栃木県議会 2023-09-21
令和 5年度栃木県議会第397回通常会議-09月21日-02号
令和 5年度栃木県議会第397回通常会議-09月21日-02号令和 5年度栃木県議会第397回通常会議
(1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名
9月21日(木曜日)
出席議員 48名
1 番 土 屋 晃 子
2 番 渡 邉 典 喜
3 番 大久保 ゆ み
4 番 大 谷 弥 生
5 番 大 木 英 憲
6 番 佐 藤 晴 彦
7 番 杉 田 光
8 番 沼 田 邦 彦
9 番 池 上 正 美
10 番 小 池 篤 史
11 番 湯 澤 英 之
13 番 横 田 誠
14 番 石 坂 太
15 番 岡 部 光 子
16 番 加 藤 雄 次
18 番 小 菅 哲 男
19 番 小 林 達 也
20 番 平 池 紘 士
21 番 塩 田 ひとし
22 番 中 屋 大
23 番 あ べ ひろみ
24 番 野 村 せつ子
25 番 横 松 盛 人
26 番 西 村 しんじ
27 番 野 澤 和 一
28 番 高 山 和 典
29 番 池 田 忠
30 番 琴 寄 昌 男
31 番 白 石 資 隆
32 番 関 谷 暢 之
33 番 中 島 宏
34 番 早 川 桂 子
35 番 日向野 義 幸
36 番 渡 辺 幸 子
37 番 保 母 欽一郎
38 番 松 井 正 一
39 番 山 田 みやこ
40 番 青 木 克 明
41 番 山 口 恒 夫
43 番 阿 部 寿 一
44 番 佐 藤 良
45 番 山 形 修 治
46 番 岩 崎 信
47 番 神 谷 幸 伸
48 番 五月女 裕久彦
50 番 螺 良 昭 人
51 番 木 村 好 文
52 番 板 橋 一 好
欠席議員 2名
12 番 星 雅 人
17 番 金 子 武 蔵
(2)説明のため出席した者の職氏名
地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者
知事 福 田 富 一
副知事 北 村 一 郎
副知事 天 利 和 紀
総合政策部長 笹 川 正 憲
経営管理部長 仲 山 信 之
生活文化スポーツ部長
野 原 恵美子
保健福祉部長 岩 佐 景一郎
環境森林部長 小野寺 一 行
産業労働観光部長 石 井 陽 子
農政部長 熊 田 欽 丈
県土整備部長 坂 井 康 一
危機管理防災局長 渡 辺 順 一
会計管理者会計局長
中 谷 一 彦
企業局長 北 條 俊 明
総合政策部次長兼総合政策課長
小 林 宣 夫
財政課長 岩 田 知 也
教育長 阿久澤 真 理
代表監査委員 森 澤 隆
人事委員会事務局長
萩 原 英 樹
労働委員会事務局長
桐 渕 ゆ か
警察本部長 難 波 健 太
(3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
事務局長 柏 瀬 仁
次長兼総務課長 菊 池 薫
政策調査課長 横 山 泰 治
議事課課長補佐 小田部 秀
課長補佐 小 材 忠 宏
副主幹 山 﨑 里 香
係長 手 塚 英里子
主査 長谷川 寛 和
主査 桐 原 毅 充
主査 荒 川 尚 子
主査 榎 本 和 也
◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は48名であります。
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午前10時 開議
○佐藤良 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
日程第1 第1号議案から第12号議案まで、第14号議案から第26号議案まで及び認定第1号から認定第6号までを一括して議題とし、質疑を行います。
この際、お諮りいたします。質疑と併せて県の一般事務に関する質問を行うことにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○佐藤良 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。
この際、申し上げます。さきに人事委員会の意見を求めておりました第5号議案から第7号議案までについては、お手元に配付のとおり、それぞれ回答がありました。回答は朗読を省略して会議録に記載することといたします。ご了承願います。
〔配付資料は巻末に掲載〕
○佐藤良 議長 発言通告者に対し、発言を許します。山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) 皆さん、おはようございます。とちぎ自民党議員会の山形修治でございます。まず初めに、今月4日の豪雨により県内で大きな被害が発生しました。お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
さて、今年は栃木県誕生150年の大きな節目であり、時代の転換点でもあります。8月26日には、その象徴とも言うべきLRTが運行を開始し、予想を上回る利用客であるなど、全国から注目されるとともに、新たな栃木県の未来に向けて発信するなど今後の展開が注目されております。また、開業を祝うイベントや観光ツアーなどが企画されるなど大いに盛り上がりを見せており、栃木県が新たな時代に向けて走り出したようにも感じております。約10年前に、県議会の海外行政調査でドイツのカールスルーエを訪問し、将来のまちづくりの観点からも参考になるという思いを持ってトラムの調査をするなど、LRT計画を推進してきた私にとって大変感慨深いものがあります。そのような思いを胸に刻みながら、今回の質問は、9月補正予算で計上されたとちぎ
少子化対策緊急プロジェクトの実現など県民生活に関わる重要な課題について、とちぎ自民党議員会が先週開催した政策懇談会で各種団体の皆様方からいただいた要望やご意見を参考にしながら、とちぎ自民党議員会を代表して質問させていただきます。
初めに、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトについて、知事にお伺いいたします。令和4年の人口動態統計によると、本県の出生数は前年より975人少ない1万518人で、1970年代前半の第2次ベビーブームのときの3分の1程度まで減少しております。また、
合計特殊出生率については3年連続で過去最低を更新し、全国平均を下回る1.24となるなど、少子化の進行に歯止めがかからない状況にあります。そのため、県では、先月、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトを取りまとめ、実施可能な施策から補正予算等で速やかに取り組んでいくとしております。国においては、少子化傾向を反転させるため、
こども未来戦略方針の策定など子ども・子育て政策の抜本的強化に向けた検討が進められているところでありますが、少子化問題の克服に向けては、県としても、知事の強いリーダーシップの下、本県の状況に応じてあらゆる施策を総動員し、オール栃木で取り組んでいくことが重要であり、
当該プロジェクトを通じて、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを加速させていく必要があります。
そこで、知事がとちぎ
少子化対策緊急プロジェクトに込めた思い、そして、どのように取り組んでいくのかについて、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの山形修治議員のご質問にお答えいたします。人口減少問題の克服に向け、県では、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)に基づき、各種施策を推進しているところでありますが、依然として
合計特殊出生率が低迷するなど少子化は一層深刻さを増しております。私は、こうした現状に強い危機感を抱くとともに、活力ある栃木県を未来に継承するという知事としての使命を果たす上で、この喫緊かつ重要な課題に積極的に取り組んでいく必要があると考え、先般、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトを取りまとめたところであります。
このプロジェクトは、国による全国一律の施策と本県の実情に応じてきめ細かく行う事業等を組み合わせ、結婚、妊娠・出産、子育ての各
ライフステージに応じて切れ目なく支援していくものであります。まずは、今回の補正予算におきまして、とちぎ
結婚支援センターを拠点に結婚を希望する若者への支援を強化するほか、男性の家事、育児への参画を促すための家庭や職場における環境づくり、子育て世帯が産後や育児期に抱えやすい経済的、心理的負担の軽減等を図ってまいります。また、プロジェクトの推進に当たりましては、先月開催した政策懇談会の場において、市町長に直接協力を呼びかけたところであり、今後は経済団体とも協調して男性の
育児休業取得促進を図るなど、オール栃木で取り組んでまいります。
引き続き、国の子ども・
子育て政策強化の動向を踏まえるとともに、若者等のニーズの把握や現状分析を行いながら、令和6年度当初予算に向け、さらなる施策の充実・強化を図り、少子化問題の克服に全力で取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) 知事からは、少子化の深刻な状況を受け止めてと、そして国の取組と本県の取組を併せて、結婚、妊娠・出産、子育ての
ライフステージに応じて切れ目なくプロジェクトを推進していくということで、知事の熱い思いを感じたところです。しっかりと議論を重ねながら、力を合わせて取り組んでいきたいと思います。
まず、女性の結婚観や男性の家事、育児への参画など、若者の持つ考え方は大きく変化していると考えております。若者が抱く価値観の変化に注視しながら、柔軟に対応する必要があります。また、このプロジェクトの目的は、
合計特殊出生率を上げることばかりではなくて人口減少問題の克服につなげることです。知事から答弁がございましたけれども、とちぎ創生15(いちご)戦略に大いに関わりのある事業でございます。県は、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)の計画期間を1年延長して、令和8年度からとちぎ創生15(いちご)戦略の次期戦略ととちぎ
未来創造プランの次期プランを一本化する方針を示しておりますが、このプロジェクトの中で、可能な施策を速やかに実施しながら検証を重ね、新たな視点を加えた進化版とちぎ創生15(いちご)戦略を策定することにつなげるよう、強く要望させていただきます。また、理想のとも働き・とも育てや多様な働き方の推進については、指標に追加して、事業の効果をしっかりと分析する必要があると思います。全庁を挙げて、市町や企業の皆様と連携して、県全体で少子化問題の克服に向けて取り組むプロジェクトでございますので、知事の強いリーダーシップの下、そして、対策本部などを立ち上げて、継続的に取り組むことを要望させていただきます。
また、ここで成功事例を紹介させていただきたいと思いますが、ある企業では、午前5時から8時までに就業をスタートする代わりに、午後8時以降の残業を原則禁止にする朝型勤務を取り入れたところ、10年前の出生率が0.94から、2021年度には1.97に上昇したとのことです。就業時間前の朝型勤務は、夜の残業とは異なり、終わりの時間がしっかり決まっておりますので、保育園の迎えや子供の生活リズムに合った仕事の計画が立てやすいというメリットがあるようでございます。また、若年層を中心に働き方に対する考え方が大きく変わっているのも重要なポイントで、共働きを選択する男性社員が増えており、社内結婚も多いということでございました。こうした若者の希望に応えるためには、男女を問わず家事、育児に積極的に関われる職場環境が必要であると考えます。今回のプロジェクトを推進しながら、職場で働く環境を見直すことが必要です。ぜひ参考にしていただくよう要望させていただきます。
次に、「文化と知」の
創造拠点整備構想について、知事にお伺いいたします。県は、老朽化が進行し、建て替えが急務となっております県立美術館・図書館、さらには文書館を加えた3施設を「文化と知」の創造拠点として一体的に移転整備する案を表明し、今年度から整備構想の策定に着手したところであります。
整備構想策定検討委員会には、議会から木村幹事長、そして渡辺幸子議員が参画しており、過日開催された第1回検討会においては、本県の新たな文化や芸術が生まれ、50年、100年先も親しまれる施設にしてほしいなど、整備に期待する声が多くあったと伺っております。これらの整備は、昨年オープンしたウツノミヤテラスをはじめとするJR宇都宮駅東口地区の再開発や先月開業したLRT、そして、デジタル化や脱炭素社会の実現など、社会が大きく変わろうとしている中、県が主体となって行う
一大プロジェクトに多くの県民が注目をしております。整備構想の策定に当たりましては、ぜひ県民に夢を与え、栃木県の未来を切り開く施設となるよう、検討委員会等の意見を踏まえるとともに、
まちづくり事業の動向等を見極めながら検討を進めていただきたいと考えております。
そこで、県は「文化と知」の
創造拠点整備構想の策定について、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。「文化と知」の創造拠点整備につきましては、将来にわたり県民に愛され、誰もが誇りに思える魅力あふれる施設となるよう、県民の皆様に幅広くご意見を伺いながら、整備構想の策定を進めていくことが重要であると考えております。このため、県議会、県民、市町の代表者、有識者等で構成する検討委員会を設置し、令和6年内の策定を目途に整備構想の検討に着手したところであります。先月開催しました第1回検討委員会では、県内各地からの様々な交通手段のアクセス性に優れ、中心市街地に近接した約3.4ヘクタールの県有地である県体育館跡地に美術館、図書館、文書館を一体的に整備するという県の考えを示したほか、各施設の現状と課題について説明を行いました。
委員の皆様からは、各施設の連携により生ずる相乗効果への期待や、高齢者、障害者を含め、誰もが楽しめる空間の創出、将来を見据えた十分な収蔵スペースの確保等に関するご意見などをいただいたところでございます。また、利用者の視点からの意見を広く聴取するために先日開催しました県民向けのワークショップでは、参加者の皆様から、様々な人と交流できる場所の設置、多種多様なイベントの開催など多くのアイデアも頂戴いたしました。
引き続き、検討委員会はもとより、多くの県民の声に丁寧に耳を傾け、地域におけるまちづくりとの調和も十分考慮しながら整備構想の策定を進め、国内外の人々を引きつける文化あふれるとちぎの実現を目指してまいります。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) 検討委員会や県民の様々なご意見があったというお話がありました。私は新たな時代を見据え、そして魅力ある創造拠点となるよう期待させていただきたいと思いますが、そのためには新たな価値を創造する理念が大変重要だと考えております。私は、7月の
県政経営委員会の県外調査で北海道北広島市を訪問し、
北海道ボールパークFビレッジ、そして北広島市のまちづくりについて調査してまいりました。
北海道ボールパークFビレッジは、北広島市と
北海道日本ハムファイターズがタッグを組んで取り組むエンターテインメントやアクティビティをはじめとする充実した施設がそろった1つの街のような空間を整備するものであります。その象徴である
北海道日本ハムファイターズの新
球場エスコンフィールドが今年の春に開幕しましたが、エリア全体の完成は2042年の予定で、その魅力に関心が高まり、引き合いも多く、
ショッピングモールや大学からの問合せもあるということでございました。注目されている要因は、ファイターズが、Sports Community、スポーツと生活の近くにある社会の実現を目指すという意味ですが、一つの壮大な理念の下に構想が策定されていることが大きなポイントであると思います。本拠地のスタジアムを中心に、人々のコミュニティを生み出し、まちをつくるといったその理念は、球団における全ての活動方針となっております。ぜひ参考にしていただいて、これから策定する「文化と知」の
創造拠点整備構想が新たな時代を見据えて、多くの県民から愛される施設となるようにご期待を申し上げます。
また、私は3日前の18日に、茂木町の河井地区で八幡宮の秋の祭典とささらの奉納をするお祭りに参加してまいりました。子供たちと地域の方々が力を合わせて引き継ぐ長い歴史のあるものですが、こうした地域のお祭りが人の心をつなぎ、そして地域を築き上げ、まちをつくってきた。こうした文化を後世に引き継ぐことが大変重要であると感じております。ぜひ文化を創造する拠点に、県内市町の文化を継承することができる視点、こうしたものが必要であると思いますので、要望させていただきます。
次に、G7栃木県・
日光男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合を契機とした施策の推進について、知事にお伺いいたします。我が国で初めてとなる男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合が日光市で開催されました。県では、会合の成功に向けて地元日光市など多くの関係者と連携しながら、G7栃木県・
日光こども未来サミットや地元主催のレセプションなどを開催し、歓迎機運の醸成や栃木県の魅力発信に取り組み、無事に終えることができました。何よりも、大臣会合の開催により県民や県内企業における男女共同参画、そして女性活躍に関する関心が高まったことが大きな成果であると考えております。
G7担当大臣会合において取りまとめられた日光声明では、女性の経済的自立や家事、育児が女性に偏りがちであることなどが主な課題として取り上げられ、日光市から世界に向けて発信されたものでありますが、私は、本県が持続的に発展するためには早急に取り組むべき課題でもあると考えております。
G7担当大臣会合を受けて、知事は9月4日に県内企業トップと企業における働き方改革や女性の登用などに関する先進的な取組について意見交換を行ったと聞いております。それらの取組を県内のほかの企業に広めるとともに、女性活躍の推進にも生かしていただきたいと思います。また、日光声明でも指摘されているとおり、家事、育児の偏りは女性の経済的自立を拒む要因ともなっております。男女が共に家事を担うことは、さきに質問した少子化対策にもつながるものであり、社会全体で推し進めていく必要があると考えます。
大臣会合の終了後も、県内では民間レベルで男女共同参画、女性活躍推進に向けた活動が活発化するなど機運の高まりを大いに感じているところであり、県としても、この機を捉えて取組を加速していくべきと考えますが、
G7担当大臣会合の成果を今後の施策にどのように生かしていくのか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。6月に無事終了したG7栃木県・
日光男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合につきましては、多くの皆様のご支援により、安全で安心な会合への貢献や本県の魅力発信等ができましたことに改めて感謝を申し上げます。
G7担当大臣会合の成果である日光声明では、女性の経済的自立を主なテーマに、障壁となっている女性管理職の少なさや就業分野の偏り、家事労働負担の不均衡などの課題や取組方針が盛り込まれたところであります。これらは本県においても重要な課題であり、私は高まりを見せている女性活躍推進の機運を維持しながら、課題解消に向けた取組を加速し、我が国で初の
G7担当大臣会合の開催県としての役割を果たしていく考えであります。
今月初めには、女性活躍に積極的な県内企業のリーダーと率直な意見交換を実施したところであり、企業の先進事例と併せて、女性活躍の取組が企業の活力に資することやリーダーの決定及び行動の重要性について、県内企業に対して周知を図ってまいります。さらに、11月に開催する
記念シンポジウムでは、働く場、地域、人権の3つの分野で実践されている方々のご意見を伺いながら、県民の皆様と今後の活動の方向性を共有してまいりたいと考えております。一方で、少子化対策としても重要である家事労働の女性への偏りの解消に向けては、本県独自のとも家事の日を11月22日に設定いたしまして、県民参加型のイベント等を通じて家事を分担していくことの大切さを県内に広く伝えてまいります。
今後は、私が代表を務めるとちぎ
女性活躍応援団の活動の活性化を図るとともに、女性の経済的自立に向けた
キャリア形成支援や成長分野への参入促進、男女が共に働きやすい環境の整備など、大臣会合の成果を施策に反映しながら、誰もが個性や能力を発揮し、活躍できる活力に満ちたとちぎの実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) 知事から答弁をいただきました。11月にも
記念シンポジウムを開催すること、そして、とも家事の日も制定するなど、課題解決に向けて加速的に行うという考えであるということが分かりました。特に私は、女性活躍の推進について大いに機運が高まったことは大変重要であると思います。ある調査によりますと、女性活躍推進に向けて取組を進めている県内などの企業が58.4%で、これから取り組む予定であるものを加えますと、約9割が女性の活躍推進を前向きに捉えています。また、女性活躍推進のメリットについては、優秀な人材確保、そして定着にもつながると回答しております。女性活躍に対する企業の意識は、かなり積極的であると考えます。女性活躍を推進することは、本県が持続可能な社会を実現するため、早急に取り組むべき重要なポイントであると思います。
先ほどのとちぎ
少子化対策緊急プロジェクトの質問の中で、出生率を上げた企業の成功事例を紹介させていただきましたけれども、企業の本来の狙いというものは、女性社員が長く働くことができる職場づくりであり、会社の生産性の改善や成長を追い求める上での取組の一つが出生率の向上につながっております。つまり、女性の活躍や男性の家事、育児の参画は少子化対策にも大きな効果があると考えます。市町や企業の皆様としっかりと連携して、女性活躍を推進し、男女が共に輝くとちぎの実現に向けてオール栃木体制で取り組むことを要望させていただきます。
次に、
県営処分場エコグリーンとちぎについて、知事にお伺いいたします。栃木県誕生150年の節目の年に、全国に誇る安全性を有した本県初の
