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平成23年第305回(第1号)定例会-02月28日-04号

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  1. 栃木県議会 2011-02-28
    平成23年第305回(第1号)定例会-02月28日-04号


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    平成23年第305回(第1号)定例会-02月28日-04号平成23年第305回(第1号)定例会 〇二月二十八日(月曜日)  出 席 議 員 四十七名    一 番   齋   藤   孝   明    二 番   保   母   欽 一 郎    三 番   野   村   節   子    四 番   琴   寄   昌   男    五 番   金   子       裕    六 番   佐   藤       良    七 番   山   形   修   治    八 番   欠           員    九 番   欠           員    十 番   松   井   正   一    十一番   一   木   弘   司    十二番   阿   部   寿   一    十三番   山   口   恒   夫    十四番   相   馬   憲   一    十五番   高   橋   修   司    十六番   若   林   和   雄
       十七番   五 十 嵐       清    十八番   岩   崎       信    十九番   櫛   淵   忠   男    二十番   小   瀧   信   光   二十一番   小   林   幹   夫   二十二番   五 月 女   裕 久 彦   二十三番   欠           員   二十四番   佐   藤       栄   二十五番   山   田   美 也 子   二十六番   渡   辺   直   治   二十七番   小   高   猛   男   二十八番   中   川   幹   雄   二十九番   増   渕   三 津 男    三十番   花   塚   隆   志   三十一番   早   川   尚   秀   三十二番   青   木   克   明   三十三番   青   木       務   三十四番   神   谷   幸   伸   三十五番   栗   田       城   三十六番   島   田   文   男   三十七番   螺   良   昭   人   三十八番   野   田   尚   吾   三十九番   三   森   文   徳    四十番   菅   谷   文   利   四十一番   野   村   壽   彦   四十三番   阿 久 津   憲   二   四十四番   石   坂   真   一   四十五番   斉   藤   具   秀   四十六番   木   村   好   文   四十七番   髙   橋   文   吉   四十八番   渡   辺       渡    五十番   梶       克   之   五十一番   増   渕   賢   一   五十二番   板   橋   一   好 地方自治法第百二十一条の規定による出席要求によって出席した者                   知事       福   田   富   一                   副知事      須   藤   揮 一 郎                   副知事      麻   生   利   正                   総合政策部長   髙   橋   正   英                   経営管理部長   小   暮   義   雄                   県民生活部長   荒   川       勉                   環境森林部長   三   浦   義   和                   保健福祉部長   北   澤       潤                   産業労働観光部長 大   森   敏   秋                   農政部長     吉   沢       崇                   県土整備部長   池   田       猛                   会計管理者会計局長                            我   妻   貞   雄                   企業局長     池   澤       昭                   総合政策部次長兼総合政策課長                            村   上   順   男                   財政課長     北   村   一   郎                   教育長      須   藤       稔                   代表監査委員   田   崎   昌   芳                   人事委員会事務局長                            湯   沢   敏   次                   労働委員会事務局長                            石   崎       均                   警察本部長    石   川   正 一 郎             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎高野純一 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は四十四名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午前十時 開議 ○野田尚吾 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  日程第一 第一号議案から第三十一号議案まで及び第三十三号議案から第六十五号議案までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 質問に臨むに当たり、このような機会を与えていただいた皆様に感謝を申し上げます。新年度より新とちぎ元気プランがスタートし、知事は、栃木の目指すべき将来像を元気度日本一とちぎという言葉で表現しております。今回の質問は、その実現に向けて安心・成長・環境という三つのテーマを掲げ、発言通告に従い順次質問してまいります。  まず初めに、フードバレーとちぎの推進についてお伺いいたします。知事が本県の強みを生かした内需型の食に関連する産業の振興を図るためのフードバレーとちぎを打ち出したのは、昨年一月でした。その後、一年間の取り組みの中で、産学官連携による商品・技術開発、海外も視野に入れた販路開拓、栃木の強みを生かした企業誘致、農業を初めとする関連産業の高付加価値化の四本の柱での施策の展開方針が示されました。また、九月補正予算で、フードバレーとちぎ農商工ファンドの創設や食品産業産学官連携企業支援プロジェクト事業などが計上されたほか、十一月には食に関係する三百の企業・団体が集結し、フードバレーとちぎ推進協議会が設立されるなど、本格的な取り組みの基盤が整備されてきていると実感しております。  フードバレーとちぎについては、新とちぎ元気プランに掲げた三つの重点戦略の一つ成長戦略の柱として位置づけ、新年度予算においても重点配分するなど、知事の意気込みを感じるとともに、今後の展開に大きな期待をしているところであります。そこで、さらにフードバレーとちぎを推進するために、どのような取り組みを行っていくのか、知事の考えをお伺いします。  また、フードバレーとちぎの施策の柱となる販路開拓や企業誘致を推進するためにも、本県産業団地の優位性や魅力ある農林水産物、加工食品等を首都圏などの企業やバイヤー等に積極的に売り込んでいくことが重要です。知事は、とちぎのいいものを売り込んでいくための拠点として、東京事務所にとちぎのいいもの販売推進本部を設置すると表明いたしましたが、推進本部の戦略と事業展開について、あわせて知事にお伺いします。 ○野田尚吾 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの佐藤良議員のご質問にお答えいたします。世界同時不況以降、円高やデフレの影響も重なり、本県におきましても、大手立地企業の閉鎖や縮小の表明、雇用情勢の悪化など厳しい経済雇用情勢が続いており、私は、これらに対応するためには、内需型産業の振興により景気の変動に左右されにくい産業構造を目指していくことと、産業用地や県産品を首都圏等へ積極的に売り込み、県内経済を活性化させることが極めて重要であると考えております。このような中、フードバレーとちぎを目指す取り組みにつきましては、多くの方々から企業間や農商工の連携、新商品開発、販路開拓等に関するご意見・ご要望をいただき、この取り組みに対する期待の大きさを実感しているところであります。  そこで、新年度におきましては、まず、産学官のネットワークでありますフードバレーとちぎ推進協議会を推進母体として、会員間の交流・連携の促進や情報発信に努めてまいります。また、新商品・新技術開発を促進するため、会員ニーズに基づく研究部会の設置や県試験研究機関食品関連企業との共同研究を進めるとともに、販路開拓につきましては、専門家のハンズオン支援による売れる商品づくりや国内外の展示・商談会への出展を支援するなど、各種事業を実施してまいります。  これらの新事業展開や農商工連携の取り組みに対しましては、その事業の進捗段階に応じて、フードバレーとちぎ農商工ファンドや県制度融資等による支援を行ってまいります。さらに、企業誘致の推進につきましては、食品関連業種を企業立地促進法に基づく集積業種に位置づけ、優遇税制等の適用を可能としたところでありますが、これに加え、新たに企業立地補助金の対象となる生産設備について、優遇措置を設けることといたしました。また、農業を初めとする関連産業の高付加価値化につきましては、農商工連携による新商品開発等を通じて農産物の新たな需要創出を図るとともに、農業者みずからが地域農産物を活用した加工・販売等を行う、いわゆる六次産業化を推進してまいります。  これらの取り組みを通じまして、食をテーマに地域経済が成長・発展し、活力あふれるフードバレーとちぎを目指してまいります。  次に、とちぎのいいもの販売推進本部についてお答えいたします。本県のすぐれた立地環境にある産業用地や魅力的な農林水産物、加工食品、工芸品などの県産品、いわゆるとちぎのいいものを積極的にPRし売り込んでいく拠点として、東京事務所にとちぎのいいもの販売推進本部を設置することといたしました。この推進本部の戦略といたしましては、まず一つ目は、首都圏等におけるマーケティングの最前線基地として位置づけ、本県と東京を直結して売り込むこと。二つ目は、スピード感を持ってリアルタイムに情報を発信すること。三つ目として、個別の商談を含めた一歩踏み込んだ売り込み活動を行うこと。以上の三つを柱として、販売促進活動を展開してまいります。  具体的な事業展開といたしましては、直接のターゲットとなる首都圏等の企業に対して、個別訪問による営業活動や幹部に向けたトップセールス、さらには卸・小売業、ホテル、レストラン等を対象とした展示商談会を行ってまいります。とちぎのいいもの販売推進本部を通じて、本県の魅力、実力、存在感を示しながら、積極果敢に攻めの売り込み活動を展開することによって、とちぎの産業ブランドを確立し、有名有力県となるよう最大限努力してまいります。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 再質問させていただきます。フードバレーとちぎの取り組みとあわせて、産学官金が連携することにより企業支援を行う「食と農」企業支援プロジェクトが進められております。先月、私の地元壬生町の北研を含む支援企業六社が決定し、各社は大学と連携して共同研究を進め、三年後をめどに事業化を目指していくとの報道がありました。また先日、初めてのビジネスセミナーが開催されるなど新たな取り組みも始まっております。そこで、フードバレーとちぎの推進にも大きく貢献するこのプロジェクトに、今後、どのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いします。 ○野田尚吾 議長 大森敏秋産業労働観光部長。 ◎大森敏秋 産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。足利銀行、野村證券と県で進めております「食と農」企業支援プロジェクトにつきましては、食と農にかかわる県内企業の研究開発から販路開拓までを一貫して産学官金の連携により支援するものでございまして、今回選定されました六社につきましては、それぞれ県産農産物を活用した新商品開発、生産加工における新技術開発を進めて新事業展開を図ろうとするものでございます。  現在、「食と農」企業支援プロジェクト推進協議会を構成しております、先ほど申し上げました三者と宇都宮大学、支援企業との間で企業ニーズや課題に応じた研究者の選定、研究の進め方について調整を行っているところでございます。今後、大学に蓄積されました研究成果等も活用して、新商品や新技術の研究開発に取り組むとともに、定期的に事業の進捗課題を把握いたしまして、進捗段階に応じてそれぞれの機関が有するノウハウ、支援機関を活用しながら事業化に向けた支援をしてまいりたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 要望させていただきます。フードバレーとちぎやとちぎのいいものを売り込み、確実に成長させていくためには、さらに、さまざまな分野との連携強化や支援体制の拡充を図っていくことが必要になると考えております。企業誘致など地域間競争も激しくなっておりますが、北関東を初め近隣県には、それぞれの強みがあり、その強みを生かした独自の取り組みを進めております。私は、それぞれの県が持つ強みを効果的に取り入れ、相互に連携しながら成長していく取り組みが、より重要になっていくものと考えております。既に茨城県や群馬県と連携し、それぞれの県で三県合同での物産展を開催していると聞いておりますが、例えば三県が連携して首都圏での物産展を開催することにより、販路開拓につなげることなども考えられます。そのような取り組みを進めていくことで、さらに栃木の強みに磨きをかけてほしいと思います。また、とちぎのいいもの販売推進本部の本部長に就任される予定であります須藤副知事には、今までの経験を十分生かし、積極的に取り組んでいただきますよう要望いたします。  次に、新とちぎ産業プランについてお伺いいたします。リーマンショック以降大きく後退した本県経済は、海外需要の回復とともに一部に持ち直しを見せておりましたが、デフレや円高の進行の中、失速を余儀なくされ、加えて雇用情勢に回復感は感じられず、中小企業を中心に厳しい経営状況が続いております。このような厳しい状況の中だからこそ、県民生活の基盤である産業を活性化させ雇用を安定させていくことが、県の大きな使命であります。  県では、産業の活性化と雇用の安定を図るため、平成十八年三月にとちぎ元気プランの部門計画として、とちぎ産業プランを策定し各種施策に取り組んできております。このとちぎ産業プランは、本年度で計画期間が満了となるため、現在、県では、平成二十三年度からのマスタープランとして新とちぎ産業プランの策定を進めておりますが、この間、人口、特に生産年齢人口の減少や経済のグローバル化の進展、地球規模での環境問題に加え、世界同時不況の影響も加わり、外部環境が大きく変化しております。  私は、本県産業を持続的に発展させていくためには、新とちぎ産業プランにおいて、時代の流れを的確にとらえるとともに、現とちぎ産業プランの実績を適切に評価・分析した上で、施策の方向を導き出していくことが重要であると考えます。そこで、県は、新とちぎ産業プランの策定に当たって、どのように課題を分析し施策の方向を見出したのか、また、新とちぎ産業プランの特徴はどのようなものなのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 大森敏秋産業労働観光部長。    (大森敏秋産業労働観光部長登壇) ◎大森敏秋 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。新とちぎ産業プランの策定に当たりましては、現プランの実績評価に加えまして、工業、商業、観光などの基本調査や企業ヒアリングを実施するとともに、中小企業振興審議会のご意見を伺いながら、本県産業の現状把握と課題の抽出を行ったところでございます。その上で、本県の産業集積や発展可能性などから、ものづくり産業と観光産業が本県経済を牽引する将来像を提示するとともに、企業立地ポテンシャルの向上等の環境整備に加えまして、製造業、商業、サービス業、観光の産業分野ごとに、企業・事業所の強化、地域力・産業集積の向上、産業人材の育成の観点から、今後五年間における施策展開の方向と具体的取り組みを体系的に取りまとめたところでございます。  本プランの特徴につきましては、一つ目は、企業等が費用対効果の高い製品やサービスの提供によって適正な利益を得るとともに、安定的な雇用の確保や社会貢献につながる活動を高付加価値化としてとらえ、全体のキーワードとしたところでございます。二つ目は、すべての産業分野を通じて人材の育成・確保を施策の柱に据えたことでございます。三つ目は、中長期的な産業の発展を見据えまして、選択と集中の考えのもと、フードバレーとちぎの推進や小規模事業者の支援などの六つの重点プロジェクトを掲げたところでございます。今後は、高い付加価値を創出する元気度日本一の産業を目指し、時代の変化にも適切に対応しながら、本プランに掲げた施策の着実な推進に全力で取り組んでまいりたいと思います。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 再質問をさせていただきます。新とちぎ産業プランにおいては、ただいまのご答弁の中にありましたように、人材の育成を施策の柱として取り組むとのことですが、私も、産業の人材育成は産業振興の基盤であり、大変重要なものと認識しております。また、新とちぎ産業プランに掲げる施策のうち、フードバレーとちぎの推進や小規模事業者の支援など六項目を重点プロジェクトとし、特に重点的に取り組むとのことですが、私はその中でも、海外への販路開拓・拡大の支援を行う海外販路開拓支援プロジェクトに注目しております。そこで、本プロジェクトについてどのように企業を支援していくのか、産業労働観光部長にお伺いします。 ○野田尚吾 議長 大森敏秋産業労働観光部長。 ◎大森敏秋 産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。人口減少時代を迎え国内市場が縮小することが予想される中にありまして、海外への販路開拓・拡大は重要な取り組みであると考えております。海外への販路開拓をする際に、言葉はもちろんでございますけれども、商習慣の違いなど国内における販路開拓とは大きく異なった点がございます。そこで、これまで海外への販路開拓を検討している企業を対象といたしまして、セミナーを活用した海外市場の情報提供を初め、海外取引等に関する相談に応じる貿易相談コーナーを設けてまいりました。今後は、さらに県内企業の海外展開を支援する観点から、新たな取り組みといたしまして、企業の担当者の経験に応じた貿易術の研修会を開催するなど、企業の人材育成を支援してまいりたいと思います。また、商談会の開催、見本市への出店等の、いわゆる商談機会の拡大を行いますとともに、とちぎ未来チャレンジファンド等を活用いたしまして、企業の海外への販路開拓の参入検討から本格参入に至るまで、各段階に応じてご支援をしていきたいと考えております。
    ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 要望いたします。本県の産業を振興し、地域経済の活性化を図り、豊かな県民生活を実現するためにも、新とちぎ産業プランに掲げられた施策の着実な実施に努めてほしいと思います。  次に、みぶ羽生田産業団地の整備についてお伺いいたします。我が国の景気動向は、各種経済指標にやや改善の動きが見られるものの、内需は依然として低調で、なかなか本格的な回復の兆しが見えない状況にあります。こうした中、間もなく北関東自動車道が全線開通いたしますが、この好機を最大限に生かしながら、本県経済のさらなる活性化につなげていくことが求められます。みぶ羽生田産業団地は首都圏から近く、東北自動車道や北関東自動車道等の幹線が走る恵まれた立地環境を有しており、北関東自動車道の全線開通でその利便性・優位性がさらに高まる、このタイミングを逃すことなく、多くの優良企業の立地に結びつけるためにも、一日も早い造成・分譲が待たれるところであります。  また、産業団地の分譲によって、一ヘクタール当たり雇用面では約四十人、税収面では県税、市町村税を合わせて年間約四千万円の波及効果が生じるとの分析結果があり、これを約七十ヘクタールという広大な分譲面積を有するみぶ羽生田産業団地に当てはめますと、総体として約二千八百人の新規雇用が生まれ、毎年の納税額も約二十八億円に上る計算になります。このことが、県政の重要課題の一つである雇用の拡大にもたらす効果は絶大であり、現在、厳しい財政のもとでとちぎ未来開拓プログラムに取り組む本県にとりましても、まさに状況改善に大きく貢献する事業ではないかと考えます。  そこで、現在、整備を進めているみぶ羽生田産業団地の事業の進捗状況と今後の見通しはどうなっているのか、また、早期分譲につなげるために、今後、どのような戦略のもとに企業誘致を進めていこうとしているのか、企業局長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 池澤昭企業局長。    (池澤 昭企業局長登壇) ◎池澤昭 企業局長 ただいまのご質問にお答えいたします。みぶ羽生田産業団地につきましては、地元の多くの皆様のご協力をいただきましたので、昨年十二月に造成工事に着手いたしました。現在、調整池の造成や補助幹線道路など、必要なインフラの整備を進めているところでございます。また、企業の要望に合わせて柔軟な区画割りができるよう工夫して造成を行い、平成二十四年度の分譲開始につなげてまいりたいと思います。  次に、企業誘致につきましては、北関東自動車道の全線開通を好機としてとらえ、早期分譲を目指し、新年度には、企業誘導の組織体制の強化を図るとともに、この団地のすぐれた立地特性を広くPRするための新たな取り組みを行うことといたしました。また、地元壬生町や新年度から東京事務所に設置されますとちぎのいいもの販売推進本部と緊密な連携を図りながら、積極的な誘致活動を展開してまいります。今後とも円滑な造成工事を進めるとともに、これまでにも増して精力的な情報の収集や企業訪問を重ね、県内経済への波及効果の大きい優良企業の誘致に全力を挙げて取り組んでまいります。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 再質問をいたします。企業等への売り込みのためにも、産業団地周辺の取付道路の早期整備が望まれるところであります。そこで、取付道路の整備状況について、県土整備部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 池田猛県土整備部長。 ◎池田猛 県土整備部長 ただいまの再質問にお答え申し上げます。取付道路といたしましては、大きく二路線ございます。一路線が県道羽生田上蒲生線、もう一つが県道宇都宮亀和田栃木線でございます。  壬生のインターチェンジから産業団地へのアクセス道路となります県道羽生田上蒲生線につきましては、延長二・一キロメートル区間を工事区間といたしまして、これまで事業を進めてまいりました。用地買収がおおむね完了しましたことから、今年度、一部改良工事に着手をいたします。産業団地の立地企業の操業開始までには供用開始ができるよう、整備を進めてまいりたいと考えております。  それから、もう一つの県道宇都宮亀和田栃木線につきましては、一・六キロメートル区間について整備を進めることといたしまして、県道羽生田蒲生線の整備後、引き続き産業団地の造成に合わせて事業着手できるよう努めてまいりたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 要望いたします。