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令和 3年10月グリーン社会実現特別委員会(令和3年度)-10月07日-01号

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  1. 栃木県議会 2021-10-07
    令和 3年10月グリーン社会実現特別委員会(令和3年度)-10月07日-01号


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    令和 3年10月グリーン社会実現特別委員会(令和3年度)-10月07日-01号令和 3年10月グリーン社会実現特別委員会(令和3年度)      グリーン社会実現特別委員会会議記録 1 開会日時  令和3年10月7日(木)午前9時58分~午後1時04分 2 場  所  第2委員会室 3 委員氏名   委員長    螺 良 昭 人   副委員長   関 谷 暢 之   委  員   石 坂   太          岡 部 光 子          小 菅 哲 男          野 澤 和 一          渡 辺 幸 子          松 井 正 一          保 母 欽一郎          山 田 みやこ          相 馬 憲 一 4 委員外出席議員    なし 5 執行部出席者    環境森林部長            鈴 木 英 樹
       次長兼環境森林政策課長       渡 辺 順 一    環境森林部次長           佐 橋 正 美    環境森林部参事           大 竹 久 弥    気候変動対策課長          野 中 寿 一    森林整備課長            佐 藤 健 之    環境森林政策課総務主幹       武 藤 慶 人    環境森林政策課環境立県戦略室長   大 橋 禎 恵    産業労働観光部長          辻   真 夫    次長兼産業政策課長         石 井 陽 子    工業振興課長            岩 田 知 也    産業政策課総務主幹         岡 本 栄 二    産業政策課次世代産業創造室長    渡 邉   豪    工業振興課ものづくり企業支援室長  柳 田 雅 美 6 出席を求めた参考人  ア 本田技研工業株式会社 四輪事業本部    パワーユニット開発統括部 パワーユニット開発一部    エグゼクティブチーフエンジニア        木 村 英 輔 氏  イ 日産自動車株式会社 パワートレイン生産技術開発本部    パワートレイン技術企画部 パワートレイン技術統括グループ    エキスパートリーダー             西 村 公 男 氏 7 会議に付した事件 (1)経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進に関する参考人からの意見聴取 (2)報告書構成案の検討 (3)総括討議 (4)請願・陳情の審査 8 その他の必要事項   なし             ────────────────────                  午前9時58分 開会 ○螺良昭人 委員長 それでは、ただいまから、グリーン社会実現特別委員会を開会いたします。  本日の会議録署名委員に、石坂委員、岡部委員を指名いたします。ご了承願います。  続いて、執行部への出席要求についてでありますが、本日の委員会において、説明のため出席を求めました者は、配付資料のとおりであります。ご了承願います。  それでは、議事に入ります。  議事(1)経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進について、参考人招致により意見聴取を行います。  本日は、本件に関する事項についてご説明、ご意見をいただくため、参考人として、本田技研工業株式会社四輪事業本部の木村英輔様にお越しいただいております。  木村様におかれましては、現在、本田技研工業株式会社四輪事業本部パワーユニット開発統括部パワーユニット開発一部においてエグゼクティブチーフエンジニアとしてご奉職されております。  大変お忙しい中、本委員会の求めに応じてご出席賜り、誠にありがとうございます。  委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  それでは、議事の進め方でございますが、木村様から、「自動車産業における電動化」に向けた取組についてご説明をいただいた後、続けて質疑を行いたいと考えております。  なお、本日ご説明いただく内容は、執行部においても大変参考になると思われるため、職員の同席を認めておりますので、ご了承願います。  それでは、木村様、ご説明をお願いいたします。  説明は、ご着席のままで結構です。 ◎木村英輔 本田技研工業株式会社四輪事業本部パワーユニット開発統括部パワーユニット開発一部エグゼクティブチーフエンジニア 本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。  参考人ということで、未来に向けて本田技研工業がチャレンジしている内容を本日ご紹介し、その中で皆様からご意見やアドバイスをいただき、コミュニケーションを取らせていただきたいと考えております。  私が本田技研工業に入社しまして、三十数年になりました。自動車エンジンの基礎研究から始めて、時代の流れとともに、ハイブリッド車や燃料電池、そして今は電気自動車の研究、それと、電力網と車をつなげる社会づくりの仕事に関わるようになりました。そういう開発をしている部隊が芳賀町や宇都宮市にあるということで、ぜひ皆様のアドバイスと支援をいただきたいと考えております。  また、栃木県には様々な産業がありますが、自動車などのモビリティに関わる産業や、それらの部品を造ってくださる様々な加工メーカーや計測機器の皆様が、たくさんいらっしゃいます。そういった方々と、いかに栃木県を盛り上げていくかを考えてまいりたいと思います。  それでは、Hondaの電動化に向けた取組について、本日、話をさせていただきます。  まず、本田技研工業について、皆さんご存じだと思うのですが、もう一度話をさせていただきます。  実は本田技研工業は四輪車だけではなく、様々なプロダクトを生産しております。四輪車、二輪車、そして、発電機や農機といったライフクリエーション、また、飛行機も開発しております。  フォーミュラ1、こちらは有名ですが、今年は調子がよく、メルセデスを倒すというところまで、もう一歩であります。  そういったことに取り組んでいるのですが、何と、世界最大のパワーユニットメーカーでございまして、年間3,000万の顧客とお付き合いをさせていただいています。  それでは、こういったモビリティをどのように皆さんにつなげていくかについてです。  今年、社長も代わりまして、栃木県の研究所で開発を続けてきた三部が社長になりました。彼が取り組む新しい本田技研工業につきましては、社会が変化していく中で、まず地球環境への負荷をなくし、安全を達成することで貴い命を守ることを目標に掲げて、環境と安全に徹底的に取り組むというメッセージを出しております。  環境におきましては、昨年の秋に、菅首相が話す直前でしたけれども、F1の撤退と同時に、本田技研工業の関わる製品全てでカーボンニュートラルを目指し、2050年に達成するとの強い意志を表明させていただきました。  それだけではなく、全世界で本田技研工業の二輪車、四輪車に関する交通事故死者を減らしていく、ゼロにしていくことを目指しています。  この環境と安全の目標を達成するために役立つ技術が、モビリティパワーユニットエネルギー、そしてロボティクスの領域であり、その技術を進化させ、本田技研工業ならではの新たな価値を生み出していくことを目指しております。  そして、社会の変革や暮らしの質を向上させていくために意志を持って動き出そうとしている世界中の人々に、こうした価値の提供を通じてパワーを与える、エンパワーしていくことが私たちの現在の行動指針になっています。  続きまして、どのように環境対策に取り組むかという、環境にフォーカスを当てていきたいと思います。  本田技研工業は昨年10月2日に、先ほど話したように、カーボンニュートラル2050という宣言をしました。  その柱は、高い目標を掲げて取り組むこと、結果ではなく、まずはチャレンジすることです。  具体的には、「カーボンニュートラル」、「クリーンエネルギー」、「リソースサーキュレーション」という3つのコンセプトを1つにまとめ、これらを「トリプルゼロ」と呼んでいましたが、今や実行に移すべきタイミングであることから、「Triple Action to ZERO」という言葉に変えて取り組んでおります。  このような取組によって、可能な限り地球の資源の消費を抑制し、環境への負荷のない社会を目指していきたいと考えています。  では、どのようなカーブを描いていくかを、CO2で説明させていただきたいと思います。  このグラフは、右軸、平行軸が年次で、縦軸がCO2の量となっており、「ライフサイクルCO2」と書かれています。車が走るときのCO2だけではなく、車を生産してからリサイクルされるまで、活動全てでゼロにしていくということです。  そのためには何をするか。まず、自動車では、現在ハイブリッド車を中心に展開しておりますが、将来的にはZEV「Zero Emission Vehicle」を拡大していく。具体的にはバッテリーEV燃料電池車、FC「fuel cell(フューエルセル)」などでライフサイクルにおいてゼロにする。要は製造の部分でもゼロにするということで、パーツを造ってくださる方々の生産活動そのものもCO2ゼロにしていきます。  同時に、電力の再生可能エネルギー化が重要で、生産する工場のカーボンニュートラルファクトリー化も重要になってまいります。これらを全て実現して、初めて2050年カーボンニュートラルとなります。  それでは、どういう社会をつくっていくかに移らせていただきます。  これは電動化への取組という名前ですが、我々はメッセージワードとして、「Honda eMaaS」というコンセプトを掲げています。どういうことか説明します。  まず、「eMaaS」の「e」、これはエネルギーです。エネルギーと電気を受けての「e」です。「M」を抜き、「EaaS」と置き換えると、「Energy as a Serviceエネルギー・アズ・ア・サービス)」という形となり、顧客にエネルギーを通じたサービスを提供する。もしくは、「MaaS」、これは「Mobility as a Serviceモビリティ・アズ・ア・サービス)」、モビリティをサービスとして提供する。この2つを合わせた新しい造語ですけれども「eMaaS」と呼んでおります。  それを絵で描いたものがこちらですが、カーボンクリーンエネルギーを活用する。風力や、太陽光、水力で作った電気や、もしく水を電気分解して作った水素を使って、様々なデバイスやモビリティエネルギーを提供していくことになります。  後ほど説明しますが、一番上のラインが小さな持ち運びのバッテリーで、モバイルパワーパックと呼んでおり、二輪車に活用していきます。そういったバッテリーを中心として、電気とつなげたモビリティ社会を広げていく。  2層目は、それらをベースに大きくしたバッテリー、これは四輪車のバッテリーを最大限活用していくことになります。  最後に水素です。燃料電池システムを応用して、水素社会に向けたものにする。さらに、これらを連携させ、例えば風が強い日や、日差しが強い日など、変動する再生可能エネルギーの生成量をうまくコントロールするために、コネクテッドプラットフォームと書いてありますが、ネットワークやIoTでつなげていくといったコンセプトを使って展開してまいります。  どのくらいのスピードかというと、電動化に取り組むスピードを弊社で計算し、チャレンジングな目標を掲げました。  まず、先進国において、BEV、FCVを、2030年に40%、そして2035年に80%、2040年100%という高い目標を掲げています。これは急激な変化でありますが、世界的に見ると、アメリカの自動車会社もしくはバイデン政権が、2030年に40%、50%を目指すとしていますので、もはやアグレッシブでもなくなってまいりました。  日本におきましては、そうはいってもハイブリッド技術トヨタ自動車を含めて非常に進んだ国ですので、実は電動化が一番進んでいる国でございます。ただ、ハイブリッド車を使っており、電気自動車に関しては少し遅れていて、2030年で2割くらい、その後80%、100%と上げていこうという目標になっております。  特に日本におきましては、ご存じのように軽自動車が市場の3、4割を占めております。この軽自動車に電動車を導入していくことが非常に大きなチャレンジでして、ハイブリッド車やBEV、バッテリーEVにしていくことでございます。  こういったバッテリーの調達についても、日本においては、どのように地産地消にしていくのか。今は中国のバッテリーメーカーが非常に強いという状況であり、日本の電池産業を強くしていくために経済産業省と一緒に取り組んでいかなければならないと考えております。  続きまして、「電動化の取組」を紹介させていただきます。  電気自動車ですが、今、私たちが売っている車は、この左側のかわいい「Honda e」のみです。あとは「CLARITY」という車になります。アメリカでバッテリーEVプラグインハイブリッド車、そしてFCV、燃料電池車、これを1つのパッケージに収めた車を展開させていただいて、日本におきましては、プラグインハイブリッド、PHEVとFCVをリースで展開させていただいております。  また、こういった車は、なかなか高価なので、借りて乗っていただくカーシェアリングシステム「EveryGo」というブランドで、時間貸しの車のリースを、カーシェアリングとして展開させていただいております。  これをさらに普及させるため、2024年に弊社では、先ほどお話ししました軽自動車のバッテリーEVを出すべく、開発を急いでおります。  燃料電池の話をさせていただきます。  水素を作ってどうするかですが、実は、燃料電池につきまして、本田技研工業は20年以上の歴史がございます。私が会社に入って10年たたないくらいに燃料電池の開発が始まりました。それ以来20年以上、燃料電池の開発をし、小型・軽量化を進め、「Clarity Fuel Cell」、世界で初めて、ボンネットの中のスペースであるエンジンフードに燃料電池を納めることができるようになりました。それまでは床下などでした。  こういった形で小型化、軽量化し、今は5人乗りの燃料電池車が提供できるようになっております。  また、燃料電池車の取組は決して乗用車だけではございません。これはエネルギー密度という、燃料の持っているエネルギー密度を考えると、より大きな車に効果がある。特にトラックや携帯電話の基地のバックアップ電源、また、クラウドサービスなどのデータセンターに使う定置型電源、もしくは排気ガスが出ず、水しか出ないので、持ち運ぶ電源として例えば地下のトンネルの工事などには燃料電池の発電機は非常に有効でございます。  こういったものを現在、本田技研工業1社ではなかなか難しい部分もあることから、GMと一緒になって共同で会社を興し、開発しております。  