栃木県議会 2021-06-03
令和 3年度栃木県議会第376回通常会議-06月03日-02号
令和 3年度栃木県議会第376回通常会議-06月03日-02号令和 3年度栃木県議会第376回通常会議
(1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名
6月3日(木曜日)
出席議員 48名
1 番 小 池 篤 史
2 番 湯 澤 英 之
3 番 石 坂 太
4 番 岡 部 光 子
5 番 加 藤 雄 次
6 番 金 子 武 蔵
7 番 あ べ ひろみ
8 番 中 屋 大
9 番 塩 田 ひとし
10 番 野 村 せつ子
11 番 相 馬 政 二
12 番 西 村 しんじ
13 番 小 菅 哲 男
14 番 小 林 達 也
15 番 西 川 鎭 央
16 番 平 池 紘 士
17 番 高 山 和 典
18 番 吉 羽 茂
19 番 池 田 忠
20 番 琴 寄 昌 男
21 番 横 松 盛 人
22 番 加 藤 正 一
23 番 斉 藤 孝 明
24 番 松 井 正 一
25 番 保 母 欽一郎
26 番 青 木 克 明
27 番 野 澤 和 一
28 番 山 口 恒 夫
29 番 白 石 資 隆
30 番 関 谷 暢 之
31 番 中 島 宏
32 番 早 川 桂 子
33 番 日向野 義 幸
34 番 渡 辺 幸 子
35 番 阿 部 寿 一
36 番 佐 藤 良
37 番 山 形 修 治
39 番 山 田 みやこ
40 番 一 木 弘 司
41 番 五十嵐 清
43 番 岩 崎 信
44 番 小 林 幹 夫
45 番 五月女 裕久彦
46 番 相 馬 憲 一
47 番 螺 良 昭 人
48 番 三 森 文 徳
50 番 木 村 好 文
51 番 板 橋 一 好
(2)説明のため出席した者の職氏名
地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者
知事 福 田 富 一
副知事 北 村 一 郎
副知事 岡 本 誠 司
総合政策部長 阿久澤 真 理
経営管理部長 國 井 隆 弘
県民生活部長 千金楽 宏
環境森林部長 鈴 木 英 樹
保健福祉部長 海老名 英 治
産業労働観光部長 辻 真 夫
農政部長 青 栁 俊 明
県土整備部長 田 城 均
国体・
障害者スポーツ大会局長
橋 本 陽 夫
会計管理者会計局長
熊 倉 精 介
企業局長 琴 寄 行 雄
総合政策部次長兼総合政策課長
笹 川 正 憲
財政課長 小 林 宣 夫
教育長 荒 川 政 利
代表監査委員 平 野 博 章
人事委員会事務局長
清 水 正 則
労働委員会事務局長
渡 邉 慶
警察本部長 野 井 祐 一
事務局長 大 橋 哲 也
次長兼総務課長 伊 藤 美智雄
議事課長 栗 原 亨
政策調査課長 土 屋 篤 史
議事課課長補佐 諏 訪 勝 也
課長補佐 谷 平 正 治
副主幹 小 材 忠 宏
主査 手 塚 英里子
主査 君 島 義 人
主査 関 敏 秀
主査 荒 川 尚 子
(3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は48名であります。
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午前10時 開議
○阿部寿一 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
日程第1 第1号議案から第8号議案まで及び第10号議案から第14号議案までを一括して議題とし、質疑を行います。
この際、お諮りいたします。質疑と併せて県の一般事務に関する質問を行うことにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○阿部寿一 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。
発言通告者に対し、発言を許します。
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) おはようございます。とちぎ自民党議員会の螺良昭人でございます。まず初めに、
新型コロナウイルス感染症の本県における状況は、現時点においては急速な感染拡大には至っていないものの、いまだ収束の見通しが立たない状況であります。このような中、県民の皆様の命と暮らしを守るため、医療従事者をはじめ多くの方々が昼夜を問わずご尽力されておりますことに心から敬意と感謝の意を表します。また、本年4月17日に本県で初めて発生した豚熱の防疫作業には、多くの県職員のご尽力、そして市町や自衛隊、建設業協会、農業団体等の皆様のご協力がございました。そのことに対しても深く敬意を表します。本日は、とちぎ自民党議員会を代表して質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず初めに、
新型コロナウイルス感染症対策の推進について、知事にお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の新規感染者につきましては、全国的に見ると、5月上旬に第4波のピークがあったわけでありますが、依然として高いレベルにあります。本県においては、懸念されていたゴールデンウイーク後の感染急拡大は見られていませんが、クラスターも継続的に発生するなど新規感染者数が減少傾向とはならず、医療提供体制への負荷が蓄積されている状況にあります。また、従来株よりも感染しやすく、重症化しやすい可能性が指摘されている変異株の割合も高まってきており、今後の感染拡大に予断を許さない状況が続き、多くの県民が感染への不安を抱えております。
県は、これまでも感染拡大の防止に向け、県民や事業者に対する必要な情報の発信や呼びかけ、各種相談の実施、
新型コロナウイルス感染症病床の確保、医療従事者への支援等、市町や関係機関とも連携しながら様々な対策に取り組んでまいりました。しかし、いまだに
新型コロナウイルス感染症の収束は見通せない状況にあるため、私はさらなる
感染症拡大防止の取組が必要であると考えております。
そこで、現在の感染状況をどのように捉えているか、また、その状況を踏まえた今後の対策にどのように取り組んでいくのか、知事のお考えを伺います。
○阿部寿一 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの螺良議員のご質問にお答えいたします。全国の感染状況が3月上旬以降拡大する中、本県におきましては、県民、事業者の皆様の感染防止対策へのご協力により、大型連休後に新規感染者数の増加が見られたものの、懸念していた急拡大は避けることができました。しかしながら、第4波では、新規感染者数が一定程度高い状態で長期間継続していることで、医療提供体制への負荷が高いレベルになっております。また、変異株感染者の割合も7割を超え、従来株とほぼ置き換わっている状況にありますが、国内では、より感染力が強い可能性がある変異株も確認されており、今後とも緊張感を持って第4波と対峙する必要があります。
このような中、県においては、県内医療機関と連携してゲノム解析を実施するなど、新たな変異株に対しても迅速に把握できる体制を整備した結果、海外渡航歴のある方から、いわゆるインド株を確認することができたところであり、引き続き変異株のサーベイランスに積極的に取り組み、ウイルスの特性や流行状況に応じた適切な疫学調査の実施により、感染拡大の防止を図ってまいります。また、5月末には、今後の感染拡大に備え、効率的、効果的な病床、宿泊療養施設の活用や患者急増時に向け療養体制を強化していく方向性を取りまとめるとともに、新たに受入れ病床を39床確保して448床としたほか、今回の補正予算に計上している
医療従事者確保事業により医師や看護師の派遣を進めるなど、引き続き、医療提供体制の強化も図ってまいります。さらに、重症化等に予防効果のある
新型コロナウイルスワクチン接種についても、実施主体である市町への人材確保の支援を行うとともに、市町の接種体制を補完するため、6月16日から県営の
ワクチン接種会場をとちぎ健康の森に設置するなどして、県全体のワクチン接種の加速化に取り組んでまいります。
今後、これらの対策を講じても感染が急拡大し、医療提供体制のさらなる逼迫が懸念される場合には、速やかに警戒度レベルを引き上げ、飲食店に対する営業時間短縮の要請等のより強い対策も実施してまいる考えであります。引き続き、感染状況を注視しながら、県民の健康と暮らしを守るため、必要な対策に万全を期してまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) ちょっと視点を変えて、予防という観点から
保健福祉部長に再質問いたします。
新型コロナウイルスなどの
ウイルス感染予防には、口腔ケアが非常に有効であると考えられます。歯周病菌がウイルスの細胞内への侵入を促すことから、その対策のため、山梨県では
新型コロナウイルス感染症の無料歯科健診を行うなど、感染症防止及び肺炎の重症化の予防に取り組んでいるところであります。
栃木県においても、このような対策に積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、
保健福祉部長にお伺いいたします。
○阿部寿一 議長
海老名英治保健福祉部長。
◎海老名英治
保健福祉部長 再質問にお答えいたします。口腔ケアが感染予防に資するものでありますことから、県といたしましては、県歯科医師会と連携いたしまして、新たに、リスクの高い高齢者、また障害者の方を対象として、そのケアを担当する職員などを対象とした研修を行うこととしております。また、県民の方に対しましても、口腔ケアによって
新型コロナウイルス感染症の予防に資するというような内容についても、しっかり普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 次に、ワクチン接種の推進について、
保健福祉部長にお伺いします。横浜市立大学の研究チームの調査結果によれば、
新型コロナウイルスワクチンの接種を2回完了した後は、99%の人に従来株への抗体が確認でき、国内で見つかっているイギリス株などでも90から94%、先月に本県の陽性者では初めて確認されたインド株についても97%が抗体を持っているとのことでした。このほかにも、ワクチン接種は2回接種することで、感染や重症化のリスクが軽減されるとの報道もありました。このように、
新型コロナウイルス感染拡大防止や重症化リスクの低減に有効であるワクチン接種を一日でも早く、より多くの方に接種することが重要であり、県民の期待も高いと感じております。
優先接種が進められてきた
医療従事者向けの接種については、予定数のワクチンが全て配分され、5月24日現在の状況ですが、6万9,000人の対象者の約6割の方が2回目の接種を済ませているとお聞きしております。一方、高齢者接種につきましては、先日の報道によると、国が公表した5月30日時点での状況は、1回目のワクチン接種を終えた65歳以上の高齢者の割合が全国で一番高いのは和歌山県で26.8%、本県は何と8.8%、6万4,913人ということであります。本日報道があった6月1日時点の状況でも、全国で一番高い和歌山県で29.2%、本県は10.4%であり、全国的に見て進捗していない状況にあります。
高齢者向けの優先接種については、ワクチンの配分が5月以降本格化し、市町による接種が順次進められているところでありますが、現在、高齢者の接種が全国的に見て進捗していない状況にある本県の課題をどのように捉えているのか、
保健福祉部長にお伺いします。
また、本県においては、高齢者の優先接種について、国が示す方針どおり、全ての市町で7月末までの完了が見込まれているものの、できるだけ前倒しで完了するようにするなど、希望する県民へのワクチン接種の加速化が必要であると考えます。
そこで、県は今後設置が予定されている県営接種会場の運営を含め、ワクチン接種の加速化、ワクチン接種の早期完了に向け、どのように取り組んでいくのか、
保健福祉部長にお伺いします。
○阿部寿一 議長
海老名英治保健福祉部長。
(
海老名英治保健福祉部長登壇)
◎海老名英治
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。高齢者向けのワクチン接種につきましては、国が表明した7月末までの完了に向けまして、各市町で接種計画の見直しを進めており、課題となっている医療従事者の確保も含め、接種体制の強化に最大限の努力をいただいているところであります。このため県では、市町と郡市医師会等との調整を支援いたしますほか、休日などの集団接種会場への医療従事者の派遣や個別接種を行う医療機関への支援を行う市町に対する助成、市町と医療従事者の
マッチング支援などによりまして、引き続き、接種体制の強化に向けて積極的に支援してまいります。
さらに、市町の接種体制を補完するため、6月16日から県営の
ワクチン接種会場をとちぎ健康の森に設置することとしており、当面、市町別に予約枠を設定し、1日最大1,000人規模の接種を行ってまいります。今後の一般の方への接種も見据えまして、県全体のワクチン接種の加速化に取り組んでまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員)
保健福祉部長に再質問いたします。6月16日のスタートで、11月末まで1日1,000人規模で大
規模県営接種会場でのワクチン接種を進めるわけでありますが、それを円滑に進めるために、まず1番として、市町との調整や連携が非常に重要だと思っています。市町を通した予約を想定しているとお聞きしておりますが、打合せ状況はいかがですか。それから、6月1日から
ワクチン接種チームを13人増やして23人体制にしたとのことですが、スタッフの確保に関してはどのようになっているのでしょうか。
2番目として、ワクチン接種の担い手の確保のめどはちゃんと立っているのでしょうか。
3番目として、とちぎ健康の森までの交通手段の確保というのはどのように考えているのか。知事は交通手段に関して非常に気を配っていたとお聞きしております。特に接種が遅れている地域の方々がきちんと来られるような体制を取っているのか、お聞きします。
さらに、政府は6月1日、
新型コロナウイルスワクチンの一般接種をめぐり、職場や大学での接種を今月21日から開始可能とすると発表しています。宇都宮大学を含む7大学では、他大学に先行して実施を進める方向で調整に入ったということでありますが、今後、ワクチン接種の担い手確保や自前での運営に対する課題などに対応していかなければならないと考えられます。また、企業の職場接種も具体的な検討に着手いたしておりまして、接種券がなくても打てるとしております。全面的な展開をにらんで急速に各業界へ働きかけをしていくとのことでありますが、産業医等を確保して接種するわけですが、政府も職場接種の実施には自治体側との調整が必要と言っております。
そこで、県は大学や職場接種についてどのように対応していくのか、お伺いいたします。
○阿部寿一 議長
海老名英治保健福祉部長。
◎海老名英治
保健福祉部長 再質問にお答えいたします。初めに、市町との連携でございますけれども、5月27日に市町の連携会議、また翌日には副市町長会議などを開催しているところでございますけれども、このほかにも個別にご連絡等をさせていただきまして、この接種会場の役割、あるいは予約の取り方などについて協議をさせていただいているところでございます。今お話がございましたとおり、市町に予約枠を設定するということになっておりますけれども、その詳細についても、一両日中に市町にご連絡をさせていただいて、予約の開始等が円滑に進むように取り組んでまいりたいと考えております。
2点目の本部の
ワクチン接種チームにつきましては、ご質問いただきましたとおり、13名増員いたしまして、現状、23名でやっているところでございます。この23名の中でしっかりと引き続きワクチン接種が早期に完了できるように取り組んでまいりたいと考えております。
3点目の接種者の確保の問題でありますけれども、現在、大学病院、それから
保健衛生事業団、県立病院、そういったところにお願いいたしまして、このほかにも県が呼びかけた医療従事者の登録に手を挙げていただいているところでございますので、そういったところを最大限活用といいますか、ご協力いただける方にお願いして、市町に対して影響が出ないような形で医療従事者の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、交通手段の関係でございますけれども、まず、とちぎ健康の森につきましては、駐車場がかなりあります。また、路線バスも、駒生営業所までそれなりの数が運行していると承知しております。また、併せて市町におきましては、市町のほうで交通手段についてもご検討いただいていると伺っておりますので、引き続き、これらの調整にしっかり努めてまいりたいと考えております。
最後に、職場あるいは大学の接種の関係でございますけれども、これらにつきましては、6月1日に国から事務連絡が出ているところでございますが、県の役割の詳細などにつきましては、残念ながら、現時点では明らかではございません。今後、国から示されると聞いておりますので、しっかりその内容を把握した上で、これらの取組を通じて、さらに加速化が進むよう、県としても取組に最大限協力してまいりたいと考えております。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 聞きたいことはたくさんあるのですけれども、1つだけ。県営の大規模接種会場に関しては、今後、増やすというお考えはありますでしょうか、
保健福祉部長にお伺いします。
○阿部寿一 議長
海老名英治保健福祉部長。
◎海老名英治
保健福祉部長 再質問にお答えいたします。いわゆる県営の接種会場につきましては、まずは6月16日からしっかりと運用していくということが大事だと思っています。その後につきましては、今お話のございました企業の集団接種、あるいは大学の集団接種という幅広い形で集団接種会場が設置されていくと認識しておりますので、その状況を踏まえながら、県として必要な役割について、さらに検討を加えてまいりたいと思っております。増やさない、増やすということではなく、必要に応じて対応してまいりたいと考えております。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 次に、
新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制の確保について、
