栃木県議会 > 2023-12-04 >
令和 5年度栃木県議会第398回通常会議−12月04日-02号

  • "基本的事項"(/)
ツイート シェア
  1. 栃木県議会 2023-12-04
    令和 5年度栃木県議会第398回通常会議−12月04日-02号


    取得元: 栃木県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-28
    令和 5年度栃木県議会第398回通常会議−12月04日-02号令和 5年度栃木県議会第398回通常会議 (1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名 12月4日(月曜日)  出席議員 50名   1 番      土 屋 晃 子   2 番      渡 邉 典 喜   3 番      大久保 ゆ み   4 番      大 谷 弥 生   5 番      大 木 英 憲   6 番      佐 藤 晴 彦   7 番      杉 田   光   8 番      沼 田 邦 彦   9 番      池 上 正 美   10 番      小 池 篤 史   11 番      湯 澤 英 之   12 番      星   雅 人   13 番      横 田   誠   14 番      石 坂   太   15 番      岡 部 光 子
      16 番      加 藤 雄 次   17 番      金 子 武 蔵   18 番      小 菅 哲 男   19 番      小 林 達 也   20 番      平 池 紘 士   21 番      塩 田 ひとし   22 番      中 屋   大   23 番      あ べ ひろみ   24 番      野 村 せつ子   25 番      横 松 盛 人   26 番      西 村 しんじ   27 番      野 澤 和 一   28 番      高 山 和 典   29 番      池 田   忠   30 番      琴 寄 昌 男   31 番      白 石 資 隆   32 番      関 谷 暢 之   33 番      中 島   宏   34 番      早 川 桂 子   35 番      日向野 義 幸   36 番      渡 辺 幸 子   37 番      保 母 欽一郎   38 番      松 井 正 一   39 番      山 田 みやこ   40 番      青 木 克 明   41 番      山 口 恒 夫   43 番      阿 部 寿 一   44 番      佐 藤   良   45 番      山 形 修 治   46 番      岩 崎   信   47 番      神 谷 幸 伸   48 番      五月女 裕久彦   50 番      螺 良 昭 人   51 番      木 村 好 文   52 番      板 橋 一 好 (2)説明のため出席した者の職氏名  地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者   知事       福 田 富 一   副知事      北 村 一 郎   副知事      天 利 和 紀   総合政策部長   笹 川 正 憲   経営管理部長   仲 山 信 之   生活文化スポーツ部長            野 原 恵美子   保健福祉部長   岩 佐 景一郎   環境森林部長   小野寺 一 行   産業労働観光部長            石 井 陽 子   農政部長     熊 田 欽 丈   県土整備部長   坂 井 康 一   会計管理者会計局長            中 谷 一 彦   企業局長     北 條 俊 明   総合政策部次長総合政策課長            小 林 宣 夫   財政課長     岩 田 知 也   教育長      阿久澤 真 理   代表監査委員   森 澤   隆   人事委員会事務局長            萩 原 英 樹   労働委員会事務局長            桐 渕 ゆ か   警察本部長    難 波 健 太 (3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名   事務局長     柏 瀬   仁   次長兼総務課長  菊 池   薫   議事課長     大 野 光 二   政策調査課長   横 山 泰 治   議事課課長補佐  小田部   秀   課長補佐     小 材 忠 宏   係長       手 塚 英里子   主査       長谷川 寛 和   主査       桐 原 毅 充   主査       荒 川 尚 子   主査       榎 本 和 也 ◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は50名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前10時 開議 ○佐藤良 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  初めに、諸般の事項を事務局長に報告させます。 ◎柏瀬仁 事務局長 報告いたします。  1 議場における説明のための出席要求について  渡辺危機管理防災局長には、都合により、本日及び6日に開催される本会議を欠席する旨、届出がありました。             ――――――――――――――――――――――――――――― ○佐藤良 議長 日程第1 第1号議案から第9号議案まで及び第12号議案から第18号議案までを一括して議題とし、質疑を行います。  この際、お諮りいたします。質疑と併せて県の一般事務に関する質問を行うことにご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○佐藤良 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。  この際、申し上げます。さきに人事委員会の意見を求めておりました第1号議案及び第8号議案については、お手元に配付のとおり、それぞれ回答がありました。回答は朗読を省略して、会議録に記載することにいたします。ご了承願います。                             〔配付資料は巻末に掲載〕 ○佐藤良 議長 発言通告者に対し、発言を許します。日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 皆さん、おはようございます。とちぎ自民党議員会日向野義幸でございます。  発言通告に従いまして、代表質問を行います。知事はじめ執行部の皆様には熱意ある答弁を期待いたしまして、早速質問に入ります。  いよいよ来年11月には知事の5期目の任期満了を迎えるわけであります。福田県政のこの20年の歩みをしっかり検証しながら、栃木県の未来の可能性を十分に議論し、任期満了までの残り1年をかけて、新たな県政経営の準備をする必要があると考えております。  まず、福田富一知事の県政運営の足跡について、知事にお伺いいたします。  福田知事は、平成16年に県民の大きな期待を受け、宇都宮市長から栃木県知事選挙に立候補し、見事に当選を果たされ、栃木県知事としてその任期をスタートされました。  知事のこれまでの県政運営を振り返ると、就任前年には足利銀行の一時国有化という本県経済にとっては大きな激震が走り、知事は就任後直ちに対応に追われるとともに、事業者や県民の生活を守るため、適切な経済施策を実行し、地域経済再生に尽力されました。その後も、県内に甚大な被害をもたらした平成23年3月の東日本大震災、平成27年の関東・東北豪雨、令和元年東日本台風など、数々の災害にも迅速に対応され、復旧・復興に全力を注がれました。さらに、令和元年からは新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う感染症対策と経済対策の両立に奔走されるなど、その道のりは決して順風満帆とは言い難い、苦難の道のりだったと言っても過言ではありませんが、福田知事は持ち前の強いリーダーシップを発揮し、数々の苦難を乗り越えてこられました。  また、知事は就任以来、市町村重視を信念に県政の運営に当たられ、平成の大合併の先導役として難しい市町村合併を成就され、市町と県の関係基盤の強化に努められてきたほか、本県では42年ぶりの開催となった国体の誘致にも成功され、後世に誇れる県民スポーツ推進拠点総合スポーツゾーンの整備も成し遂げられました。加えて、昨年度のいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催の際には、コロナ禍にあって前例のない対応を求められましたが、無事成功に導かれ、本県初の国際会議であるG7栃木県・日光男女共同参画女性活躍担当大臣会合の誘致にも成功されるなど、その功績を振り返ると、枚挙にいとまがありません。
     人口減少問題や2050年カーボンニュートラルの実現など、取り組むべき課題が山積する中、数々の苦難を乗り越え、多くの輝かしい功績を上げてこられた知事の県政運営の足跡を十分に検証した上で、今後の県政運営に生かしていくことは非常に重要なことだと考えております。  そこで、5期目の任期満了まで約1年となる中で、これまでのご自身の県政運営の歩みを振り返り、どのように総括をし、評価をされているのか、知事にお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの日向野義幸議員のご質問にお答えいたします。私は、知事就任以来、一貫して、対話と協調、県民中心、市町村重視を基本に県政運営を行ってまいりました。  この間、就任当初の最大の懸案であった足利銀行の一時国有化やリーマンショックなどの経済危機、東日本大震災をはじめとした大規模な自然災害、新型コロナウイルス感染症への対応など、幾多の難局に直面いたしましたが、県議会をはじめ、県民、市町、関係団体等のご理解、ご協力を得ながら、オール栃木体制により、これらを乗り越えてまいりました。また、栃木をつくる原動力は人であるとの信念の下、人づくりを県政の基本に据え、少人数学級の推進やこども医療費助成制度の拡充など、将来を担う人材育成や子育て支援の充実を図ってまいりました。さらに、本県の強みであるものづくり産業や農林業の振興のほか、観光立県や国際戦略等を推進し、1人当たりの県民所得が全国第4位となるなど、一定の成果が得られているものと考えております。加えて、とちぎ未来開拓プログラム等による財政健全化など行財政改革を推進するとともに、市町村合併の推進等により、市町の基礎自治体としての機能の充実・強化にも取り組んでまいりました。  このように、これまでの政策集に掲げた施策のほとんどは実現または実現に向けて進めることができており、とちぎ未来創造プランやとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)の成果指標についても、全体としておおむね順調と分析しているところでありますが、一方で、人口減少・少子化問題や脱炭素化、デジタル化への対応など、喫緊かつ重要な課題について、さらなる取組が必要であると考えております。  今後とも、県議会のご理解、ご協力を得ながら、これらの課題解決に向けまして、全力で県政運営に取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 知事の県政運営の足跡について、思いの籠もったご答弁をいただきました。時の為政者として様々な困難を乗り越えてきた政治家福田富一知事の姿を、私たちも改めて再認識することができました。くしくも栃木県誕生150年という節目の年に、その歴史をつないできた福田知事の功績をしっかりと残すことができると確信しております。知事のこれまでのご労苦に心から敬意を申し上げ、次の質問に移ります。  福田富一知事が描く本県の未来都市像について、知事にお伺いいたします。  我々とちぎ自民党議員会としては、この20年間、最大会派として、知事と共に県政を支えてきた自負があるのであります。二元代表制の執行権者と議決権者としての違いはあれども、我々は、知事が実行する様々な政策に対し、その時々で賛意を表し、施策や事業の推進役としてその一翼を担ってきたわけでありますから、我々とちぎ自民党議員会としても、知事と共に歩んできた県政の共同責任者として、その責任と役割をしっかりと果たすべきものと考えております。  先ほどの質問において、福田知事の歩んできた道のりは決して平たんではなく、苦難の道のりだったと申し上げましたが、総じて振り返れば、幾多の危機から栃木県を守り抜いたと評することができると断言できます。それは、何事にも粘り強く、決して諦めない強い信念の持ち主である福田富一知事だからできた偉業だと私は思います。  政治家は、今をよくすることも大切でありますが、私たちの大切な子供たちの未来をつくり、その未来に責任を持つことが最も大事だと考えております。我々とちぎ自民党議員会は、知事と共に歩んできた県政の共同責任者として、その思いをしっかりと次の世代や時代にもつないで、栃木県の未来をつくっていかなくてはなりません。20年の長きにわたり、強いリーダーシップを発揮して数々の困難を乗り越えられてきた知事の思い描く本県の未来都市像は、本県の今後50年、100年の発展に向けた県政運営の道しるべになるものと考えております。  そこで、県政運営20年の思いを乗せ、栃木県政の為政者として、本県の未来都市像をどのように描いているのか、知事にお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私たちを取り巻く社会経済環境は、人口減少、少子高齢化の進行、気候変動によるリスクの高まり、デジタル化の急速な進展など、時代の大きな変化の中にあります。こうした状況におきましても、県民一人一人が未来に夢や希望を抱き、安心して暮らすことのできる栃木県をつくり、次の世代に引き継いでいくことが知事としての私の使命であり、時代の潮流を的確に捉え、進むべき道筋を県民と共有していくことが重要であると考えております。  このため、栃木県重点戦略とちぎ未来創造プランにおきまして、目指す本県の将来像として、「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」を掲げ、5つの重点戦略の下、18のプロジェクトを展開しております。私は、知事就任以来、とちぎ未来創造プランまで4つのプランを策定し、めざすとちぎの将来像を掲げ、県民と共有してまいりましたが、この間、未来志向でのとちぎづくりに対する私の思いは一貫して揺らぐことはなく、人が輝き活躍する社会を目指してきたところであります。  栃木県には、誇れる地域資源、力強い産業、そして、何よりも郷土を愛する多くの県民がいます。一人一人が持てる能力をいかんなく発揮することにより、経済発展を図り、カーボンニュートラルや県土強靱化などの課題を克服し、人口減少問題も乗り越えていく、そうした持続可能で活力ある栃木県を目指し、県政のかじ取りを進めていく必要があると考えております。  今後とも、県民、市町、企業など、多様な主体とより一層連携・協働しながら、目指す将来像の実現に向けて、全身全霊で取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 知事が思い描く本県の未来都市像を県民の皆様と共有し、新たな時代を切り開いていく羅針盤として、その思いをしっかりつないでいきたいと考えております。  政治家の出処進退は福田富一知事ご本人が決めるべきことであります。いずれしかるべき時期に新しい局面を迎えることになるわけでありますから、そのときになって慌てて対応するのではなく、次のステージに向けて、しっかりと準備をしていくことが大切であります。守るべきところはしっかりと守り、しかし、変えるべきところは大胆に変えていく、新たなチャレンジを強く期待し、次の質問に移ります。  これまで福田県政を支えてこられた北村副知事、そして、7月に新たに就任された天利両副知事に、それぞれの役割とその期待される成果等についてお伺いいたします。  まず、北村副知事に、これからの栃木県を担う人材の育成についてお伺いいたします。北村副知事におかれましては、平成30年度から今日に至るまで、福田富一県政を支える女房役としてご尽力いただいております。また、副知事就任前には職員の立場から要職を歴任され、その間、多くの後輩の指導に当たられ、県政の中心を担う優秀な人材を輩出されてこられました。また、副知事に就任されて以降も経営管理部を担任されており、県の人材育成の中心的な役割を担う存在としてご活躍されております。  組織は人なりと言いますとおり、その任に当たる人材の能力のいかんによっては成長も衰退もあり得るわけで、本県の未来を担う職員の育成をどのように進めていくのかは、栃木県の将来を左右する大事だということは論を待ちません。  そこで、県では、平成16年度に策定した栃木県人材育成基本方針に基づき、目指すべき職員の3つの像として、挑戦する職員、信頼される職員、協働する職員を掲げ、人材の育成を進めてきていますが、これまでの取組をどのように評価しているのか、今日まで栃木県の人材育成を支えてこられた北村副知事にお伺いいたします。  