群馬県議会 > 2016-02-29 >
平成28年 第1回 定例会-02月29日-03号

  • CAP(/)
ツイート シェア
  1. 群馬県議会 2016-02-29
    平成28年 第1回 定例会-02月29日-03号


    取得元: 群馬県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-03
    平成28年 第1回 定例会-02月29日-03号平成28年 第1回 定例会 群馬県議会会議録  第3号 平成28年2月29日        出席議員 50人 欠席議員 0人 欠員 0人    関根圀男  (出席)       中沢丈一  (出席)    腰塚 誠  (出席)       南波和憲  (出席)    黒沢孝行  (出席)       松本耕司  (出席)    久保田順一郎(出席)       星野 寛  (出席)    須藤昭男  (出席)       岩井 均  (出席)    織田沢俊幸 (出席)       狩野浩志  (出席)    新井雅博  (出席)       福重隆浩  (出席)    橋爪洋介  (出席)       岩上憲司  (出席)    萩原 渉  (出席)       星名建市  (出席)    伊藤祐司  (出席)       角倉邦良  (出席)    井田 泉  (出席)       須藤和臣  (出席)    あべともよ (出席)       水野俊雄  (出席)    後藤克己  (出席)       中島 篤  (出席)    岸 善一郎 (出席)       大手治之  (出席)    臂 泰雄  (出席)       井下泰伸  (出席)    酒井宏明  (出席)       金井康夫  (出席)
       原 和隆  (出席)       金子 渡  (出席)    安孫子 哲 (出席)       清水真人  (出席)    藥丸 潔  (出席)       小川 晶  (出席)    髙橋 正  (出席)       金井秀樹  (出席)    本間惠治  (出席)       伊藤 清  (出席)    山﨑俊之  (出席)       荒木恵司  (出席)    大和 勲  (出席)       川野辺達也 (出席)    本郷高明  (出席)       穂積昌信  (出席)    井田泰彦  (出席)       加賀谷富士子(出席) 説明のため出席した者の職氏名    知事         大澤正明    副知事        反町 敦    副知事        村手 聡    教育委員長      眞保智子    教育長        吉野 勉    選挙管理委員長    松本修平    人事委員長      森田 均    代表監査委員     横田秀治    公安委員長      塚越裕子    警察本部長      小田部耕治    企業管理者      関  勤    総務部長       深代敬久    企画部長       笠原 寛    生活文化スポーツ部長 佐藤裕子    健康福祉部長     塚越日出夫    環境森林部長     青木 勝    農政部長       宮崎一隆    産業経済部長     髙橋 厚    県土整備部長     倉嶋敬明    危機管理監      萩本勝美    会計管理者      武藤敏行    病院局長       長尾景茂    こども未来局長    中村弘子    観光局長       戸塚俊輔    財政課長       沼澤弘平 職務のため出席した者の職氏名    局長         根岸良夫    総務課長       小宮利夫    議事課長       山岸敏明    議事課次長      宮下智夫    議事課係長      横堀英紀    議事課主幹      小暮輝久    議事課副主幹     桑山純一     平成28年2月29日(月)                   議  事  日  程 第 3 号 第1 質疑及び一般質問    ・第1号議案から第123号議案について    ・承第1号について                           以 上 知 事 提 出     午前10時開議   ● 開     議 ○岩井均 議長 これより本日の会議を開きます。   ● 質疑及び一般質問 ○岩井均 議長  △日程第1、第1号から第123号までの各議案及び承第1号を一括して議題とし、上程議案に対する質疑及び一般質問を行います。  通告がありますので、順次発言を許します。         ──────────────────────────               本 日 の 発 言 通 告 ┌───────┬───────────────────────────┬──────────┐ │氏    名 │     発言通告内容                │答弁を求める者の職名│ │(所属会派) │                           │          │ ├───────┼───────────────────────────┼──────────┤ │       │1 特別支援学校について               │          │ │       │ (1) 県立特別支援学校高等部の整備について     │知 事       │ │       │ (2) 週末活動支援について             │健康福祉部長    │ │       │2 障害者の自立支援について             │          │ │       │ (1) 工賃向上に向けた取組について         │健康福祉部長    │ │金井康夫   │ (2) 農福連携の取組について            │健康福祉部長    │ │(自由民主党)│3 地方創生について                 │          │ │ 発言割当時間│ (1) 地方創生について               │企画部長      │ │65分     │ (2) 国の方針と支援について            │企画部長      │ │       │ (3) RESASの活用について              │企画部長      │ │       │4 林業の活性化について               │環境森林部長    │ │       │5 無人航空機(ドローン)の活用について       │産業経済部長    │ │       │6 県道昭和インター線森下工区と戸鹿野橋について   │県土整備部長    │ │       │7 「山のグレーディング」について          │観光局長      │ ├───────┼───────────────────────────┼──────────┤ │       │1 台湾に対する海外戦略について           │          │ │       │ (1) 観光誘客について               │観光局長      │ │       │ (2) 台湾の農産物輸入規制解除に対する取組について │農政部長      │ │       │2 人口減少社会に対する取組について         │          │ │       │ (1) 人口減少社会に対する取組に係る知事の所見につい│知 事       │ │       │    て                      │          │ │       │ (2) 子育て支援について              │          │ │       │  (1) 子育て家庭支援の充実について         │こども未来局長   │ │加賀谷 富士子│  (2) ワーク・ライフ・バランスについて       │産業経済部長    │ │(リベラル群馬)│3 子どもの貧困対策について             │          │ │ 発言割当時間│ (1) 子どもの貧困対策推進計画について       │健康福祉部長    │ │65分     │ (2) 教育の支援について              │健康福祉部長    │ │       │ (3) 生活保護世帯の子どもの大学進学率について   │健康福祉部長    │ │       │4 性的少数者の問題に対する教育委員会の取組について │教育長       │ │       │5 中学校の部活動について              │          │ │       │ (1) 部活動における教員の勤務の取扱いについて   │教育長       │ │       │ (2) 今後の部活動について             │教育長       │ │       │6 国道50号前橋笠懸道路の整備について        │県土整備部長    │ │       │7 在留資格のない外国人に対する医療支援について   │健康福祉部長    │ │       │8 知事部局の女性管理職の現状と今後の取組について  │総務部長      │ ├───────┼───────────────────────────┼──────────┤
    │       │1 農業振興について                 │          │ │       │ (1) 県産農畜産物のブランド化について       │知 事       │ │       │ (2) 農地中間管理機構を活用した担い手への農地集積に│農政部長      │ │       │    ついて                    │          │ │       │ (3) 肥料成分偽装問題について           │農政部長      │ │       │2 群馬県森林・林業基本計画について         │          │ │       │ (1) 計画の進捗状況と年間素材生産量40万m3達成に向け│環境森林部長    │ │       │    た取組について                │          │ │久保田 順一郎│ (2) 木質バイオマス利用の現状と今後の方針について │環境森林部長    │ │(自由民主党)│3 地方のまちづくりについて             │          │ │ 発言割当  │ (1) 大型店と地元商店街について          │          │ │時間65分   │  (1)中心市街地の商業活性化について         │産業経済部長    │ │       │  (2)買い物弱者への取組について           │産業経済部長    │ │       │ (2) 今後のまちづくりについて           │県土整備部長    │ │       │4 東毛地域の道路整備等について           │          │ │       │ (1) 東毛地域の南北方向の道路整備等について    │県土整備部長    │ │       │ (2) 千代田町の利根川新橋架橋について       │県土整備部長    │ ├───────┼───────────────────────────┼──────────┤ │       │1 選挙権年齢の18歳以上への引下げの措置を踏まえた対 │          │ │       │  応について                    │          │ │       │ (1) 主権者教育の位置付けについて         │教育長       │ │       │ (2) 校外で行われる高校生の政治的活動の自由について│教育長       │ │       │ (3) 校内における政治活動の自由の保障について   │教育長       │ │       │2 有害鉄鋼スラグの全量撤去について         │環境森林部長    │ │       │3 木質バイオマス発電所計画について         │          │ │       │ (1) 発電所の放射能汚染対策について        │環境森林部長    │ │       │ (2) 自然エネルギーの地産地消との関わり等について │環境森林部長    │ │       │ (3) 計画の白紙撤回について            │環境森林部長    │ │酒井宏明   │4 原子力発電所の事故対策について          │          │ │(日本共産党)│ (1) 柏崎刈羽原子力発電所の放射性物質の拡散シミュ │危機管理監     │ │       │    レーション結果について            │          │ │ 発言割当時間│ (2) 福島第一原子力発電所の事故による被災者の支援に│危機管理監     │ │       │    ついて                    │          │ │65分     │ (3) 原子力発電所の再稼働中止の働きかけについて  │知 事       │ │       │5 TPP協定の発効による県への影響について     │          │ │       │ (1) 県の影響試算について             │農政部長      │ │       │ (2) ISD条項(投資家対国家の紛争解決)に対する県│企画部長      │ │       │    の対応について                │          │ │       │ (3) 国会での批准について             │知 事       │ │       │6 本年1月の大雪で被害を受けた農業施設への支援につ │農政部長      │ │       │  いて                       │          │ └───────┴───────────────────────────┴──────────┘         ────────────────────────── ○岩井均 議長 金井康夫議員御登壇願います。           (金井康夫議員 登壇 拍手) ◆金井康夫 議員 おはようございます。自由民主党、沼田市選出、今、大河ドラマで大変脚光を浴びているわけでございますけれども、トップバッターでやらせていただきたいと思います金井康夫でございます。よろしくお願い申し上げます。  また、今日は、沼田のほうから大変多くの傍聴者にお越しをいただきました。改めまして感謝を申し上げる次第でございます。  今日、私も朝6時に起きて、ずっと綾戸をくぐって前橋に来たんですけれども、国体道路に行きましたところ、カワヅザクラがもう5分咲きということでございます。改めて群馬県は広いなというような感じがしました。今日は利根沼田の思いを当局にぶつけてまいりたいと思いますので、どうか明快なる御答弁をよろしくお願い申し上げまして、質問に移らせていただきたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)  それではまず、知事、お願いします。 ○岩井均 議長 知事、答弁席へ。           (大澤正明知事 登壇) ◆金井康夫 議員 まず最初に、質問に入らせていただく前に、知事、この度は大変ありがとうございました。特別支援学校につきましては長年の懸案事項でありました。先の萩原渉議員の代表質問におきましても、この群馬県、高等部は4地域がまだ未整備ということでございまして、まずは沼田ということで、大変心強い御答弁をいただきました。改めまして感謝を申し上げる次第でございます。  また、今回、この質問におきまして、各地域の今後の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。 ◎大澤正明 知事 特別支援学校の整備につきましては、平成27年4月の吾妻特別支援学校の開校をもちまして、特別支援学校の小・中学部の未設置地域が解消できたところでございます。今後は、高等部までの教育環境を整え、障害のある子どもたちが高等部卒業後も安心して地域で自立した生活が送れるようにしていきたいと考えております。そこで、身近な地域に高等部のない沼田、藤岡、富岡、吾妻の4地域に計画的に整備をしていくこととしたところでありまして、まずは沼田特別支援学校の整備に着手をいたしまして、平成31年度の高等部開校を目指していきたいと考えております。なお、他の3地域におきましても、学校用地等に関する地元市町村等との調整がつき次第、順次整備をしてまいりたいと思っております。  今後とも、障害のある子どもたちの職業自立に向けまして、企業への障害者雇用の啓発を一層強化するとともに、関係機関等とも連携をしながら、就労支援に今後しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆金井康夫 議員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。特に利根沼田地方におきましては、今回、高等部がないという現状の中で、実は心臓疾患とか気道切開をした子どもたちは、実際、通学を断念しているという状況でございます。また、体温調節がなかなかうまくできないお子さんは、非常に寒い朝、ぶるぶる震えながら通っていたという状況でございまして、今回、31年に沼田市に開校されるということでございます。これは利根沼田住民の悲願でありましたので、改めまして感謝を申し上げる次第でございます。  また、特に大澤知事はじめ教育部におかれましても、大変お世話になりました。また、利根沼田の特別支援につきましては、議員の方も随分見ていただきまして、公明党の水野議員も沼田まで来ていただいて、いろいろと御指導いただいたという話も聞いております。全ての方に対して本当に心から感謝を申し上げまして、この質問につきましては閉じさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  続きまして、健康福祉部長、お願いします。 ○岩井均 議長 健康福祉部長、答弁席へ。           (塚越日出夫健康福祉部長 登壇) ◆金井康夫 議員 続きまして、週末活動支援についてお聞きしたいと思っております。  このことについては、ハンデのある子どもたちが今就労しているA型、B型、あるいは作業所に就労しているんですけれども、中には、せっかく企業に就労して、いろいろなストレスがたまって離職をするというような子どもたちが少なからずいらっしゃるということでございます。今回、この特別支援学校、3年後の話なんですけれども、学校開放をすることによって、週末、ある程度ストレスを開放する場とか、親御さんが愚痴を言えるような場が必要なのではないかなと思うわけでございます。今回、健康福祉部におきましても、全国でも初めての取り組みだということも報道されているわけでございますけれども、そちらの事業の内容についてお聞かせいただきたいと思います。 ◎塚越日出夫 健康福祉部長 特別支援学校を活用いたしました週末活動支援についてのお尋ねでございますけれども、議員が御指摘のとおり、地域で暮らす障害のある人は、平日は会社や学校、福祉施設などに通っていますけれども、土日などの休日には出かける場所が少ないというふうな声がございます。また、就労の面におきましても、休日を充実して過ごすことが、生活が安定し、職場の定着にもつながるというふうに言われております。  こうしたことに対応するため、来年度の新規事業といたしまして、特別支援学校を拠点とした週末活動支援を実施したいと考えております。事業内容といたしましては、障害のある人の就労支援を行っております障害者就業・生活支援センターにおきまして、土日などの週末に、特別支援学校を拠点として、地域で暮らす障害のある人が簡単なスポーツや音楽などを楽しめる場を提供するものであります。具体的には、県内に8カ所あります障害者就業・生活支援センターに配置いたします「週末活動支援員」が、障害者の家族やPTA、ボランティアなどと連携して、「週末活動クラブ」を立ち上げます。そして、この「週末活動クラブ」が活動内容を企画し、特別支援学校を拠点として、学校の体育館や校庭などを活動の場として利用しながら、週末活動を実施していくこととしております。  週末活動支援は、地域で暮らす障害のある人が週末に楽しむ場を提供するだけでなく、障害者や家族同士の交流の場として活動していただくことで、日頃の仕事や生活の悩みを聞き、必要な支援機関へつないでいくことで、障害者支援の強化にもなるものと考えております。障害のある人が地域で自立した生活を送れるよう、関係部局と連携して、生きがいづくりや職場の定着支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆金井康夫 議員 ぜひとも、この週末活動支援について、全国的にも大変注目を浴びている事業だと思いますので、充実した事業にしてもらうようによろしくお願い申し上げたいと思います。  続いて、障害者の自立支援についてお聞かせいただきたいと思います。  こちらにつきましては、群馬県といたしましても、5カ年計画をつくったりとか工賃向上3カ年計画をつくって、実際のところ、この計画は目標を達成しなかったというような状況だと思っております。大体月額2万円にしようというような内容でございますけれども、今回新たに第2次の3カ年計画を策定していると思いますけれども、今回この工賃向上を、目標を達成するためにどのような取り組みを行うのか、そちらについてお聞かせいただきたいと思います。 ◎塚越日出夫 健康福祉部長 県では、障害のある人が地域で自立した生活を送るためには就労支援が重要であると考えまして、希望や適性に応じて働くことができるよう、一般就労や福祉的就労の場の確保に努めてきたところでございます。障害者就労施設等で働く福祉的就労におきましては、施設から障害者本人に毎月支払われる工賃は障害者にとって重要な収入であります。そこで、県では、議員御指摘のとおり、平成19年に「工賃倍増5カ年計画」を、また、平成24年に「工賃向上計画」を策定いたしまして、工賃向上支援に取り組んできたところでございます。  工賃の県平均額は、平成18年度におきましては月額1万1,000円程度でありましたが、各事業所の努力により年々増加し、平成26年度におきましては月額約1万7,000円となり、全国平均を上回る水準となっております。しかしながら、各計画において最終目標としておりました月額工賃2万円を達成するには至りませんでした。そこで、昨年4月に「第2次群馬県工賃向上計画」を策定いたしまして、障害者施策における重要課題として、さらなる工賃向上支援策に取り組むこととしたところでございます。  具体的には、障害者就労施設等からの優先的な物品調達や大口受注を進めるために、平成26年度に設置いたしました「共同受注窓口」などによる支援を市町村や各事業所と連携しながら実施していくとともに、専門家派遣や研修などによる障害者就労施設等の人材育成などにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆金井康夫 議員 工賃向上計画については、ぜひとも目標を達成していただきたいと思っております。そのために、1点今回提案をさせていただきたいと思います。  〔資料提示〕パネルを用意させていただきました。こちらの内容でございますけれども、今、「農福連携」というものが非常に脚光を浴びている状況でございます。国の農林水産省あるいは厚生労働省が、今、「農福連携」ということで取り組んでいる状況でございます。特に、今、群馬県の農業における課題ということをまとめさせていただきました。特に所管ではないんですけれども、今、農業の労働力が半減している状況です。平成7年から農業就業人口が9万8,000人いたのが、平成27年で4万4,000人ということで半分となっております。また、高齢化の進展ということでございまして、農業の就業人口の平均年齢が66.3歳ということでございます。また、その下に耕作放棄地の増加ということで、平成7年から平成27年までで6,370ヘクタール耕作放棄地が発生している状況です。この6,370ヘクタールというのは、大体東京ドーム1,300個分だそうです。  一方、障害福祉における課題ということでございまして、先ほど来いろいろやりとりの中でもあったんですけれども、手帳等交付者数、これは寝たきりの方から全ての候補者数ですけれども、10万6,000人、群馬県内にいらっしゃいます。このうち企業就労約4,400人、福祉的就労約2,500人、これがA型、B型作業所の数なんです。この程度の数にとどまっているのが現状なんです。  その下に、工賃向上について、工賃の状況について先ほどお答えがありましたけれども、上がっているといっても、まだまだ1万6,979円、1カ月の金額なんです。これはハンデのある方からすると、障害者年金を1カ月6万円ぐらいもらって、2万円の目標によって8万円ぐらいで本当に十分なのかというところがあるわけなんです。ですから、この工賃向上のためのひとつのきっかけとして、ぜひとも「農福連携」というものを取り組んでいただきたいと思います。  特に農業者からすると、障害のある方に農業をやってもらうといっても、何を頼んでいいかわからないのだと思うんです。福祉側からしても、農業を手伝おうと思っても、何を手伝えるのかもわからない状況でございます。ですけれども、今回この国の施策によって、それぞれでビジネスパートナーとして非常にうまくいっている先進事例が何カ所もある状況でございます。今回、農政部の部長も聞いているわけでございますけれども、部局横断的にこれらを連携して、ぜひとも工賃向上を高めていくためのひとつの施策につなげていただきたいと思うわけでございますけれども、そちらについてお答えをいただきたいと思います。 ◎塚越日出夫 健康福祉部長 障害者就労施設等におきましては、工賃を得るために業務請負、自社製品の製造・販売、清掃業務の役務提供など、様々な業務を実施しております。そして、障害者の生活支援を行いながら、営業活動や作業方法の工夫などを行い、対応できる業務を拡大し、工賃向上を図るための努力をしていただいているところであります。  県では、そのような障害者及び障害者就労施設等に対する支援の一環といたしまして、今議会に「農業分野におけるマッチング強化事業」に関する予算案を提案させていただいております。この事業は、障害者が農業分野に新たな担い手として参入し、工賃向上を図ることを目的としたものであります。  具体的には、「共同受注窓口」に新たに農業分野の専門家を配置いたしまして、その専門家を中心にして農業者に対し需要調査等を行うとともに、障害者就労施設等に対しましては、農作業等に関する技術指導などを行います。そして、農業者からの業務依頼等に対しましては農作業の分析・切り分けなどの調整を行ったうえで、障害者就労施設等にあっせんすることまでを目的とするものでございます。この事業を推進することによりまして、工賃向上に貢献するとともに、本県農業の担い手不足解消にも結び付けてまいりたいと考えております。関係部局とも連携しながら事業の推進にしっかりと取り組み、障害者の自立支援につながるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆金井康夫 議員 先ほどの部長の御答弁で、非常に前向きに考えているんだなということが改めてわかりました。先ほどお答えで、「共同受注窓口」を設置するんだというようなことですけれども、〔資料提示〕今日パネルで用意させていただいたのは香川県の事例でありまして、まさに香川県と同じようなことを新年度予算で考えているということでございます。  ぜひとも、健康福祉部と例えば農政部が連携して、「共同受注窓口」のところで障害者の方々と契約をして、どういうことを農業で手伝えるのか、あるいは、農業側からすると、どういうことを障害者に手伝ってもらいたいのかということを、今までですと1つの団体では解決できなかったことが、全てをやるのではなくて、私のところはこういうことができますよと。あれもこれもやるのではなくて、できることだけやることをマッチングするというようなことだと思っております。ぜひとも、新年度、すばらしい取り組みとなりますことをよろしくお願い申し上げまして、こちらの質問については閉じさせていただきたいと思います。部長、ありがとうございました。  続いて、企画部長、お願いします。 ○岩井均 議長 企画部長、答弁席へ。           (笠原 寛企画部長 登壇) ◆金井康夫 議員 企画部長におかれましては、私、総務企画常任委員会で大変お世話になっております。今回、所管の地方創生ということでございますけれども、改めて質問をさせていただきたいと思います。  一般の県民の方に聞きますと、地方創生といって、一体何ぞやというような声も少なからずある状況でございます。今回、この地方創生について、私なりに思いますのが、歴史をひもといていきますと、3年前に始まったのかなというような気がしております。ちょうど3年前に増田レポートというものが出されました。この内容につきましては、全国1,800ある自治体が、このまま何もしなければ2040年には800ほどが消滅自治体になるというような内容です。それから1年半たって、第2次安倍内閣におきまして、9月ですけれども、地方創生国会というようなことで1年半がたったわけでございます。  これからずうっとたっている中、私はこの地方創生は何を言っているのかなと思う中で、大きく分けて2点だと思っております。1点目が、東京への人口の一極集中をとめるんだということ。また、もう1点が、地方の人口を一気に減らすのではなくて、るなぱあくの滑り台ぐらいに減らすんですかね。緩やかに減らしていこうというような内容だと思っております。  東京一極集中がなぜ悪いのかといいますと、特に人口が動く際に、高校から卒業して大学に行くとき、1回一極集中が起こるんですね。大学から社会人に就職するとき、またこれで一極集中が起こる状況です。東京に行きますと、もう部長御存じのとおり、合計特殊出生率が1.13ということで、桁外れに悪い状況なんです。この桁外れに悪いところに一極集中して、日本国民の少子化を加速させるんだ、こういうことについて何とかしなければいけないということが大きな地方創生なのかなと思っております。  また、群馬県においても、先般発表になったわけですけれども、何もしなければ197万人の県民が2040年までに、160万人になるというような内容となっております。今後、群馬県の人口流出、あるいはいろいろな部分で、あらゆる施策を投じなければならないのがこの地方創生だと思いますけれども、部長のお考えについてお聞かせいただきたいと思います。 ◎笠原寛 企画部長 今、議員から御指摘ありましたように、人口減少対策をきっかけといたしました地方創生でございますけれども、平成26年5月に日本創生会議が人口問題に関する提言を発表後、大きくクローズアップされてきたところでございます。地域によって抱えている課題は異なりますけれども、地方創生について共通しておりますのは人口減少問題の克服でございまして、そのためには、今御指摘がありましたように、東京一極集中を何としても打破する必要があると考えております。  特に本県、今お話しがございましたけれども、高校卒業時に進学先等で県外に出ていく18歳人口が非常に多く、しかも、就職を考える段階になってもその3割ぐらいしか県内には定着をしていないという。毎年毎年それが繰り返されますので、若い方の流出というものが非常に大きな課題と考えております。そこで、県におきましては、今年度、群馬県版総合戦略を議会のほうに提出させていただいておりますけれども、この東京一極集中の流れを変えるため、ものづくり産業や農林業の振興、企業誘致、コンベンション関連産業をはじめとする次世代産業の創出によりまして、若者や女性が活躍できる場の確保のほか、若年層の県内定着や移住・定住の促進を重要な戦略に位置付けているところでございます。  また、特に県内におきましては、様々な市町村によりまして課題が異なっておりますことから、市町村におきましても、現在、地方版総合戦略の策定が進められておりますけれども、やはり共通しておりますのは、若者層の転出超過を重要課題と考え、多くの市町村が基本目標の第1に働く場の創出等を掲げ、また、外から人を呼び込む移住・定住を掲げる方向と承知しております。そして、より具体的な内容には、それぞれ地域特性に応じた戦略や取り組みが盛り込まれているというふうに承知しております。  一方、県におきましては、東京での情報発信を強化いたしますために、昨年、東京の有楽町に「ぐんま暮らし支援センター」を設置いたしまして、移住相談に加えまして、来年度は就職相談にも対応できるよう、予算案を提出させていただいておりますけれども、移住・定住を促進するためには市町村との連携を密にして対応してまいりたいと考えております。本県は、東京から100キロ圏という恵まれた立地条件でございますので、2地域居住や東京通勤居住、あるいは本県の豊かな自然を味わえます山村暮らしや自然と利便性が両立する地方都市暮らしなど、地域の特性を活かした魅力ある様々なライフスタイルが可能であると考えております。そうしたことを東京等で積極的に提案してまいりたいと考えております。  また、市町村が掲げます働く場の創出でございますが、それぞれの地域の資源を活用した観光や産業振興など、県が取り組む施策と密接に関わっているものと考えております。地方創生に臨むに当たりまして、県と市町村が今まで様々な機会を通じて課題を共有してきていると考えております。そして、目指す基本的な方向は一致しているものと認識しております。今後、県市町村ともに、地方版総合戦略がスタートいたしますけれども、今まで以上にしっかり連携し、各地域の特徴を活かしました地方創生に立ち向かっていきたいと考えています。 ◆金井康夫 議員 各地域の特色を活かしながら地方創生に取り組んでいるというようなことでございます。私、今回、群馬県を全体的に見て、35市町村あるという中で、群馬県を日本に置き換えた場合、同じことが起こっているのかなとちょっと危惧しているところがあります。例えば、合計特殊出生率について、12市で一番高いところが沼田市なんです。1.67です。みどり市さんなんかは1.53ということで、平均よりやっぱり高いんです。前橋市さんあたりに行くと1.41とか1.42なんですね。ですから、私は今後一番重要だと思うのは、群馬県内でも特色を活かしながら市町村と連携する際に、中山間地域の人口の転出超過を防ぐことが大変重要だと思っております。沼田なんかですと、毎年150人ぐらい転出超過、他の市に出ていますので、これらを食い止めることが大変重要なのかなと思っております。群馬県の内容についてこういう状況でございますけれども、部長のお考えについてお聞かせいただきたいと思います。
    ◎笠原寛 企画部長 実は、今、議員御指摘の点につきまして、昨年も知事と35市町村の市町村長さんとの意見交換会の中でも人口減少対策、地方創生がテーマになりまして、やはり県内で人口を取り合うようなことは全く意味がない。一番最初に議員から御指摘ございましたように、東京一極集中の流れをやはり県と35市町村が連携して、是正していくんだ、そのことを群馬の地方創生にとってはしっかり考えていく必要があるということで、県と市町村の連携がしっかりとれるような取り組みをしていきたいというふうに考えております。 ◆金井康夫 議員 ぜひともそのような形で取り組んでいただきたいと思います。  次に、国の支援についてお聞かせいただきたいと思います。  こちらの内容につきましては、実は本来であれば眼光鋭い村手副知事にでも聞いたほうがよかったのかもしれないんですけれども、国の支援内容についてお聞かせいただきたいと思います。 ◎笠原寛 企画部長 国では、地方創生は将来にわたっての「人口減少問題の克服」と「成長力の確保」を図ることとしておりまして、地方自治体へ長期人口ビジョン・地方版総合戦略の策定を求めているところでございます。そのため、国は情報提供の支援、人的支援、財政支援の3つの支援を行うこととしておりまして、まず情報提供の支援につきましては、地方版総合戦略の策定に役立つよう、人口動態や産業構造のデータなどを可視化いたしましたRESASと呼ばれております「地方経済分析システム」の提供をしていただいておるところでございます。  次に、人的支援につきましては、国の各府省に自治体の相談窓口となります地方創生コンシェルジュを配置いたしましたほか、希望する市町村へは市町村長の補佐役として国家公務員や大学教授などを派遣しておりまして、平成27年度にはみなかみ町がこの制度を活用しているということでございます。また、財政支援につきましては、本年度、地方財政計画に地方創生の取り組みに必要となります経費が計上されておりますほか、地方創生のための交付金など、地方自治体の取り組みを支援する国庫負担の交付金が措置をされているところでございます。また、企業の本社機能の地方移転を支援する税制の制度化や、企業版ふるさと納税制度など、様々な手法を用いて地方創生を深化させる取り組みを行っていただいていると認識しております。県といたしましても、こうした国の施策や制度を有効に活用しながら、地方創生に向けた動きを加速してまいりたいと考えております。 ◆金井康夫 議員 主に3点だということですけれども、情報とお金と人ということです。私はこの中で一番重要なのが、お金の関係、加速化交付金です。全体でいうと大体1,000億ということなんですが、ちょっと張り合い悪いなと。プレミアム商品券が2,500億だったのに比べるとですね。人についても、5万人以下の自治体については手挙げでそれぞれ人材派遣するのだというような内容だと思っております。先の2月の補正予算において、この加速化交付金の申請はそれぞれの自治体からされたと思うんですけれども、こちらの申請率についてお聞かせいただきたいのと、中には申請しないところも出ているような気がしているわけでございます。この申請していない自治体についても、率直に部長のお考えについて、どのような思いなのかについてお聞かせいただければと思います。 ◎笠原寛 企画部長 県でも2月補正で計上して御審議をいただいております国の今年度の補正予算に関わります地方創生加速化交付金でございますけれども、県内では31市町村が申請をいたしておりまして、43事業、合計額といたしますと16億6,500万円と承知しております。35分の31ということで、4市町村が申請をしなかったということでございます。この辺につきましては、特に今年度は10分の10の財政措置でございますので、市町村のほうにはいろんな説明会等を開催させていただいて、ぜひこの活用を検討していただきたいということでお願いはいたしたのですけれども、やはりそれぞれの市町村の事情の中で申請に至らなかったところがあるということだと思います。  なかなか地方創生が、先ほどお話しございましたように、一昨年の5月から急に大きなテーマとなりまして、各市町村の中でもそれに伴いますいろんな体制整備、特に小さな町村ですと人的な配置等の問題もあって、なかなか新しい動きに正直言って対応が難しいというようなお話も伺っております。そういうところにつきましては、県でもできる限りの支援をさせていただきながら、また新年度も新たな交付金がこれから始まりますので、改めて市町村にはできる支援をしっかりさせていただきたいと思っております。 ◆金井康夫 議員 こちらの加速化交付金につきましては、担当部署で非常に頑張っていただいているという内容はわかっております。35ある市町村の中でどうしてもちょっと差があるような気がしております。  これは実際どうなのかなというと、地方創生という作文をつくらなければいけないんですね。今までですと、交付金というと、よく「さおと魚」の例えであるんですが、魚という交付金をそれぞれの自治体にやっていたのが、今回は作文を書いて、あなたが釣りたい魚であれば、渓流釣りがやりたければ渓流釣りのさおを与える。また、海に行きたければ海のさおを渡す。また、投網で一網打尽にしたいというところには網をあげますから、皆さんでそれぞれの自治体の地方創生を考えてくださいというような中で、なかなかこの作文が書けない自治体が中にはあるのだと思います。  あと、中には、うちは財政も豊かだから要らないよというような自治体もあるのかもしれません。ぜひとも市町村と連携をして、これは国政では今非常に脚光を浴びているところでありますので、地方創生に関して、ぜひとも35市町村全てのところが出せるような形に整えていただきたいと思います。  続いて、その3つのうちの情報の部分について質問させていただきたいと思います。RESAS、先ほど「地域経済分析システム」ということで部長のほうで答弁がありました。〔資料提示〕こちらについてパネルを用意させていただきましたけれども、これはインターネットを立ち上げてもらって、グーグルクロームで見ると誰でも見られる情報であります。また、県の幹部については、IDで産業分野等も見られるような状況ですけれども、どういうことが見られるのかといいますと、例えば部長、出身が前橋であれば、前橋市で税金を一番払っている企業はどこなのかということもわかるんですね。さっきの転出超過の話じゃないですけれども、前橋市からどこの市に転出しているのか、この人たちが、年齢が何歳なのか、男女どちらなのかということも、こちらのデータで見るとすぐわかるんです。先般、萩原委員のほうからありましたけれども、DMOの関係でもこれは今非常に注目されています。観光の関係です。  今回、たくさんある中で観光マップをパネルにさせていただきました。これはどういうことかといいますと、日本地図の真ん中があるんですが、こちらがAgoopという携帯の位置情報を提供しているデータです。前橋市に2時間滞在したデータでございます。これがこう花火のように飛んでいるんですけれども、前橋市に例えば何市から、茨城のほうから何人来ている――これはカーソルを合わせると何人と出るんですね。何人来ているという状況がわかっていて、隣の円グラフですけれども、右のほうが県外から来ている人数です。左が県内の移動人口、2時間滞在した内容です。この右の円グラフを見ていただきますとわかるのが、1位が深谷、2位が本庄ということで、近隣の方々が前橋に来ているのがわかるんです。  一番上の国勢調査、これは2014年の人口データなんですが、33万7,998人前橋市の人口がいて、この2時間の間に滞在人口が58万1,600人いたというデータなんです。これを、国勢調査を分母といたしまして、滞在人口を分子としますと、滞在人口率というのが出るんです。1.72というところなんです。この滞在人口率が1.72というのが高いか低いかは別として、例えばこれから3年後、あるいは5年後に3倍にしよう、あるいは5倍にしようということで、非常にすばらしい、このデータをもとにした目標が立てられるものだと思っております。  また、今回、例えばこちらの花火図で見ますと、岩手のほうからも前橋市に来ているんです。まるっきり来ていないところに例えば観光キャンペーンをするよりも、こうやってデータで来ているところにビラを持っていったり、観光パンフレットを持っていったり、あとは販促キャンペーンを行ったりすることが、今後、観光戦略で非常に有効なのかなというような気がしております。  これはAgoopのデータで2時間の滞在ということですけれども、先ほど部長のほうで定住人口の2居住化を図るんだというようなお話もあったんですけれども、実際はなかなか定住するというのはハードルが高いと思うんです。ですから、データで見て、たとえ2時間でもいいから、観光とかレジャーとか買い物とか、通勤でも通学でも、こういうような人たちを増やすということで、非常にすばらしいデータであります。今後重要なのは、このRESASというものを使いこなせる職員の方々の確保だと思っております。群馬県といたしましても、先ほど地方創生の関係でいろいろ差がある自治体がある中で、このビッグデータをぜひとも指導していただいて、例えば利根沼田であればこういうような形で観光DMOを組んだらどうだ、あるいは人口動態について新たな目標を設定したらどうですかというようなことを踏まえて、県内の市町村にいろいろな部分で御指導いただければありがたいと思いますけれども、当局のお考えについてお聞かせいただきたいと思います。 ◎笠原寛 企画部長 議員から御紹介もいただきましたこのRESASでございますが、先ほど申し述べました3つの国の支援策のひとつでございまして、国が構築し、自治体に提供しております情報支援ツールでございます。これは官民のビッグデータを集約いたしまして可視化するシステムでございまして、観光客の1日の動きや企業間の取引の動きなどを把握することができるものとなってございます。昨年5月には、国の担当者を招きまして、県と市町村担当者を対象に、このRESASの説明会を開催いたしまして、システムの操作や活用事例等につきまして説明を受けましたほか、RESASを活用した分析事例の募集などを通じまして、県や市町村への活用を周知しているところでございます。  県におきましては、次期総合計画と群馬県版総合戦略の策定を進めている中で、人口の将来推計に活用しておりますほか、宿泊業活性化のための現状分析や、温泉地におきますターゲット分析などにこのシステムを活用しているところでございます。また、28年度におきましては、順次機能が付加され、活用の幅が広がってきますので、県や市町村職員だけではなく、新たに商工団体の職員の方や県民の皆さん、企業の皆様を対象にしたRESASの活用方法を知っていただく説明会の開催を考えておりまして、今議会に所要の予算案を提案し、審議をお願いしているところでございます。県といたしましても、実効性のある施策を企画立案し、群馬の未来創生に向けた取り組みを市町村と連携して取り組みを進めていくためには、このRESASの活用を十分に図ってまいる必要があると考えております。 ◆金井康夫 議員 ぜひとも、各市町村と連携して有効に活用していただきたいと思います。このRESASについては、プレゼンのコンテストがありまして、中学生が全国優勝しているようなパターンもあるんです。中学生の頭って非常にやわらかいですので、これらのビッグデータを有効に使っているというパターンもあります。ぜひとも教育部門とも連携して、そういうような学生たちのアイデアも募集しながらやることもひとつ重要なのかなと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、部長への質問を閉じさせていただきたいと思います。  続きまして、環境森林部長、お願いします。 ○岩井均 議長 環境森林部長、答弁席へ。           (青木 勝環境森林部長 登壇) ◆金井康夫 議員 環境森林部長におかれましては、先の須藤昭男議員の一般質問で、集成材について質問がありました。私は席で聞いていて、なるほどなと思ったわけでございます。今、群馬県でつくっている年間125万立米、木が増えているところで、それらの木材を、原木が他県に行っていて、他県で集成材にしたものがまた県に入って、それについて群馬県産の関係でということで補助金をかけているので、ぜひともこの工場を群馬県内につくったらどうかというような趣旨の内容だと思っております。  また、その際に部長のほうで、こちらにつきましては至上命題だというような御答弁があったわけでございます。この集成材について――〔資料提示〕これが集成材なんです。クロスラミナという、クロス・ラミナ・ティンバーです。ですから、ラミナをクロスさせているんです。普通であれば、集成材は同じ方向なんですが、直交に張りつけているわけなんです。これはコンクリート並みだそうです。山﨑議員も割れない。コンクリート並みの強度があるんです。強度があって、耐火性にも優れていて、加工もしやすいんです。これを使うことによって、非常に経済効果があるというようなことも今言われております。  昨年、日本政策投資銀行のレポートの中で、今年、建築基準法が国交省で変わるんですけれども、全て3階までなった場合には、およそ経済効果は1兆円あるだろうと。また、さらに、今海外から輸入しているんですけれども、それらを国産でやった場合にはおよそ1.9兆円の経済効果があるだろうという試算が出ております。今現在、残念ながら、日本国内、このCLTをつくれる工場は3カ所しかない状況です。1点目は、先ほどちょっとサンプルを送ってもらった岡山県の銘建工業、もう1点が、九州に行って鹿児島の山佐木材、もう1点は、鳥取に行って協同組合レングズというところなんです。今、関東にはない状況なんです。  御承知のとおり、2020年の東京オリンピックで隈研吾さんが今回設計を担当したんです。私は、これが決まったすぐ次の日に浅草に行ってきたんです、隈研吾さんのつくったものを見にです。浅草の駅をおりて、観光ビジターセンターを隈研吾さんが設計しております。まさに集成材ですばらしい建物を建築しております。  これからこの需要を増やすことが群馬県にとって非常に重要なのかなと思っております。これらの工場をつくることが、ですから、地元の製材業者の方々と協力し合って、いろいろな財政面もありますけれども、全ての方々に対して、支援面も踏まえて、CLT集成材工場をつくることが大変重要だと思いますけれども、そちらについてお聞かせいただきたいと思います。 ◎青木勝 環境森林部長 集成材を含む木材の生産拠点の整備についてでありますけれども、木材需要の大半は、御案内のとおり、建築用材が占めておるわけであります。これについて動向を見てみますと、いわゆる品確法という法律が、これは住宅の品質の確保の促進をするための法律でありますけれども、こういった法律の施行、それからプレカット材の普及というものがあります。こういったことを背景といたしまして、品質、それから性能が安定している今、CLTの話も出ましたけれども、集成材の利用が拡大してきておりまして、その流れは定着をしてきている状況にあります。  今、サンプルも示してもらいましたけれども、CLT、直交集成板でありますけれども、これにつきましては高層階の木造建築を可能にする工法ということで、現在、国において法令や基準の整備が進められております。今後、木材の利用拡大に向けた新たな需要先として大変大きな期待が寄せられているというふうに承知をしております。  群馬県では、森林が大変多いわけでありますけれども、この豊かな森林資源を最大限活用できるようにしていくためには、こういった需要、それから技術の動向を踏まえまして、県内の体制整備を行っていく必要があると考えております。現在、見直し中の「森林・林業基本計画」の中に、今後、県外の需要開拓も当然視野に入れながら、集成材等の大型加工施設の整備推進を位置付けて検討を進めることとしております。  一方で、集成材とかCLTは、御質問にもありましたけれども、欧州産の輸入材と競合していくということになってまいりますので、品質、それからコスト面で優位に立てる大規模な生産体制の確立が必要になります。そのためには、安定的で、かつ大量の原木集荷体制の整備、それから生産の効率化、そして販売先の確保、さらには事業主体の問題、こういったことを解決していかなければならないと思っております。このために、県では、新年度から新しい「森林・林業基本計画」がスタートするわけでありますけれども、その中でこれらの問題について、素材生産、加工・流通業界など関係団体の代表者を構成員とした協議会を立ち上げまして、具体的な調査研究を進めてまいりたいと考えておりまして、そのための所要の予算を本議会にもお願いしているところであります。  いずれにいたしましても、今後は林業を成長産業化させていくためには、大型加工施設等の生産拠点の整備は必要であると考えておりますので、関係者とのコンセンサスをしっかりととりながら検討を進めていきたいと思っております。 ◆金井康夫 議員 ぜひとも県内業者と協議しながら建設していただければ、大変ありがたいと思います。  