栃木県議会 2001-06-08
平成13年第262回(第2号)定例会-06月08日-04号
平成13年第262回(第2号)定例会-06月08日-04号平成13年第262回(第2号)定例会
〇六月八日(金曜日)
出席議員 五十一名
一 番 佐 藤 栄
二 番 渡 辺 直 治
三 番 小 高 猛 男
四 番 渡 辺 サ ト 子
五 番 青 木 克 明
六 番 青 木 務
七 番 神 谷 幸 伸
八 番 栗 田 城
九 番 島 田 文 男
十 番 手 塚 功 一
十一番 野 田 尚 吾
十二番 日 向 野 義 幸
十三番 菅 谷 文 利
十四番 井 上 卓 行
十五番 進 藤 初 洋
十六番 三 森 文 徳
十七番 涌 井 雅 夫
十八番 石 坂 真 一
十九番 岡 部 正 英
二十番 小 曽 戸 廣
二十一番 鯉 沼 義 則
二十二番 斉 藤 具 秀
二十三番 阿 久 津 憲 二
二十四番 加 藤 緑 平
二十五番 欠 員
二十六番 佐 藤 信
二十七番 佐 々 木 重 信
二十八番 川 崎 和 郎
二十九番 木 村 カ オ ル
三十番 木 村 好 文
三十一番 後 藤 伊 位
三十二番 真 田 富 美 子
三十三番 菅 沼 清
三十四番 五 月 女 長 重
三十五番 高 岡 真 琴
三十六番 髙 橋 文 吉
三十七番 谷 博 之
三十八番 齋 藤 洋 三
三十九番 永 田 元 一
四十番 広 瀬 寿 雄
四十一番 吉 成 昭 運
四十三番 荒 井 光 夫
四十四番 平 池 秀 光
四十五番 渡 辺 渡
四十六番 石 島 保 男
四十七番 郡 司 征 夫
四十八番 引 地 忠
五十番 板 橋 一 好
五十一番 大 島 和 郎
五十三番 欠 員
五十五番 村 田 茂 忠
五十六番 吉 成 健 蔵
五十七番 岩 崎 実
欠席議員一名
五十二番 大 島 稔
五十四番 増 渕 賢 一
地方自治法第百二十一条の規定による出席要求によって出席した者
知事 福 田 昭 夫
副知事 齋 藤 清 衛
出納長 高 松 征 雄
企業庁長 高 橋 武 紀
総務部長 須 藤 揮 一 郎
企画部長 田 嶋 進
生活環境部長 鴇 巣 隆 美
保健福祉部長 揚 松 龍 治
商工労働観光部長 平 間 幸 男
農務部長 花 塚 功 先
林務部長 佐 藤 誠
土木部長 岩 立 忠 夫
企業庁副庁長 藤 岡 義 三
財政課長 寺 田 文 彦
教育長 岩 崎 修
代表監査委員 斎 藤 宏
人事委員会事務局長寺 岡 威
地方労働委員会事務局長
藤 田 計 一
警察本部長 廣 畑 史 朗
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◎山本寛 議会事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は四十五名であります。
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午前十時三分 開議
○石島保男 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
日程第一 第一号議案から第五号議案まで及び第七号議案から第二十五号議案までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。三十七番谷博之議員。
(三十七番 谷
博之議員登壇)
◆三十七番(谷博之議員) 今定例会の質問戦も最終日を迎えました。ここに登壇の機会を与えていただきました議員各位に対し、改めて感謝申し上げます。質問の項目につきましては、昨日までに取り上げられた事項と重複いたす部分もありますけれども、私自身の視点から、県政における今日的課題や常日ごろ私が取り組んでいる諸活動の中から、今、最も重要な課題を取り上げ、順次質問をしてまいりたいと思います。知事初め、執行部各位におかれましては、意のあるところをおくみ取りいただき、前向きの誠意ある答弁を心から期待してやまない次第であります。
初めに、
公共事業改革と「緑のダム」づくりについてお伺いいたします。私たち民主党は、今、談合体質を根絶させることによるコスト削減、また、二重投資、むだな公共事業のカットやPFIの積極的な導入などによって、必要な
社会インフラ整備の量を維持しつつ、五年で三割の公共事業費を削減しようとしています。そうした中で、特に、森林の持つ保水機能や
土壌流出防止機能に着目し森林の再生、つまり緑のダム化を推し進めることとし、現在、計画中または建設中のダムについても、これを一たんすべて凍結し、二年以内を目途にその必要性の再検討を速やかに行おうとしています。また、林業従事者への直接払い政策、つまりデ
カップリング政策を導入し、現在、荒廃状態にある人工林の間伐・植林を積極的に推進し、中山間地域における新たな雇用を創出すること、そして、切り出された間伐材については、建材としての活用や
木質バイオマス発電などに利用することなどを計画しているのであります。
そこで、まず、ダム事業についてお伺いいたします。本県においても、当面する二つの大きなダム計画、すなわち南摩ダムと
東大芦川ダムについては、過般、知事からその方向性が示されたのでありますが、私はこの公共事業の削減や「緑のダム」づくり計画と整合性の観点から、
東大芦川ダムは別としても、南摩ダムについては、改めてその必要性を再検討する期間がさらにあってもよかったのではないかと思うのであります。そこで、これらの点について、現在、進行中の湯西川ダムの現時点での必要性の再検討も含め、改めて知事のご見解を伺いたいと思います。
次に、「緑のダム」としての森林の整備についてお伺いいたします。県土の約六割を占める森林は年々減少しつつあり、間伐等の手入れを必要としています。さらに、森林の公益的機能に対する県民の期待は、高度化・多様化しています。そこで、本県の森林を、いわゆる「緑のダム」として、今後どのように整備していこうとしているのか、あわせてお伺いいたします。
次に、県庁舎の建てかえの問題についてお伺いいたします。
栃木県庁本庁舎はことしで六十三年目を迎え、全国でも富山県庁に次いで二番目に古く、しかも、本県出身で当時の第一級の建築設計家であった佐藤功一氏の手によって、
ルネサンス様式を随所に取り入れてつくられた貴重な建物であり、本県行政のシンボルとして今日まで生き続け活躍してきたのであります。しかし、県庁舎建てかえについては、平成五年に渡辺前知事が、老朽化、狭隘化などを理由に、正式に建てかえを表明し、県議会側もこれを受け、平成十一年には、県庁舎・
周辺整備検討会から、県庁舎及び周辺の望ましい整備のあり方について提言を行うなど、県議会としても県庁舎整備を推進してきたところであります。しかしながら、昨年十一月の知事選挙では「見直し」を公約として掲げた福田知事が誕生し、先月には
県教育委員会から、本庁舎を近代化遺産の調査対象にしたことが報告され、また、平成八年に、県がとちぎ総合研究機構に委託して実施した県庁舎の建築的価値などについての調査報告書が公表されていなかったことも明らかにされました。こうしたことから、県民の中からも、改めて文化財的価値の問い直しを求める声が急速に高まってきているのであります。
そこで、このようなことを踏まえ、再度県民のための県庁舎として、県民の声を受けとめるためにも、そして、県都の顔としての歴史と県民の心の原風景としての県庁舎を保存するという視点からも、今日までの執行部や県議会の流れは流れとして真摯に受けとめつつ、すべて壊してしまうという大前提を一度白紙に戻し、保存することについて真剣に考えてみてはどうかと思うのであります。すべては福田知事の考えのもと、ことし九月に向けて、
県庁舎整備計画見直し検討会議で、
耐久度調査等も踏まえて結論が出されていくことと思うのでありますが、しかし、私はあえて、保存ということを視野に入れて検討すべき課題について、知事に何点かお伺いいたしたいと思います。
まず、その前になぜ保存なのかということでありますが、何よりもとちぎ総研による調査報告書にもありましたように、建築史的にも技術的にも価値が非常に高いということと、また、本県出身の佐藤功一氏の手によるものであること、昨今は全国的にも近代化遺産の保存・活用が大いに進んでいること、さらには、県内外の建築専門家の、あるいは多くの県民の保存への期待が非常に大きいことなどが挙げられると私は思うのであります。
そこで、まず第一に、知事の公約との整合性の問題についてお伺いいたします。知事は選挙公約の中で見直しを掲げておられましたが、見直しの中身は何であったのか、また、その後知事が提案した
県庁舎整備計画見直し検討会議は、どのような位置づけで設置され、どのような内容が検討されるのか、さらに、検討会議から近々出される答申についてどう評価し活用していくのか、改めてお伺いするものであります。
第二は、移転・一部保存の問題についてであります。例えば、電子県庁化を図るならば、新庁舎移転も視野に入れるべきであり、現庁舎の一部保存による現庁舎の建てかえも、方向としては考えられるのであります。そこで、知事はこうした今後の手法についても検討会議で議論を行い結論を出されるのかどうか、お伺いします。
第三は、県民の声の反映システムについてであります。整備の手法によっては、建築内容や整備費などは全く新たな視点での検討を加えていかなければならないと思うのであります。さまざまな意見が出されるかもしれません。そこで、検討会議における会議の内容についてすべて県民に情報を公開し、県民の議論に供し、県民の声を反映させるシステムをどうとっていくのか、お伺いします。そして、改めて知事にお伺いしたいのでありますが、町は新しいものと古いものとが混在してこそ人々は歴史を感じ、うるおいを感じ、文化と誇りを感ずると東大の藤森照信先生は発言しております。そこで、県都の顔として、トチノキの並木とともに、県民の心の原風景として焼きついている現庁舎に対する知事の率直な思いをお伺いするものであります。
次に、女性副知事の選任の問題についてお伺いいたします。私たちを取り巻く社会は、従来からの会社組織中心の社会、性別役割分業の社会から、今や多様化したライフスタイルをみずからの意思と責任において自由に選択し、男女の区別なく政治や経済、社会のあらゆる分野におのおのが参画し、その方針や政策を決定することができる真の
男女共同参画社会に大きく移り変わろうとしているのであります。そうした中で、女性起業家への財政支援を含む支援体制の強化や、女性が政策決定の場に多数参画できるようなクオータ制を含む積極的な
性差別是正措置が、国においても検討されてきている中で、本県でもこうした状況を踏まえて、県政の政策決定の場への女性の一層の参加を促していくべきであると思うのであります。そこで、知事ご自身の選挙時の公約でもあった女性副知事の選任について、一日も早い実現を図るべく、現在、どのような体制の整備と具体的な人選を推し進めてきているのか、その状況と今後の対応方針についてお伺いいたします。
次に、難病対策についてお伺いいたします。私は今日まで、機会あるたびに本議場においてこの問題について取り上げてまいりましたが、引き続き、解決が求められている幾つかの課題についてお伺いをいたします。
まず第一は、心臓病や腎炎、ネフローゼの子供たちの充実した学校生活を送るための取り組みについてであります。自分自身が心臓病や腎炎、ネフローゼの患者と知って、また、その保護者となって、その完全な治癒を願い、国に
小児慢性特定疾患治療研究事業の一層の推進を願う患者や家族の人たちの声は日増しに強まっており、また、こうした子供たちの通う学校においても、さまざまな要望や働きかけが強まっているのであります。そこで、こうした動きを受けて、学校における先生方の病気の管理指導表の徹底した活用やそのための施設設備の改善等について、
県教育委員会は
市町村教育委員会とどのような連携をとって取り組んでいこうとしているのかお伺いいたします。
第二は、
小児慢性疾患や
特定疾患医療費助成制度における診断書の問題についてであります。診断書の費用はすべて患者側の自己負担となっておりますが、特定疾患については三年に一度であるのに対し、
小児慢性疾患については毎年診断書を提出することになっております。また、診断書をチェックすることによって、患者数を意識的に減らしていくことにつながらないか、大変心配する向きもあります。
小児慢性疾患についても、この診断書の提出についての仕組みを、数年に一度の形とするよう要望する声が患者団体から強く出されております。そこで、このような状況を考慮し、県としてはその取り扱いの改善方策について、今後、どのように対応するつもりなのか、考えをお伺いするものであります。
第三は、肝炎患者と
ウイルス感染者に対する差別・偏見の排除と早期発見体制の確立の問題についてお伺いいたします。戦後、第二の国民病として広がりを見せ、
ウイルス感染者が推定で三百万人を超えるとも言われている、特に、C型肝炎については、感染した年齢にかかわらず、四十歳前後から肝炎が進行し、六十歳ごろから肝がんの発生が急増するケースが多いと報告されています。また、このウイルスの主要な感染経路の解明や潜在的な
ウイルス感染者の発見、さらには、肝炎・肝がんの
発症予防対策についても、いまだ十分明らかにされていない現状にあるのであります。そこで、肝炎患者や
ウイルス感染者の早期発見のための体制の確立について、また、こうした人たちに対する差別や偏見の解消を図るための
社会的取り組みについて、どのように対応しようとしているのか、県の考えをお伺いいたします。
第四は、腎不全対策についてであります。一点目は、透析患者の通院を支援するための
介護保険制度と国の介護予防・
生活支援事業の積極的な活用の問題についてであります。透析患者にとって必要不可欠な足とも言える通院体制の確立は、本来公的介護を原則として実施されるべきものであり、今日、それは特に、
介護保険制度の中で円滑な実施が確保されなければならない課題であると思うのであります。そしてまた、厚生労働省の行っている介護予防・
生活支援事業においても、特に、
外出支援サービス事業の中で、こうした通院事業も本来、積極的に実施していかなければならない課題であると思うのであります。そこで、こうした考え方を踏まえて、腎不全患者の通院を公的に支援するため、県は市町村と連携し、今後どのような対応をしていこうとしているのかお伺いいたします。
二点目は、
ウイルス性肝炎院内感染とその
事故防止対策についてお伺いいたします。今日、
透析医療機関における
ウイルス性肝炎の院内感染が全国的に発生し、厚生労働省や
日本透析医会でも事態を重視し、その原因究明と
事故防止対策に乗り出したのであります。そこで、県内における
透析医療機関の現状と
院内感染防止の対応はどのようになっているのか、また、県は安心して患者が治療を受けられる体制をどのように確保していくのか、その取り組みについてお伺いいたします。
三点目に、小児を含む腎移植の普及についてお伺いいたします。腎友会を初め、県、
透析医療関係者などの積極的な取り組みによって、現在、
ドナーカード所持者は全国で一千万人を超え、こうした動きを踏まえ、腎移植の推進が大いに期待されているのであります。しかし現実は、幼児・小児からの提供・移植が我が国ではいまだ十分には実施されていないため、やむを得ず海外にその移植の道を求めたり、また、移植に当たっての連携の不十分さや書面承諾が前提条件かのような誤解が持たれていることなどによって、残念ながら、依然として移植事例が広がりを見せていないのであります。そこで、本県における腎移植の現状、
移植コーディネーターの活用などについてどのような現状にあるのか、また、他の臓器移植の状況も含め、その内容及び推進対策についてお伺いするものであります。
次に、
ハンセン病患者の「人間らしい生き方」の回復を目指す取り組みについてお伺いいたします。国の
ハンセン病対策は、一九〇七年の「癩予防に関する件」の法律に始まり、一九九六年のらい予防法の廃止に至るまでの約九十年間に及び、誤った医学的観点から、この間、患者の人権を著しく侵害した強制隔離政策や差別や偏見によって患者自身の「人間らしい生き方」を奪い続ける、まさに非人道的な政策を取り続けてきたのであります。そして、去る五月十一日、熊本地裁で
杉山正士裁判長は、国の
ハンセン病対策の違法性を認め「入所期間中の自由の制約」や「社会からの差別・偏見を受ける地位に置かれたことによる精神的損害」を患者に共通した被害としてとらえ、百二十七人の元
患者ら原告団に、総額十八億円余の国家賠償を行う判決を国に命じたのであります。その後、ご承知のとおり、この判決を受けて、小泉首相は一部政府部内にあった「判決には重大な法律上の問題点があり、控訴の手続をとらざるを得ない」といった声を押し切ってその非を認め、すべての患者や元患者への損失補償を誠意を持って行うという英断を下したのであります。そこで、こうした国の政策の大転換を踏まえて、県としては、それでもなおかつ存在する地域での差別と偏見への対応や本県出身者へのケアの問題、
民間支援組織等との連携について、どのように取り組んでいこうとしているのか、その具体的方針についてお伺いをいたしたいと思います。
次に、教育行政についてお伺いいたします。教育は国家百年の計とも言われ、余り目立たない存在の中で、国民・県民すべてにかかわる重大な国家的事業の一つともなっているのであります。私は当面する本県の教育行政について、私自身がこれまでかかわってきた課題を中心に取り上げてまいりたいと思います。
そのまず第一点目は、かつて栃木県は教育正常県として、信濃教育界とくつわを並べて、全国的にもその勇名をとどろかせてきたのでありますが、最近は不登校・いじめ、自殺、事故、さらには、教師による体罰などの不祥事など、多くの厳しい状況が生まれてきております。いじめについては、昨年度
全国ワーストワンとなったところであります。そこでまず、今日の本県の教育の実態はどうなっているのか、そして、それをどうとらえているのか、また、今日の教育現場の実情をどのように認識しているのかということについて、教育長に率直な感想とお考えをお伺いするものであります。さらに、こうした現状に対して、その原因究明や対応策について、どのように取り組もうとしているのか、具体的方針についてもあわせてお伺いするものであります。
次に、知事の選挙公約でもあった三十五人学級の推進についてお伺いいたします。三十五人学級の実現に当たり、そのための予算の確保や教員の増員等の課題がある一方で、いわゆる標準法の改正に伴い、地方の判断により学級編制の弾力化が可能となっております。そこで、この問題について現段階において、既に具体的な試算や検討をしているのか、また、特に、小・中学校の一年生だけでも先行試行を行う考えがあるのかどうか、
県教育委員会の考えをお伺いいたします。
次に、教科書問題についてお伺いいたします。未来を担う児童生徒の教育現場における県民の最大関心事の一つに、教科書の採択問題があります。そして、教科書の採択における主体は、本来、教師の教育権の一つだと考えております。そこで、教科書採択における指導助言、援助に当たる
県教育委員会として、この点についてどのように考えているのか、その基本的な考え方をお伺いいたします。
また、本年から採択に関して、教師の総意に近い絞り込みをやめさせ、わずかの教師調査員の調査を参考にして、
市町村教育委員会が採択することとなったのでありますが、これらの機関の責任はまことに重大であると言わざるを得ません。ましてや、今回は新教育課程、学校週五日制のもとでの最初の採択であり、この教科書は今後三、四年間継続使用されるわけであります。一方、
県教科用図書選定審議会が既に終了し、その資料等が
市町村教育委員会を中心とした
地区採択協議会に送付されているのでありますが、これは採択の透明性の確保という方針からずれており、
採択作業過程における情報公開にも逆行していると言わざるを得ません。また、これに関連して
県教職員組合の要望に対し「採択事務の円滑な遂行に支障を来さない範囲において情報の開示を行う」と答えているのでありますが、実態は
県教科用図書選定審議会が「一部非公開」、
地区採択協議会においても「非公開」という立場を貫いているのであります。そこで、私は教科書採択の透明化のために、その会議をすべて審議過程から資料等も含めて情報公開すべきだと思いますが、教育長の考えを伺います。
また、これらが困難であるとするならば、せめて採択の終了後、
県教育委員会並びに
市町村教育委員会の責任において、教科書採択に関する県並びに採択地区で行われたすべての会議における議事録、結果について、県民に情報公開をすべきであると考えますが、あわせて教育長にお伺いをいたします。
次に、不登校児に対する対応についてお伺いいたします。我が国における乳幼児の死亡率と少年事件の再犯率の低さは世界に誇れる状況にあるにもかかわらず、小・中・高校生の自殺は、一九九九年には百九十二人と世界でもワースト上位に入り、虐待による子供の死亡件数も激増してきているのであります。また、不登校児も一九九九年度には全国で十三万人を超え、青年の閉じこもりも数十万人と言われております。そして、自殺した子供たちの中には不登校が許されず、何らかの形で登校を強いられた結果、みずからの命まで落とすこととなっており、子供に先立たれた親たちの多くが、「せめて不登校をしてくれていたならば」、「閉じこもりでも命を大切にしてほしかった」などと率直な心境を述べているのであります。こうしたことを考えたとき、結局は不登校が問題なのではなく、体罰やいじめなどを放置し、ただひたすら学校への迎合のみを求められた結果、子供たちの生存権すら今日では危うくなってきていると私は思うのであります。一九九八年六月、国連・子どもの権利委員会から日本政府に対し、「オルターナティブ教育が認められない、硬直した教育文化が不登校を生み、民主主義の成長を阻害している。政府はNGOと協力して改革をすべきである」と強い要望が出されてきていることをみても、事態の深刻さを知ることができるのであります。私はこうした現状を踏まえ、我が国では、いつ、どこでも望む形で子供の教育への権利が学校外でも保障されるよう、現在の教育のあり方をもう一度根本から見直してみる必要があると考えるのであります。
