群馬県議会 2018-06-13
平成30年第2回定例会公共交通・観光振興特別委員会−06月13日-01号
今、若い世代のライフスタイルの意識は成熟してきており、
公共交通中心の都会的なスタイルを求めるか、本当の
田舎暮らしを求めるか、2分化してきていると思っている。したがって、群馬のような、中間的な都市部は、若い人から敬遠されてしまうのではという危機感を持っており、今年度の委員会の中で、群馬県の新しい魅力作りができればよいと思っている。
公共交通施策においては、
アクションプログラムに注目しているが、その
進捗状況はどうか。また、
路線ごとに数値目標を設定する考えはあるのか。
◎松岡
交通政策課長
今年度、
JR吾妻線、
JR両毛線、
東武桐生線、上毛線の4路線について
アクションプログラムを策定する予定である。既に
沿線市町村による事前調査を終えており、今後は
各種データ分析を得て、県や
沿線市町村、
鉄道事業者などで構成する協議会を設置し、県が中心となって
アクションプログラムを策定する予定である。策定においては、重点プロジェクトの実施計画を盛り込むとともに、鉄道利用の現状を共有し、鉄道利用の促進について多くの皆様と一緒に考える機会を提供したいと考えている。
また、数値目標については単なる行政施策の成果指標ではなく、いかに沿線住民の行動を促すことにつながるのかを考えて議論していきたいと考えている。
◆
後藤克己 委員
県職員、前橋市職員の何割かでも
公共交通機関を利用すれば、前橋の中心街が活性化するくらいの人数になるかと期待しているが、
モビリティ・マネジメントについて、今年度どのようなことに取り組んでいくのか。
◎松岡
交通政策課長
まずは県庁職員、前橋市職員による
モビリティ・マネジメントの取組を検討している。
公共交通を使うことによるメリットを訴える形で
交通行動を変えてもらえるように、前橋市とも連携して取り組んでいきたいと考えている。
◆
後藤克己 委員
モビリティ・マネジメントが予算書に計上されていないため、ソフト施策で取り組むものと思われるが、予算をつけて、柔軟に取り組んでもらうことを期待したい。
「群馬県
交通まちづくり戦略」の施策の中で「まちのまとまりの形成」という項目があるが、今年度どのように進めていくのか。
◎眞庭
都市計画課長
「群馬県
交通まちづくり戦略」における「戦略3−1:まちの機能を基幹
公共交通軸周辺に集める」や「戦略3−2:住宅立地を
公共交通の利便性の高い地域に誘導」に記載されている施策から、市町村が地域の実情に応じて施策を選択し取り組むこととしている。県は市町村が策定する立地適正化計画の策定委員会に参加し助言等を行うほか、市街化調整区域の基幹的集落を対象に「市街化調整区域の地区計画制度」の活用を目指し、モデル地区の選定を進めている。
◆
後藤克己 委員
市街化調整区域の地区計画制度については、答弁いただいたように、地域をモデル的に選定しながら実施していく手法が適正であると考えるので、積極的に取り組んでいってもらいたい。
◆
岸善一郎 委員
わたらせ渓谷鐵道から日光への直通バスの実施状況はどのようになっているか。
◎松岡
交通政策課長
日光からの
観光誘客等による利用促進を図るため、初の試みとして、今年度、足尾駅と日光を結ぶ直通バスを貸切バスによるツアー形式により5日間実施している。既に4月7日、8日、21日と5月19日に実施し、6月16日が最終日となる。これまで4日間で延べ45名が参加し、同社社長から「わ鐵からの日光ルートを知ってもらう良い機会となり、今後も日光とつながっているわ鐵のPRに努めたい」と聞いている。ツアーの実施に当たっては、桐生市、みどり市、日光市で組織する「わたらせ渓谷鉄道連絡協議会」が、バスの借上料などを補助する予定と聞いている。
◆
岸善一郎 委員
4月21日と5月19日に行ったわたらせ日光フリープランの参加状況はどうか。
◎松岡
交通政策課長
4月21日は日光からと群馬からで各8名、5月19日は日光から1名であった。なお、春の花祭りフリープランの4月7日は群馬から20名、4月8日は8名で、参加者数は合計45名であった。
◆
岸善一郎 委員
参加者の45名は多いと思うか、少ないと思うか。
◎松岡
交通政策課長
社長と
意見交換したが、まだまだ日光につながっていることが知られていない。既に