現在の経済情勢を考えますと、企業誘致を進めていくには大変厳しい環境でありますが、このようなときだからこそ関係部局等が一丸となって、より波及効果の高い企業の誘致に取り組んでいただきますよう強く要望いたしまして、次の質問に臨みます。  次に、食を生かした地域づくりについてお伺いします。県では、食を生かした地域づくりを目指した食の回廊づくりに取り組んでおりますが、昨年、私の地元壬生町を起点として、上三川町、下野市、小山市までの約六十キロメートルを結ぶ十番目の歴史とロマンのかんぴょう街道が誕生し、県内すべての市町に食の街道が走ることとなりました。これまでも県内外に向けたさまざまな情報発信を行っておりますが、北関東自動車道の全線開通、東京スカイツリータウン内のアンテナショップの開設など、さらに情報発信を高めるチャンスが広がっております。  県では、来年度、北関東自動車道のパーキングエリアや道の駅でのPRイベントの開催を行っていくとのことですが、つい先日、みぶハイウェイパーク(道の駅みぶ)において、歴史とロマンのかんぴょう街道開通記念イベントが開催されました。私も参加しましたが、多数の来場者でにぎわい、地域の特産物や壬生町のご当地グルメである、かんぴょうの卵とじをベースとしたカミナリ汁の無料配布なども大人気で、歴史とロマンのかんぴょう街道の存在を多くの方々にPRできたのではないかと感じております。  私は、このような地域の取り組みを積極的に進めることに加え、一つの街道の元気を県全体の街道に生かし、そして、県全体の元気を地域の街道に生かすというような県全体での取り組みが重要であると考えております。そこで、県内を網羅する食の街道をどう結びつけ、食の回廊づくりを進めていくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 吉沢崇農政部長。    (吉沢 崇農政部長登壇) ◎吉沢崇 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。とちぎ食の回廊づくりにおきましては、各食の街道の自主的な取り組みを初め、さまざまな手段を用いた県内外へのPRなどによりまして、徐々にではありますが知名度も高まりつつあります。食の回廊にさらに磨きをかけていくためには、今後、各街道の魅力向上や街道間の連携した取り組みの拡大、全国への情報発信の強化などを図っていくことが重要であると考えております。そのため、県では各街道における六次産業化や農商工連携などによる新商品の開発・販売、また、食の街道の中で大きな役割を果たしております農産物直売所等の機能強化の取り組みを積極的に支援することとしております。  また、三月十一日には、各食の街道推進協議会などで構成しますとちぎ食の街道連絡会の設立を予定しておりまして、その中で、北関東自動車道の全線開通などを踏まえた連携イベントの実施や街道相互による情報発信など、各街道の連携強化による相乗的な効果を生み出してまいる考えでございます。さらに、全国版の情報誌の発行や県外マスコミ等へのプロモーション活動などに取り組みまして、さらなるとちぎ食の回廊の魅力向上に努めてまいります。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 再質問いたします。昨日、とちぎのふるさと田園風景百選が選定されました。昨年度から二カ年で三百五十三地域七百五十点の応募があり、その中から、すべての市町において百二の地域が選定されました。このようなすばらしい田園風景百景や伝統などの素材を、ぜひ生かしていくべきであると考えております。そこで、すべての市町にできた食の街道ととちぎのふるさと田園風景百選を、どのように連携させ取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 吉沢崇農政部長。 ◎吉沢崇 農政部長 ただいまの再質問にお答えいたします。先日、認定されましたとちぎのふるさと田園風景百選につきましては、食を支える農業生産や農村文化など、先人たちが長年積み重ねて築き上げた貴重な地域資源でございます。今後は、食の街道の持つ食ととちぎのふるさと田園風景百選の持つ景観や文化を有機的に組み合わせて、物語性のある新たな周遊ルートの設定に対する支援などを通しまして、安らぎや食を一層身近に感じられるような魅力ある街道づくりを進めていきたいと考えてございます。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 要望させていただきます。かんぴょうは栃木県が全国一の生産地であり、そのほとんどを壬生町、上三川町、下野市、小山市で生産しており、来年かんぴょう伝来三百年を迎えます。これは新しい街道であるかんぴょう街道のPRには絶好の機会ではないでしょうか。ぜひ壬生町のご当地グルメ、カミナリ汁を初めとして、街道が走る市や町が取り組むかんぴょうを生かした製品等も、あわせて積極的なPRをお願いいたします。  次に、男性の子育てへの参加促進についてお伺いいたします。皆さんも、「イクメン」という言葉は聞いたことがあると思います。昨年の流行語大賞でもトップテンに入った子育てを楽しむ男性、子育てを積極的に行う男性のことです。私自身も父親になったときには、妻と二人で子育てを楽しみたいと考えておりますが、平成二十年の厚生労働省の調査で、育児休業を利用したい男性は三割を超えているにもかかわらず、平成二十年度の男性の育児休業取得率は一・二三%となっているなど、実際には、男性が仕事を持ちながら子育てするには、まだまだ大きな課題があると感じております。  厚生労働省は、昨年六月から仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を視点として、仕事と子育てを両立する男性を応援し、男性も子育てしやすい社会を実現しようとするイクメンプロジェクトの取り組みをスタートさせております。また、国が昨年十二月に策定した第三次男女共同参画基本計画では、第二次基本計画では設定されていなかった男性、子どもにとっての男女共同参画などを新たな重点分野として位置づけ、男性の子育て参加を支援する施策も含め、男女共同参画の社会づくりを進めるための施策を総合的に推進していくとしております。  現在、県では、とちぎ男女共同参画プラン(三期計画)を策定し、各種施策を進めていこうとしておりますが、時代の流れを的確にとらえ、男性が子育てへ参加しやすい環境づくりを進めてほしいと考えております。そこで、とちぎ男女共同参画プラン(三期計画)においては、男性の子育てへの参加について、男女共同参画の視点からどのように取り組んでいくのか、県民生活部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 荒川勉県民生活部長。    (荒川 勉県民生活部長登壇) ◎荒川勉 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。昨年度、県が実施した意識調査では、家庭での役割分担の多くが妻に偏っている実態や、夫は外で働き妻は家庭を守るべきといった固定的な役割分担意識が根強く見られました。こういった状況や意識を県民の皆様に見直していただくことが、男性の子育てや女性の社会参加の促進につながるものと考えております。このため、来年度からの次期とちぎ男女共同参画プランでは、男性の男女共同参画への理解促進やワーク・ライフ・バランスの推進を、改めて重点的な施策に位置づけたところであります。今後とも、市町村や関係機関と連携し、父親の子育て応援講座の開催や商工関係団体と連携して事業主への働きかけを行うなどして、男性が子育てに参加しやすい環境の整備に努めてまいります。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 再質問をさせていただきます。県では、出産時から父親としての自覚を持ち、子育てに主体的に参加するきっかけとするため、父子手帳を作成して、市町において母子手帳と同時に配付するほか、子育て支援の取り組みがすぐれた事業所の表彰などに取り組んでいると聞いております。  私は、男性の子育て参加を促進するためには、同じ立場の男性が集まり情報交換等ができる交流の場づくりや、子育て経験のある父親に体験談を聞く子育てセミナーのような機会を設けることが大切であると考えておりますが、保健福祉部長の考えをお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 北澤潤保健福祉部長。 ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。最近では、市町村が主催いたします子育て教室などに夫婦そろって参加するなど、妊娠・出産・育児について学ぶ体験型の学習機会がふえております。また、市町村が身近な地域における子育ての支援拠点などで、父親向けの講座や催しを開催したりしている事例もございまして、こうした機会をきっかけに父親同士のつながりや交流が生まれているとも聞いております。  県では、先ほどございましたとおり、父親の積極的な育児参加を促すための父子手帳を配付しておりますほか、各種広報媒体を用いた広報啓発を行っておりますけれども、議員ご提案の事業につきましては、男性の子育て参加を促進する上で意義あることと考えておりますので、こうした取り組みが地域の実情に応じて広く実践されますよう、市町村に積極的に働きかけてまいりたいと考えています。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 要望させていただきます。国の分析で、二〇五五年の将来推計人口において想定される結婚をしない人の割合は二三・六%、夫婦に生まれる子供の数は一・六九人、一方で、実際に結婚したいと考えている人は九割以上、夫婦が希望する子供の数は二人以上と、将来像と希望とが大きく乖離しているとの結果が出ております。  また、その要因としては、雇用の安定性や継続性、仕事と生活の調和の度合い、育児不安などが指摘されており、出産・子育てと働き方をめぐる問題に起因するところが大きいとされております。結婚については、収入が低く、雇用が不安定な男性の未婚率が高く、非正規雇用や育児休業が利用できない職場で働く女性の未婚率が高いという分析結果もあり、これらを考えると、男女共同参画という視点に加え、企業での育児休業制度の整備促進や啓発など、企業への積極的な働きかけが必要であると実感します。ぜひ関係部局が連携して、子育てをしやすい環境づくりに取り組んでいただきますようお願い申し上げます。  次に、ドクターヘリの広域連携体制の構築についてお伺いします。ドクターヘリが獨協医科大学病院を基地病院として運航して以来、先月で一年が経過しました。一月末までの出動件数は三百五十二回を数え、今年度に入ってから一日一回を上回るペースで出動しており、運航開始前に想定した以上の実績を上げていると思われます。また、ドクターヘリのスピードと機動力を発揮し、多くの救急患者の救命や後遺症の軽減に貢献しているとのことで、医師や知事への感謝のメッセージが寄せられたと聞いております。消防防災ヘリとの連携では、山岳事故に遭った男性を消防防災ヘリが救助し、近くのランデブーポイントにおいてドクターヘリに引き継ぎ病院に搬送するなど、それぞれの特性を生かし適切で効果的な運航ができているものと考えます。  これまで、ドクターヘリの導入に当たってはさまざまな議論があり、一部導入に対しては慎重な意見もありましたが、これまでの実績を踏まえると、やはり我が会派の花塚議員を中心に訴えた「救える命は救う」という強い思いが、間違いではなかったと考えております。しかし、一方では、出動件数がふえるに従い出動要請が重なり、後からの要請に応じられない事態も出てきており、この一年間でそうした要請の重複により出動できなかったケースは十九件に上ると聞いております。  茨城県や群馬県などの近接県でもドクターヘリの運航を行っておりますが、やはり要請の重複により出動できなかったケースがあり、共通の課題となっております。県ではこうした要請の重複に対し、近隣県との相互の応援により対応するための協議を行っていると聞いておりますが、現時点における協議の状況について保健福祉部長にお伺いします。 ○野田尚吾 議長 北澤潤保健福祉部長。    (北澤 潤保健福祉部長登壇) ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。ドクターヘリの隣県との相互応援体制については、どのような場合に出動を要請するかという要請基準や出動範囲、要請手順等につきまして、現在、茨城・群馬両県と最終的な詰めの協議を行っているところであります。  具体的な要請基準につきましては、喫緊の課題であります重複要請の場合のほか、多数の傷病者が発生し、救急現場で複数のドクターヘリが必要とされる場合も対象とすることとし、出動範囲につきましては、救命に効果的な範囲や運航上の安全性確保の観点から、それぞれの基地病院から半径五十キロを目安に地形等も考慮して決定するということで、基本的な合意を得ているところでございます。今年度中には三県での協定を締結し、その後、消防機関との連携訓練など必要な準備を行った上で、新年度の早い時期に運用を開始したいと考えております。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 要望をさせていただきます。昨年四月、兵庫・京都・鳥取の三府県がドクターヘリの共同運航を始めたと聞いております。それらの実績・課題も含めて今後の検討をお願いします。  再質問をいたします。ドクターヘリが出動した患者の搬送先は、七割近くが基地病院の獨協医科大学病院であると聞いております。獨協医科大学病院においてはベッドやスタッフにも限りがあり、搬送先医療拠点を分散させる必要があると思いますが、保健福祉部長の考えをお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 北澤潤保健福祉部長。 ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。基地病院への搬送の割合が高い原因といたしましては、現在、ヘリポートを有する救命救急センターが限られていることも一因だと思います。ことし七月には足利日赤が、そして来年七月には大田原日赤が新病院を開院予定で、いずれもヘリポートが整備される予定でございますので、今後は搬送先の分散化は図られてくるものと考えております。引き続き救命救急センターを初めとする救急医療機関に対し運航調整委員会等の場におきまして、より積極的な受け入れを要請していきたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 次に、エコとちぎの取り組みについてお伺いします。いよいよ第二十四回全国スポーツ・レクリエーション祭が本年十一月に開催されますが、「スポレク“エコとちぎ”二〇一一」と祭典名にエコを盛り込んで取り組むのは、栃木県が初めてと聞いております。  県では、平成二十一年に、とちぎ環境立県戦略を策定し、“エコとちぎ”の実現に向けた先導的な八つの取り組みをリーディングプロジェクトとして位置づけ、県民総ぐるみでの環境立県とちぎの実現を目指しております。その“エコとちぎ”づくりの行動指針の三つのキーワード、「はじめる」、「つなげる」、「ひろげる」の一つ、「ひろげる」には、「地域からとちぎへ とちぎから全国へ」という考えが示されており、今回の祭典名にエコとちぎを盛り込み、全国に発信していくという知事の強いメッセージが込められていると感じております。  県内外から多くの方々が参加するこの祭典でエコとちぎを積極的に推進することにより、環境立県とちぎの存在を全国に示してほしいと考えております。そこで、第二十四回全国スポーツ・レクリエーション祭におけるエコとちぎの取り組みはどのようなものを考えているのか、知事にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。環境問題への対応は、県民総ぐるみで立ち向かう喫緊の課題であり、県では「地球と人にやさしい“エコとちぎ”づくり」に向け、さまざまな取り組みを行っております。その一環として、第二十四回全国スポーツ・レクリエーション祭の開催につきましても、祭典名称の中にエコを掲げ、環境立県とちぎを県内外に強くアピールしているところであります。  そこで、本祭典の基本計画の中に、省エネルギー・省資源の推進や参加者への意識啓発・情報提供などを柱とした、今までの開催県にはない環境配慮基本計画を掲げ、祭典を開催することといたしました。これに基づき、昨年十一月に開催した一年前イベントにおきましても、とちぎカーボンオフセット証書の発行など、本県独自の取り組みを積極的に展開したところであります。  さらに、本祭典におきましても、会場で消費する電気を一〇〇%グリーン電力で賄うことやエコ活動によるCO2削減量を会場に表示することとしており、このことはまさに本県が初めての取り組みであります。また、県内外の参加者に環境配慮の意識を持ってもらうために、県民が心を込めてつくったマイはしを配布するなど、本祭典を通しまして環境に対する県民意識の醸成を図るとともに、全国の皆様にもエコとちぎを体感してもらえるよう取り組んでまいります。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 最後に、全国へ向けた元気な栃木の発信についてお伺いいたします。第二十四回スポーツ・レクリエーション祭については、現在、県及び市町に設置された実行委員会が準備を進め、県内二十一市町で、都道府県代表参加種目十八種目とフリー参加種目十種目の計二十八種目が開催されると聞いております。また、開催期間を通しての来場者は十六万人以上、その経済波及効果は十六億円を超えると予想されており、開幕前日に行われます県庁前広場を主会場とした前夜祭で、とちぎご当地グルメグランプリ(仮称)を開催し、会場に来て食べた人の投票で栃木県のご当地グルメナンバーワンを決定する予定であると聞いております。  まさに、栃木を売り込む絶好のチャンスであります。これまでもU字工事を初めスポーツ選手やタレントなど、多くの有名人が栃木県の知名度アップに貢献しております。先月、広島県で行われました全国都道府県対抗男子駅伝では、本県チームが優勝し、同月行われました大阪国際女子マラソンでは、赤羽有紀子選手が見事初優勝いたしました。  過日、日経リサーチから発表された地域ブランド力調査・都道府県ランキングでは、茨城県が四十五位、群馬県が四十七位と前回と同順位でありましたが、栃木県は前回の四十六位から四十一位へとランクアップしました。私は、これらのことも栃木県への追い風ととらえ、さらにブランド力に磨きをかけていく必要があると思っております。そして、ぜひ第二十四回全国スポーツ・レクリエーション祭という機会を逃さず、食、観光、産業等あらゆる視点で、新とちぎ元気プランの実現につなげる元気な栃木の発信をしてほしいと考えております。そこで、第二十四回全国スポーツ・レクリエーション祭では全国に向けてどのように元気なとちぎを発信していくのか、知事の考えをお伺いします。 ○野田尚吾 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。「スポレク“エコとちぎ”二〇一一」は、栃木のブランド力や元気度日本一を目指す本県を全国に売り込む大きなチャンスと考えております。そのためには、祭典の成功が絶対条件でありますことから、県内各界各層の代表者からなる実行委員会を立ち上げて、とちぎの輪、とちぎの元気、とちぎの魅力を柱とする実施計画を策定し、多くの県民が生き生きと祭典に携わり、互いに交流の輪を広げられる祭典を目指すことといたしました。特に市町村を初め関係機関と連携して実施する交流イベントを重視し、全国各地から来県される皆様に、県内の名立たる食や観光、特産品などで元気な栃木に触れてもらいたいと考えております。本県が初めて開催する前夜祭におきましても、選び抜かれた県内各地のご当地グルメなどで歓迎いたしますとともに、来場者の投票により本県のグルメナンバーワンを決定し、祭典を盛り上げてまいりたいと考えております。私も実行委員会の会長としてみずから先頭に立ち、県を挙げて元気な栃木を全国に向けて発信してまいります。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 再質問をさせていただきます。前夜祭でのとちぎご当地グルメグランプリ(仮称)ですが、最近、話題となっているB級グルメの祭典B―1グランプリの会場となった神奈川県厚木市では約三十六億円、秋田県横手市では約十三億円の経済効果があり、その後も現地を訪れる観光客等、その経済効果はとても大きなものがあると聞いております。規模や内容など、単純に比較できるものではありませんけれども、とちぎご当地グルメグランプリ(仮称)を初め前夜祭の取り組みによって、経済効果だけではなくさまざまな効果が期待されます。そこで、前夜祭全体の内容と期待する効果について、知事にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。第二十四回全国スポーツ・レクリエーション祭前夜祭は、県庁周辺で事前に選ばれました市町村、あるいは自薦・他薦さまざまですけれども、選ばれた約四十店舗の県内グルメが競う食の祭典として開催を予定しております。本県で初めて開催するご当地グルメグランプリに位置づけ、県民にわかりやすく親しみやすいネーミングなどを現在検討しております。この前夜祭では、経済効果は試算はしておりませんが、街中のにぎわい、祭典への期待感、来県する方々へのおもてなし、本県グルメの全国発信など、多くの効果を期待しているところであります。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 再質問をいたします。十一月に開催を控えている第二十四回全国スポーツ・レクリエーション祭でありますが、周囲の反応を見ると、九カ月後ということもあるためか、まだまだ盛り上がりに欠けており、情報不足という印象を強く持っております。開催市町には実行委員会が設置され、準備を進めているわけでありますけれども、県民みんなで県外の方々をお迎えし、おもてなしするためにも、さらに積極的なPRを行い、認知度を高めていく必要があると思います。そこで、第二十四回全国スポーツ・レクリエーション祭の認知度を上げるためにどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いします。 ○野田尚吾 議長 須藤稔教育長。 ◎須藤稔 教育長 ただいまの再々質問にお答えいたします。PR活動につきましては、ポスター、リーフレットのほかラッピングバス、さらには地元新聞、ラジオ局、テレビ局などを活用しました広報活動、そして、マスコットキャラクターの「とちまるくん」を筆頭としましたキャラバン隊を編成しまして、幼稚園、保育所、小学校等、現在までに約四百五十カ所訪問させていただき、PR活動に努めたところでございます。今後は、さらに切手のオリジナルフレーム――これは八十円切手を十枚ほどシートにしたものでございますが、そこに「とちまるくん」をデザインしたものであるとか宝くじに図柄を載せていただく、さらには、市町村や関係団体、県などでのイベントで、「とちまるくん」を前面に出したPR活動をより積極的にやっていきたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 再質問をさせていただきます。第二十四回全国スポーツ・レクリエーション祭のマスコットであります「とちまるくん」、こちらになります。(「とちまるくん」のパネルを示す)とてもかわいらしいマスコットで、子供たちを初め世代を問わず大変人気があると聞いております。そして、頭には栃の葉、額の鉢巻きには「とちぎ」の三文字、胸には県のマークがあり、一目で栃木県とわかるキャラクターであります。以前、岩崎信議員が、栃木県をイメージできるような県の統一キャラクターの考案を提案しましたが、まだ新しいキャラクターは誕生しておりません。  近県では、群馬県の「ぐんまちゃん」、千葉県の「チーバくん」などが県のマスコットキャラクターとして活躍しています。「ぐんまちゃん」は、平成八年に群馬県で開催されたスポーツ・レクリエーション祭などのマスコットとして活躍した後、平成二十年から県のマスコットキャラクターとなりました。また、「チーバくん」は、昨年開催された千葉国体の終了後も、県のマスコットキャラクターとしてぜひ残してほしいとの多くの声があったことから、本年一月に県のマスコットキャラクターになったと聞いております。  栃木県では、県民の日のマスコットキャラクターとして、「ルリちゃん」が知られておりますが、県のマスコットキャラクターではありません。そこで、一目で栃木県をイメージできる、この「とちまるくん」を、県のマスコットキャラクターとしてはいかがでしょうか。今後、栃木県のイメージアップにも貢献してくれるものと考えますので、県のマスコットキャラクターとしてご検討いただけるかどうか、知事に再質問させていただきます。 ○野田尚吾 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 いいご提案だと思いますので、多くの県民のご意見なども伺いながら、選定作業を進めていきたいと思います。
