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令和 2年度栃木県議会第369回通常会議-12月14日-02号

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  1. 栃木県議会 2020-12-14
    令和 2年度栃木県議会第369回通常会議-12月14日-02号


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    令和 2年度栃木県議会第369回通常会議-12月14日-02号令和 2年度栃木県議会第369回通常会議 (1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名 12月14日(月曜日)  出席議員 50名   1 番      小 池 篤 史   2 番      湯 澤 英 之   3 番      石 坂   太   4 番      岡 部 光 子   5 番      加 藤 雄 次   6 番      金 子 武 蔵   7 番      中 屋   大   8 番      塩 田 ひとし   9 番      野 村 せつ子   10 番      相 馬 政 二   11 番      西 村 しんじ   12 番      小 菅 哲 男   13 番      小 林 達 也   14 番      西 川 鎭 央   15 番      平 池 紘 士
      16 番      高 山 和 典   17 番      吉 羽   茂   18 番      阿 部 博 美   19 番      池 田   忠   20 番      琴 寄 昌 男   21 番      横 松 盛 人   22 番      加 藤 正 一   23 番      斉 藤 孝 明   24 番      松 井 正 一   25 番      保 母 欽一郎   26 番      青 木 克 明   27 番      野 澤 和 一   28 番      山 口 恒 夫   29 番      白 石 資 隆   30 番      関 谷 暢 之   31 番      中 島   宏   32 番      早 川 桂 子   33 番      日向野 義 幸   34 番      渡 辺 幸 子   35 番      阿 部 寿 一   36 番      金 子   裕   37 番      佐 藤   良   38 番      山 形 修 治   39 番      山 田 みやこ   40 番      一 木 弘 司   41 番      五十嵐   清   43 番      岩 崎   信   44 番      小 林 幹 夫   45 番      五月女 裕久彦   46 番      相 馬 憲 一   47 番      早 川 尚 秀   48 番      螺 良 昭 人   50 番      三 森 文 徳   51 番      木 村 好 文   52 番      板 橋 一 好 (2)説明のため出席した者の職氏名  地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者   知事       福 田 富 一   副知事      北 村 一 郎   副知事      岡 本 誠 司   総合政策部長   阿久澤 真 理   経営管理部長   茂 呂 和 巳   県民生活部長   千金楽   宏   環境森林部長   鈴 木 英 樹   保健福祉部長   海老名 英 治   産業労働観光部長 小 竹 欣 男   農政部長     鈴 木 正 人   県土整備部長   熊 倉 一 臣   国体・障害者スポーツ大会局長            石 松 英 昭   会計管理者会計局長            國 井 隆 弘   企業局長     矢 野 哲 也   総合政策部次長総合政策課長            仲 山 信 之   財政課長     野 間 哲 人   教育長      荒 川 政 利   代表監査委員   平 野 博 章   人事委員会事務局長            熊 倉 精 介   労働委員会事務局長            松 崎 禎 彦   警察本部長    野 井 祐 一   事務局長     篠 﨑 和 男   次長兼総務課長  大 橋 哲 也   議事課長     栗 原   亨   政策調査課長   土 屋 篤 史   議事課主幹兼課長補佐            村 田 浩 子   副主幹      谷 平 正 治   係長       関 根   透   係長       秋 澤 和佳子   主査       青 木 和 之   主査       君 島 義 人   主査       関   敏 秀 (3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名 ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は50名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前10時 開議 ○相馬憲一 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  日程第1 第1号議案から第6号議案まで及び第8号議案から第15号議案までを一括して議題とし、質疑を行います。  この際、お諮りいたします。質疑と併せて県の一般事務に関する質問を行うことにご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○相馬憲一 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。  発言通告者に対し、発言を許します。五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) 皆様、おはようございます。とちぎ自民党議員会の五十嵐清でございます。会派を代表しての質問に入ります前に、まずは、今回の選挙で福田富一知事におかれましては5期目の当選を見事な得票で果たされました。会派の議員挙げてお祝いを申し上げますとともに、県民の皆様の期待に応えられ、今後ますますご活躍されますことを心からご祈念申し上げます。  それでは、質問に入ります。  まず初めに、知事選公約次期プランの策定について、知事にお伺いいたします。知事は選挙戦において、今後4年間に取り組む政策として、4本の柱と1つのプロジェクト、新規75項目を含む計110項目を県民に訴えてきました。知事は、今回の選挙戦を通じて、これまで以上に県民と直接触れ合うことにより、政策に肉づけがされ、事業や施策についても具体的なイメージが膨らんだものもあると思います。  我々自由民主党栃木支部連合会も初めて政策協定を結び、今回の推薦を決定しました。その中には、力強いとちぎづくりの推進として、国が誘致方針の先端半導体製造世界ナンバーワン企業の本県誘致、国の防災機能のバックアップを担える総合防災拠点の整備、全国から広く若者を集めプロの職業人材を育成するための(仮称)とちぎ技能カレッジの設置、栃木県版サンドボックス、栃木県版スマートシティ構想、歴史・文化の回廊などの具体的な提案がなされており、早期の実現が強く望まれます。  一方で、県は現在、次の5年間の県政の基本指針となるとちぎ未来創造プランを策定中ですが、前回選挙で明記していた公約実現時期については、新型コロナウイルスや災害への対応で時期の約束ができないとして、今回は設定を見送っております。  そこで、今後の任期4年間の中で、選挙公約を次期プランにどのように位置づけ、実現を図っていくのか、知事にお伺いいたします。 ○相馬憲一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの五十嵐議員のご質問にお答えいたします。私は、このたびの選挙におきまして、多くの県民の皆様からご支持をいただき、引き続き県政を担うこととなりました。選挙期間中、県内各地におきまして、県民の皆様から県政に対する期待や私への激励とともに、地域の抱える課題等について切実な声もいただいたところであります。こうした県民の皆様の思いにお応えするとともに、新しい時代の流れに対応するため、政策集であります「未来へつなぐ とちぎの挑戦」において最重要項目に掲げた新型コロナウイルス感染症感染拡大防止社会経済活動の両立や、令和元年東日本台風被害からの復旧・復興をはじめとして、4つの柱と1つのプロジェクトに沿った施策を積極的に進めてまいります。また、次期プランにつきましては、先頃第2次素案を取りまとめたところであり、未来志向で栃木に新たな価値を創り出すという思いを込めまして、名称をとちぎ未来創造プランとし、デジタル化の進展、新たな日常やSDGsへの対応といった視点を取り入れながら、人材育成戦略や産業・成長戦略など5つの重点戦略の下、18のプロジェクトを展開することとしております。政策集に掲げた項目につきましては、各プロジェクトにおける主な取組等として位置づけ、栃木が日本をリードするという気概を持って、新しいとちぎづくりに挑戦してまいる決意であります。  プランの計画期間であるこれからの5年間は、本県の未来を方向づける極めて重要な時期であると考えております。社会の大きな変化の中にあっても、県民一人一人が未来に希望を抱き、ふるさとに誇りを持てるよう、プランに掲げた将来像である「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現を目指して全身全霊で取り組んでまいりますので、引き続き、議員各位をはじめ、県民、市町、団体、企業等の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) ただいま知事から、知事選公約次期プランの兼ね合いについてご説明をいただきました。私も第2次素案の確認をしましたけれども、項目立てを見れば、十分に知事が訴えてこられた各種政策を取り込めるような項目立てになっていると思いますので、ぜひ執行部の中で議論を深め、あるいは議論を急いでいただいて、次期プランの中で、少しでも達成年限などが分かるような形で県民にお示しいただきたいと思います。
     要望になりますが、自然災害など本当に想定外のことがこれからも起こるかもしれませんので、4年間あるいは5年間の中で実現をするという感覚だけではなくて、実現できるものは少しでも早くという認識で、全庁を挙げてスピード感を持って取り組んでいただくことをお願いして、次の質問に移ります。  市町との連携・協働と地域重視の県政について、知事にお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症対策、災害に強い県土づくりや人口減少対策など、県政における重要課題の解決には、これまで以上に市町との連携や協働が重要になってきます。知事の政策集には、県と市町との役割分担に基づく新たな連携体制の構築、特定課題についての市町とのホットラインの開設、市町に対する人的支援の強化と人事交流の推進などが掲げられていますが、今後、市町とどのように役割を分担し、どのように連携・協働していくのか、知事にお伺いいたします。  また、県内の市町において格差が生じつつある中、特に中核市である宇都宮市との連携は重要であり、相応の役割分担を求めることも必要であると考えますが、併せて所見を伺います。  さらに、知事は選挙戦を通じ、一貫して市町村重視の県政から地域重視の県政への深化を訴えてきましたが、知事の訴える地域重視の県政とは具体的にどのような考えなのか、また、具体的にどのような取組を行う考えか、併せてお伺いいたします。 ○相馬憲一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。人口減少・少子高齢化が進む中、市町が抱える様々な課題が顕在化するとともに、同一の市町の中にあっても、旧市町村区域や小中学校区等の地域ごとに人口構造や産業構造、生活環境などが異なるため、地域の課題は多様化、複雑化しております。こうしたことから、県といたしましては、基礎自治体である市町が地域における中心的な役割を担い、住民のニーズを的確に把握し、主体的な施策を展開することができるよう、市町との適切な役割分担の下、連携・協働をより一層強化してまいります。  さらに、これまでの市町村重視を基本としつつ、地域重視の視点も取り入れて、各地域の状況を市町と共に丁寧に把握し、地域課題の解決に向けて、人材の育成・交流や未来技術の活用促進など、市町の実情に即したきめ細かな支援を行うなど、これまで以上に県民と距離の近い県政を推進してまいります。  また、宇都宮市との連携につきましては、宇都宮市が本県の政治、経済の中心地であり、豊富な行政運営の経験と行財政能力等を有していることを踏まえ、教育や子育て支援まちづくりなど高度化する行政需要に対応していく上での効果的、効率的な連携の在り方について協議してまいりたいと考えております。  今後とも、県内市町との連携・協働を図りながら、各地域が将来にわたり活力を維持し、県民の誰もが将来に夢や希望を持ち、安心して暮らし続けることができるとちぎづくりを進めてまいります。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) ただいまの知事の答弁で、知事の地域重視の考え方も明らかになりました。地域ごとにいろいろな条件、環境、あるいはニーズが違う、多様化していることから、それを市町と連携して丁寧に把握して、そしてきめ細やかな支援につなげるということですので、これは本当に次年度のことを考えますと、早めに県内の市町とも様々な議論を通じて、新年度からそのような取組が行えるように、ぜひご努力をお願いしたいと思います。  また、宇都宮市との関係についても、効果的・効率的な連携の在り方を協議したいとのことでした。本当に宇都宮市はいろいろな意味で地域資源、あるいは行政のインフラストックも集中しているという部分があります。ここが発展しなければ栃木県全体の発展もかなわないという部分もありますので、県と宇都宮市の関係は、県とほかの県内市町との関係とは、おのずと変わってくるところもあると思いますので、そのような協議をぜひお願いしたいと思います。  それでは、再質問させていただきますが、同時に宇都宮市との効率的な連携の在り方という全体的な話だけではなくて、宇都宮市と栃木県で連携して、あるいは協働によって解決すべき課題がもう既にあると思います。例示を挙げれば、児童相談所の問題、特別支援学校の問題、あるいは夜間中学の問題です。このような特定のテーマ一つ一つというのではなくて、栃木県と宇都宮市間に横たわる共通の課題について包括的に協議をする場も必要だと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。 ○相馬憲一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。教育あるいは子育て支援まちづくりなど、幅広い分野における様々な課題の解決に向けまして、中核市としての宇都宮市と適切な役割分担の下、連携・協働していくことが大変重要であると私も認識しております。そこで、ご指摘も含めて、宇都宮市に対しまして、県との効果的な連携や役割分担について協議する場の設置を働きかけてまいりたいと思います。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) ぜひそのようにお願いしたいと思います。今回、自由民主党栃木支部連合会は宇都宮市長の佐藤さんの推薦に当たっても、そのような協議の場を設けてほしいという要望はさせていただいておりますので、ぜひそのような取組をお願いしたいと思います。  他県においては、例えば県が児童相談所を担当します、県庁所在地の市のほうで乳児院はしっかりと支援しますよというような役割分担を実践しているところもございます。そういう意味では、仕事や費用の押しつけ合いをするのではなくて、お互いにとってのメリットを見いだせる議論をぜひ包括的な協議の場で期待させていただきます。以上を申し上げて、次の質問に移ります。  令和3年度当初予算編成と国の15か月予算への対応について、知事にお伺いいたします。令和3年度当初予算編成方針の中で、来年度の財政収支見込みについては、新型コロナウイルス感染症の影響等による税収減などから約109億円の財源不足が見込まれるとされました。知事は公約の中で、新型コロナウイルス感染拡大防止社会経済活動の両立、昨年の台風19号からの復旧・復興の2点を最重要項目に挙げています。新型コロナウイルス感染症の終息が見えず、県内経済への影響も見通せない中、県はどのような考えに基づいて令和3年度当初予算を編成していくのか、知事にお伺いいたします。  また、国は景気が二番底に陥る事態を回避するため、20兆円とも言われる大型の第3次補正予算の準備に取りかかっております。今後、国が編成する15か月予算に対し、どのように対応していくのか、併せて伺います。 ○相馬憲一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症が全国的に再拡大し、早期の終息が見通せない中、県民生活や地域経済は先の見えない不安に直面しており、感染拡大防止社会経済活動の両立を図っていくことは極めて重要であると考えております。  こうした中、令和3年度当初予算につきましては、新型コロナウイルス感染症の今後を見据えた施策や令和元年東日本台風被害からの復旧・復興をはじめとして、とちぎ未来創造プラン及びとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)に掲げる施策の積極的な推進を図るとともに、ウィズコロナポストコロナ時代に求められる新しい行政を実現できるよう編成してまいります。