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平成30年度栃木県議会第352回通常会議-09月26日-03号

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  1. 栃木県議会 2018-09-26
    平成30年度栃木県議会第352回通常会議-09月26日-03号


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    平成30年度栃木県議会第352回通常会議-09月26日-03号平成30年度栃木県議会第352回通常会議 (1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名 平成30年9月26日(水曜日)  出席議員 46名   1 番      中 屋   大   2 番      平 木 ちさこ   3 番      船 山 幸 雄   4 番      塩 田 ひとし   5 番      齋 藤 剛 郎   6 番      増 山 敬 之   7 番      守 田 浩 樹   8 番      吉 羽   茂   9 番      加 藤 正 一   10 番      野 村 せつ子   11 番      早 川 けいこ   12 番      相 馬 政 二   13 番      西 村 しんじ   14 番      野 澤 和 一   15 番      阿 部 博 美
      16 番      池 田   忠   17 番      亀 田   清   18 番      白 石 資 隆   19 番      関 谷 暢 之   20 番      中 島   宏   21 番      日向野 義 幸   22 番      横 松 盛 人   23 番      渡 辺 幸 子   24 番      斉 藤 孝 明   25 番      松 井 正 一   26 番      山 田 みやこ   27 番      保 母 欽一郎   28 番      一 木 弘 司   29 番      山 口 恒 夫   30 番      阿 部 寿 一   31 番      金 子   裕   32 番      佐 藤   良   33 番      山 形 修 治   35 番      五十嵐   清   37 番      小 林 幹 夫   38 番      五月女 裕久彦   39 番      相 馬 憲 一   40 番      早 川 尚 秀   43 番      佐 藤   栄   44 番      神 谷 幸 伸   45 番      螺 良 昭 人   46 番      三 森 文 徳   47 番      木 村 好 文   48 番      髙 橋 文 吉   50 番      平 池 秀 光   51 番      板 橋 一 好  欠席議員 2名   34 番      若 林 和 雄   36 番      岩 崎   信 (2)説明のため出席した者の職氏名  地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者   知事       福 田 富 一   副知事      北 村 一 郎   副知事      岡 本 誠 司   総合政策部長   冨 田 哲 夫   経営管理部長   金 田 尊 男   県民生活部長   石 﨑 金 市   環境森林部長   鈴 木 峰 雄   保健福祉部長   森 澤   隆   産業労働観光部長 茂 呂 和 巳   農政部長     渡 邉 和 明   県土整備部長   江 連 隆 信   会計管理者会計局長            矢 野 哲 也   企業局長     中 里 文 計   総合政策部次長総合政策課長            小 竹 欣 男   財政課長     仲 山 信 之   教育長      宇 田 貞 夫   代表監査委員   平 野 博 章   人事委員会事務局長            沼 尾 正 史   労働委員会事務局長            北 村 直 也   警察本部長    坂 口 拓 也 (3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名   事務局長     篠 﨑 和 男   次長兼総務課長  入 野 祐 子   議事課長     伊 藤 美智雄   政策調査課長   中 村 陽 一   議事課主幹兼課長補佐            柿 木   聡   課長補佐     安 岡 英 亮   係長       鈴 木   努   係長       関 根   透   主査       秋 澤 和佳子   主査       羽 鳥 光 雄   主査       青 木 和 之 ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は46名であります。       ―――――――――――――――――――――――――――――     午前10時 開議 ○五十嵐清 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  日程第1 第1号議案から第9号議案まで、第12号議案から第26号議案まで及び認定第1号から認定第6号までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) 質問に入るに当たりまして、今月、北海道胆振東部地震におきましては、甚大な被害と多くのとうとい命が失われました。犠牲となられた皆様方に心よりお悔やみを申し上げ、被災された皆様方にお見舞いを申し上げます。  ここ近年においては、全国で自然災害が多発し、天災は忘れたころにやってくるという言葉は、今や忘れぬうちと改めなければならない状況にあります。今回の質問におきましては、災害時に備えた対応や栃木の創生の実現に向けた8項目について質問してまいります。私自身久しぶりの質問で緊張しておりますが、2日目のトップバッターとして気合いを入れて質問してまいりますので、執行部の皆様におかれましては明確なご答弁をいただきますようお願い申し上げまして、質問に臨みます。  まず初めに、地方創生の実現に向けた今後の取り組みについて、知事にお伺いいたします。本県の地方創生を実現するために策定したとちぎ創生15(いちご)戦略につきましては、早いもので計画期間後半の4年目となりました。県が先日公表したとちぎ創生15(いちご)戦略の現状評価によると、1人当たりの県民所得や雇用創出数といった経済活動分野に関する成果指標は好調です。毎年度ごとのKPI(重要業績評価指標)の進捗状況についても、おおむね順調に区分されるKPIが昨年度の18から25に増加するなど順調に推移しており、製造品出荷額については、直近の実績値が目標値を上回るなど、とちぎ創生15(いちご)戦略の取り組みに一定の成果が出ていると思います。  しかし、都道府県間人口移動数合計特殊出生率といった人口動態に関する成果指標についてはおくれが生じており、これらの指標の改善に向けたさらなる取り組みが必要であると思われます。特に全国的に大都市圏、とりわけ東京圏への人口流出に歯どめがかからず、地方の中小企業や小規模事業者の人手不足を引き起こしており、本県においても例外ではありません。このような人手不足の状況が続けば、県民所得全国4位を誇る好調なものづくり県である本県において経済の大きな足かせになるのではないかと危惧しておるところです。  とちぎ創生15(いちご)戦略の取り組みについては残り約1年半となっておりますが、引き続き地方創生を実現するために、今後は国の動向を見据えながら取り組んでいく必要があると考えます。  そこで、県は地方創生の実現に向け、これまでの取り組み成果を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの佐藤良議員のご質問にお答えいたします。とちぎ創生15(いちご)戦略につきましては、これまでの取り組みにより、重要業績評価指標、いわゆるお話がございましたKPIは、経済活動分野を中心におおむね順調に進捗しており、製造品出荷額等など目標値を上回った一部のKPIは、さらなる高みを目指し、目標値の見直しを行うこととしております。一方、全国的な出生率の低下に加え、東京圏への大幅な転出超過、特に若者の人口流出は依然としてとまらず、人口動態にかかわる指標の改善が見られない状況が続いております。こうした状況は、本県の経済分野のみならず、医療や福祉、教育などさまざまな分野への影響が懸念され、指標の改善に向けた取り組みを強力に推進していくことが必要であると考えております。このため、とちぎ結婚支援センターにおいてシステムを活用したマッチングサービスや相談員によるきめ細かな支援を行っていくとともに、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援体制の充実を図ってまいります。  また、都内に設置したとちぎ暮らし・しごと支援センターにおいて、引き続き移住、就職の相談にワンストップで対応するほか、来月には県内全市町等が一堂に会するオールとちぎ移住相談会を開催し、栃木での暮らしや働き方等の相談に市町単位で応じるなど、本県への移住を促進してまいります。  さらに、本県産業人材の確保につなげるため、今年度新たにとちぎインターンシップフェアを開催したところであり、UIターン就職促進協定締結校との連携強化や、とちぎ未来人材応援事業の対象となる奨学金の拡充などとあわせ、若い世代の本県への就職を促進してまいりたいと考えております。  こうした取り組みに加え、国が地方と東京圏との転出入人口の均衡と地方における担い手確保の実現を目指したわくわく地方生活実現政策パッケージなどの施策の活用も視野に、栃木の未来創生の実現に向け、全力で取り組んでまいります。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) 人口減少、そして人口の流出におきましては、やっぱり本県の経済に大きな影響を与えると思いますし、さまざまな分野に多大なる影響があると思います。少しでも本県に残っていただけるような人をふやすこと、そして、人を栃木県に呼び込む政策というのが必要になってくると思いますので、これまでの取り組みをしっかり検証していただいて、しっかり引き続いて取り組んでいただきたいと思っています。  ここで、総合政策部長に再質問させていただきます。地方創生の実現のためには、県内の市町の取り組みについてしっかりと推進していくことが重要であり、さらに県と市町との連携強化が求められていると思いますけれども、今後どのように県と市町との連携強化を図っていくのか、総合政策部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 冨田哲夫総合政策部長。 ◎冨田哲夫 総合政策部長 再質問にお答えいたします。地方創生の取り組みの中で、少子化対策に資する子育て環境づくりですとか、あるいは移住・定住、人を呼び込むといった面で指標となります日常生活の利便性の向上、こうした分野などにおきましては、住民の目線できめ細かな対応が求められていると思いますので、市町の取り組み、役割というのは大変重要なものがあると思っております。  県としましては、そうした各市町の取り組み、さらにはとちぎ創生アイデア会議におきまして、各市町でさまざまな地域活動をしておられる方々から提言をいただいておりますので、そうした提言、さらには他県等での成功事例等、こうしたものを情報共有いたしまして、できるだけいいものは取り込んでもらうという横展開を促していっているところでございます。  今後は、さらに市町と十分意見交換を行って、さらに連携強化しながら、今後の有効な対策に取り組めるよう努めていきたいと思っております。
    ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) やはり地方創生の実現のためには、オール栃木県として市町と連携して取り組むべき課題と市町の独自性を持って取り組んでいく課題というのがあると思います。しっかりと両方、情報の共有を図りながら、とちぎ創生の実現のために引き続いて取り組んでいただきますように要望させていただいて、次の質問に入ります。  次に、いちご王国のさらなる発展について、知事にお伺いします。秋が深まり、イチゴの産地である私の地元壬生町では、苗の定植はほぼ終わり、来月上旬にはイチゴの出荷が始まります。いよいよ栃木のイチゴシーズンの開幕を迎えます。ことし8月に公表された国の平成29年度統計データでは、本県は50年連続でイチゴの生産量が全国1位となり、平成30年産においても全国1位は間違いないことから、51年連続ということになると思います。これまで県が取り組んできた品種開発や品質向上対策などの成果だと言えます。  本県では、イチゴの魅力を国内外に発信するため、昨年度から1月15日を「いちご王国・栃木の日」として位置づけ、当日開催された記念セレモニーでは、赤いガウンをまとった知事が国王として登場し、イチゴバルーンが飛び交うなど華やかな雰囲気の中、イチゴは県の顔で、将来にわたって引き継ぐべき宝だと高らかに宣言されました。  さらに、ことし7月には、関西圏のPR拠点として大阪センターが設置され、今後は大阪を中心とする関西圏においてもいちご王国プロモーションを展開していくと聞いております。  しかしながら、これまでの本県産のイチゴは、首都圏を中心とする関東圏と東北地方を中心に出荷され、関西圏などの西日本には出回っていないため、西日本においては、福岡県の「あまおう」の印象が強く、本県のイチゴは余り浸透していないことから、本県のイチゴをしっかりPRしていく必要があると考えます。また、贈答用などの高級イチゴとして「スカイベリー」を位置づけ、生産拡大やブランド化を推進しておりますが、市場関係者からは誰もが手軽に食べられるようなイチゴも求められているとの声も聞きます。  本県には、全国唯一のいちご研究所があり、「とちおとめ」や「スカイベリー」以外にも、夏秋イチゴの「なつおとめ」、観光いちご園用の「とちひめ」などが開発されてきました。最近では新たな需要の掘り起こしが期待される白いイチゴが開発されるなど、いちご王国の取り組みとして着実に実績を上げております。  イチゴは、本県の農業を牽引してきた象徴的な農産物であると同時に、県民にとっても誇れる宝であり、本県のイメージアップや観光誘客にも大きく貢献しています。今後も、本県がいちご王国として君臨し続け、国内の生産や消費をリードしていってほしいと願っています。そのためには、今後は需要に応じた効果的なプロモーションを行うとともに、特色のあるイチゴの品種の開発をより一層強化していくべきだと考えます。  そこで、県はいちご王国のさらなる発展に向けてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。イチゴは本県農業の主力品目であるだけではなく、栃木県のイメージアップや地域経済の発展にも大きく貢献しており、今や本県の代名詞ともなっております。このため、今年度はいちご王国栃木の全国的な地位の確立を目指し、大阪センターを活用しながら、関西圏においても積極的なプロモーションを展開してまいります。  また、イチゴ生産の維持・発展を図るため、とちぎ農業未来塾での技術習得や生産施設の導入などを支援し、新たな人材の確保と定着を促進するとともに、苗づくりの外部委託やパッケージセンターの導入など作業の分業化を進め、経営規模の拡大を推進してまいります。  一方、本県の最大の強みは、多彩なオリジナル品種を保有していることであり、いちご大国のさらなる発展を図る上で品種競争力の強化は欠かせないテーマであると認識しております。新たな品種の開発に当たりましては、生産者にとってつくりやすいことはもちろん、これまでのブランド化重視の考え方に加え、消費者が求めやすく、イチゴのさらなる消費拡大につながるという視点で研究開発を進めているところであります。さらに、今後は、生産現場における試験栽培の面積をふやし、栽培特性や商品性に関する調査を充実させるなど、新品種の選抜から普及までのスピードアップを図ってまいります。本県が未来に夢を託せるいちご王国としてさらなる飛躍ができるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) ただいま知事から、これからの品種開発については、ブランド化を図るようなものだけではなく、イチゴの消費拡大を図っていくような視点にも立って開発を進めていく、そしてその開発にはスピード感を持って対応していくとのご答弁をいただきました。ぜひすばらしい品種の開発をしていただきたいと私も思っております。  ここで、知事に再質問させていただきます。現在の新品種の開発についてはどのようになっているのか、まだ公表できない部分もあると思いますけれども、公表できる範囲の中でご答弁いただきたいと思います。 ○五十嵐清 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。全国唯一のいちご研究所では、毎年約1万株の中から新品種候補を選抜しております。こうした中から、消費拡大につながる有望な候補が出てまいりましたことから、生産現場での試験栽培の面積を広げる必要がありますので、育成者権を保護することを目的とし、現在、品種登録の手続を進めているところであります。試験栽培を経て、生産者や流通業者、消費者などから高い評価が得られれば、普及品種として決定し、販売上の商品名も検討してまいりたいと思います。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) やはり市場においては消費者が求めやすい品種、「とちおとめ」と同様のような品種の開発が求められるということで、その品種の登録に関しましては一日でも早い登録をお願いしたいと思います。  ここで、農政部長に再質問させていただきます。国内においてはイチゴの消費量が減っていると聞いており、本県はいちご王国として、消費拡大にも積極的に取り組むべきだと考えますけれども、農政部長の考えをお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 渡邉和明農政部長。 ◎渡邉和明 農政部長 再質問にお答えいたします。イチゴの家庭での消費量につきましては、この10年で3割ほど減っておりまして、金額ベースで見ましても、バナナよりも少なくなっているという現状にございます。生産者の意欲を高めるためにも、消費拡大対策を講じるというのは非常に重要かなと思っております。  県といたしましては、消費者にイチゴをより楽しんでいただけますように、特徴ある魅力的な品種開発を進めますとともに、パッケージセンターの整備等を支援しまして、消費者ニーズにマッチした商品づくりを推進しておりますけれども、イチゴを見て、体験して、それから食べるという機会をふやすことが重要でありますので、観光いちご園あるいは農産物直売所の活性化を図る、それから学校給食におけるイチゴの利用拡大ということにも取り組んでまいりたいと考えております。  また、イチゴの消費拡大は栃木県だけの問題ではありませんで、これは全国的な課題かなと思っております。例えば県内では、全国いちごサミットの開催も計画されておりますので、そういう場面を活用いたしまして他県の産地にも連携を呼びかけるなど、いちご王国として栃木県が先頭に立ってイチゴの消費拡大に努めてまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) やはり本県がいちご王国として果たすべき役割というのは大きいものだと思います。これから他県も含めた中で、国内のイチゴの需要をさらに高めてもらうような品種の開発や取り組みを期待しております。  ここで何点か要望させていただきます。質問でも触れさせていただきましたように、今後は大阪センターを拠点として、関西圏や国外に向けて栃木県産の農産物を売り出していく。イチゴも同様です。しかしながら、まだまだ生産量が少なく、関西圏に持っていったり、海外に持っていくようなイチゴがないのが現状であります。ぜひそのような視点も含めて生産拡大に努めていただきたいと思っています。  一方で、労働力の不足に関しましては、3割以上が高齢者となっているのが現状です。やはり新たな担い手の育成、新規就農者の育成に関しましても、引き続き取り組んでいただきたいと思っています。  そして最後に、これから栃木県としてイチゴの新品種開発、登録に取り組んでいく、やはりそのことはすごく重要なことでありますけれども、その取り組みについては、生産者や農業団体の理解なくしてはできないと思います。ぜひとも生産者や農業団体との意見交換、そして情報の共有をしっかり図っていただいて、栃木県のイチゴに対する考えや方向性についてしっかり理解してもらうようにお願いしたいと思います。要望いたしまして、次の質問に入ります。  次に、地域防災力の強化について、県民生活部長にお伺いします。近年、局地的な豪雨や台風による洪水、氾濫等の大規模豪雨災害が頻発し、昨年の九州北部豪雨やことし7月の西日本豪雨等において甚大な被害が生じたところです。こうした中、地域住民に身近な消防団や自主防災組織は、災害時において被災者の救出救助や避難誘導など、重要な役割を果たしております。西日本豪雨時においても、自主防災組織等による顔が見える呼びかけが避難の背中を押す最後の一押しとなり、甚大な被害を受けたにもかかわらず、死傷者がゼロであった地域もあり、防災訓練や災害時の対応を事前に決めておくなど、日ごろから災害に対してしっかりと備えた結果であると考えます。  しかしながら、少子高齢化や就業形態の変化等に伴い、本県を初め全国的に消防団員数は年々減少しており、自主防災組織も活動に対する住民意識の不足やリーダー不足等の課題を抱えており、地域防災力の低下が懸念されるところです。こうした課題の解決に向け、県では、自主防災組織等の指導的立場にある方を対象とした自主防災組織リーダー育成研修会を平成24年度から実施するとともに、今年度からは消防団応援の店制度を創設し、消防団確保のための取り組みを実施しておりますが、被雇用者が消防団員の大多数を占める現状においては、企業への理解、協力を求めるなど、消防団員が活動しやすい環境づくりに向けた取り組みも重要であると考えます。  