栃木県議会 2023-09-26
令和 5年度栃木県議会第397回通常会議-09月26日-04号
令和 5年度栃木県議会第397回通常会議-09月26日-04号令和 5年度栃木県議会第397回通常会議
(1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名
9月26日(火曜日)
出席議員 50名
1 番 土 屋 晃 子
2 番 渡 邉 典 喜
3 番 大久保 ゆ み
4 番 大 谷 弥 生
5 番 大 木 英 憲
6 番 佐 藤 晴 彦
7 番 杉 田 光
8 番 沼 田 邦 彦
9 番 池 上 正 美
10 番 小 池 篤 史
11 番 湯 澤 英 之
12 番 星 雅 人
13 番 横 田 誠
14 番 石 坂 太
15 番 岡 部 光 子
16 番 加 藤 雄 次
17 番 金 子 武 蔵
18 番 小 菅 哲 男
19 番 小 林 達 也
20 番 平 池 紘 士
21 番 塩 田 ひとし
22 番 中 屋 大
23 番 あ べ ひろみ
24 番 野 村 せつ子
25 番 横 松 盛 人
26 番 西 村 しんじ
27 番 野 澤 和 一
28 番 高 山 和 典
29 番 池 田 忠
30 番 琴 寄 昌 男
31 番 白 石 資 隆
32 番 関 谷 暢 之
33 番 中 島 宏
34 番 早 川 桂 子
35 番 日向野 義 幸
36 番 渡 辺 幸 子
37 番 保 母 欽一郎
38 番 松 井 正 一
39 番 山 田 みやこ
40 番 青 木 克 明
41 番 山 口 恒 夫
43 番 阿 部 寿 一
44 番 佐 藤 良
45 番 山 形 修 治
46 番 岩 崎 信
47 番 神 谷 幸 伸
48 番 五月女 裕久彦
50 番 螺 良 昭 人
51 番 木 村 好 文
52 番 板 橋 一 好
(2)説明のため出席した者の職氏名
地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者
知事 福 田 富 一
副知事 北 村 一 郎
副知事 天 利 和 紀
総合政策部長 笹 川 正 憲
経営管理部長 仲 山 信 之
生活文化スポーツ部長
野 原 恵美子
保健福祉部長 岩 佐 景一郎
環境森林部長 小野寺 一 行
産業労働観光部長 石 井 陽 子
農政部長 熊 田 欽 丈
県土整備部長 坂 井 康 一
危機管理防災局長 渡 辺 順 一
会計管理者会計局長
中 谷 一 彦
企業局長 北 條 俊 明
総合政策部次長兼総合政策課長
小 林 宣 夫
財政課長 岩 田 知 也
教育長 阿久澤 真 理
代表監査委員 森 澤 隆
人事委員会事務局長
萩 原 英 樹
労働委員会事務局長
桐 渕 ゆ か
警察本部長 難 波 健 太
(3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
事務局長 柏 瀬 仁
次長兼総務課長 菊 池 薫
議事課長 大 野 光 二
政策調査課長 横 山 泰 治
議事課課長補佐 小田部 秀
課長補佐 小 材 忠 宏
副主幹 山 﨑 里 香
係長 手 塚 英里子
主査 長谷川 寛 和
主査 桐 原 毅 充
主査 荒 川 尚 子
主査 榎 本 和 也
◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は50名であります。
――
―――――――――――――――――――――――――――
午前10時 開議
○佐藤良 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
初めに、諸般の事項を事務局長に報告させます。
◎柏瀬仁 事務局長 報告いたします。
1 議場における説明のための出席要求について
地方自治法第121条の規定により、本日の渡邉典喜議員の発言に対する説明のため、
選挙管理委員会の伊藤勤委員長の出席を求めましたので、ご報告申し上げます。
――
―――――――――――――――――――――――――――
○佐藤良 議長 日程第1 第1号議案から第12号議案まで、第14号議案から第26号議案まで及び認定第1号から認定第6号までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) おはようございます。とちぎ自民党議員会の神谷幸伸でございます。久しぶりの質問でいささか緊張しておりますが、発言通告に従い、8つの項目について早速質問してまいりますので、知事はじめ執行部の皆様には、分かりやすく、明快かつ前向きなご答弁をお願い申し上げて、質問に入らせていただきます。
初めに、今後の財政運営について、知事にお伺いします。本県はかつて厳しい財政危機に陥りましたが、とちぎ
未来開拓プログラムを策定し、痛みを伴う徹底的な歳出削減に取り組み、
プログラム終了後も財政健全化を進めた結果、2021年度の決算では、47都道府県中、県民1人当たりの地方債残高は7位、財政力指数は11位、将来負担比率は6位と上位となりました。財政健全化に向けた取組の成果が見られています。しかし、県の
中期財政収支見込みでは、2027年まで毎年70億円から80億円くらいの財源不足が見込まれており、また、県債残高についても、とちぎ行革プラン2021の中間評価では、やや不十分と評価されていることから、今後も財政健全化に向けた不断の取組が必要であると考えています。
しかし、一方で、急速な少子化の進行に歯止めをかけるための取組や県民の生命と財産を守る防災・減災、国土強靱化に向けた取組などを着実に進めていく必要があります。また、現在検討が進められている「文化と知」の創造拠点の整備や第三期県立高等学校の再編など、本県のさらなる発展のためには将来に向けた投資も極めて重要であり、事業の選択と集中を行い、事業の費用対効果の検証を徹底しながら、将来の発展に必要な分野については積極的、集中的に投資するなど攻めの姿勢も重要であると考えます。
そこで、本県財政について現在の状況をどう評価し、今後どのように運営していくのか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの
神谷幸伸議員のご質問にお答えいたします。人口減少問題が深刻化する中、本県の財政状況につきましては、高齢化の進行等により
医療福祉関係経費の増加が続いていることから経常収支比率は高水準にあるほか、今後の中期的な財政収支の見通しにおきましても毎年70億円台から80億円台の財源不足が見込まれるなど、引き続き厳しい状況にあると認識しております。また、歳入の大宗を占める県税収入につきましては、令和4年度の決算額は前年度から増加したものの、今年度においては、物価高の長期化等による企業業績への影響などにより現時点で前年度並みにとどまっており、当初予算に計上した一般財源の確保は予断を許さない状況にあります。こうした中にありましても、とちぎ
未来創造プラン及びとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)に掲げる施策はもとより、今後生じる新たな行政需要についても、将来をしっかりと展望しながら積極的に取り組んでいくことが重要であり、そのための安定した財政基盤が必要であると考えております。
このため、歳入面では、企業誘致や観光誘客等により県内経済の一層の活性化を促し、税収の増加を図るほか、国庫補助金等の積極的な活用に取り組むとともに、歳出面では、ICTの活用等によるさらなる行政コストの削減や選択と集中による事務事業の見直し、さらには予算執行段階での節約の徹底等に努めてまいります。
今後とも、財政健全化に向けた取組を着実に進めながら持続可能な財政基盤の確立を図り、本県の将来像であります「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) 知事にご答弁をいただきましたが、ここで知事に再質問を行わせていただきます。先ほども申し上げたとおり、2027年度まで毎年70億円から80億円の財源が不足する、このような状況で将来に向けた投資を推進していくためには、さらなる歳入の確保を図ることが重要かと思います。
この歳入確保に向けてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長
福田富一知事。
◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。ご指摘にもありましたように、新たな行政需要に的確に対応していくためには、安定的な歳入確保が不可欠でございます。その大宗を占める県税収入をしっかりと確保していくことが重要と考えておりまして、引き続き個人県民税の滞納額縮減を図るとともに、
スマートフォンの決済アプリ等のデジタル技術を活用した納税しやすい環境整備を進めるなど、税収確保の取組を推進してまいりたいと思います。
税外収入につきましては、県有施設等の
ネーミングライツについて、昨年12月に開始いたしました提案募集制度によって新たな施設への導入に取り組むほか、ふるさと納税につきましても、魅力ある返礼品の種類を増やすなど工夫しながら寄附額の増大を目指してまいりたいと思います。
引き続き、持続可能な財政基盤の確立に向けまして、さらなる歳入確保に努めてまいります。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) 答弁をいただきました。確かに税収の確保や、広告収入、
ネーミングライツ、県では積極的にやっていただいていますけれども、未収債権の回収についてもこれから積極的に行っていただきたいと思っています。
1点、提案があるのですけれども、私が議長になったのは12年前です。そのときに議長車を入れ替えるという話が出て、当時千二、三百万円ぐらいの乗用車だったのですけれども、一括で買うという話になって、管財課に、それはもったいないだろう、リースをしたことがないのかという話をしましたら、リースはしたことがないという回答があったので、そういうものなのかなということで12年間そのままにしていたのですけれども、知事部局だけの県有車を調べさせてもらいました。今、公用車は知事部局だけで985台、これは令和5年3月現在の台数です。直近の支払いを見させていただいて、令和2年度が一番多く買って93台、5億3,000万円ぐらいのお金を一気に出して購入しているのですね。これを仮に5年リースであると、約1億円でリース代が済みます。そうすると、4億3,000万円近いお金がほかの事業に回せるということもあるので、削減というわけにはいかないかもしれませんけれども、先ほども
スマートフォンでという話がありましたが、こういうものを徹底していただければ、県全体の財政状況は上位にあるのですから、積極的な予算も組むことができるのではないかと思っていますので、ぜひ知事には積極的な財政を組み上げていただきたいと思っています。
要望しておきますけれども、私は、財政運営において健全化を図ることは当然重要でありますが、少子化対策や国土強靱化、教育など県民の安全・安心や本県の将来の発展につながる分野については、集中的かつ大胆に投資するなど、めり張りも必要だと思っています。来年は福田知事5期目の集大成でもありますので、多くの県民が元気になるような予算を組み上げていただきますことをご期待申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。
職場における男女平等の実現に向けてということで、
産業労働観光部長にお伺いします。本年6月に開催されたG7栃木県・
日光男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合において採択された日光声明では、女性の役員、管理職の割合の低さ、家事や無償の介護労働などが女性に偏っていること、女性に不利な人事、賃金制度といった複合的要因により男女間の所得格差が生じているとして、柔軟な働き方や公平で透明な給与制度の推進、性別に基づく役割分担意識の変革など、職場における男女平等の実現に向けた取組の必要性を強調していました。
しかしながら、男女平等に関しては、県が今年実施した県政世論調査では、働く場において「男女の地位はどの程度平等になっていると思いますか」という問いに対し、6割を超える県民が働く場において「男性が優遇されている」と答えており、男女平等が県民に実感されていない現状にあります。また、我が国では、2021年の
男性一般労働者の給与水準を100としたときの
女性一般労働者の給与水準は75.2であり、また、上場企業の役員に占める女性の割合は2022年7月末時点で9.1%にとどまっているなど、職場における男女間の格差は依然大きい状況にあります。実際に私も、県民の皆様の様々な声を聞く中で、多くの女性から男女間の賃金格差や労働環境の不平等を訴える声を耳にいたしましたが、本県は
大臣会合開催県として、日光声明の理念の実現のため、その解消に率先して取り組む必要があると考えます。
そこで、県は日光声明を踏まえ、賃金格差是正など職場における男女平等の実現に向けて今後どのように取り組んでいくのか、
産業労働観光部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長
石井陽子産業労働観光部長。
(
石井陽子産業労働観光部長登壇)
◎石井陽子
産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。長時間労働中心の労働慣行や固定的な
性別役割分担意識などを背景とした女性管理職の少なさや女性の非正規雇用率の高さなどが賃金格差をはじめとする不平等の要因と考えられ、日光声明でも指摘をされておりますとおり、こうした構造的な課題を解決していくことが重要であります。
このため、国では、大企業を対象としている
男女間賃金格差の開示義務を労働者101人以上の中小企業にまで拡大することを検討するほか、非正規雇用者の正社員化を実施した事業者に対する助成等を行っております。また、県におきましても、企業の意識改革を促す
経営者向けセミナー等を開催するとともに、企業が女性の雇用環境改善に向けた計画策定や取組を主体的に行えるよう専門家を派遣し、伴走支援を行っております。
さらに今後は、労働団体、経済団体、行政等から成るとちぎ
公労使共同会議におきまして、働き方改革や女性活躍を推進し、
オール栃木体制で、日光声明の理念も踏まえ、
男女間賃金格差の是正など、職場における男女平等の実現を図ってまいります。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員)
産業労働観光部長から答弁をいただきました。ぜひ日光声明の理念実現に向けては積極的に取り組んでいただきますことをお願いしたいと思います。
要望でありますけれども、私は、女性の
労働環境改善のためには最低賃金の着実な引上げも重要と考えています。本県の最低賃金は10月1日から954円に改定されますが、今年度は国が示した引上げの目標額に対し、上乗せした地方が続出しました。これは物価上昇や人手不足が背景にあると言われており、今後も地域間の競争激化が想定されます。本県が女性から選ばれ、将来にわたって住み続けていただくためには、この競争に勝ち抜いていく必要があると思っています。この最低賃金は国が決めることではありますけれども、このことによって負担が生じる中小企業への支援、これは県でもできることでありますし、今年の最低賃金平均は1,004円です。私は、この栃木県も平均に限りなく近づけていけるようなにしていただいて、関東近県の他県と比べ差別化が図れるようにしていただけたらありがたいと思っておりますので、国へのアプローチも積極的にお願いしたいと思います。
そして、昨日の報道で、年収の壁、106万円と130万円については、政府で10月から改善をしていくようなニュースが流れておりましたので、こういうことが一つの起爆剤となって、女性の働き方改革、職場での男女の賃金格差というのがなくなるようにご努力をしていただきたいと思っています。要望したところで、次の質問に入らせていただきます。
避難所の環境向上について、
危機管理防災局長にお伺いいたします。近年では、気候変動の影響により、水災害、土砂災害が全国各地で頻発・激甚化しています。また、首都直下地震など大規模地震の発生も切迫しており、我が国はいつ、どこで災害が発生してもおかしくないと言えると思います。一方、今年の夏は全国的に記録的な猛暑が続き、気象庁は、7月下旬以降の高い気温について、歴代と比較しても圧倒的な高温で異常気象だと結論づけたわけであります。
このような状況でもし大災害が発生した場合、体力のない高齢者、幼児への熱中症対策など、避難所環境の改善が特に重要でありますが、多くの市町で避難所として指定されている学校の体育館では、エアコンが設置されているところは限られています。避難所の環境整備が不十分ではないかと危惧しているのであります。また、避難所に関しては、避難された方が情報の発信、収集をするためのWi-Fiの整備、プライバシーの確保や、障害者、女性、LGBTなど多様な視点に配慮した避難所運営、高齢者、乳幼児に配慮した備品の確保など、社会情勢の変化にも考慮しながら、環境の向上に向けた早急な対策が必要であると考えます。
そこで、異常な猛暑など様々な状況を踏まえ、県は避難所の環境向上にどのように取り組んでいくのか、
危機管理防災局長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長
渡辺順一危機管理防災局長。
(
渡辺順一危機管理防災局長登壇)
◎渡辺順一
危機管理防災局長 ただいまのご質問にお答えいたします。避難所の運営につきましては、全ての避難者の良好な生活環境を確保できるよう配慮することが重要であります。
そのため、県では、
避難所運営マニュアルの作成指針を市町に示すとともに、避難所の運営研修の実施等により、
Wi-Fi環境の整備やパーティションによるプライバシーの確保、バリアフリーへの配慮、授乳室や更衣室の設置など、避難者の様々なニーズに対応した避難所の生活環境の向上を促してまいりました。また、空調設備が整備されている体育館は限られておりますことから、避難者の体調管理のため、市町に対し
国庫補助制度等の活用による整備を促すとともに、空調設備が未整備の場合は、民間企業との災害時応援協定等に基づく可搬式の冷房装置の設置などの配慮を求めております。
今後とも、市町と連携し、県民が安心して避難できるよう避難所の環境向上に向けて取り組んでまいります。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員)
危機管理防災局長からご答弁をいただきました。
ここで、体育館のことでもありますので、教育長に再質問したいと思います。避難所として指定している小中高校の体育館ではエアコンの空調機器の設置が限られ、今年のような異常な猛暑の中では熱中症のリスクが高まり、体育の授業や部活にも支障が生じていると聞いています。体育館の空調機器の充実を図ることは夏場の教育環境の整備という観点で極めて重要でありますが、災害時の避難所としての防災機能の向上にもつながることから、積極的に整備に取り組んでいただきたいと思っていますが、小中高校の体育館における空調機器の整備について教育長に所見を伺いたいと思います。
○佐藤良 議長
阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。災害時の避難所となる体育館の環境整備として、空調施設を整備していくことは重要であると考えております。このため、市町の小中学校の体育館につきましては国の補助制度の積極的な活用などについて、県として支援、助言を行ってまいりましたし、これからも取り組んでいきたいと思います。
一方、県立の学校の体育館につきましては、直接的に国の補助等の対象にならないものですから、その点で市町と違って整備に課題があります。また、体育館の空調を整備するに当たっては、要するに屋根や窓の断熱などとセットで進めていかないと効果を上げないという課題もありますことから、今後、まずは可搬式の空調設備などの活用も含めて市町とよく協議をしてまいりたいと思います。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) 積極的に支援をしてあげていただきたいと思いますけれども、市町では空調を整えるほど財政力は豊富ではないのですね。教育長は、国庫補助で空調整備をしていただくように市町にお願いしているということでありますが、ここで、なかなか難しいとは思いますけれども、県が一部を補助するなどして、ここ何年かのうちに避難所になっている体育館は全て空調が入っている、Wi-Fiが入っている、そのようにしていけばいいと思うのですよ。本当のいっときだと思うのですね。やはりこの異常気象の中で、子供たちのことをまず考え、教育の環境はもちろんでありますけれども、避難所の環境整備という中においては、何が何でも空調整備、クーラーに関しては整備をしていただきたいと思っていますので、教育長には積極的な対応をお願いしておきます。
