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令和 3年度栃木県議会第381回通常会議-12月02日-02号

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  1. 栃木県議会 2021-12-02
    令和 3年度栃木県議会第381回通常会議-12月02日-02号


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    令和 3年度栃木県議会第381回通常会議-12月02日-02号令和 3年度栃木県議会第381回通常会議 (1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名 12月2日(木曜日)  出席議員 45名   1 番      小 池 篤 史   2 番      湯 澤 英 之   3 番      石 坂   太   4 番      岡 部 光 子   5 番      加 藤 雄 次   6 番      金 子 武 蔵   7 番      あ べ ひろみ   8 番      中 屋   大   9 番      塩 田 ひとし   10 番      野 村 せつ子   11 番      相 馬 政 二   12 番      西 村 しんじ   13 番      小 菅 哲 男   14 番      小 林 達 也   15 番      平 池 紘 士
      16 番      高 山 和 典   17 番      吉 羽   茂   18 番      池 田   忠   19 番      琴 寄 昌 男   21 番      横 松 盛 人   22 番      加 藤 正 一   23 番      斉 藤 孝 明   24 番      松 井 正 一   25 番      保 母 欽一郎   26 番      青 木 克 明   27 番      野 澤 和 一   28 番      山 口 恒 夫   29 番      白 石 資 隆   30 番      関 谷 暢 之   31 番      中 島   宏   32 番      早 川 桂 子   33 番      日向野 義 幸   34 番      渡 辺 幸 子   35 番      阿 部 寿 一   36 番      佐 藤   良   37 番      山 形 修 治   40 番      一 木 弘 司   43 番      岩 崎   信   44 番      小 林 幹 夫   45 番      五月女 裕久彦   46 番      相 馬 憲 一   47 番      螺 良 昭 人   48 番      三 森 文 徳   50 番      木 村 好 文   51 番      板 橋 一 好  欠席議員 1名   39 番      山 田 みやこ (2)説明のため出席した者の職氏名  地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者   知事       福 田 富 一   副知事      北 村 一 郎   副知事      末 永 洋 之   総合政策部長   阿久澤 真 理   経営管理部長   國 井 隆 弘   県民生活部長   千金楽   宏   環境森林部長   鈴 木 英 樹   保健福祉部長   仲 山 信 之   産業労働観光部長 辻   真 夫   農政部長     青 栁 俊 明   県土整備部長   田 城   均   国体・障害者スポーツ大会局長            橋 本 陽 夫   会計管理者会計局長            熊 倉 精 介   企業局長     琴 寄 行 雄   総合政策部次長総合政策課長            笹 川 正 憲   財政課長     小 林 宣 夫   教育長      荒 川 政 利   代表監査委員   平 野 博 章   人事委員会事務局長            清 水 正 則   労働委員会事務局長            渡 邉   慶   警察本部長    野 井 祐 一 (3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名   事務局長     大 橋 哲 也   次長兼総務課長  伊 藤 美智雄   議事課長     栗 原   亨   政策調査課長   土 屋 篤 史   議事課課長補佐  諏 訪 勝 也   課長補佐     谷 平 正 治   主査       手 塚 英里子   主査       青 木 和 之   主査       君 島 義 人   主査       関   敏 秀   主査       荒 川 尚 子 ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は45名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――    午前10時 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  日程第1 第1号議案から第10号議案まで及び第13号議案から第22号議案までを一括して議題とし、質疑を行います。  この際、お諮りいたします。質疑と併せて県の一般事務に関する質問を行うことにご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○阿部寿一 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。  発言通告者に対し、発言を許します。小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) 皆様、おはようございます。とちぎ自民党議員会の小林幹夫でございます。本日は、とちぎ自民党議員会を代表して、よりよいとちぎづくりにつながるよう、県政の重要な課題等8項目について質問してまいりたいと思います。知事をはじめ執行部におきましては、県民の皆様の心に希望の光がともるような前向きな、そして明快なご答弁を期待して、早速質問に入りたいと思います。  最初に、令和4年度当初予算編成と国の経済対策への対応について、知事にお伺いいたします。さきの第380回通常会議の最終日である10月15日に、知事から令和4年度の当初予算編成方針が示されました。同方針において、令和4年度の収支見込みについて、企業業績の改善等による県税の増加が期待できるものの、医療福祉関係経費公共施設等長寿命化対応経費の増加などにより、令和3年度当初予算の財政収支以上に悪化し、約107億円の財源不足が見込まれるとしています。このことから、県財政は引き続き厳しい状況にあると考えられます。  しかしながら、今後、第6波が懸念される新型コロナウイルス感染症への対策や、来年度開催するいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会に向けた準備、国が予算の重点化を進めるグリーン化やデジタル化などへの対応に加え、人口減少、少子高齢化が進行する中にあっても地域活力を維持していくためには地方創生についても力を入れていく必要があるなど、取り組まなければならない県政の課題は山積しております。  そこで、こうした状況の中、県はどのような考えに基づいて令和4年度当初予算の編成をしていくのか、知事にお伺いいたします。また、国が先頃取りまとめた経済対策においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、ウィズコロナ下での社会経済活動の再開などを進めるとしていますが、県は今後どのように対応していくのか、併せてお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの小林幹夫議員のご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症につきましては落ち着いた状況で推移しているところではありますが、今後の感染再拡大に備え、引き続き、医療提供体制の確保を図るとともに、社会経済活動の回復に向け、県内消費・投資を喚起するほか、新たな行政課題であるデジタル化や脱炭素化に対応することにより、本県を次なる成長の軌道に乗せていくことが重要であると考えております。また、目前に迫ったいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催に向け万全を期すとともに、感染症の影響によりもたらされた新たな日常にもしっかりと対応しながら、とちぎ未来創造プラン及びとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)を着実に推進していく必要があります。このため令和4年度当初予算におきましては、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドを一層推進するとともに、自主財源の確保を図るなど、とちぎ行革プラン2021に基づき、歳入歳出全般にわたり徹底した見直しを進め、必要な財源を確保しながら、めり張りのついた編成に取り組んでまいります。  また、経済対策につきましては、鋭意情報収集に努めているところであり、国に呼応し、着実な対応が可能となるよう準備を進めますとともに、新型コロナウイルス感染症に関する臨時医療施設の設置等、早急に実施すべき取組につきましては、今通常会議中に追加の補正予算を編成し、提出する考えであります。  今後とも、財政の健全性を確保しながら、未来に誇れる元気な栃木の実現に向け全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) 知事からは、諸課題についてしっかりと対応していくとのご答弁をいただきました。  ここで要望させていただきたいと思います。令和4年度の当初予算編成方針の中で重点事項とされた脱炭素化の取組などに係る予算については、単なる経費ではなく、未来への投資であるとの認識の下、十分な取組が展開できるよう予算編成を進めていただくとともに、全体としては、事業の見直しにより真に必要な取組を見極め、スクラップ・アンド・ビルドを進めるなど選択と集中を図り、より効果的に効率よく施策の展開や事業の実施ができるよう、限られた財源を有効に使い予算編成に当たっていただけるようお願いしたいと思います。また、効果的な財政運営のために、どのぐらいの予算を使ってどのくらいの効果が出たのか、費用対効果の見える化もできる限り実施していただきたいと思いますし、国の経済対策事業などについても、活用できるものについては積極的に活用していただきたいと思います。  次の質問に移ります。新型コロナウイルス感染症の次の感染拡大への対応について、知事にお伺いいたします。先月30日に新型コロナウイルスの新たな変異株オミクロン株の感染者が日本で初めて確認されたとの報道がありました。昨日2名の感染者が国内にいるという報告、そして、その1名はワクチンを2回接種したにもかかわらず感染しているという情報、そして海外では、イスラエル人の医師の方がファイザー社のワクチンを3回接種したにもかかわらずオミクロン株に感染したなどという情報があります。急速な拡大が大変心配されているところでありますけれども、本県の感染状況は全国と同様に落ち着いた状態が続いており、感染者数が低いレベルで推移しているため、医療提供体制への負荷も少ない状況が続いております。  また、ワクチン接種については、先月28日の時点で、2回目の接種率が全人口比で78.86%、12歳以上人口比で86.94%となっており、希望する県民への2回接種はおおむね完了しているものと考えられます。ワクチン接種が先行したヨーロッパ等では再び感染が拡大し、一部ではロックダウンを実施している地域やワクチン接種の義務化を決めた国もあり、また、接種率が日本よりも高く、先月初旬から行動規制を大幅に緩和した韓国でも感染者数が再び増加している状況にあります。  こうした中、国は11月12日に、次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像を示し、今年の夏を超える感染拡大が起こった場合にも対応できるよう、医療提供体制の強化、ワクチン接種の促進、治療薬の確保を進め、感染拡大を防止しながら社会経済活動を継続していく方向性を決定したところであります。今後、疲弊している県内経済を回復させ、日常生活を取り戻していくためには、感染拡大にも耐えられるよう、県内における検査体制や医療提供体制を強化するとともに、市町と連携してワクチン接種を促進していくことが重要であると考えます。  そこで、国が決定した全体像を踏まえ、次の感染拡大に備えてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
    ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。新規感染者数が急増したこの夏の第5波は、10月後半には収束を迎え、それ以降、新規感染者数は低い水準が続いておりますが、これまでの間、病床の確保や宿泊療養施設の増設、自宅療養者への往診体制の構築や健康観察体制の強化に加え、ワクチン接種を推進し、希望する方への11月中の接種が完了するなど様々な取組を進めてまいりました。そのような中、国が11月12日に次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像を決定したことを受け、本県としても、医療の逼迫度合いを重点的に監視する新たな警戒度基準を設定し、必要な対策を機動的に講じるとともに、先月末に保健・医療提供体制確保計画を策定し、医療提供体制等の強化を図ることといたしました。  まず、入院等の体制につきましては、第5波のピーク時の1.2倍の入院者数に対応できるよう、確保病床を502床から533床へと増やすとともに、その稼働状況を見える化し、病床の効率的な運用を進めるほか、特に感染者が急増した県南・安足地域等において、新たに臨時の医療施設として最大5施設100床程度を整備することといたしました。また、早期受診、早期治療による重症化防止に向けて、診療・検査医療機関等との連携強化や、中和抗体薬投与の体制強化に取り組んでまいります。  次に、自宅療養者につきましては、健康観察等を行う保健所の体制の強化や電話診療、往診・訪問看護、薬剤提供体制の構築を図るほか、宿泊療養施設について、新たに3施設を追加し、計9施設1,065室程度の確保に向け調整を進めております。  さらに、ワクチン接種につきましては、国の方針に基づき、2回目接種完了から原則8か月以上経過した方を対象に今月から追加接種が開始されたことから、実施主体である市町が円滑に接種できるよう、医師会等関係団体と緊密な連携を図りながら必要な支援を行うとともに、モデルナ社ワクチンの追加接種が承認された後、ワクチンが供給される見込みである2月から、県営接種会場を再開する方向で準備を進めてまいります。  加えて、感染リスクを引き下げながら社会経済活動を継続していくためには、ワクチン接種に加え、有症状者のみならず、無症状者に対するPCR等検査を促進することが有効でありますことから、健康上の理由等によりワクチン接種が受けられない方を対象とする検査や、感染拡大の傾向が見られた場合に知事の判断により行われる無症状の方を対象とする検査について、無料で実施できる体制を今月中に構築いたします。  今後、ワクチン接種の進展や治療薬の開発などにより新規感染者に占める軽症者の割合が多くなるなど、これまでと異なる感染状況が見込まれる中、新たな変異株等による感染の再拡大も懸念されますことから、医療の逼迫が生じない水準に感染を抑え、感染拡大防止社会経済活動の両立を図ることができるよう、必要な対策に万全を期してまいります。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) 知事からは非常に丁寧な答弁をいただきました。  ここで保健福祉部長に再質問したいと思います。多くの方がワクチン接種をしている現状では、ワクチン接種をしていない方、ワクチン接種ができない方が不当な偏見、差別を受けないよう、今まで以上に県民への啓蒙啓発が必要になると考えますけれども、その点について、保健福祉部長の考えをお伺いしたいと思います。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。ワクチン接種は強制ではなく個人の判断が尊重されるべきものと考えておりますので、ワクチン接種の有無によりまして不当な差別的取扱いがなされることは許されることではないと考えております。こうした中、先月、国からワクチン・検査パッケージが示されました。この制度はワクチンの接種歴や陰性の検査結果を確認することによって行動制限を緩和するというものでございますが、この制度の運用に当たりましては、ワクチン接種ができない方、あるいはしない方に対するより一層の配慮が必要であると考えております。県では新型コロナウイルス感染症との闘いを乗り越えるオールとちぎ宣言を行いまして、各種啓発活動を行うなど新型コロナウイルス感染症関連の差別解消に向けた取組を進めているところでございますので、ワクチン接種の有無で差別、偏見などが生じませんよう啓発等に取り組んでまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) ぜひ差別や偏見が生じないように、よろしくお願いしたいと思います。  