管理型産業廃棄物最終処分場エコグリーンとちぎが今月15日に開業しました。那珂川町の地元の皆様の理解と協力、そして、この事業に携わってきた多くの関係者のご尽力に感謝と敬意を表するところでございます。処分場整備の契機でもある那珂川町北沢地区の不法投棄物撤去という那珂川町と本県にとっての長年の課題が解決に向けて大きく前進したところでございます。安全かつ確実な撤去を進め、不法投棄物による汚染拡大に不安を抱いてきた地元の皆様方に一日でも早く安心していただけるよう、しっかりと取り組んでほしいと思います。
エコグリーンとちぎの開業により、産業廃棄物の処理を県内で完結できる体制がようやく整いました。管理型産業廃棄物最終処分場がなかった本県においては、やむを得ず県外処理に依存してきたことから、産業界、廃棄物処理業界からは、地域産業のさらなる発展や循環型社会の実現に向けた期待の声も寄せられております。処分場整備においては、県が平成16年に建設を表明し、事業が動き出したところでございますが、搬入用道路に係る用地取得が極めて困難な状況にありました。このような状況を打破すべく、平成24年には県議会が早期整備を提言しております。これに対して、福田知事も不退転の決意で取り組むとして、取得済み用地で事業を進める内容での事業変更を英断され、決して平たんではない事業推進への道のりを知事自ら先頭に立って牽引されてきております。
様々な思い、また期待を受けて開業のときを迎えたエコグリーンとちぎについて、今後の運営に向けた知事の考えをお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。
県営処分場エコグリーンとちぎにつきましては、本県初の管理型産業廃棄物最終処分場として、今月15日に、おかげさまで開業いたしました。歴代の那珂川町長や地元の皆様はもとより、これまで約30年の長きにわたり当該事業に携わっていただいた全ての方々に対しまして、深く感謝を申し上げます。
エコグリーンとちぎは、粉じんの飛散や騒音を屋根や壁で抑制する国内最大級のクローズド型処分場であり、浸出水を循環利用するなど環境に配慮した全国に誇れる施設であると考えておりますが、開業を機に改めて地元の皆様と誠実に向き合いながら、県が責任を持って処分場運営に当たることが重要であるとの思いを強くいたしました。今後の運営につきましては、町と締結した環境保全協定に基づき、まずは北沢地区の不法投棄物撤去を安全かつ確実に進めてまいります。また、周辺の生活環境にも十分配慮しながら、廃棄物処理を適正に行うとともに、積極的な情報公開により処分場運営の透明性を高め、地元の皆様の信頼確保に努めてまいります。さらに、県内外から多くの皆様に訪れていただき、当該施設や環境問題に対する理解促進に取り組むとともに、映像やパンフレット等を活用し、町の情報を併せて発信するなど、地域の活性化にもつなげてまいる考えであります。
今後とも、町や処分場運営に携わるPFI事業者等と緊密に連携しながら、エコグリーンとちぎが安全で安心な、そして多くの皆様に信頼される処分場となるよう取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) クローズド型で国内最大級であること、そしてまた、環境に配慮された日本一の施設であるということでございますけれども、今後とも、安全・安心な施設、そして地元住民の皆様方の理解をしっかりと進めていただきたいと思います。この施設に埋め立てられるのは産業廃棄物でございますけれども、私たちは改めて仕事や生活スタイルをしっかりと見直して、ごみの減量、そしてリサイクルを推進するなど環境に配慮された生活スタイルに変えていかなければならないと感じたところでございます。
ここで、環境森林部長に再質問させていただきます。那珂川町の住民の多くは、この事業に理解を示しているということでございますけれども、いまだに根強い不安を抱いている方も少なくないと考えます。地元住民の皆様方に対し、これまで以上に丁寧に理解を求めていくことが本事業の円滑な推進にも重要であります。
そこで、地元の皆様に対する理解促進を図るため、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
○佐藤良 議長 小野寺一行環境森林部長。
◎小野寺一行 環境森林部長 再質問にお答えいたします。県におきましては、本事業に対する地元住民の皆様の理解を得るため、これまでも町民向け広報紙や県ホームページによる情報発信、あるいは見学会の開催など実施してきたところでございますし、また、今月10日には町民向けの完成見学会を開催させていただいたところでございます。また、本年6月には、地元住民、学識経験者及び行政が連携し、エコグリーンとちぎが透明性の高い適正な管理運営を行うための意見交換会の場として新たに安全推進協議会を設置し、開催したところでございます。
今後は、処分場内のライブ映像を町のケーブルテレビを活用して町民向けに公開するなど、引き続き、処分場の運営や環境保全対策の実施状況等について積極的に情報発信し、一層の理解促進に努めてまいります。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) 安全推進協議会を設置したというお話でございますけれども、こうしたものを定期的に開催していただいて、地元住民からの信頼感を確保し続けてほしいと思います。また、那珂川町民を対象にした完成見学会も開催したということでございますけれども、環境に配慮されたすばらしい施設でありますので、多くの県民の皆様にぜひ見てもらって、安全で安心な施設であることを知っていただくべきだと思います。また、先ほど知事の答弁にもありましたけれども、県外の方々にも知ってもらうことが私は大変重要であると思っています。知事は、今般、全国知事会の環境・エネルギー常任委員会委員長と脱炭素・地球温暖化対策本部長に就任されたと伺っております。ぜひこの先進的な施設について県外にも広く発信していただいて、全国的な資源循環の機運の醸成を図り、栃木県のみならず、日本の脱炭素社会の実現に向けて、リーダーシップを発揮されることを要望させていただきます。
次に、本県の保健福祉行政を推進するための各種計画の策定について、知事にお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症への対応や歴史的な出生率の低下、人口減少に伴う働き手である現役世代の減少など、今後解決していかなければならない諸課題が山積している中、県民誰もが、いつまでも健康で、生き生きと暮らせる栃木県の実現が求められております。そのような中、今年度は、保健医療計画や感染症予防計画、高齢者支援計画など、今後の本県の保健福祉行政の指針となる重要な計画が合計17本策定されると聞いております。保健、医療、福祉など各分野を取り巻く環境は日々変化しており、現状と課題を把握、分析した上で、本県の実情に応じて、今後の本県の目指すべき姿をしっかり議論し、あるべき社会の構築に向けて、実効性のある計画を策定する必要があると考えます。
そこで、今後の保健福祉行政に関して、どのようなビジョンを持って計画策定に取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私たちを取り巻く社会環境は、人口減少・少子高齢化の進行や新興感染症への対応、さらには自然災害の頻発、激甚化など、これまでになく大きく変化しており、県民の生活を守る保健、医療、福祉の重要性を改めて認識しているところであります。このような中、現在、県では次期保健医療計画をはじめ、今後の保健福祉行政の根幹となる17の計画の策定や見直しに取り組んでおります。計画策定に当たりましては、人生100年時代を迎え、社会環境が変化する中にありましても、年齢や性別、障害の有無に関わりなく、県民誰もが健康で安心して暮らしていくことができるよう、保健、医療、福祉の充実と連携体制の強化を図ることが重要であると考えております。
特に、少子高齢化が進む中で、各制度を支える人材の確保・育成は喫緊の課題であると認識しており、あらゆる施策を講じて、働き手から選ばれる栃木県を目指す必要があると考えております。このため、医療提供体制の充実や社会福祉施設の整備、医療保険制度等の持続性の確保、ケアラー支援などについて、県議会をはじめ、市町や関係機関等のご意見を伺うとともに、実態調査の結果や計画ごとの審議会等での協議を踏まえ、現場のニーズや地域の特性を的確に捉えた実効性のある計画づくりに努めてまいります。さらに、各分野におきまして、感染症への備えも視野に入れ、各計画の整合性に配慮するとともに、長期的な展望や新たな視点を踏まえた方向性や重点的に取り組む施策等を明示してまいりたいと考えております。
引き続き、本県の実情に応じた計画策定に努めながら、県民一人一人が互いに尊重し、支え合い、住み慣れた地域で安心して生活することができる共生社会とちぎの実現に向け、総力を挙げて取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) 17本の計画策定ということで、その中心となる保健医療計画については、新興感染症の医療が追加され、そして平時から県や医療機関との協定締結が法律で定められたということが大きなポイントでございますけれども、こうした視点を持ちながら、県民の健康保持増進と医療提供体制の確保など、知事からの答弁がありました実効性のある計画となるよう期待させていただきます。栃木県の医療資源は少ない状況であると伺っています。通常の医療と、そして新興感染症の医療がしっかりと確保できるようにもお願いしたいと思います。
ここで、保健福祉部長に再質問させていただきます。今回改定することとしている感染症予防計画について、現在も感染が続いている新型コロナウイルス感染症への対応や次の感染症に備えた対応は重要であり、知事からも答弁がありました実効性の高い計画を策定していくためには、3年余り続いた新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて策定する必要があると考えておりますが、どのように計画を策定していくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。感染症予防計画の改定に当たりましては、新型コロナウイルス感染症への対応から得られた課題等を的確に反映し、感染症から県民の生命と健康を守る施策の実現が可能となるよう、実効性の高いものとする必要があると考えてございます。そのため、関係団体等からもご意見を伺いながら、新型コロナウイルス感染症に関する課題を整理し、専門的な知見を有する者等を構成員とします栃木県感染症対策連携協議会におきまして、課題を踏まえた改定の方向性をお示しし、議論を進めているところでございます。また、今回の改定では、感染症発生、蔓延時に迅速かつ的確に対応するため、平時からの感染症対応に係る医療措置協定を締結するべく数値目標を定めることとしておりまして、今後とも、医療機関を含む多くの関係者のご協力をいただきながら、次の感染症危機に対応できる体制の構築を図ってまいりたいと考えております。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) ぜひ連携協議会でしっかり議論していただいて、新型コロナウイルス感染症対応における課題を整理して、その内容を反映していただいて、着実に予防することができる計画となるようお願いしたいと思います。
次に、原油原材料価格・物価高騰対策について、知事にお伺いいたします。2021年以降、コロナ禍による物流の混乱や経済活動の再開による需要の回復、さらに昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、原油・原材料価格や物価の高騰が長期化しております。また、物価の上昇により暮らし向きが悪くなったと感じる県民の割合が5割を超えている状況にございます。こうした中、国はコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策や物価高克服・経済再生実現のための総合対策により対策を講じてきました。県においては、エネルギー価格等の物価高騰に伴う影響を緩和するため、国の緊急対策や総合対策に呼応し、令和4年6月から7度にわたり補正予算を編成し、生活困窮世帯や中小企業をはじめ、県民生活に欠かすことのできない医療機関や社会福祉施設などへの支援、そして必要な対策を迅速かつ適切に講じてきたところでございますけれども、物価高騰分の予算の総額は約238億円となっております。
こうした中、ガソリン価格が過去最高を記録し、また電気やガス料金の負担軽減が9月をもって終了することから、多くの県民から死活問題とする声が多数上がっております。こうした状況の中、新たな経済対策については、先週、新たな内閣が立ち上がるとともに、物価高克服・経済再生実現のため、4つを柱とする総合経済対策が示されたところであります。詳細な中身については今後しっかりと注視しなければなりませんけれども、それと同時に、これまでの支援の効果などについて検証しておく必要があると考えております。
そこで、県は原油原材料・物価高騰による影響の現状をどのように捉え、今後どのように対策を講じていくのか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。ウクライナ情勢等に伴い、原油や原材料等の価格は世界的に高騰しており、日本国内におきましても、先月にはガソリン価格が15年ぶりに最高値を記録するなど物価の高騰が続いております。先頃、公表した県政世論調査では、物価上昇を理由に暮らしが「悪くなった」と回答した県民の割合が引き続き増加しており、物価高騰が県民生活に大きな影響を及ぼしているものと受け止めております。
こうした中、県におきましては、県民生活や県内経済への影響を最小限にとどめるため、昨年度に引き続き、本年5月に補正予算を編成し、LPガス価格高騰分への支援や低所得の子育て世帯への支援など家計負担の軽減策に取り組んでいるほか、県内中小企業者や農業者等に対しましては、電気料金や飼料価格等に係る負担軽減策を実施しているところであります。これらの支援策により、一定程度、家計負担の軽減や県内経済の下支えが図られているものと認識しておりますが、物価高騰の長期化によるさらなる影響も懸念されることから、アフターコロナを見据えた産業の振興を図るため、今通常会議に提出した補正予算におきまして、中小企業に対する相談機能の強化策等を盛り込んだところであります。また現在、国におきまして検討が進められている経済対策の内容や、地方への財政措置等に関する情報の収集を行うとともに、これまでの支援策等の効果も検証しながら、補正予算の編成も含めた必要な対策について検討を行っていく考えであります。
今後とも、エネルギー価格等の動向はもとより、物価高騰による影響等を的確に把握しながら、県民生活の安定と県内経済の回復に向けて積極的に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) ぜひこれまでの支援の継続、そして事業によっては支援の拡充をする必要性があるものもたくさんございますので、現状をよく把握していただいて、支援するよう要望させていただきます。
ここで、知事に再質問させていただきます。エネルギー価格や物価高騰の影響を受けている事業者の中には、コスト上昇分を価格転嫁に踏み切れず、大変厳しい状況にある事業者があります。国では、取引先との共存共栄の取組を企業が宣言するパートナーシップ構築宣言の取組を進めているほか、毎年9月と3月を価格交渉促進月間として、価格転嫁を促進するための広報や講習会などを実施しております。
そこで、政府の価格交渉促進月間と連動したパートナーシップ構築宣言の登録促進などに県が率先して取り組むべきと考えておりますが、知事の考えを伺います。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。県内経済を取り巻く環境が厳しさを増している中、経済の成長と分配の好循環を生み出すには、サプライチェーン全体の共存共栄が必要であり、適切な価格転嫁、取引適正化が重要となってまいります。このため、県では、国の価格交渉推進月間であります今月27日に、経済団体、労働団体、行政機関が一体となって、パートナーシップ構築宣言のさらなる推進と適切な価格転嫁の促進を図るためのとちぎ共同宣言を行うことといたしました。今回の共同宣言を契機にしまして、経済団体等と連携して、パートナーシップ構築宣言の認知度向上に向けた周知活動や宣言企業の拡大を図るなど、適切な価格転嫁や適正取引の実現に向けて、より一層取り組んでまいりたいと思います。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) 知事からは、9月27日にパートナーシップ構築宣言の推進と適切な価格転嫁の促進を図るための共同宣言を実施するということで、大変ご期待を申し上げたいと思っています。こうした取組を通じて、県内経済の成長と分配の好循環が実現されるよう要望させていただきます。
次に、ベトナム・シンガポールにおけるとちぎの魅力発信事業について、知事にお伺いいたします。知事は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大下において、とちぎ型大使館外交を展開され、また、昨年10月に海外渡航に関わる制限が緩和された際には、いち早くベトナム、タイにおいてトップセールスを行うなど、本県のPRに最大限に取り組んでこられました。昨年のトップセールスには私も同行し、様々な方面に対して本県の魅力を積極的に発信した結果、ベトナムのファム・ミン・チン首相との会談の様子が現地のマスコミに取り上げられることで、本県の知名度が高まるなど、知事自らが現地に赴き、本県を売り込むトップセールスは、非常に効果が高いと感じたところでございます。
こうした中、知事は、昨年度に引き続き、今年度もトップセールスを行うことを表明し、この11月にベトナム及びシンガポールを訪問したいとのことであります。ベトナムにおいては、今年6月に着任した駐日ベトナム大使が最初の地方訪問先として本県を訪れ、知事や経済団体と会談を行うとともに、ベトナム最大手のIT企業が県内に拠点を設置するなど、ベトナムとの関係性がますます深まっているところであり、今後は人材交流も含めて、経済交流をさらに発展させる必要があると考えます。また、シンガポールにおいては、アジア最大の経済発展国の一つで、本県の農産物の輸出額の上位であるとともに、インバウンドの伸びも顕著であることから、トップセールスの訪問先として大変有望なマーケットであると考えております。
このため、私は今年度の両国訪問に大いに期待するところでありますが、今後のトップセールスにどのように取り組むのか、知事に意気込みをお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。少子高齢化に伴う人口減少や国内市場の縮小など企業等の経済活動を取り巻く環境が大きく変化する中、県におきましては、令和3年に策定したとちぎ国際戦略に基づき、県産品の輸出拡大やインバウンド誘客の促進等に取り組んでまいりました。このような中、とちぎ型大使館外交を展開したことにより、ベトナムにつきましては、令和3年11月にチン首相の来県及びビンフック省との経済交流に関する覚書の締結が実現したほか、昨年12月には同国を訪問し、県内企業等が日系工業団地に進出する際に優遇措置等が適用される協定を結ぶなど、着実に関係を強化してまいりました。また、シンガポールにつきましては、バイヤー招聘の取組により、県産農産物の輸出額が増加したほか、現在、訪日旅行者数が急増するなど、インバウンドの回復も期待されるところであります。
こうした状況を踏まえ、ベトナムにおきましては、県内企業の同国全域における経済活動に対して支援するため、計画投資省との間で覚書を締結することとしているほか、同国との経済交流の新たな段階として、高度外国人材の呼び込み等に向けた連携強化を図るため、現地の高等教育機関等の関係者と協議してまいりたいと考えております。また、シンガポールにおきましては、本県の魅力・実力を一体的に発信するプロモーション等を実施することにより、日本酒を含む県産品の販路拡大や本県への誘客促進に努めるほか、現地公的機関等の要人と顔の見える関係を構築することで、さらなる本県経済の活性化につなげてまいる所存であります。
今後とも、県議会や県内経済界等の皆様のご協力を得ながら、私が先頭に立って本県の多彩な魅力・実力を積極的に発信し、世界から選ばれるとちぎの実現に全力で取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) ベトナムにおいては全域での覚書を締結することを予定している、さらには高等教育機関との協議もするというようなことで、大いに期待させていただきたいと思っています。
ここで、
産業労働観光部長に再質問させていただきます。知事の答弁にもございましたけれども、昨年はビンフック省にある日系の工業団地における優遇措置の協定書を締結したということでございますが、現在、その協定書を踏まえて、どのような動きがあるのか、現状についてお聞かせ願いたいと思います。
また、新たな取組として現地の高等教育機関との協議というお話もありましたけれども、どのような目的で取り組む考えなのか、お伺いさせていただきます。
○佐藤良 議長 石井陽子
産業労働観光部長。
◎石井陽子
産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。最初のご質問の工業団地関係の協定を締結したことによりまして、県内に本社または製造拠点を有する法人がビンフック省内の第三タンロン工業団地へ進出する際に優遇措置を受けられることとなったところでございます。今年の1月には、同工業団地内に進出していました県内の関係企業が事業の拡大を行う際に、初年度の管理費の免除や円滑な行政手続支援等の優遇措置の適用を受けることができたと聞いております。引き続き、海外進出を目指す本県の県内関係企業等に対しまして当該優遇措置のさらなる周知に努めまして、優遇措置の速やかな適用に向けて、現地政府等との連携を図ってまいりたいと思います。
それから、2つ目にご質問のございました現地の高等教育機関等との連携についてでございますが、県では、これまで留学生等のグローバル人材を対象にしまして合同企業説明会を実施いたしますなど、県内企業の外国人材の確保を支援してきたところでございますが、本県におきましても、生産年齢人口が今後減少するという状況を踏まえますと、ますます外国人材確保の需要は高まってくると考えております。そこで、今般のベトナム訪問に当たりましては、県内企業の持続的な成長を支えるために、ベトナムの高等教育機関に在籍する優秀な人材の確保に向けまして、今後、産学官でどのような連携ができるのかということを幅広く協議してまいりたいと考えております。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) 優遇措置については事業を拡大する上で活用された例があるということでございますし、また、高等教育機関との今後の在り方については、意見交換については、やはり栃木県の優秀な人材を確保する上で大変重要なことであると思います。