そして、
危機管理防災局長には、今年は関東大震災が発生してから100年目ということで、東京都で甚大な被害が生じた場合、避難所が不足するおそれがあるわけです。東京都から何も言われていないという話はこの前お聞きしましたけれども、近県である本県への広域避難が必要となる可能性もあります。このような広域避難の受入れも念頭に置きながら、避難所における環境向上に向けて、平時のうちからしっかりと取り組んでいただく、これもスピード感を持ってと
危機管理防災局長には要望して、次の質問に入ります。
本県林業・木材産業のさらなる発展について、
環境森林部長にお伺いします。本県の森林は県土の約54%を占めており、2021年度の林業産出額は124億7,000万円で全国11位、このうち木材の産出額は85億1,000万円で全国第10位、本県は全国でも有数の林業県であります。本県の林業は、戦後植林した杉などの
民有人工針葉樹林の約7割に利用期が到来しています。森林資源が充実していることや、森林環譲与税をきっかけに都市部で木造・木質化への取組が活発化している中、大消費地である東京圏に近いという恵まれた立地などの強みがあります。また、
森林環境譲与税を活用した森林の整備や、とちぎの元気な
森づくり県民税を活用した里山整備などの取組も進んでおり、今後も森林整備量の増大が見込まれます。一方、人口減少、高齢化の進行など社会情勢の変化に伴い、林業従事者の確保・育成が課題となっており、また、他の業種と比較して離職率や
労働災害発生率が高いことも喫緊の問題となっています。
このような状況で、本県林業・木材産業をさらに発展させるためには、豊富な森林資源や大消費地である東京圏に近いという地の利といった強みを着実に生かすことに加え、林業人材の安定的な確保・育成や、機械化による林業の安全性、労働生産性の向上など、林業が抱える課題を克服するための取組にも注力し、林業・木材産業を安定的に成長可能な産業として育成を図ることが極めて重要と考えます。
そこで、本県林業・木材産業のさらなる発展のため、県は今後どのように取り組んでいくのか、
環境森林部長にお伺いします。
○佐藤良 議長 小野寺一行
環境森林部長。
(小野寺一行
環境森林部長登壇)
◎小野寺一行
環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県の森林が本格的な利用期を迎える中、林業・木材産業のさらなる発展を図るためには、県産木材の新たな需要創出や森林整備の促進により森林資源の循環利用を推進していくことが重要であります。
このため、県におきましては、県産木材を活用した住宅への支援のほか、関係団体と連携した東京圏での木製品展示商談会への出展など、県産木材の需要拡大に取り組んでいるところであります。また、カーボンニュートラルの実現や花粉症対策などの新たな課題への対応も含め、今後さらなる森林整備が見込まれることから、その担い手として、来年4月開校予定の栃木県林業大学校において、幅広い知識と専門的な技術を備えた即戦力として活躍できる人材の確保・育成を図ってまいります。さらに、ドローンによる測量や苗木運搬など、未来技術の実装等によりスマート林業を推進し、林業従事者の安全性や労働生産性の向上にも努めてまいる考えであります。
今後とも、関係団体等と緊密に連携しながら、本県林業・木材産業のさらなる発展に向け、積極的に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員)
環境森林部長から答弁をいただきました。積極的に林業・木材産業を支援していただきたいと思っておりますが、
森林環境譲与税について要望したいと思っています。
森林環境譲与税は、現状の配分基準では、人口の多い都市部へ多く配分されるなど不均衡な状況にあり、現在の配分基準について見直しの動きもあると聞いております。この配分基準は、
環境森林部長に言うのもなんですが、森林面積が50%、人口割が30%、林業従事者が20%、この人口割ということになると、私の地元は鹿沼市でありますけれども、鹿沼市に配分される
森林環境譲与税よりも横浜市に入ってしまう税のほうが多いという、少し変わった現象が起きているわけです。ですから、この人口割について国が見直しを検討しているということもありますし、昨日の質問の中にもありましたけれども、来年度から本格的に森林環境税、1人当たり1,000円を徴収することになっているのですから、あと半年の間にこの配分について、ぜひ国に積極的に働きかけをしていただきたいと思います。こういうことによって少しでも国からのお金が入ってくるということになれば、それだけ栃木県も楽になるわけですよ。今、栃木県は9,000万円ぐらい入っていますよね。ですから、こういう見直しをしていただければ、もっと活用できるということになりますので、
環境森林部長には積極的な働きかけをお願いして、次の質問に入ります。
県立高校の再編について、教育長にお伺いします。県教育委員会は、国の教育改革の動向や十数年先の中学校卒業者数の見込みなどを見据え、中長期的な視点に立って、今後の県立高校再編の基本的な考え方を示した第三期県立高等学校再編計画(案)を策定しました。本計画案では、農業、工業、商業などについて学ぶ職業系専門高校について、幅広い分野の知識を持ち、柔軟な発想ができる人材の育成を図るため、職業系専門高校など9校を統合し、複数の専門学科を併設した、仮称ではありますけれども、未来共創型専門高校4校に再編する案を示しています。
少子化による学校への影響も鑑みると、職業系専門高校においても、科目の専門性に配慮した適正な教員数の配置や柔軟な教育課程の編成といった観点から、再編統合は避けては通れないと考えていますが、一方で、本計画案にて統合対象となる職業系専門高校の地域の皆様からは、学校が長年培ってきた専門性の喪失を心配する声や、地域で活躍する人材をこれまで育成してきた役割が失われてしまうのではないかという懸念が寄せられています。未来共創型専門高校への再編は、本県の今後の発展を支える子供たちの進路に大きな影響を及ぼすことにもなります。まずは何よりも子供にとって魅力がある学校とすることが極めて重要であります。
県教育委員会は、地域や保護者の皆様から寄せられた意見にも真摯に耳を傾け、丁寧に検討を進めていただきたいと考えていますが、職業系専門高校の未来共創型専門高校への再編を今後どのように進めていくのか、教育長にお伺いします。
○佐藤良 議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。第三期県立高等学校再編計画(案)では、職業系専門高校の統合により、農業、工業、商業など複数の学科を併置する、仮称ではありますが、未来共創型専門高校の設置を進めることといたしました。この未来共創型専門高校では、地域産業を担う人材の育成という役割を引き続き果たしていくため、専門的な知識、技術の習得に向けた実践的な職業教育のさらなる充実を図っていくこととしております。その上で、専門分野の枠を超えた幅広い視野を身につけられるよう、異なる学科の生徒が連携・協働して探究的に学ぶ教育課程とするなど、学科横断的な学習を推進してまいります。
計画の策定後は、学校や地域の関係者、学識経験者などを委員とする新校設立準備委員会を設置し、校名や教育目標をはじめ具体的な教育内容等の検討を行い、地域の産業教育の中核となる新しい学校づくりを進めてまいります。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) 教育長から答弁をいただきました。教育長に再質問したいと思います。私の地元、鹿沼市を含む上都賀地区は県内でも最も生徒数の減少が激しく、全日制7校を4校に再編する案が示されました。このうち、鹿沼南高校と鹿沼商工高校が未来共創型専門高校への再編を予定されていることに関し、鹿沼南高校には県内唯一の林業コースがあります。来年4月に林業大学校が開校することも踏まえ、新校においても引き続き林業の学びの場を確保するべきと考えますが、教育長の所見をお伺いします。
また、同じ上都賀地区の日光市では、市内の3校が1校に統合される案が示されたことに対し、若者の流出が加速するという強い危機感を持っています。再編に当たり、地域の将来を担う人材の育成という観点で、地元の意見も丁寧に聞きながら検討していただきたいと考えております。先ほどの答弁の中にあった検討委員会には、なるべく地元の方も入れていただきながら丁寧に今後のことを進めていただきたいと考えていますが、併せてお伺いしたいと思います。
○佐藤良 議長
阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。今回、提案いたしました再編計画案では、鹿沼商工高校と鹿沼南高校統合という中で、鹿沼南高校にあります林業コースを含む農業科についてもその対象として考えているところであります。農業、林業を学ぶ人材が地域で貢献していくということが非常に重要なことでありますので、新しい学校への再編に当たっては、そういった観点を踏まえて、どのような形でカリキュラムを含めて新校のカリキュラムとするのか、その辺りも含めて新校設立準備委員会の中で検討させていただきたいと思います。
それから、2点目の日光市における3校統合ということですけれども、今、
神谷幸伸議員からご指摘がありましたように、上都賀地区も人口減少が非常に激しいということもありまして、今回3校を統合するという案を提案させていただいたところであります。学びの質、要するに適正な学校の規模を確保して、よりよい学びの質を提供していくということで、ある程度の統合はやむを得ないと考えておりますけれども、様々ご意見も寄せられておりますので、これから地域の皆様のご意見も十分踏まえながら丁寧に検討してまいりたいと思います。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) ぜひ地域の人の声を聞いて丁寧に進めていただきたいと思います。
次の質問に入ります。本県教育の質の向上について、教育長にお伺いします。社会情勢が目まぐるしく変化し、予測困難な時代にある中、ふるさと栃木が持続的な発展を遂げるためには、本県の将来を担う人材の育成が極めて重要であります。そのためには、社会を担う子供たちが教育を通して時代の波を前向きに受け止め乗り越えていけるたくましさや、新しい価値観を生み出せる力などを養うことが必要であり、栃木県教育振興基本計画2025などに掲げる各種施策を着実に実行することにより、教育の質のさらなる向上を図ることが必要不可欠であると考えています。また、県外から多くの人材を呼び込み、様々な分野で選ばれるとちぎを実現するためにも教育環境等の充実が重要であり、学校現場で教育に携わる教員の皆様の果たす役割は非常に大きいと考えています。
その一方で、文部科学省が発表した2022年度の勤務実態調査の結果では、小学校教諭の64.5%、中学校教諭の77.1%が国の指針で定めている月45時間の上限を超える時間外勤務をしていたとのことであり、依然として、教員は深刻な長時間勤務を余儀なくされている環境に置かれていることが明らかになりました。さらに、教育現場を取り巻く環境は、不登校への対応や集団生活に適応できない児童生徒への対応、外国人など日本語教育が必要な児童生徒への対応など多様な課題に直面しており、教員に過度な負担がかかっていないかと危惧しています。
そこで、県教育委員会は、教員が多忙な状況に置かれている中、多様な課題にどのように対応し教育の質の向上を図っていくのか、教育長にお伺いします。
○佐藤良 議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。複雑化する学校の諸課題に的確に対応していくためには、校外の多様な人材とも連携・協働しながら、教員の過度な負担を軽減するなど、日々の教育活動における勤務環境を改善していくことが重要であります。
このため、県教育委員会では、指導困難な状況にある学級等へのスマイルプロジェクトによる非常勤講師の配置や、スクールカウンセラーをはじめとする専門能力の高い外部人材の活用などにより支援体制の強化を図ってまいりました。また、今年度は、管理職のマネジメント研修に加え、中堅的な立場で活躍する教員に対し、ミドルリーダーとしての資質、能力を高める研修を新たに実施するなど、学校のマネジメント機能の強化を図っております。
今後も、市町教育委員会と連携しながら、学校組織全体の総合力を高めることで、本県教育の質のさらなる向上に努めてまいります。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) 教育長から答弁をいただきましたが、マネジメント強化のために教員が努力をしている、逆に負担になっていないかということも考えていただきたいと思います。
教育長に再質問します。県教育委員会では、小中学校を対象に指導困難な状況にある学級、学校に対して、スマイルプロジェクトとして非常勤講師の配置をしていますが、本事業は、子供たちが安心して学べる環境をつくるだけでなく、教員の負担軽減にもつながり、教育の質の向上に向けた各種施策の展開と教員の働き方改革の両立を図る上で極めて重要な取組と考えています。
そこで、各校に配置する非常勤講師の増員など、本事業のさらなる推進を図る必要があると考えますが、教育長の所見をお伺いします。
○佐藤良 議長
阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。ただいまお話がありましたスマイルプロジェクトにつきましては、子供の学習環境の向上ということのみならず、教員一人一人が子供たちと向き合う時間を確保するという意味においても非常に重要な事業でありまして、本県としても中核的な事業としてこれまで取り組んでまいりました。
今後も、この事業のさらなる効果的な活用に向けて、市町の状況をよく勘案しながら適切な配置に努めてまいりたいと思います。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) ぜひ市町とよく協議をして、教育の質の向上を図るための非常勤講師、教員の負担軽減に向けた人材確保についても、このスマイルプロジェクトを積極的に活用していただきたいと思います。
次の質問に入ります。県西部地域における道路ネットワークの整備について、県土整備部長にお伺いします。私の地元、鹿沼市を含む本県西部を縦断する栃木西部都市連絡道路は、県西部地域の経済、産業の成長、安全・安心な暮らしを支える重要な広域道路でありますが、鹿沼市内では市街地内を縦断しているため、主要な交差点において著しい渋滞が発生し、また、事故も多発するなど大きな課題を抱えています。
そのため、県では、栃木西部都市連絡道路のネットワーク強化や現道の事故防止、渋滞対策として国道293号楡木バイパスの整備を進めており、これまでに県道鹿沼環状線以南の一部地域が開通していますが、残る未整備地区についても整備を進め、早期の全線開通により道路ネットワークとしての効果を最大限に発揮させるべきと考えます。
そこで、県西部地域における道路ネットワークの整備に関し、国道293号楡木バイパス整備の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。栃木西部都市連絡道路は、日光市から鹿沼市を経由し、小山市に至る県西部地域の骨格を形成する広域道路であります。このため、県では、県道鹿沼環状線から、既に整備が完了している鹿沼南バイパスまでの間の5.3キロメートルを楡木バイパスとして整備を進め、これまでに県道鹿沼環状線から県道宇都宮楡木線に接続する市道0363号線までの2.3キロメートルを供用させたところであります。残る3キロメートルにつきましては令和2年度から事業に着手し、このうち県道宇都宮楡木線以南の1.2キロメートルを優先区間として用地取得を進めるとともに、今年度は、東北自動車道との立体交差事業につきまして東日本高速道路株式会社との協議が調ったことから基本協定等を締結する予定であります。
今後とも、広域道路としての機能を発揮できるよう早期整備に努めてまいります。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) 県土整備部長から答弁をいただきました。この南側、楡木バイパスについては、東日本高速道路株式会社と立体交差事業について協定を結ぶ、そこまで進んできましたということでありますので、ぜひ積極的にスピード感を持って進めていただきたいと思います。
要望を1つ入れたいと思います。現在の工区は南側に約3キロメートルでありますけれども、北側に1キロメートル、このネットワークを鹿沼市中心部につなげていくことで交通利便性が飛躍的に高まり、良好な市街地形成に大きく寄与すると考えています。例えば、黒川左岸の既存市道を活用して国道121号御成橋東交差点へつなげていくことも可能であり、鹿沼市とも連携を密にし、国道、県道に加え、市道も含めた効率的で効果的な道路ネットワークの形成に取り組まれるよう要望いたします。よろしくお願いしたいと思います。
次の質問に入ります。時間がなくなってまいりましたので、最後に、一級河川武子川の整備について、県土整備部長にお伺いします。近年、全国的に台風等による河川の浸水被害などが頻発・激甚化しており、本県においても平成27年関東・東北豪雨や令和元年東日本台風により県内様々な河川で被害が発生しました。私の地元、鹿沼市でも、思川や武子川などの河川において家屋や農地などへの浸水被害が発生しましたが、このうち武子川について、県では鹿沼市千渡地先から仁神堂町地先までの3,500メートルを事業区間に加え、河川整備を実施しているところであります。今回、事業化された区間は、これまで局所的な護岸整備は実施されていたものの、抜本的な改修は行われておらず、頻発・激甚化する豪雨に備えるためにも一日も早い対策が望まれます。
そこで、一級河川武子川での河川整備の現在の状況と見込みについて、県土整備部長にお伺いします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。武子川につきましては、市道の若林橋から国道293号仁神堂橋上流までの7.8キロメートルを整備区間とし、これまでに下流の若林橋から県道宇都宮楡木線武子川橋までの0.7キロメートルの整備が完了しております。その上流部0.35キロメートルにおけるJR日光線武子川橋梁の改築工事につきましては、現在、JR東日本と協議を進めており、年度内に協定を締結し、来年度から工事に着手する予定であります。また、令和4年度に事業着手した3.5キロメートル区間を含む残りの6.75キロメートル区間のうち、約8割に当たる沿川で圃場整備事業が予定されている区間におきましては、早期に事業効果が発揮できるよう、引堤等に必要な用地の確保などの事業調整を進めております。
今後とも、関係機関と緊密な連携を図りながら武子川の早期整備に努めてまいります。
○佐藤良 議長
神谷幸伸議員。
(47番
神谷幸伸議員登壇)
◆47番(
神谷幸伸議員) 時間がないので、要望に代えさせていただきますけれども、現況の武子川では、今、千渡工区の土地改良も併せて行われています。この土地改良に合わせた河川整備もぜひ時間を同じようにできるように要望しておきたいと思います。
それから、水害が発生すると、災害の復旧に当たり多大な費用と時間がかかります。地域の経済活動にも甚大な影響を与えることから、事後的な復旧事業だけでなく、水害を未然に防ぐ対策として、築堤や河道掘削などの抜本的な整備に平時から取り組んでいきますようお願いを申し上げ、私の質問を終了させていただきたいと思います。
今回、8つのことについて質問させていただきましたが、要は栃木県が元気になり、栃木県に人を呼び込めるような……
○佐藤良 議長 発言時間が超過しておりますので、簡潔に願います。
◆47番(
神谷幸伸議員) 施策を積極的にお願いしたいと思います。
以上で質問を終了します。