このため、財政健全化の取組を着実に実行し、県民ニーズの検証や費用対効果等の観点から事業の選択と集中を図るほか、自主財源の確保に積極的に取り組むなど、歳入歳出全般にわたり徹底した見直しを行い、必要な財源を確保しながら、できる限り財源不足額の圧縮に努め、めり張りの利いた予算編成に努めてまいります。  また、今月8日に閣議決定されました新型コロナウイルス感染拡大防止策や経済構造の転換・好循環の実現、防災・減災、国土強靱化の推進を柱とする追加経済対策につきましては、鋭意情報収集に努め、積極的に対応してまいる考えであります。さらに、2月補正予算を当初予算と一体的に編成し、新型コロナウイルス感染症をはじめとする喫緊の課題に適時適切に対応できるよう、切れ目なく対策を実施してまいります。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) 12月8日の追加経済対策についても積極的なご対応がいただけるということですけれども、いずれにしても新型コロナウイルスで余計な出費があるわけですので、大変難しい予算編成になるのだと思っております。同時に、国が示す地方財政計画もこれからということですので、そこを見ないと新型コロナウイルスにかかる予算をどのような形、どのように県の予算の中で位置づけたらいいかというところもなかなか明らかになってこないのだとは思いますけれども、追加経済対策については万全を期していただくということで、事前に幅広の準備をしていただいて、しっかりとした対応ができるように重ねてお願いしたいと思っております。  災害に強い地域づくりというのは、やはり予算が厳しい中でもしっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。県議会といたしましても、今年度は災害対策特別委員会を設置しまして、次年度予算にしっかりと提言内容を反映していただけるようにということで、いつもよりも早めに特別委員会の報告書が取りまとめられ、議長に提出されております。  そういう中で、再質問を県土整備部長にさせていただきますが、今回の知事の答弁や特別委員会の報告書、提言を受けて、今後どのように、今行われている堤防強化の緊急プロジェクトや県内の中小河川の強靱化に取り組んでいく考えなのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ○相馬憲一 議長 五十嵐議員に申し上げます。  議会運営委員会の申し合わせにより、再質問は当初の質問の範囲内で行うこととされており、ただ今の再質問は本質問で触れていない内容なので答弁を求めることはできません。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) 失礼しました。  本質問で触れられませんでしたが、難しい中での予算編成ではあっても、やはり県民の声を聞けば災害対応が必要だと思いますので、次年度予算の中でしっかりとそこは見ていただきたいということ、そこには当然、先ほど申し上げた特別委員会での中身をきちんと取り込んでいただきたいという要望をさせていただきたいと思います。選挙期間中の知事の、強靱化であるとか改良復旧という訴えには、県民は大いに期待しておりますので、ぜひお願いしたいと思います。  さらに要望になりますけれども、国の国土強靱化の現行の3か年計画は総事業費が7兆円ですけれども、さきの報道では、次の国土強靱化の5か年計画は15兆円規模になるということで、大幅な積み増しがなされると聞いております。同時に、2021年度の国費は2020年度第3次補正予算に計上するというようなことも報道されておりますので、次年度以降の調査費の十分な確保も含めて万全の対策をお願いして、次の質問に移ります。  新型コロナウイルス感染症対策について、保健福祉部長に伺います。本県での新型コロナウイルス感染者数は、12月13日現在、累計870名、現在入院233名、そのうち重症者は11名、病床稼働率は43.5%となっています。本県は、国の要請に応じて秋冬期に対応した新たな相談診療体制に11月から無事に移行することができ、対応が間に合わなかった近隣県もあったようですが、本県においては県民からの不安の声はいまだ発せられていないように思います。このことについては、保健福祉部を中心にオール県庁で取り組んできた県職員のご努力と、県内全ての医療関係者のご理解とご協力の賜物であると改めて敬意を表し、心からの感謝を申し上げます。  しかしながら、直近の県内感染者の傾向は、高齢者施設での集団感染や家庭内、家族間の感染に加え、重症患者数が増えており、県内でも第3波に万全を期さなければなりません。そのような中、今通常会議には、医療提供体制の強化に約3億円、感染拡大防止対策の強化に約12億円の補正予算が計上されています。県は初めて警戒度を11月24日に感染厳重注意に引き上げ、県民へ基本的な感染防止策の徹底を改めて求めているところですが、これからさらに感染拡大が懸念される本格的な冬を前に、どのように新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○相馬憲一 議長 海老名英治保健福祉部長。    (海老名英治保健福祉部長登壇) ◎海老名英治 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染症の第3波を迎えている中、本県におきましては、複数のクラスターが発生したこと等による新規感染者の増加に伴いまして、医療提供体制への負荷が増大しております。このため、今回の補正予算によりまして、まず、喫緊の課題であります医療提供体制の強化に向け、発熱患者に対応する診療・検査医療機関や保険薬局への支援を行いますほか、新型コロナウイルスワクチンの円滑な接種に向けた事前の準備にも取り組んでまいります。また、介護する家族が患者となり濃厚接触者となった在宅の要介護高齢者等の一時受入れに協力いただける福祉サービス事業者への助成を行うなど、要介護者の生活支援にも取り組んでまいります。  今後とも、県民等に対しまして、冬の時期の感染防止対策や発熱時の受診方法等の周知を徹底いたしますほか、感染者が多数発生している市町との連携強化を図るなどいたしまして、第3波対策に取り組んでまいります。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) 要望を何点かさせていただきたいと思います。県は、今まで取組としては全国的にもいろいろなランクづけがありますけれども、比較的しっかりと取り組んでいるという評価があるのだと思います。ただ、これから秋冬期、そして本格的な冬を前に、今、県が取り組んでいることがしっかりと県民の皆様に伝わっているか、新しい相談診療体制においては、発熱があった場合には、まずは電話ということですけれども、これがまだまだ県民の皆様には浸透していないと思います。春先に、県がいろいろな新型コロナウイルス対策の取組をする際に、学校の学習面もあったと思いますが、県内のメディアにも協力していただいてかなりの発信をしたと思います。その春の頃のように、私は県内のメディアの協力も得ながらもっと発信をしないと、知らなかったというような県民が本格的な冬期に出てきてしまっては、せっかく整えた体制がうまく活用できない、最悪のケースでは感染がより拡大してしまうということがありますので、ぜひその辺りは、年末を前に時間はありませんけれども、急いで対応できるものについては取り組んでいただきたいと思います。  また、先月の末に、県の医師会の稲野会長と意見交換をする機会を得ました。そこで稲野会長は、既に県内医療も逼迫しつつあるという認識を示されました。今、新聞あるいはニュースなどでも他県の医療の逼迫状況が報道されていますが、栃木県はそれほどでもないという認識も県民の中にあるかもしれませんが、ぎりぎりのところで持ちこたえている。知事も先日の記者会見では、土俵で言えば俵に足がかかっているというような表現をされていましたけれども、まさにそのようなことが起こっているのだと思います。稲野会長はそのときに、ぜひ、もう気力だけでは仕事をすることがかなり厳しくなっている医療従事者への精神的な支援が必要だということも指摘されておりました。また、その当時の認識ということなのかもしれませんが、年末年始の病院の対応がまちまちだというようなことも言われておりましたので、その辺りについては急ぎ対応していただきたいと思っております。  また、併せて意見を申し上げると、問題の本質は、やはり新型コロナウイルス感染症対応によって一般の医療に負担がかかっていくということだと思います。一般的には、救急患者の受入れであったり、予定していた手術が制限されるとか延期されるということが言われていますけれども、それもそうなのですが、それ以上に、これからの本格的な冬に増えるであろう脳疾患、あるいは心疾患の救急患者、これも考えると非常に心配な状況になりつつあるということで認識を持っていただけるとありがたいと思っております。  それでは、再質問させていただきます。とちぎ自民党議員会としてぜひ検討をお願いしたいということで、3点申し上げます。保健福祉部長から所見があればお願いしたいと思うのですが、1つが警戒度。いわゆる今県が示している警戒度だけではなくて、感染拡大、あるいは感染収束の状況の判断を県民と共有しやすくするために、実効再生産数を県民に意識していただくような取組も必要だと思います。2つ目に、店舗や施設の感染対策の基準を今後は条例できちんと制定することもあっていいのではないかと思います。そして3つ目に、行政検査に対しての社会的検査ですけれども、この社会的検査で余裕がある範囲については、しっかりと医療や介護の施設、現場に拡大するということを検討していただきたいと思いますが、これらについて保健福祉部長の所見がありましたら、お願いいたします。 ○相馬憲一 議長 海老名英治保健福祉部長。 ◎海老名英治 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。まず、1点目の実効再生産数でございますけれども、こちらは計算式がなかなか一定のものがなく、国のほうでも3週間前のデータを扱っている状況でございます。なかなか直近の状況を表すことは難しいものでございますが、いずれにいたしましても、県民の方に現在の状況が分かりやすいように情報提供すべきというお話だと思います。その点は工夫してまいりたいと思います。  2点目の店舗の関係でございますが、現在、国から示されております各種のガイドラインに基づいて事業者は感染対策を進めていると思いますが、その実効性を高める取組を進めるべきというお話かと思いますので、現在の実行状況等も勘案しながら、どういう取組が可能かについては検討を進めてまいりたいと考えております。  3点目の社会的検査の件でございますけれども、今回のクラスターが発生した社会福祉施設におきましては、いわゆる症状の有無にかかわらず、全ての職員、全ての入所者に対する検査を行ったところでございます。こういった国の取組を超えるような形での積極的な検査を既に行っているところでございますが、引き続き、感染の状況に応じて適切に行ってまいりたいと考えております。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) ぜひ検討を加えていただきたいと思います。やはり県民も対策疲れというのが顕著になってきています。マスクをするとか基本的な感染防止対策、何度も何度も知事からの発信があっても、やはり人間ですから慣れてきてしまう、あるいは日常が窮屈で、いわゆる対策疲れに陥っている、こういう場面もありますし、店舗についても、ある程度お客様が入っているような店舗は特に何となく慣れが出てきているところもあるかと思います。そして、特に医療現場や介護の現場ですけれども、秋冬期、そしてこれからの本格的な冬に向けては、急に症状が変わる方が出ることで、医療現場、福祉現場の場面場面で一時的に人手が足りなくなるような状況が生まれたときに、やるべき感染対策が徹底できないというのは考えられることですので、こういうことを一つ一つ戒めるような先ほどの3点の提案について、ぜひ検討を加えていただくよう改めてお願いを申し上げて、次の質問に移ります。  経済、産業、雇用の回復について、産業労働観光部長にお伺いいたします。国内総生産(GDP)の7-9月期の速報値は、前期比5%増、年率換算21.4%増となりましたが、これはあくまでも戦後最大のマイナス成長となった4-6月期の反動であり、実質GDPの水準を見れば、下落分の半分強しか取り戻しておらず、景気回復の足取りは重いと言わざるを得ません。10月以降の景気については緩やかな回復が続くとの予想が多かったのですが、国内外の新型コロナウイルス感染拡大により、大幅に減速する可能性が高まってきました。  県内企業においても、資金需要は5月のピーク時から減少したものの、保証承諾額は前年同期比で4.1倍の3,085億円、件数も2.6倍の2万1,380件であり、依然として高い水準にあります。帝国データバンクの10月の調査によれば、業績マイナスを見込む県内の企業は全体の82.5%と全国の79%よりも多く、4月調査からの回復においても、全国の9.8ポイントに対して県内は8.1ポイントと回復の動きは鈍い状況です。業種別では、運輸・倉庫業や製造業が非常に厳しい状況にあります。  そこで、本通常会議に社会経済活動の活性化に19億円の補正予算が計上されましたが、県はコロナ禍後も見据え、今後どのように本県の経済、産業、雇用の回復を図るのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。また、現実的には、事業承継に確実につなげることも喫緊の課題であると思いますが、どのように取り組んでいくのか、併せて伺います。 ○相馬憲一 議長 小竹欣男産業労働観光部長。    (小竹欣男産業労働観光部長登壇) ◎小竹欣男 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県において第3波を迎える中、感染拡大に対応するため、このたびの補正予算におきまして、中小企業等が行います新たな生活様式への対応に必要な機器整備への助成や自動車及び航空宇宙等の戦略産業に携わる中小企業におけます他分野への参入に対する支援、落ち込んだ観光需要回復のための教育旅行商品の造成等に取り組むことといたしました。  また、仮称ではありますが、現在策定中の新とちぎ産業成長戦略におきましては、Society5.0の実現に向け、県内企業におけますAI等未来技術の導入、利活用のための環境整備や人材の育成に取り組みますほか、感染症の影響に伴う企業活動や消費者行動の変容を踏まえながら、中小企業の多角化への支援やデジタル化のより一層の促進を図るなど、アフターコロナを見据えた対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。  喫緊の課題であります事業承継につきましては、支援機関等への早期の相談が重要でありますことから、とちぎ地域企業応援ネットワークの事業承継支援プロジェクトチームにおきまして、栃木県事業引継ぎ支援センターが中心となり、事業承継診断等によりますニーズの掘り起こしや第三者とのマッチングの支援など、商工団体や金融機関等との緊密な連携により、支援の充実・強化に努めてまいります。  今後とも、社会経済活動の維持と感染拡大防止との両立という命題を乗り越えるべく、国や市町、関係団体等と一丸となりまして、県内の経済、産業、雇用の回復に全力で取り組んでまいります。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) 産業労働観光部長の答弁で、教育旅行、Society5.0への対応であったり、未来技術の活用ということで、本当に幅広く栃木の経済、産業、雇用に対応するために取り組んでいただいているのはよく分かるのですが、栃木県は残念なことに製造業、ものづくり県ということで、景気が落ち込んだときには他県よりも振り幅が大きい。いいときはより高くなるわけですけれども、悪いときにはより低くなる傾向がありますので、引き続きこのような取組をしっかりとしていただいて、県内の企業に、その取組、支援が浸透するようにご努力いただきたいと思います。  また、事業承継については、今、ニーズの掘り起こしとかお話がありましたけれども、これから景気が悪くなるという前提に立てば、ここの部分はかなりスピードアップをしなければならないと思っております。いろいろな情報発信もそうですけれども、事業承継に確実につなげるための支援というのが必要になってくると思いまして、私見では、やはり事業承継につなげられる状態に法的整理をするための支援、例えば弁護士会に県のほうで委託して、いろいろ大変な状況にある経営者に対して事業承継につなげられる法的整理ができるような支援というのも考えていかないと、その企業1つがなくなるだけではなくて、取引企業にも大きく影響するわけですし、物によっては県内にあるサプライチェーン全体として影響が出る可能性があります。この法的整理に対する支援、あるいは弁護士会委託など、まだ議論が進んでいないかもしれませんが、所見がありましたらお願いしたいと思います。 ○相馬憲一 議長 小竹欣男産業労働観光部長。 ◎小竹欣男 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。今、五十嵐議員がご指摘の事業承継に関しての専門家等との協力につきましては、昨年度から今年度にかけまして、栃木県事業引継ぎ支援センターの方と意見交換などをさせていただいている中で、やはり重要な部分だといったご意見を伺っております。