館林美術館の
ESCO事業について伺いたい。ここ10数年来、自治体のアウトソーシングが行われていて、民間の
ノウハウや活力を利用するという名目である。実際には、経費の節減が目的化して、「安かろう、悪かろう」という弊害が全国的にみられる。たとえば、PFIで
公立病院の建替えや運営を行ったが、病院の運営は簡単にできるわけではなく破綻してしまい、再び、公立に戻ってしまった。また、
スポーツ施設を建設したが、天井が落下するという事故が起きている。
ESCO事業も、ほぼ似ている考え方で行っている。
ESCO事業は民間への丸投げではないかということについて、どのように考えるか。
◎山崎
文化振興課長
民間事業者に非常に高度な
ノウハウを駆使していただき、長期的、総合的な
コスト削減に民間の優れた
ノウハウを発揮させるため、
県直営では達成は非常に困難なレベルである。民間の優れた
事業者に委託することによって、初めて効果が出る事業と考えている。
◆
伊藤祐司 委員
「非常に高度な
ノウハウ」というが、民間に委せているだけでは、県には
エコ事業の
ノウハウが蓄積されず、県は排除されることになる。技術的にはそのような問題が起きてくる。
ESCO事業の先例である
自然史博物館の実績では、年間1億円程度の費用が9,000万円程度に圧縮されているが、多くは
光熱水費であって、古い設備を新しいものに更新したことによる効果だけではないのか。
◎山崎
文化振興課長
古いものを新しいものに更新したという面もあると思うが、
エネルギーマネジメントシステム等を活用した最新の
ノウハウによる効果も相当あると考えている。大半は、民間の
技術ならではだと思う。
◆
伊藤祐司 委員
そのように言っても、
設備更新による部分やマネジメントの活用による部分が、どのくらいになるかを明らかにしなければ、とても認められない。今後、
県自体も
ノウハウをしっかり蓄積していくべきである。
ESCO事業は、民間に丸投げするという側面がある。
県直営とすると
初期投資はどの程度か。
◎山崎
文化振興課長
自然史博物館の場合、
設備整備費償還の年額3,250万円の13年分の額となる。
◆
伊藤祐司 委員
約4億円の
初期投資となるが、これは群馬県が出すのではなく、
民間事業者が出すものである。事実上、大企業しか受注できないことにならないか。
◎山崎
文化振興課長
大きな投資とはなるが、
下請け業者等の選定にあたっては
県内業者を優先する、運転・維持を担う者については県内に本・
支店等を置く業者とするなど、県内の
中小企業にも配慮する方針で対応している。
十分、配慮していると考えている。
◆
伊藤祐司 委員
10数年の
長期債務の
負担行為を設定することになる。
長期債務による
リスクについてどう考えるか。
◎山崎
文化振興課長
企業破綻などの
リスクもあるが、長期にわたり
光熱水費が節減され、
温暖化対策の効果が保証されるというメリットもある。
◆
伊藤祐司 委員
県として、そのような
ノウハウを持っていただくことにより、様々な波及効果が生まれると思う。結局、経費節減がキーワードに出てくる。10数年前に、敷島公園を指定管理にした。県の外郭団体である群馬県公園緑地協会が指定管理者になっていたが、何回目かの更新の際に、東京の民間事業にプレゼンで負けて、その
事業者に指定管理者が移ってしまった。その後、引き続き同じ従業員が雇用され、公園の管理を行っている。しかし、雇用主が変わったら給料を大幅に下げられて、労働環境が厳しくなり、やる気を無くして辞めていった者もいる。また、敷島公園で西武・オリックス戦が行われた時に、前日の練習で、西武の選手が着替える部屋に机や椅子が積み上がっていて、選手が入ることができなかった。試合の運営に齟齬を来すような事態が起きて、使用料を半額にして副知事が謝りに行ったことがあった。
ESCO事業により民間の経済論理が導入され、また、受注者が変わることにより、労働者の雇用環境に変化が生じるケースもあるがどう考えるか。
◎山崎
文化振興課長
ESCO事業については長期となるため、労働者への影響は軽微と考えている。
◆
伊藤祐司 委員
民間の資本の論理を投入するわけである。県の直営で行えば、労働者の待遇は不十分ではあるが、規定が取りあえずは存在する。民間事業であると、事業費の赤字があれば労働者にしわ寄せを行っていくことが十分、考えられる。このような