さて、続きまして、電動化をどのように生かしていけるかでございます。  よく聞くのはレジリエンスでございます。こちらは燃料電池車を用います。燃料電池車で起こした電気を外づけの「Power Exporter 9000」という、直流を交流に切り替えるための装置を提供させていただき、例えば災害時、千葉県が大きな台風で被害を受けましたけれども、そういった際のバックアップ電源、避難所へ電気を届ける、もしくは医療関係のデモンストレーションで救助車が行く。また、緊急時だけではなく、平時においても野外のイベントで電力を供給するなど、平時と有事、両方でこういった電気をオフグリッドで供給できることから、非常に有効な活用方法だと考えています。  こういった取組は決してホンダだけではなく、関係する自動車会社が進めておりまして、トヨタ自動車がオリンピックで燃料電池のバスを走らせておりますけれども、そのバスに、先ほど冒頭で話した弊社の小さな持ち運び用のバッテリーを積んで、燃料電池のバスで作った電気をこの電池に充電し、その電池をバケツリレーのように持ち運ぶバケツリレー電気、こういったコンセプトで、様々なところで使っていただく。例えばキャンプに持っていって、電池を使っていただくこともできるということです。  これを「Moving e」という呼び名で展開していまして、災害時や様々なイベントでの実証実験を進めさせていただき、レジリエンスとイベントでの活用を視野に入れて展開しています。  こちらは今年、フェーズフリーアワード、有事と平時の2つのフェーズがあって、それらを結びつける考え方ですけれども、そのアワードのアイデア部門で銀賞を頂くことができました。  次に二輪車です。やはり二輪車は、アジアが非常に多く、生活に欠かせない道具ですが、本田技研工業は世界一のシェアをここで持ってまいりました。  新興国では経済的な問題もあり、なかなか電気でとはいかないのですが、CO2の排出量を下げることは、パリ協定の後、国際連合でも非常に厳しいもので、成り行きや各国の宣言が注目されています。  本田技研工業はその中で世界ナンバーワン二輪車メーカーとして責任があり、新興国の掲げる政府目標の全てを大きく上回る削減量の目標を立て、それを実現するデバイスを提供しようとしております。  こちらにつきましては、電気だけではなく、バイオ燃料の活用も奨励して進めようと考えております。  左側にある四角いものがいっぱい並んだもの、これは電池の充電ステーションです。持ち運びが可能な電池を充電ステーションに置き、入れ替えるだけで二輪車に乗っていただくサービスです。これは大阪府などで展開したり、海外でも実証実験を行っています。  また、日本郵政株式会社と協業し、配達用のオートバイとして使っていただく取組が年賀状の配達から始まっています。実は栃木県では小山郵便局がこのオートバイと日産自動車のEVや、太陽電池などを組み合わせた取組をしています。これはスマートグリッドのようなものを展開しているということです。  電気を持ち運ぶこと、交換を簡単にすること、また、充電を短縮することは、産業的にリスクではなくて、大きなビジネスの機会であると捉えていただきたい。私たちはリスクではなくて、再生可能エネルギーを使うことは新たなオポチュニティーであると考えております。  二輪車は小さなものであることから、電池を積むのは難しいのですが、電池を積んでいき、ファンの領域まで広げていきたいと考えています。  私は、オートバイに乗りますが、栃木県には、ご存じのように観光で大勢のツーリング客がいらっしゃいます。仮に、オートバイの動力が電気になった場合、航続距離が問題になります。気軽に充電できる設備がないと、ツーリング客が栃木県を避けることも想定されます。そういったことも観光振興の中で考えてはどうでしょうか。
     続きまして、電動化への取組のもう1つです。  先ほど話した電池で、これは決して二輪車や四輪車に関してだけではございません。産業機械につきましては、栃木県に工場があるコマツの小さなショベルカーに提供したり、筑波大学のキャンパスで、楽天と自動配送ロボットにこの電池を使う実験を行っています。  また、海外では、大気汚染が非常に厳しいインドにおいて、今まではいわゆる「リキシャ」と呼ばれる三輪車が天然ガスで動いていました。それを電気に替えていこうと、バッテリーを積んだ「リキシャ」を提供すべく進めております。  今まではエネルギーという軸で話をさせていただきましたが、人の動きを変えていこうということで、よくCASEという言葉を聞きます。CASEのCはコネクト、Aはオートノマス、自動運転のAですね。Sがサービスとシェアで、Eが電気です。その中のA、オートノマスの部分に取り組むために、GMと一緒に、クルーズというアメリカの会社と協業し、シェアリングカーを開発しております。  自動運転の取組を進めるべく、まずは本田技研工業開発センターがある芳賀町において、従来の電気自動車を使って導入のための技術実証の準備をこの秋から開始しました。道路の状況をカメラで撮って精細な道路マップを作り、それによって自動運転を行っていく。ぶつからないようにするためにはどこに注意しなければならないといったコンピューティングをしっかり行う実証実験を始めており、県にもお世話になっている状況でございます。  さて、ここからは造ることに移ってまいりたいと思います。  物を造る上では、リソースサーキュレーションが課題になります。これは何かと申しますと、物を造る原材料の段階からリサイクルまで、しっかり回していくことです。  右上にある円グラフで、「WtW」とは何かを説明します。「Well to Wheel」といいます。「Well」というのは井戸で、井戸からタイヤが回るところまでを「Well to Wheel」といって、その全体で使うエネルギーからのCO2排出をゼロにしようとするものです。  原材料の取得と廃棄にほとんどのエネルギーを使っており、これをいかに減らしていくかが使用過程以外で非常に重要になります。造る段階や廃棄の際のCO2排出を減らすために何をするかというと、材料のリサイクルをしっかりしていくということです。この産業は今後大きくなると考えておりますし、我々は製造業としてもパートナーを探しています。ぜひとも地元の産業にもご協力いただきたいと考えています。  実際の事例について、これは三菱ケミカル株式会社北海道自動車処理協同組合が一緒に活動している内容でございます。  サステナブルマテリアルといい、自動車のテールランプに使われているプラスチック、アクリル樹脂を分解し、リサイクルする活動でございます。  電池に関わっていない様々な産業もこのようなことをしっかりやっていくことが今後重要で、そこにもちろんビジネスの機会があると考えています。  残り数枚になりますが、最後にエネルギーについて話をさせていただきます。  クリーンエネルギー、いわゆる再生可能エネルギーです。今まで、自動車はエネルギーを使うだけでよかったのですが、これからはクリーンなエネルギーを調達していかなければなりません。車の使用過程だけではなく、事業活動における全てのCO2排出削減になります。栃木県内には、ご存じのように多くのダムがあります。これらのダムで発電した電気を活用し、とちぎふるさと電気という地元の新電力産業がございます。こちらで作った電気を東京電力エナジーパートナーに仲介していただき、弊社の事業所に導入しております。  芳賀町には大きな事業所が2つあるのですが、ひとつの事業所ではこの電気を活用し、「RE100」と呼ぶ、100%再生可能な電気で事業活動を行っております。  このように多様な再生可能エネルギーを導入し、エネルギーを作る部分でもCO2フリーな水素やバイオマスもしくは地熱を使って、社会的に存続が期待される事業所を目指していきたいと考えて活動しております。  今度は電力産業との取組になります。  先ほどもお話しさせていただきましたが、再生可能な電気は、風が強い日、日照りが強い日、そうではない雨の日があり、非常に変動します。しかしながら、安定して電力を供給するためには、一定の容量を持った設備が必要であります。  そういった電気を、日差しが強い日、春が一番多いのですけれども、そういったときの電気、日照時間が長くて発電する量は多いが、エアコンで使う量が少ない時期、そういったときに、こういった電池、左側に大きな設備がありますが、電池に電気を蓄えて、必要なときに放出することを電力業界と一緒に実施するという取組です。  これは弊社の事業所で、大きなNAS電池と呼ばれている蓄電池の一種を導入し、ゴールデンウイークだったと思いますが、実証実験を行っています。電力会社が余った電気をこの電池に入れて、夕方に大きく放出し、電力網がダウンするのを防ぐという内容です。  実は、これは電力会社から、いわゆる報奨金というか、支援金が出るのです。こういったもので産業を回していくということで、電力産業を中心にした新しいビジネスが非常に多く動き出しております。  これは、製作所、事業所の電池と電気、太陽電池の関係の話をしましたが、さらに車の電池を活用していく活動も始まっております。  残りの時間を使って、これからの自治体に対してのお願いや、考え方についてご説明します。  まず、モビリティを持続可能にしていくためには、やはり電動化は欠かすことはできないと思います。しかし、それが不便であっては導入が進みません。ですので、まず電気自動車の航続距離を延ばす、充電時間を短縮することを進めていかなければいけません。これは低コスト化と含めてOEMの責務でありますが、充電インフラにつきましては、地方行政と共に、新しいモビリティの形態に合わせてどこに充電設備を置けばよいか、ベルモールに置くなど、そういったことも含めて考えて、有効に電気自動車を使いやすい環境にしていくことがまちづくりの基本として必要になると考えています。  地方行政と手を取り合って計画していく仕事が今後ますます増えていくと考えております。  また、そういった自動車は、非常に高いので、導入時期については補助金といった支援であったり、公共施設におきましては、インフラをつくるという意味での充電器の設置の奨励であったり、家庭におきましても、充電器やソーラーパネルの設置への支援、こういったものがセットになったときに、何らかの触媒作用となり、導入が進むと考えています。  再生可能エネルギー、グリーン電力導入に向けた施策や支援ももちろん重要ですし、間接的ですが、地域の産業に役に立つことになると考えます。  まちづくりでいいますと、地域マイクログリッドやスマートシティがあります。これは経済産業省、国土交通省が進めているスマートシティに連携するわけですが、有事、平時のフェーズフリーな電力網、そしてIoTと車をつないだモビリティサービス、こういったものを支援していくということであり、そのようなところにビジネスは多くあるということを、今日、オポチュニティーとして皆さんにお伝えしたいと考えています。  最後に、お話ししましたリソースサーキュレーション、LCA(ライフサイクルアセスメント)に対する取組が地域の事業者の力なくしてはできないと考えております。  今日、冒頭で「eMaaS」という話をさせていただきました。県というよりは、宇都宮市になってしまうのですが、JR宇都宮駅の周りは、すごいスピードで開発が進んでいます。地域共生型のスマートシティの一例として、50万都市くらいがちょうどよいと言われていまして、Uスマート推進協議会、早稲田大学を中心につくられている団体ですが、そこに本田技研工業も参加して活動しています。クリーンなエネルギーを導入し、安定した電力供給のため充電水素ステーションを造り、ZEROカーボン車を普及させ、市民の足、県民の足として、高齢化社会と合わせて対応していきたい。そういった地域創生、グリーン社会への実現に我々本田技研工業も仲間に入れていただいて、取り組んでいきたいと考えています。  本田技研工業は、存在を期待される産業であり続けるために、製品、企業活動の両面から取組を進めてまいりますので、ぜひ行政や、地域の産業からご支援いただきながら、この栃木県から模範となる新しい社会をつくり出すべく、議論を続けていきたいと思います。  本日はご清聴ありがとうございました。 ○螺良昭人 委員長 ご説明ありがとうございました。  これから質疑に入ります。  なお、木村様におかれましては、各委員からの質疑に対して答弁をする際は、ご着席のままで結構ですので、挙手をお願いいたします。私からご指名いたしますので、それからご発言をお願いしたいと思います。  それでは、委員の皆様から質疑やご意見がございましたら、お願いいたします。  小菅委員。 ◆小菅哲男 委員 単純な質問で申し訳ないのですけれども、冒頭でバッテリーの確保という話が出ました。報道などによると、現在はほかのメーカーも含めて、全て中国から輸入していると聞きます。本田技研工業から地産地消で実施したいという言葉が出たので、少しびっくりしたのですが、どのような構想というか、まず日本にどれだけの資源があるのか私には分からないので、その辺りを簡単に教えていただければありがたいです。 ○螺良昭人 委員長 木村様、お願いします。 ◎木村英輔 本田技研工業株式会社四輪事業本部パワーユニット開発統括部パワーユニット開発一部エグゼクティブチーフエンジニア  私の説明がよくなかったかもしれません。やはり、電池の材料自体は確かに日本にございません。ただ、電池産業をどのように日本で盛り上げていくかということは栃木県の問題ではなくて、日本の問題だと思っています。  おっしゃるように、ほとんどの電池は中国、韓国からの輸入となっておりますので、事業を続けるためには、そういった国の企業とパートナーを組まなければならないのですが、やはり軽自動車や二輪など、小さなモビリティを含めて、どうやってこの電池産業を盛り上げていくかということは、都道府県ではなく、日本の課題だと思っています。  それ以上は私のレベルではなかなかお答えできないのですが、何かよいアイデアがあればよろしくお願いしたいと思います。  ただ、電池は劣化するものですので、使いながら、さらにリユース、もしくはリサイクルをしっかりと国で管理できるようにするなど、様々な枠組みが考えられると思いますので、電池を中心とした産業を回すべく、我々もアイデアを出していきたいと考えております。(「ありがとうございました」の声あり) ○螺良昭人 委員長 よろしいですか。ほかに。  相馬委員。 ◆相馬憲一 委員   FCVのCLARITYが発売されて、すぐに箱根駅伝の先導車で使われたことが記憶にあって、すばらしい車が開発されたと感じた思い出があります。  そういう中で、航続距離の問題と、充電時間の短縮ということで、今、小菅委員からもお話がありましたように、電池が大変重要な役割を担っていくと思います。  カーボンニュートラル、2050年の排出実質ゼロを目指すためにも、電池の開発を考えないと、ガソリン車から電動車に切り替えることは大変難しいと考えます。全固体電池など、様々な電池が開発されようとしているという話はあるのですが、それらの電池の開発がこれからどのようになっていくのか、また、今話がありましたように、劣化するのです。何年かたつと容量が80%になったり、リチウムイオン電池の場合50%になったり、説明の中にもありましたけれども、再利用はどのようになるのか。もし劣化していて、それが途中で買い替えが可能であれば電気自動車に乗るという方も増えてくるのではないかと思います。  