○佐藤良 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午前11時1分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は48名であります。
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午前11時15分 開議
○関谷暢之 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。
ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 民主市民クラブの渡邉典喜でございます。県議会議員となりまして、初めての質問、登壇となります。少子高齢化、技術の進化、災害の激甚化など変化の激しい時代でありますが、そこに適応し、スピード感を持って県政を前に進めること、そして、同時に県民の皆様の声を丁寧に聞き、しっかりと県政に届けるという姿勢で取り組んでいきたいと思います。知事をはじめ執行部の皆様におかれましては、聞いている県民の皆様にも分かりやすいご答弁をお願いしまして、質問に入らせていただきます。
最初に、生成AIの活用について、知事にお伺いします。県では、業務改善や県民サービスの向上に向け、全国でも先進的に6月からチャットGPTの試行運用を行っており、9月から本格運用をスタートさせたところです。私は、チャットGPTをはじめとする生成AIの活用は、作業時間の短縮や新たな発想に基づく施策の実施などにつながるものであり、職員の業務の改善や県民サービスの向上に大きく寄与するものであることから、業務に存分に活用していくべきだと考えます。試行運用の段階では、資料の作成、文章の要約、企画などのアイデア出しなどの業務に活用されていたとのことですが、今後、職員が活用を進める中で、様々な活用アイデアや、より効率的な活用方法が生み出されていくことが想定されるため、庁内で情報交換しながら活用を進めていくことが重要だと考えます。
そこで、今後、チャットGPTをはじめとする生成AIの活用の一層の推進にどのように取り組むのか、知事に伺います。
○関谷暢之 副議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの渡邉典喜議員のご質問にお答えいたします。人口減少や少子高齢化が進行する中、限られた人員で多様化する行政課題に適切に対応していくためには、AIやIoTなどのICT技術を積極的に活用し、労働生産性の向上を図ることが重要であります。
このため、県では、とちぎデジタルスイッチや栃木県庁DX推進ビジョンを策定し、行政手続のオンライン化やICTツールなどの活用を通じて庁内でのDXを推進してまいりました。こうした中、生成AIであるチャットGPTの利用が急速に拡大したことを受け、私はこの技術が日々の業務の効率化に大きく寄与するものと判断し、本年5月に庁内での本格運用に向けて準備を進めるよう指示いたしました。その後、使用上の注意事項などをまとめた生成AIの利用ガイドラインを策定し、6月から試行運用を実施してきたところであり、情報漏えい等に対する安全性の検証や必要なシステムの見直しなどを行った上で、今月8日から本格運用を開始いたしました。今後は、チャットGPTのより効果的な利用を促進するため、職員向けの活用事例集の作成や情報交換の場の提供などを行うとともに、県民等からの問合せに自動回答するチャットボットへの活用を検討するなど、新たな業務での利用にも取り組んでまいります。
引き続き、チャットGPTをはじめ、AIやICTツール等を積極的に活用し、業務の効率化を図ることで県民サービスのさらなる向上に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 知事からご答弁をいただきました。自動回答するチャットボットへの活用など本当に様々な取組を前向きに実施していただけるということで、強く安心したところでございます。生成AIの行政サービスにおける活用は、全国の中でも栃木県が先駆けて進めているところでもあります。これからの社会は否が応でも生成AIと向き合っていかなければなりませんので、様々な部局での積極的な活用をお願いさせていただきます。
ここで、
産業労働観光部長に再質問いたします。お隣の茨城県では、観光などのPRを行っている公認Vtuberの茨ひよりが、チャットGPTの活用などによりAI化したAI茨ひよりとして、昨日までの期間限定で、茨城県庁でモニターで会話ができる形で県庁の案内などを行っていたそうです。私は、行政があまり得意ではないと言われるPRや啓発業務に生成AIを活用することは非常に有効ではないかと考えております。栃木県の魅力発信に活用していけるよう、まずは観光分野での活用を進めてはどうかと考えています。例えば、仮称AIとちまるくんと観光客が対話できる機器などをJR宇都宮駅などに設置し、観光客への情報提供などを行うことを試験的に実施してみると、今後の推進に当たっての一つのヒントになると考えます。
そこで、観光分野での生成AIの活用をどのように推進していくのか、
産業労働観光部長の考えを伺います。
○関谷暢之 副議長
石井陽子産業労働観光部長。
◎石井陽子
産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。生成AIにつきましては様々な場面での利活用が考えられますので、行政サービスの向上や効率化が期待されるものと認識をしておりまして、観光分野における活用も想定されるところでございます。
一方で、真偽不明の情報を利用してしまうというおそれがあるほか、プライバシーや著作権を侵害する可能性があるなど様々な懸念が指摘されておりますので、不特定多数の県民や観光客が利用するような場面で、まずこのような課題をクリアできるのかということを含めまして、今後、庁内でチャットボットへの検討もするということもございますので、生成AIの動向に注視しながら活用等の検討をしてまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員)
産業労働観光部長から答弁をいただきました。様々なリスクもあることもおっしゃるとおりだと思いますので、検討しながら、ただ、このような先進技術に関しては、まずは挑戦していくことが重要だと私は考えておりますので、ぜひとも前向きな検討をいただくよう要望し、次の質問に移ります。
私といたしましては、開業したLRT事業については持続可能なものにしていくことが重要と考えておりますので、そのような観点から、JR宇都宮駅東側のLRT事業について、知事にお伺いします。芳賀・宇都宮LRTが8月26日に開業して約1か月が経過しました。軌道法に基づき新設される路面電車の新設は国内で75年ぶりであり、全国的な注目度も高く、私も開業式でLRTの開業を歓迎する多くの県民の皆様を目にしたところでございます。LRT沿線付近の地価の上昇などの経済的な面でのプラスの効果も出ていますが、一方で、車との接触事故が起きるなどの安全面の懸念、時間帯によっては乗車できない方がいるなど、輸送力についての議論もあります。また、住民からは、LRTの軌道敷設後、車線が減少したことや、開業に伴い信号で停止する回数が多くなったことから渋滞が以前よりひどくなったため、県が何らかの対応をすべきではないかとの声も寄せられています。LRTを利用しようとしても、停留場への交通手段がないために利用できないといった声も根強くあります。現在は開業直後の特需もあり、利用者は想定よりも多い状況にありますが、利便性や安全性の面での課題が多くなれば、利用者の減少やLRT事業への不信感の増大などにつながることが懸念されます。
LRT事業については、事業が定着する4年目以降は年約1.5億円の黒字を見込み、開業前経費の累積損失は9年目で解消する見通しが立てられていますが、県民から支持されるLRTにするためには、常に課題を検証し、改善すべき部分の改善には速やかに取り組み、事業を持続可能なものにしていくことが重要です。県は、JR宇都宮駅東側のLRT事業の総事業費684億円のうち83億円を支援することとしており、事業を推進してきた立場にある以上、開業後もJR宇都宮駅東側のLRT事業の持続的な運営のために、市町とともにその役割を果たしていく必要があると考えます。
そこで、県はJR宇都宮駅東側のLRT事業を持続可能なものにしていくために、今後、市町と連携し、どのように取り組んでいこうとしているのか、知事の考えを伺います。
○関谷暢之 副議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。芳賀・宇都宮LRTは、東西基幹公共交通として、既存公共交通と連携し、質の高い広域的な公共交通ネットワークを構築するものであり、県内各地の交通利便性の向上による地域活性化や観光振興への寄与が期待されております。
LRTの開業から約1か月が経過いたしますが、1日当たり1万人を超える多くの方が通勤通学等で利用するなど、県民の生活に欠かせない地域の足として定着する兆しを見せております。このような中、今後、LRTが持続可能な公共交通として成長するためには、まずは安全面への対応が重要であることから、先日の事故を受け、県警、市及び運行事業者におきまして緊急対策会議を開催し、ドライバーへの啓発活動や安全・安心な運行に向けた取組等を強化したところであります。また、LRTの開業に伴う周辺交通の変化をはじめとする様々な影響への対応や、路線バス、地域内交通などの充実及び交通結節機能の強化等によるさらなる利便性の向上についても重要でありますことから、市町、有識者、運行事業者等関係者で構成され、県がアドバイザーとして参画している各種会議の場を活用し、市町や運行事業者等と適切な役割分担の下、取り組んでまいります。
引き続き、誰もが安心して快適に暮らすことのできるよう、市町等とも連携を図りながら持続可能な公共交通ネットワークの確保・充実に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 知事からご答弁をいただきました。安全面などでの様々な留意をしながら、県としても関わっていくという答えを聞き、安心したところでございます。
ここで、県土整備部長に再質問いたします。私は、ほかの住民の方はもとより、今後、高齢化が進んでいく中で免許返納が増えることも予想されることから、ご高齢の方が家から外出できる環境を整備することが行政の役割として重要だと考えております。LRTも停留場やトランジットセンターに歩いていける、沿線沿いに住んでいても、そういった方はそれほど多くないと思います。そういった方への家から停留場などへのバスなどの交通アクセス手段、ラストワンマイルを整備することが、今後、持続可能な公共交通としてLRTが活用されるには重要だと考えます。
現在、栃木県ABCプロジェクトの一環として、芳賀工業団地内で通勤者などのニーズに応じた循環系バスの自動運転の実証実験の準備をなさっていることは承知しておりますが、住民向けに住宅地でもそのような試みを行うことが必要になってくるのではないかと考えます。また、一度試しに乗ってみようなどのLRT需要が落ち着いてきたときに、関心度を高める効果もあるのではないでしょうか。
そこで、JR宇都宮駅東側のLRTを利活用するために、どのようにラストワンマイルを整備していくのか、県道整備部長のお考えを伺います。
○関谷暢之 副議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 再質問にお答えいたします。全ての人にとりまして安全・安心、快適な移動手段の確保を図るためには、路線バスや地域内交通等の端末交通の充実が重要であると考えております。
県では、自動運転バスの実証実験でありますABCプロジェクトにおきまして、鉄道駅と接続する交通という実験としまして、これまでに宇都宮市、それから足利市などの5か所で実証実験を実施してきたところでございます。また、芳賀町におきましても実証実験のほうを準備中でございまして、無人自動運転移動サービスは、住宅地を含めた端末交通の充実に向けた具体的な活用策の一つであると考えているところでございます。
今後とも、このような無人自動運転移動サービスの活用をはじめとしました住宅地を含めた端末交通の充実につきまして、市町や交通事業者等様々な関係者と連携して取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 県道整備部長から端末交通の重要性についても認識しているというご答弁をいただきました。
ここで要望いたします。ご高齢の方からの免許を返納した後にどのように生活していくのか、そういった声は日頃からたくさんいただくところでございます。既存のLRTだけでは、多くの県民の皆様にとってはその答えにはならないわけでありますので、ラストワンマイルという課題を、意識を持って進めていただきたい、そのように要望し、次の質問に移ります。
コロナ禍での生活困窮者に対する支援について、保健福祉部長にお伺いします。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により影響を受けた生活困窮者に対して、2020年3月から生活福祉資金の特例貸付が市町の社会福祉法人社会福祉協議会などが窓口となり実施され、県内における実績は、緊急小口資金が約2万5,000件で約45億4,000万円、総合支援資金は約3万2,000件で約166億9,000万円でした。本年1月から緊急小口資金と総合支援資金の初回貸付分の返済、償還が始まりましたが、貸付けを受けた方、借受人のうち約3割は住民税非課税世帯などの理由で償還免除となり、残りの借受人については、本年7月までの累計償還計画額のうち償還率は約5割にとどまっていると聞いています。
コロナ禍からの回復も業種により差がある中、物価高騰などの影響で生活が厳しい家庭も増えており、償還に至らない借受人や償還が途中で困難になる借受人が今後増える可能性も懸念されます。コロナ禍という先が見えない状況で迅速な支援が必要だったという側面があり、本貸付制度においては、制度開始時に償還免除対象者の要件も曖昧な部分があり、従来の生活福祉資金貸付制度よりも十分な相談支援などを行うことがない状況で貸付けがなされてきたのを私自身、目にしてきました。東京都などでは借受人の自己破産も増えているとの話も聞いており、生活に困窮した人の暮らしを支えるための貸付制度が、結果的に償還が免除されない借受人の生活再建を妨げる要因となってしまっている現状が見てとれることから、償還が困難な状況にある借受人の生活の再建などを支援していく必要があると考えます。
そこで、県として生活福祉資金の特例貸付の償還の現状をどのように捉え、償還が困難な状況にある借受人の償還及び生活再建の支援にどのように取り組んでいこうとしているのか、保健福祉部長にお伺いします。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。生活福祉資金の特例貸付につきましては、コロナ禍における生活困窮者への緊急的な支援といたしまして、自立相談支援事業等による支援と併せて実施され、多くの方に活用されてきたところでございますが、償還が困難となる方も一定数存在しております。このため、実施主体であります県社会福祉協議会が市町社会福祉協議会と連携いたしまして、借受人の生活再建に向けたきめ細かな相談対応に取り組んでいるところでございます。また、県としましても、福祉事務所に自立相談支援員を配置しまして相談支援を行っているところでございますが、物価高騰下におきまして3名を追加配置するなど、その体制強化に努めております。
今後とも、償還の状況等を注視しまして、必要に応じて償還免除の適用要件のさらなる見直しや生活困窮者に対します支援策を講じるよう国へ働きかけながら、引き続き生活再建の支援に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 保健福祉部長からご答弁をいただきました。相談支援員の3名の追加など、県民に寄り添った形での対応をしてくださるというお答えをお聞きしたところでございます。
ここで要望いたします。私は、この問題は、緊急事態において自助では対応できない状況になったときに、公助、言い換えれば行政がどのような支援ができるかという今後の時代における大きなテーマであると考えております。私自身、今回のコロナ禍で大変な思いをなさってきた方のお話は聞いてきたところです。返済が重くのしかかっていて生活の再建が立ち行かないという声も耳にしておりますので、ぜひ国に積極的な働きかけをお願いしたいと思います。
今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関しては、前例のない中での行政の対応で大変な部分もあったと思います。国が主体で行ったものでありますが、持続化給付金や、性格は異なるものの、営業時間短縮協力金などは現金給付を行いました。一方で、住民税非課税世帯のみは償還免除という形での今回のような貸付けが緊急事態における対応として正しかったのか、生活再建への意欲や勤労意欲をそぐだけになる可能性もあり、対象者に条件をつける形での給付型の支援のほうが望ましかったのではないか。これらは、今回のような新型の感染症流行時だけではなく、災害発災時などの有事における支援の在り方にも通ずるものがあると考えますので、5類に引き下げられ、時間が経過してきたということもありますので、ぜひとも今回のコロナ禍における行政の支援という観点で、県の立場からも検証していただきたい旨、要望させていただきます。
次に、地籍調査の推進について、農政部長にお伺いします。地籍調査とは、市町が主体となって、一筆ごとの土地について、地番や地目、所有者を調査し、境界の測量と面積の測定を行い、地籍図や地籍簿を作成する調査のことをいいます。西欧先進諸国では、既に地籍調査は完了し、その成果のデータベース化とコンピューターによる管理、利活用が行われていますが、日本においては、土地に関する情報の整備が遅れているという現状があります。
その中でも、本県の地籍調査の現在の進捗率は25%で、全国平均の52%に対して非常に遅れている状況にあります。平成18年の本会議で岩崎信議員が質問したときには、地籍調査の進捗率は15%で、当時の農政部長から積極的に県全域で推進するという答弁があったにもかかわらず、17年が経過しても10ポイントしか進んでいないというのは進捗が遅いのではないかと考えています。17年間の間に地籍調査に着手した市町は16市町から24市町に増えており、進捗率についても、17年間の進捗率の伸びは、全国平均が5ポイントに対し、本県は10ポイントと全国を上回って伸びていることは承知していますが、進捗率が全国平均の半分にも満たない状況では、まだまだ取組が十分とは言えず、地籍調査を加速していくことが必要です。また、東日本大震災からの復興過程で地籍調査が進んでいない地域では、境界確認に時間を要し、復興が遅れたという事例も耳にしております。災害が多発している昨今の状況を見れば、大きな災害が起こる前に地籍調査を迅速に進めていくことは、災害に強いとちぎづくりの観点からも重要です。
そこで、県は現在の進捗率を踏まえ、地籍調査を今後どのように推進していくのか、農政部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。近年は災害が頻発化、激甚化しており、迅速な復旧に役立つ地籍調査の重要性が再認識されておりますが、県全体の進捗率は低い状況にありまして、今後、取組を進めていくためには、業務を担う市町の体制強化や作業の効率化を図る必要があると考えております。
このため、県では、市町職員等の知識、技術の向上に向けた研修会の開催や不動産登記を所管する法務局との連絡会議を設置したほか、市町が抱える個別課題に指導、助言する国のアドバイザー派遣制度の活用促進などに取り組んでいるところでございます。また、林地におきましては、県森林組合連合会が航空レーザ計測を活用した境界確認を実施しまして、労力負担の大きい現地立会いや測量作業の効率化を図っております。
引き続き、市町や関係機関と緊密に連携しまして、県全域での地籍調査を推進してまいります。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 農政部長からご答弁をいただきました。業務を担う市町の体制の効率化に、研修会を実施したり、法務局と連携、あるいは林地における労力負担について、様々な施策に取り組んでいただけるというご答弁をいただきました。