リスクがあることを十分意識しなければならない。事業の導入自体に反対ではあるが、導入するのであれば、県として
ノウハウが蓄積できないことへの危惧、労働者の待遇が保証されないことなどを充分に意識のうえ、事業を進めて欲しい。
△休憩
○
井下泰伸 委員長
暫時休憩いたします。午後1時から再開いたします。
(午前11時57分休憩)
(午後1時00分再開)
△再開
○
井下泰伸 委員長
休憩前に引き続き、質疑を続行します。
◆
水野俊雄 委員
DVに関する
アンケート調査の結果について伺いたい。少しショッキングな結果であると思う。DVについて7人に1人が被害経験があるということや、デートDVを「知らなかった」という方が4割以上いることや、デートDVの被害も見受けられる。DV・デートDVの各
アンケート調査はどのような方々を対象に行ったのか。
◎星野
人権男女・多
文化共生課長
DVの
アンケート調査は、県庁内の各課が行った子育て、農業など様々な講座の参加者を対象に実施した。女性約1,300人、男性約700人であった。デートDVの
アンケート調査は、デートDV啓発講座に参加した、中学4校、高校3校、大学2校、計9校の学生を対象に実施した。女子生徒約800人、男子生徒約940人であった。
◆
水野俊雄 委員
若年層の人がデートDVの被害に遭わないようにするためにどうしたらよいと考えるか。
◎星野
人権男女・多
文化共生課長
DVについての正しい知識に関する普及啓発が重要であると考える。昨年度、啓発資料2万2千部を作成し、
市町村、文化施設、医療機関、
支援団体等に配布した。また、若者向けデートDVに関する啓発資料18万部を中学3年生、高校生、大学に配布した。加えて、相談窓口を紹介したカードを、小売店舗の女子トイレ等で配布する等、相談窓口の周知に努めている。
◆
水野俊雄 委員
細やかな工夫をして対策を行っていることに感謝する。人権意識の啓発が重要になっていると感じており、
人権男女・多文化共生課だけで担えるものではなく、全庁挙げて取り組んでいただきたい。
続いて、スポーツ指導者について伺いたい。日大のアメフト部の問題への感想はどうか。
◎新井
スポーツ振興課長
指導者の規範意識を高めることがこれまで以上に求められてきていると感じている。
◆
水野俊雄 委員
様々な報道があるが、概して、成果主義や勝利至上主義が、このような関係を生んだのではないかと言われている。追い込んだ指導や人格を傷つける指導は社会的に容認できない。指導者の資質向上が望まれるが、県の取組はどうか。
◎新井
スポーツ振興課長
県スポーツ推進計画では、
日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者の増加を目標に掲げており、資格取得の際には必ず「スポーツ指導者の倫理」について学ぶことになっている。県ではこれまで、指導者養成事業の中で指導者の資質向上にも取り組んできたが、今後は、県スポーツ協会や学校体育団体等と連携しながら、社会規範等に関する意識の啓発を含めた研修機会を設け、指導者の資質向上を図っていきたい。
◆
水野俊雄 委員
公認スポーツ指導者の増加について、目標等はあるのか。
◎新井
スポーツ振興課長
県スポーツ推進計画では、公認スポーツ指導者の登録者数を、2020年度までにコーチ400人、上級コーチ150人とすることを目標としている。その他に、身近なスポーツを担っていただく指導者が県内に3,500人程度いるが、全ての方がスポーツの倫理に関する講習を受けている。
◆
水野俊雄 委員
今年度からスポーツ指導者の制度を大幅に変更したと聞いている。具体的には、運動技能に関する知識より倫理やコミュニケーション能力の向上、最新の指導方法の習得、プレーヤーの人格や資質を尊重することを求めている。今後、研修に反映されていくと言われている。一度、資格を取得した指導者も、もう一度、確認を頂く機会が必要である。日大のアメフトの件が全て参考になるか分からないが、指導者として立場の高い人ほど、倫理に関して無自覚かもしれないし、一方、倫理に関して繊細に取り組んでいる指導者の方もいるかもしれない。このような問題を群馬県は絶対に起こさないという心構えで指導者の資質の向上に努めてほしい。学校の部活動を例として言うと、病院に行って診断書を出されたにも関わらず、試合や練習を強制させるような空気があって、最終的には、その競技を続けられなくなったという話を直接、聞いたことがある。単に倫理的な問題ではなく、生涯にわたってスポーツを楽しんでいくことが望まれる。学齢期の方は、人格の形成やその後の豊かな生活の基盤を築くためにスポーツをやっている。指導者の資質の向上に積極的に取り組んで欲しいと考えるが、今後の取組について決意はどうか。
