栃木県議会 2014-12-01
平成26年度栃木県議会第326回通常会議-12月01日-02号
平成26年度
栃木県議会第326回
通常会議-12月01日-02号平成26年度
栃木県議会第326回通常会議
〇十二月一日(月曜日)
出席議員 四十八名
一 番 齋 藤 淳 一 郎
二 番 佐 原 吉 大
三 番 相 馬 政 二
四 番 阿 部 博 美
五 番 池 田 忠
六 番 五 十 畑 一 幸
七 番 亀 田 清
八 番 欠 員
九 番 鶴 貝 大 祐
十 番 早 川 け い こ
十一番 渡 辺 さ ち こ
十二番 加 藤 正 一
十三番 角 田 ま さ の ぶ
十四番 白 石 資 隆
十五番 西 村 し ん じ
十六番 野 澤 和 一
十七番 神 林 秀 治
十八番 関 谷 暢 之
十九番 中 島 宏
二十番 横 松 盛 人
二十一番 阿 部 寿 一
二十二番 金 子 裕
二十三番 相 馬 憲 一
二十四番 中 川 幹 雄
二十五番 増 渕 三 津 男
二十六番 斉 藤 孝 明
二十七番 松 井 正 一
二十八番 保 母 欽 一 郎
二十九番 一 木 弘 司
三十番 山 口 恒 夫
三十一番 佐 藤 良
三十二番 山 形 修 治
三十三番 若 林 和 雄
三十四番 五 十 嵐 清
三十五番 岩 崎 信
三十六番 小 林 幹 夫
三十七番 五 月 女 裕 久 彦
三十八番 花 塚 隆 志
三十九番 早 川 尚 秀
四十番 佐 藤 栄
四十一番 神 谷 幸 伸
四十三番 螺 良 昭 人
四十四番 三 森 文 徳
四十五番 石 坂 真 一
四十六番 木 村 好 文
四十七番 髙 橋 文 吉
四十八番 平 池 秀 光
五十番 渡 辺 渡
五十一番 欠 員
五十二番 板 橋 一 好
地方自治法第百二十一条の規定による出席要求によって出席した者
知事 福 田 富 一
副知事 鈴 木 誠 一
副知事 馬 場 竹 次 郎
総合政策部長 関 根 房 三
経営管理部長 池 田 清 貴
県民生活部長 平 野 博 章
環境森林部長 櫻 井 康 雄
保健福祉部長 名 越 究
産業労働観光部長 荒 川 政 利
農政部長 水 沼 裕 治
県土整備部長 吉 田 隆
会計管理者会計局長
川 上 丈
企業局長 北 村 一 郎
総合政策部次長兼
総合政策課長
金 田 尊 男
財政課長 矢 野 哲 也
教育長 古 澤 利 通
代表監査委員 石 﨑 均
人事委員会事務局長
角 田 孝 之
労働委員会事務局長
山 中 晃
警察本部長 桑 原 振 一 郎
――
―――――――――――――――――――――――――――
◎坂東哲夫 事務局長
出席議員数を報告いたします。
ただいまの
出席議員数は四十八名であります。
――
―――――――――――――――――――――――――――
午前十時 開議
○螺良昭人 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
日程第一 第一号議案から第四号議案まで、第七号議案、第九号議案から第十一号議案まで及び第十三号議案から第十六号議案までを一括して議題とし、質疑を行います。
この際、お諮りいたします。質疑とあわせて県の一般事務に関する質問を行うことにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○螺良昭人 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。
発言通告者に対し、発言を許します。
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) とちぎ
自民党議員会を代表いたしまして、質問いたします。よろしくお願いします。
初めに、平成二十七年度当初
予算編成方針について、知事に伺います。来年度の編成方針については、さきの九月通常会議の最終日に、本会議の場で、
県政経営基本方針の概要とあわせて知事から説明をいただきました。
予算編成方針の説明については、平成二十四年度の
議会あり方検討会における提言を受け、昨年度から実現したものですが、本格的な
予算編成作業に入る前のこの段階で知事の考えを伺い、編成当初からかかわっていくことは、県政における二元代表制の一翼を担う県議会として、まことに意義のあることと考えています。
現在、県では、
財政健全化取組方針に基づき持続可能な財政運営に取り組んでおり、平成二十五年度、二十六年度と二年連続で
収支均衡予算を編成し、
財政調整的基金についても、平成二十五年度末で七百三十五億円を確保していますが、今後は公債費や
医療福祉関係経費に加え、
総合スポーツゾーン整備費を含めた
国体関連経費などの増加が見込まれます。
一方、安倍総理は、先月十八日、消費税率一〇%への引き上げを一年半先送りすると決断しました。消費税率の引き上げを見送ったことで、来年度の地方財政への影響は避けられず、また、
財務省サイドは来年度の予算編成に当たり、
地方単独事業の削減や
地方交付税の別枠加算の即時廃止を求めており、本県の予算編成にも少なからぬ影響が生じるものと考えます。
そこで、こうした状況の中で、どのような考えで平成二十七年度当初予算を編成していくのか、知事に伺います。
また、安倍総理は十八日の
経済財政諮問会議で、当面の景気を下支えするための経済対策に取り組むことを表明しましたが、県としても、県内経済を活性化させて県税収入を確保するという観点からも、景気対策に取り組む必要があると考えますが、どのように対応していくのか、あわせて知事にお伺いします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの
早川尚秀議員のご質問にお答えいたします。
財政健全化取組方針に基づく
財政健全化の取り組みにより、平成二十六年度当初予算では、二十五年度に引き続き
収支均衡予算を編成いたしましたが、
中期財政収支見込みでは二十七年度以降も財源不足が見込まれているなど、今後の予算編成は予断を許さない状況にあります。
国におきましては、去る十一月十八日、
消費税率引き上げの先送りを発表いたしましたが、これに伴い、予定されていた社会保障の充実に係る対応等について、本県の当初予算編成にも
歳入歳出両面にわたる影響が懸念されるところであります。また、
地方交付税を削減する動きもありますことから、国に対し、社会保障への対応を含め必要な
地方一般財源総額を確保するよう、
全国知事会等を通じて強く求めてまいります。
平成二十七年度当初予算編成に当たりましては、取組方針の目標である
収支均衡予算の継続を基本としつつ、計画期間の最終年度となる新とちぎ元気プランの総仕上げを図るほか、平成二十七年度
政策経営基本方針に掲げた、成長への確かな歩みと県民がその成果を実感できる取り組み、人口減少問題への対応などの重点事項に取り組むとともに、新たな行政課題についても的確に対応してまいりたいと考えております。
このため、県民ニーズの検証や費用対効果の観点から施策の優先順位を見きわめるとともに、国の予算編成の状況も注視しながら事業内容及び事業費の精査を行う一方、県税収入の動向や国の
地方財政対策等を踏まえ必要な財源を確保し、めり張りのついた予算編成に取り組んでまいります。
また、国においては現在の経済情勢を踏まえ、今後、新たな経済対策を策定し、補正予算の編成を行うこととしております。県といたしましては、今後の国の予算編成の状況を十分に把握した上でこれに呼応し、平成二十六年度二月
補正予算等において、県内経済の活性化に向け積極的に取り組んでまいりますので、議員各位のご理解とご協力をお願いいたします。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) ただいま知事の答弁の中で、国の政策に積極的に呼応していくということであるとか、また、二月補正予算という言葉も出てまいりました。前向きな取り組みに大変期待をしているところであります。国がどのような具体策を出してくるかも大いに期待するところでありますが、知事がおっしゃったように、乗れるものだけに乗るという対応ではなくて、県独自のものに対しても、多くの県民が期待しているところだと思います。
先日、我々とちぎ自民党では、毎年開催しております
県内各種団体との
政策懇談会を、ことしも丸三日間かけて行いました。その中で、経済団体からも多くの要望をいただきました。例えば官公需法に基づき契約目標を掲げることであるとか、創業補助金の
常設制度化であるとか、
県制度融資における
融資期間中途の据置期間の任意適用であるなど、いろいろなご要望をいただいたところであります。私たちもいただいた要望を踏まえて、新年度に向けて積極的に活動していきたいと思っているところであります。知事当局におかれましても、本県の実態、実情等をしっかりと踏まえて、県独自の経済政策についても積極的に取り組まれますように、強く要望いたします。
次に、
人口減少対策につきまして、知事にお伺いします。
人口減少時代を迎え、若年人口の減少により、多くの地域で経済の活力が低下し、それがさらに人口流出に拍車をかける悪循環が起きています。このような
人口減少社会の諸問題に対応していくために、国においては、まち・ひと・し
ごと創生本部を設置するとともに、今般、まち・ひと・し
ごと創生法が成立したところであり、今後、地方に対し、地域の特性に即したさらなる積極的な取り組みが求められてきます。
一方、県においては、九月
通常会議最終日に、本会議の場で説明されました平成二十七年度
政策経営基本方針において、人口減少問題への対応を重点事項として掲げられ、去る十月二十七日には、県が主体的かつ部局横断的に
人口減少対策に取り組むため、知事を本部長とする栃木県
人口減少対策推進本部を設置されました。人口減少問題に全庁一丸となって取り組むための県の積極的な姿勢に大いに期待しているところであります。
人口減少対策は、大きく二つの柱から成ると言われています。一つは、
人口減少自体を積極的に解消しようとする、
人口減少そのものへの挑戦であり、これについては、出生率を高め、出生数の増加を維持するための長期的な対策であり、国の役割が大きいと言えます。
もう一つは、人口減少が少なくとも向こう半世紀以上は避けられないことを正面から受けとめる、
人口減少社会への挑戦です。これは、人口減少に伴う地域の変化に柔軟に対応し、地方から都市部に向けた一方的な人の流れを地方に向けて変えることであり、これについては地方の担う役割が大きいと考えます。
人口減少社会への挑戦のためには、人口が減少することを見据えてあらゆる施策を見直し、本県の自主性・独自性を最大限発揮した取り組みを行い、若者から高齢者まで、本県で健やかに住み続けることができる地域社会をつくり上げていくことが必要です。
そのためには、企業誘致の推進や農業の産業化、雇用の場の確保、さらには、仕事と子育ての両立ができるような社会とすることが重要であると考えます。それらに加え、私としましては、地域に住み続けてもらうためには、そして、新たな人を呼び込んでいくためには、さらに住環境整備や
社会資本整備、土地利用のあり方等についても大胆な取り組みが必要であると考えております。
そこで、まち・ひと・し
ごと創生法の成立により、今後、本県としても
地方人口ビジョンを策定し、さらには、
地方版総合戦略を策定していくことになると思いますが、県としては、今後、
人口減少対策にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。急激な人口減少は、地域社会の存続をも脅かしかねない極めて重要な課題であります。それぞれの地域の実情や人々の意識などをしっかりと捉え、これまでの制度や社会のあり方についても、改めて根本的に見直しをしながら取り組んでいく必要があると考えております。
まず、次代を担う若者が仕事を持ち、生活の基盤を築き、将来に夢を持てるよう、結婚から子育てまで幅広く切れ目のない支援の充実に取り組むとともに、企業等を含めた地域社会全体で子育てを支える意識変革を強く促してまいります。
加えて、企業誘致や地域の特性を生かした産業の振興等により、雇用を創出し、若者の都市部への流出に歯どめをかける取り組みを進め、地域経済の活力を生み出すとともに、県外から人を呼び込むことにもつなげてまいりたいと考えております。
あわせて、人口減少と超高齢化に適応した、より効率的・効果的な
行政サービスや、安心して暮らせる地域での支え合いなどを進めるほか、土地利用のあり方を含めた県土づくりについても検討を進めてまいります。
また、人口減少問題は、国と地方が英知を結集して克服していかなければならない課題であります。市町との十分な連携を図るとともに、国に対し、
全国知事会等を通じ地方の声を積極的に伝えてまいりたいと考えております。
人口減少問題という前例のない困難な課題に取り組むため、従来の枠組みにとらわれない柔軟な発想で明確なビジョンを描き、未来に希望と誇りを持てるとちぎづくりに果敢に挑戦してまいります。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 私は、平成二十四年の一般質問でも、人口減少問題を取り上げました。栃木県の実情、自然減・社会減とダブルの減にあると。その中でも特に社会減につきましては――つまりは、出ていく人のほうが、入ってくる人よりも多いということですが、この社会減については、
取り組みがいがあるのではないかということを申し上げたところでした。そのとき知事は答弁で、さまざまな取り組みを推進することで栃木の総合力を高め、広く県内外へ発信していくことが必要という答弁をされております。今回、この質問を改めて取り上げるに当たりまして、本音としましては、それぞれの部で
人口減少問題対策としてどのようなことができるか、各部ごとにお聞きしたいところでありますが、時間の制約もありますので、
人口減少対策推進本部について、知事に改めてお伺いしたいと思います。
今回の
人口減少対策推進本部は、各部ごとのそれぞれの取り組みをまとめていく、また、つなげていくところであると理解をしておりますが、この
人口減少対策推進本部がどういう調整、取り組みをやっていくのか、改めて知事にお伺いしたいと思います。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。栃木県
人口減少対策推進本部についてでありますけれども、国のまち・ひと・し
ごと創生本部の設置等を踏まえまして、
人口減少対策に部局横断的に取り組む必要がありますことから、県の推進体制として整備をしたものでございます。この本部が中心となりまして、国の動向の把握にまず努めてまいりたい。
さらには、並行して市町との情報共有や共通認識を図りながら、産業の振興による雇用の創出や子育て、教育環境の充実、にぎわいの創出など、ご指摘がありましたように庁内の全ての部局が一丸となって自然減への対応、現在は減少しておりますけれども、社会増への取り組み、これらについて効果的な施策が展開できるよう取り組んでまいりたいと思います。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 社会増への取り組み、大変期待をしているところであります。先日発表されました
若者意向調査の結果をご紹介しますと、ご存じのことだと思いますが、約七二%の高校二年生が、栃木県や市町村へ愛着を感じていると答えております。また、栃木県内への居住意向としましては、約五四%の高校二年生が栃木県に住みたい、または、一度は県外に出ても、将来戻ってきて住みたいと回答しているということで、期待をしているところであります。
こういった若い方々の思いにしっかりと応えていくためにも、繰り返しになりますが、知事の答弁にありましたとおり、栃木の総合力を高めながら、それを広く県内外へ発信しながら、雇用の確保などに重点的に取り組んで総合力を高めていくことが大変必要であると思っております。我々といたしましても、執行部の皆さんと議論を深めながら、この問題については全力で取り組んでいきたいと思っております。これからもどうぞよろしくお願いいたしまして、次の質問に入ります。
次に、
指定廃棄物処分場について、知事にお伺いします。去る七月三十日、国から、
指定廃棄物処分場の
詳細調査候補地として、塩谷町寺島入が提示されたところですが、一部の市町長が県外処理などを主張されていたことを受けて、十一月九日に、
望月環境大臣出席のもと、第六回
指定廃棄物処理促進市町村長会議が開催されました。この会議の中でも、「本県の
指定廃棄物を福島第一原発周辺で処理すべき」などの発言がありましたが、
望月環境大臣は、「福島県にこれ以上の負担を強いることは到底理解が得られない。県内処理の基本方針は見直さない」と明言をされました。
また、これまで
市町村長会議で議論を重ね、県内処理に理解を得てきたこと、国が
処分場候補地選定手法を決定してきたことは尊重されるべきであると、九月議会の代表質問でも述べられたとおりであります。
現在、福島県においては、県内で発生する
指定廃棄物のみならず、さらに高濃度の放射性物質に汚染された廃棄物についても処理が始まっていない極めて厳しい状況にあります。十一月十二日に就任された内堀知事も、「各県処理の基本方針は閣議決定しており、国が該当する県や自治体と対応していくことが必要だ」と発言されており、これ以上、県外での処理を論じることは、
指定廃棄物の問題解決をおくらせるだけではないでしょうか。一方で、地元関係者の方々には大変なご心労をおかけしていることも、また事実であります。
そこで、
指定廃棄物の県内処理に向けて、地元の理解が大変重要でありますが、県としては、今後どう取り組んでいかれるのか、知事にお伺いします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。
東日本大震災発生から三年半以上が経過いたしましたが、
指定廃棄物は、いまだに農家や事業所など県内約百七十カ所に分散して保管されている状況が続いており、私は、一日も早く安全な処分場を設置し、適正かつ安全に処理する必要があると繰り返し申し上げてまいりました。市町長の中には、福島県で処理すべきとの意見もございますが、福島県の厳しい現状を見ますと、栃木県知事として、とても福島県知事にお願いできる状況ではございません。
今回、国から改めて県内処理の方針が示された以上、行政の責任を果たすためには、苦渋の選択ではありますが、国が全責任を持って県内に処分場を設置し、安全に処理することが、現実的な解決策であると考えております。
指定廃棄物は、私たちの日常生活から排出されたものであり、
原子力発電施設から出る
放射性廃棄物とは全く次元が異なるものであります。
指定廃棄物に関しましては、まだまだ多くの誤解がありますことから、国に対し、まずは国民向けの啓発活動をしっかり行うよう要請しているところであります。
また、処分場の設置につきましては、地元の皆様の理解を得て進めていくことが最も重要でありますので、
地元説明会が早期に実施できるよう、国に対し、強く要請してまいります。
県といたしましては、国における
詳細調査候補地の
選定プロセスが、決められた手法にのっとり適切に行われたのか、栃木県
指定廃棄物処分等有識者会議を通して検証を進めていくとともに、地元の皆様の疑問等につきましても、
有識者会議の委員のご助言を得ながら、一つ一つ丁寧に対応してまいります。
指定廃棄物の処理につきましては、県民全体で解決すべき重要な課題でありますので、今後とも、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 知事の考えはわかりました。再度質問したいところがあります。第六回の