保健福祉部長にお伺いします。本県の警戒度は全体としてステージ2.5を維持しているものの、病床使用率については、4月以降、1つ上のステージ3レベルにあり、非常に厳しい状況が続いております。入院患者を受け入れている医療機関には大変大きな負担がかかっていることから、県としても、さらに何らかの対策を講じていくべきと考えます。
入院患者への対応に尽力されている医療機関の代表者に私が直接お話を聞いたところ、
新型コロナウイルス感染症の医療対策で重要なのは、軽症・中等症者の患者を受け入れる病床をさらに確保すること、そして患者を重症化させないことであるとのことでした。重症者用病床の確保が重要であることはもちろんでありますが、人工呼吸器やECMOを必要とする重症者への対応には多くのマンパワーが不可欠であるなど、医療機関にとっても大きな負担となるものであります。
重症病床使用率が高まれば、一般医療にも影響を及ぼし、医療崩壊につながる危険性が高まります。さらに重症者用病床を増やすのは、簡単なことではありません。ですから、軽症・
中等症者用病床をさらに確保し、症状に応じた適切な医療を提供できる体制を充実させ、重症化を防ぐ取組を積極的に展開していくことが重要であると考えます。
今通常会議に上程された6月補正予算には、軽症者等のための宿泊療養施設の確保や中等症・
重症患者受入れ医療機関の医師等の確保に要する経費が計上されていますが、私は、軽症、中等症のうちに適切な治療を行い、重症化を防ぐ取組がさらに必要であると考えます。
そこで、県では、今後、軽症・中等症者から重症者まで、それぞれの症状に応じた医療提供体制の確保にどのように取り組んでいくのか、
保健福祉部長にお伺いします。
○阿部寿一 議長
海老名英治保健福祉部長。
(
海老名英治保健福祉部長登壇)
◎海老名英治
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症患者が増加する中、それぞれの状態に応じた医療を適時適切に提供できる体制の整備が重要であると考えております。そのため、医療機関との協議を重ねまして、軽症・中等症用の病床を39床増やし、重症者用を含め全体で448床を確保するとともに、
後方支援医療機関の確保も進めまして、確保した病床のできる限りの効率的、効果的な運用に努めているところであります。
今後は、今回の補正予算に計上している
医療従事者確保事業によりまして医師や看護師の派遣を進めますほか、
遠隔医療支援システムの一層の活用を図るなどいたしまして、中等症等の
受入れ医療機関を支援し、重症化を防ぐ取組を強化してまいります。
引き続き、一般医療との両立を維持しながら、
新型コロナウイルス感染症の医療提供体制の充実を図るため、医療機関や関係団体等と協力いたしまして、オール栃木で取組を進めてまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 要望いたします。PCR検査に時間がかかっていた以前はともかくとして、ホテル療養とか自宅療養というのは治療をしないわけで、あくまでも隔離ということになります。軽症・中等症用の病床をさらに用意して、従来の薬を上手に使っていけば、重症化は必ず防げると医師もおっしゃっておりました。重症化させないことにさらに力を注ぐべきだと考えます。
第3波で県内では68人の方が死亡しているわけでありますが、その分析をどのようにしてきたのか、医療関係者との情報共有はきちんとできていたのか、これらのことを踏まえて、第4波にどのようにそれを生かしてきているのか。公衆衛生の専門家、そして感染症の専門家、救急医療の専門家だけではなく、呼吸器系の関係者や肺炎の専門家などの意見ももっと取り入れるべきではないかなどの課題に対して真摯に取り組んでいただくことを要望いたしまして、次の
新型コロナウイルス感染症の感染再拡大を受けた経済対策についてに移らせていただきます。
知事にお伺いします。
新型コロナウイルス感染症の
感染拡大防止等のための各種イベントの中止や縮小、外出自粛等による人の往来の減少、夜間飲食業の時間短縮営業により、社会経済は深刻な影響を受けています。そのために、国はもとより、本県においても、事業の継続や雇用の維持に向け、事業者に対する補助や融資、個別の課題に対応するための専門家による支援、
新型コロナウイルス感染症の影響による離職者の再就職やコロナ禍での企業の採用活動の支援など、これまで様々な経済対策に取り組んできました。しかしながら、飲食業や観光業、交通事業者などは依然として非常に厳しい状況にありまして、全国的に見ると、
新型コロナウイルス感染症の新規感染者については、5月上旬に第4波のピークがあった後、減少傾向にある地域と増加傾向にある地域が混在しておりますが、依然として高いレベルにあります。
そのような中で、東京都や大阪府などでの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの実施により、人の移動や行動が引き続き制限され、社会経済活動が縮小されることで、経済へのさらなる打撃が懸念されているところであります。私は、いまだ
新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、厳しい経営を余儀なくされ、耐える時間が長くなっている県内企業をここでしっかりと守り抜き、将来にわたり本県産業の活力を維持するために、感染防止対策を徹底しつつも、経済を下支えする強力な対策を講じていく必要があると考えます。
そこで、県は
新型コロナウイルス感染症の感染再拡大を受けて本県経済をどのように支えていくか、知事にお伺いいたします。
○阿部寿一 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響により、県内企業は厳しい状況に直面しており、収束後においても本県産業が持続的に発展するためには、本県経済を支える中小企業等を守り抜く決意を持って対策に当たる必要があると考えております。このため、県では、これまで資金繰り支援や消費・観光需要喚起策など、様々な経済対策を推し進めたことにより、本県経済は、いっとき持ち直しの動きがあったものの、第4波の到来により、全国の新規感染者数は高い水準が続く中、本県においても予断を許さない状況が続いており、県内企業の経営環境は厳しさを増しております。
そこで、事業者が行う感染防止対策への支援策を拡充することとし、飲食店等が行う機器整備に加え、施設の改装等を対象とするほか、国の事業を活用し、宿泊事業者が行う施設改装や機器整備等について、昨年5月からの遡及分を含め助成することといたしました。加えて、売上高が減少している中小企業向けの感染症対策融資への利子補給を行うとともに、売上げが一定以上減少した事業者への応援一時金を支給するほか、路線バス及びタクシー等の交通事業者に対する事業継続のための支援金の給付や、酒造組合等が行う販売促進事業への助成を行うなど、幅広い業種へ支援を実施することといたしました。また、今後、さらに感染が拡大した場合に備え、要請に応じて時短営業を行う飲食店に対し、再度、協力金を支給する経費を確保したところであります。さらに、今後の感染状況を見据えながら、第2弾県民一家族一旅行の速やかな実施に加え、国のGo To イート事業等の活用により、経済回復の加速化を図ってまいります。
引き続き、県内経済を下支えするため、感染状況を踏まえながら、国や市町、関係団体等と緊密な連携を図り、時期を逸することなく、本県経済の活力の維持・発展に向け、全力で取り組んでまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 次に、豚熱対策についてお伺いいたします。
まず、豚熱の再発防止に向けた取組について、知事に伺います。本年3月13日に芳賀町で高病原性鳥インフルエンザが発生いたしましたが、4月9日には防疫措置が無事に完了したと安堵していたところであります。その後、約1週間後の4月17日には那須塩原市で本県初となる豚熱が発生いたしました。この豚熱については、国内最大規模の発生となり、1万7,000人もの方が昼夜を問わず防疫作業に当たられたと伺っております。防疫作業に尽力された県の職員をはじめ、ご協力いただいた市町、自衛隊、建設業協会、農業団体等の皆様には改めて敬意を表するところであります。
私は、かねてから鳥インフルエンザや豚熱、それから中国、韓国で猛威を振るうアフリカ豚熱などの特定家畜伝染病が発生した場合の被害の甚大さ、経済的損失の大きさから、その対策の徹底を強く訴えてきたところであります。
豚熱につきましては、2018年9月の発生以来、現在までに13県68事例が発生しています。この間、2019年10月からは豚へのワクチン接種も開始され、その後、発生件数も抑えられ、一時はゼロの月もありました。ところが、その後、ワクチン接種を行っていた群馬県で発生が確認され、今年に入ってから豚熱が発生した本県の農場を含む7農場が全て予防的ワクチンの接種済み農場であり、そのことからもワクチン接種のみに頼った豚熱対策は万全ではないと感じています。また、野生イノシシへの経口ワクチンの散布も行われているにもかかわらず、豚熱に感染している野生イノシシも確認される状況にあり、農場のバイオセキュリティのレベルを1段も2段も上げた対策が必要であると考えております。
本県は、全国8位の産出額を誇る養豚主産県であり、一たび豚熱が発生すれば、本県畜産業への影響はもとより、地域経済にも深刻な影響を及ぼしてしまいます。そのため、私は今後、絶対に県内の養豚農家で豚熱を発生させないための対策強化と継続的な取組が必要であると考えます。
そこで、このたびの県内での豚熱感染についてどのように検証し、再発防止に向けてどのように対応していくのか、知事のお考えを聞きます。
○阿部寿一 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。本県初の豚熱の発生を受け、ウイルスを早期に封じ込めるため、私を本部長とする栃木県豚熱対策本部をいち早く立ち上げ、国、市町、関係団体等の協力を得ながら、全庁を挙げて防疫措置に全力で取り組み、おおむね計画どおりに完了することができました。一方で、今般の発生農場に対する国の疫学調査や県内全養豚農場への聞き取りの結果、防疫対策が十分でない農場が確認されたことから、県による立入点検を6月1日から開始しており、改善されるまで指導を徹底してまいります。また、今回の防疫措置を通じて、殺処分した豚の埋却や防疫拠点の運営に課題が見られたことから、防疫作業マニュアルについて、より実効性の高いものとなるよう見直しを行ってまいります。
さらに、防疫対策の強化に向けて、新たにICTを活用した農場内への野生動物の侵入監視等にモデル的に取り組むとともに、全ての子豚に適切な時期に切れ目なくワクチン接種が行えるよう、県の家畜防疫員に加え、民間獣医師を活用した接種体制を構築してまいりたいと考えております。加えて、野生イノシシ対策につきましても、捕獲強化を図るとともに、感染したイノシシの確認が相次いでいる県北地域において、経口ワクチンの散布地点を増やすなど、対応を強化してまいります。
豚熱の発生は、本県畜産業はもとより地域経済に及ぼす影響も大きいことから、最大限の危機感を持って、再発防止の徹底を図ってまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 農政部長に再質問いたします。ワクチン接種のみに頼った豚熱対策は万全ではないというのは質問の中で触れたわけでありますけれども、さらにアフリカ豚熱、ASFになりますが、これは、今、中国、韓国で猛威を振るっているわけであります。こちらはワクチンがないということですので、やはりそのことからもワクチン接種のみに頼った対策は駄目だということになります。経口ワクチンの空中散布、さらにワクチンの接種を進めるということも重要だと考えますが、対策強化のためには、まずは豚舎のバイオセキュリティレベルを上げていかなければならない。畜産先進国の多いヨーロッパでは、ウインドレス豚舎などを開発したり、完全密閉型の豚舎の導入を積極的に図っています。その点について、農政部長、どのようにお考えになるか、お伺いいたします。
○阿部寿一 議長 青栁俊明農政部長。
◎青栁俊明 農政部長 再質問にお答えいたします。一般的な閉鎖型の豚舎、ウインドレス豚舎というのがございます。文字どおりウインドレスでございますので、窓のない豚舎の構造になっております。これにつきましては、野生動物の侵入リスクが軽減される、あるいは空調でありますとか照明なども自動管理できるといった特徴があるものでございます。大規模農場に導入されてきておりまして、本県におきましても、国庫補助事業等を活用いたしまして、整備に当たっての支援を行っているところでございます。また、さらに密閉度の高い完全密閉型につきましては、日本では導入例がほとんどないと承知しております。ただ、議員からも発言がございましたように、畜産の先進地でありますヨーロッパ等では事例があるということでございますので、日本の気候、あるいは飼養環境への適合性、それから費用対管理なども含め、引き続き情報収集に努め、研究をしてまいりたいと考えております。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) とちぎ食肉センターもオープンしたことですから、ぜひともウインドレスを含めた完全密閉型豚舎に取り組んでいただきたいと思います。
次の野生イノシシの捕獲強化についてに移らせていただきますが、本県においては豚熱の感染源となる野生イノシシの豚熱陽性個体の確認が相次いでおりまして、特に確認の多い県北部では、野外でのウイルス濃度は依然として高いままであると考えられます。
私は、豚熱対策で効果的な方法は、野生イノシシの徹底的な捕獲であると考えており、より一層、捕獲を強力に進める必要があると思います。野生イノシシの捕獲数は、生息数の8割程度が適当と考えます。現在の推定生息数1万6,400頭から計算しまして、県の捕獲目標はほぼ同数の1万3,000頭余りの捕獲が必要となります。しかしながら、過去3年間の捕獲実績は8,700頭から1万2,000頭程度で、目標に達していない状況が続いております。生息数推定の結果では、平成28年度以降減少に転じ、これに伴って生息密度が下がるなど、捕獲の困難度が増しているとのことであります。
捕獲頭数を増加させるためには、捕獲従事者への支援として、現在実施している捕獲頭数に応じた報奨金のほかに、日当払いを手厚くすることなどが必要であると考えます。実際に捕獲を実施している方からは、支援があれば、さらなる捕獲に取り組んでもよいとの声もお聞きしております。日当を手厚くすることは、捕獲意欲の向上、ひいては野生イノシシの捕獲数の増加につながっていくと考えます。これらの対策等について、昨年度の予算特別委員会においても発言させていただき、県からは、豚熱対策上重要である野生イノシシの一層の捕獲強化に向け、捕獲従事者の捕獲意欲向上や捕獲効率の向上に取り組むとの答弁をいただきました。
今回豚熱が発生した県北地域はもとより、県全域の野生イノシシの捕獲強化には、さらに具体的にどのように取り組んでいくか、環境森林部長にお伺いいたします。
○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。
(鈴木英樹環境森林部長登壇)
◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまで市町や猟友会等と連携しながら、野生イノシシの捕獲強化に向け、各種対策を推進してまいりました。この結果、捕獲数は10年間で約2倍に増加いたしますとともに、推定生息数も平成28年度以降減少に転じるなど、一定の成果が得られておりますが、豚熱の感染拡大を防止するためにも、より一層の捕獲強化が必要でございます。
今般の養豚農場における豚熱発生を受け、速やかに那須塩原市及び周辺3市町に捕獲わなの追加配備を行いますとともに、緊急的に捕獲の強化を図るため、那須塩原市内においては、県自ら捕獲業務を実施しているところでございます。さらなる捕獲の強化を図るため、まず、捕獲効率の向上に向けまして、自動捕獲システムやわな監視カメラの効果の実証など、見回り回数の減少につながるICTの一層の活用に取り組んでまいります。また、捕獲意欲の向上に向けましては、現場の従事者や市町のご意見を十分に伺いながら、市町が行う捕獲奨励金や日当の支払いなど、地域の実情に応じたより効果的な支援に努めてまいる考えでございます。市町や猟友会等と一体となったこれらの取組を通じまして、野生イノシシの捕獲強化に積極的に取り組んでまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 捕獲に関しては、イノシシの生息密度が下がってくると、捕獲は大変厳しくなってきます。それはよく分かっているので、だから頭数に応じてお支払いするということになると、なかなか捕獲意欲が減ってくる、なくなってくるというのが1点。それから、イノシシは中途半端に捕獲すると、年2回お産をしてしまいます。だから、結局減らないということになりかねないということがあります。それから、例えばこっちの山で鉄砲を撃ったら向こうの山に逃げていってしまいますから、捕るときは徹底して、集中的に捕っていかないと、イノシシの個体を減らすということは非常に難しい。その辺りを考えると、捕獲のインセンティブをかなり上げて、例えば報奨金を2倍にするとか、そのぐらいのことをしないと、なかなかイノシシの頭数を減らすのは難しいということをぜひ認識していただきたいと思います。
次に移らせていただきます。気候変動対策の推進について、知事にお伺いします。気候変動に対する危機感が広がる中、国内外において脱炭素化の流れが加速しております。本県においても、このような動きに迅速に呼応し、昨年12月、知事が2050年カーボンニュートラル実現を目指すと宣言したところであります。また、先般、国では、2030年における温室効果ガスの削減目標について、2013年度比マイナス26%から46%へと大きく引き上げるなど、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取組を加速化させることとしております。しかしながら、2050年カーボンニュートラル実現に向けた道のりは容易なものではなく、国においても、この高い目標を達成するための具体的な方策については、まさにこれから検討し示していく、そういう状況にあります。
こうした中、現在、県は目標達成に向け、必要な分野ごとの取組や、その実施時期などの行程表などを示すロードマップの策定を進めているところであり、このロードマップが絵に描いた餅とならないよう、今年度、県議会で立ち上げたグリーン社会実現特別委員会を含め、様々な関係者から幅広い意見を伺うとともに、国の動きに積極的に呼応しながら、その策定を進めていただきたいと考えております。