再度、保健福祉部長に質問いたします。本県では、来年2月から3月に3回目接種の対象となる医療従事者や高齢者を中心とした約48万3,000人の方のうち、97%は1回目、2回目にファイザー社製のワクチンを接種しておりますけれども、本県へのワクチンの配分では、その中の4割以上の方が3回目接種はモデルナ社製を打つことになると試算されております。1回目、2回目と3回目のワクチンの種類が違う交差接種に不安を感じる方も多いと思います。不安を払拭するためには交差接種について適切な周知が必要と考えますが、その点について、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。先般、令和4年2月接種・3月接種分のワクチンの配送量が国から示されましたが、1回目と2回目が同種のワクチンの接種を希望される場合には、ファイザー社ワクチンが大きく不足することが予測されておりまして、現場から不安の声が上がっております。こうしたことから、先月21日の全国知事会の会議におきまして、知事から、ファイザー社ワクチンの追加供給と交差接種に関する安全性等について、国民レベルでしっかりと周知するよう要望したところでございます。今後の追加接種に向けましては、県民がワクチン選択の際に混乱が生じないように適時適切な情報提供を行いまして、交差接種に対する不安の払拭に努めてまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) ぜひ県民の皆さんが不安を感じないように、よく周知をお願いしたいと思います。そのほか経口薬の問題等もありますけれども、この点につきましても県民の皆さんに不安が生じないように、配分状況などについてもぜひ説明をお願いしたいと思います。  ここで要望させていただきたいと思います。現在、感染状況は落ち着いておりますけれども、第5波が急激に収束した原因は諸説あり、はっきりしておりません。なぜ収束したかということについてはまだはっきりとした原因がつかめていないわけでありまして、また、日本に先行してワクチン接種が進んだ諸外国においても、ブレークスルー感染など再び感染が拡大している地域もあること、世界保健機関(WHO)が警戒度が最も高い分類の懸念される変異株(VOC)に指定した新たな変異株であるオミクロン株が広がりつつあることなど、今後、第6波が到来するという懸念は払拭することができません。冬のこの時期は、低温、乾燥によりウイルスが活発化しやすくなることに加え、寒さが厳しくなると屋内での活動が多くなること、年末年始はふだん接触しない方と接触する機会が増えることなども想定されることから、まずは換気、マスクの着用、そして人と人との距離の確保など、基本的な感染対策の徹底など、感染拡大を予防する新しい生活様式の定着に向けた周知を引き続きお願いしたいと思います。  先月末には、新型コロナウイルス感染症について、検査から療養、回復までの切れ目ない対応で県民が安心できる総合的な保健・医療提供体制を整備する計画を策定したと先ほどの知事のご答弁にあったわけでありますけれども、これまで課題となった人材の確保や、保健所と地域医療機関との連携体制の強化など、必要な対応を着実に、そして確実に進めていただくことをお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。新型コロナウイルス感染症第5波の収束を受けた今後の経済対策について、知事にお伺いしたいと思います。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が長期化し、人の外出や移動の制限などの行動制限に伴い内需が消失したことは、地域経済を大きく傾かせる結果を招きました。現在は、第5波の収束に伴い社会経済活動はコロナ禍以前の状況に戻りつつあるものの、長引くコロナ禍の影響による負の遺産を取り返すまでには至っておりません。国においても数次にわたり経済対策を行ってきたところでありますが、先月19日に、コロナ禍で傷ついた経済を立て直し、成長軌道に乗せるため、総合的な経済対策であるコロナ克服・新時代開拓のための経済対策を発表したほか、新たな行動制限緩和策を決定し、緊急事態宣言下でもイベントや飲食の参加人数の上限を撤廃するなど、具体的な対応方針を示し、感染拡大防止社会経済活動の両立の下、手厚い経済支援策を講じていくこととされました。  県では、資金繰り支援の充実・強化、営業時間短縮協力金や事業継続支援金など各種給付金等による県内企業の下支えに加え、県民一家族一旅行等の需要喚起など様々な支援策を講じた結果、一定の成果があったものと認識しております。しかしながら、早くも第6波の到来が懸念される中にあって、感染拡大防止を図りながら、ポストコロナを見据えて、本県経済の成長・発展が遂げられるよう、国の支援策とも連動しながら適時適切に対策を講じていく必要があると考えます。  そこで、県では、第5波の収束を受けてどのように経済対策に取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症の影響により県内経済は大変厳しい状況となり、県ではこれまで過去最大の融資枠の確保等による資金繰り支援や、時間短縮営業を行う飲食店等に対する協力金の支給、売上げが減少した事業者への支援金の給付など、落ち込んだ経済を下支えするため様々な支援策に取り組んでまいりました。こうした取組や第5波の収束に伴う行動制限緩和等により、本県経済は持ち直しつつあるものの、宿泊業や飲食業を中心に、長引くコロナ禍による経済的損失を補うまでには至っていない状況にあります。このため、第5波の収束に伴い、足元の観光需要と消費の喚起に向け、速やかに第2弾県民一家族一旅行を実施し、現在は感染拡大前の一昨年と比べて宿泊客が7から8割まで回復しているほか、Go To イート事業の再開等により飲食店に客足が戻り始めている状況にあります。  このような中、先般、国におきまして閣議決定されたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策では、無利子・無担保融資等の資金繰り支援の延長や、事業規模に応じた支援金の支給等により感染症の影響を受けた事業者に対して支援を行うとともに、ワクチン・検査パッケージを活用したGo To トラベル事業の再開など、ウィズコロナにおける社会経済活動の継続を図るほか、ポストコロナを見据え、中小企業等のグリーン・デジタル分野などの成長を後押しすべく、新分野展開や事業転換への支援などに取り組むこととしております。  県におきましては、国の経済対策に呼応して、まずは第2弾県民一家族一旅行について、年明けからの隣県への対象拡大や対象期間の延長に向け、今通常会議中に追加の補正予算を提出したいと考えております。このほか、国の経済対策における各種支援策を事業者が効果的に活用できるよう情報収集に努めるとともに、経済団体等と連携し、その周知や相談対応等を行ってまいります。  今後は、原油価格の高騰や部品供給の停滞などの影響による景気悪化も懸念される中、国の動向や県内企業のニーズ等を踏まえながら、現下の状況を早急に克服するとともに、ポストコロナにおける成長・発展が遂げられるよう、国や市町、関係団体等と緊密な連携を図りながら、オール栃木で経済対策に全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) ただいまは知事から非常に前向きなご答弁をいただきました。  ここで要望させていただきたいと思います。第6波の到来の懸念がありつつも、感染状況に留意し、感染防止対策を徹底しながら、ポストコロナを見据えて社会経済活動を加速させていくことが必要であると私は考えております。県の対策や事業者の努力により、県内経済情勢は持ち直しつつあります。先月、関東財務局宇都宮財務事務所が公表した県内経済情勢の10月の総括判断でも、「感染症の影響により、厳しい状況にあるものの、緩やかに持ち直しつつある」とされており、また、企業の倒産件数は低水準で推移しております。しかし、長引くコロナ禍で多くの中小企業の稼ぐ力が衰えており、制度融資などで資金繰りをしのいできた事業者も多いわけですが、今後、返済期限を迎えたとき、返済の原資の確保に窮する懸念があります。県には、引き続き、業種や事業規模などそれぞれの事業者の状況に応じたきめ細かい支援をお願いしたいと思います。また、事業者が県などの支援策について確実に情報を得られるよう、積極的な周知もお願いしたいと思います。さらに、オンライン化や脱炭素化に前向きに対応しようとする事業者に対しても、人材の育成や専門家の派遣などにより積極的な支援をしていただきたいと思います。コロナ禍以前にも増して本県経済が成長・発展できるよう、適時適切に積極的な対策を講じていただくことを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。  G7関係閣僚会合の誘致について、知事にお伺いいたします。11月25日の定例記者会見で、知事は、2023年日本開催予定のG7サミットに伴う関係閣僚会合の日光市への誘致を目指すことを表明されました。国際会議等の誘致は知事の政策集に掲げられており、その実行に向けた真摯な姿勢や行動力に敬意を表するところであります。県民の関心も高く、大いに注目していることと思います。  G7サミットは、主要7か国が持ち回りで開催し、直近の日本開催は平成28年、2016年の伊勢志摩サミットでありました。このときは10の分野の関係閣僚会合が開かれ、日本で開催されたG7サミットでは過去最多でありました。今回どういったG7関係閣僚会合が開催されるかはまだ明らかになっておりませんが、既にG7関係閣僚会合の開催実績のある仙台市や新潟市などが今回も名乗りを上げ、また、新たに長崎市が誘致を表明しております。今後のさらなる立候補も想定すると熾烈な競争となることが予想され、実現への道のりは平たんではないと思います。  しかし、本県でG7関係閣僚会合が開催されれば、県政史上画期的であり、新しい栃木の扉を開くことになるばかりでなく、日光をはじめとした本県の優れた観光資源を改めて国内外に発信する絶好の機会となり、また、新型コロナウイルス感染症により深刻な影響を受けた県内経済全体を回復から成長軌道に乗せる上でも、非常に意義のある取組だと考えられます。とちぎ自民党議員会としても積極的に支援していきたいと思います。  そこで、新たなとちぎづくりに向けて、G7関係閣僚会合誘致を進める知事の思いをお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。主要国首脳会議、いわゆるG7サミットは、主要7か国の首脳が一堂に会し、国際社会が直面する様々な課題について話し合う世界的に重要な会合であります。令和5年には日本で開催される予定であり、本県は、首脳会議に伴い分野ごとに開催される関係閣僚会合につきまして、豊かな自然や優れた歴史文化等を有し、世界的に知名度の高い日光市を開催地として立候補することといたしました。私は知事就任以来、様々な全国規模の大会の本県開催をはじめ、国内最大級の観光プロモーションでありますデスティネーションキャンペーンや、効果的に情報を届けるデジタルマーケティングの手法の活用などにより、愛するふるさと栃木の多彩な魅力と実力の発信強化に積極的に取り組んでまいりました。また、県産品や県産農産物等の販路開拓・拡大に向けた海外へのトップセールス、さらにはとちぎ型大使館外交など、世界から選ばれるとちぎづくりにも戦略的な取組を展開しているところであります。  こうした中、本県でのG7関係閣僚会合の開催が実現すれば、国内外に栃木の魅力がより一層浸透し、ブランド力の向上と、それに伴うインバウンドをはじめとした観光誘客の促進、県民のふるさとへの愛着や誇りのさらなる醸成など、その効果は日光市にとどまらず、県全体へ波及することが期待できると考えております。さらに、閣僚会合の開催は、未来を担う子供たちがグローバルな視野で考え行動するために必要な資質、能力を育み、将来、国際社会へ貢献できる人材の養成にもつながるものと考えております。国際会議の誘致は、とちぎ未来創造プランの将来像であります「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現に向けた新たな挑戦であります。地元日光市と緊密に連携しながら、日光の特色を踏まえた閣僚会合誘致を目指して来週にも計画書を提出してまいりたいと考えておりますので、議員各位をはじめ県民、市町、団体、企業などの皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) 知事からご答弁いただきました。人づくり、特に子供たちに対する取組は大いに共感するところであります。子供たちは新型コロナウイルス感染症の影響で特に国際交流の機会が減っていると思いますので、G7関係閣僚会合の開催が多くの子供たちにとって海外に目を開くよいきっかけとなるよう、ぜひとも取り組んでいただくことをお願い申し上げたいと思います。また、気の早い話でありますけれども、開催に当たっては歓迎レセプションなどが行われ、地元の旬な食材を使った料理などで外国の要人をもてなすことになると思います。先日、ベトナム首相一行が来県いたしましたが、その際に検疫条件等の関係で輸出のできない農産物もあるとお聞きいたしました。世界から選ばれるとちぎの実現に向けて、こうした機会に、本県の本当においしく安全な農産物を積極的にPRしていただくことを併せてお願いいたしまして、次の質問に参ります。  カーボンニュートラル実現に向けた県の取組について、知事にお伺いいたします。気候変動による影響は様々な分野で深刻化しており、その対策の強化は世界共通の喫緊の課題であります。先月13日に終了した国際連合気候変動枠組み条約第26回締約国会議、いわゆるCOP26では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5度に抑えるため、今から2030年までの10年間の取組が特に重要であるとされました。また、出席した岸田総理大臣も、2030年までの期間を勝負の10年と位置づけ、日本はもとより、全ての締約国に野心的な気候変動対策を呼びかけたところであります。  こうした中、本県においては、先日、2050年までにカーボンニュートラル、すなわち温室効果ガス排出量の実質ゼロを実現するためのロードマップ案が示されましたが、この中において、本県は、2030年までに2013年度と比べて温室効果ガス排出量を50%削減するといった国を上回る意欲的な目標が掲げられたことは大いに評価したいと思います。一方で、本県の2018年度の削減量を見ると、2013年度と比べて約10%であり、実質あと8年で50%削減するという目標を達成することは並大抵のことではないと思います。また、脱炭素社会の進展が業績に与える影響をマイナスに捉える県内企業も少なくないとの報道もされております。資金や人材面等で課題を抱える中小小規模事業者の皆さんがこうした懸念を抱くのも当然のことであると考えます。  しかし、先ほど申し上げたとおり、脱炭素化が国際的な潮流となる中において、私は、自動車産業をはじめとして全国有数のものづくり県である本県が、持続可能で力強い経済社会を構築していくためには、脱炭素社会の実現に向けて積極的に取り組むことが不可欠であると考えております。このため、県はカーボンニュートラルをなぜ目指すのか、それによってどんな栃木をつくろうとしているのかなど、ロードマップ案に掲げた理念について、県民や事業者の方々の理解と共感を得られるよう努めることがまずもって重要であります。  そこで、こうした理念などを条例として明らかにすることなどにより、各主体の自主的かつ積極的な取組を促し、カーボンニュートラルの実現につなげていくことが必要だと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。自然災害の頻発・激甚化や農作物の品質低下、熱中症リスクの増大など、気候変動による影響は県民生活の様々な分野に及んでおります。こうした影響から、県民の生命、財産を守り、持続可能で力強い本県の経済社会を構築するため、私は、2050年カーボンニュートラルの実現を宣言いたしました。今般取りまとめたロードマップ案におきましては、国を上回る温室効果ガスの削減目標を掲げるとともに、県議会からのご提言を踏まえ、太陽光や水力等の再生可能エネルギーの最大限導入や、脱炭素化の動きを捉えた県内産業の力強い成長の実現など、各分野における具体的な取組の方向性をお示しいたしました。さらに、産業や交通など各界の代表者から成るとちぎカーボンニュートラル実現会議におきましても、県議会のご提言と同様に、県民、事業者など各主体の参画が必要、目標の共有や啓発・教育の充実が求められるなどのご意見を頂戴したところであります。  私は、これらを踏まえると、カーボンニュートラルの実現には、あらゆる主体の理解や共感を得ながら、目標達成に向けたビジョンを共有し、オール栃木で取り組む機運を醸成していくことが重要であるとの思いを強くいたしました。このため、カーボンニュートラルの実現に向けた基本理念や、県民、事業者など各主体の責務と役割等を明らかにした新たな条例につきまして、来年度中の制定を目指してまいる考えであります。条例制定に当たりましては、県民や産業界、市町などから幅広くご意見を伺いながら、経済と環境の好循環によるグリーン社会の実現につながるものとなるよう取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) ただいま知事から、カーボンニュートラルを目指す意義や理念、各主体の役割などをより明確に県民などに示すため条例を制定するとのご答弁をいただきました。