また、昨今の状況からしますと、大規模な災害はいつ起きてもおかしくなく、さまざまな災害に対応できるよう、日ごろから地域防災力の強化に努めておく必要があると考えます。  そこで、県は、地域防災力の中核となる消防団や自主防災組織の充実・強化についてどのように取り組んでいくのか、県民生活部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 石﨑金市県民生活部長。    (石﨑金市県民生活部長登壇) ◎石﨑金市 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。消防団や自主防災組織は、自分たちの地域は自分たちで守るという精神に基づき、災害時の救助活動や平常時の啓発活動など、地域防災のかなめとして重要な役割を果たしております。  そこで、県では、市町が行う消防団員確保のための魅力アップ事業女性団員加入促進機能別消防団員制度導入に係る装備等に対して支援を行うとともに、広く県内事業所の理解、協力を得るため、消防団協力事業所表示制度や消防団応援の店制度に取り組んでいるところです。加えて、今月10日には県内商工団体に対して消防団への加入促進の協力依頼を行ったところです。また、自主防災組織の活性化を図るため、防災訓練等の実施や応急救助活動用資機材等の整備などに対し、市町を通して助成も行っております。  今後とも、県民の積極的な参加のもと、消防団などを中心とした地域防災力の充実・強化が図れるよう、市町とともに取り組んでまいります。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) 県民生活部長に再質問させていただきます。本県の防災力を高めるため、本年度、県におきましては、地域防災計画の改定を進めていると伺っております。近年の災害状況から見ますと、2年前の熊本地震、そして今月の北海道胆振東部地震においては、物流が滞り、物資の不足が生じています。災害時に備えて自宅に食料を備蓄している方はまだしも、身一つで逃げた方には、食べるものが避難所において何日もないという事態は避けなくてはなりません。  そこで、県は、今回の地域防災計画の改定に当たり、物資物流の問題に対してどのように取り組もうと考えているのか、県民生活部長に再質問いたします。 ○五十嵐清 議長 石﨑金市県民生活部長。 ◎石﨑金市 県民生活部長 再質問にお答えいたします。現在、作業を進めております地域防災計画の改定は、近年の大規模災害を受けまして、国が行った防災基本計画、それから水防法等関係法律の改定などを踏まえまして、災害対応の充実を図るという目的で行っておりますが、その中の一つに物資物流の確保があります。そのため、県では、昨年度、物流拠点の確保や倉庫業界との連携など、具体的にわかりやすくしました支援物資の広域物流マニュアルを策定しまして、それを使用した訓練を実施しましたり、それからつい先日は、市町職員を対象に研修会も実施したところであります。  今回、県の地域防災計画に改めて物資物流の確保を位置づけることで、市町にも物流マニュアルの策定を働きかけていくなど、今後とも、市町、関係機関、それから関係団体と連携を図りながら、災害時の支援物資等の適切な供給に向けた仕組みづくりについて取り組んでまいりたいと思います。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) やはり地域防災計画の改定に当たっては、計画をしっかりつくっていただいて、その計画自体を市町の担当者や関係機関に周知徹底を図って、いざ災害時に備えて役に立つような計画にしなければいけないと思いますので、引き続きの取り組みをお願いしたいと思います。  1点要望させていただきたいと思います。質問の中でも触れさせていただきましたように、消防団員の確保というのは、全国的に見ても厳しい状況の中にあると思います。今7割以上の方がサラリーマン、被雇用者の状況の中で、これまでと同様に消防団員を務めていただくというのも厳しい状況下になっているということを、私自身も当事者世代の立場としてよく伺っております。ぜひそのような実態も踏まえて、今後については、消防団の組織の体質の改善なども含めた中で、少しでも負担軽減を図れるよう努めていただいて、消防団員の確保にも引き続き取り組んでいただければと思います。  次の質問に入らせていただきます。次に、森林・林業にかかわる人材の確保・育成について、環境森林部長に伺います。近年、少子高齢化等によりさまざまな産業において人材確保が課題となっており、林業においても同様で、今後、ほかの産業との人材確保の競合がさらに高まると想定されます。  このような中、ことし6月に県が公表した平成29年度新規林業就業者調べによると、就業者が増加し、高校新卒者や女性が含まれていることは大変明るい話題です。以前、私が農林環境委員会の副委員長として、職業として林業を認識してもらい、本県の林業・木材産業の成長産業化に向けた人材確保を図るため、若年層を意識した林業の魅力発信を提言したところであり、県のこれまでの取り組みの成果があらわれてきたものだと考えます。  また、来月、10月20日土曜日になりますけれども、私の地元、みぶハイウェーパークで、とちぎ林業グランプリ2018inみぶが開催されますが、都市近郊での開催により、多くの県民に林業の魅力を伝え、興味を持ってもらうよい機会であり、さらなる人材確保にもつながると期待しています。  一方で、県においては、これまでの間伐中心から皆伐中心の森林整備に転換した第2期とちぎの元気な森づくり県民税を本年4月から開始しました。また、国においては来年4月に施行される森林経営管理法により、市町が中心となった森林の整備や管理等が始まることから、多様な人材の確保・育成がこれまで以上に必要となってくると思います。  そこで、県は、森林・林業にかかわる人材確保・育成に向けどのように取り組んでいくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 鈴木峰雄環境森林部長。    (鈴木峰雄環境森林部長登壇) ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまで林業に興味を持ち、就職を希望する方々に向けまして、SNSを活用した動画を配信するとともに、高校生やUIJターン希望者などを対象にした就業説明会を実施するなど、新たな林業担い手の確保に取り組んでまいりました。また、栃木県県産木材利用促進条例に基づく協議会におきましては、市町や林業関係団体、経済団体等の皆様から、林業の魅力のPRや人材の確保・育成の重要性につきましてご意見をいただいているところでございまして、林業従事者の習熟度に応じたきめ細かな研修制度の構築に向け、検討を始めたところでございます。  一方、来年度からは市町が主体となって森林の管理を行う森林経営管理制度が始まることから、現在、市町での技術職員の確保・育成や、市町と森林組合など林業関係団体との人的・技術的な連携についても協議、相談を進めているところであります。  今後も、林業や森林の仕事の魅力発信に努めるとともに、協議会などの場を活用して、幅広い関係者の皆様と連携しながら、人材の確保・育成に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) 環境森林部長に再質問させていただきます。質問の冒頭、少子高齢化等により人材の確保の競合が高まっていくとのことでお話をさせていただいたところでありますけれども、今後も人口減少は避けられないと思います。こうした中で、林業を成長産業化させていくためには、人材確保・育成に加えて、やはり少ない人数でも生産力を維持向上できるような効率化を進める必要があると思いますけれども、どのように取り組んでいくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 鈴木峰雄環境森林部長。 ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず県では、林業事業体に向けまして、高性能の林業機械の導入を促進することによりまして、まず作業の効率化、それから安全性を高め、労働生産性を確保していくといったことを考えております。これによりまして女性など幅広い層から人材を確保する、そういうふうな環境の整備に努めてまいりたいと思っております。また、来年度から導入されます森林経営管理制度あるいは県民税事業におきまして、施業の集約化を図ってまいります。これによりまして事業の規模を大規模化して収益性の向上を図り、競争力の確保にも取り組んでまいりたいと思います。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) ここで要望させていただきます。やはり森林と林業にかかわる人材確保に向けては人材の教育機関が重要であると思います。他県においては、11府県におきまして林業大学校等が整備され、取り組んでいます。本県においても、森林・林業にかかわる人材育成に関しましては、そのような先行事例を踏まえて、おくれをとることなくしっかりと取り組んでいただきますように要望させていただいて、次の質問に入ります。  次に、大規模災害時における福祉的支援体制の整備について、保健福祉部長にお伺いいたします。さきの質問でも触れましたように、近年、本県も含め国内で大規模な災害が発生し、相次ぐ災害に対して危機意識が高まっており、災害時における保健医療体制等の充実・強化が求められています。このような中、国では、災害時における保健医療体制の整備を進めてきたところであり、本県でも、医師、看護師、業務調整員で構成され、発災後おおむね48時間以内に活動を開始する災害派遣医療チーム(DMAT)や、精神科医師、看護師等で構成され、精神科医療及び精神保健活動の支援を行う災害派遣精神医療チーム(DPAT)が設置され、一昨年の熊本地震や、昨年の那須雪崩事故及び今月の北海道胆振東部地震においても派遣されております。  一方で、災害時において避難生活が長期化することも多く、長期の避難生活を余儀なくされる高齢者や障害者、子供などの災害時要配慮者にとっては、医療はもとより、福祉的支援が適切に提供されることが重要であります。こうした災害時における福祉的支援の重要性につきましては、東日本大震災を契機に広く認知され、全国各地でその対応が進められており、本県においても、災害派遣医療チームのような広域的に活動できる体制整備が急務であると考えます。  そこで、県は、大規模災害時における福祉的支援体制の整備についてどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 森澤隆保健福祉部長。    (森澤 隆保健福祉部長登壇) ◎森澤隆 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。大規模災害発生後の被災地では、福祉的な配慮を要する避難者に対して必要な支援が行き届かないことが課題となっております。このため県では、避難所等において要配慮者の福祉ニーズを的確に捉え、必要な支援につなげるための災害福祉支援チーム、いわゆるDWATの設置を目指し、福祉、介護等の事業者団体や社会福祉士、ケアマネジャー等の職能団体と協議しているところであります。これにより、被災地からの要請に応じて支援チームを派遣するとともに、県内での災害発生時に適切に支援を受け入れ、調整できる体制が整うものと考えております。  今後は、年度内にチーム員の登録が開始できるよう準備を進めるほか、派遣候補者を対象に実践的な研修を行い、災害時の福祉的支援体制を整備してまいります。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) ここで、保健福祉部長に再質問させていただきます。在宅サービスの利用者が増加する中、高齢者や障害者の中にはみずから避難できない方も多くなっている状況の中で、こうした避難困難者に対する大規模災害時における福祉的支援についてはどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長に伺います。 ○五十嵐清 議長 森澤隆保健福祉部長。 ◎森澤隆 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。大規模災害発生時には避難所のみでなく、何らかの事情で自宅での生活を余儀なくされる方も一定数存在するものと想定されます。こうした事態に対応するために、要配慮者の自宅まで訪問し、福祉ニーズを把握する、そうした臨機応変な対応ができるよう、実践的な研修を実施してまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) 要望させていただきますけれども、例えば本県においては、大規模災害を受けて、本県から被災地に向けて支援するようなケースもあると思いますけれども、本県自体が災害を受けて、他県から支援を受けるケースもあると思います。やはりそういった意味の中で、本県が被災時においての福祉的支援の受援体制についての強化を図ることも重要だと思いますので、あわせて検討をお願いしたいと思います。  そして、被災地における公共インフラ等のハード面の整備につきましては、国や自治体の予算などで時間をかけて復旧が図られますけれども、被災した人たちの心の復旧については、被災者の皆さんに寄り添った支援が必要であると私自身は感じております。関係機関が連携し、大規模災害時に備えた福祉的支援整備についてしっかり取り組んでいただきますように要望させていただいて、次の質問に入ります。  次に、海外との友好交流の取り組みについて、産業労働観光部長にお伺いいたします。少子高齢化や人口減少が進み、国内市場が縮小傾向にある中、観光立県とちぎの実現や県内産業、農業等の成長を図る上で、海外市場に目を向けることは不可欠であります。私が海外行政調査を行った際におきましては、訪問した諸外国側におきまして、機会さえあれば日本と積極的に交流を持ちたいと考えており、日本市場への関心の高さを強く感じたところです。  本県は、これまで友好交流先である中国の浙江省、フランスのヴォークリューズ県及びアメリカのインディアナ州との交流を推進するとともに、昨年2月には経済と教育に特化した覚書を台湾の高雄市と締結し、また欧米やアジア諸国において商談会やテストマーケティングを開催するなど県産品の販路拡大事業に取り組んでいます。その結果、県内企業の海外進出や農産物の輸出拡大にも成果が上がっていますが、海外にはまだまだ有望な市場があると考えます。  特にアジア諸国は欧米よりも距離的に近く、経済成長も著しいため、新たな市場の開拓先として非常に有望であると思います。実際に近隣県においては、ベトナムなどのアジア諸国を中心に経済に重きを置いた海外交流を進める動きが見られるため、本県においても、他県におくれをとることなく、本県のさまざまな魅力を積極的にPRし、友好交流先との関係を通じて新たな市場を開拓していくべきだと考えます。そのためには、県内企業の海外への意識を高めるとともに、ジェトロ栃木等と協力し、積極的かつ戦略的に海外展開を進めていく必要があると考えます。  そこで、県は、これまでの成果や課題を踏まえ、今後どのように海外友好関係先と経済交流に取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 茂呂和巳産業労働観光部長。    (茂呂和巳産業労働観光部長登壇) ◎茂呂和巳 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。少子高齢化による国内市場の縮小が懸念される中、企業の海外販路のより一層の拡大は、地域経済の活性化にとって極めて重要であります。こうした中、特に海外の友好交流先等については、現地のマーケット動向を把握しやすく、企業への支援を戦略的に展開できることから、より効果的に経済交流の活発化が図れるものと考えております。  このため、台湾高雄市とは昨年2月の覚書締結を機に、日本酒などの展示商談会を開催し、県産品の魅力発信に取り組んでいるところであり、また、先月、省長が来県した中国浙江省との間でも経済交流の一層の推進を図るとの共通認識を得たところであります。  今後とも、ジェトロとの連携によるセミナー開催などにより県内企業の海外販路開拓への関心を高めながら、友好交流先を初めとした海外との経済交流を積極的に支援してまいります。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇)
    ◆32番(佐藤良議員) ここで再質問させていただきます。質問でも触れさせていただきましたけれども、昨年の2月には台湾の高雄市と覚書を締結したと伺っておりますけれども、覚書を締結した後の具体的な取り組みの成果などについてありましたら、産業労働観光部長にお伺いしたいと思います。 ○五十嵐清 議長 茂呂和巳産業労働観光部長。 ◎茂呂和巳 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。本県と高雄市との間で覚書を締結した後になりますが、新たに小山市が交流を始める。それから、本年の2月でございますが、本県の観光物産協会と高雄市の観光協会が観光交流に関する覚書を締結するなど、徐々に成果があらわれてきております。そのほか民間団体におきましても、ロータリークラブなどで相互に訪問するなど、裾野の拡大を感じているところであります。  こうした中、本年の4月になりますが、高雄市の2つの高校から教育旅行の方が来県したところでございます。これにつきましては、高雄政府の計らいによりまして、現地での説明会に本県からプレゼンテーションすることができた成果であると考えておりまして、徐々に成果もあらわれてきているところであります。  今後とも、こうした成果を積み重ねながら、交流先との経済交流の拡大を図ってまいります。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) 私が聞くところによると、栃木県に台湾のほうから観光客の方が多く来ていただいているとのことです。それらもこれまでの取り組みの成果だと思いますので、引き続いてその取り組みを進めていただきたいと思います。  ここで、知事に要望させていただきたいと思います。以前、とちぎ自民党議員会の早川議員が予算特別委員会において質問されましたが、他県においては、国際交流の事業を所管する課が海外に関連する業務の全庁的な調整機能を一元的に担うことで、戦略的に海外展開に取り組んでいる事例もあるとの質問をされました。現在、栃木県の海外交流につきましては、各部局が分野によってそれぞれ所管しており、縦割りで横との連携が必ずしも十分にとれているとは言えませんし、統一した方針や方向性も示されていない状況下にあると思います。今後、さまざまな分野において海外との交流を図る上で、本県としての国際戦略や全庁的な総合調整機能を果たす部署が必要であると考えます。  また、現在の海外展開の窓口である国際課の体制や海外事業に向けた予算も十分ではないと私は考えております。例えば栃木県が海外との交流を図る海外販路開拓事業につきましては、平成30年度の予算については約2,400万円であるものに対し、茨城県においては9,600万円と栃木県の約4倍となっています。また、栃木県の農畜産物輸出額については、平成23年度の実績を見れば339万円でしたけれども、平成29年度においては約100倍伸びており、3億円という実績があります。しかしながら、群馬県におきましての農畜産物輸出額については10億円となっています。これらの北関東3県の取り組みの実績を見ても、本県においては残念ながらおくれをとっているように感じています。  今後は、知事の強いリーダーシップのもと、本県においても、他県におくれることなく、先行事例を参考としながら、海外関連の施策を推進する体制、機能強化を図っていただきますように強く要望させていただき、次の質問に入ります。  次に、社会資本の適切な維持管理について、県土整備部長に伺います。災害時において被災地では、自衛隊、警察、消防、行政、ボランティア等による早急な救助活動が報道されており、関係者のご尽力に対し、心より敬意を表します。本県においても、東日本大震災や関東・東北豪雨の際におきまして甚大な被害を受けましたが、関係者の努力により早期の復旧が図られました。余り注目されておりませんけれども、その陰には地元建設業者の昼夜を問わない作業により早急な復旧ができたことを忘れてはいけません。まさしく建設業者は地域の守り手であり、こうした災害復旧や社会資本の維持管理において求められる役割は大きいものと考えます。  本県では、来年のアフターDC、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2022年のいちご一会とちぎ国体など、国内外から来県者がふえることが予想され、おもてなしの観点から道路や街路樹等を整備しておく必要がありますが、長引く建設不況などの影響から、建設業において人員や設備などを削減する企業がふえてきていると聞いており、十分な対応ができないのではないかと懸念されるところです。  そもそも道路等の社会資本の機能を長期的に維持していくためには、日ごろからの適切な維持管理が重要でありますが、ここ数年、労務費や資材等の高騰により実質工事量が目減りしており、必要なサービスレベルを維持できていないのではないかと考えます。また、今後は高度経済成長期に集中的に整備された橋梁やトンネル等の社会資本の老朽化が進んでいくことから、計画的に修繕を行い、未来に向けて良好な状況で引き継いでいく必要があります。  そこで、県は、社会資本の適切な維持管理について今後どのように取り組んでいくのか、県土整備部長に伺います。 ○五十嵐清 議長 江連隆信県土整備部長。    (江連隆信県土整備部長登壇) ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。