そこで、ロードマップ策定に当たっての知事の基本的な考えを伺います。
また、自然災害の頻発、激甚化や熱中症による搬送者の増加など、気候変動による影響は既に様々な分野で深刻化していると感じております。本県に立地している企業も含め、一部の民間企業では、既に遮熱・断熱塗料や止水シートなど、こうした気候変動危機をチャンスと捉えたビジネスを展開しています。
私は、全国有数のものづくり県である本県では、経済と環境の好循環を生み出していくといった視点を持ちながら、気候変動対策ビジネスの普及、創出に向け、各種施策を展開していくことも重要だと考えております。
そこで、どのように気候変動対策ビジネスの普及、創出に取り組んでいくのか、併せてお伺いいたします。
○阿部寿一 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。2050年カーボンニュートラル実現に向けては、本県の温室効果ガス排出量の約9割をエネルギー消費が占めることなどを踏まえ、県民、事業者などあらゆる主体が化石燃料の消費削減やクリーンエネルギーへの転換に最大限取り組むことが重要であります。このため、ロードマップの策定に当たりましては、新たに私をトップとするとちぎカーボンニュートラル実現会議を7月初旬に設立し、各界の代表者から各分野における現状や課題等について幅広くご意見を伺うことといたしました。
また、現在、国ではエネルギー政策や温暖化対策の見直し等を進めており、国に対し、全国知事会等を通じ、実現に向けた施策を早期に示すよう要望を行うとともに、本県として何をどのように取り組むべきか、しっかりと見極めてまいります。これらにより、具体的で実効性のあるロードマップを策定し、私自身が先頭に立って、栃木の総力を挙げたカーボンニュートラル実現に全力で取り組んでまいります。
また、気候変動の影響が顕在化する中、経済と環境の好循環を生み出していくためには、県民が抱える課題やニーズを把握するとともに、県内企業が有する技術やノウハウを掘り起こし、ビジネスへとつなげていくことが重要であります。このため、産学官金によるとちぎ気候変動対策連携フォーラムを設立し、より多くの企業、団体の参加を募るとともに、コーディネーターによる企業の個別相談や事業者間のマッチング、製品・サービス開発への補助など、啓発から事業化に至るまできめ細かな支援を行ってまいります。
今後とも、こうした取組を通じまして、栃木ならではの気候変動対策ビジネスの普及、創出を図り、持続可能で力強い経済社会を構築してまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 環境森林部長に再質問させていただきます。遮熱塗料で塗装すると、屋根の温度が最高で10度、室内温度は3度程度低くなると言われています。一般家庭で夏の電気代の多くを占める冷房の設定温度を1度上げることで、電気代は約13%の削減ができるそうなので、やはり遮熱することによってCO2の削減には大きな影響があると考えます。こういった情報を民間に積極的に発信するとともに、県有施設等において積極的に取り組むべきと考えますが、環境森林部長にお伺いいたします。
○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。
◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。気候変動対策に資する新たなビジネスの普及、創出を図るためには、CO2削減に効果があるといったことに加えまして、その技術やサービスがユーザー側にとりまして、どのようなメリットがあるのか、こういったことを知っていただくことが重要であると考えております。
例えば遮熱塗料につきましては、屋外にある施設、ベンチなどに塗布することで熱を遮るという機能を効果的に発揮できる、こういった活用方法をPRしていくことが需要拡大にもつながっていくのではないかと考えております。このため、遮熱塗料も含めまして、気候変動対策に有効な製品等につきましては、県のホームページやSNS等を活用しまして、その効果的な活用方法も併せて県民や事業者の皆様に広く情報発信してまいりますとともに、県有施設への効果的な利用につきましても、各管理者への積極的な情報提供に努めてまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 実は遮熱塗料塗装に関しては、今回初めて言うわけではなくて、以前も一般質問等で質問させていただいております。特別委員会で、再度、その後どのように対応していったのかという質問をしたところ、各部局間でのそういうやり取りがなされていなかったということで、非常に残念に感じた思いもあります。ぜひ取り組んでいただきたいと思っています。
さらに、カーボンニュートラルの実現には、再生可能エネルギーの導入はもとより、複数のエネルギー源を地域単位で融通しながら、有効かつ効率的に活用する仕組みも必要だと考えます。
そこで、CEMS、いわゆる地域エネルギー管理システムを取り入れていく考えはあるのか、環境森林部長にお伺いいたします。
○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。
◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。地域におきまして、太陽光など複数のエネルギー源を需要に応じて最適な形で活用するシステム、いわゆるCEMS、コミュニティー・エネルギー・マネジメント・システムは、温室効果ガスの削減に寄与いたしますとともに、エネルギーの地産地消でありますとか強靱化にもつながる大変重要な取組であると考えております。
一方で、経済産業省の実証事業によりますと、事業全体の推進役をどう確保するか、熱の導管や自営線の設置などエネルギーを融通するためのコストが高い、そういった課題なども指摘されているところでございます。こうした中、現在、環境省が策定を進めております地域脱炭素ロードマップの骨子案におきましては、農村型、あるいは都市型など、地域の特性に応じた様々なエネルギーマネジメントシステムの推進が掲げられております。
県といたしましては、こうした動向を十分に踏まえながら、CEMSなど地域に根差したエネルギー需給のネットワークの構築についてどのように推進を図っていくか、検討を進めてまいりたいと考えております。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 要望させていただきます。脱炭素を目指していく過程では、いろいろなエネルギー源を組み合わせていくことが必要であります。例えば化石燃料の中では、石油や石炭より相対的にLPガスは二酸化炭素の排出量が少なく、燃焼時の排出ガスもクリーンであります。LPガスを使用したコージェネレーションは、一般的な発電と比べると放熱ロスがなく、総合的な発電効率が高くなります。LPガスは、このほか、液化させ、容器に充填して運搬しやすいため場所を選ばず使用できるメリットもあり、災害時のエネルギーとして、また、何年たっても減容しない優れたエネルギー源でもあります。今後とも、災害時の避難所や学校の空調施設等に活用していくべきと考えております。
次に移らせていただきます。県内漁場の魅力向上について、農政部長に伺います。全国3位のアユ漁獲量を誇る本県では、5月16日の思川を皮切りに、各地でアユ釣りの解禁日を迎え、連日、新聞等で釣りを楽しむ人の姿が報道されております。本県は、豊かな自然環境に恵まれ、那珂川、鬼怒川、渡良瀬川、中禅寺湖などの河川、湖沼には多くの魚類が生息し、古くからアユやマス類の漁業や釣りが盛んに行われてきました。
そして、本県漁業は、漁業協同組合など関係者による水産資源の増殖や河川環境の保全などを通じて、農林業や観光業と密接に関係しながら地域活性化に大きく貢献していると考えております。このような中、本県の漁場を取り巻く環境については、アユをはじめ、釣りを楽しむ遊漁者の高齢化やそれに伴う遊漁人口の減少、カワウによる食害やアユの冷水病の発生など、厳しい状況に置かれています。さらに、今シーズンは、
新型コロナウイルス感染症により緊急事態宣言等に伴う移動の自粛など、例年にも増して釣り客の減少が心配される状況にあります。
釣り客の減少は、漁業協同組合の主な収入源である遊漁料収入の減少につながりますが、遊漁料収入は放流経費に充てられていることから、翌年度の放流量に大きな影響を与えることになり、このことは、漁場の魅力低下を招くにとどまらず、地域の活力低下にもつながるのではないかと大変心配しているところであります。釣りは、ウィズコロナ時代に合った3密回避のレジャーと言われていることから、改めて本県の漁場ににぎわいを取り戻す取組が重要であると考えます。
そこで、県内漁場の魅力向上を図っていくため、県としてどのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いします。
○阿部寿一 議長 青栁俊明農政部長。
(青栁俊明農政部長登壇)
◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県の漁場は、県内外から多くの釣り客を呼び込み、地域に経済波及効果をもたらすなど、重要な地域資源となっておりますが、カワウによる食害やアユ冷水病の発生に加え、コロナ禍における移動自粛の影響等により、釣り客の減少が深刻な状況にあります。こうした中、漁場ににぎわいを取り戻すためには、釣り客が満足できるよう水産資源を増やすことが重要でありますことから、漁業協同組合が新たに行うアユやマス類の追加放流やカワウの駆除等を支援しますとともに、冷水病に強いアユの開発を進めてまいります。また、釣り人口の拡大を図るため、若者や女性を対象とした釣り教室の開催等を支援するほか、釣り場の情報はもとより、周辺の農村レストラン等の情報についても積極的に発信をしてまいります。
今後とも、漁業協同組合等と連携し、多くの人が安心して釣りが楽しめる魅力ある漁場づくりを進め、地域の活性化につなげてまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) ここで、カワウの食害について要望させていただきます。県全体では、カワウを毎年1,500羽程度駆除しております。近年は1,300羽から1,700羽程度が生息し、カワウ対策としては、主に追い払いと銃器による駆除が取られてきましたが、今後の対策の方向として、ドローンを使ったドライアイスの投下による繁殖抑制を導入し、より効果の高い対策を実施するなど、質的な変化を考慮すべき時期に来ていると考えます。
カワウの巣の中にドライアイスを落とすと、卵が冷えてしまって死ぬのですけれども、それをずっとカワウは温めているらしいのです。この技術の実用化に見通しが立った今、どのように活用していくのか、またICT技術をどう利用してカワウ対策を支援していくのか、このような課題に対して、県として積極的に取り組む必要があると強く要望させていただきます。
またあわせて、カワウは県域を越えて広域に移動します。このことは鬼怒川漁業協同組合等が支援する大学の研究成果から明らかになりつつありますが、広域的に連携して取り組むべきこの課題に対しても、県としての積極的な支援を要望しまして、次に移らせていただきます。
文化と知の拠点となる県有施設の在り方及び県庁周辺の整備について、知事に伺います。県都宇都宮は、昔から二荒山神社の門前町、宇都宮城の城下町として栄え、発展してきた歴史の町であります。二荒山神社周辺につきましては、二荒山神社、バンバひろば周辺の再開発が進む一方で、大型商業施設の閉店や空き店舗跡地の多くが駐車場になるなど、中心市街地の衰退に危機感を持っております。
私は、宇都宮市の中心市街地というのは、基本的にJR宇都宮駅前、二荒山神社前、東武宇都宮駅前の3つのコアとそれを結ぶ2つのモール、この3極2モールをトータルデザインで考えていかないと、本来の中心市街地の活性化はないと考えております。また、それに併せて県庁前を含めた行政軸である市役所と県庁の間をつなぐシンボルロードの整備を宇都宮市としっかり連携しながら役割分担をし、整備していくことが重要であると考えています。その中で、二荒山を中心としたエリアについては、文化・芸術、さらにはICTやAI、IoT、DS、DX等の新たな技術に対応できる人づくりの拠点にふさわしいのではないかと思っています。
昨年12月の通常会議で、老朽化が進む築49年の県立美術館、築50年の県立図書館について、知事から、時代の変化を踏まえた施設の在り方について検討していくとの答弁がございました。県都宇都宮が再開発により生まれ変わろうとしている、まさにこの機会を捉えて、文化と知の拠点となるべき施設の在り方の検討を、さらに前へと進めていくべきであると考えます。
そこで、まちづくりや文化と知の拠点となるべき県有施設の在り方について、具体的にどのように検討していくのか、知事に伺います。
また、宇都宮市役所と県庁を結ぶシンボルロードを含む県庁周辺につきましても、県都の中心として、本県のイメージを形成する重要な地域であります。近年、県総合文化センターの改修や、それに合わせてシンボルロードの一部改良などが実施されましたが、県庁周辺の整備は全体としてどうしていくのか、将来のあるべき姿を明確にしていく時期に来ていると考えます。本県の顔となる県庁周辺の整備については、宇都宮市との連携によるまちづくりという観点も踏まえ、しっかりとした全体像を意識しながら、積極的に踏み出していただきたいと強く考えております。
そこで、県庁周辺の整備についてどのように取り組むのか、知事の考えを伺います。
○阿部寿一 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県立美術館や県立図書館は、ふるさと栃木への理解を深め、本県の貴重な財産である歴史や文化芸術に関する保存・継承活動のほか、優れた芸術作品の発表、鑑賞や学習機会を提供する文化と知の拠点として重要な役割を担っているところであります。しかしながら、これらの施設は築50年ほどが経過し、老朽化が進行するとともに、バリアフリー化への対応や収蔵能力の確保など、機能面での課題も生じております。このため、IoT等の活用によるサービス充実などの時代の変化を踏まえた機能に加え、施設規模、立地にふさわしい場所、さらには市町との役割分担なども含めた施設の在り方の検討が必要であると考えております。
こうしたことから、今年度スタートした県政の新たな基本指針であるとちぎ未来創造プランにおきましては、県立美術館・図書館等に係る将来構想の策定について盛り込んだところであります。策定に当たりましては、本県の文化と知を象徴する拠点としての役割や県民の利便性向上等の観点を十分に考慮するとともに、デジタル化の進展や新たな日常への対応など、とちぎ未来創造プランに掲げました新しい時代の流れを踏まえた視点も取り入れて、魅力あふれる施設となるよう、幅広くご意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。
また、シンボルロードを含めた県庁周辺の整備につきましては、今後の行政需要や県庁周辺にふさわしい都市景観を考慮するとともに、宇都宮市が取り組むLRT事業の動向なども踏まえながら、将来構想の策定と併せて検討を進め、国体後を目途に方向性を打ち出してまいりたいと考えております。県庁周辺の整備検討に当たりましては、県議会のご意見を伺うとともに、宇都宮市とも十分連携を図りながら、県都の顔にふさわしい空間の創出に努めてまいります。
○阿部寿一 議長
螺良昭人議員。
(47番
螺良昭人議員登壇)
◆47番(
螺良昭人議員) 知事からは、国体後を目途にという期限を出していただいたわけでありますから、我々も真剣に、そこに向けて、いろいろと意見を述べさせていただきたいと思っております。
また、私も以前になりますが、図書館のあり方検討委員会のようなところで大分発言をさせていただきました。そこから考えると、もう図書館も50年、50歳ということなのだなと思いますが、あの場所、日本でも有数の来館者が来ない図書館を、このままあの場所で続けるというのは非常に厳しい、そのように考えております。やはり移転も含めて考えていく中で、宇都宮市街地のいわゆる再開発ビル等の動きがあるというのは、まさにその時宜を得ているのかなと思うところであります。
現在、宇都宮市のバンバ地区において再開発が進んでいますけれども、その二荒山神社を中心としたエリアは、宇都宮市の中心市街地のまさに中心ということであります。例えば、これから進められる再開発の中で、建て替え時期でもある県立美術館のサテライトを再開発のフロアの中に導入していくとか、あるいは県立図書館の一部機能を再開発ビルに導入するとか、さらに、県でも取り組んでいるデータサイエンスやデジタルトランスフォーメーションの推進にも資するICTやAI、IoTなどの最新デジタル技術などに対応できる人材育成のための学校や学部を誘致してくることなどもよいのではないかと考えます。いずれにしましても、宇都宮市と連携しながら積極的に取組を進めていただき、県としても具体的に一歩踏み出していただくことをお願い申し上げまして、全ての質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○阿部寿一 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午前11時10分 休憩
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◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は46名であります。
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午前11時25分 開議
○佐藤良 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。
ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 民主市民クラブの小池篤史です。知事をはじめ執行部の皆様におかれましては、分かりやすい丁寧なご答弁をお願いいたしまして、早速質問に入らせていただきます。
