群馬県議会 2016-09-26
平成28年 第3回 定例会-09月26日-02号
平成28年 第3回 定例会-09月26日-02号平成28年 第3回 定例会
群馬県議会会議録 第2号
平成28年9月26日 出席議員 49人 欠席議員 1人 欠員 0人
関根圀男 (出席) 中沢丈一 (出席)
腰塚 誠 (出席) 南波和憲 (出席)
黒沢孝行 (出席) 松本耕司 (欠席)
久保田順一郎 (出席) 星野 寛 (出席)
須藤昭男 (出席) 岩井 均 (出席)
織田沢俊幸 (出席) 狩野浩志 (出席)
新井雅博 (出席) 福重隆浩 (出席)
橋爪洋介 (出席) 岩上憲司 (出席)
萩原 渉 (出席) 星名建市 (出席)
伊藤祐司 (出席) 角倉邦良 (出席)
井田 泉 (出席) 須藤和臣 (出席)
あべともよ (出席) 水野俊雄 (出席)
後藤克己 (出席) 中島 篤 (出席)
岸 善一郎 (出席) 大手治之 (出席)
臂 泰雄 (出席) 井下泰伸 (出席)
酒井宏明 (出席) 金井康夫 (出席)
原 和隆 (出席) 金子 渡 (出席)
安孫子 哲 (出席) 清水真人 (出席)
藥丸 潔 (出席) 小川 晶 (出席)
髙橋 正 (出席) 金井秀樹 (出席)
本間惠治 (出席) 伊藤 清 (出席)
山﨑俊之 (出席) 荒木恵司 (出席)
大和 勲 (出席) 川野辺達也 (出席)
本郷高明 (出席) 穂積昌信 (出席)
井田泰彦 (出席) 加賀谷富士子 (出席)
説明のため出席した者の職氏名
知事 大澤正明
副知事 反町 敦
副知事 村手 聡
教育長 笠原 寛
選挙管理委員長 松本修平
人事委員長 森田 均
代表監査委員 横田秀治
公安委員長 児玉三郎
警察本部長 小田部耕治
企業管理者 関 勤
総務部長 深代敬久
企画部長 向田忠正
生活文化スポーツ部長 佐藤裕子
こども未来部長 中村弘子
健康福祉部長 塚越日出夫
環境森林部長 井田由夫
農政部長 宮崎一隆
産業経済部長 塚越正弘
県土整備部長 上原幸彦
危機管理監 萩本勝美
会計管理者 戸塚俊輔
病院局長 青木 勇
財政課長 友松 寛
職務のため出席した者の職氏名
局長 根岸良夫
総務課長 小宮利夫
議事課長 山岸敏明
議事課次長 宮下智夫
議事課係長 田子敏美
議事課主幹 向田敬行
議事課主幹 桑山純一
平成28年9月26日(月)
議 事 日 程 第 2 号
第1 質疑及び一般質問
・第139号議案から第159号議案について
以 上 知 事 提 出
午前10時開議
● 開議
○星野寛 議長 これより本日の会議を開きます。
● 質疑及び一般質問
○星野寛 議長
△日程第1、第139号から第159号までの各議案を一括して議題とし、上程議案に対する質疑及び一般質問を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
──────────────────────────
本 日 の 発 言 通 告
┌────────┬───────────────────────────┬──────────┐
│氏名
│ 発言通告内容 │答弁を求める者の職名│
│(所属会派) │ │ │
├────────┼───────────────────────────┼──────────┤
│ │1 八ッ場ダムについて
│ │
│ │ (1) 総事業費の増額について │知 事 │
│ │ (2) ダム周辺の地すべりについて
│県土整備部長 │
│ │ (3) 埋蔵文化財について
│ │
│ │ ① 埋蔵文化財発掘調査について
│県土整備部長 │
│ │ ② 埋蔵文化財調査の成果について
│教育長 │
│ │ (4) コストの縮減について
│県土整備部長 │
│ │ (5) 八ッ場ダムに対する知事の思いについて │知 事 │
│星名建市 │2 9月補正予算について
│ │
│(自由民主党) │ (1) 補正予算に対する知事の考えについて │知 事 │
│ 発言割当時間 │ (2) コンベンションの推進について
│ │
│ 65
分│ ① 施設整備について
│企画部長 │
│ │ ② 群馬県
コンベンションビューローについて
│企画部長 │
│ │ (3) 東国文化周知について
│ │
│ │ ① 東国文化周知について
│生活文化スポーツ部長│
│ │ ② 古代東国文化サミットについて
│生活文化スポーツ部長│
│ │3 障害者差別解消法について
│ │
│ │ (1) 法の内容と県の取組状況について
│健康福祉部長 │
│ │ (2) 条例の制定について
│健康福祉部長 │
│ │4 自転車を利用した歴史文化遺産の周遊について
│生活文化スポーツ部長│
├────────┼───────────────────────────┼──────────┤
│ │1 群馬県の医師確保について
│ │
│ │ (1) 群馬大学医学部附属病院の医療事故の影響について
│健康福祉部長 │
│ │ (2) 地域間での医師偏在について
│健康福祉部長 │
│ │2 群馬県の教育課題について
│ │
│ │ (1) 県立高校前期試験の活用について
│教育長 │
│ │ (2) 教職員の長時間労働の解消に向けた取組について
│ │
│ │ ① 長時間労働解消に向けた連携体制について │教育長 │
│角倉邦良 │ ② 具体的な数値目標について
│教育長 │
│(リベラル群馬)│3 県有施設でのアスベスト除去の進捗状況について
│総務部長 │
│ 発言割当時間 │4 八ッ場ダム建設に関する基本計画の変更の問題点につ
│ │
│ 65分│ いて
│ │
│ │ (1) 5箇所の安全対策箇所を対策不要とした調査結果と
│県土整備部長 │
│ │ 理由について
│ │
│ │ (2) ダム建設事業の完了の時期について
│県土整備部長 │
│ │ (3) 基本計画変更の議決について
│企画部長 │
│ │ (4) 更なる工期延長等が行われた場合の知事の対応につ│知 事 │
│ │ いて
│ │
├────────┼───────────────────────────┼──────────┤
│ │1 八
ッ場ダム建設事業費の増額について
│企画部長 │
│ │2 ダムの効果と地域振興について
│ │
│ │ (1) 既設ダムの治水・利水の効果について
│県土整備部長 │
│ │ (2) 八ッ場ダムの治水・利水の効果について
│県土整備部長 │
│ │ (3) 県内の
ダム周辺地域振興策について
│県土整備部長 │
│ │ (4) 今後のダムを活用した地域振興の取組について │知 事 │
│ │3 防災・減災対策について
│ │
│ │ (1) 洪水対策について
│県土整備部長 │
│ │ (2) 流木対策について
│環境森林部長 │
│ │ (3) 災害に強い森林づくりについて │知 事 │
│ │4 道路整備等について
│ │
│ 新井雅博 │ (1) 「7つの交通軸」以外の道路整備について
│県土整備部長 │
│(自由民主党) │ (2) 県境の道路整備について
│県土整備部長 │
│ 発言割当時間 │ (3) 道路標識の改修について
│ │
│ 65
分│ ① 道路標識の英語表記化について
│県土整備部長 │
│ │ ② 既設道路標識の改修について
│県土整備部長 │
│ │5 ぐんまマラソンについて
│ │
│ │ (1) ぐんまマラソンの準備状況について
│生活文化スポーツ部長│
│ │ (2) 募集人数の見直しについて
│生活文化スポーツ部長│
│ │ (3) ランナーに選ばれる大会とするための取組について
│生活文化スポーツ部長│
│ │6 歴史博物館と近代美術館の連携について
│ │
│ │ (1) 歴史博物館の
リニューアルオープンの効果について
│生活文化スポーツ部長│
│ │ (2) 2館の共通入館券の発行について
│生活文化スポーツ部長│
├────────┼───────────────────────────┼──────────┤
│ │1 障がい者の居住支援について
│ │
│ │ (1) 津久井やまゆり園の事件について │知 事 │
│ │ (2) 県営住宅への
グループホーム設置について
│県土整備部長 │
│ │ (3) 障がい者世帯の家賃債務保証について
│県土整備部長 │
│ │ (4) 障がい者の居住支援について
│健康福祉部長 │
│ │2 障がい者差別の解消の推進について
│ │
│ │ (1) 教員採用試験について
│教育長 │
│ │ (2) 県政における「障害者差別解消法」について
│健康福祉部長 │
│ │3 水害や土砂災害について
│ │
│ 水野俊雄 │ (1) 台風13号について │危機管理監 │
│(公明党) │ (2) 水害や土砂災害対策への更なる備えについて
│県土整備部長 │
│ 発言割当時間 │ (3) 住民参加の防災体制強化について │危機管理監 │
│ 65分│4 内水対策について
│ │
│ │ (1) 前橋市川曲町・高崎市京目町の市境付近における内
│県土整備部長 │
│ │ 水被害について
│ │
│ │ (2) 複数の市町村に関わる内水対策について
│県土整備部長 │
│ │5 子育て支援について
│ │
│ │ (1) 子育て世代包括支援センターの設置について
│こども未来部長 │
│ │ (2) 宿泊型産後ケア事業の推進について
│こども未来部長 │
└────────┴───────────────────────────┴──────────┘
──────────────────────────
○星野寛 議長 星名建市議員御登壇願います。
(星名建市議員 登壇 拍手)
◆星名建市 議員 おはようございます。今定例会一般質問のトップバッターを仰せつかりました自由民主党の星名建市です。通告に従いまして順次質問させていただきますので、知事及び執行部におかれましては、簡潔明瞭な答弁をお願いしたいと思います。また、今日は手話通訳の方においでいただいております。小山敏子さんと水野里香さんであります。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは初めに、知事、お願いいたします。
○星野寛 議長 知事。
(大澤正明知事 登壇)
◆星名建市 議員 八ッ場ダムについてお伺いをいたします。総事業費の増額についてであります。
八ッ場ダムの事業費増額については、我が党の南波・萩原両地元県議をはじめ、大勢の議員が本会議や常任委員会、あるいは特別委員会等で質疑をしてまいりました。知事は、八ッ場ダム建設に関連して、国が基本計画を変更し、事業費を約720億円増額することについての意見照会に対し、同意するとして今定例会に議案を上程されました。もちろん、御案内のとおり、知事が国に対して意見を述べる際には議会の議決が必要となり、それはまさに今議会の議決ということになります。そこで、知事並びに執行部には、このことに関して、よりわかりやすく、そしてきちんとした議会が納得できる答弁をしていただかなければなりません。
そこでまず、知事にお聞きをいたします。八ッ場ダムは、その長い歴史において、複数回の計画見直しが行われ、その都度、費用の増額や工期の変更などがなされてきたわけであります。〔資料(1)提示〕ここに八ッ場ダムに関する経過ということで示させていただきました。ここにありますように、平成13年9月の第1回変更で工期が延長され、平成16年の第2回変更では事業費が約2,110億円から約4,600億円に増額をされました。そして、さらに平成20年9月の第3回変更で、工期は平成27年度に延期になりましたが、事業費は4,600億円に据え置かれたのであります。その後、平成21年9月に政権交代で鳩山内閣が発足し、前原国交大臣によってダム事業の中止が決定され、その1年後の平成22年9月に関東地方整備局がダム建設の是非について再検証を開始しました。再検証は1年半にわたって行われ、平成23年2月には、当時の前田国交大臣によって八ッ場ダム建設の継続が決定されたのであります。
しかしながら、中止期間があったことにより、平成25年11月の第4回変更で工期は延長され、平成31年度の完成を目指すこととなりました。その折、工事費は据え置かれており、知事も当時、今後の増額はないと発言されていたように記憶をいたしております。このことについて、知事の御所見をしっかりと伺いたいと思います。
さらに、今回は5回目の計画変更になります。今回の議案に関しては、先日の我が党の政調会でも、新井議員をはじめ、厳しい意見が多く出されておりました。事業費の増額は、本県の新たな財政負担約33億8,000万円が生じることになります。今までの経緯から考えて、本当にこれで終わるのでしょうか。これ以上の工期延長や費用の増額はないのでしょうか、不安であります。知事の明快な御答弁をお願いいたします。
◎大澤正明 知事 これまでの八
ッ場ダム建設基本計画の変更に際しましては、国に対して、生活再建事業に万全の対策を図ることとあわせまして、工期の厳守、一層のコスト縮減による総事業費の圧縮を強く求めてきたところでございます。総事業費を増額する今回の基本計画変更は大変に遺憾であります。国から変更の内容について直接説明を受けるとともに、関係都県と協力して内容の精査を行いました結果、変更は避けられないものであるという認識に至ったところであります。一方で、ダム湖を前提とした現地の生活再建事業は、はや終盤を迎えておりまして、ダムの完成をこれ以上決して遅らせてはならないという思いから、熟慮に熟慮を重ねた結果、今回の増額はやむを得ないという判断をしたところであります。
議員御指摘の今後についてでありますけれども、今回の事業費増額分には現時点で想定される増要因の全てが考慮されていると認識をしております。また、工期について、国からはさらなる延期が必要となるとの情報提供は受けておらない状況であります。今回の変更に際して、国に対して、生活再建事業の早期完了はもとより、総事業費の圧縮、ダムの早期完成を強く求めているところであります。そのためにも、工期末を見据えた事業監理を行うため、適時、関係都県と情報を共有することを求めるとしておりまして、県としても、国がコスト縮減や工程管理にしっかり取り組むよう、関係都県とともに注視をしてまいりたいと考えております。
◆星名建市 議員 知事は、関係都県と協力をして内容を精査した結果、変更は避けられないものである、そして、現地のダム湖を前提とした生活再建事業は終盤を迎えている、ダムの完成をこれ以上決して遅らせてはならないという強い気持ちから、熟慮に熟慮を重ねて、やむを得ないものと判断をしたということであります。知事にはありがとうございました。
県土整備部長、お願いいたします。
○星野寛 議長 県土整備部長、答弁席へ。
(
上原幸彦県土整備部長 登壇)
◆星名建市 議員 それでは、県土整備部長にダム周辺の地すべりについてお伺いをいたします。
国の記者発表資料では、事業費の主な増要因の中で最大のものは公共工事関連単価の変化等であり、次いで地質条件の明確化等による要因となっております。物価等に関しては、平成25年から人件費等が高騰していることが明確であり、やむを得ない部分ではあるというふうにも思います。また、ダム本体の基礎岩盤の地質状況などについては、多数のボーリング調査を行ったとしても得られる情報は限定的でありまして、現地での調査が進捗して初めて実態が明確になるということであります。かたい地盤が想定より広く分布をし、爆薬を用いた掘削など費用のかかる工事が増加してしまったことなどは、当初より予想することは困難であったと理解をするところではありますが、しかしながら、地すべり等に対する安全対策に関する費用については、地元住民の生活にも大いに影響することであり、増額要因としても大きな部分を占めています。
これまでも、ダム周辺の地すべりについては、地元住民の安全・安心の観点から非常に重要な問題であり、多くの議論がなされてきました。そのときには、地すべり対策は十分だともとれる答弁が当局からあったようにも思いますが、県は国に対して、今回の地すべり等に対する安全対策に係る増額要因について詳細の確認はしているのか、お伺いをいたします。
また、別のダムでは、試験湛水中に地すべりが発生した事例があるとも聞いておりますが、今回国が提示した対策を講じれば、八ッ場ダムの湛水に伴う地すべりは発生せず、地元住民の安全・安心を確保できると言えるのか、お聞きをいたします。
◎上原幸彦 県土整備部長 ダム完成後の湛水の影響による地すべりなどの地盤対策には、大きく分けて、地すべりに対する地盤対策と、代替地における盛土造成地に対する地盤対策がございます。地すべりに対する地盤対策につきましては、まず最新の「貯水池周辺の地すべり調査と対策に関する技術指針(案)」に基づきまして、飛行機からレーザー光線を利用して詳細な地盤の高さを測量し、地すべりの可能性のある区域を選定いたします。次に、選定した区域に対して、地盤の状況が詳細にわかるボーリング調査や地下水の状況調査などを行いまして、地下の状態を正確に把握するとともに、湛水の影響も考慮した安定解析により、所定の安全率が確保されているかどうかを確認し、対策の必要性を判断いたしました。ダム湖周辺地域全体で調査・検討を行った結果、ダム検証時に11カ所としていた対策箇所が6カ所となりまして、今後、国は必要な対策を実施することとしております。
次に、代替地の盛土造成地に対する地盤対策につきましては、宅地造成等規制法及び最新の「
宅地防災マニュアル」などに基づき、調査段階から盛土の安定性に関する専門家の意見を聞きながら、盛土をしている場所の地盤の状況が詳細にわかるボーリング調査や、その土の特性を計測する試験を行い、盛土造成地における土壌の状態を正確に把握するとともに、湛水の影響も考慮した安定解析によりまして所定の安全率が確保されているかどうかを確認し、対策の必要性を判断してまいりました。全ての代替地におきまして調査・検討を実施した結果、ダム検証時と同じ5カ所が対策箇所となり、今後、国は必要な対策を実施することとしております。
県といたしましては、このように国が現在の最新の技術指針等に基づき、専門家の意見を反映するなど、可能な限り調査・検討を充実させ、安全性を確認した結果であり、今回国が必要とした対策を確実に実施することにより、地元の皆様の安全・安心は確保されるものと考えております。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。国が最先端の技術を使ってしっかりと今回対応しているということであるので、県としては、今後の地すべり等に対しては心配がないということでよろしいのでしょうか。ありがとうございました。
次に、埋蔵文化財についてお伺いいたします。
埋蔵文化財の発掘調査費用につきましても大幅な増額となっていますが、その要因は何かをお聞きいたします。
◎上原幸彦 県土整備部長 主に調査の進捗に応じて掘削調査の範囲が拡大したこと及び1つの掘削調査地点でも何層にも及ぶ年代の調査が必要となったことによりまして、調査員の延べ人数と作業時間が増大したため増額となったものであります。
◆星名建市 議員 県土整備部長、ありがとうございました。
次に、教育長、お願いします。
○星野寛 議長 教育長、答弁席へ。
(笠原 寛教育長 登壇)
◆星名建市 議員 範囲が拡大したということでありますけれども、この件につきまして教育長にお伺いをいたします。
9月14日の上毛新聞に、八ッ場ダム近くの長野原居家以岩陰遺跡から8,300年前の国内最古級の埋葬人骨が発見されたとの記事がありました。時代は違いますが、東国文化につながっていく可能性を感じさせます。
そこで、八ッ場ダムの発掘ですが、前問で調査の範囲が拡大をしているということでありますが、現時点でその成果についてお伺いをいたします。
◎笠原寛 教育長 お答えいたします。
今、議員から御指摘がございました居家以岩陰遺跡ですとか唐堀遺跡等、八ッ場ダムの近隣で注目される遺跡の報道が相次いでおりますが、八ッ場ダム関連の遺跡でも大きな成果が得られているものと考えております。平成6年度に開始をいたしました発掘調査では、これまでに54遺跡の調査を行っておりまして、工事工程と調整しながら、ダムの完成までに終了する予定でございます。現時点までに縄文時代や江戸時代の遺跡が調査され、数多くの遺構や出土品が発見されております。
このうち縄文時代の関係では、横壁中村遺跡や長野原一本松遺跡、林中原II遺跡などにおきまして、縄文時代中期から後期、約5,000年から3,000年前の大規模な集落跡が発見され、長野や北陸地方との交流を示します土器や石器を含む豊富な遺物が出土しております。縄文時代の群馬は、関東の平野部と長野や北陸地方との交流の中間点に当たり、双方の地域の文化的な要素が混在していることが県内各地の発掘調査によってこれまで確認されておりますが、八ッ場という山間地域におきましても、地域間の交流を如実に物語る遺物が発見されたことは大きな成果であると考えております。このことは、今日、本県がその拠点性を活かして、交流人口の増加や県内産業の振興を図っていくことのルーツをも物語るものではないかと思っております。
また、江戸時代の関係では、天明3年(1783年)、浅間山が大噴火した際に発生した泥流、いわゆる「天明泥流」によりまして埋没した屋敷跡や畑跡が発見されております。中でも東宮遺跡で見つかりました屋敷跡では、げたや草履、鉄鍋やうちわ、くわや鎌など多様な生活用具や農具類が発見されておりまして、江戸時代における山間部での集落の様相と泥流被害の状況を今に伝える調査成果が得られております。これらの調査成果につきましては、順次発掘調査報告書として刊行しておりますほか、縄文時代の石でつくったおのや江戸時代のくし、あるいは漆塗りのお椀など、遺物の一部を、リニューアルされました県立歴史博物館で現在展示しておるところでございます。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。54遺跡、主に縄文時代と江戸時代ということであります。今お聞きしただけでも大変多くの遺跡が発掘されているということであります。ぜひ、これは群馬県のためにしっかりと役立てていただきますようにお願いを申し上げます。ありがとうございました。
もう1度県土整備部長、お願いします。
○星野寛 議長 県土整備部長、答弁席へ。
(
上原幸彦県土整備部長 登壇)
◆星名建市 議員 コストの縮減についてお伺いをいたします。
今回、大幅な増額の計画変更が示されています。増額の要因や金額のみが大きく報じられており、コストの縮減が見えてきません。あらゆる分野において事業費を見直す中で、コスト縮減の要因はなかったのでしょうか。当然のことではありますが、この部分をしっかりとしておかなければ、到底今回の増額への納得はいかないものだと思います。国は変更に際してコストの縮減について最大限の努力をしているのか、徹底的に検証したのか、具体的にお聞かせください。
◎上原幸彦 県土整備部長 平成25年度の第4回変更から平成26年度末までに、ダム本体工事の落札差金などによりまして約57億円の減額が生じたことを確認しております。今後、工事用道路の幅員の見直しや他の事業から発生する建設残土の有効活用によりまして、約76億円のコスト縮減を図ることを確認しております。今回の変更は、国がこれらのコスト縮減に努めても、なお不足する額といたしまして、約720億円の増額が必要となったものであります。引き続き、県といたしましては、より一層のコスト縮減による総事業費の圧縮に努めることを求めるとともに、関係する1都4県と連携いたしまして、ダム完成まで事業が適正に実施されるかについて確認してまいりたいと考えております。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。今回の数字は圧縮した数字が入れてあるということであります。さらなる圧縮に向けて、国にしっかりと働きかけをしていっていただきたいと思います。ありがとうございました。
知事、お願いいたします。
○星野寛 議長 知事、答弁席へ。
(大澤正明知事 登壇)
◆星名建市 議員 改めて知事に、八ッ場ダムに対する知事の思いについて、ということでお伺いをしたいと思います。
平成21年9月16日、政権交代によって民主党政権が誕生し、前原国土交通大臣は、任命されたその日のうちに、全く地元住民の意見を聞くこともなく八ッ場ダムの建設中止を表明しました。そのときの地域の皆さんの驚きと落胆ははかり知れないものであったと思います。そんな中、大澤知事は、地元知事として毅然として国と対峙し、地元住民の生活再建のため、懸命に、そして必死で八ッ場ダムの工事再開を訴えました。そこには何十年もの間、国の政策転換や政治状況に翻弄され続けた地域住民の皆さんへの思いや、安全・安心への願いがあったと拝察をいたしております。そして、その熱い思いは県民を動かし、議会を動かし、下流の1都4県を動かし、厳しい状況にあった湖面1号橋「八ッ場大橋」の工事再開をかち取り、ダム工事の再検証へとつなげて、ついには八ッ場を中止した政権の大臣をも中止の撤回と工事の継続決定へと突き動かしたのであります。まさに「至誠にして動かざる者は未だ之れ有らざるなり」、群馬県の誇る初代県令楫取素彦の盟友、吉田松陰の言葉どおり、誠を尽くせば動かされない者などないということではないでしょうか。