◎新井
スポーツ振興課長
「人生を豊かにする」、「スポーツを通じて人として成長する」という本来のスポーツの目的を踏まえて、県スポーツ協会と連携してあらゆる機会をとらえて指導者の資質向上について啓発していきたい。
◆
水野俊雄 委員
続いて、障害者による文化芸術活動の推進について伺いたい。昨日、障害者の文化活動を推進するための法律が可決されたが、現在、県としては、障害者の文化活動をどのように支援しているのか。
◎山崎
文化振興課長
第2次群馬県
文化振興指針においても、障害のある人の参画の促進として位置づけている。具体的には、障害政策課が実施している障害者作品展などで、障害を持つ方の発表の機会を提供する取組などを進めたい。
◆
水野俊雄 委員
国の法律ができる前に、県では、しっかり位置付けていることに対して安心した。障害者の作品展が文化芸術祭の中にあることを確認した。出品数を増やしていくこが目標とあり、広く取組を広げていこうとされている。一方、法では、障害者による文化芸術活動の推進は、国や自治体の責務であるとされている。国には、基本計画の策定が義務付けられているが、自治体は、基本計画について努力義務とされている。国の法律可決の動きについてどう考えるか。
◎山崎
文化振興課長
障害者による文化活動は社会全体の活力にもつながるものである。法律ができた背景など研究していきたい。
◆
水野俊雄 委員
法には、障害者の方が文化芸術活動を発表する機会を確保するとある。また、芸術上の価値の高い作品を発掘し、評価していくことや、作品の権利擁護や販売支援などが規定されている。障害を持っている方が学校現場を訪問することにより交流することも位置付けている。障害を持っている方の活動を支えたり、コミュニケーションを取っていくことがイメージされている。法律を研究して、施設で芸術活動を行っている障害者に専門家を派遣するような具体的な取組を検討してほしい。
◆
今泉健司 委員
東国文化の周知について伺いたい。現在、「
東国文化副読本」を使って様々なことを学ばせており、郷土愛を育む上で重要なことであると思う。ただ、小学生に歴史を体系的に学ばせることは大変であると思うので、小学生を交えるのであれば、親子で
東国文化に触れていただきたい。
東国文化について親子で学べるような取組が必要だと思うが、考え方や具体的な取組について伺いたい。
◎高原
東国文化推進室長
歴史文化を広めるためには、子供たちに親しんでもらうことが大切だと考えている。これまで、県内全ての中学1年生に「
東国文化副読本」を配布するほか、
東国文化のゆかりの地を巡るスタンプラリー、
東国文化自由研究、
東国文化体験キャンプ等、親子で参加できる事業を実施してきたが、今後もより多くの人に参加してもらえるよう工夫していきたい。
◆
今泉健司 委員
「上野三碑」もそうだが、地域の人が目を向けることはあっても、地域外になると遠くに感じてしまうことが多い。子供の頃から
東国文化に触れられるよう、引き続き全県的に取り組んでほしい。
○
井下泰伸 委員長
以上で質疑を終結いたします。
△
付託議案の討論・採決
○
井下泰伸 委員長
これより
付託議案の採決に入ります。議案の採決に先立ち、討論される委員は挙手願います。
(「なし」の声あり)
討論がありませんので、本
委員会に付託された議案のうち、
生活文化スポーツ部関係の議案について採決いたします。承第2号について、これを原案のとおり、承認することに賛成の委員は挙手願います。
(挙手全員)
挙手全員であります。よって、承第2号は原案のとおり承認することに決定いたしました。
△請願の審査
○
井下泰伸 委員長
次に、請願の審査に入ります。本
委員会に付託された請願のうち、
生活文化スポーツ部関係の請願は、新規1件であります。
それでは、第26号について
執行部から説明願います。
◎新井
スポーツ振興課長
(第26号「屋内公認温水プールの建設についての請願」について説明)