まず初めに、知事にLRT整備事業についてお伺いいたします。宇都宮市、芳賀町が進めるLRT整備事業については、今年1月に226億円という大幅な事業費の増額と開業の1年延期が明らかになり、県内に大きな衝撃を与えました。私たちの会派、民主市民クラブにおいては、今年2月に行われた代表質問や3月の予算特別委員会総括質疑においても、本事業についての問題点を指摘させていただきました。今回の増額修正の要因として、地盤改良工事や地下埋設物等の追加工事が挙げられておりますが、その経緯にはいまだ多くの疑問が残っており、さきの議会においても、多くの議員の方のみならず、執行部からも、見通しの甘さについて厳しい声が上げられました。
また、宇都宮市は、事業費の大幅な増額について、公表よりも2年以上前に把握していたにもかかわらず、昨年実施された宇都宮市長選挙等を見据えた上で公表時期を遅らせていたことが内部文書により発覚しました。市民に対して丁寧な説明をすると言っていた陰で、最も重要な情報を市長選挙前に隠蔽していたというのは、あまりに市民をないがしろにした行為であり、民主主義に対する冒?であります。
このように、宇都宮市の事業の進め方は大きな問題を抱えており、改善のないまま事業を進めることになれば、本当に2023年の開業までこぎ着けられるのか、疑念を抱かずにはいられません。
さらに、事業そのものの評価についても問題があります。LRT事業を取り巻く環境は、在宅勤務の普及などを含めた交通事情の急激な変化など、計画を立てた当初と比べ大きく変わっており、当初立てた需要予測は既に参考にならず、どれだけの利用者が見込めるのか疑問が残ります。そのような中、事業の必要性を判断する指標の一つである費用便益比が先月明らかになりました。市によると、事業費増額後の費用便益比は、事業効率性の目安とされる1を下回る0.73という極めて低い水準となり、事業の妥当性にも疑念が生じております。
現在、県内全域を見るに、高齢化の進んだ地域や過疎地域など公共交通の整備への支援が真に求められている地域がほかにある中で、どれだけの利用者がいるのか分からず、事業の妥当性にも疑問があるLRT事業に多額の補助をすることの正当性も疑われているものと考えます。さきの2月通常会議においては、知事は宇都宮市に対して詳細な説明を求めていく旨の答弁をされております。
そこで、県は補助金の交付を一旦凍結して、その後の宇都宮市からの説明も踏まえて、事業の妥当性や進め方の問題点などを改めて検証し、県民に丁寧に説明する必要があるかと思いますが、知事のお考えをお聞かせ願います。
○佐藤良 副議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの小池議員のご質問にお答えいたします。芳賀・宇都宮LRTの事業費増加や開業延期が公表されて以降、宇都宮市と芳賀町では、国に対し、地域公共交通活性化再生法に基づき、事業費増加や開業延期を内容とする軌道運送高度化実施計画の変更認定申請を行い、本年3月に国が認定したところであり、現在は軌道法の申請の準備を進めていると聞いております。また、県が認可権者となる都市計画法の変更認可申請に向けて、宇都宮市から相談を受けているところであり、増加後の事業費や延期された開業時期は妥当であると判断しております。市と町が算出した事業費増加後の費用便益比は、事業採択の要件ではないものの、事業効果を県民に分かりやすく説明するために算出したものと聞いております。
一方で、事業効果につきましては、その算出に様々な手法や考え方があることから、地価の上昇や定住人口の増加などの効果も含め、有識者等の意見を伺いながら、適切に評価をしていく予定であると聞いております。LRT事業につきましては、現在、工事が進み、さらに先日には車両のお披露目式が行われ、県民の期待が高まる一方で、様々なご意見があることから、県と市町が事業の進め方等について情報共有を図る場を設け、定期的に意見交換を行っており、県民の疑問に対し丁寧な説明を行うことについても、引き続き市町に対して強く求めてまいります。
LRT事業は、県央地域の東西基幹公共交通として既存公共交通と連携することで、質の高い公共交通ネットワークの基軸を形成しようとするものであり、県全域への幅広い波及効果が期待できる極めて重要な事業であると認識しており、目標どおり開業ができるよう、引き続き、宇都宮市と芳賀町の取組を支援していく考えであります。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 再質問させていただきます。先ほど知事の答弁の中にありました県内全域への幅広い波及効果が期待できる、以前の本会議でも、私は知事の口から発せられるのを何度か耳にしたことがありました。県内全域への幅広い波及効果とは、具体的にどういうことでしょうか。(議場で発言する者あり)バス路線の再編という点では、宇都宮市内への影響というのは分かるのですが、現在着工されているLRT、JR宇都宮駅と工業団地を結ぶ1本の線が県内全体に波及するという、その効果について私は具体的にイメージできません。どのような効果がどのような形でどれぐらい波及するのか、その根拠となるデータ等があれば併せて説明していただけますでしょうか、知事にお伺いします。
○佐藤良 副議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 首都圏から旅行に来たお客さんが県内のバスを利用したときに、ICカードが使えないと、何でそんな不便な観光地を行政は継続しているのかというご指摘をいただきました。栃木県は行きにくいねと。それを今回のLRTの開業に向けて、先行して県内のバス会社と東武鉄道、JR、LRTもそうですけれども、いずれも1枚のICカードで、totraという名前だったと思いますけれども、既に先行的に1枚のICカードで、非接触型で乗車ができるようになりました。これは観光面での振興にも役立つと思っています。
さらにLRTにつきましては、今後の延伸計画も含めて、まずは東側の15キロメートルを早く開業するということが重要でありますけれども、その東側につきましても、今、片道900円を超えているわけですか、それが半額以下で乗車ができるような料金設定がなされるようだと聞いております。バス路線がLRTに置き換わることで、そのバスを周辺の市町も含めて有効に活用ができるというバス路線の再編成につながってまいります。特に西側は1日2,000台のバスが大通りを往復しているわけですけれども、それらを活用することによって、県内全域への公共交通の充実に当然結びついていくことになるわけでございます。これからのことも含めて、そういったことを全体的に考えていきながら、公共交通の充実を県全域に、LRTの導入に基づいての波及効果に変えていきたいと考えております。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 知事の答弁をいただきましたが、ICカードはLRTとは直接関係ないですよね。LRTがなくても、ICカード自体は事業としてできるはずです。また、この後、どこまでLRTが延伸するのか、どこまで伸ばすのか、西側のバスの問題は、今の時点ではまだ始まっていない話ですよね。少なくとも、今、東側区間の現実化している問題について、県内全域への波及効果が私には全く理解できません。(議場で発言する者あり)率直に言って、多くの県民がLRT事業について本当に大丈夫なのかと不安を抱いています。完成が近づいても、不安の声は消えません。これだけ莫大な税金を投入して、多くの市民、県民の声に耳を塞ぎ続けて、やっぱり失敗しましたという結論は絶対に避けなければなりません。失敗の責任を取らされるのは、知事でも市長でもなく、市民、県民なのです。とりわけ今年1月の総事業費の増額や内部文書の発覚、大きな問題が続いたにもかかわらず、それらに対する丁寧な説明がなされないまま、何事もなかったかのように新車両の搬入などで盛り上げようとしているさまを見ますと、大きな不安に駆られます。
ここまでの経緯には多くの疑問が残っています。宇都宮市が丁寧に説明するのを指をくわえて待っていたら、事業が終わってしまうのではないかと懸念しています。県として県民への説明責任を果たすためにも、改めて事業の進め方や事業の効果について調査検証する必要があると思いますが、知事の考えをお聞かせ願います。
○佐藤良 副議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 まず、事業費の増加、開業延期、これらについて、唐突にそういう数字や期間を1年延期するということが出てきたことについては大変遺憾に思っておりますし、ご指摘にうなずく県民も多いのではないかと思います。
一方で、先ほど申し上げましたように、県央地域を公共交通でバスを代替していくということについては、意義のある、そしてまたカーボンニュートラルに向けての環境負荷の少ない環境社会を築いていく、地域社会を築いていく、そして障害者や高齢者にとっても利用しやすい公共交通のシステムを構築するということは、これからの時代にぴったり合ったものだと思っております。それらによって、フィーダー線―枝線と言っていますけれども、それらを組み合わせることによって、県内をマイカーでなくても移動できる、自転車を積んでも移動できるという社会を築いていくことは、まさに私たちに課せられた使命であり、課題であるとも思っております。
LRTの開業後、具体的に県内の各市町にどういう形で波及効果が現れていくかというのは、県としても十分議論した上で、県民の皆様方にはお示ししたいと思っております。開業の時期については、令和5年の春、開業できるよう、県としてもしっかり応援してまいりたいと思います。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) このLRT事業については、かつて県は1度、20年ほど前ですか、県が主軸になって検証調査したと思います。その結果、採算性などの理由で県は手を引いた。それで宇都宮市が事業を行うことになったという経緯があったと思います。あの20年前と今と、例えばカーボンニュートラルの話、今は電気自動車、電気バス、いろいろな技術革新が起こっています。また高齢者の問題、もちろん脱自動車社会というのは大切な問題だと思いますが、なぜバスではなくてLRTを真ん中に通す必要があるのか。そういったところに多くの疑問が残っているのです。何百億円ものお金をかけてLRTを通す必要性がどこにあるのか。多くの市民、県民はそこに疑問を持っているわけです。LRT事業については、市民、県民の合意形成がされないまま、市民を置き去りにして、事業だけがどんどん進んでしまっていることが大きな問題なのです。
私たち会派、民主市民クラブは、去年に引き続き、今年も宇都宮市内において民間の調査会社に委託して意向調査を実施しました。結果については、さきの会議においても度々説明させていただいておりますが、LRT事業について賛成が24.8%、今に至っても24.8%です。反対が56.1%、こういった状況にあります。知事は、以前の答弁の中では、開業を待ち望む声がたくさん届いているといったような発言をされていたと思いますが、そうした知事の答弁と私たちの調査との間に、あまりにかけ離れたものを感じております。恐らく調査を行っていないのではないかと思います。
これだけ長い間、市民、県民が異論を唱え続けているにもかかわらず、宇都宮市はかたくなにLRT事業についての市民の意向調査を実施しようとしません。市民の声に耳を塞ぎ続けているのです。県としても、県民の声に耳を塞いでしまうのか、知事の政治姿勢が問われることになるかと思いますが、県として、LRT事業に対する県民の意向調査だけでも実施する必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせ願います。
○佐藤良 副議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 県、市町で意思の疎通、情報の共有が不足していたということから、協議会として組織しているものをしっかりと内容の濃いものにしまして、情報共有を図ることに今年いたしました。その中で、理解促進に向けての取組も、市町も含めて、県も併せて取り組んでまいりたいと思いますし、今度、納車された車両1編成を基地の中だけで動かして、乗車もできる、運行もできる―短い期間、基地の中だけの話ですけれども、そういうことも含めて、LRTというものがどういうものかということを分かってもらう、理解を促進させるという取組をこれから強化していきながら、多くの方に賛同を得られる事業としてまいりたいと思います。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 県民に対する理解を深める取組というのは非常に重要だと思います。もちろん、そういったことをしっかりと進めていただくことも必要だと思います。ですが、客観的に今の現状がどうなっているのか、そういった調査をする必要もあるかと思います。
質問を続けさせていただきます。今、LRTに関して私のところにいろいろと質問の声が飛んでくるのです。芳賀町のLRT沿線の予定区間の道路の拡張工事や雨水管工事などが行われておりますが、工事現場に表示されている看板に発注者が栃木県真岡土木事務所とされておりまして、こうした看板を目にした人から、栃木県もLRTの工事をやっているのかといった問合せを耳にします。
こうした道路拡張工事や雨水管工事等は、全て芳賀町からの委託を受けて県が行っているLRT事業に係る工事であるといった認識でよろしいのでしょうか。また、これらの工事にかかる費用は全て芳賀町が負担しており、県の負担は一切ないものと考えてよろしいでしょうか、県土整備部長にお伺いいたします。
○佐藤良 副議長 田城均県土整備部長。
◎田城均 県土整備部長 再質問にお答えいたします。ただいまの芳賀町で行っております県が工事主体という看板の工事につきましては、議員ご指摘のとおり、県で実施している工事でございまして、芳賀町が行う工事を県が受託をして、真岡土木事務所で発注して工事をしています。その費用につきましては、受託事業でございますので、芳賀町から費用を頂いた上で、県で実施しているということでございます。(議場で発言する者あり)
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 芳賀町のLRTに係る工事については、基本的に県が受託をして、発注から管理までしているものと理解しておりますが、芳賀町においても、宇都宮市と同じ時期に大幅な事業費の増額が明らかになっております。増額の理由も、宇都宮市と同様に、地下埋設物の工事や地盤改良にあると聞いております。まさに工事を担っていた県がどうして気づかなかったのか。県においては、宇都宮市に対して見通しの甘さを指摘する声が多くの議員や、また執行部からも出ておりました。そうした指摘がまさにブーメランとして県に返ってきてしまうのではないかと思うのですが、県はどうして気づかなかったのか、県土整備部長にお聞きいたします。
○佐藤良 副議長 田城均県土整備部長。
◎田城均 県土整備部長 再質問にお答えいたします。事業費の増加の件でございます。県が受託で行っている工事の部分におきましても、当然のことながら、費用の増加が生じてございまして、その増加の額等々につきましては、全て発注者である芳賀町のほうにその都度回答していたところでございます。
県のほうがそういった情報を出していながら、なぜ町からの公表時期が遅れていたのかということにつながると思うのですが、その点につきましては、芳賀町が独自に工事を行っている部分もございまして、芳賀町としては、町が行っている工事の増減分と県から報告のあった増加分を全てトータルして公表していく、そういう考えだったと町からは伺ってございまして、そこでタイムラグがあったのではないかと思っております。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 少なくとも県が工事を行っている部分で、増額について分かっていたのだったら、県が主導してもっと早く取りまとめて、市民、県民に情報を開示してもよかったのではないかと思うのです。そういった意味で、県もこのLRT事業を人ごととしてではなく、しっかりと検証する必要はあるかと思います。
改めてお伺いします。総事業費の増加、事業の進め方に関するこの間の宇都宮市や芳賀町からの説明も含め、県として納得できるものだったのでしょうか。また、今回の経緯を受けて、多くの県民が県の負担がどこまで増えてしまうのだろうと不安を感じております。県のこれ以上の追加負担はないものと明言していただけますでしょうか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 副議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 まず、事業費、あるいは開業時期の延期の妥当性についてでありますが、今年1月の事業費増加及び開業延期の公表以降、県といたしましては、宇都宮市と芳賀町に対しまして法定手続を円滑に進めていくため、詳細な説明を求めてまいりました。これまでに事業費の増加につきましては、事前調査や協議の実施状況、事前予測の可否、安全性や利便性向上の観点からの分析、増額後の事業費の内訳等を確認してまいりました。延期につきましては、用地取得後の工事や試運転の期間の確保などの是非について確認してまいりました。この結果、5月31日をもって増加となった事業費及び延期となった開業時期が妥当であると判断いたしました。また、事業費の追加支援等については現時点で考えておりません。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 現時点では考えていないということは、増えないと約束はできないということでよろしいですね。
LRT事業は多くの市民、県民の疑問を置き去りにして、何事もなかったかのようにどんどん進められています。ここまで来たのだからしようがないといった声も耳にしますが、しようがないを造っていい理由にすることは絶対にいけないと思います。やった者勝ちを認めてはいけません。なぜ、しようがないのか、今だからこそ、あえて検証する必要があると思います。
コロナ禍や人口減少対策など多くの課題が山積する県政において、本当にLRTが急を要する事業と言えるのか。公共交通に関しましては、県内各地を見渡せば、過疎地域や高齢化地域など、真に支援を必要としている地域もたくさんあります。県におかれましては、県民の声に真摯に向き合っていただきますことを要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
新型コロナウイルス感染症対策に関しまして、医療提供体制の充実について、