市町村長会議で、知事は国に対し、「五十年後か百年後かわからないが、
放射能レベルが減衰した
指定廃棄物を掘り出し、路盤材等に再利用するなどして跡地を原状回復する考えはないか」という発言をされましたが、その知事の発言の趣旨につきまして、改めてお伺いしたいと思います。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。
指定廃棄物、すなわちセシウム134、137でございますけれども、これは
放射能レベルが時とともに減衰することとなっております。そういう意味で、処分場は永久に設置し続ける必要はないのではないかと、そして、時間がかかっても、もとのとおりの自然に戻すということを約束したほうが、住民の方々の理解も得やすいのではないかと考えております。
そのようなことから、第六回栃木県
指定廃棄物処理促進市町村長会議において国に提案をしたところでありますが、国には重く受けとめていただいたと考えております。今後、国の
有識者会議の中で検討してくださるということになっておりますので、議論の成り行きについて注目をしてまいりたいと思います。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 知事の考えはわかりました。知事が、新たな提案をされているその努力につきましては、敬意を表するところであります。知事のこのコメントに対しまして、県内の首長からは、――新聞紙面からの情報しか持ち合わせませんが、
指定廃棄物を一時保管する仮置き場を安全な状況にした上で、放射線量の減衰や処理技術の進歩などを待つ暫定保管が現実的な対応というようなことで、知事のお考えに疑問を示したような報道もあったわけであります。
ただ、先ほど知事の答弁にもありましたように、私有地や民地に百七十カ所も残っているものを、そのまま残すのか、百七十カ所を集約するのか。集約するとしたら、どこを残して、どこをなくすのか。だれがどうやって管理するのか。それは、市町村に任せていくのか、個人に任せていくのか。この考えにもさまざまな疑問があるわけでありまして、やはり知事の答弁にもありましたとおり、県としてはしっかりと国に働きかけをしながら取り組んでいくことが必要だと思います。そして、一日も早い解決を心からご期待申し上げ、次の質問に移ります。
次に、フードバレーとちぎの推進について知事に伺います。農商工連携や農業の六次産業化、一・五次産業化などを通じ、食品関連産業の振興を図るフードバレーの取り組みは、栃木県の立地や特色にも合致する構想だと思っています。県がフードバレーとちぎを打ち出し、平成二十二年十一月に、県内の食に関する幅広い主体が結集し、活発に交流・連携する場としてフードバレーとちぎ推進協議会を設立してから四年が経過しようとしていますが、今まさにもう一段ギアを上げて取り組んでいくときではないかと思っております。
これまでの取り組みを見てみますと、例えば六次産業化に注目しますと、そのほとんどが農産物直売所などにおける消費者への直接販売であり、また、六次産業化法に基づく事業計画の認定数は、本県は三十一件で大半が農業者の取り組みであるなど、商工業者との連携が十分広がっているとは言えないと思っておりますし、さらなる推進が必要であると考えております。
県が、生産者と中間加工事業者、そして食品メーカーを双方向でつなぐ役割を果たしていくことは重要であると思いますし、さらには、六次産業化や農商工連携で開発された本県ならではの商品を国内外へ販路を見出していく、国内外から食品メーカーを呼び込んでいくといった必要もあると考えます。折しも、先日、県内に日本貿易振興機構(ジェトロ)の地方事務所、ジェトロ栃木貿易情報センターが来年四月に開設されることが決まり、海外販路開拓などに向けたサポート体制が強化されたところであります。
そこで、県は、フードバレーとちぎを今後どのように展開していく考えか、知事にお伺いします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私は、本県経済が持続的に発展するためには、本県の強みを生かしたものづくり産業の振興に加え、内需型産業である食に関連する産業振興を図ることが重要であると考え、フードバレーとちぎを新とちぎ元気プランのプロジェクトに位置づけ、さまざまな事業を積極的に展開してまいりました。その推進母体となるフードバレーとちぎ推進協議会は、会員数が設立当時の倍以上の六百七十を超えるなど、会員間の連携による取り組みの輪が着実に広がっております。
特に、商品開発では、専任のコーディネーターの配置や農業者と食品加工業者とのマッチング会を開催しているほか、食品技術研究会において農業者・食品加工業者と試験研究機関が共同で商品開発を行い、機能性や付加価値の高い、例えば「スカイベリー」を使ったかき氷ソースやユズの入ったギョーザなど、本県ならではの魅力ある商品がつくり出されております。
また、農業者の六次産業化の取り組みにつきましては、消費者の心をつかむ商品の開発や、展示商談会への出展などを支援した結果、県北の酪農家が製造したチーズが、国際線ファーストクラスの機内食に二年連続で採用されるなどの成果が生まれております。
こうした中、国内の人口減少に伴う国内市場の縮小等が進むことから、海外への展開が重要と考え、本年六月に海外販路開拓部会を新たに設置するとともに、十月にはシンガポールを訪問し、私が先頭に立って本県の農産物や食品を大いにPRしてまいりましたが、経済成長が著しい東南アジア市場への新規開拓に強い手応えを感じたところであります。さらに、来年四月にはジェトロ貿易情報センターが本県に開設されますことから、その専門的ノウハウやネットワークを活用し、海外への販路拡大に弾みをつけたいと考えております。
今後とも、重点推進項目である商品開発、販路開拓、企業誘致、関連産業の高付加価値化に取り組むとともに、消費者の視点をより取り入れた商品づくりを推進し、あわせて、本県のすぐれた食の魅力を国内外に広く発信しながら食のブランド化を図り、フードバレーとちぎが本県経済の活性化と成長の牽引役となるよう積極的に取り組んでまいります。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 例えば、タマネギとかトマトを例に挙げますが、メーカーによっては丸のまま仕入れたい、あるいは細かく刻んだ状態で仕入れたい、あるいはペースト状で仕入れたいなど、さまざまなニーズがあろうかと思います。そこで、県内で、そういった加工ができる事業者をリストアップしデータベース化して、それを農業生産者、メーカー、そしてその中間事業者と双方向でつないでいくということは、すぐにでもできる取り組みだと思います。
今、ジェトロにつきまして、知事から、ネットワークを活用して弾みをつけていきたいというような答弁がありました。これについて、少し詳しく
産業労働観光部長にお伺いしたいと思います。広く県内産業の海外進出であるとか、海外展開であるとか、あるいはその中でも特に食品加工関係ですね、フードバレーという観点からも、このジェトロの県内立地というのは、栃木県が飛躍するチャンスであると思います。
そこで、県としましては、このジェトロにどのようなことを期待をし、どのような連携を図っていくのか、
産業労働観光部長にお伺いします。
○螺良昭人 議長 荒川政利
産業労働観光部長。
◎荒川政利
産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。ジェトロ貿易情報センターの県内設置につきましては、輸出入や海外展開を考えている県内企業にとりましては、その進出しようとする国や地域の、カントリーリスクも含めた生の情報に基づいてリアルタイムで相談できるということで、非常に有意義なことと思っております。
それから、ジェトロでは、専門的なノウハウを生かした海外展開に向けたセミナーや、個別企業支援を行っておりますので、県内の有望輸出企業の掘り起こしといったことにもつながるものと思っております。
県といたしましては、ジェトロの持つノウハウと海外に七十を超す事務所、こういったネットワークを生かしながら、本県海外ビジネスの総合拠点として、しっかりと連携しながら活用していきたいと思っております。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) それでは、視点を変えまして、農業の振興ということも含めまして、植物工場について質問したいと思います。このところ、東芝、富士通、パナソニックといった大手電機メーカー、さらにはトヨタ自動車とかフジフィルムといった大手企業が、相次いで植物工場の分野に参入してきています。年間を通じて計画的に植物が収穫できる園芸施設のことでありますが、日照時間が長い、自然災害が少ない、首都圏からのアクセスがいいといった栃木県の条件にも当てはまるのではないかと私は考えております。この植物工場の誘致、あるいはその可能性について、どのようにお考えになっておられるか、改めて、
産業労働観光部長にお伺いしたいと思います。
○螺良昭人 議長 荒川政利
産業労働観光部長。
◎荒川政利
産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。一定要件を満たす植物工場につきましては、食品関連産業ということで位置づけまして、県の企業立地優遇制度の対象業種に指定しております。今後とも、地域の活性化にもつながることでございますので、そういった植物工場の県内への誘致につきましても、積極的に支援をしてまいりたいと思っております。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 積極的にという答弁があって、よかったなと思っております。今後、二〇二五年には、一千五百億円規模にまで市場規模が拡大するというような予測もあります。もちろんこれは、地元の農業者や農業団体のご意見もお聞きしながらということであろうかと思いますけれども、空き工場の情報を集約化していくとか、あるいはデータベース化してそれを提供していくとか、植物工場向けの産業団地を造成するなど、いろいろな取り組みを検討してもいいのではないかと思っております。そして、全体像として栃木の野菜、栃木の農業として売り出していくことも、また一つではないかと考えております。栃木県の産業振興のツールとして使っていくこともできると考えており、税収、雇用の観点からも重要であると思います。
実は、自民党のほうでやっております農業の改革計画でも、植物工場、販売加工施設など農業の六次産業化、成長産業化に資する農地転用については、より円滑な転用を可能とする観点から、見直しを行うというようなことも書かれておりますので、今後、土地利用についても、規制緩和が進むようなことも期待されるわけであります。ぜひ、この植物工場につきましても、農政部とともに前向きな検討をしていただけますようお願いいたします。
また、マーケティングも引き続きお願いします。昨今の世界的な日本酒ブームもありまして、酒米が不足しているという報道がなされております。栃木県の試験場は大変技術力も高い、開発能力も高いところでありますので、ぜひマーケティングをしっかりと行っていただいて、栃木の農業の振興につながるような開発を積極的にしていただけますように、農政部にもお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、新しい食肉センターの整備につきまして、知事にお伺いします。新しい食肉センターにつきましては、県内三カ所の食肉センターの老朽化を踏まえ、現在、食肉センター整備検討協議会において関係者による協議が行われています。
現在、協議会では、高品質な食肉の供給や、国内のみならず海外展開も視野に、戦略的な販売計画を見据えた先進的な食肉処理施設の整備について検討されていますが、中でも最も重要な課題は、建設場所をどこにするかということだと思います。
場所の選定に当たっては、生産地と消費地の状況を踏まえた上で、畜産農家や食肉事業者の双方の利便性や交通アクセス等を十分考慮し選定すべきであると思います。六月の議会での三森文徳議員の発言にもあったとおり、建設場所の選定については県の主導的な関与が望まれ、空いている工業団地、あるいは遊休化した公有地などの、ある程度まとまった土地の中から、交通利便性の高い場所をリストアップしていくことも必要であると思っております。例えば畜産酪農研究センターの再編整備に伴い未利用地となる芳賀分場跡地は、まとまった土地であり、真岡インターチェンジや新四号国道からも比較的近く交通アクセスもよいことから、有力な候補地ではないかと考えております。
そこで、新しい食肉センターの整備について、場所の選定も含め、今後どのように進めようとしているのか、知事の考えをお伺いします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。新しい食肉センターにつきましては、昨年四月に設置された整備検討協議会におきまして、輸出にも対応できる衛生水準の確保や県央部を優先した建設場所の選定など、県食肉流通合理化計画の整備目標に基づき、関係者とともに検討を進めてまいりました。
これまでに、専門のコンサルタントによる施設の機能・規模や概算事業費等の調査報告を踏まえて、屠畜方法や市場機能のあり方、輸出への対応方法などについて詳細な検討を重ねてきたところであります。特に建設候補地につきましては、十ヘクタール程度のまとまりがあり、用地の取得や用水の確保が容易であることなどを選定基準として、市町や関係団体に対し幅広く提案を呼びかけてまいりました。
こうした中、畜産酪農研究センターの再編整備に伴い廃止が予定されている芳賀分場用地につきましては、関係団体から候補地の一つとして活用案が示されたことから、現在、庁内において用排水や法規制の状況などを中心に利用可能性を検討しているところであります。今後、協議会におきまして、本年度末を目途に建設場所も含めた整備の内容や整備・運営主体、事業計画等から成る基本構想を策定することとしております。
新しい食肉センターの整備は、県民への食肉の安定供給に加え、輸出の取り組みや食品産業との連携などにより、本県畜産の競争力強化につながるものと考えておりますので、早期に施設が整備されるよう、今後とも協議会におきまして、主導的な役割を果たしてまいります。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 知事から、主導的な役割を果たしていきたいという答弁がありました。流通合理化による畜産の振興、食肉産業の振興という目的を達成できる場所に、目的を達成できる立派なセンターが早期に開設されますように、答弁にもありましたとおり、県の積極的、主導的な関与を強くお願いをして、次の質問に移ります。
次に、児童虐待対策の体制強化等について、知事に伺います。十一月は児童虐待防止推進月間でした。また、ことしは、小山事件から十年目ということで、県は、十一月十六日の子育て支援県民のつどいを中心に、積極的な普及啓発に取り組まれています。平成二十五年度の児童虐待の相談件数は過去最高でありましたが、この件数の増加には、こうした普及啓発の積極的な取り組みの影響もあるのではないかと考えております。
一方、児童虐待における死亡事例の検証報告書では、児童相談所や市町村等の対応に不十分な部分があったということで、今後の課題が明らかになりました。九月議会における五十嵐清議員の代表質問でも、検証結果の今後の対策への反映について、知事の考えを伺ったところでありますが、子供を健やかに育てるために、引き続き対策の強化が求められております。
こうした中、県では、平成二十五年度の県議会生活保健福祉委員会の特定テーマ「社会的養護体制の充実」の提言を受けて、今年度の新規事業として、児童虐待世代間連鎖防止事業を実施しています。
そこで、児童虐待世代間連鎖防止事業の取り組み状況はどうなっているのか、また、何よりも、児童虐待対策の中心となる児童相談所の体制等も早急に強化すべきだと思いますが、知事の考えをお伺いします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。本県における平成二十五年度の児童虐待相談対応件数は一千五百六十六件と過去最高となり、さらに、近年、死亡事例や重症事例などの発生が問題となっているところであります。児童虐待は、児童の人権を著しく侵害し、心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与える行為であり、その対策は、社会全体で取り組むべき喫緊の課題と考えております。
このため県では、県議会からのご提言も踏まえ、今年度新たに要支援児童放課後応援事業や退所児童等就労支援事業などの児童虐待世代間連鎖防止事業に取り組んでいるところであります。特に本年七月から事業を開始した要支援児童放課後応援事業におきましては、虐待リスクの高い家庭の児童を放課後に預かり、規則正しい食事など適切な生活習慣を身につけさせるための支援を行っており、既に一部の児童に生活態度の変化が見られるなど、一定の成果が上がっていると聞いております。
また、児童相談所の体制等の強化につきましては、児童の死亡事例の検証報告書等を踏まえ、児童相談所を中心に職員研修の充実、児童虐待対応マニュアルの見直しなどに取り組んでいるところであります。さらに、先月二十六日には、深刻な児童虐待事例への対応力を向上させるため、児童相談所と警察本部が連携し、職員合同による立入調査や臨検等の実働訓練を初めて実施いたしました。
今後とも、児童虐待の未然防止や早期発見・早期対応、さらには家庭復帰を含めたアフターケアなどの児童虐待対策の一層の充実を図るため、職員研修の充実や関係機関との連携強化に取り組むなど、児童相談所を中心とする体制強化に努めてまいります。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 県の積極的な取り組みは評価するところであります。
児童相談所につきまして、
保健福祉部長に再質問させていただきます。児童相談所は、虐待ばかりではなくて障害を持ったお子さんの相談など、さまざまな子供の相談を受ける県民利用施設であります。また、虐待に関しましては、保護者と児童相談所の職員が時には対立するような場面も出てくる場所でありますことから、早急に狭隘かつ老朽化した県南児童相談所の整備に取り組むべきであると思っておりますが、
保健福祉部長の考えをお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 名越究
保健福祉部長。
◎名越究
保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。児童相談所の整備につきましては、これまでも検討を進めてきたところでありますが、特に県南児童相談所につきましては、狭隘化に加え、耐震化に対する対策が急務となっております。その整備につきましては、早急に検討を行ってまいりたいと考えております。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 早急に取り組んでいただきたいと思います。十一月二十八日に厚生労働省の専門委員会が、児童相談所の体制、権限の強化や民間団体の活用などを盛り込んだ児童虐待対策強化の提言をまとめたとの報道がありました。児童虐待の根絶に向けて、国、県ともに、さらなる体制強化を強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