ここで要望させていただきます。地籍調査自体は市町が主体となって実施する性格のものであることは承知しておりますが、進捗率を加速するために、例えば10年後に50%を目指すなどの数値目標を設定し、より推進されるよう、県として旗を振っていくことは意義があると考えます。また、森林での地籍調査に関しては、とちぎの元気な
森づくり県民税事業として、森林組合の行う地籍調査もその一端に入っているわけでございます。今、そういった県民税への県民の皆様の関心が高まっている状況では、地籍調査を迅速に進めていくことはその観点からも重要になると考えております。地籍調査が迅速に進むように、国への予算要望も含めて取り組んでいただけるよう要望し、次の質問に移ります。
多彩ないちごの生産について、農政部長にお伺いします。県では、いちご王国・栃木のさらなる発展に向けて、10年後の目指す姿と実現に向けた方策を明らかにし、生産者、農業団体、行政機関が一体となって取組を推進する「いちご王国・栃木」戦略を2022年度に策定し、新品種「とちあいか」の主力品種への大転換を核とした改革に挑戦しているところです。この戦略では、10年後に「とちあいか」の作付面積を全体の約80%に拡大するという目標を掲げており、県産イチゴの大半を占めるJAグループの実績によると、2023年産の「とちあいか」の作付面積は前年の2.5倍に増加しており、作付面積全体の25.6%になり、目指す方向性に向けて順調に推移しています。一方で、「スカイベリー」は10年後に作付面積を全体の10%に拡大するという目標に対し、2023年産は6%で、前年の6.4%より減少しており、作付面積は7%、栽培戸数も6%減少しています。
こうした中、実際に「スカイベリー」を生産してきた複数の若手のイチゴ農家の方からも、稼げるという観点から、今後、「とちあいか」への作付の転換を考えているという声も聞いております。このままいくと、「スカイベリー」の作付面積が目標を下回る可能性があり、いちご王国・栃木を支える多彩で特徴あるオリジナル品種の一角が崩れてしまうのではないかと危惧しております。
県は、平成24年度以降、スカイベリー高級ブランド化促進事業、贈答需要定着促進事業などを進めてきました。アメリカなどへの輸出も推進してきました。その成果もあり、全国的に「スカイベリー」は一定のブランドを確立したとも言えます。その価値を十分に生かせないのはもったいないのではないでしょうか。本来的には、高単価の贈答品である「スカイベリー」と「とちおとめ」の後継品種という位置づけの「とちあいか」との差別化は可能です。
そこで、いちご王国・栃木として、本県イチゴの多彩な品種を守るため、今まで育んできた「スカイベリー」の生産拡大に今後どのように取り組んでいくのか、農政部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県は、酸味と甘みのバランスがよい「とちおとめ」や、形がきれいで高級感のある「スカイベリー」、甘さが際立つ「とちあいか」など、多彩なオリジナル品種を有するいちご王国であります。このいちご王国・栃木をさらに発展させていくため、需要に対応した品種ごとの生産目標を定めた戦略を策定いたしまして、生産者や農業団体とともに改革に取り組んでいるところでございます。
「スカイベリー」につきましては、贈答を中心とした一定の需要がありますことから、さらなる品質と収量の向上を図るため、栽培マニュアルに基づく技術指導を行いますとともに、生産拡大に向けた施設整備を支援しております。また、品種の魅力を多くの消費者に伝えながら、果実専門店や観光イチゴ園等における販売を継続しますとともに、新たに、いちごを贈る運動を展開しまして、贈答用イチゴとしての利活用を促進してまいります。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 農政部長からご答弁をいただきました。生産現場への支援に加え、新たなる運動も展開していただけるというお答えを頂戴いたしました。
ここで要望させていただきます。7年前ぐらいですが、東京都での集まりで私は「スカイベリー」を食べたことがありまして、その場の参加者が、これがうわさの高級イチゴかと非常に高い注目を持って見ていたこと、そして、実際やはりブランド品と思うと、食べるとおいしく感じるのですね。皆さん、おいしいと満足していた光景なども覚えております。今回の懸念というのは、ある意味で「とちあいか」がすばらしいということの裏返しでありますが、「スカイベリー」もこれまで栃木県が力を入れてきた品種です。「スカイベリー」は一定のブランド力がありますので、今度、知事がシンガポールなどに行かれる際にしっかりとトップセールスも展開していただき、また、大阪センターなどを活用して関西圏での贈答品としてのアピールも行っていただく、あるいは新しい加工品を開発する際の支援なども行っていただければと思います。また、イチゴの生産者と県の担当部局とのコミュニケーションもより密にしていただくことを要望します。今年、県誕生150年ということで、イチゴの未来に丸がつくよう要望させていただきまして、次の質問に移ります。
県営住宅の有効活用について、県土整備部長にお伺いします。県営住宅は住宅困窮者のセーフティーネットの役割を果たすものであり、県民生活にとって重要なものです。一方で、本県の県営住宅については、本年4月1日現在においては、入居率は74.6%で、25%以上が空き家になっている状況があります。また、国が全国の公営住宅を対象に行った調査によると、2020年度末時点で、全入居者のうち65歳以上が占める割合は59%と高齢化も進んでいます。私も入居なさっている方から話を伺う機会も多くありましたが、場所によっては入居者が非常に少なくなっており、複数の住民の方から、住宅の花壇の手入れであったり、清掃活動などの自治会活動の実施が高齢化が進む中で年々難しくなっているとの声や、孤立してしまうことへの不安の声を耳にしてきたことから、地域コミュニティを維持していくための対応の必要性を強く感じているところです。
こうした状況の中、県営住宅の建て替えや長寿命化などのハード面での改善策を講じることはもちろんのこと、空き家の有効な活用を検討していく必要があると考えます。これらの課題への対応策として、私は複数の自治体で実施されている空き家に地域の自治会活動への参加を条件に大学生の入居を進める取組に注目しており、大学生にとっても、社会に出る前に主体的に地域に関わる貴重な経験ができる機会になることから、本県においてもぜひ実施すべきと考えています。
本県には、地域課題の解決について学ぶ学部を持っている大学もあることから、学生にとっては、低廉な家賃で生活ができるという魅力に加え、大学で学習していることの実践の場として有意義ではないかと考えています。折しも、6月には政府が経済財政運営と改革の基本方針2023を発表し、公営住宅などに子育て世帯が優先的に入居できる取組を進めるとしたところでありまして、県営住宅の子育て世帯への活用と併せて、大学生の入居などによる空き家の活用に取り組むことにより若い世代の入居が進み、若い世代の行動力と高齢者の経験が相乗効果を発揮して、ウィン・ウィンの関係を構築でき、自治会などの地域コミュニティが活性化し、持続可能なものになっていくのではないかと考えます。
そこで、今後、県営住宅の有効活用についてどのように取り組んでいくのか、県土整備部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県営住宅は、住宅困窮者に供給する住まいであるほか、被災者の当面の入居先であるなど、住宅セーフティーネット上、重要な役割を担っております。近年、県営住宅入居者の高齢化が進行しており、良好な生活環境の確保にはコミュニティの維持が重要であります。一方、大学生等の若年単身世帯の入居につきましては、学生のニーズや取組の継続性などを踏まえて考える必要がありますことから、他県の先行事例等も参考に研究してまいります。また、子育て世帯の入居につきましては、これまで多子世帯や独り親世帯を優先入居の対象としておりましたが、今般、とちぎ少子化対策緊急プロジェクトに公営住宅への子育て世帯の優先入居を位置づけ、全ての子育て世帯を対象に優先入居の要件を拡充することとしております。
今後とも、少子高齢化や多様化する居住ニーズに対応した取組を進め、県営住宅の有効活用に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 県土整備部長からご答弁をいただきました。子育て世帯への枠の拡充などをしていただくということ、また、大学生の入居などについても、他県の事例などを研究しながら検討していただけるというご答弁だったと思います。
ここで要望させていただきます。入居率が落ちているという現状はあるわけでございます。大学生への活用については、先ほど研究していただけるということでしたが、私はニーズはあると考えておりますので、まずはニーズを把握するため、現在、県営住宅の自治会に加入している方や、あるいは学生を送り出す側になる大学の教授、学生などにニーズの調査を行うなどしていただくことを要望いたします。
また、併せて、有効活用という観点ですと、学生以外にも、介護事業者であったり、NPO法人などによる高齢者の見守り活動や障害者支援の拠点、子供食堂など、様々な可能性があると思いますので、多角的な視点から検討していただくよう要望し、次の質問に移ります。
フリースクールへの支援について、教育長にお伺いします。県内の公立小中学校での不登校児童生徒数は、令和3年度の調査結果で4,188人と、前年度比835人増と増加傾向にあります。不登校児童生徒数の増加は全国的傾向でもあり、いわゆる教育機会確保法では、教育支援センターやフリースクールなどの学校以外の多様な学びの場を確保する施策を国や自治体の責務とし、必要な財政上の措置を講ずるよう努めることとしています。
それを受け、本県でも不登校児童生徒に対する経済的支援推進事業を令和3年度から実施しており、経済的に困窮した家庭の不登校児童生徒が、教育支援センターやフリースクールで活動を行うために必要な経費を保護者に支援しているところです。県内のフリースクール運営団体が行ったアンケート調査によれば、子供が不登校になると、その対応から親が働き方も変えざるを得なくなり、収入が減ってしまう家庭も多いというデータもあります。その点では、現在行っている経済的支援推進事業の一定の意義はあると考えます。
一方、我が会派の山田みやこ議員が第389回通常会議の質問でも指摘したように、フリースクールの運営主体はNPO法人や任意団体、個人が大半を占めており、経営基盤が脆弱であることが多いため、財政基盤が弱いことから、行政からの支援が必要な状況にあります。その認識は全国的にも広がってきており、隣県の茨城県や群馬県では、フリースクールへの助成を行って経営基盤の強化を図ってきています。実際に私が調査したフリースクールでは、通っている生徒の月謝だけでは運営費を賄い切れず、寄附収入に頼っている現状がありました。国が目指す多様な学びの場の選択肢を持続的に確保するために、フリースクールが安定的に存続できるようにするためには、行政の一定の支援が必要な状況です。もちろん、行政が支援するに当たっては、どのようなフリースクールに支援ができるか、支援対象とするフリースクールの基準づくりが必要であるとも考えます。例えば、長野県では信州型フリースクール認証制度検討会議を開き、フリースクールへの支援と、子供や保護者がフリースクールを選択する際の目安となる認証制度の創設に向けた検討を進めています。県内の子供の学びの場の多様性を確保するために、まずはそのような検討を本県も始めるべきではないでしょうか。
そこで、県教育委員会は、フリースクールが安定的に存続できるよう今後どのように支援に取り組んでいくのか、教育長に伺います。
○関谷暢之 副議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。不登校児童生徒に対する支援につきましては、関係機関の緊密な連携の下、一人一人の状況に応じて多様な学びにつなげられるよう対応することが重要であります。
フリースクールへの財政的支援につきましては、団体の独自性に影響を与えるなどの課題も想定されることから、これまで県教育委員会では、団体に対してではなく、フリースクールを利用する家庭へ活動費などの一部を支援してまいりました。今年度は、本事業に関する情報が支援を必要とする保護者に届くよう、新たにSNSを活用した発信を行うなど一層の周知を図るとともに、フリースクールや相談機関などの情報をまとめた子供の居場所マップの活用等も促進してまいります。
今後とも、国や他の都道府県の動向等を踏まえながらフリースクールへの支援の在り方につきまして検討するとともに、児童生徒の社会的な自立に向け、市町や関係機関と意見交換を行うなど連携体制を強化してまいります。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 教育長からご答弁をいただきました。私も質問の中で、道を開いたという意味では意義があるとしている、現在実施している不登校児童生徒に対する経済的支援推進事業ですが、令和4年度の実績は18人で、支給総額は約23万円です。県内では4,000人を超える小中学校の不登校児童生徒がいる中で、事業の規模としては少ないと思います。そして、先ほど答弁の中にもありましたけれども、生徒に学びの場を提供するフリースクールが運営していけなくなったら、このそもそもの事業の意味も薄れてしまうと私は考えております。私自身、フリースクールの運営の方から様々な話を伺ってきました。ある方では、例えば会費制と言っていても、月何円と言っていても経済的に厳しい家庭からは受け取っていない、その分を自腹でカバーしている、そのような経営者もたくさんいました。こういった方のある意味で努力だけに頼るのではなく、私は、必要な支援は県としてはしていくべきだと考えております。
そこで、教育長に再質問させていただきます。県内のフリースクールの数は限定されていますので、先ほどマップのお話もなさっていました。そういったところは限定されています。そのようなところに対して、どのような経営状況か、財政的支援が必要か、アンケート調査を実施してはどうかと考えます。教育長のお考えを伺います。
○関谷暢之 副議長
阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。教育委員会では、これまでフリースクールや市町教育委員会など関係する方に参加していただいた連絡会を実施してまいりました。その中で、フリースクールを取り巻く様々な課題について把握して、意見交換をしてきたということであります。
今後も、この連絡会などを有効に活用いたしまして、今お話がありましたフリースクールの財政状況なども含めて把握しながら、幅広い観点から意見交換をしてまいりたいと思います。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 教育長からご答弁をいただきました。連絡会の場などでいろいろ聞いていただけるというような形で捉えさせていただきました。当事者に寄り添うという意識を持って取り組んでいただけるよう切に要望させていただき、最後の質問に移ります。
若い世代の政治への関心を高めるための取組について、教育長及び
選挙管理委員会委員長に伺います。今年4月に行われた県議会議員選挙の投票率は過去最低を更新し、全体平均は約38%、特に若年層の投票率は低く、18歳から39歳までは全体平均を大幅に下回っています。また、公益財団法人明るい選挙推進協会が2022年2月に公表した若い有権者の政治・選挙に関する意識調査の結果を見ても、国や地方の政治に「全然関心がない」、「あまり関心がない」と答えた人の合計比率が2009年調査の39%から46%に増加しており、若い有権者の半数近くが「政治に関心がない」と回答している状況になっています。このような状況は非常に憂慮すべきものであり、未来を担う若い世代の政治への関心を高めるために取組を進めていく必要があります。そのためには、我々政治家が自らの活動を積極的に発信するなどし、日頃から関心を持ってもらえるよう取り組んでいくことが必要なのはもちろんですが、主権者教育をより一層推進していくことも重要です。
主権者教育については、文部科学省が行った2022年度の実施状況調査の結果を見ても、高等学校の3年間で指導を受けた生徒の割合は約95%となっており、取組が進められてきたことは承知していますが、新たな取組も必要なのではないでしょうか。私は、子供たちの政治への関心を高めるためには、選挙の仕組みなどの学習に加え、模擬選挙の体験、議員と意見交換の場を持つなど、より実践的な政治を身近に感じられる取組を実施することが有効だと考えます。
そこで、県教育委員会は、今後、主権者教育のより一層の推進にどのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。
また、今回の県議会議員選挙の投票率を見ると、18歳と19歳が約23%、20歳から24歳までが約16%、25歳から29歳までが約22%となっています。高等学校などを卒業後の若い世代の投票率が特に低い傾向がありますが、どのような取組を通じてこれらの世代の政治への関心を高め、投票率の向上につなげていくのか、
選挙管理委員会委員長に伺います。
○関谷暢之 副議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。若者が主権者として社会に参画できるようにするためには、様々な教育活動を通し、政治的教養を育み、積極的に社会と関わろうとする態度の育成が必要であります。
このため、県教育委員会では、主権者教育に関する教材を配付し、政治や選挙の意義等の学習の充実を図るほか、
選挙管理委員会と連携した模擬投票の実施や地元の議会での生徒による意見発表等の取組を推進してまいりました。さらに、今年度は、県内の高校生が政治を身近なものとして考える機会となるよう外部講師による講演会を実施いたしましたところ、生徒同士の活発な意見交換が行われるなど、政治に対する興味関心や理解を深めることにつながったところであります。
今後とも、関係機関等と連携しながら、生徒が社会の形成に主体的に参画する力を育成することができるよう、様々な機会を通じて主権者教育の一層の推進に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 伊藤勤
選挙管理委員会委員長。
(伊藤勤
選挙管理委員会委員長登壇)
◎伊藤勤
選挙管理委員会委員長 引き続き、ただいまのご質問にお答えいたします。県
選挙管理委員会では、当事者である若者の意見を踏まえ、本年2月、都道府県では全国初となる若年層の投票率向上推進プランを策定し、効果的な選挙啓発に取り組んでいるところでございます。高等学校等の生徒に対しては、卒業後の投票率向上につながるよう在学中の啓発強化を図ることとし、学校と連携して、選挙や政治を身近に感じてもらえるセミナーや出前講座を開催するほか、今後は同世代のデザイナーを起用した選挙啓発資材の配付も行ってまいります。さらに、高等学校卒業後の若者に対しましては、仮称でございますが、新たに選挙啓発サポーター制度を創設し、大学、専門学校、企業などにご協力いただいて投票参加を呼びかけることとしたほか、選挙時にはデジタル広告の配信強化を進めることとしております。
今後とも、市町
選挙管理委員会、教育委員会、大学、企業などと連携し、社会総がかりで若年層の投票率向上に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 渡邉典喜議員。
(2番 渡邉典喜議員登壇)
◆2番(渡邉典喜議員) 教育長及び
選挙管理委員会委員長からご答弁をいただきました。様々な新しい取組もなさってくださるということで、非常に前向きなご回答だと考えております。
ここで要望いたします。若い世代の政治への関心を高めるためには、まず、私はそれぞれの県議会議員が一人の政治家として率先して取り組んでいくことが重要だと考えます。県民により身近で開かれた県議会を目指す新たな取組ということで、今年は正副議長を中心とした学校への訪問を行うことになったところですが、確かに意味があると思います。私自身、高校時代、誰が県議会議員なのか知らなかったのが率直なところですが、実際に対話をする機会があれば記憶に残ったのではないかと思います。正確性を期すために一言申し上げますと、私は陽東小学校出身でして、小学生時代は福田富一県議会議員を承知しておりましたけれども、高校時代は、市長になられていますのでという意味です。正確性を期させていただきました。