大変すばらしいご英断だと思います。COP26では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5度に抑えることを目指し、温室効果ガスの削減目標をさらに高めることで各国が合意いたしましたが、国際連合気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が今年8月に公表した最新の評価報告書では、たとえ厳しい対策を実施したとしても、一時的に1.5度を超える可能性が高いことが指摘されております。地球温暖化による気候変動の影響と思われる災害の激甚化、頻発化、熱中症の増加、生物の生息域や農作物への影響などのリスクを最小限化するためには、一刻も早くカーボンニュートラルを実現することが必要であります。  国主導の取組が必要なものもありますが、エネルギーの消費抑制や地産地消型再生可能エネルギーの導入拡大など、地域や個人で取り組むべきこともたくさんあり、この必要性を共有した上で、まずは一人一人が行動を起こすことが必要であり、重要であると考えます。脱炭素化の意義や目的、さらには脱炭素化の実現による栃木の将来像を理解し、共感し、共有することが主体的な行動の原動力につながると考えられます。条例制定に向けては、これまで以上に情報提供や丁寧な説明を行い、とちぎカーボンニュートラル実現会議や県議会、そして多くの県民、事業者等からも意見を聞き、本県がこの分野におけるトップランナーとなるべく、オール栃木で取組を推進していくための土台となるような条例となるよう検討を進めていただくことを期待するとともに、強く要望したいと思います。  次の質問に移ります。インフラ分野におけるデジタルトランスフォーメーションについて、県土整備部長にお伺いいたします。人口減少や少子高齢化が進行する中、現在の社会情勢は、AI、IoT、ロボットなど未来技術が生活の中で身近なものとして活用されています。物やサービスの生産性、利便性を向上させることにより、地域や年齢、障害の有無などによる格差をなくし、経済発展と社会的課題の解決を両立するSociety5.0の実現を目指したあらゆる分野におけるデジタル化の推進、さらには新型コロナウイルス感染症に対する非接触・リモート型の働き方への変容など、目まぐるしい変化を遂げております。  このような中、社会経済情勢の激しい変化に対応し、インフラ分野においてもデータとデジタルの技術を活用して、国民のニーズを基に社会資本や公共サービスを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、建設業などの働き方等を改革し、国民理解の促進や安全・安心で豊かな生活を実現するため、昨年7月、国土交通省はインフラ分野のDX推進本部を設置し、省横断的な体制でDXを強力に推進しております。  本県においても、地域の守り手である建設業における技術者の高齢化や担い手不足への対応が喫緊の課題であり、また、近年の気候変動に伴う頻発・激甚化する自然災害への対応や、高度成長期以降に整備された大量のインフラの老朽化対策といった課題も取り組んでいかなければならない状況にあります。このような状況も踏まえ、本県のインフラ分野においてもデジタル技術を活用することにより仕事のプロセスの効率化を図り、生産性の向上や働き方改革を推進することで公共サービスをさらに質の高いものへと変えていくことができ、結果として県民の安全・安心に大きく貢献するものと考えます。  そこで、県のインフラ分野におけるDXの取組をどのように進めていくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 田城均県土整備部長。    (田城 均県土整備部長登壇) ◎田城均 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では建設業における働き方改革を進め、安全で快適な労働環境を実現することで将来の建設業を担う人材を確保するとともに、県民の安全・安心な暮らしを守るため、インフラ分野におきましてもデジタル技術を活用した様々な取組を進めております。例えば、長時間労働の改善や週休2日の確保のため、3次元データを活用したICT施工やウェブカメラを活用したリモートによる現場監督等を実施し、作業の省力化・効率化に取り組み、生産性向上を図っております。さらに、AI等を活用した迅速で正確な防災情報の提供について検討を進めるなどしておりまして、これらデジタル技術を県民の安全・安心な暮らしの向上につなげてまいります。  今後とも、魅力ある建設業を実現し、将来の担い手の確保や、よりよい公共サービスの提供ができますよう、インフラ分野におけるデジタルトランスフォーメーションの推進に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) ここで県土整備部長に再質問いたします。県においても、ICT施工などインフラ分野におけるDXの様々な取組が行われているとのことであります。インフラ分野におけるDXの取組の成果と効果を分かりやすく周知することで、取組のさらなる横展開が図られると考えますけれども、県土整備部長の考えをお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 田城均県土整備部長。 ◎田城均 県土整備部長 再質問にお答えいたします。現在、県におきましては、様々な行政課題をデジタル技術を用いて解決するために、とちぎデジタル戦略を策定いたしまして、全庁挙げてDXに取り組んでいるところでございます。その中で、インフラ分野における取組の成果を庁内の関係部局と情報共有、連携いたしまして、他産業におきますDX技術との融合を含めて新技術の開発につなげることを目指しまして、DX技術のさらなる発展が図られますように、積極的にデジタル技術の横展開を図っていきたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) ここで要望させていただきたいと思います。インフラ分野におけるDXの推進は、事業に携わる事業者の働き方改革につながるとともに、公共施設の整備、維持管理、災害対策やまちづくりなど幅広い事業に資することから、引き続き県においても積極的な推進をお願いしたいと思います。県では今年度から、本県のデジタル化の司令塔となるCMOを登用し、既存の業務見直しによる業務の効率化や行政サービスの向上、職員の意識変革のための研修、デジタルハブの設置など、目指す栃木県を実現するためDXを強力に推進しています。県議会においても、先月策定した栃木県議会ICT化推進計画に基づき来年度4月からタブレットを導入するほか、資料のペーパーレス化やオンライン会議等を順次進めていくこととしており、業務の効率化はもちろん、政策立案、監視機能のさらなる充実や災害時等における議会機能の維持・確保を図るなど、DXの取組を推進してまいります。県においても、引き続き各分野でDXを推進していただくことをお願いして、次の質問に移ります。  自立と社会参加に向けた特別支援教育の充実について、教育長にお伺いいたします。先日、東京2020パラリンピック車椅子テニス女子ダブルスの銅メダリスト大谷桃子選手が、知事特別表彰の県スポーツ功労賞を受賞されました。本年開催されたパラリンピックは開会式や各種競技がテレビで中継され、これまで以上に注目が集まりました。競技種目のボッチャでは、脳性麻痺で両手両足に障害のある選手が金メダルを獲得し、水泳平泳ぎでは特別支援学校を卒業した選手が知的障害クラスで金メダルに輝くなど、パラリンピックは私たちに多くの感動を与えてくれました。また、彼らの活躍は、障害の有無にかかわらず誰もがその能力を発揮し、共生社会の一員として共に認め合い、支え合い、誇りを持って生きられる社会の実現の可能性を示してくれました。  折しも栃木県では来年度、全国障害者スポーツ大会いちご一会とちぎ大会が開催される予定であり、まさに共に生きる社会の実現に向け、県民意識の醸成が一層進んでいくものと期待しているところであります。この共生社会の実現に向けては、人々の理解を促進するとともに、次の世代を担う子供たち一人一人の可能性を伸ばす教育を推進することが重要であると考えます。県では、とちぎ未来創造プランにおいて、一人ひとりの可能性を伸ばす教育を掲げるとともに、県教育委員会では、本年2月に栃木県特別支援教育推進計画を新たに策定し、誰もがお互いに人格と個性を尊重し、支え合って共生する社会の実現を目指し、インクルーシブ教育システムの推進に向けて様々な施策に取り組んでおります。この計画の柱の一つに就学前から学校卒業後までの一貫した支援体制の構築が掲げられており、施策の方向として、障害のある子供が生涯にわたり自立し社会参加していくことができるよう、家庭をはじめ関係機関との連携により、切れ目のない一貫した支援体制の構築を目指すこととされています。  私は、共生社会を実現していくためには、子供の能力や特性に応じた指導や学びを充実させ、本来持っている力を最大限に発揮できるよう、日々の自立と社会参加を積み重ね、主体的に自分のできることを広げていける取組を一層進めていくことが重要であると常々考えております。そのためには市町や福祉関係機関はもとより、産業界との連携を深めていく必要があると考えております。  そこで、県教育委員会では、障害のある子供たちの自立と社会参加のための特別支援教育の充実に向けてどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。障害のある子供たちが生涯にわたり自立した生活を送るためには、一人一人に応じたきめ細かな指導、支援を行う必要があります。このため、各学校では福祉サービスの内容や指導上の配慮等をまとめた個別の教育支援計画を作成し、家庭や関係機関と情報を共有しながら連携の強化に努めております。また、これらの情報が円滑に引き継がれますよう、中学校や高校がそれぞれ行うべき内容や実施時期を示しました引継ぎモデルを作成、周知することにより、就学前から学校卒業後まで切れ目ない支援を推進しております。  今後は、卒業後、就職先などでも学校から引き継がれた情報の活用が図られ、必要な支援を受けながら安定した生活が送れるよう、就業体験の実施も含め、商工団体等に対して働きかけを行ってまいることとしております。県教育委員会といたしましては、市町や福祉関係機関、さらには産業界などとも十分に連携しながら、障害のある子供一人一人の自立と社会参加に向けた特別支援教育のさらなる充実に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) まだまだ十分とは言えませんが、障害があっても自立して生活していく道は開けてきています。社会全体が障害者とともに生きていく社会になるよう、特別支援学校、ひいては教育委員会が担う役割は非常に大きいと思いますので、しっかりと取り組むことをお願いしたいと思います。  ここで教育長に再質問したいと思います。特別支援学校の寄宿舎は、本来は遠方に住む通学困難な子供の教育を保障することを目的に設置されております。しかし、基本的な生活習慣を身につけるなど教育的理由の面から寄宿舎に入っている子供もいると聞いております。寄宿舎は、子供の生活基盤を整え、自立して社会参加する力を養う重要な役割を担ってきたと認識しております。ところが、先日、栃木特別支援学校と那須特別支援学校の寄宿舎が令和5年3月をもって閉舎となる旨、県教育委員会から発表がありました。建物の老朽化や本来の目的を考えれば閉舎はやむを得ないと考えますが、これまで寄宿舎で受け入れてきた遠距離の子供や教育的理由から受け入れてきた子供の対応が実質的に低下しないようにしなければならないと考えられます。  そこで、寄宿舎が閉舎となった後、どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。まず、遠距離によりまして通学が困難な地域に住む児童生徒につきましては、ほかの多くの児童生徒と同じように、スクールバスによりまして通学手段を確保することとしております。また、基本的な生活習慣を身につけさせるための教育につきましては、両校に生活訓練施設というものがございます。この施設を効果的に活用することによりまして、児童生徒の自立を見据えた指導、支援を行いながら、今後も児童生徒、それから保護者もですけれども、閉舎後の生活に不安を抱くことのないようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) 教育長から答弁をいただきました。寄宿舎の閉舎は再来年の3月、1年ほど先の話でありますけれども、閉舎後、子供たちが十分な生活指導を受け、安心して学校生活を送れるよう、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。また、寄宿舎解体後の跡地については、教育環境の充実が図られるよう、子供たちにとって有効な活用も併せて要望させていただきたいと思います。  次に、特殊詐欺対策について、警察本部長にお伺いいたします。本県の特殊詐欺被害は、昨年は認知件数が204件、被害総額約3億900万円と、ここ数年は年間200件前後で推移しております。特殊詐欺の昨年の被害者は全体の約9割が65歳以上の方々であり、そのほとんどを高齢者が占めております。だましの手口についても年々巧妙化しており、昨年は被害者宅を訪れ、キャッシュカードをすり替えて盗むキャッシュカード詐欺盗が増加しましたが、本年は、ここに来てオレオレ詐欺が急増しているとのことであります。また、特殊詐欺の被害者宅に赴き、現金やキャッシュカードを受け取る受け子に若者が加担している例があると聞いております。これからの社会を支える若者を特殊詐欺に加担させないための取組も重要な課題であると考えております。  県警察では、被害防止対策として、これまでに特殊詐欺被害防止コールセンターを設置して、電話帳などを基に1軒1軒電話をかけ注意喚起を呼びかけるほか、防犯機能付電話の普及促進、特殊詐欺被害防止検定の実施、金融機関と連携した水際対策などを推進していると聞いております。しかしながら、本年10月末現在では認知件数が122件、被害総額約2億5,600万円と、いまだに高水準で発生している状況を踏まえると、県民の財産を守り、県民が安全で安心に暮らしていくためには、さらなる対策の強化が必要であると考えます。  そこで、県民の安全・安心を守るため特殊詐欺対策にどのように取り組んでいくのか、警察本部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 野井祐一警察本部長。    (野井祐一警察本部長登壇)
    ◎野井祐一 警察本部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県警察では、特殊詐欺の撲滅に向け、防犯機能付電話機の普及促進と高齢者の抵抗力の強化を2本柱とし、コールセンター事業や被害防止検定、水際対策等各種対策を継続して推進しております。これらに加え、本年は家電販売店等に防犯機能付電話機普及促進アドバイザーを委嘱するとともに、県内のマスコミ、保険業、警備業等、高齢者とじかに接する機会の多い業態の企業・団体等に特殊詐欺被害防止アドバイザーを委嘱し、高齢者と接するあらゆる機会に被害防止のアドバイス等を行っていただくなど、被害防止活動を拡大しております。また、若者が特殊詐欺に加担しないために、同年代の専門学校生を対象に啓発動画コンテストを開催したところであり、これまでに作成してきた被害防止動画と併せて様々な企業に配付するなどして広報啓発に取り組んでまいります。  引き続き、関係機関・団体等と連携し、官民一体となって特殊詐欺撲滅に向けた対策に努めてまいります。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) ここで警察本部長に再質問いたします。県警察では、被害者のほとんどが高齢者であることから、様々な業態の民間の力をお借りするなど高齢者の抵抗力の強化として、高齢者自身が特殊詐欺だと気づき、被害者にならないための被害防止活動などに力を入れているとのことでありますが、特殊詐欺被害が減少しないという現状から、若者や高齢者に身近で訴えかけるような新たな対策が必要と考えますが、このことについて警察本部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 議長 野井祐一警察本部長。 ◎野井祐一 警察本部長 再質問にお答えいたします。議員ご指摘のとおり、民間の力を生かそうと様々な対策を講じてまいりましたが、被害が減少しない現状から、まだまだ新たな取組が必要と考えているところであります。そのため、若者や高齢者に直接訴える施策が必要と考えており、特殊詐欺の犯行グループからこれまでに押収してきた名簿を活用するなどして、被害を今後受けることが予想される方々や、特殊詐欺に加担させられるおそれのある若年層への対策を強化してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 小林幹夫議員。    (44番 小林幹夫議員登壇) ◆44番(小林幹夫議員) ここで要望させていただきたいと思います。コロナ禍において、これまで実施していた集合形式の防犯講話等は開催が難しい状況にあると聞いております。