まずは電池についてお聞かせいただきたいのと、それともう1つ、災害のところで出ていましたインバーター、これが外にあるのか、車に乗っているのか、これによって災害時における対応が大分違ってくるのです。インバーター自体もそれほど安くないと聞いておりますので、車載にすると全体の重量が上がってしまって、航続距離というか、燃費が悪くなるなど、そのような問題もあって、本田技研工業の場合には、中に入れるのか外なのか、買うときに選んでくださいということをやっていると聞いているのですが、先ほどの電池の問題と、インバーターを車載にしたほうが私はよいのではないかと思っているのですが、ご見解がありましたらお聞かせいただきたい。 ○螺良昭人 委員長 木村様、お願いします。 ◎木村英輔 本田技研工業株式会社四輪事業本部パワーユニット開発統括部パワーユニット開発一部エグゼクティブチーフエンジニア ユーザー目線の質問、ありがとうございました。  まず、後半の質問から先にお答えさせていただきます。  インバーターは外か中かというところでございますが、先ほど説明させていただいたインバーターは9キロワットで非常に大きな容量です。皆さんの家でも大体50、60アンペアで、6キロワットなどです。非常に大きな電力を出すので、さすがにサイズが大きく、中に置くことはできません。大きな容量を出すときには、電池を直流から交流に替える装置を外に置かなければ無理です。  一方で、1.5キロワットくらいの、例えば電子レンジくらいのものであれば、インバーターを車に乗せて、コンセントを車に付けるという方法がございます。これは2種類ありまして、顧客のユースケースやオプションとして選べるようにしていかなければいけないし、実際そういう方向性であると思っています。まず、容量によって違うということをご理解ください。  電池の話ですが、これは非常に難しい質問でして、容量密度というのですけれども、1キログラムや、1リッター当たりにどのぐらいの電気がためられ、出せるかという技術は進んでいます。その壁を越えたと言われているのが固体電池や、その次の革新電池であると言われています。これは、研究はしていますが、成功するかはまだ分かりません。ただ、取り組んでいかなければならないのは間違いありません。  日本は、電池の技術、特許の先進国です。これは間違いありません。あとはそれを産業として取り上げていくことが重要になります。  ですので、技術の進化をどうやって社会に実装していくかということですが、残念なことに日本には資源が足りないので、資源を確保するためにどうすればよいか国と一緒に取り組まなければならないという話をしたところです。  一産業でいいますと、パートナーを見つけて、契約することになるのですが、国、行政、地域の産業でいうと、やはり何らかの政策を実施しなければならないのだろうし、そこに我々が関わっていかなければならないと思っています。  これ以上はなかなか難しいのですが、求める答えになっていれば幸いです。 ○螺良昭人 委員長 相馬委員。 ◆相馬憲一 委員 先ほどの説明で、本田技研工業が目指すものがよく見えまして、大変すばらしい取組であるとの感想を持ちましたので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。(「ありがとうございます」の声あり) ○螺良昭人 委員長 保母委員。 ◆保母欽一郎 委員   説明資料の22ページですが、電動化の促進の課題と自治体へのお願いということで、我々、行政に関わっているのでお尋ねしたいのが、いわゆる2050カーボンニュートラルといっても、技術革新の問題も含めて、まずは2030に向けて栃木県もロードマップをつくりながら、進めていくことになります。  その中で、我々とすれば、充電インフラを行政とすればどのようにしっかり仕上げていくかをお伺いするのですが、2030という視点の中で、私の考え方では、電池の話も出ましたので、いわゆるロードサイドに充電設備をつくっていくという考え方ももちろんあると思います。  しかし、普及を進めていく上では、行政がいわゆる家庭の普通充電設備にどれだけ助成し、促進していくか。その間に、技術革新が進んでいく。航続距離が延びているという話もメーカーから聞いております。  そういう視点でいくと、普通充電設備の家庭での整備をしっかりバックアップする。これが行政としては、実施する一番のメインになると考えています。その辺りについてのメーカーとしてのご見解をお聞かせいただければありがたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 木村様。 ◎木村英輔 本田技研工業株式会社四輪事業本部パワーユニット開発統括部パワーユニット開発一部エグゼクティブチーフエンジニア 非常に的を絞っていただいてありがとうございます。  充電設備、人がどのように車を使うかという、よくユースケースといいますけれども、そういったものを検討した上で、優先順位を定めた的確な投資というか、焦点を当てた動かし方が大事だと思います。  まず、おっしゃるように、家庭で充電する。家のコンセント、最近外に100ボルトのものもありますけれども、簡単に挿せるものでもなく、実際には車を売るときにセットで壁かけの充電器などを入れないといけないと思います。設置事業者もおりますので、そういった取組をばらばらにやっていると、お客さんは多分買いません。  例えば、ある携帯電話を買いに行ったら、様々なプランを言われて、訳が分からないという状況になる。そうしないためには、OEMはセットでそれを提供できるようにしなければならないし、一方で、そのコストを下げていく。これは絶対に重要だと思います。  ですので、おっしゃるように、まず家庭に入れるのは間違いなく必要で、そこにぜひ、車と一緒に入れやすい制度に対して、ご支援いただきたいと思います。  もう一方で、セカンドロケーションという呼び方をするのですけれども、これは、車は必ず行ったら、行った先に長くとめておくという、例えば通勤ですね、通勤に使うと、長く通勤先の駐車場にとめておくことになります。栃木県では数多くあると思うのです。そこでの充電を促すような政策は重要になります。  同時に、とめておく時間に、充電するだけかというと、先ほどお話ししました再生可能電気とのやり取りを車の電池を使って行うという技術革新がございます。  これは2030年には、間違いなく進むと思っておりまして、私もその研究に今、従事しております。  家庭用の充電器、そしてセカンドロケーションでの充電器、この2点です。  あとは、経路充電、これは遠距離に電気自動車で旅行されるとき、いわゆる高速道路です。そういったところに並ばないで充電できる環境をどうするかという問題が出ます。  こういったものをトータルで解決するのですが、まず軽自動車でと話をしましたけれども、やはり家庭とセカンドロケーションが重要ではないかと私自身は思っております。  ぜひどうぞ、またこういった議論をさせていただければと思います。(「ありがとうございました」の声あり) ○螺良昭人 委員長 ほかにございますか。  松井委員。 ◆松井正一 委員 参考のために教えていただきたいと思います。  7ページの電動化の取組で説明がありましたが、軽自動車が3割のシェアがある中で、2024年を皮切りに電動化に向けて動き出すということで、恐らく栃木県も同様のシェアがあると思いますが、その後の軽自動車に対する目標はどのような感じで描かれているのか、教えていただきたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 木村様。 ◎木村英輔 本田技研工業株式会社四輪事業本部パワーユニット開発統括部パワーユニット開発一部エグゼクティブチーフエンジニア 軽自動車全部をバッテリーEVにするという野心ではあるのですが、やはり軽自動車は、お金をかけないで乗っている方と、高齢の方が乗っているという問題がございます。  そういった車に、全部BEVということでもなく、まずはハイブリッドも含めて電動化していくという取組をしていきたいと思います。そういった取組をしていくことと、国土交通省が定めている燃費規制も含めて全部電動化していかないと、とても達成できない数字になっておりますので、まずはそこを目指していきます。  2035年には、もちろん100%、ハイブリッドを含めて電動化するのですが、やはり市場とお客様と技術とコスト、この複雑な関係が、導入の2024年くらいから市場の反応を見ながら広げていくことになろうかと思っています。  なので、正確に何%を目指してと、今日の時点では私の口からお答えできる内容はございませんが、2024年からきっかけをつくることになると考えております。 ○螺良昭人 委員長 松井委員。 ◆松井正一 委員 今おっしゃられたように、市場の反応も含めると、複雑な検討があるということで受け止めたいと思います。  もう一点だけ教えていただきたいと思います。  19ページです。サステナブルマテリアルの説明の中で、初歩的な質問になってしまうのですが、いわゆるリソースサーキュレーションで、車そのものをリサイクルしていくという考え方の中で、1つには、北海道自動車処理協同組合の事例で、本田技研工業の役割なども踏まえながら、このような展開があると説明がありましたが、理想形を考えると、こうした、いわゆる再処理というか、再利用という、そのパーツは、プラントも含めて、当然、全国的にあったほうが望ましいと思うのですが、現状でこういった動きについてはどのように捉えているのでしょうか。参考までに教えていただければ。 ○螺良昭人 委員長 木村様。 ◎木村英輔 本田技研工業株式会社四輪事業本部パワーユニット開発統括部パワーユニット開発一部エグゼクティブチーフエンジニア まだ始まったばかりというイメージでございます。ですので、ビジネスの機会があるのではという話をしました。  材料につきましては、それぞれの材料において分解の仕方、もしくは再生の仕方は多分異なると思いますので、主に研究されているのは、やはりバッテリーリサイクルをどうするのかという議論が多いです。  これは日本ではなくて残念ですけれども、欧州のある大きな自動車会社では、そういった実証実験のプラントを建てて実施するとアナウンスしていますので、日本においても同じような動きが今、加速しようとしています。  あとは、リユースという考えもあって、例えば自動車で使った電池を今度は家庭用の電池として、箱を換えて、乗せ換えて付けることによって、ある意味使い尽くすということです。
     自動車の電池は非常に入出力が大きいのですが、家の電気はそこまで高い要求はないようですので、補い合う、いわゆる、バリューチェーンを構築していくということです。  課題となるのは、自動車会社と、別のホームアプライアンスをされている会社が手を取り合って、実施する構図ですので、セクター間の枠組みを壊していくことになります。そういったところで障害があれば、ぜひご支援いただきたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 ほかにございますでしょうか。  岡部委員。 ◆岡部光子 委員 本田技研工業は世界一のパワーユニットメーカーで、本当に幅広い製品を提供している会社ということで、とても身近に感じることができました。  その中で、軽自動車は、松井委員と重複してしまいますので、私の質問としましては、12ページの電動化への取組の「Moving e」のところです。様々なところにこういったバッテリーを運んだり、社会がどんどん変わっていく様子がこれで手に取るように分かったのですが、この移動式のバッテリーはどれくらいの重さのものを運ぶイメージになるのでしょうか。 ○螺良昭人 委員長 木村様。 ◎木村英輔 本田技研工業株式会社四輪事業本部パワーユニット開発統括部パワーユニット開発一部エグゼクティブチーフエンジニア まず、先ほど、スクーターのようなものがありましたけれども、あれはバッテリーを2つ乗せています。1つ10キロぐらいで、まあ重いですけれども女性でも持てる範囲でございます。  ただ、容量を上げていかなければならないアプリケーションについては、もう少し大きくなったものもありますので、そういったものを規格化するという取組を現在、本田技研工業だけではできませんから、二輪車メーカーの各社と共同のコンソーシアムをつくって、基準を決めています。  海外の、イタリアなどのメーカーとも同じように今進めているところでして、皆様が使いやすい重さになると理解しています。 ○螺良昭人 委員長 よろしいですか。(「ありがとうございました」の声あり)  ほかにございますか。  関谷副委員長。 ◆関谷暢之 副委員長 まず、世界を上げてガソリン車がEV、FCVに向かっていくというところで、当然これまでコストも一つの障害になっていたと思うのですが、世界の潮流として、日本もしっかりとかじを切っていくことになりましたので、これから大量販売、大量生産に向かうところで、技術革新も含めた、コスト面で、現状から実際に販売価格に直結するコスト面でどのような見通しをお持ちであるかということが1つ。  それから、先ほどの松井委員の質問とも関連するのですけれども、18、19ページの、サプライチェーンで、生産に向かうサプライチェーンというところで、電化によって部品がこれだけ減るという数字は既に出ているのですけれども、その辺りの現下のサプライチェーンが電動化に向かっていったときに、メーカーサイドとしてどのような対処のイメージをお持ちであるのか。それから、松井委員も先ほどお尋ねになった部分ですけれども、お示しをいただいているような循環型のサプライチェーンになっていったときに、その拠点施設がどのようなエリアにどの程度必要かということで、栃木県として、そうした拠点を逆に集積することが産業界の、栃木県としての産業発展のチャンスになるといったヒントにしたいという真意を持って、お尋ねしたいのです。 ○螺良昭人 委員長 木村様。 ◎木村英輔 本田技研工業株式会社四輪事業本部パワーユニット開発統括部パワーユニット開発一部エグゼクティブチーフエンジニア まず、1つ目の質問はコストということで、なかなか答えられないところですけれども、単純な一般論でお話しします。  電池のコストとよく言われます。自動車によって電池のコストが幾らになるのかと言われるわけですけれども、今、1つの単位が大体、1キロワットアワーというのですけれども、それで、1万5,000円や2万円など、そういう世界です。それが最終的には100ドルを切って、最後の目指すところは70ドルぐらいと言われています。そのくらいにしていかないと、いわゆる内燃機関ベースの車とコストが合わないとよく言われます。これはまず一つの観点です。  ただ、内燃機関の車と本当にそのまま置き換えるのかという議論がありまして、電気自動車の場合には、ただ車を造って、売って、使っていただくというだけではなくて、電気を使って何かをできるという、新しい付加ができるので、コスト自体の考え方が変わってくるのではないのかという議論が社内でもございます。  それはあくまでもまだ議論の段階で、コスト目標では、今話した内容になります。  2つ目、サプライチェーンの拠点です。できることは、やはりリサイクルする技術を持った会社がある拠点にあって、それもできることならば生産拠点に近いことが望ましい姿だと思うのですが、例えば重量物をその拠点まで集めてくるのかという意見もございます。ですので、それは適材適所だと思います。  