱対策の支援メニューがあるので、活用を推進したい。
◆
加賀谷富士子 委員
国の支援事業の内容はどのようなものか。
◎小茂田
畜産課長
暑熱対策に要する簡易的な設備導入への支援である。
◆
加賀谷富士子 委員
猛暑により畜産農家が困っている現状がある。県として効果的な対策を講じてほしい。
次に、地産地消推進店について伺いたい。地産地消推進店の取組状況はどうか。
◎新井
ぐんまブランド推進課長
16年度から県産農産物を扱う小売店、旅館・飲食店等を「ぐんま地産地消推進店」に認定する制度を開始し、現在、471店舗を認定している。また、21年度からは地産地消優良店の制度を開始し、45店舗を認定している。さらに、県産農畜産物を加工している業者に対しては、ぐんま地産地消協力企業・団体として53団体を認定している。
◆
加賀谷富士子 委員
推進店になると、どのようなメリットがあるのか。
◎新井
ぐんまブランド推進課長
県では推進店等に対して、認定証やのぼり旗等の販売促進資材を提供し、誘客に活用していただいている。また、県の
ホームページやパンフレットでもPRに努めている。さらに本年度から観光・食との連携の取組として、県の観光スマホアプリ「ぐんまちゃんパスポート」に推進店・優良店の情報ページを掲載したところである。
◆
加賀谷富士子 委員
今後の取組についてはどうか。
◎新井
ぐんまブランド推進課長
県民に実際に地元の食材を食べて、その良さを分かってもらいたい。また、観光の素材としても有効であるので、2年後のぐんまDCの開催に向けて、地産地消推進店・優良店の支援の充実に努めて参りたい。
◆
加賀谷富士子 委員
優良店の数が少ないことについて、どのように考えているか。
◎新井
ぐんまブランド推進課長
推進店の認定基準は、小売店の場合、「年間平均6割以上または年間合計20種類以上」の県産農畜産物を扱うこととしているところ、 優良店についてはさらに厳しい認定基準を設けており、「年間平均8割以上または年間合計30種類以上」とハードルを上げている。また、飲食店の場合、推進店の認定基準を「年間5割以上または県産農産物を主たる食材とした料理を常時10種類以上」提供することとしているところ、優良店については「年間8割以上または当該料理を常時13種類以上」提供することとしている。食材の品目によっては県内産が出荷されていない時期もあり、難しい面もある。
◆
加賀谷富士子 委員
伊勢崎の波志江パーキングエリアも推進店として認定されているとのことであるが、今年オープンした太田強戸パーキングエリアにも営業活動等を行っているのか。
◎新井
ぐんまブランド推進課長
機会を捉えて、営業活動を行っているところであるが、当制度の周知がまだ十分に図られていないとも感じているので、引き続きPRに努めたい。
◆
加賀谷富士子 委員
県産農畜産物を他県の人に知ってもらうためには、パーキングエリアで扱ってもらうことは効果的だと思うので、ぜひ推進してほしい。
次に、6次産業化の推進について伺いたい。これまでの取組はどうか。
◎新井
ぐんまブランド推進課長
近年における取組としては、25年11月に群馬県6次産業化サポート
センターを設置し、各種相談対応や専門プランナーの派遣を行ってきた。また、27年度から「群馬県6次産業化チャレンジ支援事業」を実施し、28年度から、「ぐんま6次産業化チャレンジ塾」を開講してきた。
◆
加賀谷富士子 委員
本年度の具体的な取組はどうか。
◎新井
ぐんまブランド推進課長
本年度も引き続き、6次産業化サポート
センターを設置するとともに、「ぐんま6次産業化チャレンジ塾」を実施する。また、「6次産業化チャレンジ支援事業」については、3件の農業者等を支援している。さらに、今年度は、新たに栃木県と連携して「6次産業化・地産地消商品商談会」をそれぞれの県内で1回ずつ開催し、群馬では、12月4日に開催予定である。
◆
加賀谷富士子 委員
県の他の機関との連携はどうか。
◎新井
ぐんまブランド推進課長
県の農業事務所、普及組織や試験研究機関とは定期的に会議を開催し、情報収集や共有を行い、連携して6次産業化に取り組んでいる。また、農村女性起業の方々が出展する「かあちゃんの天下一品フェア」の開催を支援し、個々の6次産業化事業者の活動が地域の活動へと広がるよう、仲間づくりを後押ししている。
◆
加賀谷富士子 委員
地域を巻き込んだ活動へと発展させてもらいたい。
○高橋正 委員長
それでは、以上で質疑を終結いたします。