国では、現在、不登校対策の一つとして、スクールカウンセラー配置事業を推進しておりますが、アメリカでは、既に失敗していると言われております。そこで、県としては、そのような評価もなされているスクールカウンセラーの配置事業について、どう考え、今後どう取り組んでいくのか。また、不登校対策の一環として、ソーシャルワーカーの活用など、福祉分野との連携を一層図るべきと考えますが、あわせてお伺いいたします。
また、こうした子供の悩みに対する電話相談については、民間団体でも独自に活動を開始しているところもあります。県としては、これらの団体との連携や電話番号の下三けたの共通化など、わかりやすい電話番号への工夫を含め、全県的にどのように電話相談に取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、県立富屋養護学校の校庭整備の問題についてお伺いいたします。既に、新聞報道でもご承知のとおり、この問題は新校舎建設計画の中で、新校庭用の用地買収の見込み違いや購入準備の甘さから、今日のような校庭のない最悪の状態に陥ったのであり、その結果、現在は周辺の富屋小学校の校庭を借りて運動会を開催したり、校舎を周回するランニングコースをつくるなどして、屋外スポーツの実施に当たっての急場をしのいでいる状況にあります。そこで、まず、民事上の問題はあるとは申せ、購入予定地の早期取得見込みの可能性についてお伺いいたします。
さらに、この問題についていつごろを目途に県としての結論を出し、解決を図ろうとしているのか、また、万が一、見通した解決期間内に用地買収ができなかった場合の代替案も含めた具体的な取り組みについてお伺いします。
また、障害のある児童生徒の一日も早いのびのびとした運動の場の確保を図ることは、本人はもとより、保護者にとっても切実な願いであります。こうした声にこたえるためにも、プールの整備も検討に含めた富屋養護学校の校庭整備計画について、改めて
県教育委員会の考えをお伺いいたします。
以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○石島保男 議長 谷議員の質問に対し、執行部の答弁を求めます。福田昭夫知事。
(福田昭夫知事登壇)
◎福田昭夫 知事 谷議員のご質問にお答え申し上げます。まず、
公共事業改革と緑のダムづくりについてのうち、ダム事業についてでありますが、いわゆる「緑のダム」とは、森林が持つ洪水緩和・渇水緩和などの水源涵養機能をダムに例えた考え方であり、近年注目をされております。私もこの考え方につきましては、森林保全の観点からも、その意義は十分評価しているところであります。このことから、庁内に設置した栃木県思川開発事業等検討委員会の見直しの中で、従来のダムにかわる方策の一つとして「緑のダム」の有効性を関連文献、国の見解等をもとに、治水・利水の両面から検討を行ったところであります。しかしながら、「緑のダム」はその効果に対する定量的な評価の手法が確立されていないことや「緑のダム」単体では、従来のダムと同等の治水・利水効果を発揮し得ないというのが大方の考えであることから、代替案としては適さないという結論に至りました。
なお、思川開発事業につきましては、今回の見直しにより、事業費の県負担分を当初計画の約六割程度削減できる見込みでありますことから、公共事業の削減の観点からも、非常に意義があったと考えております。
一方、湯西川ダムは利根川流域の総合開発の一環として、国が実施している多目的ダムであり、平成十年十二月の一般損失補償基準の妥結以来、既に事業用地の約六割が買収され、付けかえ県道工事や国道一二一号バイパスなどの整備も鋭意進められているところであります。本事業は洪水被害の軽減や宇都宮市、茨城県及び千葉県の都市用水を供給することなどを目的としており、安全で快適な生活の確保を目指す上で必要な事業であると認識しております。今後は事業主体に対しまして、ダム事業のコスト縮減及び環境への影響の軽減などを強く求めてまいりたいと考えております。
次に、「緑のダム」としての森林の整備についてお答えいたします。本県の三十五万ヘクタールに及ぶ森林は、木材生産を初め、県土の保全や県民に安らぎを与えるなど、県民の生活を守り産業をはぐくむなど、重要な役割を果たしております。水を安定的に流す働きや流出する土砂を抑制する働きなど、森林の持つ機能を高度に発揮させるためには、活力ある森林づくりを進めていくことが重要であります。このため、水源涵養保安林や土砂流出防備保安林などの指定を積極的に進める一方、第九次治山事業計画に基づき、保安林の適正な管理や荒廃山地の復旧のための治山事業などを行っていくこととしております。
さらに、本県民有林の五四%を占めるスギ・ヒノキなどの人工林においては、手入れの行き届かない森林がふえていることから、平成十二年度に緊急間伐五ケ年計画を策定し、市町村や関係団体と一体となり、間伐推進運動を重点的に展開し、二万四千ヘクタールの間伐を実施する予定であります。また、これらの間伐を低コストで早期に実施するため、林道等の整備や高性能林業機械の導入を積極的に進めていくこととしております。今後とも、市町村などと連携し森林の整備を進め、水源涵養や土砂流出防止などの機能の強化を図り、森林のいわゆる「緑のダム」としての機能を高め、安全で住みよい県土づくりに努めてまいります。
次に、県庁舎の建てかえの問題についてお答えいたします。私は昨年の知事選挙におきまして、税金をむだにしない行政の推進という観点から「県庁舎建てかえ計画を凍結し見直すこと」を公約の一つに掲げたところであります。見直しに当たりましては、県内の有識者や公募委員から成る
県庁舎整備計画見直し検討会議を設置し、去る五月十日には、第一回目の会議を開催したところであります。この会議には私も出席をし、議員からご指摘がございました県庁舎の保存問題に関係する県庁舎の耐久度や文化財的価値、また、県庁舎の移転問題に関係する宇都宮市の中心市街地活性化への影響、県庁舎の建てかえに先行して整備、取得した建物・土地の取り扱いなど、特に九項目を中心に具体的な検討をお願いしたところであります。今後、この会議を三回ほど開催いたし、各委員の皆様に県庁舎整備について十分論議をいただき、その結果を踏まえ、九月中には、私自身の責任において一定の結論を出したいと考えております。
また、県庁舎の整備のような県民の関心が高い事業の実施に当たりましては、県民の皆様のご理解を得ながら進める必要があると考えており、この会議についてはすべて公開とするほか、検討内容についても県のホームページに掲載するなど、積極的な情報公開に努めているところであります。なお、県庁舎に対する率直な思いについてのお尋ねですが、ご案内のとおり、現在、検討会議において、県庁舎整備について種々論議がなされているところでありますので、この場において私の考えを述べることは、差し控えさせていただきたいと思います。
次に、女性副知事の選任の問題についてお答えいたします。二十一世紀を迎え、我が国が直面している少子高齢化や環境問題等社会情勢の急速な変化に的確に対応し、新たな社会システムを構築するためには、私は男女が喜びも責任も分かち合いつつ、社会のあらゆる分野にともに参画する、豊かで活力ある
男女共同参画社会の実現が必要不可欠なものであると考えております。
県政経営に当たりましても、政策・方針決定過程への女性の登用は、県民の半分を占める女性の視点を県政経営に反映させる上で極めて大切なことと考えており、女性副知事の登用はそのシンボルともなるものと考えております。こうした観点から、私は副知事を二人制とするとともに、そのうちの一人に女性を登用し、これまで以上に県政に広がりと深みを持った経営を推進していきたいと考えております。なお、女性副知事の人選につきましては、副知事としてふさわしいすぐれた人材であることはもとより、本県における初めての女性副知事として、男女を問わず信頼をいただける人材を選任できますよう、鋭意選考を進めてまいりたいと考えております。
以上のほかの諸点につきましては、教育長並びに所管部長からお答えを申し上げます。
○石島保男 議長 揚松龍治保健福祉部長。
(揚松龍治保健福祉部長登壇)
◎揚松龍治 保健福祉部長 難病対策についてのお尋ねのうち、
小児慢性疾患・
特定疾患医療費助成制度における診断書の問題についてお答え申し上げます。
小児慢性疾患と特定疾患に係る医療費助成は、国の治療研究事業として実施しているものでありまして、該当疾患に関する医療の確立を目的の一つとしております。このため、患者から提出される診断書は、県において助成対象の認定に用いるだけでなく、その内容は本人の同意のもとに国の治療研究のデータとして活用されております。お尋ねの
小児慢性疾患については子供の疾病であり、疾患の状態の変化が大きく、定期的に疾患の状態を把握することが重要でありますことから、毎年診断書を提出することが義務づけられているものであります。なお、県単事業として、ぜんそく等五疾患群の疾病について入院期間など用件を緩和して対象を広げておりますが、これについても国に準じた対応としております。
次に、肝炎患者・
ウイルス感染者に対する差別・偏見の排除及び早期発見体制の確立についてでございますが、県内の各広域健康福祉センターにおきまして、今まで実施しておりましたB型肝炎ウイルス検査に加えまして、五月末からC型肝炎ウイルス検査を実施することとし、肝炎患者や
ウイルス感染者の早期発見のための体制を整えたところであります。肝炎患者や
ウイルス感染者に対する差別や偏見の解消につきましては、市町村や医療機関等関係機関との連携協力を図りながら、県のホームページなどの広報媒体やイベント等の機会を利用して、県民に対し、
ウイルス性肝炎に対する正しい知識の普及啓発に努めてまいります。
次に、腎不全対策についてのお尋ねのうち、透析患者の通院支援についてでございますが、
介護保険制度におきましては、要介護認定を受けた在宅の透析患者は、訪問介護として通院介助サービスを受けることができます。対象となりますのは、六十五歳以上の高齢者に加え、四十歳以上六十五歳未満でも糖尿病性腎症など、加齢に伴う一定の疾病によって要介護状態になった方も含まれます。また、介護保険が適用とならない方でも、一人暮らし高齢者等につきましては、市町村が地域の状況に応じて実施する介護予防・
生活支援事業の
外出支援サービス事業により、自宅と医療機関等との送迎サービスを受けることができます。今後とも、市町村と連携しながら、障害者に対する施策も含め、制度・事業の普及、定着を図ってまいります。
次に、
ウイルス性肝炎院内感染とその
事故防止対策についてでございますが、県内には六十八の
透析医療機関があり、透析患者数は平成十二年末現在、三千七百四十六人となっております。県では病院等への立ち入り検査の際に、
院内感染防止対策マニュアルの作成指導を行いますとともに、院内感染対策委員会の設置や研修会の実施状況を確認いたしますほか、透析室や器材の清掃滅菌状況等について調査指導をしております。また、財団法人栃木県臓器移植推進協会、昔の腎臓バンクでございますが、そこにおきまして、毎年、透析等を対象としました研修会を実施しておりますが、その中で、
院内感染防止対策を研修項目の一つとしております。今後とも、県透析医会等関係機関と連携を図りながら、院内感染の防止に努めてまいります。
次に、小児を含む腎移植の普及についてでございますが、本県の腎臓移植希望登録者数は、五月一日現在、二百一名となっており、移植件数は、平成十一年八件、平成十二年四件で、昭和六十年から平成十二年の累計で百八十八件となっております。また、他の臓器の移植希望者は、全国で心臓、肝臓が各四十六人、移植件数は平成十二年度、心臓が三件、肝臓が六件となっております。次に、
移植コーディネーターにつきましては、一名を専任で委嘱し、医療機関等からの情報収集を行いますとともに、講演会やイベント等で普及啓発を行うなど、積極的な活動を行っております。今後とも、
移植コーディネーターや財団法人栃木県臓器移植推進協会、県医師会等関係団体との連携協力を図り、臓器移植希望者の意思を生かした移植医療を推進できるよう普及啓発に努めてまいります。
最後に、
ハンセン病患者の「人間らしい生き方」の回復を目指す取り組みについてお答え申し上げます。ハンセン病に対する差別や偏見の解消に当たっては、ハンセン病が遺伝する病気ではないこと、伝染力が極めて弱いこと、治癒する病気であること等ハンセン病を正しく理解していただくことが重要と考えております。県におきましては、ハンセン病に関する啓発や療養者等への援助事業等を行う栃木県藤楓協会の運営を助成いたしますとともに、毎年六月のハンセン病を正しく理解する週間において、同協会の行う啓発事業や募金活動を支援するなどにより、普及啓発に努めております。さらに、療養所に入所している本県出身者に対する郷土訪問事業や療養所への慰問、地元紙の送付等きめ細かな事業を県藤楓協会、ボランティア等と協力して実施しております。今後とも、県藤楓協会等関係団体と緊密な連携協力を図りながら、本県出身者の支援を行ってまいりますとともに、差別や偏見の解消に取り組んでまいります。
○石島保男 議長 岩崎修教育長。
(岩崎 修教育長登壇)
◎岩崎修 教育長 難病対策についてのお尋ねのうち、心臓病や腎炎、ネフローゼの子供たちへの取り組みについてお答えいたします。現在、学校保健法に基づき、小・中・高校各第一学年において心臓検診を実施しております。検診結果が「要精検」の場合、医療機関で受診し、「所見あり」の場合は管理指導表が作成されます。学校では管理指導表をもとに、個々の児童生徒の状況に応じた運動量や学校行事への参加など、学校生活全般にわたって配慮しておりますほか、保健室では受診状況を記載した心臓病管理カードを作成し、小・中・高を通した継続的な健康管理ができるようにしております。また、腎炎、ネフローゼ等につきましては、各学校で健康記録表などを作成し保護者と相談しながら、その症状に応じて適切な配慮に努めております。施設面では
市町村教育委員会に対し、さまざまな障害を持った児童生徒のため、バリアフリー化を基本に施設整備を図るよう指導助言をしております。今後とも、市町村主管課長会議や養護教諭などの研修を通しまして、
市町村教育委員会と連携を図り、児童生徒の健康管理の充実に努めていく考えでございます。
次に、教育行政についてお答えをいたします。まず、本県の教育の現状認識についてでございますが、本県のほとんどの児童生徒は心身ともに健全であり、有意義な学校生活を過ごしていると認識しております。また、教職員は、教育の専門家として、自信と矜持とを持ち、一丸となって教育に当たっているものと考えております。しかし、一部の児童生徒において、不登校やいじめなどの問題が生じていることも事実でございます。その背景には、児童生徒が育つ環境、とりわけ少子化や核家族化、あるいは情報化の急速な進展などによる家庭や地域における人間関係の希薄化といったことが大きく影響しているのではないかと考えております。これらのことを踏まえまして、本県では、本年度からすべての教育事務所に「ふれあい学習課」を設置するとともに、二名のスクールサポーターを配置し、学校・家庭及び地域社会の連携強化を図ることといたしました。また、児童生徒をめぐる事件事故やいじめ対策につきましては、本庁に児童生徒指導推進室を設置するとともに、市町村と協力して個々の原因究明やいじめ防止対応研修会などを行っております。今後とも、市町村と協力し教育相談体制の強化や教員配置の充実を図り、一人ひとりの児童生徒を大切にしたきめ細かな指導に努めてまいりたいと考えております。教育という営みは、児童生徒及び保護者の教師に対する信頼があって初めて成り立つものであります。このことを基本に、教員がみずからの職責の重大さを自覚し、自己研鑽に努めるよう指導いたしますとともに、児童生徒の人権に配慮しながら、家庭や地域と連携協力して、本県教育の一層の振興に努めてまいる考えでございます。
次に、三十五人学級の推進についてお答えをいたします。本年四月に改正された、いわゆる義務標準法では、各都道府県が児童生徒の実態を考慮して、特に必要があると認めるときは、特例的に国の四十人の標準を下回る学級編制をすることができることとなりました。その場合、基準の引き下げにより、義務標準法による法定数を超えて新たに必要となる教員については、都道府県が独自に定数措置をすることとなります。これまで小・中学校における学級編制基準の引き下げにつきましては、さまざまなケースを想定し検討を続けてまいりました。しかし、低学年では非常勤講師の活用による複数担任制の方が効果が期待できるといったご意見もありますことから、本年度は、小学校第一学年の三十六人以上の全学級及び指導困難な状況の見られる中学校に非常勤講師を配置し、きめ細かな指導を推進しているところでございます。今後、本年度の非常勤講師配置事業の成果などを十分に見極めながら、教員配置のあり方を検討する中で、ご指摘の三十五人学級についても、引き続き研究してまいる考えでございます。
次に、教科書問題についてでございますが、公立の小・中学校で使用される教科書の採択は地方教育行政の組織及び運営に関する法律において教育委員会の権限の一つとされております。つまり、
市町村教育委員会はみずから設置する
地区採択協議会において、現職の教員によって組織された調査委員会からすべての選定対象教科書について調査結果の報告を受け、各学校からの採択希望調査の結果なども判断材料としながら、最終的には採択権者としての自覚と責任を持って、適正に教科書の採択を行わなければならないものであると考えます。また、教科書の採択に関する情報につきましては、行政の説明責任や採択過程の透明性を確保する観点から、原則として公開していくことが必要であると考えております。しかしながら、採択決定前に公開することにつきましては、公正・公平な教科書の採択に支障を及ぼさないよう十分配慮する必要があると考えます。このため
県教育委員会におきましては、採択終了後、採択関係の文書を公開することとしております。さらに、
市町村教育委員会に対しましても、採択結果や理由などの情報公開を推進するよう指導しているところでございます。
次に、不登校児への対応についてお答えいたします。不登校については、どの児童生徒にも起こり得るものであるという視点に立ち、不登校児童生徒のそれぞれの原因に応じたきめ細かな配慮や援助が必要であると考えております。そのため私どもでは、これまで適応指導教室への支援など、さまざまな対策を講じてまいりましたが、その一環として、児童生徒の心の問題などに関して高度の専門的知識・経験を有するスクールカウンセラーを順次配置し、学校におけるカウンセリング機能の充実を図ってきたところでございます。これまでの学校からの報告によりますと、教師の生徒理解及び相談技能の向上、児童生徒・保護者の心の安定、不登校の防止、解消などに効果があることなど、さまざまな成果が報告されております。今後の配置につきましては、すべての児童生徒がスクールカウンセラーに相談できるようにするため、その充実を図っていくという文部科学省の方針も示されておりますことから、本県でもこれまでの成果を踏まえ、その配置に努めていく考えでございます。
また、ソーシャルワーカーの活用についてでありますが、不登校の解消のためには、家庭環境の改善等が必要なケースもありますことから、各学校では、これまでも児童相談所や健康福祉センターなどの関係機関、民生委員、児童委員などと連携を図って対応してまいりましたが、今後とも、福祉分野との幅広い連携を一層図ってまいりたいと考えております。また、電話相談は、いつでもどこからでも相談できるという利点がありますことから、悩みを持つ子供にとって身近な相談窓口となっております。現在、「いじめ相談さわやかテレホン」などを二十四時間体制で実施しておりますが、六月一日からはさらに利用しやすいよう、小さな子どもでも覚えやすい電話番号、宇都宮六六五の九九九九に変更をしたところでございます。不登校などの悩みを抱えている子供にとって相談窓口が多様にありますことは、さまざまな角度からのアドバイスが受けられ、悩みの解決の糸口が広がることにもなりますので、それぞれの相談窓口がその特徴を生かしながら、子供を支援していくことが大切だと考えます。今後は子供たちがさらに利用しやすい電話相談となるよう、国、県、民間団体などで構成する栃木県青少年問題相談機関連絡会議などを通じ、各種相談機関との相互の連携を一層強化しながら、相談窓口の周知徹底や相談員の資質の向上のための研修の充実などを図ってまいる考えでございます。
最後に、富屋養護学校の校庭整備についてお答えいたします。近年、知的障害養護学校への入学者は増加の傾向にございまして、富屋養護学校につきましても、平成八年度前後に入学希望者が急増し深刻な教室不足の状況となっておりました。このため新校舎建設が緊急の課題となったことを受け、平成十年十月に建設に着手し、翌年十二月には完成し、これによって教室不足が解消され、学習環境が大幅に改善されたところでございます。この建設に当たりましては、従来の運動場以外に適切な建設場所がなかったため、新校舎の建設にあわせ運動場用地を確保することとし、その交渉を進めてまいったところであります。しかしながら、当該用地をめぐる民事上の問題等がございまして、残念ながら、今日まで合意を得るに至っておりません。当面、運動場がないことによる体育授業への影響を最小限に押さえるため、体育館の有効活用を図るほか、従来の駐車場の一部に仮説運動場の整備などをしたところでございます。私どもといたしましては、児童生徒の移動の安全面などから、南側隣接地がプールを含めた運動場用地として最適であると考えておりまして、関係者の合意が得られるよう、引き続き、粘り強く努力をしてまいる考えでございます。
○石島保男 議長 谷博之議員。
