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令和 3年度栃木県議会第384回通常会議-03月18日-07号
令和 3年 3月予算特別委員会(令和2年度)−03月18日-01号

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  1. 栃木県議会 2021-03-18
    令和 3年 3月予算特別委員会(令和2年度)−03月18日-01号


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    令和 3年 3月予算特別委員会(令和2年度)−03月18日-01号令和 3年 3月予算特別委員会(令和2年度)      予算特別委員会(総括質疑)会議記録 1 開会日時  令和3年3月18日(木)午前10時00分〜午後3時27分 2 場所  議事堂大会議室 3 委員氏名    委 員 長   五十嵐   清    副委員長   白 石 資 隆    委  員   石 坂   太           西 川 鎭 央           高 山 和 典           相 馬 政 二           池 田   忠           野 澤 和 一           中 島   宏           渡 辺 幸 子           松 井 正 一           保 母 欽一郎           青 木 克 明           螺 良 昭 人
    4 栃木県議会委員会条例第18条に基づき出席を求めた者の職氏名    知事             福 田 富 一    副知事            北 村 一 郎    副知事            岡 本 誠 司    総合政策部長         阿久澤 真 理    経営管理部長         茂 呂 和 巳    県民生活部長         千金楽   宏    環境森林部長         鈴 木 英 樹    保健福祉部長         海老名 英 治    産業労働観光部長       小 竹 欣 男    農政部長           鈴 木 正 人    県土整備部長         熊 倉 一 臣    国体・障害者スポーツ大会局長 石 松 英 昭    会計管理者会計局長      國 井 隆 弘    企業局長           矢 野 哲 也    総合政策部次長総合政策課長 仲 山 信 之    財政課長           野 間 哲 人    教育長            荒 川 政 利    代表監査委員         平 野 博 章    人事委員会事務局長      熊 倉 精 介    労働委員会事務局長      松 崎 禎 彦    警察本部長          野 井 祐 一 5 会議に付した事件 (1)付託議案(令和3年度当初予算関係)に関する総括質疑 6 その他の必要事項   なし           ────────────────────                午前10時00分 開会 ○五十嵐清 委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。  日程に先立ち申し上げます。  知事から発言の申出がありましたので、これを許します。  福田富一知事。 ◎福田 知事 委員長のお許しをいただきまして、一言ご報告申し上げます。  去る3月13日、芳賀町の養鶏場におきまして、県内初となる高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されました。  県では、同日中に栃木県鳥インフルエンザ対策本部及び鳥インフルエンザ現地対策本部を設置するとともに、一刻も早い防疫措置を講じるため、検査結果確定後、速やかに飼養鶏の殺処分を24時間体制で開始し、15日の早朝に完了いたしました。  その後、殺処分した鶏の埋却や鶏舎内の消毒などの防疫措置に取り組んでおり、明日にも一連の作業が完了する見込みとなっております。ご協力をいただいた関係各位に心から感謝申し上げます。  引き続き周辺農場等への警戒を行いながら、事案の終息に全力で取り組み、さらなる発生防止に万全を期してまいります。 ○五十嵐清 委員長 議事に入ります前に、一言ご挨拶申し上げます。  今般上程されている令和3年度当初予算案は、新型コロナウイルス感染症への対応や令和元年東日本台風被害からの復旧・復興に最優先で取り組むとともに、初年度となるとちぎ未来創造プランやとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)の推進を図ることとして編成されております。  委員各位には県民の負託に十分に応えられるよう、慎重かつ熱心な議論をお願いするとともに、執行部には簡潔かつ明瞭な答弁を期待いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。  本日の会議録署名委員に高山委員、松井委員を指名いたします。ご了承願います。  これより議事に入ります。  本委員会に付託されております令和3年度当初予算関係の第1号議案ほか24件の議案を一括して議題とし、質疑を行います。  発言通告者に対し発言を許します。  とちぎ自民党議員会螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 おはようございます。  とちぎ自民党議員会の螺良昭人でございます。令和3年度当初予算案に関する質疑について、私と石坂委員、西川委員、高山委員、渡辺委員の5人で伺います。  それでは、発言通告に従いまして順次質疑をさせていただきます。  初めに、新型コロナウイルスワクチンの優先接種について、保健福祉部長に伺います。  医療従事者に対する新型コロナウイルスワクチンの優先接種が、今月5日、開始されました。また、高齢者に対するワクチンの優先接種について、県は来月5日の週から各市町にワクチンの配送を開始します。国は1億回分を超えるワクチンを確保し、医療従事者に対するワクチンを5月10日の週までに、高齢者に対するワクチンを6月末までに都道府県に対し供給するとしておりますが、私が心配しているのは、高齢者に対する優先接種です。  県内約55万5,000人の高齢者に対し、県が国から供給時期を示されたワクチンの量は、本日現在で延べ約4万6,000回分であり、全体の約4%程度にしかすぎません。また、市町が当初の想定どおり3か月程度で接種を完了させるとなると、短い期間で多くの高齢者に対し接種しなければなりません。詳細な供給時期などが国から示されない中、市町が検討しなければならないことは、接種を担う医療従事者や会場の確保、ワクチンの保管など数多くあります。  そこで、高齢者に対するワクチンの優先接種について、市町の準備がどの程度進んでいるのか、また接種が円滑にできるよう市町が抱える課題に対して、県はどのような助言や支援を行っているのか、保健福祉部長にお伺いします。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 高齢者への優先接種につきましては、国からの試行的な配付の後、4月26日の週の配付によりまして全ての市町で接種が開始され、その後、必要なワクチンは6月末までに配付される見込みとなっております。  各市町におきましては、現在、地元医師会等の関係者と接種方式や会場等について具体的な協議を進めており、今後、接種実施計画を策定することとなりますが、現段階では集団接種が9市町、集団接種と個別接種との複合型が15市町、調整中が1市となっております。  こうした中、国の最新情報を迅速に収集し、市町からの照会に適切に対応するため、厚生労働省の自治体相談・支援チームに県職員をリエゾンとして派遣したところであります。引き続き、ワクチン接種体制確保推進会議などを通じまして、各市町の準備状況や課題を定期的に確認しながら、医療従事者の確保など必要な支援を行いますとともに、国や市町、医師会等と緊密に連携を図りまして、ワクチン接種が円滑に実施できる体制整備に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 委員長 螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 少し具体的にご説明をお願いしたいのですが、医療従事者は約6万7,000人いるのです。当然ワクチン接種を早急に完了していただきたいと思うわけでありますが、医療従事者に対する現在の接種状況と、接種をいつ頃までに完了させようと考えているのか、保健福祉部長にお伺いします。  また、その次に接種される基礎疾患を持つ人や高齢者施設などの従事者に対しても、接種を早急に完了させていただきたいと思います。対象は何人くらいいるのか、接種のスケジュールはどのようになっているのか、併せてお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 初めに、医療従事者の優先接種の状況でございますが、3月15日現在で約6,000人の方が接種を受けられた状況になっております。5月10日の週には、医療従事者等向けのワクチンの接種が完了する見込みと聞いておりますので、県としてもこれらの接種完了にしっかりと進めてまいりたいと思っております。  それから、基礎疾患を持つ方ですが、これは国から計算式が示されておりまして約12万3,000人、高齢者施設等の従事者につきましては約2万9,000人と推計しているところでございます。こちらのスケジュールが今後示される予定になっておりますが、こちらが示された暁には、速やかに市町のほうに情報提供していきたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 高齢者施設の従事者は、医療従事者の中に入っていなかったのですが、なるべく早くこちらをやらないと非常に問題があるのではないかと思っておりますので、約2万9,000人ということでありますが、国ともよく相談をしていただきたいと思います。  さらに、市町の集団接種会場の医療従事者、それから個別接種のかかりつけ医の確保状況というのが非常に心配であります。東京都では集団接種会場で医師等の確保が6割にとどまるという話もありますので、この点について保健福祉部長にお伺いします。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 現在、医療従事者の確保につきましては、県医師会などの医療関係団体に対しまして、私どもからもご協力をお願いしている状況でございます。それを踏まえながら各市町におきまして、地元医師会等と調整しながら医療従事者の確保を進めていただいている状況ですが、今後とも市町の状況を確認させていただきまして、状況に応じて改めて県からも関係団体の依頼等は行ってまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 この後、60歳未満の既往症をお持ちの方約12万3,000人、それから高齢施設従事者約2万9,000人、さらに64歳未満約118万人に栃木県内で接種していかなければならないことを考えますと、非常に大変な事業だと思っています。保健福祉部におかれましては、もう全力を挙げてこれに取り組んでいただくことを重ねてお願いいたします。  もう1点、副反応について不安に思う県民が多いと思うのですが、どのように対応していくのか、保健福祉部長にお伺いします。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 副反応などの専門的な相談を県民の方からお受けするワクチン受診相談センターを設置いたしまして、看護師等が相談に応じる体制を現在確保しております。また、国からも順次副反応に関する情報が出てくるかと思いますので、それらについては迅速に県民の方々へホームページなど様々な手段を使って情報発信していきたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 次に、第4波を回避するために、保健福祉部長にお伺いします。  新規感染者数や病床稼働率の推移が改善されたため、今月8日から県民に対する外出自粛要請が緩和されました。社会経済活動と感染対策を両立していくための第一歩だと考えております。しかし、手放しに喜べる状況ではありません。新型コロナウイルスの変異株が静かに確実に増加しています。変異株は感染力が強く、ワクチンの効果を低減させるものもあると言われております。変異株の感染者は現在少ない状況ですが、早晩主流となり、第4波の到来を警戒する専門家もおります。本県でも変異株に感染した患者は2名確認されており、感染力が強い変異株の感染拡大を心配する県民は多いのではないかと考えます。  国はこのような中、地域が迅速に感染対策を実施できるよう、変異株PCR検査の拡充など、監視体制を強化することを示しました。また、国は感染拡大に備え、都道府県に対し、病床確保計画の見直しと病床数の大幅な拡充を求める動きも見せております。感染力の強い変異株の陽性者は入院が原則なので、私は早い段階から全ての陽性者に対し変異株かどうかを確認し、適切な医療につなげる必要があると考えますが、県は変異株の監視体制のさらなる強化にどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いします。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 新型コロナウイルスの変異株による感染者数が国内外で増加しておりまして、本県といたしましてもその発生を早期に把握し、感染拡大防止対策につなげていくことが重要となっていると考えております。  県では、先月22日から保健環境センターにおきまして、英国等で報告されました変異株のスクリーニング検査を開始し、これまでに国が検査数の目安として示した陽性者数の5%から10%を上回る、約60%の検体の検査を実施したところでありますが、全て変異の疑いはないと確認しております。  一方、スクリーニング検査開始前の感染患者の検体の一部につきましては、国立感染症研究所での検査を依頼していたところでありますが、一昨日1名の検体が変異株であったことが判明いたしました。そのため今後、週1回実施している変異株のスクリーニング検査の実施頻度を高めるとともに、幅広い接触者等へのPCR検査もこれまで以上に徹底するなど、検査体制の強化を図ってまいります。  引き続き、変異株の早期発見に努めるとともに国や市町等と連携し、感染防止対策の徹底を呼びかけるなど、第4波を回避するための各種対策に適切に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 委員長 螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 実は新聞を見て、発病から1か月かからないと変異株だったというのが分からなかったのか、驚いたところであります。しかしながら、今の保健福祉部長の答弁で、頻度を上げていってスクリーニング検査などを行っていくということでお話を受けたので一安心したところであります。しかしながら栃木県において発症する人、検査を受ける方は1日何百人もいるわけではない、数十名ぐらいになるわけですから、これはもうきちんと検査体制を充実していただき、また病床の確保ということが非常に大切になりますのでよろしくお願いします。次の質問に移らせていただきます。  芳賀・宇都宮LRT事業について、知事に伺います。  宇都宮市と芳賀町が進める芳賀・宇都宮LRT事業は、本通常会議において各議員から指摘があったとおり、今回公表された事業費は当初の1.5倍にもなり、当初の見込みの甘さが目につくばかりか、特に公表の在り方については極めて遺憾であると言わざるを得ません。私は地元選出議員として先頭に立って推進してきた立場として、今回のてんまつについては信頼関係を著しく損ねるもので、非常に残念であり、憤りすら感じているところであります。県は、市と町に対して二度とこのようなことにならないよう、情報共有を強く申し入れた上で綿密に連携を図るべきであります。  しかしながら、LRT事業の開業に向けた期待は大きく、その波及効果は既に現れてきており、宇都宮駅東口整備事業や芳賀第2工業団地整備事業などの大規模開発や高層建築物の立地が進み、沿線の地価が上昇しております。また、宇都宮テクノポリスセンター地区では人口が急増し、この4月には新しい小学校が開校する予定であり、さらに芳賀町の祖陽が丘住宅団地もほぼ完売になるなど沿線住民の期待は日に日に高まっており、LRTを早く開業してほしいとの声は私のところにも多く届いております。  このような中、令和3年度当初予算に芳賀・宇都宮LRT整備事業費補助金が計上されました。この補助金はLRT事業の着実な進捗には欠かせないものと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 福田富一知事。 ◎福田 知事 芳賀・宇都宮LRT事業につきましては、本年1月に事業費増加や開業延期についての公表があったところですが、それ以降においても、公表時点における未契約の地権者等49名のうち新たに5名との契約を成立させ、残る全ての方々とも交渉が進められていると聞いております。また、鬼怒川左岸の橋梁工事や清原工業団地内の軌道工事がほぼ完了するなど、工事も着実に進んでいると聞いているところであります。  このような中、令和3年度当初予算には、既定の方針に基づきまして、芳賀・宇都宮LRT整備事業費補助金として4億5,200万円を計上するとともに、軌道法や都市計画法等の手続を円滑に進めていくため、今後とも必要な確認等を進めていくこととしております。  市と町に対しましては、まずは東側区間の開業に向けて全力を尽くすとともに、県民に対し、今般の経過を含め、より一層丁寧な説明を行うこと、情報共有を含めた十分な連携を図っていくことについて、引き続き強く求めてまいります。  LRT事業は、本県の質の高い公共交通ネットワークを形成するとともに、県央地域はもとより、県全域への幅広い波及効果が期待できる極めて重要な事業であると認識しております。今月21日には、LRTや鉄道、バスをキャッシュレスで乗り継ぐことができ、県も導入に向け支援を進めてまいりましたICカードtotoraの運用も開始されますことから、引き続き公共交通ネットワークの充実に向け、宇都宮市と芳賀町の取組を支援していく考えであります。 ○五十嵐清 委員長 螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 要望させていただきます。LRTは、地域公共交通ネットワークの要として不可欠な事業であることには変わりなく、交流の促進や雇用の確保、税収の効果など多岐にわたり県全体への効果が期待されます。このため県は市と町に対し、徹底したコスト削減、丁寧な説明を求めながら、一日も早く開業し、多くの県民の期待に応えられるよう求めていく必要があります。  この芳賀・宇都宮LRT整備事業費補助金は、宇都宮市街地開発組合の解散に伴う余剰金を、LRT事業の着実な実施に向け活用するという考えの下、始まったものであります。この趣旨を忘れることなく、新たな目標である令和5年3月の開業に向け、この補助金を有効に活用していただくよう要望し、次の質問に移ります。  特定家畜伝染病への対応についてお伺いします。  まず、高病原性鳥インフルエンザ対策の強化についてでありますが、環境中のウイルス濃度が相当高まっており、全国的に養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの発生が相次いでいます。本県を含めると18県で52例の発症が確認され、これまでに約1,000万羽に上る鶏が殺処分されており、このような中、先週の13日に本県の歴史上初めての事例となる高病原性鳥インフルエンザが芳賀町の養鶏場で発生し、夜を徹しての殺処分が行われるなど、周囲の農場を含めた対応が現在も続いております。  現在、大規模な養鶏場ではウインドレス鶏舎の導入が進められていますが、さらに農場のバイオセキュリティを高めるため、家畜伝染病予防法により消毒の実施や防鳥ネットの設置などが義務化されるなど、飼養に係る衛生水準は近年格段に高まっています。しかしながら、今回の発生事案を受け、今後の感染拡大や風評被害など、県内の養鶏農家の不安は募るばかりであり、第2の発生を防止するためにも、しっかりと原因を検証し、今後の対策につなげるべきであります。  そこで、県は今後の発生農場周辺の防疫措置をどのように進め、さらに今回の発生を踏まえた対策をどのように強化していくのか、知事にお伺いします。 ○五十嵐清 委員長 福田富一知事。 ◎福田 知事 県では、芳賀町の養鶏場での高病原性鳥インフルエンザの発生確認後、直ちに関係市町や関係団体の協力を得て、24時間体制で防疫措置を開始し、3月15日には殺処分が完了いたしました。現在、鶏の埋却、鶏舎の消毒等鋭意作業を進めております。明日中には一連の作業が完了できる見込みであります。発生直後に家畜伝染病予防法に基づき、発生農場周辺10キロメートル以内にある26の養鶏場等の生産物の搬出を制限したところでありますが、各養鶏場の清浄性を確認した上で迅速に国との協議を行い、現在は希望する全ての養鶏場において、区域外への搬出が可能となっております。