次に、子供を犯罪から守る活動の推進につきまして、県警本部長にお伺いいたします。栃木県の治安情勢は、刑法犯認知件数について見ますと、平成十一年から平成十五年にかけて大幅に増加しましたが、平成十六年から減少に転じ、昨年は一万八千九百二十四件と、平成二年以来、実に二十三年ぶりに二万件を下回りました。これにつきましては、県警察の皆様のご努力に加えまして、地域防犯組織など関係機関・団体の尽力も大きいと考えております。
しかしながら、このように刑法犯認知件数が大幅に減少しているにもかかわらず、県民の中には、いまだに治安に不安感を抱いている者が少なくなく、本年度の県政世論調査を見ましても、回答した県民の約四割が治安に対する積極的な評価をしておりません。
特に、今市事件が無事解決したとはいえ、県民の子供に対する犯罪への不安は根強いものがあり、県政世論調査においても七年連続で、県民が不安を感じる犯罪の第一位となっています。兵庫県神戸市において小学一年生の女児が殺害された事件を初め、全国的に子供たちが被害に遭う凶悪事件が後を絶たない中で、地域防犯組織との連携強化も含め、さらなる対応が重要であると考えております。
そこで、県警察では、子供たちを犯罪から守るため、今後どのように取り組んでいくのか、
警察本部長にお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 桑原振一郎
警察本部長。
(桑原振一郎
警察本部長登壇)
◎桑原振一郎
警察本部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。子供が被害者となる犯罪を防ぐためには、警察活動の強化のみならず地域住民などとの連携強化が不可欠であると認識してございます。
県警察では、防犯ボランティアなどと連携いたしまして、通学路などの見守り活動や不審者に関する情報の提供を行っているほか、学校などと連携いたしまして、子供に危険を回避する能力を身につけさせるための参加・体験型防犯訓練を実施しているところでございます。
また、教育委員会やPTAなどのご尽力で、県内には約四万の子ども一一〇番の家が指定されていると承知しておりますけれども、県警察といたしましても、これまでに約八千の事業所などとの間で、子供の見守り活動や保護活動への協力を内容とした覚書を締結するなどして、社会全体での子供被害防止ネットワークの拡大を図っているところでございます。
これらに加えまして、今後、市町等で防犯カメラを設置するに際しては、設置場所や設置方法に関する助言等の支援を積極的に行うなどして、子供が犯罪に巻き込まれないための環境整備を一層推進してまいります。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 単純な比較はできないのですけれども、県内の自主防災組織数が二千三百五十九、防犯ボランティア団体数が一千二百六十という数字が出ています。これは各地区の防犯推進協議会の下に、町内ごとの防犯部的なものが組織されているところも多くありますので、実際の数字はもっと大きいものと思いますが、いずれにしましても、今後さらに地域での自助努力として組織化の促進と、その組織に期待する具体的な活動への助言や指導を、ぜひお願いしたいと思っております。
次に、教育問題について質問します。初めに、少人数学級の推進について教育長にお伺いします。次代を担う子供たちが、健全にたくましく成長していってほしいという願いは、いつの時代も普遍的なものであり、私たち大人は、そのための環境を整えていく責務があります。昨今、人々の価値観やライフスタイルが多様化し、加えて、インターネットの普及や相次ぐ自然災害等を背景にした情報モラル教育や防災教育など、教育現場にはより多くのものが求められるようになってきています。
過日公表されました県民意向調査では、「生きる力を育む」が重要度で第四位に入るなど、本県においても教育に対する関心は高く、教員一人一人が、一人一人の児童生徒に目を行き届かせながら、一人一人に合った対応をしていくことが求められており、少人数学級推進へのニーズは一段と高まっていると感じております。
本県では、平成十五年度から本県独自の少人数学級を展開し、現在はいきいきプロジェクトとして中学校全学年と小学校第一、二学年における三十五人学級を、そして、スマイルプロジェクトとして小学校低学年で必要度の高い学級と、特別支援学級を含む指導困難な状況にある小中学校に非常勤講師を配置する事業を導入しています。このことは、学校、家庭、児童生徒、全てから高く評価されているものと聞いています。
先日、財務省が、小学校第一学年における三十五人学級を見直し、四十人学級に戻すよう文部科学省に求める方針を示したとの報道がありました。私、個人的には、現場を無視した、とんでもない話だと思っています。
そこで、長年、少人数学級の推進に力を注いできた本県として、来年度以降、少人数学級をどのように進めていきたいと考えているのか、教育長にお伺いします。
○螺良昭人 議長 古澤利通教育長。
(古澤利通教育長登壇)
◎古澤利通 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。本県では、全国に先駆け、三十五人以下学級を中学校全学年で実現いたしました。現在は、小学校第一、第二学年にも拡大するとともに、非常勤講師配置による少人数指導とあわせて、本県独自の少人数学級として推進しているところであります。このことによりまして、児童生徒一人一人に対応したきめ細かな指導ができる環境が整い、学習のつまずきやいじめなどの問題行動等への早期対応が可能となるなど、着実に効果を上げているところであります。
今後とも、栃木の子供たち一人一人が、生き生きと学びたくましく成長していけるよう、本県独自の少人数学級のさらなる推進につきまして、国の動向を見きわめつつ、市町教育委員会と連携を図りながら、さまざまな観点から引き続き検討してまいります。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 私は、国においても、また、本県においても、少人数学級の制度が後退するということはあり得ないし、あってはいけないことだと思っております。仮に文部科学省が折れてしまって四十人学級に戻すようなことがあった場合には、本県ではどのような影響があり、また、教育長としては、どう対応していきたいと思っておられるのか、改めてお伺いしたいと思います。
○螺良昭人 議長 古澤利通教育長。
◎古澤利通 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。小中学校の学級編制につきましては、財源の面も含めて、国の方針によるところが非常に大きいと考えております。したがいまして、もし国が、小学校第一学年の学級編制を四十人に戻すということになれば、これまで推進してきました本県独自の少人数教育の現状を維持することは、なかなか困難になるかと考えております。引き続き国の動向を注視しながら、本県として適切に対応してまいりたいと考えております。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 本県として適切に対応ということでありますが、一クラスの人数を少なくしていく、そして、対応困難な場合には非常勤講師を配置して複数の目で見ていくというすばらしい制度は、今後さらに追求すべきことだと思います。例えば本県の非常勤講師の配置につきましては、少しずつですが、年々増員されて、現在、二百二十名とお聞きしております。しかし、現場からの要請・要望の数は五百人ということでありまして、まだ、現場との乖離が倍以上あるということであります。特に小学校一年生などにつきましては、全クラスに非常勤講師を配置してほしいという要望があるのも事実なのです。財政上の制約ということももちろんありますが、栃木県がこれまでに追求してきた少人数学級が後退することがありませんように、教育委員会の努力・熱意と、財政当局のご理解を強くお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
中学校の教科書採択につきまして、教育長に伺います。平成十八年に、約六十年ぶりに改正されました教育基本法では、「教育の目的」として、「人格の完成」や「国家・社会の形成者として心身ともに健康な国民の育成」を規定し、この教育の目標を実現するために、第二条に「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する」ことなど、今日重要と考えられる五つの教育目標を新たに規定しました。
学校教育は、この教育の目的のもと、次代と我が国を担う国民を育てるという教育の目標を達成するため、総合的に人間的に優秀な子供を育成するために行われるものであると考えます。だからこそ学校教育、特に義務教育においては、道徳や公共の精神、規範意識、国や郷土を愛する心などを育むことが重要になると思われます。
来年度は、中学校で使用される教科書の採択が行われます。この採択事務について、念のため申し上げますと、教科書発行者から県教育委員会に送付された見本本全てについて、附属機関である教科用図書選定審議会が調査研究を行い、県教育委員会はその答申を受けて教科用図書の調査研究資料等を作成し、各市町教育委員会に送付をする。そして、この調査研究資料を参考にするほか、各市町教育委員会が独自に調査研究した上で教科書を採択するということになります。
そこで、次代を担う子供たちに健全な教科書を届けるために、県教育委員会としては、教育基本法等の改正を踏まえ教科書採択についてどのように対応していくのか、教育長に伺います。
○螺良昭人 議長 古澤利通教育長。
(古澤利通教育長登壇)
◎古澤利通 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。教科用図書、いわゆる教科書は、学校教育におきまして教科の主たる教材として重要な役割を果たしており、その採択に当たりましては、法令等に従い適切に行うこととされております。
教科書採択に関しまして、県教育委員会では、採択権者である市町教育委員会等に対して、採択事務についての指導助言や教科書を調査研究する上で必要な資料の作成等を行っているところであります。
資料作成に当たりましては、教育基本法の改正等に伴い教科用図書検定基準が見直されたことを踏まえ、全ての教科書を対象に、学習指導要領に示された目標及び内容等に照らして綿密な調査研究を実施してまいりたいと考えております。今後とも、市町教育委員会等におきまして適切に教科書の採択が行われるよう、指導、助言に努めてまいります。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 県の教育委員会として、市町の採択事務に関する指導、助言だけではなくて、栃木県教育委員会として、栃木の子供たちには、このように理解をしてほしい、このような認識を持った大人になってほしいという、描くものがきっとあると思いますので、そういったこともどんどん伝えていっていただきたいと思うのです。
県の役割として重要なものと私が考えますのは、県が諮問する教科用図書選定審議会に対してなのですけれども、この審議会が調査研究を行う際に判断をする項目、ポイント、「観点」という言葉が使われておりますが、大観点、小観点、この小さい観点のほうの設定が重要だと思います。
そこで、この審議会へ諮問する際に設定するこの観点について、教育委員会としてはどのような点に留意していくのか、教育長の見解を改めてお伺いしたいと思います。
○螺良昭人 議長 古澤利通教育長。
◎古澤利通 教育長 調査研究資料の作成の観点につきましては、四つほど大観点を設けておりますけれども、教育基本法の改正、あるいは指導要領の解説の改正、こういったものを踏まえながら、それらを生かせるように観点の項目等については検討していきたいと考えております。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 教育長の答弁、検討していきたいということなのですが、何となく十分とは言えないような気がしております。
個別に具体例を挙げてみますと、例えば、領土に関する記述では、「北方領土や竹島、尖閣諸島について、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土」であるとか「不法占拠されている」と記載しているものもあれば、相手国の主張にも正当性があるような記述のものも、平成二十四年度の採択のときはあったわけです。
また、拉致問題についても、「日本との関係では拉致問題が残り、北朝鮮との関係はまだ好転していない」という一行だけの記述のものもあれば、巻頭に拉致被害者の方々の写真を掲載し、主権が侵害されるということはどういうことなのかということまで説明しているものもあったわけです。
もっと簡単なところで言いますと、例えば「蒙古襲来」、「元寇」ですね。これは「遠征」という表記をして、豊臣秀吉の「朝鮮出兵」は「朝鮮侵略」と表現するような教科書もあったわけです。
このように、それぞれの教科書がどのような主張を持っているか、どのようなことを子供たちに教えようとしているかには、違いがあるわけでありまして、この違いがわかるような調査研究資料をつくっていくことも、県の教育委員会として大事なことではないかと私は考えているわけであります。
例えば、埼玉県では、これは高校向けなのですが、高等学校地理・歴史科指導資料集というものをつくっております。この指導資料集は、教科書の記述が比較できるように、具体的には主な歴史的事件、事象等のうち、見方などが諸説分かれるものや書きぶりに幅がある項目などを取り上げ、その項目それぞれの記述を比較するための着眼点と記述のポイントを示す一覧表を作成しているということです。これは採択ではなくて、授業とか研修などで使うということなのですけれども、栃木県としても、こういった埼玉県の取り組みなども参考にしながら、ぜひ県としての子供に対する思いを伝えられるような教科書採択事務への指導、助言をしていっていただきたいと強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
最後の質問、領土に関する教育について伺います。近年、領土・領海をめぐる問題が一層注目されています。領土に関する教育については、学習指導要領に基づき、小学校から高等学校までの社会科等において、児童生徒の発達段階を考慮しながら、自国の領土について我が国が正当に主張している立場に則して、我が国の位置と領土、海洋国家としての特色、資源・エネルギー等について指導が行われています。
平成二十年度、二十一年度には学習指導要領を改訂し、海洋に関する教育の充実が図られ、さらに、平成二十六年一月には領土に関する教育の充実について、中学校及び高等学校学習指導要領解説の一部改訂が行われたところであります。
これらの趣旨を踏まえ、これからの国際社会を生きる子供たちが、領土について正しく理解し、国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを持つように、自国の領土に関する教育を充実させていくことが求められていると考えます。
そこで、本県においても領土に関する教育を充実させることは重要であると考えますが、教育長のお考えをお伺いします。
○螺良昭人 議長 古澤利通教育長。
(古澤利通教育長登壇)
◎古澤利通 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。学校教育におきましては、教科の目標や内容、その取り扱い等について示した学習指導要領に基づき指導を行うこととされております。このことを踏まえ、領土に関する教育につきましても、校種ごとに示された、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深める、現代社会の地理的認識を養うなどといった社会科の目標の達成に向けて、指導を行うことが重要であると考えております。
さらに、本年一月に、領土に関する教育の充実等を示した学習指導要領解説の一部改訂の通知が発出されたことを受けまして、関係機関や各学校等に速やかに周知するとともに、各市町教育委員会や県立学校等に対する研修会におきまして、改訂内容の具体的な説明を行ったところであります。今後とも、各学校におきまして学習指導要領及び解説の趣旨を踏まえた指導が適切になされるよう、市町教育委員会とも連携しながら指導助言に努めてまいります。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) この領土教育のツールについて、再度お伺いします。領土に関する理解を深めるために、副教材として、日本の位置や隣国との距離を把握しやすく、日本の領域全体を表現している新たな地図を作成し、各学校で活用していくという動きが、東京都、熊本県、岐阜県、島根県など、全国的に起こっているわけでありまして、本県では、この新しい、正しい日本地図をつくることについてどのように考えているのか、教育長のお考えをお伺いします。
○螺良昭人 議長 古澤利通教育長。
◎古澤利通 教育長 ただいまの再質問にお答え申し上げます。我が国の国土について正しく理解をするためには、領土を正確に表記した地図帳、日本地図を活用していくというのは、非常に大切なことであると思っております。現在、小中学生が使っております地図帳には、我が国の領土について正確に表記されておりますので、この地図帳を、社会科の学習はもとより、ほかの学習活動でも積極的に活用する、あるいは家庭生活の中でも活用するといったことを指導していくことによって、領土に関する教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
○螺良昭人 議長
早川尚秀議員。
(三十九番
早川尚秀議員登壇)
◆三十九番(
早川尚秀議員) 先ほど例示しました東京都、熊本県、岐阜県、島根県など、作成した県の多くが県立高の全クラスに配付をするとしております。中には、それを市町村立学校にも拡大していく県もあるように聞いております。また、国会の文部科学委員会のやりとりでも、こういった地方の動きに対しまして、大臣、副大臣からも、領土教育において、子供たちに正しい知識を学ぶ環境をつくってまいりたい、地方を応援したいというような答弁が多く出ていたところであります。
グローバル人材の育成を掲げて教育先進県を目指す本県の子供たちが、日本人としてのアイデンティティーをしっかり持って、自分にも、そして自分の国にも、愛情と自信と誇りを持って堂々と活躍していけるようになることを私たちは望んでおりますので、県教育委員会としても、こういったところにも留意をしていただいて、ぜひ、この副教材として正しい日本地図の導入についてもご検討いただけますようにお願いを申し上げます。
私たち県議会は、これまでも一問一答方式を初めとして、通年議会の導入、常任委員会、予算特別委員会、決算特別委員会等の持ち方について、みずから検討を重ね、改革を進めながら、議会活性化に取り組んできたところであります。毎月のように、全国の他県、他市から、先進地として多くの方々が調査に来られているということであります。そしてまた、我が会派では、毎年