◆三十七番(谷博之議員) 知事以下ご答弁をいただきまして、ある意味ではすれ違いのご答弁もありましたし、また、要望してその実現を急いでいただく、そういう課題もございましたが、おおむね前向きのご答弁をいただきまして、心から感謝申し上げております。そんな中で、実はちょっと関連することも含めて、三点ほど再質問をさせていただきたいと思います。
まず一つは、南摩ダムの問題でありますけれども、これは知事も目を通したかもしれませんが、一昨日の、具体的には朝日新聞の県版で大きく報道されていた内容であります。思川開発事業への、十三の市町村が県に回答した水の要望量、これが特に鹿沼市が突出して多かったと。全体のトータルとして、この報道を見ておりますと〇・五三トン、こういうことでありますが、県のまとめた〇・六六トンとは〇・一五トンの差が出ているわけであります。その辺の内容について十分把握をしておられるようでしたらば、再度その内容についてご説明をいただきたい。そして、こういう数字を見ておりましても、まだまだダムの必要性について県と市町村、国と、いろいろなそういう関係セクションでぴたっと数字が合った状況の中でダムが具体的につくられようとしているところまでいっていないような気もいたしておりまして、ここら辺の状況についてどう考えているか。私は、先ほどちょっと結論を出すのは早過ぎたのではないかということを申し上げましたが、ここら辺についてもどのように考えているか、再度お聞きしたいと思っております。
二番目に県庁舎の建てかえの問題であります。先ほども私の方で触れましたけれども、平成八年に県がとちぎ総合研究機構に委託して実施した県庁舎の、いわゆる建築学的な価値についての調査報告書は非常に大きな意味を持っていたと思っております。そして、この報告書が最近になって明らかにされたわけでありますけれども、私自身もそういう内容の報告書を見ることによって、何でこの資料がその時点で公開されなかったか、非常に残念に思いますし、そのことによって、この前の二月定例県議会でも特別決議をいたしましたが、その決議の内容も若干変わってきたのではないかというふうな気持ちすらいたしているわけであります。そんな中で、聞くところによりますと、次回の検討会議の中にこの報告書を提出するということでございますけれども、この提出ということについて、いわゆる過去のこの調査報告書をそれだけ報告するというふうにするのか、あるいはこうしたことに至った経過とか、あるいは取り扱いの問題、さらには、内容が非常に重要であるということも含めて、何らかの形を加えて報告をしていくのか、そこら辺の検討会議に向けての対応をお伺いしたいと思っております。
第三点は、教育長に教科書問題についてお伺いいたします。教科書採択をめぐって、これは私の認識が違えば、そのようにはっきり言ってほしいのですが、小学校、中学校と高校の取り扱いが違うというふうに言われております。特に高校の場合は自校採択方式をとっておりまして、それに比べて小・中学校は、先ほど私が申し上げたような形をとっていると。特に両者の違いを見て感じますことは、高校の場合、教科書採択から教師が意欲的に関心を持ってより積極的に教育に当たる、そういうふうなことができる。一方、小・中学校の場合は、ちょっと離れたところで今回のように教科書が選定されてくるということになりますと、教育の基本である児童生徒への意気込み、やる気というものが若干違ってくるのではないかというふうな懸念が心配されております。そこで、こうした点について、現状はどうなっているのか。そしてまた、こういうことが事実だとすれば、なぜそういうふうなことになっているのか、そしてまた、これを高校方式のような形にとっていくことができないのかどうか、率直なそういう気持ちを持っているわけでありますが、ここらについても、その内容をもう少し聞かせていただきたいと思います。
以上で再質問を終わります。
○石島保男 議長 福田昭夫知事。
◎福田昭夫 知事 谷議員の再質問にお答え申し上げます。大きくは二点だったかと思います。一つは、南摩ダムの問題でありますが、そのうちの一点目が、新聞報道と県の発表との違いがどこにあるのかという話であります。このことにつきましては、現在、各市町と再調整をしているところでございまして、それらのこともございまして、現在、発表がおくれている状況がございます。いずれ発表できるものというふうに思っております。二点目が、結論を出すのが早過ぎたのではないかという話でございますけれども、ご案内のとおり、南摩ダムの水没者の方々が、三十七年の長きにわたって大変な苦労をされて、苦渋の決断をされたということを考えれば、あと二年待てというのは酷な話ではないか、私は政治家というよりも人間として、早目に出すのが人間の道ではないかということで、早目に出させていただきました。
二つ目の県庁舎の報告書を、検討会にどう提出するのかという話でございますけれども、このことにつきましては、報告書をそのまま提出をさせていただきます。
○石島保男 議長 岩崎修教育長。
◎岩崎修 教育長 教科書採択についてお尋ねがございました。基本的には、高校にしろ、義務教育諸学校にしろ、教育委員会が採択をするということには変わりはございません。ただ、義務教育諸学校の場合には、法律に基づきまして、いわゆる市もしくは郡の区域またはこれらの区域を合わせた地域を採択地区とすると、これは義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律、いわゆる無償措置法でございます。その中でそのような形で規定がされているということで、現在では、
地区採択協議会というところにおいて選定がされているのが実態でございます。また、教員の意向が反映されないということにつきましては、この
地区採択協議会、いろいろ言われておりますが、この
地区採択協議会に対しましては、各地区内の学校が、学校においてそれぞれの教師が教科書を研究していただきまして、それで、私どもとしてはこのような教科書がいいということを提出することになっておりまして、先ほどご答弁申し上げましたように、採択協議会はそのようなことも参考にしながら選定を行うということになっております。教員の意見も採択に反映されるものと考えております。なお、ただいまの
地区採択協議会ということに関しましては、国レベルにおきましてもさまざまな議論がされておりまして、将来的には、学校単位の採択の実現に向けても検討する必要があるだろうというようなことが、今、議論がされているというのが実態でございます。
○石島保男 議長 谷博之議員。
◆三十七番(谷博之議員) 時間がありませんから、要望を二点させていただきます。
一つは、女性副知事の選任の問題についてでございます。先ほど知事の答弁にございましたように、その具体的な人選についてはこれから検討していくということでありますけれども、その際ぜひ要望しておきたいのは、例えば、安易に国からの人事を受け入れたり、関係者との十分な協議もしないで選任するとかということのないように、関係者との十分な協議をしてご決定をしていただくように要望したいと思うのです。各種審議会への女性の積極的な登用や女性の社会的な進出と活躍が今、一段と大きくなってきている中で、県におけるその立場を、ある意味では代表するのがこの女性副知事であるというふうに思っております。つまり、それだけの大きな存在と役割を担ったこの副知事の人選を、できるだけ慎重かつ大胆に、そして、一日も早く決定されますよう心から希望いたします。
最後に、知事に一言要望をさせていただきたいと思います。実は私の愛読書の中に、司馬遼太郎の「街道をゆく」というシリーズがあります。そして、その第四十一刊「北のまほろば」の中に、吉田松陰の記述が出てまいります。吉田松陰は長州萩の生まれで、修学のみで二十九歳の人生を終えたのでありますが、彼は全身に倫理感情をたたえ、一挙手一投足にも論理があり、その思想は明晰で一点の暗さもない、まさに澄明な気分でこの世を去っていったと、こういうように書いてあります。実は吉田松陰が、いわゆる謹慎の暮らしをしていたときに開いたのが、かの有名な松下村塾ということでありますが、しかし、松陰が亡くなった後、明治になって、実はこの松下村塾から巣立っていった若者たちが明治維新を起こし、明治の夜明けをつくっていったわけでありまして、私は福田村塾をこれからつくれということを言うわけではありませんが、少なくとも二十一世紀の栃木の夜明け、栃木の改革ということを考えたときに、それはすべては人だというふうに思っております。吉田松陰ではありませんけれども、福田知事もそういう意味でまず人を育てる、そして、その育てた人たちが後になってしっかりとこの栃木の県政の場で活躍できるような有能な職員の人たちをぜひ知事の手で発掘をしていただき、そして、その可能性をさらに伸ばしていただけますように、県のトップに立つ立場として、そういう意識的な取り組みをこれからぜひ期待をいたしております。
以上申し上げまして、私のすべての質問を終わりといたします。大変ありがとうございました。(拍手)
○石島保男 議長 この際十分間休憩いたします。
午前十一時十六分 休憩
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◎山本寛 議会事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は四十三名であります。
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午前十一時三十二分 開議
○引地忠 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。
ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。十六番三森文徳議員。
(十六番 三森文徳議員登壇)
◆十六番(三森文徳議員) 政治の道を志して丸十年、この場所に立って、知事初め、執行部の皆さんに質問する機会を得られるとは夢にも思いませんでした。烏山町に生まれ育ち、いかなるときも頭から離れることのない郷土のいろいろな事柄について、私を心から応援してくださった傍聴席の皆さん、そして、地元の支持者の皆さんに見守られ、先輩議員の温かいご配慮により質問できますことに、まずもって厚く御礼申し上げます。私が補欠選挙という特殊な現象の中で、選挙区全域を走り回って有権者の皆様に訴えてきたことは「私は高校三年生を筆頭に、下は小学三年生の四人の子供と七十歳後半の両親と妻の八人暮らしで、小さいながらも二つの会社を経営する生活実感者であります。皆さんと同じ目線で世の中を見ている私をぜひ県政に送り届けてください」ということでした。「子供を守る」、「暮らしと文化を守る」、「お年寄りを守る」というスローガンを私の政治活動の原点として大切にしていくためにも、きょう初めての登壇の中で、これらを柱に質問をさせていただきます。
知事におかれましては、奇しくも私と同じ、昨年の十一月十九日に新しい政治家の生命を得たわけであります。選挙期間中どこかの田んぼのあぜ道で偶然すれ違ったかもしれません。いや、きっとすれ違ったはずです。そんなゆえをもって私の初めての質問に対し、温かい答弁をいただきますようお願い申し上げ、発言通告に従い、順次質問を始めさせていただきます。
まず初めに、八溝地域の振興について知事にお尋ねをいたします。那須町東部から馬頭町、烏山町を経て益子町に至る八溝地域は、素朴な山里の風景をなし、穏やかな山々や清流那珂川などの豊かな自然が四季折々に表情を変え、まさに日本人の心のふるさととも言うべき地域であります。古くから八溝地域の町村は、これら豊かな自然と歴史・文化、温泉など、多彩な地域資源を生かしたまちづくりに取り組んでまいりました。その結果、交流拠点施設や道路整備などが進み交流人口の増加など、その効果があらわれてきております。しかしながら、この地域は依然として若年層の流出や高齢化の進行がとまらず、産業の低迷、雇用機会の不足、財政面でのもろさなど、多くの課題を抱えているのが実情であります。私は茨城県、福島県と境を接するこの地域の振興のためには、今後とも、広域的な物流とともに人の流れ、すなわち人流の強化が重要であると考えております。そのため鉄道網の整備はもとより、「とちぎ二十一世紀プラン」の中で「清流ふれあいサブコリドール」と位置づけられている南北に連なる広域的なネットワークのさらなる強化、東北自動車道、北関東自動車道や常磐自動車道など、国土幹線軸とのアクセス強化が不可欠であると考えております。また、交流人口の増加策とともに、環境との共生や循環型社会への対応など、新しい時代にふさわしい産業基盤の整備も必要であります。同時に、情報の流れ、情報流、つまり情報基盤の整備を促進し、例えば、ITを活用したスモールオフィス・ホームオフィス等を普及させることにより、里山での新しいライフスタイルにあこがれる脱都会人の定住化施策の促進なども可能ではないかと考えております。また、今年度からスタートするバーチャル那珂川連邦共和国は、ITを駆使した地域情報のネットワークとして画期的な取り組みだと思いますが、このシステムが地域起こしに効力を発揮するためには、八溝地域の仮想空間をのぞいてこの地域に興味を持って訪れた人々が実際に「味わう」「触れる」「つくる」といった体験をしながら、一日を楽しく過ごせる仕組みづくりが付加されることが必要であると考えます。そのためにも、さらなる町村間の連携が必要になってくると思います。二十一世紀の県土の均衡ある発展を考えたとき、以上述べました考え方も入れたこの地域の振興を積極的に図る必要があると思います。そこで、潜在的にさまざまな可能性を持つ八溝地域の振興について、知事はどのように進める考えなのかお尋ねをいたします。
次に、地方分権推進の観点から、県と市町村との関係について二点ほど知事に伺います。一点目は、市町村との対話であります。知事は県政経営の七つの方針の一つとして、市町村重視の県政の推進を掲げ、市町村と常に緊接な連携を図りながら、県政経営に当たるとされています。このため、県内の地域ブロックごとに知事が市町村に出向かれ、市町村長との意見交換を行うことが予定されていると聞いております。私はこうした場において、知事が市町村の状況を「単に聞く」「陳情を受ける」といった従来型の手法でなく、できれば具体的なテーマを掲げ、本音を出し合ってともに考えていく場として活用されることが、県にとっても市町村にとっても有意義なことであると思います。当面する県政の重要課題や市町村間では調整が難しい広域的な問題をより具体的に取り上げ、実効性のある協議の場とされることが必要であると思います。そこで、市町村との対話をモットーとされている知事は、このブロック別市町村長会議をどのような考えで、どのように行うつもりなのかを伺うものであります。
次に、広域人事交流の問題であります。県は地方分権推進計画、国の合併指針を受けて、本年一月、栃木県市町村合併推進要綱を策定、公表いたしました。国では、今回の小泉内閣の誕生で構造改革の推進の一環として、さらに強力に市町村合併を進めていく情勢にあります。しかしながら、市町村合併については、全国で総論賛成、各論反対の典型的な状況にあるのではないかと思います。そこで私は今、特に本県では早急に合併の可否を問うのではなくて、地方分権の観点から、合併も視野に入れたさまざまな体制整備をまず進めるべきときではないかと考えております。その体制整備の一つの課題として、公務員の人事交流の問題があると思います。まず、市町村間の人事交流でありますが、広域的に職員の人事交流を活発化させ、特に、合併の可能性のある地域内の空気を肌で職員に感じさせ、その地域の問題、住民ニーズに精通した職員を養成する、そういった体制づくりが必要ではないかと思うのであります。自分の町については三十年以上、町の隅々までよく知って仕事をしているのに、すぐ隣町の事情は新聞記事でしかわからないといった状況はどこにでもある現実の話であります。これでは、たとえ町同士が合併しても、住民サービスがスムーズに行われるとは思えません。広域的な公務員の人事交流が進めば、こういった問題は解消するのではないかと考えるのであります。
では、県と市町村の間ではどうでしょうか。県と市町村との人事交流は従来から実績を積み、成果を上げていることは承知していますが、地方分権の新しい県と市町村との関係は、上下関係からイコールパートナーとしての関係に大きく変化をしています。そこでは、県と市町村との意思疎通をより密にし、県職員も市町村の抱える問題を肌で感じることが今まで以上に重要ではないかと思うのであります。このためにも、県が市町村とさらに積極的な人事交流を行うことが必要であると考えます。また、県の交流に対する積極的な姿勢が、市町村間の人事交流に大きな呼び水となる効果も期待できるのではないでしょうか。そこで、知事は新しい分権の時代に即した公務員人事交流をどのように考えておられるのか、市役所の職員から身を起こし、市長と知事という貴重な経験をお持ちの福田知事に改めて伺うものであります。
次に、県土の利用についてお伺いいたします。本県は比較的平坦な地形を生かし、都市と農山村が調和した美しい県土を形成してきました。しかしながら、近年、都市部においては、中心市街地の活性化や郊外での豊かな田園環境と調和したゆとりある住環境の整備や活力ある美しい農山村の形成など、それぞれの地域において県土の利用に当たってのさまざまな課題が生じてきております。開発行為が比較的落ち着いている現在のような時期にこそ、県土の適正な利用が図られるためのしっかりとした仕組みをつくっておくことが必要ではないかと考えております。その際、地方分権の流れや住民参画のまちづくりが期待されていることなどを考えると、土地利用計画においても、地域に最も身近な市町村の主体的な取り組みがますます重要になってくると思われます。このような中、那須地域の市町村においては、国会等移転候補地の答申をきっかけにして、適正な土地利用を推進するための計画の策定が進んでいると聞いております。そこで、今後の県土の利用に関する県の基本的な考え方を伺うとともに、市町村のこのような取り組みを、県としてどのように支援していこうとしているのか、企画部長にお伺いいたします。
次に、風力発電の導入促進についてお伺いいたします。ことし三月に策定公開された栃木県地域新エネルギービジョンは、一年前に策定された栃木県地球温暖化対策地域推進計画に掲げたところの「二〇一〇年に温室効果ガス排出量を一九九〇年に比べ六%削減する」という目標の実現に向けて、より具体的な方針を示したものであり、ビジョンの中で、重点的に導入を図る新エネルギーと効果的に導入を図る新エネルギーの二つの分野に分けて推進することを明記しています。本県の地域的特徴を考えると、太陽光発電を「重点的に導入を図る新エネルギー」と位置づけたことには何ら異存はありません。しかしながら、ビジョンの中に「目標達成のためにはクリーンな新エネルギーの加速度的導入が必要である」とあることから、太陽光以外の新エネルギーも早急に導入を図るべきであり、県内各地域の特性を生かした推進体制が必要と考えます。
こうした中で、私が注目しているのは風力発電であります。風力発電はご案内のとおり、発電の際に二酸化炭素などの温室効果ガスを全く発生しない極めてクリーンなエネルギーであり、既に国内においても、北海道や東北地方を中心に大規模なウインドファームの建設が進んでおります。本県では残念ながら、いまだ大規模な風車の建設が行われておりませんが、ビジョンにおいて、風力発電を「効果的に導入を図る新エネルギー」の一つとして位置づけており、また、県ではとちぎ海浜自然の家において、風力発電の導入調査を行うこととしております。こうした取り組みは環境保全上の効果に加え、環境教育の面でもすぐれた効果を発揮するものと大いに期待しているところですが、私といたしましては、県内、特に、那須おろしに代表されるような県北地域に風車が設置できないものかと思うのであります。そこで、県としては、今後、どのように風力発電への取り組みを促進していこうと考えているのか、
生活環境部長に伺うものであります。
次に、保健福祉行政について二点伺います。一点目は、高齢者の生きがいづくりについてであります。私の住む南那須地域は住民の五人に一人が高齢者という県内でも高齢化の進んだ地域でありますが、地域に活力がないかというと、決してそんなことはありません。元気で生き生きと生きがいを持って暮らしている高齢者が大勢いらっしゃいます。例えば、昨年の秋に文部大臣表彰を受けた烏山町の健康体操クラブは、六十歳代のリーダーを中心に、中年から高齢者まで約二百人の会員が週一回、各地区ごとに健康体操を楽しんでおり、もう十三年も続いているクラブで、会員の皆さんの元気はつらつとした様子にはいつも圧倒されております。私は、かねてから本格的な高齢社会にあっては、高齢者が元気で生き生きと暮らせる地域づくりを進めることが何よりも大切なことであると主張してまいりましたが、このような先輩方の活動を見るにつけ、高齢者の生きがいづくりのための対策を一層充実する必要性を痛感しているところであります。高齢者の方々が「どれだけ生きられるか」ではなく「どのように生きられるか」へのチャレンジをしようとするときに、それを地域で支え、そして、行政が支援する必要があるのではないでしょうか。そこで、高齢者の生きがいづくりのために、県はどのように取り組んでいくのか伺うものであります。
二点目は、放課後児童クラブの充実についてであります。近年、女性の社会進出が進み共働き家庭が増加する中で、子育てと仕事の両立に対する支援が強く求められております。中でも、昼間保護者のいない家庭の児童に対し、遊びや生活指導を通して健全育成を図る放課後児童クラブの充実が期待されております。現在、県内には二百カ所を上回るクラブが設置され、地域の子育て支援拠点として大きな役割を担っておりますが、未設置の町村も幾つか見られ、私はまだまだ十分とは言えないと思うのであります。今後、積極的に新しいクラブの設置を促進するともに、県民のニーズにこたえられるよう事業内容を充実していく必要があるものと考えておりますが、どのように放課後児童クラブの充実を図っていくのか、県に考え方をお尋ねいたします。