     今後は感染拡大を確実に防ぐため、幹線道路に設置しました5か所の消毒ポイントにおいて、畜産関係車両の消毒を継続して行ってまいります。また、発生農場等の経営への影響を最小限にとどめ、経営再建が図れるよう支援を行うとともに、引き続き、消費者に対して正しい情報を提供し、県産食肉や卵に対する風評被害の防止にも取り組んでまいります。さらに、防疫対策の強化を図るため、近日中に判明する国の疫学調査結果も踏まえて、県内の全養鶏場に対し、飼養衛生管理基準の徹底を繰り返し指導してまいります。加えて、野鳥の侵入を防止するための防鳥ネットの一層の整備を促進するとともに、農場に出入りする事業者に対し、防疫への理解、協力を改めて求める考えであります。  今後とも関係機関、団体と連携し、鳥インフルエンザ対策に万全を期してまいります。 ○五十嵐清 委員長 螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 要望させていただきます。  まずは家禽舎のバイオセキュリティを上げることが最も必要なのですが、それ以外にも鶏舎周囲に池などがあるのです。その池で伝染しますので、その池の水抜きをしたり、先ほど防鳥ネットの話も出ましたが、野鳥の飛来防止策を講じていただく。国の資料などには、集卵のラインの中から猫が飛び出して鳥を狙うなどの図柄も出ているのですし、ネズミとかがちょっとした裂け目から侵入しているという状況もあります。その辺りもバイオセキュリティを上げるためにももう一度確認をしていただいて、周りの池の水を抜いたり、それから倒木の枝打ちとか草木の枝打ちなどを行っていただきたい、そのように考えております。  次に、豚熱対策の強化について、環境森林部長に伺います。  豚熱については、昨年来、その感染源と言われる野生イノシシの感染が本県でも9頭確認されるなど、感染リスクが高まっています。本県は全国8位の産出額を誇る豚肉主産県であり、一たび豚熱が発生すれば、本県畜産業への影響はもとより、地域経済にも深刻な影響を及ぼします。  県はこれまで、野生イノシシの感染拡大を防止するため、経口ワクチンの散布を実施しておりますが、効果はなかなか出ていないとの声を聞きます。また、野生イノシシの防護柵や車両ゲートの設置支援を行っておりますが、ウイルスを持ち込まないためにはヨーロッパで行われているように、完全密閉型の豚舎が必要と感じております。  私は豚熱対策で最も効果的な方法は、野生イノシシの徹底的な捕獲であり、捕獲数は生息数の8割程度が適当と考えております。現在の推定生息数1万6,400頭からすると、年間1万3,120頭の捕獲が必要となります。これは県の捕獲目標1万3,000頭とほぼ同数ですが、過去3年間の捕獲実績は8,700頭から1万2,000頭程度で、目標に達していないとのことであります。捕獲目標を達成しなかった原因を十分に分析し、市町と共に捕獲強化に努める必要があると考えます。  そこで県は、新年度、市町と共に野生イノシシの捕獲強化にどのように取り組んでいくのか、環境森林部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 鈴木環境森林部長。 ◎鈴木 環境森林部長 県では、捕獲、防護、環境整備の3本柱を中心に、野生イノシシ対策を推進してまいりました。特に捕獲につきましては、従事者のご尽力もあり、捕獲数は増加し、生息数推定の結果では平成28年度に減少に転じましたが、これに伴い生息密度も下がり、捕獲の困難度が増していることや自然条件など様々な要因によりまして、目標には達しておりません。さらに、農業被害は依然として高い水準にあることや、豚熱の感染源となる懸念がありますことから、令和3年度の捕獲目標はこれまでの1万3,000頭を維持し、一層の対策を図ることとしております。  このため、引き続き国の交付金や県単独事業により、有害捕獲の実施主体でございます市町への経費支援や捕獲従事者に対する奨励金の助成を行いまして、捕獲意欲の向上を図ってまいります。  また、効果的・効率的な捕獲を行うため、市町と共にICTを活用した捕獲技術の実証・普及や技術研修を実施するほか、捕獲が難しい河川敷や渡良瀬遊水地などにおきましては、県自らが捕獲を行うなど、さらなる捕獲数の増加に努めてまいります。  今後とも市町や県猟友会等との緊密な連携の下、野生イノシシの捕獲強化に積極的に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 委員長 螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 イノシシは、年間4頭子供を産むわけですけれども、恐ろしいことに2頭以上亡くなると2回出産するんですね。それで数を増やしていくということがイノシシの生態として分かっているのですから、捕獲目標を立てたらしっかり捕獲目標まで達しないと、やはり大幅な減数は望めないということになりますので、ぜひ頑張っていただきたいと要望させていただきます。  さらに、この捕獲者への奨励金を捕獲頭数ごとに支援することを行っているのですが、日当も手厚く払うことができると聞いております。環境森林部長の考えを伺います。 ○五十嵐清 委員長 鈴木環境森林部長。 ◎鈴木 環境森林部長 ご指摘のとおり、県では市町を通じて捕獲頭数に応じた支援を行っているところですが、現行におきましても制度的には日当による支援もできると思っております。豚熱対策あるいは農業被害防止対策を進める上で捕獲の強化は大変重要だと私ども考えておりますので、今後とも現場の従事者の皆さん、それから市町の皆さんに十分ご意見をお伺いしながら、捕獲意欲の向上につながる支援に努めてまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 螺良昭人委員。 ◆螺良昭人 委員 愛知県とか滋賀県、豚熱の影響を非常に受けたところでは、日当制度を手厚く行っているのであります。要望いたしますが、ぜひとも捕獲する意欲を高める、そのようなことで行っていただければと思っております。  以上をもちまして私からの質疑を終了させていただきます。  ありがとうございました。 ○五十嵐清 委員長 石坂太委員。 ◆石坂太 委員 とちぎ自民党議員会の石坂でございます。引き続き、私からは4項目にわたって通告に従い質疑をさせていただきます。  初めに、県内企業との連携による気候変動対策の推進について、環境森林部長にお伺いいたします。  国において気候変動適応法が施行されてから2年が経過し、現在も様々な分野で気候変動による影響が深刻化しており、気候変動対策のさらなる強化が求められています。こうした中、県では今年度より気候変動適応センターを設置するとともに、今後5年間の施策の方向性などを示した気候変動対策推進計画の策定を進めており、新年度には気候変動対策課を新たに設置するなど、気候変動対策の強化を強く打ち出していただいていることは非常に期待するところであります。  また、昨年12月の通常会議における五十嵐清議員の代表質問において、知事からカーボンニュートラルの2050年の実現に向けた宣言があり、オール栃木で取り組んでいくとの表明もされたところであります。今通常会議におきましても、カーボンニュートラルの実現に関する質疑質問が多くなされ、その中で指摘されていたように、2050年の目標達成にはこれまで以上に関係機関と連携し、温室効果ガス排出削減などの対策である、いわゆる緩和策への取組をさらに加速していく必要があります。  一方で、地球温暖化による様々な影響が既に生じている中で、気候変動の被害を回避・軽減するための適応策も積極的に講じていく必要があります。気候変動対策を着実に進めていくためには、緩和策と適応策を両輪として展開していくことが重要であると同時に、経済と環境の好循環を生み出していくという視点から、ものづくり県である本県の特色を生かし、気候変動リスクをビジネスチャンスにつなげていくことで、全国に先駆けた気候変動対策の取組が進められるのではないかと考えています。  そこで県は、新年度予算に計上されている気候変動対策事業費を活用し、県内企業とどのような連携を図り、気候変動対策を進めていくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 鈴木環境森林部長。 ◎鈴木 環境森林部長 気候変動の影響が顕在化する中、県民の生活基盤を守り、持続可能で力強い本県経済を構築していくためには、ものづくり県としての強みを生かし、県内企業をはじめとする多様な関係者と連携を図りながら、気候変動対策を展開していくことが重要でございます。  このため新年度には、産学官金による気候変動連携フォーラム、仮称でございますが、こちらを立ち上げまして、多くの県内企業等の参加を募り、セミナーや交流会等を通じて気候変動が企業に及ぼす影響やその対応への理解促進、先進事例等についての情報提供を図っていくこととしております。  さらに、企業の個別相談等に応じるコーディネーターを配置いたしまして、気候変動対策につながる事業者間のマッチングを促進いたしますとともに、製品やサービス開発への補助制度を創設いたしまして、各企業が有する強みを生かした新たなビジネス等の創出を支援してまいります。  こうした啓発から事業化に至るまでの各段階に応じた本県ならではのきめ細かな支援によりまして、県内企業と連携・協働を図りながら、経済と環境の好循環につながる効果的な気候変動対策の推進に努めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 石坂太委員。 ◆石坂太 委員 ご答弁をいただきました。  産学官金とのフォーラムの構築であったり、事業者間のマッチングなどを通した気候変動対策ビジネスを創出する支援などを通して県内企業とも連携していくとのことで、大変期待するところであります。  国においては、適応策について大きく8分野に整理をして、影響と適応策の例示しておりますが、適応策というのは非常に幅広い分野・職種に通じると思いますので、できるだけ多くの企業の方に興味を持ってもらい、企業がそれぞれの技術力を生かして様々な課題の解決につながる取組となることを期待しています。  また、この事業を通じて採択されたものがさらにブラッシュアップされて、新年度予算に計上されているデジタルハブなどを活用して、さらに環境に対する地域課題に対応して新しいモデルとして栃木県から全国に拡大していく、大きな可能性を秘めている分野だと思いますので、引き続きの取組を要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。  本県農業の次代を見据えた研究開発の推進について農政部長にお伺いいたします。  現在の農業や食を取り巻く状況は、地球温暖化の進行や消費者ニーズの多様化などにより日々変化をしています。本県農業を持続的に成長させていくためには、こうした状況の変化に適応した品種や栽培技術の開発を継続して行っていく必要があると感じています。  これまで県では、農業試験場をはじめとする試験研究機関において様々な品目の品種開発を行っており、その中でも昨年7月に名称が決定したいちごの新品種「とちあいか」については、県農業試験場が開発したオリジナル品種であり、食味の良さはもちろん、収量の多さや病気に強いなど、消費者と生産者のいずれからも大変高い評価を得ているように感じています。一方で、地元の生産者からは、昨今の温暖化の影響による収穫期の遅れであったり、収量・品質の低下を心配する声も聞いています。  本県では、昨年の暖冬の影響により梨の開花が早まり、その時期に低温に当たったことで十分に着果せず、収穫量が例年の6割まで落ち込みました。また、米についても、昨夏の日照不足や長雨の影響などにより品質が低下し、3月4日に発表された20年産米の食味ランキングでは、残念ながら複数の品種で最高評価の特Aを逃す結果となりました。  このように、温暖化がもたらす農業への影響が顕在化していることから、栃木県の農産物が今後も高い収量や品質を維持していくためには、高温に強い品種の開発であったり、温暖化に適応した栽培技術の確立を早急に進める必要があると考えています。  そこで、県では本県農業の将来を見据え、気候変動などの課題に対応するため、今後どのように研究開発を進めていくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 鈴木農政部長。 ◎鈴木 農政部長 試験研究に係る5か年計画として、今年度、栃木県農業試験研究推進計画を策定いたしました。この計画では、本県のブランド力を高めるオリジナル品種の育成や気候変動に適応した生産技術の開発等を重点分野として位置づけまして、これらの研究開発を加速化することとしておりまして、研究費も未来農業創造研究費として別枠で確保いたしました。  これによりまして、最先端の遺伝子解析技術を活用した育種システムを開発しまして、高温適応力などを備えたイチゴの新品種の育成に取り組んでまいります。  また、近年の気候変動の影響を受けている水稲や梨については、ドローンや画像解析装置等を用いて、生産者が迅速に対応できるよう生育や病害虫発生の状況を早期に診断する技術などを開発しまして、品質向上や環境への負荷の低減につなげてまいります。  今後とも、大学や民間の研究機関との連携を一層進めまして、本県農業の競争力強化に向けて、研究開発を戦略的に進めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 石坂太委員。 ◆石坂太 委員 ご答弁をいただきました。  推進計画を策定し、予算も別枠で計上されて、競争力強化に向けてしっかりと対応していただけるということで、大変期待しております。栃木県の農業の維持発展のためにも、ぜひとも継続的な予算として計上していく必要があると思っておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。  ここで農政部長に再質問させていただきます。  平成27年に閣議決定された気候変動の影響への適応計画によりますと、現在よりも3度を超える高温になった場合、全国の水稲収量は北日本を除き減収するとの予測がされています。その対策の一つとして、高温に強い品種の開発や普及が進められています。  そのようなことを踏まえますと、高温に強く、食味においても高評価を得ている、県のオリジナル品種である米の「とちぎの星」をさらに普及させていくべきだと思いますが、そのためには昨年令和の大嘗祭に献上米に選定されたこの機を逃さずに、積極的なPRを行い、消費者にはブランドの定着を図りながら、一方でより広い地域での作付につなげるために、生産者には高温に強いという特徴を認知してもらうことが必要だと思います。  そこで、「とちぎの星」の販路拡大などを通して、ブランド力の向上を図りながら、普及促進にもつなげていく必要があると思いますが、今後どのような取組を進めるのか、農政部長に再質問させていただきます。 ○五十嵐清 委員長 鈴木農政部長。 ◎鈴木 農政部長 「とちぎの星」は高温に強いというだけでなく病気にも強く、また倒伏しにくい特徴を持ちまして、生産者の間にもそういった特徴が浸透しつつあります。種子の生産体制も整ってまいりましたので、令和3年度の作付は大幅に増加すると見込んでおります。この「とちぎの星」のブランドづくりを進めるためには、食味に優れた米を生産することも重要であると考えております。このため、農業団体と連携しまして「とちぎの星」の食味審査会を開催しまして、良食味米栽培の手引を新たに作成したいと考えております。  また、家庭での消費を拡大するため、今年度創設しましたとちぎプレミアム農産物、これは「にっこり」と「スカイベリー」ですが、ここに新たなラインナップとして「とちぎの星」を加えることとしまして、新年度はその認証基準づくりに努めてまいりたいと思っております。  今後とも農業団体と連携しまして、「とちぎの星」の食味向上を図りますとともに、消費者に対しては粒が大きくてしっかりとしていて、そして冷めてもおいしいと、そういった特徴をしっかりと伝えることで、「とちぎの星」のブランド力向上に努めてまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 石坂太委員。 ◆石坂太 委員 ご答弁いただきました。  種子の生産体制も整ってきたということで、大変安心しております。また、プレミアム農産物商品に追加ということで、ぜひいろいろな手法を使いながら積極的なPRをお願いしたいと思いますし、我々の世代、若い世代の生産者からも「とちぎの星」についての期待は非常に大きいので、ぜひとも引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。  今回は「とちぎの星」を例として再質問させていただきましたけれども、本県にはほかにも国内外に誇れる優良な品種が数多く開発されています。今後、高温に対応できる品種の開発をはじめ、気候変動に適応した栽培技術であったり省力化のための技術開発など、将来を見据えた研究開発をさらに加速させていただきたいと思いますし、それらの品種や技術を広く普及させていくことで、本県農産物の競争力につながっていくと思いますので、何とぞよろしくお願いして、次の質問に移らせていただきます。  農業人材の確保・育成について、引き続き農政部長にお伺いいたします。  このたび栃木県の農業政策の骨格となる新たな農業振興計画、とちぎ農業未来創生プランが公表となりました。この計画は、農業者の減少を最優先課題と捉え、成長産業として発展してきた本県農業を次世代に継承するため、「成長産業として持続的に発展する農業・栃木」を基本目標とし、その中において青年新規就農者を5年間で1,600人確保するとの目標が掲げられました。  県はこれまで、農業者の減少や高齢化が進行する中、新規就農者の確保・育成を図るために、産地が就農希望者に対して技術指導を行うとちぎ農業マイスターの設置支援など、様々な施策に取り組んできました。しかしながら、青年新規就農者は平成30年度の285人をピークに減少しており、ほかの産業との人材の獲得競争の中で、より多くの若い人材を確保するためには、高校生のときから農業への関心を高め、最先端の知識や技術を習得できる場を提供する環境整備を進めることが重要であり、これにより農業の道に進む若者が増えるのではないかと考えています。  先日、ICTを積極的に取り入れている農家の方と話をする機会がありましたが、今の子供たちは日常的にデジタル機器に触れていることから、就職後の仕事にもすぐに対応してくれるので助かるとの声を聞きました。今、例に挙げたお子さんは、非農家の家に育って農業経営の高校に進んだ女の子であります。こういった子を一人でも多く増やしていくことが必要だと思います。  そこで県は、新年度予算に計上されている次世代デジタル農業教育推進事業費を活用して、就農を志す若者を増やすためどのような取組を進めていくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 鈴木農政部長。 ◎鈴木 農政部長 次代を担う農業人材を確保・育成するためには、若者が興味を持って栽培技術を実践的に学べるよう、教育環境の充実を図ることが有効であると考えております。  このため、バーチャルリアリティーの技術を活用しまして、季節や回数の制約を受けずにイチゴや梨の栽培演習の仮想体験ができる教育システムを、令和6年度からの運用を目指しまして、農業大学校に整備してまいります。このシステムは、高校生の就農意欲の喚起や農業大学校への進学の促進にも有効と考えられますので、農業系高校での効果的な活用方法などを県教育委員会と連携し、検討してまいります。  加えまして、新年度からは、農業系高校の生徒に対しまして、オンラインにより農業大学校におけるスマート農業を紹介したり、農大生との交流の機会を設けるなどの連携も強化してまいります。  こうした取組によりまして、職業として農業を選択する若者を増やし、新規就農者の確保につなげてまいります。 ○五十嵐清 委員長 石坂太委員。 ◆石坂太 委員 ご答弁をいただきました。  実践的な教育の場を令和6年度から提供するために、来年度から予算を計上して運用を開始していくということで、大変期待をしています。また、バーチャルリアリティーを活用しての仮想体験であったり、農業大学校との連携した授業を展開するとのことで、大変期待するところであります。  私は農業にかかわらず、栃木県に若者が定着していくためには、雇用の創出はもちろんですが、併せて専門的な技術であったり専門的な知識を学べる場を積極的に整備して、そこで学んだ技術であったり知識を生かして、栃木県で生活していける、そのような人が循環していく環境を教育段階からつくり出していくことが必要だと思っております。そのためにはより専門的な知識や技術を学べる教育環境の整備を積極的に進めて、農業人材の確保・育成に向けて今後も積極的な支援をいただくことをご要望し、最後の質問に移らせていただきます。  スクールソーシャルワーカーの活用について、教育長にお伺いいたします。  近年、児童生徒の教育に対するニーズや価値観の多様化などにより、教育現場の在り方も日々変化を求められています。さらには、いじめや不登校などの問題が以前よりも複雑化しているほか、子供の貧困や児童虐待など、学校の中だけでは対応し切れない問題も表面化しています。  このような中、家庭や学校外の専門機関と連携して対応していく仕組みづくりを進めることが求められており、児童生徒が置かれている環境に働きかけ、家庭・学校・地域の間を取り持ち、児童生徒が抱える課題解決に向けて支援を行う福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーの役割はますます重要視されています。  県においても、より開かれた生徒指導体制の構築のために、現在10名のスクールソーシャルワーカーを配置し、チーム学校の実践に向けた取組を進めているところでありますが、現在の配置人員では賄い切れない状況も生じているように伺っています。また、共生社会の実現が求められている中、通常の学級において発達障害などのある児童生徒に対する適切な指導や、必要な支援の充実も図っていく必要があります。  このことから、文教警察委員会では「インクルーシブ教育システムの推進」を特定テーマに設定し、調査研究を行い、児童生徒の多様な教育的ニーズに対応していくため、その報告書においてスクールソーシャルワーカーを積極的に活用することが提案され、その増員と処遇改善を含めた人材の確保が提言されました。  私は、発達障害や児童虐待、貧困など児童生徒が抱える課題や取り巻く環境が複雑化・多様化していることを踏まえ、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを効果的に活用し、様々な事案に迅速かつ適切に対応できる支援体制の充実を図る必要があると考えています。  そこで県は、新年度予算にスクールソーシャルワーカー活用事業費を計上し、必要な人員を確保するとともに、資質の向上を図っていくこととしておりますが、具体的にはどのような支援体制の整備を進めていくのか、教育長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 荒川教育長。 ◎荒川 教育長 児童生徒が抱える課題の背景に家庭環境等の問題があるなど、学校だけでは対応困難な福祉的支援が必要な事案が増加しており、スクールソーシャルワーカーの必要性が高まっております。そのため、従来、各教育事務所に配置しておりましたスクールソーシャルワーカーを、新年度から中核市の宇都宮市を除く全中学校区を対象として、計22名を配置するとともに、優れた人材を確保するため報酬等の処遇改善を図ることといたしました。  また、県と市町が一体となり、福祉の専門的知識や技術を備えた人材の継続的な確保に向け、関係団体、大学等と連携した研修会を開催するなど、養成から活用まで一貫して行うとちぎモデルの構築を進めてまいります。  今後とも児童生徒の置かれた環境の改善に向け、市町等と連携・協力し、適切な役割分担の下、支援体制の充実に努めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 石坂太委員。 ◆石坂太 委員 ご答弁をいただきました。  教育事務所単位であったものを、議会からの報告書を受ける形で全中学校区に配置していただけるということで、大変感謝いたします。また、新年度から22名に増員して、処遇改善も図っていただけるということは大きな前進だと考えています。  また、制度の持続的な運用に向けて、専門的な知識を有した方々の継続的な確保にも養成研修などを通して取り組んでいただけるということで、大変期待しております。  ここで1点教育長に再質問させていただきます。  スクールソーシャルワーカーの方々は、解決が困難な課題に幅広く向き合っていくことから、スクールソーシャルワーカーの方々が課題解決を図っていくための助言を行う役割を担う人材も必要になってくると思いますが、このような点を踏まえ、教育委員会としてはどのような体制整備を進めていくのか、教育長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 荒川教育長。 ◎荒川 教育長 県教育委員会では、これまでもスーパーバイザーを配置いたしまして課題解決が困難な個別事案に対しまして、スクールソーシャルワーカーへの指導・助言を行ってまいりました。また、各教育事務所ごとに設けております連絡協議会を設置しておりますが、ここでの指導・助言等によりまして、スクールソーシャルワーカーの対応力の向上に努めているところであります。