さて、県議会議員としてのこのような取組や、我々議員による日々の情報発信などを通じて、主権者教育の推進や投票率向上につなげることができればと切に思いますので、教育委員会及び
選挙管理委員会におかれましては、取組をより一層推進していただくよう要望させていただきます。
通告した質問は全て終了しました。不慣れで至らない点もあったと思いますが、これからもより一層調査研究を進め、執行部の皆様とともに県政のさらなる発展のために、また、若い世代にも政治、そして県議会に関心を持ってもらえるよう全力で取り組んでいきたいと考えております。
以上で私の質問を全て終了させていただきます。
○関谷暢之 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時15分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後0時15分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は46名であります。
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午後1時15分 開議
○関谷暢之 副議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員) とちぎ自民党議員会の加藤雄次でございます。発言通告に従いまして、質問に入らせていただきます。
初めに、中山間地域の持続的発展について、総合政策部長に伺います。中山間地域の持続的発展について、昨年6月通常会議で質問いたしたところでありますが、中山間地域の厳しい現状を踏まえ、今回もこの問題を取り上げて、総合政策部長に伺います。中山間地域は、人口減少に加え、65歳以上の人口の割合が高く、買物困難者の増加や移動手段が確保できないなど多くの課題を抱えています。私の地元、日光市では、旧今市市以外の地域が過疎地域に指定されるなど、人口減少と高齢化に歯止めがかからない状況が続いており、地域の担い手不足、あるいは地域の疲弊は深刻なものでございます。先日、日光市の栗山地区を訪れたとき、住民から、地域が存続するか不安だ、もうこの地域にいられないかもしれない、そのような言葉を聞きまして私は本当に愕然としましたよ。改めて、住民がその地域で暮らすことに希望を持てるようにすることが重要であるという思いを強くしたところであります。
こうした中、奥日光の農場での「なつおとめ」の栽培や、東小来川で古民家を改修した宿泊施設とキャンプ場の開業など、中山間地域においても、きらりと光る取組を行っている若者や地域外からの移住者が出てきております。私は、若者の皆さんなどの地域おこしにチャレンジする姿が、高齢者をはじめ中山間地域に住む方々に希望をもたらし、中山間地域も捨てたものではない、この地域に住み続けてみようと思ってもらうことにつながるものと考えております。夢と熱意を持つ若者たちが、こうした地域に溶け込み、生き生きと地域課題に挑戦していくことが、今、中山間地域には必要です。
そこで県は、今後、中山間地域の維持、活力の創出に向け、地域の担い手の確保・育成をどのように進めるのか、総合政策部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 笹川正憲総合政策部長。
(笹川正憲総合政策部長登壇)
◎笹川正憲 総合政策部長 ただいまの加藤雄次議員のご質問にお答えいたします。中山間地域は、豊かな自然や特色ある農産物など地域資源に恵まれ、可能性を秘めた地域でありますが、少子高齢化による担い手不足等から活力低下等の課題が顕在化しております。
このため、県では、日常生活に必要なサービスの提供を行います小さな拠点の形成促進に向け、補助率の引上げを行いましたほか、地域の担い手の掘り起こしや育成のため、若者が地域づくり団体の活動を体験できる地域づくり担い手育成事業や、地域課題解決に向けた高校生等の活動を支援いたします、とちぎ高校生地域定着促進モデル事業などを実施してまいりました。また、地域社会に貢献したいという意欲ある都市の若者等を地域おこし協力隊として受け入れる市町の支援にも努めておりまして、今後は、隊員同士の交流等を一層促進することなどによりまして、協力隊活動の活性化、あるいは任期後の地域定住を図ってまいります。さらに、本年9月にリニューアルしました移住・定住促進サイト「ベリーマッチとちぎ」等を活用しまして、中山間地域自体の魅力、そこで活躍する人々の姿を積極的に発信することで、県内外からの若者等の移住・定住にもつなげてまいります。
今後とも、関係部局や市町等と連携いたしまして、地域の新たな担い手の確保・育成に努めるなど、中山間地域におけます地域活力の維持、創出に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員) 総合政策部長から答弁をいただきました。本当にいろいろ取り組んでいただいていると。面白いところでは高校生をもっと活用しようとか、非常に重要ですよね。なぜかというと、本当に若い人がいないのだから。再質問の前に現状を少し総合政策部長に聞いていただきたいのは、今から18年前、平成の大合併のときだったのですけれども、日光市は2市2町1村で合併したが、その中の一つの村に、一番の中心街があったのです。そこは庁舎もある、中学校も小学校もある、郵便局、あるいは診療所もあるところだったのですけれども、もう18年過ぎたら、その当時の世帯が、22世帯で、一番にぎやかなところですから、それがずっと集まってくるのですけれども、今は15世帯しかないのですよ。そこに住んでいる人は30人。その30人のうち1人の方は60歳代なのですけれども、あと29人の方は何と72歳から92歳ですよ。平均が75歳。日常の生活をするにも側溝の掃除すらできない。蓋も上げられない。県土整備部の日光土木事務所がそういうことを聞き入れて、一生懸命対応していただいていますけれども、今、全てがそういう状況になっています。
ここで再質問させていただきますけれども、総務省の地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律に基づく特定地域づくり事業協同組合制度は、地域全体の仕事を組み合わせることで年間を通じて仕事を創出し、地域事業者が共同して職員を通年雇用した上で、それぞれの地域事業者に派遣するための仕組みであり、地域の担い手確保の取組を推進する制度であります。栃木県では今年2月に茂木町で、もてぎマルチワーク事業協同組合が認定され、町内の複数の仕事を組み合わせて安定した雇用環境をつくり出すことで、地域への移住・定住を促進しています。この制度を中山間地域で活用して、地域内外の若者の皆さんを雇用し、地域で幅広く活躍してもらえれば、地域振興と若者などの移住・定住や地域おこし協力隊の定住促進、そして中山間地域の活性化につながるものと思います。
そこで、県は、特定地域づくり事業協同組合制度の活用についてどのように取り組んでいくのか、総合政策部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 笹川正憲総合政策部長。
◎笹川正憲 総合政策部長 再質問にお答えいたします。特定地域づくり事業協同組合制度につきましては、今年6月現在、35の道府県で89組合が設立されております。認定第1号となりました島根県の海士町複業協同組合では、移住者を中心に20名以上採用したと伺っております。
ご紹介のありました本県茂木町、この2月に県内初となりますもてぎマルチワーク事業協同組合が設立されまして、4名を新規採用、この4月からは派遣事業を開始したというところでございます。ただ、この制度の導入、維持のためには、その地域に年間を通じた仕事をつくり出す必要があります。そのため多種多様な事業者の参入、そして効果的な求人情報の発信などが重要となってくると思っております。
県といたしましては、茂木町の取組が円滑に進むよう、移住・定住サイト等で情報発信等の支援を行いますとともに、その他、この制度の導入を検討する市町に対しましては、先進事例の情報提供、あるいは複雑な関係法令に関する助言などを行いまして制度の効果的な活用に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員) 総合政策部長からご答弁いただきました。この組合は年間を通じた事業が必須だということです。先ほど私が紹介した、あのような自治会や集落はたくさんありますよ。でも、あの状況では、この組合にもなかなか当てはまらないのですね。本当に大変な状況になっていますよ。こういうものを何とかしていくために、できることを何でもやっていかない限り消滅します。これは悲しいことですよ。ですから、何とかできることを何でもやっていただくような施策、支援をよろしくお願いしたいと思います。もちろん、市町との協力もなくてはならないことですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
次に移ります。カーボンニュートラル実現に向けた市町支援について、
環境森林部長に質問いたします。カーボンニュートラル実現に当たっては、住民一人一人の理解と協力が重要であることから、私は住民との距離が近い市町の役割は大きいと考えております。私の地元、日光市においても、市が先頭に立ち、民間企業や住民協議会と連携の下、国の脱炭素先行地域に応募し、本年4月に採択されたところであります。この取組は、奥日光エリアが一本の電線でしかつながっていないというエネルギー上の不安を課題として捉え、奥日光の広大な自然環境と調和しながら、再生可能エネルギーの導入や温泉熱の利用を最大限進めることで、災害が起きても安全・安心な観光地を目指すものであります。私は、本事業により、奥日光エリアが脱炭素の取組を通じて観光と環境を両立させ、地域住民の暮らしの質の向上を実現しながら、持続可能で魅力的なリゾート地として活性化することを期待しています。
一方、県では、本年3月にとちぎ脱炭素先行地域創出プロジェクトアクションプランを策定し、2030年までに県内25市町が地域脱炭素の取組に着手することを目標に掲げています。県内においても、今年1月以降、栃木市、上三川町、野木町がゼロカーボンシティ宣言を行うなど、脱炭素化の機運が高まってきていると感じております。さらに取組を進めていくことが重要であると考えています。
そこで県は、今後、アクションプランに掲げた目標達成のため、市町が行う地域脱炭素の取組の加速化に向けてどのように支援していくのか、
環境森林部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 小野寺一行
環境森林部長。
(小野寺一行
環境森林部長登壇)
◎小野寺一行
環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。カーボンニュートラル実現に向けましては、市町による地域脱炭素の取組を促進していくことが重要であります。
このため県では、地域脱炭素化の必要性や先進事例等について、県と全市町で構成する協議会等において共有を図るとともに、脱炭素先行地域創出への支援等に取り組んでまいりました。このような中、現在、各市町において地域脱炭素の取組が進められておりますが、それぞれに地域の特性や課題等を有していることから、市町の取組状況を踏まえた対応が必要であると考えております。
県といたしましては、脱炭素先行地域創出で培ったノウハウを基に地域特性の分析や解決手法等を取りまとめた手引を作成するとともに、ゼロカーボンシティ宣言と地球温暖化対策実行計画の策定が完了または完了予定の5市町に脱炭素の具体的な取組を検討する専門人材を派遣するなど、市町の取組段階に応じたきめ細かな支援を行ってまいります。
今後とも、市町と緊密に連携しながら、カーボンニュートラルの実現に積極的に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員)
環境森林部長からご答弁をいただきました。ただいまのご答弁の中で、県はノウハウをいろいろ持っている、協議会等を有効に活用してそのノウハウを生かす、市町と連携して、これから十分に対応を考えていきますという内容だったと思います。
ここで
環境森林部長に要望させていただきます。地球温暖化が原因と考えられます急激な気候変動により、これまで経験したことのないような集中豪雨が全国各地で発生するなど、近年は災害が激甚化、頻発化しています。災害におびえることなく安心して生きていけるよう、持続可能な社会の形成に向け、カーボンニュートラルの実現を
オール栃木体制で進めていかなければなりません。県がリーダーシップを発揮していただき、市町とより一層の連携・協働を図りながら取組を牽引し、2050年のカーボンニュートラル実現に向かって進んでいくようお願いします。
次に、県産米の消費拡大について、農政部長に伺います。今年も実りの秋となりましたが、米の収穫が始まる8月下旬、うれしいニュースが飛び込んできました。JA全農とちぎが各JAへ支払う令和5年産米の概算金が発表され、コシヒカリで1俵当たり1万2,300円と、昨年から1,800円の増額となったとのことであります。これはアフターコロナにより経済活動が活発になり、飲食店やコンビニなどの業務需要が回復傾向にあることも要因と聞いております。ここ数年、概算金は減少傾向で、農業者の経営は厳しい状況にありましたので、さらに米の消費が拡大し、概算金の上昇につながれば、農業者の所得が向上し、生産意欲も高まってくると思います。本県産米の在庫については減少傾向にあるものの、いまだ例年よりも多く残っていると聞いております。県で育成した「とちぎの星」は冷めてもおいしく、大粒で食感がよく好評とのことですので、積極的にPRし、さらに販売を拡大してほしいと思っています。また、米の消費が拡大していくことで、改めて日本型食生活のよさがより浸透し、健康面にも寄与すると思います。
しかし、一方、国際情勢の不安定化などにより、肥料、燃料などの農業資材の価格高騰の影響が長期化しており、特に稲作は面積を多く使うため肥料高騰による経営への影響が大きく、地元の農家からは、概算金は増額したが、資材等の価格が下がる兆しも見えないために安心できず、厳しいと聞いております。ただでさえ、農村地域は高齢化が進み、中には70歳以上の担い手の割合が50%を超える市町もあります。このままでは農業の担い手がさらに減少し、本当に時代に合った農地をとにかく後世に残してやりたい、後世に渡していきたいという思いの中、国や県、市町、あるいは各土地改良区、そして、その土地改良区に入っていらっしゃる組合員の皆さんが大変な努力を重ねて整備し、農地が荒廃農地にならないように頑張っているのですよね。ですから、荒廃農地になってしまったのではどうしようもないと私は思っています。しかし、大変なお金を投じて、せっかくの農地が荒廃農地になったということになりますと、本当に無駄なことになりますよ。私は、このような状況を回避し、農地を荒れた状況にしないためにも、誰でも作りやすく、そして、もうかる栃木県産米を栽培することが大切と考えております。そのためには、米の消費をさらに伸ばしていくことが必要だと考えております。
そこで、県は県産米の消費拡大にどのように取り組んでいくのか、農政部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまで県産米の消費拡大に向けまして、食味がよく品質の高い売れる米作りを進めますとともに、消費者へのPRや飲食店等への販売促進などの取組を支援してきたところであります。しかし、米の需要は回復傾向にあるものの、必ずしも十分ではないことから、ご飯食の魅力や重要性を伝えながら、さらに消費拡大を図っていく必要があると考えております。
このため、県産米のファンを育てる観点から、学校給食での利用を継続するほか、多くの消費者に県産米のよさを知ってもらえるよう栃木県民ごはんの日の運動の一層の定着を図りますとともに、新たにご飯食を取り入れた体づくりの大切さを知っているスポーツ選手によるSNSを活用した魅力発信等の取組を支援してまいります。また、首都圏のおにぎり専門店でのフェアに加えまして、関西圏でのキャンペーン等の開催により、「とちぎの星」を含めた県産米の販路拡大を図りますとともに、需要の増加が見込まれる米粉の利用促進に向けた取組を支援するなど、関係機関・団体と連携しながら米の消費拡大に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員) 農政部長から答弁をいただきました。学校給食の継続、あるいはごはんの日、そしてスポーツ選手による魅力発信と、多くのことに取り組んでいただいていると本当に安心しました。ですが、今の答弁で出てきたものは米粉と主食用米なのですよね。この2つのもの以外にもう一つ、飼料米、今、飼料米は農家にとってはかなり期待しているのだと思うのですけれども、はっきり言って、それだけでは米の消費はもうたかが知れているのですよね。
ですから、私はここで要望させていただきますけれども、私の地元にある製菓工場では、県内で生産される加工用米が、県産米では足りないから他県から仕入れている、という状況になっているのです。できれば日光市産の加工用米、県産米を使って多くの製品を製造していきたいと思っていますけれども、それができていないから他県から仕入れてくると。そこで加工用米の生産にもっと力を入れて取り組んでもよいのではないかと私は思っています。いずれは、県産加工用米を使った製品を海外に輸出、販売できるような仕組みづくりが絶対必要になると私は思っていますから、この辺りのところをよろしくお願いしたいと思います。農家が多様なニーズに対応した品質のよい米作りができるような支援、地域で消費、流通できる様々な仕組みづくりを推進することをお願いして、次の質問に入ります。
インバウンド誘客について、
産業労働観光部長に伺います。3年にわたって世界中に大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症でありますが、ワクチンの浸透や重症化率の低下などにより、国際観光は回復軌道に乗っており、我が国においても昨年10月、水際対策が大幅に緩和されて以降、順調にインバウンド需要が回復してきております。観光庁の宿泊旅行統計調査における今年6月の本県の外国人延べ宿泊数を見ますと、速報値ではありますが、令和元年同月と比較した率は全国で2番目の高さとなるプラス57.1%となり、コロナ禍前の水準を多く超えております。これは全国で2番目です。日光市の底力はすごいと思います。皆さんの努力もあってだとは当然思いますけれども、栃木県が全国で2番目という数字が出ています。
こうした中、県では8月から、タイ、アメリカ、中国に観光誘客拠点となる観光レップを増設するなど、インバウンド誘客の拡大に向けた取組を行っておりますが、本県は世界に誇る観光地であり、特にG7栃木県・
日光男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合開催でブランド力が高まってきた日光をはじめ、四季折々の美しい自然、豊富な温泉、伝統文化など、魅力的な観光資源が数多くありますので、これらを活用したインバウンド誘客のさらなる拡大に取り組んでいただきたいと思います。また、地元の観光事業者からは、ゼロゼロ融資、実質無利子、無担保の融資の返済が始まり、経営に不安を感じているとの声を聞いています。こうした事業者が安定的に経営ができるようにするためにも、外国人観光客の増加だけにとどまらず、滞在期間の長期化や消費の拡大が見込める観光商品の造成、磨き上げ促進など、観光消費額の増加を図る取組も重要であると考えています。
そこで、県はインバウンド誘客のさらなる拡大や観光消費額の増加に向けて今後どのように取り組んでいくのか、
産業労働観光部長に伺います。
○関谷暢之 副議長
石井陽子産業労働観光部長。
(
石井陽子産業労働観光部長登壇)
◎石井陽子