公約だからといって即座に建設中止を決定した政権が、世論や下流都県からの強い要望に押されて再検証したら、やっぱり必要だから建設継続を決定する、これというのはどういうことでありましょう。ダム中止決定の半年後から始まった再検証期間の1年半、さらに事業継続の決定から実際に再開に至るまでの1年間、結果的に事業が本当に再開されたのは安倍政権が誕生してからであります。この3年間は一体何だったのか、この間の地域住民の不安や苦痛や苦悩、さらには再検証による膨大な費用や時間、そして労力をどのように考えているのか、このことに対する前政権の責任は極めて重大であると言わざるを得ませんし、憤りを感じているのは私だけではないと思います。
そこで改めて、八ッ場ダムに対する知事の思いと、今回の基本計画の変更に対する考えをお伺いいたします。
◎大澤正明 知事 八ッ場ダムには水没関係者を中心として半世紀にわたる反対闘争がありました。しかし、地元の皆さんは苦渋の決断の末に、下流都県の治水・利水のために建設を受け入れてきたところであります。そうした歴史があったにもかかわらず、平成21年の政権交代でダムの建設は一方的に中止をされました。このような状況に対しまして、私は直接国土交通大臣にお会いをいたしまして中止の撤回を申し入れ、また、1都4県の知事と連携をいたしまして、都・県議会議員、国会議員、何よりも地元の皆さんのお支えをいただき、建設の再開に向けて全力で戦ってまいりました。
ダム検証が行われている間、地元の皆さんは将来に強い不安を持っていたと思います。そのような中でも、湖面1号橋「八ッ場大橋」の工事を着手することができまして、地元の皆さんの生活再建が遅れることのないよう最大限努力をしてまいりました。今年の6月からはコンクリート打設が始まりまして、ようやくここまで来たかと感無量でありました。水が満々とたまったダム湖のもとに地元の皆さんが平穏に暮らせる日が近づいてきたという思いであります。今回の事業費の増額は大変遺憾でありますが、地元の皆さんの気持ち、下流都県の関係者の気持ちを考えると、今回の変更もやむを得ないと判断せざるを得ませんでした。群馬県としては、一日も早いダムの完成と生活再建事業の完了を強く国に求めていきたいと考えております。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。知事の思いをしっかりと披瀝していただきました。結果は議決にあらわれることと思います。どうもありがとうございました。
引き続きまして、知事に9月補正についてお伺いいたします。
補正予算に対する知事の考え方についてでありますが、県内の景気は緩やかな回復基調にあるとも言えますが、今後の先行きについては全く不透明であります。そこで、今こそ県内経済をしっかりと下支えすることが重要だと考えます。また、人口減少社会の中で、本県の未来を創生する取り組みも進めていく必要があります。一方で、イギリスのEU離脱問題等、不安定な海外経済情勢を受けて、先月、国は経済対策を策定し、補正予算を編成したところであります。
そこで、今回の補正予算は、この国の補正予算の一部も活用し、総額130億3,200万円余の過去10年で2番目に大きな規模になったと聞いております。公共事業費では、この国の補正予算を活用し、そのうえで県単独の予算を増額して、総額98億8,100万円を計上したほか、県が目標とする「人づくり」や「安全・安心な暮らしづくり」、そして「産業活力の向上・社会基盤づくり」、それぞれに新規事業を組み込み、さらに今ある事業についても、自殺予防の一層の推進など、喫緊の課題に取り組もうとする姿勢がかいま見えます。知事は、この補正予算をどのような基本方針、お考えで編成したのか、お伺いいたします。
◎大澤正明 知事 本年度は「はばたけ群馬プランⅡ」の初年度でありまして、「群馬県版総合戦略」の実質的なスタートの年でもあります。そのため、人口減少社会にあっても、全ての県民が豊かに暮らせる社会の実現に向けまして、当初編成いたしました予算であります「ぐんま創生予算」の効果的・効率的な執行に全力で取り組んでいるところであります。そのうえで、これら計画に掲げた目標の実現に向け、年度途中の事情変更等によりまして早急に対応が必要なものを中心に予算措置を講じることとして、補正予算の編成を進めてきたところであります。
特に、喫緊の課題であります人口減少対策につきましては、5月の補正予算におきまして移住促進や農畜産物のブランド化などの事業を計上したところでありますが、今回の編成作業においても、しごと創生や観光振興などの分野で国の地方創生関連の交付金を活用することとして、必要な事業を検討してまいりました。また、英国のEU離脱等によりまして世界経済の減速が懸念され、先行きに対する不透明感が広がっている中、国が編成した第2次補正予算につきましても、本県で活用可能なものにしっかりと対応していきたいと考えたところであります。こうした方針に基づき編成作業を行いました結果、地方創生の関連では、東国文化の魅力を広く発信する取り組みや、
コンベンションビューローの活動を通じた県内へのコンベンション誘致のための事業を盛り込んだところであります。
国の補正予算への対応につきましては、本県に配分が見込まれる社会資本整備総合交付金を活用いたしまして公共事業費を増額し、河川等の防災対策や7つの交通軸整備などをさらに進めることといたしました。また、自ら命を絶つ人が後を絶たない状況が続いていることから、先日、自らの思いをメッセージとして県民の皆様にお伝えをしたところであります。悩みを抱え、支援を必要としている人に必要な情報が届くよう、相談窓口の広報にも力を入れ、さらなる周知を図ることといたしました。予算規模におきましては130億円余りとなり、これは9月補正予算としては平成21年度以来の大きな額となったところであります。厳しい財政状況の中にあっても、国の補正予算も活用することで県民生活の安全・安心を確保するとともに、県内景気の回復をより確かなものとするため、必要な事業にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。大変厳しい状況ということでありますので、ぜひ県内経済の下支えができますように、この補正予算をしっかりと県のために使っていただきたいと思いますので、執行していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
企画部長、お願いします。
○星野寛 議長 企画部長、答弁席へ。
(向田忠正企画部長 登壇)
◆星名建市 議員 今、知事からの答弁の中にもありましたけれども、コンベンションの推進についてということであります。具体的な予算について、このコンベンションの施設整備についてお聞きをいたします。
人口減少による労働力や経済需要の縮小、若者や女性の東京流出など、本県を取り巻く状況が厳しさを増す中、今の活力を維持し発展させていくためには、人・モノ・情報の交流を促して、新たな活力を生み出さなければならないと思います。そのためには、ビジネスチャンスの拡大による企業の活性化や新たな産業の創出、交流人口の増加、新たな経済需要の喚起、若者・女性の雇用の場の創出などが必要であると思います。まさに、そのための拠点となるコンベンション施設が平成32年度開所に向けての整備を進めており、今回の補正でもコンベンション施設整備推進費として1億8,200万円余が計上されました。
そこで、現在の進捗状況及び今後の課題とその対応についてお聞きをいたします。
◎向田忠正 企画部長 コンベンション施設整備の進捗状況でございますけれども、道路などの周辺整備を進めておりますほか、施設の基本設計において、機能性、群馬らしさ、環境への配慮、防災拠点機能などの観点から、配置計画、平面計画、外構計画などの検討を進めておりまして、基本計画終了後、速やかに実施設計に着手したいと考えております。
また、今後の課題でございますけれども、総事業費の管理とスケジュールの管理が重要であると考えております。事業費に関しましては、基本設計の各段階で概算費用のチェックを行っているところでありまして、実施設計においても設計内容を精査しながら、きめ細かな管理を行いまして、コスト抑制と品質確保の両立に取り組んでいきたいと考えております。また、スケジュールに関しましても、4年後の東京オリンピック前の開所を目指しまして、設計から建設工事にわたる一連の作業の工程が円滑に進みますよう、関係機関とも密接な連携のもと事業に取り組むほか、周辺整備につきましても施設の開所までに完了できるよう、地元の意見をよく伺いながら、これを進めてまいりたいと考えております。
コンベンション施設につきましては、人口減少社会にあって、企業のビジネスチャンスの拡大や交流人口の増加により、県内のあらゆる産業の活性化を図るとともに、若者や女性の雇用の場を創出する拠点となりますよう、コンベンションの誘致も含めて、着実にこれを推進してまいりたいと考えております。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。このコンベンションについても、いろんな議論がされました。ぜひ、しっかりとした形で施設整備を進めていっていただきたいと思います。
続きまして、
コンベンションビューローについてお伺いいたします。
早期の設立が望まれていた
コンベンションビューローですけれども、去る9月15日に、県と35市町村のほか、各地の観光協会や経済団体などが参加し、県域を誘致対象として発足をいたしました。
そこで改めて、この
コンベンションビューローとはどんなものなのか、そして、その果たす役割、また、9月補正で296万円余の
コンベンションビューロー活動推進費が計上されておりますが、全県にコンベンションの効果を及ぼすために、今後どのように活動を進めていくのか、お尋ねをいたします。
◎向田忠正 企画部長 「群馬県
コンベンションビューロー」でございますけれども、本県全域へのコンベンション誘致促進を目的といたしまして、県と35市町村をはじめといたしまして、経済団体、観光団体、旅行会社、会議の運営会社など、全部で85団体が参集し、この9月15日に発足したところでございます。その運営に当たりましては、県議会からも提言がございましたけれども、コンベンション関連事業に豊富な経験を有する民間企業から専門人材の派遣や業務応援を受けるなどとしております。これによりまして、まさに官民一体のコンベンション誘致体制が整ったと考えております。
今後は、民間のノウハウを活用しながら、市町村等とも連携いたしまして、本県の魅力や地域資源等を積極的に発信するとともに、受け入れ体制を充実させることで多くのコンベンションを県内に呼び込むことを目指しております。具体的な誘致活動に当たりましては、全県への経済波及効果が見込まれております学術会議や各種団体の全国大会のほか、企業や団体の各種会議、商談会、本県の有力な産業分野に関する展示会や各種イベント等の誘致を重点的に進めたいと考えております。さらには、県内で開催されるコンベンションについて、県内の観光事業者、あるいはコンベンション関連産業の事業者の皆様と一緒になって、積極的な開催支援を行うこととしております。これにより開催をリピート化させるということ、それから来場者の周遊観光、関連産業の振興などにつなげ、コンベンション開催による経済効果が一層高まるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆星名建市 議員 ありがとうございます。
コンベンションビューローにつきましては、早くから設立してくれという声がありました。施設、ハード、そしてビューローのソフトということで、今もいろいろ盛りだくさんの答弁をいただきましたけれども、大変忙しいと思います。ぜひ、少し力を入れていただいて、コンベンションは知事の大きな目玉の施策でもありますので、しっかりとやっていただきたいと思います。ありがとうございました。
生活文化スポーツ部長、お願いします。
○星野寛 議長
生活文化スポーツ部長、答弁席へ。
(佐藤裕子
生活文化スポーツ部長 登壇)
◆星名建市 議員 やはり先ほどの知事の答弁にもありましたけれども、東国文化についてもいくつかの予算が計上されております。大澤知事が熱心に力を入れていただいている東国文化について、東国文化への一層の理解や周知を図るための補正予算がいくつか計上されております。その内容をまずお伺いいたします。
◎佐藤裕子
生活文化スポーツ部長 東国文化の周知事業でございますけれども、東国文化の中心地でありました群馬の歴史や文化の魅力を多くの皆さんに知っていただきたいと考えておりまして、地方創生推進交付金などを活用して、歴史博物館の展示の充実や情報発信機能の強化を図るための経費を9月補正予算でお願いしているところでございます。
まず、歴史博物館につきましては、来年7月のグランドオープンを目指しておりまして、それに向けまして、世紀の大発見と言われております金井東裏遺跡から発掘された「甲着装人骨」、それから「首飾りの古墳人」の保存処理を行うとともに、復顔をして全身レプリカなどの展示模型を作成し、それとともに、当時の暮らしを再現した3D映像を制作するなど、展示の準備を進めてまいりたいと考えております。
そして、歴史博物館の情報発信機能の強化につきましては、学習コーナーの端末の検索ソフトを改良いたしまして、黒井峯遺跡や太田天神山古墳をはじめとする県内の貴重な東国文化の遺産に足を運んでいただけるように、それぞれの遺産の説明やアクセスマップ、駐車場の情報、近隣の観光スポットの情報などを盛り込んでいく予定でございます。また、展示について音声ガイドを整備いたしまして、目と耳の両方からの情報によりまして理解を一層深めていただくことができるようにするほか、本県が東国文化の中心として栄えた時代の技術や生活を紹介する映像を制作して、館内で上映するだけでなくて、県のホームページや、あるいはインターネットを活用して効果的に配信していきたいと考えております。このような歴史博物館からの情報発信に加えまして、スマートフォンのアプリなどを活用して県内の歴史文化遺産を実際に巡るスタンプラリーを実施いたします。このスタンプラリーを通じまして本県の歴史に直接触れて、その価値を実感していただきたいと考えております。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。
続きまして、古代東国文化サミットについてお伺いいたします。
東国文化に関連した質問は何回もさせていただいております。前回もしましたけれども、いよいよ5回目の古代東国文化サミットが私の地元渋川市で10月16日に開催されるということであります。会場は市内にある黒井峯遺跡と、すぐ隣の子持中学校の体育館ということでありますが、その内容についてお聞かせください。
◎佐藤裕子
生活文化スポーツ部長 古代東国文化サミットでございますが、議員の御指摘のとおり、群馬県が東日本最大の古墳大国で、古代東国文化の中心であったということを多くの方々に再認識していただくために、平成24年から開催しておりまして、今回は5回目になります。10月16日の日曜日に渋川の黒井峯遺跡を会場に開催することになっております。
具体的な内容としては、住居や道など当時の集落の一部の復元展示や、遺跡を解説するパネル、発掘された品々などの展示のほか、地元の小学生による黒井峯遺跡を舞台にした演劇の上演などを通じて、当時、高い技術を持って、馬の生産地として栄えていた黒井峯の人々の暮らしを来場者にイメージしていただきたいと考えております。また、今年の8月末から9月初めに京都で開催されました世界考古学会議で黒井峯遺跡などの発表をした研究者の方々をお招きいたしまして、近隣にある金井東裏遺跡や金井下新田遺跡も含めまして、これらの遺跡が持つ世界的な価値を検証する国際シンポジウムも開催いたします。このような様々な催しを通じまして、黒井峯遺跡をはじめとする遺跡の価値を広く発信するイベントとして実施していきたいと考えております。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。県としての取り組みを今披瀝していただいたんですけれども、東国文化は知事の肝いりで始まったわけであります。その後、各地で次々に貴重な遺跡の発見が相次ぎまして、八ッ場ダムでも先ほど興味がある遺跡が出たようであります。これらをトータルすれば、まさに知事の言うとおり、群馬県は東国文化発祥の地とも言えると思います。今回の補正でも力を入れていただきましたけれども、ぜひ今後とも、群馬県の宝として対処していただきたいと思うんです。特に遺跡の対応については、文化庁、あるいは直接関わる自治体が中心で、県の補助や支援がなかなか直接投入できない仕組みになっているようであります。財政力の弱い自治体に全て任せるというのではなくて、何らかの形で県が支援することで、群馬県全体で東国文化を支えていけるような環境づくりを期待したいと思います。あらゆる方法を御検討いただきまして、例えば黒井峯や金井東裏、下新田などでありますけれども、県の遺跡として公開ができるような支援や周知、さらには保存の推進等を要望させていただきまして、部長への質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
健康福祉部長、お願いします。
○星野寛 議長 健康福祉部長、答弁席へ。
(塚越日出夫健康福祉部長 登壇)
◆星名建市 議員 障害者差別解消法についてお伺いをいたします。県の取り組み状況ということであります。
国連の障害者の権利に関する条約の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法でありますが、これが制定されまして、今年の4月1日から施行されました。この法律の内容についてお伺いいたします。また、群馬県としては、この施行に対してどのような取り組みをしているのか、状況をお聞かせください。
◎塚越日出夫 健康福祉部長 障害者差別解消法は今年4月から施行されたところでございますが、この法律は、日常生活の様々な場面において、障害を理由とする「不当な差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」を求めることにより、障害のある人が差別や偏見を受けることがない社会づくりを目指すものでございます。そして、行政機関及び全ての事業者は、この法律の趣旨に則り、障害を理由とする差別の解消の推進のため、必要な取り組みを行うことが求められております。
県としての対応の状況でございますが、まず障害者差別に関する相談に応じるための体制の整備や法の趣旨の普及を図るなど、啓発活動の実施が地方公共団体の責務とされておりますので、4月に障害者差別に関する相談窓口を公益社団法人群馬県身体障害者福祉団体連合会に委託して開設するとともに、障害のある方や民間事業者向けの講演会の開催、出前講座の実施などにより普及啓発に取り組んでまいりました。
また、県自らの対応といたしまして、障害を理由とする差別の禁止に県職員が適切に対応するための要領を策定し、全職員に周知をいたしました。さらに、関係機関との連携や情報共有などを目的とした地域協議会を設置するなど、差別解消の推進に向けて体制整備を図ってきたところでございます。今後も、広く県民を対象として、障害者差別解消法の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
◆星名建市 議員 これは自由民主党の政調会でも政策要望として出させていただいております。そこで、条例の制定についてちょっとお伺いしたいと思います。
去年の3月、県の条例としては全国で3番目に議員提案で群馬県手話言語条例が制定され、4月に施行されました。特に、多くの当事者団体と議員、そして行政当局にもオブザーバーとして加わっていただきまして、時間をかけて条文を練り上げてつくった条例として、全国でも注目を集めたわけであります。そして、昨年度は条例に対する啓発や手話への理解に取り組んでいただき、12月には群馬県手話施策推進協議会も立ち上がりました。さらに、今年度当初予算では、この条例の趣旨を踏まえて、手話の普及や県主催の講演会等への手話通訳者、要約筆記者派遣に対する支援や、手話施策推進協議会の運営に対しての予算も計上されたところであります。今回もこうやって手話通訳者に来ていただいておりますけれども、本当にありがたいなと思っております。
そこで、障害者差別解消法ですけれども、これは、手話言語条例、すなわち聴覚障害の方々への対応はもとより、他の身体障害や知的・精神など、あらゆる障害を持つ人が、障害を持たない人と、その人らしさを認め合いながら、ともに生きる社会をつくることを目指している法律とのことであります。その意味からも、県は、あらゆる障害を持つ人に対しての理解を深め、差別を解消するためには、きちんと条例を制定して県の責務や役割を明確にしていくべきだと考えております。全国では22の道府県でこの法律に関する条例が制定されておりまして、関東では群馬と東京を除く埼玉、千葉、茨城、栃木の4県で実際に施行されております。手話言語条例をいち早く制定した障害者にやさしい群馬県でありますので、ぜひ検討すべきだと思いますけれども、部長の見解をお聞かせください。
◎塚越日出夫 健康福祉部長 本年4月の障害者差別解消法の施行によりまして、差別解消を推進するための基本的な仕組みが整えられた状況にあると考えております。このような中、議員御指摘のとおり、22道府県におきまして障害者差別に関する条例が制定されておりまして、その多くは県の役割を規定するほか、具体的な相談体制の整備や紛争解決の仕組みを盛り込んだものとなっております。法律におきましては、障害を理由とする差別に対する相談や紛争解決の体制整備につきましては、既存の制度の活用や充実により対応することを基本としております。そのようなことから、本県では、公益社団法人群馬県身体障害者福祉団体連合会に新たに相談窓口を委託したほか、紛争解決につきましては人権相談や労働相談など既存の組織の紹介を行うなど、地域における関係機関との連携強化に努めているところでございます。現在までのところ、こうした体制が円滑に機能しているものと考えております。
このような現状ではございますけれども、法律施行後、半年が経過をいたしますので、今後、県内市町村や関係機関における相談対応の状況を確認しつつ、障害福祉団体などの意見を聞いたうえで、条例の必要性について検討してまいりたいと考えております。今後も、障害のある人もない人も、一人ひとりがお互いを思いやる社会を目指して、しっかりと障害者差別の解消に取り組んでまいりたいと考えております。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。障害者差別解消法の施行によって、県は、先ほど答弁にもありましたけれども、今年3月25日に群馬県における障害を理由とする差別の解消に関する対応要領というものを策定して、4月1日から施行したということであります。また、今の答弁でもありましたけれども、既存の仕組みや組織を使って、各団体にもお願いをして、しっかりと対応しているということであります。しかしながら、職員への周知につきましては、現時点ではまだまだ十分でないのではないかといった声が関係の方々から実は聞こえてきております。やはり私は、条例化をすることで手話言語条例同様に障害者への対応や理解がさらに確かなものになっていくと思います。そこで、手話のときのように、今、部長もおっしゃいましたけれども、できるだけ各方面からの意見や提案等を聞く機会を十分に持っていただいて、慌ててということではないのですけれども、それらを踏まえた中で、条例制定をぜひ御検討いただきますように要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
生活文化スポーツ部長、お願いします。
○星野寛 議長
生活文化スポーツ部長、答弁席へ。
(佐藤裕子
生活文化スポーツ部長 登壇)
◆星名建市 議員 自転車を利用した歴史文化遺産の周遊についてお伺いをいたします。
今年の第1回定例会において、私は同様の発言通告で
生活文化スポーツ部長に質問をいたしました。そのとき部長からは、「県内には価値ある歴史遺産が数多く点在しており、サイクリングロードや自転車歩行者道などを効果的に結ぶネットワーク化が進められている中、県内各地の歴史文化遺産を巡るのに自転車を利用していくということは有効であり、そのモデルコースを提案すべく、いくつかのコースを設定して県の職員が実際に走ってみましたけれども、その中で多くの課題が見つかり、まずは安全に自転車が走れることを第一に考えて、県庁内の関係する各部局、あるいは市町村と連携してよく研究し、周遊コースの提案に努めたい。」と大変前向きな御答弁をいただいたわけであります。