保健福祉部長にお伺いします。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、発生から1年以上経過した現在においても、いまだ収束しておらず、本県でも感染力が強い変異株感染者の割合が高まっているなど、予断を許さない状況が続いています。こうした中、県民の命を守るためには万全の医療提供体制を構築し、医療崩壊という最悪の事態を避けなければなりません。
本県の医療提供体制を見ると、感染患者受入れ病床数は今年1月から増加しているものの、重症病床数は増加しておりません。加えて、現在の医療に係る人員体制では、重症病床数の100%の患者受入れは難しいと聞いております。変異株が猛威を振るう全国の状況を鑑みるに、重症病床数及びそれに見合った人員の確保は切迫した課題であると考えます。
そこで、再度の感染の拡大に備えてどのように医療提供体制を充実していくのか、
保健福祉部長にお伺いします。
○佐藤良 副議長
海老名英治保健福祉部長。
(
海老名英治保健福祉部長登壇)
◎海老名英治
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の第4波におきましては、全国的に重症者が増加しており、本県におきましても、重症者への対応が重要な課題であると認識しております。重症者への医療には、一般医療の何倍もの人員と技術、経験を必要といたしますことから、確保した病床ができる限り有効に機能するよう、今回の補正予算に計上いたしました
医療従事者確保事業によりまして、医師や看護師の派遣を進めるとともに、急性期を過ぎた患者などの転院調整を行うなどいたしまして、医療機関の役割分担と連携の強化に取り組んでまいります。
引き続き、医療機関や関係団体等と協力いたしまして、県全体としての重症者への対応力の強化を図ってまいります。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) ただいま答弁をいただきました。感染力の強い変異株の流行は、驚くほどのスピードで状況を一変させます。県内におきましても、いつどうなるか分からない、予断の許さない状況は続いていると思われます。万が一、感染が拡大してしまった場合に、県民の命を守る最後のよりどころとなる医療体制につきましては、想定外ということがないように、しっかりと準備を整えていただきますよう強く要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
引き続き、
新型コロナウイルス感染症対策に関しまして、ワクチンの円滑な接種に向けた取組について、
保健福祉部長にお伺いします。医療崩壊を防ぐためには、そもそも感染拡大をいかに抑えるかが重要であり、その意味で、ワクチンの接種をいかに円滑に進めるかが重要になっております。本県においても、医療従事者に続き、一般の高齢者向けワクチン接種が各自治体で始まっております。各地域の事情の違いもあるかと思いますが、必ずしも順調にいっているところばかりではありません。ワクチン接種の予約をめぐるトラブルや接種の担い手の確保など、いまだ多くの課題を抱えていると思われます。
このような状況において、本県においても、今月16日から県営の接種会場を設置することとなりました。居住地域による接種時期等の格差を解消し、接種を望む全ての県民への円滑な接種を進める上で、大きく貢献するものと期待しております。
そこで、県は、円滑なワクチン接種を進めるため、市町に対してどのような支援を実施していくのか、
保健福祉部長の考えをお聞きいたします。
○佐藤良 副議長
海老名英治保健福祉部長。
(
海老名英治保健福祉部長登壇)
◎海老名英治
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、県・市町連携会議や個別の照会などを通じまして、市町間の情報の共有及び相談等に応じるなどいたしまして、随時、市町への支援に努めております。現在、各市町では高齢者向けワクチン接種の7月末までの完了に向けまして、接種体制の強化に最大限の努力をいただいているところであります。このため県では、休日等の集団接種会場への医療従事者の派遣や個別接種を行う医療機関への支援を行う市町に対する助成、市町と医療従事者の
マッチング支援などを行いますほか、6月16日から県営の
ワクチン接種会場を開設いたしまして、市町のワクチン接種を補完してまいります。
引き続き、国や市町、医師会等と緊密に連携を図りまして、円滑なワクチン接種の促進に取り組んでまいります。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) ただいま
保健福祉部長から答弁をいただきました。県営の接種会場につきましても、様々な課題が先行する自治体の例から浮かび上がってきていると思います。クリアすべき課題は多々ありますが、接種を望む県民が安心して接種できる環境を整えるために、また、県民サービスの平準化という視点も含めまして、円滑な実施を実現できますよう要望いたします。
1点、再質問させていただきます。重症化リスクが高いとされる基礎疾患のある人たちの接種計画についてです。とりわけ難病患者などの重篤な基礎疾患保持者につきましては、かかりつけ医となっているのが拠点病院と言われるような大病院が多いのが現状です。市町の境を越えて通院されている方も多いのですが、重篤な基礎疾患を持っている方たちほど、ワクチン接種による副反応など何かあったときのリスクも大きいということから、また対応も難しいということで、長年お世話になっているかかりつけ医でのワクチン接種を希望しております。ですが、こうした大病院について、市町自治体の接種計画の中で、いわゆるかかりつけ医に含まれていない例もあると。そうした中で、そういった大病院で、そもそもワクチン接種をやってもらえるのかが分からないといった声も聞いております。
そこで、このような重篤な基礎疾患のある方たちのワクチン接種について、県としてどのように考えているのか、具体的に大病院等と協議しているのか、そうした病院でのワクチン接種は可能となるのか、
保健福祉部長にお聞きいたします。
○佐藤良 副議長
海老名英治保健福祉部長。
◎海老名英治
保健福祉部長 再質問にお答えいたします。
新型コロナウイルスワクチンにつきましては、現在は高齢者への接種を行っておりまして、今後につきましては、ご質問にありました基礎疾患を有する方などが対象になってくるという状況になっております。このような中、ご指摘のあったいわゆる基礎疾患を有する方のワクチン接種が円滑に進むような取組が重要でありますので、引き続き、市町の接種体制の確認などをいたしまして、情報共有、また相談などに応じてまいりたいと考えております。
かかりつけ医の接種を受けるために、住民票のない自治体で受けるということ自体は認められているところでありますので、今お話しのありました拠点病院における接種体制などについても確認をしてまいりたいと考えておりますし、また相談等につきましては、難病相談支援センターなどでも丁寧な対応ができるように、今後、不安解消に向けた取組もしっかり行ってまいりたいと考えております。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) そうしますと、まだ現実に、そういった市町の自治体の接種計画に入っていない大きな病院での基礎疾患のある方たちの接種というのは、具体的に話は何も進んでいないという認識でよろしいでしょうか、
保健福祉部長にお伺いします。
○佐藤良 副議長
海老名英治保健福祉部長。
◎海老名英治
保健福祉部長 再質問にお答えいたします。ファイザー社製のワクチンについては、高齢者向けの接種で使うということが原則になっているところであります。現在、モデルナ社のワクチンという新しいワクチンが出ておりまして、これについて医療機関で接種を希望されるところの希望調査を行っている段階でございますので、現時点では、申し訳ございません、進行中ということでございます。いずれにいたしましても、かかりつけの医師にご相談したときに、どこで受けられるのかということが患者さんにとって一番知りたい情報だと思いますので、そういったことがしっかり情報提供できるような形で体制整備に努めてまいりたいと考えております。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) そうした重篤な基礎疾患のある方たち、もちろん高齢者の中にもいらっしゃいます。やはり非常に難しい病気のある方などは、ずっとお世話になっている病院で打ちたい、それがやっぱり安心・安全な接種につながるものと思います。もともと自らの病に対して大きな不安を抱えながら生活している方たちがたくさんいらっしゃいますので、そうした方たちが安心して接種できるように、県におきましては、しっかりと支援していただきますよう要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
移植医療のさらなる理解促進等に向けた取組について、
保健福祉部長に伺います。現在、臓器移植を唯一の救いとする多くの患者の方たちが臓器移植ネットワークに登録し、いつ来るとも知れない順番を、重篤な病と闘いながら、大きな不安を抱えて待ち続けております。例えば心臓の移植を待つ患者は、令和3年3月現在、全国で918名おりますが、移植手術の実施件数は、令和元年度で79名、令和2年度には48名にとどまるといった状況であり、5年待っても順番が回ってこない方は150名以上に上っている。そうした中で、待機中に死亡してしまうケースもあるという大変厳しい状況にあります。
日本における移植医療については、平成22年7月に改正臓器移植法が全面施行されてから、間もなく11年が経過しようとしております。この間、少しずつではありますが、国内における臓器移植の実施件数は増えてきているものの、海外と比べると、いまだ大きく遅れているのが実情です。世界の臓器提供数を見ると、人口100万人当たり、アメリカ36.88人、イギリス24.88人、韓国8.68人のところ、日本は0.99人と数の少なさは際立っています。脳死に対する受け止め方や制度的な違いもあるかと思いますが、意思表示カードの所持率の低さなど、やはり移植医療に対する国民の関心の低さというのも大きな原因の一つになっていると思われます。
県内の状況を見ますと、脳死下における臓器提供件数は、平成29年度は1件、平成30年度はゼロ件、令和元年度には3件と、厳しい数字が続いている状況にあります。この点、県内における臓器移植法に関するガイドライン上の臓器提供施設として体制が整っている施設は6か所しかありません。一方で、ガイドラインによれば、移植を目的とする患者の搬送は認められていないため、臓器提供の意思表示をしていても、たまたま最初に運び込まれた病院がさきに挙げました6施設以外の施設であれば、そもそも臓器提供の選択肢すらなくなってしまいます。そうしたことから、施設の拡充は喫緊の課題であると言えます。さらに、病院において移植医療の普及啓発に当たる院内移植コーディネーターについても、県内19医療機関に配置されている38名全てが看護師や職員が兼任しており、医療機関の負担が大きくなっていると聞いており、専任のコーディネーターを増やす必要があると思われます。こうした医療体制の構築については、各医療機関のみに任せるのでは負担も大きく、県による適切な支援が不可欠であると考えます。
臓器移植法によれば、移植医療について県民の理解を深めるために必要な措置を講ずることは県の責務であるとされております。県においては、これまでも移植医療について普及啓発に取り組んでおりますが、こうした移植医療を取り巻く大変厳しい状況の中で、県には不断の努力が強く求められます。
そこで、県民への移植医療に対する理解の促進や体制強化のための医療機関への支援等、より一層の取組が必要であると考えますが、
保健福祉部長の考えをお聞かせ願います。
○佐藤良 副議長
海老名英治保健福祉部長。
(
海老名英治保健福祉部長登壇)
◎海老名英治
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。臓器移植は、臓器を提供する、提供しない、あるいは移植を受ける、受けないという、お一人お一人の意思が尊重され、適正に実施されることが重要であります。そのため、県では、臓器移植普及推進月間を中心に啓発イベントを開催しておりますほか、地元のプロスポーツチームと連携しPR活動を実施するなどいたしまして、臓器移植への理解促進や臓器提供意思表示カードの普及に努めております。また、県内19の医療機関に配置されました院内移植コーディネーターに対する研修を実施いたしまして、資質の向上を図りますとともに、コーディネーターを通じて適正な臓器移植に向けた移植を希望される方への説明及び病院内の理解促進に努めております。
今後とも、国や栃木県臓器移植推進協会等と連携いたしまして、県民への理解促進及び適正な臓器移植に向けた環境づくりを図ってまいります。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) ただいま
保健福祉部長から答弁をいただきました。コロナ禍によって、こんなにも命の大切さについて社会が向き合ったことがない今だからこそ、あえてこの問題を取り上げさせていただきました。臓器移植の普及は簡単な話でないことは理解できます。日本人の死生観や文化の違い、制度の壁など、ハードルはたくさんあります。ですが、重篤な病を抱えて、死の恐怖と闘いながら、いつ来るかも分からない自分の順番を待つことしかできない患者の方たち、そして見守ることしかできない家族の気持ちを想像すると、心が潰れそうな思いがします。移植医療に対する県民の理解の促進はもちろんですが、同様に移植医療の体制整備に向けた支援も大切であると考えます。そのために、医療機関の負担を少しでも軽減できますように、県におきましては、できるだけ具体的に支援の方策を検討していただきますよう強く要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
総合スポーツゾーンメインスタジアムの環境整備について、教育長に伺います。総合スポーツゾーンのメインスタジアムにおけるバリアフリー上の問題点については、私は昨年6月の通常会議で指摘させていただきました。バリアフリーを考える上では、ただ法令の基準を守ればいいというものではなく、利用する方たちの目線に立って考えなければ意味がありません。
そうした観点から、主なものとして2点挙げさせていただきました。まず、2階観客席に設けられた128席の車椅子席について、サイトラインが設計上確保されていない点です。サイトラインの確保とは、前の人が立ち上がった場合に、車椅子に座ったままでも前の人が邪魔にならずに視界を確保できるように配慮することです。もう1点は、2階観客席へと向かう全長200メートルのスロープについてです。傾斜は5%と法令の基準は満たしており、一定間隔で踊り場も設置されております。ですが、この200メートルに及ぶ巨大な坂道を車椅子で上ること、そして下ることを想像すると、大きな不安がよぎります。こうした指摘に対して、執行部からは、サイトラインの確保については、車椅子の前の座席を売らないといった運用で対応する旨、スロープについては、1基しかない一般のエレベーターに加えて、もう1基あるVIP用のエレベーターを可能な範囲で柔軟に運用することで対応するとの説明がありました。
その後、供用開始から間もなく1年となりますが、県内からは私が懸念したとおりの厳しい声が届いております。今年4月の新聞報道によれば、まさにこのメインスタジアムのバリアフリーを取り上げた記事において、200メートルのスロープについては、車椅子利用者の方から、「常軌を逸した長さ。けが人が出かねない」との指摘が出されております。また、障害者スポーツ団体の関係者からは、「これほど障害者に優しくない施設は初めて。大会運営に支障が出ないか不安がある」との声が紹介されておりました。こうした声を踏まえれば、やはり運用での対応には限界があると言わざるを得ません。
県においては、来年、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会が控えており、まさにこのスタジアムがメイン会場となります。特に全国障害者スポーツ大会においては、日本中から障害者スポーツのアスリート、競技観戦者、応援団がここ栃木県に集まるわけです。そうした方々は、当然、バリアフリーとはどういうものであるか、当事者としての経験や知識、理解が深い方がたくさんいらっしゃいます。いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会は、このメインスタジアムをシンボルとして、全国にとちぎブランドを発信するチャンスであると考えておりますが、一方で、県のバリアフリーに対する意識がどれほどのものか、ネガティブな情報も日本中に広がることになるのではないかと懸念しております。そして何より、障害者も健常者と同様に公共施設を安全、快適に利用できてこそ、共生社会の実現につながるものであり、その環境の整備は県の責務と言えます。
そこで、供用開始から間もなく1年となる今、様々な分野からの利用者の声を踏まえ、バリアフリーの問題を含めた全体の設備や利用環境の問題点等を検証するため、競技者や障害当事者、観客等の利用者の方たちを交えて対応を検討することで、県民が安全、快適に利用できる環境を整える必要があると考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。
(荒川政利教育長登壇)
◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。カンセキスタジアムとちぎにつきましては、バリアフリー法などの法令を満たすほか、福祉団体や競技団体等から幅広く意見を聞きながら設計を進めてまいりました。基本設計完了後におきましても、関係団体からの要望を踏まえ、スロープへの手すり設置等を行い、さらに供用開始後も、放送設備や水道設備の改善に努めてきたところであります。また、いちご一会とちぎ大会に向けましては、大会運営に関わる関係団体とともに、競技会場のバリアフリーの状況の現地確認を行い、多くの来場者が安全、快適に利用できるよう、仮設の障害者用トイレ等の設置やボランティア等の運用方法について検討を進めております。