ただ、栃木県におきましては、自動車を製造する工場があるわけですから、私自身の意見ですが、そういったところの近くに企業を誘致していくのは一つのアプリケーションではないかと考えます。  ただ、重いものを運ぶことは、CO2をまた排出しますので、地産地消はどうしてもそういう県や、そういう地域で、一定の場所に集めて、軽くしてから運ぶのも一つの手ではないかと思いますし、もう1つは、壊して戻すエネルギー再生可能エネルギーでなければいけないと思うので、再生可能エネルギーが豊富でなければいけません。  様々なパラメーターを組み合わせて、勝てる企業が出てくれば、そこに集めるべきだと思います。 ○螺良昭人 委員長 よろしいですか。(「はい」の声あり)  ほかにございますでしょうか。よろしいですか。  以上で、参考人からの意見聴取を終了させていただきます。  最後に、私から、一言お礼を申し上げます。  木村様には大変お忙しい中、ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本日、お伺いいたしました貴重な意見につきましては、本委員会における報告書の取りまとめの参考にさせていただきたいと思います。  また、経済と環境の好循環をつくる産業政策を推進する上で、大変有意義な話でございましたので、県執行部におきましても、今後の取組の参考にしていただきたいと思います。  最後となりますが、木村様の今後のますますのご活躍をご祈念申し上げ、御礼の挨拶に代えさせていただきます。(「ありがとうございました」の声あり)ありがとうございました。  ここで、参考人の木村様が退出されるとともに、引き続きオンライン参考人招致の準備をさせていただきますので、委員各位及び執行部におかれましては少しの間ご着席のままでお待ち願いたいと思います。  暫時休憩いたします。                  午前10時57分 休憩             ────────────────────                  午前11時01分 再開 ○螺良昭人 委員長 それでは、委員会を再開いたします。  続きまして、本件に関してご説明、ご意見をいただくため、参考人として、日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー、西村公男様にオンライン形式にてご参加いただいております。  なお、西村様は現在、横浜工場に勤務されておりますので、本日は新型コロナウイルス感染症の影響を考慮しまして、オンライン形式での実施とさせていただきます。  西村様、こんにちは。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー こんにちは。 ○螺良昭人 委員長 栃木県議会グリーン社会実現特別委員会の螺良でございます。本日はよろしくお願いいたします。  西村様におかれましては、現在、日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部において、エキスパートリーダーとしてご奉職されております。  本日は大変お忙しい中、本委員会の求めに応じ、オンライン形式による参考人招致にご参加賜り、誠にありがとうございます。  委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。  それでは、議事の進め方でございますが、西村様から、自動車産業における電動化に向けた取組について、ご説明をいただいた後、質疑を行いたいと考えております。  なお、本日ご説明をいただく内容は、執行部においても大変参考になると思われるため、職員の同席を認めておりますので、ご了承願います。  それでは西村様、ご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー ただいまご紹介いただきました日産自動車の西村でございます。よろしくお願いします。  本日は、電動化とカーボンニュートラルについて、同義語にも聞こえますが、こういったカーボンニュートラルという社会課題に対して、日産自動車としてどのように取り組んでいくか。また、その中で電動化がどのように進んでいくかをご紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○螺良昭人 委員長 よろしくお願いします。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー 皆様もご存じかと思いますが、昨年12月に経済産業省から2050年に向けたカーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略と今後の取組が示唆されています。  我々も、これに基づいた事業計画をスタートしております。これは日産のカーボンニュートラルに対する取組として1月に発表しておりますので、今日はその辺りを軸にしてご紹介していきたいと思います。  最初に、経済産業省が出している自動車・蓄電池産業におけるグリーン成長戦略の3つの柱が、左側の縦軸に書かれています。  1つは、電動化の推進・車の使い方の変革、燃料のカーボンニュートラル化、蓄電池といったカテゴリーで紹介されておりますが、我々の活動のスコープもこれに照らし合わせながら進めています。  1つは、今後の取組の中で、EV等の電動車の普及加速として、電池など電動車関連技術、サプライチェーン強化を一体的に実現するとして、遅くとも2030年代半ばまでに乗用車の新車販売における電動車100%を実現できるように包括的な措置を講じるとしており、この中に商用車も含まれております。  特にこの10年間は電気自動車の導入を強力に進めることと、その下の行に、この際、特に軽自動車や商用車等の電気自動車燃料電池車両に対して特段の対策を講じていくと記載されております。  我々もこういった内容を踏まえて、カーボンニュートラルに取り組んでいく予定になっています。  方策として、3つ挙げてあります。電動車インフラの導入拡大として、国はこういった燃費の規制や、インフラの拡充を掲げています。  2番目には、これも会社としても関係がありますが、燃料電池、モーター等の電動車関連技術サプライチェーン、バリューチェーンの強化で、大規模投資の支援や、技術の実証にお金を投じていくとして、これも昨年、菅前総理から様々な話がありました。経済産業省で計2兆円のグリーンイノベーション基金としてお金を準備していただいて、これらを様々な日本企業が利用して、バリューチェーンやサプライチェーンを強化していくことが現在、計画されています。  こういった軽自動車、商用車等も今後、電動化のスコープになっていって、かなりのラインアップで電動化が進むものと思われます。  燃料のカーボンニュートラル化は、自動車会社としては少し離れますので、3番目の蓄電池について説明させていただきます。  2030年に向けては、約2倍の規模、車載用としては約5倍の10兆円程度の規模になると見られています。  ポイントは、2030年までに、できるだけ早い段階で電気自動車とガソリン車の経済性を同等にすることで、キーになるのは電池パックのコストです。この金額がキロワット当たり1万円以下を目標にして、コストを下げていくことが非常に重要な課題になっています。  これに対して、下に1、2、3と書いてありますけれども、低コスト化を進めていくための投資等を行っていきます。2番目の技術開発についても、この後でも紹介しますが、全固体電池のリチウムイオン電池等です。これらは非常に革新的な電池で、実現できれば、かなり世界が変わるものでありますので、こういったところに投資をしていくということであります。  3番目に、これは既にご存じかもしれませんが、欧州はルールの整備で、バッテリーライフサイクルのアセスメントを実施しているのと、それを基に、地域毎にリユースの促進等を促す国際ルールづくりや、標準化を進めています。  基本的には、材料はかなり高価ですから、地域毎にそれをリユース、あるいはリサイクルし、資源がその地域の中にとどまるような法を制定しようと、昨年から、活発な論議が行われています。  我々自動車会社もこれに対応するべく、こういったサプライチェーンを考えていかなければならないということであります。  日産自動車としては1月に、このカーボンニュートラルへの取組の推進として5本柱で、2050年に車のライフサイクルでのカーボンニュートラルの実現を目指しております。  1つ目の柱として、2030年代早期に、主要市場で投入する新型車を全て電動車両にしていくこと、より競争力の高い効率的なEVの開発に向けたバッテリー技術の革新、エネルギー効率をさらに向上させたe-POWERの開発、少し毛色が変わってくるのですけれども、再生可能エネルギーによる分散型発電に貢献するバッテリーエコシステムの開発、生産技術イノベーションによるエネルギーと資源利用効率の向上の5本柱でカーボンニュートラルを進めていくことを発表しております。  先ほど、ライフサイクルとありましたが、ライフサイクルとはどういうことかと言うと、原材料の採掘から生産、車の利用、使い終わったもののリユースまたはリサイクル、この一連の工程をライフサイクルと呼んでおり、この全てにおいてカーボンニュートラルを目指していくことになります。  まず、2030年代早期に新型車を全て電動車両にしていくということですが、日産としては自動運転、connected(コネクテッド)、つながる車、電動化ということでIntelligent Driving(インテリジェントドライビング)、Intelligent Integration(インテリジェントインテグレーション)、Intelligent Power(インテリジェントパワー)ということで、「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY(日産インテリジェントモビリティ)」という3つの柱で、例えば電動化であれば、もっと走りの快感を訴求していく予定です。  どのような投入の比率かというと、基本的に横軸が時間、縦軸が比率になっていますが、EVの比率とHEVの比率を2030年までに、ここに示しているような比率にしていきます。これは地域によって多分変わってくると思いますが、押し並べて先進国ではこういった水準になるかと思われます。  ここでキーになるのが、1つは充電インフラであり、先ほど申し上げたバッテリーのコストであります。こういったエネルギーを再エネで普及するといったインフラ面での準備もあるかと思います。  これらを普及していくための車としての魅力でいいますと、さきほどの日産インテリジェントモビリティでも申しましたが、いかに思いのままに動かすか、あとは安心・安全を電動車の中で訴求していきたいと考えています。  さらに、電動化の推進で、下の絵に描いてあるとおり、EVとe-POWERが2本柱になります。2023年度までに8車種を超える電気自動車を投入する予定としておりまして、栃木工場でもアリアを準備しております。  来年以降は、経済産業省の指針にも書いてありましたが、軽自動車のEVにこれから取り組んでいく予定になっております。  e-POWERは昨年来、キックス、ノートを導入してまいりましたが、グローバルでも、B、Cセグメント、小型、中型車の領域にどんどん拡大していく予定です。  電動化の比率としては、2023年度までに日本で6割、中国23%、欧州50%と電動化率を上げていきます。2023年には年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目指しております。  次に、これはプロパイロットと呼ばれている自動運転、先進運転支援技術の拡大で、これについては20の市場で20を超える商品にプロパイロットを採用する予定にしておりまして、これは順調に進んでおります。  ここに書いてある車には既に搭載しています。2023年までにはプロパイロット搭載車の年間販売台数は150万台を超えることを目指しております。  次に、バッテリーの話をさせていただきたいと思います。  これは、コスト競争力の高い効率的なEVの開発に向けた全固体電池を含むバッテリー技術の革新についてであります。バッテリー技術に関して言うと、基本的にバッテリーは希少金属の含まれている材料が主流となっています。この赤いラインで示しているとおり、希少金属であるコバルト等の材料を入れることによってコストが非常に上がっていますので、これを減らすバッテリーの材料開発や、この後ご紹介しますが、全固体電池など、バッテリーの技術の革新を加速していきます。  そして、これも繰り返しになりますが、2030年までには内燃機関と同等の収益率を達成していくことを目標にしております。  あとは電動車両の普及に欠かせないバッテリーの安全性について、これまで日産は電動車両を開発し、市販してきました。例えばリーフの販売実績は、2021年3月末時点で52.4万台です。ほぼ1台当たり、192あるいは288セルのバッテリー、この小さい、薄い封筒のようなものが搭載されています。台数を掛けると、1億308万セルになりますが、日産としては重大な事故を1件も起こしていないことが非常に評価されております。今後も顧客の使用環境等を予測しながら、信頼性の設計や、実験の基準に落とし込んで、安全性を訴求していきたいと考えております。  画面の左下に点々が、多く出ていますけれども、これは日本でリーフが走っている状況を示したものです。バッテリーの信頼性を保証するために、こういった車から発信されるデータを集約して、車両の統計データを取りながら、開発や生産工場にフィードバックしています。  画面の左側に北米の状況も写りました。北米でも同じようなデータを取っておりまして、こういった膨大なデータを活用することによって、先ほどの安全性を担保しています。  これらの情報を基に品質を安定させるとともに、もう1つの画面を見ていただきますと、縦軸が車に搭載されているバッテリーの単位体積当たりのエネルギー密度を表しています。2010年当初に比べると、2020年時点でアリア等では非常に上がっているものの、今後、通常の液体式のリチウムイオンバッテリーでは限界が来ると言われています。  長期的に見ると、こういった全固体電池を導入することによって、ブレイクスルーを図りたいと考えております。  全固体電池ですが、聞いたことがあると思いますが、画面の左側がリチウムイオンバッテリーで、右側が全固体電池です。見た目は似ていますけれども、材料が固体だけで構成されているのが全固体電池の特徴です。左側にあるセパレーターという部品や、液体の電解質が必要なくなります。右側に行きまして、水色の液体部分の電解質が全て固体に入れ替わることで、安全性も非常に高くなります。液漏れもしません。高速充電も可能になり、いいこと尽くめであります。ただし、これを作るのは非常に難しく、現在、各自動車会社バッテリー会社で開発を進めている段階であります。  次に、このバッテリーの安全性に絡めて、ご紹介したいのが、再生可能エネルギーによる分散発電に貢献するバッテリーエコシステムでございます。  これは、バッテリーのリユースがさらなる価値を生むということで、日産は、2010年に住友商事とフォーアールエナジーという会社を設立して検討を進めています。2018年には福島県の浪江町に事業所をつくりまして、EVの使用済みのバッテリーを状態や性能によって分別して、2次電池として再利用を進めています。  こういったところで価値を生み出し、バッテリーが循環して使えるようになると、車の値段もさらに下げることが可能になってくるかもしれません。  こういった、車の販売からリユースバッテリーの活用、そして、こういったエネルギーインフラとの連携の中で、大型の蓄電設備に車のリユースバッテリーをうまく使うことを電力会社と連携しながら進めていきたいと考えています。  今、画面の左側にあるのがバッテリーの回収数の予測で、車の販売台数も非常に増えていきますので、これからうなぎ登りで上がっていくことが見込まれます。  右側、これはバッテリーの残存性能の分析で、バッテリーは使われ方次第で劣化の度合いが一緒ではなく、これを分析することが重要になります。これは使う部分、浪江町の工場でのモデルになりますが、真ん中にあるグラフです。左側に回収されたバッテリーがあって、横軸がバッテリーの性能で、縦軸もバッテリーの性能ですが、これは容量と、縦軸、出力で、ばらしていますけれども、劣化の大小で、3カテゴリーくらいに分けることによって、下に書いてあるように劣化の少ないものはもう一回EVに使う、劣化の大きいものは工業用の電源に使う、真ん中くらいのものはこういったものに使うとか、こういった分析をしていくことによって適切な使い方ができます。  先ほど、日産はずっとデータを取っているという話をしました。実はこのデータが非常に活躍していまして、実際にデータを取り続けることによって、こういった分類が早くできますし、最適化もしやすいという特徴があります。こういったところがビジネスとして新しく出てくる部分であると思います。  将来のモビリティ社会の実現に向けて、こういったバッテリーを家庭で再利用したり、大型な蓄電設備に使ったり、もしくはJRの踏切などでもバックアップ電源として使っているなど、様々な使い道があります。  こういった電力をいかに分散させて活用していくかといった需給調整に貢献していくことが我々の課題だと思っています。