昨年のトップセールスで同行させていただきましたけれども、在ベトナム日本国大使館において山田大使から、ベトナムにおける優秀な理系の高度人材に注目してほしいというお話もいただきました。また、6月の対話会では、駐日大使から、より多くの高度外国人材を受け入れてほしいという要望もございます。こうした状況の中、全国では約9割の自治体の首長が今後外国人材の受入れを推進する必要があるということも表明されております。優秀な人材の確保の取組は、生産年齢人口が減少する中、本県経済にとっても大変重要なポイントであると考えております。
また、昨年、トップセールスで訪問したFPTソフトウェアですが、ベトナムを代表するIT企業で、通信分野では民間ナンバーワンの企業ですけれども、先日、JR宇都宮駅の東口に進出して、県内企業へのサービスの提供を始めたところでございます。将来的には、日本で教育事業を進める構想や、研究、エンジニア派遣の拠点として従業員を300人規模に拡大するという計画もあるようでございまして、こうした成果は知事のトップセールスの大きな取組の一つがそういうことに結びついていると感じております。また、農政部におかれましては、日本酒の話もございますし、また牛肉の輸出拡大にも取り組むというお話も聞いておりますけれども、さらなる品目の拡大に向けて、東南アジアでは乳製品の人気も非常に高いということもございますので、しっかりと研究していただいて、現地の調査を進めていただきたいと思います。
最後の質問に入ります。優れた教育人材の確保について、教育長にお伺いいたします。文部科学省の調査によれば、全国の教員採用倍率は、平成12年度に13.3倍であったのに対して、令和4年度は3.7倍と大きく低下しております。受験者数も最低値であった平成4年に迫るほど減少しております。また、臨時的任用教員等の講師の確保ができず、実際に学校に配置されている教師の数が、都道府県、指定都市等の教育委員会において学校に配置することとされている教員の数を満たしていない、いわゆる教員不足の問題も憂慮すべき事態であります。本県の教員採用試験の採用倍率は、令和4年度の3.8倍が令和5年度には4.8倍と盛り返しを見せておりますけれども、過去10年間で最低値となっております。社会の急激な変化の中、一人一人の子供たちへの教育の質を今まで以上に向上していく必要があるが、教育の質や成果を左右するのは子供たちの目の前に立つ教員であり、教員の人材不足の深刻化は、優れた教育活動の実践に影を落とすと考えております。
そこで、質の高い高等教育の実現に向けて、優れた教育人材の確保にどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 阿久澤真理教育長。
(阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。栃木県の求める教師像にかなう優れた人材を確保していくためには、働き方改革の推進や採用方法の工夫、魅力の発信など多角的な視点に立った取組が必要であります。このため、県教育委員会では、教育DX推進研究校への採点支援システムの導入などICTも活用した業務改善等に積極的に取り組むほか、今年度の教員採用試験から大学推薦特別選考を実施するなど、教育への情熱と使命感に富み、豊かな人間性や高い専門性を有する人材の確保に努めております。さらに、進路の選択を控えた若い世代に対して、職業としての教員の魅力を広く発信するため、高校生を対象とした説明会を拡充するとともに、教育学部等に在籍する大学1・2年生向けのセミナーを新たに実施してまいります。
今後とも、ふるさと栃木の未来を担う子供たちへ質の高い教育を提供できるよう、優れた教育人材の確保に一層努めてまいります。
○佐藤良 議長 山形修治議員。
(45番
山形修治議員登壇)
◆45番(山形修治議員) 教育長から答弁をいただきました。ICTによる業務改善、そして採用面での取組を行ってきていると。そして、教員の魅力の発信も続けているということでございますけれども、教員採用の選考試験については、受験時期の早期化、これもぜひ検討していただきたいと思いますし、社会人の有する経験等を適切に評価する特別選考の在り方についてもぜひ検討していただきたいと思います。就職先を確定する際に最も決め手となるものは、より魅力を感じられている仕事を通して自分を成長させたい、そして、仕事はあくまでも生活の一部であり、プライベートや家族との時間を大切にしたいといったことが学生の職業観にあるようでございます。若者のニーズを捉えたアイデアが必要であると思っております。優秀な教育人材を確保するため、教育委員会におかれましては、実施可能な施策から速やかに取り組むという考えの下、採用面での取組、そして働き方改革を推進することによって、教員が教師という仕事はすばらしい職業であると自信を持って言えることができる学校環境をしっかりと整備することが私は必要であると思っております。
また、先週、このようなお話がありました。とちぎ自民党議員会の政策懇談会の中で、臨時教員数の迅速な配置について要望がございました。ある学校では、3人、産休・育休の状態で、3人目の教員が涙ながらに校長に子供ができてしまったことを申し訳ないと謝ったそうです。産休を取れば代わりの教員が見つかることができず、担任を持たない教務主任や教頭などに負担をかけてしまうということが背景にあったようでございます。県内では、臨時教員を確保するまでに半年もかかった学校もあったということでございます。本来、子供を授かったことを喜ぶところですよ。このような職場環境で若者が生きがいを持ちながら仕事を続け、人生の設計図を描くことができるのでしょうか。子供が授かったらみんなで喜んで、大いにお祝いをすることができる職場にしなければなりません。
また、今通常会議の補正予算に計上されているとちぎ
少子化対策緊急プロジェクトの事業は、教員も対象になるはずです。臨時的任用教員等の迅速な確保については、各学校の取組に限界があるようです。県教育委員会におかれましては、先頭に立って各学校を支援する体制を早急に整備することを要望させていただきます。
以上をもちまして、全ての質問を終了させていただきます。
○佐藤良 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午前11時10分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は48名であります。
―――――――――――――――――――――――――――――
午前11時25分 開議
○佐藤良 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 民主市民クラブの山田みやこでございます。今月初めの豪雨によりまして被害を受けた方、またお亡くなりになりました方にお悔やみ申し上げますとともに、9月は防災月間になります。9月3日に県の総合防災訓練が行われました。私も参加させていただきましたけれども、災害時には、この活動が生かされるということを実感させていただきました。それでは、民主市民クラブの代表質問8項目に移らせていただきます。
まず、G7男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合後の男女共同参画の取組の加速化について、知事にお伺いいたします。今年6月24、25日の2日間、我が国で初めてとなるG7男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合が日光市で開催されました。この会合はジェンダー主流化の取組の中核として位置づけられ、会合で議論を重ねた成果としてG7ジェンダー平等大臣共同声明(日光声明)が採択されました。この声明では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が女性や女児に与えた不均衡な影響について、その背景にある構造的な課題を包括的に分析、検討して、女性の経済的自立支援、ジェンダーに基づく暴力への対応、無償のケア・家事労働の認識と削減、そしてまた、LGBTなど性的少数者についても人権と尊厳の尊重など、社会の意識を変えることなどの重要性と今後の取組が明記されました。
G7担当大臣会合が成功裏に終わったことを踏まえまして、知事は今月4日に県内企業のリーダーとの意見交換を行われたところですが、知事は今後も11月の
記念シンポジウムの開催などを通して、日光声明の内容や本県の課題を企業のリーダーや県民と共有するとともに、男女共同参画に対する理解促進と今後の施策展開につなげていくと述べられました。私は、男女共同参画の取組は、男性も女性もお互いを尊重し合い、職場や学校、家庭、地域など社会のあらゆる分野で性別に関わらず、一人一人が持っている個性や能力を十分に発揮できることを進めるということと理解しておりますが、この男女共同参画の推進には大変時間がかかります。男性優位社会や伝統的・固定的性別役割が女性や男性に関する偏見を生み出しているのだと思います。男性も女性もそれが当然だ、仕方がないと思い込んでいること、性別による無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャス・バイアスにより、女性も男性も生きづらさを感じている方が大勢いるのではないでしょうか。
今月発表された今年度の県政世論調査結果の速報によりますと、現在、社会の中で「男性の方が優遇されている」、「どちらかといえば、男性の方が優遇されている」と回答された方が合わせて68.3%であり、約7割を占めております。残念ながら、この数字を見ますと、まだまだ男性社会がつくった社会規範に基づいて社会が動いているのが現状だと改めて認識いたしました。ただ、県内の民間研究所が今月1日までにまとめた男女共同参画に関する地域企業の状況調査では、女性活躍に「積極的に取り組んでいる」が19.6%、「どちらかというと取り組んでいる」が38.8%で、半数以上の企業が取り組んでいるということですので、加速度的に取組が進んでいるとは言えないものの、企業での取組の意識は高まりつつあると感じます。男女共同参画への取組機運が広まりつつあるこの機を捉え、具体的な取組をさらに進めていくことが必要だと考えます。
そこで、G7男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合の成果を踏まえ、男女共同参画の取組の加速化にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの山田みやこ議員のご質問にお答えいたします。G7栃木県・
日光男女共同参画・
女性活躍担当大臣会合に合わせて、県では、中高校生によるこども未来サミットの開催や全国会議の開催支援、世代別の啓発等により機運醸成を図ってまいりましたところ、各地で男女共同参画に関する活動が展開され、意識や関心の高まりを感じております。私は、こうした機運を逃すことなく、日光声明を踏まえながら、県自ら率先して対応し、本県における男女共同参画、女性活躍の推進を加速してまいる考えであります。さきに公表した県政世論調査では、いまだ7割近くが男性優遇と回答しており、この要因として考えられる女性の経済的自立の課題や家事分担の不均衡などは、日光声明においても重要なテーマとして盛り込まれております。
今月初めには、女性活躍に積極的な県内企業のリーダーと率直な意見交換を行ったところであり、先進的な取組の周知を図ってまいりますとともに、11月には
記念シンポジウムを開催することとしております。シンポジウムでは、働く場、地域、人権の3つの分野ごとにトークセッションを実施し、企業や地域で活躍されている方々の体験やDV被害者への支援などに取り組む団体等の思いなどを受け止めながら、県民の皆様と今後の活動の方向性を共有してまいりたいと考えております。また、長年にわたって形成された固定的役割分担意識や無意識の思い込みは家事労働の女性への偏りにもつながっていることから、とも家事の日を11月22日に設定し、家事を分担することの大切さを県民運動として展開してまいります。大臣会合の成果を踏まえ、女性の経済的自立に向けた
キャリア形成支援や無意識の思い込みの解消につながる意識改革、配偶者暴力をはじめ様々な困難を抱える女性への支援などに積極的に取り組みながら、「男女が共に輝く“とちぎ”」の実現を目指してまいります。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) ただいま知事からのご答弁がございました。本当に意識改革が一番大切だということでございました。
それでは、知事に再質問させていただきます。先ほど知事もおっしゃいましたけれども、先日、男女生き活き企業との意見交換におきまして、女性の職種の拡大とか女性リーダーの育成、男性の育休、働き方改革などについて議論されたということを私は新聞紙面で見させていただきました。そこの中に、トップが本気にならないと女性活躍推進の取組は1ミリも進まないという意見もあったということが書いてありました。私は、この女性活躍というのは、何も女性だけが光り輝くものではなくて、男性と同じように、社会の中で自分の経験を生かしながら、働き続けて、居場所があるということが女性活躍だと思っているのですね。そしてまた、現実にまだ残る男女の違いによる格差、これはジェンダーギャップと言いますけれども、この解消は、やはりお互いを尊重して支え合う社会を築くのだということで、本当に重要な取組だと思っています。私は、このジェンダーギャップがあるのだと、格差があるのだということを自覚して、これをなくすことを積極的に取り組んでいくことが意識改革につながるのではないかと思いますので、社会の中での性別による不平等感を払拭する意識を醸成していくことが必要だと思っています。そして、男女共同参画の推進には、本当にこの意識改革ということが最も重要で、必要です。
そこで、ジェンダーギャップ、男女の格差の解消に向けて意識改革を進めていくには、例えば県がジェンダーギャップを解消していくジェンダー平等宣言のようなものを行い、幅広い年代層で、格差がどのようなところにあるのか、何が原因なのかを拾い出して、それをなくすプロジェクトを立ち上げていくことも私は必要ではないかと思います。その中で、経済的な困難であるとか、賃金格差であるとか、働き方、家事・育児・介護、意思決定への参画、また性的な搾取であるとか自治会運営、さらには防災対策の現場の運営などでもやはりジェンダーのギャップがあるのではないかということをしっかり受け止めて、その解消を実践していくことが、まずは効果的だと考えます。私は現状を見るだけではなくて、そこにあるギャップが何かということを自分たちで拾い出すことが必要だと思うのですが、そういった形で県民を巻き込みながら意識改革をすることについて、私は提案したいと思うのですけれども、知事の見解をお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。今年3月には、私がとちぎ
女性活躍応援団のトップとして、意識改革に向けてメッセージを発信いたしますとともに、応援団を運営する様々な分野の団体のトップの皆様方からもリレー方式でメッセージを発信していただいて、オール栃木で女性活躍推進への理解促進の取組を行ったところであります。また、11月に開催するG7
記念シンポジウムにおきましても、働く場、地域、人権などのテーマにつきまして県民の皆様と議論を重ね、本県における男女共同参画の現状や今後の活動の方向性等について意識の共有を図りますとともに、その成果を施策に反映してまいる考えであります。
引き続き、女性の経済的自立や家事労働の偏りの解消等に取り組みながら、ジェンダーギャップの解消と女性活躍の推進を図ってまいります。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 分かりました。今までの知事の意識改革に向けての思いと、そして実行してきたことをお伺いいたしました。私は、やはり性別による制約とか偏見を取り除いて、全ての人々が平等かつ公平な機会を享受できるジェンダー主流化の実現に、行政も県民も企業も努めていかなければならないと改めてこの場で実感させていただきました。男女共同参画推進をしっかりと進めていっていただきたいと思います。
それでは、次の質問に入らせていただきます。物価・エネルギー価格高騰対策について、知事にお伺いいたします。物価・エネルギー価格の高騰は、いまだ見通しの立たないウクライナ情勢等から、今後も厳しい状況が継続することが見込まれます。そのような中で、国によるガソリン等の燃料油価格や電気料金等の物価高克服に向けた支援が9月までで一旦終了とされていましたが、先月30日、国は、燃油価格を抑制するための補助金を9月7日から段階的に拡充し、年末まで支援を継続し、10月中にはレギュラーガソリン1リットル当たり175円程度の水準を実現するとしたほか、電気・都市ガス代への補助については、10月以降も12月分までは継続するとして、具体的な対応は今後検討するとの方針を打ち出しました。
このような中、県はこれまで国の対策にも呼応し、エネルギー価格等の物価高騰による家計の負担軽減を図るとともに、県内経済を支える中小企業者等への支援などを行ってきました。しかし、県民の生活に目を向けますと、見通しの立たない国際状況等のため、円安や原材料価格高騰による食品、生活用品の相次ぐ値上げにより、家計負担が増して大きな痛手となっております。また、県内の中小企業においては、コロナ禍で限界まで体力をすり減らしている企業も多く存在する中で、実質無利子・無担保のいわゆるゼロゼロ融資の返済が今年度から本格化し、返済が経営に多大な負担となることも予想されるなど、危機感が募るばかりです。そのため、県は国への支援対策延長の要望のみならず、プレミアム付商品券の発行であるとか中小企業者物価高騰等対策支援金の復活など、県民や本県経済を支える中小企業者などに寄り添った県独自の支援策を積極的に講じるべきと考えます。
そこで、県は、物価・エネルギー価格高騰下において県民生活の安定及び中小企業者の経営安定等に向け、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。昨年から続く物価高騰の中、先月、県内におきましてもガソリン価格が15年ぶりに最高値を更新するなど、燃料油価格の高騰が著しいほか、電気料金等のエネルギー価格をはじめとする物価につきましても、依然として高止まりの状況にあります。このような中、県におきましては、昨年度に引き続き、国の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金等を活用しながら、本年5月に補正予算を編成し、LPガス価格高騰分への支援など家計負担の軽減策に取り組んでいるほか、県内中小企業者や農業者等に対し、電気料金や飼料価格等に係る負担軽減策を実施しているところであります。また、ゼロゼロ融資の本格的な返済が始まる中小企業等の事業継続に向け、伴走支援型特別融資等による資金繰りの支援を引き続き行いますとともに、今通常会議に提出した補正予算におきまして、中小企業に対する相談機能の強化策を盛り込んだところであります。
今後、物価高騰の長期化によるさらなる影響が懸念されますことから、現在、国において検討が進められている経済対策の内容等に関する情報の収集を行うほか、地方への財政措置の状況も踏まえながら、補正予算の編成も含めた必要な対策について検討を行ってまいります。
引き続き、物価高騰による影響等を的確に把握しながら、県民生活の安定と県内経済の回復に向けて機動的に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) ただいま知事からご答弁をいただきました。中小企業への伴走支援ということで、特別融資に関して継続ということと相談業務を強化というご答弁がございました。私は、昨年度の県の普通会計の決算見込みを見ますと、予想を超えて県税の収入があり、そして2年連続で増加して、単年度は黒字という状況を見てまいりますと、県の決算状況と県民の生活のかつかつ感というか、そこが何か乖離している感じがしまして、やはり県独自でも何かできないものかなという思いがありました。そういった意味で、国への要望等も含めまして県民生活に少しでも支障がない形で予算が組めますようにしっかりと運営していただければありがたいと思いますので、ぜひとも今後の成り行きを見させていただくとともに、県政運営に対してお願いしたいと思っております。
それでは、次の質問に参ります。総合運動公園陸上競技場の芝管理業務委託に係る問題について、知事にお伺いいたします。本年7月にあった県総合運動公園陸上競技場の芝管理業務委託に係る新聞報道は、県内に大きな衝撃を与えました。県総合運動公園陸上競技場の芝管理業務委託については、昨年9月の一般質問におきまして、県が出資する法人の中でも県の関与が深く、特に重点的に指導を行う必要があるとされる特定指導法人の公益財団法人栃木県スポーツ協会が2020年に同競技場芝管理業務の委託先をプロポーザル方式で公募した際、審査員の合計得点が最高点だった東京都の企業ではなく、次点の地元企業が選定され、その選定過程は透明性に課題があったことから、この件に関する県の検証結果と再発防止策が問われました。
それに対して知事からは、適正な審査員数の確保や最終的な選定基準の明確化などに課題があったことが判明したため、プロポーザル方式による契約手続について点検を行い、選定委員の協議により選定方法をあらかじめ決定した上で審査を行うことを明確化するなど、マニュアルの見直しを行い、その内容を全ての特定指導法人と共有して、県としては、県スポーツ協会を含む特定指導法人が県民の信頼の下に役割を果たせるよう指導していくという答弁がございました。しかし、昨年までの状況とは違い、本年7月の報道は、県議会議員2人が公募開始の数日前、当時、県スポーツ協会を所管していました教育委員会の幹部に圧力をかけたというものでした。知事は、7月11日の会見におきまして、このようなことに関する公文書はなく、これ以上調査は行わない旨の発言をされています。しかし、7月の報道を見た県民から私どもに、納得できないとの声が多く寄せられました。かかる報道によって、県民の議会はもちろん行政に対する信頼が著しく損なわれたことは間違いなく、公平・公正な議会、行政への信頼を回復するために、私ども議会に身を置く者としては事実関係を確認する責任があります。
そこで、8月24日の県に対する中間期予算及び政策推進に関する会派要望のときに、この件に関する事実関係について丁寧な説明をすることを要望するとともに、現在、県スポーツ協会を所管する県スポーツ振興課にも聞き取りを行いました。今月7日の要望の回答時に、知事、副知事からは、「昨年調査をした結果、公文書はないということなので再調査は行わない」、また、スポーツ振興課からは、「公文書もなく事実が確認できない」との回答をいただきました。しかし、このままでは県民からの信頼回復はあり得ません。