今後とも、利用者や関係団体などの意見に耳を傾け、県総合運動公園が県民総スポーツの推進拠点として広く利用されるよう努めてまいります。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) ただいま教育長から答弁をいただきました。水道の改修などの話も耳にしております。例えばエレベーターの増設のような費用のかかる改修というのは、確かにすぐに対応できないというのも理解できます。この200メートルの巨大スロープですが、車椅子の利用者の方が途中で何かあったときのために、例えば途中に緊急用のインターホンを作ってもいいのではないでしょうか。ほかにも、正面方向から車椅子で来られた利用者の方がスロープを上ることを断念したとしても、エレベーターがどこにあるか、そういったことを知らせる案内表示がないのです。大がかりでなくても、できることはあると思います。そういった障害のない人には気づきにくい部分もたくさんあると思いますので、障害当事者の方たちと一緒に検証して、できることからでも対応していただくように要望いたします。
1点、再質問させていただきます。車椅子の利用者の方が正面から来た場合、スロープを避けてエレベーター方面に向かおうとすると、競技場の前の道路を横断しなければなりません。こちらは生活道路として利用されている道路です。横断するポイントとなっている箇所は横断歩道があるのですが、信号等はありません。道路は大きくカーブを曲がった直後に巨大スロープの下をくぐり抜けてすぐのところに横断歩道が設置されているのですが、非常に見通しが悪い。そして、割と車の通行も多いということで、危険を感じるという声も聞いています。
この横断歩道なのですけれども、観客だけではなくて競技者の方もここを横断すると聞いています。陸上競技などでは、国体や障害者スポーツ大会はもちろんですが、大きな大会でこのメインスタジアムを使う場合に、第2グラウンドでウオームアップを済ませた選手が、この道路を横断して、メインスタジアムの1階から競技場に入ると聞いています。陸上競技関係者からも、いつか事故が起こるのではといった不安の声を耳にしているのですが、この点について、例えば押しボタン式の信号機の設置等を検討できないものかどうか、教育長にお伺いいたします。
○佐藤良 副議長 荒川政利教育長。
◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。大規模な大会の開催時には多くの来場者が予想され、通行量の増加が見込まれますことから、注意喚起を促すような看板の設置、あるいは警備員を増やしての交通整理、こういったことで安全対策を行っていきたいと思っております。また、指定管理者と情報共有を図りながら、事前に大会開催時の状況をある程度シミュレーションできるようスタジアム周辺の安全対策には万全を期していきたいと思っております。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 様々な利用者の声がこの1年の間で上がり始めています。これからも多くの声が上がると思うのですが、やらないところから始まるのではなくて、まずは聞いて、できるかどうかという検討も必要かと思います。ぜひとも前向きな配慮を検討していただきますよう要望いたします。
私は、客席でのサイトラインの確保のための座席の撤去と2階客席に向かうエレベーターの増設、これらは必須であると考えています。確かに費用はかかります。財源は限られているのも分かるのですが、この総合スポーツゾーンにおいては、昨年度、東エリアの整備運営事業について、大会開催に必要な備品整備等を理由に4億円ほどの増額がありました。また、メインスタジアムの新築工事に際しても、独特のフォルムを形成するために、当初想定していた工事方法がうまくいかなかったという理由で、数億円単位の増額修正がなされております。限られた財源を誰のために、何のために使うべきなのか、こういったことを考えた場合に、バリアフリーへの対応というのは、決して優先順位が低いものではないはずです。
障害のある人もない人も、同じように安全に安心して楽しめるというのは、実は当たり前のことです。それが実現できていない現状をしっかりと受け止めていただきたいです。そうした意味でも、障害当事者の方にも参加していただいて、まずはしっかりと検証して、できることからでも真摯な対応を検討していただきますよう強く要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
最後に、エコシティ宇都宮について、農政部長に伺います。エコシティ宇都宮に交付された補助金をめぐって、県が国を相手に争っていた不当利得返還訴訟の最高裁判所の判決が今年3月2日に下されました。結果は県の逆転敗訴であり、これによって、エコシティ宇都宮問題に係る3つの裁判全てが終結し、県の1億9,000万円余りの損害が確定したものであります。
裁判においては、補助金適正化法の解釈などが争われましたが、最高裁判所によって法の解釈が示され、判決が確定してしまった以上、受け入れざるを得ません。しかしながら、そもそも国からエコシティ宇都宮への補助金交付に当たり、中継点にすぎない県のみが、なぜ補助金返還の責任を負うことになったのか。また、宇都宮市がエコシティ宇都宮への補助金交付決定を取り消した平成22年1月から、国による県への返納の求めがあった平成24年1月まで2年間という時間がある中で、宇都宮市とどのような協議がなされていたのかなど、県民が疑問に思っている点は多々あります。何ら関わりのない県民が唐突に2億円もの負担を負わされることになったからには、全ての裁判が終結した今、改めて事の経緯を県民に説明する必要があると考えます。
そこで、今後の間接補助事業の実施に当たり、同じ過ちを二度と起こさないためにも、改めて問題をしっかりと検証し、県民に説明する必要があると考えますが、農政部長の考えをお聞かせ願います。
○佐藤良 副議長 青栁俊明農政部長。
(青栁俊明農政部長登壇)
◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、補助金の返還について、宇都宮市と協議を重ねる中、国から返還命令がございました。この返還命令につきましては、返還しない場合に延滞金が発生するといった条件も付されたものでございます。そこで、市に補助金返還を求めますとともに、国の命令に従い、市からの返還を待たずに返還をいたしました。その後も市から返還がなされず、訴訟となりましたが、市への返還請求は認められませんでした。
一方で、市との訴訟の中で、県から国への補助金返還が法律上の根拠を欠くことが明らかとなったため、国に対し不当利得返還請求訴訟を提起いたしましたが、控訴審の判断が覆り、逆転敗訴という形になりました。国との訴訟においては、事業者から補助金返還がないにもかかわらず地方に負担を求めることの不当性を一貫して主張いたしましたが、判決ではこの点について一切判断がなされませんでした。
今後、このような場合にまで地方が負担を求められることのないよう、国に対し国庫補助制度の運用の改善を求めてまいります。また、補助事業の執行に当たりましては、引き続き、事業者の計画内容を十分に審査しますとともに、適切な事務処理に努めてまいります。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 再質問いたします。国から返還を要請された時点で、県は宇都宮市に返還の意思がないことを知っていたのかどうか。また、宇都宮市のほうは法律の専門家に意見を聞いて、今回の間接補助事業に補助金適正化法第22条の適用はなく、返還の義務はないものと早いうちから主張していたと思いますが、県は、この点について事前に法律の専門家に相談はしなかったのでしょうか、農政部長にお伺いします。
○佐藤良 副議長 青栁俊明農政部長。
◎青栁俊明 農政部長 再質問にお答えいたします。補助金返還につきましては宇都宮市と協議を重ねてきていたところでございますから、当然、県といたしましては、市から返還があるものと考えておりましたが、平成24年2月23日付で市から県に返還できない旨の文書が届きまして、市に返還の意思がないということを改めて知ったところでございます。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 最後に、知事に再質問いたします。エコシティ宇都宮の補助金返還問題については、県と市という自治体間の訴訟、これ自体が異例なものでありますが、1つの事件をめぐって3つの裁判を抱えるという極めて異例な事態に陥りました。そして、結果として、何の関わりもない県民が唐突に2億円もの負担を背負うことになっているのです。その県民に対して、知事としてどのように責任を示すのか、知事の所感をお伺いいたします。
○佐藤良 副議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 事業者から国庫補助金の返還がない中で、国から延滞金の条件が付された返還命令がなされまして、結果的に2億円の県民の税金が支出されることとなりましたことは、改めて大変遺憾に思っております。今後は、本事業のような事業者から返還が行われない場合にまで地方が負担を求められることのないよう、国に対しまして、国庫補助制度の運用の改善を求めてまいります。また、補助事業の執行に当たりましては、事業目的を達成できるよう、引き続き、事業者の計画内容を十分に審査することはもちろんのこと、適切な事務処理に努めてまいります。
○佐藤良 副議長 小池篤史議員。
(1番 小池篤史議員登壇)
◆1番(小池篤史議員) 知事から答弁をいただきました。遺憾というのは知事の感想であって、県民に対するメッセージではありません。そうしたところで県民に対して何か知事からメッセージをいただきたかったところなのですが、以上で私の全ての質問を終わります。
コロナ禍という未曽有の難局に直面した県政です。オール栃木でこの難局を乗り越えていけますように、執行部の皆様におかれましては、県民に寄り添った県政運営をお願いいたしまして、私の全ての質問を終わりといたします。
○佐藤良 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時25分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後0時25分 休憩
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◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は47名であります。
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午後1時25分 開議
○阿部寿一 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) 県民クラブの塩田ひとしです。発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問させていただきます。
まず、自動運転社会に向けた県の対応について、知事にお伺いいたします。自動車の技術進展は目をみはるものがあり、ガソリン車からの脱却と自動運転技術の確立によって、より安全で便利な移動手段とエコロジカルな社会の実現に向け、世界中の自動車メーカーは、その開発にしのぎを削っています。我が国でも、各メーカーの激しい開発競争の結果、世界最高レベルの車が続々と発表されており、人間が運転に関わらず、乗るだけで目的地に到着するといった夢物語のような自動運転の実現まであと一歩と迫っています。これが実現すれば、高齢ドライバーによるアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故はもとより、あらゆる交通事故が減少することとなり、また車の流れがよくなることから、渋滞の緩和、CO2の削減にもつながります。
自動運転の具体的な取組としては、千葉県柏市の柏の葉スマートシティにおいて、路線バス自動運転の実証実験が始まっており、東京オリンピック・パラリンピックの選手村では、トヨタ自動車が開発した自動運転車が村内で活用されるとのことであります。そのトヨタ自動車がつくる実験都市ウーブン・シティの建設が静岡県裾野市で始まっています。人、車、物の流れを分離した交通システムを構築し、実際に暮らしながら実用化につなげるという構想です。
このように、自動運転技術の急速な進展や他地域での取組が進む中で、本県においても、自動運転社会の早期の実現に向けた取組が必要であり、特に過疎地域や交通弱者となる高齢者等への交通手段の確保の観点から、公共交通における自動運転化の実現が重要であると考えます。そのためには、技術活用の観点だけでなく、自動運転を前提とした公共交通網の整備やまちづくり、自動運転に関連したデジタル技術に対応できる人材の育成など、あらゆる施策を総動員して推進していくことが重要であり、県の重点施策に位置づけるべきであります。
そこで、公共交通の自動運転化をはじめとした自動運転社会の実現を主眼に据えて、道路交通施策を推進すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
○阿部寿一 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの塩田議員のご質問にお答えいたします。本県におきましても、高齢化や過疎化の進行に伴い、公共交通の役割がますます高まる中、深刻化する運転手不足や公的負担額の増加などの問題解決に当たり、無人自動運転移動サービスが非常に有効であると考えております。そこで、県の重点戦略とちぎ未来創造プランで展開する未来技術を活用した新しいとちぎづくりプロジェクトに位置づけ、無人自動運転技術の導入による効率的な公共交通の運行を促進することといたしました。
この実現に向けて、令和7年度の無人自動運転システムによる路線バス運行を目指し、県内10か所において、中山間地域、観光地、市街地など地域の実情や技術開発の進展に合わせた実証実験のプロジェクトを行ってまいります。これらの実験により得られた知見や利用者の皆様方からのご意見等も踏まえ、市町や交通事業者等と連携し、無人自動運転技術等の活用による持続可能な公共交通サービスの確保・充実を図りながら、今後の道路交通政策の在り方について研究してまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) ただいま知事から自動運転の有効性と今後の取組についてご答弁をいただきました。
ここで、県土整備部長に再質問させていただきます。栃木県は全国有数の車社会である一方、都市圏に比べると公共交通機関が不十分な点や過疎化の進んだ地域を多く抱えることを考え合わせると、自動運転が実現すると大きな恩恵を受けることは明らかであります。本県において自動運転社会をいち早く実現するためには、交通事業者、自動車メーカー、市町、公共交通利用者など、幅広い関係者の声を丁寧に聞くとともに、国や他地域の動向を的確に把握し、県の施策に反映していくことで、自動運転のための効率的なインフラ整備や公共交通利用者等への効果的な施策の展開を図ることができると考えますが、県は今後どのように取り組んでいくのか、県土整備部長の所見をお伺いいたします。
○阿部寿一 議長 田城均県土整備部長。
◎田城均 県土整備部長 再質問にお答えいたします。県では、自動運転の実証実験プロジェクト、これは栃木県ABCプロジェクトと称してございますけれども、このプロジェクトを進めるに当たりましては、公共交通事業者、公共交通関係団体、自動車関連企業、学識経験者、そして国の方々をメンバーといたします栃木県無人自動運転移動サービス推進協議会を設置してございまして、この場で様々なご意見を幅広くいただきながら、検討を進めているところでございます。
また、安全で円滑な自動運転サービスを進めるためにインフラ整備を行っていくことが必要になるかと思いますけれども、その整備に当たりましては、国や企業等の動向等を注視しながら、私どもが行います実証実験を通じまして、どのような施設が必要になるのか、また、どのような整備がいいのかといったようなことも含めまして、実証実験の中で調査検討してまいるつもりであります。
さらに、来る6月6日から6月20日まで、茂木町におきまして自動運転バスの実証実験を行うこととしておりまして、これには県民の皆様に多数ご乗車いただくことを予定してございます。まずは、このような実証実験を通じまして、県民の皆様に自動運転バスを実際に体験していただきまして、安全性、有効性を確認していただきながら、自動運転の実装に向けた機運の醸成を図ってまいりたいと思っております。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) 自動運転が普及した栃木県の未来を想像してみました。AI技術とビッグデータの活用により、最適なルートで、テレビを見ながら、あるいは仕事をしながら、さらには寝ている間に目的地へ到達などということも可能になります。また、自動運転車のシェアリングが進めば、自家用車を所有する概念すらなくなるかもしれません。過疎化が進んだ地域、限界集落にも自動運転の車という便利な足ができたおかげで、孤立していた高齢者は何不自由なく出かけることができるようになります。自動運転化は、経済社会をより活性化させる大きな力になることはもちろん、交通弱者の高齢者にこそ大きなメリットがあるということを十分に認識していただき、県の重要な施策に位置づけてくださるよう要望いたします。
次に、県民の日・家庭の日の在り方について、知事にお伺いいたします。朝のニュース番組を見ていますと、何月何日、今日は何々の日ですと紹介してくれます。事業が始まった日を記念したものから、いささか無理のある語呂合わせまで多種多様でありますが、その重要度には人それぞれ差があるのではないでしょうか。
栃木県にも様々な記念日がありますが、6月15日の栃木県民の日は本県の成り立ちを記念した日であり、郷土愛の醸成につなげる重要な日であると認識しております。また、県において普及啓発の取組をしていることは理解しております。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、日々の記念日が多過ぎて、その重要度とは裏腹に、県民の機運は盛り上がっていないのではないかと感じております。県民の皆様の認識は、正直なところ、県庁で何かやっているねとか、県民の日だから県有施設が入場無料になったといった受け止め方なのではないでしょうか。
また、この新型コロナ禍で一堂に会しての式典は難しくなりました。実際、今月12日の県民の日記念イベントでは、
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、来場者数を制限するとのことであります。そして、ステイホームの掛け声とともに、いろいろな施設に出向くことも難しくなってきており、県有施設の入場料無料の取組も見直しが必要ではないかと感じています。こうしたことから、