    ○野田尚吾 議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 以上で、発言通告をしたすべての質問を終了いたしますが、知事が掲げる栃木の元気とは、私なりに人、そして産業、自然、地域が元気になることだと理解しております。これから県民との協働のもと、栃木の強みを最大限に生かし全国に発信していけるようお願い申し上げまして、私のすべての質問を終了いたします。ありがとうございました。 ○野田尚吾 議長 この際、十五分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。  午前十一時 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎高野純一 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は四十一名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午前十一時十五分 開議 ○神谷幸伸 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 私は一問一答方式によりまして、県民の皆さんの声を代弁する立場で順次質問をさせていただきたいと思います。積極的なご答弁をよろしくお願いいたします。  まず、TPP(環太平洋連携協定)参加問題と農業戦略について、知事に伺います。菅首相は乗りおくれたら大変だと言いますけれども、乗ったら大変なのがTPPだと私は思います。何が一番大変かといいますと、私は、食の安全と安定的な食料供給を脅かすことだと思います。関税が例外なくゼロになれば、競争力の低い日本の農業は破壊され、農林水産省の試算では、食料自給率は一四%にまで落ち込むと出ております。地球規模での食料不足が指摘されているとき、主食まで外国頼みになったら、国民の命は守れません。菅政権は食料自給率を五〇%台に引き上げることを閣議決定しておりますけれども、国会質問で日本共産党志位和夫委員長が、TPPに参加することと両立できるのかとただしましたが、まともな回答はありませんでした。  また、農業だけではありません。食品加工・製造・流通・販売など、関連産業にも大きな打撃となり、雇用と地域経済全体への影響ははかり知れません。三百四十万人が就業機会を失うとも試算されております。さらに、関税以外の問題でも、食品添加物、残留農薬など食の安全規制が緩和され、医療、福祉、金融、公共事業、労働市場に至るまで外国に開放されることになります。国民生活のすべて、国の根本にかかわる問題だと認識しております。  もう日本の農業は十分開放されてきたと思います。米などごく一部に高い関税が残っているだけです。自国の食料のあり方はその国が決める、この食料主権のルールが私は貿易には必要だと思うのです。  これまで知事は、TPP参加にはメリットもデメリットもあると表明してこられました。TPP断固阻止の集会にはメッセージを送られました。しかし、賛成なのか反対なのか、この点がいま一つはっきりしないのです。ぜひともはっきり伺いたいと思います。TPP参加への栃木県として明確なノーの態度を示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、関税ゼロになった場合、新とちぎ元気プランの農業戦略にも影響します。本県農業への影響調査を行うべきではないでしょうか。あわせて答弁を求めます。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの野村節子議員のご質問にお答えいたします。TPPにつきまして、政府は関係国との協議を開始し、菅総理は本年六月をめどに交渉参加の是非について結論を出すと表明いたしました。グローバル化が進展する中、我が国が将来にわたって成長・発展し、雇用を確保していくためには、経済連携による国際競争力の強化が重要な課題であり、輸出型産業が集積し、全国有数のものづくり県でもある本県にとりましても、大きな問題であると認識しております。  一方、農産物や工業製品に対する関税の原則撤廃に加え、投資やサービス等といった幅広い分野の規制緩和も目指しているTPPに参加することは、農業分野はもとより、さまざまな分野に大きな影響が生じることが予想されますとともに、国民生活を支えるさまざまな社会制度などに、どのような影響が生じるのか懸念されるところであります。  政府は、TPPへの参加を進めていくのであれば、その必要性はもとより、農業を初めとする各関連分野や地域経済への対応策などについて十分検討を行い、国家として責任ある説明を行うとともに、的確な情報の提供に努め、国民の理解を得ていく必要がありますが、残念ながら、そうしたことが十分行われておりません。こうしたことから、県といたしましては、まず、国に対して適切な対応をとるよう訴えていくとともに、引き続き情報の収集に努めてまいりたいと思います。  なお、本県農業への影響調査についてでありますが、国は、米、小麦など主要な十九品目の農産物や多面的機能への影響について試算額を公表しました。しかし、この試算では、全国一律の算出方法となっているため、本県の立地条件や地域農業の形態に当てはめて影響額を正確に算出することは、困難であると考えております。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 再質問いたします。今、ご丁寧な答弁を伺いましたけれども、やはり知事のお立場というのは、私は、はっきりわからない。聞いていた方もそうだと思うのです。もう少し伺っていきたいと思います。本県に集積する輸出型産業が国際競争上不利にならないようにというお話もございました。ただ、この問題を考えるときに、TPPを主導しておりますのはアメリカですから、ドル安円高に導かれると輸出増が期待されてもそれは相殺されるという識者の指摘もございます。この点の影響ということも考えなければならないと思うのです。  それ以前の問題として、私は、メリット、デメリットという考え方ではなくこの問題を見るべきだと思うのです。そうでないと、前原外務大臣のように、「農林水産業はGDPの一・五%を占めるにすぎない。なぜ一・五%を守るために九八・五%が犠牲にならなければならないのか」などというとんでもない発想になるのだと思うのです。これはてんびんにかける問題ではないと思います。ちなみに、アメリカの農業生産額のGDPに占める割合を調べてみましたら、日本より低いのです。一・一%でした。でも、食料自給率は一二四%です。全然お話にならないくらい条件が違うのです。  私は、貿易には最低限のルールが必要だと思います。輸出産業の成長も大事なことではありますが、それは国民の主食、食料を自国で賄うことを放棄してでも追求すべきことなのか。食料主権、このことを知事はどう受けとめておられるのか、この点をもう一度お伺いしたいと思います。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 大変重要な問題だと思います。政府は、食料自給率を現在の四〇%から五〇%に引き上げるという方針を表明しております。一方で、TPPについては六月までに参加の是非を決めるというお話でございます。また、今、野村議員からもお話がありましたように、国内の二十四産業分野に影響を及ぼすと言われています。その中でも、特に農業につきましては、今申し上げましたように食料安保という問題もありまして、大変重要な役割を担っていると思っています。  そういう中で、本県はものづくり県でございますので、参加によるメリットとそれによるデメリットというものが当然発生するわけでございまして、それは我々県民が状況をはっきり把握し理解することが必要だと思っています。  現在は、何らの説明もありませんし、十月に表明をして以来半年になるわけですが、何ひとつ対応していないわけですから、こういう状況の中で、この問題について是非を表明する立場には知事としてはない。しかし、国内農業、そしてまた、栃木の農業は何としても守っていかなければならないという強い思いは、議員と同じだと思います。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 結局、国が情報提供しないからだと、私もそうだと思います。非常にこの問題は国の責任が大きいです。しかし、それが本県に与える影響はどうなのかを、やはり県みずからが調査するという姿勢に転ずるべきだと思うのです。栃木県農業協同組合中央会が試算されて一千二百二十二億円減少という話がありました。また、宇都宮市は、日本共産党の荒川恒男市議の質問に対して、何も対策を講じなかった場合、米の生産は九九%減少する、一%しか残らないという数値も示しております。これが正確かどうかということは、いろいろな考え方があるかもしれませんが、少なくとも県民の皆さんに情報提供して判断していただく、その情報提供の材料を県としてつくり出していくという努力が求められる。その責任があるのではないかと思いますが、もう一度お答えいただきたいと思います。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 今、お話がありましたように、農業団体が、国と同じ算出方法で本県農業の影響額を算出したところ、二千六百億円余の農業産出額のうち一千二百億円余が影響を受けるという数字が出ています。十九品目が対象でございますので、米では全体の九割、また、牛肉では三等級以下が外国産に置きかわるという条件設定で影響額が算出されております。  一方で、本県の米の生産につきましては、規模拡大による低コスト化を進めながら、安全・安心な米の生産によりまして高品質化を図り、消費者等にも支持されているものもあります。他の農産物につきましても、実需者と結びついた生産もありまして、一定の需要が見込まれるものもあります。  国は十九品目以外の試算はしていない。そのような状況の中で、本県の農畜産物の各品目がどれだけの割合で外国産に置きかわるかということにつきましては、その条件を設定することは非常に困難であると考えております。  なお、試算額を算出している道県につきましては、そのほとんどが国の算出方法を準用した試算でございます。すなわち農業団体が算出したものと同じになるということであります。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) もう少し聞きたいところではありますけれども、時間がありません。私が申し上げたいのは、今、県は、農業戦略をいろいろ考えておりますが、TPPを前提にして一部の強い農家を育成するという視点にとどまっていたのでは不十分だと思います。農業の六次産業化ということも言われております。しかし、それは第一次産業の農林漁業があってこそ、六次産業ということが出てくるのだと思います。国民の胃袋を支えているすべての生産者を支援する立場に立って農政に取り組んでいただきたいと、強く指摘をしておきたいと思います。  最後に、知事が公約として取り組まれたとちぎのふるさと田園風景百選、この事業は、農村の姿を再評価したいという知事の思いがあったと理解しております。しかし、TPPに参加をしたら、あのとき写真を撮っておいてよかったなと、写真の中でしかお目にかかれない風景になってしまう可能性だってあるのです。これは絶対許してはならないと思います。ぜひとも国に働きかけると同時に、県独自に調査をするという努力をしていただきまして、そして、ともに菅政権にTPP参加断念を迫る運動の先頭に立っていただきたい。このことを強く求めまして、次の質問にまいります。  次に、地域経済を元気にする住宅リフォーム助成制度について、知事にお伺いいたします。今、県政の最大課題は、いかに地域経済を元気にするかだと思います。どこに行っても中小業者の皆さんから、仕事がない、仕事が欲しい、働きたいとせっぱ詰まった思いを伺います。リーマンショック以降、国の緊急経済対策が何度か講じられ、県でも公共事業、金融対策、また企業誘致などの予算増が図られてきました。しかし、恩恵があるのは一部の業界や体力のある企業だけで、一番苦しんでいる中小零細業者には全くといっていいほど光が届いていません。  地域経済を潤す本当に効果のある対策、仕事をふやす支援が必要です。その決め手が住宅リフォーム助成制度だと思います。この制度は、消費を押し上げ、経済の地域内循環が図られ、地域経済が元気になると全国的に注目され、既に秋田県、山形県を初めとして百八十近くの自治体で導入されております。実施されたところではどこでも住民から歓迎されて、地域経済への波及効果は予算額の十倍を超えるという評価もございます。秋田県の例を申し上げますと、工事費の一〇%、上限二十万円を施工主に補助していますが、昨年十月までの実施から八カ月間で申請数は一万件を超えた。補助額は追加補正も加えて二十一億円で、秋田県は、何と経済波及効果を五百億円と推定しているそうで、実に予算額の二十倍を超えます。  本県には、県産材活用の新築住宅への助成制度があり、耐震診断と耐震工事への助成制度もございます。そこにこの住宅リフォーム助成制度を組み合わせれば、バランスのとれた力強い制度になると思います。来年度から鹿沼市、那須烏山市も助成をスタートさせると聞いています。県が音頭をとって一気に全市町で実施すれば大きな効果が期待でき、税収増にもつながると思います。ぜひ取り組むべきではないでしょうか、知事の答弁を求めます。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、現在、住宅のリフォームの実施に際して、住生活における安全・安心の確保や地球環境への配慮の観点から、住宅の耐震化や太陽光発電システムの設置などに対しまして、国や市町村とも協力しながらさまざまな支援策を実施しているところであります。  住宅の耐震化につきましては、耐震診断、耐震補強計画策定及び耐震改修工事のそれぞれの段階で、県と市町村が連携しながら平成十九年度から支援を実施しており、新年度も耐震改修工事への支援として三百戸を計画しております。  また、太陽光発電システムと熱効率性にすぐれた給湯器を同時に設置する場合につきましては、国の補助とは別に、県でも平成二十一年度から補助制度を創設し、新年度は三千件を補助対象として計画しております。これに加えて、八割を超える市町村におきましても補助制度を設けております。  県といたしましては、厳しい財政状況の中ではありますが、今後とも市町村と連携を図り、住宅の安全・安心の確保や地球環境への配慮などの目標を明確にしながら施策に取り組むことで、地域経済の活性化にもつなげてまいりたいと考えております。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 既存の制度を有効活用したいというお話だったと思います。私は、これは住宅政策であると同時に緊急経済対策だと思っているのです。それで、この経済波及効果についてもっとイメージを膨らませていただきたいと思いますので、岩手県宮古市の状況を述べた記事を紹介したいと思います。これは日本共産党が発行しております「議会と自治体」という雑誌に掲載された宮古市訪問記でございます。ちょっと読みます。  「リフォーム事業のおかげで、毎日忙しくて」と語るガラス屋さん。父親の創業した事業を兄妹で継いだものの、長引く不況で経営は厳しさを増し、年初には「この先、商売どうする」と深刻な話も出ていたそうです。それが一転、いまや目が回るほどの忙しさとなり、「こんなまとまった仕事は住宅団地が造成された三十年前以来」と、仕事ができる喜びに輝いていました。  宮古市では、お天気のいい日には街のあちこちを工事車両が行きかい、お昼ともなれば作業服を着た人が食堂の前に列をつくっています。さらに、洋服を出してくれる量が増えたというクリーニング屋さん、畳屋さんがツケを払ってくれたスナック、その影響は他業種にも波及し、施主側の市民からも、「いただいた十万円は市民の税金。これを元手に買う薄型テレビは、家電量販店ではなく地元の電器屋さんから買う」との声も寄せられています。  私は、これをやらない手はないと思います。財源の問題が出ました。宮古市は一般財源を使っているのですが、調べましたら、去年四月から五千万円で始め、五百件分が一カ月以内に終わってしまって、その月のうちに専決処分で五千万円追加し、さらに足りなくなって六月補正で一億五千万円、九月補正で一億円、結局三億五千万円です。これで三千件の事業をやった。宮古市の予算規模は三百十億円ですから、その一%を超えるという規模まで投資しているのです。だからこそ、先ほどのような活況をつくり出せたわけです。地域経済を循環させる呼び水としての効果があるから、市民の理解も得られるのだと思います。  国の社会資本整備交付金が使えるので、これを活用して整備している自治体もふえておりますが、本県は、この交付金の大部分が道路を中心とした公共事業に回っていると認識をしております。その一部でも回すことを考えるべきではないかと思います。これはぜひとも補正予算も含めまして検討いただきたい。県土整備部長に再質問いたします。 ○神谷幸伸 副議長 池田猛県土整備部長。 ◎池田猛 県土整備部長 ただいまの再質問にお答えいたします。社会資本整備交付金のお話が出ました。社会資本整備交付金は、社会資本総合整備計画に基づきまして、目標実現のために重要な対策事業を実施するもので、目標を設けているということでございます。社会資本整備交付金の対象事業につきましては、安全・安心の確保や環境への配慮といった政策目標を定めて計画を実施しております。そのため、ご提案のような維持・修繕に関する工事につきましては、社会資本整備交付金の導入は非常になじみにくいということでございます。なお、秋田県につきましても、このリフォーム事業補助につきましては、社会資本整備交付金の導入はしていないと聞いております。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 必要性、重要性を認識していただければ、財源をひねり出す工夫は私はできると思います。ぜひとも知事初め執行部にはご検討をお願いしたいということを申し上げまして、次の質問にまいります。  こども医療費助成の対象を中学三年生まで広げていただきたいという問題で、知事にお伺いいたします。こども医療費無料制度は、今年度、対象年齢が小学校六年生まで引き上げられました。県が支援を拡充したことで、独自の上乗せで対象年齢を中学三年生まで引き上げた市町が八つふえ、来年度から実施を決めた鹿沼市、栃木市を合わせまして、現在二十七の市町のうち、二十二市町が独自の上乗せを行ったということです。約八割の市町が実施しております。これを見ても県民要求の強さがわかります。  しかし、対象年齢人口で見ますと二十二市町合わせて約六六%、これは最大人口の宇都宮市が実施していないからです。また、小学校六年生まで対象年齢を拡大する際、県は、とちぎ未来開拓プログラムで入院時食事療養費を助成対象から外しましたが、十二の市町が独自に助成を継続しております。ここでも格差ができました。  私は、子供に係る施策は、どこに住んでいても同様の支援が受けられることが望ましいと思います。そういう意味では、国の制度として行うべきだというのが日本共産党の立場であり、そのことを国にも求めてまいりました。そうなっていないのは非常に残念です。せめて県内は、こうした格差をなくし、どこに住んでいても、栃木の子供は皆中学三年生まで医療費無料の状況をつくることは、県としても急務ではないかと思います。  今の仕組みのまま対象年齢を引き上げた場合は、約三億円程度新たな財源が必要になりますが、こども医療費負担を軽減することは家計を助ける効果があり、個人消費を引き上げる力にもなります。ついては、対象年齢を中学三年生まで引き上げること、また、入院時食事療養費の補助を復活させることについて、知事の答弁を求めます。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。こども医療費助成制度は、県民が安心して子供を生み育てられる環境づくりを進める上で重要な役割を果たすものと考えており、これまで実施主体である市町村との連携を密にしながら内容の充実を図ってまいりました。  対象年齢の拡大につきましては、昨年度、とちぎ未来開拓プログラムの策定に当たり、市町村と制度の見直しについて協議を行い、その結果、今年度から、入院時食事療養費は助成対象外とするものの、対象年齢を小学校三年生から小学校六年生まで拡大したところであります。  こうした経緯を踏まえますと、県助成制度の対象年齢のさらなる拡大を図ることは困難であると考えており、また、入院時食事療養費の助成につきましても、同様に、昨年度制度の見直しを行ったところでありますので、現時点での再検討は考えておりません。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 残念な答弁でございました。現状では、中学三年生まで無料にしている市町でも、その市町内の医療機関を受診した場合に限って助成すると定めているところもございます。那須町もそうなのですが、那須町には診療所しかなく、隣の那須塩原市の病院にかかる方が非常に多いと聞きました。そうした場合は使えないということで、せっかくの制度でも十分恩恵が受けられないケースがございます。病気によっては市町の境界を越えて受診しなければならないケースがあるわけですから、県民生活が広域化している現状を考慮していただきまして、ぜひ全県同一の、どこで受診しても制度の恩恵が同じく受けられることは県民益だと考えますので、ぜひ再検討を求めたいと思います。  ちなみに、お隣の群馬県では、二〇〇九年十月から中学三年生まで入院費も含め完全無料化いたしました。所得制限も自己負担もありません。これが現在、県段階で一番進んだ制度だろうと思います。来年度予算を聞いてみましたら、約三十九億円とのことです。ここまで一気にやれるとは私も考えておりませんが、しかし、そこを目指して階段を上がる姿勢をぜひ求めたいと思います。このことを指摘いたしまして、次の質問にまいります。  高齢者の生活実態に即した支援計画づくりと特別養護老人ホームの増設について、所管部長にお伺いいたします。昨年の県政世論調査では、県民の県政への要望第一位が高齢者福祉対策です。過去の統計を見ても常に一位または二位で、いかに切実な要望かがわかります。裏を返せば不満度も高いということだと思います。  介護保険制度は施行十年を経過し、二〇一二年度には制度改正が実施されます。それに向けて日本共産党国会議員団が昨年、全国の自治体や介護事業所などを対象に調査を行いました。本県もご協力をいただいたそうでありますけれども、その結果、保険あって介護なしの実態がますますひどくなっていることがわかりました。その一部をご紹介しますと、これは九州地方のある自治体の声ですが、こういうふうに書いてこられたそうです。「介護保険料・利用料負担は既に限界を超えている。特に国民年金だけの受給者などは限界を超えているだけではなく、生命維持を行うための生活を脅かす状態である」と指摘し、「国の責任で最低限の社会保障を行うべき」との意見が寄せられたそうです。私は、これが地方の大多数の声ではないかと認識しております。  ところが、厚生労働省の見直し案は、六十五歳以上の保険料を五千二百円程度まで引き上げるか、そうでなければ、現行一割になっております利用料の自己負担を二割に引き上げるか、あるいは要介護一、二の人を介護保険から閉め出すか、こういう選択を迫るもので、このような改悪は絶対に許せないと思います。国の見直し案に地方から批判の声を上げていくことと同時に、県民の切実な要望にこたえるためには、高齢者支援計画をしっかりと県民要望に沿ってつくり、実施していくことが急務だと思います。  新年度予算には、第五期計画の一部前倒しで特別養護老人ホームなどの増床、建築が盛り込まれました。それでも四期計画期間中に整備されるベッド数は一千四百七十八床、待機者はこの計画策定時の調査で五千百六十七人です。現計画の延長線上では解消できません。現在の計画は、厚生労働省の施設・居住系サービスを利用者全体の三七%とする参酌標準をもとに、待機者をさまざまな条件づけで振り分け、また切り捨て、入居希望者を絞り込んでいるわけです。そして、要介護度四か五の人数しか整備の対象にしていないという問題点があります。