そこで、県は、信頼を回復するために、本件に関する公文書に限らず、あらゆる資料と当時の担当者や関係職員に対して調査を行い、事実関係を確認し、県民に対して丁寧に説明をする責任を果たすべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。令和2年3月に公益財団法人栃木県スポーツ協会が実施した栃木県総合運動公園陸上競技場の芝管理業務委託業者の選定過程には反省すべき点があったことから、昨年8月に県契約事務マニュアルの見直しを行い、県庁内はもとより、県スポーツ協会を含む特定指導法人に対して、意思決定過程の透明性の確保等への取組を徹底したところであります。また、今般の件につきましては、昨年度に調査を実施した結果、県及び県スポーツ協会において、報道のような記録文書は存在せず、公募型プロポーザルを実施した当時の県スポーツ振興課及び県スポーツ協会の幹部からも圧力はなかったと報告を受けております。なお、今年度においても、組織改編に伴い、改めて本件に関する記録文書を調査しましたが、新たな記録は確認されなかったことから、現時点においては、さらなる調査を行うことは考えておりません。
県といたしましては、引き続き、透明性を確保した事務執行に取り組み、県民サービスの向上に努めてまいります。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 知事からのご答弁をいただきました。この件に関して、私たちの会派としても、芝管理に関係する様々な団体であるとか、企業に調査を行った結果、県のスポーツ振興課と県スポーツ協会は協議を重ねながら進めており、県スポーツ振興課は天然芝の維持管理について、第1種公認陸上競技場、Jリーグのスタジアム基準を満たす施設の管理実績のある芝の専門家の適切な維持管理を要望されていたということでございました。そして、その確認の結果、県内にJリーグの施設基準の要望にかなう業者がいないことから、県サッカー協会や栃木SCに意見を聞きながら、そして、Jリーグのスタジアムを複数管理して、県内のサッカー場を管理している東京都の企業を両者から推薦されて、天然芝維持管理のアドバイザーとして、令和元年12月5日から令和2年3月31日までの期間をその東京都の企業にアドバイザー委嘱をしていたということが分かりました。
県内にJリーグの要望にかなう業者がいないということでアドバイザー委嘱を受けたわけですから、東京都の企業は随意契約の方向で進められていたということを認識してしていたそうです。しかし、令和2年3月5日に県スポーツ協会は、同年の4月1日から令和4年度の3月末までの3年間の芝管理業務委託をプロポーザル方式として募集を開始したということです。そのプロポーザルの申込み期限は3月18日、そして、先ほど言いましたように、3者においての選考、選考委員3名という形で、そのうち県関係者が2名ということが分かりました。本当にタイトなスケジュールで進められたという感があります。
そして、先ほど募集要項を昨年8月に変えたということでございますが、その当時の募集要項の中では、最優秀提案者は特別な理由がない限り、第1順位の方がなるとされていた。しかし、第1順位ではなかったということでございます。そうすると、では特別な理由は何だったのかということが、私たちの中に疑義として出てまいりました。随意契約からプロポーザル方式に変わったことと、第1順位の業者が選ばれなかったことは、やはり私たちとしてはきっちりと追及していかなければならないということでございますので、この2つについて、私は事実関係をしっかりと説明する責任があるのではないかと思います。確かに、公文書はどこまでを言うのか分かりませんけれども、役所は何かをやるときには必ず記録があると思います。ですから、そういったところで本当の事実をやはりしっかりと説明することが必要ではないかと思いますので、知事に再質問いたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。まず、アドバイザリーについてなのですけれども、整備工事中の芝の育成について、必要な都度、助言を得る専門家として委嘱したものであって、契約ではございません。そもそも見積り合わせとかプロポーザル、入札等の手続にはなじまないものがアドバイザリーであります。今回の委託契約につきましては、そもそもアドバイザリーとは事業の内容が異なり、ほかに事業を実施できる能力のある事業者が存在しておって、最終的に県スポーツ協会において、1者随意契約には適さないということで判断したものであります。そこで、契約の決定過程についてですけれども、県のプロポーザルにおける第1順位の決定方法については、合計点が最高点となった事業者を選定する方法、最高点をつけた委員の数が最も多い事業者を選定する方法、最高点、最低点を除いて平均点の最も高い事業者を選定する方法などがあって、当該契約において県スポーツ協会が最も適切と考える方法を採用したものと考えています。
なお、さきに答弁しましたとおり、決定方法が明確になっていなかったのは反省点でございます。昨年8月にマニュアルの見直しを行って、県庁内はもとより、県スポーツ協会を含む特定指導法人に対しまして、意思決定過程の透明性の確保等への取組を徹底したところであります。また、説明責任についても当然行っていかなければならないと思っておりますが、これまでの調査によって、県スポーツ協会が行った契約のプロセス等には反省すべき内容があったことから、既に見直しを行いました。この見直しによって透明性の確保が図られることから、県民への説明を果たしているものと考えております。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 今、知事からのご答弁がありました。確かに透明性がなかったということでの募集要項の改正や選考方法がありましたけれども、私はその当時のことはどうだったのかということを、本来であれば、もっと早い時点で説明をするべきではなかったかと思います。やはり公文書という形で証明するものがないということに終始していたので、それでは説明責任は果たしていないですよねというのが県民からの問合せでございました。
ですから、私は事実関係をしっかりと説明するという、そこの姿勢はやはり足りなかったのではないかと思います。それで、栃木県行政不服審査会の資料がホームページに載っていたのですけれども、その結果として、公文書はないというのは分かったけれども、ただ、県の担当課と県スポーツ協会がその文書、書類を残していないということ自体がおかしいのではないか。そして、それは説明責任を果たさないのではないかというようなことが載っておりました。ですから、そういうことになりますと、県民の不信感というのはなかなか拭い取れないということがありまして、私は本会議において、この件を質問させていただきました。
県は、何かをするときには必ず書類というものがあるはずです。ですから、本当の事実というものをしっかりと伝える。疑わしいと言われたら、それはそうではないのだということができるのか、できないのかが県の姿勢だと私は思いますので、その件に対して知事はどのように考えますか。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 今回の契約事務の一連の過程を経験しまして、また、報道での指摘などもあって、我々行政に携わる者は、特定指導法人も含めて、県民の皆さんに疑いを持たれぬよう、そしてまた、透明性が確保できるよう、しっかり事務マニュアルなども見直しを行った上で、今後同じような指摘を受けないよう、県庁を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) ありがとうございます。やはり事実は一つでございますので、そういったことを誠実に分かるように説明する、責任を果たすということが開かれた県政だと思います。この芝管理業務委託に関しまして、今後、芝が本当に元気な芝で、そしてスポーツスタジアムで立派な試合ができたり、いろいろなイベントができたり、そういったことを目指しながら、県としてもきちんと説明責任を果たしていくことで、今後このようなことがないことをお願いしたいと思います。
次の質問に参りたいと思います。新型コロナウイルス感染症対策の充実強化について、保健福祉部長にお伺いいたします。2023年5月をもって感染症法上の位置づけが5類に移行したことに伴い、新型コロナウイルス感染症の感染状況を示すデータは、これまでの全数把握から全国約5,000の医療機関からの報告を基に公表する定点把握に変わりました。しかし、感染者数は全国的に増加傾向にあり、本県では、今月に入り伸びは鈍化しているものの、1定点医療機関当たり平均25.51人で、5類移行後最多を更新し、高止まりが続いています。
5類移行により感染対策の予防に対する危機感が薄れているように感じますし、第8波から時間が経過し、新型コロナウイルスに対する免疫が低下していることを踏まえれば、重症化率が下がってきているとはいえ、今後も感染力の強い型の流行の可能性も否定できず、まだまだ不安を払拭できない状況にあるため、動向を注視していかなければなりません。5類に移行しても、新型コロナウイルス感染症の威力が低下したわけではありませんので、まずは県民等に向けた感染対策に対する注意喚起を県として積極的に行っていただきたいと思います。
また、高齢者施設は重症化リスクが高い方も多く入所しており、複数人数で利用する多床室も多くあることから、今後もクラスター発生の可能性が危惧されます。施設での陽性者発生時には、確実に入院できる体制を確保するとともに、介護従事者への集中的検査、また感染対策の徹底と医療機関との継続的な連携確保が必要です。そして、現在インフルエンザも流行しておりますが、もし今回収束しても、今後再び同時流行する可能性もあることから、高齢者、医療関係者、重症化リスクのある方々が必要に応じて確実にインフルエンザワクチンが接種できるよう対策を講じることなども必要と考えます。
そこで、県は、新型コロナウイルス感染症対策の充実・強化に今後どのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症は、5類感染症へ移行した後も高齢者等にとって重症化リスクの高い感染症でありまして、県では県民向けに感染対策の周知を行うほか、移行前の取組を充実するなど高齢者施設における感染拡大の防止に努めております。具体的には、施設の感染症への対応力強化を図るため、ポイントをまとめました動画集の配信や施設に対する直接の訪問指導のほか、感染発生時の往診や訪問看護体制確保の支援等を継続するとともに、感染した際に症状等に応じて適切に入院できるよう医療機関に対する働きかけを行ってございます。また、感染拡大期には、施設従事者を対象としました集中的検査を実施することによりまして、高齢者等への感染防止に努めてまいります。一方、インフルエンザワクチンにつきましては、円滑な流通につきまして関係団体に協力を依頼しておりまして、市町とも連携しまして、接種希望者が適切に接種できる体制の構築を図ってまいります。
今後とも、国や関係機関等と連携しまして、県民への注意喚起を含め各種対策に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 保健福祉部長からのご答弁をいただきました。新型コロナウイルス感染症の危機感が私たち県民としては薄れているかもしれませんけれども、県の対策の充実を重ねてよろしくお願いしたいと思います。
それでは、次の質問に入らせていただきます。母子生活支援施設の今後の在り方と県の対応について、保健福祉部長にお伺いいたします。困難な問題を抱える女性への支援に関する法律では、女性たちが直面している問題が多様化し複合的な問題となっていることもありまして、売春防止法に基づいた保護更生という理念を取り払い、女性自らの意思が尊重され、それぞれの状況に応じた支援を受け、自立していくことで、女性の権利擁護と福祉の増進につながるとしています。
昨年度、国において同法に基づく基本方針が策定され、本県においても、現在、基本計画の策定が進んでおりますが、基本計画策定委員会の提言、そしてまた、支援を必要とする当事者、支援の現場にいる婦人相談支援員の声を十分受け止め、多様化した支援のニーズにマッチした内容となることを期待しております。その基本計画の中では、困難な問題を抱える女性ということで、DV被害のみならず、年齢、障害の有無、また国籍等を問わず支援対象がさらに大きく広がります。今般、国は困難な問題を抱える女性への支援に関する法律と同時期の令和6年4月の改正児童福祉法の施行に向けて、子育て世帯に対する包括的な支援体制の強化及び事業の拡充、産前・産後など妊産婦への支援や親子再統合支援の推進、そして、子供の権利擁護の環境整備などの準備を進めています。
これらの制度改正においても、支援機能を発揮して重要な役割を果たすべき施設として、母子生活支援施設があります。この施設は児童福祉法に基づく児童福祉施設であり、母子を保護することから始まり、時代に応じてその役割を追加しながら、現在は子育て支援を進めながら、母子の生活と自立を支援する施設として、また、退所後の相談などの援助も行っております。相談支援や一時保護を受けた後、母親と子供が自立に向けた支援を唯一母子ともに受けられる重要な役割をしております。
令和4年3月末現在、全国には約200施設あります。本県には、宇都宮市のわかくさ、那須烏山市の烏山母子寮があります。これらは、経営主体は社会福祉法人となっております。先日、本県の自治体からの入所受入れもしている母子生活支援施設、山形県のむつみハイムを会派で視察してまいりました。そこは、母親への生活課題解決への支援や、就労支援、またDV被害者への回復の支援、そしてさらに乳幼児、児童の育成支援、さらには地域社会との交流の促進のほか、小中高校生への学習支援事業なども展開しておりまして、また、精神疾患を持っていたり、成人に満たない若い母親など、苛酷な生活状況にあった母親が自立に向かうには信頼関係が必要だということで、その信頼関係を築いた伴走支援、そのようなことをしておりました。また、大学の研究機関が実施しました婦人相談員へのアンケート調査によりますと、業務の際に困難に感じることの中で、「制度の不足と不備」、さらに「支援のための施設の不足」との回答が圧倒的に多くなっております。このような調査結果もありまして、私は母子生活支援施設の役割が大きくなっていく中で、足利市のさわらごハイム足利が昨年3月末に廃止されたことは非常に残念でした。
今後、様々な問題を抱えた母子が自立に向けた第一歩を踏み出す母子生活支援施設は、母子に寄り添い、自立に向けた支援を行っていく上で県にとっても重要な必要な施設だと思います。そのため、設置や運営主体は県ではないことは承知しておりますけれども、この施設の役割や重要性を広く発信し理解を広めるとともに、本県のこの2施設が継続して十分な役割を果たせるよう、県も人材の確保や育成はもちろん、財政的な部分での支援もすべきと考えます。
そこで、母子生活支援施設の今後の在り方をどのように考え、県としてどのように対応していくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまでも母子生活支援施設に対しまして職員が新たなニーズに対応ができるよう、研修等による専門性向上の支援を行うとともに、施設運営等につきまして助言・指導を行ってきたところでございます。近年、家庭や地域における養育機能の低下が進み、DV被害や児童虐待等、困難な課題を抱える女性が増加しております。そのため、来年4月に施行されます改正児童福祉法におきましても、困難を抱える妊産婦等への支援や親子入所による子育て支援などの新たな取組が位置づけられたところでございます。
県といたしましては、現在、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づきます基本計画の策定を進めているところでありまして、これまでの経緯も踏まえまして、母子生活支援施設の活用等につきまして、庁内担当部署と連携しながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 保健福祉部長からのご答弁をいただきました。やはり県としては、研修や助言、指導という形でということだったと思います。しかし、今現在の社会状況を見ますと、複雑な事情を抱えて、出産前から支援が必要なハイリスクの要因のある妊産婦や特定妊婦なども増えております。その中で、やはり私はもう少し県としてこの状況を何とかするという行動を取るべきではないかなと思うのですね。また、婦人保護事業の一環として、必要な保護をする女子の緊急一時保護という形でも、この母子生活支援施設は使われているのです。ですから、その現状を見ましたら、やはりこの保護をする施設を県としても考えていかなければいけないのではないかと私は思います。
その中で、多様なニーズに対応できるような、例えば青少年の自立援助ホームのような形で、小規模でも対応できるものをつくっていくことが必要ではないかと思います。それには、保護するNPO法人の育成であるとか、そのための研修であるとか、県としても何か行動を取らないと、これから対象にする人たちが増えてくるわけですから、やはり何か取り組んでいくべきではないかと思うのですが、保健福祉部長に再質問させていただきます。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。自立援助ホームでございますが、義務教育終了後、何らかの理由で家庭にいられなくなり、働かざるを得なくなった原則として15歳から20歳までの児童が入所いたしまして自立を目指す、児童福祉法に位置づけられた施設となってございます。県内には8か所の事業所がございますけれども、県といたしましては、これらの施設の職員を対象にしまして、資質向上のための研修を実施するなどの支援に努めているところでございます。さらに、この8か所を増やして新たな施設を設立することなどにつきましては、県内の需要等を勘案しながら、引き続き丁寧に対応していきたいと考えてございます。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) ご答弁をいただきました。確かにそういった形で自立援助ホームは運営しておりますけれども、今、自立援助ホームは、児童養護施設からの一時保護という形で満杯になっているような状況もあるのですね。ですから、使い方は、本当にいろいろなことが必要なのです。ですから、やはり一つの目的はありますけれども、今の時代の対応で、少しでも対象を増やせるような支援も、やはり県としては今後考えていかなければならないのではないかということで、例えば自立援助ホームのようなスタイルを申し上げました。やはり大きな施設をつくるには時間とお金がかかりますけれども、小規模という形で人材を育成しながら、措置費を県が負担するなどやり方があると思いますので、そういったことも検討していっていただきたいと思います。
そして、今、県の支援体制は、子供は保健福祉部、女性、母親は生活文化スポーツ部と分かれているのですね。でも、それはすごく違和感があります。やはり一体感がなかなか出ないのではないかと思います。母親と子供を一緒にすることで支援をしやすくすることが必要だと思っておりますので、支援する側の組織としての今後の課題として、検討を進めていっていただきたいと要望いたします。
それでは、次の質問に入らせていただきます。プラスチックごみの削減に向けた取組について、環境森林部長にお伺いいたします。7月に宇都宮大学で上映されました「プラスチックの海」を見て、深刻な海の汚染状況を目の当たりにいたしました。毎年、約800万トンのプラスチックごみが分解されず海に流れ出て、海鳥やマッコウクジラのおなかから満杯のプラスチックごみが出てきました。さらに、人間が出したプラスチックごみやペットボトルが5ミリメートル以下のマイクロプラスチックとなりまして、半永久的に海の中に存在し、プラスチックに付着した化学物質が魚に影響を及ぼして、食物連鎖による人への健康被害も懸念されております。このような現状から、国際社会では、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある条約策定の議論が進んでおります。
2021年、日本で廃プラスチック総排出量は824万トンで、リサイクル率は87%ということですが、63%は環境負荷の高い熱回収、サーマルリサイクルです。リサイクルは重要ですが、二酸化炭素の排出を伴うこの方法をリサイクルと称しているのは日本だけで、国際的に見れば、日本の廃プラスチックのリサイクル率は決して高いとは言えません。2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標に向けて様々な分野で努力していかなければならない中、この方法に依存し続けることはできません。国において、令和4年4月のいわゆるプラスチック循環資源促進法の施行に先立ち策定された国のプラスチック資源循環戦略で、2030年までに使い捨てプラスチックを25%削減するとしていますが、実現に向けた具体策は乏しい状況です。確かにプラスチックは多くの製品に使用され、私たちの生活をより便利にし、恩恵をもたらしてくれる有用な物質であり、そのリサイクルは重要ですが、大量生産、大量消費に歯止めがかからないことも問題です。
本県におきましては、令和元年8月、県内の全自治体と共同での全国初の栃木からの森里川湖(もりさとかわうみ)プラごみゼロ宣言が行われ、令和2年3月には、使い捨てプラスチックの使用削減、再生材や生分解性プラスチックの利用促進、プラスチックに係る持続可能な社会の実現を目的に、議員提案により栃木県プラスチック資源循環推進条例が制定されました。その後、県は、基本方針を策定して、プラスチックごみの発生抑制、リサイクルの促進、環境学習等の事業を展開しておりました。しかし、4年前のこのプラごみゼロ宣言時の盛り上がった機運から比べますと、現在は少しトーンが下がったように感じられます。このようなことから、プラごみゼロ宣言以降の県の取組内容を改めて周知する活動とともに、その効果を検証し、より効果的で実践的な取組を推進していく必要があると考えます。
そこで、プラスチックごみの削減に向け、今後どのように取り組んでいくのか、環境森林部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 小野寺一行環境森林部長。
(小野寺一行環境森林部長登壇)