先ほど国の経済効果については示させていただいたんですけれども、今回パネルを用意させていただきました。〔資料提示〕こちらが、各都道府県で経済効果を出しているところが幾つかあります。この高知県なんですけれども、群馬県より森林面積は若干多いということで、今回、高知県の内容についてパネルを作成させていただきました。  こちらは高知県の経済効果を出したんですけれども、A材、B材、C材、D材を全てやって、ワンユニットでやるというような内容です。原木を山から切ってきて、製材をするということで、ラミナにして、木質バイオマスで燃やして発電する。それをCLTにするということで、最終的にこのワンユニットにしますと770人雇用が生まれるということでございます。経済波及効果は大体170億円と試算しているんです。  この中でワンユニットにすると、さらに、新規雇用者が今770人という積算が出ましたので、この770人に対して、婚姻によるパートナーの転入ということで、実はこのことによって子どもが2,280人増えるという試算もしております。また、その中段にもあるんですけれども、生産年齢人口率というのが40.3%から46.4%へ、生産年齢を大きく引き上げるというような内容なんです。  私、先ほど来地方創生の一般質問をさせていただきましたけれども、まさにこちらが地方創生なのかなと思っております。「まち・ひと・しごと」と言われているわけですけれども、そのまちの特色を生かして、そのまちに人を呼んで、そのまちに仕事を生むのだというような基本理念でいけば、まさにこれはうってつけの施策だなと思っております。50年前、東京都に一極集中、高度経済成長でずうっと流れていたものを逆行させる施策だと思います。東京からこの群馬県に引き寄せるための施策だと思います。特にまた中山間地域にとっても引き寄せる大きな施策だと思っております。  今後、いろいろな資金的なもの、あるいは市場の問題等もありますけれども、県内でおよそ100社以上ある業者さんから、こういうような工場を建設したいんだよという声があった場合はぜひともいろいろな部分で御支援をいただければと思いますけれども、そちらについてお聞かせいただきたいと思います。 ◎青木勝 環境森林部長 地方創生のお話がありましたけれども、そのためには地域の資源を活かしていくということが基本のひとつだと思っております。群馬県の資源、森林資源をしっかりと活かしていくための方法ということで、そういったユニットも承知をしております。約110の事業者の方、製材工場の方々が県内にもいらっしゃいますので、よく意見を聞きながら、実務的な検討を進めていきたいというふうに思っております。 ◆金井康夫 議員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。まず経済効果も、せっかくですから群馬県もわかりやすく出していただければ大変ありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、部長への質問を終わらせていただきたいと思います。  続きまして、産業経済部長、お願いします。 ○岩井均 議長 産業経済部長、答弁席へ。           (髙橋 厚産業経済部長 登壇) ◆金井康夫 議員 部長におかれましては、無人航空機、ドローンの活用についてお聞かせいただきたいと思います。  先般、新聞記事にも載っていたんですけれども、〔資料提示〕県警でもこちらの実験をしたようです。非常にこれは可能性がありまして、空の産業革命とまで今言われている状況です。私、群馬県のいろいろなところにドローンが活用できるのではないかなと思って、一部をつくらせていただいたんですけれども、まず1点が、例えば火山監視。先の代表質問でもありましたけれども、群馬県内、活火山が何カ所かあるわけでございます。この火山監視でも非常に有効的だと思います。また、昨年は、登山者の遭難者がここ数年で最高にあったわけです。142名の方々が遭難にあったり、亡くなった方もいらっしゃるわけです。初期の捜索についても、ドローンは非常に有効的だということが言われています。あと、鳥獣害対策なんかも非常に有効です。  これは猿の写真をちょっと上げさせてもらったんですけれども、実際、中山間地域に行きますと、猿をどうやって追っているのかというのは、猿追いをやっているんですね。大体猿というのは群れをつくる習性がありますので、雌のボス猿の首に輪っかをして、テレメで、データで追っていくんです。  先ほど農業者の平均年齢が66.3歳とありましたけれども、65歳以上の方が山に登って、ロケット花火を持っていくんですね。私もロケット花火を持って猿追いをやったことがあります。ですから、現状を考えれば、例えばドローンを使って、テレメでデータもあるわけですから、そこで追っていくということも将来的にできるのではないかなというような気がしております。また、農業の活用ということで、こちらについて農薬散布とか、稲の育っているところ、あるいは育ちの悪いところも、赤外線センサーで見ると一目瞭然で、育っていないところにまた窒素をまくということで、有効的に収穫ができるというようなことも言われております。  またもう1点は、インフラ点検なんですけれども、今、法律も変わりまして、これは県土整備の管轄なんですけれども、全国に1万以上あるトンネルの検査をしなければならないんです。橋についても、70万ある橋梁について、5年に1度点検をしなければならないということで、法律も改正になっております。実際、この数からいっても、このドローンを使ってやらざるを得ないのかなというような気がしております。  一番左ですけれども、こちらについては医療品の輸送ということで書いてあります。例えば、3年前の大雪が降った際に南牧村でも道路が寸断したんですけれども、道路が寸断した際に、ICTを使ってドローンをまず飛ばして状況を見る、あるいは、病気を抱えている方で糖尿病とか心臓の病気を持っている方々のところに、遠隔医療で薬を運ぶということも、可能性としても十分あるのかなと思っております。  今現在、ドローンの開発をしている会社につきまして何社かあるんですけれども、群馬県といたしましても、ぜひともこの実証実験の場として提供しながら、これらの会社に対して技術支援もしっかりやっていく必要があるのかなと思いますけれども、群馬県のお考えについてお聞かせいただきたいと思います。 ◎髙橋厚 産業経済部長 小型無人航空機、いわゆるドローンは、自立飛行することが可能で小回りのきくことから、議員御指摘のとおり、人が入れない災害現場への対応、鳥獣害対策など様々な用途が期待されております。民間調査会社の予測では、国内の業務用無人航空機の市場は、今年は約30億円ですが、2030年には1,000億円を超えるとしておりまして、国内大手企業の参入の動きも活発になっているところであります。  県では、次世代産業振興戦略会議においてロボット産業部会を設けまして、ロボット産業を次世代産業として振興しているところであります。ドローンにつきましても、県内企業が得意とする制御、駆動、センサーなどのロボット技術が用いられていることから、ロボット産業部会内に設置した「センサー技術研究会」において、大きな研究テーマとして取り組んでおります。  このドローンをインフラ点検や災害対応などに活用するに当たっては、機体の耐久性や安全性の向上、飛行の長時間化など様々な技術開発が求められていることから、産業技術センターが中心となって、ドローンに求められる技術課題の提供や競争的資金の獲得、実証実験の場の提供などを行ってきております。さらに、産業技術センターでは、長時間飛行が可能な測量用ドローンの開発のために、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOですが、NEDOの助成事業に採択された県内企業2社と共同で、開発費総額約3億7,500万円の研究開発も始めたところであります。この開発によりまして、遠距離目的地の測量だけでなく、農業や物流など、様々な分野での活用にもつなげてまいりたいと考えています。今後とも拡大が見込まれるドローン関連産業に県内ものづくり企業が参入できるよう、企業ニーズに応じた技術開発や実証実験等の支援など、引き続き行ってまいりたいと考えています。 ◆金井康夫 議員 ぜひともよろしくお願い申し上げまして、部長への質問を終わらせていただきたいと思います。  続きまして、県土整備部長、お願いします。 ○岩井均 議長 県土整備部長、答弁席へ。           (倉嶋敬明県土整備部長 登壇) ◆金井康夫 議員 こちらにつきまして、昭和インター線森下工区と戸鹿野橋の架け替えについての質問でございます。  〔資料提示〕17号をずうっと上がっていきまして、初めて沼田に入って県道に入るのが青い橋でありまして、これが戸鹿野橋です。非常に狭くて、なかなか狭隘で、その先に利根中央病院ができたんですけれども、緊急搬送道路にも指定されていない状況です。その先に行くと橋があるんですけれども、昭和インターへのアクセスも非常に悪いものですから、こちらの橋の架け替えと昭和バイパスを通していただきますと、非常に沼田市、特に利根沼田にとってありがたい話なものですから、ぜひともよろしくお願い申し上げたいんですけれども、現状についてお聞かせいただきたいと思います。 ◎倉嶋敬明 県土整備部長 県道の昭和インター線についてでありますけれども、関越自動車道昭和インターチェンジとJR上越線の岩本駅付近の国道17号とを結ぶ幹線道路であります。また、途中から、今、議員御指摘のように、沼田市内へのアクセスも、市道等を通って行っている道路でもあります。この昭和インター線についてでありますけれども、途中、昭和村の森下地内で線形が非常にかぎの手になっておりまして、線形不良のところ、あるいは幅員の狭い箇所があります。森下工区につきましては、この箇所について、平成25年度から当該箇所をバイパスする延長600メートルの道路改良事業を実施中でございます。事業の進捗状況につきましては、現在、道路詳細設計が完了いたしまして、地元説明会を行ったところであり、今後は用地買収を進めるとともに、早期の工事着手を目指してまいる予定でございます。  次に、戸鹿野橋についてでございますが、国道17号の戸鹿野交差点から沼田市街地に至る県道戸鹿野下之町線のうち、1級河川利根川に架かる橋梁でございます。長さ43.4メートルの橋梁、昭和10年に建設され、既に80年が経過した老朽橋となっております。また、戸鹿野橋は、あわせまして、重量14トンを超える大型車が通行できない構造であることや、車道幅員が狭く車両同士のすれ違いに支障があるなど、地域の円滑な交通を確保する面からも課題があると、県としても考えております。この橋の架け替えについてでありますけれども、国道17号のまず拡幅が必要でありましたり、利根川の護岸の付け替え、あるいは近接してJR上越線がありますことからJR上越線への影響を考慮する必要もあります。様々慎重な検討が求められるところであります。このため、県ではこれまで地元説明会や関係機関との協議を進めてきたところであり、今後、一定の方針が整えば、具体的な測量、設計を進めてまいりたいと考えております。 ◆金井康夫 議員 ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。昭和バイパスについては、利根郡選出の星野寛県議が非常に頑張って、今回このような結果になっているわけです。この戸鹿野橋もワンセットで、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。部長への質問を閉じさせていただきたいと思います。  次に、観光局長、お願いします。 ○岩井均 議長 観光局長、答弁席へ。  残り2分30秒です。           (戸塚俊輔観光局長 登壇) ◆金井康夫 議員 〔資料提示〕局長には「山のグレーディング」ということで、今、山梨、長野、新潟等々でやっております。静岡も入っていますね。これは県で連携しているんですけれども、ぜひとも群馬県を、今これだけ山岳遭難が多いんですけれども、自分の体力に合った山を選ぶということのひとつの羅針盤になるようなグレーディング、こちらをぜひとも隣県と協力し合って作成していただきたいと思いますけれども、そちらについてお聞かせいただきたいと思います。 ◎戸塚俊輔 観光局長 お答えいたします。  今、議員からお話しありましたように、「山のグレーディング」でありますが、登山ルートごとに必要な体力や技術力を評価いたしまして、難易度に応じてランク分けして情報提供する、このような取り組みは、自分の力量に合いました山選びを支援し、安全に山を楽しみ、観光していただくために重要であると認識してございます。  県といたしましても、先行してグレーディングに取り組んでいる長野県など、近隣県の事例を調査し、参考とするとともに、県山岳連盟をはじめ関係市町村や県警など、関係部局と連携いたしまして、群馬県版の「山のグレーディング」の作成に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。 ◆金井康夫 議員 大変心強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。山岳連盟とかいろいろなところで、今回この答弁を注目しているところがあります。また、近県も、群馬県がどうやってつくるのかということも大変注目しているというような情報が来ております。すばらしい「山のグレーディング」を作成していただきますことを御期待申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) ○岩井均 議長 以上で金井康夫議員の質問は終わりました。  加賀谷富士子議員御登壇願います。           (加賀谷富士子議員 登壇 拍手) ◆加賀谷富士子 議員 リベラル群馬の加賀谷富士子でございます。時間はたちましたが、昨年4月に行われました群馬県議会議員選挙では、皆様の温かい御支援のもと、当選をさせていただくことができ、今日初めて一般質問に登壇をさせていただきます。私は、今、3歳、6歳、9歳と3人の子どもを育てておりますが、そういった子育て世代の視点から、群馬県が抱える課題について取り上げたいと思っております。また、社会には、日の光が当たる人がいる一方で、日陰になってしまう人もいます。そういった日陰になってしまう人、声の小さい人、立場の弱い人にもしっかり視点を当て、一般質問を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)  では、観光局長、お願いいたします。 ○岩井均 議長 観光局長、答弁席へ。           (戸塚俊輔観光局長 登壇) ◆加賀谷富士子 議員 では、観光局長には観光誘客についてお伺いしたいと思います。  まず初めに、2月6日に台湾南部で発生しました地震において被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を心より御祈念申し上げます。  大分派手なシャツを着ておりますが、これは昨年11月に観光と世界遺産に関する特別委員会で台湾まで海外視察に行かせていただいたときに訪問をした新竹県の、日本で言うところの知事に当たる県長の邱鏡淳さんに意見交換の場で、ぜひ群馬県議会で台湾の伝統的な客家花布でできたこのシャツを着て登壇してほしいというお話がありましたので、県長の邱鏡淳さんに敬意を表して、このシャツを着て、台湾に対する海外戦略についてお伺いしたいと思います。  今回の視察では、新竹県政府、台湾政府文化部、交通部、観光局、立法院、現地メディアと、様々な分野の要人と意見交換を行いました。松本委員長や、松本委員長の御友人で台湾在住の岩原さんに御尽力をいただき、人脈づくりや情報収集等、大変大きな成果が得られたと思います。中でも、台湾の中で人口成長率が第1位であり、これまで群馬県と交流の浅かった、このシャツをいただいた新竹県の県長さんから、群馬県の県都前橋との文化交流や、県政府幹部を群馬県に派遣するなど、具体的な提案をその場でいただけたことは予想以上の成果だと思います。台湾の全国的な旅行組合からは、次に群馬県の方が来るときは全ての組合役員を全国から集めるなど、大変ありがたい提案もいただきました。台湾政府文化部からは、様々な形での文化交流を提案していただき、群馬県との交流に積極的であるなと、本当に肌で感じることができました。  一方で、各意見交換の場で感じたことは、群馬県のアピール不足、交流不足であるかと思います。少子高齢化に伴う人口減少の中、内需が減少していくことから、訪日外国人の消費を増やしていくことは大変重要になるかと思います。近年では、1年間に400万人近くの台湾の方が日本に来ており、台湾の全国民の10人に1人以上が1年間で1度は日本に訪れているそうですが、そうなりますと、群馬県にもさらなる誘客が期待できるかと思います。現在の台湾から群馬に来る観光客の現状と今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。 ◎戸塚俊輔 観光局長 お尋ねの台湾からの観光客の状況でございますが、平成27年に日本を訪れた外国人観光客数は、過去最多の1,973万7,000人に達しておりまして、そのうち台湾からは、全体の18.6%となります367万7,000人となっております。一方で、本県への外国人観光客数でございますけれども、都道府県別の数値が把握できます宿泊旅行統計調査の平成27年の年間数値というものはまだ発表されておりませんため、1月から11月までの合計値で申し上げますと、過去最多の13万7,000人泊となっており、うち台湾からは全体の51.0%の7万人泊となっております。  このように訪日外国人観光客数に占める台湾からの観光客の割合よりも、本県の外国人宿泊者数に占める台湾からの宿泊者の割合は際立って高くなっておるのが特徴でございます。これは知事のトップセールスや台湾の彰化県、台中市、高雄市との友好協力協定の締結、県議会をはじめとする県内各界における台湾との人的・文化的交流の積み重ねによる相互交流の深まり、そして、旅行博出展、メディアや旅行会社の招請などの観光PRの成果であると認識してございます。このほか、本県を代表する観光資源のひとつでございます温泉について、台湾の方々もなじみがあるということも大きな要素のひとつとなっているかと考えているところでございます。  今後の取り組みでございますが、本県を訪れる外国人観光客のうち、約半数を台湾からが占めておりますことから、来年度におきましても、最重要市場といたしまして位置付けて、積極的な誘客活動に取り組んでいくこととしてございます。具体的には、県内観光関係者と連携いたしました旅行博への出展や、北関東3県、それから長野県、新潟県、埼玉県など広域連携によりますメディア、旅行会社の招請事業に加えまして、個人旅行の増加に対応するように、旅館、ホテルなど、受け入れ施設等が対応できますように、外国人観光客受入マニュアルの改訂などによりまして、受け入れ環境の充実を進めますとともに、台湾からの観光客の一層の増加に努めてまいりたいと考えてございます。  また、教育旅行の誘致につきましても、次の世代の人的交流によりまして相互理解が進むとともに、将来の再来日、来県が期待できることから、今後も大いに力を入れてまいりたいと考えているところでございます。 ◆加賀谷富士子 議員 群馬県に来る台湾人観光客が2015年11月までに約7万人ということで、去年に比べてもかなり人数が増えているかと思います。これは大澤知事をはじめとする執行部の皆さんの様々な取り組みの成果なのだなと感じております。ですが、日本に来る台湾の方が400万人近くで、そのうち群馬県に来る台湾の方が約7万人ということでは、群馬県として少し寂しい数字かなといった気もいたします。ですが、その分これから伸びしろもあるかと思います。今回の視察は特別委員会での視察でしたけれども、局長も一緒に行き、視察をしました。今回の視察を通して、局長もさらにやる気が出たんじゃないかなといった気もいたしますが、局長のこれからの台湾からの誘客に向けたさらなるお気持ちというか、決意があればお聞かせください。 ◎戸塚俊輔 観光局長 やはり台湾といいますと、台湾の皆様方は親日的でございまして、非常に人的関係等も大事にされる皆さんでございますので、ぜひともこれからいろんな面で交流を深めながら、より多くのお客様にいらしていただけますように取り組んでまいりたいと考えるところでございます。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。局長もこれからさらにやる気を出して、一緒に取り組んでいただけるというお話だったかと思います。私たち議員も一緒になって、台湾からのさらなる誘客に向けて取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。  次に、農政部長、お願いいたします。 ○岩井均 議長 農政部長、答弁席へ。
              (宮崎一隆農政部長 登壇) ◆加賀谷富士子 議員 農政部長には、台湾の農産物輸入規制解除に対する取り組みについてお伺いしたいと思います。  台湾での海外視察の中で、日本で言うところの国会に当たる立法院で李鴻鈞立法委員にお会いし、観光誘客促進、そしてぐんまブランド向上という観点から、本県農産物に対する輸入規制措置の早期解除に向けた協力を要請いたしました。その意見交換の場で、李鴻鈞立法委員からは、「輸入規制解除に向けた検討はある程度のところまで進んでおり、解除にはそう長くかからないだろう。解除に向けて我々も努力する。」といった前向きな意見をいただきました。輸入規制解除となると国家間の話し合いにもなるかと思いますが、群馬県として、農産物輸入規制解除に向けてどのような取り組みをされているのでしょうか。 ◎宮崎一隆 農政部長 台湾の本県産農畜産物等の輸入規制に対する取り組みについてでありますが、これまで国への要請や台湾政府への直接訪問など、様々な場面で知事が先頭に立ち、積極的に行ってきたところであります。具体的には、平成25年12月には、知事が直接台湾政府に対し、農畜産物等の輸入規制解除の要請を行いました。平成26年1月には、台湾政府が輸入規制の根拠としております厚生労働省の放射性物質検査データが栽培や飼養された生産物と野生のものと混在し、誤解されやすいものであったため、これらを明確に区分して公表するよう厚生労働省に対し知事名により強く改善を要請いたしました。その結果、9月には公表方法が改善されることとなったところであります。また、全国知事会、関東地方知事会などを通じて、国に対し、台湾政府への働きかけを強化するよう要請してきております。  今後の本県としての取り組みでありますが、まずは放射性物質の安全検査を継続して実施し、県産農畜産物等の安全性を確保することで、早期に規制が解除されるよう引き続き国等に対して強く働きかけを行っていきたいと考えております。さらに、規制解除を見据え、台湾への輸出を希望する生産者や企業等を対象とした輸出促進セミナーを開催することとしております。また、台湾の農薬使用基準を踏まえ、昨年度から実施しているキャベツなどの栽培試験については、来年度も継続して実施する計画でありまして、さらに規制が解除された際には、台湾において県産農畜産物等のプロモーションを実施したいと考えており、そのための予算を本議会にお願いしているところであります。いずれにいたしましても、台湾は本県にとって重要なパートナーでありますことから、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。台湾に限ったことではないですが、ほかにも輸入規制をしている国の人たちの心配を払拭するには、放射能検査を徹底して行い、公表していくことだと思いますので、そのあたりのことをしっかり行っていってほしいと思います。また、李鴻鈞立法委員から、輸入規制解除後の取り組みとして、「台湾で牛肉といえば松坂牛というくらい、松坂牛が広まっているので、上州牛も積極的に売り込んでほしい。コンニャクは健康的で台湾でも人気なので積極的に開拓してほしい。」といったありがたい意見もいただきましたので、今後の取り組みとしても検討していただければと思います。ありがとうございました。  次に、知事、お願いいたします。 ○岩井均 議長 知事、答弁席へ。           (大澤正明知事 登壇) ◆加賀谷富士子 議員 知事には、人口減少社会に対する取り組みに係る知事の所見についてお伺いしたいと思います。  現在、日本では少子高齢化、人口減少が大きな問題となっており、群馬県でも同じ課題を抱え、県としても様々な取り組みがされているかと思いますが、私はこの人口減少対策の大きな鍵となるのは、今子育てをしている人がもう1人子どもを産みたいだとか、もう1人子どもを産んでもいいかなといった環境づくりが大切かと思います。  私の周りにも、同じように仕事をしているお母さん友達といろいろお茶飲み話をするときに、もう1人子どもを産むか産まないかといった話になったときに、もう1人産まないといった話をする方もいるんですが、その原因というのが2つあります。1つは、子育てと仕事の両立の大変さ。もう1つは、子育てにお金がかかる。この2点がネックになり、もう1人子どもを産むことを断念しています。  中には、私のように3人、4人、5人と子どもを生んでいる人もいますが、そういった人は大体親と同居をしている、または親が同じ敷地に住んでいる、親が近くに住んでいるといった、両親に子育てを助けてもらえる人が多いのです。ですが、県外から移住してきた、県内でも実家が遠いなど、様々な事情で実家と離れて暮らす人がいるわけです。実家のような子育て支援とまではいかなくても、私は、子育てと仕事の両立が苦にならないような、また、専業主婦であっても子育てに孤立してしまわないような支援を拡充していく必要があるかと思います。また、子育てや教育費にお金がかかり過ぎると、もう1人と考えたときに、経済的な面から子どもを産むことをためらってしまいます。  そこで、知事にお伺いいたします。