また、必要性が大きいと判断されても、費用負担が重すぎて申し込めない人が多数おられますが、こういった状況は把握されておりません。こういうとらえ方のまま次期計画を策定しても、実態との間に大きなギャップが生じるのは必至だと思います。  ついては、五期計画策定に当たって、介護を必要とする高齢者と家族の生活実態を正確に把握し、また、これまでの入所判断のあり方を見直し、特別養護老人ホーム等の待機者をなくす施設整備計画を策定すべきだと考えますが、保健福祉部長の答弁を求めます。 ○神谷幸伸 副議長 北澤潤保健福祉部長。    (北澤 潤保健福祉部長登壇) ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。はつらつプラン二十一(四期計画)では、在宅での暮らしが困難な方が安心して暮らすことができるよう、介護の必要の程度や家族の状況など、入所希望者の個々の状況に応じた施設を確保することを基本に、入所希望状況調査の結果や市町村の意向等を踏まえ、特別養護老人ホーム等の整備計画を策定したところでございます。  五期計画の策定に当たりましては、市町村とも十分な連携を図りながら、入所希望者の個々の状況をよりきめ細かに調査・把握することによりまして、適切な施設整備が図れるよう努めてまいります。また、比較的要介護度の低い方のニーズに対応できるよう、介護サービスつき有料老人ホームなどの多様な住まいを確保するとともに、住宅サービスの充実にも努めてまいります。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 市町村の意向、それから入居申込者の希望に応じて今後もきめ細かに調査をしていくというお話でございましたが、これは、今までの調べ方の延長線ではだめだということを私は申し上げましたので、ぜひその点はご配慮いただきたいと思います。  潜在的待機者がいるではないかということを申し上げましたが、やはり費用負担の問題をどう解決するかの対策は必要だと思っています。個室で整備しているユニット型では月額にして約十一万円から十三万円、それから、四床ぐらいを一つにまとめた多床型でも七万円から八万円の費用がかかると聞きました。国民年金受給者では入れないのです。生活保護でない低所得者の方が実は谷間に置かれているのが、この介護保険の問題点だと思っております。  そういう点で、県は、来年度予算の前倒しでは、ユニット型に絞った施設整備を推進するお考えだと理解をしております。もちろんユニット型のほうがより人間的な空間の中で、本当にその方々に応じた丁寧な介護ができることは承知しております。しかし、費用の問題から申し込みたくても申し込めない。待機者にさえなれない方たちがいるというところに、県は、もっと心を寄せていただきたいと思います。私は、多床型も含めて整備を認めるべきではないかと思いますが、保健福祉部長に再質問いたします。 ○神谷幸伸 副議長 北澤潤保健福祉部長。 ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。ユニット型につきましては、今後ふえてくる高齢者の居住環境または介護の環境を整えるという観点では非常に重要であり、本県はユニット型の整備率が若干低いこともあり、かつ国の方針としてユニット型を中心に整備すべしということも踏まえまして、ユニット型を中心に整備をしているところでございます。費用負担の件につきましては、なかなか県だけでは解決できない部分もありますので、そういった点については引き続き国に対して求めてまいりたいと思っております。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) ユニット型もそうですが、先ほど申し上げたように、厚生労働省が施設整備の参酌標準を大枠定めていて、結局県は、それを市町村にも支援計画の中で求めていくという形になっていると思います。ですから、市町村の意向も聞いてやっている、あるいは実態を聞いて市町村が判断しているとおっしゃっても、実際には、県がこの支援計画をつくる中で、そしてまた、それを実行する中で、市町村に対して基準を示しているという関係になっているわけですから、やはり縦の指導のあり方を変える必要があるのではないかと強く感じます。  ただ、厚生労働省は、地方の裁量を認めないという立場には立っていないと思います。それは保健福祉部長も十分ご承知だと思います。二〇〇九年の緊急整備のときに厚生労働省の老健局が示した資料を拝見したのですが、参酌標準は「あくまでも各自治体が計画を定める際の目標であって、これに縛られるものではない。」と、それから、ユニット型整備の目標の問題も、「地域の実情に合わせて進めていただくこととしているところであり、都道府県において、実情を踏まえてユニット型以外の施設も含めて整備するという判断もあるものと考えている。」と、厚生労働省のほうはこのように言っているわけです。ですから、まさに栃木県の実情に応じた整備をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
    ○神谷幸伸 副議長 北澤潤保健福祉部長。 ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。ユニット型は先ほど申し上げましたとおりですが、地域の実情に応じるという観点はおっしゃるとおりだと思います。そういった意味で、実施主体である市町村の意見も非常に重要でございます。また、先ほど申し上げた実態調査もきめ細かに行っていきたいと思いますので、総合的に考えながら対応していきたいと考えております。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 厚生労働省が施設整備だけではなく、在宅介護も含めてさまざまな目標設置を行っている目的は、国の負担を減らす、すなわち給付を削減することが目的化しているのではないかと危惧するわけであります。私は、県も矛盾の中に置かれているとしても、保険あって介護なしの悪政の共同執行者であってはならない、ぜひこういう立場で取り組んでいただきたいと思います。私は、もっと施設整備に予算を割くべきだと思います。二〇〇八年の調査で、六十五歳以上の人口十万人当たりの介護保険施設の定員は、栃木県は二千八百十人で全国四十三位。全国平均を下回っている県は十県しかありません。これではいつまでたっても県民満足度は上がらないのではないかと思います。ぜひとも予算の確保のために、執行部の強い決意をもって取り組んでいただきたいということを申し上げまして、次の質問にまいります。  非常勤行政委員の報酬見直しについて伺います。県には人事委員会、監査委員、労働委員会など八つの各種行政委員会がございます。内水面漁場管理委員会を除いて七つの委員会の非常勤委員には、月額報酬が支払われております。この報酬が委員会開催日数から見て高額であることから、見直しを求める声が高まっております。二〇〇九年七月には市民団体が支給差しとめの住民訴訟を起こすに至りました。  これらの委員会等の二〇一〇年度開催日数見込みを調べていただきましたところ、多いものでは公安委員会が年七十日、教育委員会は年四十九日、一番少ない選挙管理委員会は年十一日でした。来年度はもう少しふえると思うのですけれども。平均いたしますと約三十日でした。一日当たりの報酬額は、一番低い委員会では委員長が三万三千二百五十七円、委員が三万三百四十二円でした。一番高い委員会は委員長が二十一万一千六百三十六円――これは一日当たりです。委員が十九万三千九十円でした。これでは確かに県民の理解を得がたいと言わざるを得ないと思います。仕事の内容がそれぞれ重要であり、日ごろの研さんを求められるものであることは間違いありませんが、月額報酬でなければならない理由にはならないと考えます。  今、他県の動向を見ましても、日額報酬に改めるところがふえてきています。もとより、とちぎ未来開拓プログラム策定に当たって、職員給与の五%カットや事業の削減など、職員や県民に我慢を求めながら、なぜここに改善の目が向けられなかったのかも疑問であります。報酬のあり方を県民の理解が得られるよう見直すべきだと思いますが、知事の答弁を求めます。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。地方自治法等により必置とされた各行政委員会及び監査委員は、知事から独立した権限と責任を有する地方公共団体の執行機関であります。したがいまして、その委員は、委員会の決定や処分等に対して最終的な責任を負うものであり、知事の諮問機関である各種審議会等の委員とは性格を大きく異にするものでございます。  委員の報酬につきましては、こうした委員の職責を十分考慮する必要があり、また、処理すべき案件の検討や日々の研さんなどに多くの時間を割いておりますことにかんがみますと、その対価は必ずしも勤務した日数のみではかられるものではなく、現在の月額による報酬の支給には合理性があるものと考えております。現在継続中である住民訴訟の一審判決におきましても、委員の職責といった部分に言及がなされ、県の主張が認められたところであります。また、私も参加しておりました全国知事会の行政改革プロジェクトチームにおきましても、行政委員会の報酬見直しについて検討いたしましたが、全国一律の基準をもって見直すことは困難であり、各都道府県の実情に合わせ、地方自治法の趣旨や司法判断の状況等を踏まえていくという報告を取りまとめたところであります。  非常勤行政委員の報酬のあり方につきましては、住民訴訟が現在も継続中でありますので、本訴訟が決着した後に、司法判断や他の都道府県の動向も参考にしながら改めて判断してまいりたいと考えております。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 再質問いたします。司法判断は司法判断であって、行政ももちろん法に触れることはできませんけれども、その判断に縛られるだけの存在ではないと考えます。それぞれの自治体の判断で報酬などは決めることができると思います。だから今、各県で見直しが始まっている。紹介いたしますと、山形県でございますが、報酬を日額に切りかえたことで、年間報酬額は総額約七千二百万円から四四%減の三千三百万円になる。日額の最高額は二万八千円です。富山県も新年度から日額に切りかえ、二万九千円に、岐阜県も日額制になります。  いろいろな考え方があるとしても、知事は、今、栃木県が進めている財政健全化プログラムを必ず実施していくと、事あるごとにおっしゃるわけですが、その考え方から見て削減できるところは削減するというお立場に、なぜ立たれないのか、この点が非常に疑問です。ほかの県がやれていることで栃木県ができないというのですが、司法判断に縛られることは何もないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 住民訴訟が現在継続中でありますので、先ほど答弁申し上げましたように、この判断を待って、この問題については改めて対応してまいりたいと思います。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) ぜひ市民の声、住民の声にしっかりと耳を傾けていただいてご判断をお願いしたいと思います。次の質問にまいります。  工業団地への産廃処理施設建設と県産廃行政について伺います。まず初めに、宇都宮市平出工業団地の問題について、知事に質問いたします。民間産業廃棄物中間処理施設セルクリーンセンターの設置について、一月二十三日、宇都宮市長から福田知事に、栃木県都市計画審議会への付議依頼がありました。廃棄物の処理と清掃に関する法律に基づく廃棄物処理施設の設置許可は中核市である宇都宮市の法定受託事務ですが、建築基準法第五十一条のただし書きにより、県都市計画審議会の議を経ることが定められております。昨年十二月に開催されました宇都宮市都市計画審議会では、採決で賛否が分かれ、過半数に達せず再投票が行われました。そして、附帯決議つきの答申が出される、これは都市計画審議会としては異例のことだったそうでございます。その附帯決議というのは、事業者に住民の理解を得る努力を行うべきという指摘だったということでございます。  この背景には、建設予定地周辺の百十三自治会が二万人もの署名を提出するなど、市民の強い反対運動が起きていることがあります。日本共産党も市民の健康安全、環境、そして宇都宮市の将来を考える立場から一貫して反対をしてまいりました。建設予定地は、工業団地内とはいえ、最も近い民家から二百メートルしか離れておりません。廃プラスチック、廃酸・廃アルカリなど特定管理廃棄物を焼却処分するものを、一日百二十トン、二十四時間燃やし続ける事業計画となっております。住民からは、安全基準をクリアしたとしても不具合はつきものだと不安の声が上がっています。全国的な例を見ても、こうした施設に絶対という安全神話はございません。住民の不安は、私は十分理解できると思うのです。  この場所は、JR宇都宮駅東口から車で十分、市の発展にとって大変重要な地域です。工業団地造成から四十年が経過し、周辺には県立県央産業技術専門校、宇都宮市サッカー場、幼稚園、学校、宇都宮大学工学部などの文教施設や、巨大なショッピングモールが集中する人口密集地域となっております。都市計画上、最も不適切な場所と言わざるを得ないのではないかと思います。しかし、工業団地であるからふさわしいという宇都宮市の判断は、市民の理解と納得を得られるとは到底考えられません。  このように重大な問題で県に付議をされたのですから、栃木県都市計画審議会には、関係法令に立ち返って総合的かつ慎重な審議を求めるべきだと思いますが、知事の見解を伺います。  また、許認可権はなくても、人口密集度が高く、文教地域であり、今後の宇都宮市発展の基軸と期待される地域に、このような施設が建設されることについて、知事はどのように考えておられますか、あわせてご答弁を伺いたいと思います。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。民間事業者が設置する産業廃棄物処理施設につきましては、建築基準法第五十一条のただし書きの規定により、栃木県都市計画審議会の議を経て、特定行政庁がその敷地の位置を都市計画上支障がないと認めた場合に許可されることになります。工業専用地域である宇都宮市平出工業団地に計画されている産業廃棄物処理施設につきましては、これまで宇都宮市が一般市民に広くお知らせし、また、専門家の方々の意見を五回にわたりお聞きするなど、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく手続を進めるとともに、市の都市計画審議会におきましても、二回にわたりさまざまな観点から幅広く議論されたと聞いております。この後、特定行政庁である宇都宮市から栃木県都市計画審議会での審議の依頼がありましたことから、三月に開催される審議会に議案として提出することといたしました。   栃木県都市計画審議会におきましては、設置場所の土地利用計画や周辺の都市基盤の整備状況など、都市計画上の観点から適切に審議されるものと考えております。また、これらの施設の設置につきましては、都市計画法などの関係法令に基づく必要な手続が、適切に処理されることが重要であると考えております。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 市民の皆さんの切実な声にしっかりと耳を傾けていただいて、慎重審議をぜひ求めたいと思います。次の質問にまいります。  栃木県廃棄物処理に関する指導要綱の見直しについてです。栃木県廃棄物処理に関する指導要綱は、工業団地等に廃棄物処理施設を設置する場合、住民と事業者との環境保全協定の締結は義務づけられておりません。そのために、既存の工業団地への産業廃棄物処理施設の設置をめぐっては、これまでも住民の皆さんからさまざまな声が寄せられてまいりました。  那須塩原市赤田工業団地内の産業廃棄物処理施設設置計画でも、住民から指導要綱の不十分さを指摘され、陳情が県にも上げられました。残念ながら、この陳情は、日本共産党以外の会派の皆さんの反対多数により不採択となったところであります。私は、県の考え方や議会の考え方と県民との間には大きな隔たりがあるということを感じずにいられません。他の既設団地や今造成中の工業団地でも同様の問題が起こり得ると懸念しております。県土の整備、都市化が進み工業専用地域を取り巻く環境が大きく変化している現在、工業団地なら規制しないということでは県民の住環境と環境は守れません。  宇都宮市は二〇一〇年十月、これまで県に準じるとしてきた指導要綱を見直し、工業専用地域であっても周辺に人口が集中している場合は、業者に住民との環境保全協定を義務づけました。これは本当に最低限の見直しだと思います。指導要綱は規制力を持たないあくまで指導要綱でしかないものです。しかし、それでも市がここで見直しを行ったのは、市民の声を受けとめたからだと思います。ついては、栃木県廃棄物処理に関する指導要綱を見直し、工業専用地域であっても環境保全協定の締結を義務づけることを求めます。  またもう一点、県北地域に集中する最終処分場の規制について、流入の総量規制を設けることも喫緊の課題だと思いますが、あわせて所管部長の答弁を求めます。 ○神谷幸伸 副議長 三浦義和環境森林部長。    (三浦義和環境森林部長登壇) ◎三浦義和 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。廃棄物処理施設、特に中間処理施設につきましては、廃棄物の減量化やリサイクルなど、3Rを推進していく上で重要な役割を担っております。また、処理工程が工場等と類似していることなどから、工業専用地域等への整備を促進してまいりました。施設整備に当たりましては、県では、環境保全協定の締結を義務づけてはおりませんが、設置許可申請の審査に当たりましては、周辺環境への影響について慎重に審査を行っており、施設稼働後も立入検査等を実施するなど、適正処理の確保に努めております。  次に、最終処分場の一定地域への集中に対する規制についてでありますが、栃木県廃棄物処理に関する指導要綱により、既存の最終処分場から一キロメートル以内への新たな処分場の立地を制限しておりますが、法令に規定がないことから、最終処分場の集中に関する立地規制の創設等の法改正を国に要望しているところであります。今後とも、法令の基準及び栃木県廃棄物処理に関する指導要綱を厳正かつ的確に運用し、住民の方々の理解に努めながら、廃棄物処理施設の適正立地を推進してまいりたいと考えております。 ○神谷幸伸 副議長 野村節子議員。    (三番 野村節子議員登壇) ◆三番(野村節子議員) 見直しの考えはないというご答弁だったと思います。今、これだけ県内各地で産業廃棄物処分場をめぐって問題が起きている、その根底にあるのは、出た産業廃棄物をどうするかだけではなくて、出さないためにどうするかという検討がきちんとなされるべきだと思っております。その点は、環境森林部長ご指摘のように、国の問題が非常に大きいと思っております。産業廃棄物の問題の根本解決のためには、発生を生産段階から削減することも必要であります。OECDも勧告しております拡大生産者責任をしっかり国の制度として確立することを、ぜひ強く求めていただきたいと思います。その不備が地方自治体に多大な困難を押しつけていることも事実だと思うからでございます。  ただ、そうだとしても、県みずからこれを規制し、住民の環境を守るための何らかの対策を講じないのでは、県民の理解を得られないと思います。今後、栃木県廃棄物処理に関する指導要綱の中で書かれていることが厳密に今のままで進むならば、県内の工業団地はどこでも産業廃棄物処分場が建設できることになってしまいます。私は、最低限の条件として環境保全協定などの義務づけが必要で、それがきちんとできなければ、県民の理解を求めるのではなくて、我慢を押しつけるだけではないかとすら思うわけです。答弁をお願いいたします。 ○神谷幸伸 副議長 三分以内ですので。 ◆三番(野村節子議員) (続)わかりました。私は、県が工業団地への廃棄物処理施設を推奨するというのは、基本的には自社処分すべきとの立場からだと理解しております。しかし、それは、工業団地の外からの搬入、委託を業として行うことを促進するものではないと理解しております。むしろ県は、今、十九カ所の工業団地を分譲、造成、販売中でございます。ここを有利に販売するために、水もある、道路もある、産業廃棄物処理施設もあると、魅力の一つに考えているとしたら、県民との矛盾は広がるばかりだと思います。何らかの環境整備、規制を設けなければ、産業廃棄物処理施設をこの栃木県に集積することになりかねないと思うわけでございます。そうなったらフードバレーではなく、産業廃棄物バレーです。私は、県産廃行政のあり方を大もとから見直すよう強く求めたいと思います。埋める・燃やすを減らし、大規模から小規模へ、産業廃棄物処理政策の転換を求めまして、この質問を終わります。  きょうは、地域に根差した中小企業、地場産業、農林漁業を総合的に支援して、安定した雇用と仕事をつくり出すという提案をいたしました。地方自治体本来の仕事である住民の暮らしと福祉を支える行政に力を入れることは、地域経済に活力を与え、地域社会の安定の大きな力になると思います。きょうはこうした立場から質問をさせていただきました。納得のいく答弁は少なかったように思いますので、必ずやこの続きをさせていただく決意を表明いたしまして、すべての質問を終わります。 ○神谷幸伸 副議長 この際、休憩したいと思います。午後一時十五分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。  午後零時十六分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎高野純一 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は三十七名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午後一時十五分 開議 ○神谷幸伸 副議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 通告に従いまして順次質問させていただきます。よろしくお願いします。  まず、地域主権時代における県のあり方について、質問させていただきます。国において昨年上程されました地域主権改革関連三法案は、継続審議のまま成立のめどが立っておりません。さらに、国の出先機関の原則廃止におきましても、ハローワークの地方移管が見送られるなど、大きな進展は見られませんでした。一丁目一番地として取り組んだ地域主権でありますが、その理念から大きく後退しておりまして、極めて遺憾であると言わざるを得ません。地域のことは地域に住む住民が責任を持って決める、この当たり前のことがこれからの日本にとってまさに重要なのであります。私は、これまでの国が地方に優越する上下の関係から、対等なパートナーシップ関係への転換こそが、今最も求められていることでありまして、知事も全国知事会で声を大にして訴えられており、地域主権は必ず実現しなければならない大きな課題であると思っております。  そこで、私は、まず地域主権のとらえ方としての基本イメージについて認識を共有する必要があると考えております。例えば国が外交、防衛、金融などの業務に特化する。地方が道路や河川、保健・医療・福祉、教育、治安などに取り組む場合、都道府県と市町村ではどちらが何を担当するのか、住民にわかりやすく提示する必要があると思っています。一例を挙げれば、現在、小山市、野木町では、小山市消防本部や小山警察署、小山市民病院の三つの公共施設が建てかえの時期に至っております。いずれも、一つの市、町を越えた広域を担う重要な公共施設でありまして、まずは、しっかりとしたコンセプトによるきちんとした整備が求められるところですが、それぞれの役割がありますのに、その所管は小山市であったり、県であったりするなどまちまちであります。公共サービスの提供という観点からは、その主体は住民にとっては区別があろうはずがありません。  私は、地方の個性や多様性を発揮する地域主権型の社会を実現するためには、極力基礎自治体である市町に仕事を任せ、県は、広域的な調整機能のみに限定した小さな県庁を目指すべきでありまして、その先には地域主権型道州制を見据えるべきだとも考えております。残念なことに、国政レベルでの道州制の議論は低調になっております。一方で、受け皿となるべき市町村でも、規模や意識の差により権限を受け入れることに消極的なところもあるというのが実態であります。  県では新たなとちぎ行革プランの中で、地方分権時代に対応した県政の確立に向けてをテーマといたしまして、来年度が初年度に当たるわけであります。