また、ノーマライゼーションの理念の浸透に伴い、障害児を持つ親が安心して社会生活を送れるよう、放課後児童クラブにおいて障害児の受け入れがなされるよう希望する声が日増しに高まっておりますことから、こうした要請にどのようにこたえていくのか、あわせてお伺いいたします。
次に、商工行政について二点伺います。一点目は、中心商業地の活性化についてであります。今日、中心商業地の活性化は多くの市町村におきまして、緊急かつ最も重大な課題の一つであります。このため市町村を初め、県におきましても、中心商業地の活性化を支援すべく、これまでさまざまな事業が展開され、一部にはそのかいあって活性化の花開いた地域もありますが、多くの市町村ではいまだ決定的な効果を上げるまでには至っておりません。中心商業地をかつてのにぎわいに満ちた真に魅力のある場にすることは、一朝一夕にはいかない難しい問題でありますが、私は、これまでのような商業者の視点だけでなく、生産者や消費者の視点を意識した、例えば、消費者団体やまちづくりグループのようなNPOを媒体とするなど、新しい視点から商店街を考えることによって、活力を取り戻せる可能性を感じております。中心商業地に人々が集い、憩う場になるような展開になれば理想的な状況が生まれると思うのであります。そこで、私はこれからの商店街の活性化やまち起こしは「つくる人・売る人・買う人が皆喜ぶまちづくり」がキーワードになってくるのではないかと考えます。そのためには、地域の農業、工業、商業といった産業に携わる人々が、業種や産業の垣根を越えて連携し、行政や消費者をも巻き込んだこれまでとは違った視点で取り組みを行うことが必要ではないかと考えるものであります。しかしながら、実行に移すとなるといろいろ問題も想定され、他県では長浜や彦根のように、地元の強烈な情熱を持った人たちがリーダーとなって成功した事例も見られますが、こうしたケースは大変希有な事例でありまして、地域によって中心商業地の状況は大きく異なるなど、個人の努力ではどうにもならないというのが実感であります。このように、中心商業地の活性化は実に難しい問題でありますが、現在の県の支援体制はどのようになっているのか、その基本的な考えを伺うものであります。
二点目は、地域中小企業の育成についてであります。我が国を取り巻く経済環境は、企業活動のグローバル化、地球規模での環境問題、IT革命の急速な発展など、激しい変化に直面しています。県内の事業所数の約九九%、従業員数の約八七%を占める中小企業がこの変化に的確に対応し、発展成長していくためには、企業みずからが技術力の向上や経営革新に取り組み、新技術・新商品の開発や新分野へ進出することが重要であります。このため県では、新事業創出の総合的な支援体制であるとちぎベンチャーサポートプラネット二十一を昨年九月に発足し、ベンチャー企業起こしや新分野進出等の育成に積極的な施策を展開していると聞いております。しかしながら、長引く不況の厳しい状況は、日々の中小企業活動に大きな影を落とし、地域の活力は大幅に低下し、将来よりもあしたの活動を心配する状況にあります。このため私の地元烏山商工会では、地域の中小企業が手を組み合って烏山製造業活性化協議会を立ち上げ、持てる力を出し合い受注拡大に取り組んでおります。そこで、新規創業やベンチャー企業の育成は、私はもちろん大切なことであると思うのでありますが、本県経済の活性化のために、このように地域にしっかりと根差し頑張っている地域中小企業の経営支援について、県はどのように対応していくのか伺うものであります。
次に、内水面漁業の振興についてお伺いします。清流那珂川を生かした拠点施設として整備が進められてきた栃木県なかがわ水遊園は工事も順調に進み、七月十五日にオープンすると聞いております。関係者のこれまでのご苦労に敬意を表しますとともに、地元の住民として大変喜んでおります。水遊園は、全国でも珍しい淡水魚の水族館を中心に整備された施設であり、那珂川沿川地域の活性化に大いに寄与するなど、期待しております。また、この水遊園の北側の隣接地には、新しい水産試験場も整備されましたが、この施設のわきを流れる那珂川は、関東でも指折りの天然アユが遡上する川として有名であり、豊かな漁場となっております。そのほかにも、中禅寺湖のヒメマスや豊かな用水を利用した魚の養殖など、栃木県は内水面漁業においては全国屈指の生産量を誇っております。その意味からも、新しい水産試験場への期待は大きいものがあります。そこで、この試験場を活用して、県は内水面漁業の振興をどのように進めていく考えなのか、農務部長にお伺いをするものであります。
次に、県道宇都宮烏山線の整備について、土木部長にお尋ねをいたします。初めに、念願の神長トンネルがことし三月十九日に完成しましたことに対し、地元を代表して感謝を申し上げます。これによりまして、県道宇都宮烏山線は、現在、整備が進められている高根沢町仁井田から南那須町鴻野山の区間を除くと、烏山町と南那須町との町境に位置する高瀬地区だけが未整備区間として残ることとなります。この高瀬地区の道路は、今回トンネル化された神長地区同様、道幅が狭く急カーブや急勾配の区間が連続して交通の難所となっており、冬場には路面凍結による事故も多発しております。したがいまして、この高瀬地区につきましても、安全で円滑な交通を確保するため、神長地区と同様、早急な整備が必要と考えますが、県の方針をお伺いいたします。
次に、教育行政について四点ほど教育長に伺います。まず第一に、南那須養護学校の高等部設置についてであります。盲・聾・養護学校の高等部の教育は積極的な社会参加、自立を促すための実践的な能力を育成する上で極めて重要であり、この四月から、今市養護学校の高等部が開設されたことは大いに評価できると思っています。しかしながら、県内の知的障害者の養護学校の中で、南那須養護学校には唯一高等部が設置されておりません。以前は、施設入所児が大半を占めており、高等部への希望者が少ない時期もありましたが、現在は通学生が多くなり、それに伴い高等部へ進学を希望する生徒が増加しております。高等部がないため、やむを得ず進学を断念したり、遠距離にある他の養護学校の高等部に進学せざるを得ない状況にあると聞いております。そこで、地元の長年の悲願でもある南那須養護学校への高等部設置について、教育長の考えをお尋ねいたします。
第二に、高等養護学校の設置について伺います。県内の雇用情勢を見ますと、長引く景気低迷により大変厳しいものがあります。こうした中で、中学校の特殊学級などに通う生徒たちにとっては、就労するための確かな技術を身につけなければ就職が困難な状況になっております。障害のある子供たちが持っている力を最大限に発揮し、職業的に自立して社会生活を送るためには、就職に必要なより専門的な知識と技術を身につけられるよう、職業準備にふさわしい教育環境を整える必要があると思います。県内には、軽度の知的障害者などを対象とした高等養護学校が整備されていないため、進学の場合は、養護学校の高等部などに入学しており、特殊学級等の生徒の進路は狭められたものになっています。隣接する茨城県や群馬県には、近年、高等養護学校が設置されて充実した職業教育が行われております。本県にもぜひ高等養護学校の整備が必要と思われますが、教育長の考えをお尋ねいたします。
第三に、地域で子供を育てる環境づくりについてお尋ねをいたします。来年度からの、完全学校週五日制の実施に伴い、子供たちが家庭や地域で過ごす時間がふえることから、子供の休日の過ごし方が課題となっております。これに対応するためには、地域において子供たちが参加できるさまざまな体験活動の機会を充実させるなど、地域で子供を育てる環境づくりを進めていくことが大切であると考えます。こうした環境づくりを進める上で、県内各地で野外活動や奉仕活動などを通して青少年の健全育成を推進しているボーイスカウト、ガールスカウト、青少年赤十字など、青少年活動団体の果たす役割は、今後、ますます重要になってくると考えます。そこで、こうした団体への支援の方策を含め、地域で子供を育てる環境づくりについて、県の取り組みを伺います。
第四は、烏山青年の家の整備充実についてであります。現在、県の青少年教育施設は八カ所設置されておりまして、自然体験学習や集団宿泊活動を通して、青少年の健全育成に大きな効果を上げていると聞いております。このたびなす高原自然の家が那須青年の家の跡地に建設されることになり、生涯学習施設がますます充実されることは喜ばしいことであります。このような中で南那須地域の生涯学習の拠点施設である烏山青年の家は、昭和四十三年開所以来三十三年が経過し、老朽化が著しくなっております。また烏山青年の家は、県内で唯一JR駅から歩いて来所できるという交通利便性に恵まれた施設でもあります。今後、この施設は県民の生涯学習施設として積極的に整備充実を図るべきと考えますが、教育長の考えをお伺いいたします。
最後に、暴走族対策について県警本部長にお伺いいたします。週末の深夜を中心に県内各地で見られる暴走族の集団走行につきましては、県民の安全な通行を著しく阻害し、また、沿道の住民がその騒音に悩むなど、県民生活に多大の悪影響を及ぼしており、その取り締まり強化を求める声も極めて大きいものがあります。気候的にも暑くなり、各地で夏祭りやイベントが催されるこれからの季節は、その行事に呼応するかのように暴走行為も活発化するものと思われます。各種の事件や事故への対応と並行して、これらの取り締まりに当たる警察官のご苦労も察するものがありますが、依然として問題解消には至っておらず、暴走族が及ぼす悪影響は極めて大きな社会問題であると言わざるを得ません。そこで、県内暴走族の現況とこれら暴走族による悪質な行為の防止対策についてお伺いをいたします。
以上で私の第一回目の質問を終了させていただきます。(拍手)
○引地忠 副議長 三森議員の質問に対し、執行部の答弁を求めます。福田昭夫知事。
(福田昭夫知事登壇)
◎福田昭夫 知事 三森議員のご質問にお答え申し上げます。まず、八溝地域の振興についてでありますが、八溝地域は全国屈指の清流那珂川を初め、美しい里山の風景など、豊かな自然や歴史・文化遺産など、豊富な地域資源を有する地域であります。しかし一方では、国土幹線軸から離れているという地理的条件などのために、若年層の流出や高齢化が進んでおり、さらに、基幹産業である農林業なども厳しい状況下にあることから、県としても地域活力の向上が大切であると考えているところであります。このため「とちぎ二十一世紀プラン」におきまして、この地域の豊かな自然と古代から連なる歴史・文化資源を生かし、「新しいライフスタイルと地域の誇りを育む清流・里山空間を保全・活用する」ことをテーマに、諸施策を展開することとしたところであります。県といたしましては、これまで交流を促進する国道二九四号烏山バイパスを初め、神長トンネル、烏山大橋などの道路網の整備のほか、基幹産業である農林業や地域特産品などを生かした産業の振興、上下水道などの生活基盤の整備、また、地域の交流拠点となるなかがわ水遊園の整備を初め、馬頭町広重美術館への支援なども進めてまいりました。また、地元の八溝地域十一町村で構成する八溝地域振興対策協議会では、新たな観光コースの設定の調査などに取り組んでおります。さらに、隣接県と境を接する地域でもありますことから、八溝山周辺県際地域二十五町村で構成する八溝地域活性化構想推進協議会では二十一世紀FIT構想による広域的な交流事業も進められてきております。私は八溝地域の活力を高めるためには、例えば、現在、那珂川沿川六町村で構成する那珂川沿川地域活性化推進協議会で進められているバーチャル共和国事業のような、地元町村の特色ある取り組みを生かし、それぞれの地域の連携を深めることにより、交流人口の輪を広げていくことも重要な戦略ではないかと考えております。そのためには、国土幹線軸へのアクセスの強化を進めるとともに、IT基盤の整備などによる地域産業の振興や新事業の創出、SOHO等の普及による定住化施策の促進など、議員ご指摘のように、人・物・情報の三つの流れを生かす諸施策を進める必要があると考えております。今後とも、八溝地域の振興につきましては、この地域の特性と魅力が十分に発揮され、美しく誇りの持てる自立的な圏域づくりが進むよう、地元町村の意向を重視し、地元の皆様とともに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県と市町村との関係についてのうち、市町村との対話についてお答えいたします。地方分権の進展や少子高齢社会の到来などに伴い、多様な行政ニーズが年々高まってきている中で、住民に身近な行政を担う市町村と県が連携協力のもとに、それぞれの役割と機能を十分に発揮していくことが必要であります。そのためには、できる限り市町村長の皆様と直接お会いし、自由な意見交換をすることが大切なことと考えております。そこで、市町村と県との意見交換の場として、年に一度開催されている市町村長会議に加え、市町村長の皆様と率直な意見やきめ細やかな情報の交換ができる場として、ブロック別市町村長会議を開催することといたしました。この会議は、本年十一月ごろまでを目途に、県内市町村を十カ所のブロックに分けて、私が直接それぞれの地域に出向いて開催したいと考え、過日、市町村長の皆様に協力をお願いしたところであります。会議においては、少子高齢対策や環境問題など、市町村の当面する行政課題や広域的な問題、県行政との連携、さらには、市町村合併に対する考えなど、市町村長の皆様から地域の実情や県政に対する生の声をお聞かせいただきたいと思っております。また、この会議での意見交換に終わることなく、さまざまな機会をとらえて市町村長の皆様と積極的な意見交換を行い、これらのご意見を踏まえ、市町村と緊密な連携のもとに県政を推進してまいります。
次に、広域人事交流についてお答えいたします。各自治体が地域の特性を十分踏まえた上で、住民の声を適切に反映させながら、質の高い行政サービスを提供できるかどうかは、それぞれの自治体職員の資質にかかっており、自治体間の職員の交流は、職員の資質の向上にとって一つの有効な方策だと思っております。お尋ねの県と市町村との職員の交流につきましても、県職員にとっては、住民により一層身近な地域行政における貴重な体験を県行政に生かすことができ、また一方、市町村職員にとりましては、県においての広域的なものの見方、あるいは専門的な知識の習得ができるなど、県、市町村それぞれに多くのメリットを有していることから、これまでも積極的に行ってきたところであります。今後、市町村では地方分権の進展にあわせて、国や県からの事務権限の委譲などに対応し得る受け皿づくりに取り組むことが急務となっておりますことから、市町村職員の県への受け入れや市町村への専門職員の派遣などを引き続き行うとともに、県と市町村の対等・協力関係を構築する観点から、新たに若手職員同士の交流などにつきましても、積極的に検討してまいりたいと思っております。
以上のほかの諸点につきましては、教育長、警察本部長並びに所管部長からお答えを申し上げます。
○引地忠 副議長 田嶋進企画部長。
(田嶋 進企画部長登壇)
◎田嶋進 企画部長 県土の利用についてお答え申し上げます。県土の利用に当たりましては、限られた県土の有効利用を図りますとともに、良好な生活環境を確保するため、安全で美しくゆとりある県土の利用を進めていくことが必要であります。このため、このほど改定いたします国土利用計画県計画におきましては、本県の豊かな自然環境の保全を図りながら、総合的な土地利用計画に基づいて適切な土地利用を誘導し、心豊かな地域づくりを進めてまいることといたしております。また、議員ご指摘の国会等移転候補地である那須地域の十六市町村におきましては、住民参加のもとに総合的な土地利用計画の策定が進められておりますが、このような市町村段階の取り組みは、多様な地域特性を生かした県土の適正な利用を進めていく上で重要なものと考えております。このため県におきましては、那須地域以外の他の市町村においても、土地利用計画の策定やその運用が円滑に行われますよう、補助制度の活用やアドバイザーの派遣など、積極的に支援・協力してまいりたいと考えております。
○引地忠 副議長 鴇巣隆美
生活環境部長。
(鴇巣隆美
生活環境部長登壇)
◎鴇巣隆美
生活環境部長 風力発電の導入促進についてお答えをいたします。風力発電はクリーンで枯渇する心配のないエネルギーでありますが、風の状況に大きく左右されるという欠点もございます。本県では全般的には風力が弱く、また、風の強い地域は標高の高い山岳部や国立公園内に多いということから、売電を主目的とするウインドファームのような大規模な風力発電所の建設はなかなか困難ではないかというふうに思われます。しかし、最近では、比較的弱い風力でも発電が可能な小規模な風車も開発されておりますことから、採算性においては難しい面もございますが、風力の弱い平野部での導入も可能となってまいりました。また、風力発電の風車は、実際に目で見てクリーンエネルギーを理解できる設備であり、ランドマークにもなりますことから、環境学習の教材や地域の観光資源としてのプラスの効果が期待できます。さらに、太陽エネルギーなど、ほかの新エネルギー施設をあわせて設置することにより、自然エネルギーへの理解を促進し、より効果的な普及啓発が可能となります。こうしたことから、県としても風力発電につきましては、今後、経済性や環境学習効果を考慮しながら、県有施設への導入について検討してまいる考えであります。
○引地忠 副議長 揚松龍治保健福祉部長。
(揚松龍治保健福祉部長登壇)
◎揚松龍治 保健福祉部長 保健福祉行政についてお答え申し上げます。まず、高齢者の生きがいづくりについてでございますが、本格的な高齢社会を迎え、明るく活力ある社会を築くには、だれもが長く健康を維持しながら社会参加していくことが重要であります。このため「とちぎ二十一世紀プラン」において、活力ある長寿社会プロジェクトに重点的に取り組むこととしております。学ぶことを通じて生きがいづくりを推進するシルバー大学校については、今年度から北校校舎の本格的整備に着手いたしますほか、さらに学習内容の充実を図ってまいります。また、働く場を提供するシルバー人材センターにつきましては、就業分野の拡大や会員の能力開発等を促進いたしますほか、積極的に社会活動に参加できるよう老人クラブ活動等の充実、活性化を進めるなど、高齢者が生涯にわたって活躍できる環境づくりに努めてまいります。今後も高齢者が地域で互いに支え合い心豊かな生活が送れるよう支援してまいる考えであります。
次に、放課後児童クラブの充実についてお答え申し上げます。県では、児童数二十人以上のクラブを対象とする国庫補助制度に加えまして、おおむね十人以上の小規模クラブの運営に対する助成を行いますとともに、クラブ専用室等の整備に対しても独自に助成を行い、市町村の整備を支援してまいりました。今後とも、余裕教室の活用等により一層の設置促進を図り、未設置市町村の解消に努めていく考えであります。
障害児の受け入れにつきましては、県内で約五十名の子供たちが、十五のクラブで放課後の生活を送っております。本年度からスタートする障害児受け入れ促進に係る国の試行的事業を積極的に導入いたしますとともに、あわせて、県単で国の制度を補完する障害児受け入れ加算を設け、今後、より多くのクラブで障害児を受け入れられるよう市町村の取り組みを促してまいります。また、従来の指導者研修、管理者研修に加えまして、新たに専門研修として、障害児の特性を理解し指導方法を修得するための研修等を実施いたしまして、充実を図ってまいりたいと考えております。
○引地忠 副議長 平間幸男
商工労働観光部長。
(平間幸男
商工労働観光部長登壇)
◎平間幸男
商工労働観光部長 商工行政についてお答えを申し上げます。まず、中心商業地の活性化についてでございますが、中心市街地の再生を図るためには、それぞれのまちの特性に合わせて、商業の活性化と市街地の整備改善を一体的に推進する必要がございます。特に、中心部のにぎわいをつくり出すためには、何よりも個々の店舗が消費者ニーズに対応した魅力的なものである必要があり、また、商店街全体として集客力を持つものでなければならないわけでございます。このため、中心部の商業集積を一体としてとらえ、総合的に調整・運営をする、いわゆるTMOといったような組織も重要になるわけであり、また、議員ご指摘の、NPOも貴重な役割を担うものと期待されるところでございます。しかし、やはりこれらの取り組みは地元商業者を初め、多くの業種の方々などの積極的な理解と協力、そして、経営努力が大前提となるものでございます。県は、これまでも地元の合意形成、各種ソフト事業やTMOによる施設整備のほか、市町村が行うまちづくり総合支援事業など、ソフト・ハードの両面から幅広い支援を行ってきているところでございます。今後とも、まちづくりの中心的な役割を果たす市町村や商工団体、TMOが行う創意工夫を凝らしたその地域ならではの意欲的な取り組みを支援し、中心商業地の活性化に努めてまいりたいと考えております。
次に、地域中小企業の育成についてでありますが、急激に変化する社会経済情勢の中で、地域の中小企業が持続的に発展していくためには、技術や人材、情報等の経営資源の充実を図ることが極めて重要でございます。このため、これまで商工会や商工会議所が行います経営改善普及事業への支援や産業振興センターが行う下請取り引きの強化、経営や技術等の専門研修の実施、制度融資の充実などに努めてきたところであります。また、意欲ある中小企業が十分活動できますよう、試験研究機関における技術相談や共同研究、試験研究機器の開放などに努めるほか、新たな生産方式の導入など、経営革新への取り組みにつきましても、地域中小企業支援センターなどと連携を図りながら、積極的に支援していくことといたしております。さらに、本年度は新しく進展するIT化に中小企業が的確に対応できますように、IT相談窓口の設置やIT関連研修事業にも力を注いでまいることとしております。今後とも、これらの施策を積極的に推進し、地域中小企業がその持てる多様性や柔軟性を十分発揮しながら、地域経済の発展に寄与できますよう積極的な支援に努めてまいりたいと考えております。
○引地忠 副議長 花塚功先農務部長。
(花塚功先農務部長登壇)