群馬県の人口減少対策という観点から、子育て支援や子育てに関する費用の負担を減らせるよう、力を入れていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ◎大澤正明 知事 加賀谷議員におかれましては、3人のお子様を育てながら議会活動ということで、大変御苦労も多いかと思いますけれども、ぜひ、群馬県の目指す方向でもあると思っておりますので、今後もしっかりと子育ての施策について意見をいただければと思っております。  さて、人口減少対策においては、子どもを安心して産み育てることができる環境を整えることは大変に重要であり、議員の御指摘のとおり、子育て支援と子育てに関する費用の負担軽減のどちらもしっかりと推進していかなければならないと考えております。私は、子育てには精神的な負担と経済的な負担、両面があると考えておりまして、こうした観点から、これまでも子育て支援を県政の重要課題として取り組んできたところでございます。  具体的には、精神的負担に関しましては、保育所、幼稚園、放課後児童クラブなどの施設を充実させ、また、しつけに悩む保護者向けの「群馬版子育て講座」の普及に着手したほか、24時間365日相談を受ける「こどもホットライン24」などにも取り組んでまいりました。一方、経済的負担に関しましては、まず全国に先駆けて子どもの医療費の無料化に取り組み、さらに、第3子以降3歳未満児の保育料の免除などに取り組んできたところであります。  今後は、今議会に議案として上程しております群馬県版総合戦略においても、「群馬で家族を増やしたくなる」を基本目標のひとつとして掲げまして、「結婚・妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援」に取り組むこととしておりまして、その主要施策として「子育て支援・保育環境の充実」及び「子育てに関する費用の負担軽減」を位置付けまして、体系立てて取り組むこととしておるところでございます。また、来年度の県の組織改正により、新たに「こども未来部」を設置いたしまして、子どもに関する政策を総合的に推進する体制を整えたいと考えております。子どもは、群馬の未来を支えていく宝であります。子どもを安心して産み育て、子どもが健やかに成長できる環境をこれまで以上に整備してまいりたいと考えております。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。今、まさに子育てをしている人が、もう1人子どもを産みたくなるような環境をぜひつくっていただければと思います。  私の子どもも3番目が保育園に行っておりますが、今、保育料はただというのは本当にありがたいですし、また、群馬県の子どもの医療費が無料ということで、私も病院に子どもを連れていくたびに、ああ、群馬県として子育てを支えてくれているんだなということを肌で実感させていただいております。引き続きこういった支援をお願いしたいと思います。  現在策定中の「ぐんま子育て・若者サポートヴィジョン2016」を読ませていただきましたが、その中で、県民アンケートで県民の理想の子ども数は3人が最も多くて、ですが、予定の子ども数は2人と答えた人が半数以上とあります。その理由が、子育てや教育費にお金がかかり過ぎると答えた人が7割近くあります。これは大学など高校を卒業した後の進学にお金がかかり、3人目を諦めてしまっているのではないかなと思います。県としてできることは限られてくるかもしれませんが、こういった課題も解決をしていかないと、私は少子化問題は解決できないのではないかと思います。奨学金等の拡充に向けて、例えば群馬県独自の奨学金制度をつくっていったり、また、国に対して奨学金の拡充を求めていったり、そういった検討を県もしていく必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。 ◎大澤正明 知事 先ほども答弁いたしましたけれども、やはり子育てには精神的な負担、経済的な負担、両面あるわけでありまして、総合的な観点から、今度新たに「こども未来部」を設置するわけでありまして、しっかりと議論を深めていきたいと思っています。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。  私は、本当にこの少子化を解決していく鍵は、やはり子育ての大変さをサポートしていくだとか、子育てや教育費にお金がかかる、そういったところをしっかり支援していかないと、人口減少は解消できないと思っておりますので、ぜひ前向きな議論をお願いしたいと思います。ありがとうございました。  続きまして、こども未来局長、お願いいたします。 ○岩井均 議長 こども未来局長、答弁席へ。           (中村弘子こども未来局長 登壇) ◆加賀谷富士子 議員 では、続きまして、子育て支援についてお伺いしたいと思います。  同じ保育園に子どもを預けている働くお母さん友達から、「3人の子どもが立て続けにインフルエンザにかかってしまい、勤め始めたばかりの会社を2週間も休まなければならず、大変肩身の狭い思いをした。」というお話を聞きました。インフルエンザにかかるにしても、子ども3人が同時にかかってくれれば親としてはありがたいんですけれども、タイミングをずらしてかかってしまうので、子ども3人のインフルエンザの看病をしていたら、2週間も会社を休んでしまったそうです。もちろん親が仕事を休んで子どもの看病ができればそれが一番良いとは思いますが、2週間も仕事を休むというのはなかなか難しいことだと思いますし、出張などでどうしても仕事を休むことができない、そういった場合もあるかと思います。  そういった仕事を休めなかった結果、具合の悪い子どもを無理に当園させて病状を悪化させてしまうといったお話も聞いたことがあります。共働き家庭の子どもが病気になったときに預けられる病児・病後児保育所があると、共働き家庭にとっては大変ありがたいことです。安心して子育てができるよう、病児・病後児保育、緊急時の一時預かりなど、子育て家庭の多様なニーズに対応する必要があるかと思いますが、子ども・子育て支援新制度では、児童を一時的に預かるサービスとしてどのような事業があるのでしょうか。また、各事業についての県内各市町村の取り組み状況と今後の整備計画を教えてください。 ◎中村弘子 こども未来局長 いろんなことを思う――今お話を伺いながら、私も同じ思いを経験しながら子どもを育ててまいりましたので、そのとおりだなというふうに感じさせていただきました。議員の御質問にありましたように、子どもが熱を出したとか、急に残業が入って保育園のお迎えが遅れてしまうようなときなど、頼れる人が近くにいない共働き家庭にとっては、こうした子どもを一時的に預かってくれる事業は大変に重要なサービスとなっているかと思っております。  お尋ねの子どもを一時的に預かる事業といたしましては、病児保育事業、一時預かり事業、ファミリー・サポート・センター事業などがございます。このうち病児保育事業は、主に病院や保育所などに付設された専用スペースで、看護師や保育士を配置し、病気にかかっている病児、病み上がりの病後児を保育する事業でございます。一時預かり事業は、保育所や幼稚園などに通っていない子どもも含めまして、保護者が緊急に保育を必要とするときなど、一時的に預けることができる事業でございます。また、ファミリー・サポート・センター事業は、子どもを預けよう、預けたいという依頼会員と、預かってくださる提供会員をあらかじめ登録しておき、事前に顔合わせを済ませておき、いざというときに子どもの預かりや送迎をお願いすることができる事業になっております。  こうした事業の取り組み状況ですけれども、本県来年度の予算案の中で市町村からの要望に基づき見込んでおります量は、病児保育事業については県全体では今年度62カ所分であったところ、来年度は76カ所分を、一時預かり事業は、283カ所分であったところを来年度は336カ所分の予算を計上しております。また、ファミリー・サポート・センター事業は今年度と同じく来年度も16の市町村で実施する予定でございますが、対象となる会員数は今年度およそ9,500人から来年度9,800人に増える見込みで予算を計上しております。  いずれの事業も、子ども・子育て支援新制度に基づき定められた各市町村の事業計画により、それぞれの地域のニーズに応じてサービスの提供を拡充していくこととされております。県では、市町村に対する事業説明会を開催するなどによりまして、これらの事業の理解を深め、事業が着実に広がっていくよう後押ししているところでございます。今後とも、国とともに制度面、財政面等から市町村をしっかり支えてまいりたいと考えております。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。共働き家庭だけでなく、父親か母親のどちらかが専業主婦をしている家庭においても、緊急時や就職活動をするときなどに子どもを預けられる制度、一時預かりなどは大変ありがたいと思います。この制度がより利用しやすくなるよう広めていただければと思いますが、これは私の提案ですけれども、赤ちゃんが生まれたお宅に県からのプレゼントとしてファミリーサポート2時間無料券などを配付していただけると、この券を使って必要なときに利用してみようかなと思えるかと思います。というのは、私、このファミリーサポートという制度を知ったのは3番目のときからだったんですけれども、やはりこういう制度というのは、あってもなかなか知られていないのかなといった気もいたします。ぜひそういったことも、いずれ検討していただければと思います。  私の住む伊勢崎市には、病気の回復期の子どもを預かる病後児保育所はあっても、病気である子どもを預かる病児保育所はありません。これでは、子どもが病気になったときに仕事が休めなかった場合どうすることもできませんので、これから病児保育所も増やしていくということですけれども、さらにそういった増やしていくことも検討していただければと思います。  また、先日、夜間の保育を行っている園長先生にお話を聞かせていただきましたが、ここの夜間保育を利用している利用者、保護者の方は、スーパーに勤務している人、夜勤のある看護師さん、美容室に勤務している人、塾の講師、開業医など、様々な職種の方々が利用しています。一方で、児童相談所や保健師さんからの紹介でやってくる子、乳児院から移ってくる子など、家庭に事情のある子や、育児放棄とまではいかなくても、育児が苦手な家庭の子なども通っているそうですが、そういった子どものケアもできるような質の高い保育が求められるかと思います。働き方の多様化などが進む中で、夜間の保育ニーズが高まっていると考えられますが、県内の夜間における保育の現状と今後の対応について教えてください。 ◎中村弘子 こども未来局長 夜間における保育についてのお尋ねですけれども、現在、それに対する制度といたしましては、保育所や認定こども園が行う夜間保育と延長保育事業があるかと思います。夜間保育は市町村が夜間の保育が必要と認めた子どもに対して実施するもので、開所時間はおおむね午前11時から午後10時まででございます。県内では、伊勢崎市がニーズ調査を行いまして、午後7時以降の保育が必要という声に応えて、平成25年4月から1カ所で実施しております。これに対して延長保育事業は、保育時間を伸ばしてほしいという声に対応するために、通常の保育時間、これは11時間ということになっておりますが、これを超えて保育を行う事業です。平成26年度の実績では、県内281施設で実施しておりまして、保育所を利用している子ども全体の約4分の1に当たります1万574名が利用しております。  議員御指摘のとおり、保護者の就労形態が大分いろいろ多様化してきております。夜間に及ぶ保育は今後もニーズが見込まれていると私どもも考えております。県としましては、市町村がこうしたニーズに適切に対応できるよう、新たに夜間保育を開始する場合や延長保育事業を活用して、開所時間を延長するような場合には、情報提供や助言等、必要な支援をして、しっかり支えてまいりたいと思っております。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。夜間の保育をしているところを先ほど伊勢崎で1カ所ということで、まだまだ数は少ないのかなといった気もいたします。夜間の保育をしている園長先生にお聞きしましたが、夜間保育のお迎えのピークが19時から20時だそうです。夜間の保育をしてもらえるところを増やしていってほしいですが、もしそれが難しければ、今、延長保育は大体19時で終わっているところが多いかと思うんですけれども、延長保育を20時までに延ばしていただけるように検討していただければと思います。安心して子育てのできる環境づくりのためにも、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。  続きまして、産業経済部長、お願いいたします。 ○岩井均 議長 産業経済部長、答弁席へ。           (髙橋 厚産業経済部長 登壇) ◆加賀谷富士子 議員 私も3人の子どもを育てながら仕事をしているわけですが、仕事が終わって買い物に行き、食事をつくり、子どもの宿題のチェックをして、お風呂の準備をして、子どもをお風呂に入れて、9時までに子どもを寝かしつけるとなると、仕事が終わってから子どもを寝かしつけるまでが大変忙しいわけです。特に小さい赤ちゃんがいるお宅では、赤ちゃんは夕方になると大変ぐずりますので、泣き叫ぶ赤ちゃんをあやしながら家事をするということは、精神的にも、身体的にも大変なわけです。  こういう時間帯に父親が家にいれば、家事と育児を分担でき、母親にとっても、精神的にも身体的にもとても楽になるかと思います。小さい子どもを抱えた家庭ほど、ワーク・ライフ・バランスを推進していかなければならないと思いますが、県としてどのような取り組みがなされているのか、また、取り組み状況について教えてください。 ◎髙橋厚 産業経済部長 議員御指摘のとおり、仕事と生活の調和のとれたワーク・ライフ・バランスの実現を推進していくことは大変重要であると考えています。そのため、県としても積極的に事業に取り組んでまいりたいと考えています。  具体的には、1つは、「いきいきGカンパニー認証制度」の運営であります。これは、育児・介護休業の取得促進や長時間労働の削減など、ワーク・ライフ・バランスを進め、働きやすい職場づくりに取り組む企業を応援、認証する制度でありまして、今年度創設したものであります。1月末現在、1,685事業所に認証取得していただいておりますが、今後、2,500事業所を目標に大幅に認証事業所を増やすことで、県内事業所のワーク・ライフ・バランスの推進の裾野を広げ、子育てしやすい職場づくりを後押ししたいと考えています。  2つ目として、男性の子育てへの参画や部下のワーク・ライフ・バランスの実現に理解のある上司、いわゆる「イクボス」ですけれども、「イクボス養成塾」の開催であります。「イクボス」という言葉は群馬県が考案し、毎年セミナーを開催することで普及啓発を行ってきたところでありますが、全国に「イクボス」の重要性の認識が広がってきているところであります。「イクボス」については、普及の段階から具体的に行動に移していただく段階に入ってきております。そこで、今年度の養成塾では、初めて参加者が実際にイクボス役になって、ロールプレイングを行うワークショップ形式も導入したところでありまして、引き続き実践的な養成の取り組みを行っていきたいと考えています。  こうした事業によりまして、県内企業等にワーク・ライフ・バランスを推進する取り組みを広げまして、「長時間労働の削減」などを実現いたしまして、いきいきと働くことができる職場づくりを推進することによりまして、男女がともに子どもを育てながらも、安心して働き続けることのできる社会の実現を目指してまいりたいと考えています。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。これから「Gカンパニー認証制度」を取り入れていく会社が本当に少しでも多く増えればと思います。また、先ほど「イクボス」というお話を聞きましたが、私は自分の夫を見ていても思うんですけれども、男の人は、家事や子育てを「手伝う」といった感覚の人が多いのではないかなと思います。家事や子育ては、一緒に共同して取り組むものだと思って、一緒に取り組んでいただければと思います。この「Gカンパニー認証制度」や「イクボス制度」が少しでも普及されるよう取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございました。  次に、健康福祉部長、お願いいたします。 ○岩井均 議長 健康福祉部長、答弁席へ。           (塚越日出夫健康福祉部長 登壇) ◆加賀谷富士子 議員 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、日本の相対的貧困率は、2012年では16.1%、18歳未満の子どもに限ると16.3%となったことが発表されました。これは6人に1人の子どもが貧困状態に置かれていることを示しており、割合は上昇傾向にあります。また、貧困状態が世代を超えて連鎖することが問題とされており、家庭の経済力が子どもの教育、ひいては社会へ出ていく力にもマイナスの影響を与えることも、以前から指摘されています。いわゆる親の経済力の格差が学力の格差につながるということです。  昨年2月の本会議で、知事は、「経済格差によって人材が失われていくことがあるとすれば、本県はもとより、我が国の活力そのものを失わせてしまうことになり、大変大きな損失である。子どもは社会の宝であり、全ての子どもたちが将来に夢と希望を持って成長していける社会を実現するために、子どもの貧困対策は極めて重要である。」と答弁され、さらに、「県では、来年度、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、教育の支援をはじめ、生活の支援、保護者への就労支援、経済的支援など、これまでの取り組みを含め、子どもの貧困対策を総合的に推進するため、子どもの貧困対策の推進計画を策定することとしている。本県の子どもの貧困の現状及び課題を把握・分析し、実効性のある計画を策定し、子どもの貧困対策にしっかり取り組んでいきたい。」と述べられました。  昨年10月の上毛新聞では、高校生がいる低所得者世帯向けの奨学給付金制度を利用した生徒が、この制度の開始初年度である2014年度において、対象となった高校1年生の12.6%、8人に1人に当たるという報道がなされ、群馬県でも子どもの貧困が深刻な状況に陥っていると思います。現在策定中の「子どもの貧困対策推進計画」において、貧困対策をどのように取り組むのか教えてください。 ◎塚越日出夫 健康福祉部長 子どもの貧困対策についてのお尋ねでありますが、県では、子どもの将来がその生まれ育った環境により左右されることがないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、教育の支援をはじめ生活の支援、保護者に対する就労の支援、そして、経済的支援の4つを柱といたします「群馬県子どもの貧困対策推進計画」を策定いたしまして、全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指していくこととしております。そして、子どもの成長段階や世帯の状況などに合わせた多面的な支援を必要とする子どもの貧困問題に総合的に取り組んでいくことが重要でありますので、全庁的な連携を強化するとともに、地域におけるネットワークの構築を支援するなど、子どもの貧困対策の着実な推進を図ってまいりたいというふうに考えております。  なお、来年度から、子どもの貧困対策につきましては、子ども施策の司令塔的役割を担うために新たに設置いたします「子ども未来部」で所管をいたしまして、より総合的な視点で施策を推進していく予定でございます。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。貧困の連鎖を断ち切るためにも、教育の支援が重要だと思いますが、今後どのように取り組んでいくのか教えてください。あわせて、本県における生活保護世帯の子どもの大学進学率についてもお伺いしたいと思います。 ◎塚越日出夫 健康福祉部長 議員御指摘のとおり、全ての子どもたちが学ぶ意欲を持ち、質の高い教育により、その能力や可能性を最大限に伸ばすことができるよう、教育環境や学習支援体制を整備することが重要であります。特に将来の就労を考えた場合、「高校卒業」ということが重要なポイントとなりますので、高校への進学率の向上と中退の防止が大きな課題であると考えております。そこで、県では、経済的な理由により就学な困難な家庭への就学支援や中退の防止と中退後の速やかな復学 ・ 再入学につながるための支援を引き続き行っていくとともに、来年度からは、生活困窮世帯等の中学生を対象といたしまして、無料の生活・学習支援事業に取り組んでいきたいと考えております。  この事業でありますけれども、学習意欲が希薄な子どもに家庭や学校以外での人間関係を構築できる機会や場所を提供したり、貧困のため塾に通いたくても通えない子どもたちのための勉強会の実施などを想定しております。そのために必要な経費を来年度当初予算に計上いたしまして、今議会での審議をお願いしているところでございます。また、生活保護世帯の子どもの大学進学率についてでございますけれども、本県の生活保護世帯の子どもの大学進学率につきましては、専修学校を除く大学及び短期大学への進学率では、平成27年4月現在、一般世帯の52.1%に対しまして、生活保護世帯におきましては8.8%と低い状況となっております。国におきましては、生活困窮世帯の子どもが経済的理由で学習意欲や向上心が阻害されることがないよう、生活保護世帯における高校生のアルバイト収入を学習塾代等に充てる場合の収入認定除外や生活福祉資金における教育支援資金の限度額の引き上げなどが図られたところであります。  県といたしましても、大学を志望する子どもが貧困のために進学を諦めてしまうことがないよう、生活保護のケースワーカー等を通じまして就学に関する相談支援や各種奨学金、その他支援制度の周知などを図ってまいりたいと考えております。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。大学進学率がやはり一般家庭に比べてかなり低いのかなと思いますけれども、先ほどお話しあったとおり、塾に通うなどの経済的負担を今度はサポートして、学習支援していただけるということですけれども、そういった経済的な負担が大きかったり、また、親の意識の問題などもあるかと思います。そして、中でも大きな問題になるのが大学の学費や仕送りの負担が大きいことかと思います。長野県や富山県などでは、自治体独自に経済的に就学が困難な家庭に向けた大学生向けの奨学金制度があります。群馬県でも、貧困家庭の子どもたちが希望した進学ができるよう、そういった大学生向けの群馬県独自の奨学金制度をつくっていただけるよう要望したいと思います。  私たち大人は、子どもたちに「勉強を頑張るんだよ。」と声をかけて育てているわけですが、いざ子どもが大学に行きたいといったときに、経済的なことが原因で諦めさせることがないよう、こういったところもぜひ検討していただけるようお願いしたいと思いますし、また、このことを私は引き続き取り上げていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。  次に、教育長、お願いいたします。 ○岩井均 議長 教育長、答弁席へ。           (吉野 勉教育長 登壇) ◆加賀谷富士子 議員 性的少数者に対する教育委員会の対応についてお伺いしたいと思います。  人口の20人から30人に1人は、性同一性障害であったり、ゲイやレズビアンなどの性的少数者の人がいるという結果が出ています。ということは、クラスに1人または2人はそういった方がいるということになりますし、実は自分の職場にもいるかもしれません。ですが、カミングアウトができなかったり、自分の性自認ができなかったりと、表面上は目立っていません。カミングアウトができないというのは、周りの無理解によって職場や学校で偏見や差別、いじめを受けてしまうことを恐れてだと思います。  そこでお伺いしたいと思います。こういった性的少数者に対しての教育委員会での対応はどのようにされているのでしょうか。 ◎吉野勉 教育長 お尋ねの性的少数者についてですが、平成25年度に文部科学省が行った調査によりますと、本県を含め、全国に606人の性同一性障害の児童・生徒がいるという結果でありました。これは教員が相談を受けたり観察したりして把握した人数であり、同性愛者等は含まれていないため、性的少数者全体の人数はこれよりも多いものとなるはずです。性的少数者に該当する児童・生徒は、使用する制服やトイレなど、多くの悩みや不安を抱えながら学校生活を送っており、県教育委員会としても重要な問題と認識しております。  そのため、昨年5月には、性的少数者への対応に係る文部科学省通知を受けて、全ての学校に対しまして養護教諭やスクールカウンセラーなどを中心とした学校全体の支援体制の構築、あるいは医療機関との連携等について周知をしたところでございます。また、各学校の人権教育担当教員を対象とした研修会や、高校教員10年目経験者研修において、性的少数者への対応に関する内容を今年度から盛り込んだところであり、さらに来年度の研修には性的少数者の悩みや相談内容の具体例、相談に際しての配慮事項、保護者への支援及び連携の仕方などに関して、専門家による講義を予定しております。このほかにも、初任者研修や管理職研修、養護教員研修、スクールカウンセラー研修などにおいても性的少数者への対応に関する内容を取り入れていきたいと考えています。これらの取り組みを通して性的少数者に対する理解を広げ、全ての児童・生徒が充実した楽しい学校生活を送れるようにしてまいりたいと考えているところでございます。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。