そのため、これまでの対策に加え、被害を受けることが予想される高齢者への防犯講話については、個々の高齢者の方々それぞれの状況を勘案しながら、個別に具体的なアドバイスを行っていくことをぜひ検討していただきたいと思います。また、特殊詐欺に加担するおそれのある若年層に対しては、学校や企業を通じた啓発活動を実施するなど、より効果的な対策を講じていただくよう要望したいと思います。様々な対策にもかかわらず被害が減らないことから、県民の安全・安心を守るため、新たな取組についてぜひ検討していただきたいと思います。  これで事前に通告いたしました私の質問は全て終了いたしました。新型コロナウイルス感染症第6波への懸念や、気候変動による自然災害の頻発・激甚化、物価の上昇など、私たちを取り巻く社会経済環境は、不安をはらみながら日々大きく変化しております。このような中、知事をはじめ執行部の皆様には、様々な課題への対応について機を逃さないよう、前例にとらわれず、積極果敢に、そしてスピード感を持って取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私の全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。    午前11時10分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は42名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――    午前11時25分 開議 ○佐藤良 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 民主市民クラブの加藤正一でございます。本日12月2日は日本人の宇宙飛行記念日、さらにはビフィズス菌の日だそうです。ビフィズス菌は体調管理には歓迎されますけれども、昨今確認されました新型コロナウイルスの新しい変異株、既に市場が敏感に反応するとともに、海外からの入国制限、そして3回目のワクチン接種の時期の前倒し等が議論される中で慌ただしい年末となりました。しかし、今日はこの一般質問に集中してまいりたいと思っております。  それでは、通告に従い順次質問してまいります。知事はじめ、執行部の皆様には答弁をよろしくお願い申し上げます。  初めに、政策経営基本方針を踏まえた令和4年度当初予算編成方針について、知事に伺います。県は今年度当初予算の編成では、新型コロナウイルス感染症の影響等により、県税収入を前年度から120億円の減額で見込むとともに、地方譲与税等も117億円の減収で計上する一方、国の地方財政計画を基に、地方交付税及び臨時財政対策債は合わせて238億円増となったものの、新型コロナウイルス感染症への対応経費の増額が見込まれることから、引き続き財源不足を補うため、県債の発行や県債管理基金の活用等により必要な財源の確保を図りました。  本県の財政は経常収支比率が高水準で推移する状況に加え、近年頻発する自然災害への対応等により県債残高が増加しているほか、今後も新型コロナウイルス感染症による影響等が見通せないことから、現時点では、今年度当初予算に計上した一般財源の確保も不透明な状況にあります。また、今年2月に公表した令和7年度までの中期財政収支見込みによれば、各年度にわたり、引き続き医療福祉関係経費等の増加が見込まれ、いずれも財源不足は80億円台から100億円台と予測しています。  一方、国は来年度予算において、今年7月、経済財政運営と改革の基本方針2021及び新経済・財政再生計画の枠組みの下、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組むとしています。歳出全般にわたり、前年度当初予算までの歳出改革の取組を強化するとともに、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しながら、予算の中身を大胆に重点化すると明らかにしました。  知事におきましても、去る第380回通常会議最終日において、令和4年度政策経営基本方針及び当初予算編成方針を明らかにしたところです。財政運営では中期的視点を基本に、とちぎ行革プラン2021に掲げた取組を実行しながら、来年度政策経営基本方針の下、新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナにおける新たな日常への対応、デジタルトランスフォーメーション、脱炭素化の取組推進、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会開催とレガシーの継承を重点事項とし、とちぎ未来創造プランが目指す本県の将来像「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」を実現していくとしています。  そこで、予算編成に着手している現在の状況を踏まえ、来年度予算編成の基礎となる今年度の県税収入の動向や新たな自主財源の確保対策を含め、改めて政策経営基本方針を踏まえた令和4年度当初予算編成方針をより具体的にお示しいただきますよう、知事に伺います。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの加藤正一議員のご質問にお答えいたします。今年度の県税収入は、企業業績の改善等により堅調に推移しており、国におきましても、新年度の地方税について増加するとの試算を示しておりますことから、現時点において令和4年度の本県税収は、今年度当初予算から一定の伸びが期待できるものと考えております。一方で、今後の新型コロナウイルス感染症の動向によりましては税収減が懸念されるとともに、公共施設等の長寿命化への対応や、高齢化の進行等による医療福祉関係経費の増加を見込んだ財源の手当てが重要になってまいります。  令和4年度は政策経営基本方針に基づき、感染拡大防止社会経済活動の両立を目指し、医療提供体制の確保を図りながら、県内の消費、投資を喚起するほか、新たな行政課題であるデジタル化、脱炭素化への対応や、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催などとともに、とちぎ未来創造プラン及びとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)につきましても着実に推進していくこととしております。  このため当初予算におきましては、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドを一層推進するとともに、県有財産の利活用や広告料収入等による自主財源の確保に努めるなど、とちぎ行革プラン2021に基づき、歳入歳出全般にわたって徹底した見直しを進め、必要な財源を確保しながら、めり張りのついた編成に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 答弁を踏まえまして、知事に再質問いたします。本年6月に閣議決定したまち・ひと・しごと創生基本方針2021におきましては、これまでも繰り返し述べられているように、新たにヒューマン、デジタル、グリーンの3つの視点を重点に据えて地方創生の取組を進めていくこととしました。当然、それを受けて本県の来年度政策経営基本方針に反映したものと思います。一方、本県はこれまで県版とちぎ創生15(いちご)戦略に基づき地方創生の取組を進めてきました。このとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)は、来年度が計画期間の中間年となります。これまでの取組を検証し、新たな3つの視点以外に特にどの戦略に力を入れて新年度からのとちぎ創生に臨んでいくのか、知事の所見を伺います。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。政策経営基本方針では、新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナにおける新たな日常への対応、デジタルトランスフォーメーションの推進、脱炭素化の取組等の推進、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催とレガシーの継承の4つを重点事項として掲げたところであります。中でも国体は茨城県以来3年ぶり、全国障害者スポーツ大会は福井県以来4年ぶりの開催となります。多くの方々が来県される期待がありますことから、本県の魅力・実力を発信する絶好の機会であると捉えております。栃木ファンの一層の拡大に向けた各種取組を進めてまいりたいと思います。  また、国体等の開催後も、県内のスポーツ施設を最大限活用してスポーツによるまちづくり、あるいは健康づくり、さらにはスポーツと観光など、誘客促進なども含めて地域の活性化を図ってまいりたいと考えているところであります。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 改めて、来年の国体に向けた知事はじめ執行部の皆さんの熱意が伝わってきたところでありまして、私もその成功に大いに期待しているところでもあります。  続けて、予算編成方針の取組について、経営管理部長に再質問いたします。来年度予算編成方針の中では、歳入の確保に全力を挙げて取り組む必要があり、広告収入等の自主財源の充実に努めるとしています。私はこれまでも自主財源の確保について、今年2月の代表質問ではクラウドファンディング型のふるさと納税の取組などを提言してきました。近隣県では、クラウドファンディング型のふるさと納税の取組により特別支援学校の活動や災害時の設備、資機材の購入を行うなど、使途を具体的かつ限定して協力を呼びかけ募っています。また、今年度、群馬県では県庁県民駐車場等、県有施設に加えて85か所の横断歩道橋をネーミングライツの対象としました。  そこで、本県でも新たな自主財源の確保の取組として、今述べましたクラウドファンディング型のふるさと納税の活用ですとか、新たなネーミングライツの対象施設を考えているのか、あるいは新規の広告収入となる手法の考えがあるのか、経営管理部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 國井隆弘経営管理部長。 ◎國井隆弘 経営管理部長 再質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症対策をはじめといたしまして諸課題に適切に対応していくためには、やはり自主財源の確保が重要だと考えております。県ではこれまでも、例えば新型コロナウイルス感染症対策として、医療従事者を応援するための寄附金、ふるさと納税などを通じて、県民の皆様等から寄附を募ってきたところでございますし、また、ネーミングライツ、県が発行する広告媒体、紙媒体あるいはデジタル媒体双方による広告事業、さらには県有施設の空きスペースや未利用地の貸付けなど様々な事業を実施してきたところでございます。引き続きこうした取組を行っていくほか、議員ご指摘のクラウドファンディングでありますとか、あるいはネーミングライツの導入に向け、他県の事例等をしっかり研究しながら、新たな工夫について検討してまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) ぜひそうした新たな自主財源の確保に全庁挙げて取り組んでいただきたいと思っております。  次に、栃木県新型コロナウイルス感染症新警戒度指標と今後の各種感染症対策について、引き続き知事にお伺いします。全国的に感染者が急増した第5波では、県内でも7月から変異株の猛威にさらされる中、新規感染者数は8月下旬をピークに減少し、9月末で国の緊急事態宣言が解除されました。その後、県は、足利市や小山市など県南4市を対象に県版まん延防止等重点措置を発令し、段階的な制限の解除を行いました。これに伴い、県版警戒度レベルもステージ2、感染注意に引き下げ、さらに10月28日の県対策本部会議において、感染が落ち着いている状況が続いていることから、ステージ1、感染観察に引き下げる一方、引き続き県民や事業者の皆様に対し、基本的な感染対策の徹底等を呼びかけているところです。現在の県内の感染状況は、引き続き落ち着いている状況にあります。改めて、これまでの県民や事業者の皆様、医療関係者等多くの方々のご協力に深く感謝を申し上げます。  そうした中、政府の分科会においては、これまでの検証を基にワクチン接種の進捗や経口治療薬の実用化などを踏まえ、今後感染が拡大した際の対策強化や、緊急事態宣言の発令を判断するための新たな指標を決定しました。従来の新規感染者数を重視した4つのステージを、医療の逼迫状況に応じた5つのレベルに分け、医療体制が維持できているかを重視する方向へ見直しました。政府の基本的対処方針改定に伴い、本県においても先月19日の対策本部会議で県版警戒度レベルの基準を改正したところです。従来の7指標から、入院率や感染経路不明割合など3指標を削除し、国の予測ツールによる病床使用数予測を新たに加え、新規感染者数の直近1週間と先週の比較を常時行うなど指標を6項目に変更し、国同様に警戒度の呼び方をレベルに変え、分類はレベル0から4の5段階としました。その結果、レベル0は新規感染者ゼロを保つ状態であり、この新指標によりますと、現在の県内は安定的に医療が確保された状態のレベル1となります。  そこで、県内の感染がどのような状況にあると、飲食店への営業時間短縮や酒類の提供自粛要請を行い、まん延防止等重点措置または緊急事態宣言の対象となるのか、また、その判断に県が今回改正した新たな指標をどのように活用していくのか、県が独自に定めた警戒度新指標の内容及び考え方を知事に伺います。さらに、この年末にも到来が予想される第6波に備え、医療提供体制の強化や3回目のワクチン接種など今後の新型コロナウイルス感染症対策にどのように取り組んでいくのか、併せて伺います。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。国民のワクチン接種率が70%を超えたことなどにより、新型コロナウイルス感染症との新たな向き合い方が求められる中、医療の逼迫が生じない水準に感染を抑えることで社会経済活動の回復を促進するとの観点から、国は新たな警戒度レベルの分類の考え方を決定いたしました。この国の考え方では、各都道府県が地域の感染状況や医療の逼迫状況を評価し必要な対策を講じることとされていることから、先月19日の新型コロナウイルス感染症対策本部会議におきまして、本県としての新たな警戒度レベルに使用する指標及び目安の見直しなどを行ったところでございます。  新たな警戒度レベルではレベル0からレベル4までの5段階に区分し、新たに国の予測ツールを用いた病床使用数予測を指標に加えるなど、これまで以上に医療の逼迫度合いを重視してレベルを判断することといたしました。警戒度指標の目安につきましては、レベル2が従来のステージ3と同水準に、レベル3が従来のステージ4と同水準に設定したところであります。また、飲食店等への営業時間の短縮や酒類提供の制限につきましてはレベル2以上において要請することとし、まん延防止等重点措置はレベル2以上において、緊急事態措置はレベル3以上において、感染状況に応じて適用されることになります。さらに県民や事業者等への要請に当たりましては、とちまる安心認証店について営業時間等の制限の緩和を行うほか、感染防止安全計画を策定したイベントや、国のワクチン・検査パッケージに基づく取組については人数制限を緩和するなど、社会経済活動との両立にも配慮してまいりたいと考えております。  次に、第6波に向けた対応につきましては、国が決定した次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像も踏まえ、確保病床を502床から533床に増やしたほか、臨時の医療施設として最大5施設100床程度を整備するとともに、宿泊療養施設のさらなる確保等により医療療養体制を強化してまいります。さらに、ワクチン接種につきましては、今月から追加接種が開始されましたことから、実施主体である市町が円滑に接種できるよう、医師会等の関係団体と緊密な連携を図りながら必要な支援を行うとともに、2月から県営接種会場を再開する方向で対応してまいります。  今後とも、新たな指標に基づき、本県の感染状況や医療逼迫状況等を適正に評価し、県民、事業者の皆様に適切な要請等を行うとともに、第5波のような感染拡大があった場合でも県民の健康と暮らしを守ることができるよう、策定した計画に基づき保健医療提供体制の強化など取組を着実に進めてまいります。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございます。その答弁を踏まえまして、知事に再質問いたします。これまで国がステージと称し4段階で示していた警戒度基準では、県は県版ステージ2.5を独自に設け対策に当たってきました。新指標による警戒を強化すべきレベルと言われるレベル2、従来の県版ステージと比較いたしますと、従来の県版ステージ2から2.5、さらにはステージ3までの範囲に及ぶようなイメージに受け止めております。東京都は国の新指標移行に当たって独自の基準を設けました。新規感染者数の7日間平均が700人の段階を都独自にレベル2.5として、飲食店への営業時間短縮を要請するなどの措置を取るとしています。先ほど本県の指標に基づいた各種対策について知事から答弁いただきましたけれども、前回のように独自の設定基準を設け、着実にかつ機能的に対応してきた経緯を踏まえますと、この新指標の中でもそうした県独自の基準を設ける必要があるのかどうか考えたところです。