それを含めまして、今ご指摘の部分を併せて検討してまいりたいと考えております。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) ぜひ次年度予算の中で対応できるように検討を進めていただきたいと思います。  もう一つ再質問させていただきますが、コロナ禍の影響で多くの中小企業が事業の見直しを今進めているところですけれども、国の第3次補正予算では、中小企業の規模拡大や生産性向上のための様々な支援策が掲げられております。県は、どのような体制でこれらの支援策に対応していくのか、改めて産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○相馬憲一 議長 小竹欣男産業労働観光部長。 ◎小竹欣男 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。国の第3次補正予算の経済対策の柱におきまして、その一つにポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を掲げておりまして、成長力の強化に向けて、業態転換、それから新分野への展開などに取り組む中小企業を強力に支援するということで言われております。これらの具体的な内容につきましては、現在、鋭意詳しい情報を収集中でございますけれども、いずれにいたしましても、県のみではなくて、関係機関等との連携が必要であると考えておりますので、中小企業は、コロナ禍においての経済社会の変化に的確に対応できますよう、商工団体、金融機関等の関係機関との連携・協力を積極的に図って、事業効果を広く県内に波及させ、足腰の強い産業構造の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) 春先からのいろいろな支援策も、いろいろな関係団体との連携、協調の中で実施していただいています。ただ、今回の通常会議にも、県版のいろいろな支援策が計上されていて、なおかつ国の第3次補正予算で様々な中小企業支援ということなので、すごく物理的には大変になってくるのだと思います。そして内容的にも、仮称ですけれども、事業再構築補助金というのが創設されるようでして、設備投資や企業買収にかかる費用を最大1億円補助すると。数万社の利用を見込んでいて、第3次補正予算に約1兆円計上するということなのです。全国で数万社の利用を見込むとなると、相当な数だと思います。そして、こういう支援は、例えば例示を挙げれば商工会ですけれども、こういうところの支援だと、なかなかつながっていかないと思いますので、やはり今までどおりの商工関係団体との連携とか協調では足りない部分があるという認識を持っていただいて、これからの国の第3次補正に対して、どのような体制で取り組むべきか、議論を進めていただきたいと思います。ぜひお願いをさせていただいて、次の質問に移ります。  次代につなぐ農業の推進について、農政部長に伺います。本県の力を次の世代につないでいくためには、基盤となる農業・農村を守るという視点に加え、農業を若者を引きつける魅力ある成長産業に転換させなければなりません。実際に、本県の農業を志す若者の意識調査では、49%が「豊かな自然の中で仕事ができる」、31%が「農業はやり方次第でもうかる」と答えており、これらの前向きな捉え方を次世代に広げるべきと考えます。  県では、時代の変化を的確に捉え、園芸大国とちぎづくりなどの新しい施策を推進してきましたが、今まで伸ばしてきた芽を着実に育て、本県農業を次代につないでいくためには、これまで以上に戦略的に施策を展開する必要があると考えます。  そこで、次期農業振興計画ではどのように本県の農業・農村の発展を目指していくのか、農政部長に伺います。  また、農業をめぐる現状は、米余りが深刻です。人口減少による米の消費減に加えて、コロナ禍の影響により外食需要が減退し、来年の米の作付は約7万ヘクタール分もの減産が必要だと言います。米は、3年前から生産者や農業団体が中心となって需要に応じた生産を行う仕組みとなっていますが、需要と供給のバランスは安定せず、今回の米余りによる価格低迷は多くの米農家にとって大変厳しい状況になっております。  そこで、県は、現在の状況を踏まえて、これまで以上に需要に即した米生産を推進する必要がありますが、今後どのように取り組んでいくのか、併せて伺います。 ○相馬憲一 議長 鈴木正人農政部長。    (鈴木正人農政部長登壇) ◎鈴木正人 農政部長 ただいまのご質問にお答えします。全国的に担い手の高齢化と減少が続き、また人口減少に伴う農産物需要の縮小も見込まれるなど、農業を取り巻く情勢は大きく変化しております。  次期農業振興計画では、成長産業として持続的に発展する農業・栃木を基本目標に掲げ、担い手の減少に的確に対応するとともに、本県農業の競争力を高め、さらなる成長を目指すこととしております。具体的には、次代を担う農業者の育成はもとより、地域の農業者の実情に応じて、地域の営農の核となる法人の設立を含め、担い手を確実に確保するとともに、地域住民が担い手をサポートする新たな仕組みづくりを進めてまいります。また、効率的で収益性の高い経営を確立するため、米麦、園芸、畜産各分野でスマート農業の導入を加速化するほか、園芸生産の一層の振興による大規模園芸産地の育成を図り、本県農業の競争力の強化につなげてまいります。  次に、米についてでありますが、これまで主食用米から園芸作物等への作付転換を推進してまいりましたが、今般のコロナ禍で急激に米の需要が減少しておりまして、このままでは来年の米価の大幅な下落により、地域農業への多大な影響が懸念されます。このため、農業者に対しまして、需要に見合った米生産の重要性や作付転換する場合のメリットなどをこれまで以上に訴えていきますとともに、産地交付金の制度を活用するなどして、飼料用米等への作付転換を促進してまいります。  現在、国においては新たな作付転換促進策が検討されておりますので、その動向も踏まえまして、市町、農業団体と連携して、需要に応じた米作りの定着に向けて取り組んでまいります。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) 米農家への支援ですけれども、産地交付金をうまく活用していただいて、園芸大国の旗を降ろさずに、できるだけの支援を国の政策、施策と相乗効果を持って対応していただけるとありがたいと思います。  要望を2点させていただきますが、園芸振興にあっては、畑地の基盤整備も重要ですけれども、廃プラスチックの安定的な処理も不可欠だと思います。年々処理費が高騰しておりますので、ぜひ実態調査をしていただいて、支援策を検討していただきたいと思います。また、農業用の廃プラスチックは、土を除去するのが非常に困難であります。県にはプラスチック資源循環推進条例もありますので、将来的には、市町や農業団体と共同で専門の処理施設の設置も前向きに検討していただくことを要望して、次の質問に移ります。  次代を開く特色ある高校教育の推進について、教育長に伺います。知事の政策集の教育分野には、進学型単位制の導入をはじめとした特色ある高校教育の推進など10項目が掲げられています。次期教育振興基本計画策定の議論が進んでいるところですが、現プランの延長線の施策の展開ではなく、将来の社会環境の大きな転換を見据えた高校教育が求められます。  国でも新しい時代の高校教育の在り方が議論されており、現状や課題の認識として、多様な入学動機や進路希望などを持つ生徒の現状、学習意欲を喚起する教育への転換、挑戦する意欲を育む教育、産業構造や社会システムの激変等を踏まえた教育などが示されています。また、高等学校普通科改革と題しての踏み込んだ議論では、国際社会における課題の発見、解決のための資質・能力の育成や、国際機関や国外の高等教育機関等との連携・協働による大学教育の先取りや高大連携、地元の市町村や企業、経済団体等との連携・協働での事例研究やフィールドワークの実践などが行える、特色、魅力ある学科を設置できるよう検討しているところであります。  そこで、県は次代を開く特色ある高校教育を今後どのように進めるのか。また、2034年までに中学校卒業者数が約3,800名減少し、60から70程度、学級数の削減が見込まれる中、次期再編計画の準備と併せ、十分な検討、協議のなされる場が必要と考えますが、教育長の考えをお伺いいたします。
    ○相馬憲一 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県におきましては、これまで社会や時代のニーズを見極めながら、中高一貫教育校やフレックス・ハイスクールを導入するとともに、学力向上に向けた取組や地域と連携した教育活動を推進するなど、特色ある学校づくりを進めてまいりました。  一方で、Society5.0や急速なグローバル化の進展、生徒数の急激な減少など社会環境の大きな転換期を迎え、新しい時代に求められる高校教育について検討を深める必要があると考えております。そこで、教育委員会では、県議会をはじめ学識経験者や経済・産業界の代表者、市町等を構成員とする有識者会議を来年2月に設置し、1年間をかけて、これからの県立高校の在り方について議論いただくことといたしました。  今後、有識者会議の提言も踏まえながら、県立高校の将来構想を策定し、本県の未来を力強く切り開いていく人材の育成に向けた魅力と特色ある高校教育を推進してまいります。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) 今の教育長の答弁で、これまで中高一貫教育校、あるいはフレックス・ハイスクール、いろいろな時代に即した改革、新しい高校をつくってきたというお話、あるいは有識者会議を来年2月に設置していただけるというお話だったのですけれども、やはり先ほど例示で挙げた普通科改革で議論されているような魅力、特色のレベルというのは、これまでの教員採用であったり、教員の研修ではなし得ないレベルの魅力度、あるいは特色化だと思います。そういう意味では、先ほど設置が公表されました2月の有識者会議ですけれども、ぜひこれまでのメンバー設定と違った意識を持って、しっかりと深掘りの議論ができるようなメンバーの選定、そして議論のスケジュールなども考えていただくように要望させていただきます。  ここで、知事に再質問させていただきます。特色ある高校教育を推進するためには、進学型単位制の導入だけではなく、海外の教育課程との互換性がある国際バカロレア教育の導入や、堀川の奇跡で話題となった探究科の創設など、魅力ある学びに取り組まなければならないと考えます。知事は、政策集に英語教育の充実や留学支援を通じたグローバル人材の育成も掲げておりますが、改めて知事に特色ある高校教育を推進するに当たっての思いをお伺いいたします。 ○相馬憲一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。現在、県立高校におきましては、グローバル人材の育成や地域との連携・協働を通じた探究的な学習などを展開しておりますけれども、今後は、さらに生徒の学ぶ意欲を高め、個性や能力を一層伸ばす特色ある高校教育を進めていく必要があると考えております。教育長の答弁にもありましたように、今後開催を予定しております有識者会議のご意見も伺いながら、新しい時代にふさわしい高校教育の在り方を検討し、学ぶなら栃木と言われるような教育県となることを目指してまいりたいと思います。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) まずは有識者会議での議論をしっかりと注視していただくということだと思いますけれども、同時に、知事の言葉で、学ぶなら栃木という言葉が出たことは大変うれしく思っております。その中で、英語教育あるいは留学支援、グローバル人材の育成、これが今進められている大学入試改革でも大きなテーマになっているところなんですけれども、学ぶなら栃木ということであれば、国際バカロレア教育の導入がやはり一番の留学の支援にもなりますし、グローバル人材育成の鍵だと思っていますので、有識者会議の中でも、あるいは教育委員会、執行部の中でもぜひ議論していただきたいと思っております。  意見、要望を申し上げます。大学入試改革は、今年度は完全実施は見送られましたが、先の見えない社会を生き抜く人材の育成を目的とした教育が今後も展開されていくわけです。それだけに、高校教育あるいは普通科全体の改革の議論をおざなりにして、特定の進学校への単位制の導入が先行することがないように要望させていただいて、最後の質問に移ります。  国の重要政策に対応した県の取組について、知事にお伺いいたします。菅政権がスタートして間もなく3か月になります。この間、幾つかのいわゆる看板政策が打ち出され、現在準備が進められている第3次補正予算でも、行政のデジタル化に向けた自治体システムの統一・標準化、2050年までの温室効果ガス排出の実質ゼロ、いわゆるカーボンニュートラルに向けた技術開発の促進など、菅カラーの施策に予算が重点配分される見通しであり、当然のことながら、国の令和3年度当初予算においては、さらに踏み込んだ政策の推進が予想されます。  そこで、国が打ち出した重要政策をどのように捉え、どのように県政での取組を進めていくのか、知事にお伺いいたします。  また、特にグリーン社会というような我が国の社会そのものを大きく転換しようとする試みに対しては、国内の自治体の先頭に立てるよう積極的に取り組むべきと考えます。単に国の施策に呼応してこれまでのように取り組むのではなく、モデル県やパイロット自治体と言われるような思い切った予算、施策、組織を実践できれば、おのずと本県のイメージがより明確になり、魅力度の向上にもつながるのではないでしょうか。  民間シンクタンクの見通しでは、標準シナリオでも経済の回復には3年から5年かかるとされ、県内も内需、外需ともに消失し、製造業、非製造業ともに需要の減退が長期化する懸念があることから、本県の新たな牽引産業が必要であり、国策と連携した独自の施策を展開することで、民間の投資も呼び込めるはずです。  そこで、県はグリーン社会の実現、環境と経済の好循環にどのように取り組むのか、併せて伺います。 ○相馬憲一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。菅内閣が打ち出しました重要政策であるデジタル社会やグリーン社会の実現は、新産業の創出や技術革新による生産性の向上、持続可能な経済構造への転換など、今後の成長戦略の柱となるものとして期待されております。県といたしましても、国の打ち出した政策に迅速かつ積極的に呼応し、新しい時代の流れをしっかりと取り込むとともに、未来に輝く新しい栃木の姿を描きながら、本県が有する強みを生かした栃木モデルを打ち出すなど、全国に先駆けた施策にもチャレンジしてまいる考えであります。  グリーン社会の実現に当たりましては、カーボンニュートラルに向けた取組を進めることにより、産業構造や経済社会に変革をもたらし、環境と経済の好循環を生み出すことから、栃木県といたしましても、2050年のカーボンニュートラル実現を目指すことをここに宣言いたします。  このような高い目標を達成するためには、これまでの温暖化対策に加え、全国有数のものづくり県である本県の強みを生かし、県内企業とも十分連携・協働を図りながら、栃木の総力を挙げて取り組む必要があると考えております。そのため、まず、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けたロードマップを策定し、目標達成に必要な取組の具体的な工程表をしっかりと示してまいります。新型コロナウイルス感染症の感染拡大や経済の落ち込みという難局に直面している中にあっても、県民誰もが夢と希望を持ち、次の時代を担う若い世代が未来に誇れるふるさと栃木の実現を目指し、栃木の未来を創造してまいります。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) ただいま知事から2050年までのカーボンニュートラル実現の宣言をしていただいたのは大変喜ばしく思います。この分野に入る前に、前段での質問のことなのですが、栃木県の場合は知事選があったということもありますし、菅内閣が急遽誕生した後に、国のほうでも五月雨的に政策を打ち出してきた嫌いがありますので、議論がまだ進んでいないようなところもあるのかなと思います。そういう意味では、議論をぜひ急いでいただいたり、議論を深めていただきたいとは思うのですが、ただ、その施策に対応するだけではなくて、その周辺部分で県がやるべきことは何なのかというのをぜひ考えていただきたいと思います。  例えばですが、不妊治療は支援拡大の方向ですけれども、不妊治療の周辺領域で何ができるか。例えば我々とちぎ自民党議員会として考えるのは、教育現場における専門職による性教育の徹底、拡充、あるいは多産や合併症など不妊治療で確率の高くなる症例に対してのきめ細かなフォローアップ体制の構築、こういうことを国が打ち出した施策に連動してやっていくことのほうが、ただ単に国がこれだけ補助します、そこに県も乗っかってこれだけ補助しますというやり方よりも、県民に対してのアピール、先ほど知事が言われた本当の県民のニーズに対して応えることになると思いますので、ぜひそのような形で検討を進めていただきたいと思います。  次いで、グリーン社会、カーボンニュートラルにつきましては、知事が宣言をしていただいたのは大変ありがたく思います。ただ、国内でもこの宣言をする自治体が徐々に増えてきている現実がありますが、まだ、どこもそれほどの取組をしていないという意味では、まさにスタートラインに立ったというところなのだと思います。  ここで再質問させていただきますが、国は、この地球温暖化対策が成長戦略になるという考えで2兆円の基金を創設します。