     次に、エネルギー効率をさらに高めるe-POWERについて少しご紹介させていただきたいと思います。  e-POWERは、ノート等、非常に好評いただいています。基本的にエンジンは搭載しています。バッテリーの量は少し減らしており、ブリッジ、つなぎになる技術だと思っています。将来は電気自動車になるかもしれませんが、中間解としてこのe-POWERを普及させて、電動化を進めていくことを考えています。  特徴としましては、左側が100%電気自動車ですが、右側はe-POWERで、エンジンがついています。その代わり、バッテリーは小さくできます。  ここで補足しておきたいのが、モーターとインバーターは、同じ形をあえて入れていまして、基本的には同じ仕様のものを電気自動車とe-POWERで使っていることになります。これによってコストや開発費用を抑えています。  e-POWERですが、発電機として使えますので、定点運転ができるということで、左側は初期のe-POWERです。赤い丸が実際に発電しているポイントですけれども、横軸が速度で、縦軸がトルクですが、エンジンは効率のいい場所が決まっています。一番使うポイントでできるだけ使いたいのですが、初期のe-POWERは、多少出力を出していくときに、少し中心からそれるところも使ったりしておりましたが、バッテリーの進化とともに、ほぼ最大効率点で使う制御にしていくことを考えています。それが右側の絵ですが、こういった非常に狭いピンポイントの領域でエンジンを使うことによって、普通のガソリンエンジンだとなかなかできない熱効率まで到達することができます。具体的な数字で言うと、50%を超える熱効率も実現できると見ております。  それで最後に、生産技術のイノベーションで、エネルギーと資源利用効率の向上であります。  1つは、生産効率を上げたイノベーションの推進で、左側にある日産インテリジェントファクトリーとして、ちょうど、栃木工場でメディアへの発表をやっております。この中身は、従来のものづくりを少し将来に向けた投資にしようということで、様々な新しい取組をこの中で実践しています。詳細については、後でご紹介します。  それと、英国のサンダーランド工場です。先日、これもメディア発表しましたが、工場のエネルギーの20%を敷地内で作られる再生可能エネルギーで賄うことを進めています。  具体的な話ですけれども、左側にあります世界初の電気自動車生産ハブ「EV36Zero」、ここはかなりシンボリックな生産拠点で、将来的にはきっとこれは栃木工場もこうなっていくと思いますが、こういった車の工場に、バッテリーの工場、ギガファクトリーをエンビジョンAESCと共に造り、再生可能エネルギーから発電した電力をサンダーランド工場に供給する。先ほどのEV用のバッテリーエネルギーのストレージにして2次利用することでダンパー機能を果たす。  さらに、この包括的なプロジェクトにより、サプライヤーも含めて英国に6,200名の雇用を創出するということで、この右側の赤線、少し引っ張っていますが、日産自動車とエンビジョンAESC、そしてサンダーランド市議会によって、トータルで10億ポンドの投資をしています。電気自動車、EVと再生可能エネルギーバッテリー生産で、自動車産業の将来のイメージをここで示しています。  これは、様々な地域で共有され展開されると思っていますので、こういったことをぜひ栃木県の皆様とも一緒に進めていければと思います。  日産インテリジェントファクトリーの概念ですが、上に書いてありますように、フォードの「model T」というところから、実際の自動車の生産ラインです。こういった流れ生産で、大きくは変わっていませんでしたが、3つの軸、誰でも働くことができる工場と、人に依存し過ぎない作業、設備や、右に書いてあるような新しい次世代の商品を造る技術をテーマにしながら、工場の在り方を見直しています。  1つは、塗装ラインの話ですが、これはテクニカルな話なので簡単にご説明します。従来はバンパーとボディーは別々の工程で塗装していましたので、別な建屋、別な乾燥炉が要ることから、非常に効率が悪かったのですが、パンバー用の塗装を新しく開発しまして、ボディーとバンパーを同時で塗装できるようになったことによって、CO2を25%ほど減らせています。  また、先ほど、様々な車に対応ということで、電気自動車だけではなくて、ガソリン車やe-POWERも組み合わせて車を生産できるようするため、右側にあるようなトレイにエンジンやモーターを並べて組み合わせる一括搭載システムを開発しています。これも画像認識で車によって高精度に組みつけるシステムも開発しています。  次にたくみの技の自動化です。これはロボットが左の作業者のように曲面を塗るという作業をロボットでもできるということを数値化しながら手の動きを忠実に再現させていくことをやっております。  雑駁ですが、私のプレゼンテーションは以上で終わりたいと思います。  ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。以上です。 ○螺良昭人 委員長 ご説明ありがとうございました。  これから質疑に入ります。  それでは、委員の皆様から質疑やご意見がございましたら、お願いいたします。  小菅委員。 ◆小菅哲男 委員 日産自動車というと、頭に浮かぶのは、セドリック、GT-Rですが、それともう1つ、UDのトラック、ディーゼルパワー、これは輸送界においては、多分日本のシェアの半分以上をUDが占めているのではないかと思うのですが、また乗用車と両方を生産しているメーカーは日産自動車だけかと思ったものですから、あえて質問をしたいと思いますが、普通の乗用車は目的地に行けば駐車します。しかし、トラックや輸送車は24時間走り続けています。  そういう観点から、日産自動車がこのディーゼルに関して、輸送業界において今後どのように展開していくのか、乗用車と同じく馬力が出せるモーターを造っていくのか、それとも輸送業界は何十年か前に戻って、鉄道へまた戻っていくという考えなのか、その辺りのお考えをお聞かせ願えればありがたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 西村エキスパートリーダーお願いいたします。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー 商用車ですが、実は日産自動車としましては、e-NV200というEVを既に出しております。実際、こういった商用車をこれから先も広げていく予定です。  質問のあった、信頼性や、馬力、出力など、そういったところは、基本的には我々のラインアップとしての開発は進めていますので、そこに対しては特に問題ないと思っています。 ○螺良昭人 委員長 よろしいですか。ほかにございますか。いかがですか。  相馬委員。 ◆相馬憲一 委員 先ほどの説明の中にもございましたが、性能の向上には電池の開発が重要な位置を占めてくると思っておりますが、全固体電池の実用化ですが、これはどのくらいで実現可能なのかお聞かせいただければありがたいと思います。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー 具体的な年度はなかなかお答えしにくいのですが、実際に皆様の手に渡るようになる時期としては、まあ2020年代はなかなか厳しいのではないかと見ています。実際に、ある程度、安全性なども徐々に確立していかなくてはならないので、本当の意味での普及は2030年代になってくるかと思います。(「ありがとうございました」の声あり) ○螺良昭人 委員長 ほかに。  山田委員。 ◆山田みやこ 委員 塗装方法について、革新塗装ラインということで説明いただきましたが、これはバンパーとボディーを同時塗装という形でCO2を25%低減となっていますが、今は全てこういう形に向かっているということでしょうか。昔、粉体塗装や電着塗装ということを聞いたことがあったのですが、これからは全部このような形の塗装のラインになっていくのでしょうか。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー そうですね、順次こういった塗装ラインに変更していく予定です。国内工場は、ほかにもありますけれども、順次こういった考え方に基づいて、日産インテリジェントファクトリーの考え方を広げていく予定です。 ○螺良昭人 委員長 山田委員。 ◆山田みやこ 委員 そうしますと、本当にこれは、人に依存し過ぎない作業や設備といったことを考えた方法、方策ということでよろしいでしょうか。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー そうですね。基本的には、材料の開発がメインだったと思いますが、もちろん工法的にも新しい技術を投入していますし、これ以外にも様々な取組をやっていまして、今日、私が抜粋したのがこの部分だったのですが、これ以外の部分も、まさに、今日、明日辺りでメディアに発表する予定です。ユーチューブ等でも公開されると思いますので、ぜひ見ていただければと思います。(「ありがとうございました」の声あり) ○螺良昭人 委員長 ほかに。  野澤委員。 ◆野澤和一 委員 電気自動車の場合には、バッテリーの性能が命になるわけでございますが、表にありますように、これはリチウムイオンバッテリーの密度の限界という話が先ほどございましたが、その密度改善をマックスでどこまで、何ワットアワーまでできるのかということと、それから、先ほどの全固体電池に置き換わった場合に、密度はどこまで上げられるのかお聞かせいただきたいと思います。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー 数値はなかなか言えないのですけれども、通常の液体のリチウムイオンバッテリーではもう少しくらい上げられると思っています。ただ、全固体電池は、それよりもさらに1.5倍くらいまで上げられるものもありますので、現在3桁ですけれども、こういった全固体電池であれば、もう1つ上の桁までいける可能性を秘めていると我々は見ています。(「分かりました」の声あり) ○螺良昭人 委員長 よろしいですか。  それでは、渡辺委員。 ◆渡辺幸子 委員 今回、話を聞かせていただいた内容と直接的な関連がない部分もあるのですが、現在、栃木県のカーボンニュートラルに向けたロードマップ案について、いろいろ委員会の中でも検討あるいは議論を深めているところですが、交通分野では、MaaSと連携したまちづくりも含めていて、私の記憶が正しければ、日光市でのMaaSにも日産自動車がかなり関わっていただいていると思うのですが、こうしたMaaSについては、間違いなく自治体は旗振り役も含めて、大きな役割を果たしていかなければならないと思っています。そういった中で日産自動車側では、こうしたMaaSをほかの地域でも進めていくとなったときに、求めることなどをお伺いできたらと思いまして、質問させていただきました。よろしくお願いします。 ○螺良昭人 委員長 よろしくお願いします。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー 確かに、今様々な地域と電動化のアクションとして、ブルー・スイッチという活動をやっています。  これはEVを活用した取組で、環境や防災、観光等にも一部関わってくるのかもしれないですが、まちづくりに協業していくことをこういった活動を通じてやっていきます。  2018年からこの活動をしておりまして、ここに記載してあるとおり、既に130件以上の活動が日本中で行われています。絵が小さくて見にくいのですけれども、図の右側の地域で行っております。  今後も社会に対する貢献という意味で、会社としてはこういった活動を前向きに行っていくと思いますので、どんどん連携させていただきたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 渡辺委員。 ◆渡辺幸子 委員 社会貢献という意味で行っていただけるのは大変ありがたいと感じているのですが、企業としては当然利益も求めていかなければならない中で、何か求めることがあれば、要するに、長期的に見れば利益も当然見込んで考えてくださっていると思うのですが、短期的に回収の部分を考えると、企業側として求めることもあると思うのですが、何かありましたら教えてください。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー やはり、先ほどのサンダーランド工場のところまでいくかどうかはありますが、ぜひ、こういった地域とある程度密接に連携しながら、ある程度お金を準備することがすごく重要かと思います。  単独では、こういったところ全ては実施できないと思っていますので、社会全体をカーボンニュートラル化していくということで、協力しながら一緒に進めていきたいと思います。  そういった意味では、国とも連携していますが、資金面でサポート等を何か導入していただくなど、後押しを一緒にしていただきたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 よろしいですか。(「ありがとうございました」の声あり) ○螺良昭人 委員長 それでは、関谷副委員長。 ◆関谷暢之 副委員長 サンダーランド工場について、もう少し伺いたいと思います。  今、世界にある日産自動車の生産拠点の中で、こうしたサンダーランド工場の包括的な施設をこれからモデルとして展開していく方向性の中で、工場の生産拠点の集約化に向かうのか、それとも分散化に向かうのか、あるいは現状維持なのかを、お伺いさせていただきたいのが1点。  