◎花塚功先 農務部長 内水面漁業の振興についてお答え申し上げます。清流那珂川を初めとする本県の河川湖沼は有用な漁場でありますとともに、釣りなどの野外活動の場を提供するなど、重要な役割を担っております。このようなことから、県といたしましては、内水面漁業の振興を図るため、水産試験場を中心に漁業協同組合などと連携し、なわばり性の強いアユの
特性把握や那珂川の天然遡上アユ資源調査など、魅力ある漁場づくりに取り組んでまいりました。さらに、地域特性を生かした養殖業の推進のためヤシオマス、ニッコウイワナなどの養殖技術の指導や水域生態系保全への支援として、ミヤコタナゴなどの繁殖技術の開発普及などにも取り組んでいるところであります。また、本年四月に開所いたしました新しい水産試験場におきまして、希少魚の調査・研究やヒメマスの総メス化生産のためのDNA分析機器類やアユ種苗などの計画生産のために、産卵時期の調整が可能な加温冷却水槽など新たに整備し、多様化、高度化した試験研究課題に対応していく考えであります。今後、新設された水産試験場において、隣接するなかがわ水遊園との連携を図りながら、魚などの水生動物に関する普及啓発に努めますとともに、技術的な拠点として、地域性のある研究課題に積極的に取り組み、本県内水面漁業の振興を図ってまいりたいと考えております。
○引地忠 副議長 岩立忠夫土木部長。
(岩立忠夫土木部長登壇)
◎岩立忠夫 土木部長 県道宇都宮烏山線の整備についてお答えいたします。県道宇都宮烏山線は、県都宇都宮市と那珂川沿川地域とを結ぶ幹線道路であり「とちぎ二十一世紀プラン」に掲げた「県土六〇分構想」を実現する上で重要な路線でございます。本路線の中で、特に、南那須町と烏山町境の高瀬地内の約二・四キロメートル区間が交通の難所となっており、安全で円滑な交通を確保するため、早急な整備が必要であると考えております。この区間につきましては、これまで事業化に向けて道路構造等の検討を進めてきたところでございますが、今般、地元代表者の方々等にも意見を伺った上で、トンネルを含む計画として整備を進めることとしたところでございます。今後とも、地元関係者の皆様方の協力を得ながら、詳細な道路計画の検討を進め、早期に事業化が図れるよう努力してまいります。
○引地忠 副議長 岩崎修教育長。
(岩崎 修教育長登壇)
◎岩崎修 教育長 教育行政についてお答えをいたします。まず、南那須養護学校の高等部設置についてでございますが、盲・聾・養護学校の高等部につきましては、障害の状態及び能力・適性に応じた教育を一層進めるため、生徒数や進学希望状況を踏まえ、計画的な設置を進めてきておりまして、今年度は、今市養護学校に高等部を設置いたしました。南那須養護学校につきましては、現在、高等部が設置されていないため、過去三年間の中学部卒業生のうち、十四名が那須養護学校や益子養護学校などに進学しております。また、ほとんどの生徒が高等部への進学を希望していることなどから、高等部の設置が必要と考え、このたび「とちぎ二十一世紀プラン」の中に整備検討を位置づけたところでございます。現在、事務局内にワーキンググループを設置し、高等部の規模や機能、敷地の確保など、整備のあり方について調査検討を初めたところでございまして、その整備に向けて努力をしてまいる考えでございます。
次に、高等養護学校の設置についてお答えをいたします。知的障害養護学校の高等部には、重複障害児などの多様な生徒が入学する一方で、中学校の特殊学級などを卒業した生徒がふえつつありますことから、一人ひとりの子供の障害の状態や発達段階に応じたきめ細かなカリキュラムが求められております。中でも、軽度の知的障害児の自立を実現するための職業教育のより一層の充実が必要と考えております。そこで、今年度から養護学校二校を職業教育推進研究校に指定し、職業的な自立を図るための指導内容の工夫や専門高校との連携、民間活力の導入などについて、調査研究を始めたところでございます。今後は職業コースや職業学科の導入を視野に入れながら、社会の変化や生徒の実態等に応じた効果的な職業教育のあり方を検討するとともに、高等養護学校についても、その中で調査研究をしてまいりたいと考えております。
次に、地域で子供を育てる環境づくりについてでございますが、学校週五日制は子供たちがゆとりある生活の中で、さまざまな体験を通して豊かな心を培っていくことをねらいとしており、地域に根差して活動している青少年団体の果たす役割も大変重要であると考えております。これまでも青少年団体のご協力を得ながら、国の「全国子どもプラン」を積極的に導入・活用するとともに、本県独自に「のびのびホリデー促進事業」を実施し、子供たちが休日を有意義に過ごすための多彩なプログラムの開発・実践や活動機会に関する情報を提供するなど、地域で子供を育てる環境づくりを進めてまいりました。また、青少年団体への支援につきましては、団体の活性化と指導者の資質向上、団体間の連携強化などを目的とする「ワクワク夢体験の船」事業や「子ども会指導者研修会」などを通じて支援をしてきたところでございます。今後とも、こうした事業を通じて青少年団体を支援してまいりますとともに、市町村や関係団体と連携しながら、地域で子供を育てる環境づくりに努めてまいる考えでございます。
次に、烏山青年の家の整備充実についてでございますが、近年、青年の家や少年自然の家は、幼児から高齢者に至るまで幅広い年齢層に利用されております。このような利用実態を踏まえますと、これらの施設は、今後、これまでの勤労青年の団体宿泊訓練の場や子供たちの自然体験や生活体験の場としての機能のみならず、幅広い県民の方々の生涯学習や交流の場としての多様な機能が求められているものと考えております。また、一部の施設は老朽化が進んだり、利用者の変化するニーズに対応し切れていないなどの課題がありますことから、施設のあり方を全体的に見直す時期にきていると考えております。このようなことから烏山青年の家などの青少年教育施設について、今年度から社会教育委員をメンバーとする検討会議を設置いたしまして、それぞれの施設の特色、周辺の環境などに配慮しながら、今後、県全体の施設のあり方について検討を進めていきたいと考えております。
○引地忠 副議長 廣畑史朗警察本部長。
(廣畑史朗警察本部長登壇)
◎廣畑史朗 警察本部長 暴走族対策についてお答えいたします。県内の暴走族は二十三グループ、約二百四十名を現在把握しております。昨年は三十一グループ、二百三十名を道路交通法違反や暴力行為などで検挙・解体したほか、ことしも五月末現在で、八グループ、七十七名を検挙しております。しかし、幾ら多数が検挙されましても、世代交代による構成員の入れかわりが激しく、多くの新規参入者を得て暴走行為を行っているのが実態でございます。これら暴走族は大多数が少年であり、同じ中学校の卒業生などで小グループを構成し、幾つかのグループが互いに連絡を取り合いながら合流し大集団化して集団暴走行為を敢行しており、そのほとんどのグループが暴力団の威力を後ろ盾として違法行為を繰り返しております。特に、解放感あふれるこれからの季節は、県内各地で夏祭りや花火大会なども開催されますが、それに呼応するかのように暴走族の活動も活発化する傾向にあり、祭り終了後や週末ごとの暴走行為が予想されるところであります。また、近年は派手な服装をして祭り会場内を、車ではなくて我が物顔に練り歩き勢力を誇示するような行為も多発しております。ことしも、週末や各種の祭典に合わせた暴走行為などの多発が予想されますので、県警としても、一年を通しての継続的な取り締まりを休むことなく展開しているところであります。また、地域住民や学校関係者を初め、各関係機関団体と連携して暴走族追放運動を広く展開し、暴走族、暴走行為を許さない社会や地域の機運を高めるべく、各種対策を推進していくことといたしております。
○引地忠 副議長 三森文徳議員。
◆十六番(三森文徳議員) 再質問をさせていただきたいと思います。質問の前に、知事に一点だけご要望を申し上げたいと思います。八溝地域の振興につきましては、地域に活力の向上を目指して頑張っていただけるということで前向きの答弁をいただきましたが、その中で忘れることができない問題が一つあります。それはJR烏山線の電化の問題であります。JRにつきましては完全民営化、そして、烏山線については利用客の減少、あるいは沿線自治体の財政負担の問題などがありまして、若干その電化が遠のいた感じがありますが、地元の熱意は一向に衰えておりませんし、知事がかわられたことによって逆に期待が高まっているという感じがありますので、ぜひ福田知事の電化に向けての強力な後押しを、要望を申し上げたいと思います。
質問を三点だけさせていただきたいと思います。人事交流について知事に、商工業について
商工労働観光部長に、地域で子供を育てる環境づくりについて教育長にお尋ねを申し上げたいと思います。
まず、人事交流については、市町村から県に行く場合は非常にスムーズに活発に行われていると思っているのですが、県から市町村に来る場合、どうも今までは、市町村にポストありきというような形で、例えば、課長以上の市町村のポストがあって、そこへ県からおいでになられるという形が多かったのではないかと感じています。今、知事の答弁の中で、なるべく若い職員を交流させるのだという非常に力強い答弁をいただいたので、それもぜひお願いしたいことなんですが、ポストがあるからというか、逆にないから来ないみたいな感じがいまだにあるのかなと、こういう感じを受けていますので、これからの人事交流の進め方、若手を含めて、知事の考え方を簡単で結構ですから、答弁をいただければと思います。
商工行政について
商工労働観光部長にお尋ねを申し上げます。二十一世紀のまちづくりのフロンティアランナーというのは、一つはNPO、もう一つは、若手後継者だと思っているのです。これ、話が脱線しますけれど、県の首都圏農業マーケティング構想という中に「地域内生産・地域内消費」という目標がありますね。地域内でつくった人、地域内で消費する人、この間をつなぐのはだれですか、これがこれから議論されなくちゃいけないことだと思っているのです。それはやはりNPOであったり、やる気のある若手後継者ではないかなと。商業と農業というのは今まで、商業は旧通産省か旧建設省、農業というのは農水省、こういう非常に太い分かれたパイプがあったもので一緒に議論されることが余りなかったような気がするのですね。ですから、これからのまちづくりというのは、そういう垣根を越えないと絶対うまくいかない。幸いに
商工労働観光部長も農務部長もお隣同士ですから、ぜひ仲良く話し合ってまちづくりを進めてもらいたい。県が今、打ち出しています新事業起こしは、私なんかの感覚から言わせますと、欧米でやっているようなアントレプレヌールというのですか、かつてはフォードやカーネギー、今で言うとビル・ゲイツ、そういった大学や大企業を飛び出して卓越したアイデアと能力で企業を起こす、そういうのを想定しているのじゃないかというような受けとめ方をしているのです。格調が高くて非常に敷居が高いです。だけれども、起業家、業を起こす人に一番近いのは実際は二世、三世だと思うのです。おやじさんが創業した、しかし、おやじさん元気でまだまだ業態変化を許してくれない。だけれど何かやりたいのだと、こういう創業者に近い卵が、私は実際商店街にも中小企業にも二世、三世としていっぱい存在しているんだと思うんです。それをインキュベートする、孵化させる、そういう姿勢がないと、単に新しい事業を起こせというようなかけ声だけではいかない。私も商工会青年部長を長くやっていましたので、県も若手後継者については特段のご配慮をいただいていることは身にしみてわかっています。しかしながら、今、ちょっと国も県も、もう若手の後継者に期待してもなあという空気があるのかなと思うんですね。だけれど実際、今、若い人たちと話してみますと、むらおこし、商店街おこし、新しい事業に取り組む姿勢、やはり若手後継者は非常に強い意思を持っているしやる気がある。そこに光を当てていただきたい。ぜひその辺を再度、栃木県の二世、三世に期待をしていただきたいと思いますので、
商工労働観光部長の考え方をお尋ねしたい。
最後に、教育長にお尋ねします。教育長の答弁の中で青少年活動団体については、市町村との連携を強化しながら進めていくのだということなのですが、まず、ボーイスカウト、ガールスカウトあるいは青少年赤十字のように、地域で地道にしかも、確実に活動して、その先は世界につながっている団体があるのだということをまず強く認識していただいた上で、それらの団体が活動を広げていこうというのには、どうしても市町村の教育委員会なんかにお願いをしなくちゃならないことがたくさんあるんですね。だけれど、意外と市町村の教育委員会は冷たい。こういうお話を各リーダーから聞きます。教育委員会というのは、国とか県からの通達が来ると、びしっと機敏に反応してやるのですが、それから枠外にあるのに関しては割と無関心を装う、そういう感じがあると思うんです。だから、やる気のある活動団体に対して前向きに取り組もうという教育委員会の姿勢がないと、完全学校週五日制のときに、市町村とか県が幾ら事業をつくったとしても追いつかないと思うのです。従前にある青少年の活動団体に依頼をしながら、子供たちを育成すべきだと考えますので、再度教育長の考えをお尋ねして、二回目の質問といたします。
○引地忠 副議長 福田昭夫知事。
◎福田昭夫 知事 三森議員の再質問にお答えをいたします。私への質問は一点だったと思いますが、人事交流についてでございます。今までポストがあるから、管理職等へ県から職員を派遣したのではないかというような話でございますが、そういったことはどうもなかったようでありまして、ポストにふさわしい人材が育っていないので、ぜひ県の方から出してほしいという要望に基づいて出していたそうであります。念のためにお話ししておきます。これからの話でございますけれども、これからは、先ほども申し上げましたように、若手の県職員を市町村等の要望に応じて交流をしていくということは非常にいいことであると思っておりますので、このことについても、市町村の方から要望がなければ出せませんので、この辺はよく市町村長と相談をしながら、要望があれば積極的に出していきたい、こう思っております。ご理解いただきたいと思います。
○引地忠 副議長 平間幸男
商工労働観光部長。
◎平間幸男
商工労働観光部長 若手後継者の育成についてでございますけれども、県の経済の発展のためには、次代を担う若手の後継者が育っていくことが大変重要でありますし、先ほど議員からお話がありましたけれども、そういう若手経営者が経営革新に取り組みやすい環境づくりもこれからますます大切になってくるのだろうと思います。こうしたことから、県におきましては、後継者がお互いに意見を交換したりする中で経営感覚を高める、あるいは新たな取り組みが行えるための各種講習会、セミナーなどを、これ各団体がやっておりますけれども、助成をいたしております。また、社会が大きく変化する中で、若手後継者が新たな事業分野への進出などに積極的に取り組めますように、工業技術センターや産業振興センター、地域中小企業支援センター等でいろいろなメニューを用意しておりまして、皆様の研究のお手伝いや相談に乗れる体制をとっております。ぜひそういったところを活用していただければ幸いだと思っております。また、こういった団体との交流の中で、若手の経営者が意欲を持って取り組んでいく機運が生まれれば幸いだと思っていますし、今後とも、そういった環境づくりに行政としても一生懸命努めてまいりたいと思います。また、冒頭まちづくりに当たって、縦割りについてのお話がございましたけれども、今後各部局と連携をとりまして、対応してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○引地忠 副議長 岩崎修教育長。
◎岩崎修 教育長 社会青少年団体に対するお話でございます。冒頭申し上げましたように、私どもといたしましても、青少年団体の果たす役割は十分認識しているつもりでございまして、これまでも、例えば、ボーイスカウト、ガールスカウト等のいわゆる社会教育関係の事業の紹介でありますとか、そのような団への加入促進のためのパンフレットの配布の協力でありますとか、先ほどお話し申し上げました指導者の養成等々連携を強めてきておるわけでございます。また、ボーイスカウト、ガールスカウトについての財政的支援等についても、実施をしているところでございます。冷たいというお話がございましたが、そういうことは私ども考えておりません。今後とも、事業の啓発あるいは入団の促進、指導者の養成あるいは活動プログラムの提供等の面で、市町村と十分連携をして支援を進めていきたいと思っております。
○引地忠 副議長 三森文徳議員。
◆十六番(三森文徳議員) 三回目でございますので、要望にとどめたいと思います。若手後継者の育成については、やはり円滑な世代交代が生まれる中で拡大していくという方向性にぜひ光を当ててもらいたい、このように思っています。
南那須養護学校の高等部設置については、ワーキンググループを設置してということで、まだちょっと遠いのかなという感じがしますが、地元にも非常に強い熱意と要望がありますので、時期等なるべく早く設置の方向でお願いをしたいと考えております。
高等養護学校の設置につきましては、調査研究をされるということなんですが、実は先月の末に、隣の茨城県の水戸高等養護学校というところに行ってまいりました。平成十一年にできた施設ですから非常に新しくて、恐らく県内の普通高校の中でこれほど立派な施設はないだろうというぐらい立派な高校です。四百メートルのグラウンドのトラックは総芝生ですし、プールは、周りが田んぼなので屋上にあるんですね。非常に立派な施設です。その中で、一年生は全寮制、二、三年生は通学も寮も選択ということで、一年生は職業についてはノルマで全部やるのです。二年生から職業コースを選択していくんですが、クリーニングコース、縫製コース、食品加工コース、木材工芸コース、電子コース、金属コース、こういう六つのコースが二年生から専門コースで職業訓練をいたしまして、驚くことに、例えば、クリーニングコースであれば、国家試験のクリーニング士を目指しているんですね。金属コースだとガス溶接士だとか、あるいは電子コースだと屋内配線士だというような明確な目標を持って子供たちが頑張っている。普通高校よりむしろ子供たちの目は輝いていますね。挨拶もしっかりしますし、本当にいい学校だなという気がいたしました。こういうものが近県にもう既に整っているわけですから、栃木県にもぜひ早急に設置を考えていただければというふうに思っております。
最後に、風力発電です。この問題は何遍も既に質問があって、答弁をいただいているわけですけれど、ウインドファーム等の建設は栃木県の風況から言いまして確かに難しいかなと思います。ただ部長も見てのとおり、ランドマークとしての機能、栃木県はエネルギービジョンの中でも、まだまだ新エネルギーに対する意識が低いということを認めているわけですよね。ですから、ああいうランドマーク的な、象徴的なものを建てて、県民の新エネルギーに対する啓蒙あるいは意識づけを早くやらないといけない。栃木県は海なし県ですから、ぜひ山に建設してもらいたい、それも県北に。県北が一番風強いですから。そういうことで、ぜひ風の強い地域に、県の新エネルギーの象徴として建設を要望いたしまして、すべての私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○引地忠 副議長 この際休憩したいと思います。午後一時五十分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後零時四十九分 休憩
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◎山本寛 議会事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は四十一名であります。
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午後一時五十五分 開議
○石島保男 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。四十七番郡司征夫議員。
(四十七番 郡司征夫議員登壇)
◆四十七番(郡司征夫議員) 第二百六十二回県議会定例会の最終質問となりました。皆さんにはお疲れのことと思いますが、暫時、ご清聴いただきたいと思います。
まず初めに、那須地域の振興について伺います。那須地域は、那須連山や那珂川の清流、見渡す限りに広がる那須野ケ原、日本の原風景とも言うべき美しい里山などの豊かな自然や素朴で勤勉な土地の人々が営々とはぐくんでこられた歴史や伝統、さらには、有利な地理的条件など、さまざまな魅力と高い潜在力を有する地域であります。県では、「とちぎ二十一世紀プラン」において、那須地域を「那須フロンティアゾーン」に位置づけ、豊かな自然環境と調和しながら、高速交通基盤を生かした広域的な交流の推進や産業の活性化により、国際観光・リゾート地域として、また、県北部の新たな拠点都市を形成するゾーンとして、発展の方向性を示されたところであります。新たな拠点都市の形成につきましては、北部地方拠点都市地域である大田原市、黒磯市、矢板市、西那須野町を中心に、県や地元市町のご努力により、多様な都市的インフラが整備され、人口も着実に増加するなど、拠点性が高まりつつあります。例えば、私の住んでいる西那須野町の人口は、さきの国勢調査速報によりますと、対七年度比で八・九%の増となり、全県一位の伸びを示すなど、県北地域全体を牽引する活力ある拠点都市群の整備が促進されつつあるものと考えております。しかし一方では、長引く経済の低迷による産業の停滞あるいは地域間競争の激化などにより、観光客の伸び悩みなど、那須地域を取り巻く環境には厳しいものがあるのもまた、事実であります。私は那須地域の最大の魅力は、やはり東京との適度な近接性を持ちながら、大変豊かな自然、歴史・文化資源に恵まれている点であり、今後とも、これらを有効に活用して振興策を展開することが重要であると考えております。県では、現在、日光国立公園内の那須・塩原地域の豊かな自然を保全・活用するための「那須・塩原エコアップ事業」や那須疎水や開拓の歴史を生かした「田園空間整備事業」を進めようとしていると聞いており、まさに我が意を得たりと心強く思っているところであります。このように那須地域は、フロンティアの魅力にあふれ、自然と人々が共生する地域として、今後とも、大きな発展力を持つ地域でありますが、知事は、今後、この地域の振興をどのように図るお考えなのかお聞かせ願います。