水素の活用、次世代蓄電池の高度な利用、二酸化炭素の回収、再利用、これを10年間支援すると言っておりますが、そこで、本県の新たな牽引産業としてこれを位置づけて、産学官の連携体制を構築し、研究・生産拠点を誘致すべきではないかと思います。そのためには、外部の人材や専門的知見と効率・効果的に連携できる体制の整備が必要と考えますが、知事の考えを改めてお伺いいたします。 ○相馬憲一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。カーボンニュートラルの実現には、例えば電気自動車等の普及につながる蓄電池や、化石原料を使用しない新素材の活用等を促進していくことが有効であります。県では、仮称ではありますけれども、現在策定中の新とちぎ産業成長戦略におきまして、環境・新素材技術をものづくり産業の成長を加速する未来技術の一つと位置づけまして、新技術・新製品開発や自動車などの戦略産業等への活用を促進していくこととしております。  今後、先進的取組を行う県内大学、あるいは民間も含めた研究機関等と幅広く連携を図りながら、本県のものづくり県としての強みを生かしまして、グリーン社会の実現に資する取組を進めてまいりたいと考えております。 ○相馬憲一 議長 五十嵐清議員。    (41番 五十嵐 清議員登壇) ◆41番(五十嵐清議員) 今の知事の答弁で、先ほどの宣言を受けての取組の工程表を明らかにするだけではなくて、牽引産業としての位置づけもお話を聞けたのでよかったと思います。ただ、議論がまだ足りていない部分があると思いますので、次年度の予算編成までに、しっかりと栃木県の新たな牽引産業と言えるような位置づけで、ぜひ検討を進めていただきたいと思っております。  情報提供させていただきますけれども、隣の福島県では、原発事故の影響もあったと思いますが、国が福島水素エネルギー研究フィールドを、東京ドーム6個分の敷地で、世界最大規模の水素の製造施設を建設しております。大量生産によるコスト縮減のノウハウを今探っているということでございます。また、民間でも動きがあります。水素社会実現に向けた水素バリューチェーン推進協議会というものがトヨタ自動車やメガバンク、大手商社など88の企業、団体によって設立され、水素を低コストで供給するビジネスモデルの構築に乗り出すということでございます。こういう動き出しもありますので、栃木県もしっかりと先進県と言われる位置づけが確保できるようにご努力をいただきたいと思います。  一般財団法人日本エネルギー経済研究所という財団を新聞報道でかなり多く見るようになりました。このように、これまで接触のなかったシンクタンクとか関係団体とも積極的に連携して、栃木県が次の時代も県民に誇れる県としてつないでいけるように、知事を先頭に、県職員の皆様のご努力をお願いしたいと思います。  今回、5期目の選挙で本当にすばらしい得票で県民の負託をいただいた知事でありますので、新型コロナウイルス対策、あるいは災害からの復旧・復興の課題もありますけれども、未来志向で、本当に県民が夢を持てるような取組も併せて行っていただきますようにお願いを申し上げまして、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。 ○相馬憲一 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午前11時10分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は48名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前11時25分 開議 ○山形修治 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 民主市民クラブの山田みやこでございます。県政史上初の5期目の当選ということで、これから知事に質問させていただきますが、まず最初に、知事5期目の県政運営について質問いたします。  9月の通常会議にて、令和3年度当初予算編成方針が示されました。新型コロナウイルス感染症対策の今後の施策や、次期プランに掲げた施策の積極的な推進を図る必要がある中、今年2月に公表された中期財政収支見込みにおいては、令和6年度までの各年度80億円から90億円台の財源不足が見込まれております。令和3年度の財政収支見込みについて試算を行ったところ、10月時点において、新型コロナウイルス感染症への対応と、さらに公共施設等長寿命化関係経費の増加等により、県有施設整備基金を活用してもなお約109億円の財源不足が見込まれるということでございました。今後も県税収入の動向は予断を許さない状況ですが、コロナ禍の中でも、基本的な考え方はここ数年あまり変わらないように思われました。  また、全国知事会は、8月に新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が47都道府県で5,005億円不足するとの調査結果を、そして、11月には6,134億円不足するとの結果を出しておりまして、本県も含めて全ての都道府県で不足見込みとのことのようでございます。さらに次年度は、臨時財政対策債の発行額も膨らむ見込みで、県債残高も増え続けることになり、財政的に大変窮地に追い込まれることは否めません。  コロナ禍で、このように財政状況が逼迫している中、知事の5期目の県政運営については非常に難しいかじ取りを迫られますが、地方創生の推進、地域社会の維持、雇用の維持・確保など、県民の生活を守ることはもとより、次期プランの素案にも掲げられておりますけれども、女性や高齢者など多様な人材が様々な分野で活躍できるための人づくりにも重点を置き、併せて不要不急の事業の見直しにも取り組むべきと考えます。  そこで、どのような方針の下、何に重点を置き、5期目の県政運営に当たっていくのか、知事にお伺いいたします。 ○山形修治 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの山田議員のご質問にお答えいたします。本県の財政は、医療福祉関係経費が引き続き増加し、経常収支比率が高水準で推移しておりますほか、新型コロナウイルス感染症の影響等により、今年度の県税収入は当初予算計上額を大きく下回ることが見込まれるなど、極めて厳しい状況にあります。  こうした中、県政の新たな基本指針として策定を進めているとちぎ未来創造プランにつきましては、先頃、第2次素案を取りまとめたところであり、デジタル化の進展、新たな日常やSDGsへの対応といった視点を取り入れながら、5つの重点戦略の下、18のプロジェクトを展開することとしております。特に、新型コロナウイルス感染症対策令和元年東日本台風被害からの復旧・復興は最重要課題でありますことから、生涯安心医療・介護プロジェクトや県土強靱化プロジェクト等を通して、それらの対応に全力を傾注してまいります。さらに、歴史・文化芸術の振興やふるさとの魅力向上、環境に優しい地域づくり、未来技術の活用促進などにも取り組み、新しい栃木の形を描き、次の世代に引き継いでまいります。また、これらの取組を積極的に推進していくため、行政経費の削減、歳入の確保などの歳入歳出全般にわたる見直しや、選択と集中によるめり張りのついた予算編成を行うなど、行財政改革による強固な土台づくりに取り組んでまいる考えであります。  5期目の県政運営に当たりましては、とちぎ未来創造プランに掲げた将来像である「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」の実現に向け、県民の皆様から負託を受けた私の使命をしっかりと胸に刻み、全身全霊で取り組んでまいります。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ただいまの答弁で、県政運営についての大きな重点目標ということを回答いただきまして、ありがとうございます。その中で、地域重視、そして人材ということも大きな課題になっていくということでございました。県政運営の柱である次期プランの素案においても、人づくりに関連した各種施策が掲げられておりますけれども、私の立場から、重点的な取組として、あらゆる分野における女性の活躍推進、このことも私は非常に重要だと思っております。2019年の日本のジェンダーギャップ指数は153か国中121位と、前年の110位から下がってきております。そして、SDGsの一つでありますジェンダー平等の実現も大きな課題の一つになっております。  このようなことから、私は栃木県で女性が活躍できる土壌づくりがこれからも大変重要になっていくと思っておりますが、この点についてはどのように取り組むお考えなのか、知事にお伺いいたします。 ○山形修治 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。現在のとちぎ元気発信プランに輝く女性活躍推進プロジェクトを掲げ、その推進組織として、官民共同のとちぎ女性活躍応援団を設立し、オール栃木体制で取り組んでまいりました。  応援団の登録企業・団体数も目標の1,000を超えるなど、女性の活躍の基盤は着実に整いつつありますが、より具体的な成果を出すためには、これからの5年間がまさに正念場であると考えております。このため、次期とちぎ未来創造プランでは、引き続き女性活躍をしっかりと位置づけまして、これまでの取組を継続、発展させるとともに、女性がより幅広い分野で能力を発揮できる環境づくりを推進するなど、応援団の会長でもあります私が先頭に立ちまして、女性が生き生きと活躍できる栃木の実現に向けまして取り組んでまいりたいと思います。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ありがとうございます。1,000を超える応援団ということで、本当にありがたいことだと思います。そして、女性が幅広い分野で活躍できるという知事のお答えをいただきました。しかし、今、昨年とは一変しまして、コロナ禍という状況の中で、とりわけ厳しい立場に追い込まれているのが女性でございます。男女共同参画と言われて、もう既に十数年たちます。けれども、私が思うのは、男性側も女性側も年齢や性別、こういうことに対しての無意識の偏見であるとか思い込み、アンコンシャス・バイアスとも言われているそうですけれども、こういったことが評価とか人材育成の大きな壁になっているというのは否めないと思うのです。ただ、この意識改革というのは本当に難しいものなのですね。ですから、知事がこういう形で幅広い女性の活躍する分野ということでございますので、こういった意識改革のところにもしっかりと主導していっていただきたい、そんな思いでございます。  それでは、次の質問に参ります。「おいでよ!とちぎ館」について、産業労働観光部長に質問いたします。魅力度ランキング最下位への転落公表について、知事自らブランド総合研究所へ行った直談判を県民は複雑な思いで受け止めたのではないかと私は思います。魅力度というのは、県外の方からのみの評価ではなくて、県内の私たちがどうこの栃木県を見ているかということも大きく影響しているのではないかと思います。様々な恵まれた環境の中で、県民自らが県の魅力を認識していなかったことも一つの原因ではないかと思います。それで低空飛行から47位まで行ってしまったのではないでしょうか。47位という結果は、知事はじめ私たち県民全体で真摯に受け止め、発奮の材料にして、魅力度の向上に取り組んでいかなければならないと思います。  11月26日に開催されたとちぎブランド力向上会議においては、ブランド推進の方向性として、栃木の県産品や観光地などの地域資源に対して好意的な感情を有する栃木ファンの強化拡大を図っていくことと、デジタル時代に適応した施策を展開していくことが示されましたが、私は魅力度向上に向け、まず県民の方々一人一人が栃木のお勧め品を持つ、こういうことがいいことではないかと考えます。  観光と県産品の振興や情報発信については、県の出資法人である公益社団法人栃木県観光物産協会が重要な役割を担ってきており、公式サイトとちぎ旅ネット等における県内の観光情報の発信や、2010年4月に本町合同ビルにオープンした本県の観光と県産品の情報館でアンテナショップ機能を持つ「おいでよ!とちぎ館」の運営、さらにはJR宇都宮駅にあります栃木の県産特産物を販売する「とちびより」の運営のほか、各地での物産展の開催や県庁舎15階の常設展示などの伝統工芸品普及事業など、様々な事業を展開しております。  私は、この魅力発信事業には、今後、とちぎ旅ネットなどのデジタルメディアを活用した展開が重要であることはもちろんですが、「おいでよ!とちぎ館」のアンテナショップ機能の活用も非常に重要であると考えます。しかし、無名有力県から有名有力県への実現に向けて「おいでよ!とちぎ館」が設置されましたけれども、10年が経過した今、名前はとてもよい響きはありますけれども、入り口が分かりづらいなど立地条件も決してよいとは言えないこともあり、県産品の販売や観光情報の発信であることを知らない県民、市民が大変多いのが現実です。おいでよと呼びかけても、反応がいまいちです。また、昨年度までの5年間の来場実績を見ますと、年々減少傾向にあり、オープン当時の目標の年間5万5,000人から大きく後退し、昨年度は1万9,716人、1日当たり69人です。さらに県産品の購入は6,619人、1日当たり23人となっております。このような状況では、アンテナショップとしての役割を果たせるのかどうか、非常に考えてしまいます。販路拡大などの県の施策も実現できていないのではないかと危惧しており、コロナ禍で状況がさらに厳しくなっていく中で、アンテナショップの機能を効果的に発揮できるような創意工夫が早急に必要と考えます。  そこで、設置から10年の節目を迎えた「おいでよ!とちぎ館」について、効果的な支援を行っていく必要があると考えますが、産業労働観光部長の所見をお伺いいたします。 ○山形修治 副議長 小竹欣男産業労働観光部長。    (小竹欣男産業労働観光部長登壇) ◎小竹欣男 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。公益社団法人栃木県観光物産協会が設置、運営いたします「おいでよ!とちぎ館」は、本県の多彩な県産品のPR及び販売並びに観光情報発信の機能を担ってきたところであります。これまで、県では各種広報媒体を活用いたしました同館のPRや、とちぎおもてなしメイツの配置等によりまして観光物産協会の取組を支援してまいりましたが、来館者数は近年減少傾向にあります。このため、昨年度末から観光物産協会と在り方検討のためのワーキング会議を開催しており、「おいでよ!とちぎ館」の機能や認知度向上に向けた改善策の検討を進めており、今後、過去に集客効果の高かった店頭イベント等によります魅力的な店舗づくりや県総合文化センターなど近隣施設とのタイアップ、SNSを活用した情報発信の強化、県産品のECサイトの導入などを図っていくこととしております。  引き続き、「おいでよ!とちぎ館」がより多くの県民に親しまれ、お越しいただける施設になりますよう、観光物産協会の取組を支援してまいります。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) それでは、産業労働観光部長に再質問させていただきます。確かに、ECサイトということは非常に重要になってくるかと思います。このコロナ禍の中では非常に重要だと思います。そして、既にワーキング会議をやって対策をということですけれども、この観光物産協会は公益性のあるアンテナショップを運営しているものですから、ただ単に売上げを上げればいいというものでもないことも分かっております。でも、そこに人が来なければよさが分からない。過去5年間、入場者数がずっと少なくなってきているのです。ということは、本当に難しいことだとは思っているところなのですけれども、私は、やはり県民があそこにあるのだということを知らないということが一番だと思うのです。そのためには、そのワーキング会議の中に地域住民の方、地域の方も一緒に入ったり、そこの会員になっている企業の方も一緒に入ったり、いろいろな分野での意見を収集することが今後必要ではないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。 ○山形修治 副議長 小竹欣男産業労働観光部長。 ◎小竹欣男 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。ワーキング会議では、観光物産協会のメンバーと県のメンバーも含めまして議論しているところであります。より幅広い意見という意味では、店頭でのアンケート等は行っているところなんですけれども、それに加えまして、様々な形で県民の皆様のご意見を頂戴し、それが逆に存在を知っていただくPRにもなるような形で、知名度アップに努めてまいるようにしていきたいと思います。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 様々な角度からの意見というのは非常に重要でございます。そういったところをしっかりと拾い上げながら、アンテナショップ機能を効果あるような形にしていっていただきたいと思います。  また、これは関連になりますけれども、県庁15階の北西の角にあります伝統工芸品の展示なのですが、本当にすばらしいものがあります。そこにあるものは「おいでよ!とちぎ館」で販売していますよというメッセージもあります。ただ、あそこに人が行くのかなと思ってしまうのです。ですから、ものづくり県でございますので、そういったところのPRもしっかりと人が見えるような場所に設定すると。年1回の展示の取替えということも聞いておりますけれども、もっともっと目につくようなところへの改革などをしていってほしいなというのを切に感じたところでございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、婦人保護事業について質問をいたします。