     引き続きスーパーバイザーの配置、効果的な活用を通しまして、スクールソーシャルワーカーの支援に努めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 石坂太委員。 ◆石坂太 委員 ご答弁をいただきました。  スーパーバイザーの引き続きの配置であったり、連絡協議会での助言をしっかりとしていくということで、ぜひよろしくお願いいたします。また、今後配置されたスクールソーシャルワーカーの方々がより機能的に活動していくためには、市町が現在配置しているスクールソーシャルワーカーとの役割分担であったり、児童生徒や教職員、また保護者などとの人間関係の構築など、現時点で想定できる課題であったり、また想定していない課題も今後表面化してくると思いますので、より充実した学校環境の構築が図れるよう、県教育委員会としての引き続きのご支援を要望いたしまして、私の全ての質疑を終了させていただきます。  ありがとうございました。 ○五十嵐清 委員長 西川鎭央委員。 ◆西川鎭央 委員 とちぎ自民党議員会3人目の西川鎭央です。それでは、早速質疑に入ります。  最初に、社会資本の整備について、県土整備部長に伺います。  私たちが安全・安心に質の高い生活を送るためには、道路などの社会資本の整備が必要不可欠であります。  私が副委員長を務める県土整備委員会では、コロナ禍により現地視察はできなかったものの、各土木事務所管内の市町における社会資本の整備状況や要望などを聞き取り、社会資本の整備に関して市町が抱える課題の把握に努めてきました。また、私は一議員として、地元を中心に社会資本整備に対する要望をよく聞いておりますが、国庫補助金が入る戦略的、計画的な道路整備などはもちろん重要ですが、国庫補助金の入らない身近な生活道路などの整備も、県民生活には大変重要であると感じています。  さらに来年は、いちご一会とちぎ国体・いちご一会とちぎ大会が控えており、本県来県者に対しPRする絶好の機会であり、本県のイメージアップに向けた各会場周辺の交通安全施設の整備や街路樹の剪定・伐採など、おもてなしのための環境整備も重要であると考えております。  とちぎ自民党議員会では、これらに関する経費について要望してきたところでありますが、県は我が会派の要望を踏まえ、新年度予算に県単公共事業費として142億円余を計上しているところであります。そこで県は、県単公共事業費を活用し、身近な生活道路の整備やいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会開催におけるおもてなしのための環境整備について、来年度どのように取り組んでいくのか、県土整備部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 熊倉県土整備部長。 ◎熊倉 県土整備部長 県単公共事業は、国庫補助金や交付金の対象とならない小規模工事や維持管理等につきまして、きめ細かに対応するための重要な事業でございます。  このうち特に身近な生活道路につきましては、ビッグデータの活用などにより、地域の実情に即した小規模な歩道を整備するほか、防護柵を設置するなど、即効性のある交通安全対策を市町と連携して取り組みますとともに、舗装修繕や除草などの維持管理につきましても着実に進めてまいります。  また、来年10月に開催されるいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会に際しましては、選手や大会関係者等、全国各地から多くの方々に本県を訪れていただきます。このため、鉄道駅やインターチェンジ、競技会場周辺などにおきまして、街路樹の剪定等を行いますとともに、老朽化したガードレールや区画線を更新するなど、県土整備部といたしましてもおもてなしの心を持って安全で快適な道路環境整備を進めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 西川鎭央委員。 ◆西川鎭央 委員 地域の実情に合わせた整備をしていただけるということで、非常に期待しているところでございます。身近な生活道路などの整備は、県民生活に直結いたします。そして、国体関係のおもてなしの整備も、本県のイメージに関する重要な整備でありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  要望になりますが、道路整備などを行うのは地元の建設業者であります。本県では、令和元年東日本台風からの復旧・復興関連の工事などがあり、現在は公共事業関連の仕事が大変忙しいと聞いております。一方、将来を見据えれば、人材の確保や育成は大きな課題であるとも聞いております。建設業者が経営を維持していくためには、安定的・継続的な仕事と人材の確保が必要であります。地元の建設業者は災害時などの地域の守り手であり、地域になくてはならない存在であります。  このようなことから、我が会派では公共事業関連調査費を要望し、来年度予算に5億円計上していただいたところであります。この事業費を有効に活用し、公共事業の平準化や国から景気対策の補正予算が来た際に、速やかに対応できるようにしていただくことを要望して、次の質疑に入ります。  堤防強化緊急対策プロジェクトについて、県土整備部長に伺います。  近年、全国各地で豪雨等による災害が頻発化・激甚化しており、気候変動の影響により、今後も災害の発生が懸念されております。  県では、これまでハード・ソフト一体となった取組を推進しているところでありますが、一昨年に令和元年東日本台風が関東地方に上陸した際には、県内各地で計画規模を上回る大雨が降り、堤防の決壊等により県内各地で大規模な水害が発生し、多くの住宅等が浸水するなど、甚大な被害が生じました。この令和元年東日本台風からの復旧・復興については、全庁を挙げて取り組んでいるところであります。しかし、今後またこのような豪雨などの際、被害を最小限にするためには、ハード・ソフトの両面から対策を講じていく必要があります。私は特に、河川の氾濫が起きないよう、ハード対策をしっかりと行っていくことが重要であると考えております。  このような中、県は今年度から堤防強化緊急対策プロジェクトに取り組んでおり、とちぎ自民党議員会としても早急に事業を進めるため、事業費の上乗せを要望し、来年度は堤防強化緊急対策プロジェクト事業費30億円が計上されたところであります。  そこで、今後どのように堤防強化を進めていくのか、進捗状況を含め、県土整備部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 熊倉県土整備部長。 ◎熊倉 県土整備部長 堤防強化緊急対策プロジェクト事業では、台風等による出水時に弱点となりやすい橋梁などの構造物周辺や河川の屈曲部などのうち、早急な対策が必要な約600か所を抽出いたしまして、堤防幅を厚くする腹付け盛土やコンクリートなどで覆う巻堤など、越水しても破堤させない粘り強い堤防の整備を進めているところです。  今年度は、災害復旧と併せて実施する必要がある箇所など、特に緊急性が高い100か所余におきまして、巻堤等の工事を進めますほか、腹付け盛土のための用地買収にも着手したところでございます。  さらに新年度は、さきの台風等で堤防等の被害はなかったものの、市街地に隣接するなど、破堤時の影響が大きい約200か所の整備に着手いたします。  残る箇所につきましても、事業導入に向けた調査を進めるなど、引き続きスピード感を持って本事業を推進してまいります。 ○五十嵐清 委員長 西川鎭央委員。 ◆西川鎭央 委員 再質問させていただきます。  部長から堤防強化について、腹付けや盛土といったご答弁をいただきましたが、河川では上流から下流へ多くの土砂等が流れてくるわけです。堆積土がたまると河川が十分な流下能力を確保できず、豪雨などの際に河川の溢水、氾濫などの可能性が高まります。そのため、ハード対策の中で堆積土除去を行うことも重要であります。除去した土砂は堤防強化にも活用できるため、堤防強化と合わせて堆積土除去を行っていくことが、県民の生命・財産を守ることに直結すると考えます。  実際に、県民の皆さんから河川の堆積土除去に関する要望は非常に多く、いつ災害が起こるか分からない中、早急な実施が望まれています。  そこで、新年度どのように堆積土除去を進めていくのか、県土整備部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 熊倉県土整備部長。 ◎熊倉 県土整備部長 堆積土除去につきましては、令和元年東日本台風直後、直ちに河川の状況を調査確認いたしまして、宇都宮市の田川の宮の橋周辺や、さくら市の荒川の連城橋周辺などの非常に緊急性が高い箇所については直ちに対応を実施するなど、鋭意対策を進めてきたところでございます。この堆積土除去は非常に維持管理的な要素も強いため、点検やパトロール結果等を踏まえた継続的な取組が必要です。今後とも優先箇所を見極めながら、計画的に実施していく考えでございます。  特にご指摘ございました堆積土除去の土砂についてですが、堤防強化緊急対策プロジェクト事業に流用することで、いわゆる腹付け盛土の盛土材として活用することで、運搬費の圧縮や費用対効果が非常に高まります。そういった意味では、事業効果が最大限高まるとともに、事業進捗が高まりますよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、国におきましては、令和2年度から5か年間の間、償還に当たり財政措置が有利な地方債を創設していただきましたので、これも最大限活用してまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 西川鎭央委員。 ◆西川鎭央 委員 地元ニーズに応え、安全・安心な県民目線での必要なインフラ整備をきちんと進めていただくため、とちぎ自民党議員会では政務調査会が中心となり予算要望を行ってきました。そして、予算が計上されたからには執行部の皆さんには確実な実施をお願いいたします。  また、堆積土除去については、緊急防災・減災事業も含め、先ほど県土整備部長からご説明がありましたが、償還に当たっての財政措置が有利で、国からの交付金も期待できる地方債の対象となる特例措置があり、起債の時期が令和2年度から6年度の5年間でありますので、今、集中的、積極的に進めていただくことを強く要望して、次の質問に入ります。  PPAモデルの普及について、環境森林部長に伺います。  地球温暖化による気候変動が国際的な問題となり、温室効果ガスの排出を防ぎ、環境への負荷を低減させていくことが喫緊の課題となっております。私は、今通常会議の一般質問の際にも言いましたが、県民や企業、団体などあらゆる主体と協力して、相当な覚悟を持って取り組まなければ、カーボンニュートラルの実現は不可能だと考えています。そして、県民や企業、団体はまず身近なところから取組を始める必要もありますが、カーボンニュートラルの実現に向けては電力のグリーン化が不可欠であります。  全国では、電力の約9割を火力発電に頼っており、本県も同様の傾向だと聞いております。グリーン社会実現のためには、火力発電に頼るのではなく、再生可能エネルギーでの発電を促進し、CO2排出の削減が必要であります。また、再生可能エネルギーの中でも太陽光発電は企業等が設置しやすく、その中でも初期費用ゼロで自家消費型の太陽光発電を設置し、電力購入契約をする、いわゆるPPAモデルは事業者が太陽光パネルと蓄電池を設置しやすく、CO2排出削減や非常用電源になる上に、エネルギー自給率の向上にもつながります。現在は1キロワット当たり5万円の国の補助事業もあり、事業者が有利な条件で契約が可能となるため、PPAモデルの普及を促進していくべきと考えます。  一方で、民間事業者の協力を仰ぐだけではなく、県有施設こそ率先してPPAモデルを導入してCO2削減をするべきと考えます。そこで、県は新年度当初予算に地域活用型電源導入推進事業費を計上していますが、今後PPAモデルの県内への普及や県有施設への率先的な導入にどのように取り組んでいくのか、環境森林部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 鈴木環境森林部長。 ◎鈴木 環境森林部長 PPAモデルは、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を図るための方策として、大変有効な仕組みの一つと考えております。また、PPAモデルを活用して自家消費型の太陽光発電設備の導入を図ることは、初期コストゼロということはもとより、エネルギーのグリーン化に加え、EV充電器を設置し、災害時にEVを介して避難所等への電源供給が可能となるなど、多くのメリットを有しております。  新年度は、これらの利点を様々な機会を通して広く情報発信いたしますとともに、地域活用型電源導入推進事業費を活用し、PPAモデルを提供する企業の協力も得ながら、県内の事業場等に対し、積極的に働きかけを行っていく考えでございます。また、県有施設につきましては、本事業によりましてPPAモデルに適した施設規模や契約条件、CO2削減効果等について総合的に調査をいたしまして、この結果を広く公表していくことにより県有施設はもとより幅広い施設への設置を促進してまいります。  これらの取組を通じまして、PPAモデルが県内に広く普及していくよう努めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 西川鎭央委員。 ◆西川鎭央 委員 環境森林部長に再質問いたします。  こうした自家消費型の太陽光発電設備は、CO2排出削減だけではなく、先ほどもご説明がありましたが、災害時の電源強靱化などの効果も期待でき、県は新たな環境基本計画において、地域電源供給拠点の整備目標を50か所として掲げています。  そこで、地域電源供給拠点の整備促進に今後どのように取り組んでいくのか、環境森林部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 鈴木環境森林部長。 ◎鈴木 環境森林部長 PPAモデルですが、現状ですと出力250キロワット以上が採算の目安と伺っております。この250キロワットは、一般家庭用のものでいいますと50戸分以上に相当するということで、全国的にも敷地面積が10ヘクタールほどの大型のショッピングモールなどに導入されているという状況です。このため、まずはこうしたショッピングモールや大型の工場等を中心に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。  こうした事業場におきましては、急速充電器の設置により、平時においてはお客様や従業員のEVの充電に使えます。そして、緊急時は先ほど申し上げましたように、電源の供給等を行うことにより、企業にとっては社会貢献にもつながるものと考えております。さらに現在は国も新たな支援制度を設けているところですので、こうしたメリットを丁寧にご説明して、目標の達成に向け進めてまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 西川鎭央委員。 ◆西川鎭央 委員 まだ試験的な状況にあるPPAモデルの普及はカーボンニュートラルの実現のために必要なことだと私は考えております。また、環境森林部長の答弁にあったように、県が補助する急速充電器の設置が進めば、将来災害時などにその設置拠点から電気自動車であるEVによる避難所等への電力の供給が可能になるなど、CO2排出削減以外の効果も期待できることから、ぜひこの事業を推進していただきたいと思います。  特に、県有施設へのPPAモデルの導入と急速充電器の設置は、災害時のみならず、先ほどの答弁にもありましたが、地域貢献の観点から率先して取り組むべきと考えております。既存の施設をはじめ新たな県有施設へも幅広く導入することで、地域の模範となるモデル的な取組を要望いたします。そして、これらの取組は、本県の電力自給率の向上にも寄与することになりますので、しっかり普及に取り組むことを要望して、次の質疑に入ります。  施設園芸の振興について農政部長に伺います。  本県では、冬場の日照時間が長く、東京市場に近いなどの有利な条件を生かして、イチゴやトマトなどの施設園芸が盛んに行われています。これらの品目は、農業者の高い技術力なども加わり、単位面積当たりの収穫量が全国でもトップクラスとなるほか、市場からは品質の良さも高く評価されております。また、県は平成29年度から高度な施設園芸と大規模な露地野菜産地が県内各地に広がり、収益性の高い園芸生産を目指す園芸大国とちぎづくりを推進してきました。私は施設園芸は市場単価の高い時期に出荷が可能となることや、露地よりも品質の良いものを生産できるなどのメリットがあることから、本県園芸をさらに伸ばしていくためには、露地野菜の生産拡大とともに、施設園芸についてもこれまで以上に推進していくべきと考えております。  本県には、生産量が全国でもトップクラスのニラや梨に加え、近年若い生産者を中心に生産拡大しているアスパラガスなど、まだまだ伸び代の大きい品目が数多くあります。また、私の地元には温泉なすや春菊など、生産量は少なくとも農家が自信を持って生産している品目もあります。  そこで県は、来年度当初予算に施設園芸拡大プロジェクト事業費を計上し、施設園芸品目の生産拡大を図るとしていますが、これらの伸び代の大きい品目をイチゴに次ぐ品目としてどのように育成していくのか、また生産量の少ない施設園芸品目の生産拡大をどのように図っていくのか、農政部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 鈴木農政部長。 ◎鈴木 農政部長 ニラ、アスパラガス、梨をイチゴに次ぐ本県の主力品目に育てていくためには、産地の生産力の強化に向けまして単収の向上と栽培面積の拡大を図っていく必要があります。単収の向上を図るため、県が育成したニラの「ゆめみどり」や梨の「にっこり」などの収量性に優れた品種の普及拡大を一層進めてまいりますとともに、ニラ、アスパラガス等を対象に、地下水でハウス内を保温して出荷期間を延ばすことで収量を向上させるウォーターカーテン技術の導入を促進してまいります。  また、作業の省力化により生産者の規模拡大を促進するため、これまでよりも間口が広く強靱なパイプハウスを用いた効率的な生産モデルの開発を進めますとともに、収穫物の選別や箱詰めなどの作業を分業化できるパッケージセンターの整備を支援してまいります。  さらに、現在は生産量が少なくても、地域として産地づくりを目指す品目については、県としても積極的に支援してまいる考えであります。  今後ともきめ細かな生産技術や経営の指導に加えまして、制度融資や補助事業を用いながら、施設園芸のさらなる生産拡大を図ってまいります。 ○五十嵐清 委員長 西川鎭央委員。 ◆西川鎭央 委員 今ご答弁をいただきましたが、ぜひイチゴ以外の品目にもさらなるご支援をいただきたいと思います。ここで再質問いたします。  今般のコロナ禍において、施設園芸品目も需要の変化に伴い価格が下落したものもあります。例えば、私の地元の菊農家では、イベントや式典、行事などが縮小され、経営に大きく影響を受けていると聞きます。  そこで、新しい生活様式が定着していく中、担い手の育成を含め、アフターコロナを見据えた花卉振興が重要と考えますが、どのように花卉の需要拡大や支援に取り組んでいくのか、農政部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 鈴木農政部長。 ◎鈴木 農政部長 委員ご指摘のとおり、花卉については昨年のコロナ禍において影響を受けました。県では生産者の経営の継続に向けて支援しますとともに、需要拡大に向けて民間企業との連携により公共施設や駅などにおきまして、飾花展示、飾るということを388か所で3,749回行いました。また、とちぎ花センターを会場に、花と苺のフェスティバルを開催するなど、県産花卉のPRを行ってきたところであります。  今現在も価格面で一定の影響を受けている、そういった品目もございます。一方、家庭向けの花卉の需要が高まるなど、そういったことも見受けられております。引き続き農業団体や企業などと連携しまして、需要拡大の取組を進めてまいります。また、生産者に対しては消費者のニーズを捉えた品種の選定、さらには気候変動に対応できるような技術、助言も進めてまいりたいと考えております。  ご質問のありました担い手の育成でありますが、今年度産地において就農希望者がベテランの生産者からマンツーマンで指導を受ける、とちぎ農業マイスター制度を創設いたしましたので、その活用も促進しながら担い手の育成にも努めてまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 西川鎭央委員。 ◆西川鎭央 委員 ご答弁いただきましてありがとうございます。  私の地元で言えば、40代、50代といった次の世代は着実に育ってきています。しかし、今回の新型コロナウイルスの感染拡大などによる価格変動がありまして、外的要因には農家個人では対応の限界があると思いますので、このような場合、農家が施設園芸を続けられないといったことがないように、ぜひ時代に合った必要な施策を展開していただくようお願いして、私の質疑を終了いたします。 ○五十嵐清 委員長 この際、休憩したいと思います。午前11時35分から再開いたします。  休憩いたします。                  午前11時25分 休憩             ────────────────────                  午前11時35分 再開 ○五十嵐清 委員長 委員会を再開いたします。  引き続き総括質疑を行います。  発言通告者に対し発言を許します。  高山和典委員。 ◆高山和典 委員 皆さん、こんにちは。とちぎ自民党議員会4人目となります高山和典です。では、早速質疑に入らせていただきます。  まず、防災情報の発信力強化について、県民生活部長にお伺いいたします。  本県に甚大な被害をもたらした令和元年東日本台風、最近では福島県沖地震や足利市において発生した林野火災など、近年の頻発化・激甚化する災害から県民の命を守るために、県として防災情報の発信力を強化し、災害時に県民が適切な避難行動を取れるようにしていくこと、日頃から防災意識の醸成に努めていくことが必要だと思います。  防災情報の発信については、可能な限り多くの手段を用いて迅速に正確な情報を分かりやすく発信することが必要であり、県においては県民向け防災メール等による情報発信など、あらゆる自然災害を対象に様々なシステムを運用し、防災情報の県民への周知や身を守るための啓発、災害時における対応等のために活用してきました。  多くの人々の間でスマートフォンやタブレット型パソコンが普及している現在、SNSを活用することによってより多くの県民に情報を伝達することが可能となり、適切な避難行動や防災意識の高揚を図ることにつながるため、さらなるSNSの活用に早急に取り組むべきものと考えます。  そこで、県では新年度予算に防災情報発信力強化事業費を計上し、LINEなどを活用した情報発信に取り組むと聞いていますが、今後、防災情報の発信力の強化にどのように取り組んでいくのか、県民生活部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 千金楽県民生活部長。 ◎千金楽 県民生活部長 災害時に住民の命を守るためには、正しい情報を迅速に提供することが重要であり、県ではこれまで防災行政ネットワークや防災メールの整備を進めるとともに、市町に対しまして情報発信手段の多重化を働きかけてまいりました。また、住民の適時適切な避難行動を促すため、リーフレットやホームページ等の様々な広報媒体を活用し、普及啓発を図ってきたところであります。  さらに新年度には、身近な情報収集手段として幅広い層に普及しているスマートフォンを活用することとしまして、SNSの一つである県公式LINEに防災に関する情報を分かりやすく集約し、災害時には避難所に関する情報へ容易にアクセスできるようにするとともに、平時からハザードマップや防災の備えに関する情報を提供することとしております。  引き続き市町と連携して、防災情報の発信力の強化に積極的に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 委員長 高山和典委員。