次に、国会等移転について伺います。国会等移転は、「国政全般の改革」、「東京一極集中の是正」、「災害対応力の強化」という大きな意義を有する国家百年の大計であります。国会等の移転によって、その意義を実現することこそが、閉塞感に満ちた我が国の現状を打破し、新しい日本をつくっていくためには不可欠であると思っております。バブル経済崩壊後の十年を「失われた十年」と評する人もありますが、私は、平成二年の衆参両院による国会等の移転決議以来、平成十一年の移転先候補地の選定に至るまでのこの十年は、新しい日本のあり方を追求してきた十年であったと考えており、まさに日本が生まれ変わる準備のための期間であったと思うのであります。ただ惜しむらくは、国会等移転審議会が移転先候補地を一カ所に絞り込めなかったところが残念であります。「栃木・福島地域」が最高の評価を得て候補地に選定された事実は、重く受けとめられるべきと考えておりますが、移転先地決定に向けた今後の展開については、予断を許さない状況にあることも事実であります。昨年五月には、衆議院の国会等の移転に関する特別委員会が、移転先候補地の絞り込みに関し「二年を目途に結論を得る」旨の決議を行っており、この一年が「栃木・福島地域」への国会等の移転実現に向けた取り組みのまさに正念場になるものと思うのであります。そこで、国会等移転の実現、なかんずく「栃木・福島地域」への移転を実現するためには、これまでの地道な取り組みを継続していくことはもちろんのこと、大きな節目となるであろう来年の五月をしっかりと見据えた、より積極的な取り組みを展開していく必要があると思いますが、これに対する知事の基本的な考えを伺います。
次に、国際交流の推進について伺います。二十一世紀の動向を示すキーワードはさまざまですが、その一つとして、グローバリゼーションの進展が挙げられます。外国人住民の増加やインターネットの急速な普及など、まさに国際化が身近なところで進んでおります。このような中で、県民一人ひとりが国際化時代にふさわしい広い視野で考え、国際社会の一員として行動していくためには、人と人との交流ということが大変重要な意味を持ってくるものと考えております。そのためには、県内に在住する外国人の方々と日常的に交流を行うことがまずは重要でありますが、これに加えて、県民と外国人の方々が出会える機会をできるだけ多くつくっていくということも重要であります。そして、そのために大きな力を発揮するのが、友好姉妹関係にある友好交流先との積極的な交流だと思います。現在、栃木県では、中国・浙江省、フランス・ヴォークリューズ県、アメリカ・インディアナ州と友好姉妹関係を結び、積極的に交流を進めております。本年度も、四月には中国・浙江省から、人民対外友好協会代表団が来県いたしましたし、今後、青年の船あるいは高校生などによる友好交流先の訪問が予定されるなど、確かな交流実績が積み重ねられていくものと思うのであります。一方、これらの地域と友好交流を行っているということを知らない県民も、まだまだ多いのではないかと思うのであります。もちろん、友好姉妹関係にある地域との交流だけが国際交流だとは考えてはおりませんが、まずそういうところがあるんだということを広く県民が知ることも、県民一人ひとりの国際化を進めていく上での大きな契機となるのではないかと思うのであります。そこで、これら三つの友好交流先との友好交流をこれまでの交流実績を踏まえ、さらに確固としたものとするため、交流先の訪問も含め、今後どのように進めていこうとしているのか、知事の考えをお伺いいたします。
次に、一般廃棄物の不法投棄対策について伺います。国においては、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される循環型社会の構築を今後の廃棄物対策の基本的方向と位置づけ、昨年五月に循環型社会の基本原則を定めた循環型社会形成推進基本法や建設・食品などのリサイクル法を整備したところであります。また、従来ほとんどリサイクルされていなかった廃家電について、廃棄物の減量と有用な資源の活用を図るため、平成十年六月に家電リサイクル法が制定され、本年四月から施行となったところであり、循環型社会の構築に当たって重要な役割を果たすものと大いに期待しているところであります。しかしながら、家電リサイクル法においては、排出者が収集運搬経費及びリサイクル経費を負担しなければならないことから、施行前から不法投棄の増加が懸念されていたところであり、過日、公表された環境省の調査では、調査対象の八十六自治体で、テレビなどリサイクル対象四品目の四月の不法投棄数は、計千九百八十六台と、前年同月に比べ四百二台ふえるとともに、五十二自治体で不法投棄が増加する結果となっております。また、県内においても、最近、河川敷等への不法投棄が新聞報道されるなど、不法投棄の増加の懸念が現実のものとなっております。そこで、県は廃家電など、一般廃棄物の不法投棄について、どのように対処していこうとしているのかお伺いいたします。
次に、NPOの活動促進について伺います。特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が施行されてから二年以上が経過し、現在、全国で四千以上の特定非営利活動法人が認証されており、さまざまな分野で活躍しております。また、本県議会では、さきの第二百五十六回定例会におきまして、NPO法人活動に対する支援の強化を国に求める意見書を全会一致で採択し、NPO法人に対する税制上の優遇措置などを国に要望したところでありますが、先ごろ、一定の要件を満たす、いわゆる認定NPO法人に対する税制上の優遇措置が創設されるなど、活動の環境が徐々に整備されてきております。私は、今後、我が国におけるNPOの役割はますます重要になってくると思うのであります。と申しますのも、NPOというものが、行政や企業といった既存の組織にはない市民の立場からの独自で自由な観点や価値観を持ち、まちづくりや福祉、環境など、さまざまな社会的問題の解決に柔軟かつ迅速に取り組むことができるという可能性に大きな期待を持つからであります。このようなことから、本県においてもNPOによる活動が、さらに広範な分野で展開されることが必要であると考えるものでありますが、今後、県はどのようにしてNPOの活動を促進していくのか、お伺いいたします。
次に、県北地域リハビリテーション拠点の整備について伺います。障害者の方々が地域の中で自立しながら、生きがいを持って社会参加していくためには、リハビリテーションをできるだけ早期に、適切に提供していくことが必要であります。そのための中核的な拠点施設として、県が整備を進めてきたとちぎリハビリテーションセンターが、いよいよ九月一日にオープンする運びとなったことはまことに喜ばしい限りであり、県民からも大きな期待が寄せられているところであります。今後、とちぎリハビリテーションセンターの持つ機能が十分に発揮され、本県のリハビリテーションの一層の推進が図られることを期待しております。言うまでもなく、リハビリテーションサービスは、県民の身近な地域において、適時適切に提供されることが望ましいことであります。そのため、県では、県北、県南地域にその拠点を整備することとしており、さきの県議会において、県北地域の拠点を栃木県医師会塩原病院に整備する旨の答弁がされているところであります。この塩原病院は、豊富な温泉を有しており、温泉を活用したリハビリテーション効果が期待できるものと考えます。そこで、県北地域の拠点の整備をどのように進めていくのか、県の基本的な考えをお伺いいたします。
次に、中小企業に対する新工業技術センターの支援について伺います。二十一世紀を迎え、我が国の経済は、グローバル化の進展や経済の成熟化が進む中で、大きな変換が求められており、中小企業はかつてない厳しい経営環境の中に立たされております。このような中で、今後とも、中小企業が本県経済の原動力となり、これまで以上に成長発展していくためには、企業みずからが技術力の向上などに努め、従来の枠にとらわれない、社会的ニーズの高いリサイクルなどの分野においても、新技術・新製品の開発などに意欲的に取り組むことが重要と考えます。例えば、ペットボトルから防災ロープを生み出す技術などは既に商品化され、産業として成り立っております。今後はこういった分野における栃木県の特色を生かした新技術・新製品の開発が必要ではないかと考えます。こうした中、県では新しい工業技術センターの建設を着々と進めているところでありますが、このセンターは、本県中小企業における技術の高度化を総合的かつ効果的に支援する中核施設になるものと大いに期待しているところであります。そこで、現在、建設中の新しい工業技術センターが、中小企業の新技術・新製品の開発などに対し、今後、どのような支援を行っていくのか、伺うものであります。
次に、県産農産物のブランド化対策について伺います。JAS法の改正により、農産物等の生鮮食品に原産地表示が義務化され、昨年から実施された野菜や水産物等に加え、コメについては、本年四月一日から適用されたところであります。後藤議員の質問にもあったように、このような動きを受けて、二、三月ごろから、新潟県の魚沼産コシヒカリが急激に値上がりし、約四万円の高値で取り引きされております。このような状況は、新潟県の生産者や団体が長年にわたって品質の向上対策やイメージアップ等のブランド化対策を積極的に進めてきた結果であると思うのであります。一方、本県の状況を見ますと、いちごの「とちおとめ」、とちぎ和牛、ねぎの「那須の白美人」等は、市場において高い評価を得ておりますが、コメやその他の野菜などについては、本県産の農産物の評価は残念ながら、必ずしも高いとは言えない状況にあります。現在のように農産物の価格低迷が続き、しかも、輸入農産物の急増に対処し、ねぎなどのセーフガードが発動される状況下においては、とりわけ消費者ニーズに合った「うまい」、「安い」、「安全」などをキーワードに、本県農産物の生産流通を積極的に進めていくことが極めて重要な課題であると考えております。そのためにも、低農薬・減化学肥料栽培など、特徴ある農産物の生産・流通を促進することも、県産農産物の評価を高め、農産物のブランド化に結びつくものと考えるところであります。そこで、県は、このような農産物のブランド化対策について、どのように取り組む考えなのかお伺いいたします。
次に、県産材の需要拡大についてお伺いいたします。本県のスギ・ヒノキを中心とする森林資源は年々充実し、まさに利用する時代を迎えつつあり、今後、県産材の需要拡大を図っていくことが、林業・木材産業を振興する上での喫緊の課題であると考えております。しかしながら、県産材需要の多くを占める木造住宅建設の状況を見ると、県内の新設住宅着工戸数は低迷を続け、また、大手ハウスメーカーの販売強化により、県産材を扱う地場の大工・工務店は受注の確保が難しくなるなど、県産材の需要拡大をめぐる環境は大変厳しい状況にあります。そこで、木造住宅の建設を通して、県産材の需要拡大をどのように進めようとしているのか、また、現在、県産材利用の呼び水となる栃木県木造住宅特別融資の利用が伸び悩んでいることから、見直し等の検討が必要と思いますが、あわせて県の考えを伺います。
次に、森林ボランティアの育成について伺います。森林は県民生活になくてはならない大切な役割を担っており、近年、地球的規模の環境問題への関心の高まりを背景に、森林の重要性の認識がさらに深まっています。このような状況の中、森林ボランティアとして、県内で行われる森林整備に積極的に参加する人が着実にふえているなど、地域の緑を住民みずからが守り、育てようとする意識が芽生え始めていることはまことに喜ばしいことであります。私も那須岳の「ふれあいの森」で、那須五葉松やその他の森林の保存に協力するため、森林ボランティアの一員として、緑豊かな森林にふれながら心地よい汗を流しております。県民共通の財産である美しく緑豊かな「ふるさと栃木」をいつまでも守り育てていくためには、「地域の緑は住民みずから守るんだ」という機運を醸成し、森林ボランティアを育成していくことが大変重要であると考えております。ことしは、まさに日本が国連に提唱した「ボランティア国際年」に当たっております。そこで、県は、今後、森林ボランティアをどのように育成していくのかお伺いいたします。
次に、土木行政について四点ほどお伺いいたします。第一点目は、東北縦貫自動車道の六車線化と(仮称)黒磯インターチェンジの整備についてであります。東北縦貫自動車道は、近年の交通量の増加による交通渋滞の解消を目指し、平成十一年十二月に鹿沼宇都宮間の六車線化が完成しましたが、休祝日や観光シーズンを中心に、宇都宮インター以北における交通渋滞が依然として発生しております。また、那須、塩原地域の観光客は減少傾向にあり、東北道の渋滞が少なからず影響しているのではないかと心配しております。今後とも、県土の均衡ある発展や沿線市町の活性化を促進するためにも、宇都宮以北の六車線化がぜひとも必要であると考えております。宇都宮以北の六車線化について県の考えや今後の取り組みについてお伺いいたします。また、六車線化とあわせ(仮称)黒磯インターチェンジの設置は、県北部地域の産業・経済の活性化や国会等の移転促進に寄与するものと考えており、大いに期待するものであります。そこで、(仮称)黒磯インターチェンジの現状と今後の見通しについてお伺いいたします。
第二点目は、国道四〇〇号の整備についてであります。国道四〇〇号は、本県北部と福島県会津地方を連絡する広域的な幹線道路であり、東北縦貫自動車道西那須野塩原インターと塩原温泉や鶏頂山高原のスキー場等の観光地とを連絡する観光道路としても重要な役割を担っております。しかし、塩原町中塩原地区については付近に小学校があり、現道が狭い上、通過交通が多いため、児童が常に危険な状況にあります。さらには、日塩有料道路入り口の交差点においては、観光シーズンに交通渋滞が生じる等交通の隘路となっており、早期整備が必要であると考えています。また、塩原町関谷から下塩原地区については交通量が多く、道路幅員が狭い上、急カーブも多く、安全で円滑な通行に支障を来しています。さらに、落石等により、交通止めもあり、町民生活にも大きな影響を与えております。また、観光地としてのイメージを損なうおそれもあり、本格的な整備が切望されております。そこで、現在、事業中の中塩原バイパスの整備状況と関谷から下塩原地区の整備について、トンネル化を含め調査中と聞いておりますが、県の考えをお伺いいたします。
第三点目は、県道西那須野那須線の整備についてであります。県道西那須野那須線は、西那須野、那須塩原、黒磯の各都市を相互に連絡するとともに、東北道の西那須野塩原インターや那須インターと結び、将来の県北部地域の産業活動と県民生活を支える重要な道路であります。特に、西那須野町井口地区と黒磯市島方地区とは、蛇尾川によって隔てられおり、西那須野町から新幹線那須塩原駅へのアクセス性の向上や那須塩原駅周辺で進められている土地区画整理事業等による交通量の増大に対応するため、国道四号を補完するバイパス道路として、早急に整備すべきと考えております。そこで、現在、事業中の井口工業団地から那須塩原駅前までの区間の整備見通しについてお伺いいたします。
第四点目は、蕪中川、百村川の整備についてであります。西那須野町から大田原市を流れる蕪中川、百村川は、近年の都市化の進展に伴い、雷雨などの集中豪雨により、家屋への浸水や道路の冠水などが頻発していることから、流域内の雨水対策が緊急かつ重要な課題となっております。このため、県及び市町により、基本計画が策定された「大田原市西那須野町雨水総合排水対策」に基づき、町では、「水田等遊水池化対策」や都市下水路に暫定調節池を設置する等の流域対策を実施し、県においては、この流域の幹川となる一級河川蕪中川、百村川の整備を進めているところであります。しかしながら、平成十年八月末の県北部を襲った豪雨や平成十一年七月の豪雨出水の際には、多くのはんらん被害を受けており、流域の住民は、河川改修の早期完成を強く望んでおります。そこで、両河川の整備の現状と今後の見通しについて伺います。
次に、ひとにやさしいまちづくりの推進について伺います。高齢社会の到来を目前に控え、子供やお年寄り、障害のある人を初め、すべての人々が住みなれた地域において快適で安全な暮らしが営め、また、積極的に社会参加ができるような生活環境の向上、つまり、ひとにやさしいまちづくりの推進が求められております。ひとにやさしいまちづくりの推進のためには、県民一人ひとりの理解と事業者の積極的な取り組みが必要であることはもちろんでありますが、私は、まずは日常生活に密接した道路や駅、病院等について、バリアフリー化を積極的に進めていく必要があると思うのであります。県においては、平成八年に「福祉のまちづくり策定指針」ガイドラインを定め、さらに、平成十一年に「栃木県ひとにやさしいまちづくり条例」を制定し、ひとにやさしいまちづくりを強力に推進しているところであります。そこで、道路や公共性の高い建築物などのバリアフリー化の取り組み状況について、お伺いいたします。
次に、野沢養護学校の整備についてお伺いいたします。野沢養護学校は、昭和四十二年に創設されて以来、肢体不自由養護学校として大きな役割を担ってきましたが、校舎等の老朽化が進んでいたところ、このたび、移転整備に係る設計に着手するとのことであり、大変喜ばしいことと思います。近年、当校に在籍する児童生徒の障害の状態は、重度化・重複化が進んでおり、体温調節が難しい子供もいると聞き及んでおり、これらの深刻な障害を持つ児童生徒が、快適に学習できるような対策がぜひとも必要であると考えます。また、野沢養護学校の整備に当たっては、「栃木県ひとにやさしいまちづくり条例」などに基づくバリアフリー化はもとより、室内で学校生活の大半を過ごす児童生徒のために、人にやさしく、また、環境にもやさしい木材の活用を考えるべきではないかと思うものであります。私は野沢養護学校の移転整備に当たっては、こうした児童生徒の学習環境に配慮した施設整備を進めることが重要であると思いますが、県の考えをお伺いいたします。
最後に、なす高原自然の家(仮称)の整備について伺います。このたび、私が、かねてから切望しておりましたなす高原自然の家(仮称)が、本格的に着工されることは非常に喜ばしいことと感じております。この施設は、雄大な那須の自然を一望する那須高原に建築されるとのことでありますが、この絶好の立地条件を生かして、県民の幅広い年齢層の方々が、山に親しみながら活動できる施設として幅広く利用できるものと大いに期待しております。また、那須の美しい四季折々の自然の中での体験活動ができ、あるいは、山岳特有の冬の厳しい気象条件でも利用できる施設として整備されることを望んでおります。県民の生涯学習に関する関心が高まる中、この施設が一日も早く完成し、利用できることを待ち望んでいるところでありますが、今後、なす高原自然の家(仮称)をどのような施設として整備しようとしているのか、教育長にお伺いいたします。
以上で私の第一回目の質問を終わります。(拍手)
○石島保男 議長 郡司征夫議員の質問に対し、執行部の答弁を求めます。福田昭夫知事。
(福田昭夫知事登壇)
◎福田昭夫 知事 郡司議員のご質問にお答え申し上げます。まず、那須地域の振興についてでありますが、県の北部に位置する那須地域は、雄大な那須連山を初め、全国に誇れる自然と広大な土地に恵まれ、日本のリゾートの原点として親しまれております。また、古くから首都圏と東北地方を結ぶ交通の要衝となっていることなどから、数々の歴史・文化の香りに満ちた高い発展可能性を有する地域であります。しかしながら、長引く景気低迷による産業集積の停滞、山間部での人口減少や高齢化の進展、あるいは観光・リゾート産業の伸び悩みなど、いまだ多くの課題を抱えております。
そこで、県といたしましては、「とちぎ二十一世紀プラン」におきまして、この地域の振興を図るため、美しい自然や広大な土地の中に、今後とも、高速交通幹線を基盤として、広域的な交流や学術研究、高度技術産業等の集積が進み、インフラが整備された拠点都市群が形成される必要があると考え、「那須フロンティアゾーン」に位置づけ、諸施策を講じていくこととしたところであります。私は、地域整備を図る上で最も大切にしなければならないのは、その地域の自然や歴史・文化などの地域資源の再発見と活用による独創的な地域づくりを進めるとともに、これらを生かした交流と連携を促進することであると考えております。このような視点から、県といたしましては、那須高原の大自然の中での生涯学習の拠点となる、仮称ではございますが、「なす高原自然の家」の整備を初め、日光国立公園内の那須・塩原地区を訪れる方々へ魅力的な自然体験の場などを提供する「那須・塩原エコアップ事業」を推進することとしております。また、日本三大疎水の一つであります那須疎水と開拓の歴史にはぐくまれた那須野ケ原の田園空間の保全・復元を図り、都市と農村とのふれあいと共生を目指す「田園空間整備事業」を進めるなど、豊かな地域資源の魅力を引き出す諸施策を、地元の町とともに進めてまいりたいと考えております。今後とも、那須地域の振興につきましては、市町村の意向を重視し、地元の皆様と手を携えて「人と自然との共生」をテーマに、この地域の豊かな潜在力を引き出す諸施策を推進し、フロンティアの名にふさわしい魅力あふれた地域を目指して振興を図ってまいりたいと考えております。