昨今の地震や豪雨災害でも明らかとなりましたように、道路等の社会インフラは日常生活や産業経済活動を支える根幹であり、施設を的確に管理し、その機能を常に十分に発揮させていくことは極めて重要でございます。このため県では、限られた予算の中で、地域をよく知る地元建設業者による統合型維持管理業務委託を導入するなどして、効率的かつ迅速できめ細かな維持管理に努めております。また、施設の老朽化対策につきましては、長寿命化修繕計画に基づき、優先度等を踏まえ、計画的に修繕・更新を行うことで、施設の正常な機能維持に努めております。  今後は、さらに施設の老朽化が進み、管理する施設の数も増加しますことから、安全性の確保を第一に捉え、一層の効率化やコスト縮減を図るとともに、適宜長寿命化修繕計画を見直すなどして、より適切な維持管理に努めてまいります。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) 県土整備部長に再質問させていただきます。適正な維持管理にはやはり人材確保は重要であります。そのためには、やはり建設業界自体が魅力ある産業でなければいけないと思います。そのような中、国においては働き方改革の推進を進めておりますけれども、建設業界における働きやすい環境の整備について、県としてどのように支援していくのか伺います。 ○五十嵐清 議長 江連隆信県土整備部長。 ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまの再質問にお答えいたします。議員ご指摘のとおり、建設業の人材を確保していくためには、やはり何より魅力ある職場としていくことが重要だと考えております。働き方改革等によります労働環境の改善に合わせまして、生産性の向上も図っていく必要があると考えているところでございます。このため県では、国が推進いたしますi-Construction(アイ・コンストラクション)の取り組みを踏まえまして、ICTの活用工事、あるいは週休2日制工事、こういったものを試行し、さらに債務負担行為を活用して施工時期の平準化などにも取り組んでいるところでございます。また、今年度は週休2日制工事におきまして適正な工期が確保できるよう、標準工期の見直し、あるいは諸経費の補正等積算基準の改定を行うこととしております。  今後とも、建設業が地域の守り手として安定的に人材を確保し、経営ができるよう、各種の取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) 要望させていただきます。県土整備部長からの本質問の答弁の中で、コスト縮減等により必要なサービスのレベルを維持していくとの答弁がありましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、労務や資材等の高騰により実質工事量が減少しており、既に限界に来ているのではないかと思います。また、適正な維持管理を含む良質な社会資本の担い手であり、除雪や災害など地域の守り手である建設業者の中長期的な育成や確保といった観点からも実質工事量の確保が必要です。国土交通省の統計によれば、労務単価は平成24年度に比べますと4割以上も増加しているということですので、それらを踏まえてぜひ必要な予算確保の努力を引き続きお願いしたいと要望させていただきまして、次の質問に入ります。  次に、老朽化した交通安全施設の更新整備について、警察本部長にお伺いいたします。平成24年12月、山梨県内の中央自動車道笹子トンネルにおいて天井板の崩落事故が発生し、9名ものとうとい命が失われました。こうした悲惨な事故を防ぎ、県民の生命を守る上で、老朽化した社会インフラの適正な維持管理は極めて重要です。また、自然災害が相次ぐ中、老朽化した社会インフラの脆弱性も露呈されております。  交通安全施設も例外ではありません。先日、報道でもありましたように、栃木県内には4,420基もの信号が設置されている中、更新すべき信号の数が770基と全体の約2割にも上ります。老朽化した信号機は故障する可能性があり、万が一誤作動した場合、交通事故はもとより渋滞等も引き起こしかねません。また、災害等の発生により倒壊のリスクも高まることから、適正に維持管理されなければ、本来命を守るべき信号機そのものが県民生活の安全・安心を脅かすおそれもあります。道路標識・標示についても同様であり、老朽化で道路標識が見えなくなったりすると交通事故が発生する危険性も高まってしまいます。これら交通安全施設はその数も膨大であり、警察もその維持管理に苦心されていると思いますけれども、今後も県民生活の安全・安心を確保していくためには、その維持管理は大きな課題であると考えます。  そこで、県は、老朽化した交通安全施設の更新整備についてどのように取り組む考えなのか、警察本部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 坂口拓也警察本部長。    (坂口拓也警察本部長登壇) ◎坂口拓也 警察本部長 ただいまのご質問にお答えいたします。安全で円滑な交通環境を確保する上で、交通安全施設の維持管理は極めて重要な課題と認識しております。県警察では、老朽信号機の更新を順次進めているほか、交通環境の変化等により効果が低下した信号機の撤去にも取り組み、更新数の削減に努めております。また、道路標識・標示についても、その損耗状況等に応じて優先順位をつけながら計画的に更新を進めております。  引き続き、中長期的な視点に立った老朽施設の更新等を進め、交通安全施設の適切な維持管理に努めてまいります。 ○五十嵐清 議長 佐藤良議員。    (32番 佐藤 良議員登壇) ◆32番(佐藤良議員) 要望させていただきます。本県の交通事故の発生件数につきましては年々減少傾向にあるものの、死亡事故におきましては、人口10万人当たりの死者数におきましては全国ワースト7位と依然として厳しい状況下にあります。また、死者においては、高齢者が6割以上にも上り、特に夜間における交通事故が多いのが特徴です。このような状況からも、県民の命を守る交通安全施設の整備は大変重要であると思いますので、計画的な更新整備に当たって、予算の確保についても積極的に取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。  今回の質問におきましては、地方創生の実現に向けた取り組みや災害時への対応など、計8項目について質問してまいりました。地方創生の実現のためには、他県と足並みをそろえるのではなく、栃木の強みを生かした独自性、差別化を図ることで選ばれるとちぎをつくっていくべきだと考えます。今後、知事の強いリーダーシップのもと、オール栃木でその実現のために積極的に取り組んでいただきますようにお願い申し上げ、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。 ○五十嵐清 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午前11時 休憩       ――――――――――――――――――――――――――――― ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は45名であります。       ―――――――――――――――――――――――――――――     午前11時15分 開議 ○阿部寿一 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) 3期目の当選をさせていただいてから本会議場での質問は4度目となり、この質問が任期中最後となるわけであります。そこで、今回は、災害対策を初め今まで私がさまざまな機会の中で取り上げてまいりました事柄、そして会派で知事執行部に政策提言いたしました内容を中心に質問と要望をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず初めに、近年、各地において多発しております想定を超える豪雨災害への備えについてのうち、速やかな避難誘導対策について、県民生活部長にお伺いいたします。近年、世界各国、各地において地球温暖化の影響による異常気象により、想定をはるかに超える豪雨や台風、ハリケーンなどが発生し、甚大な洪水被害が起きている様子が頻繁に報道されております。日本におきましても、昨年の九州北部豪雨や先般起きました西日本豪雨、そして大型台風21号など、想定を超える豪雨が発生し、各地に甚大な被害が及ぼされ、多数の命が奪われているわけであります。この場をおかりしまして、被害に遭われました皆様とご遺族に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第であります。  我が栃木県におきましても、3年前の関東・東北豪雨により、県内約6,000棟の家屋や社会インフラなどに甚大な被害がもたらされたわけであります。こうした近年の異常気象や災害状況を国も重く受けとめ、想定を超える豪雨災害に対する防災体制の見直しに着手し、特に減災対策に力点を置いた施策を講じる方針を打ち出しているのであります。現在、栃木県においても、国の動きに呼応して、想定を超える豪雨災害から県民の生命を守るために、洪水浸水想定区域の見直しなどを初め、防災体制の見直しなど、減災に向けた対策を進めているわけであります。  そこで、県は、近年の豪雨災害の状況を踏まえ、県民の速やかな避難誘導を図るために、関係機関や各市町とどのような対策、対応を進めているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 石﨑金市県民生活部長。    (石﨑金市県民生活部長登壇) ◎石﨑金市 県民生活部長 ただいまの保母議員のご質問にお答えいたします。県では、県民に避難勧告等の発令を確実に伝えるため、防災行政無線や緊急速報メールなどのほか、テレビやラジオの災害情報の活用について市町向けの説明会を実施するなど、情報伝達の多重化の取り組みを促進しているところです。また、住民の避難誘導では、消防団や自主防災組織の役割が重要であることから、地域防災のリーダーを育成する研修会を実施するとともに、自主防災組織の防災訓練や避難誘導用資機材整備への助成等の支援を行っております。さらに、県民がいざというときにみずから避難行動に役立てられるよう、地域防災マップやマイタイムラインの作成などの取り組みを促進しているところです。  今後とも、県民の速やかな避難行動の実現に向け、市町や防災関係機関と十分な連携を図ってまいります。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) それでは、県民生活部長に再質問させていただきます。実際に県民の皆様への判断、指示、誘導などを実施するのは、各市町の首長、災害対策本部であります。その災害対策本部が的確かつ迅速な対応ができるように体制整備を強化していくことは、県としての重要な役割であります。そして、最終的に問われるのは、県民を自宅などから速やかに安全な場所に避難誘導ができるかどうかになるわけであります。そのための体制整備とその機能が十分に果たせるように支援することも県の大切な役割であり、県民の命を守る上で極めて重要と考えるのであります。  そこで、その役割を中心的に担う各市町の自主防災組織の整備状況と避難訓練などの実施状況についてお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 石﨑金市県民生活部長。 ◎石﨑金市 県民生活部長 再質問にお答えいたします。本県におけます自主防災組織のカバー率は約85%と全国の平均を上回っておりますけれども、実際の活動状況となりますと、課題も多くあると認識しております。このため地道な取り組みにはなりますけれども、今後とも、市町と連携を図りながら、自主防災組織の重要性についてPR活動に努めるとともに、自主防災組織がその機能を十分に発揮できるよう、設備への支援や防災訓練の充実に努め、日ごろからの実践力向上に向けた活動を積極的に支援してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) 避難訓練などの実施状況についてもお伺いさせていただいたのですが、それはそれで結構です。いわゆる想定を超える災害発生時というのは、まさに非常事態なわけであります。備えたはずの行政機能が十分に果たせない場合も想定されるわけで、そのときに極めて重要な任務を担うのが自主防災組織になるわけであります。  私は、その重要性を踏まえ、幾つかの市町の自主防災組織の整備状況を調査させていただきました。県から今約85%という話もありましたが、実際把握している数字とその内容とはかなり違っているように感じました。また、豪雨災害に備えた避難誘導訓練などもなかなか進んでいないというのが現状のようであります。  そこで、要望でありますが、真に自主防災組織の整備と機能強化を図ろうとするならば、今のような任意団体の扱いではなくて、消防団のような位置づけにして、防災リーダーを消防団員のような身分にすることも含めた体制整備が必要であると考えるのであります。しかしながら、そのことは法的な手続もあり時間を要する課題でありますので、まずは自治会、町内会単位で最低年1回、避難誘導訓練を必ず実施する方策を県も一緒に考案して、予算化を図るべきと考えるのであります。非常時における県民の最後のとりでは自治会、町内会の共助体制がいかに機能するかに尽きます。各市町の実態をよく調査して、早急な対応を要望させていただきます。  また、市町からの聞き取りでは、想定を超える豪雨に対して速やかな避難誘導を図るためには、高齢者などを筆頭に、いかに早いタイミングで避難指示を出せるかに尽きるわけであります。そのためには、かなり早い段階で上流の気象状況や上流河川の状況予測が必要となり、当該市町ではその判断が極めて難しく、明確な指標があると非常に心強いとのことでありました。  そこで、会派で宇都宮地方気象台に調査に参りました。(資料を示す)この写真は、気象庁が平成29年7月よりインターネット配信を行っている大雨・洪水警報の危険度分布画像であります。約10分間隔で雨量予測を5段階に色分けして画像を配信しており、現在、各市町や関係団体がこの画像と県の河川の水位観測情報を中心に避難発令を出す判断材料としているわけであります。  そこで、この気象庁の配信画像データに河川の水位観測計の場所、地点を画像に加味した県独自の栃木大雨・洪水・河川氾濫警報配信システムなどを確立すれば、各市町にさらに有効で明確な判断材料を提供できるものと考えます。ぜひ早急に検討していただき、システム化を図ることを要望させていただきます。  続きまして、河川の堆積土や竹林・雑草等の除去の促進について、県土整備部長にお伺いいたします。近年多発している想定を超える豪雨や台風などによる河川氾濫の減災対策として、河川に堆積している土砂や生い茂る竹林、雑草などの除去作業を促進することは、極めて即効性が高く、有効な手段であると考えるのであります。  また写真を用意しました。(写真を示す)この写真は、栃木市内を流れる巴波川の大平町北武井から下高島まで約3キロ間の状況を示したものであります。このように、河川というより草原化した状況でございます。この写真のように、河川内が草原化した状況が私の選挙区である栃木市内の河川に複数点在しており、県全体の河川となれば、かなりの箇所数になるものと考えるのであります。  我が会派ではこの状況を重く受けとめ、知事執行部への9月補正予算要望において、現在進めている河川内の堆積土や竹林、雑草の除去作業をより促進することを要望させていただきました。今議会において補正予算として約10億円を計上したことは、河川氾濫被害を最小限に食いとめ、県民を守ろうとする県の強い意気込みが感じられ、高く評価するものであります。  そこで、現在の河川氾濫の減災対策として行われている河川の堆積土や生い茂る竹林、雑草の除去対策の取り組み方針について、県土整備部長にお考えをお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 江連隆信県土整備部長。    (江連隆信県土整備部長登壇) ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県では、近年各地で頻発しております浸水被害を踏まえまして、緊急防災・減災対策事業として堆積土の除去などに重点的に取り組んでいるところであります。特に堆積土対策につきましては、上流から流入した土砂が河床に堆積し、河川の流下能力が低下している箇所におきましては、原則として土砂を河川内から搬出し、撤去することとしております。一方、流下能力上は問題がないものの、局部的な堆積や深掘れなどが発生して、堤防や護岸に悪影響を及ぼすおそれがある箇所におきましては、河床をならして対応するなど、現地の状況に応じまして適切な対応に努めているところであります。  今後とも、出水後の点検結果などを踏まえ、堆積土対策を要する箇所の随時把握と速やかな対応に努め、災害に強いとちぎづくりを推進してまいります。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) ただいま県土整備部長より取り組み方針について聞かせていただいたわけであります。それでは、県土整備部長に再質問させていただきます。今ご説明にもありましたが、とにかく水は低いほう、下流に向かって流れていくわけであります。その水流によって土砂などが流されていくわけで、河川の形状や高低差などにより状況は異なるにしても、下流域には年々土砂が堆積していく状況が生まれるわけであります。ただならすだけやバランスをとるということだけでなく、今お話もありましたが、搬出しなければ真の減災対策にはならないと考えるのであります。  そこで、土砂の搬出を推進するとなれば、搬出場所の確保や土砂の利活用が重要になるわけであります。土砂の搬出場所の確保と利活用の対策についてどのように進めているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 江連隆信県土整備部長。 ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまの再質問にお答えしたいと思います。堆積土の搬出に当たりましては、基本的にはまず、公共事業間での流用というのを念頭に置きまして、河川工事であったり、道路工事であったり、あるいは工業団地の造成工事であったり、こういったところへの流用が図れないかということを検討させていただいているところでございます。しかし、搬出量が年々増大しておりますので、国におきましては、西日本豪雨の被害状況等も踏まえまして、新たな委員会等を設置し、堤防補強対策のあり方等を検討しているということでございまして、県といたしましても、防災・減災対策として、堆積土を例えば堤防強化のために腹付けするということに使えないかというような新たな活用方策の検討にも着手しているところでございます。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) 県土整備部長、いずれにしても、10億円を積み増して今その問題に対応していこうとしているわけですよね。本当はもう計画がなくてはいけないと私は思うのでございますが、河川氾濫の減災対策として、河川内の堆積土や竹林、雑草などの除去、搬出を促進するとなると、今以上に事前の搬出先の確保や利活用の計画が極めて重要になると考えるのであります。  そこで、要望としますけれども、事前に土砂の搬出計画を明確に立て、そして管内市町や関係団体との協力体制を確立して、搬出先の確保と利活用を促進するよう要望させていただきます。  また、河川における堆積土などの除去作業が必要な箇所は相当数に上ると思います。ぜひ今年度だけでなく、来年度以降も同等の規模の事業予算を確保していただき、早期に必要な河川内の土砂除去を完了して、いつ起きるかわからない想定を超える豪雨に備えていただくよう要望させていただきます。  それから、今回取り上げませんでしたが、関東・東北豪雨により栃木市内で氾濫しました巴波川の掘り下げ対策についてであります。現在、調査していただいておりますが、栃木市内の存亡にかかわる重要な問題でありますので、事業化に向けた尽力をお願いさせていただきます。  それでは、続きまして、想定を超える災害発生時における重要施設の電源確保について、所管の県民生活部長にお伺いいたします。今月の6日早朝、北海道胆振東部地域において最大震度7の大地震が発生しました。震源地を中心として広範囲にわたり甚大な被害が及ぼされ、電気、水道を初めとする生活に直結する社会インフラが機能不全に陥ったわけであります。私がこの災害で改めて着目しましたのが、地震発生直後から約2日間にわたり北海道全域、約295万戸が大停電に見舞われたことであります。現在の日本社会は電力依存が強まっており、電力が遮断されれば、たちまち社会は混乱し、国民生活全般に大きな支障が出るわけであります。  特に行政などの重要施設の電力が遮断されれば、行政機能が停止し、対策が滞り、被害の拡大に直結するものと考えます。東日本大震災では、福島第一原子力発電所への電力が遮断され、備えていた非常用電源装置も想定外の大津波の発生により稼働しなくなり、水素爆発という大惨事を引き起こした主要因となっております。  栃木県におきましても、3年前に栃木県を襲った関東・東北豪雨により、栃木市藤岡町西前原にある西前原排水機場の電気系統に浸水し、稼働停止となり、その地域一帯の集落に甚大な浸水被害が及ぼされたのであります。  そこで、大災害などの発生により栃木県内の重要施設への電力が遮断された際の備えについて、どのような対策が施されているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 石﨑金市県民生活部長。    (石﨑金市県民生活部長登壇) ◎石﨑金市 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。大規模災害時に災害対策の司令塔として県が各種応急活動を実施する上で、電力を確保することは大変重要であります。そのため県では、大規模災害による停電に備えて、本庁舎や地方合同庁舎などの重要施設に非常用発電機を設置するとともに、栃木県石油商業組合等と災害時応援協定を締結し、発電用燃料の優先供給を受けることとしております。また、これらの対応に加えて、搬送可能な非常用発電機を保有するリース事業者とも協定を締結し、災害時の非常用電源を確保することとしております。  さらに、災害対応の最前線となります市町に対しても非常用電源確保に向けた取り組みの強化を働きかけております。