それに伴って、改めて独自の警戒度指標を設けることはないのか、知事に再質問いたします。 ○佐藤良 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 警戒度につきましての再質問にお答えいたします。今回導入しました新たな警戒度レベルの判断に使用する指標や目安につきましては、これまで以上に医療の逼迫度合いを重点的に監視することとして、国の考え方を踏まえつつも、レベル3における一部の指標等を除き、本県として独自に設定したところであります。また、警戒度レベルの運用に当たりましては、新規感染者数など将来的な病床の逼迫につながる可能性のある先行的な指標も引き続き確認しながら、同じ警戒度レベル内においても感染状況に応じまして、県民、事業者への要請内容を適宜変更するなどして、機動的かつ効果的な対策を講じてまいりたいと思います。  今後、感染状況に応じた独自のレベル分け指標等、今後の状況を十分勘案しながら、必要に応じて見直すこともあり得るかもしれませんが、状況を確認した上で対応してまいりたいと思います。なお、栃木県の場合、レベル2においても営業時間短縮要請などの検討に入ることになっていますけれども、東京都の例ですと2.5ということになりますので、そういう点からすると、栃木県のほうが早く時間短縮要請などの検討にかかるということにつながるのではないかと思います。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) これまでも、ステージと呼んでいたときから、新指標に伴って知事が今回の考え方に意を用いております機能的、効果的にその新指標が活用されるように期待しております。  次に、今後の保健医療提供体制について、保健福祉部長に再質問いたします。第5波の検証を踏まえ、自宅療養者健康観察等を行う上で往診や治療看護体制を整えていく必要があり、警戒を強化すべきレベル2では、入院医療や宿泊療養、自宅療養を一体的に運用していく必要があることから、オンライン診療の積極的な利用も求めています。また、訪問看護ステーションについては、本県では134か所設定されておりますけれども、設置数は全国と比べていまだ低位にあり、今年4月時点では4つの町に拠点事業所がありません。さらに、昨年4月時点での本県の人口10万人当たりの訪問看護職員数は、4つの市町においてやはり十分な数値ではありません。そこで、オンライン診療や往診、治療、そして訪問看護体制をどのように整備していくのか、繰り返し今まで確保病床数や宿泊療養施設数の具体的な数字を提示いただいておりますけれども、こうした点につきましてもどういった数値を目指していくのか、保健福祉部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。自宅療養者に対する電話診療や往診につきましては、県医師会に委託しまして体制を構築したところでして、電話診療につきましては20医療機関、往診につきましては40医療機関を確保したところでございます。同様に訪問看護につきましては、県訪問看護ステーション協議会に委託しまして体制を構築したところでして、健康観察につきましては30の事業所、診療につきましては26の事業所を確保したところでございます。  今後、患者数が増加した場合におきましても、自宅療養者の方に必要な医療が提供できますように、関係機関とも連携しながら課題等の検証なども進めつつ、これらの体制の円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 引き続き、保健福祉部長に再質問します。入院患者の転院・退院調整についてであります。重症者病床や中等症病床、回復患者受入れ、宿泊療養等の医療機能に応じた役割分担を明確化し、段階的な病床を確保するとともに、回復患者を効率的に転院調整できる転院、退院の仕組みを検討するとしています。このような仕組みづくりを、これまでも会派として要望してきましたが、どのような仕組みの下、行っていくのか、保健福祉部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。感染の拡大に伴いまして病床が逼迫した場合にありましても、病床を必要とする患者の方に適切な対応をするためには、限られた病床をより効果的に運用することが重要でございます。具体的には、回復した患者の後方支援医療機関への転院、あるいは退院基準までは満たしませんが、症状が軽快した方の宿泊療養施設への転所などを積極的に進めまして、病床の回転率を上げることが効果的であると考えております。  このため、今後は転院、転所の目安を定めまして関係機関と協議するとともに、受入れ医療機関あるいは宿泊療養施設と連携するとともに、県が積極的に調整を図ることによって、病床の効率的な運用を図ってまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 今の保健福祉部長の答弁を受けまして、次の質問に移らせていただきます。  ライフスタイルの多様化を踏まえた関係人口創出による地方創生について、総合政策部長に伺います。総務省が今年1月公表した住民基本台帳人口移動報告によりますと、昨年の本県における日本人の都道府県間人口移動数は、転出者が転入者を1,758人上回るといった引き続き転出超過状態にあります。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で東京圏への人口流出が抑制され、前々年の3,518人から半減しましたが、東京都に近い環境にあるという栃木県の優位性が必ずしも大きな魅力として即効的な移住・定住へとつながっていません。  私の地元足利市でも、一昨年4月、JR足利駅構内に移住・定住相談センター「Aidacco(あいだっこ)」を開設するなど移住支援に力を入れてきました。昨年4月には新たにとちぎ結婚支援センター足利を併設し、暮らし、仕事、結婚までをトータルにサポートする体制を整えるとともに、今般の新型コロナウイルス感染症の影響が広がる中、移住を検討している方の相談には、オンラインでの移住相談も行っています。一方、県では平成27年に都内有楽町にとちぎ暮らし・しごと支援センターをオープンして以降、移住・定住促進サイト「ベリーマッチとちぎ」の開設や県内市町との合同相談会、コロナ禍でもオンライン相談等を積極的に展開してきたところです。  そこで、今年もまだ1か月を残すところでありますけれども、移住相談の動向について総合政策部長に伺います。  また、国は、まち・ひと・しごと創生総合戦略の取組を踏まえ、早期に成果を目指す人口減少対策の考えに加え、第2期総合戦略では、移住・定住先へ一定の期間をかけて地域の住民や環境に親しみながら進めていく、いわゆる関係人口の創出拡大を基本目標に据えたわけですけれども、昨年からはコロナ禍による新しい日常に向けたテレワークの推進など、国民の意識や行動の変化を踏まえた総合戦略に改定したところです。県においても昨年度から、東京圏の会社員やフリーランス、企業等へお試しテレワーク及びサテライトオフィス活用に対する支援をしていますが、直近までの実績と今後の関係人口のさらなる創出に向けた取組について、併せて総合政策部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 阿久澤真理総合政策部長。    (阿久澤真理総合政策部長登壇) ◎阿久澤真理 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、コロナ禍による地方移住への関心の高まりを踏まえ、デジタル広告の配信やオンライン移住相談等を積極的に実施しており、都内窓口への相談件数は9月に92件を記録するなど大幅に増加し、年間でも過去最多を更新することが確実となっております。お試しテレワーク等については、これまでに18件の利用があり、本県のテレワーク環境に高い評価をいただくとともに、今後もさらなる利用が見込まれております。また、市町におきましても、テレワーク拠点の整備支援や交流イベントの開催など、移住・定住の促進に向けた様々な取組が行われているところであります。  県では、引き続きこうした市町の取組と十分に連携しながら、地方との関わりを持つきっかけとなるテレワークを一層推進するとともに、農村体験や地域の様々な活動、イベント情報等を効果的に発信し、若者等のさらなる参加促進につなげるなど、関係人口の創出拡大に向けて取り組んでまいります。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 実績を伺いまして、そうした方々がいずれ本県に定住・移住されることを期待しているところですけれども、さらにその関係人口の創出拡大に向けて、今答弁をいただきましたようなテレワークやサテライトオフィス等の活用に当たっては、既定の仕事を持つ方々に対するものであり、私は、ここでさらに多様性を持って関係人口の創出を図るためには、国土交通省が推進し、先進事例の取組を進めてきた二地域居住について、本県でも情報発信や支援を行ってはどうかと考えます。二地域居住とは、都市住民が居住地以外の地方へ同時に生活拠点を持つ多様なライフスタイルの視点の下、地域への人の誘致、移動を図ることを目的とします。今年3月には、二地域居住等推進に係る施策や事例等の共有、発信により二地域居住等の普及促進と機運向上を図るため、関係省庁連携の下、約600の地方自治体や関係団体などで構成する全国二地域居住等促進協議会が設立されました。長野県が会長を務め、本県においては那須町が副会長に就任し、今年10月現在で県内でも全25の市町が参加となりました。全国協議会の設立記念シンポジウムでは足利市の取組事例を発表したところであり、その後、県内民間事業者による取組も始まっていると聞いています。  そこで、県として二地域居住等を推進し、積極的に取り組んでいくべきと考えますが、総合政策部長に再質問いたします。 ○佐藤良 副議長 阿久澤真理総合政策部長。 ◎阿久澤真理 総合政策部長 再質問にお答えいたします。新しいライフスタイルにも適応した二地域居住の促進というのは、人の新たな流れを生むということで、県としても積極的に対応してまいりたいと考えております。県として、引き続き東京圏との近接性など、本県の持つ特色などを生かしながら、本県市町とともに支援策などを効果的に発信して二地域居住をさらに促進していきたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 非常に前向きなご答弁をいただきまして、期待いたします。まずは全国組織ができていることで、さらに県内25市町が参加したことで、県版の協議会の設立に向けて取組をしていただければと要望させていただきたいと思います。  次の質問に移ります。SDGs推進による本県の産業振興について、産業労働観光部長に伺います。現在2年目を迎えるとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)は、関係人口の創出拡大や未来技術の活用、持続可能な開発目標、SDGsの達成など、5つの新たな視点を加え戦略を展開するとしています。今年度からの栃木県重点戦略とちぎ未来創造プランでも、時代の潮流ととちぎの課題における新しい時代の流れの中で、Society5.0の実現に向けたデジタル化の推進、新たな日常の実現、SDGsの達成を掲げ、県ではSDGsの理念である誰一人として取り残さない社会の実現を目指し、各種施策に取り組んでいます。  しかし、今年6月に民間調査会社がSDGsへの理解と取組に関して、県内の企業345社に対し調査を行ったところ、「積極的に取り組んでいる」または「取り組みたいと思っている」企業は約4割を超えたものの、「重要性は理解できるが取り組んでいない」とした企業はやはり約4割に迫り、さらに約1割の企業からは「重要性を理解できない」、「言葉も知らない」との回答がありました。今後、企業経営においても注目されているテーマと思っていましたので、意外な結果となり私自身も驚いた次第です。
     そうした中、県では昨年10月より、県内企業等における持続可能な開発目標、SDGs推進の機運を醸成するとともに、SDGs達成に向けた企業の主体的な取組の促進、企業価値の向上及び競争力の強化を図るため、とちぎSDGs推進企業登録制度を創設しました。この制度は、企業が環境、社会、経済の3つの側面の取組及び目標を設定し、SDGs達成に向けた具体的な取組内容を記載することが登録要件となっています。登録制度創設から約1年が経過した今年10月、登録企業数は334者、1,112事業所となりましたが、企業の業種別、従業員規模別で見た登録状況と、これまでの実績をどのように受け止めているのか、産業労働観光部長に伺います。また、登録に際しては、環境、社会、経済においてどの側面に関する取組が注目されているのか、併せて伺います。 ○佐藤良 副議長 辻真夫産業労働観光部長。    (辻 真夫産業労働観光部長登壇) ◎辻真夫 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。SDGs達成に向けた取組による企業価値の向上等を目的として、昨年10月に創設いたしましたとちぎSDGs推進企業登録制度におきましては、既に今年度の登録目標である300者を上回る事業者に登録をいただいておりまして、全体的には順調に進んでいるものと考えております。登録状況につきましては、業種別では建設業、製造業などが多い状況ではありますが、幅広い事業者に登録いただいております。また、従業員規模別では50名未満が213者と多いものの、中小規模の企業が多いことから従業員規模別の全企業数に対します登録割合は小規模になるほど低くなりますことから、今後はこれらの事業者へさらに普及啓発を行いまして、登録を促進してまいりたいと考えております。また、経済、社会、環境の3つの側面全てに取り組むことを登録要件としておりまして、複数の取組を行っていただいているところでありますが、実施主体が企業等ということもございまして、経済の側面に関する取組が最も多い状況になっております。  今後とも、関係機関と連携を図りながら、企業等のSDGs推進に向けました機運醸成に努めますとともに、その理念を踏まえた取組を促進いたしますことで、本県産業の持続的な発展につなげてまいります。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 改めて、年間設定した目標数に対して順調に登録が進んでいると。冒頭申し上げました企業アンケートの結果等によって、その浸透度がどうなのかなとも懸念しておりましたけれども、引き続き、さらにその登録が進むことを期待しております。  そこで、産業労働観光部長の答弁を基に再質問いたします。この登録制度は期間を3年としています。登録者は、登録後1年が経過するごとに取組内容を振り返り、新たな取組の追加や取組内容の更新を行うとしています。初回登録が今年1月であり、間もなく1年が経過する企業もあることから、県はどのような新たな取組の追加や取組内容の更新を期待し、SDGs達成に向けた企業のさらなる主体的な取組を促進・支援していくのか、産業労働観光部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 辻真夫産業労働観光部長。 ◎辻真夫 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。本制度は登録事業者にその取組を自ら検証いただくために、今ご説明がございましたとおり、登録1年間ごとに取組内容のセルフチェックをしていただきまして、その報告をいただき、そしてそれを公表することとしております。登録した取組の着実な実施を期待しているところではございますが、そうでなかった場合には、その内容を検証していただきまして、次につなげていただければと思っております。さらに、新たな取組の追加等につきましては、やはり登録企業等が様々な業種、様々な業務内容を実施されておりますので、一概には言えませんけれども、それぞれの企業が持続可能な事項を追加して登録して取り組んでいただければと考えているところでございます。また、こうした事業者への支援といたしましては、新たな追加等に向けましては、優良事例などの紹介、それから課題があってなかなか進まなかった事項につきましては助言等も行いまして、支援を行っていきたいと考えております。  今後、県内企業が本制度を活用していただきまして、PDCAサイクルを回すことによってその取組を向上させて、SDGsが推進できますようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) この登録制度については、あくまでも企業側が主体的に目標値を設定したり、取組内容を掲げるわけで、その主体性を尊重しながら、ぜひ県としての目指す方向性に向けて企業の取組がリンクしていくようなサポートを引き続きお願いしたいと思います。  ここで、もう1点、再質問させていただきます。そうした順調に登録が進んでいる同制度でありますけれども、その要件である社会や経済といった側面には、性別、年齢、人種等による差別の禁止や女性、外国人、障害者等を生かし活躍できる環境整備、ダイバーシティー経営の促進、労働時間や健康経営等を基本的な事項として人権、労働のカテゴリーを設けています。これらの視点を通じて、企業に対し、登録や認定により取組を促す同様の制度が、県庁内でも県民生活部による女性活躍応援団登録や男女生き活き企業認定、さらには産業労働観光部にも、いい仕事いい家庭つぎつぎとちぎ宣言があります。