過去に何回かDV被害者の自立支援について質問してまいりましたが、今回は婦人保護事業について、婦人相談員の充実の観点から伺います。  婦人保護事業は、婦人相談員、婦人相談所、婦人保護施設の3本柱から成っております。売春防止法という根拠法により行われるようになって64年になろうとしております。平成13年に制定されたDV防止法によりDV被害者、平成16年には人身取引被害者、平成25年にはストーカー被害者も婦人保護事業の対象となり、保護、援助を必要とする女性全てを対象に、女性を支える大きな役割を果たしております。  しかし、婦人保護事業は法律に基づく国の施策でありながら、実態は都道府県によって施設、体制、職員配置、婦人保護施設の有無から運営の理念、運営のありようまで驚くほど違っております。平成26年に厚生労働省が婦人相談所ガイドラインを策定しましたが、技術的助言として、法的拘束力を有する基準ではないということです。ローカルルールにより、全国統一の基準は策定されておりません。  コロナ禍での外出自粛要請や不安、ストレスなどにより、全国的に、5月、6月に相談窓口に寄せられたDV相談件数は、前年同月と比較してそれぞれ約1.6倍と大幅に増加しており、DVや家庭内での性暴力が今後ますます増える可能性が危惧される状況のため、県として、相談支援体制の強化など婦人保護事業への取組をより一層充実させていく必要があると考えます。そのためには、一連の対応の入り口となる相談時の対応が非常に重要であり、婦人相談員が相談業務にしっかりと取り組める体制整備が必要です。  婦人相談員は、命と人権の根幹を担っている仕事で高い専門性が求められるにもかかわらず、その処遇面では、売春防止法から婦人相談員の非常勤規定が削除された現在でも、全国的に8割が非常勤職員のままで、本県も同様です。会計年度任用職員制度が今年度からスタートしましたが、まだ処遇としては十分とは言えないと思います。福祉事務所等に配置されている婦人相談員の多くが母子・父子自立支援員との兼務となっており、一人職場兼務による業務量が過大となっているという問題もあります。このような状況では、経験が豊富な専門性に富んだ人材の確保や定着が難しく、何とか被害女性を守ろうとしても、その限界があります。  また、現場の婦人相談員からは、相談者の主訴が明確ではないことが多く、児童虐待とも連動し、限られた時間での見立てが非常に容易ではないこともあり、適切な判断で相談が受けられているか不安を抱えているとの話も聞きます。相談の入り口から自立の入り口まで一貫した支援経験を積むことで支援の引き出しが広がりますが、相談業務に重要な専門性の向上も、これでは不十分ではないかと思われます。さらに、現場で婦人相談員を支える婦人保護担当の行政職員や所長も、人事異動により決して長いとは言えない期間で替わります。制度疲労を起こしているのではないかと私は思います。婦人相談員そのものが少数職種で、必要性が本当に認識されているのだろうかと思うこともあります。環境や権限、役割を担うための地位、経済的な待遇条件が整っていないのではないでしょうか。  婦人保護事業の中枢を担う県として、様々な困難を抱える女性に切れ目のない支援を提供していくためには、新人の婦人相談員への早期の養成研修であるとか、全ての婦人相談員に対して相談事例内容を含む定期的な研修、そして、スーパーバイザーの養成とともに、段階を踏んでの常勤職としての登用、さらに代理受傷やバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥らないための相談体制の整備など、婦人相談員への聞き取り調査なども行って必要性を把握した上で、迅速に対応していくことを求めます。  そこで、婦人保護事業の充実のために、婦人相談員の処遇改善や専門性のさらなる向上にどのように取り組んでいくのか、県民生活部長にお伺いをいたします。 ○山形修治 副議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、婦人保護事業において重要な役割を担います婦人相談員の専門的知識や技能のさらなる向上を図るため、9月に全市に対して行ったアンケート調査の結果を踏まえまして、今後、新任相談員への基礎研修や社会情勢に応じた専門研修の実施など、研修の一層の充実を図っていくこととしております。併せまして、婦人相談員への心理的ケアなどのサポートが適切に行われますよう、管理的地位にある職員に対する研修についても実施してまいりたいと考えております。また、婦人相談員の処遇につきましては、今年度から会計年度任用職員制度が導入されたところでありまして、国の動向なども注視していくとともに、引き続き、適切な在り方について検討してまいります。
     今後とも、様々な困難を抱えた女性に対し、よりよい支援が行えますよう、婦人保護事業の充実に取り組んでまいります。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ただいまの答弁で、相談員の充実というか、そういったことを答弁していただきました。ただ、やはり処遇ということではまだまだ難しいかと思います。正規職員として募集するような自治体もございます。ですから、実力と経験を積んだ方たちが生き生きと働ける職場を目指すということに関しても、やはり県としてもある程度は今後考えていっていただきたいと私は思うところでございます。  そして、質問が1つあります。先ほども申しましたように、婦人保護事業は全国統一の基準がないのですが、その県その県でしっかりとやろうということで取り組んでいることが非常によく分かります。ただ、とちぎ男女共同参画センターが婦人保護の中核機関となってから、間もなく10年を経過しようとしております。この節目を迎えるに当たって、本県のこの婦人相談事業を検証するという意味で、やはりもう一度、課題を把握した上で、さらに充実に向けて取り組んでいくべきと私は思いますが、その検証についてどのように考えているのか、県民生活部長に所見をお伺いいたします。 ○山形修治 副議長 千金楽宏県民生活部長。 ◎千金楽宏 県民生活部長 再質問にお答えいたします。県では、この10年間、男女共同参画センターにおきまして、様々な社会的な変化に対応しながら、民間支援団体とも協力して婦人保護事業を行ってきたところであります。近年は、事案もますます複雑化、多様化してきているところでありまして、また、DVと児童相談との一層の連携、あるいは市で配偶者暴力相談支援センターの設置が進んでいる中で、県の役割をどうしていくか、重点化していくかなどの課題も出てきているところでございます。  こういった中で、来年度は県のDV基本計画の改定年度に当たります。この10年間を振り返りまして、婦人保護事業全般について、幅広く様々な方からご意見をお聞きし、これまでの取組を検証、見直しを行いたいと考えております。これによりまして、婦人保護の充実につながるよう、計画改定の作業を進めていきたいと考えているところでございます。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ありがとうございます。そういった意味では、この10年を節目に、さらなる支援の向上のために検証して、そして在り方についても見直していくというお言葉をいただきましたので、現場の方、それに今までこの相談や婦人保護事業に関わってきた方たち、そういった方たちの意見もしっかりと取り入れながら、今後の県の婦人保護事業を充実していっていただきたいと思います。といいますのは、先ほども言いましたけれども、燃え尽き症候群であるとか、今までやっていた方が急に辞めてしまったりとか、二次受傷で自分もそのような感じになってしまったりとか、あとは、これは造語ですけれども、やりがい搾取なんて、相談員の部門ではそんなことが言われるようなことも他県ではあるようでございます。そんなことにならないためにも、やはり女性が活躍できる職場に向けて、職場の環境整備にしっかりと取り組んでいっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは次に、にんしんSOSの設置について、保健福祉部長に質問いたします。厚生労働省の専門委員会において検証した平成30年度の虐待による死亡事例は、ゼロ歳が40.7%で最も多く、妊婦健康診査未受診や予期せぬ妊娠など、妊娠期、周産期の問題が乳児虐待につながるリスクとして留意すべきポイントであると指摘されております。そのため、妊娠したかもしれない、どうしたらよいか分からない、産んでも育てられない、1人で産んで育てたい、彼女を妊娠させてしまったなど、誰にも相談できない予期せぬ妊娠に関する相談対応に応じる窓口を設置して、早期から支援に取り組んでいくことが重要だと思います。  本県では、広域健康福祉センターにおいて、予期せぬ妊娠等の相談も含め、保健師が思春期から更年期に至る女性の健康支援として、電話や面接による相談を受ける体制となっておりますが、妊娠に特化した相談窓口ではありません。妊娠に関する相談はほとんどないような状態にあると聞いております。  全国の状況を見ますと、予期せぬ妊娠に関する相談窓口の設置が進んでおり、自治体から助産師会やNPOに委託されているケースが多く、一部自治体直営もありますが、相談窓口として、にんしんSOS、または、にんしんホットラインという名前を掲げて相談業務を行っております。2015年に設立された全国妊娠SOSネットワークが中心となって全国の相談窓口の情報提供などを行っておりますが、関東での設置状況を見ますと、本県のみが設置していない状況です。  東京都、千葉県、埼玉県から相談窓口の運営の委託を受けているNPO法人では、栃木県内の在住者から今までに69名の相談を受けているということです。関東エリア全体とすると、もう少し多い可能性も考えられます。また、ほかにはユーチューブやSNSなどで相談窓口を紹介すると若者の相談が増えたということや、行政にはなかなか相談しにくい、そのために必要性が伝わっていない。また、SNSやメール、LINEなどでの相談は若者が相談しやすいという点には行政としても共感できるという意見もあり、県の委託を受けているということで、県内の高校生ににんしんSOSのカードを学校を通して配布することができた。さらには医療機関との連携がしやすくなり、経済的困窮など様々な要素がある場合に支援につながりやすいといった意見などがありました。また、今回、学校休業期間中に交際相手と過ごす時間が長くなったり、不安から交際相手への依存が強くなったりすることなどから、相談窓口を設置するあるNPO法人では、今年の4月以降に相談件数が3から5倍に急増し、さらに10代の占める割合が急増したとの報道もございます。  予期せぬ妊娠は、児童虐待などの負の連鎖につながる可能性が高いものであり、早期から切れ目のない支援をしていくことが重要です。本県在住者からの相談が他県に寄せられているという現状や、コロナ禍で若い世代の相談が増加している現状を踏まえても、取り急ぎ、県で相談窓口設置に取り組んでいくべきと考えます。また、設置に際しては、とちぎ性暴力被害者サポートセンター「とちエール」が持つネットワークとの連動も視野に入れて取り組んでいくことが非常に有効と考えます。  そこで、今後、にんしんSOSの設置についてどのように取り組んでいくのか、その考えを保健福祉部長にお伺いいたします。 ○山形修治 副議長 海老名英治保健福祉部長。    (海老名英治保健福祉部長登壇) ◎海老名英治 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。予期していない妊娠では、親から子へのスムーズな愛着の形成が難しく、虐待につながる可能性が高まるなど、妊娠・出産、子育て期の各段階において様々なリスクが予想されますことから、適時適切な相談支援につなげることが重要になると認識しております。  また、行政につながりにくい若年者などに対しましては、妊娠等に係る必要な情報の提供や柔軟な相談体制の整備が求められていると考えております。そのため、現在、県では、県助産師会等の関係団体と協議を行っておりますが、専門性を有する人員の確保や相談の受付方法など、体制を構築する上で幾つかの課題があるところでございます。  今後も引き続き、他県の事例等も参考にしながら、県助産師会や、とちぎ性暴力被害者サポートセンター等の関係団体と意見交換を重ねるなどいたしまして、相談体制の構築について検討してまいります。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) それでは、保健福祉部長に再質問させていただきます。確かに必要だということは分かるけれども、様々な課題があるから検討していくとのことでございますが、先ほど申しましたように、本当に緊急性、深刻性、そういうものがあるわけでございます。そういった中で、この若年者層の妊娠とか予期せぬ妊娠、望まない妊娠というのは水面下で起こることで、なかなか表に出てくるのが難しいことだと思いますけれども、助産師会であるとか他県のNPOでは、そういったことを把握しているわけでございます。ですから、他県の動向よりも、栃木県から69名の相談が行っているということがあれば、検討の段階ではないのではないかと私は思います。  各市町では、子育て世代包括支援センターにおいて特定妊婦の方や要支援妊婦の対応は行われているということでございますけれども、それ以外に、15歳から19歳ぐらいの年代の若者の相談が増えているということでございますので、この子育て世代包括支援センターでは、なかなか件数的にも難しい、対応ができないということもあるでしょうから、そういったこともするためには、各25市町の担当のところに聞き取り調査、そういった現状の調査をすべきではないかと私は思うのですが、それをしているのか、すべきだと思うのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○山形修治 副議長 海老名英治保健福祉部長。 ◎海老名英治 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。今お話しがありましたとおり、母子保健は各市町で行っているところでございます。その中で妊娠に関わる相談等を受けているというようなことがあるかと思いますので、方法は、調査という形になるか、聞き取りという形になるか、いずれにしても市町の状況についてはよく確認してまいりたいと考えております。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ありがとうございます。やはり現場の状況というものは非常に重要でございますので、そういった聞き取り調査をして、県としてどういう形にするか。例えば、NPOや助産師会が運営を受託されると、県をまたいでも相談が継続してできるということもございますし、そういった意味で、各市町の子育て世代包括支援センターとも連携しながら、少しずつ十分な支援体制が構築されていくのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  そして、今年度、国は不安を抱えた若年妊娠等への支援事業として予算化しているということも聞いております。ですから、こういったこともぜひ考えながら、にんしんSOSの早期の設置を切にお願いして、次の質問に入らせていただきます。  香料による化学物質過敏症への対策について、保健福祉部長に質問いたします。県教育委員会では、2006年(平成18年)3月に「健康的な学習環境のために~シックハウス対策マニュアル~」を作成し、その年の10月に学校内での化学物質による健康被害問題について、当時の北里研究所病院臨床環境医学センターの宮田部長を講師に、養護教諭特別講座を開催しました。現代社会では、多くの化学物質に囲まれての生活を切り離すことはできないが、洗剤や芳香剤、消臭剤、整髪料など化学物質からの負荷を減らすように適切に健康管理をしていかなくてはならないとおっしゃっていました。当時、そんな身近なものがと会場からどよめきが起こったことを記憶しております。  あれから14年がたちまして、香りの害と書いて香害という言葉をご存じでしょうか。このところ耳にする方も増えているのではないかと思います。香料による新たな公害のことでございます。香りの感じ方は個人差があり、心地よいと感じる、そういう人ばかりではなくて、不快に感じ、さらに、その香りによって頭痛や目まい、吐き気、皮膚のかゆみ、目、鼻、喉のひりひり感、倦怠感、集中力低下などが起きる人がいます。人工的な香り成分は化学物質で作られており、環境中に存在し、その人工的な香り成分を吸い込み続けることで、化学物質による健康被害である化学物質過敏症を発症することがあります。  最近では、香料つきの柔軟剤、洗剤、消臭除菌スプレー、化粧品、制汗剤、文房具などが多く出回り、その香りは家庭内だけではなく、学校、職場、店舗などの施設、公共の建物、交通機関、時には公園や道路にまで漂っていることがあります。そのため、いつ誰が人工香料による化学物質過敏症を発症しても不思議ではありません。人が集まるところに出ることができなくなってしまうこともあり、その症状は日常生活に支障を及ぼす非常に深刻なものとなっております。しかし、原因となる香り成分の特定には現在至っておらず、規制対象にはなっておりません。また、発症メカニズムもまだよく分かっていないため、診断できる病院も専門医も少なく、患者を取り巻く環境は大変厳しい状況でございます。周囲の無理解に傷つき、心ない言葉で悩む患者も少なくありません。  対策としては、人工香料による化学物質過敏症を発症する人が存在することを広く認識してもらい、人が多く集まる公共施設などの場で使用を控えるよう周知していくことが有効であるという専門家の意見がございます。