ところで、来年の夏頃には上野三碑のユネスコ「世界の記憶」を決める国際諮問委員会が開催されます。ここで登録が決まれば、群馬県にとっては、まさに富岡製糸場に次ぐ快挙であり、群馬県の観光振興やイメージアップの観点からも大いに期待が膨らむところであります。
そこで、前回の前向きな答弁を踏まえまして、自転車を利用して上野三碑を巡るコースの設定についてどのように考えているか、お聞かせ願います。
◎佐藤裕子
生活文化スポーツ部長 自転車を使って県内の歴史文化遺産を巡る周遊のコースということで、前回もお答えをしたところですけれども、議員の御指摘のとおり、県内に点在する歴史文化遺産を巡る有効な手段として自転車を活用するということは大変重要だと考えておりまして、今年度、庁内の関係所属で構成する「自転車で楽しむグンマ研究会」というのを設置いたしまして、今、安全面などの課題の洗い出しや、歴史文化遺産、あるいは近隣の食などの魅力の洗い出しなどを行っているところでございます。
お尋ねの上野三碑の周遊コースでございますけれども、前回もお答えをしましたとおり、このコースの中には、自動車の通行量が多くて、また道幅が狭いということで、自転車で走行するには危険な箇所があるということが、県の職員が走ってみて実際に確認されたところです。そこで、引き続きになりますけれども、コースの設定に当たっては、まず安全が大事だと考えておりますので、その安全について十分に検討して、そのうえで自転車を利用する方たちが楽しく周遊できる「歴史と文化と食」を巡るコースというのを、地元の高崎市や、あるいは関係の団体、関係者との調整を行って、そしてまた利用者の視点に立って、自転車の愛好者の方々などの意見を聞きながら、これから検討していきたいと考えております。
◆星名建市 議員 ありがとうございました。2月の知事への質問のときに、上野三碑関連の質問をしたのですけれども、そのときに知事から、「おまえ、自転車で行ったのか。」といった御発言をいただきまして、現場主義の知事からの言葉ということでありますので、行ってみようと思ったところ、5月15日に群馬県サイクリング協会の県民サイクリング大会というのがあって、それが何と上野三碑巡りというふうになっていたんです。早速参加をしました。高崎サイクリング協会が
○星野寛 議長 星名議員、資料を用意していただいているようですが。
◆星名建市 議員 ありがとうございます。〔資料(2)提示〕高崎サイクリング協会がコースを設定したものでして、我が党の安孫子議員も行く予定であったのですけれども、急遽日程が入ってしまったということで、私1人で仲間とともに行ってまいりました。このときは群馬の森からスタートしたんです。そして、藤岡の七輿山古墳から馬庭念流の道場に立ち寄って、多胡碑、山上碑、昼食をして金井沢碑を見学して、帰りに倉賀野神社に寄ってお参りをして終了しました。確かに危ないところもあったんですけれども、県道や市道、サイクリングロードや河川敷道、いろいろな道路を使って周遊をしてきました。十分に楽しめたと思っています。こういった、確かに道路は危ない場所もあるんですね。ここを自動車が通れば非常に危険なので、サイクリングの人が、ここで出ないようになんてやってくれております。河川敷道みたいな、こういうところもありますし、ここは金井沢の遺跡のところですけれども、ここが馬庭念流の道場で、みんなで写真を撮りました。一杯撮ってきたので、後で部長にも知事にも見てもらいたいと思いますけれども、いろんな道路がありまして、後でやらせていただきます。
実はこの10月9日には、高崎市が主催するレクリエーションサイクリング大会というのが予定されているんです。それで、ほぼ同じコースで、やはり高崎サイクリング協会の皆さんが先導で回ります。〔資料(3)提示〕これがその高崎市レクリエーションサイクリング大会のコースであります。高崎の市役所から出て、ずっと回って、時間がないので説明はあれですけれども、まず金井沢へ行って、山上へ行って、こう回って、多胡碑へ行って帰ってくるというルートなんです。実際にこれを走ってみると、いろいろな道路、田んぼの中を通ったり、河川を通ったりしていくと、意外と走れると思っております。ぜひ、こういった形で考えていただければありがたいなと思います。ちょっと時間がなくなってきましたけれども、できれば関係の団体ともよく、サイクリング協会なんかと話をしていただければいろいろなコースが出てくると思います。そして、子どもやお年寄りや若い人もそうですし、タンデムで走れば目の見えない方、障害者にも非常にやさしいことになると思います。ぜひ、そういったことも検討課題にしていただけるようにお願いしたいと思います。後でまた資料はぜひお渡ししたいと思いますので、県庁内で御検討いただければありがたいと思います。
時間になりましたので、以上で私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○星野寛 議長 以上で星名建市議員の質問は終わりました。
● 休憩
○星野寛 議長 暫時休憩いたします。
5分後に再開いたします。
午前11時6分休憩
午前11時12分再開
● 再 開
○星野寛 議長 休憩前に引き続き会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
● 質疑及び一般質問(続)
○星野寛 議長 角倉邦良議員御登壇願います。
(角倉邦良議員 登壇 拍手)
◆角倉邦良 議員 リベラル群馬の角倉邦良でございます。今日は4点ほど質問させていただきます。
まず最初に、群馬県の医師確保ということで、健康福祉部長、よろしくお願い申し上げます。
○星野寛 議長 健康福祉部長、答弁席へ。
(塚越日出夫健康福祉部長 登壇)
◆角倉邦良 議員 群馬県も医師不足が深刻な課題になってくる可能性があるということで、群馬県としても医師確保に向けて、大澤知事のもとで積極的な取り組みをしてきていただいたと認識をしております。しかし、その一方で、一番頼りにしてきた群馬大学で残念な事件が頻発したということで、医師確保に向けての一番の拠点であるところの群馬大学の医学部、なかんずく臨床研修生ですか、それの確保がそのまま群馬県の医師確保につながっていくというところで、昨年の事故を受けて、群馬県が積み上げてきた研修生の確保ということが、大幅に研修生が減少してしまったという状況だと聞いております。そうなると、群馬県内の医師確保というものがさらに困難になるのではないかなという心配が我々の中にも県民の中にもあるんだと思います。
そういった中で、この事故を受けて、さらに県として医師確保に向けてどのような対応を進めているのか、お示しをいただければと思います。
◎塚越日出夫 健康福祉部長 県では、医師確保対策につきましては、これまで医師の県内定着、研修医確保、特定診療科対策、そして女性医師支援の4つの柱に沿って総合的に取り組んできたところでございます。具体的には、群大医学部の地域医療枠の学生に対する修学資金貸与、臨床研修医確保を目的としたレジデントサポート協議会の設置、小児科や産婦人科医などを確保するための医師確保修学研修資金貸与、保育サポーターバンク事業への補助などでございます。こうした取り組みの結果、例えば特定診療科対策といたしましては、平成18年度の修学資金貸与制度の導入以降、小児科、産婦人科とも病院勤務医が増加をしております。また、保育サポーターバンクの利用者も年々増加しておりまして、女性医師の離職防止などに一定の成果を上げているところでございます。
なお、群大医学部地域医療枠につきましては、今後、平成37年度までに約170名の医師を確保する予定でありまして、県内の地域医療の現場で活躍することが期待されているところでございます。しかし、その一方で、臨床研修医の採用実績につきましては、議員からもお話がございましたけれども、昨年は現在の制度開始以来最高の人数、103名を確保いたしましたが、今年度は大幅に減少し、81名という結果になっております。この結果につきましては、群大病院の医療事故が影響しているものと考えておりまして、県といたしましても、群大病院の早期再生を促進するためのできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
また、この臨床研修医の減少につきましては、県医師会や病院協会、臨床研修病院なども危機感を持っておりまして、県内全ての臨床研修医を対象に合同研修を実施するなど、医療関係者一丸となって研修医を育てるという提案や、研修施設の連携によりプログラムを特色あるものに見直すという提案など、本県での臨床研修の魅力を向上させるための提案をいただいているところでございます。群大病院の医療事故の影響で医師の確保が困難となり、本県の地域医療に大きな影響が出ることがないよう、これまで以上に県内医療関係者と連携・協力し、オール群馬の体制のもと、医師の確保に努めてまいりたいと考えております。
◆角倉邦良 議員 医師がいれば安心の医療が担保されるわけではないわけですが、質を担保していくためにも一定の量というものはやっぱり必要になってくるだろうと。そういった意味で、群馬県がここ数年取り組んできた成果というものが、ある意味、台なしまではいかないですけれども、相当厳しい状況になってきているということを、今、部長の御答弁で改めて確認させていただいたわけでございます。
実際、群大の医学部の事件の報告書なども読ませていただいていると、まず医学部の先生、そして医学部の学生たちというのは、やっぱり信頼関係というものを日常の教育指導の中でやっていかないと、もちろんお金だとか労働の条件の問題と、あるいは地域的な問題だとか家庭的な事情だとか、いろいろあるかもしれませんが、やはり先生と学生との信頼関係をどう構築していくかということで、この報告書を見ると、「病院職員が十分に理解し実践することは容易ではない。そのため、医学部教育の段階から、患者中心の医療を見据えた教育をすることが必要」だと、「教育」という欄の67ページのところに出ているんですが、要するに、チーム医療というんですか、そういったものを日常の授業の中で育んでいく中での師弟の、先生と学生たちの信頼関係の中で、研修医を何とか群馬大学、そして群馬の病院に残していくということで、その信頼関係を、今部長が言っている群大さんと県、医師会も含めた協議会の中で、ぜひチーム医療、教育というところにさらに力を入れてほしいということを強く主張していただきたいんですが、いかがでしょうか。
◎塚越日出夫 健康福祉部長 群大病院につきましては、医療事故を受けまして、今、様々な改革に取り組んでいるところでございます。こういった改革の中で、議員からお話がございましたとおり、やはりチーム医療というものが医療安全にも大きく寄与するということでございまして、こういった取り組みを群大においても今行っているところでございます。また、学生の段階からそういったところについてしっかりと習得していくということが重要であると考えておりますので、またこの辺につきましては群大とよく連携を図りながら、県としても支援をしてまいりたいと考えております。
◆角倉邦良 議員 どうもありがとうございます。
続いて、地域間での医師の偏在についてでございます。
群馬県内においても、都市部と郡部というか、そういったところで地域間の医師偏在があるということで、全体的に考えると、前橋だけが全国平均を上回っているという状況なわけでございますが、この地域間の医師偏在を調整していく、そうならないようにしていくために、県が今取り組んでいることについてお示しをいただければと思います。
◎塚越日出夫 健康福祉部長 議員御指摘のとおり、県内において医師の地域偏在があり、大きな問題であると認識をしております。県といたしましては、県内の医師の地域偏在の解消には、まず医師の全体数の増加を図ることが必要であると考えておりまして、様々な医師確保対策に取り組んできたところでございます。
こういった中、地域医療に従事する医師の確保や定着を図るため、県と群大病院が連携して設置いたしました地域医療支援センターにおきまして、若手医師が専門性を高めながら地域間をバランスよく勤務し、医師として必要な経験を積むための「ぐんま地域医療リーダー養成キャリアパス」を策定しております。今後、このキャリアパスを活用いたしまして、地域医療枠卒業医師をはじめとする若手医師のキャリア形成を支援するとともに、医師の地域偏在解消を図ってまいりたいと考えております。
さらに、限られた医療資源を効率的に活用し、切れ目のない医療・介護サービスを構築するため、現在策定中でございます地域医療構想を踏まえまして、各地域の医療需要を見据えて、必要な医療がしっかり提供できるよう、医師の配置について群大病院との連携をさらに密にしていきたいと考えております。また、中山間地域につきましては、へき地診療所などを中心に自治医科大学の卒業医師を派遣しておりますが、今後も医師としての専門性の向上に配慮しながら派遣を継続することにより、地域の医療を支えていくこととしております。今後も、県内各地域の現状を踏まえながら、これらの対策にしっかりと取り組み、医師の地域偏在解消に努めてまいりたいと考えております。
◆角倉邦良 議員 今、御報告いただいたわけでございますが、議会の本会議や常任委員会でも、たびたびこの質問がされていると思うんですね。館林の問題だとか、いろいろございます。実際各県議のほうからいろんな形での偏在ということに対しての指摘があったんですが、この数年間、その偏在というものが具体的にいい方向で解消されているのかどうか、それについてはいかがでしょうか。
◎塚越日出夫 健康福祉部長 医師の偏在については、議員がおっしゃるようなうまい方向に向いているというところはなかなか言いがたい面がございます。しかしながら、群大におきましては、今回の改革の中で、地域医療の貢献ということをひとつの柱として取り組むということで考えておりまして、この中で県あるいは県内の医療機関の意向を踏まえて医師の派遣のあり方を検討するということになっております。このような中で、県としても医師派遣について群大としっかり協議をしてまいりたいと考えております。
◆角倉邦良 議員 今、部長の御指摘のとおり、群大がその指令塔として果たす役割というのは改めて大きいんだなと思います。ただ、そういう中で、例えば北海道なんかで、いわゆる町立あるいは村立の公立の病院の院長先生を札幌のほうの大学から引っ張っていくのに、病院長に5,000万円とか6,000万円のお給料を払うということで何とか回しているという実態が数十年間続いているわけですね。ただ、群馬県でそういったない袖を振っていくということが本当に可能なのかというと、これはこれでまた大変な問題なんだと思います。
そういう中で、最後はお医者さんになろうとする人、あるいはなった人が、使命感だとか、あるいは群馬県というものに愛着を持ってもらう、そういう人間的なところからしか、群馬に残ってもらう、あるいは群馬で働いてもらうということはやっぱり難しいと思うんですね。そういう意味で、群大での教育的なそういった指導、あるいはそういう中で医学部の学生が群馬県に魅力を持ってもらえる、絶えず原点に立ち返る以外、この問題の解決の道というのはないのかなと思いました。ぜひとも、3者、4者の協議会の中で、これまで以上にそういった問題に取り組んでもらいますようお願いを申し上げて、この質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
続きまして、教育長、お願い申し上げます。
○星野寛 議長 教育長、答弁席へ。
(笠原 寛教育長 登壇)
◆角倉邦良 議員 まず1つ目は、今度は医師確保というよりも生徒の確保ということでございます。群馬県も子どもたちが減ってきているということで、生徒の確保ということで、これまた地域間のまさに偏在がある中で、県立高校の先生たちも頑張って、あるいはOB会も頑張って、生徒の確保に躍起になっているわけでございます。
そういう中で、私は、県立高校の前期試験が果たしている役割というのは非常に大きいなと。より幅広い個性だとか能力を持った生徒確保、スポーツだとか文化の部分において、前期試験が果たしている役割は非常に大きいと思っております。そういった意味で、これまで以上に前期試験を活用して県立高校、公立高校の生徒確保を進めていくべきだと。もちろん私立高校も、いい意味で生き残りをかけて頑張って、また生徒確保をしようとしているわけですから、それに負けない、そういった意味での前期試験の役割というのは非常に大きいと思うんですが、教育長の御見解を伺います。
◎笠原寛 教育長 県立高校におきます前期試験の活用についてのお尋ねでございますが、公立高校の入学者選抜制度につきましては、平成25年度に「高校教育改革推進計画」有識者委員会というものを設置いたしまして、教育の専門家の立場から、大学の先生、小・中・高の校長先生の代表の方、また保護者の立場からPTAの代表の方に委員として参画していただき、様々な立場の方々に幅広い観点から検討いただいてきたところでございます。この有識者委員会からは、今後の本県の入学者選抜の方向性といたしまして、複数の受験機会を確保する観点から、前期選抜・後期選抜の制度を維持すること並びに中学校段階におきます基礎的・基本的な内容についての学習到達度を評価する観点から、前期選抜において新たに学力検査を実施することなどが示されております。
これらの検討結果を踏まえまして、多様な選抜尺度によりまして生徒一人ひとりの優れたところを評価するという観点から、県教育委員会といたしましては、前期選抜・後期選抜の入学者選抜制度は維持することといたしました。また、平成29年度入学者選抜におきまして、中学校卒業までに身につけておくべき基礎的・基本的な知識・技能等をはかるため、前期選抜に国語、数学、英語の3教科の学力試験を導入することといたしました。前期選抜におきましては、学力検査及び調査書に加えまして、各高校で面接、作文、実技検査及びパーソナルプレゼンテーション等の検査項目を定めましたり、検査項目の配点の割合を独自に設定したりするなどして、それぞれの高校にふさわしい生徒を選抜できるよう工夫することといたしております。前期選抜におきましては、これまでも生徒一人ひとりの優れたところを積極的に評価してきたところでありますが、学力検査を導入することで、各高校の特色ある教育活動の中で、しっかりと学んでいける多様な個性と能力を持った生徒を確保することができるものと考えております。
◆角倉邦良 議員 今、教育長のほうから、今年度から前期選抜の試験に英数国の基礎的な試験を導入するということでございますが、私は、その3科目を導入するということが、どこまで意味があるのかなということで疑問を持っております。実際中学校の校長会の先生たちからも、前期試験が終わってしまうと生徒たちが勉強しなくなってしまうとか、そういう御指摘等々もあるように聞いていますが、英数国が導入されて、前期試験が終わってしまえば、勉強するかしないかということも含めて、結果はどうであれ変わらないわけですよね。だから、校長先生たちがどういう意味合いでその3科目を入れようということを主張しているのか、私はよくわからないところがあるわけでございます。さらに、実際に入学時に前期試験で入った子たちが学力不振に陥る実態があるかというと、そういうこともあまり聞いたことがないわけでございます。
そして、基礎的な試験ということを質問の前に教育委員会のほうの皆さんからお話を聞きましたが、本当に基礎的な試験ということでございますから、そういった試験をすることが、実際上どういう意味があるのかなと。むしろ英数国を導入するということで、気分的には、前期試験に応募して、運動だとか、あるいは文化で力のある子たちが、ますますそういうことをもって私立のほうに流れていってしまうのではないかと私は懸念をしているところでございます。今回の英数国の導入ということについては、どうも私は積極的な意味合いを見出せない。そういう意味で、この前期試験の中における英数国の導入ということについては、やめるということも含めて、もう1回再検討していただきたいと思うんですが、教育長、いかがでしょうか。
◎笠原寛 教育長 学力検査の導入についてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、それぞれの学校の中で子どもたちがしっかりと学んでいけるという、それはやはり部活ですとか、いろんな活動とあわせて非常に大事なことだと思っております。そういう意味では、学力検査の必要性というものはあるのかなと考えておりますし、また、議員御指摘のスポーツですとか文化面の部活の活動等も、それぞれの学校が求める前期試験の受験者ということでは、中学時代の学力の調査書を少し重視したり、あるいはそうでなくて、部活ですとかという特別活動等を重視したりというような、そこの枠の設定自体もそれぞれの高校で工夫できるような前期試験の中身となっておりますものですから、そういう意味では、それぞれの高校が求める、まさにいろんな個性ですとか能力を持った子どもたちを、しっかりその高校の入学生として迎えることができる制度につながってくるものと考えております。
◆角倉邦良 議員 今、教育長はそのようにおっしゃってくれているわけですけれども、今まで前期試験で、いわゆる英数国を入れるか入れないか、どういう試験を導入するかというのは、基本的には校長先生の御判断で、一定程度幅を持たせてきたわけでございますが、今回からは英数国は、ある意味、ほぼ必須に近いような形の導入でございます。今までの前期試験の選抜方式に具体的などういう弊害があったのかということについても、先ほどの報告書なんかを見させてもらっても、何かしら具体的に触れられているわけではないんですよね。何で英数国を入れるかということ、それも非常に基礎的なものであれば意味がないのではないかなということが、どうしても疑問として解けないわけでございます。私としては、いろんな能力、個性を持った子たちが、前期試験を活用して県立・公立高校に入ってきてもらうという間口を柔軟にしておくということが重要だと思っているので、ぜひともこの問題については、また引き続き常任委員会のほうで御議論させていただければと思います。
続いて、教職員の長時間労働の解消に向けた取り組みでございます。
教職員の長時間の労働というものは非常に深刻化しているということで、教育長もそういうふうに認識をされていると思うんですが、私は、単に長く働いていて先生たちが大変だということもあるんですが、一番の問題は、子どもたちの教育に弊害が出るような長時間労働ではいかぬなと。子どもたちとの触れ合いの時間が減ってしまうこと自体が大きな問題だという観点からも、この問題に教育委員会として積極的に取り組んでいただきたいわけでございます。
そういった中で、文科省のほうから「学校現場における業務の適正化に向けて」という通知が出されたわけでございます。そういった中で、公表通知ということで、タスクフォースの報告書ということで、平成28、29、30という3カ年の進め方についても具体的に書かれた通知が教育委員会のほうに出されているということでございます。
そういった中で、長時間労働解消に向けて、県の教育委員会と市町村の教育委員会との連携体制をつくるべきだと考えるんですが、教育長のお考えをお示しいただければと思います。
◎笠原寛 教育長 教職員の長時間労働の解消に向けた取り組みについてのお尋ねでございますが、議員御指摘のとおり、国からは学校現場におきます業務の適正化に向けまして、県教育委員会が小中学校の服務監督をしております市町村教育委員会と連携し、勤務環境の改善を図ることが求められております。
県教育委員会といたしましては、これまでも全ての教員の多忙化を解消するために、市町村教育委員会と連携をいたしまして、コンピューターの活用によります校務の効率化、各種会議の見直しや部活動のあり方の検討などに取り組んでまいりました。また、先進的な事例を紹介することで、教職員一人ひとりの業務改善への意欲を高める取り組みも行ってきたところでございます。しかしながら、学校に対します要望が多様化・複雑化しているため、それらへの対応ですとか、翌日の授業への準備、部活動指導等が勤務時間外に及ぶことがありまして、教育委員会といたしましても、多忙化を解消する取り組みをさらに進めていこうと考えているところでございます。今後、多忙化解消のための協議会を設置するなど、市町村教育委員会と一層連携を深めながら取り組んでまいりたいと考えております。
◆角倉邦良 議員 名称はともかく、そういう実態を担保していく、改善をしていくための協議会をつくっていく方向ということで、ありがたい答弁だなと思うんですが、実際上それを実施していくためには、市町村の教育委員会の中にもそういった協議会をつくっていかなければいけないと思っているんですが、その認識については、教育長、いかがでしょうか。
◎笠原寛 教育長 その協議会でございますけれども、市町村教育委員会と県の教育委員会が同じ席でしっかり課題を共通の認識として捉えまして改善策を考えて、そのための協議会を設置して検討を進めてまいりたいと考えています。そういう意味では、県と市町村が課題を共有しながら、さらに学校現場、特に小中学校につきましては市町村の教育委員会からの働きかけが必要になりますので、そこのところを含めまして、県と市町村でしっかり足並みをそろえて対応してまいりたいと考えております。