大変これから前向きな取り組みをされていかれるのだなと思いました。本当にありがとうございます。  御答弁の中にもありましたが、性的少数者の人への対応は、性的少数者に対する正しい理解、知識が必要となります。子どもたちに関わる様々な先生方への研修はぜひお願いしたいと思います。性的少数者の子どもたちが自分の性について悩みを先生に相談することは、実際は非常に難しいかと思います。ですが、学校に相談窓口のようなものを設置していく方法も非常に有効的かと思います。また、性的少数者の理解を広げるためには、子どもや親向けの啓発資料をつくる方法も効果的だと思います。ぜひそういったことも御検討していただけるようよろしくお願いいたします。ありがとうございます。  続きまして、中学校の部活動についてお伺いしたいと思います。  日本の学校の教職員の膨大な時間外労働が問題とされ、かなりの時間がたっています。文科省も対策をしてきたし、県教委も2007年に調査を行い対策をしてきていると認識しています。しかし、群馬県人事委員会も、一昨年の秋、教員の負担軽減、総労働時間短縮について、実効性のある取り組みを着実に推進するよう言及するまでに至っております。  OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2013年の結果を見てみますと、日本の中学校教員の労働時間が世界最長となっています。そして、その中身を詳しく見てみると、学習指導にかかる時間は他国とあまり変わらないそうですが、課外活動にかかる時間が多いということがわかります。課外活動の中心は部活動とされていますが、教員の時間外労働の問題を解決するためには、そういった課題も解決していかなければならない問題だと思います。  そこでお伺いしたいと思います。部活動について、現行の中学校学習指導要領では、第1章総則で学校教育の一環とされていますが、実際には勤務時間が終わってから、また、土日祝日にもよく部活動が行われています。この勤務時間外あるいは土日祝日に行われる部活動は勤務に当たるのでしょうか。 ◎吉野勉 教育長 議員御指摘のとおり、部活動は、学校教育の一環であり、スポーツや文化等に親しませることによりまして、学習意欲の向上や責任感、連帯感を育成するうえで意義あるものであります。そのため、部活動の指導は職務として各教員に割り振られた教育活動のひとつであります。しかしながら、週休日や平日の勤務時間外に行われる部活動指導は、法令上、校長が時間外勤務を命じられる業務とはなっていないため、顧問である教員の自発的な意思に基づく取り組みと位置付けられております。 ◆加賀谷富士子 議員 学習指導要領のいう学校教育の一環ということと、勤務時間外、土日祝日の部活動は矛盾していると思います。また、自発的勤務としながら部活動の顧問を強制されている、あるいはその学校の職員の一人としてやらざるを得ない、断ることができないというのが実態だと認識を私はしているのですが、教育長、いかがでしょうか。 ◎吉野勉 教育長 先ほど申し上げましたように、部活動の顧問を割り振られるのは、校長からの職務による命令ですので、勤務そのものであります。ただ、それが時間外に及ぶ場合には、そこは校長が命ずることができないので、自発的にお願いしている、これが実態でございます。 ◆加賀谷富士子 議員 自発的に先生たちが行っているということですけれども、最近では、若い先生たちの取り組みで、「教師に部活の顧問をするかしないかの選択権をください」、そういったネットでの署名を集めるほどになっています。私は、この勤務時間外の部活動ですとか、休日、祝日、そういったところの勤務が自発的勤務というのは、ちょっと矛盾しているかなといった気がします。  部活動に関わる問題、課題については様々あると思いますが、まず、長野県が朝練習を禁止したことを受けて、本県の考え方について伺いたいと思います。また、大会開催時の教職員の大会役員としての安全面や手当面での保障はどのようになっているのでしょうか。さらに、様々な課題を抱える部活動について、県教育委員会として中長期的にどのような活動にしていこうと考えているのかお伺いしたいと思います。 ◎吉野勉 教育長 お尋ねの朝練習についてですが、本県では、平成14年に県中学校長会と県中学校体育連盟において作成しました「中学校における部活動等について」の申し合わせ事項の中で、朝練習への参加は希望者とすることが望ましいと示されております。県教育委員会では、各中学校でこの申し合わせ事項を尊重した部活動運営が行われるよう指導してきております。  次に、大会役員等の安全面や手当面についての保障の状況でありますが、主催者である中学校体育連盟は、教職員が大会役員としての業務中に負傷した際に備え、傷害保険に加入するとともに、手当面については、大会運営予算の範囲内でできる限り対応していると聞いております。中学校の部活動につきましては、生徒数の減少、学校規模の縮小に伴い、適正な部員数の確保や指導に当たる顧問の割り振りが難しくなってきている現状が見られております。県教育委員会では、生徒の多様なニーズに応えるために、複数校による合同部活動を実施することや、適切な指導体制を整えるための外部指導者の活用など、学校の実態に応じた部活動指導の実施に向けまして、県中体連や市町村教育委員会と連携しながら取り組んでいるところであります。部活動は、学校教育の一環として大きな意義や役割を果たしており、生徒や保護者、地域からの期待も大きいことから、今後とも部活動指導の充実を図り、中学校教育の充実や生徒の健全育成に努めてまいりたいと考えております。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございました。  大会時の職員の手当面での保障ですとか安全面の保障について、ちょっと私も調べたんですけれども、審判時のけがは公務災害補償にならない。大会に行っても審判をしていると、審判のときは、公務災害補償にならない。生徒を引率していない場合の大会の役員は手当が出ないなど、そういった問題もあるかと思います。  私の周りの保護者からは、熱心に子どもの部活の手伝いをしている人もいますけれども、朝練があると、朝早く子どもに御飯を食べさせなければならなかったり、仕事がせっかく休みの日なのに部活動のお茶出し、弁当手配、また、車での大会までの送迎を手伝ったり、そういったことが大変苦になっているというお話も聞きます。また、もっと練習したいといった子どももいるかと思いますが、子どもたちが、部活動が遅くまであったり、休日に部活があったりして、学校の課題が終わらないといったお話も聞きます。また、中学校を卒業したら燃え尽きて、その競技を離れてしまうといったことも少なくないそうです。教職員にとっても、保護者にとっても、そして子どもにとっても、部活動については抜本的な改革が必要だと思います。  私がなぜ長野県の朝練禁止を質問したかといいますと、長野県の教育委員会のように、群馬県も教育委員会がやる気を出せば変えることができる、そういうことを伝えたいわけです。県のホームページの教育委員会のページを確認しますと、既に2008年には部活動のアンケート結果により、「部活動指導によるほかの公務や家庭生活のための時間の減少」――これは先生の話だと思います。「申し合わせ事項の徹底不足」、「休日に活動することの生徒や教諭の負担」、「対外大会への対応」、そういったことが挙げられています。2008年から8年たってもあまり状況が変わっていないのが現実だと思いますので、今後はぜひ力を入れてこの問題を具体的に解決していただくことをお願いしたいと思います。ありがとうございました。  続きまして、県土整備部長、お願いします。 ○岩井均 議長 県土整備部長、答弁席へ。  残り時間4分20秒です。           (倉嶋敬明県土整備部長 登壇) ◆加賀谷富士子 議員 国道50号前橋笠懸道路の整備状況についてお伺いしたいと思います。これは昨年も井下県議から質問があったと思いますが、改めてお伺いしたいと思います。
    ◎倉嶋敬明 県土整備部長 国道50号前橋笠懸道路の進捗状況についてでありますけれども、この事業は、みどり市側の終点に当たります鹿交差点の0.5キロメートルの交差点改良が既に平成25年度に完成しております。この事業は、前橋側の4.5キロメートルを現道拡幅区間、また、みどり市側の8キロメートルをバイパス区間として整備しております。この現道拡幅区間のうち、前橋市今井町から二之宮町までの0.9キロメートルについて、現在、用地買収を進めているところでございます。また、バイパス区間につきましては、伊勢崎市赤堀今井町から香林町までの約4キロメートルについて、今年度、伊勢崎市と用地事務委託契約を結んだところでありまして、現在、用地買収を進めていると聞いております。国では、事業の進捗に向けて、一層の予算確保に努めるところであり、県としても早期の工事着手、早期の工事完成が図られるよう、今後とも国に要望してまいりたいと考えております。 ◆加賀谷富士子 議員 ありがとうございます。今日も地元地域の方々が傍聴に見えておりますが、地元の方々からも、早く整備をしてほしいといった声が聞こえてきます。これから本格的に動き出すに当たっては、かなりの予算の増額が必要になるかと思いますが、県としても国に強く働きかけていただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。  次、健康福祉部長、お願いいたします。 ○岩井均 議長 健康福祉部長、答弁席へ。           (塚越日出夫健康福祉部長 登壇) ◆加賀谷富士子 議員 時間がないので、ちょっと要望だけさせていただきたいと思います。  群馬県の館林市には、ミャンマー政府から国籍や財産、土地や家などを奪われて、命からがら逃げてきた方々が200人ほど住んでおります。そういった方々の多くは、在留特別許可をもらったり、難民認定をされたり、在留ビザを取ったりして、仕事をして生活している人がいる一方で、そのうちの11人の方が難民認定されず、仮放免の状態にあります。その仮放免の状態にありますと、国民健康保険に入れないので、なかなか病院に通うことができなかったり、あとは仕事につけなかったりと、本当にぎりぎりの生活をしている人がいます。そういった人が群馬県内にいるということを大変重く受け止めていただきたいと思います。  もちろん「在留資格のない外国人に対して支援をする必要はないのではないか。」そういった意見もあるかと思います。ですが、同じ群馬県内に、病院に行きたくても行けない、そういった人がいるということについて、しっかりこれから議論していただきたいと思います。群馬県は、義理人情を大変大切にする県です。そういった病院に通えない方を見て見ぬふりをするのではなくて、健康福祉部長としてもぜひ対応していただくことをお願いしたいと思います。  2013年には、ロヒンギャ族の仮放免中だった方が入管に出頭したところ、そこで収容され、収容施設内で脳梗塞で亡くなってしまった。そういったこともあるそうです。もし体調の変化を感じたときに病院に行っていれば、そういったことが未然に防げたかと思います。そういったことをしっかり心に受け止めていただきたい、そういうことを要望して、私の一般質問を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) ○岩井均 議長 以上で加賀谷富士子議員の質問は終わりました。   ● 休     憩 ○岩井均 議長 暫時休憩いたします。  午後1時15分から再開いたします。     午後0時12分休憩     午後1時15分再開           (新井雅博副議長 登壇 拍手) ○新井雅博 副議長 暫時、議長職を執り行います。   ● 再     開 ○新井雅博 副議長 休憩前に引き続き会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。   ● 質疑及び一般質問(続) ○新井雅博 副議長 久保田順一郎議員御登壇願います。           (久保田順一郎議員 登壇 拍手) ◆久保田順一郎 議員 自由民主党の久保田順一郎でございます。通告に従い、暫時質問をさせていただきたいと思います。  最初に、大澤知事からお願いいたします。 ○新井雅博 副議長 知事、答弁席へ。           (大澤正明知事 登壇) ◆久保田順一郎 議員 まず第1に、農業振興について伺っていきたいと思います。  県農畜産物のブランド化について、ミラノに行かれた知事の感想を伺いたいと思いますが、また、ブランド化についてもお聞かせいただきたいと思います。  知事におかれましては、群馬県農産物の販売促進のため、築地市場、大田市場、横浜市場等へトップ営業として訪問され、また、近年は、中国、香港、台湾、ベトナムと、ぐんまブランドの普及に積極的に取り組んでおられるわけでございます。知事の精力的な支援に対しては心から敬意を払うとともに、県民の一人として感謝を申し上げるものでございます。  また、日本食が「食の世界遺産」として脚光を浴びる中、昨年は、知事におかれましては、イタリア・ミラノにおけるミラノ国際博覧会(EXPO 2015 MILANO)に出向かれ、その際、多くの県議も同行させていただきましたが、食と食文化やクールジャパン等の紹介をしていただき、本会場では228万人を超える来場者を迎え、群馬県も参画した日本館に入るのに6時間、8時間待ち、展示デザイン部門で金賞を受賞するなどの大成功をおさめたわけであります。帰国後も、食にうるさいイタリア国民のみならず、広くヨーロッパ諸国に対しても、日本食は大きなインパクトを与えたとの情報をいただいております。  そこで、知事におかれましては、イタリアのミラノ万博出展を踏まえ、群馬県産農畜産物のブランド戦略についてお伺いし、また、ブランド化についてはどうするのかをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 ◎大澤正明 知事 ミラノ万博出展を含めた欧州プロモーションの成果でありますけれども、上州和牛、コンニャク、そして日本酒等を、現地キーパーソンの協力を得て、多くの方々にPRすることができ、本県農畜産物に対する関心の高さや評価に手応えを感じたところでございます。その後、現地では、これら食材を新たに利用する業者が着実に増加するなど、具体的な成果も上がっているところでございます。こうした成果は、海外でのマーケット拡大といった経済的なメリットに加えまして、その評価や話題性が国内でのブランド力向上にもつながることから、輸出がもたらす効果を本県のブランド戦略に生かしていくことが重要であると考えております。  現在、県では、本県農畜産物のブランド力や販売力を強化するため、「群馬県農畜産物ブランド力強化基本戦略」を策定中であります。消費者の視点を重視した戦略を総合的に展開することとしておりまして、「認知度の向上」、「販売力強化」、「観光と食との連携」の3つを柱に取り組みを進めてまいりたいと考えております。特に欧州やASEAN・東アジア諸国等を中心に、品目や対象国を定めて輸出促進に取り組むほか、首都圏の卸売市場のトップセールスやおもてなし料理としての「すき焼き」の定着促進、メディアへの露出度のさらなる向上や各種イベントのPR、そして「統一ロゴマーク」の導入等による本県農畜産物の認知度向上、そして新品種の開発とその積極的な活用等に力を入れてまいりたいと考えております。このような取り組みを通じまして、本県農畜産物のブランド力や販売力の強化を図りまして、農家所得の向上、経営安定に結び付けてまいりたいと考えております。 ◆久保田順一郎 議員 早速ありがとうございます。私もブランド戦略の素案を見せていただきました。具体的には委員会で申し上げさせていただければと思いますが、例えば、かつては赤城牛、上州牛というだけで、卸でもダンピングされて、難癖つけられて、価格が8割になっていたんです。それがようやくここへ来て取り戻せるようになったかなと。ただ、この戦略の中に足りないところがいくつかあると思うんです。現場の中で、私の地元の大泉には三洋電機というのがありまして、サンヨーの奥様方は、やっぱり牛肉に対しては関西ですので非常に目が肥えております。だから、関東では3種類ぐらいのレベルでいいんですが、関西へ行きますと、がっちりと価格折衝をさせられる。肉屋が悲鳴を上げておったわけでございますので、そういう面では、現場に即した本当の顧客の立場に立った配慮もお忘れなくお願いしたいと思います。ありがとうございます。  農政部長を。 ○新井雅博 副議長 農政部長、答弁席へ。           (宮崎一隆農政部長 登壇) ◆久保田順一郎 議員 続いての質問は、農地中間管理機構を活用した担い手への農地集積についてでございますが、農地という農業全般にわたる大変重要な案件ですので、事前に十分に時間をいただいて、現農業者の抱える深刻な課題、問題を整理させていただきたいと思います。  〔資料提示〕これは地元の認定農家の経営者の方からいただいたデータをそのままパネルにさせていただきました。部長におかれましては、一目見ただけで、この現状は十分過ぎるほどわかっていらっしゃるかと思う次第でございますが、恐らくここにいらっしゃる県議の皆さんも、この件についてはみんな御存じの話だと思います。しかしながら、東毛の平地農業という観点からしますと、非常にこれは深刻で、従前からの課題として重くのしかかってきております。ちょっと御容赦いただきたいのは、ここに鳥獣害被害が入っておりませんので、北西の、西毛の県議さんには、また、傍聴者の方には大変御容赦のほどお願いしたいと思います。  まず、1番目でございます。「深刻な担い手不足と農業者の超高齢化」、午前中はトップバッターで金井県議から高齢化についてのお話に触れられました。66.3歳と。さらに、基幹的農業従事者、これは一生懸命農業をやっている方ですが、67.1歳が平均年齢でございます。実際、東毛へ行きますと、もっと行っているんじゃないかという感想すら思うわけでございます。そして、少子化に伴うのでしょうか。総合的に見て、農家の子弟の方々は近在の製造業のほうに勤められますから、担い手がいない。これも慢性的な傾向であります。かつ、指導者がいない。県のほうは、かつての人事院勧告の時期に大幅に普及員を削除しちゃったわけですね。したがって、新規に農業をやりたいという方も、それを教える方の数がなかなか少なくなってきた。  それから、2番目でございます。「農産物価格の低迷と極端な価格変動」、御案内のとおり、昨年のこの場で私も米の価格が原価を割った。麦に逆転される需要量になったと。そして、長期の降雨や非常に暑い夏が続いたり、その価格変動要因がかなりばらつきが大きいわけです。五十、六十%から百五、六十%の市場価格の流通での価格変動があるわけであります。  また、3番目としまして、「生産資材と経費の高騰」であります。前回、松本県議のほうから、燃油の件についてはいろいろありましたが、燃油だけじゃなくて、この間の雪害による資材、原油、パイプの材料とか、あるいはもろもろの農業にかかる肥料代、あるいは消毒代など、いろいろそういった面で全般的に生産コストが高くなっているわけです。  それから、次に行きます。「生産調整事業の廃止に伴う今後の影響」というのがございます。これは2年後から、いわゆる食管法に始まりました減反政策等の絡みが、それに対する補助金が一切なくなってくるわけであります。EUなどの昔ありましたCAP政策といったものに逆行する傾向で、フランス農業ですと76%を政府が所得を補償する、そういう流れから日本は外れてくるんですね。ですから、農家の方にとりましては、農業経営全般にわたる、本当に米をつくっていいのかという不安が、そこに渦巻いているわけであります。  そして、「TPP」ですね。本当にまだ進行中でございます。前回も黒沢県議からも事細かくあったかと思いますが、価格変動についても10年先までなんですね。どうなるかわからない。あるいは5年のものもある。それで、81%の品目の関税が撤廃される。重要5品目の中の3品目が削除されたわけです。これは日本経済全体を見たときにはやむを得ないという判断を国は下したわけでございますが、こと営農者に関しましては、非常に厳しい中での利益を上げていかなくてはいかない農業経営にとっては、非常に深刻な内容であることは部長は重々御存じのことだと思っている次第でございます。  そして、「担い手の問題」、「人口減少」、これは全部絡んでまいります。本当に農業の方、別にこれは農業に限ったわけでもございません。商業もそうです。あるいは製造業、中小、下請の跡継ぎがいないという問題にもつながってくるかと思いますが、本当にそういう面で非常に厳しい現実かなと。  このことは、今回の群馬県が本年掲げます「農業農村振興計画」そのものであったということが、後でわかりまして、さすがに現場の営農者の方はしっかりとその辺を捉えていらっしゃるなということを感じた次第でございます。  〔資料提示〕そして、次のグラフ、これは単純に一昨年、昨年と私が問題にしました米の需要動向のグラフを農水省から拝借したものでございまして、昭和35年から平成26年までの推移をグラフ化したものであります。棒線のところは政府の在庫米でございます。それから、折れ線グラフで非常に上下が激しいのが生産量でありまして、実線が需要量の推移であります。本当に日本人は米を食わなくなったんですね。  例えば一番上のピークは昭和42年、1,445万トン、それから25年の生産高は860万トンと半減弱しておるわけでありまして、年間消費量が1,200万トンだと聞いておりますが、プラス・マイナス400万トンの差がそこにはあるわけであります。また、1人当たりの米の食べる量も、当時は、昭和の頃は1人年間118キロ食べていたのが、今では56キロしか年間食べないという傾向も聞いております。米は、結果的には生産過剰ということで、いわゆる減反からの流れをそこに引いておるわけですが、麦の消費が米の消費より逆転してきておるということ。また、平地農業における米の作付管理をしてきた歴史は今、TPPなどの世界生産レベルを振りかえる現在に至り、根本から需要調整を行わなければならない状況に来ておるわけであります。政府ではミニマム・アクセスでそのバランスをとるのだということと伺っておりますが、大変厳しい状況にまた立ち至っているなというふうに思う次第でございます。  そこで、平地農業の場合は農地の関係が非常に効いてくるわけでございますので、農地の統廃合の必然性が議論として出てくるのが当然でございます。いわゆる国土保全、農地保全のためにも、従前からあった農業公社の機能を高めないといけない。農水省は、これに対して農地中間管理機構として1,000億以上の予算を計上して、何とか農地がいわゆる耕作放棄地にならないように継続して営農ができるような形の策を考え出したわけであります。  そこで、いろいろ大きなテーマを挙げさせていただいたわけでございますが、中間管理機構を活用した担い手への農地集積について、部長にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 ◎宮崎一隆 農政部長 農地中間管理事業につきましては、今年度、県内17市町村に26の重点区域を設置いたしまして、これら地区を中心に、市町村と連携して事業の推進を図ってきたところであります。この結果、これまでに農地中間管理機構が借り受け、集積した農地は332ヘクタールとなり、年度末までには約450ヘクタールの集積を見込んでおります。昨年度は80ヘクタールであったことから、徐々にではありますが、事業は地域へ浸透しつつあると考えております。  事業の課題といたしましては、まず借受希望面積に対しまして貸付希望面積はその5分の1程度にとどまり、貸付希望が大幅に不足していることが挙げられます。一方、担い手が不足している地域や荒廃農地が増加している地域では、機構への強い貸付要望があるものの、借り手の見通しが立たないなど、全体として貸し借りにミスマッチが生じている状況であります。機構では、こうしたミスマッチを解消するため、これまで農業者向けのチラシをはじめテレビやラジオCM、新聞広告等、様々な周知を行ってきましたが、事業の仕組みやメリットのさらなる理解の促進により、安心して機構を活用していただけるよう市町村等と連携して事業の周知を徹底してまいりたいと考えているところであります。  また、借り手が不足している地域においては、農地を一時的にストックする中間保有機能を活用し、企業参入も含めた担い手の確保育成に取り組んでいきたいと考えております。さらに、耕作放棄地が農地集積の障害となっている場合には、機構の活用を条件に、国の耕作放棄地解消事業の補助残分を県と市町村が2分の1ずつ負担することで現場の負担をなくすこととし、このための予算を今議会にお願いしているところであります。  事業推進に当たりましては、市町村、農業委員会、JA等との連携が不可欠であり、地域の取り組みをコーディネートする職員の設置により機構の活用を推進するほか、全市町村への重点区域の設置や、機構を活用した農地整備事業への取り組みを進めるとともに、優良事例の手法をほかの地域へ波及させること等により、機構が持つ機能を発揮し、担い手への農地集積を加速化させてまいりたいと思っております。 ◆久保田順一郎 議員 どうもありがとうございます。  どっちにしても、まだエンジンがかからない、そのように理解させていただきました。そこで、2月18日の農業新聞だったんですが、〔資料提示〕こんな記事があるんですね。要するに法人の農地所有について、「農業参入50社、採算性、管理に不安なので農地所有は要らん」と、7割がそういう回答をしているんですね。私、これを見て、正直腹が立ってきたんですよ。というのは、もともと農家の方は、自分の圃場に対してはかなりの愛着を持っております。1反当たり1俵でも2俵でも多くとろうとして、施肥を加え、土壌を改良し、「おらが田んぼが一番だ」という誇りを持って農業に取りかかっておるわけでございます。それを今度は手放せという話の中で、こういう記事が出たので、さすが法人だなと。つまり、製造業系を中心としたことを言っているのですが、もうからなければ、民間の企業はやめればいいんですね。