次に、国会等移転についてお答え申し上げます。私は知事に就任して以来、県議会はもとより、北東地域各県の知事さんを初め、関係各方面のご意見を伺いながら、国会等移転の必要性やその実現の方向性などについて、真剣かつ真摯に考えてまいりました。そして、北東地域各県との緊密な連携のもと、「栃木・福島地域」への国会等の移転実現に向けて取り組んでいくことを決意いたしました。私は県政経営に当たりまして、「“とちぎ”から創る二十一世紀の日本」という気概を持って取り組んでいくことをその基本に据えているところであります。議員ご指摘のとおり、現在の日本の閉塞状況を打開していくためには、我が国が抱えるさまざまな弊害を是正し、二十一世紀にふさわしい新しい日本をつくっていくための一環として、国会等移転を積極的に進めていく必要があると考えております。このような観点から、「栃木・福島地域」を移転先地として速やかに決定するとともに、国会等の移転と同時に、地方分権の推進と小さな政府の実現を車の両輪として進めていくことや、この地域の大自然を壊すことなく、環境と共生した新都市を実現していくことを、国等に対しまして、強く要請してまいりました。今後とも、あらゆる機会をとらえまして、引き続き、要請してまいりたいと考えております。
現在、国会におきましては、移転先地決定に向け、調査審議が進められており、近々、衆議院特別委員会による候補地の実情調査が予定されているところでもございます。昨年五月の同委員会の決議によりますと、来年の五月ごろには、移転先候補地の絞り込みに関して何らかの結論が得られることにもなりますので、これからの一年の重要性につきましては、議員同様、私も十分認識しているところでございます。したがいまして、今後とも、福島県を初め、宮城、山形、茨城のいわゆる北東地域各県との連携した取り組みをこれまで以上に推進し、「栃木・福島地域」の適地性を全国にアピールしてまいりたいと考えております。また、県内におきましても、栃木県国会等移転促進県民会議を中心に、市町村や関係団体とも緊密に連携しながら、那須地域見学会を初めとする地道な取り組みを今後とも積み重ねていくことによりまして、さらなる県民合意の形成を図ってまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、国会等の移転は、国のみならず本県にとりましても重要な課題でありますので、県議会を初め、関係各方面とも協議を重ねながら、二十一世紀の新しい日本づくりに貢献していくという気概を持って取り組んでまいります。
次に、国際交流の推進についてお答えいたします。国際化が進展する中で、県民一人ひとりが広い国際的視野を持ち、国際社会の一員として行動していくためには、多様な国際交流、国際協力を進めていくことが極めて大切であります。中でも、中国・浙江省を初めとする友好交流先との積極的な交流は、県民の国際交流、国際協力の意識の一層の醸成につながる大変重要なものと考えております。そのため、今年度も青年の船や女性の海外研修による訪問、高校生の相互派遣、農業技術交流やマラソン大会での相互交流、ホストファミリーの受け入れなど、友好交流先との幅広い交流を積極的に進めていくこととしております。また、今後は民間団体も含めた県民レベルでの交流を一層拡大していくことが大切であると考えております。そこで、友好交流先に関する情報を広く県民に提供していくとともに、文化・スポーツ、経済など、より幅広い分野で一層多くの県民が交流に参加できるよう、鋭意協議を進めていきたいと考えております。さらに、これまでの実績を踏まえ、友好交流をより確かなものとするためには、交流先の首脳の方々と直接お会いし、さまざまな分野で多くの県民が参加できる交流のあり方などについて、率直な意見交換を行うことが大変重要なことであると考えております。特に、中国・浙江省につきましては、定期協議団来県の折、柴(さい)省長から、ぜひ浙江省を訪問されたいとの親書をいただいているところでもあり、早い機会に、できればことし秋ごろにも訪問できるよう検討してまいりたいと考えております。
以上のほかの諸点につきましては、教育長並びに所管部長からお答えを申し上げます。
○石島保男 議長 鴇巣隆美
生活環境部長。
(鴇巣隆美
生活環境部長登壇)
◎鴇巣隆美
生活環境部長 一般廃棄物の不法投棄対策についてお答えいたします。多くの市町村が空き缶のぽい捨てや河川敷、山林等への家庭ごみの不法投棄の対応に苦慮しており、さらには、本年四月からの家電リサイクル法の施行に伴い、県内の山林や河川敷に大量の廃家電が不法投棄されるなど、一般廃棄物の不法投棄防止は喫緊の課題となっております。このため、市町村では、廃棄物監視員による巡回パトロールの強化や不法投棄防止の立て看板の設置、広報紙による住民への普及啓発などの不法投棄対策を講じており、県におきましても、廃棄物監視員を設置する市町村に対しまして、人件費等の助成を行うなど、市町村の不法投棄対策の支援に努めておるところでございます。さらに、家電リサイクル法への対応につきましては、普及啓発ビデオや各種広報媒体を活用して制度の概要についての普及啓発を行うとともに、市町村が実施する家電リサイクル促進事業に対し助成を行うなど、廃家電の不法投棄防止の支援に努めております。今後とも、本県における循環型社会の構築を目指しまして、市町村と連携を図りながら、廃棄物の減量化・リサイクルを推進するとともに、不法投棄対策など、適正処理に努めてまいりたいと考えております。
次に、NPOの活動促進についてお答えいたします。NPOは県民の多様化したニーズに効果的かつ機動的にこたえるとともに、県民一人ひとりの社会参加の意欲を生かすことのできる仕組みとして、今後ますます重要な役割を果たすことが期待されております。このため、県では、本年四月より文化振興課内にNPO担当を新設し、庁内の総合調整を進めるとともに、県民に対する相談窓口の充実を図るなど、NPOの活動促進体制を強化したところであります。また、NPOと行政の相互の連携のあり方を初めとして、条例や支援センターの必要性など、NPOの活動を促進するための方策について広く意見を聞くため、先ごろ、有識者や公募委員から成るNPO等活動促進懇談会を設置したところであり、今後、活発な議論が展開されるものと期待をしているところであります。さらに、NPOの活動は、その分野も形態も多種多様でありますことから、それらの活動に対する適切な促進の方策を検討するために、NPO法人等につきまして、その組織や活動などの実態調査を行うこととしております。行政とNPOが互いに連携を図りながら、さまざまな課題に取り組むことは、地方分権、そして、二十一世紀という新しい時代の地方行政運営のあり方にもかなうものであり、今後とも、NPOの自主性を尊重しながら、活動の促進に努めてまいりたいと考えております。
○石島保男 議長 揚松龍治保健福祉部長。
(揚松龍治保健福祉部長登壇)
◎揚松龍治 保健福祉部長 県北地域リハビリテーション拠点の整備についてお答え申し上げます。議員ご指摘のように、障害者の方々に必要なリハビリテーションを身近な地域で、時期を失することなく、最も適切な方法で提供できる体制を整備していくことが重要であると考えております。このため中核的拠点として、とちぎリハビリテーションセンターを整備いたしますとともに、県北、県南地域における拠点施設を既存の医療機関に整備することとしております。今後はこれらの医療機関との調整を図りながら、栃木県リハビリテーション協議会で検討の上、今年度中に具体的な実施計画を策定してまいります。県北の拠点となります栃木県医師会塩原病院は、温泉を活用した特色あるリハビリテーションが期待される施設でありますが、この病院の持つ特色や機能を十分生かせるよう,施設及び設備の整備方法や地域支援の内容及び方法等について検討してまいる考えであります。
○石島保男 議長 平間幸男
商工労働観光部長。
(平間幸男
商工労働観光部長登壇)
◎平間幸男
商工労働観光部長 中小企業に対する新工業技術センターの支援についてお答えいたします。現在、整備中の新工業技術センターにおきましては、技術革新に対応するため、中小企業の中核的な技術支援機関として、現在ある工業試験研究機関を再編し、技術の高度化や研究開発力の向上などを積極的に支援をすることといたしております。具体的には、企業の新しいニーズにこたえられるよう研究体制を整備し、新素材、バイオテクノロジー、情報通信等の先端技術や複合化技術の分野につきまして、重点的に取り組むことといたしております。あわせて、高度な試験研究機器を含め、企業への施設の開放や情報の提供、産・学・官共同研究への取り組みなどを強化し、中小企業における新技術・新製品の開発を積極的に支援していく考えであります。議員ご指摘の、本県の特色を生かしました研究開発につきましては、例えば、本県農産物を利用し、健康によいと言われておりますポリフェノールを含む素材の開発など、大学や企業との連携を図りながら、地域に密着した研究を進め、技術の移転に努めてまいりたいと考えております。また、とちぎ産業交流センターが一体的に整備されますことから、これと連携を密にし、本県中小企業の一層の活性化を図るため、総合的な支援に努めてまいりたいと考えております。
○石島保男 議長 花塚功先農務部長。
(花塚功先農務部長登壇)
◎花塚功先 農務部長 県産農産物のブランド化対策についてお答えいたします。消費者が求める新鮮でおいしく安心できる農産物の生産・流通を促進することが、とちぎブランドの確立を図る上で重要であると考えております。このため、首都圏農業マーケティング構想に基づきまして、コメ、いちごなど、本県の主要な農産物を対象とした統一的なブランド化に加えまして、農産物の特徴と地域のイメージを生かした地域ブランドや安全・安心を追求した有機・減農薬栽培等による高付加価値的な農産物のブランドの開発・育成にも努めていく考えであります。特に、昨年度創設しましたとちぎの特別栽培農産物認証・表示制度に基づきます、減農薬栽培農産物等につきましては、既に、水稲を中心に約百二十ヘクタールが生産登録されておりますほか、ほうれんそう、野菜につきましても、追加登録が見込まれております。この制度の普及・定着を図ることにより、消費者の求める安全性、信頼性に対応した、いわゆる“顔の見える”農産物としてのブランド化が促進され、ひいては、県産農産物全体のイメージアップにもつながるものと考えております。今後とも、関係機関団体と連携して、地域の特徴や農産物の特性に応じた多様なとちぎブランドの確立に向け、鋭意努めてまいりたいと考えております。
○石島保男 議長 佐藤誠林務部長。
(佐藤 誠林務部長登壇)
◎佐藤誠 林務部長 県産材の需要拡大についてお答え申し上げます。平成十二年度の本県における新設住宅着工戸数のうち、木造住宅の八〇%は在来軸組工法によるものであり、木材を最も多く使用するこの工法による住宅の建設促進と、今後は新たな需要先として、住宅のリフォームや内装材利用も視野に入れながら、県産材の需要拡大に努めてまいりたいと考えております。このため、地域材を使用した家づくりに取り組む協同組合等が行う展示住宅の建設やPR活動に対し、支援をしているところであります。また、広く県民を対象とした木の家づくりセミナーや木造住宅の現地見学会を開催するとともに、木材アドバイザーを養成し、木造住宅のよさや木の使い方などのPRに努めてまいりたいと考えております。
次に、木造住宅特別融資につきましては、住宅金融公庫の融資の充実等により、近年、利用状況が低下しております。しかしながら、県産材の需要拡大のためにこの制度は重要であることから、まず、融資制度のPRの強化を図ってまいります。さらに、融資利用者へのアンケートの実施を初め、大工・工務店や金融機関など、各方面からの意見の聞き取りを行ったところであり、これらの意見を参考にしながら、今後、制度全体について見直し等の検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、森林ボランティアの育成についてでございますが、県民共通の貴重な財産である森林は、これまで森林所有者が主体となって守り育ててきましたが、議員ご指摘のとおり、近年、都市住民がボランティアとして森林整備に参加する機運が高まってきております。本県におきましても、現在、約三百二十名の方々が森林ボランティア会員として登録し、公有林を中心としたさまざまな森林整備に活躍し、成果を挙げております。今後とも、県民が参加できる育樹祭や森のつどいなどの森林整備への参加機会をふやし、さらに、新たな会員を募ってまいりたいと考えております。また、地域に根差した自主的な活動を行うグループの育成が重要であると考え、緑づくり指導者であるグリーンスタッフを養成してまいりましたが、今までに二十一名の方が緑づくり人材バンクへ登録し、グループのリーダーとして活躍することが期待されております。今後はグリーンスタッフの充実を図るとともに、緑の募金を活用してボランティアへの支援を行っている栃木県緑化推進委員会と協力し、情報の提供や活動の場の確保を図り、森林ボランティアの育成を積極的に進めてまいりたいと考えております。
○石島保男 議長 岩立忠夫土木部長。
(岩立忠夫土木部長登壇)
◎岩立忠夫 土木部長 土木行政についてお答えいたします。まず、東北縦貫自動車道の六車線化と(仮称)黒磯インターチェンジの整備についてですが、東北縦貫自動車道は、ご指摘のとおり、鹿沼から宇都宮間の六車線化により、渋滞日数や渋滞時間等が約六割減少するなど、相当の改善効果が見られたものの、宇都宮以北においては、行楽シーズンを中心に交通渋滞が発生しております。高速自動車国道としての高速性・定時性の確保を図る上からも、機能強化が必要と思えることから、早期に六車線化が図られるよう、沿線市町で組織する期成同盟会と一体となって、今後とも、国などの関係機関に対し、積極的に働きかけてまいります。
また、(仮称)黒磯インターチェンジの設置については、地域経済の活性化や県北部地域の東北縦貫自動車道へのアクセス時間短縮、さらには、那須地域における渋滞緩和など、多数の効果が期待できることから、現在、整備に必要な関係機関との協議や概略設計及び環境調査を実施しているところであります。今後とも、必要な調査や諸手続を進め、地元関係者の皆様の協力を得て、事業推進に努めてまいります。
次に、国道四〇〇号の整備についてでありますが、国道四〇〇号は、県北部地域における東西方向の広域的な幹線道路であり、全国屈指の観光地である塩原温泉郷への重要な路線でもあります。中塩原バイパスについては、現道から通過交通を排除し交通渋滞の緩和や歩行者の安全確保を図るため、平成十一年度から事業に着手しております。現在、用地取得を進めているところでございますが、今後とも、関係地権者の協力を得ながら、積極的に事業を推進してまいります。関谷から下塩原地内につきましては、急峻な渓谷地形であり、また、日光国立公園の特別地域でもあることから、道路計画の策定に当たって解決すべき課題が多いところでもございます。このため、現在、ルート検討及び環境調査を実施しているところでありまして、今後とも、各種調査を進めるなど、事業化について検討してまいります。
次に、県道西那須野那須線の整備についてでございますが、本路線のうち、西那須野町の井口工業団地から、黒磯市島方地内の県道大田原高林線までの約三・三キロメートル区間については、西那須野町側から整備に着手し、現在、蛇尾川にかかる橋梁等の工事を推進しております。今年度末までには、井口工業団地から黒磯市道の波立島方線までの約二・一キロメートル区間が暫定二車線で供用できる見込みでございます。残る区間につきましても、現在、積極的に用地取得を進めているところでございまして、今後とも、地元関係者の皆様方の協力を得ながら、事業推進に努めてまいります。
最後の蕪中川・百村川の整備についてでありますが、蕪中川については、蛇尾川合流点からJR宇都宮線までの約四キロメートルの区間を、全体計画区間として改修事業を進めております。これまで蛇尾川合流点付近のショートカット部分の約三百メートルの工事を完了いたしまして、その上流部の西那須野町槻沢地先の用地取得に努めてきたところでございます。今年度も引き続き、用地取得を進めるとともに、過去に浸水被害を受けました乃木ニュータウンの下流まで、掘削、築堤等の工事を進めてまいります。
次に、百村川については、県道大田原氏家線の筋違橋から、一級河川上流端の西那須野町緑地先までの四・八キロメートルを、全体計画区間としてこれまで用地取得を進め、下流部より一部工事に着手したところでございます。この区間では、平成十年、十一年に浸水被害を受けておりますことから、今年度から新規に、おおむね五年間で緊急的かつ集中的に事業を進めるという国庫補助床上浸水対策特別緊急事業を導入しまして、浸水対策の早期実現を図ることといたしました。今後とも、大田原市、西那須野町を初め、地元関係者のより一層のご理解、ご協力を得て、早期完成に向けて努力してまいります。
次に、ひとにやさしいまちづくりの推進についてお答えいたします。ひとにやさしいまちづくりを推進するためには、すべての人々が毎日の暮らしの中で、安全で快適に過ごすことのできる環境の確保が不可欠であります。そのため、県、市町村、事業者が協力しながら、道路や公園等の公共施設、また、公共性の高い建築物のバリアフリー化を積極的に展開しております。
お尋ねのありました道路のバリアフリー化については、平成九年度からひとにやさしいまちづくり支援道路事業によりまして、駅や福祉施設、総合病院等を含む地域において、重点的かつ緊急に歩道の段差解消、側溝の暗渠化、点字ブロックの設置等の整備を進めてまいりました。これまでに重点整備地区として二十地区を選定しまして、昨年度までに宇都宮中央地区等五地区で整備が完了、今年度は、佐野市街地等十一カ所で事業を実施中でございます。また、済生会宇都宮病院周辺や今市市街地の二地区で、新たに整備計画策定に向けた調査に着手いたします。これらの整備計画の策定や個別の設計に当たりましては、高齢者・障害者などの団体や地元自治会、関係機関と合同で現地調査を実施しまして、住民のさまざまな意見を反映することとしております。また、公共性の高い建築物のバリアフリー化につきましては、今年度「ひとにやさしいまちづくり支援モデル事業」を創設いたしまして、改修費の一部について補助を行うことといたしました。本事業では、道路管理者の歩道等のバリアフリー化にあわせ、公共性の高い既存の病院や店舗などを中心にドアの自動化やトイレの改修、出入口の段差の解消などを図ることとしております。これらの事業について、市町村と協力しながら積極的に進め、県民一人ひとりが安全で快適な日常生活を過ごすことのできるひとにやさしいまちづくりを、より一層推進してまいります。
○石島保男 議長 岩崎修教育長。
(岩崎 修教育長登壇)
◎岩崎修 教育長 野沢養護学校の整備についてお答えいたします。野沢養護学校の移転整備に当たりましては、身体の動きが不自由な児童生徒が障害を克服し、可能な限りみずからの力で学校生活が送れるような施設としていくことが大切であると考えます。そのため、一人ひとりの障害の程度に対応した学習や運動が可能となるよう施設全体の配置に配慮いたしますとともに、体温調節が難しい児童生徒のために各教室などに空調設備を設置していく考えでございます。
また、木材の持つやわらかさや温かさ、あるいは吸湿性などの特質を生かすことが、安全で健康的な室内環境づくりのため有効であると考えており、これまで実施してまいりました校舎等の木質化の効果を踏まえ、可能な限り木質化を図っていくなど、良好な学習環境の整備に努めてまいる考えでございます。こうした整備方針のもとに、野沢養護学校が肢体不自由教育の中核的施設にふさわしいものとなるよう整備を進めてまいる考えでございます。
次に、なす高原自然の家(仮称)の整備についてお答えいたします。なす高原自然の家(仮称)の整備に当たりましては、これまでの青年の家や少年自然の家という区分にとらわれず、幅広い県民の皆様の多様な学習ニーズへの対応を前提とした新しいタイプの生涯学習施設として位置づけたところでございます。
このため、施設の整備につきましては、さまざまな人数のグループに対応できるよう研修室を六室整備するほか、宿泊室については、五人ないし六人部屋を中心とし、車いすでも利用できる部屋を五室整備する予定でございます。また、エレベーターやスロープを設置することによりまして、高齢者や障害者の方々の利用にも配慮した構造としております。さらに、入口付近のホールにつきましても、宿泊利用者以外の方々にも利用できるオープンスペースとしたところでございます。
また、この施設で行われる活動内容につきましては、那須の恵まれた自然と四季折々の特色を生かした多様な活動ができるよう、プログラムの開発に努めているところでございます。今後の整備スケジュールにつきましては、平成十六年度のオープンを目指し、本年度の秋には建築工事に本格着工したいと考えております。
○石島保男 議長 郡司征夫議員。
◆四十七番(郡司征夫議員) ただいまは知事初め、各執行部の皆さんに懇切丁寧な回答をいただきまして、まことにありがとうございます。三点ほど要望を申し上げまして、質問を終わりにしたいと思います。
まず、第一点は、ただいま知事の答弁にありましたように、国会等移転につきましては、来年の五月をしっかりと見据えたより積極的な取り組みを展開していく必要があると思います。来る七月の三日ですか、衆議院の特別委員会が来県をいたしまして、知事もその視察日程に合わせて説明をされるはずであります。県民の合意形成に基づいて、国会等移転に対しての知事の積極的な姿勢を明らかにしていっていただきたい。県民会議の会長であります点からも、ひとつ調査のための案内をよろしくお願いしたい、こう思っております。
なお、五県の知事が一体となって、北東地域首都機能移転のための基本構想の調査研究を進めていくということで、基本構想を策定中だということでありますので、関係県議会、市町村あるいは経済界も一体となって取り組みをし、全国的にアピールをしていただきたい。そしてまた、東京との比較考量、やはり東京都の理解と協力を得られないと、現地の候補地がすばらしく優秀であるといっても、いろいろなインフラ整備も不十分ですし、そういう観点からは比較対象ができないような状態でありますから、どうぞ栃木県から創る二十一世紀の日本を国会等移転の実現に向けて、なお一層知事の活動をお願いを申し上げたい、こう思っております。