◆角倉邦良 議員 市町村にも実態を担保していくという御答弁だったと思います。実際教育現場でどれだけ長時間労働というか、多忙化しているかということが、わかったりわからなかったりするということで、国会なんかでの審議で文科省の局長さんだとか、あるいは当時の馳文科大臣の委員会の議事録なんかを読んでいると、いろいろ問題があるということが委員会でも議論されているんですが、吉野さんが教育長の時代に、「公立学校等における労働安全衛生管理体制の整備に関する調査について(結果)」という報告がなされていて、そういった中で、教育現場において、学校の中で出勤・退勤の時刻と記録がないということで、これは労働安全衛生法上、違法状態になってしまうのではないかということについての心配もなされているんですが、法令違反ということに対しての教育委員会としての御認識はいかがでしょうか。
◎笠原寛 教育長 法令違反というお話でございますけれども、そもそも、例えば部活の指導等が、学校現場の先生も当然感じておることかと思いますけれども、制度上は少し曖昧な形でずっと行われてきているというような大きな課題があるかと思います。そういう意味では、県の教育委員会だけではなく、国のほうも教員の長時間労働の解消に向けて、特に部活動等の関係につきましても議論を深めていただきつつあるという認識をしておりますので、そういう国のほうの検討状況も踏まえながら、県といたしましては適切に対応してまいりたいと考えております。
◆角倉邦良 議員 教育長、ありがとうございます。実際上法令違反かどうかと言ったときに、教育課程の中での仕事と教育課程外の仕事、クラブ活動ということで、なかなか難しい面はあるんですが、ただ、どこからどこまで働いたという具体的なものがない限りは、実際上それを即導入するのは正直難しいところがある。
2番目の質問で、具体的な数値の目標についてということもこれから質問させていただくわけでございますが、実際上、そうなってくると、現場で言うと、校長先生や教頭先生の現場での指導というのが重要になってくるのかなと。そういう中で、先ほど言った教育課程内での取り組みということで、職員会議だとか、各種の会議だとか、教育セミナーへの出張だとか、学校内外での研修だとか、あるいは授業のコマ数をできるだけ減らしていくだとか、そういう具体的な取り組みを積み上げていく以外、数値の改善というのはなかなかできないのかなと。
さらに、クラブ活動についても、今、原則週1ということになっているんですが、土日の問題についても、多忙化解消という観点からすると非常に重要な問題なのかなと思います。そういった意味で、現に今、時間の掌握ができていないこと自体、私は法律的にも相当な問題があると思っているんです。ただ、そうできていない以上、具体的に減らすということになれば、先ほど私が指摘した個々の課題についてひとつひとつ減少させていく以外ないと思っているんですが、教育長、いかがでございましょうか。
◎笠原寛 教育長 長時間労働の解消に向けた具体的な取り組みということでお答えさせていただきたいと思います。
それぞれの学校の教職員でございますけれども、学校が所在する地域の実情が様々異なってございます。さらに、それぞれの児童・生徒につきましても、様々な背景ですとか個性を持った児童・生徒に、多くの場合、個別の対応をしていかなければいけないということで、教員の職務に基づきます特殊性がありますことから、全教員一律の目標みたいなものを設定するのはなかなか難しいのかなという認識は持ってございます。ただ、そうした中でも、今お話がございましたように、会議のあり方ですとか学校校務の進め方等につきましては、ある程度しっかり学校長等のリーダーシップのもとに取り組める部分があるのかなと考えております。そういうところはしっかり取り組んでいく必要があるかなと考えております。今後、市町村教育委員会と連携を図りながら、会議、研修のより一層の精選、効率化、また週に1日以上の部活動休養日の確保、あるいは全教員が定時で帰る日の設定など、具体的な改善目標ですとか改善策を市町村の教育委員会としっかり協議させていただきながら、実効性のある取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆角倉邦良 議員 これは教育委員会のほうで市町村の教育委員会、学校現場と連携をして、具体的に先ほど教育長が御指摘した個々の問題について数を減らしていくということをしていかないと、数値目標といってもなかなか難しい状況があるわけでございますから、実感としても実態としても減らしていくということで、会議がどうだったのか、数がどうだったのか、研修はどうだったのか、あるいはクラブ活動の週1のお休みが確保できているのか、土日も含めて週2日にするのかどうなのかということも、具体的に設置目標を出さないと、このタスクフォースで出している3カ年での計画が具体的なレールに乗らないと思うんですね。今、教育長が言ったことを抽象的に曖昧に教育委員会や教育現場のほうに指示を出すのではなくて、具体的な改善例として、これだけ数が減ったということを報告してもらう、そのぐらいまでやっていただくということをぜひお願いして、この質問を終わらせていただきます。教育長、ありがとうございました。
続いて、アスベストの問題でございます。総務部長、お願いを申し上げます。
○星野寛 議長 総務部長、答弁席へ。
(深代敬久総務部長 登壇)
◆角倉邦良 議員 アスベストの問題でございます。これは共通認識として、ぜひ持たなければいけないと思うんですが、国がアスベストを断熱材ということで推進してきたということで、今、日本中に3,000万棟を超えるアスベストが残存している建物等があるのではないかと言われております。その一方で、各地でアスベストについての健康被害ということで裁判が頻発して、結果的に国の責任が明確になって、国が敗訴をして、アスベストによって中皮腫、がんになった人たちに対しての賠償命令で幾つも裁判事例が出ている。
そういった流れの中で、これは本当に国もずるいと思うんですが、これまでは国の責任だったものが、数千万棟もあるということで、今度はつくった者の、あるいは管理している者の責任ということで法律改正を徐々に進めていって、平成26年6月の、今のアスベストの解消に向けての法令改正の方向になっているわけでございます。そういった意味で、管理者責任というか、そういったものが非常に問われてきている。建物の所有者や発注者の責任が問われてきているわけでございます。
そういった中で、群馬県もたくさんの公共の県有施設を持っているわけでございますが、こういった各施設、学校現場も含めてですが、アスベスト除去の進捗状況、そして県がどのように取り組んできたのか、簡潔にお示しをいただければと思います。
◎深代敬久 総務部長 それでは、お答えします。
県有施設のアスベスト除去につきましては、平成17年度にアスベストによる健康被害が社会問題化したことを受け、国において、「アスベスト問題への当面の対応」、「アスベスト問題に係る総合対策」を取りまとめ、その中で既存建築物におけるアスベスト含有建材の使用実態調査等を行うこととされたところでございます。これを受けて、本県におきましても、飛散性が高く、危険性のございます吹き付けアスベスト等について、平成17年度に県有施設等における使用実態の調査を行い、その後、フォローアップ調査、あるいは除去等を行ってまいりました。
まず、庁舎等でございますが、総務省通知に基づきまして、平成8年度以前に建設されました吹き付けアスベスト等を使用している可能性がある全ての施設について調査を行いました。具体的には、まず設計図書による確認を行ったうえで、目視による確認を行い、使用の可能性が排除できない場所について、外部専門機関での分析調査を行ったところであります。結果といたしまして、調査対象となりました597施設のうち、589施設ではアスベストが使用されていないことを確認いたしました。また、アスベストを使用しておりました8施設につきましては、平成21年度までに全て除去等の対策を行いました。
県営住宅につきましては、平成8年度以前に建設された建物について、やはり平成17年度に吹き付けアスベスト等の使用実態を調査いたしました。同じく設計図書や目視で確認したうえで、使用の可能性が排除できない箇所について、外部専門機関による分析を行い、その結果、全ての県営住宅で使用されていないことが確認できました。
また、県立高校につきましては、平成17年度に文部科学省通知に基づく調査を行いまして、8年度以前に建設された60校について、使用の可能性のある箇所の専門機関による分析調査を行いました。この結果、7校でアスベストを検出いたしましたが、平成18年4月までに全て除去を完了いたしました。
なお、県立病院につきましても、平成17年度に同様の調査を行った結果、1病院の体育館で使用されていることが確認されました。翌年度にはこれを除去したところでございます。
その後、平成26年、石綿障害予防規則が改正されまして、アスベストを含有する保温材や煙突用断熱材等につきましても、損傷、劣化等により粉じんを発散させ、労働者がその粉じんに曝露するおそれがあるときは、除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならないこととされたところでございます。県では、これら保温材等につきまして、特に改修時あるいは解体時の飛散防止等に万全を期したところでございますが、この規則改正を受けまして、総務省から今年5月に規則の遵守の徹底と所有施設のアスベスト含有保温材等の使用状況の調査実施という通知がございました。このため、現在その準備を進めておるところでございます。
なお、県立高校等におきましては、平成26年度に文部科学省から発出された通知に基づき調査を実施いたしました。その結果、5校7本の煙突について対策が必要となっていることが判明しております。うち2本につきましては、今年度囲い込みを行い、残りの5本につきましては、現在使用中のため、対策を検討しているところでございます。
◆角倉邦良 議員 誰が県有施設のアスベストがあるところを捕捉したというか、調査したか、そこについては、部長、いかがでしょうか。
◎深代敬久 総務部長 誰がというと、それぞれの施設の管理者がということになります。実施したのは、建築技術職が中心になって実施しております。
◆角倉邦良 議員 そうすると、県の職員の方が県の施設を見たということだと思うんですね。それ自身は、すごく数が多いということと、端的にいえば、このアスベストの除去の作業が、やり方次第では相当なお金がかかる。環境省の試算でも、全体的に言うと8兆円以上かかるのではないかとかという環境省のほうの数字も出ていたりするということで、いろんな意味で大変だということはわかるんですが、本当に群馬県の公共施設の中のアスベストというものが除去されているのか。それは身内の中での調査と言っても過言ではないと思うんですね。やはりある程度の箇所を決めて入っていると思うんですが、実際上どこまで厳しくやれたかということについては、先ほど部長もおっしゃったとおり、県庁の職員の中のそういった技士の免許というか、そういうのを持っている人たちがやっているということでございますから、いかにそれが公開性、ある意味、客観性を持って、要は実態的にアスベストが片付けられればいいわけですけれども、それができるかどうかということがやっぱり重要なんだと私は思います。
そういった意味で、まずは県がしっかりこの問題に取り組むことは、群馬県内の市町村、あるいは医療だとか福祉だとか、そういった公共的な場に与える影響が大きいが故に、群馬県として、さらに精緻に調査を進めていきたいと思うんですが、部長、いかがでしょうか。
◎深代敬久 総務部長 先ほど管理者がと言って、その後、県の技術職がと申しました。その結果、分析調査は外部の専門機関にきちっとやっていただいた。県で専門職、あるいは一般的に外に対しても建築技術を持っている方というのは専門職だと思うんですね。そういう方が国の照会に沿ってきちっと調査をしているわけですから、それはきちっとした結果が出ていると私は認識をしております。
◆角倉邦良 議員 いずれにしても、アスベストが発見、さらに追加的にこれからまた調査をするということも聞いております。平成27年度以降のあれがあって、また総務省のほうからいろいろ来ているということもあるので、しっかり見ていただいて、しっかり発見して、それについては速やかに除去をしていただく。さらには、発注者あるいは建物所有者の責任なんだということも、群馬県の何がしかの広報の場で周知をしていただく、そういうことも含めてお願いをしたいんですが、部長、いかがでしょうか。
◎深代敬久 総務部長 施設の調査につきましては、先ほど申し上げましたとおり、ただいま準備中でございますので、しっかり進めたいと思います。さらに、広報の関係でございますが、議員おっしゃったとおり、26年度の大気汚染防止法の改正で、例えば吹き付け石綿の除去作業等の実施届出書の届出者につきましては、工事の施工者から発注者に変更になったとか、そういう重要な点の改正がございました。これにつきましては、リーフレットをつくったり、あるいは事業者の説明会等もこれまで実施しておりますが、引き続き、きちんと広報には努めてまいりたいと思っております。
◆角倉邦良 議員 ぜひともしっかり進めていただく。先ほども言いましたように、県の対応が市町村に与える影響は非常に大きい。そういう意味で責任があると私は思っておりますので、今後もしっかりとした対応をよろしくお願い申し上げます。
以上、部長、ありがとうございました。
続いて、八ッ場ダム建設に関わる基本計画の変更ということで、県土整備部長、お願いします。
○星野寛 議長 県土整備部長、答弁席へ。
(
上原幸彦県土整備部長 登壇)
◆角倉邦良 議員 どうも、部長、お久しぶりでございます。ひげの部長と本会議で1度は質疑をしてみたかったなということでございますので、あまりひげのことを言うなということでしたが、上原部長とここで質疑ができるということで、本当にうれしく思っております。
まず、私は、八ッ場ダムのことについては常々反対ということで、この議会でもやらせていただいたんですが、改めて、八ッ場ダムについての疑問点、私は、洪水対策という面で言うと、やはりダムよりも堤防強化なのかなと。去年の常総市の鬼怒川の堤防の破綻、やはり優先順位はダムよりも堤防なのかなと。さらに、水利権の確保という観点から言ったときに、水需要、人口減少、あるいは節水、農業用水、水利用が明らかに減っているわけなんですね。そういう中で、水利権確保をこれ以上していくということがどうなのかなと。さらには、このつくられようとしているダムの代替地を中心とした安全性というものが本当にどうなんだろうということも含めて、やはりこのダムには問題ありということで、そもそも論としてダムに反対し、この基本計画の変更に反対の立場なんだということを明確にしておきたいと思っております。
しかし、その一方で、現に群馬県で生活再建に取り組まれていて、そこで暮らしていこうという人たちがいらっしゃるわけでございますから、事業が安全になされているのか、そして生活再建が進められているのか、そういった観点も含めて質疑を行っていきたいと思っております。
初めに、(1)、11カ所が6カ所になったという質問でございますが、先ほど星名県議が部長のほうに質問をしていたということなので、1つ確認をしておきたいんですが、つくる、推進をするという立場からすれば、安全というのは絶対だということでございます。そういう意味で、部長が、るる国交省のほうの説明というものをしてくれたわけでございますが、実際上我々が一番心配しているのは、地すべりが起こった後に地すべりに対しての対処をするお金、安全性と、地すべりが起こる前にできる限りのことをやっておいて、しっかり安全を担保していくということを考えると、後者のほうがどう見てもお金もかからないし、安全も担保されるということで、この11カ所というのが、単に工期の問題だとか経費の圧縮というところで安全性がおかしくなってしまうと、これは逆かなと思っておりまして、しっかりとやっていかなければいけない、事前にやるべきなんだと思うんですが、部長、いかがでしょうか。
◎上原幸彦 県土整備部長 先ほど星名県議からも同様の質問があり、お答えしておりますけれども、今回の変更案では、ダム検証以降に実施したボーリング調査結果などをもとにいたしまして、専門家の指導・助言も得て地すべりなどの範囲を特定いたしまして、安定解析によって安全性を確認したうえで、5カ所については対策は不要だという判断に基づいて、これはなくなっているということで国から聞いております。
◆角倉邦良 議員 この問題については、僕らとしては部長にも県土整備の委員会で言ってきたんですが、安全性を全て国に丸投げするのではなくて、県としても独自の安全を求めてほしいということを言ってきていただけに、国が言っているからというのはちょっと残念かなという思いはあります。
2つ目のダム建設事業の完了の時期でございますが、端的に何をもって事業が終了ということをお示しいただければと思います。
◎上原幸彦 県土整備部長 事業主体であります国が、ダム本体工事及び関連工事が全て完了しまして、特定多目的ダム法第14条に基づき国土交通大臣が完了の公示を行った時点で完了ということになります。
◆角倉邦良 議員 それは大臣が完了と言ったときに完了ということですね。要は、なぜこの質問をしたかというと、完了と大臣が言った後に例えば地すべりが起きた、あるいはいろんな問題が起きたというときに、これは国が全面的に費用を持つという認識でよろしいのでしょうか。今、都道府県の負担がいろいろあるわけですけれども、そういったふうになってしまうのかどうか。私はならないんだろうと思っているんですが、部長、いかがでしょうか。
◎上原幸彦 県土整備部長 一般的に、完成した後の管理ダムについては、ダムの使用権者は、多目的ダムの維持修繕その他管理に要する費用の一部について、特定多目的ダム法第33条に基づく負担割合に応じ負担しなければなりませんけれども、県としては、河川法の第60条に定める費用に関して、同法の第60条と第63条に基づく負担割合に応じた負担を求められることになります。ダム完成後に発生した事象に対する費用については、この考え方に基づきまして、県として支払う必要がございます。
◆角倉邦良 議員 そうすると、大臣が完成の宣言をして、その後に、例えば、起こってほしくないですけれども、大規模な代替地での地すべりがあったというときには、群馬も含めた各都県は、それ相応の負担金を払わなければいけないという認識でよろしいのでしょうか。
◎上原幸彦 県土整備部長 それについては、今御説明したように、河川法の規定の中で、群馬県、それから著しく利益を受ける受益都県があれば、そこにも負担を求めるということで、国が払う部分と各都県が払う部分ということで負担が決められていて、それに基づいて支払うことになります。
◆角倉邦良 議員 ダムができれば、その後は負担はないのかなというふうに一般の県民、私もそういうふうに考えてきたんですが、何がしかの維持管理費がかかるだろうということについては私も思ってはいましたけれども、今の話だと、事象によっては、利益を受けるということになれば、代替地というのは群馬県そのものでございますから、要するに、相当の負担を我々群馬県も負わなければいけなくなる可能性がないとは言えないと今の部長の答弁で思いました。そうなってくると、これはいろんな問題がやっぱり発生してくるんだと思います。
ただ、その一方で、これは知事もいつもおっしゃっていることなんですが、群馬県はつくりたくてこのダムをつくったわけではない、国のほうから頼まれて、苦渋の選択という中で、このダムに対応してきたということでございます。私どものほうからお願いをして、このダムをつくってくれといったことではないわけですから、群馬県として言うべきことは言っていただいているのでしょうけれども、より言ってもらわないといけないような状況が今来ているのかなと思っております。私は、国の責任でということを言っているんですが、部長の先ほどの御答弁を聞くと、この八ッ場ダムに問題があり続ける限り、群馬県はそれ相応の負担を払い続けなければいけないということでございますから、これは本当に慎重にこの負担金の問題を、つくる側に立って考えたとしても、していかなければいけないということを申し上げておきたいと思います。部長、ありがとうございました。
次に、企画部長、お願いします。
○星野寛 議長 企画部長、答弁席へ。
(向田忠正企画部長 登壇)
◆角倉邦良 議員 基本計画の変更の議決を今議会に提案されているわけでございます。この基本計画変更は、知事の意見提出に際し、県議会の議決を必要とするということで、この法的な根拠というものを簡単に示していただければと思います。
◎向田忠正 企画部長 今回の議案提案でございますけれども、特定多目的ダム法の第4条第4項の、「国土交通大臣は、基本計画を変更しようとするときは、あらかじめ関係都県知事の意見をきかなければならない。この場合において、関係都県知事は、意見を述べようとするときは、当該都県の議会の議決を経なければならない。」との規定を根拠とするものでございます。
◆角倉邦良 議員 そうすると、群馬県議会がこの議案について否決をするということになると、このダム建設は一旦中断するという認識でよろしいのでしょうか。
◎向田忠正 企画部長 議会の議決が得られず、知事意見を提出できなかった場合でございますけれども、国土交通省が基本計画の変更手続きを進めることができず、結果的には生活再建事業も含めて、事業がとまるものと考えられると国からは聞いております。
◆角倉邦良 議員 それだけこの議決は重いということだと思います。部長、ありがとうございました。
知事、よろしくお願いします。
○星野寛 議長 知事、答弁席へ。
(大澤正明知事 登壇)
◆角倉邦良 議員 最後の質問になります。知事とは八ッ場ダムについての認識は違うところはあるんですが、しかし、つくってしまっている以上、やはり安全でなければいけないということについては、我々の会派の中でも、いろんな意見が先輩議員も含めてありましたけれども、安全というところでは一致できるのかなと。そして、できるだけ負担を少なくしてほしいということについても一致できるのかなと思っております。
しかし、その一方で、今、ダム建設の完了の時期、あるいは基本計画変更の議決の重さということを質疑の中で、るる述べさせていただいて、答弁もいただいたわけでございますから、やはり心配なのは、安全性が一番心配なわけでございますが、そのうえで、県民の心配として、さらなる工事延長、あるいは事業費増額がなされた場合に、知事がどう対応するんだろうということについては、やはり県民の皆さんは大きな関心を持たれているんだと思います。先ほど星名議員からも同じような質問があって、知事は御答弁をされたというふうには思っているんですが、しかし、今、私が完了の時期だとか基本計画変更の重さということを考えていくと、群馬県が持っている自治体の力、いい意味でのアドバンテージというのがやっぱり大きいのかなと。都道府県1都5県、そして群馬県も含めて、簡単に国のほうの言い分はのみませんよと。知事のお言葉を借りれば、熟慮に熟慮を重ねてということだと思うんですが、しかし、この次、増額があるということになったときは、これはこれで大変なことになってしまうと思うんですね。私は、こういう自治体が持っている力というものを活かしていただいて、国交省のほうの言い分で増額されていくということに対して、もっともっと都道府県が力を発揮して、言うべきことを言い、やるべきことをやって、この問題について、もし増額なんていうことになれば、そんな簡単なことではないですよということを知事にしっかりと示していただきたいと思うんですが、知事、いかがでしょうか。
◎大澤正明 知事 先ほど星名県議にも答弁したんですが、現時点で想定される増額の要因は全て考慮されたうえでの事業費の変更であると認識しておりまして、工期についても延長が必要となる情報はないと聞いておるところであります。今回の変更に際しては、国に対して、まずは生活再建事業の早期完了はしていただかなければならないわけでありまして、また、総事業費の圧縮、ダムの早期完成を強く求めておるところであります。そのためにも、工期末を見据えた事業監理を行うため、適時関係都県と情報を共有することを求めるとしておりまして、県としても、国がコスト縮減や工程管理にしっかり取り組むよう、関係都県と注視していきたいと考えております。万が一、今後、基本計画の変更が行われるという場合には、やはり関係都県としっかりと連携して、内容を精査したうえで判断していかなければいけないと思っています。