いずれの登録認定においても、登録証や登録マークの交付ほか、企業名の公表、県信用保証協会の保証料優遇、重点政策推進融資、とちぎ未来チャレンジファンド活用助成事業の加点項目等、その登録認定制度ごとにメリットが設けられていますが、その活用事例を見ますと、果たして十分生かされているのかなと疑問に感じます。企業側は、むしろ登録や認定に伴い、その企業の姿勢を県が公表、周知してくれるというイメージアップに期待しているのかもしれません。いずれにしましても、これらの取組はSDGsの理念に包括されることから、同じ目標、目的の下、類似、重複する登録制度は今後、検証、整理するとともに、取り組む企業に対するメリットも見直してはどうかと考えます。  そこで、県民生活部の事業もあるわけですから県民生活部長にお伺いしたいところなのですが、県民生活部所管でもあり、SDGs推進を総括的に所管する総合政策部を担当する北村副知事に所見をお伺いしたいと思います。 ○佐藤良 副議長 北村一郎副知事。 ◎北村一郎 副知事 再質問にお答えいたします。とちぎSDGs推進企業登録制度でございますけれども、企業の活動とSDGsのつながりをより深く理解いただくとともに、広くSDGsの17のゴールを意識した取組を推進いたしまして、企業価値の向上、それから競争力の強化に向けまして、対外的にPRするためのツールといたしまして創設した制度でございます。一方、お話がございました女性活躍応援団、それから男女生き活き企業認定などにつきましては、それぞれの目的ごとに個別の制度として設けてございまして、それがSDGsの具体的なゴールに直接的につながっているといった事例でございます。SDGsの達成に向けましては様々なアプローチがありますので、引き続き関係部局で連携いたしまして、登録制度を含めまして各種取組を推進いたしますとともに、実際に企業等のニーズも十分に把握しながら、議員からお話がございました観点も含めまして、必要に応じまして制度の見直し等も検討することなどもいたしまして、県内企業等のSDGsの達成に向けた環境づくりに県としてもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) よろしくお願いいたします。  次の質問に移ります。学校における働き方改革推進プラン実態調査結果の検証と次期プランの策定について、教育長に伺います。平成30年度に実施した学校における働き方に関するアンケートでは、教職員の長時間勤務が一層深刻になっていることが明らかとなり、早急な改善が求められ、翌年1月に策定された学校における働き方改革推進プランは、3年間を取組期間とする最終年が今年度となります。同プランは、各年度に学校及び教職員に対し実態調査を行うこととしており、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響から見送られましたが、今年度は学校対象調査を7月15日から30日、教職員対象調査を8月2日から25日に行い、実態調査結果について県教育委員会が先月公表しました。例えば学校対象調査では、令和元年度において勤務時間管理を行っている学校は82%でしたが、今年度は100%となり、学校で業務を精選、効率化するための意識改革に関する取組は、今回5.6ポイント増の80.6%、学校で業務を精選、効率化するための意識が高まるとともに、業務改善に関する取組についても8.7ポイント増の89.2%と、学校で業務の効率化が図られている様子がうかがえます。さらに教職員の調査では、時間外在校等時間が1か月45時間以下だった教諭等の割合は、令和元年度に比べ0.4ポイント増の44.3%で、業務改善により教材研究や授業準備、児童生徒の指導に充てる時間が増えたと思う教諭等の割合は7.2ポイント増の29.1%となりました。  そこで、今回の実態調査の結果をどのように受け止めているのか、調査結果の検証と今後の課題について、教育長に所見を伺います。また、現在進められている次期働き方改革推進プランの策定に関しどのように反映し作成していくのか、併せて伺います。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。県教育委員会では、学校における働き方改革推進プランに基づきまして、教員の意識改革や業務改善、外部人材の活用など、働き方全体の見直しに取り組んできたところであります。その結果、今般実施しました実態調査では、県全体として時間外勤務が減少しましたほか、業務の積極的な削減、簡素化への教員の意識の高まりが見られるなど、一定の効果が現れたと捉えております。一方、依然として長時間勤務者が一定数存在しており、プランの目標達成に向けまして、勤務環境の改善に継続的に取り組む必要がありますことから、調査結果を様々な角度から分析し、次期プランの策定を進めてまいることとしております。  今後は、社会の変化や教育へのニーズを踏まえましたICTの効果的な活用を含め、教員の働き方改革をより一層推進し、本県教育の質のさらなる向上に努めてまいります。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 一定の成果があったという所見でございますけれども、この実態調査結果をそれぞれ個別に見てまいりますと、最終退勤時間を設定していない学校の割合は前回調査より増加の58.5%、期間を決めて何の業務にどれだけ時間をかけたか記録し、それを基に業務改善の効果検証等を行った学校の割合は、増加したとはいえ8.8%しかありません。業務改善を進める委員会を校務分掌へ位置づけていない学校はいまだ70%を超えています。今年10月、さいたま地方裁判所であった教員の残業代をめぐる訴訟の判決では、「教育現場の勤務環境の改善が図られることを切に望む」と付け加えられました。次期プランでは、これら、まだまだ十分ではない実態をどのような具体的取組で改善していくのか、教育長に再質問いたします。  また、ワーク・ライフ・バランスの下、心身ともに健康な教員が子供と向き合い、業務に専念できる環境を整えるという、まさにこのプランの目的でありますけれども、次のプランの計画期間をどのように設定して取り組んでいこうとしているのか、併せて伺います。 ○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。次期プランにおきましては、現行プランの取組を維持しながらも、議員ご指摘のように、個別に見るとやはり様々な課題がございます。特に令和3年度と令和元年度を比較すると、新型コロナウイルス感染症対策、それからICT、タブレット等の機器の導入等に伴う業務増、そういったものがある中で、僅かではありますが時間外の業務時間が減ったということは、これはこれでいいのですが、例えば管理職と教員との意識の違い、あるいは部活動顧問のどうしても減らない時間外の勤務時間をどうするかということを、具体的に効果を上げているいい事例、そういったものの横展開の取組を次期のプランに反映していきたいと思っております。  また、計画期間につきましても、今後も腰を据えてこの取組を進めていかなければならないということで、5か年間を考えておりますけれども、中間的に目標を設定しながら、確実に働き方改革が進むように取り組んでいきたいと思っております。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 今年度の取組の中には、8月から勤怠管理システム、タイムカードを導入して勤務時間を客観的に記録管理、それを9月からは本格運用しているとも聞いております。アンケート調査以降このようなシステムが導入されておりますので、さらに教育現場でそうした意識の改革が図られていることを期待するとともに、次期プランで目的に掲げる真に働き方改革が進みますことをご期待申し上げて、最後の質問に移らせていただきます。  障害者、高齢者等に配慮した交通安全施設の整備について、警察本部長に伺います。これまで県警察では、栃木県交通安全対策会議が策定する栃木県交通安全実施計画を踏まえ、交通事故死者数を減少させ、快適な交通社会の進展と交通事故のない安全で安心な栃木県の実現に取り組んできました。特に高齢者や子供、障害者等のいわゆる交通弱者に対する安全で円滑な通行を確保するため、駅、公共施設、学校、福祉施設、病院等の周辺を中心に、音響式信号機、歩車分離式信号機等の交通安全施設の整備を進めてきました。その中で、視覚障害者や高齢者等に対する交差点での安全な歩行に向けて、ピヨピヨとかカッコウと鳴るいわゆる音響式信号機ですけれども、設置箇所の周辺地域住民に対する夜間への配慮から、音を出さないようにしています。  しかし、今年の県交通安全実施計画において、高齢者、障害者等の安全に資する歩行空間等の整備に際し、近距離無線通信ブルートゥースを活用してスマートフォン等に歩行者用信号情報を送信するとともに、スマートフォン等の操作により青信号時間の延長を可能とする歩行者等支援情報通信システム(高度化PICS)の整備を推進し、高齢者、障害者等の安全な移動を支援するとしました。また、今年6月通常会議では、同新システムの導入を見据え、交通安全施設の基準を定める関係条例を整備しました。  そこで、障害者や高齢者団体をはじめ、市町、交通事業者等関係者の意見や交通情勢等を踏まえ、新システムの導入など、引き続き誰もが安全で円滑に通行できる交通環境の整備へどのように努めていくのか、警察本部長に伺います。 ○佐藤良 副議長 野井祐一警察本部長。    (野井祐一警察本部長登壇) ◎野井祐一 警察本部長 ご質問にお答えいたします。県警察では、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律等に基づき、バリアフリー対応型交通安全施設を整備しております。とりわけ音響式信号機につきましては、県内224基を整備しているところでありますが、その運用上の課題として、近隣住民への配慮などの理由から夜間の鳴動を停止していることが挙げられます。高度化PICSは、専用アプリを通じて信号情報を必要とする個人のスマートフォンに24時間情報提供が可能でありますことから、夜間運用という課題に対しましては高い効果を発揮するものと考えております。  県警察といたしましては、引き続き、視覚障害者団体等の意見を踏まえながら、駅、官公庁、病院等、生活関連施設への移動を歩行で行うことが多い重点整備地区を中心に、高度化PICSや歩行者青信号の経過時間を表示する信号機の整備など、障害者や高齢者の歩行を支援する交通のバリアフリー化を進め、誰もが安心して道路を通行できる交通環境の整備に努めてまいります。 ○佐藤良 副議長 加藤正一議員。    (22番 加藤正一議員登壇) ◆22番(加藤正一議員) 時間もありませんので要望させていただきます。この高度化PICSの導入の際に、国等でその選定基準を示しております移動等円滑化基本構想でございますけれども、主に県内宇都宮市、小山市、日光市など7市が策定して、いずれもJR等の主要な駅周辺11か所を重点整備地区と定めております。さらに、来年度は、繰り返しこの場でも言われるように、おもてなしの心で温かく迎える大会を目指したいちご一会とちぎ国体並びに全国障害者スポーツ大会であるいちご一会とちぎ大会の開催を控えており、速やかに新システムの設置箇所を検討して、来年度早期に設置していただきますよう要望させていただきたいと思います。  通告いたしました私の質問は全て終わりとなります。今年も残り僅かとなりました。改めて、知事はじめ関係部局の皆様には十分に健康に留意されて、引き続き県政の課題に取り組んでいただきますようお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。 ○佐藤良 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時25分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。    午後0時24分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は42名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――    午後1時25分 開議 ○阿部寿一 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 公明党栃木県議会議員会の野澤和一でございます。早速質問に入らせていただきます。  初めに、新型コロナウイルス感染症の第6波への備えについて、知事に質問します。昨年から続く新型コロナウイルス感染症は、現在は小康状態を続けておりますけれども、ウイズコロナの対応として、感染防止対策を万全に講じながら社会経済活動を展開するという対策と対応のバランスが求められております。また、年末年始以降の感染爆発が懸念される中、第6波への備えについては万全を期す必要があります。今年夏の第5波での課題は、医療機関や宿泊療養施設に入れず、自宅療養や待機を余儀なくされた人が数多く出たことであります。本県でも、1日200人を超える新規陽性者発生に対する保健所対応の限界、病床の逼迫、感染者の入院誘導の遅れ、在宅療養者ケア等の課題が浮き彫りになりました。このような事態を二度と招いてはならないとの反省から、これらに対する取組は喫緊の課題であります。このような中、国は取組の全体像として、病床の確保や自宅療養者への対応、無症状者へのPCR検査等を無料で実施する方針を打ち出しております。  そこで県は、これら国の方針に対しどのように取り組むのか、また、第5波の経験を生かした第6波への対策をどのように講じるのか、知事に伺います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの野澤議員のご質問にお答えいたします。これまで経験したことのない感染拡大となったこの夏の第5波では、新規感染者数の急増により病床が逼迫したほか、自宅療養者が急増したことに伴い、保健所による健康観察や日常生活支援、容態急変時等への対応などに課題が生じたことから、第5波から現在に至るまでの間、医療療養体制や保健所による健康観察体制の強化、ワクチン接種促進の取組を進めてまいりました。そのような中、国が11月12日に、次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像を決定したことを受け、第5波における課題等も踏まえながら、先月末に保健・医療提供体制確保計画を策定し、医療提供体制等の強化を図ることといたしました。  まず、入院等の体制につきましては、確保病床を502床から533床に増やすとともに、新たに臨時の医療施設として最大5施設100床程度を整備することといたしました。次に、自宅療養者への対応につきましては、新規感染者数の増加に即座に対応できるよう、人員や執務スペースを確保するなどして保健所の健康観察等の体制を強化するほか、電話診療や往診、薬剤提供等の体制を構築することに加え、宿泊療養施設について、現在の6施設725室に加えて、3施設340室程度の確保に向け調整を進めております。また、PCR等検査の無料実施につきましては、健康上の理由等によりワクチン接種が受けられない方を対象とした検査や、感染拡大の傾向が見られる場合に、知事の判断により行われる無症状の方を対象とする検査を無料で実施できる体制を今月中に構築してまいります。  今後、第5波のような感染拡大が中長期的に反復した場合であっても、県民の健康と暮らしを守るため、市町や医療関係者等と連携を図りながら、適時適切な対策に全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま知事から答弁をいただきました。十分な病床及び宿泊療養施設の確保、また検査体制の強化や保健所対応の強化等の答弁を頂戴いたしました。オミクロン株の拡大が懸念される中、3回目接種については2回目からのインターバルが必要となるわけでございますけれども、社会経済活動のメインとなる64歳以下の若い世代に対しても、できるだけ円滑に推進できるよう要望を申し上げたいと思います。  ここで保健福祉部長に再質問いたします。今後ウイルスの感染力が今年の夏の2倍となったとしても、県民の命、健康をどう守っていくかが重要であります。そのため、入院を必要とする人を確実に受け入れる病床の確保と、それを支える医療人材の確保にしっかり取り組むことは必要不可欠でございます。病床確保については、協力していただける病院を確保することはもちろんのこと、病院内に新型コロナウイルスを持ち込まないという観点からの取組も必要であります。参考例として、病院敷地内の駐車場等を利用した隔離診療所があります。これは、医療用コンテナと診療用隔離車両を活用するもので、医療用コンテナでは初期診療や検査、トリアージの役目を担い、陽性者を診療用隔離車両に収容し、病状により病院への搬送も可能にするものであります。  そこで県は、臨時医療施設の確保についてどのように取り組む考えか、保健福祉部長に伺います。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。 ◎仲山信之 保健福祉部長 臨時の医療施設につきましては、これまで感染者が急増しました県南・安足地域、さらには全県域からのアクセスが想定されます県央地域に、最大で5施設100床程度の整備を予定しているところでございます。各施設における設置場所や人員の配置、それから運営方法等につきましては、現在、関係者と具体的な協議を進めているところですが、それぞれの状況に応じて適切な体制を確保してまいる考えでございます。