△
付託議案の討論・採決
○高橋正 委員長
これより、
付託議案の採決に入ります。
議案の採決に先立ち、討論される委員は挙手願います。
(挙手なし)
討論がありませんので、本委員会に付託された議案のうち、農政部に関する議案について、採決いたします。
それでは、第139号議案について、これを原案のとおり可決することに賛成の委員は挙手願います。
(挙手全員)
挙手全員であります。
よって、第139号は、原案のとおり可決することに決定しました。
次に、第149号議案について、これを原案のとおり可決することに賛成の委員は挙手願います。
(挙手全員)
挙手全員であります。
よって、第149号は、原案のとおり可決することに決定しました。
次に、第150号議案について、これを原案のとおり可決することに賛成の委員は挙手願います。
(挙手多数)
挙手多数であります。
よって、第150号は、原案のとおり可決することに決定しました。
最後に、第151号議案について、これを原案のとおり可決することに賛成の委員は挙手願います。
(挙手全員)
挙手全員であります。
よって、第151号は、原案のとおり可決することに決定しました。
△請願の審査
次に、請願の審査に入ります。
本委員会に付託された請願のうち、
農政部関係の請願は、新規2件であります。
はじめに、第27号についてでありますが、昨日、2項2号の審査を行いましたので、本日は2項1号・4号について審査を行います。
それでは、第27号について執行部から説明願います。
◎倉澤
技術支援課長
(第27号「西毛地区開発に関する請願<2項1号・4号>」について説明)
○高橋正 委員長
説明は終わりました。
第27号2項1号・4号の取扱いについて、いかがいたしますか。
(「2項1号が継続、2項4号が採択」の声あり。)
今の内容ですと、第27号2項1号・4号としては、「一部採択」になります。
それでは、挙手により賛否を問います。
採択が2項4号、継続が2項1号、第27号としては一部採択に賛成の委員は挙手願います。
(挙手全員)
挙手全員であります。
よって、さよう決定いたします。
従いまして、昨日の審査結果とあわせて、第27号は全体として「一部採択」と決定いたします。
次に、第28号について執行部から説明願います。
◎土屋
蚕糸園芸課長
(第28号「(国)指定野菜価格安定対策事業に係る交付予約数量引き上げ(カバー率の向上)についての請願」について説明)
○高橋正 委員長
説明は終わりました。
第28号の取扱いについて、いかがいたしますか。
(「趣旨採択」の声あり。)
それでは、挙手により賛否を問います。
趣旨採択に賛成の委員は挙手願います。
(挙手全員)
挙手全員であります。
よって趣旨採択と決定いたします。
以上で、請願の審査は終了しました。
△基本計画議決条例の適用に係る調査
次に、基本計画議決条例の適用に係る調査を行います。
本調査は、平成30年度策定予定の各計画について、議会に議案を上程し議決を必要とするかどうか、調査をするものです。
農政部では、4件の計画について調査いたします。
それでは執行部から説明をお願いします。
◎中里 見
鳥獣被害対策支援センター所長
(「群馬県カワウ
適正管理計画」「群馬県ニホンジカ
適正管理計画」「群馬県
イノシシ適正管理計画」「群馬県ツキノワグマ
適正管理計画」について、説明)
○高橋正 委員長
説明は終わりました。
それでは説明のあった4つの計画について、取扱いはいかがいたしますか。
(「いずれも個別実施計画であるため条例不適用」の発言あり。)
それでは、本計画につきましては条例の不適用ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり。)
さよう決定いたします。
△その他
○高橋正 委員長
委員長報告につきましては、正副委員長にご一任願います。
△決算特別委員会環境農林分科会の連絡
次に、決算特別委員会の環境農林分科会の日程について、ご連絡します。
分科会審査は、前回の常任委員会でお話ししたとおり10月18日(木)に、環境森林部と農政部の審査を1日で実施したいと思います。
なお、分科会による現地調査は行わない予定です。
以上、ご承知おきください。
△散会
○高橋正 委員長
以上をもちまして、本委員会で審議すべき案件はすべて終了いたしました。
これにて散会いたします。
(午後2時43分終了)
委員会記録署名委員
環境農林常任委員会
委員長 髙橋 正...