そこで、これまでの国、県、市町村の関係についてどのように位置づけ、これからの地域主権時代における県のあり方をどう捉えようとしているのか、知事に見解を伺います。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの高橋修司議員のご質問にお答えいたします。人口減少・少子高齢化の進行、地域コミュニティーの変化や価値観の多様化など、時代の大きな変化に的確に対応していくためには、地方がみずからの創意工夫で地域の個性に根差した豊かさを実現する分権型社会を構築する必要があります。  このため、国は外交、防衛など本来担うべき仕事に専念し、住民に身近な行政は、地方がみずからの判断と責任において幅広く担うことができるよう、国と地方の役割分担を抜本的に見直していくことが極めて重要であります。また、県と市町村の関係につきましても、住民に身近な行政サービスはできる限り市町村が担い、県は、広域にわたる事務や市町村では対応が困難な事務等を担うという、いわゆる近接性・補完性の原理に基づいた役割分担が基本になると考えております。  今後、地方分権改革の進展に伴い、地域における総合行政の担い手として市町村が果たしていくべき役割はますます大きくなっていくものと認識しておりますが、その上で、県が広域自治体として、市町村では対応が困難な広域的な課題や専門性の高い課題、そして、市町村と協働で取り組むべき課題などにもしっかりと対応していくことによって、市町村が真に輝きを放ち、本県の将来のさらなる発展にもつながるものと考えております。  さらに、国の出先機関改革の進展によりましては、県はその事務・権限の受け皿としての役割も重要になっていくと想定しております。引き続き市町村との十分な連携・協力のもと、地域の実情や住民の声に基づいて地方が自主的・自立的に施策を決定し実行できる、地方分権時代にふさわしい県政の実現に取り組んでまいります。  なお、道州制につきましては、国から地方への権限や財源の移譲など、地方分権改革が着実に進展したその先に、実現への道筋も見えてくるものと考えております。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 知事がご答弁されましたように、地方がみずからの判断と責任において行政を担う、住民に最も身近な市町村がそれを担うべきだと、まさに同感であります。それを踏まえて再質問させていただきます。  地域主権型の社会を実現するためには、権限移譲が必要不可欠であります。しかし、国主導は期待できないと思っています。一方、県では、条例により独自に権限を移譲することが可能となっておりまして、全市町へ一括で移譲するだけでなくて、市町の希望により権限を選択できるようにするなど工夫をされています。  しかしながら、一部の権限については、一定以上の人口規模の市を対象に移譲が行われておりまして、例えば認可外保育所の届け出などについては、人口七万五千人未満の市町では、手続はいまだに県であります。私は、極力、例外なく一律にすべての市町へ権限移譲すべきであると考えています。そのためには、財源、人材も含めた三ゲンの移譲が重要であり、延々と進まない国の動向に歩調を合わせる必要はないと思っております。  まずは、県が率先して市町村に権限移譲することで、栃木県から全国へ範を示すべきではないでしょうか。そこで、市町村への権限移譲における現状の課題と今後の進め方について、再度、知事にお伺いいたします。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 ご質問にお答えいたします。県では、平成十八年度に策定いたしました栃木県権限移譲推進計画に基づきまして、住民により身近な市町村を重視する基礎自治体優先の考え方に立って、積極的に権限の移譲を進めてまいりました。平成二十三年四月一日現在――あと一カ月余になりますけれども、基本方針策定以前の移譲を含めまして百二十六法令、二千百七十九事務につきまして権限が移譲されます。移譲法律の数で見た本県の順位は、全国七位という状況でございますので、市町村への権限移譲は順調に進んでいると思っております。  この移譲に当たりましては、事務の円滑かつ適正な執行の確保を考慮し移譲項目をメニュー化するなど、市町村の執行体制や地域の実情に応じた選択を可能なものにしております。これらの結果、全国的にも最も進んでいる状況ということであります。  市町村の自主的な選択、そして、県との相互合意という権限移譲の基本原則を踏まえながら、住民サービスの向上といった視点から市町村と協議をいたしますとともに、必要な財政措置、人的支援、移譲後のフォローアップなど、市町村の実情に応じた的確な支援を行いながら、今後とも権限移譲を推進してまいりたいと思います。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 知事からご答弁いただきましたように、栃木県は権限移譲においては先進県で七位であります。しかし、私が感じますのは、今、県民ニーズも年々高まっておりますし、地方の役割、それぞれに自立して何とかしたい、こういった声をよく耳にいたします。そのことを考えますと、やはり七位だからそれでいいというわけにはいかない。この先、何ができるかを考えていかなければいけない時代だろうと思っています。よって、いま一度再質問させていただきます。  権限を移譲する際にハードルとなるのは、受け皿となる市町の事務処理体制の構築だと思います。私は、受け皿となる市町の体力や意向で権限に差が生じることは残念でありまして、例外なく権限移譲ができるよう、あらゆる手段を尽くすべきではないかと思います。本来、すべての市町村が受け皿となれるには、市町村合併を含めて一定の規模を備えてくれることが理想的ですが、それは簡単にはいかない。実現性は低いと思っています。  私は、市町村に広域連携させることを、過去何度か提案させていただいております。地域のことは住民が責任を持って決めるという原則に立てば、市町村同士が権限・財源・人材を持ち寄って受け皿をつくるほうが理想的であると言えます。市町村間の調整は現実的には困難が伴うと思いますけれども、県が調整役となってそのモデルを示すなどして支援する方法もあるのではないかと思っています。そこで、市町村の広域連携について、再度、知事に質問させていただきます。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 お答えいたします。地方自治法には一部事務組合の事務の委託など、広域連携に関する多様な仕組みが設けられておりまして、県では、従来から市町村の広域連携の取り組みに対しては支援を行ってまいりました。加えて、現在国会に上程されております地方自治法の改正案には、広域連携の一つであります機関等の共同設置の範囲を拡大する規定が盛り込まれておりまして、改正法が施行されると、市町村にとっては権限移譲された事務の共同処理を含めて広域連携の選択肢がふえるものと考えられます。そのため、県では、市町村に対しまして、改正後の制度も含めた広域連携の各種制度やその活用策につきまして、今後とも、情報提供や助言など積極的に支援を行ってまいりたいと思います。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 今、知事から答弁していただいたさまざまな支援、検討する場として、既に県では政策懇談会・地方分権改革検討委員会に部会を設けてさまざまな協議を始めていると思うのです。その検討会を、ぜひしっかりと踏み込んだ形で機能の強化をしていただけますよう要望いたします。それでは、次の質問に入ります。  とちぎづくり戦略の推進について伺います。現在、国会では平成二十三年度予算案の審議が行われておりますが、先行き不透明な状況であります。仮に予算関連法案が不成立となった場合、予算の約四割が執行不能となってしまい、地方交付税の四月の交付金額も一兆五千億円が減額されるのではないかとの報道もされております。また、本県におきましても、来年度は、とちぎ未来開拓プログラムの実践に入り二年目となりますし、新とちぎ元気プランの一年目にも当たる重要な年でもあります。  こうした情勢下では、知事にはさまざまな課題に果敢に取り組む強力なリーダーシップが求められております。そのためには、政策形成機能の充実や組織横断的な総合調整機能等が重要であります。私は、それらを担うため、県に総合政策部が設置されているものと考えております。しかし、現在の総合政策部は総合調整機能に重点が置かれており、政策形成機能や特定課題の解決といった総合的な戦略の推進という面では、いまだ不十分でないかと感じております。  県は、来年度、組織改編を行うとのことでありますが、とちぎづくり戦略の推進体制を構築するに当たり、総合政策部をどのように位置づけ、機能をどう強化させていこうとしているのか、知事の考えをお伺いいたします。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。新とちぎ元気プランでは、元気度日本一栃木県の実現を目指し、すべての活動の原動力であります人づくりを政策の基本に据えながら、「暮らしを支える安心戦略」、「明日を拓く成長戦略」、「未来につなぐ環境戦略」を重点戦略として位置づけ、その具体化に向けたプロジェクトなどを明らかにいたしました。これらのプロジェクトなどは、全庁各部局の施策を有機的につなぐ、いわば組織横断的な課題対応型の取り組みであり、この考えに沿って、県民協働推進室やとちぎのいいもの販売推進本部の設置など、組織体制の整備も図ることといたしました。  そうした中、政策形成機能と全庁的な総合調整機能を担う総合政策部は、新とちぎ元気プランの推進に当たり、各部局と連携を図りながら私が行うトップマネジメントを支える役割を、これまで以上に発揮することとなると考えております。また、とちぎづくりを主体的かつ確実に推進していくためには、地方分権改革の流れを確固たるものとする必要がありますが、私が国等に対し地方の声を発信していくに当たり、迅速かつ広範な情報の収集・分析を担当するサポートスタッフとしての役割もますます重要性を増しております。  今後とも、総合政策部を初めとする組織の一層効果的な機能発揮に努め、新とちぎ元気プランの着実な推進を目指してまいります。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。
       (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 知事の答弁にありましたように、ぜひ県政を引っ張っていけるような、そして、総合的な戦略を組み推進できるような総合政策部であってほしいと思います。機能の強化をぜひよろしくお願い申し上げまして、次の質問に入ります。  県の新とちぎ元気プランでは、三つの重点戦略が示されております。ここからは、私が考える重点戦略三項目に基づきまして質問させていただきます。  まず、「暮らしを支える安心戦略」のうち、初めに救急医療体制の構築についてお伺いいたします。現在の救急医療体制は、患者の傷病の程度によりまして、初期、二次、三次の救急医療機関がそれぞれ分担して対応しておりまして、この役割分担が機能しなければ、救急医療体制が瓦解してしまうことになります。  しかし、患者やその家族からすれば、その症状が初期レベルなのか、二次レベルなのかを判断することは難しく、もし命にかかわると思えば、当然二次医療機関に集中してしまいます。地域医療再生計画でも、医療機関の機能分担を課題として取り上げておりますが、実際に初期救急で対処できる症状の患者が二次医療機関などに集中して、二次救急医療機関が本来担うべき重症患者への対応に支障を来すケースも、今まで多々あったと思います。  こうした状況を解決するため、初期救急を担当する休日夜間急患センターを、いわゆる門前型診療所として二次医療機関に隣接または併設すれば、患者やその家族の心理的負担は大幅に軽減されると考えております。宇都宮市では、済生会宇都宮病院に休日夜間急患診療所を設置しており、こうした機能分担を実現しております。また、現在移転計画中の足利・大田原両日赤病院でも、休日夜間急患センターを併設すると聞いておりまして、本日の新聞にも掲載されておりました。  現在、県では、国から交付された地域医療再生基金を活用して、二次医療機関である小山市民病院を初め、下都賀総合病院や上都賀総合病院の新病院建設計画が検討されておりますが、私は、県内の二次救急医療体制を効率的に運営するためには、休日夜間急患センター、いわゆる門前型診療所を設置することが必要不可欠ではないかと考えておりますが、県の考えを麻生副知事にお伺いいたします。 ○神谷幸伸 副議長 麻生利正副知事。    (麻生利正副知事登壇) ◎麻生利正 副知事 ただいまのご質問にお答え申し上げます。入院を要しない軽症患者の集中が、重症の患者に対応する二次の機能を担っている地域の中核病院の疲弊の一因となっており、診療所を含めた初期、すなわち一次救急医療体制の充実が、地域医療を確保する上で喫緊の課題となっております。  各地域において初期救急医療を担う休日夜間急患センターが設置されておりますが、二次救急医療を担う中核病院に併設または隣接して整備するということは、二次救急病院の負担軽減が図られるほか、病気の症状が急変した場合でも迅速な対応が可能になるなど、患者の側にもメリットがあるものと考えております。このため、昨年度策定いたしました地域医療再生計画におきましては、小山市民病院、下都賀総合病院及び上都賀総合病院の整備に合わせまして、休日夜間急患センターをそれぞれの病院に併設して整備する計画としたところでございます。  県といたしましては、今後、それぞれの地域に設置されております大学病院や医療関係者、行政などで構成されます地域医療再生コンソーシアム等の場において、初期救急及び二次救急の事業主体でございます市町村等を初め、実際の運営に当たる病院や地域の医師会など、関係者間の意見調整を図りながら、地域の実情に応じた効率的で効果的な救急医療体制の整備に努めてまいります。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) この門前型診療所に関しては、ぜひ参考にしていただきたいところがあります。鴨川市の亀田総合病院であります。道の向かい側に亀田クリニックを設置しておりまして、まずそこで受診していただき、初期か、二次か、三次かを判断するような制度をとっており、相当効果を上げていると聞いております。ぜひ検討していただきたいと思います。また、他県をいろいろ調べてみますと、二次救急医療機関の設備とスタッフを地域の診療所の医師に開放するセミオープンシステムを行っているところもあります。このような地域の医療機関同士の踏み込んだ連携を促進することも有効ではないかと思いますので、ぜひご検討くださるよう要望したいと思います。次の質問に入ります。  県南保健医療圏に係る喫緊の課題についてお伺いいたします。県南保健医療圏は、高度・特殊な専門的医療を提供する三次医療機関である二つの大学病院が設置されておりますが、一方、地域の中核となる二次医療機関は、医師不足により診療機能が縮小するなど、さまざまな課題を抱えています。そのため、地域医療再生計画では、医師確保や小山市民病院、下都賀総合病院の新築整備などさまざまな施策に取り組んでおります。  特に県南保健医療圏の産科に関しましては、医師が急激に減少しておりまして、小山市民病院では四月から脳神経外科、眼科とともに産科も休止に追い込まれると聞いております。特に産科に関しましては、昼夜を問わない献身的な医師の努力によって支えられてきたところでありまして、地域の拠点病院である小山市民病院から産科がなくなれば、市内にある二つの産科医療機関の医師に診療のしわ寄せが行きまして、ドミノ式に倒れていく負の連鎖が進むおそれがあると思っています。また、来月予定されております北関東自動車道が全線開通すれば、県外からの救急患者が大学病院等に押し寄せる可能性がありまして、救急医療体制の立て直しも喫緊の課題だと思っております。  一方、地域医療再生計画による新病院の開設は、早くとも平成二十七年度以降となる見込みであり、現在懸念されている喫緊の課題に対応するには余りにも時間がかかると思っており、私は、この現状には強い危機感を持っております。  県では、自治医科大学及び獨協医科大学へ寄附講座を設置することなどにより、二次医療機関への医師の派遣を行っていくとのことでありますが、現時点では十分な効果があらわれていないと思っています。そこで、産科の医師不足を初めとする県南保健医療圏の喫緊の課題に対して、どのように取り組み、解決を図ろうとしているのか、県の考えを麻生副知事に伺います。 ○神谷幸伸 副議長 麻生利正副知事。    (麻生利正副知事登壇) ◎麻生利正 副知事 ただいまのご質問にお答え申し上げます。県南保健医療圏におきましては、地域医療を確保していく上で小山市民病院及び下都賀総合病院は、二次医療機能を担う中核病院として重要な位置を占めておりますが、両病院とも近年、医師不足等を要因とする診療機能の低下が大きな課題となっております。このため、昨年度策定いたしました地域医療再生計画におきましては、両病院の建てかえ整備に合わせ、病院機能の分担や連携を図りながら、より急性期に特化した高度救急医療、周産期医療や小児医療、さらには生活習慣病治療等の中核機能など、二次医療機能の充実強化を図ることといたしました。  特に小山市民病院は、県南保健医療圏における唯一の地域周産期医療機関として、ハイリスク妊婦や新生児の治療等における専門機能の発揮が期待されているところでございます。しかし、ご指摘がありましたように産科医の減少によりまして、産科が休止という事態が懸念されているところでございます。  このため、県といたしましては、そういった事態とならないよう、これらの機能の確保に向け、現在、設置者である小山市と連携しながら、積極的に産科医の確保に努めているところでございます。さらに、自治・獨協両大学病院の総合周産期母子医療センターや、先ほどご指摘のありました地域の産科診療所との連携をより一層促進して、地域の周産期医療機関としての機能の十分な発揮が可能となるよう、県としてもしっかり支援をしてまいりたいと考えております。  また、他の診療科を含め、地域の中核病院としての機能が発揮されるよう、引き続き寄附講座の活用などにより、両病院の医師確保に積極的に努めてまいりますとともに、地域医療再生コンソーシアム等も活用しながら、地元の市町や医療関係者等と十分に協議を重ね、地域医療再生計画の着実な推進を図り、県南保健医療圏における地域医療体制の確保・充実に努めてまいります。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 命を守る大切な機関であり、四月から医師がいなくなるわけでございますから、その前にぜひあらゆる手だてを講じ、万全を期していただきたいと思います。  そこで、再質問をさせていただきますが、私は、医師不足の問題の一つは、診療科ごとの偏在が課題になっていると、まさに専門家に特化し過ぎるという部分もあるのではないかと思っています。そのため、特定の疾患に偏らない幅広い分野の医療に携われる総合医である、よくジェネラルフィジシャンと言いますけれども、こういった制度をうまく活用することも有効ではないかと思っています。この総合医の育成、そして活用をいかに強力に推進すべきかが重要だと思っておりますが、再度、麻生副知事にこの見解を伺います。 ○神谷幸伸 副議長 麻生利正副知事。 ◎麻生利正 副知事 ただいまの再質問にお答え申し上げます。専門医につきましては、それぞれ診療科ごとの各学会で認定制度がございますが、総合医についてはまだありません。関係の学会で総合医の制度創設について現在検討されているところでございます。専門医につきましては、高度医療を担うという役割がございまして、昨今の救命率や治癒率の向上に極めて有用だということでございます。ただ、ご指摘にありますように、それが細分化され過ぎているといった指摘もございます。一方で、初期の診察を含めた総合的な医療ができる、そういう医師の必要性も現在叫ばれているところであり、また、県がこれから積極的に進めてまいりますかかりつけ医、あるいは在宅医療の推進にも極めて重要なことだと思っております。  県といたしましては、自治医科大学はそういう総合医の育成を目的としているところですが、そこに二名の通常枠プラス三名の地域枠を設置して、現在、医師の養成に努めているところでございます。また、獨協医科大学につきましても、五名の地域枠を設置し、現在、医師の養成を行っておりますが、こういった方々も、恐らく将来には栃木県の地域医療に貢献していただけるものと思っております。地域のニーズに対応のできる、総合的な診療技術を持った医師の養成についても、今後、両大学に対しまして申し入れていきたいと思っております。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 要望いたします。麻生副知事が申されましたように、ぜひ特定疾患に偏らない総合的な診療ができる総合医、この制度の育成と活用をしていただきますように強く要望させていただき、次の質問に入ります。  予防接種対策について伺います。予防接種は、感染症による患者の発生や死亡者の大きな減少をもたらすなど、感染症対策上、極めて大きな役割を果たしています。そのため、予防接種の接種機会を安定的に確保すること、また、社会全体として一定の接種率を維持することは非常に重要なことであると思っております。  しかし、これまで本県においては、市町によって定期の予防接種率や任意の予防接種に対する助成状況に大きな格差がありまして、全体を底上げするための施策が必要であると考えておりました。こうした中、国においては子宮頸がんや小児用肺炎球菌、インフルエンザ菌b型、いわゆるヒブのワクチンについて、緊急に二カ年分の公費助成措置を行う子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金を平成二十二年度補正予算で措置いたしました。この事業では、基金を都道府県が積み立て、実施主体となる市町村に交付することとしております。厚生労働省の調査では、平成二十二年度から開始する予定の市町村は、半数を超えるとのことであります。  本来、予防接種は国民全体の免疫水準を維持するためのものですので、ワクチンで防ぐことができる病気の予防は、公費で行うべきであるというのが世界じゅうの共通認識となっております。そのため、国の責任と負担のもとで接種機会を安定的に確保すること、そして、社会全体として一定の接種率を確保することが必要であります。  また、今回、国が緊急に取り組むこととした三種類の予防接種に関しましては、定期接種ではありません。任意接種としての位置づけのために、副反応による健康被害が発生した場合、予防接種法に基づく救済は受けられず、医薬品医療機器総合機構法に基づく救済となるものの、その補償額には大きな差があることから、実施主体である市町村は別途民間保険への加入が必要となっております。  そこで、県は、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の円滑な実施に向けてどう取り組んでいるのか、また、予防接種に対し県はどのようにお考えなのか、あわせて保健福祉部長に伺います。 ○神谷幸伸 副議長 北澤潤保健福祉部長。    (北澤 潤保健福祉部長登壇) ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、市町村による子宮頸がんワクチン等の接種が円滑に実施できるよう、国の補正予算が成立した昨年十一月以降、市町村に対する助言や情報提供を行ってまいりましたが、現在、接種費用助成を支援するための基金設置を初め、必要な準備を進めているところであります。今後とも、市町村や県医師会等と連携し県民への広報を重点的に実施するなど、事業の円滑な推進に努めてまいります。  次に、予防接種制度につきましては、国の責任と負担において適切に運営されるべきものと考えておりますが、現在、国において定期接種の対象とすべき疾病の範囲、接種に関する評価や費用負担の問題等、予防接種のあり方について幅広い議論が進められております。県といたしましては、引き続き国の検討状況を注視するとともに、国に対して対象疾病の拡大や財源措置等を講じるよう要望してまいります。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 一点、再質問いたします。今回の子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業につきましては、全国の市町が独自に公費助成に取り組んだことが国を動かした大きな原動力になったと、このように思っています。