     今後とも、市町や関係機関、民間事業者等と連携を図りながら、災害時の電源確保に万全を期してまいります。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) それでは、県民生活部長に再質問させていただきます。ただいまの答弁の中で、重要施設の電力が遮断され、頼みの綱となる非常用電源装置も稼働しない場合の備えとして、民間企業との災害協定を結んで、その対策を講じているとのことでありました。対策としては非常によい方法であると考えますが、問題は重要施設ごとの電力容量や設備の状況が異なるわけであります。事前に施設ごとの必要な機材の選定や実施計画が策定されていなければ、対応が速やかにできないわけであります。また、当然ながら、重要施設と非常用電源装置をつなぐための専用の装置の設置も事前に必要となると考えるのであります。それらの対応についてはどうなっているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 石﨑金市県民生活部長。 ◎石﨑金市 県民生活部長 再質問にお答えいたします。現在、レンタル事業者等との災害協定につきましては2件の事業者と結んでおります。そのほかにも、日本建設機械レンタル協会との協定もございますので、そこの組合の事業所も発電機を多く保有するものと思われます。そういった事業者がどの程度発電機を保有しているかということですけれども、大手の事業者で約200台、これは発電量にしますと大小さまざまでございますが、最大では1,100キロボルトアンペア、それが6時間程度使えるものもあると聞いております。そういったリースの発電機が必要になった場合には、重要な施設から順に、優先順位をつけて導入ということになると思いますけれども、さまざまな機種がございますので、どこの施設であってもある程度対応はできるのかなと考えているところであります。  それと非常用発電機に使う特殊なコンセントということでありますが、配電盤等と接続するケーブルのことかと思いますけれども、これの接続につきましても、専門の技術者が必要となってきますので、そのあたりもリース事業者と提携しておりまして、引き続きそういった具体的な手続等についても確認を進めて、万全を期してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) 私は、現場のほうとも確認してお尋ねしているのですが、いずれにしても、災害協定を結んでいる企業と、実際に重要施設ごとの必要機材の選定や実施計画、そして実際に稼働させるための専用装置の設置などについていまだ協議を行っていないのですよ。混乱しているときに、あれを持ってきて、これを持ってきてくれと言われたって、現実は、現場だって混乱していますから、初めからそれをきちっと決めておく。そのことで本当の危機管理になると私は思うのでございます。早急に協議を行って対策を講じるように要望させていただきます。  また、非常時の避難場所となる体育館などの施設も同様の対策が必要となり、暑さや寒さへの対策としてエアコンなどの設置も必要と考えますので、あわせて要望いたします。  そして、いまだ災害協定を結んでいない市町がかなりあるとのことでございます。早急に災害協定を結ぶ働きかけもお願いしたいと思います。  それから、浸水被害を出した栃木市の西前原排水機場のように電力稼働になっている農業用の排水機場が県内9カ所ございます。そこに対しても災害協定の適用を図り、対応ができるようにお願いしたいと思います。  いずれも県民の命がかかっている重要な対策でありますので、仏つくって魂入れずにならないよう、よろしくお願い申し上げます。  続きまして、知事執行部に対し、会派として9月の補正予算要望をさせていただきました、県立学校のエアコン設置について、教育長にお尋ねいたします。さきの質問でも触れましたが、近年、地球温暖化の影響により気温の上昇が引き起こされ、命の危険にさらされるほどの高温日が全国各地に頻繁に起きております。この傾向は、専門家の分析によりますと、年々進んでいく状況にあるとのことであります。特にことしの夏は梅雨明けが早く、猛暑が長引き、お隣の埼玉県熊谷市では41.1度の国内過去最高気温を記録し、栃木県佐野市でも35度以上の猛暑日が36日を数え、全国でも上位になっております。この高い気温上昇により熱中症が急増し、救急搬送される方が過去最高の9万人を超え、栃木県内でも1,300人を超える状況となっているわけであります。  そこで、我が会派では、この気温上昇、猛暑が長引く状況において、県内の公立学校にいまだエアコンが設置されていない学校が多数あることに着目し、小中学校は国が対策を講じるとのことですから、県立高校のエアコン未設置校への早期設置を要望させていただいたところでございます。  今議会において、普通教室のみではありますが、現在未設置校の13校に対して補正予算5億円を計上したことは評価するわけであります。しかしながら、県立高校は、職業系の学校である商業、工業、農業系などの高校があり、社会ニーズに対応するためにさまざまな学科も設置されているわけであります。そうした学校の実習・実験室や音楽、技術・家庭科などで使用する特別教室などへも普通教室同様にエアコンの設置が必要と考えるのでありますが、今回の補正予算には計上されておりません。  そこで、なぜ計上しなかったのか、そして今後これらの特別教室へのエアコン設置についてどのように考えているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。エアコンにつきましては、夏季は夏休み期間があり、正規の授業を行う時間が比較的短時間であることなどから、県教育委員会の方針として、これまで教室等の機能や使用状況等を踏まえ、必要性の高いところを整備してきたところであります。ことしは6月末からの猛暑、高温が続くなど、近年、暑さが厳しさを増す傾向にあることから、各学校において生徒が多くの時間を過ごす普通教室に最も優先してエアコンの整備を進めるべきとの考えのもと、今般の9月補正予算に計上したところです。特別教室等につきましても、保健室、図書室、パソコン室など必要性の高いところにエアコンを整備してきたところであります。  今後とも、生徒たちの健康の保持と学習能率の向上に資する教育環境の確保に努めてまいります。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) それでは、教育長に再質問させていただきます。いろいろなお考えがあるということは理解できるのですけれども、職業系の生徒にとり、実習また実験室というのは、普通教室と同様にまさに学びの重要な教室であり、その環境整備は極めて重要であると私は考えるのであります。本年4月には、近年の高温現象を踏まえて、学校環境衛生基準が改正され、生徒が学ぶ教室の温度を17度から28度以下に保つよう基準が示されているわけであります。  そこで、今年度は間に合わないにしても、来年度の予算要望に、必要な特別教室へのエアコン設置を盛り込むべきだと私は考えるのですが、教育長の所見をお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。学校の施設整備につきましては、ご案内のとおり、エアコンのほか、トイレ、それから長寿命化、雨漏り等への対応等々、喫緊の課題がある状況でございます。エアコンにつきましては、必要性の高い教室などへ整備を行ってまいったところですけれども、ことしの夏は災害レベルの暑さと言われる状況でありましたことから、学校において暑さを避けるための行き場がないという状況の解消を図るために、生徒たちが多くの時間を過ごす普通教室にエアコンが未整備の学校について、補正予算を計上したという経緯がございます。  今後とも、学校施設の整備につきましては、限られた予算の中で優先順位を適切に見定めながら対応していきたいと考えております。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) 教育長、いろいろな考え方、見方があるのはわかります。ただ、今お話しのトイレなどの改修整備が必要な箇所が多数あると、これもわかりますよ。しかしながら、実習や実験室などの特別教室というのは生徒が実際に学ぶ場ですよ。その問題をほかの課題と一緒に論じるのは、私は教育上いかがなものかと思うのであります。  要望させていただきますけれども、職業系高校の生徒にとり、実習や実験室は、普通教室と同様に極めて重要な教室だと私は思っております。早急にエアコン設置が必要な特別教室の選定基準を明確にして、必要箇所を割り出し、来年度の予算要望に計上していただくよう要望させていただきます。  この栃木の県立学校において、区別なく公平で快適な学習環境の提供を進めていただくように重ねてお願い申し上げ、次の質問に入らせていただきます。  続きまして、栃木の結婚・出会い支援の促進について、所管の保健福祉部長にお伺いいたします。栃木の人口減少、少子化問題への対策を進める上でさまざまな対策を講じていく必要があるわけであります。その中において私が着目し、必要を強く感じておりますのが、結婚を望んでいても出会いの機会に恵まれないとの理由により結婚ができない方々への対応、対策であります。  県が平成26年に行いましたアンケート調査において、結婚を希望されている方は88.8%に上っているわけであります。また、その一方で、結婚ができない理由の第1位が「適当な相手にめぐり会わないから」となっているのであります。また、国の人口動態統計から栃木の婚姻件数や婚姻率の推移を調べてみますと、いずれも減少を続けており、平成25年までは1万組台であった婚姻件数が平成29年では8,000組台まで減少しているのであります。そして、婚姻率においては、全国平均の人口1,000人当たりの4.9組を下回り、栃木は4.6組と低迷しているのであります。さらに、未婚率の推移に目を向けますと、近年の結婚適齢期の男性は約50%、女性が約60%近くに上昇しており、いずれも見過ごすことのできない状況にございます。  そこで、県はこの状況をどのように捉え、どのような対策を講じているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 森澤隆保健福祉部長。    (森澤 隆保健福祉部長登壇) ◎森澤隆 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。若い世代の未婚率の増加の要因といたしまして、経済的な不安や価値観の多様化など、さまざまなことが挙げられますが、特に適当な相手とめぐり会わないことなど、結婚の前提となる異性との交際が高いハードルとなっております。このため県では、県や市町、関係団体で構成するとちぎ未来クラブにおいて、出会いの場イベントの実施や結婚を希望する方々の縁結びなどを行う地域結婚サポーターの支援等のほか、昨年1月から会員登録制のマッチングサービスを行うとちぎ結婚支援センターを運営するなど、多様な出会いの機会を提供しているところです。  とちぎ結婚支援センターでの成婚実績が現在16組となるなど成果があらわれ始めておりますことから、今後とも、市町や関係団体との連携を密にし、オール栃木体制で結婚支援の充実に努めてまいります。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) ただいま現在行っている対策についてお聞かせいただいたわけでありますが、保健福祉部長に再質問させていただきます。知事が会長となるとちぎ未来クラブの構成組織に県内のさまざまな団体が入っております。県は、この構成メンバーの団体に対し、具体的にどんなご協力や活動を要請しているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 森澤隆保健福祉部長。 ◎森澤隆 保健福祉部長 再質問にお答えします。とちぎ未来クラブの構成団体の皆様には、まず情報発信をお願いしております。これはとちぎ未来クラブ、あるいはとちぎ結婚支援センターで実施しているさまざまなイベントについて広く情報発信を行うということをお願いしております。それともう一方で、県内で結婚支援につきまして先駆的な取り組みを行っている企業などの情報も、構成団体の中の企業の独自のネットワークで集めていただき、これらをまとめて、新聞あるいはとちぎ結婚支援センターのホームページへ掲載等させていただいております。このほか、とちぎ結婚応援カード事業の協賛店舗の登録などについても積極的にご協力をいただいているところでございます。  今後とも、こうした取り組みを推進しますとともに、さまざまな形でご協力をいただきながら、オール栃木の結婚支援体制を築いてまいりたいと思っております。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) 私は、このとちぎ未来クラブを構成する各種団体の皆様をもっと活用すべきだと思うのであります。要望とさせていただきますが、構成メンバーの業界団体数は45団体に上り、県内の企業、団体のほとんどが加入しており、実際に結婚を希望されている方の多くがいずれかで働いているわけでございます。今の説明のようなことも大事だと思うのでございますが、知事が会長でございますので、音頭をとっていただいて、構成団体と県全体で具体的な出会いの場を創出する体制、仕組みを構築するべきではないかと考えるのであります。  具体的に申し上げますと、栃木県はものづくり県でございます。大手も含め多数の製造業があり、多くの従業員が勤務しておりますが、製造業は男性が多数を占め、女性が少ないのであります。その一方で、学校の教員、病院、百貨店やスーパー、飲食店などのサービス業、事務系の会社などは女性が多い傾向にあります。その実情を踏まえ、県がそれぞれの業界団体とともに音頭をとって、傘下の企業や労働団体と連携して、オール栃木でもっと大々的に数多くの出会い創出のイベントを展開すべきだと思うのであります。  先日、とちぎ未来クラブの構成メンバーである労働団体、連合栃木の担当者と意見交換をしてまいりました。労働団体としても、県が本腰を入れて業界、企業、会社を動かしていただければ、もっと前向きな協力ができるとのことであります。社内に既婚者がふえていけば、労働意識や意欲にも変化が生まれ、会社、職場にもよい影響が生まれるのではないかとの指摘がございました。どうか未婚者の約90%が結婚を望み、出会いの機会を欲しているわけでありますので、県全体でベクトルを合わせた出会いの場の創出を行う体制、仕組みづくりを要望させていただきます。よろしくお願い申し上げます。  続きまして、近年ふえ続けている、高齢者の自動車運転免許証更新に伴う講習の待機者問題について、警察本部長にお伺いいたします。この問題は、前回の質問においても取り上げさせていただき、警察本部長より、警察当局もこの問題を重く受けとめ、県内35カ所の指定自動車教習所への委託料の見直しと講習回数の拡大要請、そして鹿沼の運転免許センターの受け入れの拡大や、受講者の早期受講手続の推進に向けた対策を強化していく旨の答弁をいただいたのであります。対策を講じたばかりでございますので、効果はこれからだとは思いますが、依然として受講予定者の皆様からの要望が多く寄せられており、今後、加速度的に高齢者の受講予定者が増加することから、より計画的な効果のある対策を進めることが極めて重要と考え、再度取り上げさせていただいたのであります。  昨年、平成29年の高齢者講習受講者数は約4万6,000人でありました。4年後には受講予定者数が約8万1,000人に上り、現在の倍近くになるわけであります。現在でも3カ月から4カ月待ちの受講者がいる状況でありますから、より計画的な効果のある対策を早急に講じていく必要があると考えるのであります。  そこで、4年後には倍増していく高齢者の受講予定者に対して、新たにどのような対策を講じようとしているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 坂口拓也警察本部長。    (坂口拓也警察本部長登壇) ◎坂口拓也 警察本部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県警察では、高齢者講習の長期受講待ち等の改善に向けて、指定自動車教習所との連携強化や認知機能検査の早期受検に係る広報啓発活動の強化等に取り組み、一定の効果があらわれ始めているものと認識しております。しかしながら、今後、高齢運転者の一層の増加が見込まれますことから、計画的に本対策を強化していく必要があると考えております。  長期受講待ちを改善する上では、認知機能検査を早期に受検してもらうことが効果的であることから、運転免許センター等における受検機会の拡大を図っているほか、指定自動車教習所に対しましても、検査の早期受け入れについて働きかけているところであります。引き続き、関係機関・団体との連携を強化するとともに、他県の取り組みも参考としながら、長期受講待ちの改善に取り組んでまいります。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) それでは、警察本部長に再質問させていただきます。2点についてお伺いしたいと思います。まず1点目は、講習を受講する方からの要望の中に、住んでいる地域にある教習所が混んでいてなかなか受講ができずに、遠方の教習所を紹介されて憤慨したとの声が多く寄せられております。これは地域ごとの受講予定者数とその地域にある教習所の講習受け入れ人数との格差が大きな要因と考えるわけであります。この課題の解決に向けた対策について伺いたいと思います。  そして2点目は、新たに義務化されました75歳以上の方の認知機能検査についてであります。現在75歳以上の方は、高齢者講習を受ける前に認知機能検査を受けなければなりません。その検査結果により、高齢者講習が受講できたり、また病院の診断書の提出が必要となったりするわけであります。問題は、認知機能検査の受講後、警察からの判定結果が手元に届くまで平均2週間から3週間ぐらいかかっているとのことで、受講手続が遅くなる要因の一つと考えるのであります。  そこで、この2点の対策についてどのように考えているのか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 坂口拓也警察本部長。 ◎坂口拓也 警察本部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず1点目でございます。指定自動車教習所における高齢者講習等の実施状況につきましては、地域間で混雑ぐあいに差が生じているという状況については承知いたしております。県警察では、講習等を予約できなかった高齢者の方に対しまして、可能な限り最寄りの教習所での受講を案内しているほか、運転免許センターにおいても講習等を受け入れているところであります。引き続き教習所との連携を強化していくほか、高齢者の利便性に配慮した対応についてさらに検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、2点目でございます。現在、認知機能検査の判定結果につきましては、各自動車教習所から検査結果、これは答案用紙そのものということでありますが、これを受領いたしまして、県警職員、警察職員による点検を実施しまして、その上で郵送にて結果を通知するという運用をしております。検査結果によってその後受講する高齢者講習の種別が分かれるという仕組みになっておりますので、ここを適正に判定することが重要であると考えております。  今後、適正な判定と迅速な判定結果の通知の両立につきまして、他県の取り組み事例等も参考としながら調査研究してまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) それでは、要望させていただきます。いずれにしましても、高齢者講習受講者の待機問題は待ったなしの問題であります。警察庁も重く受けとめて、対策強化の通達を各警察本部長宛てに出しているとのことでありますが、間違いなく4年後には受講予定者数が倍近くになるわけであります。そんなに時間的な余裕はないわけであります。そこで、受け入れ対策については、年ごと地域ブロックごとに受講予定者数を割り出し、その地域ブロックにある教習所に対し、その予定者数に沿った受け入れ講習回数の開催要請をまず行っていくべきだと考えます。そして、補完体制として鹿沼市にある運転免許センターの講習回数のさらなる拡充と、場合によっては、敷地内にある今年度廃止予定の交通安全教育センターの利活用も検討すべきだと考えるのであります。  また、認知機能検査を含む早期受講対策については、各教習所と運転免許センターが連携するシステムを構築し、現在のはがきによる受講案内や判定結果の案内ではなく、電話オペレーター方式により、地域の教習所の空き状況を踏まえた受講手続が即座にできる体制整備を検討し、導入に向けた計画に着手することを要望させていただきます。  それでは、最後の質問に入らせていただきます。次期とちぎ創生戦略策定に向けて、所管を統括する北村副知事にお伺いさせていただきます。現在、栃木の人口減少問題を克服するために平成27年に策定しましたとちぎ創生15(いちご)戦略は、2060年に栃木県の人口が約80万人減少する予測に対し、何とか50万人の減少で食いとめようと目標を設定し、施策を展開しているわけであります。しかしながら、栃木県の人口減少に歯どめがかかる状況は見えず、栃木県から転出していく流出人口が増加し、転入してくる流入人口をかなり上回る状況が続いております。また、県内の25市町や地域間の人口減少格差も広がっている状況にあります。  この人口減少問題は、人口の自然動態と社会動態が絡む極めて難しい課題であり、直ちに施策の効果があらわれるものではないことも事実であります。