政策懇談会を開催し、県の各種団体から三日ないし四日かけて政策要望を受け懇談をして、それに基づいて予算要望書、政策要望書をつくっていくわけであります。
このような議会活動をしっかりとこれからも続けていって、中身の濃い議会活動ができますよう努力をしていきたいと思っております。執行部とともに、よりよい栃木県づくりに努力していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○螺良昭人 議長 この際、十五分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午前十一時十分 休憩
――
―――――――――――――――――――――――――――
◎坂東哲夫 事務局長
出席議員数を報告いたします。
ただいまの
出席議員数は四十四名であります。
――
―――――――――――――――――――――――――――
午前十一時二十五分 開議
○螺良昭人 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) まず、先月発生いたしました長野県北部地震により、多くの住宅等が倒壊するなど甚大な被害が発生いたしました。被災された多くの方々に対し、心からお見舞い申し上げます。
さて、あす衆議院選挙が公示され、選挙戦も実質的に終盤に入りましたが、みんなの党が解党となり、我々みんなのクラブ議員も無所属の身になってしまいましたが、頑張りたいと思っております。結党の精神である「脱官僚・地域主権・生活重視」のもと、小さな政府の構築、地域主権型の道州制への移行の基本政策に立ち返り活動していきたいと、改めて決意を新たにしたところであります。そうしたことを念頭に置いて、みんなのクラブを代表して質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。
初めに、地方創生に向けた道州制の導入についてお伺いいたします。道州制の導入については、私は過去何回もいろいろな視点から質問させていただきましたが、今回は、あえて地方創生に向けた道州制という観点から質問させていただきます。
ことしの五月、有識者らでつくる日本創成会議、座長は元岩手県知事で総務大臣でありました増田寛也さんでありますが、消滅可能性都市の公表が呼び水となって、特に地方の人口減少問題が急速にクローズアップされてまいりました。
地方の活性化に関しましては、過去の政権においても、幾度となく取り組んできた記憶があります。例えば印象深かったのは竹下内閣、そのときは、私の師匠である渡辺美智雄先生が自民党の政務調査会長でしたが、竹下内閣では、ふるさと創生事業を打ち出し、全国の市区町村に一億円を交付し、そのユニークな資金の使い方が話題となったことが記憶に残っておりますが、これまでの政策では、必ずしも地域活性化や少子化対策で十分な効果を上げていないと考えております。
特に、東京、名古屋、大阪の三大都市圏と過疎化や高齢化に直面する地方との格差はなかなか縮まらず、
人口減少社会に突入した現在でも、東京には若者を中心に人口の流入が続いております。
こうした中、政府においては、地方創生をキーワードとして、先ほども早川議員のお話にありましたように、まち・ひと・し
ごと創生本部、いわゆる地方創生本部をことしの九月に立ち上げ、五十年後の日本の人口を一億人程度とする目標を掲げております。
その実現に向けて、先月、国会で成立したまち・ひと・し
ごと創生法では、少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施することを目的とし、長期ビジョン、総合戦略を策定することとしております。
今後、地方においても、国の長期ビジョン、総合戦略を勘案して、地域の自主性を重視した総合戦略等を策定して取り組んでいくことになりますが、地方創生に向けては、数々の施策を安倍総理も提言しておりますが、私は、まず現行の中央集権体制の行政システムを改め、国の権限、財源、人間の三ゲンを地方に移譲する道州制の導入が不可欠であると考えております。
道州制の導入により、地方が真に自立することで、それぞれの地域の課題を踏まえ、資源を十分に活用して創意工夫することで、東京一極集中を打破し、
人口減少社会において地方が真に輝く、まさしく活力ある地方を実現することができるものと考えております。
そこで、これまで、知事も道州制に関しては、賛成のお立場であると私は認識しておりますが、東京一極集中を打破し、地方創生を図っていくために道州制に移行すべき絶好の時期、今でしょうと思いますが、知事のご所見をお伺いいたします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの中川議員のご質問にお答えいたします。私は、道州制は、権限と財源を国から地方へと大胆に移譲し、国と地方双方のあり方を根本から見直す究極の行政改革であり、地域間格差の解消や活力に満ちた地域社会の実現につながるものであると考えております。
また、地方創生につきましては、
人口減少時代における新たな価値観を生み出し、地域をつくりかえ、日本全体を変えていくことに、その意義があると思っております。
いずれも、目指す方向は、地域の主体的な取り組みによって、活力ある日本社会を実現しようとするものでありますが、現在直面する最大の課題であります人口減少問題に、スピード感を持って的確に対応するためには、まずは、県内市町と連携しながら、地域の自主性、独自性を最大限に発揮して、地方創生にしっかりと取り組んでいくことが重要であると考えております。
あわせて、地方創生への取り組みを着実かつ積極的に推進していくためには、地方への権限移譲や自立した地方税財政基盤の確立などが必要でありますので、国に対しまして、地方の声を真摯に受けとめ、さらなる地方分権の進展を図るよう引き続き強く求めてまいります。
また、道州制は、国民生活に大きな影響を及ぼすものであり、国民的な幅広い議論が求められるものであります。地方創生に向けて、それぞれの地域が知恵と工夫を生かした施策を展開していく中で、改めて道州制について議論が行われ、理解が深まることによって、道州制導入に向けた道筋も見えてくるものと考えております。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) 知事の道州制に対する認識については承知しておりますが、道州制は、戦後間もなくずっと新たな統治機構、日本の将来の発展ということで研究を重ねてきて、この前の総選挙においては、自由民主党も道州制について公約に入れました。残念ながら、近々の道州制推進本部の佐田玄一郎本部長は、地域主権型道州制ではなくて広域連合的な発想で、ちょっと後退したような考え方をしている方のようでありますが、今、人口減少をとめるということは、過去のローマの歴史からずっと見ても、そうは簡単に小手先の改革では解決できないと思っております。
したがって、私が今でしょうと言ったのは、日々のことについては、知事がおっしゃったように地方と連携をとってきちっとやるということもありますけれども、いよいよこの時期に全国知事会において知事が積極的に、この後の質問にもありますが、社会保障等についても、道州制の導入ということを全国知事会を中心に深めていく絶好の機会だと思っておりますが、この点について知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
◎福田富一 知事 考え方としては、ただいま申し上げましたように、まずは、それぞれの地域が知恵と工夫を生かした施策を展開していく。そして、地方創生を図り、並行しながら道州制への移行についても国民的理解を深めると、こういう手順ではないかと思います。現在、全国町村会が二回にわたりまして反対決議を行っておりまして、過日の反対決議の後、全国町村会長は、この話はもう終わった話だとコメントを発しております。
つきましては、各町村の理解を得なければ、力で進めていくものではないと思っておりますので、地域が活性化し、そしてまた、権限、財源が移譲され、地域の独自性がしっかり発揮できる、ならば、道州制は賛成だと、このように町村会の皆様方にもおっしゃってもらえるような国全体の仕組みづくりを改めて急ぐべきではないか。その上で、道州制の議論もさらに深めることが必要だと思います。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) わかりました。これは原点でありますので、我々もしっかりと、地域を大事にするということで、日本国の繁栄のためには、道州制の導入は日本の切り札だと確信を持っておりますので、知事の今の答弁についてありがたく承っておきたいと思います。
続いて、消費税率の引き上げ先送りについて質問いたします。国は、社会保障と税の一体改革の一環として、自民党・公明党・民主党の三党合意に基づいて、平成二十六年四月より消費税率を五%から八%に引き上げました。
三%の税率引き上げにより、平成二十六年度は約五兆円の増収が見込まれており、国は、その使い方について、基礎年金国庫負担割合二分の一に約三兆円を振り向け、その残りを社会保障の充実等に充てるとしております。具体的には、子ども・子育て支援、医療・介護の充実、年金制度の改善などに充てられることになり、少子高齢化が進む本県においても必要不可欠な施策の一つであります。
しかし、株価が上がり、昨年から比べると急速な円安基調になり、第一の矢が効いたのでしょう、大企業の業績は、軒並み増益となっております。一方で、本県は、中小零細企業が多く、農業が盛んなものづくり県でありますが、海外からの資材や飼料の値上がり、さらには、ガソリンが世界の情勢、欧州などの情勢で若干値下がりしたとはいっても、燃料費等の値上がりなどにさらされて、アベノミクス効果を地方においては、そう実感できる状態にはないと考えております。
そこで、知事は、これまで記者会見等で、社会保障の観点から消費税増税は必要であることを表明しておられますが、消費の冷え込みによりデフレ脱却も危ぶまれる中、消費税増税の必要性についてどのように考えておられるのか。
また、一〇%への引き上げについて先送りが安倍総理から表明されましたが、これに伴って子育て支援や医療・介護などの各分野での影響が懸念され、本県においても、これらの施策が十分に行っていけるのか大変心配しているところでありますので、あわせて、知事の考えをお伺いいたします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。少子高齢化の急速な進行や国・地方における厳しい財政状況下で、我が国の社会保障制度を持続可能なものにするためには、安定財源を確保し、全ての世代に安心感と納得が得られる制度としていくことが必要でございます。特に我が国の将来を支える若い世代が未来に希望を持てるよう、子育て支援などの施策を充実するためにも、地域間の偏在性が比較的小さい消費税の税率の引き上げが必要と考えております。
しかしながら、今般、四半期別GDP成長率が、速報値で二期連続のマイナスとなり、このような中で
消費税率引き上げについて先送りと判断されたことは、やむを得ないものと考えております。
今後、国におきまして、引き上げ先送りを踏まえた来年度の予算編成が進められることになりますが、子ども・子育て支援制度などの社会保障サービスが着実かつ円滑に実施できるよう、国の動向を注視するとともに、必要な
地方一般財源総額の確保について、全国知事会などを通じて強く求めてまいります。
また、本県の平成二十七年度当初予算編成に当たりましても、
歳入歳出両面にわたる影響が懸念されるところでありますが、
財政健全化取組方針の目標であります
収支均衡予算の継続を基本としつつ、新とちぎ元気プランの総仕上げを図るほか、平成二十七年度
政策経営基本方針に基づく取り組みや新たな行政課題について的確に対応してまいります。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) 今、知事の答弁で、今回の増税の先送りはやむを得ないというご答弁をいただきました。今後、私自身、財政を立て直すことに関しては、過去の、竹下内閣が消費税を導入したときの状況、その前後を見ますと、やはり成長路線、あのときはバブルの真っ盛りでありまして、最初はちょっと落ち込みましたが、その後強烈なGDPの伸びがあったということで、何が言いたいかというと、やはり増税する前に成長させる政策、タイミングがいかに大事かということでありまして、我々みんなの党は最初から、増税をする前にやるべきことがある、行革の中で捻出する財源がたくさんあるので、そういったことを実現して、その後に財源を安定させるという方向で、どうしてもというときにのみ増税ということであります。その増税するタイミングも、政府が政策を間違えると、とんでもないアリ地獄になってしまうと認識しております。
社会保障費においては、増税できなければ、要は社会保障全体で言うところの財源不足になります。財源不足になるということは、国において、また赤字国債を発行するといった状況になる。要はその負担を将来、子々孫々に先送りするということです。
知事にお伺いしたいのですが、負担の減ではなくて、国民に社会保障の負担も少しふやしてもらって、そして、歳出もとめるというようなスキームも、そろそろ全国知事会の社会保障常任委員会において提言していただきたいと思っているのですが、それについてご質問いたします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
◎福田富一 知事 増税先送りについてはやむを得ないものと判断しますが、結果としては、若者世代へのツケ回しになるわけで、若い人たちが、将来一千兆円を超える借金を払っていかなければならないということでありますので、国家財政の立て直しは急務だと改めて思っております。
そのような中、社会保障に関する影響ですが、平成二十四年八月に決定しました社会保障と税の一体改革によりまして、消費税率五%の引き上げによる増収分は、全て社会保障の充実強化に向けることとなっております。そのうちの四%程度が将来世代への負担軽減、すなわち赤字公債発行の抑制に回す分、あるいは年金国庫負担の二分の一への引き上げに四%相当が充てられて、社会保障の安定化を図るという目標です。残る一%につきましては、社会保障の充実に充てられることが想定されておりますが、社会保障の充実として、子ども・子育て支援、医療・介護提供体制改革、医療・介護保険制度改革、難病対策が検討されているわけでございまして、消費税率の引き上げの先送りに伴いまして、これらへの影響が避けられないと考えております。
特に、子ども・子育て支援新制度の実施につきましては、安倍総理が予定どおり来年四月から実施する方針を示しておりますが、現時点におきましては、その財源が明らかにされておりません。また、地方消費税の増収、栃木県としましては、県分、市町村分、百億円ずつということになりますが、これも先送りになりますことから、本県初め、県内市町の財源確保に影響が生じるのではないかと思っております。
国の具体的な施策及び財源は、今後の予算編成におきまして決まりますので、その動向を注視したいと思います。本県や県内市町の施策が着実に、円滑に実施できるよう
地方一般財源総額の確保を求めてまいりますとともに、
医療福祉関係経費の歳出抑制についても、引き続き取り組んでいく大きな課題と捉えておりますので、知事会あるいは市長会、町村会などとも連携しながら、この問題についても、削減すべきところは削減するという方針を貫いていければと思っております。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) わかりました。ぜひ、知事会においてよろしくお願いいたします。
続いて、成長産業に向けた農業施策の推進に関して、まず、農産物の輸出の促進についてご質問いたします。近年の世界的な健康志向や日本食ブームの広がり、さらには、昨年十二月のユネスコにおける「和食」の無形文化遺産登録などを背景として、海外においては、日本の食文化への関心が高まっております。また、アジアにおいては、富裕層の増加や原子力災害による輸入規制の緩和など、日本の農産物を売り込んでいく好機が訪れております。
このような中、国においては、農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略に基づいて、日本の農林水産物等の輸出や食文化・食産業の海外展開等の取り組みを積極的に推進しており、全国各地で、アジア諸国などへ農産物等を輸出する取り組みが活発化しております。
本県においても、成長する海外マーケットに、世界に誇れる品質のイチゴや和牛、米等、すぐれた農産物を輸出していく取り組みを一層推進していくことが求められております。県産農産物を海外に積極的に売り込むことは、農業者の所得向上や県産農産物のブランド価値の向上、ひいては本県農業の活性化にも貢献するものであり、ことし十月に、知事みずからがシンガポールに行ったトップセールスは、まさに時宜を得た取り組みであったと思っております。
そこで、今後、県産農産物の輸出促進についてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
また、本県から輸出している農産物のうち、最も多いのが牛肉であります。国内はもちろんのこと、海外に向けて牛肉の販路拡大を進めようとしている本県においては、前にご質問ありましたが、HACCP(ハサップ)など高度な衛生水準を備えた食肉センターは必要不可欠であります。
現在、県内の三カ所にある食肉センターの老朽化を踏まえ、協議会において積極的な議論がなされていると思いますが、その整備の検討状況についても、改めて、知事にお伺いいたします。
○螺良昭人 議長
福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。農産物の輸出につきましては、原子力災害による各国の輸入規制の解除等を受けて、本格的な輸出再開に取り組んでまいりました。昨年度は、香港におきまして「とちぎ和牛」や「なすひかり」等のトップセールスを行い、「とちぎ和牛」につきましては、それ以降順調に輸出が拡大している状況にあります。
さらに、ことし十月には、経済成長が続く東南アジアの中で富裕層が多いシンガポールを訪問し、国際見本市「Oishii JAPAN(おいしいジャパン) 二〇一四」や高級百貨店での「とちぎ農産物フェア」などにおきまして、県産農産物等のトップセールスを実施してまいりました。シンガポールは、日本を初め、世界中から多くの農産物が集まり、競争が激しい市場でありますが、梨の「にっこり」が大きさや味などで高い評価をいただき、また、イチゴにつきましても、大きな期待が寄せられたところであります。一方、日本からの物流コストの低減などの必要性も強く感じたところでもあります。
こうしたセールスの結果等を踏まえ、輸出する品目や輸送方法などを十分検討しながら、シンガポールへの輸出拡大に向けて取り組んでまいります。今後とも、国の輸出戦略の展開方向も見据えながら、農業団体はもとより、ジェトロ貿易情報センターとも十分連携を図り、アジア地域を中心に、本県のすぐれた農産物の輸出拡大に積極的に取り組んでまいります。