そこで、県としても市町の広報活動を支援することはもちろんでありますが、専門家が特に効果を認め、少なくとも接種することが必要と考えるおたふく風邪ワクチン、水ぼうそうワクチン、B型肝炎ワクチンについても、県と市町による助成制度を設けていただけないかと思っています。県の考えを保健福祉部長に伺います。 ○神谷幸伸 副議長 北澤潤保健福祉部長。 ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の広報につきましては、県としても制度の周知を図るために、ホームページ等を活用した広報に努めますとともに、市町村の広報活動を支援していく考えでございます。  また、おたふく風邪、水ぼうそう、それからB型肝炎に係るワクチンにつきましては、先ほど申し上げたとおり、現在、国の厚生科学審議会の予防接種部会におきましてワクチンの効果、安全性、費用負担も含めて定期の予防接種に位置づけるかどうか検討されているところでございますので、現在、県としては国の検討状況を注視してまいりたいと考えております。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 予防接種は、県民の健康を守る重要なツールだと思っています。この三つのワクチンに関しましては、全国に先駆けて取り組むことで、栃木県から全国に公費接種の流れをぜひ加速していただきたいと要望させていただき、次の質問に入ります。  重点戦略の二つ目、「明日を拓く成長戦略」について伺います。初めに、ものづくり県とちぎの推進について伺います。帝国データバンクが調査した産業構造分析調査によれば、本県の製造業などの売上高構成比が四二%を超えております。これは全国平均の三四%を大きく上回っておりまして、北関東三県の中で最も高く、製造業が集積するものづくり県であることが明白になりました。  県におきましても、現在策定中である新とちぎ産業プランの中で、栃木の強みの一つとして、全国有数のものづくり県であることを示しています。私は、この栃木の強みをいかに生かしていくかが重要であると思っております。また、新とちぎ産業プランでは六つの重点プロジェクトを掲げておりまして、自動車産業などの重点五分野振興プロジェクトフードバレーとちぎ推進プロジェクトなど、さまざまな施策を展開しようとしております。私は、こうした産業振興のベースとなるのは、確かな先端的技術力と高度な研究開発力に裏打ちされた強い産業のブランド力であると考えております。  しかし、近年、日本が失われた二十年と言われる停滞を続けてきた結果、我が国最大の優位特性でありました先進技術や製品コスト、世界に評価される高水準な品質についても、躍進する新興諸国から急速に追い上げられておりまして、昨年のGDPでは中国に抜かれ、四十三年ぶりに世界第三位に転落いたしました。ものづくりのライバルは、国内のみならず国外にも目を向けなければならない時代になったと思います。まさにいかなる理念と戦略・戦術を持ってものづくりに取り組むべきかが問われております。  そこで、栃木の産業ブランドを確立し、ものづくり県とちぎをさらに推進するため、今後、どのように研究開発を強化し技術基盤を確立しようとしているのか、県の戦略を産業労働観光部長に伺います。 ○神谷幸伸 副議長 大森敏秋産業労働観光部長。    (大森敏秋産業労働観光部長登壇) ◎大森敏秋 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。国内外における競争が激化する中、本県の産業競争力を維持し、さらに強化していくためには、強みである産業集積と企業の高い技術力を生かし、本県産業の技術ポテンシャルが最大限に発揮されるよう、産学官が連携して付加価値の高いものづくりを目指していくことが重要であります。このため、新とちぎ産業プランの重点プロジェクトといたしまして、自動車、航空宇宙など地域経済への波及効果や成長性が高い五つの産業分野と、内需型産業と言われております食品関連産業について、さらに重点的な振興を図ることとし、今後も、引き続き大学や産業支援機関などと連携しながら、分野ごとの技術研究会等を通じ、県内中小企業の人材育成や技術力の強化に取り組んでまいります。  また、中小企業の新技術・新製品開発に向けた技術支援を強化するため、本県の技術振興拠点でございます産業技術センターにおいて、新年度からは、重点五分野等において企業ニーズが高く波及効果が期待できる航空・自動車関連の軽量化などのテーマで、重点共同研究を実施してまいります。今後とも、これらの取り組みを通じ、県内中小企業の研究開発と技術力を一層向上させ、栃木の産業ブランドの確立を図ってまいります。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 要望させていただきます。本県のものづくりを支える中小企業の技術支援機関は県内に今五カ所あり、そのうち最も重要な拠点は産業技術センターであります。しかし、近年見ておりますと、産業技術センターは試験研究機器の老朽化や情報不足によって利用率が二割程度にとどまっております。やはり本県企業の研究開発の強化のためには、時代のニーズにマッチした的確な支援体制の構築が最も必要であり、試験研究機器の整備促進が重要だと思っています。よって、企業が求める試験研究機器の整備計画をぜひ策定していただきたい、このことを強く要望させていただきまして、次の質問に入ります。  求職者に対する支援について伺います。我が国の大学卒業予定者の就職内定率は、昨年十二月一日時点で六八・八%と過去最低を記録しています。また、十二月分の有効求人倍率は〇・五七倍と依然として低空飛行を続けておりまして、厳しい状況から抜け出せておりません。本県においても雇用情勢は大変厳しい状況にございまして、高校生の五人に一人、大学生は二人に一人がいまだに就職先が決まっていない状況であり、有効求人倍率も国と同率の〇・五七倍で、ものづくり県を標榜する本県において、雇用の安定は喫緊の課題であると言えます。  こうした状況の中、県では、現在、宇都宮駅西口にとちぎ求職者総合支援センターをジョブカフェとちぎや国のハローワークとともに一体的に設置しており、仕事を失った方の生活の安定と再就職を支援しております。こうした求職者支援は大変有効でありますが、国の基金を活用した事業でありますので、平成二十四年度以降は継続できないのではないかと危惧しております。また、こうした施設は宇都宮市一カ所となっておりまして、県北、県南に在住している方にとっては利便性に欠けるというのも課題だと思います。  私は、国と連携して宇都宮市にあるとちぎ求職者総合支援センター、ハローワークなどを一体的に設置した施設を県内に増設していただき、平成二十四年度以降も存続させるべきであると考えておりますが、知事の考えをお伺いいたします。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県民生活や地域経済の安定のためには、雇用の確保は不可欠であり、特に雇いどめなどにより仕事や住まいを失った求職者や内定を得られないまま卒業した未就職卒業者に対し、きめ細かな対応をしていく必要があると考えております。  そこで、県といたしましては、とちぎ求職者総合支援センターとハローワークの連携によるワンストップサービスデイの実施や、とちぎ求職者総合支援センターとジョブカフェとちぎによるとちぎ就活応援キャンペーンの実施など、相互に連携を図りながら生活・就労相談やキャリアカウンセリング、職業紹介などを実施しております。また、県南・県北地区の求職者への支援といたしましては、毎月五地区におきまして、市町村の協力を得ながら、労政事務所職員、とちぎ求職者総合支援センター相談員及びジョブカフェとちぎのキャリアカウンセラーにより、労働相談や生活・就労相談など総合的に対応しているところであります。  議員ご指摘の一体的な支援を行う施設につきましては、求職者に対して利便性の向上や就労支援の充実が図られるものと考えられますが、一方、県の出先機関である労政事務所や既存の支援機関との役割分担などの課題もあります。このため、新年度におきましては、基金終了後を見据えた総合就労支援のあり方について、栃木労働局や関係機関などと協議・調整を図りながら検討してまいります。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 知事に一点、再質問をさせていただきます。全国知事会でも最優先でハローワークの地方移管を求めてきたと思います。一方、国におきましては、昨年末にアクション・プラン~出先機関の原則廃止に向けて~を閣議決定いたしまして、ハローワークについては、地方自治体からの特区制度等の提案に誠実に対応することを基本とすることとしております。  そこで、国に対して、県におけるハローワーク設置に向けて、特区制度をぜひ活用する方向で検討したらいかがかと思いますが、知事のお考えをお伺いします。 ○神谷幸伸 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 お答えいたします。今、お話がありましたように、全国知事会といたしましては、出先機関の原則廃止、その中では、ハローワークは最も高い優先順位として移管を求めているものでございます。  ところが、国は、昨年の十二月二十八日にアクション・プランとして閣議決定がなされました。その中で、ハローワークの移管につきましては、地方自治体の主導のもと運営協議会の設置などにより一体的に実施するものと、そして、三年程度やってみた上で検証し、権限移譲について改めて検討すると、こういった方針が示されました。これは二重行政をなくすという趣旨から全く外れた考え方でございますし、ごまかしだというふうに思っています。そういう点で、今回、三月までに特区の提案も認めることになったわけですけれども、一体的な実施というものが何物なのか、さっぱり内容が見えてこない。ついては、地方から提案を出せと、こういうことでございます。  そこで、一昨日の全国知事会でこの問題についても協議をいたしましたけれども、特区の提案をするに当たっては、全国都道府県の共通項目を求めて提案をしようということになりました。例えば、栃木県内にはハローワークが十二カ所ありますけれども、その一つは完全にこっちによこせと、我々にやらせろと、こういうことも含めて調整をしながら特区の提案をしようではないかということになりました。  期間は三月末日までとなっておりますので、その間、知事会で調整をしていくことになりますけれども、県としても二十四日までに特区の提案をしていくのか、あるいはその後の随時受け付けに向かって進めていくのか、いずれにしても検討を開始したいと思っております。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) まさに知事が言われますように、現在の国の動きからしますと、現実は先延ばしされるのではないかと私も危惧しております。よって、ぜひ知事会を通じて声を大にして訴えていただいて、なるべく地方のことは地方でやるという形にしていただければと思います。要望させていただき、次の質問に入ります。  農業の足腰を鍛える仕組みづくりについて伺います。経済産業省の産業構造ビジョンによりますと、我が国の家計貯蓄率は先進国で最低水準にありまして、中長期的に消費性向を上げるのは困難であり、日本全体のパイを拡大しない限り内需拡大は難しいと考えられます。さらに、輸出依存度は一七・四%と主要国中で最低水準のレベルにありまして、海外の成長市場を取り込んでいくことは喫緊の課題であると考えております。  我々みんなのクラブは、人口減少が予想される日本の経済にあって、成長しつつある三十億人のアジア市場を国内市場、内需として見据え、農業の足腰をしっかり鍛え、世界に輸出できる体制を整えるべきであると考えております。  県では、次期農業振興計画の中で、首都圏農業を基礎として全国へのマーケット展開やフードバレーとちぎの推進、そして、国際化に対応する強い農業の確立が必要であるとしています。これは従来の首都圏農業の新たな展開よりも、さらに一歩踏み込んだものでありまして、非常に野心的な内容であると評価しております。  そこで、今後、三十億人のアジア市場を見据えた農業の展開を考えた場合には、供給者主導の発想に立った、つくってから売り方を考えるプロダクトアウトの考え方から、顧客や購買者の要望・要求・ニーズを把握して、売れるものだけをつくって提供する方法、マーケットインの考え方に改めなければならないと思います。現在、香港駐在員を置き、海外バイヤーからの情報収集や商談会・海外見本市などを通じた売り込みを行っておりますが、ロットがまだまだ小さい、本格的な反転攻勢には至ってないと思います。そこで、マーケットインの考え方のもと、海外のニーズの把握や販路拡大にどのように取り組もうとしているのか、県の戦略を農政部長にお伺いします。 ○神谷幸伸 副議長 吉沢崇農政部長。    (吉沢 崇農政部長登壇) ◎吉沢崇 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。日本国内の市場が縮小する中で、本県農業がさらに飛躍していくためには、拡大するアジア市場もにらんだ取り組みが必要であると考えております。このような中で、県産農産物の輸出につきましては、これまでとちぎ農産物マーケティング協会と連携をいたしまして、県香港駐在員や輸出パートナー企業を通じた情報収集などにより、輸出先の食習慣や嗜好を把握しながら、香港を初め米国など八カ国九地域に輸出先を拡大してきたところでございます。  昨今の世界的な景気低迷や円高など、輸出環境が厳しさを増す中にありまして、本県農産物の輸出を拡大していくためには、マーケットインの視点に立って輸出先のニーズを的確に把握することに加えまして、県産農産物の一層の認知度向上を図ることが重要であると考えております。このため、これまでの取り組みに加えまして、海外からバイヤーを招聘しての生産者との意見交換や安全・安心で高品質な県産農産物の周知を図りますとともに、観光PRと連携した海外での農産物フェアの開催などに農業団体と連携して取り組みまして、アジアを初めとした海外への販路の開拓・拡大を図ってまいります。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 要望させていただきますが、農政については国の動向が色濃く反映されて、なかなか県としての特色は出しにくいと感じています。しかし、農産物のブランド構築には、いかに栃木としての特色を、本県にしかないコアとして打ち出せるかにかかっていると思っています。今後とも、研究を通じてより踏み込んでいただいて、その施策の展開に取り組まれるようぜひお願いしたいと思います。次の質問に入ります。  重点戦略の三つ目、未来につなぐ地域資源の活用についてお伺いいたします。昨年十一月に結城紬がユネスコ無形文化遺産に決定されました。この世界に誇れる結城紬は貴重な伝統工芸品であります。また、明治二十三年につくられた国指定重要文化財であります野木町煉瓦窯は、ドイツ人技師ホフマン氏が発明した大変貴重な建造物であります。  考えてみますと、結城紬や野木町煉瓦窯のような地域資源は、現在まで引き継がれてきた役割・意義がそれぞれにあったわけであります。しかし、結城紬は生産量や生産者数が大幅に減少しております。野木町煉瓦窯は劣化が進行しておりまして、倒壊の危険性が心配されております。  県は、それぞれに対し支援策を講じておりますが、一方、我々県民にも求められているものがあると思っています。それは、今失われつつあるものを守るという姿勢であります。そのためには、これらの地域資源が地元の大切な宝であり財産であるという意識の醸成が特に重要でありまして、その活用方針を明確にすべきだと思っています。例えば結城紬については、機織り体験を総合的な学習の時間に取り入れたり、野木町煉瓦窯については、県南地域の教育拠点として活用することなどが挙げられると思います。特に地元への愛着と誇りを持つ県民をはぐくむためには、地元の伝統や文化を学ぶことが地域を発展させる土台となり、それを導くのが教育機関であると思います。  そこで地域資源については、一過性のもので終わることなく、計画性を持って継続的に学びに活用していくことが必要だと思いますが、県の考えを教育長に伺います。 ○神谷幸伸 副議長 須藤稔教育長。
       (須藤 稔教育長登壇) ◎須藤稔 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。文化遺産などの地域資源を活用する学習につきましては、地域に対する愛着や誇りをはぐくみ、文化を守り伝承していこうとする心を培う観点から、大変重要であると考えております。現在、各学校においては、市町村教育委員会が独自に作成した郷土資料を授業に活用し、見学・調査を行うなどして、身近な地域への理解を深める学習を実施しているところでございます。  また、県教育委員会といたしましては、地域の文化遺産や伝統行事などを教材とするふるさと学習を推進し、学習に役立つ情報をホームページ上で提供してきたところでございます。今年度は、児童生徒がより見やすく探しやすいものとなるよう、リニューアルを図っているところでございます。  とちぎ教育振興ビジョン(三期計画)におきましても、ふるさと学習の推進を重要な施策の一つに位置づけており、今後とも、市町村教育委員会と連携を図りながら、各学校において継続的な取り組みが行われるよう支援してまいりたいと考えております。 ○神谷幸伸 副議長 高橋修司議員。    (十五番 高橋修司議員登壇) ◆十五番(高橋修司議員) 私は、全国的に見ましても、廃れてしまった伝統文化や文化財がたくさんあると心配しております。いかにしてこの結城紬の技術を伝承していくかは、地元はもとより、県全体としての課題として取り組むべきではないかと思っています。また、野木町煉瓦窯につきましても、国が指定した重要文化財であり、地域資源、いわゆる地域の宝であります。地域資源については、地域発展の土台である学びに活用することで基礎を確立し、それを地域振興にもつなげていくことが重要であります。地域をしっかりと知ること、愛することが、地域を発展させるもとになると思いますので、さらにそれをぜひ地域振興にも役立てていただきますようお願い申し上げます。  以上で、すべての質問を終わります。ありがとうございました。 ○神谷幸伸 副議長 この際、十五分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。  午後二時十五分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎高野純一 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は三十九名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午後二時三十分 開議 ○野田尚吾 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 最後の質問者となりました。個人ごとでございますが、私は大変ありがたいことに、過去、自由民主党議員会の政調会長や議員会長をやらせていただいておりまして、こういう質問に立つ折、代表質問を長くやらせていただいた関係で、地元のローカルものを取り上げる機会が非常に少なく、地元からも、場合によってはご批判もいただいておりました。きょうは、日光市にかかわるような問題に絞ったわけではありませんが、させていただきますのでご了承いただきたいと思います。  早速質問に入らせていただきますが、初めに、新たな視点に立った観光振興と観光立県の実現についてお伺いいたします。観光の振興は、単に旅行業や宿泊業だけにとどまらず幅広い分野への波及効果が期待でき、地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力あふれる地域社会の実現につながることから、今後最も積極的に取り組むべき課題だと考えております。国土交通省の旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究によれば、観光の平成二十年度における我が国産業への経済効果として、旅行消費額が二十三・六兆円、生産波及効果が国内総生産額九百七十二兆円の五・三%に当たる五十一・四兆円、雇用創出効果が四百三十万人に上ると試算がされております。このように、観光は我が国の経済、雇用、地域の活性化に大きな影響を及ぼすものであり、二十一世紀のリーディング産業と言えると思います。  私は、地域間の競争を勝ち抜き、県民や地域が元気になるためには、人口減少や少子高齢化などの社会情勢の変化を的確にとらえ、これまでの温泉地や景勝地をめぐるだけの従来型観光の振興から、地域の自然環境の保全に配慮しながら時間をかけて自然と触れ合うエコツーリズムやグリーンツーリズム、社会資本やものづくり技術を活用した産業観光、さらには、いやしなどをテーマとするヘルスツーリズムなど、いわゆるニューツーリズムに目を向け、本県が有する多くの地域資源を競争力の高い魅力に磨き上げ、国の内外に積極的に売り込んでいかなければならないと考えるところでございます。  県が新たに策定した栃木県重点戦略新とちぎ元気プランでは、重点戦略の「明日を拓く成長戦略」の中に観光立県とちぎづくりプロジェクトを掲げたところでありますが、その中で、体験型・交流型観光などの新たな旅行分野を開拓し、多くの観光客に選ばれ、訪れてもらえる魅力ある観光地づくりを進めるとしております。本県には、世界に誇れる世界遺産日光の社寺に代表される歴史と文化、美しい自然、豊かな温泉、多彩な食を初めとする多くのニューツーリズムの素地となる観光資源がございます。新たな観光分野である本県ならではのニューツーリズムを創出し、観光資源を磨き上げ、誘客と滞在、交流に結びつけるためには、地域における付加価値の高い経済活動を目指して、現在、県が取り組んでいるとちぎ食の回廊などの諸施策との連携や自然や歴史などを体験・体感する観光の推進、ホスピタリティー意識の醸成、効果的な情報発進など、市町村を初めとする地域との連携を密にした取り組みが必要だと考えます。  また、新とちぎ元気プランにもありますとおり、外国人観光客の誘客対策の推進も重要と考えます。訪日外客誘致は、地域ができる輸出産業と言われております。平成二十二年に我が国を訪れた外国人旅行者は八百六十一万二千人であり、海外を訪れた日本人旅行者、約一千六百六十四万人と比較して五二%と少なく、平成二十年における外国人旅行者受け入れ数の諸外国との比較でも、世界では日本は二十八位、アジアで第六位という状況にあることから、国においてはビジット・ジャパン事業などを柱とする訪日外国人三千万人プログラムを展開しているところであります。本県においても、これらの取り組みと呼応しながら外国人観光客を積極的に誘客すべきと考えます。  そこで、観光立県とちぎの実現に向けてどのような戦略をもって臨むお考えなのか、まず知事にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの渡辺渡議員のご質問にお答えいたします。長引く景気の低迷や少子高齢化が進行し、人口減少社会の到来が現実のものとなる中、観光振興は、交流人口の拡大やすそ野の広い経済効果により地域経済の活性化や雇用の創出につながることから、本県経済を牽引する分野として大いに期待しているところであります。  そこで、現在策定中の新とちぎ観光プランにおきましては、観光でまちを元気に、を基本理念に、「とちぎで楽しむ、とちぎを楽しむ」をキャッチフレーズとして、目指すべき六つの基本方向を明らかにしたいと考えております。まず、地域の魅力を効果的にアピールするための新しい情報通信技術やアンテナショップなど、さまざまな情報ツールを活用した効果的な情報発信と誘客宣伝の強化とともに、地元の食材を活用した食をテーマにした誘客の推進を図ります。また、地域の観光振興を担うための観光人材の育成や訪れた方々の満足度の向上を図るための受入体制の整備と地域づくりを推進してまいります。  さらに、地域ならではの体験や触れ合いなどを生かした新しい旅行分野の開拓につきましては、多様化している観光客の嗜好やニーズに対応するとともに、地域の活性化を図る上でも有効なものと考えております。このため、新年度から、民間事業者、市町村等と連携して県内各地に埋もれている地域資源の掘り起こしや新たな楽しみ方の創出など素材づくりを行い、これらを組み合わせた旅行商品などを造成し、効果的に情報発信をすることで、ニューツーリズムの推進を図ってまいります。  また、外国人誘客の推進につきましては、今後大幅に増加が見込まれますことから、新たに民間事業者を主体としたキャラバン隊を中国や台湾に派遣し現地プロモーションを実施するとともに、東アジアを対象に、団体での来訪が期待される企業等の報奨・研修旅行の誘致に取り組んでまいります。