だから簡単に手放しちゃうというのが、この裏に見え隠れするんです。だから、農家の方は、言われても、自ら進んでなかなか出そうとしないんじゃないか、私はそう考えておるんです。  しかしながら、ここに来まして、中間管理機構が後ろ盾の資金を持って、まじめに国は取りかかろうとしておるわけでございますし、農家は、先ほどお話ししましたように、高齢化が始まって、担い手がいなくて、農業生産が補償されなくて、そしてさらにTPPでどうなるのだ、先行きが見えないじゃないか。まるで不安の中で、もう年だから、やりたくてもやれない、そんな時期にもう来たわけであります。東毛地域は特に水田が多いわけでございますので、それを、この次誰がやってくれるのだ。誰もやり手がいないんです。やり手の方が出てくれば、しっかりした人なら喜んで、恐らくその方々は農地を提供するかというふうに思います。その辺について、実際、現場の営農者の気持ち、これをどう部長はお考えになるか、お聞かせいただければと思います。 ◎宮崎一隆 農政部長 今、議員がおっしゃいましたとおり、農家の方々は長年かけてその農地をつくり上げてこられた。そういった気持ちを持たれておられると思います。また一方で、借りる方についても、いろいろ経営上の考えもあるところでありますので、やはり機構といたしますれば、先ほども申し上げましたが、来年度、各地域にコーディネーターを設置することとしております。市町村等と連携いたしまして、そういった出し手農家、受け手農家、双方のそれぞれの気持ちを大切にして、丁寧な対応をとることによって農地集積につなげていきたいと、そのように思っております。 ◆久保田順一郎 議員 〔資料提示〕私もこれを見させていただきました。これは借りるに当たっての料金を算定するんですが、これだけ見ますと面積要件しかないんですよ。どんな良い田んぼであろうと、悪い田んぼであろうと、面積だけなんです。これでは、農家はちょっと感情的になっちゃいますね。せっかく手間をかけて良い田んぼをつくったものが、評価されないんですからね。  それで、こんな記事もあるんです。その50社のアンケートを見て、森山農水大臣は、企業の農地所有については、農業から撤退をしたり、産業廃棄物の置き場になるのではないかと農業・農村の現場では懸念があるということを述べております。また、生産法人への出資の比率を、上限を50%引き上げるんだというコメントを出しておられます。ですから、これは早晩改定されるんじゃないかというふうに私は想像しておるんですが、そうしましたら、今日の農業新聞にその旨、出ていましたね。ちょっと置いてきちゃいましたけれども。そこを制度化していくということで、果たして加速化するのかなと。今の時期は加速化させないといけない時期にもう差し迫っているわけなんです。さっき言いましたように、認定さんが67歳、実際はそれ以上の方もいっぱいいるわけなんですね。次に農業をやる方はいない。もうタイミングとしては今しかない。  農業の担い手の女性営農者が、大変その辺を冷静に見ておられるのが、館林の大島地区でございました。会合にたくさんの、100人を超える営農者に集まっていただいて、最後に「何とかしてくれ」と残ったのはお母さん方です。その辺の現実を踏まえていただきまして、今後の中間管理機構に対しての取り組みをどのようにやるか、御所見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。 ◎宮崎一隆 農政部長 農業の現状は、最初にお示しがあったとおりでありまして、大変厳しい状況が続いております。農業者も減っているという中で、本県農業を維持・発展させていくためには、やはり、今、中間管理事業で取り組んでいる担い手農家に農地の集積を進めていくというのは欠かせない政策だと思っております。そういった基本的な前提のもとに立って、その地域の実情は、それぞれやはり違います。貸し借りを進めるに当たっては、それぞれの面に配慮した形でないと進まない実態がございます。そういった気持ちも持ったうえで、事業推進に当たっていきたい、そのように思っております。 ◆久保田順一郎 議員 先ほど申し上げました群馬の農業振興計画、これが本年から以降の農政部の計画のバイブルになっていく。非常によくできております。この辺を着実に進展させていただきますようお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。 ○新井雅博 副議長 肥料成分の偽装関係につきまして。 ◆久保田順一郎 議員 失礼しました。太平物産というところが、表示が間違いで、昨年大変ニュースになったわけなんですが、群馬県にはその工場があるので、念のためにこれをお聞きしたいんですが、群馬にどの程度影響があるかということをちょっとお願いいたします。 ◎宮崎一隆 農政部長 秋田県の肥料製造業者、太平物産株式会社は、有機肥料を製造しておりまして、これら肥料はJA、全農を通じて特別栽培や有機JAS農産物の生産者に供給されていたところであります。国では、問題発生後の昨年11月6日から16日までの間、肥料取締法に基づき、同社の製造工場全てにおいて立入検査を実施いたしました。その結果、原材料の安全性には問題がなかったものの、原材料の種類の記載が不適正であったり、保証すべき成分が不足する等の法律違反が確認されたことから、当該肥料について、同社に対し出荷停止や回収等の指導がなされたところであります。  県では、今回の事案を受け、国と協力し、直ちに特別栽培や有機JAS農産物の栽培に取り組む全ての生産者に対し使用状況を確認したところ、同社の肥料の本県における使用実態はなく、影響は見られなかったところであります。しかしながら、今回のような事案は、生産者はもとより、消費者の食の安全に対する信頼を揺るがしかねず、さらには、特別栽培や有機栽培への取り組みの停滞につながることも懸念されるところです。このため、県としては、こうした事態が発生しないよう、国と協力し、肥料取締法に基づく肥料の品質保全を図るとともに、生産者が安心して農業生産に取り組めるよう、正確な情報の把握や提供等に努めてまいりたいと、そのように考えております。 ◆久保田順一郎 議員 群馬県は一切影響がないということで理解させていただきます。失礼。この後、要望があったんですが、時間の関係で割愛させていただきます。ありがとうございました。  続きまして、環境森林部長、お願いしたいと思います。 ○新井雅博 副議長 環境森林部長、答弁席へ。           (青木 勝環境森林部長 登壇) ◆久保田順一郎 議員 続きまして、今度は林業の関係を質問させてください。  知事に大変力強い応援発言をしていただき、1年前倒しにした計画をどういうふうに達成していくのかということが質問の趣旨でございます。林業基本計画を掲げまして、今後、その計画を実行していく段に入るわけでございますが、これについてどのような見通しを持っておられるか、御答弁のほどお願いいたします。 ◎青木勝 環境森林部長 「森林・林業基本計画」の進捗と今後の見通しでありますけれども、現行の計画では、平成22年度に県内の素材生産量20万立方でありましたけれども、これを平成32年度に40万とする目標を掲げまして、取り組みを進めてきております。県内の素材生産量は年間平均で2万立方ずつ増えてきておりまして、平成26年度の実績は28万立方ということになっております。計画はおおむね順調に進んできている状況であります。  今後の取り組みと、さらに見通しでありますけれども、県内の人工林は40年生以上の伐期を迎えた森林が8割を超えているということでありまして、森林資源が極めて充実をしてきております。そこで、県では、この資源を活かしまして、林業の成長産業化を図っていくために、現在、御質問がありましたけれども、見直しをしております「森林・林業基本計画」の中で目標達成を1年前倒しして取り組みを加速させてまいりたいというふうに考えております。  具体的には、見通しと取り組みでありますけれども、まずは山元に利益が還元されて、林業が自立的に拡大、発展する環境を整備していくことが重要であると思っております。その一環として、いわゆるA材からC材までの森林資源を全て無駄なく利用できるようにするための県内の仕組みをつくってまいりたいと考えております。具体的には、山元におきましては、今年度、わたらせ森林組合と川場村におきまして、施設整備を支援してきているところでありますけれども、A材からC材までを一括して集荷できる拠点施設を引き続き整備してまいりたいと思っております。あわせまして、高性能林業機械の導入、それから林道・作業道の整備を促進するとともに、今後は、施業の集約化を強力に進めてまいりたいと思っております。  また、出口対策といたしまして、建築用材に対する県産材の利用率を高める必要がありまして、引き続き「ぐんまの木で家づくり支援事業」を推進するとともに、新年度から、現在予算をお願いしているところでありますけれども、県産材について、県内の製材工場とプレカット工場、そして工務店とのサプライチェーンを構築するための取り組みを進めてまいる考えであります。また、低質材につきましては、昨年の9月補正予算でお願いをしたところでありますけれども、木質バイオマス燃料の製造施設の整備について推進をしてまいるとともに、新年度におきましては、低質材の集荷拠点の整備に対する支援も行って、引き続き安定的な需要の確保を進めてまいる考えであります。  見通しにありますけれども、40万立方の1年前倒しということを実現していくためには、いわゆる川上、川中、川下の森林・林業、木材産業の各分野が連携を一層密にして、一体的に取り組みを進めていく必要がありますので、県と林業関係団体で組織しております「群馬県森林・林業基本計画推進協議会」というものがありますけれども、この場を通じまして、引き続き取り組みを検証しながら着実な推進を図ってまいる考えであります。 ◆久保田順一郎 議員 ありがとうございます。  午前中はトップバッターの金井県議からCLT、集成材についてのプラントの話がありました。非常に前向きな話で、私のほうからもぜひお願いしたいと思っておる次第でございます。  金井さんがやりましたので、私は木質バイオマスについて具体的にお話を聞かせていただきたいと思います。  住宅の需要が伸び悩む中で、バイオマス発電は、木材の持つ発熱量は、化石燃料から比べるとはるかに下なんですね。しかしながら、FITという中で、一次エネルギーとして、グリーンエネルギーとしての価値は十分にあると思っているわけであります。オーストリアでは、国を挙げてのバイオマス発電に取りかかりました。オーストリアの森林面積は1万5,000ヘクタールでしょうか。日本はその6倍ぐらいあるんじゃないかと思います。そういう中で、かつては、RPS法というので、抱き合わせでミックス系をやれという政府の方針があったわけでありますが、今は、群馬のエネルギーミックスをどうするんだという話になかなか答えが来ないんですね。国会でも小泉議員が、国内に眠れる森林資源をいかに有効に活用するかと、委員会のメンバーとして発言されておったのを覚えております。  バイオマス発電は、私の立場としては、どんどんやるべしであります。そこで、森林が1年に育つ量と用材としてのチップの生産量のバランスは、現在、どのくらいを予測されていらっしゃいましょうか。 ◎青木勝 環境森林部長 県内で、これは推計値ですけれども、年間の森林資源の増加量が1年間で125万立方というふうに見積もっております。これに対して、素材としての利用料が26年度時点で28万立方ということになっております。 ◆久保田順一郎 議員 かなりこれは余裕があると私は理解させていただきたいと思います。いわゆるバイオマス発電という形でありますと、供給量が間に合わなくなるのではないかというのを懸念しておりました。日本は国土が狭いものですから、オーストリアよりは広いですが、あちこちで全国的にやり始めたら、恐らく供給が足りなくなるんじゃないか、そんな心配をしておったんです。  ただ、そう心配だけしていてもしようがないので、具体的には、さっきの集成材のお話も林業活性化のひとつの大きな有力な手段だと私は考えますが、一般のエネルギーを電気に変えて発電するんだという発想は、何かもったいない気がします。上野村にペレット工場があり、ペレットを一般家庭の直接熱源として使うようなまきストーブがありますが、それのほうが環境にやさしく、我々の生活にも穏やかな熱源として使えるんじゃないか。一方で、それの普及をむしろ図っていくべきじゃないかというような感想を持っておるんです。  私は、以前、北欧の御家庭を訪問したことがあるんですが、まさにすばらしい熱循環を現場でやっておられるんですね。そういった点で、ペレットの利用についてはいかがお考えでしょうか。 ◎青木勝 環境森林部長 木質バイオマスのエネルギー利用と一口で言いましても、熱利用と電気利用とあるわけでありますけれども、基本的には地域の実情に応じて熱利用を推進するケースもありますし、FIT制度に乗じて発電事業ということでの利用もあろうかと思っております。地域の実情に応じた適切な対応ということが重要であると思っております。 ◆久保田順一郎 議員 カインズホームでもペレットの燃料が売っているんだというような状況がもし来れば、集成材と、それから一般家庭での使用効果の両面で、消費がかなり進んでくるんじゃないか。40万立米も確実。――そこは、時間的にちょっと無理かもしれませんが。正常な長い長い林業の事業サイクルのスパンが順調に回り出すんじゃないか、そんな思いが私はしておる次第でございます。部長におかれては、ありがとうございました。  産経部長お願いします。 ○新井雅博 副議長 産業経済部長、答弁席へ。
              (髙橋 厚産業経済部長 登壇) ◆久保田順一郎 議員 続きまして、地方のまちづくりについて、二、三質問させていただきたいと思います。  これは昔からあります大型店、地元商店街、いわゆるシャッター通りの話でございます。人口減少が進む中で、大型店進出による地元商店街の状況をどう捉えているか。また、中心市街の商業活性化に向けたこれまでの取り組みと成果について、今後対応をどうするのか、お伺いいたします。 ◎髙橋厚 産業経済部長 中心市街地においては、空き店舗の増加やまちなかの空洞化のほか、にぎわいやコミュニティーの喪失など、様々な問題が生じておりまして、その活性化が大きな課題となっております。このため、地元市町村と連携いたしまして、中心市街地活性化に向けた各種施策を展開しているところであります。  具体的には、商店街の団体等が実施いたしますにぎわいの創出を図る取り組みに対して補助いたします「商店街活性化支援事業」や、公開コンペ形式で選考した斬新な発想による地域やまちなかの活性化に向けた取り組みを補助いたします「商店街活性化コンペ事業」を実施したところであります。加えて、売り上げの減少や後継者不足、店舗の老朽化など様々な問題を抱えた個々の商店に対しましては、新たな事業展開や資金繰りに対しまして、それぞれのニーズに応えられるよう、制度融資による支援を行っているところであります。さらに、庁内関係所属を構成員といたします「中心市街地活性化庁内連携会議」を設置いたしまして、中心市街地の人口増加策をテーマとした意見交換や、地域に出向きまして地元自治体と協議を行うなど、庁内一丸となった施策の推進に取り組んでいるところであります。  次に、これらの取り組みによる成果でありますが、前橋市の空きビルを学生向けシェアハウスに改修した「シェアフラット馬場川」では、若者のまちなか居住が図られるとともに、ほかの商店街での新たなシェアハウス整備につながっております。また、館林のかごめ通り商店街の買い物市であります「六斎市」や、桐生市のインターネット放送局「本六ふれあいステーション」では、地元の熱心な取り組みによりまして、まちのにぎわいやコミュニティーの回復が図られております。今後は、引き続き庁内関係部局や市町村と連携いたしまして、まちなかのにぎわい創出や商店街の収益性向上に向けた事業を支援するとともに、空き店舗の利活用により新規創業などを促す「リノベーションによるまちづくり」などに取り組んでいく考えであります。中心市街地が元気になりまして、地域経済の活性化が進むよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えています。 ◆久保田順一郎 議員 2000年ですか、まちづくり三法、大店法がいろいろな議論を醸し出す中で、三法が出た。その中のひとつに中心市街地活性化法というのがございました。TMOとかいろいろ、産業構造審議会の裏付けを持った予算付けも加わって、本格的に中心市街の活性化を試みたわけでございます。我々も何カ所か視察には行っておるんですが、その後の情報を追っていきますと、どこも、何ていうか、みんな失敗しているんですね。今では懐かしい言葉になるかと思いますが、コスモポリスのようなものを目指してやったんだと思います。基本的に、いわゆる商店街は全く崩れているのが現在かなというふうに私は思っているんです。いわゆる集積区域というのがなくなりまして、そのかわりにいわゆるショッピングセンターが幅をきかせるようになりましたね。そういう中で、商売を営む商店の皆さんは、この後どういうふうに営業をやっていけばいいのか。非常に素朴に、基本的な商業そのものに対しての疑問を持っておるんです。  〔資料提示〕例えば、この間の日経新聞のコピーなんですが、ここにあったのは、「イオン、脱総合へ」と書いてある。これは、「地域の競争相手の店の状況を踏まえながら、店舗ごとに売り物の専門性を高めて集客力を取り戻し、イオンが脱総合に動くのだ」という営業方針の大転換を図っておるんです。イトーヨーカドーは各地域からなくなっちゃいましたけれども、イオンがそこまでやると、せっかく商店街との色分けができておった商圏が崩されるんですね。弱小の商店、いわゆる小規模経営者の皆さん方には、非常にいても立ってもいられないというようなところかなと思いますが、その辺について部長の御所見を伺いたいと思います。 ◎髙橋厚 産業経済部長 議員御指摘のとおり、大型店がそういう形で品揃えを豊富にして、なおかつ少し個性のあるものを売っているということになると、既存の商店街の顧客が減って、既存の商店街のにぎわいが薄れて、小売店の収益はますます厳しい状況になるというふうに考えています。ただ、そうした中にあっても、中心市街地の商店街というのは本当に老舗の商店、あるいは人と人との交流あるいは文化というものが根付く、これは本当に長年にわたって育まれてきた「まちの顔」としての魅力が十分備わっているものだと思っています。そういう意味で、これから高齢化社会に向けてますます買い物がお年寄りにとって不便になるという中で、中心市街地というのは非常に大事なものであると考えています。  ですから、この魅力を活かすために、商店街団体等が実施する名物市、あるいはにぎわいを生み出すための集客イベント等の支援を続けていく必要があると思っていますし、まちなかの活性化に向けて、各種事業に対しても、県としても、市町村と一緒になってさらに力を入れていきたい。加えて、特色のある店舗づくりに取り組む商店に対しましては、いろんな相談等に乗りまして、あるいは専門家派遣をやりまして、積極的に支援していきたいと考えています。 ◆久保田順一郎 議員 取り組みの前向きな姿勢に大変ありがたく思う次第でございます。しかしながら、これは以前も発言したことがあるんですが、実際にマツモトキヨシの売り値よりも雑貨屋の薬屋、化粧品屋の仕入れ値のほうが高いんですよ。これは商売の体をなしていないということですね。これが今の現状です。ですから、まちの商店そのものは死ねということ以外にないんです。その中で、商人はたくましいですから、どうやって生きていこうか。これをみんな考えております。  例えば、次の質問にも関係するんですが、買い物弱者への取り組みというのを挙げました。商店が店舗を構えるのに、その商店主は、昔は風呂敷で肩にでっかい荷物を抱えて、各御家庭を訪問して、行商をやったんですね。あるいは、今のインターネットの時代ですから、トレードで入札に参加すれば、より安く買える時代になっています。ですから、店舗そのものを持つことはないんじゃないかという時代になってきております。  昔、千葉のおばさんたちが、でっかい荷物を電車の中に抱えて、海産物の行商に来たのをよく覚えているわけでありますが、納豆屋しかり、豆腐屋しかり、金魚屋しかり、みんな担いで各家を回った。それが商売の基本であり、いわゆる今あるバザー、朝市とか、それが基本かなと。そこに立ち返れということなのかなと。そういう面で、今、にぎわいのあるまちづくりに関して、どうしたらいいのかということを改めてお聞かせいただければと思います。 ◎髙橋厚 産業経済部長 議員御指摘のとおり、中心市街地においては、高齢者が日常の買い物に支障を来す買い物弱者の問題も発生していますし、今御指摘のいわゆるネット販売、Amazon等で店に行かなくても自分のうちで注文してできるということが今できている状態であります。ただ、先ほど答弁申し上げたように、これからますます交通弱者等が買い物できないという中で、やっぱり中心市街地で買い物をして、いろいろアドバイスも受けながらやっていくということを、あと、人と人との交流の中で買い物をするということが大事になってくるかと思います。まさしく中心市街地の問題は、公共交通あるいは都市計画、あるいは高齢者の健康福祉といういろいろな問題が、あるいはいろいろな課題が関係する総合的な課題かと思っています。これには、私ども、関係部局と関係機関が連携して積極的に対応を検討していくことが大事だろうというふうに思っております。  いずれにしても、中心市街地の問題は、これから非常に大事な課題でありますし、これを何とか解決していかないと、本当に「まちの顔」がなくなってしまうということですので、これについては、庁内はもちろんのこと、関係機関と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。 ◆久保田順一郎 議員 本当に切実な、農業だけじゃなくて商業もそういうような状況に社会構造が変化してまいりましたので、そういうところに来ておるのだと。何としても頑張って生き残ってもらいたいので、支援をお願いしたいと思います。では、産経部長はありがとうございます。  県土整備部長。 ○新井雅博 副議長 県土整備部長、答弁席へ。           (倉嶋敬明県土整備部長 登壇) ◆久保田順一郎 議員 よろしくお願いします。ここまでお話ししますと、当然次に来るのはまちづくり三法の中の都市計画でございます。3・11の震災以降、地域復興の手段としてコンパクトシティという言葉が出てまいりました。また、欧米では、高齢化に伴ってCCRCを国内でもやろうではないかという話も出てきております。  そこで、都市計画の観点から、県土整備部におかれまして、「ぐんま“まちづくり”ビジョン」というのを新たにつくっていただきまして、〔資料提示〕非常によくできたということで、私も御努力に感服したわけでございますが、これが各地域版、具体策になってくるわけですね。昨年は、地区のマスタープランが提示され、地域創生も絡んできますので、どういうふうに行っていけばいいかということを市町村は四苦八苦でやってきておるわけでございます。県土整備部長には、それらに対して本年はどういう取り組みをされるのか、御所見をお伺いしたいと思います。 ◎倉嶋敬明 県土整備部長 これまでの都市計画の考え方について少し触れさせていただきますと、これまでの都市計画は、人口が増加していた時代の平成10年代の前半までにつきましては、住宅不足、それから商工業施設の大型化や効率化といった民間需要を反映しまして、徐々に郊外開発型の都市計画になっていたということが否めないところでございます。その結果として、平成17年以降、人口が減少に転じてくると、市街地の空洞化が始まり、中心市街地から人口の流出、空き家、空き地の増加、現在で商店街の衰退などの様々な問題が顕在化しているところでございます。  そんな中、今後の人口減少時代を考えると、都市計画のあり方を変えていかなければいけないのではないかという中で、県としても、都市の拡散を防ぎまして、既存の「まちのまとまり」を維持するとともに、不足する都市機能を「まち」相互の連携で補う効率的な「まちづくり」、まちの運営に転換していくことが必要なのではないかと考えております。このため、議員先ほどおっしゃられましたとおり、県では、平成24年9月にその指針となる「ぐんま“まちづくり”ビジョン」を策定したところであります。  また、そのビジョンの実効性を確保するために、平成27年、昨年の5月に開発の基準になります「都市計画区域マスタープラン」を改定いたしました。その「マスタープラン」の中では、特に市街化調整区域、いわゆる郊外開発の規制について基準をつくりまして、まず住宅地の開発については調整区域、郊外では原則抑制というふうにしております。また、大型商業施設につきましても、既存の市街地の商業地に影響を及ぼさない場合を除いて、それ以外はこれもまた原則抑制としております。一方、都市というか、工業・流通業務地につきましては、生産活動や雇用の促進、物流の円滑化や効率化を図るため、高速道路インターチェンジ周辺ですとか幹線道路沿線などについては設置を認めているところであります。広域ネットワークのアクセス環境が整った地域にそういったものを配置するということとしております。この3つの住宅、商業、工業等の施策を合わせまして、県では市町村とともにこのような取り組みを通じて人口減少と高齢化が同時に進行する局面に対応する持続可能なまちづくりを進めてまいりたいと考えております。 ◆久保田順一郎 議員 ぜひそのような観点でお願いしたいと思うんですが、大澤知事が鳴り物入りで、道路の7つの交通軸を本当に精力的に進めていただいて、県民みんなが喜んでいるかと思います。特に東毛の私のところは、東毛広幹道を先行してやっていただきました。本当に地域があれで変わりましたね。本当にすばらしいなというところでございます。  それで、地元問題にそのまま入りますが、東毛は逆にすばらしい道路ができたために、周辺道路ははちゃめちゃになってまいりました。