◆角倉邦良 議員 ダムをつくっていって、地元に群馬県民が住んでいる知事の立場からすると、なかなか厳しい国交省とのやりとりというのがやっぱりあるんだろうなと推測されます。しかし、その一方で、先ほど来から言っているとおり、やはり自治体は、いい意味で拒否権も持っているということでございます。その一方で、生活再建もしていかなければいけない中で、吾妻の長野原の住民の皆さんが完成を待ち望んでいるというところも、推進する立場からすればあるんだと思います。ただ、何でもかんでも国が言ってくればオーケーというわけにいかないよという強い意思については、ぜひ知事にはお示しをしていただきたいなと思っています。
これは2013年の朝日新聞の記事で、記者とのやりとりの中で、増額は断固反対という記事が出ていて、これは僕は直接知事がおっしゃったことを聞いているわけではないので、この新聞の切り抜きのとおりなんだというふうには思うんですが、しかし、我々が心配なのは、これから地すべりのことだとか、いろんなもろもろのことが出てきたときに、群馬県として増額に応じざるを得ないという状況をどんどんどんどんつくられてしまう。僕は、そのときに、国が全部持ってくれということならまだわかるんですよ。ただ、先ほどの部長の答弁を聞いていると、都道府県、1都5県もそれ相応の支払いをしなければいけない。特にこの群馬県は特別の利益があるんだとすると、国交省に言われたら打ち出の小づちのようにお金を払わなければいけないということでは困るということで、私は、根本的には、大臣が完成宣言した後の維持管理その他については、国が全面的に責任を持って全額やるべきだというふうに法律改正をしてほしいぐらいの気持ちでございます。なので、ぜひとも知事として、増額云々かんぬんということについては、そんな簡単な問題ではないんだということは国にしっかり伝えるようにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
◎大澤正明 知事 私は、八ッ場ダムにおいて、全て国の言うとおりに従ってきた思いはありません。21年の中止が出たときも、前原大臣と直接お会いして、八ッ場ダム再開のスタートとなる1号橋に結び付けていただいたわけでありまして、これは八ッ場ダムの県としての大きな成果だったと思っております。今後の増額問題についても、県としての意見はしっかりと申し述べていきたいと思っております。
◆角倉邦良 議員 終わります。ありがとうございます。(拍手)
○星野寛 議長 以上で角倉邦良議員の質問は終わりました。
● 休 憩
○星野寛 議長 暫時休憩いたします。
午後1時10分から再開いたします。
午後0時17分休憩
午後1時10分再開
(橋爪洋介副議長 登壇 拍手)
○橋爪洋介 副議長 暫時、議長職を執り行います。
● 再 開
○橋爪洋介 副議長 休憩前に引き続き会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
● 質疑及び一般質問(続)
○橋爪洋介 副議長 新井雅博議員御登壇ください。
(新井雅博議員 登壇 拍手)
◆新井雅博 議員 自由民主党の新井雅博でございます。これより通告に従いまして一般質問を始めさせていただきます。
今日は傍聴席に上野村の議会の皆さんが議員研修ということで傍聴にいらしております。皆さんの席の上に置かれている水をよく見てください。上野村源流水の水であります。別に示し合わせて置いたわけではありません。上野村は群馬県の南西部、言葉は適切かわかりませんけれども、群馬の秘境と言われている奥地でもあります。そこの源流水で、議会の場においても大変評判がよろしくて、本会議場はもとより各常任委員会、特別委員会の席でも使用させていただいております。冒頭お話をさせていただきました。
1番目として、八
ッ場ダム建設事業費の増額、あるいはそれに伴う自治体の負担感について質問をいたしますので、企画部長、お願いをいたします。
○橋爪洋介 副議長 企画部長。
(向田忠正企画部長 登壇)
◆新井雅博 議員 少し話をいたしますので、聞いていてください。この八
ッ場ダム建設事業費の増額という質問につきましては、我が自由民主党の星名県議が午前中の1番目の質問で行いました。いろいろと私なりに指摘をするところ、国の取り組み、そんなことも考えてはおりましたけれども、星名議員のほうから増額に伴う大変懸念される案件、あるいは国に対する県の姿勢等々質問をさせていただきました。我が党は、この議案と八ッ場ダム建設については当初から推進をしてまいりました。その大澤知事の答弁でありますけれども、まず増額については、大変遺憾であるという表明を改めてこの議場の場でいたしました。あわせて、水没地を含めた地元の再建が最優先されるということ、そういった人々のためにも、その地域の未来のためにも、一日も早い完成を願う立場として、進める立場として、じくじたる思いで同意の決断をしたということ、あわせて、国に対する県としての姿勢についても、大澤知事から大変厳しい、あるいは決意のこもった話がありました。今までも、前原国交大臣当時もそうであったように、今回の問題についても、これからの建設完成に向けての過程にあっても、毅然とした態度で国とは対峙し臨んでいく、こういう決意をいただきましたので、この部分については省略をさせていただきながら、小さな話になりますが、小さな自治体にとっては小さな話では済まされないお話をここでさせていただきます。
今回の増額720億円です。今から15年ほど前の恐らく平成13年に2,130億円でしょうか、そして平成16年、2年半もたたないうちに4,600億円と倍以上にはね上がりました。豊洲市場ほどではありませんけれども、膨れ上がりました。そして、4回目の変更の平成26年でしょうか、今から約3年前、このときも事業費総額4,600億円は変わりませんでした。そして、3年もたたないうちに、ほぼ事業執行、事業契約がなされた今日に及んで720億円の増額がされたわけでありますが、この県の負担というのは34億円余になるということでありますが、同じ八ッ場ダムに水利権を求め、利水者となっておりますお隣の藤岡市もこの八ッ場事業に参画し、4,600億円の0.5%の事業費を負担いたしております。おおよそ23億円であります。今回の720億円の増額によりまして、藤岡市が被る新たに支出をしなければならない金額は3億6,000万円になると聞いております。
私は、恐らく国の役人は、3億円や34億円はお金という感覚を持ち合わせていないのではないかという危惧がありまして、お話をさせていただきます。今日のニュースですと、国では臨時国会での補正予算で3兆2,800億円ですか、3兆円台を超える補正ということでありますので、恐らく国の役人の頭の中での720億円というのは大したことない、そのように思っているかもしれませんので、今回の増額に当たって、県当局が国の役人と向き合うときに、それぞれの負担感の違いというものを、ぜひ企画部長を含め、県土整備部長も持ちながらお話をしていただきたく、言うわけであります。
藤岡市の3億6,000万円の増額、恐らく合わせて建設事業に30億円近い事業費を支出することになるでしょう。藤岡市の一般会計はおおよそ280億円前後と聞いておりますので、1年間の市の予算の1割以上を建設費にトータルで支出する。群馬県にその数字を当てはめるならば、800億円近いお金を八ッ場事業費に投入するということでありますので、小さな自治体になればなるほど、そういった国の国家プロジェクトに対する事業負担というのは大きなものとしてのしかかってくる、こんなことを少しわかっていていただきたい。そうした大きな負担を強いているにもかかわらず、その藤岡市は20年の長きにわたって、毎年毎年暫定水利権を得るために、数十万円という大金をその書類作成に支出しながら、国にその承諾を求める作業をしているということ、法律にあるかないかわかりませんけれども、法律の決めではなく、そういった自治体のお金、あるいは事務負担、そういったこともぜひ県当局としても理解をし、知る中で、この増額問題に対しては国としっかり対峙していっていただきたいと思っております。
さらに、つけ加えさせていただく質問でありますけれども、藤岡市は暫定水利権の状態でありますので、31年度の完成の暁には、しっかりと本水利権になる手続き等々、今お話ししたことを含めて、県当局もしっかり御支援をしていただきたい、そんなことを部長にはお尋ねさせていただきたいと思います。
◎向田忠正 企画部長 八ッ場ダムの建設事業費の増額に伴う市町村の負担についてでございます。藤岡市にとって3億6,000万円の増額というのは大変に重い負担であるという認識を持っております。また、現在、藤岡市は八ッ場ダムに使用権を設定し、水道用水として神流川から取水をしている権利、これは八ッ場ダムが未完成であることから、今議員がおっしゃったとおり、1年ごとの更新が必要な暫定水利権として国から許可をされているものでございます。こうした毎年の更新手続きというのも自治体にとっての負担になっているという認識を持っております。八ッ場ダムが完成すれば、この暫定水利権の更新期間はまず3年に延長される見込みであると国から聞いております。さらに、今回八ッ場ダムに藤岡市が設定する使用権と、ほかの自治体が保有する下久保ダムの使用権を振り替えて、安定水利権に変更する手続きを進めることができるようになります。こうしたことからも、八ッ場ダムの早期完成を求めていくとともに、藤岡市と連携いたしまして国ともしっかりと協議を進め、その方向に進められるように努力をしていきたいと考えております。
◆新井雅博 議員 しっかりと私の気持ちも含めておくみ取りをいただいて、今後対応していただくようにお願いを申し上げて、部長には終わります。
県土整備部長、お願いをいたします。
○橋爪洋介 副議長 県土整備部長、答弁席へお願いします。
(
上原幸彦県土整備部長 登壇)
◆新井雅博 議員 部長には、9月の頭には上野村、神流町、それぞれ取り組んでいる事業の進捗状況の確認と、それぞれの自治体が抱えている問題について直接お聞きをいただいたり、現地をつぶさに見ていただいて、大変ありがとうございました。知事が常々おっしゃっている話でありますけれども、やはり地域があって群馬があるんだと。地域の声が最優先、県会議員の声が県民の声である、そんなことを担当部長として実践していただきまして、大変ありがとうございました。
今日はダムの効果という部分でありますけれども、今年も取水制限がありました。テレビを見ておりますと、国の管理する、あるいは機構の管理する、それぞれの大きなダムの干上がったような状況を映し出すわけでありまして、ともすると違うんだけどななんて思いながらテレビを見ていたり、そういった報道によって下流都県の人々はやはり不安感を強く持つわけですね。そういったことがありますので、今回の取水制限を含めて、国の管理の部分と水資源機構の管理する大きな利根川に関わるダムの話で結構でありますけれども、改めてでありますけれども、洪水、利水、どんな役割を果たしているのか、お伺いをさせていただきます。
◎上原幸彦 県土整備部長 県内には国土交通省と水資源機構が管理する8つのダムがあり、夏の洪水期、7月1日から9月30日までに当たりますけれども、約1億4,000万立方メートルの洪水を貯留できる容量と、約4億6,000万立方メートルの利水容量を確保しております。洪水調節の実績といたしましては、平成23年7月の新潟・福島豪雨において、八木沢ダム、奈良俣ダム、藤原ダムにおいて、県庁舎にいたしますと約280杯分、東京ドームで言いますと80杯分に相当する約1億立方メートルの洪水を貯留することで、下流河川への流量を減らし、水位低下をもたらしたところであります。
一方、利水に関しましては、今年の冬は記録的に雪の少ない年であり、5月の降水量も平年の半分以下と少なかったことから、利根川上流の8つのダムによりまして、5月5日から43日間にわたり、合計約2億5,000万立方メートルの補給を行ったところであります。しかしながら、6月16日にはダムの総貯水量が37%となり、渇水対策として10%の取水制限を行わざるを得なくなったところであります。
このように、既設ダムは洪水を貯留することで下流への流量を減らし、利根川下流域の首都圏の河川沿川の洪水被害を軽減するとともに、ダムに水を貯留することで首都圏の飲み水や工業用水の確保に貢献しているところであります。
◆新井雅博 議員 それぞれ洪水調整等を行っているということがわかっておりますけれども、それでも自然の力というのははかり知れない力があり、頻繁に洪水が起こったり、あるいは雨が降らず渇水で制限が行われるというのが毎年繰り返されているわけであります。私は、八ッ場ダムが完成していたならばどうだったんだろう、こんなことをその報道を含めて見ていて思いました。本来であれば、民主党政権時代にこの工事がストップしなければ、今頃満々と水をたたえ、地域の人たちの生活再建が確実に一歩前進をしていたと思うと、正直残念でなりません。この八ッ場ダムの効果、利水・治水を含めてどの程度のものか、何か物差しがあるならば、それに当てて御説明をしていただければありがたいと思います。
◎上原幸彦 県土整備部長 治水につきましては、八ッ場ダム単独で既設の利根川上流8ダムの45%に相当する6,500立方メートルの洪水調整容量を有しており、利根川における治水安全度の向上に大きな役割を果たすものであります。また、利水につきましては、今年は近年にない早い時期から取水制限が実施されましたが、国によりますと、八ッ場ダムがあった場合、概略の計算ではありますけれども、6月16日から79日間実施されました取水制限については行われなかったと聞いております。
◆新井雅博 議員 本当にそういう報道をしてほしかったですよね。あの渇水で報道するのであれば、実はあれだけ全国的に報道していた賛成・反対の八ッ場ダムがあるならば、あったならば、こういったことを報道することで、我々自身も県民も安心をいたしますし、下流都県の人々も八ッ場ダムの有効性というのを改めて認識するいい機会になったと思っておりますので、こういった渇水期、洪水を含めて、ないにこしたことはないのですけれども、あった折には、改めて群馬県の水源県としての存在意義、あるいはダムの意義、こういったものを伝えていきたいと思っております。
私の本題でありますダムの周辺地域の振興ということであります。
八ッ場ダムでは、ダム湖を活用した、これからの未来を開こうという考えでありますけれども、その大きなダムも、あるいは県管理、県施工のダムの周辺地域も、恐らく建設当時には大きな未来への夢、地域の振興政策、こういったことが当然あったと思います。しかし、残念ながら、その周辺地域を見ると、人口が流出をして山村過疎と言われるような状況がどうしても目につきますので、現在、国管理のダムの周辺整備事業について、県としてはどのような取り組み、あるいはどのような考え方を持ちながら政策を立てているのか、お尋ねをさせていただきます。
◎上原幸彦 県土整備部長 県内の国や水資源機構が管理いたしますダムでは、各水源地域におきまして、ダムを活かし、自立的・持続的に活性化を図ることを目的として「水源地域ビジョン」を策定し、ダム管理者と水源地域自治体、地元住民などで協力しながら、交流人口を増やす取り組みをハードとソフトの両面から実施しております。議員の地元、下久保ダムにおきましては、「水源地域ビジョン」を発展させ、「神流川ビジョン」として地元関係者の支援をいただき、ダムと川の絵のコンテストとか、ダムの点検放流見学会などの活動を展開しているところでございます。また、県営の7つのダムについては、それぞれ地域の特性を活かしまして、ダム湖を回遊できる遊歩道や親水公園などの整備を行ったところであります。
◆新井雅博 議員 県土整備部長にはありがとうございました。
知事、お願いをいたします。
○橋爪洋介 副議長 知事、答弁席へお願いします。
(大澤正明知事 登壇)
◆新井雅博 議員 今後のダムを活用した地域振興の取り組み、私はこれが一番大切な今日の質問であります。ずっとずっと群馬県議会も行政のほうも八ッ場ダムということで振り回されたというのでしょうか、翻弄されたというのでしょうか、こういったことで長きにわたって、基本的には八ッ場ダム中心に動いてきたように思っておりまして、私は、もっともっと早く、この群馬県にある群馬県の施工のダムも含めて、ダム周辺の環境整備というものを改めて注視して、群馬県の政策の中心に据えるべきだという考えがありましたけれども、ようやく八ッ場ダムも、今日、31年度の完成ということが確約されましたので、今度は50年の長きにわたって、群馬、あるいは下流都県に命の水、あるいは生命や財産を洪水から守ってきたダム、こういったところに目を向けるときが来たと思い、知事の御所見を伺いたくて質問事項に加えさせていただきました。山村過疎と言われるところ、あるいはダムの上流部には、県、国が力を注ぐならば、まだまだ以前の繁栄を取り戻す、そんなことで計画を立てているところもあろうかと思いますので、ぜひ、ダムを中心とした環境整備について知事の御所見をお伺いさせていただきます。
◎大澤正明 知事 群馬県には、議員御指摘のとおり、首都圏の経済発展のために、また流域の治水・利水のため、多くのダムが建設をされました。利根川下流域の首都圏を大きな洪水から何度も守るとともに、渇水時には水の補給を行い、危機的な状況を救ってまいりました。これらのダムが完成できたのは、地元の理解と献身的な協力によるものであります。ダム周辺の地域振興に関して、県総合計画に掲げる「持続可能な地域づくり・まちづくり」と「魅力あふれる観光県ぐんまの推進」の施策と合致することから、改めてダム周辺地域に目を向けることも大切であると考えております。
既設のダムを活用した地域振興にあっては、その地域の状況に詳しい市町村が、既設ダム周辺だけではなく、地域全体のまちづくりを考えたうえで、どのような施策であれば人を呼び込むことができるのか、地域の皆さんと相談していくことが必要であると思っております。県では、既設ダム周辺の地域振興にもつながる「7つの交通軸」の整備を推進しているところであり、既設ダム周辺の地域振興について、県としても計画段階からできる限りの支援をするとともに、ダム管理者である国や水資源機構に積極的に支援をしていただくよう働きかけてまいりたいと考えております。
◆新井雅博 議員 ぜひ知事には、改めて、八ッ場ダムに注いだ情熱に引けをとらない熱い思いを持ちながら、国、水資源機構の8つを超えるダム群の周辺、あるいは群馬が管理をするダムの周辺、そういったところに積極的な政策展開をしていただくように要望させていただいて、知事に対する質問は終わらせていただきます。
続いて、防災・減災対策ということで、県土整備部長、お願いいたします。
○橋爪洋介 副議長 県土整備部長、答弁席へお願いいたします。
(
上原幸彦県土整備部長 登壇)
◆新井雅博 議員 一昨晩だったですか、テレ朝だったですか、ニュースを見ていましたら、流木被害ということではなくて、被害が拡大する流木災害という大きな見出しで、岩手県岩泉町ですか、あとは鹿児島湾、これは流木が湾一杯になり、養殖の網を突き破り、あるいはスクリューを破壊するというような場面が映し出されたニュースがありまして、まさしく今回、私は、防災・減災、洪水対策という部分で、流木というものを見逃すわけにはいかないのではないか、そんな思いがあっての群馬県の河川に対する当局の安全対策、洪水時における準備、どんな施策を行っているのか、まず先に部長にお尋ねをさせていただきます。
◎上原幸彦 県土整備部長 御質問にお答えする前に、先ほどの八ッ場の治水の洪水調節容量のところの数字で、私は6,500万立方メートルと説明しなくてはならないところを6,500立方メートルと説明しましたので、訂正させていただきます。
それでは、質問にお答えさせていただきます。
議員おっしゃるように、大雨のときに橋脚などに流木がひっかかって、それが原因で洪水が発生するような事例というのが現在よく見受けられるところでございます。河川の対策といたしましては、洪水時の河道の閉塞を防ぐために、河川内の木の伐採とか、あとは堆積土の除去などを実施しておりまして、河川断面の確保に努めているところであります。しかしながら、近年発生しているような山地斜面などから河川へ流入する倒木などによる閉塞につきましては、流域全体による総合的な対策が必要であると考えております。
◆新井雅博 議員 時間があれなので、感想は後にしておきます。部長、ありがとうございます。
流木対策についてということで、環境森林部長、お願いをいたします。
○橋爪洋介 副議長 環境森林部長、答弁席へお願いいたします。
(井田由夫環境森林部長 登壇)
◆新井雅博 議員 洪水時の被害拡大というのは、テレビで見ていてもわかるように、あの流木が河川にかかり、河川が崩壊したり、崩壊しなければその濁流が正直行き場をなくして人家に押し寄せているとか、そういうふうに見ると、山から出る流木を悪者にするようなところがあるんですけれども、恐らく環境森林部とすればいろいろな反論というのもあるのでしょうけれども、そういった被害を最小限に食い止めるためにも、治山事業やら、あるいは間伐を含めた森林整備、こういったことが当然必要なわけでありまして、環境森林部としてその部分の対策というか、事業が十分に行われているのかどうかを含めながら、その事業を推進する立場として意見を求めたいと思います。
◎井田由夫 環境森林部長 流木の災害についてお答えを申し上げます。
近年の災害では、これまでに経験のないような集中豪雨が起こり、渓流の浸食や山腹斜面の崩壊によりまして生育する樹木等が下流に流出する事例が発生しております。このような被害を防止・軽減するためには、活力ある健全な森林を育成するとともに、治山事業により施設を整備しながら、土砂災害防止等の森林が有する多面的な機能を高度に発揮させることが重要であると考えております。
活力ある健全な森林については、根茎の発達や下層植生の生育により土砂災害防止機能が高いとされております。本県の約5割を占める人工林におきまして、健全な森林を育成するためには、間伐等の適正な管理が必要でありまして、その間伐材を有効に利用するためにも、林業を再生していくことが重要であると考えております。また、健全な森林づくりとあわせて、渓流や山腹斜面の安定性を強化するために、地域における地形・地質の状況に応じた治山ダムや渓流工などの施設を配置して、より一層防災機能を強化してまいりたいと考えております。
いずれにしましても、林業の再生や治山事業の推進により、活力ある健全な森林を育成し、森林の有する土砂災害防止機能等を高めて、流木の発生しにくい災害に強い森林づくりを進め、山地災害の防止や軽減を図ってまいりたいと存じます。
◆新井雅博 議員 部長の責務というのは、大気汚染やら水やら森林やら、あるいはそれにまつわる業がたくさんありますね。そんなことを包含しながらやらなければならない立場、大変だなと思いますけれども、今日は流木被害を軽減するという観点から質問いたしました。ぜひ、治山事業、あるいは森林整備、さらに目を凝らしながら、しっかりと対応していただくように要望させていただいて、部長には終わらせていただきます。
次に、知事、お願いいたします。
○橋爪洋介 副議長 知事、答弁席へお願いいたします。
(大澤正明知事 登壇)
◆新井雅博 議員 今年は東北にも台風が上陸したり、北海道から九州、全国各地で大豪雨で大きな被害が頻発している状況が、一時期、連日報道されていました。恐らく知事は、そういった報道を見ていて、群馬県は65%を超える面積のうちの――65%は森林が占める面積ですね。そういったことを想像しながら、これは群馬県も山林を含めた災害計画に相当本腰を入れなければならないなというのを実感したのではないかと思っております。また、知事に質問する前に、流木ということを質問いたしましたけれども、ちょうど9月の補正予算の自民党との折衝のときに、知事がちょっと流木という話を口にしたように、私は勝手に知事の口元を見ていて思ったんですよね。ですから、昨今の岩手県の被害も見て、あるいは南牧村を直撃した平成19年の台風9号ですか、知事はいち早く現地に行って、その惨状を見た。そういったことを思い出して、流木というものがいかに被害を拡大するものかというのを思ったから、あのときに流木と。ですから、今回ここに流木被害の軽減対策ということで挙げさせていただきましたので、そういった河川洪水時の流木での被害軽減に対しては、今後、山の活力を取り戻すことも含めながら、知事の御所見をお尋ねさせていただきたいと思います。
◎大澤正明 知事 今、議員御指摘のとおり、私が知事に就任して直後の平成19年9月、台風9号の豪雨災害で、まさに山腹崩壊などによる流木で南牧村を中心とした甚大な被害を目の当たりにして、大きな衝撃を受けたわけであります。御指摘のとおり、本県は県土の3分の2を森林が占めていることから、県土の強靱化を進めるためには災害に強い森林をつくることが極めて重要であり、そのため、まずは林業を再生することが必要であり、搬出間伐や施業の集約化を推進し、森林資源を有効に活用しながら、災害に強い健全な森林を育成しており、計画目標の素材生産量年間40万立方メートルの達成に向け、現在、順調に歩みを進めているところであります。加えて、効果的に治山施設を配置して保安林の整備を進めることで、県民の安全・安心な生活を確保してまいりたいと考えております。