そして、報道によりますと、2020年1月時点で、全国105の自治体でウェブサイトやポスターによる香料への配慮を呼びかける内容の周知が行われております。県内では、宇都宮市において、宇都宮市保健所と宇都宮市教育委員会が既に香料使用への配慮を呼びかける内容の化学物質過敏症に関する啓発ポスターを作成し、市内の公共施設や学校の昇降口に掲示したり、学校だよりに掲載し、周知を図っております。しかし、県ではまだ実施されておらず、取り組むことが必要ではないかと考えます。  そこで、県として、香料による化学物質過敏症について、どのように認識して、今後周知等の対策にどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○山形修治 副議長 海老名英治保健福祉部長。    (海老名英治保健福祉部長登壇) ◎海老名英治 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。現在、洋服などの衣類の柔軟剤や部屋の消臭剤など、香り自体、芳香性を工夫した商品が人気となる一方で、香りによる不快感や心身の不調を訴える方がいらっしゃることは承知しております。  香りの選択は個人の嗜好性、好みによるものでありまして規制はございませんが、自分にとって快適な香りでも不快に感じる方もいるという認識を一人一人が持ち、配慮する意識の向上を図ることが重要であると考えております。このため、今後、県のホームページやメールマガジンなど様々な媒体を活用いたしまして、香りの感じ方には個人差があることや、人が多く集まる場所や公共施設を利用する場合は、周囲に配慮した使用を心がけていただくよう、県民の方々への啓発や情報発信に取り組んでまいります。また、市町に対しましても啓発を依頼するなどいたしまして、香料を使用する際の配慮を広めてまいります。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 県としても、ホームページであるとかメールマガジンでと、そして市町にも啓発するということでございますけれども、私は宇都宮市のいち早い取組、ポスター、これは宇都宮市保健所が発行しているものと宇都宮市の教育委員会がご来校の皆様へという形で昇降口に掲示しているところを見せていただきまして、あっ、これは何だろうなと思う人から、そうなんだよね、これが必要なんだよねというような、本当に様々な反応を私は見ております。やはりホームページであるとかそういうものですと、見られる人は見ますけれども、ポスターを目につくところに貼るということであれば、もっともっと配慮するという形での啓発、これが県としても役目が果たせるのではないかと思うのです。やはりそういった誰もが目につくような、分かるような形での周知ということに関しては、もう一歩踏み込んだ形で県としては考えられないでしょうか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○山形修治 副議長 海老名英治保健福祉部長。 ◎海老名英治 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。今お話しがございましたとおり、ホームページ以外の様々な方法で県民の方に知っていただくことは必要ではないかということでございますので、ご提案がありましたポスターなど、いろいろな媒体がございますので、あらゆる方法を使って、効果的な周知に努めてまいりたいと考えております。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) ポスター等も使ってという言葉もございましたので、これはぜひとも検討していただきたいと思います。  そして、もう一つ、教育長にも所見をお伺いしたいのですけれども、県立学校の高校生となりますと、様々な香りの流行というのがありまして、公共施設といえば学校もその一つでございます。この香りを身につけている生徒が非常に多くなってきておりまして、生徒にも認識してもらうことが必要ではないかと思うのですけれども、この県立学校における周知等の対策については、教育長はどのようにお考えになるか、お伺いいたします。 ○山形修治 副議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。県教育委員会では、養護教諭など、そういった方を対象とした研修を通しまして、シックハウス症候群、こういったものが中心になろうかと思いますけれども、化学物質過敏症について教職員の理解を深めてきたところでございます。ご指摘のとおり、こういった香りの感じ方は非常に個人差があるということ、それから場所等によって、周りの方への配慮、そういったことが必要だということは、そのとおりだと思います。保健福祉部等とも協議しながら、児童生徒や保護者への啓発や情報発信に取り組んでいきたいと考えております。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 周りへの配慮、または周りの理解というものが本当に必要になってくるのではないかと思います。やはりこれは全ての人がいつなるか分からないという現状もございます。一定量を吸い込むと突然なったりすることもございますので、当事者も、そうでない方も、こういうことに気をつけなければいけないということが必要ではないかと思います。  昨年1月ですけれども、宇都宮大学で、やはり学生の中でも化学物質過敏症を発症する事例があって、それで、この課題について東海大学の坂部先生をお迎えしての講演やシンポジウムがございました。大学の中でも、そういったことが議論になっているところでございます。これは本当に、先ほども言いましたように、発症者の問題だけではなくて周りの理解が必要だということは、こういうことがあるんだという啓発、それと周知ということが非常に重要だと思います。  また、SDGsの一つであります誰一人も取り残さないという理念が定着しているところでございますけれども、そこは予防原則ということがあるのではないかと思います。そういったことで、やはり県であるとか県の教育委員会の啓発は非常に重要かと思います。県が行うことによって、介護施設でもそうでしょうし、そういったところにも広がっていくのではないかと思います。  先日ですけれども、私の住んでいる自治会にもこの回覧が回りました。というのは、学校だよりの中に、このポスターのコピーがぼんと載っていたのです。その学校には、そういう子供がいるということでございますので、やはり目につくところ、本当に身近なところ、そういったところに啓発、周知をするということが求められているのではないかと思いますので、ぜひとも早急な周知徹底、そして、誰もがそういったことに気をつけるということに努めていっていただきたいと思います。  それでは、最後の質問に参らせていただきます。自転車損害賠償責任保険等への加入促進について、県民生活部長に質問いたします。国は、環境負荷の低減、災害時の交通機能の維持、国民の健康増進などの観点から自転車の積極的な使用を推進しており、平成29年5月に自転車活用推進法を施行し、平成30年6月には自転車活用推進計画を策定しました。本県においても、これまで取り組んできた自転車通行空間の整備や交通安全活動のほか、健康や観光などの新たな視点を加えた栃木県自転車活用推進計画を令和2年3月に策定し、具体的な取組を示し、自転車の活用を推進しています。また最近では、新型コロナウイルス感染症拡大防止策の一環として、人との接触を低減する取組の一つとして、自転車通勤・通学の一層の推進が図られるなどして自転車の利用が今まで以上に進む中、自転車事故への対応が課題となっております。  自転車が関係する交通事故により相手側を負傷させた自転車利用者に対して、多額の賠償を求める判決がなされるケースが見られます。自転車事故は、子供から高齢者までの自転車利用者の誰もが加害者になる可能性があり、過失の有無や過失割合の程度により、対人、対物とも損害賠償責任が発生するため、自転車利用者が個人賠償責任保険などに加入していない場合は賠償がなされず、被害者の救済が難しくなり、問題となっております。  自転車事故への対応については、自転車活用推進法において、交通安全教育及び啓発が重点施策の一つに位置づけられたほか、道路交通法違反行為への対応と損害賠償を保障する制度が附則に検討事項として規定されました。また、損害賠償を保障する制度に関しては、国の自転車活用推進本部において検討が行われ、都道府県等に対して条例等による自転車損害賠償責任保険等への加入義務づけが要請され、平成31年2月には国土交通省が条例等による保険等加入促進の具体策として、条例のひな形である標準条例を作成し、条例の制定を支援しているところです。  全国の都道府県の動向としては、自転車利用者の個人賠償責任保険加入については、兵庫県が平成27年に義務を課す条例を制定して以来、令和2年9月30日現在で、16都府県が義務を、11道県が努力義務を課す条例を制定しておりますが、まだ本県は条例の制定には至っておりません。  栃木県自転車活用推進計画においては、「自転車を安全に利用できる安心な“とちぎ”」という目標を掲げ、自転車が関係する交通事故の件数を、2019年は1,059件から目標値2025年には800件以下にするという成果指標と、万が一に備えた自転車損害賠償責任保険等への加入促進を施策に掲げており、自転車事故の被害者の救済を図るためには、国の示した標準条例を基に加入促進に関する条例を制定するなどの対策を講じることが早急に必要と考えます。  そこで、条例の制定を含め、自転車損害賠償責任保険等への加入促進にどのように取り組んでいくのか、県民生活部長にお伺いいたします。 ○山形修治 副議長 千金楽宏県民生活部長。    (千金楽 宏県民生活部長登壇) ◎千金楽宏 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、自転車損害賠償責任保険等の加入につきまして、各季の交通安全県民総ぐるみ運動などでの広報啓発活動や交通安全教室の開催を通しまして、その必要性を周知してまいりました。また、学校や関係機関へのリーフレット配布やホームページでのPRなどを行うことにより、広く加入促進に努めているところであります。  全国では、自転車利用者が加害者となる事故におきまして高額な賠償事例が発生しており、被害者救済の観点から、自転車保険への加入をさらに促進していく必要があると考えております。引き続き、様々な機会を捉えて積極的に広報啓発活動を展開するとともに、条例制定も含め自転車保険の効果的な加入促進方策について検討してまいります。 ○山形修治 副議長 山田みやこ議員。    (39番 山田みやこ議員登壇) ◆39番(山田みやこ議員) 条例も検討ということでございますが、私がこの質問をするに当たりまして、平成27年9月に早川桂子議員もこの件について質問をしていたということが分かりました。そのときは、他県の動向も情報収集し研究をするという、5年前はそういうことでございました。今回は条例の制定も想定して検討ということなのですけれども、やはり既に他県では義務化であるとか、16都府県では義務、そして11道県が努力義務ということになっておりますし、標準条例というものが国からも提案されております。本来であれば、議員からの条例提案ということもありますが、そこまでずっと来ているということは、早急に必要な現状だと私は思いますので、ぜひとも検討という言葉ではなくて、前向きにやりましょうという形に一歩進んでいただかないと、やはり賠償がなかなかできないということは本当に大変な状況になってくるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それと、自転車事故の補償は、自動車保険や火災保険などの特約に附帯されているということもありますし、あとは、個人賠償責任保険に加入した場合には、自転車事故だけではなくて、商品を壊したとか、犬にかまれたとか、そういう日常生活のリスクも補償できるという形で幅広く対応ができるということでございますので、そういったことを考えれば、やはりこういったことも県として義務化の条例という形に一歩進めるようにしていっていただければありがたいと思います。  私の質問は以上で全て終わりますけれども、やはり県民の安全・安心、そういったこと、また知事が掲げる重点テーマを5期目の知事の方針という形で、この栃木県の繁栄のためにこれからまたしっかりやっていただきたい、そんな思いで私は質問をさせていただきました。残り時間はまだありますけれども、以上をもちまして私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。 ○山形修治 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時25分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後0時24分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は50名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午後1時25分 開議 ○相馬憲一 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 公明党栃木県議会議員会の野澤和一でございます。早速、質問に入らせていただきます。  時代は、変動性、不確実性、複雑性、不透明性の様相を深め、それら4つの英語の頭文字を取ってVUCA(ブーカ)の時代と呼ばれています。グローバルな視点で見れば、海外では自国中心主義への激動が起こり、世界秩序に不確実性が高まっています。さらに、AIやロボットに関する技術の進化により社会やビジネスの様相が変化し、複雑性がこれまで以上に増しており、その結果、私たち生活者にとって、これまで経験したことのない不透明で視界不良な時代に突入したと言えます。超高齢社会、人口減少、さらに、近年激甚化、頻発化する自然災害、そして新型感染症の脅威もVUCAの時代を象徴する現象だと思います。国連は、そうした世界的な激動に対し、持続可能な社会システム、SDGs構築に向けて、今から10年後の2030年にゴールを設定しました。ますますVUCAの時代様相が深まる中、知事の任期であるこれからの4年間は、持続可能な社会、SDGsを達成する大事な前半戦に当たります。本来あるべき栃木県を構築するため、魅力あるふるさとをオール栃木でつくり上げてまいりたいと思います。そのためにも、知事のこれまで以上に強いリーダーシップに期待したいと思います。  それでは、VUCAの時代における地域課題と未来技術の導入活用について、知事に質問したいと思います。知事は、さきの県知事選挙において、人生100年時代の安全・安心の基盤をつくることを県政経営の柱に据え、市町村重視から地域重視に一歩踏み込んだ県政を県民に約束し、その地域課題解決のために未来技術の導入活用を積極的に進めると訴えられました。次期プランでは、誰一人取り残さない社会の実現を目指すSDGsの理念を各分野において共有し、持続可能な地域づくりを推進するとしております。私たち県民を取り巻く社会環境は、VUCAの時代に入り、未曽有の局面に直面しています。  そこで、地域課題をどのように認識しているのか、そして、未来技術が私たち県民にどのような未来を開くと考えているのか、知事に伺います。 ○相馬憲一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの野澤議員のご質問にお答えいたします。人口減少・少子高齢化の進行に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う新たな日常への対応など、私たちはこれまでに経験したことのない、時代の大きな変化の中にあります。そのような中で、地域におきましては、担い手不足による耕作放棄地の増加や公共交通の衰退等による日常生活の利便性の低下、学校の臨時休業中における子供たちの学びの保障など、数多くの課題が顕在化しております。  こうした多様化、複雑化する地域課題に迅速かつきめ細かに対応していくためには、これまでの社会、産業、生活の在り方に変革をもたらし、経済発展と地域課題の解決の両立を図ることが可能となるAIやロボット等の未来技術を様々な分野へ積極的に活用することが有効であると考えております。そこで、とちぎ未来創造プランにおきましては、未来技術を活用した新しいとちぎづくりプロジェクト等を掲げ、AI、IoTの活用によるスマート農業、スマート林業の推進、無人運転技術の導入による公共交通の確保、遠隔・オンライン教育に対応した環境整備等に取り組んでまいります。未来技術を生活の様々な場面で活用することで、人々は単純な作業から解放され、人口減少・高齢化が進行する中にあっても、年齢や住む場所に関わらず、物理的、距離的な制約等を越え、誰もが自己実現を図り、生活の質を高めることができる社会の実現につながると考えております。  今後とも、市町や企業等とも連携・協働し、オール栃木で未来技術の活用に積極的に取り組み、生涯にわたって安心して暮らすことのできる持続可能なとちぎづくりを推進してまいります。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま知事から次期プランでのプロジェクトを推進しながら、地域の課題をしっかり解決し、県民の安全・安心をしっかりと確保していく未来を開いていくというご答弁を頂戴しました。  私は、人生100年時代に向かう社会において、人口が減少して社会の経済が衰退してしまう、あるいは地域のニーズ、社会ニーズの多様化によって生産性やサービスの質が低下してしまう、こうしたコストパフォーマンスの減退につながる社会ではなく、持続的発展が可能な豊かな社会環境の整備が各分野で求められております。私も、県政経営最大の課題解決には、まさにAI、IoT、ロボットなど未来技術を駆使した社会の形成が柱だと思っております。  先ほど知事も答弁の中でおっしゃられましたが、社会のニーズ、地域のニーズが多様化しているというお話がございました。ここで、総合政策部長に再質問したいと思います。地域の抱える課題は複雑かつ多様であり、地域間格差の是正も課題でございます。そうした地域特有の課題を解決するためには未来技術の導入は有効でありますけれども、各種課題をターゲットに、必要な未来技術をマッチングすることが不可欠だと思います。  そこで、各分野が抱える課題を未来技術によって解決していく体制をどのようにつくっていくか、そして、どのようなプロセスで未来技術を導入し、地域課題解決を進めようとしているのか、総合政策部長に伺います。 ○相馬憲一 議長 阿久澤真理総合政策部長。 ◎阿久澤真理 総合政策部長 再質問にお答えいたします。現在、県議会のご意見も伺いながら、県では本県のデジタル化を推進する戦略を策定しているところであります。戦略の柱の一つとして、地域の様々な課題を拾い上げてデジタルによる解決手法を持つものと課題等をマッチングする仕組みをつくってまいりたいと考えております。今後、市町、企業、大学、NPO、様々な主体と連携・協働しながらこの取組を進め、実証実験なども組み入れながら、効果的な解決手法を検討していきたいと考えております。
    ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 総合政策部長から、未来技術とマッチングさせるシステムを導入しながら、有識者を交えて推進していくというお話がございました。私は、このマッチングは重要なポイントだと捉えております。しっかりと取り組んでいただけますようお願いしたいと思います。また、未来技術導入に当たっては、システムを使いこなせる人材の確保は県として重要なポイントであると思いますので、どうか人材確保とセットで取り組んでいただきますようお願いを申し上げたいと思います。  さて、気候変動によって頻発化、激甚化する自然災害、新型コロナウイルス感染症といった未知との遭遇、こうした中、県民の生命と生活を守り抜くためには、災害に対する防災・減災の予防と被災からの復旧の対応力の強化が不可欠でございます。  ここで、防災・減災とちぎづくりについてのうち、初めに、二次災害予防のための予防伐採について、環境森林部長に質問します。令和元年の千葉県の台風被害では、長期間の停電で多くの千葉県民の生活を脅かしました。森林環境の管理が遅れたことが要因で、おびただしい倒木により送電線が切断されたことが原因とされております。国は、こうした停電等の二次災害を予防する全国的な動きに呼応し、昨年度、重要インフラ施設周辺森林整備事業を創設し、予算化しました。しかしながら、適用条件として、インフラの所有者及び管理者、森林所有者、市町との協定締結など、迅速な事業普及にはまだまだ課題があると聞いております。本県は内陸県であるため、山林が多く、停電等の二次災害に備えることは重要であると考えます。  そこで、想像を超える気象災害が発生する中、二次災害を防ぐためのインフラ周辺における予防伐採を含めた適正な森林整備の推進について、環境森林部長に伺います。 ○相馬憲一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県林業におきましては、成長が早く、真っすぐに育ちやすいなどの優れた特性を有する苗木を植栽し、枝打ちや間伐等の保育作業を十分に行うことなどによりまして、強風による幹折れなどの被害が発生しにくく、また、木材としての利用価値も高い人工林の育成に努めてきたところでございます。  さらに、国庫補助やとちぎの元気な森づくり県民税を活用いたしまして、森林経営計画に基づく間伐や再造林等への支援を行うことにより、災害に強い森づくりを進めてきたところでありますが、今なお手入れの行き届かない森林が相当程度存在している状況にございます。このため、市町や森林所有者及び森林組合が一体となって行います公道周辺の予防伐採につきまして、国の新たな補助事業を活用し、モデル的に支援を行っているところでございます。  今後は、市町や森林組合、インフラ施設を管理する関係機関等との協議の場を設けまして、二次災害が懸念される箇所の予防伐採について検討を行うなど、適正な森林整備を積極的に推進してまいります。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま環境森林部長から、本県の森林行政については、幹折れしにくい苗木の植樹等々のお話がありました。災害に強い森づくりは、森づくり県民税等を活用しながら、これまでも推進してきたというお話がございましたので、少し安心したところでございますけれども、森林の予防伐採については森林の適正な整備が大前提となりますので、計画に基づき森林環境の整備促進と、今回取り上げました防災・減災のための予防伐採の積極的な取組については要望したいと思います。  次に、災害時における仮設住宅供給体制の強化について、県土整備部長に質問します。気候変動等の影響により、災害が激甚化、頻発化する中、本県にとっても万全の備えは不可欠であります。県は、災害救助法に基づき、迅速な被災地復旧のための災害協定を県内各種団体や事業者と締結していることに加え、災害時被災者生活再建支援制度の創設を行ってきました。  これまで避難所は短期避難が前提で、一時的な居場所の確保を目的としておりましたけれども、避難生活においては、近年、居住空間の確保や長期避難に耐え得る快適性が求められるようになってきました。また、近年の災害発生の状況を見ると、早期に仮設住宅の供給体制を整備しておく必要性が高まっております。  県は、応急仮設住宅の建設に関する協定を結んでいますが、仮設住宅の建設対応は、災害発生後、速やかに住宅を建設しなければならないことから、あらかじめ仮設住宅の間取り設計、仕様、積算、工期スケジュール等の基本計画を準備しておく必要があります。また、生産ラインの確保も不可欠です。  そこで、これまでの協定に基づき、仮設住宅供給体制を強化する必要があると考えておりますけれども、県土整備部長の所見を伺います。 ○相馬憲一 議長 熊倉一臣県土整備部長。    (熊倉一臣県土整備部長登壇) ◎熊倉一臣 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。災害により住宅を失った被災者の速やかな生活の安定を図るためには、一日でも早く住まいを供給していくことが極めて重要であります。このため、災害発生後、直ちに状況を確認いたしまして、近隣の公営住宅や民間賃貸住宅を仮設住宅として速やかに確保することとしております。また、近隣に提供できる住宅が不足している場合には、市町からの要請を受けまして、一般社団法人プレハブ建築協会との協定に基づき仮設住宅を整備することとしており、迅速に整備ができますよう、あらかじめ協会と協議を行い、基本的な仕様等を定めているところです。  引き続き、市町や協会と定期的な連絡調整を行い、災害が発生した際には、地域のニーズに即した仮設住宅が迅速かつ的確に供給できますよう、体制の強化に努めてまいります。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま県土整備部長から答弁をいただきました。ここでは要望としておきますけれども、現在、プレハブ建築協会との連携の中で仮設住宅の建設については執り行っているというお話がございました。私は、この仮設住宅、生活空間の確保というものは、二次災害を防止することに効果がある一方で、その遅れは人災に結びつくものとなりますので、速やかに対応できる体制を平時からつくっておく必要があると考えております。特に、県内には数多くの工務店、また建設用材を作る、プレカットをする工場も充実しておりますので、プレハブ建築協会にお願いするだけではなくて、自前でしっかりとインフラを整備することが可能な環境が本県にはありますので、仮設住宅供給体制につきましては、そうした地元の資源と言われている企業、あるいは、そうした従事者に協力を求めるような形で体制をつくっておくことが重要であると思います。こうした重要災害に対応するインフラが本県に整備できますと、当然、他県への支援も可能になっていくわけでありますし、また、自前で体制をつくることで、県産木材を活用した基本設計も進めることができますので、そういう意味では、県土整備部と連携して、環境森林部長にそうした取組もお願いを申し上げたいと思っております。  次に、森林環境譲与税を活用した林業・木材産業の振興について、環境森林部長に質問したいと思います。森林環境譲与税は、昨年度から開始され、今年度は国全体で総額400億円が譲与され、県には約9,600万円、市町には合計で5億円を超える譲与がされます。事業初年度に当たる2019年度は、一部の市町で森林経営管理制度に基づく森林所有者に対する経営管理意向調査をはじめとした森林整備事業に着手しましたが、多くの市町では譲与税の積極的な活用が進んでいるとは言えない状況であります。このような中、昨年、田川等の氾濫で苦しんだ宇都宮市では、水害に備え、田んぼダムの整備を県産木材の板材で発注。矢板市や鹿沼市では、高校生を対象とした林業体験・研修の受講料を全額補助するなど、木材利用や人材育成に譲与税を活用する取組が出てまいりました。  県産木材の安定した供給に向けては、森林整備とそれを担う人材確保・育成が不可欠であります。森林環境譲与税は、森林整備だけではなく、建物の木造・木質化や人材育成をはじめ、林業・木材産業振興のために有効に活用できます。  そこで、市町における森林環境譲与税の活用状況を踏まえ、県として税の効果的な使い方について、今後どのように助言や支援をしていくのか、環境森林部長に伺います。また、今後は、市町と連携しながら木材利用や人材の確保・育成に積極的に活用していくべきと思いますが、併せて考えを伺います。 ○相馬憲一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。森林環境譲与税につきまして、市町では、森林所有者に対する説明会の開催や意向調査など、主に森林経営管理制度の実施に当たっての初期段階となる取組に活用しているところでございまして、今年度には、木材利用も含め、全ての市町で地域の実情に応じた取組が進められる見込みとなっております。また、県では、森林経営管理制度の効率的な運用を図るため、譲与税を活用し、県、市町などがインターネット上で森林情報を共有できるクラウドシステムの開発を進めており、令和3年度から稼働させていく予定でございます。  今後は、市町におきまして譲与税を積極的に活用いただけるよう、県と市町で構成いたします協議会での先進事例の紹介や、出先機関に設置いたしました相談窓口での技術的助言などによりまして、きめ細かな支援を行ってまいります。さらに、県の譲与税につきましても、県産木材利用のシンボルとなるような県有施設や民間施設の木造・木質化のほか、森林整備を担う林業人材の確保・育成にも効果的に活用していくことによりまして、林業、木材産業の振興につなげてまいります。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま環境森林部長から、積極的な市町との連携、そういう答弁をいただきました。県内市町の森林環境整備推進については、県が持つ専門的な知見を生かし、協力して進めていかなければなりませんので、積極的な取組を要望いたします。  ここで、環境森林部長に再質問したいと思います。私は、以前から林業・木材産業に関わる人材育成の場として林業大学校について、その必要性、創設への提案等をしてまいりました。現在、県は有識者検討会での議論を踏まえ、林業大学校の創設に向けた検討を進めております。私は、県の財政状況を考慮し、県の森林環境譲与税を有効に活用していくべきと考えますが、環境森林部長の所見を伺います。 ○相馬憲一 議長 鈴木英樹環境森林部長。 ◎鈴木英樹 環境森林部長 再質問にお答えいたします。本県の森林が今まさに本格的な利用期を迎えている中、その資源を有効に活用いたしまして、林業・木材産業の成長産業化を実現いたしますとともに、森林の若返りを図りまして、次の世代に引き継いでいくことは何よりも重要だと考えており、有識者検討会におきましても同様のご意見を頂戴しているところでございます。このため、県の森林環境譲与税でございますけれども、現在検討を進めております林業大学校をはじめとする林業人材の確保・育成策に活用することについて検討を進めてまいりたいと考えております。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 積極的に検討していただき、活用できるようにお願いしたいと思います。  ここで、林業大学校の在り方について一つ提案したいと思います。本県は、全国有数の林業・木材産業県であり、良質なとちぎ材の宝庫であります。したがいまして、本県の林業大学校は全国に誇れるものにしなければなりません。そして、林業・木材産業が直面している課題である労働力確保を解決するため、即戦力の人材育成を目的とし、先ほど述べた森林環境譲与税を有効に活用しながら、既存施設の活用を基本とすることがポイントであると思います。  そこで、私は栃木県林業センターを発展的に活用することが望ましいのではないかと考えております。栃木県林業センターは、優秀な実験機材を所有し、素材並びに木質構造材の試験、研究等を行っている施設でありますが、私はこのセンターの名称を(仮称)林業・木材産業研究センターに改名し、本県の林業・木材産業の成長産業化の中心拠点に位置づけ、その附属機関として、人材育成機関である林業大学校を設置し、県内の林務関連施設を網羅的に活用しながら、実践的な教育を短期間で行える学校にしてはどうかと思います。以上のことを提案、要望とさせていただき、次の質問に移りたいと思います。  こども医療費の無償化の対象拡大について、保健福祉部長に質問します。人口減少問題への取組は、結婚支援から出産・子育て支援、移住・定住促進など切れ目のない取組を行っております。現在作業中の次期プランについては、これまで取り組んできた事業の評価を行い、その反省を盛り込みながら、よりよい計画を策定しているところであります。  人口減少対策は県全体の問題であり、県民がひとしく施策の恩恵を受けられる環境が必要であります。しかしながら、自治体財政の状況によって市町間の格差があるのが現実で、その格差は地理的立地の要素が強く、必ずしも自治体の努力格差ではないと考えます。県は、そうした自治体を支援し、格差をなくすよう制度設計をしなければならないと思います。  今回取り上げたこども医療費無償化の対象拡大については、現在、県は小学校6年生までを対象として、全ての市町は中学校3年生まで助成を拡大しました。しかしながら、18歳まで拡大する積極的な取組を要望する声を聞いており、一部の市町では、こども医療費無償化の対象年齢をさらに引き上げ、18歳までとする自治体も出てまいりました。私は、18歳までが親の手がかかる年齢として、それまでの期間をこども医療費無償化の対象にすべきだと考えております。そのためには、県として、まず、義務教育終了まで対象年齢を拡大するなど、積極的に子育て支援を充実させるべきであります。  そこで、県はこども医療費の無償化の取組を今後どのような考え方で進めるのか、保健福祉部長に伺います。 ○相馬憲一 議長 海老名英治保健福祉部長。    (海老名英治保健福祉部長登壇) ◎海老名英治 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、子ども・子育て支援といたしまして、幼児教育・保育の無償化や多子世帯への経済的負担の軽減、さらには延長保育事業や放課後児童クラブの運営などの地域子ども・子育て支援事業等、市町と連携しながら取り組んでいるところであります。このような中、こども医療費助成制度につきましても、対象年齢などを段階的に拡充し、子育て家庭への経済的負担の軽減を図ってまいりました。こども医療費助成制度のさらなる対象拡大につきましては、子ども・子育て支援施策全体を見渡しました上で、選択と集中による効率的かつ効果的な支援という視点に立ちまして、慎重に検討してまいります。  なお、県といたしましては、こども医療費の助成制度につきましては全国一律の制度とすることが望ましいと考えておりますので、国に対しまして、引き続き、国の責任におきまして制度を創設するよう要望してまいります。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま保健福祉部長から、慎重に検討するということでお話をいただきました。東京都では、初めて人口の流出が流入を上回り、この4か月間、人口の地方への分散傾向が続いております。リモートワークの定着、企業や国民意識の変化により、この傾向は今後も続くものと思われます。こども医療費無償化の対象拡大は、即座に実行できる事業ではないかもしれませんけれども、東京から地方への移住の動きが出てきた今こそ、栃木県が子育てしやすい県日本一として、移住希望者から選ばれる流れをつくる絶好のチャンスであります。知事にも要望したいと思いますけれども、この無償化の費用対効果を検証していただければ、支援拡大を進めるべきだという結論が導き出される、そのように思いますので、建設的な前向きな検討を保健福祉部長をはじめ皆様にはお願いを申し上げたいと思います。  もう一つ、移住・定住を決める大事な要因である教育について、GIGAスクール構想の推進と学校教育の質の向上について、教育長に質問します。GIGAスクール構想は、Society5.0という社会の大きな変化に伴い、デジタル技術を活用して、教育の質の向上及び教育現場の諸課題解決を目的としている重要な取組であります。  