しかし、この問題は、今申し上げたように栃木県の人口が、今後30年から40年の間に現在の3割から4割近く減少する問題であり、県内の25市町や地場企業、商店などの死活問題であり、存亡の危機にかかわる大変な課題なのであります。近視眼的な視点ではなく、中長期的な視点と大局的な見地に立って、十分な分析と検証作業を行い、実際に効果を生み出していく対策、施策を考案していかなければならないと考えるのであります。  現在のとちぎ創生15(いちご)戦略の計画期間はあと1年半で終了となります。所管では当然ながら、次期計画策定に向けた検証・検討作業に入っているものと考えます。  そこで、次期とちぎ創生戦略策定に向けた課題と栃木への移住・流入人口をふやすための戦略についてどのようにお考えなのかあわせてお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 北村一郎副知事。    (北村一郎副知事登壇) ◎北村一郎 副知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県ではこれまでとちぎ創生15(いちご)戦略に基づき各取り組みを推進してまいりましたが、人口動態にかかわる指標の改善が見られない状況が続いておりまして、とりわけ東京圏への人口の流出が大きな課題であると考えております。また、県内における人口の社会動態では、JR宇都宮線沿線の市町に近隣市町からの人口が流入するなど、市町間の人口増減について差が広がりつつあることも十分認識しております。  大都市圏、とりわけ東京圏への人口の一極集中は全国的な課題でありまして、国におきましては、まち・ひと・しごと創生基本方針2018を策定し、対策の強化方針が示されたところでありますけれども、地方におきましても、みずからの地域の魅力を高めることで、東京圏から地方への人の流れをつくり出していくことが重要であると考えております。このため、私自身が会長を務め、県内各副市町長で構成いたしますとちぎ地方創生推進会議におきまして、各市町の現状と課題を共有するとともに、成果のあった取り組み等について意見交換を行うことで、各地域における効果的な取り組みにつなげるなど、オール栃木体制で人口減少対策に取り組んでいるところでございます。  本県版の次期総合戦略に関しましては、今後の国の策定方針等を踏まえ対応していくこととなりますが、とちぎ創生15(いちご)戦略のこれまでの進捗状況や課題の分析を行うとともに、特に本県への人の還流を促進する施策について重点的に検討を行ってまいります。引き続き、とちぎ創生15(いちご)戦略に掲げる基本目標の達成に向け、若者を中心としたUIJターン対策の強化等の国の新たな施策の活用も視野に入れながら、全力で取り組んでまいります。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) それでは、北村副知事に再質問させていただきますが、次期とちぎ創生戦略を策定する上で、県内市町との方向性、ベクトルを合わせなければ、大きな力、総合力にはならないと思うわけであります。しかしながら、同時期に各市町も次期地方創生戦略を策定するわけであります。その辺について県はどのように進めていこうとしているのかお聞かせ願いたいと思います。 ○阿部寿一 副議長 北村一郎副知事。 ◎北村一郎 副知事 再質問にお答えいたします。地方創生、人口減少対策の共通の目標に向けまして、現在も県と各市町が協力・連携いたしまして、移住・定住の促進とか、少子化対策に取り組んでいるところでございまして、先ほど答弁申し上げましたとちぎ地方創生推進会議の場におきましても、県、それから各市町のKPI(重要業績評価指標)の進捗状況も確認しているところでございます。  今後、市町に対しまして、国の動向、国の施策等を含めました情報提供に努めてまいりますとともに、また、市町で抱えている課題も市町ごとに異なりますので、そういった市町ごとの課題にも県としても認識を共有いたしまして、必要な部分のアドバイスを行うなど、県の役割を十分に果たしてまいりたいと考えております。 ○阿部寿一 副議長 保母欽一郎議員。    (27番 保母欽一郎議員登壇) ◆27番(保母欽一郎議員) いずれにしましても、次期とちぎ創生戦略は、県と各市町が同じ方向を向いて力を合わせ、そして総合力を発揮できる計画にしなければならないと思うのであります。その意味においても、県が各市町よりも早く次期とちぎ創生戦略の方針を示していくことは重要なことだと私は考えております。国の方針が出てから策定を進めるのではなくて、せめて県としての考え方やある程度の方針を先にまとめていくべきだと私は思うのであります。  それでは、これより、まだ策定が始まっていないので、要望を4点させていただきたいと思います。1点目は、各市町が次期地方創生戦略を策定する上で、地域ごとの地域動態推計を策定することが人口減少対策を考案する上で極めて重要と私は考えております。ほとんどの市町ではいまだ行っていない状況でございますので、ぜひ県より推進するよう強力に働きかけをお願いしたいと思います。  2点目でありますが、内閣府の後押しを受けて、総務省の自治体戦略2040構想研究会が2040年問題として報告書を取りまとめました。その内容を会派で総務省へ調査にも参りました。結論は、人口減少対策問題は、現在の市町村ごとの対策だけでは解決が困難であり、存続が厳しくなる自治体が多数に上るため、新たな都道府県と市町村のあり方、広域連携や圏域にも踏み込んでいるのであります。  そこで、会派でも以前より要望しておりますが、人口減少対策として県がリーダーシップを発揮し、一刻も早く県内の広域ブロック化構想を市町とともに打ち出し、地域ごとの特性を生かした施策を県と近隣市町が連携して行える体制の構築を全国に先駆けて進めていくことを要望させていただきたいと思います。  そして3点目でありますが、栃木の最大のブランドは、自然災害が少なく、首都圏に位置する地の利と豊かな自然環境だと私は思うのであります。この地の利と豊かな自然環境を生かした住むならとちぎを推進するためには、何といっても利便性の確保が必要だと私は考えます。特に県内の各駅から住まいまでの公共交通網の整備を図ることであり、県全体に利便性のよい公共交通ネットワーク網を形成することであります。そのために、現在の市町の主体から県が事業主体となり、市町とともに整備を進める体制を確立することを要望いたします。  そして4点目であります。移住・定住人口をふやすための住むならとちぎを実現するためには、とにかく安価な地所や住環境を提供することが重要だと思います。そのために、市街化調整区域などの開発促進が有効となると私は思っております。その実現のために、国への要望も含め、開発に向けた規制緩和の方策をぜひ考案していただいて、安価な地所や住環境が提供できる対策を要望させていただきます。  この人口減少問題は、近年の災害と同様に、想定を超える問題なのであります。既存の発想や体制では克服が困難な問題でありますので、ぜひ新たな視点、新たな発想、そして何より県外の皆様の目線に立って、住むならとちぎですから、県と近隣市町との共生をキーワードにして、次期とちぎ創生戦略を練り上げていただくことを最後に要望しまして、私の任期中最後の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。 ○阿部寿一 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時15分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後0時15分 休憩       ―――――――――――――――――――――――――――――
    ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は43名であります。       ―――――――――――――――――――――――――――――     午後1時15分 開議 ○阿部寿一 副議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) 1期3年半の経験、そして諸先輩方からいただきましたご指導を生かし、今期の集大成となるようにしっかりと質問させていただきたいと思います。  それでは、まず初めに、インバウンドの取り組みと今後について、知事にお伺いいたします。まさに今、外国人が日本へ訪れてくれる旅行、インバウンドという言葉は、観光地においては日常の会話に出るほど期待も込めて高い認知度となっております。そのような中、国では、観光は真に我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱であるということを認識し、訪日外国人旅行者数の目標を2020年までに4,000万人、2030年までには6,000万人という大きな目標を立て、さまざまな事業を加速度的に展開しているところであります。さきの災害によりまして、関西国際空港と新千歳空港が被災し、インバウンドにとって大きな痛手を負いましたが、このままの現状でいけば、必ずや目標は達成できるものと確信しております。  また、観光庁の発表した宿泊旅行統計調査によりますと、栃木県の外国人宿泊者数は、平成29年には27万人強であり、過去最高となりました。しかし、全国の伸び率と比べますと、本県はまだまだ伸びしろがあると思うところであります。  そこで、来年のラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国においてさらにインバウンド対策が本格化する中、県として、外国人観光客の誘客についてどのように取り組むお考えか、知事にお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの齋藤剛郎議員のご質問にお答えいたします。栃木県は、東京に近接する地理的優位性はもとより、世界遺産の日光の社寺を初めとするすぐれた歴史・文化、世界が認めたあしかがフラワーパーク等の多彩で豊かな花や食、温泉、自然など、海外誘客を進める上で高いポテンシャルを有しております。これらの強みを生かし、これまで海外の旅行会社やメディア関係者の本県への招請、国際旅行博覧会への出展等により、本県観光地の知名度向上と誘客に取り組んでまいりました。この結果、平成29年における外国人宿泊数は過去最高となり、特に昨年、袁文英氏をとちぎインバウンド大臣に任命した香港からの宿泊数は前年比1.6倍となるなど、着実に成果を上げているところであります。  外国人観光客の旅行先が大都市から地方へ、モノ消費からコト消費へシフトしている中、今後とも、福島県や茨城県と取り組むダイヤモンドルートのPRや関東各都県と連携した広域周遊モデルルートの造成のほか、イチゴ狩りなどの体験型観光のPRにも努めるなど、外国人観光客のニーズに的確に応えてまいります。また、本年12月には、私みずからが香港に赴き、現地の旅行会社の皆様に直接本県の魅力をお伝えするトップセールスを行うなど、海外に向けた情報発信の強化を図っていく考えであります。さらに、来年のラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会へと続く多くの外国人観光客が来日する好機を捉え、それぞれの国や地域ごとの特性や嗜好を踏まえた的確かつ効果的なプロモーションを展開するなど、多くの外国人観光客を引きつけ、呼び込み、また選ばれる観光立県とちぎの実現に向け、戦略的な海外誘客施策を積極的に推進してまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) トップセールスを行うなど、さらなるインバウンドの推進を図り、本県の観光振興に力を入れていくとの心強いご回答であったかと思いますので、引き続きの推進をぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。  そして、地域経済の活力のためにもインバウンドの推進は重要であり、これからますますグローバルな社会となりますので、未来を見据えた施策の展開もお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  続きまして、栃木県大阪センターの活用について3点お伺いいたします。まずは、大きな視点での栃木県大阪センターの今後について、岡本副知事にお伺いいたします。ことし7月30日に栃木県企業誘致・県産品販売推進本部、通称とちぎのいいもの販売推進本部の大阪センターが開所となりました。この栃木県大阪センターにつきましては、14年ぶりの開所となり、県内外の多くの皆様からご期待のお声をいただいているところでございます。  私は、経済企業委員会委員長として開所式に参席させていただきましたが、特に関西栃木県人会の皆様方からは待ちに待った開所と多くの喜びのお声をいただき、関西圏におけるご期待も強く感じたところであります。  そこで、まだ開所したばかりではございますので、実績等はこれからであるとは思いますが、まずはとちぎのいいもの販売推進本部の担任副知事であり、また大阪センターにて最も期待がされている企業誘致や観光誘客、農業分野においての担任副知事でもあります岡本副知事に、県としてどのように栃木県大阪センターを活用していくお考えかお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 岡本誠司副知事。    (岡本誠司副知事登壇) ◎岡本誠司 副知事 ただいまのご質問にお答えいたします。本県経済の持続的な発展を図るためには、首都圏はもとより、広く県外からの人の流れをつくり、消費を呼び込むとともに、地域間競争にもしっかり対応していくことが重要でございます。このため、去る7月30日、14年ぶりに関西圏等での観光誘客や県産品の販路拡大、企業誘致の拠点として大阪センターを開所したところです。現在、関西経済は大変活況を呈しております。私も開所式に出席し、関西圏等の県人会を初め、現地の交通、観光事業者等の皆様から、大阪センターへの期待の大きさ、栃木県への関心の高さをお伺いし、改めて、大阪センターの必要性を実感したところです。  関西圏等における本県の知名度を向上させるため、在阪企業等との顔の見える関係づくりや、関西県人会、他県の大阪事務所との連携体制を構築することが喫緊の課題でございまして、大阪センターでは、オープン直後から旅行会社や企業等への訪問のほか、関西圏や本県関係団体からの相談等にきめ細かく対応しておりますが、早速、大阪市を出発地とする紅葉の日光への観光ツアーが販売されるなど、成果もあらわれてきております。  今後、大阪センターを拠点とし、他県の大阪事務所と連携した観光展への出展や県人会との相互協力関係を強化するなど、ネットワークづくりに精力的に取り組むとともに、イチゴや梨など栃木県の質の高い農産物を初めとする県産品の魅力を積極的に発信し、関西圏等における栃木県のブランド力の向上に努め、本県産業の振興や地域経済の活性化につなげてまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) まずは栃木県を知ってもらい、そして顔の見える関係を構築する、それが重要であるということ、そしてそこからしっかりと企業誘致、県産品の販売や観光の誘客につなげていくといった回答であったかと思います。  そこで、次に、関西圏への農作物の販売促進について、農政部長にお伺いいたします。まさに関西圏は東京圏に次ぐ一大経済圏であり、今回の開所はさまざまなチャンスを秘めていることと思います。確かに近さなどの利便性を挙げますと、東京圏にもっと積極的に働きかけたほうがよいのではというご意見も頂戴しておりますが、とちぎ自民党議員会の部会や経済企業委員会の県外調査にて大阪へと伺わせていただき、まさに活気と熱気にあふれたまちを肌で感じ、大阪万博やIR、いわゆる統合型リゾートを誘致している関西圏は、今後の経済的発展が大きいことを実感してまいりました。そこに栃木という名を売ることは大変に有効なことであると考えます。今このチャンスを逃すことなく、これだけおいしいものがあふれている栃木県の農作物の知名度を上げ、関西圏に売っていくことは、すぐにでも行動をとるべきであり、スピーディーな対応と展開が今後の販路や消費拡大につながるものと思います。  そこで、栃木県大阪センターを活用した関西圏への農作物の販売促進についてどのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 渡邉和明農政部長。    (渡邉和明農政部長登壇) ◎渡邉和明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県の農産物は首都圏への出荷が中心となっており、関西圏では知名度が低いため、販路開拓を図るには、まず日本一の生産を誇るイチゴを前面に掲げ、栃木県産の実力と魅力を伝えていくことが重要であると考えております。このため、大阪センターと連携いたしまして、大阪駅の周辺でいちご王国フェアを開催し、イチゴの試食、販売、PRを行うほか、本県にゆかりのある企業の協力を得て、贈答品での利用促進を図ってまいります。また、県産農産物の本格的な販売には流通・販売事業者との関係構築が不可欠でありますことから、先月、卸売市場やホテルなどを訪問し、マーケット調査やテスト販売の方法等について意見交換を行ったところであります。  引き続き、大阪センターを活用しながら、関西圏における確実な足がかりをつくり、本県農産物の販路開拓につなげてまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) これからイチゴを前面に、いちご王国のフェアなどを行っていくということで、さまざまなプロモーション事業を展開していくということであったかと思います。どうか引き続きスピーディーな展開で栃木県の農作物の販売促進に努めていただきますようにお願い申し上げたいと思います。  次に、先日のとちぎ自民党議員会代表質問の早川議員より、企業誘致につきまして、県として総合的に全力で進めるべきであるとの質問がございましたので、それを受けまして、私からは、栃木県大阪センターにおける企業誘致について、産業労働観光部長にお伺いいたします。経済産業省の工場立地動向調査結果において、平成29年の本県の工場等の立地件数、立地面積はともに前回の調査から大きく伸びており、本県が多くの企業にとって魅力ある地域であることを改めて実感しているところであります。  今まさに多くの企業において、工場等の設備投資への意欲が高まっていることと思われますが、この機運に乗ることはもちろん、関西圏の企業にも本県の魅力をしっかりと伝え、工場の設置をご検討いただくよい機会でもあり、まさに最高のタイミングでの栃木県大阪センターの開所であると思います。  そこで、栃木県大阪センターにおける企業誘致について、農作物と同じくスピーディーな展開と対応が必要であると考えますが、県としてのお考えを産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 茂呂和巳産業労働観光部長。    (茂呂和巳産業労働観光部長登壇) ◎茂呂和巳 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。関西圏は首都圏に次いで企業が集積しているとともに、東日本への立地意欲も高いことから、企業誘致上重要なエリアであります。このため、本年7月に大阪センターを開所し、関西圏等における企業誘致体制を強化するとともに、11月に開催するとちぎ企業立地・魅力発信セミナーin大阪では、本県に立地する関西系企業による講演を新たに実施するなど、内容の充実を図ったところであります。大阪センターでは、開所直後から企業との顔の見える関係の構築に向け、市町や地元金融機関等と連携しながら機動的な企業訪問を展開しております。  今後とも、本県のすぐれた立地環境をPRするとともに、企業ニーズに速やかに対応するなど、大阪センターを拠点とした企業誘致活動を積極的に展開してまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) 積極的に関西圏の企業にも訪問して、先ほど岡本副知事のご回答にもございましたが、まさに顔の見える関係を構築しながら、栃木県の企業誘致を促進していくとのご回答であったかと思います。今回の栃木県大阪センターにつきましては、関西圏のみならず、中部圏もしっかりと視野に入れることが可能であり、十分に顔の見える関係を中部圏においても築ける距離であると思っております。どうかこの栃木県大阪センターの開所をきっかけに、全国の多くの皆様に栃木県の魅力を知っていただけますことを強く願いまして、次の質問に移りたいと思います。  続きまして、太陽光パネルの規制について、環境森林部長にお伺いいたします。県議会議員として初めて登壇させていただきました3年前、まさにそのときにも質問させていただきましたのが、観光地における太陽光パネルの乱立及び撤去についてでありました。当時のご回答といたしましては、県や市町が制定した景観条例に基づいて必要な指導が適切に行われているとのことでありました。しかし、改めて今回も質問させていただくということは、いまだに太陽光パネルについて、地域によってさまざまな問題が起こっているということをご理解いただければと思います。  もちろん私は、再生可能エネルギーの一つとして、太陽光パネルの有効性は高く認めているところでありますが、その設置場所についてはしっかりとした指導と規制が必要であると考えております。例えば大規模に森林を伐採しての設置は、自然環境の破壊だけでなく、土砂崩れの危険性が増したり、景観地の風景を損なったりするなど、地域住民の皆様が納得できない場所への太陽光パネルの設置は好ましくないと考えております。  私の地元那須町におきましても、大規模な太陽光パネルの設置が現在計画されており、那須の魅力である豊かな自然や美しい風景が損なわれ、土砂災害が起こるのではないかと地域住民の皆様が心配しているところであります。また、ことしは多くの自然災害が発生しており、太陽光パネルの浸水や土砂崩れの被害が多く報告されており、感電のおそれがあるから不用意に近づかないようにと経済産業省が注意喚起するなど、その危険性も危惧するところであります。太陽光発電につきましては、国にFIT法の認定権限があるとはいえ、県が率先して事業者を指導する必要があると強く思うところであります。  