◎小野寺一行 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。プラスチックごみの削減に向けましては、使用済み製品等のリサイクル推進とともに、使い捨てプラスチック容器などの使用を抑制していくことが大変重要であります。このため、県では、県民等の理解促進、意識の定着に向け、環境学習講座や小学校での出前授業などを開催し、取組の必要性を学ぶ機会を設けるほか、修学旅行中にマイバッグ、マイボトル等の使用などのエコ活動を実践するエコたび栃木プロジェクトを実施し、これまでに1万人を超える児童が参加したところであります。また、昨年度、野外音楽イベントにおいて、使い捨てプラスチックを使用せずに飲食を提供する実証事業を支援いたしましたが、今年度はイベント主催者自らがその取組を継続するなど、一定の成果が得られたものと考えております。さらに、昨年度開催したいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会では、環境に配慮した取組を実施し、オール栃木で機運醸成を図ったところであります。
今後とも、関係団体や市町等との協議会などを通じて、各主体の取組と連携しながら、プラスチックごみの削減に積極的に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 環境森林部長からご答弁をいただきました。児童生徒のエコたび栃木という活動を実施していらっしゃるということもありました。やはりプラスチックごみを削減するには、身近な日常のところから地道にできることを継続していくことが必要だと思っております。それには、プラスチックごみ削減を一人一人が意識していかなければならないのですが、でも、これはすごく簡単なことのようで、実は根気の要ることだと思います。先ほど修学旅行等でもマイボトルというお話がありましたけれども、環境森林部ではすごく実践しているということですが、このマイボトルに着目しますと、私はマイボトルを持っていないと恥ずかしくなるくらいのマイボトル携帯運動を県庁から発信していただいて、そして、マイボトル携帯運動の旗振りをしながら、さらにプラスチックの使用削減をするということも、目に見える運動としては必要ではないかと思います。
先日、宇都宮大学でマイボトルを持ちながら、水がなくなったときに、給水スポットを設置して、そこには、夏場は冷水と常温水があるということなのですが、そこで補給して、マイボトルをずっと使いながら1日過ごすという形で、リフィル運動というのが進められております。ですから、私は県庁内であるとか公的機関でもマイボトルを持っていて、水がなくなったらそこで詰め替えるのだよという見える運動を実行するということも一つの方法ではないかなと思うのですが、環境森林部長に再質問いたします。
○佐藤良 議長 小野寺一行環境森林部長。
◎小野寺一行 環境森林部長 再質問にお答えいたします。マイボトルの取組は、私たちが手軽にできる取組でありますし、また、ごみそのものを減らすという、いわゆるリデュースの効果的な取組の一つであると考えております。近年、民間の小売店とか飲食店で給水スポットを設置する動きが広がっているのかなと感じておりますけれども、こうした民間主導の取組というのは、やはり県民一人一人の行動変容、意識の定着に大きな効果をもたらすものとも考えております。県といたしましては、先ほど答弁いたしましたエコたび栃木プロジェクト、こういった取組等を通じましてマイボトルへの理解促進に努めますとともに、市町、民間の取組とも連携しながら、プラスチックごみの削減に取り組んでまいりたいと考えております。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 分かりました。ただ、やはり見える化の運動ということでは、マイボトルは非常に効果があるかと思いますので、環境森林部を核にして、その運動をさらに広げていっていただきたいと強く要望して、次の質問に行かせていただきます。
それでは、特別支援教育の充実について、教育長にお伺いいたします。栃木と那須の特別支援学校の寄宿舎閉舎の問題を発端として、特別支援教育の充実に向けて、特別支援教育の在り方に関する検討会が設置されたことは、多くの県民にとってすごくよかったと私は感じております。検討会では、主に寄宿舎の在り方も含めた生活指導に関する家庭、教育及び福祉の連携に関することについて検討するとされておりますけれども、寄宿舎閉舎の理由の一つが建物の老化ということもあったことを、私は那須の特別支援学校の寄宿舎を見学に行ったときに、同時期に建てられた校舎は改修されていても、寄宿舎はそのままだったということもありまして、それが老朽化だという形で廃止の一つの理由だということも聞いてまいりました。
また、昨年度2月通常会議の松井正一議員の質問にもありましたけれども、特別支援教育の子供たちの在籍者の増加により、施設の改修とか整備が本来あるべき学習環境に対応できていない状況もあるということから、特別支援教育に必要な施設の計画的な改修とか整備も特別支援教育のソフト面、子供たちが自立していくための教育的な学習とハード面の設備というのは両方相まった中で、その在り方検討というのは当然するべきではないかと思っているところです。本来であれば、その在り方という大きなくくりの中で、ハード面も議論が必要ではないかと考えているところでございます。検討会からの提言時期が流動的である中、今年中に検討会は終了する方向であるとは聞いておりますけれども、この時期は微妙なところで、来年度の寄宿舎の入舎もある程度は視野には入れないといけないではないのかと考えております。
そこで、県教育委員会は、施設整備などハード面、そして子供の教育というところでのソフト面を含めて、特別支援の充実に向けて、どのように検討会の結果を踏まえながら進めていこうとしているのか、教育長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 阿久澤真理教育長。
(阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。特別支援学校におきましては、児童生徒の障害の特性や教育的ニーズに応じた指導、支援を行うため、一人一人が安心して快適に学べる環境づくりを進めることが重要であります。このため、県教育委員会では、児童生徒数の増加に応じて普通教室を増設するほか、学校教育のICT化を推進するなど、教育を取り巻く環境の変化を踏まえた対応を行ってまいりました。
さらに、本年8月に設置いたしました特別支援教育の在り方に関する検討会では、寄宿舎の在り方も含めた児童生徒の生活指導に関することなどにつきましてご議論をいただいた後、順次、広く教育環境づくりなどにつきましてもご意見をいただきたいと考えております。なお、来年度の栃木と那須の特別支援学校の寄宿舎の運営につきましては、この検討会の進捗等も踏まえつつ、できるだけ早期に判断してまいりたいと考えております。
今後とも、障害のある全ての児童生徒の自立と社会参加に向け、ハード・ソフトの両面から特別支援教育のさらなる充実に努めてまいります。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 教育長からのご答弁でございました。私は、今回の在り方検討会ができたということは、寄宿舎の閉舎の問題を発端にして、県民に対して特別支援教育についてしっかりと考える機会を与えてくれたものだと思います。この在り方検討会の結果を踏まえまして、本県の特別支援教育が子供たちに最大限に提供できる教育環境や将来を見据えた自立支援の充実になるように、私は期待を申し上げております。そして、この検討会の在り方を見守りながら、子供たちにとって最善の方法が選ばれるように願っておる次第でございます。
それでは、最後の質問に入らせていただきます。犯罪被害者支援のためのカウンセリング体制の充実について、警察本部長にお伺いいたします。犯罪被害者のカウンセリングを行う警察部内カウンセラーは、被害者が平穏な生活ができるようになるまでの間、被害者に寄り添い、前向きな気持ちを取り戻していけるよう、その支援は非常に重要な役割を担っております。本県では、現在、犯罪被害者支援室に専任の部内カウンセラー1名を配置するほか、公認心理師の資格を持つ職員など数名で、犯罪被害者支援センターとちぎやとちエールと共に連携しながら支援を実施していると聞いております。しかし、心に深刻な傷を負った被害者等を支援する部内カウンセラー自身にも、その負担の重さから生じる過度のストレスによる疲弊や二次受傷の危険性がございます。そのため、部内カウンセラー自身が安心して被害者に寄り添った支援を継続していくには、増員や他機関との連携をさらに強化し、さらに意見交換のできる場の提供などが必要と考えます。
そこで、犯罪被害者支援におけるカウンセリング体制の充実に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、警察本部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 難波健太警察本部長。
(難波健太警察本部長登壇)
◎難波健太 警察本部長 ただいまのご質問にお答えします。県警察では、国の計画に準じて犯罪被害者等支援基本計画を作成しておりまして、その中でカウンセリングの充実を定めて、精神的被害への支援にも取り組んでおります。カウンセリング等に適切に対応するために、現在、部内のカウンセラーは、犯罪被害者支援室に専任カウンセラー1名を配置しているほか、公認心理師の資格を持つ職員4名を兼務させて計5名体制としております。また、本年からは、事案に応じて経験豊富な専任カウンセラーを中心に、資格を有する複数の職員でカウンセリング等の支援を実施する運用を始めたところでございます。これによりまして、職員の負担軽減や個々の能力向上を図っているほか、よりきめ細かな支援を提供できると考えております。
引き続き、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう、関係機関・団体とも連携し、ニーズに応じた支援に努めてまいります。
○佐藤良 議長 山田みやこ議員。
(39番 山田みやこ議員登壇)
◆39番(山田みやこ議員) 警察本部長から、専任は1名であるけれども複数の支援体制でということでご答弁がありました。相談とかカウンセリングというのは重要かつ本当に必要でございますが、守秘義務があるために、カウンセリング業務自体が部内とか一般のところにはなかなか表に出にくいものだと思います。認知度や理解が広がりにくいということではあります。また警察では、警察の多くの業務がある中で、カウンセリングも担うというのは大変なことだと思います。しかし、犯罪被害者には誰もがなり得る可能性もありますので、このようなカウンセリングは本当に必要だと思いますので、支援体制を厚くしていっていただきたいと思います。本当にこの相談というのは目に見えないところでやらなければいけないことでございますけれども、この充実に向けて、警察としてもしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
以上をもちまして、私の質問を全て終了させていただきます。
○佐藤良 議長 この際、休憩したいと思います。午後1時35分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後0時35分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は46名であります。
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午後1時35分 開議
○関谷暢之 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。
ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) 公明党栃木県議会議員会の西村しんじでございます。まず最初に、9月4日に発災いたしました台風12号の影響でお亡くなりになられました方に対しまして、心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、台風17号や7月10日の突風災害等で被災されました皆様方に対しまして、お見舞いと早期の復旧を祈念申し上げます。
今年は関東大震災から100年という佳節を迎え、防災・減災へのさらなる対策強化や、数多く存在する社会課題に対して解決に導くための人材育成が急務となっているわけであります。また、9月はがん征圧月間でもあります。さらなる取組が求められており、今回はそのための7項目の質問をさせていただきます。知事並びに執行部の皆様におかれましては、県民の皆様に分かりやすく、前向き、そして初日の午後一ということもございますので、目の覚めるご答弁を何とぞよろしくお願い申し上げます。
最初に、「災害に強い“とちぎ”づくり」についてのうち、大規模災害時における広域支援と本県の役割について、知事にお伺いいたします。国は、未曽有の人口減少、少子高齢化、巨大災害リスク、気候危機やコロナ禍を経た暮らし方・働き方の変化に加え、激動する世界の中での日本の立ち位置の変化を背景に、これら我が国が直面するリスクと構造的な変化について対応すべく、今年7月28日に第三次国土形成計画を閣議決定いたしました。内容といたしましては、1つ、「デジタルとリアルの融合による活力ある国土づくり」、2つ目として、「巨大災害、気候危機、緊迫化する国際情勢に対応する安全・安心な国土づくり」、そして、「世界に誇る美しい自然と多彩な文化を育む個性豊かな国土づくり」の3つを目指す国土の姿と位置づけ、「新時代に地域力をつなぐ国土」を基本目標に、国と地方の協働ビジョンである国土形成計画をおおむね10年間で推進しようとしております。
具体的には、全国計画で国の責務を明確化し、広域地方計画において、ブロック単位ごとに国と都府県等が適切な役割分担の下、相互に連携・協力して策定するとしておりますが、今年9月1日に、先ほど申し上げました関東大震災から100年を迎えたことや、首都直下型地震など、想定される大規模災害時のリスク分散のための適切な役割分担が重要であることから、巨大災害に対応する安全・安心な国土づくりを早急に推進すべきと考えます。また、谷前防災担当大臣が関東大震災から100年を迎える前の8月28日までの共同通信のインタビューにて、「首都直下地震などの大規模災害時に住民が都道府県を越えて逃げる広域避難をより実効性のある取組にしていく」旨の考えも示されたわけであります。加えて、「関東大震災100年リレーシンポジウム栃木~首都直下型地震時の広域支援と栃木の役割~」において、福田知事は、東北地方と首都圏をつなぐ位置にある本県の地理的優位性を最大限に生かして、大規模災害時の救援・復旧活動への支援と首都機能のバックアップの役割を担うため、産学官が連携しながら、防災・減災、国土強靱化の取組を推進し、災害への備えを充実・強化している旨の主催者挨拶をされました。
そこで、県は、具体的に大規模災害時の広域支援と役割についてどのように考えているのか、また、第三次国土形成計画の目指す姿として掲げる巨大災害に対応する安全・安心な国土づくりについて、今後、国が進める広域地方計画の策定の中で、県としてどのように関わっていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの西村しんじ議員のご質問にお答えいたします。首都直下地震等の大規模災害が発生した場合には、国や自治体、関係機関の連携による広域的な支援が重要であり、東京圏に近接し交通の要衝でもある本県も積極的に協力していくことが必要であると考えております。そのため、県では、国の首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画や全国知事会の相互応援協定等に基づく救助、救援物資の提供、職員の派遣など人的・物的支援が円滑に実施できるよう、平時から国や関係機関と連携を図っているほか、総合防災拠点として位置づけた県総合運動公園を応援部隊の活動拠点や救援物資の集積拠点として活用することも想定しております。また、都道府県を越えた広域避難につきまして、首都直下地震等を想定した東京都の地域防災計画では、避難所の収容人数が避難者の数を上回っているなど、現時点では避難者の受入れについて関係自治体からの協議等はありませんが、今後とも、国や関係自治体の動向等も踏まえながら対応を検討してまいります。
一方、国土形成計画の首都圏広域地方計画につきましては、本年6月に取りまとめられた基本的な考え方において、巨大災害リスクへの対応などの考え方が示されたところであります。今後、私が会長を務める首都圏広域地方計画協議会において、具体的な施策等について協議が進められる予定でありますことから、十分な議論が尽くされるよう努めてまいります。
引き続き、大規模災害時における広域支援につきまして、国や関係自治体等と緊密に連携・協力していくとともに、広域地方計画の策定等を通じて安全・安心な国土づくりの一翼を担ってまいります。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ただいま知事からご答弁をいただきました。協議会を通じた十分な議論を今後進めていくとか、県総合運動公園を防災の拠点としていく等、今、様々な取組を考えていらっしゃいます。まだ東京都から具体的な返事がないということでありますけれども、数的に見ても明らかに、東京都が被災したときには相当な避難者等の受入れが必要でございますので、そういったことを改めて念頭に入れていただきながら、国土形成計画にしっかりと盛り込んでいただきますよう要望いたしまして、ここで、県土整備部長に再質問をさせていただきます。
先ほど申し上げましたリレーシンポジウム栃木で講演されました東京大学大学院の羽藤英二教授は、国道4号は首都を支える軸であり、今後新たな防災圏域を実現していくため、さらなる機能強化を考えていくべきである旨の提言をなされたわけであります。私も全く同感でございまして、県内の新4号国道は既に全線6車線化となり、現在、茨城県と埼玉県においても、順次整備、もしくは計画が進行しているところであります。よって、国道4号のさらなる機能強化を図るべきと考えますし、6車線あれば、外側の2車線を側道と位置づけて、内側4車線のさらなる立体交差化を推進すれば、機能的な強化が図れると思いますけれども、県土整備部長の所見をお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 坂井康一県土整備部長。
◎坂井康一 県土整備部長 再質問にお答えいたします。国道4号及び新4号国道は、首都圏と東北地方を結びまして東日本の物流を支えるなど、社会経済活動に欠かせない路線であり、かつ重要物流道路にも指定された極めて重要な路線であると認識しているところでございます。また、首都直下地震が発生した場合、救護・復旧活動への支援や広域的なバックアップ体制確保の観点からも、新4号国道の機能強化というものは必要ではないかと考えているところでございます。
今後とも、新4号国道の立体交差化などの機能強化が実現できるよう、国に対して様々な機会を捉えて働きかけてまいりたいと思います。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ただいまご答弁いただきました。ぜひ大規模災害を考えたときに、国道4号の十分な機能強化をさらに推進していく必要がございますので、国へのさらなる要望等をお願いしたいと思います。
また、シンポジウムにおいて、羽藤教授は、「国道4号周辺には、にぎわい、働く場、防災活動の支援、避難、そして広域的な交流の拠点になるような施設が必要です」とのお話もされておりました。私も議会一般質問等で、これまで災害時における物流拠点整備の必要性や、首都を支える防災拠点整備の推進等を訴えてまいりましたけれども、関東大震災から100年という佳節を迎え、その必要性がますます高まってきております。どうか県におきましては、第三次国土形成計画の策定をきっかけに、これらがさらに進化するよう取り組んでいただきますよう要望いたしまして、次の流域治水プロジェクトのさらなる進化についての質問に移ります。
県は、令和3年3月30日に国土交通省が気候変動による水害リスクの増大に備えるために流域治水プロジェクトを策定、公表したことに呼応し、同年9月16日に栃木県流域治水プロジェクトを策定の上、県内を11流域に分割し、流域ごとに氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策や被害対象を減少させるための対策並びに被害の軽減、早期復旧・復興のための対策の3つを柱に治水対策を取りまとめ、あらゆる関係者のそれぞれの取組内容や場所、時期を明示しております。まさに言うまでもなく、国、県、市町、企業、住民等、流域全体のあらゆる関係者が協働して、流域における浸水被害の軽減を図るための取組を実施できるかが流域治水プロジェクトの成否のポイントとなるわけであります。しかしながら、国立研究開発法人土木研究所の水害・リスクマネジメント国際センターの小池俊雄センター長によると、調査では、国民の約8割が流域治水を知らない現状があり、まずは流域治水の必要性や意義を理解していただき、自分事と捉えていただくことが大変重要である旨の報告をされております。
一方、国土交通省の研究機関でもあります国土技術政策総合研究所においては、多様な関係者間で合意形成を図るのには、水害リスクや対策効果を分かりやすく見える化することが重要との見解の下、デジタル技術を活用した流域治水対策効果の見える化や次世代の洪水予測技術の開発を目的としたオープンデータによる流域治水防災DX、いわゆる流域治水デジタルテストベッド等を研究開発の上、駆動し、流域対策に関心が高い大分県の山国川水系をモデルに、リアルな状況を忠実に表現した3D画像によるデモ検証を実施したことにより、多様な関係者間での合意形成に役立っていることが今年7月の会派の調査で確認ができました。
そこで、平成27年関東・東北豪雨及び令和元年東日本台風並びに昨今の広域にわたる浸水被害を受け、とちぎインフラDX構想を推進しようとしている本県においても、国の河川事務所と連携し、まずは効果が見込める流域を対象に流域治水デジタルテストベッド等を実装していくべきと考えますが、県土整備部長の所見をお伺いいたします。
また、流域治水プロジェクトの推進には、農家の方々のご協力も必要で、田んぼダムや農業水利施設等の取組等が欠かせないと考えますが、県内11流域における取組拡大に向け、県としてどう展開していくのか、農政部長の所見をお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。流域治水の推進には、流域のあらゆる関係者にその必要性や効果を認識してもらうことが重要であり、県では、流域治水の対策効果を見える化したリーフレットの配布や動画の配信を行っております。また、国におきましては、デジタル技術を活用した浸水リスクの見える化として、洪水浸水想定区域の範囲や浸水の時間的変化等の閲覧が可能なウェブサイト「浸水ナビ」を運用しております。現在、国土技術政策総合研究所が研究を進めております流域治水デジタルテストベッドは、3次元地形データで流域を仮想空間に再現し、流域治水の対策効果の見える化技術の開発などを行っているものと伺っております。このような先進的な取組の動向につきましては、それを注視するとともに、様々なデジタル技術の活用について情報収集しながら、流域治水に対するあらゆる関係者の理解促進を図ってまいります。