北が栃木県で、すぐ南が埼玉県なものですから、県境地ということが言えるんです。埼玉ナンバー、栃木ナンバーが横行している地域でありまして、流通、大型トラック、過積載もあるでしょうけれども、道路がぐちゃぐちゃになっているんです。そういうところへ、特に狭い幅員の道路へ大型が入ってきますと、非常に危険な状況が各所に見えるんです。それについての部長のお考え、また、邑楽町では特に旧道の鴻巣線のところが、東武鉄道の踏切が狭いんです。これの拡幅のお願いを行政サイドからもしているかと思いますが、その辺について、また道路全般についてどうお考えか、御所見をお願いしたいと思います。 ◎倉嶋敬明 県土整備部長 東毛広幹道以外の道路がかなりひどいということよりも、むしろ、東毛広域幹線道路、それから北関東自動車道ができて、幹線ができたことで県外県内含めて需要が増えたということなのだと思います。今までの需要に耐えられていた道路でも耐えられなくなってきたということで、今後は東毛地域では平成28年度に東毛広域幹線道路が全線4車線化します。さらに開発の需要が増えることと思いますので、今後はそういった幹線と高速道路のインターチェンジや工業団地、観光地などを結ぶ、主軸と交差する南北道路の整備を計画的に進めていく必要があると考えております。  また、先ほど邑楽町の踏切の話でありますけれども、それにつきましては、県道足利邑楽行田線が東武鉄道小泉線の踏切前後で交通量が多くて大型の比率も高いうえに、幅員が狭く歩道もない状況となっております。地元からも道路改良を要望されているところでありまして、県では平成26年度から踏切を拡幅するため、東武鉄道と協議を進めてきております。結果、今年度協議が調いましたことから、現在調査設計を実施しているところでございます。平成28年度には用地買収の着手を予定するとともに、一部工事にも着手して事業進捗を図ってまいりたいと考えております。 ◆久保田順一郎 議員 ありがとうございます。先ほどは失礼しました。行田線でございます。  続きまして、やはり南北道に関係してくるのですが、これは20年来、期成同盟で動いております。埼玉県、栃木県、足利市から熊谷市、鴻巣市まで含んだ大きな範囲での期成同盟でございますが、千代田町の利根川新橋架橋の計画について、今の進捗がどのような状況かお聞かせいただければと思います。 ◎倉嶋敬明 県土整備部長 利根川新橋もまた東毛地域の南北方向の連携を強化するために不可欠な橋梁であると考えております。新橋を検討している千代田町の周辺につきましては、西に国道407号の「刀水橋」と東に県道足利邑楽行田線の「武蔵大橋」があるだけで、その間が約10キロ、ほかの地域に比べると、非常に長く空いております。そのため、この2つの橋梁は慢性的に渋滞している状況となっております。  これまで事業化に向けまして橋梁形式の概略検討、整備効果や河川占用物件への影響などについて検討してきたところでありまして、今年度は、そのルート上にある埼玉県側の河川敷の妻沼グライダー場の利用の実態調査を実施いたしました。あわせて、利根川新橋は群馬・埼玉両県の協調事業でありますことから、交通解析による新橋の効果の確認ですとか、橋梁に接続する道路の検討、事業化の方向性の協議などを今年度は改めて埼玉県と行ってきたところでございます。利根川新橋の早期事業化につきましては、引き続き埼玉県との連携を密にして、関係機関との協議や調整を積極的に進めてまいりたいと考えております。 ○新井雅博 副議長 時間となります。 ◆久保田順一郎 議員 ありがとうございます。もう時間ですね。  またひとつ、ぜひとも積極的に取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○新井雅博 副議長 以上で久保田順一郎議員の質問は終わりました。  酒井宏明議員御登壇願います。           (酒井宏明議員 登壇 拍手) ◆酒井宏明 議員 日本共産党の酒井宏明です。2期目最初の一般質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、選挙権年齢の18歳以上への引き下げの措置を踏まえた対応について、教育長に伺います。 ○新井雅博 副議長 教育長、答弁席へ。           (吉野 勉教育長 登壇) ◆酒井宏明 議員 最初に、主権者教育の位置付けについてお伺いをいたします。  18歳選挙権がいよいよこの夏の参議院選挙から実施をされます。世界の9割が18歳選挙権となっています。オーストリアでは16歳に引き下げられました。ようやく日本も世界標準になったということだと思いますが、これによって全国で240万人、県内で新たに4万人が有権者となります。これからは被選挙権年齢、立候補できる年齢の引き下げも課題となってくると思います。今、主権者教育がより一層重要となってきておりますが、その位置付け、考え方についてお伺いをいたします。 ◎吉野勉 教育長 高等学校における主権者教育は、平和で民主的な国家・社会の形成者を育成することを目的として行うものであり、従前より公民科の授業を中心にその充実に取り組んできたところであります。未来の日本を担っていく世代である若者の意見を国のあり方を決める政治に反映させることが望ましいという意図に基づき、今回、公職選挙法の改正が行われたものであると認識しております。  今後の主権者教育におきましては、学校の教育活動全体を通して、知識を習得するだけでなく、習得した知識を活用して主体的に選択や判断を行い、他者と協働しながら諸課題を解決していく力などを身に付けることが一層重要になると認識しております。そのためには、国が作成した副教材の活用、県選挙管理委員会と連携した出前授業や、高校生向けリーフレットの配布などにより効果的な指導を行い、高校生に主権者として必要な知識や能力の定着を図ってまいりたいと考えております。 ◆酒井宏明 議員 〔資料提示〕紹介ありましたこの文部科学省の副教材「私たちが拓く日本の未来」、この中では、模擬選挙ですとか討論などの実践法が細かく記載され、紹介をされている一方で、憲法の国民主権の意味や、99条、憲法尊重擁護義務の説明もありません。また、憲法改正国民投票の仕組みを章を起こして詳しく紹介するなど、憲法改正を誘導するのではないかと危惧をされております。選挙の仕組み、投票の仕組みを説明して投票率を上げるということはもちろん大切ですけれども、憲法とは何か、立憲主義とは何か、人権とは何か、人権獲得の歴史、こういったことについても学ぶ、まさに国民主権の意義を踏まえた真の主権者教育が必要かと思いますが、いかがでしょうか。 ◎吉野勉 教育長 やはり今まで若者が政治に関心を持たない、政治から離れていってしまう、そういう傾向がずうっと続いていた。それを打開するために、やはり本来政治に若者が参画をしなければいけないというひとつの突破口としてこういう形をやり、きちんと国が責任を持って補助教材まで提示し、それを基礎にしながら、よりどころにしながら、しっかりした主権者教育をしてくれと、そういう意図だと理解しております。 ◆酒井宏明 議員 よりどころにするということなんですけれども、やはりこれだけでは不十分だというふうに思います。若者の声を政治に反映するということはもちろんですが、私たち大人の主権者教育というのもやはり必要ではないかなと思います。5月3日に憲法記念日集会が毎年行われておりますが、弁護士会などが主催する高崎で行われている憲法記念日集会、私も毎年参加をしておりますが、優れた主権者教育の場だというふうに感じております。ぜひ教育長、そして知事も誘って御参加をいただければと思います。  次の質問に移ります。校外で行われる高校生の政治活動の自由についてです。文科省がこの1月に出した20項目の生徒指導関係のQ&A、この中で校内の政治活動を禁止し、校外のデモ参加の届け出制を容認する内容となっております。大変重大な内容であります。22日付の朝日新聞によると、宮城県、愛知県、香川県、大阪府などが届け出は不要と各校に伝えたと報じられております。届け出制をとらないとしている自治体が今続出しております。その理由として、届け出をさせると生徒が政治活動に参加しにくくなる、そういうおそれがある。また、生徒の参加意欲をそぎかねない。届け出制になれば自由が縛られる。人権侵害のおそれもあるということを理由に挙げております。思想信条の自由や集会、結社、表現の自由を保障した憲法に違反するおそれのあるこうした届け出制をとるべきではないと考えますが、県としてどう対応されるおつもりでしょうか。 ◎吉野勉 教育長 放課後や休日等における学校外での政治的活動等につきましては、原則としては、生徒自身が判断し、保護者の理解のもとで行うものと認識しており、県教育委員会としましては、現時点では県立学校に対して届け出制とするようにというような指導はしておりません。ただし、例えば、生徒が政治的活動等に多くの時間を費やし、学業や生活に支障が生じるような場合には、学校が適切に指導することが必要であり、状況によっては生徒を保護するという観点も含め、学校の判断として届け出を求めることもあり得るとは思っております。 ◆酒井宏明 議員 各校に判断を任せるということでしょうか。この間、参議院選挙で初めて投票する高校生数人からお話を聞くことができました。ある高校生は、18歳選挙権といってもぴんと来ない。興味のない人は投票に行かないだろうと。政治に自分も直接関わっていると自覚できるようなものが欲しい。教科書だけではなくて、身近な議員やそういった若者が集まる集会ですとかデモ、こういったものにもぜひ参加してみたいというふうに話をしていました。この届け出制に対しては、なぜ一々学校に言わなければいけないのかと。あれはだめ、これはだめ、ああしろ、こうしろと、そう言うから、むしろ政治から離れてしまうんじゃないかと話していました。また、別の高校生も、副読本は配られただけだ。校外の活動についても一体どこまで届け出すればいいのか大変難しい。自由な活動が制限されるのではないかというふうに非常に懐疑的でした。  この届け出制は、まさに逆効果でしかないということをしっかり踏まえて対応していただきたいと思いますが、再度お願いします。 ◎吉野勉 教育長 県の考え方は先ほどお話ししたとおりです。 ◆酒井宏明 議員 次の質問に移りたいと思いますが、校内における政治活動の自由の保障について伺います。  昨年12月、高校生会議がイベント実施をいたしました。実際の選挙のように公報をつくったり、演説したり、実際の投票箱を使って投票するというイベントで、関係者からお話を聞きました。具体的な身近なテーマで、例えばシャッター通りをどうする、こういうテーマで討論して、自分の考えを主張し、そして異なった意見も聞いて、大変深まったということです。投票すること自体が目的ではなくて、自分の頭で考え、そして選んで投票する。そのわくわく感、プロセスが大変大事だというふうに話をしていました。学校の授業でもっともっとこういうのを取り上げてほしいとも話をしていました。  このように高校生が校内で自由に自分の意見を言える、そういう環境がやっぱり必要ではないか、そういう取り組みが必要だというふうに思います。また、政治的中立性が強調されるあまり、教員が委縮してしまうということも考えられます。政治的中立性というのは、発言させないことでも、行動させないことでもありません。校内において、憲法に保障された発言の自由を最大限保障すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎吉野勉 教育長 まず、主権者教育のやり方のひとつですけれども、先ほど副教材の提示がございましたけれども、現在、高校の授業におきましては、グループディスカッションやディベートなど、生徒が主体となって自由に話し合える手法を積極的に取り入れ、生徒が自分の意見を持ちながら他者と議論を交わすことを通して、思考力・判断力・表現力を育むことを大切にしております。ただし、生徒が授業や生徒会活動など、学校教育の場で政治的活動等を行うことについては、政治的中立性を確保する観点から、必要かつ合理的な範囲内で制限することが必要であるとも考えております。  教員につきましては、法令により、政治的中立性を確保することが求められております。そのため、実際の指導に当たっては、生徒が主体的に考え、判断することができるよう、一方づくことなく多様な見方や考え方ができる資料を公平に取り扱うことなどに留意する必要があると考えております。県教育委員会では、学校に対して主権者教育を系統的・計画的に行うよう指導したところであります。  今後につきましては、県選挙管理委員会と連携した研修の実施、これは生徒対象でもあり、あわせて教員対象にもなりますが、研修の実施、主権者教育等に関わる各種参考資料の配布、副教材の指導資料等も含めてですけれども、こういったものの配布などによりまして、必要な情報を提供することで、生徒を直接指導する立場である全ての教員が自信を持って主権者教育が指導できるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆酒井宏明 議員 自信を持って教育ができる。それは大変良いことだというふうに思います。ただ、文科省通知というのは、この主権者教育の取り組みを委縮しかねない内容だと、教育の自由が、教育実践が制約される、そういうおそれがあるという声がかなり出てきております。PTA、これは全国の高等学校PTA連合会会長が出した声明ですけれども、一部を紹介したいと思うんですが、高校生の政治活動を禁止した昭和44年通達、この歴史的使命は終わったと述べつつ、「高校生の政治的活動制限に関する新たな規制や法的措置は不要であると考える。主権者教育が定着していけば、高校生の政治的教養が深まるから、かえって安易で軽率な政治行動はとりにくくなるはずである。それこそ主権者教育の到達点と言えるであろう。また、今日の社会情勢や高校生、大学生の状況に鑑みても、規制の必要があるとは思えない。高校の教員についても同様であり、現行の法制以上に新たな規制法令を用意することは、教員の指導意欲をそぐとともに、指導内容の貧困を招くのではないかと危惧される。」このような声明を出しております。  教員が工夫して主権者教育を試みようと思っても、外から様々な圧力があると、やめようと、そういう自粛ムードをつくりかねません。教育の自由を侵害する圧力、不当な攻撃には毅然と対処し、多様な主権者教育の試みを励ますべきであります。仮にその中で改善すべきことがあれば、議論を深めて、現場の主体的な改善の努力を図るようにすることが教育行政の役割だと思います。  授業の中で現実の政治課題を取り上げることは、文科省も認めたように、教育として大変重要であります。教師が特定の見解を押し付けるのではなく、自分はこう思うと自身の意見を述べながら授業を進めることは、諸外国では指導法のひとつとして認められている至極当たり前のことです。教員も生徒も、身近な問題から国政上の問題まで、学費や奨学金、ブラックバイトの問題、そして消費税や安保法制、原発の問題、そういった様々な問題を自由闊達に議論していくことが大変重要かと思います。生徒に対しても、教員に対しても、校内においては政治的発言や討論の自由を、そして校外においては政治活動参加の自由を最大限保障すべきであるということを指摘して、教育長への質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。  次に、有害鉄鋼スラグの全量撤去について、環境森林部長に伺います。 ○新井雅博 副議長 環境森林部長、答弁席へ。           (青木 勝環境森林部長 登壇) ◆酒井宏明 議員 大同特殊鋼から出された鉄鋼スラグについて、県は、昨年9月、廃棄物と認定し、刑事告発に踏み切り、警察も強制捜査に入りました。これまで判明しているだけでも、八ッ場ダム関連工事や上武国道など225カ所に使用されております。その後、全市町村に照会をしているということで、さらに相当数、100カ所以上とも言われておりますが、増える可能性があります。廃棄物として処理すれば1トン3万円の処理費がかかります。これを免れようとして逆有償取引までして公共工事に使った、まさに確信犯であります。薄めて基準値以下だから良いというのは通用しません。  昨年11月、国、県、渋川市の三者協議の基本方針が出されました。この方針では、有害スラグが環境中に放置されるおそれがあります。フッ素など有害物質が基準値以下のところを被覆、かぶせて済まそうとしております。私たちの調査では、混ぜもせずに捨てられた場所も大変多い。鉄鋼スラグの使用自体違法だというのが刑事告発に踏み切った趣旨ではないのでしょうか。原状回復が基本であり、県は大同特殊鋼など原因者に対して措置命令を出して、直ちに全量撤去させるべきではないでしょうか。県の考えを伺いたいと思います。 ◎青木勝 環境森林部長 御質問にありました大同特殊鋼株式会社渋川工場から排出された鉄鋼スラグにつきましては、昨年9月、県として廃棄物処理法に基づく調査の結果、廃棄物に該当するものと認定したところでありまして、廃棄物認定を行ったスラグにつきましては、この法律に基づいて適正に対処してまいる考えであります。これまでの調査の結果、県内で225カ所の公共工事で同鉄鋼スラグの使用が確認されておりまして、その全てについて、工事実施主体が土壌検査などを行って、その土壌汚染が確認された箇所につきましては県が直接周辺の地下水等の調査を行って、生活環境への影響を確認してきたところであります。これまでの調査結果では、地下水への影響は確認されておらず、直ちに法に基づく撤去命令等、そういった措置命令の必要となる事例は認められておりません。  御質問の中にもありましたけれども、国土交通省、県、そして渋川市で構成します、「鉄鋼スラグに関する連絡協議会」が示しました対応方針につきましては、法に基づく措置命令の対象とならないものについて、工事実施主体として可能な限り環境への影響を抑制する観点から、自主的な対応として示したものと承知をしております。なお、御質問にもありましたけれども、県では、引き続き鉄鋼スラグの使用箇所の解明を進めておりまして、今後新たに使用箇所が判明した場合には、直ちに環境調査を行って、結果を公表するとともに、使用箇所は全て県がリスト化して環境への影響を監視していくこととしております。 ◆酒井宏明 議員 具体的な事案について伺いたいと思うんですが、前橋市大手町に新築した国の合同庁舎、このところにも敷地に使用されているということが判明をいたしました。国交省は、昨年12月28日の記者会見で、合同庁舎の建物の基礎に使用されたということを認めつつも、品質規格証明書で環境基準を満たしているから良いとしております。国交省の工事の施工方法について詳細に規定した共通仕様書では、有害物は取り除かなければならないとされております。放置するのはこの指針にも反しています。県としてはっきりと国に物申すべきだと思いますが、環境部としての認識を伺いたいと思います。 ◎青木勝 環境森林部長 基本的には、廃棄物として認定したスラグのその後につきましては、この法律に基づきまして、生活環境保全上の支障が生じると、こういった環境への影響が出てくる場合については法律に基づいてしっかりと県として対応してまいります。 ◆酒井宏明 議員 もう1点、つい最近も、渋川のエコセンター、一般廃棄物最終処分場に250トンものスラグが使われているということが渋川広域圏一部事務組合の議会で明らかにされました。さらに、榛東村の太陽光発電所、メガソーラーの敷地に環境基準を大幅に超えるスラグが使われているということが報道されました。自然エネルギーの現場にまさに自然を破壊するものが使われているということは、極めて重大です。佐藤建設工業がスラグを無償提供して搬入したとされております。薄めないでそのまま大量に捨てられている。毅然とした県の対応が今こそ求められていると思いますが、いかがでしょうか。 ◎青木勝 環境森林部長 先ほど御答弁申し上げましたように、廃棄物として認定したものにつきましては、同法に基づいて適切に対応してまいります。今、事例として2つ上がったことにつきましては、先ほど答弁したように、今、市町村、それから国へも照会をかけて、使用箇所の解明を進めておりますので、その結果を踏まえて対応してまいる考えであります。 ◆酒井宏明 議員 スラグがむき出しで使われていた群馬用水の管理用道路、ここは水資源機構が大同の責任で撤去させたわけです。有害なスラグを使用したこと自体が重大な違法行為でありまして、基準値を超えているかどうかというのは問題ではありません。今後の環境への影響、人体への影響を考えれば、決して見過ごすことができません。全量撤去が法の趣旨であります。大同の捨て得を許さないためにも、直ちに撤去命令を出すべきことを強調して、次の質問に移りたいと思います。  木質バイオマス発電計画についてです。前橋の赤城南麓、宮城の千本桜の近く、電力中央研究所の隣に出力6,700キロワット、7,700世帯分を賄う木質バイオマス発電所をつくる計画が関電工などによって進められております。近々燃料をチップ化するための工場建設への申請書を県の補助金要綱に基づいて出す予定だということですが、国の補助金4億8,000万円、そのうち県費も8,000万円含まれております。今度の予算で関連する木材集積所を2カ所つくるための補助金も計上されています。  しかし、今度の発電所計画には大変大きな問題点があります。まず、心配されるのが放射能汚染の問題です。福島原発事故によって、この群馬の山林にも大量の放射性物質が降り注ぎました。除染重点調査地域に10市町村が指定されております。人家が多いところは除染していても、森林は除染ができておりません。そこから放射能に汚染された地域の木材を運んで燃やすことで、より濃縮されます。280倍濃縮されると言われております。こうした放射能汚染が心配だという声に県としてどう対応していくのでしょうか。 ◎青木勝 環境森林部長 御質問の前橋市内で計画をされております木質バイオマス発電でありますけれども、これは、御質問にもありましたけれども、6,700キロワット規模の発電事業でありまして、建築用材として利用されないいわゆる低質材を用いて、FIT制度によって実施をされるものであります。この計画につきましては、一部住民の方々に、御指摘のとおり、放射能の2次汚染に対する心配の声があることは承知をしております。県といたしましても、昨年8月に直接住民の方々から御意見を伺っております。  再生可能エネルギー資源を活用するということは、基本的には望ましいことではありますけれども、地元の環境対策は基本的な事項であるというふうに思っております。県といたしましては、この住民の方々の声を重く受け止めて、環境法令を所管しております前橋市とも協力しながら、事業者から計画の説明を受けて、必要な対策について対応を求めてきているところであります。  この計画の中で、現在、特に放射能の2次汚染ということに関しましては、1点として、計画の内容は燃料用の低質材は県産材を基本とするということであります。2点目として、燃料チップは受け入れ時にリアルタイムで放射線量をチェックして、一定基準を超えるものについては受け入れないシステムを導入していくという内容になっております。そして3点目として、燃焼排ガスを高性能の集じん機、バグフィルターと呼んでおりますけれども、それで処理をすることとあわせて、常時排ガスの放射能測定を行う内容になっております。また、4点目として、敷地の境界でも24時間体制で空間放射線量の測定を行って安全を確認するということになっておりまして、関係法令と照らして必要な対策が取られてきている状況にあります。  ただ、御指摘のとおり、一部住民の方々に不安の声はまだ残っているということで承知をしておりまして、県ではこれを受け止めて、事業者に対して引き続き丁寧な説明を行って、理解を得ながら事業を進めるよう求めてまいる考えでありますし、事業の実施に当たって環境対策は極めて重要でありますので、今後とも前橋市と協力をしながらしっかりと対応してまいる考えであります。 ◆酒井宏明 議員 具体的にお聞きしたいと思うんですが、先ほどバグフィルターというお話が出ました。99.99%捕捉できるなどと言いますけれども、琉球大学の矢ヶ崎克馬名誉教授が行った実証実験では、60%しか捕捉できないという結果が出されております。また、別の医師もそうした実験結果を発表しております。入り口、トラックスケールで空間放射線量を測定したり、出口、焼却灰、排ガスを測定したりと、リアルタイムで監視するというんですけれども、これを担保するシステムはあるのでしょうか。 ◎青木勝 環境森林部長 まず、バグフィルターの性能でありますけれども、一般廃棄物の焼却施設につきましては、福島の建設木くずは放射能で汚染されたものを広域処理をして、群馬県内でも対応させていただきましたけれども、これにつきまして環境省で一般廃棄物の構造基準に合った形でセシウムの捕捉が可能ということで承知しておりますし、現実、県内での処理でも適切な処分が行われております。  それから、入り口でのシステムでありますけれども、これは酒井議員と昨年11月に栃木県の同様施設見学を私も行かせていただきましたけれども、トラックスケールのところで放射能の測定器を置いて、そこで一定の基準のものについてはそのトラックごと帰ってもらうという仕組みでありまして、今回の施設もそのような計画であると承知しております。 ◆酒井宏明 議員 間伐材の産地証明、これをどう管理するのかとか、間伐材を脱水した後処理をどうしたらいいのか、浸透桝で地下にそのまま流してしまうのではないか。主灰や飛灰をどう処理するのか、大変問題がいろいろあります。事業者任せではなくて、やはり補助金を出す以上、県の環境行政としてしっかりこういったことも監視する必要があると思いますが、いかがでしょうか。 ◎青木勝 環境森林部長 環境対策は基本的な事項でありますので、県としてもきちっと確認をしながら事業の支援を行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆酒井宏明 議員 しっかりそこは環境行政の責任を果たしていただきたいと思います。  次の質問です。