◆新井雅博 議員 災害対策にもなりますし、群馬が進める森林・林業基本計画に則った政策にも結び付いてくる。あるいは先ほどお話をさせていただいたダム湖周辺、あるいは上流部の環境整備、社会資本整備、こういったところにも、山を強靱化する、あるいは間伐をする、つながってまいりますので、新しい年度を含めて、ぜひしっかりとした強力な体制をとっていただくように要望させていただいて、知事には終わらせていただきます。
県土整備部長、お願いをいたします。
○橋爪洋介 副議長 県土整備部長、答弁席へお願いします。
(
上原幸彦県土整備部長 登壇)
◆新井雅博 議員 道路整備という大きなくくりで質問させていただきますけれども、群馬県は「7つの交通軸構想」ということで、それぞれの高速道路をネットワーク化して、そこに主要幹線道路をつないで、そして群馬県のそれぞれの地域をしっかり発展させようということ、あるいは経済を発展させて、群馬県をさらに大きく力強くはばたかせようという大きな構想のもとでやっているわけでありまして、そのことは、この群馬県が近い将来、関東の中心地として飛躍・発展できる大きなツールというか、基盤整備でありますので、私は、これはこれでいいと思っています。
しかし、現実、群馬県民は、この県庁を目指して来る人というのはほとんどいないですよね。ほとんどの人たちが道に望むのは、買い物に便利であればいいな、通勤がもう少し近くなればいいな、通学路が安全な道であればいいな、災害に強い道であればいいな、こういったことが地域に住んでいる県民の率直な声だと思うんですね。そういった意味で、ともすると「7つの交通軸構想」がボーンと出過ぎとは言いませんけれども、出ているが故に、じゃ、県の管理をする主要幹線道路はどうなっているんだろう、あるいは市町村が管理する数限りない路線はどうなっているんだろうか、こんなことを思わずにいられない気持ちになったものですから、当然のことながら、県でありますので、国道やら主要幹線道路の、その辺の整備に関わる取り組みについて、どのような取り組みを行っているのか、県土整備部長にお尋ねをさせていただきます。
◎上原幸彦 県土整備部長 「7つの交通軸構想」は、高速道路の効果を県内全ての地域に行き渡らせ、産業の発展や観光振興などに活かせるよう、幹線道路網の整備を図るものでございます。主軸となる道路といたしまして、例えば、東毛軸では東毛広域幹線道路や国道50号前橋笠懸道路、吾妻軸では上信自動車道、西毛軸では西毛広域幹線道路や国道462号、さらに前橋長瀞線バイパスなどの整備を進めてきたところでございます。また、主軸の整備に合わせまして、工業団地などと主軸を結ぶ交差道路や主軸間を連結する道路及び高速道路のインターチェンジへのアクセス道路など、主軸の機能や効果を一層確かなものとするための軸の強化として、関連する幹線道路の整備も進めているところでございます。また一方、中山間地域において、地域の生活道路や災害時の孤立対策といたしまして、地域の実情に合った道路整備も進めているところであります。今後も引き続き、「7つの交通軸」の主軸や関連道路及び中山間地域の道路など、県土の均衡ある発展につながるための道路整備を進めることによりまして、群馬の未来創生と人口減少社会への対応を図ってまいりたいと考えております。
◆新井雅博 議員 主要幹線道、あるいは一般県道、250を超える路線で、3,900キロに及ぶ(「3,300」と呼ぶ者あり)3,300ですか。3,300という知事からの話でありまして、それだけの区間を管理、あるいは改善、時には当然新規の路線、これは天文学的な数字になるのではないかと想像するわけでありますけれども、そこがしっかりと整備をされて初めて、先ほどの話ではありませんが、「7つの交通軸」が活きてくる、高速道路が活きてくるということでありますので、長期計画ではありますけれども、その辺をスピードを持ってできるプランというものをぜひ立ち上げて、我々に対してもそうですし、国交省に対してもそうでしょうが、要請活動を改めて強力に推し進めるという体制づくりをとっていただいて、群馬の未来に備える道、県民の生活を支える道、それに応えるよう、ぜひ御努力をいただくようにお願いをして、部長には終わります。
もう1つありました。県境をまたぐ道路の整備ということであります。先ほども言ったように、全ての県民が前橋、県庁を目指して来るわけではありません。藤岡市は埼玉県と、あるいは神流町も埼玉県に、上野村については長野県に、富岡市にと、ともすれば県境またぎで自分たちの村や町や市の将来を考えている市町村というのは群馬県中たくさんあると思うんですね。これだけ広域連携が深まったり、あるいは災害が大規模化してくる、大地震が想定される、このようなときに、逃げ延びてこられるのは群馬県の立地の利だと思います。だから、ここへつなぐ道も、山村過疎と言われる地域も橋や道やトンネルを抜くことによって他の県との交流を深めて、新たな発想の中でまちが再生できる、こんなことも夢ではなく、現実の議論としてそれぞれの自治体は進めているところがあります。藤岡も254バイパスに橋と道をつくろうということで、埼玉県本庄市との期成同盟会をつくりました。県下には47の期成同盟会があるやに聞いておりますけれども、そういったところにも県当局としてももっともっと目を向けたり、力を注いでいってほしいなという、そんな気持ちも持っておりますので、どうでしょうか。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。県境をまたぐ、そういった道路整備について、県当局の取り組む姿勢について部長にお尋ねをさせていただきます。
◎上原幸彦 県土整備部長 「7つの交通軸構想」によりまして県内の主要地点を結ぶ幹線道路の整備が順調に進んできたことにより、さらに隣接する県へ通じる道路整備を望む声が高まってきております。県といたしましても、経済の活性化、観光及び防災面から、隣接する県との連携が重要であり、東毛地域におきましては、埼玉県、栃木県との経済交流をさらに進める有機的な道路網の構築や、西毛・北毛地域におきましては、長野県、新潟県とともに、自然環境などを活かした観光誘客や、大規模災害時における道路の代替性、多重性の確保など、県境をまたぐ道路整備が必要であると考えております。
現在、県境部では、国土交通省によりまして国道17号新三国トンネルの整備や、埼玉県と連携して上武大橋や国道354号板倉北川辺バイパスの整備を行っており、千代田町に予定している利根川新橋につきましても、事業化に向けて埼玉県とともに検討を進めているところであります。県境部には急峻な山地や大河川が存在し、道路を整備するうえでトンネルや橋梁が必要となり、多額の建設費用を要するとともに、隣接する県との協議・調整にも多大な時間を要することから、引き続き隣接する県や国と粘り強く協議・検討を行ってまいりたいと考えております。
◆新井雅博 議員 ありがとうございます。いずれにしても、生活者の一番近いところに改めて視線を落として取り組んでいただくようにお願いを申し上げて、部長には、この部分については終わります。
次に、道路標識の改修について、英語表記化ということについて部長には質問をいたしますけれども、これは国の観光立国を目指すというところから来ていることかなと思います。聞くところによると、本年度は当初予算で3,000万円、英語表記化について予算をつけて、これは地方創生交付金なんですかね、今度この補正で6,000万円、英語表記化に大分力が入っているなと思うわけでありますけれども、この表記化というのは、私も気付かなかったんですが、今までどんな取り組みを行ってきたのか、また今後取り組むのかというのをお尋ねさせていただきます。
◎上原幸彦 県土整備部長 道路標識の英語表記化につきましては、道路標識令の改正により、外国人観光客でもわかりやすい英語での表記を原則とすることとなりまして、本県におきましても表示方法を道路標識適正化委員会で決定しております。これを受けまして、平成26年度から、富岡製糸場などの世界遺産や主要インターチェンジへ接続する道路及び主要駅周辺で、大型標識や地点名標識の英語表記化を進めているところでございます。特に大型標識につきましては、本年度までに約300基を改修する予定であり、今議会に主要観光地へのアクセス道路における英語表記化を補正予算に計上し、積極的に事業を推進してまいりたいと考えております。今後、東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据えまして、英語表記が必要な約1,300基のうち、効果の高い路線から改修を進めまして、本県を訪れる外国の方々にもわかりやすい道路標識を整備することによりまして、観光県ぐんまを推進してまいりたいと考えております。
◆新井雅博 議員 英語表記化、また、補正を含めて1,300基を新たに設置していくというか、今あるものに英語表記をプラスするということでしょうけれども、否定するわけではないですよ。私がここで言いたいのは、私は車を相当運転していますけれども、外国人旅行者と目されるような人とすれ違ったり、見るというのはめったにないですね。大体見るとすれば、観光地へ向かう第一線をリタイアした60・70代の御夫婦だとか、グループだとか、そういう人たちがほとんど目につくので、恐らく群馬県の観光地にまずは車で訪れる人は、日本人観光客や群馬県民の1,000人に1人もいないと私は想像しますね。せっかく英語表記化で大きな交通標識を改修するわけでありますから、高齢者が多い車社会になっていますので、万々が一にも英語表記のために日本語が小さくなるようなことがまずないように、あるいは高齢者にもっともっと見やすいように、あるいは県外から訪れる人たちにもっともっとわかりやすいような標識づくりも、英語表記化とあわせて、意識をして進められないものでしょうかね。どうでしょうか。
◎上原幸彦 県土整備部長 当然、英語表記化以外に、今議員御指摘のように、高齢者の方に見やすい標識とか、そういう意見もございます。それは標識令の基準の中でまずは決めていかなくてはならないんですけれども、いずれにしても、英語表記をすることによって、もともとある字を小さくするようなことはございませんので、なるべくそういう思想に立ってやっていきたいと思います。
◆新井雅博 議員 英語表記化も標識令を改正して進み始めたわけですから、ぜひそういったことも頭の中に入れながら、この事業については進めていただくように要望して、終わります。これで部長は全てですね。ありがとうございました。
生活文化スポーツ部長。
○橋爪洋介 副議長
生活文化スポーツ部長、答弁席へお願いいたします。
(佐藤裕子
生活文化スポーツ部長 登壇)
◆新井雅博 議員 ぐんまマラソンについて、ここまで時間がなくて行き着かないかなと思ったけれども、はしょって一生懸命走ったので、何とかぐんまマラソンまで行き着くことができました。
このぐんまマラソンの準備状況、あるいは募集人員の見直し、大会の内容等々の充実について質問するわけでありますけれども、ぐんまマラソンにフルマラソンを導入させたのは、平成24年9月に公明党の福重県議さん、そして同じく24年12月の一般質問で星名県議さんが、是が非でもぐんまマラソンの中にもフルマラソンを導入してほしい、するようにという厳しい意見・要望を知事直接に突きつけて、知事もその情熱に押されて、早かったと思いますよ。恐らく26年の当初予算の中にその準備金を入れ、さらには係までつくって導入を積極的にやったということでありまして、まさしくぐんまマラソンの中のフルマラソンの産みの親というのは福重県議であり、星名県議だと思いますので、ぜひ来年は、両名の県会議員は今から体力をしっかりと強化して、フルマラソンにエントリーするように冒頭お願いしておきますので、約束をしておいていただきたいと思います。
今回は、また知事の肝いりで、ぐんま県民マラソンをぐんまマラソンということで改名して、広く県外からもそういった選手を募りたいという思いがこの名称にもにじんでおりますので、ここまで大会の準備で大変だったと思いますけれども、前回を上回る充実した大会にする心づもりでありましょうから、その準備状況をお尋ねさせていただきます。
◎佐藤裕子
生活文化スポーツ部長 ぐんまマラソンでございますけれども、今年フルマラソンを導入して2年目で、名称をぐんま県民マラソンからぐんまマラソンに改めて第1回目の大会となります。11月3日の大会に向けて、万全の体制で参加者をお迎えできるように準備を進めているところでございます。
まず、昨年も課題でありました交通規制の対応ということですけれども、通行車両の迂回路の確保とか、あるいは全面通行止め区間があったんですけれども、そういったことを回避するためにコースの一部変更を行ったところでありまして、当日、スムーズな迂回誘導ができるように、警備員やボランティアの配置の見直しを行って準備をしているところです。交通規制の周知につきましては、迂回路がわかりやすいようなチラシを作成しまして、沿道の住民や事業所に説明を行っているところです。また、道路上に掲げる交通規制を告知する看板につきましては、近日中に掲示いたしまして、事前の周知徹底を図っていきたいと考えております。それから、ランナーの安全対策ということで、体調の急変に備えるために、AEDの隊員や、あるいはGPS機能を利用してAED隊員の位置、AEDが今どこにあるかというのをリアルタイムで把握できるようなシステムを導入するなどして、救護体制についても準備を行っているところでございます。
なお、リバーサイドジョギングですけれども、そちらに車椅子の方がたくさん参加をいただいております。コース上に専用の仮設トイレを設置したり、あるいは参加賞の引き渡しや荷物の預かりがワンストップでできるような専用の受付を設置したりするなど、障害者に配慮した取り組みも進めているところです。開催まであと1カ月余りとなりましたが、皆様が気持ちよく参加できる大会になるように、しっかりと準備してまいりたいと思っております。
◆新井雅博 議員 ぜひ、しっかり準備を重ねて大会に備えていただきたいと思います。
2番目の募集、特にフルマラソンの募集の定員がちょっと少な過ぎるのではないかと思いますし、また、締め切ってしまったという話がありまして、フルマラソンは今5,000人ですか、これをもう少し増やしてもらいたい。東京は三千数百人で、他県を見ても、富山1万2,000人、あるいは隣の茨城1万人、埼玉は1万6,000人、こうありますので、何とかこれは増やしてくれるように努力してください。平成24年の福重さんの質問のときに、募集人数をもう少し増やしてくれと言ったら、トータル1万人が次の25年度からは1万2,000人になったという経緯もありますので、その辺は現況をよく確認しながら、フルマラソンの需要というのはたくさんありますので、ぜひその辺を取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。時間もないので。
◎佐藤裕子
生活文化スポーツ部長 定員の関係ですけれども、フルマラソンは5,000人の定員でございます。6月1日にエントリーを開始して、2日間で3,000人の応募がありまして、1週間で4,000人という状況ですけれども、それ以降は落ち着きまして、ホームページや新聞で残りがわずかだということの周知を図りながら、6月21日に定員の5,000人を超えまして募集を締め切ったところです。3週間ほどで締め切ったということです。
ぐんまマラソンにつきましては、フルマラソンだけではなくて、10キロマラソンとリバーサイドジョギングがございまして、合計で1万5,000人の定員ということで、幼児からお年寄りまで、あるいは車椅子の方も参加できるという大会でございます。フルマラソンの定員については、こういったぐんまマラソンの特色を大切にしながら、メイン会場である正田醤油スタジアム群馬の収容人数とか、あるいはスタートに並べる人数、コースの道幅ですとか、長時間の交通規制による影響など様々な点を総合的に勘案して、関係機関と協議のうえ、決定したところでございます。フルマラソン2回目ということでございますので、2回目が終わった後、またその結果を検証して改善を図っていきたいと考えておりますので、その中でフルマラソンの定員ということについても皆様から御意見を伺いながら、安全面ですとか県民生活への影響ということも考慮して検討していきたいと考えております。
◆新井雅博 議員 ぜひ、今の意見を最大限取り入れて、その対応をとっていただきたいと思います。また、さらにバージョンアップした大会にするために、それぞれ努力をされているんだと思います。たくさんある大会の中で、ぜひ東京に続いて群馬に出たい、こういうふうに思えるような大会にしていただくように要望して、3つ目の質問はありますけれども、部長には終わらせていただきます。ありがとうございました。
○橋爪洋介 副議長 歴博も
生活文化スポーツ部長です。
◆新井雅博 議員 マラソンについては、部長、終わります。
最後になります。歴史博物館と近代美術館、当然両方行ったことはありますけれども、いよいよ歴博については
リニューアルオープンして、グランドオープンが来年の7月になります。教育委員会にもよく言っているんですけれども、子どもたちが両方の館に行けるような日程調整をして、子どもたちに群馬の文化や歴史や芸術に触れさせてほしいと言ってあります。グランドオープンを控える半年前でありますので、ぜひ近美と歴博の共通券をつくって、入場者に利便性を図って、2つの館が見られるような入場券をつくっていただきたい。この点についていかがでしょうか。
◎佐藤裕子
生活文化スポーツ部長 歴史博物館ですが、7月23日に
リニューアルオープンいたしまして、8月末までの40日間で4万人を超えるということで、近代美術館のほうも同じ期間で昨年に比べて人数で1万人、比率で66%増加ということで、両館がオープンしたということが相まって多くの方に来ていただいたと考えております。
それで、今御提案の共通券でございますけれども、歴史博物館、近代美術館それぞれの企画展の充実を図りながら、また、隣接しているというメリットを十分に活かすためには、気軽に両館に足を運んでいただけるように、共通で観覧できるような券というものも、来年のグランドオープンに向けて、御意見を伺いながら検討していきたいと考えております。
◆新井雅博 議員 企画にこだわらないでください。常設のものですばらしいものが群馬にはたくさんあるんですから、群馬にあるものをしっかり活かして、ぜひ両館を見てみたいと思われるような施設運営、入場券をつくっていただけるように改めて強く要望して、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○橋爪洋介 副議長 以上で新井雅博議員の質問は終わりました。
● 休 憩
○橋爪洋介 副議長 暫時休憩いたします。
5分後に再開いたします。
午後2時16分休憩
午後2時22分再開
● 再 開
○橋爪洋介 副議長 休憩前に引き続き会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
● 質疑及び一般質問(続)
○橋爪洋介 副議長 水野俊雄議員御登壇ください。
(水野俊雄議員 登壇 拍手)
◆水野俊雄 議員 こんにちは。前橋市選出の公明党、水野俊雄でございます。会派を代表して、初当選以来15回目になります質問に登壇をさせていただきます。
先日、前橋市役所で正規職員としてお勤めの聴覚障害をお持ちの方のお話を伺う機会がありました。その方は、様々な御苦労の後、苦学してアメリカにある聴覚障害者ばかりの大学に留学されたそうで、聴覚障害者であることが当たり前の生活をされたと伺いました。当然、アメリカの手話と日本の手話は全く異なるものであり、御苦労も多かったようでありますが、聞こえない自分たちこそ手話のできるマジョリティーであり、聞こえる人が逆に手話の通じないマイノリティーであるという逆転の体験を通じて大きく世界観が変わった、障害とは何かという本質的な認識が変わった、もっと言うと、初めて青春を経験したとおっしゃっておりました。
この話を伺い、2010年10月に県立聾学校の創立80周年の記念式典に出席したときのことを思い出しました。このとき、体育館の壇上から拝見させていただいていますと、卒業生や父母の皆さんが、式典中にもかかわらず、あちらこちらでしきりに手話でおしゃべりをしている様子が見られました。隣の人同士どころか会場の端から端まで、手話でおしゃべりをしていました。しかし、全く音がせず、式典の進行の邪魔にはなっていない、不思議な光景でありました。
式典後、校内で開催されていた聾学校の文化祭も観覧させていただきましたが、生徒さんや親御さんたちがしきりに手話をしている中、全く理解できない私に、低学年のお子さんが諭すかのように教えていただいている姿は、まるで外国にでも来ているかのような気がいたしまして、身近にありながら、全く気がつかなかった異文化を新鮮な思いで体験した、そういう経験でありました
この夏、NHKは、バリアフリーバラエティー、通称「バリバラ」という番組で、「検証!『障害者×感動』の方程式」という企画を放送いたしました。番組の中で、障害者の美談というのは感動ポルノであると指摘し、障害者の感動的な番組について、健常者は100人のうち55人が嫌いだと答えたのに対して、障害の当事者の方々は100人中90人が嫌いであると答えたと紹介されていました。私自身も、このように指摘されるまでは、障害を持つ方々が苦難に挑戦する姿を紹介した報道に接するにつけ、美談として感動してきた経験がありますが、当事者の方々は苦痛にすら感じていたんだということに全く気がつきませんでした。我々はいま1度、障害をお持ちの方々を含め、あらゆる方々から学ばなければなりません。誰もが等しく尊重される共生社会を構築するためには、「私は知りませんでした、これまで気がつかず、傷つけるようなことをしていたとしたらおわびをしたい、皆さんのお気持ちを教えていただけますか。」という姿勢こそ求められていると思います。
人は必ず老いていきます。加齢によって、年齢を重ねるに従って少しずつできないことが増えるかもしれません。残念なことではありますが、その意味で、程度の差こそあれ、人は年齢を重ねると必ず障害者になると言えるかもしれません。自らが障害者になりつつある今、自分のこととして、社会のバリアを少しでも減らしていく努力を、障害者をはじめマイノリティーの方々から学んでいく姿勢を自らに課し、また群馬県政にも求めていきたいと思います。
本日は、障害者の差別解消のほか、住民に避難を促すための災害対策の強化、道路や民有地が冠水する内水被害対策、子育て支援など、どれも今の時代を反映した喫緊の課題であります。知事はじめ執行部の皆様には、明快かつ積極的な御答弁をお願いし、質問席に移り、まずは知事に対する質問から始めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
それでは、知事、よろしくお願いします。
○橋爪洋介 副議長 知事、答弁席へお願いします。
(大澤正明知事 登壇)
◆水野俊雄 議員 知事、よろしくお願いいたします。知事には、津久井やまゆり園の事件について御所見をお伺いしたいと思います。
今年7月26日、衝撃的な事件が起きました。神奈川県相模原市の障害者施設「県立津久井やまゆり園」で、19歳から70歳の男女入所者19人の方々が、容疑者の男26歳によって刃物で次々と刺殺され、その他30人近くの方が負傷したという未曽有の事件であります。抵抗できない障害のある人を狙った計画的かつ凶悪、残忍な犯行で、絶対に許すことはできません。報道に接し、あまりにも衝撃的な出来事で、言葉を失いました。被害にあわれた方や御家族には衷心より御冥福とお見舞いを申し上げます。また、けがをされ治療を受けている方の一日も早い回復をお祈り申し上げるものでございます。
19名もの方が亡くなるという事件は、戦後日本の殺人事件として犠牲者が最多であるということもさることながら、容疑者が施設の元職員で、障害者がいなくなればいいといった障害のある人の命や尊厳を否定するかのような供述をしていると伝えられている点において、私たちの社会に暗い影を投げかけております。障害者差別解消法が2016年4月に施行されたばかりにもかかわらず、優生思想の亡霊が墓からはい出してきたかのような気持ちにさせられたのは私一人ではないと思います。
この事件を受け、知的障害者と家族でつくる全国手をつなぐ育成会連合会をはじめ、多くの障害者団体が緊急声明や障害者に向けた文書を発表していらっしゃいます。障害のあるなしにかかわらず、人の幸不幸は他人が決めるものではないこと、そして、私たちの社会にいなくていい人なんて一人もいないこと、ひとつの物差しで人の優劣を決め、優れた人間を残し、劣った人間を排除するという優生思想は、ナチスの人種施策を生み出した元凶であり、そんな人権侵害を群馬県は断固否定することを明確に示していただきたいと思います。
津久井やまゆり園の事件について、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