産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県のインバウンドは春以降順調に回復しているところではありますが、コロナ禍前にも増して拡大を図るためには、その誘客数と消費額の増加を促すことが重要と考えております。インバウンド誘客の増加に向けましては、先月、誘客の重点国に観光レップを新設し、現地での訪問セールス等を強化したところであり、4月に開始しました本県へのツアー造成に対する助成制度の効果も相まって、複数の旅行会社が本県を巡るツアーの企画を開始するなど順調な滑り出しを見せているところでございます。
また、消費額の拡大に向けましては、本県が持つ上質な水をテーマに、川や湖でのアクティビティーと酒蔵見学を組み合わせるなど、ストーリー性を持った体験型ツーリズムの推進により滞在日数の長期化を図りますとともに、付加価値の高い旅行商品の創出を目的としたモデル事業といたしまして、東京都から紅葉の奥日光にヘリコプターで直行し、旧イタリア大使館別荘を貸し切って、県産農産物を使用した栃木色あふれるディナー等を提供するツアーを造成、販売してまいります。
今後とも関係団体、事業者と連携し、本県の有する優れた観光資源を磨き上げるなど、インバウンド誘客施策を積極的に展開し、観光立県とちぎの実現を図ってまいります。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員)
産業労働観光部長から答弁いただきました。ここで
産業労働観光部長に再質問させていただきます。奥日光で高付加価値な旅行商品を造成していくとの答弁がありましたが、さらなるインバウンド誘客と消費額拡大のためには、こうした旅行商品の開発、磨き上げの動きが、奥日光だけでなく県内各地に広がっていくことが重要であると考えますが、
産業労働観光部長のお考えをお聞かせください。
○関谷暢之 副議長
石井陽子産業労働観光部長。
◎石井陽子
産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。当該事業につきましては県としてモデル的に取り組むものでございますけれども、単に旅行商品を造成、販売するということだけではなく、参加者のアンケートや専門家の意見も聴取しまして、ツアー完了後に効果の実証を行うこととしております。効果検証を取りまとめました結果につきましては、県内の市町や観光事業者と情報共有いたしまして、他の主体によるインバウンド向けの高付加価値な観光商品の創出を県全域で促進しまして、県内観光消費額の拡大につなげてまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員)
産業労働観光部長から答弁いただきました。ここで要望させていただきます。インバウンド誘客の拡大等により観光産業のさらなる回復が見込まれますが、それに伴い、人材不足が懸念されています。外国人対応には、専門的な知識やノウハウを持った人材として外国人材の活用も有効であり、県においては、外国人材活用促進協議会などを通じて外国人材の適切な活用や、その受入れ態勢の整備について進めていただくようお願いいたします。
次の質問に入ります。日光杉並木街道の保護について、
生活文化スポーツ部長に伺います。日光杉並木街道は、世界遺産である日光の社寺とともに本県が世界に誇る文化遺産であり、我が国で唯一、国の特別史跡と特別天然記念物の二重指定を受けています。日光街道、例幣使街道、会津西街道の3つにまたがる全長37キロメートルの杉並木街道は世界で最も長い並木道としてギネスブックにも掲載されており、本県を代表する名所となっています。
その歴史は、今を遡ること約400年前、徳川家の家臣であった松平正綱、その子供である正信によって、親子2代、二十数年にわたる歳月をかけて植えられたもので、植えられた当時の本数は5万本とも言われています。こうした長い歴史を持つ日光杉並木街道ですが、近代に入り社会経済情勢が大きく変化する中、宅地造成などの開発事業や自動車の排気ガス、振動の影響により、杉の生育環境は悪化しています。
県はこれまで、日光杉並木オーナー制度や日光杉並木保護基金への寄附金の活用等によって、保護用地の公有地化や木柵の設置による杉の根の土壌流出防止などの樹勢回復事業を進めており、一定の効果も見られているようですが、杉並木自体の老齢化も相まって樹勢衰退は年々顕著になっており、杉並木台帳が作成された昭和36年には約1万6,500本登録されていた杉が現在は1万2,000本余りになっています。また、保護ボランティアであります杉の並木守の皆さんによる定期的な除草作業や清掃などの懸命な保護活動もあり、日光杉並木街道の美しい景観が保たれていますが、年々夏の暑さが厳しさを増しており、杉の並木守の皆さんの活動にも大きな負担となっていると思われます。日光杉並木街道は、地元住民のみならず、県民みんなで守り支えていくべき共通の財産であり、できるだけ健全な形で残し、次世代につないでいくことは、今を生きる我々県民の責務であると思います。県民意識の醸成はもとより、全国に日光杉並木街道のすばらしさを発信して、杉並木保護への支援の輪を県外へも広げることが重要と考えています。
そこで、県は日光杉並木街道の保護について、その現状や課題をどう捉え、そして今後、どう取り組んでいこうとしているのか、
生活文化スポーツ部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 野原恵美子
生活文化スポーツ部長。
(野原恵美子
生活文化スポーツ部長登壇)
◎野原恵美子
生活文化スポーツ部長 ただいまのご質問にお答えいたします。日光杉並木街道につきましては、その保護に賛同いただく方々のご協力によりましてオーナー杉の本数が過去最高となっており、県では、日光杉並木街道保護基金を活用した樹勢回復事業や保護用地の公有地化等に継続して取り組みますとともに、杉並木街道保護ボランティアである杉の並木守を養成して生育環境の整備を推進しております。こうした取組によりまして杉並木の美しい景観が保たれ、杉の滅失も減少しております一方で、近年は並木守の方々の高齢化や活動者数が減少傾向にあるなど、人材確保が課題となっております。
そこで、社会貢献活動に熱心に取り組む企業や学生などの若い世代に対し、新たに保護活動への参加を呼びかけますとともに、県外も含め、より多くの方々に参加いただけますよう、SNSなど各種媒体を活用いたしまして情報発信の強化に努めてまいります。
将来にわたり日光杉並木街道を守り、次の世代に引き継いでいけますよう、関係機関と連携しながら、引き続き日光杉並木の保護に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員)
生活文化スポーツ部長からご答弁をいただきました。今年は大河ドラマで徳川家康が取り上げられ、話題となっておりますが、徳川家に仕える松平正綱が杉並木の植栽を始めたのが寛永2年(1625年)と言われており、再来年の令和7年(2025年)は杉並木植樹開始400年という記念すべき年に当たります。杉並木が近く植樹400年を迎えることは、日光市が知事の地元であることも含め感慨深いものがあるのではと地元を同じくする者として感じております。知事は、日光杉並木保護のため、オーナー制度の推進をはじめ様々な施策に取り組んできました。知事からのオーナー証書交付式も先月100回目を迎えたと聞いております。そういった取組の結果が、先ほど答弁にあった過去最高のオーナー杉の本数にも表れていると思います。
そこで、杉並木保護への支援の輪を全国に広げていくためにも、日光杉並木街道について広く知らしめるこの絶好の機会を逃さず、県でも取り組んでいく必要があると考えますが、知事の考えを伺います。
○関谷暢之 副議長
福田富一知事。
◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。県民の誇りであります日光杉並木街道の千年杉を目指しまして、後世まで守り引き継いでいくためにも、400年の節目となる令和7年は、オーナー制度のPRも含めて、改めて県内外にその魅力をアピールしていく好機であると捉えております。つきましては、並木杉の所有者であります日光東照宮、地元日光市など関係機関と連携しながら、令和7年に向けた取組について協議を始めてまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員) 日光杉並木植樹400年に向けて、県でも取組を検討していただけるとの力強いお言葉を知事からいただきました。日光杉並木街道は、今後100年、200年、そして、その先まで県民一丸となって守り、育て、次の世代へと引き継いでいかなければならない世界に誇る本県の宝です。県には引き続き日光杉並木街道の保護に尽力いただくとともに、植樹400年に向けた取組についてもよろしく検討いただくことを改めてお願いいたしまして、次の質問に移ります。
国道119号の整備及び急傾斜地崩壊対策について、県土整備部長に伺います。国道119号は宇都宮市と日光市を結ぶ幹線道路で、特にG7栃木県・
日光男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合の成功でさらに知名度を上げた日光市の中心市街地を通る、町並みの骨格を形成する重要な道路であります。特にJR日光駅、東武日光駅と、日光の二社一寺地区を結ぶ地区は海外からの観光客も多く、国際観光都市日光の玄関口でもあることから、地域住民が日光東町まちづくり規範を作成し、積極的な景観づくりにも取り組んでまいりました。県におきましても、東武日光駅から道路整備や電線類の地中化などに取り組んでいただいており、バリアフリー化された広い歩道と門前町らしい町並み空間が形成されるなど、快適で安全な歩行空間が着々と整ってきていることに対しまして大変感謝しているところでございます。
しかしながら、今後、道路整備が計画されるに当たり、中鉢石町及び上鉢石町は、崖崩れのおそれのある区域として土砂災害特別警戒区域に指定されており、昨年7月には崖崩れが発生するなど、道路整備に加え、宅地の安全対策も急務であることから、私はかねてから道路整備と併せて人家の裏山の急傾斜地崩壊対策を実施していく必要があると訴えてきたところでございます。今年3月には道路事業と急傾斜地崩壊対策事業を一体的に進めるための地元説明会を開催していただいているところでございます。中鉢石町、上鉢石町の観光まちづくりのためには、道路景観の形成と地域の安全確保が欠かせないことから、両事業の速やかな事業着手が求められます。
そこで、県は国道119号の整備及び当該地域の急傾斜地崩壊対策についてどのように進めていくのか、県土整備部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。二社一寺周辺の国道119号は、日光の玄関口として国内外から訪れる多くの観光客に利用されており、門前町にふさわしい町並み空間の整備が求められております。
このため、県では、東武日光駅前から日光橋までの1.5キロメートル区間につきまして、駅側から歩道の拡幅や電線類の地中化等を進めており、これまで830メートルの整備を完了させ、現在、下鉢石町工区250メートルの整備を進めております。残る中鉢石町及び上鉢石町の420メートル区間につきましては、沿道の家屋に隣接した急な斜面がありますことから、道路整備と急傾斜地崩壊対策を一体的に行うこととし、現在、設計等を進めており、年度内をめどに具体的な計画の地元説明会を開催する予定であります。
今後とも、日光市などの関係者と調整を図りながら、来年度の新規事業化に向けて取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員) 県土整備部長からご答弁をいただきました。来年度、新規事業化に向けてというご回答をいただきました。本当にありがとうございます。
ここで要望させていただきます。住民の安全確保、日光市のまちづくりを効果的に進めていくためには、両事業を一体的に着手し、同時進行で早急に事業を進めていくことが何より重要と考えておりますので、県においては、両事業を密接な連携の下、進めていただきますよう要望いたしまして、最後の質問に移ります。
高等学校における通級による指導について、教育長に伺います。国では、特別支援教育を共生社会形成の基礎と位置づけ、知的な遅れのない発達障害も含め、特別な支援を必要とする児童生徒が在籍する全ての学校において実施されるものとしています。通常の学級に在籍する障害のある児童生徒の学びの場の充実のために、平成5年度から義務教育段階において通級による指導が制度化され、高等学校においても、そのニーズの高まりを踏まえ、平成30年度から制度化されました。通級による指導とは、障害による学習上または生活上の困難を改善、克服するために、大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部、障害に応じた特別の指導を通級指導教室等で受ける教育形態でございます。学校現場における教育的ニーズの多様化を鑑み、文教警察委員会では、令和2年度、インクルーシブ教育システムの推進を特定テーマとして取り上げ、校内支援体制の強化、教員の専門性の向上などについて県教育委員会に対し提言を行ってきました。また、昨年度、県立高等学校における『通級による指導』実施に関する請願を議会において採択いたしました。
さて、8月21日の下野新聞で、本県高等学校における通級による指導の対象生徒数が令和3年度において全国最少の3人であったと報じられました。その報道により、障害のある生徒が必要な支援をきちんと受けられているのか、不安に感じました。近年、中学校の特別支援学級から高等学校に進学する生徒が増加していることや生徒の障害の状況が多様化していることも踏まえ、高等学校においても生徒一人一人の教育的ニーズに的確に応える指導を行っていくことが求められています。
そこで、高等学校における通級による指導の現状と今後の生徒への指導、支援の充実に向けた取組について、教育長に伺います。
○関谷暢之 副議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。特別支援教育におきましては、障害にかかわらず、生徒の能力や特性に応じた指導、支援を行っていくことが重要であります。
このため、県教育委員会では、通級による指導に至る前に、インクルーシブ教育の視点を踏まえ、様々な課題を抱える生徒が通常の学級に適応できるよう、校内研修やケース会議を通して個別の支援を行ってまいりました。さらに、今年度は、通級による指導を充実させるため、県立高等学校4校に専門性の高い教員を新たに配置し、きめ細かな実態把握や授業内での個別のサポート、多様な教育的ニーズへの柔軟な対応を図るほか、他校への巡回相談などを行ってまいります。
今後とも、生徒の抱える課題のより早期の把握に努めるとともに、的確な指導、支援を行い、通級による指導を含む特別支援教育のさらなる充実に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 加藤雄次議員。
(16番 加藤雄次議員登壇)
◆16番(加藤雄次議員) 教育長からご答弁いただきました。通常の学級における指導、支援の様子を説明していただきました。通級による指導に至る前に丁寧な支援を行っていただいていることで、対象生徒数だけでは測れない状況があることが分かりました。また、個々の教育的ニーズに対応するために、通級による指導に対する今後の取組も聞くことができました。特に高等学校は社会に出る前の重要な時期でもありますので、将来を見据えた指導をさらに充実させて、自立と社会参加につなげてほしいと思っております。今後も高等学校における特別支援教育のさらなる推進をお願いいたします。
以上で私の全ての質問が終わりました。本日の質問は、私が地域の声をお聞きした中から、早急に取り組むべきものについて取り上げさせていただきました。執行部におかれましては、答弁いただいた内容について真摯に取り組まれますようお願いいたします。
そして、県は、G7栃木県・
日光男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合の開催で今注目が大きく増しています。このことは、本日私が質問した中山間地域の発展、インバウンドの誘客や日光杉並木街道の保護など様々な事業の促進につながるものでもありますので、この好機を逃すことなく、誰もが未来に希望を抱き、ふるさとに誇りを持てる栃木づくりを進めていただくようお願い申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。
○関谷暢之 副議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後2時14分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は49名であります。
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午後2時30分 開議
○佐藤良 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) とちぎ自民党議員会の螺良昭人でございます。先日26日、構想から30年という月日を経て、ついに芳賀・宇都宮LRTが開業いたしました。当日は県内外から多くの方が訪れ、開業を祝福していただき、私も万感の思いでありました。また、福田知事はこの構想に初期から携わり、実現に尽力され、改めて敬意を表する次第であります。こうして県都宇都宮が魅力あるまちになることは、ひいては県全体の魅力、そして、実力の向上にもつながり、非常に期待するところであります。本日は、こうした状況を踏まえ、本県の将来展望につながる内容や県政の喫緊の課題について、6項目、8問にわたって質問を行ってまいりますので、知事をはじめ執行部におかれましては、前向きで明快な答弁をお願いいたします。
初めに、移住促進について、知事にお伺いいたします。本県が活力を持って発展していくためには、東京都内から本県に移住していただくことで人口の減少を食い止めることが重要であります。ふるさと回帰支援センターの調査によりますと、令和4年の移住希望地ランキングで本県が3位となったとのことでありました。令和元年は21位以下のランク外、令和2年が13位、令和3年が9位となった推移を見ると、本県を移住希望地とする方が着実に増えており、県外の方々から選ばれるとちぎになってきたと感じております。この要因については様々考えられますが、まずは県や市町がこれまで取り組んできた相談対応やセミナー開催、情報発信等の成果が出てきたということもあると思います。また、新型コロナウイルス感染症の影響によって都市部から地方への回帰の流れが生まれ、その中で比較的東京都に近い本県が選ばれているということも考えられます。しかし、新型コロナウイルス感染症の行動制限がなくなり、全国的に東京圏回帰の流れが見えており、縮小傾向であった本県の転出超過も拡大に転じております。このような中、県都宇都宮のLRT開業は全国から注目されており、こうした機を逃さず、本県の魅力をPRしながら移住促進の取組を強化していく必要があるのではないかと考えております。
そこで、今後、本県への移住促進にどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
○佐藤良 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの螺良昭人議員のご質問にお答えいたします。人口減少が急速に進行する中、将来にわたり地域の活力を維持していくためには、少子化対策を推進しますとともに、社会増に向け、本県への人の流れを着実なものとしていくことが重要であります。
このため、県では、東京圏への近接性や、豊かな自然に恵まれ子育てしやすい住環境など本県の強みを生かし、移住・定住の促進に取り組んでまいりました。その結果、コロナ禍を契機としたテレワークの普及や地方移住への関心の高まりとも相まって、令和4年の移住希望地ランキングは全国3位、令和4年度の移住支援金交付件数は全国4位となるなど、一定の成果を上げております。一方、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、東京圏回帰の動きも見られますことから、本県への関心の高まりを一過性のものとせず、移住先として選ばれるよう、より効果的に本県の魅力を発信するとともに、ターゲットに応じた取組を強化していく必要があると考えております。このため、移住定住促進サイトを刷新し、LRT開業等による交通の利便性や市町の移住支援策などを分かりやすく発信するほか、国の制度改正に呼応し、移住支援金の子育て加算額を大幅に引き上げ、また、女性や子育て世代を対象とした移住体験ツアーを新たに実施し、本県の暮らしや住環境を体感できる機会の充実を図っております。さらに、若年女性の移住・定住には働く場が重要な要素でありますことから、中山間地域における地域特性を生かした農業モデルや、女性に魅力のある雇用、産業の創出等にも取り組んでまいります。