そのような中、県におきましては、市町と連携を図りながら、適切な事業実施のために、防災、環境保全、景観保全等の観点から、太陽光発電施設と地域との調和を図ることを目的に、栃木県太陽光発電施設の設置・運営等に関する指導指針を策定し、4月から運用を開始しているところであります。  そこで、県としてたびたび起こる地域での太陽光パネルの設置に関する問題についてどのように取り組んでいくのか、そして認定制度を運用する国に対し、地方の現状を十分に伝えるとともに、このような問題が起こらないような運用に努めるよう働きかけるべきであると考えますが、環境森林部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 鈴木峰雄環境森林部長。    (鈴木峰雄環境森林部長登壇) ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。太陽光発電施設の設置に当たりまして、事業者は国のガイドラインや県の指導指針を遵守するとともに、地域との関係構築に配慮した事業計画を策定し、事前に県や市町と相談を行うことが必要となります。このため、これらの相談があった場合には、県は市町と連携しながら、防災はもとより、環境保全、景観保全への配慮といった観点や地域住民に十分な理解を得られるのかといった点などから、事業計画の確認や必要な指導を行うこととしております。また、県と市町の連絡会議におきましては、パネル設置に関する土砂災害防止、あるいは景観といった課題などへの対応につきまして協議するとともに、地域での解決が困難な事例につきましては、国に随時情報提供していくこととしております。  今後も、国のガイドラインや県の指導指針を遵守するよう事業者を指導していくとともに、国に対しましては、制度がより適切に運営されるよう求めてまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) 既に事業者に対しての指導を行い、国に対してもさまざま意見を述べているとのご回答であったかと思います。地方自治の基本は、地域の皆様の幸せであり、地域の意見や実情を吸い上げることであると思っております。県も市町と横並びの地方自治体でありますので、しっかりと市町と連携を図りながら、国に対して地方の現状を引き続きお訴えしていただけますように強くお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。  続きまして、酪農や肉用牛などの畜産経営と園芸や稲作などの耕種経営との地域における連携、いわゆる耕畜連携の推進について、農政部長にお伺いいたします。栃木県は、言わずと知れた酪農や肉用牛の盛んな地域であり、良質な牛乳はもちろん、乳製品においても高い評価をいただいており、牛だけでなく、私の地元那須町にある牧場などではヤギの乳製品も製造しており、先日もJALのファーストクラスの機内食に連続して採用されたことで、知事への表敬訪問並びにご報告があったばかりでございます。また、肉用牛においても、その良質な牛肉は同じく高い評価を受けておりまして、県内のさまざまなブランド牛は、これから世界に向けても発信していける農産品の一つであります。そして畜産は、牧草やデントコーン、飼料用稲などを畑や水田で生産し、ふん尿は肥料として大地や農作物に還元されることで、農業全体の持続的発展に欠かせない産業でもあります。  現在、県におきましては、園芸大国とちぎづくりを初め、畜産や水田経営の体質強化など、さまざまな事業を展開しているところでございますが、これらを進めていくためには、酪農や肉用牛などの畜産経営と園芸や稲作などの耕種経営との地域における連携が必要不可欠であると考えます。  そこで、県として、畜産経営と耕種経営との連携をどのように推進していくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 渡邉和明農政部長。    (渡邉和明農政部長登壇) ◎渡邉和明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県の農業は、米麦、園芸、畜産がバランスよく発展しており、園芸生産での堆肥の利用や水田における飼料作物の生産など、耕種農家と畜産農家が相互に連携しやすい環境にあります。このため、畜産クラスター事業を活用いたしまして、水田での飼料生産に必要な専用収穫機の導入や堆肥化施設の整備などを支援することで、地域内における連携体制の強化を図ってまいります。また、米やイチゴなど品質の高い農産物を生産するには土づくりが欠かせないことから、良質な堆肥の生産技術について畜産農家を指導するとともに、稲作や園芸農家に対しましては、作物の特性に応じた効果的な堆肥の利用方法を普及してまいりたいと考えております。  今後とも、足腰の強い本県農業の確立を目指し、耕畜連携の一層の推進に努めてまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) 畜産クラスター事業などにおいて、既に地域においての農業の耕畜連携が図られているということで、さらに推進していくという心強い回答であったかと思います。  ここで、農政部長に再質問させていただきたいと思います。畜産農家と耕種農家との連携で現在利活用されておりますのが、飼料用の稲であり、それを発酵させた牛の飼料が稲WCSであります。この飼料用稲は水田をそのまま利用できるということが大きな利点であり、水田は一度やめてしまうともとに戻すのが難しかったり、生物多様性の観点からも地域の環境を守っていたりと、水田の果たしている役割は大きいことから、飼料用稲の推進には大賛成であります。しかし、さまざまな地域間や農家同士の連携の中で、最近この飼料用稲の生産や利活用の拡大が進んでいないという現状も伺っております。  現在、自給飼料として生産しているデントコーンや牧草だけでは飼料の絶対数が足りず、外国産の飼料に大きく依存してしまっている現状を打破するためにも、そして水田を守るためにも、飼料用稲の推進や利活用は大変に重要であると考えます。  そこで、どのようにして飼料用稲の生産拡大や利活用を進めていくのか、農政部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 渡邉和明農政部長。 ◎渡邉和明 農政部長 再質問にお答えいたします。飼料用稲は収穫時期が主食用の米の刈り取り時期と重なるということがありまして、適期刈り取りがなかなかできないという課題があります。このために、ここ数年、栽培面積が1,700ヘクタール程度で頭打ちになってございます。このため、今年度から水田を稲作農家から借りて、飼料生産から販売までを一貫して行う専門の組織の育成に取り組んでおりまして、現在3地区をモデルとして選定して支援を行っているところでございます。  また、飼料用稲の利用をふやすには餌としての品質を高めることも大きなポイントでございますので、収量性にすぐれるということはもちろんですけれども、糖分が多くて乳酸発酵がしやすいという性質を持った新品種「つきすずか」というのがありますので、これの普及を進めてまいりたいと考えております。  加えまして、飼料用稲につきましては、これまではほとんど酪農での利用であったということがございます。今後は和牛など肉用牛への利用を図るために、農家段階での実証を進めるということを含めまして、関係者と力を合わせて飼料用稲の生産拡大と利用の促進を図りまして、飼料自給率の向上につなげてまいりたいと思っております。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) さまざま飼料用稲の推進にご尽力いただいているということでありますが、少しお話にも出ましたように、糖分が多くて発酵が進みやすい製品に変えたりしているという話でございますが、私が伺ったお話も、やはり飼料用稲の品質に関してばらつきがあったりとか、もみがあることが非常に利用の妨げになっているなどというお話を伺っておりますので、これから県として飼料用稲の品質向上にまずは努めていただければと思います。そのために、耕種農家の皆様にご指導やご助言をいただきながら、よりよい農家間の連携が図れるようにお願いを申し上げたいと思います。  また、ここで1つのアイデアとして、耕種農家の皆様の収入が上がることも飼料用稲の推進につながることと思いますので、飼料用稲を早目に収穫する、先ほど農政部長の答弁の中にも主食用米と重なってしまうというお話もございましたので、早目に飼料用稲を収穫し、その後に麦や牧草などを植えるという、いわゆる二毛作を行うことで収入が向上するといった方法もあるのではないかと思います。  ぜひとも、二毛作は1つの例でありますが、こういった新たな方策の可能性などをどうか積極的にご検討していただければと要望させていただきまして、次の質問に移りたいと思います。  続きまして、先日のとちぎ自民党議員会代表質問の早川議員の社会資本整備についての質問を受けまして、私からは、那須水害20年を踏まえての防災減災について、県土整備部長にお伺いいたします。今から20年前の1998年8月26日から31日の6日間、栃木県の県北にて総雨量1,254ミリ、何とたったの6日間で年間降水量の3分の2が降るという記録的な大雨となりました。那須地域の余笹川などが氾濫し、死者5名、行方不明者2名、多数の家屋が流失し、全壊や床上浸水と県内において甚大な被害が発生いたしました。  ことしは20年の節目ということもあり、被災者追悼式や風化防止や防災のためにシンポジウムが開催され、改めて災害の恐ろしさを実感したところであり、防災や減災の重要性を再認識いたしました。特に近年では、20年前にはなかったような集中豪雨やゲリラ豪雨が全国各地で頻発しており、栃木県におきましても各地でその爪跡を残しているところでありますし、悲しい事故も起こってしまっております。  そこで、那須水害から20年が経過する中、さらなる栃木県の安全・安心のために河川の防災減災について県としてどのようにお考えか、県土整備部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 江連隆信県土整備部長。    (江連隆信県土整備部長登壇) ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。河川の防災・減災対策につきましては、ハード対策といたしまして、水害発生リスクの高い河川におきましては、国の中小河川緊急治水対策プロジェクトに位置づけを行いまして、短期間で効果が発揮できるよう、重点的に予算を投入し、整備を進めているところであります。  さらに、県独自の取り組みといたしまして、緊急防災・減災対策事業を制度化し、局所的に流下能力が低下している箇所の堆積土の除去や堤防の強化、上流部の流出抑制のための調節池の整備などの対策にも取り組んでおります。また、ソフト対策として、洪水浸水想定区域や避難判断等の基準となる水位の見直しなどを行い、市町が進めます洪水ハザードマップや水害対応タイムラインの策定を支援しております。  引き続き、栃木県減災対策協議会などを通じまして、市町や関係機関と連携しながら、災害に強い県土づくりに努めてまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) 市町と連携を図りながらハザードマップをつくったりと、さまざま防災減災を行っているということでありましたので、引き続き防災減災に努めていただきたいと思います。  ここで、県土整備部長に再質問させていただきたいと思います。那須水害は甚大な被害をもたらし、多くの方の心に深い悲しみを植えつけました。そのような中、災害に負けないという強い思いから、当時の復旧工事にかかわった業者の皆様や県や市町の職員の皆様が余笹川流域連携ネットワークというボランティア組織を立ち上げ、子供たちが川と触れ合う参加型のイベントや、河川の調査研究、愛護活動などを続けており、昨年には日本水大賞市民活動賞を受賞するなど、悲しみの中から河川を大切にする思いが育まれてきたことは、全国でも珍しい事例であり、大変にすばらしい活動であると思います。  そして、当時はその悲しみを酌み取り、県と市町とが一体となり、その当時における最大級の復旧工事が行われたと伺っており、そのほとんどが改良復旧工事であったために、この20年間、余笹川におきましては大きな氾濫が起こっていないのが現実であります。  そこで、災害時における復旧工事は、現在、原形復旧がほとんどであると思いますが、やはり改良復旧工事をメーンとしたほうが後の防災減災につながることと思いますが、県土整備部長の所見をお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 江連隆信県土整備部長。 ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまの再質問にお答えいたします。災害復旧の方法につきましては、議員からご指摘のとおり、もとのままに戻す原形復旧の方法と将来の計画等を見据えて、あわせて改良を行う改良復旧の方法の2つの方法がございます。このうち、今ご質問の改良復旧でございますが、この改良復旧を行いますと、再度災害を防止するばかりか、今、議員のほうからもありましたように、将来に向けて治水安全度の向上が図れますので、大変有効な手法であると我々も感じているところでございます。  しかし、実際の適用に当たりましては、災害の被災が全区間にわたり大規模な被災であるということがまず大前提でありまして、その上で、河川につきましては、下流側から改修をしていくというのが基本でございますので、下流側が一定程度の改修が済んでいないと事業を行うことができないということ、また災害復旧につきましては、短期間で効果を発揮させる必要がございますので、改良復旧を行う場合に、用地取得から工事完了まで、これを短時間に済ませなければいけないというようなこと、そういった課題があるのも事実でございます。  いずれにいたしましても、今後とも、災害復旧・災害発生時にはこれらの状況を十分に勘案させていただきまして、改良復旧事業の活用を積極的に取り組めるよう検討し、県民の皆さんの安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
    ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) ただいま大規模な災害だったりとか、または短時間にやらなければいけない等の理由もございましたが、県土整備部長のお言葉の中にも、災害防止や将来の安全のためには改良復旧のほうがいいと感じているというお言葉でございましたので、どうかこれから県としても改良復旧工事の活用を積極的に検討していっていただければと思います。ぜひさらなる防災減災のためにも推進していただき、より安全・安心な防災減災に努めていただきますようお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  続きまして、那須高原地域における渋滞対策について、県土整備部長にお伺いいたします。観光地における渋滞、これはまさに死活問題であり、渋滞する観光地としてのイメージが定着したり、ひどい渋滞にはまった経験があったりすると、誘客やリピート率に大きな影響を及ぼしてしまいます。県としても、観光地の渋滞対策につきましては、道路整備等のハード面だけではなく、平成21年度、平成22年度と平成24年度には那須高原の紅葉渋滞について、本年度におきましては日光市の二社一寺周辺における渋滞対策について、それぞれ社会実験を行うなど、ソフト面についても渋滞対策を行ってきているところであります。しかし、ハード面、ソフト面、どちらも一定の効果や成果があったこととは思いますが、渋滞の解消や減少となると、さらなる工夫や展開がまだまだ必要ではないでしょうか。  那須高原地域では、ゴールデンウイークやこれからの紅葉の季節を迎えますと、一部の地域で激しい渋滞が発生いたしますが、例えば観光で一極集中する道路だけではなく、那須町全体における道路の狭い箇所や険しい箇所などを解消することで、交通のいわゆる分散化を図ることができれば、渋滞の減少だけではなく、新たに広域的な観光周遊ルートも創設され、那須高原地域全体の魅力が増すのではないかと考えられます。  そこで、今後の那須高原地域における渋滞対策について、県としてはどのように考え、解消や減少を図っていくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 江連隆信県土整備部長。    (江連隆信県土整備部長登壇) ◎江連隆信 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。那須高原地域における渋滞対策につきましては、これまでにも黒磯板室インターチェンジや那須高原スマートインターチェンジの整備、観光拠点への主要なルート上にあります交差点の改良を行うなど、交通の分散化や円滑化のためのハード対策を順次実施してまいりました。また、先ほど議員からご指摘もありましたように、特に交通が集中します紅葉シーズンには、那須ロープウエイ付近におきまして、警備員の配置やカラーコーンの設置などによる路上駐車対策を行いますとともに、案内看板やSNSを活用した交通情報の提供を行うなど、那須町と連携してソフト対策にも取り組んできたところであります。さらには、現在、那須地域全体の広域的な観光周遊にも資する県道西那須野那須線の黒磯那須バイパスや県道那須西郷線の綱子地区など、周辺の道路整備も鋭意推進しているところでございます。  今後とも、ハード・ソフトの両面から効果的かつ効率的な渋滞対策を推進してまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) 渋滞する箇所だけではなく、スマートインターチェンジなどのいわゆるハード的な部分、また案内看板やSNSなどで町と連携を図ってソフト対策などを行い、いわゆる交通の分散化を図っていると、そして渋滞の解消や減少を目指していくとのご回答であったかと思います。ぜひとも、まずは一極集中が分散されるような整備計画を引き続き推進していただきますようにお願い申し上げますとともに、そのためには、市町はもちろんでありますが、地域住民の皆様のご協力が必要不可欠であると思いますので、行政や各種団体や企業、そして住民の皆様との連携が図れるよう、私たち議員もともに汗をかいていきたいと思いますので、どうか引き続きの渋滞対策を推進していただきますようにお願い申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  続きまして、公立学校におけるハード整備についてとして、まずはエアコンの設置について、教育長にお伺いいたします。先日のとちぎ自民党議員会代表質問の早川議員より、県立高校のエアコン設置についての質問があり、県立高校につきましては来年の夏に使えるように設置を行っていくといったご回答でありましたので、それを受けまして、私からは、公立の小中学校におけるエアコンの設置について質問させていただきたいと思います。県内の公立小中学校の普通教室におけるエアコンの設置率は80.1%と高い設置率ではありますが、これが市町別に見ますと、一部の市町では1%から9%でありますし、那須町に至っては現時点ではエアコンの設置はゼロであります。しかし、那須町などのいわゆる避暑地と言われる市町におきましても、あくまで避暑地と言われる場所は高原や山などの標高が高いところを指しておりまして、町なかや平地はほかの市町と同じく、ことしの日中の暑さは命の危険を感じる暑さでありました。また、そのような地域におきましては、現在の校舎を建てるときにエアコンの設置は検討していなかったということで、それが今ではあだとなり、電気の容量が小さいことから、キュービクル、いわゆる電圧の変電設備などの設置が新たに必要となっており、エアコン本体だけを設置するよりも非常に高額な予算がかかってしまいます。  そこで、県の教育委員会におきましても、一日でも早く全ての公立小中学校にエアコンを設置するためにどのように取り組んでいくのか、そして、エアコンだけでなく、設置に必要なその他の設備などへもご支援をいただけるのか、教育長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。公立の小学校、中学校におけるエアコンにつきましては、この夏の厳しい暑さを踏まえ、児童生徒の健康を最優先として、適切な対応を図るため、各市町において積極的な整備の動きが出ているところであります。国におきましても、エアコンが来年の夏までに設置できるよう補正予算を編成する方針を固めたところであり、県といたしましては、学校施設環境改善交付金の十分な予算の確保と一刻も早い補正予算の成立について、さまざまな機会を捉え要望してまいります。また、国の交付金は、エアコン機器本体に加え、変電設備の増設、改修等関連費用につきましても補助対象としておりますことから、その活用について市町に対し助言してまいります。  今後とも、市町教育委員会と連携し、児童生徒の健康保持と良好な学習環境の確保に努めてまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) 国の補正予算等の関係もあるかとは思いますが、まさに教育長がおっしゃってくださいましたように、児童生徒の健康が最優先であるかと思いますので、どうか市町とさらに連携を図りながらエアコン設置率100%をまずは目指していただいて、県が強く牽引していただきますようにお願い申し上げて、次の最後の質問に移りたいと思います。  続きまして、トイレの洋式化について、教育長にお伺いいたします。トイレの洋式化につきましても、先ほど教育長の答弁にもございましたように、エアコンの設置と同じく公立の小中学校におきましては、学校施設環境改善交付金として国から3分の1の補助金が交付されると伺っております。しかし、県内のトイレの洋便器率は、平成28年度のデータではありますが、公立小中学校におきまして最も高い市町では72.9%でありますが、最も低い市町では21.1%であり、県内全体では38.4%と非常に低い数値となっております。