一方で、急速な少子化、超高齢化、新たな資本主義など、急速に変化する社会情勢や社会の価値観の多様化に的確に対応できる県政マネジメント能力を身につけた人材育成が求められる中で、今後、県政のより一層の発展に向け、目指すべき職員像も見直していく必要があると考えております。私は、ともすると、上司の言うことをよく聞くイエスマンの職員を求めがちな庁内風潮にあって、今、本県に真に求められているのは、自身の頭で考え、自身の言葉でしっかりと発信できる職員を育成していくことであり、目指すべき職員像として明示した上で、その取組を進めていくべきと考えております。  そこで、今後の本県の発展に向け、求められる職員像についてどのようにお考えになっているのか、また、そのような職員を育成していくためにどのように取り組んでいこうとしているのか、北村副知事にお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 北村一郎副知事。    (北村一郎副知事登壇) ◎北村一郎 副知事 ただいまのご質問にお答えいたします。本県では、人材の育成と活用を効果的に推進するため、平成16年に栃木県人材育成基本方針を策定いたしまして、目指すべき職員像と求められる姿勢と能力を掲げ、各種の人材育成施策を推進することで、職員の意欲や能力の向上と組織の活性化を図ってまいりました。  これまでの取組の成果について客観的に示すことは難しい面もございますけれども、例えば、災害時をはじめ、新型コロナウイルス感染症や、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会など、経験したことのない課題に適切に対応できたこと、また、とちぎ未来創造プラン等に基づく各種施策を着実に推進できていることなどから、所属長等による職員の育成は一定の成果を上げているものと考えております。  目まぐるしく変化する社会経済情勢に機敏に対応していくためには、目指すべき職員像の中でも、日頃から知事が特に重視している、挑戦する職員が求められていると感じております。従来の考え方にとらわれない柔軟な発想や、主体的に施策を立案できる企画力を持ち、新たな課題に積極果敢にチャレンジできる職員の育成に力を入れていく必要があると考えております。  今後とも、栃木県人材育成基本方針を踏まえ、効果的な研修の実施や、人事評価制度を活用した人材育成等に取り組むほか、私を含めた管理職員が、職員が十分に能力を発揮できる職場環境づくりに努めることによりまして、知事が求める新しいとちぎづくりに積極果敢に挑戦する職員の育成に取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) ここで北村副知事に再質問いたします。時代の変化に適応できる柔軟な発想と行動力を持った職員、それはまさに風通しのいい職場環境から生まれるものと考えております。さらに、65歳定年制の段階的導入によって、人材の数的確保、経験値の確保ができる中で、それをどう有効活用して人材育成や県庁の組織づくりの活性化を進めていくのかがポイントとなるのではないかと考えております。  加えて、人材育成の柱の一つでもある職場環境づくりでは、育児や介護等で就労時間が制約される職員や障害がある職員など、多様な職員が働きやすいダイバーシティーマネジメントの考え方が重要と示されていますが、実際は、傷病中の職員への配慮や、障害を持ちペースコントロールが必要な職員を働けないとくくり、働ける職員に補填させているのが当たり前という環境が常態化していて、職員双方のモチベーションを下げている印象を受けています。65歳定年制の導入によってフォロー体制はしやすくなりますし、コロナ禍でテレワークなど勤務形態も柔軟になり、かつ、ICTの活用で効率化も進んでいる中、勤務に制約がある職員を含めた全ての職員の能力を生かし、公平感も担保できる未来志向の人材育成と組織づくりを目指すべきではないかと考えておりますが、北村副知事の所見をお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 北村一郎副知事。 ◎北村一郎 副知事 再質問にお答えいたします。職員の育成に当たりましては、先ほどお話もありましたように、多様な職員の特性を理解したダイバーシティーマネジメントが重要でありまして、今後、そのために、女性職員、それから子育て中の職員、また障害のある職員が、それぞれ能力が十分に発揮できますよう働きやすい職場環境づくりに努めてまいりますとともに、今後増加が想定されます60歳以上の職員につきましても、後輩職員の育成等によりまして、組織の活性化に寄与していただくような環境も整えてまいりたいと考えております。  また、昨年9月には栃木県庁スマートワーク・スタンダードを策定いたしまして、これはデジタル技術を活用いたしまして、在宅を含めてどこでも効果的、効率的に仕事をするという標準のスタイルを職員に示したところでございまして、これによりまして、職員の個々の様々な制約が取り除かれることも期待が大きいのではないかと考えております。  今後とも、多様な人材が活躍できる職場環境づくりを推進しまして、職員の士気を高めて、組織力の向上につなげてまいりたいと考えております。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 言うまでもなく、どのような立派な組織体制ができても、その組織を動かすリーダーの資質、そして、実際にそれぞれの職務に当たる職員の能力と熱意、それらが相まって機動的な組織として機能するわけでありますから、まずはリーダー自らが閉鎖的な慣習を改善し、職員が生き生きとモチベーションを持って働ける環境づくりを進めていただきますように要望いたします。  さらに、65歳定年制の活用につきましては、65歳まで働くことを前提として、ある一定の時期から自身の経験を次世代に引き継ぐことを念頭にキャリア形成を進める人材育成など、職員相互がそれぞれの役割を理解しながら業務に当たれるよう、相互補完型で業務改善への取組を進めていただきますよう強く要望し、次の質問に移ります。  天利副知事に、副知事の目に映る栃木県の姿と求められる役割についてお伺いいたします。天利副知事におかれましては、本年7月に就任されてから間もなく半年が過ぎようとしております。天利副知事は、本県では、国及び関係機関との総合調整に関することや、環境森林部、産業労働観光部、農政部、企業局に関することや、教育委員会に関わる連絡調整に関することなどを担任されております。また、地方赴任は本県で4県目であり、一般財団法人自治体国際化協会シンガポール事務所長を務めるなど、国内だけではなく、海外での経験も豊富であり、その手腕には誰もが大いに期待を寄せているところでございます。  私は、天利副知事には、外部から見た栃木県の姿や可能性についてしっかりと表現していただくことを特に期待しております。我々はこの栃木県に生まれ、この地で暮らしていることから、ある意味マンネリズムに陥り、栃木県の本当のよさや、栃木県にとって必要となる事柄を客観的に見ることができない、井の中のカワズになっているのではないか、客観的な視点の欠如が県政発展の妨げになっているのではないかと危惧しております。このため、多くのことを経験し、広い世界の中で活躍されてこられた天利副知事には、大海を知る立場で客観的な広い視点から見て、現在の栃木県に何が足りないのか、何が必要なのか、そのことをしっかりと職員や県民にお示しいただき、庁議や政策協議の場等々でそのマネジメント力を存分に発揮して、県政に新しい風を吹き込んでいただくことを大いに期待しております。  そこで、天利副知事の目には栃木県がどのように映っているのか、本県はどのような問題点を有しているのか、さらには、どのような可能性を持っているのかお伺いいたします。  また、副知事として、本県の今後の県政発展に向けて、ご自身の役割をどのように捉えていらっしゃるのか、併せてお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 天利和紀副知事。    (天利和紀副知事登壇) ◎天利和紀 副知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私は7月の副知事就任以来、まずは県内各地に足を運ぶとともに、様々な分野の方々からご意見を伺うことで、本県の強みや課題等をしっかりと把握することが重要であると考えて行動してまいりました。実際に県民の声を聴き、対話を重ねる中で、改めて本県は、雄大な自然をはじめ豊富な農産物や観光資源を有し、全国有数のものづくり県としての地位を築くなど、様々な分野でバランスの取れた、大変魅力的で豊かな県であるということを実感したところであります。一方で、発信力という点では一定の課題を感じているところでございまして、デジタルマーケティングなども活用しながら、この本県の魅力・実力を国内外に向けて効果的に発信し、地域の持つポテンシャルを多くの方々に知ってもらうということができれば、各分野において、さらなる飛躍が期待できるのではないかと考えております。  特に福田知事からは、担任の事務の中でもインバウンドや県内企業の海外販路開拓支援等による産業競争力の強化、カーボンニュートラルの実現に向けた取組の加速など、様々な課題について指示を受けているところでございまして、発信力の強化という観点も踏まえながら、各種施策を積極的に推進してまいります。加えまして、様々なチャンネルを活用いたしまして、国や関係機関などの最新の動向を常に把握するとともに、これまでの他県や海外での赴任経験等も最大限生かしながら、外部の客観的な目から見た姿というものを踏まえながら成果にしっかりと結びつけていくことが私に課された役目であると考えてございます。  引き続き、県議会はもとより、市町とも緊密に連携を図りながら、北村副知事や職員と共に福田知事を補佐し、本県の一層の発展のため、全力を尽くしてまいります。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 大変力強い決意をお聞きすることができました。既にご案内のように災害、新型コロナウイルス感染症と様々な試練を乗り越えて今日を迎えた栃木県が、今、かつて経験したことがないほどのスピードで、DXやGX、カーボンニュートラルといった新しい時代の潮流が押し寄せ、その政策実現に向けた実践的な対応が求められる中で、行政の持つ全ての能力を総動員して取りかからなくてはならない大きな転換期を迎えています。こうした変革のときに求められるものは、社会の変化に対応できる柔軟性、新たな潮流を味方につける発想力、そして、何事にも恐れずチャレンジしていく行動力であります。ぜひ天利副知事には、本県の力強い牽引役としてこれからもご活躍いただくことを期待し、次の質問に入ります。  令和6年度当初予算編成と国の経済対策への対応について、知事にお伺いいたします。さきの9月通常会議の最終日に知事から示されました令和6年度当初予算編成方針では、令和6年度の収支見込みは令和5年度以上に悪化し、約94億円の財源不足が見込まれており、長期化する原油価格・物価高騰等による景気の下振れリスクもあり、本県財政は引き続き厳しい状況にあります。しかし、こうした状況にあっても、政策経営基本方針にも重点事項として掲げられているとちぎ少子化対策緊急プロジェクトの推進や、積極的なグローバル展開による地域経済の活性化など、今後、県が取り組むべき課題は山積しており、県民からは積極的な施策展開が求められております。また、令和6年度当初予算は、知事にとって任期5期目の最後の予算編成となることから、先ほど質問したご自身の描く未来都市像等を踏まえ、50年、100年後の栃木県の県政の発展を見据え、強い思いを持って編成に当たっていただきたいと考えております。  そこで、知事はどのような考えに基づき令和6年度当初予算を編成していくのか、お伺いいたします。  また、国が11月29日に成立いたしました補正予算、デフレ完全脱却のための総合経済対策では、さらなる物価高騰対策や国土強靱化、防災・減災対策などを進めていくこととしておりますが、県は今後どのように対応していくのか、併せてお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私は、とちぎ未来創造プランに掲げる目指す将来像の実現に向け、本県を取り巻く課題を克服し、未来志向で持続可能な活力ある社会づくりを進めていくことが重要であると考えております。こうした考えの下、令和6年度におきましては、プランに掲げる各プロジェクトを戦略的に展開するとともに、待ったなしの課題である少子化対策として、結婚、妊娠・出産、子育ての各ライフステージに応じた切れ目ない支援のさらなる充実・強化等に取り組むほか、G7栃木県・日光男女共同参画女性活躍担当大臣会合を契機とした女性活躍の推進や、コロナ禍後における地域経済の活性化、さらには、DX、カーボンニュートラルの実現に向けた施策を積極的に推進してまいります。  これらの取組を着実に実施していくためには持続可能な財政基盤の確立が不可欠であることから、予算編成に当たりましては、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドを全庁的に推進するとともに、自主財源のさらなる充実に努めるなど、歳入歳出全般にわたり徹底した見直しを進めることで、必要な財源の確保にも取り組んでまいります。また、物価高騰等による県民生活及び県内経済への影響を最小限にとどめるとともに、県民の安全・安心を確保するため、国の総合経済対策に積極的に呼応し、現在、補正予算の編成を進めているところであり、今通常会議に追加で提出する考えであります。  今後とも、財政の健全性の確保に努めながら、県民生活における緊要な課題に適切に対応するとともに、未来に誇れる元気な栃木県の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 知事からは、令和6年度当初予算編成に対して大変力強い取組が示されました。選択と集中、費用対効果をしっかりと見極め、栃木県の未来への投資を積極的に進めていただきますよう、強く要望いたします。  既にご案内のとおり、先頃、国の令和5年度補正予算の概要が示されました。物価高騰対策や経済の成長戦略への投資、待ったなしの人口減少対策や、国民の安全・安心を確保するための国土強靱化の取組等々、いずれも喫緊の課題に即応する予算編成となっております。県としても、その執行にはスピード感を持って対応していただきますよう要望し、次の質問に移ります。  産業成長戦略について、知事にお伺いいたします。本県の2020年度1人当たり県民所得は全国で第4位、2019年度は全国で第3位と、常に全国で上位に位置しており、県内総生産に占める製造業の割合は約4割と製造業の業績が県民所得を押し上げており、ものづくり県としての発展が本県の経済成長を支えてまいりました。  県は現在、新とちぎ産業成長戦略において、優れた技術や産業の集積を強みとする自動車産業、航空宇宙産業、医療福祉機器産業を本県ものづくりの戦略3産業と位置づけ、重点的に支援を行っておりますが、さらなる本県産業の発展のためには、私は新たな産業の育成にも挑戦していく必要があると考えており、半導体産業や蓄電池産業を戦略産業に位置づけて、誘致等の取組を進めてはどうかと考えております。  半導体と蓄電池は、いわゆる経済安全保障推進法に基づく特定重要物資に指定されておりまして、11月29日に成立されました国の経済対策にも、半導体や蓄電池などの戦略物資の国内投資を後押しするための税制優遇措置や、国内に半導体の生産拠点を整備するための基金の積み増しが盛り込まれております。また、誘致に必要となる産業用地の整備につきましても、7月にいわゆる地域未来投資促進法における土地利用調整計画の指針が改定され、企業の具体的な立地計画がない段階であっても、自治体が農地転用に必要な土地利用調整手続に着手できる旨が明記されるなど、迅速な整備の促進につながる制度改正が行われており、まさに取組を進める好機を迎えていると考えます。  県が積極的に関与して、台湾の大手半導体企業であるTSMCの誘致に成功した熊本県では、2024年の稼働開始から2年間の経済波及効果は1兆8,000億円に上ると見込まれており、九州全体での半導体企業への投資拡大が見込まれております。さらに、国内では、北海道で日本政府と日本の大手企業が出資したラピダス株式会社の工場の起工が始まっているほか、宮城県には台湾の大手半導体企業PSMCとネット金融大手SBIホールディングスが共同で工場を建設することを決定いたしました。  知事のマニフェストにも政府が国内に誘致を計画する先端企業等の誘致が掲げられておりますが、本県は、首都圏から地理的優位性も高く、半導体企業等の研究機関があるつくば市にも近いなど、誘致に有利な条件を備えていることから、ものづくり県としてのさらなる発展に向け、県として積極的に取組を進めていくべきと考えております。  そこで、本県産業の持続的発展のため、新たな戦略産業に半導体産業や蓄電池産業を位置づけ、より積極的に産業成長戦略を進めていく必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。