また、施設の整備につきましては、既存施設の活用のほか、コンテナ等の活用も検討しているところでございまして、地域の実情を十分に踏まえながら、さらに具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 保健福祉部長より答弁をいただきました。コンテナにつきましても検討を進めていくというお話でございました。万全の体制整備をお願いしたいと思います。  次に、脱炭素社会構築に向けたエネルギー戦略について、環境森林部長に伺います。国では、今年の10月に第6次エネルギー基本計画を閣議決定し、2030年の電源構成として再生可能エネルギーをおよそ4割と、脱炭素電源の割合を大幅に引き上げる野心的な目標を掲げており、これにより系統電力由来のCO2排出量は半減するとの見通しが示されたところであります。この再生可能エネルギーの主電源化に向けて、民間の電力会社においても大規模な洋上風力の開発、導入等を進めることとしており、これらはカーボンニュートラル実現に大きく寄与する取組として、大いに期待しているところでございます。  しかし、私は、二酸化炭素を排出する火力発電に7割以上依存する本県の現状を打破し、できる限り再生可能エネルギーの供給比率を上げ、エネルギーの地産地消を進めていくことが不可欠だと思っております。そして、エネルギーの県外依存度を抑え、災害等へのレジリエンス強化を図っていくことが重要であると考えています。現在、県は、再生可能エネルギー発電のポテンシャル調査等を行っていると聞いておりますけれども、適地の全てが発電施設とはならない現実の問題もあり、東京電力の系統接続制限もその一つであります。再生可能エネルギーの普及拡大を促進するには、例えば農業用水を活用した小水力発電については現在県内で9基が稼働し、出力約1,600キロワットの小さな発電能力でありますけれども、さらにこれを拡大するには東京電力の系統接続制限や適地の確保、投資コスト等の課題を解決する必要があります。また、発電能力が大きい太陽光や水力、バイオマス等のさらなる導入拡大についても同様の課題解決が不可欠です。  そこで、県は、2030年CO2排出半減及び2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギー拡大に今後どのように取り組んでいくのか、環境森林部長に伺います。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。これまで県では、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、太陽光パネルの設置やバイオマス発電施設立地への支援、河川を活用した小水力発電計画へのサポートなどの取組を進めてまいりました。今般取りまとめました2050年カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ案におきましては、太陽光、水力等の地域資源を活用した再生可能エネルギーを最大限に導入することを重点プロジェクトの一つに位置づけたところでございます。プロジェクトの推進に当たりましては、賦存量調査の結果を踏まえ、県民、市町、事業者や専門家などのご意見も伺いながら、エネルギーの地産地消や災害時のレジリエンス強化につながる再生可能エネルギーの導入拡大に向けた中長期的な目標の設定や具体的方策を検討してまいる考えでございます。  今後とも、県民や市町、事業者など、あらゆる主体と一層の連携・協働を図りながら、再生可能エネルギーの導入拡大に向け積極的に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 環境森林部長から答弁をいただきました。県としては、できる限り再生可能エネルギーの供給比率を上げるため、積極的に民間投資を呼び込む取組が重要であると考えております。同時に、知事には、全国知事会を通して国へ、地方への投資を働きかけていくよう要望させていただきたいと思います。  ここで環境森林部長に再質問させていただきます。接続制限がある中で、再生可能エネルギーの拡大には、発電施設から遠くまで送電するのではなく、エネルギーの地産地消、エネルギーの自家消費への取組が重要であります。このため、例えば家庭用の太陽光発電について、蓄電池を設置し家庭内でエネルギーを活用することなどが脱炭素社会に向けて有効であると考えますが、家庭分野におけるエネルギーの自家消費に向けてどのように取り組んでいくのか、環境森林部長の考えを伺いたいと思います。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。 ◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。ロードマップの案におきましては、家庭用発電につきまして、2030年度までに住宅の4分の1、13万件程度になるかと思いますが、これを目標としております。一方で、固定価格買取制度、いわゆるFITでございますが、この買取価格の低下でありますとか、あるいは卒FITと言われます買取期間の満了するケースが増加することも踏まえますと、今後はエネルギーの地産地消にもつながる太陽光発電の自家消費の拡大に取り組んでいくことが大変重要だと考えております。こうした中におきまして、初期費用なしで太陽光パネルを設置できる住宅向けのPPAモデル、電力購入契約のモデルですが、こうした事業に新たに参入する企業が相次いでいるところでございまして、これは今後の太陽光発電の普及拡大に向けて非常に期待ができるものだと考えております。県では、これまで太陽光発電を備えておりますネット・ゼロ・エネルギー住宅、いわゆるZEHでありますとか、ご指摘のありました蓄電池などの導入のメリット等について、地域の工務店向けのセミナーですとか各種イベントを活用してPRに努めてまいりました。  今後はさらに、今申し上げましたPPAモデルなども加えまして、先月新たに開設いたしましたウェブサイト「COOL CHOICE とちぎ」でございますが、こういったものも活用して発信を強化して、エネルギーの自家消費の拡大に取り組んでまいりたいと思っております。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 環境森林部長からは積極的な取組を行っていくという答弁でございましたが、自動車業界では脱ガソリンエンジンの潮流から、モビリティ社会における水素ステーション、また充電ステーションの整備充実及び家庭用充電設備や太陽光発電システム、蓄電池設置等への行政の補助制度の充実は欠かせない政策になると私は思っております。カーボンニュートラル実現に向けたロードマップと併せて、具体的な支援対策を積極的に盛り込んでいただきますよう要望いたします。  次に、ウッドショックをウッドチャンスへ、県産木材の利用促進と生産強化について、環境森林部長に質問させていただきます。少々質問が長くなりますが、2つの観点でお答えいただければと思います。コロナ禍のアメリカ及び中国における住宅の郊外移転等の活発化に伴い、外国産木材の海外需要拡大により我が国への外材輸入が激減する状況となり、いわゆるウッドショックとなりました。そのため国産材に需要が集中し、これまで低迷してきた国産木材に一筋の光が見えてきたところですが、さらなるとちぎ材の生産強化が重要であります。  一方、カーボンニュートラル、SDGsなど世界的な環境対策が示される中、木材利用はCO2の吸収源として、脱炭素社会の実現に貢献することから注目されているところであります。木造建築物を増やすことは、都市部に第二の森林を形成するという意味から重要な取組であります。本県では4年前に通称木づかい条例が定められ、県内事業者を含む幅広い関係者に県産木材の利用を呼びかけています。また、本年6月に木材利用促進法が改正、強化され、原則全ての建築物の木造化が明記されるなど、木材利用の拡大が期待されるところです。  さて、全国を見ると、千葉県流山市の2万平米に及ぶ小中学校校舎の建築や茨城県の木造市民会館、東京海上ホールディングスの19階建て木造高層ハイブリッドオフィスビルなど、大規模木造建築物の計画が進んでいるところです。林業・木材産業の成長産業化を実現するには、私の持論でもある川上・川中・川下の連携による林業の6次産業化が重要であり、その基盤となるのが第一に木材利用の促進であり、第二に生産の強化です。  第一のとちぎ材の利用については、公共建築はもちろんのこと、民間施設の木造・木質化を法人オーナーや個人住宅ユーザーに対し見える形でアピールすることが重要であります。とちぎ材のよさを理解してもらうためには、住宅産業界で言えば、展示場、モデルルーム的なものが必要です。とちぎ材の品質や強度、建築デザインの魅力を発信できる展示場は、栃木の木造建築の魅力を体感できる場となり、利用促進には欠かせない装置となります。  林業センター内に現在計画中の(仮称)林業大学校については、本年2月通常会議において知事から、「県産木材をふんだんに使用し、本県木造建築のシンボルとなり、また学校そのものが教材となるような施設整備を図ってまいりたい」との答弁がありましたが、私は、この林業大学校をオールとちぎ材でつくる木造建築技術の粋を集めた傑作作品とし、県内外の事業者や県民が見学できる展示場機能も兼ね備えるべきと考えます。  そこで、県は中大規模建築物の木造化によるとちぎ材の利用促進に向けどのように取り組むのか、環境森林部長に伺います。
     また、第二のとちぎ材の生産強化については、外材の代替品としてのシェア獲得のための素材丸太の増産が重要であります。本県の人工民有林の森林資源は、年間2,000ヘクタールを60年間切り続けられるポテンシャルがあり、もっともっと切るべきで、稼げる林業を実現し、就業者が魅力を感じる産業へ変革させるべきです。本県の素材丸太の生産方法としては、全部切って植林する皆伐施業と、約30%を間引きし搬出する間伐施業を採用しておりますけれども、皆伐については労働力不足や鹿による苗木の食害が課題で、施業面積の拡大はある意味限界もあります。  そこで、このような現状を踏まえて、天然更新など海外の林業先進国を参考にしながら、伐採、更新、保育を省力化できる栃木独自の伐採方法導入に向けた考えを、併せて環境森林部長に伺いたいと思います。 ○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。ウッドショックの影響により、品質、強度に優れたとちぎ材の需要が高まる中、県ではこれまで、木材利用の促進と、それを支える素材丸太の生産体制の強化に取り組んでまいりました。まず、木材利用の促進に向けましては、森林環境譲与税を活用し、規模の大きな民間施設の木造化や建築士養成講座を支援しております。さらに、現在整備を進めている、仮称ではございますが、栃木県林業大学校につきましては、建築部材や構造等を見える化し、受講生はもとより、県内外の事業者や県民の皆様が見学できるものといたしますとともに、一般流通している良質なとちぎ材を使用することによりましてコストや工期上のメリットを明らかにし、中大規模建築物の木造化を促進してまいります。  次に、素材丸太の増産に向けましては、皆伐や間伐の強化に加え、本県に適した独自の新たな伐採方法として、伐採率を高めた択伐の有効性を検証しているところでございます。引き続き、様々な伐採率の実証を行いまして、天然更新の状況や省力化等の効果を見極めながら、鹿の食害の程度や地形に応じた適切な伐採方法の導入によります森林の若返りと素材丸太の増産を図ってまいります。  今後とも、関係団体等と緊密に連携しながら、とちぎ材の利用と生産の拡大に取り組みまして、脱炭素社会の実現にも資する林業・木材産業の成長産業化を積極的に促進してまいります。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 特に労働力が現在の状態を前提とする場合に、施業効率を上げる取組が有効であると思います。間伐の間引き率は30%でございますが、これを60%にするなど様々な方法があると思いますので、積極的な新たな手法への挑戦をお願いしたいと思います。また、林業大学校に展示場機能を備えることについては、県産木材の利用促進に寄与することは間違いありません。これについても積極的に取り組んでいただきたいと思います。私は、ウッドショック後の10年間、これからの10年間が、本県林業・木材産業をウッドチャンスに変える正念場であると考えております。とちぎ材の利用促進と生産拡大の両輪を推進することが、林業・木材産業の成長産業化へのポイントとなると思いますので、これらの取組強化を要望させていただきたいと思います。  次に、SDGsと地方創生の観点から、初めに県の都市計画の考え方について、知事に質問いたします。昨年の栃木県知事選挙で、福田知事は、これからは県内の旧市町村単位で地域課題を抽出し、その解決に向け未来技術等を積極的に導入して、住み慣れた地域で暮らし続けられる環境づくりを進めると訴えました。こうした考え方は私も賛成であります。  さて、現在多くの地域が抱えている問題の一つは、都市計画で市街化調整区域と定められた地域における地方創生への取組であると思います。さらに、当該地域では、農地法の規制も加わり、自己所有の土地ですら自由に開発することもできない現状があります。法規制は土地開発や住宅建築等を制限することから、地域住民の転出、若者の流出を助長し、子供会の消滅や小中学校等の廃校など地域活力の減退を招いております。私は、市街化調整区域内における持続可能な地域づくりの観点から、市街化調整区域の利用可能地域と市街化区域の未利用地の付け替えや、市街化調整区域内の開発における適用除外制度の創設が必要であると考えております。このような市街化調整区域に関する地域の課題は数多く存在し、これらを解決するには大胆な発想で政治的判断が必要となると思います。  私は、こうした取り残される可能性のある地域の創生につなげるために、市街化調整区域内の開発規制を地域の実情に応じて柔軟に見直す必要があると考えますが、知事のお考えを伺います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。都市計画法における市街化区域と市街化調整区域の区分、いわゆる線引き制度につきましては、人口の増加や産業経済の拡大成長期において、無秩序な市街化を抑制し、都市基盤の効率的な整備を実現するなど、都市の健全な発展に重要な役割を果たしてきたと認識しております。しかしながら、近年の人口減少・高齢化の進行により、市街化調整区域におきまして地域活力の維持が困難になるなどの課題が顕在化してきております。そこで、市街化調整区域における地域活力の向上や生活利便性の維持を図るため、にぎわいの創出や日常生活に必要な施設の立地が可能となるよう、地区計画制度の運用見直しや開発許可基準の見直しを必要に応じ行ってまいりました。  引き続き、県の定める都市計画区域マスタープランや市町の定めるマスタープランに掲げるまちづくりの方針を踏まえつつ、社会情勢の変化や地域の実情を的確に捉え、規制の見直しを検討するなど、地域の維持発展が実現できる県土づくりを進めてまいります。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま知事から、地域への思いがにじみ出る答弁をいただきました。  さて、SDGsの前文に、誰一人取り残さないと明記したことが重要なインパクトであると評価されております。地域で結婚、出産、子育てを持続可能とするために、教育や医療の格差をなくすために、地域産業を創出するために、高齢化に対応できる公共交通網の利便性を高めるために、今何を行わなければいけないか真剣に議論しなければならないと思います。  ここで知事に再質問いたします。私は、県の都市計画にハブ機能の考え方を反映し、周辺自治体との接点地域である、いわゆる市街化調整区域に自治体間を結ぶハブとしての機能を位置づけ、公共交通で結ぶなど、その周辺の環境整備を進めることが有効であると考えています。都市計画の目的の一つは、自治体間の成長の果実を他の自治体が享受できる連携の輪を構築することであると思います。「山高ければ裾野広し」ということわざがありますが、自治体ごとに存在する地域資源のポテンシャルが分断されていれば、その力は発揮されません。私は、県の広域的な都市計画の考え方に、ポテンシャルの高い自治体と周辺自治体を有機的に結び、恩恵を享受するハブという考え方を導入してはどうかと考えますが、知事の所見を伺います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。魅力的で個性ある都市づくりの推進や地理的優位性を生かした産業集積地の形成など、効率的で持続可能なまちづくりを実現するためには、県内各自治体を有機的に結び、地域の魅力や強みを相互に補完することが重要であると考えております。そのため県では、各自治体における中心的な市街地をその規模や役割に応じた拠点として位置づけまして、公共交通を基本とした交通ネットワークにより連携を強化することとしております。  今後とも、効率的で持続可能なまちづくりの実現のために、お話にございましたハブという考え方を込めて、コンパクト・プラス・ネットワークの都市づくりを推進してまいりたいと思います。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま知事から、この考え方につきましても一定のご理解をいただけたと認識させていただきました。例えば県の都、宇都宮市のポテンシャルは大変大きなものがあるわけでございますが、当然市街地に人口が集中しておりますので、周辺自治体との面的交流が乏しいことからポテンシャルの共有が十分に図られてきたとは言えませんでした。