新型コロナウイルス感染症の影響や収束後を見据え、改めて県民の日の在り方を見直す時期に来ているのではないかと考えます。
そこで、県民の皆様が本県への理解と関心を深め、愛着を改めて感じていただけるような県民の日とすべきと考えますが、知事の所見を伺います。
また、存在意義の大きさにもかかわらず、県民に浸透していないように感じるのが、毎月第3日曜日の家庭の日です。家庭は社会を形成する基礎的な単位で、最も基本的な人格形成の場として極めて重要です。家庭の日運動は、家庭を大切にし、健全な子供を育てることを目標にしていますが、少子化が進む中、次代を担う大切な人材である青少年を一人一人健全に育成することは、以前にも増して重要性が高まってきています。
先月、罪を犯した18、19歳を特定少年として厳罰化する改正少年法が成立しましたが、厳罰化で犯罪を防ぐことよりも、犯罪に関わらないように青少年を健全に育んでいくことが必要であると考えます。今こそ家庭の日の出番なのではないでしょうか。県民の日の在り方と同様に、家庭の日の在り方についてどのようにしていこうと考えているのか、併せて知事の所見をお伺いいたします。
○阿部寿一 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県民の日は、栃木県に思いを致し、郷土愛を育む大切な記念日でありますことから、市町や企業、団体の協力の下、本県の魅力の紹介やその時々の県政のテーマを盛り込んだ記念事業を開催するほか、身近な施設でふるさとを見詰め直す契機となるよう、施設の無料開放を実施し、今年で36回目を迎えます。
昨年度は、
新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、記念事業を中止いたしましたが、新たな取組として、とちぎ未来大使の協力を得て、県民の歌Web特別演奏会の動画を制作し、広く配信して好評を得たところであります。今年度につきましては、コロナ禍でも多くの皆様にご参加いただけるよう、ホールでのイベントにオンラインによる配信を併用し、私と県議会議長のメッセージをお伝えするとともに、地域の方々による伝統芸能等をご覧いただき、心を一つに
新型コロナウイルス感染症との闘いを乗り越える契機にしてまいりたいと考えております。あわせて、東京2020大会やいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会に向け、機運を盛り上げてまいります。
このように、県民の日は、県民の皆様と思いを共有できる絶好の機会であると考えております。栃木県民として共に考え、行動していただくきっかけとなるよう、時代の変化に的確に対応しながら、様々な工夫を重ねてまいります。
次に、家庭の日についてであります。本県で家庭の日運動が始まって55年、この間、少子高齢化等の社会情勢の変化により、一人一人が求める家庭の姿は多様化しております。私は、家庭は子供が基礎的な生活習慣や規範意識を身につけ、人格を形成する上で重要な場所であり、その役割は時代が変化しても変わることはないと考えております。家庭の日には、子供の健やかな成長を願い、各家庭ならではの過ごし方で家庭の絆を深めてもらえるよう、SNSを活用した広報など、県民に届く工夫を重ねながら、社会全体で家庭の大切さを考える機運を醸成してまいります。
今後とも、県民の皆様が家族や身近な人を大切に思い、地域に誇りと愛着を持ってとちぎづくりに参画してもらえるよう、県民の日及び家庭の日の取組を積極的に推進し、「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現につなげてまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) ここで、知事に再質問させていただきます。今、知事のほうから県民の日、家庭の日の意義についてご答弁がありましたが、この家庭の日については、知事も過日の下野新聞紙上で重要性について発言をされていましたが、私もその重要性を考えると、もう一段、積極的な取組が必要であると考えています。
そこで、提案として、県民の日と家庭の日を結びつけた取組を、デジタルを活用して展開してはどうかと考えます。例えば、記念日に関連するコンテンツをインターネットで配信し、家庭でそれを見ながら、県や家庭について話し合うということが考えられます。このようなことで、コロナ禍においてもステイホームをしながら、県民の皆様に郷土愛の醸成、そして家族の絆を再構築する契機にしていただけると思います。このような新しい県民の日、家庭の日の取組について、知事に所見を伺います。
○阿部寿一 議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症で外出の機会が減る中、家庭では、大いに家族間で話し合う時間を取ってもらいたいと考えております。県としても、人のつながりを大切にしながら、デジタル技術も活用して、県民の日、家庭の日に係る事業に積極的に取り組んでまいります。
今月12日の県民の日記念イベントにつきましては、当日のライブ配信だけではなく、県民の日終了後においても配信を継続いたしますので、今月20日日曜日の家庭の日には、多くの皆様に県民の日のライブ配信の録画を見てもらいたいと思っております。家庭の絆、あるいはふるさとへの愛着を深めてもらえるよう、大いに期待いたしますとともに、これからもデジタル技術を活用しながら、県政の広報などにしっかり努めてまいりたいと思います。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) 18都道府県が県民の日などの記念日を制定していますが、どこも同じような事業を行っていると聞いております。先ほど提案した新しい取組では、行事に参加したい家族を公募し、知事がインターネット上で直接県民の日についての意義や郷土に対する愛着や誇り、さらに社会の基本である家庭の大切さについても語り合っていただくのも一つのアイデアです。他県に先駆けて、こうした全く新しい形の県民の日、家庭の日の記念行事を行えば、県民の本県に対する思いも一層深まると思いますので、ぜひ実現してくださるよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
先ほど
螺良昭人議員、小池篤史議員からも質問がありましたが、
新型コロナウイルス感染症の対策として、高齢者等へのワクチン接種を着実に進めていくことは重要な課題でありますので、
保健福祉部長に改めて伺います。
国は第4波と言われる
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京都、大阪府など10都道府県に3回目の緊急事態宣言を発令しました。昨年に引き続き2年連続でゴールデンウイークの人の流れを止めることや、感染リスクにつながるとされる酒類を提供する店やカラオケ店への休業要請、スポーツ等のイベントは原則無観客とすることなど、一歩踏み込んだものとなりました。
本県においては、本年1月14日から2月7日までの緊急事態宣言期間の解除後、2月下旬は1日当たり10人程度の感染者数でしたが、その後、5月には50人を超える日もあるなど増加傾向にあり、さらに変異株の感染者も増えています。
このような中で、感染抑止対策の決め手となるワクチン接種につきましては、医療従事者に続き、4月から65歳以上の高齢者に始まりました。本県でも、4月12日の宇都宮市に続き各市町で開始されています。高齢者の優先接種の対象については、高齢者施設入所者からや75歳以上の方からなど、市町によってその違いがあります。また、施設入所者以外の高齢者への接種方法も、集団接種を原則とするところや、集団接種とかかりつけ医等の医療機関での接種の併用など、その対応にも違いがありますが、高齢者に対するワクチン接種について、国は、菅総理大臣の強い意向もあり、7月末までに完了するとの考えを示したところであります。
そこで、本県におけるワクチン接種状況と高齢者に対するワクチン接種は7月末までに完了する見込みなのか、
保健福祉部長に伺います。
また、ワクチン接種を加速するために、本県においても県営接種会場の設置を発表しましたが、どのような計画で進めるのか、併せて
保健福祉部長に伺います。
○阿部寿一 議長
海老名英治保健福祉部長。
(
海老名英治保健福祉部長登壇)
◎海老名英治
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県におきます高齢者向けワクチンの接種状況につきましては、6月1日時点で、対象となる方の10.4%が1回目の接種を終えているところであります。国が表明した7月末までの完了に向けまして、各市町は接種計画の見直しを進めているところでありまして、接種体制の強化に最大限の努力をいただいております。このため県では、市町が行う医療従事者の確保を支援いたしますほか、市町の接種を補完するため、6月16日から県営の
ワクチン接種会場をとちぎ健康の森に設置することといたしました。接種人数は1日当たり最大1,000人を目標といたしまして、当面、市町別に予約枠を設定いたしますとともに、医療従者については、市町の接種体制と競合しない形で確保してまいります。
引き続き、国や市町、医師会等と緊密に連携を図りまして、高齢者へのワクチン接種の早期完了に取り組んでまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) 高齢者がワクチン接種を受けるには、自治体から送付される接種券とインターネットやコールセンターでの接種予約が必要となっています。この接種予約では、インターネットに不慣れな高齢者からコールセンターへ予約電話が殺到し、電話がつながりにくかったり、予約終了を知らずに電話をかけ続けるなど混乱が生じています。また、集団接種会場における看護師等の従事者の確保も懸念されており、今後、一般の方への接種時には課題となると思われます。このような、予約方法やワクチン配分状況等の情報提供、集団接種会場の従事者確保など、課題がある中で、県の各市町に対する支援の考え方について再質問させていただく予定でしたが、先ほども質問がありましたので、私からは、接種を行う市町に対してきめ細かに支援を行っていただくよう要望いたします。
また、県営接種会場の設置につきましても、課題があるように感じます。県と市町で二重に予約されますと、1回目と2回目で異なるワクチンを接種したり、キャンセルによるワクチン廃棄の懸念がありますので、予約の重複が生じないような仕組みづくりが必要です。会場へのアクセスでも、私の地元足利市など宇都宮市から遠い市町には、会場に行くことが難しい方もいますので、県民の皆様が平等に接種できるよう、直通バスなど交通手段の確保も必要であると考えます。このような県営接種会場の設置に伴う課題につきましても、県民の皆様に丁寧に対応していただくよう要望し、次の質問に移ります。
避難所における
新型コロナウイルス感染症への対応について、県民生活部長に伺います。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不要不急の外出自粛やソーシャルディスタンスの確保が求められる中、台風、梅雨どきの集中豪雨による洪水災害や地震災害などにより避難をしなければならない場合に、避難所内においては、避難者が密集状況で集団生活を送るため、感染リスクが高まることとなります。避難所の感染対策につきましては、各市町でマニュアル等を作成し、十分な換気の実施や避難スペースの確保など感染リスクの軽減に努めておりますが、定期的な見直し等が必要な状況にあります。
県では、昨年5月に避難所における
新型コロナウイルス感染症への対応についてを策定し、ホテル等の臨時避難所の確保や避難所内での2メートル以上の間隔の確保、避難所内での
新型コロナウイルス感染症発症の場合の対応等について市町へ通知しました。
避難所を開設する市町においては、マニュアルの見直しや訓練等を行い、災害時に備えておりますが、県はどのように支援を考えているのか、県民生活部長に伺います。
○阿部寿一 議長 千金楽宏県民生活部長。
(千金楽 宏県民生活部長登壇)
◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、
新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、適切な避難所運営の研修を開催しますとともに、マスク、パーティション等の備蓄や県有施設を指定避難所に追加するなど、市町に対し支援を行ってまいりました。また、本年3月には、避難所の密を避けるため、スマートフォンなどで事前に混雑状況を確認できるシステムを民間事業者との協定により導入し、市町と連携して運用を開始したところであります。さらに、令和元年東日本台風の検証結果と感染症対策等を反映した栃木県避難所運営マニュアル作成指針を今月中に取りまとめて示しまして、改めて市町における避難所運営マニュアルの点検を促すこととしております。
引き続き、避難所における感染症対策が適切に行われるよう、市町を支援してまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) 点検して、またしっかりと支援をしていただくということで、よろしくお願いしたいと思います。
ここで、県民生活部長に再質問を1点させていただきます。避難所での感染不安やプライバシーの確保等の観点から、避難所内に入らず、駐車場内での車中泊避難を希望するケースも見受けられます。国は、
新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドラインの中で、車両避難者の増加に対応した訓練の重要性に触れ、適切な対応を求めています。
そこで、今後増加が見込まれる車中泊避難者への対応について、県民生活部長に伺います。
○阿部寿一 議長 千金楽宏県民生活部長。
◎千金楽宏 県民生活部長 再質問にお答えいたします。車中泊避難につきましては、避難所の密を避けるという意味で感染拡大防止に資する面があります。一方で、車を使って避難する途中に被災するリスクですとか、避難所運営に支障のない駐車スペースの確保、さらにはエコノミークラス症候群の予防といった多くの課題もあるところでございます。こうしたことを踏まえまして、県では、先ほど答弁いたしました今策定中の避難所運営マニュアル作成指針の中で、車中泊避難者の対応や配慮すべき事項を盛り込んでいるところでありまして、また、エコノミークラス症候群予防のための弾性ストッキングについても、民間との協定によりまして、確保しているところでございます。
現在の感染状況の中では、住民の方が車中泊避難を選択するということも十分想定されますので、実際に避難所を運営する市町の意向とか状況等を十分に踏まえながら、県としても適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) 避難所における感染症対策の徹底はもちろんのことですが、感染への不安から避難をちゅうちょすることがないよう、感染症対策を住民に情報提供することも重要でありますので、その点についても、市町と連携して取り組んでいただくよう要望し、次の質問に移ります。
林野火災に備えた県の対応について、県民生活部長に伺います。本年2月21日、足利市で発生した林野火災は、乾燥と強風などの悪条件が重なり、3月1日鎮圧、同15日に鎮火となりましたが、発生から鎮火まで実に23日間、焼失面積が167ヘクタールにも及ぶ大火災となってしまいました。広大な面積に広がった火災でありながら、民家への類焼や人的被害に及ばなかったのは、懸命な消火活動を行った地元消防、消防団、県防災ヘリをはじめ、自衛隊、近隣県の防災ヘリ、近隣の消防組織の応援のおかげであり、心から敬意を表するとともに、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。また、避難を余儀なくされた方々には、コロナ禍に加えての火災の恐怖はいかばかりであったかと察するに余りあり、心からお見舞い申し上げます。
今回の火災で気づかされたのは、一自治体の消防力では及ばない災害が身近に起こり得るということです。かつて県内の消防組織を一本化する構想があり、頓挫してしまった経緯がありますので、改めて広域的な消防組織の必要性を痛感した火災でもありました。
山火事は住宅火災などと違って、表面は一見消えたように見えても、下のほうでくすぶっていたところから再び燃え上がり、なかなか鎮火に至らないという厄介な状況があります。私としては、延焼を上空から感知するドローンを活用した赤外線センサーなどがあれば、迅速な対応も可能となるのではないかと感じたところであり、そのような、各市町で必ずしも常備する必要がない装備を県域で共有できるシステムをつくるべきであると考えます。
また、今回の林野火災については、自衛隊出動の対応に当たった足利市では、きちんとした手続を踏んで要請したものであり、出動が遅かったということはないとのことでありましたが、群馬県で発生した山火事では、発生直後に自衛隊のヘリコプターが応援に来たこともあって、市での対応が遅れた印象があります。自衛隊ヘリコプターの出動については、一定の条件の下に可能となることはある程度理解はしていますが、一刻を争う山火事の場合には、もう少し柔軟な対応ができないものかと思います。消火活動の点でも、ヘリコプターによる消火の回数というか頻度をもう少し上げられないかという疑問もあります。大量の水を投下するため、近隣の住宅や人への影響を考慮した結果と聞いておりますが、どうなのでしょうか。改善の余地があるように思います。
そこで、今回の足利市の林野火災について、県としても課題を整理し、適切な対応へとつなげていくべきと考えますが、県民生活部長の所見をお伺いします。
○阿部寿一 議長 千金楽宏県民生活部長。
(千金楽 宏県民生活部長登壇)
◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。今回の足利市の林野火災につきましては、発災直後から県内の消防機関、消防庁、自衛隊等と緊密に情報共有して、迅速的確な対応に努めたところであります。しかしながら、長期間の乾燥や強風という気象条件が重なったことなどもありまして、結果的に鎮火に至るまで多くの日数を要してしまいました。