デジタル化や気候変動への対応など、企業等を取り巻く環境が大きく変化する中、本県経済が持続的に発展していくためには、優れた技術を有する企業が集積している強みを生かすとともに、成長が見込まれる新たな産業の振興を図ることが重要であります。特に、あらゆる電子機器に使用され、カーボンニュートラルデジタル化を進める上で欠かせない半導体や、自動車の電動化等に必要不可欠な蓄電池は、今後の市場拡大が期待されるとともに、経済安全保障上も極めて重要な産業であると認識していることから、県では、両産業も含め、脱炭素化を契機とした県内企業の競争力強化に向けて、技術開発支援や企業誘致等を行っているところであります。  そのような中、本年6月にキヤノン株式会社及び株式会社レゾナックによる本県内への半導体関連の投資計画が国の特定重要物資の安定供給確保に資する取組として認定されたことは、本県での大規模かつ継続的な投資や、雇用の創出等による地域経済の活性化につながるものと大いに期待しております。  こうした動きを県内に波及させていくため、引き続き、世界の動きや国の動向の把握等に努めながら、技術力向上や生産能力強化に向けた支援、他分野からの参入促進、関連企業の誘致などを積極的に実施していくとともに、現在、取りまとめている特定重要物資に関わる県内企業の実態調査の結果も踏まえ、新たな成長産業の集積等に向け、取組方針を検討してまいります。  今後とも、時代の潮流を的確に捉え、国や産業界とも十分に連携を図りながら、半導体や蓄電池産業等、本県における新たな成長産業の振興に全力で取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) ここで知事に再質問いたします。先ほど国の補正予算にも触れさせていただきましたが、本予算では、半導体支援に約1兆9,000億円を盛り込むなど、経済安全保障の観点からも最重要戦略と位置づけ、次世代半導体のサプライチェーン供給網の強靱化を進め、国内への投資を促進するとしています。さらに、メード・イン・ジャパン、国内製の半導体の研究、生産拡大は、国の国益をかけた最重要国策であるため、この分野の環境整備は、ここ数年急速に進展することは疑う余地もありません。  本県の年間工業出荷額は約8兆5,000億円程度、他方、熊本県菊陽町に進出したTSMCたった1社で2年間で1兆8,000億円の経済効果が見込まれており、加えて、半導体や蓄電池産業の組成状況は、シリコンウエハーなどの素材産業から、洗浄装置など装置基盤産業まで産業構成の裾野が広いことが特徴であり、その経済の波及効果は計り知れないものがあり、既に多くの関連企業が立地を進めていると聞いております。  幸い、本県の製造業構成には、さきに示した素材や装置の関連産業が120社と集積化されており、まさにうってつけの誘致環境と言えます。さらに、先ほど本質問でも示しました筑波研究学園都市の半導体研究施設や、北米向けの輸出港の拠点となる常陸那珂港の存在など、本県の立地状況を鑑み、半導体や蓄電池といった次世代型先端戦略産業の誘致と環境整備に取り組まない理由などは全くないと考えますが、いかがでしょうか。  この誘致戦略の決断は、本県の未来をかたどる大切なキーワードであります。いま一度、戦略的取組の方針やその熱意について、知事のお考えをお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。半導体や蓄電池をはじめ、今後の市場拡大が期待できる産業を本県に積極的に呼び込むため、これまで地元金融機関などと連携をしながら、台湾の第3の半導体受託製造企業PSMCなど、複数の半導体関連企業を訪問しまして、栃木県の優れた立地環境についてPR、誘致活動を行ってまいりました。さらに、半導体など今後成長が期待される分野に投資を行う企業に対しまして、補助率のかさ上げ、上乗せを行うなど、優遇制度の充実にも取り組んだところであり、今後とも、経済安全保障の確保に向けた国の施策等に適切に呼応し、戦略的な企業誘致活動を展開しながら、1社でも多くの成長産業企業の立地につなげてまいりたいと思います。  こうした成長産業を積極的に振興していくことは、本県の経済発展や産業発展に必要不可欠であります。国や市場動向に対応した施策の充実を図るなど、成長産業の集積等に向け、戦略的に取り組んでまいりたいと思います。  なお、熊本県に立地しましたTSMCですけれども、当初は茨城県に立地することで、茨城県としては多額の補助を用意して準備したと。結果として熊本県に進出を決定したという経緯があります。AIチャットに、今日、なぜ茨城県ではなくて熊本県だったのかと聞きましたら、チャットGPT、AIチャットは、地震リスク、それから人材確保、さらには物流の体制、これが熊本県立地の決め手になったのではないかという答えが返ってきました。私は少し違うのではないのかと思いました。東京電力と九州電力では、電気料金に大幅な違いがあります。水と電気を大量に使うわけですから、企業としては、利益を高めるためには電気料金あるいは水道料金が安いところがいいに決まっているわけでございまして、そういうことも総合的に勘案して、茨城県の立地を諦めて、熊本県へ移ったという経緯があるのではないかと。  先ほど申し上げました第3の受託企業、PSMCですけれども、これは栃木県もセールスをいたしまして、検討の候補地に選ばれました。しかし、最終的に仙台市に拠点を決めたと。では、仙台市と栃木県の違いは何だ、工業用水の価格がトン当たり10円以上違うと。このようなことから、電気料金や工業用水道料金、工業用水の単価、様々な状況を勘案しながら、東京都に近いことは外国企業は全く関係ないことでございますので、企業立地につきましては、海外企業が求める要素をどのように整えるかということが、県としてこれから考えていくべき課題ではないかと思っております。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 非常に知事の思いが籠もったご発言がありました。実は、我々とちぎ自民党議員会では、先頃福岡県の半導体産業振興に向けた取組について調査研究を行いました。県が主導的役割を果たしながら、企業、国の所管庁、関係自治体を巻き込んで、オール福岡で時代の潮流をつかみ取ろうとしています。この後、我が会派の横田誠議員からその状況についてもお示しいただけるものと思いますが、ぜひ福田知事の英断で、本県にとってのこの好機をしっかりつかみ取っていただきますよう要望し、次の質問に入ります。
     災害に強い栃木の実現について、知事にお伺いいたします。くしくも今年は関東大震災から100年目を迎える大きな節目の年でもあります。最近では、首都直下地震や南海トラフ地震がいつ起こってもおかしくない状況であると報じられ、加えて、地球温暖化、気候変動の影響を受けて、全国各地で100年に一度と言われるような豪雨災害が頻発化、激甚化する中で、県民の命を守り、財産を守っていくことは本県最大の役割であり、災害に強い栃木の実現に向けて取組を進めていくことは急務と考えております。組織編成によるこのたびの危機管理防災局の新設は、そのような意味で、まさに時宜を得たものであり、知事の英断を高く評価するものであります。  本県の危機事象への対応体制については非常に重要な問題であることから、私は昨年の9月通常会議でも質問しており、その際の答弁では、本県の災害対応力強化のために、拠点施設となる総合防災拠点の整備に向けて準備を進めるとのことでありました。整備をされる総合防災拠点については、栃木県地域防災計画において、各地域に設置される広域災害対策活動拠点や地域災害対策活動拠点、災害拠点病院、広域物資拠点、市町に設置される地域物資拠点などと連携し、補完し合いながら、災害に強い栃木の実現に向けて、その役割を果たしていくことが示されております。  しかし、私は、県民にはその全体像が見えにくく、広大な県土を、たった1か所の総合防災拠点を整備したからといって、果たして守っていけるものなのか、疑問や不安を抱いている県民も非常に多いと考えており、早急に全体像を示して理解を得ていく必要があると考えております。また、広域災害対策活動拠点に指定されている道の駅や都市公園の設備は、総合防災拠点と比較すると、あまりにも脆弱であることから、県内全体が被災する大災害が起きたとき、本当に県内の全域をカバーできるのか私自身も不安を抱いており、総合防災拠点の設置と並行して、広域災害対策活動拠点等の機能強化にも迅速に取り組んでいくことが重要と考えております。  そこで、総合防災拠点の全体像について、地域の災害対策活動拠点との連携等も含めて県民に示していく必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  また、総合防災拠点の整備に加え、広域災害対策活動拠点等の機能強化や、総合防災拠点との連携体制の強化にどのように取り組んでいくのか、併せてお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。大規模災害発生時におきましては、国や他の都道府県からの人的・物的支援を迅速に受け入れ、円滑に被災地支援につなげていくことが重要であります。そのため、県では災害時の被災地支援と平時の学習、教育の機能を兼ね備えた総合防災拠点として県総合運動公園を指定するとともに、各地域に配置した15か所の広域災害対策活動拠点をはじめとした防災拠点との連携体制や役割分担についても整理を行ったところであります。  今後、救援物資の避難所への輸送や応援部隊の被災地への展開など、総合防災拠点を中心とした被災地の支援体制について県民の皆様にご理解いただけるよう、県ホームページへの掲載のほか、県総合防災訓練や各種防災イベントなどの機会を活用し、広く周知を図ってまいります。  また、各防災拠点につきましては、災害時に効果的に機能するよう、建物の耐震化や非常用電源の設置、防災行政無線の整備等を進めてきたほか、防災関係機関と連携した図上訓練や、市町職員等を対象とした救援物資輸送の研修会を行ってきたところであります。訓練等において明らかになった課題を検証しながら、各防災拠点の機能強化や総合防災拠点との連携体制の強化を図ってまいります。  今後とも、市町や防災関係機関等と緊密な連携を図りながら、大規模災害への対応力強化を図り、全ての県民が安全に安心して暮らすことのできる、災害に強い栃木の実現に向けて取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 東日本大震災、平成27年関東・東北豪雨、令和元年東日本台風と度重なる災害を経験し、その都度、困難な局面から復旧・復興を成し遂げてきた本県が、それらの経験を生かし、常日頃から有事に対する備えを持つことは、栃木県自体の防災力を高めるだけではなくて、本県の魅力と価値そのものを高めることにつながると考えております。  防災の視点から見た本県の役割は、県民の命と暮らしを守るだけにとどまらず、首都直下地震や南海トラフ地震のバックアップ機能や被災難民の受皿としての役割も求められることから、その自覚を持ち、責任をしっかりと果たしていかなくてはなりません。本県総ぐるみで災害に強い栃木づくりに邁進していただきますことを要望し、次の質問に移ります。  本県の教育のあるべき姿について、教育長にお伺いいたします。私は、教育の本質については、変えてはならない不易の部分と、時代に応じて変えていくべき流行の部分があると考えております。そして、不易の部分とは、本県の教育のあるべき姿が挙げられると考えており、本県の教育行政を預かる教育長には、本県の未来を担う子供たちをどのように導いていくのか、本県の教育のあるべき姿について、揺るぎない不変の明確なビジョンを持った上で、それをよりどころとして、子供たちが将来に希望を持って学べる環境をつくっていく責務があると考えております。  しかし、本県では、毎年度、猫の目のように変わる関係法令や制度に振り回されるかのように、変えてはならないそのよりどころまでもが、時代や流行に流され変わってしまっているように思えてなりません。  第三期県立高等学校再編計画において統合の方針が示されている職業系高校の専門性の維持・確保や、教育と福祉の連携を含めた特別支援学校の教育の充実など、最近の教育委員会を取り巻く諸課題については、県民の皆様からも多くの意見が寄せられておりますが、不変の揺るがないよりどころがあれば、ここまで大きな問題とならず解決できたのではないかと考えております。栃木県に生まれた子供たちをどのように育て、成長させようとしているのか、その姿を明確に示して、あるべき姿として本県教育の柱に据えることが、子供たちの未来に責任を持つということであり、少子化の推移を意識するあまり、公立学校と私立学校で子供の奪い合いになってはいないか、私立学校とは異なる公立学校としての役割も十分に踏まえた上で再検討し、明確なビジョンを持った上で教育行政を推進していく必要があると考えております。  そこで、本県教育のあるべき姿についてどのように考え、それを踏まえ、今後どのように教育行政のより一層の推進を図っていこうとしているか、本県の教育行政の責任者である教育長にお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 阿久澤真理教育長。    (阿久澤真理教育長登壇) ◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。教育におきましては、知、徳、体、バランスの取れた力の育成を図るとともに、社会の形成者として主体的に行動できる力を育むことが基本的な理念として重要であります。このため、生涯にわたる学びの基礎となる確かな学力の醸成や、道徳教育などを通した豊かな人間性の涵養、健やかな体の育成などを教育の基本的な施策と位置づけております。さらに、学校、家庭、地域の連携の下、子供たちを多様な他者とつなげ、協働して物事を成し遂げるなど、学校や地域における様々な体験を通して、未来社会の主体的な作り手としての資質・能力を育成することにも取り組んでおります。  今後とも、教育本来の基本理念を常に念頭に置きながら、人こそが社会の原動力であるという信念の下、どのような時代にあっても子供たちが自らの未来を自らの力で切り開くことができるよう、教育を支える全ての関係者としっかりと連携し、栃木県の教育のさらなる向上に努めてまいります。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 物事は、自身のよって立つところが曖昧ですと、進んでいく方向性も定まらず、その結果もよい結果は得られません。まさに教育は、我々大人がその姿を指し示し、子供たちの未来をしっかりつくっていく、その責任を果たすことだと考えております。阿久澤教育長には、数々の難題を抱えて大変ご苦労も多いこととは存じますが、阿久澤教育長だからできる教育の本質改革をぜひ不退転の決意を持って取り組まれるよう、強く要望させていただきます。  次の質問に移ります。頼れる警察づくりについて、警察本部長にお伺いいたします。2022年10月に警察庁が実施した治安に関するアンケート調査の実施結果によりますと、ここ10年で日本の治安は悪化したと回答した人は67.1%に上り、犯罪認知件数などの統計に現れない主観的な治安である、いわゆる体感治安は悪化している状況にあり、年々複雑化、多様化していく犯罪への人々の不安が如実に表れている結果となっていると思います。  また、今年上半期に全国の警察が認知した刑法犯の件数は20年ぶりに増加いたしました。世の中を震撼させた広域強盗団のルフィ事件のような、SNS上でつながり、実行犯となる闇バイトの募集を行う集団である匿名・流動型犯罪グループによる窃盗事件や強盗事件など、新たな犯罪とも言える事案も増加していることから、警察庁も統計的な指標の動向以上に、体感治安のさらなる悪化が懸念されるとしています。  本県の状況を県政世論調査の結果で見ると、体感治安は幸いにして全国と比較すると悪化していない状況にはあります。しかし、私のもとには県民からの高度化する犯罪への不安の声が多く寄せられており、県警察には、新たな局面を迎えた犯罪情勢を的確に踏まえた上で、難しい事案にも適切に対応できるよう、県民から頼られる警察としてのあるべき姿をしっかりと描いた上で警察力を強化していくことが今まで以上に求められていると考えております。  そして、そのためには、県民からの通報や相談にいつでも迅速に対応できる体制の充実・強化を図っていくことが非常に重要と考えますが、私は、地域の駐在所や交番を統廃合している現在の流れが、財政的、効率的な時代背景を優先するあまり、体制の弱体化につながるのではないかと危惧しております。県民にとって身近な駐在所や交番の存在が県民の体感治安を確保していたということは否めない事実であり、統合された交番等が様々な事案に対応できるよう、十分な相談・支援体制の整備や、犯罪に機動的に対応できる人員の増員を図るなどし、県民に対して、駐在所や交番が減っても地域の安全・安心は警察がしっかりと守っていけるという姿を見せていく必要があるのではないでしょうか。  また、警察力の基盤を強化していくためには、人材の確保に加え、十分な資機材の確保や、捜査力向上のための研修の機会の提供、科学捜査研究所などの設備のより一層の充実にも取り組んでいく必要があると考えております。  そこで、新たな局面を迎えた犯罪治安情勢に機動的、即応的に対応でき得る、県民から頼られる警察のあるべき姿についてどのように考え、また、人員や財源の確保も含め、頼れる警察づくりに具体的にどのように取り組んでいくのか、警察本部長にお伺いいたします。 ○佐藤良 議長 難波健太警察本部長。    (難波健太警察本部長登壇) ◎難波健太 警察本部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県警察のあるべき姿といたしましては、業務運営に当たっての基本姿勢を、誠実、仁愛、強靱といたしまして、その目標を「安全で安心な“とちぎ”の実現」と定めているところでございます。  近年、国の内外では、人口減少、少子高齢化、情報通信技術の発展とサイバー空間の拡大、経済安全保障等の諸要素が治安に多大な影響を与え、治安課題は複雑化しております。これに対処するため、県警察では、情勢と現状の俯瞰的な分析、リソースの再配分などによりまして、警察組織全体の最適化を図っており、必要な装備資機材の充実や、サイバー犯罪対策の強化に努めているところでございます。また、交番、駐在所の再編では、該当する地域の警察力を維持するため、必要な人員の確保や本部執行隊の活用などに取り組んでいるところでございます。  引き続き、安全で安心な栃木県の実現に向けまして、関係機関・団体との連携も強化し、県民の期待と信頼に応えられるよう取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 日向野義幸議員。    (35番 日向野義幸議員登壇) ◆35番(日向野義幸議員) 警察本部長からは、頼れる警察づくりに向けて、大変力強い取組の決意をお伺いすることができました。  県民は、身近な交番や駐在所が統廃合されることによって、警察との距離感から不安感を抱き、その不安感が増幅することによって体感治安が悪化し、その結果、警察そのものに対する信頼まで失われてしまわないように、警察の総合力の姿を広く県民に示す必要があると考えております。一人一人の警察官は、十分な資機材の支給を受けなくても、警察官の誇りと使命感を持って、日々県民の暮らしと命を守っています。その警察官の思いを無駄にせぬよう、警察力の基盤強化と体制の整備充実をさらに進めていただきますよう要望させていただきます。  さて、今回の代表質問では、物事の本質論をただしてまいりました。行政運営、行政経営の柱となるものは何か、社会の潮流を受けて大胆に変革すべきものは何か、不易と流行という視点の中で、何を残し、何を変えていくべきか、時代の転換期を迎えるに当たり、その柱となる基本的事項について論ずることができました。  我々とちぎ自民党議員会は、そのときそのときのブームのように振り回されるのではなく、しっかりとした意思と信念を持って時代を切り開いていく改革者でありたいと願い、私の全ての質問を終わります。 ○佐藤良 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午前11時10分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は49名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前11時25分 開議 ○関谷暢之 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) 民主市民クラブの中屋大でございます。私は10月24日から29日まで、栃木県議会議員海外行政調査団の一員として、初めてオーストラリアでの海外行政調査に参加させていただきました。オーストラリアでは先進的な取組を学び、大変貴重な経験をさせていただきました。本日は、オーストラリアで調査してきたカーボンニュートラルや多文化共生の先進的事例などを参考にした質問を中心に行います。執行部の皆様には前向きな答弁を期待し、質問に入ります。  まず初めに、多文化共生に対応した環境の整備についての質問のうち、日本語指導を要する外国人児童生徒への日本語教育の充実について、教育長に伺います。出入国在留管理庁の調査によると、日本に在留する外国人は、令和5年6月末現在、約322万人となり、前年末から4.8%増加し、過去最高となりました。本県でも、令和元年末4万3,732人、令和4年末4万5,918人、令和5年6月末4万8,430人と年々増加しております。  私は今年度の海外行政調査でオーストラリアを訪問しましたが、同国は特に移民が多く多文化共生社会が進んでおり、ニューサウスウェールズ州立学校において、オーストラリアの公用語である英語が話せない子供たちの教育について調査しました。オーストラリアにおいては、英語の習熟が必要不可欠であることから、同校は、高校への準備プログラムとして、生徒各自の言語のニーズと入学時の英語の水準によって、10週から50週間にわたって英語を学ぶカリキュラムを提供しています。毎週入学することができ、1学級の定員は18名、学年別だけでなく英語の習熟度によってクラス分けされており、英語の水準が低い学級にはサポートの教員も配置されます。また、同校では、全く英語が話せない生徒でも、短期集中で、かつ、段階的に英語を習得できるカリキュラムが確立されているとともに、生徒の心のケアに対応する支援体制も充実しています。  私は、在留外国人が増加している本県においても、日本語指導を要する外国人児童生徒に対して、日本語を重点的に指導し、児童生徒が安心して学校になじめるような支援体制が必要であると考えます。  そこで、多文化共生に対応する観点から、どのように日本語指導を要する外国人児童生徒に対する日本語教育の充実を図っていくのか、教育長に伺います。 ○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。    (阿久澤真理教育長登壇) ◎阿久澤真理 教育長 ただいまの中屋大議員のご質問にお答えいたします。外国人児童生徒に対する教育の充実を図るためには、日本語指導が必要な児童生徒への支援体制を構築していくことが重要であります。このため、県教育委員会では、外国人児童生徒の受入れの中心となる学校に日本語指導を行う教員を配置するとともに、市町の実情に応じて、対象児童生徒の母語が分かる支援員を派遣するなどの取組を推進してまいりました。また、今年度からは、4校の県立高校に日本語指導の支援員を配置しましたほか、小中学校における個別の指導計画に基づく支援のノウハウを高等学校の指導にも生かすなど、それぞれの学校間のつながりを重視した指導、支援を行っております。  今後とも、異文化理解の促進や共生社会の実現に向け、外国人児童生徒が学校生活への適応を図り、安心して学習に取り組むことができるよう、市町教育委員会と連携し、学校における支援体制の充実に努めてまいります。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) ただいま教育長に答弁いただきました。小中学校の中心となる学校に教員の配置や、県立高校4校で様々な取組を行っていることは分かりましたが、再質問させていただきます。  日本学術会議の分科会が2020年8月にまとめた提言では、外国人生徒の高校進学率が60%台にとどまっていると推計されております。外国人生徒の高校進学率が低い理由として、日本語で日常会話が十分にできない、または、日常会話ができても授業に使う日本語の力が不足し勉強についていけないなどの理由が挙げられます。  ニューサウスウェールズ州立学校では、学校となる前はセンターとして運営されておりました。いきなり学校を整備することは難しいと思いますが、今後増えていくであろう外国人児童生徒の教育機会の格差を打破するためにも、県として集中して日本語教育を行うセンターなどを整備する必要性があると考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。 ○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。 ◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。県内の市町におきましても、外国人の児童生徒が多い市町におきましては、集中的に一定期間を限って、特定の場所で日本語を学ぶ、生活指導を学ぶような制度を持っている市もございます。ほかには、市町における子供の数に応じて、どういうやり方が一番効果的で効率的なのか、1か所に集めることのメリットばかりではなくて、拠点校で行う、またはそれぞれの教室の中で行う、そのような様々な方式を併用しながら、地域の子供にとって一番いい形をこれからも模索していきたいと思います。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) ただいま答弁いただきまして、今の時代ですので、集中的に日本語を教えている学校があるのであれば、外国人が多い地域でないところにも外国人の児童生徒はいると思いますので、オンラインを活用したりしながら何かもう一歩、やはり外国人と日本人の教育格差があってはいけないと考えておりますので、取組をお願いしたいと思います。  もう1点再質問させていただきます。今度は日本語指導が必要な高校生なのですが、文部科学省の調査によると、高校生全体に比べて中途退学率や卒業後の非正規雇用率が高く、また、大学等への進学率が低いという状況が明らかになっております。  令和4年3月には学校教育法施行規則が改正され、令和5年4月から高等学校等における生徒の日本語の能力に応じた特別の教育課程による指導が可能となっております。高等学校において、日本語指導が必要な生徒に対する特別の教育課程の編成、実施について今後どのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。 ○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。 ◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。高校における外国人の生徒数というのは、やはり学校による違いがかなり大きくあります。たくさん子供が在籍する学校もあれば、少ない学校もあります。そのような中で、その学校ごとに、また、子供の能力によって一番適した形を探していくということになります。先ほどご答弁させていただきましたように、高校には今年から4校に日本語指導の教員を配置したところでありますけれども、その形をこれからどういう形で発展させていくのかも含めて、様々対応策について検討してまいりたいと思います。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) 今の答弁にあったとおり、今後しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  外国人児童生徒の教育の保障、質の高い教育の提供は、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標SDGsの考え方である誰一人取り残さない社会の実現、そして、SDGs4の質の高い教育をみんなにの達成に向け不可欠でございます。SDGsの達成に向け、教育機会に差が生まれている現状を打破していく必要性があります。外国人児童生徒を取り巻く教育課題の解決に今後も全力で取り組んでいただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。  外国人に対する日本語能力向上等の支援について、生活文化スポーツ部長にお伺いいたします。急速に進む少子高齢化や人口減少社会という新たな局面に直面する日本において最も懸念されていることの一つが、労働力不足です。今後、本県でも地域の活力を維持していくためには、外国人住民の受入れ環境を整備し、多文化共生社会の推進を図っていくことが必要であると考えます。しかしながら、外国人は日本に来て言葉の壁にぶつかることも多く、例えば新型コロナウイルス感染症の感染拡大時において、多くの外国人は日本語を習得する機会や日本の習慣、社会制度を学ぶ機会が十分ではなく、また、必要な情報をどこで入手できるのか分からないため情報を容易に入手できないことなど、生活、仕事等、様々な場面において困難な状況があったと聞いております。このような現状からすると、外国人との共生社会の実現に向けた取組を推進していくことが喫緊の課題であると考えます。  そのような中、栃木県における地域日本語教育の推進に関する基本的な方針では、9市町が日本語教室の空白地域となっており、日本語を学びたい外国人が日本語教育を受けられない可能性があることが課題の一つとして挙げられています。  そこで、地域における外国人住民に対する生活に必要な日本語能力向上をはじめとした支援についてどのように進めていくのか、また、日本語教室の空白地域となっている9市町に対し、県としてどのように支援していくのか、生活文化スポーツ部長にお伺いいたします。 ○関谷暢之 副議長 野原恵美子生活文化スポーツ部長。    (野原恵美子生活文化スポーツ部長登壇) ◎野原恵美子 生活文化スポーツ部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県に居住する外国人住民が生活する上で必要な日本語能力や日本の習慣を身につけ、安心して暮らしていけますよう、地域における日本語教育の体制づくりが重要であります。このため、県では、公益財団法人栃木県国際交流協会に地域日本語教育コーディネーターを配置し、市町や日本語教室などからの相談に対応いたしますとともに、日本語学習支援を担う人材の育成に取り組みますほか、今年度からは外国人を雇用する企業向けの研修を開始したところであります。  また、日本語教室の空白地域の解消に向けましては、引き続き、課題の把握や情報提供に努めますとともに、空白地域をはじめ、日本語教室に通うことが困難な外国人の学習機会を確保するため、学習支援者及び外国人学習者の双方に対して、オンラインによる日本語学習手法の習得について支援を進めております。  今後とも、市町及び国際交流協会等の関係機関から成る栃木県地域日本語教育連携調整会議を活用しながら、地域日本語教育の充実を図りまして、多文化共生の推進に積極的に取り組んでまいります。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) 生活文化スポーツ部長から答弁いただきました。公益財団法人栃木県国際交流協会にコーディネーターを配置したり、企業向け研修会であったり、オンラインを活用して、様々な取組をしている状況ということは分かりました。やはり今の時代なので、オンラインを活用することは大変いいことだと思うのですが、日本語教室を行っている日を見ると、オンラインを活用するのであれば、全県的に全ての曜日の午前、午後であるとか、やはり仕事をしている人が多いので夕方に集中してくるとは思うのですが、毎日外国人が日本語を学習できるようなオンラインを活用した環境整備に今後しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  本当に働き手不足がうたわれる今、外国人労働者の力が今後ますます重要になってくると思っております。ただ、外国人からは、やはり言葉の壁で就職が難しいという声も聞いております。今後は、円安の問題などで他の国のほうが賃金が高い状況で、日本が選ばれにくくなってくるかもしれない状況でございます。今、社会全体で努力する必要があると考えております。外国人住民の受入れ環境を今後もしっかりと整備し、多文化共生社会の推進をさらに図っていただくことを要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。  カーボンニュートラル実現に向けた環境施策についてのうち、地域脱炭素化に向けた先行モデルの構築について、環境森林部長にお伺いいたします。海外行政調査で訪問したオーストラリアのシドニー市では、2021年に環境戦略を策定し、2030年までに温室効果ガス排出量を2006年比で70%削減、さらに2035年までにカーボンニュートラル達成、また、2030年までに電力需要の50%を再生可能エネルギーで賄うという高い目標を掲げ、各種施策に取り組んでおります。  現地で視察したグリーンスクエアは、東京ドーム約60個分に相当する278ヘクタールの大規模再開発エリアであり、革新的でありながら、環境に配慮した持続可能な都市デザインを採用し、都心部の伝統と魅力を再生し、住みやすく、働きやすく、観光にも最適な場所を目指しております。グリーンスクエアでは、公共建造物には太陽光パネルを設置し、各建物は送電網でつながり、余剰電力を地区内の建物間で融通できるほか、蓄電池も備えられ、発生した余剰電力はシドニー市内のほかの地区にも供給されます。さらには、移動手段として、温室効果ガス排出抑制の観点から電車、自転車の利用を奨励しており、さらなる環境負荷軽減を図るため、LRTの敷設も計画されているそうです。これほど大規模な開発を本県にそのまま適用することは難しいと考えますが、私は、このような、エリアを決めて環境に配慮したモデル地区などを設定し、集中的にカーボンニュートラル実現に向けた施策を進める手法は有効であると考えます。  県内においても、地域単位でカーボンニュートラルを実現する脱炭素先行地域の創出に取り組んでいるところであり、宇都宮市、日光市、那須塩原市の3か所が脱炭素先行地域に選定されております。私は、こうした脱炭素先行地域の創出を契機として、それぞれの市町の中で地域の実情に合ったモデル地域をつくり、そこから市町全域に脱炭素化の取組を広げていくべきではないかと考えております。  そこで、2050年カーボンニュートラル実現に向け、今後どのように市町の脱炭素化を進めていくのか、環境森林部長の所見をお伺いいたします。 ○関谷暢之 副議長 小野寺一行環境森林部長。    (小野寺一行環境森林部長登壇) ◎小野寺一行 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。地域脱炭素化を推進していくためには、地域特性に応じたモデル地域を創出し、その取組を波及させていくことが重要であると考えております。このため、県では、とちぎ脱炭素先行地域創出プロジェクトアクションプランにおいて、2025年度までに国の脱炭素先行地域を少なくとも4か所創出し、2030年度までに全市町が具体的な脱炭素の取組に着手することを目標に掲げたところであります。これまでに市町が策定する脱炭素先行地域に係る事業計画への支援や、県と市町で構成する協議会において情報共有等に努めてきた結果、3地域が脱炭素先行地域に選出されるとともに、18市町がゼロカーボンシティを宣言するなど、市町における脱炭素化への取組が着実に進められてきたところであります。今後は、こうした取組を加速化し、県全域に広げていくため、先行地域創出で培ったノウハウを取りまとめた手引の活用や専門人材の派遣など、市町の実情や取組段階に応じた支援を行ってまいります。