今後とも、市町等と緊密に連携し、移住ニーズを的確に捉えながら、本県への移住・定住を一層促進してまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) 今、知事の答弁にも大分出てきたので大丈夫なのだろうなと思うのですが、移住支援金についてです。1世帯当たり100万円の助成ということで、国が2分の1、県と市町が4分の1ずつで補助していますが、宇都宮市にお話を聞きましたところ、今年の8月の時点で昨年の倍近くの移住実績があって、当初予算が不足しているという話をお聞きしています。ある意味、移住希望者との約束になるわけですから、予算がないからここで助成は終わりですというわけにはいかないということは、総合政策部長はよく分かっていると思うのですが、そのため、国に強く要望するとともに、本県の予算の確保をしっかりしていかなければならないと思いますが、総合政策部長にお伺いします。
○佐藤良 議長 笹川正憲総合政策部長。
◎笹川正憲 総合政策部長 再質問にお答えいたします。移住支援金つきましては、国の制度改正により、本年4月には、子育て加算額が1人当たり30万円から100万円に引き上げられたことなどによりまして、子育て世帯を中心に問合せが増え、支援金の支給申請も市町によっては当初の見込みを大きく超える状況となっております。まさにうれしい悲鳴でございまして、県といたしましても、市町の移住施策に支障が生じないよう、国とも調整の上、今通常会議に移住支援金に関する増額の補正予算案を提出させていただいているところでございます。なお、国では、令和6年度当初予算の編成過程におきまして、移住支援金の対象に大学卒業後に地方に移住する学生も加える検討を行っているという情報もございますので、その動向も見極めながら、市町の意向を確認し、必要に応じて十分な予算の確保などを国に対して要望してまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) ぜひとも予算を確保してほしいということなのですが、先ほども言いましたように約束ですから、もし足らなくなったら、県と市町で負担するぐらいの心意気で頑張っていただければありがたいと思います。
次に、LRT開通による県都宇都宮の魅力向上について、地域公共交通、まちづくり、県庁周辺の土地利用の視点から、3問質問してまいります。まずは地域公共交通の在り方について、知事に伺います。本県の公共交通である鉄道の現状を見ますと、縦軸はJR宇都宮線と東武鉄道があり、しっかりしていますが、横軸は、JR両毛線や日光線、烏山線などがあるものの、全体的なつながりでは弱い面があります。このような中、芳賀町からJR宇都宮駅東口をつなぐLRTが開通し、さらに駅西口から大通りを通り、県教育会館付近まで延伸する方針が示されております。これが完成すれば、県央の横軸としての位置づけになると考えられます。県は現在、(仮称)栃木県地域公共交通計画の策定作業を進めているとのことであります。ぜひともLRTの本県の横軸としての役割を適切に踏まえ、市町と連携し、本県の発展につながる地域公共交通づくりに取り組んでいただきたいと考えます。
そこで、LRT開通、さらには西側延伸を踏まえ、本県の地域公共交通の在り方をどのように考えるか、知事に所見を伺います。
○佐藤良 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県が目指す「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現のためには、公共交通サービスの確保・充実が重要であります。
このため、県では、今年度末を目途に県版地域公共交通計画の策定を進めており、公共交通ネットワークを木に例え、幹、枝、葉という役割に分担し、地域を支える交通軸や、それらをつなぐ交通結節点の設定等について検討を行っております。このような中、今回の芳賀・宇都宮LRT開業に併せた路線バスや地域内交通などの端末交通の充実に加え、端末交通とLRTが接続する交通結節点としてトランジットセンターが整備されるなど、公共交通ネットワークの充実が図られておりますことから、本計画についても、これらを踏まえ、策定してまいります。また、JR宇都宮駅西側につきましては、宇都宮市が昨年策定した都心部まちづくりビジョンにおいて、LRTを基軸とした公共交通と一体となった都心部の魅力あるまちづくりの方針が示されております。これらを踏まえ、今後の地域公共交通の在り方を考える上では、公共交通とまちづくりとの連携を重要な要素として位置づけてまいります。
引き続き、地域の実情に応じた公共交通サービスの確保・充実に向け、市町や交通事業者及び関係機関との連携を図りながら取組を進めてまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) 知事に再質問させていただきます。非常に難しい説明になるので、知事、イメージで宇都宮市内の地図を描いていただいて、聞いていただければありがたいのですが、LRTというのは、道路を利用して路面電車として走るメリット、それから既存の線路、ここで出てくるのはJR線と東武線、この2つを電車として走るということ、もう一つは、安価な電停、いわゆる停留場が安くできるということ、この3つがあるのですけれども、この3つのメリットを最大限使って、路面電車、JR線、そして東武線をつないで交通形態をつくっていくということを説明させていただきたいと思います。
例えば、JR宇都宮駅を出発して、路面電車で東武宇都宮駅まで行きます。東武宇都宮駅まで行ったら東武宇都宮線に乗って、それから電車で新栃木駅まで行って、新栃木駅から先は複線化されていますから、東武特急列車がそこまで来ているのですから、そこまでLRTが行けば、LRTがいわゆる在来線の役目を果たし、東武特急列車が宇都宮市へ乗り入れしてくる。こうなると、東京圏は一気に近くなってきます。さらに、東京都では今、羽田空港アクセス線というのを2031年から開業したいと言っているわけですから、そこをつなぐと県央エリア、県南エリア、さらには東京都、羽田空港へとアクセスが強化されると思っています。
もう一つは、JR日光線にLRTを乗せる。県央の横軸ですから、鹿沼市を通って日光市まで行ってほしい。そのようなことで、特にその場合、安いLRTの停留場を使いまして、例えばJR日光線であれば、宇都宮中央卸売市場前駅とか、物すごい交通渋滞のあるSUBARUの会社の前とか、それからJR宇都宮線と東武日光線が交差するところが宮原球場の付近にあるのですけれども、この宮原球場に電停をつくって、東武宇都宮線とJR日光線がクロスしていますから、両方乗り入れするとJR宇都宮駅から一気に西川田駅まで直通で行けるし、逆にぐるっと回って戻ってこられるという新たな使い方ができるのではないかと考えております。さらに、その間を先ほど出たバス等でつないでいく公共交通システムというのを構築してはいかがという提案をさせていただきたいと思います。
公共交通の在り方をもう一度考えてはどうか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長
福田富一知事。
◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。ただいまのご提言は、非常に興味のあるご提言だと思います。ところで、まずは開業して間もないLRTでありますので、様々な効果、あるいは課題等について現状把握や分析を行うことがまずは重要だと思います。LRTと既存鉄道との連携につきましては、効果や課題等に関して、鉄道事業者、あるいは地元関係者などから広く意見を伺っていく必要があると考えております。
今後とも、県内各市町と連携を図りながら、持続可能な社会の実現に向けまして、公共交通ネットワークの確保・充実に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) 意見を伺うと言っていただけただけでも大変ありがたいなと思います。要望させていただきます。地域公共交通の視点で考えれば、LRTとバスが共存した交通網をつくり上げることが重要であります。特にJR宇都宮駅西側は多くのバス路線がありますので、こうしたバスについて、LRTと一体的に円滑な移動が可能となるように、LRT事業者やバス事業者と連携を図っていただきたいと思います。また、以前も私の質問で述べましたが、将来を見据え、カーボンニュートラル等の観点から、事業者が取り組むバスのEV化についてもしっかりと後押しをしていただくよう要望し、次の質問に移ります。
宇都宮中心市街地のまちづくりへの支援について、知事に伺います。現在、宇都宮市では、JR宇都宮駅から西側の再開発に取り組んでおります。駅西口の一部、大手地区、馬場通り中央地区、西地区については既に完了しており、今後、駅西口地区や千手・宮島地区、バンバ地区の再開発に取り組むとのことであります。さらに、東武宇都宮駅周辺の再開発についてなど、まさに県都宇都宮の顔が大きく変わろうとしております。
こうした再開発に加え、LRTの西側延伸が2030年代前半までに行われるわけでありますから、これを見据え、民間施設の誘導や公共施設の設置などに取り組んでいく必要があります。こうした再開発によるまちづくりについては、私といたしましては、宇都宮市だけでなく、県内各市町において推進してほしいという思いを持っております。しかしながら、以前は県として補助金も用意していましたが、現在はなくなってしまっています。県は、まちづくりへの支援から手を引いたということではないと思いますので、再開発に対する支援をどのような形で行うのか、再考していただきたいと考えます。また、LRTが西伸するという絶好のタイミングですので、今まさに様々な支援を考えることは時機を得ているのではないでしょうか。ここが一つの正念場と捉えて、再開発事業に関して絶大な支援をすべきだと考えます。
そこで、宇都宮中心市街地のまちづくりに対しどのように支援していくのか、知事の所見を伺います。
○佐藤良 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、地域の特性に応じた機能が集積したコンパクトな拠点の形成や公共交通サービスの確保・充実、地域間連携の促進により、持続可能でにぎわいのある誰もが暮らしやすいまちづくりを進めているところであります。このような中、宇都宮市では、将来の都市像として掲げる「ネットワーク型コンパクトシティ」の実現に向け、都市拠点における機能集約と活力や魅力の維持・向上を図るため、市街地再開発事業などを通じた都市機能等の誘導、集積を推進しております。市街地再開発事業は、民間の活力を有効に活用し、市街地の健全な高度利用と都市機能の更新を図ることで、中心市街地の活性化や町なかのにぎわいを再生することができる効果的な手法であると考えております。
このため、県では、市街地再開発事業が円滑に実施できるよう、先進的な取組事例の紹介や法的要件の整理などの技術的助言、国をはじめとする関係機関との連絡調整などについて支援しているところであります。また、市のまちづくりの考え方に対しましても、市が設置した都心部まちづくりのプラン策定に向けた懇談会など、各種会議等の場において助言を行っております。
宇都宮中心市街地は、長い歴史の中で文化や伝統を育んできた県都の顔でもある重要な地域でありますことから、今後とも、県民の利便性や時代の変化に対応しながら、市と連携し、にぎわいの創出や魅力の向上に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) 要望いたします。ぜひとも、県の魅力を向上させるという観点から、県としても積極的な支援を検討していただくようお願い申し上げます。また、町の魅力を向上させるためには、その基盤となる安全・安心の確保が重要であり、JR宇都宮駅西口を流れる田川の改良復旧工事についても早期に完了させるとともに、流域全体の治水能力の向上を図ることが重要であります。県都宇都宮の玄関であるJR宇都宮駅西口付近の田川で再び氾濫が起きることが決してないように、しっかり取り組んでいただくよう要望いたします。
次の質問に移ります。県庁周辺の土地利用の在り方について、知事に伺います。県は県庁周辺整備に加え、「文化と知」の創造拠点整備や宇都宮中央警察署の移転の方針を明らかにしております。これらは宇都宮市中心部での再整備であり、LRTの走るまちづくりと捉えて、栃木県の魅力と機能を向上させていく視点を持つことが重要であると考えます。
そこで、県庁周辺整備について考えますと、先月28日にサウンディング型市場調査の実施要領が公表され、12月中旬には結果が出るということでありました。この調査については、公共の土地利用について民間の意見を反映させるという意味では非常に大切なことであると考えております。しかしながら、私が懸念しておりますのは、今回の調査の対象が栃木会館跡地と宇都宮中央郵便局跡地のみとなっていることであります。県庁周辺の土地を見ますと、この2か所のほかに、既に「文化と知」の創造拠点整備で移転の方針が出されている県立図書館や宇都宮中央警察署の土地などがあります。これらの土地を含め、県庁周辺全体の土地利用の在り方の論議は必須であると考えます。
そこで、県庁周辺の土地利用の在り方についてどのように考えるか、知事の所見を伺います。
○佐藤良 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県庁周辺は公共公益施設や文化施設などの都市機能が集積し、宇都宮中心部の町並みはもとより、本県のイメージを形成する上で重要な地域であると考えております。
このため、県では、県庁周辺整備を県政の重要課題の一つとして位置づけ、シンボルロードの拡幅や県有地の利活用について継続的に検討を重ねてまいりました。今年度は栃木会館跡地及び宇都宮中央郵便局跡地を対象として、民間から幅広く利活用のアイデア等を募るサウンディング型市場調査を開始したところであり、年内を目途に結果を公表する予定であります。さらに、県立美術館、図書館及び文書館を「文化と知」の創造拠点として一体的に整備するという考えの下、検討委員会を設置し、整備構想の検討に着手したところであり、これに伴い、今後、県庁周辺に利活用の可能な県有地が生じることも想定されるところであります。県庁周辺を含む宇都宮中心部の県有地の在り方につきましては、これらの検討状況を考慮した上で、社会情勢や行政需要の変化、さらには宇都宮市が取り組むまちづくり事業の動向なども踏まえ、県民益の最大化を図るという観点から総合的に検討を進めてまいります。
今後とも、県議会のご意見を伺うとともに、宇都宮市とも十分に連携を図りながら、県都の顔にふさわしい空間の創出に努めてまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) 再質問したかったのですけれども、時間の関係で、残念ながら要望にさせていただきます。ここで要望いたします。県庁周辺の未利用地だけではなく、現在活用されている県有地のこれからの扱いについても、併せて在り方について考えていくべきと考えます。また、移転する県立図書館に求められる機能については、デジタル化の進展、それから利用する県民の快適性、情報発信の強化など大きく内容が変化しておりまして、文書館についても、デジタルアーカイブの活用での栃木県の歴史や資料の保存等を考えれば、図書館と同様に在り方が大きく変化していると考えます。その意味では、図書館、文書館の一体整備ということを訴えられていますから、これは有効だと考えています。また、美術館については、宇都宮市が立派な美術館を持っていますので、統合とまでは言わないまでも、連携や役割分担をもう一度考えて設置することで大きな効果を発揮するのではないかと考えます。美術館を設置する理念についても、例えば金沢21世紀美術館では、「まちに開かれた公園のような美術館」という建築のコンセプトがありますが、本県でも、まずはそのような明確なコンセプトを設定することが先ではないかと考えます。
いずれの施設においても、実際に来場された方々がどのように活用するかが重要であり、アクセス性の向上がより必要とされていると思いますので、LRT沿線に用地を確保するという考え方もあると思います。また、このような施設は歴史との関係も深いものと考えます。宇都宮市は二荒の森を中心に栄えてきた町です。単に種地があるからといって移設するのではなく、文化や知がより育つために歴史を顧みることも必要であると私は考えます。さらに、宇都宮中央警察署については、警察本部との連携や、緊急出動の際にLRTが支障にならないかなどという懸念も踏まえる必要があると思っております。
これらのことは検討会によって整理されていくものでありますから、私としては、どういった機能や役割が必要であり、それに見合った場所や整備内容となるのか、その方向性が県民の皆様に納得いただけるようなものになるのか注視し、期待していきたいと思っております。ぜひとも本県の発展につながる在り方を検討いただきますよう要望し、次の質問に移ります。
県民の歯と口腔の健康づくりの推進について、保健福祉部長に伺います。歯と口腔の健康は、健康で豊かな生活を送るために欠かせないものであると、近年、特に注目されております。歯周病が心筋梗塞等多くの疾患の要因になるとの観点から、口腔ケアの重要性が強く訴えられております。
本県においては、議員提案により、平成22年に栃木県民の歯及び口腔の健康づくり推進条例を制定するとともに、平成24年度を初年度とする栃木県歯科保健基本計画を策定し、現在、2期計画により、県民の歯の健康の維持増進のための取組を進めております。しかしながら、現状を見ますと、市町が行う歯周病検診について、40歳、50歳、60歳、70歳の受診率は令和4年度で5.8%と、歯の健康に対する意識の低さが浮き彫りとなっているとともに、自分自身で歯磨きが十分できない方へのサポートの充実などが課題となっています。歯科医療提供の面でも、病気により配慮が必要な方への治療や、施設、在宅での高齢者のケア、災害時の対応などニーズが多様化する中で、関連機関の連携強化や人材の確保、資質向上も求められております。さらに、昨今の物価高騰などにより経営への影響も懸念されております。
こうした中、国においては、経済財政運営と改革の基本方針2023において、生涯を通じた歯科健診制度の構築、いわゆる国民皆歯科健診に向けた取組を推進すると掲げております。令和7年度からと言われる制度の開始に向け、本県においても歯の健康に関する意識の向上を図る必要があると考えます。また、歯科健診受診を促進するため、社会人になるタイミングで健診の重要性を周知することや、高齢者が健診を受けやすくするための環境整備に取り組むことなども必要であると考えます。県の歯科保健基本計画(2期計画)については令和6年度までとなっており、今後、次期計画策定に向けた検討を行うことになりますので、これらの視点を十分に踏まえて策定していただきたいと考えます。
そこで、県は、県民の歯と口腔の健康づくりの推進に向けて、次期歯科保健基本計画について、どのような点に重点を置き検討を進めていくか、保健福祉部長にお伺いします。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。人生100年時代を迎え、生涯にわたり歯と口腔の健康を保持増進することが重要であるため、歯周病予防等の重要性を広く県民に啓発するとともに、歯周病検診への助成など、ライフステージに応じた歯科健診の受診促進を図ってきたところでございます。しかしながら、ご指摘いただきましたとおり、令和4年度の歯周病検診の受診率は5.8%と低迷するなど十分な効果が得られているとは言えないことや、市町間のばらつきが大きいということも承知しております。次期計画の策定に向けまして、まずは現計画の評価を行う中で課題の洗い出しを行い、歯と口腔の健康づくりのさらなる推進のため、効率的かつ効果的な事業の検討に取り組んでまいります。