○関谷暢之 副議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまで市町キャラバン等の実施により、田んぼダムの有効性について周知してきました結果、現在、9市町、約4,000ヘクタールで取り組まれているところでございます。今後、田んぼダムの効果をさらに高めていくためには、流域全ての市町に取組を広げることが重要であると考えております。このため、まずは優先度が高い思川流域において、水害リスクの分析や効果的な手法等をまとめた基本指針を策定いたしますとともに、県や流域内の市町、土地改良区等の関係者で構成する協議会を立ち上げまして、現地研修会の開催や国庫補助事業の活用促進により、取組の拡大につなげてまいります。さらに、他流域の市町や土地改良区と緊密に連携しながら、説明会や研修会を開催し、先進事例の情報共有や支援制度等の周知を図り、田んぼダムの取組を県内全域に拡大してまいります。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ただいま両部長からご答弁いただきました。流域治水プロジェクトについては、リーフレット、動画、もしくは国の「浸水ナビ」等があるということで後ほど質問いたしますが、私は特に被害を受けたところについては、今後どうなるのかという方もいらっしゃいますし、その辺りの不安を取り除くようお願いします。先ほど言ったように、ぜひ効果が検証できるところから取り組んでいただく。これは私も相談しましたら、国の河川事務所を通じて、それは可能ですよということを担保いただいていますので、ぜひそのようなことを推進していただくようお願いします。また、田んぼダムについては農政部長から非常に前向きなご答弁をいただきました。基本指針をつくり、土地利用者等協議会の立ち上げや、協議会を設置して研修等を行うということでした。田んぼダムは特にそれほどお金がかからないので、それで県民の皆さんの命が守れる、財産が守れる、これは大変効果的だと思います。台風は大体9月に来ますから、稲の刈取りが終わった後がメインだと思いますので、ぜひ推進していただくよう要望させていただいて、次の防災教育の拡充と防災リーダーのさらなる活用についての質問に移らせていただきます。
県は、このたび、とちぎ
未来創造プラン及びとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)の着実な推進を図るため、PDCAサイクルに基づき、プランに掲げる18のプロジェクトや15(いちご)戦略の15の戦略を対象に、指標等の達成状況や取組成果、課題を明らかにすることによる現状評価を行いましたが、とちぎ
未来創造プランの重点戦略、「安全・安心戦略」のうちの「危機対応力強化プロジェクト」に遅れが生じていることが判明いたしました。成果指標でもある5段階の警戒レベルを理解している県民の割合について、防災イベントの開催や民間企業との連携した防災意識の高揚に関する取組を行ったことにより、基準値は上回ったものの、目標値を上回るには至らなかったことは、やはり関東大震災から100年を迎えたことを考えると、さらなる取組の強化が必要だと考えております。やはり正常性バイアス、いわゆる自分には災害が起こらないというものが誰にも起こり得るわけですから、これをしっかりと払拭していかなければならない。
そのような中、県は今年4月、危機管理防災局を新設するとともに、県総合運動公園を、先ほど知事からもありました総合防災拠点として位置づけ、その中に防災教育等を推進するための新防災教育施設を整備することとしております。
そこで、現在、前述の「危機対応力強化プロジェクト」に遅れが生じていることに鑑み、今後、県民の皆様方のさらなる防災意識の高揚や防災力強化のために、具体的にどのような新防災教育施設を整備しようとしているのか、
危機管理防災局長にお伺いいたします。
また、地域の防災リーダーとして期待されている本県の防災士の登録者数は、今年8月時点で何と4,302名にも上りますが、実際に地域の防災リーダーとして活躍されている方の数とは大きな乖離がございます。
そこで、「危機対応力強化プロジェクト」をさらに推し進めるためには、新防災教育施設において、これらの方々が活躍できる仕組みも必要と考えますが、併せて所見をお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 渡辺順一
危機管理防災局長。
(渡辺順一
危機管理防災局長)
◎渡辺順一
危機管理防災局長 ただいまのご質問にお答えいたします。県総合運動公園内に整備する新防災教育施設につきましては、今年度、基本計画を策定する予定であり、現在、その整備内容について検討しているところであります。新たな施設では、VRなどの先進技術の活用により災害の怖さや避難行動を疑似体験することで災害を自分事として捉え、5段階の警戒レベルに応じた避難行動や平時の備えなどについて深く理解し、実践につながるものにしたいと考えております。加えまして、地域における防災力の強化も重要であるため、新たな施設におきまして、防災の専門家として地域で活躍している防災士や自主防災組織のリーダーなど様々な防災人材が交流・連携し、その知見やノウハウを地域で生かせるような仕組みを検討してまいります。県民の自助・共助の取組をより一層促進するため、施設の整備を通じて防災教育の充実・強化を図ってまいります。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ただいまご答弁いただきました。我々公明党会派も、「調査なくして発言なし」との党是に基づいて、7月に東京消防庁本所防災館にて、防災学習並びにVR体験を含む全ての防災体験コースを体験してまいりましたが、まさに百聞は一見にしかずを改めて確認させていただきましたし、当日はドイツからも視察に来られていたということで、世界からも日本の防災力は非常に注目を浴びていると感嘆いたしましたし、こういった取組と、クオリティーの高さも感じたところでございます。新たな新防災教育施設でも、当然、体験型を中心にされると思うのですけれども、リアル感のある、県内で発災した事例を疑似体験できる取組も私は非常に重要かと思っておりますので、こういったことを意識しながら、また、栃木県防災士会の理事長も入っていらっしゃるということでありますので、そういった方を含め学識経験者等の意見を聞きながら、しっかりといいものにしていただきたいと思っております。
また、県内の防災士はたくさんいらっしゃるのでありまして、今年5月ですけれども、栃木県の防災士会は、宇都宮大学と栃木県における地域防災活動実践者や防災士の人材育成、人材ネットワーク化、組織化を推進する目的で、相互協力連携協定も締結されたわけでありますので、これらを活用いただきたいと思います。そして一方、2年前に私も橋渡し役をさせていただきましたけれども、県と宇都宮大学がSDGsの推進に関する連携協定を締結したわけで、SDGsの目標でもございます住み続けられるまちづくりの実現に向け、連携して取り組んでいただきたいと思いますし、そのことを大いに期待して、次の「とちぎの未来を拓く」人材育成の取組についてのうち、STEAM教育のさらなる推進についての質問に移らせていただきます。
我が国は、人口減少・超高齢化社会並びに地震大国等、数多くの課題を抱える課題先進国でありますけれども、これらを解決に導く人材を早期に育成しながら、社会全体で課題解決を行い、そのノウハウや結果を逆に世界に発信していける課題解決先進国となっていかなければなりません。そのような中、県教育委員会は、令和4年度から3年間の期間で、複雑化・混迷化する現代社会における課題解決に向けて、文系・理系の枠にとらわれず、社会における課題を発見し、解決するために必要な資質、能力を育成し、幅広い分野で新しい価値を提供できる人材育成をするSTEAM教育を推進するため、県立高校4校をモデル校として指定し、生徒の主体的な学びを促す指導方法や企業等との連携の在り方などについて研究を進められております。
私は、これまで課題解決型教育を推進すべきとの立場から様々な角度で議会一般質問等を行ってきた経緯もあり、大変喜ばしく思っていると同時に、大きな期待を寄せております。しかしながら、本事業の期間が3年間ということであり、実施した研究成果やノウハウ及び情報の蓄積・共有・提供等、それ以降の生徒にも永続的につながる仕組みの構築が必要と考えます。
そこで、今後、STEAM教育をさらに推進するため、どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。
(阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。これからの教育におきましては、学校での学びと実社会とのつながりを意識し、自ら課題を見いだして協働しながら解決に向けて取り組む探究活動を推進することが重要であります。このため、県教育委員会では、昨年度、STEAM教育の推進を目指してモデル校を設置し、生徒、教員の研修やオンラインによる海外の高校生との意見交換、県内企業と連携した探究講座等を実施するとともに、情報共有のためのプラットフォームを構築いたしました。今年度は、企業や大学等と連携し、AI等のテクノロジーを用いて課題解決を体験するSTEAM講座を実施するなど、探求活動の充実を図っており、今後開催する成果発表フォーラムを通して、広く県内の高校にも周知してまいります。
今後は、探究活動の一層の充実を図るため、プラットフォーム等の拡充等により、STEAM教育をさらに推進し、栃木の未来を切り開くたくましい人材の育成に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ただいま教育長からご答弁いただきました。中央教育審議会は「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について」の答申の中で、「実社会での問題発見・解決に生かしていく視点から生徒が自らテーマを設定し、学習を進めるためには、生徒が地域や産業界、大学などと多様な接点を持ち、社会的な課題や現在行われている取組などについて学ぶことが必要である」としております。既に県は一部の企業や大学等と連携しているものの、持続的な取組の必要性を考えると、私は県内の産業界全体並びに大学コンソーシアム等と連携して、本県が抱える課題を解決する人材育成の仕組みづくりが必要であると考えます。そのことをぜひ検討いただくことを要望して、次の職業人材の育成についての質問に移らせていただきます。
県は、少子高齢化に伴う生産労働人口の減少や若者の県外流出などが課題となる中、人材の確保や育成に向けて、若者に県内で優れた技術や技能を身につけてもらうことを目的とするとちぎ職業人材カレッジ、愛称が「とちぎジョブカレ!」でありますけれども、今年7月14日に開設されました。具体的には「とちぎで学び、なりたい自分になろう!」とのコンセプトに、技術や技能を身につけたい、希望する仕事で活躍したいという人を応援するため、県内の専門学校や職業訓練機関などの人材育成に関する情報をウェブサイトで発信するなど、進学から就職までを一貫して支援するための情報発信、相談対応、人材育成、就職支援の4つの機能を充実させ、ワンストップで支援を開始しております。これらのことは、ものづくり県の強みを生かしたすばらしい取組であり、私自身も国の職業能力開発業務に携わっていた経験から、大変期待しているところであります。
そして、専門学校や職業訓練機関等のより多くの卒業生・修了生が本県で就労し、なりたい自分になれたと人生を謳歌しながら、栃木県の未来を大きく開いていただきたいと願っております。そのためにも、県内企業が求める職務能力やスキルのマッチングが大変重要と考えますし、仮に離職した場合でも、これまで培った職務能力やスキルを見える化し、再就職につなげる仕組みづくりや新しい職務能力やスキルを身につける学び直しに対する支援も必要と考えますが、今後の取組や所見について、
産業労働観光部長にお伺いいたします。
また、日本で唯一、「木」という文字がつく県名を有する本県の林業人材の育成も大変重要であります。本県の森林は利用期を迎えており、これらを適正に整備し、施業の集約化などに取り組むための人材が必要でありまして、そのために林業事業体の育成と林業従事者の確保・育成等が喫緊の課題です。具体的には森林施業プランナー、フォレストワーカーや路網作設オペレーターの育成並びに施業チームの技術強化等でありますけれども、これらの業界ニーズに応えるべく、栃木県林業大学校が来年4月に開校します。
そこで、林業大学校を含め、どのような基本方針や施策体系並びに人材育成システム等で林業人材を確保・育成していこうとしているのか、環境森林部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 石井陽子
産業労働観光部長。
(石井陽子
産業労働観光部長登壇)
◎石井陽子
産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。誰もが希望する仕事に就き、活躍するためには、必要なスキルや能力を身につける機会の提供や、そのスキルを生かせる企業への就労支援が必要と考えております。そのため、県では、とちぎジョブモールにおきまして、専門相談員がキャリアカウンセリングを通して把握した能力やキャリアに応じたキャリアプランを作成し、継続した支援に活用するとともに、希望する仕事に就くに当たり新たなスキルが必要な場合には、産業技術専門校をはじめとする教育訓練機関と連携し、学び直しも含め、スキル習得に向けた支援を行っております。さらに、習得したスキルを生かした仕事に就くことができるよう、求人企業が一堂に会する従来の合同企業説明会に加えまして、今年度から新たに業種別の合同企業説明会等を開催することとしております。
今後は、とちぎ職業人材カレッジの開設に合わせて立ち上げました県内の人材育成機関や栃木労働局等から成るネットワーク会議を活用して、企業の意見も踏まえながら、誰もが栃木県で希望する職に就けるよう支援を充実してまいります。
○関谷暢之 副議長 小野寺一行環境森林部長。
(小野寺一行環境森林部長登壇)
◎小野寺一行 環境森林部長 引き続き、ただいまのご質問にお答えいたします。県では、増大する森林整備等に対応するため、令和3年1月に策定した栃木県林業人材確保・育成方針に基づき、生産性向上を目指した林業経営の転換とスマート林業等に対応できる知識と技術を有する多様な人材の確保・育成の取組を展開するとともに、その中核を担う拠点として、栃木県林業大学校の整備を進めているところであります。林業大学校におきましては、就業希望者が幅広い知識と専門的な技術を備え、即戦力として活躍できるよう、実習中心のカリキュラムを編成いたしました。また、既就業者のスキルアップ研修や現場指導者、林業経営者の育成研修を行うなど、多様な人材を総合的に育成してまいります。さらに、人材の確保に向けましては、本県林業の魅力を県内外に広く発信するとともに、林業の安全性・生産性のさらなる向上にも努めてまいります。
今後とも、関係機関や林業関係団体と連携しながら、本県の林業人材の確保・育成に積極的に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ただいま両部長からご答弁いただきました。「とちぎジョブカレ!」については、ネットワーク会議等を通じて、栃木県でなりたい自分になっていくよう様々な支援をしていただくようお願いします。また、私が気になるのが、やはりリカレント教育についてですけれども、先ほど申し上げましたように、これまで身につけた技術技能、いわゆるキャリアをしっかりと見える化していく、どこが足りないのかをしっかりと補えるような仕組み、これは、いわゆるキャリアパスであったりとか、毎回私は言っているのですけれども、県独自の職業能力開発体系をつくって、いろいろな業種ごとの必要な職務能力が違うのですから、そこをしっかりと補って、またICT等が進化しているのですから、そういったものも含めて複合的に教育できる仕組みを単に産業界等だけではなくて、大学等教育機関と連携しながら進めていくことも必要かと思いますので、ぜひ検討、実施していただきたいと思っております。
また、林業人材につきましては、実習中心に様々に行っていただけるということで、これは1年ですよね。これも非常に重要なのですけれども、行く行くは経営も含めた取組ができる人材が必要でございます。
そこで、環境森林部長に再質問させていただきます。今通常会議に、林業大学校の条例制定についての議案が上程されておりますけれども、先ほど申し上げた経営や林業全体の取組ができるよう人材育成を、例えば、農業大学校も、当初1年課程だったものが進化して2年の専門課程になったのであり、そういった方々が、今、栃木県の農業に大きく関わって、栃木県の首都圏農業に大きく寄与していただき、イチゴの生産日本一55年、これにも寄与していただいていますから、私はさらに進化を図るべきと考えますけれども、今後の林業大学校の将来像についてどう考えているのか、環境森林部長の所見をお伺いしたいと思います。
○関谷暢之 副議長 小野寺一行環境森林部長。
◎小野寺一行 環境森林部長 再質問にお答えいたします。来年4月に開校を予定しております栃木県林業大学校につきましては、現在の業界ニーズを踏まえまして、就業前長期課程における修業年限は1年としておりまして、実習中心のカリキュラムにより、即戦力となる人材の育成を図ることを目指しているところでございます。一方で、今後も林業を取り巻く様々な社会環境の変化が予想されますので、その時代に求められる人材の育成が不可欠になってくるものと考えております。県といたしましては、こうした変化やその時々の業界のニーズ、また就業希望者の動向も見極めながら、林業大学校として求められる役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ご答弁いただきました。まさに栃木県林業を成長産業化していく。川上から川下までしっかりとこういった流れがあるのですから、ここに従事するということも、いわゆる林業の伐採などだけではなくて、いろいろな部分で活躍できる場、フィールドがあると思うのですね。ぜひそういったことを視野に入れていただきながら、とにかく業界と幅広く連携していただきながら、前向きに検討いただくよう要望しまして、次のデジタル人材の育成についての質問に移らせていただきます。
企業等の生産性を高める上で、欠かせないデジタル化の推進が急がれる中、デジタル人材の育成・確保が最重要課題でありますけれども、十分に進んでいないのが現状であります。令和3年版情報通信白書によると、政府は2030年に最大79万人が不足すると試算しております。そのような中、国は今年度からデジタルなど理工系人材育成に向け、学部再編や他校と連携する大学、高等専門学校の設備整備を支援するほか、子育てをしながら在宅にて就労ができるなどの環境整備の必要性が高まっているところから、昨年4月にコロナ禍における女性就労支援や経済的自立及びデジタル分野におけるジェンダーギャップの解消を目的に、女性デジタル人材育成プランを策定しました。具体的には、基礎的なデジタルリテラシーの獲得支援や育児・介護等によりフルタイムで仕事ができない女性も柔軟な働き方でデジタル就労ができる環境整備のための取組等を示し、全国各地域へ官民連携の取組を横展開しながら、デジタルスキル教育のコンテンツの提供や公共職業訓練を通じたデジタルスキルの向上、事業主等が行う職業訓練への助成、地域教育機関における実践的なプログラムの提供及び中高年の女性を含めたデジタル活用に不安のある方への支援の実施等をしております。
本県もこれらの施策に呼応し、今年度から女性デジタル人材育成・活躍支援施策を展開し、女性デジタル人材育成を推進しているところでありますけれども、具体的にどのような効果を予測し、施策を実行していくのか。どれだけの女性デジタル人材を育成していくのか。また、それによる評価をどうしていくのか、
産業労働観光部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 石井陽子
産業労働観光部長。
(石井陽子
産業労働観光部長登壇)
◎石井陽子
産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。デジタルスキルは産業界の需要が高く、就労に直結するとともに、柔軟な働き方を可能とすることから、県では、国の女性デジタル人材育成プランも踏まえまして、今年度から女性デジタル人材の育成を行うこととしております。具体的には、県内在住の未就労、非正規雇用の女性や県内中小企業に勤務する女性などを対象に、今年度は180名を定員としまして、市場ニーズの高いウェブデザインやデータ分析、業務効率化などのデジタルスキルにつきまして、時間や場所に制約をされないeラーニング方式で研修を行うこととし、現在、受講者の募集を行っているところであります。これらの取組は、キャリアアップによる女性の活躍の裾野を拡大することはもとより、県内企業のデジタル化の推進にも寄与するものと期待しているところでありまして、就業の状況などを把握するとともに、県内企業のデジタル化の進捗状況等も考慮しながら施策の評価を行ってまいります。
今後とも、女性のキャリア形成を促進するとともに、県内企業の成長につながる女性のデジタル人材の育成に積極的に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ただいまご答弁いただきました。ウェブデザイン等、今後需要がある分野等をターゲットに、180名を定員としてスタートするということであります。我々も東京しごとセンターに行って、女性デジタル人材育成の取組のお話を聞いてきたのですけれども、まさに伴走型、特に子育てしながらデジタル技術を身につけるのは大変な部分もありまして、特にそれを身につけてから就労するのですから、場合によっては収入等も厳しい部分もあるということで、東京都はパソコンとかWi-Fi環境等を無償で貸したりするといった伴走支援などもされております。また、就労については、例えば自宅から遠隔でテレワークができるのですから、自宅にいて仕事ができるということで、勤務先についても、広域が対象となるようなプラットフォームなどを設けたりしておりましたし、あと、先ほど言ったパソコン、Wi-Fiの環境を含めた環境サポートを受けながら、OJTによる実践的な経験を積むことができる取組をされておりますので、これから取り組むということでありますけれども、ぜひ他県の先進事例等をしっかりと確認いただきながら、推進していただきたいと思います。