路線バスでも約50分で行けるので、もっと日光方面にPRしたいと言っている。しっかりとサポートしたい。
◆
岸善一郎 委員
わたらせ渓谷鐵道から
上毛電鉄、JR前橋駅とつながればもっと乗ると思うがどうか。
◎松岡
交通政策課長
既に中央前橋駅とJR前橋駅はシャトルバスでつながっており、100円で乗ることができる。
◆
岸善一郎 委員
次に、これまで実施してきた「古代東国文化サミット」はとても良い取組だと思うが、今年度はどのように実施するのか。
◎高原 東国文化推進室長
「古代東国文化サミット」については、昨年度までに6回開催してきたが、今年度は内容を見直し、発展させた形で、「群馬古墳フェスタ」として開催する予定である。
◆
岸善一郎 委員
内容は変わってもかまわないと思うが、今後も継続していくということでよいか。
◎高原 東国文化推進室長
同様のイベントは、古墳を含めた東国文化の価値を、地域の人々に再認識してもらう良い機会となるので、今後も続けていけるよう努めたい。
◆
岸善一郎 委員
良い取組なので、是非、今後も続けて開催してほしい。
◆
井田泰彦 委員
「群馬県
交通まちづくり戦略」に記載のある、「1歩あたり0.061円」の医療費抑制効果や健康増進につながるという情報をもっとPRして、
モビリティ・マネジメントに取り組んで欲しい。
現状、県庁職員の
公共交通通勤者、
公共交通通勤ができる可能性のある職員の割合というのは把握しているのか。
◎松岡
交通政策課長
既に総務事務センターと打合せを実施しており、
公共交通通勤者数などの情報を確認しているところである。既存情報では、居住地付近のバス停の有無までは把握できないので、
モビリティ・マネジメントの取組の中で明らかにし、行動変容を促していきたい。前橋市でも同様な取組ができないか問合せをしているところである。
◆
井田泰彦 委員
「群馬県
交通まちづくり戦略」にある、乗換抵抗の改善(中央前橋駅−JR前橋駅間の接続改善)について、LRTや自動運転など様々な可能性による接続を検討するということで良いか。
◎松岡
交通政策課長
「群馬県
交通まちづくり戦略」では、乗り換えが
公共交通を選択する際の大きな抵抗となっていることから、乗換抵抗の改善を盛り込んだ。その中で、中央前橋駅−JR前橋駅間を含めた事例を掲載しているが、具体的にLRTに特定したということでなく、あらゆる方法で乗換抵抗の改善を進めていくという趣旨であり、今後、しっかりと検討してまいりたい。
◆
井田泰彦 委員
上毛電鉄の平成30年から平成34年までの経営再建計画では、車両の更新についてどのような整理となっているか。
◎松岡
交通政策課長
これまで運行してきた中古車両が50年を超えているため、今後5年間で2編成4両を新調する予定である。仮にLRTを導入するにしても、相当の時間がかかることが見込まれるため、まずは
安全運行を最優先して新しい車両を導入することとしたと聞いている。
◆
穂積昌信 委員
かわ
まちづくり計画の推進について、概要を教えてほしい。
◎平山
河川課長
かわまちづくりは、河川や川辺をまちづくりや観光の核として活用し、地域の魅力向上を目指す取組であり、住民、民間事業者、市町村及び河川管理者(県)などが連携して計画を策定し、それぞれの役割分担のもとに事業を進めるものである。その中で、河川管理者は、計画に基づき河川の安全利用のため護岸や管理用通路を整備したり、河川占用の特例として、オープンカフェや広告板の設置などを許可することなどにより、河川空間の解放を促進する。県内においては、国が管理する利根川で千代田町、烏川で高崎市の2箇所が
国土交通省の承認を受けたかわ
まちづくり計画として登録されている。また、みなかみ町では県が管理する利根川において、かわまちづくりの計画を進めている。
◆
穂積昌信 委員
河川空間をオープンカフェとして利用している具体例はあるか。
◎平山
河川課長
県内にはないが、東京都の隅田川や広島県の太田川等で実施している事例があり、これは「河川空間」と「都市公園」が一体となったまちづくりで、住民・市町村等と河川管理者が策定した計画のもと、オープンカフェ等の民間事業者の営業活動を可能とすることで、水辺を通じた地域の賑わいを創出するものである。
◆
穂積昌信 委員
ぜひ、市町村と連携して計画を進めていってもらいたい。