     引き続き、市町と緊密に連携しながら、地域脱炭素化の推進に積極的に取り組んでまいります。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) ただいま環境森林部長から答弁をいただきました。県の支援によって、3か所の先行地域創出であったり、また、2025年までには今ある3か所を4か所に、そして、2030年までには25市町全部で具体的な取組を進めていくというような内容の答弁をいただきました。  ただ、今現在、具体的な取組をしているのが3市となっておりまして、具体的な取組の検討をしているのが1市でございます。いわゆる地球温暖化対策推進法に基づく地球温暖化対策実行計画を策定済みが9市町で、ゼロカーボンシティの宣言を行っているのが4市町、そして、まだ行えていない部分で8市町あるのが現状で、今でも各市町によって少し格差が開いてきているような状況となっておりますが、その格差是正に県として今後どのように取り組もうと思っているのか、環境森林部長に再質問させていただきます。 ○関谷暢之 副議長 小野寺一行環境森林部長。 ◎小野寺一行 環境森林部長 再質問にお答えいたします。全市町が脱炭素の取組に向けて着手地するためには段階がございまして、ゼロカーボンシティの宣言から、地球温暖化対策推進法に基づく区域施策編の実行計画の策定、あるいは、検討から具体的な着手という段階がありまして、現在、中屋大議員ご指摘のとおり、それぞれの段階にとどまっている市町がございます。こういった市町を後押しするために、県としますと、県と市町で構成する協議会を通じて、他の市町の取組の現在の状況を情報共有する、また、必要に応じて助言するほか、先ほど答弁いたしましたように、専門人材の派遣を通じて、市町の具体的実情であったり、取組段階に応じた支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) 2030年に25市町がしっかりと具体的な取組に着手できるよう様々な角度から、現状、どう進めていいか分からない市町も多分あると思いますので、その辺りはやはり先進事例であったり、そのような部分を県がしっかりサポートして前に進めていただきたいと思います。2030年までは残すところあと6年しかない中でございますので、行政が掲げている目標達成ができないと、民間で本当にカーボンニュートラルに対する意識が上がるのかと考えたところ、難しい部分もございますので、ぜひ県庁が率先し、市町と連携を取りながら、カーボンニュートラルの実現に向け、今後も全力で取り組んでいただくことを要望させていただきたいと思います。  続きまして、公共施設のZEB化について、環境森林部長にお伺いいたします。  シドニー・グリーンスクエアでは、エリア全体でカーボンニュートラルを目指しており、当該街区の建築物については、オーストラリアのグリーンビルディング認証であるグリーンスター認証取得コミュニティになることを目指して、計画、建設が進められています。  県では、2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップにおいて、建築物のゼロエネルギー化、いわゆるZEB化の推進を業務分野における主な取組の柱に位置づけております。私は、エアコンの温度を28度に設定するなど脱炭素の取組を我慢しながら進めるのではなく、ZEBのように快適性を確保しながら脱炭素に資するといったメリットを発信していくことも重要であると考えております。  そこで、民間事業者の取組を促すためにも、公共施設においてZEB化を推進していくべきと考えますが、現在の進捗と課題について、環境森林部長にお伺いいたします。 ○関谷暢之 副議長 小野寺一行環境森林部長。    (小野寺一行環境森林部長登壇) ◎小野寺一行 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。建築物のZEB化は、二酸化炭素の排出削減はもとより、快適性の向上や光熱費の削減、災害等へのレジリエンス強化など、様々な効果が期待できる取組であると考えております。このため、県では本年3月に策定したとちぎ県庁ゼロカーボンプロジェクトアクションプランにおいて、県が率先して行う脱炭素の取組の一つとして、新たに整備する県有施設については、計画段階から関係各課が連携しZEB化に向けた調整をすることといたしました。今後、対象施設ごとにZEB化によるメリットや費用対効果等を十分に検討し、可能と判断された施設については、順次ZEB化を目指してまいります。また、その過程で得られた知見等につきましては、適宜市町と共有するとともに、事業者等に広く情報発信し、市町や民間施設のZEB化を促進してまいる考えであります。  引き続き、カーボンニュートラルの実現に向け、公共施設をはじめ建築物のZEB化を積極的に推進してまいります。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) 今、答弁にあったとおり、民間企業に対して、そのような部分でもしっかりと、まずは県で率先して取り組むとともに、発信もしっかりと行っていっていただきたいと思います。  ここで経営管理部長に再質問させていただきます。先ほど答弁にもあったとおり、公共施設を多数所有する地方公共団体においては、建物におけるエネルギー消費量を大きく削減できる公共施設のZEB化は喫緊の課題となっております。とちぎ県庁ゼロカーボンプロジェクトアクションプランにその他の取組として、新たに整備する県有施設はZEB化を推進していくとしておりますが、多くの公共施設の中で、新たに更新する施設だけでなく、今までできている施設でZEB化ができていない施設というのは多数ある部分でございまして、栃木県公共施設等総合管理基本方針の中に「『栃木県気候変動対策推進計画』及び『2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ』を踏まえ、カーボンニュートラルの実現や気候変動への適応に向けた取組を推進」という記載がありますことから、具体的にどのような取組を行っていくのか、経営管理部長にお伺いいたします。 ○関谷暢之 副議長 仲山信之経営管理部長。 ◎仲山信之 経営管理部長 再質問にお答えいたします。県では、公共施設の修繕・更新等に当たりまして、できる限り温室効果ガス排出量の削減を図りますため、昨年の2月に公共施設等総合管理基本方針におきまして、気候変動対策推進の方針を新たに盛り込みまして、具体的な取組については、施設類型ごとの個別計画の中で定めることといたしました。このうち、県庁舎等の県有施設につきましては、個別計画であります栃木県県有財産総合利活用推進計画におきまして、省エネルギー設備の導入や、化石燃料を使用する設備の転換を図ることといたしまして、具体的には、長寿命化工事に当たり、空調設備の高効率化や、重油等使用設備のガス化、電気化等に取り組みますほか、庁舎の照明等につきまして、随時LED化を進めているところでございます。  今後、各個別計画の進捗状況を確認するとともに、関係部局と緊密に連携を図りながら、とちぎ県庁ゼロカーボンプロジェクトに位置づけられました取組につきまして、着実に推進してまいります。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) ただいま答弁いただきまして、今後、空調の高効率化や、照明のLED化の部分に取り組んでいくということでございます。そういった具体的な部分というのも、できれば施設類型ごとに個別に計画していくのではなく、上位計画である栃木県公共施設等総合管理基本方針にある一定程度、例えば断熱化であればこのようなことをするなど、一応明記していただきたいと思います。  公共施設、特に箱物の中では、約4割を占める学校施設を教育委員会が管理していて、なかなか更新がなく、今後、大規模修繕等を通して80年間使用していく計画となっていることと思います。修繕等はまだZEB化というところまでは踏み込めていないかもしれませんが、そういった部分を今後、教育委員会としてもしっかりと取り組んでいただくことを要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。  オーストラリアに向けたインバウンド誘客の推進について、産業労働観光部長にお伺いいたします。先日の海外行政調査で訪問したCLAIR(自治体国際化協会)シドニー事務所で聞いたところ、オーストラリアから日本への旅行者数は、2011年16万2,578人から2019年62万1,771人へと約4倍に増加し、コロナ禍明けの本年も1月から9月までで40万1,900人と多くの方が日本へ旅行に来ています。また、2019年のオーストラリア人は、1人当たり旅行支出額が約24万8,000円で全市場中第1位、滞在日数は平均5.5日に対し9.8日であり、消費額が高く、滞在期間が長い特徴があると言えます。  さらに、日本から見た世界の姉妹都市数は、2023年時点で1,810自治体あり、アメリカ、中国、韓国に続いて、オーストラリアは4番目の相手国となります。また、オーストラリアから見た姉妹都市数では日本が一番多く、本県では、小山市、鹿沼市、真岡市が姉妹都市等を提携するなど、交流が盛んであります。私自身もオーストラリアを訪問し、旅行や余暇を楽しみ、日本に親しみを持っている国民性を肌で感じ、誘客に望ましい国であると実感しました。  県は令和3年3月に策定したとちぎ国際戦略において、外国人観光客の誘客促進に関し、情報発信、観光誘客を実施する対象国、地域について、オーストラリアは誘客拡大の可能性を探るステージに分類しています。私は、インバウンド観光消費額の拡大を図ることで、県内観光業の振興につなげていくため、さきに述べたとおり、旅行に意欲的で日本に親しみのあるオーストラリア人の誘客は非常に有効だと考えております。  そこで、オーストラリア人のトレンドやニーズに合わせたプロモーションなどを積極的に展開し、オーストラリアに向けたインバウンド誘客を推進していくべきと考えますが、産業労働観光部長の所見をお伺いいたします。 ○関谷暢之 副議長 石井陽子産業労働観光部長。    (石井陽子産業労働観光部長登壇) ◎石井陽子 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。オーストラリアは、コロナ禍前の宿泊数が欧米及びオーストラリアの中で2番目に多かったことなどから、とちぎ国際戦略におきまして、「探る」ステージに位置づけており、来県者のさらなる増加が期待できる、将来有望な市場と考えております。このため、これまでも同国に対し、ユーチューブを活用した広告配信等により認知度の向上に努めてまいりましたが、国の調査等によりますと、オーストラリア人は歴史、文化に関心が高いことから、今年度、新たに地元放送事業者との連携により、世界遺産日光の社寺等を紹介する映像を制作し、世界最大のドキュメンタリー番組であるディスカバリーチャンネルを活用した放送及び動画配信を行うこととしております。また、観光誘客数の増加とともに、観光消費額の拡大も課題でありますことから、欧米やオーストラリアの観光客のニーズが高い郷土食や温泉等を活用した新たなツーリズムの推進など、本県の持つポテンシャルを十分に生かしながら、滞在日数の長期化を進める中で、消費単価の高いオーストラリアからの効果的な誘客について検討してまいります。  今後とも、オーストラリアをはじめとする多くの国から観光客を呼び込むため、関係事業者と連携して積極的なプロモーションを展開し、県内観光産業の活性化を図ってまいります。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) ただいま答弁いただきました。オーストラリアは将来有望であり、現状でも、広告配信であったり、今後、日光の社寺をディスカバリーチャンネルで配信していく。ディスカバリーチャンネルは、私もたまにユーチューブで見たりするので、見る方は多いと思いますので、そういった取組をさらに今後も進めていただきたいと思います。  ここで1点再質問させていただきます。先ほど来申し上げているように、私は、日本とオーストラリアの関係というのは、今や特別なパートナーシップとして、最良の関係にあると言っても過言ではないと思っております。今後、オーストラリアとも栃木県として友好都市であったり姉妹都市など、そのような友好関係を持っていくべきだと考えておりますが、産業労働観光部長の所見をお伺いいたします。 ○関谷暢之 副議長 石井陽子産業労働観光部長。 ◎石井陽子 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。ただいまご答弁いたしましたとおり、現在、県では、オーストラリアから本県への誘客促進に努めておりまして、経済分野における取組が中心となってございます。教育や文化等も含む幅広い交流となります姉妹都市の提携につきましては、今後のオーストラリアとの関係進展等を踏まえながら研究してまいりたい、このように考えます。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) 私はオーストラリアに行ってきて、本当に日本に対して友好的という部分を強く感じましたので、友好的な関係を結ぶことによって、さらに観光誘客であったり、様々な文化的交流だったり、教育的交流といった部分に、本県の発展のために生きてくるものと考えますので、前向きに検討していただくことを要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。  県庁職員の働き方改革の推進について、知事にお伺いさせていただきます。少子化による労働人口の減少、段階的な定年年齢引上げなどを受けて、県庁組織の在り方も大きく変化していくことが求められる中、本県では、職員が働きやすい職場環境を整え、県庁全体の労働生産性を高めていくため、組織的な業務見直しと業務管理の徹底による労働生産性の向上等の3つの視点を組み合わせた栃木県庁働き方改革プロジェクト2023に取り組んでおります。  昨年度の平均残業時間は年間約170時間、月14時間とのことですが、部局により残業時間の偏りがあるのではないでしょうか。慢性的に残業が生じている部局もあると聞いております。とちぎスイッチ!2で、20時までに退庁、22時完全消灯に取り組んでいるとのことではございますが、夜遅くまで電気がついている県庁を見ることも少なくありません。  確かに、近年は新事業や部局横断的な連携を要する事業などが多く、県の業務は複雑・高度化しております。しかしながら、先ほど述べたような現状を鑑みると、組織的な業務見直しと業務管理の徹底が本当になされているのか疑問を感じるところです。民間に比べ公務員の業務は法的な縛りも多く、必要な業務や法的拘束力のある書類の形式を安易に省略したり、重要な窓口業務の停止などは非常に難しいことから、業務の大幅な変更が難しいことは分かりますが、それでも職員の誰もが意欲、能力を発揮できる働き方の実現を行っていかなければならないと考えます。  知事は今年2月の通常会議において、令和5年度当初予算編成に関し、選択と集中を図りながら必要な財源を確保すると述べておりますが、私は、予算編成のみならず、事務事業についても徹底した選択と集中を図り、無駄を省き、めり張りのついた組織運営を行うべきと考えます。  そこで、業務の見直し、適正な人員配置など、県庁職員の働き方改革をさらに推進していく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 ○関谷暢之 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。労働力人口の減少が進む中、社会経済情勢の変化による新たな行政課題等に迅速かつ的確に対応していくためには、ICTの活用による業務の効率化や、職員が働きやすい職場環境づくりなど、県庁全体の労働生産性を高める働き方改革の取組が重要であります。