それから、イギリスでこの包括プロジェクトによって、サプライヤーも含めて6,200人の雇用と記載されているのですが、これは既存のサプライヤーを含めてなのか、新規雇用の創出ということなのかを確認させていただきたい。  それから、先ほども触れられていましたが、いわゆる地域として、行政などの支援という形で、共同作業と言ったほうがよいでしょうか、こうした部分でのメーカーとして捉える肝になる部分、あるいは期待する部分について、もう少し具体的なお話をいただきたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 それでは、お願いいたします。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー 最初に、生産工場の集約の話がありましたが、生産台数全体として見ると、我々、基本的には減らす計画はしておりませんので、基本的には維持かと思います。  2つ目の質問ですが、6,200名の雇用の内訳ですが、私も正確には把握していません。サプライヤーは、従来の会社も当然あるかと思いますけれども、投資の内容からすると、基本的には新規のサプライヤーがかなりを占めるのではないかと思います。具体的な内訳は私も把握しておりませんので、ここでは回答できません。  それと、3点目の質問をもう一度お願いしたいのですが、よろしいですか。 ○螺良昭人 委員長 関谷副委員長。 ◆関谷暢之 副委員長 サンダーランド市議会が拠出した投資も含めて、当然、金銭的な協力もあるでしょうが、カーボンニュートラルに社会で取り組むに当たって、こうした包括的な生産工場に、地域、ずばり言えば栃木県などの行政に、どのような支援を求め、期待しているのか伺いたいのです。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー 1つは、先ほどありました初期投資の話があるかと思います。あとは、周辺にある産業も当然変わってくるのではないかと思いますので、誘致であったり、風力や太陽光などの再生可能エネルギーや、その他の代替エネルギーもあるかと見ています。  例えば、某社で今行われている水素を使った車ということで、水素というエネルギーもありますし、水素以外でも、バイオマスというか、カーボンニュートラルな燃料が世の中には存在していますので、そういったインフラの整備など、工場を運営する面で見れば、非常に助かると思います。(「大変参考になりました。ありがとうございます」の声あり) ○螺良昭人 委員長 よろしいですか。  以上で、参考人からの意見聴取を終了いたします。  最後に、私から、一言お礼を申し上げます。  西村様には大変お忙しい中、本県議会のグリーン社会実現特別委員会にご出席をいただきまして、誠にありがとうございました。  本日、お伺いいたしました貴重なご意見につきましては、本委員会における報告書の取りまとめの参考にさせていただきたいと思います。  また、経済と環境の好循環をつくる産業政策を推進する上で、大変有意義な話でございましたので、県執行部におきましては、今後の取組の参考にしていただきたいと思います。  最後になりますが、西村様の今後のますますのご活躍をご祈念申し上げ、お礼の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 ◎西村公男 日産自動車株式会社パワートレイン生産技術開発本部パワートレイン技術企画部パワートレイン技術統括グループエキスパートリーダー こちらこそ、ありがとうございました。 ○螺良昭人 委員長 以上で、オンライン形式による参考人招致を終了させていただきます。誠に恐縮ですが、西村様との接続を切らせていただきます。  ここで、オンライン機器の取り外しのため、暫時休憩いたします。                  午前 11時58分 休憩             ────────────────────                  午後  0時03分 再開 ○螺良昭人 委員長 それでは、委員会を再開いたします。  議事(2)報告書の構成案について、お諮りいたします。  これまでの委員会活動を踏まえた報告書の構成案を正副委員長案として資料1のとおり皆様のお手元に配付してございますので、ご検討いただきたいと思います。  これについて、まず担当書記から説明をさせます。 ◎鈴木 担当書記 それでは、報告書の構成案について、資料1により説明をさせていただきます。  まず、Ⅰはじめにから始まりまして、裏面になりますが、最後の部分のおわりにと、委員会名簿、調査関係部局、このような形で終わる構成につきましては、一般の委員会と同様の形式となっております。  1ページ目にお戻りください。  Ⅱ委員会の活動状況につきましては、今後、11月12日まで延べ12回開催する予定の本委員会の活動内容を記載する予定でございます。  続きまして、ⅢからⅤまでが報告書の中心とも言える提言に関しての記載でございます。  こちらは3つの重点テーマごとに記載する予定です。  まず、重点テーマの1つ目、気候変動適応センターを中核とした適応策の推進に関しましては、これまでの委員会における委員の皆様からのご意見を基に、参考人招致の内容も盛り込みながら記載する予定です。  次に、カーボンニュートラルに向けた施策の推進に関しましては、先日、執行部から示されました2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けた工程表(素案)に対しての委員の皆様からのご意見を中心に、参考人招致の内容を盛り込みながら記載していく予定でございます。  3番目の経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進に関しましても、これまでの委員会における皆様からのご意見などを基に、参考人招致の内容を盛り込みながら記載する予定です。  続きまして、提言に係る個別の項目について説明させていただきます。  Ⅲ気候変動適応センターを中核とした適応策の推進につきましては、栃木県気候変動適応センター、これまでの取組と今後の展開、様々な知見やノウハウの活用、気候変動適応に係る情報発信、調査研究・分析、国との共同研究、気候変動ビジネスの創出、市町における気候変動適応計画の策定支援、これらの8つの項目で構成し、項目ごとに現状、課題、提言を記載する予定です。  Ⅳカーボンニュートラルに向けた施策の推進につきましては、産業構造の転換、家庭分野への支援、県庁の率先した取組、吸収源対策、脱炭素先行地域、水素ステーションの整備、ロードマップの継続的な見直し、カーボンニュートラルに向けた県民意識の醸成といった、こちらも8つの項目で構成する予定です。  なお、本テーマでは、2050年とちぎカーボンニュートラル実現に向けた工程表の素案の概要をもって、現状に関しての記載とさせていただきますので、工程表素案に対しての課題と提言を中心に記載する予定です。  次に、Ⅴ経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進につきましては、県内企業の状況把握、県内企業への支援、社会インフラの整備の3つの項目で構成し、項目ごとに現状、課題、提言を記載する予定です。  そして、Ⅵ提言の実現に向けてでは、国立環境研究所との連携、2030年、2050年に向けて、カーボンニュートラルの取組の見える化、グリーン社会の実現に向けて必要な財源の確保といった、提言を実現するために必要と思われる内容を記載する予定です。
     なお、この後の総括討議での委員の皆様からのご意見等によりましては、構成案の内容を柔軟に変更させていただくことになりますので、今回の案につきましては、報告書の作成に当たっての大まかな全体像であるとご理解いただければと思います。  報告書の構成案につきましては以上でございます。 ○螺良昭人 委員長 それでは、報告書の構成案について、ただいまご説明をさせていただいたところでありますが、委員の皆様から何かご意見があればお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  保母委員。 ◆保母欽一郎 委員 説明の中で、Ⅲの2の一番最後に、市町における気候変動適応計画の策定支援という項目があります。また、具体的なロードマップ素案への提言の中で、次のⅣの3の3番でございますが、その中の、県庁の率先した取組については理解したのですが、いわゆる50%という高い目標を掲げている中で、市町の策定支援はもちろん大事なことなのでよいのですが、この市町と一体となった具体的な取組についてはどのように考えているのか。その辺りを工程表の中でお聞かせいただければありがたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 鈴木書記。 ◎鈴木 担当書記 工程表というのはロードマップのことでございますか。報告書ではなくその中でお示しするということでしょうか。 ○螺良昭人 委員長 保母委員。 ◆保母欽一郎 委員 いずれにしても、我々が提言をしていく中で、その2030年に向けて、具体的には目標に向かっていかなくてはならない中で、県だけでこういうことを進めることは当然できないわけで、この工程表の中で市町とどのように関わり、具体的に進め、そして目標を実現していくといった内容が必要かどうか、提言としてその辺りをお聞かせいただければと思ったのです。 ○螺良昭人 委員長 基本的に、報告書の構成案について委員間で討議をしており、執行部に対して出す報告書の案件なので。(「失礼しました」の声あり) ◆保母欽一郎 委員 分かりました。  要は、今申し上げたように、この中に、やはり市町との関わりの取組を提言の中に入れていくことは、実現を進めていく上では大事ではないかと思いますので、その辺りを皆さん方の参考にしていただいて、ご意見を拝聴できればと思います。 ○螺良昭人 委員長 この後、討議する機会をつくっていきますので、取りあえず今のところは構成についてのみご意見をいただきまして、出された意見に関しては、正副委員長でも調整させていただく形になります。それを踏まえて、ご意見があればよろしくお願いしたいと思います。  よろしいですか。 ◆野澤和一 委員 今、保母委員が言っていたのは、要するに4の3のポイントの中に、市町の率先した取組というのも入れたほうがよいのではないかという意見ですよね。 ○螺良昭人 委員長 項目としてね。(「はい」の声あり) ○螺良昭人 委員長 それでは項目立ても含めて、構成に関しては正副委員長に一任をいただく形で、内容等についてはこの後討議をさせていただきますので。(「はい」の声あり)  それでは、ただいまのご意見も加味して、報告書の構成案については正副委員長にご一任いただくということでご異議ありませんでしょうか。                 (「異議なし」と呼ぶ声あり) ○螺良昭人 委員長 それでは、そのように決定いたします。  なお、書記から説明がありましたとおり、この後の総括討議において委員の皆様から出されるご意見等によっては、この構成案を柔軟に変更させていただきます。  その上で、これまでの調査、研究の内容を整理、集約させていただき、次回の委員会で報告書の素案としてお示ししたいと思いますが、よろしいでしょうか。(「はい」の声あり)  それでは、そのように諮らせていただきますので、よろしくお願いします。  次に、本日、議題(3)でございますが、総括討議を行いたいと思います。  当委員会では、気候変動適応センターを中核とした適応策の推進、カーボンニュートラルに向けた施策の推進、経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進の3点を重点テーマとして設定し、これまで調査等を行ってまいりました。  その概要は資料2のとおりでございます。  本日は、これらの重点テーマに関し、本県が抱える課題やこれに対する提言等についてのご意見を各委員の皆様から頂戴したいと思います。  なお、過去にこの委員会を通じて意見を述べていただいているもので内容が重複していても構いません。  今回は原則として委員の皆様から意見を頂戴する場とさせていただきますが、せっかく執行部にお越しいただいておりますので、どうしても確認したいことなどがございましたら執行部に対して質問していただきたいと思います。  それでは、石坂委員から順に発言をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。  石坂委員。 ◆石坂太 委員 では、3点ほど提案させていただきます。まず1点目が、これからカーボンニュートラルがさらに進んでいく中で、国内外でのサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指す動きもある中で、県内には非常にものづくり企業が多いものですから、引き続き競争力を維持していくためには、製造現場での脱炭素化は欠かせません。そこでの設備の入替えなどにはやはり多大な費用がかかりますので、この辺りに対しての支援策も県としてしっかりとお願いしたいと思っております。  2点目ですけれども、先ほども本田技研工業や日産自動車から様々な話を伺った中で、2035年までに電動車100%を目指すということで、私の地元真岡市も工業団地が非常に多いのですが、日産自動車、本田技研工業という2大メーカーに囲まれた工業団地として、関連企業が非常に多く、電動化に伴い今までの需給バランスが崩れている現状が既にあります。  私の知り合いも、七、八年くらい本田技研工業の関連会社としてやっている中で、電動化に向けての事業転換はしてきてはいるのですが、やはり自動車の関連産業としてしっかりとやっていきたいという部分もありますので、電動化にも対応できるような地場産業の支援もぜひお願いしたいと思っております。  もう一点、既存の工場の設備展開の支援も当然必要ですが、これから芳賀町や、真岡市において第6工業団地の造成が予定されています。これから立地をする企業に対して、カーボンニュートラルを念頭に置いた、当初の建設などにおけるカーボンニュートラルへの貢献度の基準等をしっかりとつくっていただきたいのです。これだけカーボンニュートラルに寄与した建物です、こういう設備ですといった基準をつくっていただいて、誘致に対してのインセンティブを与えていただけると、よりカーボンニュートラルに適した地域づくりが進んでいくと思いますので、ぜひそういった視点でもお願いしたいと思います。  以上3点、よろしくお願いいたします。 ○螺良昭人 委員長 岡部委員。 ◆岡部光子 委員 回を重ねるごとに、グリーン社会の実現に向けての難しさ、また、工程表に落とし込んだ数字に向かっていかなければならないという目標がしっかりと定まったところで、どのように県民を巻き込んでいくかということも、委員としてすごく責任を感じたところです。  前回の私の住民への周知の質問の中で、栃木県は太陽光パネルの設置率が高いので、このまま伸ばしていくとのことで、数値目標も後ほどいただきました。確かに少しずつですけれども、上がってきていますが、佐野市においては都市部と中山間地域の差がとてもありまして、確かに新築の家においては太陽光パネルの設置率がとても高いのですが、中山間地域においてはまだまだ問題点がたくさんあると思います。  