また、
公共交通に関連して、これまでの「エコ通勤」に関する取組について伺いたい。
◎松岡
交通政策課長
「エコ通勤」は、マイカー通勤から鉄道やバス、自転車、徒歩など「環境にやさしい
交通手段での通勤」を呼びかけた利用促進施策で、平成21年度から平成27年度まで実施したものである。
平成27年度の成果は、43事業所、約1万1千人の参加者があり、「エコ通勤」の割合が4.1%増加した。その内訳は、自転車・徒歩が2.1%、相乗りが0.9%増加したが、
公共交通利用者は1.1%にとどまり、一週間で延べ600人程度の
公共交通利用者が増えたことになる。一方、課題としては、「
公共交通を利用できる環境にない」、また、「利便性が低い」と回答した事業所が約7割もあるなど、
公共交通の利便性が低い状況にあることも明らかになった。
平成28年度以降、「エコ通勤」としての取組は実施していないが、毎月第一水曜日を県庁エコスタイルDayとして環境部局を中心に取り組んでおり、標準行動の中で、エコ通勤を推奨しているが、数値は把握していない。
◆
穂積昌信 委員
取組によって「エコ通勤」が4.1%増加するなど、環境に関しても大きな役割を果たしているため、かなりの有用性がある。マイカー通勤から、自転車を使うことで、
公共交通が使われたり、まちの賑わいにもつながるので、引き続き、「エコ通勤」に取り組んでもらいたい。
◆
多田善洋 委員
東毛地域から前橋、高崎に移動する場合、路線はつながっているが、煩雑であり、時間がかかるため、
公共交通機関を利用せず車に頼ってしまう。そのような中で、東毛地域と高崎を結ぶ新たな交通軸となるBRT構想については、有益な取り組みであり期待をしているが、技監の考えはどうか。
◎岩下 技監
例えば、館林から
公共交通機関を使い前橋方面へ来るには、何回も乗り換えないと来れないというのが実態である。平成28年度に全線開通した
東毛広域幹線道路は、直線道路で高崎までつながっており、新たな交通軸となるBRT構想を検討することにより、道路の有効利用のためにも良い方向に向かえば良いと考えている。
◆
多田善洋 委員
パーソントリップ調査の結果では、高齢者の外出目的の一番は「買い物」となっているが、買い物難民に対する移動販売等の支援の現状はどうか。
◎松岡
交通政策課長
買い物難民に対する支援は
産業経済部商政課で取り組んでおり、買い者弱者支援商業モデル事業として、買い物が困難な地域における買い物の利便性向上を図る取組を支援している。具体的には、店舗設置や改修、移動販売などの設備費に対して補助するものであり、平成29年度は、みなかみ町の商工会、平成28年度は、前橋市のNPOに補助を行っている。
○
南波和憲 委員長
最後に
県土整備部長から何か一言あるか。
◎中島
県土整備部長
「群馬県
交通まちづくり戦略」を策定して今年が初年度ということで、様々な取組にチャレンジしている。すぐに上手くは行かないと思うが、何回かチャレンジしながら良い取組を探していきたいと考えている。引き続き、様々な御意見や先進地事例を聞かせていただきながら、委員会での議論をもとに、自動車以外の
移動手段が選択できる社会の実現を目指して施策を展開していきたい。
○
南波和憲 委員長
以上で質疑を終了いたします。
△閉会中継続審査(調査)特定事件の決定
○
南波和憲 委員長
次に、委員会が閉会中審査または調査する案件については、お手元に配付してある案のとおりでよろしいでしょうか。
(異議なし)
ご異議ありませんので、さよう決定いたします。
△県内・県外調査について
○
南波和憲 委員長
次に、委員会調査の実施についてであります。5月25日に開催された正副委員長会議において、本委員会の県外調査は、9月4日(火)から6日(木)の2泊3日の範囲で実施することになりました。
現在、長野県方面で調査先を検討しております。なお、最終的な調査の決定については、正副委員長にご一任いただけますか。
(異議なし)
それでは、そのように取り計らいます。そのほか、何かございますか。
△散会
○
南波和憲 委員長
以上をもって本委員会で審議すべき案件はすべて終了いたしました。
本日は、これにて散会いたします。
(午後1:59終了)
委員会記録署名委員
公共交通・
観光振興特別委員会
委員長 南波 和憲...