    ◆高山和典 委員 ただいまご答弁いただきましたが、情報発信の強化と同時に受け手を増やすことも重要だと思います。既にある県の公式LINEを活用するため、約1万2,000人を超える一定の登録者数は確保されますが、今の時代、スマートフォンを持っている児童や生徒も多数いると思います。学校における周知に積極的に取り組むことも効果的と考えます。個人情報の保護等、注意しなければならない点多々ありますが、この事業には非常に期待しておりますので、ありとあらゆる機会を活用しまして普及に努めていただくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。  循環器病対策の推進について、保健福祉部長にお伺いいたします。  本県では、脳血管疾患や虚血性心疾患など循環器病による死亡率が高く、県内における死因の約4分の1を占めており、全国と比較してもその割合は高くなっています。また、長年にわたって各種対策を講じてきた結果、その数は年々減少傾向にあるものの、全国と比較しますと年齢調整死亡率はいまだに高い状態にあり、大きな課題となっています。  このような中、国ではいわゆる脳卒中・循環器病対策基本法が施行され、県では現在、基本法に基づき、循環器病の年齢調整死亡率の減少及び3年以上の健康寿命の延伸を全体目標とした栃木県循環器病対策推進計画を策定し、地域の健康課題に応じた予防対策、病期に応じた医療提供・連携体制の構築、在宅療養が可能な環境の整備などに重点的に取り組んでいくこととしており、今後の対策のより一層の推進に大きな期待を寄せているところです。  また、現在、新型コロナウイルス感染症について、循環器病の患者はやはり重症化しやすく、死亡率も高くなると言われていることから、新型コロナウイルス感染症対策の観点からも循環器病対策を推進していくことは重要だと考えています。  そこで、県では新年度予算に循環器病在宅療養支援体制整備事業費などを計上していますが、循環器病対策のより一層の推進に向け、今後具体的にどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いします。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 循環器病は再発のリスクが高く、また再発により重症化につながりやすい疾患でありますので、循環器病患者が急性期の治療を終えて在宅療養に移行した後も、再発の予防に取り組めるよう支援することが重要であると考えております。  このため新年度は、在宅での療養支援で重要な役割を担う訪問看護ステーション等の看護師を対象に、再発予防等に関する研修会を開催するとともに、患者と医療従事者が共通で使用できる在宅療養ガイドブックを作成いたしまして、患者及び家族による療養中のセルフケアのほか、支援に関わる多職種の医療関係者間の情報共有や連携の促進に活用してまいります。  また、これら在宅療養の環境整備を含めまして、今年度内に策定予定の栃木県循環器病対策推進計画に基づき、予防や医療など総合的に取り組むことによりまして、循環器病対策のより一層の推進に努めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 高山和典委員。 ◆高山和典 委員 循環器病などの生活習慣病は、私を含め誰にでも身近で深刻な問題だと思います。  次年度については、在宅等生活の場に復帰した患者の割合が増加傾向にあることも踏まえ、在宅療養支援に係るガイドブックを作成するとのことですが、作成段階から県内の医療機関や医療従事者と連携し、県内全域で活用される実効性の高いものとするよう取り組んでいただきますよう要望いたしまして、次の質問に移ります。  スタートアップ企業支援事業について、産業労働観光部長にお伺いします。  新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、本県経済にも深刻な影響を与え、休廃業した事業者の数や失業者の数も増加し、特に観光関連業界や飲食業界などを中心に、今なお苦しい状態が続いており、国、県、市町も支援金の交付等に加え、消費喚起などの支援対策に取り組んできましたが、まだまだ回復には程遠い状態だと思います。  また、マスクの着用、換気などによる3密の回避や手洗い、手指の消毒、テレワークの実施、不要不急の外出自粛など、私たちの生活様式にも大きな変化をもたらしました。  一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応や、新しい生活様式への対応は、今までになかった新たなサービスや雇用を生み出す大きなチャンスとも考えられるため、本県経済の回復に向けて、世の中の課題を解決する新サービスを創出し急成長するスタートアップ企業を支援することも重要です。  私も地元で創業に関する相談を受けることがありますが、県内には新たなサービスや雇用を生むことにつながるいろいろなアイデアを持っている方々がたくさんいるものの、創業するためのスキルの習得、資金調達などの課題を解決できず、せっかくのアイデアが実現に結びつかず、ビジネスチャンスを逃している例も多いのではないかと考えます。  そこで、県では新年度予算にスタートアップ企業支援事業費を計上していますが、スタートアップ企業の創業支援について、具体的にどのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 小竹産業労働観光部長。 ◎小竹 産業労働観光部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、AI、IoT等の未来技術の進歩に伴います社会の変革期にあって、スタートアップ企業にはこれまでなかった新しいサービスや雇用の創出、短期間での事業拡大が大いに期待されております。  一方、本県のスタートアップ企業数は、他県と比較しまして少ない状況となっており、好事例に触れる機会の確保など、スタートアップ企業の創業促進に向けましたさらなる支援が必要と考えております。  そこで県では、新年度、スタートアップ企業を創業する意欲や能力を有する人材を広く発掘いたしますとともに、ビジョンの明確化、具体化からビジネスプランの策定及びブラッシュアップまで、伴走型により育成、支援いたしますプログラムを実施することといたしました。  また、資金の確保も重要でありますことから、県制度融資の創業支援資金や投資家等とのマッチング支援などにより、多様な資金調達機会の提供を図ることとしております。  今後とも関係機関等と緊密に連携を図りながら、スタートアップ企業の創業から創業後の事業展開まで、切れ目のない支援体制の構築に積極的に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 委員長 高山和典委員。 ◆高山和典 委員 ただいま伴走型の支援をしていくとご答弁いただきました。現在、策定中の新とちぎ産業成長戦略において、毎年25人の創業者数の増加を目指すという目標値を設定するとのことであり、私はこのコロナ禍の中、この夢ある事業に非常に期待しております。具体的な目標値も持った上で、可能な限り多くのスタートアップ企業の創業に結びつくよう積極的な取組をお願いして、次の質疑に移ります。  とちぎ型大使館外交の推進について、知事にお伺いいたします。  昨年来の新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大への対応は、我が国においてもワクチン接種の段階となり、感染の抑制に期待が高まっておりますが、季節性インフルエンザのように不安感がなくなる、いわば終息と言えるような状態になるまであと一、二年必要とも言われており、これまでのような海外での活動は当面難しいのではないかと考えられます。  このような中、知事は昨年11月に行われました知事選挙における公約集の中で、「とちぎの力を『伸ばす』」として、駐日大使等へのとちぎ型大使館外交の展開を掲げました。また、県は、新年度からの5年間における国際化の考え方や取組の方向性を示すとちぎ国際戦略を策定しており、この戦略にも県産品等の海外販路開拓支援として駐日大使館や在外公館でのプロモーションによるブランド力の向上を掲げているところであります。  人口減少が進み、国内マーケットが縮小していく中では、旺盛な海外の需要を取り込んでいくことが重要であることから、我が会派においても、県が令和元年12月にベトナム、タイで実施したトップセールスで築いた関係性をより強固なものとするよう要望しており、コロナ禍にあっても、県が重要なターゲットとしている国・地域への継続的かつ戦略的な展開を図る必要があると考えます。  そこで県は、新年度予算にとちぎ型大使館外交推進事業費を計上しておりますが、今後どのように大使館外交に取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 福田富一知事。 ◎福田 知事 本格的な人口減少社会の到来による国内需要の縮小が進む中、将来にわたり本県の活力を維持するためには、経済のグローバル化への的確な対応と、県内企業等の海外展開支援に継続して取り組むことが重要であります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、海外での直接の事業展開が困難となったことから、コロナ禍にあっても実施可能な新たな取組が必要となっております。  こうした中、日本国内には文化交流はもとより、経済協力関係の推進も担う大使館等が各国政府により設置されており、本国に対し大きな影響力を持つ大使に、本県の有する魅力・実力を発信することは、県内経済の活性化に向けて極めて有効な手段の一つであると考えております。このため、まずは一昨年にトップセールスを行ったタイ、ベトナム、本県へのインバウンドが最も期待される台湾、県産品等の販路開拓先として有望なアメリカの駐日大使館等を私自ら訪問し、大使との信頼関係を構築しながら、本県の魅力を余すことなくPRしてまいることといたしました。  また、大使を本県にお招きし、豊かな自然、歴史、文化、食など様々な本県の魅力を実体験していただくとともに、大使館による経済や観光セミナーを併せて開催するなど、互恵的な関係づくりを進めてまいります。さらに、この大使館外交を現在策定中のとちぎ国際戦略のターゲット国全般へと展開し、世界から選ばれるとちぎづくりを推進してまいります。 ○五十嵐清 委員長 高山和典委員。 ◆高山和典 委員 知事から、重要なターゲットとしている国や地域の大使館を対象に取組を積極的に展開していくとの力強いご答弁をいただきました。  世界から選ばれるとちぎの実現に向け、まずアフターコロナにおいてスタートダッシュにつながるよう取り組んでいただきますよう強く要望しまして、次の質問に移らせていただきます。  地域農業の維持について、農政部長にお伺いいたします。  本県の令和元年度の農地面積は、県土全体の約2割となります12万2,000ヘクタールであり、その農地の約8割を水田が占めています。こうした農地は、農業生産のみならず、水資源の涵養や生物多様性の維持保全など、様々な機能を有しており、本県の貴重な財産となっております。  近年、農業者の減少や高齢化は急速に進行し、基幹的農業従事者数は平成12年から20年間で4割減となる4万2,855人まで減少し、その平均年齢は67.3歳と5.5歳上昇しております。  私の地元下野市を見ますと、基幹的農業従事者数のうち70歳以上の割合は45.6%と、県平均よりも低いことから、現時点では比較的元気な地域ではないかと考えておりますが、今後の10年を見据えますと、現在の70代の農業者の多くがリタイアすることが予想され、近い将来、農地の維持管理が困難となるのではないかと心配しています。  県は、新たな農業振興計画、とちぎ農業未来創生プランにおいて、急激に進む人口減少に的確に対応し、地域の農業を持続的に支える仕組みとなりますとちぎ広域営農システムの構築に最優先に取り組むこととしており、地域農業を担う中心的な農業者の確保・育成に取り組むとともに、地域住民の参画によりこれら担い手を支える仕組みづくりを行うこととしています。  私は、高齢化の進行により、地域住民そのものが減少することが地域農業を支える住民の参画にも大きな影響を及ぼすのではないかと考えており、地域住民が農業の大切さを理解し、積極的に協働活動に参画できるよう、その理解を深めていくこと、これが急務だと考えます。  そこで、県は新年度からとちぎ広域営農システムを構築するに当たり、地域住民による担い手支援をどのように進めようとしているのか、農政部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 鈴木農政部長。 ◎鈴木 農政部長 とちぎ広域営農システムの構築に向けては、水路や農道などの維持管理に地域ぐるみで取り組むことが重要であり、多面的機能支払制度の活用を進めていくことが有効であると考えております。  しかし、本制度の取組状況は本県の農振農用地の約4割にとどまり、地域により取組の格差も見られることから、新規に取り組む地域の一層の拡大を図る必要があります。このため、本制度の推進主体である市町へのキャラバン活動を実施しますとともに、事務局体制が整い、比較的容易に取組が開始できる土地改良区等に、本制度の活用を働きかけてまいります。  また、既に本制度に取り組んでいる地域においても、非農家の活動への参加を一層促進していく必要があります。このため市町の広報誌や自治会の住民説明会を通して、農業・農村が持つ多くの機能、具体的には食料の生産、洪水の防止、良好な景観の保全などの機能でありますが、その機能の理解促進を図ることで、地域全体で農村を守っていく機運を高めてまいります。  今後とも市町と連携しまして、地域の力を結集したとちぎ広域営農システムづくりを着実に進め、本県農業の維持発展につなげてまいります。 ○五十嵐清 委員長 高山和典委員。 ◆高山和典 委員 ただいま多面的機能支払制度を活用して、地域農業の担い手を地域の力で支援する取組を推進していく旨の答弁をいただきました。  とちぎ広域営農システムは、農業を農業者だけではなく、地域の人々全体で支え、未来につないでいくすばらしいものだと思います。システムの土台となる担い手支援にしっかりと取り組んでいただいて、システム構築を進めていただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わりとさせていただきます。  ありがとうございました。 ○五十嵐清 委員長 渡辺幸子委員。 ◆渡辺幸子 委員 とちぎ自民党議員会から最後の登壇者となりました渡辺幸子です。早速、新年度新たに取組が始まる事業を中心に、5項目質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  初めに、若年有権者・未来の有権者啓発事業について、総合政策部長にお伺いいたします。  これまでの各種選挙なのですが、県が公表している投票率は、前回の衆議院選挙で51.65%、県議会議員の選挙で40.44%、参議院選挙で44.14%、知事選挙では38.73%と、投票率の低下が続いております。年齢別では、特に18歳から30代前半の投票率が低く、直近の全県選挙である昨年の知事選挙で20代前半の投票率は19.69%という結果でした。  若年有権者の投票率は、栃木県の若い世代が地域の未来を考えているかどうか、一つの指標になっている数字だと思っています。私は、若い世代こそ、今どんな政治が行われているかで、10年後、20年後の自分たちの生活が変わってくるのだということ、これは例えば、今当然のように実施されている行政サービスが急に明日からなくなるわけではないですけれども、10年後、20年後には現実としてやってくるかもしれない、そうした様々な可能性が考えられる将来のために、今どうすべきかというのを選挙というタイミングを通じて考えることが大切だと思っております。  そうしてみんなで考えて投票し選んだ栃木県の未来、これは私たち県民やここで生まれ育っている子供たちの未来そのものです。栃木県が抱える様々な課題を解決していくためにも、投票という自分自身の行動が栃木県の未来をつくっていると、若い世代に実感してもらうことは重要なことではないでしょうか。  新年度では、衆議院議員選挙のほか、県内の各市町でも市長選挙、町長選挙、市町議会の議員選挙など、計11件の選挙が予定されております。そのような中、県では新年度、若年層の投票率向上推進計画を策定するとお伺いいたしました。また、これまでも実施されてきた若年層への投票呼びかけ強化事業に加えて、新たに若年層向けオンラインセミナーや主権者教育オンライン講演会を開催することとしており、こうした取組によって、本県の若い世代が地域や自分たちの未来を自分事として捉え、結果として投票率の向上に結びついていくことを期待しております。  そこで、県はこれらの事業をどのように実施しようとして考えていらっしゃるのか、またこの若年層の投票率向上推進計画をどのように策定しようとお考えになっていらっしゃるのでしょうか、総合政策部長にお伺いしたいと思います。 ○五十嵐清 委員長 阿久澤総合政策部長。 ◎阿久澤 総合政策部長 昨年の知事選挙では、SNS等で若年層に投票参加を呼びかけたこともあり、10代の投票率は、前回の知事選挙との比較において、全年齢階層中で最も上昇したものの、若年層全体では依然として低い水準にとどまるなど、憂慮すべき状況にあります。  このため、新年度は新たに、若者が選挙に行くことでどのように社会が変わるのかを体験してもらうセミナー等を、多くの受講者が参加できるようオンライン形式で開催することとしております。また、これからの選挙啓発をより効果的に実施するため、様々な啓発事業の評価と見直しを行うとともに、デジタル技術の活用など新たな視点も踏まえ、若者も参加するワーキンググループで議論を重ねながら、若年層の投票率向上推進計画を策定することといたしました。  今後とも、市町選挙管理委員会等と緊密に連携しながら、若年有権者や未来の有権者への選挙啓発に積極的に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 委員長 渡辺幸子委員。 ◆渡辺幸子 委員 これまでの事業の評価、見直しもしていただけると伺いました。ぜひ効果的な施策を展開してもらいたいと思います。  選挙意識の高い若者と選挙意識の低い若者の間には隔たりがあって、意識の高い若者が選挙に行こうと呼びかけても、意識の低い若者の関心が高まるわけではないんだという、そういった学生の声もあります。意識の低い若者が選挙に行く理由なんてないよという気持ちも丁寧に拾っていただいて、彼らと向き合った計画を策定していただきますようにお願いをしたいと思います。  続いての質問に移ります。  栃木女子×TOCHIGI LIFE発信事業による本県のブランド力向上について、これも引き続き総合政策部長にお伺いしてまいりたいと思います。  県では、昨年11月に、ブランド力向上促進策の一つとして、18歳から30代の女性に焦点を当てた栃木女子×TOCHIGI LIFE発信事業をスタートいたしました。  この事業は、写真を共有していくSNSの一つであるインスタグラムを活用し、魅力的なとちぎ暮らしを閲覧者に感じてもらって、栃木ファンの拡大につなげようとする事業ですが、こんなライフスタイルすてきだな、憧れるなといった県内コンテンツの見せ方に注目をしている新たな視点での事業で、私も同年代の女性として大変期待をしているところです。この事業は、「とちぎきぶん」をキーワードとしておりまして、どれだけ多くの人に参加してもらっているのか分かる指標が、このフォロワーやハッシュタグの数なんですが、今朝の時点ですと、「とちぎきぶん」のアカウントフォロワー数が1,702、ハッシュタグは5,172件でした。  私は、この魅力的なとちぎ暮らしを発信していくことがブランド力向上のために重要であって、そしてその発信が確実に、とちぎ未来創造プランの目標の一つである、「訪れたい・住みたい・住み続けたいとちぎ」の創出に向けて積み上げられていく必要があると思っています。そのためにも、このフォロワーやハッシュタグの数について目標を設定すること、そしてとちぎ未来大使の中にはインスタグラムのフォロワー数が13万というタレント、井上咲楽さんもいらっしゃいますし、県内出身・在住の著名人、これも例えば大田原市のタレントの紗栄子さん、彼女のフォロワー数は160万ですから、同じように一つの写真を投稿したとしても、県のアカウントと比較して届く先は100倍、1,000倍となるわけなので、こうしたフォロワー数が多い栃木女子のアカウントに対して協力を働きかけるということも有効ではないでしょうか。  また、協力という意味では、県は71のSNSアカウントを管理しているわけですから、ここに力になってもらわない手はないと思います。例えば、農政部のブログで発信しているおしゃれな地元のレストランや料理の写真、あるいは県土整備部のツイッターで広報している県立公園の美しい写真、これにハッシュタグをつけて投稿してもらうなど、県のブランド力向上という大きな目標に向けて、それぞれの県のアカウントにも協力を得て発信していくべきではないでしょうか。  そこで今後、栃木女子×TOCHIGI LIFE発信事業についてどのように展開し、ブランド力の向上を図っていこうと考えていらっしゃるのか、総合政策部長にお伺いしたいと思います。 ○五十嵐清 委員長 阿久澤総合政策部長。 ◎阿久澤 総合政策部長 本県のブランド力向上には、ふるさと栃木に対する県民の愛着や誇りを醸成し、自らその魅力を発信していくことが重要であると考えております。このため、情報発信力のある20代から30代の女性をターゲットとし、これらターゲット層の利用率が高く、画像投稿に適したSNSであるインスタグラムを活用し、若い女性の視点に立ったとちぎ暮らしの魅力を発信する本事業を今年度から展開しているところであります。  今後とも、デジタルマーケティングの手法を活用し、設定した目標を達成するよう、測定データに基づく効果の把握と改善を行いながら、投稿やフォロワー数の増加に努めてまいります。  また、とちぎ未来大使など、本県に深い愛着を持ち、栃木の魅力・実力を積極的に発信していただける方々の情報拡散力のより一層の活用を進めるとともに、ターゲットや目的を同じくする複数の庁内SNSとの連携についても検討するなど、効果的な運用を図り、栃木ファンの創出・拡大につなげてまいります。 ○五十嵐清 委員長 渡辺幸子委員。 ◆渡辺幸子 委員 ぜひお願いしたいと思います。ほかにも若い女性が写真を見たときに憧れるような場所、例えば県内で高評価を得ているホテルや旅館、カフェやレストランなど、そういった企業のアカウント、あるいは市町でも持っている観光関連のアカウントがあるわけですから、こうしたところにハッシュタグの協力を依頼していくことも考えられると思います。ぜひ官民問わず、オール栃木での展開をお願いしたいと思います。  そして、先ほど申し上げましたとおり、この事業の目的、目標なのですが、これはとちぎ未来創造プラン、ふるさと魅力向上プロジェクトに掲げられている「訪れたい・住みたい・住み続けたいとちぎ」をつくることです。県では、その指標の目標値として、都道府県間の人口移動数を2025年までに半減する、つまり現在は転出が転入を上回っているので、年間だと約3,500人栃木県から流出している状況にあるわけなのですが、その数を約1,750人まで減らすということとしています。  この事業によって、特に東京圏をはじめとする閲覧者に魅力的なとちぎ暮らしをイメージしてもらった結果、栃木県が移住・定住先の選択肢となることを期待しているものと考えますが、現在は新型コロナウイルスの影響で各企業がテレワークを促進しているところでもありまして、この動きをチャンスと捉えて積極的に進めるべきだと思っています。  県では、今年度の9月補正予算により、企業やフリーランスの方々を対象としたお試しサテライトオフィス設置推進事業を実施してきました。さらに新年度からは、企業の社員などにも対象を拡充して、お試しテレワーク等推進事業を実施することとしています。そこで、今年度の実績及びそれを踏まえて今後どのように取り組んでいこうと考えていらっしゃるのか、総合政策部長に伺いたいと思います。 ○五十嵐清 委員長 阿久澤総合政策部長。 ◎阿久澤 総合政策部長 お試しサテライトオフィスの設置促進事業につきましては、今年度の9月補正予算で参加いたしまして、12月から東京圏の企業等に対してニーズ調査、セミナーなどを実施して周知を図ってまいりました。