今後とも、観光立県とちぎを目指し、多様化する観光ニーズを的確にとらえ、国内外で積極的かつ戦略的な誘客活動を展開してまいります。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 県の取り組み等についてお伺いをいたしましたけれども、実は今、新たな観光分野を創出するということで、医療観光なるものが話題を呼んで、新聞報道もなされているようであります。国は、ことしから医療観光ビザの発給を同行する家族なども含めて緩和することにしているようであります。医療観光は、医療、観光のどちらに答弁を求めたらよろしいのかと思ったのですが、外務省が観光ビザの発給をやっていますので、医療というよりも観光の分野ととらえまして、再質問させていただくわけであります。  高い医療技術や食、温泉といったものは日本の得意とするところであって、今、言いましたように、医療観光で経済効果を上げていくのだという方針を国のほうでも出しているようであります。これらについて、我が県としては、どういう対応をお考えなのか、産業労働観光部長からお答えいただければありがたいと思います。 ○野田尚吾 議長 大森敏秋産業労働観光部長。 ◎大森敏秋 産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。県内におきましては、鬼怒川温泉の宿泊施設と地元の医療機関が連携して、国内外の観光客を対象に、宿泊と人間ドックをセットにした積極的な取り組みが行われております。また、他県においても同様なモニターツアーなどが行われています。観光宿泊数が低迷する中におきまして、県内のさまざまな観光資源と人間ドック等の検診を組み合わせた観光というものは、外国人誘客の一つの手段としては大変有効であると考えております。  一方、医療観光による外国人観光客の誘客につきましては、地域医療への影響や専門通訳の育成など課題もありますことから、関東地方知事会において受け入れ環境の整備について国に要望しているところでございます。  県といたしましては、今後とも、国、全国各地の動向を注視するとともに、先ほど知事からご答弁いただきました新年度実施いたします観光プロモーション事業におきまして、本県における観光医療の取り組みを紹介してまいりたいと思っております。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 再質問でお願いした分野なども含めて、知事からお答えをいただきました総合的な観光振興に、さらに力を入れていただきたいと思います。次の質問に入ります。  次に、県民協働推進の新たな展開についてお伺いいたします。全国の自治体においては、これまで行政のみが担ってきた公共サービスの手法を転換して、複雑・多様化する住民ニーズや地域課題に対応するために、多様な主体と行政とが協働をキーワードにさまざまな取り組みを行っております。  県では、現行のとちぎ元気プランにおいて「新たな“公(おおやけ)”を拓く」という考え方に基づいて、協働によるとちぎづくりを進めてきております。そして、新年度からスタートする栃木県重点戦略新とちぎ元気プランにおいても協働の取り組みをさらに前進させ、新たな時代の公を実践するために、「地域をともに創る」という考え方に立って、多様な主体が協働・創造する栃木を基本姿勢の一つに据えて進めることとされており、今後とも、協働による取り組みが県内全域に浸透していくように期待するものであります。  協働の取り組みは地域によって異なり、協働の相手も多種多様であることから、NPOやボランティア、企業、地域団体などの新たな公の担い手と行政とが互いに手を組み、知恵を出すことにより、県内各地から協働のモデルを発信し、その輪を広げていく必要があると考えます。  過日の新聞で、日光市の三依地区において、まちづくりに取り組む宇都宮市内のNPO法人が、地元住民と協力して屋根の雪おろしの講習会を実施したとの報道がなされておりました。過疎化、高齢化が深刻な三依地区では雪おろしが大きな負担になっており、この冬の豪雪で全国的にも高齢者などの雪おろし中の事故が多発していることから、この地区の高齢者世帯が、冬場に最も望んでいるのが雪おろしの手助けであるということでした。今回の取り組みは、このNPO法人が四年前から地元住民との交流を深めてきた中で、地域の自治会連合会、自治公民館連絡協議会と連携して行ったとのことであり、このような地域の課題を地域住民と地域外の若者などが協力をして取り組む手法が、まさに協働という考え方による実践例ではないかと思います。  今年度、私は、県民協働推進対策特別委員会の委員長として、県民協働によるとちぎづくりについてを重点テーマに、多様な主体との連携・協働の仕掛けづくりや、県民の社会貢献活動を促進するための環境整備について調査・研究を重ね、執行部に対して県民協働推進に向けた施策の提言を行いました。今議会開会日にもご報告をさせていただいたところであります。  県としてこの提言内容を具体的な施策として反映していただくことはもちろんでありますけれども、新とちぎ元気プランをスタートさせる時期である今こそ、県民協働の手法を確立させ、さまざまな課題に対応できる体制を構築していく格好のタイミングであると考えるところであります。そこで、県民協働の推進に向けた取り組み姿勢を明確にすべきと考えますが、県の考えを県民生活部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 荒川勉県民生活部長。    (荒川 勉県民生活部長登壇) ◎荒川勉 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県民協働によって県民みずからが地域の課題解決に取り組んでいく手法は、公平を重視する行政だけでは対応が難しいと思われるような複雑・多様化する社会ニーズにも柔軟かつきめ細かに対応できることから、今後ますます大きな役割を担っていくものと考えております。このため、県としては、これまでの県民協働を推進する取り組みに加え、協働に対する一層の理解促進や具体的な県民協働のルールづくり、人材の育成、情報共有のためのウェブサイトの構築、多様な主体が出会い協議する場としてのプラットフォームの設置等、県民協働推進対策特別委員会の提言を踏まえた施策を積極的に推進していくこととしております。これらの諸施策を庁内横断的に推進し、県民からの相談などにも総合的に応じられるよう県民文化課内に県民協働推進室を新たに設置し、推進体制の一層の強化を図ってまいる考えであります。新とちぎ元気プランに掲げる「地域をともに創る」という基本姿勢のもと、全庁挙げて各種施策を推進し、多様な主体が協働・創造するとちぎづくりを目指してまいります。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 特別委員会の報告書をここに持ってきているのですが、その中に、県民協働の視点というフレームがあって、まず家庭による自助、地域による共助が基本であり、行政の公助は補完的なものであると、提言の中で触れていると思います。実は私、今まで気づかなかったこともあるのかもしれませんが、二番目の地域による共助の部分について、これは県ばかりではなく市町村も含めて、少し行政はないがしろにしてきたのではないかと感じられてなりません。これは時代の変遷もあってでしょうが、現在、老人クラブの組織率が非常に下がってきています。地域婦人会も、場所によっては崩壊の方向を向いている地域もあるやにお聞きしています。青年団体の地域の組織はとっくに崩壊して存在していないぐらいです、特殊なものはありますが。行政は、今まで経済の成長とともにあちこちにいろいろなグループが誕生して元気になっていたからよかったということでありますが、今の時期になるとそういう部分が空のように私は感じられるのです。年齢層は関係なく、老人も婦人も若者も、地域を主体とした関係等の育て方、取り組み方について、実際にやるのは市町村でありましょうが、県としてどう考えるのか聞かせていただきたい。 ○野田尚吾 議長 荒川勉県民生活部長。 ◎荒川勉 県民生活部長 ただいま申し上げましたように、地域のさまざまな課題に地域がみずから取り組んでいくというのが県民協働の基本的な考え方でございますので、そういう点からいたしますと、地域を自分たちで守ろうという県内一万五千人に及ぶ消防団や地域福祉を担っている民生委員、児童委員、それから今議員からご指摘のありましたような地域の身近な問題に取り組んでいる婦人会や青年団、老人クラブ、そういう組織・団体は、いわば県民協働の原点にあるのだろうと思います。  ただ、今もご指摘がありましたように、そういう団体が加入者の確保や組織率の低下で悩んでいるというのは、県民協働を進めていく上での大きな課題だと思っています。特にコミュニティー関係の団体の活性化は大きな課題だと思っています。その点については、県民協働推進対策特別委員会から、「地域住民の地域活動がより円滑に推進できるよう、よい取り組み事例を積極的に公表するなどして、さらなる向上が図れるよう支援していくべきだ。」それから、「都市化が進みコミュニティー機能が低下している地域については、地域の特性に十分配慮しながら地域課題の解決を具体的な協議の取り組みとして行うなどして住民に体験、理解、認識する機会を積極的に設けるべきである。」といった具体的な提言をいただいております。ただいまの議員のご指摘を踏まえまして、市町村などと緊密に連携しながら、貴重な提言に沿って県民協働の原点とも言うべき各種団体・組織の活性化に努めてまいりたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 次に、圃場整備の推進について伺います。近年、世界的な異常気象を原因とする干ばつや大洪水により、麦やトウモロコシなどの穀物の価格高騰や輸出規制など、食料の安定確保が懸念されているところであります。このような中、国においては、昨年三月に新しい食料・農業・農村基本計画を策定し、先進国の中で非常に低い食料自給率を五〇%に向上させようとしておりますが、このためには、耕地の利用率を一〇八%まで向上させる必要があると言われております。  本年度発表された農業センサスによれば、県の農業就業者数は十年間で二七%減少し、六十五歳以上の農業就業者が約六割を占めるなど、後継者不足や高齢化が大きな課題となっているところでもあります。また、本県の農振農用地の整備率は七〇%を超えてはおりますが、圃場が整備されていない地域においては、作業効率や生産性の低さなどから担い手への農地の集積が進まず、農業・農村の持続性の確保が一層懸念されております。  これらの課題に対応するためには、農業生産の基盤となる圃場整備が必要不可欠であると考えております。最近、国も県も予算的な配分が非常に厳しくなってきていますが、県は、今後、圃場整備の推進についてどう取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 吉沢崇農政部長。    (吉沢 崇農政部長登壇) ◎吉沢崇 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまで水田の大区画化による生産コストの低減や汎用化による農地の高度利用を図るため、圃場整備に積極的に取り組んでまいりました。その結果、担い手への農地集積による規模拡大やさまざまな作物の導入による収益性の向上、耕作放棄地の発生防止などに成果を上げてきたところでございます。県全体では、水田の圃場整備率は、議員ご指摘のとおり平成二十一年度末で七〇・四%となっておりますが、一方で整備のおくれている地域もあり、そうした地域が将来にわたって持続的に発展していくためには、その基礎となる圃場整備を引き続き推進していくことが重要であると考えております。そのため、国における農業農村整備関連予算が厳しい状況ではありますが、事業地域の実情を踏まえながら、限られた予算を有効に活用して効率的な圃場整備の推進に努め、収益性の高い農業の確立を図ってまいります。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 再質問させていただきます。圃場整備は面的な整備ですから、当然一定の面積の中に水路があり道路があるわけであります。国の農道整備の問題ですけれども、ふるさと農道緊急整備事業の扱いは平成二十四年度で切れるわけです。これに呼応しているかどうかはわかりませんが、県もとちぎ未来開拓プログラムの中で、農道分はこれが最後、新たに延長はしないという方針を持っているようです。しかし、面的整備を進めていて道路が整備されない圃場整備というのは考えられないわけでありますので、県としてはどういう方針を持っておられるのか、農政部長にお願いします。 ○野田尚吾 議長 吉沢崇農政部長。 ◎吉沢崇 農政部長 ただいまの再質問にお答えいたします。お話しのように、ふるさと農道緊急整備事業(四期計画)につきましては、平成二十四年度までの事業となっております。それ以降につきましては、国の動向や事業の要望などを勘案いたしまして判断していきたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) ぜひ、これが途切れることのないようにお願いしたいと思います。  次に、県土整備部長にも一点お伺いいたします。事業地内を流れる一級河川も当然整備をしていかなければならないのですが、蛇行の厳しい河川などは、当然そこが区画整理内に位置すれば、それをショートカットなり、つけかえなりしなければなりません。いろいろな地域でそういう要望が現地から出ているはずです。予算と関連するのでしょうが、地元の要望に十分こたえ切れていないところがあるようです。それについて、県土整備部長の見解をいただきたいと思います。 ○野田尚吾 議長 池田猛県土整備部長。 ◎池田猛 県土整備部長 ただいまの再々質問にお答えいたします。圃場整備、それから、河川事業でございますが、同一地域内で行われる場合におきましては、相互にそれぞれの計画を尊重しながら一体的に整備することが重要だと思っております。今、議員から地元の意向というお話もございました。当然、地元の意向もよく尊重しながら、また、予算もございますので、全体としての事業の必要性や効果といったものを見比べながら、十分に地元の方々とも話し合いを進めながら仕事を進めてまいりたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 地元の意向は、県土整備部に行く前に、農政部のほうに行くわけですので、どうぞ両部で連携をしながら、地元の要望が反映できますようにお願い申し上げたいと思います。  次に、県西保健医療圏に係る地域医療再生計画についてお伺いいたします。県では、昨年度、地域医療再生計画を策定し、県西保健医療圏が抱える医療課題の解決に取り組んできております。鹿沼市、日光市及び西方町の二市一町で構成される県西保健医療圏は、圏域内の約八割が山林で占められ、医療機関への受診に時間を要する地域が多く、また、無医地区数及び僻地診療所数は、県内の五つの保健医療圏内で最多で、人口十万人当たりの医療施設従事医師数は、県北保健医療圏に次いで少ない状況にあります。また、圏域内には三次医療機関はなく、二次医療機関の機能を八つの病院が担っておりますけれども、近年の医師不足等による一部の診療科の廃止・縮小を原因として、救急・周産期医療を初めとして圏域内での入院・外来患者の完結率が低いことなど、厳しい運営が求められており、また、地域周産期医療体制にあっても極めて脆弱な状況にございます。  これらの諸課題の解決のためには、二次医療機関の医療提供体制の整備や在宅医療や介護、福祉分野などとのネットワーク構築を含めた医療連携の充実等を図らなければならないと思います。そのため、県西保健医療圏に係る地域医療再生計画には、二次医療機能の存続・整備と連携機能の充実を図るための上都賀総合病院の建てかえ整備など、さまざまな事業が計画に盛り込まれておりますが、計画の目的である将来にわたる持続可能で安定的な医療提供体制及び医療連携体制の整備を達成する上での要諦は、医師、看護師等の医療従事者の確保と病院連携を初めとする医療連携体制の強化にあると考えます。  また、自治医科大学及び獨協医科大学の両大学に設置した寄附講座は、その目的が県西保健医療圏の抱える医療課題についての調査研究であることから、単に医師派遣の起点としての機能のみならず、その成果を地域の医療現場にいかに還元していくかという観点も重要と考えます。  さらには、県西保健医療圏の中でも、特に日光市における産科医不足等を踏まえ、周産期医療体制や救急医療体制及びその後方体制をいかに確立していくのかという点も非常に重要であります。  そこで、これらの課題の解決に向けた施策を含め、県西保健医療圏に係る地域医療再生計画のこれまでの進捗状況と今後の取り組みについて、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 北澤潤保健福祉部長。    (北澤 潤保健福祉部長登壇) ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県西保健医療圏における地域医療再生計画では、地域の方々が安心できる医療提供体制の整備を目指し、上都賀総合病院の建てかえ整備を含む二次医療機関の診療機能強化や医療連携体制の充実等に取り組むこととしております。今年度は、寄附講座による医師派遣を初め、急性期等の後方支援を担う診療所の施設整備や分娩を扱う産科診療所の設備整備に対する助成を行うなど、医療機能の分化や充実を進めてきたところであります。新年度は、看護学生等を支援するためのカウンセラーの派遣を行うほか、医療連携を促進するためITを活用したネットワークシステム構築の検討を開始するなど、新たな事業の実施を予定しておりまして、引き続き地域医療再生に向けた事業に積極的に取り組んでまいります。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 再質問させていただきたいと思います。再生計画期間の終了後、計画目標を達成した状態を安定的に確保していくため、さまざまな事業の継続を行うとしておりますが、実効性を維持するために、地域との協働の観点を踏まえ、地域医療コンソーシアムでの協議・検討を継続する必要があると考えますが、この点はどうなのか。あわせて、今、質問でも具体的に触れましたが、日光地域の産科、小児科などの見通し等についても保健福祉部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 北澤潤保健福祉部長。 ◎北澤潤 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。地域医療コンソーシアムにつきましては、現段階では平成二十五年度までの設置期間としておりますが、議員ご指摘のとおり、地域の医療関係者、市町村等と協働して協議・検討を行うことは大変重要でございますので、計画終了後もこの趣旨を継続できる体制整備につきまして検討してまいりたいと考えております。  また、日光地区における産科医や小児科医不足への対応ですけれども、ご指摘のとおり、県西保健医療圏は周産期医療体制の充実強化は喫緊の課題であると認識しております。そのため、県では、日光市民病院に対しましては自治医科大学を卒業した産科医や小児科医を派遣しているところでございます。また、産科医や小児科医不足については全県的な課題でありますので、引き続き医師修学資金の貸与等を行ってまいりますけれども、特に日光地区につきましては、医師の派遣大学と十分協議しながら適切に対応してまいりたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 余り満足はできませんが、保健福祉部長、今のご答弁のようにしっかりと進めていただきたいと思います。時間がありませんので先に進みます。  続きまして、日光市における産業団地の造成と企業誘致の取り組みについてお伺いいたします。日光市は、平成十八年三月二十日に、五つの市町村の合併により新市として誕生したわけでありますが、この合併の結果、これは何度か申し上げておりますが、市の総面積は一千四百四十九・八七平方キロメートルとなり、県土の約四分の一を占めるなど全国でも有数の面積を有する市となりました。その一方で、人口密度は、可住地面積が少ないため、県平均の三百十二人を大きく下回る六十三・六人、製造品出荷額等は、平成二十一年度の工業統計調査結果によれば県全体の四・三%を占めるにすぎません。人口減少社会の到来を迎える中にあって日光地域の今後を展望したときに、産業の振興により活性化を図っていくことは不可欠であります。このことについて、私は、これまでも本会議において何度か質問させていただいております。  このため、日光市の土沢地区にある十六ヘクタールに及ぶ国有地を活用して産業団地を造成し企業を誘致することは、税収や雇用の確保など地域に経済効果をもたらすことから、日光地域の産業振興にとって大変重要な意義を有するものと考えます。林野庁所管のこの国有地は、面積や境界が未確定であることなどの課題があったため、これまで公売手続に時間を要してまいりましたが、現在、公売に向けた本格的な準備が関東森林管理局によって進められているとお聞きしております。  地元の日光市においても、都市計画マスタープランにおいて、この未利用国有地を含む周辺地区を産業地区に位置づけるとともに、平成二十一年三月には、同市議会から知事及び県議会議長に対し産業団地造成の推進に関する意見書の提出がなされるなど、土沢地区における産業団地の造成、企業誘致への期待が高まっており、さらには、日光市内唯一の産業団地である大日光(轟)工業団地も残り区画が少なく、完売が期待できるところでもあります。そこで、現在、県土地開発公社と日光市とが共同事業として、土沢地区のこの国有地に産業団地の造成を行うことで調整が進められていると聞いておりますが、現状と今後の見通しについて、須藤副知事にお伺いいたします。  また、造成後を見据えた企業誘致の取り組みも積極的に推し進めるべきと考えます。来月二十六日には、現在建設中の国道一二一号板橋バイパスとの交差地点に新設される日光宇都宮道路土沢インターチェンジの供用が開始されます。土沢インターチェンジは、東北縦貫自動車道の宇都宮インターチェンジからわずか十五キロメートルほどの地点にあることから、同インターチェンジ付近に位置する土沢地区は、東北縦貫自動車道や来月十九日に全線開通となる北関東自動車道等の高速道路ネットワークの利用が可能であることなど、交通アクセスにすぐれた立地特性を有する場所となっております。  地域間競争が厳しさを増す中、すぐれた立地特性を生かしつつ日光地域の産業振興を図る観点から、当該地区の周辺及び大日光(轟)工業団地などに食品関連産業の集積が進んでいることや県のフードバレーとちぎ構想を踏まえ、地元日光市と緊密な連携を図りながら、県においても戦略的な企業誘致に向けた支援を行う必要があると考えますが、県の考えを企業誘致を分任する須藤副知事にあわせてお伺いいたします。