大規模な、まさに火力発電計画であって、環境を破壊するのではないかと大変懸念をされております。チップにして8万トン集める計画ですが、栃木や埼玉などからも集めてくるといいますが、半径50キロ圏内から集めてくるというんですが、これでは自然エネルギーの地産地消に反するのではないか。また、自然環境との調和も大事になってきます。環境影響評価の対象にはなっておりませんが、高崎市が制定したような再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例、こういった環境アセスメントの条例も制定して、この発電所も対象にすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ◎青木勝 環境森林部長 この施設の計画は年間8万立方の未利用材を使うということですけれども、基本的には県内の未利用材を利用するということであります。県内の森林資源の状況は、先ほども久保田県議の御質問にも一部ありましたけれども、群馬県では戦後植林をしましたスギやヒノキといった人工林を中心に、現在の蓄積量が約9,000万立方ということになっておりまして、さらに年間125万立方ずつ材積が増えている、こういった状況にあります。これに対して26年度の利用量が28万ということでありまして、県ではこの豊富な森林資源をしっかりと活かして、林業の再生を加速していくために、今、この議会にお願いをしておりますけれども、「森林・林業基本計画」の見直しを行っております。その中で31年度の素材生産量40万立方を目標に掲げているところでありますけれども、そのためには低質材の利用も現在の約2万立方から4年間で11万立方まで増やしていく必要があります。今回の発電計画の8万立方は、この県の計画にも沿ったものでありまして、森林の乱伐等の自然破壊にはつながらないというふうに考えております。  また、環境アセスメント条例につきましては、県でも平成11年に環境アセスメント条例を制定しております。これは御質問にもありましたけれども、今回の事案につきましては、この県の条例の対象にはならない規模ということであります。この条例につきましては、この規模の設定につきましては、排気ガス、排水といった環境因子に着目して、あらゆる種類の工場、事業所を対象にして、その規模の線引きを行ってきておりまして、適切な条例というふうに解釈をしております。 ◆酒井宏明 議員 ただ、本当に大規模で間伐材が足りなくなってきて、将来ごみまで燃やすことになってしまうのではないかと、大変危惧をされております。このもとになる固定価格買取制度、FITですけれども、未利用材、一般木材、限定しているわけですけれども、そうすると、市民が出した剪定枝や竹というものは対象外だということでいいのでしょうか。ちょっと確認したいと思いますが。 ◎青木勝 環境森林部長 詳細については今資料がありませんけれども、基本的にはFITによって発電を行う事業につきましては、トレーサビリティーをしっかり行って、出どころによって売電、いわゆる売り電の単価も違ってまいりますので、しっかりとトレーサビリティーは行われるということになっております。 ◆酒井宏明 議員 剪定枝や竹は対象外だということが確認できたというふうに思います。  先ほど久保田議員も心配の声がありましたけれども、供給量が足りなくなるのではないかということですが、バイオマス発電は太陽光に比べても非常に非効率だと。発電効率が20%にしかならない。残りは熱として逃げてしまう。石炭の6分の1にしか過ぎません。やはりその熱エネルギーを農業ハウスですとかオフィスの暖房、乾燥に利用できる場合には有効だけれども、発電目的だけに木を燃やすのは資源の無駄遣いだという声が大変強く上がっております。経済事業としてもあり得ないんじゃないかという声も上がっております。  そこで、次の質問ですが、このように放射能汚染のおそれや環境破壊を心配する住民の声がたくさん寄せられておりますが、現在7,000を超える反対署名が集まっているということです。建設ありきの事業者に対して住民は非常に不信感を募らせております。こうした声を聞かずに推進をしていいのか、住民合意のない発電計画を白紙撤回させるべきではないでしょうか。 ◎青木勝 環境森林部長 この計画につきましては、これまで事業者において住民説明会を開くとともに、県と前橋市の要請を受けて環境対策を進めてきております。そのうえで、前橋市において都市計画法等の関係法令に基づく必要な手続きが順次進んできているというふうに承知をしております。ただ、今、御質問にもありましたけれども、一部住民の方々に不安の声が残っているということは重く受け止めております。県としては、引き続き事業者に対して、地域の方々に対して丁寧に説明を行うとともにその御理解を得て事業を進めるよう、前橋市とともに協力して、しっかりと対応してまいる考えであります。
    ◆酒井宏明 議員 今回の発電計画は、放射能の2次汚染を前橋中に、群馬中に引き起こす、そういうおそれがある計画です。さらに、大気汚染や騒音、振動、火事の心配もあります。住民不在のまま計画を推し進めるのは、後世に禍根を残すというふうに思います。白紙撤回させるように強く求めまして、環境森林部長への質問を終わります。ありがとうございました。  次に、原発の事故対策について、危機管理監、お願いします。 ○新井雅博 副議長 危機管理監、答弁席へ。           (萩本勝美危機管理監 登壇) ◆酒井宏明 議員 新潟県柏崎刈羽原発の放射性物質拡散シミュレーションについて伺います。  東日本大震災、福島第一原発事故から5年、復興にはほど遠く、それどころか被災者、避難者切り捨てが今進められております。原発は、いったん重大事故が起これば現在の技術では制御できず、取り返しのつかない異質の危険があることが示されました。しかし、政府と電力会社は再稼働に向けて突き進んでいるのが現状です。  昨年12月16日、新潟県庁で開催された原子力発電所の安全管理に関する技術委員会で、柏崎刈羽原発の放射性物質拡散シミュレーションが発表されました。新潟県と東京電力が同原発6号機のメルトダウンを想定したものです。〔資料提示〕たくさん新潟県の資料、それから東京電力の資料をいただきましたけれども、その一部ですけれども、こういったものが発表されました。風向き、風速、雨の有無など、過去の実際のデータで細かくシミュレーションをしたものです。  これによれば、北西の風に乗って三国峠を超えて群馬県にも到達するということが容易に予測をされます。新潟県はSPEEDIというもので、東電はDIANAという予測システムでしたものですけれども、この技術委員会には、本県の危機管理室の職員も派遣をされたということですが、このシミュレーションの結果を群馬県でどう活かしていくのか、県としても独自にしっかりとしたシミュレーションを行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◎萩本勝美 危機管理監 今回、新潟県と東京電力がそれぞれ実施いたしました放射性物質拡散シミュレーションにつきましては、新潟県と東京電力との安全協定に基づきまして、過酷事故が発生した場合に大気中への放射性物質の放出を抑えるための廃棄の設備であります「フィルタベント」につきまして、その有効性を検証するということのために実施したものでございます。  このうち新潟県のシミュレーションにつきましては、今、議員からお話しありましたけれども、4つの事故シナリオと12通りの気象条件を組み合わせ、拡散予測を実施したものということでありますけれども、このシミュレーション自体が、今申し上げましたように、フィルタベントの有効性の確認のために行われたということ。それと、様々な想定を組み合わせて出されたものであるということ。そういったことから、その内容あるいは有効性につきまして、今後さらに検証あるいは精査がなされるものというふうに考えております。まずは、新潟県や東電における今後のそういった検証状況を注視しながら、両者と緊密に連携を図っていきたいというふうに考えております。 ◆酒井宏明 議員 先日、県議団として柏崎市に行って、担当者から直接説明を受けてきました。柏崎でもシミュレーション結果を受けた防災対策はこれからだということです。この原発の30キロ圏内には46万人が住んでいる。このシミュレーションは1基だけの事故を想定したもので、複数同時にメルトダウンしたらどうなるかということの予測はないわけです。避難計画をつくろうにも、病院や介護施設の避難先も確保されていない。地震などの災害で高速道路が通行できなくなったらどうするのか。非常に不確定要素が多過ぎて、本当に担当者も困惑をしている様子でした。  このシミュレーションも100キロ四方に限定したもので、群馬に実際どういう影響があるかよくわからないという。また、東電が持っている情報を本当に出させていく必要があるんじゃないかなと思います。新潟県境にモニタリングポストを設置して、避難者の受け入れにも備えて、県独自の避難計画も作成すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。安定ヨウ素剤の備蓄なんかも必要となると思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。 ◎萩本勝美 危機管理監 先ほど申し上げましたように、今後、新潟県の技術委員会あるいは東京電力におきまして、今回のシミュレーションの結果を精査・検証し、対策につきましても同時に検討していくということで聞いておりますので、我々としましては、そういった動きと連携を図りながら、今後については対応していきたいというふうに考えております。 ◆酒井宏明 議員 危機感がなさ過ぎるというふうに思います。福島第一原発、第二原発、そして東海原発の事故も想定したシミュレーションもする必要があるということを強く強調したいと思います。  次の質問です。福島第一原発の事故による被災者の支援についてです。  福島第一原発は、収束どころか放射能の放出が未だに続いております。汚染水は垂れ流され、溶け落ちた核燃料の状態も明らかではありません。人間が近づくことすらできないために、廃炉作業も困難を極めております。故郷に帰りたくても放射線量が高くて帰れない。避難指示区域は前橋、高崎、渋川、伊勢崎を合わせた面積に匹敵します。帰還困難区域も前橋市とほぼ同じ面積に広がっております。未だに10万人の方が避難生活を余儀なくされております。群馬にも約1,200人の方が避難をされております。原発関連死や自殺者も、そして孤独死も、後を絶ちません。  今日は、東電の元会長らが強制起訴をされました。法廷の場で今後争われることになります。こうした中で、応急仮設住宅、みなし仮設への支援が来年3月にも打ち切られようとしております。群馬では約200世帯、500人余りが該当いたします。避難者からは、支援が打ち切られれば月6万円も出費が増える。今でも生活が大変なのに、これでは死ねとでもいうのかと、怒りや不安の声が広がっております。こうした被災者に対して、県として相談窓口を設置するなど、支援していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、避難者に対する健康相談への対応についても伺いたいと思います。 ◎萩本勝美 危機管理監 東日本大震災や福島第一原子力発電所の事故に伴いまして、本県に避難されている方々のうち、災害救助法が適用された市町村から避難された方々につきましては、応急仮設住宅としまして公営住宅や民間賃貸住宅を無償で提供してきているところでございます。このうち福島県からの避難者は、今、議員からお話がありましたように、現在約190世帯、500人ということになっておりますけれども、福島県では昨年6月に避難指示区域以外からの避難者については、平成28年度末をもって応急仮設住宅の供用を終了するということを決定したところでございます。  これによりまして、対象となられる方々につきましては、自ら新たな住宅を確保する必要が出てきたということになるわけでございます。このため、福島県では、避難元へ帰還するための引っ越し費用の補助など、避難者の生活再建に向けた支援策を打ち出しているところでございます。また、今後の住宅の確保状況等を把握するということで、個々の方々にアンケート調査を実施し、避難者の意向を踏まえた取り組みを行うこととしております。  お尋ねのありました相談窓口につきましても、避難者が避難した先で今後の生活再建を直接相談できるよう、設置を検討しているというふうに聞いているところでございます。また、被災地からの避難者の健康につきましては、これも福島県が主体となりまして、健康診断や相談・支援事業というものを実施しておりますけれども、本県におきましても、震災直後から県内の保健福祉事務所におきまして、健康相談に対応してきているところでございます。相談に当たる職員につきましては、放射線の人体への影響に関する研修会などに参加をいたしまして、最新の知識の習得に努めているというところでございます。  このように、本県ではこれまでも福島県からの要請等を踏まえまして必要な支援を行ってきているところでございますが、今後とも福島県や県内の関係市町村、支援団体等と連携を図りながら、引き続ききめ細かな支援を図っていきたいというふうに考えております。 ◆酒井宏明 議員 「無償提供の打ち切りをするな。」と国に強く迫っていただきたい、そしてまた、県独自でもきめ細かい積極的な対応をお願いしたいと思います。群馬では、未だにキノコやイワナ、イノシシなど野生獣肉も出荷制限を受けております。出荷自粛も含めればもっと多いわけです。市場に流通しているものは大丈夫というだけじゃなくて、放射線量の測定ですとか食品検査を引き続き実施して、体制も強化して、県民にきめ細かく情報提供を行っていくよう強く要望いたしまして、危機管理監への質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。  それでは知事、お願いします。 ○新井雅博 副議長 知事、答弁席へ。           (大澤正明知事 登壇) ◆酒井宏明 議員 今、原子力行政の信頼を揺るがす事態が相次いでおります。今月24日、東京電力が、福島第一原発1号機から3号機が実際には「炉心溶融」しているのに「炉心損傷」と過小評価していたことは誤りだったと、5年近くたって認めました。東電の秘密主義極まれりという感じがいたします。関西電力は、福井県高浜原発4号機の再稼働を強行いたしました。冷却水が漏れる事故が発生したにもかかわらず強行したわけです。ボルトが緩んでいたといいますが、事故を起こしてはならないという気持ちが緩んでいたのではないでしょうか。再稼働ありきの姿勢が厳しく問われます。40年以上の老朽原発も動かそうとしております。こうした中で再稼働などあり得ないというふうに思いますが、知事として東京電力あるいは国に対して再稼働中止を申し入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◎大澤正明 知事 東京電力福島第一原子力発電所事故から間もなく5年が経過しようとする中で、原子力施設の安全確保は最も重要な課題のひとつでありまして、安全対策や防災対策に万全を期していく必要があると考えております。全国知事会においても、昨年7月に「原子力発電所の安全対策及び防災対策に対する提言」を取りまとめまして、原子力施設の安全対策や防災対策の強化などについて、国に対して要請を行ったところであります。原子力発電のあり方につきましては、今後の我が国のエネルギー政策の根幹に関わる問題でありまして、国において責任を持って検討されるものと考えております。 ◆酒井宏明 議員 国や電力会社任せでは、本当に県民の命と暮らし、安全は守れないというふうに思います。今、前橋地裁で原発賠償裁判が進行中であります。私も裁判を傍聴して、原告の陳述を聞きました。家を失い、なりわいや仕事を失い、家族や親戚、友達とも離れ離れの生活、この先どうなるかわからないという不安だらけの生活、原発事故さえなければという避難者の苦悩に本当に胸を締め付けられる思いがします。知事は、こうした避難者の思いをどう受け止めているのでしょうか。ぜひ裁判も傍聴していただきたいと思いますが、原告やこうした避難者と直接話を聞く、そういった機会をつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎大澤正明 知事 福島第一原子力発電所の事故の総括と、新たな知見の反映について、全国知事会でも国に強く要請をしておるところでありまして、国としてしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。 ◆酒井宏明 議員 せめて被災者、避難者の声をしっかりと聞いていただきたい。そのうえで、やはり原発を本当に動かしていいのかというのを県行政として考えていただきたいと思います。県民生活を守る立場から、国に原発即時廃炉の政治決断を迫っていただきたい。このことを重ねて要望して、知事への質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。  次に、TPP発効による県内農業への影響について、農政部長にお伺いをいたします。 ○新井雅博 副議長 農政部長、答弁席へ。           (宮崎一隆農政部長 登壇) ◆酒井宏明 議員 県のこのTPPの影響額の試算を出されましたけれども、黒沢議員の質問にもありましたが、全くこれは過小評価したものだと私は思いますが、どう県はこの計算をしたのでしょうか。 ◎宮崎一隆 農政部長 TPP発効によります本県農業への影響につきましては、昨年12月に公表されました国の試算方法に準じ、農産物の生産額への影響を試算したものであります。国の試算は、関税率が10%以上で、かつ、生産額が10億円以上の19品目の農産物を対象に、大筋合意の内容や国内対策の効果を考慮したうえで、関税削減等の影響による生産額減少を品目ごとに算出しております。県では、この指標を用い、米、小麦、牛肉、豚肉、牛乳、乳製品、コンニャクなどの9品目を対象に、県内生産量に数字を置きかえ、本県農業への影響を試算したところ、最大で47億円余の生産額減少が見込まれる結果となったところであります。 ◆酒井宏明 議員 このもとになった国の試算ですが、これも東京大学の鈴木宣弘教授は大変過小評価だと批判をしているところです。〔資料提示〕もう時間もあまりないので詳しくは触れられませんけれども、米は全く影響ないと政府はしておりますが、ミニマム・アクセス米は大量に、合計で50万トンも輸入するわけです。市場から隔離するから大丈夫だといいますけれども、2年程度延ばす程度では隔離にならない。この輸入増加で1,100億円減少するんだと言っています。または、牛肉も関税が9%になると牛肉の輸入価格が21%下がる。これで3,000億円も減少になる。また、豚肉も50円まで関税が下がる。影響額は4,000億円。合わせて1兆1,000億円以上の影響が出るというふうに試算をしております。  政府の試算には全く道理がない。それに基づく県の試算も意味がないというふうに思います。対策をするから大丈夫だと、そういう雰囲気を何とかつくり出そうとしているようにも見えます。県独自でしっかりと試算をすべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◎宮崎一隆 農政部長 国の試算は、大筋合意を踏まえまして、関税の撤廃や削減などの直接的な影響と、農業の体質強化や経営安定等の国内対策の効果のみを考慮したものであります。議員御指摘のような御意見があることも承知しておりますが、試算は様々な変動要素がある中で、一定の条件を仮定して行うものでありまして、前提条件により、おのずと結果は大きく異なると考えます。  今回の試算は、国の対策が効果を発揮し、需要や生産が維持されても、生産額が減少するというものでありまして、県としては、農業の体質強化等を加速させるとともに、TPP発効後においても、県内農業への影響や関連施策の効果等を検証したうえで、必要な対応を検討してまいりたいと思っております。 ◆酒井宏明 議員 群馬は有数の畜産県でもありますから、TPPによってこれだけの影響があるんだとしっかりと受け止めていただきたい。独自の試算とともに対策もしっかりとやっていただきたいと思います。ありがとうございました。  企画部長、お願いします。 ○新井雅博 副議長 企画部長、答弁席へ。           (笠原 寛企画部長 登壇) ◆酒井宏明 議員 ISD条項に対する県の対応についてですが、多国籍企業の利益を守るためのISD条項によって、政府調達について国や地方自治体が発注する場合、TPP域内企業を最恵国待遇しなければならなくなりました。これは主権や地方自治に抵触する大問題だというふうに思います。県としてどのように対応するおつもりでしょうか。 ◎笠原寛 企画部長 ISD条項に関する質問でございますが、26日の一般質問で黒沢議員の御質問にもお答えしましたとおり、ISD条項は国家間の経済連携協定等におきまして、海外から投資家と、投資を受け入れる国との間で争いが起きた場合に、国際仲裁機関を通じて解決するための手続きを定めた規定でございます。今回のTPP協定では、安全保障や国民の生命、健康に関する事項などは協定の対象から除外されております。さらに、国民皆保険制度や食の安全、環境基準など、公共の福祉に関する正当な目的のための規制は妨げないなど、我が国の国益を損なわない措置が設けられております。  また、国からの説明によりますと、物品や建設工事などの政府調達分野におきましても、WTOの調達協定で、既に海外企業に開放されております地方を含めた現行の調達制度が変更されるものではないとされております。そのため、TPP協定によりまして、海外の企業が現状よりも地方の公共事業等に参入しやすくなるようなことはなく、また、学校給食等について地元食材の優先的な調達ができなくなる心配もないというふうに聞いております。  県といたしましては、こういう国の動向を注視いたしまして、情報収集を図りますとともに、国において今後のTPP協定の発効に向けた国会審議等を通じまして、国民に制度の仕組みをわかりやすく説明していただき、不安の払拭に努めていただきたいと考えております。 ◆酒井宏明 議員 自治体レベルの条例なども廃止や修正を迫られる、これは必至だというふうに思います。国産というものを強調することがアメリカ産を不当に差別するという可能性を指摘されるケースは本当に増えてくる。このままでは日本のそういった地方自治が侵害されると懸念している方は本当に大勢います。そのこともしっかりと踏まえていただきたいと思います。ありがとうございました。  では知事、お願いします。 ○新井雅博 副議長 知事、答弁席へ。           (大澤正明知事 登壇) ◆酒井宏明 議員 このTPPによって、結局農産物は全品目が関税の撤廃の対象となります。大筋合意の内容は、国会決議で守るとしていた主要5品目すら守れないということも明らかになりました。食料自給率の低下は避けられません。ISD条項で地方自治もないがしろにされます。群馬の農業や地域経済を守る立場から、TPP協定は批准するなと申し入れるべきではないでしょうか。お願いします。 ◎大澤正明 知事 今回のTPP協定については、政府が関税だけではなくて投資やサービス等の自由化を進めまして、成長著しいアジア太平洋地域にかつてない規模の経済圏を構築することによりまして、我が国の経済成長が促進されるとしておるわけであります。さらに、大企業だけでなく、これまで様々なリスクを懸念して海外展開に踏み切れなかった地方の中堅企業、中小企業にとっても、世界へ踏み出す大きなチャンスであると思っております。政府の試算では、TPPの発効によりまして我が国のGDPをプラス2.6%、約13兆6,000億押し上げる効果があるとされております。  しかしながら、一方で、農林水産業においては約1,300億円から2,100億円の生産額の減少が見込まれるとしております。農業に関しては、本県においても農業生産の主力である畜産業を中心に生産額の減少が見込まれておりまして、農家の皆さんや関係団体から強い不安を感じているとの声を聞いております。こうした声にもしっかりと耳を傾けて、長期的な視点で対策を講じてまいりたいと考えております。  政府は、今年の秋を目途に農林水産業の成長産業化や、国内産業の海外展開、事業拡大を進めるうえでの必要な本格的な対策を取りまとめるとしております。また、今後、協定の批准に向けた国会での審議が本格化するわけでありまして、政府においては、国民が納得のいくよう審議を尽くしていただくとともに、国民生活や国内産業、地域経済に及ぼす様々な影響について、よりわかりやすく説明を行い、国民の不安の払拭に努めてもらいたいと考えております。 ○新井雅博 副議長 あと20秒です。 ◆酒井宏明 議員 主権侵害のTPP、絶対に批准をさせないという声、今、農家の方をはじめとして大変強いものがあります。県として批准するなという声を何としても上げていただきたい。そのことを強く、強く要望して、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○新井雅博 副議長 以上で酒井宏明議員の質問は終わりました。   ● 休 会 の 議 決 ○新井雅博 副議長 お諮りいたします。  明3月1日は議案調査のため本会議を休会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。           (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○新井雅博 副議長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  以上をもって本日の日程は終了いたしました。  次の本会議は、3月2日午前10時から再開し、上程議案に対する質疑及び一般質問を続行いたします。   ● 散     会 ○新井雅博 副議長 本日はこれにて散会いたします。     午後3時27分散会...