しかしながら、東京圏等の緊急事態宣言等もあって、現時点ではまだ4件の申請にとどまっているという状況であります。このため宣言解除後を見越して引き続きPRなどを行ってまいります。サテライトオフィスに関心を有する企業への働きかけを今後も進めてまいりたいと考えております。  今後、東京圏を中心にテレワークのさらなる普及が進むと想定されますので、本事業を通して本県の良好なテレワーク環境、生活環境を実感していただくことで、新しい人の流れの創出に努めてまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 渡辺幸子委員。 ◆渡辺幸子 委員 今、4件ということだったのですが、ぜひこの後、緊急事態宣言が終わってから、積極的な活動をお願いしたいと思います。  豊かな自然と歴史と文化があって、年配の方々の移住先として栃木県は人気が高いと伺っていますけれども、家族での移住、若い世代の移住が進めば、将来のビジョンを考えたときに、人口の移動数だったり、地域の活性化などにいい影響があることは間違いないと思います。そのためにも、既にこれまで複数の議員も議会で質問に取り上げていましたし、知事も会議の冒頭でおっしゃっているように、県庁職員も含めて県内で働く人たち、この人たちにテレワークを進めていくということも重要だと思っています。  当たり前なのですが、県民が栃木県でのテレワークの良さを理解していない、実感していないにもかかわらず、栃木県でのテレワークにつながる良さを、東京圏の方々に向けて自信を持って伝えていくというのはなかなか難しいのではないかと思っています。  例えばですけれども、移住定住あるいはその手前のお試しテレワークへの関心に、間接的ではなく直接結びつけていく方法として、県内、例えば宇都宮市内で働いている女性が、自宅でテレワークや日々の生活を楽しんでいる様子だったり、あるいは時に日光地区や那須地区などの自然豊かな地域のカフェやサテライトオフィスでテレワークをしている様子などをこの事業で発信、投稿してもらうということも考えられると思います。  また、こうした事業は、産業労働観光部で推進していると思いますので、連携をしっかり取っていただいて、改めてこの発信事業にたくさんの方々を巻き込んでいただいて、2025年までの目標値達成に資する取組としていただきますようお願いしたいと思います。  続いて、とちぎの伝統工芸品新商品開発支援事業について、産業労働観光部長にお伺いしたいと思います。  伝統工芸品産業は、生活様式の変化などにより、需要減少などの課題を抱えているとお聞きいたしました。栃木県の風土と生活の中で受け継がれてきた伝統工芸を次の世代に伝えていけるよう、新たな需要を掘り起こして拡大し、産業として発展することができるようにすることが重要です。  そのような中で、今までの伝統工芸品に新たな価値を持たせ需要を拡大している事例として、最近幾つかの益子焼の窯元が注目されています。中には全国の若い女性に大変人気で、オンラインショップでは販売開始と同時に売り切れてしまうという窯元もあります。伝統的な益子焼というのは、落ち着いた色味で少し厚みのある器が多かったのに対して、その窯元では白やパステルカラーを中心に、洋食器のようなふだんの食卓でも使いやすいデザインで、かつ数百円から購入できるというリーズナブルな商品もそろっており、若い世代になじみやすく、気軽に益子焼の魅力を楽しめることが人気の秘訣だと思います。  また、そのような窯元では、単に撮影をした商品だけではなく、料理などを盛りつけた後の美しいイメージ写真をオンラインショップやSNSなどに掲載して、商品の魅力を伝えることに成功しています。インスタグラムではそれらの写真を見た若い女性が共感して、その共感がさらに連鎖して、自慢の料理や見た目に映えるスイーツを載せた写真が次々と投稿されており、窯元の公式サイトを離れてもなお、全国の愛用者によってその魅力が拡大し続けられているところです。  もちろん益子焼以外のほかのジャンルでも、こうした突出して人気の高い伝統工芸品というのが一部存在しているわけですが、やはり共通しているのは、現代のニーズに合っている高いデザイン力、そしてSNSなどを活用した発信力です。伝統工芸品そのものの魅力の幅を広げていくため、あるいは県内外の人々にとちぎの伝統工芸品の魅力を伝えていくためには、そうした力が鍵を握っているのだと感じています。
     県では、とちぎの伝統工芸品新商品開発支援事業を新年度から実施予定と伺いました。そこで、この事業をどのように進めようとお考えになっているのでしょうか、産業労働観光部長にお伺いしたいと思います。 ○五十嵐清 委員長 小竹産業労働観光部長。 ◎小竹 産業労働観光部長 伝統工芸品は、先人の知恵を結集し、風土と県民生活の中で育まれた地域の宝であり、次世代に引き継いでいくことが必要であります。  しかしながら、生活様式の変化等によります需要の減少が見られますことから、伝統の姿を守る一方で、現代のライフスタイルに受け入れられる商品開発により、新たな可能性を広げていく攻めの展開も必要と考えております。このため、当該事業におきまして、商品開発と情報発信の双方からアプローチすることとし、商品開発のノウハウやSNS等によります魅力発信のスキルを学ぶセミナーを開催するとともに、意欲ある製造事業者の下にデザイナー等の商品開発の専門家を派遣いたしまして、伝統工芸品の魅力を生かしました新たな発想による商品開発を支援してまいります。  さらに、この事業と併せまして、食などの地域資源と組み合わせました新たなサービス等の提供や、産地による販路開拓に対する支援に引き続き取り組むなど、伝統工芸品産業の振興に努めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 渡辺幸子委員。 ◆渡辺幸子 委員 デザイナーの派遣など、攻めの展開をしていただけるというご答弁をいただきました。益子の陶器市ですけれども、コロナ禍でオンライン開催となっていたのですが、7,800万円の売上げをもたらすなど大変好評で、来年度もオンライン開催を予定していると聞いております。ただ、窯元によってはやはり差が大きいと伺いました。ただ、どの産業でもオンラインでも稼げること、これは新たな日常において重要なことになっているのだと思っています。  とちぎの伝統工芸品が次の世代にも親しまれますように、時代に合った対応とそのための支援を県にはぜひお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。  保健福祉部長に、がん患者の妊孕性温存に関する県の支援についてお伺いしたいと思います。  この妊孕性とは、妊娠可能性のことを指す言葉です。がんにかかった人は、抗がん剤や放射線の治療など、その治療方法によっては将来の妊娠可能性にダメージを受ける場合もあるわけですが、その治療の前に卵子を凍結するなど、妊娠に必要な能力を温存しておく治療のことを妊孕性温存治療といいます。  栃木県がん対策推進計画(3期計画)は折り返しの時期なのですが、この中で15歳から39歳まで、いわゆるAYA世代のがん対策を実施することが明記されました。AYA世代における新規がん患者数は、県内において年間約300名に上ります。将来子供を持つことを望む場合には妊孕性温存治療を受けられるのですが、保険適用外となってしまうため、経済的な負担が大きく、既に21の府県で、また市町単位でも妊孕性温存治療に関する補助制度がつくられています。  本県でもこうしたAYA世代などのがん患者の妊孕性温存治療に対する支援を行うために、新年度予算762万2,000円を計上いたしました。この助成額は民間の調査結果を踏まえて、約50名分を見込んだ額とお聞きしています。  一方、国においても新年度からこうした妊孕性温存治療の新たな助成制度が始まるようです。有識者会議などで検討されている制度では、未受精卵の凍結が20万円、受精卵の凍結は35万円など、温存治療の方法によって助成額は異なっているようです。  そこで、こうした国の動きを受けて、改めて県でも対応が必要となってくるのではないかと考えますが、今後どのような方向性で検討を行い、がん患者の妊孕性温存支援事業について進めていくのか、保健福祉部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 県におきましては、将来子供を持つことを望むAYA世代のがん患者が希望を持って治療に取り組めるよう、がん治療と生殖医療の専門医療機関で構成いたします栃木県がん・生殖医療ネットワークと連携いたしまして、新年度から妊孕性温存治療に対する助成を始めることといたしました。  一方、国におきましても昨年末以降、新年度からの妊孕性温存治療に対する助成制度の実施に向けた検討が始められておりまして、年度内に事業内容が取りまとまると聞いているところであり、県としてもこれら国の動きを注視しつつ、より効果的な助成を行えるよう、制度の詳細を検討してまいります。  また、助成事業の実施に当たりましては、積極的な広報と丁寧な説明を行いまして、妊孕性温存を必要とするがん患者の方々に支援が行き届くよう努めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 渡辺幸子委員。 ◆渡辺幸子 委員 年度内というと間もなくですので、ぜひ速やかな対応と告知を要望しておきたいと思います。  私の同級生で東京都に在住している友人は、独身時代の20代の頃に乳がんが見つかって、卵子を凍結しました。今、結婚して無事に妊娠出産、1児の母親になっています。また、県内に住んでいる友人は白血病にかかりまして、既に3人の子供がいる父親ですけれども、精子凍結を希望して、現在も闘病生活を続けております。  若くしてがんに罹患した場合には、治療以外の生活の面で様々な壁に直面していくことも考えられます。そのような精神的につらい局面でも、治療を安心して受けるために必要な経済的支援が、この事業だと思っております。  準備期間も考えるとかなりタイトなスケジュールになってくるとは思いますが、場合によっては来年度の申請については柔軟に対応していただくことも併せて要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  最後に、フォスタリング業務の推進について、これも保健福祉部長にお伺いしたいと思います。  栃木県内には、虐待や親の病気などで親と一緒に暮らすことができなくなり、公的に保護をされている子供たちが、昨年度末時点で679名いることが分かっています。こうした子供たちは、主に児童養護施設や乳児院で育てられているのですが、平成28年の児童福祉法の改正によって、子供が権利の主体であることが明確化され、まずは家庭での養育、それが困難な場合には、家庭と同様の養育環境を提供している里親家庭での養育を優先することが明示されました。このフォスタリング業務というのは、この里親になるための研修やトレーニングなど、里親に対する様々な支援のことを指している言葉です。  こうした国の動きを受けて、本県では昨年度末に、栃木県社会的養育推進計画を策定いたしました。この計画の中で、本県の3歳未満の里親等委託率について、令和6年度までには53.1%にするなどの目標を掲げています。ちなみに昨年度末の時点では18.4%だったと伺っています。  また、県は、新年度から仮称、栃木フォスタリングセンターの設置運営、里親名称公募など、フォスタリング業務の推進事業をスタートすることとしています。  そこで、来年度からのこの事業について、どのように進めようと考えていらっしゃるのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 県におきましては、里親支援の充実を図るため、社会的養護を理解し専門性を持つ民間団体への業務委託により、全県を対象とした里親支援の拠点となるフォスタリング機関を設置する予定であります。  設置予定のフォスタリング機関には、専門職を配置いたしまして、里親のリクルートや研修、トレーニングの実施のほか、里親家庭への訪問支援や里親同士の交流機会の創出など、一貫した里親支援を行ってまいります。  また、県民の方々の認知が十分とは言えない里親制度について、シンポジウムの開催や愛称公募等を通しまして、幅広い世代への周知や社会的養護への理解促進に努めてまいります。  今後とも設置予定のフォスタリング機関を中心に、オール栃木体制で里親養育支援のより一層の充実を図ってまいります。 ○五十嵐清 委員長 渡辺幸子委員。 ◆渡辺幸子 委員 先ほど申し上げた3歳未満の里親等の委託率なのですが、国では2024年度までに75%に引き上げるという目標を掲げているところです。厚生労働省では都道府県においては、これまでの地域の実情は踏まえつつも、この数値目標を十分に念頭に置いて数値目標と達成期限を設定することを通知しています。  そこで再質問ですが、栃木県はこの目標を53.1%に先ほど申し上げたとおり設定したのですが、その理由をお伺いしたいと思います。また、この目標値、国が掲げている75%まで上げる必要性については、どのようにお考えになっていますでしょうか。併せて保健福祉部長に伺いたいと思います。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 本県における目標値につきましては、単に国の目標値をなぞるのではなくて、現状を十分に踏まえ、また社会的養育に関わる方々の意見を伺いまして、種々の課題解決に向けた取組を最大限実施した場合を想定して、目標値を設定したところでございます。この目標達成に向けましては、子供の福祉を最優先にしながら、しっかりとしたフォスタリング体制を構築していくことが重要だと認識しております。  なお、今後でございますけれども、社会的養育推進計画の中間年が令和6年度ということになりますので、今後の事業の進捗あるいは国の目標値の状況なども踏まえまして、見直しの必要性について検討していきたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 渡辺幸子委員。 ◆渡辺幸子 委員 ご答弁をいただきました。今回この質疑を行うに当たって、私自身も宇都宮市内の乳児院に行ってまいりました。本当に親と離れて穏やかに保育士さんと遊んでいる子供たちの姿を見ると、子供たちの環境を整備するというこの責任は、血のつながりがあるからではなくて、大なり小なりできることはそれぞれ違っていても、私たち全て大人の責任なんだと感じています。  まずは目標値の確実な達成、これに向けて力を尽くしてくださいますようにお願いしたいと思います。  ちなみに、この里親には年齢制限とか、自子がいるかどうかとか、あるいは独身かどうかということも関係ありません。また、週末だけとか夏休みだけ、その期間だけ里親として子供たちに関わるということもできますので、誰でもなれるということを、県内に、ぜひ、もっと広めていただきたいと思います。  また、とちぎ自民党議員会では、これまでも新生児の里親委託の現場を視察したり、里親委託の推進や里親支援体制を要望しておりまして、この事業に大変期待しているところです。今後ますます里親の養育が求められている中で、常に子供の立場でその子供にとって最善の環境実現に向けて、社会的養育の体制整備を考えていただきたいと思います。  以上をもちまして、私の全て質疑を終え、とちぎ自民党議員会の質疑を終了とさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ○五十嵐清 委員長 以上で、とちぎ自民党議員会の質疑は終了いたしました。  この際休憩したいと思います。午後1時30分から再開いたします。                午後0時29分 休憩           ────────────────────                午後1時30分 再開 ○白石資隆 副委員長 委員長の都合によりまして私が委員長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  委員会を再開いたします。  引き続き総括質疑を行います。  発言通告者に対し発言を許します。  民主市民クラブ、松井正一委員。 ◆松井正一 委員 民主市民クラブの松井正一です。  芳賀町で発生いたしました高病原性鳥インフルエンザにつきましては、農政部をはじめ関係各位延べ1,900人余りのご尽力によりまして、7万6,000羽余りの鶏が殺処分、埋却されるなど、必要な防疫措置が実施されたということであります。本県初の甚大な被害に対し、関係養鶏農家の皆様にお見舞い申し上げますとともに、今回の防疫措置において明らかとなった現地における課題などを整理されるとともに、引き続き原因の検証、感染防止対策に万全を期していただけますようお願い申し上げます。  それでは、会派を代表し、通告に従いまして総括質疑を行います。明快な答弁をお願いいたします。  初めに、LRT整備事業に対する県の補助金交付の再検討について伺います。  芳賀・宇都宮LRT整備事業費補助金については、交付要領に基づき、新年度予算で4億5,200万円を計上しています。我が会派ではLRT整備事業に対して、市民合意が得られていない事業には県の補助金を交付すべきではないとのスタンスを取っている中で、新たに総事業費の増加や開業の1年延期などの課題が浮上し、事業の実現が危ぶまれる事態が生じています。  去る2月14日に、我が会派では、今年度も市民世論調査を行ったところであります。結果は昨年度よりも各指標において厳しい数値となりました。「LRT事業に反対」が56.1%、「採算性は取れない」は70.7%、「西側延伸反対」は57.9%であり、開業時期の延期に関しては再検討や中止すべきとの意見の合計で66%を超えています。このように市民の評価は極めて厳しく、LRT事業に関しての合意形成がいまだなされていないと断定せざるを得ません。  また、開業が1年延期になった理由も納得できるものではありません。新型コロナウイルス感染症の影響との説明がありましたが、用地取得に対する影響はないと宇都宮市の用地担当者は市議会で話しており、県も用地取得のための行政代執行は想定していないと聞いています。今後、軌道法や都市計画法の変更手続に所要の時間を要することや、県の補助金交付要領が追加補助を規定していないなど、果たして事業が計画どおり進められるのか疑問があります。  また、先日の朝日新聞の報道によると、宇都宮市がこれまで存在すら否定していた2018年12月20日作成の内部文書が情報開示され、公表済みの概算事業費172億円増や費用便益、費用対効果を指しますが、この確保が困難、さらには説明手法や公表タイミングの検討では、昨年11月執行の宇都宮市長選挙などを挙げて公表時期が課題と詳しく記されています。この内部文書は重大な証拠であり、これが事実であるとすれば、宇都宮市はこの2年余りの期間、なぜ市長を交えて協議をしてこなかったのか、市長選後の公表は誰が決めたのか、さらには費用便益確保の困難、つまり採算性を疑問視しながら、工事を継続してきたのはなぜかなど、重大な問題が隠れています。  県としては、今後、軌道法の変更手続に臨むに当たり、宇都宮市と芳賀町に対し、総事業費や開業時期の1年延期だけではなく、需要予測を再検証させ、費用便益が確保されるか否か確認すべきであります。  総事業費の増加については、特に軟弱地盤の補強工事等によるものとされ、2018年11月の鬼怒川新橋着工、2019年8月の野高谷地区高架構造物工事着工を受けて、最近になって工事費用の増額の説明が宇都宮市からなされましたが、社会資本整備総合交付金の交付申請時において、既に軟弱地盤が判明していたにもかかわらず、県に対して具体的報告がなかったことは極めて遺憾であり、宇都宮市、芳賀町の事業の進め方はずさんと言わざるを得ません。  そこで、これらの課題が明らかになった現在、県の補助金交付については一旦凍結し、交付を再検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 ○白石資隆 副委員長 福田富一知事。 ◎福田 知事 本年1月に公表のあった芳賀・宇都宮LRT事業の事業費増加や開業延期につきましては、公表の仕方や時期等について、その後の報道も含めて様々な課題が明らかになったところでありますが、そのような中においてもLRTの開業を待ち望む声は、私のところにも数多く届いております。工事も進捗する中、県民の期待は着実に高まっているものと認識しております。  また、宇都宮市からは、1月時点における未契約の地権者等49名のうち新たに5名との契約を成立させ、残る全ての方々とも交渉を進めることができていると聞いております。このような中、令和3年度当初予算には既定の方針に基づきまして、芳賀・宇都宮LRT整備事業費補助金として4億5,200万円を計上するとともに、軌道法や都市計画法等の手続を円滑に進めていくため、今後とも必要な確認など進めていくこととしております。  市と町に対しましては、まずは東側区間の開業に向けて全力を尽くすとともに、県民に対して今般の経過を含め、より一層丁寧な説明を行うこと、情報共有を含めた十分な連携を図っていくことについて、引き続き強く求めてまいります。  LRT事業は、県央地域の東西基幹公共交通として、既存公共交通と連携することで、質の高い公共交通ネットワークの基軸を形成しようとするものであり、県全域への幅広い波及効果が期待できる極めて重要な事業であると認識しております。今月21日には、LRTや鉄道、バスをキャッシュレスで乗り継ぐことができ、県も導入に向け支援を進めてまいりましたICカードtotoraの運用も開始されますことから、引き続き公共交通ネットワークの充実に向け、宇都宮市と芳賀町の取組を支援していく考えであります。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 ただいま答弁をいただきました。それでは、何点か再質問をさせていただきたいと思います。  今、知事の答弁にもありましたように、先ほどとちぎ自民党議員会の螺良委員からも、県においても地域公共交通ネットワークの要であるという話がございまして、今ある計画としてはそのような位置づけになっていることは、私も全くそのとおりだと思っています。その上で、我が会派は、昨年度まではいわゆる市民合意という視点に着目し、問題があるのではないかという問題提起をしてきたわけでありますが、先ほどの本質問で触れましたように、内部資料が情報開示になった中で、その内部資料の中身を見ますと、あたかも2018年12月段階で様々なLRT事業に対する疑問や不安点、そういったことが露呈されたことが、私は極めて問題だと思っています。  具体的に申し上げるならば、費用便益の問題です。費用便益の確保が困難だということを断定している。このことはつまり、採算性が取れない事業であるということを立証しているようなものでありまして、そのことについて何点か確認をしていきたいと思っています。  まずは、県土整備部長にお伺いしたいと思います。宇都宮市の内部文書によりますと、平成31年度頃にできれば概算事業費の公表もしたいとありましたが、その際にもう1つ、事業費のいわゆる費用便益を上げるための方法を検討しなければならないということが書かれておりました。このことについては、この間、宇都宮市、芳賀町のLRT整備事業に対して技術的支援を県はしてきたという立場でありますが、こうした課題が噴出したことに対して、何か宇都宮市から相談はあったでしょうか。 ○白石資隆 副委員長 熊倉県土整備部長。 ◎熊倉 県土整備部長 まず費用便益につきまして、これは社会資本整備総合交付金でこの事業を進めておりますが、この事業導入の前提要件とはなってございません。ということでお話しさせていただきますが、今回その内部文書というのを私どもも最近見せていただきましたが、この件について具体の相談を受けたことはございません。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 分かりました。  