二点目は、中小企業に対しての経済支援、これらを含めてやっていただきたい。栃木県は地理的に非常に恵まれた首都圏に位置して、県土面積あるいは人口二百万人、これらは全国で二十位という中位県にありながら、製造品出荷額が七兆六千億円。かつて平成八年度には、八兆三千億円ぐらい製造品出荷額があったわけでありますが、現在は七兆六千億円。十二位に位置しております。しかしながら、県民所得は依然として全国八位ということですが、県民は勤勉で意欲を持って仕事に励んでいる、そういった県民性を持っております。そういう点で、栃木県の工業をいかに発展向上させていくかということが、今、重要なところでもあります。
なお、宇都宮テクノポリス構想も、いろいろセンターを中心としたテクノポリスを建設していくということも当然引き金にもなりますし、北関東横断自動車道が開通すれば、海なし県の栃木が海を持つことになる、港を持つことになるということで、陸内工業団地もフル稼働すれば、八兆円なり九兆円あるいは十兆円、こういった出荷額にもなってくるはずであります。そういった点で、
商工労働観光部長にひとつ真剣に中小企業振興の取り組みをお願いを申し上げたい、こう思っております。
最後に、農産物のブランド化推進についてであります。今、セーフガードを発動したり、輸入農産物に対して日本も対抗策をとっております。しかし、ついこの間、韓国輸入野菜の現状をテレビで見ておりました。韓国が一九九一年、九五%の国費あるいは融資制度をもって、自己負担が五%で施設化をしたり、農業に対しての対応策、特に、日本向けの野菜に対して釜山の研究所でかなりの研究をやっております。ですから、九一年の輸入量と現時点を比較いたしますと、トマトを例にとりましても、三十五倍の野菜輸入の状況になっているわけであります。また、パプリカとかピーマンも二十八倍、平成八年度比でもそういう状況になっているわけであります。セーフガードを発動しても、日本向けの野菜をどんどん研究して、三百万トンの輸入量も日本にはあるということで四兆円の日本の市場をねらい撃ちしてくるわけであります。そういうことでありますので、JAS規格輸入野菜よりは本県野菜がすばらしくうまくて新鮮で安いんだというような、農産物のブランド化推進について、あわせてお願いを申し上げたい、こう思っております。
以上で、時間が参りましたので、すべての質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○石島保男 議長 以上で上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に対する質問は終了いたしました。
次に、申し上げます。ただいま上程中の議案の委員会付託についてでありますが、お手元に配付いたしました議案付託表のとおり、関係常任委員会に付託いたします。ご了承願います。
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議案付託表
〇総務企画委員会
第 一号議案 栃木県手数料条例の一部改正について
第 二号議案 栃木県県税条例の一部改正について
第二十三号議案 八ツ場ダムの建設に関する基本計画の変更に対する意見について
第二十四号議案 国土利用計画栃木県計画の全部変更について
第二十五号議案 知事の専決処分事項承認について中専決処分第二十六号及び第二十八号
〇厚生環境委員会
第 三号議案 栃木県看護職員修学資金貸与条例の一部改正について
〇農林委員会
第 七号議案 市町村が負担する金額について(農務部関係)
第 八号議案 市町村が負担する金額について(林務部関係)
〇土木委員会
第 四号議案 栃木県屋外広告物条例の一部改正について
第 九号議案 市町村等が負担する金額について(土木部関係)
第 十号議案 工事請負契約の締結について(一般国道一一九号宇都宮北道路徳次郎高架橋(仮称)二工区上部工建設工事)
第 十一号議案 工事請負契約の締結について(一般国道一一九号宇都宮北道路野沢高架橋(仮称)四工区上部工建設工事)
第 十二号議案 工事請負契約の締結について(一般国道一一九号宇都宮北道路野沢高架橋(仮称)五工区上部工建設工事)
第 十三号議案 工事請負契約の締結について(一般国道一一九号宇都宮北道路野沢高架橋(仮称)六工区上部工建設工事)
第 十四号議案 工事請負契約の締結について(一般国道一一九号宇都宮北道路野沢高架橋(仮称)七工区上部工建設工事)
第 十五号議案 工事請負契約の締結について(一般国道一一九号宇都宮北道路野沢高架橋(仮称)八工区上部工建設工事)
第 十六号議案 工事請負契約の締結について(一般国道一一九号宇都宮北道路野沢高架橋(仮称)九工区上部工建設工事)
第 十七号議案 工事委託契約の締結について(主要地方道藤原塩原線藤原町龍王バイパス建設工事)
第 十八号議案 工事請負契約の変更について(一般国道一一九号宇都宮北道路徳次郎高架橋(仮称)二工区下部工建設工事)
第 十九号議案 弁護士報酬の負担について
第 二十号議案 弁護士報酬の負担について
第二十一号議案 弁護士報酬の負担について
第二十二号議案 弁護士報酬の負担について
第二十五号議案 知事の専決処分事項承認について中専決処分第三十号及び第三十一号
〇文教警察委員会
第 五号議案 栃木県高等学校定時制課程及び通信制課程修学奨励費貸与条例の一部改正について
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○石島保男 議長 日程第二 請願・陳情についてを議題といたします。本議会定例会で受理しました請願・陳情四件は、お手元に配付しました文書表のとおり、それぞれ関係常任委員会に付託いたします。ご了承願います。
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新規付託分
厚生環境委員会
受理番号 55
受理年月日 13.5.25
件名 「青少年健全育成に関する基本法」の制定を求める意見提出についての請願
紹介議員 増渕賢一
要旨
請願趣旨
明日の社会を担う青少年の健全育成は、すべての国民の願いであります。しかしながら、今日わが国の青少年の荒廃は深刻な事態に直面しております。青少年の荒廃は、急増する離婚、頻発する児童・幼児虐待事件に象徴される家庭の問題、また倫理・道徳教育を排し、知識偏重教育に陥り、人格形成の場としての役割を果たしてこなかった学校の問題、そして地域社会においては、四兆円を上回る市場規模の性産業の氾濫の問題等、我々大人が「青少年を守り支援し、時に戒める」という義務を果たさなかったゆえの結果と言わざるを得ません。
これらの問題に対して、国は従来それぞれの分野における諸法規により対処してきましたが、いずれの法規も限られた分野における対症療法的な内容に留まり、問題が指摘されています。また、全国民的課題である青少年問題について、各都道府県の条例で区々に対応するという限界性は以前から問題として指摘されています。
平成十一年に発表された第十五期青少年問題審議会(総理大臣の諮問機関)の答申においても、「青少年育成基本法」の必要性について言及されているところでもあります。
今、求められているのは、青少年の健全育成に対する基本理念や方針などを明確にし、これによる一貫性のある、包括的、体系的な法整備であります。
特に、「健全な青少年は健全な家庭から育成される」という原点に立ち返り、「家庭の価値」を基本理念に据えた、「青少年の健全育成に関する基本法」が必要と考えます。
以上の理由により、左記の内容を含めた、「青少年の健全育成に関する基本法」の制定を求める意見書を政府に提出するよう請願いたします。
請願事項
一、明日の社会を担う青少年を健全に育成するため、「青少年の健全育成に関する基本法」の制定を求める意見書を政府に提出すること
(青少年健全育成基本法を制定するに際し、配慮すべき事項)
一、「家庭の価値」を重視した、青少年の健全育成に関する基本理念・方針を定める
二、家庭の責務、教育現場の責務、地域社会の責務を明確にする
三、有害図書(雑誌・ビデオ・パソコンソフト・CD-ROM等)の販売、貸出は専門店でのみ扱う
四、有害図書類、アルコール、たばこ類の自動販売機での販売禁止、広告の制限
五、テレビ番組のランク付けを義務化する「Vチップ制度」の導入による有害番組の規制システムを作る
六、インターネット、パソコン通信のわいせつ性及び暴力性の高い画像などを規制する
七、青少年を性犯罪から守るため、淫行処罰規定を法律として定め強化する。
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厚生環境委員会
受理番号 57
受理年月日 13.5.22
件名 放課後児童健全育成事業(学童保育)の充実発展に関する陳情
紹介議員
要旨
一、陳情趣旨
小学校の放課後、帰宅しても保護者の保護を受けられない子どもたちの「生活指導を行い、その健全育成を図る」という学童保育は働く親にとってなくてはならないものです。指導員(学童保育所において子どもたちの世話をする人)の指導のもと、異年齢の集団として学びあい助け合いながらともに生活する学童保育は、子どもの成長を保障する大事な意味を持っています。また、地域や学校との連携、そして父母と指導員の共同のもとで、子育てを進める場としても、学童保育は重要な役割を果たしてきました。
近年になって、学童保育は、保育所とともに少子化対策の目玉として脚光を浴び、一九九八年四月には、児童福祉法の改正により法制化され、第二種社会福祉事業として位置付けられました。二年経った今、栃木県内の学童保育の状況は、県内四三七小学校に対し、十二市三二町で、二一七か所(二〇〇〇年五月一日現在)開設されており、年々設置箇所数は増えていますが、まだまだ多くの子どもたちが放課後をひとりぼっちで過ごしています。そして、学童保育の運営形態は、多種多様であり、指導員の待遇や保育施設の実態は、劣悪なものが数多く見受けられます。
このような状況にある学童保育の施策の改善を要望し、次の事項について、陳情いたします。
二、陳情事項
(一) 県内市町村で行われている学童保育が、専用の館、部屋を確保できるようにもっと施設費を拡充してください。
(二) 学童保育指導員の人件費を、一クラブ複数分で、常勤できるだけの予算を組んでください。
(三) 人件費以外の運営費(施設維持費)を実態に合わせて予算化してください。
(四) 現在県単補助を行っている児童数二十人未満の学童保育クラブの補助を大幅に増額してください。
(五) 「障害児保育」に対して、補助額を加算してください。
(六) 学童保育指導員の研修への補助を新設してください。
(七) 学童保育(放課後児童健全育成事業)と全児童対策事業の違いを明確にして、市町村を指導してください。
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新規付託分
経済企業委員会
受理番号 58
受理年月日 13.5.24
件名 「A(株)」の茂木町地内岩石採取開発認可取消しの採択を求める陳情
紹介議員
要旨
茂木町大字○○地内において「A(株)」が申請していた岩石採取計画の申請を県が認可したことに対し、私達茂木町の住民は大変な憤りを感じております。
福田知事は、県民の声に耳を傾けた行政を公約に昨年秋に当選された際には、茂木町及び町議会議員全員、そして茂木町民の大多数が反対しているこの開発に対し、再認可されないものと確信しておりましたし、県議会においても認可取消しの採択をしてくれるものと信じておりました。
この件に対し、私達は十九年前に、はっきりと反対の意思表示をしました。私達の考えに同意して下さった方々約八、六〇〇名の署名を持って県を訪れた際に、当時の船田知事をはじめ県関係者は「地元の同意なしには県は認可を下さない」ということをはっきりと明言し、約束して下さいました。
それが、平成九年九月一日付けで地元へ何の説明もなく唐突に認可し、さらには、平成十年九月及び平成十三年二月に再認可したことは、十九年前の約束が全く反古にされたばかりか、本来県民の生活を守ることを第一とすべき県行政の立場を放棄したものとして、まことに遺憾であります。
さらには、県民のために執務を行なわなければならない立場の県関係職員は、これまで開発業者を擁護しているとしか受け取れない私達への対応に、深い憤りを感ぜずにはいられません。
私達は十九年前から次のような理由で反対し続けています。
一、大型運搬車両の通行による車公害と予想外の交通事故への不安
本計画の運搬路である県道中飯岩瀬線は、地区住民唯一の生活道であるにもかかわらず、ほとんどが未改良区間であり、例えば学童・学生等の登下校の危険、日常生活の安全侵害(特に幼児・高齢者)等の問題発生が明らかである。
二、騒音・ほこりによる健康上の問題
近隣市町村における採石場の例から、粉塵による生活環境の悪化や採石運搬に伴う騒音、ほこりの公害の酷さを身をもって体験しており、住環境や健康が害されることは明確である。
三、土砂流出による諸々の被害
○○地区には約八十haの水田を有し、農業を主要産業としている地区であり、渇水災害や濁水による収穫低下はほとんどの採石場の例から明確である。
四、環境破壊による不測の災害への不安
茂木町においては、昭和六十一年八月に誰もが予想しえなかった未曾有の大水害を被りました。その体験から治山治水の大切さ森林保全と水源涵養の重要性を誰よりも認識しでおります。茂木町市街地の上流に位置する本開発が、茂木町民にとって安心して安全に暮らすことのできない大きな原因となることは明らかである。
現在も、その状況は少しも変わっておらず、茂木町民の強い反対意思も同じであります。いや、以前にもまして、昭和六十一年の大水害の体験から治山治水の必要性を痛感し、更に、環境や健康に対する関心が更に高まっている現在にあっては、私達の反対の気持ちは以前よりずっと強固になっています。
たとえ、どのような理由があるにしろ、隣接する笠間市における採石場の現状を間近に見ている私達は、自分達の地域をあのような大型車両による車公害や騒音、粉塵公害による生活環境の崩壊した地域にはしたくないと思っております。ましてや、公共のためでなく一企業の利益のために、私達の住環境や健康が害されるおそれがあることに納得できる訳がありません。
さらには、平成八年に地元と締結された協定書については、当時の行政区長が自ら権限を逸脱し、地元の同意を得す勝手に締結し提出したことを自ら認めております。また、この区長が岩石採取開発地の地権者であり、強力な推進者であることは県の担当者も直に聞いているはずです。このような関係者が、かってに作成した公害防止協定書が添付された不正な認可申請書が有効なはずなどありません。
また、先にあげた点に加え、単に一業者の利益追求のためのものであること、事業計画が表面化して以来、業者の態度は全くもって不誠実であり、地権者と共謀し地元協定書を偽造するなど、悪質極まりないこと等を考えれば、今回の再認可に対し、全町民をあげて反対していることに対し、県民を代表されている県議会議員の皆様も同調していただけるものと確信しております。
茂木町においても、当初より「町長」及び「町議会」がこの件に対し、私達と同様の意思を示され、何度も反対の要請や異議申し立てを行なっていただきました。
また、私達「茂木町○○地内における岩石採取反対の会」においても、県議会議長宛に平成九年十月に認可取消しの採択を求める要望書、平成十二年八月及び平成十三年二月に不認可の採択を求める要請書を、さらに平成十三年三月九日に再認可に対する抗議文を提出していることはご承知のとおりであります。
どうか、県議会におかれましても、この問題に対する状況を把握され、茂木町民の切なる心情と悲痛な訴えをおくみ取りいただき、平成十三年二月二十八日付けで、県が「A(株)」に再認可した茂木町深沢地内の岩石採取計画を、すみやかに取り消しするよう採択をいただきたく、一〇、二一八名の署名を添えて強く陳情いたします。
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新規付託分
文教警察委員会
受理番号 56
受理年月日 13.5.31
件名 運転免許申請写真不要化に関する請願
紹介議員 平池秀光
要旨
警察庁は「道路交通法施行規則を改正する総理府令試案」に対する世論の反応をふまえ、平成十二年七月、改めて当局の考え方を表明されました。その文書では
『今回の改正は、運転免許証の作成に使用する写真に関するものではなく、運転免許証更新申請書に添付する写真について、一定の場合に添付を省略することができることとするものである』とされています。しかしながら、写真持参不要となれば、従来申請者が持参した写真を免許証作成に使用していた窓口も、窓口における直写方式への変更を強制されることになり、全国どの窓口でも直写方式に統一される結果になります。このことは、免許証写真については官の独占ということであり、民間撮影業者排除につき、私たちは強く抗議するものであります。そもそも申請窓口での撮影を義務づける法的根拠はあるのでしょうか。明確なご回答をお願い申し上げます。
前記警察庁見解では、
『なお、運転免許証の作成に使用する写真を本人が選択または持参することについては、「運転免許証の更新制度についての提言」平成十二年五月運転免許制度に関する懇談会においても「撮影されて免許証に用いられる写真について、不満を感じる者があるところから、本人の選択の機会が何らかの形で確保されるようにする事が望まれる」とされているところであり、今後、これらの問題の解決が可能かどうかについて、検討を進めることとしている』とされています。しかしながら、平成十三年四月一日からの施行を前に、すでに各地で直写方式への切換えが進んでおり、「検討を進める」という表現によって批判をかわし、官の独占を恒久化しようとしているとの疑念を感じざるを得ません。今回の法改正は年間二千万人に及ぶ更新申請者即ち国民多数の利便性をはかるためとされていますが、私たちは不満が多い申請窓口での強制撮影の写真だけでなく、申請者が持参するお気に入りの写真による免許証作成方式も「国民のため」であり、国民多数の支持を得られるものと考えます。
有効期限が延長され、身分証明書代わりに使用される頻度が高い運転免許証の写真が不満足であることは、精神的スト
レスを与えるといっても過言ではありません。
また、官による民の排除について、窓口での撮影業務は官直営でなく、財団法人交通安全協会に委託されているのであれば、一民間公益法人である交通安全協会がその業務を独占できる法的根拠をお示しいただきたいと存じます。公正取引委員会は公益法人などの実態調査を通じて規制緩和を推進していますが、一公益法人による独占は、まさにこのことに逆行するものであります。その根拠が交通安全協会の公共性にあるとするならば、写真撮影分野には、文部省・通産省などから認可された社団法人が三団体あり、いずれも公益法人であるところから、窓口撮影業務に参入できる資格があると考えます。とりわけ社団法人日本写真文化協会は文部省認可で、五十余年の歴史を有し、全国の主要写真館関係者が会員となっており、人物写真のプロ写真家集団として、運転免許証写真のレベルアップに寄与できるものと考えます。日本写真文化協会が四十七都道府県支部組織を活用して、窓口撮影業務委託を申請したら、委託していただけるのでしょうか。こ
の点についても当局の見解をお聞かせください。
最後に、申請者が持参する写真を免許証作成に使用しない理由を、警察庁では都道府県公安委員会の人的体制と、複写による写真精度低下の二点を挙げていますが、前者については、写真複写方式の方が対面撮影より省力化と作成時間短縮につながる面が多く、コスト削減にもなり、後者については、パスポート作成に写真複写方式が採用されていることを考えれば理由にならず、二点とも拒否理由としては薄弱と言わざるを得ません。
私たちは、運転免許に関する懇談会提言の通り、運転免許証には申請者が気に入った写真を使用できるシステム導入を強く要望いたします。
以上のごとく、私たちは、運転免許証更新申請者の負担軽減を名目として行政が民間の経済活動を奪い、窮地に追い込み、独占しようとすることに強く抗議するものであります。警察庁の今回の法改正が内需拡大・市場開放を目指す規制緩和推進に逆行することにならないよう、免許証写真についてパスポート方式導入を強く要請いたします。
なお、別紙資料のように、当協会の全国組織であります日本写真文化協会及び日本写真館協会を通じまして、警察庁・国会議員にも請願書を提出してあるところであります。また、四十七都道府県支部組織におきましても、各都道府県議会及び各公安委員会に請願書・陳情書を提出してあり、別紙資料のような報告が入っております。その中にありましても、最近の報告では、静岡県に於いてはすでにパスポート方式が認可されましたし、岩手県初め、関東地区に於いては埼玉県・茨城県等で「前向きに検討・審議中」との報告を受けております。
本県に於かれましても、請願内容につきましてご審議いただき、免許証写真のパスポート方式導入を重ねてお願い申し上げる次第でございます。
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○石島保男 議長 次に、お諮りいたします。六月十一日から十五日までは委員会のため、それぞれ本会議を休会としたいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○石島保男 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。
なお、あす九日、十日、十六日及び十七日は県の休日のため、それぞれ休会といたします。
以上で本日の日程は終了いたしました。十八日は定刻から本会議を開きます。
本日はこれで散会いたします。
午後三時十分 散会
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