このため、これまでも複雑・多様化する県民ニーズ等に適切に対応できるよう、効率的、効果的な組織体制を整備するとともに、行政需要の拡大や定年引上げの動向、職員の年齢構成などを踏まえながら、適正かつ柔軟に定員管理を行ってまいりました。  また、平成29年度から取り組んでいる栃木県庁働き方改革プロジェクトにおきましては、利用者目線のサービス向上と業務効率化の観点から、BPR等による業務見直しを継続的に実施するほか、パソコンのログ情報による適切な業務管理や臨機応変な事務分担の見直し等により、執行体制の確保を図ってきたところであります。さらに、職員がデジタル技術を活用し、どこでも効率的かつ効果的に仕事ができるスマートワークの実践に向け、昨年度、新しい働き方の標準スタイルを示す栃木県庁スマートワーク・スタンダードを策定し、職員の意識変革を促すとともに、チャットやオンライン会議システムなどのICTツールの積極的な活用のほか、ペーパーレスの徹底や行政手続のオンライン化等に取り組んでいるところであります。  今後とも、職員一人一人が成長、活躍できる職場を実現するとともに、労働生産性を高めることで県民サービスの向上を図るため、全庁を挙げて働き方改革に積極的に取り組んでまいります。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) ただいま知事から答弁いただきまして、労働生産性を高める働き方改革を行っていることであったり、デジタル技術を活用したスマートワークに取り組んでいるということでございました。一部職員からも、デジタル技術が進んだことによって、出先機関などの会議が対面でなくオンラインで行えるなど、一部進んではいるとのような話も聞きますが、一部、昔から残業の多い部局が変わらないことや、働き方改革が進んでいる実感がないなどといった声を聞いているのも現状でございます。  ここで経営管理部長に再質問させていただきますが、そもそも働き方改革が進んでいないと捉える職員が多い現状に対し、原因がどこにあると考えているのか、経営管理部長にお尋ねいたします。 ○関谷暢之 副議長 仲山信之経営管理部長。 ◎仲山信之 経営管理部長 再質問にお答えいたします。働き方改革につきましては、先ほど知事から答弁をいただきましたとおり、労働生産性を高めることによりまして、より県民サービスの向上を図っていく、より必要な時間を施策の企画立案に充てるといったことを目標に進めているところでございます。  実際のところ、超過勤務の状況につきましては、職務の状況でございますとか、新たな課題の発生の状況などもありますので、適正な人員配置は心がけているものの、生じているのが実態でございます。しかしながら、最も重要なのは、先ほどの答弁の中にもありました業務管理をどうしていくかということでございますので、現在、パソコンのログ情報に基づきまして、いわゆる超過勤務がどのくらいあるのかといったところをまずは確認する、その上で、所属長も含めて超過勤務をいかに減らしていくのかということについて、組織を挙げて取り組むことが重要だと考えております。職員、それから、所属長も含めまして、そのような意識改革をまず図っていくことが重要ではないかと考えております。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) 今、職員の意識改革という答弁がございましたが、私は職員の意識改革も必要かと思うのですが、やはり知事、副知事をはじめ各部局長の皆様であったり、職員を管理する立場の人たちがまずもって本気でこの働き方改革を前に進めようと考えているのかどうか。私は職員よりも、その上に立つ人間の意識改革が一番必要になってくると思います。  先ほど来、労働生産性という話がございますが、残念ながら、日本の労働生産性は、G7に参加している主要先進7か国の中で最下位に位置しておりまして、また、1人当たりの労働生産性では、OECDに加盟している38か国中29位となっております。そして、先日調査したオーストラリアは9位となっておりますが、しかしながら、オーストラリアでは、基本的に残業はしないということで、現地に行きましても、ビルなどの電気はこうこうと夜までついているのですけれども、中に人がおらず、何で電気がついているのか確認したところ、防犯の理由で電気はつけているけれども、基本的にオーストラリアでは残業という認識はないですという形で、それでも生産性が上がっている。残業しなくてはならないという部分、今後人口減少で労働力人口も減ってくることから、ICTを活用しながら、もう少し意識を高く持って進めていただきたいと考えておりますので、今後も働き方改革の推進に全力で取り組んでいただくことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。  学校における働き方改革の推進について、教育長にお伺いいたします。教育委員会では、教員が心身ともに健康で生き生きとやりがいを持ちながら本来的な業務にしっかりと取り組むことができる環境を整備することにより教育の質の向上を図ることを目的とし、令和4年3月に学校における働き方改革推進プラン(第2期)を策定いたしました。  しかし、県教育委員会が行った今年度の実態調査結果では、県内の公立学校に勤務する教員のうち、時間外在校等時間が月45時間を超えた割合は52.8%、過労死ラインとされる月80時間を超えた割合は10.4%となっており、いずれも前回調査に比べ減少はしているものの、依然として高い水準となっております。  今年8月の中央教育審議会の特別部会による、学校における働き方改革などに関する緊急提言では、国、都道府県、市町村、各学校など、それぞれの主体が自分事として、その権限と責任に基づき、主体的に取り組むよう指摘されており、私は、今後、学校における働き方改革の推進のためには、県教育委員会がリーダーシップを取る必要があると考えております。  そこで、県教育委員会は、国の緊急提言を受け、今後どのように学校における働き方改革を推進していくのか、教育長の所見を伺います。 ○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。    (阿久澤真理教育長登壇) ◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。県教育委員会では、学校における働き方改革推進プランに基づき、部活動支援員などの外部人材の配置拡充による教員の負担軽減や、全公立学校長への研修による意識改革等を進めてまいりました。また、今般の緊急提言を踏まえ、働き方改革のモデル校におきまして、標準の授業時数を大幅に上回る学校の教育課程の見直しや、清掃回数の削減等の実践研究に取り組んでおり、来月実施する全校対象の研修を活用して、これら先進的な取組の全県展開を図ってまいります。さらに、今年度からは、実態調査の結果で過労死ラインを超える教員が多い県立学校を個別に訪問し、各学校の具体的な課題を把握した上で、管理職への指導、支援を開始したところであります。  今後、これまで以上に実効性の高い働き方改革の推進に向け、課題や好事例の共有を図るなど、市町教育委員会への支援も含め、さらに取組を強化してまいります。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) 1点だけ教育長に再質問させていただきます。学校教師が担う業務に係る3分類14項目の中で、基本的には学校以外が担うべき業務は、学校が担わなくていいわけなので、県がリーダーシップを取って進めていただきたいということで、昨年も登下校に関する対応など、県としてリーダーシップを取って進めていけないかという質問をしたところ、検討していくという話で答弁があり、今回も緊急提言の中にこのような部分が盛り込まれているところを踏まえ、私は県がやはりリーダーシップを取って進めていくべきだと考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。 ○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。 ◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。学校の業務の見直しにつきましては、今回の緊急提言なども踏まえまして、今取り組んでいるところであります。特に義務教育、小中学校につきましては、市町の取組も非常に重要となってまいります。  今、提示いただいた見守りなどは、市町それぞれの状況があって、これまでの流れの中で取り組まれているという部分もあります。県が一方的にこうだ、ああだと決めるのはなかなか難しい点はありますけれども、基本的に提言で示されている考え方などは丁寧に説明してまいりたいと思いますし、外部人材の活用なども含めて、積極的に業務の見直しを進めてまいりたいと思います。 ○関谷暢之 副議長 中屋大議員。    (22番 中屋 大議員登壇) ◆22番(中屋大議員) 市町でいろいろな状況があるのは重々分かっておりますが、逆に市町のほうが身近であるがゆえに、なかなか難しい部分もございますので、県が一定的な方針を示し、それに対して市町が考える形でもいいと思いますので、何か県でそのようなリーダーシップを発揮する取組を行っていただくことを要望したいと思います。  冒頭にも述べましたが、本日の質問は、海外行政調査で訪れたオーストラリアを中心として質問させていただきました。オーストラリアに行き、ある意味、危機感を覚えたのも事実でございます。20年前で言えば、外国人の若者が日本に稼ぎに来ている現状がございましたが、行ってみると、今度は日本の若い世代がオーストラリアへ稼ぎに出ている状況も見てきました。我々が宿泊したホテルのドアマンも日本人の若い子で、少し話したところ、日本で働くよりオーストラリアで働いたほうが稼げるからオーストラリアに来ているという話も聞き、大きな衝撃を受けました。こういった経験を、今後の活動に生かしていきたいと考えております。  時間ですので、以上で私の全ての質問を終了します。 ○関谷暢之 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時25分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後0時26分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は49名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午後1時25分 開議 ○佐藤良 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 公明党栃木県議会議員会の野澤和一でございます。早速、質問に入らせていただきます。  初めに、活躍人口創出に向けた県政経営について、知事に伺います。人口減少下において、働き手の減少に伴う企業の深刻な人手不足が重要課題でありますが、働き手となる人たちの数、生産年齢人口の推移を見てみると、恐ろしいことに1995年をピークに20年単位で1,200万人から1,300万人の生産年齢人口が減少しており、将来的に企業の人手不足の深刻化が本県産業の活力を減退させ、ひいては本県自体の活力低下につながることが懸念されます。私は、女性、高齢者、障害者及び現役世代のさらなる活躍の創出、つまり、全ての県民が、健康な人もそうでない人も、活躍したい場で思う存分活躍できる環境の整備や支援を行い、活躍人口を創出することが重要であると考えております。  活躍人口という言葉は私の造語でございますが、意味するところは、「活躍したい場で思う存分活躍することができる人」のことで、本県がこれからも成長し続けていくためには、活躍人口の創出に向け、全ての県民がその能力と可能性を最大限発揮して、思う存分活躍することのできる環境づくりが重要であると考えています。  社会に活躍人口を増やすためには、健康を維持し、病気になったとしても完治し早期に社会復帰できる環境の整備や、多様性を享受する県民理解の促進、未来を担う子供たちへの教育の充実、企業におけるデジタル技術を活用した業務の効率化や、働きやすい環境整備への支援、障害のあるなしにかかわらず、その人の能力や可能性を発揮して活躍できる社会づくりなどが不可欠であります。そのような意味からも、県の総合計画に「活躍人口創出のとちぎ」を位置づけ、各分野の具体的な施策を組み上げていくことが必要であると思います。
     そこで、県は活躍人口の創出に向け、県政経営をどのように行う考えか、知事に伺います。 ○佐藤良 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの野澤和一議員のご質問にお答えいたします。人口減少や少子高齢化が進行する中、労働力不足等の社会課題に的確に対応し、本県の活力を維持していくためには、年齢、性別、障害の有無などに関わりなく、全ての県民が活躍できる環境を整備していくことが重要であると考えております。  私は、知事就任以来、人づくりを県政の基本に据え、とちぎ未来創造プランにおいても人材育成を第1の柱に位置づけるとともに、本県の将来像の実現に向けた基本姿勢の一つに「すべての県民が担い手として協働し活躍する」を掲げ、人材育成戦略や健康長寿・共生戦略などに基づくプロジェクトを積極的に推進しているところであります。まず、人材育成戦略として、子供たちの学力向上と豊かな人間性を育む学びの充実を図るとともに、一人一人の可能性を伸ばす教育等を推進しております。また、健康長寿・共生戦略として、健康づくりや疾病の予防等を推進するほか、誰もがあらゆる場で活躍できる社会環境づくりや就業支援等に取り組んでいるところであります。さらに、本年7月に開設したとちぎ職業人材カレッジにより、優れた技術、技能の習得を目指す若者等の人材育成機関への進学から就職までを一貫して支援していくほか、G7栃木県・日光男女共同参画女性活躍担当大臣会合の成果を踏まえ、女性のキャリア形成支援や、男女が共に働きやすい環境の整備などの施策を推進してまいります。  今後とも、県民一人一人が能力や個性など持てる力を十分に発揮し、地域の担い手として活躍できるとちぎづくりを積極的に進めてまいります。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいまは知事から答弁をいただきました。知事の掲げる人を中心とした県政経営、これからもしっかりと、これまで以上の取組をお願いしたいと思います。  生産年齢人口の減少はこれから加速度を増し、地域経済の縮小が深刻な問題になることから、今から着実な対策を準備しておかなければならないと思います。県政経営全般にわたる分野で活躍人口創出にベクトルを合わせ、施策、対策、事業計画がなされますよう、要望させていただきたいと思います。  ここで産業労働観光部長に再質問いたします。本質問でも触れましたけれども、活躍人口創出の観点で業務の効率化に取り組んでいくことは、柔軟な働き方を実現し、離職防止や新規の雇用などにつながることから、非常に重要であります。そのため、今後、私は業務効率化の鍵を握るデジタル技術を中小企業や商店街の事業者にまで普及を促進することが、人手不足等の対策に不可欠であると考えています。しかしながら、事業者の中には、デジタルはうちはまだ早いなど敬遠する傾向もございます。着実に働き手が減り、従業員確保が年々困難になる中、デジタル技術の導入に早過ぎるということはないと思います。  そこで、中小・小規模事業者に対するデジタル技術導入支援について、県はどのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長に伺います。 ○佐藤良 議長 石井陽子産業労働観光部長。 ◎石井陽子 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。デジタル化による県内企業等の業務の効率化を図るために、県では、とちぎビジネスAIセンターにおきまして、企業からの相談対応や、個別企業への訪問等によりまして、きめ細かな支援を行っております。また、本年度からは商工会議所等と連携しまして、各地域に出向きまして、中小企業、小規模事業者でも取り組みやすい事例の紹介や、デジタル機器を体験できる機会の提供をするなど、デジタル技術の導入活用の促進に取り組んでおります。また、商店街等に専門家を派遣いたしまして、デジタル技術の活用によって効果的な情報の収集や発信、それから、集客分析などを行うことができるよう支援を行っておりまして、こうした取組成果につきましては、県内各地域への波及に努めてまいりたいと考えております。  引き続き、経済団体等と連携しまして、中小企業、小規模事業者等のニーズを踏まえましたデジタル化の支援に取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ここで要望させていただきますが、デジタル技術は小規模事業者にこそ有効に活用していただいて、事業経営の高効率化を実現してもらいたいツールでございます。県の支援で普及がしっかりと進むように、これまで以上の取組をお願いしたいと思います。  さて、福田知事は、人が輝く元気なとちぎをテーマに、人を中心に県政経営をされております。