また、食肉センターの整備につきましては、現在、関係者とともに整備検討協議会におきまして、屠畜方法や食肉輸出への対応等具体的な整備内容、さらには、建設場所の選定などを検討しているところであり、今年度中の基本構想策定に向けて、引き続き主導的な役割を果たしてまいります。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) 栃木県において、農業は産業である。消費の拡大、もちろん国内の拡大も大事ですが、世界経済の中において輸出戦略というものは、本県の最大の資源である農畜産物成長のため、農業は産業の基本でありますので、ぜひ引き続き全力で取り組んでいっていただきたいと思います。
続いて、農業は産業である。成長産業に向けて、インフラ整備という点で、歴代知事も、横川知事初め、栃木県の圃場整備、構造改善には全力を尽くしてきました。将来、どなたが農業をやるにしても基盤だけは整備しておこうということで、これはもちろん国庫も出してやってきた。今日、その経営をどうするかということが問題になっておりますが、農業水利施設の保全管理についてご質問させていただきます。
担い手の高齢化や耕作放棄地の増加など、農業・農村を取り巻く情勢が大きく変化する中、国においては、米の政策や経営所得安定対策の見直し、農地中間管理機構の創設などの農政改革を進めております。
県では、こうした国の動きに合わせて、農地中間管理機構を通じた担い手への農地集積や、水田フル活用に向けた飼料用米の作付拡大などの取り組みを積極的に推進しております。このような施策を着実に進めていくためには、その生産基盤となる圃場の整備と、農業用水の安定供給を図る農業水利施設の適切な管理が不可欠であります。
圃場整備については、農業者や土地改良区などの先人の努力と行政の支援もあって、本県水田の七割が整備され、土台づくりが順調に進んでいる状況でありますが、農業水利施設については、昭和三十年代から高度経済成長期に合わせて集中的に整備されたことから、現在、多くの施設で老朽化が進んでおり、土地改良区などから、施設の維持に関する不安の声も承っております。
農業水利施設は、農業生産の基盤であるばかりでなく、地下水の涵養や洪水被害の軽減、生態系の保全など、多面的機能の発揮にも貢献しており、施設の損傷により機能が低下する前に計画的な保全管理を行い、施設の長寿命化を図っていく必要があると考えております。
そこで、県は、今後、農業水利施設の保全管理についてどのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 水沼裕治農政部長。
(水沼裕治農政部長登壇)
◎水沼裕治 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、頭首工や用排水機場などの農業水利施設の長寿命化を図るため、平成二十三年に策定いたしました農業水利施設保全管理指針に基づきまして、ストックマネジメント手法を活用した保全管理に取り組んでいるところでございます。
特に、受益面積百ヘクタールを超える基幹的な農業水利施設のうち、比較的新しい施設を除いた約百二十の施設につきましては、平成二十五年度から三カ年をかけまして集中的に機能診断を実施することとしており、今年度末には約七割が終了する見込みでございます。
これらの診断結果をもとにしまして、保全対策の適切な実施時期や工法などを定めた機能保全計画を策定いたしまして、順次、施設の保全対策工事を実施しているところでございます。今後とも、市町や土地改良区と十分連携を図りながら、農業水利施設の機能が将来にわたりまして安定的に発揮できますよう、計画的な保全管理に努めてまいります。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) 農政部長、本当にこれは基本です。私が思い出にあるのは深山ダム、横川知事が昭和四十二年、一番最初に水の保全ということで、それから、逐次県北にある温水ため池といったことをやってきました。先人の哲学、農は国の基であるという中で、何といってもこの保全管理事業は基本でございますので、よろしくお願いいたします。
続いて、地域包括ケアシステムの構築に関して、まず、システム構築の基本的な考え方についてお伺いいたします。去る六月十八日、医療介護総合確保推進法が成立しまして、今後、国・地方を挙げて、高齢者が可能な限り住みなれた地域でそれぞれの能力に応じ、自立した日常生活ができるよう、医療、介護、予防、住まい、日常生活の支援が包括的に提供される地域包括ケアシステムの構築に本格的に取り組むことになりました。
この法律は、団塊の世代が全て七十五歳以上の後期高齢者となる二〇二五年までに、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じて、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進することを目的としております。
その内容は、新たな基金の創設と医療・介護の連携強化、地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保、地域包括ケアシステムの構築など、多岐にわたっており、総合的な施策の推進を図るものとなっておりますが、とりわけ地域包括ケアシステムの構築は、私が所属している生活保健福祉委員会でも特定テーマとして多くの議論をしたところであり、今後ますます進展するであろう超高齢社会を県民が心豊かに過ごすための基盤づくりという意味で、非常に大きなテーマであると考えております。
しかしながら、その実現までの道のりは決して容易ではなく、継続的な地道な取り組みが必要であります。また、全国一律のスタイルではなく、医療や介護、住まい等の地域資源を本県の実情に合ったシステムとして、いわばオーダーメードで築き上げていく必要があると考えております。
国では、地域包括ケアシステムを日常生活圏域単位として、市町村が中心となって構築することを想定しておりますが、人材の育成や医療面でのアプローチなどについては、県の支援が不可欠となってくると思っております。
そこで、本県の特色を踏まえて、県としてどのように地域包括ケアシステムを構築しようとしているのか、基本的なパラダイムについて、
保健福祉部長にお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 名越究
保健福祉部長。
(名越 究
保健福祉部長登壇)
◎名越究
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県では、これまで比較的低い高齢化率や高い三世代同居率等を背景に、要介護認定率や介護サービス利用者数が低い水準で推移するとともに、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションの整備率も低い状況にございます。
しかしながら、今後は、本県でも急速に高齢化が進み、高齢者単独世帯の増加等により家族の介護力低下が予測されることから、二〇二五年に向け、県内全ての市町で地域の実態に即した地域包括ケアシステムが構築されるよう、取り組みを加速する必要があると考えております。
このため、在宅医療・介護の基盤整備や地域支え合い体制づくりの支援などのこれまでの取り組みに加え、医療と介護の連携強化や市町職員及び医療・介護・生活支援サービスの担い手に対する研修等を通じた人材の育成確保の取り組みの充実に努めてまいります。
また、地域包括ケアシステムの構築やその適切な運用に当たりましては、関係機関はもとより、県民の理解と協力が不可欠でございますことから、広く県民への普及啓発にも力を入れてまいりたいと考えております。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) この地域包括ケアシステムという、日本が大胆な法案を通しておりますので、そういった点で、OECDなどが示した統合ケアというのはかなり解釈においても多種多様になっておりますが、これは今、
保健福祉部長からお話あったように、本当に真剣に考えて、栃木県に合ったオーダーメードでやっていけるよう、時間がないのでこれ以上話せませんけれども、やっていっていただきたい。これからもぜひよろしくお願いいたします。続いて、今、答弁がありました医療と介護の連携という点について、改めて質問事項を設けましたので、質問させていただきます。
次に、地域包括ケアシステムを構築する上でのかなめとなります医療と介護の連携確保についてお伺いいたします。県では、これまで介護基盤の整備と在宅医療等の推進に取り組んできたところでありますが、今後、高齢者、とりわけ七十五歳以上の後期高齢者が急速に増加すると予測されておりまして、本県の高齢化率は二〇二五年には三〇%に達するとともに、高齢者の約二〇%が要支援、または要介護になる見込みであると聞いております。
したがって、引き続き介護基盤の整備と在宅医療等の推進を図り、今後増大する医療や介護の需要に的確に対応することが求められておりますが、サービスを享受する利用者や家族の視点に立てば、県内のどこに住んでいても、必要な医療や介護のサービスが、一体的に効率的に提供される仕組みを整備することが極めて重要であり、地域包括ケアシステムの構築のかなめになると思っています。
現場からは、医療と介護の連携が余り進んでいない地域が多いと聞いておりますが、これはなかなか難しい問題でしょうが、私は、県医師会や歯科医師会等関係機関との連携のもと、医療側から積極的に手を差し伸べる仕組みを導入することで、医療と介護の連携が大きく進展するのではないかと考えております。
そこで、今後、県は、どのように医療と介護の連携を進めていくのか、改めて、
保健福祉部長にご質問いたします。
○螺良昭人 議長 名越究
保健福祉部長。
(名越 究
保健福祉部長登壇)
◎名越究
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。地域包括ケアシステムの構築のためには、在宅医療提供体制の充実を図りながら、医療と介護の連携を強化することが重要であります。
このため県では、広域健康福祉センターに在宅医療推進支援センターを設置いたしまして、連絡会議や研修会を開催するなど、医療・介護関係者のいわゆる顔の見える関係づくりに努めてまいりました。
さらに、これらさまざまな関係者をコーディネートできる人材の育成・活用や、住民等からの相談窓口機能が必要であり、今般、生活保健福祉委員会から、市町における在宅医療連携拠点の整備等、医療側の働きかけによる介護との連携を促進するようご提言をいただいたところでございます。
県といたしましては、ご提言も踏まえ、市町や郡市医師会等と緊密に連携を図りながら、医療・介護の連携体制の強化に努めてまいります。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) 要望と再質問をいたします。今後構築される地域包括ケアシステムを効果的に活用していくためには、要介護者等のケアプランを作成する介護支援専門員の役割が極めて重要になっていると思います。多分、介護支援専門員には、現在、五年ごとの専門員証更新の研修を初め、県や関係団体、各事業所において適宜必要な研修が行われていると思いますが、今後、これまで以上に介護保険についてのスキルはもちろん、医療や生活支援サービスの連携調整能力を持った人材が必要になってくると思っております。
特に、医療介護総合確保推進法の構図を見ますと、地域包括支援センターが入っておりますが、私の地元の宇都宮市では、今泉、泉が丘、宝木などにもありますが、宇都宮市以外の地域に行くと、地域包括支援センターが一つもない自治体もあると聞いております。この充実を図っていきませんと、この連携等地域包括ケアシステムの効果が出ないと思っていますが、そのあたりのところについてやってもらいたいという要望と、その決意についてお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 名越究
保健福祉部長。
◎名越究
保健福祉部長 再質問にお答えいたします。介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーと言われる方でございますが、これまでも介護を必要とされる方とご家族、そしてサービス提供者とサービス事業者、市町村をつなぐ存在として、まさにサービス提供のかなめとして活躍をいただいているところでございます。地域包括ケアを実施するに当たりましても、さらに、医療と介護の連携でありますとかインフォーマルなサービス提供、NPOなど、そういった方々との結びつきに関しましても、調整していただく上での働きがより重要になってくると考えております。
国におきましては、平成二十八年度からの法定研修によりまして、カリキュラムの見直しを考えていると伺っておりますし、また、多職種協働によります地域でのサービス担当者会議につきましても、非常に重視するというところを伝え聞いております。
県といたしましても、そういう状況を踏まえまして、ケアマネジャー、介護支援専門員の資質向上に力添えができるように対応してまいりたいと考えております。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) わかりました。地域包括支援センターの設置、充実について今、答弁いただけなかったのですが、これを真剣に考えて、予算編成において、いわゆる地域包括のヘッドクオーターになるぐらい機能のある地域包括支援センターにしていくことがとても大事だと思っておりますので、その考えについて認識してください。答弁は結構です。よろしくお願いいたします。
続いて、子供の貧困対策についてご質問いたします。子供の貧困については、第百八十三回国会で成立し、平成二十六年一月十七日に施行された子どもの貧困対策の推進に関する法律から、世間でも注目を集めるようになりました。
国が発表した子供の相対的貧困率は、二〇〇九年は一五・七%でありましたが、二〇一二年には一六・三%まで上がってしまいました。子供の六人に一人が貧困状態にあるというこの数字は、衝撃的なものだと思います。相対的貧困率とは、一定基準を下回る等価可処分所得しか得ていない者の割合を示すと規定されております。最近では、下野新聞の「希望って何ですか 貧困の中の子ども」の特集で、広く国民にその現況が知れ渡ったと思っております。
子どもの貧困対策の推進に関する法律では、本年八月に政府が「子供の貧困対策に関する大綱~全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指して~」と題した大綱を発表いたしました。
そこで、県では、子どもの貧困対策計画を今年度に策定すると発表されましたが、その進捗状況について
保健福祉部長にお伺いいたします。
また、子供の貧困問題は、家庭によっては緊急を要する家庭もあり、特に生活保護受給家庭のように公的な支援が届いている家庭よりも、むしろ公的な支援が届かない生活困窮家庭の子供たちの貧困状態に対して、早急に対策を打っていく必要があると思いますが、子どもの貧困対策計画の中で、その対策をどのように盛り込んでいくのか、あわせてお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 名越究
保健福祉部長。
(名越 究
保健福祉部長登壇)
◎名越究
保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県の子どもの貧困対策計画は、本年八月に策定されました国の大綱を踏まえながら、来年四月にスタートいたしますとちぎ子ども・子育て支援プラン(仮称)の一つの分野として盛り込んでいく予定でございます。その内容は、教育や福祉、そして就労や経済的支援まで多岐にわたっておりますことから、庁内の部局横断的な担当者会議を設置いたしまして、検討を進めているところでございます。
生活困窮家庭の子供への支援につきましては、高校生等奨学給付金制度に加えまして、来年四月に施行となります生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業等につきましても、計画に盛り込んでまいります。今後とも、県議会を初め、子ども・子育て審議会や県民の皆様などから幅広くご意見をいただきながら、実効性のある計画としてまいりたいと考えております。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) 大事な将来を担う子供で、たまたまそういう環境にあった子供が頑張っていける環境をつくってあげる。これは本当に子供支援の政治だと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
今、言及がありましたが、生活困窮者自立促進支援モデル事業として、県内の市町において学習支援事業を実施しております。うちの事務所のスタッフもボランティアで頑張っておりますが、県として初めての取り組みであり、さまざまな課題があると思います。県が今、四町で実施していると思いますが、学習支援事業の実施状況についてご説明願います。
○螺良昭人 議長 名越究
保健福祉部長。
◎名越究
保健福祉部長 再質問にお答えいたします。現在、壬生町、高根沢町、那須町、那珂川町におきまして、計六つの会場を使いまして実施しております。定員六十名のところ今、五十名の参加があるということで、滑り出しとしてはまずまずのところではないかと思っております。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) この支援事業について、ぜひ、県内の市町に拡大していただく努力をお願い申し上げたいと思います。
続きまして、急速な円安に対する中小企業対策についてご質問いたします。為替相場は、二〇一二年十一月半ばまでは一ドル七十円台の円高水準が続いておりましたが、アベノミクスの第一の矢が効いたのですね、第一の矢による金融緩和政策の効果により、急速に円安が進展して、二〇一三年一月には一ドル九十円台に、二〇一三年四月以降は一ドル百円から百五円前後、二〇一四年八月からさらに円安が進み、十一月下旬には一ドル百十八円前後で推移しておるわけです。
円安は、ご存じのとおり、輸出企業にとっては極めて有利に働くという面がある一方で、石油製品等の原材料の価格を押し上げる要因ともなります。企業にとっては、売り上げからコストを引いたものが利益となりますが、原材料価格の上昇はコストの増加となり、その増加分を自社の製品価格に完全に転嫁できるのであれば収益面で問題ありませんが、中小企業の場合は、価格交渉力が弱いなどの理由から価格転嫁は難しく、また、デフレになれた一般消費者には、価格が上がるなどということは、とても受け入れられる経済状況ではないと思っております。このため、円安の進行は、中小企業にとって収益の悪化につながる場合が多い実態にあります。
県では、こうした為替変動等による原材料の値上がりでコスト増を強いられている中小企業に対して、二〇一三年に為替変動緊急対策資金を設け、中小企業の資金繰りを支援しております。
最近の県内中小企業の景況感は、中小企業庁の独立行政法人中小企業基盤整備機構による中小企業景況調査で見ますと、景気がよいと判断した企業の割合から悪いと判断した企業の割合を引いた数値、いわゆる業況判断、DIと言っているようですが、これは足元の二〇一四年七―九月期においてはマイナス二〇・七と、前期から横ばいで推移しておりますが、最近の急速な円安に伴って、原材料費や燃料価格のさらなる高騰により、さらに中小企業の収益環境の悪化が懸念されておるところであります。