ここで、経営管理部長に再質問させていただきます。デジタル人材の育成・確保は、企業のみならず自治体でも必要でありまして、様々な自治体においてデジタル人材育成の取組がされておりますけれども、県においても、今年度から育成に着手していると聞いております。具体的にどのような人材を育成し、どう活用していくのか、お伺いしたいと思います。
○関谷暢之 副議長 仲山信之経営管理部長。
◎仲山信之 経営管理部長 再質問にお答えいたします。デジタル技術の急速な進展に伴いまして、自治体におきましても、デジタル人材の育成・確保は喫緊の課題でございます。そのため、県では、この2月に栃木県庁デジタル人材育成方針を策定いたしまして、今年度から階層別研修などによります全職員のデジタル技術の底上げに加えまして、デジタル技術に関しまして、より幅広い知識を有する職員をデジタルスキップと名づけ、学習支援やITパスポートなどの資格取得支援などの取組を通じまして、まずは今年度300名、5年間で最大900名を育成することとしております。
今後、このデジタルスキップを中心として、所属内あるいは部局内におきまして、デジタル技術を活用した業務の見直しや新規事業の立案などに取り組みまして、全庁を挙げて県民サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ただいまご答弁いただきました。デジタルスキップを使って、将来的には900人を育成していくということで、行政の方がデジタルを身につけていただく中で、県庁はしっかりとした体制はあるのですけれども、市町はなかなか厳しい部分があります。今後、国が求めていくのは、やはり書かない、待たない、回らない行政窓口サービス、さらには、自宅にいながら行政手続ができる行かない窓口を検討されておりますので、例えば広島県などは、デジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、県・市町で協働しながら効果的にDXを推進して、こういった取組ができる人材を育成していると聞いております。ぜひ県民益にかなった、当然、人材育成が先なのですけれども、次のステップというか、県内全体の県民の皆さんがデジタルで利便性を感じるような取組にしていただくよう要望して、最後の質問に移ります。
「第4期がん対策推進基本計画」に基づく今後の取組についてでございます。国は今年3月に第4期がん対策推進基本計画を閣議決定し、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」ことを目標としております。検診による早期発見、早期治療を促して、罹患率、死亡率の減少を目指す「がん予防」、医療体制の充実による生存率の向上等を目指す「がん医療」、地域共生社会の実現により療養生活の質を向上していく「がんとの共生」の3つの分野別目標を位置づけ、今年度から6年間で目標を達成するとしております。また、今月9月はがん征圧月間でもあります。
そこで、県は国のこういった基本計画を受け、これまでの取組に加えて新たにどのような施策を講じようとしているのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。国の第4期がん対策推進基本計画におきましては、がん検診受診率の目標が50%から60%に引き上げられるとともに、治療に伴う外見の変化に対するサポートとして、アピアランスケアの推進が新たに盛り込まれるなど、がん患者支援の強化が図られたところでございます。
これまで、県ではがん検診受診率の向上のための取組に加えまして、ピアサポーターの養成や小児・AYA世代のがん患者を支援するための妊孕性温存療法への助成のほか、国に先駆けましてアピアランスケアへの補助を行っているところでございまして、がん患者が安心して社会生活を送るための支援というものを引き続き重視していきたいと考えてございます。現在、県の次期計画を策定しているところでありまして、国の基本計画を踏まえつつ、本県の実情に沿った対策となるよう、関係者等のご意見をいただきながら、引き続き、誰一人取り残さないがん対策の推進に向け、新たな施策の必要性も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 西村しんじ議員。
(26番 西村しんじ議員登壇)
◆26番(西村しんじ議員) ただいま保険福祉部長からご答弁いただきました。様々な新たな取組、目標値もアップしていくということであったり、外見、アピアランスケア等も市町が行っているものについての助成等を行ったりするということでありますけれども、今回、ゲノム解析等も入っていたと思いますので、しっかりとその辺りも医師会と連携しながらお願いしたいと思います。いずれにしても、今、治療等に関する相談ニーズ等、あと利用率等が現在の課題となっております。相談支援体制や情報提供をしっかりと行っていただくといった課題があると聞いておりますので、推進していただくようお願いしたいと思います。
今回は災害、人材育成、そしてがん対策と様々質問いたしましたけれども、今、注目がありますのが、水素細菌というのがあります。これが二酸化炭素を食べることによってプラスチックとか食品にも変えられるといった研究を新しい資本主義実現会議で神戸大学の近藤昭彦副学長が昨年の3月8日に発表されております。ですから、今、課題等はいっぱいあると言いましたけれども、まだSDGsの達成は国連総会でも相当遅れているということもございますので、まさにこういう新たな人材をしっかりと育成していくことが本県も含む課題解決につながっていくと思いますし、その人材育成こそが、まさに人は石垣、人は城と言いますけれども、こういったものがしっかりとこの栃木県をさらに強固にしていく大きなベースとなってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
ともあれ、災害がいつやってくるか分かりません。そういった意味では、県民の皆さんは、先ほど申し上げたように、まだまだ我々には関係ないという正常性バイアスが働くケースもありますので、ぜひ先ほど申し上げたように、流域治水等も含めて、自分事としてしっかりと捉えていただいて、とにかくオール栃木で、1人も災害で被災者がないようしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、私自身も全力で取り組んでまいります。今後とも、県民益につながるよう、また全力で頑張ってまいりますので、よろしくお願いすることを決意させていただいて、私の通告した全ての質問を終わります。
○関谷暢之 副議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後2時36分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は48名であります。
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午後2時50分 開議
○佐藤良 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) とちぎ自民党議員会、大木英憲でございます。質問に入る前に、栃木県誕生150年という時代の節目に、多くの県民の皆様に支えられ、初の登壇の機会をいただき、今改めてその職責の重みを感じるとともに、これからの地域社会を担う責任世代の代表として、県民の声、現場の声をしっかりと訴えていく決意であります。
さて、今の社会情勢に目を向ければ、新型コロナウイルス感染症によって失われた3年、さらには物価高による暮らしの低迷、農業や産業の衰退など、社会全体が大きな不安の中にあります。また、現代社会においてはデジタル化が急激に進み、便利になる反面、犯罪も多様化をしております。今まさに、これまでの世界観、社会観、地域観が大きく変化し、新しい時代への変遷の中にあると感じています。このような時代であるからこそ、県民の暮らしを支える地方自治体が強くなければなりません。そして、その役割を担うのが政治だと思います。そのような観点から、発言通告に従い質問に入ります。知事をはじめ、執行部の皆様におかれましては、簡潔で明確なご答弁をお願いいたします。
まず初めに、栃木県における圏域の都市形成について、知事にお伺いいたします。本県は地理的条件や交通の利便性から企業の進出、都市化の進展が著しく、さらには農業、観光とバランスの取れた県として成長、発展を続け、平成の大合併により今の圏域の枠組みが形成され、今年誕生150年を迎えました。このことは、多くの先人の皆様をはじめ、県民の皆様の総合力のたまものだと強く感じております。
一方で、本県を取り巻く環境は、総人口が平成17年の201万人から、その後、減少に転じ、出生率も1.24と少子化に歯止めがかからない状況です。各市町においても、福祉サービスへの費用や公共施設の維持管理、水道事業など、各市町単体だけでは運営が逼迫していくことが想定されます。これまで市町においては、期成同盟の結成や広域連携などを通じ、地域の課題解決に取り組んでまいりました。また、国では、複数の市町村で構成された圏域による広域的な連携を図るため、平成21年に定住自立圏構想を掲げ、県内では、私の地元の小山市を中心市とした小山地区定住自立圏を含め、6つの定住自立圏が形成され、医療福祉、観光振興、地域公共交通など、圏域での広域的な連携を図ってきたところでございます。しかしながら、人口減少・少子高齢化及び東京一極集中は歯止めがかからず進行している中で、さらには、大規模災害や感染症などのリスクへの対応、デジタル化など地方行政の在り方に変化が求められていることから、県及び市町の持続可能な成長、発展のためには、本県における圏域の都市形成について、枠組みを含めた新たな方向性を示すことが必要だと考えます。
そこで、栃木県における圏域の都市形成について、どのように思い描いているのか、知事にお考えをお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの大木英憲議員のご質問にお答えいたします。少子高齢化が進行し、人口減少社会を迎える中におきましても、地域の行政機能の維持・強化を図るため、県では、これまで市町村合併や、中心市と近隣市町が連携し生活機能の確保を図る定住自立圏の形成等を支援してまいりました。しかしながら、その後も人口減少が急速に進み、また住民ニーズや地域の課題も多様化、複雑化してきております。もとより市町の広域連携は、地方制度調査会答申にもありますとおり、地域の実情に応じ、自主的な取組として行われるものであり、多様な手法の中から最も適したものを市町が自ら選択することが適当とされておりますが、行政サービスを適切に維持し、安心して快適に暮らすことのできる持続可能な地域社会を構築していくためには、県といたしましても、より一層、それぞれの圏域における市町の連携を促進していくことが必要であると考えております。
このため、引き続き、定住自立圏等に関する市町の取組に対し助言を行うほか、課題に応じて複数の市町が適切に連携し、解決に導くことができるよう、ブロック別市町村長会議や副市町長で構成するとちぎ地方創生推進会議等におきまして、エリアごとの課題解決に向けた地域間連携の取組について情報共有を図るとともに、市町の区域を越えた広域的な地域活性化の取組を支援するわがまちつながり構築事業等の活用を促進してまいります。
今後とも、必要な行政サービスが安定的に提供され、持続可能で活力ある地域社会が構築できるよう、さらなる地域間連携の強化に努めてまいります。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま知事から答弁をいただきました。先ほどの答弁の中で、今後、地域連携などについては助言をしていく、そういった会議の中で課題に応じて適用していくとのことでありますけれども、本県における圏域の都市形成については、やはり基礎自治体がある中で、デリケートな問題だということは私も承知しております。また、それぞれの地域で解決すべき課題など様々ある中で、各市町が主体的に取り組み、県としては、適切に連携を取れるよう調整を担う役割だと思います。しかし、少子高齢化や人口減少が進む中で、市町においては、国や県の後押しを受けながら、定住自立圏や広域連携を進めてまいりましたが、結果として、人口減少などに歯止めがかからないのが現状であります。このまま急速な少子高齢化と大幅な人口減少が進めば、かつて対峙したことのない不確実な時代に突入していく中で、これら一つ一つの局面に対峙するには、将来を見据え、大きな未来像を栃木県が描いていくことが重要だと私は感じております。新しい時代を見据え、持続可能な自治体としていくためにも、今までの各市町の広域的な連携の推進だけではなく、さらに一歩踏み込んだ栃木県内全体の圏域内の枠組みを含めた新たな方向性を検討していただくよう強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
保育士の確保について、保健福祉部長にお伺いいたします。栃木県では、とちぎ
未来創造プランやとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)に基づき、各種施策を展開しているところですが、昨年の
合計特殊出生率が1.24となり、前年に比べ子供の生まれた数はおよそ1,000人減少し、3年連続で過去最低を更新するなど、少子化が加速しております。午前中の山形修治議員の代表質問でも取り上げられましたように、県では、この現状を受け、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトを取りまとめ、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援を行う各施策を推進していくとのことですが、今回は、子育て支援の中でも、特に、質の高い保育を支える保育士の確保という観点から質問させていただきます。
県では、これまでの待機児童対策の推進により、今年4月1日時点において、県内の保育所などの認可保育施設に入所ができない待機児童数が2年ぶりにゼロになりました。しかし、待機児童が発生する要因の一つとして考えられる保育士不足については、本県の令和4年10月時点の保育士の有効求人倍率は4.51と全国で最も高いことから、依然として、保育士不足は深刻な状況にあり、改善のための対策が急務であると考えます。一方、国では、
こども未来戦略方針において、これまで保留となっていた職員配置基準の改善や、全ての子育て家庭を対象としたこども誰でも通園制度(仮称)の創設を示したことから、新たな保育ニーズへの対応が必要になると推測されます。また、昨年9月に保育施設において送迎用バスに置き去りとなった園児が死亡するという痛ましい事故が発生し、さらには、全国の保育施設において、保育士による不適切な保育の事案が相次いで報道され、保育士不足による現場の保育士への負担がその根本にあるのではないかとも言われております。
子育て支援の取組を推進する上でも、また、保育施設における保育士の負担軽減を図りながら、質の高い保育を維持する観点からも、今後、保育士の需要はますます高まることが想定され、より一層の保育士の確保対策に取り組むことが重要であると考えます。これまで県は、国の基準を超えて保育士を増員させる場合の経費助成や潜在保育士の復職支援などに取り組んでまいりましたが、質の高い保育を維持しながら、今後の保育需要に応えていくためには、県内保育施設に従事する保育士のさらなる確保に向け、給与、労働環境など保育士の処遇改善や県独自の支援策など、これまで以上に踏み込んだ対策が必要と考えます。
そこで、県は今後さらに需要が高まることが見込まれる保育士の確保について、どのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。全ての子育て世帯への切れ目のない支援を行っていくためには、保育所等の受入れ施設の整備や保育士のさらなる確保など、保育環境の充実が重要であります。このため、県では宇都宮市と共同で設置しましたとちぎ保育士・保育所支援センターにおきまして、保育士等の就職相談やあっせん、潜在保育士の再就職支援等を行っております。さらに、オール栃木で保育士の確保を行うため、既存の会議体に幼児教育関係団体にも今年度から新たに加わってもらい、連携体制を充実させたところでありまして、より効果的な保育士確保の取組等につきまして協議を始めることとしてございます。また、これまでも保育士のキャリアアップ等の処遇改善に取り組んでいるところでありますが、保育環境のさらなる充実のため、より一層の処遇改善が図られるよう、引き続き全国知事会などを通じまして、国に強く要望してまいります。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま保健福祉部長から答弁をいただきました。とちぎ保育士・保育所支援センターの取組についてもお話がありましたが、現在はほとんどの都道府県で同様の機関を設置している状況ですので、やはりもっと踏み込んだ対策が必要ではないかと考えます。
ここで、保健福祉部長に再質問いたします。地方では、保育士の方の東京都や埼玉県といった都市部への流出が進んでいると言われております。本県も例外ではなく、その要因の一つとして、給料面や福利厚生などの充実に本県とは大きな差があると思います。例えば、都市部では、家賃補助など保育士を安定的に確保するための取組が充実していることなどが挙げられ、本県においても、こうした取組を充実させ、本県で働く保育士の確保につなげていくことが重要です。
そのためには、保育所などの協力が不可欠でありますが、最低賃金の値上がりなどによって運営面で保育所などの負担が増加していることを踏まえ、保育士の処遇改善や負担軽減に向けては、現在、県単独の補助事業である1歳児担当保育士増員費の引上げや新規採用の保育士の家賃支援、派遣保育士を活用する際の費用補助など、県独自に施策を拡充すべきと考えますが、保健福祉部長に所見をお伺いいたします。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。県では、他県に先駆けまして、県独自の施策といたしまして、1歳児担当保育士増員事業や食物アレルギー対応給食提供事業におきまして、国の基準を超えて職員を配置する場合の経費補助等を実施したところでございます。
引き続き、本県の状況を踏まえながら、各市町とも連携しながら保育士の確保に取り組んでいきたいと考えてございます。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま保健福祉部長から答弁をいただきました。答弁の中で、今後も各市町と連携しながら取り組んでいくとのことでありますけれども、本質問でも申し上げましたように、令和5年4月1日時点で待機児童数はゼロとなりましたが、特定の保育施設のみを希望する、いわゆる潜在的待機児童数は県内で596名との報告があり、保護者のニーズにまだまだ応え切れていないという現状もあります。そうした潜在的なニーズにも対応できる保育の受皿の拡充が着実に進むためにも、質の高い保育を支える保育士の確保に向け、処遇改善や負担軽減に県としてもさらに取り組んでいただきますよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
企業誘致のさらなる推進に向けた産業団地の整備について、
産業労働観光部長にお伺いいたします。昨今、ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス感染症などの影響もあり、海外から生産拠点を国内に回帰する事業移転の動きが活発化しております。そのような状況がある中で、本県としても企業誘致をさらに推し進めていく必要があり、今まさに産業団地整備の必要性が高まっております。県では、新とちぎ産業成長戦略において、令和7年度までに200ヘクタールの整備目標を掲げ、産業団地整備を推進することとしておりますが、地域によっては、企業からの引き合いはあるものの、ニーズに合った土地がないなどの声も聞いており、今後の産業団地の整備は喫緊の課題であると認識しております。
こうした中、国の地域未来投資促進法に基づき、佐野市及び野木町の区域が重点促進区域に設定されました。区域の設定に至るまでは、国との協議など大変なプロセスがあったのだろうと想像されますが、この制度を活用することにより、事業者が作成した計画に基づき、税の特例や金融支援などが受けられるほか、一定の要件の下、農地転用などの手続に関する配慮が受けられるとのことであり、これまでの企業誘致における課題の一つであった土地利用調整の新たな手法として、この制度の活用がさらに進むことを大いに期待しているところでございます。
一方、県の産業成長戦略では、工場の新設や増設などに伴う規制等については、引き続き関係機関との調整を図っていく必要があるとしています。この点に関して、食料の安定供給に不可欠な優良農地の確保や、宅地、商業地が無秩序に広がるスプロール化を防止する都市計画などの観点から、土地利用規制の重要性は言うまでもありませんが、今後の産業団地の整備に当たっては、物流や交通の利便性で企業ニーズの高い国道沿線や高速道路のインター付近などの地域においては、土地利用調整の手続が速やかに行われるよう市町を支援するなど、関係部局が連携した積極的な取組が重要になってくると考えます。
そこで、県は企業誘致をさらに推進するため、産業団地の整備に今後どのように取り組んでいくのか、
産業労働観光部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 石井陽子
産業労働観光部長。
(石井陽子
産業労働観光部長登壇)
◎石井陽子
産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。企業誘致は雇用創出と地域の活性化に大きく寄与することから、その受皿となる産業団地の計画的な整備推進は大変重要であります。このため、団地開発の円滑な事業化に向け、特に関係法令に基づく土地利用調整等につきましては、市町の事前相談の段階から関係部局が連携して支援に取り組んでおりまして、今月15日には、現在造成中の鹿沼インター産業団地、しもつけ産業団地に続き、仮称ではありますが、みぶ中泉産業団地の事業実施を決定したところでございます。さらに、現在、地域未来投資促進法の活用が可能な民間事業者の産業用地開発等を含め、複数の市町と産業団地等の開発に向けた協議を進めておりまして、引き続き、市町や関係部局等と緊密に連携を図りながら、優れた交通利便性など企業ニーズを踏まえた魅力ある産業団地等の整備に向け、鋭意取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま
産業労働観光部長から答弁をいただきました。ここで、
産業労働観光部長に再度質問をいたします。本県経済の活性化に向け、企業誘致の推進を図る上では、立地の利便性を生かした施策を進めていくことが重要と考えます。先ほど鹿沼インター産業団地やみぶ中泉産業団地といった事例を挙げていただきましたけれども、そのような中、県南地区は東京圏に最も近く、私の地元小山市においては、新幹線が停車し、南北に国道4号と新4号国道、東西に国道50号の広域幹線道路が市内を貫通しているなど利便性が高く、栃木県の南の玄関口として、さらなる経済の活性化が見込まれる地域であります。中でも、物流を考えれば、県南地区を東西に走る国道50号は、東北自動車道へのアクセスもよく、今後、沿線の開発によって、企業誘致が大いに期待できると思います。
一方で、沿線には田畑が多く点在しており、土地利用を推進していくには、農地法などの適用関係により農振除外や農地の転用などがあり、市街化調整区域の線引きの見直しも課題となっております。国土利用計画小山市計画の土地利用構想では、国道50号沿線活性化ゾーンにおいて、「北関東主要都市への交通アクセスの利便性を生かした地方創生のための整備を図る」こととしておりますが、県は、こうした地の利を生かし、さらなる企業の誘致や雇用の確保という観点からも、国道50号沿線の開発を市町と一体となって進め、新たな産業団地を整備していくことが必要と考えますが、
産業労働観光部長に所見をお伺いいたします。
○佐藤良 議長 石井陽子
産業労働観光部長。
◎石井陽子
産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。産業団地の整備に当たりましては、市町のまちづくりの方針をはじめ、交通利便性など産業団地としての適地性等を考慮することが大変重要でございます。現在、小山市が新4号国道沿いに開発中の産業団地につきましても、圏央道や都心への交通アクセスを生かすという小山市の土地利用構想を踏まえたものであると伺っております。小山市の地域は、東京圏への近接性や、国道50号、新4号国道等の優れた交通利便性など、企業の進出先として非常に高いポテンシャルを有していると考えておりますので、今後とも、市の意向を十分に伺いながら、企業誘致や、産業団地の確保、検討が円滑に進むように、県としても積極的に支援してまいりたいと思っております。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま
産業労働観光部長からご答弁をいただきました。産業団地につきましては、当然、市町の意向が優先でありまして、そういった中で、県がバックアップをしていっていただくことが重要だと思いますので、今後もぜひ連携を図っていただければと思います。
地方創生が叫ばれている中で、近隣の自治体では、いかに人を呼び込むかの知恵を絞り、沿線のさらなる活性化に向け、事業の展開を積極的に取り組んでおります。栃木県においても、地域間競争を勝ち抜くために、首都圏に近い地の利を生かし、企業誘致のさらなる促進と攻めの土地利用をしていただくことを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
「いちご王国・栃木」戦略の展開について、農政部長にお伺いいたします。本県の農業産出額は2,693億円と全国9位であり、首都圏における立派な農業県であります。特に、近年は米価の低下などを受け、生産構造が変化し、園芸と畜産の割合が高まっております。先日、農林水産省が公表した作物統計調査により、本県イチゴ生産量が55年連続で日本一となることが見込まれる記事を拝見し、大変喜ばしく思っており、イチゴはまさしく本県のトップブランドであると思います。首都圏に近いという有利な条件や栽培しやすい気候など、恵まれた条件ではありますが、私はやはりイチゴ農家のたゆまぬ研さんが大きく貢献していると考えており、改めて生産者や農業団体などの関係者の日々の努力に敬意を表するところであります。
しかしながら、イチゴは他県においても様々な品種が育成され、産地間の競争が激化しております。また、地元を回りますと、農業者の高齢化や跡継ぎがいないなど担い手の減少が危惧されるほか、農業資材の価格高騰により経営が厳しいなどの声も聞いており、こうした課題に対応していくことが必要と考えております。県におきましては、「いちご王国・栃木」戦略に基づき、「未来を創る『いちご王国・栃木』の挑戦」を基本目標として、主力品種として位置づけた「とちあいか」を中心に、「とちおとめ」、「スカイベリー」などの県オリジナル品種について、各品種の特徴を生かしながら、担い手、生産、ブランドの各戦略に取り組むこととしており、この戦略をいかに実現していくかがいちご王国・栃木のさらなる発展の鍵を握っていると考えております。
そこで、いちご王国・栃木のさらなる発展に向け、「いちご王国・栃木」戦略を今後どのように展開していくのか、農政部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、いちご王国・栃木のさらなる発展を図るため、需要に対応した品種ごとの生産目標を定めた戦略に基づき、人材育成をはじめ、生産から消費に至るまでの改革に取り組んでいるところでございます。具体的には、産地を担う人材の確保・育成に向けまして、農地や施設の確保、技術習得までをいちご王国就農パッケージとして支援を行うほか、マンツーマンで指導を行うとちぎ農業マイスター制度の充実により、県内外からの就農を促進しております。また、さらなる生産振興を図るため、労力の過半を占める苗作りや出荷調整作業の分業化を進め、省力化を図るほか、サポートチームによるきめ細かな技術指導を行っております。さらに、販路を拡大するため、首都圏、関西圏におけるいちご王国プロモーションの展開により、県産イチゴの魅力を全国に発信しますとともに、シンガポールでのトップセールスの実施や海外バイヤーとの商談を促進してまいります。
今後、新たに本県イチゴのおいしさをより多くの人に味わってもらうイチゴを贈る運動を展開するとともに、生産者や農業団体で構成する「いちご王国・栃木」戦略会議などで情報共有を図りながら、戦略の実現に向け、オール栃木で取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま農政部長からご答弁をいただきました。担い手、生産、ブランドの3つの戦略にしっかり取り組んでもらいたいと思います。その中でも、特に私が注目しているのは担い手戦略です。全国1位のイチゴ産地が将来にわたり揺るぎないものにするためにも、答弁いただいた取組を着実に進めていただき、イチゴ生産を担う農業者をしっかりと確保・育成していただきたいと思います。
ここで、農政部長に再質問いたします。5年後、10年後も栃木県のイチゴがトップブランドであり続けるためには、より多くの担い手を育てていくことが重要と考えます。イチゴの新規就農者は増加傾向にある一方で、新たに就農する若者にとっては、施設や機械などの初期投資の負担がネックになっていると伺っております。また、実際に地域を見回してみても、若い方が農業を継いでいるという農家が決して多いとは言えず、せっかく培われた技術や経営ノウハウを継承できずに途切れてしまうという残念な状況もあるということは、イチゴに限らず共通の課題であります。
就農を希望する若者が着実に就農し、さらには農業を続けられるようにしていくことも重要であり、初期投資の軽減や技術、経営、ノウハウの継承など、新規就農者の育成、支援に一層力を入れるべきと思いますが、どのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 熊田欽丈農政部長。
◎熊田欽丈 農政部長 再質問にお答えいたします。本県農業の持続的な発展に向けましては、農業を担う若い担い手を育成、支援していくことが重要であると考えております。このため、就農に当たって最も重要な栽培技術につきましては、農業大学校において、とちぎ農業未来塾を開催し、基礎的な技術の習得を支援するとともに、とちぎ農業マイスターによる実地研修や普及指導員による個別訪問等により、重点的に指導しております。また、経営が不安定な就農後のリスク軽減を図るため、施設や機械などの整備に必要な支援を行いますとともに、中古の施設や機械等のあっせん、修繕費用への支援なども行っております。さらに、地域に定着できるよう、青年農業者等を対象にニューファーマーカレッジを開催いたしまして、交流会や課題解決活動を通じた仲間づくりも進め、新規就農の育成、支援に積極的に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) 本県のトップブランドであるイチゴはもちろんのこと、本県農業を支える農業者がしっかりと経営を続けられるよう、引き続き新規農業者の育成について支援をよろしくお願いいたします。
ここで、要望いたします。本県の農業や担い手の経営を持続的に発展させていくためには、農作物の流通、販売も重要であります。現在、トラックドライバーの労働時間が制限されることにより物資の輸送能力が不足する、いわゆる2024年問題に関し、農産物なども影響を受けると聞いております。特に九州地方など遠方の産地は、東京都までどのように鮮度を保持し、輸送するか検討を進めていると聞いておりますが、本県においても、この問題の影響を受けないよう支援を行うとともに、東京都などの大消費地に近いという立地条件を生かし、鮮度を売りにした有利な販売を推進するなど、本県農業がさらに発展していけるような取組を要望いたしまして、次の質問に移ります。
第三期県立高等学校再編計画における県立高校の特色化の推進について、教育長にお伺いいたします。県教育委員会では、昨今の高校教育を取り巻く社会環境の急速な変化に対応していくため、中期的な視点に立ち、今後の県立高校再編の基本的な考え方を示した第三期県立高等学校再編計画案を今年7月に公表し、職業系専門学校の統合や中高一貫教育校の設置、単位制の定時制・通信制高校であるフレックス・ハイスクールの新設などを提示しております。少子化の影響で生徒数はさらに減少することが見込まれておりますが、こうした中においても、多様化する社会においては、栃木県の未来を切り開き、変化の激しい時代を生き抜く力を備えた人材、世界に羽ばたくグローバルな人材を育成することが求められており、生徒一人一人の学ぶ意欲を高め、その個性や能力を最大限に伸ばしていくためには、様々な学習ニーズに対応できるよう、各学校の特色化、魅力化をさらに進めていくことが必要であります。
計画案では、各校の特色化の推進について、今回新たに加えられた主体的・協働的に探求する学びや、教科等横断的な視点で学ぶSTEAM教育の充実を図るとともに、引き続き、先進的な理数教育を実施するSSH、いわゆるスーパーサイエンスハイスクールなどの事業の活用に努めるとしておりますが、例えば、他県においては、グローバル化に対応した能力を育成する国際的な教育プログラムであり、近年、国でも導入推進の動きが見られる国際バカロレアといった、新しい学びのスタイルの導入などによる特色ある学校づくりが進められており、本県においても、地域の実情を考慮し、地元の理解を得ながら、一部の学校を新しい学びのスタイルのモデル校として指定するなど、積極的に特色化を推進していくことも重要ではないかと考えます。
そこで、県教育委員会では、第三期県立高等学校再編計画において、今後、どのように県立高校の特色化を推進していくのか、教育長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 阿久澤真理教育長。
(阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。高校教育では、生徒一人一人の資質、能力を最大限に伸ばす個別最適な学びの充実を図るとともに、主体的に問題を発見し、多くの他者との協働により、その解決を目指して探求する学びを推進することが重要であります。このため、県教育委員会では、スーパーサイエンスハイスクール事業やSTEAM教育推進事業などにより探究的な学びを推進しつつ、生徒の学習ニーズや地域の実情を踏まえながら、各学校の特色化に取り組んできたところであります。さらに第三期県立高等学校再編計画案におきましては、生徒の多様な学習ニーズへの対応を充実するため、仮称ではありますが、未来共創型専門高校を設置するなど、協働的に探究する学びを推進することとしております。
今後は、計画を着実に推進していく中で、国際バカロレアなど新たな学びの研究も深めながら、これまで以上に特色ある学校づくりに取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま教育長から答弁をいただきました。ここで、教育長に再度質問いたします。第三期高校再編計画案では、特色ある学校の設置として、中高一貫教育校の設置拡充と県内で初めての設置となる中等教育学校への再編が示され、6年間の前期実行計画案に位置づけることとしております。私の地元の小山高校も中等教育学校へ再編という計画案が示されており、地域の方々はもちろんのこと、教育の新たなステージとしてどのような学校になるのか、大変注目しております。
そこで、県内初めての設置となる中等教育学校については、従来の教育からどのように変化し、特色化を図っていくのか。その設置目的や各校の特色について、地域住民はもとより、県民に分かりやすく伝えることが重要だと考えますが、中等教育学校の特色について教育長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。本県では、これまで併設型の中高一貫教育校を設置してまいりました。これは中学校からの入学者と、さらに高校からの入学者もいるということで6年間の教育という形になっているのですけれども、今回、計画しております中等教育学校につきましては、中学校からの入学者だけということで、6年間全員が一貫して同じ教育を受けていくということが大きな特徴になっております。このため、6年間を通して発展的で探究的な学びをじっくりと行うことができるということで、生徒一人一人の個性や創造性を最大限伸ばしていけるということが大きな特徴になってくるかと思います。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま教育長からご答弁いただきました。先ほどのご答弁の中で、6年間、全員が一貫教育のことをやりながら意思疎通を図っていって、個性ある探究的な学びを伝えていくとのことでありますけれども、第三期高校再編計画が示され、教育分野において新たなステージへとかじを取っていくことになると思います。県教育委員会におかれましては、子供たちの夢や希望をかなえるため、地域事情を考慮しながらも、課題の解決に向け取り組んでいただき、公立教育が担う役割を示し、栃木県の未来をつくる教育環境の充実を図っていただきたいと思います。また、中等教育学校の指定校についても、校舎の老朽化が進んでいる現状がありますので、校舎などの整備や建て替えも含め、今後検討していただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
小山市南部の思川における治水対策について、県土整備部長にお伺いいたします。私の地元の小山市内を流れる思川は、戦後、県内で最も早い昭和26年から栃木県により河川改修が行われてきました。一方、気候変動の影響もあり、台風などの集中豪雨などによる水災害が激甚化、頻発化し、特に令和元年東日本台風では、思川の上流域で総雨量約400ミリの大雨により、支川の豊穂川流域で、平成27年の関東・東北豪雨に続き、再び大規模な浸水被害が発生したほか、思川本川両岸で初めて3か所、合わせて1,225メートルにもわたり、溢水が発生いたしました。
思川は、河川整備計画において水害リスクが高い箇所として、上下流及び他河川とのバランスを図りながら、思川圏域内の各河川の河道整備などを行うこととされており、中でも小山市南部においては、思川の河川敷や川底の土砂を取り除くことで川の水が流れる面積を広げるための河道掘削や堤防の強化が進められております。小山市をはじめ、地元住民は、思川の溢水により堤防が決壊することによる甚大な被害を憂慮しており、同じ流域で再び水害が発生しないよう、思川の治水対策を積極的に推進していく必要があると考えます。
そこで、県は、小山市南部の思川における治水対策を今後どのように進めていくのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。小山市における思川の治水対策は、平成25年度までに築堤及び構造物の改築がおおむね完了し、平成28年度から、野木町の国との管理境から小山大橋までの6.8キロメートル区間につきまして、交付金事業として必要な流下能力を確保するための河道掘削を実施しております。このうち、令和元年度までに国との管理境から乙女大橋下流部までの掘削が完了し、現在は残る網戸大橋及び石ノ上橋付近の2か所の掘削を実施しており、これまでにおおむね7割の掘削が完了したところであります。加えて、洪水時に粘り強い堤防とするため、県単事業としまして、越水箇所を含めた6か所の腹づけ等による堤防強化を実施しており、これまでに5か所が完了したところであります。
今後とも、思川の河道掘削や堤防強化を進めるとともに、小山市をはじめとするあらゆる関係者による流域治水対策と連携しながら、思川の治水対策を進めてまいります。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま県土整備部長からご答弁をいただきました。答弁の中で、7割の掘削が完了しており、堤防強化なども、これからも引き続きやっていただけるということであります。豊穂川のような支川での氾濫、特に思川との合流点付近で浸水などの大きな被害を受けたため、本川である思川での治水対策が着実に進むことで、氾濫をできるだけ防ぎ、減らすことができ、地元住民の安心につながるものと期待します。今後も、国、県、市と一体となって引き続きの治水対策を進めていただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
最後に、県道小山環状線(仮称)粟宮アンダーの整備について、県土整備部長にお伺いいたします。私の地元である小山市は東京圏から約60キロメートルに位置し、道路は、国道4号と新4号国道、国道50号の広域幹線道路が市内を南北、東西に貫いているなど、本県南部の交通の要衝となっておりますが、近隣市町が一体となって連携し、県南地域の玄関口としてさらに発展することにより、県全体の活力につなげていくためには、周辺地域において人流や物流を活発にする道路ネットワークのさらなる充実が必要であると考えます。
小山市内の道路ネットワークについては、南北を結ぶ主要な路線として、新4号国道、国道4号をはじめ、県で現在整備を進めている都市計画道路小山野木線がございます。一方、東西を結ぶ主要な路線は国道50号と県道小山環状線のみであることから、市中心部の混雑緩和や周辺地域の円滑な移動、災害時の迂回路など、今後の道路ネットワーク形成を考えていく上では、東西の路線を充実させることが最重要課題となっております。
このような中、県道小山環状線において、粟宮地区の踏切区間の立体交差化、いわゆる粟宮アンダーの整備が今年度着手されました。この事業は、渋滞緩和や交通の利便性を高めていくために、地元では何年も前から熱望されていた事業であり、さらに、この粟宮地区及び周辺一帯の地域については、国道50号沿線の道の駅思川から新間中橋を渡り、国道4号までの道路整備により人の流れが多くなったことや、近隣に新小山市民病院をはじめ、小山警察署、小山消防署、市立体育館が立地し、昨年度着手された粟宮新都心第一土地区画整理事業により、さらなる交通量の増加も見込まれることなどから、小山市の道路ネットワークを形成する重要な区間として、早期の事業完了が求められております。
そこで、県道小山環状線粟宮アンダーの整備状況や今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県道小山環状線は、小山市の都市環状機能を担うとともに、市南部地域において、国道50号を補完し東西交通を支える幹線道路であります。しかしながら、粟宮地区の国道4号との交差点から、本年4月に供用しました粟宮工区との間の約0.8キロメートル区間は、道路の幅員が狭く、大型車の擦れ違いが困難であるとともに、JR宇都宮線との交差部が踏切道であることから、車両等の安全で円滑な通行が課題となっております。このため、県では道路の拡幅及び踏切道の立体交差化を実施することとし、今年度から交付金事業を導入しまして、用地取得を進めるとともに、立体交差工事に向けましてJR東日本と協議を開始したところであります。
今後も、小山市や関係者の協力を得ながら、事業推進に努めてまいります。
○佐藤良 議長 大木英憲議員。
(5番 大木英憲議員登壇)
◆5番(大木英憲議員) ただいま県土整備部長からご答弁をいただきました。今後も事業推進に努めていただきたいと思います。小山市は、首都圏に近い立地でありながら、高速道路がないことで、物流や企業立地も含め、今後、課題を解決する上でも、東西の路線を充実させることが重要課題であります。現在、小山環状線の粟宮アンダー事業に加え、県道藤岡乙女線の乙女大橋の架け替えが進められていく中で、乙女大橋周辺には、都市計画道路として決定された間々田南通りもあり、東西を結ぶ路線のさらなる強化や、将来的には小山環状線を新4号国道まで延伸させていく道路のネットワーク形成が必要と考えます。そのため、県におきましても、その重要路線の一つである粟宮アンダー整備が一日も早く完了され、さらには、小山市の道路ネットワークの充実・強化につながるよう、地元や関係者と連携し、事業を進めていただきますよう重ねて要望いたします。
最後に申し上げます。今回は、栃木県において、人口減少・少子高齢化が加速していく中で、子育て環境や福祉の充実、さらには教育面の強化などにより、いかに人を呼び込むかの知恵を絞り、一丸となって、地域間競争を勝ち抜いていかなければならないという思いで質問をさせていただきました。ふるさと栃木県の未来像、このことは私たちのような責任世代にとりましても大きな期待であります。新しい時代の変遷の中にあっても、ふるさと栃木県がどう移り変わり、未来に向かって強い栃木県へと成長していくのか、今が重要だと考えます。私は、これからもその思い一つ一つを胸に刻んで、精いっぱい取り組んでいきたいと思います。
以上で私の全ての質問を終わります。
○佐藤良 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。25日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。
本日はこれで散会いたします。
午後3時49分 散会...