今回、私の質問は、人が輝くために必要な活躍できる環境づくり、魅力ある栃木県をつくるという観点から、「活躍人口創出のとちぎ」をテーマに、分野ごとに質問を進めてまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、県民の命を守る県内の救急医療体制の整備について、保健福祉部長に質問します。県内における死因の約4分の1を占めている脳卒中や心臓病などの循環器病は、救急医療と関わりが深い疾患であります。循環器病については、急性期における治療が非常に重要であり、時間との勝負で一刻も早い救命救急処置をすることが求められております。  死亡率の減少や健康寿命の延伸など、活躍人口の創出につなげていくためには、救急医療体制の整備をより一層進めていく必要がございます。しかし、本県の救急医療体制を見ると、県立病院は、がんなどの特定の疾患に特化した専門病院のみで、精神科を除いて救急部門は設置されておらず、残念ながら、県立の救命救急医療機関はございません。全国的に見ても、都道府県が設置する救命救急医療機関がないのは、栃木県とほか14府県のみという状況で、3分の2以上の都道府県が救命救急医療機関を設置している中、本県は後れを取っていると言わざるを得ない状況にあります。加えて、高度救命救急センターも関東で唯一設置がされていないなど、本県の救急医療体制は脆弱な状況にあり、県内の医療従事者からも、助かる命を失わせたくないと県立の救命救急医療機関の設置など、救急医療体制の整備を求める声が上げられております。また、医師不足解消が叫ばれておりますが、私は、このような救急医療体制整備を積極的に進めることが、医師などの医療従事者を招き寄せるといった相乗効果にもつながると考えております。  そこで、県立の救命救急医療機関の設置など、県内の救急医療体制の整備についてどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長に伺います。 ○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。    (岩佐景一郎保健福祉部長登壇) ◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、三次救急医療体制として、大学病院や公的医療機関に5か所の救命救急センターを整備し、脳卒中等の重篤患者に対する救命救急医療を提供しております。一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時における救急搬送困難事例の多発など、救急医療の脆弱性が浮き彫りになったところであり、次期栃木県保健医療計画の検討過程においても、有識者から同様のことが改めて指摘されたところでございます。  これらを踏まえまして、初期から三次の救急医療機関の機能分化と連携をより一層促進するなど、県内の救急患者を確実に受け入れられる体制の構築等を図る必要があると認識しております。そのため、県内の医療機関等と協議を行いながら、県立病院を含めた各医療機関の担うべき機能やその役割を整理した上で、適切な救急医療体制の整備のために必要となる施策について検討してまいりたいと考えております。  今後とも、限られた医療資源の効率的、効果的な活用に向け、関係者と緊密に連携しながら、救急医療の充実・強化を図ってまいります。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 保健福祉部長より答弁をいただきました。次期計画でも指摘された内容について十分に協議をし検討していくという方向のお話だったと思います。  ここで要望といたしますが、県立救命救急医療機関は、県内の救急医療体制を統括する司令塔となるのであります。自然災害が頻発・激甚化する中、不測の事態への緊急対応の場面でも県内の救急医療機関が連携することができる体制整備というのは不可欠であると思いますので、積極的な取組を要望させていただきたいと思います。  次に、医療現場での認識が低く、軽視されてきたことによって活躍人口の損失を招いてきた脳脊髄液減少症への理解促進と医療提供体制の整備について、保健福祉部長に質問いたします。脳脊髄液減少症は、脳脊髄液が脳脊髄液腔から漏れ出すことで減少し、頭痛や目まい、耳鳴り、倦怠感などの様々な症状を起こす疾患であります。原因は様々で、交通事故や部活動中のスポーツ外傷、けが、生活上の転倒などでも発症することから、日常的に誰にでも起こり得る疾患であります。しかし、残念ながら、脳脊髄液減少症への一般の認知度は低く、理解が進んでいないことから、その症状を見て怠けているなどと誤解され、周囲の無理解等により悩みを抱えている患者が多く存在します。県では、健康増進課の難病対策担当が所管しておりますけれども、治療法があることから指定難病ではありません。  脳脊髄液減少症の恐ろしいところは、例えば交通事故などで精密検査をしても適正な診断が下されず、むち打ち症や偏頭痛などと診断されてしまうことがあり、適切な診断、治療が受けられないことから、脳脊髄液の漏れにより交通事故などの再発につながることがございます。また、親が発症して適切な治療が受けられない場合、子育て放棄やヤングケアラーを生み出す原因になる可能性や、子供が部活動等でのけがが原因で発症し、適切な治療が受けられない場合、不登校やひきこもりにつながる可能性もあるなど、発症した人の人生を大きく左右する問題に直結する危険性がある疾患でもあります。  一方で、早期に発見し、適切な治療を受けることができれば、症状は回復し、日常の生活を取り戻すことができる疾患でもあります。つまり、活躍人口創出の観点からも、脳脊髄液減少症への一般の理解を促進するとともに、医療提供体制を整備することが非常に重要であるということであります。  そこで、県は、脳脊髄液減少症への理解促進と医療提供体制の整備についてどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長に伺います。 ○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。    (岩佐景一郎保健福祉部長登壇) ◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。脳脊髄液減少症は、日常生活における転倒などでも発症し、身体に様々な症状を引き起こす疾病である一方で、医療機関を受診しても正確な診断がされないことがあるなど、患者やご家族は苦労されているケースもあると承知してございます。このため、県では、脳脊髄液減少症の原因や症状、治療方法などをまとめたリーフレットを作成、配布し、理解促進に努めるとともに、県内の医療機関における診療体制を把握し、ホームページで周知するなどの取組を行っております。さらに、とちぎ難病相談支援センターにおいて、指定難病に限らず、当該疾病も含めて幅広く相談に対応するほか、必要に応じて、専門的な医師に症状等について相談できる機会を提供しております。  引き続き、市町や関係機関と連携しながら、脳脊髄液減少症の理解促進に取り組むとともに、適切な医療につなげるよう努めてまいります。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 今、ホームページ等で医療機関の公表や、リーフレット等を配布しているというお話をいただきました。この脳脊髄液減少症への対応については、私は患者の皆さんからいろいろお話を聞いておりまして、なかなか医師及び医療関係者の理解が進んでいない、また、県内で医療を提供していただく病院がないのだというお話を伺っているところです。県内では希望する治療が受けられないということで、わざわざ静岡県や兵庫県、広島県にまで行っている患者さんもいらっしゃいます。子供なら学校を休まなければいけませんし、中高年者は仕事を休む必要があるなど、病気以外にも大きな負担を背負っております。  県は、こうした状況を踏まえた上で、患者に寄り添い、県内で患者の皆様が希望する治療が受けられる医療体制をつくるよう努力すべきであると考えますけれども、保健福祉部長の所見を伺いたいと思います。 ○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。 ◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。脳脊髄液減少症につきましては、今年も改めて調査を行いまして、県内16の医療機関の診療体制について公表させていただいているところでございます。  今後、さらに関係機関が連携しやすい体制の確保に向けまして、改めて医療機関の役割分担等を確認するなど、きめ細かな対応が可能となるよう努めてまいりたいと考えております。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) では、要望ということにいたします。今、具体的に医療機関の役割分担というお話をいただきましたけれども、ぜひ県内の患者の皆さんから、どのような形になれば患者として十分な治療が受けられる体制になるのかという生の声を聞いていただきながら、県内の医療機関との話合い、また、役割分担についての計画を進めていただくことを要望したいと思います。  さて、先月12日に石川県リハビリテーションセンターで脳脊髄液減少症に関する講演がございました。非常にすばらしい内容で、脳脊髄液減少症への理解を促す企画だったと聞いております。ぜひ県内でもこのような最先端の情報や知見を勉強できる機会や啓発の場をつくっていただくことを要望したいと思います。  医療サービス提供体制のレベルを上げることは、移住・定住等の促進にもつながり、魅力あるとちぎづくりを前へ進めてまいります。助かる命を助けられる救急医療体制の構築や、適切な医療提供体制、脳脊髄液減少症等の医療提供体制を整備し、活躍の場に復帰できる社会環境を整備していただくことを要望し、また、これは県民が望む栃木県の形でもあると思いますので、さらなる取組をよろしくお願いしたいと思います。  次に、活躍人口創出に向けた公立夜間中学の設置に向けてについて、教育長に質問いたします。人口減少対策の特効薬はございませんけれども、私は教育によって活躍人口の創出をすることはできる、可能であると考え、公立夜間中学を設置するよう訴えてきました。  2020年の国勢調査の結果によると、国内の義務教育未就学者は90万人近くに上り、この結果からも、様々な背景から義務教育を修了していないために社会で活躍の場に恵まれない潜在的な人材が数多く存在することが推察されます。また、改正出入国管理及び難民認定法の施行により、新たな在留資格として特定技能が創設され、本年6月には特定技能2号の対象が拡大されたことに伴い、国内で生活する外国人が一層増加することが見込まれております。しかし、2022年の文部科学省の調査では、日本国内に住民登録をしている外国籍の子供のうち約8,000人が小中学校や外国語学校に通っていない不就学の可能性があるということであります。これらのことからも、義務教育を修了していない人たちに対し教育の機会を確保することが求められております。  こうした中、私は、教育により、社会参画のチャンスの扉を年齢や国籍に関係なく開く必要があり、活躍人口創出の切り札として公立の夜間中学設置が必要であると訴え続けてきました。国は現在、各都道府県に少なくとも1校の公立夜間中学の設置を推進しており、これを受けて県教育委員会は、2018年に夜間中学に関する連絡会議を設置し議論、さらに、夜間中学に関するニーズ調査を行い、県民の関心の高さや公立夜間中学設置の必要性を確認した上で、設置に向けた課題の把握や課題への対応について検討を重ねてきました。私は、連絡会議の設置から既に5年が経過していることを踏まえても、議論は十分に尽くされており、公立夜間中学の設置に向けて明確な方針を打ち出し、具体的に取組を進める時期を迎えていると考えます。  そこで、議会では4回目の質問となりますが、県教育委員会として、公立夜間中学の設置に向けどのような方針で取り組んでいくのか、教育長に伺います。 ○佐藤良 議長 阿久澤真理教育長。    (阿久澤真理教育長登壇) ◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。不登校等の様々な事情から、学齢期に十分な学びの機会を得られなかった方が増加していることから、夜間中学等の多様な学びの機会を確保する必要性は高まっていると認識しております。県教育委員会では、これまで市町教育委員会等との連絡会議の開催や、他県の先進校の視察を行うなどにより、日本語の習得状況に応じた教育課程の編成等について幅広く検討を進めてまいりました。こうした中、学びを求める方の社会的自立に向けまして、中学校教科の学び直しや高校進学、外国籍の方の日本語習得などを幅広くサポートできるよう、様々な学びの場の充実に向けて取り組んでいくための中核的な取組として、県立の夜間中学の設置は有力な選択肢であると考えております。  今後、市町教育委員会等の関係機関と協議を進め、早期に方向性を出してまいります。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 教育長から設置に向けた検討について言及があり、大きな前進だなと思っております。  ここで要望させていただきますけれども、公立の夜間中学設置は、社会で活躍できる場を拡大する人材育成の重要な取組、事業となります。ぜひ全国のモデルとなる栃木県発の公立夜間中学となるよう期待しておりますので、どうか市町と協議を積極的に行っていただいて、設置に向けた協議会の取組をよろしくお願いしたいと思います。  次に、障害者の活躍人口創出に向けた特別支援学校宇都宮青葉高等学園の学校運営について、教育長に質問いたします。特別支援学校の取組は、障害者の自立や活躍を支える人材育成という観点で重要であり、宇都宮青葉高等学園は、軽度の知的障害のある生徒を教育対象とした、栃木県では唯一高等部のみを設置する特別支援学校で、知的障害者の自立と社会参画を促進するために2016年4月に開校しました。教育の特色としては、職業教育や就労支援に力を入れており、2019年卒業の1期生以来、毎年度約9割の卒業生が就職先を決めていることから、高い就職率が宇都宮青葉高等学園の伝統になっております。その取組は、障害者の社会参画の促進のみならず、県内事業者の障害者雇用率の向上に大きく寄与するもので、高く評価することができます。  さて、学校運営でありますが、宇都宮青葉高等学園にとって宝である生徒たちが社会でより一層活躍していくためには、職業教育等の充実を図っていく必要があり、就職先での定着率の向上や職場生活の満足度向上にも目を向けて取り組んでいくことが重要であると思います。そのためには、学校が卒業後の生徒の職場での仕事ぶり等の生の情報をキャッチできる環境づくりが不可欠であります。私は、就職先でのトラブルや卒業生の生活状況など、事業者と学校が定期的な交流を通じて情報を共有することが大事だと思います。そのことを通じて課題を認識し、それらを職業教育等に生かしていくことで、定着率や満足度の向上につなげることができると考えています。  宇都宮青葉高等学園では、卒業後3年間は学校が卒業生をフォローしていく体制が取られていると聞いておりますが、私のもとには、卒業生を受け入れている事業者から、よりよい雇用関係を築くためにも、もっと学校との情報交換の場を増やしてほしいとの声が寄せられています。障害者の活躍人口創出に向け、学校における教育の質の向上に加え、受皿となる事業者側の就労環境の整備につなげていくためにも、取組をより一層強化していくことが求められます。  そこで、県教育委員会は、障害者の活躍人口の創出に向け、宇都宮青葉高等学園における職業教育等の充実にどのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。 ○佐藤良 議長 阿久澤真理教育長。    (阿久澤真理教育長登壇) ◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。宇都宮青葉高等学園では、生徒の職業的な自立を目指した教育により、働き続けるために必要な力を育み、社会に貢献できる人材の育成に取り組んでおります。具体的には、同校を拠点に活動する就労支援コーディネーター等が就労先の新規開拓や卒業生の勤務実態の確認を行うとともに、必要に応じて関係機関と連携し、職場を訪問するなどして定着を支援しております。  一方で、職場に定着できている卒業生につきましても、働き続ける上での課題を抱えているケースもあることから、今後は、事業者との意見交換の機会を拡充し一人一人の課題を詳細に聞き取るとともに、その成果を職業教育指導に生かし、生徒の満足度や定着率向上の好循環を生み出せるよう取り組んでまいります。  今後とも、事業者や関係機関と連携し、より多くの生徒が職業的自立を果たし、社会で活躍できるよう、宇都宮青葉高等学園における職業教育の一層の充実に努めてまいります。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 教育長から答弁をいただきました。一人一人の課題を聞き取るという非常に大事なポイントをおっしゃっていただきましたので、どうかよろしくお願いしたいと思います。情報交換の場といったものは、学校教育の質を向上させるとともに、事業者側の就労環境、障害者雇用の質を高めていく効果を併せ持っていると思っております。