それでは、今の答弁でも少し驚いたのですが、費用便益が社会資本整備総合交付金の条件にはなっていないという話がございました。しかしながら、先ほど知事の答弁にもありましたように、既に83億円の補助金を県が支出するということを既定方針として定めてあって、そのことに基づいて4億5,200万円が今回計上されているという流れなのですが、いわゆる県民の皆さんの税金等を投入し、それらを原資に県が補助金を出すということを鑑みれば、費用便益いわゆる費用対効果が見えないという事業に、県が補助金を出すことについてはいかがかということが、私は拭えません。  ここで知事に再質問させていただきたいと思いますが、仮に費用便益が1以下になるかどうかというのは、現時点では分からないのですけれども、当然宇都宮市、芳賀町にはそういうことも検討していただかなければならないと思います。1以下になると想定された場合に関して、この県補助金を支出することについて、知事はどうお考えですか。 ○白石資隆 副委員長 福田富一知事。 ◎福田 知事 これから事業がスタートするわけですので、1以上、すなわち黒字化を目指すと、それは会社として当然の目標だと思います。しかし、一定期間赤字を出すこともあるかもしれません。これは行ってみないと分かりません。しかし、沿線にはまだまだ利用できる土地が数多く残っておりますので、それらも考えながら収益を上げる努力を、宇都宮市としても芳賀町としてもしていくべきだと思います。  ところで、地域の路線バスや市町のコミュニティバスの維持のために、国と県のお金で20億円前後を支出して公共交通の維持を図っているわけですので、それらも全て赤字化しているところに出すことがまかりならんということになりますと、これは地域公共交通は成り立たないと、こういうことになると思います。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 ただいまの答弁については、私も反論したいと思います。いわゆる生活バス、いわゆる予約バス、デマンドタクシーという表現もありますが、それらの運営費に対して確かに補助金の予算化というものは当然ありましたし、今知事からは20億円という話がありました。今回、LRTに関して6分の1補助は整備費に対してのもので現時点では500億円を一つカウントする中で83億円ということでありまして、その段階での前提条件としては、先ほど社会資本整備総合交付金の話もありましたけれども、やはり採算性が取れるか取れないかというものは、県民の税金を投入する以上大きな条件ではないかと思っています。  そこでもう1点だけ知事にお尋ねしますが、宇都宮市、芳賀町に対しまして今回偶然にも軌道法の手続の変更手続があるわけですので、軌道法の実施計画の中には例えば今具体的に上がった総事業費の増加に関する項目や開業時期、つまり事業年度を修正するということ、当然これは変更手続になりますけれども、加えて需要予測、いわゆる実際どういう予測になるのかという再検証もできると思っています。そのことができることによって、私が求めている費用便益の確保が可能なのか否かということが立証できると思うのですが、その再検証を求める考えはあるか知事に伺います。 ○白石資隆 副委員長 福田富一知事。 ◎福田 知事 これから軌道、運送、高度化実施計画の手続、さらには都市計画事業の変更認可などは県が関わっていくことになると思いますので、その過程の中で今話がありました費用便益の考え方等については、宇都宮市や芳賀町の考え方の説明を受けて確認していきたいと思います。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 分かりました。  大切なことだと私は思っております。くどいようですが、冒頭にも私から説明させていただきましたように、この内部資料の中で、本当に県がこれまで様々な技術的な指導や支援をしてきたことにまつわることが大変多くあるのです。挙げればきりがないので時間の関係上この程度にとどめることになりますが、いずれにいたしましても本日のやり取りを受けて、この県補助金についてどうあるべきなのかということは会派の中でも議論を改めてしなければならないと思います。今日のやり取りを受けて早急に方向性を考えていきたいということを意見としてつけ加えさせていただきながら、次の質問に入らせていただきます。  新型コロナウイルスワクチン接種の今後の対応についてお伺いします。  本県では2月から新型コロナウイルスワクチンの先行接種がスタートし、現在、医療従事者に対する接種が行われています。県では、新型コロナウイルス感染症対策本部内にワクチン接種対策チームを設置するとともに、県医師会、郡市医師会との緊密な連携の下、推進会議を設置し、適宜協議を重ねながらワクチン接種に係る具体的な取組を進めています。  また、県民に対しては3月1日から相談センターをコールセンターとして開設し、看護師等の有資格者を配置して対応に臨んでいますが、国からのワクチンの供給が進まない中、県民や自治体、関係者に対しての迅速な情報伝達に苦慮していると聞いており、今後4月中旬から高齢者に対するワクチンの接種が開始されることから、県民や市町に迅速に情報を発信するとともに、今後発生する課題等に対応していくための実効性のある体制を整備していく必要があります。  そこで、県は新型コロナワクチン接種に関して、県民や市町等への迅速な情報発信や実効性のある体制整備にどのように取り組んでいく考えか、保健福祉部長に伺います。 ○白石資隆 副委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 県におきましては、国の最新情報を積極的に収集し、市町や医師会等の関係者に迅速に情報提供するため、今般、厚生労働省に県職員をリエゾンとして派遣することとしたところであります。また、県民の方々に対しましては、県ホームページやとちぎ県民だより等の各種広報媒体のほか、ポスターの配布等により分かりやすく丁寧な周知・啓発を行ってまいります。
     一方、ワクチン接種の課題対応につきましては、市町では対応が困難な専門的な相談に対応するコールセンターを設置したほか、副反応等で専門的な対応が必要となった場合の医療機関の確保等を行っているところであります。  今後とも、ワクチン接種の実施段階で発生する課題等に対しまして、ワクチン接種体制確保推進会議等で検討や調整などを行い、接種が円滑に実施できる体制整備に取り組んでまいります。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 答弁いただきました。  1点再質問させていただきます。先ほどこの件につきましても螺良委員の質疑で大方は理解させていただいている中で、私のほうで聞きたいのは、ワクチン接種の進行管理です。これからいろいろと各自治体を含めて進めていくのですが、県としてワクチン接種の進行管理、さらには情報開示等についての実施体制など、何かお考えがありましたらお伺いしたいと思います。 ○白石資隆 副委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 進行管理、情報開示という話がございました。まず進行管理といいますか、市町とは今申し上げた推進会議以外にも、連携会議という担当課長レベルの会議も適宜オンラインなどを使ってやらせていただいておりますので、その中で計画の策定状況や、あるいはその中で課題をしっかりと把握してまいりたいと思います。  それから、情報開示につきましては、県民の方々に対する情報提供についてはホームページあるいはSNSなども通じまして、国から示された情報あるいはワクチンの副反応、そういった情報についてきめ細かに対応していきたいと考えております。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  次の質問に入ります。  がん患者等を支えるための環境づくりについて伺います。  県では、栃木県がん対策推進計画(3期計画)において、県民一人一人ががんを知り、がんと共生する地域社会を構築することを目指し、基本的な施策を推進しています。  主な取組は、がんの予防及び早期発見の推進、がん医療の充実、そしてがん患者等を支えるための環境づくりであり、特にがん患者等を支えるための環境づくりについては、先ほども渡辺委員からの質疑がありましたが、新年度予算でAYA世代等のがん患者支援事業費が計上されています。  AYA世代等のがん患者支援事業では、ピアサポーターの養成、子供を持つ力である妊孕性温存支援、アピアランスケア支援、在宅ターミナルケア支援などを予定していますが、養成人材の確保や助成事業を実施する自治体への支援であり、自治体によって取組に差があることなどから、このままでは居住地によって、がん患者等の支援に格差が生じることが懸念されます。特に、AYA世代等のがん患者等に対する支援を実施していない自治体に対しては、積極的に事業の実施を促すことや技術的な助言などを行う必要があると思われます。  AYA世代等のがん患者は、経済的基盤が脆弱であり、治療を継続しながら結婚、就労等のライフイベントに対応する必要があり、心理的・経済的負担が大きく支援を必要としていることから、状況に応じた支援を行うことで社会生活の質の維持・向上を図り、県内どこに住んでいても安心して治療を継続できる環境を整備する必要があります。  そこで県は、新年度予算において、がん患者等を支える環境づくり、特にAYA世代等のがん患者の支援について、具体的にどのように対応していく考えか、保健福祉部長に伺います。 ○白石資隆 副委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 県におきましては、新年度からAYA世代等のがん患者の悩みや不安を軽減するため、地域ごとに活動いただけるピアサポーターを養成いたしまして、できるだけ身近な場所での相談支援の充実を図ることとしております。  また、患者の経済的負担の軽減等を図るため、がん治療による外見の変化を補整するための経費を助成するアピアランスケア支援や、これまで支援制度がなかった若年がん患者の介護サービス等の経費を助成する在宅ターミナルケア支援について、市町が行う助成の一部を県が補助することにより、支援制度の整備促進を図ってまいります。  さらに、市町に対しましては、これらの助成制度を併せて実施するように積極的に促すことなどをいたしまして、AYA世代等のがん患者が県内全ての地域で支援を受けられる環境づくりを進めてまいります。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 答弁をいただきました。  1点再質問させていただきます。ご丁寧な答弁の中で、特にアピアランスケア支援、在宅ターミナルケア支援についてですが、今答弁でも触れていただきましたように、私も調査をしたところ、アピアランスにつきましては県内で9市町、ターミナルケアにつきましては宇都宮市などでその支援が行われておりまして、その支援に対して今回予算の中で県が支援をすることになっていると伺っております。  お伺いしたいのは、なかなかきめ細かい支援を拡大していくにも、自治体毎に様々な考えや課題があるのかもしれませんが、県としてこのような支援を行う自治体を増やすために、何か戦略的なものがあるかどうか、部長にお伺いします。 ○白石資隆 副委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 今回の事業については、多くの自治体、できれば25市町でやっていただきたいと思っておりますが、今話しがございましたとおり、既にいわゆるアピアランスケアを実施している市町がございますので、そういった市町におかれては今回の在宅ターミナル支援も同時に行っていただくということ、あるいは在宅ターミナルケア支援を行っているところにおいては、アピアランスケアを同時に行っていただくということからまずは始めていって、そこでのいろいろな経験や好事例を横展開して25市町に広げていくという形で進めてまいりたいと思っております。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  既にこのような支援をしている自治体は、自治体としていろいろと議論がなされ、創意工夫をし今日に至っていると思っておりますから、そうした先行事例なども自治体間で共有していただくような、そんなご配慮も県でお願いすることを要望し、次の質問に入ります。  若年者・学生等に対する消費者教育の推進について伺います。  県では、新年度予算に、消費者行政活性化推進事業費を計上し、2022(令和4)年4月から成年年齢が18歳に引き下げられることを踏まえた若年者・学生等向けの対策を講じることとしています。具体的には、若年者の消費者被害を防止するため、令和2年度に制作したDVDの活用や、消費者トラブルの未然防止のための出前講座などを行い、若年者・学生等に対する消費者教育を推進するとしています。  文部科学省では、小中学校では平成29年告示、高等学校では平成30年告示の学習指導要領において、消費者教育に関する内容を充実させておりまして、本県においても成年年齢の引下げに伴い、若年者の消費者トラブル回避の取組と併せて、学校での消費者教育の充実を図るべきと考えています。  そこで県は、社会経験の乏しい若年者や学生等に対する消費者教育について、今後どのように取り組んでいくのか、県民生活部長に伺います。 ○白石資隆 副委員長 千金楽県民生活部長。 ◎千金楽 県民生活部長 成年年齢の引下げも見据え、若者の消費者被害を防止していくためには、実際の事例を踏まえて教育を行っていくことが重要であります。このため県では、今年度、若者に多い消費生活相談の事例に基づきまして、トラブルの手口と対応方法を解説したドラマ仕立ての啓発用映像を制作し、全高等学校に配布したところであり、ユーチューブでも配信しております。  新年度は、教員向けの研修におきまして、この映像の事例解説や活用方法の紹介を行い、各学校での利用促進を図っていくこととしております。また、とちぎ消費者カレッジの対象を高等学校まで拡大し、弁護士などの専門家を派遣して契約のルール等を学んでもらうなど、高校生に対する取組を強化してまいります。  今後とも、若者が自立した消費者として必要な知識を身につけ、トラブルを未然に回避できますよう、学校、市町等と連携して、学生等に対する消費者教育・啓発に積極的に取り組んでまいります。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 1点、教育長に再質問させていただきます。  今、県民生活部長の答弁にありましたように、様々な教材等を含めて、この令和2年度中に制作されたものが各学校に配布になる。先ほども触れたように、学習指導要領にも明記される中、高等学校の取組という面では令和3年度どのような取組をお考えになっているでしょうか。 ○白石資隆 副委員長 荒川教育長。 ◎荒川 教育長 高等学校では、公民科、家庭科におきまして、多様な契約の仕組みや消費者の権利、消費者保護、こういったことを必ず学習することとしておりまして、特に家庭科におきましては成年年齢の引下げ、これを見据えまして、18歳になるまでにこういった学習を終えることとしております。  また、消費者庁が作成した教材を活用するとともに、県民生活部が主催します教員向けのセミナーへの参加を促して、教員の指導力の向上に努めているところであります。先ほど県民生活部長から報告がありました、今年度に作った映像、そういったものも積極的に活用させていただきたいと思っています。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 分かりました。  要望させてもらいますが、ぜひ積極的な活用をしながら県民生活部と教育委員会との連携で若年層・学生に対する消費者教育の充実をお願いしたいと思っています。私は高等学校でのPTAの経験はないのですが、当然PTAなどいろいろな組織の場では、保護者が集まる機会もあると思うのです。まさに今コロナ禍ですから人数的な制限など開催の難しさがあるかもしれませんが、そういう機会にそのようなDVDを流したりしながら、家庭の中で生徒に対して親御さんからも促すようなこともよいのではないかと思いますので、要望というか、提案をさせていただきまして、最後の質問に入ります。  水田を活用した土地利用型農業の今後の在り方について伺います。  平成30年度からの新たな米政策下での過剰生産基調に加え、コロナ禍での消費減退により、主食用米の在庫量は適正在庫を大きく上回る水準で推移しています。国は、今後の需給見通しを踏まえ、令和3年産米の適正生産量を693万トンとしたため、令和2年産より生産量を30万トン減らさなければならず、大幅な主食用米の作付転換が必要となっています。  本県においてもその傾向は同様であり、新年度予算では、県内農業団体の要望に応える形で、国の補助金を活用し、飼料用米などの新規需要米への作付転換を図る農家に支援を行うこととしています。  県では、新年度からスタートする栃木県農業振興計画における重点戦略、稼げる水田農業の実現において、土地利用型園芸産地づくりのフル加速や、省力的で効率的な土地利用型農業の推進を掲げて取り組んでいくこととし、必要な予算措置を図ろうとしています。  一方で、残念なことに、先頃公表されました米の食味ランキングでは、本県産の特A米がなくなってしまったこともあり、主食用米を生産する上では、今後さらなる品質向上にも取り組んでいく必要があります。  このように本県の農地の約8割を占める水田利用による農業については、品質向上に取り組んだ上でおいしい主食用米を生産するのか、需要減退を踏まえての新規需要米等への作付転換を図るのか、または園芸大国とちぎづくりによる露地野菜等への生産拡大に取り組むのかといったことを、農業者が安心して決められるよう、県としてしっかり方針を示していく必要があると思います。  そこで県は、水田を活用した土地利用型農業をどのような方針の下で振興していく考えか、農政部長に伺います。 ○白石資隆 副委員長 鈴木農政部長。 ◎鈴木 農政部長 県では、近年の米消費の減少を踏まえまして、次期農業振興計画の重点戦略に稼げる水田農業の実現を掲げまして、農家の経営や地域の状況に応じて、主食用米から露地野菜や麦、大豆、新規需要米などへの作付転換を促進していくこととしております。  まず、収益性の高い露地野菜については、将来的にも安全・安心で新鮮な国産品としての安定的な需要が見込まれることから、経営発展に意欲的な農家に作付を推進し、産地づくりを加速化させてまいります。次に、米より労働時間が短い麦、大豆については、経営規模の拡大が容易であり、スケールメリットが生かせることから、集落営農組織などを対象に、地域ぐるみでの生産を進めてまいります。  また、飼料用米や輸出用米などの新規需要米は、農家が保有する機械で生産できることから、米を経営の主軸と考える農家の取組を促進してまいります。  今後とも主食用米の食味向上のための技術対策もしっかりと進めながら、市町、農業団体と連携して収益性の高い水田農業の確立を目指してまいります。 ○白石資隆 副委員長 松井正一委員。 ◆松井正一 委員 答弁ありがとうございました。  いろいろな可能性を秘めた水田農業ということで、特に選択という視点に立って、その方針の確立という質疑をさせていただいたところです。今部長の答弁にもありましたように、多種多彩な選択肢を考えるために、県が様々なパッケージや具体的な予算を用意し、今予算の中で反映しようとしているということを改めて確認することができました。  まだ私も疎いのですけれども、非常に着目しましたのは、予算の中の一つに土地利用型農業としてのいわゆる露地野菜におけるメガ産地づくり、50ヘクタールを超えるメガ産地をつくるという話があって、実は前段の勉強会の中でもいろいろと議論をさせていただいたところです。当然単一農作物を選定しまして、当該地域50ヘクタールをつくっていくと、そのための必要な経費等を掲げていくということでありますが、栃木県の適地適作ということで鑑みれば、例えば複合農産物で露地野菜を地域でつくるとか、その地域ではいろいろな方法があると個人的には思いました。ですので、いろいろ実証実験的な意味合いも含めて、この令和3年度ではやっていくということでありますけれども、様々な農家の声などを含めて、単一、複合も含めて、どういう方法が今後のメガ産地づくりに望ましいのかということと、当然メガ産地をつくるためには需要と供給という視点で、確実な供給体制ということも必要になってくると思いますので、その点をよろしくお願いしたいと要望させていただきたいと思います。  令和3年度予算が1兆154億円ということで、そのうち新型コロナウイルス感染症関連が2,088億円、非常に大きな予算ではありますが、当然必要なものを随所に織り交ぜて措置しているということに変わりはないと思います。冒頭のLRTの件については、会派としての見解を述べましたけれども、いずれにしてもそうした様々な見解で予算ができることを強く求めながら、私の質疑を終わります。ありがとうございました。 ○白石資隆 副委員長 以上で、民主市民クラブの質疑は終了いたしました。  発言通告者に対し発言を許します。  公明党栃木県議会議員会、野澤和一委員。 ◆野澤和一 委員 公明党栃木県議会議員会の野澤和一でございます。  通告に従いまして質疑に入らせていただきます。  近年、世界的に脱炭素社会に向けた取組が大きな潮流になる中、県は国の方針に呼応し、昨年12月、2050年の脱炭素社会、カーボンニュートラルの実現を目指す宣言をいたしました。脱炭素社会構築に向けては、環境エネルギー戦略として、生活、経済、産業構造の社会全体の変革が必要不可欠であり、家庭やビル、交通をITネットワークでつなげ、地域でエネルギーを有効活用する社会システムであるスマートコミュニティの構築に向けた取組が始まっております。  そこで、脱炭素社会構築に向けた取組について、初めに産業分野における未来技術の活用促進について、産業労働観光部長に質問させていただきます。  脱炭素社会では、エネルギー利用の効率化や省資源化が求められるわけですが、このためにはAIやIoT、新素材等を活用した新技術の研究開発や社会実装を推進していく必要があり、設備投資や人材育成の喫緊の課題がございます。  県では、新年度予算の中でAI・IoT・ロボットに加え、光学、環境・新素材の技術を今後のものづくり産業を加速させる未来3技術と位置づけ、これらの技術を活用した研究開発等を積極的に支援するとしております。この取組により、幅広い分野の企業へ未来技術の理解促進と導入が図られ、ものづくりを強みとする本県の潜在力を最大限発揮できるものと期待しております。  そこで県では、脱炭素社会構築に向け、産業分野における未来技術の活用促進について、どのように進めていく考えか、産業労働観光部長に伺います。 ○白石資隆 副委員長 小竹産業労働観光部長。 ◎小竹 産業労働観光部長 本県が脱炭素社会の構築を目指す上では、県内産業界の理解促進を図りながら、ものづくり県としての強みを生かし、脱炭素化に資する技術の開発や活用の取組を広げていくことが有効であります。そのため、現在策定中の新とちぎ産業成長戦略におきまして、環境・新素材を未来3技術の一つと位置づけ、産学官が連携いたします最新の知見に基づく研究会の開催等により、技術開発の裾野を広げながら、自動車などの戦略3産業等での活用が期待できる新技術開発に対する助成などを通じまして、県内ものづくり産業の成長促進と脱炭素社会構築への貢献を図ってまいります。  施策の推進に当たりましては、新年度、産学官金が連携いたします、仮称ではありますが、とちぎ未来技術フォーラムを設置することとしており、フォーラムを中心とする施策の効果が戦略3産業はもとより、多くの企業に広がりますよう、未来技術の活用促進に向けた活発な意見交換や情報発信等にも取り組んでまいります。  今後、脱炭素社会の構築に向けまして、県内産業界と連携を図りながら、新技術開発やその活用等を積極的に支援し、グリーン社会の実現を推進してまいります。 ○白石資隆 副委員長 野澤和一委員。 ◆野澤和一 委員 積極的に取り組んでいくという答弁をいただきました。未来技術フォーラムを通じて、より多くの企業にこの未来技術を知っていただいて、またそれを活用しながら発展につなげていくという力強い答弁だったと思います。  ここで企業局長に再質問をさせていただきたいと思います。  脱炭素社会構築に向けては、先ほど部長から答弁があったように、未来技術の活用、これは不可欠でございます。私はその未来技術のベースに、化石燃料に頼らないエネルギーへの転換があると考えておりまして、事業運営において再生可能エネルギー等を主要な電源とすることは不可欠な要素であると考えています。  県が全国に先駆けて創設したとちぎふるさと電気は、県内企業に向けた地産地消の100%再生可能エネルギーであることから、これを採用することが企業のエネルギー転換に寄与するものと考えております。そこで県は、とちぎふるさと電気について、脱炭素社会構築に向け、計画的な供給目標を定め、普及拡大に積極的に取り組むべきであると考えますが、企業局長の所見を伺います。 ○白石資隆 副委員長 矢野企業局長。 ◎矢野 企業局長 とちぎふるさと電気の供給目標につきましては、これまで1年を通じて安定的に供給可能な6万メガワットアワー、これを年間販売目標としまして普及拡大を図ってまいりました。その結果、現在12社、15事業所に約3万5,000メガワットアワーを供給しております。  また、今年度からは販売電力量の増加に向け、年間を通じての販売メニューに加えまして、河川の流量が豊富で発電量の多い春から秋までの6か月のプランや、夏場の2か月限定のプランを新たに設定いたしました。これにより約7万メガワットアワーの上乗せが可能となりますので、とちぎふるさと電気の理念や新たな販売メニューを積極的にアピールしまして、さらなる販売拡大に努めてまいります。 ○白石資隆 副委員長 野澤和一委員。 ◆野澤和一 委員 局長から答弁をいただきました。  とちぎふるさと電気につきましては、具体的な目標を定め、様々な取組をされているということでございますが、ぜひこれを推進していただきながら、脱炭素社会構築に寄与していただきたいと思います。  そして、産業分野への支援については、どうか県は未来技術導入とこうしたエネルギー転換となるふるさと電気をセットにした積極的な取組を要望して、次の質問に移りたいと思います。  脱炭素社会構築に向けた県民運動の推進について、環境森林部長に質問させていただきます。  脱炭素社会構築に向けた社会全体の変革のためには、県民一人一人が目標を共有しながら、県民運動として一体となって取り組んでいくことが重要になっていくと考えます。県ではこれまで、温室効果ガス排出削減対策を県民総ぐるみの行動でつなげていくため、知事をトップに産学官の代表で構成される「COOL CHOICE とちぎ」推進チームを立ち上げ、これまでゼロエネルギー住宅の普及や効果的な情報発信などの意見を聴取しながら県民意識の啓発に取り組んできたところでございます。  私は、今般のカーボンニュートラル実現を目指す宣言を踏まえ、これまで以上に効果的で積極的な県民運動の展開が必要であると考えております。  そこで、県は新年度予算に計上した「COOL CHOICE とちぎ」県民運動推進事業を活用し、カーボンニュートラル実現に向けた県民運動をどのように進めていこうとしているのか、環境森林部長に伺います。 ○白石資隆 副委員長 鈴木環境森林部長。 ◎鈴木 環境森林部長 県では、温室効果ガスの排出削減対策を県民運動として展開していくため、市町や産業界等と連携しながら、普及啓発等に取り組んできたところでございます。しかしながら、カーボンニュートラルの実現という高い目標を達成していくためには、これまで以上に幅広い関係者と連携を図りながら、省エネルギー住宅や次世代自動車の普及など、脱炭素型ライフスタイルへの転換を促進していくことが重要となります。  そのため、新年度は「COOL CHOICE とちぎ」県民運動推進事業を活用いたしまして、プロスポーツチームとの連携や、SNSの活用による情報発信など、県民への普及啓発を一層強化いたしますとともに、地域工務店向け住宅セミナーの開催などを通じまして、温室効果ガスの削減効果が高いネットゼロエネルギー住宅、いわゆるZEHでございますが、この導入を促進するなど、県民運動を加速化していく考えでございます。  さらに、ロードマップの策定などを通じまして、県民、事業者、市町などあらゆる主体と目標を共有し、連携・協働を図りながら、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を県民総ぐるみで推進してまいります。 ○白石資隆 副委員長 野澤和一委員。 ◆野澤和一 委員 ただいま部長から幅広い取組を県民総ぐるみでという話を頂戴いたしました。生活者、いわゆる生活活動の中で出てくるCO2の割合は非常に大きいものがございます。そういう意味では、県民の意識、県民運動の角度として、やはり先ほども申し上げましたけれども、エネルギー転換、この角度というものは必要不可欠だと思っております。その中で、家庭用及び事業用太陽光発電システムは導入容量が現在219万キロワットと聞いておりますけれども、県内各地域に普及しているということから、まさに地域のエネルギーを支える分散型エネルギーの柱になり得るものだと強く思っております。
     固定価格買取り制度による買取り期間が満了し、再生可能エネルギーの電力が安値で取引される状況が出てきた一方で、生活や事業等に必要なエネルギーは依然として化石由来のエネルギーに依存している状態です。CO2排出削減に逆行した現状もあるわけでございます。こうした現状を転換するためには、太陽光発電システムのさらなる導入拡大や利活用促進のための蓄電池の普及、CEMS等を活用した自立型分散エネルギーネットワークの構築、こういった取組を強化していく必要があると思いますので、このことを県に要望させていただき、次の質問に移りたいと思います。  ワクチン接種体制の整備について、保健福祉部長に質問します。  新型コロナウイルスワクチン接種の事業を成功させることは、全ての国民にとっても、地域社会繁栄にとっても重要な課題であります。そのため県は、これまで以上に国や地域との連携を強化し、情報の伝達をスムーズに行っていかなければなりません。  公明党栃木県本部は、1月27日に新型コロナウイルスワクチン接種対策本部を設置し、県内市町におけるワクチン接種計画策定状況等を調査させていただきました。その結果、市町が抱える課題として、ワクチン等の情報不足をはじめ、医師・医療関係者の確保や集団接種会場の設営、夏場の暑さ対策、雨天時の対応のほか、会場に行けない接種希望者への対応やキャンセル対応、ワクチンの安定供給やワクチンロス等が挙げられました。  こうした中、県は3月1日に相談センターを開設し、県内の本格的な接種を前に、専門的相談体制を構築いたしました。これは県民の不安解消や課題を抱える市町への支援にもつながり、県として重要な取組であると考えております。  そこで、県は新年度予算に新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業費を計上しておりますが、相談センターについてどのような体制でどのように運営していくのか。また、国のワクチン供給に関する情報収集と市町との連携についてどのように進めていくのか、保健福祉部長に伺います。 ○白石資隆 副委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 県におきましては、ワクチン接種に関しまして医学的な知見が必要となる相談や問合せに対応するため、受診・ワクチン相談センターを設置したところであります。同センターにおきましては、副反応等の専門的な相談につきましては、休日等を含め毎日午前9時から午後9時まで看護師を配置し対応いたしますとともに、一般的な相談につきましては24時間体制で対応しますほか、国や市町のコールセンターとも連携して対応してまいります。  また、ワクチン供給等に関する国の最新情報を迅速に収集し、市町からの照会に適切に対応するため、厚生労働省の自治体相談・支援チームに県職員をリエゾンとして派遣したところであります。  引き続き、受診・ワクチン相談センターの適切な運営を行うとともに、国や市町、医師会等と連携を図りまして、ワクチン接種が円滑に実施できる体制整備に取り組んでまいります。 ○白石資隆 副委員長 野澤和一委員。 ◆野澤和一 委員 部長から答弁をいただきました。  ワクチン接種の情報等の円滑な連携、これは国に県の職員をリエゾンとして派遣しているということで、十分な対応をよろしくお願いしたいと思います。  また、現場の状況を確認するということで、相談体制についても確認させていただきました。オペレーター7人、専門家1名の体制と聞いているのですが、これから本格的な接種が始まってきますと、どうしても相談件数が大幅に増える予測もありますので、停滞することが懸念されます。そこで、相談対応についてはチャットボット等のデジタル技術、これを導入する準備をしていただくよう要望させていただきたいと思います。  ここで保健福祉部長に再質問させていただきますが、ワクチン接種の実施主体、これは市町でございますが、県のバックアップは不可欠であると思います。例えば人の流れが自治体を越え広域となる会社通勤や高校通学等については、県の対応が必要だと考えますが、どのような対応を考えているのか。また、接種を希望していながらも、接種会場に行けない要介護者の方等への対応、これをどのように考えるのか、保健福祉部長に併せて伺います。 ○白石資隆 副委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 初めに、事業所あるいは高校での集団接種につきましては、効率的な接種が行われると考えておりますが、一方で接種記録の取扱いなどの課題もあると認識しております。現在、国におきまして事業所におけるワクチン休暇の導入といった観点でも検討が進められていると承知しておりますので、その動向を注視しながら、本県に必要な対応を図ってまいりたいと考えております。  それから、要介護者等につきましては、これは在宅での接種等が必要になると考えておりますが、こちらにつきましては各市町で地元医師会との協議を進めながら準備が進められていると考えております。こちらにつきましても、市町の必要な支援を行いながら円滑な接種が行われるように努めてまいります。 ○白石資隆 副委員長 野澤和一委員。 ◆野澤和一 委員 圏域、いわゆる自治体の区域を越えて活動するという部分については、先進的な取組として岡山県が、住居以外の市町村でも接種できる体制を構築するとして、通勤通学先で接種できる取組を現在進めていると聞いております。担当者とも電話でやり取りをさせていただきましたけれども、市町と協議会をつくりながら円滑に接種が進むよう今進めているところですという力強い話も聞かせていただきましたので、こうした事例を参考にしていただきながら、本県の円滑な接種体制整備について要望しておきたいと思います。  また、先日、ワクチン接種のための移動車両のニュースが報道されておりました。これは移動が困難な接種希望者や地域、さらに広域にわたる課題対応ができる手段となり得るものでございました。例えば、県がこの車両を借り上げ、全ての市町で円滑に接種が進むよう調整や対応を行うなど、市町に対して万全の支援を行うよう要望したいと思います。  最後になりますけれども、新年度から始まるワクチン接種、これは必ず成功させなければならない最重要課題、事業でございます。これまで経験したことのない取組でもありますので、あらゆる場面を想定し、最善の策を万全に整え、臨んでいただきますよう要望して、質疑を終わりたいと思います。 ○白石資隆 副委員長 以上で公明党栃木県議会議員会の質疑は終了いたしました。  この際休憩したいと思います。午後2時35分から再開いたします。  休憩いたします。                午後2時24分 休憩           ────────────────────                午後2時35分 再開 ○五十嵐清 委員長 委員会を再開いたします。  引き続き総括質疑を行います。  発言通告者に対し発言を許します。  県民クラブ、保母欽一郎委員。 ◆保母欽一郎 委員 皆様、こんにちは。県民クラブの保母欽一郎でございます。これより2021年度当初予算関連について、会派を代表して質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  初めに、2050カーボンニュートラルに向けた事業について、環境森林部長にお伺いいたします。  菅総理大臣は、地球温暖化対策への世界的な潮流を踏まえ、2050年までに脱炭素化を基本として、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする2050年カーボンニュートラルを宣言しました。栃木県でもこの国の動きに呼応して、福田知事は2021年度中にロードマップを策定し、経済と環境の好循環により、持続可能で力強い栃木を構築していくことを表明されたのであります。  その先導役となる環境森林部では、今年度策定する栃木県環境基本計画に基づき、カーボンニュートラルに向けた様々な事業を新年度で計画しておりますが、その中の一つに地域活用型電源導入推進事業費がございます。この事業は、災害時に活用可能な自立分散型エネルギーの導入促進として、地域電源供給拠点の整備促進と県有施設の脱炭素化の推進に2,040万円を計上しております。  そこで、この事業の具体的内容と目的について、改めてお聞かせ願います。 ○五十嵐清 委員長 鈴木環境森林部長。 ◎鈴木 環境森林部長 地域活用型電源導入推進事業は、初期コストゼロで太陽光発電設備を設置し、その電気を購入する仕組み、いわゆるPPAモデルでございますが、これを導入した事業場への電気自動車用の急速充電器の設置に対し支援を行うものでございます。  これによりまして、災害時にEVを介して避難所などに電気を供給できる地域電源供給拠点を整備し、地域電源の強靱化につなげていくことを目的として、新年度はまず10か所の整備を目指して取り組んでいくこととしております。  また、県有施設を対象といたしまして、PPAモデルに適した施設規模や契約条件、CO2削減効果などについて総合的に調査・検討し、その結果を広く公開することにより、県有施設はもとより県内の幅広い施設への設置を促進していく考えでございます。  こうした取組を通じまして、カーボンニュートラルの実現に向け、エネルギーの自立化や強靱化に資する再生可能エネルギーの導入拡大に積極的に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 委員長 保母欽一郎委員。 ◆保母欽一郎 委員 ただいま環境森林部長から説明をいただいたわけでありますが、民間事業者にPPAモデルを活用して太陽光パネルと蓄電器の設置を促進し、県内の脱炭素化と電力自給率の向上を図り、なおかつ急速充電器の設置も行い、災害発生時の地域の電源供給拠点として、避難所などの施設の非常用電源対策に電気自動車を活用する試みは、防災対策や電気自動車の普及啓発につながるのであります。極めて時流を踏まえた政策であり、大いに推進すべきと考えるのであります。  そこで、環境森林部長に3点まとめて再質問させていただきます。  1点目は、県有施設の脱炭素化推進に向け、PPAモデルによる省エネ装備の導入調査を行うのでありますが、県有施設にPPAモデルを導入する際には、事業者に勧めるように、避難所などの施設の電源供給拠点となる電気自動車の急速充電器の設置も率先して行うべきと考えますが、所見をお聞かせ願います。  2点目は、新たな県有施設の整備事業についても同様の考えの下、検討を図っていくべきと考えますが、所見をお聞かせ願います。  そして3点目でありますが、2050カーボンニュートラルに向けた取組は、県全体で取り組む課題であり、県内の市町と共に連携して進めていかなければなりません。そこで、各市町の公共施設や工場、中小事業所などにおいても同様の考え方の下、推進を図るべきと考えますが、各市町の対策についてはどのように考えているのか、以上3点についてお聞かせ願います。 ○五十嵐清 委員長 鈴木環境森林部長。 ◎鈴木 環境森林部長 まず、県有施設へのPPAモデル、急速充電器の導入についてのお尋ねですが、新年度にスタートいたします気候変動対策推進計画におきましても、県として率先的に再生可能エネルギー設備の導入等に取り組むこととしているところでございます。このため、新年度に実施いたしますこの調査結果なども踏まえながら、まずPPAモデルが前提となってまいりますので、それに適した施設規模であるか、CO2の削減効果あるいは地域電源の強靱化に資するか、こういった観点から施設ごとの状況も勘案して、新たに整備する施設も含めまして、PPAモデルの導入、それから急速充電器の設置について検討を進めてまいります。  次に、市町への働きかけ、市町等への普及促進でございますが、本事業による調査結果につきましては、広く県民の皆様にお示ししたいと考えております。市町に対しましては詳しくその内容等をお示しして、市町の公共施設を含め、県内各地にPPAモデル、そして急速充電器が設置されるよう進めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 保母欽一郎委員。 ◆保母欽一郎 委員 取組においては様々な課題はあると思いますが、国も脱炭素化と自立分散型エネルギーの促進のため、PPAモデルを活用した省エネ装備の設置と災害時の発電対策を推奨しており、電気自動車の普及率においても2030年までに現在の約0.5%から30%にする目標を立てております。県でも同様に取り組んでいくものと考えますが、その実現のためにも急速充電器の整備拡充が必須となります。ぜひ県内の脱炭素化と電力自給率の向上だけにとどめることなく、防災対策や電気自動車の普及啓発にもつながるよう取り組むことを要望させていただきます。  ここで教育長に関連で再質問させていただきます。  現在、教育委員会で進めている新設事業として、足利高校と新青少年教育施設の建設がございます。両施設とも整備基本計画に基づき作業を進めているわけでありますが、この両施設における脱炭素化と電力自給率向上に向けた取組はどのように進めているのか、お聞かせ願います。 ○五十嵐清 委員長 荒川教育長。 ◎荒川 教育長 新青少年教育施設、それから足利高校につきましては、ともに現在基本設計の段階ですが、太陽光パネルの設置、照明器具のLED化、それから人を感知してスイッチが入ったり切れたりする人感センサーの設置などの省エネ対策が中心になりますけれども、環境に配慮した施設として整備していきたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 保母欽一郎委員。 ◆保母欽一郎 委員 今の説明ですと、整備計画は今県が進めようとしているPPAモデル活用は含まれていないようですが、このPPAモデル活用事業は太陽光パネルと蓄電器、急速充電器の設置を行っても、初期投資費用がかからず、一定期間電気料金の軽減措置を受けながら支払う仕組みであり、建設費用にも影響いたしません。PFI方式の新青少年教育施設にも足利高校にも、十分対応が可能であると考えます。  また、教育施設は災害時の避難施設にもなるのであります。そして、来年はいちご一会とちぎ国体が開催されますが、そのメインのカンセキスタジアムとちぎにも急速充電器がまだ1台も設置されておりません。環境国体として取り組むとのことでありますので、ぜひ新設だけでなく既存の施設にも早急に検討することを併せて要望させていただきます。  続きまして、高齢者施設などにおける新型コロナウイルス感染防止対策について、保健福祉部長にお伺いいたします。  栃木県は、新型コロナウイルス感染症第3波の急拡大により、残念ながら2度目の緊急事態宣言対象地域となったのであります。対象期間中は、医療関係者や対象事業者はじめ多くの県民の皆様が真摯にご協力をいただき、新規感染者や入院患者、入院待機者数などが大幅に減少したため、予定期間内で解除となったのであります。解除後におきましても、感染状況は低く抑えられており、現在は入院待機者もほぼ解消され、安堵するところであります。  県として今後なすべきことは、2度の緊急事態宣言対象地域となった教訓を踏まえ、調査と検証を十分に行い、同様の事態、状況を招かない対策を講じていくことと考えるのであります。そこで、対策を強化していくべきと考える一つに、多くのクラスターが発生した高齢者施設などの感染防止対策があります。  県では、2月補正予算や新年度の当初予算において、様々な助成措置や対策を講じておりますが、今後、高齢者施設などで感染者やクラスターを発生させないために、どのような検証の下、どのような対策を強化していくのか、お聞かせ願いたいと思います。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 高齢者施設等において発生したクラスターにつきましては、手指消毒やエプロン、手袋の取扱い、室内の衛生管理等に改善すべき課題が明らかになったところであります。  このため県では、クラスターが発生した施設の例を参考にした研修会などを実施してまいりましたが、今通常会議に上程された改正条例によりまして、今後全ての介護サービス事業者に感染対策の委員会の設置と、研修や訓練の実施を義務づけまして、感染症への対応力強化を図ってまいります。  また、簡易陰圧装置の設置や面会室の改修等への助成により、施設の環境整備も図ってまいります。  今後とも高齢者施設等が最大限の感染症対策を継続的に行いながら、必要なサービスを提供できるよう、高齢者施設等の感染対策を支援してまいります。 ○五十嵐清 委員長 保母欽一郎委員。 ◆保母欽一郎 委員 私が高齢者施設などの対策を強化すべきと考えますのは、クラスターが多数発生したことや、入居者の重症化リスクが高いことはもちろんでありますが、第3波のように感染者が急拡大して医療機関が逼迫する事態に追い込まれますと、様々な事由で入居者の入院が困難な状況が見られること、そして入居者感染数における死亡率の割合が高いことからであります。  そこで、保健福祉部長に再質問をさせていただきます。  今も話がありましたが、高齢者施設などの感染拡大防止対策として講じている多床室の個室化や簡易陰圧装置の設置事業は、昨年4月の臨時会議で承認され、事業を進めておりますが、推進状況が極めて低い状況にあり、私の聞き取り調査では事業者の希望を取って行う施設任せの取組となっております。  また、職員に抗原検査を実施しておりますが、継続する新たな予算は計上されていないように見受けられます。そこで、この状況をどのように受け止め、今後どのように取り組んでいくお考えなのか、お聞かせ願います。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 初めに、施設の関係ですが、簡易陰圧装置につきましては令和2年度112施設から申請がありまして、これらの施設につきましては交付決定を行ったところでございます。多床室の改修につきましては、こちらは施設の大きな変更を伴いますことから、なかなか事業者のほうから希望が集まらなかったという状況でございます。  一方、抗原検査につきましては、現在一斉検査を2月から実施しておりますが、今後につきましては今回の一斉検査の状況あるいは今後の感染拡大の状況などを踏まえまして、今後の検査の在り方を含めたクラスター対策についてしっかり検討していきたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 保母欽一郎委員。 ◆保母欽一郎 委員 今、部長からご説明がありました。いつも私は感じるのですが、やはり大事なことは具体的に対策を講じていかなければなりません。