単純に数字を追っていくだけではなくて、地域間格差もしっかりと見ていかないと、この数字は伸びていかないのではないかと思います。そういった細かい内容も提言に入れていただきたいと思っております。以上でございます。 ○螺良昭人 委員長 小菅委員。 ◆小菅哲男 委員 2030年までということで、あと9年間しかなく、大変難しい問題かと思っているのですが、それに向けて、県庁は50%を目標にするということで、先ほど保母委員が言われましたように、やはり県が先頭に立つ必要がありますが、単独で先に行ってしまっては困るので、市町をうまく牽引していただきたいと思います。  民間は民間レベルで、利益を出していくにはどうしたらよいかということは考えていくと思いますので、行政は行政として、9年しかありませんので、市町を巻き込んだ一体的な取組をお願いしたいと思います。以上です。 ○螺良昭人 委員長 野澤委員。 ◆野澤和一 委員 まさにグリーン社会が未来の栃木、そして未来の日本を大きく変化させていく、安全・安心で豊かな社会の構築につながっていくという目的像をしっかりと県民と共有していかなければならないと感じております。  そういう意味で、県がしっかりと各自治体と連携しながらリーダーシップを発揮していくことは当然ですが、民間企業の努力がかなり大きな割合を占めますので、その辺りへの支援の充実は、不可欠であると思います。  そういう意味で、これからポイントとして、国が打ち出している事業、また、これから新たに打ち出す事業メニューが数多くあると思いますので、国との連携をしっかりと強化していくことが一つであります。  それから、先ほども触れましたが、グリーン社会を推進していくためには、県としての支援が不可欠でございますので、企業や事業者、県民、生活者に対しての支援の充実とともに、県が貴重な財源を投資するという考え方、いわゆるグリーン社会実現のための投資という考え方も提言に含めていただきたいということが2つ目です。  最後に、3つ目でございますが、やはりエネルギーインフラの整備は、やはり必要不可欠でございまして、水素ステーション、また、電気自動車が普及していく上での、いわゆるガソリンスタンドに代わっていく充電インフラの整備も、社会全体のインフラ整備の考え方から、ポイントとして行わなければいけないと思っておりますので、提案させていただきたいと思います。以上です。 ○螺良昭人 委員長 渡辺委員。 ◆渡辺幸子 委員 様々な議論を介して、私自身、幾つか感じているのは、まず、グリーン社会の実現のためのベースは、やはり経済と環境の好循環であるということだと思うのです。このベースがあって、これまでの数字が並べられてきているところがあると思うので、ベースにあることを考えれば、やはり短期的には、既存の技術でできるところからスタートさせていかなければならないということです。それから、長期的に見れば、イノベーションを起こすことを、栃木県の中でも検討していく2段構えでやっていく必要があるのだろうと感じました。  その意味では、先ほどの日産自動車との質疑でもありましたけれども、各プレイヤーの役割分担をはっきり整理していくということ。それから、その役割分担を明確にした上で、きちんと協力体制を執ることだと思います。  民と官がと言われていますが、そこに産学金といった部分も、栃木県内ではいろいろとあると思うので、そういったところも含めて、役割と協力体制をしっかり進めていっていただきたいと思いました。  改めて、アフターコロナやウィズコロナが今後のテーマになる時期と重なってくると思いますので、観光の分野もこれから活力を取り戻していくと思います。やり方はいろいろあるとは思いますので、MaaSであれば、県土整備部や観光の部門も含めて、県庁内で様々な部局との連携もお願いしたいと思います。  最終的には、インセンティブが一番重要になると、これまでの議論を通して改めて感じました。多分、財政状況でも難しい部分もあるとは思うのですが、この分野に関してはぜひ積極的な財政出動をお願いして、県民の方々、隅々まで、そういった意義が伝わるような補助をぜひ検討していただきたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 それでは、松井委員。 ◆松井正一 委員 まず、グリーン社会実現特別委員会として、この間議論を重ねてきましたが、まさに時期を捉えた議論を県議会でできたことを感謝申し上げたいと思います。  その上で、冒頭、石坂委員からも発言があったとおり、栃木県の中でこのような転換を図るためには、様々な変化に対する具体的な対応はご指摘のとおりでして、いわゆるサプライチェーンをはじめとする様々な転換を迎えるとともに、既存の頑張っている事業者の職種転換も含めた、転換を余儀なく検討せざるを得ないような境地、それらについては、栃木県らしくしっかりと支えられるような優しいグリーン社会にできればと、冒頭、私も感想として述べたいと思います。  その上で、具体的に、先ほど構成案を正副委員長のご尽力でご提案いただきましたが、とりわけⅣのカーボンニュートラルに向けた施策の推進の中で具体的に3点くらい挙げておきたいと思っております。  まずは、何といっても吸収源対策においては、栃木県は割合で約55%近い山林を保有すること、さらには、あらゆる分野でこれまでもグリーン政策を実施している経緯があると思います。  やはり森林、さらには植林、そして、植物にまつわる政策を捉えていく中で、栃木県の貴重な吸収源確保について、様々な県民、団体、事業者等との連携によって行われることをぜひとも期待したいと思います。  それから、ロードマップの継続的な見直しという項目を入れていただきました。これは感謝申し上げたいと思います。  特に、継続的な見直しは、結論として掲げられた目標を実現するために見直しをすることになると私は思います。  そのためには、既に実現会議等をつくっていただいておりますけれども、とりわけ、その具体的な見直し期間の変化はあってもよいかもしれませんが、見直しに当たっては、常にその時点、時点で、例えばPDCAサイクルなどを科学的に取り入れながら、具体的な見直しを踏まえて、さらに進めるべきときに必要な支援策の拡充、さらにはインセンティブを入れられるとよいかと思いますので、その点で工夫していただければと思います。  最後になりますが、カーボンニュートラルに向けた県民意識の醸成は大変重要だと思います。県議会でも様々な場面で、オール栃木でという言葉が出ますが、まさにオール栃木で、私流に申し上げますと、県民誰もが、いつでも、どこでもカーボンニュートラルと、毎日の会話にカーボンニュートラルが出るぐらいの勢いでいかないと、この目標は達成できないのではないかと個人的には思っています。  ですので、そういったことを含めまして、実現に向けた県民意識の醸成のための手段をこの報告を契機に、ますます考えられるような環境が整うことを期待し、意見とさせていただきます。以上です。 ○螺良昭人 委員長 それでは、保母委員。 ◆保母欽一郎 委員 これまでの委員の発言と重なる部分があると思うのですが、4項目について私から意見を述べさせていただきたいと思います。  松井委員からも発言がありましたが、オール栃木、官民一体となって総力を挙げてこの問題に取り組んでいくことは全ての大前提になるので、そういう面での県の役割は大きいと思っております。  その中で、短期、中期、長期と考えていかなければならない中で、短期的なことをあえて申し上げますが、先ほど工程表の中にと申し上げましたが、まずは県と市町がカーボンニュートラルに率先して取り組んでいく。例えば、県有施設、市町の施設での太陽光発電のPPAを活用した取組などはかなりの効果が出てくると思います。そして、先ほども聞きましたけれども、EVもかなり有効な普及の手段になっていくと思います。  その上で技術革新を考えると、まずは普通充電設備を普及していくことで伸ばしていく。そして、技術革新の中で急速充電設備がどのようになっていくか。全固体電池の話も出ましたが、そういうことを踏まえれば、やはり普通充電設備についてはかなり力を入れていくべきだと考えております。  そして、3点目でございますが、これは中長期にもつながっていきますが、産業団地の考え方、先ほど日産自動車や本田技研工業からも説明がありましたが、メーカーとサプライチェーンを一体で産業団地に誘致していくという考え方も、ある意味では必要であると思います。  その上で、これまでのように、ただ場所のいいところを造成していくという考え方ではなく、そういう皆さんが来やすいインフラを整備した団地の造成にも主眼を置いて取り組んでいくことで、いち早く栃木県に誘致するということについてもしっかり目を向けていただければと思います。  そして最後に、他府県でもかなりモデル事業があり、我々にも説明がございました。そういう面では、栃木県においても、そういうイノベーションという言い方がよいのか分かりませんが、いずれにしても県独自のモデル事業、プロジェクト事業にも取り組んでいくべきだと考えます。  その中で、松井委員からもありましたが、私は柱として、やはり本県は54%の森林資源を持っている。この森林資源をグリーン戦略に向けた新たな技術革新のモデル事業として取り組んでいただきたい。民間ではナノテクノロジーによって資源を有効活用しようという動きが出ております。  そういうことにおいて、ぜひこの54%の森林資源をCO2の削減というだけではなくて、木材を新たな工業製品に使っていこうという世界的な動きの中で、ぜひ栃木県の森林資源を生かしたモデル事業についてもご検討いただければありがたいと思います。以上でございます。 ○螺良昭人 委員長 山田委員。 ◆山田みやこ 委員 高度経済成長を成し遂げて、ふと気がついたら、このエネルギーの問題や、自然災害など、本当に大きな問題を抱えるようになってしまいました。このグリーン社会実現特別委員会に入りまして、本当にその大変さも目の当たりに感じましたし、それに向けて、大企業が先進的に取り組んでいるということも、ここで学ばせていただきました。  ただ、中小企業への支援も一緒にしていかないと、それは達成しないということが、大枠の中で実感したところです。その中で、2030年の中間目標が掲げられていますが、そこに至るまでの実際の状況を事細かに公表していくことで、県民、国民に対して、これだけ重要な問題だということをさらに顕在化していく作業がこれから大変になってくると思うのです。それが県民意識の醸成といいますか、絶えずそういったことを念頭に置いた生活や、産業界での取組になると思います。  経済と環境の好循環は、本当に実現していかなければならないと思いますので、まずは2030年に向けて、どのように明快に取り組んでいくかということを行政としてはしっかり示していくことが一番かと思います。  その中でも、ロードマップの継続的な見直しも提言に入っておりますので、見直しとともに、その後の戦略もまた変わっていくのではないかと思いますので、非常に牽引的な立場になるかと思うのですが、そういったことを考えて実現に向けて取り組んでいただければありがたいという思いがあります。 ○螺良昭人 委員長 相馬委員。 ◆相馬憲一 委員 今まで何回も会議を開き、様々な企業の先端技術なども勉強させていただきました。  栃木県としてどのように具体的に取り組んでいくかが大変重要なのだと思います。  県庁の内部だけではなく、調査・研究をしていって、最初の頃に説明を受けた農産物の問題では、環境が変わるとこういう作物も栽培できるとか、そういったものを県としてもどんどん発表していって、民間の経済分野にも生かしていくべきではないかと思っています。  それと、太陽光発電のための太陽光パネルを設置することや、あとは小水力、特にこれからはマイクロ小水力発電も注目されると思います。それに対する河川の管理の在り方を検討すべきと思います。  それと、太陽光パネルでは栃木県は観光立県とちぎということで、観光を目玉にして風景を売っている部分や、とちぎのふるさと田園風景百選ということで、田園風景も売りにしているところもあります。ですので、太陽光パネルの普及に当たっては、どこに設置して、どこには設置をさせないという、風致地区の設置も含めて考えていかないといけないと思います。二酸化炭素を減らせばよいということではなく、やはり栃木の原風景を大事にしてもらう方向で進まないといけないと私は思っております。  端的に言えば、その風致地区の設置というか、設置してよいところとつくってはいけないところを区分けしながら事業を進めていくべきではないかと考えています。以上です。 ○螺良昭人 委員長 関谷副委員長。 ◆関谷暢之 副委員長 数回にわたる皆さんとの議論を通して、何となくまとめの時間に入っている感じですが、回を重ねれば重ねるほど、この問題にこれから取り組んでいくことの難しさというか、覚悟が必要だと感じているのは委員の皆さんも同じだと思います。  これから実際にロードマップに沿って取り組んでいく中で、やはり不断の見直しをしながら適宜適応していくということが前提になると思っています。  そんな中で、私からも何点か申し上げたいと思いますが、気候変動適応センターについては、初期の段階で、他県と対比もしていったわけです。そのときには本県の人員体制などのポイントで比較したわけですが、このセンターの役割という部分については、単なる人員というだけではなく、その中身がこれからますます重要な役割を果たしていくと思います。  後段、どうしても経済という部分に入っていきましたので、忘れがちになっていましたが、これはオール栃木という意味での、生活や産業などのあらゆる分野で、このセンターの果たす役割が非常に大きいと思います。  参考人招致で、国のセンターからも招聘することができて、肌感覚ですが、県が求めるものにはどんどん協力していくという姿勢を皆で共有することができたわけですから、これから国や、国の適応センターともしっかりと連携する必要があると思います。専門的な知見やデータなどが必要になってきますので、その辺りは、日常的な連携をぜひ意識をしながら取り組んでいただきたいと思いますし、県の単純な人員増ということではなく、先ほども申し上げましたが、県内の大学であったり、専門性を持った企業であったり、そういうところに、今日も参考人でお話をいただいたようなスペシャリストというか、専門性を持った方々はほかにもたくさんいると思いますので、そうしたところと主体的、能動的に連携を取るという姿勢で、適応センターの運営に取り組んでいただきたいと思います。  当然そこは、保母委員も言っていた市町との関連も出てきますので、きちんとそのネットワークを構築していただきながら、県民含めて、幅広く情報収集していく。そこから、緩和策、適応策に結びつけていく、そのような適応センターをまず求めたいと思います。  それから、ロードマップの中で、産業、交通、業務、家庭など、各分野に分けながら、重点プロジェクトとして、県庁率先、脱炭素先行地域の創出、再生可能エネルギーの最大限の導入と、3つの重点プロジェクトがあったのですが、皆さんと議論を進めていく中で、どうしても産業界を意識していくと、新たな技術、製品の開発が不可欠になりますし、それから今日の話にもあった、いわゆる資源の循環利用が大きなポイントとして企業にも捉えられていることが、明らかになったと思います。  やはり製品・技術開発、あるいは資源の循環利用といったポイントについても、重点プロジェクトの一つの柱とすべきではないかと思いますので、ぜひご議論いただきたいと思います。  それから、そうした技術開発に向かっていく中では、県内には中小企業が多いわけであります。それぞれすばらしい技術を持っていたり、ニッチな技術を持っていたりする企業もたくさんあると思いますので、それらの掘り起こしをしっかりと実施していただくとともに、初期段階、あるいはこれから誘導する分野も含めて、しっかりと技術開発に対する段階に応じた伴走的な支援をしていただきたいと思います。  それらの技術開発については当然、専門性、高度な技術、あるいは設備や研究機関などが必要になると思いますので、産業技術センターでも様々な新しい取組や、こうした視点での機能強化にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  そして、石坂委員や保母委員からもありましたが、産業団地を含めた企業誘致という視点からも、包括的な立地構成という話もありましたので、そのようなことも意識して、そういった産業団地、あるいは企業誘致にしっかりと取り組んでもらいたい。牽引的な企業をしっかり誘致することによって、おのずとサプライヤー的に取り巻く企業がついてきたり、あるいは県内において先ほどの自動車産業がそういう方向性にあるとするならば、そういう包括的な立地形成をしっかりと支援していく。具体的に期待することや、支援策について話をいただいておりますので、そういったところにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