引き続き、国の歯・口腔の健康づくりプランや、いわゆる国民皆歯科健診に向けた取組に注視しつつ、有識者のご意見も参考にしながら、より実効性のある計画を策定してまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) 保健福祉部長に再質問します。本質問で歯周病検診受診率が著しく低いことに触れているのですが、年代別に見ますと、こういうデータがあり、40歳が4.7%、50歳が4.8%、60歳が6.0%、70歳が7.3%となっておりまして、先ほども言ったように、歯周病は多くの疾患の要因になっているわけでありますから、県民に歯科健診の受診を働きかけていくことが非常に重要であると考えております。
例えば宇都宮市において、先進的な取組と言えるのでしょうけれども、今までは30歳から75歳までの5歳ごとに節目健診を入れていたのですけれども、さらにその取組を直しまして、来月からは20歳から85歳まで5歳ごとの健診を入れていく。こうした歯周病の検診受診率の向上に向けてしっかり取り組むということは非常に重要でありますので、よく考え、年代別の受診率の目標をしっかり決めて、各年代に効果的な受診促進策を講じる。やはり40代、50代、60代、70代、80代のそれぞれに理由があって受診率が下がっていることがありますから、そういうものにしっかり着目して、年代別に受診促進を進めるということが一つ必要なのだと思います。それぞれ違うので、一々説明はできませんけれども、ぜひ検討していただきたい。
それと、宇都宮市はこういう形で枠を広げているのですけれども、地域間格差ができるのはよくないですから、これはやはり全県的に取り組んでいただきたい。そういう本県独自の取組をすべきと考えますが、歯周病検診受診率の向上に向けてどのように取り組むか、保健福祉部長にお伺いします。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。県では今年度、行動経済学の理論の一つでありますナッジ理論を用いて、効果的に歯周病検診の受診勧奨を行うモデル事業を栃木市と那須烏山市において実施しているところでございます。そのような事業効果も検証した上で、また、各地域での取組も参考にしながら、その成果を県全体に広げていくことで歯周疾患検診の受診率の向上に努めてまいりたいと考えております。
引き続き、市町や県歯科医師会等とも連携しまして、歯周病予防の重要性の理解促進を図るなど、歯と口腔の健康づくりに取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) 要望いたします。本県において検診受診率が著しく低いということは、県民の皆様になかなか県の取組が伝わっていないと受け止めなければなりません。しっかりと効果のある施策に取り組んでいただくようにお願いしますとともに、この十数年の医学の進展や健康意識の高まりなど、歯と口腔の健康づくりの状況の変化を踏まえて、県民の健康を支える観点から次期計画について検討していただくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
働き方改革による救急をはじめとする医療体制への影響について、保健福祉部長にお伺いします。令和6年4月から、医師の働き方改革に伴い、医師の時間外労働の上限が原則年間960時間に制限されることになります。こうした中、県内の一部の病院では、既に働き方改革として時間外労働を減らすための取組を進めていると聞いております。こうした医師の働き方改革自体は、医師の健康やワーク・ライフ・バランスのためにも必要なことでありますが、問題は、休日や夜間等の当直に当たる医師が限られることから、診療科目によっては診療を受けられない事態に至ることが懸念されることであります。
具体的な例として、実はこの前私の友人が、夜間に具合が悪くなりまして救急車を呼びました。受け入れる病院が見つからずに、容体は命に別状はないとの判断から搬送はされずに翌日に診療を受けることになり、病状が悪化し、長期入院となったということであります。この事例が働き方改革による直接の影響であるとは言い切れませんが、医師の不足であることは否めません。以後このような状況が増えることが心配されるのであります。このため、県が県内救急医療機関等において、働き方改革によって生じ得る影響を詳細に把握するとともに、医療体制に支障が生じないように早急に必要な支援を行うべきと考えます。
そこで、県は、医師の働き方改革の実施を見据え、今後、救急をはじめとする医療体制の確保にどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いします。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。医師が健康に働き続けることで医療の質や安全を確保するとともに、持続可能な医療提供体制を維持するためには医師の働き方改革に着実に取り組むことが極めて重要であります。
そのため、県では、とちぎ医療勤務環境改善支援センターを通じ勤務環境改善に関する相談支援を行うほか、労働時間の短縮に必要な環境整備等に取り組む医療機関に対しまして助成を行っております。一方、新型コロナウイルス感染症への対応等を通じて救急医療需要の増加や、その体制の脆弱性を認識させられたこともあり、救急医療提供体制の強化が必要であると考えております。このため、次期保健医療計画の策定を進めていく中におきましても、この件につきまして検討してまいりたいと思っております。
引き続き、緊張感を持って医療提供体制への影響等を注視しながら医師確保の取組を進めるとともに、医療機関に向けた働き方改革に係る相談支援体制等の充実を図り、救急をはじめとする医療体制の確保に努めてまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) すごく心配ですよね。夜間ではなく昼間に来ればいいという人もいることも確かなのですけれども、夜間に診てもらわなかったら非常に症状が重くなってしまう、重篤になってしまう人も救急の中にいることは間違いないのでありまして、そういう体制の中で、これは働き方改革で問題がないらしいのですが、宅直される医師が結構いるのですね。その宅直だと、おうちにいるわけですから、連絡を受けてすぐ出てきても、やはり30分、40分かかることは想定しなくてはならない。そういう状況にあって、宿直として病院にいる人よりもかなり手が遅れることは否めないと私は思います。そのような中で、宅直が駄目だということではないのですね。だから、医師を上手にローテーションしてほしいと思っています。
要望します。来年4月から医師の働き方改革が実施されますが、救急医療を受けられない事例が発生しないよう、あと半年ですので、しっかりと対策を取っていただくよう要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
豚熱対策について、農政部長にお伺いします。先月末、佐賀県唐津市の養豚場において、続けて2件、豚熱が確認されまして、約1万頭が殺処分されました。平成30年の国内再発生後、九州での豚熱の発生は初めてとのことであり、豚熱の広がりへの心配と対策の難しさを改めて感じたところであります。
本県においても、令和3年4月に養豚場での豚熱感染が確認され、昨年7月までに4件発生しておりますが、養豚場の全ての豚を殺処分することになり、養豚業者に深刻なダメージを与えるとともに、殺処分等に従事する方々の身体的・精神的負担があるなど、大変影響が大きいものであります。これまで県では、豚熱の発生防止に向けて、養豚場の防疫対策の強化や豚へのワクチン接種、野生イノシシへのワクチン散布や捕獲の推進に取り組んでおります。しかしながら、専門家の方々からは、最近は豚熱に感染した野生イノシシにより養豚場への感染リスクが以前より高まっているのではないかとご指摘を受けました。簡単に言えば、ワクチンのおかげで野生イノシシに耐性ができているのですね、それで元気に生きている感染したイノシシがたくさんいるということです。実際、県内では豚熱陽性となった野生イノシシが依然として確認され続けていることから、ワクチンの散布や感染媒体である野生イノシシの捕獲の強化に加え、養豚場のバイオセキュリティレベルを上げることに徹底的に取り組む必要があると考えます。
そこで、県は、豚熱の発生を防ぐために今後どのように取り組んでいくのか、農政部長に伺います。
○佐藤良 議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。豚熱の発生防止につきましては、養豚場における防疫対策と、感染拡大の一因とされております野生イノシシへの対策を充実・強化していくことが重要であると考えております。このため、養豚場の防疫対策につきましては、飼養衛生管理基準の遵守徹底の指導を継続し、ウイルスの侵入防止を図りますとともに、本年4月から導入しました獣医師以外の従業員等でもワクチンを接種できる新たな制度によりまして、切れ目のない接種を推進してまいります。
また、野生イノシシ対策につきましては、県内で広く豚熱陽性のイノシシが確認されていますことから、捕獲を強化しますとともに、豚熱の蔓延防止と農場へのウイルス侵入リスクを低減するため、経口ワクチン散布地点を農場周辺に増やすなど対策を強化してまいります。
今後とも、発生動向を注視しながら豚熱対策に万全を期してまいります。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) ただいま答弁いただいたのですが、再質問させていただきます。佐賀県の事例について、宮崎大学の教授の見解では、今まで九州で野生イノシシの豚熱感染が確認されていないことから、人や物がウイルスを運んだ可能性を指摘しているのですね。そこで心配になることが、海外で感染が広がっている、ワクチンが存在しないアフリカ豚熱、ASFでありまして、現時点では国内での感染は確認されていないものの、今、中国とか韓国とかお客さんが来るのですから、中国や韓国でも感染が確認されておりまして、それが人や物を介して国内へ侵入してくるという懸念が十二分に考えられるという一つの事例になってきたわけですよ。今の農政部長の答弁では、ワクチンの接種をしっかり徹底するという話が前面に出てきているのですけれども、ASFにはワクチンは通用しないですからね。だから、現時点で、CSFの段階でASFが入ったときの体制、このASFの侵入を防ぐために、港湾、それから空港における水際対策というのは国が強化していかなければならないのですが、ワクチンに頼らない対策として、豚舎のバイオセキュリティのレベルを目いっぱい上げていく。
それからもう一つは、野生イノシシの捕獲ですが、県は何だかんだ言っても1万9,000円出しているということで、北関東のほかの県に比べても優秀であることはよく分かっているのですが、さらにそれを上げていくことによって、栃木県の狩猟者にインセンティブを大きく与えることは非常に必要だと思っています。また、これは国、県、市町が一体となって取り組んでいくということで、栃木県からそういう発信もしてほしい。だって、日本全国が駄目になってしまうのですから、そういう発信を栃木県からするぐらいの思いがあってもいいかなと思います。
県には、ASFも念頭に置きながら豚熱の発生防止に全力で取り組んでいただくということをお願いしたいのですが、もう一つ、野生イノシシの捕獲ということで、狩猟者の確保を考えてほしい。狩猟免許や猟銃の所持の許可を取ったのに、県の狩猟者登録をしていないと、狩猟免許や猟銃所持の許可は持っていても、狩猟者登録をしない方が多いというのでは狩猟にならないということでありますから、本県の狩猟者が確保できるように、狩猟者登録までしっかりと進めていかなければならない。その辺りのところもどう考えるか、併せて再質問させていただきます。
○佐藤良 議長 螺良議員に申し上げます。ただいまの発言は、どなたに対しての答弁を求めるものですか。
◆50番(螺良昭人議員) すみません、農政部長に。
○佐藤良 議長 熊田欽丈農政部長。
◎熊田欽丈 農政部長 再質問にお答えいたします。まず、アフリカ豚熱対策ということでございますが、まだ日本には入ってきていないという現状でございますけれども、まずは第一義的には、国に水際対策の徹底をお願いしていきたいと思います。また、併せまして、ワクチンが今ないということですけれども、全国知事会を通じて、アフリカ豚熱のワクチン開発についても要望しているところでございます。これについては国でしっかり取り組んでいただきたいと考えております。
次に養豚場の対策についてですけれども、ワクチンがないということで、やはり飼養衛生管理基準をいかに徹底していくかに尽きるということでございます。これについては、今、豚熱対策で、例えば野生イノシシの防護柵の設置や防鳥網の設置、さらには、先ほど言いました人、車両等の出入りでの消毒の徹底、立入検査なども行いまして、そういうものを引き続き徹底していきたいということでございます。
また、万が一ですけれども、野生イノシシでアフリカ豚熱が発生してしまったということに備えまして、先日、全国に先駆けて、国、それから県、関係機関・団体を集めました研修会を開催したところでございます。具体的にどのような対策をしていくかということを研修したものでございますけれども、そういう対策も併せて行いながら万全を期していきたいと考えております。
○佐藤良 議長 農政部長に申し上げます。もう1点、狩猟免許についての答弁をお願いします。
◎熊田欽丈 農政部長 申し訳ございませんが、狩猟免許については、所管をしておりませんので、差し控えさせていただきたいと思います。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員) 所管ではないということで、後で調べさせていただきますので、よろしくお願いします。
国がやること、それから県がやることをしっかり取り組んで、ASFに備えるという気持ちがやはり重要かなと思っています。韓国では軍隊を出して全部撃ち殺してしまって、血の川が流れたというような報道もなされているわけですから、日本の場合、自衛隊に出動させるのはどうかという問題もありますけれども、ぜひとも県がやるべきことをしっかり取り組んでいただきたい、そのように要望させていただきます。
次に、災害時におけるLPガスの有効活用に向けた取組について、
危機管理防災局長に伺います。近年、豪雨災害等が頻発・激甚化する中で、災害発生時の対応力強化が求められております。さらに今年は、1923年に発生した関東大震災から100年の節目を迎えまして、改めて災害への対策がクローズアップされているところです。こうした中、災害が起きた際には、停電の発生などにより、防災拠点施設や避難所などで利用するエネルギーの供給が課題となりますが、LPガスは運搬や貯蔵がしやすく、分散型のエネルギーであり、供給が途切れにくく、一時的に止まっても早急に復旧が可能であることから、災害に強いエネルギーであるとされております。実際にこのことは東日本大震災や熊本地震などにおいて実証されておりますし、国も第6次エネルギー基本計画において、LPガスを災害時のエネルギー供給の最後のとりでとして、平時のみならず、緊急時に貢献する重要なエネルギー源と位置づけております。また、国土強靱化年次計画2023において、災害時の燃料として有効性が高いLPガス・関連機器について、避難施設や家庭等への普及を推進するとし、具体的に避難所等における燃料備蓄を推進するため、自家発電設備、ガスヒートポンプ空調機等の導入支援事業を実施することとしております。
こうした状況を踏まえ、私は、県が栃木県総合運動公園内に整備する方針を示し、今年度、基本計画を策定している防災教育施設に、LPガスを備蓄するバルク貯槽と供給設備が一体となった設備であるLPガス災害バルクやガスヒートポンプエアコン、発電機などを導入し、LPガスの有効性を県民や事業者等に周知するとともに、市町の防災拠点や避難所等への設備導入を促進することが本県の防災力の向上に有効であると考えます。
そこで、県は、防災教育施設におけるLPガスを利用した設備の導入及び市町への導入促進に取り組むべきと考えますが、
危機管理防災局長の所見を伺います。
○佐藤良 議長
渡辺順一危機管理防災局長。
(
渡辺順一危機管理防災局長登壇)
◎渡辺順一
危機管理防災局長 ただいまのご質問にお答えいたします。防災教育施設は、平時における防災に係る学習・教育機能として、総合防災拠点として位置づけました県総合運動公園内に新たに整備することとしており、今年度、基本計画を策定する予定であります。新たな施設の設備につきましては、整備費や維持管理費のコスト面のほか、温室効果ガス排出などの視点も勘案し、どのような設備を導入していくのか、次年度以降の基本設計段階で検討してまいります。また、市町の避難所などではLPガスを燃料とした非常用発電機を備えているところもあり、災害時の備蓄燃料の一つとして有効であると考えております。
引き続き、市町に対しまして、LPガスも含む各種備蓄燃料を活用した設備につきまして、災害時の有効性を周知するとともに、国の補助制度等を活用した整備を促してまいりたいと考えております。
○佐藤良 議長 螺良昭人議員。
(50番 螺良昭人議員登壇)
◆50番(螺良昭人議員)
危機管理防災局長、そういうシステムを紹介する、市町に広げるための促進のための実験的な導入というイメージですから、設置するという意味ではないですからね。LPガス・関連機器を広げていくための業としてしっかり導入したらいいという話であります。
まとめさせていただきます。今回は、LRT開通元年ということもありまして、また、新都市交通システムとして、以前は賛成、反対の議論ばかりだったのですが、そういうことではなく、どのような新しいシステムがよいのか、どこにシステムを導入するのかと議論した原点に返って質問させていただきました。また、「文化と知」の創造拠点については、まだ検討会も始まったばかりなので、要望するにとどめました。今後は、常任委員会、私は県政経営委員会なので、大きな関心を持って発言していく考えであります。昨日質問された渡辺幸子議員には、検討委員会において、さらに活発に意見を提言していただくことに大いに期待しております。
以上で、私の全ての質問を終了させていただきます。
○佐藤良 議長 以上で上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問は終了いたしました。
この際、申し上げます。お手元に配付いたしました議案付託表に記載の議案については、それぞれ所管常任委員会に付託いたします。ご了承願います。
〔配付資料は巻末に掲載〕
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○佐藤良 議長 日程第2 第24号議案から第26号議案まで及び認定第1号から認定第6号までを一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。第24号議案から第26号議案まで及び認定第1号から認定第6号までについては、審査のため15人の委員で構成する決算特別委員会を設置し、これに付託したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○佐藤良 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。
次に、お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員については、栃木県議会委員会条例第5条第1項の規定により、お手元に配付の決算特別委員選任名簿のとおり指名したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○佐藤良 議長 ご異議がないと認めます。
したがって、選任名簿のとおり選任することに決定いたしました。
〔配付資料は巻末に掲載〕
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○佐藤良 議長 日程第3 請願・陳情についてを議題といたします。
今回の通常会議で所管常任委員会に付託いたします請願・陳情は、お手元に配付いたしました文書表のとおりであります。
〔配付資料は巻末に掲載〕
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○佐藤良 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。10月12日は定刻から本会議を開きます。
本日はこれで散会いたします。
午後3時31分 散会...