検討します、またこれから進めてまいりますという話で、現実的にはなかなか施設の設備も整っていないわけです。その辺りのところをもう少し、所管部の責任者として重く受け止めていただきたいと思います。  また、いろいろな理由はあると思います。しかし、また各施設の調査もさせていただきましたが、本当に感染防止対策に尽力をいただいております。それは感謝しますし、私も理解をしております。しかしながら、高齢者施設などでクラスターが多発しているのです。重症化リスクも高いのです。入居者感染者数の死亡率割合が高いのであります。感染拡大防止対策として国が進める重要な事業を各施設の判断任せにすることは、私は決してよくないと考えるのであります。やはり県がしっかり実態調査をして、その上で施設と協議を行い事業を進めなければ……。 ○五十嵐清 委員長 保母委員に申し上げますが、再質問なのか要望なのか事前に明確に。 ◆保母欽一郎 委員 要望させていただきます。  しっかり調査して事業を進めなければ、状況は改善されないと私は考えるのであります。もちろん今まで対策に追われていたわけですから、この辺りは理解できます。そういう意味でも、ぜひ感染拡大が落ち着いているこの間に、しっかり取り組んでいただくことを要望させていただきたいと思います。  また、高齢者施設などの職員全員への抗原検査についてであります。  私はこの目的は感染抑止、予防対策で行っていると思っております。また、そのような説明も受けております。しかし、実際そういう目的ならば一度だけで大丈夫なのかと。やはりこれは定期的に行わなければ対策にはならないと考えるのであります。高齢者施設などのクラスター対策は、入居者に感染させないことが一番の対策であり、感染源と考えられる職員への定期的検査は極めて有効な対策であると思うのであります。  政府は全国で新型コロナウイルスワクチン接種の優先順位を設け、段階的に開始しました。しかしながら、ワクチン接種の状況はワクチンの入荷が遅れるなど、当初の計画どおりに進めることはなかなか難しそうであり、長期間にわたるものと考えます。また、間もなく1都3県の緊急事態宣言が解除され、再び社会経済活動が活発になれば、県をまたぐ往来が進み、新たな課題となる変異株ウイルスの拡大とリバウンドによる第4波が危惧されるのであります。せめてワクチン接種が完了するまでの間、定期的に抗原検査を行うことを強く要望させていただきます。  国内で新型コロナウイルスの感染が始まり約1年がたつわけでありますが、行政が今まで行ってきた対策は、ほとんどが感染拡大防止対策であります。そして、予防接種がワクチンでございますが、その予防対策、これは国民、県民へのお願い、要請、事業者などに委ねてきたのです。今後は行政としても新たな感染予防対策を考案していかなければ、景気の回復は難しいものと考えます。  そこで以前から要望している県独自の抗原検査、企業、団体と連携してでございますが、その実施をやはりここで真剣に検討していただいて、そしてぜひ進めていただくことを改めてお願いし、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○五十嵐清 委員長 以上で県民クラブの質疑は終了いたしました。  発言通告者に対し発言を許します。  えがおの会、青木克明委員。 ◆青木克明 委員 えがおの会の青木克明でございます。  私からは、保健福祉部長新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いいたします。  県では、新型コロナウイルス感染症の急激な拡大によって今年1月には医療提供体制が逼迫し、約1,000人の入院待機者が発生しました。緊急事態宣言が発令され、医療機関の大変なご尽力と県民の皆様の多大なご協力によって、危機的状況は回避できたと思っております。しかし、変異株など感染症の脅威はまだ消えていない。  そういった中で、県も今まで医療提供体制の整備や検査体制の強化など、様々な取組を行ってきました。しかし、40のクラスターが発生し、昨日現在で陽性者4,335人、そういう状況にあって、外国由来の変異株は従来のウイルスよりも感染力が強い、またイギリス型変異ウイルスは死亡率も2倍になるという報道もあります。感染拡大に対する対策は非常に重要だと思います。  変異株は各地で確認されており、3月16日現在、26都道府県で399名確認されております。本県も昨日1名増えて2名となり、こういった状況を見てみますと、感染拡大の対策は重要と考えます。  しかし、新年度予算は変異株などによる感染拡大の抑止への対策、また変異株による感染拡大の備えは十分とは言えない状況にあると思います。今、県ではデータがたくさんあるわけではないと思います。しかし、県内外、海外の情報も含め様々な情報を活用、参考にして積極的な備えをすべきだと思います。  そこで、変異株の感染拡大防止対策など様々な対策が求められていると思いますが、県民の感染症からの回避、県民を守るための取組として、どう取り組もうとしているのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長
    ◎海老名 保健福祉部長 新型コロナウイルスの変異株による感染者数が国内外で増加しており、本県といたしましてもその発生を早期に把握し、感染拡大防止対策につなげていくことが重要と考えております。  県におきましては、保健環境センターにおいて変異株のスクリーニング検査を開始したところであり、これまでに国が目安として示した陽性者数の5%から10%を上回る約60%の検体の検査を実施したところですが、この検査の中で全て変異の疑いはないと確認しております。一方、スクリーニング検査開始前の患者の検体の一部につきましては、国立感染症研究所での検査を依頼しているところですが、一昨日1名の検体が変異株であったことが判明いたしました。そのため、今後週1回実施している変異株のスクリーニング検査の実施頻度を高めるとともに、幅広い接触者等へのPCR検査もこれまで以上に徹底するなど、検査体制の強化を図ってまいります。引き続き国内外の最新情報等を踏まえまして、変異株の早期発見に努めますとともに、県民への感染リスクを回避するための感染防止対策の呼びかけなど、各種対策に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 委員長 青木克明委員。 ◆青木克明 委員 スクリーニング検査のパーセンテージを上げてやっていく、これは重要なことだと思います。検査体制を強化すること、これも重要だと思います。注意深く見守るというのも重要だと思いますけれども、現状の把握、部長も非常に重要だと思っていらっしゃると思いますが、そういったことの中でできる可能性のある分析や調査や検証というものを、やはり行っていく必要があると思います。  北海道大学などの研究チームの一つの例を申し上げます。ある町の下水を調査して、遺伝物質、遺伝情報というのが正しいですね、これを検出した。要するに下水に何%か新型コロナウイルスの変異株の遺伝情報が出たということであります。極端に言えば、ある町がそういう危険性があると思ったら、その下水を調べることによってそこの状況を知ることができる。そういった次の対策に活用できるようなものを、しっかりと取り組んでいくことが必要だと思います。なぜ今、さほど多くない感染者の中で、様々な取組を積極的に行うことを私が勧めているかというと、これは京都大学の山中教授によると、この変異ウイルスの実効再生産数は0.52から0.74高いそうです。2月1日時点の情報では栃木県の実効再生産数は0.76だった。そこに0.74足すと1.5になるんですね。1.5というのは、今回の第3波の最大のピーク時の実効再生産数の最高位だと言われているのです。  変異株の感染者数が399名だという話を先ほど質問の冒頭に申し上げましたけれども、399名は1週間前から128人の増で1.5倍です。思っているよりも、あっと気がつくうちに感染は拡大してくると思います。ですから、本当に一人一人のきちんとした対応、調査をどこまでできるかが重要だと思いますので、まず現状の把握ということについて、また様々な調査や様々な検証についてどう考えているか、お聞かせください。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 現状の把握についてお話をいただきましたが、今回緊急事態宣言の解除に当たりまして、国から解除された自治体については国と都道府県で連携して、いわゆるモニタリング検査を実施するということになっております。本県におきましても解除後、全国に先駆けて町なかでのPCR検査のモニタリング検査を開始したところです。そういった中、無症状でウイルスを持っている方が町なかで一般の生活をしておられる可能性のモニタリングをしているところでございます。そういったところから探知をしていく。  国の取組では、全国的にSNSの情報なども分析すると伺っていますので、こういった動きとしっかり連携しながら、本県の対策に役立ててまいりたいと思っております。 ○五十嵐清 委員長 青木克明委員。 ◆青木克明 委員 今、部長からも無症状者対策が必要だと、まさにそのとおりで、ただ濃厚接触者、可能性のある接触者、関係者だけ行うのではなく、PCR検査でいかに無症状者を見つけ出すかということが大事だと思いますので、そういった強化にももっと取り組んでいただきたいと思います。  それと、もう一つ大事なのは積極的疫学調査で、先ほど保母委員から高齢者施設のクラスターの話も出ました。このクラスターの道程を調査する、要するにクラスターがなぜ発生したかということを突き詰める道程、これが積極的疫学調査の役割ですよね。これをしっかりと組織化して、今の体制からもっと強化をしてやっていくべきだと思いますが、部長はどうお考えかお聞きしたい。 ○五十嵐清 委員長 海老名保健福祉部長。 ◎海老名 保健福祉部長 積極的疫学調査につきましては、これはいわゆる保健所が主体となって行います。これを支援するために全庁的な組織としての機動調査チームというものをつくっているところですが、このチームについては研修を実施しており、その研修に当たっては国立感染症研究所の研究者の方もお招きして、疫学調査の方法なども学習した上で派遣しておりますので、そういった観点でしっかりと疫学調査の手法を学んだ者が疫学調査に当たるということで対応しているところでございます。  また、感染者が多い場合にはさらに外部の大学などの専門家にもご協力いただくようなシステムもありますので、様々な方の力を借りながら、しっかりと調査を進めてまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 青木克明委員。 ◆青木克明 委員 質疑の時間がなくなりましたので、要望をさせていただきます。  積極的疫学調査を強化する、これは重要なことだと思いますので、ぜひ強化してください。それと、もう一つ聞こうと思ったのですが、厚生労働省は病床数を2倍にすることを目的として、重症、中等症、軽症の役割をそれぞれの病院に与えて、病床数を確保しろと、倍にしろということを都道府県に要請として通知してきていると思います。いろいろと報道を見ていると、その実現はかなり難易度が高い。栃木県内の大学病院が重症を扱う、中等症を公的病院が扱うというすみ分けをすることになっておりますが、何といっても実際に今409の病床、このうち重傷者病床が46であるところ、1,000の病床と100の重症病床を確保するということは、今まで行ってきても大変だったのにその倍を求められるわけですから、大変な負担だと思います。その目標達成に、医療関係者の皆さんの多大なるご協力をいただかなければならないと思いますので、ぜひ頑張っていただきたい。  それと、最後にオーバーディスパージョンという言葉を部長はご存じだと思いますが、二次感染についてですね、感染者の80%は誰にもうつさない、残りの20%が80%の人に感染させているという、こういうデータが今回の新型コロナウイルスにあるのです。ですから、徹底的に対策を講じて潰してしまえば、新型コロナウイルスは消えるのです。絶滅できる可能性が高いのです。 ○五十嵐清 委員長 簡潔に願います。 ◆青木克明 委員 ですから、ぜひそういったことに取り組んでいただいて、新型コロナウイルス絶滅に向けて取り組んでいただくことを心からお願いして、終わりにします。  ありがとうございました。 ○五十嵐清 委員長 以上でえがおの会の質疑は終了いたしました。  発言通告者に対し発言を許します。  静和の会、相馬政二委員。 ◆相馬政二 委員 静和の会の相馬政二でございます。私からは、2つの事業についてお伺いいたします。  まず耐震改修等促進事業について、県土整備部長に伺います。  今年3月で東日本大震災の発生から10年を迎えました。また、先月2月13日には、宮城、福島両県で震度6強、本県内でも震度5強を観測する地震が発生し、本県の8人を含む10県で180人以上の死傷者が出るなど、各地で大規模な地震が頻発しており、改めて地震から命を守る対策の重要性を感じております。  このような中、県は、栃木県建築物耐震改修促進計画を策定し、住宅や建築物の耐震診断及び耐震改修の促進に取り組んでおり、今年度末までに防災上重要な県有建築物については、目標値である耐震化率100%をおおむね達成する見込みであるものの、住宅や多数の方が利用する建築物の耐震化については、まだ遅れている状況と聞いております。  首都直下地震等の大規模地震の発生が切迫していると指摘される昨今、県民の生命と財産を守り、県民のより一層の安全・安心を確保するためには、県内の住宅や多数の方が利用する建築物の耐震化率100%を目指し、耐震化を推進していく必要がありますが、経済的な事情等により耐震化が思うように進まないケースに対しても、新たな対策を講じていてくことが喫緊の課題であると考えます。  そこで県は、新年度予算に民間建築物の耐震診断・改修等に要する経費として1億750万円を計上しておりますが、現在策定中の次期栃木県建築物耐震改修促進計画を踏まえ、民間建築物の耐震化について今後どのように進めていくのか、県土整備部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 熊倉県土整備部長。 ◎熊倉 県土整備部長 第3期となります次期の栃木県建築物耐震改修促進計画では、令和7年度末におきまして、民間住宅は耐震化率95%、多数の者が利用する建築物は耐震性が不足する建物をおおむね解消することを、それぞれ目標に掲げております。  そのため、県民理解の促進に向けまして、引き続き各市町と連携し、各住宅への戸別訪問や耐震診断が義務化された建築物の所有者との意見交換等を実施しますほか、新年度からはSNSの活用や、耐震改修工事の現場におけます広報活動など、情報発信の強化にも取り組んでまいります。  また、戸建て住宅につきましては、様々な事情により耐震改修等の実施が困難な所有者もいらっしゃいますことから、比較的安価で容易に設置が可能な耐震シェルターにつきましても普及促進を図ってまいります。  さらに、新年度当初予算におきましては、耐震改修等促進事業をより活用しやすくするため、耐震診断に係る補助額を引き上げたところでございます。 ○五十嵐清 委員長 相馬政二委員。 ◆相馬政二 委員 県土整備部長からご答弁をいただきました。  新年度の耐震改修等促進事業費には、民間建築物の耐震診断や改修、建て替えのほかに、ブロック塀等の除去助成事業がございますが、この事業について県土整備部長に再質問いたします。  近年では、平成30年6月の大阪北部地震でブロック塀が倒壊し、登校中だった当時4年生の女の子が倒れてきたブロック塀の下敷きになってお亡くなりになるなど、痛ましい事故が起こっております。先般、県土整備部から提供された資料によりますと、令和元年度のブロック塀の除去件数は、県内13市町で62件とのことであり、今年度から助成制度が創設されました私の地元那須塩原市は2件にとどまっております。  私は、この件数が非常に少ないと感じておりまして、その原因の一つとしては、制度があまり周知されていないこと、また手続が煩雑だという声も聞いております。  この助成事業については、市町を通じて行うものですが、県はこのような現状についてどのように捉え、どのように分析しておられるのか。そして、市町と連携して、今後どのように進めていくのか、県土整備部長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 熊倉県土整備部長。 ◎熊倉 県土整備部長 県では、令和元年度からブロック塀等の除去に対する助成制度に取り組んでおります。現在、より多くの市町で取組が進められますよう、各市町への働きかけを進めているところでございます。この結果、令和元年度当時の取組市町は5市町でしたが、来年度からは14市町の取組が開始される予定でございます。  また、これまでの件数ですが、制度創設から間もないこと、さらには県内全ての市町でまだ取組が普及していないこと等もありますので、これまで栃木県でも70件余と非常に少ないものと私どもも認識してございます。今後、実施していない市町へ制度創設を働きかけますとともに、SNSの活用、リーフレットの配布等の様々な媒体を活用した広報活動にも力を入れていきたいと考えております。  また、手続についてですが、一部の市町については例えば図面や写真の提出で県民が若干手間取っている事例があると伺っております。これにつきましては、県と市町の連絡協議会の場を設置いたしまして、提出書類の簡素化、全体の一元化といいますか、そういったものの活用や、利用しやすい制度の創設等に引き続き取り組んでいきたいと考えております。 ○五十嵐清 委員長 相馬政二委員。 ◆相馬政二 委員 ありがとうございました。  先ほど県土整備部長のご答弁の中にありましたように、様々な理由で住宅の耐震化ができないという現状がございます。このような現状を鑑みまして、今までの取組の中で見いだした様々な課題を踏まえて、住宅や建築物のさらなる耐震化に向けて実効性の高い対策に取り組んでいただくとともに、ブロック塀等についても危険なものについては早期に除去等ができるように、市町と強力に連携して推進していただきますよう要望して、次の質問に移ります。  いにしえのとちぎ発見どき土器わく湧くプロジェクト事業について、教育長に質問いたします。  過疎化、少子高齢化等の社会状況の変化を背景に、地域における貴重な文化財等の滅失・散逸等の防止が課題となる中、国は有形・無形の文化財をまちづくりに生かしつつ、文化財継承の担い手を確保し、地域社会総がかりで取り組むため、文化財保護法を改正し、平成31年4月1日に施行しました。  この改正により、本県においても文化財の保存・活用に関する総合的な施策である栃木県文化財保存活用大綱を令和3年2月に策定し、本県が誇る文化財を確実に継承していくことにより、ふるさとへの愛着や誇りを醸成し、魅力あふれるとちぎの実現を目指すとしているところであります。  このような中、県は新年度予算に、大田原市湯津上にある国指定史跡である侍塚古墳の埋蔵文化財等を活用した栃木の魅力発信及び地域づくりに要する経費として、4,100万円余を計上しました。侍塚古墳は、上侍塚と下侍塚の2つの前方後方墳から成り、特に下侍塚古墳は日本で一番美しい古墳とも言われています。また、1692年、江戸時代の元禄5年に、徳川光圀の命により日本で最初の学術的発掘調査が行われた古墳として知られ、本県の魅力発信及び地域の活性化につなげるための資源の一つとして、有効に活用されることが期待されます。  そこで、県はまさにどきどきわくわくするこのプロジェクト事業を通して、侍塚古墳の発掘調査をどのように行い、どのように活用していくのか、教育長に伺います。 ○五十嵐清 委員長 荒川教育長。 ◎荒川 教育長 文化財保護法の改正を受け、県教育委員会では、今年度文化財保存活用大綱を策定し、その中で重点的に取り組むテーマの一つとして、重要な遺跡の調査研究と発掘調査の成果の活用を掲げたところであります。  そこで、水戸光圀が日本最初の学術調査を行いました侍塚古墳につきましては、光圀の調査の検証につながる基礎データの収集や分析を行うこととしました。また、調査状況を県内外に向けて随時発信するほか、県民や児童生徒の見学受入れ、発掘体験などを実施し、本物の文化財に触れる機会を提供したいと考えております。  これらの取組を通しまして、日本考古学史上重要な侍塚古墳の価値を周知し、地域資源として活用することにより、郷土愛の醸成と魅力あふれるとちぎの実現に努めてまいります。 ○五十嵐清 委員長 相馬政二委員。 ◆相馬政二 委員 それでは、ここで教育長に再質問させていただきます。  県内には、この侍塚古墳以外にも様々な興味深い文化財がございます。例えば、私が住んでいる地域には、縄文時代中期、今から約5,000年前に大きな集落が形成されたと言われる槻沢遺跡がございます。この遺跡からは、多くの住居跡や国指定重要文化財の深鉢形土器をはじめ多くの遺物が発見されております。私は小学校に入る前から、家の周りの畑や石倉を散策して、矢尻や手斧、石臼など、たくさんの石器や土器等を発見しては…… ○五十嵐清 委員長 簡潔に願います。 ◆相馬政二 委員 それらを眺めながら不思議な感覚を覚えました。本当にどきどきわくわくしたものです。  しかし、槻沢遺跡は埋蔵文化財であるため埋め戻され、その一部が道の駅那須野が原博物館にて展示されておりますが、地域活性化にはほとんど活用されていないのが現状であり、本当にもったいない話であります。  そこで、侍塚古墳を皮切りに、県内の様々な地域で文化財を保存・活用する取組を推進していただきたいと思っておりますが、県は文化財保存活用大綱に基づき、今後どのように文化財等の保存・活用に取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 委員長 荒川教育長。 ◎荒川 教育長 本県には、埋蔵文化財をはじめといたしまして、優れた文化財が多数存在しており、本県の魅力発信、それから地域の活性化のための有効な資源と考えております。  質疑の文化財の保存と活用につきましては、ともに文化財を次の世代に継承していくために重要でありますことから、文化財の保存を確実に図ることはもちろんですが、文化財としての価値が十分に伝わるように県内各市町や関係団体と連携しながら、広域的な活用に向けた情報発信に努めますとともに、市町の取組に対しまして指導、助言、支援を行っていきたいと思っています。 ○五十嵐清 委員長 相馬政二委員。 ◆相馬政二 委員 ありがとうございました。  実は先日、大田原市の侍塚古墳を訪れてまいりました。うれしいことに、地域の方々におかれましては、既に文化財を活用した地域の活性化に向けた取組が始まっておりました。新聞報道にもございましたが、湯津上地区内にあります湯津上村民食堂というレストランに伺いまして、日本一美しい古墳カレーを食してまいりました。一番驚きましたのが、こだわりが半端でないということであります。食材はもとより、お皿やスプーンなどの食器に至るまで、細かなこだわりがたくさんございました。多くの県民の皆様にぜひ一度味わっていただきたいと感じた次第であります。  つきましては、こういった地域の方々の取組を加速させ、地域がさらに活性化できるようにするためにも、例えば侍塚古墳周辺を整備して観光スポットとなる施設整備を行うということも考えられますので、今後ますます地域が活性化するような長期的な視点で取組をお願いして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。 ○五十嵐清 委員長 以上で静和の会の質疑は終了し、令和3年度当初予算関係議案に対する総括質疑は終了いたしました。  以上をもちまして本日の日程は全て終了いたしました。  次回の委員会についてでありますが、明日19日午後2時から令和3年度当初予算関係議案の採決等を行います。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。                午後3時27分 閉会...