    ○野田尚吾 議長 須藤揮一郎副知事。    (須藤揮一郎副知事登壇) ◎須藤揮一郎 副知事 ただいまのご質問にお答え申し上げます。日光市土沢地区につきましては、日光宇都宮道路土沢インターチェンジの供用開始による交通アクセスの向上など、産業団地としての適地性が高いと思われますことから、国有地の公売を前提といたしまして、開発の手法や役割分担などにつきまして県、県土地開発公社、地元日光市の三者で検討を進めているところでございまして、日光市からも協力をいただけるということでおおむね合意をしております。  また、造成の対象となります国有地の公売の動向でございますが、林野庁関東森林管理局におきましてようやく条件整備が整いつつありまして、平成二十三年度の早い時期に実施される予定と伺っております。今後、公売の期日等詳細が明らかになり次第、庁内に設置しております地域整備等総合調整会議におきまして総合的な調整を行いまして、県としての最終的な意思決定を行ってまいりたいと考えております。  次に、造成後を見据えた企業誘致でございますが、現在、日光市におきましては、企業立地促進法に基づきます日光地域産業活性化計画の中で集積業種として指定されております機械部品・部材加工関連産業分野及び食品加工・医薬品関連産業分野を中心に企業誘致活動を展開しているところであり、県といたしましては、これまでも市との合同企業訪問などを通しまして支援をしているところでございます。  今後は、土沢地区の開発状況を見据えまして、日光市における食料品製造業を初めとする産業の集積状況やフードバレーとちぎを目指した取り組み、さらには、地元日光市の企業誘致の方針を踏まえた上で、生産設備を対象とする新たな優遇制度を活用するなど、日光市と十分連携を図りながら企業誘致活動に積極的に取り組んでいきたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 先ほど言いましたように、これは何度か質問をいたしておりますので、これ以上質問はしませんが、県がつくっております産業団地開発の基本方針の中に、産業団地開発では次の要件を満たさなくてはならないという項目があるのですが、これを大体満たしているように見受けられますので、ご答弁のように推進方よろしくお願いいたします。  次に、西部広域幹線の整備についてお伺いいたします。本県の西部地域は、先ほども申し上げましたが、国際観光都市日光を初め鬼怒川・川治温泉など我が国有数の観光地を有するほか、日光国立公園に代表される豊かな自然など、ほかでは得ることのできない地域固有の資源に恵まれております。日光市だけでも年間一千百万人もの観光客が国の内外から訪れております。このような地域特性を踏まえて、県では新とちぎ元気プランにおいて、県西地域に歴史ふれあいサブコリドールという軸を位置づけ、本県の西部地域と東京圏、そして会津地域との交流・連携を進める考えを示しております。  私は、現在の本県の交通事情をかんがみるに、この軸は、国道一二一号をベースとした道路軸である西部広域幹線と考えており、今後、国道一二一号の整備強化を図る必要があると強く思っているところです。具体的には、県西地域、特に日光地区は、特別史跡であり特別天然記念物でもある日光杉並木があることや山間地という地理的条件もあって、通行が危険な箇所や未整備箇所が多くあるなど、安全で円滑な交通を確保する上で多くの課題を抱えております。そこで、西部広域幹線になるべき国道一二一号について三点お伺いをいたします。  まず、先ほども触れましたけれども、現在、板橋バイパスの整備が進められており、その完成が待たれるところでありますが、今後、引き続きバイパスの南側、鹿沼に通ずる道路でありますけれども、その道路整備をどのように考えているのか、お伺いいたします。  また、福島県との連携強化を図る上で交通の難所となっている川治温泉街において、現在、通過交通の処理と安全確保の観点から社会実験が行われているところですが、この川治地区の交通処理をどのようにしていくお考えなのか、お伺いいたします。  そして最後に、落石など、通行上危険な箇所が残る川治温泉街から三依地区における対策をどのようにしていくのか、県の考えを県土整備部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 池田猛県土整備部長。    (池田 猛県土整備部長登壇) ◎池田猛 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。一般国道一二一号は、県内外の各地域間の交流連携を支える広域的な道路でありますとともに、生活圏内の地域間を結ぶ幹線道路であります。このうち、板橋バイパス四・八キロメートルについては、既に二・三キロメートルを供用開始し、さらに、来月には土沢インターチェンジ南側の一・六キロメートルを供用開始いたします。残る区間につきましても早期完成に向けて努力してまいりたいと考えております。  また、バイパス南側の区間は、杉並木内の道路が狭いため、交通の円滑化と安全確保のために整備が必要であると考えております。今後、沿道土地利用の状況並びに杉並木保護の観点を踏まえ、整備のあり方について検討を進めてまいります。  川治地区につきましては、円滑な交通と温泉街における観光客の歩行の安全性を高め、地域の活性化を図るために、平成二十一年度から通過車両に迂回協力を求める社会実験を実施しております。これまでの実験により、三割程度の車両が迂回し、関係者へのアンケート結果からも温泉街の歩行者の安全性の向上が図られたことが確認できました。今後とも、地元関係者とともに通過車両を迂回させ、歩いて楽しめる温泉街づくりを実現するための道路のあり方を検討してまいります。  また、川治温泉地区から三依地区につきましては、落石や雪崩などに対し、安全で安心な通行ができるよう、緊急性の高い五十四カ所を対策が必要な箇所と位置づけて整備を進めており、今年度までに三十四カ所が完了いたします。引き続き危険箇所の解消に積極的に努めてまいりたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 時間が少なくなってきましたので、再質問を予定したのですが取りやめます。ここに人にやさしい県土六十分構想の概要がございます。最初の質問日に三森政調会長からこのことについての質問があったと思いますが、県内は六十分で県庁まで行けるようにしようというのは、これは大変いい構想です。しかし、日光市では六十分構想が成り立たないのです、同じ一市の中で。笑い事ではないのですよ。ですから、今の道路も含め、そのほかにもたくさん国道や県道はありますが、少なくとも一市では県が掲げる六十分構想よりも短い時間で行き来できるような道路整備はお願いしたいと思います。一本一本具体的には申し上げませんが、そのようなことを申し上げて次の質問に入ります。  最後に、中山間地域の集落対策についてお伺いいたします。本格的な人口減少時代が到来し、特に中山間地域では、傾斜地が多くまとまった耕地が確保できないなど、地理的な条件が不利な地域であることで、過疎化・高齢化が急速に進展して、地域全体の活力低下やコミュニティーの衰退が危惧されているところでございます。一方で、こうした地域は県土面積の約半分を占め、環境の保全や水源の涵養、良好な景観の形成など、いわゆる公益的機能を将来にわたり維持していくという大変大きな役割を担っております。このため、こうした地域が抱えるさまざまな課題に関し、そこに暮らす方々のみならず、すべての県民の共有課題としてとらえ、対応していく必要があると思うのであります。  私は、栃木県中山間地域振興議員の会の会長として、中山間地域対策に十分な関心を持って取り組んでおり、今後とも、執行部の取り組み等を注視し、さまざまな提言を行っていかなければならないと考えております。県が昨年五月から七月にかけて県内十二市町の限界集落及び準限界集落を中心とする七十集落を対象に実施した中山間地域等の集落実態調査によると、過疎化・高齢化が急速に進展していることで、移動手段、買い物、通院などの日常生活全般にわたる不安に加え、除雪、神社等での祭礼、運動会や清掃活動といった共同活動などの集落機能の低下が顕在化しており、地域コミュニティーが担ってきた機能の維持・再生が大きな課題となっていることが改めて明らかになったところであります。  そこで、県は、今後、集落実態調査を踏まえ、中山間地域等の条件不利地域の集落における地域コミュニティーの維持・再生に向けた対策について、どのように取り組もうとしているのか、総合政策部長にお伺いいたします。 ○野田尚吾 議長 高橋正英総合政策部長。    (高橋正英総合政策部長登壇) ◎高橋正英 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。昨年県が実施しました中山間地域等の集落実態調査によりますと、多くの集落で、共同活動等の集落機能の低下などが顕在化しております。今後、こうした集落の増加によりまして、地域活力のさらなる低下が懸念されますことから、議員ご指摘のとおり、地域コミュニティーの維持・再生が大きな課題となっているところであります。  地域の住民の皆様が将来にわたり安心して暮らしていくためには、住民の皆様みずからが創意工夫し、それぞれの地域が抱える課題の把握や解決に向けた検討を行い、その結果を踏まえて多様な主体の協働により実践活動等を進めていくことが重要であります。このため、県では、新とちぎ元気プランに、住民による地域コミュニティーの再生を重点的取り組みとして位置づけまして、新年度からは里の“守”サポート事業を創設し、関係市町とも連携しながら、住民による課題解決に向けた計画づくりとそれに基づく実践活動への支援を行っていくこととしております。さらに、集落への目配りやアドバイスを行います集落支援員や具体的な地域協力活動を実践する地域おこし協力隊員を、市町村の要望に応じましてモデル的に設置するなど、地域におけるコミュニティー活動を積極的に支援してまいります。  また、こうした活動等による成果や効果的な取り組み事例を広く情報発信していくことによりまして、県内各地域における多様な取り組みを促進していく考えであります。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) 今、ご答弁いただきましたように、新聞報道などにもありましたが、大きな予算をつけて里の“守”サポート事業、集落支援員や地域おこし協力隊員を派遣して、取り組んでいくということであります。実際には来年度からになりますけれども、これはこれで進めてほしいのですが、やはり高齢化が進むということは、地域に産業が乏しいからだと言わざるを得ません。これは本当の話です。いろいろなことを言ってもしようがない。やはり地域に産業を興すことが大事なのですが、行政がやってもなかなかうまくいかないことも、また事実だと思います。  そこで、地域に現在既にあるいろいろな企業、もっと具体的に言っていいのかどうかわかりませんが、特に交通事業者などの企業が、もう少し地域や行政と一体になって地域おこしのためのいろいろなものを日常的に進める必要があると、私は前々からずっと思っており、そういう会社にも提言をしてきた経緯がありますが、なかなかうまく進んでおりません。そういうものについて県はどうしようとしているか、もう一回お聞かせください。 ○野田尚吾 議長 高橋正英総合政策部長。 ◎高橋正英 総合政策部長 再質問にお答えいたします。中山間地域における集落の維持・再生に当たりましては、ボランティア、NPOなどに加えまして、議員ご指摘の企業も含めた多様な主体が、それぞれの強みを生かして協働で取り組んでいくことが重要であり、かつ有効であると考えております。県では、現在、農政部が社会貢献活動に関心を持つ企業と協働いたしまして、中山間地域集落と企業を結ぶ協働活動等を支援しているところであります。また、本日のご質問にもありましたが、新年度から県民生活部において、企業等も含めた多様な主体の新たな協働の仕組みづくりを進めることとしております。ただいま私から申し上げました里の“守”サポート事業における実践活動におきましても、庁内関係部局が連携を図りまして、NPOや企業等の多様な主体と地域の実情に応じた協働を促進することによりまして、集落の維持・再生につなげてまいりたいと考えております。 ○野田尚吾 議長 渡辺渡議員。    (四十八番 渡辺 渡議員登壇) ◆四十八番(渡辺渡議員) ぜひお願いいたしたいと思います。  さて、以上で私のすべての質問が終わったわけであります。冒頭に申し上げましたように、きょうは、地元のことだけではないが多く質問させていただきました。さらには、再質問などは原稿なしで、答弁をいただいてから私の思いつくままに質問をし、失礼な部分もあったかと思いますけれども、常日ごろ感じていることをありのままに申し上げましたので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  さて、きょうで質問も終わるわけでありまして、間もなくまた予算特別委員会や常任委員会があり、新しい予算が成立していくわけでありますが、非常に厳しい財政状況の中で、福田知事を先頭に執行部の皆さんもご努力されておられます。また、私ども議会は、間もなく議会が終わり、四月に入れば新しい改選のための仕事に取り組まなければならない試練が待っているわけでありますけれども、私どもも精いっぱい努力をして、再び福田富一県政と一緒に栃木県のために一生懸命力を出し、汗を流す立場を得られることを希望しながら、努力をお約束して、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○野田尚吾 議長 以上で上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問は終了いたしました。  次に、お諮りいたします。ただいま上程中の議案の委員会付託についてでありますが、お手元に配付いたしました議案付託表一に記載の議案については、予算特別委員会に付託したいと思いますが、ご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○野田尚吾 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。             ―――――――――――――――――――――――――――――   議 案 付 託 表 一 〇予算特別委員会  第一号議案 平成二十三年度栃木県一般会計予算  第二号議案 平成二十三年度栃木県公債管理特別会計予算  第三号議案 平成二十三年度栃木県自動車取得税・自動車税納税証紙特別会計予算  第四号議案 平成二十三年度栃木県馬頭最終処分場事業特別会計予算  第五号議案 平成二十三年度栃木県営林事業特別会計予算  第六号議案 平成二十三年度栃木県林業・木材産業改善資金貸付事業特別会計予算  第七号議案 平成二十三年度栃木県母子寡婦福祉資金貸付事業特別会計予算  第八号議案 平成二十三年度栃木県心身障害者扶養共済事業特別会計予算  第九号議案 平成二十三年度栃木県小規模企業者等設備資金貸付事業特別会計予算  第十号議案 平成二十三年度栃木県就農支援資金貸付事業特別会計予算  第十一号議案 平成二十三年度栃木県流域下水道事業特別会計予算  第十二号議案 平成二十三年度栃木県病院事業会計予算  第十三号議案 平成二十三年度栃木県電気事業会計予算  第十四号議案 平成二十三年度栃木県水道事業会計予算  第十五号議案 平成二十三年度栃木県工業用水道事業会計予算  第十六号議案 平成二十三年度栃木県用地造成事業会計予算  第十七号議案 平成二十三年度栃木県施設管理事業会計予算  第十八号議案 とちぎ安心医療基金条例の制定について  第十九号議案 栃木県特別会計設置条例の一部改正について  第二十号議案 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例等の一部改正について  第二十二号議案 栃木県手数料条例の一部改正について  第二十三号議案 栃木県行政財産使用料条例の一部改正について  第二十五号議案 栃木県医師研修資金等貸与条例の一部改正について  第三十号議案 非常勤教育職員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正について  第四十号議案 平成二十二年度栃木県一般会計補正予算(第五号)  第四十一号議案 平成二十二年度栃木県公債管理特別会計補正予算(第一号)  第四十二号議案 平成二十二年度栃木県自動車取得税・自動車税納税証紙特別会計補正予算(第一号)  第四十三号議案 平成二十二年度栃木県馬頭最終処分場事業特別会計補正予算(第一号)  第四十四号議案 平成二十二年度栃木県小規模企業者等設備資金貸付事業特別会計補正予算(第二号)  第四十五号議案 平成二十二年度栃木県農業改良資金貸付事業特別会計補正予算(第一号)  第四十六号議案 平成二十二年度栃木県流域下水道事業特別会計補正予算(第二号)  第四十七号議案 平成二十二年度栃木県病院事業会計補正予算(第一号)  第四十八号議案 平成二十二年度栃木県電気事業会計補正予算(第一号)  第四十九号議案 平成二十二年度栃木県水道事業会計補正予算(第一号)  第五十号議案 平成二十二年度栃木県工業用水道事業会計補正予算(第一号)  第五十一号議案 平成二十二年度栃木県用地造成事業会計補正予算(第一号)  第五十二号議案 平成二十二年度栃木県施設管理事業会計補正予算(第一号)  第五十三号議案 栃木県新たな公の担い手支援基金条例の制定について  第五十四号議案 栃木県県民生活活性化基金条例の制定について  第五十五号議案 栃木県子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例の制定について  第五十六号議案 栃木県消費者行政活性化基金条例の一部改正について  第五十七号議案 栃木県介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部改正について  第五十八号議案 栃木県地域自殺対策緊急強化基金条例の一部改正について  第五十九号議案 栃木県妊婦健康診査支援基金条例の一部改正について             ――――――――――――――――――――――――――――― ○野田尚吾 議長 また、議案付託表二に記載の議案については、それぞれ関係常任委員会に付託いたします。ご了承願います。             ―――――――――――――――――――――――――――――   議 案 付 託 表 二 〇県政経営委員会  第二十一号議案 栃木県職員定数条例の一部改正について  第三十三号議案 鹿沼市及び下都賀郡壬生町の境界変更について
     第三十八号議案 包括外部監査契約の締結について  第三十九号議案 国土利用計画栃木県計画の全部変更について 〇生活保健福祉委員会  第二十六号議案 理容師法施行条例等の一部改正について  第三十五号議案 指定管理者の指定について  第三十六号議案 指定管理者の指定について 〇農林環境委員会  第二十四号議案 栃木県生活環境の保全等に関する条例の一部改正について  第三十四号議案 市町村が負担する金額について  第六十号議案 市町村が負担する金額について  第六十一号議案 市町村が負担する金額の変更について  第六十二号議案 市町村が負担する金額の変更について 〇県土整備委員会  第六十三号議案 市町村が負担する金額の変更について  第六十四号議案 工事請負契約の締結について  第六十五号議案 工事請負契約の変更について 〇文教警察委員会  第二十七号議案 学校職員定数条例の一部改正について  第二十八号議案 栃木県公立学校職員給与条例の一部改正について  第二十九号議案 栃木県立学校の設置及び管理に関する条例の一部改正について  第三十一号議案 栃木県地方警察職員定数条例の一部改正について  第三十七号議案 指定管理者の指定について             ――――――――――――――――――――――――――――― ○野田尚吾 議長 日程第二 請願・陳情についてを議題といたします。今定例会で受理しました請願・陳情は、お手元に配付いたしました文書表のとおりであります。それぞれ関係常任委員会に付託いたします。ご了承願います。             ―――――――――――――――――――――――――――――   新規付託分 農林環境委員会 受理番号  56 受理年月日 平成二十三年一月十八日 件名    環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加断固阻止に関する陳情 要旨 菅総理大臣は平成二十二年十月一日の臨時国会における所信表明演説以降、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を継続して表明し、政府は平成二十二年十一月九日に「国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する」とした「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定しました。さらに、菅総理大臣は平成二十三年の年頭記者会見で「最終判断は六月頃が一つのめどだ」と発言し、一歩踏み込んだ考えを表明しています。 TPPは関税撤廃の例外を原則認めていないことから、農林水産省は国境措置を全て撤廃した場合の国内農業等への影響について、「国内農林水産物生産の減少額は四兆五千億円程度」「国内総生産(GDP)の減少額は八兆四千億円程度」「就業機会の喪失者は約三百五十万人程度」「食料自給率は四〇%から一三%程度に低下する」と試算しています。 TPP参加により日本農業は壊滅し、関連する農産物加工業や農業機械等の製造業、さらには運送業など幅広い産業が影響を受け、地方の雇用は大きく減少することが予想されます。また、食料自給率目標五〇%の達成を目指すとした「食料・農業・農村基本計画」の趣旨に反し、国民の圧倒的多数が望む食料自給率の向上は到底不可能なものとなります。 TPPへの参加は、われわれの生活から、国産の「食」を失わせるだけでなく、農林水産業が果たしている国土保全をはじめとした多面的機能の喪失につながるものであります。さらには、わが国の「食」と「農林漁業」を支える人々の暮らし、ひいては地域経済にも壊滅的な打撃を与えることになり、TPPへの参加を断じて認めることはできません。 つきましては、TPP参加断固阻止に向けて、貴議会において意見書を採択し政府の関係当局に対して提出いただきたく、特段のご配慮をお願いいたします。 生活保健福祉委員 受理番号  57 受理年月日 平成二十三年二月二日 件名    養護老人ホームの運営と施設老朽化についての陳情 要 旨 陳情の趣旨  養護老人ホームは、明治時代、貧困により生活に困窮した高齢者の受け入れ施設「養老院」が始まりとされており、それ以降、救護法(昭和四年) 、生活保護法(同二十五年)、老人福祉法(同三十八年)と一貫して、国の責任の下で低所得高齢者の福祉対策、つまり弱者救済の措置施設として運営が図られてきているものであります。しかし、平成十七年に措置(運営)費及び施設整備費が地方に委譲されて以来、施設の近代化が大きく遅れております。  現在、栃木県老人福祉施設協議会加盟の養護老人ホーム十施設のうち五箇所(五〇%)の施設が三十年以上経過しており、多くの入所者が老朽化が激しく劣悪な環境下での生活を余儀なくされています。  つきましては、左記の点について改善され、利用者が安心して快適な生活が保障されると共に、養護老人ホームの施設整備の推進と経営安定が図られますよう陳情いたします。                        記  一、養護老人ホームは、老人福祉法上唯一の措置施設であり、行政責任の下で運営が図られている事から運営及び入所者処遇並びに施設改修、建替え等諸課題の対応に当っては、栃木県は県内の市町に適切な支援と指導を行っていただきたい。  二、養護老人ホームは、低所得高齢者や精神障害・薬物依存など社会的不適合な高齢者の受け入れ施設として、老人福祉施策上、今後も極めて重要な事業であることから、建て替え時の法人負担を軽減するよう建設補助基準単価の引き上げを図っていただきたい。  三、養護老人ホームは、措置費による運営がなされており、施設の改修や建替え等における借入金の償還については、「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」(雇児第〇六〇一〇〇三号、社援発第〇六〇一〇〇四号、老発第〇六〇一〇〇二号:平成二十一年六月一日)において運営費の弾力的運用が認められているものの、施設整備に係る経費として借り入れた独立行政法人福祉医療機構等からの借入金の償還金及びその利息の充当については、民間施設給与等改善費として加算された額を限度とする等、制度上の規制があり、その財源の捻出に運営上大きな支障をきたしていることから、なお一層の規制の緩和を図るよう国に強く要望していただきたい。  四、養護老人ホームの措置(運営)費には、減価償却費がそもそも積算されていないこと。また、入所者から居住費を徴収することが出来ないことから、独立行政法人福祉医療機構からの借入については、国に対し次の点を強く要望していただきたい。    ・融資率の引き上げ     現在の融資率は八〇%(平成二十四年三月三十一日迄は、九〇%の優遇措置有り)    ・償還期間の延長     現在は二十年以内となっている。(ユニット型特養のみ二十五年以内)    ・貸付利息に対する優遇措置     老朽民間社会福祉施設整備事業等一部整備事業にある無利子貸付制度の活用  以上             ――――――――――――――――――――――――――――― ○野田尚吾 議長 次に、お諮りいたします。あす三月一日及び二日は議案調査のため、三日、四日、七日から十一日まで及び十四日は委員会のため、それぞれ本会議を休会としたいと思いますが、ご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○野田尚吾 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。  なお、五日、六日、十二日及び十三日は県の休日のため、それぞれ休会といたします。  以上で本日の日程は終了いたしました。三月十五日は定刻から本会議を開きます。  本日はこれで散会いたします。  午後三時三十二分 散会             ―――――――――――――――――――――――――――――...