そこで、急速な円安基調の中で厳しい経営環境に置かれた中小企業に対して、資金面の支援を基本としながらさまざまな支援を行っていく必要があると思いますが、県は、こういった環境において中小企業支援にどのように取り組んでいくのか、
産業労働観光部長にお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 荒川政利
産業労働観光部長。
(荒川政利
産業労働観光部長登壇)
◎荒川政利
産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。急速な円安に伴う原材料費等の高騰による影響を受けている中小企業者に対しましては、資金繰りはもとより、下請取引の円滑化、各種経費の削減等、状況に応じたきめ細かな対策を行っていく必要があります。
このため県では、昨年十月に創設した為替変動緊急対策資金による資金繰り支援を初め、中小企業診断士等の専門家を派遣し、コスト削減や売り上げ増など経営の改善を支援しております。
また、特に影響を受けやすい下請企業に関しましては、栃木県産業振興センターにおいて、下請かけこみ寺による取引先企業への価格転嫁等の相談や下請取引のあっせんなどを実施しております。今後とも、為替相場の動向や県内中小企業者への影響を注視し、関係支援機関との連携を図りながら、円安の影響を受ける県内中小企業者を支援してまいります。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) 本当に大変でありますので、支援の仕方においては、やはり制度融資の使い勝手をよくするために、金融機関にぜひとも働きかけを行って、県行政としても使い勝手をよくしてもらいたい。円安になって、例えば一時的にお金の回りが悪くなったという側面、それから、もうちょっと頑張れば売り上げが将来上がるので、設備投資にも使いたいというようないろいろな角度から、この資金を3Dでよく見て、融資に対するオーケーを出してもらうよう、ぜひ金融機関に働きかけていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
次に、ICTを活用した新たな省エネルギー施策の推進についてお伺いいたします。東日本大震災以降、我が国のエネルギー需給構造が大きく変化する中、県では、ことし三月にとちぎエネルギー戦略を策定し、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入拡大など、この中に掲げた目標を達成するためにさまざまな施策を展開することとしております。
特に、東日本大震災以降、省エネルギーの意識は高まっておりますが、この意識を定着させるためには、我慢の省エネルギーだけでなくて、ICT、いわゆる情報通信技術を活用したスマートな省エネルギーの推進が課題になっていると思います。
私は、スマートな省エネルギーの推進に当たっては、このICTを活用した新たな省エネ施策として注目されているエネルギーマネジメントシステム、いわゆるBEMS(ベムス)を導入し、エネルギーの見える化をすることが有効であると考えております。このBEMSは、ビルで使用するエネルギーの管理を効率的に行うために、コンピューターによって情報処理機能を利用して一元的に管理することで、電気消費量などを低減することができるメリットがあります。
県においては、総務省のスマートグリッド通信インターフェース導入促進事業により、県有施設へBEMSを導入する予定と聞いております。また、県内で、既に足利市が当該事業によって、市内の公共施設にBEMSを導入した結果、CO2の削減に加え、電気料金の削減にも大きな効果があったと聞いております。
そこで、省エネの推進のためには、この新たな施策であるBEMSを広く県内に普及させることが必要と考えますが、県ではどのように取り組んでいくのか、
環境森林部長にお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 櫻井康雄
環境森林部長。
(櫻井康雄
環境森林部長登壇)
◎櫻井康雄
環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまでESCO事業や省エネ改修などさまざまな省エネ対策に取り組んでまいりました。加えて、職員の節電努力の徹底によりまして、震災前に比べ電気使用量を約一六%削減するなどの成果を得ております。県庁全体でのこうした取り組みの成果を維持・定着させるため、本庁舎及び地方合同庁舎にBEMS(ベムス)を導入し、エネルギー使用量を見える化することとしております。
BEMSの導入の取り組みは、県内市町や事業者などにも広がりを見せておりますことから、この機会を捉え、これらの取り組み成果をホームページやセミナーの開催などによりまして、積極的に広く発信し、県民、事業者等、県全体へのさらなる普及拡大を図ってまいります。
また、とちぎエネルギー戦略には、地域単位でエネルギーを有効活用する次世代の社会システム、スマートコミュニティの構築を掲げておりまして、その基盤整備にもつながるBEMSを広く普及させることにより、戦略に掲げます目指すべき社会の実現に努めてまいります。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員)
環境森林部長、市町レベルでは、まだ理解していないところがたくさんあるので、そうしたことをやれば理解して、推進していただけると思います。もう既に決まっている町もあるようですので、どことは言いませんが、さらに、市においてもどんどん推進していく。これは県がしっかりやってもらわないと、もともと総務省の事業でしたので、やっていただきたいと要望しておきたいと思います。ぜひ推進してください。よろしくお願いします。
続いて、最後の質問になりましたが、本県児童生徒の学力向上についてお伺いいたします。本県では、全国学力・学習状況調査と同日に、全員参加による県版学力調査であるとちぎっ子学習状況調査を本年度から実施し、児童生徒一人一人に合ったきめ細かな指導を行うこととしております。
全国調査は、基本的には国公私立の小学校六年、中学校三年が対象になっております。平成二十六年度の調査対象となる国公立学校の参加率はほぼ一〇〇%であるのに対して、私立学校の参加率は約四七%と低く、私立小中学校が少ない本県と私立小中学校が多い東京や大阪などの大都市とは、一概に学習状況を比較できないことは承知しております。
公立学校で比較すると、例えば平成二十六年度、中学生に行われた全国調査国語Aは、三十二問出題され、本県の平均正答数は二十五・四問、平均正答率は七九・三%で、全国平均とほぼ同等の結果となりました。しかし、その一方で、出題された問題の半分以上が解けなかった生徒は、本県では全体の八・二%あったと聞いております。
公立小中学校を対象に実施した県版調査については、ことしの八月に結果を詳細に分析して、報告書が出されたわけです。それによりますと、教科に関しては、基礎的・基本的な知識・技能に関する問題はおおむね良好ですが、思考力・判断力・表現力等に関する問題では、自分の考えをまとめて記述する問題にちょっと課題が見られたという報告であります。生活状況等に関しては、決まりやマナーをよく守って落ちついた生活を送ることができている一方、家庭学習を計画的に行うことや、テストで間違えた問題を復習するというところがちょっと足りないのではないかと、課題が見られるということでございます。
このような結果を踏まえ、全国調査とあわせて県版調査を実施したことにより、現時点でどのような成果が得られたと考えているのか、教育長の所見をお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 古澤利通教育長。
(古澤利通教育長登壇)
◎古澤利通 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。今年度から、新たにとちぎっ子学習状況調査を実施いたしましたが、全国学力・学習状況調査とあわせて行ったことで、小学校四年、五年、六年、中学校二年、三年と連続した複数学年で調査結果が得られたところであります。このことによりまして、学年をまたいで継続した指導が充実するなど、これまで以上に学校全体で組織的に学力向上に取り組めるようになってきたと考えております。
また、県版調査を悉皆で実施し、丁寧に分析したことで、個々の児童生徒の強みと課題が明らかになり、きめ細かなフィードバックができるようになったところであります。今後、年度ごとに調査結果を比較することで、児童生徒一人一人の成長や課題の改善状況が確認できると考えております。引き続き市町教育委員会と連携し、二つの調査結果を効果的に活用しながら、本県児童生徒の学力向上に取り組んでまいります。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) 再質問いたします。今、それなりの効果があったということでありますが、県版調査は、児童生徒の問題点を抽出し、一人一人にフィードバックするということであります。そのフィードバックを効果的にするためには、具体的にどのような方法でやっていったらいいと教育長はお考えになっているか伺います。
○螺良昭人 議長 古澤利通教育長。
◎古澤利通 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。一人一人へのフィードバックを効果的にというお尋ねでありますが、児童生徒一人一人の調査結果をわかりやすく示した個人票、それから、課題を克服するための復習用資料を六月末に各学校に送付しております。このことによりまして、夏休みに復習用資料に取り組ませ、それぞれの課題の克服を促すというようなきめ細かな支援をしております。
また、フィードバックを効果的に行うという意味では、各学校の学力向上担当者、この教員を集めまして研修会を実施いたしまして、個人票の見方あるいは活用の仕方、それから、復習用資料の効果的な活用の仕方等について周知を図っております。
さらに、学力向上アドバイザーが学校を訪問した際には、児童生徒の実態をもとに、調査結果をどのように活用したらいいかということについて助言を行っております。こうしたことを通しまして、子供たち一人一人の学力の向上を図ってまいりたいと考えております。
○螺良昭人 議長 中川幹雄議員。
(二十四番 中川幹雄議員登壇)
◆二十四番(中川幹雄議員) 今の効果的なフィードバックの方法についてですが、たまたま県立図書館に入荷した最新の本「小学生の学力を上げる秋田県式勉強のルール」に、今、いみじくも教育長が言ったことが書いてあるのです、伸びると。
秋田県、全国調査の結果は結構いいではないですか、ずっと連続で。皆さん調査に行ったりしておりますが、秋田県の研究では、成績がよくなるためには、一つ目には、家庭でよい生活習慣が守られているということなのだそうです。朝食をとらなかったり、夜更かししたりしない生活習慣があるということがよくて、秋田県は比較的そういうところがあるのかもしれません。
二つ目には、地道に基礎学力の定着を図る。基礎学力がとても大事なことで、学習課程の定着や秋田県独自の学力テストの実施、これはことし栃木県が独自にやったわけです。それから、少人数学習の導入も、やはり大きな効果を示しているという結果が出ているのです。
三つ目は、これが結構大事なのですが、学校と家庭の連携がよくとれているということだそうであります。したがって、学校と地域、家庭が協力してやっていくことが大事だということでありまして、せっかくことし県版のとちぎっ子学習状況調査をしましたので、将来は専門的な立場の仕事をやるにしても、何事も、やはり読み・書き・そろばんではありませんが、基礎的な学習ができるということは、いわゆる三つ子の魂の段階のときに、生活がきちっとできていたということの連動でありますので、ぜひ初等教育に力を入れて、中等、高等においては、また別な意味での、いわゆる子供たちに夢のある環境をつくるという二本立ての教育で人づくりをしていただきたい。これは要望でございます。よろしくお願いいたします。
以上、質問させていただきましたが、いろいろな意味で、一番最初の質問にありましたけれども、少子化で都市が消滅してしまうという提言で、国も急に動き出しました。知事もおっしゃるように今、歴史的な大転換、国の統治機構であるとか、社会保障システムであるとか、あるいは教育のシステムなどを、我々の時代がしっかりとここで転換していかなければ、将来の日本の繁栄はないという覚悟のもとで、知事を先頭に私たちもともに頑張ってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○螺良昭人 議長 この際、休憩したいと思います。午後一時三十五分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後零時三十四分 休憩
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◎坂東哲夫 事務局長
出席議員数を報告いたします。
ただいまの
出席議員数は四十七名であります。
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午後一時三十五分 開議
○螺良昭人 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) まず、十一月二十二日に長野県神城断層地震が発生いたしましたが、被災された皆様、今も二百名を超える方が避難生活をされているということで、これから豪雪の季節にもなりますし、お見舞いを申し上げながら、一日も早い復旧と復興をお祈りいたしたいと思います。
それでは、通告に従いまして質問を進めさせていただきたいと思います。
まず最初に、エネルギー戦略について、
環境森林部長にお伺いいたします。本年三月、とちぎエネルギー戦略が策定され、去る十月には、とてもわかりやすい、見やすいスタイルの一般県民向けの冊子やリーフレットも配付されたところでございます。このエネルギー戦略には、本県のエネルギーに関する現状と課題を初め、戦略を推進していくに当たっての基本理念と将来目標、特に本県の省エネルギーの取り組みや再生可能エネルギーの導入及び電力自給率について、二〇三〇年度における具体的な目標数値も示され、「その将来像を広く県民の皆さまと共有することで、県民、事業者、関係団体、自治体などの各主体が一体となって目指すべき社会を実現していくことを目的としています」とあります。
しかしながら、現在、特に再生可能エネルギーの一つである太陽光発電についてでありますが、今回、まず私が確認したいのは、資源エネルギー庁による認定レベルでの急増、というより、もはや激増というレベルだと思いますが、結果として本県でも、ことし七月より県内の送配電線の設備容量が余力不足ということで、東京電力では系統接続申込み受付を保留するという制約状態が続いております。
そこで、この状態を打開するため、県では、去る十月末に、全国知事会及び関東地方知事会を通じて、経済産業省へ緊急要望をしておられますが、現時点でこの課題に関する今後の見通しについて、
環境森林部長にお伺いをいたします。
また、本県における太陽光発電について、資源エネルギー庁により認定を受けた設備の電力容量は、ことし三月末時点で二百八十四万五千九百三十一キロワット、既に二〇三〇年度の、先ほどのとちぎエネルギー戦略での目標数値百二十万キロワットの二倍以上と、実際の運転開始容量はまだ二十三万五千九百三十六キロワットにとどまってはおるようですが、認定容量に関しましては、まさに二倍以上も大幅に目標を上回る状況となっております。
本県の近年のピーク電力が、一日約三百万キロワット前後であるということを考慮しても、これに迫るような容量でありますので、いかに太陽光発電だけが突出しており、しかも、その出力特性が日中、また、日照が得られるときだけ、天気が悪いときには発電ができないということになりますので、限られてしまう。要するにほかのエネルギー源と比較いたしますと、かなり不安定であると言わざるを得ない。そうした状況も踏まえまして、本県としてこの状況をどのように捉え、また、今後どのように対応していくのか、
環境森林部長にお伺いいたします。
○螺良昭人 議長 櫻井康雄
環境森林部長。
(櫻井康雄
環境森林部長登壇)
◎櫻井康雄
環境森林部長 ただいまの斉藤孝明議員のご質問にお答えいたします。東京電力株式会社では、当初、この秋に発表予定であった系統接続の保留に関する対策につきまして、さらに検討を継続することとしておりまして、検討結果の公表時期は未定とされております。
また、国におきましても、新エネルギー小委員会等におきまして、再生可能エネルギーの系統接続問題への対応などを検討しており、年内をめどに結果を取りまとめるとのことでありますが、現時点では具体的な見通しは示されておりません。
県といたしましては、系統接続の制約解除が早期に行われるよう、今後も状況に応じ、
全国知事会等を通じて国への要望等を行ってまいります。
また、太陽光発電につきましては、本年九月末時点において、固定価格買取制度の認定容量が、とちぎエネルギー戦略に掲げる導入目標である百二十万キロワットを上回る約三百万キロワットとなっております。
しかしながら、太陽光発電の稼働状況はいまだ四十万キロワット強にとどまっているということでございまして、県といたしましては、未稼働分の着実な事業化に向け、引き続き相談窓口による支援等を積極的に行ってまいります。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員)
環境森林部長に再質問させていただきます。早期の制約の解除を求めるということで今、答弁がありましたが、二〇三〇年度というかなり先の目標数値を相当上回っている状況であります。いろいろと出だしの段階で、固定価格買い取りですとか、インセンティブがかなりありましたので、当然県としても早期導入が見込める太陽光発電を促進してきた、我々もそういった施策に賛成してきたといういきさつもございます。
ただ、ここまで爆発的にふえてきたという中で電力のシステム的なことを考えますと、冊子ができたばかりなのですが、エネルギー戦略はやはり太陽光以外の部分により特化をして、例えばインセンティブも新しいものを考案するとか、再生可能エネルギーは、太陽光以外にも小水力、これは恐らく中規模も入ると思うんですが、バイオマス、温泉熱、地熱などもございますので、そういったものも含めまして、出力は太陽光が非常に大きくこれに比較しますと小水力などは一つ一つの発電量は小さくなりますが、バランスをとりながら、震災以降、私も耳にするベストミックスという言葉がありますが、そういった戦略の転換というものも検討する時期なのではないのかなと考えますが、いかがでしょうか。
○螺良昭人 議長 櫻井康雄
環境森林部長。
◎櫻井康雄
環境森林部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず、太陽光につきましては、議員ご指摘のとおり、認定容量は爆発的にふえたということがございますが、現実の稼働につきましては、先ほど申し上げました東京電力による稼働の制約等もございますし、そのほかにもいろいろなハードルがありまして、なかなか認定のところまで稼働も進むということにはなってございませんので、そこはそことして、きちんと相談等を進めていきたいと考えております。