     既に国で14分野の産業も提示されていますから、それらを含めてしっかりと誘致活動に取り組んでいただきたいと思います。  それから、EVステーションや水素ステーションについて、山田委員も水素ステーションの実現性という話をかつてされていたように思いますし、野澤委員からは公営公設でという話もあったかと思います。民業の部分もありますので、これは今の段階で結論づけるのはやはり難しいと思います。総括すると、水素ステーションがないことには水素の普及につながらないということは一致していると思うので、あらゆる可能性を模索した形で普及に努めるという視点で統一できればと思っています。  それと、保母委員から先ほど、市町との連携という部分で、ロードマップには既に推進体制ということでスキームが出ているわけで、県と市町を並列に包括しながら様々な分野に波及させていくという形ができていますので、これらの体制をしっかりと担保、協調する意味でも、そのような文言をどこかに加えておくことは私も必要かと思います。以上です。 ○螺良昭人 委員長 ありがとうございました。  ただいま、皆さんからそれぞれ総括の意見をいただいたわけでありますが、次回の委員会で報告書の素案を示すことになります。様々な意見の中で、例えばロードマップの継続的な見直しに関して、常に先を見据えてという話だったと思うのですが、当然、新技術の力を借りなければ目標は達成できませんので、常に新しいものにもしっかり目を向けて、前向きに見直しをしていくといった思いで文言を入れさせていただきたいと考えています。  さらに、報告書の素案を出すに当たっては、今日いただいた意見を十分にしんしゃくいたしまして、構成案も含めて柔軟に変更させていただいて、正副委員長で調整をして、実行力のある、実際にしっかりと進めていくことができる、そういうものをつくっていきたいと思っております。さらにオール栃木、いわゆる栃木県民全体で当たっていかなければ、この目標は達成できないということを肝に銘じて、文章の中にも入れていきたい。そのように考えております。  次に、請願・陳情を議題といたします。  今通常会議において本委員会に新規付託されました請願・陳情は、お手元に配付のとおり、受理番号17番、地球温暖化防止、「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」への取り組みに関わる陳情です。  では、審査の参考とするため、執行部の説明を求めます。  説明は、着席のままで結構です。  渡辺課長。 ◎渡辺 次長兼環境森林政策課長 それでは、受理番号17番、地球温暖化防止、「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」への取り組みに関わる陳情書について説明させていただきます。  お手元に配付しております、左肩に資料3-2とあります請願・陳情説明資料の1ページをご覧ください。  陳情の趣旨は、左側に書かれておりますとおり5点ございます。  陳情の趣旨と現状について説明します。  1点目は、パリ協定を国際的に着実に遵守・実施していくこと。日本の温室効果ガス排出を「2050年までに実質ゼロ」にすることを県議会として決議することという内容です。  右側の現状の欄にありますとおり、本県では、昨年12月に2050年のカーボンニュートラル実現を目指すことを宣言するとともに、その実現に向けたロードマップを今年度内に策定することとしております。  2点目は、県下の企業が原発に依存しない再生可能エネルギーへの転換・導入を図るため、現状と向こう10年の計画を県民に公表するように求めることという内容でございます。  現状は、栃木県生活環境の保全等に関する条例に基づき、3年ごとに地球温暖化対策計画の作成と提出を求めております。  また、国では、今年5月に改正されました地球温暖化対策推進法に基づき、企業の温室効果ガス排出量報告をデジタル化し、公表することとしております。  3点目は、県が管理する土地に県民運動としての植林を実施すること。特に、日光市足尾町愛宕下、旧松木村跡の松木川対岸の荒廃地に植林を推進することという内容でございます。  現状としては、県では、企業等の森づくり推進事業により、企業等に県有地等をあっせんし、植林や下刈り等の森林整備活動を推進しております。  一方、日光市足尾町松木地区におきましては、NPO法人やボランティアによる森づくり活動が行われており、森びとプロジェクトは平成17年から県治山事業完了地におきまして植林を実施しております。この箇所は、陳情書の添付資料にありますように、臼沢の森と呼ばれております。その場所につきましては、裏面の位置図をご覧いただきたいと思います。  位置図の右下にあります日光市の足尾環境学習センターから松木川の上流約2キロメートルに臼沢の森があります。そこから松木川対岸の荒廃地には、陳情書の添付写真にあります上の向があります。  1ページにお戻りいただきたいと思います。  現状の(3)の3段落目でございますが、松木川対岸の荒廃地につきましては、令和4年度の完了を目途に治山事業を実施しております。今後、樹木が生育できる程度の土壌の回復状況を見ながら、植林の実施方法を検討してまいります。  4点目は、義務教育におきまして、体験型の授業を行うとともに、自然保護活動への参加など、地域ぐるみの取組で環境保護の大切さを広めることという内容でございます。  現状は、総合教育センターにおきまして実地研修を実施しており、この研修に参加した教職員を中心としまして、体験型の授業が行われております。  また、公益社団法人とちぎ環境・みどり推進機構を通じまして、森林環境教育や緑化活動を行っております。  最後に、5点目です。「地球温暖化防止運動」は、各地で県民と意見交換を実施し、年2回の「植樹祭」の参加を呼びかけ、進めることという内容でございます。  現状は、栃木県地球温暖化防止活動推進センターにおきまして、普及啓発活動や民間団体の活動支援等を行うほか、知事が委嘱しました地球温暖化防止活動推進員が、それぞれの地域におきまして、住民への情報提供や各種助言等を行っております。  また、県では、とちぎ環境・みどり推進機構や地域住民、森林ボランティア等と連携しまして、県内4か所で記念植樹式を行っております。  説明は以上でございます。 ○螺良昭人 委員長 以上で説明は終了いたしました。  委員の質疑並びに意見がありましたら、お願いいたします。  相馬委員。 ◆相馬憲一 委員 今回の陳情につきましては、地球温暖化防止、そして2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロへの取組に関わる陳情でございまして、カーボンニュートラルに関しましては、まさに今、本委員会で議論がなされております。  これまでも各委員からカーボンニュートラルなどに関して、様々な意見が出されており、先ほども総括討議がございました。そして、これらの意見をまとめた報告書の素案が次回の委員会で示される予定になっておりますので、採決に当たっては、今、この時期に、結論を出してしまうと、記載されている内容に、次回の報告書素案の内容なども影響を受けてしまうのではないかという懸念があります。  採決は、本委員会がこれまでの調査研究をした成果である報告書の方向性を見極めてからでも遅くはないと考えますので、この陳情については、私は継続審査とすることが適当だと考えます。 ○螺良昭人 委員長 ほかにございますでしょうか。  松井委員。 ◆松井正一 委員 それでは発言します。  ただいまの陳情につきまして、我が会派でも議論してまいりました。それと、私は個人的に足尾の植林地に関心があり、時々行っていたのですが、実は森びとプロジェクトが植林した辺りも、偶然のタイミングもあって、8月に見ることができました。その中で、実は具体的にどういうことを求めているかについても調査させていただいたところです。  それで、今、相馬委員から発言があったように、先ほどまで総括討議をしていた直後の審査という意味では非常になるほどと思いつつも発言させていただきますが、結論としては、我が会派としては、細かい項目では意見の相違があるとしても、趣旨的には採択できるのではないかという結論に至っています。  その上で、具体的に理由を述べますと、まずは、1番の県議会としての決議という部分でございますが、参考までにインターネット等で調べてみましたところ、2050年カーボンニュートラルの実質ゼロを表明している自治体は今年の8月末時点で全国444自治体、都道府県では40ございます。栃木県は当然含まれておりまして、県内の6自治体も含まれております。  そのような中で、都道府県議会では、まだ議論をしているところがございまして、県議会としての明確な決議がなかなか調べられませんでした。  埼玉県において、基本計画の策定に対しての前向きな意見書が最近提出されたということにとどまっております。  そのような中で、全国的に都道府県では、長野県が令和元年に阿部知事の思いの下、全国的に、長野県はカーボンニュートラルにするという発言がありまして、実はその長野県の阿部知事が全国知事会のゼロカーボン社会のチームリーダーになっているという状況です。このグリーン社会実現特別委員会が栃木県議会としての大きな姿勢を示すことになるという意味では、今後、県議会として、県民はもとより、全国に対して栃木県議会はこのような姿勢であると発信する意義は十分にあるということが根拠です。  それから、公表の話がございました。先ほど総括討議で山田委員からも発言がございましたが、公表の仕方はいずれにせよ、法律がそのように変わってきていることに鑑みますと、栃木県として、より積極的な公表は考えていくべきではないかと思っています。  ただ、具体的に企業によってまちまちなことがあるので、この辺りはテクニカル的に難しいというのが本音です。ですので、先ほど冒頭で趣旨採択と言ったのは、ここが大手を振って採択できないところであると思っています。  松木川の対岸の荒廃地を実は見てきました。その上で、難しい場所だと思います。非常に急峻な斜面です。ですが、ここに書いてあるように、それでも治山工事を施工中でございます。これは県の当局に感謝を申し上げなければなりませんが、ぜひ緑にしていただくよう検討していただきたいという意味では、この陳情を通じてそのアクションの背中を押すことにつながるのではないかと思っておりまして、そのような理由でございます。  それから、(4)(5)については関連があるので、最後にまとめますが、いずれにしましても県民ぐるみでの様々な活動、そして様々な植樹祭等は有効に働くと思っていますから、陳情書の提案もありますが、ぜひとも前向きなこういうアクションがあることを期待しまして、あえて趣旨採択を主張させていただきます。以上です。 ○螺良昭人 委員長 ほかにご意見。  保母委員。 ◆保母欽一郎 委員 県民クラブとして発言させていただきます。  委員長からも、最終的に我々の提言の中にも、オール栃木、民官一体、県民総意でという話もございました。  そういう面では、この提出者の森びとプロジェクト栃木県ファンクラブの代表、加賀様ですか、こういうことを陳情していただける、また率先して行動されていることに本当に敬意を表するものでございます。  そういう面で、我が会派としても、趣旨には賛同はできます。  しかし、この陳情要旨の2番で、具体的な話になりますが、県下の企業が公表するということになりますと、大企業から小規模事業者まであるわけで、その辺りについては、どのような視点が必要かと一つ疑問に感じているところがございました。  また、県民に、現状と向こう10年の計画を公表することについては、これは国や県、市町等の行政がそれなりの支援をしっかりしていかないと現実的になかなか難しいのではないでしょうか。それもしないで、ただ公表を求めるというのは、なかなか今の段階では非常に厳しいものがあるかと思います。  そういった視点から、当会派としては継続審査でお願いできればと考えているところでございます。以上でございます。 ○螺良昭人 委員長 野澤委員。 ◆野澤和一 委員 公明党会派としても、この陳情の中の5つの視点の中で、4つについては非常に大切なポイントだと了解したところでございますけれども、先ほど保母委員からありましたが、この2番については、内容的に現段階でどうなのかというところがございます。  現状を見ますと、この5つの趣旨に対しても、現在、県としても建設的に前進を図っているところでもございますし、また本委員会でも具体的に様々な意見を取りまとめようとしているところでございますので、会派としては継続審査でお願いしたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 ほかにございますか。よろしいですか。                 (「なし」と呼ぶ声あり) ○螺良昭人 委員長 では、採決に移ります。  ただいま、継続審査、趣旨採択の意見がありました。  初めに、継続審査についてお諮りいたします。  継続審査に賛成の委員は挙手願います。                   (賛成者挙手) ○螺良昭人 委員長 挙手多数であります。  したがって、継続審査とすることに決定いたしました。  以上で、請願・陳情の審査を終了いたします。  なお、請願・陳情結果表に記載する審査結果の理由につきましては、正副委員長にご一任願います。  次に、その他の件で、何かございましたらお願いいたします。よろしいですか。                 (「なし」と呼ぶ声あり) ○螺良昭人 委員長 なければ、その他の件について終了いたします。  次に、次回委員会についてでございますが、10月26日火曜日午前10時から開催いたします。  以上で、本日の日程は全て終了いたしました。  これをもちまして、本日のグリーン社会実現特別委員会を閉会いたします。                  午後1時04分 閉会...