また、県立高校におきましては、平成30年度のデータで35.9%と、公立小中学校をさらに下回っているのが現状であります。  学校は災害時の避難所に指定されているところもあることから、いざというときには、ご高齢の方や体が不自由な方など多様な方が避難されるわけでありますので、トイレの洋式化を迅速に推進する必要があるのではないでしょうか。  そこで、多くの保護者の皆様方からも要望があるトイレの洋式化について、教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○阿部寿一 副議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。トイレの洋式化につきましては、生活様式の変化やバリアフリー化の中、学校施設の課題の一つであると認識しております。公立の小学校、中学校におけるトイレ改修につきましては、国庫補助制度がありますことから、引き続きその活用について市町に対し積極的に助言等を行い、洋式化を促してまいります。  県立学校におきましては、今年度3校で改修することとしており、今後も、長寿命化保全計画による改修に合わせて計画的にトイレの洋式化を進めていくこととしております。また、トイレの洋式化を含む公立学校の施設整備について、国に対し補助対象の拡大や支援制度の拡充を引き続き要望してまいります。  今後とも、市町教育委員会と連携を図りながら、児童生徒が快適な学校生活が送れるよう整備を進めてまいります。 ○阿部寿一 副議長 齋藤剛郎議員。    (5番 齋藤剛郎議員登壇) ◆5番(齋藤剛郎議員) ぜひとも洋式化、いわゆるバリアフリー等も含めてこれから長寿命化保全計画の中でさまざまな改修も行っていくことと思いますので、ハード整備をしっかりと進めていただけるというご回答かと思いますので、引き続き、児童生徒のためにも、いざというときのためにも推進していただきますようよろしくお願い申し上げます。  そしてさらには、計画的に市町との連携をまずはしっかりと図っていただき、順次、学習環境をよりよくしていただきますようにお願い申し上げたいと思います。  さて、今回も地域の現状や実情、そして県民の皆様の思いを伝えさせていただきたく、さまざまな観点から質問させていただきました。大変簡潔でスムーズなご回答をいただきましたので、時間を残したまま、最後の要望となりますが、先ほどもお話しさせてもらいましたが、地方自治の基本でもあります県民の皆様の幸せのために、これからも地域の課題や思いをしっかりと受けとめていただき、一つ一つ丁寧に事を進めていっていただきたいと思います。  さらには、私は今子育てをしておりますが、子育て世代の皆様からいただく意見などは、まさに今子育てをしていなければわからないことであります。また、先日は障害をお持ちの保護者の皆様と懇談を行いましたが、それもまさに今現場で起こっていることであり、ぜひ行政の皆様も、我々議員とともに、さまざまな事柄を他人事と捉えずに、自分のことのようにしっかりと受けとめ、考えていただきたいと、そういった重要性を私自身も今回感じたところであります。どうか引き続きのよりよい県政のために地域を大切にしていただきますことを心からお願い申し上げまして、私の一般質問を終了とさせていただきます。ありがとうございました。 ○阿部寿一 副議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後2時12分 休憩       ――――――――――――――――――――――――――――― ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は44名であります。       ―――――――――――――――――――――――――――――     午後2時30分 開議 ○五十嵐清 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) 本日、9月26日、ちょうど13年前は実は第3次小泉内閣が発足し所信表明を、翌年のきょうは第1次安倍内閣が発足そして2年前の平成28年9月26日は第3次安倍内閣の所信表明が行われた、まさに決意の日であります。そんな日に登壇できることを運命と感じ、質問させていただきます。知事初め執行部の皆様にも熱い答弁をお願いし、早速質問に入ります。  まず初めに、観光立県とちぎの推進について、先日の早川議員の代表質問とは視点を変えて知事にお伺いいたします。昨年、ことしのデスティネーションキャンペーンの成果として、観光客入込数の増とともに、地域ぐるみで観光を振興していこうという意識の高まりを、私の地元日光でも強く感じております。この勢いをとめることなく、観光資源の磨き上げ等を継続して、今後の観光誘客増につなげていくことが必要であると思います。  また、インバウンド効果が大いに期待される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、日本中で機運が高まりつつある中、本県では2022年いちご一会とちぎ国体、いちご一会とちぎ大会の開催準備も急ピッチで進められております。とちぎ観光おもてなし条例にもあるように、外国人や障害のある方、高齢者などを含めたあらゆる方々に栃木ならではのよさを実感していただけるような受け入れ環境の整備が求められております。  本県の観光振興に関する基本計画であるとちぎ観光立県戦略は、今年度が5年の計画期間の中間年であります。観光誘客にとって絶好の追い風となる東京オリンピック・パラリンピックや国体等の好機を逃さぬよう、DCの成果等を検証した上で、残りの計画期間で克服すべき課題を整理し、必要に応じて取り組みの方向性を見直すべき時期に来ていると考えます。  そこで、今後、観光立県とちぎをどのように推進していく考えか、知事にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの阿部博美議員のご質問にお答えいたします。県では、平成28年3月に策定したとちぎ観光立県戦略に基づき、観光による活力あふれる地域づくりを目指して、国内誘客の推進、海外誘客の強化、観光客の受け入れ体制の整備など、さまざまな施策に取り組んでいるところであります。これらの結果、観光客入込数、宿泊数ともに順調に増加し、昨年は観光客入込数と外国人宿泊数が過去最高を更新したほか、特に観光消費額につきましては、平成32年の最終目標値を達成するなど、確かな手応えを感じております。  そうした中、19年ぶりの誘致に成功したデスティネーションキャンペーンでは、276に及ぶ創意と工夫に満ちた特別企画を創出するなど、DCの取り組みを通じて、市町間や事業者間、あるいは地域の方々の連携が進むとともに、おもてなしいちご隊には約4万5,000人もの県民の皆様にご登録をいただき、おもてなし日本一の実現に向けて、機運が着実に高まっていると感じております。  現在、DCの成果と課題の検証を行っているところでありますが、さらに多くの観光客を呼び込み、滞在期間の拡大を図るため、市町の枠を超えた連携を促進し、周遊性を向上させるなど必要な改善を図りながら、アフターDCはもとより、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、2022年のいちご一会とちぎ国体等に向け、万全の準備を進めてまいります。  加えて、外国人宿泊数につきましては、全国の状況を踏まえますと、さらなる増加が期待できますことから、近隣県との広域連携や、国や地域ごとの嗜好や特性を踏まえた効果的なプロモーションにより誘客促進を図るほか、多言語表記の推進等により外国人観光客が快適に過ごせる旅行環境の充実を図ってまいります。  今後とも、これまでの成果を持続し、さらに発展させることが重要でありますことから、市町、観光関係団体はもとより、交通事業者など幅広い関係団体との密接な連携を図りながら、戦略に掲げた施策を着実に推進し、観光立県とちぎの実現に向けて全力で取り組んでまいります。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) ただいまは知事の意気込みをお聞きいたしました。成果も順調に上がって、次は発展に向けてということで、とても頼もしく思っております。ぜひ戦略が成功することをお祈りいたします。  ここで、答弁において外国人宿泊数が過去最高ということ、多言語表記の推進ということでお話がありましたが、それに関して産業労働観光部長に再質問したいと思います。東京オリンピック・パラリンピック開催をきっかけに、今後より多くの外国人観光客の来県が見込まれます。訪日外国人旅行者へのアンケート結果によりますと、旅行中一番困ったことは何ですかという問いに、「施設等のスタッフに言葉が通じない、コミュニケーションがとれない」とのことでした。世界中からいらっしゃる多くの外国人旅行者に快適に過ごしていただくためには、やはり言葉の壁の解消が重要なポイントと言えます。  それには、観光施設、宿泊施設、飲食店、小売店、交通機関等が外国人への対応のために利用できる電話通訳サービス、多言語コールセンターの導入が有効と考えます。対応する言語は地域によってさまざまですが、国内におけるコールセンターの導入状況を見ますと、都道府県の枠を超えた広域レベルでの取り組みも結構あります。東北地方、関西地方、中国地方、四国地方を中心に導入が進んでおります。残念ながら関東、甲信、北海道、九州はまだ導入されておりません。  本県においても多言語コールセンターの導入は不可欠と思われますが、多言語対応について産業労働観光部長の所見をお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 茂呂和巳産業労働観光部長。 ◎茂呂和巳 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。言葉の壁というようなご表現でございましたが、それを解消する、もしくは乗り越えるというのはインバウンドを推進していく上では非常に大切なことだと認識しております。このため県のほうでも、多言語の観光アプリの提供ですとか多言語の案内板の整備、そして多言語の会話のシート、そういった普及に取り組んでいるところでございます。対面でのコミュニケーションを手助けする議員ご指摘のそういったツールにつきましては、多言語コールセンターのほか、また国のほうで開発を指導しました多言語翻訳アプリでありますボイストラ、こういったもの等がございますので、どういった場面でどういう手法が有効なのかにつきまして、しっかりと検討させていただきたいと思います。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) アプリ等々があるということではありますけれども、ちなみに今導入しているところのお話を聞きますと、日中はいろいろ観光案内の質問、問い合わせがある、それが多いということですが、夜間は宿泊に関してのことが一番多いかと思うのですが、トラブルが割と夜間に多く、今までその話をちゃんと聞いて、話が通じれば特に問題なく解決したということもたくさん声として寄せられているということがありますので、外国からいらっしゃった観光客の皆さんが、ああ、栃木に来てよかった、また来たいと満足していただけるようなサービスの提供に向けて、ぜひとも前向きに取り組んでいただけるよう期待いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  次に、高齢者や障害のある方などのニーズに応えるユニバーサルツーリズムの推進について、産業労働観光部長にお伺いいたします。観光を基幹産業とする自治体は多く、東西南北あらゆる場面、あらゆる方向にライバルがいっぱいいます。これからの観光誘客は他県との差別化を図り、選ばれるとちぎへと進化していかなければ未来はないと言っても過言ではないと思っております。選ばれるとちぎとなるには、選ぶ方々が何を望んでいるかを知ることが重要なポイントであり、お客様本位の考え方にかじを切らなければなりません。  ちょうど1カ月前の8月27日、日光市で開催されましたバリアフリー観光セミナー「増客できるユニバーサルツーリズムを学ぼう」に参加しました。空飛ぶペンギンでも知られるサンシャイン水族館をプロデュースし、三重県伊勢志摩を国内屈指のバリアフリー観光地へと導いた中村元さんの「集客売上げ30倍を実現した、バリアフリー観光の秘密」と題したお話でありました。30倍を実現したということです。まず初めに行ったことは、障害者の気持ちを理解すること。当事者本人の話から、障害者も遊びに行きたいし、旅行にももちろん行きたい。世の中のバリアを全部なくしてほしいなんて決して思っていない。バリアがあるのは当然だと思っている。だから、そこで情報を得ようとして調べると、現状はバリアフリー情報とバリアフリーのマークでネット検索していろいろ出てくるとはいっても、実際に内容がアバウト過ぎて、どこがどう配慮されているかわからない、不安が先行してしまうということ。ならばと、宿泊や観光施設のバリアフリー調査をし、バリア情報とバリアフリー対応の情報を発信するとともに、旅行者の希望に合わせて宿や介助支援の手配をするバリアフリーツアーセンターを設置し、同時に地元理解の促進やボランティアの育成も進めたということであります。  バリアとなるものや必要な支援は人によって多種多様であります。詳細な情報発信や個別の相談に対応できる体制が求められていると思います。本県でも、年齢、障害の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく旅行を楽しめるユニバーサルツーリズムに対応した観光地づくりを目指してほしいと考えております。  そこで、本県におけるユニバーサルツーリズムの推進について、産業労働観光部長のお考えをお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 茂呂和巳産業労働観光部長。    (茂呂和巳産業労働観光部長登壇) ◎茂呂和巳 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。高齢者や障害者の方を含め、誰もが安心して快適に観光できる旅行環境を整え、観光客の多様なニーズに対応するユニバーサルツーリズムの推進は、栃木県の観光地としての魅力を増進させる重要な取り組みであると認識しております。このため、昨年度施行しました観光立県とちぎの実現に向けたおもてなしの推進等に関する条例では、高齢者や障害者などの観光旅行者が円滑に利用できるよう、観光施設等の利便性の向上等に必要な施策を講じることを掲げており、現在、トイレの洋式化や観光関係団体が行うおもてなし研修に対する支援に取り組んでいるところであります。  今後、国が先進事例をもとにまとめた障害者等をお迎えするための接遇マニュアルや宿泊施設におけるバリアフリー情報発信のためのマニュアルなどの周知に努め、全ての観光客に本県での観光を快適に楽しんでいただけるよう、市町や観光関係団体などと連携いたしまして、ユニバーサルツーリズムの推進に努めてまいります。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) ただいま産業労働観光部長よりユニバーサルツーリズムの推進に努めていくということでお話を伺いました。安心、快適さを高め、観光客が倍増するよう、ぜひバリアフリーツアーセンターの設置に向けて検討していただくことをお願いいたしたいと思います。  ここで、ユニバーサルツーリズムを推進するに当たって重要なポイントとなる、細部にわたるバリアフリーへの配慮について、保健福祉部長に再質問いたします。つい先日、盲導犬をパートナーに持つ視覚障害者の方から話を聞きました。いまだに盲導犬同伴を理由に入店拒否されることが多い。同伴の理解を得るために説明しても断られることもしばしばある。バリアフリーをうたっている施設でも困ることが実はあるのです。どんなことですか、具体的に教えてくださいと聞きましたら、まずはトイレ、県有施設や公園なども障害者対応として多目的トイレは確かに整備されていますけれども、水を流す装置の位置がまちまちで、手探りでやっと押してみたらウォシュレットだったとか、その後、手を洗おうとしたら、蛇口の種類がいろいろで苦労している。それから、トイレの利用は私だけではなく、パートナーのワンちゃんも必要なの。決まったところでちゃんとできるから、ちょっとしたスペースさえあれば大丈夫、それがないから結局出かけるのを、と声のトーンが下がってしまう、そんな状況でした。また、女性、男性、多目的のマークが見えませんから、音声案内が必要です、ぜひつけてくださいと言われました。  また、エレベーターに至っては、目的の階を押すボタンの位置がやっぱりエレベーターでまちまち、どこか探り当てて押せたとしても、やっぱり音声案内がないのでどこにとまったかわからない。それでどうするのかと尋ねましたら、誰かが乗ってくるまで上がったり下がったり繰り返していて、それで聞いておりるのよという答えでした。思わず、うそでしょうと言いましたが、本当に悲しいぐらいの現状だなと実感いたしました。  また、耳の不自由な聴覚障害者の方々の災害対応が難しいからと宿泊を断られたニュースを覚えている方もいらっしゃると思います。この現実や話を聞いて気づかされたこと、それはまだまだ配慮が足りないということです。もっと当事者意識を持って整備に当たるべきです。一例として、光の点滅で緊急を知らせる装置や、何が起きているのか把握できる電光掲示板だったり、あるいはさまざまな情報を振動、文字、光で知らせる屋内信号機器というようなもの、ウオッチ式のものもあるのですけれども、そういったものがあれば断られずに済むのになということであります。  そこで、県有施設のさらなるバリアフリー化と民間施設等へバリアフリー機器等を貸し出すシステムや設置のための補助支援策を講じるなど、やれること、しなければならないことはたくさんあると思いますが、保健福祉部長の所見をお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 森澤隆保健福祉部長。 ◎森澤隆 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。バリアフリーへの配慮につきましては、何が障壁となって、それを過度の負担なく解消するためにはどうしたらよいのか、これを障害のある方とない方とが対話をしながらともに考え、そして協力して課題解決に導くことが障害者差別解消推進条例の目指すところでございます。このため県では、県民が障害者差別解消に適切に対応するための指針、道しるべという冊子をつくりまして、広くこの障害者差別解消推進条例の理念の普及に努めているところでございます。また、栃木県障害者権利擁護センターで障害者の方々のさまざまな相談を受け付けております。こうした相談にきめ細かく対応することによりましても、差別解消のための理念の普及に努めているところでございます。  ご提案いただきましたバリアフリーのための機器等を貸し出すシステム、あるいは設置のための補助につきましては、今後、全国障害者スポーツ大会の開催を控えまして、障害者の宿泊環境の整備に向けて、さまざまな支援用具の配置を検討していくこととしておりますので、こうした取り組みの中で、あわせて検討させていただきたいと思っております。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) ぜひ他県に先駆けた積極姿勢を貫いて、どうか実現していただければと思っております。要望といたします。  次に、日光国立公園の魅力の向上について、環境森林部長にお伺いいたします。環境省は、日本の国立公園を世界最高水準のナショナルパークとしてブランド化を図ることを目標に、平成28年から国立公園満喫プロジェクトを実施しており、日光国立公園はこのプロジェクトに先行的かつ集中的に取り組む8つの国立公園のうちの1つに選ばれました。これを受け、地元関係者や関係行政機関から成る地域協議会が日光国立公園ステップアッププログラム2020を策定し、それぞれの役割分担のもと、県では案内標識の多言語化やトイレの洋式化などを進めているかと思いますが、取り組む課題は少なくないと感じております。中でも特に自然ガイドについて、観光客の皆さんからもっと十分な説明がされるといいのにということでの要望が出ていると聞いております。プロジェクトの中間評価においても、加速化、強化が必要な取り組みとして自然ガイドの質の向上が挙げられております。観光客に日光国立公園の最大の魅力である自然を満喫してもらうためには、質の高いガイドは不可欠と考えます。尾瀬や屋久島などでは、地域の自然ガイドの認定制度を実施して、質の担保をしているとのことであります。  そこで、県は、自然ガイドの質を高めることで日光国立公園の魅力を向上させるべきと考えておりますが、環境森林部長の所見をお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 鈴木峰雄環境森林部長。    (鈴木峰雄環境森林部長登壇) ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。奥日光を訪れる観光客の皆様に豊かな自然に親しみ、楽しんでいただくためには、豊富な知識と的確なガイド技術を持つ自然ガイドを育成し、国立公園の魅力を存分に伝えていくことが重要であると考えております。このため県では、これまでも国と連携しながら、日光の自然や歴史に関係する知識の習得やガイド技術の向上を図る研修を実施してきたところでございまして、今年度は外国人対応力向上の研修も実施していくこととしております。  さらに、国立公園満喫プロジェクト・ガイド活用・コンテンツづくり分科会におきまして、他県の先進事例の情報を収集しながら、登録・認定などによる自然ガイドの信頼性確保について検討しているところでございます。  今後は、国や市と連携しながら登録・認定制度の導入を検討していくとともに、研修内容の充実を図ることによりまして、信頼される自然ガイドの育成に努め、日光国立公園の魅力を十分に伝えてまいります。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) 市と連携して進めていくという答弁でございました。自然ガイドも含めた県内の観光ガイドが一堂に会して連携が図られれば、周遊性や滞在日数の向上につながると考えております。まずは、自然ガイドの質の向上、そして各地域の自然ガイドが連携できるような取り組みを要望いたします。