エネルギー戦略の考え方そのものは、ただいまお話がありました小水力、あるいはバイオマス、地熱、地中熱等、実現の可能性の高いものから迅速に具体化していくということを基本的な考え方としておりまして、そういった意味では、現在の状況を見ながらエネルギー戦略で掲げた目標に向けて、それぞれの項目についてできることを着々とやっていく。小水力については、いろいろなサポート事業とか、支援事業みたいなものも始まっておりますし、地熱とか地中熱の利用などについても、事業が始まっております。それぞれの項目について着実に進めていくことで、最終的な目標に達していきたいということで考えております。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) 今、ご答弁をいただきましたが、数字からいきますと確かに稼働自体していないところがかなり多いですね。ただ、いずれこの制約解除を求めていきまして計画どおり進むということになると、これは間違いなく二〇三〇年度を待たずして、その数字を大きく超えるということになってまいりますので、現実的に申し込みをされたところは制約を見ながら進めていくということで、実際にそこに設備投資、費用を投じた方もいっぱいいらっしゃるわけでありますので、その分は、それはそれで現実的に進めていただきたいと思うのです。ただ、エネルギー戦略は計画でありますので、やはり早い段階で道筋を転換していくということ。というのは、太陽光発電が不安定であるということは、何年たっても同じだと思うのです。ピークのときだけどかんと出力が出まして、それ以外は出力が出ない。その太陽光のピークだけ合わせて、設備をどんどん増強をする、投資をするということになりますと、それだけロスにもなりますし、実際にむだな設備投資はしないようにこれまで抑えてきたのは、恐らく経済産業省だと思います。電力会社が、そういった余力を持たせていただけなかったような、そういう側面もあると思います。国の動向を見ながらということで、
全国知事会等も要望している最中でありますし、その方向性がまだ見えないということも十分理解をいたしますが、でき得れば本県独自の、例えば水力になりますと、栃木県内でも水源県として水力の発電所がたくさんあり、エネルギー戦略の中にも、大きなダムをつくることは、やはり短期的に云々というくだりもございますが、今、小水力はあちこちで導入可能性を求めて、今年度は十二地点ほど引き合いがあったということも伺っております。そういう中で、企業局には既に水力発電のノウハウがあると思いますし、太陽光以外の部分についても、より踏み込んだ計画というもの、戦略というものをこれから進めていっていただけますよう要望しながら、一点再質問させていただきます。
実現可能性が高い河川十五地点におけるリーディングケースのサポート事業ということで、その結果は十二地点の引き合いだったということを聞いております。それ以外に、ことしの二月議会で、予算特別委員会だったと思うのですが、県内全域の河川データをオープンデータというか、インターネット上に公開するようなことも進めていらっしゃると聞いていますが、この進捗をお伺いできればと思います。
○螺良昭人 議長 櫻井康雄
環境森林部長。
◎櫻井康雄
環境森林部長 ただいまの再質問にお答えいたします。当該事業につきましては、県内各地の河川の小水力に関する賦存量調査といいますか、流量とか、高低差などの情報をネット上で示していくということで、現在作業中でございまして、年明け一月ぐらいには、おおむねの形ができてきますので、ネット上で公開することになるのかなと考えております。その情報等を活用していただいて、また、県もいろいろな普及等のノウハウ等もございますし、いろいろな形で支援しながら、県内いろいろな地域で小水力の活用、発電が進むようにということで考えております。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) ちょっと意見を述べさせていただいてから、
環境森林部長にもう一回再質問させていただきたいと思います。本県では、農業、林業も盛んでございます。したがいまして、先ほどバイオマスを申し上げましたが、家畜ふん尿、間伐材等の豊富なバイオマス資源にはかなり恵まれている土地柄だと思っておりますので、この点も積極的に導入推進をより図っていただきたいと思います。一方、温泉熱・地熱につきましては、栃木県の場合、源泉の温度が低くて、まだ今の技術では難しいということも聞いております。ですから土地柄ということを考えますと、先ほどから申し上げておりますとおり、中小水力、バイオマス、こういったところにぜひ力を入れてほしいと思います。
今、再生可能エネルギーの話でありましたが、もう一方で、再生可能エネルギー以外の分散型電源についてですが、電力自給率の目標はとちぎエネルギー戦略の中では二〇三〇年度時点で七〇%ということでございましたが、そのうち再生可能エネルギーは一三%、そして、この分散型電源によって五七%を賄うという目標になっております。清原工業団地などの導入計画の具体化なども進展をしているところは、知らされるところでありますが、先ほどの中川議員の質問にもBEMS(ベムス)のお話なんかもありましたが、電力の自給自足・地産地消とも言えるこのスマートな政策、スマートコミュニティの構築を、これからまちづくりの観点からもしていかなくてはならないということを考えますと、今後の着実な推進に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、
環境森林部長にお伺いできればと思います。
○螺良昭人 議長 櫻井康雄
環境森林部長。
◎櫻井康雄
環境森林部長 エネルギー戦略では、大きく目的が三つありまして、一つは省エネの推進、もう一つが、お話ありました再生可能エネルギーの促進、もう一つがエネルギーの分散化でございます。これは危機対応ということも含めてということでございます。これにつきましては、一つには再生可能エネルギーそのものも分散型に寄与するということもありますが、工業団地等で今進んでおりますガスコージェネレーションとか、そういったものが進むことによって、本県の分散型エネルギーの促進が図れると考えております。現在も、基礎的な調査部分が進んでいるところでございます。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) わかりました。今後、分散型電源は、まちづくりや今、
環境森林部長からもございましたが、災害リスク対策の観点からも、重要度はますます高まっていると思います。そして、二〇三〇年度には五七%というかなり高い比率も示されているところでありますので、これから県民の日々の生活を支えるため、電力はなくてはなりませんし、一番求められているのは、やはり安定的な供給ということになると思います。不安定な要因というのは、できるだけ早いうちから排除をして、ベストミックスを考えていくということが、何よりもリスクを克服していくことになると思いますので、県民一体となって、今後もエネルギー問題に取り組んでいけるよう、このとちぎエネルギー戦略をさらに進めていただきたいわけであります。やはり策定、検討当初と状況は日々変わってくる部分もありますので、柔軟に対応しながら、そういった変更も含めてご検討いただけますことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、林業振興と地域工務店への支援策について、
環境森林部長にお尋ねいたします。私は本年度、農林環境委員会に所属をいたしまして、この第三百二十六回通常会議初日に委員長より報告のありました今回の特定テーマ「森林・林業の発信力強化戦略について」ということで、これまで委員会活動に参加してまいりましたが、そうした中でも、今回、これまで私自身関心を持ってきた課題との接点が出てまいりましたので、この項目を立てさせていただきました。
全国有数のすぐれた栃木県産材を効果的に世に送り出し、効率的に収入を得ていく、そのプロセスで本県林業の活性化はもちろんのこと、大変裾野が広い、守備範囲が広いと言われている建設・建築業まで一体となった取り組みができないかということでの特定テーマだったと思いますが、本県の林業振興策として、今年度から、川上・川中・川下の連携による安定取引に関する協定を締結したグループを対象に、再造林や保育に関する施業契約を結んだ一貫型循環施業、集成材等のマテリアル利用やバイオマス発電等のエネルギー利用に資する全量出材型皆伐施業などの取り組みを支援する森林資源循環利用先導モデル事業が実施されております。本事業は、森林資源の循環活用を促進するためのさまざまな事業を包括していることから、これから得られるであろう成果が大いに期待されるところであります。
そこで、この森林資源循環利用先導モデル事業について、現在の取り組み状況及び今後の見通しを
環境森林部長にお伺いいたします。
また、今後は、売れなければ話になりませんので、川下での出口対策、つまり販路開拓にかかわる対策が、今年度の特定テーマの中でも触れられているとおり、特に地域工務店への支援もとても重要な課題になると考えますが、あわせて
環境森林部長の所見をお伺いします。
○螺良昭人 議長 櫻井康雄
環境森林部長。
(櫻井康雄
環境森林部長登壇)
◎櫻井康雄
環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、増加・多様化する木材需要に対応するため、森林資源循環利用先導モデル事業を創設しましたところ、想定を超える県内各地の十二グループからご提案をいただきました。
具体的には、未利用材のバイオマス発電等への利用や、工務店や製材工場の注文に応じた伐採など、地域や構成メンバーの特性を十分に生かした多様な連携の提案でありました。このため、これらの提案全てを採択し、各グループともその達成に向け、現在、鋭意取り組んでいるところでございます。こうした取り組みを契機といたしまして、川上・川中・川下の連携によります、森林資源のフル活用がより一層進められるものと考えているところでございます。
また、地域工務店は、川下におけるとちぎ材の最大の利用者でありまして、販路開拓や利用拡大において不可欠な存在でありますので、県ではこれまでとちぎ材の家づくり支援事業を通じまして支援を行ってまいりました。
しかしながら、地域工務店の魅力が消費者に余り知られていないといった実態もございますので、今後は、インターネット等による魅力発信や組織化への取り組みなどの県議会からのご提言を踏まえまして、地域工務店への支援のあり方について検討してまいります。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) 一点、再質問をさせていただきます。ぜひ強力にこの地域工務店支援、バックアップをしていただければと思います。私自身もちょっとわからないところがあるのですが、地域工務店という表現で、今回は特定テーマのほうをまとめさせていただいて提言もしていますし、それ以前に、執行部のほうで用意していただいたモデル事業のペーパーを見ても、ここにもう既に工務店ということで出てまいります。建築業・建設業の中にはいろいろな業種の方がいらっしゃると思うのですが、工務店は大体どれぐらいの数がこの県内に存在するのか。もしつかみで把握をされていれば今、工務店というのが、栃木県内でどういう状況にあるか教えていただければと思います。
○螺良昭人 議長 櫻井康雄
環境森林部長。
◎櫻井康雄
環境森林部長 ただいまの再質問にお答えいたします。一口に工務店と言いましても、さまざまな形態がございます。会社形式をとっているものもあれば、大工さんが中心となって個人営業的に行っているものもございます。我々県として、流通業者からの聞き取りや、あるいは大工さんの数から推計したり、住宅着工戸数からの推計等、推測の域でございますが県内全体で一千から一千五百社程度になるのかと思います。極めてアバウトな数字になってしまいますが、それだけなかなか実態がつかみにくい、あるいはまとまった団体というものが存在しないというのが実態でございますので、おおむね一千から一千五百の間かと考えております。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) 農林環境委員会でも、このことについては一番最初に特定テーマに取りかかるときに、現状と課題ということでご説明をいただきました。そういう状況ということで、私も勉強不足を恥じたわけでございますが、裾野が広いだけに本県経済の活性化、また、今回のテーマの林業は、川上からずっと包括的なものでありますので、やはりそれぞれが安定的な収入を得て、そして、職業としてしっかりと自立ができるような形態というものも、これを機に、今回は栃木県産材という切り口ではありますが、団体も存在しなかった業界に支援を行っていただける、そういう方向でこれから進めていただけるというお話でありますので、大変心強く思うところでございます。どのような形に進展していくかは、恐らく次の議会になると具体的で踏み込んだ答弁が、その前にまず説明がいただけると思うのですけれども、よりバックアップを強力にしていただいて、そして、林業全体の底上げを図っていけるような支援体制をぜひ執行部にお願いし、次の質問に移らせていただきます。
次期観光プランの策定について、
産業労働観光部長にお尋ねをいたします。現在、県では、二〇一六(平成二十八)年度からの次期観光プランを策定するために、県内観光客の動向等の基礎調査を実施していると思いますが、この調査によりまして、ブームやトレンドが極めて短いサイクルで変動しやすい分野だと思われますので、近年の新たなニーズを読み取り、また、特に本県は東日本大震災後に風評被害等にも見舞われてまいりましたので、そうした影響なども含め、その後の観光スタイルの変化なども十分に把握した上で、次期観光プランに反映させていくことが肝要だと思います。
そこで、今回の基礎調査の内容及び進捗状況について、
産業労働観光部長にお伺いします。また、次期観光プランの策定に当たって、どのような点に重点を置こうとしているのか、あわせてお伺いします。
○螺良昭人 議長 荒川政利
産業労働観光部長。
(荒川政利
産業労働観光部長登壇)
◎荒川政利
産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。現行の新とちぎ観光プランは、おおむね十年先を展望した本県観光振興の目指すべき方向と、これを達成するための各種施策を定めております。
次期観光プランの策定に当たっては、個人の価値観やライフスタイルの多様化に伴うさまざまなニーズに応じた新たな観光の魅力づくりに加え、日本文化への関心の高まりやビザ発給要件の緩和等を背景とした訪日外国人旅行者の飛躍的な増加など、現行プラン策定後の状況変化に的確に対応していく必要があります。
このため、現在、本県を訪れる国内外の観光客の動向調査を初め、他県と比較した本県観光地の強みや旅行先選定に係る意識調査、本県観光の課題を抽出するための観光協会、旅行エージェント等に対するヒアリング調査を実施しております。これらの調査結果を十分に分析するとともに、市町、観光関係事業者、交通事業者等のご意見を伺いながら、実効性のあるプランを策定し、本県経済を牽引する産業の一つである観光産業のさらなる発展を目指してまいります。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員)
産業労働観光部長に再質問をさせていただきます。今、質問した内容についてはよくわかりました。一昨年度、産業振興対策特別委員会を担当させていただき、また、昨年度は、県政経営委員会を担当させていただきまして、本県のプロモーションにかかわることなどにいろいろと取り組み、会議にも参加をさせていただいてまいりました。昨年は、特にとちぎ観光プロモーション戦略部会から八月に報告がなされたと思いますが、新とちぎ観光プランから数年たって、このプロモーション戦略部会の報告書があり、観光プランに掲げてあったことが一つ一つ着実に進んできて、そして、この報告書によりまして、この後周遊パスポートも実現したり、本当に着実に進めていただいておりますことに、感謝の気持ちも感じるわけでございます。
そこで、周遊パスポートですけれども、今、まだばんばん展開中だと思います。この間のねんりんピックでも、かなりの数が県外の方にも渡ったと思いますし、もちろん県内の方にも浸透しつつあると思います。この周遊パスポートは、日帰りにとどまらず、宿泊、さらにぜいたくを言えば連泊をしていただけるように滞在率の向上ですとか、一度来ていただいた方が次も来る、次も次も来ていただけるようなリピーター対策、また、栃木県内の域内連携というのでしょうか、栃木県内であちこちを回っていただくといったことを意図したものだと思われますが、今のところ使い勝手とか、ユーザーからのご意見等、もし執行部に入っている特徴的なものがあれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○螺良昭人 議長 荒川政利
産業労働観光部長。
◎荒川政利
産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。私どもいろいろな関係者からご意見を伺うのですけれども、年度当初は、ご協力いただいた事業者への十分な周知がなされていないとか、あるいはビジターステージ、リピーターステージをクリアしたにもかかわらず、景品等については抽せんだというのはもうちょっと工夫する必要があるのではないかとか、そういったご意見も伺っております。一方で、栃木県は東京に近いという観点で、日帰り客が多い、あるいは宿泊する方がなかなか少ないという中で、仕掛け的な取り組みとしては、非常にいい取り組みではないかと、そんな意見も伺っております。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員)
産業労働観光部長に、もう一点お尋ねします。周遊パスポートですけれども、前向きな意見がかなり多かったと思うのですが、その特性から、今後の地域経済の活性化が一番目指さなくてはならない部分だと考えます。そういったことを考えますと、私は毎回のように観光について触れるようにしているのですけれど、着地型観光――発地型と着地型というのがあるということで、いろいろと論文なんかも読むのですが、そういったものを組み合わせていくような考え方が必要ではないか。大手の旅行会社がつくった発地型のものであっても、こちらに到着した後は、オプション的に着地型観光も取り入れていけるように組み合わせるとか、――これは、やっていないというわけじゃなくて、これまでもパンフレットなんかにはたくさん掲載してあったり、観光素材提案集ですか、分厚い冊子もいただいておりますが、そのようなことが有効だと思います。予算書で、金額自体は少額でありましたが、着地型旅行商品開発促進事業費も拝見させていただきましたので、着地型観光についての取り組みの現状をお尋ねしたいと思います。
○螺良昭人 議長 荒川政利
産業労働観光部長。
◎荒川政利
産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。最近の観光は、参加する側にとって魅力的な、その地域でなければ経験できないような体験型のツアーと言いましょうか、そういったものが非常にニーズがふえておりまして、本県でもスポーツツーリズムなど、具体的にはラフィティングやスノーシュー、カヌーなど、着地型の旅行商品もかなりふえてきております。