宇都宮市の持つポテンシャルを享受するために、例えば清原地区、河内・上河内地区、篠井・新里地区、横川・瑞穂野地区等の地域が、県の東部や県北、県西、県南を結ぶハブ地域と位置づけられれば、宇都宮市と周辺自治体との連携はさらに強化されるわけであります。県の都市計画区域マスタープランを策定されておりますが、どうかその中に積極的に盛り込んでいただく検討をお願いしたいと思います。  次に、公共交通ネットワークの拡充について、県土整備部長に質問します。県内の公共交通は、鉄道、路線バス、コミュニティバス、タクシー、デマンドタクシー等がありますが、利用者にとって行きたいところに直接行けるニーズの実現は永遠のテーマであります。そのため、限られた公共交通の環境の中ではありますけれども、不便地域のカバー、サービス地域外への広域対応の検討など利用者ニーズへの対応強化を行い、同時に利用者の拡大を図っているところでもあります。  さて、宇都宮市と芳賀町で進められているLRT事業は、まさにこの公共交通ネットワークの再編計画を加速させる事業となります。LRTは再来年春に開業しますが、既に周辺自治体からはLRTに接続できる交通ネットワークの要望が出ております。さらに、LRTはJR宇都宮駅西側延伸計画案により東武宇都宮駅とつながることになれば、県の中央を東西に結ぶ大動脈となります。これにつながる公共交通を持つことは、周辺自治体にとって、地域経済活動や文化芸術交流など相乗効果を生むことは明らかであると思います。一方で、公共交通を担う事業者側の課題として、長引くコロナ禍の中で、交通事業の維持継続のため、ドライバーの確保が重要課題にもなっております。  そこで県は、LRTを軸とした公共交通ネットワークの再編及び周辺自治体との連携についてどのような考え方で取り組むのか、また、公共交通を担う事業者のドライバーが不足する中、県民の移動の足を確保するため県はどのように取り組んでいくのか、県土整備部長に併せて伺います。 ○阿部寿一 議長 田城均県土整備部長。    (田城 均県土整備部長登壇) ◎田城均 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。宇都宮市と芳賀町では、現在、LRTの導入に伴いまして、交通事業者と協議をしながらバス路線の再編を行っておりますが、これに併せまして、真岡市におきましてもLRTに接続する広域的なバス路線の導入検討を行っているところであります。県ではこれらの検討に当たりまして、市町間の調整や助言を行っております。さらに、その他周辺の地域内交通におきましても、LRTと連携が図られ充実しますよう市町とともに検討を行ってまいります。また、県民の交通手段を確保するために、LRTと重複するバス路線の空白地への置き換えや地域共助型生活交通の導入、さらには自動運転などの未来技術の活用などに取り組んできたところでもあります。  今後とも、公共交通ネットワークの確保・充実に向けまして、市町や交通事業者等と連携しながら、各種取組を積極的に進めてまいります。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 今、県土整備部長から答弁を頂戴いたしました。県は、広域での公共交通ネットワーク構想を前進させる必要があると思っております。それには各自治体内の地域課題を積極的に把握し、積極的に対策を講じなければならないわけでございます。LRTを公共交通の軸に、周辺の自治体が連携しやすい環境づくりを市町と一体となって県が進めていただくことをまず要望したいと思います。  また、地域を網羅する交通事業において、先ほどドライバー不足があるという話をしましたけれども、このドライバー人材の確保については、ドライバーという職業を女性活躍の場として位置づけるとか、パート労働を可能にする働き方を導入するとか、あるいは二種免許が必要なわけでございますが、その取得への補助制度、これらについて県民生活部や産業労働観光部等と連携しながら、地域内、県内の交通事業を担っていただく事業者に対しても積極的な支援を要望したいと思います。  次に、こども医療費の無償化拡大について、保健福祉部長に質問させていただきます。少子高齢・人口減少の課題解決に向け、公明党は子育て支援の充実・拡大に取り組んでまいりました。子供を産み育てやすい環境整備が求められておりますが、多子家庭にとって現実社会の子育て環境は決して優しいものではありません。こども医療費の無償化への本県の取組は、昭和47年にゼロ歳から1年間の医療費を無償化にしたところから始まり、あれから49年、子供は地域の宝ということで子ども・子育ての施策が進められ、現在では本県における医療費無償化の対象が小学校6年生にまで拡大してきたところでございます。近年では、各自治体が選ばれる地域を目標に、子育てしやすい地域ランキングの上位を目指し、子育て支援の充実を加速させております。群馬県をはじめ複数の自治体がこども医療費無償化の範囲を中学3年生までとしており、さらに18歳まで拡大する流れもあります。  一方で、県内では自治体間の格差が生じているのが現実であります。県民にとって県内どこの地域で生まれ育とうが、子育て環境に不平等があってはなりません。地域間格差を生んでいる背景には、県内市町の財政状況等の要因があると思いますけれども、県は広域行政の視点から地域間格差の是正に向けて、段階的、計画的な措置を講じるべきと考えます。  そこで県は、こども医療費無償化の拡大に今後どのように取り組む考えか、保健福祉部長に伺います。 ○阿部寿一 議長 仲山信之保健福祉部長。    (仲山信之保健福祉部長登壇) ◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、市町と連携しながら、幼児教育・保育の無償化や多子世帯への経済的負担の軽減、さらには延長保育や放課後児童クラブの運営支援など、子ども・子育て支援に関する施策に取り組んでいるところでございます。このような中、こども医療費助成制度につきましては、制度の趣旨やその効果等を踏まえながら、対象年齢などを段階的に拡充し、子育て家庭への経済的負担の軽減を図ってきたところでございます。  今後のこども医療費助成の在り方につきましては、現行制度の運用状況や課題等を整理した上で、子ども・子育て支援施策全体を選択と集中による視点により見渡し、効率的かつ効果的な制度となるよう市町とともに検討してまいります。なお、当該助成につきましては全国一律の制度とすることが望ましいと考えておりますので、国の責任におきまして制度を創設するよう、引き続き国に対し要望してまいります。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 保健福祉部長より答弁をいただきました。確かにこの制度につきましては、国のいわゆる方針というか、制度それ自体をしっかりと整えていただく必要がありますので、県としてもしっかりと国へ働きかけをお願いしたいと思います。  それはそれとして、国の制度が改まるにはかなりの時間がかかるのだろうと思います。その間、この格差是正について取り組まないということはできません。ここで知事に再質問させていただきたいと思います。知事は常々、人への投資は本県の未来への投資と言われ、人材育成を県政経営の柱にされております。人は県政経営の基本であります。  そこで、こども医療費助成の対象年齢の目標を高校3年、18歳までとし、市町と各自治体の現状や課題、対応策等について忌憚なく協議できる場を設け、県として市町を支援する長期計画を策定すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 ○阿部寿一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。安心して子供を産み育てることができ、子供が健やかに成長することができる地域社会の実現を図っていくためには、県や市町など関係団体が連携・協力し、妊娠・出産・子育てまで切れ目のない支援に取り組む必要があります。そのような中、このほど、こども医療費助成制度につきまして、市長会、町村会から助成対象年齢の引上げなどにつきまして制度の拡充について要望がなされたところであります。そのため、県としては、当該助成制度が持続可能な制度となるよう、市町を含めた検討組織を設けた上で、子ども・子育て支援施策全体の中での助成の在り方について、今後速やかに協議を進めてまいりたいと思います。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 知事から、検討組織を立ち上げ協議を進めるという答弁がございました。よろしくお願いしたいと思います。本県内で生まれ育つ全ての子供たちは、ひとしく安全・安心の環境を提供する、これが県の責務であると思います。そして、県政経営においては、子供への投資は未来への投資であり、投資のないところに発展なし、これを基本に長期計画の下で、段階的にこども医療費無償化への拡大を推進していただきますよう要望させていただきたいと思います。  次に、学校教育の充実について、初めに公立夜間中学設置の方針について、教育長に質問させていただきます。これまで、私は、公立夜間中学設置への国の方針や本県内のニーズの高まりなど、公立の夜間中学設置をするよう議会を通じて訴えてまいりました。県教育委員会は態度を示さないまま今日に至っているわけでございますが、そのような中、今年から民間で夜間中学の運営が始まりました。また、複数の議員からもこの議会を通じて、設置するのかしないのか、県の方針を決めるべきであるという声も上がってきております。  そこで、改めてお聞きしたいと思います。県教育委員会として、公立夜間中学設置に向けてどのような方針で取り組むのか、教育長に伺います。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。夜間中学には、不登校など様々な事情から学齢期に十分な教育を受けられなかった方々に対しまして、義務教育を受ける機会を保障するための役割が期待されております。これまで県教育委員会では、潜在的なニーズを把握するための調査や先進校の視察を行いますほか、市町教育委員会等との連絡会議を開催し、夜間中学を設置する上での課題を整理してまいりました。具体的には、毎年の入学希望者数の把握や設置場所の選定、多様な生徒に対応するための教職員の配置、これまでの学習状況や日本語の習得状況等に応じた教育課程の編成など、学校運営上の課題が挙げられているところであります。  公立夜間中学を設置するには、こうした課題を解決する必要がありますことから、今後とも市町教育委員会等と十分に連携を図りながら検討を進めてまいります。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま教育長から、市町の教育委員会と協議しながらという話がありましたが、まずは県の教育委員会が方針を決めなければ、市町の教育委員会と協議するというスタンスにはならないと思います。教育長に再質問させていただきますが、改めて、県として設置する方向なのか、それとも設置しない立場に立つのか、それをお聞きしたいと思います。いつやるとかどこにつくるということは、私はお聞きしません。県教育委員会として、その立場、立ち位置、これを明確にお話しいただきたいと思います。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。設置の目的から申し上げれば、設置の必要性というのは高いと認識しております。ただ、先ほども申し上げましたように、様々な課題等もございまして、現在、全国都道府県教育長協議会を通しまして、国に対しましても、定数措置の拡充、それから設置と運営、そういったものに対する支援の充実を要望しているところでございますけれども、引き続き市町と様々な課題についてしっかりと議論していきたいと思っています。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) はっきりしない答弁でございましたけれども、設置する方向で議論を進めると理解させていただきます。どうかよろしくお願いします。  次に、コミュニティスクールをはじめとした学校と地域の連携推進について、教育長に質問します。全国でコミュニティスクールを導入する動きが活発化しております。文部科学省は、2004年、学校運営協議会を設けて、住民や保護者が公立学校の運営に参加する制度を打ち出し、本年5月1日現在で、全国の公立学校の約3割に当たる1万1,856校が参加しております。コミュニティスクール導入の急増の背景には、2017年4月施行の地方教育行政法の改正で、学校運営協議会の設置が努力義務になったことに起因しており、2017年4月時点と比べて3.3倍になっております。学校運営協議会は、地域に密着した小中学校や特色ある高等学校等で導入が進んでおります。地域と連携した学校運営は地域ぐるみで子供の教育を行い、同時に地域の責任感を醸成する取組で、まさに学校と地域の連携を強化するものと言え、特に小中学校と地域の連携を促進することが求められております。本県では6つの高等学校をはじめ、市町の小中学校が導入しておりますけれども、市町間の温度差が顕著であります。私たち公明党は、国主導の画一的な教育からの変革に向け、教育の現場が地域に根差した「地域とともにある学校」という環境整備を推進しております。  そこで県は、コミュニティスクールをはじめとした学校と地域の連携推進について今後どのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。次代を担う子供たちが変化の激しい時代に対応するためには、地域の多様な人々と関わり、他者と協働しながら課題を解決する力を育むことが重要であります。各学校内で地域の方々と運営を協議するコミュニティスクールや、地域が主体となって学校を支える地域学校協働本部の導入は年々増加しておりますが、地域とともにある学校づくりをさらに推し進める必要がございます。このため「頑張る学校・地域!応援プロジェクト」として、各教育事務所に連携支援チームを設置し、学校、地域双方の体制づくりや活動を支援するほか、実践事例とその成果を広く周知してまいります。  今後とも、市町教育委員会と連携し、コミュニティスクールをはじめとした学校と地域の連携・協働を推進することにより、児童生徒が予測困難な時代をたくましく生き抜く力を育成してまいります。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 教育長から、コミュニティスクールについては推進の必要があるというご答弁をいただきました。  ここで教育長に再質問させていただきます。地域と学校の連携については複数の取組があると聞いております。県として、その複数の取組について一つ一つ比較検討までは行っていないとも聞いているのですけれども、国が様々な支援メニューを出すわけでございますが、現在の状況は市町任せという現状があるのではないかと思っております。県の教育方針が現場にしっかりと伝わっているとは思えないという状況もあります。県教育委員会として、市町の教育委員会と整合性を図りつつ、県の姿勢を示しリードしていくべきと考えますけれども、いわゆる県の方針を市町に伝えるという考え方について、教育長の所見を伺いたいと思います。 ○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。学校と地域の連携・協働の推進につきましては、保護者、あるいは地域住民など関係者の十分な理解と主体的な協力が不可欠であります。各市町教育委員会では、学校、地域との実情に応じた取組を推進しているところでありまして、県教育委員会といたしましては、引き続き体制づくりや活動の支援をはじめ、地域コーディネーターの養成、研修、これらを担う人材の育成に取り組んでまいりたいと思っています。 ○阿部寿一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 教育長から答弁をいただきました。地域の実情はよく理解できるところでございますけれども、県としては、やはり教育行政の経営において方針展開は基本だと考えております。国、県、市町の方針あるいは取組、この軸がぶれれば結果はついてこないわけでございますので、県は国の方針を熟慮、熟考し、しっかりとした県の方針の下、県政をリードしていただきたいと思います。県教育委員会におきましては、地域の実情をしっかり把握しながら、その実情に応じた取組について、県としての方針なり、指導性を持ってしっかりと取り組んでいただくことに期待し、質問を終わりたいと思います。  今回の質問で何点かご指摘もさせていただきましたが、昨年の質問でも申し上げましたように、VUCAの時代、社会を取り巻く環境はますます複雑、不確実、そして予測困難な局面に入っております。まさに、これからの10年が正念場であります。執行部にあっては前例にとらわれない積極的な、そして大胆な発想で取り組んでいただけますようよろしくお願い申し上げ、全ての質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○阿部寿一 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。6日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。  本日はこれで散会いたします。    午後2時26分 散会...