     もう1点、環境森林部長に再質問いたします。中禅寺湖畔は日光国立公園の重要な観光資源の一つであります。国立公園満喫プロジェクトにおいても重点取組地域(ビューポイント)の一つに設定されております。この中禅寺湖畔については、地元から中禅寺湖周辺の樹木が伸び枝を張り過ぎて湖が見えないとの声が多く聞かれます。眺望を確保するために伐採等が望まれております。  国内外よりせっかくおいでいただいた観光客の皆様にできる限り満足していただけるよう、景観の磨き上げも重要と思います。自然の宝庫と宣伝していながら、その宝が見えないのでは、まさに宝の持ち腐れです。見てもらってこそ価値が出るものであります。積極的に修景伐採に取り組んでいただきたいと考えております。  そこで、県では、中禅寺湖畔の修景伐採についてどのように考え、取り組んでいくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 鈴木峰雄環境森林部長。 ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまの再質問にお答えいたします。中禅寺湖周辺の樹木伐採につきましては、国が許可権限を持っておりまして、国立公園あるいは国有林の保護といった観点から規制しているところでございます。一方で、国立公園満喫プロジェクトの分科会におきましては、修景伐採につきましても重要な取り組みといたしまして検討を今進めているところでございます。  今後は、さらに、例えばきちんと管理がされているとか、あるいは国立公園の魅力を高めるとか、そういったような修景、あるいは景観の向上、こういったような観点から必要な伐採が可能かどうか、そういった点につきましても国や関係機関と検討を進めてまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) しっかりと検討していただきたいと思います。  車でお越しの個人の旅行客、修学旅行を初めとする団体旅行の大型バスが結構入ります。車窓から中禅寺湖が見えないために、ほんの少しだけ湖畔が見えるその部分に集中して停車しようとして渋滞するわけです。これを追い抜こうとする車がそこに入ってきまして、事故の原因になりかねないと地元では大変憂慮しております。環境森林部だけではなく、県土整備部などの他の部局とも積極的に連携して、この問題解決に取り組んで、観光客に満足していただける日光国立公園にしていただけるよう要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  次に、安心な暮らしを支える地域医療についてのうち、地域医療構想の実現について、知事にお伺いいたします。災害が少なく比較的都心にも近い、それでいて自然が豊富で四季折々の美しさは折り紙つき、しかもいつでもどこでも温泉が楽しめる、自慢できるPRポイントは山ほどある我が栃木県であります。こんなに魅力ある本県が、各市町と手を携えながらオール栃木で移住・定住の促進に取り組んでおりますが、残念ながら、転出超過の傾向はなかなか改善されません。  ある住宅供給会社で移住に当たり決め手となる5つのポイントは何ですかと聞いたところ、「通勤・通学の交通の便」、「買い物のしやすさ」、「治安やバリアフリー等の安全環境」、「公園などの公共施設の充実」、そして5つ目、「症状に応じて使い分けができる医療体制の充実」が挙げられておりました。県政世論調査では、「医療対策」が県政への要望の上位に毎年挙がるほど、医療面での安心を求める県民の声は多く、地域で暮らし続け、または移り住むに当たっても重要なポイントであると言えます。  県は、住民ニーズに即した効率的で良質な医療の提供体制の構築を図るため、平成28年3月に栃木県地域医療構想を策定いたしました。構想では、2025年における医療需要と必要病床数を病床機能区分ごとに示すとともに、構想の実現に向けた施策を定め、病床機能の分化・連携のほか、在宅医療等の充実や医療従事者の養成・確保等に取り組むとしております。これらは本県で安心して暮らし続けることを可能とする重要な取り組みであり、構想を着実に実行していくことが、移住・定住においても選ばれるとちぎにつながると思っております。  そこで、県は、地域医療構想の実現に向けてどのように取り組み、県民の安心な暮らしを支える医療提供体制を構築していこうと考えているのか、知事にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、少子高齢化に伴う医療需要の変化を見据え、将来の医療需要に適切に対応し、効率的で質の高い医療提供体制を構築するため、栃木県地域医療構想に基づき、地域において将来必要な医療の確保に取り組んでいくこととしております。  現在、地域医療構想の実現に向けまして、二次医療圏ごとに設置した地域医療構想調整会議において、医療・介護の関係者による協議を進めているところであります。また、本県の医療需要は2035年まで増加するものと推計され、あわせて高齢化に伴う疾病構造の変化に対応していくためには、現在の医療資源を最大限に活用し、病床機能の転換などにより、在宅復帰に向けたリハビリテーションなどを行う回復期病床の充実を図る必要があります。このため、医療機関が行う機能転換の検討に必要な経営診断や回復期病床への転換のための施設等の整備に加え、医療従事者の新規雇用に対する支援等を行っているところであります。  さらに、今年度からは、二次医療圏を超えた広域的な課題等に対応するため、県全域を対象とする地域医療構想調整会議を設置するとともに、各地域の調整会議への助言を行う地域医療構想アドバイザーを選任することなどにより、議論の活性化を図ってまいります。  今後とも、県民誰もが住みなれた地域において健康で安心して暮らすことのできるよう、医療提供体制の構築に努めてまいります。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) ただいまの答弁にあった調整会議等を設置して積極的に取り組んでいくということをよろしくお願いしたいと思います。着実に遂行できることを期待し、次の質問に移ります。  次に、私の地元である日光地域における医療提供体制の確立について、保健福祉部長にお伺いいたします。先日、県が日光市内7つの病院を核に、平成29年4月に制度が開始された地域医療連携推進法人の設立に向けた準備を進めているとの新聞報道がありました。日光市と鹿沼市で構成される県西医療圏については、広大な面積や人口の減少、過疎化、高い高齢化率、医療資源の不足などを背景に、とりわけ急性期医療において、各医療機関が担う分野や役割などの検討が必要であるほか、回復期病床や訪問看護ステーションなど在宅医療の社会資源の充実が課題となっております。速やかに地域医療構想に掲げられた取り組みを進め、将来にわたって継続的かつ安定的な医療提供体制を確立する必要があります。また、医療提供体制を将来にわたって継続的なものとすることは、国際観光都市日光を広くPRする上においても大変重要で、日光市の未来を左右する問題と思っております。  そこで、県は、日光地域における医療提供体制の確立に向けて、地域医療連携推進法人の設立も含めて今後どのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 森澤隆保健福祉部長。    (森澤 隆保健福祉部長登壇) ◎森澤隆 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県西医療圏のうち日光地域については、過疎や豪雪、交通等の特殊性に加えまして、県全体を上回る早さでの人口減少や少子高齢化の進行が見込まれ、将来に向け、個々の医療機関だけでは解決が困難な課題に早急に取り組む必要がありますことから、関係者による勉強会を行ってまいりました。  こうした中、課題解決に向けた恒常的な協議の場を設け、医療機能の分担や連携、人材の育成・確保を進めていくためには、地域医療連携推進法人が有効であるとの理解が深まり、法人の設立に向けた機運が高まっているところであります。このため県では、関係者間で早期に合意が図られ、将来の日光地域において効率的で質の高い医療提供体制が確保されるよう、引き続き支援してまいります。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) 法人設立に向けた支援を引き続きやっていくということで、よろしくお願いします。  また、医療機能の分化・連携を進める上で、各医療機関において施設・設備整備を行う必要もあるかと思います。病床転換を行う場合や、今後、移転整備が予定されている獨協医科大学日光医療センター及び今市病院に対して必要な支援を検討されますことを要望いたします。  加えて、新たに整備する病院は、現在、新しくなりました上都賀総合病院がそうであるように、大規模災害の際に多くの患者さんを受け入れて応急処置ができるような設備を有する、そんな施設整備への支援も要望して、次の質問に移りたいと思います。  次に、県立高等学校における通級による指導の導入について、教育長にお伺いいたします。通級とは、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒が、大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について障害に応じた個別の指導を受けるということです。学習上や生活上の困難を改善したり、克服したりすることを目的としており、通常の授業中に別の教室で個別に授業を受けたり、放課後の時間帯に指導を受けたりとさまざまな形式で行われております。  通級による指導を受ける子供たちは年々増加し、本県の中学校で通級による指導を受けている生徒は、この10年間でほぼ倍増、昨年5月1日現在は194名となりました。この通級による指導は、これまでは小学校、中学校段階のみが対象でありましたが、障害のある生徒の中学校段階卒業後の進路は、主として高等学校の通常の学級か、特別支援学校高等部に限られていました。これは、高等学校は義務教育ではなく、入試に合格した生徒が通うということも背景にあるようです。また、知的障害や身体障害を重複しない発達障害の子供たちは、特別支援学校には入学できない。中学校卒業と同時に支援が途切れてしまうというのが現状であります。  こうした中、文部科学省は、高等学校においても適切に特別支援教育が実施されるよう、多様な学びの場の整備が必要として、平成28年12月に学校教育法施行規則を改正し、高等学校でも通級による指導が可能となりました。ことし3月現在の国の調査結果によれば、公立では、栃木県と三重県を除く45都道府県と5政令指定都市において123カ所の通級指導教室が設置される予定ということ、本県はといいますと、来年度から導入する予定と聞いております。出おくれ感は否めません。栃木県と三重県だけです。  先進県での導入状況を十分に調査の上、より効果的な導入を計画的に進めるべきと考えますが、県立高等学校における通級による指導の導入に当たっての考え方、今後の取り組みについて教育長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。通級による指導は、生徒自身が障害による困難を主体的に改善、克服していくために必要な力を育むものであり、高等学校が日常の学習や生活の中で行っている指導・支援に効果的に位置づけることが重要であると考えております。そのため、通級による指導の導入に当たりましては、これまで県立高等学校における特別支援教育に関する実態調査や、発達障害児者の親の会への聞き取り、他県の取り組みの調査などを行い、丁寧に検討を進めてきたところであります。  そこで、来年度は研究実践校を指定して校内体制を整備するとともに、指導内容や中学校との連携方法などについて事例を蓄積し、他の高等学校での取り組みに生かしていきたいと考えております。  今後とも、障害のある高校生の自立と社会参加に向け、高等学校における特別支援教育の一層の充実に取り組んでまいります。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) 通級指導教育の設置校、大部分は1校ないし2校というのが現状のようでありますけれども、兵庫県や山口県は県内に9校も設置しています。新制度では、障害に応じた個別の指導計画を作成することになっています。担当教員の配置や障害そのものの理解、そして対応に関するノウハウは十分とは言えない現状にあることも事実だと思われます。これまでしっかりと計画的に取り組んで検証を重ねてきた自治体、もうやっているところはあるのですよ。検証も重ねてやってきて、答えが出ています。高等学校卒業後に社会に向き合うために必要な力がつく、効果と手応えを感じ、そしてこの取り組みの意義を強調されておりました。  通級を希望する発達障害の子供たちは多数おります。今ちょうど三者懇談が開かれ、進路についてどうするかということで検討している時期かと思います。決定するに当たって、どこの高校でどんな取り組みがなされるのかわからない状況では決めようがないというのが現状だと思います。これ以上他県に差をつけられないようにしっかりと取り組んでいただくことと、教職員の人的環境の充実、入学を希望する生徒や保護者への積極的な説明、円滑な導入に向けた事前の取り組みを求め、あくまでも子供ファーストで対応されるよう期待し、次の質問に移ります。  次に、学校における多様な性への理解の促進について質問いたします。ここ数年、性的マイノリティー、性同一性障害やLGBTなどの言葉に接する機会が多くなりました。性のあり方はいろいろであります。まず、LGBTとは、恋愛や性愛の対象、性的指向が女性同士の同性愛者を示すレズビアンの頭文字のL、男性同士の同性愛者、ゲイのG、同性も異性もその対象とする両性愛者、バイセクシュアルのB、そして性自認が自分の持つ性の感覚、いわゆる心と体の性の不一致があって、気持ちは女性だけれども、体は男性、あるいはその逆で、気持ちは男性だけれども、体は女性というトランスジェンダーのTからつくられた言葉で、性的少数者(マイノリティー)の総称の一つであります。ちなみに、性的指向や性同一性は、ともに本人の意思で選んだり変えたりすることはできないもので、ましてや矯正したり、治療したりするものでもありませんが、物議を醸す発言があちこちで聞かれていることからも、本人の意思や趣味、嗜好の問題との誤解が広まっているのも現実のようであります。  3年前の電通の国内調査では、7.6%、13人に1人がLGBTであるとの結果でした。三重県が昨年、宝塚大学と共同実施した高校生1万人対象の調査では10%いるという結果も出ております。  ことし1月、地元の成人式における成人の主張で「自分らしく生きること」と題したある成人者の話を聞きました。背広にネクタイ姿の彼は、皆さん、LGBTの言葉を知っていますか。僕はトランスジェンダーです。僕は体が女性、心は男。中学生のころ、性的違和感をいろいろな場面で感じていた。でも、それがどういうことかわからなかった。高校生になって深く考えるようになり、いろいろ調べた結果、自分が性同一性障害だと確信した。男になりたい。心の性に体を一致させたい。でも、家族や友人に打ち明けられずに1人で悩み、つらく苦しい毎日だった。周りの目を常に気にして過ごすつらさや偏見への怖さに自分らしく生きることができず、自暴自棄に。でも、卒業後、同じ境遇の子と出会い、仲間ができたことをきっかけに、家族や友人にカミングアウトできた。人はいろいろな考えを持ち、必ずしも全部理解してもらえるとは思えない。でも、どんなことがあっても前向きに堂々と自分らしい人生を歩んでほしい。皆さんに少しでも勇気を与えられたらとの思いで、今回、成人の主張をしたと結んでおりました。会場は、彼の勇気ある一歩をたたえ、ありのままの彼を受け入れる思いがあふれるような拍手で包まれました。  後日、その本人と会い、小さいときから今日に至るまでのさまざまな出来事や思いを伺いました。そして、今は男性として生きがいを感じながら伸び伸びと一生懸命仕事に専念していると目を輝かせながら話をしてくれました。また、今の社会に求めるもの、それは小さいころからの教育が重要であることや、みんなに自分たちのような存在を知ってもらいたい、理解してもらいたい。決して特別扱いされたいとは思っていない。ただ、気兼ねなく利用できる施設や安心できる場が欲しいだけと言っておりました。  LGBTの当事者の方々はさまざまな困難に直面し、多くの方が生きづらさを感じておられます。こうした現状から、差別や偏見のない共生社会とするための啓発や支援体制をしっかり構築しなければと思いました。特に児童生徒が多様な性への認識と理解を深めることは大変重要であります。  そこで、今後、学校における多様な性への理解の促進についてどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。県教育委員会におきましては、さまざまな人権問題の解決に向け、教育活動全体を通して児童生徒の人権意識の高揚を図っているところであります。LGBTを含む性の多様性に係る人権問題につきましては、指導者用リーフレットの配付や研修などを通して、教職員の指導力の向上に努めるとともに、児童生徒には、発達段階を踏まえて作成した学習資料「人権の窓」の活用等により理解促進を図っているところです。こうした取り組みにより、各学校においては、教職員が性の多様性について、日ごろから理解ある言動を行うとともに、個々の違いを認め合える環境づくりを進めているところであります。  今後とも、児童生徒が互いの個性や多様性を受け入れ、尊重し合えるよう、学習内容や指導方法の改善・充実に努め、積極的に人権教育を推進してまいります。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) ただいまの答弁では、子供たちの発達段階に合わせて段階的に内容を変えるなど工夫されているということであります。ただ、児童生徒だけでなく、教職員全員の理解とおっしゃられましたけれども、研修への参加率を見ますと、人権担当や生徒指導の先生たちが専らで、参加率はとても少なく思います。さきにご紹介した三重県のアンケート調査では、性的マイノリティーの高校生の約6割がいじめ被害に遭ったことがあるとのことです。そして約3割が自傷行為をしようとしたのではなくて、実際にした、経験しているということであります。また、東京都世田谷区が約1,000人のLGBT当事者を対象としたアンケート調査では、2人に1人、約5割が「自殺を考えた」との回答でありました。これらの結果から、LGBTに対する差別や偏見は想像以上に根深く、課題認識や危機感をこれまで以上に持つべきと痛感いたしました。より多くの教職員がLGBTに関する研修に参加できるような仕組みづくりと、LGBTの児童生徒にしっかりと向き合い、性の多様性を尊重する学校の環境整備をでき得る限り早急に実現されるよう、教育長に要望いたします。  次に、県民生活部長に再質問いたします。LGBTへの差別や偏見のない共生社会づくりには、児童生徒や教職員に限らず、県民全体への啓発も不可欠です。  そこで、県民へのLGBTの啓発等について今後どのように取り組もうとしているのか、県民生活部長にお伺いいたします。 ○五十嵐清 議長 石﨑金市県民生活部長。 ◎石﨑金市 県民生活部長 再質問にお答えいたします。LGBTへの偏見や差別は私たちの身近にある人権問題であると考えております。そのため県では、栃木県人権施策推進基本計画にこの問題を位置づけまして、偏見や差別を解消するための啓発等に取り組んでおります。  具体的には、広く県民の皆様を対象とした講演会を開催しましたり、ヒューマンフェスタとちぎといったイベント等において資料の展示、配布を行っております。また、昨年度は、県、市町の職員を対象に、LGBTの当事者をお迎えしましてセミナーを開催したところであります。  今後とも、国や市町、関係団体等と連携しまして、多様な性の理解促進に向けて幅広く啓発に取り組んでまいりたいと考えております。 ○五十嵐清 議長 阿部博美議員。    (15番 阿部博美議員登壇) ◆15番(阿部博美議員) 栃木県は啓発段階で、講演会や資料配布、セミナーの実施ということでありますが、電話相談や居場所づくりという当事者向けの支援はまだなく、総合計画や基本計画、条例作成にはほど遠く、今やっとスタートラインに立ったところだと認識しました。しかし、全国の自治体では、印鑑登録証明書を初め各種書類の性別記入欄を削除するなど、LGBTに配慮した取り組みが広がっております。私は、今後目指すべきは、カミングアウトできる、できないではなく、カミングアウトする必要がない、多様なあり方をお互い自然に受け入れる社会の実現だと思います。それにはまず、県の全職員のLGBTへの正しい理解と部局横断的な検討の場を設け、本県のLGBTに係る指針を策定するなど、計画的に対応していくことを強く要望いたします。よろしくお願いします。  栃木県には、障害者差別解消推進条例、ひとにやさしいまちづくり条例等々、数々の条例が制定されております。これは1発の打ち上げ花火ではありません。具現化してこそ意味を持ちます。加えて、どこかの政党のせりふではありませんが、2番ではだめなんですかなどという悠長な考え方でいたら、他の都道府県にどんどん取り残されてしまうと思います。  今回、私は近い将来、そして未来に向け、今のままでは選ばれるとちぎにはなり得ないという危機感を持ってこの場に立ちました。この際は、おとなしく目立たずという県民性を拭い捨て、どこにも負けない日本一優しい県づくりに、県を挙げてオール県民で取り組んでいこうではありませんか。  これをもって私の質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。 ○五十嵐清 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。あす27日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後3時29分 散会...