積極的な対応をよろしくお願いしたいと思います。  ここで産業労働観光部長に再質問したいと思います。障害者雇用については、従業員が100人を超える民間企業は障害者雇用達成率2.3%のペナルティーラインが設定されております。この障害者雇用納付金制度は、法定雇用率の未達成企業から納付金、いわゆる罰則金を徴収し、達成企業へ調整金、奨励金として支払う制度設計になっております。ここでは単に障害者雇用率を基準にお金の移動がなされているだけで、職場内で障害者がどのように扱われているかを問わないことが問題であります。障害者が真に活躍するためには、企業が障害を個性と理解し、その社員の能力を最大限引き出す就労環境を整備、構築し、よりよい雇用関係を築いていけるよう取組を進めるべきであります。  そこで、本来の目的であるべき障害者活躍の創出につなぐため、企業における障害への理解促進や、障害者の能力を引き出す就労環境の整備等を図るため、県はどのような対策を講じるのか、産業労働観光部長に伺います。 ○佐藤良 議長 石井陽子産業労働観光部長。 ◎石井陽子 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。障害者の方が意欲を持って就労を継続していくためには、企業側の理解促進、それから、業務の選定や支援体制の構築など、受入環境の整備が重要となってまいります。そのため、県では企業の理解促進に向けたセミナーにおきまして優良事例の紹介を行いますとともに、受入環境の整備につきましては、障害者雇用コーディネーターが障害の特性に応じた業務の切り出し方ですとか必要な配慮につきまして、企業の実態に合わせた支援を行っております。  来年度からは法定雇用率のさらなる引上げが予定されておりますので、栃木労働局等と緊密に連携しながら、障害者がより一層働きやすい就労環境の整備に努めてまいりたいと思います。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 来年度からまたペナルティーラインが上がるというお話がございました。雇用率をクリアすればいいということではなくて、あくまでも障害者の皆さんが活躍できる環境をつくることを大前提に、雇用率クリアをしていただけるようによろしくご指導いただきたいと思います。  次に、本県のポテンシャルについてでございますけれども、栃木県の1人当たりの県民所得は310万円台で全国4位、2022年の県内総生産、経済規模は9.2兆円で全国16位になっております。しかし、本県の持つ地理的優位性や地域資源の豊かさなど、栃木県のポテンシャルは全国的にもトップクラスであるはずです。私は、栃木県の経済規模は10兆円を超える潜在的な可能性があり、全国トップテンクラスの実力があると考えております。そこで、本県経済を10兆円規模に拡大し、さらなる活躍人口創出の環境づくりの取組として、スマート産業団地の整備による戦略的企業誘致について、産業労働観光部長に質問します。  これまでも首都圏の企業からは栃木県内の産業団地造成計画に熱い視線が注がれ、造成中に分譲区画の完売が続くなど、本県の企業立地件数は堅調に推移しております。また、サプライチェーンの強靱化や為替レート変動による影響を回避する観点からも企業の国内回帰の動きが続いており、今後も企業立地の国内需要は拡大することが見込まれます。一方で、優良企業を誘致するための地域間競争は今後さらに激化することが予想されます。このような中、さらなる雇用の確保を図り活躍人口の創出につなげていくためにも、県にはより戦略的な企業誘致に取り組むことが求められております。つまり、社会のニーズや、これから求められる価値観を先取りした、将来を見据えた取組に挑戦していくことが必要となるのです。  私は、企業がカーボンニュートラルに向けた取組を加速化させている現状を踏まえると、再生可能エネルギーなどクリーンエネルギーを供給できる体制を備えた産業団地、全国的にはこういった産業団地のことをスマート産業団地と呼んでいる自治体もございますが、いわゆるスマート産業団地は、半導体や蓄電池産業など、特に脱炭素社会構築に貢献したい企業にとって環境貢献度が高い、絶好の立地場所となります。このことから、私は、スマート産業団地の整備を進めることが非常に有効であり、本県の企業誘致の切り札となり得る取組だと考えます。  そこで、県はスマート産業団地の整備を今後どのように進めていくのか、産業労働観光部長に伺います。 ○佐藤良 議長 石井陽子産業労働観光部長。    (石井陽子産業労働観光部長登壇) ◎石井陽子 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、カーボンニュートラルの進展により成長が期待される分野の企業を積極的に誘致するため、企業立地補助金の補助率を上乗せするなど、これまで社会の潮流も踏まえながら、優遇制度の充実に努めてまいりました。また、再生可能エネルギーを活用する産業団地の整備につきましては、昨年度実施いたしました実現可能性調査において、本県における供給可能な再生可能エネルギーは、現時点では太陽光発電が中心となりますが、産業団地内の電力需要量を太陽光のみで賄うことは現在の技術等では極めて困難であるとの結果が出ております。このため、今年度は、太陽光に加え、水素などの新エネルギーや将来実現が想定される技術等も見据えるなど、中長期的な視点を含めながら、カーボンニュートラルに対応した産業団地の実現に向け、インフラ事業者や造成主体と共に検討を進めているところであります。  今後とも、社会情勢の変化に適切に対応しながら、戦略的な企業誘致活動を展開するとともに、企業ニーズを踏まえた魅力的な産業団地の整備に積極的に取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 現時点の技術では、太陽光で全て賄うことは当然できません。私が主張したいのは、新規で産業団地造成計画をしていく上で、このスマート産業団地という考え方、例えば太陽光発電設備を必ず搭載して立地するという形、また、いわゆる産業団地の組合を形成するのでございますけれども、その組合が一括して太陽光発電から発電される発電量や、また、電力を供給するのでございますけれども、電力供給とのいわゆるプラス・マイナスをしっかりと管理する組合体制の産業団地をつくるという、いわゆる募集条件や、スマート産業団地の運営コンセプトを明確にした産業団地を今後造っていくべきではないかということであります。また、既存の工業団地への支援は、既に立地している企業の建屋には構造強度の問題もありまして太陽光パネルが設置できないといった事情もありますので、工業団地周辺エリアにクリーンエネルギー等の供給施設が増設できるように開発特区を設置し、開発を進めやすくするなどの取組も求められると思います。  こういったことは、これから回を追って議論していきたいと思いますけれども、今回は要望として、次の質問に移りたいと思います。  さて、去る9月の通常会議において、県は条例を制定し、栃木県林業大学校を独立した教育機関として位置づけしました。そこで、活躍人口創出につながる林業、木材産業の成長産業化に向けた栃木県林業大学校の在り方について、環境森林部長に質問します。栃木県林業大学校は、本県の林業、木材産業の成長産業化に向けた人材育成並びに人材確保のための重要な拠点となる機関であります。私は、活躍人口創出の観点からも、県内外から林業を志す学生を確保し、本県での就業に結びつけていくことが非常に重要と考えております。第1期生については、今年5月から募集の案内を開始しているところでありますが、学生の確保を図っていくためには、県内の高校生等を対象とした説明会の開催はもちろんのこと、県内の林業、木材産業の関係者との連携や、県外の学生等を対象とした募集活動にも積極的に取り組んでいく必要があり、第1期生の応募状況を踏まえた上で、将来を見据え、その取組内容を見直していく必要もあると考えます。  そこで、1期生募集に当たっての取組と現時点での募集状況について、環境森林部長に伺います。  また、多くの学生を集めるためには、学生の期待に応えることのできる、将来を見据えた魅力ある学校運営が求められます。私は、選ばれる栃木県林業大学校の実現に向け、林業、木材産業の業界を挙げての取組、盛り上がりが必要であり、官民一体の協力体制を構築する必要があると考えます。加えて、カリキュラムの充実や、卒業生を受け入れる林業、木材産業事業者、企業の就労環境の整備や人材育成体制の充実など、受皿となる事業者の体制整備への支援に取り組んでいくことも不可欠と考えます。  そこで、県は魅力ある学校運営についてどのように取り組んでいくのか、環境森林部長に併せて伺います。 ○佐藤良 議長 小野寺一行環境森林部長
       (小野寺一行環境森林部長登壇) ◎小野寺一行 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。栃木県林業大学校につきましては、次代の林業を担う人材を育成する拠点として、来年4月の開校に向け整備を進めているところであります。1期生の募集に当たりましては、農業高校をはじめ県内全高校に募集案内を行ったほか、入学希望者を対象としたオープンキャンパスを開催したところであり、県内高校生向けの推薦選考では、応募のあった5名を合格者として決定いたしました。また、一般選考では現時点で2名の応募があり、引き続き新聞広告やSNSを活用した広報のほか、都内における就業支援セミナーの開催等により、さらなる学生の確保に努めてまいります。  次に、林業大学校の運営につきましては、林業センターと連携した最先端技術に関する事業や大学教授による講義、林業経営体の協力による林業現場での実習など官民一体となったカリキュラムを編成したほか、国の給付金を活用した生活支援、さらには就業支援など、安心して学生生活を送れるようサポートしてまいります。また、就業後におきましても、スキルアップ研修の実施等により継続的に就業者の技能向上を支援するほか、林業経営者向けの研修を実施するなど、就労環境の整備支援にも取り組んでまいります。  今後とも、関係団体等と十分に連携しながら、魅力ある林業大学校となるよう積極的に取り組んでまいります。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 合格者、また応募者が5名と2名ということでお話をいただきました。また、様々なカリキュラム等の取組や業界団体との連携も綿密に行われているということでございます。いずれにしても、まだ時間は12月、1月、2月とございますので、募集については今後も積極的に取り組んでいただいて、まず1期生の晴れの入学式を盛大に行えるようにお願いしたいと思っております。  ここで環境森林部長に再質問をしたいのですが、私は、生徒の期待に応えることのできる魅力ある学校運営の観点からも、栃木県林業大学校は将来的に、将来の話なのですけれども、2年制・3年制大学校として、栃木県農業大学校と同様に専修学校化することが大事かなと思っております。卒業生の学歴となるようにすべきだとも考えております。環境森林部長の所見を伺いたいと思います。 ○佐藤良 議長 小野寺一行環境森林部長。 ◎小野寺一行 環境森林部長 再質問にお答えいたします。栃木県林業大学校につきましては、これまで大学、高校、業界団体の関係者から構成された設置検討協議会の意見を伺いながら、開校に向けた検討を進めてきたところであります。来年4月には、現在の業界ニーズを踏まえて、修業年限を1年とし、実習中心のカリキュラムによる即戦力となる林業人材の育成を目指す教育機関として開校することとなったところであります。  県といたしましては、今後とも、社会環境の変化や、その時々の業界や学生のニーズ、就業希望者の動向なども見極めながら、また、今年6月に設置いたしました有識者会議から運営に関する評価も伺いながら、林業大学校として求められる役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 要望としますけれども、林業、木材産業の成長産業化は人材のいかんにかかっております。本県の林業、木材産業を盛り上げる拠点として、栃木県林業大学校が林業の活躍人口創出の一大拠点となるよう積極的な取組をお願いしたいと思います。  まずは、スタート時点では小さく産んでも、将来に向かって大きく育てていただきたいことを要望して、最後の質問に移らせていただきます。  誰一人取り残さない効率のよい社会の構築に向けた交通網の整備及び都市計画の見直しについて、知事に質問します。人口減少下の都市計画では、活躍人口創出の観点からも、コンパクト化、省力化など効率のよい社会の構築が求められておりますが、現状の社会生活の様々な場面で、理想とする姿と現実とのゆがみが生じております。そうしたギャップを克服するために、未来技術の積極的な導入を推進することで不便を克服し、利便性を向上させることが求められているわけですが、それにはしばらく時間が必要です。  私は、長期的な都市計画として、分散型から集中型への転換を促すコンパクト・プラス・ネットワークを進めることで人口を都市部に集中させる取組は有効だと思います。しかし、県として取り組む場合、広域行政の観点からすれば、取り残される地域の存在や地域間格差の拡大は大きな問題です。  先進事例として全国から注目されている宇都宮市のスーパースマートシティうつのみやがあります。これは、ネットワーク型コンパクトシティをベースに、地域経済循環型社会と地域共生社会、そして脱炭素社会を構築する考え方で、次世代型交通LRTを軸に、各地域拠点を公共交通網の再構築で宇都宮市全体をネットワークでつなごうとするものです。私は、この考え方をベースに広域行政栃木県に当てはめ、誰一人取り残さない栃木県を構築することが有効であると考えます。つまり、地域間格差が生じないよう、中核都市である宇都宮市の発展を県がさらに支援し、その発展を核として、その効果を県内自治体の発展に結びつけていくよう県が取組を推進するのであります。そのためにも、県都宇都宮市を中心に、県内自治体を結ぶ交通網の整備や、地域の活力を引き出すための都市計画の見直しに積極的に取り組んでいくべきであります。  私が以前に提案した市街化調整区域の線引きの見直しや、近隣自治体との接点に当たる地域のハブ構想などもそうであります。都市計画は、時代の変遷や社会の変化とともに見直していくべきものと考えます。  そこで、県は、誰一人取り残さない効率のよい社会の構築に向け、県内の交通網の整備や都市計画の見直しにどのように取り組んでいくのか、知事に伺います。 ○佐藤良 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。人口減少、少子高齢化による都市機能の低下や交通ネットワークの維持困難等の様々な課題に対応するためには、集約型の都市づくりを進めていくことが重要であります。このため、県では市街地の規模や役割に応じて必要な都市機能を集積した拠点を形成し、それらの拠点を鉄道やバス等の交通ネットワークで連携する多核ネットワーク型の都市構造、「とちぎのスマート+コンパクトシティ」の実現に向けた取組を行っております。  このうち、都市計画につきましては、広域的な見地に立ち、中長期的な都市の将来像とその実現に向けた方向性を都市計画区域マスタープランにおいて明確にするとともに、土地利用や都市施設等に関する個別の計画を策定してきたところであります。さらに、人口動態や交通状況などの社会情勢や将来見通しに加え、雇用創出や地域経済の活性化への対応等を勘案し、5年ごとの見直しのほか随時必要な見直しを行っております。  また、交通網の整備につきましては、誰もが、いつでも、どこでも、安全・安心、快適に移動できるよう、地域の実情に応じた公共交通サービスの確保・充実や、交通結節点の機能強化のほか、拠点間の連携・交流を促進し産業の成長を支える道路・交通ネットワークの充実・強化などにも取り組んでおります。  今後とも、市町と連携し、必要な都市計画の見直しや公共交通をはじめとする交通網の充実を図ることにより、持続可能でにぎわいのある、誰もが暮らしやすいまちづくりを進めてまいります。 ○佐藤良 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 知事より答弁をいただきました。マスタープランを5年ごとに見直しながら、様々な地域が活力を持てる、移動が便利で、県民が生き生きと活躍できる環境づくりをする、このような答弁だったと思います。  私は今回のこの質問で活躍人口というキーワードで質問させていただきましたけれども、県民の望む栃木県の形、どこに生まれ育ったとしても、栃木県で暮らしてよかった、また、多くの人たちが栃木県に来て、栃木県はいいところだ、このように実感していただける、安全で安心で、そして活力みなぎる栃木県をつくることが大事なことだと思っております。  これからも議会の一員として、様々な県が抱える課題に対していろいろな提案、提言を申し上げながら、執行部の皆さんと共に活力ある栃木県づくりを推進してまいる決意を申し上げ、全ての質問を終わりたいと思います。 ○佐藤良 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。6日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後2時26分 散会...