もう一つ特徴的に言えますのは、ロケツーリズムと言うのでしょうか、昨今のフィルムコミッション等の中で、特定の大好きな芸能人が出演した映画のロケ地を見てみたいというニーズもたくさんあります。
それから、酒蔵を回るような産業ツーリズムといった、まさに着地型の観光メニューというのは、ある意味、栃木県では、掘り起こしによって相当魅力的なものがより一層できると思っておりますので、さらに、市町、観光協会、それから民間団体とも連携しながら、そういったことを提案できるように、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。地域密着のアイデアですので、一番そういうノウハウを持っているのは市町だと思います。次期プランの策定検討時期ということもありますので、より関係を密にしていただきまして、多くの方に本県にお越しいただけるような企画を練り上げていただければと思います。
もう一点、
産業労働観光部長に再質問させていただきます。この予算の中で観光ホームページリニューアル事業というのがございますが、どんなねらいで、どんなものに仕上がりそうなのか、年度末近くなってまいりましたので、お聞かせいただければと思います。
○螺良昭人 議長 荒川政利
産業労働観光部長。
◎荒川政利
産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。つい先日ですけれども、リニューアルオープンができたところでございまして、まさに映像的に栃木の魅力を前面に出すということ、それから、外国の観光客がこれからもますますふえるだろうということで、いわゆる多言語化を図っておりまして、外国人の方も直接そのホームページからダイレクトにアクセスすることができますし、また一方で、旅行商品とリンクするような形にしておりまして、栃木県の魅力に対して、じゃあ、どういうツアーがあるのかなということで、そのホームページからダイレクトにつなぐこともできます。そういった少し工夫を凝らした形で、つい二週間ほど前だったと思いますが、リニューアルオープンしたところでございます。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) リニューアルしたことも強くPRしていただいて、どんどん栃木の魅力の外向けの発信に努められまして、一層すばらしい次期観光プランが策定されますよう、また何かの機会に意見交換なり、こちらからもご意見申し上げることもあると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。要望させていただきまして、次の四番目の質問に移らせていただきます。
豪雨被害にかかわる対策について二項目、まず最初に土砂災害危険箇所への対策について、
県土整備部長にお伺いいたします。余りこういう表現は使いたくないものですが、ことしも、さまざまな自然災害に見舞われた年となってしまいました。六月十六日と十七日、宇都宮市では連日の激しい豪雨に見舞われました。特に地元でもあります大曽一丁目の八幡山斜面におきまして、以前からお訪ねをするたびに、地元の方々には「いつやってくれるのですか」と顔を合わせるたびに聞かれておりましたが、対策工事を間近に控えた箇所での土砂崩れということになってしまいました。近隣住民への避難勧告も発令され、実際に数日間、避難を余儀なくされてしまいました。
今回の件からも、ゲリラ豪雨を含め激しい豪雨が頻発している近年の気象状況を勘案いたしますと、今回の被災箇所と類似した土砂災害危険箇所が県内にはたくさんあると思います。早急な対策が必要と考えますが、大曽一丁目における対策工事の進捗状況、また、それ以外の県内全域の状況、危険箇所に対しての対策を
県土整備部長にお尋ねいたします。
○螺良昭人 議長 吉田隆
県土整備部長。
(吉田 隆
県土整備部長登壇)
◎吉田隆
県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本年六月十六日の豪雨によりまして、八幡山の東側、大曽一丁目地内で発生いたしました土砂崩れにつきましては、工事を既に発注していたことから、翌日には応急措置を完了させ、その後、緊急に追加発注いたしました法面の対策工事も含め、十一月に全ての工事が完了したところでございます。
また、県内には、このような土砂災害が発生するおそれのある箇所が多数ございますことから、県といたしましては、特に甚大な被害が生ずる可能性の高い、老人福祉施設や保育所などがある箇所を重点整備箇所に位置づけまして、国の交付金事業等を最大限活用するとともに、緊急防災・減災対策事業も加え、着実に整備を進めることとしております。
今後、土砂災害により速やかな対応が必要となった箇所につきましては、国庫補助災害関連緊急対策事業等も有効に活用して、迅速に対策工事が実施できるよう取り組んでまいります。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員)
県土整備部長に再質問させていただきます。今、対策については、答弁でお伺いいたしました。広島県でも、あのような大規模な災害が起こっております。宇都宮市では、特に急傾斜地崩落危険区域が百六十三カ所、民家が五軒以上ある箇所は五十三カ所ということで、毎年、市政懇談会が行われますが、そこでも特に要望が、今年度も七カ所ほど挙がってまいっております。速やかに、国庫補助等を活用しながらというご答弁もいただきましたが、実際のペースというのは、入り次第一年でとか二年でとか、すぐというわけにもいかないと思うのですが、そのあたりの時間的なペースが、もうちょっとわかるようにご答弁いただければと思います。
○螺良昭人 議長 吉田隆
県土整備部長。
◎吉田隆
県土整備部長 ただいまの再質問にお答えいたします。土砂災害には崖崩れ、土石流、地すべりといった種類がございますが、例えば今回、大曽一丁目で起きたような土砂崩れで申しますと、事業化までに一年から二年の調査を経て、その後事業化をいたしますけれども、規模にもよりますが、一カ所数億円かかるケースもございますので、そういった場合、交付金導入以降、早くて二年、大規模なものについては数年かかるというものもございます。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) もう一点、
県土整備部長にお伺いします。お金がいっぱいあるわけではないので、ハード対策は時間がかかります。ですからその間のソフト対策ですとか地域の住民に対しての啓発等、栃木県は、特に災害に強いとちぎづくり条例ができたばかりですので、県土整備部として、住民対策等ご対応の状況をお聞かせいただければと思います。
○螺良昭人 議長 吉田隆
県土整備部長。
◎吉田隆
県土整備部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず、土砂災害から人の命を守る、財産も守るとなった場合、本来であれば、全てをハード対策で山ないしは沢を抑え込むということが考えられますが、それは非現実的でございます。
今、ご指摘がありましたように、まずは命を守るためには、危険な箇所に住んでいるということをわかっていただくという努力が必要かと思います。そういう意味で、県内、現時点で六千六百八十五カ所、土砂災害の危険性のある箇所がございますが、これは全て土砂法に基づく警戒区域の指定を終えてございます。その中にお住いの方々に、自分たちは危険な箇所に住んでいるということを、おわかりいただく活動をしております。毎年一度、必ずダイレクトメールでそのようなことをお知らせする通知も出させていただいております。重ねて、各市町と連携をいたしまして、そういう警戒区域に係る自治会と一緒に避難訓練も実施しているところでございます。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) わかりました。この後でもちょっと触れますが、自主防災組織の話なんかも前回の議会で出てまいりました。ダイレクトメールというお話もあり、そのほかに市町ともしっかりと連携をされているということですが、こちらで指定したと思っても、住民の方自体の自覚が――自覚がというとちょっと失礼な話になりますが、連絡がよく行き渡っていないこともあったり、あと、広島県の土砂災害のようなケースもあります。あのような事態は、栃木県はどうしても避けたいという思いが私も強いので、ぜひ今後も徹底をお願いしたいと思います。要望させていただいて、次の(二)に移らせていただきます。
道路冠水対策について、
県土整備部長にお尋ねをいたします。同じ六月十六日、十七日の豪雨なのですが、こちらは、ちょっと別の問題です。あの豪雨によりまして、宇都宮市内の複数箇所において道路冠水が発生しました。報道等でもなされておりますので、皆様もご承知のことと思います。私の地元は東塙田というところで、県庁からすぐそば、田川のちょっと手前のところにございます。県庁前通り、正式には県道宇都宮向田線と言いますが、宇都宮市立東小学校南の交差点を中心に、自動車が立ち往生する被害が十六日の夜に発生しております。
私、お通夜がございまして、十八時から参列をして、十九時三十分頃に事務所に戻ってまいりました。尋常な降り方ではなかったので、調査服・防災服に着がえまして町内に出ましたところ、五台ぐらいでしたか、ぷかぷかと車が浮かんでいるという状態を目の当たりにしております。十六日の降水のピークは、宇都宮土木事務所の観測地点で、十九時台に一時間当たり七十四ミリ、続いて二十時台にも五十六ミリ、ずっと強い雨が二時間前後降り続きました。
また、翌日十七日にも、宇都宮土木事務所の観測地点の観測によりますと、十九時台が二十五ミリ、二十時台が十四ミリと、前日ほどではありませんでしたが、短時間の降水により、こちらのほうは、私は報道で見ただけでしたが、宇都宮市陽東、こちらから見るとベルモールのちょっと手前側になると思いますが、通称鬼怒通り、たまたま前回と同じ県道宇都宮向田線ということになってしまいましたが、二日連続して道路冠水、そして自動車の立ち往生が発生したということです。
このように、近年頻発しております極めて局所的、そして短時間に降り注ぐ豪雨は、降雨予測も非常に困難であることから、道路冠水等発生時における安全確保のためには、あらかじめハード整備も当然急いでほしいわけでありますが、先ほどの土砂災害同様の部分があると思います。十分な対策が行われるまでの間は、危険回避のための関係機関による初動対応が極めて重要だと考えます。
記憶に残っているところですと、二〇〇八(平成二十)年に鹿沼市で発生いたしました冠水死亡事故を契機に、特に県内のアンダーパスへの対策は、私も一般質問で扱わせていただいたことがございますが、進められてまいりましたが、今回のように一定以上の降雨があった場合に、実際にこれまで既に冠水が発生したことがある箇所、もしくは冠水しやすい箇所、まだ発生していなくても、たわみと言うのですか、冠水の危険性が疑われるような箇所はわかるはずだと思いますが、どのように対策を講じているのか、
県土整備部長に伺います。
○螺良昭人 議長 吉田隆
県土整備部長。
(吉田 隆
県土整備部長登壇)
◎吉田隆
県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、冠水被害が発生した箇所または発生するおそれがある箇所について、重点的に点検や維持管理を行うとともに、必要に応じ市町と連携して地域排水対策を行い、排水機能の確保に努めているところでございます。
しかしながら、道路の排水施設の設計基準を超えるような雨が局地的に降る近年のゲリラ豪雨では、これまでに冠水発生の実績がない場所においても、被害が発生するようになってきております。
ことし六月の豪雨で大規模な冠水が二日連続で発生いたしました県道宇都宮向田線陽東地区につきましては、注意を喚起する看板を設置するとともに、宇都宮市と連携し、排水先の河川改修や調整池の整備等、排水対策の協議を進めているところでございます。今後もゲリラ豪雨等に対し、ハード対策に加え、警察や消防等の関係機関とより一層の連携強化を図り、迅速かつ的確な初動体制を確立し、冠水被害の軽減に努めてまいります。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員)
県土整備部長に再質問をさせていただきます。河川の改修等市との連携、また、警察や消防等とも連携を図るというご答弁をいただきましたが、一点だけ、もうちょっと踏み込んで確認をしておきたいと思います。
実は今回、現場に駆けつけたときに、私自身、実際に車を五台ほど移動するのを手伝ったわけですが、そのとき、「あんた、毎日何やってんだ」ということで近所のおじさんに怒られました。どうしたのかなと思ったら、その方、降り始めから三回ほど、恐らく警察に電話したのだと思います。その方は、その場所が今までにも冠水したことがあるので、この降り方のときはどこまで降るということが大体わかるらしいのです。自分の家に水が、結果として入ってしまったのですけれども、渋滞の時間、しかも渋滞ピークの時間に、車がのろのろと移動しながら進んできて、そこにどんどん水かさが増していって、でも車はとまりませんから波を打つ。かなり舗道からもかさ上げしたところに、その方の玄関の敷居はあるのですが、波を打つので、家に水がどんどん入ってきてしまう。
ただ、その方が怒ったのは、自分の家に水が入るからじゃないのですね。車が立往生しますと、水がかぶっているうちは当然ほかの車も進入できませんから、それはそれで車の通行は遮断されてしまうのですけれども、一番危ないのが水が中途半端に引いたときなのですね。車自体が完全に水没してないので見える状況ですけれども、動けない車が無造作に不規則に放置されたままということになりますので、そこを今度はよけようとして縫うように車が行くようになると、そこで接触事故が起きたりとかという状況が起きてしまうのです。だから、その方は、前もって連絡したし、そこに車を入れずに、ちょっとでも車を迂回させてもらえれば、全然状況が違うのになということで、「日ごろのお前の怠慢だ」と私が言われました。
そんなこともありまして、前々から私自身感じていたこともあるのですけれども、結果として、一番早く現場に駆けつけていただいたのは警察官の方でした。お二人ほどお見えになりまして、車はもう動かしてありましたので――一台残っていたのかな、まず車をよけた上での交通整理ということで始めていただきましたが、警察なのか、消防なのか、道路管理者なのか、どこに連絡して、どこが一番最初に動いてくれるのかということが、住民の皆さんはやはりわからない。実際に危険を回避させてもらえれば、安全というか安心なので、先ほどそういう連携に努めていただけるという答弁をいただきましたけれども、この初動体制のルール化はできないものか、
県土整備部長にご答弁いただければと思います。
○螺良昭人 議長 吉田隆
県土整備部長。
◎吉田隆
県土整備部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず冠水被害が起きたときに、どこに連絡が行くかということで申し上げますと今、ご指摘がありましたように、警察に一番最初に連絡が行くというケースが一番多うございます。当日も、多分数十件という単位の冠水被害の情報が、東警察署、中央警察署にも入っていたかと思います。
その連絡が土木事務所にもいただけます。土木事務所は、その道路を維持管理していただいている業者に連絡をして、水の詰まりの原因を排除したり、必要に応じてバリケードを並べて交通遮断をするということになりますが、今、ご指摘をいただいた場所では、真っ先に現場に到着していただいたのが、たまたま警察官だったものですから、交通遮断、交通どめを直ちに判断していただけたのだと思っています。
私ども土木事務所が所管します県道の交通規制につきましても、できるだけレスポンスタイムを詰める努力はさせていただいておりますが、管理している道路延長と冠水被害が同時に起こる箇所の関係から言いますと、全ての箇所に同じレスポンスタイムを確保するというのは極めて難しいことと思っております。したがって、警察、消防、市町、それから土木事務所が手分けをして対応するようなことも、連携会議の中では議題に上らせているところでございます。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) それでは、もう一点だけ。今回の状況はよくわかりました。ただ、同じような雨、もしくはもっとひどい雨がこれから降るかもしれませんので、同時多発でそういう箇所が発生したとしても、対応できるような体制をとるべきだと私は思います。例えばこの議場の中で言いますと、県民生活部または警察本部の皆さんともよく連携をとって、具体的な初動体制の確立を急いでいただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。
先ほど自主防災組織の話に少し触れさせていただきましたが、当然、今回の被害箇所にも自主防災組織等あると思います。例えば水の浸水を防ぐためには、やはり土のうを積む。それでも、老人しかいなかったら積めないということにもなりますので、こういった冠水対策等につきましても、自主防災組織とも日ごろの訓練などを通じて連携をとっていただきたいと思いますが、お考えをお伺いできればと思います。
○螺良昭人 議長 吉田隆
県土整備部長。
◎吉田隆
県土整備部長 ただいまの再質問にお答えいたします。関係機関を挙げての連携会議は、年度当初に各土木事務所が関係組織を集めて、まずは顔合わせと連絡先、危険の可能性のある箇所の情報の共有等させていただいております。それ以外に、アンダーパスになりますけれども、関係組織が情報伝達訓練という形で、実際に冠水を想定した訓練等も実施させていただいております。そうした中で円滑な情報伝達、それから、機動的な人員派遣の方法等については、引き続き勉強させていただきたいと思います。
○螺良昭人 議長 斉藤孝明議員。
(二十六番 斉藤孝明議員登壇)
◆二十六番(斉藤孝明議員) わかりました。気象状況、ことしはこの程度だったというふうに捉えておいたほうが間違いないと思います。いたずらに不安をあおるとか、そういう意味では全くないのですが、やはり念には念を入れて、想定外という言葉はこれから余り通用しないのではないのかと、私ども東日本大震災以来肝に銘じて、あらゆる対策、また、提言できることは何かということを念頭に活動を続けているつもりでございます。特に御嶽山の噴火等もことしはありましたし、県内振り返っても、竜巻、大雪、そしてゲリラ豪雨、さまざまにそういった災害もありました。しかし、条例も施行されましたので、しっかりと地域の隅々にまで生命・財産が守れるような施策の展開を執行部の皆様に改めてお願いを申し上げまして、きょう用意させていただいた私の質問全てを終了させていただきます。ありがとうございました。
○螺良昭人 議長 次に、お諮りいたします。あすは議案調査のため本会議を休会したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○螺良昭人 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。三日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。
本日はこれで散会いたします。
午後二時三十五分 休憩
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