このようなことから、このたびの火災の対応を検証し、より効果的な消火活動に結びつけるため、消防庁が中心となり、防衛省や林野庁等の関係機関で組織する検討会が設置されました。この検討会には、本県と足利市もオブザーバーとして参加しており、検討会の結果等を踏まえて、今後の消火活動に生かしてまいりたいと考えております。また、被災地の消防機関のみでは対応困難な大規模災害に備えまして、県内消防機関が国の制度も活用して特殊な資機材の配備を効果的に行えるよう、調整してまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) 心強い答弁をいただきました。足利市民の方のお話では、夜間に報道ヘリが飛ぶ中で、ヘリコプターによる消火活動が行われなかったことに疑問を感じたとのことでした。安全性確保などの理由があったと聞いていますが、このような点についても改善できないか、ご検討されるようお願いいたします。
ここで、環境森林部長に再質問させていただきます。これまでの反省を踏まえた迅速な対応をしていくということは当然重要なことですが、併せて出火を未然に防ぐことも重要です。今回の出火原因については、ハイカーの火の不始末が疑われています。県や市町等では、これまでも注意喚起してきたと思いますが、多くの方が様々な林野に立ち入ることを踏まえると、一人一人への周知は難しい面があることも事実です。
そこで、県は、今回の林野火災を踏まえ、今後どのように注意喚起を図っていくのか、環境森林部長に伺います。
○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。
◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。県では、3月から5月までを栃木県春の山火事防止強調運動の期間と定めまして、市町や消防などと連携しながら、ホームページやテレビ、ラジオ、あるいは広報車を活用いたしまして、呼びかけを行ってまいりました。また、ビジターセンターですとか道の駅のご協力をいただきまして、のぼり旗やポスター等を掲示し、予防意識の啓発に努めてきたところでございます。さらに、今回の足利市における山林火災の発生を受けまして、鎮火後にハイカーの皆さんに対し、登山口でチラシなどを配布しながら、注意喚起も行ったところでございます。今後につきましては、ポスターなどの掲示先にアウトドアショップなどを加えまして、ハイカーの方々などを十分に意識した啓発活動を強化してまいります。
引き続き、市町をはじめ関係機関と連携しながら、山火事防止に向けた普及啓発に努めてまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) ぜひとも県民の皆様に幅広く周知されるよう取り組んでいただきたいと思います。
この林野火災の質問では、足利市や自衛隊の対応も含め発言いたしましたが、私としては、いずれもしっかりと対応していただいたと認識しております。一方で、足利市民の方から疑問の声もお聞きしたため、今後、同様の災害があった際に生かせることがあるのではないかと思い、質問させていただきました。火災だけでなく、洪水や地震など、いつ災害が起きても不思議ではありませんので、一朝有事に備えて、国や市町をはじめ、自衛隊や近隣県との連携強化をさらに進めていただくとともに、県民の皆様に対しても防災意識の一層の高揚を図っていただくようお願いし、次の質問に移ります。
森林の再生に向けた未来技術の活用について、環境森林部長に伺います。林務行政は大変重要であるにもかかわらず、脚光を浴びる機会が少なく、地道に施策を進めていかなければならない部門であります。しかし、前の質問でも触れましたが、今回の林野火災をきっかけに森林の価値が再確認されることとなりましたので、これを機に施策の充実を図っていただきたいと考えております。
近年、森林の荒廃が進んでいると言われていますが、豊かな森林は人々の心を癒やし、そこから流れ出る河川は、流域を、そして流域に住む人々を文字どおり潤します。広大な森林を有する本県は、これを守り育てていく義務があります。そういったことから、県が今般、「とちぎの元気な森を100年先の未来へ」を標榜するとちぎ森林創生ビジョンを取りまとめられたことは大いに意義のあることと考えております。
このビジョンにおいては、未来技術を活用したスマート林業の推進が共通施策としてうたわれており、森林資源情報のデジタル化や生産管理のICT化、自動化等による労働生産性や安全性の向上についての取組が盛り込まれています。私としては、これらの取組により林業事業体の経営が安定し、ひいては森林の再生につながることを期待しておりますが、一方で、新たな技術の活用は、知識の習得や設備の導入など、林業事業体の負担になることも事実です。
そこで、県は、スマート林業を推進するため、林業事業体に対して未来技術の活用をどのように支援していくのか、環境森林部長に伺います。
○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。
(鈴木英樹環境森林部長登壇)
◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本格的な利用期を迎えた森林を有効に活用し、限られた労働力で生産性の高い林業経営を実現するためには、未来技術の活用によるスマート林業の推進が必要であります。その第1段階として、今年度は、とちぎスマート林業推進協議会でのご意見を踏まえ、丸太を適切なサイズに切り分けるICTハーベスタの活用やドローンによる苗木の運搬など、現場が求める未来技術の実証に取り組むことといたしました。
実証の現場におきましては、第一線で活躍する林業事業体の職員の方々にご参加をいただき、生産性、安全性等の効果について検証、分析をしてまいります。さらに、その結果を踏まえ、実証で用いた機器による実演会を開催いたしますとともに、相談窓口を設置いたしまして、導入に向けた疑問などに一つ一つ丁寧に答えることなどによりまして、現場への実装へとつなげてまいりたいと考えております。
今後とも、現場のニーズや実情を十分に踏まえながら、多くの林業事業体が未来技術を活用できるよう、きめ細かな支援に努めてまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) ここで、環境森林部長に再質問させていただきます。林業の担い手確保は、森林の再生に向けて重要であり、現在、県では、林業従事者を育成する林業大学校の設置の準備を進めております。その中で、林業に必要な知識、技術を習得するための講習を検討されていると思いますが、林業において未来技術の活用に対応できる講師の確保やカリキュラムの整備についてどのように対応していくのか、環境森林部長に伺います。
○阿部寿一 議長 鈴木英樹環境森林部長。
◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。林業大学校につきましては、令和6年度の開校に向けまして、今年度、学識経験者や林業関係者などの幅広いご意見を伺いながら、カリキュラムの作成を進めてまいる予定としております。この中には、未来技術の知識や技術を習得できる科目の設置を盛り込んでまいりたいと考えております。
また、こうして作成いたしますカリキュラムが実際に効果的に人材育成という結果を出していくためには、IT企業ですとか、あるいは県内林業事業体の第一線で活躍されている実践力のある現場のリーダーの方々など、意欲と指導力を兼ね備えた講師の確保が大変重要になりますので、それにつきましても関係者の皆様のご協力を賜りながら鋭意努めてまいりたいと考えています。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) 実効性のある取組をお願いいたします。未来技術の登場によりまして、森林を取り巻く様々な課題が解決できるようになるなど、状況は大きく変化しています。県においては、このような流れをしっかりと受け止め、林業のさらなる振興を図っていただくとともに、若者や女性をはじめとした地域内外の人材にも目を向け、活用し、新しい時代における森林の価値の創出を目指していただくようお願いいたします。
次に、栃木県高齢者支援計画はつらつプラン21(八期計画)について、
保健福祉部長に伺います。2000年4月に、介護が必要になった高齢者を社会全体で支える仕組みとして介護保険制度がスタートし、2018年度には社会保障給付費約120兆円のうち、年金55兆円、医療費40兆円に次ぐ10兆円規模となっており、その伸び率は年金、医療と比較しても大きな伸び率となっております。このような中、国では3年ごとに介護保険制度の見直しを行っておりますが、国の基本指針に従い、都道府県、市町村も介護保険事業支援計画等の見直しを行っており、本県では今般、この計画にも位置づけられる栃木県高齢者支援計画はつらつプラン21(八期計画)を策定したところであります。
今回の国の基本指針では、高齢者を地域で支える地域包括ケアシステムの推進によって、高齢者介護、障害福祉、児童福祉、生活困窮者支援などの制度、分野の枠や、支える側、支えられる側という従来の関係を超えて、それぞれが助け合いながら暮らしていくことのできる地域共生社会の実現を図っていくことが重要であるとされています。
そこで、県は、国の基本指針を受けて、はつらつプラン21(八期計画)において、どのような点に重点を置いて施策を実施しようとしているのか、
保健福祉部長に伺います。
○阿部寿一 議長
海老名英治保健福祉部長。
(
海老名英治保健福祉部長登壇)
◎海老名英治
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。総人口や働き手である現役世代が減少に転じ、高齢化がますます進展する中、住民が主役となり、高齢者の生活を支える地域づくりを一層推進することは、一人一人が生きがいと役割を持ち、互いに助け合いながら暮らしていく地域共生社会を実現する上で極めて重要であると考えております。このため、八期計画では、介護予防に関しまして、とちぎフレイル予防アドバイザー等の協力を得ながら、幅広い世代を対象とした普及啓発や地域全体での機運醸成を図りまして、高齢者をはじめとする地域住民自らが参加、運営する通いの場での取組等を促進することとしております。また、研修や事例集の活用等を通じまして、生活支援コーディネーターの養成と活動の活性化を促進いたしまして、地域における居場所づくりや見守り体制の構築等を支援してまいります。
今後とも、市町や県民の皆様とともに、世代を超えて共に支え合う地域づくりを推進いたしまして、「とちぎで暮らし、長生きしてよかったと思える社会」の実現を目指してまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) ここで、
保健福祉部長に再質問させていただきます。今回の基本指針には、国が社会保障審議会介護保険部会に当初案として示したものにはなかった災害や感染症対策に係る体制整備が追加されました。この指針を受け、今回の計画にどのように反映し、施策を実施していくのか、
保健福祉部長に伺います。
○阿部寿一 議長
海老名英治保健福祉部長。
◎海老名英治
保健福祉部長 再質問にお答えいたします。防災対策につきましては、七期計画に引き続きまして八期計画でも、災害時における被災された高齢者の方の一時受入れ、あるいは介護職員等の応援といった施設間における応援協力体制の構築などを計画の中に盛り込んでいるところであります。また、新たな感染症対策につきましては、高齢者施設などにおける感染防護具、あるいは消毒液などの備蓄の促進、また、感染症発生時には県から防護具や消毒液を配布するとともに、施設間における応援職員の派遣体制の整備促進をすることとしております。
今後とも、市町、また関係機関と連携いたしまして、災害や感染症が発生した際にも、高齢者の方々の生活に支障が生じないような必要な支援を図ってまいりたいと考えております。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) 中長期の視点を持って計画を策定されたことは評価しますが、今般のコロナ禍のように、予測できない事態の発生が予想されますので、必要に応じて計画を見直しながら、先ほど答弁にもありましたけれども、「とちぎで暮らし、長生きしてよかった」と思われる社会の実現を目指していただきますようお願い申し上げます。
次に、文化財を支える人材の育成について、教育長に伺います。本県は、世界遺産日光の社寺を擁し、多くの重要な文化財を持つ県であります。文化財は、祖先が大切に守り伝え、今日に至り、今を生きる私たちには、それを滅失させることなく、未来へ伝える義務があります。
近年、機械化等の進展により、手仕事と言われる分野の衰退とともに、こうした文化財を維持し、修復を担える職人の方々の数が著しく減ってきているという話を聞きます。
本年2月に県教育委員会がまとめた栃木県文化財保存活用大綱には、「防災・災害発生時の対応」として1章が設けられていますが、そのほとんどが防災についてであり、災害発生時については、「県は市町と連携し、情報を集約して、共有を図る」との記述や、「地域歴史文化遺産保全活用推進員、県建築士会等との連携を強化する」との記述、「被災文化財については、文化庁や専門家等の指導を受けつつ対応する」等の記述があるのみで、具体的な方策が示されておりませんが、いざ災害が起こったときに適切な対応が行えるのか、いささか疑問を感じます。
文化財を守り伝え、滅失させることなく未来に伝えていくためには、早期の修復や保全に対応できる人材の確保・育成が重要であり、そのために、まずは保全、修復を担える専門家を育成するための施策の充実を図ることが必要であると考えます。また、災害が広範囲に広がった場合には、被災した文化財の状況が一層悪化してしまうことがないよう、職人が専門家のアドバイスを受けながら応急処理を行い、その後、専門家と職人が協力し、修復の体制が整えられるような連携も重要であると考えます。
このように、文化財の保全、修復に対応できる人材の確保や連携体制の整備について、具体的に対応していくことが文化財の保護につながると考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。
(荒川政利教育長登壇)
◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。近年、大規模災害が頻発する中、文化財を後世に継承するためには、文化財の特性に応じた適時適切な保存、修理が必要であります。このため、県教育委員会では、文化財の保存に欠かせない伝統的な技術を持つ団体等と連携し、文化財の修理を支援するとともに、国等が実施する技術研修を活用して人材の育成に取り組んでまいりました。また、国立文化財機構が昨年度設置しました文化財防災センターと連携し、災害発生時における応急処置から完全修復までを支援するほか、新たに文化財防災マニュアルを作成し、被害の未然防止や最小化を図るための具体的な方策を定めることとしております。
今後とも、国や関係機関等と緊密に連携しながら、文化財の保存、修理に対応できる人材の確保と育成を図り、後世への文化財の確実な継承に努めてまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) ここで、教育長に再質問させていただきます。文化財の保全、修復については、文化財保護法に基づく技術の保持者や保存団体の認定制度がありますが、本県では、日光社寺文化財保存会のみが認定されているとのことです。
そこで、本県における文化財の担い手を幅広く確保・育成するために、将来的にこの認定につながるような本県独自の認定制度を創設し、専門家育成や技能継承の仕組みをつくっていくべきと考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
○阿部寿一 議長 荒川政利教育長。
◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。県におきましても、栃木県文化財保護条例に基づきまして、文化財の修理技術などを選定保存技術として選定いたしまして、その技術を持つ団体とか個人を認定してまいりましたけれども、この制度が必ずしも十分には活用されていない面もございます。
今後は、保存、修理を担える県内の専門家について、さらなる把握に努めまして、新たに技術保持者等の認定を図ることによりまして、専門家の育成、技術継承に努めてまいります。
○阿部寿一 議長 塩田ひとし議員。
(9番 塩田ひとし議員登壇)
◆9番(塩田ひとし議員) ご答弁いただいた件につきましては、ぜひとも積極的に取り組んでいただけるようお願いいたします。
2016年の地震による熊本城の倒壊、2019年の火災による沖縄県首里城の焼失等を見ておりますと、一度失ったものは二度と同じ形では戻ってこないということを痛感いたします。いざというときに備え、人材を育成しておくことは、リスクマネジメントだけでなく、平時に老朽化していく文化財を守り、後世に伝えていく上でも大変有効です。でき得れば、それがなりわいとして成り立つような仕組みづくりも検討していただきたいと考えます。
県内には、多くの老朽化した文化財、歴史的な建築物等の資源があります。人材育成のために、それらを生きた教材として修復させてもらうことも有効ではないでしょうか。職人にとっては貴重な経験となりますし、所有者や地域にとっては、身近な職人に文化財の保全を担ってもらうことができます。こうした経験を得た優秀な職人を、先ほど提言した認定制度でブランド化し、それが周知されることで就職や仕事の受注につながる。さらにそうした事例を文化財所有者などに広げることで、減少傾向の市場を拡大させる。このような好循環を生むことも考えられます。
また、文化財の保全にはお金がかかります。それを支える財源の確保も並行して検討すべきです。国の様々な支援制度の活用はもとより、今以上に歴史的資源の観光活用を促し、積極的に収入を確保していくことも有効です。本県には、まだまだ生かされていない、日の目を見ていない可能性のある歴史資源が多く眠っています。この視点からのご検討もお願いいたします。
本県には、既に郷土の文化財に造詣が深い方、現状を憂い、伝統文化を守るため、後世に伝承するため努力している職人の方たちがいます。しかし、個人でできることの限界も感じているはずです。そうした熱意を持った方々と連携し、行政としてその仕組みづくりを行い、公民連携でこの難局を乗り越えていただけるよう要望いたします。
以上で私の全質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○阿部寿一 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。7日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。
本日はこれで散会いたします。
午後2時25分 散会...