◎大澤正明 知事 議員御指摘のとおり、去る7月26日に神奈川県相模原市の障害者支援施設「津久井やまゆり園」におきまして、施設の利用者19人の尊い命が奪われ、27人が負傷するという大変痛ましい事件が発生いたしました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害にあわれた方々と御家族に対し心よりお見舞い申し上げます。
私は、この事件を聞いたときに、強い怒りと深い悲しみを感じました。このようなことはあってはならないことであり、障害があることなどを理由として人を不当に差別することは決して許されるものではないと考えております。折しも本年4月に障害を理由とした差別の解消を目指す障害者差別解消法が施行されたところでありまして、このような時期に事件が発生したことは誠に遺憾であります。また、精神障害者の社会参加、就労促進等が求められるさなかに、この事件が発生したことが、精神障害者への理解や雇用等の妨げとなることを危惧しているところであります。
私は、これまでも障害者施策を県政の最重要課題として位置付け、障害のある人やその家族が何に悩み、何を求めているのかを真剣に考え、様々な取り組みを行ってまいりました。このような事件が二度と起こることがないよう、障害の有無にかかわらず、誰もが住み慣れた地域で安心・安全に生活し、お互いを尊重し、ともに暮らすことができる差別のない共生社会の実現に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 知事、ありがとうございました。私自身は、この事件をきっかけに、実は「社会の役に立つ人間を育成する」という言葉の使い方について改めて考えさせられております。すなわち、社会の役に立つか立たないかで判断すると、例えば今回の容疑者のように、重度知的障害者の方々などを排除するようなことにつながり得るのではないか、人が社会のために生きているのであれば、社会のために犠牲になれという思想につながりかねない、その意味で、社会のための人間ではなくて、人間のための社会を構築していくことが真の共生社会であると確信をした次第であります。
このことは、私たちも県議会で視察にお邪魔した滋賀県の知的障害者施設「近江学園」の糸賀一雄先生の言葉、「この子らを世の光に」という呼びかけに呼応するものだと思います。「この子たちに世の光を」ではない、この姿勢がすばらしいと感じた次第であります。人権尊重の福祉の取り組みを展開していくことをともに誓い合いたいと思います。このたびの津久井やまゆり園での連続殺傷事件は、あまりにも我々の社会に大きな衝撃を与え、一言では言い尽くせない、そんな思いになりました。また、考えなければならない論点も様々あり、今回の質問の中だけでは論じ切れるものではありません。ただ1点、後ほど障害者の入居施設の安全確保という点については健康福祉部長に御答弁を求めたいと思います。
知事には、障害者の福祉向上ということについて、先日の雇用戦略本部におきましても精神障害者の皆さんの雇用を進めるようにということで御指示をされたと伺っており、本当に当事者の方々からも多く評価をされる声が聞こえております。今後とも、あらゆる人がお互いに人格と個性を尊重しながら、ともに支え合い、平和と幸福を享受できる共生社会の構築に向け、群馬県をぜひともリードしていただきたいとお願いするものであります。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
県土整備部長、お願いいたします。
○橋爪洋介 副議長 県土整備部長、答弁席へお願いします。
(
上原幸彦県土整備部長 登壇)
◆水野俊雄 議員 県土整備部長には、県営住宅へのグループホームの設置について伺いたいと思います。
これまで公明党といたしまして、住宅政策は福祉政策であると訴えて、県営住宅のあり方について、藥丸県議もしかりでありますし、福重県議もしかり、様々な提案をさせていただいてきたところでございます。障害を持つ方々が安心して暮らせる共生社会の構築に向け課題は山積しておりますが、中でも親亡き後というのが関係者の方々の心配事の中心でありまして、障害を持つ方々が様々な支えを受けながら共同生活をするグループホームが非常に重要であります。平成22年、国土交通省は「公営住宅のグループホーム事業への活用に関するマニュアル」というのを作成したこともありまして、全国的に県営住宅などにおいてグループホームの設置が進んでおります。残念ながらと言いますとあれですけれども、群馬県では、平成21年に高崎の県営住宅に1カ所、お二人分が設置されていますが、まだまだ足りない、もっと取り組んでいただきたいと思うものであります。例えば県営住宅の新築や大規模改修をする際に、一定の戸数をグループホーム用の仕様として工事をすることなどによって、障害者のグループホーム入居が加速的に進むと期待されるわけであります。県土整備部長の御見解をお示しください。
◎上原幸彦 県土整備部長 県では、地域において障害者の自立した生活の支援が求められていることから、「社会福祉事業等の用途に供する県営住宅運用基準」というものを制定しております。議員の冒頭のお話にありました平成21年7月に、医療法人の要望に基づきまして、県営住宅の一部を障害者用のグループホームとして使用することによりまして、利用者の自立した生活を支援してきたところでございます。県営住宅の一部にグループホームを設置する場合には、その部分だけでなくて、建物全体に消防法によりまして消防用設備の設置が必要となり、施設の大幅な改修を伴い、多くの費用を要するところであります。このことから、県営住宅へのグループホームの設置につきましては、建て替えとか、あるいは大規模改修の工事に合わせて行うことが望ましく、福祉関係部局と協議・調整を進めて検討してまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 ありがとうございます。だからこそという感じでありますが、ぜひとも計画的に進めていただきたいと感じるところであります。グループホームで利用するとなると、それぞれの居室みたいなものを用意するわけで、例えば、1つのお部屋に3人ぐらいの方が共同してお住まいになる。ダイニングキッチンみたいなところを共有部分として、それ以外のところを居室スペースにするわけで、そこにはそれぞれに例えばエアコンを設置するなんていうことが考えられます。そういたしますと、それだけで電気容量が基準の15アンペアぐらいですか、それを簡単にオーバーしてしまうということも考えられまして、やはりおっしゃるように、しっかりと大規模改修等に合わせてやっていただきたい。ただ、いざ大規模改修するときに、グループホームにしてもいいよという話をその段階でしてもなかなか進まないので、やはりそれぞれの地域ごとに計画的にすり合わせをしていただきながら取り組んでいただきたいと思います。
もう1点、障害の方の家賃債務保証について伺いたいと思います。
障害者の居住支援について、課題はさまざまでありますが、もう1つに保証人の問題がございます。とりわけ家賃保証をする保証人の方が見つからず、自立した生活を送るための住まいが確保できないというケースが多くあります。三重県におきましては、これはやむにやまれずと聞きましたけれども、障害当事者の家族会が中心となって、家賃債務保証の委託を受けて運営をしており、障害者の住まい確保の際に必要な保証機能を担っていると伺いました。ぜひ群馬県といたしまして、群馬県居住支援協議会などを活用して家賃債務保証を行う仕組みを構築できないでしょうか。群馬県居住支援協議会の会長さんは県の住宅政策課長であると聞いております。ぜひ県がリーダーシップをとっていただきたいと考えますが、部長のお考えをお聞かせください。
◎上原幸彦 県土整備部長 家賃債務保証制度は、民間賃貸住宅に入居する場合の連帯保証人に代わり、保証料を支払うことで家賃債務が保証される制度であります。居住支援協議会は、住宅セーフティネット法に基づきまして、高齢者や障害者などの住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、関係団体とともに取り組む組織であります。本県におきましても、群馬県居住支援協議会を平成23年に設立し、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅に関する情報提供などを行っております。
現在、国は平成29年度予算の概算要求で、住宅確保要配慮者の入居を拒まないなど一定の基準を満たした賃貸住宅を認定して、家賃債務保証の保証料に補助を行うなど、住宅セーフティネット機能の強化と新たな仕組みの構築について検討しているところであります。引き続き、国の制度拡充など動向を注視しつつ、群馬県居住支援協議会による障害者等の円滑な入居を図る支援を検討してまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 部長、ありがとうございます。残念ながらというか、残念な話が多くて恐縮ですが、先ほどおっしゃっていた居住支援協議会が設置している「群馬あんしん賃貸ネット」、ホームページ上で住宅確保の要配慮者の方の種別にチェックを入れたり、条件を入れると、どんなふうな物件があるかということを示すものですけれども、例えば、障害者世帯というところと保証人が要らない、その代わり保証会社を利用してもいいよという条件で検索すると、何と全県下では17件しか物件がございません。さらには障害者というチェックとバリアフリーというチェックを入れると、何とたったの2件であります。これでは本当の意味で要配慮者、住宅確保に配慮が必要な方々に対する情報提供が十分であるとは言い切れないと思います。
さらに、この体制自体もやはり少し弱いのではないかと思うわけですけれども、構成団体もいろいろあるわけですが、その中に障害をお持ちの方ですとか、配慮をしていただきたい要配慮者の方々の当事者なり、その支援者の団体・グループが所属していないということが課題として挙げられるかと思います。いわゆる社会福祉協議会等が構成員としては入っているんですけれども、先ほどの三重県の例では、不動産関連団体と行政のほかに、居住支援団体というカテゴリーをつけて、社会福祉協議会のほかに外国人や障害者の支援をしているNPO、こういったところが参画をし、具体的な支援事業も担っていると聞いております。そういう意味では、当事者の声、そういった方々の声をしっかり拾い上げられるような居住支援協議会の体制を強化していただきたい、このようにも思うわけですけれども、いかがでしょうか。部長、お示しください。
◎上原幸彦 県土整備部長 団体の強化につきましては、現在どのようなところに問題があるかということをいろいろ調べまして、今後どのように進めていくかということを関係部局とよく調整しながら検討していきたいと思います。
◆水野俊雄 議員 部長、ありがとうございました。
それでは、健康福祉部長、お願いいたします。
○橋爪洋介 副議長 健康福祉部長、答弁席へお願いします。
(塚越日出夫健康福祉部長 登壇)
◆水野俊雄 議員 健康福祉部長に居住支援ということについて、今取り上げてきた3点、入居施設の安全確保ということ、やまゆり園のことを踏まえてのお話であります。2点目に県営住宅でのグループホームの設置の促進、そして3点目に今お話があった保証機能の強化、さらにはつけ加えまして居住支援協議会の強化、こういった課題について、ぜひ積極的にリードをしていただきたいと思っております。とりわけ部局を超えて枠組みを設ける必要があったりしますので、粘り強い調整が必要となると思います。ぜひリーダーシップを期待したいと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。よろしくお願いします。
◎塚越日出夫 健康福祉部長 まず、神奈川県相模原市の津久井やまゆり園で発生した事件を踏まえての県の対応についてでございますけれども、県内全ての事業者に対しまして、施設管理や防犯体制、さらに職員間の連絡体制等の構築、また施設利用者の安全確保について徹底するよう通知をしたところでございます。今後は、地域の関係機関などと連携した障害者、高齢者、児童などの安全確保対策の構築を進めるとともに、施設の安全対策に対する支援についても検討してまいりたいと考えております。
次に、グループホームの設置についてでありますが、県内の整備状況は順調に推移しているものの、まだ十分な数とは言えないことから、引き続きグループホームの整備に取り組む必要があると考えております。グループホームの設置につきましては、先ほどお話がございましたが、県営住宅を利用することも可能でありますので、事業者の利用ニーズ等の把握に努めるとともに、設置の相談があった際には、県土整備部と協議・調整を行ってまいりたいと考えております。
また、家賃債務保証についてでございますが、連帯保証人をつけられない障害者世帯が民間賃貸住宅を借りる際の大変重要な制度と考えておりますが、制度が利用しづらいという声も聞いております。そこで、障害のある方が円滑に民間賃貸住宅に入居できるよう、群馬県居住支援協議会の活用などについて、県土整備部と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと、また、居住支援協議会につきましても、県土整備部と相談しながら、その充実を図ってまいりたいと考えております。
全ての障害のある方が地域で安心して生活するためには、住まいの場は基本となるものであります。入所施設の安全確保はもちろんのこと、グループホームの計画的な整備、円滑な入居支援など、必要な居住支援について総合的に進めてまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 部長、伺っていますと、変な言い方ですけれども、隣の部署に手を突っ込まなければいけないことが多いんだと思うんですね。要するに、様々な部署にわたって、こういった配慮ですとか、また当事者の方の御意見を実現していくために、その調整役になっていただくというところの御苦労が多くあるのではないかなと感じた次第であります。
とりわけ今の2番目の点、県営住宅でのグループホームの設置について、利用者のニーズの把握に努めるという御答弁もあったかと思います。実際運営している運営主体の様々な法人、社会福祉法人等の方々の毎年毎年の計画の進め方と県営住宅の建て替えのリズムというのは全く別に動いているわけでして、ここはやはり最初から具体的に織り込んでいただきながら進めていかないと、福祉政策としての事業の展開と県営住宅の建て替えとがうまく合わないんですね。なもので、ニーズがあれば言ってくれなんて言っていても絶対これは動かないので、そういう意味でもしっかりと具体的なニーズの把握を手前からしていただいて、それをどこになら織り込んでいけるのかという細かな調整が必要になってくるかと思います。そういった点にもぜひ汗をかいていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、部長に対しては一旦以上で終わります。
教育長、お願いいたします。
○橋爪洋介 副議長 教育長、答弁席へお願いします。
(笠原 寛教育長 登壇)
◆水野俊雄 議員 それでは、障害者差別の解消ということについて、教育委員会のことについて、教職員採用の試験について伺いたいと思います。
4月1日に施行された障害者差別解消法に関して伺います。教育委員会の行っている教職採用試験について、障害者差別解消法の施行に伴って、自立での通勤可能という条件を削除するなど出願資格を見直していただきました。しかし、他方で、介助者なしで職務遂行可能という条件を全受験者に課すことにしたと伺いました。確認しましたところ、平成29年度採用群馬県公立学校教員募集要項の2ページ目に出願資格というのがございまして、この中に「介助者なしで教員としての職務の遂行が可能な人」、こういうふうに記述がございます。残念ながら、これに該当する場合は受験資格そのものが得られないということになります。
県教委によりますと、現在、公立小中学校、県立高校等には200名を超える障害のある教員の方が現に勤務をされていらっしゃると伺いました。中には現場において同僚の方から様々にお手伝いをいただきながら職務を遂行している方もいらっしゃるかと思います。もっと言いますと、教育の現場に限らず、普通の社会、職場においては、自分のできること、できないこと、上手にとり合わせながら、障害のあるなしにかかわらず、お互いに補い合いながら仕事をしているというのが当然の姿でありまして、殊さら教員採用の受験資格に介助なしでという条件を付すのは、「不当な差別的取り扱い」に該当する場合が考えられます。そんなおそれがあるかと思います。募集要項よりこの「介助者なしで職務遂行可能」という受験資格の記述そのものを削除していただきたいと思いますが、教育長の御見解をお示しください。
◎笠原寛 教育長 教員採用試験についてのお尋ねでございます。議員御指摘のとおり、今年度実施しております採用試験におきましては、「介助者なしで教員としての職務の遂行が可能」なことを出願の要件といたしまして、現在選考手続きも進めておるところでございます。これは学習指導や生徒指導など、直接または時には個別に児童・生徒の指導に当たるという教員の職務の特殊性を考慮して入れたものでございます。一方で、県教育委員会といたしましては、障害の有無にかかわらず、幅広く、群馬の子どもたちのために情熱を注ぎ、専門性を発揮できる教員を採用したいという強い思いを持っているところでございます。こうした中で、障害を持った方を採用するに当たりましては、それぞれの方の障害の程度や、その対応に応じて必要とされる配慮の内容と教員の職務の特殊性とをあわせて考慮しながら、来年度に向けましては出願資格を見直してまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 ありがとうございます。強い思いでというお話がありました。明確にこの文言を削っていただくということでよろしいでしょうか。
◎笠原寛 教育長 この問題につきましては、県職員の採用試験の要件ですとか他県の状況を参考にしながら検討させていただきたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 他県の状況を参考にするまでもないというか、群馬県としてどうなのかという姿勢を示していただければありがたいなと。このことをぜひ進めていただくように御要望申し上げます。
もう1点、教育長に申し上げますが、群馬県の手話言語条例を制定するに当たって御尽力いただきました群馬大学教育学部の金澤教授によりますと、この記載の有無にかかわらず、これを削ったとしても、介助者が必要なことを理由にした受験の拒否や不採用という判断も「不当な差別的取り扱い」に該当することになると指摘をされているようであります。群馬県教育委員会では、介助者の必要性による教員採用の判断というのはなされないと考えてよろしいでしょうか。
◎笠原寛 教育長 先ほど申し上げましたように、繰り返しになりますけれども、群馬の子どもたちのために本当に情熱を注いでいただける教員、これは障害の有無にかかわらず確保したいという、その思いで、しっかり見直しのほうはさせていただきたいと思います。
◆水野俊雄 議員 今のお話を伺って、割愛しようかと思っていましたが、少し紹介したいと思います。今年度、群大の附属小学校の2年生に教育実習で来ている方に聴覚障害の先生がいらっしゃるそうであります。生徒たちは小学校2年生、多感な時期ですので、身近にそういった耳の聞こえない先生を前にして勉強するという経験をされる。精一杯活躍している姿に接して、まさに共生社会というものを実感しているのではないかなと思っています。そういった先生の卵と言われるような方々には、御苦労も多いと思いますけれども、御活躍を期待したいな、こんなふうにも思います。と同時に、教育委員会には、こういった障害をお持ちの先生方が現場で活躍できるような環境づくりや、ともに働く同僚の教職員の方々に対する理解をさらに進めていただきたい。そして、障害を持っている方こそが共生社会の教師であるという思いで、ぜひとも進めていただきたいと思います。教育長、ありがとうございました。
再び健康福祉部長、お願いします。
○橋爪洋介 副議長 健康福祉部長、答弁席へお願いいたします。
(塚越日出夫健康福祉部長 登壇)
◆水野俊雄 議員 それでは、県政全般にわたりまして、障害者差別解消法がしっかりと実現できる体制づくりということについて伺いたいと思います。
質問に入る前に、まず御礼を申し上げたいと思います。昨年11月、この議場で、視覚障害、目の見えない方のための移動支援として、横断歩道上に設置する点状のブロック、エスコートゾーンの設置促進を訴えさせていただきましたところ、道路管理者や警察の方をはじめ、様々な部署との調整を進めていただき、必要箇所の設置に向けた調整の枠組みを確立していただくことができました。県立盲学校や当事者団体の皆さんにも様々に御協力をいただき、またヒアリングも何回も重ねていただいたと伺っており、感謝申し上げたいと思います。
この8月には地下鉄の駅ホームの転落事故なども報道されておりまして、県内においても、さらなる取り組みの強化が求められるところでございます。当初予算に計上されていた内方線付きの点状ブロックの早期設置を求めますとともに、視覚障害をお持ちの方々が安心して移動できる社会の構築に向けて、さらに御尽力をお願いしたいと思います。
さて、質問に移らせていただきます。障害者差別解消法の施行から半年、地域、社会においては、合理的配慮についての理解がまだまだ深まらないなど、課題は多くあります。また、県庁組織内に限ってみても、先ほど教育委員会に伺った教職員採用試験の受験資格といった記述で、これまで当たり前と思っていたようなことが実は「不当な差別的取り扱い」に当たる場合がある、こんなことも可能性としては出てまいりました。先ほどは、今朝の一番ですけれども、星名県議から障害者差別解消条例の制定を求める質問があり、ぜひとも積極的に検討していただきたいとともに、実行部隊としての県庁内の組織づくりも必要であると思います。群馬県として共生社会へ大きく一歩を踏み出すために、霞が関が例示した論点をなぞるのではなくて、それだけではなく主体的に課題を発見して、新たなルールをつくり上げていく、そういう全庁的な推進体制を整えるべきだと思いますが、部長のお考えをお示しください。
◎塚越日出夫 健康福祉部長 障害者差別解消法の施行に対する県の対応といたしましては、県自らの取り組みといたしまして、「不当な差別的取り扱いの禁止」及び「合理的配慮の提供」につきまして、県職員一人ひとりが適切に行うことを規定した対応要領を3月に策定いたしまして、全職員に対して周知をしたところでございます。また、各部局からの相談に対しましては、障害政策課が窓口となって対応するなど、健康福祉部が総合調整役として障害者差別解消を推進してきたところでございます。
このような中、施行後半年が経過をいたしましたので、庁内の各課所属が行っている取り組みの状況や抱えている問題点などを把握する必要があると考えておりまして、その中には部局間で連携して取り組まなければならない課題があるのではないかと考えております。今後、県政全般におきまして障害者差別の解消を推進する取り組みが展開されるためには、今後も健康福祉部が総合調整機能をしっかりと果たしていくことが重要であると考えております。このような中で、必要に応じて議員御指摘の新たな体制の設置についても検討してまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 部長、必要ですので、必要に応じてぜひつくっていただきたいと思います。
障害者差別の解消というのは、先ほども申し上げましたけれども、当然部長が御調整役にもなるのでしょうが、部局横断の検討と強力なリーダーシップが必要とされる課題だと思っています。ぜひとも、組織体制の構築の際には、知事もしくは副知事がトップとなっていただいて、大所高所から決断も下していただく、こういうふうに進めていただきたいと思います。
また、庁内組織だからこそ、これまで当たり前だというふうになかなか気がつかない、そんな点もあるかもしれません。外部の方の声、また、そういった目を積極的に拾いに行く、伺っていく、そんな取り組みも必要かと思いますが、あわせて2点、いかがでしょうか。
◎塚越日出夫 健康福祉部長 先ほど県職員が対応していくための要領を策定したということでお話し申し上げましたけれども、この策定に当たりましては、障害者団体の方からいろいろな意見を聞いた中で要領を策定したという状況でございます。施行後半年がたちましたので、また当事者の意見を十分に聞きながら、この見直しもしっかり行っていきたいと考えております。また、そういった状況を見ながら、新しい組織については検討してまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 部長、大変にありがとうございました。
危機管理監、お願いいたします。
○橋爪洋介 副議長 危機管理監、答弁席へお願いします。
(萩本勝美危機管理監 登壇)