コロナ禍においてGIGAスクール構想の実現を前倒ししたことにより、今年度中に県内の公立小学校・中学校の児童生徒全員に、また県立高等学校にも3人に1台のタブレットが配付され、Wi-Fi等の通信環境が整備されます。このことは歓迎すべきことでありますけれども、ICT環境が整えば、それでGIGAスクール構想が実現するというわけではありません。ICT環境の整備はあくまで手段でありまして、GIGAスクール構想の目的を達成するためには、来年度からのスタートに向けたスムーズな移行が大前提で、ICT機器の活用による教育の質の向上をいかに図るかという計画が重要であります。  そこで、県教育委員会は、GIGAスクール構想の実現に向け、どのように取り組もうとしているのか、教育長に伺います。 ○相馬憲一 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。Society5.0時代に求められる資質、能力を育成するためには、ICT環境を整え、これらを効果的に活用した教育を推進することが重要であります。  県教育委員会におきましては、さきに立ち上げましたプロジェクトチームを中心に、教員のICT活用指導力を向上させるための研修を行うほか、市町への支援として、アドバイザーの派遣や調整会議の開催による情報共有に努めてまいりました。また、県立学校におきましては、ICT機器の効果的な利活用に向けての共通理解を図るとともに、ICT支援員による実践的な校内研修等を進めていくこととしております。引き続き、ICT機器の活用により個に応じた指導を行い、児童生徒の理解度の向上を図るなど、教育の質のさらなる向上に努めてまいります。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 教育長から答弁をいただいたわけでございますけれども、GIGAスクール構築に向けては、学校間で格差が生じるということなくICT化を進めるために、学校現場にICT支援員を派遣し、操作指導、教員研修等を行うということでございましたが、現場の声としては、その学校に回ってくる指導員のタイミングというか、数が週に一度程度の支援になってしまうと。これでは足りない、そんな不安の声がございます。GIGAスクールのスタートに当たって現場を混乱させないためにも、また、教員の皆さんには質の高い授業に専念してもらう環境をつくるためにも、ICTプロジェクトチームを中心とした学校現場への専門的な助言、またICT支援員の増員、あるいは派遣の充実、こうしたことをしていただけますよう要望したいと思います。  ここで、教育長に再質問しますが、福田知事は選挙中に、県立高等学校の学力向上の必要性を強調されておりました。企業誘致の際の家族移住を促進する決め手となるという理由でございました。  そこで、県教育委員会は、GIGAスクール構想のデジタル技術をどのように活用して、どのような取組で、これまで以上に優秀な生徒を育成しようとしているのか、教育長に伺います。 ○相馬憲一 議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。高校生が希望する大学への進学を実現するためには、学力向上に向けた指導体制を充実させていくことが大変重要であると考えております。現在、教育委員会では、探究的な学習等におきまして、情報の収集や分析、あるいは発信、そういったものをタブレット端末を活用することによりまして、最近、大学入試におきまして特に求められております思考力とか表現力とか、そういった力を育成する研究を進めているところでございます。  今後、得られた成果をほかの高校でも普及することによりまして、県立学校のさらなる学力の向上を図っていきたいと思っております。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 今、探究する目、また課題を見つけてそれを解決するプロセスを組み立てていく、そういう教育は非常に重要なことだと思いますし、今回、GIGAスクールの中では、デジタル技術の活用が中心になってまいります。そういう意味では、そのデジタル技術を使いこなせる教員の育成が伴わなければならないわけでございますけれども、教職員に対する研修等の充実についてもこれまでされてきたと思いますが、さらに加速するようお願いを申し上げたいと思います。  また、私は、昨年のこの場で、教育機会確保法を受け、国が各都道府県に少なくとも1校の夜間中学の設置を促していることを紹介し、夜間中学設置の意義並びに必要性、こういったものを訴えさせていただきました。県教育委員会は、昨年、夜間中学に関するニーズ調査を実施していただきましたが、「夜間中学があったらよいと思う」が88.9%、そして、その理由として、「通いたい・通わせたい」というのが51.9%で、意見も寄せられておりましたけれども、「より多くの人に勉強の機会があることはよいと思う」、そういう意見が多数寄せられていたと聞いております。県民の関心、また公立夜間中学設立へのニーズの高さを表す結果であったのだと思います。こうしたことから、県教育委員会においては、夜間中学設立協議会を設置し、方針を明確に示し、市町と連携して具体的に取組を進めるべきだと思いますので、これは要望させていただきたいと思います。  次に、ウィズコロナ時代の中小企業への支援強化について、産業労働観光部長に質問させていただきます。新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、中小・小規模事業者は売上げ回復が遅れ、事業継続の見通しが立たず、深刻な経営状況が続いております。地域経済の根幹をなす中小・小規模事業者が長引く困難を乗り越え、未来に希望を持って事業に取り組めるようにするため、全力を挙げて支援をしていかなければなりません。  支援の角度は3つあります。1つは、事業継続のための支援であります。国や県の補助金及び資金繰り支援、県民一家族一旅行、プレミアムチケット等の地域経済に活力を与える支援に加え、県は公共事業の計画的発注や公共購買など、あらゆる対策を充実させなければならないと思います。  2つ目は、事業者の先行き不安に応える相談窓口の充実であります。これには、市町の商工会、商工会議所等が窓口業務を担っており、伴走型の相談支援を実施してくれています。これは、商工会等が地域経済のインフラと言われるゆえんであります。しかしながら、相談の増加や相談内容の多様化から、相談スタッフの人員不足が課題であります。支援機能強化の観点から、職員の増員が必要であると思います。  3つ目は、事業承継支援であります。県内事業者の経営者平均年齢は高齢化傾向が続き、跡継ぎがいないことなどから黒字廃業が発生していると聞いております。また、全国的に見ると、コロナ禍の影響が追い打ちとなって、廃業件数が増加傾向にあります。事業は地域の宝であり、M&Aや事業承継マッチング支援など、廃業を防止するための事業承継支援の充実・強化は必要不可欠であります。  そこで、これら3つの事業者支援について今後どのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長に伺います。 ○相馬憲一 議長 小竹欣男産業労働観光部長。    (小竹欣男産業労働観光部長登壇) ◎小竹欣男 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。新型コロナウイルス感染拡大のいわゆる第3波の到来によりまして、県内経済の先行きに不透明感が増しております。そこで県では、事業者への資金繰り支援等に加えまして、このたびの補正予算におきまして、戦略産業におけます中小企業が行う新規事業創出等や、中小企業等が行います感染症対策への助成制度を創設し、事業継続の支援に取り組むことといたしました。また、相談窓口の充実につきましては、相談件数の増加や内容の多様化を踏まえまして、商工団体職員に対し、研修等を通じたスキルアップを支援いたしますとともに、県や栃木県産業振興センターにも相談窓口を設けるなど、引き続き、相談に対しきめ細かに対応できる体制の構築に努めてまいります。さらに、事業承継につきましては、とちぎ地域企業応援ネットワークの事業承継支援プロジェクトチームにおきまして、栃木県事業引継ぎ支援センターを中心に金融機関等と連携しながらマッチング支援等を行い、円滑な事業の引継ぎを支援してまいります。  今後とも、この難局を乗り越えるため、各支援機関と連携を図り、事業者に寄り添いながら、ウィズコロナ時代の中小・小規模事業者支援に積極的に取り組んでまいります。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) ただいま産業労働観光部長から答弁をいただきました。積極的に事業者支援を行っていくということでございます。コロナ禍において、事業経営の窮状、苦しい状況は有効求人倍率0.91倍、この数字に表れていると思います。これから年末、年度末を迎えていくわけでありますけれども、資金繰り等の支援ニーズが増加する時期でもございます。県内の6万社を超える中小・小規模事業者への支援については、引き続き強力に進めていただくよう要望させていただきます。  特に災害時等の相談体制は、事業者にとってセーフティーネットであります。先ほど相談については、窓口の増設というお話もございました。また、職員のスキルアップ、こういったものもやっていくのだというお話がございましたけれども、どうか人員増も含めて検討していただきたいということを付け加えさせていただきたいと思います。  ここで北村副知事に再質問させていただきたいと思います。中小・小規模事業者の支援につきましては、これまで給付、補助といった支援、これまでのこういった支援から、仕事をつくる支援の局面に入った、そのように言われております。県は、計画の前倒しや来年度に向けた新たな事業等を通し、公共事業や公共調達等の取組を積極的に進めるべきと思いますけれども、北村副知事の考えを伺います。 ○相馬憲一 議長 北村一郎副知事。 ◎北村一郎 副知事 再質問にお答えいたします。県におきましては、中小・小規模事業者支援につきまして、事業活動の活性化に向けて様々な取組を進めてまいったところでございます。10月には、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして大きな影響を受けております中小企業への配慮を求める国の通知等を踏まえまして、関係機関に対しまして、県内中小・小規模企業への工事発注、それから物品等の納入、受注機会の確保につきまして、一層の配慮を要請したところでもございます。また、新しい生活様式に対応しました押印の廃止ですとか電子入札制度の導入に向けまして、事業者向けの説明会を開催することとしております。さらに、今月8日に閣議決定されました追加経済対策、こちらは感染症の拡大防止策に加えまして、経済構造の転換・好循環の実現、そして、安全・安心の確保が柱となっておりますけれども、現在、具体につきまして鋭意情報収集をしておりますので、こちらについても積極的に対応してまいりたいと考えております。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 公共施設並びに公共インフラの長寿命化ですとかインフラの適正な管理計画に加えて、デジタル県庁への移行に伴う備品調達等々あると思いますので、県内事業者支援につながる取組を最優先していただき、全庁横断での対応をお願いして、最後の質問に移りたいと思います。  脱炭素社会構築に向けた取組について、環境森林部長並びに産業労働観光部長に質問したいと思います。京都大学名誉教授の松下和夫氏は、現在の気候変動に伴う危機や新型感染症拡大の脅威も、原因の共通項は森林減少に伴う二酸化炭素吸収の減退、つまり自然環境の破壊にあると指摘しております。また、気候変動や新型感染症による被害を防ぐためには、脱炭素社会への早期移行が必要であるとし、その移行の柱について、持続可能なエネルギーへの転換、エネルギー効率、資源効率の改善などの項目を挙げています。  国は、2018年7月に第5次エネルギー基本計画を策定し、2030年の低炭素社会の実現と2050年脱炭素社会への挑戦として、再生可能エネルギーの主力電源化や水素エネルギー、分散型エネルギーの推進等を示しております。本県は、地形や環境の特色を生かし、水力、太陽光等の再生可能エネルギーの導入拡大を推進してきました。また、水素エネルギー社会構築に向けた取組では、昨年度、栃木市内に水素ステーションが設置され、車両への供給が開始されたところであります。  そこで、環境問題とエネルギー対策は密接な関係性があることから、県はどのようにエネルギー対策を進めていくのか、環境森林部長に伺います。  また、エネルギー問題では、産業構造の変革も必要条件になります。スクラップ・アンド・ビルドに象徴される20世紀型の経済運営から、経済復興と脱炭素社会への移行に配慮した経済、産業の構造をつくらなければならないと思いますが、産業労働観光部長の考えを伺います。 ○相馬憲一 議長 鈴木英樹環境森林部長。    (鈴木英樹環境森林部長登壇) ◎鈴木英樹 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県では、東日本大震災に伴う電力需給の逼迫を契機に、とちぎエネルギー戦略を策定し、エネルギーの安定供給や災害対応力の向上を目指し、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取組などを進めてまいりました。こうした中、気候変動対策は今や世界共通の喫緊の課題となっておりまして、脱炭素社会の実現に向けましては、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大や、水素など新エネルギーの利活用の促進、そして、森林保全によるCO2吸収源対策を進めていくことがますます重要でございます。  こうしたことから、県では、令和3年度からの次期栃木県環境基本計画にとちぎエネルギー戦略を統合いたしまして、環境とエネルギーに関する対策を一体的、総合的に推進していくことといたしました。今後は、次期環境基本計画に基づき、「脱炭素社会を目指すとちぎ」と「自立・分散型エネルギーで支えられる災害に強いとちぎ」の実現に向け、各種施策を効果的、戦略的に推進してまいります。
    ○相馬憲一 議長 小竹欣男産業労働観光部長。    (小竹欣男産業労働観光部長登壇) ◎小竹欣男 産業労働観光部長 引き続き、ただいまのご質問にお答えいたします。コロナ禍により人々の価値観が変わる中、経済復興に当たりましては、新たな日常を踏まえた力強い経済の回復に合わせて、新しい価値やイノベーションの創出が不可欠であります。こうした中、国におきましては、経済成長と脱炭素社会の両立を目指すこととしており、県におきましても、これらに呼応した取組を推進していくことが重要であります。  そのため、電気自動車など環境に優しいモビリティーにおけます新技術・新製品開発支援や、テレワーク、キャッシュレスなど遠隔や非接触を可能にするAI、IoT等の未来技術の活用促進、県内企業におけるSDGsに関します取組支援等について、より一層推進し、経済と環境の好循環につなげてまいりたいと考えております。引き続き、国や関係機関等と連携し、経済復興と脱炭素社会の実現や、それに伴う経済、産業の構造転換に的確に対応し、本県産業のさらなる成長を図ってまいります。 ○相馬憲一 議長 野澤和一議員。    (27番 野澤和一議員登壇) ◆27番(野澤和一議員) 両部長から答弁をいただきました。環境及びエネルギー戦略と経済産業構造の変革は、一体で考えていくべきだと思っております。  午前中の五十嵐議員の質問に対して、知事の答弁の中で、カーボンニュートラルに向けた具体的なロードマップを示すという積極的な宣言がございました。このカーボンニュートラルの実現に向けては革新的な技術開発が不可欠でありますけれども、温室効果ガスの排出量の約6割を日常生活が占めている、そういうデータがあります。県民のライフスタイルが関わる幅広い取組が求められると思います。  また、脱炭素社会構築については、ポストコロナ時代を見据えた国際競争は既に始まっております。グリーンリカバリーの提唱にあるように、思い切った環境・気候変動対策を通じて産業構造の転換に取り組まなければならないと思います。国は号令をかける立場でございまして、実働部隊は地方自治体であり、企業や民間団体であります。時代の流れに遅れることがないよう、積極的な取組をお願いしたいと思います。  さて、コロナ禍が引き起こした世界的な経済停滞によって、大気汚染が改善され、温室効果ガス排出も減少しました。この皮肉とも言うべき結果から、私たちは経済産業の在り方へのヒントを見いださなければならないと思います。これからは、さらにAI、IoT、ICTといったデジタル環境が加速していくと思います。また、エネルギーの効率化、有効活用を、ネットワークでつなぎ、発電から生活、産業、経済、各分野で環境負荷の低い社会を構築するスマートコミュニティー構築に向けては、県内にモデル地区を選定するなど積極的な取組をお願いしたいと思います。  最後になりますけれども、予測不能なVUCAの時代、これからもコロナ禍での県民の不安に寄り添い、建設的な議論を積み重ね、県民の皆様の負託に応えられるよう行動し抜いてまいりますので、知事並びに執行部の皆様には、今回要望させていただきました項目については、前向きな取組をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。 ○相馬憲一 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。16日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後2時25分 散会...