◆水野俊雄 議員 危機管理監に伺う前に、ちょっと思い出話みたいですけれども、危機管理監が人事課長さんでいらっしゃったときに、障害者の方々の県庁職員さんの採用についていろいろと意見交換させていただいた中で、障害をお持ちの方々をしっかりと採用していくという方向性にかじを切っていただいたということを今思い出しておりました。本当にそういったことが県政の先進事例となってここまで来たなというふうな、そんな思いで感慨深いものがあります。いろんな部署にまたがって活躍される皆さんでいらっしゃいますけれども、ぜひこういった理念を共有していただきながら進めていただければと思っております。
それでは、危機管理体制について伺います。台風13号について伺います。
8月の下旬に関東、東北、北海道を相次ぎ襲った台風が各地に甚大な被害をもたらしました。改めて、お亡くなりになられた方々、被災された皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。近年、局地化、集中化、激甚化する豪雨災害が頻発し、首都直下地震や南海トラフ巨大地震なども強く懸念されています。それらに備える防災・減災対策は政治の最重要課題と位置付けなくてはなりません。
そこでまず、危機管理監に台風13号による県内の被害状況はいかがであったか、また、全国における昨今の災害から学んだ教訓は何か、県の危機管理体制に反映させた対策とは何かを伺いたいと思います。
◎萩本勝美 危機管理監 9月7日未明からの断続的な豪雨と、これに続きます台風13号によりまして、渋川市や東吾妻町などで9月9日朝までに累計200ミリを超える雨量を観測したところでございます。県では、9月7日の午前8時に災害警戒本部を設置いたしまして、気象情報や被害情報の共有を図りながら、全庁的に警戒態勢を強化し対応をしたというところでございます。
被害の状況についてでありますが、まず沼田市内におきまして土石流によって家屋の半壊が2棟、一部損壊が2棟発生し、避難の際に1名の方が軽傷を負われました。そのほか、床上浸水が渋川市において3棟、床下浸水が渋川市、沼田市及びみどり市において16棟発生したところでございます。ライフラインへの影響としましては、鉄道ではJR上越線・吾妻線、わたらせ渓谷鐡道の3路線が運休をし、また、主な道路では関越自動車道、国道及び県道の7カ所で一時通行止めが発生したというところでございます。このほか、停電がみどり市内及び渋川市内で最大500軒、上水道の断水が渋川市内で77戸発生をいたしました。
次に、全国における災害の実態を踏まえての対応ということでございますが、県では、これまでの災害によりまして明らかになった課題に対して、国の防災基本計画の改正や本県の特殊性等を踏まえまして、県の地域防災計画の改正を行って、県内の防災体制の強化を図ってきたところでございます。また、県の総合防災訓練や図上訓練におきまして、こうした課題を想定に組み入れるなどして、関係機関と連携した実践的な対応を確認してきたというところでございます。
また、本年4月に発生いたしました熊本地震におきましては、救援物資の供給、避難所の運営や避難者支援、行政機能の確保・継続、こういったところが課題となったということでありまして、これを受けまして、本県としまして、「県と市町村等との防災体制検討会議」を新たに設置しまして、現在、迅速かつ的確な災害対応を図るための検討を市町村とともに行っているというところでございます。今後、この検討結果を地域防災計画に反映させまして、市町村や関係機関とのさらなる連携強化を図ってまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 危機管理監、ありがとうございました。お話を伺っていますと、危機管理というのは情報収集だな、こんなふうな思いを新たにしました。ある意味で、危機事案というのはそうそうあることではありませんけれども、全国どこかでは何かが起きている。そのことをやっぱり我が身に引き当てて考えていくということが必要であろうかな。県民の皆さんとお話しするたびに、災害が起こるニュースに接した方々から、群馬県ではああいうことはないんだよねというふうにやはり聞かれるわけです。そういう意味では、皆さん我が事としてああいった報道を見ていらっしゃいますので、そういう事案ひとつひとつをまた拾いながら、群馬県は大丈夫か、こういうアンテナを高く捉まえていただく危機管理監であっていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、県土整備部長、お願いいたします。
○橋爪洋介 副議長 県土整備部長、答弁席へお願いいたします。
(
上原幸彦県土整備部長 登壇)
◆水野俊雄 議員 このたびの台風13号における東北・北海道の被害状況を伺うにつけ、一人ひとりの命を守るためには、行政側の取り組みと住民側の取り組み、この2つが必要であるということを改めて感じています。行政側の取り組みとして、命を守るための情報を一刻も早く市町村や住民の皆さんに届けるということ、また、住民の側からすれば、行政からの情報を待つだけではなくて、一刻も早く自分の命を守る、そのための行動をとるということが必要だと思われます。
国では、関東・東北豪雨を踏まえて、昨年12月に水防災意識社会再構築ビジョンというのを設定し、水防災意識社会を再構築する取り組みを行うとしています。例えば、国においては、大きな河川に対してタイムライン――〔資料(1)提示〕ここに荒川のタイムラインというのを例示してありますけれども――を設定し、事前の避難準備を促しており、利根川の国直轄部分も同じようにタイムラインの対象となっています。様々なこういった団体がありまして、それぞれの方々が何をしなくてはいけないのか、5日前に何を点検するのか、3日前、2日前、半日前、氾濫する直前にはどうしなければいけないのか、住民の皆さんにはそのとき何をしていただかなければいけないのか、外出を控えていただくですとか、そういったことまで踏まえて計画を立てている。事前に予測をしながら行動していく、そういうものであります。タイムラインへの県内の取り組み状況はいかがでしょうか。また、利根川の県管理部分や、そのほかの河川においてもタイムラインを設定したらいかがでしょうか。
また、警戒情報を発信する対象である水位の周知河川というのは、現在19河川が対象となっていると聞いていますが、こういった対象河川を増やすということも岩手県の事例からも考えられるのではないか、こんなふうにも思います。
さらに、住民の皆さんに河川の氾濫とか、様々な土砂災害を我が事として感じていただくリスクコミュニケーションも必要になってくるかと思います。国の水害ハザードマップ検討委員会の中では、ハザードマップの表示方法と利活用について議論がされており、その中で、住民が当該地域で最も理解しやすい表示方法を検討する、そのように指摘もされています。
次のパネルに移りますけれども、〔資料(2)提示〕絵があまりきれいに写らなかったんですが、何となくイメージが湧けばで結構です。NHKスペシャルから画面を写真で撮ったものなので、ちょっと粗っぽいんですけれども、要は、名古屋の周辺なんですが、赤とか黄色とか色がついているというぐらいがわかっていただければ。これは津波のものですけれども、一般的な浸水想定区域図のイメージであります。何時間か後にこのくらいの地域ではこのくらいの水位になるぞということが示されているものでありまして、堤防が破堤した場合も同様であります。
しかし、最近のシミュレーション技術というのは格段に進んでいます。コンピューターの計算速度も速くなっている。そんな中で、これも同じ番組からですけれども、〔資料(3)提示〕これはすごいですね。住民が生活している視線から見て、1メーター浸水したらどんな状況なのか、堤防が決壊するというのはどんな様子なのかというのを描くことができています。例えばこのあたりは、右の上のほうですけれども、ここの堤防に亀裂が走っています。上のほうから津波が上がってきているという状況なので、白波が立っている。次のこまに行きますと、ここの堤防が決壊をし、濁流が流れ込んでくるという状況が右に出ています。左においては、上を高架が走っていますけれども、交差点の中において、実は奥のほうから津波が上がってきているという様子が示されていて、交差点の中で水が出合い、さらに大きな流れになっていって、車も流されていくという絵が描かれています。
河川が氾濫して50センチ浸水すれば、決壊して流れてくる水の中では、きっと人は容易に立っていることはできないと思います。1メーターも浸水すれば、場合によっては家も流されるということが考えられます。ぜひとも、県においても浸水想定区域図をこれから出して、また、家屋倒壊危険区域というものも示すのであれば、被災時には具体的にどんな様子であるのかをシミュレーションして示していく。被災状況が具体的にイメージできる情報発信に努めていただきたい、このように思います。水防災意識社会の再構築に向けた県の取り組みを県土整備部長に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
◎上原幸彦 県土整備部長 国土交通省の管理する河川を対象に実施しております国や市町村などがとるべき防災行動を時系列で整理した計画、いわゆるタイムラインにつきましては、県内11の市と町で策定済みであります。県が管理するような中小河川におきましては、水位が短時間に上昇して事前準備が非常にとりづらいということから、このようなタイムラインの適用が可能かどうかということの検討を進めているところであります。
県では、台風や豪雨のときなどに迅速な避難を促し、人命を確保するため、市町村や県民に河川の状況や土砂災害の危険性などの情報を速やかに提供することに取り組んでおります。まず、県内河川98カ所に水位計を設置いたしまして、常時県のホームページで公開するとともに、破堤などにより多大な被害が想定される19の「水位周知河川」につきましては、避難判断水位などに達した時点で市町村に氾濫警戒情報を伝達しております。あわせて、土砂災害の危険性が高まった時点で、前橋地方気象台と共同で土砂災害警戒情報を発表するとともに、「群馬県版土砂災害警戒避難ガイドライン」の作成とか、あるいは住民主体の避難体制を構築するための市町村への支援を行っているところであります。また、来年度から、河川監視カメラによる水位の情報だけではなかなか伝えられない切迫感のある情報を県民に提供する予定であります。今後、より早い段階で的確な防災情報を提供するため、県内の河川における水害リスクを再点検して、「水位周知河川」の追加指定とか、あるいは水位観測所の増設などについて検討を進めたいと考えております。水利映像に関しては、もうちょっとやらなくてはならないところが多いと思いますので、現在、県で洪水ハザードマップの前段となります洪水浸水想定区域図というのを来年の5月ぐらいまでに出すことになっておりますので、それを踏まえて市町村のほうが洪水ハザードマップをつくって避難体制をとっていただくということで、このような映像というのはもうちょっと距離があるかなと思っていますので、今後検討したいと思っております。
◆水野俊雄 議員 もう少しお付き合いください。国では、直轄河川について氾濫シミュレーションというのを公表しているようで、様々な地点での破堤を想定して、氾濫した水がどのように広がっていくのかという動画を示しています。知事、例えば利根川の氾濫シミュレーションを私は拝見しまして、太田市内を確認しますと、利根川や広瀬川、早川などといったいくつかの箇所が、ここが切れた場合どうなるかというようなポイントがありまして、試しに上武大橋のたもとにある破堤箇所の想定の場所をクリックしますと、利根川の左岸側、群馬側が決壊したときのシミュレーションでは、二、三時間後には尾島の道の駅や支所などが、50センチ未満ではありましたけれども、浸水するという想定がされています。知事のお宅がどうかはわかりませんけれども。ぜひ県としても、やはりこういった形で身近なこととして、自らのこととしてイメージができるような情報発信、先ほど少し距離があるとおっしゃっていましたけれども、いずれそういうふうに出さなければいけない時代は来るかと思います。今できる範囲で、動画とまではいかなくとも、例えばこういった1枚の絵でも構わないかもしれません。それぞれの住民の方の目線で、堤防の決壊というのはこういう状況なんだよということがわかるような、そんなものもぜひともこれから工夫していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
そして、大変恐縮です。危機管理監、次に御質問させていただく予定だったんですが、時間がないので割愛させていただいて、簡単に御要望だけお伝えさせていただきたいと思います。しばらく座っていてもらっていいですか。
住民参加の防災体制の強化ということについて御要望申し上げたいと思います。
これまで私は何度も委員会等を通じて災害の図上訓練DIGですとか、避難所運営ゲームHUGですとか、そういった訓練の実施を求め、住民の自主防災意識の向上に努めるように訴えてまいりました。今年度はそれを具体的に展開する人材を防災アドバイザー育成事業として実施していただき、今年度中に200名の方に防災士の資格取得をしていただくと伺っております。県議会においては、須藤和臣議員に倣って私も勉強させていただきまして、防災士を取得させていただいたというところでございます。ほかにもいらっしゃるか、済みません、知りませんけれども。
例えば、県土整備部の砂防課では、部長がやってくださったのでしょうか、こういうマニュアルをつくっていただきました。これは、いわゆる土砂災害を想定したDIG、図上訓練を、各住民の方々を巻き込んで、その地域の図面を利用して行うといった住民参加型のものを行うマニュアルであります。片田先生にも一緒に加わっていただいてつくり込んでいただいた。今年の5月に出来上がったと聞いております。9,000カ所も危険箇所があるという群馬県ですから、なかなかこれを全部県庁が直でやるというわけにいかない。そういったときに、ぜひその200名の人材を育成していただいて、こういったものを展開していただきたい。さらには、これは本当によくできているので、知事、場合によっては売れるのではないかと思います。出版元をどこにするかわかりませんけれども、ぜひこういったものも広く県外にも発信をしていただきたいと思いますので、御要望とさせていただきます。
以上でこの問題は終わります。ありがとうございました。
次、もう1点部長なので、いいです。
○橋爪洋介 副議長 そのまま座っていてください。
◆水野俊雄 議員 それでは引き続き、県土整備部長に内水対策について伺いたいと思います。
前橋市川曲町・高崎市京目町の市境において内水被害が起きております。昨今の気象災害というような、そんな影響もあるかと思いますが、この度その現地を見させていただいてまいりました。〔資料(4)提示〕資料でも地図を配っておりますが、白黒だとちょっと見にくいんですけれども、二点破線の赤の線が市境でありまして、非常に入り組んだ形になっています。実線の青のほう、ただの実線になっているのは用水路の流れになっていまして、下のほうに滝川が流れています。こんな状況で、この緑が県道になっているんですね。県道井野停車場線というやつですか。こんなふうな入り組んだ地形になっているところでありますが、皆さんのコピーのほうにはこの黄色が出ませんでしたけれども、この一帯が冠水をするという被害に見舞われております。この状況で現場に行かせていただきました。この災害の様子を県はどのように認識し、そして今後どのように対策をしていただけるのか、お示しいただきたいと思います。
◎上原幸彦 県土整備部長 御質問の内水被害箇所につきましては、地元の住民の方から現地調査の依頼がありまして、8月10日に前橋市、高崎市、当該地域を所管します土木事務所、農業事務所など関係者により現地を確認したところでございます。原因といたしましては、市街化の進展とか、あるいは集中豪雨に伴いまして、排水施設の能力を上回る雨水が流入したことによるものと思われます。内水対策は市町村が主体的に取り組むことになっておりますけれども、当該箇所につきましては、区域内を流下する用水路の県道横断部に課題がありまして、現在、前橋市と土木事務所で協議を進めているところであります。今後、市との協議の結果を受けて、県道横断部の改修を行ってまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 ありがとうございます。明確に対策が見えてきたと思います。部長、ただ、1点ちょっと確認しますが、御答弁の冒頭にあったように、当然住民の皆さんからの御要望があったんですけれども、これまで住民の皆さんから御要望があってもスイッチが入らなかったという点を指摘し、次の問題としたいと思うんですが、すなわち今回集まっていただいた方々というのは、非常に多くの方に来ていただきました。住民の皆さんは両市にまたがる自治会の会長さんや農業関係者、また、県道がまたがっていますけれども、それも前橋市と高崎市、両方走っていますので、前橋土木と高崎土木、用水路も中部農業事務所と西部農業事務所、さらには前橋市、高崎市のそれぞれの農業用水を管理している担当課、それぞれの方々20人ぐらいに集まっていただいたのは、申しわけない、私のことを言うわけではないんだけど、県会議員が言ったからだというふうに集まっていただいた様子がございました。これまで2年前も含めて、住民の皆さんからは要望書は上がっていたんですけれども、やはりこれだけ多くの方々が関係する。また場合によっては、河川もありますから河川課が関係するかもしれないし、市町村によっては下水担当課が関係するという地点もあるかもしれません。そんな意味で、複数の箇所にまたがる内水対策について伺いたいと思います。
〔資料(5)提示〕先ほど部長からもうお話が出ましたので、絵を見せるまでもないかもしれませんが、知事、ちょっと見ていただきたいと思うんです。ちょっとわかりにくいんですが、ここにお墓がありますが、ここに用水路があります。お墓がもう水浸しで、用水路はびしゃびしゃなんですね。あふれています。そして、このコンテナはこれと同じでして、ここが県道なんですけれども、ここに水があふれているんです。この下を用水路が通っていますが、そこが水を悪さしていて、上流に向かってどんどんさかのぼっていきまして、地域一帯があふれるという状況が少し見受けられます。
〔資料(6)提示〕これも当時、その被害があったときに、数時間のことですけれども、動画を撮っていただいたものを写真にしたものですので、ちょっと見にくくて恐縮です。それがどんどん上流にまで広がっていきまして、最終的には人のおうちの中まで水が入るですとか、これもさっきの県道なんですが、こんな細いところが県道ですが、ここのポールがこれですけれども、もう水浸しでありますので、本当に家の中まで水が入るような……。おかげさまで、まだ床上までは至ってはいないんですけれども、本当に地域住民の皆さんが大変な思いをしていますが、なかなか声を上げてもそれが届かない、そういう課題が今までありました。複数の箇所にまたがるこういった内水対策について、しかも関係部局が多くなることが考えられます。今後はぜひとも県が調整役となって検討を進めていただきたい。県の支援体制を新たに構築すべきだと思いますが、部長の御見解をお示しください。
◎上原幸彦 県土整備部長 内水被害につきましては、集中豪雨などにより排水が追いつかず排水施設があふれたり、河川の増水により排水ができなくなるなど、様々な要因により発生しております。内水被害については、市町村が主体的に対応するものでありますけれども、浸水箇所や対策工事が複数の市町村に及んだり、様々な要因により発生する場合には、1つの市町村では対応が難しいところであります。このような場合、県といたしましては、市町村の要請に基づき、解決手法などの技術的支援や関係機関との調整、国の補助金活用の方法などについて支援してまいりたいと考えております。
なお、支援に当たりましては、所管する土木事務所が県の窓口となりまして、県庁内の関係課、関係土木事務所、農業事務所及び市町村で構成する、これはまだ仮称なんですけれども、「内水対策支援調整会議」というものを設置いたしまして、積極的に支援してまいりたいと考えております。
◆水野俊雄 議員 ありがとうございます。今後、内水被害は拡大するリスクがございます。積極的にケースに携わっていただいて、いろいろと知見を積み重ねていただきたいと思いますし、また、今回はおかげさまで星印をつけているところ、県道の下の部分を改修するというピンポイントの対策で済みましたけれども、そこを直しても、まだ全然変わらないよなんていうことが、もし今後ありましたら、今度は対策は地域にわたるわけであります。大規模な改修が必要なものまで様々だと思います。県として経験を重ねる中で、技術的助言や単なる調整役にとどまらず、市町村への具体的な支援も含めて検討していただくことを要望したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
◎上原幸彦 県土整備部長 現在、仮称で調整会議を立ち上げまして、その中でいろいろな問題が出てきます。その中でそれぞれのできることを議論しながら、検討して進めていきたいと考えています。
◆水野俊雄 議員 部長には以上です。ありがとうございました。
それでは、最後の質問になります。子育て支援について、こども未来部長に伺います。
○橋爪洋介 副議長 こども未来部長、答弁席へお願いいたします。
(中村弘子こども未来部長 登壇)
◆水野俊雄 議員 部長には最後で、お忙しくなって恐縮です。2つ一遍に伺いたいと思います。子育て世代の包括支援センターの設置ということについて伺いたいと思います。
フィンランドの子育て世代のワンストップ窓口ネウボラを参考にして、最近、産前産後ケア事業の必要性が指摘をされております。私たち公明党は、例えば2007年にこんにちは赤ちゃん事業というのを提唱して、出産後のアウトリーチを制度化したりとか、そういったところで課題となってきた産後の母親支援の充実にこれまでも取り組んでまいりました。最近では2015年に安倍総理に対して女性の元気応援プランを提出し、産後ケアセンターの恒常的な制度化を提唱し、ようやくここに来て、2016年の当初予算で全国251市町村423カ所にこの支援センターが設置されるに至りました。さらには法改正も進め、児童福祉法や母子保健法などを改正し、法的に位置付けることもしてまいりました。
この日本版のネウボラ、子育て世代包括支援センターについて、今の県の設置状況、そしてこれからどのように取り組んでいくのか、さらにはあわせまして宿泊型の産後ケア事業をはじめ、サービスの充実に努めていただきたいと思っております。
以上、よろしくお願いいたします。
○橋爪洋介 副議長 こども未来部長、(1)、(2)、あわせてお願いします。
◎中村弘子 こども未来部長 子育て世代包括支援センターについてのお尋ねでございますが、これは議員御指摘のように、妊娠したときから子育て期にわたる、あらゆる相談をワンストップで受け止める拠点として、それぞれの市町村が整備するものであります。国は、この子育て世代包括支援センターの設置を平成32年度の末までに全国で目指しているところであります。本県では、この4月1日現在、前橋と藤岡と館林の3市に設置されておりますが、センターとしての位置付けはされていないけれども、保健センターなどを利用して類似の事業を行っている市町村が既に4カ所あるかと思います。
県としては、この設置促進のために、今年度もう既に市町村に集まっていただきまして、制度の説明や先進事例を紹介するための会議を行っております。今後も市町村にわかりやすい情報提供ですとか、この核となるコーディネーターさん育成のための研修会等を開催して、積極的に市町村が取り組めるよう理解を深めていきたいと思っています。
また、宿泊型産後ケアについての御質問だと思うんですけれども、出産後のお母さんは体調が不安定でありますし、慣れない育児で不安を抱えている方がたくさんいらっしゃいます。この産後の支援をしていただくことは、母親と、そしてその家族にとっても大変重要であると思っております。御質問にありました母子が医療機関に宿泊してケアを受ける宿泊型の産後ケア、今現在、県内では行っているところはございませんけれども、来年度の開設に向けて準備を進めている地域があると聞いております。また、通所してやる日中支援事業については8市町村が行っております。今後とも、こういった事業が積極的にできますように県としても力を入れていきたいと思っております。
○橋爪洋介 副議長 時間です。
◆水野俊雄 議員 以上です。ありがとうございました。
○橋爪洋介 副議長 以上で水野俊雄議員の質問は終わりました。(拍手)
以上をもって本日の日程は終了いたしました。
次の本会議は、明27日午前10時から再開し、上程議案に対する質疑及び一般質問を続行いたします。
● 散 会
○橋爪洋介 副議長 本日はこれにて散会いたします。
午後3時28分散会...